大蔵委員会 第21号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/04/03
会議録
○鴨田委員長 これより会議を開きます。 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。塚田庄平君。
○塚田委員 法人税についてまずお伺いをいたしたいと思います。 この前、総理大臣がここへ見えられまして、最近の日本の経済の状況等を考え合わせ、あるいはまた法人税の国際的な水準といいますか、そういう状況等を勘案して、法人税については将来税率を上げる、つまり増税をするということを言明したわけでありますが、この言明に基づいておそらく大蔵省当局も法人税率を引き上げることについての検討を始めるだろうと思いますが、その検討を始める場合の目安と申しますか、基準と申しますか、どういうところに主眼を置きながら、またどういう観点を踏んまえながら法人税率について作業を進めるのか、その点お答えいただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 法人税の負担のあり方につきましては、四十六年の八月のいわゆる税制に関する長期答申におきましても、将来法人にはなお負担を求めることとなろうという考え方でおったわけでございますので、私どもといたしましては、日ごろから法人税の負担のあり方ということについてはいろいろ検討いたしておるわけでございますが、御存じのように、法人税の仕組みは非常に複雑になっておりますので、法人税の負担を上げるということになります場合には、同時に、やはり現在の法人税のいわば仕組み、基本税率と配当軽課税率とがあるということであるとか、それから配当を支払う法人の段階と、それを受け取る法人の段階における受け取り配当の益金不算入、個人につきましては配当控除の制度というような仕組みにつきましても考える必要があるわけでございまして、最終的にはもちろん税率の問題に突き当たるわけではありましょうが、単純に税率の検討だけではいけないのであって、その背後にある法人税の仕組みの問題を十分検討しなければならないというかなり広範な問題になろうと思っております。
○塚田委員 いま局長から、手をつける場合には基本税率あるいはまた配当軽課税率がある、そういう点等を加味して広範な作業といいますか、検討を進めなければならぬという話ですが、私もその点は当然いまこういう段階になって、基本税率あるいは配当軽課というこの両方の措置を一体どうからみ合わせたらいいだろうかという問題が出てくるだろうと思います。そこで、いまの現行法人税は一億円を境にして、それから上、下というのはちょっとおかしいのですが、資本金一億円以上のものと一億円以下のものとについては、税率をそれぞれ変えて措置をしておりますが、私どもそういう二つに分けてやるということだけでは、税の公平といいますか、あるいは再配分といいますか、そういう機能を果たしづらいのじゃないか、基本的にいうと、比例税率というやり方についてこれから検討を進めなければならぬと思うのですが、それにしましても、比例税率を二つに大きく分けてやっておる。私やはり法人実在説の立場を堅持しながら、ある程度累進的な措置をとることが最も公平なのじゃないか、こう考えますが、その点についてひとつ局長の見解を聞きたいと思います。
○高木(文)政府委員 ただいまの御指摘のように、ことばはあまりよくありませんが、実在説的考え方をとるか擬制説的考え方をとるかという問題が一つ基本にあることはあるわけでございますけれども、そのいずれをとるにいたしましても、累進税率というような考え方、あるいはそこまでいかないにしても多段階の税率構造にするという考え方については、なかなかそういう考え方をとることがむずかしいのではないかという感じを私は持っております。 と申しますのは、かりに法人を一つの実在としてとらえまする場合におきましても、しょせんそれは何らかの意味におきますところの自然人の集合体でございますから、自然人がいろいろな形で集まって法人をつくることは幾らでもできるわけでございまして、かりにある段階で法人を税率を変えるということになりましたならば、それを、たとえば資本金の額によって基準をつくるということをいたしましたならば、やはりどうしても税が安いほうがいいからということで、会社を分割することは現状ではきわめて容易にできるわけでございますので、いましばしば、いわゆる大企業、資本金の大きい企業というものがあり、そこからもっと税負担を求むべきではないかという御議論がありますけれども、そういう資本金の大きい企業についての税率を高めますならば、大きな企業は小さな企業に分割されていくということが予想されるわけでございます。 現在は二段階になってはおりますけれども、資本金一億というようなところでございますので、その軽課税率が働く限度は所得三百万円の部分についてだけでございますので、現在の軽減税率のメリットは、中小企業においては非常にありますけれども、一億円前後になりますと、さほどきいてこないというかっこうになっておりますから、現状において現行制度のために資本金一億円未満の法人が、税率が高くなっては困るからということで、資本金をふやすことに対して、この制度が抑制的に働くということには現在ではなっておりませんけれども、もし多段階税率にして、さらに十億とか百億とかいうところで線を引いて、率を変えていくということにいたしますならば、その辺のところの線上にある企業におきましては、資本の大きさを操作し、あるいは分割をするということによって、低いほうの税率になるように努力するということが行なわれるでありましょうから、どうも自然人の場合とは違って、人間の集団である法人の場合には、そういう適宜につくることができるということの関係上、税率構造を多段階にいたしましても、予期したようなぐあいになかなか適応できないような状態が現実のほうで先行していくのではないかというふうに考えます。 そういうことから私どもといたしましては、基本的仕組みをいずれに持っていくにいたしましても、累進構造なり比例段階構造というものは無理であって、やはりこの点は比例税率でいかざるを得ないのではないかというのが、よく検討しなければなりませんが、現在の私の気持ちであり、またこれまでの検討してきた結果でもございます。
○塚田委員 いま局長から御答弁がありましたが、確かに実績を見ますと一億円前後といいますか、この辺にはあまり差別というか影響というか、これは二段階にしたからといって実際ないようです。しかし十億をこえますとぐっと税の負担率が軽くなっていく。だんだんと資本金が多くなるに従って軽くなってきておる。と同時に五百万未満については税の負担率としては非常に重くなっている。そういうまん中ごろは大体あまり変動はありませんが、十億をこえた資本金については実際税の負担率というのは軽くなってきておるということが資料の示すところですが、私は、段階を多くせよ、あるいは累進的な考え方をとれといっても、所得税のようにこまかくやれということじゃなくて、やはりある程度いまの二段階を四段階あるいは五段階というふうに細分化することによって税の公平を期す、こういう作業は必要なんではないか、こう思うので、実際の資料はそういうことを示しております。その点について見解を伺いたい。
○高木(文)政府委員 御指摘のように、資本金階層別に税負担を見ますと、むしろ資本金の大きいほうが、結果として出てくる税負担が小さいという傾向にあることは事実でございます。なぜそういうふうになっておるかということについてはいろいろ原因がありますし、実は統計のとり方等にも問題があるのでございますが、基本的にはやはり資本金の大きい会社というのは、それだけ配当政策を重視をすることになります。将来の発展を期するためにはまた将来資本調達をしなければならぬということがありますから、株式の配当について非常にナーバスにならざるを得ないわけでありまして、したがって配当をなるべく高い水準に保ちながら、かつ継続的に配当していくということをしないと、株価の維持の問題もあり、かつ将来に向かっての資金調達の関係もあってどうしてもナーバスになる。 そこで配当政策には非常に重点が置かれるわけでありますが、資本金が大きいということはそれだけ配当所要額が大きいということでありますから、配当所要額が大きいということは、配当軽課税率が働く金額が大きくなるという関係になりますので、資本金が大きいほど、同じ法人の所得のうち、基本税率が働くいわゆる留保所得の占める割合は低くなって、配当軽課税率が働く配当に充てる金額の部分が大きくなっていきますから、平均的にはどうしても税負担率が下がってくるという関係にあるわけでございまして、そのことが資本金の大きさと税負担率との関係に最近顕著にあらわれてきておるわけでございます。 そのことから、その問題をどうしたらよいかということになりますと、やはりどうしても配当軽課税率そのもののあり方というものを考えなければならぬということになるわけでございます。しかしながら、一方におきまして配当軽課税率というものが今日のように設けられましたのは、企業にとりまして資金調達をする場合に、金融機関から金を借りれば借り入れ利息が損金になる、配当のほうは軽課法人税率がかかり、とにかく配当するからといってそれが損金になるわけではない。そういう資本調達を直接資本調達、金融機関によらざる直接資本調達を伸ばしていこうということから配当軽課税率ができたという経過でございますので、一面において税負担率という面から見るとたいへん問題があるので、もう一ぺん配当軽課税率については考え直すべきであるという考え方と、もう一方は、わが国産業の資金調達のあり方をどのように考えたらよいかという問題とどのように調整すべきかという問題が問題でございます。 いずれにいたしましてもそこが一番問題でありまして、その問題を現状のままにしておきながら段階税率、累進税率というのはやや基本の問題を放置したままでそういうことに触れることにもなりますので、私どもといたしましてはそういう意味では、この段階税率問題もしくは累進税率問題の前に配当税率の問題にメスを当てるべきではないかと考えております。
○塚田委員 配当問題についてはまたあとで御質問いたしたいと思います。 先ほど局長は、そういう累進といいますか段階を多くしていくと、大きな会社は細分してそれぞれ資本金を小さくする、つまり分かれていく、こういう弊害がある。私はそういう弊害は杞憂ではないかと思うのですよ。一体企業にとって資本金を小さくして子会社あるいは同族会社をたくさんつくっていく、これが一体企業にとってどれだけプラスになるかということなんです。むしろ資本金の調達あるいは経済活動からいって、こういう小さな法人にどんどん分かれていく、こういうことはだれが見たって不経済だということははっきりしていると思うのですよ。たとえば個人が貯金する場合に百万円限度で無税になる、だから一千万円を十に分けるという問題とはこれはちょっと違うんじゃないか。そういう杞憂は要らないと思うのですよ。どうですか、これは。
○高木(文)政府委員 それはある意味からいえばそれはやってみなければわからないということかもわかりませんが、しかし現実に私ども税の執行その他のことでしばしば困っておりますのは、一種の紙の上の会社といいますか、そういうものが幾らでもある。現在では一定の手続を経なければならぬことにはなっておりますが、比較的簡易な手続で商業登記をすれば法人は幾つでも、どのようにでもつくれることになっておりますので、現在の日本の商法のたてまえ、そのような商法のたてまえを前提とする限りは会社はきわめて容易につくれるわけでございます。 そこで、一方においてしばしば株式の上場の場合等において諸外国等から批判されておりますように、関係企業間を連結して見る、財務を連結して見るというような点もまた現状では不十分でございますので、そういった商法のたてまえなり現在の財務といいますか企業会計の現状からいたしますならば、私はおことばではございますが、比較的容易にどんどん会社は分かれていくということになるのではないか。現在でもかなり大企業は関連企業をずいぶんたくさん持っておるわけでございますから、関連企業全体として仕事を拡張する場合にどの会社でやったらいいかという場合に、もし税率に差があれば、同じことであれば税が少なくなるようにしかるべき企業でしかるべき活動をするというふうに分割していく、仕事を分けて分担をしていくということになるのではないかと思われますし、どんどん野方図に新しく企業をつくるということもないかもしれませんが、事はそう無限にあるとは思いませんけれども、現在すでにあるいわゆる大資本関係のたくさんの会社の間で業務をいろいろ分担していくということは起こり得るのではないかというふうに思います。
○塚田委員 もし局長が、そういう点が非常に心配だ、また現実にあるのだということになれば、この問題は、これは配当課税等もからんで当然商法の改正まで真剣に考えていかなければならぬ問題だと思うのですよ。それを回避して、ただ税法の操作ではこういう事態がくるからだめなんだ、めんどうなんだというそういう答弁は、私はどうも前向き、積極的な答弁ではないと思うのですよ。この際そういう商法改正も含めて、これはいろいろな問題、これからあると思うのですが、一連のこの税法上の不合理を商法改正によって基本的にやはりあわせて改正していく、改めていく、こういう態度でなければならぬと思うのですが、どうでしょうか。
○高木(文)政府委員 詳しいことは私もよく存じませんが、日本の商法のあり方という問題についても、もし先ほど御指摘のようなことがどうしても必要であるということになれば、十分研究しなければならないわけでございます。おっしゃることはわかりますけれども、私どもとしてはなおその前にいろいろ現行制度について再検討すべき余地が他にも残っておると思いますので、そういう意味で、私どもは段階税率なり累進税率なりという問題の前にやるべきことがあるのではないかということを感ずるのでございます。
○塚田委員 あわせて、先ほど十億以上、だんだんと資本金が多くなるに従って税の負担率が軽くなるという点については一応お認めになって、それは大きな会社は配当重視の関係でそうなるのだという御説明がありましたが、私はもっと大きな問題があると思うのですよ。それは、大きな会社は、法人税法による、あるいは特別措置によっていろいろな控除なり特別償却なり、そういう制度が幅広く適用されて、しかもそれを活発に活用するという中で損金算入の部面が非常に多いということが一つの原因だ、こう考えておるのですが、局長はどう考えますか。
○高木(文)政府委員 現在いろいろな企業統計等にあらわれております状態というのは、四十六年ごろまでの数字でございます。それでただいま御指摘のような問題かあったわけでございまして、その点は当委員会においても過去何年もにわたりしばしば御指摘を受けたわけでございますが、中でも最も問題でありました輸出奨励関係のもろもろの税制が、結果的にはやはり輸出関連産業ということからいわゆる大企業にメリットが片寄るという傾向がどうしても出てくるわけでありまして、そして輸出特別償却等は、その機械の取得の時点から三年間しかるべき時期にその恩典を利用できるということがありましたので、今日かなり輸出振興税制は御存じのように整理をいたしまして、市場開拓準備金が資本金十億以下のものについてのみ残っておるだけになりましたけれども、過去にありました制度のメリットが四十六、七、八ぐらいまではやはりあらわれてくるわけでございます。そういう意味で、いままでの税制の中にただいま御指摘のような傾向があったことはまさに否定できない事実でございますし、それからそれを大部分のものは整理をいたしましたが、今後もなお若干のものが残っているということもまた事実でございますので、先ほど御指摘の税率の問題と並んで課税標準の問題については繰り返し努力をして合理化をはかっていく必要があるというふうに考えます。 なお一つつけ加えさしていただきたいと思いますが、現在のもろもろの統計では、しばしば法人税負担という形式で表示されておりますものは、実は実質法人税負担ではなくて名目法人税負担になっております。たとえば受け取り配当についての源泉段階における課税なり、受け取り預金についての源泉段階における課税なり、外国における経済活動において外国において納めております税額なりにつきましては税額控除されるわけでございますが、現在のもろもろの統計では、しばしばそういったすでに納めましたものを差し引いた残りの法人税額が表示されておりますので、比較的大きな企業は受け取り配当も多いし、預金もありましょうし、あるいは外国税額控除もありましょうというようなこともありまして、若干その面が配当軽課で、先ほどは配当軽課について主として御説明いたしましたが、そのほかにもそういう問題があるということをつけ加えておきます。
○塚田委員 海外市場開拓準備金等の問題をあげての御答弁ですが、資料によりますと、国税庁から出ている会社標本調査ですが、四十六年しかないのですが、法人税法による貸倒引当金あるいは退職金あるいは賞与、祖特による価格変動準備金あるいは海外市場開拓準備金、当時はまだありましたから、あるいは海外投資損失準備金あるいは特別償却あるいは割り増し償却と合わせますと、実に六兆円をこえるわけですよ、残高は。四十六年残高は六兆円をこえると思うのです、合計は。おそらく、四十六年統計ですから、四十七年、四十八年、となりますと、これは七兆円近い、あるいは少なくとも財投に見合うくらいの大きな金になっておると思うのですよ。こういう面がやっぱり百億以上の、特にこの統計を見ますと、資本金階級別に調査しますと、百億以上の大会社に大きく集中しておるわけですよ、この残高は、金額の面では。五十億、百億、これ二つ合わせますと約三分の一以上の数字になると思うのです。こういう措置がなされておるから、私はどうしても税負担といううのは軽くなっていく、これが実態じゃないかと思うのです。大きな原因だと思うのですが、数字に当たっての結果なんで、この点についての局長の御答弁を願いたいと思います。
○高木(文)政府委員 御指摘の点はありますが、そのうちで租税特別措置法によるもろもろの準備金につきましては、これは政策として今日まで置かれてきたものでございますから、これについては先ほども御指摘がありましたように、今後ともなお精査をする必要があり、今回の租税特別措置法の改正案において、価格変動準備金の制度について若干手直しを御提案申し上げておりますのもそういう趣旨でございます。しかし、いま言われました非常に大きな金額になりますけれども、その非常に大きな金額を占める中のうち、いわゆる貸倒引当金なり退職給与引当金なり賞与引当金なりという制度そのものにつきましては、これは事のよしあしは別といたしまして、基本的に現在の会計のあり方、どういうときに売り上げに計上し、どういうときに経費として落とすかという期間損益の問題と関連するものでございます。 貸倒引当金につきましても退職給与にしましても、やはりその貸してある金については一応何らかの準備か必要でございます。現在の貸し付け金については全額、それはまず債権として、資産としてあがってくるわけでございますが、貸し金というものはやはり何%かの割合では倒れる危険があるわけでございますから、企業としては貸し付け引き当てするのは当然ではないか。率のよしあしは問題がございましょうが、ある程度それを引き当てることは必要ではないか。また退職給与引当金につきましても、これは従業員のことを考えますならば、いまこの程度の引き当てでは不十分だということをだいぶいわれておりますが、御存じのように、大体二分の一基準で積むことを認めておるわけでございますから、そういう意味では不十分だという批判もあるわけでございますが、やはり何がしか退職給与についての引き当ては必要ではなかろうか。 そのように考えますならば、これらの引当金については、制度そのものについては当然あってしかるべき制度ではないか。引き当ての割合その他についてはあるいは検討を要するものがあるかもしれない、こういうふうに理解をいたしておるわけでございまして、なお引当金につきましても、金融機関の貸倒引当金は、四十七年度の税制改正の機会に引き当て率を約二割落としたということでも御理解いただけますように、私どももこの引当金の率そのものについては絶えず検討をいたしておりますが、制度そのものは、引当金のほうは当然あっていいものではないかと思います。
○塚田委員 私も、びた一文引当金はまかりならぬということを言っているのじゃないのですよ。最近いろいろ聞くところによると、この引当金とかあるいはまた準備金、こういった金がむしろ短期に流動していく。これが過剰流動性の一つの要素にもなっておる。特に貸倒引当金というのは非常に多いわけですよ。そういうことからいっても、特に退職金、賞与等については、これは従業員に当然いくべき金であるからいいとして、貸倒引当金というのは、残高は一兆円あるいは二兆円、おそらく四十七年、八年では二兆円になっているのじゃないかと思うのです。こういう膨大な金を留保さしておる。そしてそれが短期に外へ出るというような事態等もうわさされておる。また実際そうだという学者もおるわけですが、一体こういう問題について局長はどう考えておるか、御答弁願いたいと思います。
○高木(文)政府委員 引当金は、経理の上では会社の中にそれだけ引き当ててあるわけでございますが、現金ベースの上では当然それは設備その他に回るとか運転資金に回るとかいうことが通常の場合でありましょうし、一般的に金のだぶつきが起ってまいりますと、それがいろいろなところに回っていくということはあり得るわけでございます。しかし、この引当金の額が非常に多いから、直ちにそれがいわゆる投機資金に回るとかだぶつきになるとかいうことではなくて、それはやはり別途の金融の問題等によって調整されるべきものではないかと思うわけでございます。 ただし、ただいま御指摘になりましたように、貸倒引当金についてはかなり伝統的に率がきまっておりますけれども、そして昨年は金融機関の貸倒引当金だけについては若干の手直しをいたしましたけれども、これはやはり御指摘のように、経済事情の変動に応じてどのぐらいの引き当て率がよろしいかということについては、よく絶えず見直しを行なわなければならないわけでありまして、その点では塚田委員のおっしゃる御意見に賛成でございますので、私どももなお貸倒引当金のあり方については今後とも検討を続けることを考えております。
○塚田委員 先ほどの、例の法人税率を上げる場合の段階を多くすべきだという問題といまの問題は、ひとつ真剣に取り組みを進めてもらいたい。おそらく局長も、もうすでに御承知だろうと思いますが、東京都の大都市の財源構想が出ておるのですが、その中では、これは都税ですが法人税については相当段階を設けて決定するというような点もありますので、これは質問じゃありません、その点もひとつ参考にしながら進めてもらいたいと思います。 それでは時間もございませんので、特別措置に移りたいと思います。 何べんも言われておることですが、もうこの辺でひとつ診療報酬については決着をつけてもらいたいと思うのですよ。そういう意味できょうは質問をしたいと思うのです。 たいへん皮肉な質問になりますが、この診療報酬の政策目的は何ですか。
○高木(文)政府委員 診療報酬は、昭和二十年代の末に国会の御発議によりましてつくられた制度でございますが、これはその当時においてはそれなりに政策的意味があったと思います。と申しますのは、何ぶん二十年前のことでございますから、社会保険制度がまだ完全には行き渡っておらなかったということで、医師の間では必ずしも社会保険医療というものについて心底からこれを伸ばしていこうという気持ちの方ばかりではなかったという時代のことでございますから、一つには社会保険診療報酬の請求のわずらわしさということと、それからもう一つは社会保険診療基金等を通じて収入がいわば一〇〇%捕捉されるということとの関連もありまして、またもう一つは当時医療費単価の値上げに関連して、単価の引き上げが財政的に困難だということとの関連で、税のほうで見るという事情がありまして設けられたことは先刻御承知のことであろうと思います。 〔委員長退席、大村委員長代理着席〕 しかしその後、しばしば各方面の御議論がありますように、二十年の間、しかもいわゆる経費率を法定をして、その法定をした経費率を固定したままで二十年間経過しているというところに問題があるわけでございまして、私どもは当時とは事情が違っておるので、現在においては何とかこれを手直しをしていくべきであるというふうに考えておりますが、いろいろなところにいろいろな形での影響がありますために、まだうまく結論に至らないのは力至らざるところでありまして、残念に思っております。
○塚田委員 二十年前にはそういう意味があった。現在はそうすると意味がないということですね。政策目的という面、特別措置でやっておるということについては何ら意味がない、こういうように受け取ってよろしいですか。
○高木(文)政府委員 税の立場から申しますと、こういう医師の社会保険診療報酬についてだけ経費率を法定してあるような制度というものは、つまり社会保険診療がこれだけ普及しました今日におきましては、税のほうのいわゆるこの面におきますデメリットがあまり大き過ぎますので、これは直していただかなければならぬ。全く意味がないということではないと思います。全く意味がないということではないと思いますが、医療行政といいますか医療政策といいますか、それにお手伝いをするというためには、あまりにも税の面における犠牲が重過ぎるという感じがいたすわけでありまして、頭からこの制度を全然やめてしまうべきだということかどうかについては問題がありますが、とにかく現行のままではいかぬということはいえると思います。
○塚田委員 税の面で医療政策にお手伝いする、こういう御答弁ですが、これは手伝いじゃないのですよね。率直に言って、一点単価のアップがうまくいかなかった、これでもって措置をして何とかなだめていく、それが二十年続いているのですよ。いまでは、これは主税局からの資料ですが、驚いたことには、最近のその方面の要求は、単価も上げてくれ、しかし診療報酬についての特別措置は絶対に廃止してはならない、場合によっては診療報酬についての特別措置のほうにウエートを置いた陳情なり行動というのが多いわけですよ。つまりお手伝いじゃなくて、むしろこれが主体になっておる、こういう事態が現実ではないかと思うのです。 これは私は税の基本的な問題としてたいへんな事態を踏まえておると思う。だからこそ、十回にわたって税調はこれは廃止すべきだ、すべきだ、こういう勧告、答申を行なっておるわけです。にもかかわらず今日までじんぜんと日を過ごす、これは私は税に対する国民の不信感といいますか、最もあおる元凶だと思うのですが、どうでょしうか。
○高木(文)政府委員 いろいろな意味で弊害が出ておると思います。経費がそもそもどのくらいかかるかということは、本来ならば収入の大きさ、したがって患者さんが多いとか少ないとかということによっても収入と経費の割合は違ってくるはずでありますところ、収入の大きさに全く関係なく経費の率を一定をしておるということになりますと、比較的収入の多い方が本来あるべき姿よりは有利になっておるという関係もあるわけでございますし、このお医者さんの仕事をどう見るか、単純に事業所得と見るかどうかということについてはいろいろ御議論もあろうかと思いますが、しかし税法上の区分からいえば、やはり事業所得で見ざるを得ない性格のものでございますのに、個別対応の経費を見るということをしないで一律に見るということには基本的に問題があるわけでございまして、ただいま御指摘のように、税制調査会でしばしば改善、改変を求められておりますのもそのような理由からでございます。 そこで、御存じのように、昭和四十七年度の税制改正に対する答申の際に、従来は政府に向かってこの制度をやめるかあるいは縮小するかあるいは停止をするかといったようなことで、何か考え直せということを答申をしてきたけれども、政府サイドでなかなかできないということであるので、しからば現実的な案を税制調査会自体が少し検討してみようということになりまして、しばしばこの席でも申し上げておりますように、昨年の夏以来税制調査会の中に特別調査会を設けまして、現在は税制調査会の会長自身が特別調査会の部会長をお引き受けになって御検討になっておるところでございます。しかしながら、二十年もこのまま何ともならずに今日まできたということは、それだけに根が深い問題があるのでございまして、その関係から税制調査会におきましてもかなり幅広く、いろいろな面を総合的に判定する必要があるということで慎重な審議を繰り返しておられるわけでございまして、私どもは、非常に受け身な言い方で恐縮ではございますが、この特別調査会がいろいろ検討を重ねられた結果、ある種の結論を出されることを期待をしておるというのが今日の段階の現状でございます。
○塚田委員 これは怠慢ですよ。二十年間もほっておいて、いまなおこの段階において税調の答申を待ってやる。大体六十八国会では大蔵大臣、当時水田さんですね、これは早急に廃止するという答弁をしておるはずなんです、この委員会で。大蔵大臣はこう言っています。大蔵省としては最初からこの特例は反対だ、こう言っているのですよ。直ちに廃止すべきものだ、こう言明しておるのです。そういう言明があるにもかかわらず現在まで延びてきておる。大体皆さんの調査だって七二%の経費なんというのは出ていないのですよ。五一ないし五四でしょう。最近出た国税庁の調査では五四、これでも私は大きく見ておると思うのです。しかも、これによる減収は年々ふえておる。昨年は八百億、ことしは八百八十億の減収見込みじゃないですか。こういうことでは、おそらく医師一人当たり百万円くらいの減税になるのじゃないかと思うのです。 一体こういうことで国民に税に対する信頼感といいますか、そういうことを求めることはできないと思うのですね。大体期限のない特別措置なんというのはないのですよ、そうたくさんないと思うのです。これは最たるものですよ。こういう事情を考えて、答申を待って——待ってじゃなくて、ここできっぱり、ことしじゅうに処理する、この次の国会には出す、こうひとつ答弁願いたいと思うのです。
○高木(文)政府委員 そういうお答えをいたしたいところでございますけれども、二十年間何とかしなければならぬと言いながら続いてまいりましたについては、やはりそれなりに事情もあり、理由もあるわけでございます。医師のサイドからは、現在でもまだ適正診療が保証されていない。当時とはたいへん事情が違ってまいりまして、医師の収入のほとんど大部分が社会保険診療になるようになったわけでございますから、いわばお医者さんは公定価格のもとで生活しておる、こういうことになるわけでございますので、その公定価格的な意味を持ちます診療報酬のあり方がなおいろいろ問題がございます。これは私どもはしろうとでございますけれども、税制調査会の審議を聞いております段階でも、しばしば関係者からいろいろな説明がございますが、診療費の体系のあり方等になおまだ非常にいろいろな問題がたくさん残っておるようでございますので、それとこれとは全く切り離しては解決がつかないという御主張もある意味ではうなづけぬわけでもないのでございまして、これだけで全部切り離し、他の問題はあと回しというわけにもなかなかまいらぬ。そのあと回しにまいらぬという問題がなお混迷の中に入っておるということでありますので、何とかそれを相互にある意味では関連させ、ある意味では切り離しながら道を見つけていくということであろうかと思います。私ども自体は、税の担当者の立場では、何とかこれは早くやめていただきたいという気持ちを持っておりますけれども、事健康に関連ある問題でございますだけに、あまりこの影響も考えずに処理するわけにもまいらぬというわけで、御指摘のように皆さまからたいへん歯がゆいと言われておるわけでございますが、気持ちとしては、何とか早く解決をするように努力いたしたいと思っております。
○塚田委員 これは何べん言ってものらりくらりで、さっぱり決断のある答弁を得られないのですが、私は、これはお手伝いするとか診療費と関連づけてということですが、この場合は関連じゃなくて全く肩がわりしているのですよ。肩がわりしている。一点単価がどうあるべきか、あるいは薬価基準がどうなるべきかということは、そしていま答えたようなことは、これは厚生省の答えることなんですよ。税務当局の答える答弁じゃないと思うのです。税務当局としては、こうすべきだ、こうやります、厚生省ともよく打ち合わせをしながらこういう不合理な税制は即刻なくします。これでいいんです。そうあってこそ初めて公平が期せられると思うのですよ。いまの答弁は、それは厚生省の答弁じゃないですか。そういう態度じゃいけないので、ぜひ勇断をもって早急にこの問題についての結論を出すようにしてもらいたい。時間もございませんので、これはそういう私の希望を述べて、終わりたいと思うのです。 次に、やはり特別措置で、利子配当の分離課税について聞きます。 この政策目的は何ですか。
○高木(文)政府委員 利子につきましては非常に長い歴史を持っておるわけでございますが、これはやはり貯蓄奨励ということから始まったものであると思います。配当につきましても、直接金融か間接金融かということと関連いたしまして、利子とのバランスを考えながら設けられている制度だと思います。ただ、これにつきましては、御存じのように、たしか昭和四十五年度の改正であったと思いますが、現在は漸次改めまして、総合のほうに持っていく素地はできておるわけでございまして、御存じのように源泉選択制度というものが最近できておるわけでございます。その源泉選択制度につきましても、最初は一五%、次が二〇%、続いて二五%ということで、源泉のほうを選択した場合の税率を漸次上げてきておるのでございまして、御承知のように本年一月一日から二五%になったわけでございますので、本来ならばかなり源泉分離を選択することは不利な方が多いという状態になってきております。しかしながら、まあ預金者あるいは株主が、言ってみれば税務署とのかかわりを持ちたくないということで、税負担の高い低いに関係なくなお源泉制度のほうを選ばれる方がきわめて多いという現状になっておりますが、これらにつきましても本年一月一日から源泉選択の税率が、まあ一つの目標といいますか、あるべき姿といいますか、その二五に到達したところでございますので、この経過を見まして、これはあと二年、五十年まで続くわけでございますから、そのあたりでもう一度根本的見直しが行なわれるということを予定しております。
○塚田委員 答弁のとおり、この利子についての分離課税というのは非常に長い歴史を持っている。おそらく明治以来の制度であろうと思うのです。これは当初、貯蓄奨励ということで出された、そういうことですが、私は、これは貯蓄奨励もさることながら、明治から大正にかけての日本の資本主義の上昇育成期、こういう資本主義育成の一つの大きな柱としてこの利子の分離課税というものがとられた、こう思うのです。これは明らかに所得税の公平の原則というものを破ってまでこうしなければならなかった当時の事情というものも、それなりに私は評価、是認したいと思うのです。さて、いまになって、それじゃ一体貯蓄奨励の目的をどれだけ達しておるかということになると、私はもうこれはその意味を失ってきておるのじゃないか、こういうふうに思うのですよ。それは局長も御存じのとおり、日本というのは各国に比べて非常に貯蓄性向が高い。アメリカあるいはイギリス、西ドイツ等に比べましても、問題にならないほど高いわけですよ。大体七一年、七二年になりますと、貯蓄率というのは二〇%をこえる、こういわれております。統計上そう出ております。アメリカのごときは一〇%に満たない。あるいは西ドイツにしても一五%である。非常に勤勉な貯蓄性向を持っておる国民なんです。ところが反面、それでは一般の庶民といいますか、平均は一体どのくらいの貯蓄をしておるのかといったら、これは大体百万未満です。そこに集中しております。いわばこの税はそういう零細な庶民の貯蓄に対して資するものが少なくて、むしろ大きな企業にとってはこの制度というのは非常に恩恵のある制度だと思うのです。私は、そういう現実を踏んまえて、この利子分離課税について、あるいは配当の分離課税については早急にやめて、所得税と同じような一般所得としての課税をやるべきだ、こう考えるのですが、この点についてひとつ御答弁願いたい。
○高木(文)政府委員 おっしゃるように、わが国の場合は貯蓄の率が非常に高いわけでございます。そのことはいわば非常にいいことだということで今日まで来ているわけでございます。今後におきましても、わが国の習慣といいますか、たいへん貯蓄率が高いということ自体は決して非難さるべきことではないと思いますが、問題は貯蓄の形態としてどのような貯蓄、つまり預金とか株を持つというような貯蓄形態と、ほかのもろもろの貯蓄形態との間において何が望ましいものとして考えらるべきかということがあろうかと思いますが、そこはなかなかむずかしい問題でございますけれども、預金につき、あるいは配当につき、税制上制度を変えますということは、その貯蓄のあり方というものに何らかの意味において干渉することになるわけでございまして、そこは相当慎重に考える必要があると思います。さりとて、おっしゃるように、もし高額の貯蓄者あるいは高額の配当受領者があります場合に、それについて十分の課税が行なわれないということになりましては、所得税の累進構造といいますか、再分配機能というものが果たされないことになるわけでございますから、まさにただいま御指摘のように、方向といたしましては総合のほうに持っていかなければならないということで、四十五年の改正で源泉選択という新しい手法を導入してきたわけでございます。しかしながら長い歴史がございますから、それがわが国の国民生活の中に定着するのにはまだまだ時間がかかるであろうかというふうに考えます。 私どもは、まず源泉選択制度というものが正しく理解されるべきものであると思っておりますが、どうもまだ銀行の窓口等において、本来それほどの所得者でない方までが、二五%の税率制度である源泉のほうを選ばれるという実態があることをだんだん直していかなければならぬ。そこらからだんだん直していって、真の意味の総合に持っていかなければならぬ。何とか源泉選択制度を広く国民生活の中に定着するようにしたいものだというのが願いでございまして、そういう努力を今後とも続けてまいりたいと思います。これを一挙にやめますことにつきましては、まだ国民生活の間にそういう分離的概念があまりにも強く深く定着しておりますので、一挙にやめるというわけにはなかなかまいらぬのではないか。そういういわば意識改造ということが必要ではないかというふうに思います。
○塚田委員 いま説明がありましたけれども、日本は貯蓄性向が高いということについての局長の認識に、若干私どもとそごがある。なぜ高いかということについての基本的なかまえというものが若干私どもと違うのじゃないかと思うのです。残念ながらこの高さは、局長の言うように非常にいいことである、喜ぶべきことだと一がいに片づけられない問題があるのですよ。なぜかといったら、日本がほかの国よりも高いというのは、日本が社会保障制度について非常に低い。特に老後については、これはいろいろ世論調査の結果出てきておるのですが、なぜ貯蓄をするのかということについては、老後が心配だという率が非常に高いし、あるいは子供の教育のために、あるいはまた、ささやかな持ち家を期待してそのための貯蓄、いわば生活の最低限、あるいはささやかな文化活動を営む最低限を貯蓄に求めてやっておるわけです。 だから、これはいま局長の言うとおり若干制度を変える、利子、配当の課税方法を変えていくとか、あるいは利回りの変動とかで、大きく動くものじゃないのです、特に庶民のやつは。だから、そういう面で、この制度は単に高額貯蓄者にだけ利益を与えているものであり、そういう面で政策目的に合するものであって、一般の国民の貯蓄という面から見れば、ずいぶんかけ離れた、ずれた制度ではないかと考えるのですが、どうでしょうか。
○高木(文)政府委員 御指摘のような面はあると思います。いまなぜわが国において貯蓄率が高いか、特に勤労所得者等においても非常に貯蓄率が高いということについての説明としては、よくいわれますのは、いま御指摘のような、社会保障が不十分であることによるいわば自衛的な意味で貯蓄が行なわれるということが一つと、もう一つは、給与体系にも関係があるといわれておるわけでありまして、定額給与と比べて臨時賞与的なもののほうのウエートがわりあい高いということから、生活費の調整のために貯蓄せざるを得ないというようなこともいわれておるわけでございます。しかしながら、それは現実としてそういうことがあるわけでございますので、にわかにそれが変わっていくかどうか。これは社会保障制度が漸次充実してまいりますならば、変わっていく面もあろうかと思いますし、それから同じ貯蓄の中でも金融資産を重視するということが変わっていくことも考えられるわけでございますけれども、しかしそれも三年とか五年とかいう短い期間の間にそう急激に変わっていくとは考えられませんので、御意見ではございますが、いまの制度を基本的に根っこから変えていくというのはむずかしいので、やはり漸を追うて変えていくということではないかと思うわけでございます。 それからもう一つ、実は制度論のほかに、税務執行論との関係でもこれまたやっかいな問題があるわけでございまして、しばしば当委員会その他国会においても問題になっておりますように、仮名あるいは無記名という預金制度が現実にあるわけでございまして、それが望ましくないことはわかっておりますし、私どもの銀行局等監督官庁におきましても、少なくともこれを減らしていかなければならぬということは考えておりますが、われわれから見ますと、どうもまだその改善のテンポがあまり十分でないわけでございまして、仮名とか無記名とかいうことで貯蓄が行なわれているという現状は、一挙に総合に持っていくにはなかなかむずかしい難点になっておるわけであり、残念ながらそれが現実に存在するということは、もし完全総合のほうへ持っていきましたならば、無記名なり仮名なりを促進する、こういう逆の心配もあるわけでございまして、これを総合に持っていきますのにつきましては、理論的に先ほど来御指摘がございますが、税務執行面との関連においてどのようにして把握するか。たとえば最近ナンバリング化ということが預金について行なわれているわけでございますけれども、これは金融機関と預金者との間で便宜のために行なわれているにすぎないのでありまして、公の制度としてはございません。 〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 さて、これを公の制度にすべきかということになってまいりますと、またいろいろ問題が出てまいります、というようなこともございます。 そこで、先ほど来いろいろなことを申しておりますが、貯蓄についてのものの考え方が変わっていくということが一つと、もう一つは、いわゆる執行的に、税の執行がもち得るような仕組みを漸次成熟させていく、この二つが前提要件になろうかと思います。
○塚田委員 先ほどからいろいろ答弁がありましたが、この制度は、いま言ったとおり特別措置による貯蓄目的という面からいうと、だんだんと色あせてきているというか、そういう点はおそらく局長も認めておられたと思いますので、この措置については早急にひとつ総合課税といいますか、そういった方向に移るように国民に対する啓蒙も深めていく、こういう希望を申し述べたいと思います。 第三点は、これまた常にいわれておる問題で、交際費の問題ですが、この交際費について特別な措置をとっておる政策目的は何ですか。
○高木(文)政府委員 これは一口に言って、いわゆる社用経費を抑制しようということであると思います。 これまた昭和二十年代の末から始まったわけでございますが、スタートいたしましたとき以来今日まで、漸次いわゆる否認割合が上がってきておりますが、その過程におきましても、やはり何とかこの社用経費を減らせないものかというところから行なわれているわけでございます。
○塚田委員 いまの答弁、この社用経費を減らす、したがって損金に対する不算入割合をだんだんと増加させていく、これは私は逆じゃないかと思うのですよ。本来会社経費ですからこれを経費として落とす、これは特別措置としてではなくてむしろ現行本則で損金の算入の優遇措置を認めておること自体が間違いであって、その間違いを何とか是正するということで特別措置をつくっておるわけですよ。どうも本末転倒のような気がしますが、どうでしょうか。
○高木(文)政府委員 これはまず各国の慣習というものをお考えいただく必要があるわけでございまして、国によりましては、いわゆる交際費的なものは経費として見ない、基本的に経費として見ないという思想が非常に強い国がございます。典型的にはイギリスなんかはそういうことでございますが、それは別に税務のほうでそうしているということでなくて、世の中の慣行がそうなっておるということでございますので、その慣行に反して社用経費が出されましても、それは損金とは見ない、こうなってくるわけでございますが、わが国の場合には、すべての営業活動につきましてもろもろのいわゆるおつき合いということがきわめて広範に行なわれておるわけでございまして、これは事情はわかりませんが、近代国家になる以前からそういう傾向があったのであろうかと思います。現在でも非常に一般的におつき合いが行なわれておるわけでございます。 そこで会計上は、この一般的におつき合いが行なわれている以上は、これはもう損金と見ざるを得ないということで、必要経費と見ざるを得ないということで、税法上でなしに、必要経費と損金ということばはまずいわけですが、会計上はこの経費性を認めておるわけでございます。しかしそれではまずい、何かそれを押えなければいかぬということから、税の制度でだけこれを抑制的にしようというこでとやってきたわけでございます。 それで、私どももおそらく、十何年か前にこの制度か始まりました場合には、税の制度でこういうふうにいたしますならば若干社用経費の抑制がはかられるということを期待したのではないかと思いますが、必ずしもそういう結果にはなりませんで、税の制度がこうなりましても、世の中の慣行は実はあまり変わっていないというのが実態ではないかというふうに考えます。 そこで実は、率直に申しまして、私どもは世直しといいますか、そういう役割りをこの税制については負わされているわけでございますが、若干うまくいきませんために、まあいわばむなしさを感ずるような状態になっております。もっと徹底してこの損金性を否認してしまって、先ほど本末転倒とおっしゃいましたが、逆にひっくり返す考え方をとってはどうかという御指摘がございましたが、それは政策の問題といい得ない分野があるのではないか。税の制度というものは、やはり世の中の慣行がどうなっているかということを前提にして考えないと、税の面でだけこれは経費ではありませんといってみても、うまくいかないのではないか。私どももこれまで、当初のたしか二〇%くらいの否認割合から七〇まで上がり、また今回さらに五%上げて七五ということでお願いはいたしておりますが、さてこれから先どういうふうな方向にしたらいいのか。これを率を上げていっても、日本の世の中の慣行が直ってこないとするならば、本来ならばもう少し税の分野以外でこういう慣行を改めるようなムーブメントといいますか、そういうものが起こってこないことにはどうにもならぬということでおるわけでございます。ひっくり返してはどうかということについては、繰り返して申し上げますが、税の制度それ自体が世の中の実際の感覚というものを離れて逆にいくというわけにもまいらぬのではないかというふうに考える次第でございます。
○塚田委員 世の中の感覚というか慣習というか、いま一体交際費についてどういうことを一般的にいわれているかというと、どうせ税金で取られるならば飲み食いしたほうが得だ、こういう声がちまたに満ち満ちているわけですよ。一つは、やはりこういう制度そのもの、損金不算入という制度そのもの、そういう制度が非常に不徹底であるというところにあると思うのですよ。いま局長の言ったとおり、やはり徹底的にやる。ものごとが中途はんぱですと、それをのがれるためにかえって悪が増大するというのが例だと思うのです。たとえばこれはたいへん次元の違う問題ですが、土地税制にしてもそうですね。私はいま、宿泊所がないのでアパートに住んでおります。この間契約しました。読みましたら、こういう字句があるのです。公租公課の高騰についてはあらためて両者協議するという一項目が必ずあります。つまり、土地税制で、あらためて税金を上げると、今度は借家そのものにかかってくる。公租公課の上がりについては両者協議する。いいかげんな土地税制の値上げでは、やはりそういう事態が必ず起きてきて、末端にしわ寄せがくるわけです。 この交際費だって、やはりそういうような観念で徹底的にやらなければ、どこかで、むしろ増幅して欠陥が出てくる、こういう結果になるんじゃないかと思う。私は、ひっくり返してと言ったのは極端かもしれませんが、そういう意味で、全額課税というところまではとにかくとして、やはり徹底的な課税方法をとるべきではないか、こう思うのです。それには必要経費というものを最小限に押える。つまり、商売というのは、売り買い、そしてそこから利益が出るということが基本なので、そこにおつき合いとかあるいは飲み食い、こういう社会的な不生産的な支出について税の面で押えていく、これは当然だと思うので、全額課税という基本的な線に立ってこれは検討してもらいたい、こう思うのです。
○高木(文)政府委員 実はいささか個人的なことを申し上げて恐縮でございますが、税務の第一線におって仕事をしておりました感覚から申しますと、税務署の法人税担当の職員が各法人について調査をいたします場合に、そのエネルギーの相当部分を交際費の調査に傾けざるを得ない現状になっております。法人の経理というものはここ十五年ぐらいの間に非常に改善されてまいりまして、たとえば単純な売り上げとか経費のごまかしというようなものはあまり行なわれない、まだ残ってはおりますが。だいぶ減ってきておりますが、どうも交際費に関する限りにおきましてはまだまだいろいろな問題が残っておりまして、現在の程度の課税でありましても、なお相当問題がたくさんあるわけでございます。これは業種を問わず、また企業の大きさを問わず、かなり普遍的に、交際費についての申告状況は率直にいってあまり好ましくないことになっておりますために、税務署の職員の調査にあたりまして、交際費の申告の適否というものの調査に相当精力をとられておりまして、これは非常に本来の仕事といいますか、それのバランスを欠くに至る現状でございます。 そういう点を考えますと、税だけでいろいろやろうとしましてもなかなかうまくいかないわけでございまして、先ほど土地税制についてもお触れになりましたが、私どもは、税でいろいろ政策をやる、また特に世直しをやるということについては、ある限度まではけっこうであると思いますし、進んでやらなければならないと思いますけれども、どうも税だけで、この点を直せあの点を直せと言われましても、それはやはり限界があるわけでございまして、今回法人の土地税制について二割重課の制度を採用することに踏み切りましたのも、実は税だけでなくして、他のもろもろの土地政策が相当整備してまいりましたから税も一緒にいたしましょうという気持ちが強いわけでございまして、税だけでいろいろやろうとしますと、なかなか世の中がうまくついてこないということで、フリクションを起こすわけでございます。今後とも、税かどの程度、政策目的のために一生懸命やらなければならぬかという点については、いろいろと問題か起こってこようかと思いますが、私どもは、決してそれを逃げるわけではございませんけれども、あれも税でやれ、これも税でやれということはとてもできない、うまくいかないという感じを持っておるわけでございまして、その点はひとつ御理解を願いたいと思います。
○塚田委員 だんだん時間がなくなってきておりますので、次に移りたいと思います。 これとの関連で、広告税がしばしばここで議論になっております。これは交際費とは性格の違うものですが、広告税はいま地方税として、法定外普通税で地方で設定することができることになっていますね。——そうですね。たとえば四新聞あるいは最近のラジオ、テレビ、こういったものは、たとえば岡山県あるいは北海道あるいは青森県と、こういう限られた地方にだけ及ぶ広告じゃなくて、むしろいま一カ所で広告すれば全国的にその広告効果があらわれるという事態、情報化時代といいますか、そういう事態になってきておると私は思うのですよ。この地方にまかせておる普通税でも、やっているところと、やらないところが非常に多い。やっているところはおそらく少ないのじゃないかと思うのですが、地方税として設定することが正しいとするならば、いまの情報化時代、こういう情勢に即応して、むしろこれを国税としてもっと強化する方向でやるべきだ。 というのは、最近の広告ですね、けさも某中央新聞を見てまいりましたが、三分の一はすべて広告ですよ。こういう事態。テレビを見ればもうコマーシャルが充満しておる。そういう事態になってきて、広告費というものは非常にかさんできておると思うのです。私の調べたところでは、大体四十六年度で七千八百六十数億、おそらく四十八年、今年度あたりは、これまた一兆円に及ぶ広告費になると思うのですよ。そういうふうに広告費を使いながら、その広告費を使っておる会社に対しては国はどういうことをやっておるかというと、これまた特別措置で国民の税金を使いながらまけてやっておる。たいへんおかしな風景がいま日本のそういう経済の中にあると思うのです。やはり、過大広告といいますかあるいは過度広告といいますか、これは慎むという面から、抑制措置を講ずべきだ、とりあえず、いま地方税として認められておる広告税を国の制度として吸い上げて徹底すべきである、私はこう考えておるのですが、一体、局長はどう考えますか。
○高木(文)政府委員 広告費課税の問題につきましては、昨年の当委員会においても、そういう同様の御意見があり、その当時もお答え申しましたし、また附帯決議もございますので、その後も検討をいたしておるところでございます。 それで、広告税は法定外普通税として現在ございます。その昔、昭和十七年には広告税は国税として存在したわけでございますが、昭和二十一年の九月に廃止されましてから、法定外普通税ということになっておりますが、この法定外普通税である広告税を徴収している市町村の数はきわめて少ない、市町村税としても一般化してない現状でございます。現在、広告費が、ただいまも御指摘がございましたように一兆円をちょっと欠ける程度になっておるといわれておりますが、そのうちで新聞、雑誌、ラジオ、テレビという四つの媒体の広告が大体七割から八割近くなっております。こういうものは県とか市町村のペースではうまくないのであって、もし課税を要するとすれば、国税のペースで行なわないことには、電波なり何なりは流れていってしまうわけですから、うまくないということでございますので、もし広告について徹底した課税制度を行なうべきであるということであるならば、現行のように市町村税にしておくのはおかしいのであって、国税にすべきが適当であるということについては御意見のとおりでございます。 ただ問題は、これまた広告は、物を販売をする、あるいはサービスを提供するという場合に、消費者、需要者に周知徹底をはかるための非常に重要な手段でございますから、これまた間違いなくいわゆる経費であるということが言えるわけでございまして、その経費がいわば多過ぎる、むだに使われておるということから、これに課税をしてはどうかという議論が出てくるのだろうと思いますが、これまた同様に、一体広告費が日本の場合ぜいたくであるかどうかということについての一般的な御判断が得られないと、税としてもやりようがないわけでございます。 この点につきましては、確かにわが国の広告費の額は相当多いわけでございますけれども、何といいましても、まだまだ、いろんな国と比較してみますと、こういう比較が適当なのかどうかはわかりませんが、国民一人当たりの広告費であるとか、国民所得に対する広告費支出だとかいうものを調べてみますと、非常に低いわけでございます。だいぶ情報活動が盛んになってまいりましたとはいうものの、アメリカだとかヨーロッパ諸国に比べますれば、広告費支出額はまだまだ小さいわけでございますし、日本よりもはるかに大きな広告費を使っておるところの諸外国におきましても、これの課税はスウェーデンでやっておるようでございますが、それ以外の国では起こってきてないわけでございます。そういったことをいろいろ比較考量いたしますならば、はたして広告費に課税することがいいかどうかということが問題でございまして、そのことがいいということになれば御指摘のように地方税でやるよりは国税でやるほうが筋であろうかと思います。
○塚田委員 いいか悪いかって、それはいいからやらしているのじゃないですか。悪ければ地方税でやらしているというのもおかしいのじゃないかと思うのですよ。 それからいま説明がありましたアメリカは広告費が非常にかさんでおる、日本より多いということは私も承知しておりますが、その他の国で日本よりも広告費がかかっておる国を、なるべく近い統計でその実態を統計上示してもらいたいと思います。 ちょっと時間がありませんから、二、三まとめて質問しますから、まとめて答弁してください。 いま御指摘のとおり、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、この四つの媒体でほとんど七〇%を占めておる。その七〇%のうちのさらに七〇%くらいは、実は公正取引委員会で何といいますか不当だ、あるいは排除命令を出すという分野である住宅、あるいは化粧品、食料品、薬品そういうところに最も集中しておるわけなんです。これだけでもう六千万突破しているのですね。それで、確かに品物の内容とかあるいは性能とかをよく知らしめて、国民に公正な買いものをする場合に選択をさせるということもさることながら、こういった誇大広告の中で、むしろ国民に災いを及ぼすという面が非常に表面化しておりますので、これを税によって取り締まれというのは無理かもしれませんが、とにかくそういう支出を単にこれも経費だということで、どうもかけづらいのじゃないかという考え方は、この際改めたほうがいいのじゃないかと思いますね。どうでしょうか。
○高木(文)政府委員 第一の御質問の各国の広告費の状態は、広告費総額をどうやって各国の分をとらえるかという問題はありますが、一応国際広告協会というのがあるようでございまして、IAAとかいっておりますが、これで一年おきに統計が発表されております。一応その数字で見ますと、一人当たり広告費は西ドイツが一万六千円、それからカナダが一万七千円、オーストラリアが一万三千円、スイス二万四千円、オランダ一万一千円ということで、アメリカはもちろんでございますが、その辺が国民一人当たりで一万円をこえております。日本の場合は七千円強ということになっておりまして、その程度の水準はフランスなりイギリスなりでございます。 それから、広告が特定商品に片寄っており、あまり意味のない広告が多いではないかということは、その意味では私どもも共感を覚えるわけでございますが、誇大広告の問題はこれはちょっと税では何ともならぬ問題でございまして、問題は過大といいますか、売り上げに比べてたとえば広告費のボリュームが多いというあたりが問題になろうかと思います。 ただ、この問題についていろいろ議論いたしました際に、いろいろな議論が出てまいります。たとえば化粧品でありましても、メーカーによりまして、広告を通じて売り込むという商法をとっておるところと、いわばセールスマンを通じて売り込むという商法をとっておるところがございますし、それから値段でやっておるというところもございます。同じ商品の中でも、物を売るための手段、方法は、お互いに知恵を出し合っていろいろやっているので、その場合に広告だけが何か悪い、つまらぬところに金をかけ過ぎるということであれば、セールスマンを使って各家々をたずねていってしつこくいろいろなことを言って歩くのだってよくはないじゃないか、なぜ広告だけ目のかたきにしなければならぬのかという式の議論もいろいろありまして、なかなか、いろいろの拡売費、販売拡張経費の中の広告費部分だけをとらえて課税する理論的根拠というものについては、いろいろやってみますと、いろいろな反論が出てきておるということでございますし、それからテレビにつきましては、確かに目に余る広告があることは、関係者の間でもいろいろこの議論をしましたときに言われておりますけれども、しかしそれによって、現在NHK以外のものは無料で放映されて、いろいろな情報が提供されておる関係にあるということから、日本はチャンネル数が非常に多過ぎるという議論まで入っていけば別でございますが、なかなかむずかしい問題があるということで、この問題もいろいろな角度から議論をしていただく必要があろうかと思います。 なかなか、やってまいりますと、各論に入ってまいりますと、そういうような反論なり批判なりいろいろなものが出てきまして、去年も一応いろいろ研究はいたしてみましたが、相当いろいろな問題があるなということで、踏み切れないという現状にございます。
○塚田委員 もう時間がありませんので、次、ギャンブル税について御質問いたしたいと思います。 一獲千金の夢は、公営のギャンブルしかないというのが庶民の気持で、ギャンブルが最近非常にはびこってきていると思うのです。投機をしようと思っても、大会社が株だ土地だ、あるいは商品にまで大きな資本でやっておりますから、庶民は入り込む余地がない。そこでギャンブルということでいろんな弊害も出てきております。ギャンブルというのは、いわばぬれ手でアワ、こういうあれなんですが、その手をかわかすための一つの方法としてギャンブル税というのが考えられてきたし、また四十八年度の税調の答申の中では、ギャンブルに対して課税を行なうことは適当であると考える、昨年の答申で指摘した問題点を十分検討すべきだということが実は答申されておりますが、このギャンブル税について、大蔵当局はどの程度の検討を進め、課税客体を把握する場合には、どういった方法を考えていま検討を進めておるか、ひとつ報告を願いたいと思うのです。
○高木(文)政府委員 ギャンブルについての課税の問題は、いまおっしゃいましたように、各方面から早くやれというふうに迫られておるわけでございます。これがうまくいきません最大の理由は、たとえば国営競馬が現在でも一番基準的なものでございますので、国営競馬について申し上げますと、百円で券を買いますと七十五円が配当として戻ってくる、二十五円が経費と税金、税金という名前は使っておりませんが、国庫納付金という形になっておりますが、二十五円が経費と税金という形になっておるわけでございますので、この七五という配当率が諸外国のギャンブルに比べて少し低い、もうちょっと配当を多くすべきだという意見がかねがねあるわけでございます。その実際上の抵抗という形のあらわれとして、いわゆるやみ馬券が残念ながら非常に横行をしておる。いわゆるのみ行為、のみ屋と俗称されておりますが、私的馬券が売られておりまして、これは法律ではいけないことになっておりますから、ときどき取り締まりが行なわれておりますが、とても追いつかない、こういう現状であります。 そこで、税をかけるのはよろしいのでございましょうが、税をかける結果として、七五という実質配当率が下がるということになりますと、いわゆるのみ行為を一そう助長することになる危険があるわけでございまして、こののみ行為を起こさせないように広げさせないように、むしろ縮小させるようにしながら、なおかつ税を徴収するのはどうしたらいいかというあたりに問題がございます。 ところが、このギャンブル問題につきましては、昭和三十六年の七月に、法律に基づく公営競技調査会というところで答申をいただきまして、これはそのことのために特に法律をつくって設けた調査会でございます。そこから答申をいただいておりまして、むしろ幾つかの、いわば運営についての基準的なものをきめられておりますが、それとの関係で、なかなか実はいまののみ行為の抑制ができないという問題があります。この三十六年の答申を見直す必要があるということで、ただいま政府部内で検討中でございます。 なおまた、農林大臣の私的諮問機関でも、この問題を国営競馬を中心にして検討されております。税制調査会の席におきましても、その辺の事情を御説明の上で、なおしかし、それらを早く解決してやりなさいというふうにいわれておるわけでございます。
○塚田委員 交際費や広告費の問題にしても、ギャンブル税の問題にしても、広告費はいま地方税で許されておりますが、さっきお話しのとおり、地方税でやっておるということからいえば、これは答申の線とは若干離れますが、しかし当然これは国税として吸い上げるべきじゃないか。ギャンブル税についてはいまいろいろな反対もある、当然あると思うのです、圧力団体もあるだろうし。しかし、こういった問題については、ひとつ勇気をもって早急に結論を出すということで作業を急いでもらいたい。それを期待いたします。 最後に、きのうの新聞ですが、原子力発電所の周辺の環境整備という問題にからんで、通産省、大蔵省がいろいろ協議をして、これに対して国もあるいは電力会社も、そして市町村も大きな出資をするということが閣議決定されたようであります。私は、この制度自体の国会における審議は、当然この場ではなくて建設なり商工なりでいろいろ議論されるだろうと思いますが、ここでひとつぜひ尋ねておきたいことは、原子力発電については税法上においても相当優遇措置を講じております。特に、海外におけるウランの開発あるいは原子力発電所をつくる場合のいろいろな施設についての特別償却の制度とか、たくさんあるわけです。出てくる電気についても、大口消費については物品税でまけておるというようなこともありますけれども、それはそれとして措置されておる。さらにその上に今度は国は助成措置をやるわけです。これは大幅にやるのではないかと思いますが、この助成措置は、まさか間違っても税制で措置をするということはないだろうと思いますけれども、この点はどうですか。
○高木(文)政府委員 昨日の新聞報道によります問題につきましては、私ども実はつまびらかにいたしておりませんので、まず通産省のほうから、最初にお答えを願いたいと思います。
○箕輪説明員 昨日新聞に出ました法律案について、簡単に御説明いたします。 これは本日の閣議で通ったはずでございますが、内容といたしまして考えておりますことは、原子力発電所のみを対象としたものではございませんで、火力発電用施設あるいは原子力発電用施設であって、政令で定める一定規模以上のものを対象として考えている次第でございます。この整備計画の中身といたしましては、非常にしぼった形で書いてございまして、非常に大幅な計画をつくるという形では考えておりません。 それから、ただいま御指摘のございました国の援助でございますけれども、これにつきましては、国の負担割合の特例を定めておるものが五つの事業ございます。これは具体的に申し上げますと、漁港、港湾、道路、緑地それから簡易水道、この五つでございます。それ以外のものにつきましては、特に補助のかさ上げということは考えてはおりません。 それから、国の財政上及び金融上の援助といたしまして規定が設けてございますけれども、現在、法律の上で税制を使用して促進をするというようなことは考えてはおりません。 以上でございます。
○塚田委員 火力も入っているという答弁ですが、おそらくこれは火力というと石炭専焼から重油いろいろあるのですけれども、この場合のねらいは原子力と重油というか、火力だと思うのですよ。なぜならば、この二つについては国民の反対運動が非常に盛り上がってきておる。つまり公害に対する反対ですよ。それで電力会社も計画が予定どおり進まぬ。特に原子力発電についてはなかなか計画どおり進まぬということで四苦八苦した結果、国と地方公共団体、電力会社もそうですが、そのものよりもその周辺を開発して国民に、あるいは住民にあめを与える、そこで強引に設置賛成に押し込んでいくというねらい等もあろうかと私は思うのですが、いま通産省の答弁で、税制上の措置はそれ以上やらないのだということですが、局長、その点は確認していいのですか。
○箕輪説明員 ただいま申し上げましたのは、この法律では補助のかさ上げ的なことは税法上考えておりませんということでございます。ただ、あと問題が残っておりますのは、この法律では、先ほど申し上げませんでしたけれども、地方公共団体が公共事業を行ないます場合に必要な経費の一部を電力会社が負担することができるようにきめてございます。その負担金の経理上の取り扱いにつきましては、現在まだ検討中でございます。この取り扱い方によっては、どういうような税法が適用されるかということがきまってくるわけでございますが、その辺大蔵省とも今後相談をしてまいりたいというふうに考えております。 それから、最初に御指摘のございました原子力発電所または原子力発電所の立地難の現実から考えまして、主として原子力発電所についてのその円滑化というのがねらいであろうという御指摘でございますけれども、現在は、年々増大いたします電力需要の需要増をまかないますためには、火力発電所にむしろウエートが置かれなければ需要をすべてまかなうことができないのが現実でございます。確かに考えられております原子力発電所の増設計画と申しますのは、年々ふやしていくという形にするということに一応計画上は考えられておりますけれども、それでも今後十数年の間は火力発電所にやはり依存せざるを得ないというのが現実でございます。 それから、火力発電所につきましては、重油専焼のみをその対象として考えておるわけではございませんので、一定規模以上のものであれば対象にするというふうに考えております。 以上でございます。
○塚田委員 その一定規模が問題なんですが、そこで、時間もございませんので結論的に言いますと、局長、私はいま言ったような発電、いろいろな発電がありますけれども、政策としてはやはり国内資源をまず最大限に活用していくという観点からの助成なりあるいは税法上の優遇措置、こういうことは当然奨励されていいと思うのです。そういう意味で、たとえば資源開発については探鉱事業、これについては特別措置を設けておる、あるいは石炭についてはいろいろ交付金または優遇措置を講じておる。これはいいのですが、しかし反面、これは貿易関係、関税定率法の関係にもなりますけれども、たとえば鉛だとか石綿だとかいろいろなものを関税を下げてまで輸入してくる。税としての毒具した基本的な姿勢がないために右手と左手の使い方がどうも違うように私どもは考えられてしょうがないのですよ。特にいま問題になっておる原子力の問題ですが、これはこういう措置を大蔵省、あるいは税法上で今後何かするということになれば、住民のいろいろな意向を押しつぶすための政策に転用されていくようなこと等も考えられます。 あとの問題は別にして前の問題、特別措置とそれから国内資源の活用、この両方の面から考えると、どうもいまの税制というのはちぐはぐなものがあるんじゃないかと考えられますが、一体どうでしょうか。
○高木(文)政府委員 たいへん広範な御質問でございますので、的確にお答えをいたしかねるわけでございますが、電力問題はだいぶやっかいな問題になってきておりますので、今後どういうふうに展開してまいりますかは私ども詳しく承知をしておりませんが、あらゆる手段、方法によって発電設備を増強していかなければならぬという状況にあるであろうと推察をいたしておりますけれども、現在のところは、今日の段階ではまだそれに関して格別の税法上の措置をとれというほどのお話は承っておりませんし、いまのところ私どもは格別何かしなければならぬというふうに思っていないわけでございます。 今後は、いろいろ料金問題であるとかいろいろな問題が出てまいりましょうし、新しい発電方式ということにもなりますと、旧来の発電方法以外の発電についてのかかります経費の処理の問題、たとえば現在あります原子力発電設備についての特別償却制度であるとか原子力発電設備工事支出金の償却準備金制度であるとかいうようなものは、一種の特殊な開発方式によりますところのかかります経費の若干の軽減という趣旨から起こってきているわけでございまして、筋道の通ったものであれば電力問題は問題であるだけに、場合によりましたら何らかの措置をとらなければならぬ事態が起らぬとも限らないし、現時点では何も話を聞いておりませんし、いまのところは考えていないという状況でございます。
○塚田委員 最後ですが、さっき聞きましたたとえば探鉱についての助成措置をしながら、たとえば石綿にしたって水銀にしたって、鉛にしたって、国内資源というのは探鉱のしようによってはあるし、また使えるのですから、むしろそういう方向に助成すべきであって、いままでの関税定率法あたりでどんどんと外国から輸入する。確かに石綿なんか日本のものは繊維が短いために使いづらいわけです。それも技術の開発によってできるので、ぜひそういう方向にあれしてもらいたい。だから、全体的に税体系というものをどこに一体視点を置いてやるかという基本の問題を踏まえてやらなければ、片方で火をつけて片方で消すということにもなりかねないので、その点一つ最後に御所見を承りたいと思います。
○斎藤説明員 国内資源は、何と申しましても最も安定した長期供給源でございまして、これの生産を維持していくということは、私どもとしましても一番重要な政策としてこれに対するいろいろな政策を進めておるわけでございます。その中におきましても関税問題ということは非常にデリケートでございます。もちろん国内鉱山の維持ということを柱として考え、そしてユーザーコンセンサス、そして対外的な問題等を考慮いたしまして、各年度それぞれ関税率審議会で御審議をいただくわけでございますが、国内鉱山の重要性を特に考慮いたしまして、たとえば四十七年度、関税率審議会であらゆる物資の二〇%一律引き下げというふうなことが行なわれたわけでございますけれども、銅、鉛、亜鉛については、特に関税をさわらないということを皆さんに御了解いただきました。そのほかにも暫定で無税ではございますけれども、諸々の国内で生産する鉱産物につきまして、これに対する輸入品につきましては、TQ制度を当てはめる等の手段によりまして、国内鉱山の維持発展、探鉱を進めていくという国の探鉱補助金のほかにも、税制の面からもこれをガードしておるところでございます。
○鴨田委員長 村山喜一君。
○村山(喜)委員 初めに土地税制の問題から私、質問をしてみたいと思っておりますが、それは、今度の税法の中で、法人に対して、投機的な資金を投入して取得をしたものを吐き出させる、あるいはこれからは投機をしてもあまりメリットがないようにしようというようなことで、法案をつくっておられるわけであります。そこでまず初めに、数字の上から確認をしてみたいと思いますが、そういうようなものについては七〇%の重課になるんだとおっしゃっていますが、その数字はどこからお出しになったのか、その算出の基礎をまず説明願いたい。
○高木(文)政府委員 二〇%の場合に実効の税率が幾らになりますかということは、実は配当と留保の法人税率が違っております関係で、当該法人が利益のうちどのくらい配当をしたか、ということによって実効税率が違ってくるわけでございます。現在私どもがしばしば実効税率として御説明をいたしておりますのは、四五%といっておりますが、この四五は、利益の三〇%を配当したという場合を前提として言っております。これは企業の一般的傾向から三割ぐらいが平均率であろうということで、三割を配当し、七割を留保したということを頭に置いて言っておるわけでございますが、その場合に、法人税が二九・九三、道府県民税が一・六八、市町村民税が二・七二、事業税が一〇・七一ということで、四五・〇四になります。そこで二〇%の場合に、道府県民税なり市町村民税なりが幾らになるかといいますと、法人税二〇%のほかに道府県民税が一・一二、市町村民税が一・八二、これはどうして一・一二になるかといいますと、道府県民税は、法人税の五・六%ございますから、二〇%掛ける五・六で一・一二、市町村民税が、税率は九・一でございますから、二〇%に九・一を掛けて一・八二、この二〇と一・一二と一・八二を足しますと、二二・九四ということになるわけでございまして、二二・九四、先ほどの四五・〇四を加えますと、六七・九八ということになります。あと配当に幾ら回すか、留保を幾らにするかということによって、標準的な場合約六八%になります。それが前後に動いてくるということでございます。なお、事業税はこの二割分には加算されるということがございませんので、六七・九八を中心にあとは留保をふやしますと、たとえばかりに全額留保をするということを考えますと、先ほど四五・〇四と申しました数字が四八・三五になりますので、その四八・三五に二二・九四を加えていただきますと七一・二九になる。ですから、おおむね七〇%前後に実効税率がなる、こういう意味でございます。
○村山(喜)委員 配当がある法人もあれば、配当のないものもあるでしょうから、その七〇%というのはおおむね七〇%ということになるということでわかりますが、これが赤字の場合にはどういうことになりますか。
○高木(文)政府委員 赤字の場合にはいまの二二・九四になるわけでございます。
○村山(喜)委員 二二・九四ですか。二〇%に見合う地方税分が三・四でしょう。二三・四じゃないですか。
○高木(文)政府委員 道府県民税が一・一二で、市町村民税が一・八二ですから、それを足しますと二・九四でございますので、二〇に加えると二二・九四ということでございます。
○村山(喜)委員 赤字が出た場合にはどういうふうに処理ができますか。五年間でまた埋め合わせをするという企業会計で処理をするのですか。
○高木(文)政府委員 根っこの四五・〇四と申し上げました基本の法人税のほうは、普通の法人税でございますから、赤字があったり黒字があったりした場合に、繰り越し、繰り戻しということになりますが、二二・九四の部分は、赤字、黒字と関係なく取り切りという形になっております。
○村山(喜)委員 こういうような措置を片一方に講じながら、片一方においては適用除外を設けて吐き出させるような税制をつくっている。それは供給と需要との関係でむちとあめを備えなければ土地は出てこないでしょうから、これによって、その税制の上から見て土地の供給がどういうふうになっていくんだというその想定をどういうふうにしていらっしゃるのでしょうか。
○高木(文)政府委員 土地問題は、当面二つあると考えておりまして、一つは土地がひどく、著しく非常識に上がる、これを何とか押えなければいかぬというのが一つの課題であろうかと思います。それからもう一つは供給をスムーズにするということで、主としてサラリーマンを中心に家を持ちたいという夢を実現するためには供給をスムーズにしなければならぬ。もちろんこの供給というのはしかるべき価格での供給が前提となっておりますが、その二つの問題が当面緊急の問題であると思っております。今回の土地税制の主眼は、どちらかと申しますと供給よりは投機の抑制というほうに主眼が置かれておりまして、四十四年一月一日以降買った土地を売った場合に課税が行なわれるということであり、四十四年一月一日以降に土地を持っておれば地方税のほうでかなり高率の特別保有税が課せられるということで、いわゆる投機買いを抑制しようという趣旨でございます。投機買いを抑制するということは、反面弊害を伴うわけでありまして、土地の流動性を阻害するという心配があるわけでございますが、この流動性を阻害するという点は、今回の税制ではデメリットとして考えられますけれども、いかにも投機抑制が緊急要件であると考えられますところから、デメリットは十分承知をいたしながら、とにかくばか値を押えるということをやりましょうということがこの税制のねらいでございます。供給促進はまた別の面で考える。 また、従来からありますところの個人の譲渡所得の、長期の譲渡所得の分離、比例税率制度による課税制度というものは今後とも続くわけでございますので、供給促進のほうのたてまえとしてはこちらのほうでいくという考え方でございます。
○村山(喜)委員 何か新聞によりますと、宅地の供給促進をはかるために、農地の宅地並み課税に伴うあめ玉法案として宅地化促進臨時措置法案なるものをきょうの閣議で決定されるやに聞いておるわけです。この中で、税金に関係あります地方税を除きまして、この譲渡所得税の税率の問題ですが、ニュースによりますと、現行の場合には四十八年は一五%ですね、四十九年、五十年二〇%という税法を、四十八年は一〇%にする、そして四十九年、五十年は一五%にするんだ、こういうような案が伝えられております。 ところが現在、私たちはいまこの租税特別措置法の改正案等について審議を行なっているわけです。そういたしますと、一体そういうように新たな法律が出てきた場合に、まず取り扱いとしてどういうふうにされるつもりなのか、その内容が事実であるのか、事実であるとするならば、手続関係として現在のこの税制の審議をやっておるこの委員会に追加提案をされるつもりなのか、それとも単独に別個の法律という形でおやりになるのか、そこら辺の手続関係はどうなっておりますか。
○山本(幸)政府委員 たいへんまた早々のことでありまして、案の内容はいまお話しのようなふうにきまるものと思われますが、それをどういうような形で国会にお出しをして御審議を願うかということにつきましてはまだ方針がはっきりきまっていない、こう私ども承知をいたしております。一本の法律案になったときに、たとえばどこの委員会にお願いをするのかということなど、もう少しく各委員会の間でも御相談を国会側でも願わなければならぬのではないだろうかと、こう私は思います。ですから、できましたならば、ここでの答弁ではなくて、別途理事会などでいろいろ御相談願えればと、こう思っておるわけであります。
○村山(喜)委員 やはり税法の問題は、単独法でほかの委員会あたりでやられたんでは、全体のつりあいの上から見ましておかしなことになる。そういうような意味において、やはりその取り扱いについて理事会でどういうふうにすべきかということについては協議を願わないと、現在出されている法案がまた修正をして追加提案されるというようなことになれば審議が非常に混乱をいたしますので、この点は委員長にまず要請を申し上げておきたい。 そこで、建設省お見えでございますが、参議員の予算委員会あたりにおきましても、地価公示制度については、これは民間の取引には規制力が及ばない、何のことはない、地価上昇の追認をして、そして一つのメルクマールを示したにすぎないんだと、こういうようなことでございます。従来のねらいというのは、その値上がりを押え、全国的に地価公示制度を行き渡らして、そして宅地の供給を促進をしようというねらいで予算もつき、そして計画も拡大をされておるわけであります。ところがもう全然功を奏しない。そして公営住宅の場合でも公団住宅の場合でも、これは土地を取得できないという形で、一向に建物も建たぬ。マイホームの夢はもう完全に庶民からは奪い取られているという状態にきている。 そういうような状態になってきたときに、一体今日の宅地政策というものをどういうふうに持っていくんだ、別途に宅地供給策が必要だということを経済企画庁あたりは答弁をしているようでありますが、実施官庁である建設省として、今日の事態においてどういうふうな対策をお持ちなのか。ただ税法だけで投機を抑制をしたり、あるいは供給を促進をしたりするというのでは、これは土地政策の全体を意味するものではありませんので、補完的なものだと私は思いますので、そういうような意味からお出ましをいただいたわけですが、建設省自体は今日の時点においてどういうような考え方をしているのか、お尋ねしておきます。
○吉田説明員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘ございましたように、現行制度によります地価公示におきましては、公共用地の取得価格につきまして一応基準とすべきものとなっておりますが、一般民間の土地取引につきましては、確かに目安を与えるという形にとどまっております。今後この地価公示制度を拡充してまいりまして、私どもといたしましては、もっとこれを地価対策の展開に役立ててまいりたいというふうに考えております。そのために本年も地価公示につきまして予算の拡充をはかっているわけでございますが、地価公示の対象地域を市街化区域以外の区域に大幅に拡大してまいるということが一つ、それからこの地価公示制度を活用いたしまして、今回別途に国総法におきまして打ち出しております土地引取についての届け出、勧告制度、これとリンクいたしまして、公示価格を著しくこえる場合には、これに対しまして取引の中止勧告を行なうというような方向に進む、こういった面で地価公示そのものを実のあるものにして充実していきたいということも考えております。 また、土地の供給の問題でございますが、土地税制そのものが土地対策の全部ではない。これはもちろん御指摘のとおりでございますが、土地の供給の促進あるいは需要の抑制という面について土地税制そのものは非常に大きな効果を持つものでございます。ただ、これとあわせまして、土地利用計画の策定でございますとか、土地取引の規制でございますとか、宅地供給の促進策、このような総合的な土地対策というものを先般土地対策要綱として固めたわけでございますが、私どもといたしましては、さらに当面市街化区域内の土地の有効利用の促進というものを主眼にいたしまして、先ほどお話がございましたように、土地の市街化区域内の宅地並み課税に関連いたします宅地供給の促進ということを当面緊急措置法として策定することにいたしておりますが、また明年以降を目途といたしまして市街化区域内の土地有効利用をさらに積極的に推進していきます方策を制度的にも検討いたしまして、また資金的、機構的にも、公的宅地の開発を中心といたします宅地供給策の具体化というものを根本的に進めてまいりたい、かように考えております。
○村山(喜)委員 四十四年に土地税制を改正いたしまして、個人の譲渡所得の分離課税、経費を除いて一〇%の軽課措置を講じたわけでございますが、確かに供給力はふえた。インセンティブは、そういうような意味ではきいたわけですが、ところがそれが法人等不動産業者の手に渡ってしまって、最終的には個人の手に渡らない。渡ってもべらぼうな価格でしか渡らない。そして片一方においては土地成金が続出をしている。こういうような形で、地価は下がらないだけではなく、もう絶対量が不足しているわけですから、地価が下がる効果は生まれなかった。これは四十四年の土地税制の反省点だとわれわれは考えているのですが、主税当局はそういうようなのに対してどういうような反省を持っておいでですか。
○高木(文)政府委員 四十四年改正の際にも、たいへん各専門家の方にお集まりいただきまして、原案作成の段階では慎重審議を願ったわけでございます。当時の私どもの考え方といたしましても、あの制度で全体としてうまくいくとは限らないのであって、もう少しもろもろの土地対策に関する総合的政策が必要であり、その一環として分離軽課というようなことがあるべきであるということを基本的には考え、主張しておったわけでございますが、とにかく促進を早くやれというようなことで、まあことばは悪いのでございますが、やや見切り発車的なことになってスタートした。どうも本来ならば、他の政策と税制とが総合的に行なわれるべきところ、結果としては税制がやや先に前へ走ったというような形になったのではないかというふうに反省をしているところでございまして、よってもって、今回は投機抑制のために税制を整備いたしますにつきましても、ただいま村山委員の御質問の端々に出ておりますように、税制だけではうまくいかないということを特に私どもといたしましては強調をいたしまして、政府各部内で相互に連絡をとりまして、国土総合開発法をはじめとして、いろいろと土地に関する諸制度の手直しをすることになっております。ある意味におきましては、前回の反省から、今回は税制と他の制度が斉合性を持つようにということについては相当力を入れたつもりでございまして、前回の反省は今回はそういう意味では生かすことができるのじゃないかというふうに思っております。 なお、もう一つは、あの制度はメリットとデメリットがあったわけでございますが、いい悪いは別にいたしまして、四十六年のいわゆるニクソン・ショック以来の異常なわが国の経済状態というものに遭遇したという不幸なめぐり合わせになりましたのもつあったということは、これは弁解になるかもしれませんが、お含み願いたいと思います。
○村山(喜)委員 建設省か見えておりますから、これだけにしぼって、あなたもお帰りをいただきたいと思うのですが、いまの三〇・九%ですか、一年間に地価が異常な上昇をしている。そうしてその中で新しい国土総合開発法案が提案をされておりますけれども、先ほど聞きますと、これは一つの勧告権しかない。値上がりをしたものを下に下げるということはできない。そういうような効果はない。だから別途に宅地の供給策を緊急に講じない限り、これはもう行き詰まりだ。土地政策そのものについては、完全に政府・自民党のいままでの姿の中からはこれはもうどうにもしようがないというところまできているのだと私たち受け取るわけです。もうこの際、土地というのは商品じゃないのだというその基本的な観念に立って問題を処理をしていく発想のしかたに変えなければいけないんじゃないだろうか。前の木村建設大臣が、初めは法人の土地譲渡所得については九〇%の重課をやるんだということを言われた。それがいつの間にか四〇%に下がり、二〇%に下がってきておるわけですね。なるほど今度の場合には投機的な取引を抑制をするというその効果は若干出てくると私は思います。しかし、じゃ持っているものを吐き出すようになるかどうかということについては、これはちょっと疑問がある。というのは、一・四%の保有税程度では吐き出すということは、値上がりのほうがずっと大きいわけですから、それだけじゃ私は意味がないと思うのです。そういうような意味から、たくさんの除外例をおつくりになって、そちらのほうの場合には重課いたしませんから、いまのうちにそちらのほうに分譲しなさいという形で出されているでしょう、今度の法律は。だから投機を抑制をするというだけではなくて、適用除外をつくって供給を促進するというねらいが今度の税法の改正案の中には出ているのじゃないですか。その点は、先ほどはあまりないようなことを言われたのだけれども、どういうふうになっているんですか。
○高木(文)政府委員 やはりものごとの考え方の筋道としては投機抑制ということに主眼がございます。ただ、可能な限りにおいてはそれによって流通を梗塞しないということが一つと、問題は、現在土地の取引を自由に民間で行なうことを認めるか、土地の売買は一切禁止をしてしまって、何か公的機関が仲立ちをするというような仕組みにするかというようなことについていろいろ御意見があるわけでございますが、今回の考え方では、土地の売買を一切禁止するとかいうことはいささかドラスチックであろうということで、土地の売買そのものは今後とも原則的にはもちろん自由に行なわれる、しかし土地で異常にもうけることはいけないということでございますので、宅地供給業者等に対しましては、今後とも適正な利潤を前提とした取引である限りにおいては、むしろ積極的にやってもらわなければならないということで、適正利潤のもとにおいて行なわれますところの売買については、むしろどんどんやってほしいという前提で、適正利潤率のもとに宅地供給が行なわれますならば、この二割の割り増し課税はいたしませんという仕組みになっておるわけでございます。そこのところは、抑制税制のために流通がとまっては困るという配慮から出ておるわけでございますが、そこの組み合わせにどっちにどう重点があるのかということのお尋ねでございますならば、まずもって投機を抑制することに第一の目的があり、そしてそれが弊害を起こさないという意味において適正利潤のもとにおける取引を除外例としておるという組み立てでございます。
○村山(喜)委員 一つ資料を出していただきたいと思います。あなた方がこういうような税法をお出しになっておる背景ですね。事業法人やそのほか金融会社あたりの法人が現在保有しておる土地の中で、あるいはまた不動産業者が保有をしておる土地の中で、将来の値上がりを見越して、いろいろ別荘地帯あたりを購入している例もありますし、あるいはそこの特定の地域が開発されるというので、それを目当てに先買いをしているものもあります。そういうようなのを除いて、住宅に適した土地というものをどれだけ持っているのだろうか。だから、この税法が出たら、大体の見込みとしては住民に対してこれだけの土地供給が期待できるのだという一つの目安をお持ちになっていらっしゃるはずだと思う。その資料をひとつお出しをいただきたいと思います。 あとは、先ほど議事進行のほうから連絡がございますので、今回は済みましたから……。 ————◇—————
○鴨田委員長 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、金融に関する件について、来たる五日、日本銀行総裁佐々木直君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時、休憩いたします。 午後一時三分休憩 ————◇————— 午後四時十九分開議
○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。村山喜一君。
○村山(喜)委員 先ほどの答弁はどういうふうに なりましたか。
○高木(文)政府委員 資料のことでございますか。——資料につきましては建設省と相談をいたしておりますが、御満足がいくかどうかわかりませんが、ある程度のものはつくれるであろうということで、帰って建設省と研究をいたしております。
○村山(喜)委員 次に、最近総需要の抑制政策をとらなければならないという段階に入りまして、公定歩合の引き上げの問題等も措置をされたり、あるいは財政の繰り延べ措置なども当然、やがての段階には考えなければならないという状況に向かっているわけでありますが、ここで法人税の問題に関連をいたしましてお尋ねをしてみたいと思います。 それは従来株式の市況というのは、一株当たりの株価収益率をもとにして価格が決定されておったわけでありますが、最近はその一株当たりの資産がどういうふうになるのかというような問題を含めてたいへんな値上がりをしてまいりまして、東京市場の第一部に上場されているものの株価単純平均は、一株当たり三百三十円というような価格になっております。そういうところから、従来は社債等の発行によりまして借り入れをやる、あるいは増資をやるというような形で進んできたわけですが、最近は転換社債を発行したり、あるいは時価発行によりますそういうようなものが定着をしていくような形になってまいりました。そういう形でやってまいりますと、多額のプレミアムが発生をするわけでありますが、そのプレミアムは、税法でもあるいは企業会計の原則でもあるいは商法の考え方でも、これは資本取引に伴うものであって、別にその企業としての活動に伴うところの利益ではないから、このものについては課税の対象とはしないという考え方がシャウプ勧告以来とられてきておるわけであります。しかし、その当時においてはそういうような時価発行なりあるいは転換社債等の発行によって資本の調達をやるというようなことを予測をしておったものなのかどうか。そういう形によってプレミアムが多額に発生をするということは財産の絶対的な増加がそこには生まれてくるわけですから、そういうようなものについて法人税というのはいかにあるべきかというようなことをもう一回見直す段階に来ておるのではないかと私は考えるのですが、これは基本的な問題でございますので、この際お尋ねをしておきたいと思うのであります。
○高木(文)政府委員 株式の時価発行に伴いますプレミアムは、御指摘のように額面との差額だけ一見会社の所得があるように見かけられますけれども、やはり本質は株主が拠出した資本でございます。ただ、旧株主とは額面、たとえば五十円の株でございましても実質二百円なり三百円なりの資産を持っておるので、その旧株主の仲間に新株主が参加するのについては旧株主と同じだけの資本を投下しなければ旧株主と新株主のバランスがとれないというようなことになるという思想から時価発行が肯定されるわけでありますので、それはやはり資本として見なければならないものではないかと思います。 その思想から、ただいま御指摘になりましたように、商法におきましても資本準備金として積み立てるということをきめております。それは企業の選択ではなくて、資本準備金として積み立てることを強制をしておるわけでございます。もしたがって、資本でございますから、欠損の補てんに充てるということ以外には原則的に取りくずしを禁止しておるわけでござまして、またその取りくずしの順序等もきめておるということから見ましても、商法で資本金と同じ性格を有しているものという判定をしていることは明らかでございます。 ただいまシャウプ勧告のときにはというお話がございましたが、その点は確かにその当時そういうものはなかったわけでございますから、それはどのように考えておりましたか明快でございません。とにかくそういう制度がそのときには実際的になかったわけでございますから、そのときにどう考えておったかということは推定ができないわけでございますけれども、しかし、いずれにいたしましても現行の商法上のそういう扱いになっております関係で、商法と税とはある場合には別だということが全くあってはいけないということではございませんけれども、大体はそういうかなり基本的な問題につきましては商法と税法とが一致した態度であることが望ましいというたてまえに立ちます限りにおきましては、やはり現段階ではこのプレミアムについて何らかの課説をするということは問題があるのではないかということで、現在私どもの段階ではちょっとプレミアム課税は無理ではないかというふうに考えております。 ただそれでは、いまは所得については課税はしておりますけれども、資本については課税をしていないというたてまえが絶対的なものかどうか、資本についても、所得課税とは全く性格の違うものでありましても、何らかの意味における課税ということが考えて考えられないことではないのではないかという御議論があろうかと思いますが、もしそういう考えでありますれば、また話は別でございます。しかし、これまた大問題でございますけれども、およそプレミアムによりますところの会社の収入金額について、何らかその部分だけを取り出して課税するという行き方はちょっとむずかしいので、もし何か課税するということであれば全然考え方を変えて、資本についても若干の課税をするかどうかというような問題が別途の問題としてあり得るかということでございますが、私どもはいまの段階では、いい悪いは別にして、資本の段階での課税ということは現段階では考えておらないということでございます。
○村山(喜)委員 商法には商法なりにその目的があるわけですが、やはり法人税の課税の原則という点から考えたら、一応このプレミアムにつきましては払い込み資本額までは資本そのものの増加だというふうに見ていいわけですが、それを上回るようなものについては、これは剰余として当然今後課税の対象とするということを考える段階にあるのではないだろうかと私は思うのです。その点は今後検討を願いたいと思うのですが、最近異状な形で株価が上昇をしていくという姿の中には、いまの税法の中で、御承知のように受け取り配当については非課税の措置がとられたりしております。そういうような形の中で、六二・五九%も法人の手に株が渡っている、個人株主がだんだんに減少をして法人の手に株が集中をしていくともいう形態が生まれてきているのではないだろうか。それは正しい姿のものだとは私たちは受け取らないわけです。そういうような意味からも、もう少し租税特別措置法の内容なり、あるいはこれは法人税本体に掲げられている課税の原則でありますが、そこら辺についても突き詰めて検討する必要があるのではないかということを指摘をしたいわけですが、それをどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
○高木(文)政府委員 繰り返しになりますが、プレミアムというのは、それが所得なのか資本なのかということがやはりどうしてもまず問題になりまして、次に、現行税法上は、資本には課税をもしない、所得にだけ課税をするというたてまえがあるわけでございますが、そのことの是非がまた問題になるわけでございまして、そこのところを詰めた上で初めてプレミアムについて何らかの課税をすべきかどうかという議論になってくるわけでございます。私の申し上げておりますのは、現在のたてまえを申し上げているわけでございまして、立法論あるいは政策論としては、いろいろ御議論があろうかと存じます。 次に、配当の問題につきましては、受け取り配当の益金不算入ということは、これはよく御承知のとおり、いわゆる二重課税を行なわないという趣旨から出てきておるものでございますが、親子間での受け取り配当のような場合と、それから資産運用の一つとして株を持つ場合では、確かに性格が違っておるわけでございまして、各国の立法例におきましても、親子間配当等の扱いと通常何ら関係ない他の会社の株を持つ場合の配当の扱いとは異にしている例もあり、同じゅうしている例もあるということでございまして、いま御議論になっております点は、問題点の一つであろうかと思います。わが国の場合には、親子間の関係であろうとそうでない株のものであろうと、一律に配当を益金不算入にしておりますけれども、あるいはその点については、違う考え方をとり得ることもあるわけでございます。 この点につきましては、午前の委員会でも他の委員の御質問にお答え申し上げましたように、来年度は法人税の税負担の問題か相当大きな問題として、税制改正の中心課題になると思われますし、その際には法人税のあり方の問題も問題になると思いますし、よってもって、受け取り配当の取り扱いも問題になると存じますので、その際いろいろ勉強しました上で、各方面の御意見を伺うことにいたしたいと思っております。
○村山(喜)委員 資本取引に関する増減については課税をしないという形になっておりますが、最近の株の保有の動き等を見てまいりますと、確かに法人段階の所得がふえてきたために、やはり株がそういうふうに移動をしていくというふうに見なければならないと思うのです。そういうような考え方に立っていった場合に、いまおっしゃるような、子会社等に対する配当の受け取り分についての非課税の問題についても、やはり検討をしておかなければならない問題だと思います。最近は、そういうような意味においては、権利が権利を生んでいくような形の中で、株が法人のほうに集中をしたり、一部の特定の大株主の手に集中をする、そして店頭に出す株の品薄な状態をつくり上げているので、また株価が自動的に上がるという形態をたどっているようであります。 現在の段階においては、なるほど資本については課税をしない、所得について課税をするという原則ができているわけですが、それを今度は清算段階において処理をした場合には一体どういうふうになるのか。それは株主に所属をしていくという形になるわけですから、やはり税金はつまり原資があるところから調達をしていくという原則に立って、もう少しこの法人税の課税の問題については、商法の改正等との関連も出てくるでしょうし、あるいは企業会計のあり方の問題との関連も出てくるでしょうが、来年度は法人税を改正するのだということも言われておりますので、それらの問題をもう少し突き詰めて論議をしておいていただきたいということを要請しておきたいと思います。 そこで、次の問題は、いまたくさんの租税特別措置がございますが、はたしてこれだけの租税特別措置をやらなければならないのかどうかということを一々の問題について見てみれば、なるほどこれは必要だという気持ちになる。ところが、全体的に見たときにはたしてそれは妥当であろうかどうだろうかということになると、妥当でないのじゃないかというふうに受け取らざるを得ないわけであります。 たとえば少額貯蓄の非課税の特別措置がありますね。この場合でも、四十八年度は標準世帯の場合に総合所得で百十二万円ということで、それまでは非課税になるわけですが、利子所得を持つ人がおったとしても、総合所得において百十二万円以下であれば、これは利子の特別な控除の恩恵を受けることはないわけですから、そういうような意味においては、総合課税で課税をされる以上の所得がある人の場合に、初めて少額利子所得の恩恵措置が与えられるということになって、それ以下の場合には恩恵が及ばないという結果にいまなっているのではないか。私は、そういうふうに見たときに、はたして少額利子所得の特別措置を受ける必要があるのかどうかということについて疑問を感ずるのですが、その点はいかがですか。
○高木(文)政府委員 この預金の非課税という制度は、午前の委員会の段階で、預金の分離課税の問題に関連してお答え申し上げましたこととやや重複をいたしますけれども、やはり基本は何と申しましても貯蓄奨励から出ておるわけでございます。現在たくさんあります政策的なもの、特別措置法にありますもろもろの規定のうちで、この預金についての扱いは最も歴史の古い、いわば長い歴史を背後にしょった問題でございます。これはまさに御指摘のように、こういう政策的な取り扱いというものは、何がしかの意味において、課税の公平という見地からいえば望ましいことではないわけでございまして、ある意味からいいますと、主税局の過去の仕事の中で、この制度をやめたほうがいいではないかということで何度も議論があったことは、最近に限られないわけで、税当局の立場からいえば、このような制度はできるならばやめてほしいという気持ちがあることも事実でございます。 ただ、一つ問題かございますのは、銀行におきます口座というものは、銀行、信託銀行、相互銀行、信用金庫等あわせまして、と申しますのは、農協等はちょっといま別にいたしまして、それだけでも二億に近い預金口座の数がございます。四十七年で大体一億八千五百万口というような口数になっております。このほかに郵便貯金があるわけでございまして、たいへんばく大なる口数でございますので、かりにこれを総合課税のほうへ持っていくということにいたしますと、かなり問題がある。現在の非課税貯蓄扱いになっております口数が大体全体の預金口座の中の三分の一を占めておりますが、こういう状態でございますし、非課税貯蓄というのは比較的金額の小さいものが多いわけでございますので、さて、これを総合のほうに持っていくということになりました場合には、いかようにして名寄せをするかという問題に突き当たるわけでございまして、一面においてわれわれ税の立場からいえば、どうしても総合に持っていくべきだという気持ちは持ちながら、さりとてこの名寄せをどういうふうにするかという問題との関連を考えてみますと、なかなか現実的に処理をする方法が見つかりにくい。 現在は一部の銀行におきましてはだんだん電子計算機等によって番号化は行なわれていますけれども、これはその銀行内だけの問題でございますし、多種多様の銀行相互を通ずる名寄せということは、いわばまことにむずかしい状態にございます。それこれ考えてみますならば、おっしゃるように、公平のほうからいうと問題かありますけれども、なかなかやめるわけにもいかないという現状でございます。
○村山(喜)委員 いま一人百五十万円ですか、国債もそうだったと思いますが、そういうふうにして名義を子供のものあるいは女房の分に切りかえて、そして少額非課税の措置を受ける。ところが、実際最低課税所得の百十二万円以下の人が一体どれくらいおるのか、それ以上の人の場合が一体どうなっておるのか。私は総合課税の原則というものが確立をされるのが正しいと思いますので、そういうような点からいえば、百十二万幾らの課税最低限度額以下の人の場合には、そういうようなものをつくらなくても別に困らないわけです。それ以上の場合には若干のメリットがあるというだけのことであって、小さな預金者が預金をしたために受ける利益というものはあまりないのではないか。むしろ大口の預金者の利益を守るためにこの租税特別措置法の少額貯蓄の利子等の非課税やあるいは国債の利子の非課税の適用対象というものが使われているのではないか、そういうふうな気がしてならないわけですが、そうでないという資料がございますか。
○高木(文)政府委員 貯金問題については、実にいろいろな問題がございます。それで、御指摘のような問題点も相当あるわけでございます。ただ、御指摘のような、現在の非課税貯蓄の適用を受けておられる方が総合所得になったら一体どういうことになるか、現行の所得階層別に非課税貯蓄の口数、金額を調べるということは、これは突合がちょっとできませんのでやりようがないということになっておるわけでございます。ただ、私どもの経験では、中にはいろいろな調査事案を通じてこの制度がうまくいっていないという場合をしばしば見出すわけでございます。 そこで、当面私どもの最大のやるべき仕事として考えておりますのは、これはむしろ国税庁の執行と関係があるわけでございますが、非課税貯蓄が本来あるべき姿のとおり行なわれているかどうかということがまず問題でございまして、御存じのように、百五十万円まで非課税ということになっておりますが、この百五十万円というのは、何カ所かの銀行に預けましても、全部を通じて百五十万円でなければならぬ、多種類多店舗で百五十万円ということになっておるわけですが、Aの銀行の窓口にお客さんが預けに来られたときに、あなたはほかの銀行に預けておられますかということを聞くわけでございますけれども、その方が、いや、私はほかに預けていないと言えば、銀行としても調査のしようがないということで、百五十万円の制度を残すかやめるかという問題の前に、むしろ現行の百五十万円の制度を乱用されてはいないか、本来百五十万しかだめなはずのところを、事実を偽わって、他の銀行と二カ所で、たとえば三百万円まで別の名前で預金を持って非課税になっているものがありはしないかというような問題があります。それをなくしますためには非課税貯蓄の名寄せということが必要なわけでございますが、何ぶんにも先ほども申しましたように六千四百万件ありますから、六千四百万件の名寄せということは現行上実際問題としてはほとんど不可能に近いので、現実にはある程度のサンプル的突合しかやっていない現状でございます。 そこで、そういう制度自体、多種類多店舗で百五十万円までということ自体が現実的でないから、何らかそこを自動的に歯どめがきくように、一種の名寄せが自動的に行なわれるような方法がないかというようなことが当面課題になっておるわけでありまして、今回、先般御審議が終わりましたが、所得税法の九条一項一号で郵便貯金について一部改正をしていただきましたが、その改正もこれに関連のある問題でございます。私どもといたしましては、そこにあらわれておりますように、まず現行非課税貯蓄制度が制度の予定したとおり正しく運用されるように、何か合理的に制度の仕組みを組み立てていく必要があるということで、郵便貯金を除いて六千四百万という件数は、人口の数等から見ても、件数としても若干多いようにも思われますし、そこを銀行局とも相談をし、銀行協会等銀行の連絡指導に当たっておられる機関とも相談をして、漸次この非課税制度自体を正しい運用に持っていかなければならぬというように思っておるわけでございます。それを一挙に廃止するということも一つの考え方ではございましょうが、それはまさに長い歴史を持っておるわけでございますし、それから零細な方もたくさんあるわけでございますから、一部に高額所得者がこの制度を利用し、かつ場合によって必ずしも正しくない利用のしかたが行なわれておる心配があるからといって、制度のほうをやめてしまうというわけにもまいらないというのが私どもの考え方でございまして、これはかねがねやってきておりますが、今後とも何とかこの制度がいまのようなことよりももう少し正しく運用されるように、主として国税庁を中心にして努力を重ねてまいりたいと思います。
○村山(喜)委員 利子所得だけで収入を得る人の場合の最低課税限度額というのは白色と同じですね。そしてその人がもしサラリーマンであった場合には、自分の得た収入の黒字部分、剰余部分を貯金をする、それも合わせて百十二万以下の零細な所得者の場合には少額利子課税特別措置の恩恵はないわけでしょう。だから、少額貯蓄の軽課措置の利益を受けるのは、その課税最低限度額以上の収入のある人でなければ受けられないというたてまえになっているでしょう。ですから零細なものがあるからということでは理屈にならないと私は思うのですよ。むしろこの恩恵を受けているのはそれ以上の所得のある人の場合であって、そういうようなものよりも、やはり課税最低限度額を引き上げる、そして総合課税にするという原則を税法では立てるべきではないかと私は言っているわけです。
○高木(文)政府委員 もし総合にするという仕組みを考えます場合にはどうしたらいいかということになりますと、現段階では、窓口で利息を払います場合に、普通の場合には、総合のほうを選ぶという預金者であれば一五%の源泉徴収をいたします。総合にしないでむしろ分離でいってくれという方には二五%の源泉徴収をするということになっております。これは非課税貯蓄のこえた部分についてそうなるわけでございます。 そこで、私ども頭に浮かびますのは、もしこの非課税貯蓄をやめてもいいんじゃないかということでありました場合にも、それをこえます金額のものについて、現在行なわれておりますように、源泉課税そして総合、あるいは源泉選択制度というようなものはどうしても残さないといかぬ。というのは、そうでないと、利子を支払う段階での源泉課税が全くないといたしますと、どなたがどれだけの利息を受け取られたかということがわかりませんし、申告が期待できないということになりますから、どうしても利子支払いの段階で一ぺん源泉制度はなくてはなかなか動かぬのではないかと頭に浮かぶわけでございますが、今度はそれを前提にして総合にいたしますと、いまのサラリーマンの二千七、八百万の方々も何らかの形では預金をお持ちになっておりましょうから、その方々が全部総合申告のほうに回ってくる、そしてもし一五%で源泉徴収をしてあれば、その方の給与その他の上積み税率が一五%をこえておれば確定申告の段階で幾らか税金を納めていただかなければなりませんし、もしその方の給与その他を含めての本来負担すべき限界税率がかりに一五%以下程度の所得者である場合には還付をしなければならぬ、こういうかっこうになりますので、全部の納税者がきちっとやるということを前提といたしますれば、サラリーマンの全部の納税者について総合をして納めていただくか還付をするか、いずれにしても二千七、八百万の方に確定申告の段階で書類を出していただくという手続になっていきますからして、これはまたかなりたいへんなことになるのではなかろうかというような感じがいたします。 そこで、そこまでいかなくても、非課税はあまり好ましくないから分離、比例にしたらどうだというような御議論もあろうかと思いますが、ただいま御指摘のように、全部総合にするということになりますと結局そっちへこなければならぬ。それで、現在の非課税貯蓄の口数は六千四百万件あるわけですが、これはそれこそ子供さんや奥さんのものもありますから、子供さんや奥さんでほかに所得がない方の処理とかいろいろな問題が起こってまいりまして、やはりそれはなかなかたいへんではなかろうかという気がするわけでございます。 そこで、私どもは、先ほど申しましたように何よりも現実的な問題といたしましては、非課税貯蓄制度の限度がきちっと守られるようにして、それを越える部分についての総合をまず充実していくということが先決問題ではないかと考えるわけでございまして、御存じのように昭和四十五年度の税制改正におきまして初めて預金について源泉選択の制度が入れられ、その税率が漸次上がってまいりまして、本年一月一日から二五%になったわけでございます。この源泉選択制度がうまく動いて、源泉でやるよりは総合したほうが有利というような方もたくさん出てきますので、そこらで順次総合のほうに持っていくというのが現実的なやり方ではないかと考えているわけでございます。 この問題はなかなかやっかいでありますのは、預金についてこういうことがありますと同時に、株式についてもやや似て非なる制度があるわけでございまして、株式配当についても完全総合に持っていけというようなことになるのでありましたならば、これは一部に非常に強い反対がありますが、いわゆる納税者のナンバリングシステムというものでも採用しませんことには、現実的に完全総合は不可能という感じがいたします。
○村山(喜)委員 時間がありませんのでその問題はそれでおきますが、やはり還付をするようなそういう事例は、総合課税の選択をした人の場合には、よけい取られておったら確定申告の段階で払い戻しをしてくださいということでやるのが当然なんです。私はそう思います。ですから、課税最低限度額以下の人の場合には、これを現在少額貯蓄の優遇策という名に隠れて実際はよけいに税金を取られておる人がおるんだ。そういうような意味において、大きな資産を持っている人の場合が利益を受けているような租税特別措置というのはおかしいわけですから、もう一回洗い直していただきたいと思います。 そこで次の問題に移りますが、今度租税特別措置に新たに設けられました、いわゆるマスキー法によります低公害車を開発するのに対しまして課税の減免をするというのが出ております。ところが、これは「時の動き」という総理府が出したものですが、自動車の排気ガス規制というので、運輸省令によりますと四月一日以降の車については四十八年度から点火時期制御方式あるいは触媒反応方式によって排気ガスを減少させるための取りつけをやらなければならない、こういうことになっておりますね。これは、東京、大阪など早いところは五月一日からやるわけです。それは、車一台について一体どれくらいの金がかかるのですか。
○景山説明員 お答えいたします。 いま先生からお話のございましたのは、現在すでに使われております車につきましての光化学スモッグ対策の措置でございますが、いろいろ品物がございますので値段の幅がございますけれども、点火時期の制御方式によります装置につきましては大体千円から三千円くらいの幅になろうかと思います。これは装置の価格でございまして、このほかに若干の取りつけ工賃が必要とされます。それから触媒反応方式によります装置、これは点火期時制御によります装置とどちらでもよろしいわけでございますが、触媒反応方式によるものですと二万から三万円という装置の値段でございまして、そのほかにやはり若干の取りつけ工賃が要る、こういうことになっております。
○村山(喜)委員 それでいま持っている中古車、これは私も持っておるし、そういうような意味でお尋ねをしておきたいわけですが、排気ガスを規制をする、そのために軽自動車は点火調整だけでよろしい、それから千八百CCをこえるものについてはいつからというふうに期日をきめまして、いま話がありましたように、点火時期制御装置には、手数料まで入れたら五千円から七、八千円ですね。それから触媒反応装置については二万円から三万円ぐらい、これはみんな自己の負担でやるわけですね。そうすると、今度マスキー法によるところのその分は、新たに開発をしようというものとの関係はどうなりますか。やはりそれも、そういうような公害車は走れないように、そしてそのような排気ガスによるところの公害を除去しようというようなことでお出しになるのと違うのですか。目的は同じでしょう。いわゆる光化学スモッグの発生にかんがみて、自動車の排気ガスの対策についての措置が運輸省のほうから制定をされたわけでしょう。そのことと、今度マスキー法によるところの排気ガスを低減をするのとは、考え方の基本においては同じじゃないのですか。
○景山説明員 考え方の基本におきましては、先生おっしゃるとおりでございます。ただ、規制を、いろいろ段階的に実は実施いたしてきておりまして、一酸化炭素につきましては、これは光化学スモッグに関係のないものでございますので、これにつきましては、昭和四十一年からすでに規制をいたしております。光化学スモッグに関係のございますのは、炭化水素と窒素酸化物、この二つでございますが、これにつきましては、四十八年の四月一日の新車からの規制、これは現在の技術でできる範囲内の規制を実はいたしております。それから新車だけでは不十分でございますので、先ほど御説明申し上げました現在すでに使われております車、われわれは使用過程車と申しておりますが、これにつきまして、そういった装置をつけるということで光化学スモッグの対策をする。 それからもう一つ、いまお話がございましたいわゆるマスキー法でございますが、これは日本の場合には、中央公害対策審議会の答申に基づきまして、昭和五十年、窒素酸化物につきましては五十一年でございますが、それからさらに格段に強化をしよう、こういうふうな体制になってございます。それで四十八年の新車の規制のもの、これは五十年以降の環境庁の中央公害対策審議会の答申のものと比べますと、これは現在の技術でございますので、あるところに低減がとどまっておりまして、五十年のほうは、いまやその技術ができるかできないかというような相当高い技術のところでやっている、こういうことでございます。考え方につきましては、公害対策ということにつきまして全くベースは同じでございます。
○村山(喜)委員 いま走っている、われわれが持っているそういうような中古車については、一片の通達によりまして、そういうようなことでやらなければ車の運転ができないわけですね。そういうような規則ができたわけです。これは自己負担ですね。それは程度の差はありますが、今度規制をしようという昭和五十年から先の分については租税特別措置で恩恵を与える、こういうような思想ですね。そんなにしてやらなければだめなんですか。
○高木(文)政府委員 その話はわかりました。私どもの考えでは、低公害車について規制が行なわれまして、それに伴っていろいろな意味で負担がふえるという分は、本来、税で何らかの処理をすべきものではなくて、非常に冷たい言い方になりますけれども、利用者に負担していただかざるを得ない。規制を加えてこういうコスト増が起こりますよということはありますけれども、それを個別に税制で何らかの処理をするということは適当でない。法律でもうそういう車でなければ走れないというようにきめれば、そこはやはり利用者の方々に負担していただかざるを得ないという考え方でございます。 ただ、今回お願いをしております税制上の助成措置というのは、それとはやや趣を異にいたしまして、四十八年の下期ないし四十九年の上期におきまして、法令上はそのような規制かないにもかかわらず、つまり五十年になったら走れないかもしれませんけれども、四十八年、四十九年の段階では、まだそういう低公害化をはからなくても走れることができるのにもかかわらず、どちらかというと、先行してきつい基準にのっとったところの車を買って走ろうという方がある場合の負担を軽減しよう、こういうことでございます。 と申しますのは、四十八年の下期なり九年なりに新しい車が出まして、これがコストがたいへん高い、しかも、まだそういうコストの高い車は乗る必要かない、買う必要がないわけなんでありますけれども、やはり公害をまき散らすよりはいいということでそういう車を買う方があった場合に、その方の負担を軽減することができれば、法律上は五十年からこういう規制になりますよということがありますけれども、それよりも年ないし一年半早くそういう車が世の中にたくさんふえてくるということは望ましいことじゃないかということから始まっているわけでありまして、本来は、あくまで規制によってこういう車でなければ走れないということになるのであれば、それに伴う経費増の部分は本人負担で処理せらるべきであるという考え方は、四十八年基準につきましても五十年基準につきましても一貫をしておるというつもりでございます。
○村山(喜)委員 おかしいですよ。それは当然低公害自動車を生産をしているメーカーのためにあなたは言われているようなことなんですよ。われわれがいま乗っているのは中古車であり、そしてそれは自分でちゃんと、そういうような排気ガスの制限を頭から規制をされたのでそのとおりのものを取りつけて走るわけですよ、大衆は。その低公害車を開発をするために、そういうようなものに対してコストアップ分の半分を減税をしようというわけでしょう。ですから、発想のしかたが、大衆にはそういうようなのをやって、そしてコストアップになる分のそういう低公害自動車をつくろうとするところの企業の売れ行き等を考えながらおやりになっていらっしゃるわけですから、それは発想のしかたが違う。
○高木(文)政府委員 いまの中古車の場合につきましては、これは現在何も規制がないわけですから、四十八年基準はともかくとしまして、五十年基準は五十年からしか働かないわけでございますから、五十年基準は五十年から働くところをその前から何かやれという話ではないので、それからまた五十年基準ができてしまえば、その車でなければ乗れないわけですから、何らそこに税制上対策を要するということはないわけでございます。 ところが問題は、いろいろな企業がございますけれども、いろいろな企業が公害をいわばばらまくような自動車をつくってそれを世の中に売り出すか、なるべく公害をばらまかないような自動車を早目につくって世の中に売り出すかという場合に、どう考えましてもやはりなるべく早くそういうものをつくってもらって、そして世の中に公害をまかない車を五十年以前でも早く走らせてもらうことが望ましいということを考えますならば、取得価格が高くなり、かつ維持費が高くなるような低公害車を規制がない以前において買うという方があれば、なるべく買ってもらったほうが望ましい、こういうことはやはり言えるわけでございまして、もちろんこの低公害車としからざる車とが競争関係にありますからして、そういう意味で、結果といたしましてそれは産業対策になるということはあります。ありますけれども、それではそれをしなければ、かなりの価格差が出てくる関係上、なかなか一般の方は低公害車を買わないで従来の車を買うであろうということを考えますならば、このような制度は単純にメーカーのための制度であるということは言えないのではないかと思うわけでございます。
○村山(喜)委員 それはそういうようなものだけ、新車について規制をやる、昭和五十年から先の分はそういうようなことで、いま四十八年からそういう車に乗って走る場合には特別な措置をする、ほかの車については規制をしないというのだったらわかりますよ。ほかの車も、中古車は規制をするのですよ。これはことしの五月一日から規制されるのです。そういう保安基準を改定して出しているわけですよ。
○景山説明員 少し私の御説明が足らなかったところがあるかと思いますが、技術的にちょっとわたりますけれども御説明いたしますと、たとえば炭化水素について例を申しますと、中古車について措置をいたしました場合、大体一〇%程度炭化水素の排出が減るというものでございます。それから四十八年度の規制の新車でございます。新車につきまして炭化水素の場合約二〇%減るという規制でございます。ところが、まだこれは正式にきまっておりませんが、環境庁の中央公害対策審議会の答申及びそれに基づきます五十年規制方針につきましては、大体炭化水素が九〇%減るというものでございまして、同じく規制はしてございますが、光化学スモッグ対策に寄与します有害ガスの減り方が、現在の中古車規制はおおむね一〇%くらい減るものだ。ところがいまお話のございます五十年の規制に合う車と申しますのは九〇%減る。そこが違うところでございます。ちょっと御説明足りませんでした。
○村山(喜)委員 それはHCで一〇・一%、それからNO2で一七・九%、こういうふうに計算をして、現在走っている車を規制をしようということだと書いてあります。それはそれでやったほうが、東京のスモッグがそれだけ減るわけですからいいわけですが、これはやはり個人の負担でやるのですよ。運輸省の負担でやってくれるのじゃないのです。ところが片一方の租税特別措置法の場合は、もちろん程度の差はあります、しかしまだ環境基準自体がきまっていない、決定していないわけですから、あなた方の場合は、アメリカに輸出をすることを前提にした車の開発ということでお考えになっていらっしゃるわけです。それについては個人負担の分が多くならないようにしようというので、六万ないし十万のコストアップ分の半分を減税で見ましょうということなんです。だから、そちらの新車を買える人は、これは能力がありますよ。そういう高い車でもいいから、よし、おれは買って乗るのだという人は能力がある。普通の場合には能力ない。能力がない者にはそういうふうに三万円ぐらいのそういうようなのをつけさせて、そしてこれは強制です。こっちのほうは税金でまけてあげましょう。そういう形の考え方はおかしいじゃないかと私は言うのです。こっちのほうを規制しない、こちらだけをやるのだったら、それは意味がありましょう。
○山本(幸)政府委員 私の聞いているところでは、この窒素酸化物並びに炭化水素を除去して光化学スモッグを退治しようという、そういう技術開発は、これはマスキー法の発動と時期を合わせて世界的に非常な注目の的であったと聞いておるのです。しかしその注目の的であった技術開発が日本でできたということなんです。それで、日本は光化学スモッグが夏になるとたいへん起きる。そこで外国に出す、特にアメリカに出すものはもうマスキー法に合致したものでなければ輸出はできない。そうすると今度は外国に出すものはマスキー法に合致した低公害車、価格は幾ら高くなるのか知りませんが、運輸省のほうからお聞きいただきたいのですけれども、相当高くなる。しかしいずれにしろ、そういう低公害車を外国に輸出するが、国内には相変わらず窒素酸化物あるいは炭化水素を出すものを発売して、そして光化学スモッグで国民を苦しめるというわけにはいかない。だからやはりそういう低公害車に国内の車も逐次していかなければならない。しかし一ぺんにはできません。 そこでいま私は運輸省のおとりになった措置はそういう一〇%あるいは二〇%という程度でがまんをするが、しかし少なくもできるだけ減らしていこうという、そういう努力だと思う。そこで五十年以降は高くてもそれでなければ新車はありませんよという体制にだんだん私はなっていくんだろうと思うのですが、しかしそれまでのほんの一年ばかりの間の、要するにそういう車をひとつ奨励をいたしますという、そういう政策を込めた税制措置である。だから、これを特定の会社のためにやっているんだ、そういう考え方ではなくて、日本の光化学スモッグというものをなくしようという、そういう一つの目標を前に置いて、その目標に向かっていま一生懸命で進んでいる。その過程で一年ばかりの間そういう奨励措置をひとつ講じましょう、私はこういうことであろうと理解をいたします。
○村山(喜)委員 政務次官、じゃお尋ねしますが、あなたはどういうロースでどういうところを走ったときの標準値を想定をしていらっしゃるのですか。ローで走る場合とそれからセコで走る場合とファーストで走る場合、違うでしょう。一体その基準はどこにあれを求めて、基準値はもうでき上がったのですか。これができないで非常に困っている。走り方によって出す公害の分量も違うのですよね。だから坂道の場合と平たんな場合とは違う。一向にその基準ができないものだから、この税法のこれに間に合うだろうかといって心配をしているというのが率直なところなんですよ。それだけ税法のほうが先走ってつくってみたって、これはしようがないじゃないですか。
○景山説明員 いまお話しの走り方のほうの問題、技術的なことでございますので私、お答えいたしますけれども、アメリカはマスキー法という話がございますけれども、これはアメリカの話でございます。わが国のはやりわが国の国情に合いました走り方で規制をしなければいけません。これにつきましては、先般中央公害対策審議会の専門部会がございまして、日本の走り方、ちょっと恐縮でございますが御説明いたしますと、アメリカの規制の場合には最高速度が九十二キロ、平均速度三十一・五キロ、そういう走り方でございます。これはいま先生おっしゃいましたようなローとかセコとかトップとかいろいろございますけれども。それから日本の場合は平均速度が十七・七キロ、つまりこういった過密都市の中の走行実態に合ったもの、そして最高速度が四十キロ、こういう走り方の場合の規制でいくのがよろしいという答申がついせんだって出ましたので、これからさっそくに今度の低公害税制の車でございますね、これにつきましての技術的な準備を進める、いまこういった段階でございます。
○村山(喜)委員 じゃちょっとお尋ねします。もう時間がないのですが、日本の場合にはそういう低速度で走る、それに間に合ったように保安基準をきめる。今度アメリカにそれが出された場合に、高速で走りますね。その場合の排気量の中に占める一酸化炭素なり窒素化合物の場合は、その排出の量はどういうふうになりますか。
○景山説明員 非常に複雑になりますがまとめて申し上げますと、日本の場合は、先ほど御説明いたしましたように、走行速度が低うございます。低うございますと、大体エンジンが冷えがちでございますので、一酸化炭素と炭化水素につきましては、日本の基準でやりますと、それをアメリカのような走らせ方をいたしますと、向こうへ行ってもっと排出量が少なくなります。つまり日本の規制のほうが一酸化炭素と炭化水素につきましてはきびしい結果になる、こういうことでございます。そういう違いはあります。
○村山(喜)委員 そういうようなきびしい基準をつくって、それでいまから開発をしていくわけですが、そういうようなのができるんですか。いつできますか、その車。
○中村説明員 いろいろの一般紙でも報道されておりますように、アメリカの環境保護庁、EPAと申しますか、ここでマスキー法の問題について一年延期するかどうかというような審査をしているわけでございますが、ここでの、ただいま整備部長が申しました日本の保安基準そのものではございませんが、アメリカの高いマスキー法レベル、これと同じような平均的なレベルを日本も実施することを、昨年秋に環境庁の告示という形で決定したわけでございます。このEPAの審査で、すでに日本の本田技研のCVCCエンジンを使用しましたものと、東洋工業がロータリーエンジンにサーマル・リアクターをつけましたものについては、パスした結果が出ておりまして、それぞれ高い評価を受けております。これが日本の現実の保安基準あるいは現実の市販というような計画につきましては、まだ未決定の面がございますが、私どもといたしましては、この両社あたりが最初にこの低公害車という形でほかの自動車よりもはるかにすぐれた性能の車を販売し得るものと考えております。
○村山(喜)委員 一体マスキー法がアメリカで一年延期されるかどうかそれもわからぬわけでしょう。一年延期されるような情報もありますね。そうしたときに、日本だけこの低公害車を早くつくっていかなくちゃいかぬ。だからそれは本田技研と東洋工業の会社が開発をしているものなんだから、これについてはそういうコストアップの分をその物品税においてもあるいは地方税においても軽減をしてあげましょう、こういうような形になってくると、どうも大衆には、いま走らしている車からはつけなければ車は走ることができないように、程度は悪いわけですけれども排気ガスの規制をやる。(「ことしからだろう」と呼ぶ者あり)これはもう五月一日からですよ。片一方の場合には、そういうような低公害車に乗ります人のためにというようなことで租税特別措置で措置をする。ちょっとそういうようなのは、本来企業が負担をすべきものじゃないでしょうかね。国民が税金でそれを特別にカバーをしてやらなければならないものかどうかですね。(「輸出優先だ、それは」と呼ぶ者あり)それで、やはりそういうような意味においては、輸出優先の考え方というものを、そういう自動車産業というものに税法の上においても協力をする、こういうような印象を与えておるわけだと私は思うのですがね。
○高木(文)政府委員 今日から五十年法ができます間の約二年間の間に低公害車と低公害でない車が市場に出てくるわけでございます。その五十年過ぎてしまいますと、いまの、いつどういう基準で規制が正式に最終的にきまるかはわかりませんが、一応五十年からマスキー法的なものが日本でもできるということを前提とする限りは、五十年を過ぎますれば低公害車しかないわけでございます。ところが、その途中で低公害車と低公害車でないものとが並列的に商品として売られてくるわけでございます。それで、社会的にいえば、どう見ても低公害車のほうが望ましい。にもかかわらず、低公害車のほうがお値段が高い、こういうことになるわけでありますから、なるべく一日でも早く、少しの量でもいいから低公害車を買ってほしい。そうすれば社会的にも好ましいし、五十年への切りかえもスムーズにいくということであるならば、それが望ましいのではないか。もしこの制度がなければどうなるかといいますと、企業の負担と言われますけれども、これはやはりどうも赤字というわけにはいきませんでしょうから、企業はたとえば六万円ないし十万円高く低公害車を世の中へ出していくということになるわけでありまして、六万円ないし十万円高く低公害車が出ていく場合と、その高く出ていく程度が半分程度で済む場合とでは、ユーザーが買われる場合に、まあまあ少し高いけれども、そういうものであれば買おうかということが働く余地があるのではないか。それが、たまたまそのまん中の四十八年から四十九年の二年間だけは二つの違う種類のものが並列して市場に出ていく。その場合に望ましいほうがたくさん買ってもらえるようにしたい、これだけのことでございまして、その場合に企業の負担と言われますけれども、そこは企業がもし赤字ででも売るとかなんとかということまでいけば別でございますけれども、どうも私どもが担当省から伺いましたところではそれはむずかしいようでございまして、決してそれによって企業がまあ経理が楽になるということではなくて、その結果価格が下がってくる。何しろこれは物品税でございますし、片方は不動産取得税でございますから、そういうことでこのユーザーの負担が下がってくるということが、ほぼ、やるとやらないとではそれだけ下がるということであれば、それは望ましい車のほうがよけい早く町で走るようにすることはいいことではないか、まあきわめて単純にそう考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 これで終わりますが、まあ本田とか東洋工業はそういう開発かできる。日本の自動車の最大のメーカーであるトヨタとか日産はそういう技術がない。そうして本田の車に乗っておれば、これは昭和五十年からあとでも使える。あるいは東洋工業の車に乗っておっても、規制が完全にされたあとでも乗れるわけでしょう。それだけの価値がある。トヨタの自動車、日産の自動車を今度新しく新車を買ってみても、一年しか乗れないんだということになれば、それは値が下がってくるはずですよ。 ですから、そういうような税法上の利益を考えてやらなくても、そういうような規制が将来の利用価値の上において影響を与えるということであるならば、そういう特別措置をとる必要はない。大衆は、規制をされて五月一日からはそういう保安基準に基づいて車を走らせなければならないわけでしょう。それに対する自己の支出というものも当然伴うわけですから、そういうような点を考えていった場合にはこれは問題があるということを指摘をして、私の質問を終わります。
○大村委員長代理 次回は、明四日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十九分散会