大蔵委員会 第24号
- 発言数
- 268 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/04/06
会議録
○鴨田委員長 これより会議を開きます。 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。荒木宏君。
○荒木(宏)委員 初めに、大臣にお尋ねしたいと思いますが、税法に関する法律上の原則として租税法律主義ということがいわれておりますけれども、租税法律主義の真髄と申しますか精神と申しますか、これは国民にとって、どのような税法の原則、真髄を定めたものであるか、手続はもちろんこれは国会で定めるというふうなことでございますが、そのねらいとするところ、国民に対してどのような利益を与えるものであるか、手続ではなくてその精神、真髄といったところについての御認識を伺いたい。
○愛知国務大臣 租税は、私、思うに、議会主義というものが発生をした経過、沿革にかんがみてみましても、国民が納税者の立場において非常に重大なことであるので、自分たちが納める税というものの考え方や基本というものについて、税を集める者のほうの立場に対して納税者の立場というものをはっきり権利を留保すると申しますか、そういう立場からできるだけ租税制度というものを明確にしなければならないということが一番基本であると思いますから、したがって、立法府で法律によって納める税の基本あるいはその構成というものができるだけ明確になっているということが基本の精神でなければならない、こういうことである、私はそう考えております。
○荒木(宏)委員 納税者の立場に立って税というものができるだけ明らかになっておる、こういう精神だというふうに伺ったのでございますが、そこで、いま審議になっております特別措置法、これは規定のていさいからしましても、規定がそのつど積み重ねられて非常に複雑になっておりますが、この特別措置についても、いまの大臣の租税法律主義についてのお考えからいいますと、なるべく整理をし、内容も明確にしていくことが望ましい、もっとはっきりいえば、こういった特別措置はそのつどいろいろな目的から出てきたものでありましょうけれども、しかし、単純明快にすっきりするということが一番望ましい、本来ならばそういうふうにすべきものであると考えますが、これはいかがでございましょう。
○愛知国務大臣 同時に租税というものは、行政府の立場から申しまして、そのときどきの政策目標というものがはっきりしなければならない。そこで、それを特別措置法でいえば、そのときどきの政策手段としてこういう点については特別の措置をするということが国会の審議によって明らかにされるという形で、そして国会の御承認を得れば、これは選択される手段として容認せられるべきものである、こう考えますが、同時にその内容は、根本の趣旨として、できるだけ明らかなものでなければならない、それからこうした特別措置というものは、そういう趣旨のものでありますから、既得権化するものであってはいけない、それから慢性的に、一ぺんできたからといってそれを漫然と続けるということはその性質として適当でないということも当然であると思いますので、随時洗い直しといいますか、見直しをしていかなければならない、こういうものであると考えております。
○荒木(宏)委員 そうしますと、内容についての洗い直し、吟味、これが必要だということになるわけですが、特別措置法、本法に含まれるものもあわせていかほどの金額が特別措置によりまして減免されておるか、こういうことが間々問題になっておるわけですけれども、大蔵省のほうでもこれについては計算をされて資料としてお出しになっておることもいままでたびたびございましたが、まず、減免の利益を受けるものが、資本金一億円でかりに区切ってみまして、それより多いものと少ないものとどちらのほうが利益を受ける率が高いかという点については、政府としてはどんなふうにごらんになっているのですか。
○高木(文)政府委員 特別措置によるいわば減収の額がどういうところに主として向いていくかということでございますが、現在の段階では、まず個人と法人と分けまして、たとえば貯蓄の非課税とかその他、かなり個人にメリットがあるものが多うございます。それから次に、法人、産業といいますか、そういう中で特別措置が資本金なり何なりの階層別にどういう傾向にあるかというと、現在のところでは、資本金の多い会社といいますか、大きな企業のほうに片寄っている傾向があるわけでございます。ただ、御承知のように、四十五年、四十六年、四十七年と三カ年間にわたりまして非常な批判の対象でありました輸出関係の特別措置の整理が行なわれました結果、その傾向は漸次是正されてきているところでございます。ただし、輸出関係の特別償却の制度は、取得ベースから見て三年間適宜の時期に償却をすることができるということになっておりますので、その効果が申告の上に最終的にあらわれてきますのには大体なお一年ないし一年半くらいを要するのではないかと思っております。
○荒木(宏)委員 いままで大蔵省のほうで、資本金の階層別でいわゆる特別措置によって減免を受ける受益率といいますか実効税率、それを計算された資料はございますか。
○高木(文)政府委員 昨年来、当委員会におきまして、いまのような視点から資本金別に法人税の負担がどういうことになっておるかということについていろいろ分析して明らかにするようにということの御指摘がございました。その御要請に基づいて最近作業したものがございますが、その結果によりますと、これは必ずしも特別措置だけでなくて、法人税負担全体の関係でございます。資本金一億円以下の法人の所得額に対する法人税額の割合は大体三三%でありますのに対して、一億円超の法人の負担の割合は三五%、やや正確に申しますと、資本金一億円以下が三三・三%、資本金一億円超が三四・八%ということになっておりますが、これらは法人税におきますところの基本税率と配当軽課の関係、それからもろもろの租税特別措置法の関係、それの総合でそういうことになっておるわけでございます。
○荒木(宏)委員 いまおっしゃった数字はすでに資料としてお出しになった分の数字ですか。利用状況についての報告が資料として出ておりましたが、おっしゃった率はそのまま資料として出ておるものですか。
○高木(文)政府委員 失礼しました。三三・三%、三四・八%という数字は、先般予算委員会に要求資料に対するものとして御提出申し上げたものでございます。
○荒木(宏)委員 では、特別措置による準備金、それから特別償却、割り増し償却、それから法人税法による引当金その他で減免税の試算表としてお出しになっておる分ですね、これがありますね、この分の資本金階層別による減免の受益率、これは出ておりましょうか。
○高木(文)政府委員 ただいまのは四十八年度の特別措置減収見込み額四千六百四十五億の分類の問題であると思いますが、そのことであれば、まず一般分といいますか、必ずしも企業に関係のない分と、それから企業関係分、企業といいますか、産業関係というか、そういうふうに分けることができるわけでございますが、四千六百四十五億のうち二千九百七十億、これがいわゆる一般分でございます。企業関係分が千六百七十億になります。比率で申しますと、一般分が六四%の産業関係分が三六%になります。 そのうち企業関係分を、かりに資本金一億をめどにして大企業というものと、それから一億未満の中小企業及び個人に分けますと、大企業のほうが約三百十五億、小さいほうが千三百五十億ということになりますが、この小さいほうの千三百五十億という非常に大きな金額が出ておりますのは、社会保険診療報酬によるお医者さんのための特別措置八百八十億が千三百五十億の中に含んでおるわけでございます。
○荒木(宏)委員 そこで、いまおっしゃった租税特別措置による減収額試算、この試算額について少しお尋ねしたいのですが、これについてはいろいろな計算が指摘されておりまして、せんだって大臣も御出席になった討論会でありましたか、わが党の渡辺議員との問で、大臣がたしか数千億とおっしゃったのに、わが党のほうで計算したところでは三兆円、そんなになるはずがない、それじゃ計算の過程を明らかにしてほしい、こういったことでやりとりがあったことは御記憶かと思うのです。私どものほうでいただいています租税特別措置による減収額試算内国税について、昭和四十六年の分がございます。これについての減収額試算方法、これを少しお聞きしたいのですが、全部については時間の関係もありますので、内部留保、企業体質の強化として価格変動準備金があげられておりますが、これについてはどういう方法で試算をなさったのか、これを少し御説明いただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 価格変動準備金についてのただいまの御質問は、四十八年度の見込みの試算という意味で理解してよろしゅうございましょうか。
○荒木(宏)委員 いただいている四十六年の表がありますので、これで御説明いただきたい。
○高木(文)政府委員 四十六年度の数字というのは、一昨日の委員会で提出した資料でございましょうか。
○荒木(宏)委員 それでけっこうです。四十八年四月というこれですね。
○高木(文)政府委員 それは結果でございまして、実績の数字でございます。税務統計等集計したものでございまして、試算ではなくて四十六年の実績の結果の数字でございます。
○荒木(宏)委員 それでは試算のほうの計算方法をひとつ明らかにしてください。
○高木(文)政府委員 四十八年度の減収見込み額は、価格変動準備金は二十二億ということで計算をしておりますが、二十二億の計算過程におきましては、四十八年度の価格変動準備金の積み増し見込み額を現行法でまず算定をいたしますと大体六百億ぐらいではないとかいうふうに見込んでおります。それに法人税率をかけますと、現行法による減収見込み額は約二百二十億見込まれます。それから今回の税制改正によりまして価格変動準備金の積み増し率をそれぞれ削減することを予定しておりますので、それによって約百九十六億の増収を見込んでおります。差し引き四十八年度の減収見込み額として、ラウンドで申しましたから端数がちょっと合いませんが、二百二十億から百九十六億を引きました額二十二億を計上いたしております。
○荒木(宏)委員 その試算の額の正否の検討ですけれども、はたしていまおっしゃった額が正確なものかどうかいろいろ問題があると思うのです。そこで、四十八年は試算だけで実績の対比ができませんから、いま試算と実績の対比がはっきりできる四十六年の分について伺いたいと思うのです。 四十六年度は試算額と実績がはっきり出ておるわけですが、四十六年度価格変動準備金は、一昨日いただいた資料では期中積み増しが二百四十億になっておりますけれども、これによる減収額は幾らになりますか。
○高木(文)政府委員 二百四十億というのが積み増し額でございますが、その積み増し額に対応する減収額は正確には計算できませんけれども、大体の推定計算は可能でございまして、私どもでは約八十億と見ております。それはどういうことかと申しますと、二百四十億のうち赤字部分と黒字部分の関係が一つあり、それから通常の三六・七五%の基本税率が適用になる、もしこれがなかりせば適用になったであろうと考えられるか、もしこれがなかりせば配当に回ったであろうかというようなことがありまして、平均法人税率をどう見るかという問題がありますけれども、それらについてある程度の——失礼しました。税率の点については、三六・七五だけ減収になったものと仮定をしていまの二百四十億から推定した金額が八十億ということになっております。
○荒木(宏)委員 しかも、それは法人だけになりますね、八十億とおっしゃったのは。ところが四十六年の試算で出された法人、個人を含めた価格変動準備金の見込み試算では二十億になっておりますけれども、法人、個人を合計した試算が二十億で、法人だけを実績で取り上げれば八十億。これでは少なくとも四倍以上の実績と試算との開きが出ておると思いますが、その点はどういうふうにごらんになっておるのでしょうか。
○高木(文)政府委員 まず、毎年御提出申しております減収見込み額、この減収見込み額を出します際に、価格変動準備金については、一応の計算過程におきましても、法人分だけを計上しております。なぜ法人分だけを計上しているかということでございますが、確かに個人についても価格変動準備金の制度はございますけれども、現在の実績その他ではきわめて金額が寡少である。いわばそれほど大きな金額がないといいますか、価格変動準備金制度が個人においてはあまり利用されておらないということでございますので、減収見込み額としては計算に入れておりません。 それから、いまの実績のほうの数字の問題につきましては、これは昨年来のこの委員会における御討議なり御要請を通じて、見積もりと実績とを対比したい、すべきであるという御指摘があり、それはたいへんごもっともでございますから、今回いろいろ作業をいたしまして、集計等をいたしてつくりましたので、見積もりのほうが個人を入れておりませんでしたから、実績のほうも個人を入れない数字を出したということでございます。
○荒木(宏)委員 法人、個人の関係はそれといたしまして、金額が四倍にもなっておりますけれども、この点はどういうふうな違いになっておりますか。
○高木(文)政府委員 価格変動準備金というのは、これはまさに価格が変動することのために積むわけでございまして、それで価格の変動によって損があればそれを取りくずすわけでございますから、実は先ほど四十八年度の見積もりにおいて積み増し額六百億ということで一応試算しておりますということを申し上げましたが、まさにこれこそ景気の情勢、それから価格の状況に応じて変化をするわけでございます。非常に経済状態が悪くて、たなおろし資産が減価をいたしましたというときには取りくずしをいたすわけでございますから、その意味において、経済変動のいかんによりまして、予算編成当時に見積もりました額とそれから実績の数字というものは非常に動くわけでございます。 それで、そういう意味では、率直に申しますと、価格変動準備金について前もって見積もり額を算定して減収見込み額として出すこと自体に相当問題があるわけでございまして、これはいまから十年近く前の国会等におきまして、国会からはこの見積もり額を出すべきであるという御指摘があり、私どものほうは、事の性質上、なかなか見積もりが立てがたいということを申し上げたりいたしました結果、結局それは、いわば平均的なものででもいいから出しておかないと、租税特別措置による減収がわからぬではないかというようなところから、いまのような算定方式で出しておるわけでございますが、率直に申しまして、実績のほうは実績でございますからそのとおりでございますが、見込み額のほうは、私どもといたしまして経済の見通しがわかりませんからして、あまり自信がない数字でございます。 〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○荒木(宏)委員 そこで要求したいのですが、まず今回出されたこの特別措置を幾ら使っているか、こういうことです。準備金、特別償却、所得控除、いろいろありますが、これでその税額が幾ら負かっておるかという税額の計算をした表をひとつつけていただきたい。これは使っておる額はここへ出ておりますけれども、税額としてはここへ出ておりませんから、それをひとつ計算して出していただきたい。これはいかがですか。
○高木(文)政府委員 そこへ示した数字は、これはまさに実際の数字でございます。準備金が幾ら積み増されたか、特別償却がどれだけ行なわれたかという実際の数字でございます。で、もし特別措置がなかったならばどうなったであろうかということになりますと、そこから先は推定の数字になるわけでございます。つまり、それだけ準備金がなければ企業の所得がふえる計算になります。企業の所得がふえた場合には、それを配当に回すであろうか留保に回すであろうかというところはわからないわけでございますから、したがって、もしそれがなかったならば、それだけの金額はいわば配当をふやしたであろうか、留保をふやしたであろうかという推定をわれわれはやらなければならないわけでございまして、そういう意味におきまして、ちょっとその三六・七五と二六・〇との軽課配当税率の関係があり、それからもう一つはその金額を三百万円以下の部分と三百万円以上の部分とにまた分けるという問題がありまして、そうなりますといろいろ推定計算になりますから、そこはむしろその資料からいろいろ政策判断を、あるいはその減収額の意味づけをなさるにあたって、かりに税率を三〇%とすればこうだとか、そういう意味でその数字にそういう率をかけていただいて、それぞれお使いになる目的においてその推定でやっていただいてはどうか。私どものほうとしては、その推定をすることはいわば非常にむずかしい、こういうことを御理解いただきたいと思います。
○荒木(宏)委員 しかし、初めに伺った大臣の租税法律主義についての基本的なお考えですね、これは納税者の立場に立って税金の内容を明らかにする、もちろん国会の審議の上でもそういう意味で常に整理、見直しをされなければならぬこの特別措置の関係がどういうふうに効果をしておるか。それは使う者がそれぞれの見方で適当に使ってくれと、こういうことでは少しいただけないと思うのですよ。現に試算のところでは金額の計算が出ておりますし、また、これは少し意味合いが違うかもしれませんが、更正処分などなさるときにはいろいろな関係で推計試算をなさっている。ですから、まあ実際値はこれは試算の段階では出ないのはある意味では当然でしょうし、それからまた実績にしましてもいろいろなおっしゃった組み合わせや要素があるのはこれはわかります。しかし、それを追うていってできるだけ正確なものに近づけていった減免税額試算の計算をすることは、ある程度までは可能ではないか。ですから、そこのところをもう一度検討していただいて計算ができないかどうか、これを伺いたいと思います。
○高木(文)政府委員 いわば実績値そのものはそこに示しましたような準備金の積み増し額とか特別償却額ということでございます。ただいま御指摘のありました、これで税額が幾ら減ったかということになりますと、いろいろな意味での前提を置いて、そして推定計算で出せということであればそれは計算可能でございます。ですから、そこは実績値ともとの額といいますか、準備金の積み増し額やそのほかは実績値でございますが、それから先は推定値であればよろしいということであれば作業は可能でございます。
○荒木(宏)委員 それでは作業をして減免税額を出して提出していただけますか。
○高木(文)政府委員 これは推定値でございましても、官庁として出しますと、それが一人歩きすることになりますから、その点の提出の可否については、恐縮でございますが理事会等で御協議願いたいと思います。
○荒木(宏)委員 理事会で御相談は、これは一つの方法だと思いますが、一人歩きするというのはこれはどういう意味ですか。官庁で出した計算がそのあと一人歩きするということで理事会で相談というのは、ちょっとうなづけぬのですが。
○高木(文)政府委員 実績値は実績値でございますから、それはそれ以外に何も真実がないわけでよろしいわけでございますが、その推定値を加えて出しました場合に、たとえば推定値の税率を幾らと見て出すかというような前提がいろいろ要るわけでございまして、前提と前提の結果出てきた数字とが当然一体のものとして理解されればよろしいわけでございますけれども、しばしばでき上がった計算だけの結論の数字だけが非常に意味あるものとして理解され、かつそれは大蔵省の計算であるというふうに理解されるということは私どもとしては避けたいという意味でございます。
○荒木(宏)委員 いやこれは局長、出していただいて使うのは私が使わしていただくと、こう言っているのですよ。ですから、その使い方に信用ならぬと、こうおっしゃられれば別ですけれども、ここで計算は出していただいて、そして審議の参考にさせていただきたい、こういうことでありまして、現に試算では減収額は計算されておるでしょう、税額は。だとすると、これはこういう計算過程ですよと断わって出していただけば出せるんじゃありませんか。
○高木(文)政府委員 官庁として書類を出します場合には、やはりそれなりにそれが大蔵省の計算という形で理解されがちでございまして、荒木委員の御要請に基づいて荒木委員に御提出する限りにおいては一つも差しつかえないわけでございましょうが、それを資料として出しますと、これは一般的に、大蔵省の資料ということで、各方面で御利用になることと思いますから、その意味で慎重を期したいという意味にすぎないわけでございます。
○荒木(宏)委員 慎重に計算していただくのはたいへんけっこうだと思いますが、計算の方法は、試算は可能でしょう。これは先ほどもおっしゃったとおりですが、私が問題にしておりますのは、四十六年度試算で二十億円と計算をなさった。これは積み増し見込みじゃなくて減収税額として試算をされていらっしゃる。だから、これを資料として出しながら、実績の場合の税額の推計計算が出せないというのは、これは少しうなづけぬのですが、試算としてはすでに税額段階で出していらっしやる。大蔵省資料で出ているわけですね。だから、その点では同じ扱いになるんじゃないですか。
○高木(文)政府委員 現在の減収見込み額を御提出いたしますにつきましては、いろいろ長い経緯がございまして、国会での御審議の過程を通じていろいろ与野党間でもお話し願った上でこういう資料を出すようになった経緯がございます。ですから、このほうはこのほうで従来の慣行に従って御提出申し上げておるわけでございますが、あらためて実績についての減収額見込み、推定というものを出すにつきましては、私どもといたしましてもそれなりに、決して作成をする労をいとうものでもございませんし、また出すことそのものをきらっているわけでもございませんが、所定の手続を経た上でおきめいただきたいということでございます。
○荒木(宏)委員 では、いまの問題は委員長、ひとつ、局長がああおっしゃっていますから、理事会のほうで御相談をさしていただく、こういうことにいたしましょう。
○大村委員長代理 理事会で御相談の上、取り計らいます。
○荒木(宏)委員 そこで、すでに出された試算のほうの二十億でございますが、これが実績と多少の違いがあるということなら——いろいろな事情はありましょうけれども、あまりにも違い過ぎる。価格の変動その他ございましょうけれども、やはりある程度は見通して計算をされておるんですから、こんなに違うということになりますと、この試算の計算過程をひとつはっきりさしていただかないと、やみくもの数字じゃないかというふうな懸念すら考えられるわけであります。 この試算のほうの計算過程を明らかにするということについて、これはひとつ大臣に伺いたいのでございますが、先ほどおっしゃった租税法律主義のたてまえから申しまして、すでに結果の数字が出されておる試算の計算過程を明らかにして国会の審議の参考に資していただく、またその結果とこんなに違うということについての政府の検討の素材にもするということで、これはひとつはっきりしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございますか。
○愛知国務大臣 おっしゃっておられることはよくわかります。要するに、政策目的として特別措置法というものができたんだということは先ほど私が御説明したとおりで、これをどういうふうに見るべきか、どういうふうに今後の政策の検討にお役立てになるかというような意味での資料ということであればできるだけ御協力をすべきであると、原則的にはそういうふうに考えます。ただ、先ほど来局長からるる申し上げておりますように、価格変動準備金がどういうふうな姿で歩くであろうかということの実績の見込みをつくるについては、たとえば配当をどうしたであろうか、あるいは留保をどのくらいにしたであろうか、そのときのそれぞれの法人の立場で、この措置がなかったならばどうやったであろうかということは、千差万別の仮定が必要だろうかと思うのです、試算をいたします、あるいはその基準といいますか、モデル的な計算をすることは。 そこで当局側が心配いたしますのは、大蔵省としてこうこうだと幾ら仮定を置きましても、これが一つのモデル的基準になって、そしてこれが徴税上その他に影響するところがあってはどうであろうかという懸念を非常にするのは、当局側として私はもっともだと思います。そういう点を十分御理解をいただいて政策の御審議に役立つような御便宜を提供するにはどうしたらいいか、過去の経緯もいろいろあるようでございますから、理事会で御検討をいただく、そしてそれに従ってできるだけの御協力を申し上げるということにいたすべきであろうかと、こう考えております。
○高木(文)政府委員 数字的なことだけちょっと申し上げておきますが、確かに四十六年度の当時に見積もりました価格変動準備金の積み増し額と実績額は著しい開きがございます。これはどうして出たかといいますと、これは、四十三年から、御存じのように価格変動準備金の積み増し率を落としたわけでございまして、その一種の積み増し停止措置みたいなものが四十三年の税制改正でありましたので、その税制改正のメリットといいますか、影響が四十六年にはまだかなり及ぶといいますか、残るものとして、よって価格変動準備金はまだそれほど積み増しできないであろうということで算定をしておったようでございますが、結果では思ったより非常に大きくなったということで、私どもも事務的に実績との対比でこれはずいぶん計算が違ったという感触を持っておるところでございます。価格変動準備金につきましては、ただいま申しましたように、価格そのものが上がったり下がったりするということの関係が一つと、もう一つはたなおろし資産が非常にふえるかどうかということによって額が動いてまいりますので、この場合は非常に計算の予測を出すこと自体が無理のある性質のものであるということだけつけ加えておきたいと思います。 なお、ただいま大臣からお答えいただきましたように、これをあらゆる意味において、実績と見積もりとを対比してまいりますことは、その後の将来においての見積もりを立てる場合においても非常に参考になり、見積もりを正確にしていく上においてもいいわけでございますから、気持ちといたしましては、私どもといたしましても、大臣から答弁がありましたように漸次精緻なものにいたしていきたいと思っております。
○荒木(宏)委員 きょうは時間の関係もありますので、それを十分考えさせていただきたいと思いますが、増本議員が関連質問の予定ですので、私はこの点についての強い要請を重ねて申し上げておきたいと思うのでありますが、確かに三百万の上下による計算方法の適用税率の違いだとかそういうのはありましょう。ありましょうけれども、たとえば配当に回る分と、それから留保の分は、これは当該年度の比率が実績で出ておりますし、いままでの傾向もありますから、推計の基礎数字としてはこれは十分採用できるものがそれなりにあると思うのですね。そういったことで一億円以上と以下でしたら適用税率が違うのはわかりますが、どちらに金額が幾らいっているかは、これは実績で分けることができますし、いまの配当と留保の分も適用税率の違いは実績率によって割り振ることができますから、そういう意味で計算を一つはできるだけ正確なものにしていく。それから大臣もおっしゃった、内容が国民の立場から見て明らかなものになっていくように近づけていくというふうなことと、それからまさに政策判断のためにも、この数字の正確性が要求されるわけですし、私どもの計算によりますと、単に価格変動準備金だけでなくて、海外投資損失準備金もそうでありますし、また海外市場のほうの準備金もそうでありますし、特別償却もみんな数字が違っているのですね。そういうことでは、この計算の正否そのものが全体として再検討を要するニュアンスが非常に強くなってきている。ですから、かりにいまのようなことで理事会でいろいろと御相談するとしても、計算のプロセス、数字そのものは別として、計算の過程はいま開示されても差しつかえないと思うのです。それを最後にひとつ伺っておきたいのですが、これは局長いかがですか。 〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
○高木(文)政府委員 まず、実績のほうは実績でございますから、計算にはプロセスというものはないわけでございまして、税額に置きかえるときにプロセスが出てきますが、変動準備金の積み増し額そのものは実績でございますから、これは集計の結果でございますから、プロセスということはないわけでございます。 次に見通しのほうの数字でございますが、見通しのほうの数字は、いま御指摘がありましたように、結果と合わせてみて非常に違っているじゃないかということでございますが、これはある意味からいうと、もろもろの特別措置の性質上本来見通しを立てることがいわば非常に無理なものを、無理無理こう推計しているところがあるようなわけでございますから、ある程度合わないのはやむを得ない点があるということを御了解願いたいわけでございますが、プロセスそのものは御説明するものは御説明するということでなければならぬと思います。
○荒木(宏)委員 局長からもそういう話がありましたので、ひとつこれは大臣に要請ですが、いまのプロセスはひとつはっきり開示をしていただく、これは事務当局もそう言っているわけですから。 なお、その数字についても、いろいろな配慮の点はあるとしても、これは前に御相談があった標準率の場合もそうでありますけれども、できるだけオープンなものにしていく、こういうことで税務行政を進め、そうして税制自体を明朗なものにしていく、このことを租税民主主義の立場からも、租税法律主義の立場からも強く要請をいたしまして、この点はあとで理事会でひとつはかっていただきたい、こう思います。
○鴨田委員長 増本君。
○増本委員 増本でございますが、大臣が御出席いただいたところで、前回土地税制の問題で政府当局に質問をいたしまして、どうしても大臣にお伺いしたいと考えております点に限りまして、ひとつ御所見をお伺いしたい、こういうように思うわけなのです。 一つは、四十四年の土地税制でございますけれども、個人についてだけ長期と短期に分けて分離課税をするということを特別措置法できめたわけですが、この税制の功罪についてなのです。この土地税制が、土地を供給するという目的で出されたけれども、結局法人の土地に対する仮需要を促進するということになって、そのことが一そう地価を高騰させ、しかし国民が期待するように宅地の大幅な供給としてこれがまだあらわれていない。そういう点から見ますと、四十四年のこの土地税制というのは失敗ではなかったか。しかももう一つ、所得税法や税法の一つの重要な柱である所得の分配の公平をはかるという点から見ますと、昨年の長者番付を見ましても、百人のうち九十五人が土地成り金である、上位十名については全部土地成り金である、こういう結果まで出している。ですからこういうことでは、国民がいま切実に要求している、住宅を確保したいという要求がますますほど遠くなってくるのではないか、こういうように考えるわけですけれども、この四十四年の税制について、大臣は一体どのようにお考えなのか、まずその点からお伺いしたい、こういうように思うのです。
○愛知国務大臣 四十四年の税制は、私は相当のそれなりの効果があったと思いますけれども、やはりただいまも御指摘にあったような点も考慮いたしまして、今回あらためてまた土地税制の法案を準備したような次第でございます。というのは、四十四年のときの税制は、いまさら繰り返して申し上げるまでもございませんが、累進税率を分離して比例税率にする、そして早期大量に土地が放出されて、好ましい宅地等の造成ができるということを期待してやったわけでございます。したがって、この税制を活用して土地を処分し、あるいはそれを取得して、純良なると言うとことばは悪いかもしれませんが、適正なデベロッパーに渡って、そしてこれが宅地の造成や住宅建設に用いられる、こういう例もたくさんあると私は思いますが、ただ、四十四年の税制のことですから、その効果が実際に及んで、好ましい住宅等ができ上がるというのには相当の時日がかかった、ですから、これからその効果というものが具体的にあらわれる面も相当あるのではないかと私は思います。これがいわばメリットのほうだと思います。 それからデメリットのほうは、御指摘にございましたが、たまたま土地が投機の対象になり、そして当初予期しなかったような動きが出て、土地を投機の対象にするという目的のところにこれが入ったということもいなめない事実であると考えます。したがって、こういうメリットとデメリットの評価の上に立って、これからどうしたらいいかということを考えるべき段階である、こういうふうに考えるわけでございます。特に四十四年の税制のときに、所得格差といいますか、負担の不公平といいますか、そういうことを意図してやったというようなことはとんでもないことで、ほんとうに真剣に住宅や土地のことを考えて実行したものである、これはひとつ御理解いただきたいと思います。
○増本委員 やはり土地政策の重要な柱の一つは、土地の効率的な配分ということにあると思うのです。四十四年の税制の結果、いま大臣もおっしゃいましたけれども、法人に土地が集中したという事実は、これは大臣も否定はなさらないと思うのです。しかし、国民が望んでいるように、つまり最終需要者の手にまで土地が渡っていない、これが今日の住宅難がひどい深刻な状態になっている大きな原因であるということだと思うのです。こういう点から見ますと、大臣はこれを、最終需要者の手に土地を供給していくのに今後どういう点に力点を置いて政治を進めようとされているのか、その点についてひとつお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 四十四年の税制については、いま申し上げましたような限界を持っておりますので、今回の税制においてもこうした点を補完しなければならないという考え方から、四十四年一月からの土地保有について、これを対象にして、あらためて新しい税制をつくろうとしているわけでございます。そして、今回の考え方は、法人の土地の譲渡については高率の税をかける、それから、一口に申しますれば、土地を保有していることが決して得にならない、そういうことで税制の面からも好ましい土地の造成、このほうに向くように傾向をつくり上げようという考え方でございます。 同時に、これはしばしば申し上げておることでございますけれども、税制にだけ期待をかけられても、効果が十分に発揮するものではないと思います。また、税としても、たとえばいま申し上げましたような目的でございますから、従来的な考え方の税制というものからいえば、逸脱した考え方を税制の上に実行していこうとしているわけでございますから、新しい試みであるだけにいろいろな論議が展開されておるわけです。一口に言えば、今回の国総法、そして土地の利用計画、そしてそれに対する、官庁はもちろんでありますが、地方公共団体協力を、権限の強化ということとあわせて総合的な対策を展開する、それから住宅あるいは宅地という問題それ自体について言えば、この面でまた金融の面、あるいは税制の面等で十分考えを展開して、そして土地つきの持ち家ができ上がるようにということで、個人に着目した政策も展開していかなければならぬ、また、好ましい土地が造成できるように土地が解放され、あるいは好ましからざる者のところから離れるように、いわば追い出していくためには、税制だけではなくて、金融政策も大いに展開する、こうやって各方面にわたって総合的な知恵をしぼって、並行的にいろいろの措置をやっていけば目的が達成できるということを期待して、総合的な土地対策を展開している、これが現在の政府の立場でございます。
○増本委員 私は、今日のように土地が値上がりした、大臣は土地が投機の材料に使われるようになった、こういうようにおっしゃるわけですけれども、まさにそういう形で地価の高騰が起きた。それについては、大蔵省の金融政策そのものにも非常に問題があり、責任があったというように考えざるを得ないのです。せんだっても指摘をしたのですが、たとえば全国銀行が不動産業に対して貸し付けた残高を見ましても、四十四年、税制がしかれて以降、ウナギ登りに伸びている。これは土地関連融資だと思うのです。投機が社会的にも問題になってきた四十六年以降をとってみましても、四十六年の上期で二兆五千四百七十億円の残高、それが四十七年の第三・四半期で五兆一千四百八十億円に伸びているのです。これは大蔵省からいただいた資料です。都市銀行でも、四十六年の上期に七千九百六十四億円の残高が、やはり二倍近く、四十七年の第二・四半期で一兆五千九十三億円、第三・四半期になると一兆七千二百四十八億円。建設業にしましても、全国銀行では、四十六年の上期が二兆五千二百六十三億円の残高が、四十七年の第三・四半期になると三兆九千五百七十六億円と、同じように伸びているわけです。こういうように、土地関連産業に対してどんどん融資をして、法人の仮需要を促進してきた。このことが社会的な問題になって、銀行局長の通達が去年の十一月十七日とことしの一月三十日の二回にわたって出されている。しかし結局、これまでの間どんどん土地を買い占めて地価をつり上げていくという、このことに大蔵省も協力をしてきた、そして国民の住宅がほしいという要求を、ますます高嶺の花にしていく、こういう結果になったと思うのですが、この点についての政治的な責任を大臣は考えていらっしゃるかどうか、率直にひとつお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 最近、私、本会議でも申し上げましたように、過剰流動性というものが四十六年から四十七年前半にかけて起こったという事実、これを否定するものではございませんし、これがいろいろの点で相当の今日のような状況をつくり上げる原因であったということも、これはいなめない事実であると思うのです。しかし同時に、その当時の日本としては、戦後四分の一世紀問において全く経験しなかったような国際通貨の動揺であるとかいうようなことが起こりまして、しかもそれがたまたま不況下であったということで、金融にむしろ緩慢な、ゆるめる政策をとったということは、それなりに日本の景気全体をああした事態におきましても急速に回復したゆえんであって、このことはそれなりに評価さるべきじゃないかと、私はもう素直にそういうふうに考えているわけでございます。 しかし、現実の状況においては、ただいま御引用になりましたわれわれの資料からはっきり明らかでございますように、何といっても日本の金の動きというものは、金融機関からの貸し出しがもう圧倒的な比重を持っております。その中で、不動産関係の融資というものが、四十七年の下期に及びますまで相当な伸び方を示している。これが一番対策として緊急に取り上げなければならないことであると考えましたので、これもただいま御言及になりましたが、まず土地関連の融資というものに対してきびしい個別的な措置をとらなければならないということで、行政権を発動して今日に至っておりますことは、御案内のとおりでございます。 それで、これから、いま四月でございますけれども、四月から六月の四半期というようなところになりますと、これらの措置が十分に効果をますますあらわして、昨年の十月−十二月の増加率の場合によれば四分の一ぐらいに圧縮されてくるであろう、こういうふうに考え、かつそういう方向になるように、二回にわたる預金準備率の引き上げを背景にし、あるいは最近における公定歩合の引き上げを背景にいたしまして、さらに一そう厳粛にやっていきたい。そして金融機関に対しては直接ヒヤリングもやり、それからその実績について報告を求めるというようなことにまで立ち至って、土地の関連融資、直接土地でなくとも土地関連、それからあらゆる業種に対して——という意味は、不動産業というものだけではもちろんなくて、あらゆる企業に対して、そしてあらゆる土地関連融資に対してますますきびしい措置をとり続けてまいるつもりでございます。
○増本委員 この四月の三日に発表になりました通産省の商社の買い占めの事態の調査の結果を見ましても、土地は六大商社によって四十八年一月末で三千七十万平方メートル、一戸二百平方メートルの宅地に換算すれば、十五万三千五百戸分に相当する。簿価で千百五十億円である。これだけの土地を買い占めるように窓口を開いたのが四十四年の税制であるし、そうしていま大臣もお認めになったように、土地関連融資を大幅にふやしていった金融政策の結果でもあると思うのです。 その結果、どういうように土地が大企業に集中しているかというのを見ますと、大蔵省のほうで、地積で把握をされているのかと前回の質問で思いましたら、そうじゃなくて、有価証券報告書を拾って記載してくだすったこの資料がきょう手元に届きましたけれども、これを見ましても、三井不動産で四百四十億四千七百万円、東急不動産で七百六十六億八千百万円、東武鉄道が五百八十五億二千八百万円、東急で四百九十五億八千八百万円、三菱地所が五百七十五億四千九百万円、西武鉄道でも二百億五千万円もの、これは簿価でのばく大なやはり土地を持っているわけですね。この土地を早急に宅地供給に回して最終需要者の手に渡るようにさせる、しかもそれが安く働く者の手に入るような形で出すという点では、私はこれまでの金融政策などの欠陥から大企業に土地が集中したというこの点は、過剰流動性その他の問題を含めて大臣もいまお認めいただいた点ですが、そうなると、その点、この最終需要者に対する供給の面でも、私は大臣もしかるべき手を打つ責任があるというように考えるわけです。この点を一体どういうようになさるおつもりなのか、ひとつ具体的な政策の問題としてお伺いしたいと思うのです。これは単にこの今回の提案されている法人やそれから個人の不動産業者に対する税制だけで解決できる問題ではないと思うのです。いろいろ金融政策もあれば、財政政策その他のいろいろな誘導政策も含めて、この問題は早急に解決をなさるということでないと、いま財界の人たちも、土地によって暴動が起こるんじゃないかという危機感まで持っているというようなことを新聞が報道しておりますけれども、ほんとうにそうだったら自分のお持ちの土地を吐き出すべきだと思うのですが、そういうことまで含めて、ひとつ大臣の所見をお伺いしたいと思うのです。
○愛知国務大臣 いまおあげになりました数字は、有価証券報告書からとりました土地等の保有の状況でございます。これは、お述べになりました数字は、簿価の保有額をお述べになったわけですけれども、この土地の中には、開発許可などがおりてないところも相当あるようでございますけれども、これらの土地については、これはたまたまいまおあげになりましたのは、いわゆる商社ではございませんで、それ自体がやはり土地をデペロップして住宅をつくるという目的を持っている会社でもございますから、早急に建設省等と協議をいたし、主として建設省の所管の仕事になるわけでございますけれども、今回の税制だけではなくて土地の総合対策とあわせまして、早急に、許可のおりているところはおりているところで好ましい住宅が開発されるように指導をし、同時に国民大衆の側から見れば適当な住宅、土地つきのものが手に入りやすいような、たとえば住宅ローンあるいは住宅公庫、それらの活用等によりまして、また税制の上におきましても持ち家住宅についての相当な税制上の優遇措置もございますわけですが、これらもあわせ活用いたしまして、早急に目的が達成されるようにしなければならないと思います。先ほど申しましたように、政府としては各省庁にわたる仕事でございますが、総合的に、強力にこうした目的が達成できるように大いに努力を新たにいたしたい、こういうふうに考えております。 実は、きょうも経済閣僚懇談会の定例の日でございましたが、特に心を新たにして、厳粛に、総合的に、強力に政府としての措置を展開しようということも申し合わせているような次第でございまして、われわれも責任を感じて、強力に行政措置を進めてまいりたいと思います。
○増本委員 それで、土地問題についてあと一つお伺いしたいのですが、四十四年税制が五十年には切れるということになっておるわけです。私は、このように所得の分配の不公平をもたらすような法律はやめて、そしてもう一度総合課税に戻すべきである。そして小土地所有者が売らざるを得ない場合の点を考慮して、これは特別控除の額だけ、現在百万円ですが、それを引き上げるということでお考えになるべきだというように考えますが、この時限立法の期間が切れたあとどのようになさるおつもりか、その点についての御見解を伺いたいのであります。
○愛知国務大臣 この時限立法が切れますときにどうするかということについては、ただいま最終的に政府としての結論をまだ持っておりませんけれども、先ほども言及いたしましたように、新たに四十四年の税制を補完するような意義を持つ今回の一連の税制を考えたわけでございますから、これの成立を私どもとしては心から望んでいるわけでございます。そしてそれらの効果、進行の状況等を見まして結論をつけるべきものであろうか、現在のところはかように考えております。
○増本委員 ほかのことを聞いていると時間がないので、もう一点だけ土地税制をお伺いしますが、今回の法人に対する課税を見ますと、政令に委任されている部分があって、民間デベロッパーというか宅地の供給業者については、適正利益の場合には課税しないという免税条件があるわけです。これは大蔵省から出されました「法人の土地譲渡税につき政令で定める事項(案)」を見ますと、二七%以下が適正利益であるというようになすっていらっしゃる。今日のように大企業が土地を買い占めて、そして開発して売り出すまでの間にどうしても一定の期間がかかる、そういう点を考慮されて、最高四七%までは適正利益として認めるのだという説明を前回伺いました。現在の企業の平均利益率を見ましても、二七%というのはたいへん高い利益率であるように思うのです。それがさらに数年寝かして売るときを考慮して四七%まで適正利益だということになると、これでは安くてよい住宅を最終需要者に供給するというこのことからいってもたいへん問題がある。かえってこの税制では、宅地供給業者の一定規模以上の者については、逆に利潤追求の活動を保障してやるような、それを合法化するような税制ではないだろうか。その点からいっても、先ほど大臣からせっかく心を新たにして責任を持って国民への住宅供給につとめるという御答弁をいただいても、税制そのものがそういう点でしり抜けになっていないだろうかというように考えるわけですが、この点についての大臣の御見解を伺いたいと思うのです。
○愛知国務大臣 デベロッパーの仕事については、土地の取得の状況、それから土地の管理とか造成、住宅の建設、いろいろな点を考えあわせまして、普通の事業と比べて適正な利潤というものを考えていかなければならないだろう。しかし裏から申せば、適正な利潤をこえるような投機的なものは押えていかなければならないということを基準に考えまして、関係省庁との間でずいぶんこの点は熱心に深刻に協議をいたしました。そして二七%を適正利潤の中心に考えるべきではないかということを結論として考えたわけでございます。そしてできるだけすみやかに先ほど来申しておりますような目的が達成できるように、行政的にも指導してまいりたい、こう考えておるわけでございます。事情によって非常に時間がかかるような場合には、相当長い期間寝かせなければならないような場合に例外的な限度として四七%が考えられる、こういうように考えております。
○増本委員 時間がなくなりましたので、阿部さんとかわります。 〔「大臣、声が小さいからうしろは聞えない。マイクを用意しなければだめだ」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 大臣、もう少し声を大きくするように願います。 阿部君。
○阿部(助)委員 時間がたいへん限られているようでありますから、私、質問の順序を変えまして、まず大臣にお伺いして、それも結論から大体はしょって御質問をいたしたいと思うのであります。 政府は預金準備率の引き上げだ、日銀の貸し出し窓口の規制だ等で金融政策を通じて過剰流動性の吸収をはかる、こういっておられる。過剰流動性ということばが少し過剰になっておるぐらいこの国会で出てくる問題でありますし、総理もそれを認めておられるわけでありますが、しかし日銀券は三月末で前年同期の二七・三%も増発されておる。商品投機も激化しておる。消費者物価もこれはたいへんなことで、何か企画庁長官も政府の物価見通しが狂ったということをお認めになったようでありますが、私は政府の景気対策が誤った、間違った、こう思うのですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 昨日もこの点についていろいろの質疑応答がかわされたわけですけれども、年度がちょうど変わったばかりでございますし、われわれとしても特に物価の動向については非常に深甚な関心といいますか懸念をいたしているわけでございます。これは申し上げますと長々となりますから御質問に応じてお答えしたいと思いますけれども、大蔵省からいえば、あくまでも財政、金融の総合施策によって、今回の経済見通しでございます消費者物価五・五%という中で何とか押えるべくこの上とも最大の努力を講じてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○阿部(助)委員 ちょっと焦点がはずれておるようでありますが、物価は政府の計画を実行する場合にもこれは重大でありますが、政府だけではなしに個人においても、これは家計設計のたいへん重大な問題なんでありまして、五・五%で押えたいという皆さんの御努力はそれは御努力として、しかし見通しはやはり国民に方向を与える、計画性を持たせるという点で私は質問しておるので、誤ったということを皆さん言うのはいやだからいろいろと言い回しをされるけれども、その誤った一番大きな問題は、いろいろ経済の問題ありますけれども、一つは法人税の増税を行なわなかったというところに一番大きな問題があると私は思うのであります。これはけさの朝日新聞でありますけれども、丸紅の檜山社長は、「ガブガブ余った資金をかかえて」云々というふうに、商社によらず全体的に大企業の場合には内部資金を持ち過ぎておる。それに対して法人税を増税しなかったということは私はたいへんな失敗だった、こう思うのですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 まあわれわれのほうの立場から申しますと、企業の手元資金というものにやはり非常な着目をして、今回の金融政策は展開しているわけでございます。それは総じて申しますと、売り上げ高に対する手元資金の比率というようなものが一つの基準になりますけれども、大体昨年末あたりのところを押えますと、やはり一・二七ぐらいではないかと思います。これが幾らが適正であるかということはいろいろの判断の問題であると思いますが、まあ一・〇以下であることが通常の状態であるということもよくいわれるし、過去における実績もそうであったと思います。 これを税金で手元資金を吸い上げる、端的にそこへ手を突っ込めばいいではないかというのは感覚的な一つの考え方であり、私もそれは理解できますけれども、やはりこれは金の政策としてこれを圧縮することがまず第一であるということで、御承知のように、特に十大商社というようなところの手形の買い入れ限度を制限するということを含めまして、いまだかつてやらなかったような金融の窓口規制を端的に実行しております。そういう手元資金がふえておったのにかかわらずやはりこういった商社のところの借り入れ金が多かったということ、ここが一つのメスを入れるべきところでございますから、貸し出しのほうにきびしい規制を行なっていきましてこの額を減らす、あるいは減らすことによって、まあ檜山さんのことばを新聞で私も読みました、要するにそういっただぶだぶですか、ざくざくするような資金があばれ出さないようにするということを金融政策としてはねらってまいらなければならないと思います。 それから、そこから出る利益については、土地の処分について利益を出すならば、これに特に高率な課税をするというようなことはもちろんのことでございますけれども、考え得る措置、そして別に法律案の御審議も願っているわけでございますが、こういった買いだめというようなことを規制する総合的な措置、これが合わさってまいりますと私は的確な効果があらわれてくるものと思います。 過去について失敗であったが、こういうことになった責任はどうかと言われますと、これはいろいろの見方があると思いますが、その事実に対して、私としては厳粛にこの事実を直視して、それに対して最も適切であるという方策を展開してまいるのが現在のわれわれの大きな責任である、こう考えております。
○阿部(助)委員 私はいま、責任を追及してやめるとかやめないとかいうことじゃなしに、謙虚に反省をして政策の軌道を変えるべきだ、こういうことを申し上げたのでありまして、いま大臣は金融政策、公定歩合の引き上げだ、窓口規制だ、こうおっしゃるけれども、これをやれば中小企業への選別融資になることは免れないと私は思うのです。皆さんのほうで銀行の連中を呼んで要請されたようでありますが、そのすぐあとで村野全銀協副会長は、どうしたってそれをやれば、規制すれば選別融資になります、こうおっしゃっておる。これは銀行が商売としてやれば、担保能力はある、返済は間違いない、資金コストは有利だ、こういうことになれば、零細企業に貸すよりは大企業のほうへ大企業のほうへ資金が向かうのは避けられないことだと私は思うのです。 皆さんはいままで不景気のたびごとにポリシーミックスだとかいや何だとかいうことで法人税を引き下げておいでになった。そうすれば好況のときに法人税を引き上げるということは皆さんのおっしゃるポリシーミックスということになるだろう。それをことしはあえてやらずに資金はだぶついておる。それこそほんとうに「ガブガブ」だぶついておる。それがいろんな投機資金に回っておるという現実は、これはもう否定しようがないんじゃないか。そうすれば、皆さんはここで来年から法人税の引き上げを検討するような話がありましたけれども、私は、いまからでもおそくないからここで法人税を引き上げるべきだ、こう思うのでありますが、いかがですか。
○愛知国務大臣 私どもとしては、まず第一段の中小金融その他大衆的なところに金融引き締めが及んではいけないということは重々配慮しておるつもりでございます。たとえば四十八年度予算の上では、御案内のように、中小金融、農業関係、それから住宅金融というような点については相当の金利の引き下げを、予算及び財投で計画いたしまして、御審議を終えていただいたわけであります。そういう点はもちろん継続してまいりますし、御承知のように、そのための政府関係機関の三金庫も相当の資金ワクの準備をいたしておりますし、あるいは昨年度末におきまして、特に輸出関連中小企業については、これらの直接政府がコントロールできますところだけでも二千二百億の貸し付けワクを用意いたしましたことも御案内のとおりであると思います。この点は十分気をつけてまいるべきであると思います。しわ寄せが中小の側にいかないように、これは徹底して考えてまいりたいと思います。 それから、法人税率の問題につきましては、四十八年度でやるのかやらないのかというところについては、遺憾ながら意見が分かれておるわけでございますので、われわれといたしましては、四十八年度は、これもまたいろいろの御批判をいただいておりますけれども、課税所得を拡大する、つまり、特別措置というようなものの洗い直しをやって、課税所得の範囲を広げるということにまず着手をしたい。そして税率についてはあとに考える。先般総理大臣が当委員会に出席したときにも申しておったわけでございますが、私も全く同様に考えておりまして、この予算あるいは関連の法律の御審議をいただきましたあとで、直ちに税制調査会等にも働きかけまして、今国会の御審議を通じていろいろといただいた御意見を十分かみ分けて、四十九年度にはひとつ前向きの税制改正をやりたい。その際には、法人税に重く、そして勤労階級の所得税は軽くということを一番基幹にしてやってまいりたい。 法人税率については、昨日総理大臣も言及しておりましたけれども、少なくとも付加税率一・七五を本税率の中に組み入れる、そこまでは明言ができます。それから上、四〇%あるいは四二%という御意見もございますけれども、これは、他との関連、財政需要あるいは直間間の比率構成をどうするかという、広範なワクの中で検討させていただきたい。まだこれからいろいろの角度から勉強させていただきたいと思いますので、ただいまの段階で、法人税率を最終的にどうするかということはきめ切っておりませんというのが現在の政府の姿勢でございます。
○阿部(助)委員 いまの暫定を本税に直すなんという程度で、国民は納得しないと私は思うのであります。しかし、反対に、もう経団連のほうからはいろいろと牽制が行なわれておりますね。来年の景気見通しはどうなるかわからない。また、日本の企業は自己資本比率がたいへん低い——これも問題があるわけです。土地を持ったりいろいろな資産を持ったり、たいへんなものを持っておるんで、これも問題がある。そうして三番目には、参議院選挙の対策上これはやるべきでないなんという、自民党に対するたいへんな牽制球を投げておるようであります。 そうすると、一体来年どうなるかわからない。大臣は、いろいろと特別措置を手直しして課税の幅を広げた、こうおっしゃるけれども、私これから、それならばどの程度に広げ、なぜこんな特別措置を残したかという問題に入りますが、いまのお答えの一・七五を本税に直すという程度ではどうしようもないんじゃないか。いままでの法人税引き下げの経過、そのときの皆さんの御答弁からいうならば、これだけ好況で、しかも資金がだぶついておって、そうして大衆の怨嗟の的であるといわれるくらいにいま投機が横行しておる。こういうときに法人税を引き上げることなしに、一体いつ法人税引き上げのチャンスがあるのか。私はいままでの物価政策はいろいろな点で失敗があったと思うのでありますけれども、これもまた大きな失敗としてたいへんな汚点を残すことになりはせぬだろうか。愛知大蔵大臣、この辺で勇気を出して法人税の大幅な引き上げに踏み切るべきときだ、私はこう思うのでありますが、ひとつ勇気を出していただきたいと思います。 いろいろと皆さんあれしますけれども、大臣、SSKDということばは御存じですか。
○愛知国務大臣 存じません。
○阿部(助)委員 これは、田中内閣になってから投機でたいへんにもうけた証券会社、商社、金融機関・銀行、それと土建屋ということだそうであります。まさに私も、これはSSKDが横行する世の中になってしまったと思うのでありますが、それで、まず私は、証券会社、商社、銀行の特別措置について、ひとつ大臣の所見をお伺いしたいのであります。 昭和四十一年に、山一証券に対する日銀の融資、これは無利息、無担保、無期限という融資で、ぼくらのいなかのことばでいえばあるとき払いの催促なしという融資なんですが、これをおやりになった。そうして税制では、株式売買損失準備金というのを制定されたわけでありますが、この税制で利益の七〇%を準備金に繰り入れるという特別措置をおつくりになった。野村証券について見ますと、四十六年の下期に株式売買損失準備金に新たに組み入れた額は実に七十五億一千六百万円、これはたいへんなことですな。七十五億一千六百万円で、その期の法人税額八十三億円におおむね匹敵する額をここへ組み入れておるわけですね。そして損失準備金の積み立て額の累計は、皆さんのこの資料で見ましても五百二十七億円です。この準備金が今日存在する必要があるとは私は思えないのであります。なぜこんなものをなくす努力をされないのか。 先日も大臣はここで、租税特別措置は既得権ではございませんと、御答弁をなさっておるわけであります。そして先ほどもいろいろと租税特別措置を直して税の幅を広げる、こうおっしゃったけれども、こんなものはあの山一証券の倒産の危機に見舞われたとき、そういうときにおつくりになったのだ。いままでの主税局長をおやりになった塩崎さんの本を読んでみても、これを見ても、吉國さんの本を見てもたいへんに歯切れの悪い書き方をしておるわけです。私、時間がないから読み上げませんけれども、たいへん歯切れの悪い書き方をしておる。これこそまさにもう不要になったものじゃないだろうか。廃止をされる御意見はございませんか。
○愛知国務大臣 これは従来もいろいろ論議があったようでございますが、来年の三月にはこの制度はもう期限切れになるわけで、十分検討をいたすべきものであると考えますので、これはひとつ税制調査会にもさっそくいまからおはかりをして、廃止の方向に考えてまいりたいと思っております。
○阿部(助)委員 来年はこれは当然だけれども、私はほんとうはことし直ちに廃止すべきものだ、こう思うのであります。 次に、大臣、時間がありませんからはしょりますけれども、商社の問題についてお伺いします。四十六年下期に見ると、たとえば伊藤忠商事株式会社、この特別措置の積み立て額は三十六億円で、積み立て累計額は百七十億円であります。この特別措置のうち、価格変動準備金など一部を手直しをいたしましたけれども、海外投資損失準備金、資源開発投資準備金を拡充しております。商社の特別措置は毎年増加をする傾向にあるわけであります。こういう問題をもう少し規制する、特別措置は私は全廃を主張したいのでありますけれども、もう少し規制される御意思はありませんか。
○愛知国務大臣 いま特に御指摘になりましたものは、特別措置の中で海外投資損失準備金ですね、これらの全部につきまして私は洗い直しをやりたいと思っておるのですけれども、ただ、いま瞬間的に、というと語弊がございますけれども、資源開発投資関係とか海外投資関係などについては、政策目的との関連でどう考えるべきであるか、これをすぽんとやめるべきであるということについては、私、瞬間的に、十分勉強してみなければならぬと思いますけれども、やめるということには、いいかどうか、これは相当検討を要するものではないかと思います。全般的に、私はもう前々から言っておりますように、洗い直しにつきましては積極的に取り上げていきたいと思っております。
○阿部(助)委員 もう大臣の時間がありませんから、もう少し詰めたいのでありますけれども次に進みまして、もう一つお伺いしたいのは、銀行の貸倒引当金。これは前に若干手直しをいたしましたけれども、これはたいへんな大きな金額を積んでおるわけであります。今日、銀行の貸倒引当金は一兆こえておるのですね。そして都市銀行が六千百四十七億、これだけ貸倒引当金をお持ちになっておる。私、ここで事務当局にどれだけ銀行に貸し倒れがあるのかどうだということをお伺いすれば、さらに明瞭にこれが過大であるということがわかるのでありますけれども、時間の関係上それは省きますけれども、ほとんど銀行には幾らも貸し倒れということはないわけであります。これだけ大きな資金を、都市銀行が貸倒引当金をお持ちになって、それがまた回転をしておるということは、幾ら理解しようと思って考えてみても、過大に過ぎる特別措置だと私は思うのです。 皆さんにとってみれば、銀行は資本主義の中心的な企業だから、これが万が一倒産があったときには困るという配慮もありましょう。しかし、そういう点を私も精一ぱい配慮をしてみましても、現実の銀行の貸し倒れと、積み立てておる資金との比較はあまりにも大きな、月とスッポンの差があり過ぎる。こういうものに対して手を触れないで税の公平を幾ら言ってみたって私は納得のできない問題だと思うのです。そういう点で、貸倒引当金をもっと思い切って圧縮される御意思はないだろうか。私は大臣に勇気を出して踏み切ってもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 これは阿部さんの非常に御熱心なおことばで、私も趣旨においては共鳴を感じます。ひとつ積極的に検討させていただきたいと思います。
○阿部(助)委員 いろいろとこの特別措置の問題をあげればきりのない問題でありますけれども、私はこの日本の税制の体系を正す、税制の姿勢を正すという点から、もう一つは、今日の過剰流動性、こういうものを考え、ほんとうに皆さんが政策的なポリシーミックスをおやりになろうとするならば、まずこういう不合理な特別措置を全面的に洗い直すということが一つ。もう一つは、法人税はぜひとも来年は大幅な税率の引き上げを検討をお願いをしたいと思うのであります。 大臣、もう時間のようでありますから、私、残念だけれども、事業主報酬制度や土地税制に対しては事務当局にお伺いいたします。この基本的な問題は時間があったらあとでまた少しお伺いいたしますけれども、まず事業主報酬制度についてお伺いをしたいと思うのであります。 この事業主報酬制度というものは、青色申告書を提出して税務署長の承認を受けるということになっておるわけですね。間違いありませんね。
○高木(文)政府委員 はい。
○阿部(助)委員 それでその第一項から何か政令で定める、こういうのですが、これは、みなし法人となることを税務署長が承認をするということになるわけですか。
○高木(文)政府委員 大体御趣旨のようでございますが、承認という形式をとりませんで、届け出をしていただけば自動的に発効するような考え方でございます。
○阿部(助)委員 自動的になると言うけれども、今度は否認をする場合があるので、承認というか、青色申告をしておる人が届け出さえすればこれはもう自動的になるのですか。
○高木(文)政府委員 いわゆるみなし法人課税制度あるいは事業主報酬制度の選択をすることにつきましては、届け出だけで効力を生ずることになります。ただその場合に、届け出ました事業主の報酬の金額がいわゆる過大であるという場合には、その過大な報酬と認められる部分についてだけいわゆる事業主報酬として認められない、つまりこの給与所得控除の対象となる事業主報酬の額にはならないということが五項にあるわけでございまして、そのことはその給与の額が多過ぎるかどうかという問題だけでございまして、根っこから事業主報酬制度の選択を否認するという意味ではない。事業主報酬制度の選択そのものは届け出は有効であり、あと問題がありますのは、その場合の届け出た給与の額が多過ぎた場合には、その多過ぎた給与の額については、所得税上のみなし給与所得として扱う額を少し減らしていただく、こういうかっこうになっているわけでございます。
○阿部(助)委員 そうして五十七条の青色申告者の帳簿は正規の帳簿。もう一つは青色申告には簡易記録でもいい場合がございますね、これはどちらでもいいのですか。
○高木(文)政府委員 どちらでもけっこうでございます。 先ほどの答弁の中に一カ所、ちょっと不正確でございましたが、事業主報酬制度をとりました場合に、その給与の額が過大であるという場合に、それが給与であるという点においては、それはそのままでよろしいわけですが、それは法人の場合と同じように、その給与については法人ですと損金処分を認めないで、過大給与については益金処分とみなされるわけですが、それと同じような扱いになります。そこのところがちょっと不正確でございましたので訂正いたします。
○阿部(助)委員 みなし法人を選択した青色申告者の青色申告の取り消し、これは税務署長が行なうわけですね。
○高木(文)政府委員 仰せのとおりでございます。
○阿部(助)委員 青色申告の取り消しあるいは却下の要件は、所得税法の百四十五条及び百五十条がそのまま適用されると思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。
○阿部(助)委員 青色申告の取り消しの状況について、ちょっとこの統計を御説明願いたいのですが、いかがですか。これは国税庁ですね。
○江口政府委員 税務統計上確定した数字は、四十六年度分でございますが、全体で四十六年の三月十六日現在で青色申告者が事業所得だけをとらえて申し上げますと百七十四万三千件ございます。それに対しまして増加分が二万三千件ございます。それから逆に取り消しその他で減少したものが七万四千件ございます。このうちに取り消し分が含まれておるわけでございますが、取り消し分が五百十二件でございます。
○阿部(助)委員 そうしますと、これはあとでちょっとお伺いしますけれども、税務署長のところへたいへんな大きな権限を与えることに結局なるわけですね。これはそれじゃもう少しあとでお伺いします。 次に、この事業主報酬は、この前も竹本委員からもお話がありましたが、事業税の控除をしないというのはどうも私には理解ができないのでありますが、なぜこれをはずしたのか。私も、この前自治省か何かの人が盛んに説明をされるけれども、さっぱり納得がいかないのですが、大蔵省はこれはどう考えておるのですか。
○高木(文)政府委員 本来私どもの所管外ではございますが、事業税というものの性格についてはどうも非常にむずかしい議論があるわけでございまして、これはわがほうの問題としては所得課税でございますが、事業税は間接税というのともちょっと違いますが、いわゆる物税物税、こう言われておるわけでございまして、本来物税でありながら所得税法上の所得を課税標準としているところから、物税という説明はされておりながら、なおかつ所得課税的な性格を実態としては備えておるというところから、なかなか理解をしにくい面があるわけでございます。 率直に申しまして、私どもといたしましては、何とかこの事業税と今度のみなし法人課税を選択した場合の事業主報酬制度のつなぎのところは、もう少しうまくきちっと詰めることが望ましいと考えたわけでございますけれども、時間的な余裕その他の都合から、また理論的な問題等もあり、また先般ちょっと触れて御説明申し上げましたように、みなし法人課税をするからといって、法人事業税並みの扱いをする場合に税率をどうするか。個人の事業税は比例税率でございますが、法人の税率のほうは所得区分があり、しかもその所得区分が比較的少額のところでもございまするので、かなり制度として複雑なものになる。 そこで先般来申し上げておりますように、みなし法人制度というのは純粋法人と総合税負担でこれは変わならいようにしようということでございますから、それとの関連でどういうふうに仕組んだらよろしいかという仕組みの問題もありまして、そこのつなぎがうまくいかなかったわけでございまして、私どもといたしましては、これは今回の処理で必ずしも明快な処理ができたとは思っておりませんので、今後ともこの点はもう一度よく議論していかなければならぬというふうに考えております。
○阿部(助)委員 高木さんもあまり明快な法律じゃない、こうおっしゃっておるのだけれども、私もたいへんにこれはもうろうとした法律で、どうも税法の体系を乱すというか、くずすのじゃないだろうかという気がするわけであります。 私は手元に、大蔵省の皆さんのほうの試算したものと全建総連という組合の試算した事業主報酬を選択した場合、しない場合の表があるのですけれども、これを見ていきますと、場合によって、事業主の報酬を幾らにするかということで、かえって税金が重くなるというようなこともある。大体において低い所得の場合にそういう傾向があらわれるわけでありますが、その点は皆さんのほうもそう見ておられますか。
○高木(文)政府委員 もともとこの問題は、個人経営でやりまして税を納める場合と、法人経営でやりまして税を納める場合の負担がいろいろと違ってくる、これは法人税と事業税の関係だけではなしに、住民税の問題あり、事業税の問題ありでいろいろ違ってくる、それはおかしいではないか、単に商法上の法人になった場合とそうでない場合と、先般竹本委員も熱心に言っておられましたように、まず事実ありということからいえば、そこのところが違うのはおかしいではないかというところから発足しているわけでございますが、しかし、その主たる原因は、所得税の累進性構造と法人税の比例性構造から起こってきているわけでございます。したがって現在でも、所得の小さい方は、所得税のほうが有利でありまして、法人税のほうが若干不利であります。所得が大きくなってまいりますと、累進税率の関係がございますから、所得税のほうが重くなって法人税のほうが比較的軽くなる、こういう関係になるわけでございますから、所得の小さい方は、いまさらみなし法人制度を選択することの意味というものはあまり多くないのではないか。所得がだんだん大きくなるにつれて、みなし法人制度を選択することにより、累進税率を免れて比例税率のところに移行できる、こういうかっこうになるのが大体の傾向でございますが、給与をどうとるか、所得の大きさとの関連において給与をどういうふうにとっていったら一番有利になるかというあたりが、もう一つ複雑な要素としてそこにかみ合ってくるわけでございます。
○阿部(助)委員 私もそう思うのでして、これは零細な企業の場合にはありがたみは何もない税制だと思うのであります。 次の問題に移りまして、この二十五条の二第五項は、過大な事業主報酬の支払いを禁止しておるのですが、過大報酬については高率の課税をすることになっておる。ところがその内容、またその判定は同業種、同規模できまる、こういっておるんですが、その基準はたいへんにあいまいだと思うのであります。この基準は、大蔵省で何かつくって公表をされるんですか。
○高木(文)政府委員 過大報酬かどうかの基準は、法人の場合の過大報酬かどうかの基準、法人税法施行令六十九条と全く同じに近いような考え方で処理するつもりでございます。六十九条には、たとえば「当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給料の支給の状況」云々ということが書いてございますが、ほぼこれと同じような内容を、措置法のいまの五項に基づく政令で法令的には規定することを予定しております。 ただ、この政令を受けて、今度は具体的にどういう場合に他の者に比較して高いとか低いとかその認定をするかという問題になりますと、これはもう全く事実認定の問題に入ってまいりますので、現在でも法人税について、課税官庁側と納税者側との間で、いや過大とは思わないとか過大であるとかいうことで、若干紛争の種になっておることは事実でございますが、現在のところは法人でそうやっておりますから、とにかく法人並みということですべてそろえるということとの関係上、このみなし法人についても同様の扱いにする以外に方法がなかろうということになっているわけでございます。
○阿部(助)委員 いろいろおっしゃるけれども、零細な人たちはなかなかそう詳しくわからない。そうすると、過大であるかどうかという最終的な判定は税務署がおやりになるということになるわけですか。
○江口政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○阿部(助)委員 そうしますと、法人は商法によって設立され、たとえ青色申告の取り消しを受けようとも、所得給与そのものは否認されないですね。ところが、このみなし法人は、青色申告の取り消しを受けると、事業主報酬もこれは否認をされるという結果になりますね。いかがです。
○高木(文)政府委員 青色申告の取り消し原因になれば青色申告法人でなくなりますから、事業主報酬制度の適用を受けられなくなりますので、その意味では否認をされるということになります。ただ、そこのところちょっと複雑でございますが、給与が過大であるという場合にどうなるかと申しますと、給与が過大であるかないかということは一種の評価の問題でございまして、売り上げをごまかしたとかあるいは経費を過大に見積もったとかいうこととは違いますから、過大報酬であるからといって、それが青色申告の取り消し原因にはならないわけでございまして、この過大報酬か過大報酬でないかということから事業主報酬制度を採用することそのものを根本から否認されるという事態は起こらないわけでございます。
○阿部(助)委員 その点はそうだけれども、常に私言っておるように、商法の場合とこの場合との大きな違いは、一つはここにあるのじゃないか。商法の場合はとやかく言おうと、所得給与そのものは否認されないですよ。そうでしょう。
○高木(文)政府委員 法人税のほうでは、商法で定められた手続によって、総会の決議なり何なりによってきめられておりましても、現在の法人税法上は過大給与の否認は起こることになっておるわけでございまして、その点は商法上の手続が完結しておりましても否認をされることがあり得るということになっておるわけでございますから、その意味では、みなし法人の場合と純粋法人の場合と、過大給与の否認という点では扱いは同じになるわけでございます。
○阿部(助)委員 いや、そうじゃないんですよ。それは過大の部分は何ぼか圧縮されるだろうけれども、法人が否認されるわけでもなしに済むけれども、このみなし法人の場合は、全面的な否認をされることになりはせぬか。それと同時に、専従者控除も否認される、しかもそれが三年にさかのぼって重加算税が課せられるというようなことになり得るではないか、こう言っておるのです。
○高木(文)政府委員 かりに売り上げ除外とかあるいは架空経費の計上とかいうことがありまして、青色申告の取り消し原因になるということがありましても、法人の場合には、確かに法人格そのものは税務で否認するということはできませんので、それはやっておりませんで、青色法人から白色法人になる。それから個人の場合にも、青色の個人から白色の個人扱いになるということでございます。それで、白色の扱いになれば、それはみなし法人制度は成り立たなくなるという関係にございます。
○阿部(助)委員 それだから、その最終的な決定権は税務署が持つ、しかもその場合には、三年にさかのぼって重加算税が課せられるというようなことになってまいりますと、全く零細企業は生殺与奪の権を税務署に握られるということになりはせぬか。私は、そこが一番この法律の皆さんのほうのつけ目ではないか、こういう感じを持つわけです。どうもその辺で、たいへんに恩恵を与えるようなことを言っておるが、零細な企業にとってみれば恩恵はない。こんなものをうっかりやれば税金がよけい来るということもあり得る。しかもやってみたら生殺与奪の権を税務署にきっちり握られるということになってくる。この法律は、いろいろな選挙の公約やいろいろな選挙対策上の問題を踏まえたようでありますけれども、羊頭を掲げて狗肉を売るというものはまさにこの事業主報酬だ、こう思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 その点はもともと青色制度そのものの問題でございます。これは法人たると個人たるとを問わず、青色は全部帳面に記帳があって、その記帳に基づいて申告をしていただく。さればこそいろいろと恩典がある、こういうことになってくるにもかかわらず、売り上げの記帳漏れとか脱漏とか、そういうことがあって青色にふさわしくないという場合には、個人たると法人たると問わず、それでは青色になりませんから税務署が青色であることを否認をいたします。こういう仕組みになっておるわけでございまして、羊頭狗肉かどうかはちょっと私もその評価はよくわかりませんけれども、そもそも組み立てとしては青色制度のほうの問題でございまして、直接には事業主報酬制度の問題ではないというふうに私どもは理解をいたすわけでございます。
○阿部(助)委員 その羊頭狗肉の議論はやめますが、この法律をつくりますと、やはり税の公平という点からまたいろいろ問題が出てくるのじゃないだろうかという感じがするわけです。一つは農民あるいは労働者から自家労賃や必要経費の要求をしておる。しかしこういうものとのバランスを、皆さんはこれでもなおかつ公平の原則に当てはめて正しいというふうにお考えになって制定をせられたのですか。いかがです。
○高木(文)政府委員 この制度の組み立てのいかんによりましては、確かに御指摘のように、白との関係あるいはサラリーマンとの関係で、いわゆる公平論からいえば相当問題が出てくると思います。ただし、今回のようにみなし法人、みなし事業主報酬という形をとりましたことによりまして、在来の一部に御批判がありました、法人形態をとりました小規模の事業とそれから法人形態をとりません小規模の事業との間のバランスはとれたということでございまして、それではむしろ問題は、法人形態をとりました場合の小規模の事業と農業なりいわゆるサラリーマンとのバランスが従来からとれているかとれておらぬかという問題があるわけでございます。その問題は残りますけれども、これによって特別にその差が拡大したということにはならないのであって、個人の事業主であっても、商法による法人にならなくとも法人扱いになるということになっただけでございますから、いわゆる不公平さの拡大ということは、みなし法人制度をとることによって公平に及ぼす影響というものは最小限に食いとめられたというふうに思っております。
○阿部(助)委員 あまり公平の原則に反しないということは、裏を返して言えば実際にはたいして減税にならなかった、こういうことになるのですか。
○高木(文)政府委員 ある意味ではそういうふうに理解していただいてもよろしいと思います。この問題の持つ意義は、かねがね青色申告制度というのは帳簿をきちっとつけて、いわゆる店の勘定と奥の勘定をきちっと分ける、そうすることによって税負担が重い、軽いではなくて、自分の経営の内容が非常にはっきりわかる。そこがはっきりしていないと、自分の労働の報酬によって利益が出たのかどうかどうもはっきりしないために経営の合理化が進まないということがありまして、この青色制度をさらに一段と進めていくためには、税だけでなくて経営そのものをきちっとしていきたいという角度から、いわゆる法人と同じようなことができるようにしていくということが主張されてきたわけでございます。みなし報酬制度というのでなしに、そもそも事業主報酬制度という御主張の中にはいろいろな御主張がありましたけれども、いろいろな御主張の中のいま申しました面、その面をとにかくこの段階でやりやすくするというか実現するというか、そういうことにこの制度は貢献すると思いますが、それでありますからして、必ずしもこれによって税負担を軽減するということだけが直接のねらいではないというふうに理解をいたしておるわけでございます。
○阿部(助)委員 税務当局としてはたいへんつらい答弁のようでございますが、もしこれが何がしか減税になる面がある、そうすると、生産のあり方でなかなか青色をやれない業種、たとえば農業、こういう場合、皆さんのほうでは青色をやれないから、またいろいろ帳面をつけるのが困難な情勢にあるからというので、標準課税という形でいまは地方自治団体、市町村長が一緒になってつくるみたいなことを言っておりますが、実際は税務署が指導して農民には標準課税という制度をつくっておられる。そうして皆さんの一方的な——これはいろいろ問題があるのです。生産数量の問題だとかいろいろある。ここで言えばきりがないが、そういうものを皆さんのほうが農民に押しつけておる。押しつけながら、税制でみなし法人との差をつけるということはいかがなものですか。それならば、そういう人たちの減税は、皆さんが押しつけておるのだから、みなし法人と同じように引き上げてやるべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 白色申告の問題なかんずく農業の問題については、御指摘のようにいろいろ問題があると思います。押しつけておるというおことばでございますが、私はその点については若干事実認識が違うわけで、以前のような時期に比べますれば農業課税もそれほどきついものになっていないという認識を持っておりますけれども、そこは認識の相違でございます。ただ、制度として白色につきまして何らか発展があるべきではないかという御議論については、われわれも今後とも検討していかなければならない問題でございまして、このことは今回の事業主報酬制度の問題とは別の問題として、本来なお検討を要する問題がたくさん残されておると思っております。
○阿部(助)委員 私のことばがたいへん乱暴で、押しつけと言うことが気に入らぬようでありますが、実際は課税標準をつくって農民も反論しにくいという形で行なわれておるわけでございます。 〔委員長退席、大村委員長代理着席〕 検討するとおっしゃるけれども、税の公平という観点からも、特に農民の標準課税という場合、上のほうでつくるわけですから、そういう点でアンバランスのないように御検討をお願いしたいと思うのであります。 次に、土地税制でありますが、私はこれ、さっぱりわからぬのですが、これをやったら大衆の住宅用の宅地というものが安くなるという可能性があるのですか。
○高木(文)政府委員 私どもも税制でなかなか土地の値段を下げるというふうに税を仕組むというのは困難というか、かなり不可能に近い問題だというふうに思っております。しかしながら今回の場合には、いわゆる投機的な動きというものを押えるには役立つと思います。地価の形成過程におきまして、経済の成長なりあるいは土地の利用の有効度が高まりますのに伴いまして地価が少しずつ上がっていくことについては、なかなかこれは押えられないと思いますけれども、しかし投機的な行動が一つありますとそれに刺激されて周辺が上がるということが間々見られるわけでございまして、そこで今回の制度が投機的な行動を押えるのに役立つとするならば、それの刺激的効果といいますか弊害といいますか、それを防ぐという過程を通じて、やはり地価の上昇傾向とは無関係ではないということはいえると思います。 しかしこれは税制だけではうまくいかないわけでありまして、税制によって投機的なものを押えると同時に、最近は金融措置によってだいぶ押えてまいりましたから、そのようにして総合的に処理をするならば、異常な地価の上昇についてはかなりの役割りを結果として果たし得るかと思います。
○阿部(助)委員 いろいろと土地問題はあるけれども、土地問題の最大の原因は、やはり住宅問題の解決を放置してきたところに一番大きな問題があると私は思うのです。この問題が解決していればこんなにまでならなかっただろう。まあいろいろと、それこそ先ほどの過剰流動性の問題もあろうし、いろいろあるけれども、土地問題の最大の問題は、住宅問題を未解決に放置してきたというところにあると私は思うのであります。 まあこの問題を皆さんと論議してもしかたがないので具体的な問題に入りますけれども、この法案の三十四条の二の二項六号、この創設はいわゆる第三セクターによる大規模コンビナート用の用地取得を容易にするという目的のためにつくられた、こう思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 いわゆる従来の三百万円の特別控除、今回の五百万円の特別控除は、第三セクターに土地を譲渡するものについても認めるという考え方をとっております。御存じのように、第三セクターというのは国または地方公共団体が出資をいたします。そしてその出資の大きさでございますが、大体いまのところ二分の一以上を国または地方公共団体が出資をするという形のそういう意味での第三セクターに限りまして、第三セクターに売られた土地に限りまして五百万円の特別控除の対象に加えることを予定いたしております。
○阿部(助)委員 具体的には私は、この法案が施行された場合には、むつ小川原の土地買収に利用される、何かこれは土地規制ではなしに、日本列島改造論のための条文のように思えてならないのでありますが、むつ小川原の開発公社の株主と役員名簿を、これは企画庁の方おいでになっていますね。——これをちょっと教えてくれませんか。
○久世説明員 ただいまの御質問の趣旨でございますが、どこの名簿でございますか。
○阿部(助)委員 いろいろあるのだけれども、第三セクターのあれはどうなんです。
○久世説明員 むつ小川原の開発につきましては、第三セクターといたしましてむつ小川原開発株式会社とむつ小川原開発センターとがございます。それで、むつ小川原開発株式会社は、現在払い込みの資本金が三十億円でございまして、そのうち国、これは北東公庫でありますが、これが十億円、それから青森県が五億円を出資をいたしております。残りの十五億円は民間企業百五十五社の出資でございます。 むつ小川原開発センターのほうは、授権資本金五億円でございますが、払い込み資本金が三億五千万円でありまして、このうち国、これは東北開発株式会社でありますが、これが二億円、それから青森県が五千万円を出資をいたしておりまして、残りは民間、これはむつ小川原開発株式会社が出資をいたしております。 それから、むつ小川原開発株式会社の役員でございますが、むつ小川原開発株式会社の役員といたしましては、常勤の役員が社長以下十名おりまして、そのほかに取締役あるいは相談役といたしまして企業から二十名くらいの役員が出ております。
○阿部(助)委員 どういう企業から……。
○久世説明員 企業側の役員でございますが、企業側の役員といたしましては、経団連の会長、東京電力の会長、日本興業銀行の相談役、新日鉄会長、東北電力会長、出光興産社長、新日鉄社長、それから第一銀行の頭取、富士銀行の会長、伊藤忠商事社長、三井不動産社長、国土総合開発社長、青森県むつ小川原開発公社理事長、日商岩井社長、住友化学工業社長、経団連の専務理事、日本長期信用銀行会長、三菱地所会長、それから監査役といたしまして大阪商船三井船舶の社長等でございます。
○阿部(助)委員 いまむつ小川原地区で最も大きく土地を買い占めている不動産会社はどこです。
○久世説明員 数量的にはちょっといま資料を持ち合わせないわけでございますが、最も多く買っておりますのは内外不動産でございます。そのほか数社ございます。
○阿部(助)委員 内外不動産というのは三井不動産の出資しておる一番大きな系列会社ですね。
○久世説明員 そうでございます。
○阿部(助)委員 だから、土地をもう三井不動産が買っておる。何かたいへん複雑で、内外不動産が持っておるそれをまた開発公社とか第三セクターに移していく、こういうような形で、もう住民の土地というのはあまりない。大半買ってしまっておる。それを移していくのに、なぜ五百万円の免税措置を皆さんはおとりにならねばいかぬのか。私、これがわからない。
○高木(文)政府委員 まず一つ申し上げておかなければなりませんのは、第三セクターの一つの例としてむつ小川原の事例をお取り上げになりましたけれども、第三セクターというのは必ずしもむつ小川原に限られないわけでございます。規模はむつ小川原が非常に大きいので、また土地問題がああいう騒ぎになりましたから、非常にハイライトを浴びているわけでございますが、第三セクターというのは、他にももう少し規模の小さいところでいろいろございまして、そしてまた、土地買収についてああいうふうなややこしいことになっていないところがたくさんあるわけでございます。そういう意味では、第三セクターにこういう制度を認めることについては、必ずしも全部が全部妥当でない場合ばかりではないということを御理解いただきたいと思います。 第二の、むつ小川原の問題につきましては、私は詳しいことはつまびらかにいたしておりませんけれども、ただいまの、全体の面積の中で相当な部分がいま問題の会社の手にあるというふうな話は聞いてはおります。しかし、なお非常に多くの面積の部分はまだ林地あるいは農地の所有者の手にあるわけでございまして、むつ小川原の事業をよしとして将来の開発予定を進めるといたしますならば、その林地所有者あるいは農民の方々から土地を提供していただく必要があるわけでございますので、そういう意味においてはこの制度は有効であると思います。 なおその場合に、問題になっている会社等からの土地買収をどのようにするかということについては、よく御案内のように、いま現地においていろいろ紛争が起こっておるところでございますので、この適用にあたりましても、関係の官庁、主として企画庁でございますが、それらとも御相談をいたしまして、社会的に非難を受けるようなことにならないように、この制度の運用については特別に目を光らしてやっていかなければならぬと思っております。
○阿部(助)委員 社会的に非難を受けないようになんて言ったって、もう非難を受けておるのですよ。それにいま、ほかの場合もあるとおっしゃるけれども、大体これはむつ小川原をねらっての法案だと私は思うのですよ。しかも、まだ民間にもあると言う。それもあるかもわからぬけれども、いま言ったように、三井のダミーが相当部分を持っておる。それを開発公社にやる場合に、わざわざ五百万円までの免税の措置を今度新しくつけるなんて、何でこんな土地会社の売買に免税をせにゃいかぬのか。これはちょっと私は納得するわけにいかぬのですよ。こんなものはやめたほうがいいんじゃないですか。
○高木(文)政府委員 これは非常に複雑でございますので、詳しくは企画庁からお聞き取りいただきたいと思いますが、たとえば内外不動産が買ったと称せられる土地の中で、また一ぺん農民に売り戻したというようなものもあるやに聞いておりますし、その辺につきましては、いま御指摘のような意味で御批判を受けることがないように、関係官庁のほうでしかるべく指導を願った上で適用を考えるということにしなければいけないというふうに思っております。
○阿部(助)委員 皆さん、法案をお出しになると、しゃにむにお通しになろうとされるけれども、私も何も無理しませんから、皆さんのほうももう少し現実を踏まえてお考えいただかないと、私は税法自体がずたずたになってしまうと思うのですよ。企業は企業の立場でいろいろやる。われわれも勤労者の側の免税点引き上げなんというのをやらざるを得ないような仕組みになっている。それもわかるのです。わかるのだけれども、なるたけ税法は税法としての体系をくずさないようにくずさないように皆さんはおやりになることが正しい姿だと私は思うのですよ。 そういう点で、いまの五百万円の免税はいろいろなところに適用できるといえばできるのです。だけれども、いま焦点はまさにむつ小川原へ向かっておる。そういうときにこの五百万円の免税をするなんというのは、私は何としても合点がいかぬのです。特にいま申し上げたように、三井のダミーというか、その系例の内外不動産が持っておる。それを開発公社に、第三セクターにやる場合に免税するなんというのは、全く大資本擁護というか、上地ブローカーに皆さんが援助をおやりになっておるという非難を受けてもしかたがない問題なんです。(「どろぼうに追い銭だ」と呼ぶ者あり)ほんとうに、いまのことばじゃないが、どろぼうに追い銭だ。そういうものをなぜおやりになるのか。日本の税法を預かる皆さんとしては、こういう条文は削除するというのが正しいあり方だと私は思うのですが、これは次官、どうです。
○久世説明員 先ほどの御質問に対して企画庁としてお答えをいたしたいと思いますが、内外不動産が買いました土地は、実は五千五百ヘクタールのむつ小川原開発地域内におきまして百三ヘクタールでございます。この中におきまして農地法違反の部分が若干ございましたので、それはすでに原状復帰をいたしておるわけでございますが、残りのものにつきましては、現在一元的にむつ小川原開発株式会社が住民から土地を買うということになっておりまして、昨年の十二月末以来土地の買収をやっております。現在のところ、企業が買った分につきましては、まだ買っておらないわけでございますが、ただいま御指摘のありました内外不動産が買っております土地等につきましては、むつ小川原開発株式会社といたしましても十分これと話し合って、内外不動産等が不当な利益を得ないような価格において買収をいたしたいと考えておるわけでございます。また、私ども経済企画庁といたしましても、ただいまの趣旨に沿ったように、すなわち内外不動産等が不当な利益を得ないように、むつ小川原開発株式会社を厳に指導いたしている次第でございます。
○高木(文)政府委員 この制度を拡大して、第三セクターにも五百万円の特別控除が認められるようにするという原案をつくります段階では、もうすでにむつ小川原の問題はたいへん社会的な非難を浴びておりましたので、私どもとしてもできるならばいろいろ批判を受けることがないようにする、そういう趣旨からいえばこれを拡大することについては非常に疑問があるという気持ちを私ども自身持ったわけでございます。しかしながら、全体で五千五百ヘクタールというような広大な面積がありまして、その非常に多くの部分はまだ農民の方々の手にはっきりあるわけでございます。そうしますと、その農民の方々から、あるいは森林所有者の方々から手放していただくのに、内外不動産というようなそういうおもしろくない行為があったからといって、その周辺の他の農民の方にそれを及ぼし得ないということになると、これまた一つの問題が起こります。そこで、内外不動産の問題等につきましては、運用上、いまの企画庁のお話のように、先ほど申しましたように非難を受けることがないように処理をしながら、制度としてはこういう制度をつくらしていただきたいということで、そこはもうすでに騒ぎが起こってからこういう制度についていろいろ検討いたしましたので、相当慎重に、実際上やれるという見通しをもって御提案申し上げているわけでございます。
○阿部(助)委員 いろいろ問題がありますし、私は納得できないのですよ。だけれども百歩譲って局長の答弁を一応受けるとしても、この法案は上から開発を押しつける、土地買収をやる法律でしょう。そのための便宜を与えておるのでしょう。そしてこの条文の中に、国と都道府県の計画を押しつけるのであって、住民の一番密接な関係にあるところの市町村長の意見を聞くなんということは一言も文言はない、条文はないじゃないですか。全く国と県、上からこの計画を押しつけていく、そうして農民から土地取り上げをやることを目的にして、これはあなたのことばを受けてもなおかつ、農民の土地取り上げを促進するえさを出した、こういうふうに私は理解せざるを得ないので、なぜここへ市町村長の意見を聞く条文を入れなかったのですか。
○高木(文)政府委員 その問題は、第三セクター方式による土地買収の方式をどうするか、その土地買収にあたってどういうふうな形式で住民の意見が反映するようにすべきかという問題であろうかと思います。 そのことは、第三セクター制度そのものについての御批判であろうかと思いますが、私どもといたしましては、あくまで第三セクター方式もそれらの点を含めて円滑に事が進むということを前提に制度を組み立てているわけでございますので、もし第三セクター方式そのものについて御批判があるということであれば、その点は謙虚に承らなければならぬというふうな感じでいま承ったところでございます。
○阿部(助)委員 もう時間だから終わりますけれども、このあり方は、私は列島改造論の税金版だと思うのです。そうして皆さんの、国、県が上から計画を押しつけていく、それに不動産会社が一枚加わってますます土地騰貴を増進させる、そうして農民からの土地取り上げを押しまくっていこうというごとになるのでして、こういう政策を強行して札束で農民の横つらをひっぱたいて土地を取り上げていこうという政策だ、ほんとうに日本列島改造論の税金版だと私は思うので、こんなものをこの税法の中へあなたが組み入れていったとすれば、もう日本の税法を守る、あるいは税法をすっきりさせていくというあなたの一番大切な任務がそこなわれやせぬか、名高木主税局長、私は汚名を千載に残すんじゃないか、こういう感じがしますので、私はこれは何とも承知ができないということを申し上げて、私の質問を終わります。
○大村委員長代理 増本一彦君。
○増本委員 時間がないので、問題をこのみなし法人制度に限ってお伺いしたいと思います。 大蔵省からせんだって予算委員会に、事業主報酬制度を利用した場合の負担試算額の表が出ました。お手元にもあるだろうと思いますが、これを見ますと、所得二百万円の場合で、事業主報酬制度を採用して所得の全額を事業主報酬、つまり給与とした場合の計算が出ていますが、なるほど、全部事業主報酬とすればこれは業者にとっては減税になる。しかし、所得二百万で全部を事業主報酬とすることを、一体実際の税務行政の場で認められるだろうかということになると、これはこれまでの法人成りの税務行政の実態を見れば、そういうことは全くあり得ないというように思うのです。それとも、この事業主報酬制度に限ってはこういうことをお認めになるという前提であるのかどうか、この点をはっきりさせていただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 この表は、御説明の便宜のために計算を示したものでございますから、全額事業主報酬として所得の全額を取りたいというお申し出があった場合に、それを認めるとか認めないとかという問題とはちょっと別の問題でございます。問題は、この具体的な企業がありました場合に、ここにありますように、月額十六万六千円の事業主報酬を取るというお申し出があった場合に、これは先ほども申しましたように、過大報酬になるかならないかということを見まして、それによって判定するわけでございます。おそらく、たとえばここにありますように、所得五百万円の場合に報酬を四十一万六千円、全額をお取りになるというようなことになりますと、あるいは他の関連の業種等と比べて、その近隣近在の業種の状況等と比べて、少し高過ぎないかという問題が出てこようかと思いますが、二百万の場合の十六万六千円という金額が、地域によっても違いますけれども、この程度の額であれば税務署のほうとしても、他の業種とのバランスからいってそんなに高いということにはなりませんわけでございますので、この辺のところではまずまず、ほとんど全額ないし全額に近い金額の届け出がありましても、これがいかぬとか過大だとかいうことにはならぬのではなかろうか。ちょっとそれは、現在の各企業の現場の状況がよくわかりませんので、自信をもってお答えできませんけれども、この十六万六千円程度のものであればあまり問題がないであろうし、四十一万六千円というようなことになってきますと、少しく問題があるのではないか、その中間のところがどうなるであろうかというような感じでございます。
○増本委員 じゃ、江口さんにお伺いします。 この所得二百万の場合あるいは所得三百万の場合も、これも法人成りの実態で過大報酬だとして否認をする場合が出ていますけれども、大体のリミットはどのくらいのところに置いて税務行政をやってこられたか、その実態をひとつ御報告いただきたいと思うのです。
○江口政府委員 過大報酬の基準というものは別に庁で通達しておるわけではございませんで、先ほど主税局長から御説明いたしましたように、同業種同規模のもの、それからその地域での同業種の一般的な給与の平均あるいは最高、最低といったようなものを、各税務署ごとに検討してみまして、それに基づいて判定をするというのが一般的な考え方でございます。 ただこの問題につきましては、私の経験からしますと、大体昭和三十年代の前半ぐらいまでは私の記憶ではかなり各地で問題がございましたし、それから局あるいは庁のほうにもいろいろと問題として提起された経験がございます。最近におきましては、この過大報酬の否認の問題について、私、庁でもう十年になりますが、私がおります間では過大報酬の否認の問題として問題にされた事案の経験は一件もございません。そこで、庁としてもどの程度のものを基準として判定をしておるかということについては、一々報告を求めておりませんのでつまびらかでございませんが、いわゆるトラブルが少なくなっておることは事実だろうと思います。 そこで、若干東京の最近の例の報告を求めてみたわけでございますが、現在特別に一般的な基準を設けまして否認をする、是認をするという措置をとっている例はあまりないようでございます。 私のほうでサンプルとして報告をもらった案件を二、三御披露してみますと、たとえば同族的な企業についてどうしても問題が起こりがちでございます。たとえば奥さんがその企業に全く従事していないというにかかわらず相当の給与が支払われた形になっておるというようなものについて、これは全額否認をせざるを得なかったという報告が来ております。 それから土木建設機械の販売業、これは最近の状態ではかなり経済の動向に積極的な立場で臨んでおる企業と思われますが、これにつきましては、同業種の法人あるいは企業と比較いたしましてきわめて顕著に多額であるというようなこと。それから、一般的には定期昇給等がほとんど行なわれていないにかかわらず、ある特殊な役員についてのみ年二回かなり大幅の増額をしておる。結果的に見ますと、利益の調整につながっておる疑いが濃厚であるといったような事例。 それから企業が、これはボウリングの例でございますが、赤字であるにかかわらず非常勤役員に常勤役員よりもかなり高額のものを出しておった、これも利益調整の疑いが濃厚であるというようなこと。これも同業種と比較いたしますと非常に顕著に高い支払いが行なわれております。 そのほかに、企業が赤字であるにかかわらず、一般の役員と比較いたしまして特定の役員が倍以上支払われておるというようなケース等について否認をしたという例がございますが、いずれもこの場合には本人が了承しておるという報告も受けております。 こういうことで、一般的に先生が御指摘になっておるのかあるいは御推測になっておるのかわかりませんが、一般的な基準によって否認処理をしておるということはございません。個別のケースにわたりまして一々判定をしておるということでございます。 なお、この問題については、確かにかつて、もう十年以上前にいろいろ問題があったことは事実でございますし、今回の事業主報酬制度に基づいてまた新たな観点から検討をしなくちゃいかぬというふうにわれわれは認識しております。
○増本委員 江口さん、所得二百万円の場合月額十六万六千円、所得三百万円の場合は月額二十五万円、この程度はまるまる全部取っても、これが実施された場合過大報酬として否認されることはないと、これまでの税務行政の実態から見てはっきりとお約束できますか。
○江口政府委員 単年度の所得金額だけでもって十六万あるいはそれ以上ということで、はたしてこの設例の場合に認められるかどうかというのはにわかに私から確答いたしかねるわけでございます。継続的な内容で企業がこうした経理をしておるかどうかということ、それから経済の状況の変化にどの程度対応しておるかということ、あるいは同種同規模の企業等とその地域で比較をいたしまして、それが明らかに過大でない、明らかに過大であるというような場合には問題にされましょうが、そうでない限りは否認をすることはないだろうと思いますし、それから先ほど申し上げましたように、一般的には昔のようにぎりぎりとした形でもって否認をする、あるいは今回の事業主報酬が適用された場合、かなり基準的なものを考慮いたしまして機械的に処理をする、いわば否認の処理を拡大するという気持ちはわれわれは全然持っておりません。ただ新しい事態に備えまして、この問題にどう対処するかということについては十分に検討したい、かように考えております。
○増本委員 これは後ほどの運用の面で非常に問題になるといかぬし、一体どのくらいまで取ったらいいのかという、まずこれを選択する場合に、そのスタートから納税者は一番判定に困る問題だと思うのですよ。いまこれをそれじゃどのくらい取ったらいいかということで、この法律が施行された場合に、納税者のほうでは基準がない、それで税務署に聞きにいく、こういうことになりますね。そうすると税務署のほうでは、あなたのところではこのぐらいが適当でしょうという線は出さざるを得なくなりますね。どうですか。
○江口政府委員 税務署は各企業の報酬の出し方まで指導するというのは、私は行き過ぎじゃないかと思います。あくまでもこれは企業が自主的に判断すべきものでありますが、ただ税務署として指導できる範囲というのは、かりに自主的に判断されてどの程度の収入、どの程度の所得であるに対して、今回はこういう事業主報酬を支払う、その場合に一体税法上どうなるかということに対しては、税法上の規定に基づいての最終的な観点は御説明はできると思いますが、こちらから御指導申し上げるというのは行政としては行き過ぎであろうかと考えております。
○増本委員 これまで小規模法人について、やはりそれが過大報酬であるかどうかという認定のものさしは、同業種同規模できめてきたわけですね。それがおのずからあの法人税法の施行令六十九条と同じようなものが今回のこの政令にも出てくるということになりますと、やはりそれから類推したものを一応基準にして税務署は過大報酬かどうかを判定するということになるわけですね。そういうことになりますね。つまり法人成りの標準をそっくりみなし法人のほうに当てはめてくるわけでしょう。最初の、つまりスタートした段階では、このみなし法人についての実績というのは何もないわけですから、何をもって過大かという標準そのものをきめることができないわけですから、当然法人のほうから移しかえてきた基準で判定するということになるわけでしょう。そうじゃありませんか、税務行政そのものでは。 ちょっと、時間がないものですから一ぺんに言いますけれども、そうしますとその実績から見て、たとえばどこの国税局の管内では、どういう業種については年所得どのくらいなら標準の事業主報酬、あるいは役員の報酬が幾らぐらいであるという基準は、当然もう法人の実務としてはお持ちになっているはずなんですね。そのつどそのつどはじき出して出すということかもしれない。それだったらそういうものをはじき出したものを、ひとつその制度のよしあしを判断する上では資料としても出していただくということが必要だと思うのですよ。 これはお願いなんですが、そういう税務行政の実態を踏まえて、これはもう今後の運用の問題にもかかわるので、この法案の審議のタイムリミットには間に合わなくてもいいですから、できるだけ早く、ひとつ東京国税局管内のたとえば東京のおもなところ、それから国税局管内でも横浜にも幾つか税務署がありますが、そこでのそれぞれおもな業種について、一体その所得に対応する報酬額のリミットがどのくらいのところかということをひとつ御報告いただきたいと思うのですが、その点はお約束していただけますか。
○江口政府委員 私も第一線のほうでどういう基準をつくっておるかということがつまびらかでございませんが、私の知っている限りでは、基準というものをつくりませんで、大体おもなる業種別に最高、平均あるいは最低というものをとっておりまして、それに対応して個々のケースを判断していく、こういうやり方をやっているはずだと思いますが、御趣旨もございますので、第一線のほうに確かめた上で、御報告のできる内容であれば御報告さしていただきたいと思います。
○増本委員 ひとつそれはできるだけ早くお願いいたします。 それでは、局長のほうは先ほど年所得二百万あるいは三百万ぐらいのところは過大だとはいえないのではないだろうかという、そういう御意見をいただいたのですけれども、実際にこれが法人成りとそうでないものとの課税のバランスをはかるのだということが制度の目的だとしたら、やはり非常に——この二百万の場合でも、青色申告だと十六万二千円なのに、ここで事業主報酬一〇〇%取ると十万四千円。六万二千円ほど税金が軽くなる。こちらの三百万の場合だと約十万円税金が軽くなる。こういうことになるわけですね。そうすると、こういう資料が出れば、納税者は大体これを信用すると思うのですね。五百万だとちょっと高過ぎるのじゃないか。四十一万六千円は高過ぎるのじゃないかという御意見がある。だけれども、ここいらまでとっていいのじゃないかという、そういうことにもなるので、これが税務行政の面では、また十年前と同じように過大報酬かどうかということで、トラブルが起きるもとにもなりかねない。前回私がお尋ねしたときに、非常に問題のある制度で誤解を呼ぶ制度なんで、そのメリットはもちろんデメリットとして徹底して納税者につまびらかにするということを私が要求して、局長はうなずいておられたのですが、ひとつこの際ですから、もう最後の質問なので、はっきりとその点をお約束していただきたいというように思うのです。
○高木(文)政府委員 まさに自分で自分の給与をきめるということは、論理的にもちょっとおかしいわけでございますし、そしてそれが今度は税務署のほうから見て少し高過ぎるとか高過ぎないということで紛争が起こることは、非常に好ましくないことでございます。この事業主報酬制度についてここ何年来御主張があり、御要請があったのでございますが、私どもとしては実は昨年まではどうもこの制度はあまり感心しないというようなことを、この席でも御答弁申し上げておりましたのは、まさに御指摘の給与の額をどうやってきめるかというところに問題があるわけでございます。ございますが、これをいよいよ踏み切るということにいたしましたにつきましては、やはりここのところの運用を、いまの御指摘のようにうまくやらなければならないということでありますから、これは法案御審議の御参考までにつくりました仮定計算というか、一つの試算表でございますから、これを現実の税務に移すにつきましては、もう少し納税者の方々にわかりやすく、また一方におきましてはあとで紛争が起こらないようにということを考慮しながら、主として国税庁を中心ではございますが、指導してもらう必要があるわけでございまして、それは国税庁の仕事ではございますが、もともとこの制度に踏み切りましたのはわれわれのほうの責任でございますので、国税庁のほうと密接に連絡をとりながら、できる限りトラブルを起こさないように、綿密な指導といいますか、参考となるようなものをつくって、そして関係者の方々にお知らせをして、少しでもこの制度が摩擦を起こさないようにしながら発展できるようにひとついたしたいと思います。そのことをお約束いたしておきます。
○増本委員 その点は江口さんもいかがですか、簡単に。
○江口政府委員 全く同様の考え方で同様の措置をとりたいと思っております。
○増本委員 長年の中小業者の要求というのは、やはり勤労部分と資産所得の部分と二つあるのだから、二つについては両方のことをはっきりと分けた上でそれを合算して、それに所得税がかかる、こういうようにしてほんとうに軽減してほしいというのが、中小業者の年来の望みであったというように私は思うのです。ですから、ほんとうはそういうように制度を変えなければならないというように思います。 私が試算したところだと、二百八十五万円の所得で八〇%以上実は事業主報酬を取らないと、事業主報酬を選択しない場合よりも税率が軽くならない。四百八万で七〇%、六百十五万で六〇%くらい、それより高くなると半分以下にまで削らないと、実は税を軽くしてもらえない、こういう業者の要求が実現できないという、たいへんな制度だというように思います。そういう点についても今後一そう改善をしていただきたいということを強く要求しまして、時間ですので終わります。
○大村委員長代理 本会議散会後、直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時四十八分休憩 ————◇————— 午後四時四十八分開議
○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。高木主税局長。
○高木(文)政府委員 休憩前の阿部委員の御質問に対しまして、私の答弁の中で不正確なところがございましたので、この際訂正をさせていただきます。 先ほど御質問に対しまして、私は、第三セクターに土地を譲渡した場合におきまして五百万円の特別控除の適用があるかどうかということの御議論がございましたが、その際、たとえば内外不動産等の不動産会社が譲渡した場合にもこの規定の適用を受けることができるかのごときお答えを申し上げましたが、租税特別措置法六十五条の四におきまして、適用の対象となります「土地等」というのには、六十五条の三の規定に基づきまして、法人のたなおろし資産は除外されております。そこで、内外不動産株式会社等の不動産会社が、たなおろし資産である土地等を第三セクターに譲渡いたしましても、この特別控除の適用は受けることができないという法律規定になっております。 以上、不正確な点をおわびいたしまして、答弁といたします。
○大村委員長代理 武藤山治君。
○武藤(山)委員 大蔵大臣に、大かたもう質問が出尽くしたと思うのでありますが、基本的な認識からひとつお尋ねをいたしたいと思います。 先ほど阿部委員からも質疑がございましたが、いま過剰流動性ということばがまさに流行語になっております。ちょうど国際通貨ではユーロダラーがお化けだといわれるように、どうも国内の過剰流動性の問題も何かつかみどころのないお化けのような存在で、一体過剰流動性とは何か、それを最初に、何を基準にして過剰なのか、この過剰流動性についての大臣の見解をひとつ聞かしていただきたい。
○愛知国務大臣 このごろいわれております過剰流動性というのは、ここ二、三年来の経過からきたことばというふうに私は理解しておる次第であります。そのことは、内容的にいえば、日本の特に国際収支の関係あるいは国際通貨問題からの関連で、昭和四十六年から四十七年の前半にかけて、よくいわれますように、合わせて六兆円前後の金が外為会計を通して放出された。異常なるドルの蓄積のうらはらになっての円資金の放出、そしてこれが過剰流動性の根源である。このことが、少なくともここ二、三年来いわれておる過剰流動性の根源であろう、こういうふうに理解しております。もちろん、そのほかにもいろいろの取り上げ方があると思いますけれども、まあそう申し上げますのが、一番最近での常識にも合うのではないかと考えます。
○武藤(山)委員 そういたしますと、大臣、外為から散超になった六兆円ぐらいが、通常のあるべき姿よりも資金量が多い、こういうことですね。しかし、外為から散超になったとはいえ、外為に入ってくるのは、大部分は、日本の産業で実際に生産活動をして生産物が生まれて売ったものがドルで入ってき、それが円にかえられたという経過でありますから、正常な企業の必要とする資金というものは、やはり外為でかせいだ金も必要な資金に該当するんじゃないでしょうか。そうなると、一体何が基準で過剰という概念が出てくるのか。いま大臣の説明は、まだその基準までは述べていないわけですね。ただ原因を、外為からの散超で六兆円ぐらいが多くなったという説明であって、しかし何を基準にして——二年前と比較して多いというのか、それとも、適正ないまの日本の産業界あるいはもろもろの経済活動を営むのに必要な資金量をはるかに六兆円が上回ったというのか、何を基準にして上回ったということがいえるのか、その辺はどうなんですか。
○愛知国務大臣 これはお話のとおりでありまして、何も日本にユーロダラーが大いに入ってきて、投機資金が入ってきたというわけではございませんから、輸出手形のかわり金でございますから、そういう点からいえば、正常な生産活動に裏づけられた、輸出という日本の経済活動の結果でございますから、そういう点からいえば、過剰とはいえないではないか。いえるとすれば、見通しや予測よりもはるかに速度が早く、かつ、額も多く輸出が伸びたといえばいえるのではないか、こう思います。
○武藤(山)委員 その説明ならば、私も了承し納得いたします。だから、政府が予定した経済成長率よりもはるかに多い輸出の。ベースであったことによってそこに均衡が破れた、その均衡の破れた部分、超過部分が、過剰流動性という呼び名で呼ばれているんだ、こういう説明なら、わかりました。 そこで大臣、この過剰流動性はどういう形態になって、現実に日本のどこに、金融機関や企業や個人のふところや、そういう過剰流動性が存在している様態と申しますか形態と申しますか、そういうものは大体どういうところにどういうウエートが置かれて存在しているという認識に大蔵省は立っておるわけですか。
○愛知国務大臣 これはまあ常識的に申しますと、お金にしるしはございませんから、通常のマネーフローの中にとけ込んだというふうにいえるかと思いますけれども、要するに、そのお金が輸出という経済行動を通して入ってきた、それが金融機関の中へ入った、そしてそれが貸し付けなりあるいは日銀への返済という形になって、ですから、正確な数字はいまここに持っておりませんけれども、たとえば一時期においては日銀からの貸し出しがほとんどなくなったというようなまた結果にもなって、全体のマネーフローの中へとけ込んで金融操作の対象になった、こういえるのではないかと思います。
○武藤(山)委員 そこで問題はその過剰流動性、私はお化けと呼んでいるのですけれども、いままでは天使だったときもある。不景気のときには、そういう傾向は天使だ。しかし、いまの経済情勢の中ではこれは一種のお化けだね。そこで、このお化けをどう退治するか、これをどう正常なものにするか、ことに一番大蔵大臣としていま悩んでいる問題があるだろうと思うし、大蔵省もどこでその様態なり形態をチェックするか、ストップするか、凍結するか、そういうところが何か私のほうから見ていると隔靴掻痒の感がして、何だかこれはスローだ。何かうまい手はないのか。 たとえば、土地が上がる、株が上がる、商品投機が行なわれる、最大の犯人、原因は過剰流動性だ。じゃ、その過剰流動性の問題をどこでどう矯正するか。これはなかなか大問題であるし、日本の財政金融を担当する大蔵大臣に全国民が最大の期待を寄せているのは、私はその措置の問題だと思うんですね。大臣はいまいみじくも言われたが、ときには日銀の貸し出しが非常に減る。こういうときにはやはり日銀の貸し出しというものは極度に減らさなければいかぬ、オーバーローンはこの際はなくていい、そのくらいやはり日銀に凍結される資金量をふやす、そういうオーソドックスな金融政策というものが行なわるべきだと思うのですね。ところが行なわれていない。残念ながら、日本のいろいろな経済指標を見ると、そういうきき目のある措置が行なわれていないんじゃなかろうか。どうでしょう、大臣。
○愛知国務大臣 その点は、これもよく私申しますのですけれども、極端な笑い話みたいにいえば、過剰流動性というものが、たとえば大きな水の中に油のように存在するとすれば、それをつかまえて油をすくってしまえばいいじゃないか。これは感覚的にはそういうことが非常によいのかもしれませんけれども、これがたとえばドイツの場合のように投機資金が非常に入った、それをバールデポですか、ああいう制度でもってそこだけを凍結する、こういうやり方もあるでしょうが、先ほどお話もございましたように、相当予想以上に多かった、かつスピーディーであったとはいうものの、いわば実需からきているものでございますから、そういうやり方にはなじまないと思います。それからまた、そうすべきではないということもいえるかと思います。 ですから、やはり全体の金融政策の中で処理をすべきものである、こう私は考えまして、一面においては、預金準備率制度というものがほぼ十年ほど前にでき上がっておって、これは私は非常にいい制度だといまでも考えておりますが、これをさっそく活用いたしたわけですし、さらにこれも引き上げたわけです。そして公定歩合の引き上げということでこれに陣立てを整えた、こういう形になっておりますし、そして、たとえばその沿革からいえば滞留量が多かったろうと思われるようなところへ向かって、御案内の、商社を特定して、そしてその商社の手形の買い入れ限度を設定するというふうな新しいやり方までやりました金融の引き締めを一方でやったわけでございます。 それから財政のほうでは、たまたま財政の配分機能というものを、景気調節というだけではなくて、この際展開をすべきだと思いましたから、いろいろの御批判を受けましたけれども、ある程度の公債を出してこれを引き揚げ、市場の緩慢であるところの資金を引き揚げる、そしてこれを財政の機能で福祉国家建設のほうに切りかえていくというような措置もあわせ用いつつあるわけでございます。これは、年度の当初でございますから、まだこれから現実には実行していくわけでございますけれども、そういう方法を使って、そして、ほんとうにはがゆいと感覚的に国民から思われるかもしれませんが、これで相当の効果を発揮すると思います。 それから一方、これもよく申し上げることですが、国庫と民間の収支関係をずっと見てみましても、最近におきましてはもう、外為の散超というものはございますけれども、金額的にいえば一時の状況とは比べものにならない。それから、国庫はどちらかというと揚げ超の傾向であるというようなことで、さらに公債の発行とか、あるいは場合によってはオペレーションの展開、これは売りも買いもあるわけでございますが、そういうことを、やや正常化した状態からはそういう正常な手法が用いやすくなってくる、こういうふうに考えております。
○武藤(山)委員 銀行局長、預金準備率二回の引き上げによって日銀に一応吸い上げられ、凍結される金額はどのくらいになりますか。
○吉田(太)政府委員 第一次の準備率引き上げで約三千億、三月中旬の第二次の準備率の引き上げで約三千五百億見込んでおります。
○武藤(山)委員 大臣、ただいまの発表のように、六千五百億円——六兆の過剰流動性がある、すなわち資金がダブつき過ぎておる、これが災いをしておるのだ、元凶なんだ、そういうふうに断定されている今日の状況の中で、六千五百億円を凍結することによって、もちろん、これは乗数効果が三倍、三・五倍とか四倍とかありますから、かなりの効果があるのだという説明をあるいはするのかもしれないが、私は、どうも日銀なり大蔵省、大銀行の貸し出し姿勢、営業態度あるいは倫理性、そういうところに、一番大きなポイントになる根っこがあるのじゃなかろうかという感じがするのです。 そこで、ちょっと銀行局長、現在、日銀が全国銀行に貸し出している残高は、二月末か三月末でわかるでしょう、幾らありますか。
○吉田(太)政府委員 約一兆六千二百億でございます。これは四月五日現在でございます。
○武藤(山)委員 大臣、あなたは先ほど、二年か三年前のノーマルな状態から急激にマネーがふえたということが、過剰流動性の定義の基準だという意味を申されました。日本のいまの資金量をずっと各銀行別に調べてみたのでありますが、まず日本銀行の貸し出し金の推移を見ると、昭和四十六年は六千八百八億円、四十七年の状況が、月によっても違いますが、急激にふえて、十一月が一兆九百三十億円、十二月が二兆一千二百二十一億円というような状況ですね。ここへ来て幾らか——四月現在の日本銀行から全国銀行への貸し出しが一兆六千二百億円。こういう日銀の貸し出し金というものがやはりかなり災いしている。というのは大臣、統計でちょっと調べてみたのでありますが、その企画庁の統計は十二月しか出ておりませんので、一月をちょっと大蔵省で調べさせたら、全銀の預金総量が六十兆一千億円、ところが貸し出しのほうは六十一兆七千億円、一兆五千億円預金量よりも多いのですよ。ということは、日銀の借り受け金が貸し出しに回っているということですね。ほかの銀行にはそういう傾向はないのです。預貸率が非常に健全なんですね。相銀が、九兆二千三百億円のうち貸し出しは七兆八千億円、信用金庫が、十一兆五千億円のうち貸し出しが九兆三千億円、農林関係が、農協を見ても、八兆五千億円のうち貸し出しが三兆九千億円、信連が、五兆六千億円のうち一兆七千億円、農中が、二兆九千億円の預金のうち貸し出しが二兆二千億円、そうすると、あとは大蔵省の預金部資金の総量が、貸し付け残高も含めると二十兆円、そういうような数字、大体大ざっぱに当たってみると、過剰流動性の問題を処理し、国民へのあちこちで騒ぎを起こしている元凶をすみやかに解決するためには、やはり全国銀行、全銀ですね、これに対する大蔵省としての姿勢をきちっとしない限り、国民から理解を求められないという気が私はするのでありますが、いま私が申し上げたような数字を大体勘案しながら、大臣はどのようにお感じになられておりますか。
○愛知国務大臣 ただいまも言及されましたが、やはり預貸率というようなところへ一つの焦点を当てて銀行行政をやっていかなければならない。これは確かに一つの焦点でございますし、その点は十分心得てやっておるつもりでございますけれども、いま御指摘のありましたような数字にまだなっている現状ですから、これからも十分気をつけていかなければならないと思います。 それから、預貸率の状況等は銀行局長から……。 最近の状況、都市銀行、それから地方銀行その他、これは十分注意して見ております。
○吉田(太)政府委員 確かに、御指摘のように、銀行の預貸率といたしましては、過去の三十年代からずっと、特に都市銀行の預貸率というのは非常に高うございます。場合によっては一〇〇%をオーバーしておるような時期、これはおそらく景気の過熱時期、それから三十一年に一回オーバーローンが減少した時期がございました。いま武藤先生御指摘のように、総じてオーバーローンの状況であったということは言えると思います。もちろん、銀行の立場といたしまして、日本の産業構造と非常に密接な関係のある金融機関がどこであるかという形から、こういうかっこうで、今日まで都市銀行を中心とする通貨の日本銀行の信用の造出、あるいはそれを受けて都市銀行の産業界への資金供給、こういう形が一体となって日本の産業活動のメカニズムの一つの中に組み入れられてきて今日までまいったということは、まさにおっしゃるとおりだろうと思います。 今後の問題として、そういう経済の構造の変化に応じて、金融機関がどういう立場でどういう機能を果たしていけばいいかということが問題になるかと思いますが、私どもといたしましては、今日一番高いところが一〇〇%をこえておった預貸率が、四十七年の上期では、都市銀行の平残の預貸率としては現在のところ九二%という状況になっておるわけでございます。この辺のところは市中の流動性というものとの関係もございます。私どもとしては、預貸率の指導ということを今後とも続けていきたい、かように考えておるわけでございます。
○武藤(山)委員 そこで大蔵大臣、やはり一番の問題は、なぜ都市銀行が預金をオーバーするほど貸し出しをしているという事実をチェックできないかというところに問題がある。それは結局都市銀行が——ここでは、都市銀行が一番元凶だと私は思っているから、都市銀行を例にしているのでありますが、都市銀行がお互いにシェアを争って過当競争をしている。したがって、その貸し出し先の大商社なり大企業へ融資している金を返済させるなり、政府に協力する姿勢なり、この際は過剰流動性を減らすために、おたくへの貸し出しは返せるものは返してくれ、企業経営の内容がよくなったのだから返済してくれ、こう言って返済を求めれば、現在の状態は、かなり返済できる企業はたくさんあるわけです。ところが銀行は、自分のところの利益率を落とさないために、いいですよ、あなたのところはゆっくり使っていてくださいよということで、返済しなくともいいという考え方に立って一定の貸し付けワクを保持しておこうとする。ここに企業も過剰な資金を持つし、銀行はオーバーローンをしてまで、政府のほうが物価問題でこれほど頭を悩ましていても、そういうモラルを銀行は持っていないと私は見る。ここらをやはりきちっと、自民党が政治献金を全国銀行関係からもらっていても、そんなことを遠慮しないで、この際は国民の立場に立ってこの過剰流動性問題を処理する立場から、やはり第一は、日銀からの借り入れ金はすみやかに返済するような方針を指導する、第二は、大企業、商社に融資している融資の中で、過剰資金をかかえている企業からは率先して返済をしてもらう、そして正常な預貸率の金融機関の姿になりなさい、こういう指導を大蔵大臣はすみやかに行政上の指導方針としてやるべきじゃなかろうか。私は、愛知さんは有能な大臣であり、しかも非常に苦労をして秀才として東大を出たエリートの、しかも大蔵省出身の大臣であるから、期待をして実はそういう話をしているのであります。 いまの内閣は運が悪いと思うのですよ。ほんとうは去年のうちに手を打たなければならなかった、経済的な諸条件の予見を去年やるべきことが、総選挙があり、佐藤内閣が崩壊をした後のごたごたが続いて、一挙にこの問題に手当てをするだけの余裕がなかったというそのしわが、いまここにばっときておるような気がするのであります。だから、愛知さんの責任だと私は申しておりません。ただ、有能な大蔵大臣であればあるほど、そういう今日の流動性の問題について、どこかに焦点を当ててぴしっとしてやっておるなという処理策をやはり大臣として提起をすべきではないだろうか。私は、第一に、いまの日銀の貸し出しオーバーの問題と都市銀行の姿勢について、大臣がやはりこの辺は行政指導をきちっとなさるという、そういうお気持ちをぜひ聞きたいのでありますが、大臣の御見解はいかがでございましょうか。
○愛知国務大臣 私もその点は及ばずながら大いに手を入れたいといいますか、努力したいところで、これまでもだいぶ努力してまいりましたが、大いにひとつ馬力をかけたいと思っております。 それから預貸率と日銀貸し出しの関係ですが、日銀の貸し出しの大体半分くらいでしょうか、あるいは数字的に銀行局長から説明してもらったほうがいいと思いますけれども、貿易関係の残りといいますか、なにがそこに残っておるわけでございます。それから、そのほかは、日々の金融情勢による資金調整のために日銀の貸し出しの残がその日々の計表の上にも出ておるわけでございますが、これは結局預貸率をぐっと引き締めていくということと、それから資金の規制をどんどんしていく、窓口の規制のきびしいやり方というものによって、結果においてこれがだんだんきれいになっていくということになると思います。
○吉田(太)政府委員 ただいまの大臣の御発言をさらに若干補足させていただきますと、御承知のように、二兆円のうちの一兆一千億の大部分は、輸入資金貸しでございます。これは、外国の銀行から借りないで日本の外貨資金を使って輸入しようという政策からそういう制度をつくっておるということは、武藤先生つとに御承知のことだと思います。残りは、いまお話しのように約八千億でございますが、これは日々の資金の差し繰りの調整という銀行のしりがここにきておるわけでございます。この段階で押えるということになりますと、経済の、といいますか、信用の破綻が起こりますので、日本銀行は、御承知のように、その前の段階で、日本銀行にしりがこないようにということで、窓口指導という形で、銀行から企業に対する貸し出しワクを設けて指導しておるというのが現状でございまして、武藤先生の御指摘のような方向で目下努力しておるということでございます。
○武藤(山)委員 先ほども阿部委員が御指摘をしておりましたが、全国の都市銀行で、不動産部門を、子会社、兄弟会社、関連会社を、持っていないと聞いたほうが早いかもしれぬが、持っていない金融機関はどこですか。
○吉田(太)政府委員 二種類ございまして、一つは、独禁法の特認を受けました関係の不動産会社がございます。これは御承知のように担保管理会社でございますとか、あるいは本支店の建物管理の建物会社と申し上げたほうがいいかと思いますが、そういう不動産会社は、これは大きな銀行でございますと全部持っております。ただ、これはいわゆる一般の不動産の売買ということはやっておりません。 第二の問題は、銀行が出資をしておる出資の比率が、独禁法にいいます一〇%以下の不動産会社を、かりに銀行の関連不動産会社と申しますと、これは銀行によってかなりまちまちでございます。たとえば大手不動産会社、名前を出しますのが適当かどうかですが、三菱地所とか三井不動産といったような不動産会社と関係のあるところは、これはいわば持っておるというのか、あるいは関係があるというのか、この辺はむしろ一般の企業との関係だと考えたほうがいいように思います。しかし、総じて普通金融機関は一〇%程度の出資を不動産業にやっておるということは、各銀行ともやっておるようでございます。
○武藤(山)委員 だから、資本金は一〇%しか出していないが、人的なつながりがあるから融資が容易にできるのですね。 〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 大臣、その点は大体常識的に考えていただければ……。したがって、たとえば日本地所というのは不動産銀行でしょう。長銀不動産というのは長銀、興和不動産は興銀、勧銀土地建物は第一勧銀、東洋不動産は三和銀行、新東昭開発は東海銀行、協銀不動産は協和銀行、大和不動産が大和銀行等々のように、こうずっと拾ってみますと、信託銀行もしかり。このように銀行が自分の関連会社に不動産会社を持っている——持っているというのは語弊があるとすれば、並立しているとすれば、何かうまい買いものがあると思えば、自分の兄弟銀行へ行って、いや、ひとつ頭取、頼むと言えば、何十億でもぽんと金が出るのは大体常識だ。したがって、これらが全国で土地を買って今日持っているのは相当の面積があると思う。大体全国銀行だけでいままでに買って持っている不動産、特に自分のところの営業用に使う以外のもの、そういうものはどのくらいあると銀行局長は推計しているのですか。
○吉田(太)政府委員 いまのお話は、おそらくいま名前を御指摘になったような関係会社の土地の保有額ということだろうと思います。その点については、今月中に計数を整理し、調査をしておるわけでございまして、正確な数字を現在申し上げることはできませんが、かなりの土地をそういう不動産会社が持っておるということだろうと思います。たまたまその途中で調べたところによりますと、大体そういう不動産会社の資金調達の約半分弱が関係の銀行からの融資によっておるというような実態のようでございます。ただ、この融資は昨年末からむしろ減少しておるということでございますが、正確な数字はいましばらくお答えできないわけでございます。
○武藤(山)委員 大蔵大臣、いま銀行局長がお答えになりましたように、いずれにしても、精査をしないと正確な数字はわからないにしても、かなりの金がそういう関連会社で使いやすいという立場で動いている。特にいま物価問題、卸売り物価でも、昨年の十二月ごろからわかっているわけですから、いまの経済の実情は。したがって、やはり指導的立場にある全国銀行の首脳者は——いま国民が期待をしている政策のそういう転換、あるいはひずみというものを直さなければならぬ、こういう事態のときでありますから、大臣はひとっこれらの銀行の首脳に、ついでになどということではなくて、積極的にひとつ行政指導して国民の期待にこたえてほしいと、強く要望いたしておきます。 それから、金融問題に関係して、今度公定歩合の引き上げが行なわれ、預金金利も近いうちに引き上げになるわけでありましょうが、これに関連して、貸し出し金利も、三公庫、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金に対しては従来の金利を継続する、こういう答弁を午前中の質問で大臣はされておりますが、これは通常金利も特利の部分も一切いじらずに、これらの政府系金融機関については、従来どおりの、現在の金利を維持する、こういう意見でございますか。
○愛知国務大臣 そういう方針でございます。
○武藤(山)委員 それから、この間私は大蔵大臣に日銀の政策委員の問題で、特に日銀の政策のあり方については十分機能するような人事構成や、あるいは構成員を出す母体と申しますか、そういうものについては十分ひとつこれから検討しなければならぬのではないか、こういう意見を申し上げたのであります。日銀政策委員の構成員に消費者の代表あるいは預金者の代表を加えて、直接国民の一般の声が政策委員会に反映できるように構成を考え直すべきじゃないか、こういう質問をいたしたのでありますが、時間がなかったためか、舌足らずか、大臣の御意見がきちっと表明されなかったので、たいへん不満に思っていたわけでありますが、昨日も日銀総裁が本委員会に出席をして、るる日銀のあり方について、あるいは古い過去の条文について国会がいろいろ改正しなければならぬという点があるならば、それは当然改正してしかるべきではなかろうかというような意見まで昨日は述べたわけでございます。日銀と大蔵大臣とは違いますが、この日銀政策委員の構成について、大臣、現状でどのような御意見を持たれておるか、お聞かせを願いたいと思います。
○愛知国務大臣 この前、日銀、特に政策委員会の問題について武藤さんから御質問がありまして、私も舌足らずでたいへん恐縮しておりましたので、あらためてお答えをいたしたいと思います。 政策委員が広く国民全体及び国民各層の立場に立って審議を行なうことを通じて、消費者や預金者などの意向も含めて、国民の意見が金融政策に十分反映されなければならないということは、申すまでもないところでありまして、武藤さんの御趣旨のとおりであると考えております。この点については、昭和三十五年の金融制度調査会の答申が、政策委員の選任の基準に、現行の金融業あるいは産業に関する有識者に加えて、金融政策について識見を有する学識経験者をあげているのも、御質問の趣旨と同様の考えによるものであると考えております。政府としても、今後日銀法を改正する際には、御趣旨の点を踏まえて十分検討いたしたいと考えております。また、政策委員会の運営にあたりましては、今後ともこのような点を念頭に置いて、御趣旨の点を十分生かすように配慮してまいりたいと思います。 なお、現在日銀には政策委員のほかに参与の制度が設けられておりまして、総裁のいわば顧問役としての役割りを果たしております。この参与制度の運用につきましても国民全体の意見が広く反映されますよう、従来も配慮しておりましたが、御趣旨の点を生かしまして今後その一そうの活用をはかってまいりたい、かように考えておる次第であります。
○武藤(山)委員 次に、大蔵大臣、過般二月十七日西ドイツ政府は、西ドイツの今日の物価の動向、経済の過熱の状況、さらに国際通貨の不安定等々にかんがみて、西ドイツの社会民主党政府はひとつ思い切ってこの際安定政策をとろうということで、安定付加税という新税、増税をきめて、個人の高額所得者、既婚者は、年収二千万円の所得以上の者あるいは企業は法人税の付加税、こういう形で安定付加税をやろう、こういう閣議決定をいたしたわけでございますね。さらに安定国債の発行をやって過剰流動性を国債で吸収して、それは歳出に回さずに凍結をしておこう、そういうような増税と国債発行と両々相まってこの過剰流動性に対処しよう、たいへんドイツらしい思い切った政治力のあるやり方だな、日本政府にそれだけの政治ががはたしてあるかという比較をした場合に、私は、たいへん示唆に富んだ西ドイツのこの態度に教えられるものがあるのではないかと思うのでありますが、大蔵大臣は、いまの日本の経済情勢はまだそこまで行っておらぬ、西ドイツの場合はユーロダラーが、裏づけのない金がかなり入ってきておる、日本の場合は全部輸出による手形の決済で、円の増発になっておる、ちょっと性質が違うのだ、こうおっしゃってあるいは答弁を終わろうとするかもしれませんが、私はそういうことではなくて、いまの日本のこの過熱の状態と物価の上昇の問題を考えたときに、やはり手おくれになってはいけない。法人税の引き上げということは、本則でありますから、なかなかこれはむずかしい。ちょっくらちょいともとに戻すことはできない。しかし、付加税の場合なら、一回限りですからね。また国債の場合にも、ばっと発行しても、これは歳出に使わないのでありますから、凍結をするのでありますから、従来の建設公債とも意味が違う。そういう意味で、こういう経済の安定化のために思い切った措置をいまの日本はもうとらなきゃならぬ段階じゃないかという私の認識なのでありますが、大臣は、ドイツのこの閣議決定を聞いてどんなお感じを持っておられ——あなたはやろうと思えばできる立場にある。権力を持った立場でありますから、私どもの認識で、ただ認識をしたということと違って、あなたが認識をして、こうしようということは、実現できる立場にあるわけでありますから、その辺をひとつ率直なあなたの御見解を聞かしてもらいたいと思うのであります。
○愛知国務大臣 どうも答弁を先取りされたような感じがするので恐縮なのですけれども、先ほど申し上げましたように、それから先般もパリとかあるいはワシントンの会議などの機会にも、私も非常に深い関心を持っていろいろ聞いたり調べたりもいたしました。ドイツの場合、いまもちょっと、最終の措置がどうなったか、私もつまびらかでなかったので聞いたのですが、閣議決定したことは事実、それからやはり、これは善悪とか利害得失の問題は別でございますけれども、日本の為替管理制度というものは、ある意味で非常な注視の的でございまして、ドイツではこれがございませんし、また、やろうと思ってもなかなかできない。そういう意味からいえば、いわばうらやましがられる。そういう点で非常にこの基本が違っておりまして、ことに最近六十億ドルとか八十億ドルとかいうものをきわめて短時日間にドル買いをやらざるを得なかった、こういうような非常にドラスティックなあらしに見舞われたこの際としては、ああいう措置をとったことはやむを得なかった、あるいは適切であった、こういうふうに私も評価いたしておりますが、現在の日本の場合はその基本的な状況が私は違うと思っておりますので、現在におきましてはあそこまでやる必要はない。それから、結局これは凍結の必要がドイツの場合には特にもう非常に差し迫って必要であるということであったように私は考えますし、同時に、こういう手法に対しても評価をし、見守り、かつ十分勉強しておく必要はあると思いますけれども、政策の問題とタイミングの問題として、今日現在の日本としてはさような手法はとることは不適当であろう、こう考えておる次第でございます。
○武藤(山)委員 大臣のいまの見解がそのとおり経済動向に当てはまれば、私の杞憂で済むのでありますが、どうも日本政府の政策手段というものはいつも後手後手をやっておる、こういう感じがしてならぬのであります。 この間も、二月の二十三日の日でしたか、本委員会で私は大蔵大臣に質問した。アメリカが一〇%ドルを切り下げして、これで一応フロートすれば、何とか小康を得て、どうやら安定的にいくだろうという、たいへん楽観的な答弁を大臣は当時ここでした。私はそのときに、金の値が九十ドルもしておる、四十二・二二ドルの公定金相場で自由金の価格が九十ドルしているのに、ドルが安定するはずはないと思う、大臣の見解はどうですかと、ここで私は二月二十三日に質問したのですね。私が質問をして二、三日たったら、もうさっそく国際通貨が大混乱で、ついに今度は市場閉鎖だ。わずか三日かそこらのうちだ。そのくらいの見通しすら日本の金融担当当局は立たないでいる。いまも現在、金がまた九十ドルをこえてきた。これがまたドルにかなりの心理的影響を与えて思惑買いが殺到したりすると、またこれ市場の閉鎖を一時しなければならぬという事態が起こり得る。そういう火種、かなり大きな火種があるわけであります。 そこで、この間、二十カ国蔵相会議に愛知さん御出席なされて、このユーロダラーをどう始末しようという、結論存でけっこうですから——いろいろな方法があると思うのです。私は、三つぐらいあると思うのですが、大臣は、このユーロダラーをどう吸収し、始末するか、アメリカとの会議や世界の蔵相との間で、ひとつ具体的な、ユーロダラー対策だけでもけっこうですから、見解をお聞かせを願いたいと思うのであります。
○愛知国務大臣 ユーロダラーにつきましては、これが撹乱的であることは、絶対にこれは規制しなければならないということが合意できたわけであります。ただいまのところは、そのためにお互いが助け合おうということが合意ができただけでございまして、具体的に、こういう場合はどう、こういう場合にはどうというところまでにはまいりませんで、恒久的には、いま代理会議が引き続いて大いに勉強をして、そしてできるだけ早く具体的な対策を蔵相会議へ持ち上げて結論を出そうという段取りになっておるわけでございますけれども、同時に、現在はもう全世界的にフロートというか、変動為替相場になっておりますが、この状況下においても、できるだけ平静に推移し得るように、お互いに理解し合って協力していこうという合意ができて、そしてたとえば、そのためには若干の政府の介入も必要であろう、それから、その介入のために必要な場合には現存のスワップ協定の拡大ということもやりましょうというところの合意もできて、これが発表された。したがって、投機筋から見れば、関係主要国の間でそういう態度が合意されたということだけでも相当なとりあえずの効果は生んでいるように思われます。しかし、ただいま御注意、御批判もいただいたように、これはいわゆる小康を得ておるということでございますから、たとえば九月の予定されている会議以前にも、早ければ七月中にももう一度蔵相会議を開いてでも決着をつけたい、こういうところでございまして、わがほうといたしましても、あらゆる場合の対処策あるいは建設的な意見も用意をして関係国に対して働きかけをしたい、こういう状況でございます。
○武藤(山)委員 銀行局長、スワップ協定、いま日本の中央銀行が、たとえばアメリカに——アメリカがユーロダラーを吸収するために、あるいは買い上げるために、日本の円をかりにアメリカに貸すとした場合、いまのスワップ協定でいくと、日本はどの程度まで貸せるのですか。
○吉田(太)政府委員 はなはだ申しわけございませんが、私、いまよく承知をいたしておりません。
○武藤(山)委員 国際金融局は来ていないのですか。
○愛知国務大臣 国際金融局が来ておりませんから、私から申し上げますと、現在あります協定は、十億ドルが限度になっております。そしてこれは必要とあればふやすことは合意ができております。そしてその動かし方等については、日本銀行とアメリカの連銀との間でこまかいやり方については協議されることになっており、現に日銀の担当者と先方の担当者との間でいろいろの打ち合わせをいたしております。ただ、現在のところ、日米の間で、現在の市場の状況でございますならば、そこまでいかなくともよろしいのではないかと思いますけれども、しかし、こういうささえといいますか、こういうことが合意ができて、かつ、これが日米の間だけではございませんで、各国相互間にこういうことが確認されたということは、やはりしばらく小康を得ているところの支柱になっていることは確かであろうと考えております。
○武藤(山)委員 金融問題ばかりで時間を過ごしても申しわけありませんから、国際金融の問題については、あとで一般質問で、いまのユーロダラーの処置をどうすべきかという本格的議論は、次に国際金融局長をお呼びしたときに譲りたいと思います。 次に、税制問題で先ほど阿部委員がたいへん示唆に富む資料を提起して、大臣も率直に、来年はそういう問題については前向きに、期限の到来するものは改廃する方向で努力したいと答えられたので、それを私も期待をいたしているわけでありますが、主税局長、来年期限の到来する租税特別措置の項目には、どんなものとどんなものがございますか。
○高木(文)政府委員 一番大きいのは、法人の例の一・七五%の期限が四月の三十日で切れるわけでございます。それから、午前の御審議のときに阿部委員から御指摘のありました証券会社の売買損失準備金が三月の三十一日で切れることになっております。海外市場開拓準備金は、中小企業についてだけ——中小企業といっても、資本金十億円未満のものについてだけは残っておりますけれども、これは同じく三月三十一日で期限切れになるわけでございます。それから、比較的金額の大きい項目で、試験研究費の税額控除、これも来年の三月三十一日で期限がまいりますし、技術等海外所得の特別控除についても、三月三十一日で一応期限切れになるということになっております。 ちょっといま網羅的に申し上げかねますが、思いついたものはそのようなものでございます。
○武藤(山)委員 それは、主税局長、後日、来年期限の到来するもの、それから再来年期限の到来するもの、それの項目を印刷してお配りを願いたい。
○高木(文)政府委員 承知いたしました。
○武藤(山)委員 そこで、大蔵大臣、期限が来年くるものはこれからの検討で手をつけるが、再来年の期限のものについては手をつけない、こういう姿勢では、私は前向きでないと思うのですよ。今回でも準備金の中でとにかくちょっぴりでも手直ししようということで手がけたわけでありますから、ひとつ再来年のものであっても、その次のものであっても、税の不公平で国民が怨嗟の批判をしているような項目、賢明な大臣ならそれはわかると思うのですね。ずっと表を見ればわかる。それについては、特段の——大臣みずからが税調にこういうものは諮問しなさい、そういうはっきりした態度で、税の不公平、大資本優遇、所得税はちょっぴりというような国民の不満と批判にこたえられる租税特別措置法の改廃に新大臣が新しい角度から腕をふるった、こういう評価をされるような姿勢をぜひとつていただきたい。 特にいま法人税が、資本金の大きいところと小さいところでは実効税率がたいへん違う。いま主税局でどういう統計をとってあるのかわからぬが、たとえば資本金百億以上の企業、それから五十億円見当、十億円見当、一億円ランク、この辺で実効税率は全部同じですか。そこらの違いがあるでしょう。ちょっとそこを調査の結果、実績で発表してもらいたい。
○高木(文)政府委員 昨年からその問題を強く御指摘がありまして、今回作業して先般お配りしたわけでございますが、その際にも、資本金別には十分まだできておりませんので、そういう角度から御検討いただくために、そういう資料を漸次整備していかなくてはならないと思っておりますが、現在のところは正確な数字はございません。 ただ、全体の傾向として申しますと、やはり何といいましても配当軽課の影響が一つと、それから試験研究費の税額控除、そういうものとの関係で、資本金の大きいもののほうがむしろ実効税負担が下がってくるという傾向にあるように思います。いずれ、その点につきましてはもう少し数字等をそろえまして御説明をいたしたいと思います。
○阿部(助)委員 いまの問題で関連してちょっと資料をお願いしたいのですが、先ほど大臣がおられれば私この問題を質問したかったわけでありますけれども、実はこの委員会がことし始まりました冒頭に私、大臣に御質問したときに、私は私なりに皆さん方の資料を計算をして、かくのごとく、資本金が大きくなり大企業になるほど実際の税率は低くなっておるではないか、こういうことで、大臣にこの書類も図も見せて、やったわけです。ところが、高木局長のほうは、少し違うというような話をされたので、どこが違うのかということで、一ぺんぜひいまの武藤委員の要求した資料はお出しを願いたい。皆さんから一億で分けた資料をいただいておるのですけれども、これじゃわからぬので、特に十億、百億で区分をして出していただきたい。そうしますと、多少時間がかかってもやむを得ないと思います。私がいろいろな企業を調べたところによりますと、やはりいま武藤委員が指摘するように、大企業になるほど、一つは、局長のおっしゃった配当税率二六%の問題がございます。もう一つは、何といっても特別措置によるところの控除が大きいのだろうと思うのでありますが、大きくなるほど実効税率が低いということは、税の公平という観点からどうもこれは納得ができない。この委員会でも、野党のほうからは、法人税にも累進税率をつけろ、こういう要求がたびたび質問、意見として出ておるわけであります。ところが、現実はこれがさかさまになって、大資本ほど税率が低いなんということは、皆さんお出しになるのはいやなんだろうけれども、これはぜひとも出して、間違っておるところは直していくという姿勢をとっていただく。そのためにもひとつ資料をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○愛知国務大臣 ちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、誠意をもって提出するようにいたします。
○武藤(山)委員 私の持ち時間は六時までなんですが、まだ半分ぐらいまでしかいっていないので弱ったのですが、はしょって項目だけ質問をして、大臣の御配慮、御検討、決断を願いたい。 まず、これは直ちに決断を願いたい項目。 今回の租税特別措置法で新設の二十九条の二、年金、恩給に対する課税問題でありますが、新たに二十九条の二を加えて、一年金、恩給については、六十五歳になったら年六十万円という控除にしよう、実は福祉社会を目ざす田中内閣としては、こういう一項を入れなければならぬという趣旨で入れたのだろうと思います。入れたことには私は一応賛意を表するのでありますが、六十五歳というのは実情に合わないのじゃないだろうか。いま大体定年が——まあ定年制がないにしても、警察なんか大体五十六、七でやめる。普通公務員でも、五十八ぐらいになればまあ大体勧奨でやめていく。六十歳になればたいがい市役所や地方の公務員関係も勧奨して退職をさせられるのです。ところが、六十五になれば、五万円までは所得として総合課税しませんよ。ところが一番総合課税されるのは、六十歳から六十五歳ぐらいの、退職してすぐまだ働けるから少々働こうという年代の人なんですね。そういう人が全然控除にならない。そして全部総合申告で課税をするというのは、福祉社会を目ざす福祉元年にふさわしくないような気がいたしますね。これは別に税金に直ちにそうはね返る改正じゃないのですから、大臣、いまから、よし、では委員長提案で六十歳にしてやろうじゃないか、ひとつ自民党の財政部会をすぐにでもまとめて、六十五歳を六十歳、このくらいはことしから踏ん切ってもらいたい。大臣の御所見、いかがでございますか。
○愛知国務大臣 これは実は率直に申しますと、ほかの社会福祉関係の制度や法律などとの関係、バランスなどをいろいろ考えまして六十五歳ということになっておりますので、実態から申しまして、たとえば老人の医療の無料給付の問題も、七十歳以上でありますけれども、特定の場合は六十五歳ということになった。そのほかいろいろな横のバランスを考えまして六十五歳ということにいたしましたので、これは率直に申しまして、税のほうだけで六十五歳をたとえば六十にするとか五十五にするとかいうことは、ちょっと政府としてはお引き受けいたしかねる。ただ、お話の趣旨はわかりますから、将来の問題としては検討いたしますが、いますぐこれを直せと言われましても、ちょっとお引き受けいたしかねます。
○武藤(山)委員 大臣、主税局長が耳打ちして、主税局長がそんなこと答えさせたのですが、この間主税局長はこう答えたのですよ。この間、佐藤君の質問のときに、所得税の今日の老年者控除が六十五歳になっているので、年金、恩給の受給についても六十五に右へならえした。こんな論理は、政治的な思想も、現在の社会的要請も、自由民主党の選挙スローガンも全く無視した官僚の発想なんだよ。主税局長は税金の番人ですから、税法の番人ですから、それは横のつながりとかなんとかいって、できるだけこういうものは拡大させないというのはいいですけれども、しかし、ほかの面の大資本のときはちょろりやられてしまって、こういうときにはそういうへ理屈で重箱のすみをようじでつつくような態度はいただけない。だから、これは高度な政治的な判断で、いまの政治的な要請が何であるか、政府の今日の態度は何を最大の目標にしているかというのは、今度の基本計画の中でも、たいへんな福祉社会を目ざしてというようなことをうたい文句にしているのですよ、大臣。したがって、六十五歳というのは実情に合わない。この案でいくと、六十歳で退職した者はかせがぬほうがいいぞという理論なんだ。かせぐと、かせいだものと厚生年金が合算されて税金を取られるから、それじゃ税金をごまかすような内職収入にするか働かないほうがいいぞということになる。これは、現実のいまの人間社会の生活の様態を考えたときには、マッチしませんよ、大臣。マッチすると、主税局長のいまのような横のつながりの六十五歳の老年者控除に右へならえするのだからやむを得ないというのを、大臣はうのみにしますか。
○愛知国務大臣 それは私はかなり率直にいま申しましたので、大蔵省の立場からいたしますと、歳出予算の関係もございます。そして四十八年度予算の編成にあたりまして、福祉予算ということでそちらのほうの関係もずいぶんいろいろと問題がございました。税のほうで一段と勉強いたしますと、これはそちらのほうにもまた影響いたします。これはやはり一律に——一律にということは、必ずしもきちんとした一律でなくてもいいのですけれども、バランスのとれるようにしなければならないという考慮で、これは実は主税局長が当委員会でどういうふうに御説明したかは別といたしまして、これはやはり福祉関係の予算その他との関係でずいぶん考えたところでございますので、そのことを私念頭に置いて率直にお答えいたしましたので、ここだけを手をつけるということはちょっとごかんべんいただきたいと思います。
○武藤(山)委員 主税局長、六十五歳を六十歳にすると、税額幾ら予算に関係いたしますか。
○高木(文)政府委員 計算はいたしておりませんが、そう大きな金額ではないと思います。
○武藤(山)委員 そう大きくないという金額は、十億台ベースになるのか、十億以下になるのか。税額においてどのくらいですか。そういう計算も論拠もなくて、ただこれが予算に関係するからとか、どのくらいあるかわからぬというような、そんな答弁では私は承知できない。
○高木(文)政府委員 税額としては、ほんとうの達観でございますが、おそらく十億とかその前後とか程度のものだろうと思いますけれども、しかし、それはまた、先ほども私の答弁を御引用なさいましたように、老年者の控除の問題もございます。そっちのほうまで計算いたしますと、これはまたかなりの額になってこようかと思います。それで、むしろ私どもとしては、その税額とか税収ということよりは、いわば老人問題に対する制度論としていかがなものか。これは前回お答えいたしましたときには、個々の税の中ではこの年限が老年者控除の年限にまず直接にはバランスの問題が一つ起こってまいりますし、それだけでとどまりませんで、先ほど来大臣の御答弁のように、老人問題全体についての歳出歳入を通じての考え方の問題にいろいろ影響あろうかと思いますので、その意味でかなり大きな問題ではないかというふうに考えます。
○武藤(山)委員 本年直ちに修正することはできぬ、しかし、明年はひとつ検討事項に入れて前向きに考えてみようという気持ちには、大臣、なれますか。
○愛知国務大臣 来年は十分やれる筋合いの問題だと私は思います。これは社会保障関係につきましても今年度においてもずいぶん論議されたことでございますから、それらも念頭に置きながら考えますと、来年の税制改正のときには十分考えられる問題であると思います。
○武藤(山)委員 最後に、持ち時間になりましたので、簡単にお尋ねいたします。 国税庁長官にお尋ねいたしますが、国税庁の査察が入ると、たいがい新聞発表をしますね。よく新聞に出ておる。脱税でどうだというのがばっと新聞に出ますね。あれはおそらく国税局あるいは国税庁で新聞記者会見をやるんでしょうね。それはどうなんですか。
○江口政府委員 いままでの私の知っている限りでは、新聞発表という形でなしに、御案内のとおり、強制調査の場合でございますので、現場で相当新聞記者が取材をするということがございまして、その後、査察部は局でございますので、局のほうに取材があるということで、新聞発表という形式では応じておりません。
○武藤(山)委員 その取材があった場合、調査が一段落しないうち、全くの予見の段階で新聞記者に係がしゃべったとすると、ときには納税者にたいへんな迷惑をかけ、信用を失墜する場合もありますね。そういう場合は全くありませんか。どうでしょう。
○江口政府委員 これも私の承知しております限りでは、予見の段階ではそういうことはないはずでございます。
○武藤(山)委員 予見の場合にそういうことがあり得ないとするならば、具体的事実だけが新聞に報道されてしかるべきですね。そうなりますと、全く事実でないようなことが新聞にばっと出るような新聞記者への取材材料を与えるということは、配慮が足りぬ事例ですね。
○江口政府委員 おっしゃることがもしあるとすれば、仰せのとおりだろうと思います。
○武藤(山)委員 あるんです。もしあればではなくて、あるんです。 四十七年二月二十九日の福島県の河北新報、福島民報、福島民友、こういう新聞に当時出た中で、特に福島民報が大きな見出しで「理事長が他事業へ流用」、こういう見出しで「数千万円を脱税」、しかもその発表の中で納税者にえらい不信感を与える書き方は、収入金額が何千何百万円、税務署へ申告した所得金額が何百万円だけを発表して、ずっと三カ年間をあとの差額は全部ごまかしたような印象を与える。残りの収入を隠していたとなっている。そうすると、たいへんな脱税をしたという印象を県民に与える。たとえば収入が幾らで、必要経費が幾らと計算をして、所得が幾らと出したというのなら、誤解も生まれない。ところが、まん中の数字を落っことしちゃって、収入と税務署への申告だけを新聞に出させて、残りの収入はごまかした疑い、こういうのです。しかも他事業への流用、こういう。そして本人は、全く信用を失墜されたというので、当時の捜査に来た人に内容証明で事実関係を質問している。ちゃんと内容証明——ここに写しがありますけれども、この内容証明にも何も答えてくれない。だから、査察というのは、生殺与奪の権限を持って、何をやっても——国家権力の一番先端にいる徴税機構だから、おまえら税金をごまかしたやつは犯罪人だというような態度で査察というものをしていいものかどうか。私もかつては税務署にいたことがあるので、税金というものは国民が納めなければならぬし、ごまかしてはならぬということは、私も骨身に徹しております。だから、私は中身についてとやかく言っているのではない。こういう新聞の発表のしかたを国税庁は是認するかしないか、この点をはっきりしてもらいたいと思うのであります。
○江口政府委員 先生御指摘の具体的な案件については、新聞発表ではございませんが、取材に応じたことはございます。私、新聞も拝見いたしましたが、私の見る限りでも、この取材に応じた中身については、若干のニュアンスの違いはあったかと思いますが、新聞で取り上げている内容程度の取材の応じ方であるとすれば、やや行き過ぎであると思わざるを得ません。
○武藤(山)委員 やや行き過ぎの場合には、国税庁としてはどのような手だてでその担当については処置をするのですか。
○江口政府委員 本件につきましては、査察に着手いたしましたのが昨年の二月二十一日でございます。新聞に出たのが二月二十九日でございますので、その限りでは、先ほど御指摘の、予見に基づいてということではないような気がいたしますが、ともあれ、この内容につきましては、行き過ぎの内容のものと思われますので、直ちに厳重な注意をいたしましたし、同時に、今後もよその局等でもこれに類したことが行なわれてはいけませんので、先生御指摘のとおりの問題がございますので、各局にもあわせて注意を喚起してございます。
○武藤(山)委員 処置をいたしましたという過去完了の答弁でありますから、こういう公の席でなくて、あとで私にどういう処置をしたか詳しくひとつ御報告願いたい。 私は、持ち時間が終わりましたから、これで終わりたいと思います。
○鴨田委員長 広沢直樹君。
○広沢委員 法人税法の改正と租特法の改正については一応私はこれで質問を終わることになりますので、いままでいろいろ私から指摘申し上げた点について、きょうは大臣が出席しておられますので、包括的に要点だけをまず伺っておきたいと思います。 法人税についてですが、これは今回の改正で基本税率まで全然手を加えられてないということについては非常に不満である。四十八年度において一応基本税率を改正すべきであるという意見を申し上げたわけでありますけれども、これは外国と比較するまでもなく、日本のいまの経済の実態から考えてみて法人税の基本税率が非常に低いということは、当局もお認めになっていらっしゃるわけですが、やはりその基本には、法人税の基本的な考え方が非常にあいまいだ。シャウプ勧告以来擬制説をとってきたけれども、だんだん情勢によって、それに固執するのではなくて、少しずつ変わりつつあります。しかしながら、やはり答申にもすでに出ておりますように、いわゆる株主の前払い的なものであるという考え方では今日はもう許されない、いわゆる社会全般にわたってその位置づけをしていかなければならないということです。したがって、やはりそういう意味から言うと、現段階においては基本税率を相当上げていかなければならない。かつて二十七年には一二五%から一挙に七%上げて四二%というように上げた。その背景というものは、やはり当時の景気あるいは物価の問題、そういったことを勘案してそこまで上げたわけです。しかし、その当時は、御存じのようにまだ経済を成長させていかなければならぬという段階においても、その実態においてそれだけの大幅な法人税の引き上げがあったわけです。しかしながら、その後においてはどんどん引き下げる一方で、現実においては、先ほど申し上げたように、諸外国と比べても非常に低い、こういう段階になってきているわけですが、そこにいまだに擬制的な考え方を基本に置いているというところに問題があるのではないかということを指摘したわけですが、それについて来年度においては考えてみるということでありますから、その点については先日以来私も意見を申し上げておりますので、ただ、ここで時間がありませんので一点大臣にお伺いしておきたいことは、税調の答申にも、産業の実態といいますか、大法人、中小法人と二つ分けてやはり基本税率も考えてみるべきであるというような答申が三十年に行なわれて、三十年の改正のときには二段階にしたわけですね。ですから、当然現在もう少しそれを産業構造の実態から考えていくと、大法人、そしてまた中小法人といっても小零細からあるわけですから、もう少し段階を設けるべきではないかという意見を申し上げたわけです。 それについて大臣のお考えを承りたいと思うのですが、いまも資料要求がありましたとおり、やはりこれはこの段階においては当然考えてみなければならぬ。本年度いますぐそれはできないかもしれませんけれども、来年において重点的に法人税の基本税率について考えるということでありますから、その段階においては産業の実態に即して考えてみる、検討してみるということくらいはお考えになってもいいのではないかと思うのですが、その点からまずお伺いをしたいと思います。
○愛知国務大臣 これも、率直に申しますけれども、感覚的にはまことにごもっともだと思いますけれども、累進課税の場合においては、所得の再配分の機能に役立つ最も有効な手段となるわけでございますけれども、それは所得とか財産が最終的に帰属する自然人に課税を行なう所得税とかあるいは相続税などにおいて端的に適用ができる場合においてそのメリットを発揮するものであって、株主というものが多種多様に存在しているそういう法人について累進税率ということが適当であるかどうかということについては、なかなかこれは考えなければならないのではなかろうかと思います。それならなぜ現在でも段階を分けているかというお尋ねが返ってくることは当然だと思いますけれども、もう一つは、資本金でかりに区別すると、資本金を上下することはわりあいに容易なことで、かえってそういうところに乗ぜられるということもまた考えなければならぬというようなことで、政府といたしましては、総理大臣はじめ、われわれも完全にその点は意思統一ができているわけですが、来年度においては何とか法人税に重課をしたい。これは税率でいく方法もありましょうし、それから、再々御指摘のあるような特別措置についての抜本的な洗い直しということもございましょうし、あるいは実在説と擬制説、この理論的な解明というようなことも専門的にもう一ぺんほんとうに掘り下げて検討いたしたいと思いますが、それらを総合いたしまして、法人税のあり方というものについて掘り下げた検討をあらためてやる、そうして税率の問題に結論をつけたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 累進税率の問題もしばしば論議にも出ておりました点でございますから、これらについてもとくとよくあらためて検討いたしたいと思います。ただしかし、いま私が申しましたように、元来累進税率というものが法人というものになじむ制度であるかどうかということについては、私自身として若干の疑問を持たざるを得ない、こういうふうな気持ちを率直に申し上げる次第でございます。
○広沢委員 累進ということは、いろいろな意味で非常に抵抗があるということですが、私が申し上げたのは、すでに答申にも、いま申し上げたとおりあります。三十年において、そういうような実態に応じてある程度大法人、中小法人というものに分けなければならぬということで、それを取り入れたわけですね。それはすでにそのことを当局も認めておられるわけですし、それから、いま言うように、資本金云々というような問題もありますけれども、これについてはやはり改正のときに一億円以上と一億円以下とに分けたものの、所得でこれは一応税率を考えたということですから、まず段階的には私はそれでもいいと思うのです。しかしながら、いま申し上げたとおり、基本税率を考えるという場合には、ある程度、いま大臣もおっしゃったように、法人税をも重課しなければいかぬ。この意味は、法人全体に重課という考え方も出てくるわけでありますから、いま資料を提出していただければ、それを検討して具体的にわかると思いますけれども、いわゆる大法人、あるいは中小法人の中にも零細なものもあるわけですし、今回所得の中にも自己の報酬制度を取り入れられて、いわゆるそういう零細なものまで青色申告しているものについては法人とみなそう、そういうところまできているわけでしょう。ですから、当然そういうような経済的、社会的背景、産業的な構造から考えて、これは来年度の基本税率を考えるときに、それが取り入れられるか取り入れられないか、それはわかりません。しかしながら、やはり検討してみるということでなければ、比例税率でいくのだ、比例税率でも、段階設けても悪いということはないはずですし、現に大蔵省は税制の上に取り入れられておるわけでありますから、それをもう少し実態的に適用してみないかということでありますから、その点は検討してみるということでお答えいただけませんか。
○愛知国務大臣 とくとこれは検討いたします。
○広沢委員 それから、次は租特の関係でございますけれども、租特の中で一つ一つやっておると時間がありませんので、前回私はこの新しい土地税制の問題について質問をしておりませんでしたので、若干聞いておきたいと思います。 現在の土地の高騰というのは、もう経済問題、社会問題を越えて政治問題になっておる。非常にこれはたいへんな問題になって、このまま放置していけば、いわゆる産業が破壊してしまう、経済が破壊してしまう、こういうところまできているわけでありますけれども、それについて、今度は法人に重課しようということで今回の土地税制の改正が行なわれたわけであります。それをいまのそういうような背景にどう位置づけていくか、効果といいますか、それについては、いままでのお答えの中にも、ただ税制だけでその効果を求めるのは無理だ、こうおっしゃっておられるけれども、現段階としてはやはり税制がそれを大きく左右していくウエートを持っているわけですから、全然税としてはこの程度しかできないのだということじゃなくて、ある程度そういう効果を見て税というものもきめていかなければならぬ問題だと思うのです。そういう感覚でその効果というものに対しては一応どう考えておられるか。一応これだけやろうということは、土地を安定させよう、あるいは安定させる以上に、いわゆる投機的な問題をとめよう、こういうことがねらいでの今度の新しい土地に対する重課でありますから、そのことは、これだけのことをやっていけばこういうふうな状況だろうということはお考えになってしかるべきだと思うのです。いかがでしょう。
○愛知国務大臣 税制だけにあまり大きな期待を持つことはできないと私は思うのですけれども、これは謙虚にそう考えておるわけでございまして、やはり税の効果というものは相当期待していいのじゃないかと私は実は考えております。そして、午前中も御質疑をいただきましたが、たとえば四十四年の税制は失敗であったか成功であったか、これは確かにデメリットもあった、しかし若干のメリットもあったように私は思いますけれども、その辺を反省をしてそしてこれを補完し、また四十四年の税制というものがわれわれに教えるところは非常に多かったと思うのです。 そこで、これは税制調査会の記録などで、ことし始まってからのいろいろ論議などもごらんいただいたと思いますけれども、非常にいろいろな考え方が論議されて、結論としては、法人の土地譲渡については、譲渡益に対して高率の課税をする。それから保有税を固定資産税のようなかっこうにしてこれを補完をして、組み合わせの上で、税としてもこの組み合わせによって相当の効果を期待するという考え方に落ちついたわけでございます。同時に、税としては新しい税制だし、税の理論としてはなじまないものもありますけれども、ひとつ政策の手段として税を使っていこうという考え方に割り切ったわけでございます。それだけに、相当の効果を期待しなければこういう割り切り方はできないと思います。それから最近では、市街地内農地の課税の問題もようやっと結論が出たわけでございます。一応政府として結論を出したわけでございますが、これらが総合的に実行に移りました場合には、効果を十分発揮できるのじゃないか、そう考えております。たとえば法人の譲渡益については、そのやり方を、欠損法人であろうがなかろうが、とにかく完全分離で高率な課税をしろという御議論が、一つの端にある意見、それから逆の端にあるほうは、もっと政府案よりもずっとやわらかい案、ちょうどこの中間をいったような感じがいたしますけれども、とにかく赤字法人に対してもかける二〇%というのは、相当な高率ではないであろうか、こういう考え方でございます。 それから保有税にいたしましても、税率が安いのではないかとか、あるいは未利用地税という観念に徹したほうがいいのじゃないかとか、いろいろの御議論がありましたが、一括網を広げて、持っていることは決して得にならないんだということで、税率は高くはないかもしれませんけれども、要するに、土地を持っていたって得にならないんだ、少なくとも投機の対象としては不適当だという観念を植えつけることによって、好ましい方向に土地が放出されるという効果を一方に期待しているわけでございます。 それから同時に、私などは特に一つの重点だと思いますのは、地方税にするということによって、やはり末端の地方公共団体も責任を持ち、興味も持ち、全体として協力し合って土地問題に当たるという面からいえば、国税と地方税と両様に用いたほうが、そういう点からいっても意味が深いのではないか。 まあ申し上げればいろいろございますけれども、こういった点で政府は政府なりに相当勉強もし、苦心もしたところであることは御理解いただきたいと思います。
○広沢委員 そこで、一応今回のねらいの、土地の譲渡とそれから保有に対してある程度重課していこうという考え方については、私はねらいとするところはいいと思います。それ自体がおかしいと言っているわけじゃなくて、これはけっこうだと思うのですけれども、はたしてそういう場合の税率のきめ方で、一応これが低ければ、先ほどおっしゃいました保有税をかけても土地を手放さないのじゃないかという問題もありますし、あるいは譲渡についても、今度は売る場合にはその税分だけを上乗せする、こういう感じも出てくるわけですね。ですから、これは実態として税率的にどうであろうかということを検討してみる必要があろうと思います。 いまそれに触れられたので、その問題で二、三聞いてみたいと思うのですけれども、土地が一〇%くらいずつ上がっていくのであれば、金利のほうは相当のことを考えれば、いまの程度で効果も出てくるかもしれません。適用除外の分はいろいろ問題がありますから、それは別にして考えても、そうかもしれません。しかしながら、そうではなくて、大都市の周辺は相当な値上がりをしているわけですね。そんな一〇%どころではなくて、倍にもなっているところもありますし、異常な値上がりをしている、こういうことなんです。また、そういうところは見込みで先行投資をして、必要なところを買い占めているわけですし、当然、少しくらい高くても、必要とあらば買わなければならぬという需要が起こるものですから、上がってくるわけですね。したがって、今度の法律のねらいというのは、そういう土地で投機をやったってもうけになりませんよ、こういうことをはっきりさせなければならぬところにこのねらいがあるわけだと思うのです。特に税制のねらいというものはそこに置いていくことにあろうかと思うのです。 ところが、わが党も、昨年、大手不動産業者等による土地の買い占めの実態調査をやりました。ここで一つの例をあげていきますと、ある不動産会社が四十二年当時に埼玉県の日高町で土地を購入して、二年後に住宅公団に転売したわけです。そのときの推計では、元金が約三億円、二年後に売却したときは七億円になっておるわけです。ここで四億円の利益をあげているわけです。それをかりに今度の新しい税制に適用してみますと、これは単純に計算したわけですけれども、大体税を引いて、四億円の利益があったとして、もちろん金利は入っていますが、一億二千万円くらいの利益があがっておるわけです。二年足らずで元本の五割をもうけたという結果がここに出てきておるわけですね。 こういう実態から見ましても、いま分離して二〇%土地にかけ、またこちらで総合して合算する。ですから、政府の説明では、いまの実効税率に分離の二〇%を加えて、地方税を加えますと、大体七〇%近くになるから、これで相当効果があがってくるのじゃないかといいますけれども、単純計算で当てはめてみましても、いま非常に土地の値上がりが激しいわけですから、そういう面ではあまり効果があらわれてこないのではないかと思うのです。 そこでわが党は、一応本業で得た利益というものにはいまの法人税を課する、そしてそれを完全に分離して、土地の関係についてはこれに特に重課する、分離課税する。土地に対して実際に手を出していって土地でもうけようなんという気持ちはいけません、こういうふうにしていくためには、こういうような考え方でいかなければならないのじゃないかと思うのです。 そこで、もう一つ加えてお聞きしたいことは、いま土地の公示制度というものがありますね。その関係は大蔵省はどういうふうに考えておられるのか、まずそこから聞いておきたいのです。
○愛知国務大臣 公示制度につきましては、大蔵省といたしましては、よき公示制度ができ上がり、かつ全国的に普及されることが望ましいという角度で、御案内のように、建設省にも相当な予算をつけて、公示制度がずっとふえんするようにやっておるわけでございます。ところが、これも率直にお答え申し上げるのですけれども、税の基準として土地公示価格というものをどういうふうに考えるべきであるかということはなかなかむずかしい問題で、たとえば相続税、それから固定資産税、あるいは今度の土地の税制についても、課税所得でどう基準価格をとるかというようなことについては、譲渡益であるとか、あるいは取得価額であるとか、それぞれの税目によって違っておりますけれども、理想としては、公示制というものがりっぱなもので、十二分に考慮されたものならば、税のほうにおいてもこれを基準として使うことが望ましいと私は思います。 しかし、税の立場からいえば、これはざっくばらんに申し上げるのですけれども、ただ税を取るというほうからいえば、実情に即して取れるものは取るというのが望ましいことだと思うのです。そういう点からいいますと、公示価格制度というものがはたしてそれになじむものであろうかどうか、そういう点にまだ十分割り切れた考え方を持ち得ないでおるわけであります。したがって、そういうわれわれの疑問とするところ、不安とするようなところもあわせて考慮に入れて、とにかく公示価格制度というものがりっぱなものができ上がるように、ひとつ担当の省庁で十分検討しながら、これの普及をはかってもらいたい、現在大蔵省としての立場はそういうことでございます。
○広沢委員 いまお話しのとおり、公示制度というのは、一応こういうものであろうという案を示すみたいなことになっておりますので、この問題がかえっていまは悪用されて、といいますか、それ以下で取引されたことは一つもないのであって、一応公定価格はこんなものだという訓示規定で示したみたいなものでしょう。そこに問題が出てきておることはわかるのです。もしも公示制度というものが完全に守られていくようなきちっとしたものであるならば、それを越えて利益をあげようというものは全部これは取り上げることにしていけば、それはおさまってくるわけでしょう。ですから、いまの段階としては、それがそうでないならば、やはり土地だけについては分離して、いま問題になっている特別措置で扱うというのはそういう意味があるのですから、これについては二〇%というのではなくて、この分については八〇%ないしそれ以上に税率をきちっとかけて取っていく方向にやっていかなければ、いまの問題は解決しない。 先ほど、赤字法人も一応は分離で二〇%かかるのだ、こうおっしゃいましたね。たとえばの話ですが、一例をあげて申し上げますと、AとBという会社がある。そのAのいわば同系列みたいな会社ですけれども、もちろん法人ですから、分離してあります。その両会社が話し合いをして、Bから品物を買うときには非常に安く買う、それでBは赤字になってしまう。今度はこちらのほうは土地を買う。それは赤字ですから二〇%しかかからないというケースだって考えられないことはないわけでしょう。ですから、こういうやり方であれば、片方で損をして、片方で土地でもうけていっても、二〇%しかかからぬのだ、こういう感覚が出てくるわけですね。そういうところに抜け道があるわけですから、どうしてもこれは分けて土地というものに対して重課するという考え方に立つということが適当ではないかと思うのですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 これはせんだっての予算委員会でも私は御質疑を受けて、率直に言って、非常に困ったのですけれども、完全な分離をして、赤字であろうが何であろうが高率の課税をすることでなければ目的を達成できないじゃないか。というのは、これはいま例にあげられましたが、Aという会社が本来の企業目的は別にある、ところが、本来の目的のほうはわざと欠損にしてしまって、そしてその事業をあげて土地で投機をするというような場合を想定すれば、いまの政府案というものは非常に抜け穴だ。それは、そう仮定されますとそうも言えるわけで、土地だけのことについて考えますと、それも一つの御意見であるとは思いますけれども、しかし、そもそも法人に対する課税というものはどう考えるべきであるか。これは頭から、その会社自身が全く欠損法人であっても何でも、そこに対して、土地であるからといって課税をやるのは、理論的にも実際上もいささか行き過ぎではなかろうかというのが政府の考え方でございます。 要するに、現在の政府案も、赤字法人であっても、土地からの利益については二〇%の税率でかけるわけでありますから、本来の黒字法人ならば税率は七〇%になるというのはお話しのとおりで、相当の重課であろうと考えますし、それから赤字に対しては二〇%というものがかかるだけでも、相当の高率といわざるを得ないのじゃないか。それからもう一つ、別の観点から申しますと、あまり税率を高くいたしますと、土地の流動性というものがなくなってしまうのじゃないか。固定化してしまう。そこで、その間をとって、好ましい方向に土地が流れるように、また税のほうも相当重くというところをとると、これはてまえみそになって恐縮ですが、考えに考えた末、落ちつくところはいまの政府案ではないだろうか、こういうことに相なるわけでございます。そういうような点もだいぶ苦心をいたしましたことは、御理解をいただきたいと思います。
○広沢委員 土地の流動性がなくなる云々の問題を言っておりますけれども、民間のデベロッパーにまかすとか、そういうこともいままではあったでしょうけれども、これは公的に土地公社とか、いろいろなものをこれからつくるということになっているわけでしょう。そういうところで必要なものを確保して、住宅にせよ、土地にせよ、分譲していけばいいのであって、われわれの実態調査でもそうですし、また、建設省が東証の一部、二部上場の企業千三百社に対して調査し、七百四十社が回答して、そのうちの九〇%、六百九十六社が土地投機をしておる、そしてそれが国土全面積の一%を占めておった、こういうようなことが出ております。われわれの調査でざっと調べたときでもそうだった。ですから、こういうふうに本業以外にいろいろやっておるところもあるわけです。そういうことは許さないという考え方に立てば——法人に対してそういう重課をしていくにも限度があるみたいな考え方では、土地の投機というものは押えられないのじゃないかと思うのです。いろいろな罰則をつくって、土地はほかの会社は買ってはいかぬのだ、そんなことはなかなかできないと思うのです、いろいろな理由がありますから。こういう本業以外に土地でぼろもうけしてやろうという考え方を押えようという意味が、税制に一つの大きな働きがあるわけですから、その点もやはり考えてみなければいかぬと思います。 約束の時間が過ぎておりますので、もう一点簡単にお伺いしておきたい。 いま大蔵省は、一応考え方として、適正な利潤というものはこうであるということを出してきておるわけですが、土地代に造成費、それから販売及び一般管理費をプラスして、それだけは一応元本に上積みされることは認める、それからあと二七%、支払い利子も含めて、それだけを利潤として認める、こういう一応の基準を持っておるようでありますけれども、申告のときにやはり具体的にチェックをするというのは、これは税務署だと思うのです。実際にこのチェックというのは可能なのかどうかということが一つ。 それから最後に、租特全体ですけれども、これは鋭意、今回はいままでの産業優先の分については手を入れてきたというお話でありますけれども、やはりこれは輸出関係の特別措置についてもまだまだ手を入れていかなければならないと思うのです。輸出を促進するようなものも多少は残っておりますし、あるいは特別償却にしても、あるいは準備金にしても、輸出をうんとプッシュしていくものはまだまだ整理しなければならぬ。せんだって当局とお話ししている中で、具体的な実態の資料をつくっていただくことをお願いしたわけです。大体いわゆる業態別にどれくらいの租特の恩恵を受けているか、こういうところからやはり整理していかなければ、隠れた補助金だといわれているような段階で、補助金であれば、毎年毎年チェックして、その効果を見て整理はできますけれども、租特の場合においては、これは一定期間というものは実態というものがよくわからない。それだけじゃなくて、ずっともう続けていけば、これはわれわれはどれだけの効力、恩典があるのかということもわからぬままいってしまう、こういうことで実態のそういう資料をお願いしたわけですけれども、ともかくとして、来年の改正においては、いわゆる企業優遇になっている面、なかんずく、輸出関係に大きな貢献をやってきた分についてはこの際全廃をするという考え方を持ってもしかるべきじゃないかと思うのですが、その二点をお伺いして、終わりにしたいと思います。
○愛知国務大臣 第一の御質問は、二七%を適正利潤率というふうに、政府としては、これもいろいろ検討いたしまして決定をいたしたわけでございます。これは前にも抽象的な原則的なことはお話いたしたわけでございますが、要するに、投下された資本に対して、一般の企業活動から通常得られる利益の水準と同じ程度のものということで、土地の取得原価とか土地の造成に要する期間であるとか、いろいろの点を考えの中に入れまして、反面から申しますと、投機による利益というようなものを認めないということで、関係の省庁とも十分協議をいたしまして、この辺が妥当であろうということにいたしました。 いま、チェックというお話がございましたが、これはひとつ政府委員からもお答えをいたしますが、十分チェックをしてまいりたいと思います。 それから、特例措置については先ほど来もあらためてお話が出ましたが、私は、これはまず原則として既得権ではないのですから、洗い直しをすべきである、それから、政策目的によってつくられたものでありますから、国の政策がもう輸出重点ではないわけでございますから、特に輸出関連というようなものは、まだ残っておるものについては十分整理をするという姿勢で洗い直しをやりたい、こういうふうに考えております。
○高木(文)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、確かに、どのような基準でそれぞれの要素を計算して、それで二七%の基礎にするかということは問題のあるところでございますが、その点につきましては、このような制度ができましたことと関連いたしまして、経理のしかたについて大体の目安をきめて国税庁に指導をしていってもらいまして、それに乗っていなければ、そのつど具体的に税務調査の際に否認をする、こういう形になっていくと思います。いままではこういうことがございませんでしたから、なれてない分野もあると思いますが、あるルールをきめてやり出せば、それによってスムーズに動いていくものと思っております。
○鴨田委員長 次に、竹本孫一君。
○竹本委員 私は、まず法人税についてお伺いをしたいと思います。たいへんおそくなっておりますので、大臣の御答弁は結論だけでけっこうですから、簡潔に御答弁していただきたい。 一つは、これはむしろ希望に近いのですが、法人税の実効税率についてであります。これにつきましては四五・〇四%ということが大蔵省でよく言われておるわけですけれども、来年になればいよいよ法人税の引き上げも具体的日程にのぼろうということになっているわけでございますから、法人税が、実際に今日の税負担が法人に関して幾らであるかということは、お互いの間で明確な基準がなければいかぬ、データがなければいかぬと思うのです。ところが政府は、四五・〇四、感じから申しますと、なるべく高いほうに言っておられるような印象を受ける。ところが、東京都あたりで調べた資料なんかを見ると、一つの資料では二七・一四%というような数字も出ている。その数字をどう批判するかということは別の問題として、これは理事会あたりでもみんなで一ぺんよく相談をしてコンセンサスを得て、たとえば問題になるのは価格変動準備金、貸倒引当金、退職給与引当金、それから特別の減価償却といったような問題、あまり言われておりませんけれども、そのほかに源泉徴収税額とか外国税額の控除とかいったような問題もあると思うのです。しかし、それらの中には、本法に規定してあるものもあるし、特別措置法によって規定されておるものもあります。しかし、大体法人の実効税率を出すについて、こういうところであるというコンセンサスだけはお互いに得て、さてそれをどう批判するかということはそれぞれの立場ということにしたらどうかと思うのです。いかがでございますか。
○愛知国務大臣 ごもっともであると思います。とにかく非常に複雑なんですね。そうしてほんとうに、相当勉強する方でもなかなか実態がわからないし、そうして実効税率が一体どうか、いまもお示しがありましたが、二七・一四%というのは一体どういう調査でこう出てくるのか、そういう点について、私も的確に、これはこういう点が間違いだと指摘ができないのは、要するに複雑である。そうして内容がもっとわかりやすくなるようにというのは、私は国民的希望であると思います。ですから、そういう解明がしやすいような、中身ができるだけ説明が簡単で明確にわかるような、そういう税制というのが私は理想だと思います。そういう気持ちで、政府側も、従来から隠し立てしているとかなんとかいうことで、何か特に大企業にいいように誘導していくとか、そういう事実はないと思いますけれども、問題はやはり複雑性にあるのではないかと思いますから、十分そういう気持ちで取り扱ってまいりたいと思います。
○竹本委員 とにかく、複雑だからといって、お互いがみなかってなところをつまみ食いしているような議論のしかたをしないで、ぜひそれはお互いに話し合って、大体現在はこうだというコンセンサスを得たいという希望でございますから、よろしくお願いしたい。 第二は、いま法人の数が百万とか大体あるわけですけれども、国税庁の連中が一生懸命やってみても、大体年に一割ぐらいしか回っていけないということらしいですね。一割か二割、まあ一割ぐらいじゃないですか。そうすると、大体会社に調べに来るのは——調べに行くというか、全部調べなければならないというわけでもありませんけれども、一応念のために調査をされるにしても、へたをすれば十年に一回、相当能率をあげても五年に一回ぐらいだろうと思うのです。ところが、税の時効は三年ぐらいでしょう。そうすると、あとで調べに行って気がついてみたときには時効にかかっていたということになると思うのです。 そこで、これは国税庁の職員をふやすというのも一つの考え方ですから、けっこうだと思いますが、何とかこれを、時効の関係と実際に調査される事務的な処理能力とのバランスをもう少し変えなければいかぬのじゃないか。一つは、簡単明瞭に概算で計算するというようなことで一つの方式を立てて、要するに課税、徴税の事務が簡素化されて能率化するならば、それも一つの方法だ。また一方から言うならば、脱税するものはどうせあまりたちのよくないほうですから、三年なら三年のものを五年にするというようなことで時効を延ばすことによって、インチキな連中が脱税をうまくやるということがないように、どちらからか詰めをしなければいかぬだろう。いかがですか。
○愛知国務大臣 これはやはりいま申し上げましたことと関連をしていると思います。 それから、ちょうど徴税のことにお触れになったので、それでこちらも申し上げるというわけではございませんけれども、国税庁と申しますか、税務官吏の執務の状況というのは、いま非常にたいへんな苦労なんです。ですから、人員を確保するということも相当なくふうをこらさなければなりませんし、それから教育、訓練ということも非常に大事なことでございます。同時に、逆に陳情みたいで恐縮なんですけれども、やはりいろいろな面で特殊の、非常に重要な使命を帯びた役柄でございますから、この待遇の改善というようなことについても、ひとつ国民的な関心と理解の中に相当な画期的な待遇の改善ということも政府としても考えてまいりたいと思いますし、御理解と御協力を賜わりたいと思います。あらゆる面から攻めていかなければ、的確で公正な税制も、それから徴税も期待できないと私は思います。大いに努力を新たにいたしたいと思います。
○竹本委員 ちょっといまお尋ねした時効の問題は、再検討する御意思はありませんか。 それから、ついでにもう一つ申し上げます。時間がありませんから、なるべくまとめて申し上げるわけでありますけれども、土地の譲渡所得税等につきましては、いろいろごくふうをいただいておる。議論の余地はありますけれども、それなりにいろいろやっておられます。 そこで、いま私が思いますのは、たとえば帳簿の価格では二兆円なら二兆円の土地を会社が持っておる、時価に評価すれば六十兆円あるんだ、こういうようなことでございまして、それを時価に評価し直して、評価税で取るか財産税で取るかという議論も、御承知のように一部にあります。いま私がこれから申し上げるのは、そうではなくて、ときどきは、何年に一回かはそういう意味での資産の評価がえをして、十兆円のものは十兆円に近い評価をする、六十兆円のものは六十兆円に近い評価をする、結果として税金が多くなるとか、あるいはコストが上がって輸出が少し制限を受けるとかいったような問題はいろいろ出てくるだろうと思いますが、いずれにしても、二兆円のものが時価で六十兆円の場合、それの評価を全然やりかえないでそのまま眠らしておくということには、どう考えても納得のできないものがありますが、その点はいかがでございますか。 二つお願いします。
○愛知国務大臣 時効の問題は、御熱心な御主張なんですが、これはなかなかむずかしい問題じゃないかと思います。しかし、そういう御提案がありましたことは、ひとつ検討いたしてみます。 それから、その次の評価がえですけれども、これはよくいわれることですけれども、現在の状況がこうであって、その現在の状況を克服するための対策という角度と、それから恒久的な問題と、分けて考えなきゃならないかと思いますが、一口に申しますと、評価がえというのは非常にむずかしい問題で、たとえば土地の評価にいたしましても、古くからずうっと持って事業の用に供しているというような、いわばしにせが、逆に不公平な扱いになるというような実際上の問題も十分考えなければなるまいと思います。今日のような一種の異変の起きているときの感覚だけでは処理できないんじゃなかろうかというような気が私もいたしますが、これも一つの御議論でございますから、私もいろいろと勉強させていただきます。
○竹本委員 次には、土地税制についてお伺いしたい。 四十九年四月一日からの問題だというんですけれども、それまでの間に土地がなるべく確保できるように、土地を吐き出すことができるように、一つの警戒警報を発するんだ、こういうようなお考えだろうと、善意には解釈する。けれども、実際は、ずるいやつがその前に、今度の税法でも直接子会社にやったものについてはある程度追跡ができるようになっておりますが、全然他のものとの間にやったという場合には、とらえる方法がない。ところが、実際においては、いまのそういうことをやって商売で一もうけする人はみんな大蔵省よりもずるく立ち回っておりますから、この半年、一年というのは非常に貴重なる時間であると思う。その間にいろいろの悪だくみが行なわれる可能性のほうが、結果としては多い。本来ならば、これはことしの四月一日から直接もうやるというようなかまえのほうがほんとうではなかったかという点が一つ。 あわしてお伺いしますが、もう一つの問題は、どうも大蔵省のやられることというか、政府のやられることが、ちんばである。すなわち、この前の個人の土地の保有について、また譲渡所得についてかけたときは、法人を忘れておった。今度は法人をやるときには、個人の不動産業者については規定がありますけれども、まあ法人だけになっておる。そこで、個人と、それから個人の不動産業者と、それから会社の場合と、この三つの間のバランスがうまくとれなければ、税法としてまずいと思うのです。そういう意味で特に私が伺いたいのは、今度の法人の問題を別にして、個人課税のほうが五十年度で終わるけれども、終わった以降は一体どうされるつもりであるか。総合課税になれば相当累進がききますから、それでもいけるという考えなのか。それよりも、今度いま税制で考えられておるように、一定の土地の確保、住宅の供給ということに役立つように、そういうところへ土地を売り渡した者には特別に税負担を軽減するというような方式を五十年以後の個人の場合にも考えて、そしてこれまた、法人の場合と個人の場合とが相呼応して土地の確保が十分できるように追い込んでいくほうがりこうである、かように私は思うのです。アンバランスの問題と、個人の持っている土地を吐き出させるために、五十年以後については、いま法人について考えられておるような特別のくふうをやるべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
○愛知国務大臣 四十九年四月一日から施行ということは、いまお話しになりましたような、土地を手放させるということの効果をねらったのが一つと、それから一方では、四十四年一月以降にさかのぼって適用するということを考えた——といいますか、実行しよう、この二つの点から、四十九年四月実行ということにしたことでございます。 それから、個人不動産業者その他とのアンバランスの問題、これは個人の不動産業者には今回はかかるわけですね。 それから、五十年以後に特別の措置をするかということ、これは五十年以後このままの姿は考えておりません。これはやはり一連の緊急の時期においての税制を執行してみまして、そうしてその状況を見て、ただいま御指摘のようなところも十分勘考いたしまして、五十年度以降においてはまた別な手法を用いるべきである、こういうふうに考えております。
○竹本委員 次は、社会保険の診療報酬の問題でございますが、これはもうずいぶんここで議論がありました。そして、この前、東畑税制調査会会長が見えましたときにも私も質問しましたところが、国会でそういう決議でもやってもらえればやりいいんだけれども、なかなかこれはむずかしいという。確かにむずかしいということもわかります。そこで、本来ならば今度の特別措置法に修正でもやったらどうかという考えも持ったわけですけれども、いろいろ準備ができない面もありました。 そこで大臣にお伺いしたいのは、私は医薬分業も賛成ですし、それから医者の技術を高く評価していくことも賛成です。しかし、医者の診療報酬というのは、診療報酬そのものとして考えて対処すべきである。所得税のほうで七二%ちょっとまけてやって、それで診療報酬の足らないところ、点数の低いところをしりぬぐいしていこうというのは、どう考えても筋が違う。だから、これはおそらく臨時の考えで、二十九年でしたか考えられたと思うけれども、それからそのまま焦げついておるけれども、どうしても、これはだれが考えても不公平のはなはだしきもので、資料によれば、八百八十億円の減収になっておる。こんなことは許されない。当然、課税すべきものは課税する。実費が五〇%を割っておるならば五〇%にすべきだということで考えるのですけれども、何としてもこれはやはり英断、決断をもってやってもらいたいと思うのです。まあこれはいろいろ議論があるんだけれども、実際政府は、やるとか考えるとか、よく言われるけれども、一体いつやるのかよくわからぬ。法人税も来年はやるというような本格的な御答弁もいただいておるけれども、診療報酬については、やはり診療報酬そのものは別途たてまえとして考えるべきだ。しかしながら、所得税でしりぬぐいをするということはことしでやめるべきだ。来年からはもう少し筋の通った体制にしていただきたい。いかがでございますか。
○愛知国務大臣 これも全くごもっともでございまして、東畑さんから当委員会でも、ほんとうに執念を持った態度が表明されたものと思います。税制調査会でもいわば継続審議になっておるわけでございます。従来は継続審議というようなかっこうにさえもならなかった傾向が、そういう点ではかなり前進してきた。何とかしてこれは改善したい。これはお医者さまの仲間でも非常な不公平なんです。たとえば、大学へつとめておられるお医者さんと開業しておられる方との間には不公平が指摘されているようなこともあり、診療報酬の問題は別個の問題としてぜひ改善しなければならないと思いますけれども、税制の上では、東畑さんの執念にフォローアップして解決をはかっていきたいと思います。
○竹本委員 これもいま御苦心の点もわかるのだけれども、われわれがいま特に問題にするのは、もうこの辺で切りかえたらよろしい、来年おやりになるように要望しているわけですから、ひとつ善処していただきたいと思います。 最後に、直接この問題、法人税や措置法と関係ありませんが、この間からここでだいぶ問題になりましたから、要望を込めてお伺いしたいのですけれども、日銀の問題です。日銀法は、昭和十七年かにできた法律だから、中身があまりに古過ぎるとか、いろいろ議論が出ました。そうして、もし政府がおやりにならなければ、これは議員立法でやろうではないかという意見も出ております。御承知のとおりであると思います。 しかし、私個人は、二つの点でちょっと大臣の意見を伺いたいのだけれども、一つは、これはやはり重大な日本銀行の制度や機構を改革する問題だから、議員立法でやるということが適当であるかどうかということについてやはり慎重でなければならないと私は思うわけです。しかし、政府がどうしてもやる意思がなければ、やらざるを得ないということになるだろうから、これも一体来年はおやりになる腹があるのかないのかということを一つ伺いたい。機は熟しておるのだから、政府も踏み切るべきだということであります。それが一つ。 それからもう一つは、これはずっと前に日銀の改革が問題になったときにも、政府との関係においてついに複雑な問題が出て、にわかに結論が出なかったように私は記憶しておるのです。これは当然なことだと思うのです。そこで私の希望は、やはり国策なり政府の方針から離れて日本銀行はわが道を歩いたのでは困りますから、その辺のことは慎重に考えなければならぬ。そういう意味においてまた政府が人事権を握っておるということも一理あるわけです。しかし、同時に私は、そう言うとしかられるかもしれないけれども、政党性悪説なんです。商社とどっちが悪いか知らぬけれども、政党性悪説です。そういう意味から申しますと、この性悪説に立つ政党があまりコントロールをして、政府の一時の都合によって、一番大事な厳粛な通貨価値の維持にまともに取り組んでいかなければならぬ日銀が、時の政府によって左右されるということがあってはならぬ、こういうふうに考えます。私は、教育の問題と通貨価値の維持の問題は厳正中立にきびしくやらなければならぬ、こう思うのです。そういう意味で、日銀のあり方というものは、やはり通貨価値そのものを守るということを中心に考えるべきで、ほかのことばで言うならば、中立性を堅持すべきである。そういう方向における改革案を政府が年内にもまとめて、来年くらいからは出発できるようにひとつ考えてもらいたい。要望を含めてお伺いをして、最後にいたします。
○愛知国務大臣 日銀法の問題は、先ほど武藤委員に、私、日銀の政策委員の問題に関連して申し上げましたとおり、日銀法の改正の機会に、政策委員というもののあり方について検討をいたしますし、その際に武藤さんの御意見というようなものも尊重していきたいという趣旨の御答弁を申し上げました。ただいまのところ、非常に重要な問題でございますから、それ以上は申し上げないでおきたいと思います。 私は、政党性悪説ということは、そうは思いません。思いませんけれども、反面、日銀の中立性、通貨価値の維持、その番人であるということについては、竹本さんと全く同感でございます。
○竹本委員 これは慎重に検討していただくことにして、特に要望を申し上げて、質問を終わります。
○鴨田委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○鴨田委員長 両案に対し、自由民主党を代表して木村武千代君外四名よりそれぞれ修正案が、また、法人税法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党、公明党及び民社党を代表して広瀬秀吉君外四名より修正案が提出されております。
○鴨田委員長 この際、提出者より、両案に対する各修正案の趣旨の説明を求めます。木村武千代君。
○木村(武千代)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま提案されております法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨と内容を申し上げます。 案文は、すでにお手元に配付してございますので、その朗読は省略させていただきます。 これらの修正案は、いずれも各原案において施行日と予定されておりました本年四月一日をすでに経過いたしておりますので、これに伴う調整措置を講じようとするものであります。 まず、法人税法改正案の施行日につきまして、「昭和四十八年四月一日」を「公布の日」に改め、これに伴い、改正規定の適用対象事業年度を「昭和四十八年四月一日以後開始する事業年度」に改めることといたしております。 次に、租税特別措置法改正案につきましても、法人税法の場合と同様に、施行日及び適用対象事業年度の修正を行なうとともに、次の修正を行なうこととしております。 すなわち、減価償却や準備金の特例に関する改正規定の適用開始期日については、「施行日」とあるのを「昭和四十八年四月一日」に改めることといたしております。 また、登録免許税に関する軽減措置では、従来から適用を受けているものについては、本年四月一日から施行日までに登記原因が発生し、施行日の翌日以後に登記を受ける場合に継続適用を認め、新規に適用対象となるものについては、施行日の翌日以後に登記原因の発生した場合に適用することとしております。 なお、個人の土地譲渡益重課制度等の適用対象は、施行日以後に発生したものといたしております。 以上が改正案によって納税者が受けることを期待していた税法上の特典について、法案成立の予期しなかった遅延により思わざる不利益をこうむることをできる限り救済することを目的とした本修正案の内容であります。何とぞ御審議の上、御賛成賜わりますようお願いいたします。以上。
○鴨田委員長 次に、広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま提案されております法人税法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨と内容を申し上げます。 案文は、すでにお手元に配付してございますので、その朗読は省略させていただきます。 われわれが提案しましたこの修正案は、われわれがかねてから主張してきた法人税率の引き上げを骨子とするものであり、あわせて今日、法人が今日の経済社会の実態において独立した課税主体である、すなわち自然人と並んで法人は実在するものである、こういう見地から配当金の益金不算入制度を廃止しようとするものであります。 まず第一に、税率の改正でありますが、法人企業の租税負担能力が相当に高くなっている現状において、法人税の基本税率三五%はあまりにも低く、かつ、大企業になるほど配当軽課措置により実際の負担率が下っていることは周知の事実であります。そこでこの税率を改め、四〇%に引き上げることといたしております。ところで、現行制度においては、資本金一億円以下の中小企業の所得三百万円以下の金額については二八%の軽減税率が適用されておりますが、この区分階層に属するのは零細企業であり、担税力のきわめて低い法人でありますから、その点を考慮し、さらに五%引き下げて二三%とするとともに、公益法人等及び協同組合等については、その特質及び担税力にかんがみまして、その現行税率二三%を一八%に引き下げることといたしております。 次に受け取り配当金につきましては、現行制度では法人擬制説に基づく二重課税防止の見地から益金に算入しないこととされておりますが、法人の株式投資が激増し、その持ち株比率がきわめて高くなっている現在におきましては、もはやこのような考え方は通用しないのであります。そこで今回、この受け取り配当等の益金不算入制度を廃止し、すべて課税所得の中に含めることといたしているのであります。 次に、われわれは、今回の租税特別措置法の一部を改正する法律案に基本的な立場において反対するものでありますが、特に交際費課税の強化に関する改正事項は全くなまぬるいものと考える次第であります。すなわち、損金不算入限度を五%上げるだけでは、課税金額の割合をそれほど高めることはできず、まして交際費支出の増加傾向をとどめることはできないのであります。さらに現行の四百万円という限度により非課税となっている金額が非常に多いので、これに手をつけなければ課税強化の実をあげることはできないのであります。これらの点に着目して、改正案の附則の修正により、租税特別措置法の一部を改正することとし、四百万円の限度を三百万円に引き下げ、損金不算入割合を九〇%に引き上げることといたしております。 また、同措置法で定められている配当軽課税率については、前に申し述べた理由によりこれを廃止してすべて基本税率によることとし、特定医療法人の税率についても、本法の税率改定と関連して二三%から一八%に引き下げることとしております。 なお、改正案については、当初予定の施行期日である本年四月一日をすでに経過しておりますので、施行日を公布の日とする等、所要の修正を行なうことといたしております。 以上が修正案の概要であります。 何とぞ御審議の上御賛成賜わりますようお願い申し上げます。 以上で提案の説明を終わります。
○鴨田委員長 これにて各修正案の趣旨説明は終わりました。 —————————————
○鴨田委員長 これより両原案及び各修正案を一括して討論に入ります。 討論の通告がありますので、順次これを許します。小泉純一郎君。
○小泉委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、並びにこれらに対する自由民主党提案にかかる修正案に賛成、法人税法の一部を改正する法律案に対する日本社会党、公明党及び民社党共同提案にかかる修正案に反対の意向を表明するものであります。 まず、法人税法改正案でありますが、昨年度に引き続き、同族会社の留保所得課税の場合における定額控除額を、三百五十万円から五百万円に引き上げておりますことは、中小企業法人の税負担を軽減し、その内部留保の充実をはかるものとして、きわめて適切な改正であります。 また、役務の提供についての割賦基準の採用は、昨年の衆議院における附帯決議事項を直ちに実現しており、妥当な処置といえるのであります。 次に、租税特別措置法改正案につきまして、まず第一にあげるべきは土地税制の改正であり、中でも重要なのは法人の土地譲渡益重課制度の創設であります。すなわち、法人の土地譲渡について別途に二〇%の法人税を課し、通常の税額と合わせて七〇%の課税としていることは、地価の上昇を食いとめ、法人の投機買いを抑制する一方策として、まことに時宜に適した措置であります。これにあわせて個人の不動産業者等にも重課することとし、他方土地収用等の場合の特別控除額を二千万円に引き上げる等、多方面にわたり必要な措置を講じております。ただ税制だけでは、土地対策として十分な効果を得られないことは明らかでありますので、政府におきましては土地に対する他の諸施策を強力に推進するよう努力していただきたいのであります。 第二に、産業税制の改廃合理化でありますが、今回は合理化機械等の特別償却制度を三年がかりで廃止し、価格変動準備金の積み立て率を一%引き下げる等の改正を行なっております。これらは、その適用範囲が広く税額が大きいものでありますから、産業助成政策の是正措置としてきわめて重要なものであり、時代の要請にこたえて産業税制の転換をよく実現しているのであります。 第三に、個人の青色申告者について事業主報酬制度を創設し、みなし法人課税の選択制を採用していることは、中小企業対策として非常に望ましい改正であります。すなわち、長年懸案でありました法人、個人間の課税のアンバランスを一応解消したという点で、高く評価されるものであります。 さらに、法人の交際費につきましては、一昨年に引き続いて損金不算入限度額の引き上げを行なって、課税強化をはかっており、そのほか公害対策、福祉対策、住宅対策等のための所要の改正を行なっていることは、いずれも妥当なものと認められます。 次に日本社会党公明党及び民社党共同提案にかかる修正案について申し上げます。 まず、法人税の基本税率の引き上げ等につきましては、その影響の大きさから見て慎重に検討すべきものであり、また来年付加税率の適用期限が切れるのでありますから、その際改正を行なえばよいものと考えます。 次に、受け取り配当等の益金不算入制度の廃止につきましては、二重課税の問題についてさらに検討する必要があり、単なる考え方の転換だけによって軽々に廃止を行なうべきものではないのであります。 また、交際費課税の強化は、前述の政府原案程度の改正が妥当であって、修正案のように損金不算入限度を九〇%とし、損金算入範囲の定額部分を三百万円に引き下げることは、中小企業者に多大の犠牲をしいることとなり、反対であります。 以上、申し述べました理由により、私は、両法律案並びにこれらに対する自由民主党提案にかかる修正案に賛成し、日本社会党公明党及び民社党共同提案にかかる修正案に反対するものでございます。(拍手)
○鴨田委員長 山田耻目君。
○山田(耻)委員 私は、日本社会党、公明党、民社党の三党を代表いたしまして、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案並びにこれらに対する自由民主党提案にかかる各修正案に反対、法人税法の一部を改正する法律案に対する日本社会党、公明党、民社党共同提案にかかる修正案に賛成の討論を行なうものであります。 まず、法人税法改正案でありますが、政府は法人税率の引き上げの必要性を認めながら、これを怠って大法人に手厚い優遇を行なっていることははなはだ遺憾であります。 すなわち、欧米先進各国では、実効税率が米国五一%、フランス五〇%、西ドイツ四九%であり、日本は四五%であって相当に低く、しかも実際には配当軽課や特別措置等ではるかに低くなっており、資本金十億で二〇%程度の負担率であり、このような低税率をこれ以上放置することは、税の公平、応能負担の原則からも、法人税率の引き上げ措置は当然であり、すみやかにその措置をとるべきであります。これによって所得税の減税財源を確保し、企業の過剰流動性を吸収すべきであります。 政府案は、このような時宜に即した改正内容が盛られていないので、とうてい賛成することはできないのであります。 次に、租税特別措置につきましては、それが税の公平を乱し、負担のアンバランスを助長し、納税意識に悪影響を与えていることを、われわれは以前から指摘し、その大幅な改廃を要求してきたところであります。 しかるに、政府は、医師に対する社会保険診療報酬課税の特例をそのまま存続させ、大企業のメーカーや商社に特に有利となっている産業保護税制にあまり手をつけていないことは、きわめて怠慢というべきであります。その減税額について見ますと、社会保険診療報酬八百八十億円、配当所得の課税の特例五百三十億円の減収であり、また各種準備金の積み立て額は、価格変動準備金約六千四百億円、海外市場開拓準備金二千三百億円、海外投資損失準備金六百億円、株式売買損失準備金六百億円、渇水準備金百億円という巨額に達しているのであります。このような措置は、現在の経済情勢の中で存続させる必要性はないと考えられるので、すみやかに廃止に踏み切るべきであります。 次に、土地税制については、今日の異常な地価上昇は、勤労大衆のマイホームの夢をむざんにも踏みにじり、正常な企業活動についてもコスト上昇の要因となり、物価上昇に甚大な影響を与えております。したがって、この際、土地投機に対するドラスチックな禁止的税制を採用すべきでありましたが、政府の改正案はそうではなくて、きわめてなまぬるいものとなっております。すなわち、法人に対する二〇%の上のせ課税は、昨今のように土地の値上がりが激しいときにはあまり役に立たず、多くの適用除外を設けておりますことは、制度の骨抜きとなるおそれがあるのであります。 われわれは緊急土地対策として、一定の基準価格をこえて土地の売買はできないこととし、法人所有の土地の譲渡益でそれをこえる部分については一〇〇%の高率課税をすることを主張しておりますが、このような措置をとらなければ、投機買い法人に対する土地政策または地価対策とはならないのであります。 さらに、交際費課税の強化につきましては、政府案は損金不算入限度をわずか五%引き上げただけの不徹底なものであって、これでは社用交際費の抑制に役立つものとはいえないのであります。 他方、三党共同提案にかかる修正案におきましては、まず法人税の基本税率を三五%から四〇%に引き上げることとしておりますが、税負担能力が増大している法人企業の現状から見て、まことに適切な措置であります。また、低所得層の法人について思い切った税率の引き下げをはかっていることも、中小企業対策の見地から妥当であると考えられます。 次に、受け取り配当の益金不算入制度の廃止でありますが、すでにわれわれが法案審議の過程で明らかにしているように、もはや法人擬制説をとるべきではなく、実在説的な考え方に立つべきときに来ていると思われます。したがって、現行の制度をやめて、受け取り配当等に対してはすべて課税すべきであります。 最後に、交際費課税の強化でありますが、政府提案の改正案がもの足りないものであることは前にも申し上げたとおりであります。修正案は、交際費には原則として課税するというたてまえのもとに、損金不算入限度を九〇%とし、定額の非課税範囲を四百万円から三百万円に縮小しておりますが、このような措置によって初めて社用支出の抑制が可能となるのであります。 以上、申し述べました理由により、両法律案並びにこれらに対する自由民主党提案にかかる修正案に反対、日本社会党、公明党、民社党共同提案にかかる修正案に賛成の意向を表明して、私の討論を終わります。(拍手)
○鴨田委員長 増本一彦君。
○増本委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、政府提案にかかる法人税法の一部を改正する法律案について賛成、野党三党、社会党、公明党、民社党提案にかかる法人税法及び租税特別措置法の各一部修正案についても賛成、そして法人税法の経過措置にかかる部分の自民党の法人税法一部修正案について賛成し、租税特別措置法の政府提出の一部改正案及び自由民主党提出にかかる租税特別措置法の一部修正案について、いずれも反対の立場に立ち、討論をしたいと考えます。 今回の政府提案にかかります法人税法の一部改正案の改正点は、第一に、同族会社の留保所得に対する特別課税の定額部分を三百五十万円から五百万円に引き上げるというものであります。わが党は、かねてから同族会社の留保所得に対する特別課税は撤廃すべきであると主張してまいりました。しかし今回の政府提案にかかるこの部分は、三百五十万円を五百万に引き上げるという、わが党の主張から見れば不徹底な面を残していますが、中小企業等についてはこれが一定の改良になることは疑いをいれません。しかしながら現在、ブリヂストンやサントリーなど大企業が依然として同族会社の形態をとっていることに対しては、政府はしかるべき措置をとらなければならないと考えるものであります。 政府提案の第二点、割賦金契約の場合の、特に役務提供についての所得計算の点につきましては、この改正点の措置が、企業会計原則に沿った処理でありますことと、今日割賦契約の役務提供については広範な、勤労者もそれを利用していること等の現実を考えますと、これも改良の点として評価すべきものであると考えます。 また、社会党、公明党、民社党の提案にかかる法人税法及び租税特別措置法の各一部修正案について考えますと、今日株式会社や金融機関などが六〇%をこえる株を保有していること等を考えれば、受け取り配当の益金不算入の規定を依然として存置しておくことは全く合理的な理由がありません。そしてまた、提案理由にもありますように、擬制説ではなくて実在説をとってその課税の適正をはかることは当然であります。この点で、わが党もこの提案に積極的に賛成するものであります。 また、わが党は、今日の事態を考えますと、大企業、大法人に対しては特に税率を引き上げて過剰流動資金を吸い上げ、そしてそれを国民生活の福祉を増進させるためにその財源とすることを強力に主張してまいりました。今回の修正案が、この点から見て、税率を四〇%に引き上げるとともに、中小企業に対しては各税率を五%引き下げるというわが党の要求と主張にも沿うものであります。 また、租税特別措置法の一部修正案について見ましても、交際費に対して厳格な課税をすることはいまや国民の世論であること等を考えれば、このような修正案は積極的に評価すべきであります。 また、法人税法についての自由民主党の一部修正案は、施行期日とその適用の期日を今日の段階で修正しようとするものであって、この点は当然の措置であるといわなくてはなりません。 さて、租税特別措置法の政府提出にかかる一部改正案については、その改正点は主として三つの点に分けることができると考えます。 その第一は、みなし法人制度であります。この制度は、実は中小零細業者が自分の働きの所得のうちで勤労所得に該当する部分と資産所得に該当する部分に現実に分けられるところから、この所得の性格に応じて給与所得としての所得計算と給与所得控除を認めると同時に、事業所得についてそれと合わせて課税をすることによって、実質的にも減税の利益を受けることを要求してきたものであります。ところが、この切実な中小零細業者の要求をゆがめて、みなし法人との課税のバランスをはかろうという、全く中小零細業者の要求をゆがめた制度としている点に第一の問題があります。 それと同時に、白色申告者と青色申告者とを差別し、しかも過大報酬の否認などに見られるように、税務署長の権限を一そう強化することによって、今日の税務行政のもとで中小零細業者を金縛りにしてしまうものであるといわなくてはなりません。本委員会での質疑においても明らかなように、このみなし法人制度を選択した中小業者が青色申告そのものを否認されたときには、ばく大な税金を払わなければならず、それに対する救済措置が全くないという点、しかもまた、地方税との関連の措置が何も規定されていないなど、この制度そのものがきわめて大きな問題をはらんでいる制度であることがまことに具体的に明らかになったといわなくてはなりません。したがってこの制度は、中小零細業者の要求に反しているばかりか、中小零細業者の要求そのものをゆがめたものとして批判しなければならない点であると考えます。 第二の土地税制については、これも本委員会においての質疑の中で明らかになりましたように、一つは、民間デベロッパーや宅地供給業者に対して、二七%から四七%という一般法人の平均利益率から見ても、大幅な利潤を適正利益として保証し、これに対しては何らの税金をかけないという点が、まず第一点指摘されます。 さらに、鳴りもの入りで宣伝しても、今回の税制が四十四年のあの税制と同じように、勤労者に対して安くて手軽に住宅を供給するものではない点、しかもまた、民間デベロッパーや第三セクターのために土地を提供する不動産業者などに不当に利益を与える点など、きわめて大きな問題があるといわざるを得ません。 第三点の、大企業に対する特権的減免措置が依然として解消されていない点は、きわめて重大な問題であるといわなくてはなりません。政府の今回の提案の、たとえば無公害設備に対する償却制度を見ましても、口ではPPP方式を採用するなどと言いながら、現実には、公害をまき散らしてきた大企業に対してこの面でも特権的な減税措置を与えるものであります。しかも今日、国民が、大企業に対して特権的な減免をしているこの事実に対してきびしい批判をしているときに、これをまともに正面から受け入れてそれにこたえる措置をとっていない点が、きびしく指摘されなければならないと考えます。政府の提出された資料に基づいて私どもで計算をした場合でも、十億円以上の資本の法人だけで、何と五千五百八十九億円もの税金を昭和四十五年だけでまけてやっているという事実が、この租税特別措置がいかに大企業奉仕の制度であるかということを雄弁に物語っているといわなくてはなりません。 以上の点を勘案して、わが党は、租税特別措置法の政府提案にかかる一部改正案と、そして自由民主党の同法の修正案に対して反対の態度をとるものであります。 以上で討論を終わります。(拍手)
○鴨田委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより順次採決に入ります。 まず、法人税法の一部を改正する法律案について採決いたします。 まず、広瀬秀吉君外四名提出の修正案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、木村武千代君外四名提出の修正案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決し、本案は修正議決いたしました。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 まず、木村武千代君外四名提出の修正案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決し、本案は修正議決いたしました。 おはかりいたします。 ただいま議決されました両法律案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○鴨田委員長 次回は、来たる十日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時四十三分散会