大蔵委員会 第15号
- 発言数
- 217 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/03/23
会議録
○鴨田委員長 これより会議を開きます。 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。村山喜一君。
○村山(喜)委員 いままで関税政策の中で論議をされましたものはできるだけ重複を避けながら問題を詰めてまいりたいと思いますが、中には大臣に答弁を願わなければならないようなものもあるかもしれません。そのときには委員長のほうで保留をさせていただきたいと思いますが、まず、宇宙開発用品について、このたび関税の無税制度をとっているわけであります。そこで、これはロケットと衛星ということになるわけですが、宇宙開発の現状を関税当局としては一体どういうふうにとらえているのか、まずこの点を明らかにしてもらいたいと思います。もし、それがはっきりわからないようであれば、それぞれ科学技術庁なり、あるいは郵政省のあたりから出席を願わなければならないのではないかと思います。 これは五十年まで関税の減免制度を適用するということになっております。私が調べたところでは、実用衛星の場合には日本の国内において大体体制ができるけれども、実用ロケットの場合には、五十三年以降にならなければ国内における開発はできないというような現状になっているのではないか。そうした場合に、アメリカの航空宇宙局のロケットを買ってきて発射させるべきだという意見もあるし、国内において、そういうような技術開発を進めて、実用段階のロケット製造までいくべきであるという意見もあるわけです。そういう立場から見た場合に、宇宙開発用品の減免制度というものをいまここで論議をしていく場合に、関税当局として、どういう受けとめ方で五十年の三月まで入れるものについては減免の措置をするというふうに定められたものか、そういうふうにしようとする意図をこの際、明確に示してもらいたい。
○大蔵政府委員 ただいまの、将来の宇宙開発計画に関しましては、専門の役所でお答えいたす以外にはないかと思いますが、少なくとも私どもが当局から聞いております範囲内におきましては、五十三年度に実用ロケットを日本において打ち上げるつもりで現在研究を進めている。したがいまして、今日までは御承知のように、学術研究用の部品の輸入に関しまして、関税の減免をいたしておったわけでございますが、今回御審議をお願いいたしておりますのは、五十三年度以降に打ち上げる予定になっておりますところの実用ロケット用の部品の購入等に関しまして、宇宙開発事業団が購入いたしまする部品を減免する、こういうことで、私どもの聞いております範囲内におきましては、実用ロケットに関しましては、日本において、できればこの技術の開発をこれから進めてまいりたい、こういう意図であると私どもは了承をいたしておる次第でございます。
○村山(喜)委員 四十八年度の予算に関連をいたしまして、郵政省の場合ですが、初めに予算の査定で四十億円、気象庁の場合は十三億円予算がついたわけですね。それが宇宙開発委員会のほうからクレームがついて八億七千万円に削られて、たしかまたそれが二十億円になり、そして最後はまた八億七千万円に変わってきたわけですが、その気象衛星は、そうすると、世界気象機関等国際科学連合の地球大気開発計画に基づいて気象衛星の打ち上げは五十一年にやるのだということがきまっているようですね。 そうなりますと、その衛星はアメリカの航空宇宙局のロケットで打ち上げる、こういうことになるわけでしょう。そういう状態の中で、いまお話がありましたように、実用ロケットを三菱重工が中心になって開発を進めて、これは五十三年以降でなければできない。その宇宙開発事業団の購入する分については、これは開税の免税をやって、衛星だけじゃなくてロケットも国内で開発をやっていくということになってきますと、明らかに食い違いが出てきているのじゃないですか。
○大蔵政府委員 私もいまの宇宙開発、気象衛星その他の問題に関しましては詳しくございませんので、当局をただいま呼びまして御説明をいたしたいと思いますが、従来東大の宇宙航空研究所で行なっておりましたところの科学衛星の開発は引き続き推進をいたしますとともに、宇宙開発事業団におきましても、通信衛星等の実用衛星及びその打ち上げのための大型のロケットの開発を行なうという宇宙開発計画の決定がございまして、宇宙開発事業団といたしましては、その決定を受けまして、当面その打ち上げが明らかになっておりますところの技術試験用の衛星四個、これらを打ち上げるための大型のロケット、これはN計画といっておるようでございます。Nロケットの開発を宇宙開発事業団においても進めるという計画に相なっておりまして、これらの人工衛星あるいはロケットの打ち上げ、そういったようなものに必要なる一連の計画、これをN計画と称しておるようでございますが、そういうものに必要なる部品の輸入を行なうということで私ども説明を受けておりますので、それに基づきまして宇宙開発事業団が購入をいたしまするところの、このN計画の実施のために必要なるものを今回免税措置を行なう、こういうことでございまして、いまの五十一年に打ち上げを予定されておりますところの気象衛星その他の問題に関しましては、私つまびらかにいたしませんので、関係の当局から御説明をいたすことにいたしたいと思います。
○村山(喜)委員 科学衛星は東大の宇宙航空研究所でやって、四十六年の九月ですか、成功しているわけですね。実用衛星については宇宙開発事業団がやる。これは四十七年度までに固体燃料のロケットの開発をやって、そうして電離層の観測衛星を打ち上げるというところまで持っていくのだ、四十九年度までに液体燃料ロケットの開発をやり、実験用の静止通信衛星を打ち上げるのだというようなことを計画しているようです。現在、おっしゃるようにNロケットの開発中であって、これの五十二年完成を目ざしてやっている。そういう一連の計画を立てて、開発事業団の場合には仕事をやっている。ところが、宇宙開発委員会では、早期打ち上げ論がNHKあるいは郵政省あるいは電電公社あたりから出てきたために、アメリカの技術も輸入に踏み切るのか、あるいは国産でいくのか、そこら辺について結論をこの三月中に出さなければならないであろうというようなことを言っているようであります。そうなると、どういう結論を出すのか、それに基づいて、受けざらであるこの関税の措置というものは変わっていかなければならない、こういうふうに考えるわけですが、そこら辺は政務次官、どうなっておりますか。
○山本(幸)政府委員 いま宇宙開発のいろいろな計画、これは予算の過程で多少経緯があったようでありますが、それらと関税との斉合性という問題についてお尋ねがございました。しかし、私も宇宙開発の現在の計画の進行については、あまりつまびらかでありませんので、関係当局を呼んでお尋ねをいただきたい、こう思います。
○大蔵政府委員 ただいま先生がおっしゃいますように、ロケットそのものを現在アメリカから輸入をするか、あるいはロケットの部品を日本にノックダウン方式によって輸入をいたしまして、それを日本で組み立てるか、確かに現在もめていて、まだ結論が出ていないようでございます。しかしながら、私どもの立場といたしましては、ロケット自体を日本に輸入をいたしますにしろ、あるいは部品として日本に輸入をいたしますにしろ、日本で現在国産が困難であるという現状からいたしまして、要するに実験用、あるいはいわゆる実用ロケットというものの限りにおきまして、これを宇宙開発事業団が日本に輸入をいたします場合には、関税を免税いたしまして輸入をする、こういう扱いにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 これは開発事業団が購入をするものに限っておりますか。それとも宇宙開発のロケット分については、液体燃料ロケットの一段目は三菱重工がやり、それから小型液体燃料分の二段目のロケットについては石川島播磨ですか、それに三段目は日産自動車が固体燃料のロケット開発をやるのだ、そういうようなふうにロケット開発の分については、それぞれの関係の会社がやっているようでありますが、そういうようなところが入れるものを免税にしようとしているのですか。どっちなんですか。
○大蔵政府委員 民間の会社が部品を輸入をいたしまして、それを民間の会社においてつくりましたものは、必ず宇宙開発事業団に最終的には納入をされるということになっておりまして、宇宙開発事業団が直接輸入をいたす場合と、民間の会社が一応自分の手で輸入をいたしまして、それを宇宙開発事業団に対しまして納入をする、こういう二つの経路があるかと存じます。
○村山(喜)委員 二つの経路がある場合には、これは何か政令で定めるわけですか。その使途が明確にされるような措置がとられるわけですか。条文の上からはどうなりますか。
○大蔵政府委員 使途の制限は、政令委譲はいたしておりません。
○村山(喜)委員 これは明らかにロケット開発用のものであるというように税関で認定をするわけですか。どこでやりますか。そして、それは他に転用しないというふうにどういうふうに規制をしますか。
○大蔵政府委員 税関におきまして、これは衛星用である、あるいはロケット用であるということの認定をいたしまして、もしその目的以外にこれが使われました場合には、後ほど関税を追加徴収をする、かようなことに相なっているわけでございます。
○村山(喜)委員 第六条の「これらの製作に使用する素材のうち、本邦において製作することが困難と認められるもので政令で定めるものについては、」だから、これとこれはできないから、こうなんだという政令を、この法律に基づいて定められるわけでしょう。そうなると、どういうようなものを予定をされているのですか。
○大蔵政府委員 現在まだ政令をつくっておりませんので、これから関係の役所と相談をいたしまして、日本で現実といたしまして国産が困難である、こういうものを限定をいたしまして政令にあげたい、かように考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 まあ政令の中身もまだコンクリートになっていないということです。もともと宇宙開発計画というのは、政策決定は開発委員会がやる。その開発委員会が早期打ち上げ論があるかと思うと、国内において自主開発の方向で努力をすべきだという意見もある。それについての開発委員会の結論が、まだ今日の段階において出ていない。そうして予算のつきぐあいも、郵政省のほうが出したものにクレームをつけて、予算を少なくて足りるのだと言うてみたり、またそれの半分を郵政省が復活をしてみたり、そして最後は八億七千万円に落ちついたわけですが、そういうふうになってきますと、一体日本の宇宙開発政策というのは、どうなるのだろうかという懸念を私たちは持っているわけですよ。 そこで、その結論が出ていない。これは三月中には結論を出すというのですが、一体どうなるのですか。これはこの第六条でいきますと、完成をしたロケットの輸入も、それから部分品についても全部適用するというふうに法文はなるわけですか。
○大蔵政府委員 政令で部分品あるいは完成品、これは確かに先生おっしゃいますように、現在結論が出ておりませんので、部分品になるか、あるいは全体ということも、国産困難である場合には全体となることもございますが、その点に関しましては、政令を作成いたします段階で慎重に相談をいたしまして決定をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 この条文は人工衛星打ち上げ用のロケット、その完成したものを、アメリカの航空宇宙局のロケットを買ってきた場合にも、これは無税ということになりますか。あるいは日本の国内において生産ができないものについて、そういうような素材を入れる、あるいは部品を入れる、私はこの文章から見ると、その本体そのものではなくて、やはり国内における宇宙開発の立場から開発を自主的に進めていく場合に、国内においては生産ができないようなものを入れるために関税の無税措置をとろうとしているように、この文章では見えるのですが、NASAのそういう完成された本体を入れるときにも無税ということになるのですか。
○大蔵政府委員 人工衛星、人工衛星打ち上げ用ロケット、こういうようなもので、要するに日本で国産、そういう同じ種類のロツットを日本で国産をいたしますことが困難である、ロケット全体が国産をすることが困難である、こういうような場合には、そのロケット全体の場合でございましても、免税とするということがあり得るということでございます。
○村山(喜)委員 そうしますと、三菱電機と東芝が実用衛星の衛星部分をつくるようになっているようですが、これは自主的にもう国内で開発ができるんだ、こういうふうに衛星の本体そのものについては、これはもう製作が可能だということがいわれているようです。そうすると、これは法律の上にはそういうふうに書いてあるけれども、あまり該当しないわけですね、開発が可能であれば。三百キログラムの実用衛星を打ち上げる、その衛星部分については国内においてもう技術が進んでいる、とするならば、そういうようなものについては適用の対象にはしない、この点はいかがですか。
○大蔵政府委員 現在のところ私どもの聞いておりますところでは、確かに国内におきまして作製をすることが、開発が進んでおります部分もあるわけでございますが、それは部分の開発が進んでおるわけでございまして、ロケット全体を要するに国産だけで作製いたすことは非常に困難な段階であると聞いておるのでございますが、人工衛星の完成したもの、あるいはロケットそれ自体の完成いたしましたものを輸入をするという話は、私どものところでは現在実は聞いておらないわけでございまして、その作製をするための部分品を輸入をして日本におきましてこれを組み立て、構成をして、日本で開発をいたしましたものも含めまして日本において作製をする、かように私どもは聞いているわけでございます。
○村山(喜)委員 そうすると、この人工衛星の本体については衛星全体、人工衛星の本体そのものを輸入をするんじゃなくて、その部分品を入れて国内において組み立てていく、そういうようなものを考えているんだ、こういうことですね。
○大蔵政府委員 仰せのとおりでございます。
○村山(喜)委員 まあいいでしょう。 じゃ、その次に進みますが、重要機械類の免税措置が出されておりますが、現在まだ相当残っているわけですね。これは今後どういうふうにしていかれるつもりでしょうか。それからいままでの免税額のトータルが幾らになりますか。それもあわせて……。
○大蔵政府委員 重要機械類の免税適用額は四十五年度から申しますと、四十五年度におきまして四十三億三千六百万円、四十六年度におきまして二十六億九千二百万円、さらに四十七年度の上半期におきまして十三億五千五百万円、こういう数字になっておりますが、三十八年度が過去におきまする最高でござ、まして九十億二千二百万円という数字になっております。 本来この重要機械類の免税制度と申しますのは、設備の緊急な近代化を必要とする事業あるいはそれの育成を必要とする事業に供される輸入機械類のうち、新しい方式であるとか、あるいは高性能の産業用機械類でわが国におきまして国産をすることが困難であるものに対して関税を免除する制度であったのは御承知のとおりでございますが、まあ、こういう重要機械類免税というような制度が必要であるかどうかということは、私どももやはり新しい時代の流れに即応いたしまして考えるべき時期が近づいてきているということは実感として持っておるわけでございます。 毎年毎年機械類に対しまする関税を引き下げてまいりまして、製品関税の水準も相当低下をいたしてきております現在から考えますと、これに対しましては基本的に再検討を必要とする時期が近づいていると思います。したがいまして、先般の関税率審議会の長期答申におきましても、この重要機械類免税制度を含めまして、ほかの制度とあわせて引き続き体系的に再検討を加えていくということになっておりますわけでございまして、最近におきましては、この制度の運用につきまして単なる設備投資の助成というような意味合いではございませんで、やはり公害というような問題、あるいはそういうものを中心として適用するかどうかということで、この適用に関しましては私どもも非常にきびしい審査をいたす。現実問題としてはこの制度の適用を徐々に縮小していくという方向で考えてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○村山(喜)委員 トータルも何千億という減免額になっているようです。それだけ特定の産業に対しては非常に国家的な立場から便宜を与え、そしてその産業の助成にあたってきたわけですね。そして今日の日本の工業水準というものになったことは事実。いつまでもそれを繰り返しておったのでは、そういうような新式または高性能の産業用機械類だけを関税の上において優遇をして、そして高度成長をいつまでも続けるつもりかという国民の素朴な批判は相当強いと私は思うのですよ。これは内容的には政令で指定をするということになっております。で、行政事項になってくるものですから、はたしてこれが政令で指定をされるようなものが現段階においても必要であるかどうか。当然これはほかの機械類と同じように関税を支払ってしかるべきものじゃないだろうかというようなことで、一ぺん見直しをやらなければならない段階にきていると私たちも思うのです。 きょうは時間がありませんから、これ以上触れませんが、そういうような意味において、必要不可欠でどうしても国内において製造ができないもの、このものだけに局限するような方向で、少々のものは関税払っても、そういうようなのはいつまでも国家的庇護のもとに、どうせそういうようなのは大企業でしょうから、優遇するような措置はやめる段階にきている、私、そう考えますので、その点については、これは行政当局だけじゃなくて政務次官、やはりあなたの所見を聞かしておいていただきたい。
○山本(幸)政府委員 確かにいま局長がお答えしましたように、いままでの高度成長とか、あるいは産業の振興という観点から、こういうものが出てきて日本の設備が非常に新しいものになった。それによって非常に高度の生産性を発揮したというふうにも言えると思いますが、しかしおっしゃるように、だんだん時代とともに変化をしてきておりますから、方向としましては、いま局長のお答えしたような考え方で今後も進んでいきたいわけであります。 ただ、いまおことばの中に、おそらくこれは大企業であろうというお話でございますが、実績としましても、四十五年を最高のピークといたしまして、だんだんに下がってきております。四十六年度の中身なんかを見てみますと、一番多いのが繊維関係のようなものでありまして、さようなものがだんだんと日本の国内でも、ほかの産業に変わっていくという性格のものであろうと思います。また資本金で見ますと、必ずしも大企業ばかりが利用しておるのではありませんで、だんだんに大企業のほうは減ってきて、むしろ中小企業のほうがこの制度を利用しまして新しい設備に変えて、そして新しい活路を求めておるという傾向もございます。 そういうこともよく考えあわせまして、方向としましては先ほど来仰せのように逐次これを縮小の方向に持つでいくということであろう、こう思うわけであります。
○村山(喜)委員 まだ外務省見えていませんか。——関税の参考書の輸入減免税額表の中で、いわゆる特別法によりますアメリカとの安全保障条約上や、あるいはその他の規定に伴います駐留軍用の関税の減免額が出ております。これを見ると、四十五年度は四億七千六百万円、そして四十六年度はこれが減りまして二億三千三百万円。四十七年度になりますと、これがまた急にふえてきているわけですが、日本の国内におけるアメリカの駐留軍は減少していく方向にあるべきだと私たち思っているし、またそういうふうに減少しているにもかかわらず、なぜ減免額が多くなりつつあるのか。その理由については、どういうことなんですか。外務省の参事官も見えているようですが、説明願いたい。
○角谷説明員 御指摘の点でございますけれども、われわれが了解いたしておりますのは、この統計におきまして、四十七年度仰せのとおり四億八千三百万円減免税分になっておりますが、この中には沖繩が復帰いたしましたために、沖繩分といたしまして三億四千万の減免税分が入っておると了解いたしております。 したがいまして、四十五年、四十六年の時点におきましては、沖繩分はこの統計外でございましたが、四十七年度分に沖繩返還に伴いまして沖繩分がこの中に含まれている。したがいまして、数字としては多くなっているというのが、おそらく一番の大きな理由ではないか、このように了解いたしておる次第でございます。
○村山(喜)委員 そういたしますと、四十八年度はどれくらいの見込みになりますか。
○角谷説明員 まあ見込みはなかなか申し上げかねるかと思いますけれども、特にわれわれといたしましては、米側の貨物がふえるとかいうようなことも予想しておりませんので、それほど四十七年度とは違わないのではないかということを一応予想しておりますけれども、これは何とも正直なところ申し上げられないという気がいたすわけでございます。
○村山(喜)委員 外務省はそういうような見方でしょうが、関税当局はどういうふうに見ておりますか。四十七年度は四月から九月までの統計が出ているのですが、年度一ぱいで見た場合には幾らになりますか。そして四十八年度はどういうふうに変わっていきますか。
○大蔵政府委員 私ども、この四億八千三百万円のうち沖繩分が約三億五千万円でございまして、これを差し引きますと一億三千万円、四十六年度と同じベースで考えました場合に一億三千万円ということに相なるわけでございまして、四十六年度と四十七年度は結果といたしまして、そう大きな違いはない数字になるのではないかと考えておりまするし、四十八年度以降におきましても、私どもも別に見込みを立てておるわけではございませんが、大体そう違わない数字が出てくるのではないか、かように考えておる次第でございます。
○村山(喜)委員 その問題はいいです。 次に、通産省に来てもらっていますが、初めに関税当局のほうの説明から聞きたいと思うのですけれども、石油の消費地精製主義という問題のとらえ方、これは今後どういうふうに進めていこうとしていらっしゃるのですか。やはりそういうような考え方で今日までやってきたような関税政策を取り続けていこうというふうに考えていらっしゃるのですか。
○大蔵政府委員 石油政策全体の問題に関しましては、通産省のほうが担当をいたしておりますが、現在まで確かに御指摘のとおり、消費地精製主義というもとで、私どもの関税政策もそれを前提に考えておったわけでございますが、関税に関しましては原則といたしまして、燃料に使われる原油、燃料分に対してのみ関税をかけるという方式を基本的には考えておったわけでございますが、今後もやはり、現在の石油関税に対しまする関税政策、四十九年度におきまして新しく全面的な見直しを行なうことになっておりますので、この一年間に関税率審議会その他の御意見も十分に伺いまして、これからのあり方をきめたいと思います。
○村山(喜)委員 通産省の、新聞でしたか、テレビでも報道されておりましたが、石油資源の問題に関連をして、今後の日本における石油政策というものを大きく転換をしなければならないだろうというような報道がされておりましたが、いま燃料分については課税をし、原料分については軽減措置をしながら還付措置を講じて、日本の重化学工業というものを育成をしてきたわけです。そういうような状態の中で、石油コンビナート地帯における公害は発生をするし、そのほかいろいろな問題が出ております。そういうものに関連をし、なお世界的に石油不足の時代を迎え、その中でどうあるべきかという問題を、これからの石油政策として通産省で検討をしているやに聞いたのですが、どういうような方向をいま考えていらっしゃいますか。
○鈴木説明員 お答えいたします。 消費地精製方式、これは過去十年間わが国においてもとってまいった基本的な考え方でございますが、この方式は、石油の安定供給、それから経済性、両面において依然すぐれた方式であるということで、欧米諸国でも一般的に現在なお採用しております。最近の資料によりますと八十数%、この方式を欧米諸国でもとっておるわけでございます。 で、公害の観点からこれを考えますと、輸送によって起こる公害、それから燃焼によって起こる公害、それから加工によって起こる公害、三つに分けて消費地精製方式と、それから現地あるいは海外における精製方式とを比較してみますと、まず燃焼の部分については、わが国の経済がある程度の規模で運行される限りにおいては、原油であろうが製品であろうが、その量として、それほどの影響はないわけでございます。もちろんそれに対する脱硫その他の措置を十分とることは前提でございますが、日本で加工しようが現地で加工しようが、燃焼によって起こる公害のボリュームというものは、まずあまり変わらない。 それから輸送の問題でございますが、これは船の大型なものでこちらへまとめて持ってくるのと、非常に小型な船で持ってくる場合との比較になるかと存じます。この二つを比較いたしまして、小型の船が製品を積んでたくさんわが国の港へ入ってくるという場合のトラブルと、それから比較的大型の船で持ってくる場合のトラブルとを比較いたしますと、概して、大型のものについて慎重な配慮で操船をすることのほうが、比較した場合には、よりベターではないかと思われるわけでございます。 それから加工公害の問題で、現地と消費地とを比較いたしますと、加工の段階の石油精製自体から出ます公害の問題は、わりあい解決可能な面が多く、これは現在クローズドシステム化という作業を進めておりますが、コンビナートその他の形態をとって、その燃料と、それを原料として利用するものと複合した場合には、かなりの問題を起こすことが過去の事例から示されておりますけれども、精製工程それ自体が完全に外へ漏れないようにするということは、それほどむずかしい問題でもない。それで、現在世界の油の中で低サルファ、硫黄分の低い原油というものは世界で非常に限度がございまして、約二割程度といわれております。なるべくS分の少ない原油を持ってきて、それを使うことができれば、それでけっこうなんですが、わりに高いものが約八割あるわけでございます。 先生御指摘のとおり、石油の供給不安という問題がございまして、この八割の部分の利用方法を考えなければ、世界的にエネルギー問題の安定の解決はつかないという状況でございます。したがいまして、総合して、いまだ消費地精製方式のほうがもしとり得るものであればベターであるという感じでございます。しかしながら、御指摘のような状況もございますので、海外立地が可能であるというような状況が出てまいった場合には、これが公害の輸出、それから公害の国際的なばらまきということにならないような配慮を十分した上で海外立地も認めていくということは必要かと考えておりまして、それらを含めて、現在エネルギーの関係の審議会などで総合的に、制度的な問題も含めて検討していく、またしている段階でございます。
○村山(喜)委員 ちょっと計画課長にお伺いしますが、いま石油の輸入額と、それから日本の世界全体の中で消費するシェアはどれくらいになっておりますか。
○鈴木説明員 非常にラウンドな数字でございますが、世界のエネルギー消費の中でわが国が消費しておりますのは約一割でございます。
○村山(喜)委員 いまのような一〇%の成長でいった場合には、実質一二%ですね、そうなると一九八〇年の予測数値ではどうなりますか。
○鈴木説明員 これもこまかい数字を現在手元に持っておりませんが、現在私どもが計画しておりますのは、四十八年の石油の消費量は対前年比で八・九%増でございますが、その後の数カ年は年々六ないし七%の消費量の増ということで計画を立てております。これによりますと、一九八〇年ベースで原油で計算しまして四億トン、現在二億トン強、二億五千万トン程度でございますが、それが四億トン程度に伸びていくというふうに考えております。
○村山(喜)委員 そういうような段階の中で、この際、資源問題との関係もあるし、日本に全部原油を持ってきて、そこで製品に至るまで一貫生産をやるという、そういう体系を改めていかなければならない段階に来ているのではないか。というのは、もう日本の国内におけるエネルギーの燃焼の比率というものが環境的に受け入れられないようなところまで、消費エネルギーの密度が高まってきているのではないか、私はこういうふうに聞いているのですよ。世界平均の七十倍とも言われておるのですが、それがいまでさえもこういうような問題があちこちで出てきているのに、いまの輸入数量の二倍というものが将来予想される、それを全部日本の国内において最終商品まで製造をして、そして売り出していくという政策をとり続けていった場合には、日本の国民自体の生活環境が完全に破壊をされるという問題に発展をしていくのではないだろうか。 そういうような上から考えまして、いまの消費地精製主義というものを、そうしてその関税政策も、それに基づいて原材料として入れるものについては、ほとんど税金を課さないというようなやり方をやっておるわけですね。その石油産業自体の立場から考えるならば、それはメリットがありましょう、しかし、それは国民経済全体の立場から考えた場合には、いまのような関税政策は私は続けるべきではないというふうに考えております。 ですから、そういう点について十分御検討を願っておきたいと思うのですが、通産省のそういう基本的な政策は、エネルギー基本問題調査会でいつごろ結論をお出しになりますか。
○鈴木説明員 エネルギー問題は刻々非常に急転しておりますので、絶えずタイムリーに方向を出していかなければならぬということでございますが、先生御指摘の問題についての考え方は、少なくともこの秋の時期までに方向として出す必要があろうというふうに考えて、現在鋭意準備をいたしておる段階でございます。
○村山(喜)委員 大蔵省はどういうふうに、この関税率審議会あたりでは考えておるんですか。
○大蔵政府委員 御承知のように、現在の従量税で換算約一二%に相当する暫定増税は四十八年度をもって終わることになっておりまして、四十九年度から新しく原油関税に関しましては検討をするということに相なっておりますので、本年一年をかけましてその原油問題、ただいま通産省のほうからございましたエネルギー基本問題調査会の結論も相まちまして、私どもの観点からいたしますと、特に公害問題あるいは物価問題、そういったような立場も含めまして、関税のあり方に関しまして検討をさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 この関税定率法の十二条の発動というもの等を、国民生活を守るという立場から考えてみた場合には、ほかの条項とも関係がありますが、これは国民生活を守るという意味からは死文化しているというような問題が指摘できるわけですが、いまの関税定率法のその品目の拡大なり、あるいはその洗い直しをもうやらなければならない段階に来ているのではないかと思うのです。 たとえば、そのほか定率法の六条にしても八条にしても、あるいは九条の二の二項ですか、まあ発動したこともないような法律事項を掲げて、発動しようかということでながめてみれば、もうほとんど無税の取り扱いになっておって発動はできない、こういうようなものになっておるわけですが、一体そういうような、緊急関税の制度との関連もありますけれども、どういうふうに考えていらっしゃるのか。これは三月四日の通産省の方針だというので、通商交渉の武器として緊急関税制度を強化するんだというようなことをいわれていますが、何か大蔵省の構想によりますと、経済安定特別法を検討しているというような報道も流れております。それは一体ほんとうなのかどうか。この点については大臣が出席をしなければわからないでしょうが、そういうようなものを事務当局のほうでは考えているのですか。
○大蔵政府委員 事務当局の立場から御答弁をさせていただきたいと思いますが、ただいま先生が御指摘になりましたようなその関税定率法の十二条の問題でございますが、この十二条、決して死文化をされているというわけではございませんで、十二条に関しましては、先般の三月三日に豚肉に関しまして政令を出しまして減免制度を発令をするというようなことに使っておるわけでございまして、私ども、この十二条の活用ということを国民生活、物価対策上、特に消費者の立場からする関税のあり方という観点から、この十二条のあり方というものに関しては、やはり一段と検討をいたす必要があると考えております。 さらに、先生がおっしゃいましたような、この関税を政令によってどうこうするという問題は、事務当局の立場といたしましては、現在のところ別にやろうということで考えておるわけではございません。
○村山(喜)委員 事務当局では考えていない。政治的には考えているんですか。山本政務次官どうです。
○山本(幸)政府委員 いまのお話で、国内のこの物価対策の上から見て、こういう輸入をふやしていくということも、一つの確かに政策手段でありますから、そういうことを随時、緊急に処理できるようなふうにせいという議論は、政府部内にもございます。ございますが、この問題は、やはり租税法律主義という一つの大きな問題にぶち当たりますし、また国会でいろいろ御審議願わなければならないという、そういう国会審議の問題もありますし、その二つの要請をどの程度に考え、調和さしていけるかということを中心に考えておるのでございますが、何せ租税法律主義という憲法上の一つの大きな問題をどうしても中心に考えざるを得ない、こういうことでありまして、まだ政府部内でも、この問題についていろいろ考えておるというところでありまして、これを積極的にどうこうするというところまで結論を得ていないのが現状だと承知しております。
○村山(喜)委員 時間の関係がありますので、大臣の質問だけは保留しておきます。 もう通産省帰りましたか。—— 最近新聞を見ていると、ジャパン・ラインあたりが石油開発というのですか、あるいは海外石油開発会社がアブダビ・マリン・エリアーズの会社の株を三〇%取得をした。たいへん高い値で買い求めているのだというような話が出たり、あるいはこれは非常によかったという意見が出たり、まあ新聞あたりを見ていると、繊維会社が石油開発をやっておるような、そのために株価が上がっているような、そういうようなのが出たり、一体いま石油開発というのは、ジャパン・ラインという船会社がやってもいいんでしょうし、株式会社ですから商社がやってもいいし、繊維会社がやってもいいんでしょうが、一体そういうふうにして、国際的に非常に高いものを、高値につかんだものを持ってくる。そういう中で、メージャーにしても、あるいはOPECにしても、両方から袋だたきにされるというような形で日本に石油が運ばれてくる。 そういうような政策がはたしていいのかどうかですね。そういうようなことについて、関税の上においては、これはCIF価格がなんでしょうから、まあ価格に対して、従量関税ですから、この量に対する関税として、従価関税ではないので関係はないのだという考え方に立っているのですか。そこら辺一体どういうふうに——幾ら高くてもいいから持ってきさえすればいい、それは従量関税でかけるのだから、私のほうは知りませんという政策態度ですか。その点だけを確認をしておきたいと思います。
○鈴木説明員 いま御指摘の最近の国際的な石油需給のダイト化に伴いまして、わが国の企業が、従来の石油産業以外の企業もこれに参加しまして、激しく調達競争をしておる現象がございました。しかしながら、国際的に高値につり上げて高く買い占める。それで先ほども言及しましたように、ローサルファの原油であれば買い手がつくというような状況の中で、そのような買い占め方をした場合には、ひとり日本の消費者の石油価格が上がるだけではなくて、国際的にも、これはインドなどの発展途上国の人たちも入れて値段が上がる。これは非常に好ましくないというので、最近通産省は、これらの買い付け秩序の維持というために指導方針を打ち立て、現在それを行なっております。 その内容は、つとめて石油精製産業とのひもをつけて、架空なスペキュレーションを伴ったような買い付け方をしないようにしなさい。それから日本系の企業同士の醜いどろ仕合いを極力避けるように、なるべくまとまって行動しなさいという内容でございますが、それをやっております。したがいまして、最近では、その辺の現象は正常化されてきておるというふうに考えております。 それで、先生御指摘の問題についても、関税の操作によって割り高輸入を押えるというようなところまでは、現在の産油国の状況、それからメージャーの様子からいって、いきなり持っていくわけにはなかなか参らぬかと思いますが、いま申しました一般的な指導によって、かなり鎮静化してきておるというふうに考えております。
○大蔵政府委員 御指摘のように、現在従量税になっているわけでございますが、これは石油が、持ってくる場所によって、ただいま先生御指摘になりましたように、いわゆるCIF価格が課税標準になっておるわけでございまして、距離の遠近その他にもよりますけれども、従価税にいたしますと、石油の場合非常に格差が大きくなって不公平が生ずるという観点から従量税を石油の場合には採用をいたしておるわけでございまして、一般的に従量税にするか従価税にするかという問題に関しましては、従量税にいたします場合には、その価格を評価する必要がない場合であるとか、あるいは低価格品については従価税にいたしまして、その関税が高率となることになるわけでございますから、たとえばマッチが一個二十銭ということになっておりますように、国内中小企業の保護というような場合に従量税にいたすほうがよろしいというようなこともございまして、従量税、従価税ということの判断を、主としていたしておるわけでございまして、現在関税の総実行税目二千七百のうち従量税になっておりますのが、約三%強に当たります九十三品目が現在従量税を採用いたしております。
○村山(喜)委員 まあ従量税のいい点もありましょうし、課税が非常に簡単だというような点等はいい点なんですが、インフレに対応できないというような問題等もありますし、国際的に日本の各産業界が石油資源を、通産省の政策指導がいいのか悪いのか、それは問いませんが、現実には高いものをつかまされるとか、いろいろな問題があるようです。 それで、そういうような点から、もう一回、この点についても従価税がいいのか、従量税がいいのか、いままで従量税でやってきたわけですが、国際的に騰貴する品ですから、それに対応する関税政策というものはどういうふうにあるべきかということを検討しておいていただきたい。われわれも検討したいと思います。 大臣に質問をする項目だけは私は申し上げておきますが、最近の海外投資、これに関連をしまして発展途上国からの特恵関税の問題、それから国際通貨の状態、これが非常に変動しているわけですが、その中にあっての日本の関税制度をどういうふうに進めるか、その二点については、あと大臣が見えたときに質問いたします。 これで終わります。
○鴨田委員長 次に、広瀬君。
○広瀬(秀)委員 まず大蔵省に伺いますが、関税の機能といいますか、政策機能といいますか、いろいろ学問的には、輸入価格に追加をして輸入価格を引き上げるということ、フォワードシフティングということがありますし、また国内産業を保護するという機能があるし、あるいはまた最初に言った問題と関連して輸入を抑制する、こういうことがあるし、あるいはまた財政収入の確保あるいは国際収支の均衡あるいは消費者物価の抑制などいろいろあるわけですけれども、今度の改正において、そういう関税機能というものについて、いまわれわれが関税問題を審議するにあたって大蔵当局として一番関心を置いて、重点を置いて、考慮しているそれらの機能は、一体何なのかということについて、まずお伺いをしたい。
○大蔵政府委員 先生御指摘のように、今日までの関税は、主としてただいま先生が御指摘になりました関税機能のうち、何と申しましても、国内産業の保護という観点からの関税の機能が一番重点を置かれて今日までは行なわれてきたと思います、したがいまして、ことばをかえて申しますと、いわゆる生産者の立場からする関税ということが一番大きな機能であったのではないかと思いますが、やはり日本の経済がここまで拡大をしてまいりますると、生産者の機能、生産者の立場からする関税という面よりも、消費者の立場からする関税の機能ということ、あるいは公害に関する関税機能ということを重点的に考えていかなくてはいけない、国際分業ということも考えていかなくてはいけない、あるいは後進国のための援助ということもやはり考えていかなくてはならない。 こういうことで、私ども昨年十二月に関税率審議会から長期答申をいただいたわけでございますが、長期答申に述べられておりますことは、私ども全くそのとおり、徐々に変えていかなくてはならないということが盛られておるわけでございまして、特に製品関税の低下ということ、すなわち、それは国際分業の推進ということを意味すると思いますが、さらに生活関連物資の関税の引き下げ、これは消費者の立場からする関税ということ、それから特恵関税シーリングワクの弾力化と申しますものは、後進国問題との関連、南北問題との関連、こういったことを中心に徐々に関税のあり方というものを、そういうものを重点にした関税ということに変えていきたいと思っております。 ただし、急激に今日までの関税のあり方を変えますると、国内産業に対しまする影響も非常にショックが大きいという面もございますので、やはりこれは段階的に考えていくべきものではないか、基本的にはかように考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 関税の機能は幾つかあるけれども、それらのどの一つが大事だという時代ではない。世の中全体が非常に多極化し、多様化し、高度化している。そういう中で関税を政策的に操作をしようという場合に、そういう複合的な立場をとるということは、今日における当然の成り行きであろう、このように考えるわけであります。その中で逐次国際貿易の面でも自由化の方向というものが非常に強くなっている。自由化の方向が強まれば強まるだけ国内産業保護というような問題がなおざりにされがちであります。 特にいまの日本の輸入制限品目というのは三十三品目だ。そのうち工業製品といいますか、そういうものは九品目、あとの二十四品目は農産物というような状況になってきておりますが、この農産物についての二十四品目というものは、大蔵省としては物価の引き下げ、特に消費者物価の引き下げに、残存輸入制限品目の中に存在している品目などがかなり寄与するであろうというようなことから、大蔵省の立場としては、そういうものを完全自由化の方向に持っていきたいという気持ちが強い、しかし、特に農業保護の立場にある農林省では、そういうものに対しては頑強な抵抗を農業の立場でされる、こういうようなものを、これからどういう方向でいくのか。この二十四品目はもはやどうにもならない、これを自由化の方向に持っていったならば、国内のその面での農業はもう壊滅する、こういうような絶対的な立場にあるのか、あるいはまだ自由化の余地が何らかの政策的な手を、それらの農業に対する助成の方法というようなものをかみ合わせるならば、まだ自由化の余地があると判断をされておるのか、その辺のところを、農林省の立場と大蔵省の立場、両方からお答えいただきたいのです。 まず農林省の立場で、現在の輸入制限品目についてどう考えておられるか。これは大臣等もやりませんというようなことを、実は予算の分科会でも明言をされているわけだけれども、そういうように理解してよろしいかどうか、それをお答えいただいてから大蔵省の考えをただしておきたいと思います。
○吉岡説明員 農産物の自由化でございますが、先生御指摘になりましたように、いま残っております二十四品目のうち二十品目が農産物でございまして、これは総合農政を進めております現在、その基幹的な作目あるいは地域的な農産物ではありますが、その地域にとってはバイタルな、非常に重要な農産物というものが残っておるわけでございます。したがって、今日の状態におきまして、このような農産物の自由化を行なうということは、そのような総合農政の方向を非常にあぶないものにするということで、私どもは当面非常に困難であるというふうに考えております。 ただ、あくまでもわが国の農業の生産性を高めていくということは、私どもに課せられた重要な仕事でございまして、そのような生産性を高めていき、その他の対策というものは長期的な観点に立って十分に検討していかなければならないというふうに思っております。そのような検討、対策の実施というものによりまして、国内の農業の体制の整備をはかるという過程で、慎重に将来検討されていくべき問題であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
○大蔵政府委員 農産物の自由化の問題に関しましては、農林省が主管官庁でございますから、当然農政当局の意見をもとにして決定をされるべき問題でございまして、私ども直接所管の問題でございませんが、先生御指摘のように一般的に申しまして、日本が自由化の方向に進むべきときであるということは言えるかと思います。個々の農産物に関しましては、現在残っております一つ一つに関しまして、それぞれの理由があって自由化がなされておらないわけでございまして、私どもが考えましても、まことにもっともであるというものも、中には含まれているわけでございます。 しかしながら自由化を徐々に進めていくという過程におきまして、かりに関税に関しまして、自由化をするために一時的に関税を高めて、急激なる外部からのショックを緩和をするとか、あるいは割り当て関税制度を採用いたしまして、ある一定限度の輸入量までは関税を無税にするけれども、それを越えるものに関しましては、比較的高い税率の関税をかけて輸入をチェックする、そういうようないろいろな制度も開かれているわけでございまして、自由化をいたします場合には農林当局とも十分に相談をいたしまして、日本の国内農業が急激なるショックを受けないような、できるだけのことはいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 けさの新聞によりますと、「農産物輸入自由化を決意 政府・自民党首脳 オレンジが目玉」これは日経新聞に出ておるわけですが、特にオレンジが目玉である。オレンジさらに牛肉、果汁、こういうものについて、六月の日米貿易経済合同委員会ですか、ここの席でアメリカから非常に強く関心品目として要求されるであろう。これに備えて、政府首脳あるいは自民党首脳がそういう決意をされたということが報道されている。これは政務次官、事実でございますか。そしてそれが真実とするならば、どのような対策で、いま関税局長がおっしゃった、国内産業に対する対策をしっかりやりながら、そしてそのやり方等にも十分配慮をしながらやりたいということについて、どういう考え方、構想、対策というものを用意してそういう方向にいりているのか、その点のところを、はっきりさしていただきたいと思います。
○山本(幸)政府委員 自由化の方向というものは、これはまあそういう方向に、世界の経済をオープンにしていくという意味におきましても、日本も世界で経済的な発言権が大きくなりつつある今日、協力をしてまいらなければならないのは、いま当然の姿であろうと私は思うのです。その中にありまして、先ほど来お話しのように残存品目が残っておるわけでありますが、工業製品のほうは、まあその目玉であった電算機についてもできるだけ早く自由化をしようという方向にいま進んでおることは御承知のとおりであります。しかし、工業製品の場合と農産物の場合とは、そういう新しい体制に対応していく対応力の強さといいますか、あるいは速さといいますか、そういうものについては格段の相違があると私は思うのです。 したがいまして、いま世界の中にありまして保護的な傾向というものも、自分の国の産業を守る上においては、ある程度やむを得ないという考え方も一部には確かに、自由化の傾向の中にありながら存在することも事実だと思います。日本の農業が一体これからどういうぐあいに将来の農政を考え生産性を高めていけるか、またそのスピードがどういうふうなスピードで上がっていけるかというようなことを十分に考えながら、この農産物の自由化と取り組まなければならないことももちろんだと思います。 先般来の予算委員会でも、政府は農林大臣が農産物の自由化については慎重に考えるということで発言をしてまいっておりますことは御承知のとおり。アメリカのほうでおそらくこの問題については、相当要求をしてくることも考えられる。それに対しては、政府としていまお話しのような目玉になるような農産物について、いま直ちにどうこうするという考えは少なくもまだ持っておらないことであろう。今後、通貨、通商という非常に大きな流れがこれから世界の経済の中で渦巻くわけでございますが、その中にあって政府が一体どう考えていくのかということは、私が政府を代表してここで御答弁申し上げても、おそらく御信用くださらぬでございましょうから、私の考えを申し上げる程度でございますけれども、この程度で御了承をいただいておきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 その点は、いま次官が最後におっしゃった点を配慮しまして、大臣がお見えになったときに、少なくとも大蔵大臣は政府の首脳であろうと思うから、そちらへ伺います。 次に、質問を変えまして農林省に伺いますが、四十六年、四十七年度に農産物関税の引き下げがバナナ、羊肉、馬肉あるいはグレープフルーツ、タマネギ、大豆、子牛、紅茶、ハム、ベーコン、まあその他ありますけれども、大きいものとしては、そういうものがありました。これは大体消費者物価対策というような意味が強い関税率引き下げということをやったわけでありますが、これが、これらの農業、畜産関係に及ぼした影響というものを価格の面あるいは需給の面等について、そして日本の農業に対して、あるいは農家に対してどういう影響を持ったか、そういうような分析をされておるか。昨年、一昨年にやられた、いま申し上げたような品目についてどういう影響が見られたか。この点についての農林省のとらえ方をお聞きしたいと思います。
○吉岡説明員 御質問のように四十六年、四十七年度で関税改正措置を幾つかの農産物についてとったわけでございますが、まず関税改正を行ないます際の農林省のほうの考え方といたしましては、生産性の向上に伴って消費者物価のこともございますので、国境保護としては、なるべく引き下げる方向で考えていきたいという基本的な方向ではございますが、それぞれの関税率を設定いたします際には、国内農業について打撃を与えないような十分な配慮をしながら、関税率について大蔵省といろいろお話し合いを申し上げていく、こういうことで臨んでおるわけでございます。 先ほど御指摘のございました品目については、これは個別品目ごとの需給の事情でございますとか、あるいは関税以外のその他の価格支持制度がどうなっておるかということによりまして、影響はそれぞれ品目によって違うわけでございます。一つの分け方としまして、非常に多くの部分を輸入に依存をしておりまして、国内生産がごくわずかであるというふうなものは、輸入関税を引き下げますと、国内価格の引き下げ効果が大きい、しかし国内生産がほとんどございませんので、国内の生産に対してはあまり影響がない、こういうことになるわけでございます。 その例といたしましてバナナでございますが、これは四十五年の卸売り価格は、キログラム当たりでございますが、百十二円でございましたものが四十六年九十円、四十七年七十七円というふうに、輸入量の増加もございますし、同時に関税引き下げの効果も出まして、こういうふうに下がってきております。これは国内生産には大きな——もちろんバナナの生産はございませんし、リンゴとの関係があるというふうにいわれておったわけでございますが、リンゴの品種転換等が進みまして高級化しましたために、国内産のリンゴの値段はこのために下がっておるというふうなことはございません。 それからもう一つの例は紅茶でございますが、この小売り価格は、百十二グラム当たりでございますが、四十五年が五百円、四十六年同じく五百円、四十六年改正になりまして四十七年には百二十五グラム当たり五百円、こういうことで実質的な紅茶の値下げになっております。この紅茶は今日ほとんど国内生産はございませんで、一部鹿児島にございますものは目下他の緑茶等への転換をはかっておるということでございます。 それから大豆、なたねの関税も引き下げられたわけでございますが、その結果、大豆油、なたね油、いずれも四十六年に比べまして四十七年には卸売り価格で下落をしております。しかし大豆、なたねにつきましては国内に交付金法というものがございまして、不足払い制度をとっておりますので農業者に対する直接の打撃というものはございません。 それからその他のカテゴリーとしましては、国内生産が非常に多いために輸入量はその一部であるというものについては、主として国内生産の動向によって価格が変動する、こういうことになります。これに類しますものとしてはカレーでございますが、これは四十五年の卸売り価格はキログラム当たり六百五十円から四十六年には五百九十五円というふうに引き下がっております。 そのほかタマネギなどもキログラム当たり六十円から三十五円に下がっておるというふうなことでございますが、タマネギ、その他野菜につきましては価格安定制度というものがございますので、これによる国内生産者への打撃は特にない、こういうふうに考えておるわけでございます。 以上が四十六、七年に行ないました関税の改正の代表的なものの国内生産との関係でございます。
○広瀬(秀)委員 この残存輸入制限品目の場合に、これは次元が若干違うかもしれないけれども、このようにたとえば交付金制度を大豆、なたねについて設けておる、あるいは価格安定の政策というものがタマネギ等に設けられておる、こういうようなきちんとした政策を用意すれば、農業に対する打撃、被害を与えるというようなことはかなり避けられる、こういう実態がいま御報告されて、それほどこの関税引き下げによって農業に対するものは被害は起こらなかった。たとえば農政の指導というものによってリンゴのごときは高級品種への転換というようなこともある。こういうような政策のやり方、生産性を向上させるという大きな問題点、これはなかなか一気にできるものではないけれども、そういういろいろな政策の組み合わせというようなことをやるならば、二十四品目の中で、これは水産関係も入っているわけですけれども、農産物と限定をして二十品目の中でやれる品目はある、こういうお考えでしょうか。こういう政策というもの、さらにこれ以外の助成策というか保護政策というか、そういう農業政策を国内的に用意することによって、先ほど問題として出しましたオレンジだとかあるいは牛肉だとかあるいは果汁だとかというようなアメリカの最大の関心品目になっているようなものに対して、それとの競合関係に完全に立たされて、しかも非常に体質の弱い農業の状態で、何らかの特効薬的な政策を用意することによって農家に甚大な被害を及ぼすことなしにやれると思われるものはまだあるのかどうか、こういうような点はいかがでございますか。
○吉岡説明員 国内の農業に対し抵抗力をつけ、生産性を高め、それを守っていくための対策というものは長期間かかって整えていかなければならない課題でございまして、私どもとしてはかねがねそういうふうなことに役立つような生産性の向上なりその他の対策を講じてきたつもりでございますが、現段階で先ほどお話のございましたような産品について十分な対策が講ぜられておる、また農業者のほうもそれにたえられるような状態になっておるというふうにはまだ考えられないというふうに思っております。今後そういう体制の整備というものを時間をかけましてやっていって、そのような体制の整備との関連で考えていかなければならぬ問題であるというふうに思うわけでございます。
○広瀬(秀)委員 したがって私どもは、当面農産物についてきょうの新聞に出ておるようなことで、現在の二十品目はとにかく輸入自由化をやっていけるものではないという立場を明確にして、そしていたずらに新聞にこういう形で出ることによって当該農家がほんとうにどうしようもない先行きに対するたいへんな不安を抱くというようなことなんかについては、これだけの条件を何年間でやればこれとこれくらいはできそうだというようなしっかりしためどを示して、もう少しはっきりした態度をとって、しかし当面はやれないというような態度をはっきりしておいたほうがいいだろうと思う。 特にこの問題は対米輸出入の関係、対米貿易における日本の黒字が非常に大きいということで、しかもアメリカ自身が農産物と先端産業といわれる宇宙航空産業というか、そういうものくらいでしか日本に対して優位を保てる品目がない。中位技術製品といいますか、これは通産省の通商白書に出ていることばでありますが、そういうものなんかは競争力において完全に日本に水をあけられておるとするならば、最先端の技術である電算機あるいは航空機とかそういうようなものだけしか競争力のあるものはない。あとは農産物を日本に自由化させて売り込んでいく以外にないんだということをアメリカは思い詰めたような形でやっておるけれども、こっちもやはりそれに対してはぴしっとした態度で、国内産業を壊滅してまでおつき合いする立場にはないのだということをはっきりさして、これはこれとして残存輸入制限についても先進諸国と比べてもアメリカを除いてはそれほどひけをとっているものでもないわけでありますから、そういう点をきちっとさしておくということが必要であろうと私は思うのでありますが、そういう点についてどういうように考えるか、これは農林省、一言でいいです。それから山本政務次官から御答弁いただきたい。
○吉岡説明員 ただいまのお話のございました点は、私どもとしましてはいろいろ検討をしておるところでございますが、現在の時点では非常にむずかしいというふうに考えております。
○山本(幸)政府委員 これからの対米貿易の調整ということは、今日の両国の貿易構造の中身を考えてみますと、日本側にとって輸入をふやし、あるいは輸出をある程度節度をつけるということは、私は非常にむずかしい問題があると思います。かてて加えて通貨の問題もございます。たいへん複雑な国際経済の様相をこれから呈してくるだろうと思うのですが、その中にあっての通商政策という問題をとらまえたときに、そのときそのときでたいへんむずかしい問題がたくさんに起きるだろうと思うのです。しかしおっしゃるように、国内の非常に弱い体質の産業を育成していかなければならぬ。特に食糧でありますから、たいへん国民にとって貴重なものでありまして、たいへんに大切なものでありますから、いまおっしゃるような考え方は、私は今後の一つの大きな指標となって進んでいくべきであろう、こう思うわけ であります。
○広瀬(秀)委員 不要な混乱、不安を農民に起こさせないように、その面ではいま農林省が踏まえたような立場でがんばってもらいたい。しかし、日米貿易関係というのは、その反映が国際通貨危機にもあらわれているように、日米貿易のアンバランスということが非常に今日きわだってきているというようなことに、大きい通貨問題も、また自由化をめぐる論争においても、根源はそこにあると思うのであります。 そこで、通産省にお聞きいたしますが、通産省として、この対米貿易のアンバランスというのを、しかもアメリカの対外競争力において、西ドイツなりあるいは日本なりというようなものとの間に、非常に量的には多い中位技術程度の工業製品というようなものはもはや完全に競争力が失なわれている、こういうようなものがやはりアメリカの貿易赤字を大きくしている一つの大きな原因になっている。先端技術産業というようなものは、相手国がこれをどんどん購入するというようなことにはなっていないし、そういうものを国の非常に大きな重要な問題として開発に、特に電算機のごときは、日本においてもそういう技術開発のまっ最中にあるというようなこともある。こういうようなことで、これがアメリカからの輸出という形でなかなか伸びてはいかない。農産物についても、やはりそれぞれの農業国において、日本におけると同様の問題点をかかえている、こういう状態にあるわけであります。 そういう中で、アメリカと日本との貿易収支のアンバランスということがどんどん目立ってくる可能性というものは、ふえることはあってもバランスがとれてくるということはなかなか考えられない。ここ一、二カ月といいますか、昨年の後半あたりからスミソニアン体制の円切り上げという形の中で、輸出入のバランスが、アメリカからの輸入が幾らかでもふえる、輸出が幾らか押えられるという傾向は出ておりまするけれども、しかしそうはいっても、今後このままの形で、現在のような姿で、またいつ円切り上げ、為替レートの調整ができて固定相場への復帰というような段階を迎えるわけですけれども、それらの状況というものを踏まえて、ほうっておいてもそういうレート調整ができさえするならば、自然に輸出入のバランスは回復していくのだ、とれてくるのだ、こういう安易な見方でいるのかどうか、そこら辺のところを、日本が主体的にこのバランスを回復するためにやるべき方法は一体どうなんだ。アメリカからの輸入をどんどんふやすということなのか、あるいは日本からの輸出を押えていくという形なのか、そのどっちの道を選ぼうとしているのか、その辺も含めてこの対米貿易のアンバランスというものを解消する方策、こういうものについてどうお考えであるかお聞きをいたしたい。
○平林説明員 御説明申し上げます。 対米貿易のアンバランスにつきましては、今回の変動相場制移行以前の状態で通産省といたしまして積算いたしましたところ、本年度の日本側の出超の見込みは大体四十一億ドル強という計算でございました。ところが先ほど先生御指摘のとおり、この一月、二月とすでに先行指標に出ております輸出は非常に鈍化しております。一方輸入は非常にふえております。したがいまして、今年度の貿易収支の見通しは、昨年暮れに計算いたしましたものよりはかなり低目になると考えております。 それから、この貿易のアンバランスの是正のために、通産省として現在考えております点を二、三御説明いたしますと、まず第一に輸入をもう少しふやそうということでございまして、そのためには輸入自由化ができるものはできるだけ前向きに検討する。それから輸入ワクを拡大する。それからここで御審議いただいておりますような関税の引き下げもできるものは努力する。輸入面で、いろいろ輸入を増大するための今後とるべき措置を検討中であります。 それから輸出につきましては、現在対米向けに全体の約六七%輸出規制いたしております。このような輸出規制は、私ども好ましいと思っておりませんが、あまりにも輸出の伸び率が高いものにつきましては、若干の調整はやむを得ないと考えております。しかしこのようなことは、今後できるだけないように持っていくのが望ましい姿ではないかと考えております。 三番目に、日米貿易のアンバランスは、日本側の輸出の調整あるいは輸入の促進ということ以上にアメリカ側の事情が非常にたくさんございまして、特にアメリカの最近の卸売り物価の上昇は急激に伸びておりまして、それが主としてアメリカの輸入の増大の原因になっておると考えております。したがいまして、米国政府当局者の間におきましても、日本政府としてもこれを追及いたしまして、輸出入のバランスを回復するためには、アメリカのほうがインフレ収束の努力をしてくれなければどうにもならないということをしばしば申し入れておるわけでございまして、日本側の輸入の促進、これは国内との調整ができた上でということでございますが、輸入はふやせるものはふやす。急激な輸出はなるべく押える。と同時に、アメリカにもインフレの収束の努力をさせる。 この三つで、日米の輸出入のアンバランスは解消していけるのではないかと考えております。
○広瀬(秀)委員 対米輸出入関係について三つの角度で御答弁があったわけです。そして七二年度では、暮れの予測では、四十一億ドルは出超であるということになるわけですけれども、これは日米経済合同委員会ですか、ここでいろいろ議論をして、アメリカは三十五億ドルくらいに押えてくれ、いや日本は三十五億ドルくらいの出超でおさまるだろう、あるいは三十八億、ドルだというようなことで論争をした。 そういう中で四十一億ドルというものはそのどっちよりも出超額としては高い。しかし一月、二月、三月の動向というのは確かに改善の方向、輸入はふえ、輸出は規制されて押えられておるというようなことで鈍化している。そういうようなことから大体どの辺のところにおさまるという見通しなのか。アメリカが三十五億ドルといったが日本は三十八億ドルでおさまるだろう。こういったその三十八億ドルくらいのところでおさまるならば、日本の今度新しい通商に対する交渉の立場というものに対しても、そのとおりになったじゃないか、こういうことも言える非常に強い交渉の立場、バーゲニングパワーがそこに新しくできると思うのですが、その辺までいく見通しでございますか。それとも四十一億ドルよりは少ないけれどもかなり高いところになるのか、その辺のところの見通しはどうでしょう。
○平林説明員 先ほど申しました四十七年度四十一億ドル強という対米貿易収支の見通しにつきましては、ことしの一−三月の輸出は前年度に比べて一七・三%増、それから一−三月の対米輸入は前年度に比べまして一九・七%増という計算で四十一億といったわけでございますが、実際、一、二月のあれを見ますと、先ほど申し上げましたが、こまかい数字を若干申し上げますと、一月の認証統計で、対米輸出一七・七%、これは若干当初見通しに近い数字でありますが、二月はぐっと落ちまして八%、半分以下に落ちております。それから輸入は、一月は二八・二%増、これが二月には八七・八%、非常にふえております。いずれにいたしましても、先ほど申しました一−三月の平均、輸出が一七%増、輸入が一九%増というのに比べまして、かなり数字が食い違っております。この四十一億ドルという数字はどのくらいになるかという計算は、現在変動相場制で、輸出の先行き見通しが非常に困難でございますので、こまかい計算はまだできておりませんが、四十一億ドルはかなり減るのではないかという見通しでございます。 それから、先ほど先生御指摘のように、昨年七月の箱根会談におきまして米側と数字についてやりとりしたわけでございますが、日本側は四十七年度は三十五億ドルくらいである、米側は四十をこすのではないか。不幸にしましてアメリカ側の数字に近い数字にいずれにしてもなりそうでございますが、その見通しの食い違いの点につきましては、一応私どもで考えておりますのは三つの原因がございます。 当時三十五といいながら、なぜ四十になったのかというふうな問題でございますが、一つは、昨年の九月ごろから、いわゆる円不安がございまして、連日新聞が円の切り上げ近しと書き立てましたために、輸出のかけ込みが非常にございまして、たとえば九月で申しますと、対前年度比五〇%強、九月、十月が非常にふえたわけでございます。これが当初七月に予想しなかった、つまり三十五億ドルのときに計算しなかったことでございます。 第二は、輸入の価格が非常に上昇いたしたこともあって、輸入額が予想以上にふえたことでございます。それと輸出単価が非常に上がりました。円を切り上げますと、当然輸出価格は上がるわけでございますが、一六・八八%、おととしの十二月に平価調整いたしましたその一六・八八に輸出価格が戻るその戻り方が非常に早かったということでございます。 一のかけ込み輸出と、二の輸出価格のはね返りが非常に早かった、この両方を合計いたしまして約四、五億ドル、輸出を予想以上にふやした原因ではないかと考えております。 第三番目の原因は、これも先ほど御説明しましたように、アメリカのインフレが非常に高進いたしまして、当時のアメリカの経済成長は、七月にエバリーも言っておりましたが、大体六%くらいの伸び率であろうと申しておりましたのが、実際には、七二暦年にはアメリカは六・五%の伸びでございます。この〇・五%のアメリカの成長の伸びは、輸入、特に日本からの対米輸出が非常に大きな数字になってはね返っておるわけであります。 この三つのために、当時私ども三十五と考えておりましたのが、実際には四十をこすような状態になっております。ただ、これも繰り返し申し上げますが、最近の傾向からしますと、四十一億はかなり減るのではないかと考えております。
○広瀬(秀)委員 見通しの問題ですから、数字については、先行きどう変わっていくか、必ずしも具体的な数字でお答えはできないかもしれないけれども、バランスをするという意味は、通産省としてはどういうようにとらえているのか。たとえば貿易収支面で完全にバランスをさせるということは、これから十年とかあるいは永久に日本の出超は続くのではないかというようにわれわれは見るわけですけれども、そのバランスという問題は、経常収支あるいは基礎収支、そのどっちでバランスをしたらいいというようにお考えなのか。これは通産省よりもむしろ大蔵省に聞きたいと思うのですが、日米貿易関係におけるバランスというものをどういうようにお考えなのか。これはやはり大蔵省としても、関税率の問題あるいはニューラウンドの問題等においても非常に重要な基礎的な条件になるだろうと思うのですね。その辺のところはどういうようにお考えになっておられるのですか。
○林(大)政府委員 お答え申し上げます。 日米間の国際収支バランスを経常収支でとるべきか、あるいは基礎収支でとるべきかということにつきましては、これは対世界の国際収支のバランスをとる点につきましても、経常収支でバランスをとるべきか、基礎収支でバランスをとるべきかという問題はあるわけでございます。その場合に、日本は、経常収支は大体GNPの一%くらいの黒字を出しまして、それを後進国援助ということで、長期資本収支で対外的な流出をまかなう、そして基礎収支でおおむねバランスをとるということを対世界のバランスでは主張しているわけでございます。その際に、対米でどうなるかということにつきましては ——その対世界のバランスは国別に、二国間でもバランスをとるべきかどうかということになりますと、それは国によりまして、たとえば日米間はどちらかというと出超でございますが、日本の豪州に対するバランスでは、貿易収支も非常な入超になっているわけでございます。そういうように国別に、ある国に対しては黒字、ある国に対しては赤字ということによりまして全体の姿としてバランスがとれればいいわけでございますから、したがって、特に日米間で経常収支をバランスしなければならない、基礎収支をバランスしなければならないということはない。ただ異常に経常収支の黒字が大き過ぎるということになりますと、やはり米国の国内の問題にもいろいろ影響があると思いますし、常識問題から申しましても過大な黒字は避けなければならないということがいえると思います。 したがいまして、現在のところ日米二国間で経常収支をどういうところに持っていくか、あるいは基礎収支をどういうところに持っていくかということにつきまして具体的な合意があるわけではない。ただ常識的に均衡に近づけていこうということで、きっちりとした合意というわけではございませんが、一種の感じのすり合わせばできておるということだと思います。
○広瀬(秀)委員 田中総理が訪中前にハワイに行かれてニクソン大統領と会った。そのときに、いま局長が言われた、経常収支を日米関係で大体GNPの一%程度に押える、こういうことで合意したということが当時の新聞に報道されたことを記憶しておるわけでありますが、日米関係においては、両巨頭間においてそういう合意がなされたとするならば、それはやはり生きているんだろうと私は思うのです。それはいまの数字の関係からいってどの辺のところなのか。日本のGNPも、一応四十八年度では百九兆ということになっておりますが、そういうところからいって何十億ドルくらいのところが合意の線なのか。アメリカも納得して、やれ輸入課徴金を課するとか、あるいは新通商法に強力なセーフガード条項を織り込んで、しかも対日差別を常々と出してくる、そういうアメリカ流二丁拳銃を抜いてくるようなことのない線というのはどの辺のところなのか。経常収支で何億ドルくらいならば、アメリカもまあまあということで日本の誠意も認める、こういうことなのか。その限界の数字を示してもらいたいと思います。
○林(大)政府委員 田中総理がニクソン大統領との間でいろいろ話し合われたといま御指摘になりましたのはハワイ会談のことかと存じますが、その席で、経常収支をGNPの大体一%前後というような話は、対グローバルで、対世界で話が出たかもしれませんが、しかし日米間ではそういう話が出たという話は聞いておりません。ただ、当時日米間の貿易バランスがいろいろ問題になりまして、その貿易バランスというのは、一九七二年暦年の実績は、通関統計では出ているかと存じますが、まだIMF統計に引き直したものは出ておりませんけれども、その計数が四十億ドルを若干こえたものになるというふうに私どもは推定いたしております。この程度の貿易収支の日米間の日本の黒字というのが過大である——日米間の貿易収支と申します場合には、米国サイドで見た場合と日本サイドで見た場合とでは、太平洋上に船がありますのを、日本から輸出いたしましたものは日本は輸出統計にとっておりますし、ちょうど年末にのっておりますのは米国サイドではまだ輸入にとってないというようなことから、若干の食い違いがあるわけでございますが、いずれにいたしまし、ても四十億ドルを若干こえた数字になっておる。やはり過大であるからこれを減らす方向に持っていくというようなお話はあったと存じます。 現在、政府の施策は、国内の構造対策につきましてもその他諸般の政策において、日本の貿易収支の黒字、ことに対米の黒字というのは圧縮する方向に動いておりますが、ただ具体的にどの年に幾らということについてはきっちりとした合意はできておりません。これは今回円の相場がフロートいたしましたことから、いわゆるJカーブといわれるように、レートが改定になりますと、切り上げをした国におきましては直ちにその黒字が圧縮されず、しばらくは黒字はむしろ増大する方向に動いて、しばらくたってから切り上げの貿易収支圧縮効果というものが出てくる、逆に、切り下げをした国では直ちにその貿易収支改善の効果があらわれませんで、しばらくたちましてからその効果が表に出てくるというのまで計算に入れますと、今後暦年でどういうふうに動いていくかというのは、これは現在円のフロート中の段階でございますし、計数的にどうということは私どもといたしましてもまだ詰めておりません。ただ、日米間で現在の黒字幅を次第に圧縮していくということは申し上げられると存じます。
○広瀬(秀)委員 この四十七年度、一九七二年度では国民総生産が大体九十四兆三千億ということでございますから、まだ中心レートは変わっていないんだということにしましても、三、九、二十七、約二千八百億ドルぐらいになる。そうすれば、一%といえば二十八億ドルぐらいになるし、これがまた変動相場制のレートになると二兆六千四百億円、大体二百六十何円というところですから。そういうことで、私どもも国際通貨のレートの問題がしょっちゅう動くという中では、そういう点の見通しをつけにくいのですけれども、いずれにしても、GNP一%以内におさめる、そのかわり二年くらい時間をかしてくれと言った。ところが今度はアメリカ側では、ミルズ下院歳入委員長なかなかの実力者だそうでございますが、そんな二年間という時間はかせない、待てないというような形で対日輸入課徴金をほのめかし、あるいはセーフガードをきっちりやるのだというようなことを言っている。しかも個別的に日本に焦点をしぼった差別的なセーフガードもやりかねないというようなことにまでなっているというような場合に、これからの対米貿易関係の調整というものは非常に大きくなるわけでありますが、私どもはやはりそういう意味では対米輸出というものをかなりラジカルな方法で調整していかないと、日本側にとってほんとうに決定的な不利になるようなことをアメリカにかってにやられては、保安官がいまやガンマンになったというようなことすらいわれておるわけですが、そういうアメリカですから何をやるかわからぬ。しかも対米依存度の非常に高い日本が非常な損害を受けるという立場に立たされかねない。 したがって、ある程度対米輸出というようなものを押えて、それを内需に転換をする。内需に転換をするということは、同時に福祉政策の増強という政策と完全に結びついた形で内需への転換をそういう面ではばかっていく。しかもいまのところフロートに移行しても、国内景気が大きく水をかけられたという形では必ずしもない、特定の産業、中小企業等は別といたしましてもそういう状態にある。こういうような問題点を踏まえて、対米貿易において、たとえば日本が独自で対米輸出にだけ何らかの基準を設けて輸出税を課するというような思い切った抑制策というようなものをやって、そういう面を今度は内需に振り向けていく、こういうようなこともやはり考えるべき段階に来ていると思うのでありますが、そういう点でどのようにお考えになるか。 これは大臣、いまちょっとわからなかったと思うのですが、これはやはり大臣に質問すべき問題だと思うのです。いま日米貿易関係が国際通貨問題にも危機をもたらし、あるいはまたアメリカの新通商法の審議というようなことで非常に問題になっている。そこで、今日までスミソニアン体制後幾らか輸入が増大し、あるいは輸出が鈍化をしている、こういう情勢があるにもかかわらず、対米貿易収支というのは去年の十二月段階で四十一億一千五百万ドルと、これくらいの出超はもうはっきりしているというようなことにもなっておったわけですが、こういうものを調整してバランスを回復していく。特にハワイ会談でニクソン大統領との間に田中総理が経常収支を二年間くらいでGNPの一%以内に押えるからとこういうようなことも約束されておる。しかしアメリカ側ではミルズ歳入委員長はそんなには待てないのだ、こういうようなことで輸入課徴金を特に日本に対して、特定国日本として課する、こういうようなことや、あるいはまたセーフガードをきついものにしようというような動きなんかがある。 こういう中でやはり対米貿易のバランスを回復していく、調整していくというような立場に立てば、やはりいろいろな対策はあろうと思うけれども、通貨のレート調整、円の調整をどうするかというような問題も当然入ってきますけれども、根本は何といっても貿易関係、通商関係なんですから、その辺のところを日本が自主的にアメリカ向けの輸出に対して一定の基準を設けて、これを輸出税の対象にするというようなかなりドラスチックな方法でもとらないと、アメリカ側に思い切った対日差別をやられて泣き寝入りするような結果にもならないか、こういうようなことでいま質問をしておったところなんですが、そのような問題点を踏まえて、今後対米通商というもののバランスを大臣としてどのように考えていかれるお考えであるのか、この点をひとつお聞きしたいと思う。
○愛知国務大臣 まことにごもっともな御意見であると拝聴いたしました。私は通商貿易関係は所管ではございませんので、こまかい点はともかくといたしまして、やはり通貨問題を扱っておりましても、ことに日米の関係におきましては結局貿易の関係が最大の問題だと思わざるを得ないわけでございまして、通貨の調節はもちろん大事なことでありますが、やはり総合的にかつできるだけ速度を速めて対策を行なうことが絶対に必要であると思います。アメリカ側におきましても通商法案がどういう形ででき上がるか。いろいろ伝えられているところによりますと、日本の関係においてはなかなか先方も深刻な考え方を持っているようでございますので、日本としての立場を十分踏まえながら、アメリカとの関係の調整にますます臨まなければならない必要に迫られてきたように思います。したがって、当面のところ輸入の関係については、まあ一口に言って、とにかくドルを使って物を、あるいは機械を、技術を、あらゆる方面にわたって輸入促進ということに力を注ぐべきであると思います。それから、資本の自由化につきましては、来月になりますと大体の日本側としての方向も考えられると思います。外資審議会の審議もだいぶ進んでおります。それから御審議をいただいております関税定率法の改正の問題もこうして一歩、二歩と前進しております。こういったようなことで、成果をできるだけ具体的にあげていくことである、こういうふうに考えるわけでございます。それから、輸出税の問題の御提起がございましたが、これは率直に申しますと通貨問題もなかなか微妙なときでございますので、これに直接関連して問題になる面もあり得る問題でございますから、輸出税としての考え方はいましばらく慎重に検討させていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○広瀬(秀)委員 大臣、新通商法、これはアメリカがかなりのことを特に日本にディクテイトして、日本にとって耐えがたいようなものを一方的にやる可能性もあるというような状況でありますから、しかも第三次円対策においては、この問題は引き続き検討をするという検討項目にもなっているわけですね。アメリカに輸入課徴金を課せられるくらいだったら、これはもう日本が自主的な立場で、特に私はアメリカに、いろいろな今日の通貨問題、あるいは通商全般の問題においても、あまりにも日本が今日まで対米依存というものを続けてきたというところにやはり一つの大きい問題点があるし、これから通貨問題を新しく再編成を国際通貨としてしていく場合においても、これは脱ドル、脱米国というようなもの、それとうらはらの関係で、やはりアメリカと日本の経済の結びつきというようなものも、あまりにもアメリカ一国に依存し過ぎてきたという、この問題が日本の手を縛っていると思うのです。これは安保条約体制なんかとも大きくは関係してくるし、その中での第二条の経済協力条項というようなものも関連をする非常に大きな根本的な問題になるけれども、少なくとも経済問題についてもアメリカ依存という形から抜け出す方向で考えていかなければならぬということで、やはりアメリカへの依存度を下げていく、こういうようなことを十二分に考えていかなければならぬと思うのでありますが、それらの点についての大臣の御所見をひとつ伺います。
○愛知国務大臣 通貨の問題で申しますと、考え方としてはドルの信認を回復するということができれば一番手っとり早い方法であると思います。そしてとにかく国際通貨制度が、できればそれぞれが固定相場制度でお互いが支持し合って守り得る体制ができることが望ましい、しかしそれにはさしあたりのところは、やはり現実に世界の基軸通貨でありますし、ことに日本の場合としてはドルが交換性を回復するということを前提にして信認が回復されることが望ましいと思いますが、これらの点につきましては欧州の各国もあるいは開発途上国においても、非常な今回の通貨不安を契機にしてますます将来にいずれの国も不安を持っておるだけに、急速に何らかの国際的な秩序の回復、確立ということを早急に建設的に考えていこうという機運が醸成されてまいっておりますから、IMFの委員会等におきましても、日本としてもそういう点も大いに強力に主張したいというふうに考えておるわけでございますが、それはそれとして、私はやはり日本を特に目ざすような、課徴金制度というような貿易自由化に基本的に反するようなやり方、ことに制限的といいますか、ディスクリミネートする、差別的な処置が行なわれるというようなことはできるだけ回避しなければならない。同時に日本が自主的にこの際どうするかということについては十分に急速に考えていかなければなるまいと思います。 輸出税につきましては、先ほど申しましたように、ちょっといましばらくその考え方に対しては慎重に考えさせていただきたいと思っておる次第でございます。
○広瀬(秀)委員 これで大臣に対する質問を、あとそれぞれ時間を十分ずつで割ってあるので、あれなんですが、大臣、いまドルの交換性の回復ということを言われましたが、本気で、アメリカの金準備は、外貨準備は百三十何億ドルというふうに言われております、その中で金保有がたしか百五億ドルくらいしかない、こういうことでいまやアメリカはもうそんな力は完全にない、これを交換性回復ということを本気で大臣はお考えになっておられるのかどうか。要求するということでも私は非常に疑問なきを得ない。もうそんなことはできないから、やはり輸入課徴金であるとかあるいはセーフガードをきつくしていこうというふうな二丁拳銃を抜いているところまできちゃってるのですから。その点どうでしょうか、見通しが非常に甘いような感じがするのですが。
○愛知国務大臣 交換性と申しますことは、金との兌換回復ということだけではございませんで、たとえばSDRとか他の通貨との関係とかいろいろな方法も考えられますし、また同時に国際通貨制度の確立のためには別の選択も考えられると思います。ともかく、しかし現状のような状況を手をこまねいておりますと、各国もばらばらに、それぞれが封鎖的な態度に返らざるを得なくなる、こういうことを避けるのがやはり各国の望ましい姿ではないだろうかと考えるわけでございますから、何らかの形で交換性の回復あるいはそれにかわる国際通貨の確立ということはやはり基本的には確立すべき問題であると、こういうふうに考えております。
○鴨田委員長 村山喜一君。
○村山(喜)委員 大臣、また二十カ国蔵相会議に行かれるそうでございますので、それに関連をして一、二質問をし、また要請を申し上げてみたいと思うのです。 こういうふうに国際通貨の危機が訪れる中で、経済のブロック化というような問題や、高関税制度への逆行というものが非常に心配をされるような状態が生まれてきておると私は思うのです。その一つの端的なはしりが、アメリカの通商法の改正等に出てきている要素ではなかろうかと思うのですが、この関税制度を審議をしてまいりますと、どうもアメリカのいうところの理由もさることながら、アメリカ自身が、たとえばブラッセルの関税評価条約にもまだ入っていない、あるいは分類条約も批准をしていない、そうしてアメリカ自体の非関税障壁というものも相当残っている。あるいはECの国においては対日差別制限をやっている。日本には輸出の自主規制を求めながら、国内の保護政策をとっているというようなものがたくさんございます。そういうような、日本に残存輸入制限の撤廃を求めるようなことでいろいろ要求をして、自由化せよと迫ってきておりますが、やはり愛知大蔵大臣は、この蔵相会議あたりに行かれました場合には、関税の上から見て、アメリカ自身も考えてもらわなければならない問題点がたくさんあり過ぎるのではないかということも指摘をしてもらわなければならないと思うのです。特に米国の関税評価制度を見てみますと、FOB価格の制度をとっておりますから、輸出価格と外国の価格のいずれか高いほうの価格をもって課税価格とするというような米国の関税法があります。そういうようなものから見ますと、通商上の制限行為というものを関税政策の中でやっているのもアメリカにもあるじゃないかというようなことで、それらの問題については触れられる御意思があるのかどうか、またそういうような問題についての改善の方向をひとつ示されるべきだと思うのですが、どういうふうにされるかをまず第一点承っておきたいのです。
○愛知国務大臣 今回の会議もわずかの期間でございますから、時間的にむずかしい条件もありますけれども、あらゆる機会をとらえて、アメリカに対して要請すべきものは要請し、当方の主張すべきことは主張をいたしたい。同時に、他の参加十九カ国に対しましても、できるだけ日本が考えるような方向に向かうように努力を新たにいたしたいと考えているわけでございます。 要するに、一言にして言えば、それぞれが関税障壁をできるだけ少なくして、自由貿易、一つの世界という標語にふさわしいようなかまえ方をすることが望ましいので、先ほども広瀬さんにお答えいたしましたように、ともすれば逆にいくような傾向も見られないではございませんから、この際、日本としてはやはりアメリカに対してもできるだけ自由に、いままで入るべくしてとまどっておったような条約に参加するのはもちろんのこと、今後においてもそういう方向に向かうように、あるいはまたECにいたしましても、域内だけでかたまっていて封鎖的にならないように、こういう点については十分の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
○村山(喜)委員 御努力を要請申し上げておきますが、もう一点は、最近における海外投資のあり方の問題でございます。 というのは、年々八億とか九億ドルぐらい、資本あるいは技術あるいは人、そういうような日本の資本の投資が行なわれているわけでありますが、この四十七年度になりましてから四月から十二月までの実績を調べてみると、十七億七千四百万ドルと、急激にふえているわけです。それが東南アジアを中心にして、製造業関係が中心でありますが、非常にふえている。そしてそれには、現地法人に対して延べ払い輸入を認めるような措置をとったり、あるいはいろんな資金の調達等についても便宜を与えるような措置がとられているようであります。 私は、ここでお尋ねをしたいのは、そういろ形で、日本の円高の問題が出てくる、そして人件費が上がる、やはり海外に資本を投資をして、そこで低賃金の労働者を使って製造したものを日本に輸出をする。日本の場合には特恵関税制度をとらざるを得ないということで、対象ワクも広げていくという措置をとっておりますから、輸出比率が、アジアの場合には製造業を中心にしておる中で非常に高いわけです。そうなってくると、勢い国内のそういう産業開発のためにだけ使われるわけじゃなくて、そこで製造したものが日本に入ってくるということを想定をしておるわけであります。そうなってくると、勢い日本の国においては、中小企業の中に見られるように、人手を要するような産業は自動的に、この関税政策のそういう政策やらあるいは海外投資のあり方の中から、産業の転換を迫られてくる、こういう形にならざるを得ないと思うのです。そうなった場合の日本の国内における中小企業政策というものとの関係が今度は当然出てまいる。いまのような状態でいけば、やがては何百億ドルというものが海外に投資をされていくという形にならざるを得ないのではないかと思っておりますが、そういうような海外投資のあり方の問題に関連をいたしまして、発展途上国等に対する特恵関税制度の問題について、どういう基本的な考え方でこれから取り組んでいかれようとするのか、お尋ねをしておきたいと思います。
○愛知国務大臣 私は、第一にこう考えますのですが、いわゆる国際収支上の黒字国としてはやはり海外投資を促進するということが一つの行き方ではないだろうかと考えます。それから、開発途上国に対する日本の資本輸出といいますか投資がふえるということは、開発途上国自体の生産あるいは雇用の増大ということになり、これが開発途上国の歓迎するところでもあるのではなかろうか、やり方はいろいろくふうを要すると思いますけれども。そして御指摘のように、そこから今度は日本の輸入がふえるというようなことになると思いますが、そのときに特恵関税をどうするかということでございますが、やはり特恵関税にはシーリング方式というようなものもありますし、国内の中小企業のことを念頭に置きながら、やはり特恵関税はそれなりにそういう生産物あるいは製品等に特恵を与えていいんではないだろうか、こういうふうに私は現在考えております。
○村山(喜)委員 もう時間が参りましたので、やめますが、その地から植民地的な超過利潤を吸い上げるような形のものにならないような方向の中で考えていくというのと、日本の国内におけるそういうような構造的な変化が生まれてきますから、それに対応する政策を他の部面においても十分に考慮しておいていただきたい。 以上、要請いたします。
○鴨田委員長 増本君。
○増本委員 増本でございます。 大臣には幾つかの問題をお伺いしたがったのですが、時間がございませんので、ちょっと問題をしぼってお伺いいたします。 今日の国際通貨危機の原因の一つが、基軸通貨とされたドルの減価とそれの不信認、もう一つは対米貿易収支の上での大幅な黒字が深刻な問題になっている、こういう事態の中で、日本としてこの国際通貨危機を切り抜けていくということになると、一つは対米貿易収支の黒字幅をどうしても減らしていこう、そのために関税政策もあるいは国際貿易の政策も運営していこう、こういう方向になっていかざるを得ない。またそういう方向で自民党政府がとられてきたのだろうというように思うわけですが、こうなると、アメリカの貿易構造、なかんずくアメリカの輸出構造に日本が適応していくというようなことで、アメリカに歩調を合わせるだけの貿易政策や関税政策になっていくんじゃないだろうか。 たとえば、アメリカの輸出の目玉は大型のコンピューターとか航空機とか宇宙衛星とか、そういう先端部門を除けば、農産物や原資材、原材料。ですから、こういうものをアメリカから大量に買い付けをするために自由化を進めていくという政策になってくる。伝えられるところによりますと、この六月の日米経済合同委員会に向けて、農産物の自由化もその方向で進めていこう、しかし、農産物の自由化をやっても、アメリカとの関係ではわずか一億ドルのドル減らしにしかすぎない、その反面、国内の農民は七十三万人ぐらいが影響を受ける、こういうようにもいわれているわけですね。しかし、それにもかかわらずこういう政策や方向が出てくるというのは、いまニクソン政権がしきりに言っている、日本に対して黒字国責任論ということで外圧をいろいろと加えてきているわけですけれども、これにみずから屈服していくということになるのではないだろうか、そういうようにいわざるを得ないのですけれども、この点についての、ひとつ国際貿易の関係とそれから国際収支問題を解決していくという上での大臣のまずお考えを伺いたいというように思います。
○愛知国務大臣 私は、まず二つのことがあると思いますが、一つは、現在日本がドルを非常に多額に保有しているということ、これに対して、このドルが、現在でも国際通貨、国際支払い手段としてのメリットはございますけれども、しかし交換性がないということが問題なんでありますから、その点についてのアメリカ側の対処策を、これは日本に対してのみならず、十分責任を感じて建設的な姿勢と手段を出すことが望ましいし、要請しなければならないことであると思っております。それからもう一つは、かりにこの通貨調整というものがうまくでき上がりましても、将来ともにそれを基礎にしてやはり日米の貿易の不均衡というものが残るようでは困りますから、できるだけ幅を狭めていかなければならない。そこで輸入も大いに促進しなければなりませんし、またドルのドルとしての使い方も大いに積極的に考えるべきではないか。同時に、いま御指摘がございましたが、わがほうとしては、こういう情勢下におきましては、いつも御指摘をいただくし、また、われわれもまことにそのつもりなんでありますけれども、やはり国内の充実という方向へ国力をまとめて建設していかなければならない。輸出優先という従来の考え方を切りかえていくことに努力を集中していかなければならない。そういう面から考えますと、私は過去における円対策というものが日本のためにも方向としては正しいと思います。 そこで、自由化の問題がその中にも出てくるわけでございますが、しかし、いま御指摘のありましたようなところも十分踏まえまして、対外的には日本の立場を十分に説明もし、納得もさせることが必要だと思いますし、同時に、日本としても協力し得ることは協力してしかるべきではないだろうか。やるべきことは、大体三次にわたる円対策の中に掲げたところにもう尽きているような感じがいたします。まあしいて言えば、それにさらにつけ加えることは、いま申しました外貨活用策ということではないかと思いますけれども、この基本的な考え方を推し進めて、そうしてその中において日本の国益というものを将来に向かって十分踏まえてまいらなければならない。具体的には、先方が希望することであってもこちらができぬことははっきりできないということで納得をさせなければいけない、こういうふうに考えます。
○増本委員 いま大臣は、日米貿易のこの不均衡を是正していく——いつもこの日米貿易との関係で問題になるのは、ドル減らしとの関係ではほとんど問題にならない農産物の自由化が出てくる。それに対して、いままで数十品目あったものがついに二十四品目になり、そのうちまたさらに五品目を自由化しようという動きもある。結局国際収支の改善とか日米貿易の不均衡の是正といいながら、それに対する決定打ではないものに対してそれがずるずる自由化されて、国内の農業に重大な打撃を与えていく。 ところが、根本的な問題に対しては今日まで日米関係でも手が触れられてきたかというと、私は決してそうは思わないわけなんですが、大臣は今日までの円対策は正しかったとおっしゃいますけれども、そこは見解の違いとして、ここにはやはりどうしても、大臣が財政演説の中でもおっしゃったように、国際収支の均衡の回復には常にまくらことばに国際協調ということがくっつくわけですね。この国際協調はアメリカと歩調を合わせるということになると、これはアメリカがいま言っている黒字国責任論を日本がかぶって、そうしてあのアメリカの貿易、輸入の面での要求に対応したり、それを受け入れていくというような姿勢になるのじゃないか。そのことは、まだ依然としてこの六月の貿易経済合同委員会に向けての対応のしかたでもふっ切れてない。あくまでもやはり対米従属の関係が残されているんじゃないだろうかと考えるんですが、この点についての大臣の所信を伺って終わりたいと思うのです。
○愛知国務大臣 積極的な御発言で、私もそういう点についてはひとつ十分頭にたたき込んでできるだけの努力をいたしたいと考えております。 たまたま国会の御了解も得て明日ワシントンへ参ります。二十カ国の会議できわめて短い期間ではございますが、六月の会議も控えていることでございますから、機会をつくりながら日本の考え方というものを十分ひとつ主張するようにつとめたい、かように考えております。
○鴨田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○鴨田委員長 これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、これを許します。増本一彦君。
○増本委員 日本共産党・革新共同の増本でございます。 私は、党を代表しまして、この関税定率法等の一部改正案に対し、反対の討論をいたします。 今回の提案は、政府説明によりますと、特恵関税供与の拡大と生活関連物資の税率引き下げに重点を置いたといっていますが、本質的には、アメリカのドル防衛政策の一環として進められている自由化政策の進行であり、政府の今日までの輸出第一主義による国際収支の不均衡、農民、中小企業の犠牲の上に大幅な輸入拡大を推し進めるためのものであることは否定することができません。 特に、特恵関税供与の拡大が、政治的に見て、特恵供与国に対する大企業の経済進出のしりぬぐいとしての輸入の拡大であることは言うまでもなく、農民、中小企業に与える打撃もきわめて大きいと言わなくてはなりません。このことは、特恵関税供与追加品目十一のうち多数のものが国内産品と競合することによっても明らかであります。生活関連物資等についても、国内関連産業に重大な影響を与えるほか、これが全く国内の物価政策にも役立たないものであることは過去の実績がはっきりと証明していると言わなくてはなりません。昨年十一月、一律二〇%の関税引き下げをした段階で、経済企画庁が、その物価に与える影響を追跡調査したところによりましても、調査品目二十二品目のうち、消費者物価に僅少の影響を与えたのはタコぐらいであって、かえって値上がりをしたという事跡にも見られるように、今日の段階では、物価対策としては全く問題にもならないというようにも言わなければならないと思います。 通関手続の簡素化のための税率調整につきましても、その多くが、たとえば自動車部品に見られるように、日米自動車大企業のコスト安をねらったものでありますし、暫定税率の期限の延長につきましても、その与える影響が農民、中小企業産品に深刻なものであることは否定することができません。 その上、現在の自由化による輸入の増大のために、税関労働者の労働条件はきわめて悪化しており、それに加えて、新たな自由化の一そうの促進が深刻な労働問題を惹起することも否定することができませんし、それに対する解決についても、政府は何らの対策もとっていないというように言わざるを得ません。たとえば関税法には、臨時開庁制度というのがあり、金を出せば、いつでも通関事務をしなくてはならないとか、あるいは時間外使役制度のような、労働基準法さえも全く無視した制度が残存されており、これが自由化に伴う合理化と労働強化を押しつけるてこになっております。この点に対する解決も何らはかられていない本法案に対して、積極的に賛成することはできません。 なお、各党共同で附帯決議案の上程がなされておりますけれども、私たちは、こうした根本的な問題の解決がはかられない事態においては、それに対する積極的な努力を私たちもともにする意を込めて、この附帯決議案に対しては棄権の態度をとりたいと思います。 以上、終わります。
○鴨田委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。 関税定率法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○鴨田委員長 ただいま議決いたしました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して武藤山治君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。武藤山治君。
○武藤(山)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、私よりその趣旨を簡単に御説明申し上げます。 まず、案文ですが、案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略いたします。 第一に、今回の改正案におきましては、特恵関税制度の改善、生活関連物資を中心とする関税率の引き下げ等を行なおうとするものでありますが、現下の内外の経済を取り巻く環境は、円の変動相場制への移行、ECの共同変動制実施という新たな国際経済の局面を迎えるに至ったのであります。したがいまして、本法の運用にあたっては、国内関連産業、ことに中小企業等への影響を十分に配慮して適切な措置をとるべきであります。 第二は、国民生活に関連の深い物資の関税率引き下げについてでありますが、この関税率の引き下げの効果が国内の物価引き下げに寄与するために、関税引き下げの利益が中間の流通段階で吸収されることなく末端の消費者に十分還元されるよう追跡調査を徹底する等、価格の引き下げに万全の努力を払うべきであります。 第三は、国際貿易の拡大をはかるため、中国等協定税率が適用されていない国との間において、貿易協定、関税取りきめ等の締結を促進し、関税上の格差を解消するようつとめるべきであります。 以上、附帯決議の趣旨でありますが、何とぞ御賛成をお願い申し上げ、説明を終わります。 ————————————— 関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行にあたり、次の事項について配慮すべきである。 一、円の変動相場制への移行等新たな国際経済状況にも十分留意し、関税引下げ、特恵関税制度の改正等に伴ない、その運用にあたつては、国内関連産業、ことに中小企業等への影響に遺憾なきよう適切な措置をとるべきである。 一、生活関連物資については、関税率の引下げが消費者価格に反映されるよう流通過程を追跡調査し、価格の引下げに万全の努力をはらうべきである。 一、国際貿易の拡大をはかるため、中国等協定税率が適用されていない国との間において、貿易協定、関税取決め等の締結を促進し、関税上の格差を解消するよう努めるべきである。 —————————————
○鴨田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 おはかりいたします。 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。愛知大蔵大臣。
○愛知国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨を尊重して善処いたしたいと存じます。 —————————————
○鴨田委員長 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○鴨田委員長 午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時十七分休憩 ————◇————— 午後二時九分開議
○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
○大村委員長代理 これより各案について政府より提案理由の説明を求めます。山本政務次官。
○山本(幸)政府委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 初めに、所得税法の一部を改正する法律案について御説明いたします。 第一に、最近における所得、物価水準の推移を考慮して、中小所得者を中心とした所得税負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうことといたしております。 すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ現行の二十万円から二十一万円に引き上げるとともに、扶養控除を現行の十四万円から十六万円に引き上げることといたしております。また、給与所得者について、その負担を軽減するため、給与所得控除の定額控除を十三万円から十六万円に引き上げるとともに、定率控除部分についても適用金額の範囲を拡大することといたしております。この結果、給与所得者の課税最低限は、夫婦と子供二人の場合では、現行の約百三万円から約百十四万円に引き上げられることになります。なお昭和四十八年分では、この課税最低限は百十二万円となります。 第二に、障害者控除等の特別な人的控除についても、一般的な控除にあわせて引き上げを行なうことといたしております。 すなわち、老人扶養控除を現行の十六万円から十九万円に、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ現行の十二万円から十三万円に、特別障害者控除を現行の十六万円から十九万円に、配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族にかかる扶養控除を現行の十五万円から十八万円に引き上げることといたしております。 第三に、退職所得の特別控除額を、おおむね五割程度引き上げることといたしております。 すなわち、勤続年数十年までは一年につき現行の五万円を十万円に、勤続年数十年超二十年までは一年につき現行の十万円を二十万円に、勤続年数二十年超三十年までは一年につき現行の二十万円を三十万円に、勤続年数三十年超は一年につき現行の三十万円を四十万円に引き上げることとしております。この結果、勤続年数三十五年の場合の退職所得の特別控除額は、現行の五百万円から八百万円に引き上げられることになります。 第四に、白色申告者の専従者控除について現行の十七万円を二十万円に引き上げることといたしております。 第五に、寄付金控除については、現行法では支出した寄付金のうち所得の三%をこえ一五%以下の部分について控除することといたしておりますが、この限度額一五%を二五%に引き上げることとしているほか、職業訓練法人の行なう認定職業訓練を受ける者を勤労学生控除の対象に加えるとともに、非課税所得の範囲から株式形態によるゴルフ会員権の譲渡による所得を除外し、予定納税を要しない予定納税基準額の限度額について現行の二万円を三万円に引き上げる等所要の規定の整備を行なうことといたしております。 次に、法人税法の一部を改正する法律案について御説明いたします。 第一に、同族会社については、各事業年度の所得のうち留保した金額が一定の控除額をこえる場合には、留保所得についての法人税を課税いたしておりますが、この場合の定額控除額を現行の年三百五十万円から年五百万円に引き上げることとしております。 第二に、法人の所得の金額の計算につきましては、現行のたなおろし資産の割賦販売に加えまして、今回、賦払いの方法による対価の支払いを受ける役務の提供についても、割賦基準による所得計算を認めることといたしております。 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について御説明いたします。 第一は、法人の土地の譲渡益に対する重課制度を創設することであります。 すなわち、法人が昭和四十四年一月一日以後に取得した土地等を原則として昭和四十九年四月一日以後に譲渡した場合には、通常の法人税とは別に二〇%の税率で重課を行なうことといたしております。その場合に、国、地方公共団体等に対する譲渡や望ましい宅地の供給については、一定の要件のもとにこの重課の対象から除外することといたしております。なお、この改正に伴い、個人の不動産業者が昭和四十四年一月一日以後に取得した土地等を譲渡した場合には、一般の短期譲渡に対する重課と同様の課税を行なうことといたしております。 このほか、収用等の場合の譲渡所得の特別控除について大幅な引き上げを行なうとともに、新都市基盤整備事業による土地の譲渡を収用の場合の課税の特例の対象に加える等の措置を講ずることといたしております。 第二は、産業関連の措置の改廃であります。 すなわち、重要産業用合理化機械等の特別償却制度について償却率を漸減して三年で廃止するとともに、価格変動準備金の積み立て率を一%引き下げる等整理合理化をはかることといたしております。 また、交際費の損金不算入割合を七〇%から七五%に引き上げて課税の強化をはかることといたしております。 第三は、社会福祉対策に資するための措置であります。 すなわち、六十五才以上の老年者が受ける公的年金等については、五百万円の所得制限のもとに六十万円の老年者年金特別控除を認める制度を創設し、また、心身障害者を従業員数の三割以上雇用している企業の機械及び工場の建物等について、三分の一の割り増し償却を認めることといたしております。 第四は、公害対策に資するための措置であります。 すなわち、無公害化生産設備について初年度三分の一の特別償却制度を創設するとともに、低公害乗用車の開発普及を促進するため、昭和五十年度の排出ガス保安基準に適合する乗用車については、物品税の課税標準を、昭和四十八年度は四分の一相当額、昭和四十九年度上半期は八分の一相当額だけそれぞれ減額する等の措置を講ずることといたしております。 第五は、勤労者財産形成・住宅対策に資するための措置であります。 すなわち、勤労者財産形成貯蓄にかかる住宅貯蓄控除制度の控除額を、毎年の貯蓄額の四%、最高二万円から、六%、最高三万円に引き上げる等の措置を講ずることといたしております。 第六は、中小企業対策として、事業主報酬制度を創設することであります。 すなわち、青色申告を行なう事業者についてみなし法人課税の選択を認め、この選択をした事業者については、その事業主報酬に対し給与所得控除を認め、事業主報酬控除後のみなし法人所得に対しては全額を事業主に配当するものとして法人並みの課税を行なうことといたしております。 第七は、農林漁業対策としての措置であります。 すなわち、農業協同組合等の留保所得の特別控除制度の適用対象に水産加工業協同組合等を加えた上適用期限を二年延長することとしており、また、農業信用基金協会等の債務保証にかかる抵当権設定登記の登録免許税を軽減する等の措置を講ずることといたしております。 以上のほか、国際経済環境の改善に資するため、大型及び中型の乗用車の物品税の税率をいずれも二〇%とすることとしております。また、自己の居住の用に供する新築住宅にかかる登録免許税の軽減等本年三月末に期限の到来する各種の措置について、その適用期限を延長する等所要の措置を講ずることといたしております。 以上、所得税法の一部を改正する法律案外二法案につきまして、その提案の理由と内容を御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○大村委員長代理 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○大村委員長代理 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。野田毅君。
○野田(毅)委員 自由民主党の野田毅でございます。 まず、所得税、法人税、それから租税特別措置、三つをひっくるめて御質問いたしたいと思います。 税法に入ります前に、私、若干の感想を申し上げ、また、お願いをしようと思いますが、最近申告所得税の納税者の数が非常に激増いたしております。私の持っておる資料によりますと、昭和三十六年から四十六年までの約十年間で、申告所得者の数が二倍になっておる。ところがこれを処理する国税庁の定員がほとんどふえていない、一%程度であるわけであります。また、近年特にいわゆる政治的思想に裏打ちされた納税非協力団体が大いに活動いたしておりまして、至るところで調査妨害をしておる。最近は書物まで出しておるわけであります。こうやって善良な納税者を扇動しておりまして、第一線の職員は非常に困難を感じておるわけであります。こういうまでは課税面、税の執行面における負担の公平というものが維持できないのではないかという気がしてならぬのであります。 そこで、国税庁のほうは今後計画的に定員の増加をはかっていく必要があるのではないかと思うのでありますが、御見解を伺いたいと思います。
○江口政府委員 最近の執行状況、ただいま御指摘のとおり、内容が量的にも質的にもかなり膨大なものになりまして、執行面でいろいろと支障が出るおそれがあることは御指摘のとおりでございます。たとえばいまも所得税の関係で、ここ十年ほどの間に二・一倍になったという御指摘でございますが、そのうち特に問題になりますのは、大口の所得者がかなりふえてきておる。これは複雑な内容が多くなっておるという一つの例になるわけでございますが、そのほかに法人等につきましても、十年前の三十六年と確定数がございます四十六年とを比較してみますと、数の上では一・七倍、それから特にそのうちの大法人、いわゆる調査課所管法人と申しておりますが、五千万以上の法人につきましては三・二倍ということになっております。数の面ばかりでなしに、地域的にも大都市並びにその周辺地域に集中してくる傾向がますます顕著になっておりまして、そういう関係では定員の配分を地方から大都市またはその周辺地区に異動させなければならないという非常にむずかしい問題がございます。 そのほかに御指摘のように、いろいろと執行面あるいは税制面につきまして、納税者のある団体のほうからいろいろな意見等が出てまいりまして、これも一つのレベルアップという観点から見れば喜ばしい現象かと思いますが、現在の法律、制度に基づいて判断した場合には、必ずしも納税者のレベルアップという内容とは違った形のものがふえておるということも事実でございます。そうした部分もかなり都市を中心にいたしまして拡大しておるというのも御指摘のとおりでございます。 こうした状況に対処します場合に、一つの解決の方法としては定員をふやしていただくという方法があることは御存じのとおりで、最も端的な方法ではございますが、税務職員の場合には、ただ単に単年度で頭数をふやすということだけではなかなか執行面の向上をはかりがたいという面がございます。それ相当第一線に張りつきます前段階でかなりの教育をする必要があるというようなことから、一がいに事務量計算のみでもって定員をふやすということがなかなかむずかしゅうございます。そこで、いまのところは採用者につきまして、主力は高等学校卒業生ということになっておりますが、税務大学校に一年間入れまして、ここで学問的な再教育あるいは対人関係の教育というようなことをやりながら、来年からは一年三カ月後に第一線に配属するというような配慮をしておるわけでございます。これらのいわゆるフレッシュマンが大体毎年千六、七百名入ってまいりますが、これも定員増に見合ったものではなくて、新陳代謝による欠員の補充という形が大部分のものでございます。しかし、この十年間でわずかに 一%、七百名の定員がふえただけではございますけれども、四十八年度の予算が成立いたしますと、お認めをいただくことになっておりまする定員のネット増分が百四十六名ということになっております。昨年も久方ぶりに二百一名のネット増をお認めをいただきまして、第一線としては非常に助かる、あるいは士気の高揚にもつながっておるという感じがしておりますが、これらの優秀なフレッシュマンをさらに第一線のほうに、できるだけ重点的な部門に、重点的な地域に配属するような努力を今後も継続してまいりたいと思います。 しかし、一がいに定員だけをふやすということでは根本的な改革にもなりませんし、それから納税者のレベルアップという観点も考慮いたしますならば、部内でもってできるだけの合理化をはかるべきであるということで、なかなか生身を動かすような場合にはつらい場面が多いわけでございますが、部内のコンセンサスを得まして、過去十年間では地方から中央に、中央といいますか都市部門に約三千名、それから最も重点的な事務部門が直接税関係ということになっておりますので、間接税徴収部門からこの十年間で五千名ほど事務官の異動もいたしまして、事案の変化に対応する体制をとっております。 それから、そのほかに税務署約五百ございますが、この税務署も終戦直後農業所得を中心にしたような前提を踏まえまして配分されておる税務署もございますので、その後の都市化現象あるいは新しい経済の変化等に対応するためにそのうちの約五%程度を廃止をいたしまして、その人員を都市のほうに向けていく、あるいは都市の相当マンモス化した税務署につきましてはサービス面等についていろいろ問題が生じておりますので、このマンモス化を避ける意味でより近い段階でのサービスが可能になりますように大署については分割をはかるというような内部努力もしておるわけでございます。 それから、内部事務の合理化等につきましては、できるだけ機械により得るものは機械化するということで、現在所得税、法人税の内部事務あるいは債権管理、徴収面でございますが、債権管理面につきましておおよそ四十数%の部分を電算機で処理をするというようなことで省力化もはかっておるわけでございます。 しかし、また最近のように土地税制等の新しい部面が出てまいりますと、これらに対処する方策も考えなければならないということで、新しく検討をされることになっております新土地税制等につきましても、法律の成立を前提としたわがほうの体制も整えなければならないということで、来週局長会議でもって協議をした上で一つの方策を固めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。 いっとき昭和二十年代にはいろいろ第一線の執行面で問題がございましたし、税務署側にも未熟な点がございましたが、その後二十数年を経ましてわれわれのほうもいろいろの勉強をすることができましたし、納税者のレベルも相当高くなっておりますので、それらに対処する方向としまして機構の全面改革を行ない、また従来は、どちらかというと調査を中心とするような執行体制をとっておりましたが、納税者のレベルアップに対応いたしまして、むしろ指導ないしは相談というものを前面に打ち出しまして、計画的な脱漏をはかる者等につきましては、これは従来と同じように調査でもって対処していくというような方向で、できるだけ納税者と税務署が一体となって適正な申告納税が行なわれますように、ここ二年ほど特にその面について力を入れてやっておるわけでございます。 人の数の足りないところにつきましては、部内でもできる限りの合理化の知恵を出しておるつもりでございます。
○野田(毅)委員 お話、よくわかりました。非常に部内的にも機構改革、あるいは定員の再配置、あるいは事務の合理化ということで苦慮なさっておられるわけでありますが、これは私ども自身がいわゆる総定員法ということに縛られて十分な手を打てないということにも大きな原因があると思います。特に嘆かわしいのは、最近、先ほど申しましたように、間違った権利意識をあおるようなやり方、これに対して何らかの効果的な手をぜひともお考えいただきたいと思うのであります。これは希望であります。 そこで、本来の税法のほうに入りますが、国税庁では定員増に対し非常に控え目に、むしろ自己にきびしくいろいろ合理化努力をなさっておるわけで、幾らこういう努力をやってもやはり限度がある。そこで執行面における課税の公平を維持するために、極力課税最低限を引き上げて処理件数を減らす、そのために当面の課税最低限の目標を設定して、計画的に引き上げを行なっていくということが必要であろうかと思いますが、この点について主税局の御見解を伺いたいと思います。
○高木(文)政府委員 全体として経済の成長も大きくなってまいっておりますし、それから取引関係もいろいろと複雑になってきておりますので、課税の案件もふえておりますと同時に、内容も非常に複雑多岐になってきておるのは否定できないと思います。私ども制度を担当いたしておりますものの心がまえといたしましては、ただいま御指摘のように、納税者の数といいますか、課税の案件といいますか、そういうものが少ないほうが望ましいわけでありまして、その点は制度を考えますときにも心しておるつもりではございますが、同時に、実はある意味におきまして非常に好ましいことではございますが、かなり税の制度そのものが広く納税者の方々に理解をされてきている現状にあるかと思います。 一例をあげますと、たとえば贈与税の課税最低限というようなものは金額が少ないにもかかわらず、かなりの件数にのぼっておりますし、また、たまたま夫が妻名義で家を建てたというような場合に課税になるというようなことから、でき得るならばこれを簡素なものにしていきたいという気持ちも一面にあるわけでございます。ただいまちょっと触れましたように、だんだん税法が広く知られてくるようになりました関係上、いわゆる少額非課税といいますか、事務簡素化の趣旨も含め、また納税者にあまりこまかい金額で御迷惑をかけないようにという趣旨で設けられております少額非課税的な精神の制度、これはいろいろありますが、場合によりますと、それをうまく活用をして、毎年それを積み重ねることによって、結果的にはかなりの、一種の租税回避が行なわれるというような現象も、一方においては否定できないわけでございます。 そこで私どもは、御指摘のように、もろもろの案件についての課税最低限の引き上げを一方においてしなければならないと思いつつも、一方においては、またそういう事案との関連をどのように考えるべきかということに思いあぐんでいるところでございまして、大きな方向としては、御指摘のような方向でだんだん最低限を上げていきませんと、事務量的な問題もございますし、また、非常に多くの納税者に御迷惑をかけるということにもなりますから、方向はそういう方向だとは思いますが、さりとて、いま申しましたような傾向があるということも見のがすことはできないという現状でございます。今後とも御指摘の事柄につきましては十分頭に置きながら、制度を組み立てる際に考えてまいりたいと存じます。
○野田(毅)委員 次に、いわゆるサラリーマン課税の問題について御質問いたしたいと思います。 最近、一律三割の経費控除だとかいうような構想が打ち上げられておりますが、これは非常に問題があると思います。私は、サラリーマンの一つの不平不満といいますか、被害者意識という毛のが、サラリーマンには非常にあると思います。そこで、いろいろ問題はあると思います。先ほど申しました事務量、これが非常に増加するという問題はありますが、このほかにサラリーマンの経費の実額控除選択制というものを導入する場合に、そういう事務量増加ということ以外に一体どういう問題点があるのか伺いたいと思います。
○高木(文)政府委員 サラリーマンについて、いま定額、定率を組み合わせた給与所得控除制度によって、実質的に必要経費を見るというやり方をとっておるのに対して、実額控除制度をとってはどうかということがいわれるわけでございますが、一番問題は、実額控除制度をとりました場合に、どこまでの範囲のものを経費として見るかということであろうと思います。 たとえば、いろいろな衣服その他の経費にいたしましても、普通のサラリーマンの場合には、着用しておりますせびろその他、これはどう考えるべきなのか。普通のだれでも着ているものであれば、それはサラリーマンなるがゆえに着ているというわけではないということになりましょうから、通常は、洋服の経費その他はサラリーマン特有の必要経費という考え方はとっていないわけでございますが、しかし職業によりましては、どうしても毎日同じものを着ているわけにいかないというところから、職業との関連において相当洋服その他を着がえなければならぬという場合があるとした場合に、どこまでがその職業との関連において特別に必要な経費と見るのか、また、本を買って読むという場合に、どこまでがその職業との関連において必要な書籍であり、どこから先は一種の教養なり趣味なりのための書籍であるかというような問題がいろいろありまして、もろもろの購入しました品物の経費あるいはもろもろの消費等の中で、どこまでを必要経費として見るかということの限界を、法律もしくは政令その他法令上どのように制定するかという、まず技術的な問題がございます。給与所得者にとって何が費用であるかということを明確にすることがまず第一前提だということが、実は税制調査会の長期答申にも触れられておりますが、それはいま申し述べましたような意味であろうかと思っております。 その次に、かりにある程度それについて明確にすることができたと仮定いたしましても、今度はそれの立証技術といいますか、どのようにしてそれを主張するかという、主張のじょうずへたということによりまして、必要経費になったりならなかったりするということで、それとの関連で、先ほどもお触れになりましたが、またそれに査定的なものが伴ってまいりますから、税務官吏の数も相当数ふやしていかなければならぬというような問題も出てまいりましょうし、ただふやすだけでなくて、それがある程度同じような判断ができる能力を持っていなければならぬというような面がありまして、そこらがむずかしいところでございます。 私どもは、いまのところは、まだまだいろいろと給与所得者全般にわたる問題が残っておりますから、現在で万全であるというふうにはいえませんので、この実額控除制度の問題も将来の問題としては検討に値する問題だとは考えておりますが、その前にすべてのサラリーマンについていまのままでいいかどうかという問題がある今日においては、まだ実額控除制度の問題を取り上げますにはやや時期尚早ではないかというふうに考えております。
○野田(毅)委員 はい、わかりました。私も、実はこの控除選択制の導入はまだ早いという感じはしておりますが、先ほど申しましたように、サラリーヤンが、何か自分たちだけが重い税を課せられておるというような意識が非常に強いわけです。確かに、よく見ますと、税法の中には事業所得者には数々の特典があるわけでありますが、これに反して、給与所得者の場合には給与所得控除一本であります。所得に対する納税者の割合を見ましても、給与所得者の場合にはほかの所得者に比べてはるかに高いし、また年々この割合が高まってきております。だから、給与所得者に対して相対的に過重になってきておるということは、私はやはり否定できない事実じゃないかと思うのであります。 そこで今回は、かなり大幅に給与所得控除を引き上げられたわけでありますが、引き続いて来年度もことし以上の給与所得控除の引き上げをぜひとも御検討いただきたいと思うのです。主税局長、この辺はいかがでございますか。
○高木(文)政府委員 先ほどもちょっとお触れになりましたように、最近また各方面からサラリーマンの課税問題について、四十九年度以降の問題として、なおいろいろと検討すべきであるという声が漸次高まっていることは、よく承知をいたしておるところでございます。 このサラリーマンの課税問題についていろいろ御議論がございますが、初任給の上昇に伴いまして、就職して一、二年のところから、また中学を出てすぐ就職した、高等学校を出て就職したというような若年層も課税対象になっているではないかという問題が一つございます。それからもう一つは、中堅層のところで、子供さんが学校へあがるようになった、あるいはかなり授業料を要する高等学校なり、大学なりへ行くようになったというあたりの方が一番負担がきついのではないかという議論もございます。さらには、かなりの高額所得者であるかもしれないが、最近は、まあいろいろ交際費その他の負担が、幹部職員の間でもふえておる。それについて税制上あまり配慮がないといいますか、給与所得控除が今度の改正後でも六百十六万のところで全くとまってしまうということとの関連上、そういうことではやはりどうしても問題の会社の交際費のほうに依存するようなことが起こってくるから、かなりの上層階層に至るまで給与所得控除を拡大していったらいいではないかというような御意見もいろいろとあります。 したがって、一般的に、給与所得者に対する課税をもう少し改善してはどうかという御意見は非常に強いのですけれども、その中のどういう点により重点を置かるべきかという点については、各種、各様の御意見があるように私どもは理解をいたしております。 そこで、来年度以降の問題として、どの点に重点を置かるべきかということが一つむずかしい問題だと思っておりますが、何ぶんにも、まだ来年のことをいまから申し上げるのは少し早いかと思いますけれども、やはり所得税の問題で、長期的な問題として考えます限りにおきましては、税制調査会答申でも明らかにしておりますように、今後とも長期的に絶えず検討を続けていくべき問題であろうか、全体としての課税負担といいますか、租税負担率の問題のいかんにかかわらず、所得税自体の問題としては、やはり今後とも絶えず見直しを行なっていくべきであろうかというのが、私どもの考え方でございます。
○野田(毅)委員 やはり主税局長からはなかなか答えにくいと思いますので、政務次官、先ほど言いました、ことし以上に、ひとつ来年度は給与所得控除を引き上げるという方向で検討するということについての御答弁をいただきたいのでありますが、いかがでしょうか。
○山本(幸)政府委員 国全体がいままでのような高度成長、産業中心という考え方から、福祉へ転換をしていくという、そういう大きな流れがございます。そういう流れの中で、福祉とか、経済あるいは個人の生活というものと調和をこれからやっていかなければならないと思いますが、そういう一つの大きな流れに沿っていけば、私は、やはり給与所得の控除を広げるといいますか、全体として、サラリーマンについて、特にそういう所得税あるいは課税最低限の引き上げをしていくということは、一つの大きな傾向といいますか、流れであろう、そういう課税最低限の引き上げの中で、ではどういう具体的な控除の振り分けをしていくかという技術的な問題になってくれば、おっしゃるような給与所得の控除の問題も当然に課題にのぼってくるだろう、こう思うわけでございます。
○野田(毅)委員 続いて、最近は非常に物価の問題が大きく取り上げられておりますが、まさにこれは国民的問題であると思います。そこで、ことしは税率の刻みをいじられなかったわけでありますが、これで二年間据え置きということになると思いますが、このいわゆる物価調整減税というもの、これをどこまで推し進めていくか、若干疑問なきにしもあらずですけれども、少なくとも課税最低限は年々上がっておるので、ある程度はカバーできるであろう。しかしながらいわゆる中堅所得者について税率のブラッケットですね、刻みがそのまま据え置かれているということのために、やはり名目所得の上昇に伴って従来以上に重い税金がかかってくるという仕組みになっておると思います。そこでやはり数年に一回はこのブラッケットを拡大していただきたいということを強くお願いをしたいわけであります。二年間休むことになりますと、やはりこれは相当幅を広げておかないとぐあいが悪いのじゃないか。来年度いかがでございましょうか。
○高木(文)政府委員 所得税の仕組みは、御存じのように収入から経費を引いて所得を算出をして、その算出された所得から一定額の控除をして、それに税率をかけるわけでございますから、控除と税率の組み合わせで累進構造を維持しておりますので、御指摘のように控除と税率とを両々組み合わせながら改正を行なっていくということであるべきことについては、私どももそのように思っております。 ただ、四十八年度の改正につきましては、給与所得控除が従来収入で四百十三万円のところまでで消えるといいますか、そこから先は幾ら収入がふえても給与所得控除の額に影響がないということになっておりますのが、今回六百十六万までそれが広がってきたわけでございますので、これは少なくともサラリーマンに関する限りは税率を調整するのと同じメリットがあるわけでございまして、そういう意味で今回のように給与所得控除の適用範囲を拡大いたしました際に、税率を重ねて直しますと、若干中堅層以上のところにメリットが行き過ぎるというような感じがありますので、見送った次第でございます。 それからもう一つ、大きな問題は、しばしば国会において御指摘がございますが、資産性所得と勤労的所得とのバランスが一体とれているかどうか。所得税は本来総合課税というたてまえをとっておるが、いわゆる分離課税の関係があって、資産性所得についてどうも少し結果的に甘いといいますか、そういう結果になっているではないかという御議論がございますし、またそういうことは否定できないわけでございますので、それを考えますならば、一体税率の問題を考える場合に、その種の資産性所得の分離になっております現状との関係をどう組み合わせて考えていくかという問題があるわけでございます。四十四年、四十五年、四十六年と三カ年にわたりまして、控除、税率、両方の手直しをやったわけでございますし、四十七年度は、まあ四十六年度の年内減税ということで、なかったわけですか、いまおっしゃるように四十七と八はなかったということになりますから、四十九年度以降には税率の問題ももう一度検討はしてみなければならぬという点は、御指摘のとおりではありますが、いま申しました点と組み合わせて、つまり給与所得控除のあり方の問題、それから資産性所得と勤労性所得とのあり方の問題、そこらの組み合わせとの関連において相当慎重に検討すべきであろうかと思っております。
○野田(毅)委員 続きまして、配当控除についてお伺いをしたいと思います。 もう数年前になりますが、一時、自己資本比率が非常に日本は悪いというようなことでいろいろ諸外国と比較され、国際競争力強化のために自己資本充実策ということで特別措置まで生まれたわけでありますが、その際に行なわれておった議論を思い起こしますと、すでに経営者の意識において資本と経営が完全に分離しておる、いわゆる配当コストという表現のしかた、銀行から借りた金は損金で落ちるけれども、資本については配当というコストがかかる、これには税金がかかるということで、そういう意識が、完全にこのシャウプ税制に立っておる法人税制そのものに対する一つの根本からの認識の相違じゃないかと思うのであります。庶民感情からいっても、すでに企業そのものは社会的実体を備えておるし、特に大企業は、もう資本家といっても経営者といっても、むしろ資本家というより経営者といったほうがはるかにぴったりとくるというような状況でもあるわけです。そこで、もうこの際配当控除を思い切って廃止をするということについてのお考えはいかがでございましょうか。
○高木(文)政府委員 配当控除の問題につきましては、本会議その他でもしばしば御指摘を受けておりますが、私どもは、配当控除の問題を単にどうも税制だけの問題として議論することで足りるかどうかということについては、やや疑問を持っております。やはりこれからの企業といいますか、の資金調達を直接金融により依存すべきか、それから従来のような間接金融重点といいますか、そっちにやや片寄ったような方式がよろしいのかというあたりが、やはり非常に基本的な問題ではないか。 それで、直接金融をさらに伸ばしていくという考えに立った場合に、いま御指摘のように、配当についての企業の負担を軽課して、反面、配当控除をやめていくというの毛一つの考え方だとは思いますが、しかしながら、そういう形をとりました場合には、利益金が非常に少なくて配当が一ぱい一ぱいというような場合の法人の場合には、企業全体としての法人負担割合が非常に少ないことになります。したがって、現在でも、上場会社について、そして株の発行数が多くて配当金額が非常に多い場合には、配当政策との関連で法人税負担が少し軽くなっていく傾向にあるという問題が一つございますので、配当控除をやめて、そのかわりに配当軽課をさらに重視するという考え方については、今度は、少なくともこの表面上の実効負担率と申しますか、そういう面についていろいろ問題が出るのではないかということが一つ非常に心配をされることでございます。 と同時に、法人税と個人所得との関係は、普通の株式会社の場合だけを考えるわけにはまいりませんので、やはりたくさんございます、数の上においては圧倒的に多いいわゆる同族法人等の場合を考えてみなければならぬわけでございますが、同族法人等の場合におきましては、はたして、配当控除をやめてそうして配当経費の現在の軽課措置を拡大するということでうまくいくのかどうか、これはかなり疑問でございまして、代表者の個人負担と企業の負担との関係からいいまして、相当そこらは問題がございます。 そこで、いかにもこの配当控除制度は課税上の不公平をもたらしているように見えますけれども、そういった関係上、いわゆる大企業といいますか、上場会社といいますか、そういう株式会社のような場合と同族会社のような場合とで非常にその意味が違ってきておりますので、その両者を一律に扱う現行商法のたてまえを前提としながら、なおかつ税法上どういうバランスをとるべきかということが非常にむずかしい問題でございまして、御指摘のように、配当控除が個人の所得税についての負担の不公平を来たしておるという御批判はありますけれども、ただそれだけのことで簡単になかなかいじれないという状況にあるわけでございます。 なお、配当控除につきまては、預金に対するもろもろの優遇措置等との関連もまた考えなければならぬということもあるということをつけ加えておきます。
○野田(毅)委員 ただいまの御答弁は、これから質問をしようと思うことの半分ぐらいお答えになっておるのでありますが、実は私は、配当控除をやめて、そのかわり配当軽課をもう少し拡充する、あるいは逆に支払い配当を損金に算入させる、当然、法人税の実効負担が変わらないように法人税率を引き上げる、場合によっては累進税率を適用する、はっきりとした実在説に立ってやっていく、受け取り配当の益金不算入も廃止するということですっきりした税制をとっていったらどうかということを御質問したいわけであります。 といいますのは、先般来問題になっております株式市場の異常な株価の値上がり、これもどちらかといいますと、株価というものが、何かしら、そういう目先といいますか、もっと長期的に、キャピタルゲインを目当てにした動き方をしておるというような気がしてならぬわけであります。むしろ、株の値段というものは、やはり投資であるならばそれに対する収益、配当で考えていかなければならぬ。ところが残念ながら、いまのそういう株価の動きは、どっちかといえば、さっき言いました売買益、これを目当てにしたものばかりであると言っても過言でないと思います。そういう点にもひっくるめてひとつぜひともこの問題を御検討いただきたいと思うのであります。
○高木(文)政府委員 一般的には、実在説的なものの考え方のほうが税制としては御理解願いやすい、いわばわかりやすいということではないかという感じを、私も個人的には持っておるわけでございます。 しかし、問題は、全く二重課税のことを考慮しなくていいかというと、必ずしもそうはいかない。それがいわゆる大企業といわれておりますものが子会社を持ち、孫会社を持つというような場合の二重課税の問題だけでなくて、同族法人と同族個人間の二重課税の問題もありますので、二重課税問題を全く排除して、もうそれは目をつぶってしまうというわけにはなかなかいかないのではないかということが一つございます。 それからもう一つは、先ほども触れましたように、全体として税率を上げるというふうに言われましたけれども、企業の利益のうち配当に充てた部分の税負担を軽くする、つまり、いまの配当軽課を拡大をするというかっこうをとりますというと、各法人間の実効税負担のアンバランスを拡大する傾向にあるのではないかという心配がございます。現在、御存じのように法人の実効税負担は、地方税も含めますと四五%であるというふうに御説明申し上げておりますが、この四五%という数字は、あくまでも利益金のうちの三割が配当に充てられる、七割が留保分であるという前提に立っての関係でございますが、実はときおり配当のほうに回される利益の額が非常に大きい場合が出てまいります。四十六年から七年の法人税で申しますと、四十六年下期に当たる期あたりでは、企業によりまして非常に利益がダウンをいたしまして、配当に充てられました額が非常に大きい、留保の部分がほとんどないというような企業がかなり出まして、その結果、そういう企業の実効税負担が非常に下がったというようなことがいろいろございます。そういうことを考えますと、いまおっしゃいましたように配当軽課を拡大するということは、いわげ直接金融を優遇する面においてはいいわけでございますけれども、またそれなりに今度は法人間の税負担のアンバランス問題を起こすのではないかというようなことがあるわけでございます。 いろいろごちゃごちゃと申しましたが、いずれにいたしましても、来年度におきましては法人の負担のあり方は相当いろんな角度から研究しなければならぬと思っておりますし、その研究課題のうちで、ただいま御指摘の点は最も大きい問題の一つであろうかと思いますので、これからじっくり勉強をさしていただきたいと思います。
○野田(毅)委員 来年度法人税について抜本的に検討されるということでありますが、その際、あわせてぜひとも同族会社の留保金課税、この問題を取り上げていただきたいと思うのであります。これは必ずしも法人税本来の理論からは出てこないんじゃないかという気がしてならぬのであります。いわば一種の租税回避行為の事前チェックといいますか、そういうような性質がある。しかしながら、同族会社については、一方で行為計算の否認という規定もあるわけですから、必ずや執行面でチェック、また現実にされておるはずであります。今回非課税限度の大幅な引き上げは評価されますけれども、ぜひとも来年度これを段階的に解消していくというような前提で御検討いただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 おことばではございますが、留保所得課税を全部やめてしまうということについては、相当問題があろうか。つまり、留保所得課税というのは、同族会社のように、株主とそれから会社とがいわば利害が一致している、したがって、幾ら留保し幾ら配当するかというのは、まあいわば、ことばはちょっと悪いのですが、自由自在になるという危険のある場合に、Aの会社はたくさん社内に留保をした、それによって代表者個人の所得税の累進を免れることができる、Bの会社のほうはたくさん配当のほうに回した、そしてその場合には、代表者は配当をたくさん受け取りますから、所得税を累進して納めていく、こういうことになりまして、税負担にアンバランスができるのを防止するために設けられている制度でございますので、全部やめてしまうということはどうかというふうに思います。 ただ、反面におきまして、中小法人においてはたいへんこの制度は理解がしにくいし、またわずらわしい、それからまた、漸次内部留保を充実していこう、個人は別に所得がなくてもよろしい、企業の内部留保を高めていきたい、こういう気持ちを持っておる中小企業にとっては、マイナスにしか働かないということでございますので、そこで昨年も定額控除部分を二百万円から三百五十万円に引き上げましたのを、今回さらに五百万円に上げたわけでございまして、昨年、今年に続いて、四十七年度改正、四十八年度改正において行なわれましたような方向での手直しは必要であろうと思いますが、全部やめてしまうというわけにもなかなかまいらぬのではないかというふうに思います。 ただ、今回の改正でございますと、大体法人の留保所得が八百二十五万ぐらい、これは税引き前八百二十五万ぐらいのところから金額が多い場合に留保所得課税が課税になるという形になっておりますので、この水準がいいかどうかというあたりはなお今後の検討課題であり、場合によりましては、四十七年度、四十八年度に続いて将来においてもこの水準のあり方は考えてみたいというふうに思っております。
○野田(毅)委員 次に、特別措置についてお伺いしたいと思います。 全般的に産業向けの措置が大幅に整理縮小され簡素化の方向にあることは、非常にけっこうなことで、その勇気には頭が下がりますが、ひとつこの際、従来から税制上大きな障害でありました社会保険診療報酬の特例の問題をこれから取り上げていただきたいと思うのであります。 まず、この措置による減収額は、四十八年度は八百八十億と伺っておりますが、それでよろしいですか。
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。
○野田(毅)委員 経費率は実態調査をされておられると思いますが、現在七二%が経費であるということになっておりますが、主税局の実態調査では、どの程度が経費と見られておりますか。
○高木(文)政府委員 実は主税局としては格別実態調査をいたしておりません。ただ、社会保険診療報酬課税の特例を受けられる方でも、またそうでない方でも、いろいろ申告書で経理状態がある程度わかりますので、そういうもので状態を、まあ詳しくでなしに、大体感覚的につかんでおりますが、それによりますと、七二よりはかなり低いのではないか、七二という経費率は少し高過ぎるのではないかという印象を持っております。
○野田(毅)委員 じゃ、五二、三%という数字をどっかで耳にしたことがありますが、そういう数字は出ておりませんか。
○高木(文)政府委員 かつてそういう五二、三%という数字が非公式に出されたことはございますが、この率は、しかし必ずしも特に経費率を幾らが正しいかということを見るために調査したとかなんとかいうことではなくて、申告の数字をある程度の抽出率をもって平均的に算定したものでございますので、一つの目安にはなりますが、直ちにそれがこの七二%にかわるべきものだというような性格のものではないわけでございます。
○野田(毅)委員 との問題に対してなかなか廃止できないという状況はよくわかりますが、おそらく主税局も切歯扼腕しておられることと思います。これは野党も含めて非常に政治家がだらしがないからこういうことになっておるのでありまして、私がこれを取り上げましたのは、この前予算委員会の分科会でも文部省に質問したわけでありますが、現在入学試験も一応一段落をして私立医科大学もそれ相当の人間が入ったと思いますが、これだけの私立医科大学の学生が、入学の際に入学金あるいは寄付金と称して一体どれだけの額をみんな払うておるか。新設の医科大学の場合には、成績が優秀であっても大体三千万は最低用意してくれということをいわれておる。中には四千万、五千万という声も聞いております。こういう現状ではたして正しい医学教育ができるのか、私は非常に残念でなりません。このことは何もお医者さんだけを責めるわけにはいかない。彼らもやはり自分のあと継ぎをどうやってつくるか、自分のむすこを医者にするためにこういう法外な金がかかる、そのためには都会におって金もうけをしなければならぬ、僻地医療というのは言うべくして行なわれない、こういう悲しい実態であります。 そこで、これはひとつ大英断をふるっていただいて、政務次官にお伺いしたいのでありますが、この措置を思い切って廃止をして、その金を私立医科大学の助成なりあるいは国立の医大の充実にぜひとも振り向けていただきたい。私はこのことを申し上げますのは、現在日教組の授業放棄の問題あるいはお医者さんの診療拒否の問題、この二つが、まあ私は、飛躍かもしれませんけれども、わが国の青少年の心の退廃の大きな元凶の一つであるんじゃないかと思っておるのであります。そこで、いわば昔から社会倫理の規範たるべき、そういうほんとうに先生と呼ばれるにふさわしいお医者さんと学校の先生というものが、はたしてこのままでいいのだろうか。特にそれを助長しておる政治的な思想の向きもあるわけであります。そこでぜひとも、野党も含めてこの際みずから姿勢を正すということで、政務次官、いかがでございますか。
○山本(幸)政府委員 これはたいへんいままでも、与野党を問わず、国会の中でも、あるいは各政党の中でも、ずいぶん論議をされてきた問題であります。まあ政府としましてもこの問題にひとつ真剣に取り組むということで、国会の御意向も伺いながら税制調査会にひとつこれを御研究願おう、こういうことになっておりまして、去年から税制調査会の中に特別部会が設けられまして、会長以下真剣にただいまこの問題と取り組んで、何らかの結論を出すようにということで鋭意御研究を願っておる段階にございますので、政府としましては、ただいまのところ、この制度を前向きに解決していくために、この税制調査会で何らかの結論を得て、それを待ってひとつ措置をしていきたい、こういうことでございます。 ただいまの、医科大学の助成のために回せという、一つのこれは野田委員の御見識でございますが、目下のところの政府のこの問題に対する取り組み、進行状況は、以上のとおりでございます。
○野田(毅)委員 まあぜひとも、前向きはもちろんでありますが、来年度はこれを実現していただきたいと思います。もちろん、単価アップの問題とか、いろいろあることは承知しておりますが、これはいずれにしても、私立医大に金を使う、あるいはこの特例措置をやめる、あるいは単価アップの際に相談を受けるということで、結局は大蔵大臣あるいは政務次官の腹にかかってきておるものと思われますので、ぜひともよろしく御検討をいただきたいと思います。 それから、時間がちょっとなくなってまいりましたが、事業主報酬制度についてお伺いをしたいと思いますが、非常にむずかしく、いわばわかりにくく書いてあるわけで、おそらく、これがそのままで何の説明もなしに適用となりますと、これはなかなか一線の職員が苦労をしてたいへんであろうと思います。必ずしも、減税になるかといえば、ならない。へたをすると税金を払い過ぎなければならぬという事態も予想されるわけであります。そこで、一線でそういうトラブルが起こるということになるとたいへんでありますから、国税庁もそういう事前のPRということはおそらく熱を入れてやっておられると思いますが、具体的にどういう形でPRをしていかれるか、そういう摩擦をどういう形でなくすように努力をされておるのか、伺いたいと思います。
○江口政府委員 まだ法案が本日から審議をしていただくということでございますので、具体的に指導の中身を確定するまでに至っておりませんが、御指摘のとおり、法案そのものがかなり複雑な表現になっておりますし、また一面、適用を誤る——というとおかしいのでございますが、当該年度の収入と事業主報酬との割合の関係の予測を間違えますと、税の面で従来の方式に比べましてプラス、マイナスの面が出ることは、御指摘のとおりでございます。したがって、この条文の成立の暁の適用につきましては、十分に、限界効用と申しましょうか、法律のある姿というものを納得していただくために、でき得れば、われわれ自身全国各地でもって説明会等をいたしますが、また青色申告会という会もございますので、そこともタイアップいたしまして、万遺漏なきを期したいということで、現在御審議をいただいております内容に基づきまして、ただこまかな点等につきましてはまだ政省令に譲られている部分がございますので、これらの行くえを見た上で正確な説明資料等を作成した上で、できるだけ早い機会に全国的な説明会を開きたいというふうに考えております。
○野田(毅)委員 次に、土地税制についてお伺いしたいと思いますが、非常に思い切った税制で、なかなかよくされたと思いますが、地価の値上がりの抑制を税制のみに依存するのは、私は行き過ぎじゃないか。もちろん、建設省はじめ、そういう当局も一緒になって本腰を入れてやらなければならぬことは言うまでもありません。そこで、この税制案ができ上がる前に、たとえば公示価格をこえるものには一〇〇%課税しろとか、あるいは再評価税をやったらどうだとかいうような案があったようでありますが、いずれもなかなかむずかしい面がある。そこでいまの案に落ちついたわけであります。実質七割負担というのはかなりのものであると思いますが、それならば、この際思い切ってその土地の譲渡益部分だけを切り離して七割の分離課税ということにしたらどうかというような見解も出てくるわけであります。この見解についていかがお考えでありましょうか。
○高木(文)政府委員 いろいろな案があったわけでございます。私どもが御審議をお願いしておりますような案に近い案でも大体三つ考えられるわけでございまして、一つは、御指摘のように七割の完全分離という考えでございます。まあ言ってみれば、これがあるいは一番重い案ということになるかもしれません。それから一つは、ただいま御審議をお願いしているように、二割特別重課をする、譲渡の部分についてだけは二割加重をする、基本の計算は通常の法人税率によるということにいたしますと、赤字であれば二割だけの課税になる、こうなります。それからもう一つの案は、そもそも法人税であるという考え方に立つのであれば、企業全体として、土地譲渡の部分も含めて全体が赤字であれば、これは課税するのはおかしいではないか、法人の税の概念として、企業全体として所得がないのに課税をするというのはおかしいではないかという三つの考え方があるわけでございまして、それを種々比較検討の上、いわば中間の案といいますか、まん中の案に落ちついたわけでございます。 まん中の案に落ちつきました実質的な一番大きな理由としては、この案でございますと、赤字であるか黒字であるかということによる差というものは二割でございます。赤字であっても黒字であっても、要するに二割ということになります。ところが、完全分離になりますと、黒字の法人の場合には二割重課になりますが、赤字の法人の場合には七割重課ということになるわけでございます。そこで、何か特別に赤字の法人からよけい重課すべきだという論理が成り立ちますれば、あるいはそれも一つの考え方かと思いますが、確かにいろいろ赤字の法人というのをうまく使って一種の回避を行なうということもないわけではないかもしれませんが、どうも現段階でそれが一般的だということは言えない現況におきまして、黒字であれば普通の場合二割重課、赤字であれば七割重課というのはちょっといかがなものであろうかというのが、完全分離をやめてこの部分についての二割重課にした主たる理由でございます。 そのほかもう一つは、完全分離にいたしました場合には、よく最後まで詰めて議論はしてございませんが、もはやそれは法人税ではなくなってくるのではないか。根元のところからすぱっと所得を二つに分けてしまって七割という税率で課税することになりますと、いわゆる法人税ではなくて、別の、完全独立の土地法人税というようなものが考えられたことになるのではないかというように、論理的にはなるように思われます。 そこで、いろいろ御議論はあろうかと思いますが、この点はかなり十分に重点を置いてその三つの選択を考えた上で、現在御提示申し上げました案のようにいたしたわけでございまして、御批判はあろうかと思いますが、私どもとしては、この案が三つの案の中では実は一番適当ではないかというように判断したものでございます。
○野田(毅)委員 この特別措置ではありませんが、これに関連して、土地保有税というのが地方税のほうで取り入れられておるわけでありますが、これが取得価額を基礎にして課税をするという点でかなり従来よりも重くなるわけでありますが、私が一番心配しておりますのは、この取得価額が基礎になるということになりますと、いわば売買の当事者の利益が一致をする、つまり、両方ともに売買価格を低目に申告をするということによって両方の税金が安くなるということになるわけであります。実際にはこの売買価格の把握というものは、おそらく地方税の職員ではできないので、税務署の職員が把握をすることになると思いますが、こういう問題は非常にむずかしい問題でありますので、ひとつそういう点で漏れのないように国税庁のほうも十分対策をお考えいただきたいと思うのでありますが、何らかのそういう具体的な対策をいまからお考えでありましょうか。
○高木(文)政府委員 ただいまの特別保有税につきましては、国税で実施すべきか、地方税で実施すべきかという点が、最後までたいへん迷った点でございます。国税で実施をすることにすれば、ただいま御指摘のような売買価格を表向き低くする、取得価額を表向き低くするということは行なわれがたくなります。特に法人税につきましては帳簿が大部分ございますから、それから法人の調査につきましては資金の流れ等の調査も行なわれておりますから、取得価額そのものを事実と反するように申告するということはなかなかできにくい状態にございますから、国税でいたしますればその点はまず問題はない。 ところが、国税でやります場合には、非常に困ったことには、売買という事実があったかどうか、これは名義課税ではうまくいきません。騰貴の抑制でございますから、名義は変えないでおいても、実質的には売買があったという場合にも課税をするという形にしませんと意味がないのでございますが、売買の実態はなかなか国税ではわかりかねるわけでございます。市町村では、土地を買いたいという人が市町村に来ていま土地をさがしておるというような段階からかなり状態がわかりますので、売買があったかないかという事実のほうは、これは市町村のほうがよく把握できる。そこで、そのメリット、デメリットを彼此勘案の上、これは地方税にして、そして市町村税にして市町村で課税をしていただく。ただし、その取得価額が幾らであるかという点についてだけは、これはどうしても本社の所在地で帳簿に基づいて調べなければわかりませんから、物件土地の所在地ではなかなかわかりませんので、その点では国税のほうで地方税の協力をいたさねばならぬ、こういう考え方でございます。 そこで、立法の段階から自治省当局と私どもと相談をいたしまして、市町村当局から、ある売買事実があったが、それについて、取得価額がこれこれという申告になっているが、真偽いかんということの御連絡をいただけば、国税のほうで本店所在地等でいわば法人税調査の手法を中心にしてその取得価額の真偽のほどを調べた上で市町村のほうに回答をするということにしたわけでございます。これによって両方のメリット、デメリットを総合的に見まして、一番うまくいくのではないかと判断したわけでございまして、御指摘の点は、特別土地保有税がうまくいくかどうかのポイントでございますので、必ずわれわれとしては国税庁に頼みまして、国税庁のほうでそれを積極的に行なうようにやってもらうというつもりでおります。
○野田(毅)委員 時間が超過して申しわけありませんが、最後に一点だけお尋ねをしたいのであります。 だいぶ前から、直接税中心主義は少しもう変えようではないかということで、付加価値税をひそかに検討されておられたと思うのでありますが、付加価値税というものもなかなか一がいに導入できない問題もあるし、旧税は良税であるという格言もありますが、特に近年物価が高騰してきておるということで、物価に与える影響、あるいは間接税とはいえども中小企業においてはなかなか転嫁しきれないのではないかというような事柄も考えられるわけであります。そこで私は、この問題についてはかなり慎重に取り扱っていただきたいと思うのでありますが、近い将来この制度を導入するつもりがあるのかどうか、政務次官にお答えいただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 ただいまひそかに研究しているというお話でございますが、決してひそかに研究しているわけではなくて、相当公然とやっているつもりでございます。ただ、問題は三つほどあると思います。 一番問題は、御指摘の物価に与える影響いかんということ、転嫁可能なりやいなやという問題、それから特に中小企業等にどういう影響があるかというような問題でございますが、それらを通じまして、やはり何と申しましても、昭和二十五年でございましたか六年でございましたかにやりました取引高税の非常によくないイメージがまだ残っておるということが一つと、それを別にいたしましても、間接税にはどうもわが国はなれていないということで、いわば日本の経済の取引の実態、もっと広く言いますと、何となく、風土といいますか、そういうものにうまく合っていないということがあろうかと思います。その後のわれわれのいま研究をいたしております焦点は、むしろ制度の議論ではなくて、そういう実際に受け入れることの手順とかあるいは行政のあり方とか、そういうことを中心に勉強を続けております。ヨーロッパ各国でほとんど全部の国がやるようになりましたが、どの国も全く同じ問題を経験いたしておりまして、中小企業等の問題が一番大きな問題になっておるわけでありますが、どの国の例を見ましても、むしろこの税制を逆に中小企業に対する誘導税制のような形に活用している部分が多いわけでございます。お客さんからは付加価値税を徴収しますが、小規模の中小企業については、それを国に納付しないという形によって実質補助金の形式をとる、ちょうどいわばネガティブタックスの裏みたいな形のことをやっておるのでございまして、そういうことについては各国とも今日まで長い歴史の間において非常に苦労をしてきたようでございます。 いま研究いたしておりますのはそういう点でございますが、しかしなおこれは私どもの研究ではいけませんので、広く一般の方々に関心を持っていただいてそして一種の拒絶反応のようなものがないような状態にならないと、現実にはなかなか採用困難であるというふうに考えております。そういう意味で、研究はいたしておりますが、時間的にいつごろを目途にというようなことは、私どもとしてはいま具体的な案を持っておりません。
○野田(毅)委員 以上で質問を終わります。
○大村委員長代理 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 まず、所得税法の質問に入りたいわけでありますけれども、先ほど政府側から今度の法改正についての趣旨が一応述べられたわけでありますけれども、端的に申しまして、私は、今度の税法改正というものが一体どういう目的で、どっちの方向を向いてやろうとしているのか、どうもよくわからないような気がするわけであります。 まず、さらに私も補足をして、予算案との関係を踏まえつつ、今度の税法改正についてお伺いするわけでありますけれども、税制調査会の答申を大体踏まえて税法の改正が出てくるわけでありますけれども、これだけのインフレの時代になって、租税政策の経済運営に占める役割りというのは、私は当然あると思うわけであります。その点を踏まえて今度の税制改正というものを、特に所得税法を中心にして税制改正というのが、あの大型予算のうらはらとして一体どういう役目を果たしているのか、どういうような方向にあるのか、まずその点からお伺いをしたいと思います。
○高木(文)政府委員 全体としては、昭和四十六年の八月におきます税制調査会のいわゆる長期答申の線に沿っておるつもりでございます。と申しますのは、所得税はやはり毎年見直しをしていくという考え方、法人税については漸次負担が高まっていくという考え方でございます。間接税等については、でき得ればそのウエートが下がらないようにあるべきではないかと考えながら、実は経済成長が非常に早いということとの関連において、本年度も間接税のウエートはたいへん下がりまして、所得税と法人税を合わせましたものを除きました間接税等の割合は、全体のうち大体三〇%ぐらいまで下がっております。 それから、ただいま御指摘の、こういう経済情勢との関連において税制をどう考えるかということでございますが、この点は経済社会基本計画の中におきましても、「経済政策の一環としての税の誘導抑止機能は高く評価されねばならない。他の政策手段との整合性を保ちつつ、」土地税制についてはかくかくと、あるいは過密、過疎の問題についてはこうだということを触れました上に——失礼しました。いまちょっと読んだ部分でないのでありますが、財政と税制との関係につきまして、「わが国の税制には所得税・法人税を中心として景気に対しかなりの自動安定化機能が認められるが、今後税制に対する期待が一段と高まることにともない、税制改正にあたっては景気の動向に即応して積極的に税制を活用するとともに、さらに景気調整機能を一段と強化するため、機動的に税制を活用するための方策の導入、整備について検討する。」とありまして、実はこれは、この答申が出ます前に、四十八年度の税制改正としても何らかの意味において景気調整機能を持たし得ないかどうかということは、内々検討をいたしたわけでございます。しかしながら、たとえば金融措置の場合と違いまして、税の場合には、それによって具体的に納税者の負担が動くわけでございますので、やはり税法上、このような状態の場合には税率を上げるとか、このような状態の場合には税率を下げるとか、もしくはこういう状態の場合には償却を早くするとか、おそくするとかいうことを事前に明らかにしておく必要があるであろう。その、このような状態の場合にという前提条件をどのようにつくるかということがたいへんむずかしいわけでございます。諸外国におきましてはそういう種類の税制がございますところもありますが、それは、いわば一定の基準になりました場合に税率を上げたり、あるいは償却を早くしたり、おそくしたりするということについて、国会から政府に委任をされておるというかっこうのものが多いわけでございます。 しかし、そういうことがいいか悪いかというような問題もあり、また、そういう委任のような仕組みがいいか悪いかという問題があり、もう一つは、その前提となる条件をどう規定すべきかという問題のところで、どうもまだ勉強不十分で行き詰まりまして、四十八年度にはその種の景気調整のための仕組みというものは導入することができなかったという事情でございます。
○佐藤(観)委員 私は、いま局長が言われたような税率の上げ下げ、あるいは償却を早め早めない、こういったいわゆる租税法定主義をこわす危険性もある問題に触れなくても、やり方というのは幾らでもあると思うのです。 それを私は少しここで論議をしてみたいと思うのでありますけれども、その前に、いま主税当局としてこの案をつくられたときからすでに三カ月たって、現在の経済状態も、この案が答申をされたときからもずいぶん情勢は変わっているわけであります。それにしても、いまの経済情勢が、私は少し——少しどころか、景気が行き過ぎで、あまりにもインフレ傾向が強過ぎるのではないか。これが生活に非常に大きな影響を与えている。そういった意味で、その前提として、いまの景気というものをどのくらいに考えていらっしゃるのか、経済成長というものを一体どのくらいに考えていらっしゃるのか、それによって私は租税政策として打つべき手はあったのではないか、あるのではないかと思うのでありますけれども、まずその前提として、現在の景気は行き過ぎである、あるいはインフレは進み過ぎである、こういう認識があるのかどうなのか、まずこの前提からお伺いをしたいと思います。
○高木(文)政府委員 今回御提示申し上げておりますところの税制改正は、前提となっておりますのは、御存じの四十八年度の経済見通しを前提としておるわけでございます。 そこで、今日ただいまの状態はどうかといいますと、私どもは、あのときに、四十八年度の経済見通しのときよりは、物価の点におきましても、成長の点におきましても、いわば瞬間風速は若干予測したものよりも高くなっているという実感でございます。しかし、このままであってはぐあいが悪いわけでありまして、しかも通貨問題も大体変わってきたわけでございますので、それがこのまま放置することはできないわけでありまして、経済見通しの示しますような数字に年間としては落ちつくように、財政、金融全体としての誘導が行なわれるものというふうに考えております。 現時点だけ見ますというと、確かに、おっしゃるように経済見通しとの乖離が若干あるわけでございますが、その乖離のままの状態でいたのではまずいわけでございまして、それはもろもろの調整によっていまの見通しの数字に落ちつくような景気に誘導されなければならないというふうに考えております。そこで、私どもの制度自体、改正の内容その他につきましても、現在の時点のいわば瞬間風速的なものからいえば若干そぐわない点もないわけではないと思いますが、年間を通じてはそこに誘導されていくものという前提に立っているわけでございます。
○佐藤(観)委員 私は必ずしもそうも思わないわけであります。昨年の、第四節というのですか、九月から十二月までの瞬間風速が一五%の経済成長率、全く異常に高かったわけでありますし、さらにこの四月の、正式には十二日からですか、参議院を通ってからでありますけれども、昨年の予算の二四・六%という大幅な伸びを持った財政支出が行なわれるわけであります。そういったことから考えますと、いま局長が言われたように、ある程度安定した経済成長になる、あるいは安定した景気の動向になると私は決して思えないわけであります。それは特に昨年の選挙のときから木材が上がり、そのほかいろいろなものが上がっていったとき、そういう短期的な問題ももちろんありますけれども、単にそれだけではなく、いまの景気というのは今年度であるところに落ちつくと私は決して見ないわけであります。それで、いま政府が指向している実質成長率一〇・七%、私はこれ自体も少し高過ぎると思うのですね。これは田中内閣になる前、福田当時は外務大臣あるいはその前のときから、大体八%程度が安定経済成長だという話だったわけでありますけれども、一〇・七%という実質成長率を考えているということは、高度経済成長のときの一一%、これにほぼ近いわけでありますから、私はきわめて経済成長が高過ぎるのではないかという感じを持つわけであります。 そういった意味で、ある程度の景気の抑制をするためには、金融の引き締めをするか、財政支出を押えるか、あるいは増税をするかということになると思うのでありますけれども、おのおのにもいろいろと問題があると思うのです。財政支出を押えるというのは、これから整えなければならない社会福祉の充実ということをますますおくらせることになりますし、金融の引き締めをしますと、おそらく再び金利が上がってくる。こうなりますと、また短資が流入するという問題もありましょうし、そういった意味で、これからの経済運営のあり方としては、まだまだ個人消費がGNPに占める割合というのは欧米に比べてたいへん低いわけであります。その意味で、個人消費をふやすような方向の税制、そしてある程度景気を押えるような税制、すなわち、簡単に言いますならば、所得税は大幅に減税をし、法人税を引き上げる、こういった租税政策、何も租税法定主義をこわさなくても、一つの経済政策、経済運営として、租税政策が持っている現在の制度の中で十分やり得る、私はこう思うわけでありますけれども、当局の御見解いかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 問題は二つに分かれると思います。いま佐藤委員から御指摘がありましたように、大きな流れとしましては、法人に負担を求める、それから個人の負担を軽減して消費支出をさらに伸ばしていくというのは、私どもも漸次そういう方向に向かうべきものであるというふうに考えております。ただ、最近の一種の過熱と申しますか、昨年の秋から今日までの大きな流れといいますか、そのちょっと異常な現象というようなものは、こういうものにもし税制で対応していこうということであるならば、かなり弾力的な権限をお与え願わないとうまくいかないのではないか。かなり速いスピードで景気の調子が変わります関係で、それから税制を立てます時期とそれが働き出します時期とに相当期間ギャップがあります関係で、景気の調整自体を法人税なり何なりでやろうということになりますと、かなりの権限をお与えいただくというようなことでもないと、現実にはむずかしいのではないかというふうに考えておりますが、それは今日までの税の仕組みから申しますと、かなり違った形のものになりますので、そういう仕組みをつくるかどうかについては相当慎重でなければならぬということで、今回も御提案を申し上げるには至らなかったということでございます。 長期的なお見通しについては、私どもも御指摘の点と異なる見解を持っておるわけではございません。
○佐藤(観)委員 当然だと思うのでありますけれども、たとえばいま騒がれている消費者物価の上昇率五・五%を、皆さん方のつくっているすべての経済予測の中で見込んでいるわけであります。いま私が申し上げるまでもなく、定期預金の利息一年で五・二五%でありますから、定期預金をしておいても物価のほうがそれより上がりますよということを政府が公然と認めている計画になっているわけであります。ですから、そういった意味では、先ほど申しましたように、経済成長にしても一〇・七%見込んでいる、あるいは貿易収支にしても、昨年より若干減った見通しを立てておりますけれども、それでも八十一億ドル見込んでいるわけであります。そういった状況を考えますと、私は、確かに、いま局長言われましたように、一切がっさい景気の動向を租税政策で調整できるとは申しません。ただ、これだけ高い経済成長を見込むには、それだけ景気がよくなければいけないわけでありますから、それには、いま国民所得に占める個人消費の率が五十数%、これはヨーロッパ、アメリカに比べてたいへん低いわけでありますから、これを上げる意味においても、そして安定した成長をさせるためにも、租税政策だけでできるわけではありませんけれども、その一つとして、個人消費をふやすために大幅に所得税の減税をすべきではないか、それから広人税について、景気をある程度抑制するために法人税をさらに引き上げる必要があるのではないか、少なくもそのくらいのことは、景気調整機能としての租税政策というのはできるのではないか、それは何も新しい制度を考えなくても十分できることだ、こう思うわけでありますけれども、もう一度御見解を伺いたいと思います。
○高木(文)政府委員 何ぶん、今日ただいまの成長の状態なり物価の状態なりは、経済見通しのときの予測とかなり違っておりますから、まさに佐藤委員御指摘のような感触をお持ちになるのは当然のことと思いますけれども、しかし、それはまた一方におきまして、いろいろの金融措置等によって決してこのままいくということではなくて、軌道修正が行なわれるものと信じておるわけでございます。その場合、軌道修正を行なうために税制を活用してはどうかという議論は、しばしば経済学者や評論家等からいわれておりまして、私どもにもしばしばそういう話が出ておるわけでございますが、それはかなり短いサイクルでそれを動かせるという状態でなければならないと思いますので、現在のようにいわゆる税制改正が年一回という状態では、なかなかそういうふうに機動的に動けないという感じがどうしてもするわけでございまして、こういう成長の状態というものはそういつまで続くはずもございませんので、現時点において所得税、法人税のあり方を先生御指摘のような形でこれをかりに直しまして、そしてまた次の改正時期までじっと待っているということではなかなかうまくいかないと私ども思っておるわけでございまして、税制を将来金融のもろもろの手段と同様に景気調整に即応するように活用するということについては、先ほどの長期の経済社会基本計画においても触れているところでありますし、私どもその気持ちでおりますが、現行のように恒久制度といいますか、安定制度としての仕組みのもとにおいてはなかなかそれがむずかしい、こういう感をどうしてもぬぐい得ないわけでございます。
○佐藤(観)委員 再三言うように、今度の四十八年度の予算から始まってすべての計画が実質成長率一〇・七%というたいへん高い高度成長の政策をとっている。これから見ても、私はかなり——局長が言われるようにそんなに景気が悪くなったら、決して私は一〇・七%の経済成長なんかできないと思うのです。きょうの朝の新聞でしたか、あれはどこの試算でしたか、円が二百六十五円になったとした場合、本年度の経済成長というものはそれでも一〇・何%だという数字が出ておったわけでありますけれども、円が変動相場制からいま申しましたように切り上げになって二百六十四円か五円になったとしてもそれだけの成長率でありますから、私は、かなり高い成長率、したがって、それは景気についても、この一年間、長期にわたってかなり持続的に続く、こう判断をせざるを得ないと思うのであります。そこにおいてやはり租税政策の果たす役割りというのは私は当然あったのではないか、こう思うわけであります。 もちろん、景気の動向をこの租税政策だけでできるとは私は決して思いませんけれども、数々の問題を持っているいまの経済の問題、特にこれからお伺いします福祉社会の実現という方向に向かうこの租税政策としては、どうもその辺が今度の改正というのは特徴がないのではないか。一体どちらを向いているのかわからない。局長から冒頭説明がありましたように、四十六年の長期税制の答申のとおり進んでいる、そこには、現在の経済情勢がどうなっているか、インフレがどこまで深刻に進んでいるかという情勢を踏まえて事に当たってないのではないか、私はこう思うわけであります。 さらに前に進みますけれども、これは局長に聞くのがいいかどうかわかりませんが、税制調査会の四十八年度の答申でございますけれども、その主文は、私はきわめて抽象的なことしか書いてないと思うのでありますけれども、ここに書いてある「福祉社会の建設」これは一体どういうことを具本有に考えていらっしゃるのか、それについて若干説明をしていただきたいと思うのであります。それはまた私は後ほど、年金についての課税の問題、これについてお伺いしたいと思いますので、今度のこの税制改正の方向が、この税制調査会の答申にあるような、この主文にあるような、抽象的なことばでありますけれども「福祉社会の建設」ということばならば、一体これはどういう方向を指向しているのか、具体的などういう内容を持っているのか、これについて若干説明しておいていただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 この税制調査会の答申は、ごらんになりますように、四十七年十二月三十一日現在での答申でございます。一方、先ほども申しました経済社会基本計画は、四十八年の二月に決定になっておるものでございます。しかしながら、税制調査会の審議の過程におきましては、経済企画庁の進行中の経済審議会の審議状況が税制調査会のほうにおきましても検討されて、あるいは紹介されておったわけでございまして、そういう経済社会基本計画の大体の動向というものが税制調査会の委員方の頭の中にあってそうしてこういう答申になったものと思っております。 〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 具体的に、たとえば経済社会基本計画の冒頭におきまして「政策転換の方向——活力ある福祉社会の実現」という表題のもとにいろいろのことが触れられておりますが、こういう文言自体はあとできまったものでございますけれども、こういう内容で経済社会基本計画がまとめられていくであろうということは、企画庁の事務当局のほうから御紹介がありまして、そこでこういう税調のほうの答申になったわけでございまして、この「福祉社会の建設」ということばの意味は、そう詰めて議論はしておりませんが、経済社会基本計画の内容とほぼ同様のものを頭に置いているというふうに御理解いただいてよろしいのではないかというふうに思います。
○佐藤(観)委員 どうもその抽象論を詰めていても時間がかかるだけであります。それはそれにして、まず、先ほどちょっと触れた減税の問題について少し詰めていきたいと思うのであります。 今度の減税額のうち、所得税減税というのは幾らですか。
○高木(文)政府委員 四十八年の税制改正は、初年度ベース、つまり、四十八年度に実現する分として三千百五十億でございます。所得税の減税が三千百五十億でございます。
○佐藤(観)委員 それで、まず減税のやり方なんですけれども、先ほどもちょっと野田委員のほうから話があったわけでありますけれども、今度の場合には課税最低限の引き上げをやったわけでありますけれども、課税最低限の引き上げというのは、私は、ある程度賃金が上がり、物価が上がっていけば、それに伴ってある程度、これから十年でも二十年でも、上がっていくものだろうと思うのでありますけれども、主税当局はこの点についてはいかがお考えですか。
○高木(文)政府委員 いつも申し上げておりますとおり、わが国の所得税の課税最低限の水準は、これは見方によって御批判もございますが、各国の場合に比べてかなり高い水準になってまいりました。日本よりも課税最低限が高い国は、現在のところアメリカだけだ、こういう状態になっております。ただ、これはノミナルに比較することがいいか悪いかという問題が基本的にございますけれども、つまり、現行の基準為替レートで換算した額で比較するのがいいかどうかというような問題がございますけれども、そのことを前提とする限りは、わが国よりもはるかに所得水準の高いアメリカを除いては、日本の課税最低限は高いものになったわけでございます。そういう意味では、ある意味で過去十年来これの引き上げということでやってまいりました今日までの税制改正の方向ということについては、やや限界にきたと申しますか、反省期にきておるように思うわけでございます。しかしながら、しばしば御指摘を受けますように、日本の給与所得の構造等が変わってまいりました関係もありまして、納税者の数がたいへんふえておるという状況であるとか、あるいは中学校、高等学校卒業者が就職いたしました場合にも、平均の給与所得水準の場合には課税になるとか、そういう現状を見ますならば、各国との関係で、ただいま最初に申しましたような事情があるからといって、なおこのままでいいんだというわけにはまいりませんと思って——おります。そういう意味において、どのようなテンポで、どのような点に重点を置きながら課税最低限を手直ししていくべきかという点については、いろいろ議論がありましょうけれども、今後とも課税最低限の問題は検討対象とし、所得税減税の一つの大きな問題点として取り上げられ、かつ実現されていくべき問題だというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 大体話はわかるような気もするわけでありますけれども、簡単に言いますとこういうことではないかと思うのです。いままで過去五年間なら五年間あまりにも課税最低限が低かったので、それはしゃにむにとにかくこの五年間にアメリカに次ぐぐらいまで課税最低限を上げてきた。ですから、そういった計画的に大幅に上げる課税最低限の引き上げということは大体これで一応の目安はついたんではないか。ただ、これからも所得も上がっていく、あるいはいろいろな経費も上がっていく、そういった中で、ある程度所得の伸び、必要経費の伸び、こういったものに合わせるための、機械的なと申しますか、調整的な課税最低限の引き上げ、これはある程度今後ともやっていかなければならぬであろう、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○高木(文)政府委員 大体おっしゃったような考え方でおります。
○佐藤(観)委員 「財経詳報」という雑誌があるわけでありますけれども、きょうは大倉さん見えていらっしゃいませんけれども、大倉さんも大体同じようなことを述べられているような気がします。「つまり、たとえばアメリカの所得水準にこれから追い付いていくわけですから、いまのアメリカの水準に追い付くまで減税を全くしないでいまの日本の税法をそのままに適用したら、それはたいへんな重税になる。だから所得水準の上昇の過程で所得税法を構造的に直していかなければいけない。しかし、毎年毎年自然増収の一定割合の減税を必ずやらなければいかぬとか、あるいは課税最低限としてある機械的な数字を目標に置いて、必ずそこへ息せき切って走っていかなければいかぬとか、そういう時代は終わったのだと私は思います。」こういうふうに言われているわけであります。かなり課税最低限も絶対額についてはまだこれから詰める部分はありますけれども、世界の水準と比べることは必ずしも私は当を得ていないと思うのでありますけれども、とにかくアメリカの次に課税最低限が上がってきた。これは一つの事実でありますけれども、したがって、将来この課税最低限の問題については機械的に大幅に所得に合わして上げていく、あるいは政策的な減税の意味で課税最低限を上げていく、こういったことは、いま考えられているところではそう必要はないんじゃないだろうかという考えのように考えてよろしゅうございますか。
○高木(文)政府委員 そこは非常にデリケートなところでございまして、わが国の場合には、全体としてはとにかくまだ、所得水準は上がってきておりますけれども、つまりフローの面ではかなり世界各国に比べて比肩し得る程度になってきておりますけれども、ストックの面において非常に不十分な点があるというような問題であるとか、それから先ほども私も触れましたし、佐藤委員もおっしゃいましたように、単純なノミナルな比較だけでものごとが解決できない面があるという点であるとか、それからさらには、現実にいかにも給与所得者と納税者との数の割合が高い現状にあるということとか、そういうことも考えなければならないわけでございまして、確かに、世界的に見てかなりの水準に、もうアメリカ以外は追い抜いたという水準にありますけれども、そうだからといって、もうこの問題は手を触れなくてもいいんだということではない、いろいろとまだ問題があるであろうというふうに考えております。 なおもう一つは、所得税の課税最低限と申しましても、いま議論されておるところは給与所得者についての問題でございますけれども、所得税全体として、給与所得、勤労性所得についての負担の問題と資産性所得についての負担の問題、これをどうバランスさしていくべきかというようなことも考えなければならない問題である、ある意味においてもう一ぺん所得税のあり方をかなり基本的に考えるべき時期に来ておるということの関連で課税最低限の問題もよく考えたいと思っております。
○佐藤(観)委員 私がこの大蔵委員会に来てから、基礎控除にしろ、配偶者控除にしろ、扶養控除にしろ、毎年毎年一万円ずつ上がっていったわけですね。したがって、その一万円の率というのは毎年毎年下がっていったわけですね。その意味では、もちろん三つの控除だけがもとではありません。給与所得の場合には定率控除がありますから、そればかりではありませんけれども、そういった意味では、この課税最低限引き上げの率と申しますか、速度と申しますか、これは私はだいぶ鈍ってきていると思うのですね。 それから、いま局長も言われましたように、フローとストックの関係からいっても、まだまだ——私は冒頭に触れましたように、いまの経済情勢、これだけインフレが激しくなったこの状態の中で、家庭生活は物価の上昇でたいへん恐怖を感じなければいけないような状態になっている。こういったようなことからも考えて、まだ課税最低限の引き上げというのがかなり同じようなスピードで今後とも必要なんではないだろうか。実は私もこの毎年一万円というのはたいへん不満なんでありますけれども、とにかく同じようなスピードでやっていく必要があるのではないかと考えているわけでありますけれども、長期的な話になりますと、来年度あなたが局長であるかどうかわかりませんから、必ずしもお答えはできないかもしれませんけれども、大きな基礎控除、課税最低限の引き上げという流れというのは、この辺で、今回が一応大きなピリオドになるのか、あるいはさらにまだ続くものと考えていいのか、その辺を少しさらに詰めてお伺いしたい。
○高木(文)政府委員 率直に申しまして、従来から私どもは、諸外国等との関係においても課税最低限は引き上げられてしかるべきであろう、一応の目標はそういうところにあったわけでございます。現在アメリカだけが日本よりもなお恵まれている状態にあるということでありますけれども、実はこれも、いろいろそういう議論をしておりますのは、三百八円の基準レートで考えてのことでございますので、新しいレートになると、アメリカにもあるいは追いつくか、追い抜くかという状態になるかもしれないというところでございます。 さて、そこまでたどりついたところで、じゃもうこれで大体いいんだろうかといいますと、現実はなかなかそうではないという感じがするわけでございまして、それでは一体何を基準にしてどの程度のテンポで改善がなさるべきやということになりますと、いまでは、このようなテンポで将来も進めていったらよろしかろうというものが、必ずしもまだ、私どもの胸のうちといいますか、おなかのうちに入っていないという現状でございます。ですから、今日の段階で申し上げられますことは、ほぼ、各国の水準から見ましたならばまあまあよろしいところにきたけれども、それじゃもうこれで終わりということじゃなくて、なお今後とも何らかの意味における改善は続けてしかるべきであろうというふうに考えておりますが、どの程度のテンポで、どの程度の割合のものが改善さるべきかということについては、こういうある種の目標に到達をした今日の段階においてあらためて考えてみるべきところではなかろうかということで、来年度以降のこの問題の展開をなすべきスピードなり何なりということについては、いま必ずしも明確なる目安みたいなものを申し上げられない、要するにそういう勉強を十分いたしておらないというふうに申し上げざるを得ないと思っております。
○武藤(山)委員 ちょっと関連して。 たいへん重要な部門で、これからの減税の中心的課題に佐藤君触れているわけなので、これからの質疑者の便宜のために、次の資料をぜひ提出願いたいと思います。 一つは、納税人口の過去十年間の推移。それから独身者の課税最低限の過去十年間の推移。それから独身者の課税最低限の国際比較、できれば五、六年から十年。それから過去十年間の中卒、高卒、大卒初任給の金額。それから、わかるかどうかわかりませんが、最後に、非納税者人員の推移。これは間接税との関係でちょっと議論するに必要であるから、非納税者人員の推移。この資料を来週ひとつできるだけ早い機会に提出を願いたい。そうでないと、いま佐藤委員との質疑応答を聞いておっても、その基本になる数字を、大蔵省はどこらを基本に論議しているかということが読めないものですから、ちょっとすれ違いのところがあるので、ぜひ資料を要求しておきます。
○高木(文)政府委員 御指摘の点でできるものとできないものがありますが、検討いたしてみます。
○佐藤(観)委員 それで、課税最低限の問題と、もう一つは税率の問題だと思うのです。あれは四十六年だったと思いますけれども、税率を手直しをしたわけであります。そのときに一番恩恵をこうむったのが——そのときの減税で、税率を緩和したために所得五百万円前後の方が一番恩恵をこうむったという悪しき税率緩和だったわけでありますけれども、一体、税率緩和というのはどういうときにやられるお考えなのか。特に所得税の弾性値、これがやはり法人税等に比べてみますと——もちろんいろいろ意味は違いますから、それもわからぬわけではありませんけれども、三十九年から四十三年の平均が、所得税が一・八七、法人税が一・一七、こういう数字になっているわけであります。これは四十六年の改正でおそらく若干変わったと思うのでありますけれども、若干変わったとしても、所得税の場合に一・五は割っていることはないと私は思うのですね。そういうことも考慮に入れますと、税率の緩和ということはどういう場合に大蔵省当局としてはやられる考えなのか、その点についてお伺いをしたい。
○高木(文)政府委員 先ほど野田委員の御質問にもお答えいたしましたが、所得税は、収入から経費を引いた額、すなわち、所得から諸控除を引きまして税率をかけるわけでございますので、控除と税率の組み合わせによって累進制度ができ上がっているわけでございます。 で、控除を拡大をいたしますと、比較的低所得層のほうにいわば減税メリットが大きくいく、税率を動かしますと、高所得層のほうにメリットがいくというわけでございますけれども、しかし両者の組み合わせによって動くわけでございますから、私は本来ならば税率と控除と両方を同時に絶えず直していくのがよろしいのではないかというふうにいまでも考えておりますが、本年度の場合にはたまたま給与所得控除の適用対象が拡大をいたしました関係がありまして、それと税率とを重ねて直しますと、あまりにも上に、高所得階層に減税メリットが大きくなり過ぎるという形がありますし、それから、先ほども触れましたが、勤労性所得と資産性所得とのバランスの問題がありますので、税率の問題については今回は慎重な気持ちで見送るほうがよろしいのではないかということで、税制調査会その他に原案をお示しするときにもそういう考え方でいるわけでございます。 そこで、いまの弾性値のお話は、これは主として税率のほうに影響があるわけでございますが、所得税は御存じのように累進になっておりますから、したがって、所得が一ふえましても、税収は、税制改正がなければ一以上必ずふえるという姿になっているわけでありまして、それは控除と税率の両方の結果でございますが、いずれかといえば税率のほうの影響が大きいのではないかというふうに思われます。したがって、弾性値があまり大きくなるということは、これは高額所得者のみならず、中堅層におきましても重圧感を感ずることが大きくなり、よってもって租税回避行為を刺激することになりますので、やはりそういう意味から申しましても税率は直さなければならぬ、それで弾性値があまり大きくならないようにしなければならぬというふうに思っております。 法人の弾性値との関係は、法人は比例税率でございますから、本来であるならば大体法人のほうの弾性値は一に近いはずのものでございます。ただし、好況不況によりまして——累進税率はとっておりませんけれども、日本の場合には、配当の軽課制度があることが一つ、それから赤字の場合には繰り戻しが行なわれるというような関係がありますので、やはり好況のときには税収が国民所得の伸びよりも大きく、不況のときには小さくなる。つまり、弾性値が、一ではなくて、一を上下するというかっこうになっておるわけでありますが、最近は経済成長率が大きいので一をこえることのほうが圧倒的に多くて、一を割る年数は非常に少ない、こういう関係にございます。
○佐藤(観)委員 減税をする場合に、課税最低限の引き上げということも、税率の緩和ということは必ずしもきまってきまらないような部分が多分にあると思うのですね。非常にむずかしい問題でありますけれども、さらに話を発展さして、問題は、実効税率がどのくらいかということが結局一番基本に最終的になってしまうのではないかと思うのです。そういうことからいいますと、国民総生産、GNPに占める国税の比率、これは私はだんだん上がっていく傾向にあると思うのです。これは政策的にも、高福祉高負担——実際には高負担で低福祉と、話はまだそこまでいっておりませんけれども、とにかく高負担になりつつある。 という方向にある中で、所得税と申しますか、直接税と申しますか、それのほうは、割合と申しますか、量と申しますか、これをだんだん下げていくという方向に全体として私はあると思うのです。そうしますと、大ワクはだんだん広げていくけれども、直接税、特に所得税なんかはなるべくこれから、いま話の経緯のように、減らしていこうということになりますと、これはやはり間接税中心の税制体系にならざるを得ないではないか。これは先ほど野田委員から御質問があったように、いずれは付加価値税の問題ともからんでくるのではないかということをたいへん心配するわけでありますけれども、GNPに占める税の負担率、これはだんだんふえていく、片や、一方で所得税を中心とする直接税というのは減っていく。こうなってくると、残るところは間接税中心になってくるのじゃないか。その間接税中心ということと所得税を中心とする直接税の減税ということと、一体どういうかかわり合いを持って皆さん方は考えていらっしゃるのか、それについてお伺いをしたいと思います。
○高木(文)政府委員 直接税と間接税の割合というのは、現行税制の全体の仕組みの結果がここにあらわれてきているわけでございまして、直接税がだんだん多くなってきた、間接税が減ってきたということで、この税の仕組みがよくないんだということを判定することにはならないと思います。ただ、現実にはこういう姿になりつつございます。間接税が著しく減る傾向にございます。いつも申し上げておりますように、大体年率一%ぐらいの割合で間接税のウエートが下がってきております。しかも、その下がる程度がきわめてステディに進んでおります。そのことが、直接税が重いということと何らかの意味において関係があるのではないかというふうに思うのでございますが、さりとて、それでは困るから意識的に間接税をふやして直接税を減らすということにすべきかどうかという点については、間接税にはいろいろ御指摘のような問題点がございますので、はたして間接税を積極的にふやして、それによって直接税を減らすということをすることがいいのかどうか、その辺はなお相当疑問があると思います。 間接税のうちでどんな仕組みがあるかということでございますが、間接税と直接税との割合に影響するような大きな税制改正というようなことになりますと、やはり一般消費税のようなものが考えられるわけでございますが、その一般消費税についてはなかなか国民の間では受け入れにくい。こういうことであるとするならば、そういう直接税と間接税の推移について注目はしていかなければなりませんが、さりとてそれを無理無理直さなくちゃならぬということでもないのではないかというふうに考えておるわけでございます。特に現在の日本の状態は、いわば平常の状態よりは、冒頭御指摘がございましたように、成長率が非常に高いという状態があり、よってもって所得の伸びが大きい、特に勤労性所得の伸びが非常に大きいという現状にございますから、今日ただいまの現状においては、若干所得税のウエート、法人税のウエートが高まりましてもさしたる問題がないのではないか。よって、間接税の問題を深刻に取り上げなくちゃならぬ、間接税増強の問題を深刻に取り上げなくちゃならぬ時期は、来年とか再来年とかいうそう差し迫った時期ではないのではないか、やや個人的な感じにもなりますが、私はそういうふうに考えております。
○佐藤(観)委員 その次に、私は、減税の意味というものをもう少し国民の前にはっきりしていかなくちゃいかぬのではないかと思うのです。だれに聞いても、普通の人ですと、減税といいますと——よくよく考えてみればそんなことはないのでありますけれども、普通の人は、減税といいますと、昨年納めていた税金よりもことしのほうが税金が少ないんだと、こう思うのですよ、だれでも。皆さん方専門家は、それは片腹痛い、おへそがお茶をわかすことになるかもしれませんけれども、確かに、よく考えてみれば、そういうことはいまの制度ではあり得ないことでありますけれども、減税といった場合、国民はそう思うわけですね。 そこで、よくよくここで分析をしていかなければいけないと思うのでありますけれども、減税というのは一体どういうものでしょうか。
○高木(文)政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますが、どうも戦後の日本の経済の状態というのは、成長率も非常に高いし、物価の上昇も毎年必ずあるということで、実質的にも、またあるいはノミナルにも所得がふえていっているわけでございます。そこで、せっかく制度を変えましても、本年度納めていただく税金と翌年度納めていただく税金とでは、税額の実額としてはふえていくというかっこうになっているわけです。本来経済の状態が静的な状態にあれば、成長もなく、物価も動かないという状態にあれば、制度を変えれば当然それだけ減税になってくるわけでございますが、そういう静的な状態というのは今日の経済状態では考えられません。非常にダイナミックな状態にあるものですから、そのダイナミックな状態においては、制度を変えましても結果的に税収はふえるということになるわけでございます。 本来減税というのはどういう意味かといえば、制度を変えることによって税が減るのが減税であり、制度を変えることによって税がふえるのは増税であると思いますが、そのベースになる課税標準といいますか、税がかかるもとのほうがふえていくものですから、結果的には減税をしても税額としてふえていくということになるのですが、私どもは、制度が変わればそれは減税であるというふうに言っておりますし、一般社会的には、それでは減税と言い切れないのではないかという御批判があるという実態であって、私どもは、制度が変わっておって、同じ前年の所得が百万で、ことしの所得が百万円であれば納めていただく税金が減るのであれば、それはやはり減税だという私どもの説明のしかたが間違ってはいないと確信をいたしております。
○佐藤(観)委員 ですから、普通使う——普通というのは、皆さん方が少なくも大蔵委員会の中で使う減税というのは、大蔵省的、主税局的概念規定の減税ですね。ですから、たとえば予算を、ことしは十四兆ですけれども、これを十三兆でいい、あるいは十二兆でいいという予算を組む場合には、税収をそれだけ少なくしてもいいわけでありますから、自然増収分をさらにプラス大幅にカットをして——これからさらに詰めますけれども、実質賃金が上がっても、絶対額としてその納める税額は少なくなるということだってあり得るわけですわね。おそらく、こういうものは大蔵省の減税ということばには当たらぬかもしれませんけれども、まあ発想の片すみにもないのではないかと私は思うのです。 もう一つ補足的に、減税というものについて概念をはっきりするためにお伺いをしたいのでありますけれども、この四十八年度税制改正による増減収見込み額というところにいつも出てくる数字でありますけれども、たとえばこの中でも、相続税とか贈与税、こういったものは、税金を安くしたからといって、じゃ相続税をたくさん出すなんて、こういうことはできないわけですね。だけれども、確かに額は変わります。しかし、物品税なんかは、物品税の税額を変えることによって、あるいは税率を変えることによって、つまり税制の改正によって、あるものが売れたり、あるものが売れなくなったりするような、そういうことがあり得るわけです。そういったものも、この税収増減収見込み額といっている場合には、そういった変動というものも一応計算されて入っているのか。あるいはもっと言えば、有価証券取引税を今度倍にしましたけれども、これは法案が通ったわけでありますけれども、こうなれば、ある程度——もちろんそれだけで株式市場の取り扱い高が減るとは思いませんけれども、そういったような影響というものも若干考慮に入れて、数字の中に入れて、あくまで増減収見込みでありますけれども、ここに出してくるのか。その辺はいかがですか。
○高木(文)政府委員 税目によりましてたいへん違うと思います。たとえば有価証券取引税のような場合には、実はこれは年によって著しくフレがございまして、それは株の売買の数量そのものが景気、不景気ないしは証券市場におきますところの活況であるかいなかということによってひどくフレるのでございます。ですから、有価証券取引税の税収見積もりが、租税の見積もりの中で実は一番最初の見込みと決算との開きが大きいというような、われわれとしては不面目な結果になっているわけでございますが、したがって、そういうものについては、有価証券取引税の税収見込み額などを立てますときには、必ずしもこれが倍に上がるからどれかが減るであろうというようなことを要素に入れているということにはなりません。物品税のような場合には、やはり軽減をいたしますとフレがございますので、頭の中ではやはりそれを見なければならぬということでございます。ただ、それでは改正部分を見て、たとえば売り上げが、改正なかりせば幾ら伸びるはずのところ、改正があったために幾らに減るであろうというところまで厳密にやっているわけではありませんで、来年はこういう品目についてはこういう改正があるからということと、それから最近の消費の動向あたりを一のみにして伸びの見込みを立てておるということでございます。 それから、ものによりまして、本年度は改正しておりませんが、たとえば酒税のようなものでございますと、これは非常に影響が大きくて、税の中で、あるビールとかウイスキーとか酒とかしょうちゅうとかいうグループ別に減税のやり方、増税のやり方を変えますと、これは明らかに嗜好が向こうへ行ったりこっちへ動いたりという傾向がございます。 そういうふうに、ごく一例で申しましたが、歳入見積もりを立てます場合の減税の影響というものは、税目によってかなりの差がある、しかも、物品税あたりでございますと、品目によってもかなりの差がある、こういうことでございまして、一般的に減税をこういう形で織り込んでおりますという説明はなかなかいたしがたいわけでございます。
○佐藤(観)委員 ですから、私は、減税という場合には中身の意味が二つあって、税制を改正することによって相手が動くものと動かないものがあると思うのですね。所得税の場合には、これは給与所得の場合には、減税になったからといって、ではたくさん所得を取ろうかと思っても、そういう恣意的に、意識的にできるものではないわけでありますけれども、物品税あるいは入場税にしても、あるいは有価証券取引税にしても、基本的には、ある程度税法を変えれば逆に底辺が広がって、一件あたりの課税額は少ないけれども、それが数になってふえるという概念ですね。必ずしもそう簡単にはいきませんけれども、概念としてはそういうことだと思うのです。 そういう抽象論ばかりやっていても時間がもったいないですから、つまるところ、減税というのは、とにかくもし税制の改正がなかったらこれだけ税収があったのだけれども、改正をしたことによって、根っこまで税額が減ったというものではないけれども、所得がふえたその割合だけ税額がふえる、累進課税ですから一倍以上にふえるわけでありますけれども、それのある部分が頭が切られる、これが現実の所得税減税というものだと私は思うのですね。その辺私は非常に減税というものを国民の前にはっきりしていかなければいけない、こう思いましたので、おたくのほうに一つ資料をつくってもらったわけであります。 独身者が、年間収入七十万円といたしますと、四十七年、前年の——前年というか、まだ法案が通ってないですから、現行の法律でいきますと、二万二千二十三円税金を納めなければいけないわけでありますけれども、これが春闘あるいはベースアップ、こういったもので収入が八%伸びたといたします。そうしますと、この収入が七十五万六千円になるわけでありますから、現行法では二万六千二百十六円、つまり四千円ばかりたくさん税金を納めなければいけなかったところを、今度の改正案が通ると二万三千六百六十六円でいい。これは四十七年度のときの税金に比べますと、四十七年度では二万二千二十三円でありますから、千六百円ばかりふえるわけですね、絶対額としては。絶対額ということばは私がよく使うことばでありますけれども、絶対額としてはふえるわけでありますけれども、税制改正しなかった場合よりも当然減るわけですね。これを減税と言っておるわけなんで、これが昨年の春闘の相場を見てみましても、一番低いのが鉄鋼九・九%——いま私、八%の例をつくってもらったわけでありますけれども、九・九%、一番多いのが一九・三%の印刷業の場合であります。こういったところを当てはめてみますと、春闘のパーセンテージが、上げ幅が高くなれば高くなるほど、どれも改正をしなかったときよりも確かに減りますけれども、絶対額としては必ずふえるわけですね、いま物価の話は全然抜きにして。これが現実には減税といわれるものなわけですね。これをまず前提としてはっきり置いておかなければいけないと思うのです。それに加えて皆さんがいう物価調整減税、今度の税収見込みを立てるときには物価上昇を五・五%に見ておられますけれども、今度の物価調整減税というのは、所得税だけで三千百五十億あるわけでありますけれども、このうち物価が五・五%——この数字にしても私はたいへん怪しいと思うのです、四十六年でさえ平均が五・七%ですからね。本年度五・五%におさまると私はとてもじゃないが思えない。それはさておきまして、五・五%として、物価調整減税というのは一体幾らくらいになるのですか。
○高木(文)政府委員 千三百七十億と計算をいたしております。
○佐藤(観)委員 それはどういうふうにやって計算をしていきますか。
○高木(文)政府委員 所得税を計算します場合に、所得から基礎控除とか配偶者控除とかもろもろの控除を引きますが、その控除総額が持つ意味を前年と同じ程度に保とうということを、一応物価調整減税ということばであらわした場合のことを数字で千三百七十億と申したわけでありまして、もう一ぺん申しますと、要するに、課税最低限を構成する諸控除の総額、それに五・五%かけていただいて、それから、それは所得で出てきますから、それに実効税率、その下のところの実効税率をかけて算出したものが千三百七十億ということになります。数字で申しますと、課税最低限を構成する四十七年の控除の総額が幾らになるだろうかということを、これは推定で出すわけですが、二十二兆八千億という数字を出しております。それに対して五・五%それをふくらませなければいかぬ。物価は上がっておるわけですから、前年の最低限二十二兆八千億をそのままにしておいたのでは物価が上がった分だけそれの持つ意味が減りますから、それに五・五%を乗じまして出てきた額に平均税率をかけましたものが千三百七十億円、こういうわけでございます。
○佐藤(観)委員 しかし、その考え方の中には、いわゆる現実に所得が上がる、所得が上がれば弾性値が働いて、所得が一ふえても税額が一ふえるのではなくして、先ほど私が数字をあげましたように一・八七ですか、三十九年から四十三年平均の税収の所得弾性値一・八七をかけるわけですね。そうなりますと、確かにいまの局長の言われた数字では、所得がふえたときのことは全然頭にないわけですね。昨年度の課税最低限四人家族で百十二万ですか。
○高木(文)政府委員 前年は百三万です。
○佐藤(観)委員 百三万の五・五%の分だけ、これを人数でかけて千三百七十億円という数字が私は出てきたのだと思うのですね。しかし、それでは現実の物価上昇分、それに働く弾性値、こういった現実のものは私は入ってきてないのじゃないかと思うのですね。物価上昇を五・五%、租税弾性値を一・八七という数字を使って、五・五%に一・八七をかけて、そして四十七年度の所得税の税収にその数字をかける。こうしますと物価が上がる、物価が五・五%上がるということは、たとえば簡単に話をして、年間百万円の所得があった人が、物価が五・五%上がれば百五万五千円の収入で同じ生活が維持できるということになるわけですね。そうしますと、百万円のときの課税率と百五万五千円のときの課税率は、これは弾性値が働きますから単純に五・五%にならぬわけですね。したがって百五万五千円の税収に課せられる税金というのはこれはさらにふえるわけですね。それは千三百七十億の物価調整減税の数字には入ってきてないのじゃないかと私は思うのです。
○高木(文)政府委員 御指摘の点はおっしゃるとおりでございます。そこで、そもそもこの物価調整という議論は、長らく税制調査会等においても議論されてきたことでございます。いろいろな議論がございますが、物価と所得税の関係をどう見るべきかということについての長年にわたります過去の税制調査会での論議では、大別して二つに分かれております。 一つはただいま佐藤委員の御指摘にございましたように、課税最低限のみならず、いわば税率についても物価を考慮して調整をすべきではないかという御議論でございます。つまり、所得の伸びのうち物価の上昇割合に対応した分については、まず減税をすべきではないかという議論がございます。これは特に日本の給与をはじめとする所得水準が低く、かつ所得税の負担が非常に多かった時代には、そういう議論が中心でございました。 ところが給与の水準あるいは所得の水準が漸次上がってまいりまして、一方いろいろ御議論はあろうかと思いますが、生活費との関係から見ても若干の余裕が出てくるという最近の事態になりましてからは、物価と所得税の関係で厳格に見なければならぬのは、課税最低限との関係であろうということになってきたわけでありまして、物価調整減税ということばが、物価調整のための所要減税額ということばが必ずしも厳密、正確に使われているわけではございませんが、最近はそういう意味で物価を勘案しながら少なくとも課税最低限を直すべきだということで、物価調整のための所要減税ということばが使われているものというふうにわれわれは理解をいたしております。 たとえば所得三百万円の方と五百万円の方があったといたしまして、それらの方につきましても物価が上がりましたならば、実質可処分所得はある意味で実質は減っていくわけでありますけれども、物価が上がったからといって、まずもってどうしても減税をしなければならぬというのは、衣食住といいますか、そういう基本的な生活に関する部分であろうという考え方から申しますというと、先ほど御説明しましたような基礎控除、配偶者控除等諸控除にかかわる部分、それだけ手直しをすれば、最小限物価のために実質増税になったということにならぬのではないかというふうに考えるわけでございます。 なお、本年度の減税につきましては、もし減税総額全体が千三百七十億であるということであれば、非常にノミナルな減税になるのではないかという御議論が出てくるかと思いますが、減税総額とそれからいまの物価調整減税所要額との間には、なおかなりの開きがあるわけでありますから、実質的には税率部分についても相当の調整が、結果的には行なわれているということはいえるだろうと思います。
○佐藤(観)委員 そうしますと、結局問題はそこに租税弾性値を入れるか入れないかという問題に、理論としてはなってくると思うのだ。確かに片方の部分では、一家庭を考えてみれば、いま局長が後半に言われましたように、たとえば百五十万所得がある人が、全部それが衣食住ではない。おそらく八割あるいは七割五分あるいは九割、こういったところで家族構成によって衣食住、いわゆる生計費の占める率というのは変わってくるので、それが確かに下がってくると思う。そういう計算をしなければならないことと、それからもう一つマクロに考えれば、私の場合いま出た数字にもう一回一・八七という租税弾性値をかけなければならない。そうしないといわゆる物価調整減税——物価調整減税というのは何かというと、それをしてやっと昨年並みだということですね。それからさらに政策的なその上に上乗せをする減税というのは、ただそれだけで終わった場合には何もなされていないということです。局長は簡単に千三百七十億で終わっているわけではないからいいじゃないかと言われますけれども、これにたとえば一・八七をかければ、三千百五十億円のかなりの部分は物価調整減税に食われてしまうということですね。そういうことになれば自然増収に比べて今度の所得税減税が実質どれだけ少ないかということがありありとしてくると思うのです。ちょっと千三百七十億に一・八七かけてみてください。ところで今度の自然増収は幾らぐらいになる予定ですか。
○高木(文)政府委員 一兆一千五百九十六億円であります。これは四十七年度の当初予算と比べまして、減税なかりせば見込まれますところの税収額でございます。
○佐藤(観)委員 それは所得税だけですか。
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。
○佐藤(観)委員 一・八七を使うとしますれば、三千百五十億、平年度三千七百一億、これを使ったとしても、一兆一千五百九十六億に対してたいへん少ない数字にしかならぬわけです。そういった意味で、私は、冒頭申し上げたように、これだけインフレが進んでいる中で、所得税はもっと大幅に減税をしなければいけないのではないか、こういうふうに考えるのも無理からぬところがあるのではないかと思うのです。これは一度私は、大臣が来たらもう少し詰めてみたいと思うのでありますけれども、そういうふうに自然増収に比べて、きわめて今度の減税というのは少ない。一体今度の減税は、所得の階層別にしますとどういうところが一番効果があるのですか。
○高木(文)政府委員 それにお答えいたします前に、減税がどの程度の規模のものかということでございますが、ただいまおっしゃいましたように、一兆一千五百九十六億に対して三千百五十億というものは二七・二%になるわけでございます。短年どのくらいの減税が行なわれているかと申しますと、四十七年は税制改正上は減税はございませんでしたが、それは四十六年に年内減税がございましので、年内減税分を四十七年度税制改正と見ますと二九・九%、四十六年が年内減税分を除外いたしますと二四・〇%、四十五年が三八・〇%、四十四年が二五・七%というような経緯でございまして、私どもは決して今度の減税がさほど大幅減税とも思いませんけれども、例年の減税に比べてさほど小さいものだということにはならないと思っております。 第二に減税のメリットでございますが、減税のメリットは、給与所得者で夫婦と子供二人の場合について見ますと、給与収入百五十万円の段階で二三・七、給与収入二百万円の場合が一四・〇、給与収入三百万円の場合が一〇・四、同じく五百万円が七・一、七百万円が六・三、一千万円が三・九というような階層別減税割合になっております。
○佐藤(観)委員 少ないと言いますと、すぐ過去と比べてパーセンテージを出して、そんなことはないというパーセンテージでごまかすわけでありますけれども、私は先ほどから申しましたように、今度の物価が、内容を詳細に見てみると、これだけ上がって、千三百七十億といういわゆる物価調整減税に私はやはり弾性値をかけて一・八七倍した数字が物価調整減税に食われるということを考えますと、現実に減税の効果というのはあまりないのではないか、確かに数字ではあらわれてきましたけれども、インフレによる名目的なものの上がり、それからそれに伴うところのいろいろなものの価値の下落、こういったものをいろいろ入れてみますと、決していま言われたようなパーセンテージだけで解決ができるものではないと私は思います。 特に私は、あとでけっこうでありますから、いま局長が最後に言われた所得階層別の減税の効果についてでありますけれども、七百万、八百万の人はあまり関係ないと思うのですね。というのは、給与所得者を見てみますと、大体五百万以下の方々が大半を占めるわけでありますから、こういった意味ではできる限りこまかに、今度の減税が一体どういうところに一番恩典がいくのか。過去、四十六年だったと思いますけれども、税率を改正したときに、その税率がどういうふうに響くのか、これを詳細に調べてみたら、五百万前後の人が一番減税の恩典を受けるということがわかったわけでありますけれども、今後の審議の参考にもなりますので、今度の四十八年度減税がどういう所得階層別に、特に五百万以下を、いろいろ計算のやり方はあるのでしょうけれども、なるべく詳細に、どういう影響が出てくるかというのを、後ほどでけっこうでございますので、出していただきたいと思うわけであります。 その次の問題でありますけれども、その次は、実は年金に対する課税問題をやりたいのですが、これをやりますと時間がかかってしまいますので、その前に内職の方々あるいは共かせぎの方々、この人たちに対する税法の問題をちょっとお伺いをしておきたいと思うのであります。 まず、これは国税庁でけっこうなんですが、内職、共かせぎ、こういったものは国税庁の範疇で何か税務上の概念規定というのはあるのですか。
○江口政府委員 二つの形態があるのですが、はっきり雇用契約を結ばれておる場合、これは給与所得ということで概念しておりますが、われわれといいますか、私の承知しておる限りでは、家内工業の場合に、一部雇用契約的なものの結ばれている場合と、それから数量的に、請負的にやっておる、いわゆる工賃を取っておる場合と二つございますので、そうした場合には雇用契約的な内容のものについては給与所得として計算をし、それ以外のものについては事業所得として計算をする、こういうやり方をしておりますので、一がいに一つのものとして定義づけるというやり方をしない、収入の実態に合わせて計算をする、こういう形のやり方が従来のやり方でございます。
○佐藤(観)委員 それではまず共働きの方々について、ちょっとお伺いをしたいのでありますけれども、いま共働きの方々というのは一体何世帯ぐらいあると労働省のほうでは見ていらっしゃいますか。
○井上説明員 お答えを申し上げます。 共かせぎの世帯数でございますが、昭和四十年の国勢調査によりますと二百四十九万七千世帯になっております。これは夫と妻がともに雇用労働者であるものについての数でございます。それで、これはちょっと数字が古うございますけれども、厳密な意味の共かせぎ、いま申し上げました共かせぎということになりますとこの数字でございますが、その後だいぶふえておるのではないかと思われまして、これをいわゆる配偶者のある女子雇用労働者について見ますと、現在女子雇用労働者の中で配偶者のある女子が四六・一%、それで、これによって計算してみますと、五百万ぐらいが有配偶者であって雇用労働者であるということになるわけでございます。
○佐藤(観)委員 五百万は世帯ですか。
○井上説明員 これは世帯ではございません。世帯の数というのが統計上ちょっとつかみにくいので、先ほど四十年の国勢調査の数を申し上げましたが、この数がちょっと古うございますので、その世帯の数でなく、有配偶者である雇用労働者の女子の数ということでいまは申し上げたわけでございます。これは昭和四十七年の数でございます。
○佐藤(観)委員 配偶者のある女子労働者が四六・一%ということは、つまり五百万という数字は五百万人の女子労働者が配偶者があるということの数字ですね。——ということは五百万世帯ということと同じことですね。 それで、これはこういう数字があるかどうかわかりませんが、そのあとのこととちょっと関連をするのでありますけれども、そのうちで幼児のある、ないというのは何かそういう数字というのがあるのでしょうか。なかなかこれはむずかしいと思うのですけれども……。
○井上説明員 これも国勢調査によりまして、昭和四十年の国勢調査でございますが、十四歳以下の子供のいる共かせぎ世帯について見ますと、一世帯当たりの平均の子供の数が一・二三人となっております。
○佐藤(観)委員 そこで、この実態を踏まえて今度は主税局長にお伺いをしたいわけでありますけれども、いま共働きの場合には奥さんの、奥さんのというか主人の申告する税額の中に配偶者控除というのは控除されませんですね。
○高木(文)政府委員 その関係たいへん複雑になっております。まず妻の所得が十五万円以下であるという場合には、これは妻の所得自体が非課税になりまして、それから、夫の課税に際してその妻は配偶者として控除が認められます。それから次の段階は、妻の所得が十五万円から二十一万円の間、この場合には妻の所得のほうはそれ自体として課税になりません。ところが夫の配偶者控除は適用されない。夫のほうは妻の分を配偶者控除として適用されない。今度は妻の所得が二十一万をこえる。そうすると妻の所得は妻自身として課税になりますし、夫のほうの所得計算上配偶者控除は適用されない。こういうややこしい関係になっております。 なお、妻の所得が十五万円であるということは、収入のほうで見ると三十四万八千円になります。それは給与所得控除が働きますから、収入で見れば十五万円ということは三十四万八千円になります。それから、二十一万円という数字を申しましたが、二十一万円ということは収入ベースで見ると四十二万二千円になります。したがって、収入ベースで三十四万八千円以下であるか四十二万二千円以上であるか、あるいはその中間であるかによって私が先ほど説明しました三つの組み合わせの場合になってあらわれてまいります。
○佐藤(観)委員 いま実際に給与ベース見てみますと、アルバイトだけ雇うのでも女の方でも一日大体千五百円だというのですね。(「安い。」と呼ぶ者あり)安いほうの話として一日千五百円だというのです。これを三十倍するのはアルバイトの場合なかなかむずかしいですから、二十八倍したとしても大体四万円ちょっとになるわけですね。そうなって、四万円ちょっとでこれを十二倍しますと、これだけでも四十八万円。しかもおそらく正式な雇用関係のある共働きということになりますと、おそらく私は常識的に五十万円をこえてもいいと思うのです。パートなり自分のところでやっている内職的なもの、これはまたあとでお伺いしますのでのけといて、そうしますと、いまの場合には実際にはいま局長正確にいろいろな例をあげていただきましたけれども、実際の場合に私はほとんどの場合配偶者控除が共働きの場合には働いていないと考えるのが実態ではないか。 できれば労働省のほうから、いまじゃなくてけっこうでございますが、共働きのほうの女の方のほうはどういう給料になっているかもまたあとでお教えを願いたいわけでありますけれども、局長、本来配偶者控除というものはどういうものですか。
○高木(文)政府委員 ただいまのお話で、基本的に一つ問題がございますのは、所得税で一番大きい問題の一つとして何を単位に課税をするかという問題がございます。日本の場合には稼得者単位と呼んでおります。そこで夫も働いておる、妻も働いておるということになると、原則は夫は夫で課税になり妻は妻で課税になる、こういうことになります。もう一つの考え方は、いわば生活単位といいますか、消費単位といいますか、世帯単位といいますか、一緒に生活しておれば夫と妻の働いた分を一緒にして課税するという、そういう課税のしかたがございます。日本の場合には世帯単位にしないで稼得者単位にしております。稼得者単位にした場合には妻が無報酬であるという場合には、夫の所得で妻を扶養していくというか食べさせていかなければならぬわけですから、そういう意味で夫の所得税については基礎控除として二十一万円引くと同時に、夫と同額の二十一万円を扶養者控除として引く、こういう関係になってくるわけであります。 ところが、もともと妻と夫が別働きである、共かせぎである、別々に所得を得てくるという場合は、夫は夫で自分の所得のほうから二十一万円引かれます。妻のほうは妻の所得から二十一万円引かれますから、結局二人合わせてみれば妻が働いている場合も働いていない場合も、結局四十二万円ずつは引かれている、こういう関係になるわけで、妻のほうは本人分として二十一万円を引かれるわけですから、妻が働いているのに夫のほうからもう一ぺん扶養控除を認めては三人分引いたようなかっこうになりますので、それはぐあいが悪いということになるわけでございます。 ですから、厳格に言えば、さっき十五万円までは妻が働いても夫の配偶者控除は引かないというふうに申しましたが、本来それはおかしいので、たとえば厳密に言えば、妻が十万円働いておるというのであれば、夫のほうの配偶者控除を少しちびるというか減らすことがあってもいいはずなんですが、そういうめんどうなことはしない、簡素にやる、少額非課税といいますか、そういうような精神で十五万円のところで切ってしまっているわけです。そこで十五万円のところで段差ができるわけです。本来のたてまえは妻に所得があれば夫のほうから妻の控除を引いては本来はおかしい、こういう関係になっておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 私のお伺いしたのは——だいぶ先までいっちゃっているんですけれども、私は、配偶者控除というのは——配偶者のない私が聞くのはおかしいのかもしれませんけれども、配偶者控除というのは、相続税のときの、奥さんの財産づくりについての貢献を認めて、横への相続についてはなるべく軽い税金にしようじゃないか、こういった精神と同じものではないかと思うのですね。配偶者控除というのが一つの生計を持つのに一つ共同の資産をつくるというか、二人働いて、二人働いてというか奥さんの場合には働きに出ていない場合にはこれはその御主人が働きやすいようにする、そういった一家計として共同の資産づくり、それに対する控除が配偶者控除ではないかと私は思うのですね。そういうふうに考えますと、共働きの場合に、たとえば配偶者控除、これは昔はたしか配偶者控除というのは認められなくて、第一子控除というのが扶養控除として、第一子の場合たしか二万円までありたと思うのですけれども、四十二年の税制改正か何かでなくなったのじゃないかと思いますけれども、結局、御主人だけで食べていけないから奥さん方が働くわけでありますから、そういった意味で、配偶者控除というのはもう一度精神を見直してみなければいけないのじゃないか。ただ、奥さんも働いているから、配偶者控除は所得が三十四万八千円以上のときにはぽんとなくなるんだということではたしていいんだろうか。 特に私は、先ほど労働省のほうからお伺いしたのは、ほとんどの場合に十四歳未満のお子さんが平均一・二三人いらっしゃるわけですね。ということになりますと、こういった共働きの場合には、どこかにそのお子さんたちを預けなきゃいかぬということになりますと、こういったものに対する配慮というのは当然あっていいんじゃないか、幼児保育控除みたいなものが私は必要なんじゃないかと思うのでありますけれども、その辺のところを、いまの局長のお考えの配偶者控除という考え方では、共働きをして苦労をしている奥さん方には、税制面では、うちにいらっしゃる奥さんよりも——私はいま、給与収入が三十四万八千円以上の場合、ほとんどがその場合だと思いますので、その場合を論議しているわけですけれども、うちにいる奥さんのほうが税制面では優遇をされて、確かに収入があるということによって、外に働きに出ている奥さん方については税制面ではたいへん冷たい。で、その間に、十四歳以下一・二三人のお子さんたちについても何ら税制面では優遇されていないではないか。しかも、先ほどお伺いしたところによりますと、共働きの世帯というのは五百万世帯あるといわれているわけですね。大体、おそらく全国で、いま人口一億人ですから、二千五百万世帯くらいと思うわけですね。その五分の一が共かせぎという現状について、税制ではきわめて冷たい扱いになっているのではないか、こう考えるわけでありますけれどもいかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 二つのことを申し上げておきたいと思います。 若干、先生と私どもと意見が違うわけでございます。一つは、配偶者控除という制度は昭和三十六年に創設されたものでございまして、それまでは扶養控除ということで、妻の場合と子供の場合とは若干金額は違いがあったのですが、配偶者控除という制度はなくて、扶養控除ということで、一括をされておったわけでございますが、漸次、妻の座を何かもっと重く見るべきだということがありまして、配偶者控除というものを扶養控除制度から抜き出しまして、現在は配偶者控除が本人と同じ二十万円で、今度の改正案では二十一万円で、それで扶養控除のほうは十四万から十六万に上げるということで、そこに五万円の差がある、こういうかっこうになっておるわけでございまして、わが国の税制の歴史においては、配偶者控除は扶養控除から抜き出されてきたものである、こういうことでございます。 いま御指摘のように、共かせぎの世帯についてはいろいろ掛かりがある。奥さんも亭主も働いているということであれば、子供の養育のために人を雇わなければいけないとか、あるいはどこか人に預けなければならないということがあるので、何か考えるべきであるという御主張はございます。しかし、反対に、夫だけが働いて妻が家庭にあるという場合の片働きの方々のほうからは、いまの制度は片働きについて非常に不公平である、夫が二百万円なり三百万円なり所得があるのは、妻の家庭における働きがあるからである。ところが、たとえば三百万円の所得が世帯全体としてある場合に、夫だけが働いておりますと本人について基礎控除と配偶者控除とが働きますが、給与所得控除のほうは夫の所得についてだけしか給与所得控除は働かない。ところが夫と妻とが両方働いて夫が二百万円で妻が百万円で合計三百万円、結局世帯としては同じ収入がある場合でも、先ほどの控除の関係は基礎控除は本人に働き、配偶者控除はなくなるということでありますけれども、給与所得控除が夫のほうにも妻のほうにも働いてくるものですから、そういう関係で、同じ三百万円の所得があっても、二人の所得を総合してみますと、片働きのほうが納める税金が多いというので、片働きサイドからは、いまの税制では妻の内助の功という見方が非常に少ないという議論がありまして、それがいわゆる二分二乗論ということで、片働きの場合には夫の所得の半分は妻の働きとして見て何か考えたらどうだ、こういう議論が盛んに行なわれているわけでございます。 そこで、片働きと共働きとのバランスをいかにいたすべきやという問題は、わが国だけではなくて各国とも困っているところでございまして、アメリカ等におきましても、いろいろその制度の歴史を通じまして、片働き、共働きのバランスをどうとるべきやというような議論は、過去の税制改正の歴史においていろいろあるわけでございます。で、私どもは、二分二乗論については今後とも検討問題になっておりますと同時に、保育控除等の問題、子供の保育をいたす場合の保育控除の問題等もかねがね懸案事項となっておるわけでございます。しかし、なかなか両方の主張が相半ばしておるわけでございまして、いろいろな御意見は出ておりますが、また御婦人の間でもいろいろ議論がありまして、結局働いておられる御婦人と家におられる御婦人との間に必ず意見が逆に出る、こういうことでございまして、その辺のバランスをどこにとるべきかということはなかなかむずかしいわけでございます。 いまの佐藤委員の御質問の、共働きについてわりと早く扶養控除が十五万円こえれば飛んでしまうということも少し過酷ではないか、という御意見も従来からございます。しかし、その辺はなかなかどうも、それぞれの立場で両方の主張がある。私はどっちがいいとかなんとかいうことはあまり、現在の段階では判断がついておりませんので申し上げかねますが、ともかく両方から、片働きは片働きをもう少し減税したらどうだ、共働きは共働きをもう少し減税したらどうだと、両方から責められておるという現状でございます。
○佐藤(観)委員 いまの局長の論は、私の言い方がちょっと悪かったかと思う面もあるのですけれども、まず一つは、所得が十五万という第一の関門あるいは二十一万という第二の関門、これが低過ぎるのではないかという一つの論議と、奥さんが働いている場合の配偶者控除、これをどうするかという問題。これは同じような問題でありますけれども——ですから私は、現実にいま配偶者控除をもっと上げるというか、その場合にはなかなかむずかしいと思うのですね。ですから私は、要は、共働きをしておる人々の場合には、必ず出てくる問題は、お子さんをどうするかという問題になってくるわけですね。したがって、私はここで、勤労学生の場合には控除があるわけでありますけれども、ほんとうはこれは後ほど必要経費とは一体何ぞやというところでお伺いしたいと思うのでありますけれども、教育にかかる費用あるいは小学校に入るまでの幼児の先ほど言われた保育控除、こういったものを考えていく必要があるのではないか。共働きの場合の特殊な事情を勘案する。しかも、その共働きをする人がほんのわずかしかいないというのなら、また非常に税制が不公平になるかもしれませんけれども、先ほど冒頭に私が労働省からお伺いしましたように、大体世帯数にして五分の一が共働きであるという現状に立ってみるならば、やはりこの共働きをしているという特殊な条件に置かれているお子さんたちの保育の問題についても、税制面で考えていく必要があるのじゃないか。それで私は、名前はどうでもいいのでありますけれども、幼児保育控除とか保育者控除とか、こういったものを何か考える必要があるのじゃないかと思うわけでありますけれども、もう一度その点についてお伺いしたいと思います。
○高木(文)政府委員 幼児の保育控除の問題は、かねがねからそういう問題はございます。ございますが、そこはほかにもいろいろな諸控除の御要求がありまして、たとえば教育費についての控除を何か考えなければいかぬではないか、特に最近、高等学校なり大学なりに子供を出す場合の費用負担が非常にかかるからということで、教育費の問題を考えなければいかぬのではないかという議論があり、それから老人についていろいろ考えなければならぬではないかという御意見があり、それから若年労働層について考えなければならぬという御意見があり、いろいろ置かれておりますところの環境によっていろいろ控除を考えるべきだという御意見がありまして、それを一つ一つを何か解決をするために新しく控除制度をつくるということになりますと、たいへん税制としては複雑なものになってくるということでありますので、冒頭に佐藤委員から御質問がありました課税最低限とはいかなるものかということとの関連及びそれの将来をどう考えるかという御質問と関連がございますが、私どもは、何とか控除という制度を新しくつくるということよりは、そういう問題がいろいろ出るのは、やはり諸控除の額が少ないということに問題が本来あるということではなかろうかということから、基礎控除なり配偶者控除なり扶養控除なりの水準の問題をもう少し今後議論していくべきではなかろうか。 なかんずく保育控除の問題につきましては、共働きという場合にもいろいろな体型がありまして、税法上は稼得が別であれば別々の税になっておるものですから、御主人がどこかへつとめられて、奥さんが家で農業をやっておられる。御主人もときおりは手伝うという場合にも、税法上は別々の稼得になる。奥さんが農業経営者ということで、御主人はサラリーマンということになってきます。そういう場合もまたありますし、それから法人になっている場合には、御主人が代表者で奥さんが監査役という場合もありまして、税法上のそういう夫、妻の関係というのは、必ずしも生活実態に合ってこないということもありますので、夫と妻が共働きであるから常に何かそういう特殊なもの、そして子供があれば特殊なものを見るべきかということになりますと、これはまたいろいろ問題があるわけでありまして、典型的な、要するに夫婦ともサラリーマンで、毎日毎日どこかへ通勤をしておる、子供をどこへ預けるかという場合が深刻に議論されておるわけですが、税法上はどうもなかなかそれだけを抜き出してうまく処理をすることはむずかしいのではないか。どうもこの問題は、むしろ税の問題よりは他の分野の問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 この問題はある意味では、先ほど野田委員も御質問があった問題と関連をして、はたして個別にいろいろな経費を算出をして認めたほうがいいのか、大ワクとして基礎控除あるいは所得控除の引き上げをやったほうがいいのか、この問題に尽きると思うのですね。ただ私は、いまの国民の要望の波としては、やはりそれなりの特殊な事情というのを認めてもらいたいという方向にむしろあるのではないかと思うのです。所得控除をがさっと上げたら、じゃ、この共働きをしている人々のお子さんたちのこういった養育の問題というのは、皆さん納得をしたところで消えていくだろうかということになると、私はいまの税制、いまの税負担の現状からいって、必ずしも消えるものじゃないと思うのです。むしろ二万円なり三万円なりひとつそういった特殊なものを——私はあげてといったってそんなにたくさんはないと思うのですよ。これは先ほど局長も言われていましたように、若年労働者の問題についてはまたどなたかが質問していただきますし、教育費控除の問題もどなたか御質問していただきますけれども、それは、何でもかんでも控除をつくればいいというものではないのですね、そこにはある程度一定の限界がもちろんありますけれども、ある程度これはこういうものですということにしていかないと、ある面では、皆さん方お得意の税の公平性を欠くことになりますし、そういった面では私は、いまの共働きの場合に限っていえば、やはりそういったすぐ起こってくる問題でございまして、一・二三人十四歳以下のお子さんがいるということは、共働きの場合にもほとんどとにかくお子さんがいるということでありますから、そこに直面をする幼児保育の問題、これについても私は税制で考える必要があるだろうと思うのです。これはまた、論議していてもずっと長くなってしまいますので、ここらあたりにいたしたいと思いますけれども、こういった問題はいま税制調査審議会ではどういうことになっておりますか。
○高木(文)政府委員 税制調査会では、教育費の問題であるとか、それからいまの保育控除の問題であるとか、身障者等を家庭にかかえておる方の問題であるとか、いろいろそういう控除の要求がございますということは、いつも御紹介は申し上げておるわけでございます。そのほかに住居費控除、これは最近非常に家を借りるのが高くなった場合の家賃控除、異常家賃控除的なものでございますとか、それから先ほどもお触れになりました未成年者控除、それからもう一つ、ずいぶん長い間御要求というか御要請がある問題として、寒冷地において石炭等をよけい使うことがあります関係上の生活費がよけいかかるからという御要請がございまして、こういったものについてどうするかということでございますが、税制調査会においては、一方において制度を簡素にすべきであるという要請もまた出てきておりますので、いままでのところは、この種の個別事情を税制上しんしゃくするにはおのずから限界があるのではないかということで、私が先ほど御答弁申し上げました基礎控除や扶養控除等一般的控除をもう少し拡充する方向にまず力を入れたらどうだろうかという一応の結論になっております。しかしこういう問題は、毎年の答申にあたりましては、こういう御要請がありますということについては御紹介は申し上げておるということでございます。
○佐藤(観)委員 いま局長からあげられました寒冷地手当の問題、これも後ほどうちの党のどなたかが質問をすることになっております。それから教育費控除、未成年者控除、これは若年労働者の税の軽減の問題としてまた後ほどどなたかが御質問することになっております。それから住居費の問題、これは一番最後に私もお伺いしようと思っておるのでありますけれども、いまの勤労者にとって必要経費といったら一体何だろうかといった問題の中に、特に異常に高くなっている住居費、私たちも公団家賃値上げ反対の闘争を一緒にやりておりますと、とにかく高くなっても税金で落としてくれればいいという話があるわけですけれども、そういうことも含めてまたいずれお伺いするわけでありますが、私は単に共かせぎの話だけいますぽっとあげたわけでありますけれども、こういったものを包括的に、所得控除の引き上げということではたして皆さん納得できるかどうか、簡素化もまた必要でありますけれども、税の公平化もまた必要だと思います。寒冷地手当といっても、私のところの名古屋に寒冷地手当といってもこれはあまり関係のないことでございますので、そういった意味ではやはりそれなりに合理性を持っていなければいかぬと思うのですね。そういった意味でさらに私たちも論議をしていく必要があると考えます。 たいへん時間が過ぎてしまいましたけれども、同じような問題でございますので、内職の問題にちょっと触れて、きょうの分は終わりたいと思うのであります。 内職の場合も、先ほど言われましたように、第一の関門が所得が十五万円であり、二番目が二十一万円、そういった面では共かせぎと形態は同じになっているわけであります。時間もありませんので、簡単にお伺いをしたいのは、いま私のところに言ってくるのは、とにかく税務署が共かせぎをやっていると、これはどこの共かせぎ、どこに支払ったものだと中小企業の支払いの部分にたいへんよく聞いてくる。これではあまりうるさく言うと、せっかくパートタイムなりあるいは内職をやってもらっているうちが、もうそんなことなら、奥さんの配偶者控除もなくなってしまうから、だんながやめてくれという、家庭のいざこざが起こる、とにかくこれを何とかしてもらいたいという話が非常によくくるわけですね。 こういうところから考えて、私もいろいろ調べてみますと、先ほどの共かせぎの場合と同じような問題になっているわけであります。いま税法上の問題としては、先ほど言われたように、所得が十五万円以下の場合には配偶者控除があって、本人にも、パートタイムなり内職をしている人たちにもかかりません。あるいは所得が二十一万円以下の場合には税金はかかりませんけれども配偶者控除はなくなります。こういうことにいまなっているわけでありますけれども、いまの現状からいって、実はこれも内職のどのくらいの収入という資料があまりはっきりしたものがないのですが、四十六年の九月−十月の調べでありますけれども、収入が二万円から一万円の人が三二%、一万円から五千円以上の人が三〇・五%というのですけれども、私たちが歩いてみる限りではちょっと低過ぎるような気がするわけですね。この場合には収入がどのくらいかということは非常に響いてくるのですけれども、せっかく労働省見えているので、この点はどうなんでしょうね。われわれの感覚としては、何か内職の奥さん方の収入が少し低過ぎるのではないかというふうに考えるのですけれども、この数字でいきますと、二万円から三万円までが一三・二%、三万円以下の人を全部累計しますと九〇・七%ということになるわけですね。三万円から四万円の人が五・二%、ここまで累計しますと九五・九%、そうしますと、先ほどの話のように、所得が二十一万円以下なら個人にはかかりませんということになりますと、三万円以下の人は税金がかからないということになるわけで、どのくらいの収入があるのだろうかというのは非常に問題になるわけなんですけれども、どうもこれを見ると感覚的には低過ぎるのではないかという気がするのですが、いかがなものでしょうか。
○廣政説明員 先生いま御指摘の点でございますけれども、先生がおっしゃいました資料、私ども地方の労働基準局を通じて調べたものでございます。ただ、年次といたしまして四十六年十月ということでございます。私どももこの最低工賃が低いというお話、むしろこの工賃をもっと上げるべきじゃないかというお話も伺っておる次第でございます。私ども調べました限りにおきましては、ただいま先生御指摘のような数字になっております。
○佐藤(観)委員 簡単に言いますと、ですから、いまの現状では内職の収入が三万円以下の場合には、三十四万八千円がたしか収入の限界だと思いましたけれども、大体三万円以下ならば税金はかからない、ただし配偶者控除がなくなってしまう、こういう現状になっておるわけですね。どうもいまのこの労働省の数字ですと、あまり合点がいかない部分がわれわれの感覚としてはあるものですから、どうもその辺が話がちぐはぐでありますけれども、局長、どうなんですか、いま申しました共かせぎの場合も同じでありますけれども、内職に対していま大体月三万円以下の収入なら税金がかからない、そのかわり配偶者控除はなくなるということになるわけでありますけれども、これは過去四十六年のときに十万円が十五万円にたしか上げられたと思うのですね。それ以前はたしか五万円だったわけですね。これは私も速記録を見ておりませんけれども、これを引き上げたのは、あまり低いと、ある収入の額になると、もう仕事をやめてしまう、収入がふえて税金がかかる、配偶者控除がなくなってしまうということでやめてしまうということで、これはだんだん引き上げになったように聞いておるわけでありますが、いま中小企業あるいはその下に小企業、零細企業、こういったところはパートタイムなり内職というものがなければ、実際の場合にはほとんどそういう仕事がやっていかれないような現状にあるわけですね。 ですから、あまりこのことについて税務署のほうから来られますと、みんな内職はやめだという可能性もある、これは中小企業にとってもたいへん痛い問題に私の耳には入ってくるわけですね。その辺のところの解決策とすれば、具体的に私がいま申しました額を引き上げること以外にないと思うのでありますが、そうしますと、おそらくお答えは、その場合には、奥さんが働いていない場合、片働きの場合には不公平が起こるということばが返ってくると思うのでありますけれども、実際の日本の産業、特に中小零細企業が寄りかかっているパートタイムなりあるいは内職というもの、こういったものの実態に合わせてもう一度考え直してみる必要があるのではないか、見直してみる必要があるのではないか。われわれが選挙区内をあっちこっち歩いて耳にすることから考えるわけでありますけれども、その点についてはいかがでありましょう。
○高木(文)政府委員 これは実は精神としては、制度上の問題というよりは、どっちかというと少額非課税、少額不追求といったような精神でできている制度でございます。税務署があまりこまかいことをやるのはよろしくない、また納税者のほうもこまかいことを申告するわずらわしさがないほうがいいというところから出ている制度でございますが、実はこれに非常に類似した制度で、給与所得者本人が自分の本来のサラリーのほかに一種のアルバイト収入というようなものがあった、たとえば原稿を書いたとか座談会に出たとか、私どもにも関係がございますが、そういう種類の収入があったというような場合に、どこから申告を要するかという額は、本人については十万円にいまなっているわけでございます。この十万円も、過去において改正をいたしました。いまの内職の分についてお話がありました妻のほうの収入が十万円から十五万円になっておりますのと、本人そのものの少額不追求の制度とある程度バランスしながら来ておるわけでございます。 いろいろと先ほど来お話がございますように、内職に限らず、一般的に税務事務も複雑化してきておりますし、あまりこまかいものについてはなるべく納税者サイドも税務官庁サイドも簡素にしていきたいということからいいましても、この金額は適当な機会には直していかなきゃならぬものだというふうに思っておりますが、現在の段階では、かなり長いこと続いておりました十万円を四十六年に直したということでもございますので、実態との関係をもう少し調べてみなければなりませんが、はたしていますぐ直さなければならぬかどうか。こういうものは額が大きくなればなるほどいいということになってしまいますものですから、もう少し私どもも実態をよく調べてみた上で検討してみたいと思います。方向は何年かに一ぺんは手直しすべきものではないかと思います。
○佐藤(観)委員 時間が来ましたので、次回に譲らしていただきたいと思います。 ————◇—————
○鴨田委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案について、来たる三月二十六日午後一時、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来たる二十六日月曜日、午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十二分散会 ————◇—————