大蔵委員会 第22号
- 発言数
- 251 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/04/04
会議録
○鴨田委員長 これより会議を開きます。 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。増本一彦君。
○増本委員 共産党・革新共同の増本でございます。今回、租税特別措置法の中に、新たな土地税制というふれ込みで自由民主党政府から土地に対する課税の法案が出ていますので、まずそれから質問させていただきたいと思います。 初めに、政務次官にお伺いしたいのですが、田中内閣として都市政策の目標をどこに置いて政策の立案と遂行をなすっていらっしゃるか、その点についてひとつ明確な御答弁をいただきたいと思うのです。
○山本(幸)政府委員 日本は有効に利用できる土地の面積がたいへん狭いわけでありますから、これを効率よく土地を活用していくということが非常に大切なわけなんです。国土全体を開発をしていく計画も一つなければならないわけですが、その場合に、どこまでも公共福祉優先という立場に立った、そういう国土開発をしていく、そういう立場に立ってこの狭い土地を有効にひとつ利用していくという、そういう大きなねらいを立てながら、全国の総合開発計画というものを一つ土地利用計画の中身としてつくっていかなければならない。同時に、現在出ておりまするような土地に対する需要というもの、あるいはまた仮需要が非常に旺盛で地価というものが適正でないということは全体の土地政策として非常に問題でありますので、そういう地価を安定せしめていくという、そういうねらいももう一つ込めていかなければならないのであります。特に、最近は住宅問題として宅地が非常に不足をしておるということがありますので、そういう土地の供給面をふやしていくということも大きな柱として考えていかなければならないわけであります。これに関連していろいろな総合的な施策が行なわれなければなりません。金融政策も私はそれに非常に大切な関与のしかたをしなければならないと思います。そういうことで、全体として、この狭い土地が公共福祉の面から考えて、国民経済的に一番有効に活用されていくという、そういうねらいであろうと、たいへん抽象的なようですけれども、そういうねらいであると理解をいたします。
○増本委員 土地の効率的な活用、それから仮需要の抑制、宅地の供給、こういうようなことをおっしゃいましたけれども、それで税制の面から見まして、昭和四十四年にいわゆる個人について長期の譲渡所得と短期の譲渡所得について特別の課税をするという制度ができたわけですね。一体これの功罪はどうだったのかということが今度の法人に対する土地税制を問題にする場合にもきわめて重要だというようにも思うのです。国税庁からいただいた資料によりますと、昭和四十四年以降、あの四十四年税制によって長期も短期もそれぞれ課税件数はふえている。じゃ、それに見合って、いま次官がおっしゃったように、宅地の供給が促進されたかというと、どうもそういう点になるといろいろ問題がある。もともと土地の供給促進をするということであれば、勤労者の手元に、つまり末端需要者に対して住宅の供給が促進されたときをもってこの効率的な土地の活用というものが一つはかられたというように考えるべきだと思うのですね。そういう意味で、この四十四年税制というのは一体末端需要者に対してどれだけの恩典を与えただろうかということになると、法人の土地の仮需要を促進するだけであって、末端需要者に対して土地を供給するというメリットは何もなかったのじゃないだろうかというようにも思うのですが、この四十四年税制について政府としてどういうようにお考えになっているか、次官にもう一度御答弁いただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 多少技術的な点を含めて、最初にお答え申し上げます。 四十四年税制は、今回の場合と違いまして、御指摘のように宅地の供給ということに主眼を置いてつくられたものでございますが、もう一つ御注目いただきたいのは、従来の累進税制でございますと、たとえば一万坪なら一万坪の土地を売ろうという場合は、一括して売りますと累進税率になりますから税負担が重くなる。そこでどうしても、いずれにせよ土地を売る、供給するということを考える方がありましても、まとめて一万坪というものを売るのでなくて、たとえば二千坪なら二千坪ずつでもこま切れに売っていくほうが有利であるというようなことになってまいりますので、そこで間接的に土地のいわゆるスプロール化を結果として招くという弊害がどうしても出てくる。税としては、累進税率のたてまえからいえばやむを得ないところでございますけれども、土地供給という観点からいうとこま切れ売却奨励になってしまうというようなことが一つございます。そこで、税率を下げるということもありますけれども、分離をして比例税率をとることによって、どうせ売るというのであればまとめて土地を出してもらうということが一つのねらいであったわけでございまして、四十四年以来の課税実績から見ますと、かなり顕著に課税金額がふえておりますのは、そういう意味では効果があったということが言えるだろうと思います。 その際に、せっかく供給が進むのであるからそれが最終需要者に結びつくような手だてが要ったのではないかという点が一点と、それからこれは全国一律の制度としてやりましたものですから、住宅供給とは必ずしもつながらない、たとえばレジャー用地のようなものについてまで供給を促進する結果になったわけでございますので、その点についてはもう少し、場合によったならば住宅用地供給に直ちにつながるようなことを考えた制度であるべきではなかったかということは、その後においては一種の反省が行なわれておるわけでございますが、税の立場だけで申しますと、当時からいわれておったことではございますが、なかなか税だけで全体をうまくやるわけにはいかないので、他のもろもろの土地政策と斉合性をもって土地税制をいたしたいという気持ちが強かったわけでございますが、当時もそういう、いわばのんきなことをいっておれぬ、せめて税だけでも何かやれというような空気が非常に強くて、そういうことから、ある程度はデメリットが付随して出てくるのではないかということは予測しながら四十四年に踏み切ったということでございます。 そこで、土地の問題というのは、特に宅地の問題というのは、単に宅地に向くような土地が供給された、手放されたというだけでは宅地にはつながらないので、所要の交通網の整備であるとか、あるいは水の問題であるとか道路の問題であるとか、もろもろのものが伴ってこなければなかなか直ちにそこへ住めるという状態にならないわけでございますから、そしてかなりまとまった土地の供給を促進する趣旨で分離ということをいたしましたものですから、手放すほうは手放したけれども、なかなか最終需要者がそれを利用する状態にならない、こういうことになったわけでございまして、四十六、七年当時におきましてそのことがたいへん指摘されましたけれども、ある程度はいわゆる開発業者等の手に移って、そして開発業者の手によっていろいろ整備がされていくならば、いずれは供給につながるということであって、片方が売った、直ちにその年に需要者が買ったということにはなかなかうまくいかない。多少長目にものを見ていただかなければならぬという感じを持っておったわけでございます。 今回の税制との関係では、四十六年から緊急に、いわゆる金融情勢が一変をいたしまして、いわゆるだぶつきが起こりまして、それから各方面にもろもろの経営についての不安感が発生してまいりました。そこで、まあ土地を買っておけばだいじょうぶだろうということから、いろいろな企業が、従来の開発関係の業界でない方々まで土地に手を出すというようなことになってまいりましたから、投機問題というようなことがにわかにクローズアップされてきたわけでございまして、今回はややおくればせながらそれをとめるという目的で整備したわけでございますが、前回の制度は、四十四年税制は、そういう意味におきましてもちろんデメリットも伴いましたけれども、それはそれなりに相当の意味があったものと考えております。
○山本(幸)政府委員 ただいま主税局長から御答弁申し上げましたように、確かに四十四年の税制は、簡単に申せば土地の流動を促した、確かに土地が動いたということは事実である。それだけに、私はそれなりの税制としての効果はあったと思います。 そこで、じゃその動いた、流動した土地が、おっしゃるように最終需要者に渡ったかという、端的にいえばそういうことの問題でございますが、それについては、いろいろ見方もございますけれども、当初予想をしたほど、一〇〇%までそういうことがいったかどうかについては、必ずしもそうはいえない面も確かにある。それは四十六年のドル・ショックの問題あるいはその後のいろいろ過剰流動性の問題等もひっからみましてその後のいろんな情勢の変化が起こったものですからそういうことになったものであろう、かように考えるわけでございます。
○増本委員 土地の流動化を促進して最終需要者のほうに十分にいかなかったろうけれども、一定のものはいっているという、そういう趣旨の御答弁ですけれども、じゃ、これで住宅供給が促進されているのだったら、今日のような、毎年毎年、年を追って深刻な住宅問題というのは、起きるどころか逆に住宅問題は緩和されてくるはずだと思うのです。それがそういうようになっていないというのが現実ではありませんか。ですから、土地はなるほど農民や土地を持っている人が手放すということになったけれども、どこかでとまっているというのが実態じゃないでしょうか。 ちょっと建設省にお伺いしたいのですけれども、四十四年以降の各年別の法人、個人の土地の取得状況というようなものがわかれば、傾向でもけっこうですから、もし数字があれば数字を出していただければなおいいんですが、おわかりでしたら、ちょっと説明していただきたいのです。
○吉田(公)説明員 ただいま御質問の土地の移動の状況でございますが、土地に関する所有権の移転というものは非常に膨大な件数でございまして、この全体を必ずしも掌握いたしておりません。 昨年建設省では、東京証券取引所の第一部、第二部上場の会社を対象といたしまして、土地の取得に関します調査を実施いたしました。その際、第一部、第二部上場の会社だけが対象でございますが、そこで回答のありました、これは大部分が大手企業でございますが、七百四十社、これが四十一年から四十六年に至る六年間に取得いたしました土地について把握しております。これによりますと、その取得した面積の合計は四万三千七百ヘクタールになっております。四十一年から四十六年まででございますので、四十四年度から四十六年度という範囲について仕分けをいたしますと、面積は一万九千二百ヘクタールでございます。取得した年度の明らかでないものもございますので、六年間の取得面積のうち取得年度が明らかになっておりますものが三万一千八百ヘクタールでございますので、この三万一千八百ヘクタールとの比較で見ますと、一万九千二百ヘクタールは約六〇%にのぼっております。したがいまして四十一年から四十六年までの全体の中では四十四年度以降の取得面積が多い、六割を占めているというような推定は成り立つわけでございます。 なお、その後別途いろいろ各方面の事情等を聴取しておりますが、別途調査しておりますところを見ますと、以上の数字につきましては、最近に至りますと、かなりやはり増加いたしておる、かように把握いたしております。
○増本委員 そこで、この法人が取得した土地には、事業用資産とたなおろし資産がありますね。私も建設省が調査した「調査結果の概要」というのを持っているわけですけれども、この法人が取得した土地が宅地開発やその他に向けられて実際に最終需要者に供給された分は、全体の取得面積のうちの大体何%ぐらいになるかということはわかりますか。
○吉田(公)説明員 ただいまの取得いたしました面積のうちから、これは造成等を行ないますわけでございますので、当然ある程度の年限がかかるわけでございますが、この四万三千七百ヘクタールのうちから、この期間に供給されました面積は二千四百ヘクタールでございます。住宅用地として供給されたものでございます。
○増本委員 あなたのほうの「企業の土地取得等に関する調査結果の概要」四十七年八月三十日、このプリントの五ページの九を見ますと、「取得土地の利用状況」というところで「昭和四十七年三月三十一日現在既に使用され、又は開発に着手されているのは一万七千三百六十二ha(四二・一%)である。資産別では、事業用資産は一万五千六百十四ha(六〇・五%)が使用又は開発着手されているのに対し、たな卸資産については千七百四十八ha(一一・三%)が着手されているだけである。」こうなっていますね。これはそのとおりですね。
○吉田(公)説明員 ただいまの御説明、ちょっと悪かったわけでございますが、二千四百というのはすでに供給された面積でございまして、千七百四十八ヘクタールと申しますのは保有しているもののうちで工事に着手しているもの、こういう数字になるわけでございます。
○増本委員 もう一つお伺いしますけれども、建設省は、民間宅地造成実態調査というのをやっておられましたね。これに基づいて昭和四十四年以降四十七年度までの宅地造成の実態調査は、年別にいうとどういうぐあいになっていますか。
○吉田(公)説明員 宅地造成実態調査の資料をちょっときょう持ち合わせいたしておりませんので……。
○増本委員 傾向だけでけっこうですよ。
○吉田(公)説明員 ちょっと私、直接担当しておりませんので、今日のところちょっと申し上げるようなデータを持っておりません。
○増本委員 これは実態調査は統計の数字が出てますね。至急私のところに届けてください。
○吉田(公)説明員 お届けします。
○増本委員 いまお聞きのように、法人は事業用資産や、あるいはたなおろし資産として土地を取得しているけれども、しかし特にたなおろし資産については、昨年の年度末でわずか一一・三%しか開発に着手していないという、こういう数字が出ているわけですね。個人から土地は手放させたけれども、しかし宅地として最終需要者に供給をするという点では、ほとんど手が打たれていなかったというのが実態だと思うのですよ。 もう一つお伺いしますけれども、国や住宅公団、住宅公社あるいは地方自治体などが土地をどのくらい四十四年以降取得して、そしてまた住宅建設にどのくらい供給しているか、その実態はおわかりになりますか。
○吉田(公)説明員 四十四年以降のいわゆる国と申しますか、住宅公団あるいは公共団体等の合計の数字、これも私、ちょっと申しわけございませんが、手元にいまございません。これも後ほど御説明さしていただきたいと思います。
○増本委員 国税庁に伺いましょうか。国や住宅公団あるいは住宅公社、自治体などが公共用地として取得する場合には、やはり租税特別措置上の一定の措置がとられますね。これの適用件数というのはどのくらいになっているのか。
○吉田(冨)説明員 私どものほうで統計をとっておりますのは、租税特別措置法の適用条文別にとってございますが、譲渡関係の租税特別措置法全体で、四十六年分でございますが、十九万件ございまして、大きく分けまして、収用等の場合が約半分の九万九千件でございます。それから居住用財産の課税の特例のほうが六万三千件、それから事業用資産の買換え等の課税の特例のケースが二万七千件でございます。 御指摘の点の収用等の場合の課税の特例の中の、たとえば千二百万円控除の場合は新法で三十三条の四でございますが、これが大部分でございまして八万二千件、九万九千件の中の八万二千件であります。ついでに申しますと、三十四条関係が約千五百件、三十四条の二の三百万円控除が約八千件でございます。
○増本委員 法人の仮需要を非常に促進したという点、そしてそれが土地の値上がりにつながった、この事実は政府としてもお認めになるわけでしょうか、次官、いかがでしょう。
○高木(文)政府委員 四十六年から非常に土地が動いたということがいわれまして、それに関連して今回の土地税制に至りますまでの間におきまして、私どもで統計的なものではございませんが、各方面からいろいろ事情聴取したときの私の持っております感じから申しますと、一番何と申しましても、もろもろの企業の手元の金融がゆるんだということが一つと、それから輸出に関連するもろもろの業界の方、これはメーカーもありましょうし、問屋さんのようなものもありましょうし、商社等もありましょうが、そういう方々がニクソン・ショックのいわばショックを受けまして、これからいままでの輸出中心の経済ではだめになるのではないか、それぞれの経営責任者が今後の自分のところの経営をどうやっていくかということに関連をして、やはり経営の何といいますか危険の分散といいますか、そういう角度から、ある程度土地を伴うような仕事に手をつける、広げるというか、営業面を変えていかなければならないのではないかという経営者の意識が動いたということが一つと、もう一つは、ただ働くだけが能ではなくて、適当に働き適当に休むという時代に入ってきたということで、いわばレジャー産業のようなものについて将来希望が持てるということから、レジャー産業用の仕事に興味が集まった。一時ボーリングとか何とかいうことがいわれましたが、さらにそのほかのレジャー産業に興味が集まったというようなことで、非常に土地の需要が高まったわけでございます。 その高まったのが四十六年でございますが、不幸にして四十七年、四十八年から分離課税の税率が一〇から一五に上がる。四十七年の一月一日からは一五%になります。四十六年までは一〇%でありますという、いわゆる分離課税の階段のところにきた時期と、そういう経営者マインドに変化が起こった時期が重なったということがありまして、売るほうも、もし同じ売るのであれば四十六年中に売れば一〇%の税金で済むし、四十七年になると一五%になる。だからずっと将来とも持ち続けるという気持ちであれば別ですが、多少とも動意のある方は四十六年度中に売ったほうがいいかなと、こういうふうなことが働き、買うほうは、いま申しましたような事情で、いろいろな経済事情の変化から土地を必要とするようなそういう営業面に動いていったほうが得だな、こういう動きがありまして、それが重なってたいへん過熱をしたということではないかと思います。 そういう場合に、もしそういう税制なかりせばどうなったかということはちょっと予測がつきませんので、いまありますような四十四年税制というものがない状態のもとにおいて、しかし一方においてニクソン・ショック等の経済上の大きな変動があったという時代において動いたか動かなかったかということは明確にはわかりませんので、そういう意味においてどの程度いわば税制の責任であるということがいえるのかよくわかりませんが、たまたまとにかくそれが重なってそうなったということは事実でございまして、さればこそ四十六年の譲渡所得の申告件数は、四十七年の三月十五日の確定申告期に申告されるべき譲渡所得の申告件数は、たいへん件数、金額ともに伸びた、こういうかっこうで統計上もあらわれておるわけでございます。
○増本委員 土地に対する法人の仮需要が非常に伸びて地価が上がったというのは一般的にいわれていることでありますね。この点についてはいま、ニクソン・ショックやあるいはインフレヘッジで土地に手を出す、そういう企業者のマインドの問題もあるというお話がありもしたけれども、そういうことを含めて、ともかく土地に手を出したことによって地価が上がったんだという事実はお認めになるわけでしょう。いかがですか、政務次官。
○山本(幸)政府委員 いまの経済機構のもとでは、価格は原則として需要供給の関係できまるわけですから、需要が大きかったからやはり地価が上がってきた。その需要の中にはいろいろある。いまおっしゃるような仮需要もなかったとはいえないと思います。しかし全体として土地に対する需要といいますか、土地を持ちたいというそういう欲求というものは国民の中に相当強く過去もあったし、現在もまだある、こう私は思うのですが、供給がそれにマッチしなかったということからこういうことが起こったのだろうと思います。しかし、おっしゃるような仮需要の問題も確かに私はあると思う。しかし、先ほど来建設省とのいろいろ御議論の中で、なるほど法人買いが行なわれておりますけれども、その法人買いのした土地というのは一体どういう土地かということを統計的には私も存じませんけれども、傾向としてはやはり市街化区域もそれはあるかもしれない。しかし大口に買ったのはやはり市街化調整区域で買ったのではないだろうか。調整区域が直ちに宅地供給につながっていくかどうか、これはよほど交通その他関連公共施設を考えていかなければ宅地化になかなかつながっていかない土地が多い。と同時に、またいまたなおろし資産の話がありましたが、そういう土地を買ってからやはり具体的に最終需要者への供給というところまで行くには、やはりある程度の時間的な経過が必要である、いま持っておるものが全部いつまでも金利その他の関係からいたしまして持っているわけにはいかないのだ、逐次これはいろいろな関係の開発、関連公共施設もできてきて、少し時間はかかるけれども、やがて宅地開発につながる、またつないでいかなければならない、こう思うわけでございます。そういうことを、だんだん政府の土地政策として今度考えていくという意味で、今後いろいろこれから国会にも御審議をお願いを、土地対策としてまたわれわれの担当である税制の面もお願いをしていかなければならないであろう、こう思っておるわけでございます。
○増本委員 国民だれもが土地はほしいのですよ。だけど買えないのが実態なんじゃないですか。ですから、国民は買いたいけれども手が届かない。じゃあ一体手を届かなくしているのはだれかといえば、これはもう法人の仮需要以外にないじゃないですか。ニクソン・ショックなどの問題から、そのショックを緩和するために土地に手を出すというようなことにもなったというようにもおっしゃるけれども、そういうことにも実は政府が、特に大蔵省がやはり手を貸してきたのじゃないですか。 たとえば土地関連融資をとってみましても、不動産業では、昭和四十六年の上期が全国銀行の総貸し出しの残高が二兆五千四百七十億円、それが四十七年の第三・四半期になるとほぼ二倍の五兆一千四百八十億円にまでふくれ上がっていますね。建設業にしましても、四十六年の上期の残高が二兆五千二百六十三億円、それが四十七年の第三・四半期になると三兆九千五百七十六億円にふえている。こうやって土地関連産業に対する融資をどんどん促進してきて、それに対するチェックをほとんどしてこなかった。そうしてその資金がみんな土地に回って、法人の土地の仮需要を促進している。 ですから、一方で土地を持っている農家などのさいふのひもをゆるめるような四十四年の税制をつくって、さあ買いなさいということで銀行の資金はどんどん貸し付ける。こういうことが行なわれた結果、法人による買い占めが促進されて、ますます地価は上がる、国民の住宅の要求はどんどん距離を隔てて遠くなっていく、これが四十四年の税制の一つの問題であったというように思いますけれども、この金融政策一つとっても、その仮需要を促進してきたのがやはり大蔵省の金融政策であるというように思いますが、この点、政務次官、いかがでしょう。
○山本(幸)政府委員 先ほども、最初に私が御答弁申し上げたように、土地政策の中でやはり金融政策は非常に大切である。金融面で土地政策に貢献をしていく、そういう態度がどうしても私は必要だろうと思っています。いまお話しのように、確かに金融がゆるんで、そのゆるんだ結果が土地にあらわれてきたという面ももちろん否定はできないのであります。と同時に、しかしニクソン・ショック以来政府で一番気をつけ、関心をもってやってきましたことは、やはり中小企業対策というものについて考えていかなければならない、中小企業対策を真剣にひとつ考えていかなければならぬ。特に中小企業対策となれば金融が非常に大切でありますので、そういう面で私はどうも金融政策というものが中小企業対策のほうにやや引っぱられていったのではなかろうか。まあ一つの影響として、あるいは効果として土地にいったということも一部私は確かに起こったと思います。しかし全体として、必ずしも大蔵省が大いにそういう手をかしたとまでは私ども考えておりません。また最近では、金融政策では、土地に対する融資については相当の引き締めをもちろんしておるわけでありまして、政府としては土地の投機あるいは土地の仮需要に対して金融政策の上で協力をしたとまでは考えておらないわけであります。
○増本委員 次官、四十六年の上期が二兆五千四百七十億円の残高があるということをいまお話ししたわけです。それが四十七年の第三・四半期になったら二倍の五兆一千四百八十億円になっておるわけですよ。これは不動産業ですよ。あなたのおっしゃるように、これは中小企業に振り向けたとおっしゃるのですが、中小企業の不動産業にだけこれだけの金は貸したということになるのですか。そうじゃないでしょう。建設業だって同じですよね。二兆五千二百六十三億円が三兆九千五百七十六億円にふえている。全国銀行だけですよ。ほかの都市銀行や地方銀行、信託銀行を含めれば膨大なお金がこういう不動産関連企業に流れて、これの多くの部分が土地関連融資だということは明らかだと思うのですね。それで大蔵省も相当引き締めを土地関連融資についてはやっているというようにおっしゃるけれども、それはあれでしょう、銀行局長が四十七年の十一月十七日、去年の暮れになって第一発の通達を出している。それだって「いやしくもこれらの融資が安易に流れ、投機的な土地取得を助長するようなことがあってはならない」というような立場からやっているのであって、そうでない土地関連融資と分けている。だから、ここのところでは決してぴちっとそれについての銀行側のさいふのひもを締めていくという立場がはっきりしているとはいえない。そのあとも、それでも言うことを聞かないので、ことしの一月三十日にまた再び「金融機関の土地取得関連融資の抑制について」というのを通達を出している。この二回だけですよ。ですから、銀行からどんどんこういう不動産業や建設業、また私鉄のほうにも金を出す、そして法人の土地の買い占めを促進してきた。あまりに事態がひどくなったので、あわてて、それも銀行局長の一片の通達で済ませているというのが実態じゃありませんか。だから、こういう法人の仮需要を促進してきたのはやはり政府の金融政策に責任がある、こういうように思うのですけれども、いかがでしょう。
○山本(幸)政府委員 確かに不動産あるいは建設関係に相当の融資が行なわれたということは私どもも承知をいたしております。これはまあおっしゃるような面もあると思います。しかし同時に、先ほど来お話しのような宅地供給という、そういうことに対する国民の関心が非常に強うございますから、そういう面に向かっての仕事をするための金融というものも行なわれたものであろう。そしてそれは、先ほども申しまするように、素地として買ったものがすぐに統計数字で宅地供給として出てくればいいのですけれども、なかなかそれが出てこない、しかしやがてある程度のタイムラグをもって出てくるであろう、またそれは出すようにしなければ政府の土地政策としては完全ではない、こう思うわけでございます。銀行局長の通達というお話ですが、しかし銀行局長の通達で政府は本腰を据えてやっておりますので、そういう面では今日金融面で相当徹底をしておると、こう私どもは考えておるわけであります。
○増本委員 ところが、きのう通産大臣が閣議で報告をした。商社の買い占めの内容が新聞にも報道されていましたけれども、これを見ても、土地についてだって、六大商社による四十八年一月末の手持ちが三千七十万平方メートルだ。一戸二百平方メートルの宅地に換算すると十五万三千五百戸分の建物が建つ。簿価で一千百五十億円にもなるのだ。これは手元流動性があって、この手元流動資金を、銀行から出ているものを銀行に返さずに、それが有価証券や土地に流れるというこういう実態があるのだということをはっきり政府は認めているわけですね。ですから、銀行から借りた金で土地をはじめ現在問題になっているいろいろな商品の買い占めが行なわれるということですから、その前にこうやって金融のひもをゆるめてきた、そのことが今日の事態をはっきり招いているのだということは、この閣議の報告された内容でも歴然としていると思うのですよ。 じゃ伺いますけれども、今後はこういう問題についてはどういうように対処されるのでしょうか。次官にお答えいただきたいと思います。
○山本(幸)政府委員 すでに今日金融面の対策としましては、土地に対する融資は全体の貸し出しの平均レベル以上は貸してはならないとか、そういう金融面での引き締めを土地に対して特にやっておるわけであります。その他一般的な金融政策による全体の引き締めについては、御存じのようにすでに預金準備率の引き上げを二回にわたってやり、また最近は総需要抑制の意味での金利、公定歩合の引き上げもやったわけであります。全体としてはそういう流動性をなくするという方向に政府は極力努力をしてきておるわけであります。だんだんにそういう引き締めの効果が今日すでにあらわれつつある。もちろんその中では中小企業に対する配慮というものを忘れてはならないわけでございますが、そういう流動性をなくしでいく方向に向かって今日金融が動いているわけでありまして、特にそういういろいろな面に過剰流動性が頭を出したということについては私ども否定をいたしませんが、政府の今後の態度としてはそういう過剰流動性を押えて、適正な、安定した国民経済の運行をはかっていく、こういう方向で鋭意努力をしておるわけでございます。
○増本委員 建設省にお伺いするのですが、一度ちょっと説明を受けたいのですが、そうすると現在、よく私どものいろいろな文献などからの調査によりますと、大体日本国土の一%くらいが大企業に買い占められている、こういうように見ているわけですけれども、建設省としてこういう大企業、大法人が買い占めている土地が現在どのくらいあるか、その点についてはいかがですか。
○吉田(公)説明員 先ほど御説明申し上げましたあの調査であります。昭和四十七年の三月末におきます数字を一応公式に私どもは確認しているわけでございますが、これは大企業、東証一部、二部の上場会社の保有しております面積といたしまして、四万三千七百二十六ヘクタールというものが昨年の三月末現在において保有されていたということを確認しております。
○増本委員 これは二百九十四社ですね。あなたのほうの調査報告の二ページのIIの1、土地取得の総数というところ、四十一年四月一日から四十七年三月三十一日までに二百九十四社が取得した土地の総面積は四万三千七百二十六ヘクタールである、こういうような数字が出ていますね。
○吉田(公)説明員 四万三千ヘクタールは取得した面積でございまして、保有した面積の合計につきましては、その調査にかかります企業のうちの六百九十六社、それの保有している面積の総数が三十三万四千百七十一ヘクタールございまして、先ほどのものは取得面積でございます。
○増本委員 そこで、大企業なり法人が買っている土地を、これをさらに高い値段で売って不当な譲渡益を取ることに対する規制は当然しなければならないと思うのです。しかし、買い占めていて土地の値上がりを待っていたり、あるいはなかなか開発をしようとしない土地を、できるだけすみやかに放出をさせて、それを最終需要者である勤労者の住宅供給に充てるための具体的な方策がいま何よりも必要だと思うのです。そういう点で大蔵省としては、どういう手だてを具体的にやろうとしておるのか、建設省ではどういう計画や方向を持っているのか、その点についてお伺いしたい。まず政務次官からお願いします。
○吉田(公)説明員 土地の供給の促進につきましては、先般の地価対策要綱という形で政府の考え方をきめたわけでございますが、土地利用計画の拡充、それから土地税制の整備、それと宅地供給の促進という三本の柱を地価対策要綱ではきめたわけでございますが、その宅地供給の立場におきましては、私ども、公的宅地開発というものの促進、これを一つの大きな柱にいたしておりまして、これにつきまして法令の整備、事業実施に関しますいろいろな手段の拡充、資金の拡充、こういうようなことで鋭意いまやっているわけでございますが、さらに市街化区域そのものもまだ宅地に使える土地が非常にたくさんあるわけでございまして、これを具体的に宅地化していく。先般、方針をきめております宅地並み課税、これも一つの手段でございますが、さらに市街化区域内の農地その他の未利用地の宅地化の促進につきまして、別途新しい考え方も現在検討中でございます。 そういう形でございまして、既成市街地及びその周辺におきます未利用地の宅地化の促進につきましては、第一義的には、土地所有者が区画整理の形でやりますとか、あるいは土地をそのまま開発行為の形で宅地化をいたしてまいります。さらに、ある程度以上の規模の計画的な宅地開発を適当とする区域につきましては、これを主として公的機関の宅地開発事業という形で積極的に宅地化をはかっていく、こういった面で総合的に進めつつあるわけでございます。
○山本(幸)政府委員 大蔵省として、まず税制の問題でございますが、税制は、あまり長く持っておればそろばんに合わなくなる、だから、なるべく早く宅地化して、それを最終需要者に結びつけるというように誘導的な税制を考えていく。そういう面でできるだけ今後も考えていきたいと思うわけであります。 と同時に、宅地開発になった場合に関連した公共施設がなかなかできてこない。一戸ぽつんぽつんと建つ場合はいいのですけれども、大量の住宅、宅地供給をしようとする場合には、どうしてもそういう関連施設というものに相当力を入れていかなければ宅地としての役割りが果たせない、こういうことがありますから、今後はそういう面で大蔵省としてできるだけの協力もしていきたいと思うわけであります。しかし何といいましても、もう少し大きな観点で国土の全体の有効的な活用という点から、今度国会に出ております国総法といったような大きな網をかぶせてもらって、その中でできるだけ大蔵省としてできることについての協力をしていきたい、こう思っておるわけであります。
○高木(文)政府委員 昨日他の委員の御質問にお答えいたしましたように、今回の法人税の二割増しという制度は、どちらかというと投機抑制のほうにきいてくると考えておるわけでございまして、その結果流通がかえって阻害されるということは心配されるわけでございます。最小限、そういうことになりませんように、若干の配慮はいたしておりますが、今回の法人の譲渡課税、それに伴います個人の譲渡課税の重課の制度は、どちらかというと主として投機抑制のほうに働くということになろうかと思います。 そこで、今回の税制を考えます際に、それでは困るということから、やはり保有に伴いまして負担がかかることにする必要があるというところから、四十四年一月一日以降に買われました土地につきましては、地方税として特別保有税という制度を設けることによって、管理費用の負担を増加するという形式を通じて、漸次、むだなものはあまり長期間持っているということが起こらないような方向にやっていこうというのがその考え方でございます。これは地方税として創設することになりましたけれども、この最後の検討の段階におきましては、この譲渡税と総合的に考えていたわけでございます。 なお、やや長期の問題につきましては、水の問題をはじめといたしまして、いろんな問題に関連し、基本的な諸政策が立つことが必要なわけでございまして、私ども税制の立場といたしましては、これ以上何か宅地供給を促進する手だてがなかなかいま見つからぬ、こういう段階でございます。
○増本委員 いま持っている、こうした大企業、法人の土地を、ほんとうに住宅供給にやっていくためには、直接的にはやはり土地収用の措置をきびしくとるとか、それから公共団体や国に対して先買い権をきちんと保証するとか、そして公共用地の取得を完全にさせるという手だてがもっときちんととられなければいかぬし、もう一つは、いま税制の問題でお話しになりましたけれども、たとえば、いまは地価の上昇率が金利を大幅に上回っておりますね。ですから、いつまで土地を持っていても値上がり期待の利益を考えれば金利分などたいしたことはないという、そういうことが三日の閣議でも報告されたように、銀行から金を借りているのに金は返さないでさらに買い占めに金を使う、こういう形になっているじゃありませんか。今度の土地税制のもう一つの目玉である——政府は目玉というわけですが、保有税にしても、取得のとき三%でそれからあと一・四%ですね。これなんか利子率を上回る土地の値上がりなんですから、これ自身は土地を吐き出させる効果というのはほとんどないんじゃないですか。こういう点でも、大企業や大法人が四十四年の税制でひもがゆるんだところでたくさん土地を買い占めておきながら依然としてそれは抱きかかえておいて土地の値上がりを促進させる、しかも最終需要者に対する土地の供給については依然として進もうとしない、こういう結果にあらわれていると思うのです。 ですから、土地収用権や先買い権をきちっと保証すると同時に、大企業に対する固定資産税や保有税的なものをきびしく課して、そして土地供給をほんとうに促進させていく、そういうことをやれば、何もいまここで宅地並み課税を改めて持ち出してきて、何か農家が土地を吐き出さないのが住宅難の最大の原因だというふうにすりかえる必要は全くないというように思うのですよ。建設省の結果によっても、たなおろし資産だけで都市計画区域内に七〇%を占めているというように書いてありますね。六ページの10のところです。そして四十六年度末までに保有していた一万六千九百五十一ヘクタールのうち一万五千四百四十三ヘクタール、つまり二%ぐらい開発して、あとはまだそのまま何も手をつけていないという面積ですけれども、こういうものをすぐにでも住宅供給のために使うという手だてを国が積極的にとるかどうかということがきめ手だというように私は思うのですが、その点では次官、いかがですか。
○吉田(公)説明員 ただいまの数字でございますが、先ほど大蔵省のほうからもお話ございましたが、土地を取得した場合にこれが直ちにそのままに住宅地になるわけではございません。これにはいわば関連公共施設整備そのものが必要でございますが、関連公共施設整備にあたりましては計画を策定いたしまして、これは市町村あるいは府県、こういったところと計画の調整をいたします。さらに道路その他の物的なもののほかに、水道でございますとかバスでございますとかそうした機能的なものをもあわせ整備し、さらに学校を整備しというような問題に波及してまいりますので、取得するユニットが大きくなりますと、土地を取得しましてから事業に着手し、これが供給されるまでの時間というものはかなりかかってくるわけでございます。特に水問題でございますとか交通問題でございますとかいうものが大きな課題になってまいりますと、それのすり合わせというものにはかなり手を要するわけでございまして、取得した土地の中でただ値上がりだけを目的としているというものが全くないとは断言できないわけでございますが、しかし、非常に多くのものが実際開発しようとしていまそういったいろいろの段階にある。これは四十四年以降の取得でございますので、四十一年以降の取得したものでございまして、特に最近の取得が多いわけでございますからそうした段階にあるものがかなり多いわけであります。 それはそれといたしまして、計画的に宅地開発を進める、そうした公的開発の比重を多くするということももちろん必要でございまして、そうした面につきましては、こうした企業が持っておるかどうかということとはまた別個の観点から必要なものについてはどんどん事業を開発してまいりたい、かように考えております。
○山本(幸)政府委員 いま建設省からもお答えがありましたが、できるだけ宅地供給をふやすという面ではこの市街化区域内にあるわりあいに小さいユニットのものをできるだけ宅地化していくと同時に、今度は調整区域内、これは法人が買ったものは調整区域が多いのだろうと私は思うのですが、この調整区域で大量に宅地供給をふやす。大口に宅地供給をふやすという面になりますと、これはデベロッパーが良心的に開発をいたします。同時に最近は、地方でたとえば住宅公団が住宅を建設しようとしてもあまり歓迎されない、こういう事態になってきております。特に大都市近郊においては住宅公団の団地がなかなかできにくいということがあります。これもなぜそういうふうになっておるかということもよく考え、私は、そのおもなものは、交通とかあるいは学校とかといったような関連公共施設にたいへん金がかかるということであろうと思われますので、そういう宅地供給に結びついていかない、障害になることをできるだけ取り除いて、庶民の希望である宅地が手に入るような方向に今後政府としても考えていかなければならないものであろう、こう思っておるわけであります。
○増本委員 口を開くと福祉への転換ということを政府は言っておるわけですから、これこそ福祉への転換のために、その生活関連施設にたくさんの金を使うというのはもう当然のことではありませんか。だから、生活関連施設に金がかかるために時間がかかる、だから保有している土地もなかなか供給に回らないのだというだけでは国民は納得しないと思います。その点について、政府の猛省を促して次の問題に移ります。 四十四年の税制で、一つは所得の分配が非常に不公正になった。国税庁の長者番付によると、四十六年は上位十人みんな土地成金でしたね。百人中九十五人が土地成金です。こういう分配の不公正をなくすための手だては、政府としては何も方針をお持ちになっていませんか。
○高木(文)政府委員 四十四年の土地税制のときに、先ほど申しましたように累進税率になっております所得税を、土地の譲渡についてはやらない、比例税率にするということにつきましては、土地政策としては非常にいいわけでございますけれども、税制、なかんずくただいま御指摘のような所得再分配という意味から申しますと非常に大きなマイナスでございます。その意味では四十四年の税制がつくられます時期から、その時点においてすでに税制としての基本的な問題である所得再分配をある程度といいますか、相当程度犠牲にするということは、制度をつくりました段階からいわば覚悟の上であるということでございまして、さればこそ税率を二、三年たちましたら一〇%から一五に上げ、四十九年度からは二〇に上げて、五十年度まででこの制度はやめにして、そしてもとに戻る。その間において、何らかの形において土地政策を他の方面においてもいろいろ整備をしていただくということの前提のもとに、つまり五十年度にはもとの体制に戻るという前提のもとに四十四年度土地税制は一応仕組まれておるわけでございます。 いま御指摘の点につきましては、しかしながら土地の問題だけではなくて、預金についての分離課税の問題であるとか、配当についてのいろいろな税制の問題であるとか、その他資産性所得についての特例措置がいろいろあります関係上、現在所得税の再分配機能というものは必ずしも十分に機能しなくなっているという問題がありまして、そこで将来この土地税制をどういうふうにするかということとも関連し、それからしばしば当委員会等で御指摘があります株式の譲渡所得の非課税問題とも関連いたしまして、所得税の本来の姿に立ち戻るといいますか、そういう方向で長期的に所得税問題を考えていかなければならないし、もしそれができない——株の問題については先般来申し上げておりますように執行との関連でなかなかできにくいという問題がありますし、土地の問題につきましても四十九年、五十年が過ぎましたならばもとの体制に戻り得るかという問題もいろいろあるわけでございますので、そういう形になります場合には何らかの形において資産性所得の問題について考えなければならぬ。先般来、今国会の御討議におきまして一種の富裕税という御提案があり、そしてそれに対して大臣からもいわば所得税のいまの問題との関連において研究すべき問題であるという答弁がなされておりますが、たとえばそのやりとりにあらわれておりますように、私どもも所得税の再分配機能をもう一度取り戻すといいますか建て直すといいますか、そういうことの必要性を感じておる次第でございます。
○増本委員 いま局長のお話ですと、四十四年税制ですが、五十年にはやめて総合課税に戻す、ここういう方針なんですね。
○高木(文)政府委員 四十四年税制をつくりましたところの意味は、これは臨時の税制である。これは所得税にとってはたいへんな犠牲でございます。非常な犠牲でございますから、これは恒久税制というのはあり得ないので臨時の税制でなければならない。それからもう一つは、いままでの税法ではほとんど例を見なかった税率に階段を設ける、年次が経過するに従って税率が上がっていくということを通じて早く土地を売っていただきたいということにする、そうすれば緊急当面の問題はある程度片づき得るのではないか。同時に、私どもとしては、率直に申しまして当時から税制で土地問題を片づけるということについてはたいへん疑問に思っておったわけでございまして、税制と同時にもろもろの土地対策が早く成立されるべきことを期待しておったわけであると同時に、でき得るならば他のもろもろの政策と同時並行的に土地税制をとるべきではないかという考え方もあったわけでございますが、他のもろもろの政策といってもなかなかそう急にはとれない。 〔委員長退席、大村委員長代理着席〕 それでは税制もそれまで待っているというのでは結局何にもしないということになるのではないかということから、かなり無理をして税制のほうが先にスタートした、こういうかっこうになっております。今国会におきまして御審議願うことになっております国土総合開発法等にあらわれております、またその他の土地に関する諸法の改正案の御提案にあらわれております考え方は、従来の土地に対する考え方と、いろいろ御意見はありましょうが、非常に基本的に変わってきておるわけでありまして、そういう意味におきましては、やっと今日の段階になってもろもろの制度が整備され始めてきた、こういう形でございます。 でありますので、あと二年たちました段階でこの制度をどうするかということは、いまここでお答えすることはできませんけれども、しかしいま私が申しましたのは、四十四年につくりましたのはそういう意味でありまして、土地政策の問題はしばらくおきまして、所得税の立場から申しますならば、やはりいわば初心に返って五十年からはもとに戻していただきたいというのが私どもの税制のほうからの立場でございます。 ただ、いかにもことしになってようやく国土総合開発法が整備されるわけでございますし、国土総合開発法が整備されて、それに伴いますもろもろの計画実施、事業実施がほんとうに動き出しますのは、政府の考え方でも四十九年末か五十年にかかるという状況でありますので、そのことを考えますならば、土地政策のサイドからはもう少し税制についても何か考えろということにあるいはなるかもしれません。そのことはいま予測がつかないわけでございますが、私どもは税制だけの立場からいうならば、何か早く本来の姿に返らぬことには何ともならぬ、こういうふうに思っております。
○増本委員 いまの点、政務次官いかがですか。五十年にはやめるということになるのですか。私は、こういうものはもういますぐやめて総合課税に戻さないと、これは分配の不公正をさらに助長するものだというふうに思うのですよ。その点で局長からも御答弁いただきましたから、政府の方針としてどうなのかということをはっきりもう一度簡単に答えてください。
○高木(文)政府委員 四十八年度の新しい、今回お願いしております税制を検討いたすにあたりましても、四十四年度税制をどうしようかということを実は一応検討をいたしました。ただ問題は、四十四年度税制の持ちます意味は、四十四年、四十五年、四十六年の三年間は一〇である、そして四十七年と四十八年は一五である、四十九年と五十年は二〇であるといういわば非常に異例のタイプのスケジュールをきめた税制になっておるわけでございます。そういうスケジュールをきめた税制になっておりますので、今度の四十八年度の税制を考えます際に、四十四年度税制に、つまり個人の土地の譲渡所得について何らかの手直しをするということになりますと、やはり事がそういうスケジュール税制でありますだけにまずいのではなかろうかということで、四十四年度税制のほうは全く手を触れない。もちろん一部手直しをいたしまして、従来四十四年度税制は譲渡所得についてのみ適用があることになっておりましたのを、土地の売買に関します事業所得の短期譲渡所得にまで広げることにはなりましたが、その程度の手直しでとどめたわけでございます。 これから先の問題につきましては、政務次官への御質問でございますので、先ほどの答弁以外は差し控えます。
○山本(幸)政府委員 この問題は、先ほど来のお話のように、四十四年当時、税制ということによって土地の流動化をはかろう、こういう考え方から始まったわけでして、時限立法で五十年まで、こういうことであります。一つは土地を持っておられる方もそれを考えながらいろいろおやりになってきておることであろうと思われます。土地に対する考え方は、いままで土地所有権というものに対して絶対だという非常に強い考え方がございましたから、それに対して根本的に考え方を統一していくという立場がどうしても私は必要であったと思うのですが、四十四年当時は、まだそれに対して今日ほど国民的な感覚もきつくなっていなかったように思います。そういうことを踏まえたこの四十四年度の税制改正であり、五十年までということでやっておるわけでありますので、なるべく早くこの制度をもとの制度に戻していきたいということでありますけれども、当面はいろいろそういう期待を持っておられる国民もおることでもありますし、それを踏まえた上で、できるだけひとつ土地政策に対する推進をはかっていきたい。先ほど来お話の、これによっていわゆる土地成金というものが一部できたということでありますが、これらに対してはやはり今後の税制の上でしかるべき適切なる措置をして、国民の税に対する不公平感というものに拍車がかからないようにやっていかなければならない。これはひとつ今後の研究問題として政府としても考えていきたい、こういうことでございます。
○増本委員 これは次官、かりに一五%が二〇%になる、この間に税率が五%上がっても、二日付の官報で公示された公示価格の値上がりを見たって、一年間に三〇・九%平均して上がっているということになるわけでしょう。五%の税率が上がったって、地価のほうが三〇%以上上がるということになればますます所得の不平等が生じてくる。一方で地価をどんどん上げておいて、そして税率は安い税率で、結果は土地成金をたくさんつくっていくということだけになる。今度の国土総合開発法にしましても、民間デベロッパーを大量に使って民間資金を導入して開発していくなど、非常に大企業本位のやり方になっているように思いますけれども、しかしそういう問題を除けば、国が公共用地や何かを取得するという点では、いまの措置法でも控除額が引き上げられるなど、この点をさらに改善することによって、土地の所有者の権利を守りながら土地の供給を促進していくということは少なくとも可能であるというように思うのです。この三十一条の長期譲渡所得など、これの基本はどこにあるかといったら、民間の法人が土地を買う、この法人に対する土地の供給を促進するということだけだと思うのです。公共事業だったら全部、先ほど直税部長からお話しになったように、特別控除の話が問題になるわけですから、土地収用にしても区画整理にしたって、これをさらにやろうということになると、先ほどお認めになった法人の仮需要が促進されて、地価がどんどん上がっていったということをさらに一そう進めるだけでなくて、先ほどから指摘しているように土地成金をさらにもっと大量につくっていくということだけだと思うのです。だからすぐにこういうものはやめて、そして総合課税に戻して、ただ小規模に土地も処分しなければならないような人についてだけ、いまの百万円の控除額を引き上げるとかという手だてをとれば土地所有者に対する利益も解決できるというように思うのです。こういう方向で改善することを強く要求したいと思います。 ところで、いま地価が非常に高騰しているのですが、どうしても土地政策の上でこの地価を安定させることが非常に重要だというように思うのですが、政府は、土地の価格がどのように形成されるというように考えているのか、ひとつそこのところを、これは経済企画庁でしょうか、所管の政府のほうから説明をまずいただきたいと思うのです。
○下河辺政府委員 経済企画庁が地価の形成の問題について所管かどうかということはちょっと疑わしいわけでありますが、私から、現在知っております限りにおきまして若干、簡単に御説明いたします。 一つは、やはり基本的には国土の利用というものが大都市へ非常に集中型であるということが非常に大きな地価形成への影響を示しているというふうに思います。しかも最近では大都市への集中だけではなくて、大都市の中におきます若年層の、ちょうど戦後生まれた方々が社会人化する時期に到達しておりまして、結婚期を迎えているというようなことから需要増が非常に、集中に加えて加速されているということがあるかと思います。そして一方では、そういう事情を反映して地方分散ということが政策的にもとられ、実際の動きの上にも出てまいりますから、地方への需要が増大して、さらに地方の地価の増加にもつながっているというふうに思います。そういったような土地利用面からの動きが地価形成の一つの要因ではなかろうか。 しかし、先ほどから御議論ございましたように、もう一つは地価の異常なる上昇期が最近だけでも三回くらいあったのじゃないかと思っております。その一つは、昭和三十年代の初期におきまして、高度成長期を迎えて重化学工業の設備投資が非常に大きくなりました時期に、不動産研究所の資料によりましても年間四〇%も上がった時期がございます。そのときにはやはりそういった企業用の用地の需要の増に見合って、やはり投機的な、あるいは実需的なものを伴った土地の取引が行なわれて暴騰したものと思われます。第二回目は、昭和四十年代の初期でありますが、やはり大都市におきます宅地需要の増というものが大きく反映しているのではないかというふうに考えておりまして、ちょうどその時期に工場用地の地価の値上がり率よりも住宅用地の地価の値上がり率が高くなった時期がございます。三回目は最近、昨年、ことしにかけて、資金の流動性が非常に高い中で、しかも企業によります設備投資が非常に停滞したということを反映して、やはり土地に資金が向いたということは御指摘のとおりで、その時期にやはり地価の投機的な暴騰があったものというふうに考えられておりますが、そういったような意味で非常に大きく経済的な要因というものが働いているということも一つあるのではないかというふうに思います。 それからもう一つは、先ほどから御議論がありますように、都市計画法が施行になり、あるいは新しい税制が施行になるというふうな、いわば土地に対する諸政策というものがやはり地価に対していろいろな影響を与えているというふうなことが当然あるかと思いますが、そういったような諸要因が重なって地価が形成されてくるというふうに考えるわけであります。さらにもっとこの形成に関して重要な要素があるかと思いますが、いま考えつきましたところを御説明いたしました。
○増本委員 そこで、地価の安定について、これは政務次官にお伺いしたいのですが、政府として地価安定のためにどういう手だてをおとりになろうとしているのか。特に供給を促進するためにはいま法人の仮需要の土地を放出させていくということが、やはり需給のバランスをとる上でも非常に重要だというように思うのですね。そういう点での税制面での、あるいは金融財政面での政策はどういう点にあるのだろうか、今日までの政府の政策と方向をひとつ明らかにしてほしいと思います。
○山本(幸)政府委員 何といいましても、供給をふやしていくということが地価安定の大きな要件でありますから、できるだけ供給をふやして最終需要者につないでいくということが必要なわけです。それに対する誘導的な政策というものは、いまお話しのように、税制面ではいろいろこれから御審議を願わなければならないことがたくさんあります。また金融面では先ほども御説明申し上げたように、全体として金融がゆるんでいる。主要な資金は回らなければなりませんけれども、いわゆる過剰流動性を吸収をして、健全な国民経済の運営に資するようにという、そういう観点からの、当面は金融引き締め政策というもので運営をしていく、特に土地に対する金融については、慎重な態度でひとつやっていかなければならない、こういうことであろうと思います。そういうことが総合的にいろいろ行なわれる。 この土地政策に関する限り、私はこれがきめ手だというようなものはなかなか見当たらないのでありまして、やはり全体の総合的な政策の総合的な結果としての地価の安定あるいは供給の安定、こういうことにつながっていくと思うのです。税制だけにたよるということは、これは先ほど来局長が繰り返し言うておりますように、これは重荷であります。したがいまして、総合的なそういう土地政策というものを考えていかなければ、どこかにアンバランスと申しますか、ひずみが起きる可能性がありますので、今回は、政府は全体として総合的な政策でひとつ土地問題等対処をしていこう。そういう面で、いまお話のありましたような法人の大口ないわば仮需要めいたものをひとつ吐き出してもらう方策にどうしてもいかなければならぬ、こう思っておるわけであります。
○増本委員 政府の発表によっても、一年に三〇・九%も地価が高騰するということになると、法人の持っている土地だけ見ても、含み資産というものは非常にばく大なものになると思うのですね。この点ですけれども、これを再評価してきちっと課税をしろというのは、年来この委員会でも主張されてきた点だと思うのですよ。こういう問題とか、それから法人に対する厳重な課税をきちっとしなければ、一方で土地を売ってもうけるときにだけ二〇%というのもたいへん低いと私は思うのですけれども、それはあとで議論するとして、こういう点での税制は新しくお考えにならないのでしょうか。 それからもう一つ、それぞれ取得した土地について法人は簿価をきめていますね。これについて国税局ではどういう基準でこれを指導しているのが、指導している実態があれば、その点については、あとで説明してもらいたいと思います。
○高木(文)政府委員 先ほど来繰り返し申しておりますように、土地の問題というのは非常にむずかしい問題でございます。ここ十年来、何か土地の問題が起こりますと、税のほうで何か考えろということが繰り返し繰り返し言われ、それはなかなか無理だということで、またそのデメリットが非常に大きいということで、私どもは率直に申しますと、税制で土地問題をまず片づけるという行き方は必ずしも好ましくない、そこへ他の政策があって、それと斉合性を持ちながらやるのであればともかくとして、税制でいろいろやるというのは問題であるというふうに考えながら、なおかつ、いわば社会的要請が非常に強いことから、今回またお願いをするという始末であるわけでございます。 ただいまの再評価の問題につきましても、税の問題として一般的に再評価税ということは考えられないわけではないのでございまして、現に過去においても再評価税という制度をとったこともあるわけでございます。ただ、再評価税はまた再評価税でいろいろ弊害を伴うわけでございますから、したがって、どのような時点でどういうような場合にどのような程度に再評価をすべきか。再評価といっても任意再評価もありますし、強制再評価もありますし、強制再評価ということになりますと、必ずしも高い税率を採用することはできないというような問題もあるわけでございまして、再評価税は再評価税なりに長所もありますが、難点がいろいろございます。そこでまた土地問題を片づけるといいますか、土地問題の一助として再評価税をしたらどうかということにつきましては、これまたよほど他のもろもろの政策との関連において考えていただかないといかぬわけでございます。 現在の段階におきましては、率直に申しまして私どもは、まだまだ他の土地政策の整備が進んでいない、そうしてまた今回、ある程度のものは、しかもそれはかなり従来の考え方と比べますれば基本的に変わった考え方についての土地政策が進められることになりましたが、それはそういったもろもろの法律が通過をして実施に移り、そしてそれが現実の経済に反映していくという段階にならなければだめなわけでございまして、そういうところのむしろ推移を私どももよく見守りながら、なおまた何らかの形において税制で考える必要があれば考えるときが来るかもしれませんけれども、現時点において再評価税という方式は必ずしも、またもや税だけに問題が寄るという意味におきまして賛成いたしかねるということでございます。
○吉田(冨)説明員 後段の御質問の、国税局、税務署でどういう指導をしているかという点でございますが、直接、土地のような非償却資産につきましては、法人税法の規定がございませんので、便宜減価償却資産の規定といたしまして施行令の五十四条にございます条文を準用いたしまして、まず土地を取得した場合に、取得原価それに直接取得経費をプラスいたしまして経理するよう会社に指導いたしまして、その後会社が土地造成等をやりました場合には、順次この原価に繰り入れるという経理をいたすようにしております。
○増本委員 今度の法人に対する土地税制では二〇%の税を譲渡益にかけるということになっているわけですが、今日のように土地が一年間で三〇%以上も高騰するという状態のもとでは、これではまだ土地投機のうまみをなくしていくということにはならないように思うのです。ほんとうに土地投機のうまみをなくすには、地方税を含めても、譲渡益についてはそれだけでも七〇%ぐらいのこれは完全に分離重課をしてこの譲渡益をはき出させる、そういう徹底した税制が必要だと思うのです。こういう点では、今度の改正案というのは法人税としてもまた課税されるから、それでいって地方税を含めて七〇%前後になるといいますけれども、譲渡益については二〇%ぐらいですから、これだけ法人の仮需要が促進されてきているという状態のもとでは、ほとんど土地投機を禁遇するということにはならないように思います。これを大幅に引き上げて分離重課する、こういう方向で検討されるべきだと思いますが、その点は政府のほうではいかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 法人の持っております土地の譲渡益について重課をするという場合に、どの程度の重課率にすべきかというのは非常にむずかしい問題でございます。私どももいろいろ研究といいますか考えました末に、いま御提案申し上げております二〇%重課ということにしたわけでございますが、理論的に、あるいは現実的に何%であれば非常に有効であり、どの辺が一番有効であるかということは、率直に申し上げてなかなか断定を下しがたいわけでございまして、二〇%が非常によくて三〇%はだめだとか、四〇%はだめだとかいうことはなかなかむずかしいところであるわけであります。 それと同時に、譲渡税をふやしました場合に、一体それが供給の促進につながるかどうか。これから買ってもあまりもうからぬなということにはなりますけれども、いますでに持っております土地についての供給の増加につながるかどうかといいますと、供給の増加という意味からいいますと必ずしも有効でない。売ってももうからぬということになりますと、そのまま持っておるかということになってしまうわけでありまして、むしろ供給の増加という見地からいえば、特に現に持っておる土地の供給増加という見地からいうならば、土地を持つことによるところの費用負担をふやす必要があるわけでございまして、その意味から申しますと、今回の特別土地保有税のほうの税率の水準をいかに置くべきかという問題ともからんでくるわけでございます。 この両者はどの程度の水準に置くべきか、総合的に判断してただいま御審議いただいておりますようなところに落ちついて御提案申し上げているわけでございますが、これは決して絶対的なものでなくて、これ以外あり得ない、もっと高くてはいけないというものではないと思うのでございます。私どもの考えといたしましては、いろいろな制度改変をいたします場合に、また新たに税を起こします場合にあまり急激な変化は好ましくないのではないか。とにかく突然こういう制度をつくるわけでございますし、特に、これからはこういたしますよという税ではなくて、四十四年以降買った土地についてこういたしますよという制度でございまして、いわばそれはいままで取引の前提としてなかった。そこへ新しくあとから税で追っかけるという形になるという関係もありまして、制度の改変について急変をするということについてはいろいろ問題があろうかというところで、この程度の税率でもかなりきいてくるであろうという判断のもとにいたしておるわけでございます。 それで、将来におきましてこれがいいか悪いかということは、この税制のもとにおいて今後土地の問題がどう動いていくかということを見守っていかなければならないわけでありまして、さりながら現段階において初めから高い税率でスタートするということについては、特に四十四年以降の分にさかのぼるということとの関連上踏み切りがたいということで、結論的にはこの率に落ちついたわけでございますが、この点は大いに御批判を仰ぎたいと思います。
○増本委員 今度の政府の改正案では、課税の除外要件も非常に広範にわたっているわけですね。この除外要件の中では、譲渡益を適正利潤として保護しているという面が一つありますね。この適正利益については、支払い利子を含んで二七%だというお話ですけれども、いまのように土地がどんどん上がっていくという事態を見れば、取得のときに融資を受けた、あるいは造成のときに融資を受けたという、そういう支払い利子というのはたいしたことはない。だから全体に占める割合というのは、二七%の中でも利益になる部分がかなりな部分であろうというように思うのですよ。だとすれば、ここでこれだけの利益は保証するというようなことになれば、結局大手の私鉄にしてもあるいは建設業者にしても、要するに住宅供給業としてやっているところの部分については全く課税されなくなるというように思うのですね。そうすると、ここのところで課税をしなければこの法律をつくった意味というものは全くなくなってしまうというような結果にもなると思うんですよ。こういうところで大きなしり抜けをしておいて、この法律で投機を抑制したり禁遏するということが一体できるんだろうか。その点は、政府はどういうようにお考えになってこういう免税条件をつけたんでしょうか。
○高木(文)政府委員 ここのところがこの法律の一番ポイントになるところであろうと思います。ただいま御指摘のように、この率がもし甘いものであれば全くしり抜けになるということでございますし、この率が非常に辛いものになれば今度は供給が全くとまるということでございます。 そこで今回の税制の目的は、冒頭に申しましたように投機の抑制という目的と宅地のスムーズな供給という相反する目的を一つの法律でどのようにしてうまくやるかということで、二律背反の目的を同時に達成しようということになっているわけでございますが、主体はあくまで投機の抑制のほうにある。さればといって、そのことのために当面緊急になっておりますところの都市近郊の宅地供給が阻害されては何にもならぬ。でありますから、開発業者がいわゆる常識的な利益をこえて土地でもうけるというようなことをしないで土地を供給してくるならば、それについてはやや罰金的な意味を持つ税は課しませんということを通じて、供給の阻害要因はそこに限度を置いてはずしていくという考え方をとっておるわけでございます。ですから、問題は、一にかかって適正利益率二七%というものの置き方が適当であるかどうかということになるかと思います。これを非常に辛くすれば供給はとまるか、あるいはむしろ二割の重課税率を払ってでもいくということで、逆に価格を押し上げる働きになるかと思いますし、これが甘過ぎれば本来の目的が達せられなくなる、こういうかっこうでございますので、ただいまの御指摘はまさにそのとおりでありまして、この適正利益率をどこに置くか、そしてそれがうまくワークするかどうかということがこの法律として非常に重要なポイントになっております。
○増本委員 これに適用されるものを民間デベロッパーというようにここでは言っておきます。この法律によって、政府では当然税収見込みを積算されるだろうと思うのです。この除外条件がなかりせば、さらに税収が上がるであろうという分はどのぐらいになるのでしょうか。
○高木(文)政府委員 非常に恐縮でございますが、現在の段階では、この法律による税収というものは計算をいたしておらないわけでございます。 その理由は二つありまして、一つは御存じのように、この二割増しの制度は来年度の四月一日から動き出すわけでございますので、本年度の税収にならないということが一つございます。したがって、ことし見込みを立てる必要が現実的にはないということでございます。ただし、制度を論ずるわけでございますから、制度を論ずるにあたっては、税収にどういう影響があるのかということは、通常の税の場合には考えなければならないことでございます。しかしながら、この場合には一種のいわば抑止税制といいますか抑制税制、そういう意味でございまして、通常の税の場合のように歳入目的は考えていないわけでございます。また、こういう税を払ってでも利益をたくさん上げて、そして土地を高く売ろうということでは、全く本来の趣旨から離れていってしまうわけでございまして、本来この制度そのものがそういう精神を持っておりますので、現在の段階では、どの程度の税収になるかということそのものを計算しておりませんので、したがって、御指摘のように適用除外のほうでどのくらいはずれてくるかということも計算してないということでございます。 ただ、来年度になりましたならば、つまり四十九年度予算の編成の段階になりましたならば、それは何らかの意味においていろいろ資料を集めて計算してみなければならぬと思いますけれども、これは非常にむずかしいことになろうかと思っております。今日の段階はそういうことでございます。
○増本委員 ちょっと建設省にお伺いしますけれども、四十八年度とそれからさらにその後も含めて、法人から国または地方公共団体が公共用地として取得しようとしている計画がおありですか。
○吉田(公)説明員 政府の公共用地と申しますのは宅地の供給というふうに理解させていただきたいと思いますが、ただいま四十六年度から五十年度に至ります第二期住宅建設五カ年計画、これの実施中でございますが、この中におきまして、全体といたしまして新しく必要な宅地の面積を全国で七万五千ヘクタールというふうに想定いたしております。この中で、公的開発、これが受け持ちます部分、これは大体二万二千ヘクタール程度のものを公的開発に供給する、かように考えております。 ただいま御指摘の、法人が持っております土地をどういうふうに具体的にこういった公的開発の中にとっていくかというふうなことについて、どういう地域でどういう法人から取るというふうな具体的なものは特に考えておりませんが、必要な場合、公的開発の中におきまして、公的開発の主体が法人の土地を取得していくという可能性はもちろん持っておるわけでございまして、それを定量的には特に現在把握いたしておりません。
○増本委員 この除外条件のうち民間が適正利潤として保護を受けるもの、これは具体的にはどういう会社、法人を想定して規定されたものですか。
○高木(文)政府委員 住宅用地を提供するために土地を買って、そして道路をつけたり区画をしたりあるいは公共用地として予定をしたり、いわゆる開発を行なって供給をするというものを主としているわけでございます。
○増本委員 具体的に伺いますけれども、三井不動産とか、三菱地所とか、東急不動産とか、西武鉄道とか、東武鉄道とか、京浜急行とか、小田急とか、京王電鉄とか、京成電鉄、こういうところは全部いま宅地供給事業をやっておりますけれども、これは四十九年以降この適用を受ける法人であるというように考えてよろしいわけですか。
○高木(文)政府委員 ただいまおあげになりましたような企業も、当然このうちの一部を占めるということでございます。
○増本委員 こういうところに対して見てみますと、たとえば三井とか、三菱、東急、西武、東武というのは、首都圏だけでそれぞれ一千万平方メートルぐらいの土地を持っているというようにいわれているわけです。京浜急行や小田急、京王、京成というようなところを見ても、五百万から九百万平方メートルの土地を保有している。しかし、これが一年間に宅地造成をする面積というのは十万平方メートル、二十万平方メートル、多くて三十万平方メートルにいくかいかないかというのが実態ですね。それは建設省も御承知でしょう、どんなにがんばっても二十万平方メートルぐらいだというのは。御承知ですね。——ですから二十年、三十年、あるいは五十年分ぐらいの土地をこれらの企業が保有をして、そしてそれを少し区切っては宅地造成をして出していく、こういうものに対して適正利益として保護をする、しかも政府が提出された「法人の土地譲渡税につき政令で定める事項(案)」というもうものを拝見しますと、三ページの「造成に長期間を要する場合」には、適正利益についてさらにあんばいをする、こういうことになっているわけですから、これは現状の供給不足という事態に対しては、何らそれを促進する役割りも果たさないし、いま建設省からお話を伺ったところによると、昭和五十年までで宅地供給公社がになう分は二万二千ヘクタールでしたか……。
○吉田(公)説明員 公的機関が二万二千ヘクタール、そのほかに区画整理などがございますから……。
○増本委員 しかし、それを促進するという役割りは果たし得ない、また、その政策もないということになると、ここでは最終需要者である勤労者に対して、土地を供給するという政策が、全然要求が生かされない、こういう状態になると思うのです。一体税制はただそれだけのものだ、補完的な役割りしか果たさないし、この税制はそういう目的がないというようにおっしゃるかもしれません。おそらくそう、だろうと思うのです。けれども、大企業がこれだけの五十年分もの土地を持っていて、その利益は保護をする、これでは、いつまでたっても勤労者は自分の住宅すら持つことができないという事態は依然として改善されないというように思いますが、この点では政府は一体どういうようにお考えなのか、ひとつ政務次官からお伺いしたいと思います。
○高木(文)政府委員 事実について少し私どもと認識が違っている点がありますので、それを申し上げます。 一つは、私どもも各企業ごとにどれだけの土地を持っているかということは正確には資料を持っておりませんので、よくわかりません。いまおっしゃるように、五十年分の土地を持っているところがあるかもしれません。しかし、私どもが大体承知しておりますところでは、五十年というような大きさではないというふうに考えております。しかも、そういうことがあってはならないということは全く同感でございまして、ただいまお手元にあると思いますが、先般お配りいたしました「政令で定める事項(案)」の中でお読みになりました、倍率係数が三をこえる一ごとに五%ずつふやすということになっておりますが、これは二〇%でとまることになっております。つまり、二七プラス二〇で、四七のところでとまることになっておりますから、五十年分もの土地を持っておりますと、とても利子負担で耐えられなくなって、その企業はつぶれるということになるわけでございます。この計算からいうと、どんなに持っても大体六、七年分以上を持ちますと、利子負担のほうが大きくなって、つぶれるというような、ことばは悪いのですが、この計算からははみ出していく、したがって、はみ出した結果は適用除外を受けられなくなるということになろうかと思います。その点は私どもも非常に気になった点でございまして、あまり長くじっと持たれては何にもならぬということでございますから、そこらの、いわば頭打ちはかましてあるということで、こういう仕組みになっておるわけでございます。
○増本委員 いま局長がお話になった大蔵省で調べられた企業の土地保有状況ですか、それは資料として提出していただけますか。
○高木(文)政府委員 それは有価証券報告書等によって出ているたなおろし資産の量と、それから販売量とを対比したようなもので、何か見当をつけることができるかもしれませんが、いま企業ごとのたなおろし資産の量と販売量とを直結した資料を持っておりませんので、作成に若干時間を食うかもしれませんが、検討の上で、なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
○山本(幸)政府委員 いまのお尋ねでありますが、なるほど数字の上では二十年分とか五十年分とかあるという計算があるというお話でございますが、しかし、実際の問題としては、金利その他の関係でそんなに長く持っておられるものでもないし、もしそういうふうに長く持っておっても、なおかつそれが利潤を生んでくるのだということになるような、そういう土地政策というものはたいへん政府としても困るのであって、そういうことにはならないように土地政策の上でやっていかなければならぬ。ですから、ある程度の時間的経過というものを経てから最終需要につながってくるということではありましょうけれども、さりとてそれが二十年もかかるというものでは政府の土地政策としては成功したとはいえないのでありまして、もし、そういうことが可能というよりは、むしろそのほうがもうかるのだというようなことであるとするならば、もっときびしい土地政策というものを政府としてはやる、こういうことにせざるを得ないと考えておるわけであります。
○増本委員 いま局長がお話になった最高二〇%、造成に長期間を要する場合足して四七%だ、これは最終的にいつまでいっても四七%は保証していくということなんでしょう。ここのところの期限がリミツトになったときには二〇%の課税をする、こういうことではございませんね。
○高木(文)政府委員 最高で四七%、ここにあります倍率係数が三をこえる一ごとに五ずつ足していきます。この倍率係数というのは、当該土地の取得時から売却時までの期間が長くなりますと、これは非常にややっこしい表現になっておりますが、倍率係数が大きくなっていきます。そこで長く持った上で売る土地については、最高四七まで適正利益を認める、こういうことになるわけでございますが、それをこえましても、期間がどんなに伸びましても、四七以上は認めない、こういうことでございますから、土地については適正利益をこえてしまう場合が非常に多くなりましょうから、そういう土地については二割増しの重課税率が適用になってくるということになるわけでございます。
○増本委員 国民はだれもみな自分の住宅を持ちたい、ところが安い住宅がなかなか手に入らない、こういうことから政府に住宅を供給しろという切実な要求があるわけですね。ところが、いままでお話を伺っていても、法人の仮需要を放出させてそれをすぐ勤労者の住宅供給に振り向けるという手だてということになると、ほとんど焼け石に水のようなというか、むしろごく小部分しかやられていない。そしてこういう民間デベロッパーにその開発の大部分をまかせて、それに対しては適正な利益ということで二七%から四七%までは保証しよう、こういう政府のやり方では、この税制に国民が期待するものは何もないし、ましてや田中内閣の住宅供給政策に期待するものは何もない、今日の深刻な土地問題を解決できるということはほとんど期待できないというように考えるわけです。 もう時間で、理事のほうでもいろいろおっしゃっていますので、最後にお伺いしますが、民間デベロッパーに対して二七%から四七%もの利益を適正利益として保護しようという、ここにはやはり大企業の利益を優先する考え方というのが依然としてあるし、その背景には政府与党がこういう民間デベロッパーからもばく大な政治献金をもらっている、これはこの前の自治省の発表でも明らかだと思うのです。だから、大企業に対して土地を供給させるための手だて、収用権あるいは先買い権の制度をきちっとつくってそして適正な価格で放出させるというような手だてもとれないで、一番弱い農民の土地を宅地並みの課税をやって供出させることによって、いかにも勤労者にすぐに宅地が供給されるかのような幻想を与えて、土地問題が解決できるかのような宣伝だけがなされるという結果になっているんだというように思うわけです。 最後に、政務次官にお伺いしたいのですが、こういういままでの政府の政治姿勢では土地問題は全然解決にならないというように思いますが、政府として今日のこういう深刻な事態に対して具体的にどういう手だてをとって勤労者に対して住宅の供給を促進するということをお考えになっているのか、ひとつはっきりと御答弁をいただきたいと思います。
○山本(幸)政府委員 政府としても、宅地供給をふやして一般国民の要請にこたえたいということは強く考えておるわけであります。今日は土地政策が政治そのものだと言って言い過ぎではないというぐらい言われておるわけですから、政府としても土地政策については非常に力を入れてこれからもやるつもりでございます。 いま、特に都市周辺の宅地供給をふやしていくという面では、市街化区域の中にある土地というものをできるだけ宅地としての適地にしていっていただくということを考えていかなければなりません。特に、法人が持っておる調整区域の中の大口宅地供給というものについての推進をしていくことも、同時に必要なわけであります。 いま、その政策の一つとしての今回の土地税制についていろいろ御批判がございましたが、この二七%の問題についても不徹底だという御批判がございました。これは、先ほど局長も申し上げましたように、二つの要求を満足させなければならぬというたいへんむずかしい立場に立ってやっておることでございまして、そういう立場からすれば、二七というのはある意味ではやはり相当きついという見方もあるし、またある意味ではまだ甘い、こういう両方の見方も成り立つわけでありますけれども、しかし全体として総合的判断の上に立てば、この程度のことでひとつ何とか今回の土地税制の推進をやらせていただきたい、こう思っておるわけでございます。 元来、土地に対する観念といいますか考え方は、やはり私有権というものが考え方の基礎にありまして、なかなか踏み切れない面があると私は思うわけでございますが、しかしそうばかりは言っておられませんので、今後はその土地問題のきびしさというものを深く認識をしながら、さらにいまおっしゃるような土地の供給をふやしていくという方向に政府として鋭意努力をしていく考えでございます。
○増本委員 住宅用地、住宅用地と言いますけれども、土地供給の一般的な増加が問題でないということは明らかだと思うのですね。勤労者にとっては、通勤条件や生活環境の整った具体的な居住の場こそ要求しているわけですよ。ところが仮需要だけふえて供給部分がごくわずかだ。そして建設省の説明によっても、住宅用地の三分の二以上を、こういう民間大手の住宅供給業者によって住宅問題を解決しよう。これはもう明らかな個人の持ち家主義を第一義とするいまの政府のやり方だし、これでは都市問題からいっても、スプロール化と地価上昇を避けることは全くできないというように思うのですね。こういう点をほんとうにきびしく、わが党が主張するように収用措置あるいは先買い権の制度を厳格に確立して、土地問題の抜本的な解決をはかる必要があるというように思います。 あと幾つかの問題を質問したいのですが、時間が来ましたのでその質問はあとに留保させていただいて、ひとまずこれで終わりたいと思います。
○大村委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十八分休憩 ————◇————— 午後一時三十五分開議
○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。広沢直樹君。
○広沢委員 まず、政務次官に最初お伺いしておきたいのですが、政府は、今後の経済政策の基本姿勢につきましては、いわゆる産業の優遇あるいは成長第一から福祉優先の国民生活向上ないし社会資本の充実へ転換することを公約しているわけでございますが、その福祉財政のあり方といいますか、いわゆる法人税がその中でどういうふうな役割りというか、社会的費用として負担させられるのか、こういうことについて、やはり高福祉社社会建設のためには法人税の基本的なあり方をここで考えてみるべきではないかと思うわけでありますが、その基本的な問題について、まず次官からお伺いしておきたいと思います。
○山本(幸)政府委員 これからの福祉国家をつくっていくという上において、その財源調達をどういうふうにやっていくかということについては、私は、いろいろいままでと違った考え方も、一ぺんにはいきませんけれども、だんだんに取り入れていかなければならないものであろうと思います。そういう新しい福祉社会の建設にあたって、一体どういう財政政策をとっていくのかということについては、これはいろいろ考え方があると思うのです。しかしいずれにしろ、全体として租税として国民からいただくというものと、それから今度は財政支出として出す歳出、あるいは財投の運営といったもの、特に振りかえ支出というものについて、一体これからどういうふうにやっていくのか、そういうことも考えながら、いままで以上に歳入というものと歳出というものと両方をもっと密接ににらみ合わせながらやっていかなければならぬのではないだろうか、私は、やや私見かもしれませんけれども、こう思うわけであります。 そういう中にあって、それじゃ直接税というのが租税収入の大宗を今日では占めておるわけですから、その中で今度は直税と間接税とを一体どういうふうに考えていくのか、また直接税の中で所得税というものと法人税というものをどういうふうに考えていくのか、そういうふうにだんだん細分といいますか分析して考えていかなければならぬだろうと思います。 そういう中にあって、いまお尋ねの法人税が一体どういう地位を占めるのか、これはこれからいろいろ具体的には詰めて問題を考えなければならぬと思いますけれども、しかしおおむねの傾向としては、先日来ここでいろいろ議論がありまするように、今日国民の勤労階級に相当の所得税がかかっておるという現状を踏まえて、所得税というものをなるべく軽減をしていく。と同時に法人税にいわゆる適当なる位置を占めてもらうような考え方で、具体的に申せばある程度法人税を増徴していくという考え方でいくというのが、まず今日常識的な考え方かもしれませんが、私は、そういう今後の方向であろう、こう思うわけでございます。
○広沢委員 そこで、多くの税の中では、法人税の性格というのが、いままでは擬制説だあるいは実在説だということでいろいろな論議がありましたけれども、非常にその点まだ不明確ではないかと思われるわけです。こういうときに、いわゆる法人の企業の基本的性格というものをやはりここで考え直してみる必要があるのではないか。いわゆる法人が独立した課税主体であるのか、その収益が究極的には株主である個人に帰するという、いわゆる個人所得の前払いという擬制説的な考え方ですね、そのどちらに重点を置いて考えていくか。シャウプ勧告以来、法人の擬制説という前提に立っていままでは法人企業あるいは法人税というものに対しては見方を当局はしてきたわけでありますけれども、やはり福祉財政ということを考えてみますると、その当時の認識と相当変わってこなければならないし、現に変わってきていると思うわけですね。 そこでいま言う基本的な問題ですが、これからの方向としてどちらを重点の方向に考えていかれるのか、この点についてお伺いしておきます。
○高木(文)政府委員 シャウプ税制では明らかに完全な意味での擬制説的な考え方をとったわけでございます。その後、時間の経過とともにだいぶ変わってきておりまして、現在の法人税は、基本的にはおっしゃるように擬制説的な考え方の上に組み立てられてきたのでありますけれども、いろいろな修正が行なわれました結果、かなりあいまいなものになっておるという現状であると私どもは考えております。昭和四十年代の初めの当時に、政府の税制調査会等におきましてもこの法人税制のあり方が非常に真剣に討論されまして、いわゆる利潤税説ということを前提にした考え方をとってはどうか、これはどちらかというと実在説に非常に近いものでございますが、利潤税説という考え方をとってみたらどうかという提案を試案の形で政府からいたしましたところ、当時はまだその時期にあらずということでそれは取りやめになって今日までに至っております。その後、現実的に配当なり何なりにつきましていろいろな手直しが行なわれたわけでございますけれども、その基本の問題には触れずに今日に至っておるわけでございます。 そこで、今後法人に負担をだんだん求めていくべきではないかということは、福祉時代との関連において当然にそういうコンセンサスがだんだんに得られつつあるわけでございますが、その際には御指摘のように配当の問題等に関連をいたしまして、その法人税自体のあり方にどうしても触れなければならない筋道のことであろうかと思っております。 しかしながら、ある程度はそれに触れなければならぬといたしましても、それではここで基本から全部組み立てを変えてしまうかどうかということになりますと、法人税のあり方は経済運営に非常に影響するところでございますし、なかんずくいまもって自己資本率が非常に低い、言ってみれば企業の資金調達は主として間接金融で行なわれておる、これは非常に好ましくないということとの関連がございますので、実在説、擬制説的なものと同時並行的に、どのようにして産業が金融調達手段を選ぶことがより望ましいかということと関連し、配当のあり方、これが非常に議論になっていくだろうと思うわけでございます。企業段階で配当を優遇することによって増資を奨励するような形をとっていくのか、株主段階で奨励する措置をとることによってそうするのかという問題でございまして、ドイツやイギリスにおきまして最近法人税制についてきわめて短期の間にあっちにゆれこっちにゆれしておる、しょっちゅういろいろな議論がありながら変わっておるということ一つを見てもおわかりいただけますように、この問題はどこの国でも産業金融のあり方の関連で論議が尽きないところであるわけでございます。 私どもの心がまえといたしましては、法人税負担を改めるということになりまするならば、当然にその問題に触れることになるとは思いますが、はたして抜本的といいますか、基本的といいますか、根っこからそれを変えるということになるのか、やはり漸を追って次第に実在説的なものに近づいていくような方向で進むのか、そのあたりは今後のこの一年間の検討結果をお待ちいただきたいと思います。
○広沢委員 基本的にはいまの法人擬制説的な方向に立って、時代にあわせていろいろ変化してきているということは認めておられるのですが、しかしいまの法人利潤説についても、諮問をしたけれども、はっきりとした答えがないのでそれもはっきりしない。やはりこの基本的な立場に立たなければ、この法人の比例税率の問題にしましても、あるいは受け取り配当の益金不算入の問題にしましても、そういう一つ一つの問題を検討するにあたって、税負担の軽減を、擬制説になれば当然その根拠となるところは前払い的な考え方になるわけですから、いわゆる一定の基準を設けて、それが高かろうと低かろうと別に問題ではない、したがってその税負担の軽減を裏づけるという結果にもなるのではないかと思うわけですね。したがって、これだけ福祉への財政が要求されている段階だし、いまの企業の実態から考えてみましても、もはや利潤説ですか、あるいは実在的な方向というものはもうある程度明確になってきている、あるいはそういう位置づけをしなければならない段階が来ていると私は思うわけです。 さらに税調の答申、いま諮問されたと言いましたけれども、税調の答申にもかつてそういうことを意味した答申がなされておりますね。「いわば法人税を企業独自の負担と考えるような社会的意識や近年の税制の歩みを端的に認めて、社会経済の実態に即応したわかりやすい税制の仕組みに確立するという見地から、今後の法人税の基本的な姿を長期的視野に立って描くことが肝要であると考える。そこでこのために、法人税は株主の所得税の前払いとしてではなく、法人の独自の負担であると認識する、企業の純利益を株主の負担とは切り離した企業独自の負担力の指標と考える方向で検討することが適当である。」いわばこれはいま申しました実在的な方向、さらには利潤説的な方向に示唆をしたものと受け取られるわけでありますが、その後において多少いろいろと変化もあったようでありますけれども、先ほど私が申し上げたような方向で考えていかなければ、今後あとから私が述べていこうとする税率の問題にしましても、あるいは企業の実態に即したこれからの法人税のあり方にしましても、やはり根っこにいま擬制的な考え方、こういうものがあるとするならば、ここに問題点が起こってくるのではないかと思いますので、重ねて伺います。
○高木(文)政府委員 たいへんよくわかるわけでございますし、現に御指摘のように税制調査会でもそういうことをいろいろ議論したわけでございますが、しかしながら、完全な意味での実在説的な考え方をとる場合には、法人は法人で税を負担する、株主は株主で税を負担するということになりますから、現状に比べますと税率その他を全く変えないということになりますと、株主の負担はいまよりも多くなる、実質的には多くなるということにならざるを得ないわけでございます。株主の負担が多くなるということになりますれば、直接金融はうまくいかないということになってきまして、また再び間接金融に依存する、こういうかっこうになってきますから、完全な意味での実在説に近づきます場合には、お考えの場合と若干変わって、逆に税率のほうは下がってこなければつじつまが合わない。法人税段階でも課税され、配当段階でも課税されるということであれば、総合負担を考えればそのままではぐあいが悪いので、逆に税率を下げていかなければならないというようなかっこうのほうに、負担を変えないという前提で考えるならば、動かなければならぬということになってくるわけですが、いまは一方においては実在説的な考え方に持っていったらどうかというお考え方が一般的にあると同時に、それはまた法人にもっと負担を求めてはどうかというお考え方とつながっているわけでございまして、そこは論理的にはうまくつながらない。そしてまたもう一つは、間接金融依存が高くなってもしようがないんだ、直接金融はなかなか日本の場合は定着しないんだというところであきらめてしまえばよろしいのですけれども、やはりそうではない、直接金融はやはりウエートを置いて考えなければならぬ、こういうことになってきますというと、そこのところの論理のつじつまが合わなくなってくるわけでございまして、そこでなかなか簡単に、実在説のほうにいってしまいながら、なおかつ法人に負担を求め、しかも配当のほうはそう税を軽減しない、そういうわけにはなかなかいかないわけでございます。 しかし、それは税のいわば仕組みの問題でございますけれども、それを離れて、一方においては御指摘のような、全体として法人に税負担を求めてはどうかということがあり、配当についても税負担を求めてはどうかということがあるのであって、それを前提にものを考える場合には、今度はそう急激な変化はできない、こういうことになってくるのではないか。ですから、だんだんいく方向はそっちの方向だということはあるといたしましても、現実にそこまで完全な意味での実在説的なものに考え方を割り切ってしまう、そしてなおかつ法人に税負担を求めて配当に税負担を求めるというのは、ちょっと現実的に無理な話ではないかと考えるのでございまして、そこらはよく議論をしてみたいと思いますが、一挙にはなかなかいかないのではないかなというのが、私の現段階持っておる感触でございます。
○広沢委員 一挙にはいかないという意味はわかりますし、それから逆に実在説的な考え方になれば、法人の税率を上げるというんじゃなくて下げるべきじゃないか、論理的にはそうなるとおっしゃいますけれども、それは配当とかそういういろいろな問題については、これは損金の算入、不算入の問題についても考え直さなければいかぬ、これは出てくると思いますね。しかし、そういうことが一個の主体性を持った課税対象と見た場合においては、ある程度そこに、あとから私、少し述べようと思っていたのですけれども、累進的な税率ということも考えられますし、さらにはいまの比例税率そのままでいいかという問題も出てまいりますから、私はいま言った論理がそのまま当てはまるとは思いません。いわゆる企業の収益が社会全体の利益のために用いられる、そういう観点から考えていかなければ、いままでのようないわゆる法人とかあるいは株主に最終的には還元されるものであるという従来の考え方では、やはり問題があろうかと思うわけです。その点をはっきりしておきませんと、やはり今日基本税率を四十九年度からは考えてみようといっても、その点があいまいになるとここに問題が残ってこようかと思いますので、やはりいまは基本的な考え方として、法人課税というのは、これからも企業の収益そのものは社会的な利益のために用いられるべきであるという位置づけだけは明確にしておかなければならないと思うのであります。
○高木(文)政府委員 四十五年度の税制改正のときに法人税率が一・七五%引き上げられました。しかるにもかかわらず、その時点において配当控除のほうは一五%から一〇%に引き下げるということになりました。この二つの改正が同時に行なわれたということは擬制説では全く考えられないことでございます。配当のほうの控除が下げられて、かつ法人税負担のほうが上がったということは、これは擬制説的には全く説明のできないことである。それがしかも同時に行なわれたということをお考えいただきますならば、最近におきましてはすでに広沢委員御指摘のような意味で動いているということは間違いないわけでございまして、おそらく今後の動きも、この四十五年度改正のときと同じような方向で動くであろうということを、私どもは大体頭に置いているわけでございます。その意味におきましては、広沢委員のおっしゃるようなことと基本的にそう矛盾といいますか、相反する方向ではないのでございますが、それではこの際一挙に、いわゆる実在説、擬制説論というものについてどちらかに割り切ってしまえということはなかなかむずかしいということ、その後段の点を私は強調しているわけでございまして、方向がそっちのほうに動くということについては、御意見と相違がないということでございます。
○広沢委員 その問題はまたいろいろ議論があろうと思いますので時間のあるときにいたしまして、そういう方向にあるということでありますならば、これから四十九年度からという、いわゆる法人の基本税率の問題について伺っておきたいと思うのですが、今回の法人税の改正で基本税率をいじらなかった、そうしてこれを四十九年度に一応その方向で検討するという意向だけをお示しになりました。なぜかという問題に対しては、当局は、租特の関係、租税特別措置法ですね、これの整理をしたからだ、その面にウエートを置いたのだ、こういうことなのですけれども、私は先ほどから基本問題に触れておりますように、ここでやはりいまの実際の産業構造あるいは経済の姿勢というものを考えていくならば、今日の実情に合わせて考えていくならば、なぜ四十八年度に法人税率というものを基本的に考えて見直そうとしなかったのか、この点が私はどうしても納得いかぬわけです。いかがですか。
○高木(文)政府委員 一番大きな理由といたしましては、現行の付加税率一・七五%が四十七年の五月一日から四十九年の四月三十日までの制度としてあるということでございます。租税特別措置法につきましては、すべてそれぞれの制度について原則として年限の定めがございます。御指摘がありますように、社会保険診療報酬の制度のように年限の定めのないものもございますが、これはわれわれは異例、特例のものと考えているわけでございまして、大体において年限の定めがあるわけでございます。年限の定めのありますものにつきましても、途中の段階で全くいじらないということではございませんで、たとえば緊急の場合に年度の途中で変えたこともございます。たとえば海外市場開拓準備金等につきましては、こういう事態でございますので、昨年の秋の国会において、年度の途中ではございましたが、これはやめてしまうというようなことをいたしたこともございます。 そういうことでございますから、絶対的なことではございませんが、やはり何といいましても年限を定めて、何年間は一・七五%にいたします、つまり三六・七五%にいたしますということをきめておりますので、税の制度は一たんそういうことで期間をきめて約束をいたしますれば、世の中は一般にそれを前提として動いておるということになりますから、でき得べくんば途中においてそれを変えることは好ましくないというのが私どもの考え方でございまして、そこで四十八年度については、法人の税負担を求めるのについて、いままでよりも、しいてそこのところの無理をして税率を直さなくても、課税標準のほうを相当程度手直しすることができれば、それによって実質的に法人の税負担を求めることになるわけでございますから、法人税は所得かける税率という形で計算されるわけでございますから、そこで所得のほうを直す、税率のほうはあとにする、こういう考え方をとったわけでございます。 また、かねがね当委員会等において御指摘を受けておりますように、租税特別措置法には問題がございます。そうして租税特別措置法で所得計算をされておるということは、適用を受ける企業と適用を受けない企業との間に実質税負担が違ってくるわけでございますから、一般的に税率を直すということの前に、なるべくその企業別の税負担が変わる結果となるような制度であるところの租税特別措置のほうを、直すべきものがあれば直すというのが先ではないかと考えたわけでございまして、あるいは両方やれ、なまぬるいではないかという御議論があろうかと思いますけれども、私どもはそういう考え方で、なるべく税率は動かしたくない、そしてその範囲内においてなるべく税負担をある程度上げていきたいということで、今回の措置となったわけでございます。
○広沢委員 言われている意味はわかるのですけれども、ただ今回租税特別措置法の整理に重点を置いた、これは当然のことだと思うのですよ。租特自体が、政策減税自体が、これはある目的を持って措置されたわけですから、その目的が達成された、あるいはまたそれだけの効果があるとすれば、これは改廃をするのはあたりまえです。あとから租特の問題をやりますからこれも述べますけれども、これは当然ですね。しかし基本的な福祉財源あるいは福祉の方向へというカーブをしようという場合においては、やはりこれは基本的な問題を考え直すという意味に私はとっているわけでして、政策的なものを直せば、確かに財源は大きくなってくるであろうし、それだけ企業の負担もふえるであろう、これは当然のことだと思います。それは政策目的が達成できればこれはどうあろうとやめるというのが租特の措置でありますから、当然だろうと思うわけです。 しかしながら、四十九年度から一応考えてみるということでありますので、それはその方向でひとつ努力をしていただきたいと思うわけでありまして、これは総理も大蔵大臣も先日その方向でやるという基本方針は出しているのですけれども、ただその際問題になりますのは、この一・七五%の臨時措置が期限が来るから、これを直した段階で考えるということでして、これを基本税率として組み入れて考えていくのか、あるいはこういうような措置というものは残す考えがあるのか。今後、私はこの間も申し上げたように、こういう臨時的にプラスするということではなくて、やはり基本税率の上で企業の姿、負担の姿はかくあるべきだという、きちっとした基本を示すべきだと思うのです。それともう一つ、この際一・七五だけを加えた段階で基本税率を直した、組み入れたということで、これは期限がないということで、法人税の基本税率の位置づけができたということだけに終わるのか、あるいはそれ以上に現在の状況から考えて法人税率を引き上げていくという考え方なのか、この二点をお伺いしたいと思います。
○高木(文)政府委員 四十五年度にいまの一・七五という税率ができまして、二年間でございまして、一回延長していまその途中にあるわけでございます。四十五年度の段階で基本税率を上げるべきではないかという議論もさんざんいたしたわけでございますが、御存じのように昭和二十七年でございましたか、二十八年でございましたかに四二%という税率になりましてから、四〇、三八、三七、三五と下がる一方でずっときたわけでございますので、そこで今度は逆に上がるということに踏み切りましたことについては、やはり今日の福祉時代への転換の芽ばえがそこにあったのではありましょうが、その場合にもなかなか恒久制度として法人税率を上げるというところまではコンセンサスが得られませんでしたから、そこで臨時の制度として一・七五というはんぱな税率でございますが、五%加算ということで行なわれたわけでございます。四十七年度の場合には、やはりこれを基本税率に組み入れるかどうか議論があったわけでございますけれども、それを存続するというところが精一ぱいのところであったというのが偽らざるところでございます。それがだんだん法人の税負担をさらに求むべきではないかということが定着をしつつある現状から考えますと、やや私見にわたりますが、私はもうこの辺で複雑な制度でなしに一・七五を基本税率のほうに組み入れていくほうが本筋ではなかろうか、もうそういう時期になったのではなかろうかという感じが、個人的ではございますが、いたしておるわけでございます。そして同時にそれが絶対的なあるべき基準でないというのであれば、さらに若干のその上の上積みが行なわれるのかどうか、つまり三六・七五以上に基本税率が上げられることになるのかどうかというあたりが問題でございまして、結果としてでき上がります水準をどこに置くかということと、それを臨時措置としてやるか基本税率にするかという問題がございます。なかなかむずかしい問題でございますが、大体の感じとしてはやはりだんだん基本税率のほうの問題として論議が行なわれるべき時代が来たという感じを持っております。
○広沢委員 そこでいまお話がありました昭和二十五年三五%が二十七年から四二%、一挙に七%法人税率が上がったのですね。これはどういう理由ですか。
○高木(文)政府委員 昭和二十六年の暮れから景気がたいへん過熱をいたしまして、朝鮮動乱の影響を受けまして、特に繊維とそれから鉄といいますか、そういう関係の企業が非常に好況になりました。それが漸次波及をいたしまして、日本経済全体が好況というか、やや過熱ぎみになりました。物価が若干上昇傾向になってまいりました。そのときに一挙に法人税率を二割上げまして、かたがた所得税を相当思い切って下げると同時に、その段階においていわゆる異例の措置でありました年内減税を行うということを一環の措置として行なったわけでございます。そういう次第で、そういう経済事情を背景にして三五から四二への一挙の引き上げということが行なわれたわけでございます。
○広沢委員 そこで、その当時と現在と背景が全く一緒だとは言いません、いろいろな事情があると思います。しかしながら、いま理由としてあげられましたように、対外的な関係もあって非常に景気も上昇してきた。過熱ぎみになったり物価も非常に上昇を来たしてきた。今日の状況とある意味においては似通っているわけですね。前々からいろいろ指摘されているように、日本の法人税の実効税率というものは諸外国から比べて低いいまの状況から考えてみますと、やはり国際競争力の面についても、あるいは経済の成長につきましても、日本の経済としてはそれだけ国際的な、あるいはGNPにおいては世界第二というくらいの経済力ですから、先ほど上げる方向にと言っておりましたけれども、当然これはもとに戻すくらいの思い切った措置は、過去にもそういう理由でこれはあるわけですから、できないわけではないと私は思うのです。いまここで幾らにしろということはこれはあなたも答えられないだろうし、またわからないだろうと思いますが、そういう方向でやっていただけるかどうかということだけのお考えを承りたい。
○高木(文)政府委員 最近いろいろ輸出振興税制を整理したり、いろいろございましたが、そのことは結果としては法人の税負担をふやしていく方向にあるわけでございます。それでここ二年間くらいの間に急激に対外均衡がアンバランスになってきた、つまり裏からいえば輸出力がまだまだ強いということがわかってきた。その間において企業の税負担がふえるような方向に動いてきたわけでございますが、なお二回にもわたる通貨価値の変動をしなければならないような経済情勢になってきたということを考えますと、日本の企業は国際競争力が強い、言いかえれば若干強過ぎるということでございますから、そういう意味からいいますならば、法人に相当思い切った税負担を求めても差しつかえないではないか、耐えていけるではないかということがいえるだろうと思うわけでございます。 しかしながら、これはいろいろ議論があるところでございますが、通貨の変動の影響というのは、例のJカーブというような議論があるわけでございまして、通貨価値の変動影響は一年なり二年なりあとになってあらわれてくるということがあります。前のスミソニアン体制の影響がまだ完全にあらわれない段階に、またこういうことになったということを考えますならば、先行きだいじょうぶだろうか、いつまでもどんどん法人税負担を上げていっても、日本の国際競争力はだいじょうぶだろうかというあたりになってくると、これは異論を唱える方もいろいろあるわけでございます。そういう意味におきまして、上げる方向にあることは確実に言えると思いますが、では、朝鮮動乱というような、何にもなかったときに、特需その他によっていきなり急激に景気の刺激材料が出てきたというときと同じように考えていいかどうかについては、やはり問題があるわけでございます。この辺になりますと、若干経済専門家の御意見あるいは分析をいろいろ伺ってからでないと、どの程度までならだいじょうぶか、また上げ過ぎたから下げろということになっても困りますので、その辺をどの程度にしたらいいかというのは、よほど専門家の意見を聞いてみなければいけないと思っておりますが、私どもは、やはりある程度上げる方向にあるとはいうものの、あまりショックはまた困るというふうなことを考えておるわけでございまして、これはこの秋なり暮れまでに鋭意検討をさせていただいて、しかるべき水準にいきたい。一方、福祉の充実ということにつきましても、また一挙にぽんと急激に充実されるわけではなくて、漸を追うて充実されていくわけでございますから、その財政需要の必要性のテンポというものをまた考え合わせながら、その税率水準がきめられるべきものと思います。
○広沢委員 質問がというより、問題が多岐にわたっておりますので、あまりこの問題だけに触れられませんけれども、ただ基本的には、円の切り上げが一年有半で二度にわたって行なわれるというような状況にあるわけですね。それから、このままでいけば、またアメリカにおいても輸入課徴金でも考えようかという、それだけ日本経済を今日まで引っぱり上げてきた企業の力、産業の力、そしてまた、いま国際的にはそれだけのいろいろな問題をかかえていても、第一回の円の切り上げのときには、相当影響があるんじゃないかという中で、それをかえってまた今日のような状況を出してきているという現状から見まましても、やはり基本的には税率というものを考えていくべきときが来ている、こう思っておりますし、それについては中途はんぱなことではなくて、過去にこういうふうに一挙に引き上げられた例もあるわけですし、われわれは、今回基本税率を四〇%までは引き上げるべきだという主張をしておるわけです。その点は主張になりますけれども、それは要望として十分申し上げておきたいと思うのです。 次に、先日も申し上げましたが、いわゆる累進的に法人税率、基本税率を考えたらどうか。累進と申し上げましたのは、いわゆる所得税のように累進的という意味ではなくて、いま二段階になっておりますね、それをもう少し実際に合わせた、多段階といったほうがいいのかもわかりませんが——これは現実に二段階にしたら累退ということになると思いますけれども、こういうふうに二段階に分かれているわけですね。やはりこれを、先日も主張しましたとおり、もう少し産業構造、企業の実態に合わせて段階を設ける考え方はないのか、この点をまず最初にお伺いしておきたいと思います。
○高木(文)政府委員 先般来申し上げておりますように、法人の税率を多段階にすることについては、実在説であろうと擬制説であろうと、いずれの場合にいたしましても、私どもは、相当問題があるのではないか、そう簡単なものではないのではないかというふうに考えております。 その理由としては、たとえばいま考えられますことは、おそらく資本階級別に段階を設けることであろうと思いますが、資本階級別に段階を設ければ、やはり高い税率で納めなくても済むように、ある適当な規模の資本金、段階がこない手前の資本金の企業がたくさんふえる、そして場合によったら企業分割も行なわれるということを通じて、高いほうの税率がうまく適用にならないように、どうしても企業としては対応をしていくであろうという角度から、これに対して私どもは、いわば消極的な態度を今日までとり続けているわけでございます。 それと同時に、もしこの問題を本格的に取り上げます場合には、本来、現行の税負担が資本階級別にどうなっているかということとの関連において議論しなければならないわけでございますが、先般もちょっと申し上げましたように、資本階級別に見ますと、資本階級で十億をこえるあたりから上のほうを見ますと、どちらかといいますと、むしろ資本の大きいほうが税負担が少なくなっているという傾向が見られるわけでございます。それはなぜかということを考えますと、そのことは、いわゆる配当軽課税率の影響でそういうことになっているというのが一番顕著にあらわれてきているわけでございます。そこらを考えますならば、段階別にするという議論をする前に、もう一ぺん配当軽課税率のあり方の問題を考える必要があるわけでございまして、一方において配当軽課税率を現状のような姿で存置しながら段階別を設けるということは、相矛盾した二つの機能を持つところの税率を置くということになりますので、それはどういう影響になりますか、きわめて複雑になってまいりますから、私どもは、おことばではございますが、資本階級別に段階を設けるということよりは、むしろ配当軽課税率のあり方そのものをどう考えたらよろしいかということを考える時期ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 なお、もう一つ、資本階級別に段階を設けるという以上は、何か資本階級別に大きいということがそれだけ経済力があるという、いわば一つの証明が要るわけでございますが、資本の大きさと経済力の強さが対応するものかどうか、そこらもよほど研究を要する問題と思います。
○広沢委員 資本階級別だけではなくて、この三十年に二段階にしたときには一応いわゆる所得別に分けているわけですね。ですから、所得別にも考え得ることではないかと思うのですよ。それは資本が幾ら大きくたって、収益によっては——赤ということはないかもしれませんが、マイナスのときもあるだろうし、あるいは相当なプラスのときもあろうかと思います。ですから、ここに現実におやりになっているように、やはり所得階級別に考えていくことが、ある程度段階を設けるにしても必要ではないかと思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 法人の所得というものは、ちょっと専門用語でございますが、いわゆる期間計算と密接に結びついております。当期にこれを売り上げしたものと見て当期の収入に計上すべきか、あるいは翌期の収入に計上すべきかということがございまして、企業としてはやはり税負担があとになったほうが楽だということからとかく、本来ならば収益に計上すべきものを計上しないで翌期に計上する、経費については、本来翌期に計上すべきものを当期に経費としてあげて、当期の利益を小さくしたほうが、当面当期の税負担が少なくて済むということで、収入についてはどうしても翌期にずらそうとしますし、経費については当期に持ってこようとするわけでございます。そこで、それはいかぬということで、その当期に属するものか翌期に属するものかということにつきましては、税務調査の上におきましては非常に重大なる調査項目となっておるわけでございます。 さらに、もし所得階級区分を設けますと、当期も翌期も通じまして、なるべく低いほうの税率で済むようにうまくやればよろしいということになる可能性がありますものですから、そこで税率区分の前提として所得区分を持ってまいりますと、期間計算をまた非常に厳格にやらなければならぬということになってくるわけでございまして、その税率差があまり大きくなければそれほどでもないわけでございますが、税率差が大きいとそういう問題が起こってまいります。いまの税務調査におきましては、税務署の職員が期間計算問題にあまり頭を突っ込むよりは、根っこから売り上げが脱漏しているとか経費が落ちているとかということをもっと一生懸命調査しなさいということで指導しておるわけでございまして、期間計算は、問題はありますけれども、結局当期の税収入になるか翌期の税収入になるかだけの差だから、あまり意味はないのじゃないか、こういうことをいっているわけですが、もしそこに所得区分を置きますと、うまく所得区分のところから低いほうへ、前に働くようにしたほうが得で、ある期にこっちへいき、ある期にこっちへいくと損をするということになりますので、そこで企業のほうは所得計算に敏感になりますから、税務署のほうも一生懸命それを調べなければならぬ、こういうふうなことになりまして、それと、所得階級区分によりますところの制度というのは、そういう意味であまり税収には直接影響が、いまならばないことでありますけれども、税率を変えますと、そこで影響が出てきますものですから、そういう意味でもこの所得階級をたくさんつくることは、少なくとも国税庁はごかんべん願いたいというか、非常にそういう気持ちが強く働くという意味で、なかなか簡単ではないということでございます。
○広沢委員 両方を加味した考え方でいくべきであろうと思いますし、ただ私は、また税調の答申を引くわけではありませんけれども、第一次の税調の答申の中にも、法人税を完全な株主の所得税の前払いと考え、法人が所得を獲得する段階で、法人間に担税力の差を認めない考え方が実情に合っているか疑問である、こういつていますね。現実に事業活動を行なう法人に大法人、中小法人の区別がある以上、その間に担税力の差を認めて、その所得に応じて差別税率を設ける考え方をとったとしても必ずしも理論的にはおかしいとは考えない、こういう三十年の答申でありますから、それを受けて、いわゆる最初は、所得階層別にまず大法人と中小法人に分けたと思うのです。そうじゃありませんか。したがって、今日のような状況の中で考えてみますと、やはり二つに分けた段階が適当なのか、それとも三段階か、もう一段階、中小の中でも小、零細、こういった段階まで考えるべきときではないか。いわゆる事業主報酬制度、みなし法人ということも考えられる段階が来たわけでして、その当時は、問題になったと思いますけれども、個人事業所得についてはどうするんだという問題もあって、あまりこの中に段階を設けることについては問題が残ろうということもあったかと思うのですが、しかしながらいまは、今回提案になっておられるように、それもみなし法人としての選択ができるという段階が来ているわけですから、もう少し産業の実態に即応したやり方をやるのが適当ではないのか、このように主張しているわけです。 また、軽減税率が設けられた当初のねらいというのは、租税特別措置法の利益が大法人に片寄りがちになる、これも税調で指摘しているのですが、そういったところに着目して、中小法人の負担の緩和、大法人と中小法人に担税力の差を認めるとの立場に立てば、租税特別措置法の影響により、税負担の差を考慮に入れて、そして中小法人に軽減税率を設けることは格別問題はない、こういう指摘なんですね。それを二段階になさっていらっしゃるのを、もう少し産業の実態を考えた段階にすべきではないか。これはどうしても前向きにそういうことも考えてみようということでなければ、主張だけに終わってしまいますけれども、しかし二段階にできたものが、どうして、いまのこの指摘にあったように、もう何段階か実情に合わして考えてみることができないのか。それはいまは、るる述べられたようにいろいろ問題があると思うのですよ。しかし二段階にするについても、そこには同じように問題があったわけであります。 それから、ここに参考資料として出ております利益会社の所得階級別に見ますと、百万円未満というのが、これは四十六年度の資料ですけれども、大体半分ですね。百万以上があと半分、こういうことにデータとしてなっているわけです。そのほかに欠損法人もありますけれども、こういう実態から見ましても、もう少し中小企業の育成という面を税制面で考えるならば、この点は考慮に入れてもいいんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○高木(文)政府委員 ただいま御指摘のような、いまの二段階制度ができました当時と今日では、いろいろな意味で非常に変わっております。法人の数もものすごくふえましたし、それから大きな法人のほうの資本の大きさというものが急激に大きくなってきました。そういう意味において、法人の実態というものがきわめて多様になってきたわけでございます。でありますから、昭和三十年でございましたか、その当時、ただいま御指摘がありましたような認識のもとに現在の二段階方式がとられた当時と今日とでは非常に変わっておりますから、おっしゃるように、もう一ぺんそこらのことも含めて研究してみるという値打ちは十分ある問題だと思いますが、その場合にも問題はいろいろありまして、たとえば十億とか百億とかいうものと一億前後のところの関係を、資本階級別でございますが見るべきかどうか、それはもっと下のほうの、小さい、たくさんある、まあしかしいろいろ経営も楽でない、いわゆる中小企業を中心にして段階制を何か考えるという問題なのか、そこらはいろいろと違う問題としてあるわけでございます。 本来、その前に上場会社等であって、その株を一般の方が株主として持っているような企業の場合と、それからほとんど一人株主的な形になっておる小さい企業の場合を、一つの法人税法で処理をしているのはどうかという議論を出す方もまたあるわけでございまして、そこらはたくさん問題をかかえておりますので、いろいろ今度基本的に洗いますときには、当然そのテーマの一つとして考えるべきものと思います。 しかしながら、私が申しておりますのは、それでは検討しました結果それがどうかということをも踏まえて考えてみますと、先ほど申しましたように、あっちにネックがあったりこっちにネックがあったりいたしますということを申し上げているわけでございまして、そこらも含めて検討することについては、御意見のとおりと思います。
○広沢委員 そこで、四十八年度を参考に聞いておきたいのですが、大法人に一応重課という、ことばが語弊があるかと思いますが、そういう大法人に重く課するということを原則として考えていくならば、企業の規模の大小で税負担の差をつける、具体的には株式の上場とそうでないもの、こういうふうに区別をする考え方があるのかどうか、この一点だけ聞いておきたいのです。
○高木(文)政府委員 上場会社とそうでない会社との間では、非常に会社の実態に差があるということが言えると思いますし、それから上場会社とそうでない会社とで、株式の持つ意味、配当の持つ意味というものが非常に違ってくるということがあるものでございますから、そこで一つの法人税法で処理をするのはどうかという意見を出す方がございます。そこで、もし一般に株式市場で流通している株を出しているような企業とそうでない企業とに分けるならば、それは一つのメルクマールになり得るではないかということを言われる方がございます。それは確かに一つの御意見だと思います。でございますけれども、さてそれじゃ両者の間においてどのようにどの点を変えていくのかということまで掘り下げた議論ではなくて、一つのサゼスチョンとして、そこで分けたらどうかという議論があるということでございまして、そうなってきますと、来年、さらに税負担を法人に求めるかどうかという当面の問題として、そこまで入って議論するにはまたあまりにも基本的な問題に入り過ぎますので、そういう議論があることはありますが、当面、四十九年度の改正問題としては、そこまで検討対象にするのはいかがかと思っております。
○広沢委員 次に私は、今回、商社の商品の投機あるいは後には土地税制の問題がありますが、こういったいわゆるいま社会問題となっております投機の問題に関連して、それを税の形でどう考えていくかという問題に触れてみたいと思います。 そこでまず、通産省にお越しいただいておりますので伺いますが、けさの新聞によりますと、すでに通産省が三日間にわたって六社を呼んで、いわゆる土地、有価証券あるいは商品、これにわたって実態を調べた、こういうことであります。したがって、一応実態を調べた結果、いわゆる目的は、先日来問題になっております買い占めあるいは売り惜しみということがあるのではないか、一体実態はどうなっているんだということでお調べになったはずでありますから、その調査結果がここに、あとから説明していただきますけれども出ております。 それで、調査をなさった感想といいますか、感じといいますか、その結果に基づいた通産省のいわゆる感想はいかがであったか、これをまず最初にお伺いしておきたいのです。
○棚橋説明員 お答えします。 先生おっしゃいましたように、通産省では、最近大手商社が生活関連物資の買い占め等を行なって価格騰貴の原因の一つになっておる、こういううわさが流れておりますので、それが事実とすれば、その影響力が非常に大きいわけですので、問題であるということで、三月中旬以降調査を行なったわけでございます。対象商社は三菱商事、三井物産、丸紅、伊藤忠、住友商事、日商岩井のいわゆる大手六社につきまして、対象の事項は、商品としまして羊毛、毛糸、綿花、綿糸、大豆、木材、生糸、さらに、まあ随伴的ではありますが有価証券、土地、こういうものについて、どのような営業活動を行なっておるか、その実態を調査したわけでございます。 調査の結果の概要でございますが、そのごく要点だけ申し上げますと、まず第一に商社の手元流動性が非常に大きく増加しておるということでございます。すなわち、昭和四十六年八月以降、いわゆるリーグ資金が約四千三百億円。この数字は、以下全部六社合計の数字でございますが、リーズ資金が約四千三百億円。それから非常に金融がゆるみまして企業間信用が短縮されまして、それによる資金が約五千二百億円。トータルで九千五百億円が商社の手元流動性の増加分として流入しているということが明らかになりました。この資金は、主として現預金の増加や、有価証券の購入等に向けられております。たとえば現預金について見ますと、昭和四十七年の九月末には、一年半前の四十六年三月末に比べまして、現預金が約三千六百億円増加しておりますし、流動性の高い有価証券が同じ期間で約三千億円増加しております。まあ、われわれの見方では、現預金と流動性の高い有価証券と合わせまして、一年半の間に約六千六百億円が商社に滞留していた、このように考えておるわけでございます。 これを前提にいたしまして、こうした資金を使いましてどのような活動を商社が行なったかということでございますが、まず第一に有価証券でございますが、有価証券は、昭和四十六年度には金融債の購入の形で非常に大きく増加しておりますし、四十七年度には、株式の購入が中心になりましてやはり相当増加しております。したがって、売却益も相当増加しております。土地につきましても、商品としての土地の取り扱い量が相当増加しておりますが、土地につきましては、御案内のように売却益を簡単に出すわけにはいきませんので、この数字は計上しておりません。 またさらに、われわれの調査の主たる目的であります商品の実態でございますが、われわれは商社の取り扱い数量あるいは買い付けや売り渡しの契約残高等の状況やシェアリングにおきますいろいろな判断からしまして、羊毛、毛糸、綿糸及び生糸につきましては買い占め、少なくとも買い急ぎが行なわれた疑いがある、このように考えております。綿花につきましてはこのような事実はない、このように判断しております。 なお、大豆と木材につきましては、その価格高騰の原因は、大豆については国際的な要因を背景とする需要業界の買い急ぎ、木材については住宅建設に伴う需要の急増及びこれに見合う供給の弾力性が十分でなかった、こういった点に主因があるということでございます。 なお、売却益につきましては、われわれの報告書で主要商品別に売却益を出しておりますが、これは非常に重要な前提がありまして、御案内のように商品別に売却益を出すことは非常にむずかしゅうございまして、コストの出し方が困難でございますので、ここでいいます売却益はいわゆる粗利益、単純にCIF価格と販売価格との差を計上したものというふうに申し上げていいかと思います。こういう重要な前提をつけまして申し上げますと、やはり利益は相当その前提でふえておる。特に木材の利益が、四十七年度上、下非常にふえておる。 以上が、大体われわれの調査のごく概要でございます。
○広沢委員 もう一点お聞きしますけれども、この間銀行の借り入れはどれくらいあったのか。一応調査なさっていらしたと思うのですが、いかがですか。
○棚橋説明員 いま手元にあります数字で申し上げますと、借り入れ金の推移は、長期、短期合わせて四十六年三月末で、六社合計で二兆二千億円でございますが、これが四十六年九月末で二兆四千五百億円、対前期一一・四%増。四十七年三月末で二兆七千九百億円、対前期一三・九%増。四十七年九月末で三兆一千五百億円、対前期一三・三%。 以上でございます。
○広沢委員 それから先ほど、時間がありませんので、繊維関係のことをもう少し深く聞きたいのですが、この新聞に出ているとおりで間違いのないのかどうか、これを確かめたいのです、資料もらっておりませんので。いまお話がありましたように、一応買い急ぎというか買い占めというか、ことばの表現は少し濁されましたけれども、たとえば羊毛ですね、あるいは毛糸、それから綿花、綿糸あるいは綿織物、これは需給バランスというのはどういうふうに今年度はなっておりますか。ここに出ているとおりで間違いないだろうか、新聞に発表されているとおりで。たとえば羊毛については年間需要量は昨年で二百四十万俵、今年の需要量は多く見積もっても二百六十万俵。これに対して昨年。大手六社を含めた全商社の買い付け数量は三百万俵である。不足どころか、どんなにがんばってサラリーマンがせびろをつくったとしても四十万俵余る勘定であるというような表現に出ておりますが、いまいう羊毛、毛糸あるいは綿花、綿糸、織物についてどういうふうに需給のバランスがなっているか、説明してください。
○棚橋説明員 お答えします。 先生がごらんの新聞が何新聞であるかは存じませんが、私どもの調査の概要で申し上げますと、羊毛につきましては、大体いま先生がおっしゃったような数字が当たっていると思います。すなわち、昨年の羊毛の輸入量は約二百四十万俵でございますが、ことしは需要増を見込みましても二百六十万俵ぐらいの需要でいいのではないかと見ておりますが、現在の羊毛の商社の手当て済み量は約三百万俵程度になっていると思います。まあそのほとんどが日本に輸入され、あるいは輸入される見込みとすれば、需要をまかなって若干の余裕はあるはずだというふうに考えております。 それから、毛糸でございますが、毛糸の正確な今年度の需給見通しは、通産省で需給協議会を近々開いて予測することになっておりますので、おおよその数字でございますけれども、大体需給ともに十五万トン前後ではなかろうか、このように考えております。供給は、対前年比大体一〇%くらい伸びるはずでございまして、われわれの見方では、供給不足の事態はないはずだとこれを見ております。 綿花でございますが、これも羊毛同様、全量輸入に依存しておりますけれども、本年の綿花の供給量、即輸入量は約八十万トン程度と見ております。需要が七十七万トン程度と見ておりますのので、現在あります在庫を見て、やはり供給のほうに余裕があるのではなかろうか。ちなみに、供給のほうの予測では、対前年比六%増というように見込んでおります。 最後に綿糸でございますが、これにつきましては、毛糸と同様に、近々需給協議会で本年度の予測をするわけでございますので、これも一応の数字でございますが、供給が約六十六万トン、対前年比で八%程度の伸びが期待できまして、需要のほうは約六十五万トンと見ておりますので、これも、在庫を含めて、需給バランスが確保される、このように考えております。
○広沢委員 いずれにしても、いまいろいろ御説明をいただいたとおり、いま相当世間で問題になっておりますとおり、いわゆる商品投機、土地投機というものが行なわれたということは、今回の調査でもあらあらわかったわけであります。これは、昨日本会議に提案になりましたが、いわゆる生活関連物資の買い占め及び売り惜しみに対す緊急措置と規制措置の両案が出ておるわけでありますけれども、この法案が出る前の過程で、行政指導で行なっても、これだけの大きな利益をあげ得ていることがわかるし、あるいは需給のバランスで物価が上がるという問題に対しては、そうではなくて、実際には需給のバランスというものは、たとえば繊維関係をとらえてみても、十分まかなえるものであるという一応の調査データが出ているわけであります。 企画庁もお見えになっておられると思いますので伺いますが、いま海外市況が上がったりいろいろな関係で品不足だということで、衣料にしても——いま繊維製品でとらえましたのでそれで申しますと、繊維製品が上がるんじゃないかというムードで、主婦たちが百貨店なりスーパーに押しかけてどんどん買っている。そして、二割も三割も、あるいは倍にもつり上がっている。特に、先日来指摘がありましたように、病院で使っておりますガーゼについては、わずか二、三カ月のうちに三倍にもはね上がっているわけです。そして実際に医療関係では困っている。ただ調査をした結果放出されれば値が次第に下がってくるであろうといったことでは、もうこういう機関では間に合わないわけですね。そういったものに対して、物価の番人である企画庁としてはどういうふうに考えておるのか、その点をお伺いしておきたいのです。
○斎藤説明員 お答えいたします。 商品価格の高騰につきましては、ただいま通産省の調査にもありますように、われわれといたしましても、過剰流動性の増加が、今回の商品の投機的な上昇と申しますか、そういう有力な要因の一つであろうと存じております。企画庁といたしましては、ただいま通産省から申されたような品目等につきまして、年初来関係各省が集まりまして対策を協議し、企画庁といたしましてそういった対策を是認し、あるいはさらに督励をお願いしているわけでございます。ガーゼにつきましても、厚生省を含めて通産省関係による医師会あるいは医療資材関係の業界に対する指導等、厚生省からいろいろ御連絡をお受けいたしておりまして、われわれといたしましても、厚生省並びに通産省がさらに関係業界を通じて努力されるようにお願いしておるところでございます。 さらに、行政指導でございますので限界がございますし、そういった意味におきまして、ただいま先生おっしゃいましたように、緊急措置法を現在提案申し上げておるところでございまして、一日も早くそういった法案が成立して、行政の諸般の措置が強化されることを切に希望いたしております。
○広沢委員 とにかく調べてみてこういう実態がわかって、これを国民に知らしめて、時の来るのを待って、需給のバランスがとれてくれば物価が下がるだろうというようななまぬるいことを言っているから、今日、一定の期間に急上昇して、国民は非常に圧迫を受けたりあるいは不安にかられたりするわけですね。経済企画庁というのは、需給のバランスを絶えず数字ではじいてはその対策を立てているのでしょう。もう少し適切な措置を講じていかないと、やはり投機問題とかいろいろな問題が起こってくると思うのです。これは通産省の関係であるけれども、企画庁もともに考えていただかなければならない問題だと思うのです。ただ、いまこの法案が具体的に審議をされ、そして通過した段階においては、やはりそれだけの権限を持った調査ができるのです。通産大臣が言っておられますように、表面を調べてみてもあるいは業者の言い分を聞いて集計をしただけでもこれだけだというのですから、実際に立ち入り検査ということになればもっともっと具体的な実態が出てくると思うのです。そのおりにまた具体的にこの問題はお伺いすることにいたします。 そこで、主題に戻ってまいりますが、主税局長、こういうような三日間にわたる大ざっぱな調べ方でも、これだけ買い占め、売り惜しみという実態が出てきて、ばく大な利益があがったのではないかということがこの数字の上でも読み取れるわけです。そこで、これに対して、先日も提案申し上げましたとおり、こういうような特定物資の買い占めあるいは売り惜しみが指摘された事項に対しては、それだけ物価をつり上げ——あるいは不当といえるかどうか、これはまた問題がありましょうけれども、私はあえてそういうことで利益を得るということは不当だろうと思うのです。投機がいけないというわけではないけれども、そういう短期間に急激につり上げて、その間に利益を得るということは、私は完全に不当だろうと思うのです。したがって、これはきのうも本会議でいろいろ論議がありましたように、自由経済のもとであっても、やはり反社会的行為に対しては、これだけの法案をつくって何とか対処しなければならぬということでありますから、これに対しては、税の関係においても何らか補完的な、こういうことが行なわれないような措置を講ずるという考え方はないのか、お伺いしたいと思います。
○高木(文)政府委員 そこは非常にむずかしいところでございまして、いわば社会的な感覚からいえば、非常に好ましからざる利益については重い税を課してはどうかということが、ある意味で常識的に考えられるわけでございます。しかしながら、現実問題といたしまして、何が好ましからざるものかということをどうやってだれがきめるか、どういう約束事のもとにきめるかという問題が一つございますし、かりにそれをきめ得たといたしましても、それによって税率を異にするということになりますと——現在、企業というものについて、どのような仕事をするかは自由である、その自由のもとにおいて商売をし、物をつくることを認めておる。そういう前提のもとにおいて、それをいろいろ分解いたしまして、この商売については何%、この商売については何%というような仕組みにいたしますことは、なかなか法人税の本来の仕組みにそぐわないことになるわけでございます。 それで、現在でも、利益があれば、とにかく実質税負担四五、六%になっておるわけでございますから、いまの大豆その他の利益につきましても、それは当然納めなければならぬという仕組みになっておるわけでありまして、そのうちある部分だけを抜き出してやるということになりますれば、これはものすごく制度が複雑になるということになりますので、私どもとしては、それはひとつごかんべんを願いたい、こういう気持ちでございます。 今回の改正の際に、土地について税率を区分するということをしたわけでございますが、実は土地について税率を区分するということにつきましても、いままでは土地について、売買をして利益があるということでありましても、他の商売と格別それが差異がないということでそういうことはすべきでないという立場をとっておったのを、今回切りかえまして、土地についてはほかのものとは違って、いわば国民的資産である、その国民的資産である土地について利益をあげるということは、これは投機とか投機でないということを別にいたしまして、たとえ投機的な行動であろうとなかろうと、土地について利益があるということであればそれはよくない。たとえば、ある人が目先をきかして早く土地を買って、そして何らかの都合で交通機関が整備されたとか、その他の事情によってその地域が非常に値上がりをして土地について利益があったというような場合もありましょうし、いろいろの事情によって土地の利益が生まれてくると思いますが、その事情のいかんを問わず、およそ土地であればということで、こう整備をすることに踏み切ったわけでございます。 先ほど増本委員の御質問にもございましたように、むしろ四十四年度税制が失敗であったのではないか、四十四年度の段階でも法人について何か考えられるべきではなかったかという議論があり得るわけでございますが、それが四十四年度で法人についてできませんでしたのは、なかなかそういうことに踏み切れなかったわけでございます。 ただ最近、この四、五年の間に、土地についてのものの考え方はもう基本的に国民の間で変わってまいりましたから、今回土地については特別のことをすることにしたわけでございますが、それができるならば大豆についてもできるだろう、あるいは羊毛についてもできるだろう、綿花についてもできるだろうということになりますかどうか。そういうふうにどんどんいろいろなことになってまいりますと、そこは非常に複雑になってまいりますし、また税でございますから、およそ大豆を扱った人であれば、大豆については大企業であろうと中小企業であろうと個人であろうと、すべて何かそこは別扱いしなければならぬということになりますと、大量処理である税の立場といたしましては非常に困難をきわめるわけでございまして、これについて特別税を課してはどうかということは、お気持ちはわかりますけれども、税執行との関係もあり、この点はひとつごかんべんを願いたいと思っております。
○広沢委員 執行上のいろいろな問題があることはわかります。土地税の今度の重課の問題についてもいろいろ議論のあったことはわかりますので、ただ、これはどのくらいで売ればいいかというような、なかなか問題があると思うのですが、そんなことを一々きめられないです。今度の取り締まり規制法をつくったとしても、放出命令は出しても、幾らで売れなんということはいえないわけですね。しかし、実態的に調べてみて、この法律が行なわれ、適用されたとして、実際にそのものが、異常投機というものがなくなって、平常な自由市場の中で価格がきまっていくという需給のバランスが行なわれ、そこで価格がきまっていくという、いわゆる自由市場のメリットがそこにあらわれてくるならばよろしい。しかし、そうではなくて、今日の問題というのは、それから逸脱して短期間に、先ほどもお話がありましたように、この一年間で銀行からはばく大な金を借りる、そしてまたリーズの資金は、それも一部手元に入ってくれば、それを今度はいわゆる土地あるいは株あるいは商品に回す、こういうような形をとっておるわけですね。なぜ四十六年の上期から四十七年の下期までというふうにこれを比べたかというと、この間に異常な、木材にしても繊維にしても、あらゆる生活関連物資というものが急激に上がっているわけでしょう。その実態を調べて、いま通産省のほうから説明していただいただけでも冒頭に出ているとおりなんですね。 ですから、そういうものに対して、いまはこれが不当であるとか不当でないとかいう判断はできておりません。しかしながら、この規則ができてこういう適用を受けた場合においては、ただそれが不当でありますということだけいった——放出命令が出て、それが出ていけば自然にそのうちに物価は下がってくるでしょう。安定してくるでしょう。その間に不当利得を得た企業あるいはそのために重大なる被害を受けた国民、そういうものに対しては——不当利得に対しては、これは税法の関係で、得たものについては、所得のあったものについては取って、それを国民に還元するのは、これは当然じゃないか。それが、いま比例税率ですから、実効税率が四五%とおっしゃいましたけれども、それはいまの商業活動の中できめられた率であって、いま言う異常なものに対する所得に対してもそのまま、税は非常にむずかしいということでほったらかすのか。あるいは特定物資の一定の税率を求めて、いま言うような問題に対して何らか一方的に、そういう自由市場の中でも反社会的な行為でもうけたものについては、これは全部国に還元してもらいますよ。罰金にするのか、税にするのか、いろいろありましょうけれども、罰金といったってそれを全部取り上げるということはできません。ならば、罰金にするということ自体が、税で取り上げる以上にいわゆる自由経済の中でのその問題に介入していいかという問題も出てくると思うのですね。ですから、ある程度それだけの不当利得というふうに見受けられた、いわゆる取り締まりの法ができてその適用を受けたものについては、これは明らかに買い占め、売り惜しみという不当を指摘されたことになるわけですから、それについてはある程度の一定税率を、五%なり一〇%なりこれは検討してみなければわかりませんが、一定税率をもらうという方向でやっていくこと自体が、そういうような自由経済の中を乱して、いわゆるもうければいいのだというような企業モラルの低下といいますか、そういうものをなくしていくことになるのではないか。やはりこういう意味でも、この所得の増大した関係、いわゆるそういう面からも税の補完的な働きはあってしかるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 おっしゃるような御意見は各方面にあるわけでございます。たとえば一昨年の秋にやはり為替関係の変動があって、そして為替の強い管理がありましたけれども、なおそのもとにおいて為替をじょうずに売ったり買ったりして利益があった場合があると、そういう為替の売り買いによる利益については特別な税をとってはどうかというような御意見が委員会において御議論になったことがございます。そういう社会的な正義に反するといいますか、世の中から指弾を受けるような行動があった場合に、それを税制である程度処理できないかという御意見はいろいろあるわけでございますが、しかしその点は、私どもといたしましては、現在でも税制そのものが非常に複雑なことになっておりまして、こういうものに加うるにさらにそういういろいろな区分を設けるということにつきましては、いよいよもって税にあまりにも多くの負担を求めるということになるわけでございまして、なかなか簡単には同意いたすわけにまいらぬということでございます。 実際問題として今日の物価騰貴の問題あるいは買い占めの問題は、私どもも非常にいわば義憤を感ずるというか、正義に反するものだと思いますけれども、それでは直ちに税で処理すべきかということになると、その点は異論があるわけでございまして、もっともっとまだいろいろな手段方法を考えていただいて御処理願いたい。そういう問題を税にいきなり持ってこられるのは、これはどうも非常に困るということでございます。くれぐれもその点は税の立場もひとつお考えをいただきたいと思うわけでございます。
○広沢委員 やはり私は、今日国民がいま問題にしておりますいわゆる投機の問題については、まだまだそれぞれ関係当局の考え方は甘すぎるのではないか。これはもうほんとうに社会的に悪だといわれるくらいの問題にまで出てきている。こういうようなことについてはもう少しあらゆる関係当局で打てるだけの手というものは打ってこういうような行為が行なわれないようにするということを、税だけではありませんよ、すべての段階で考えてみるべきではないか。私は、これをやってみたあとで、必ずこの効果については問題が出てくるでしょう。きのうの答弁にありましたように、あるいは公示することによって社会的な信用を失墜するから、ですからこういうことはやまってくるだろう。あるいはそうなるかもしれません。しかし、かりにそういうことがなくていままでと同じ、この法律があろうとなかろうと、通産省は行政指導で、その中ではこういうような不正常な取引あるいは問題が起こった場合においては行政指導をやってきたわけですから、その適用のしかたが甘かったかあるいは強かったかは問題があろうと思います、甘かっただろうと思うのですけれども、しかし、独禁法もあり、あるいはいろいろな法律もあって、やろうと思えばできたことです。それで自由市場の中での需給バランスの調整をとろうというのが、当然行政のやるべきことだ。しかし、それを越えてこういう問題が起こってきたわけですから、いまこの法律ができて、またこういうような事態が社会の中に生まれてくるとすれば、いまの経済体制は基本から考え直していかなければならないくらい大きな問題になってくると思います。その次元に立って、あらゆる関係当局がそれぞれの政策を集めて、どうやってこれを押えるかといった段階には、やはりある意味においては税も考えていかなければならない段階が来る、こう私は思うわけです。そういう意味で、これはいますぐになじまないということでございますので、あるいは租税上でもいろいろ事務的にも問題があるということでございますから、私は一応強くこれを意見として申し上げておくことにいたします。 時間がありませんので、次に、租税特別措置法の関係ですが、この租税特別措置法が、これは意義づけの中にありますとおり公平の原則を大なり小なり犠牲にしている、それで、特定の政策目的の実現のために、税制上特別な減税措置をやっているのだということでありますけれども、政策目的を達成するという面においてはこれはプラスの面もあろうかと思います。逆に、それによってあるいは慢性化だとか、あるいは既得権化ということをいわれておりますけれども、そういうことによってかえってマイナスの面がある、その点を、やはり税の公平をある程度曲げてまでも政策目的を達成するためにやっているわけですから、この運用については非常にきびしく見ていかなければならないと思うのです。 そこで、いま言うように、今日までずっとこれは租税特別措置として、政策目的でやってきているわけですが、そのマイナス面というものを当局はどういうふうに考えて運用されているのか、時間がありませんので、まずこれだけ簡単に答えてください。
○高木(文)政府委員 マイナス面は、やはり課税の公平がそこなわれるということでございます。いかに政策といえども、やはりその結果として、いろいろな政策をとったものとそれ以外との間にアンバランスが生ずるわけでございまして、そういう意味においては絶えずデメリットを伴ってきておると思っております。
○広沢委員 それがわかった上で、あえて特別措置法をつくって、政策目的のためには多少はしかたがないということでその法律ができているのですから、だから不公平だということだけがマイナスだということではないと思うのです。ただ、その法律に基づいて、いままでも輸出振興特別措置だとか、あるいは設備投資に対して特別な償却を認めるとか、政策を推進するための租税特別措置というのがあったわけですね。そういう関係で、今日は、やはりこれが過度に行き過ぎていきますと、いわゆる公害問題を起こしたり、あるいは今日のように国際間で問題になるくらい日本の輸出がぐんぐん伸びて、いまやそれが通貨問題としての原因の一つの中にも取り入れられて、論議されてくるような状況にあるわけでありまして、この改廃というか、適切な運用というものによって、こういうふうに一つの目的のためにやってあげることが、全体的にマイナスを及ぼしてくるという、これは非常に抽象的な話になりますけれども、現実にあらわれている問題としてあるわけでして、やはり租税特別措置法の改廃については、もっと一つ一つ検討していかなければならないと思うのです。 そこで、簡単に各項目についてお伺いしたいと思うのですが、伺う前に、まずいわゆる政策目的を達成したかどうかということを考えてみなければならないわけです。ここに毎回お出しになる、いわゆる減収見込み額の表が参考的に出されておりますが、これのもう少し詳しいものを私は出していただきたいと思うのですけれども、これによりましても、具体的にこれだけの問題がこれだけの項目の分野で、あるいは貯蓄の奨励だとか、環境改善だとか、こういう分野で減税されるんだということはわかりますけれども、この後において、これもずっと前委員会で問題になっておったようでありますけれども、具体的にどういうふうになったかということがさっぱりわからないわけです。 ですから、その点は実際にはこうだという数値か何かを示されないものか。いま四十八年のは出ておりますが、四十六年なら四十六年に実際にこれだけ減税してあげた、簡単に言えばまけてあげたということですね。これはそのままこれが補助金的なものにという感覚にとられるものもあります。減免税した分についてはそうでしょう。さらにはいわゆる政府が融資した形、特別償却だとか準備金などというものはその中に入ってくると思うのです。いずれにしても、これについては政府がいま言うように重大な恩典を与えているわけですから、その結果については大体こうなったということがわからなければ、これを改廃をするとかなんだとか議論してもさっぱり抽象論でわからないわけです。いかがですか。
○高木(文)政府委員 その問題につきましては、昨年の当委員会において真剣に御議論を賜わりまして、御要求いただきましたので、一年間いろいろ、どこまで実績の計算ができるか検討いたしました。やっと集計を終わりまして、まさにお出しできるところにまいっております。それで、けさの理事会で御相談いただきましたように、きょうあすのうちにできる範囲のものをお出しをいたすという準備をいたしておるところでございます。
○広沢委員 それで、約束の時間が少々オーバーしているようですので、少しスピードを上げていきたいと思います。答弁のほうもできるだけ簡単にお願いいたします。 そこで、減免税なり、いわゆる税額控除、特別控除している場合、補助金的な役割りを果たしているもの、これについては、私は基本的にはこの際租税特別措置法を洗い直す段階において、やはり政策的なものはそういう面で見てあげたらどうか。これは、延期されるものについては、補助金で見れば、それはできたままになってしまいますから、行政効果を見る上においてはいいかと思いますけれども、やはりこういう減免税になる分については補助金の面で見ていくべきではないかと思うのです。この点はどういうふうに考えているか、あるいは課税を延期になるとしても、それだけ金利分だとかいろいろな分のメリットがあるからこれをやっているわけでありまして、これについても実質的にはもう免税となっていると受け取られてもいい場合があると思うのです、これは長期にずっと続いているわけですから。そういう意味で、そういうふうにとれるわけですけれども、そういった面を考えて洗い直してみる考え方はないか。
○高木(文)政府委員 おっしゃるように、特別措置の中で、最終的に免税になるもの、それは、手法としては所得控除または税額控除をいたしますと、そうなりますが、免税になるものと、一種の課税延期というか、金融したのと同じ結果になるものとがございます。その前者のほうは、最終的に免税になるということは、いかに政策目的であろうといえども、それによらざるを得ない場合を除いて好ましくないという考え方をとっておりまして、大体昭和四十年代の初めから、所得控除等は整理する方向でいっておりまして、輸出等につきましても、かつては所得控除でありましたものを、一たん特別償却に切りかえて、その特別償却を最近またやめた、こういう経過でございます。そこで、現在ではそういう最終的に免税になってしまうような税額控除なり所得控除なりというものは、もうごく限られたものになっておるわけでございまして、御趣旨は全くそのとおりでございますので、今後ともなお残っておりますものについてはそういう視点から対処いたしたいと思います。
○広沢委員 それから、これを毎回毎回当局も見直していると思うのですが、私たちも具体的にこれを検討するには、けさの理事会でも問題になっておりましたように、業態別に、一社、一社というと、これは税の秘密に属することですからできませんし、あるいは業種別といっても問題があるかと思いますが、いわゆる業態別に、たとえば鉄鋼関係については租税特別措置の関係でこれだけの適用を受けていた、それに対してどれだけの恩典になっているかというような資料というものは、これはお出しできますか。
○高木(文)政府委員 昨年の当委員会におきまして、租税特別措置の影響といいますか、結果といいますか、それを算出しなさいということで、非常に強い御要求がありましたので、いろいろ統計のとり方等について補いをつけまして、そして、先ほど申しましたように、今明日にお出しし得る状態まで至ったわけでございますが、これをまた今度は業態別ということになりますと、これはまた相当な、日ごろからそういうつもりで資料その他を集計したり用意したりしなければならぬことになります。そこで、漸次そういう方向に行くことについてはけっこうでございますが、これはやはりその目的だけのために統計資料等を整備するわけでございますので、なかなか一挙にはまいりかねますから、漸次そういうことは考えますが、今日ただいまのところはひとつごかんべんを願いたいということでございます。
○広沢委員 とにかくこれは、租税特別措置による減免税というものは、いわゆる補助金を政策目的のためにやられているといっても、補助金と違って、国会でもなかなかコントロールできないわけですよ。何年間というものをまけてやって、それを継続していくということになれば、全然チェックはできない。特別償却にしてもあるいは準備金にしても、問題があるからすでに要求があったわけだろうと思うのですね。ですから、できるだけそういう、いまの法律で規定されたところ以外の段階において、よりこまかくそういうことが検討できるということが、やはり租税特別措置を考えていく上において一番基本になってくると思うのです。 それでなければ、政策は補助金なりあるいは貸付金なりそういうことでやって、一年、二年、どういうふうになったかという、細部にわたって検討ができる、あるいは会計検査院の決算においてそれがはっきりわかるくらいの、あまり効果のないものだったらその補助金もやめる、あるいは貸付金も打ち切るというふうに、そういう運用をしてこそ初めてこれはいいんじゃないかと思うのですよ。税のほうでやっていくからという態度では、一ぺん法律をつくってまけてしまえば、減税をやるあるいは繰り延べをしてもらえば、そのままずっといけるんだという形を置いてきたところに、やはり国民が納得できない問題があるから、これは毎回問題になることだろうと思うのです。したがって、いま局長は、努力してできるだけそういう方向でということでありますので、その方向で、業態別にひとつ検討をしていただきたいと思うのです。実際は業態別にできているのでしょう。たとえば鉄鋼関係では特別措置の中で二十数種類の恩恵を受けているというようなことだって、これはわかっているわけです。ですから、そういう意味で、その点を数字は大まかでもけっこうですから、ひとつお出しいただきたいことを要望しておきます。 それから次に、利子、配当の特例ですけれども、これも非常にスピードを上げて聞いてまいりますので、簡潔にお答えください。 いわゆる四十五年のときには、一応これはやめろということで、撤廃しろということが一応議論になって、それから源泉選択になり、まあ歴史は古うございますけれども、いわゆる、先ほどからお話があったように、段階的にずっとやってまいりまして、五十年をめどとして一応期限が来ることになっていますね。そこで、五十年、つまり五年後を目途にしたということは、五十年以後にはもうやめるのか、それともまだそれから率を上げていくおつもりがあるのか。かつては、何年だったかちょっと忘れましたけれども、五〇%という税率があったときもあると思うのです。また、極端に言えば五%となったときもあると思うのですけれども、いまの情勢であれば、われわれはまあこれは一応撤廃、やめるべきであるという主張をしているわけでありますけれども、やめる段階として税率を上げていくことになるのか、あるいは即座に四十九年度において一応そういう方向で考えるのか、これを簡単にお答えいただきたい。まだいろいろ聞きたいことはあるのですけれども、重ねて聞いておきます。 それから、住宅の対策のところでありますけれども、住宅の対策のところで、住宅貯蓄控除制度でありますけれども、これは非常にいい制度でありますが、住宅貯蓄控除の適用を受けているのは大体どれぐらいあるのかということ。その中で一つ問題になっておりますことは、積み立ての最初に金融機関に積み立て債券の保管を委託しない場合においては、現状においてはこれは実際に適用を受けられない。法律上ではどっちだということは書いてありません。しかし、これは執行上においてそういうような取り扱いをしているやに聞いておるわけでありますけれども、その点はどうなのか。今回の改正でも事業主から貸付として七年ということも出ているわけでありますので、これはひとつ検討していただきたいと思うのです。 最初この控除が一万円だったのが、改正で二万円になり、また今度の改正で三万円になってきている。毎年毎年経済の事情に合わせてある程度この控除も引き上げなければならないということになると、当初はこのくらいならと思っておった方でも、中途からでもぜひともこういうふうにやってもらいたいという要望があると思います。それに対しては中途からでもやはり控除の適用を受けられるように、ひとつ考えていただきたいと思うわけでありますが、その点はどういうふうになっておりますでしょうか。あと二、三問残して、まずそれからお答えください。
○高木(文)政府委員 源泉選択制度は将来どうなるかということでございますが、源泉選択制度はいわゆる完全な意味での総合制度への道行きでございます。これはある意味ではたいへんいい制度だと思っておるわけでございます。本年一月一日以降支払われます利子からは、その税率は源泉選択だと二五ということになりますが、所得税で二五という税率は、課税所得で三百二十万くらいから上のところが二五以上になりますけれども、それ以下はそれよりも低いわけでございますから、ほんとうは源泉選択でなしに総合のほうを選んだほうが有利な方が非常に多いはずでございます。ところが、どうもそこまで制度がよく理解されておらないということは非常に残念なことでございまして、何とか私どもとしてはそういう方向に持っていきたい。現在の段階では、五十年度まで来ましても、現行制度が各方面に十分理解をされるというところまでは、まだちょっといき得ないのではないかと思われますので、この制度をやはり残しておかざるを得ないのではないかという感じを持っております。 二番目に、住宅貯蓄控除制度の利用状況でございますが、これは四十七年九月現在で一応調べましたもの、これはいろいろなものがありますが、大体件数で二万件弱ということになっております。 三番目の住宅貯蓄控除制度の運用の問題は、国税庁から答弁をしてもらいます。
○吉田(冨)説明員 最後の点ですが、先生のおっしゃいましたように、当初契約時に法定の要件に該当しなかった貯蓄契約につきまして、後日約定の追加または変更をして、法定の要件を備えることになった場合には、その後の積み立て額について控除を受けられないという点でございますが、先生御案内のように、住宅貯蓄控除の制度は、住宅貯蓄契約の締結時において法定の要件を備えておって、かつその契約に従って積み立てなどが行なわれるものについて適用が本来あるわけでございます。したがって、その要件を具備していないもの、またはその契約に従って履行がされていないものにつきましては、この制度の適用はないということになるわけでございますが、この制度も創設以来順次拡充されまして、その利用者も次第に増加してきておる現状を踏まえて制度創設の趣旨にかんがみまして、ただいま御質問の点については法令の解釈の許す範囲内でできるだけ前向きで検討していきたいと考えております。
○広沢委員 それからいまやはり一つの大きな問題になっております事業主報酬制度について若干お伺いしておきたいと思いますが、まずこれは一応租税特別措置法の中で五年間ということで考えたということ自体に私は少し異論があるわけです。これは税調では基本税率に入れることはどうかということの答申があったわけでありますけれども、やはりこれは長い間論議されてきて、一応これはこういうふうにせざるを得ないという段階でみなし法人としてやることになったわけでありますけれども、やはりこれは基本税率に入れて考えるべきではないのか。これは言うまでもなくいまの基本的な考え方というか、まあ一個の企業体として見た場合ですね、そういうようなことから考えていくと、当然いまの事業主報酬ということも他の企業体と分けた見方をするということはおかしいということで報酬を認める、こういうことになったわけでありますから、そういう観点から考えてみても、私はこの制度の導入というのは妥当じゃないか、こう思うわけです。したがいまして、その点がどういうふうに考えられているのか。 それからもう一つ問題点は、まだこまかくいえばたくさんありますが、時間がありませんので、事業主報酬制度を青色申告者のみに限ったということについては、私はこれに大いに異論があります。これはいままで青色申告を税務当局がどんどん推進してきたその意味はわかりますよ。わかるのでありますけれども、やはり当然白色との間には差をつけてきているわけですね。そして推進してきた。しかし二十数年来青色を奨励してやってきて、いまだにできないというところには、もう皆さんがそれをやってらっしゃるわけですから、白色はどうしても青色にならない、帳簿の記帳が言われたとおりきちっとつけられないというところもあるはずなのですね。これは農業だとか零細企業だとかいう、農業もどんどん近代化してきているところは青色をやっているところもありますけれども、そうじゃない部門もあるわけですね。ですから、そういうふうなことでそこにもう一つ大きな差をつけていこうということは、やはり問題だろうと思うのです。基本的に考えたら、白も青も全部これは企業体としてとらえて考え、その上において起こってくる矛盾については別個の考え方でこれを是正することを考えるべきであって、これにおいて白色はまた別扱いだというふうな考え方をすること自体、私は間違いだと思うのです。この点については論議しておると長くなりますので、一応見解を承ってどうしても納得できないところがあったならば、もう一ぺん反問いたします。 その次に公害の問題ですけれども、公害についてはこれはもう基本的には今回もやっておりますが、特別償却制度ですね、ああいうものを認めていくということ、これはある意味においてはわかります。わかるけれども、やはり基本的にはいまのPPPの原則に基づいて企業が負担すべきである。早くきれいな水、青空を取り戻していくためにはこちらからも応援してやるべきだ。この意味はわかるのですけれども、やっぱり公害はもう公害罪ができているくらいですから、犯罪ですよ。そういったものに対して基本的にはもうそれをやってはいけないということでありますから、みずからの手でそれを出さないことをやっていくのは当然だと思うのです。そういう観点から立っていくと、このやろうという意味はわかります。ですけれども、基本的な考え方についてはどうも納得しがたいものである。万一どうしてもということであったならば、完全に公害が出ないという企業計画をきちっと出さして、これで公害がなくなるのだということの明確なことを確認した計画の上に立ってチェックしていくくらいのきびしさがなければ、いままでと同じように特別償却を認めるのだというような形であれば、公害はまだ消えませんからといってずっと続いていくだけで、まだ公害があるじゃないかというような問題さえも出てくるわけでありますから、私は基本的には、どうしてもそれだけ援助しなければならないのだったら、急いでやらなければいけないのだったら、貸付金でもやって企業の責任においてやらすというふうに主張したいと思うのですが、その点についてお答えいただきたい。 次は、交際費の問題ですが、交際費の問題についても、私はこれはまだ損金不算入の割合が二五、六%のところじゃないか。ちょっと数字を聞いておりませんので、昭和四十五年で二六・何%かになっていると思いますが、したがって、これはやはり一兆円にして二割五分だとすると、約七千五百億は損金で認められているわけですね。これはこの数字もいろいろ出てきておりますが、やはりふえていっているわけです。そこでやっぱりこの税率七〇%を七五%にするというようなことをやっておりますけれども、この程度でどれくらい効果があるのかということ——いいですか、ちょっと書いておいてください、一ぺんに聞いているのですから。効果があるかという問題、やはり基本的には私は四百万に資本に千分の二・五ですね、これを足したものに、いま言う税率を足すというのですが、やはり基本的に四百万というところですね。現実のいわゆる交際費をどのように使っているかというのを階層別に見ていくならば、これはもう一ぺん考えてもいいのではないか、こういうふうな考え方を持っておりますので、主張も加えて質問したいと思いますが、時間が過ぎてしまいましたので、いま数々一ぺんに聞きました。的確にお答えいただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 第一は、事業主報酬制度でございますが、事業主報酬制度の考え方は、これは法人にならなくても法人と同じような経理をやっておれば総合税負担で法人と同じようにしてもらってもいいではないかという御要望、御要請にこたえたものでございます。そこで、御存じのように、みなし報酬制度、みなし法人税課税ということをやっておるわけでございますから、法人課税はすべて帳簿があるということが前提になって進んでおるわけでございます。一定の財務諸表があって法人計算ができるという前提で進んでいるわけでございます。 そこで、青色申告のうちでも相当部分ちゃんと帳簿があって、経理がきちっとしておって、いわば俗なことばでございますが、奥とお店とが経理が分かれておるというときには、実態が法人に近づきますから、それは可能でございますけれども、白というのは実態はどうかわかりませんが、税務署との関係では帳簿がないということでございますから、帳簿がないところに法人扱いにしようがないということでありまして、これはあくまで、税務署が青色申告が望ましいとか、それを奨励してきたとかいうことも事実としてありますけれども、今回の場合は全くそれと関係なく、帳簿があるかないかというところでみなし法人ができるかできないか、こうなるわけでございまして、事業主報酬制度を採用しながら、なおかつ白色についてもそれを認めよということであれば、いまのみなし法人システム、御提案申し上げておりますみなし法人システム、みなし給与所得システムというのではうまくいかないことになるのでありまして、今回の行き方での事業主報酬制度である限りにおいては、やはり青だけに限らしていただかないと、制度として成り立たない、こういう関係にあるわけでございます。 第二に、事業主報酬制度を五年間に限る必要はないではないかということ、あるいは本法的制度にしたらどうかということでございますが、あまりにもなかなか複雑な制度でございまして、みなし給与所得であるとか、みなし法人であるとか、みなし法人であるが、これは留保所得と見ないでみなし配当と見るとか、みなし、みなしの重なりになっておるような制度でございますので、とてもこれは本法にはうまく入ってこない仕組みになっております。それは五年で切ることがいいかどうかわかりません。本法になかなか入りにくいといっても、五年で切る必要はないじゃないかということは一つあるかもしれませんが、これはしばらく試験的にやってみて、非常にいい制度だということになれば若干のまた手直しも必要でありましょうし、そういうことを加えながらまた考えたらいいのではないかということで、一応五年ということに切ったわけでございます。 公害のPPP原則との関係は、当委員会でもしばしば申し上げておりますように、OECDの公害の委員会においては、PPP原則が大原則だといっておりますけれども、そこでもなおかつ、臨時的には何かの措置が必要であるということはいっておるわけであります。公害をなくすには二つのやり方がありますが、一応法律で基準をきめて、そうして企業は早くそこまでいってくださいということでございまして、そこで、そこまでは法律ですべて処理がされたわけですが、何かそれを早くやってほしいということのためにインセンティブを与えるのに税制上やっているわけでございます。私どもは、これは、先生さっきから租税特別措置についていろいろ御指摘がありますように、非常に心配をしております。この制度が将来既得権化したり慢性化したり、もうメリットがなくなったのに何となくいつまでも残っていやしないか、そういう種をまきやしないかという心配をいたしておりまして、現段階では始まったばかりでございますから、それなりにインセンティブの効果はあったものと思っております。ぜひとも私どもは、これらにつきましては相当強い態度をもって臨んで、早くこういうことを税制の上で奨励をしなくてもいけるようにすべきであるというふうに考えております。この点につきましては、先般も環境庁の調整局長が来て御説明をいたしましたが、大体私どももあの考え方に沿って、あくまで臨時的なもの、過渡的なもの、基準に達するまでのもの、あるいはショックを緩和するためのものという趣旨のつもりでございますので、御趣旨を体して、今後きびしい態度で臨みたいと思います。 交際費の損金不算入割合の問題につきましては、昨年度の当委員会におきましても、また一部は本会議におきましても、四百万円なり資本金基準なりを圧縮せいという御主張がございましたので、今回の手直しにあたりましても、その点は検討いたしました。十分検討いたしましたが、どうも困ったことに、四百万のところは非常に小さい企業のほうにきいております。現在、資本階級別もしくはその他で見てみますと、いわゆる大企業のほうが交際費の損金算入否認ということで、税負担の増加は中小企業よりは多くあらわれております。なぜかといいますと、この四百万の制度あるいは資本金基準がいわばきいておるからでございます。定額でございますから、貨幣価値の変動に伴いまして、四百万円という持つものの意味はだんだん減っておるということもあり、かつ中小企業への影響が若干きいてくる。中小企業の影響があっても、これは交際費の問題だからいいではないかという御意見の方と、やはり交際費の問題であっても中小企業にはあまりショックを与えてはまずいのではないかという御意見の方があり、結局そのことは触れずに率だけでいったわけでございまして、私どもも相当この四百万円のところは問題であるというふうに考えておりますが、どうもそういうことであるならば、もう一ぺん中小企業税制を見直す時期に譲るべきであるという御意見のほうがどちらかというと強いように思われましたので、今回はそこには触れないことにしたというバックがあるのでございます。
○広沢委員 時間が大きくオーバーしておりますので一応これで質問を終わりたいと思いますが、要するに、先ほどの事業主報酬制度の問題にしてもその他にしてもそうですけれども、私は、この問題で、帳簿上帳簿上とおっしゃいますけれども、帳簿上のことが大事なことはわかるのですよ。しかし税の基本の上から考えたら、青色申告であろうと白色申告であろうと、その中に一応は差をつけてそれだけの優遇措置もこしらえ、いろいろな措置をとってきているわけですね。けさの理事会でも問題になっておりました法人の基準というものはどうなるのかということがありましたものですから、私は、いろいろそういう資料が出たときに、こういった問題についても機会を得てもう一ぺん具体的に質問をしてみたいと思います。さらに、最後は多少大ざっぱな質問になりましたけれども、大臣が出席されての時間がありますので、その際に少し時間をいただいてもう少し詰めたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。
○大村委員長代理 竹本孫一君。
○竹本委員 最初に私は、事業主報酬の問題について少しお伺いをいたしたいと思います。 この問題につきましては、中小企業の経営の近代化をどうしてもはからなければならないが、中小企業庁、通産省がそうした指導をされておるだけではなくて、税制の面からもその近代化を促進するようにしてもらいたいということが一つ。それからもう一つは、中小企業の経営者というものは、本来的に二重人格である、一人二役である、その所得は、一方において資産所得であるという点もありますけれども、他面においては勤労者として、あるいは勤労者以上に汗水流して働いておるという面がある、その勤労性所得については、勤労性所得であるという事実に着目をして、給与所得控除その他の勤労控除の持つ恩典を与えるのが当然であるという例の理論、この二つの面から、昨年予算委員会において私も強くこれを主張いたしました。時の佐藤総理、水田大蔵大臣から非常に前向きに答弁をいただきまして、その後主税局長その他非常に御苦心をいただいて、今回これが実現するようになったことにつきましては、その御努力を私は高く評価するものであります。そこで、この制度がそういう形で実現したことを非常にうれしく思うのでございますけれども、なお若干不徹底な面もありますし、この際二、三の質問をいたしまして、さらに制度の前進のために御努力を願ったらと思うわけであります。 まず最初にお伺いいたしたいのは、これは税制調査会等においても問題になったようでございますが、いわゆるクロヨンの問題であります。確かに、一般的な常識としては、今日クロヨンという、サラリーマンはほとんど全部が所得がとらえられておる、中小企業は六割だ、農業は四割だというような考え方が一般的にあります。そしてまた、私どももサラリーマン減税を強く主張しておる立場において、サラリーマンがどうも税負担が多過ぎる、何とかこれを軽減していくことを考えなければならぬと、この問題については真剣に考えております。しかしながら問題は、サラリーマン減税は大いにやらなければならない、あるいはサラリーマンの税負担が過重である、重過ぎるということの問題と中小企業の小企業の経営者の、いま申しました経営の近代化を推進するとか、一人二役で勤労性所得の部分も多いんだから、その勤労性所得の部分についてはそれなりの評価と課税の方式をとるのが当然だという議論とを必要以上にからませるということは、私は理論的に間違いであると思います。税調あたりの議論を聞いておりましても、あるいは一般の町の声を聞いておりましても、何だか今度は中小企業のために不当な税の軽減措置が行なわれておるようである、そしてなおさらサラリーマンとの間においてアンバランスが拡大されてきたのではないかといったような見解が間々見受けられるのでありますけれども、私は、いま申しましたように中小企業の、ことに個人経営の業者の税金をどういうふうに取ったらいいかという問題とサラリーマンの税金をどう軽減したらいいかという問題とは、本来的に、本質的に違う問題である。それをことさらにからませるということは、感情論の方は別としまして、理論的に考えればどうもおかしい。これは両者別々に、サラリーマン減税は当然やるべきでありますから、あるいは課税最低限が今度は百十四万に百三万円から上がりましたけれども、われわれも百三十万円に、できれば百五十万円にも標準世帯で上げていくことも当然賛成であります。あるいは二分二乗方式を言う方もある。あるいは三〇%もう必要経費を概算で控除だという御意見も、この間総理も言っておられた。いずれの方式によるかは別として、サラリーマン減税は私はそれなりに何としてもやって実現していきたいと願っております。 ただ私が言うのは、この二つをからませるというのは妥当ではない、別々の問題であるというふうに思いますが、この点についての御見解をまず承りたい。
○高木(文)政府委員 事業主報酬問題は、しばしば竹本委員がいろいろな機会に御主張になり、まあそれを一つの形で取りまとめましたものが今回の提案になっておるわけでございます。しかし、一口に事業主報酬制度といいましても、御主張はいろいろに分かれておるわけでございます。 今回の考え方は、帳簿の面から見ましても、事業の実態から見ましても、法人と全く同様の企業を営んでおるのに、片や商法上法人になっており、片や商法上法人になっていないということのために、個人、法人を通ずる総合負担で見た場合に、税法上負担が違ってくる。これは特に、すでに御案内のとおり、事業税の問題にからんでたいへん違ってくる、あるいは住民税の問題にからんで違ってくるということが出てまいりました。それを主としてその御要請にこたえるために組み立てられましたものが、たいへん複雑な組み立てとなりましたが、今回の事業主報酬制度でございます。 その過程におきまして、当然のことながら、所得税全体の各種所得者間のバランスの問題としていかなるものであろうかということが出てきたわけでございます。からませるとおっしゃいましたが、からませるわけでなくて、からむわけでございまして、これは所得税の中の話でございますから、このバランスがだいじょうぶなんだろうかなという心配はどうしても出てくるわけでございます。 どうして出てくるかという原因の一つには、やはり給与所得控除制度というものが内容が明確でない、あくまでこれは必要経費の概算控除だということになっておりますけれども、そういうふうに御説明申し上げておりますけれども、まあ世の中一般の受け取られ方としては、どうもややそれについて経費性控除的性格があるのではないかとか、それから把握控除的性格があるのではないかとかという意味で理解をされる方もあるわけでありまして、またそれももっともなわけでございます。 そこで営業者、個人事業者について、給与所得控除を全くサラリーマンと同じように、今度の制度であると認められることになりますから、そういう意味で一体個人事業主について全くサラリーマンと同額の給与所得控除を認めることの可否ということが問題になったわけでございまして、結論といたしましては、今日お示ししているように、給与所得控除はいわゆるサラリーマンの場合とこのみなし法人制度における事業主の場合と全く同様に給与所得控除制度を働かせるという前提のもとに御提案申し上げておるわけでございます。 過程におきましては、それを全部認めるのはどうかという議論もあったわけでございますし、ひいては法人の、同族会社の法人の代表者等につきましても、無条件に給与の所得控除を認めていくのはどうかという議論もあったわけでございます。私どもとしては、しいてからませるというつもりもありませんけれども、しかし、どうしてもやはりそれがからんでくるのは否定できないのではないか。今後の問題点といたしましては、やはり何といたしましても、この事業主報酬問題とはまた別に、給与所得控除のあり方の問題、それと人的所得控除のあり方の問題との組み合わせとしてもいろいろ議論が行なわれるでございましょうし、また行なわれるべきものと思っております。 からませる、からませないはちょっと別といたしまして、私どもといたしましては、所得税全体の問題として、二の事業主報酬制度だけに限定いたしませんで、サラリーマン課税全体の問題といたしまして給与所得控除のあり方、実額控除制度の選択との問題も含めまして、今後検討を続けていかなければならぬ問題であるというふうに考えております。
○竹本委員 租税の公平の原則の面からいろいろ御苦心のあるところは当然でありますし、よくわかります。しかしながら、からむ、からませるの問題になりますけれども、私はこれは三つの点において、クロヨン問題をここに持ち出すということは間違いであると思うのです。 第一は、たとえば青色申告会もそうでありますが、最近においては税を納める国民の側では、脱税専門の連中ばかりではないのです。まじめに税を納めようという正しい動きもあるわけなんです。また、まじめに納めなければいけませんよと言って指導している団体もあるわけです。そういう意味で、クロヨンというのは、中小企業は六割しか所得に対して税はかけられないのだ、四割はごまかしておるのだという前提に立っておる。そうしますと、まじめに納税をやりなさい、正しい税を納めなければならぬということをやっている運動というものは、そういうクロヨン説をとる人においてはもう前提として完全に否定されておる。 すなわち、一つは、第二の問題になりますが、中小企業というものは、あるいは個人事業主というものは脱税をするものなりという大前提がある。これは非常にそういう例もあるでしょう。しかしながら、それが立論の根拠になるということになれば、これはある意味において、そういう中小企業というか零細な事業主を侮辱した考え方である。 第二の二は、そういうまじめな青色申告会その他、納税についてはまじめにやりましょうと一生懸命指導もやっておる、講習会も開いておる、そういう努力を全面的に否定している。二つとも間違いである。 それから第三の問題は、それじゃ国税庁はそういう所得を全部とらえることができないという、これまた前提に立っておる。これもまたまじめな五万の国税庁の職員に対して決して激励的な表現ではないと思うのですね。 この三つの点はいかがですか。
○高木(文)政府委員 非常に核心の問題なんでございますが、私どもはそういう態度をとってはならぬということは、よく肝に銘じております。 ただ問題は、この中小企業の多くの方は、経営の実態におきまして、お店と家とはもう実際問題としてくっついておるわけでございます。ですから、こまかいことを申しますと、電灯代だのガス代だのそれから新聞代だのといういろいろな経費につきまして、これをわれわれのほうでは家事関連費と言っておりますが、この家事関連費につきまして、お店の部分と奥の部分をどう分けるかという問題がございます。本来ならばこれを厳格に分けることにいたしませんとサラリーヤンとちょっとバランスの問題というのが、またバランスと言うとおこられるかもしれませんが、起こってくるということがあるわけでございますが、しかし、いま青色申告会等に指導を願っておりましたり国税庁が指導したりしておりますが、たてまえとしては、この家事関連費についても厳格に区分すべきであるという前提には立っておりますけれども、現実問題として生活実態が分かれていないのですから、それを無理に分けろというところになかなか問題がありまして、必ずしもどれもこれもうまくいっていない。そういうお店でお使いになる電灯と家のほうでお使いになる電灯の料金を区分経理して、請求書、受け取り書のうちのお店の部分だけをお店のほうの経費にして、そうでないほうは、それはいわば自己否認をするというような経理形態、そこまでも徹底的にいわば要請をし、まあ強制ということばはいけませんが、強くそれを求めるということになりますと、税務署と中小企業者との間に非常にフリクションが起きますので、そこのところは実は若干交錯している分野につきましてはそう厳格にやっていないというのが現実でございます。 そこであらわれてくるいろいろな問題がございますので、脱税とかなんとかという意識は全くないにいたしましても、また税務署のほうもそれは予想しているとかなんとかという気持ちはないにいたしましても、そこらあたりには、やはりいわく言いがたい問題があるわけでございまして、そういう点でなかなかこの中小企業とサラリーマンのバランス問題は、そこまで経理を明確に中小企業者の方々にしていただいた場合にも、なお若干むずかしい問題が残っているわけでございます。そこらがどういうことであるのかという実態を必ずしも十分認識しないままに何となくクロヨンという論議が行なわれているわけでありますが、クロヨンの論議の中に決して脱税とかなんとかいうことでない、いわばきちっとした、いまおっしゃいましたおことばでのまじめということばでやっておられます方との間でも、なおちょっとサラリーマンとの間ではいろいろ問題があるわけでございまして、そういうことでこの問題は今後ともなかなかむずかしい問題が残っていくものと思います。決して中小企業についてクロヨンの六であるとかなんとかいう考えはなく、また非常に数多くの方がわずらわしいことであるにもかかわらずきちっとした経理をやり、奥と店とを分けてやっておられる企業の方がふえてきつつあるということは認識しておりますし、歓迎すべきことだと思っておりますし、敬意を表しております。しかし、そこらあたりはなお今後解決すべき問題が残されているという実情だけは申し添えておきたいと思います。
○竹本委員 主税局長の御答弁にありましたように、家事関連費については確かに複雑怪奇な面があると思うのですね。しかしながら、これは一般的な概算で一つのあれもできるでしょうし、またかりに電灯がお店にあるが、裏までそれが輝いたかどうかというような問題は、それがかりにあるとしても私にいわせれば顕微鏡的正義の議論だ、わずかなものです。でありますから、それよりも一番大事な問題は、経営の近代化という意味からいえば、いまお話のありましたように、お店と台所、裏を分けて原価計算もできないでしょう、いまのように全部一たぐりにいったのでは。きちんとした原価計算もできる、損得の計算もできる、そういうところに近代化に導いていくという大きな政治的効果と目的があるわけですから、電灯はどちらについているかといったような問題は、それだけではありませんけれども、そういうような全く末の末の議論でこの問題はとらえるべきではないし、それから先ほども申しましたように、いわゆるクロヨン論というのは、やはり常識的に中小企業は脱税している、サラリーマンは全部やられているという感じが強いものですから、そういう感じだけで、ムードだけで立論をすべきではない。大蔵省も今度は踏み切っていただいて、とにかく経営の近代化のためにも、また租税の現実に即した、実態に即した課税の立場からもこういう制度を導入されることになりましたのであるますから、私はこれ以上は申しません。ただ念のためにこれを申し上げたということであります。 次には、先ほども御議論が出ましたけれども、これを特別措置法に盛ったということはやはり納得できない。いま申しましたように、政策目的からいえば、中小企業、零細企業の経営を近代化するという大きな旗じるしがある。税の理論からいうならば、とにかく一方において勤労性所得である、資産所得である、その合算したものが事業主の所得になっておるんだという明確な理念の上に立って、これは新しいみなし法人の理論をとられるわけですから、これは要するに考え方をそういう意味で前進させたというか、変えたというか、いろいろこれは言い方がありますけれども、いずれにしても従来の考え方とは違った立場に立つわけです。違った立場に立って、より本質的な立場に立ってみなし法人という理論をつくったわけですから、それを五年間だけそう考えてみるんだというようなことは理論に合わないと思うのですね。実務の面から見れば、先ほどの御答弁の中にありましたように試験的にということも一応考えられますよ。しかしながら、実際の理論からいえば、またその理論の発展がなければこの制度にはあまり意味がないのですよ。わいわいみんなが言ったからとか、何となく気の毒だからといったような思いつき行政であってはならない。中小企業の経営者というのは労働者と一緒になって汗まみれになって働いておる。このときは全く労働者そのものですよ。あるいは労働者以上に、基準法に違反してまで働いておるんだ。夜、手形はいかにして落とそうか、いかにして税金を払おうかといって苦心しているところは、今度は経営者なんですよ。一人二役のある仕事をしておる。その仕事の事実に即した税をかけようというのですから、この税をかけるというのは、また課税の立場というものはより明確になったし、より正しくなった、そういう理論の発展があった、こう評価するわけですね。それを試験的にというか、特別措置法で五年間だけそういうふうに考えてみようというのは、私はちょっと納得できない。考え方が変わったんならほんとうに変わったのでなければ、五年という期限をつけて、コペルニクス的転回じゃないが、地球は動くんだ、五年間だけそう思ってみようというような考え方では理論に合わない。理論が発展したのか発展しなかったのか、その点はどうですか。
○高木(文)政府委員 これはしかしおことばではございますが、まことにむずかしい制度になっておりまして、ある部分は所得税の法理に乗っております。たとえば給与を考える。給与を考えた分については給与所得控除をとりますよというところは所得税に乗っております。それから残った部分は一種のみなし法人所得ですよ、しかもそれは全部配当だと考えますよ、配当税率まで引っぱってきて二三・幾らという税率で計算しますというところは、法人税の法理に乗っております。そしてそれをのけたあとの残りとさっきの給与所得控除を引いたあとの給与とを足して累進をかけるところはまた所得税のほうに乗ってくるというふうになっておりまして、本法的制度とかりに考えましても、これは所得税法でもなし法人税でもなし、ちょうどそのまん中みたいなものを新しくつくった、こういうことになるわけでございまして、もしそれを徹底していけば、所得税法と法人税法の中間に事業主法的なものを考え出したということになるのかもしれないというふうに思うわけでございますが、なおこれはやってみませんと、修正すべき点がいろいろあるのではないか、これでうまく動くかどうか、それからまた他との関係でこれでいいかどうかという点がやはりございます。 試験的と申しましたのは、決して五年たったらやめることになろうという意味ではなくして、その仕組みそのものについてもまだまだよくワークするという制度を現実にやってみた上で決断したほうがよろしかろうという意味でございまして、この五年間をやってみて、それによって今後どういうふうに持っていくか、本法的なものにする場合にも、所得税の本法的なものにするのであれば、これはまたいろいろ事業所得そのものとの考え方のつながりの問題もございますので、そうすると現在の段階で本法に入れるのはむずかしかろうと思います。五年間というのはそういう意味でございますし、試験的というのもそういう意味でありますことを前提に、この案でひとつ御了解願いたいと思うわけでございます。
○竹本委員 新しい事業主税体系といいますか、いろいろくふうが要る、これからの仕上げの努力が要ることもわかりますし、御苦労の点はよくわかるのでございますが、しかし私はちょっと大蔵省一流の考え方がいまの主税局長の答弁の中にも出ておると思うのですね。 どういうことかというと、いいですか、初めに事実があるのですよ。初めに租税法ありでは困るんだ。初めに事実がある。すなわち、中小企業の経営者は一方において事業経営者である、一方において勤労者と同じ労働者である、そういう事実が初めにあるのですよ。 〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 その事実に応じたように、先ほどの御答弁で言うならば法人税でもあるかのように、所得税でもあるかのように、そういうような二つの税が適用になるとおっしゃいましたけれども、そういう事実なんですから、事実に応じてこの場合には所得税の理論でいく、この場合にはみなし法人でいく。あたりまえのことじゃないですか。税のために事実があるのではない。事実のためにどう税を解釈して適用していくかということが基本的な考え方でなければならぬ。大蔵省の理論はときどきそういうふうに何でもいまの税法にみな割り当てて考えなければならぬかのようにいまの税法の中に事実を押し込む。それは間違いだと思う。事実のほうが先にあって、その事実に応じたようにいまの税法を解釈する、そうしてその解釈ができなければ税法の改正をやる、そうあるべきなんですよ。 ほかの例を一つ言うならば、代議士の収入の問題でよく議論があった。最近ちょっとやりませんけれども、代議士は給与所得か何かになっている。一体だれに雇われておるか。雇い主がいないじゃないか。それじゃ事業所得か。それもなかなかむずかしい。こういうようなことで、代議士の所得に対する税の問題は非常にむずかしい問題になるが、これは別として、とにかくそういう事実が先にあるのですよ。それで所得税の十分類があるから、その十分類の中に押し込まなければならぬ、入らぬじゃないかというようなことの議論をよくやられるけれども、これは大蔵省特有の独善であって、事実に合ったように税法を考える、税法を改正するということでなければいかぬ。 中小企業だって同じでしょう。個人経営者というものにはそういう二つの人格というか、二つの役割りがあるのだから、それに応じたように所得税のほうと法人税のほうと半分ずつ適用するということもよろしいし、それもできなければ、事業者課税の新しい体系を考える。当然のことじゃないか。これはついででありますから申し上げたのだけれども、特に答弁は要しません。 いずれにしましても、私はそういう意味で理論の発展があったと高く評価するから、それならばその理論は単に特別措置で考えるような理論ではないはずだ。本法に盛るべき理論の発展ではないか。それならばくふうしてこれから充実される。これは当然のことです、どの租税だってそうなんだから。それならば、五年間という妙な期限を切ることもおかしい。結局それはさっきのクロヨン問題等の政治的考慮から来ているのじゃないかと私は邪推をするが、それはおかしい。われわれは中小企業に正しい税をかけろということを言っているのであって、特に税をまげて不当に中小企業事業主にフェーバーを与えてくださいという議論をしているのではない。堂々たる議論をやっているわけだ。その点をよく認識していただきたいと思います。 そこで次に行きます。自治省もお見えになっているのだけれども、自治省の方にお伺いいたしたいのだが、この所得税のいまの進んだ考え方、これは租税特別措置法案の第二十五条の二の三項の一号のイですね。これは読まなくてもいいが、ここには「事業主報酬の額を給与所得に係る収入金額とみなした場合における総所得金額」こういうふうにややこしく書いてあるが、その実質は、要するに給与所得と認めたというわけですね。 いまからいろいろ議論しますから、例を具体的に言いますと、たとえばここで三百万円の収入をあげた。いろいろな関係で、いま月にそのおやじさんに二十万円、ボーナスも何も入れて、計算がしやすいように二十万円払う。そうすると、年間二百四十万円払うわけですね。その二百四十万円はいわゆる勤労者というかサラリーマンというか、とにかくそういう形で、そういう所得で、勤労性所得として二百四十万円、これについて今度は給与所得とみなして給与所得控除をやる、こういうことですね。そうすると、今度、三百万円の収入というのは、残りは六十万円になりますから、その残りは別の税金をかける、みなし法人所得でいく、こういうことであろうと思うのですが、この場合に自治省の考え方は、そうした給与所得とそれからみなし法人との合算であるという大蔵省で今度確立された考え方を、そのまま受けとめておられるのか。それは大蔵省がかってにそう思っているだけで、自治省はわが道を行くのだという別な考え方を持っておられるのか、その点はどうですか。
○山下(稔)政府委員 事業税は、申し上げるまでもございませんが、事業が活動するに応じまして、地方団体からいろいろ行政サービスを受けるという点に着目して課税する物税でございまして、たまたま実際の負担能力等を考えて、課税標準を所得にとってはおりますが、基本的に所得に対する課税である所得税とは税の性質が違うものであるというふうに考えております。したがいまして、所得税の課税と事業税の課税が全く同じでなければならないということではないのではないかというふうに考えております。
○竹本委員 あなたの説明は、初めに事業税ありきだ。いいですか。初めに事実があるのですよ。その事実を大蔵省は、これは二重人格、一人二役だというので、給与所得の面とみなし法人としての面と二つがあるということをとらえてきているわけだ。今度は事業税という別な角度からとらえるとしても、この一人二役の事実は、厳として侵しがたいものですよ。こちらは所得税という立場からとらえる、あなたのほうは事業税からとらえるから、そのとらえ方の違いはわかりますよ。しかしながら、とらえられるものは竹本なら竹本という事業経営者一人しかいないのですよ。事実は一つしかないのですよ。どうですか、二つ事実がありますか。大蔵省にとらえられるべき事実と事業税の角度から自治省がとらえるべき事実と、ぼくは同じ事実を違う角度からとらえておると思うのですよ。大蔵省がとらえた相手が背が高かったら、自治省がとらえた相手も背が高いということになるのじゃないですかね。どうですか、そこは。
○山下(稔)政府委員 事業税の課税対象になっております所得は、事業所得でございます。したがいまして、総収入金額から必要経費を控除したものが事業所得であるというふうに考えておりますので、その線に沿って事業所得をとらえたいというふうに考えているわけでございます。
○竹本委員 そこで、事業税という立場からとらえるのだけれども、とらえられるべき事実というものは、一つしかないのですよ。事業をやっている面と勤労者として働いている面と、二つの内容を持った一つの事業経営体が一つあるだけなんですよ。自治省のために別な事実が出てきているわけじゃないのだ。だから、事業税の立場で考える場合でも、いま大蔵省がとらえた、これが一つの事業体だとしますと、この半分のこちら側は個人の汗水流して働いている勤労所得だ、こちらが事業なんだ。お店と台所は別だというさっきのお話だ。あなたはお店をとらえればいいのですよ。台所をとらえてはいけないのだ。ところが一人がお店と裏の台所と二つを持っておるのだ。どうですか、その事実が先じゃないですか。一人の経営者とか一つの事業体がお店を持っている、台所を持っている。それがいままでごっちゃになっていた。それを少し文化が進んで分化をしたのだ。そして二つになった。二つになったというのが、これが事実なんですよ。その二つを大蔵省が二つにとらえているわけだ。結論は、一人だからまた合算しますよ。しかし、あなたのほうも、一つの事業体が、働いている勤労者としての面と事業経営をやっている面と二つあって、その事業のほうに事業税がかかる、それはわかります。しかし、働いているほうに何で事業税をかけますか。それじゃわれわれサラリーマンに事業税をかけますか。事実が先ですよ。
○山下(稔)政府委員 先ほどから同じことを繰り返しまして恐縮でございますが、物税である事業税の特殊な性格から、何を対象にするかを判断しようとする場合におきまして、総収入金額から必要経費を控除したもの、これをとらえまして事業税の課税標準にしようということでございまして、それは所得税と事業税の税の性格の違いから、所得税は、そうした場合の課税につきまして、新たにみなし法人課税という制度を取り入れたわけでございますが、事業税は税の性質が違いますので、総収入金額から必要経費を引いた事業所得というものに着目して課税をいたしたいということでございます。 ただ、勤労性部分の配慮の点につきましては、事業税には本来、勤労性部分についての配慮をするために、かねてから事業主控除という定額の控除をするという制度が別にございますので、そうした点で配慮をいたしているわけでございます。
○竹本委員 いいですか、よく聞いてください。事実はどこまでいっても一つしかないのですよ。あなたは同じことを繰り返すというけれども、頭の発展がないのですよ、同じことばかり考えているから。事実は一つしかない。その事実に二つの面があるのですよ。その二つの面を二つの面としていま大蔵省がとらえたというのに、どうしてその事実を、事業税は事業税の感覚で——事業税の感覚で事業税をどうかけるかは別問題として、とらえるべき事実が一つしかないときに、いま言ったように、サラリーマンとしての面と事業経営の面と二つあるということが厳然たる事実で、その事実に応じて大蔵省が税を考えることに発展したわけで、そのときに自治省だけは依然として勤労性の所得部分はない、事業税としてだけつかむという考え方はぼくにはわからない。
○山下(稔)政府委員 所得税のほうは所得税のほうから御説明がございますように、事業所得に対してどういう課税をするかという点について新たな角度から新たな制度をおつくりになったわけでございますが、事業税は、先ほども申しておりますように、所得税と税の性格が違いますので、事業所得に対する課税は事業税としての考え方に基づく課税の方法をとるという点で、所得税と一致しない点があってもやむを得ないのではないかということを申し上げておるわけでございます。
○竹本委員 それではもう少し議論を進めます。 事業主控除というのは一体どういう制度であるか。事業主控除というのは、本来一体でつかんではならない。事業税は物税だと言ったでしょう。本来物税でしょう。物税だと言って、物税に人税が出てきたのはどういうわけだ。物税だというのに人的控除をやるのはどういうわけです。物税として事業税を押えている。しかも逆にいえば、大蔵省の考えが今日の発展まで発展しなかったときには、むしろわれわれの立場からいえば、自治省においては——事業主控除をやっているというのは、事業主としての、ぼくの言うAとBを、中小零細企業の場合は勤労性所得の場合が大部分だからそれをAとして、事業税のほうをBとするならば、その事業的な面のBの前に、Aとして働く本人がおるのだ。それがあるから事業主控除というのがあるのでしょう。事業主控除というのは、事業主が一生懸命働いてやっておる、サラリーマンと同じように働いておる、労働者として働いておる、その面について、その要素があるということを自治省はすでに認めたのでしょう。認めたから、事業主控除というのを認めたのでしょう。 本人の個性が発展解消して事業の中に全部溶け込んでおれば、初めから事業税だけでいいのですよ。事業税というものを考えながら、しかも事業主控除を自治省が初めから考えたということは、事業主として控除しなければならぬ、事業主として働いて所得を取っている面があるから事業主控除をやったのでしょう。だから、あなた方だって、初めからむしろある意味においては大蔵省より早く二つの面、事業というものと、事業主というものの勤労所得の面をあなた方が認めておるから事業主控除というのをやったのでしょう。そうじゃないですか。
○山下(稔)政府委員 事業主控除は、最初は免税点から出発いたしておりまして、それが基礎控除の形になり、そして現在の事業主控除というふうに変遷してまいりました経緯からもわかりますように、最初は低額所得者の軽減というような考え方もあったわけでございますが、いまの事業主控除の段階では、確かに勤労性部分に対する配慮というものを含んで定額控除をするということの性格を持っております。 と申しますのは、事業所得は、いま御指摘がございましたように、勤労性部分と資本性部分とこん然一体となってかせぎ出された所得でございますので、はっきりと数字的に勤労性部分、資本性部分ということが区別できないという前提で、しかしやはり勤労性部分があることはもう御指摘のとおりでございますので、そこで、事業税におきましては定額的にそういう点を配慮するという意味で、定額で控除するという制度を設けているわけでございます。
○竹本委員 定額の問題はあとからまた議論しますが、いいですか、いまあなたの答弁されたように、こん然一体というのは、一つのものだ。一つのものなら初めから一体なんだ。何もこん然でも何でもない。二つあるからこん然なんでしょう。二つあるから一体になるのでしょう。一つのものが初めからこん然一体なんということを言っているのはおかしい。二つの要素があるからこん然一体なんでしょう。 そこで、二つの要素をあなたは認めて、そして事業主の働き部分、その要素を認めて事業主控除というものをつくったのでしょう。そうすると、それはその意味において現実に即している。それを今度は大蔵省は、今度の事業主報酬においてはさらにより明確に発展させて事業主報酬制度をつくったわけだ。そうなれば、当然あなた方はもろ手を上げて、われわれもいままで事業主という面と事業という面と二つあって、そういうように大蔵省も今度は二つの、それこそあなたのこん然一体の二つに分けて考えるということになれば、因数分解したわけだ。そうしてそれぞれにそれぞれの税をかけるということになったのだから、そういう税の理論の発展をそのまま自治省が受けとめないというばかなことはないじゃないですか。われわれ国民からいっても、あるいは委員として考えても、同じ税を取られるのに、しかも同じ事実をつかまえるのに、初めに一つの事実があるのです、その一つの事実をつかまえるのに、大蔵省の理論と自治省の理論がまるきり違うのは納得できないです。
○山下(稔)政府委員 所得税におけるみなし法人所得と申しますのは、総収入金額から必要経費を控除して算定した事業所得から事業主報酬として記載された金額を控除した金額をいうものであるとされまして、その課税の方法として、いわゆるみなし法人課税という方法をとらえたわけでございます。事業税で課税する段階におきましては、この事業主報酬として記載された金額を控除する前の段階の事業所得をとらえるという意味で事業所得を対象にして課税をしたいということでございます。
○竹本委員 その前の段階というところが、あなた、間違っている。前の段階であるとかなんとか言っても、いま言った事実をつかまえなければだめでしょう。 いいですか、もう一ぺん例を言いますよ。事業経営者が三百万円の金をかせいだ。しかし月二十万円だから、簡単に言うと二百四十万円は働き部分の報酬だ。六十万円がいわゆる事業所得だ。例がいいか悪いか、簡単にひとつそういう例を説明します。そうすると、二百四十万プラス六十万なんです。それが三百万になる。あなたの言うこん然一体で三百万になる。二百四十万のものは、月二十万の収入というのは、いわゆる勤労所得ですよ。六十万円がお店をやってかせいだものなんです。事業所得なんです。だから、三百万というのは、事実は一つしかない。それはいま大蔵省も課税の立場においても二百四十プラス六十と、こう解釈して、それぞれに応じた税金をかけてあとで合わせる、こういうことになった。そうすると、あなたのほうは、その前段階の二百四十プラス六十をどうつかまえるか、つかまえ方を言ってごらんなさい。
○山下(稔)政府委員 国税の内容でございますので、もし私の理解が間違っておれば国税から御訂正をいただきたいと思いますが、いまおあげになりました例で申し上げますと、まず収入金額が四百ございます。それから必要経費、これは材料費であるとか、いわゆる必要経費が百ございまして、それを引いたものが事業所得である、三百が事業所得であるというふうに理解をいたしております。そこで国税はその三百に対する課税をどうするかという段階で、そこから事業主報酬を引いて、先ほど御説明がありましたような課税をしますという制度になっているわけでございまして、その方式で考え得られます限りにおきましては、四百から百の必要経費を引いた三百が事業所得であろうと思います。そこでその事業所得を事業税の対象としてとらえたいというふうに考えておるわけでございます。
○竹本委員 四百からざっとかりに百引いたら三百残る。その三百というのは二百四十プラス六十という形に分けて、それぞれに応じた税をかけるというのは、その事実があるから、その事実に応じた税をかけるということに大蔵省が今度発展したわけでしょう。大蔵省は、二百四十は給与であって、給与所得の事実があるから給与所得課税をするんですよ。ぼくらに言わせれば、大蔵省がかってに自分で、これは給与所得だ、おれはそう思うからそうかけるというわけにはいかぬでしょう。給与所得的要素があるから給与所得控除があるのでしょう。その所得に給与所得税をかける事実があるんですよ。四百万から百万の経費をざっと落として三百万の所得、その三百万の所得の事実をよく見れば、二百四十万が給与所得としての事実、六十万が事業で曲げた事実、それにそれぞれに応じた税をかける。 〔木村(武千代)委員長代理退席、木村委員長代理着席〕 体、二百四十プラス六十でこん然一体となっているのですよ。それをあなたのほうは三百万が事業の収益だといったって、その収益を事業の収益とつかむべきか、あるいは個人の勤労所得とつかむべきか、あるいは勤労所得プラス事業所得とつかむべきかということで、長い間ここで論争したのです。論争した結果、三百万円という事実は厳粛なる事実。しかしその三百万円は中身が二つに分かれておって、二百四十の給与所得の面と事業所得としての六十の面と両方あるから、両方かけるということにしたのだ。あなたはその事実を事業所得だから別に考えるのだなんという、そういうことは許されないと思うのだ。
○山下(稔)政府委員 四百の中から百の必要経費を引いた残りが事業所得三百でございます。この三百の事業所得に対する課税のしかたとして、国税が新たに、いまの御指摘の例でいえば、二百四十を事業主報酬としてそれを給与所得とみなして課税をするという新たな方法をおとりになったわけでございまして、事業所得というのはやはり三百ではないかというふうに私は考えます。
○竹本委員 そこが違うのだ。あなたは事業所得というからいけないのだ。事実は三百残っているというのが先なんだ。その三百を静かに見てみれば、いま言ったように勤労性所得が二百四十あるのだということがわかったわけだ。あるいは認識したわけですよ。大蔵省といえども事業所得をかってに給与所得だなんというわけにはいかぬでしょう。二百四十は勤労性所得だというから勤労性所得の税をかけるのであって、これは事業所得だけれども、所得税においてはわざわざ無理をして給与所得だとみなして、それで給与所得控除をやる。そんなばかなことはできないと思うのです。事実は給与所得なのだから給与所得控除をやるのですよ。 だから、あなたは三百は四百から百を引いた残りが三百、三百が事業所得だという考えそのものが間違っている。三百は事実ですよ。その三百を大蔵省の立場でいえば二百四十と六十に分けて、こちらは働いてかせいだんだ、こちらは事業の所得だ、こういうことになったから、その税をかけるのだ。自治省の言われるように、事業所得が三百あるのだけれども、大蔵省は二百四十は給与所得と無理をしてみなそう、そんなばかなことはないと思いますよ。どうですか。もう一つ念を入れると、あなたは三百は事業所得である。しかるに大蔵省はその事実を曲げて給与所得控除をやる、けしからぬやつだ、こういうたてまえですか。
○山下(稔)政府委員 三百が事業所得でございますけれども、その三百の事業所得に対する課税のしかたとして、新たに事業主報酬という制度を所得税ではおとりになったわけでございます。その場合の二百四十というものが、これは間違っておれば国税から御訂正いただきたいのですが、完全な普通の意味における給与所得と全くイコールなのか、あるいはそこはいわゆるそういうふうにみなして、特に給与所得とみなして課税するという仕組みをおとりになったのか、私はむしろ後者ではないかと思います。そういう意味で、残りました三百の中身は、やはり完全な給与、完全な勤労性所得と完全な資産性所得というふうに分かれたものかどうか、そこは私の理解ではどうも必ずしもそうではないのではないだろうかという気がいたすわけでございます。 それではなぜ二百四十と六十に分けたか。これは国税のほうで御見解をお述べいただけばいいわけですが、これはやはり一種の新たな課税の方法として、いわゆるみなして課税するという新たな制度をそこにお取り入れになったわけでございます。事業税はあくまでも事業所得を課税対象にするという制度でございますので、三百を課税対象にしている。そこはなぜその差が生まれるかといいますと、やはり事業税は物税であるし、必ずしも所得税との同じ課税の方法でなければならないということはないであろうから、そこで課税対象を三百にするという態度であるわけでございます。 そこで地方税でも住民税につきましては、これは翌年度課税でございますので来年度以降の問題になりますが、住民税についてはまた違った考え方をとっていかなければならないのではないだろうかと考えております。
○竹本委員 たびたび言っていますように、初めに事実ありきなんだ。いいですか、初めに事実があるのですよ。それが一つ。次にはいまあなた、みなしてというのは大蔵省がみなしてかけるんだ、こう言うが、みなし課税というのは牛を馬とみなして税をかける、そんなむちゃなことはできないのです。事実があるからみなすのです。ただ純粋に型にはまったずばりそのものではないけれども、事実は大体それだという、そういう面で初めてみなし課税がある。みなし課税は大蔵省の独断や、かってにこれはみなし課税で税をかける、そんなばかな税は許されないのだ。みなし課税の理論というのはよく御承知のように、当然そうかけなければならぬという現実の事実があるから、そのブァクトに応じて法の概念構成をやって税をかける、それがみなし課税だ。みなし課税というのは大蔵省の独断や専行や気まぐれではないのです。だから事業をやって三百万円あげた。しかしその三百万円はよく計算してみれば二百四十万円プラス六十万円だという事実があるから、その事実に応じて大蔵省が法の適用をやってみなし課税ができるのですよ。だからあなたの言うように、大蔵省が何かかってなことをやって、自分でみなし課税をやっているというような、そんなばかなみなし課税は許されない。 それからもう一つ、自治省は、今度のこういう税の新しい考え方が出たことについて、事業税のかけ方について一体どの程度の協議をしたかということ。それからいま住民税についても何か言われたけれども、これらの考え方というものは全部一貫しなければうそだと思うのですね。大蔵省はこちらに行く、自治省はこちらに行く、その間に何らの協議も連絡もない、また住民税では新しい考え方をとる、そんな分裂行進曲みたいなことをやってはいかぬ。理論は終始一貫しなければならぬ。私どもは一貫した理論に立って議論しておる。それが聞きたい。 一つはみなし課税というのは事実なくしては課税はできない。これはいかん。次にはこの問題についてどの程度の協議連絡をしたのであるか、この二つ。
○高木(文)政府委員 相互の協議連絡は実は相当十分いたしております。今回税制調査会で三つですか、特別部会を設けまして、一つは医師の社会保険診療の問題、一つはこの事業主報酬の問題、一つは土地税制の問題というようなことで、それらを中心にいろいろ議論したわけでございまして、事業主報酬制度につきましては、地方税のほうと国税のほうと一体としてそこで議論がありましたから、その議論はかなり緊密に連絡のもとにしたわけでございます。しかし何と申しましても、基本は所得税のほうでどう扱うかということをまず中心にきめなければならぬということで、所得税のほうが中心に進みまして、いよいよ最終段階になってこういう複雑な制度のもとに踏み切るということになりましたものですから、地方税のほうの検討が緊密とはいうものの、あるいは十分ではなかったかもしれないという点はいえるかもしれないと思います。ただ、いまの問題は実は非常に複雑でございまして、事業税が物税であるということで、すべての場合にいろいろな説明が行なわれておるわけでございますが、一体そもそも事業税とは何ぞやというのは、どうも所得税が何ぞやということ以上に、また非常に複雑な組み立てになっているようでございまして、現在個人の事業税は御存じのように税率が五%ということで一率の税率になっておりますが、法人事業税のほうは段階税率になっており、しかもそれが六%、九%、一二%というような段階税率になっておる。 そこで、この問題のとらえ方はいろいろございまして、先ほど来御指摘もありますように、まず事実ありということを着目せよということでありますが、事実ありというその事実そのものの着目のしかたにいろいろの御意見がありまして、私どもの提案いたしました考え方は、どちらかといいますと、確かに、その事実の中の勤労性、資産性という二面性を因数分解しようという考え方、事実があるがそこに非常に勤労性があるということで、因数分解しようという考え方が強く出ておりますが、同時に、その勤労性というものの問題よりは、いずれかというと、個人と法人のバランスということに非常に強く引っぱられてきておりまして、さればこそ、給与所得とみなし、しかも残りについてはみなし法人という考え方をとり、その残ったものについては配当とのバランスということを考え、そしてもう一ぺんもとへ戻って所得税で総合と、こういう考え方になっているものですから、事業税のほうは片方、個人だと五%ですし、法人だと、比例税率でなくて段階税率になっているものですから、それを法人のほうにみなした場合に一体どこへ結びついていくか、法人の事業税が、物税であるといいながらも、所得の大きさによって税率が変わってきているものですから、そこのところの持っていき方がまたなかなかむずかしいという問題がありまして、あるいはこのわがほうの案が、文案作成といいますか、最終決定を見るうちのわりに早い段階で議論ができますれば、もう少しそこらの、個人事業税の五%と法人事業税の六%、九%、一二%のどの部分にどういうふうに組み合わせていくかというふうな議論ができたかもしれませんけれども、ちょっとその時間的な余裕等もなかったものですから、そういうことがあり、また事実は、答申にあらわれておりますように、税制調査会としては、そもそも事業主報酬制度については基本的に疑問があったということもあったものでございますから、そこらの詰めがおくれたという関係でございます。 それで、その後いろいろ協議をいたしましたが、とにかく地方税としては、本年は、従来の六十万円の控除を、昨年相当思い切って上げられましたが、今回また続けて思い切って上げて八十万円にするということでとりあえずいくということでありまして、おっしゃるようないろいろな点でちぐはぐになっている点がありますが、実はちぐはぐになっている点は、税率のきめ方等であらわれておりますように、必ずしも法人税と法人事業税とがあるバランスが保たれており、所得税と個人事業税とがバランスがとれておるという関係にございませんものですから、どうもいつもいろいろな問題で事業税と所得税と関係があるということでございますので、この点は私どもの所管ではございませんが、御指摘の点もありますから、今後よく考えてみたいと思います。
○竹本委員 いまの主税局長の御答弁は、バランスの問題に重点を置いておられる。それからもう一つは、税法時事解説、それはそれで間違っていないし、そのとおりでけっこうです。しかし私が言っているのは、理論のことを言っているんですよ。理論の一貫性がなければいかぬということを言っている。 何べんでも言いますよ。たとえば二百四十万円を、勤労性所得だという事実に着目して、大蔵省は給与所得控除をやりますね。ここでいまのをちょっと議論を進めるんですよ。二百四十万円の勤労性所得。自治省のほうでは、今度は六十万円を八十万円に上げるでしょう。そうするとその差は百六十万円。この二百四十万円のうちのこれだけ、八十万円控除して、この間残った百六十万円については、大蔵省の理解ではこれは勤労性所得なんです。そうでしょう。二百四十万円のうち、八十万円引いて残った百六十万円の部分は、大蔵省においては勤労性所得になっておる。自治省においては、これは何になるんですか。これは自治省の場合には、ぼくらのことばで言うと、サラリーマンが事業税を払うという形になっているんじゃないですか、この百六十万円については。そこはどうなんです。 それからもう一つ、今度は、個人の払った事業税の六十万円については、国のほうはみなし法人だ、自治省は何ととらえるか。この二つをひとつ説明していただきたい。
○山下(稔)政府委員 そこら辺の理論的な考え方はいろいろあろうと思いますが、ただ基本的に、何回も繰り返しておりますように、事業税は物税でございますので、所得税の新たな課税とは別に、事業税として別の考え方で課税するということも、税の性格が違いますので、あってもよろしいのではないか、こういう意味で、私どもは、あくまでも事業所得そのものを課税対象にします、しかし事業主控除についての配慮を十分いたしました、こう言っておるわけでございます。
○竹本委員 事業主控除を六十万がいいか、八十万がいいか、百二十万がいいか、その配慮のことを言っているんじゃないんです。ぼくは、事実を正直にとらえなさいということを言っているんだ。この百六十万は、大蔵省の理解では明らかに事実として勤労性所得だ。だからみなし課税もできるし、給与所得控除もできるわけだ。それが一方では事業となるのはどういうわけだ。カメレオンじゃない、一つの事実が出れば、大蔵省が勤労性所得だと言っているのを、片一方が事業所得としてとらえるんだとがんばってみたって、勤労性所得というのは一つしかないでしょう。とらえ方の角度が違って、事業税であればそれに対してどうかけるかということなら別だけれども、事実が一つしかないものを、自治省がかってに事実をつくり上げて、それは事業所得であると言ったって、大蔵省ははっきりこれは勤労性所得だと言っているじゃないですか。その勤労性所得を自治省は事業所得だと見るのがどうしてもわからない。 それから、こちらもそうですよ。いまの六十万円というものを、一方はみなし法人所得と言うし、一方は個人事業税と言う、それも全く考え方がわからない。
○山下(稔)政府委員 結局同じことの繰り返しになりまして、おしかりを受けるわけですが、今度の所得税の考えは、総収入金額から必要経費を引いたものが事業所得であって、その事業所得から事業主報酬として記載された金額を控除された金額云々という新しい課税方法をお考えになったわけでございまして、事業税は本来物税でございますから、極端に申し上げますと、何も所得を課税標準にしない別の課税のしかただってあり得るわけでございます。納税者の負担能力等を考えて、現在所得を課税標準にいたしておりますが、その場合の所得というものをどういう所得をとらえるかというのは、事業税本来の考え方から考えてよろしいのではないか。そういう意味で、事業所得と一応なっております三百を課税標準にするということは、税の性格の違いから許されることではないだろうかというふうに思います。
○竹本委員 まあこの辺で一応終わりますが、とにかく結論を言いますよ。 勤労性所得として大蔵省が認めたものを——勤労性所得と見て給与所得控除をやるんでしょう。だから、さっきもあなた答弁なさったけれども、みなし課税とかなんとか言ってみても、でたらめな課税なんて大蔵省はできないんですよ。厳然たる事実があって、いまあなたが言うようにこん然一体で、AとBという要素があるから、AにはAの課税、BにはBの課税、それでAプラスBで税金を取ろうということになっているわけだから、その事実と解釈があって、あなたは事業所得とぽんと言うけれども、その事業所得は実は因数分解できると主税局長が言ったじゃないか。その因数分解は、できるからするので、できないものをするわけじゃない。因数分解して、AとBとの要素に応じてそれぞれの課税をする。こういう事実があるんだから、あなたのほうでは、そのAのところをわざわざ事業所得にする、それも八十万円だけ引いて事業所得にする、そんなでたらめはない。事業所得なら初めから事業所得にかけたらいい。それは勤労性所得だと言うから、六十万なり八十万なり控除する。これはあなたにいまから言ってもしかたがありませんから、これ以上言いません。あらためて私が質問書を出しますから、それに対して答えてもらいましょう。 政務次官に一言伺いますが、いま私がいろいろ言ったように、厳然たる事実があるから、事実に応じて税はかけるのであって、税法のために事実があるのじゃない。初めに事実があるんだ。それが……。 次には、大蔵省が今度税の課税のしかたをそういう発展した形をとられたのも、その事実に応じてやられたのであって、何も大蔵省が独断でかってに解釈を曲げたりつくったりしているのじゃないと思う。 それからもう一つ、大体自治省と大蔵省が同じ政府の中で、一つの事実について、ここでは勤労性所得、ここでは事業所得、そんなかってな解釈が許されるかどうか。この三点について政務次官としての判断をひとつお願いいたします。
○山本(幸)政府委員 私も税についてくろうとでないから、税の理論というのはあまりつまびらかにいたしませんが、今度の事業主報酬制度の創設についてはずいぶん各方面でいろいろ議論があったわけなんです。竹本委員はまことに推進論者で、国会でもいろいろ御質問になってこれが前進をおはかりになったのですが、しかし、これに対しても相当異論もあった。現にこの間ここで、税制調査会の東畑会長も見えましたけれども、東畑会長なんかもこれについてはやや懐疑的である。そういう中にありまして、先ほど大蔵省に対してもいろいろお尋ねがありましたが、とにかく今日まで何とかこの制度の創設にこぎつけたということでありまして、ですから、そういういろいろな議論の中にあって生まれた制度でございますから、一〇〇%まだ満点はとれない。ですから、これが選択でございますから、どういう選択になるのか、それも今後の運営にまたなければなりません。したがいまして、これからの運営で一体どういうふうになるかということを踏まえて、五年間という時限立法ということも私は一つにはそういう意味も大いにある、こう思うので、百点満点ではないけれども、これを発足させろ、具体的な運営の上において直すところは今後直していく、こういうことでひとつ御理解をいただきたいものと思うわけでございます。
○竹本委員 それは私が最初から言っているように、六十万円がいいとか八十万円がいいとか、あるいはアンバランスがあるからこちらの減税をどうするといったような政策的、そういう金額の多寡や何かを問題にしているのじゃないのです。二つの事実があるのだということが厳粛な事実なんだから、因数分解して考えられるということも厳粛な事実なんだから、それに応じて税をかけていくんだということで、大蔵省の態度が一歩前進したわけだ。それを自治省のほうは、それはおれのほうは関係ないといったような態度で臨んでおられるようだから、そんなばかなことは許されないということをいま言っているのです。 それで、先ほど来言っているように、事実のないものをかってに大蔵省が解釈するわけにいかないんで、いまこの委員会とかあるいは税調あたりで問題になっておりますのは、何かそれでは中小企業が優遇され過ぎはしないかという、程度の問題や金額の問題を問題にしているのですよ。たとえば給与所得控除を全面的に認めるのは少しよ過ぎるから二分の一にしろ、こんなのは金額の問題ですよ。私が言っているのはそうじゃないんだ。二つの要素があるじゃないか、それを認めるか認めないかということを言っているのです。だから、分量やさじかげんの問題を言っているのじゃないのです。したがって、妥協の余地がない、いろいろの理論はない、一つしかないのだ、事実は一つしかない、そういうことを言っているのだから、ひとつ自治省、帰られてもう一ぺん十分検討をしていただきたいと要望いたしておきます。あらためてここで聞く機会がないから、いずれ質問書か何かの形で、私は事実を言っているのだから、私が納得できるように、もっと明確にしていただきたいと思うのです。そして大蔵省は、いま政務次官や主税局長もいろいろ答弁されました中に、政治的配慮がずいぶんある、いろいろくふうされておる、御努力もある。しかし、理論的に認められないものを無理をして認められたという事実はないのですよ。だから、それだけの理論の発展をすなおに自治省が受けとめなければうそなんだ、そのことを私は言うわけですから、自治省において十分検討していただきたい。あなたに対する質問は終わります。 そのほか事業主報酬について、もう一つ二つ簡単に伺いたいと思いますが、一つは、これは政令委任がだいぶ多いようですけれども、政令委任事項というのはどの程度のところを考えておられるか、その内容の概略を一通り承りたい。
○高木(文)政府委員 政令委任の中で重要な項目は幾つかございますが、一つは法人と同じように見るという考え方でございますので、事業主が給料の額を届け出る。一応その届けました場合には、その給料の額を前提に、その残り——給料の額は事前に届けます。一年経過した後に、その届け出た額とそれから従来の観念の事業所得の額との差額についてはみなし法人ということになるわけでございます。そしてみなし法人課税が行なわれるわけでございますが、その場合に、届け出た給料の額が極端に大きい、さっきおっしゃった事実からいって、どうもこの程度の勤労所得というのならばそれは常識的であろうが、著しく大きいという場合には、法人の場合の過大報酬の否認と同様に否認をすることになっております。その場合に、その否認のしかたにつきましても法人と全く同様に、たとえば事業の種類であるとか、規模であるとか、あるいは収益の状況であるとか、使用人に対する給料の支給の状況であるとか、さらにこの場合には同種同規模の法人の代表者の報酬の大きさであるとか、そういうものを参考にいたしまして、不相当に高額だと認められる部分の金額によってそれを云々するということを考えております。これは二十五条の二の第五項に、「第一項の選択をした居住者に係る事業主報酬の額のうちに不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額がある場合には、」とあります。「政令で定める金額」というのは、そういう趣旨で、政令で法人とのバランスをとりながら定めるつもりでございます。それをもう少し正確に申しますと、法人税法施行令六十九条に、法人についての過大報酬の規定がございますが、この過大報酬の規定のしかたとほぼ同一、同様の定め方をすることを予定いたしております。 それから八項に「前各項に定めるもののほか、みなし法人所得額の計算上控除しきれない事業主報酬の額がある場合の不足額の処理、第二項に規定する税額の計算の細目、」その他書いてございますが、その中で非常に重要な点は、さっきの例の三百万から給与を引いた結果、マイナスが出てくるという場合がございます。自分のところは大体ことしは三百万の事業所得があるだろうということで、それを前提に、先ほどの例ですと二百四十万というのを給与として、二十万ずつとるわけですが、景気が悪くなったとかなんとかで逆に二百万しかないというと、四十万赤字になってしまうわけですが、その場合の額についてはどう処理するかということでございますが、これも法人と同様に処理するという精神から、みなし法人所得額相互間におきまして、前年への繰り戻しを認め、あとの年については五年間繰り越しを認める、つまり年度をまたがる縦の通算はやりますが、横の通算はやらない、こういう考え方でございますが、そのやり方は法人の場合と同様に、うしろへ戻るほうは一年で、先へ繰り越していくほうは五年であるというような規定を入れていくつもりでございます。 それからもう一つは、みなし法人課税を選択しました場合に、私はこれからみなし法人課税を受けたいということを事前に届け出ることになっておりますが、その事前に届け出ました際に、先ほどの例ですと毎月二十万円ずつ報酬を取りますということを届け出るわけでございます。これを変更したい、給与のことでございますから、ある程度年とともに上がっていくのが普通でございますので、今度は二十五万円に上げたいというような場合であるとか、その他届け出事項について変更しよう、一番大きな変更事項は給与の額であると思いますが、変更しようという場合には、その変更はその前年の十二月三十一日までに所要事項を記載して税務署長に届け出るということを予定しております。これは年度途中で、ことしは景気がよくなったからもう少し給与を多く取ったほうがバランスがとれて税負担が少なくて済むということで経過年中にこれを変えるということであっては、給与の額があまりにも恣意的になっていけませんから、給与の額の決定は前年の十二月三十一日までにしていただく。これは結局、五年間同じ給与にしておくということではなくて、変更はできるが、それは前年の十二月三十一日までに届けていただくということにしたらよろしいかと思っておりますので、そのことを政令でも明らかにするよう手続をきめるということを考えております。 ほかにもございますが、重要な点はただいまの三点であろうかと思います。
○竹本委員 大体法人と同じようにみなすわけだから、法人に適用されている原則がそのまま政令で規定をされる、こういうように理解をすればよろしいわけですね。——わかりました。 最後に、そういう事業主報酬をやったために減収といいますか、減税というのはどのくらいになるのか、大体の積算のやり方等もあわせて簡単に御説明をいただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 これは実は非常にむずかしいわけでございますが、お配りしております資料に明らかにしておりますように、一応現在の計算では平年度で百五十三億と見ております。これは初年度は非常にむずかしくて、というのは、七月からこの制度がスタートするわけでございますが、初年度はこの制度の選択時期は必ずしも七月でなければいけないということにしていないので、いつから選択になるか、その年度途中での選択も認めざるを得ない。その場合には、何月に選択されるか、またどういう方が選択をされるかによって変わってくるわけでございますが、そこはいろいろの推定を入れまして、いまのところは六十六億というふうに見ております。 それで、大体の計算のしかたを申し上げますと、大体御推察いただけますように、そもそも選択でございますから、どういう方が選択されるかということでありますので、率直に言ってこちらではいまの段階でちょっとわかりかねる。次年度以降は大体わかってくると思いますが、現段階では非常にむずかしいわけでございます。また何人ぐらいが選択されるかということのほかに、どういう階層が選択するだろうかということがあり、かつまた給与をどのぐらい取られることになるかということもありますので、そこのところはちょっと一口では申し上げにくいわけでございます。きわめて大ざっぱに、現在の青色申告者の中で一般的にいいまして所得の大きさとそれから選択の関係が関連があると思われるわけでございますが、所得の額が百万円以下の階層で五割程度、それ以上の階層については選択割合が下がってくるのではないかという前提で考えております。現在青色申告者の数は百二十七万人ということになっておりますが全体を総合いたしまして大体三割強、四割近く、四十五万人ぐらいが選択をするのではないだろうかという前提での仮定計算でございます。しかし、これは一応お出しはしておりますが、いま申し上げましたようにいろいろな意味での前提をたくさん入れて計算したものでございますので、今年度の推定額は結果とはあるいは合わない場合があるかもしれないということは御了承願いたいと思います。
○竹本委員 局長おっしゃるようにたいへんむずかしい問題で、どういうふうに算定あるいは推定したらいいだろうかとわれわれにもわからないのですが、一応わかりました。 ただ、いまの場合に、ぼくの言う二百四十万ですね、勤労性所得は大体どのくらいのものと見ておられるのですか。
○高木(文)政府委員 少し詳しく申し上げますと、総合して二三%法人税をかけてということは非常にややこしい計算になりますので、給与を取りまして給与所得控除を働かしたならば、給与所得控除が働いてくる分だけは従来より有利になりますから、したがって下の階層といいますか、所得の金額の小さい方は、相当思い切って全額を給与にしてしまっても、つまりみなし法人のほうはゼロになってしまっても、それで済むわけでございます。したがって所得の小さい階層の場合にはどんどんこれの選択をして給与の額を届けられても、その給与の額が否認されるということはめったに起こらないようになりますから、その分は全額給与に取ってしまうだろう。そういうわけで百万円以下のところは半分ぐらいの方が選択され、ほとんど全額を給与にとってしまうだろうという前提、上の階層ほど選択率は低くなるが、給与に取ってしまう、そしてそれは給与所得としての税金だけしか納めないであろうという前提で計算をして、その分だけ減ってくる、こういう計算をしております。
○竹本委員 事業主報酬についてはいろいろ質問をいたしました。なお、法人税、特別措置について若干質問したい点もありますけれども、次の方もありますので、一応この辺で終わります。
○大村委員長代理 高沢寅男君。
○高沢委員 大臣がお見えになりましたので、さっそくお尋ねします。 初めにお尋ねしたいことは、日本の経済の現状で、つまりインフレの問題なんです。この問題はいままでも何度か国会で論議されておりますが、政府側から、日本の現在の経済の状態がインフレーションであるというふうなことは、まだ正式な確認はないわけですが、それはインフレマインドであるとかいうふうないろいろなそれらしい表現では言われておりますが、やはりこれはむしろはっきりと、その現状を認められるほうがいいのじゃないかと思うわけです。 インフレの問題は、たとえば財貨サービスの生産と通貨の流通の量的関係とか、あるいはまた通貨が発行されたその通貨の回転速度の関係とかいろいろ学者の議論としてはあるわけですが、何といってもインフレは物価の上がる状態、その物価というものが貨幣価値の一つの尺度であるとすれば、この物価の状態ということから考えるべきじゃないか。過去そういう論議がなされた際に、消費者物貨は確かに上がっているが、卸売り物価は安定しておる、だから心配ない、だからインフレでない、こういうふうな議論は池田内閣時代からもずっとあったわけですが、現状においては、すでに消費者物価だけでなくて卸売り物価も非常な勢いでいま上昇を続けておる。こういうふうな状態になってくると、これはもはや現状をインフレというふうに確認をすべきじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、このことをまず基本的な認識として大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
○愛知国務大臣 これは結論から申し上げますと、インフレ的な傾向が懸念される状況であるというふうに見ております。ただいまもお話がございましたが、やはり国民生活の面から見れば、消費者物価の高騰ということが一番これはやっかいなむずかしい問題でございますけれども、その点について、最近の消費者物価の動向というのはきわめて注目を要することでございます。それから卸売り物価の高騰については海外市況の影響なども相当あると見られますけれども、私はなぜインフレであると——高沢さんは認めろというお話でございますけれども、インフレであると断定しないかと申しますと、これは学問的にもいろいろの見方があると思いますけれども、常識的に申しまして、たとえば今日海外の状況などは相当持続的な物価の高騰の状況が示されておりますが、わが国の場合におきましては、ここ数ケ月この状況があらわれてきておりまして、政府としても懸命にこの対策をいたしておるわけでございますし、ことに私はこういうふうに思うのでありますけれども、まさに新年度が始まっているところでございますし、予算の執行の段階にようやく入ったわけでございますし、それから金融対策にいたしましても、公定歩合の引き上げを新年度に際しまして、いままでにないような大幅の引き上げをいたしました。こうして、いわば道具立てが財政、金融面にもそろいましたし、それから当面起こっております異常な現象に対しましては、昨日上程されました売り惜しみ、買い占めに対する投機防止の法律案の御審議もお願いしているわけであります。その他一々あげませんけれども、いろいろの面から対策を講じております。 それからもう一つの問題は、国際通貨情勢がとにかく小康を得ている、こういったような状況を総合いたしますと、私は理論的にいってもこの現象というものは久しからずして鎮静をする、これを期待しておるわけでございます。これはこれから数カ月たって、おまえの言ったことは当てにならないと言われることがないように、私どももさらに一生懸命努力いたしたいと思いますが、そういうわけで、いわゆるインフレというものに現状を断定するということは私としてはできない。ただインフレ的な傾向が非常に憂慮すべき段階にありますから、これを克服するためにあらゆる努力をすべき段階である、こういうふうに考えております。
○高沢委員 まだ懸念される状態である、こういう大臣の認識であり、それを鎮静させるためのいろいろな道具立てをいまそろえているところであるから、これからこの道具立てが効果を発揮してくるだろう、こう期待をされる。したがってそのこれから先の効果か出て、消費者物価なりあるいは卸売り物価なりというふうなものに安定という状態が出てくれば、それは大臣の言われることになろうかと思いますが、一つはその点では実績をひとつ見なければならぬということがあると思いますが、同時にここで大臣から、こういう状態になればこれはもはやインフレであるというふうに認定される、そのこういう状態というのはどういうことか、ひとつ参考のためにお尋ねしたいと思います。
○愛知国務大臣 これは学問的に申しましてもなかなかむずかしいことだと思いますけれども、基本的にはちょうど各国ともそうでありますけれども、終戦後の状態のように、食べるものも不足をしている、要するに物資の生産や出回りの状況が不足であって、そして通貨がどんどん増発されるという状況で、そして物価が日増しにどんどん急騰するというような現象がインフレといわれるものではないかと思います。
○高沢委員 いまの大臣のお答えによると、日本の今度の第二次大戦後、あるいはこれはヨーロッパの諸国も第二次大戦後はみなそうだったと思いますけれども、ことに典型的には第一次大戦後のドイツなんか、ああいう状態にならぬとインフレとは言えないというふうなことになると、もう戦争でも起こってほとんど生産力が破壊されて、食べるものもないし着るものもないというふうな、そういう状態にでもならぬと、とてもインフレとは言えないということで、ここまでインフレの定義というものを限定されると、いまの段階でインフレを論ずる前提がちょっとかみ合わぬというような感じがするわけですが、それが大臣の御認識であるということならば、これはやむを得ないと思うのです。 そこでその問題は一応それとして、私の考えでは、そういうふうなインフレの大臣の言われる懸念される状態というものをもたらしている幾つかの要素があると思いますが、その中には、われわれの立場では、たとえば政府の公債発行とか、あるいはまた日本銀行の通貨発行のそういうふうな運営であるとか、いろいろそういう要素はあると思いますが、特に最近それらの要素に加えて一つの焦点となっているのが過剰流動性の問題ということを、インフレの幾つかある要素の中にいま特に重視しなければならぬ要素として一つ見なければならぬ、こう思うわけです。しかもこの問題は、先ほど私がちょっと指摘したその通貨の回転速度の問題にも非常に関連すると思うわけですが、そういう点でインフレ要因として私はあげたいと思っているのです。 この過剰流動性の問題が、けさの新聞にも報道されたきのうの閣議に報告された政府の調査でも、六社の商社関係でも六千六百億という過剰流動性が数えられるというふうにいわれているわけです。先日この委員会に税制調査会の東畑会長が見えたときは、東畑会長のおことばの中では、現在七兆円程度あるだろうといわれているというようなおことばもあったわけですが、いずれにせよ非常に大きな過剰流動性があって、それが非常にこの日本経済の中をいわば縦横にあばれ回って、そしてこの投機なり物価の上昇を引き起こしておる。それが単に消費者物価だけでなくて卸売り物価にも及ぶ上昇を招いておる。こういうふうな状況があるわけですが、そこでそれに対する対策としては、この過剰流動性を退治するというところに特に焦点を集中する必要がある、こういうふうに考えるわけですが、その退治の方法としては、私は何といってもそれは公定歩合の引き上げなりあるいは日銀の預金準備率の引き上げなり、これは現に政府も手を打っておられるそういう金融政策でありますけれども、それらももちろん必要でありましょうけれども、もっと端的に効果を発揮する、それを退治する対策としては、やはり法人税の税率を直接に引き上げて、そして直接にその部分を国庫へ税収として吸収されるという方法が一番端的な方法じゃないか、こう思うわけです。 こういうふうな点から、私は、この委員会でも、何回か法人税率の引き上げの問題が論議されて、先般総理がこの委員会に来られたときも、来年度の措置の中でその方向を考えるということをはっきり言っておられるわけですが、私はここでもう一度大蔵大臣の立場から、昭和四十九年度の税制改正の中ではこの法人税率の引き上げという、そういう方向でのこの問題の改革をするのだということをひとつ御確認をいただきたいと思うわけです。
○愛知国務大臣 その前段の御意見につきましては、私もいろいろ意見を持っておりまして、金融対策のみならずあらゆる面でいま努力をしておるところでございますが、これについてはまたあとで機会がございましたら言及することにさせていただきます。 税制の問題につきましては、実は率直に申しますけれども、現在の日本経済の状況下あるいはいろいろ社会的な観念と申しましょうか、そういう点、いろいろの点を総合いたしまして、四十八年度にも相当のくふうはしたつもりでございますけれども、四十九年度においては相当建設的でまたいろいろと国会を通じても御意見のありましたところを謙虚にひとつ政府としても検討させていただきたい。実は、まあざっくばらんに申し上げるわけでございますが、私が出張中に総理大臣が当大蔵委員会でこうこういうことを言ったのだということを、帰る早々総理大臣からも直接聞きまして、それでいいだろうかと念を押されましたから、私は全然賛成です、かねて私もそれに類することを言っておったくらいであって、その考え方は、税制については、時間が少し余裕ができましたら、早急に全面的にひとつ取り組んでみたい。これは税制の体系全体について、直接税、間接税のあり方も含めまして、そして直接税につきましては、一口に言えば法人に重く勤労大衆には所得税を軽減ということを中軸にしてぜひひとつ政府としても徹底して勉強をしたい。税制調査会にも積極的な意見を求めたい。 ただ、税制は御承知のように非常に複雑で、組み合わせもいろいろございますし、それから従来の考え方も定着しておる面もございますし、ひとつお願いは、多少の、時間をとっくりかしていただきたい。来年度にりっぱなものをつくって御審議を願うについては、ある程度の時間をとっくりかしていただかなければよいものはできませんということは総理大臣にもお話をしてございますし、また国会の皆さまにも前にも私はそういう趣旨を申し上げたところでございますが、基本的な考え方といたしましてはそういう考え方で取り組んでまいりたい、積極的な意欲をもって取り組んでまいりたい。したがいまして所得税法案の御審議をいただきましたときの附帯決議あるいは御質疑に対しましても私は御答弁をいたしましたところは、そういう気持ちも含めて申し上げたつもりでございます。
○高沢委員 総理大臣がこの委員会で言明され、またいま大蔵大臣からも同じ方向を非常に積極的にということばも添えて確認をいただいたわけですが、検討をしていただく時間としては四十九年度の予算編成、四十九年度の税制改正、これを大蔵省として案を作成されるまで、いまからさっそく取り組んでいただけば十分な時間もあるわけであります。ぜひ四十九年度のおそくもその時点においては実現をするようにお願いをいたしたい、こう考えるわけです。 そこで、いまの点に若干関連をするわけですが、その過剰流動性の姿をとっているあらわれとして、大企業が保有している資産の中の特に土地、こういうふうな関係の資産については、私は今回はこの土地課税については、地方税のほうでは特別土地保有税、それから国税のほうでは租税特別措置法の改正でいま審議しておるわけでございますが、土地譲渡税、こういうふうなものが提案されておりますが、これはいずれも昭和四十四年度以降に取得した土地という一つの限定がついておりますから、それ以前に企業関係が取得をしてそしていわばその資産が年々価格が高騰して、いま法人が保有しておるというふうな土地に対しては資産を国の手で再評価してそしてその再評価の益に対して課税する、こういうふうなやり方をおとりになるのがこの過剰流動性を退治するまた一つの有効な方法じゃないか、こういうふうに考えるわけです。この場合の再評価益に対する課税の率は非常に高い率で当然考えるべきである、こういうふうに考えるわけですが、この再評価とその再評価益に対する課税という考え方は、これはもちろん非常に緊急的、一時的な措置ということになろうと思いますけれども、ひとつお考えになる考えがあるかどうか、お尋ねいたします。
○愛知国務大臣 土地の税制については、いずれまた詳しくいろいろと御審議をいただく段階もあろうと思いますけれども、これは税制調査会の審議の過程等も公表されておることでございますが、非常にいろいろの議論がございましたわけで、私ども政府としては、現在御提案をいたしておりますものがいろいろの議論をかみ分けて一番適切なものであるということで御提案いたしておるわけですから、結論として、今回この時期にいま御提案のございましたような考え方を取り入れるという考えは政府としては持っておらないことを御理解いただきたいと思います。 そうしてさらに、いま御提案のございましたような四十四年以前に取得した法人の土地を評価がえをして、そうしてその分に対して高率の課税をすべきではないかという御意見も一つのお考えと思いますが、現に法人が保有しております土地につきまして強制的に再評価をするといたしましても、その再評価をどういうぐあいにして再評価をするのか、客観的にどうしてできるか、あるいは申告ではとてもできない、そのことに一つ問題がございますし、また、最近におきまして投機の目的のために入手した土地とそれから本来の事業の用に供していた、長く持っておった土地とを比べてみました場合、投機目的のために所有しておったもののほうが相対的に低くなるおそれが十分あるのではなかろうか。 そこで、政策目的から申しましても、公平の観念から申しましてもいかがであろうかということが、まあほかにもいろいろ考えなければならない要素があると思いますけれども、そういう点を考えまして四十四年以降というのは、御案内のように、四十四年当時の税制改正、高率累進から分離一律比例ということにいたしましたことが相当の効果をあげたと思うけれども、また別に予想を必ずしもしなかったような状況が起こったことに対して補完をする、こういう関係から、四十四年一月以降取得したものということに一つのワクを定めたというような考え方でございますので、そういう点から申しましても、再評価の問題、あるいはそれに対しての課税ということは実は適当でないという考え方で、現在の政府案に落ちつけたような次第でございます。
○高沢委員 四十四年に採用されたその土地税制の改革については、政府が当時言われたような効果をあげていない、このことについては、私たちもそういう一つの評価を、立場を持っているわけです。これについては、後ほどわが党の広瀬委員から、また重ねて、党の立場を述べながらの御質問があろうかと思いますが、私は、この問題は時間がありませんから先へ進みまして、この機会に大臣あるいは主税局長に、全く私、一つの知識を得たいために教えていただきたい問題があります。 四十六年の六月の税制調査会の基本問題小委員会の審議報告、あの中に、法人の所得計算の土台となる企業会計の基準、この基準について、貨幣価値が変動しないという前提で行なっているその会計基準、それに対して、非常に物価が上がるからむしろそういう物価の変動を織り込んだ会計基準を採用すべきであるという議論があったが、しかし、まだ卸売り物価が上がっていない現状ではそういう会計基準は採用する必要がないというふうなことが、その税調の基本問題小委員会の審議報告の中にあるわけです。しかし、現状は、先ほども申し上げたように、卸売り物価も非常な勢いで上がっておりますので、この見地から見ると、こういう企業会計の基準にそういうふうな物価の変動なり、貨幣価値の変動というふうなものを織り込むことがはたして必要であるのかどうか、また過去に、戦後インフレの時代にそういうことをした前例があるのかどうか、またそういうふうな企業会計を採用をした場合に、法人税の運用にどういう影響が出るのか、これをひとつこの機会に教えていただきたい、こう思うわけです。
○愛知国務大臣 専門的な点については主税局長から御説明をいたすと思いますけれども、私が考えますことは、現在の法人税の仕組みは、現在の商法それから企業会計を基礎とする仕組みでございまして、資産の評価ということについては、いわゆる取得原価主義をとっているわけでございます。これは貨幣価値の変動を考慮に入れていない、そういうたてまえになっておりますことは御指摘のとおりでございます。ですから、この取得原価主義あるいは商法や企業会計というものを基礎にする法人税の仕組みがよいかどうかという学問的な議論というものは従来もございましたが、私の意見といたしましては、これは貨幣価値の変動と申しましても、結局またその物価論争にも戻ることでございますが、常識的に申し上げましてこの仕組み、ずっと定着した仕組みを、現在あるいは今後予想される物価の動向等によってこれを根本的に変えなければならないというほどに私は、常識的でございますけれども、そこまでは考える必要はないんじゃなかろうか、こういうふうに考えます。学問的に御議論として存在することは事実でございますし、私が就任する前にも、税制調査会などでもそういう御議論はあったやに聞いておりますけれども、私の意見としては、いま申しましたように考えておるわけでございます。 専門的な点や過去の経緯は、主税局長からお話を申し上げます。
○高木(文)政府委員 専門委員会は四十五年の秋から行なわれておりまして、実は私、そのとき主税局をちょっと離れておりましたので、私自身もその議論がありました際の現場には居合わせなかったわけでございまして、その後取りまとめ報告を見ましてあとで聞いたのでございますが、専門委員会は非常に大ぜいの方に集まっていただいて、自由濶達に御討議を願いました関係で、その中にいま御指摘のような非常におもしろいアイデアを提案された学者がおられたようでございます。しかし、どうもその議論は、まだ、企業会計の専門家はもちろんのこと、他の学者の方々におきましても、提案というかアイデアという点においては考えられることであるけれども、現実の問題としていまそれを煮詰めて、現実の行政なり制度なりに仕組んでいくにはまだだいぶ時間を要するということで、むしろ一種のアイデアという意味においては評価されましたが、まだこれを現実の制度に乗せるにはなかなかたくさん研究すべき問題があるということで終わったようでございます。
○高沢委員 わが国では現実の制度として前例はないわけですね。
○高木(文)政府委員 前例はございません。
○高沢委員 その点はわかりました。 そこで、先ほど大臣からも確認されました明年度の税制の改正で、法人に重く、所得税を軽くという、こういう方向ですが、それをされる場合に、やはり法人税に一律にそういう改革がなされますと、おのずから法人の中にも大法人それから中小法人、この関係というものが出てくると思うわけです。この関係は、すでにわが党の塚田委員からも局長との間でいろいろ質疑応答があったわけですが、現在の一億円未満の法人に対して、年三百万円未満の所得に対しては百分の二十八という税率を適用している、こういうふうな段階的な考え方、これは私は当然なければならぬ考え方だと思うわけですが、明年法人税の改革をされる際に、ここのところもぜひもう少し手を加えていただく必要があるんではないか、こう思うわけです。この一億円以下というそういう刻み方でありますけれども、これもたとえば中小企業基本法のほうでは、中小企業についての規定づけが、鉱工業等の製造業やあるいは運送業では、資本金五千万円以下、従業員三百人以下、こういう線があるし、商業やサービス関係では資本金一千万円以下、従業員五十人以下というそういう線の引き方が、中小企業基本法のほうであるわけですね。そういうようなものもこの際考え方を法人税のほうに受け入れて、一億円からこの前後のところでそういう中小法人の線の引き方をもう少しきめこまかくされることが私は必要じゃないかと思うのです。それからまた現在の三百万円以下の所得に対して百分の二十八というふうな軽減税率の適用のしかたも、それを三百万円という線と、あるいは一千万円という線と二つの線の切り方、そこらに線を切って、そしてそれぞれに適当な軽減税率を適用するというようなやり方があっていいんじゃないか、こう思うわけです。法人税に重くという考え方は、基本はそれをとりながら、しかし中小法人に対してはそういう重さがそのままかからないような、もう少しきめのこまかい規定づけがぜひ私はあっていいんじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 これもいささかこまかくなって恐縮なんでありますけれども、現在御承知のように、いま御指摘のありましたとおり、一億円以下についての税率は三百万円まで二八%、これを実際の状況に当てはめてみますと、中小法人総数の八二%に及んでおりますし、それから法人の実数からいってもたいへんな数でございますから、このやり方で大部分の中小法人というものは相当な利益を受けている、こう第一に考えるわけでございます。 それからその次に、確かにこの資本金あるいは三百万円というものの限度をもっと小刻みにすればいいではないかという御意見も一応ごもっともですけれども、たとえば、資本金などは、今度はこの限度以下ならば税率が安くなるということになりますと、税を安くするために会社の資本金その他を調整することは容易であって、逋脱というか回避といいますか、そういうおそれが実際上は非常にあるわけでございます。この点については田中総理も当委員会で同様のお答えをしたと思いますけれども、なかなかこれは観念的あるいは感覚的にはいいように考えられますけれども、実際に行政上の問題になりますと、なかなか問題がございますので、執行上は現在のようなやり方が一番いいんじゃないだろうかと考えておるわけでございます。 それからさらに、軽減税率の適用を拡大しましても、効果の及ぶのが中小企業の中でも最高所得層に属する約一八%、実数にすると十七万社ぐらいになると見込まれますけれども、その法人にとどまることになって、必ずしも所期の目的が達せられないということもあります。 それからさらに、個人事業者との関係なども考えてみますと、事業主報酬制度の場合にも非常な御議論があったわけでございますけれども、そちらのほうとの関連もまた考えなければならない。いろいろこれは、ただ単に従来こうであったからそれを固執して反対するというような考え方ではございませんで、それらの要素や条件を真剣に考えてみますと、なかなかこれはうまくいかないおそれがある、こういうふうに思います。 ただ、基本的に大法人にきつく、中小法人にやわらかくというその基本線は現在でもそうでございますように、この点はもう将来とも十分に改正の際にも念頭に置かなければならない、こういうふうに考えております。
○高沢委員 現在の制度で中小法人の八二%がすでに適用を受けておる、カバーされておる、こういうふうな御説明であるわけです。法人の数としてはあるいはそうかもしれませんが、しかしこの制度は、年かりに一千万円の法人の所得があるとすれば、その中の三百万円以下の部分がこの適用を受ける、こういうことになるわけです。したがってこの三百万円以下で二八%という税率適用を受けている部分の法人税収入、全体の法人税収入の中でそれがどのくらいあるか。私はおそらく非常にわずかなものじゃないかと思うのですが、それはおわかりでしょうか。
○愛知国務大臣 いまのお尋ねは、全体の法人税収入の中で……。
○高沢委員 三百万円以下で二八%の適用を受けているその部分の法人税収入はどのくらいあるのか。
○愛知国務大臣 ちょっとお待ちください。
○高木(文)政府委員 ただいま御指摘の数字、すぐ調べますが、ちょっと高沢委員が大臣の答弁の中で八二%という数字を申しましたが、中小法人総数の八二%と申しましたが、この八二というのは、所得三百万未満のものが八二という意味でございます。
○高沢委員 一千万円未満じゃないのですか。
○高木(文)政府委員 じゃないのです。でございますから、法人数の全体の八二%のものが、所得そのものが、総額が三百万未満であるという意味でございますので、その点は御質問とちょっと違っております。 それから、正確にはいまわかりませんが、大体見当としては二千億前後ではないかと思います。
○高沢委員 それはまたあとで正確にわかりましたらひとつお願いします。 ざっと法人税収の一割程度というふうなものだというめどになるかと思いますが、そうであるとすれば、そこのところを先ほど来の大臣のお答えでありますけれども、何とかもう少しきめのこまかい刻みをお願いしたい、こう思うわけです。 そこで、その問題はまた置いて、時間の関係がありますので次へ進みますが、これは自治省との関連でお尋ねをしたいわけです。 この前私、東畑先生にもお尋ねしたのですが、東京都の新財源構想研究会というところが大都市財源の構想ということで、これはまだ第一次の報告というので最終的なものにはなっておりませんが、中間的な報告を出して、その中でいろいろな提案をしております。これと同じような考え方は、過去の税制調査会の答申の中でも、特に大都市の財源対策については具体的な措置を考える必要があるということは何回か出ております。そういう点で、この問題はもはや今日どうしても実行に移さなければならぬ段階に来ているというふうに考えていいと思うのです。そこでその東京都の新財源構想研究会の考え方ではこういう考え方を出しているわけです。つまり、東京のような大都市では、企業及びその経済活動が非常に密集して集積しておる。その集積しているということからくる利益、それからまた集積をしているということからくる不利益、こういう両面が都市にはあらわれておるけれども、利益の面は主として企業のほうへ帰属しておる、不利益の面は主として住民のほうへ帰属しておる、こういうふうな考え方から、その利益分をいわば税として負担をしてもらって、そして住民の不利益分を、対策をとるほうへその費用を向けていくということが必要ではないか、こういう考え方で具体的には法人住民税なりあるいは法人事業税なり、こういうふうなものを通常の比率より大都市においては高い比率で課するというふうなことを考えるべきではないか、こういう提案がなされているわけです。これは特に大都市向けということで、地域が限定されておりますから、これは地方税の考え方になるわけですが、一つはこれに対して自治省として、地方税の中でそういう考え方をどういうふうにお考えになるかということをお尋ねしたいし、またこれを実行に移す場合には、当然国税としての法人税との非常に密接な関連がありますので、これは大蔵省のほうからそういう考え方をどういうふうにごらんになるか。来年度の税制改正の中で、国税、地方税の関連を位置づけながら、これをどういうふうに扱うお考えがあるか、これは自治省及び大蔵省にそれぞれお尋ねしたいと思います。
○山下(稔)政府委員 地方税で標準税率が定められております税目につきまして、財政上特別の必要がある場合に、それをこえて課税するいわゆる超過課税ができることは地方税で認めているところでございます。そういう意味で超過課税すること自体について別段問題はないと考えます。 ただ、東京都の新財源構想研究会の御提案の中に、その超過課税にあたりまして、一律にやるのではなくて、たとえば資本金五千万円以上の法人についてだけ適用するというような前提でお考えのようでございます。その点につきましては、超過課税をするにあたりまして、そのような特定の法人だけについて税負担がふえるというやり方につきましては、基本的には標準税率の考え方をくずすのではないかというおそれがございますので、その点については問題があるというふうに考えております。
○高木(文)政府委員 いまの集積の利益に対応して、ある程度の負担を求むべきではないかということにつきましては、四十八年度の税制改正の案といたしましても、自治省のほうから提案がありましたものの中にそういう思想があらわれております。それは一応事務所税あるいは事業所税という考え方でございまして、御指摘のような法人税あるいは法人事業税、法人住民税というようなものにリンクするものではございませんでしたが、別途の税を起こしてはどうかという考え方であったわけでございます。この問題は、都市問題に関連をいたしまして、抑制税、都市集中を抑制するという意味での抑制税として考えるか、あるいは全く別の考えで、都市におけるところの財源調達として考えるかというような考え方をどうとるかによりまして、国税で考えるか、地方税で考えるかという問題をいろいろ議論すべきだということになりました。現在の段階では、いわゆる列島改造構想によりますところの地方分散計画が必ずしもはっきりしていない、受けざらがはっきりしていないというところから見送りになりましたけれども、都市における集積の利益に着目した税の制度というのは考えられる制度だと思います。ただしその場合に、それをどのような仕組みでやるかはいろいろ問題があるところでございまして、今後いわゆる新しい土地の利用計画、国土計画との関連において引き続き検討されるべき問題であると思っております。
○高沢委員 この点は、東畑先生も、税制調査会の中で大いに前向きに検討したい、こういうふうに言っておられますので、政府の立場としてもまた自治省の立場としても、ぜひひとつ前向きな御検討をお願いしたい、こう考えます。 もう時間がありませんので、最後に一つだけお尋ねをいたしたいと思います。 租税特別措置のいろいろな措置が規定されておるわけですが、その中でも特に対象が非常にはっきりしておるものとして、渇水準備金のような定めがあるわけです。政府のほうからこの租税特別措置による減収額の試算の数字が出ておりますが、これはある程度大まかな区分けで出ておりますので、この中で渇水準備金、これは結局九つの電力会社を相手とすることになるわけですが、これはどのくらいの減収額になっているか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○高木(文)政府委員 実は租税特別措置の額としては渇水準備金は載せてないわけでございます。なぜ載せてないかと申しますと、これは要するに豊水のときに積んでおきまして、そして渇水のときに使う、こういうことでございますので、四十八年度は豊水の年になるか渇水の年になるかわからないものですから、計算ができないということで、何といいますか、結果は出てくるはずの数字でございますが、予算編成のときに参考としてお出ししております特別措置の減収額のほうには、計算の立てようがないということで計上しておりません。
○高沢委員 それはわかりました。 じゃ、それを計上された比較的近い過去の数字を教えてください。
○高木(文)政府委員 四十六年度の実績が期末残高で七十三億円でございます。これは四十六年度末の期末残高でございます。
○高沢委員 これは積み立て金ですね。減税額じゃないですね。
○高木(文)政府委員 積み立て額でございます。
○高沢委員 この渇水準備金という考え方も、日本の電力事業の戦後の歴史を見れば、終戦後間もないころは何といっても水力発電が中心であって、発電能力の大部分、九割以上が水力である、こういうふうな時代には、この考え方もある程度わかるわけですけれども、いまではもう火力が六割以上になって、水力の能力は二割というふうな程度に落ちてきておるし、さらには今後の新しい発電として、これから原子力発電というものもまたどんどんふえてくる。こういうふうな時代に来て、今日依然としてこの渇水準備金というふうな租税特別措置の定めがはたして必要なのか、もういわば時代おくれのやめていいものじゃないかと考えるわけですが、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 御指摘のように、電力事情がすっかり変わってまいりましたから、水力電気に対して重点を置いた考え方は見直しをしなければいけないという御議論はごもっともだと思います。現状はただ同時に、たとえば水力発電量が現在でまだ六〇%をこえる電力会社もございますし、また全体の比率をとってみると二三%くらいになるかと思います。したがって、そもそもこの制度は電力料金の安定をはかるというために考えられたものでございますから、必ずしもこの意味が失われたとは考えられませんけれども、見直しをある程度することが必要かなという感じはいたします。
○高沢委員 いま申し上げたのは一つの例として申し上げたわけですが、私は、非常にたくさんあります準備金制度あるいは特別償却の制度等々、これはいずれも見直しをしていただけば、戦後今日までの生産復興あるいは輸出振興、こういうふうな生産対策的な側面からなされてきたものがいわば大部分であって、しかし今日の経済事情としては非常に変わってきておるということはもう大臣もお認めになると思うのですね。そういう見地から、この租税特別措置のそういう産業政策的なものについては、この際やはり全面的に見直しをしていただいて、今回の四十八年度にも多少のそういう提案はされておりますけれども、これはまだまだ不十分であって、そういうふうな全面的見直しを明年度の法人税法のそういう改正の機会にまた思い切ってやられるようにひとつ要求いたしたいと思います。
○愛知国務大臣 そもそも特例措置は、既得権化するような考え方であるべきものではないと思うのです。ですから、時代の移り変わりと同時に見直しをやるというべき筋合いのものであると思います。それからこれが慢性化するようなことがあってはいけないと思いますので、今年度、四十八年度におきましても相当苦労したつもりでございますが、さらにいまも一例を申されましたが、見直しをぜひやりたいと考えております。
○高沢委員 それでは以上をもって私の質問を終わります。
○大村委員長代理 広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 大臣にまずお伺いしたいことは、大臣もなかなかお見えになれませんので、法人税法、租税特別措置法の質疑に入る前に、一つだけお聞きをいたしたいのです。 例の東京外国為替市場を閉鎖せざるを得ないという状況に立ち至った二月の段階で、堀委員と一緒にお伺いをいたしましたが、その際にも、ヨーロッパ市場と東京とが時差の関係がある、さらに向こうではもう土曜は休みだというような状況などもある、こういうようなことで、外為取引関係で週休二日というようなことをやって、やっぱり土曜日を休日にしないと、これから変転きわまりない国際通貨情勢の中で、日本が非常に不利な立場に立たされるような場面が多いのではないかというような話もいたしまして、その際に非常に前向きに、私もそうだと思うというような御答弁もあったわけであります。その後そういう方向が出たようでありますが、現在この点はどうなっておりますか、これが一つであります。 同時に、それとからんで、いま世界的に、特に先進諸国ではもう週休二日というのは労働条件としても定着をしつつあるという状況でありますが、日本の場合にはまだまだそういう状況にいっておらないわけでありまして、きちっと週休二日を確立しているところはまだあまり見当たらない。しかしながら、月に二回ぐらいは週休二日をやろうというようなセミ週休二日というようなことが行なわれているところはぼつぼつ出てまいりました。日本の通貨が強過ぎるという問題、対外競争力が非常に強いというような問題で、円の強さから変動相場制移行、またかなり円の再切り上げに追い込まれる可能性もあるというようなことからも考えて、この辺で生活優先の方向、福祉優先の方向に行こうというならば、どこかでやはりぴしっとした週休二日に踏み切っていかなければならないという情勢を迎えておるし、労働省も、前労働大臣も現労働大臣も、そういう方向で大きく一歩を進めたいというようなことを方針として出しておられます。 そうなりますと、そういう意味で国民に範をたれるという立場で条件が比較的整っておると見られるものは、やっぱり金融機関であろう、さらに公務員等であろうというようなことで、日本の場合には突破口を開いていく。そういうものの公益性が高い、公共性が高いということはありますけれども、公益性そのものが、週休二日であるというような中では、先憂後楽だというような立場が公務員の立場だというのじゃなくて、全体的にそういうものを実現するための先兵になるのも、公益的な立場から見て大事なことなんだという立場では、やはり先行してよろしいという考えもあるわけです。 そういう点について、これ以上、釈迦に説法でありますから申し上げませんが、これは銀行法の改正を伴わなければならぬわけでありますが、そういう意味で、もう機は熟してきたのではないか。したがって、銀行法の改正を行なって、金融機関の週休二日というものを実現する。決断と実行の田中内閣の最も重要なる大蔵大臣の席にあられる愛知さんがその辺で決断と実行をされることが非常に必要なことではないか、このように考えるわけでありますが、大臣のこの点についての所見をまず明確に伺いたいと思うわけであります。
○愛知国務大臣 東京為替市場の問題が起こりましたときに、期せずして広瀬委員の御意見と私の考え方と一致しましたことは、私はたいへんありがたく思っております。自来、方法論としては、自主的に申し合わせでやっておるわけでございますけれども、東京為替市場は土曜日休日ということが定着いたしましたことは、私は国際的にもよかったと思っております。そして、私の内心としては、これが金融機関の週休二日制にも一つの端緒になるようにいたしたいと考えております。そして、これは銀行法はもとよりでございますが、商法とか小切手法関係などにも影響があるわけでございますから、手形法や小切手法の改正ということを前提にしなければなりません。そういう意味では、非常に大きな問題でございますが、ひとつ前向きに検討いたしたい。私としては積極的な意欲を持っておるつもりでございます。 なお、政府といたしましては、これは週休二日制ということには及びもつかぬという御批判もあろうかと思いますけれども、休日が日曜とぶつかりましたときには、次の月曜を休日にするということを法律できめていただくように、内々所要の法律案を用意しまして、いずれ御審議をいただきたい、こういうふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 方向ははっきりいたしました。非常に前向きに取り組まれるということでございますが、大体この国会中に、週休二日制を実施するための銀行法の改正法案を提出される御用意があるか、あるいは来年度ということになるのか、この辺のところの時期的見通しはどの辺のところに置いておられますか。
○愛知国務大臣 これは率直に申しまして、ただいま申しましたように、手形法、小切手法というような基本的な法律の改正に触れる問題でございますから、日限を切って今国会中にそうした法律案が出せるかどうかというところまでは、私は今日のところ自信がございません。しかしなるべくすみやかに、まずそういう空気といいますか、雰囲気を関係の方々に対して大いにアピールをして、そういう気持ちになっていただいていきますれば、案外早い機会に実現ができるのではないか、かよな気がしておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 ぜひひとつ、できる限り早い時期に実行ができますように、この点は強く大臣に要望をいたしておきます。きょうはこのことが主体でございませんので、この問題はこれだけにとどめておきます。すみやかな実行を重ねて期待をいたしたいと思います。 次に、法人税の問題で、いま過剰流動性の問題が主として大商社等を中心にして今日のインフレ要因をなしている、そういうような角度から高沢委員からの話もございまして、いまこそ法人税を増徴の方向に持っていくべきであるという主張がなされたわけでありますが、私も全く同感でございまして、たとえば大蔵省の一番新しい法人企業統計を見ましても、売り上げ高の対前年同期比の四十三年以降この五年間を拾ってみましても、対前期比一七・三、二二・八、一六・二、八・一、四十七年はまだわかりませんが、大体一四、五%というような状況になっておるし、営業利益も四十三年から対前期比一八・八、二七・三、一〇・七、四十六年はドル・ショックで若干落ちましたけれども八%ぐらい落ちている。四十七年はもう一五%以上になっている。それぞれ売り上げ高、利益率あるいは総資本利益率、固定資本比率、自己資本比率等においても、まさに大法人を中心にした負担余力と申しますか、担税力と申しますか、そういうものは今日十分な段階を迎えている、こういうようなことも考えまして、しかも法人の含み資産の大宗をなす土地のいわゆるブックバリューと今日の時価との差は大体五十八兆というようなことが和光証券の調査で出ております。二兆八千七百五十億ですかの簿価に対して約六十一兆七千三百億というような時価である。ところが四月二日に発表されました土地のいわゆる公示価格、これが対前年比で三〇・九%値上がりをしているというようなことが発表されておるわけでありますが、そうなりますと、この一年でこの時価、法人の保有土地の値上がりというのは大体二十一兆にも及ぶのではないか。そうすれば、土地の含み資産だけでも八十兆ぐらいに達するのではないか。こういうようなことも考えますと、法人の経営状況、経理の状況というものは含み資産を含めて非常に増収増益というようなものが今日見られている、こういう時期を迎えているわけであります。 しかもいままでの法人税率をずっと見ますと、それまで四〇%の基本税率であったものを昭和三十三年に三八%に下げた。これがやはり一つの大きなてこになっていわゆる一九六〇年代の高度成長が行なわれたし、そしてまた四十年になりますと今度は四十年不況ということでこれを三七というように下げてきた。それをさらに三五%まで下げるというような法人税の税率と、それから日本の経済の発展ということは非常に政策意図的に操作をされてきたのではないかと私は思うわけです。そしていまや円が世界一強くなっているというようなことで、通貨の再切り上げまで行なわなければならぬというような対外競争力の拡充というような点も見られるし、しかも国内的には今日土地の買い占めあるいは株の買い占めあるいは異常高、さらに商品投機というようなことで、特に大商社を中心にしてたいへんな利益が蓄積されている、こういうように見るわけであります。 そういう中ですから、法人税は増徴の方向であるということについては私どもも全く同感であって、大蔵大臣もその方向をぜひ推進していただきたいということを強く要望をするわけなんです。 そこで、どの程度まで増徴すべきかという問題でありますが、私どもはやはり昭和三十五年に高度経済成長に池田さんが移る前まで行なわれておった四〇%に、基本税率は現行の三五%から四〇%に持っていく。特例として現在三六・七五でありますが、それを四〇%に戻す。これが生産、輸出第一の経済政策から福祉、生活優先の方向への転換という、それに見合う税制面における一つの姿勢であろう、こういうように考えるのですね。したがって、四十年不況の段階の例の三七%まで戻すというようなけちなことではなしに、あるいは三八%に戻すというようなことではなしに、どうしても日本の高度成長へのレールというものがしかれたその段階まで戻すということは当然であろう、こういうように考えるのですが、その辺のところを大臣はどのように考えておられるか、お聞きをいたしたい。
○愛知国務大臣 先ほど来申しておりますように、積極的に取り組む姿勢で努力をいたしたいと思っておりますが、税率について四〇%にするかどうかということについては、まだ研究も十分でございませんから、はっきりしたところを申し上げるところまでいっておりません。同時に、この税率の問題は、先ほども御指摘がございましたが、課税所得の範囲の問題とも相関連いたしますし、租税特別措置法についての見直しをどうするかということ、あるいは財政需要がどの程度になってくるかという歳入計画、あるいはまたこれから展開される経済の見通しというようないろいろの点を考え合わせ、あるいは他とのバランスを考えるというようなことで、御意見のありますところはよく理解できますけれども、それらを十分わきまえてひとつりっぱな税制改正を心がけてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。 なお、ちょっとこの機会に、答弁が間違いましたから訂正させていただきますが、祝日法案は、ちょっと私が留守しておったような関係で、すでに提案をし、衆議院を通過をさせていただいておりました。この点、私が間違った答弁をいたしましたが、訂正をいたします。
○広瀬(秀)委員 おおよそのめどを——やはりいま福祉時代への転換ということを、この委員会の税制審議の中でもこの点が中心になって議論が展開されているわけであります。日本が戦後を終わって経済発展期にまっしぐらに突入した時期というのは、やはり昭和三十五年の例の高度経済成長政策が出された年あたりだろうと思うのですね。この辺のところまで——しかも三八%でもあるいはその前の四〇%でも、もうすでに三十年あたりからは戦後が終わって、戦後の景気回復、生産拡大、輸出が伸びる、そういうような状況になってきたわけであります。その当時でも日本の企業はもうすでに完全な上向きになって、大法人を中心にして四〇%あるいは四二%の税制もかつてはあった。それをわれわれは控え目に四〇%といっているわけでありますから、その辺のところにやはりめどを置いて増徴の方向というものをとるということは、私どもは決して無理なものではないと思う。税調ですら、税調は大蔵省の意向が強く支配いたしまして、なかなかものをはっきり言わないのが通例でありまするけれども、税調ですら日本の法人税は決して諸外国と比べて——これはまさにはっきりした数字が出ているわけでありますが、アメリカの五一%とかフランスが大体五〇%であるとかというような、あるいは西ドイツが四九%であるとかいうようなそういう実効税率まで出ておるわけでありますから、当然税調としてもそういう点で黙視し得なかったと思うのでありますが、負担余力は十分あるのだというような形でこの長期税制等についてはっきりした見解をとっておるわけであります。だからその辺のところ、もう少し大臣の考えをもう一歩前進させたお答えをいただきたいと思うわけです。
○愛知国務大臣 私の考え方は相当前進した考え方を持っているわけでございますけれども、いまこの段階で何%と申し上げるのにはもう少し勉強をさせていただいて、先ほども申し上げましたけれども、やはり税制の改正というようなことは、いろいろの関連を慎重に考えてまいらなければなりませんから、いまの段階ではっきりした数字の目標を申し上げるのはちょっと時期尚早かと思いますので、いましばらく時日をおかしいただきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 しばらく時間をかせということでありますから、若干の時間をおかし申し上げて、次の機会に、それではもう少し固まった、ある程度具体性を持った答弁が得られるように要望をいたしておきたいと思うわけであります。 それから法人税について、私どもは今日日本の法人税体系といいますか、法人税の仕組みといいますか、そういうものが法人擬制説というものによって組み立てられていると思っているわけだと思うのであります。これはどちらかというと、イギリス型と西ドイツ型という区別をすれば、イギリス型に近かったというように考えられるわけでありますが、しかし今日の法人の実態というものは、これはもう経済主体は自然人だけだというような考え方で、株主というようなものがあって、株式会社、法人というものはやはり法の擬制である、こういう立場で、その出資をした自然人である株主に、本来その結集体である法人の事業活動によってあげた利益は帰属する。したがって法人税は、言うならば配当所得税の前取りであるというような理論構成が行なわれる。したがって、そういうところから株主に対する配当控除というようなものが所得税でとられたり、あるいはまた法人税には支払い配当について配当軽課の措置を行なう。軽減税率を二六%、二二%、所得三百万円を限度にして、そういうように軽課税率を適用しておりますし、また法人間の受け取り配当については益金不算入というような制度がとられたりしておるわけであります。 こういうふうに、いまやもう法人というものは現実の経済社会においてまさに独立性を持った、自然人と並んだ経済活動の主体である、こういうことで、すなおに認識するほうが、今日の経済社会における法人、株式会社の実態にやはり近い、実態をすなおにとらえる、こういう立場で税制の組みかえを根本的にやっていくべきであろう、私はこういうように思うわけであります。 したがって、この支払い軽課措置であるとか、あるいは受け取り配当の益金不算入等というようなことはもう当然廃止していいのではないか、こういうぐあいに考えるのでありますが、この点について、これは法人税法のかなり基本的な大改正、現在の仕組みを一変させる改正になると思うのでありますが、そういう面でどのような見解を持っておられるか、お聞きをいたしたい。
○愛知国務大臣 これは従来の大蔵省といいますか政府の考え方を繰り返すことになって恐縮でございますけれども、法人税が株主の所得税の前取りであるという考え方のもとに従来受け取り段階で行なっていた法人、個人間の二重課税の調整措置の一部を支払い法人の段階で行なうことをはじめといたしまして、法人は株主から独立した一つの主体であるという考え方のもとに、配当の一部を費用と見ること、それからさらに自己資本の充実に資するという考え方のもとに配当に対する税負担を軽減して増資による資金調達を優遇する、こういったような考え方を総合して配当の軽課ということをとってきたわけであります。それだけに、いまもお話がございましたように、この制度をいじるということは、いろいろの面から相当思い切った考え方の転換をしなければならないわけでございますし、また同時にいまもお話がございましたが、法人擬制説に対して法人実在説ということが考えられなければならないとしますと、税率などについてはむしろ引き下げなければならないという考え方が出てくるのではないだろうか。そんなふうなことも考えますと、先ほど来申しておりましたように私としては積極的に税制のあり方について前向きに大いに洗い直して検討をいたしたいと思っております。これらの問題、従来とってきた考え方等を総合いたしまして、税率の問題とあわせて、これは徹底した勉強のし直しをしたいと思っておりますから、いまも従来の考え方を申し上げたわけでございますけれども、これはなかなか複雑な問題で、必ずしもクリアカットに広瀬さんの御提案になるような考え方がとれるかどうか、これは私もちょっと自信がございませんが、さらにとくと勉強さしていただきたい。こういう問題かございますために、いまここでもう少し掘り下げた具体的な意見を申し上げるのにはちょっと時期尚早で、しばらく時間をおかしいただきたいというのもこういう根本的な問題が頭にあるからでございまして、その辺のところはよく御理解をいただきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 これは法人税法全体を通ずる基礎的な、むしろ原理的な変革でありますから、若干の時間が必要であることは当然であるし、いま突如として大臣に質問して、そのとおりだということにもならない面もあろうかと思います。したがって、若干の時間がかかることを承知の上で、しかしいま大蔵大臣が実在説というような形で法人を独立課税したいというとらえ方、実際の今日の経済活動の中における法人のあり方、存在している実体そのものをすなおにつかまえていく、とらえていくというような立場、法人擬制説、実在説を法理論的にどうのこうのいうつもりはございませんが、そういうすなおな形で今日の経済社会における法人の姿というものをとらえて、それに正しい租税負担というものを求めていこう、こういう立場で議論をしているわけでありますが、実在説的な立場に立つと、何かむしろ法人税を引き下げなければならないというような理論は私には全然わからないわけであります。これはまさに皮肉にも先日の新聞に一斉に報道された国税庁の発表であります。四十七年の大会社申告所得、これは大臣も十分承知されておると思いますが、たとえばトヨタ自動車は申告所得金額一千四十七億であります。以下松下電器の九百五十四億、日産八百十四億、第一勧銀六百三十二億、以下そういうようにずっときて、五十位のところですら百七十六億であります。第五十位の武田薬品工業はこういうような所得をあげておるのであります。こういうように、今日まさに日本の法人というのは世界の百大法人の中にも何十社かもう仲間入りしているというようなことも踏まえて、これだけの申告所得をあげるだけの巨大な、まさにマンモス化した法人企業というものが現存をしておるわけです。それが現在一律三六・七五%、基本税率は三五%というようなことで、こういう状態なんです。しかも法人は個人よりも担税力が常識的にありと見てよろしいわけであります。もちろん法人企業といえども必要経費がかかるし、人件費の増大ということもあるわけでありますけれども、こんな一千何十億というような所得をあげる、所得をかせぎ出すというようなことは、まさに担税力はかなり強いものである、こういう認識でなければならぬと思うのでありますが、大臣の、いまの実在説の方向でいけば税率をむしろ下げなければならぬというような理論はどういうところから出てくるのか、お聞かせをいただきたいと思うわけであります。
○愛知国務大臣 たとえばということで、これは観念論を申し上げたわけでございまして、下げなければいけないということを考えているわけでは決してございません。しかし場合によれば、擬制説で従来のような考え方をとって税率を引き上げるというほうがいいか、あるいは配当所得課税について何らかの考え方を、間をとって新しく考えて税率との調整をどうするかとか、これはいろいろ複雑な考え方があると思うのであります。学理的にも、そして実際国民感情に合うようなよい案をつくりたいというために、議論のむずかしさということの関係からそういう説もあり得るということを申し上げたわけでございますから、この点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
○広瀬(秀)委員 たとえば先ほど私も主張したわけですけれども、今日法人の受け取り配当を益金に算入しないというような、法人にとって非常に有利な措置がとられているわけですね。いま所得の状況を申し上げたように、それほどの所得をあげている力の強い法人組織、こういうものに受け取り配当を益金に算入しない、不算入である。また支払い配当には二六%というような軽減税率を設けている。こういうことはもう必要な段階ではない。こういうような角度から、いまの経済、社会における法人企業の実態の中に見出せる担税力というようなものから見て、私どもはそういう主張をしているわけです。実在説であるとか擬制説というような法理論的な観念論ではなくて、実態をすなおに把握して、そこに担税力を見出す公平な課税をしょう。 今日なお日本の労働者たちは、大幅賃上げがここ数年来続いておるけれども、いまだにアメリカの三分の一近くだ、西ドイツの半分近くだ。しかも課税最低限は、なるほど西ドイツやフランスを追い越してアメリカの次になったというけれども、これはこれでストックの面では全く段違いの差があるわけですね。フローの面ではやや落ちついたという感じはあるけれども、そういう根本的な差がある。したがって、そういうところでは依然としてストックの不足感というものがある。しかも土地、家屋というものに対してはいまやどうにもならない、手も足も出ないという状況の中で重税感——少なくとも何年かせっせと貯蓄をすれば働く労働者でも土地も取得できます、宅地も取得できます、その上にマイホームもつくれますというような望みが全くないところに、課税最低限がアメリカの次くらいになったといったところで重税感は免れないわけですね。 しかも一方において、大商社では過剰流動性をいいことにして、どんどん土地投機あるいは株の投機あるいは商品投機、国民生活必需物資に対する投機までして、もうけにもうけている。まさに今日におけるインフレの元凶をすらなしている。法人の資金余力をもってかってにあばれ回っている、もうけまくっているという感覚が国民の中に充満している。そういうものをとらえて、この法人税の増徴というものが適正に行なわれなければならないと思うのであります。そういうところをひとつ十分考えてもらいたいというのが私どもの主張なのでありますが、いかがでございますか。
○愛知国務大臣 そのお考えは私も基本的にはごもっともだと思うのです。やはり税金というのは非常に重大な問題で、それこそ民主主義、議会主義の発祥の歴史を見てもそうなんでありますから、国民感情が何を求めているかというところに十分足を据えて立案しなければならないわけでございます。同時にしかし、二重課税というようなことが段階を追うて幾らでもかかるというようなことは、やはり学説の問題じゃなくてこれは排除していかなければならない。そういう点なども学問的にも裏打ちがりっぱにできて、かつ国民感覚に沿うようなということでいろいろと要素を考えておりますので、ひとついろいろな建設的な御意見はこれからもいろいろとお伺いいたしたいと思いますし、政府といたしましても謙虚に建設的な御意見はできるだけ取り入れて立案に努力したいと思います。
○広瀬(秀)委員 そこで次の質問をいたしますが、最近株式における時価発行が非常に多く行なわれておるわけなんですが、四十五年で二十一社、四十六年は、これはドル・ショック等で少なくて六社、四十七年が百八社というふうになっております。発行株数も四十七年は十一億八千万株、資本金の増加額が五百九十億、そして問題なのはプレミアムであります。発行額と額面五十円との差額がプレミアムとして商法上資本準備金ということで処理をされる。資本には組み入れられないで何に使ってもよろしい、こういうようなプレミアムが、いわゆる大法人筋あるいは大商社等の過剰流動性の——四千八十九億ですから相当なものであります。これが自由に、何に使ってもよろしいという金として経済社会で働くということになれば、やはり過剰流動性の一翼をになうだろうと私は思うのです。 これに対して、なるほどこれは今日の商法のたてまえ、そしてまた税法上のたてまえも、資本取引というものについて課税の対象にはしないというのが原則になっておりますしするのですけれども、これを課税の対象にしてならないということで、私どもはこれだけのものに対して指をくわえて見ているだけだ。あるいはうまいことをやったなということで庶民大衆は見ておるわけであります。これだけのプレミアムが企業にはころがり込んだ。一社で二百億ぱっと金が入った。自由に使える金が一ぺんに、時価発行を何千万株かやることによってとたんにそれだけの資金余力ができて、いままでの借金は全部返して、それで土地を買いあされるし、株にも投資することもできるしというようなことになってくる。 こういうものに対して、しかも先ほどから話をしております株主に対して、みな株主がその株を買ってプレミアムを与えたわけですね、会社に、法人に。それが五十円に対する配当をもらうということしか直接的には返ってこない。株主に対する無償株の割り当てというようなこともわずかにはあるようですけれども、そのパーセントが小さい。もうすでに時価発行の先輩格であるアメリカ等においてはほとんど一〇〇%、株主に何らかの形で特別増配なりあるいは無償株の割り当てなりというような形で、資本準備金を資本に組み入れる形でそういうことがやられるということなんだが、日本ではそれをやっていないですね。これは本来的にいえば、そういう方向に指導するということがいまの資本主義社会では正しいのかもしれません。しかし、現在これだけのプレミアムが企業のふところに時価発行を通じてころがり込むのだ。しかも好景気が続くならば、株がおそらくダウで六千五百円くらいまでいくであろうというような予想が今日でもなお行なわれている。 〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 変動制移行というようなきびしい通貨情勢にあるにもかかわらず、依然としてそういうものが根強く残っておる限りにおいては、時価発行というものは今後とも相当増勢を続けるだろうということが言えるわけです。そういう中で、しかもそれを買った株主に対してのサービスというようなこともせいぜい二割か三割くらいしかやられていないという日本の状況、こういうような中で、これを何らかの形で課税対象に取り込んでいいのではないか、これはたいへんしろうとらしい考えだけれども、まさに庶民の感情だろうと思うのです。こういうものに対して手をつけてならないというのが今日絶対的な原理的正しさを持つのかどうか。こういう点で私ども何ともどうも割り切れない気持ちなんです。これはしろうとの、そして国民大衆の一人としての素朴な感情を私は言っておるかもしれないけれども、そういう感じがしてならないのですが、その辺のところはいかがなものでございましょう。
○愛知国務大臣 この時価発行の問題は、いま庶民感覚というお話がございましたが、庶民感覚からいえば割り切れない問題であるとお話しになりますことは、私もよく理解できるわけでございます。ところでこの問題は、税の問題というよりも時価発行のあり方が問題でございまして、私はかつて本会議でも申しましたように、時価発行ということそれ自体はけっこうなことだと思いますが、これが商法で規定されている趣旨にそむいて、得たるプレミアムというものが何でもかってに使える、欠損に対する充当であるとか取りくずしは原則としてできないとかということを無視してやっているらしいというところに実は根源がございます。したがって、大蔵省の行政といたしましても、時価発行というものが本来望ましい姿の時価発行は適当であっても、それを逸脱するようなことは厳にこれをやめてもらわなければならない。 したがって、今回一連の金融措置におきましても、時価発行の増資に応募するというような場合を含めて融資規制の対象にもこれを厳格にいたしておるわけでございます。それから証券界に対しましても、法令の範囲内ではございますが、徹底した証券行政としての指導も強化しておるわけでございまして、そういう限りでこれが実行できておるならば、本来商法の規定しておるような筋であるべきはずでございますから、これは原理的にもあるいはその筋からいっても税金の対象にはならない、またすべきではない、私はこう考えておりますが、今後におきまして、むしろ問題は、証券行政、時価発行のあり方について厳粛な態度で臨み、また業界といいますか企業界におきましても厳正に自粛してもらわなければならない、これがまず第一であろう、こう考えておる次第でございます。
○広瀬(秀)委員 自己資本充実、自己資本充実ということを、この委員会で租税特別措置法の審議を通じてずいぶんやかましく言ってきたわけですね。自己資本の充実にとってこれはたいへん望ましいことであるといういまの大臣の答弁ですけれども、その自己資本比率というものは、さっきの会社の含み資産というようなものをあわせ考えるなら、名目的な自己資本比率という統計数字にあらわれるものは一六・何%というようなところで低迷して、最近はむしろ逆にその比率は減りつつある傾向が見られる。しかも時価発行をぼんぼんやっておる。なるほどプレミアムのほうは大きいけれども、それは資本準備金だ。それで資本準備金は、商法によれば資本金に組み入れができるたてまえになっているけれども、そういうようなことをしないで、自由にそれを土地投機や株の投機、商品投機というようなところに使いまくるというようなことだけをやって、自己資本の充実ということを目的にした租税特別措置もずいぶん長いことやってきているわけですけれども、そういうような点での指導というようなものは自己資本を充実させるというようなことが少なくとも統計数字の上で一つもあらわれない。しかも時価発行ではそういうように実質的な資本充実というようなことは行なわれている。その辺のところのギャップというものがどうにもわれわれとしては不満にたえないし、また、そういうものが租税特別措置を次々に積み重ねる要因にもなっていくというようなことでは全くおかしな話で、理解と納得が全く得られないという点なんですが、そういう点はどういう事情なんでございましょうか。
○愛知国務大臣 いま自己資本の比率の問題でございますが、これはお話にもございますように、また、私ども考えておりますのは、自己資本の比率はできるだけ上げてもらわなければならない、そういう点からいいましても、時価発行ということは、先ほど申しましたように、厳正に行なわれれば適当な方策だと思います。ただ、これは率直に申しますけれども、やはり過剰流動性という問題が一昨年来と申しましょうか、多くなって、金融が緩慢になって、そして金融機関からの借り入れというものの増勢が非常に顕著でありました。そういうふうな最近の状況から見て、自己資本の充実ということが、これはことばが過ぎるかもしれませんが、安易な借り入れに依存したということの結果が、こういうふうに御指摘の点にあらわれているのではないかと思いますから、そういう点に着目して、本年初め以来、金融政策の引き締めを次々と展開しておりますようなこととあわせて、自己資本の充実を厳正にやってもらうことを今後十分監視しながら、その推移を見きわめてまいりたい、現在はこういうふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 次に、租税特別措置で、基本的な問題についてお伺いしたいと思うのですが、租税特別措置は、特定の政策目的を達成するために、少なくとも課税の公平というものを害しながら行なわれるものであります。しかも、これが今日までの経過に見るように、まさに長期化し、慢性化し、政策効果もはっきりわからないというようなものが非常に多い。しかも、百何十種類もあるというようなことになっておるわけであります。そこで、たとえばその租税特制措置が私どもはやはり依然として大企業、大法人にメリットが及んでおる、こういうように考えるわけです。大蔵省からわれわれが要求してようやくきょうの段階で出てきたものなんですけれども、法人企業の準備金等に関する調べということで、これは昭和四十六年度のものです。四十七年度はこれがさらに大きく増加するだろうと思うのですが、価格変動準備金以下、海外市場開拓準備金であるとかたくさんありますが、大臣のお手元にもあるようですから読み上げませんが、この準備金だけでも十五ここにあるわけです。しかもこれを積算をしてみますと、約一兆三千億になるわけであります。それだけは課税所得から少なくとも準備金という名において、租税特別措置法の名において除かれておるわけですね。そして前年度の対比で、増加率は大体千八百億にもなる。四十五年度に対比して千八百億もよけいふえて、約一兆三千億、一兆二千八百億ぐらい、ざっと目の子で計算してみてそういうことです。これに単純に三六・七五%掛けてみますれば、約四千八百何十億というような数字が出る。約四千九百億ぐらいの税金を取れたはずのものが、これによって税を免れる、こういう状況になるわけですね。 こういうものが、これだけの大減税を準備金の名において、租税特別措置法の名においてやる理由は、もうここまで企業が発展をし、しかも先ほどから何回も申し上げておるように過剰流動性を背景にしながら、そうして土地の含み資産などというものを五十八兆あるいは六十兆、八十兆というように持ちながら、こういうものの恩恵をいまでもたっぷり受けている。最も大法人に有利に働いているこの準備金制度だけをとってみても、こういう状態になっているということであります。これは私の算術的な頭でなくて、幾何学的なところまでいけばもっといろんな操作があって、ことし国税全体の租税特別措置で四千八百億円程度でありますから、この準備金だけで、私が算術をやったこの数字は違うでしょうけれども、少なくともこういう巨額の恩恵を税制面で与えている。本来、もはや与える必要のないところに与えておるというのが今日のこういう制度であろうと思うのです。 これはやっぱり大臣の勇断によって、こういうものはもうほとんど必要のないもの、たとえば海外市場開拓準備金なんて、これだって円の問題、国際通資の問題も相当問題であろうし、海外投資損失準備金だって海洋開発の問題だって、もちろん資源開発の重要性というものは私どもも認めますけれども、こういうもので税金を免れるというのではなくて、ほんとうに必要な資源開発ならば、しっかりした堂々たる態度で、これはこれだけの、たとえば石油資源を、特にローサルファの資源を東南アジアで、インドネシアの近辺あたりで開発したいのならば、これに対して幾ら政府は援助しますという、そういう補助金を堂々とやはり国民の理解と納得の上に、コンセンサスを得てやればいいことであって、こういう税制の形でやるということは、どうにもわれわれ、がまんできないところにきている、こういうように思うのですが、この点についての大蔵大臣のお考えをひとつはっきり聞かしていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 私どもといたしましては、特別措置は既得権ではございませんし、それからマン、不リズムにおちいって慢性化すべきものでもない、これは当然そのときどきの状況で洗い直しをやるべきものであると、基本的にこう考えております。したがいまして、四十八年度におきましても相当のくふうはいたしたつもりでございまして、海外市場開拓準備金等やめたことも御承知のとおりでございます。四十九年度あるいはその以降におきまして、主として四十九年度におきましては、ひとつ新しい情勢下において洗い直しを大いに考えてみたい、こういうふうに考えております。 それからなお、いま御指摘もございましたが、期末の残高をここに掲げましたので、単純にこれを集計いたしますと、ちょっとショッキングな数字が出るわけでございますが、それぞれ過去における集積を期末残高といたしました点は、御理解がいただけるものと思います。
○広瀬(秀)委員 期末残高ですからこれは確かに大臣の反論が正しいわけであります。しかしいずれにしても、そういう準備金が非課税の中でどんどん積み立てられていく。毎年同じように準備金が積み立てられていくわけですね。そういう中ではこれは非常に大きいものがあるわけでありまして、こういうものはやはり税制の公平を害する最大の問題点なんですから、これをやはり逐次廃止をして、ほんとうに真に必要なものは、先ほど私が言ったように堂々と補助金でやりなさいというのですよ。これは国民だって真に必要なものには了解を与えるわけですから。しかも日本は資源のない国ですから、たとえば資源開発の投資損失準備金にかえて一定の補助金を与えるというようなことなんかもできるわけだし、いろんな問題点で堂々と正面切って、裏街道を行かないで表街道を走りながらやっていくということが財政民主主義、租税民主主義の要請にこたえ、そしてまた国民の不公平感、そして重税感、そして税に対する不信、税制に対する不信というものを変えていく大きな基本的な問題点であろうと思うわけなんです。その点について、将来洗いかえたいという気持ちと、それから私どもは具体的に真に必要ならば、そういうものに対しては表街道できちんと補助金を出しなさい、そして補助金を出して、どうなったということは国会の審議ですぐにはっきりした形でつかめるわけなんですね、そういうものがあれば。租税特別措置でやったものはどれだけの政策効果があったのかということは何一つ私どもはとらえることができない今日の情勢になっている。たとえばことし全体で四千八百億くらいの減収になりますよと言ったところで、ほんとうに四千八百億なのか、あるいは六千億なのか、それすらも実態をつかむことはわれわれはできないのですね。国会で何ぼ追及しても、案を出される皆さんとしては、何らかの形で計算をして、このくらいの減収見込みだということは出されるけれども、それじゃその年度において実際に一体どれだけの減収があったのか、そしてねらった政策目標がどれだけ達成されたのか、一切わからないのですね、こういう形でやるということは。だからそういう点についてはやはりこの租税特別措置というものはすみやかに大改廃をして、ほんとうに必要な最小限度で国民のコンセンサスを得られるものだけにとどめる、しかもそれも生活優先、福祉優先の立場のものに限定する、企業活動に対する助成の意味というようなことはこれからはなくすような方向で洗いかえをする。その洗いかえをするということはおっしゃいましたから、洗いかえをするという立場というものと、それから私が主張したような問題点について大臣はどのようにお考えであるか、このことをお聞きします。
○愛知国務大臣 あらためて広瀬さんの御意見を大いに傾聴したわけでございます。ひとつ大いに洗い直しをやってみたいと思います。しいて申しますと、従来のやり方は企業のリスクにおいてやることについて租税上の特別措置をやったということになっておりますから、補助金というものとは多少性格が異なるかと思います。しかし御説のように、もし必要があれば堂々と補助金でやるものは補助金のほうに移す、それから特別措置はできるだけ洗い直しをする、また場合によりましては新しいもので必要なものもあろうかと思いますけれども、これはひとつ徹底して検討いたしたいと思います。
○広瀬(秀)委員 そこでもう一つ大臣にお伺いしたいのは、大体ここ数年来の経過を見ておりますと、改廃をします、洗い直しをしますというお答えがある。そして減収額見込みを見ますと、ほとんど差がないのですね。もちろん最近では公害の問題であるとかあるいは福祉の問題、住宅控除の問題などで幾らかいいものが、われわれもこういうものならばまあまあいいであろうと思うようなものを出したりして、その中にまたさらに産業優先の考え方の中で新しいものも出てくるというようなこともあって、大体減収額というものは減らないように、したがってだんだんいろんな項目に分かれておりますけれども、そういうものを減らさないように、そして減収額の見込みも減らないようにというようなことでいつもバランスをとっているという、これは不公平税制の象徴みたいなものなんですから、思い切って減収見込みもかなりがさつと下がるというようなやり方で、それの対象はやはり大企業、大法人に傾斜をしている項目について徹底的な斧鉞を加えて、メスを加えて、そういうものを切り落としていく、こういう方向でやっていただきたいということであります。その点についてちょっとお答えいただきたい。 それから、もう時間がありませんからこれ一問で大臣に対する質問を終わらしていただきますけれども、今度個人事業所得者に対して、青色申告を行なう者についてみなし法人課税という制度が取り入れられました。これは個人事業所得として認定されておったものを一つの部分に分けますと、一つは給与所得の分、一つはみなし配当所得、こういうことになるわけであります。これはこれで私どもも推進をしてきた立場でとにかく一歩前進である、給与所得として認定をするというようなこと、必要経費として認めたのかどうかというような問題点があったり、いろいろな問題点がありますけれども、これはこれとして前進である、こういうものを持っているわけですが、しかしこれが地方税における個人事業税においては、大蔵省のとった今回の態度というものを認めない、いままでどおり個人事業税をかけるという立場をとっておるわけであります。法律の一貫性というか、斉合性というか、そういう面から見ても、当然これは事の起こりは、個人事業というのは勤労性所得の部分というものが非常に多いんだという立場から、その分を給与所得として見ていこうということであります。したがって、個人事業税を地方において、やはり勤労性所得の部分として大蔵省が認めた給与所得部分というものは当然事業税の対象から少なくともはずすべきである、こういうようにしてこそ初めて国税と地方税の一貫性あるいは斉合性というものが保たれると思うのであります。そういう方向で行くべきであると思いますが、いかがでございますか。これは直接の所管ではないにしても、税全体の問題について、交付税やその他やはり大蔵大臣の所管であますし、大臣としてどのようにその点の矛盾を解消される方向に向かうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○愛知国務大臣 これは主として自治省からお答えをいただくほうが適当かと思いますが、自治省となおよく協議をいたしてお答えをいたしたいと思います。 前段のほうにつきましては私のほうの問題でございますが、大企業優先というよりも、措置法によりまして、こういうふうな措置をやることが適切であるかいなか、それが税制上の問題として取り上げることがいいかどうかという点について洗い直しをしたいということでございます。その結果においては、いわゆる大企業優先ということに対する御批判にこたえることにもなるのではなかろうか、そういう気持ちで洗い直しをやってみたい、こういう姿勢をとってまいりたいと思っております。
○広瀬(秀)委員 大臣、七時の約束でございから、もうよろしゅうございます。 〔木村(武千代)委員長代理退席、大村委員長 代理着席〕 ちょっと、労働省来ていますね。——労働省に伺いたいのですが、勤労者の住宅建設を促進する立場で、勤労者財産形成法、主としてこれは住宅建設を目的としたものなのでございますが、その後の実行状況といいますか、この財形法のその後の運用はどういうような状況になっているか、ちょっと聞かしてください。
○廣政説明員 御承知のとおり、昨年の七月から財形貯蓄を始めたわけでございます。四十七年の十二月末で財形貯蓄の総額は三百億をこえました。それから加入勤労者も約百万人という状況で、さらに一月、二月といま増強を見ております。予想以上に伸びてきておるというのが率直なところでございます。
○広瀬(秀)委員 この財形貯蓄でもうすでに住宅の建設が、雇用促進事業団を通じて事業主団体等に融資されて、これが現実に効果が住宅建設となってあらわれているのはどのくらいありますか、これはまだですか、その辺のところを……。
○廣政説明員 財産形成制度は昨年は貯蓄でやってまいりまして、そのお金のたまったところといいますか、その残高を住宅の融資に回すということで、融資のほうはことしの四月からということを予定いたしておりますけれども、若干おくれるかと存じます。したがいまして、まだ始めてないというのがいまの状況でございます。
○広瀬(秀)委員 どのくらい建つ予想ですか。
○廣政説明員 いまのお金でまいりますと、三百億年末にたまっておりました。それの三分の一を各金融機関から雇用促進事業団が持ってまいりまして、したがいまして百億ということになります。その百億をもとにいたしました場合、大体三千戸程度のものは予定されるのではないか、いまそのように考えております。
○広瀬(秀)委員 そこで、財形貯蓄で金融機関を指定する、これは労働者自身が選ぶわけですが、やはり労働金庫が財形貯蓄の一翼をになっておるわけです。ところが、この雇用促進事業団を通じて、これは集まった資金の三分の一ですか、金融機関が雇用促進事業団に預ける、そうしてそれを今度は事業主団体あるいは事業主に融資をして住宅を分譲する、こういうことになると思うのであります。そこでその場合には、税制面におきましても住宅貯蓄控除というようなものが働いてくるわけですが、いま勤労者住宅協会法によって設立された建設大臣の所管の略称勤住協というのがありますけれども、その勤住協が主体になって、財形貯蓄をやってそれが労働金庫にいく、労働金庫から今度は勤住協が金を借りて建てるというような場合に、いわゆる財形貯蓄控除、住宅貯蓄控除が、勤住協からの住宅の取得ということになりますと認められないというたてまえになっているわけですね。したがって、この勤住協というのも——これはいうならば住宅金融公庫なり年金福祉事業団なりというもの、それから事業主団体との住宅貯蓄契約というようなもの、そうして指定した金融機関に貯蓄をするという、そういう契約、こういうようなものが、労働金庫とそれから勤住協というような関係になった場合には、その住宅貯蓄控除が受けられない、こういうことではやはり片手落ちなのではないか、こういうように考えるのですが、労働省の立場としてはいかがでありますか。
○廣政説明員 勤住協が特殊法人として住宅の分譲を行なっていることは、法律に基づいてやっているわけでございます。だだ住宅貯蓄控除という制度が、ちょうど住宅公団で申しますれば住宅債券あるいは宅地債券を購入する、そうしてそれの見返りとして分譲住宅を本人のために分譲する、あるいは金融機関の場合でございますれば、金融機関に貯蓄をする、そうして一定条件のもとでその貯蓄の何倍かについて金融機関が融資をする、そういう形での住宅貯蓄控除制度というのが、雇用促進事業団を通じましての融資という場合にも当然かぶってくるわけであります。ただ、勤住協の場合には、そのように債券を発行するとかあるいは貯蓄を直接に受け入れるということがございません。したがいまして、いま先生御指摘のとおり、この貯蓄云々ということでは勤住協が分譲するという住宅が住宅貯蓄控除制度適用をもろに受けるかということになりますと、これはそうは言えないということになってまいります。しかしながら、勤住協が家を分譲するというその前提として、勤労者は当然どこかの金融機関に預貯金をしている。その預貯金につきまして、住宅貯蓄控除制度の要件を満たせば、当然のことでございますけれども住宅貯蓄控除の制度は受けられる。それが、先生御指摘のたとえば労働金庫であるとかいう場合に、労働金庫との間で労働者がそのような契約を結んで貯蓄をしていく、そしてその貯蓄が雇用促進事業団を通じて、幾らかということはまた別問題でございますが、勤住協にお金がいきまして分譲住宅を建てる、そしてその分譲住宅をその勤労者が買うというときに、そのお金を、いま御指摘の例でございますれば労働金庫から借りてくるという姿で回っておる限りにおきましては、住宅貯蓄控除制度は当然に適用になってくる、こういう仕組みになっておるわけでございます。ですから、先生御指摘のように、直ちに勤住協なるがゆえに適用されないという理解はわれわれいたしておりません。
○広瀬(秀)委員 主税局長、いま労働省の説明があったわけですけれども、実は労働福祉団体から私ども陳情を受けたんです。その陳情書に、財形貯蓄についての住宅貯蓄控除は現行では事業主または事業主団体から取得する場合に限られ、勤住協が行なう財形住宅を直接取得する場合は住宅貯蓄控除の適用を受けられない、これは不公平である、こういうことなんです。私ども全く同感なんです。したがって、この租特法の四十一条の二ですか、これで事業主あるいは事業主団体等というような幅を持たせて、勤住協からの住宅取得、財形住宅を分譲を受ける、取得をする場合でも適用をする、こういう便宜の措置というものが当然講じられていいと思うのです。政策的には、もうこれ以上釈迦に説法ですから申しませんけれども、いままさに勤労者の住宅が足らないで困っておる。勤住協は何とかかんとか金のやりくりをして、土地の先行取得もやって分譲住宅をつくる、こういうことをやるわけですけれども、事業主団体でない、事業主でないというようなところから、この控除が当てられないということはいかにも不自然であるし、これを何とか、しっかりした団体なんですから、建設省所管の立ち入り検査でも何でもできる、会計処理の問題やなんかについても、建設省の定めるところによるというような組織になっているわけですから、そういう点でこの問題適用を受けられるようにする方法は、法律改正をしなければならぬか、あるいは修正をしなければならぬか、あるいは拡張解釈というか、そういうことでやり得るか、その辺のところはどういうことになりますか。
○高木(文)政府委員 私も実はごく最近に聞いたわけでございまして、まだ実態をつまびらかにいたしませんので、ちょっと正確なお答えになるかどうかわかりませんが、そもそも今回改正の審議をお願いいたしまして、従来の住宅貯蓄控除にいわば上積みをして従来の住宅貯蓄控除よりもさらに有利な税額控除制度を財形貯蓄に及ぼすことにいたそうかという御提案を申し上げております趣旨は、従業員の方が一定の金を積んで、将来家を建てようということで積まれるということのほかに、もう一つ事業主の方がそれに協力をして、そして足らずまえといいますか、ある種の分を継ぎ足すというところに勤労者財産形成制度の非常に妙味があるわけでございます。そこでただいまの問題につきましてどうもまだよく最後まで、私もちょっと聞いたばかりですので理解がいきませんが、今度の場合でも勤住協との関連で家を建てるというときにおきましても、何らかの形で事業主から、簡単に言えば若干の金を引っぱり出すということになれば非常にメリットがありますから、それは実態的に今度の、二枚目じゃなく三枚目の中身に当然入ってきていいことだと思いますが、そうでないとちょっとなかなか分譲を行なう団体が勤労者住宅協会という非常に特殊な公益目的を持っている法人だからというだけの理由では、こっちの新しいほうのグループに入れるのは適当かどうか、ちょっと疑問に思うわけでありまして、ただいまの御質問は、実態はいいものだからこの仲間へ入れるべく、どういう法律技術があるかという御質問でございましたが、その前に、もう一ぺん勤住協であればすべていいということにはちょっとならぬじゃないか、そのあたりをちょっともう一ぺん少し、緊急に勉強いたしまして、正確にお答えいたしますが、きょう伺いましたところでは、ただ勤住協の割賦分譲だから、こちらの勤労者財産形成のほうの住宅貯蓄控除の仲間に入れるということに直にはちょっといきにくいのではないかというふうな感じがいたします。
○広瀬(秀)委員 先ほど労働省の答弁では、やりようによっては受けられるというお話がありましたし、私もこまかいことを実はよくわからないものですから、労働省と主税局とでその辺のところを詰めて、勤住協というものは、政府が公認をして法律に基づいて設立された特殊法人なんですから、しかも勤労者の住宅を建設するという特殊な目的を持って設立されたものなんですから、これをたとえば雇用促進事業団のやる仕事、むしろそれ以上に住宅建設に果たすべき役割りというものが期待されてつくられたものなんですから、それに住宅貯蓄控除が受けられないというようなところがあるならば、それが受けられるような法律改正というものをして、むしろそれに合わせていくということこそが政策目的に合致し、また勤労者財産形成法の趣旨というものを首尾一貫させてりっぱなものにしていける基礎になると思うのです。そういう立場でひとつ研究してみてください。
○高木(文)政府委員 お気持ちはよくわかりますし、両者の場合はお互いにバランスがとれていなければならぬものでございますから、緊急によく実情を調べまして、しかるべく処理をいたしたいと思います。実態がまずよくわかっていないものですから、まことに申しわけございませんが、すぐ調べます。
○広瀬(秀)委員 期待をいたしておきます。 それから理財局来ていますか。——実は住宅金融公庫、年金福祉事業団、これで分譲住宅に対する融資をやっているわけですが、貸し付け対象面積及び標準価格等を設定をし、その融資率を公庫は八〇%、年金は九〇%としているけれども、実質融資率は過去の実績から大体四〇%程度である、公的資金による融資としては非常に少額である、自己負担分を分譲価格の六〇%も必要とするというこういう状況だというわけであります。たとえば八百万円の家を建てる分譲価格ということになった場合にも、融資額は大体三百二十万円ぐらいしか受けられない。自己負担金が四百八十万円もなければならぬと、こういうこと、これは年金福祉事業団の融資の案内書をもらったわけですが、単価の基準が、住宅というところで耐火構造で北海道で三万五千六百円、その他のところで三万三千八百円、この際その他という北海道を除く地区で言いますけれども、簡易耐火構造で一平米当たり三万八百円、木造で二万七千五百円、こういうことになっておるわけです。もうだれしもがこんなもので、これはまあ三・三倍いたしましても耐火構造で坪十万円なんという住宅が、今日どこをさがしても、金のわらじで全国さがしてもこんなもので建つはずはないわけであります。少なくともこの倍はかかるはずなんです。そういう状況になっておりますから、これは木造の場合でもあるいは簡易耐火構造の場合でも同じであります。木造の一番お粗末なものでも大体坪十五万を下らぬというのが今日では常識であります。これなど木材なんかでも何でもありあわせでいいということでそうなんで、一つ一つ材木を選ぶなんということをやったらもう木造でも二十万以上かかる時代ですから、これがやはり実質的な融資率をダウンさせる一番大きい原因になっていると思うのであります。この辺のところを十分これは考えて、八〇%、九〇%というようなことを言っておられるわけですから、これが実際にその状態になるようにできないものかどうか、これが一つ。 それから、勤住協に対する融資利率を五・二%にやはりしてもらいたい。現行五・五%ということなんですが、これはもう年金福祉事業団なりあるいは住宅金融公庫等ではやはり五・二%にことしはなるという予定だそうでありますから、これは労働省からの利子補給分というようなものが何らかの形で行なわれるんだと思うのですが、この辺のところをひとつ融資の利率を勤住協の場合にも年金福祉事業団やそういうものと一緒に扱ってもらいたいというこういう点なんですが、いかがなものですか。
○後藤政府委員 お答え申し上げますが、最初の融資率が実質的には非常に低くなっておる、これをもう少し上げるべきではないかという点でございます。住宅関係の充実につきましては、私ども今回の財投計画をつくりますときに最も重点を置いたところでございます。資金量等も大幅にふやしてまいっておりますが、特にその標準面積あるいは標準建設費、ここら辺を実質的に上げないと実効があがらないということでございまして、関係省庁と御相談をいたしてまいりまして、ただいまのところ、面積につきましては若干の増加をいたしました。建設費のほうにつきましても、ただいま先生御指摘の例を、簡易耐火あるいは耐火構造のほうに具体的な例をおあげになりましたが、そのあたりにつきましては特に配慮する必要があると考えておりますので、二十数%あるいは三〇%以上引き上げよう、そういう御相談を目下しておるところでございます。 それから第二点の金利のほうの問題でございますが、これは御承知のように現行五・五でございまして、これを四十八年度から勤住協につきましても五・二に下げたい、こう考えております。この点につきましては最近いろいろ金利の動向等の問題もございますけれども、やはり下げる方針は先ごろ固めましたとおり実行いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○広瀬(秀)委員 きょうは時間ももうだいぶおそくなりましたから、いまの御答弁、ぜひひとつ実質的な融資比率が定款等でうたっている八〇%というようなものになるように、基準単価というものを上げることによって大体そういう方向に行くと思いますが、若干二〇%、三〇%というのはちょっと少な過ぎる感じがしますから、その辺のところも十分ひとつ実勢に近づけるように配慮をしていただきたいということ、それから五・二%の問題についても、ぜひひとつこれは同じレベルでやれるように、実現するように強く求めておきたいと思います。 以上で、きょうの質問を終わります。
○大村委員長代理 次回は、明五日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時二十六分散会