大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/02/20
会議録
○大村委員長代理 これより会議を開きます。 鴨田委員長は病気のため引き続き欠席されますので、この間、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。 理事の辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。 まず、理事村山喜一君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、許可することに決しました。 次に、ただいまの辞任による補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、理事に武藤山治君を指名いたします。 ————◇—————
○大村委員長代理 有価証券取引税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。広沢直樹君。
○広沢委員 有価証券取引税法の一部改正と相続税法の一部改正について若干お伺いをしたいと思います。 まず、有価証券取引税法の一部改正についてでありますが、今回この改正に基づいて、現行の税率を二倍に引き上げるものでありますけれども、証券市場及び一般の投資家に対する影響、これはどういうふうな影響を与えることになると考えているか、まずお伺いしておきたいと思います。
○大倉政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、御承知のとおり、今回の税率の引き上げにつきましては昨年暮れに税制調査会の答申をいただきまして、その時点でいわば世の中には公式にわかったということでございましょうし、さらには本年に入りましてから、政府の税制改正要綱にもその点はっきりうたっておるわけでございます。二倍の税率引き上げになった結果が株式市場の値段なり取引量に非常に影響を与えたかというとどうもそうも言えない。つまりもっと別の要因で株価はいろいろ動いているということでございまして、おそらくそう見るほうが常識的であろう。したがって、ある意味ではこの税率引き上げが、そのことだけによって証券市場なり大衆投資家に大きい影響を与えたとは言えないと申さざるを得ないかと思います。
○広沢委員 それが大きな影響を与えるかどうかということについては、お説のとおりであると思います。しかし、二十八年から改正していないわけですからね、二倍に引き上げるということについての根拠といいますか、そういうことをお示しいただきたいと思います。
○大倉政府委員 御指摘のとおり、取引税法創設以来ずっと動いておりませんでした税率を今回改定いたそうとしておるわけでございますが、前に本委員会での御質問に対しても主税局長がお答え申し上げたかと思いますが、やはり基本的にはこの税はいわゆる流通税でございますので、今回の引き上げの考え方は、証券取引というものの背後にある担税力というものを推定して課税を行なう。その意味では二十八年に取引税法をつくりました当時の株式市場の大きさなり力というものと現在の大きさなり力というものは格段の差がある。したがって流通税としての負担を引き上げるということは許されるのではなかろうか。ただ、引き上げの幅が御質問のように二倍ということはなぜかということになりますと、これは正直に申し上げましてなかなかきめ手はございません。私どもとしましても、御承知のOECDでの議論などを参考にいたしながら、どの程度の負担増加を求めるべきかを研究いたしまして、結果としては、流通税としての引き上げは、証券を売りまして損をした場合でもとられるわけでございますし、あるいはまた法人のようにキャピタルゲインについて税を負担するほかこのような流通税として負担をするという面もありますので、あれこれ考えあわせて二倍というのが限度であろうか、引き上げとしては二倍という限度が適当ではなかろうかという気持ちで御提案申し上げた、さよう御了承いただきたいと思います。
○広沢委員 ともかく、こういうふうにして税率が大幅に引き上げられる。もちろんいま御説のとおり、取引の背後にある担税力ですね、これに課税する流通課税である。ですから、ある程度小さい税率ながら一定にして、法人あるいは個人あるいは収益があるなしにかかわらずこれは一律に課税されることになるわけですね。後に述べますが、キャピタルゲインに対する課税のむずかしさということもあろうかと思いますが、そういう関係で二十八年にこういう取引税法ができましてこういうやり方をやっているわけでございますけれども、やはり基本的に理論上で考えて、税率がこういうふうに大幅に、率そのものは大きくないかもしれませんが、引き上げられるということは、今後も考えられるとするならば、この中にいま申し上げたように、それこそ収益があるなしにかかわらずかかってくるということに対する不平等の問題ということも、やはり理論的には起こり得るのじゃないか。それに対してどういうふうにお考えになっているかということをお伺いしたいのです。
○大倉政府委員 ただいまの広沢委員の御指摘の点、一々ごもっともであると思います。今後の考え方につきましても、やはり御指摘のように、流通税という性格から申しますと、おのずからその税率には限度が出てくるであろう。現に先ほどちょっと触れましたOECDでのヨーロッパ諸国間の議論を聞いておりましても、おおむね統一するとすれば万分の五十くらいのところで統一する、またいかなる場合でも千分の十をこえるような負担は適当ではなかろうという議論もあるようでございまして、今後それを考えてまいります場合には、そういうような意見はあるいは参考になろうか、かように存じております。
○広沢委員 これに関連して、やはり先般来問題になっておりますいわゆるキャピタルゲイン課税の問題がどうしても出てくると思うのですが、二十八年にこういう譲渡所得税が、税法上の理由ということ、もう一つは株式の民主化ということ、さらには証券市場に育成あるいは資本蓄積の促進、こういう面から廃止されてこの取引税ができたわけですけれども、キャピタルゲイン課税については大幅な非課税処置がとられています。しかも、一応株式売買を主たる職業にしているということをたてまえにした、いわゆる事業所得的な考え方で年間売買五十回以上ですか、それから売買総数二十万株以上について課税対象にすることになっておりますね。そういう基準というのは、これまたどういうふうにして定めたのか、お伺いしたいと思うのです。
○大倉政府委員 有価証券の個人によります売買の結果出てまいりますキャピタルゲインの課税、これを廃止いたしました経緯は、ただいま広沢委員の御指摘のとおりであったと思います。そのときにやはりまた、おっしゃいましたように、非常に商売に近い形で個人が売買しておる場合には、それをすら課税しないということはいかがなものであろうかということで、ある程度以上の大きさでの取引をやっておられる個人については、キャピタルゲインについて所得税を課税したいという考え方がそもそものスタートであったと了承しております。当初は通達でどの程度のものならばということをやっておったようでございますが、これにつきましては、やはり法令上明確な基準を設けないと納税者側も安心できないといいますか、事柄がはっきりしないではないかという指摘が税制調査会からもございまして、三十六年以降、現在の基準を用いて法制化しておるわけでございまして、法制化に際しましては、従来の取り扱いなどを参照しながら、五十回以上二十万株というものがきめられている。逆に申しますと、いわばいきさつの上ででき上がった数字でございまして、五十回でなくても三十回でもいいではないかとか、あるいは五十回よりももっと多くてもいいではないかというところは、率直に申しましてなかなかきめ手はない、いわばいきさつを十分踏まえた上で法制化の機会にこういう数字を採用して、それ以後これを特に変更すべき理由もないということで、そのまま今日に至っておるというふうに御了承いただきたいと思います。
○広沢委員 これに対しては、不労所得と勤労者所得との不公平の問題が当然出てきているわけですね。したがって、この二つの要件を満たさない場合には、これはいけないということになっておりますね。ですから、五十回以上というのはどういうふうにして捕捉されているのか、あるいは二十万株以上の取引が行なわれたという二とをどう的確に捕捉されておるのか。やはりこれをきめられて、後において具体的な捕捉の関係が明確にならないということになると——これはどういう基準でこういうものはきめられたのか、三十回でも、あるいはもっと言うならばこれは非課税対象ということは一応ゼロに返して、実際に応じてこれは考えるべきじゃないだろうか、こう考えられるわけですよ。したがって、いま四十七年度はわからないと思いますが、四十六年度の実際に五十回以上、そしてまた売買二十万株以上というものをどういうように捕捉されておるか、実際的な数字でひとつお示しいただきたいと思うのです。
○吉田説明員 五十回以上二十万株の捕捉の問題とその数字でございますが、まず数字のほうについて申しますと、この前阿部助哉先生その他にもお答え申し上げましたように、税務当局といたしましては、所得段階までしか所得額の統計をとっておりませんものですから、なかなかその細部までいまやっておりませんので、手持ちの数字がございません。 それから、把握上の実務問題でございますけれども、一番問題となりますのは五十回の回数の問題でございまして、何万株というほうはある問題をやったときには比較的つかみやすいのですが、回数のほうにおきましては、前回もお話ししましたように、委託契約一回を一回というぐあいにいたしておりまして、実際の実務としましては、その一回の委託契約で何回にも分けて買う場合と一回で買う場合と両方の場合があるわけでございます。したがいまして、委託契約一回をつかまえる場合、実務ではいろいろ苦労しておるわけでございますが、現在証券会社のほうから納税者のほうに、注文伝票の総括票というものを要求すれば出してもらえるという話をいたしまして、それで委託契約一回を一回ということでやるようにいたしておりますが、その確認の問題はなかなか苦労の存するところでございます。
○広沢委員 これはいわゆる税の公平の原則から考えてみると、この関係を的確に捕捉し得ないということは、また一つ不平等の原因になっておると思うのですね。確かにキャピタルゲイン課税については非常にむずかしさはあろうと思うけれども、こういう問題に対してどういうふうに対処していくか。これが的確じゃないということになると、ほとんどが非課税になっているというふうな想像さえもできるわけです。ごく一部しか捕捉されていない。この問題は非常に大きな問題だと思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
○大倉政府委員 私どもといたしましても、この問題を現状のままでいつまでも置いておいていいとは思っておりません。四十八年度の改正案の作成をいたします過程でも、この問題をある程度検討し、議論はいたしたわけでございます。ただ正直に申し上げまして、遺憾ながら私どもの勉強が不足いたしておりまして、まだ制度的に個人の株式譲渡による所得をすべて課税対象とするということに踏み切るためにはたして執行が妥当にできるか、そういう制度を導入して実質的な不公平を生ずることなしにできるかどうかという検討がまだ熟しておりません。しかし、今後も決してこの問題を放置するということでなくて、一体どういう前提条件を整備すれば、ある程度世の中から指摘されております不公平感にこたえて制度を整備することができるのか。問題は、結局どういう形での資料の整理が必要か、どういう執行体制が必要かということを地道に詰めていってその上で結論を出したい、かように考えております。
○広沢委員 大体回数が問題になっているわけですけれどもね、確かにいまおっしゃるとおり。その回数の把握のしかたというのが、いま直税部長もおっしゃったように非常にむずかしいということであれば、これはほんとうに適正な活用が行なわれてないと言う以外に言いようがないわけですね。ですから、五十回と限度をきめた——三十回がいいのか、五十回がいいのか、それはいろいろ検討のしかたがあろうと思いますけれども、しかしながら、そういう回数をきめておるということは、やりようによっては、先ほどもお話があったような形でほとんど非課税に含まれてしまうのではないか。ですから、四十六年度でその五十回以上の取引が何件くらいあったのか、それもわからぬということであれば、これは全く捕捉は野放しであると言う以外に方法はないのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
○吉田説明員 わからないと申しますのは、実体がなくてわからないというよりは、実は税務統計のつくり方の問題でございまして、われわれ、できるだけ少ない税務職員でなるべく調査のほうに出すようにしておるものでございますから内部事務を圧縮しておりまして、全般的な問題としまして、税務統計の問題以外はなるべくとらないようにするという、そういう事態に追い込まれておるものでございますから、それについての把握はやってないのが一つ。 それからもう一つは、実際の申告の段階ではなかなか申告書のほうでこまかく、たとえば雑所得なり事業所得なり出てくるわけでありますが、その細目が書いてないものが多いものでございますから、その点の把握はなかなか申告書から出てこないということで数字がないということでございます。
○広沢委員 この非課税をきめる場合は、やはり課税は一応収益があるとか所得があるところは課税するのですが、その実勢に基づいて非課税の制度というものはつくっていかなければいけないわけでしょう。それが、いわゆるいま五十回以上ときめられておる中にいろいろな問題があったわけでありまして、ですから、再検討するということになれば、やはりこれをもとへ戻して、キャピタルゲイン課税という時点に立って、それだけの実勢が多いからこの辺をこの限度まで非課税にしようというふうにきめるべきであって、いま最初にきめられた五十回以上という問題について非常に問題が起こってきている。実際、一年間の五十回以上の取引というものが具体的にどれくらいあって、それに対するキャピタルゲイン課税が適正に行なわれているかということがわからない限りは、こういう非課税制度というものは、不労所得と勤労所得との公平の原則から考えてみておかしいんじゃないかといわざるを得ないのですが、この点、もう少し、最後に明確にしておいていただきたいのです。
○山本(幸)政府委員 この個人の有価証券売買の場合のキャピタルゲインの課税の問題は、これはたいへんむずかしい問題であることは、もう御存じのとおりだと思います。法人の場合は、これはその最後の収益のところで押えられていくようですが、問題は個人であります。いまも仰せのように、五十回、二十万株というものをとらまえるとらまえ方というものは実際問題として非常にむずかしい問題をたくさんに持っているわけです。キャピタルゲインの問題と考えあわせて、将来の方向を考えろという御説でございます。このキャピタルゲインの問題は、もう大蔵省としては従来からいろいろな観点から研究をしてきて、二十八年までは若干の期間やっておったわけですが、二十八年以来非課税になっておりますのも、実際の第一線での執行上、そういう譲渡益をつかまえるという問題についてたいへんむずかしい点がたくさんある、なかなかつかまえにくいということ。それからもう一つは、キャピタルロスの問題をもう一回並行的に考えていかなければならぬ。その問題は一体どう考えていくのか。ゲインは一向に表面に出てこないで、ロスばかり表面に出てくるというようなことになりましても、全く税の本質をそこなうということになりかねない。ただいまも審議官が申しましたように、そういういろいろな要件をどういうふうに整備したならばこの税がやれるか。確かに税負担の公平の見地からは御批判のあるところは十分に承知しているわけでありますけれども、さような点についてもう少しく研究をし、実際上支障のないようにするということについて自信を持てるまでもうしばらくの時間をかしてもらいたい、こういう考え方でおるわけであります。
○広沢委員 それはそれで前向きにひとつ検討してもらいたい。特に有価証券取引税ができまして、そっちのほうにこれは補完的な問題であるとしてかわっているんでしょうが、それがそうであるからということで、いわゆるキャピタルゲイン課税に対しては検討中、検討中では、これはやはり問題があろうかと思いますので、やはり実態に応じた課税というものを考えていかなければならぬのじゃないかと思いますので、これを強く要望申し上げておきたいと思います。 次に、証券界のことについて、一般的な問題としてお伺いしたいんですが、証券局長、過剰流動性の問題と金融緩和によって資金がだぶついた、それが土地の投機と株式投機のほうに行った、これが非常に大きな問題になっているわけです。それに対して所要の措置がとられているようですけれども、土地投機よりも、こういう金融緩和と過剰流動性の問題は、その大半が株式投機、こういうふうな方向に行ったんではないかと思われるわけですが、これによって株式投機においても資本市場にいびつな影響を与えていくんではないか。法人の大量な株取得というものがそういうことになり、また証券の民主化という問題に大きな阻害になってきているんじゃないかと懸念される。あとからいろいろ申し上げますけれども、まず最初にそういうふうな感じがするわけですが、最初に、それに対する局長のお考えを伺っておきたいのです。
○坂野政府委員 お説のとおりでありまして、昨年一年間を見ましても、個人投資家はずっと売り越しになっております。特に下期におきましては、個人の売り越しが十一億六千万株にもなっております。七月から十一月までの間の売り越し額です。それを法人が買っておる。その法人も最近では事業法人が非常に目立って買っておる。昨年の前半におきましては、金融法人と事業法人と並んでおったのですが、その後、大蔵省、日銀の指導等もありまして、金融法人のほうはあまり活発な動きを見せなくなりまして、事業法人のほうがいまやたいへん活発な動きをしております。これは単に収益目的ばかりでなくて、資本の系列化、集中化とかあるいは事業法人による持ち合い、安定株主工作というようないろいろな意味があったのかと思います。また証券業界が営業の行き過ぎから事業法人営業といいますか、法人に株を売る営業、これを非常に活発にやったということも一因であります。しかしお説のとおり、証券市場、特に株式市場というものは、広い一般投資層にささえられた流通市場があってはじめて十分な機能の発揮ができるわけであります。そういう意味から、個人の持ち株比率が次第に下がってまいりまして、四十六年度末においては約三七%まで下がっておるということは、証券市場、特に株式市場の健全な姿から申しますと、たいへん心配なことであるという感じがいたしております。
○広沢委員 いまおっしゃったように、これまでの投資家が株を買う尺度というものは、やはり株式の利回りと株価の収益率、こういう問題があったわけですね。ところが、いままでの傾向を見ておりますと、どちらかというと企業は資金不足の関係で、いままではそちらのほうにはあまり大きく乗り出してなかったのですが、先ほど言ったような事情から、いわゆる投資価値というよりも営業価値といいますか、それによって今回のような状況が起こってきたのではないか。いまお話しがあったように、金融機関も相当大きなウエートを占めておりますし、あるいは事業法人、商社、こういう関係が大きなウエートを占めているわけですけれども、こういうようないわゆる営業価値主義的な株価形成というものが、はたして妥当なものであるかどうかということについて、どう考えているかということを伺いたいのです。
○坂野政府委員 株価の水準がどういうところにあるのが一番適正であるかということは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、何人もこうだということを言い切れる問題ではございません。しかし言われますとおりに、法人が昨年大いに株を買いましたその買い方というものは、もともと安い時代に取得した原価の安い株をたくさん持っておりまして、その上に同じ種類のものを積み重ねていく。かなり高値であっても平均取得価格というものが相当下になってまいりますので、利回りなり、収益率の計算においても、現在の時価で買い込んだものの利回り、収益率よりはよほどいい率にその法人の中ではなっておるわけです。しかし言われますように、個人は裸でございますから、買えば買ったときの値段それで計算しなければいかぬ。そうなりますと、昨年のように高値が続きまして、特にそれが急激に上がっていく場合は、個人は売るほうはできますけれども、買うほうはなかなかできないというのが、個人から法人に株の流れた一番の理由だろうと思われます。そしてそれがいいことか悪いことかといえば、株式市場全体の姿からいえば好ましくないことかと思いますけれども、しかし、それはけしからぬことだからとめなければいかぬのかどうかということになりますと、やはり自由な取引を前提とする株式市場ではそれをとめるというわけにはいかない、そういうことかと思います。判断の問題でありますが、これは何人もこれが行き過ぎであるのか、そういう新しい行き方というのがかなり強く今後とも続くのか、それはよくわかりません。ただ私どもが心配しておりますのは、どちらにしましても、大ぜいの人の評価、大ぜいの人の意思というものが十分長い時間かかってねられていく、そういう評価が集まって市場ができていくということが健全な姿の市場ではないかと私どもは思っております。したがって、一部の人の意思、評価というものが非常に強く出まして、しかもそれが短期間のうちに株価を押し上げていくというような市場であれば、これは健全な市場とはいえない。したがって、そこでできている株価というものは絶対安心なもの、安全なもの、健全なものといえるかどうか、私どもはたいへん疑問に思っております。
○広沢委員 ただ、その法人買いがもたらす恒常的な株不足というものが起こってくると思います、いまのような傾向であれば。そうすると、やはり証券の民主化というたてまえから考えてみても、一般投資家が、いまおっしゃったように疎外されていくのではないか。これはどちらが正しいかというと、やはりそういうような営業的な感覚というものは個人投資家にはわからぬわけですね。それは法人ではよくわかるのでしょうけれども、当事者しかわからない。そういうものに株式市場を支配されていくということになりますと、一般投資家の疎外ということにもなりますので、やはり基本的な問題に大きな問題が出てくるのではないか。そういう面に対して証券局としてどういうふうな監督をしているかということ。 それから、やはりそういうふうな集中化傾向になってまいりますと構造が大きく変わってまいりますから、株式による企業の支配あるいは株主総会にせよ、あるいはいろいろな面にしても形式化されていきますでしょうし、いろいろな弊害というものが出てくることが予想されるわけですね。その点にどういうふうな指導をなさっているのか。適正な指導がなければこういう傾向がどんどん続いてまいりますから、これはほんとうに一般投資家というものはだんだんだんだん市場からはみ出していく、疎外されるということになりかねない。現実にいまそういうような状況が出てきているわけですから、それに対しての対策というものをお聞かせいただきたい。
○坂野政府委員 個人投資家が減少していくことに対しまして、やはり証券業界のあり方というのが一つの問題になるわけです。目先の法人の営業のほうがたいへんまとまった手数料も入りますし、商売として大いにもうかる、そういう面は確かにあるのですけれども、それに走るあまり個人投資家のほうがおろそかになり、個人投資家の売買というものがだんだん減ってくるというようなことになりますと非常に大きな影響が出てまいりますので、証券界も手数料がたいへんたくさん入って余裕もできてきておりますので、個人投資家に対するサービスの向上をもっと高くしなければいけないということを、ことあるたびに私どもは証券業界に申しております。証券業界もそういう気持ちになってはおりますが、なかなか競争も激しいのでまだ十分な姿にはなっておりません。しかし、これは絶対に努力していかなければならない問題だと思います。非常にうまい手があって、さあっと証券民主化が進むということはあり得ないことでありまして、やはり毎日毎日の営業というものが非常に大事だ。しかしまた、株価が非常に高いときにこれを個人投資家に積極的にすすめるということについては、危険という面からもやはり考えなければいかぬ問題があるので、こういう株高の時期にどうやって個人営業を進めていくかということはなかなかむずかしい問題でもあります。しかし基本のところは、そういうことでいかなければいかぬということを言っております。 もう一つは、やはり一時たいへんいろいろな問題を起こした投資信託が、その後かなりじみな姿でやってきたその努力が積み重なりまして、最近ではようやく三十六年当時の元本も回復いたしまして、一兆二千億程度の株式投信の残存元本にまで復旧してまいりました。またこの実績もかなりいいところまできております。したがいまして、こういうものの活用、そして特に零細投資家に対しては、現株もいいのですけれども、こういった投資信託の普及というようなことも、これから大いに力を入れていかなければならない問題だと思います。 また一方、ただでさえ不足している株が法人に集まりまして、そうしてそれが外へ出てこない。法人は買うことがあってもあまり売りに出さないという状況でありますので、やはりこの株不足をどうして解決するかということが大事でありまして、そのために大いに増資ということを激励しなければいけませんが、この増資がまた最近の時価発行等におきましては法人割り当てといいますか、いわゆる親引けというものが非常に多くて一般投資家のほうに回らない、そういう傾向にございます。そこでとりあえず親引け比率を五〇%ということで引き受け証券会社の申し合わせができておりましたが、つい最近、新年度四月以降はこれを四〇%以下に圧縮するということで、少しでも浮動株といいますか、一般投資家に回る株をふやすという方向に進めております。
○広沢委員 いまそのことに触れられましたからそっちのほうに話題を移したいと思いますが、株価の高騰を反映して、いま申されたように増資が非常にふえているわけですけれども、この年度内の増資額は一体幾らであったか、ひとつ数字で示していただきたいと思います。そのうちの時価発行分はどれくらいであったのか。
○坂野政府委員 二月、三月はまだ予定数字が入っておりますか、四十七年度三月までの累計で有償増資払い込み額は一兆三千二十六億円の予定になっております。そのうち株主割り当てが三千四百五十七億円、公募が八千七百三十七億円、その公募のうち完全時価発行が五千三百三十億円となっております。
○広沢委員 これは一応公募形式をとっておりますけれども、増資に対して企業としては、公募によって株主を分散するというよりも、これは必然的に安定した株主をつくるというようなことから、関係会社かあるいは金融機関が買い取る場合が非常に多くなっているわけですね。この場合の金融機関の買い取りというのはどういう状況になっているかおつかみになっておりますか。——いまわからなければあとからでけっこうです。
○坂野政府委員 現在手もとに持っておりませんが、調べましてまた……。
○広沢委員 要するに、いままでの傾向から見ますと、そういうものが非常に多い。先ほどもありましたように、今日の株の取得というものは、金融関係あるいは事業法人関係が非常にふえてきているという傾向から考えても、そのことはおおむね推測がつくわけでありますが、時価発行増資を金融機関が引き受けようとする、こういうことはやはり銀行の貸し出しと同様の信用創造になると思いますし、しかも額面と時価の差額、これは返済する必要がありませんし、そしてまた金利がつかないし、まあ自由に使える資金ですね。こういうかっこうになってきますと、これはめぐりめぐってやはり土地とか株式投資ということになってインフレを高進さす結果になってくるのじゃないかと思われるわけです。したがって、このための金融機関に対する時価発行増資の引き受け規制というものをやっていかなければいけないだろうし、いまも一応考えているようですが、具体的にどういうふうな考え方を持っているのか。今後はまたどういうふうな考えで臨まれるのか、この点を明らかにしておきたいと思います。
○坂野政府委員 その点につきましては、昨年の秋以来日本銀行が金融機関の指導をされております。それによりますと、ある会社の株式を持っておる、たとえば五%持っておる、六%持っておる。一つの銀行はそのシェアを高めてはいけない。ですから、全体がふえますから絶対額、幾らかの増はありますけれども、自分のシェアをアップしてはいけないという指導が行なわれております。で、一月以降はさらにそれを強化されまして、新規取得分は、前年の、四半期ごとに区切りまして、九——十二月の四半期よりは一−三月の四半期の新規取得分を約半分程度に圧縮する指導をされたようであります。したがいまして、金融機関に関する限りはいままでのように、時価発行の際にあるいは普通の売買も合わせてでありますけれども、それを金融機関に持っていけば幾らでもしょってくれる、幾らでも買ってくれるということはもう行ない得ない、そういうことは証券界あるいは発行会社のほうから頼んでももう聞いてもらえないという現状になっております。
○広沢委員 それでは一応有価証券関係の問題については終わりまして、相続税関係について二、三承りたいと思います。 まず、今回の相続税法の改正で、一応前回から問題になっておりました配偶者に対する贈与税の引き上げが行なわれております。しかしながら、いままでも問題になっておりましたとおり、やはり相続税においては配偶者には三千万円までの非課税になっておりますが、贈与税については現行の三百六十万円がこのたび五百六十万円になる。課税最低限は六百万円までに引き上げられることになっておりますけれども、これは生前とそれからなくなられたあとという問題と差があるのはどういうわけなのかということ。これは基本的な夫婦間の問題というものは憲法に明記されているわけでありまして、生前における場合とそれから死後、なくなられたあとという問題に対して差があるということはちょっと疑問に思われるわけなんですが、この点いかがですか。
○大倉政府委員 ただいまの御質問でございますが、ある意味では相続税と贈与税とのバランスはとれておるわけでございます。と申しますのは、相続税の場合には配偶者のための遺産にかかわる控除というのが六百万円でございます。その六百万円とのバランスを考えまして、生前贈与の場合の控除額を、通常の贈与税の基礎控除額四十万円と五百六十万円を合わせて六百万円ということでバランスをとろうというのが今回の改正の趣旨であるわけでございます。 ところで、御質問の中にございました相続税には三千万円まで非課税にするのがあるじゃないか、その制度を贈与税についてもそのまま持ち込んだらどうか、そういう御趣旨だろうと思うのでございますが、実は三千万円までの贈与をすべて非課税ということにいたしますと、いまの相続税の課税状況から見ますと、大体課税案件の七割くらいは遺産総額として三千万円以下のところに納まっておりまして、いわばほとんどの人については生前贈与という形で相続税はかからない、奥さんに生前に渡してしまうという結果になるということも言えるかと思います。そのことが適当であるかどうか。やはり相続税におきます三千万円というのは、だんなさんがなくなられて、奥さん一人で余世を送らなければいかぬというところから話がスタートしておりますので、これをそのまま生前贈与のほうに同じ金額で持ち込むということがはたして一般的な国民感情と申しますか、やや大げさな言い方でございますが、そういうものから見て妥当と認めてもらえるだろうかという問題が一つ。 もう一つは、六百万円、六百万円というバランスにつきまして同様にある問題ではございますけれども、生前贈与のときに非課税になりました部分は相続のときにバランスをとらなくてはいけないということは、つまり生前贈与の特例を受けますと、それ以後相続が起こるまで税務上の継続管理をしていかなければならなくなる場合がございます。居住用不動産に限って考えますと、継続管理がある程度可能であるということで、現在の生前贈与の制度ができておりますけれども、これを居住用財産以外の問題に広げ、しかも三千万円ほとんど全部の課税件数について生じるであろうような制度にいたしますと、くどくて恐縮ですか、ほとんどすべての場合に継続管理というものを持ち込んでいかなくてはならない。そうであるとすれば、やはり贈与税というものがそもそもいまのような年々の課税でいいのか、一生累積課税という、シャウプ勧告にあったような思想まで戻らないとうまくいかないのではないかというかなり基本的なところに問題がぶつかってくるという点もございます。さらに申せば、生前贈与の場合は、資産名義を贈与という形で移しますことによりまして、それから生ずる所得もおのずから帰属者が変わってまいりますが、これは所得税法上の課税技術といたしましては、御承知の資産所得の合算課税という手はございますけれども、しかしやはり、継続管理になり実際の適正な税務執行という面でかなりのむずかしさを巻き起こしてくる。 また、もう一つ申し上げなくてはいかぬのですが、くどくて恐縮ですけれども、かりにその三千万円まで生前贈与の限度額を上げるといたしますと、生前贈与を受けた方があとで相続が起これば、相続財産は三千万円方は減っておるわけでございます。減ったあとの相続財産に相続税がかかる。したがってそれとのバランスを考える場合には、生前贈与を受けなかった奥さんがそのまま残って、だんなさんがなくなったというときの相続税の課税標準からは三千万円を控除しなければならない。それが先ほど、最初に申し上げました六百万円、六百万円でバランスがとれておるわけだと私ども思っておりますが、かりに生前贈与に三千万円を持ち込めば、相続税の一種の基礎控除として三千万円というものを奥さんについて設けないと、生前贈与を受けた奥さんとそうでない奥さんとのバランスがとれない。しかしまたそれをやりますと、今度は奥さんが相続人の中に含まれておる相続税の負担と、小さい子供さんだけが残ざれたという場合の相続税の負担とが非常に大きく変わってくるという問題、いろいろあれこれと思い悩んだあげくが、やはり両者のバランスという面では、現在ございます遺産にかかわる配偶者の控除六百万円というものと、生前贈与の六百万円というものを合わせるというのが、現状においてはまず妥当な解決ではなかろうか、こういう考え方をたどったわけでございます。
○広沢委員 時間もありませんが、もう一点は、この相続税の中でも夫婦間における相続というものは一応非課税にすべきではないかという考え方に立って、特に居住用財産についてそういうことに関しますと、やはり憲法の二十四条に書いてありますこの条項に触れて基本的に考えてみなければいかぬのじゃないか。もちろん民法上の問題がありますけれども、民法上の問題があるとはいえ、三千万円までその課税最低限を認めるということ自体が民法からはずれて、一応税法上での処置として認めているのであるから、やはり基本的な法の精神にのっとって、夫婦間というものについては非課税でもいいのではないかと思うわけです。そういう考え方に基づいて、年々課税最低限というか、非課税の限度額というものを上げてきたと思うのですが、今回の改正では贈与税については配慮されておりますけれども、相続税の配偶者についてのこの点はいじっていないわけですから、その点はどういう考えを持っているか聞いておきたいと思うのです。
○大倉政府委員 この点は、また詳しくお答えするとちょっと切りのない話にもなるかと思うのでございますが、まさしく御質問の中にございましたように、民法におきまする特有財産制度というものと、税法上の税負担の求め方とどこで妥協するかというのが問題であろうかと思いまして、これをいわゆる青天井にするということは、つまり特有財産制度というものとは全く縁を切ったような考え方になる。三千万円であれ何であれ、限度があるということは、税法上の負担の求め方が民法上の考え方に基本的に抵触しない範囲でできるだけ税負担の緩和というやり方で妥協を求めていこうという、一つの解決ではなかろうかと私どもは考えておるわけでございます。その意味におきましては、ことし何もしてないではないかというのは御指摘のとおりでございますが、これは実は昨年直していただいたばかりでございまして、それまでの制度は遺産総額三千万円までの場合の法定相続分に対応する税額を免除しましょうという考え方でできておった。そういたしますと、配偶者一人の場合には三千万円までいわば無税になるのに、子供さんと一緒に相続すると一千万円までしか無税にならない。かりに実際の取得分が一千五百万円になっても、税法上は一千万円までしか無税にならない。その点をさらに解決するために、昨年度の改正におきまして法定相続分というものにいわばこだわらずに、配偶者の実際取得分について着目して三千万円まで無税にしよう、こういう改正をしていただいたわけでございます。いわばことしの贈与税の配偶者の税負担の緩和は、去年の相続税の改正を追っかけて今度は贈与税でということで御提案申し上げているという経緯もございますので、以上の経過から申し上げますと、やはり当面は配偶者の相続税負担の軽減につきましては、現在ございます法定相続分にかかわらず、実際取得分三千万円まで非課税ということで、実際の負担としては御納得いただけるのではなかろうか。先ほどもちょっと申し上げましたように、課税案件の七割方は遺産総額が一千万円以下でございますし、かりに遺産総額がそれをこえておりましても、三千万円までの分はとにかく軽減があるわけでございますので、彼此勘案いたしました上で、今回としてはこの制度のまま継続させていただきたい、かように考えておるわけでございます。
○広沢委員 それは、そこまで相当相続税については優遇している実勢から考えて、一般的に考えてみれば相当な軽減処置になっていることはわかるのです。しかし私が申し上げているのは、基本的な問題として、いわゆる夫婦間においてはやはりこれは同一のものという考え方、この法律にもありましたように「両性の本質的平等に立脚して、」というのもありますし、そういうような考え方の上に立って考えていくならば、これは世代間でかわる場合においては当然だという考え方でいいですけれども、それまでは一応預かっているという形ででも解釈はできるのじゃないか。夫婦間においても、やはりそれは国民感情的なもので、多額の財産の相続についてはこういうふうに課税されるのが当然じゃないかという考え方もあることは事実ですが、しかしながら、もう一歩進めて基本的に考えていきますと、いろいろな形で財産形成というものはなされております。したがって、夫婦は表裏一体、同一だという精神に基づいて考、えていくならば、当然そこの点は非課税にまで持っていくような努力をしてもいいではないか、その基本的な考え方を最後に一つだけお伺いして終わりにしたいと思うのです。
○大倉政府委員 基本的な問題につきましては、やはりいろいろ御議論の多いところでございまして、夫婦間の財産移転は相続税という形での負担を求めるべきではないという思想の根底にありますのは、夫婦間で移転される財産というものは夫婦が協力してつくり上げた財産なんだという考え方があるだろうと思います。その意味で申しますと、極端なことを申し上げて恐縮でございますが、かりに十億の財産の相続が起こった場合に、その十億というものはすべてその御夫婦でおつくりになったのだろうかという問題ももちろんあるわけでございまして、やはり夫婦が協力してつくってきた財産というものには財産額としてもおのずから何か常識的な線があるのかもしれないという点もございますし、さらにすべて夫婦財産というものはこれはだれが元本を出し、だれがつくってきたということではなくて、二人の一生の共同のものであると割り切るのは、これは先ほど申し上げた民法上の特有財産制度というものとぶつかることになりますので、その辺いろいろと御議論があることは重々承知いたしながら、現状ではいまの制度のままでしばらく継続させていただきたい。もちろんそういう基本的な問題は、現在法務省でもいろいろ御検討になっているようでございますし、民法上の財産制度そのものの検討とあわせまして、私どもとしましても今後の相続税のあり方を引き続き検討させていただきたい、かように考えます。
○大村委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十九分開議
○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。竹本孫一君。
○竹本委員 最初に、有価証券取引税法の一部改正について、きわめて簡単に二、三の質問をいたします。 まず最初に、これは政務次官にお伺いしたほうがいいのかもしれませんが、最近株価経営ということばがある。要するに株でもうけることが会社経営の中心にだんだんなろうとしておる。正常な事業経営による収入というよりも、土地や株による投機的な利益で会社の経営をやるということに重点を移して、それを何だか一部では株価経営というのだそうですけれども、そういう傾向が望ましくないことは当然でありますけれども、それに対して政府としては経営倫理を高揚するという方法でコントロールしようとしておるのか、あるいは別な適当な法的な措置を講ずることによってこれをコントロールしようとしておるのか、あるいはその両方をやろうとしておられるのか、政府のお考えをまず伺いたいと思います。
○山本(幸)政府委員 最近の過剰流動性ということなどもありまして、株が非常な活況を呈しておることは御承知のとおりであります。それに関連して、いま御質問のように、法人が株を取得する、あるいは時価発行がたいへんに多くなってきたというようなこともございますが、本来株というものは、私どもしろうとでよくわかりませんけれども、資本主義の一つの価格形成という立場で、自由に売買されるべき性質のものであろうと思います。そういう立場から申しますと、国の証券に関する行政につきましても、健全なる株の取引が行なわれるという、そういう姿を見詰めながらやっていかなければならぬわけであります。 いまお話の会社が特に株による所得というものをあげることによる株価経営ということばがはやっておるということ、確かにそういう現象もあるように思われます。しかし、お話しのごとく、これはやはり一つの経営倫理に関することでもございますし、そういう一方においては経営面におけるそうした考え方が健全になっていくということとあわせて、証券の取引という場では不当な株価のつり上げが行なわれたり、あるいは取引の場において非常にいかがかと思われるようなそういうことの起こらないようにできるだけ証券行政を運用してまいりたい、こういうふうな考え方でございます。
○竹本委員 財界の経営倫理の問題は、これは言うべくしてなかなかむずかしい問題ですから、法的措置を講ずるかあるいは少なくとも行政指導をもう少し強化しなければならぬと思いますから、これは要望だけいたしておきます。 次には、証券市場の問題ですけれども、例の半日休むということ、取引が多き過ぎて整理に困るということで、ときどき休んでおるようですけれども、これは局長にお伺いいたしたいのだけれども、いまはどういう基準で休んでおるのか、休ませておるのか、将来はそれをもう少し、いまの行き過ぎを是正する意味で制度化するお考えがあるのかどうか、その点をひとつ伺いたい。
○坂野政府委員 昨年の秋以降、取引高が急増いたしまして、時間短縮あるいは後場を休むとか土曜日を休むとかいうことを、臨時にそのつど取引所のほうから取りきめましてやってまいったわけです。これは出来高がこのように多くなるということに対して取引所の体制が十分整っていなかったという非常に遺憾なことでございますので、機械化を含めまして、あるいは振替決済制度の採用を含めまして、できるだけ早くたくさんの出来高にこたえられるような取引所の体制をつくるということが急務だということで、いま取引所のほうでも検討の段階を終わりまして、鋭意作業の段階に入っておるわけであります。 ところで、そういうこともございまして、ことしの一月以降六カ月間暫定的に毎月一回第三土曜日の立ち会いを休止することといたしました。これは取引所の措置であります。ただし業務規程で休日は定められておりますものですから、それの特例をつくったわけであります。これは先ほど申し上げましたような事務繁忙、そうして従業員の健康管理という面からとりあえず月一回土曜日には休むということにいたしたわけであります。 これに対する業界の考え方でありますが、一回程度はもちろんいいのですが、将来これを週休二日制にまで持っていったらどうかということにつきまして、業界では二つの点を検討しておるわけであります。その第一は、投資家にとって、毎週土曜日立ち会いがないということが証券投資を阻害するかどうか、そういう声が強いかどうかという点であります。第二点は、証券界が他の業界に先がけて週休二日制をやる。特に金融機関が土曜日営業を行なっている状態のときに、証券取引のほうは土曜日を休むということは、少し先がけ過ぎではないだろうかというような批判もございます。 そういうようなことで議論されておりますけれども、取引所としましては、この証券取引所が会員組織でございますので、やはり会員の意思を尊重しながら検討いたしたいということで、どちらかというと前向きの検討を行なっておるわけであります。
○竹本委員 会員の間にいろいろな意見のあることもよくわかりますが、いま最後に前向きというごとばがあったわけだけれども、大蔵省として、行政のあり方としてもう少し前向きにそれこそ指導する、推進するということのほうが必要ではないかと思いますが、もう一ぺんその点を積極的に推していく考えが大蔵省にあるのか、受けて立つだけでじっと見ておるのかどうか、その辺どうですか。
○坂野政府委員 大蔵省が前面に出て推していくという立場にはございませんけれども、気持ちの上では取引所の考え方と同じく前向きに検討したいという気持ちを持っております。
○竹本委員 次には、証券会社の手数料の問題ですが、これはいまどのくらいになっておるのかということと、その収入はどの程度にいまふえておるのかということだけちょっと伺います。
○坂野政府委員 手数料は、取引所の受託契約準則で定められておりまして、売買単位につきその金額は区分されておりますが、最低のものでありますと、百円以下のものにつきまして最低株数では一円七十銭というのが基本になっております。取引数量によりまして割り引く制度になっております。たくさんの株数を取引する人は割安になるという制度。それからまた株価によりまして区分されております。非常に複雑な表になっておりますが、そういう体系でできております。これは昭和三十五年に制定された制度が今日まで続いております。これに対する考え方はいろいろございますけれども、ただいまのところでは、出来高が相当ふえてまいりましたので、手数料収入がかなりふえておりまして、一昨年の九月決算、それから今年度に入りましてそれぞれ——四十六年九月決算の経常収支が全証券会社で七百二十五億円でありましたけれども、四十七年の九月期は同じ数字が千二百三億円というようになっております。
○竹本委員 そういう大きな増加を前にして、手数料そのものを再検討するというような考え方はあるのですか。
○坂野政府委員 これも、たてまえが証券取引所の規定で定めることになっておりますので、大蔵省がこれを定めるというわけにまいりませんけれども、ただいま申し上げましたような情勢でありますので、手数料体系についての検討は加えられるべき時期に来たのではないか、そういうふうに判断しております。
○竹本委員 これはやはり検討を加えるべきだと思いますから、大蔵省の善処を要望しておきたいと思います。 次に参りまして、今度は税のほうですけれども、有価証券の譲渡益に対する課税の問題で、法人に対して、個人に対して、いまどうなっておるかということをちょっと……。
○大倉政府委員 法人が株式を売買いたしました場合の売却益は、通常の法人の事業上の利益と同様に法人税を課税いたしております。個人の場合はそれと異なりまして、原則といたしましては、個人が株式を譲渡いたしました場合の譲渡益、いわゆるキャピタルゲインには所得税を課税しないということになっておりますが、ただ、その原則の例外といたしまして、いわゆる事業譲渡類似の株式譲渡、それから多量な株式の売買という意味での年間五十回以上、二十万株以上の売買というようなものにつきましては課税をする、若干の例外を設けておるのが現状でございます。
○竹本委員 その例外の場合に対する規制をさらに強化するということは検討すべきであるのか、あるいは検討しておられるのか、その点はどうですか。
○大倉政府委員 私どもとして、現在特に問題意識を持っておりますのは、けさほど来の御質問にもございましたが、年間五十回以上、二十万株以上という基準によりまする事業所得ないしは雑所得としての課税のあり方、これをもう一度根元から検討し直してみるべき時期に来ているのではないかという気持ちを持っております。ただ、残念ながら、四十八年度改正に関連いたしましては、まだ具体的な成案を得るまでに至っておりません。この点についての改正案を提出するところまで至っておりません。
○竹本委員 これに関連しますけれども、土地税制が少し強化される、われわれから言うと議論がありますけれども、有価証券に対しても課税が強化される、そういった大きな流れにかんがみて、最近行なわれている書画骨とう類を求めて、それの値上がりで利益を得よう、そういう動きに対して、富裕税といいますか、新しい税制をもってこれに臨むということに対しては、大蔵省にはいかなる用意があるかという点を伺いたい。
○大倉政府委員 たいへんむずかしい、しかし大事な問題の御指摘だと思うのでありますが、やや個人的な見解になりまして恐縮でございますが、おそらく今後その問題に対処してまいります行き方としては、制度論としては二つの方向があるのではなかろうか。一つは、おっしゃいました経常的財産税ないしは富裕税という制度によります受けとめ方、もう一つは高額な商品の売買に関しまして、流通税なり消費税というもので何らかの制度が考えられるかどうかという問題おそらくその二つの方向が、少なくとも理論的には考え得るのではなかろうか。ただ、私どもといたしましての検討は、ほんの戸口にやっとたどりつきかけておるという程度でございまして、具体的な案についての審議、検討までまだまいっておらないというのが正直なところでございます。
○竹本委員 具体的な取り組みがまだできてないということでございますけれども、方向としては、これは当然取り組むべき問題だし、課題だと思うのです。そういう意味で、いずれの方法によるかはまたいろいろ議論があるでしょうけれども、何としてもそういう傾向が非常に顕著にあらわれていることも事実です。そしていまの段階がインフレであるかないか、いろいろ議論がありますけれども、われわれはもはや換物インフレの段階に入っておると思いますし、その換物の最もいいものは、結局土地か株か書画骨とうか——ゴルフの何とかというようなものもありますけれども、そういう新しい情勢が急速に進展しておりますので、これは検討ばかりでなくて、やはり間に合うように取り組むことが必要であろうと思いますから、これも要望だけ申し上げておきますが、ぜひひとつ前向きに早急に検討していただきたいと思います。 次に、相続税のことについて一つ二つ伺いたいと思います。相続税の場合に、イギリスにおいては非常に高率の税をかけておるようですけれども、そういうイギリス的な相続税のあり方について政府はいかなる考えを持っておられるか、それをちょっと伺いたい。
○大倉政府委員 ただいまの竹本委員の御指摘の趣旨が、相続税という税を通じての財産の再分配について、非常に積極的であるというか、強目であると申しますか、そういうものであるべきだと考えておるかどうかという御指摘かと思うのでありますが、私ども、相続税の持つ機能といたしましては、やはりこれによって財産の再分配という機能を期待するということは忘れてはならないだろうと常に考えております。ただ、それを具体的にどのような税として組み立てるかということ、これは課税最低限と税率の組み合わせによる——これは竹本委員に申し上げるのは釈迦に説法でございますが、今回の改正に関連いたしまして、いまの相続税負担のあり方がどうであろうかということが議論の中心になりまして、現状においては相続件数に対する課税件数の増加がかなり著しいというような点から見て、一般的に相続税の課税対象となる範囲を若干最近の財産価額の上昇によって調整すべきである、つまり一般的には課税最低限の引き上げによってこれにこたえるべきであるということになったわけでございます。その際に、現在の税率構造がこれでよいのかという問題も税制調査会では取り上げられたのでございますが、私どもがその御議論の過程で受けた感じといたしましては、やはり税率のあり方は相続税課税上の財産評価のあり方と非常に密接に関連しておる、評価の現状をなおしさいに見た上で実は考えるべきであろう、とりあえず急ぐのは課税最低限の引き上げであるということで今回の提案に至ったわけでございます。 もとに戻りまして、相続税負担というものが、いまよりももっと強く、あるいは累進増を高くしたものであるべきかどうか、それについては御意見としては両様あるように思っております。いまのでは低過ぎるという意見といまのでもちょっと高過ぎるという意見と両様あるように思います。なお、それらの点につきましては、後日税率の検討をいたします機会に十分に検討をいたしたいと考えております。
○竹本委員 いまいろいろ御答弁がありましたけれども、いまの日本の相続税はそういう再分配機能を果たしておるというお考えであるかどうかということが一つ。それからもう一つは、福祉国家だとか年金の充実だとかわれわれがいろいろ言っておりますが、そういうことになれば、だんだんと子孫のために美田を買わない方向にいくのがむしろほんとうだ、したがって財産の再分配機能というものはますます強化されてしかるべきだ。私は、そういう意味でそちらの機能を特に重視するわけでありますけれども、いまの相続税は、そういう再分配ということの機能も財政学上はあると思うのですよ。しかし政治的、実際社会上どの程度にあると見ておられるか、その方向はこれから強化されるのかどうかという点をもう一度よく承りたいと思います。
○大倉政府委員 たいへんむずかしい御質問で、いまの日本の相続税によって富の再分配という機能が十分に果たされておるかという御質問を受けますと、ちょっと私といたしまして、十分であるとか不十分であるとかいうお答えをするだけの用意はございません。結局、課税最低限としてのいまの水準が妥当であるのかどうか、また現在の財産階層から考えまして、これ以上大きな財産というものをどの程度認めていいのかという、ある意味ではかなり哲学的な問題にもからんでまいるかと思いますものですから、なかなか一律的に、いまの制度で十分だと思うというお答えもできかねると思います。 ただ、今後のものの考え方といたしまして、一方では勤労者財産形成というような考え方がかなり強くあるわけでございます。勤労者財産形成というものがいまの貨幣価値で一体どれくらいの財産というものをねらっておるのかが、実は必ずしもはっきりしていないようでございますが、その辺に一種のコンセンサスが得られれば、そこに相続税の課税最低限の水準を求めていく、それを越える分についてはそれなりにかなり強目の累進構造を求めていくということも、やや具体的に議論をし、検証できるということになるのではなかろうかと思っております。
○竹本委員 これと関連しますけれども、相続税をかける場合の土地や建物に対する評価の問題ですけれども、これが時価との関係で半分ぐらいじゃないかと思うのだけれども、実際はどうであるか。それからこの相続税の評価と、土地についていえば公示価格、それから固定資産税の評価といったようなものとの関係はどういう割合になっておるか。またそれはいつごろの調査による結論であるか。それをひとつ聞きたい。
○吉田説明員 御承知のとおりに、相続税の評価は、法律では時価によるとだけ書いてございまして、その時価は何かということで、われわれといたしましての取り扱いは、正常な売買価格ということで考えております。特に土地におきましては、御案内のように、土地の値段が前後かなり開いております。買い急ぎの場合もございますし、それから売り急ぎの場合もあり、非常に幅があるわけでございまして、その際われわれの考えといたしましては、その仲値を正常売買価格として考えております。これは通常理論的には、売り手も買い手も不特定多数の人が自由に売買したときに成立するであろう価格を仲値といって、正常売買価格といっております。この正常売買価格をどうやってつかむかということで、私ども、建設省、自治省、それぞれ苦労しておるわけですけれども、それをきめます際には、精通者その他の専門家、不動産研究所、不動産鑑定士、そういった専門家を呼びまして、いろいろ意見を聞いてきめているわけでございます。 ところで、その正常売買価格は、おおむね建設省でやっております公示価格と宅地の場合には同じでございます。相続税の場合には、最初に申しましたように、従来から土地の値段の幅が非常に広い。あるいは相続税の場合には、最終的にはそれを売って払わなければならないという場合もございますので、いわゆる処分価格的に考えておりますので上下の幅が広い。正常売買価格を中心にいたしまして、上下大体二、三割の幅は、いろいろ精通者の意見を聞きましても散らばりがございますので、かた目に大体その七割の水準で押えるようにやっております。したがいまして、公示価格と相続税の価格の差は〇・三、〇・七ぐらいでやっておる、こう御理解いただいていいと思います。 ただ、御案内のように、公示価格というのはそれぞれの年の一月一日現在でやっております。相続税のほうは一年を通じてでございますので、基準としては七月一日を基準にしてやっておりますので、相続税のほうが半年ほどおそいという問題、あるいは早いと申しますか、いずれにしましても半年のズレがございます。それから固定資産税でございますが、固定資産税のほうは三年に一ぺん基準を改定しておりまして、毎年ではございません。ちょうど四十八年が改定の時期にあたっておりまして、その四十五年の水準で現在四十七年分はやり、ことしこれから自治省のほうで決定することになっております。これまでの水準ですと、固定資産税の水準はおおむね相続税の半分とお考えいただいたらよろしかろうと思います。
○竹本委員 いま御説明がありましたように、バランスというよりもアンバランスがいろいろあるわけだけれども、またそれぞれの特殊事情もあるので、そのこともわかりますが、いずれにしてももう少しバランスをとったらいいだろうと思うんだけれども、その辺に対するくふう、努力、これについてお考えがありますか。
○吉田説明員 まず、公示価格と相続税の問題でございますが、御承知のとおり、公示価格は昨年一月一日で数が非常に少のうございまして、宅地だけでございますと二千八百カ所でございます。相続税のほうは現在宅地だけで七万筆とってございます。公示価格のほうは、伺いますところによりますと、ことしは五千五百弱に持っていきたいといっておられますが、相続税のほうの地点と公示価格の地点がかなり離れているわけでございまして、できるだけ公示価格のあるところはそれを仲値といたしまして、七掛けの水準でわれわれはいまやっておるわけでございます。 それから、固定資産税と相続税の水準は、同じ財産税であるからできるだけ統一するようにというお話がかねてからございまして、われわれも一生懸命その努力をしているわけでございますが、先ほど申しましたように本質的に固定資産税のほうが相続税の半分ぐらいでございますので、これを、そのうちの最高値だけを技術的にはなるべく合わせるようにしています。あまりそこばかり合わせますと固定資産税のバランスのほうが、かやのつり手と言っておりますが、そういうかっこうになる可能性がございますので、そういう努力をしながらも全体のバランスをとりながら引き上げていくという努力をしている段階でございます。
○竹本委員 これも要望になりますけれども、やはり相互のバランスをうまく調整してやってもらうことが一つと、それからもう一つは、いま土地に対する課税だなんて騒ぎだけいたずらに大きいんだけれども、実質的に何が出てくるかということに立つと、残念ながらあまり大きな期待はできないんじゃないかと思うわけです。それよりも、手っ取り早い固定資産税の評価や何かをもう少し適正にするほうがより実際的であると思いますが、いかがですか。
○大倉政府委員 特に御質問の最後の点につきましては、いわゆる保有税を議論いたしましたときに、まさしく竹本委員と同じような御指摘が各方面からずいぶんございました。それで固定資産税の評価と、さらに現在の評価額でさえも実際の課税標準に用いられておらないというもう一つの問題がございまして、それで今回の改正案の御審議をお願いするにつきましては、まず評価額は、四十八年度が評価がえのときにあたりますので、できるだけ適正な評価に努力する。しかも従来の負担調整措置を改めまして、できるだけ早く評価額による課税を実施に移すということにする。しかも同時に、それをやりますと、現に住宅用地として使われております土地の固定資産税の負担が上がり過ぎるということが指摘されますので、現に住宅の用に供している敷地については新評価額の二分の一をもって課税標準とする、いわゆる頭打ちをつくるというような各種の改善を加えるということで、これは私どもの担当ではございませんけれども、固定資産税について今回の改正案の御審議をお願いしておる。かたがたそれに加えまして、御存じのとおり特別保有税というものを、これは取得価格ベースで負担を求めるということにさせていただいておるわけでございます。
○竹本委員 最後にもう一つ相続税について。これは民法との関係の問題ですけれども、御承知のように、民法が均分相続をやった。そういう制度に変えて、民主的な一歩前進の面もありますから、その点はその点でそれなりに評価をしますけれども、日本の実際の家庭あるいは家族制度の実情等から考えてみると、実際の場合においては、長男がそのほかのきょうだいのめんどうを見るとか、あるいは親のめんどうを見ておるという場合も相当多いですね。しかし、民法は均分相続というたてまえになっておる。そこでずいぶん実際上の社会の実情とは矛盾があると思うのだけれども、そういう矛盾があるということを認めておられるかどうかということが一つ。それから認めておるとすれば、税法上これに何らかの調整なり取り組みをしなければならぬと思うのだけれども、民法が厳として存在する限りどうにもならぬということであきらめておられるのか、その辺についてのお考えを伺いたい。 それから、ついでに関連して申し上げますが、これは兄貴が親の世話や弟の世話をしているという問題ではなくて、今度は、もう一つの場合は、実際上おやじは隠居しておって、農家でも中小企業でもいいのですけれども、実際の経営の責任はほとんど長男が背負っておる、また長男の時代になってから事業が大いに発展してきたという場合に、おやじが死んで相続するということになれば、実際は自分がかせいでためた財産を自分が相続するというような形になって、税金だけ払うというところに若干矛盾があると思うのですね。それならばおやじが隠居すればいいじゃないかという議論も成り立つと思うのですけれども、おやじにさびしい思いをさせるのはいやだということで、子供のほうはむしろ感心した態度で、遠慮しておる。しかし実際は全部自分が責任を持って業績をあげておる。そのために蓄積された財産は、自分がつくってやったものであるということになる場合が多い。そうでない場合ももちろんありますが、そういう場合についても、いまの税法的に見ればほとんど配慮、考慮ができないのじゃないかと思うのですね。それに対して現実をどう認識しておられるのか、今後またどういうあり方を打ち出そうとしておられるのか、その二つの点についてお伺いしたい。
○山本(幸)政府委員 確かに相続税の問題を突き詰めていきますと、最後は民法の問題になり、いまおっしゃる終戦後新しい憲法下における均分相続の問題に行き当たるのでありまして、その限りにおいては税制でそれを何とかカバーしようとしても限界があるということがございます。ただいま法務省ではどの程度におやりになっておるのかよくわからぬのですけれども、そういう問題についても御研究をなさっているやに聞いておるのであります。いまおっしゃるように、特に農家の場合、農家経営を引き続きやっていく場合に、財産が非常に分散してしまえば、農家経営の単位が成り立たないという問題に行き当たるのでして、これは御承知のように、被相続者が生存中に一括贈与という新しいやり方をいまやっておりまして、そういうことで一応の救いはできておる。それからまた、いまおっしゃるように、中小企業の場合になりますと、農業の場合とまたその経営の形態が違いますので、所有と経営というものがある程度分離ができるという考え方もありまして、その点は農業と趣を異にしておるということもあり、またそういう後継者の方が家で一生懸命に家業をやっておられるという場合には、給与その他を財産形成のほうに持ち込めるというようなことも考えられるわけでありまして、農家の場合と中小企業の場合と若干ケースが違いますけれども、税制としてはできるだけそういう方向で考えて、できるだけのことはいま考えておるように思うのです。 ただ、いかんせん新しい憲法下で従来の家族制度、家という観念が一応なくなった形になっておりますので、再びそれへの復元を一部させるというようなことについては、これも私は新しい考え方に立ってはちゅうちょされる面もあるであろう、法制的にはたいへんむずかしい民法の問題であろう、かように思うわけであります。
○竹本委員 これまた善処を要望して、質問を終わります。
○大村委員長代理 広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 有価証券取引税法の一部改正法案に関連をして若干の質問をいたしたいと思います。 まず最初に、証券局長に、今日の時点における取引市場の状況というものをどのように見ておられるのか、そして当面証券行政としてどういうものが重点的な政策なのか、大蔵当局の今日の事態に対して考えておられる問題点についての見解をまず概略お聞きをいたしたいと思います。
○坂野政府委員 御承知のとおり、戦後のわが国証券市場は、長い間その機能を十分に発揮できない情勢に置かれておったわけです。これは二点ございまして、第一は金利機能、価格機能というものが、わが国国民経済で十分働くような環境が育っていなかったという点であります。第二点は、証券業界の力が弱くて、発行者、投資者をつなぐこの力が非常に弱かったために十分な機能発揮ができなかった。この二点に大きく言えば尽きると思います。 それが最近に至りまして、外貨流入を機として、国全体にたいへん余裕の資金もできてきた。俗に言えば、国民経済全体が金持ちになった。証券取引も盛んになりまして、業界の力も相当備わってまいりました。こういうことで、いままで問題になっておりましたその大きな二点というものが解消されつつある、そういう現状になってきておるわけであります。 それに着目しまして、発行市場のほうも非常に活発になってまいりまして、時価発行、転換社債発行というような新しい発行様式も盛んになってまいりましたし、また外国の発行会社もわが国証券市場に着目して、円建ての外債をはじめといたしまして、わが国の市場で消化するような証券発行というのがかなり活発に行なわれるようになってまいりました。こういう状況におきましては、まさに年来いわれておりましたわが国の長期の資金、長期の資本というものを証券市場を通じて調達するという機能が、ようやく十分にその機能を発揮できるその場ができてきたわけでありまして、そういう意味におきましては、国民経済的に非常に重要な場面に立ち入ってまいったというふうに認識しております。 ところで、こういう時期において何が一番大切かということでございます。これは証券市場というものが自由な取引を前提とする市場でありますだけに、その流通市場でつくられる価格がフェアなものでなければいかぬ、公正な手段によってつくられた価格でなければ世の中の信頼を得るわけにはまいりません。その信頼がないままに新しい証券が発行されますと、発行される証券についての信頼がゆらぐおそれがあります。そういうことになりますと、証券市場の持っております基本がくずれてくる、その基本の基盤がくずれてくるわけであります。そこで何よりも大事なことは、価格形成を公正なものにして、そこでできている価格について広く信頼を得るということが大事であろうかと思います。そういう観点に立ってただいまの市場をながめてみますと、株式市場につきまして、御承知のとおりたいへんたくさんの資金が流れ込んでおりまして、取引高も非常に多くなっております。また、そういう基盤の上に時価発行等も非常に盛んになっておりますけれども、そこで行なわれておる価格形成が、はたして資本市場本来備えるべき十分練られた価格、大勢の人の評価がそこへ集まって、そうして練られた価格形成というものが行なわれているかどうか。一部の意思がそれを遮断していないか、間違った考え方がそれに加わっていないか、あるいは株式の価格形成について不正の手段、技巧等が弄されていないかどうかという点につきましては、すべて万全とは申しがたい状況にあるのでありまして、そういうことから株式市場の価格形成についてよりこの価格を公正なものにしていくということが目下の急務であろうかと思いますが、そのために取引所におきましても諸種の規制をいたしておりますし、また私ども、証券会社の営業態度あるいは外部からの投機資金等について十分慎重な監視を続けておるという現状であります。また一方、時価発行につきましては、この株高に便乗して不要不急の資金が調達されるとか、あるいはその発行される株式が広く一般に流布されないで一部の法人に集まるとかいうことのないような指導を続けておるわけであります。 一方、公社債市場につきましても同じでありますが、特にわが国の公社債市場は、いままで金融環境の圧迫によりまして十分その機能を発揮し得なかったという事態がございます。こういう非常に恵まれた金融環境のときに、十分人々に広く信頼される価格形成の行なえるようなそういう流通市場をつくりまして、その流通市場でできた価格を基礎として新しい発行が行なわれていくというようなメカニズムを育てていく必要があるわけでありまして、目下のところ証取審議会の二月五日の答申が行なわれました審議会の答申の趣旨に沿いまして、大至急この流通市場を整備するということをいま作業いたしております。 以上のような考え方でありますが、それを推進いたすものは何といっても証券業界であります。したがいまして、証券業界が取引所を含めまして国民経済のこの大きな要請にこたえますためにほんとうに信頼される姿というものになっていかなければならない。いま一部証券界に対して非常な批判がありますむこの大事なときに何をやっているんだというような批判もあります。こういう批判にこたえるためにも、証券界は何のために何をしようとしているのかということを明示して進む必要がある、そういうふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 抽象的にはお答えをいただいたわけですけれども、私どもどうも今日における証券市場、特に株式市場というものが、変動相場制だ、フロートだということは同時にもう実質的に円が切り上げになっている事態でありますけれども、しかもこの円切り上げの事態というのはデフレ効果を持つのだということはこれは常識的に言われてきていることであるけれども、ちょうどそのフロートに移行したその日に東証ダウが九十二円もはね上がるというような事態になっている。そしていまや大きく六百四十三円も下がったのが、またたく間にフロート移行後において回復をして、二月十九日にはもうすでに五千二百七十七円になりまして、一月二十四日の五千三百五十九円七十四銭にもあと一息に迫まっているという、こういう状態、言うならば株式市場の過熱ぎみなこの状況というものを、私ども国民には何ともぴんとこない、物価高の中で苦しんでいる大衆にとっては全く縁のない、異質の世界のような気がして、ただあれよあれよとながめるばかりである、こういうような状況になっている。先ほどの局長のお話の中にも、国民大衆と市場というものができるだけ密着するようにという証券行政における民主化の要請、こういうようなものが欠けておったということでありまするけれども、そういうものが勤労大衆を中心、というよりは国民大衆ベースというものとこの市場の動きというものとがまことに全く異質の、全然大衆ベースではそこに近づくことも何もできないような、そういう全くかけ離れてしまった存在にしか映らない、こういう状況にあると思うわけであります。そしてしかも四十七年の一月ではダウ平均が二千七百円台であった、これがいまや五千三百円というようなところまで、二倍以上とまではいかないけれども、一年に完全にダウ平均で倍になるというような状況になっている。 こういう事態というものに対して、さすがに、これはもちろん超金融緩和、外為会計からの散超というようないろいろな要因は重なったけれども、暮には異常な過熱を防止するといういまだかつてない吉國次官通達というよりも警告が証券四社に対して与えられる、こういうような事態でややおさまりかけたけれども、しかもこの円切り問題というようなことが加わったにもかかわらず、今日この騰勢を続けているという状況というものはどのように見るのか。これはもう一口に言えば、要するに株はもうインフレを買っているのだ、インフレヘッジというような要素も当然あるけれども、そういう消極的なものじゃなしに、もう当分はインフレだ、したがってもう株を買っておきさえすれば間違いないというようなことで、事業会社や特に商社にそういう法人買いというものがどんどん出てきている、こういうようなことについて望ましい姿だというように見ているのですか。私は、そうではないというように思うわけですが、この証拠には、信用取引の証拠金に対する準備率の引き上げというようなこともやられたりしておりますからその点はわかりますけれども、こういう事態というものを根本的にどのように望ましい事態、非常に長期資金を株式市場で調達をしていくのだということが定着し始めたというようなことで単純にそういうような形で割り切っていいのかどうか、その辺についての御見解をお聞きしたいと思うのであります。
○坂野政府委員 最近の通貨問題をめぐりまして、一時言われますように、株式市況の鎮静化が見られそうになったわけでありますけれども、その後急激にまた株価が上がってまいりました。これは主として外部からの投機資金、それも法人よりもむしろ個人の投機資金というものが主体になっておる模様であります。個人と申しましてもかなり大きな単位の投資でありますけれども、これがいわゆる仕手株をねらいまして短期の売買益をあげるという回転商いを行なっておりまして、これが非常に勢いが強かったために、一時鎮静化しかけた法人売買もこれに引っぱられまして、再びやや盛んになりつつある。しかし出来高全体から見ますと、一月三十日以前のような状況ではありません。そこで、こういう状況になってまいりますと、言われますとおり、株価というものに対する考え方が、もう単に需給関係と申しますか投機的な考え方と申しますか、そういうことで考えざるを得ないというような非常にふしぎな現象になっておるわけであります。 そういう状態のもとにおいて、私ども行政としては何をやるかということでありますけれども、先ほど来申し上げましたように、やはり一番大事な価格形成がフェアに、公正に行なわれないで、不公正な価格形成——でき上がった価格が公正であるか不公正であるかは何人もわからないわけであります。しかし、その価格をつくる過程、プロセスというものが公正であるかどうかという点が一番のポイントでありますので、そこがくずれないような、そういう心配をしておるわけであります。 具体的には、証券会社がこういうときにどういう考え方、発想をするか、どういう営業をするかというのがまず一番の基本になります。その考え方がお客に間違った考え方を教えるようでは、これは話になりませんので、そこは非常に大事なポイントである。 二番目は、そういった外部からの投機資金等が、特定の銘柄をねらって取引所でいろいろ不正、技巧等を弄するおそれがあります。それを取引所としては防いでいかなければなりません。また私どもも取引所のやり方を監督いたしまして、十分にそれが防げるような、そういうことも必要であります。また大きな証券会社におきまして、特定の銘柄をかなり広く一般投資家にすすめるような営業のやり方もいまだに残っております。そういった銘柄選定あるいはやり方について、いわゆる投資家保護に欠けることのないよう、そういう監督をいたしてまいらねばなりません。いずれにいたしましても、言われますとおり、いままでの常識で考えますと、たいへんむずかしい場面に至っていることは事実でありますので、十分慎重な監督をいたしていきたいというふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 株価の決定が公正に、フェアに行なわれるということが非常に重要な問題点なんですけれども、一体公正に行なわれるためには何が必要なのかということですね。証券会社から出している「証券読本」というのにも「株式の価値は、その株式を発行している会社の収益力と会社資産の財産価値によってきまる。」とある。これはまさに教科書的大原則だと思うんですね。 〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 そのほかに、もちろん株は将来の先行指標だ、株価は景気の先行指標だともいわれる。そういうような面では、世界経済の動きあるいは国内経済の動き、景気動向、そういうような外的な条件というものも加わる。そういうものでスペキュレーションの対象にもなるというようなことですから、そういうものの中で公正な価格決定というものは一体どうなんだ。そして今日のこの異常な株高に対して、次官がわざわざ証券会社を呼んで暮れには警告をした。若干の効果はあったけれども、その後の事態はもはやもとに戻って、それ以上にむしろ強気になっている。こういうことの中で、やはり株価がどんどん上がっていくという状況にある。こういう事態というのは、この読本における原則的な株価形成というものがはたして公正に行なわれているのかどうか、この読本に書いてあるようなことで動いているのか、あるいは外部的な不正な技巧だとか撹乱的ないろいろな要素なんかが集まって異常な状態をつくり上げているのか、そういう点についてどのように見るのが正しいのか。そしてそれに対して、公正な株価の形成という点について大蔵省の証券行政としてはどれだけのことができるのか。そして実効はどういうようにあげられるべきなのかという点についてのお考えをお聞きしたい。
○坂野政府委員 公正な価格形成ということは、ある程度の専門的な知識を持った不特定多数の評価が市場に集まってくるという前提が必要でございます。ある程度の専門的知識の中には、ただいま言われましたような発行会社の状況、流通市場の状況、それからもっと広く国民経済あるいは世界の情勢についてのある程度の知識——全然無知識な、ただ単にこれはばくちである、買えば買うほど上がるものだというような人々だけで構成される市場であっては、もうすでに公正な価格形成を行なうということはできないわけであります。その意味である程度専門的知識と申し上げておるわけであります。そのある程度専門的知識を持った不特定多数の評価、これは多ければ多いほどいいわけでありますが、それが市場に遮断されずに持ってこられる。途中で遮断されてはいけません。 遮断というものはどういうことかというと、証券会社が大ぜいの人々の売り買いをまとめまして、その意思を無視して、いやこれはいまは売ったほうがいいとか買ったほうがいいとかいって引っぱったとすれば、それはもう遮断であります。遮断されることなくそれが持ってこられる。しかも厳格に申せば、時間の早い評価は早い時間に持ってこられなければいけません。早く判断したのに夕方持ってこられたのでは、これは食い違ってしまうわけです。そういうプロセス、そういう過程が必要であります。しかもその市場には不正とか技巧が入ってはいかぬ。不正、技巧の中にはどういうことがあるかというと、ある人が特別の情報を持っておって、だれにもそれは教えない、その情報で特別の行為をするというようなこと、これが広くインサイダー取引といわれているものであります。最も危険なのは、発行会社が自分の会社の外部に知られてない秘密を知っておって、発行会社の役員とか大株主が自分の会社の株を売買する場合、あるいは証券会社で、引き受け証券会社がブローカーを兼務しております。この引き受け証券会社がブローカーを兼務することによって、いわゆるアンダーライター部門で得た知識をブローカー部門に利用する、これもインサイダー取引の一種であります。あるいはまた、外部の投機資金が一定の銘柄をねらって、非常に技巧を用いて株価を押し上げていくというような売買もあります。そういうことはすべて不正、技巧でありまして、証券取引法上これはしてはならないこと、すれば罰則が加えられるべきたてまえになっている事項であります。あるいは証取法自身になくても、取引所の規制でそういうものは排除されるたてまえになっております。そういうような不正、技巧が排除され、大ぜいの人々のそういったある程度の専門的知識の評価というものが集まってくる、それが価格形成がフェアに行なわれるゆえんであり、それが私どもが言っておりますところの投資家保護ということであるということであります。 もう一点加えますと、ある程度専門的知識のところに、証券会社の営業態度がかなり大きく影響いたします。ですから、ある程度専門的知識が足りなければ証券会社がこれを補わなければいけませんが、また正しい知識を持っている人を押し曲げないようにすることも大事です。そういうことでそれがうまくできた暁は、どういう価格であろうと、そのでき上がった価格について、何人もこれが高過ぎるとか安過ぎるとかいうことは言えないと思います。しかし、そのできる過程がそういう過程でなかったならば、でき上がった価格について一部に不信感があっても、これはいたし方のないことである。 しからば、現状においてどうかといえば、いま申し上げたようなことが完全に行なわれていまの株式流通市場の価格ができているというふうに、残念ながら申し上げるわけにはまいらないわけであります。そこで私どもは、証券取引法の違反がないように、また取引所は、取引のルール違反がないようにこれを監視していくということが一番重要であるということであります。
○広瀬(秀)委員 お話しの筋はまさにそのとおりですし、そして時間優先の原則というようなことなんかも証券取引市場ではほぼ間違いなく守られているだろうと思うし、そしてまた、この情報化社会において、情報を的確につかんだものが、その情報が遮断されない状況の中で株価形成に参加をしてくるということも、さらにまた、アンダーライター業務とブローカー業務と分離をして、その地位を利用してうまくやるというようなことを排除するというような改正等も、今日まで当委員会を通じての論議の中で実現をしていると思うのですね。ところが、今日の事態は、そういうものにもかかわらず、かなり異常な事態で高進をしておるということが言えると思うのであります。いま局長がおっしゃられたようなことを前提にすれば、現在のものがいいんだという形にこれは当然ならざるを得ないんです。現在どんどん株価が上がっていく。異常だといって、大蔵省でも証拠金操作を通じて準備率の引き上げで信用取引の規制を行なうということなんかをやっても、なおかつ上がっていく。こういう事態に対して、これがもういいんだという現状肯定にならざるを得ないわけですね、いまの説明では。ところが、やはりその背後にある問題というもの、いまの御説明の中でも、フロート後における状況は、法人筋は一たんやや鎮静しかけた、そこへ今度は、おそらく土地でもうけたか何かというようなものがかなり巨額の資金を株に一斉に向けてくるというような半くろうと的な個人買いというものが出てまた上がっておるというようなこともある。いずれにしても株を買っておけばインフレヘッジもできるんだ、そしてインフレだから株価上昇によってキャピタルゲインを大きく得よう、こういうような投機という形のものがどんどんふえてくる。この投機性というようなものがそこにさらに加わってくるというようなことになったら、これはやはり証券行政だけではもうどうにもならないところへきている、こういうように見られるのですが、その辺の見方というものは、証券局としてはどのようにお考えでしょうか。
○坂野政府委員 証券行政は、ただいま申し上げましたとおり、その価格形成をよりフェアなものにしていくということに尽きるわけでありまして、その結果株が高い安い、あるいは出来高が多い少ない、これはもう言われますとおり国民経済全般からくる問題でありますので、その点について、証券行政でそれを減らすとか低めるとかいうことは無理かと思います。
○広瀬(秀)委員 これは現状では必ずしも妥当しないかもしれませんけれども、証券市場における買いの主役は、法人が四十七年度においては主役をなしたということで、この手元にある資料によりますと、法人買いの株数は、九月五億一千万、十月六億一千万、十一月十一億九千万というように膨張してきている。こういうような状況で、しかもその法人買い全体に占める事業会社の比率が、昨年の一−三月四四・五%から四−六月が五九・八%にはね上がって、七−九月が七二・七%、十−十一月が七八・八%、まさに八割にも達したということが言えるわけであります。その中でもどういう会社が買ったというようなこともあるわけですけれども、こういうところは、もう本来の事業——先ほど竹本委員も触れましたけれども、商社なりあるいは海運業者がほとんど証券会社そこのけの株買いをやっているというようなことで、事業会社がまさに証券経営に転換をしているんじゃないかとすら疑われるような事態というものが株価の引き上げに大きく貢献をしてきた。 こういうような事態というものは、日本経済全体にとって、自己資本をそういうことで充実させていくというような本格的な長期資金の調達という形で考えていくのじゃなくて、それをあくまで投機の対象あるいは売買差益のキャピタルゲインを獲得して法人の業績をあげていこう、そういうことで土地買いに走ったり株買いに走る。自己資本の充実ということも、なるほど、土地で持っていることもあるいは株で持っていることも、こういう事態ではいいということかもしれませんけれども、はたしてそういうマインドというもの、ビヘービアというものがいいのかどうか。そういうものに対しては証券行政の中で何らのチェックもできないのか。そういう問題点について、そういう事態というものがいいのか悪いのか、その判断をどういうようにされておるのか。そして私どもはそれに対して好ましい形ではない、やはり多くの大衆の金融資産の保有という形を通じて、それがどんどんふえていくという形の中で株への投資というようなものがすそ広がりに広がっていく、こういう事態というものこそが正しい方向なんであって、そういう一部の、特に事業会社がそれに集中して、本来の企業もそこのけで株の売り買いというようなことを通じての経理の好転、また外国為替差損というようなものを埋めたり、企業業績をあげたり、そういうことだけに集中していく、そういうビヘービアというものは私どもは好ましい方向だとは思わないのだが、その辺の判断と、それに対する対策というか、そういう姿勢を正しく転換させる方法というのはどういうものなのか、こういうことについて承りたいと思います。 〔木村(武千代)委員長代理退席、大村委員長代理着席〕
○坂野政府委員 倫理観その他基本問題がございます。しかし、証券行政のたてまえからだけ申し上げますと、そういう法人が売り買いするということについては、いい面、悪い面両方あるわけであります。いい面と申しますのは、ただいまのような極端な例がいいという意味ではございません。一般に法人が売り買いすることのいい面というのは——もともとわが国では法人の売り買いというのはあまりございません。したがいまして、個人投資家が主体の流通市場であったわけです。個人投資家が主体の流通市場でありますと、大きな株価変動のときにそれに耐え得る力がありませんので、非常に弱い市場になるわけであります。ロンドンとかニューヨークに比べましてわが国の市場が非常に弱かったのは、そういう歴史があったわけです。しかし、悪い面は、法人は、いま言われたような例外もありますけれども、一般的には、売り買いもさることながら、系列化とか、それから資本対策とかいうことで株を集めますので、これが市場に流れ出てこない、市場の株が少なくなってしまう、そういう弊害があります。その結果、個人の持ち株比率がどんどん減っていくとか市場の浮動株が減るとかいうことがあります。こうなると今度は市場が狭くなるという弊害があります。したがって、一般的に法人の売り買いについて倫理観その他は別として、証券的に見て、いい面もあり悪い面もある。しかし、いまのように極端に法人にどんどん株が集まっておるというときには、やはり市場が狭くなる心配と、それからもう一つは、将来いろんな変動の際にそれが一挙に流れ出たらたいへんだという心配と、その二つがあるわけであります。 それから、個別の企業がそういうことをするについては、やはり企業財務内容の公開制度がございますので、証券行政の面からは、そういった証券売買によって大きく売買益が出たとか損をしたとかいうことは、十分に財務内容を発表してもらわなくてはいかぬわけでありまして、それは一つの点であります。 また、時価発行等をその会社が行ないますと、ふだん大きく証券売買をやっておって時価発行等を行ないますと、何か株価操作的なことをやっているんではないかというような疑いも持たれますので、そういう点について、もしそういった会社が増資等を行なう際には十分慎重な態度が必要であろう、そういうふうに考えます。
○広瀬(秀)委員 四十七年の年初来の法人の株の買い越しが七千億円にのぼっている、あるいは七千二百億といわれるようでありますが、そういうものがある。そのために、いまおっしゃったように株が非常に市場から品薄になってくるというようなことで、大きい注文が入ったら今度は玉がないというような事態も起こるというようなことになってくる。そういうような場合でも大きい買いというのは、個人といっても、何十億、何百億というような金を持った巨大なマンモス個人、化けもののような個人資産家があるわけですけれども、一般投資家というようなものはもう手の届かないような状況になってくる。どんどん株価が上昇しておって手の届かないところにいってしまうというような現実があって、もうとても、株でも買おうかと思って幾らか貯金を持ったというような零細な投資家、庶民大衆の中から株を持とうという人たちなんかも、株が手の届かないところにいってしまう。こういうようなことになって、株式の保有の状況というようなものも、個人の保有のシェアというものがどんどん下がってくるだろう。こういうようなことも心配されて、こういう事態がそのまま続くとするならば、これはもう当然に個人保有の株式というようなものはどんどんシェアダウンしていってしまうのではないか。そして一般投資家ならまだしも、そういう事業会社というようなところが新しい証券経営にどんどん走ってしまうというようなことによって、いよいよ証券大衆化というか、証券民主化というようなそういう方向とは全く逆な方向をたどるんではないかということを私ども心配するわけなんでありますが、そういう方向にいま拍車がかけられている事態と私どもは見るわけなんです。去年の一月ごろの、あるいは、その月は限定しませんけれども、ここ一年間ぐらいに、どのくらい、個人保有と法人保有、保有者別のシェアはどういうような変化を大体一年間に見せたか、この辺のところの数字をちょっとお聞きしておきます。
○坂野政府委員 一年間の個人の売り越し株数が十九億五千七百万株であります。その分が法人にはまっておりますが、法人は主として上半期には生損保、金融機関、事業法人、それぞれ同じぐらいふえておりまして、生損保が四億九百万株、金融機関が四億七千七百万株、事業法人が四億六千二百万株、それぞれネットでふえておるわけであります。ところが、下半期に至りますと、生損保が六千四百万株、金融機関が五千二百万株しかふえておりませんが、事業法人は八億一千九百万株ふえております。したがいまして、個人は十九億株減ったわけでありますが、その分が金融機関と事業法人にはまっておる。そのはまり方は、夏以降は主として事業法人へはまっていった。この一月一カ月をとりましても同様でありまして、個人の売り越しが一億一千九百万株、海外投資家の売り越しが一億一千万株、計二億二千九百万株でありますが、これが事業法人に一億六千五百万株、生損保に二千七百万株、金融機関に一千九百万株、残り端数は投資信託であります、そういうふうにはまったわけであります。したがいまして、個人の分は法人にはまる、その法人も商社その他の事業法人にはまっておるというふうに見ることができると思います。
○広瀬(秀)委員 そういう傾向というものがはっきり出てきておると思うのです。そうなると、これは証券民主化だとか大衆化だとかいうような議論は、もはやほとんど実質的意味を持たないような形になってしまうのではないかと思うわけでありますが、その点を、証券はやっぱり大衆が持つ、持てる、そしてそういう形になっていることが、特にこれから資本の自由化というようなことで国際化が進行する、資本取引市場の外国企業がどんどん日本にも投資をしてくるというような段階でTOBをどんどんかけられるというような事態でも、やっぱり大衆が株式を持っているというような状況こそが、一番これは安定株主といい得ることだし、TOBに対する抵抗も強まるはずだと思うのでありますが、事業会社なんかがどんどん・持っているこの状況が、ずうっとダウ六千円までいくだろう、六千五百円までいくだろうというような長期の見通しもあるようでありますが、そういうことで今度はまた世界的な不況とか、あるいは円の再切り上げあるいは再々切り上げというような事態だとか、過酷なそういう通貨調整なんかが押しつけられて、もはやそれをのまざるを得ないというような事態になった場合に、事業会社がそういう証券投資だけでもうけていくというような事態が、証券市場におけるさま変わりというような状態の中でこれがどういうことになるのか。それが国民経済に及ぼす影響というようなものが順調に上がっていくときには、これでいいかもしれないけれども、事業会社本来の体質というものを完全に忘れてそういうことだけに走っておって、はたして国民経済の全体にいい影響を及ぼしていくのかどうか、そういう心配というものが、そういうことをやっている事業会社それ自体に対しても相当不安な材料になっていく可能性というものが、いまちらっと局長がおっしゃったけれども、そういう点だってこれはあり得るわけであります。そういうものに対して何らかの規制というようなものは加えられないのか。証券会社に対する指導なり何なりというようなことを通じて、自由経済の中で、事業会社が株を買ってはいかぬということは、これは言えないだろうけれども、そういう点での行政における指導監督というようなもので、将来堅実な商社としての発展あるいは海運業者なら海運業者らしいまともな発展というものと矛盾しないように、そういうものを庶幾していくための立場からの規制というようなものが考えられないかどうか、その辺のところをお伺いしたい。
○坂野政府委員 昨年夏前から私どもとしましてはそういう情勢にだんだん追い込まれていくということを非常に心配いたしまして、主として大きな証券会社に対して、過度の法人営業を行なわないようにということを十数回にわたり注意を重ねてまいりました。しかし、事態は、言われるとおり非常にまずい方向へ進んだわけです。いますぐにそれでは個人営業を進めるかといいますと、こういう株価の水準の高いときにそれを急激にやることもまた危険を伴いますので、時期は慎重を要しますけれども、やはり証券会社は、広い公募市場を育てるということが証券界の本来の使命でありますので、法人営業に片寄り過ぎた行き方を是正して、個人に対するサービスの向上、個人営業というものを基本に持っていくということが非常に肝要であるということで、今日に至るまで何回となくそういうことを注意もいたしておりますし、また、証券業協会あるいは取引所においても同様の精神で指導をされておるわけであります。各国の例を見ましても、所得水準が上がってまいりますと、個人の金融資産の中に占める証券の比率というのはかなり高くなってきております。わが国の場合はそれがあまり高まらないというのは一体どこに原因があるのか。証券市場が非常に大きく荒れるものですから、こわくて近寄れないということなのか、あるいは証券業界に対する不信感というものがあるのか、いろいろその原因はあると思います。そういう点をただしながら、やや長い目で見てやっていく必要があるというふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 証券問題は、自由経済のたてまえ、現資本主義体制の中では、規制というようなこともむずかしいし、こういう体制を前提にする限り、自由な取引というものが確保されなければならないということが問題で、そういう点で非常にむずかしいことと思いますけれども、証券行政の基本である証券の民主化、大衆化というような路線を進めるためには一体どうするかということに絶えず焦点を置きながらこれからの証券行政を進めていただきたいと思うわけであります。 次に改正案のほうに移りたいと思いますが、四十七年に株の売買はどれだけ行なわれたのか、数字をお聞きしたいと思います。
○坂野政府委員 四十七年の暦年でありますが、全国の上場株式売買額は二十八兆八千百三十五億円であります。
○広瀬(秀)委員 時価総額で四十五兆九千五百二億円との大蔵省の資料なんですけれども、これもやはり四十七年の暦年なんですが、それと、いまおっしゃった数字、この差はどういうところにありますか。
○坂野政府委員 時価総額は、上場株式の、たとえば昨年の十二月現在四十九兆五千億という、そういう評価額であります。ただいま申し上げましたのは、売買されましたその売買金額でございます。
○広瀬(秀)委員 そうしますと、今度の有価証券取引税の税率改正を中心にした改正案が出ておるわけですけれども、有価証券取引という概念に当てはまるのは、いま証券局長がおっしゃった暦年度で売買された、そういうことである、これは年度にすればこれがまだ若干変わるかもしれないけれども、おおよそそれに近いものになるのではないかと思いますが、実際に取引をされた——というのは売買された金額、それが有価証券取引税の税額を算定する基礎の数字になる、こういうことですね。
○大倉政府委員 広瀬委員のおっしゃるとおりでございまして、課税標準は売り値でございますので、売買によります売り値の総額が課税標準の総額と御了承いただいてけっこうでございます。したがいまして、四十七年暦年で申せば、証券局長が申しました二十八兆という数字になります。税収は会計年度でございまして、若干時期のズレはございます。
○広瀬(秀)委員 そこで、売買代金のほうを見ましても、四十七年の暦年で二十兆六千百二十四億という数字が、私どものいただいた数字では出ておるのでありますが、そうしますと、証券局長からお話があったのと八兆の差がある。二十兆と二十八兆では、これは非常に数字が違うのではないかと思うのですが、この辺のところは、証券局長がおっしゃった数字で暦年でいま議論を進めておりますが、その数字の差というものは、どちらが正しいのですか。
○大倉政府委員 ただいま御指摘の数字と若干また違うのでございますが、私どもが実績として持っております一番新しいのは四十六年度でございます。四十六年度中の株式等、つまり株式と株式投信の売買総額が二十兆八千六百九十一億円、そのほかに公社債等、税率の低いグループがあります。公社債等の売買総額が十三兆二千四百七十四億円、これは単純にこれを合計いたしますと三十四兆一千億になります。それが四十六年度の課税標準総額でございます。ただいま証券局長がお答えいたしましたのは、四十七年暦年の株式だけの売買総額であろうと思います。
○広瀬(秀)委員 四十八年度の見込みの数字、これは計算をして大体三百三十億か三百三十二億くらいですか、こういう数字が平年度で出るのだ。初年度では三百二億でしたね。そういう数字が出ておるわけですけれども、それに見合う基礎数字の見通しというのは、四十七年度の数字が基礎になって、四十八年度どのくらいになるかという見通しを立てておられると思うのですが、その見通しの数字、売買金額の計算の基礎になる数字をひとつ示していただきたい。
○大倉政府委員 昭和四十八年度の歳入見積もりの基礎に用いております売買価額見込みは株式等で二十六兆四千六百六億円、公社債等で十五兆百十二億円と見込んでおります。
○広瀬(秀)委員 この見通しが、今度の円のフロート、そうして一、二カ月の間にレート調整が固定相場制に復帰する際にどのくらいになるかはまだ予断を許しませんけれども、かりに一七%くらいまでいった、一七%の切り上げというようなことで再調整が行なわれたというようなことを考えた場合に、どの程度見込みの数字と差が出てくるだろうか。これは基礎になる証券取引というものがどの程度になるかという証券市場のこれからの見通しとも重大な関係があるわけですが、その辺のところはどういうようにごらんになりますか。
○大倉政府委員 これが実は私どもといたしましても毎年非常に苦慮いたすところでございまして、先ほど端数までいかにも自信ありげに申し上げましたが、毎年有価証券取引税の税収見込みは、一番新しい時点での実績の見込みをとりまして、大体それを横すべりにしていつも積算をいたしております。というのは、それがふえるか減るかが、正直に申し上げましてどうも私どもでは見当がつかない。変動要因としましては、申し上げるまでもなく、取引の単位当たりの値段と株数の双方があるわけですが、株数がふえて値段が減るということになるのか、値段が上がって株数がふえるということになるのか、その辺が、正直に申し上げて、全く予測のつきにくい、最もつきにくい税目でございまして、予算と決算を対比いたしましてもかなりぶれる税目でございます。総額がそう大きくございませんので全体の影響はたいしたことありませんが、個別の税目といたしましては、見通しと実績がかなり大きく狂う税目でございます。いまの御質問の、新しい状況で四十八年度全体を通じてどうなるであろうかというのは、正直に申し上げまして、いまのところ私どもも実は見当がつかない。ただいま積算いたしておりますものでしばらくはそのままにしておくよりしようがないんじゃなかろうかということを申し上げさしていただきます。
○広瀬(秀)委員 証券局長に同じ質問を申し上げるのですが、いかがですか。株式売買高、これはまだまだ株が、かなり一株当たりの価格も上がっていく、ダウも上がっていくだろう、こういうような中で、それからこういう事業会社等が盛んに買い越しをしていくというようなこと、しかし、ある時点ではこれをまた売りに出したりいろいろなジグザグがあるだろうと思いまするけれども、四十八年度の見通しが、今度の円切り問題フロート問題というようなことでどの程度の影響を受けるだろうか。株が上がっていく面と、それからデフレ的な面と両方一緒に出てきたという、こういう事態を踏まえて、ちょうどそれがお互い相殺されて大体当初の見通しどおりだということなのか、あるいはそれがかなり狂ってくる可能性があるのか。そこまで言ってしまうと答えは大体わかっちゃうんだけれども、その辺のところをどう見通されますか、正直なところをひとつ所見を伺いたい。
○坂野政府委員 株式市場の見通しに関することは、私ども専門でもございませんし、またお答えできる立場でもございませんけれども、やや私的な考え方を申し述べさしていただけば、昨年の九月決算、おととしから昨年までの間一日平均の出来高が東京市場で二億六千万株という数字になっております。それは前年の一億一千万株と比べますと倍以上になったわけでありまして、その辺につきましても見通しは何人も当たっておりません。それから昨年の秋以降暮れにかけまして非常に出来高が急増いたしました。これも何人も見通し得なかった。十、十一、十二の三カ月は五億株近い数字になっております。これも何人も見通し得なかったわけであります。ことしおそらく通貨問題等の展開に伴って金融情勢も大きく変化することが予想されます。そういう暁に出来高がどうなるか、株価がどうなるかということは、全く予想がつきません。私ども四十年不況のときの証券市場も経験いたしておりますけれども、一たん株価が急落いたしますと、出来高もうんと減ります。したがいまして、いかなる事態が発生するかは何人も予想できないというのが、正直な答えであります。
○広瀬(秀)委員 いずれにしましても、先ほど証券局長は、四十七年の暦年で上場株式だけで二十八兆という数字をあげられたわけです。これは昨年の一、二、三月とことしの一、二、三月、これではかなり違うけれども、それですらこの二十八兆という数字が出ているわけですね。それが株式で二十六兆四千億だというようなことでは、こういうようなことでは見積もりもかなりおかしい見積もりではないか。これはおそらく、あれだけの通貨問題で変動があったにもかかわらず、その後反発して、どんどん株の取引が、きのうだけでも四億八千万株も一日の出来高があるというようなことが、ここのところずっと続いているわけですね。それで、去年の十一月ですか、約十一億、十億六千万株もあるというような、こういうようなたいへんな事態もあるわけでありまして、株式だけで二十六兆というようなことは、これはもう見込みとしてはきわめて不正確なものではないかと思うのですが、この点は、四十七年の四月から十二月までというようなものから推して、そうして一、二、三月、いまこの状況から見て、非常にこれから先一年というものがこんなもので済むはずはないじゃないか、おそらく三十兆をはるかにこすようなことになるのじゃないかというような気もするわけですが、こういう計算の基礎の見通しというのは、あくまでも見通しだと言ってしまえばそれまでなんですけれども、見通しもできる限りの正確性というものはやはり要求されるはずでありますから、実態を踏まえたというけれど、四十七年の動向というようなものがあまり入っていないではないかということがむしろ言えるわけで、四十六年以前の状況ではやはり四十六、四十五というようなことを基礎にしているとするならば、やはり非常にさま変わりしている今日の株式市場というものを少し見通しを誤っていないか、こういう感じがするわけですが、いかがですか。
○大倉政府委員 広瀬委員おっしゃいますとおり、できるだけ新しいデータをとって、できるだけ実数に近いであろう見通しを立てるべく私どものほうとしても一そう努力いたしたいと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、何ぶんにもこの税は見込みと実績が非常に大きく狂い得るものでございまして、ひとつ御参考までに過去の経緯を申し上げますと、四十二年ではたとえば百二十九億というような——この辺はずっと同じような見積もりをいたした結果が、当初予算百二十九億計上いたしまして、補正予算のときにすでに減が見込まれて四十二億の減を立て、補正後の予算を八十七億といたしましたが、決算のときにさらに十一億の減が出まして、当初百二十九億に比べますと合計五十三億という大きな減が出た年がございます。四十三年は当初九十六億という予算を組みましたところが、補正予算の段階ですでに七十二億とほぼ八割近い増収が出た。これを見込みまして補正予算を組んだわけでございますが、その後は逆に若干の減が出た。このほうの補正は年度末にかなり近い段階ではございますが、それでもある程度狂ってくるわけです。四十四年で申しますと、二百四十一億の予算を組みまして、補正までに七十億の減が見込まれ、補正後にさらに十四億の減が出た。結局、二百四十一億の見込みに対して百五十七億の決算になっておるというのが事実関係でございまして、まさしくおっしゃいますように、いままでのようないわばトレンドのようなもので作業いたしますれば、いまの見込みは過小であるという見方になるかもしれませんが、実績を見ましても、どうもこの税は一本調子で安定的に伸びる税ではなくて、たとえば、三十五年に百十億あった税収が、三十九年には五十六億に落ちておる。これは税率改正は全然ないわけでございます。それが二、三年でまた百二十億にふえてきて、来年度の見込みは、これは税率改正をいたしておりますが、税率改正前のベースでも三百三十億と、非常に上下に動きがあります。御趣旨に沿いまして私どもできるだけ実勢把握に努力いたしますけれども、四十八年度全体としてこの数字の上へ行くか下へ行くかということは、申しわけございませんが、何とも申し上げかねます。
○広瀬(秀)委員 これは見通しのことですから、私のほうでもきめ手があるわけじゃありませんから、これ以上論争はいたしません。いまの答弁で了解します。 そこで、今度の法律改正案の目玉は、何といっても、第一種、第二種ともそれぞれ税率を〇・〇六から〇・一二%、〇・一五%から〇・三〇%、こういうことで引き上げるということであります。要するに倍にしていこう、こういうことでございますが、この税率は、大蔵省からお聞きをいたしますと、イギリスでは一%、フランスでは一・二%、ベルギーで〇・七%、ドイツ〇・二五%、オランダ〇・二四%、アメリカが〇・二五%ということになっております。イギリス、フランスあたりではもう一%以上になっている、こういうことでありますが、なるほど、税率を倍にするということは非常に画期的なことかもしれない。なるほど、諸外国でも日本の今度の改正税率と幾らも違わない、第二種等においては違わないというところがありますけれども、しかしながら、第一種なんかの場合に〇・一二%だというようなものについては、さらに三倍、五倍増というような税率を課しても——今度の税率改正というものは、有価証券取引ということの背後に担税力ありということで、流通段階において税金を取っていこうというわけであります。その担税力というようなことを見れば、先ほどの証券局長のいろいろな答弁の中にもありましたように、たとえば個人の場合でも、ほんとうに零細な個人が投資をしていくというようなことが非常に少ない。個人の場合でも、きわめて大口の、何十億台で買いに出るというような資産家というものが今日の相場を動かしているというような事態なんですから、そこにはたいへん巨大な担税力というものがひそんでいるだろう、こういうように思うのであります。なるほど、倍にしたんだということは、それはそれなりに一つの方向ではあるけれども、そういう担税力、しかもこれが二十八年から据え置かれているのですから、ここでやるからには、二倍ぐらいの——しかもいままでもうたいへんな低率であった。諸外国から比べても低率であったというのを、法律改正のための激変、ショックというものをできるだけ少なくして緩和していこうというような政策等があったにせよ、いかにも倍ということにとらわれて——担税力把握、そしてそれに見合う公平な税金を求めていくというような立場から言うならば、しかもいま時代が、あなた方のことばをかりれば高福祉高負担と言いながら、担税力が底知れずあるんだというところに高負担を求めず、ぎりぎりのところで売る勤労大衆に高負担を求めるというところに問題があることにもかんがみて、いかにも倍にしたからいいだろうという発想は、私どもは全然理解できないわけです。そういう点で、倍にした理論的な、われわれを納得せしめ、国民を納得せしめるような根拠というものは一体どこにあるのか、この点御説明いただきたい。
○大倉政府委員 ただいまの御指摘でございますが、倍にいたしまして〇・一五%が〇・三%という税負担の水準が絶対に正しいという説明は正直に申し上げて、必ずしもあるわけではございません。いろいろな要素を考えながらここに落ちついたと申し上げる以外にないとは思います。そのいろいろな要素とは何であるかということになりますと、それは諸外国の立法例がどうであるか、また、けさほどの御質問に関連して出ておりましたが、OECDなどではこういうたぐいの税を統一しようという議論でどういう議論がなされておるかというようなことを片方で考え、また片方では、まさしく御指摘のように、取引の背後にある担税力がここまで大きく発展してきたということをどう評価するかということを考え、またさらに、御質問にございましたように、いままでの負担と今後の負担とのつながりと申しますか、それも考えていくというように、いろいろな角度からの検討の結果がこの二倍の引き上げであり、〇・三であると申し上げるしかないだろうと思います。もっと引き上げてしかるべきではないかという御議論ももちろんございましょうが、同時に片方では、二倍というのはひどい、二倍にするにしても、まあとりあえず最初の年は五割ぐらいからいって、二、三年がかりでやったらどうかという御議論もあったわけでございます。ただ、けさほども御議論に出ておりましたが、OECDでの各国の考え方は、一応、租税委員会の系統では、将来の方向としては〇・五%以下ということで統一したらどうか——全部〇・五にせよという意味でもないのでございます。〇・五以下で統一したらどうか、いずれにしても一%をこえるような税率はもうやめたらどうかということのようでございまして、その意味では、先ほどのフランスの一・二というのは、これを引き下げる動きがございまして、昨年十二月に〇・六に引き下げられたようでございます。これは若干私ども説明が不足であったとすればおわびしますが、昨年十二月に〇・六に引き下げられたようでございます。 それからまた一方、この問題は、租税委員会のみならず、資本市場を研究しております貿易外取引委員会の検討でも議論がされておりますが、そちらでは、なるべくこの種の流通税負担は少ないほうがいいという議論が、まあ委員会の性格上当然かもしれませんが、あるようでございます。 それらのことを考え合わせました上で、やはりこの際としましては、流通税としての引き上げとしては、二倍というのはかなりのものではなかろうかということで、現在の案を提案しておる経緯を申し上げてお答えにかえたいと思います。
○広瀬(秀)委員 私どもはもう大倉さんの説明では全然納得できないわけでして、まあ日本の経済の発展、これは高度成長のテンポにおいてもう世界に並ぶものがない、先進国の中では少なくとも断然群を抜いている、こういう高度成長をずっと続けてきている。その象徴みたいなものとして株式市場の盛況というようなものも存在すると私は思うのであります。 そこで、証券局長にお伺いいたしますが、二十八年当時にこのいまの税率がきまったわけです。そしてずっと二十年間ほとんど手をつけずに放置してきたわけです。しかも、われわれが本委員会においてもずいぶん何年も前から、株式譲渡益に対するいわゆるキャピタルゲイン課税を証券の取引の場合にも行なうべきだということも同時に言ってきたわけなんですが、それにもかかわらず、それも廃止したまま——二十八年に廃止してこの取引税制度に移行して、それから先ずっとこの税率もそのまま放置して今日に至っている、こういうことなんですが、二十八年当時のダウ——ダウ計算をやっておったかどうか、いま記憶がさだかではありませんけれども、その当時の何らかの形の東証平均株価、今日におけるダウでもあるいは平均株価でも何でもけっこうですが、比較をしてどのくらいの差があるのか。それから取引株数、売買の株数等についてどういう変化がこの二十年間にあったかということを、概略、数字でけっこうですからちょっとおっしゃってください。
○坂野政府委員 昭和二十八年の暦年の平均のダウでありますが、三九〇・九〇であります。四十七年の暦年のダウの平均が三七五五・一三であります。十倍弱ということであります。株数は、昭和二十八年暦年でありますが、三十八億三千九百万株、これは上場株式の全国の売買されました株数であります。四十七年の同じ売買株数は千三百五十四億七千三百万株であります。
○広瀬(秀)委員 このようにたいへんな、十倍あるいは約三十倍というような、取引量においてもあるいはその株価の変動においてもこれだけの差があるのですね。これだけ大型化し、担税力がついてきているということをこれは同時に示していると見て私は差しつかえないだろうと思うのです。ほかにいろいろ要素があるかもしれないけれども、こういう比較を見ただけでも、この税率を今度倍にするということはいかにも少な過ぎる、こういう考えなんです。したがって、世界的な傾向として〇・六あたりに押えようというようなものが出ておるならば、〇・六まで持っていったらどうですか。そのくらいまで持っていったって高過ぎるとは思わないし、担税力は十分にあると思うし、しかもこういうことがやはり株式市場の一つの正常化というか、好ましい方向への一つの寄与をする面もあるであろうというようにも見えるわけなんです。そういう点で、この倍にしたというのは、しょせん、いかにも言いわけ的なものでしかない、そういうように思うのです。 それと、こういうことにしたについては、キャピタルゲイン課税を日本でも考えましょうということが本気にあるのかないのか。あるので、こういうところで今回はがまんしてもらったのだというならば、それも一つの理屈として、私どももそういうことでここ一両年には必ず何らかの形で——少なくともアメリカでもやっているし、その他の諸国でも株のキャピタルゲイン課税をやっているわけですから、技術的な面あるいは把握の面でどうのこうのという問題もあるようでありますが、そういうものとの見合いにおいてこの際はこの程度にしておいて、そっちにむしろ重点を置かたいのだ、こういう考えなら、その考えもあるのかないのか、そういう方向で進めるのかどうかということについて、この際明確なひとつ答弁をしてもらいたい。これは政務次官にも答弁を求めたいと思う。
○山本(幸)政府委員 今回のこの有価証券取引税の税率を倍に引き上げたということについて、広瀬委員なかなか納得がいただけないようでありますが、先ほど来御答弁申し上げておりまするように、二十八年以来据え置きであったわけですが、その間に売買高は約二十八倍、時価総額でも五十五倍という、そういうふくれ方をしているということは、先ほど来のお話を裏書きしているわけです。この取引税は、有価証券の譲渡の際に課され、流通税という性格を持っておることは御承知のとおりですが、この税率は比例税率でありますから、取引金額が大きくなればなっただけ、それだけ税負担もふえていくという性質のものであるわけであります。日本の場合、株の譲渡者が負担をするということになっております。また、譲渡益の出た場合もありまするし、また譲渡した場合に損をするという場合もありまして、損をする場合でも、譲渡税でありますから、やはりこの負担をしていただかなければならない、こういうこともございます。ただ、いまキャピタルゲインのお話がございましたが、法人の場合はすでにキャピタルゲインの課税をしておりますから、そういう場合の法人にも同じように取引額に比例して課税されておるわけでございます。そういう意味でありまして、先ほど来御答弁申し上げておりまするように、世界的に、OECDの租税委員会なんかも、傾向としてはまず〇・五%程度まで、以下ということで、全体、世界的にそろえていきたいということでもあり、そういうことで今回は二倍にするということに落ちついたわけでございます。 また、キャピタルゲインのほうは考えておるかというお話でございますが、これは、この税が成立しましたときに二十八年まではキャピタルゲイン課税があったわけなので、それの一応代替税のように受け取られる向きも沿革的にはございますけれども、やはりそういう関連はなくて、キャピタルゲインとは関係がない、こういう考え方になっております。 キャピタルゲインの今後の問題は、いま大蔵省としても一つの課題として、たいへんむずかしい条件がたくさんにございますから、はたしてそういう所与の条件というものが満足せられるかどうかについて大きな疑問は残してはおりますが、できるだけひとつ前向きに、そういう所与の条件が与えられればという考え方で将来を考えていきたい。できるかできないかはまだその辺のめどまではついておりませんけれども、少なくとも前向きにひとつ検討をさしていただく、そのためになお若干の時間をかしていただきたい、こういうことであります。
○広瀬(秀)委員 まことにどうもたよりのない話で、この間も、政務次官は副大臣か盲腸かというテレビ討論もあったのですけれども、そういう答えを政務次官がやっているようでは、やはり盲腸存在と言われてしまうわけであって、そういうことでは私はいかぬと思うのです。私どもが次官に期待するのは、これはやはり現職代議士のまま次官という行政職、特定職につくわけでありますから、副大臣たる見識を持ってこれからもぜひひとつ答弁に当たっていただきたいということ、あなたもまだそう答弁される機会もなかったのですけれども、これはやはり官僚レベルにおいて答えたもので、これからやっていく方向というようなものは、やはり副大臣の風格と見識を持って答えていただかないと、もうわれわれはあなたに質問する気力がなくなってしまいますよ。ですから、その点ではもっと政治家としての見識に立った方向というものをこれからもやはり期待したいのです。これは私どもの次官に対する初の苦言でありますけれども、今後ひとつそういうことでやっていただきたいということを要望しておきます。 そこで、事務当局に聞きますけれども、キャピタルゲイン課税、株の譲渡課税を困難ならしめている原因というものは一体何なのか、まずこのことを聞いておきます。
○大倉政府委員 私なりに了解しておりますところでは、執行上最も困難なのは、架空名義による取引をいかに真正の取引として把握できるかという問題であると思います。現在は原則非課税でございますから、わりあいすなおに本人の名前で預かりもされ、取引もされておるかと思いますけれども、課税するということになりました場合に、どういう問題が出てくるか。おそらく営業上の立場からいたしますと、証券会社のほうはお客さんのほんとうの名前、ほんとうの住所というものはなかなかわからないのだという立場でございましょうし、それをどこまで協力を求められるのか、どういう手段があるのか、その問題に最大のポイントがあろうかと私は考えておりますが、なお必要があれば国税庁のほうから補足して申し上げます。
○広瀬(秀)委員 その程度のことであったならば、私どもは、ほんとうに大蔵省がやろうという気になれば、そういうことは幾らだってこれは押えることができるだろうと思います。これはもちろん現在でも、銀行預金の段階でも架空名義の預金というようなものがいまだに絶えないということでやっておりますが、これは本委員会において何回もやることによってかなり減少してきておるというようなことがあるわけであります。 そういう点で、日本の国内において居住している者、これは非居住者が日本に直接やってきてというようなことは非常に数も少ないわけですから、その辺のところについては問題はあるかもしれないけれども、日本の居住者について考えていけば、株の売買の際に、住所、氏名あるいは電話番ぐらいきちんと押えるというようなことくらいはできない相談ではない。そういうことをやることがどうしてもできないということは、これは私は株の取引でもあり得ないことだと思うのです。これは実際に証券会社に対する監督等をやっておられる証券局長にも伺いたいのですけれども、株の取引の際に本人の住所、氏名というものが真実であるかどうかというようなことを調べることが、株式取引の実態の中でどうしても絶対的に困難なのかどうか、こういう点についてどう判断をされておりますか、局長にお伺いします。
○坂野政府委員 私ども税務とは立場が違いますけれども、正しい住所、氏名ということにつきましては、目下事故防止という見地からこれを励行さしております。また、名義貸しに伴う弊害も非常にございますので、名義貸しの禁止ということについては再三やかましく言っておりまして、昨年も新しい通達を出しておりますけれども、そういうことで真実の住所、氏名ということについては、私どもの行政の上では徹底さしております。
○広瀬(秀)委員 証券局長はその証券行政に携わる立場において、そういうことを防止するために最大の努力をしておりますということをおっしゃっているわけです。そういう方向というものはやはり着々実績もあげていくであろうし、効果もあげていくであろう、こういうように感じられるし、預金の場合でも、かつてはほんとうに放漫に架空名義預金が行なわれておったけれども、これがいまや現実に非常に減ってきております。そういうこともあり、やはり本腰を入れてやろうと思えばできないことではない、こういうことだと思うのです。 何といってもやはりその基本にあるものは、今日までの日本の経済体質というか、そういうものの中で、大企業優先、生産、輸出第一というような、そういう経済体質というものを温存していこう、そのために企業の長期資金獲得というものについては最大限の優遇と保護を与えようではないか、こういう発想というものが皆さんのところに基本的にあるから、そういうことで事務的に非常にむずかしい。税制としては架空という名においてのがれる者が多くなったのでは困るのだということに事かりてむずかしいむずかしいと言っていることであって、私はそういう点ではこれはできないことではない、こういうように思うのですが、いま大倉審議官が言われた以外の、われわれを納得させるだけの理由というものがあるのですか、そこのところを正直に言ってください。
○吉田説明員 私どもは、現在は御承知のとおり、法人については全部キャピタルゲインを取っているわけですが、個人については三つの類型だけで部分的にやっておりますので、現在はその経験が一番もとになっているわけですが、何と申しましても、株につきましては、先ほど以来お話しのように、非常な大量の売買取引をやっておりまして、われわれとしてはそれを資料として把握する場合に、非常に膨大な枚数の資料になるわけでございます。それを一々売り上げの帰属あるいは取得価格の確認ということをやるものですから、事務量としては非常に膨大になる、この点はおわかりいただけると思うのです。それでは絶対だめかとおっしゃれば、やはりこちらのほうも膨大な人員を投入いたしましてそれを解明すれば、いろいろ技術的にはむずかしい問題も出てくるかと思いますが、できないことじゃないと思います。しかし、それはやはり相対的な問題でございまして、膨大な事務量で、資料もやって、その中で、われわれの経験からいたしますと、非常に確率の少ない仕事であるということははっきりしておりまして、その一番大きなネックは、やはり仮名の問題、帰属の問題だと思います。いままでわれわれが、たとえば五十回、二十万株というときにも、一番大きな問題は、先ほど来お話しのように、一回の委託をどう判断するかという問題が非常に困難しておるわけですが、その前提となる仮名かどうかという前段階の解明につきましても、相当の労力をさいているのが実情でございまして、何と申しましても、大量の売買、売り上げの帰属、取得価格の確認という点が技術的には非常に量として多くてたいへんだというぐあいに考えております。
○広瀬(秀)委員 そういうことはまさに国民を納得させる説明ではないと私は思うのです。事務量がふえるからとかなんとかというようなことでは、絶対的に捕捉が困難だというようなことは、少なくとも法治国家であり、ちゃんと戸籍が、だれ一人ない者はない、九九・九%以上の確率をもって、そういうしっかりした国民に対するいろいろな形からの把握というものが進んでいる段階で、証券取引の段階においてのみ架空名義がまかり通る、それを事務的に捕捉できない、あるいはそれがかなりたいへんなことになるからというようなことは、これは主税当局、国税庁が、そういう面での人員が幾らかでもふえるということを、ただ頭から人間をふやさないでやっていこうというだけで問題を考えていこう、安易に考えていこう——もっと大きな基本的な税に対する公平、税は公平でなければならない、公平に担税力のあるものから取らなければならぬという税における根本原則にだんだんと忠実でなくなってきている。あなた方主税、国税両当局のそういうものが災いしているのではないかと思わざるを得ないわけです。だから、その基本の税制論議における原点に立ち立も返ってこの問題を十分考えていっていただかなければならない、私はそう思うわけであります。 時間もだいぶ超過したようですから、この辺で一応やめておきたいと思いますが、この問題は、特にキャピタルゲイン課税というようなものに踏み切るか、踏み切らないとするならば、少なくとも一%、最低でも〇・六%ぐらいまでは取引税をこの国会において実現をさせるということぐらいのものをやらなければいけない、こういうように考えるわけでありますが、次官、もう一度ひとつその点についての決意のほどを聞かしていただきたい。
○山本(幸)政府委員 決意ということで御満足いただけるかどうかあやしいのでありますが、この問題は、法人についてはすでにその収益について法人税の関係でとらえられておる。個人の場合が捕捉が非常にむずかしいという話を先ほど来申し上げておるわけでありますが、日本の国民の一人一人の経済活動一つ一つを相当長期にわたって観察をする。株をずいぶん古く買った方があることでございましょうから、そういう一人一人を捕捉するということは技術的に非常に困難がある。これを一体どういう方法でやるのが一番いいか。一人一人をトレースしていくということは、個人のプライバシーの問題とも関連をしてまいりまして非常にむずかしい問題があるように私は思います。しかし、この問題はやはり片一方で今後の問題としてひとつ研究をさしていただきたいと思います。 なお、捕捉のむずかしいということと、もう一つありますことは、キャピタルゲインをひとつ課税するという反面、今度はキャピタルロスがありますが、キャピタルロスの場合はどうするかという問題もあわせて考えなければならないということを申し上げておきたいと思います。さようなこともございますので、先ほど来申し上げておりますように、前向きに^ひとついろいろの条件がそろえばやれるように、その条件を整えるように今後努力をしていきたい、こういうわけでございます。
○広瀬(秀)委員 あなたのいまの答弁は、キャピタルロスのことを盛んに言っているけれども、アメリカ等の同じキャピタルゲイン課税の場合に、キャピタルロスの取り扱いはちゃんとやっておりますよ。だから、少なくともそれに準ずるぐらいのことはやってしかるべしということを前提に置きながらわれわれは要求しているのですよ。だから、そういうものがあるからあるからということで引き延ばすのじゃなくて、前向きに検討するのかうしろ向きなのかということを、最後にだめ押し的にひとつ聞いておきまして、あと関連があるそうですから……。
○山本(幸)政府委員 前向きにやるということは先ほど来申し上げておるとおりであります。ただ、それをやれる条件が取りそろえられるようにその努力をしていきたい、こういうことであることは先ほど来申し上げておるとおりであります。
○阿部(助)委員 関連して……。さっきの直税のほうの御答弁ですね、困難だからできない、こういうことですか、もう一ぺんそこを……。非常に人員がよけい要るから、困難だからできない、こういうことですか。
○吉田説明員 私が先ほど御答弁申し上げましたのは、現在としては、法人については経験がありますが、所得税のほうは三つの経験しかございません。その経験から考えますとかなり困難であろうというところで、私はお答えしたわけであります。
○阿部(助)委員 困難だというのは、陣容が少ないから困難だ、こういうことですか。
○吉田説明員 それも一つございますが、それよりも、先ほど申しましたのは、非常に大量の売買の処理でございますので、それの資料化が非常に多くて、しかもそれがどの人に帰属するか、取得価額は幾らかという点、最終的には所得自身を把握する確率が少ない。その点非常に効率の悪い点がございますが、その努力をやってみましても、やはり事務的に非常に大量処理でむずかしいのではないかという点が一つ。 それからもう一つは、仮名の問題でございまして、仮名の解明につきまして、非常にわれわれの経験から困難が多いという点を申し上げたわけであります。
○阿部(助)委員 証券局長は、仮名の問題はだんだんなくするように指導し、そうなっておる、こう言うじゃないですか。効率が悪いから取らないというのは、話はまた別なんですがね。零細企業のところは重箱のすみをほじくるようにしてやっているのでしょう。法律でこの税の不公平をあえて見のがすつもりなのかどうか。もし陣容が整えば、膨大な資料を整理してやるとすれば、どれくらい人数があったらいいのです。膨大というのはどの程度ですか。
○吉田説明員 現在は、先ほど申しました所得税としては三つの類型でございますので、この三つの類型につきましてはかなり部分的なものでいいわけでございますが、もしこれが非課税措置を全部廃止いたしまして、全面的に個人についてもキャピタルゲインをやるという場合を想定いたしますと、現在の取引から見まして、計算をいたしてみませんが、かなりの量の人間になるだろうと考えております。
○阿部(助)委員 結局、善処しますとか、前向きに検討しますとおっしゃるけれども、全然検討してないのでしょう。やる気がないから、あえてこの税の不公平を承知しつつも、そういう検討がないのでしょう。ただ抽象的に、困難だとか、膨大な陣容が要るとか、いろいろそんな程度を言われても、この税の不公平という点を、皆さん直そうとするのかしないのか。直そうとすれば、それなりの検討をし、そうしてどれくらいの人間が要るのかというくらいのものは、皆さんお持ちのはずなんですよ。何も検討してなかったということですか、それじゃ。
○山本(幸)政府委員 検討はそれぞれにしておるはずでありますが、要するに、税として一たん発足をさせる以上、税としての面目を発揮するようなものにしなければならない。いたずらに抜けるものがたくさん出る税でも困るのでありまして、やはり税として発足する以上、ある程度の確実さで税を納めていただけるような、そういう姿勢、体制がどうしても必要であろう、そういう条件はどういうふうにしたならば満足させられるか、それが充足できるかという点について研究をしている、こういう段階であります。
○阿部(助)委員 さっぱり要領を得ないじゃないですか。だから、検討をしておるならば、検討してこれぐらいの人間が必要でとてもできませんというなら、それはそれなりで理屈の上ではわかります。だけれども、抽象的に、たいへんよけい要るだろう——だろうというだけでしょう。いままで全然検討していなかったのですかどうなんですかというふうに私、聞いている。
○吉田説明員 私どもとしては、取引の実態から勉強いたしまして、あらゆるケース、特に一番問題といたしましては、先般来の、回数によって押えるが、押え方がどうも問題があるということを中心にして、だんだんこれがむずかしいという点の検討からスタートしておりますが、ただ、全般的な人数が幾らかというところまではやっておりません。
○阿部(助)委員 検討していないんでしょう。そういうキャピタルゲインをやろうという、そういうことをおっしゃらないと、これはいつまでも続きますよ。あるいは回数で押えるというようなことなら、この前も申し上げましたけれども、実際その一回というものは一体どういうものなのかさっぱりわからないでしょう。五つでも十でも何種類の株を持ち込んでも、それは一回でしょう。そんなもので押えられるわけないですよ。だから、これから検討するならば、どれくらいの人員がおって、それでどうなるかというのを皆さんお出しになりますかどうですか。ただ検討します、前向きに検討します、だけれども実際はたいへん膨大な人員が要って困難だ、条件はどうですなんといってみたって、これは実際私は国会を侮辱するものだと思うのです。するならする、どういうふうにするんだ、いままで検討したならば、膨大な人員というのは大体どれくらい要るのだというくらいのことを示してごらんなさい。いいかげんな答弁をしなさんな。やってないなら、ないと言えばいいのですよ。それでわかる。
○吉田説明員 私どもとしてはどういう組織——組織といいますか手続で、どういう段階でどの資料をとりまして、それによってどういう解明の方法をつくるかというものをまず置きまして、それから人員をはじき出すわけでございますが、ただいまの段階では、取引の実態から見ましてどの段階で押えるか、どういう点の資料をとりましてどの金額でそれを切って効率的に運用するかという点の勉強を現在やっている段階でございまして、そのやり方からスタートしないと、人間まではまだなかなか、はじき出すところまでは相当の時間がかかるだろうと思っております。
○阿部(助)委員 それならば、そういうふうに初めから言えばいいんだ。膨大な資料が要るから人員がたいへんよけいに要りますと言うから、あるいはまた人員がよけいに要るわりに徴税コストが高くついてだめだというような話をするから、それならば徴税コストの高くつくほうをやめなさいということを私は言いたくなる。だから、そこをどの程度まであれしているか。私はほんとうを言うと、やる気がないからいままでたいした検討をしていないんだ、こういうふうに判断をしているわけですが、その検討は大いにやっておるというような話をやってみたり、またこれから前向きで検討しますみたいな話をするけれども、実際はやる気はない。あとで困難なという話が、尾ひれがついておるわけでしょう。そうすると、あなたたちはここの時間をちょっと過ぎればいいというその場のがれの答弁をしているように私は受け取るのであります。だから、いま広瀬委員の要求で、ほんとうに検討をするならその経過報告を、この国会の終わりごろまでに、どういう検討をしてどこまで進んだというのを出しますか。それがなければ前向きじゃないじゃないですか。政務次官、どうですか、政治的に……。
○山本(幸)政府委員 大蔵省としましても、この問題を決して等閑視しているわけではなくて、もちろん研究はしており、また税制調査会でもこの問題について随時お話し合いもしていただいておる経過もございます。いまお話しのように、じゃ、どういう体制あるいはどういうような条件がそろえばやれるかということにつきまして、いろいろ問題点もたくさんあるようでありますので、さような点についてなるべく早くまとめることができれば御報告をさせていただきたい、こう思っております。
○阿部(助)委員 その検討した経過を、この国会の終わりまででもいいから、この国会中に中間報告でもいいからおやりになるかどうか、こういうことなんです。
○山本(幸)政府委員 お話しのように、たいへんむずかしい条件がたくさんありますけれども、できるだけ問題を詰めまして、この国会中にたとえ中間報告なりともさせていただきたいと思っております。
○大村委員長代理 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 最後に、総括的に有価証券取引税のお伺いをしておきたいわけでありますけれども、まず第一点でありますが、今度のこの法律改正は、全部一律に税率を倍にしているわけであります。きょう午前中の広沢委員の御質問に対して、倍というのはたいした根拠がないという話でありますけれども、流通税である以上、その背後にある担税力に着目して一つの税率をきめられると思うのでありますけれども、この有価証券取引税の担税力というのは一体どういうものなのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。
○大倉政府委員 担税力の存在を推定して、取引の過程に対して流通税という形での負担を求めるというのがこの税。このほかに例を求めるといたしますと印紙税、そういうタイプの税がそれに相当すると思います。その場合に、課税の根拠として引用されております担税力というものが量的に幾らであるのかということは、これはなかなかきめ手がない。むしろ量的に所得の額でございますとか、そういうような意味で計算できる担税力が課税対象である場合には、流通税という方法を用いなくても済むのであろうと思います。担税力が存在するということはだれしも疑わないが、しかし、それについて累進課税をするとかあるいは超過的な負担を求めるべきだというようなことがなかなか言いにくい分野、そういう分野について流通税という形で広く浅く負担を求めるというのがこの種の税の特徴であろうか、このように考えております。
○佐藤(観)委員 今度の法律改正の趣旨の中に、最近の株価状況あるいは株式売買の実態から見てという内容のことばがあるわけですね。つまり、この場合の担税力というのは、具体的には証券会社のもうけあるいは投資家のもうけあるいは株価、株式の売買実態、こういった額が、具体的には私はその税の担税力、この背景にある担税力ではないかと思うのです。こう限定してはいけないのですか。
○大倉政府委員 提案理由その他で申しております取引の背後にある担税力の大きさなり、その育ち方に対応してという場合、頭の中に考えておりますのは、まさしく佐藤委員のおっしゃいますように、売買数量あるいは株価というふうなものが頭の中にある。したがって、制度創設当時の取引量、取引価額といったものに対して、いまどの程度の大きさになっておるかということは、確かに担税力がふえたという推定をするための一つの論拠として用いられるということは申せると思います。ただ、それが何倍になったから税をどうしなくてはいかぬというふうな意味で定量的に用いるものではないのであろうということを申し上げたかったのでございます。
○佐藤(観)委員 これは外国と比べても、先ほど議論がありましたように、キャピタルゲインに対する課税があるかないかによっていろいうものの考え方を変えなければいけませんし、あるいは直間比率からの問題もありましょうし、あるいは付加価値税の問題がある。そういったことで一律に外国の有価証券取引税に類するものと比べることはできませんけれども、たとえばアメリカとかイギリスとか西ドイツとか、こういったところと単純に比べたとしましても、日本の場合にはあまり高くないわけですね。これは非常に比べ方がむずかしいので、なかなか比べようがないといえばそれまでかもしれませんけれども、日本の場合の株式の売買高、これは先ほどお話がありましたように、ここにあるおたくの国税庁の税務統計資料によっても、株式と公社債合わせて大体四十六年度で三十三兆円と出ているわけですね。それに対して税額が二百七十五億という率になっておるわけです。アメリカの証券市場の場合には合計大体これが、一九六九年ですからちょっと古いのですけれども、四十八兆円、債券、株式、両方合わしてそのくらいになっているわけです。これは単純に比べることはできませんけれども、今度の法改正案でもこの率、個人の場合には〇・三、それから法人の場合と申しますか、証券会社を譲渡者とする売買の場合には〇・一二という数字自体がはたして適当なものなのかどうか。特にこれをもっと上げた場合にはどういった影響があると考えられているのか。きわめてこれは微妙な問題で、どういう結論に落ちつけたらいいかという問題は私自身にもわからないわけでありますけれども、最後の質問でありますので、そのあたり、この税率というものは一体どういうふうにごらんになったのか。おそらくいつものように、大蔵省から出されてくる案というのは、たとえば税金の場合でも控除額が毎年一万円ずつふえてくるとか、簡単にいえば二倍になる、三倍になる、そういうことで大蔵省らしからぬ、きわめて理論的緻密性に欠ける数字になっているわけです。今度でも単純に倍ということになっているわけですけれども、この影響は一体いかがなるものであるか。その辺のところはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
○大倉政府委員 税率につきまして、今回の提案の内容がいままでのものに比べて二倍である。個人、法人を通じまして、いわゆる委託して売買する場合、顧客として売る場合、そこを了解していただきたいのですが、個人、法人共通で〇・三でございまして、自己売買の場合が〇・一二ということになるわけでございます。これについて、先ほどきめ手はないというような言い方でお答え申し上げたかと思いますが、しかし、きめ手がないということはどうでもいいというような意味で申し上げたのではございません。いろいろな要素を考えた上で、やはり今度提案して御審議をお願いしている率が、現状においては最も妥当な率ではないかと私どもとしては考えておるわけでございます。 その理由としては、再々の繰り返しになって恐縮でございますが、ほかの国の立法例とか、従来からの経緯というようなものを考え合わせて、この案に落ちついたという経緯があるわけでございます。 これをさらに、たとえば顧客が委託をいたします場合の〇・三という税率を〇・四にすればどういう影響があるかというお尋ねであろうかと思うのでありますが、これが直接にその取引に対して非常に大きな影響を持つということは実はないのであろうと思います。それは百万円の売りをいたしまして、税負担が改正後で三千円でございます。それが四千円になるかあるいは二千五百円でとまるかということだけを取り上げまして、非常に大きな影響が取引にもたらされるかどうかという意味では、これまた必ずしもきめ手にならないと申し上げざるを得ないと思います。 なおもう一つ、この種の税につきまして税率を測定いたしますときに、たとえばキャピタルゲインに対する負担率としてどれくらいになるであろうかというようなものの考え方も理屈としてはあり得るかと思うのでございますが、キャピタルゲインの発生率そのものがやはり個々の取引ごとに非常に違うわけでございます。また同時に、先ほどお話にも出ておりましたキャピタルゲイン課税をしでおる法人の売買についても流通税の負担を求めるし、キャピタルロスが発生している場合にもこの負担を求めるという性格なものですから、理屈としてはあり得ても、なかなかキャピタルゲインに対する負担率というものさしも使いにくい。 まあいろいろそういう議論の経過をたどりまして、従来からの経緯から見ましても、やはり流通税の上げ率としては二倍というのはある意味での改正の際においての限界ではなかろうか。 なお、繰り返しになってくどくて恐縮でございますが、たとえば取引量が十倍あるいはそれに価格をかけ合わせた売買総量が五十倍になるという場合には、この種の比例税率の流通税は税収としてはやはり五十倍になるわけでございます。五十倍になった税収をさらにふやして負担を求めてよろしいかどうかというのがこの際議論であったわけでございます。
○佐藤(観)委員 もう一つの観点は、これはあとからキャピタルゲイン課税についてもう少し私、お伺いする中で関連をしてきますけれども、多分にこのインフレの中で株価が過熱をしている。それに対する、まあ流動的にはまいりませんけれども、この株価の異常高値に対する一つのチェックポイントとして、はたして有価証券取引税というものがチェックする一つの税になり得るのだろうかどうか。これも一つの考え方になるのではないかと思うわけですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
○大倉政府委員 その点につきましての私の率直な気持ちは、やはり流通税という形での税負担でございますので取引金額に対する非常に大きな負担率というものを求めるわけにはまいらないのではないか。したがって、有価証券取引税というのを、株価の形成に対して、たとえば株価を鎮静させたいとか、あるいは逆に、ある場合にはこの税を下げることによって取引を活発にさせたいとか、そういう政策手段として用いるというのは、言うべくしてちょっと期待し過ぎるといわざるを得ないのではないかというのが率直な気持ちでございます。
○佐藤(観)委員 この税率の問題は、どこが適当だというのは正直言ってなかなかきめにくいことだと思うのです。先ほど申しましたように、外国の例と簡単に比べても、税体系全体が違いますし、キャピタルゲインに対する課税があるかないかによっても基本的に違いますので、なかなか私自身も調べるに従って課税の率というのは一体どこが適当なのかというのは非常にむずかしい問題のように思うわけです。まあ抽象論ばかり言ってもしょうがないので、そのもう一つ先に進んで、先ほどから議論がありますキャピタルゲインに対する課税の問題、これに入っていきたいと思います。 その前提として、では一体いまの株の商いで——先ほど申しましたように、四十六年度で二十兆の株式売買が行なわれておる。先ほどの広瀬委員の御質問に対する答弁で、四十七年度の累計で二十八兆八千億という数字になっているわけでありますけれども、ここから一体幾らぐらいの譲渡益が出たのだろうか。それはわかりますか。
○大倉政府委員 遺憾ながら、この二十八兆なりあるいは二十六兆なりという取引からキャピタルゲインが幾ら発生したかということは把握できておりません。というのは、結局その取得価額が幾らであったのかということが把握できておらないということでございます。
○佐藤(観)委員 それと、われわれがこの問題をやろうとしても、キャピタルゲイン課税問題をもう少し詰めようと思っても、じゃ一体、その売買をしている人がそれを長期的な保有を目的として、つまり株の利回り、これを目的としているのか、あるいは短期の売買によって出てくる利益を目的としている短期の保有者が一体どのくらいおるのか、こういった証券の回転率、こういったものを、おそらく資料がないと思うのですけれども、ありますか。
○坂野政府委員 唯一のめどは売買の回転率だけでありまして、御承知のとおり、最近は著しく回転率が高まっておちます。全国の回転率が大体五〇%程度であったのですが、昨年四十七年は一〇二%というふうに年に一回転するというふうに変わってきております。また東京の回転率を見ましても、昨年の秋以降一回転以上の、その日その日で年率に直すわけですが、日がかなり続いております。諸外国の場合、いろいろありますけれども、高いところで三割程度、低いところは一五%程度となっております。それ以外に短期売買か長期売買か、はかる資料はありません。
○佐藤(観)委員 一体、この二十兆円売買された株価が、これは同じものを五年も持っている人もあろうし、一年持っている人もあろうし、一日で売買する人もあろうし、またそれが、いまおそらく最低千株単位だと思いますけれども、千株のものがどれだけ行なわれたか、そういった実態がわからないと、おそらくこの二十兆円から発生するであろうところのキャピタルゲインが一体どういうものであったかというのは事実われわれの目の前にはわからないわけですね。ここで私は、これは今国会中というわけにいきませんと思いますけれども、これはあとにキャピタルゲイン課税問題とも関連をしてぐるのでありますけれども、ひとつ一年かかって少しこれは精査してもらわないと私はいかぬのじゃないかと思うわけです。これは四十三年でしたか、テープレコーダーの赤井が時価発行して、四十二億円社長が譲渡益を得たけれども、これは一回ですから一銭も税金がかからないという事実が起こっているわけですね。先ほど阿部委員のほうからいろいろ御質問がありましたように、確かに中小企業や勤労者の方々の汗水たらして働く税金に対してはたいへんこまかく、やれ必要経費は認めないだの、やれこの金額は落ちないだの話をしておきながら、片や一方ではこれだけ二十兆円の株式売買については何ら手が加えられていない。この辺のところに私は非常に大きな矛盾があるし、税の不公平があると思うのですね。 そこで、これをもう少しメスを入れるために、一体譲渡益というものがどれくらい出てくるのか。短期保有と長期保有、これは五年以上あるいは一年以上あるいは半年以上あるいは一日、いろいろあると思いますけれども、一体株式の売買の中でどのくらいの比率がそういうふうに分けられるものなのか。一日で何回か売買されるものもあるでしょう。あるいは一週間たてば売買されるものもあるし、十日たてば売買されるものもある。あるいは長期に一年株の配当目当てに持っている人もあるでしょう。その辺の数字的な実態がわからないと、われわれこれだけ大きな額にのほっている株式の売買について何らメスを入れることができない、税の不公平の一つも取り除くことができない、そういうふうに感ずるわけであります。その点でまずこういったものを一年かけて、いま言ったように、長期保有と短期保有との比率、それから譲渡益は一体どのくらい出てくるのか、キャピタルロスはどのくらい出てくるのか。これはおそらくたいへんむずかしいという答弁が出てくると思います。むずかしいというならば私はあとでもう少し詰めますけれども、こういうものを一年かかって、田中内閣短命といいますけれども、来年のいまごろまでは委員会はあると思いますから、そのときまでに、ひとつこの一年間の株のいま申しましたような動き、これについて一つの報告書が、完全なものとはいえないまでも出せないものであろうか、その点についてはいかがですか。
○大倉政府委員 御質問の御趣旨は私どももよくわかっておるつもりなんでございますが、これだけの大量の取引のすべてにつきまして、個人からその取得価額の報告を求めるということは言うべくしてなかなかやりにくいことではなかろうかと思います。法人の場合にも実はどの株を売ったのかということは非常にむずかしい問題でございまして、その取得時期が長年にわたっておりますときに、いま売った株はどの株を売ったか、これは先入れ先出しでやるのか、あと入れ先出しでやるのか、あるいは総平均的にやるのかという問題があるわけでございます。帳簿があってもそうでございますから、帳簿がない個人の場合に、いま売った株はいつ幾らで買った株であるのかということを調べるというのは、しょせんは自分で申告していただく以外にないのかもしれません。それを申告していただくというのは調査のための申告であるということで、どこまでお願いできるかというような問題がつきまとうであろうと思います。 ただ、非常にマクロ的に見まして、そもそもキャピタルゲインというものがその期間中幾ら発生したと考えてよろしいかというような作業は、これは経済企画庁などでもやっておるわけでございます。と申しますのは、ごく単純化して申しますと、要するに、時価総額が上がっていない限りは、売買が幾らたくさんございましても、ゲインの片一方には必ずロスがあるということが非常に単純化した形ではいえようかと思います。したがって、日本じゅうの人を通算してネット・キャピタルゲインが幾らあったかということは、結局、期間中の時価総額のふえ方をベースにして計算してみるということになるのじゃなかろうか。そのような計算をした数字はございます。それを一年だけでとりますと、その一年間の実現分と未実現分をすべて含んだキャピタルゲインの額になって出てくる。したがって、これだけ株価の上下がある実態を踏まえました場合には、たとえば四年とか五年とかという期間を通じて、いま申し上げたような計算でマクロ的なネットのキャピタルゲインというものを一応算出してみて、その期間の平均値のようなものを求めてみれば、ある程度五年なら五年かかってのキャピタルゲインの率というようなものは一つの参考の率としては出てくるのではなかろうかと思います。そのような作業はやってみればできないことはない。それもやってみますれば何らかの御参考にはなるかもしれないと思いますが、すべての取引について売り主から全部申告を求めて調査をしてみるというのは、少し研究さしていただきたいと思います。それができますかどうですか、やや無理な点もあるのではなかろうかという気もいたします。
○佐藤(観)委員 今度の改正にも入っているわけですけれども、第二十条、証券会社に記帳義務があるわけですね。これは前からあるわけでありますけれども、この政令というのは具体的にいまどういうふうになっていますか。
○大倉政府委員 政令の七条でございますが、売付又は買付に係る有価証券の種類、銘柄、売付又は買付の価額、数量、約定年月日、受渡先及び受渡年月日、それから有価証券取引税額というようなことを記帳することを義務づけております。
○佐藤(観)委員 私はそれに、もちろん証券会社は繁雑になりますけれども、それにある程度の、もう一つ項目加えれば、そうむずかしいことではないんじゃないかと思うわけです。ということは、いま二十万株なら二十万株売買が行なわれたとします。その際二十万株がどこから幾らで買われたか。二十万株全部じゃないと思うんですね。それは十万株どこからか持ってきた、あるいは十万株どこからか別の日にちで買ってきた、あるいは二十万株は、おそらく五種類になるか六種類になるか、日にちと額とあれしますと、そのくらいの種類に——もちろんそれじゃ済まないかもしれませんが、五つくらいの種類になると思います。その意味ではたいへん繁雑になりますけれども、それは記帳させることによってそのときのある程度の時価というものは、これはどこまで立ち入り調査かできるかということになりますと、たいへんむずかしくなりますけれども、これは確かに繁雑は繁雑でありますけれども、これに比べるべきものは中小企業のほかの企業でもいろいろなことをやるわけですね。これほど大きな、二十兆円という大きな売買については、それは記帳義務がたいへんだからといってなされないで放置されておっても片や中小企業のそのほかの税務については繁雑でもこれをやらせる、この辺が私はたいへん片手落ちだと思うのです。具体的に第二十条のいまの記帳義務の中にさらにひとつ日にちと額、当時買い受けた額ですが、これを記載させることによって幾らかは実際はつかめるんじゃないか。これが即今度は納税のほうになる、たとえばキャピタルゲインに課税して納税のほうになってくるかといいますと、これは今度は個人の良心に従わなければいけないということが何か前の速記録にも書いてありますけれども、そこまで言っていたら、これはだれでも納税者個人の良心に従うことになるわけですから、それは適宜立ち入り調査することも必要になってくると思います。とにかくそういった方法で私はできるんではないか。これは先ほど阿部委員の言われるように、やる姿勢の問題ではないかと思うのです。とにかく相手は、全体として三十三兆円近い売買がされている、評価額がそれくらいになる対象でありますから、それくらいのことをやはりやる必要があるんじゃないかと思うわけでありますけれども、いかがなものでしょうか。
○大倉政府委員 この問題に即して考えますと、佐藤委員御指摘のような方法もなお研究してみたいとは思いますが、おことばではございますけれども、私どもといたしましては、ある税の適正な執行のために必要最小限な資料、記帳義務を求めるという態度で一貫しておるつもりでございまして、税の課税のためにどうしても必要であるということでない場合に、どこまで資料なり記帳なりを求め得るかという問題といたしましては、やはり有価証券取引税を執行いたしますためには、実は幾らで買ったかということは必要のない部分が多いものでございますから、それを有価証券取引税法というシステムの中で、資料なり記帳義務として採用することにはかなりのちゅうちょを感ぜざるを得ないということで、いまとりあえずのお答えとさせていただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 それは当然です。有価証券取引税を徴税するために、いまのように記帳義務は絶対できません。ですから、私が言うのは、いま全部の取引についてそれはできないと思うのです。ですから、一つのモデルケースと申しますか、一つの会社あるいは十の会社、そういったこれはあくまで試算の材料、考え方の材料であります。われわれにはその材料自体が、一体譲渡益がどのくらいになって、長期保有と短期保有がどのくらいの比率になっているかもわからぬで、ともかく株価の売買が公社債全部含めて三十三兆円だからこれはたいへんだということで議論しているわけですね。こんなことではきわめて非科学的ですから、一つのモデルケースをとってみてできないものだろうかどうか。 私は税法をつくるために、いまの御答弁ですと、税法がなければそのための記帳義務はもちろんできませんけれども、税法をつくってから実態はどうだったかわからないということでは税法がつくれないので、そのためにはひとつ大蔵省のほうも協力を願って——税を取られることですから、証券業界も協力をするとは思いません。協力をするとは思いませんけれども、やはりこのまま放置することは、徴税にあたってきわめて大事な原則である税の不公平をなくすというこの大きな原則にもとるのではないかと思うわけであります。過去のいろいろの論議を聞いておりますと、なかなか技術的にできない、したがって有価証券取引税で平均的に取ればある程度実態をつかめるのではないか、こういう論議をされているようでありますけれども、私は必ずしもそうは思わぬわけです。有価証券取引税、流通税の持っている内容というのは、先ほど大倉さんも言われましたように、ゲインがなくても、譲渡益がなくてもこれは取る税金です。そういった意味では、いろいろとそういった矛盾、それなりの欠点も持っているわけでありますから、問題は何十億も何百億ももうけても、いまの場合には、五十回以下二十万株以下といっても実態的にはほとんどつかまえられていない。こういったことでは、税の不公平性からのがれることは私はできないと思います。 したがって、これは具体的にどういうことになるかわかりませんけれども、一つのモデルケースとして、いま申しましたように、事実上どのくらい繁雑になることなのか。もう計算機の時代でありますから、株券に全部番号をつけても私はできないことはないと思うのです。そういった意味から、とにかくこの一年かけて、キャピタルゲイン課税問題を論議するために、抽象論ではなくて、実態的にどのくらいのゲインが出てきているかということをつかまぬことには、われわれもただ株価の売買総額が大きくなったというだけの話ではこれはできないわけです。そこで、いま言ったような方法で、あくまで有価証券取引税の記帳義務としてではなく、何らかの形で、モデルケースとしてできないものだろうか、そう思うわけですが、いかがでしょうか。
○大倉政府委員 御趣旨はよくわかるつもりでございますので、具体的にどういうデータを求めることができるか、少し勉強させていただきたいと思います。証券会社の協力を求めることももちろんある程度可能であろうとは思いますけれども、しょせん証券会社がお客さんからそういうデータをとらなくてはいかぬという問題になりますので、その証券会社の自己売買部分では実はぱっとしたものはこない。お客さんのほうからデータをとらなくてはいかぬ性質のものでありますから、一体どこまでのことをやっていいか、またできるか。その協力と申せば、むろん個人と法人で違うとはいうものの、法人が現実に課税した幾つかの例をさがし出してみて、それが実際に取得時期とか取得価額というものをどう判断したらいいのかということをさがしてみるのも一つの方法かもしれません。それをもって個人に類推してみるというのもあり得るのかもしれません。ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、もう少しマクロ的な企画庁のやっているような手法で、最近何年間かの平均的なキャピタルゲイン率というものをさがしてみるということもできるのかもしれません。申しわけございませんが、そういう方向で勉強させていただくということでお答えにかえさせていただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 先ほどから論議をしておるキャピタルゲイン問題も、基礎の資料がないとわれわれも売買の総額だけ時価評価額だけの話をして、一体これから利益がどれくらい総額にして上がって、それが個人にどういうふうに配分されているのか実態をつかまないことには、何ぶん放置するにしてはあまりにも大きな額であり、これからも証券市場が大きくなることを考えますと、やはりこれは無視できない問題だと思います。先ほど広瀬委員、阿部委員とのやりとりにもありましたように、何をするにしても、キャピタルゲイン課税を考えるにしても、基礎資料がないことには論議のしょうがないわけです。とかくいままでの論議を三、四年前から読んでみると、技術的にむずかしい、むずかしいということで一歩も出ていないように思うわけですね。一歩も出てないで済ませるならいいけれども、これだけ大きくなって個人の譲渡益が多額にのぼっているだろうと考えられるこの情勢の中で、片やサラリーマンや中小企業の方々についての徴税についてはきわめてせっせと国税庁の方はいらっしゃるわけだけれども、これだけ大きなものについては法律上何ら課税をされていないというのは、私は見のがすわけにはいかないと思うのですね。その辺から申しまして、ぜひともこれは、勉強させていただくということでありますけれども、何らかの形で、いま申しましたような長期保有と短期保有の比率、これもなかなか株数が多いですから、私も簡単ではないと思いますけれども、これは実態をつかまぬことにはいけない問題だと思いますので、ぜひとも前に進めてもらいたいと思うのです。 それから、いまの株の平均利回り、これはいまどのくらいになっていますか。
○坂野政府委員 東京証券取引所の平均利回りは一・七一であります。
○佐藤(観)委員 この数字を見ても、一・七一というのは私はきわめて低いと思うのですよ、高いからいい、低いからいいというのじゃなくて。一・七一ですから、これは短期保有がいまの株価をつり上げると申しますか、株に対する国民的な関心というのがむしろ利回りを求めるよりもその売買益によるところが多分に多いのではないかと思うわけです。そういったようなことからもこのキャピタルゲイン課税問題について、税調のほうでも考えているようでありますけれども、考えておるだけではどんどん前に話が進みませんので、ぜひともそういった意味での資料をつくってもらいたい、こう思うわけであります。 では、私の質問は、きょうはこれで終わります。
○大村委員長代理 次回は、明二十一日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十二分散会