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71回国会衆議院1973/03/07

大蔵委員会 第12号

発言数
248
登壇者
23
会派数
3
開催日
1973/03/07

会議録

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 これより会議を開きます。  関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出があるので、これを許します。佐藤観樹君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 関税定率法の審議に入るわけでありますけれども、まず最初に、ことしの正月、財界のほうから、関税定率について、まだ変動相場制に移ってなかった、こういうときでありますけれども、国際経済の問題これあり、日本経済がかかえている問題これありで、自動的に——自動的というか、機動的に関税定率を政府がきめたらどうか、そして物価抑制策あるいはその他の輸入拡大、こういった目的のために関税定率というものの変更というのを政府がやったらどうかという案が、財界から出された。まあこれは前からそういう面ではあると私は思うし、物価対策上効果があるかないか、これはまたあとから論ずる問題でありますが、そういう問題があったと思うのですけれども、まず政府として関税率を、法制上のことはあとから法制局と詰めますけれども、関税率を機動的に政府がきめるという考え方、これは一体いまの段階ではどういうことになっておるのだろうか、まず、その点からお伺いしたい。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、確かに財界の一部に、関税率を弾力的に政令によって下げることをできるようにしたらいいではないかという意見が出たことは事実でございますが、当時まだ円の問題が今日のような事態を予想されておりませんし、その際には、何とかして円対策ということで円レートに響かないように、日本としていろいろな円対策をやらなくてはいけないという段階においてそういう議論が出てまいったわけでございますが、御承知のように、その円レートの調整と申しますのは、関税の上げ下げと同じような経済効果を持っておるものでございまして、今日円が変動相場制に移行をいたしております、かつ、今後おそらく当時と比べまして対ドルの関係から申しますと、一〇%以上円レートが切り上げられることは事実であろうと思いますので、そういう前提を考えますときに、当時、関税の一律一括引き下げが行なわれましたときの事態とは非常に事態が変わってきておると思います。また、関税率それ自体を政府の意思によりまして弾力的に上げ下げをするということは、租税法定主義という問題もございますし、私ども、いろいろむずかしい問題が介在しておりますので、現在のところそういうような体制に持っていくということは考えておりません。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いまのお話を聞いておりますと、およそ二つの理由があって、一つは一月当初の経済事情と国際的な状況がいま違うということ。もう一つは、本来的に租税法定主義からいってもちょっと無理ではないかということだと私は思うわけであります。ただ、対外経済関係調整措置法案、これが出されたときには、内容的にはこういったものが含まれていたわけでありますね。その辺のところは関税局として、租税法定主義との関連においてどういうふうに考えていらっしゃるのか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 当時、対外緊急措置法案の中にも、関税率の引き下げを政令に委任をしていただくという内容は含まれておりませんでした。それで、先ほど私申し上げましたように、いろいろなむずかしい問題がございますので、現在のところ、関税局といたしましても、一律に関税率の引き下げを、政府に権限を与えていただくということは考えておりません。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それで法制局にお伺いをしたいのでありますけれども、租税法定主義というのは一体何だろうか、これはきわめて大きな重要な問題だと思うのです。確かに、一番頭の痛い物価対策を考えた場合に、ある程度この関税で、そういった機動的な輸入量の増減によって物価が直接下がったりするような、流通機構が前提となるわけでありますけれども、それが保障されるならば、ひとついろいろなものの考え方はあろうかと思うのです。その際にやはりとめておかなければいけない、詰めておかなければいけない問題は、この租税法定主義だと思うのです。本来、租税法定主義というと、どういう点をチェックポイントとすればいいか、簡単にちょっと説明してください。

茂串俊内閣法制局第三部長

○茂串政府委員 これは御案内のとおりでございまして、憲法では第八十四条に租税法定主義の原則を定めておるわけでございます。その趣旨といたしますところは、現在の日本国憲法が基本理念といたしますところの国民主権の理念というものに発しまして、国権に基づいて租税を賦課徴収する場合におきましては、国の唯一の立法機関でありますところの国会の決定によることを原則とするという趣旨でございます。ただ、この租税法定主義につきまして、現在の制度をごらんいただきますればわかりますように、賦課徴収に関する事項すべてをあげて法律で規定すべきであるという原則では必ずしもないわけでございまして、たとえば実施面の細目にわたる事項あるいは手続にわたる事項あるいはまた国民経済上の緊急な必要性に応じまして機動的にこれに対処しなければならないといったような場合には、その例外が認められておるというのが通説でございまして、現にまた、これは各税法の施行令以下をごらんいただきますとわかります。またそれから関税の関係におきましては、関税定率法の第六条以下に複関税とかあるいは報復関税あるいは相殺関税あるいは不当廉売関税あるいは緊急関税といったような制度が設けられておりまして、国民経済上非常に問題があるといったような場合には、緊急の必要に応じて政令によって税率等を変更し得るという政令委任の規定が設けられておるわけでございます。これは非常に一般論にわたって恐縮でございますけれども、関税につきましては特にその性格上、外国との関係に制約される面が非常に多い点からいたしまして、対外関係の状況に応じて行政府限りで税率を変更するといったような必要が、内国税に比べた場合には多いのではないかというふうに考えられるわけでございます。これはたいへん一般論で失礼でございますが、一応そういうことでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その際に、いわゆる政令との関係ですね、そのあたりが非常に微妙になってくるんじゃないかと思うわけです。たとえば関税割り当て制度なんかの場合には、具体的に輸入する商社の人が割り当て制度の総わくがどのくらいであるかということがはたしてどれだけ知られているだろうか、そのワクを越えた場合には御存じのように関税がかかるわけでありますから、そういうことになると、いわゆる制度としては確かに租税法定主義にのっとって、制度としてはこのわくを越えたら関税がかかりますよというふうになっておるけれども、現実にはそのわくは一体どれだけ具体的に知られているだろうかということになってくると思うのですね。そうしますと、その関税定率法を施行するための政令あるいは政令の委任した部分、こういったものは租税法定主義と一体どういうかかわり合いになってくるのだろうか、きわめてこれは微妙な問題だろうと思うのですが、その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

茂串俊内閣法制局第三部長

○茂串政府委員 先ほど一般論でお答え申し上げたわけでございますけれども、確かに御指摘のとおり、このように政令に税率その他の変更をする権能をゆだねるという場合には、これは相当にその要件をしぼりまして、こういった場合にはこうなるといったような要件をかなり厳格にしぼった上で委任しなくてはいけないというふうに一般的には言えると思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、少しやぶへびのような質問になるかもしれませんけれども、いまのような場合、もし関税率の変更を政府権限として与えるとするならば、それはいわゆる弾力条項的なもの、たとえば基本税率をきめておいて、それのたとえば千分の二十なり千分の五十なり、その範囲内においては政府が機動的にその状況に見合った税率にしてよいという、そういう弾力条項なら、法制局が考えているいわゆる租税法定主義を破らないという考えになりましょうか。

茂串俊内閣法制局第三部長

○茂串政府委員 ただいま御指摘のような税率のいわば弾力条項と申しますか、たとえば弾力的に運用し得る限度の点を御指摘になったと思うのでございますが、これは要件を厳格にしぼるという意味は、そのほかにたとえば期間的にどれくらいの期間が要るかとかあるいはまたさらに大きな前提といたしまして、一体どういう場合にそういった弾力条項を発動し得るかといったような国民経済との結びつきと申しますかそういったものあるいはそれに関する緊急性と申しますか、そういった点を、要件としては当然に書かなくちゃいかぬと思っておりますが、ただこれにつきましては、先ほども局長からお話がありましたように、現在まだ私どもに話が持ち込まれておらない段階でありまして、私どもも全くその点は検討いたしておりませんので、どうしてもこれは一般論としてお答えせざるを得ないわけでございます。その点はお許しいただきたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 もう一つ関税当局にお伺いをしておきたいのでありますけれども、きわめて私のラフな質問になるかもしれませんが、はたして関税率の上下というものがどれくらい輸入量の増減というものに作用があるのだろうか。それはもちろん物によって違うと思うのです。そういった普通の経済用語で言えば弾性値的なものには、何か考えとか調査とかそういう定まったものがあるのでしょうか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 御指摘のように、いわゆる関税弾性値というものは、物によって千差万別でございまして、たとえば一般的に申しまして製品関税の場合のほうが関税の上げ下げによって影響するところが大きい、それから原料の場合には比較的少ないということは言えるかと思いますけれども、全般的に申しますと物によって千差万別でございますので、影響があるということは事実でございますが、きまった弾性値というようなものは、結果としてあらわれてまいるものでございまして、現在のところそういうものを使っておるわけではございません。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私も国会へ来てみてつくづく思うのは、政府の権限はきわめて大きいわけでして、その辺のところで基本線だけを国会の側で押えていかないと、いま、少し論議をしたように、租税法定主義からいっても、納める国民の側としてどれだけ関税という形での税金が取られるかわからないということでは、国民も納得しないと思いますし、政策を実行する上においても十分効果が発揮できないのではないか、そう思うわけであります。そういった意味で、いまの御答弁ですと、いわゆる関税率変更を政府権限に委譲する、それはいまいろいろ法制局からお話があったけれども、どういった場合にどういった率でという前提のもとでありますが、その考えがいま出ないということでありますので、これ以上この問題については論議いたしませんけれども、要はいま日本経済がかかえている問題いろいろあります。その中では何といってもインフレの問題は国民として頭の痛い、生活の窮迫に非常に関係が深いわけでありますけれども、それに関税率の上げ下げということがはたしてどういう貢献ができるのだろうかということ。もちろんこれは流通過程がすっきりしている、関税率を下げた場合にそれだけ商品の値段が下がるという前提ならいいわけでありますけれども、まだ必ずしもそういうことになっていない。関税率の上げ下げということが現在の政策の中でどれだけ有効性を持っているだろうかということ、これを私はきわめて疑問に思うわけです。そこで政府に上げ下げをする権限を委譲するということ、それについても租税法定主義のたてまえからいってたいへん疑問を持たざるを得ない、そういうことでちょっと冒頭に本案の審議に入る前段としてお伺いをしたわけです。法制局けっこうです。  その次に、関税局と国税庁にちょっとお伺いをしたいのでありますけれども、豚肉のスライド関税を悪用して脱税をした、これはまだ調査中でありましょうから、額その他についてははっきりわからないかもしれませんけれども、捜査中ということで言えない部分は当然あろうかと思いますけれども、これがきわめて複雑な機構になっておるので、そもそもどういうきっかけでこれが発覚というか、税関当局にわかったか、その辺からちょっと事件の概略を御説明願いたいと思うのです。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 豚肉関税の機構は非常に複雑になっておりますので、私ども図式を用意してきておりますから、企画課長から制度の概要について御説明申し上げたいと思います。

米山武政大蔵省関税局企画課長

○米山説明員 ここに豚肉関税の仕組みについて図解したものを持ってきております。こういう豚肉関税の仕組みになっておりますが、これはまずその前に豚肉価格の安定の仕組みがあるわけでございます。この仕組みはどうなっているかと申しますと、国内の豚肉の販売価格、これに生産費とかいろいろ需給条項を勘案しまして一定の、この程度の中心価格を計算します。これは現在は豚肉の安定帯の中心を大体四百円に持っていきたい。これはキログラムでございます。それに対して一割の四百四十円という上限価格、それから三百六十円という下限価格をつくりまして、現在もし三百六十円以下に国内の価格が下がった場合には畜産振興事業団がこれを買い入れる、こういう仕組みがあるわけでございます。それから国内の価格が四百四十円以上に上がる場合には畜産振興事業団が買い入れておるものを放出する、こういうことがまず豚肉の安定帯の仕組みとしてここにできているわけでございまして、その上に豚肉の関税が乗っておるわけでございます。  どういうふうに乗っているかと申しますと、まず基礎的には、これは輸入価格をここにとっている。この黒い四十五度線が輸入価格でございますが、もし輸入価格とこの中心帯の四百円との差額、これが輸入価格の四百円より低い場合は差額関税でこれを徴収する。ですから、普通の場合にはここの線は差額関税全部徴収する。そこで、もしこの上の場合には一〇%の関税をかける。差額関税一〇%というのが組み合わせになっているわけでございます。これが普通の関税であります。  それからもう一つ、いまの免税制度がさらに乗るわけでございます。免税制度はどう乗るかと申しますと、国内価格がもし四百四十円以上に非常に高騰する場合には政令で、この三百八十円より以上の価格の場合には、この関税を免税してやる、こういう仕組みになっております。この四百円と三百八十円——なぜ三百八十円が急に出てくるかということでございますが、品質価格をいろいろこまかく計算しまして、普通ならば中心帯の四百円でございますが、免税の場合には三百八十円という品質価格を考慮した数字であります。  ですから、いま豚肉がもし三百九十円くらい、ここで入ってくるとしますと、普通ならこことここの差額は差額関税、それからここになりますと一〇%の関税を取られるわけでございますが、三百八十円以上になりますと免税になります。今度の、こういうことになっていますと、三百八十円以下で入りますと税金が取られる。三百八十円以上の場合は免税でありますが、普通ならこれだけの関税を取られるのを、ここで申告しますと、ここで三百八十円以上になりますので税がかからない。こういう仕組みになります。ですから、ここから下で入った場合には、ここから上のように税関への申告の際にごまかしますと税金がかからない、こういう仕組みになっているわけでございます。よろしゅうございましょうか。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それもあとから御質問します、かなり複雑なことになっていますので。  それで、一体これが税関当局のどういう時点でわかったかというのをきわめて興味を持つわけなんですけれども、これはどうですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 実は、海外の輸出業者とそれから国内の輸入業者とが結託をいたしまして、初めから脱税をする目的でそのインボイスの数量と輸入申告の数字とを合わせて申告をされますと、その段階におきましては、税関においてはなかなかこれは見つけることがむずかしいというのが現実でございます。  今回の場合、判明をいたしました当初の端緒といたしましては、神戸の税関におきまして事後調査をやっておりまして——税関におきまして最近事後調査にかなり力を入れておるわけでございますけれども、事後調査をやっておりまして、調査中、いろいろな実は商社筋あたりから、脱税が行なわれているという風評が私どもの耳に入りまして、それをもとにいたしまして、脱税があるのではないかという疑いを持って事後調査をいたしました結果、相当疑わしい嫌疑が濃厚になりまして、それに基づきまして検査を続行いたしましたところ、脱税の事実の相当はっきりした証拠がつかめてまいりまして摘発をした。こういう端緒で、事後調査の結果の発見と言うことができるかと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その事後調査は、どのくらいに一回やられるもんですか。これは何か定期的にやっているものですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 事後調査の実態につきましては、監視課長から御説明させます。

本多行也大蔵省関税局監視課長

○本多説明員 事後調査は、税関では輸入部に属しているわけでございますが、これは五、六年前から関税が申告納税制度に改められまして、それ以降、申告指導ということで事後調査の制度ができたのでございます。現在、事後調査は、大体年商二億円以上の大きな商社、企業、これを巡回しておりまして、大きいところはたとえば二年に一回とか、それから内容がよくないというか、いろいろ指導が行なわれていないというところは毎年一回というような巡回調査を行なっております。  さらに、たとえば本件のような問題のある事案が登場いたしました場合には、これを機動調査と言いまして事後調査して、全国的に調査をする、こういうふうな弾力的な調査も行なっております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それでこの事件は、関税を免税してもらえば、それだけおそらく法人の収益が変わってくるわけですね。したがって国税庁側の脱税——国税庁側の脱税という言い方はないですね。いわゆる法人の利益を隠したのも当然私は出てくるのじゃないかと思うのですね。まず、その関税の部分の脱税額というのは、いまの段階では一応どのくらいになっておるのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいまのところ調査中でございまして、総額、ちょっと私どものところでもわからないのが実態で、各税関において現在調査を続行中でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 国税庁のほうはどうですか。

磯辺律男国税庁調査査察部長

○磯辺説明員 一般的に申しまして、実際の商品の輸入価格より高い価格というものを計上いたしましたら、その差額だけは当然原価の過大計上ということになるわけで、法人税の調査に際しましてそれが発見されました場合には、その過大原価の否認ということで、そこで更正、まあ申告でございますから、更正を行なうということになります。  今度の豚肉の場合に、私たちも、そういった情報が入りましたので、該当があると思われる輸入業者等につきましてかなりの件数の調査並びに呼び出して、もしそういった事実があればそれを是正するようにということをやっておりますが、各会社の中身を見ますと、たとえばある会社におきましては、実際の輸入金額をこえました過大の金額を相手方に送金いたしまして、それを相手国からバックしてもらう。そのバックされましたのを雑収入として受け入れておる。実際の決算面上におきましては、その実際の輸入価格とそれから過大に送りました送金額との差額というものを雑収入として計上することによって、税の申告も結果としては正当に行なわれておるような会社もございますし、われわれから見ましていわゆる最も悪質と思われる経理におきましては、その受け入れました差額を簿外で留保しておるというふうな事例もございます。いずれにしましても、いろいろな態様がございますが、現在そういうた関係があると思われる商社並びに輸入業者等につきましては現在調査中でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 御存じのように、いま豚肉が非常に高騰をしているわけでございますけれども、せっかく豚肉の価格を安定しようと思ったこのスライド関税がこのように悪用されるということになるといろいろ問題だと思うのです。どこにこの問題点があったかということをもう少し詰めておく必要があるんじゃないか。いま御説明があったように、簡単にいえば輸入価格が、その輸入したときの港でおろす価格が、農林省が発表した国内告示価格よりも高ければ免税措置をとるし、告示価格よりも安ければ一定の関税をかける、こういうことだと思うのです。そうしますと、その輸入価格というものがはたしてそのほんとうの値段なのかどうなのかということがわからぬと、このスライド関税は関税をかけるべきなのか、かけなくていいのかわからぬということだと思うのです。そうすると、輸入した価格が、これはおそらくいま税関のほうに出す場合には、その日にその港で取引があればある程度の価格はわかりますけれども、わからぬ場合には、おそらくこれは仕入れたときの価格になっていると思うのです。そうなると、向こうの輸出した商社とその書類を合わしておけばきわめてわかりにくいことになるわけですね。この辺のところがまず盲点ではないかと思うのですが、当局としてはどうですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 おっしゃるとおり、先ほども申し上げましたように、先方の輸出業者と国内の輸入業者のほうで初めから脱税する意思をもってインボイスなりあるいは輸入申告の価格なりを合わしておきました場合には非常にわかりにくいということは事実でございますが、これはスライド関税の場合は非常にわかりにくいということは事実でございますが、スライド関税のみならず、一般的に申しまして普通の輸入の場合におきましても、同じ悪意をもってそういうことをやられました場合には、税関の窓口においてこれを発見することは非常にむずかしい。現実問題として一体幾らで仕入れたものであるかということを調査するのには、やはり書類でもって私どもは見る以外にないわけでございまして、やはり基本的には納税思想の問題であろうかと思いますが、現在のこの豚肉の違反が摘発されました段階におきまして、新聞紙上等に出ておりましたけれども、制度が悪いのであるといういわゆる制度論にこの問題をすりかえたような議論が出ておったわけでございますが、私どもはこの制度論にすりかえるという考え方は非常にけしからぬ考え方であろうと考えておるわけでございます。  今日のその豚肉の関税制度それ自体は確かに複雑ではございますが、その前提には国内の価格安定制度というものがあるわけであって、これとの斉合性を持って現在の豚肉の関税制度はでき上がっておりまして、価格が高いときには関税負担を軽減をいたしまして、物価安定の面から国民の利益をはかるということになっておりますし、また価格が安いときには適正な関税を課して国内価格と斉合性を持たせまして養豚農家を保護する、そういう二つの機能を持たせた関税制度になっておりまして、私ども、制度論にすりかえられた議論を違反者等がやりますことは非常にけしからぬことだ、さように考えておるわけでございます。いずれの制度におきましても、悪意をもってなされた場合にはこれを発見をすることはなかなかむずかしいことは事実でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 この事件が起こったときに——その前にいまのお話ですけれども、ただ普通の関税の場合には、とにかく確かに物の値段をうそをいって低くすれば、それに一〇%なら一〇%かかるわけですけれども、その差額というのは、ほんとに正しい価格とうそをいった価格との差の一〇%になりますからまだ小さいのだけれども、今度の場合には、スライド関税の場合には税率をかけるかかけないかという問題になってくるから、そういった面では、価格ということが非常に大きな意味を持っていますけれども、ますますそういう意味では仕入れ価格が幾らかということは非常に大きな意味を持ってきますし、それから将来的には、私はあとでまた最後にそれはお伺いしますけれども、このスライド関税というものはだんだん今後は数としては多くなってくるのではないかと私は思うのですね。そういった面ではこれは非常に大事なことではないかと思うのです。確かにそれは悪意をもってやろうと思えば幾らでもできるわけでありますけれども、この価格の問題でつかまったときに丸紅の飼料畜産部長は、これは業界と税関との価格構成の見方などについて見解の相違があるだけで不正はしてないんだということを言っておるわけでありますけれども、この言について、はたして価格構成の見方について税関と輸入業者側と見解の相違があったものなんだろうか、また、あり得ることなんだろうかと思うのですが、その辺はいかがですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 丸紅のその課長が何と言っておったか私は存じませんけれども、物の価格それ自体に見解の相違があろうはずはないと私は思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 つまり、実際にはこの価格といった場合に、入港地、おろした港の豚肉相場に合わせて価格を申請するということになっているわけですね。ところが相場が立つ場合にはいいけれども、相場が立たぬ場合には、おそらく仕入れ書の契約価格というものがそのままいわゆる価格ということになっているんだと思うのですね。そうなった場合に、先ほど申しましたように、輸出した側と仕入れ書の契約価格を不当に高くしておけば関税がかからないということになるわけですね。その辺のことではないかと思うのですが、これも新聞の小さなことばでありますので、おそらくその前後があってだと思いますけれども、今後私も、いま申しましたように、このスライド関税制度というものがだんだんふえていく傾向にあると私は思うのですが、これを今後うまく適用させるために、このような事件が起こらないようにどのような対策を立てるべきなのか。単に制度が悪い、だけでは済まないし、また私も制度論だけに持っていくことも必ずしも賛成ではないわけです。  そういった意味で、こういった事件が再び起きないようにするにはどういうようなことを考えているか。これは何も、いま局長からお話があったように、スライド関税だけが価格が重要なんじゃなくて、それは何でも正しい価格を申告することは当然大事なのでありますけれども、スライド関税の場合、特にそれによって課税がなるかならないかというキーポイントになるわけですから、そういった面ではたいへん重要な意味を持っておると思うのです。そういう意味で、再びこういうような事件を起こさないようにするためには何らかの方策が考えられるものなのかどうなのか、その点は技術的にいかがでしょうか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 おっしゃいますように、差額スライド関税の場合に、脱税をし得れば非常に利益が多いということで、差額関税制度の場合には脱税を誘発する要因、ファクターとしては非常に大きな要素を持つということは、これは確かに言えるかと思います。しかしながら一方、スライド関税の持ちますところの妙味と申しまするか、要するに国内の消費者のための立場と、それから国内の同じものを生産している生産者の立場とを考えますときに、差額関税というものが適確に運営をされるものであるならば、非常にこれは効果のある制度であるということも言えると思います。したがいまして、その差額関税制度それ自体が悪い制度であるとは私は考えませんけれども、現実問題として、差額関税制度というものが脱税を誘発する要因になるということも事実でございますから、私どもの立場といたしましてはさらにその検査を厳重にして、脱税が起こらないようにできるだけ努力をする。こういうこと以外に、相手が悪意を持ってインボイスと輸入申告書の数字をあらかじめ合わせておくというような、悪意を持った悪質な事犯の場合には、この悪質な事犯に対しまして、それに対する懲罰を厳格にするということがやはり一番大きく全体の納税思想を向上させる、こういうことに役立つのではないかと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、私もスライド関税自体が悪いとは思わないし、私が一番最初に、冒頭に御質問したように、物価対策上こういった制度というのは将来はある程度ふえてくる傾向にあるのではないか。これは政府がおそらく根底では考えている、弾力的に関税を上げ下げして輸入輸出の量をコントロールする、こういった意味ではある程度の、これだけではもちろんできませんけれども、役目を持っているわけですから、そういった意味で今後は、先ほどから申しておるように、物価対策上非常にこのスライド関税というのはふえていく傾向にあるのではないかと私は思うのですね。その面からいいますと、いまのように検査を厳重にするということで、はたして再びこういう事件が起こらないようなことができるのかどうかということについては、きわめて実は疑問を持つわけです。  それに関連をして、今度の事件で明らかになったように、海外取引価格、これがどのくらいになっているかということを調ぺるというのはきわめて大きな、重要な意味を持つようになっていると思うのですが、そういった意味で、海外の取引価格を調べるために、おたくのほうで海外に人を出しているとか、あるいはいろいろなそれなりの対策というのはやはりとられているのですか、その辺はどうなっていますか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 御承知のように、私ども税関で正しい関税収入を取りますためには、海外の価格というものを常に調査する必要があると思います。現在のところ関税関係の関税アタッシェという制度では日本の場合はありませんけれども、各大使館に大蔵省から人間がそれぞれ派遣をされておりますし、ジェトロその他の調査機能もあるわけでございますが、率直に申し上げまして、今日まで税関といたしまして、海外の仕入れ価格に対して非常に力を入れて、海外の仕入れ価格を調査するという動きは少なかったかと存じます。したがいまして、御指摘のような今回の豚肉の脱税事件、その他の契機もございましたけれども、私どもといたしましても今後税関の持ちまする調査機能というものをさらに一そう充実をさせるために、海外の市場調査あるいはひいては入ったあとの国内の市場調査等に関しても、税関として今後力を入れてまいりたいと考えておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 国内の物価安定あるいは物価の引き下げという役目を持っているこの関税率というもの、あるいはスライド関税というものが悪用されるようなことがあっては、本来の目的と反するわけでありますから、いま長官が言われたような点にぜひともさらに今後は力を入れてもらいたい。  同時に、国税庁にもお伺いをしたいのでありますけれども、だんだん企業活動が国際化してくるど、支店あるいは支社、こういったものがだんだんふえてきますと、支社なり支店でもうけた額を向こうにプールをしておいて、そして先ほどちょっと国税庁のほうからでしたかお話があったように、その所得をごまかして雑所得にして持ってくる、あるいはほかの名目の所得にする。企業の活動が国際化するに従って、だんだんこういうことが多くなってくると思うのですが、その点について国税庁としてどういうような対策を考えていらっしゃるか、その点についてお伺いしたいと思います。

磯辺律男国税庁調査査察部長

○磯辺説明員 ただいま佐藤先生御指摘のように、最近の各企業の不正計算の内容を見ますと、海外取引にからんだ不正計算が多いということは、非常に遺憾なことでありますけれども事実であります。この傾向は、この二、三年来急激にふえてきております。私たちとしては、むしろ今後の法人税の調査にあたりましては、内国取引に対する調査よりも、むしろこういった海外取引に関する調査に重点を置くべきではないかということを痛感しておるようなわけでございます。  そのための一つの方法といたしましては、全国の国税調査官に対しまして、これはややもするといままで勉強不足な面もございますけれども、こういった国際取引、為替問題、こういったことの研修をいま盛んにやっております。  税務大学校等においても、そういった海外取引に関連する研修というものを重点的にやっております。  それからまた、最近各国との租税条約が結ばれまして、それによって情報の交換という条項もございますが、これも盛んに活用しております。現在最も活発に行なわれておりますのは、米国との間においてこの情報交換の条文というものが非常に活用されておりまして、かなりわれわれもそれによって有力な情報を入手しております。  それからさらに、最近予算を計上いたしまして、東京、大阪国税局の国税調査官で、かなり語学ができ、しかも海外取引等に詳しく経験のある国税調査官を海外に出しまして、日本の海外における支店、出張所、あるいは一〇〇%日本が出資しておりますような子会社、現地法人でございますが、こういったところに行きまして、実際の向こうの取引の帳簿形態あるいは取引の内容、そういったものにつきまして、いろいろと実地で勉強しておるというふうなことがございます。  そういったことで、今後とも海外取引の調査につきましては十分重点を注いでまいりたい、かように考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私が何度も申し上げますように、いま国内のほうでは、たとえば豚肉についてもたいへん高くて困っているというときに、それを緩和する装置としてできたこのスライド関税制度というものが、こういう形で悪用されるということになると、きわめて遺憾なことだと思うので、ぜひとも今後再びこういうことが起こらないように、税関当局としても目を光らせていただきたいと思うのです。  それで、豚肉にからんでちょっとお伺いをしておきたいのでありますけれども、三月一日の事務次官会議で、豚肉の輸入関税を三月の三日から三十一日まで減免することを内定したという記事が新聞に出ているわけなんでありますけれども、これではよくわからないのですが、これは法的にはどういうことなんでしょうか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 先ほど企画課長が図式をもって御説明をいたしましたように、国内価格が高いときには要するに豚肉の関税を減免をすることができるということを政令に委任をされておりまして、それで期間を限りまして、今回の場合は本年の三月三十一日まで豚肉の輸入に関して取引関税を減免をするという政令が出されたわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうすると、それは減免告示額を移動させるものではないわけですね。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 国内の告示額と申しますのは、毎年一回農林省のほうにおきまして国内の告示額をきめるわけでございます。それを基準といたしまして、それを上回った場合には減免をする、こういう前提条件があるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ですから、減免される幅というのは大きくなるわけですね。ですから、具体的なやり方としては、それを動かすということですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 農林省のほうで国内の生産価格を調査をいたしまして、国内の告示、いまの減免告示額と申しますが、年に一回年度始めにおきましてその年に行なわれるところの告示額をきめるわけでございます。したがいまして、それが上がりますと、輸入価格が若干高くなりましても減免をされることにはならないという結果に相なるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ですから、三日から三十一日までやるという減免措置というのは減免告示額を下げてやるのですか。それともほかの政令によるのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 これはいまから約一年前になりますが、四十七年の四月一日に、四十七年度中はその告示額でいくということが年度始めにきめられるわけでございます。したがいまして、現状の市況がその告示額を上回っておりますので、今年度中減免をするということでございます。もうちょっと詳しく事務のほうから説明をいたします。

米山武政大蔵省関税局企画課長

○米山説明員 先ほどちょっとこの図で御説明しましたように、生産価格というのは年に一ぺん国内の販売価格と生産費を勘案してきめまして、これをもとにして一割の上位価格が四百四十円、下位価格が三百六十円、これは新年度毎年一回ずつきめるわけでございます。そして、これがきまりますと、いまの減免制度は、国内価格は上位価格の四百四十円をこえるように高いときにはいつも減免の政令を発動して、そして三百八十円をこえるものについては免税するというのを出すわけでございます。政令は、しかも期間をきめて出すわけでございます。ですから、いつも免税がされているというわけではございませんで、鎮静化しますと、しかもそのきめた期間が切れますと、もう免税制度は終わっているわけであります。三月三日からなぜやったかというと、最近のものは、四百四十円を高く上回っているものですから、新たに三月三十一日までを期間に定めて免税制度を発動したわけです。なぜ三月三十一日にしたかといいますと、いま言いましたように、年度で数字がみんな変わりますので、三月三十一日と切った、ですから、また新しいものがきまりまして、さらに新しい基準を越えるようでしたら、また新たに政令を出してやる、こういうことになるわけであります。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その点についてはわかりました。  その次の問題なんですが、関税定率法本論に入るにあたって、この関税問題を取り巻く日本経済の環境みたいなものを少し詰めておかないと、この法案がはたして適合性を持っているかどうかということが非常に重要な意味を持ってくると思うのです。そこで、ある意味では現在の日本経済のかかえている問題というものの認識に対する把握のしかたということになると思うのですが、とにかく貿易収支の、国際収支もそうでありますけれども、貿易収支の大幅黒字を持っている、特にアメリカに対して、七二年のアメリカの赤字が六十四億ドルに対して、そのうち三分の二の四十一億ドルが日本の部分であるということになっているわけで、その意味ではとにかく貿易収支を国際的に改善をしなければいかぬ、こういった現状に立って、とにかく国際的に輸入の増大をしなければいかぬ。輸入の増大をするためには、いま障壁となっているのは、一つは関税障壁、二つには非関税障壁、この二つに分けられると思うのですね。まずその関税障壁の将来的部分でありますけれども、昨年の一月ですか、ケネディラウンドが一応終わったわけでありますけれども、ケネディラウンド以後の長期の関税率低減、これは低減になると思うのですけれども、どういう方向に行くのだろうか。特に本年一月の三十一日からガットの交渉準備委員会が開かれておるわけでございますけれども、それに臨んだわが国の態度、それから秋に行なわれるガットの委員会、こういったものに対して日本としては長期的に関税をどういうふうにしようとしているのか、その点についてまずお伺いをしたい。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、本年度新しい国際ラウンドが始まるわけでございまして、これに臨みます日本としての正式な態度というものは現在決定をしておるわけではございませんが、まずその前に、アメリカにおいて現在新聞紙上等にも出ておりますように、新通商法案、すなわち、アメリカが新国際ラウンドに臨む態度をきめますための大統領に対して付与される権限というものを内容に盛り込んでおりますところの新しい通商法案の問題がアメリカにおいて論議されているまっ最中でございます。日本としてはもう議論の余地もない、全般的に要するに関税を引き下げて、自由貿易経済体制というものをさらに推進する方向でこの新国際ラウンドに臨むべきであるということはいえるかと思いますが、新しい国際ラウンドにおきまして一体何が議論の対象になるか、何を議論の対象として新国際ラウンドをやるのかという問題が現在交渉準備委員会の中において議論されておるわけでございますが、これに関しまして本年七月、新しい国際ラウンドを始めるにあたりまして何を一体目的にするかということが交渉準備委員会におきまして論議をされることになっておりまして、九月に日本で行なわれますところの大臣会議におきましてその議題が承認をされますと、その議題を中心にして、それから先、ガットの場において新しい国際ラウンド交渉は始まる、そのような体制になっておるわけでございます。  したがいまして、現在の段階におきましては、その交渉の内容となりますところの議題、それ自体が最終的に決定をしておりませんものですから、個々の具体的内容に関しましてお答えのできる段階ではございませんけれども、日本といたしましては一般的に申しまして、一番最初に申し上げましたように、新しい自由貿易経済というものを伸展をさせる体制をさらに一そう推し進めるという基本的な態度をもってこの新国際ラウンドに臨むべきである、かように考えておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その辺のところは、政府の機構の中で関税局が担当しているのですか、それとも国際金融局ですか、それとも外務省、これはどういうふうにからんでくるのですか、通産省はどうなんですか、いまはどういう担当になっておりますか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 新国際ラウンドの交渉は、ガットの場において行なわれるわけでございまして、国内機構的に申しますと、ガットに関しましては、大蔵省の関税局がこれを担当をしておりますので、関税局が主体になりましてこれに対する対策を考えることになると思いますけれども、御承知のように、通商の問題、通貨の問題、それぞれ密接に関連をしておりますので、ガットの場に日本も臨む態度を決定するに際しましては、関税局が取りまとめの中心になりますけれども、大蔵省の中におきましても国際金融局、あるいは外務省、通産省、農林省それぞれの各省と緊密な連絡をとりながら日本としての態度を決定する、かような基本的な体制であろうかと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ケネディラウンド以後新ラウンドに入るわけでありますけれども、今度はかなり長期な、十年、二十年ということを考える新ラウンド、少なくとも関税についてはそういうことではないか。また別な言い方をすれば、もっと広い非関税障壁を含めた多角的な交渉に今度はなってくるのだと思うのですね。関税部分については、先ほど局長が言ったように、まだガットの場で議題も正式にきまっていない状況ですけれども、大筋からいえば関税を全般的にさらに引き下げていくといった方向になろうかと思うのです。  それから、非関税障壁についてでありますけれども、これは残存輸入制限三十三品目あるわけであります。この残存輸入制限品目については、関税局だけの問題ではなくて、農林省もあるし、それから大きな立場でいうとこれは外務省も関係してくると思うのです。通産省も関係をしてくるのですが、その辺について、今後この三十三品目をどういうふうにしていくか、関税局としてはどういうふうにしていくつもりか、まずちょっとお話をお伺いしたいと思います。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいま私、ガットの新国際ラウンドに臨む場合、関税局が主体になって臨む体制であると申し上げましたが、関税局がほんとうに主体になります面はいわゆる関税面でございまして、この新国際ラウンドの議論の対象になるであろうと予想されますところの非関税障壁に関しましては、この直接の担当は関税局ではございません。したがいまして、それぞれの担当の、通産省であるとかいろいろな各省にまたがる問題であろうかと思いますが、現在私の聞いておりますところによりますと、各国が非関税交渉をやります前の段階といたしまして、現在ガット当局において、非関税障壁と各国がみなしておるものをそれぞれ通告と申しますか、そういうことをやっておるわけでございますが、各国が、これが相手国の非関税障壁であると申しておるものが種類として八百種類にのぼっているようでございます。ほかの国から見ました場合に、日本の残存輸入制限品目三十三品目に関しましても、これはそういう非関税障壁であるということをいわれていると思いますが、その残りの三十三品目に関して関税局としてどう考えるかという御質問に対しましては、私どもは、一般的に申しますれば、これだけ日本が経済大国になりましたところの現状におきまして、やはり国際分業という立場から考えまして、自由貿易を推進いたしますためには、輸入制限ということを取り除き自由化をいたしますことのほうが正しい方向であるということは言えるかと思います。しかしながら、なぜその三十三品目が残っているかということを考えますときに、やはりこれはハードコアでございまして、それぞれの理由があって今日まで自由化ができなかったということもあるわけでございまして、そこらあたりを、自由化するための体制を整備しながら自由化をしていかなくてはならないという問題が残っております関係上、一般論として自由化の方向に進むべきであろうということは言えますけれども、どの品目を自由化できるということは、私どもの立場からは申し上げられないと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それで、広い意味で外務省にお伺いをしたいのでありますけれども、御存じのように、あえてくどくど申し上げるまでもなく、現在日本経済の置かれている立場というのは、きわめてむずかしい重要な場におるわけであります。あとからもう一度お伺いしますけれども、ピーターソン特使が昨日から来ている。おそらく自由化をさらに迫られるであろう。こういった日米関係の中で、この輸入残存制限、いま局長が言われたのは、平たいことばで言えば、総論は賛成だけれども各論は反対という論で、その各論についてこれからまたお伺いしますけれども、外務省としては、いま日本の置かれている立場を勘案して、この非関税障壁あるいは残存輸入制限というものを一体どういうふうに考えているのか、それについてお伺いをしたいと思います。

手島れい志外務省経済局外務参事官

○手島説明員 お答え申し上げます。  ピーターソンが参りますのは、これは従来とも私どもはアメリカとの間に言うておりますように、あらゆる機会をとらえて、あらゆるレベルで意思の疎通をはかっていこうではないかということに基づいて、先方がこちらに来ることになったわけであります。訪日の目的はそういうことでございまして、たとえば自由化という特定の分野の話し合いに限るものでもございませんで、そのほか社会、政治等に及ぶ非常に広い分野の話をする予定になっております。また、これは先ほど申し上げました一般的な意思疎通でございますので、特定の問題について交渉をするというようなものではございません。ただ、日本の自由化については、アメリカも従来ともこれを進めてほしいということを言っておりますし、おそらくピーターソン特使もそれに触れることがあるのではないかと思います。外務省の自由化その他非関税障壁についての考え方につきましては、先ほど大蔵省の関税局長が申されたこととほぼ同じでございまして、やはり日本経済の発展のためにも、あるいは世界経済との調和をはかりつつ日本が生きていくためにも、自由化の方向で努力すべきであろうというふうに考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 これは各論をやらないと、総論はきわめてきれいなことばになるのだけれども、各論になるときわめてむずかしい問題を含んでいるので、各論から入りましょう。そうしないと、いつまでたっても抽象論で終わってしまうので……。  関税局から、残存輸入制限、大きく分けて種類として農産物と電算機と皮革の三つに分けられると思うのですが、一応ざっとでけっこうですが、今日まで三十三品目が残った簡単な経緯をちょっと説明してください。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 御承知のように三十三品目、電算機、ICの部分とそれから皮革を中心とするこの二つは通産省所管物資でございますし、残りの農産物二十四品目は農林省所管物資でございますので、残りました経緯の説明につきましては、各省にひとつお尋ねいただきたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それでは農林省にお伺いをしたいのでありますけれども、農林省、いま残っている二十二品目、この農産物の自由化について基本的にまずどういうようなお考えか、伺います。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 ただいま二十二品目というお話がございましたが、農林水産物で二十四品目ございまして、水産物がうち四品目ございますので、農産物としては二十品目ということになっております。現在残っておりますのは、乳製品でありますとか、牛肉その他の肉の加工品、米麦の加工品、オレンジその他果実、果汁、野菜の加工品、それからでん粉類、これはブドウ糖、でん粉などでございます。そのほか地域農産物としては雑豆、落花生、コンニャクイモ、こういったようなものがございまして、これらの品目は現在農林省が進めております総合農政の非常に重要な基幹的な作目というものでございますとか、あるいは地域的な農産物ではございますが、その地域の農業所得から見まして非常に重要なウエートを占めておるというふうなものでございまして、いろいろ私どもとしては検討を進めておりますが、この自由化というものは非常にむずかしいものばかり現在残されておるというふうに考えております。しかもこれは何もわが国だけではございませんで、欧米、アメリカも含めヨーロッパも含めまして、先進国はいずれも農業については非常に手厚い保護が加えられておりまして、現在残っておりますわが国の残存輸入制限品目数くらいのものは、ヨーロッパ各国及びガットではウエーバーというものをとっておりますが、アメリカ自身もそのような農産物についての輸入制限をいたしております。そういうことから考えまして、わが国の今後の農業の維持、発展という点を考えますと、このような自由化というものは非常に困難ではないかというふうに思っておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 最後がしりすぼみでちょっとよく聞こえなかったのですが、困難ではないか、最後はそうですね。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 非常に困難であると考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それで、私は農業にあまり詳しくないものですから、またこの問題については阿部議員のほうから御質問があると思いますけれども、ただ自由化ということと自給率の問題、これをよくつかんでいかないと、私は日本の将来にとって非常にたいへんなことになるのじゃないかと思うのです。国際的にも食糧危機が伝えられている。その中で日本の自給率を見てみますと、一〇〇%をこえるものは一体幾ら、いま何かありますか。

松本作衛農林大臣官房企画室長

○松本説明員 ただいまお話がありました自給率の問題でございますが、わが国全体といたしまして、食糧農産物の自給率は三十五年ごろは九〇%であったのでございますが、年々下がっておりまして、全体を見ますと、四十年度には八一%、四十五年度には七五%というふうに下がってまいっております。いま御指摘がございました一〇〇%以上こえているものがどれだけあるかということでございますが、まだ現状におきましては基幹となる農産物につきましては一〇〇%ないしはほぼ完全自給に近いものが多いわけでございまして、たとえば米にいたしますとむしろ過剰ぎみであるということでございますので、当然一〇〇%以上になっておりますが、それ以外につきましては、肉類なり鶏卵、牛乳、乳製品ないしは果実というようなものにつきましては八割以上、九割近いというふうな実態になっております。現在輸入が非常に多いものといたしましては飼料用の穀物でございますとか、大豆、小麦というようなものが、重要な農産物の中では輸入の多いものになっております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 国際的に、いま私が申し上げましたように、外国からも現在の休耕、減反、これは間違いであるとまでいわれる食糧事情にあるわけです。   〔委員長退席、大村委員長代理着席〕 いまエネルギー資源、地下資源、こういった資源の危機だといわれておるわけでありますが、次の危機は食糧危機だといわれておる。いま世界で三十五億ですか、人口は三十五億だったと思いますけれども、おる中で、将来的にこのままでいったらおそらく食糧危機が来るのじゃないかといっているときに、日本の自給率は、いま一〇〇%をこえるものをあげられた中で、米と肉と果実、果実の中でもいろいろのものがありますからそう簡単にはいかないわけでありますけれども、自由化ということを考える中で、政策的にこの自給率を維持するという考えがはたしてあるのかどうなのか、私はきわめて疑問に思わざるを得ないのですけれども、いろいろな、先ほどあげられた自由化できない残存輸入制限品目の中の品物、これは地域的に非常に片寄っているものもありますけれども、それぞれこういったいろいろな事情と同時に、もっと広い視野に立って日本の食べもの、特に飼料、乳製品をつくるところの飼料、えさ、これはほとんど外国依存になっているわけでありますけれども、こういったものは自由化をする場合に、今日まで自由化をしてきた中で自給率というものを一体どういうふうに考えてきたのだろうか、私はこれはたいへんなことになると思うのです。確かに米だけは現在では自給率をこえておるわけでありますけれども、自由化をする過程の中で、将来的に非常に重要なこの自給率という問題をどういうふうに考えてきたのか、ここをお伺いしたいのです。

松本作衛農林大臣官房企画室長

○松本説明員 ただいまの御指摘は、私どももそのとおりであるというふうに考えておるわけでございまして、農産物の国際的な需給につきましては、農産物の特色は非常に天候に左右されるという点、それからいわゆる貿易に回る部分というのは生産されたものの中で比較的少ない割合であるというような事情もございますし、また御指摘がありましたように、将来の人口増加に伴います世界的な食糧需要というようなことを考えますと、長期的に考えますと、できるだけ安定的に国民の必要とする食糧を確保していくということに特に力を入れていかなければならないというふうに考えております。ただその確保のしかたにつきましては、国内におきまして供給することが可能であり、かつ合理的であるというようなものと、どうしても国内で供給の確保ができないものというふうに仕分けて考えていかざるを得ないのでございます。  まあ米のような主食でありますとか、ないしは生鮮食料品として必要であります野菜、果実ないしは乳製品というようなものは、できるだけ国内で確保する必要があるというふうに考えておりますが、国土が狭く、また生産のコストも非常に高くつきますたとえばえさのようなものにつきましては、できるだけ大量なものを安定的に確保するというような方向にいかざるを得ないのではないか。そのことが国内の畜産農家のためにも役に立つというふうに考えて、従来そういうふうな国内で生産を維持すべきものと、それから安定的に輸入に依存すべきものというふうに仕分けて考えてきたつもりでございますが、今後自由化を考えます場合におきましても、そういうふうな基本的な将来の国民食糧の確保という点は十分に配慮していく必要があるというふうに考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それは、私たち社会党は、日本で自給率を九〇%まで、できるものは持っていこうという、まあ砂糖を九〇%に持ってこいというのはこれは無理ですわね。たとえばコウリャンを日本で自給率九〇%にしようといったってこれは無理ですわ。それはもちろん外国に依存しなければならぬわけでありますけれども、いまお話があったように、まさに天災によるもの、たとえば今度の食糧の問題でも小麦の問題でもソ連が天災に見舞われているということで、麦が世界的に高くなっている。いまお話があった輸出に回る部分というものはかなり余剰でなければ回らぬわけでありますから、そういった部分もあるし、人口増の問題もある。ですから、それなるがゆえに私は、日本でできるもの、国土が狭いのでありますから当然ものは限られるわけでありますけれども、今日やるべきものについては自給率をちゃんときめて、そしてその中で自由化をすべきだったと思うのですね。その考慮なしに、いま残っているものというのはきわめて特殊な、しかも圧力の強いものだけが残ったけれども、そうじゃないものについてすらすらすらっと、自給率も考えなしに自由化をされてきてしまったのではないか、私はこの辺のところを思うわけでありますが、将来に向かってさらにおのおのの品物全部、主要穀物、たいへん量がありますけれども、小麦とかあるいはそのほかのものについて自給率をさらに上げようという——いま申しましたように、全然日本でできないものはだめですよ。それは輸入にたよるよりほかしようがありませんけれども、そのほかのものの自給率を上げていこうという考え方、政策があるのかどうなのか、その点をお伺いをしたいと思います。

松本作衛農林大臣官房企画室長

○松本説明員 ただいま御指摘がありましたような趣旨に沿いまして、農林省といたしましては、将来の国民食糧の確保をいたしますために、国内でどの程度の自給を各農産物について確保すべきかという見通し、目標を立てておるわけでございます。昨年の秋に、農産物の需給の展望と生産の目標というものをつくりまして、各作物ごとにその生産の可能性、需要動向等を把握いたしまして目標をきめております。その中におきましては、先ほど申し上げましたように、国民の必要とする、国内で供給を確保すべきものにつきましては、一〇〇%ないしは八割以上の供給を確保するというふうに考えておりますほか、いま御指摘がございました小麦、大豆というような、輸入に大部分を依存せざるを得ないものにつきましても、やはり国内でも供給が可能なもの、たとえば小麦につきましてはめん類等に使われる小麦でありますとか、大豆につきましてはとうふ、納豆というふうな食品用に使われますたん白分の多い大豆というようなものにつきましては、できるだけ国内で供給を確保していこうということで、そのための生産目標を掲げておるというふうな次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 この問題については、またどなたかがさらに詳しく御質問なさると思いますので、私は農産物についてはこれくらいにしたいと思うのでありますけれども、ただ、今日までの自由化のやり方が、どうもその辺の観点が抜けていて、全般的な国際的な食糧危機というものに対する認識というのがどうも欠けていたんではないか。それは単に農林省だけの責任ではなくして、戦後の日本経済あるいは高度経済成長下の日本経済というものが、やはり農村を踏みつぶしにして、労働力の供給源としてしか考えていなかったんじゃないか。結局それが都市へ都市へと、あるいは工業へ工業へという現在の日本経済にしてしまったんじゃないか。こういう大きな問題を含んでいるのではないかと私は思うのです。  農業の問題についてはそこまでにいたしまして、もう一つ大きな問題として電算機の問題についてお伺いしたいのでありますけれども、きょうおそらくピーターソン特使から執拗に電算機の自由化を迫られると思うのです。それについて、まず通産省のお考えはどうでしょう。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 お答えいたします。  電算機関係が現在まで自由化できないで残っておる理由は、一つは欧米、特にガリバー型巨大企業というものとの競争、資金的なあるいは技術開発的な競争というものが圧倒的な格差がある、将来の情報産業としての中核になる電算機関係を日本としても何とか育てていかなければならぬ、しかしあまりにも巨大な格差があり過ぎる、もし対策なくして自由化したら相当手ひどい深刻な影響を受けることは確実だ、こういう見通しで現在まで自由化してなかったわけでございます。目下通産省のポジションは、しかし国際関係の摩擦の回避、あるいは自由貿易体制の推進というようなことから、何とか対策を講じて、もう一度考え直そうというポジションにございます。現在それを検討中でございます。そういう立場でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私は、この電算機問題というのは、日本の将来にとって非常に大きな問題があると思うのです。これは単なるパンチカードを打つ機械と違うのですね。非常に知識がここに集約をされるものであり、あるいは、たとえばこの日本の電算機にかわって全部IBMが入ったときのことを想像してみますれば、資料一切がアメリカ側に、これは知ろうと思えば知れる可能性が出てくる。あるいはアメリカ側が何かいろんなことがあってちょっととめちゃいますね、ソフトウエア部門にしてもハードウエア部門にしても、何かをとめれば、日本の全生産、全経済が麻痺をしてしまうくらい、やはり頭脳の部分であるわけですね、御存じのように。ですから、私はこれは絶対に譲れない項目であると思うのです。  これは、具体的にきょうの新聞にも出ておりますように、まず、三系列あるのを一本化するということでありますが、イギリスの場合には、これはまあ詳しくはわかりませんけれども失敗をしているというわけです。日本の場合に、JECCを今後どうしようとなさるのか。一応きのうも田中首相のほうから、電子計算機業界に対して話があったようでありますけれども、電子計算機業界としては断わったようでありますが、通産省としてはJECCを今後どういうふうにしていくつもりなのか。それはどうですか。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 海外の強力な国際資本というものとの格差の非常に大きな部分が資金力というものにあることは事実でございます。そういう意味で、通産省としてはJECCをつくって、資金面の補強をしているわけですが、現在の方向といたしましてはこれをさらに強化していく、つまり金利面でも資金量的にも強化していく方向に持っていかなければ、とても太刀打ちできるものではないだろう、こういう方向で考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それとの見合いになるわけでありますけれども、いま最初の質問に対する回答のように、やはりアメリカに対して、この電算機も自由化せざるを得ぬじゃないかという方向のように聞こえるわけであります。このアメリカの意図でありますけれども、農産物の場合には、たとえば全部完全に自由化した——もちろんその場合には日本の農民は非常な打撃をこうむるわけでありますけれども、額としては大体五億ドルだといわれているのですね。全部輸入したとしても五億ドルだといわれているわけです。電算機の場合には、あまりいい仮定ではないかもしれませんけれども、全部自由化したとして、額としてはこれはどんなことになるのですか。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 ちょっといま資料を持ち合わせてございませんが、これは非常に成長率が高い問題でございますが、現在は、電算機産業、ソフトウエアとか、数千億円台だと思います。将来は数兆円のベースになりますから、ドルベースでいえば、それはさっきの五億ドルとおっしゃるものとけた違いだと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ぼくは、アメリカがこの電算機にこだわるのはどういうわけだかよくわかるのですがね。ということは、たとえばIBMを大蔵省に備えつけようという場合にでも、これはおそらくレンタルだと思うのです。リースなんですよ。ですから、レンタル料で払うわけですから、あの機械をぽんと買うわけじゃないですから、現在の国際収支、日米の貿易収支を変えるというそれほど大きな問題というのは、額の面ではないと私は思うのですね。ですから、むしろそれよりも戦略的な支配的な問題、これは軍事ではなくてそういった知識、資料、それをアメリカの電算機に入れるという、そういう戦略的目標のほうがむしろ大きいのじゃないかと思うのですが、その辺、通産省の御意見いかがですか。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 憶測でございますから、なかなかその意図がどこにあるかというのはいえないと思いますが、すなおに考えまして、やはり残存輸入制限はガット違反ではないか、現に日本の対米黒字がアメリカから見れば非常に問題になっておる、国民全体のいら立ちは非常に高まってきておる。そういうときにアメリカの比較的得意な分野が日本で輸入制限を受けておるということはどうしても国民を納得させられないという一つの問題が一番やはり基本にはあると思います。その結果どうなるかといえば、対策を十分に立てないでへたに自由化すればかなり侵食されてしまうということになります。その結果、重要な情報産業部門がアメリカもしくは外資によってかなり支配されるような事態がないとは言えないという問題があると思います。その辺はどういう意図で、経済的な意図が中心だと私も思いますけれども、それ以上はそんたくの域を出ません。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いまの御答弁でありますけれども、日本の残存輸入制限品目は三十三品目、フランスはまだ七十四残っているし西ドイツは三十九あるわけですね。イギリスだって二十五あるわけです。ですから、品目の数からいえば、別に三十三というのは、ぎりぎりのところまでやっているわけでありますから、そういうことはないと思うのですね。それから、日米の貿易収支をこれによって変えられるというと、そんな大きなものではないわけですね。  それでお伺いをしたいのでありますけれども、電算機を完全に自由化をしているところというのはいわゆる先進国の中ではどこがあるのですか。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 私の承知している範囲では、先進国の中では大体自由化しておると承知しております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 委員長、ちょっと関連で。  輸入課長が、いまほとんど先進国は自由化していると言われた。そうすると、国産の機械のシェアがどんどん減っている、西ドイツ、フランス、イタリア、イギリスを見ても。その数をわかっておったらちょっと明らかにしてくれますか、国産のパーセント。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 正確な数字はあとでお出ししますが、国によって違いますが、大体国産の比率で年次的に逐次減っておるということは事実でございます。西欧諸国、七割から九割が外国勢だと了解しております。日本は六割まではいっておりませんが、五割台、五割強、こういう状況であります。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 でありますから、特にひどいのはヨーロッパで大体国産品が一〇%くらいしかない国、西ドイツだったかフランスだったかどっちか、あとは全部アメリカものですね、九〇%は。そういう状態になると、産業の頭脳ともいわれる電算機関係を九〇%アメリカに依存するということになってくると、頭脳の問題だから、これはやはり将来の国の方向を決定するような重要な問題になる。単なる機械でない、単なる部品でないというところに問題があると思うのです。それをあえて総理大臣が自由化に踏み切ったというこの背景は、やはりヨーロッパとの関係をアメリカが執拗に日本に提示して、ヨーロッパはこうやっておるじゃないか、おまえのところはけしからぬというそういうアメリカの強引な圧力、メンツ、そういうものによって日本は屈服した、こう見るべきなんじゃないでしょうか。通産省どうでしょう、その辺は。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 アメリカから自由化要求が非常に強いことは御承知のとおりでございますが、一つ誤解のないようにしていただきたいのは、自由化を無条件でするということが決定した段階ではありません。先ほども申し上げましたように、われわれとしては電算機産業はある一定のシェアを守らなければならぬというかたい意思を持っております。自由化されたときにその対策が十分であろうかどうかというめどをいま研究しておるという段階でございます。だから、野放しにして——先生おっしゃるとおりフランスとか西ドイツは確かに一〇%、それも非常に心もとないという状況になっておることは事実でございます。そういうことがないように対策を検討しておるということでございます。それで、もちろんそういう方向で絶対やらないという立場よりは一歩——相当前進してものを考えておりますが、これはまあアメリカの自由化要求のあるということは事実でございますが、これも単にアメリカの圧力というふうに見るわけにもいかないのじゃないか。というのは、やはり現在の情勢からして自由化をできるだけ前向きに進めるということは、現在世界じゅうが保護貿易的なほうにバックする可能性もありますし、現在日本にとっては自由貿易というものを推進していくのが大きい意味で国益に合致するという点がやはりわれわれの考えの基本にはある、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 日本人なかなかまねごとのうまい国民で、アメリカの機械などはすぐ日本で模倣品がぱっとつくれる。そういう日本のいままでの特性が電算機だけには生かされない。これは基本的には、根本的には何が原因だと思いますか。特にソフトウエア部門はアメリカに圧倒的にかなわぬという情勢にある。これは一番ネックは何だと通産省は見ているのですか。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 いろいろな見方がありますが、一言で言えば、圧倒的な企業格差だと思います。名前は言う必要はありませんけれども、御承知のように、最大の電算企業は、世界の全体の大体七割ぐらいを押えているわけですから、中小企業と大企業という戦いになれば、資金力、技術開発力、あらゆる意味で圧倒的な格差がある。これが一番大きな原因でございます。私はそう思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 自由化自由化といっている場合には、世界貿易の拡大ということが大きな眼目で自由化をするわけですが、それについて私は別に——もちろん個々の品物によって違いますけれども、総論ではいいわけです。ただ、自由化するといっても、端的に言って、これで日米の貿易収支が一体どれだけ変わるのか、貿易の拡大についてどれだけ寄与するのか。しかも、内容は、たとえば大蔵省に入れた場合には、もうプログラミングも全部それにするわけですから、今度はまた国産にかえるというような簡単なものではないわけですね、ものが。しかも、武藤委員から御指摘のあったように、産業のきわめて頭脳的な部分あるいは一切の知識がそこに集約をされるわけでありますから、そういった面では電算機自体が国の将来にとってきわめて大きな問題を持っているわけですね。そうして、万が一そこで一番大きいIBMに何かが起こる、日米関係に何かが起こる、それによってIBMがある部分をとめることによって、全部日本の産業がとまってしまう、その可能性もあるわけですね。いまECとアメリカの場合にはうまくいっているからあれでありますけれども、日本の電算機のシェアが一〇%になったら、もうあと日本のどんな財力、資金力を投融資をしても、もう技術的に追いつくことはあり得ないと思うのです。むしろJECCなんかにしても、国営会社にしなければいかぬぐらいに、電算機というのは、その辺の店屋さんに置いてあるパンチカードとか、計算機とは違うのですから、何かあんなイメージで話をしているとたいへんなことになると思うのです。  そういった意味で、電算機輸入自由化については絶対反対である。ひとつこの大蔵委員会で、きょうピーターソンさんとだれかがお会いになってお話しになると思いますけれども、おそらくこれは党派をこえて、まさに国益の将来的問題であると思うのです。そういった意味で、今後とも通商局においても、このような姿勢をぜひとも堅持をしてもらいたい、こう思うのであります。その点について最後にお伺いをして、電算機問題については終わりたいと思います。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 御趣旨の点十分勘案いたしまして、慎重に対処してまいりたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その次の問題は、この法案自体に入るわけなんでありますけれども、まず特恵関税についてでありますけれども、今度新たに十一品目特恵関税に入り、税率を引き下げをしたものが十四品目になっているのですけれども、たいへんプリミティブな質問で恐縮なんでありますけれども、この特恵関税の品目に入れるもの、入れないもの、あるいはそれを下げるもの、これはどういう基準でものを考えているのか。おそらくこれは関税率審議会からの答申に沿ったのだと思うのでありますけれども、そこには何らかのやはり一つの基準というか規則というか、何かそういうものがないと、やみくもに、間に入っている中間業者だけをもうけさせるような結果になるのではないかと私は思うのです。一体、この関税率をきめるときに特にいまの場合に特恵関税に限っていえば、新たに加えた十一品目、あるいは税率を下げた十四品目、これはどういう基準でこの品目を入れたのか、その辺のところをちょっと説明してもらいたいと思うのです。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 一般的に申しますると、特恵関税の場合、農産品は原則として、その特恵の適用品目にいたします場合には、個々の品目を検討いたしまして、農産物の場合には個々の品目で、特恵税率を適用しても国内の産業に影響があるかないかという観点を中心にいたしまして検討をいたしまして、現在、農産物の特恵の適用品目は五十八品目あるわけでございます。これに対しまして鉱工業産品の場合には、原則として特恵税率を適用いたしますけれども、センシチブ品目、つまり国内産業上影響のある品目に関しましては、それを例外とする。要するに、農産物は特恵適用のほうが特別である、鉱工業産品の場合は適用しないほうが例外である、かような体制になっておるわけであります。  今回、追加いたしましたところの農産物十一品目と申しますのは、今日まで特恵適用品目五十八品目に新しく十一品目を加えたわけでございますが、これは新しい特恵税率を適用いたしましても、国内産業上さして影響がない、こういうことの判断がなされますものですから、新しくタコであるとか竹であるとか、ブラシ、ほうきというようなものの材料、そういったようなものを、特恵税率を今回新たに追加をしていただく、かようなものでございますし、さらに特恵税率の中で、今日まで適用されておりました中で十四品目について、引き下げを行なったものにつきましては、これは御承知のように、先般、一般的に二〇%の関税引き下げが行なわれまして、引き下げられました結果、今日までございましたところの特恵税率の差、いわゆる特恵マージンがなくなったものあるいは差が非常に小さくなったようなものがございまして、それではせっかく特恵の適用を受けていながら恩恵がないではないかという後進国側からの不平不満もございます関係上、こういったものに対処をいたしますために、十四品目に関しましては特恵税率の引き下げをお願いをいたしておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 基本的には、国内の産業にはどういう影響を与えるかということになると思うのでありますけれども、それは個々に当たっていたらとても時間がないので、それはそれでいいとして、まずこういう特恵制度が、これは四十六年からできたわけでありますが、はたしてこれがうまく適用されているだろうかということなんでありますけれども、四十六年八月一日でしたね、あれができたのは。たとえば四十六年度ということは、つまり四十七年の三月末までに、特恵が具体的に適用されたというのは、どのぐらいの額にのぼるのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 四十六年度は、特恵適用輸入額は三百五十九億一千三百万円でございます。それから四十七年度が七百九十七億三千四百万円でございます。四十七年度は、十二月末までの実績でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、特恵供与国ですね、特恵受益国というのかしら、そこからの総輸入額というのですか、それはこの年度に対するものはありますか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 特恵受益国からの昭和四十六年度の総輸入額は、一兆七千二百三十九億九千六百万円でございます。そのうち、特恵を適用して輸入されましたものは四百四十五億八千万円でございます。これは昭和四十六年の八月一日から四十七年の三月三十一日までの実績でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、先ほど言われた四十七年の七百九十五億ですか、この数字は、四十七年度ですか、四十七年の四月からですか、それとも四十七年の一月からですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 これは先ほど申し上げました数字は、四十七年の四月一日から四十七年の十二月末日までの数字でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうすると、四十七年の特恵受益国からの総輸入額というのはいまわかりませんか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいまのところ、四十六年の八月一日からの数字しかちょっとわかっておりませんので、後刻調査をいたしましてお届けいたします。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、四十六年度に限って言いますと、一兆七千二百三十九億というのは、これはやはり同じ四十六年の八月から四十七年の三月三十一日までですね。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 御指摘のとおりでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、これはパーセンテージは割ってみればいいのですが、四十六年の八月から四十七年の三月三十一日までの特恵受益国からの総輸入額が一兆七千二百三十九億、それに特恵が適用された額というのが四百四十五億と、きわめて小さいわけですね。こういう少ない理由というのはどういうところにあるのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 総輸入額一兆七千億のうちどのくらいが無税で入ってきたのかわかりませんけれども、これは総輸入額と申しますのは、後進国から入ってきたものの全体の輸入額でございまして、このうち、相当大きな部分は無税で、要するに関税が無税で入ってきているものがあるわけであります。  要するに、もともと特恵国であろうが先進国からの輸入であろうが、無税のものがあるわけでございます。したがいまして、本来特恵税率があるものの輸入というものを総輸入額から差っ引いてみないと全体の数字というものはわかりませんけれども、いずれにいたしましても、要するに特恵適用の輸入額が全体の輸入の中において占める割合が非常に少ないものであるということは御指摘のとおりかと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その一兆七千二百三十九億円というのは、これはとにかく輸入した商品の総額でしょう。ですから、無税とか無税じゃないというのは関係ないんじゃないですか。だから四百四十五億の中に——四百四十五億というのは、この特恵が適用された輸入商品の総額でしょう。そうじゃないのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 この特恵適用輸入額と申しますものは、特恵有税品の輸入額が四百四十五億ということでございます。要するに特恵有税品が四百四十五億という数字でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それでは、あとでけっこうですが、調べられるかどうかわかりませんけれども、無税になっているのは一体どのくらいあるのか、その辺ちょっと教えてください。  それから、最初の質問に戻りますが、無税になったものがどのくらいあるかわかりませんけれども、おそらくこれの倍としたとしても、まあ八百億、九百億にしたって、一兆七千二百三十九億に比べたら非常に少ないわけですね。これはどういうところからくると考えられるのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 御承知のように、特恵の制度が開始されましたのは四十六年の八月でございますけれども、後進国側からも、確かに特恵というものをできるだけ多く適用してほしいという要請がございますが、特恵受け入れ国側からの立場からいたしますと、安い関税で国内と競合する産品が多く入ってくるのは困るという立場もあるわけでございます。したがいまして、現在の日本におきまする特恵制度と申しまするのは、毎年毎年のいわゆるシーリングわく、天井輸入わくをきめておりまして、輸入わくそれ自体は相当大きな金額にはなっているわけでございますが、輸入金額のシーリングわくをきめます際には、いろいろな、すべての産品に関しまして、シーリングわくをきめているわけでございまして、たとえば飛行機であるとか電算機すらもシーリングわくの中には入っているわけでございます。現実問題といたしまして後進国から電算機や飛行機が入ることはないわけでございまして、そういったようなわくは全部から積みになってしまうというようなこともございまして、ほんとうに必要なその特恵のシーリングわくは全部使われてしまうということが多いわけでございますが、いずれにいたしましても、その特恵適用品目に関しましては天井がきめられております関係上、どうしても特恵適用による輸入の額というものは小さな数字にならざるを得ないという状態なわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうすると、いまの制度上の問題ではなく、シーリングわくをどうきめるか、それによるということですね。それにしても、特恵を与えた、——先ほどの無税分がどれくらいなものかわからないから、わかりませんけれども、一兆七千億くらいのうちの七千億の端数の一割にも満たないという額の特恵でも、特恵特恵と言って、これはこっけいな話になっちゃうのであれなんですけれども、こうなると非常にシーリングわくというものは政策的にどういうふうにしていくかということが非常に大きな問題になってくると思うのですよ。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 先ほどの後進国からの総輸入額が一兆七千億と申し上げましたけれども、そのうち有税品が一兆一千二百十二億円で、無税の品物、が六千二十七億円でございます。したがいまして、その一兆円のうち四百四十五億円というものが特恵適用品目ということになりまして、非常に小さな数字であるということは依然として御指摘のとおりであろうと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ですから問題は、個々のことをきめる場合に、シーリングわくをどういうふうにするか、もう少しあとで入りますけれども、今度は二分の一頭打ち条項もへずりましたが、あれは緩和したわけでありますから、その面ではもう少し伸縮が自在になったことは認めるわけです。それをまたあとでお伺いしますけれども、そういった意味で、シーリングわくをどのくらいにするか。つまり特恵受益国とわが国との貿易の中で、一体どのくらいその特恵を総ワクとして具体的に与えるのだ、その総計が政策的に非常に大きな問題になってくるということになるわけですね。  今度はそうすると、地域のそのわくの問題に入りたいのでありますけれども、時間も……。

大村襄治自由民主党

○大村委員長代理 午後一時半より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ————◇—————    午後一時四十七分開議

大村襄治自由民主党

○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤観樹君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 午前中に引き続いて特恵の問題の引き続きを質問したいのですが、その重要なのは、シーリングわくをどういうふうにきめるかということが特恵受益国に対して、具体的にどれだけ輸入量をふやすかという大きなことになるわけでありますが、いまシーリングわく、今度のものでもシーリングわくをきめるものがありますけれども、シーリングわくというのは、どういう量的規制がいまされているのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 関税暫定措置法の八条の四におきまして、シーリングわくは毎年昭和四十三年のいわゆる特恵受益国からの輸入実績に加えまして、各年度のその前々年度、たとえば昭和四十八年度をきめますときには、昭和四十六年度におきますところの特恵受益国以外の、すなわち先進国からの輸入実績の一〇%を加えたものをそのシーリングわくとするということが法定をされておりまして、そういう暫定方式によって毎年のシーリングわくというものが決定されるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その法律的な経緯はちょっとわからぬのですが、これは特恵ができたのは四十六年ですわね。そのシーリングわくの暫定基準を四十三年に置いている。そしてその加算分はいわゆる先進国の輸入量の十分の一ということ。これはまず四十三年にきめているということが一つの疑問点と、それから先進国からの輸入量の十分の一を加算することになっている、この二つはどういう意味を持つのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 シーリングわくをきめます際に、四十三年が基準になっておりますのは、特恵の交渉を後進国側と開始いたしました年が四十三年でございますから、一応四十三年を基準といたしておるわけでございます。シーリング方式を採用しておりますところのヨーロッパ諸国も、一九六八年の後進国からの輸入実績、すなわち、同じ年を基準といたしておりまして、それに対しまして、先進国からの前々年度の輸入実績の一〇%を加える。と申しますのは、だんだん先進国側からの輸入を後進国からの輸入に切りかえることができるように配慮をするために先進国側からの輸入実績の一〇%を年々加えていく、こういう考え方のもとにこの算定方式はでき上がっているわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 調べてなくて申しわけないのですが、それはガットで共通にやっていることですか、それとも日本独自なものですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 いまの特恵供与わくのやり方と申しますのは、各国ともそれぞれ若干方法が違っております。ある国の場合には、日本のようにシーリングワク、いわゆる輸入の頭打ちの天井を設けまして特恵わくの適用をやっておる国もございますれば、エスケープクローズと申しまして、国内産業に打撃を与えるようなところまで輸入実績があれば、そこで特恵をとめて、一般税率の適用に切りかえる、そういうような方式をとっておる国もございますし、あるいは米国、カナダのように、いまだに特恵の適用というものを実施していない、こういう国もございまして、ガットその他の場で一定のきまった方式があるわけではございません。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 午前中、数字をお伺いしたわけですけれども、特恵受益国が特恵の恩典を受ける部分が非常に少ないので、算定基準を四十三年に固定しているということがはたしていいものかどうか。いま手元にちょっと数字がないのですけれども、東南アジアなど、いま特恵を供与しているのは百六ですか、百六カ国、十九地域までいっているわけですから、そういうことになると、輸入実績が年々かなり変わっているんじゃないか。その辺からいくと、この方式ではたしていまの輸入の趨勢に合っているシーリングわくが算定できるものなのかどうか。それを非常に疑問に思うわけなんですが、その点、どうですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 先生御指摘のとおり、特恵適用のシーリングわくのわくそのものに関しまして、大きいとか少ないとか、いろいろな議論があり得ると思います。しかしながら、御承知のように、特恵の制度が発足いたしましたときが、昭和四十六年八月一日でございまして、何ぶんにも今日までわずかに一年半しか時間が経過をいたしておらないわけでございます。したがいまして、現在のところ、四十八年度のシーリングわくの設定に関しましても、やはり今日までと同様に、昭和四十三年度を基準にして四十八年度のシーリングわくを設定いたしたいと考えておりますけれども、そのシーリングわくの設定の基準年次に関しましては、時間の経過とともに、実情に即するように、できるだけ後進国からの輸入を促進できるような体制に持っていくことを観点とした検討は必要であろうと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 何ぶんできたのが四十六年で、まだやっと二年目を迎えたわけですから、確かに基礎数字をどこに置くかということは非常にむずかしいことかと思いますけれども、その辺もひとつ勘案をしていただきたいと思うのです。  その次に、中国貿易との格差の問題です。  いまこれは何品目ありますか。その品目は何ですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 この中国貿易との格差がございますところの品目数と申しますのは、昭和四十一年にいろいろな品目が中国から現実問題として相当入ってきておりますので、入ってまいります品物の数が多くなればなるほど、その格差のある品目がふえるということがいえると思います。新しい品物が昭和四十一年にかなり入ってきておりますので、いま何品目あるかというような正確な数はわかりませんけれども、おそらく現在、品目といたしましては約六十くらいあるのではないかと思います。ただ、これは品物が入ってまいりますごとに実績として加わりますものですから、いま確定的には何品目あるかということは申し上げられません。中国から入るものの昨年までの実績から申しますと、昭和四十六年に新たに輸入実績がございましたものが二十三品目ございまして、それから、四十七年に新たに輸入実績がございましたものが、これはちょっと調査中で、はっきりした数字はまだつかめておりませんけれども、約五十品目内外ではなかったかと思います。それから、従来中国に対しまして格差解消の措置がとられなかったものが合計八品目あるわけでございます。したがいまして、現在何品目あるかということに関しましては、ちょっとはっきりした数字を申し上げることはできない状態にございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それはケネディラウンドの最終案との格差ですね。そういうことでよろしいですね。——それで、特にいま暴騰を続けている生糸についてお伺いをしたいのでありますけれども、いま生糸の場合には一五%の基本関税率がかかっているわけでありますが、これはケネディラウンドだと七・五%、半分になっておるわけですね。きのうですか、新聞にも出ておりますように、生糸あるいはなまの食肉、こういったものもケネディラウンド並みに引き下げるという報道がなされておりますけれども、これはどういうお考えでしょうか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 実はきのうの閣議の際に、中国から輸入される生糸の関税の問題に関しまして話題になったことは事実でございまして、その際、中国から輸入の生糸を引き下げる方向で検討するようにというようなお話を私ども耳にいたしたわけでございます。したがいまして、今後これに対していかに対処をするかということは、これから勉強をしなくてはならない段階のわけでございますが、先般中国に政府の事務レベルの使節団が参りましたときに、私どものほうからも中国に人をやりまして、その際、関税に関しましてはお互いに——現在中国にも二つの段階の税率がございます。いわゆる普通税率と協定税率というものがございまして、現在、日本からの輸入品に対しては高いほうの税率、いわゆる一般税率が適用されておるわけでございます。たとえば日本から中国に対しまして生糸を輸出いたします場合には、一般税率は一五〇%でございます。協定税率と申しますか、協定ができ上がっている国からの輸入に対しましては一〇〇%、日本から生糸を輸出いたします場合には一五〇%の税率がかかっておるわけでございます。通商協定を締結いたしました場合には、お互いに最恵国待遇の税率を適用し合おうではないか、こういう話し合いを中国の事務当局とはしておりまして、そういう線で一応の合意がなされておるわけでございますが、昨日突然、日本の生糸の高騰ということから、中国からの生糸の輸入に関して、関税を何とかできないか、こういうお話がございましたので、この問題に関しましては、私どもこれから検討をさせていただきたい、かように考えているわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 この生糸が、昨年の田中訪中以前といまの状況とは違うと思うのです。今日まで中国の生糸に対して、あるいは中国との貿易に関して関税の差別があった。それが少なくも共同声明後は、当然関係が変わったわけでありますから、それなりの対策、それなりの処置がされなければいけないと思うのです。まず生糸についてでありますが、ここで話題になっているのは、何といっても生糸が、生糸市場が閉鎖をしなければいかぬほど暴騰しているわけでありますけれども、それに水をかけるというか、その暴騰している生糸の値段を下げるために輸入をするわけであります。そのための関税引き下げ、七・五%ということになると思うのですけれども、これは急いでやらなければいかぬことじゃないかと思うのです。対処のしかたがきわめてスローのような気がするのですが、そのあたりはどういうことなんでしょうか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいまお話ありましたように、この生糸の問題、きのうの閣議で話題になったわけでございますが、一般的な、要するに中国との関税格差の問題に関しましては、協定の際に話し合いをしようということになっておりましたけれども、私ども、できればその協定ができる前の段階におきまして、一般的に申しまして関税だけでもお互いに最恵国待遇を中国と日本との間で与え合う。関税と申しますのは、国際的に相互主義の原則が非常に強く貫かれている問題であることは国際的な常識になっております。  中国側もそこらあたりの事情はよく了解をいたしておりまして、日本が最恵国待遇を与えるときには、中国側も日本からの輸入産品に対しまして最恵国税率を与えることを考える、かようなことを申しておりますので、私どもといたしましては中国側にアプローチをいたしまして、お互いに中国からの産品あるいは日本からの産品に対しまして最恵国待遇の税率を与え合うという方式でこの問題を解決できることになれば一番いいことではないかと思いまして、至急そこらあたりの方向で中国側にも接触をいたしたい、かように考えておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、ケネディラウンドの最終案と違うもの、格差のあるもの、これを一括してその最恵国待遇の問題で話し合うということになりますと、これはかなり時間がかかると思うのです。いまの生糸が暴騰して市場がストップしてしまうようなこの時期、過熱をしている時期にはとてもじゃないが間に合わないような気がするのです。それでは中国から輸入する生糸についても他の国並みに、これは暫定税率になると思うのですが、七・五にするという考えはないのかどうなのか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 私、ただいま申し上げましたことは、時間がかかるようであれば何らかの方法によりまして生糸だけの関税率を引き下げなくてはならないという検討も、引き下げるためにはいたす必要があるかもしれませんけれども、中国側の体制が、日本からの申し出に対しまして応じてくる体制であれば、少なくとも数週問くらいの、要するに月をもって数えない範囲内で中国側とそういう話し合いができる可能性もあると思っております。したがいまして、少なくとも新年度から中国の産品に対しましてお互いに最恵国待遇を与え合うという方向で、至急中国側にアプローチをし、先方の感触も確かめたい、かように考えているわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そのときにはあくまで、別にこだわるわけではありませんけれども、生糸以外の、いま格差があるものを一括交渉——一括交渉ということばがはやりますけれども、一括交渉ということになるわけですね。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 おっしゃるとおりだと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私はとりあえず、いわゆる共同声明以前に格差是正ができなかった品物、全部でいま八品目ある、これはいろいろ事情があったわけでありますけれども、その中で生糸も残っていたわけでありますが、いまの国内市場の生糸相場を考えたときに、これはそう何もその協定に至るまでということでなく、それはそれでまたいいと思うのですが、いまは何といっても、これでは一体生糸を使う業者はどうなるのだろうかという状況でありますから、私は、それにこだわらずに生糸が、ただ国会を通すのにもこれは時間がかかりますから、これは暫定税率をつくらなければなりませんので、国会にかかりますから、どういうふうになるかわかりませんけれども、いまの状況から考えて、生糸だけでも暫定税率として法案を出すべきじゃないか、そのほうが早いのじゃないかという気がするのですけれども、その考えはありませんですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 実はその生糸の問題に関しましては、中国側の生糸の輸出余力という問題に関連をしておりますわけでございまして、日本側の関税率を引き下げれば生糸が中国から非常によけい入ってくるかという問題が一つあると思います。   〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 その問題に関しまして、農林省が外務省を通しまして、中国側に対しまして生糸の輸出余力というものの調査をいたしておるわけでございまして、中国からいまのところ最終的な返事が参っておるわけではございませんが、日本側がその関税を引き下げれば中国側の日本に対する生糸の輸出が非常にふえる、要するに日本の生糸価格に影響を与えるようにふえるという事態がもしあるとするならば、やはり検討をいたす必要のある問題ではないかとは考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それと今度、台湾を国から地域に、特恵の場合には地域指定にしたわけでありますけれども、これを地域指定にしたのは、したのはじゃなくて、どういう状況になった場合に台湾は地域でなくなって、いわゆる中華人民共和国の一部となる、それは国交が正常化し平和条約が結ばれた時点になると、必然的にいまガットできめている特恵も、これは地域から抜けることになるのですが、その辺はどういうことになるのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 台湾と中国の問題に関しましては、私ども専門の衝に当たっておりませんので、私の口からお答えをいたしますのは不適当だと思いまするけれども、要するに特恵と申しますのは、先方から、特恵受益国からの申請があって初めて特恵が供与されることになるわけでございます。したがいまして、かりに中国政府が特恵の適用の申請をいたしてまいりました場合には、中国全土に対しまして特恵の適用がし得ると、かようなことかと思いますけれども、現在のところ中国政府といたしましては日本に対しまして特恵の適用を申請してくるかどうかわからない問題でございます。  一方、台湾は今日まで日本に対しまして特恵の適用を申請してきたわけでございますけれども、要するに台湾の地域に対しまして、台湾との間に現在のところ外交関係が断たれたにもかかわらず、その特恵が適用されておるということは、関税定率法の第五条によりまして、国または地域に対して特恵の適用をし得る、かようなことになっておりまして、外交関係が断たれた後におきましても台湾は日本からの輸入産品に対して何らの差別待遇をいたしておらないわけでございます。したがいまして、台湾が日本からの産品の輸入に対しましては、外交関係が断たれた後におきましても今日までと同様の取り扱いをいたしております以上、日本も台湾からの輸入産品に対しまして今日までと同様の取り扱いをいたすべきであるという自主的な判断によりまして、台湾地域を指定をいたしまして便益関税を付与する、かようなことにいたしたわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 正式に日本と中国が、平和条約なりあるいはそのほかの条約で国交が正常化した場合に、そのとき台湾の地位がどういうふうになるか、これは原則論としては、台湾は中国の領土の一部であるという原則論でありますけれども、いろいろ国際条約関係があるから具体的にはどういうふうになるかまだわからない部分がありますけれども、そうなった場合、中国が日本に対して特恵供与に手をあげるということはちょっと私は考えられないと思うのですね。それはそれとして、日本と中国の問に国交が正常化する、それは条約上成立した場合に、それは台湾の地位によっていろいろと変わってくると思いますけれども、台湾が地域という、つまり関税定率法にいう地域ということからはずれる場合というのは、どういう場合のときにはずれるかということをお伺いしたいわけなんです。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 中国との間に協定が成立をいたしまして、一体台湾との関係がどうなるかということは、その時点になってみないとわかりませんが、もし台湾が中国の一部であるとして、中国全体として一体的に扱われる場合に、特恵が台湾地域に対して適用されるかどうかという問題は、現在の段階ではちょっと私の立場としてお答えいたし得る段階ではないと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 だけれども、関税定率法でいうところの第五条の国及び地域というところ、これがつまり地域でなくなる概念というのがあるわけでしょう。それはどういう場合にその地域という指定すら除かれることになるのか、そこを知りたい。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 先ほど私、便益関税、第五条の適用という御説明をいたしましたけれども、第八条の二の二項に「経済が開発の途上にあり、かつ、固有の関税及び貿易に関する制度を有する地域のうち、前項の規定による関税についての便益を受けることを希望する地域を原産地とする物品で輸入されるものには、」特恵税率を適用することができる、かようになっておるわけでございまして、「経済が開発の途上にあり、かつ、固有の関税及び貿易に関する制度を有する地域」であって、特恵関税の適用を相手が希望するならば、その特恵税率を適用し得るということになっているわけでございます。したがいまして、台湾が中国本土と離れて、固有の関税及び貿易に関する制度を持つ地域であるという前提のもとに立てば、もし与えようとするとすれば与え得る、かように考えるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうすると、一番私のお聞きしたい点の問題は、第二点目のところになると思うのですね。つまり、第一番目の発展途上国である、これはそう簡単には先進国にはならぬと思うのです。それから三番目の手をあげること、供与を求めること、これはおそらくそうするであろうと思うのですね。問題は、固有の関税なり貿易云々という条項ですね、そこがはたして適用されるかどうかというところが肝心の、ガットなりあるいは日本の政府として台湾に対して特恵を与えるか与えないかというところのポイントになるのじゃないかと思うわけです。  そうなると、いまは現実には双方支配地域ではない。中華人民共和国が台湾の領土の一部であるということに原則的になっていても、現実には支配地域でないということは、おそらく中国政府も認めていると思うのですね。そうなると、この台湾の、固有の関税あるいは貿易という条項の地域というのは一体どういうものだろうか。つまり他の地域、地域に指定されているものは全部で十九ありましたか、そういうものと比べて、台湾がそれじゃこの地域というものからもはずれる場合というのは一体どういう場合か。たとえば完全に中華人民共和国が台湾を支配をする、つまり固有の関税なり固有の貿易をしなくなったという場合ということですか、地域指定からはずれるという場合は。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 たいへんむずかしい外交上の問題もあるわけですけれども、いまは外交上の関係は断たれておるということで、経済的な関係はなお引き続いておるということだと思います。中国との関係は、いずれ友好条約というのですか、そういうものが結ばれなければならないし、また通商に関しても条約なり協定は結ばれなければならぬだろう。その時点になったときにおいて台湾がどういうようなことになるのか。これはまた一つは日本と台湾との関係もありますし、あるいはその時点になれば中国と台湾との間にも話し合いがあるかもしれない。しかし、少なくもいまのように地域でやっておって、二年か三年ぐらいかかるかもしれませんけれども、日中間の友好条約というものが結ばれる時点には、おそらくそういう問題も何らかの形で解決をされるのではないだろうかというふうに私は思っておるわけであります。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ですから、それは今後日中間の関係、それから台湾の地位の問題、これは非常にはっきりしない部分が多分に外交的要素としてあるわけでありますから、はっきりしないことはいいわけです。ただ仮定の話で、そういった面では歴史の仮定もできないように将来の仮定もなかなかむずかしいのですけれども、このガットにいうところの地域の指定に日本がかえた、外交上の関係がないのに日本がかえたということになると、はたして地域というものは一体どういうものだろうかと私は疑問があるわけですよ。そうしますと、いまお聞きしたところでは、地域としてなおかつガットの特恵の供与を受けられるというのは、いま局長からお話がありましたように、発展途上国であること、あるいは固有の関税、一つの貿易をやって経済活動をしていること、あるいは三番目には供与が必要であるということで手をあげることですね、そういう条件がそろっているところということになるようであります。いま台湾の地位がきわめて不明確でありますけれども、この地域という指定からはずれるというのは、つまり台湾の地位がはっきりしなければわからないということになりますか。ぼくのお聞きしているのは、もっと純法律的に、台湾の地位がどうであろうとも、この地域の指定でなくなる、関税暫定措置法の第八条の地域の指定でなくなるとき、それは一体どういう条件のときに、台湾というものがこのガットの特恵を供与される地域というものからはずれるのか、もっと純法律的な解釈をお伺いをしているのですがね。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 どうも確かに仮定の問題でございますから、非常にむずかしい御質問で、私も的確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、かりに台湾が中国に、現在の北京政府に支配をされるという段階になりまして、かつ台湾地域とそれから中国本土とかりに違った関税制度が設けられる、そういう状態になっても、このガットの範囲内では、その特殊な台湾という地域に対しまして特恵税率を適用しようと思えばできることも、理論的にはあり得ると思います。その際に、ただ台湾が中国本土と同一の関税制度なのか、あるいは固有の関税制度なのかはその段階になってみませんと判明いたしませんので、もし中国本土と同一の関税制度がしかれることになりまして、中国政府が特恵税率の適用を希望してこなかった場合には、当然台湾地域というものに対しまする特恵税率の適用は取りやめられる、かようなことに相なると思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 こういうケースは希有のケースですので、一応国というものから地域という指定に変わったことですので、少し話を詰めておきたいなと思ったものですからお聞きをしたわけであります。  その次に、今度の法案の中で、生活関連物資の関税の引き下げということで品目がいろいろと出ておるわけでありますけれども、私も二年前ですか、昨年ですか、質問したこともあるのですけれども、こういうふうに生活関連物資の関税の引き下げということで、若干なりとも国内の物価にいい影響を与えるようにという配慮からだと思うのでありますけれども、現実に、はたしてそういうふうになっているのかどうなのか。結局は中間業者のマージンに吸い取られちゃうだけじゃないか。特に税率なんかを見てみると、はたしてこれでどれだけそういう効果というものが期待できるのだろうかというふうに思わざるを得ないのであります。  そこで昨年、四十七年度は四月ですかに関税率を引き下げ、それから十一月でしたか、一括二〇%の引き下げをやったわけでありますけれども、ちょっと経済企画庁にお伺いをしますけれども、昨年の関税の引き下げによって、はたしてどれほど物価にいい効果と申しますか、物価を引き下げるのに役立った、あるいは物価を引き下げるという大げさなことを言わなくとも、個々の品物の値段が幾らか下がった効果があったろうか、その辺の追跡調査というのはどうでしょうか。

斎藤誠三経済企画庁長官官房参事官

○斎藤説明員 お答えいたします。  四十六年、四十七年、十一月を含めまして関税が相当引き下げられておりますが、その引き下げの効果を計量的に明確に示すことはなかなかむずかしいわけでございます。といいますのは、たとえばレートの切り上げ等もございましたり、あるいは昨年秋の並行輸入等によりまして、国内の輸入価格がそのほかの要因で下がっている面もあるわけでございます。そういうことでございまして、総合いたしますれば、関税の引下げあるいはレートの切り上げ等、一応昨年度は一%程度、いわゆる理論値としましては考えられたわけでございますが、中間マージンの増高等によりまして、そのものずばりが引き下げられたというわけにはなっておりません。企画庁といたしまして、はっきり計量するわけにはまいりませんが、おおむね〇・五%程度が輸入政策の活用によって物価引き下げの効果を持ち得たのではないか。当初四十七年度は五・三%の物価上昇を見込んでおりましたが、現時点ではそれ以内におさまるわけでございまして、そういう意味合いにおきましても、輸入政策の効果が相当浸透しておると考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 〇・五%だそうですので、そんなに効果があったとは私は思えないのですが、特に全体でとってみますと五・五%の物価上昇の中に占める比重が、関税の品物の場合、たとえば四十七年、昨年の生活関連物資等の関税の引き下げ七十三品目あるわけですけれども、それなんか、たとえば子牛とかタマネギとか紅茶、大豆、ウイスキー、香水、エアコンディショナー、写真機、腕時計あるいは乗用自動車、こういった面から、物価を押し上げるのに要因となるもののうちの比重ですね、これは、いまあげたようなものはそんなに大きくないと私は思うのです。そういった意味で私は、全体の物価を関税の引き下げぐらいで——ぐらいでと言っては語弊があるかもしれませんけれども、全体の物価を引き下げるにはあまり効果がないと思うのであります。せめて、たとえばいまあげたタマネギにしろ大豆にしろ、個々の品物が関税を引き下げたことによって下がる。おそらく私は現実には、たとえば大豆なんかにしても、去年キロ当たり二円四十銭のを無税にしたわけでありますけれども、このぐらいのことではいまの過剰流動性の中で投機が加われば、もう一たまりもないと思うのですね。  その辺のところでなかなか価格メディアがむずかしいので、たとえば個々の品物でもどういう価格形成になっていくか非常にむずかしい問題でありますけれども、物価担当の庁としていま申し上げました全体の物価ではなく、せめて個々の、関税を引き下げた品物について幾らか下がったというような何か具体例があるのだろうか。たとえばジョニ黒、ジョニ赤、これを総代理店制をやめさせたことによってもう大幅に下がっているわけですけれども、こういうような効果というものが、はたして顕著にあらわれたものというのがあるのだろうか。生活関連物資の関税の引き下げといっても、私はこれは非常に疑問に思うのですけれども、この辺のところはいかがでしょうか。個個の物資ではいかがでしょうか。

斎藤誠三経済企画庁長官官房参事官

○斎藤説明員 たとえば、申し上げますと、腕時計のオメガでございますが、関税改正前は八万七千円、これが関税改正後は七万七千円、あるいはカメラにいたしましても、いろいろな種類がございますが、一例を申し上げますと、八万三千円が六万三千円等々になっております。   〔木村(武千代)委員長代理退席、大村委員長代理着席〕 それから大豆につきましても、二円四十銭の関税がなくなったわけでございますが、御承知のように、世界的な大豆の不足によりまして、向こうのFOB価格が非常に高騰しているわけでございまして、そういう意味で昨年年末から非常に価格が上がっております。そういう国際価格の上昇とかいろいろなほかの要因がございますので、先ほど申し上げましたように、なかなか的確にその効果を計量することはむずかしいというわけでございますが、そのほかわれわれのほうでも二十数品目調査いたしておりますが、その中で、そのほかのレコードプレーヤーとかそういう一部を除きまして若干の価格の低下が認められると思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 今度の生活関連物資の関税の引き下げでも、たとえばコーヒー、現行税率三〇%が二五%、三十分の五ですから、三十分の五というそれ自体はある程度大きなパーセンテージになりますけれども、はたしてそれでコーヒーが幾らか安くなるだろうか、そのほか紅茶にしてもコーヒーと同じ税率、ココアもそう、植物油の精製油キロ当たり二十五円が二十三円、キロ当たり二円安くなる。このくらいのことで、はたして国民生活の安定、充実をはかるためといって関税を下げることになるんだろうかということをつくづく疑問に思うのですよ。この点について、当局としてはどういうふうにごらんになっているんですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 先生御指摘のとおり、関税率を引き下げましてそれがすぐに価格にはね返るものと、流通機構にその利益を吸収されてしまって消費者価格にはなかなかはね返らないものと、個々の品物によって違いますけれども出てまいるわけでございます。私どもといたしましては、日本の国内業界のいろいろな抵抗その他もございますのを、やはり国民生活全般の関連から関税をできるだけ下げたい、こういう希望を持ちまして関税率の低下の御審議を願っていただいております関係上、せっかく関税率を引き下げました以上は、国民生活にそれがそのままプラスになることを非常に強く希望いたしておるわけでございます。したがいまして、経済企画庁にもあるいは通産省にもお願いをいたしまして、関税を引き下げましたものの追跡調査と申しますか、現実にそれが流通段階における利益にとどまってしまうということにならないように、強い行政指導をお願いしているわけでございますが、これが影響がないからと申しまして、関税率を引き下げなくて済むという種類の問題ではないと私ども考えておるわけでございまして、やはり姿勢として、関税率を引き下げてできるだけ国民生活のために役に立つ方向で考えていくべき種類の問題だと思っておる次第でござ  います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それは、下がらないからといって関税率を下げなくていいということじゃないと思うのですね。関税率と物価といっても、品物によっては、国内に占めるシェアが一%とか二%というものを関税率を下げても、その品物自体の全体的な価格というのは変わりないと私は思うのです。シニアが少なくも五〇%以上占めるものでしたら、まだその品物の価格を下げるということはある程度できると思うのですね。問題は、私が疑問に思うのは、ここに出てくる生活関連物資との関連で、引き下げということで、たとえばコーヒーが三〇%から二五%になっているけれども、はたしてこのぐらいでいいんだろうかと疑問に思うわけです。午前中にちょっとお伺いしましたけれども、関税率を下げたことによって輸入の量がどれだけふえるのだろうか、現行税率、コーヒーで見ればいま三〇%が二五%になっておりますけれども、これではたして輸入量というのはどのぐらいふえる見込みがあるのだろうか。それは税収入にも影響してくるわけでありますから、これだけ税率を下げれば輸入量はこのぐらいになる、したがって、その場合には個々に占める関税収入が減ってくるわけでありますから、その辺の基礎的な、幾らかの数字的な目安が何かあるんだろうと思うわけなんですが、その辺はいかがですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 マクロ的には、関税引き下げによりまして輸入増大効果というものを私どもも計算をいたしておるわけでございまして、先般十一月に御審議を願いました千八百六十五品目の一律二〇%引き下げの結果、私どもの計算では、十一月から実施をいたしました関係上、昭和四十八年度に平年度ベースで約二億ドル輸入増大効果がある。さらに、今回御審議を願っておりますところの関税率の改正に伴います輸入増大効果といたしましては、特恵税率の適用の弾力化を中心といたしまして約八千万ドル程度輸入増大効果があるであろう、こういう想定のもとに制度の改正をお願いいたしておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 だいぶ時間も長くなりましたので、経済企画庁にお願いをしておきたいのでありますけれども、関税を下げたからといって、これはシェアの関係もありますし、これからメスを入れなければいかぬ流通過程の問題もありますので、私はそんな単純に直結するということは残念ながら言えないと思うのですね。今度通産省のほうでも、輸入した商品に対して年間輸入額が五億円以上の身の回り品十五品目と原材料五品目、計二十品目について追跡調査をする、つまり変動相場制に変わって輸入価格が下がっているはずのものが国内ではどのように売られているかを追跡調査するということになっておりますけれども、ひとつ経済企画庁のほうでも、いま申しました生活関連物資ということで、国民生活になるべくいいように影響するようにということで関税を下げるこれらの品目がどういう価格になるか、それではたしてどのくらい輸入増があるものだろうか、これは必ずしもおたくのあれではないかもしれませんけれども、その辺のところもひとつぜひ追跡調査をお願いしておきたいと思うのです。  最後から二つ目に、私もずっといろいろ資料を調べてみて思ったのですけれども、これは関税の歴史とも関係があるのですが、日本の場合には原材料に対しては非常に低い関税でしょう。そして一次製品、二次製品、中間製品——中間というのは変な言い方ですが、そういう製品に対してはきわめて重い関税をかけるという、いわゆるタリフカーブでしたか、基本的に関税はそういうシステムになっているわけですね、これは若干手直しされたわけですけれども。  そこで、私は一つだけ公害の問題で少し考えを聞いておきたいのでありますけれども、いま申しましたように、たとえば銅のかたまりだといまは無税になっていますね。原料だと無税ですね。それで製品だと七%の税金がかかっているわけですね。そうしますと、いまの関税政策ですと、重い物を船で持ってきてそれを国内で製錬して製品の銅にするよりも、製錬した銅そのものを持ってきたほうが高くなるわけですね。それは製錬費を加えて七%の関税がかかるわけですし、原料だとそれがゼロで入るわけですから、当然そうなる。ですから、いまの関税のシステムでは、原料を入れたほうが当然安くなるわけですね。それは原料と製品と比べれば、その問にいろいろな手が加わっているわけでありますから、その面では当然原料のほうが入れやすくなる、その分だけ日本で製錬をしなければいけない。それで公害問題の発生というものがずいぶん考えられるわけですね。この辺のところで、私はこの基本的な関税率のあり方、つまり原料に対してはぜ口というように安くして、製品に対しては非常に重いものにするといったこのタリフカーブを変えていく必要があるのじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょう。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 私どもも全く先生の御指摘のとおりだと思います。今日まで日本の関税体系と申しますのは、原料に安く製品に高くという、いわゆるタリフエスカレーションの体制にあったわけでございまして、いわば加工貿易促進型と申しますか、そういう傾向があったことは否定できないと思います。昨年の十二月二十一日に関税率審議会から今後の日本の関税体系のあり方に関します長期答申をいただいておりまして、その長期答申の中におきましても、今後の関税率体系の考え方それ自体を変えていくべきであるという御指摘をいただいておるわけでございますが、その中におきましても、いわゆる公害対策というものと関税のあり方というものとの関連から関税というものを見るという考え方を当然導入をしていくべきものでございまして、全般的には製品関税を今後だんだん安くしてまいりまして、日本の産業構造全体に関連をいたす問題でございますけれども、全体との関係におきまして関税体系も当然徐々にその姿を直していくという方向で検討いたすべきものと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いまのように関税率審議会から答申が出た中にそういう指摘があるわけでありますけれども、銅の場合にも亜硫酸ガスが出る、あるいはアルミニウムの場合でも、かたまりについては無税になっておりますけれども、製品については九%の関税がかかっている。こういったことで、非常に重いものを持ってきて日本で製錬をして亜硫酸ガスを出して、そして製品にする。そういうものはなるべくアルミニウムなり銅なりの製品で買ったほうが——もちろんこれだけで公害の除去ができるわけではありませんけれども、そういう関税率のシステムに変えていく必要があるのじゃないかと思うのです。  今度の答申は、答申というのは政府の抜け穴みたいなところがありますからあまり信用しないのですけれども、今度の場合これ自体は非常にいい御指摘だと思うのです。それが今度の法案にはたしてどういうところに生かされているのか。今度の法案にはそういうたぐいのものが見当たらないような気がするのですけれども、いかがですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 先般、いわゆる円対策の一環としてということを主体としてでございましたけれども、十一月に関税率の一律二〇%引き下げということをやっていただいたわけでございますが、これは鉱工業産品を主体にいたしまして一律二〇%引き下げということをやったわけでございまして、この一律二〇%引き下げ、これは必ずしも円対策のみではなくて、日本の経済産業構造全体を徐々にではございますけれども変えていくという、いわゆる長期答申に盛られております内容の、十一月でございますから、先取りという形になりますけれども、私どもといたしましては、その関税の一律二〇%引き下げということの中にはそういった意味も含ませてあったつもりなわけでございます。  しかしながら、一般的に関税と申しますのは、国内産業に対します影響はかなり大きいものがございますので、あまり急激にこの関税体系をいじるということもなかなかむずかしい情勢がございますので、やはりこれはある程度の時間をかけまして徐々にそういった方向に持っていくという考え方で、今回お願いをいたしておりますところのこの関税率改正の法案に関しましては、昨年の十一月に二〇%引き下げという非常に大きなことをやっていただいておりまして、まだその直後でございますので、その内容といたしまして、あるいは小さ過ぎるという御指摘もあるかもしれませんけれども、国内産業に対する影響を考えますときに、こういう問題は徐々に産業構造の変革にスムーズな移行というものを考えながらやっていくべきものと考えておるわけであります。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ぜひこの点については、今後の関税率改正の場合にも頭に入れていただきたい問題だと思うのです。日本の四十六年度の貿易を重さで見ますと、四億六千万トンを輸入して、輸出したのが六千万トンというのです。つまり四億トン、これはもちろん原材料だけではございませんから、全部が全部それがどろなり何なりになったということではありませんけれども、まあこれに近いものが空気の汚染や川へ流れたり何かしてやっておるということです。そうすると四億トン分船で運ぶだけでもたいへんなロスです。もちろん原材料だけの数字ではありませんから、必ずしも全部が全部そうはいえませんけれども、そういった面からも関税率の重点の置き方、率のかけ方、これをかなり根本的に見直す必要があるんじゃないか。ただし局長が言われましたように、産業構造の変化に伴う問題でありますから、そう急激には確かにできないという部分もあるわけであります。そこで、この部分を頭に入れてぜひ考えてもらいたいと思うのです。  それから最後に、先ほどちょっと質問しましたように、とにかく関税率をこれからゼロにしていこうという方向にあるわけでありますけれども、しかしそればかりではなく、たとえばダンピングが行なわれるとか、あるいは相手国が補助金つきの非常に安売りをしてくるといったものは、現在の関税定率法でもございますけれども、おそらくいままでに発効したことはないんじゃないかと思うのです。そういった相殺関税なりダンピング関税なり、こういったものも今度の関税率審議会の答申には出ているわけです。だんだん関税率がゼロになっていく中でも、なおかつソーシャルダンピングが行なわれたことに対する対抗措置として、ある程度考えていかなければならぬ時代にそろそろ来ているのではないかということを思うわけであります。そういったことで、日本の関税というものは全般的にヨーロッパに比べて高いといわれているが、これは数字をあげればいいんですが、時間もあれですからやめますけれども、ガットの場でも緊急輸入制限条項、こういうものをロング事務局長が提案もしているわけでありますが、そういうことも今後考えていかなければいかぬのじゃないか。この特殊関税について、どういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 御指摘のように、全般的に世界の自由貿易体制を推進をするために相当思い切って関税、特に製品関税全般に関しまして引き下げる方向で日本として検討をいたします以上、日本の国内産業の保護その他の観点から、日本の国内産業がそれによって非常に打撃を受けるような場合には、あらゆる意味におきまして緊急関税の発動ということを相当弾力的に思い切って措置をするということが必要な時代、いわゆる備えをつくっておきまして、そのかわりに関税を相当思い切って引き下げるという方向で検討していくべきものだと考えております。昨年の十二月に関税率審議会にも特殊関税部会というものを設けまして、特殊関税、いわゆる緊急関税の発動を必要があれば直ちに発動し得るような体制を機構としてつくりまして、緊急事態に対しては即応できるような体制を整えて考えてまいりたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 まだまだいろいろと問題があるのでありますけれども、時間もだいぶ経過しましたので私の質問はこれで終わります。

大村襄治自由民主党

○大村委員長代理 阿部助哉君。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 まず第一に、今度の関税定率法の一部改正で、皆さんのほうでは最近の内外の経済情勢の変化に対応するためにこの提案をした、こうおっしゃっているんですが、もう少し具体的にお話を願いたいと思います。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 昨年の十一月に、いわゆる円対策の一環として関税一律二〇%の引き下げをやっていただいたわけでございますけれども、それに伴いまして、その際にはいわゆる特恵関税というものは審議をお願いいたさなかったわけでございます。今回の改正はそれに対するさらに手直しと申しまするか、特に開発途上国との間の経済取引を、日本の立場といたしましてさらに拡大する方向で検討し、対外経済関係を調整をいたしたいという日本の姿勢に資すると同時に、国民生活の安定あるいは充実をはかるという観点から、先般の一律二〇%引き下げに加えまして、さらに個々の品目ごとに検討をいたしまして、あれに加えて引き下げられるような情勢にあるものは引き下げたい、かような趣旨のもとに、最近の内外経済情勢に対応をして御審議をお願いしたい、かような意味でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 よくわからぬのですがね、おっしゃることが。内外の経済情勢というのは、私がお伺いしておるのは、円対策の一環として一部やるということなのか、それとも国内の物価対策としてやろうとしておられるのか、あるいはまたその両方なのかという点を私聞いておるわけです。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいま御審議をお願いいたしております関税定率法の改正の法案は、もちろん結果として円対策に資するという面はあるかと思いますけれども、円対策の一環としてという意味合いは非常に少ないわけでございまして、むしろその主たる柱と申しますのは後進国からの輸入を増大をしたいという、いわゆる対外的な面におきましてはそういうことを考えるべき態勢にあるということ、さらには国内の物価その他の対策の関係上、より大きくは要するに日本の経済構造の変化に徐々に対応していくという観点から関税を引き下げられるものは引き下げてまいる、こういう趣旨で御審議をお願いいたしておるものでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 もう一つ前提でお伺いしておきたいのは、ことしの十月にガットの会議がありますね。これに対して日本はどういう方針で臨まれるのか、それをお聞きいたしたい。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 九月からガットで新国際ラウンドの会議というものが始まるわけでございますが、現在、先ほどもちょっと午前中お話いたしましたように、この新国際ラウンドにおいて一体どういう題目に関しまして議論がなされるのかといういわゆる国際ラウンドにおける議題そのものの決定を討議をいたしまする準備委員会がこの七月に行なわれるわけでございます。しかしながら、およそその中において議論をされますであろうというものは予想されるわけでございまして、日本といたしましても、さらに世界自由貿易体制というものの推進をいたすということに役に立っための体制で臨むわけでございますが、御承知のように、現在ECそれ自体はいわゆる関税同盟のようなもので、ECそれ自体といたしまして、EC内部で自給自足をし得るような体制をとりたいというようなことを内心は考えておる面がございますし、米国におきましても、最近保護主義の台頭という問題もございまして、自由貿易体制と逆行するような世界の風潮というものが存在をいたしますことそれ自体は否定できないと思います。したがいまして、特に日本といたしましては、やはり世界の自由貿易体制の推進という意味におきましては、その新国際ラウンドを相当積極的に、いわゆる開放経済体制にすぐ引っぱっていくような方向で臨むべきであろうか、かように考えている次第でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 戦後IMFができたり、あるいはガットの話し合いの場ができたりいたしましたのは、やはり今までの世界の歴史の中で、為替戦争はやがてブロック化の形成になる、そしてやがて戦争に発展する、それを何とか食いとめたいということで、交易を円滑にやろうというのがねらいであったろうと私は思うのであります。ところが、最近通貨問題が御承知のような混乱をしておるわけでありまして、こういうときに一体この関税を上げたり下げたりしてみたって、それほど大きな効果というものはないのではないだろうかという感じがするのですが、どうなんですか。そういう通貨の混乱といいますか、変動というものを配慮されてこの法案は準備されたのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 まさしく先生御指摘のように、通貨の問題はいわゆるレートの切り上げ、切り下げが持ちますところの経済効果と、関税の引き上げ、引き下げが持ちますところの経済効果というのは、経済効果といたしましては同じ種類の経済効果を持っていると思います。したがいまして、円の変動相場制移行その他あるいはドルの切り下げ、そういったような事態があれば、関税をさらに引き下げる必要はないではないかという御指摘かと思いますが、やはり円の切り上げ、切り下げというような問題が起こりました前提には、それぞれの国の経済体制、関税のあり方、体系それ自体を含めまして、円のレートの問題あるいはドルのレートの問題というものが論ぜられるわけでございまして、もし円のレートが切り上げられたならば、それに見合う関税を引き上げれば、その経済効果は相殺されるということに相なるわけでございまして、今日までの関税体系を前提といたしました通貨のレートの問題であろうかと思います。  したがいまして、かりにレートの切り上げあるいは切り下げがございました後におきましても、日本のあり方といたしまして、今日の国内産業のあり方から、やはり徐々に産業構造の転換に役立たせるという配慮から申しますると、あるいは後進国から日本の可能な限り産品の輸入を促進してやるべく、日本としては対外協調の関係から臨むべきであるということを前提といたします限りにおきまして、今回御審議を願っておりますような関税率の改正は全く無意味であるということには相ならないのでございまして、やはりこういうことをやって、日本としての姿勢を示すべきであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 私は関税を引き下げるな、こう言っているのではないので、皆さんはこれを立案される段階で、今日の国際通貨のゆれを想定しておやりになったのかどうか、こう聞いておるのです。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 これを立案した段階におきましては、今回の国際通貨のゆれは想定はいたしておりませんでした。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そういたしますと、この関税の税収の見積もりは当然変更があるもの、こう考えていいですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 円の変動相場制の移行に伴います輸入面への影響につきましては、やはり変動相場制のもとでのレートの水準であるとか、あるいは変動相場制がどのくらいの期間続くか、あるいは国内経済への影響等非常に流動的なものでございますし、不確定な要因が非常に多いものでございますので、特にこの段階におきまして、昭和四十八年度間全体を通じて輸入にどういう影響を及ぼすかという関税の税収見積もりに及ぼす影響を的確に把握することは非常にむずかしいわけでございます。年度間の関税収入の見積もりを策定いたします際には、いわゆる経済企画庁で策定をいたしておりますところの経済見通しを基準にいたしまして、石油であるとか砂糖であるとかそういうおもな二、三の品目、非常に金額の多い品目に関しましては積み上げをいたしまして、全般的な数字に関しましては平均関税負担率を用いまして、経済見通しを基礎にしてはじいております数字でございますので、年度間を通しての変動相場制の与える影響が非常に不確定な現段階におきましては、関税収入の見積もりを変えることはできないと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 私の質問と何ら焦点が合わないのですよ。私は見積もりが変わる、違ってくるのではないか、こう聞いておるのでして、その見積もりが幾らでなければならないというきちんとした数字がいま出せるか出せないかということをお伺いしておるのではないので、当然税収の見積もりは、皆さんがお出しになっている見積もりは違ってくるだろう、こう私は指摘をしておるだけなんでして、その数字がどういうふうに何ぼ変わってくるかという数字を出せ、こう言っておるわけじゃないのです。あまり焦点をはずさないようにひとつ答弁を願います。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 確かにいまおっしゃるように、円のレートがどういうふうになるのかまだわかりませんけれども、少なくもいま変動制に移行しておるわけであります。それがどれくらい続くか、それもまだわからないわけであります。今後のいろいろな手段によるところの調整の結果にまたなければならないわけです。しかしいずれにしろ、日本の国内の景気にしろ、あるいは世界経済の動きにしろ、まだ不確定要素がたくさんあるわけなんです。そういうことをいろいろ考えてきますと、まだまだ内外の経済情勢は流動的であり、不確定な要素があまりにも多い。デフレ的な傾向になるであろうというようなこともいわれております。あるいはまた輸入がふえてくる、あるいはふやさなければならないともいわれておる。そういうことがございますから、これはひとり関税の収入ばかりじゃなくて、一般税収の問題にいたしましても、それじゃまたいろいろと問題があるではないかという言い方もできるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、先ほど来局長が申しますように、まだそういう流動的である、あるいは不確定要因がいかにも多いということでありますので、今日の段階では、そういう見通しをもとに今日の見込みを変更するつもりはない。あるいは変わるかもしれませんし、あるいはあまり変化がないかもしれないということであろうと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 たいへんたよりない答弁でしてね、お先まつ暗であなたまかせみたいな答弁をされても困るのでして、現実に変動制をとった段階では、実質的にはもうそれなりの円の切り上げが行なわれておるわけですね。市場をあけておるときに毎日動いておるあれは、実質的にはいま何ぼか切り上げられておるわけです。これからどうなるかわからない、そういう段階で関税の見積もりを正確に出せ、こう要求すれば、いまの段階でむずかしいとおっしゃるのは、それはわかる。私はそんなことを聞いてはいない。ただ変更があるであろう、こう私は指摘しただけなんでして、まだデフレ的な要因もある、いろいろな要因があって、この見積もりが間違いないのだとか何だとかというなら、また別なんですよ。私は何がしかの変更があり得るだろう、こう言っておるだけなんでして、その必要は全然ないということなんですか。それとも、いま新しい見積もりを出せと私が要求すれば、それは困難だとおっしゃるのは、それはわかるのですよ。だけれども、何か私の質問と焦点が合わないのですね。私はただ、変更があるだろう、こう言っているだけなんです。どうなんですか。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 確かに客観的な情勢が変わったことはそのとおりだと思うのです。しかし、繰り返し申しますように、そういう見積もりがはたしてどういうふうに動くのか。おっしゃるように、動くかもしれませんよ。しかし、たよりないとおっしゃるけれども、あるいはこの見通しにほぼ近い数字が出るかもしれない。その辺のところはまだ何とも言えない。したがって、現段階ではこうした見積もりで、いまのいろいろな要因はありますけれども、いまの見通し、見積もりでひとつお願いしたい、こういうふうに考えておるわけであります。何と申しましてもそういう影響を的確に把握することは今日では困難だ、こういうことでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 私はあまりこれを深く追及しようとは思っていないのでありますけれども、ただこの立案のとき皆さんが関税の収入見積もりを出される時点とは、通貨も違ってきておる、レートが違ってきておるということになれば、当然それなりの変化が生ずるだろうということは、これは常識論として私は間違いないと思う。ただ、その数字がどういうふうにどの程度変わってくるかというのはいま測定が困難だからこのままやってくれ、こういうことならわかるのですよ。だけれども、変わるだろうどいうことはあまり否定ができないのじゃないですか。それは神さまじゃないから、変動はしたけれども、ほかの要因でたまたまぴしゃり当たったということはあるかもしれませんが、これは見積もりだから、何ぼかの見当でしょうから……。だけれども、立案の時点と情勢が違ってきておることを認めるならば、その結果として出てくる見積もりも何。がしかは違ってくるということは、これは理論としては当然のことだと思うので、ただそれを認めるか認めないかというだけの話なんです。まあこれはあまり追及したって、私は本意じゃありませんから次へ移りますけれども、そういう点で、あまり焦点をはずさないようにおっしゃってくださればありがたいと思うのです。  次に、皆さんにいただきました関税定率法の一部を改正する法律案の概要というところを見ますと、また、先ほどの御答弁のあれからも、今度の改正には生活関連物資等の関税の引き下げという点を述べておられますが、これは当然国民生活の安定、物価の安定というようなものをお考えになっておると思うのであります。  そこで一つ、お伺いしたいのでありますけれども、ダイヤモンドは、これは関税はかかっておりませんね。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 今回お願いをいたしております改正案で、関税率はゼロになるようにお願いをしておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 大蔵省の理財局の方にお伺いしたいのですが、いま大蔵省の払い下げのダイヤモンドは、どんなふうにしてどの程度払い下げておるのですか。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 接収ダイヤモンドのうち国に帰属しましたものが、数量で見ますと約十六万一千カラットでございます。この処分につきまして、昭和四十一年から払い下げを開始いたしまして、毎年一般競争入札方式による処分を二回やっております。現在までに約十一万六千カラットを処分しまして、歳入にいたしまして、現在残っておりますのが四万五千カラットでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 実は、公取の熊田さんにお伺いしたいのですが、これは新聞の広告なんですが、まあごらんいただきますと、こういう「大蔵省払い下げ、国有大粒ダイヤモンド限定超奉仕」これは大きなデパートです。このデパートだけじゃなしに、有数のデパートがみんなこれをやっておるわけです。ただ実際は、そこでほんとうに商売をしている方々が行ってみると、大蔵省の払い下げのダイヤモンドはごく少数で、他はいろいろなそのデパートで仕入れたダイヤモンドを売っておる。したがって、逃げ道として小さく、ちょっとこれは気がつかないように、よく見ると「同時開催==新輸入ベルギーダイヤモンド特別奉仕会」というのがあるんですね。しかしこの新聞を普通で拝見をすれば、だれしもが国有ダイヤモンドの払い下げと見る。しかも電話の受付のところには「国有ダイヤモンド係」としるしてある。もう一つは、大きな有名デパートの名前が入っておりますから、おそらく一般の国民は、まあ今日インフレヘッジという点からも相当宝石類に向いておるような話も聞くわけです。そういうときに、この広告からいきますと、どう見ても錯覚を起こすのが当然なんですね。  そういう点で、公取のほうではお気づきになっておるかどうか、まずそれをお伺いしたいと思います。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局取引部長

○熊田政府委員 この問題は、昨年の九月ころでございましたか、申告が一件ございまして、それにつきまして調べた経緯がございます。しかしながら、この問題は非常に調査がむずかしい点がございます。と申しますのは、払い下げられました個々のダイヤモンドにそれぞれ払い下げられたものであるという証拠は何もついておらないわけでございます。したがいまして、その払い下げられたものかあるいはそれ以外のものであるかどうかというところの弁別が非常にむずかしいわけでございます。私どもといたしましては、その点帳簿上その他、あるいは販売経路、そのような点を追及いたしまして、何とかしてその弁別をするようにしたいと思いましたけれども、昨年のケースでは、その点が明らかにならなかったのでございます。最近におきましてもまたそういうようなケースがあるということは新聞の広告で承知をいたしております。したがいまして、私どもはさらにそういうような問題につきまして、不当表示の疑いがございますので、追及をいたしてまいりたいと思っております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 大蔵省のほうは、払い下げたものがこういう形でいろいろと——輸入されたというダイヤモンドは、話によれば、あまりいいものじゃない。しかししろうとにはなかなかわからぬ。こういう広告をして、電話で申し込みをして一日に大体一億数千万円の売り上げをする、そういう話であります。そうしますと、一般の人は当然大蔵省の払い下げだと思って、これに飛びついておるわけです。実際はそれはごく少数。話に聞けば、大蔵省のものはやはりビニールに入れて何か大蔵省払い下げと区分けをしておるという話もある。また大蔵省も、払い下げたら当然それくらいのことはやるとか、コーナーを全然別にして扱ってやらなければ、一般の国民はたいへんな被害を受ける。一つはそれであります。もう一つは、まじめに商売をし、営業をしている人たちは、ここへみんな顧客をさらわれてしまうという結果になるだろうと思う。そうすると、まあ皆さんは、大蔵省は悪意ではないだろうけれども、結果としてはこれはたいへんな詐欺的な行為になっておるのではないか。あなた、これをごらんになりましたか。——私はそういう感じがする。  それで私のところに数人の商売をしていらっしゃる方々が来たわけであります。これをやられたのでは、われわれまじめに商売をしようとしても成り立たないのだ。それで実際に売っておるその展示場を見てきたけれども、実際はこれはあまりいい品物じゃないというようなものを国有ダイヤモンドの大蔵省払い下げというので一つはつる。一つはたいへん有名なデパートだけでありますから、そういうデパートの信用でお客をつっておるということになると、いろいろ今日大手商社、そういうものの問題がある中で、こういうものが許されてはならぬのではないかという感じがするのですが、もう一度公取の御答弁、そうして払い下げをされる大蔵省のお考えをただしたいのです。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局取引部長

○熊田政府委員 先生のおっしゃいますこと、ごもっともでございます。私どもといたしまして、確かに不当表示の疑いが濃いという場合があると思います。私、この問題につきましては、大蔵省が払い下げをされる際に競争入札をされるわけでございますが、その際に契約書をかわしておられます。その契約書の中に、国の委託による販売品であると消費者が錯誤するような方法で販売してはならない、こういう条項が入っておるわけでございます。この条項がもう一歩進みますと、非常に不当表示の規制には効果があると思います。と申しますのは、国の委託による販売品である、こういうことでは、業者は国の委託による販売品だというようなことはもちろん表示をしておりません。で、一歩進めまして、これは国から買ったものであるということを表示するようにこの契約の中に義務づけていただけますと、これは非常に取り締まりがやりやすくなるというふうに私どもは考えるわけでございます。もちろん私どもといたしましては、不当表示の見地から別途追及はいたしますけれども、この点につきましては大蔵省ともさらに協議をして適当な対策を考えてまいりたいと考えております。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 大蔵省といたしましては、先ほど申し上げましたように、現在は一般競争入札による方法をとっておりますが、実はその前、昭和四十一年から四十四年まで毎年一回委託販売方式というのをとっておりまして、全国のデパート等で、委託販売でございますから、国の委託を受けて売るというかっこうで、先ほど先生御指摘のように、ビニールに入れるとかして処分したわけでございますが、その後各ダイヤモンドの粒が小粒になりまして、とても委託販売方式では処理できないということで、四十四年以来その方式を中止いたしまして、一般競争入札によっているわけでございますが、その契約書の中に条項を設けまして、かつての委託販売方式と見まがうような方法でやることは困るということで、国の委託による販売品であると消費者が錯誤するような方法で販売することがないようにするという条項を入れて規制したわけでございますが、落札者から転々と、国が払い下げたダイヤモンドが業者の手を経まして、それから消費者に渡るという問題がございますので、国と落札者との間では、この契約によって規制ができますけれども、それ以後につきましてはとても規制ができないという面があるのでございます。それでいま現在、いろいろ新聞紙上に広告が出されておりますのは、たとえば大蔵省放出ダイヤモンドと書いておりますけれども、これを見まして、はたして私どもが払い下げたダイヤモンドであるかどうかということは必ずしもこれは保証しがたい。ダイヤモンドといいますのは非常に専門的な鑑定技術が要りますものですから、なかなか見分けがつかない。かりに大蔵省のほうで特別のビニールの袋に入れまして、これは国が払い下げたんだといいましても、ビニールの袋をかえてしまえば中身がどうなっているかわからぬという、非常にむずかしい問題があるわけでございます。  それで、いま公取のほうから御答弁いたしましたように、やはりこれは大蔵省が放出したとか、国のダイヤモンドだというようなことは表示しないで広告をするというようなことにしてもらったらどうかなという、いろいろな案をこれから公取と十分相談いたしまして、対処をしたいと思っております。  それから、入札にあたりましては、現在もそういうまぎらわしいような表示をしないようにという注意は喚起しておりますけれども、今度近く入札をいたす機会が三月にございますので、その際には厳重に警告をしたい、かように考えております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 その辺いろいろともう少し知恵を出して、こういうお客が混乱をするような、錯覚を起こすようなことのないように厳重に注意をするようにしていただかないと、一般の買い手も困るけれども、これをまじめに商売しておる方々はもっと困るわけであります。私、そういう点でもう少しお伺いしたいのは、これは不当表示であったらどういう処分をするのですか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局取引部長

○熊田政府委員 これが景品表示法の四条による不当表示ということになりますと、景品表示法の六条によりまして排除命令を出す、あるいは排除命令にまで至らないという場合には警告をするというような措置をとるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうすると、精一ぱいが警告ということになるのですな。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局取引部長

○熊田政府委員 これは事案の内容によりまして、明らかに景品不当表示法の四条一号、二号に該当しておるということでございますれば排除命令ということになりますし、その疑いが濃いというような段階でございますれば警告ということになると思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 どうも最近の大手の商社、いろいろといま問題になっておるわけですね。材木にしろ大豆にしろ、買い占めだあるいは何だということで問題になっておる。そうして物価値上がりのこの機会にいろいろなところにまた手を出す。しかしさっぱりそれは行政的にも取り締まりができない。   〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 また政府のほうで何かやろうとしても、商社はなかなか強気でありまして、これは新聞で報道されたほんの一部ですが、「政府・自民党の投機対策はポーズだけだという批判は強く、ある大手商社の幹部は、どこまでやれますかね。ほんとうに政府が商社を取締まるつもりなら、われわれは新潟県下で政府のある首脳が土地買占めをやっている実態をばらす」こう記載しておるのですね。これじゃ政府がちょっとやそっと何かやろうといったって、それは何もできないじゃないですか。けしからぬというなら、政府はこれを名誉にかけて起訴するぐらいの勇気を出さなければ、一事が万事この調子なんです。  国民は、関税を少し下げましたから、先ほど佐藤委員の質問にも、ドルが切り下げられたら輸入物資は下がるだろうと期待したけれども、さっぱり下がらぬじゃないか。最近はジョニ黒が少し下がったという程度でして、あとさっぱり効果がない。皆さん関税をいじってみたり、あるいはまた世界の指弾を浴びつつ円の切り上げをやってみたが、それは国民の生活には一つもプラスしないということになる。そういう点では、公取さん人員不足の中でなかなかたいへんなのは重々わかるのでありますけれども、もう少し勇気を出してこれはやってもらわぬと国民は困ると思うのです。そういう点で勇気を出してひとつやってもらいたいと思うのですが、どうですか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局取引部長

○熊田政府委員 限られた人員の範囲内でできるだけの努力をいたしたいと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 先ほど来佐藤委員の質問にもありましたが、これからもやはり貿易の自由化、関税の引き下げ、日本の政府はこういう方向に向かって進もうというふうに私お伺いしたのだが、もう一ぺん確認をしたいと思うのです。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 おっしゃいますように、新国際ラウンドが始まりますし、日本の置かれております国際的な環境から申しまして、貿易の自由化あるいは関税の引き下げ、一般的な方向としてこういう方向に日本として進むのが国益に合致する、かように考えております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうすると、いまはいろいろと困難な問題もあるけれども、農産物についてもやはり逐次自由化、こういう方向で努力をされる点、これも間違いないと思うのですが、これもいかがですか。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 お答え申し上げます。  けさほども申し上げましたように、今日まで非常な勢いで農産物を含みます残存輸入制限品目の削減をはかってまいりまして、今日約二十品目の農産物が残存輸入制限ということで残っております。国際的に見ましても、この二十品目程度の残存輸入制限というものは必ずしも恥ずかしいような姿でもございませんし、ヨーロッパ、アメリカ等に比べて決して遜色のある姿ではないということは御承知のとおりでございます。残っておりますものは、現在わが国農業の総合農政を進めてまいります際の基幹になるような作目でございますとか、あるいはその地域での重要な農産物ということになっておりまして、その地域の農民の所得には非常に関係のある農産物ばかりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、いろいろ日本全体の動きの中で検討は進めてまいらなければならないと思っておりますが、こういうものをたとえ自由化いたしましたとしても国際収支に及ぼす影響というものはそれほど大きいものではございませんし、反面国内農業に与える影響は非常に大きいということで、これ以上の自由化を進めていくことは非常に困難であるというふうに考えております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 困難だということは重々わかるのですが、ただ私がお伺いしておりますのは、そういう方向で努力をされるのではないかという程度で聞いておるのでして、ぴしゃりと、これ以上自由化はやらないのだ、限界だ、こういうことなんですか、それともやれるような方向で努力をしていくということなのか、そこを聞いておるのです。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 私どもとしましても、日本の農業の生産性をできるだけ早く上げまして、国際競争力がつくような形でその生産性を高めていきたい、そういう努力を目下一生懸命続けておるところでございます。そういう過程でございますので、自由化はきわめて困難であるというふうに申し上げておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうしますと、自由化の方向へは向くけれども、そのためにはまず前段の国際競争力の強化に全力をあげていく、こういうことで理解していいですか。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 ただ、農業につきましては、国際的に見ましても非常に国による格差がございまして、非常に広大な土地を持っている先進的なアメリカ等の農産物輸出国と、土地に限りがあり、経営面積も総体的に非常に少ないという、ヨーロッパ、日本のような国とがございます。したがって、もし農産物の貿易を完全に自由化するという状態になりますと、一部の先進的な農産物輸出国の農業だけが残り、その他の国の農業は全くなくなってしまうという状態が予想されるわけでございます。したがって、そのような状態を予想することはそれぞれの国にとりましてまことに耐えがたいことでございまして、ヨーロッパ等においても、いろいろな形での農業の生産性は進めながら、なおかつ保護は続けておるというのが現状なわけでございます。したがいまして、そういう農産物の種類によりましては国際競争力をつけ、自由化の可能なものもあろうかと存じますが、大部分の農産物については、その間の格差が非常に大きいためにこの自由化は非常に長期にわたって困難であろうと考えております。したがって、むしろこのような国際環境の中で考えてみますと、農産物市場の安定化をはかり、着実に農産物貿易というものも拡大していって、日本の国民の必要とする農産物を国内でもできるだけ生産性を高めながら供給し、同時に国際的には安定的な農産物の輸入を行なって、供給全体というものを安定させていく、こういうのが私ども日本の立場で考えるべき問題ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 どうもよくあなたのお話はわからないのですが、そうすると、農業は複雑だし、いろいろな、面積等の格差もあるから、日本の場合にはこれ以上自由化はしないのだとぴしゃりとそこで線が引けるのかどうかと聞いておるのです。そうじゃないでしょう。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 全部これ以上一切の自由化はできないというふうにきめつけてしまうこともできないと思います。これはわが国の今後の農業の生産性の高まり、国際価格との比較、その当時の国際農産物貿易はどういうことになっておるか、そういうことの総合的な結果として出てくるわけでございまして、それを今日、将来の長期にわたる問題を定義づけてしまうわけにはまいらないのでありますが、今日の状況では、当面非常に困難であるということを申し上げておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 だから、方向としては国際競争力をつけて、そして逐次その条件が合うときにはだんだん自由化の方向を向いて進もうということじゃないか、こう言っているのでして、私の質問にぴしゃりと答えてくれれば簡単なんですがね。どうもあなたのお話を聞いておりますと、片一方では国際競争力をつけるために力を尽くす、こう言ってみたり、困難だ。困難なのは重々わかるのです。私はすぐやれとかやるなとかいうことをいま言っておるわけではないのです。ただ、方向としては、先ほど来の貿易関税全体の引き下げの問題、国際的な貿易の問題から考えれば、逐次自由化の方向に向かわなければならない、だけれども、向くためには、まず前提として国際競争力をつけなければならない、そしてその段階はいつであるかは、いまのところ見通しは困難だ、こう言うのならわかるけれども、あなたの話をいろいろ聞いていると、片一方では国際競争力をつけなければいけない、片一方では困難だ、こう話されると、どっちを向いているのかさっぱりわからない、そこをもう一ぺん確かめたいのです。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 長期的な方向といたしましては、先生のおっしゃるような方向で努力をいたしておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 私は、この大蔵委員会に所属いたしましてからずっと、一昨年のニクソン声明のときまで、いつでも大蔵省の皆さんからお話を聞くのは、日本の企業の国際体質を強化しなければいかぬ、国際競争力を強めなければいかぬということを絶えず聞かされてきたわけであります。そしてそのために、もうここで私は例をあげれば切りがないのでありますが、財政、金融、そして税制、私に言わせれば、あらゆる面からの努力を払って、今日ドルがたまって困るというほど大企業の競争力はついてきたわけであります。しかしそれに比べると、この農業というものに対する政府の努力というものは、あまりにも少な過ぎたのではないだろうかという感じがするわけであります。  具体的な例をあげますれば、たとえば農業用のダムをつくると言う。大きくいえば愛知用水もそのとおりだと思うのですけれども、農業用水と銘を打ってつくったのだけれども、今日は名古屋地区への工業用水に転換をしておるじゃないか。私のところもダムをつくっておる。これは私は何べんか指摘をしたけれども、絶対に農業用水でございますということで農民の承諾を受けて、農民の納得の上で建設が始まった、湛水を始める時点になると、今度はその水の一部は都市への水道の用水だということで、これが何がしかの負担はするけれども、給水に、飲み水に回ってしまう。そして今度はだんだん水路ができ始めるころになると、一部は工場用水に使う、水を捨てるのはもったいないから工場用水に使うんだ、こういうのでありますが、今日の農業は、米価はほとんど上がらない、据え置きだ、農業収入はさっぱりなくなる、そういう段階でなおかつ限られた農業に十何億という農民負担。政府は国費で六割でありますから、他の四割は地方負担。私の新潟県はその四割のうちで県が二割、農民が二割ということになっておる。その二割で十七、八億の負担が農民にかかる。そうすると、農民のほうでは、もうこれ以上借金には耐えられないということで、せっかくダムをつくり用水を引こうという段階で、これはごめんこうむりたいという意見が出てくる。これは当然のことであります。いま全国的に見ても、基盤整備反対という農民は、ほんとうはやりたいけれども借金がこわいから、これはやりたくないということになっておる。そういう問題がいまたいへんに出ておるわけです。  ところが、私のところで片一方では新都市計画による東工業港という港をつくっておるけれども、これには皆さんのほうでは予算まるまるつけて、要求額どおり毎年予算がついて、国の金で港ができていく。工業用道路は、まだ自動車はさっぱり通らないけれども、たいへんりっぱな広い道路ができていく。そして土地の基盤整備は県が担当するという形で、ある意味でいえば企業の場合には至れり尽せり。これは国や県の力で整備が行なわれるけれども、農民の場合には、どっちかといえば、農民のための用水でございますといって農民負担。貧乏な生活、作付減反だ何だということで苦しい農民に負担をさせながら、でき上がる段階では、これは都市への給水だ、工場用水だ、こういうのでは、先ほど農林省の方、国際競争力をつけるために努力しておりますと言うけれども、一体何が努力なんだ、こう言いたくなるわけですが、その辺はどうなんですか。

杉田栄司農林省構造改善局次長

○杉田説明員 土地改良事業、基盤整備事業の負担の問題でございますが、御承知のように、土地改良事業につきましては、原則として受益農民の申請に基づいて事業が仕組まれることになっております。したがいまして、事業費の負担につきましても、受益の限度に応じてと申しますか、受益者負担というものが基本になっておるわけであります。もちろん事業の性格、規模等を考えまして、それぞれ国費で助成をするということになっております。生産性の高い農業を育成し、健全な農村の建設をはかる上で、土地改良事業を円滑に推進していくことは非常に重要でございます。御指摘のように、事業そのものについては相当に公共性もありますので、受益者の負担の軽減をはかることには今後とも努力をしていくということでつとめております。  これは多少御質問とはずれますけれども、四十八年度予算におきましても、このような観点から採択基準の緩和とかあるいは融資条件の改善というようなことも予定しておるわけでございます。農林省といたしましては、基盤整備は農業のいわゆる近代化のためには重要な仕事であるという認識に立って仕事を進めておるつもりでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 基盤整備が農業の発展に大切だということは、それはそのとおりであります。農民だってそれは知っておるんです。やりたいんです。だけれども金がかかり過ぎる、借金が重過ぎるということで、最近はなかなか進まなくなっている。そうすると、今度は皆さんのほうでは、前は農民の七割の同意が必要だ、こう言っておったけれども、だんだんそれをいろいろな形で、町村の同意で、議決でやれるような方向をとっていく。そしてまた担当しているボスは、何とか仕事をやってはうまい汁を吸おうということで理事者はやりたい。実際のたんぽを持っておる農民は負担に耐えられないからやりたくないという現象が各地で起きていることは御承知ないのですか。

杉田栄司農林省構造改善局次長

○杉田説明員 そのような事例が確かにございまして、土地改良区の三分の二同意方式というのがその基本になっております。しかし、大部分の地帯におきましては、やはり能率の高い機械化農業と申しますか、そういうことをやるための必須条件として、相当苦しいけれどもがんばってやりたいというのが農民のほんとうの気持ちだと思います。そこで国といたしましても、そういう農民の事情もわかりますので、できるだけひとつ負担の軽減をはかってまいりたいということで、実は従来たとえば補助残融資が八割までしか認められなかったものにつきましても、実質的に一〇〇%融資が受けられるように本年度から内容を変えるというようなこともいたしておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 ですから、それは農民としては、基盤整備でより生産をあげたいという気持ちはたいへん強いわけです。で、十年前でありますと、どこでもがこの土地改良をやりたいという希望が続出しておったけれども、最近はそれが変わってきておるところに問題があるわけです。だから、そういう点で皆さんが努力しようとするならば、私は今日まで、先ほど申し上げたように企業の国際競争力の強化という点で、あれだけ国が企業のめんどう見てきたということを考えれば、もう少し基盤整備くらいは全額国庫負担という方向へ向かって、もっと農林省は努力すべきじゃないかと思うのですが、皆さんのいまの態度ぐらいでは、日本の農業つぶれてしまうんじゃないですか。もう少し基盤整備に農業投資を高めて、そしてなるほどいまは困難だけれども、行く行くは生産性をあげて競争力がつくという方向をたどるべきだと思うんですが、その点はどうなんですか。

杉田栄司農林省構造改善局次長

○杉田説明員 先生の農業に対する深いお気持ちは十分わかるのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、いまの基盤整備事業がいわゆる申請事業でございまして、その仕事の仕組みからいきまして、いわゆる受益の限度で一部負担をしていただくという仕組みは、なかなか変えることは困難だというふうに思っております。農林省といたしましても、そういう中でもなおかつ実質的に農民の負担が少しでも減るように努力を今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 どういう努力をするんです、ちっともわからない。

杉田栄司農林省構造改善局次長

○杉田説明員 いま申し上げましたように、国営事業等の場合はもちろん国費でもって仕事をやりまして、あとからいわゆる負担金の形で返していただくわけでございますが、それが補助残の融資対象になったりするわけでございます。その融資条件の緩和をするというようなことをやっておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そんなことでは、とても皆さんが期待するような形で日本の農業が競争力を強化していくということには私はならぬと思うのですよ、現実に。もう少し農林省が力を入れなければ大蔵省なんて金出すわけがないじゃないですか。  私、もう一つお伺いしますけれども、いま世界的に食糧不足だ、こういわれておるわけですね。特に人口のたいへん大きなソビエト、中国、インド、パキスタン、こういうところがたいへんな不作であり食糧不足である。したがって、アメリカもいよいよ今度は休耕さしておった土地も耕すという方向へ向かったようでありますが、そういうときに一体日本の食糧というものはこれはどうなんです。だいぶ私たちのほうの倉庫はがらあきになってしまって、農協さん倉庫代が入らぬで困るなんて泣きごとを言い始めている。米は大体なくなってきた。ことしはもつんだろうとは思うけれども、ことしの米の需給状況はどうなんですか。

森整治食糧庁総務部長

○森説明員 先生御指摘のように、世界的にいろいろ穀物に異変が起こっておりますが、国内のまず主食に関しましての御質問と思いますが、お米につきましては御承知のように、ことし、本米穀年度末五十万トンの持ち越しで過ごすということでございまして、来年はそれに二十五万トン足して七十五万トンの持ち越しでいこうというようなことで計画を立てておるということでございまして、お米の問題につきましては、御承知のようにやはり潜在的には日本ではまだ過剰の状態にあるというふうに判断をしておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 日本の食糧の自給率は、カロリー計算で大体何十%ぐらい自給しておるのですか。

森整治食糧庁総務部長

○森説明員 一応われわれで計算をいたしておりますのは金額でやっておりまして、大体七五%程度だったと思っております。カロリーで申します場合には畜産物の関係の見方がいろいろございますので、正確な数字をいま承知しておりません。それでよろしゅうございましょうか。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 まあ日本の農産物はなるほど金額でいうと七五、六%だけれども、畜産関係まで入れたカロリー計算でいくとこれは五〇%を割る、こういわれておるわけですね。大体そんなものでしょう。そういたしますと、いまのような世界の食糧事情が悪化をしておるとき、日本の政府は一体この作付調整なんていうのはいつまで続けるのですか。これは毎日新聞ですか、国連食糧農業機構というのですか、FAOのパーマ事務局長は、日本に、日本の国内のことだけ考えないでもっと食糧を自給して、場合によればアジアの諸国の食糧問題にももう少し寄与してもらいたい、こういうことを言ったと新聞に出ておる。そうすると、それに対して農林事務次官は「備蓄、いますぐ実施はムリ」という見出しで、予算案もきまったことだしとても無理だ、こう言っておるが、しかし最後には、来年は何か考えるみたいなことを言っておるわけですね。  一体来年もまたいまのような形でこの世界の趨勢に逆行して日本の農林省は作付調整をやって、そしていろいろと農産物をまだ輸入するつもりなんですか。

有松晃農林大臣官房審議官

○有松説明員 米の生産調整のお話でございますが、米につきましては生産調整を始めました時点におきまして、やはりこれは国内的に見て需給の面から過剰である、こういう前提で出発いたしたわけでございますが、現在におきましては幸い生産調整の効果があがりまして需給がおおむねバランスをするというところにきております。しかし、これはやはり現在二百万トンをこえる生産調整を実施しておる結果でございまして、米がやはり潜在的に過剰であるという基調は変わってない、こういうことでございます。したがいまして、生産調整につきましては、四十六年の初めに閣議了解によりまして五年間の生産調整をやる、こういうふうになっておりますので、私どもその方針で実施をいたしておるわけでございます。  ただ、生産調整の数量につきましては、毎年需給事情等をにらんで決定をしておるわけでございまして、本年につきましてはすでに生産調整の目標をきめて各都道府県に配分を終わっておる段階でございます。来年以降の問題についてお尋ねがございましたが、来年以降の問題につきましては、先ごろの閣議了解によりましても、生産調整の中で休耕と転作がございますが、休耕につきましては奨励金が四十八年度限りということで来年からは休耕奨励金はなくなる、こういうことにもなっておりますので、その場合に生産調整のやり方をどういうふうに持っていくかということにつきましては今後さらに検討をしてまいりたいというふうに考えております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 大体、最近私はわからぬのですがね、少し米が余ったといえば米が余って困るという、ドルがたまったならばドルがたまって困るという、私にはさっぱりわからない。一般の国民にはこれはさっぱりわからぬだろうと思うんですよ。なぜ少しぐらい備蓄米があって悪いのか。これは当然のことなんです。ほんとうは昔は金持ちは前の年の米を食っておったものです。それをちょっと米が余ったからといってぎゃあぎゃあいうのは、結局今日の高度成長をやるためには農村から労働力がほしい、今度は土地を取り上げなければいかぬから土地がほしいということで農業を圧迫しておるということが今日までのやり方なんじゃないか。だから、たとえば大豆にしたところで、ほとんど日本で生産されてないから外国のアメリカの大豆が値上がりしたといえば、まだ輸入しておる数量も変わっていなければ輸入しておる価格も変わってない時点でもう先高見越しでつり上げ、買い占めが始まる。一々これから外国の農産物の値上がりがストレートに国民生活に響いてくるということになる危険性がある。  やはり農業というものは、皆さんおっしゃるように、そうすぐに改善できるものでもない、すぐに生産性がそう上がるものではない。そうすればこれに対してもう少し本腰を入れた対策、農業政策というものを立てないと、ただ、いますぐこれからということでやっおっても、さあ足らなくなったときこれは一体どうなるんだ。もう二年も三年も休耕したたんぼをもう一ぺんもとのたんぼにしてくださいなんということになりますと、これはたいへんな労力と時間が要るのでして、休ましておったから今度は、来年はいままでどおりの米をつくろうなんというたんぽにはならぬのですよ。そんなことは皆さんも十分御承知のとおりだと思うのです。もうすでにいまの世界の食糧事情、世界の趨勢というものをもう少し見た政策を立てなければ、私はどうしようもないところに来ると思うのですが、どうなんでしょうか。

有松晃農林大臣官房審議官

○有松説明員 米につきましては、やはり国内の需給のバランスを保つ、こういうことを基本にいたしまして生産調整を行なっておるわけでございますが、この国内需給に関しましては、先ほど食糧庁から申しましたように、この生産調整を実施いたしましても、本年あるいは来年に五十万トンないし七十五万トンの持ち越しがなされる、こういう前提で生産調整の数量をはじいておりますので、したがいまして、需給上の不安はないというふうに考えております。ただ、先ほど先生おっしゃいましたように、外国への援助というようなことも前提にして、あるいは備蓄等を考えるべきではないかというお話もございましたけれども、現在の国内の米の生産のコストと国際価格、こういったようなことから申しまして、輸出あるいは援助に向けますと、非常に安い価格でやらざるを得ないということで財政負担が非常に大きくなる、こういうことでございますので、やはり現在の米の生産調整につきましての国内需給を基本とするという考え方については変えておりません。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 主食の食べるほうはそうでしょうが、モチ米は輸入しておるじゃないですか。どうなんです。

森整治食糧庁総務部長

○森説明員 先生御指摘のように、モチ米につきましては昨年の作柄の関係もございまして、六万トン程度不足を生じるというような問題が発生をいたしまして、世上でいろいろ指摘をされて問題にされておることは事実でございます。ただ、これも御承知のように、いろいろ生産のフレがございまして、生産調整をしたあとの全体の需給といたしましてのモチ米の生産——作付面積が減少したということでわれわれ認識をしておりまして、全体の需給といたしましては、今後仕組みをいろいろ研究、検討いたしまして、モチ米の不足にならないようにいろいろ準備をいたしておるわけでございます。したがいまして、全体といたしましてはいろいろ契約栽培等によりまして、全体の米の需給の問題につきましては国内生産で十分まかなっていけるというふうに判断をいたしておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 皆さんはことしは五十万トン残る計算はしておられるだろうけれども、これは平年作の場合をお考えになっておるわけでしょう。

森整治食糧庁総務部長

○森説明員 ちょっと私、先ほど御説明が足りなかったかもしれませんが、四十七年、去年のお米がことしの十月末に五十万トン残るということで、来年の端境期に七十五万トンの計画をしておるわけであります。その場合、二十五万トンふえてくるわけですが、それは平年作を予定している、こういうことでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 いろいろと皆さんおっしゃるけれども、いまのような農業政策を続ける限り、日本の農業はどうにもならぬところに来ておる。しかし、これは同時に、緑を維持したいとか、あるいは国民の健康の問題、主食の問題等を考えると、農業政策全体がおかしいのじゃないだろうか。実際いって、農民は農林省の言った反対のことをしていれば間違いがないというのが、これはもう日本じゅうの農民の定説です。これぐらい農民から信頼をされない農林省なんというものは、私はちょっと例がないのじゃないかと思うのですよ。たいへん残念な、失礼な言い方かもわからぬけれども、農民は農林省の言うたことと反対のことをすれば間違いないというのが定説ですよ。世界の食糧事情が悪化するという中で、ほんとうに皆さんが日本の農業の競争力をつけていこう、生産性をもっと上げていこうということを考えていけば、先ほど来土地改良の問題は申請事業でございますとかへったくれだとか、そんなものは問題じゃないのですよ。もう少し政府は投資額をふやしていくというかまえで、これを皆さんが努力されない限り、日本の農業は、いまのままでいけばつぶれていきます。そういう点を踏まえて、もう少し本腰を入れて努力をしていただきたいと思うのです。  そうでなくともいろいろと自由化の問題は迫られるでしょうし、また、皆さんが指導した畜産へ、果樹へなんといってみたところで、つくればこれは間違いなしに過剰生産に入ってくるのですし、もう一ぺん農業政策全体が見直されない限り、いろいろと外国の圧迫も要求もくるでしょうし、私は容易ならない事態がくると思うのであります。今日まで高度成長ということで、しかも国際競争力強化ということで、これだけ大企業には至れり尽くせりの手を打ってきたということから考えれば、今日の農業政策はあまりにもお粗末だし、また、一番大切な農民から信頼をされない農政ということでは、私はこれはどうしてもどこかが狂っておると思うのです。そういう点で、私は皆さんにもう一ぺん御奮起をお願いしまして、関税の問題と少しはずれましたけれども、終わりたいと思います。

杉田栄司農林省構造改善局次長

○杉田説明員 先生の農業に対する深い御理解のあるお話を伺いまして、十分私どもも今後気をつけてやっていきたいと思います。農業の投資といたしましても、もちろん総額の投資をふやすと同時に、その内容につきましても一段とくふうをいたしてまいりたいと思います。

木村武千代自由民主党

○木村(武千代)委員長代理 荒木君。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 増本委員が急に差しつかえができましたので、私が急に質問いたしますが、一部質問を留保させていただくことをあらかじめ御了承いただきたいと思います。  今回の改正案の審議にあたってお尋ねをいたしますが、この特別国会の冒頭の財政演説で、大臣がこういうことを述べられておりますね。「政府は、かねてより、対外経済政策を推進するため、関税の一律引き下げ、輸入割り当てワクの拡大等の措置を講じてきた」「国際収支の均衡を達成するためには、基本的には、輸出優先の経済構造を改めることが最も肝要」だ。そこで「関税の引き下げをさらに推進て輸入及び資本の自由化等を勇断をもって実施に移す必要がある」こう述べていらっしゃるわけですが、当然このことに関連して、国内産業、ことに中小企業、農業その他の国内の産業の被害が考えられるわけですね。いままで他の委員からもその点についていろいろ質問を続けられましたので、関連しまして、まず初めに、政務次官にお尋ねしたいのですが、この大臣がされた財政演説のいま申し上げたくだりですね、このくだりに関連して国内産業の保護、ことに先ほど来いろいろ論議されました農業の保護について、どのような御配慮でこういう財政方針が出されたのか、この点の基本的な点をまず伺っておきたいと思います。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 農業問題が日本の経済の中に占める位置はたいへん重要でありますが、生産性を上げるということがまず第一の問題であろうと思うのですが、これは農業というたいへん特殊な環境にある産業でありますから、その辺のところはテンポがあまり早くいくわけにはいかない、相当の年月をかけてやらなければならないということであろうと思います。と同時に、もう一つ先ほど来もお話がありましたように、ことしは世界的な食糧のたいへんむずかしい年である。これがことし世界的な異常天候という非常に例外的な現象から起こったことであるのか、あるいはもう少し長期的な現象としてまずあらわれてきたのか、その辺のところもしかと私は確かめる必要があると思うのです。  事食糧でありますから、たいへんに国民の生活にすぐに響いてくる問題、そういう性質の農業のあり方というものを、私は先ほど来お話にありましたように、一体国内でそれぞれの農業の品目についてどういう自給率を考えていくのか、その自給率を考えて、ある場合には農業に対して相当それぞれの品目、耕作品目別に、ある場合には国として、国家として相当手厚い保護をしなければならぬ場合も起こるだろうし、一方においては国内で自給のできないもの、あるいはしにくいもの、それについては輸入の確保をはからなければならない。総合して国民の生活に最も近接な食糧の確保という観点から、日本の農業を、少し時間はかかるかもしれないけれども、生産性の上がっていくそういう農業に育て上げていくという方向であろうと思うわけであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 そういたしますと、こういうことですか、財政方針の上でももちろん農業保護を重視していく、そうすると農業保護にさわりがある限りは、大臣が財政演説でおっしゃった輸入の自由化、これはもちろん進めることはしない、こう簡単に言い切っていいかどうか。いろいろ表現がありましょうけれども、農業保護にさわりがある限りはストレートに輸入の自由化、そういうことを進めることはしない、こういうふうに受け取ってよろしいですね。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 世界が何といっても自由貿易、貿易の拡大の方向に向かっていかなければ、お互いがそういう閉鎖社会にだんだんなっていったら、これは世界経済が行き詰まることになるわけですから、従来お話がありまするように、方向としてはやはり自由貿易というものの基本線はどうしても守っていかなければならぬわけだと思います。ガットの場におきましてもそういう方向で考えられておることは申すまでもありません。そこで、そういう方向にはありますけれども、しかしそれぞれの国の産業にはそれぞれの特殊性がございますから、その辺を一体どう調和さしながら、その国の全体として国民経済が円滑に発展をしていくことができるかという、そういう一つの観点が当然に私はそれぞれの国で考えてしかるべきことではないか。  ただ、日本の立場は世界的にいま非常な経済の動揺期にありまする中で、黒字基調国として世界から非常な注目を浴びておる。また南北問題ということで発展途上国に対する配慮もこれはほんとうに考えていかなければならないという問題もあるわけでして、そういう世界の経済の中で日本がどういう考え方をとっていくのかということを考えていかなければならぬわけです。その具体的な場合に、甲でなければ乙である、乙でなければ甲だと、そういうすっきりした割り切り方はたいへんむずかしいのではないだろうか。ですから方向としては、間違いのないところ自由貿易ということには違いないわけでありますけれども、しかしそれを具体的にそれぞれの国に当てはめたときに、やはりその間にはいろいろ個々の問題で私は問題が起きてくる。日本に当てはめた場合に、農業の一次産品の自由化といった問題になったときに、それを日本の国内事情に当てはめて考えていく、そういう観点に立つのは当然であり、またそういうふうにいま考えられておる。これが先ほど来いろいろございました自由化がまだできていない農業の品目のお話になった、こう思っておるのであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 基本方向としては、自由貿易を進めながら国内産業の保護、農業の保護についても配慮していく、こういうふうな御答弁に伺いましたが、それはそれとして、基本的な方向についてはあとでお尋ねすることにいたしまして、先ほど来の質問に関連して、農業の関係でもう少しお尋ねしたいと思います。  昭和三十五年からずっと現在までの農家の所得率を見てみますと、たとえば三十五年六四・七、四十五年五七・六、七・一%低下をし、しかもこの所得率低下の傾向は年を追うてますます拡大をしていく、こういった方向にありますが、一方この自由貿易の基本的な方向に伴う農産物の自由化、これもまたずっと進んできているわけですね。ですから、原因と結果をそれぞれ一つずつ組み合わせることはこれは適切ではないでしょうけれども、しかしいま政務次官が言われた国内産業の保護、農業の保護としてこの所得率低下の傾向に対して一体どうごらんになっているのか。いままでいろいろ、先ほども御指摘がありました基盤整備の問題とか、論議がかわされておりましたけれども、現実の結果がこういうふうに下がってきているじゃないか、農業ではそろばんに合わない、もうからないということがはっきりと出ているではないか、そういう結果が出ておるのに、国内産業、農業の保護には留意をしておるということだけでは、これではとても国民は納得できない。政務次官としては、いまおっしゃった農業の保護の成果をあげるために、財政政策の面でも実際に方向転換としてどういった処置をお考えになっておるか、このことをお尋ねしておきたい。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 日本の農業の特色というものはいろいろあると思いますけれども、この中で適正規模の農家を育成していく、あまりに小さい単位の農家ではこれからの農業の経営の面においてはいろいろ支障が多い。ですから、適正規模というのはどれくらいのことか私もはっきりわかりませんけれども、ともかくいままでの規模よりは大きくしていくということは間違いない。そういう段階でだんだんにある程度集約化が行なわれていくわけでしょう。一方で、専業でもっぱら農業収入だけでおやりになるという農家の数が私はだんだんにいま減っておるように思うのです。兼業農家が相当ふえてきておる。農家の収入とはいいながらも、農業による収入と農業外の農外収入による収入というものがだんだんと逆転してきたような農家も相当ふえてきておる。そういう中で農業だけで立っていけるような農家を育て上げていくということが、私は農業の一つのまた目標であろうかと思うのです。いまお話しの昭和三十五年以来の所得率がどういうふうになっているのかつまびらかにいたしませんが、少なくもそういうような農家がだんだんと農業だけで立っていける、そしてまた、その農業としての経営によって収入がやはりだんだんとふえていくというような、そういう日本の農家というものにしていくということが私は理想であろうと思うのです。それには、先ほど来申しますように、相当やはり時間がかかるということだと思います。その線に沿って、国もいろいろと施策をしていかなければならないものであろうと思います。かように思うわけであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 いま適正規模ということをおっしゃったのですけれども、しかし、農業をやりたい人が農業がやれる、農民の希望を十分にくんでやるのが、これが政治というものじゃないでしょうか。先ほど来の政務次官のお話を伺っておりますと、結局、整理をしていってなお残ったもので採算が合うように、こういったような方向をおっしゃっておるようですけれども、一番はっきりしているのは、農産物の収入、価格を確保する、適正水準でそろばんが合うような形で農産物の価格保障をする、そして肥料等も安くして、税金などもその面で農業が立っていくように考慮する、そうすればだれだってやれることははっきりしているんじゃないでしょうか。せんだっての相続税の審議のときにも、このことは政務次官にも再々申し上げたとおりですけれども、いまおっしゃったような方向ではなしに、実際に農業を継続したいという希望のある者がやれるような形で、財政政策の点でも十分御配慮いただきたい。農水委員会じゃありませんから、その点についてはそれ以上触れませんけれども、所信の表明でおっしゃった国内産業の保護、農業の保護という点については、農民の希望をくむという点を十分御留意いただきたい、こういうふうに思います。  それから関連して、自給率の問題が出ておりましたけれども、これはいまのところは結局どの程度をめどにしておられるのですか。たとえば、いろいろ主食だとか、その中でもどの穀類とかありましょうけれども、これは農林省のほうにお尋ねしたいと思います。たとえば小麦などはどの程度の自給率をめどにしておられますか。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 お答えいたします。  現在、農林省としましては、十年後の昭和五十七年を目標年次としまして生産目標をつくっておりますが、その内容の要点を申し上げますと、主要な農産物自給率の目標としましては、米、野菜、果実、畜産物、生糸、こうしたものは完全自給ないしは八割以上の自給率を確保する、こういう方針を立てております。御承知のように、麦につきましては、麦類が、日本のような湿気の多い土地条件のもとで、しかも経営面積が狭いというところでは、必ずしも適した作物ではないと見られることもあるわけでございますが、その生産は年々減少をしてきております。したがって、麦類の需要が非常に大量のものになりました今日の日本の現状におきましては、これは国内で相当程度まで自給自足をするということはきわめて困難かと思われますが、少なくとも現状程度までは自給をしていきたいというのが農林省の考え方でございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 それぞれの品目について取り上げる時間もありませんけれども、たとえば麦について言いますと、昭和四十一年に消費が八〇%輸入で、四十五年になれば九〇%にふえている、輸入部分がですね。持ち越しについても自給率は四七%から二七%になっている。買い入れも一七%から八%というふうに、傾向的にずっと低下をしていって、一割を切る程度の自給率になってきている。いまお話しのように、この需要は多いわけですけれども、こういった自給事情、自給率の傾向的低下、こういうことは関税政策の上でどういうふうに配慮しておられますか。つまり、いま農林省のお話では、自給を米その他のものについては完全に確保するようにしたい、それから麦についてはうんと下がったけれども少なくともいまくらいは確保したい、この程度じゃどうにもならぬと思うのですが、それはこの関税政策の上で、つい先ごろも長期政策が答申されましたけれども、その上でどういうふうに配慮をしておられるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 農産物に関しましては、基本的に米であるとかそういったような種類のものに関しましては、大部分のものが免税または無税に関税の面においてはなっているものが多いわけでございまして、具体的な、有税の品目に関しまして、もし御疑問の点をお聞かせ願えれば伺いたいと思います。基本的に農産物に関しましては無税のものが非常に多いわけでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 それじゃ政務次官のほうに政策の問題として伺いたいと思いますが、いま農業政策といいますか、農業についての自給率のめどというのを一応担当者から伺ったのですけれども、それは関税政策とは全く関係なしに、農林省のほうでそういうめどを出しておるのか、あるいは国内の農業の到達点というものを目標に置いて、そして関税の今後の政策というものを出しておられるのか、今度出された改正案は、こういった長期関税政策のとりあえずの今回の改正というふうに伺っておりますから、そういう意味合いで、どのように農業生産、農業保護を関税政策の中に取り入れておられるのか、そのことについて政務次官から伺いたい。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 農産物の関税は一体どういうふうに考えているのかというのは、これは関税政策の上でももちろん一つのポイントであるわけですけれども、先ほど来御説明しましたように、農産物についてはほとんど無税であるということであります。基本的な考え方としては、今日の経済の国際化のいろんな要請、あるいは国民生活の向上といったようなことからいろいろ考えてみて、なるべく関税がないということのほうが望ましいと思いますけれども、しかし、いろいろ具体的に自給政策を進めていく上において、あるいは場合によっては関税をむしろ設けなければならないという場合も、理論的には私は絶無ではないであろうと思う。しかし、方向としてはそれは少し逆であるかもしれないということだと思います。したがいまして、政府全体としましては、そういう自給率の問題をいままでも検討し、取り組んできたわけですけれども、今後の問題として真剣に取り組むということならば、関税のあり方の問題として何がしか関与するといいますか、そういう場面も将来起こるかもしれない、こう考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 そうしますと、こういうことですね。先ほど関税、貿易の基本的な方向と当面の国内産業の保護ということについて伺ったのですけれども、現在では、はっきり言えば関税の面では国内産業の保護については全く考えるところはない、理論的にはあり得る場合が想定される、これはもう一般的にはそんなことは当然なんですけれども、しかし政策としては全く考慮していない、こういうことになるのじゃないですか。その点、政務次官に政策上の問題として伺いたいのです。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 農産物といいましても、畜産物も含めて考えてみましたときに、たとえばけさほどお話がありました豚肉のような問題もございますし、現在も必ずしも関税政策の上で食糧あるいは農業に関係がないというわけのものでもないわけでありまして、そういう意味では関税政策がそれぞれの農業、といっても広い意味での農業ですけれども、それとの関連も今日ないわけではないわけであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 どうもお答えがはっきり聞きかねるのですけれども、一般的に伺えば、基本的に自由貿易の方向をとりながら、個々の国内産業のほうも考えていく。これは何も関税政策オンリーではありませんから、もちろんいろいろな点を総合的に、全面的に検討して保護ということをおっしゃったんだと思うのですけれども、しかし具体的にいま提起されておる関税政策の問題関税の改正案について伺えば、将来の方向としても、先ほど農林省から伺ったような方向を達成するという意味での関税政策なりあるいは法律案の用意は全くないわけでしょう。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 農業と申しますと非常に範囲が広いのでむずかしいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、米であるとか麦であるとか、基本的に日本でどうしても自給自足しなくてはならないような対象品目に関しましては無税のものが多いものでございますから、その意味におきましては、関税政策で農業の基本問題に関しまして云々するということは非常にむずかしい面があろうかと思います。しかしながら、結果として農産物でございますけれども、今回御審議を願っております中にも、いわゆるバナナとかその他そういう農産物、あるいは果実も含まれておりますし、そういうものは比較的高い関税率が張ってあるわけでございますが、それらはいずれも国内の果樹生産者の立場をも考慮して比較的高い関税率が張ってあるということでございまして、そういう意味におきまして、この関税が全く農産物と関係がないということではないわけでございます。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 ただいまの関税局長の御説明にちょっと補足説明させていただきますと、先ほど申し上げました非常に自給率を高くしていきたいというふうなもののうち、米とか麦とかいうものは現在関税はゼロでございますが、これは食管特別会計がございまして食糧庁が一手に輸入いたしております。したがいまして、国が輸入しておるものでございますから、それは関税がゼロでございましても、食管を通じまして米麦に関する価格上の国内保護というものが完全に行なわれておるわけでございます。それから、えさ穀物、大豆等のように海外に対して非常に依存度が高くて、今後国内生産のあまり大きな増強は望めないというふうなものについては、たとえばえさはなるべく安く畜産農民に供給したほうがいいわけでございますので、そういうものの関税はゼロになっております。それから大豆も、油かすといったようなものの安い供給がわが国の場合非常に望ましいわけでございますので、これも関税はゼロにされております。しかし、国産の大豆につきましては交付金制度というのがございまして、一種の不足払いが行なわれているということでございます。そのほか関税だけが唯一の保護手段になっておるというふうなものにつきましては、国内の望ましい生産、消費を含めました価格水準というものを考えまして、それと国際価格との調整をふさわしい関税水準で守っておる、こういう全体の考え方で農産物の関税を考えておるわけでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 もちろん農産物と全く無関係だという意味で私も御質問しておるのじゃありませんで、ただ一方に目安が示され、しかも自給率を上げていかなければならない、他方で関税に関して基本方向とあわせて保護ということをおっしゃったものですから、それは具体的にどういうことですか、将来の方向としてはどうなんですかということを伺ったのですけれども、その点については主として他の政策に譲るというような御趣旨に伺いましたから、農業の問題については別の機会にまた関係機関にお尋ねをしたいと思いますが、この部分については、ことばはあるけれども中身はないというふうな感じが非常に強くいたします。ですから、もちろん決してこれだけが保護の手段ではありませんけれども、言われたことばのとおりに総合的、全面的に保護政策の効果が実際に出るように進められることを強く希望したいと思います。  次に、基本的な方向の点ですけれども、冒頭に読みました財政演説の中で、国際収支の均衡を達成するためには輸出優先の経済構造を改めることが肝要である、この意味において関税の引き下げをさらに推進をしたい、こういうふうに演説をしておられるのです。そこで、今回のこの改正案は、他の委員からも再三触れられたところですけれども、ここにあります経済構造の改変といった基本的な方向の具体化といいますか、もっと具体的に言えば、先ほどの委員もお尋ねになったように、円対策の一環といえば少しニュアンスが違うかもしれませんが、その方向で出されておるものではないでしょうか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 先ほどちょっと御説明をいたしましたように、昨年十一月に国会においてお認めいただきました関税の一律二〇%引き下げという場合には、何ぶんにも一律に二〇%を引き下げていただいたわけでございまして、この場合は円対策としての意味合いがニュアンスとしては非常に強かったかと思います。しかしながら、今回御審議を願っておりますところの関税定率法の改正議案に関しましては、何ぶんにも昨年の十一月に一律二〇%引き下げをしていただきました直後のことでございますので、国内産業に対しまする影響等は、あまりにも急激なる影響を与えないようにという配慮もございまして、むしろ円対策としてのニュアンスと申しますよりは、他に後進国対策と申しますか、特恵関税による、特恵税率による日本の国内に対しまする輸入を増大をさせるということ並びに前回の際の積み残しと申しますか手直しと申しますか、そういうことで国民生活の安定上必要な物資の一部に関しましてさらに関税率を引き下げていただきましても、国内産業にそうさして大きな影響を与えるものではないということを主体といたしまして、今回の関税定率法の改正の御審議をお願いをいたしておるわけでございますが、その結果として、当然その輸入産品が、関税率が引き下がれば安くなりまして、その結果、日本における輸入増大効果というものが出てまいりますことは当然でございますし、それをもあわせてやはり考慮をした結果の提案になっている次第でございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 そういたしますと、基本的にはこういった方向でいまお話しになりました昨年のあの対策の補完的な部分も含めて提案をしておる、こういうふうに伺ったのですけれども、今回明らかになりました政府のこの長期五カ年計画ですね、経済企画庁のほうもお見えのようですけれども、あれによりますと、私も予算委員会で申し上げましたけれども、五十二年には貿易収支が百二十四億ドルの黒字を見込まれている。いま円対策といいますか、国際収支均衡達成のためにこういった関税政策をとる、こういった関税改正案を出すのだ、こうおっしゃっているのですけれども、しかしここ数年の見通しからいいますと、貿易面では逆に黒字がますます拡大するような計画を組んでいらっしゃる。そうすると、こういう通商政策の面とここに出された関税の政策見通しのあり方、これは少し食い違いがあるように思うのですけれども、それについては、関税政策の面で、担当者としては、出された将来の通商政策の方針についてはどうお考えになっているのでしょうか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 関税を引き下げますと、輸入増大に効果がそれだけあるわけでございまして、先ほどちょっと御説明をいたしましたけれども、私どもの計算では、関税を昨年の十一月に二〇%一律引き下げをいたしました結果、平年度ベースに直しまして約二億ドルの輸入増大効果があり、さらに今回御審議を願っておりますところの関税定率法の改正によりまして約八千万ドル、合計いたしまして平年度ベースに直しまして二億八千万ドルの輸入増大効果があるということでございまして、国際収支の不均衡を是正をするという面で関税の持ちますところのその効果というものは現実問題といたしましてそう大きなものであるとは言えない面があるかと思います。したがいまして、その経済企画庁で作成をいたしておりますところの全体の貿易収支の面から申しまして、将来輸入を増大をさせるために関税をたとえばゼロにするというようなことにいたしますと、国内産業に対して非常に大きな打撃を与える。何も輸入を増大をすることだけが目的ではございませんで、国内産業との均衡を保ちつつ政策は考えていかなくてはならないという面があるわけでございまして、その意味におきましては経済企画庁の長期経済見通しのものと今回の関税定率法の改正の案とは符合しておるわけでございまして、別に矛盾をしているという面はないかと私は考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 少し質問が回りくどいことになりましたのであるいは舌足らずだったかと思うのですが、いまのお話でありますと、関税だけでどうこうするというようなことでもない、全く効果がないことはないでしょうけれども、しかしさりとて絶大な神通力を発揮するようなものでもないように伺ったのですが、効果が少ないとして、しかし目標は逆に黒字幅が拡大しているわけですね。だとすると、その少ないと思われる効果をとったのは、むしろある国に対するいいわけといいますか、いやこのとおりやっていますよ、実際にやろうとする目的に大きな効果があるということではなくて、そんなにたいした効果はないんだけれども、とられた。そうすると、一面から見ますと、言いわけのような形で、しかも国内的には農業に対して、これはいろいろな部門によって違いますけれども被害を与える。だとすれば、ここにとられたこういった改正案はむしろ害があってあまり大きな効果がない。益がない。もっと基本的な経済政策、貿易政策、通商政策、国際収支の点ではうんと広がっている、そういうふうな感じがしますので先ほどのようなお尋ねになったわけですけれども、この点について重ねて御意見を伺いたい。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 関税引き下げが国際収支の面に対しまして働きます機能と申しますのは、これは補完的な機能しか持たないと思います。要するに国際収支を改善をするためには、極端に申し上げれば、関税をゼロにいたしましたら国際収支は均衡をするかというと、そうはならないと思います。むしろ極端になしました場合には国内産業に打撃を与えて、先生御指摘のように打撃のみ多くて、要するに国際収支の改善には役立たないという面があろうかと思います。しかしながら日本全体として関税の働きます機能といたしまして、徐々に日本の経済構造を変えていくという意味におきまして関税が持ちます機能というものはこれは否定できない面があるかと思います。  特に、農業に関しましては昨年の一律二〇%引き下げをやっていただきましたときにも、これは製品関税を主体にした千八百六十五品目の一律二〇%をやったわけでございまして、大部分の農産物関係は例外品目としてその際一律二〇%品目の対象となっておりませんし、今回提案をいたしておりますところの改正案も農産物関係は非常にウエートが小さなものでございまして、主として製品関税を主体とした改正をお願いをしておるわけでございますし、農産物でお願いをしておりますのはむしろ特恵関税という立場から日本の農業に関しましてあまり基本的な弊害とならないような種類で、しかも後進国に対しましては日本の後進国からの輸入を増大させたい、こういうような基本的な考え方からお願いをしておるわけでございまして、関税の持ちます機能と申しますものはそういう種類の機能であろうかと私考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 関税の機能についての論議ではなくて、政府の政策、方針について伺っているのですけれども、その意味で政務次官にお尋ねしたいと思いますが、関税だけではないにしても、またそれが効果が少ないあるいは補完的な部分だとしても、方向としては国際収支の均衡を回復する、それにはこういうこともやっているんだといって進めておられるわけですが、しかし逆に基本的な方向は百二十四億ドルというふうに拡大する方向に進んでいらっしゃる。これは政務次官どうでしょうか・おっしゃっていることと方向とは逆のことになっているんじゃありませんか。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 日本の国のいま置かれておる立場ということからいえば、要するに国際経済の中で日本のとるべき姿勢が非常に大きな問題ではないかと私は思います。効果とか、あるいはこれをやればどのくらいの金額のものがふえるかとか、そういうことも一つの評価の基準ではありましょうけれども、日本として考えなければならぬことは、基本的な姿勢の問題で、世界の経済の中で日本がどういう立場をとっていくかというしっかりした考え方に立ってやっていかなければならない。そういう観点からいえば、今日、世界の大きな流れというものがあるわけでありますから、その流れに逆行するような方向であるわけにはまいらない。また、特恵関税のような、発展途上国の経済的な地位が向上していくのに手をかしていけるようなものについては、わが国としても大いに考えていかなければならない。そういう観点からしますと、関税政策の上で、たとえ具体的には小さなものでありましても、そういう大きな流れに沿うた一つの姿勢というもので日本が進んでいくということは非常に意味がある、こういうふうに思うわけでございます。今日の日本の関税政策も、いろいろ御批判はありますけれども、そういう方向、そういう流れに沿って運営をしてきたし、また将来もやっていかなければならない、こう思うわけであります。  なお、具体的な問題については、局長のほうからお答えをさせていただきます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 いまの政務次官のお話だと、結局、大きな流れの中で進んでいく、自由世界、自由貿易の大きな流れの中におる、こういうことなんですが、結局、従来の方向を進めていくというふうに結論づけざるを得ないと思うのです。しきりに転換ということをおっしゃっているのですけれども、しかし、出された結果、あるいは出しておられる数字、将来の方向は、少しも、国民の福祉あるいは農業、中小業者、そういった国民の利益を守るという方向への転換は、この関税の部分に関しても出されていないように思います。そういう基本的な方向についても、かねてから他の部分に関して申しておりますように、この際思い切って転換されることを強く要求をいたします。  あと少し時間があるようです。輸入品が安くなるというお話が関連で出ましたので、通産省のほうからもお見えいただいておりますし、一言お尋ねしたいと思います。  ほかの委員から追跡調査のお尋ねがあったようです。それについての効果も非常に微弱なものだという御報告も伺いました。そこで、これも政務次官に伺いたいのですが、どんどん自由化を進めて、国内物価にもよい影響がある、こういうことでやっておられるようですけれども、少しも目立った影響がない。逆に、御案内のようなああいう物価高になっておるわけですが、一体なぜ影響がないのか、なぜその効果があらわれないのか、その辺について、政治的な根源はどういうところにあるか、ひとつ御見解を伺いたいと思います。

山本幸雄自由民主党大蔵政務次官

○山本(幸)政府委員 政治的な根源と言われるとたいへんなんでございますが、いま各官庁でそれぞれ追跡調査をおやりになっておるようでございます。それを追っかけていった場合に、ものによっても違うと思うし、また、そのものの流通機構が複雑であるか、あるいはわりあいに簡素化されているかという問題も大いに関係があると私は思います。そういうように、ものによっていろいろ違うかと思います。しかし、いずれにしろ、せっかく国民の間に安くなるという期待が生まれているわけでありますから、その期待に沿えるような方向で、そういう一つの実感として、物価が一つ一つのものについて何がしか安くなるというように、政府もその効果をあらしめるようにしていかなければならぬだろう、こう思うわけでございます。これは政府のほうも、それぞれの所管の官庁で今後大いに努力をしなければならぬことであろうと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 所管の官庁に伺いたいのですけれども、なぜ効果が出てこないんでしょうか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

若杉和夫通商産業省通商局輸入課長

○若杉説明員 輸入品の価格の引き下げ、これは昨年の円切り上げ以来、国会でもいろいろ問題になりました。自由化問題でも下がるか下がらぬか、今度の変動相場制移行ということでも下がるか下がらぬか、こういう問題があります。一般的にいいますと、かなり顕著に下がっておるのです。というのは、なかなか目に見えない点もありますし、長い間の問題もありますが、一般的なことを申しますと、まず輸入品の相当部分というのは原材料でございまして、六割くらいになりますが、こういうものは買い手も強いものですから、大体ネゴベースで下がっておると判断しております。  その次に、競争が比較的激しい商品、たとえば繊維製品であるとか、雑貨の一部であるとかあるいは食料品の一部であるとか、かなり顕著に出ておる事実もございます。問題は、比較的独占性が強いといいますか、趣味的な色彩が強いといいますか、あるいはトレードマークが非常に有名品で、輸入品として売られているものとか、概してそういうものはソールエージェント制をとっている場合が多いのですけれども、そういうものも一部は下がっていますが、なかなか下がりにくいという事情は確かにございます。  それで、その原因でございますけれども、大ざっぱにいって三つあるだろうと思います。一つは、御承知のように、皮肉な言い方をいたしますと、高いから売れるという面がなきにしもあらずのものも実際問題としてございます。そういうものは大体高級著修品が多いわけでございますけれども、そういうことでなかなか下がらない面がございます。それからもう一つの面は、それと関連をいたしまして、ソールエージェント制その他で、シッパーといいますか親元のメーカーなり、現地の日本のソールエージェント制のマーケット対策といいますか販売戦略というのが、あまり下げなくていいじゃないか、こういう方針をとっているところもあると思います。第三には、円切りがありますとすかさず外国のシッパーが値上げをしてくるという現象も二、三見受けられるわけでございます。そのような三つの理由があると思います。ただソールエージェント制につきましては、公取のほうも監視をきびしくしておりますし、並行輸入問題もありますし、ある程度破られている面もあります。大体傾向は以上述べましたような感じでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木(宏)委員 国民に一番関係の深い小売り物価について、いまのお話では、値下げ効果がなかなかあらわれにくい。理由の説明はいろいろ伺いましたけれども、利益に浴さないということがはっきりしましたので、そういったことについてもなおお尋ねしたいと思うのですが、五時になりましたから、初めから申し上げておりましたように、私の質問はちょっと留保をさせていただいて、きょうはこれで終わらせていただきたいと思います。

木村武千代自由民主党

○木村(武千代)委員長代理 次回は、来たる九日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時一分散会

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