大蔵委員会 第2号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/02/02
会議録
○大村委員長代理 これより会議を開きます。 鴨田委員長が病気のため出席できませんので、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。 この際、愛知大蔵大臣より、財政金融の基本政策について所信の説明を求めます。愛知大蔵大臣。
○愛知国務大臣 旧臘、私は、大蔵大臣に就任いたしましたが、わが国経済がきびしい試練と転換のときに際会しているおりから、財政金融政策の運営に当たる責任の重大さを痛感しております。 今後の財政金融政策につきましては、さきの財政演説において、その基本的な考え方を明らかにしたところでありますが、本委員会において関係法律案の御審議をお願いするにあたり、重ねて所信の一端を申し述べ、皆さま方の御理解と御協力をお願いいたします。 わが国経済をめぐる内外情勢の大きな変化に顧みますとき、今後の政策運営の基本は、長期的展望のもとに、積極的に国民福祉の向上につとめ、物価の安定をはかりつつ、国際協調の実をあげ国際収支の均衡を回復することにあると考えます。この三つの課題を相互に調和させながら、同時に解決していくことは、まことに容易ならざるものがありますが、私は、国民総生産が百兆円をこえると見込まれるまでに至ったわが国の充実した経済力を活用し、一そうの創意とくふうをこらして、この課題解決のため、最善の努力を払ってまいりたいと存じます。 そのためには、第一は、福祉社会の建設を推進することであると思います。 このため、私は、まず国民各層が経済成長の成果をひとしく享受できるよう、社会連帯感にささえられた社会保障を拡充していくことが肝要であると考えます。 また、住宅をはじめ生活環境施設、社会福祉施設、体育施設、社会教育施設等を中心として社会資本を一そう整備するとともに、公害の防除と自然環境の保全を積極的に推進して、国土全体の均衡のとれた開発を進める必要があります。 これらの福祉政策を推進するため、財政の果たすべき役割りはますます増大するものと予想されますが、今後の財政運営にあたりましては、その健全性を確保しつつ、資源、所得の配分機能をより一そう活用し、国民の要請に積極的にこたえてまいらなければなりません。 第二は、物価の安定であります。 成長を維持し、経済構造の転換を進めながら、物価の安定をはかることは、きわめて困難な問題でありますが、消費者物価の安定は国民生活の基盤であり、その動向いかんは国民福祉に大きな影響を及ぼす重大な問題であります。政府としては、総需要の水準を適正に保つとともに、円滑な供給体制を整備し、生産、流通、消費の各面にわたって、きめのこまかい施策を総合的に実施してまいりたいと存じます。 現下の緊急課題である地価問題の解決をはかるため、土地制度の整備等を含む総合的施策を講ずることとなりましたが、私としては、税制と金融の面から、必要な対策を強力に推進してまいる考えであります。 なお、土地取得関連融資につきましては、今後その増勢を他の一般貸し出しの増勢と均衡のとれた妥当な水準に落ちつかせるよう強力に指導を行なってまいる所存でありますが、この点については、すでに、各金融機関に対して通達を発したところであります。 第三は、国際協調の実をあげ、国際収支の大幅な黒字をすみやかに調整することであります。 現在、国際通貨基金及びガットの場で国際通貨・貿易制度の新しい秩序づくりのための努力が重ねられておりますが、わが国としては、世界経済のブロック化や保護主義の台頭を避けるべきであるという基本的態度を堅持しつつ、関係諸国と相協力してこれを成功に導くようつとめてまいりたいと存じます。 また、開発途上国に対する経済協力につきましては、これら諸国の経済発展がわが国を含めた全世界の平和と繁栄にとって不可欠の条件であることにもかんがみ、今後とも援助の拡充、特恵関税制度の改善等を通じ、その発展に貢献するよう、国力にふさわしい役割りを果たしてまいらなければなりません。 わが国の国際収支は、通貨調整後も大幅な黒字を続けており、これを適正な水準に戻すためには、引き続き格段の努力を払わなければなりませんが、基本的には、経済の国際化を進め、輸出優先という従来的思考から脱却して福祉型経済への転換を急速に進めることが肝要であると考えます。この意味においても、輸入については、関税率をさらに引き下げることなどによってこれを促進し、また、資本の自由化については、徹底した努力を傾けたいと存じます。 さらに、最近における国際収支の状況にかんがみ、対外経済関係の調整に資するため、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れた外貨資金等を、昭和四十八年度に繰り上げて一括償還いたしたいと存じます。 金融市場は、外貨の累増にも関連し、流動性が過剰の状態にあるといえますので、先般、預金準備率の引き上げが行なわれたところであります。今後の金融政策の運営にあたりましては、内外の情勢に一そう留意し、財政政策との関連をとくと考慮しつつ、両者一体となって、経済の安定成長を確保してまいる所存であります。 わが国資本市場は、国際化の進展、金融環境の変化等に伴い、長期資金調達の場として格段に重要性を増してきました。その整備育成については、今後とも一そうの配意が必要と考えますところ、一方、特に最近の株式市場については、株価の引き続く騰勢に深甚な注意を払わざるを得ません。この際、特に秩序ある市場形成のため、適時適切な措置を講じてまいりたいと存じます。 昭和四十八年度予算は、以上申し述べました財政金融政策の基本的方向にのっとり、わが国経済の国内均衡と対外均衡の調和をはかりつつ、長期的視野のもとに、国民福祉の充実向上につとめることを主眼として編成いたしました。 すなわち、まず、予算及び財政投融資計画を通じ、福祉の充実を求める国民の期待と要請に積極的にこたえ得る規模のものとしております。 昭和四十八年度一般会計予算の総額は十四兆二千八百四十億円、前年度当初予算に対し、二四・六%の増となり、また、昭和四十八年度財政投融資計画の規模は六兆九千二百四十八億円、前年度当初計画に対し、二八・三%の増となっております。しかしながら、一方、中央、地方を通ずる政府の財貨サービス購入の伸びは、国民経済全体の成長率とほぼ同程度となるようにし、経済の安定的な成長を保つことができるよう配意いたしました。 公債につきましては、建設公債、市中消化の原則を堅持しつつ、これを適切に活用することとし、一般会計における公債発行規模を二兆三千四百億円といたしておりますが、公債依存度は、税収入の状況にもかんがみ前年度当初予算における一七%、補正後一九%を下回る一六・四%といたしました。 次に、国民生活の質的向上をはかるため、社会保障関係経費を大幅に増額するほか、社会資本の整備にあたっては、国民の生活環境の整備に特に重点を置き、また公害の防止、環境の保全、物価の安定等についても特段の配慮を加えております。さらに、国民生活に密接に関連する分野を中心に政府関係金融機関、事業団等の貸し出し金利の引き下げを行なうことといたしました。 なお、懸案になっておりました財政投融資計画と国会審議との関係につきましては、昭和四十八年度から、財政投融資のうち、資金運用部資金と簡保資金の長期運用予定額を国会の議決の対象に加えることとしております。 昭和四十八年度の税制改正におきましては、まず、所得税について、中小所得者の負担軽減をはかるため、課税最低限を引き上げるとともに、特に給与所得者に重点を置いて、給与所得控除の大幅な拡充を行ない、三千百五十億円にのぼる減税を行なうことといたしました。すでに、わが国の課税最低限は、欧米諸国に比肩し得る程度に達しておりますが、さらに今回の改正により、夫婦子二人の給与所得者の場合、平年分で一〇・七%上昇し、百十四万九千円に達する水準となったのであります。これに加えて、住民税についても、一千億円をこえる減税を行なうこととしており、国民の税負担は大幅に軽減されることになります。 なお、このような一般的な負担軽減措置と並んで、退職所得の特別控除の大幅な引き上げを行ないました。この結果、勤続三十五年で現在五百万円まで課税されないことになっているのが、八百万円まで課税されないことになります。 相続税の課税最低限の引き上げ、物品税の軽減合理化、入場税の減税を行なう一方、有価証券取引税の税率を引き上げることといたしております。 租税特別措置につきましては、最近における社会経済情勢の変化に即応し、重要産業用合理化機械等の特別償却制度、価格変動準備金制度等産業関連の諸制度について、改廃を行なうこととしました。一方、福祉対策、公害対策、勤労者財産形成・住宅対策等に資する措置を講ずるとともに、事業主報酬制度を創設することといたしております。 さらに、今日の土地問題の重要性にかんがみ、土地に対する投機と地価の騰勢を抑制するため、法人の土地譲渡益に重課することといたしました。なお、その他、国税につきまして所要の税制の整備合理化を行なうことといたしております。 関税面におきましては、対外経済政策の一環として昨年末実施された関税の一律大幅引き下げに引き続き、内外経済情勢の変化に即応するため、さらに関税率及び関税制度について適切な措置を講ずることとしております。 まず、特恵関税制度について適用品目の拡大、税率の引き下げを行なうほか、鉱工業産品についての特恵供与方式を改善し、開発途上国からの輸入増大に資することといたしました。 また、国民生活に関連の深い物資を重点に関税率の引き下げをはかるとともに、関税割り当て制度の改正、通関手続簡素化のための税率調整、関税制度面の整備等、各種の改正を行なうこととしております。 以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。 本国会において御審議を願うべく予定しております大蔵省関係の法律案は、税制の大幅改正をはじめ昭和四十八年度予算に関連するもの十四件、その他三件、合計十七件でありまして、本委員会の御審議をお願いすることになると存じます。 何とぞよろしく御審議のほどをお願いする次第であります。 —————————————
○大村委員長代理 次に、大蔵政務次官山本幸雄君、大蔵政務次官山本敬三郎君並びに関税局長大蔵公雄君より発言を求められておりますので、順次これを許します。大蔵政務次官山本幸雄君。
○山本(幸)政府委員 私は、昨年末大蔵政務次官を拝命いたしました。今後委員の先生方にいろいろごやっかいになることかと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
○大村委員長代理 大蔵政務次官山本敬三郎君。
○山本(敬)政府委員 同じく政務次官を拝命いたしました参議院の山本敬三郎であります。何かとお世話になるかと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)
○大村委員長代理 関税局長大蔵公雄君。
○大蔵政府委員 私は、昨年十一月、赤羽前関税局長の死亡に伴いまして、後任として関税局長を命ぜられました大蔵でございます。今日まで、関税局に勤務することは初めてでございますが、全力を尽くしてお役に立ちたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。(拍手) —————————————
○大村委員長代理 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 私は大蔵大臣の演説について御質問いたしますが、時間も迫っておることでありますので、端的にお伺いをしたいと思います。 このたび大蔵大臣は、また新しいキャッチフレーズをお出しになりました。すなわちトリレンマ、つまり、福祉、物価、円問題の解決。しかし、私は思い起こすのでありますが、昭和四十一年に当局は財政硬直化というキャンペーンを展開したのでありますけれども、問題は、このキャンペーンに食管の赤字、国鉄、健保、公務員給与などを財政硬直化の犯人だとしてやり玉に上げたのでありますけれども、結局、この財政硬直化の問題は、ほんとうの犯人でありますところの防衛計画であるとかあるいはまた公共事業等の長期計画による支出をたな上げにいたしまして、政府は、さきに述べました国民生活に直結した項目だけを騒ぎ立てまして、そうしてあの硬直化で一体何が解決をしたのかというと、私の見るところ、食管法の骨抜きをやった。そうして受益者負担によるという名前による大衆負担の増大が行なわれただけであります。今回またトリレンマ、それの解決、こういう予算だということでありますが、結局は福祉関係の高負担を実現するだけであって、物価も円問題も解決はしない、私はこう思うのであります。 もともとトリレンマとこうおっしゃるこの三つの矛盾は、例の日本列島改造論の半面を正直に証明されたのでありますが、政府がこういうできもしないキャッチフレーズを出してきたのは、国民の不満というものがいまやもう押えようがなくなってきた、そうしてなおかつ超高度成長をやっていこう、こういう中でこれを出さざるを得なくなった、こういうふうに私は理解せざるを得ないのでありますが、大蔵大臣、いかがですか。
○愛知国務大臣 ただいまお話がございましたように、私は非常に率直に、いま日本の経済が当面しておるむずかしさをそのまま認識すると同時に、この三つの問題を同時に解決しなければならない、こういう決心をもちましてあらゆる努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 それで三つの課題、すなわち物価の安定、そして国内、国際両面の均衡の確保、その上に福祉国家を建設するということは非常にむずかしい問題ではありますが、これまで成長してきた日本の国力全体から見れば、これをうまく資源の配分をやってまいりますれば必ず所期の目的は達成できるであろうし、またその方向に向かって邁進しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○阿部(助)委員 しなければならないとおっしゃるけれども、これが単なるキャッチフレーズでなくて真剣に解決すべき課題だ、こう言うならば、これを取り上げざるを得なくなったという事態に至った歴史的な経過というものがあるわけであります、それについて率直な反省、この歴史的な原因の解明というものがなければ、解決の策も出てこないだろうと思うのであります。そういう点で、歴史的な経過を踏まえてもう一度御答弁をお願いしたいのです。
○愛知国務大臣 終戦後の相当長くなりましたこの四半世紀のあとを振り返ってみますと、いろいろの論議はあろうと思います。しかし私は、一言で申しますと、たとえば各国がなかなかできない完全雇用というようなものが、日本ではほぼ実現できたと考えます。それなりに成果をあげてきた、私はこう考えておるわけでございます。ただ、先ほども申しましたように、国全体としては相当の実力を備えてまいりましたし、また、世界的に相当の影響力のあるような経済力の充実が見られましたけれども、この際、これからの時代、そして現在の国民各層のいろいろに多様化しておるところの願望にこたえていくためには、新しいくふうが必要である。やはりこれも、一口にいえば、財政を通して資源の配分を適切にやっていくことが眼目ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○阿部(助)委員 私にとってはたいへん不十分でありますが、私は、日本列島改造論、まあ田中内閣がこれによって四十八年度の予算を編成したと思うのであります。改造論には対外関係は書いてありません。それだけではなく物価問題も全く無視しておるように思うのであります。これを強行すれば福祉に逆行するし、さらにまた円問題はもはや収拾がつかなくなってくると思うのであります。改造論をまつまでもなく、今日までの自民党政府の高度成長政策の結果、物価は国民のがまんのならないところまでやってまいりました。また、福祉問題は現実に自民党の命取りになろうとしておる。円問題は急迫を告げておるというのが今日の実情だと思うのであります。こういうような事態をどう切り抜けるのか。予算編成及び政府の施策から結論するならば、結局は勤労大衆に対する高負担、物価は放任、そして円の再切り上げをやるということになり、大企業は十分保護を受けるけれども、勤労大衆はむしろ徹底した合理化政策を押しつけられる、こういうことになると思うのでありますが、もう一度大臣の基本的な考え方をお伺いしたいのであります。
○愛知国務大臣 基本的な考え方は大体先ほど述べましたことに尽きるわけでございますが、具体的に予算の内容あるいはこれに関連するいろいろの考えております政策あるいは実施しつつあります諸施策について、具体的にいろいろと御説明を申し上げれば、私の申しましたようなことが御理解を進めていただくことができるのではなかろうか、かように存ずるわけでございます。たとえば、いまお述べになりました福祉政策の問題を一例とってみましても、予算の上ではずいぶんこれはくふうをいたしまして、厚生関係におきましては、今日の段階においてこの程度のことをやりたい、やるべきであるというような方向の問題は、この年度におきましてはほとんどすべてと申してもよろしいかと思いますが、組み込みまして、一般会計だけで申しましても、日本の予算史上でも初めて二兆円をこえることになりましたし、また予算のシェアから見ましても、厚生関係が相当に伸びたという事実からも御判断をいただきたいと思います。また、列島改造のお話が出ましたが、たとえばこれは公共事業費の配分の中でも、あるいは財投の計画におきましても、旧来的な感覚での公共事業的なものだけではなくて、農村も都市も含めてでございますが、生活環境をよくする、あるいはまた具体的にもう少しこまかく申せば、下水道とか屎尿処理とかあるいは公園とかあるいは社会福祉施設でありますとか、そういうところへの配慮、あるいは福祉問題にかかわる人の問題、これらにつきましてもできるだけの配慮をするようにいたしたつもりでございます。それから一面から申しますと、税の関係は先ほども申し述べましたけれども、勤労階級に対しまして、特に中堅層の方に対してできるだけの減税に均てんができるように、すでに課税最低限の標準家庭百十四万九千円というのは、列国に比べまして相当程度課税最低限が高まりました。百三万円の当時でありましても諸外国に比べて決して劣っていなかったと思いますけれども、これを相当引き上げ、一〇・七%になっているというようなところも、私は評価していただきたいと思う次第でございます。これらの点はさらに具体的にいろいろ御質疑もございましょうから、さらにお答えをすることにいたしたいと思います。
○阿部(助)委員 あなたの先ほどの所信表明でも、福祉ということばがたいへんよけい出てくるのでありますが、それでは福祉の問題、それからいままた税金で軽減をしておる、こうおっしゃるので、その点、私、数字をあげてお伺いをしたいと思います。 私は、いままでもそうであったし、この予算もまたそうであると思うのでありますが、結局は大企業、大資産家のための利潤と蓄積、これを進める一方、勤労大衆には高負担と物価高、こういうものを押しつけていくと思うのであります。いま大臣は福祉に二兆円の金をつけた、こうおっしゃるけれども、これは生産性本部の調査でありますが、ちょっと一部だけ読んでみますと、福祉の場合、人口一人当たりの社会保障の給付はスウェーデンが十九万五千五百二十五円、西ドイツが十二万七千八百六十一円、こうなってきて、欧米先進国が十万円をこえておるのに日本は二万九千百円である。たいへん低過ぎる、こういっておるのであります。いままでがぶん投げ過ぎたという点はもちろんありますけれども、これだけ日本経済が大きくなったといいながら、あなたは二兆円と言うけれども、それならば国民所得に対する比率もあなたは述べられるべきなのであります。非常に都合のいい数字だけをお述べになるけれども、いまここで読み上げましたように、この日本の社会福祉というのはたいへんおくれておる。そうしてこれを引き上げようとすれば今度は高負担という形でこれを勤労者に押しつけてくる。 今度は皆さんの案によれば、厚生年金は千分の六十四を七十九にする、こういうことでございますね。そうして国民年金は五百五十円を九百円にするというと、この上げ率は一体幾らになるのです。
○愛知国務大臣 私が申しましたのは、従来がおくれておったことは否定しておりません。そしてこれから切りかえをしようとすることがこの際非常に大事なことであるということを前提に考えておるわけでございます。たとえば、いまもお話しになりましたが、国民所得に対する社会保障の給付費の割合などは、日本の社会保障関係のことが従来ともすればおくれがちでございましたから、六・二%というような数字が出ております。アメリカの八%とか、あるいはスウェーデンなどは一七・三になっておりますから、そういう点に比べればおくれをとっておるわけでございますから、これをできるだけすみやかにその水準まで持っていくということを考えて、そのまず第一歩をここで大きく踏み出した、これは先ほど申しましたように厚生関係の方々からもそれなりの評価を受けておるつもりでございます。 それから、たとえば財政の国民経済に対するいろいろの配分や比率がこれは大事だと思いますけれども、そういう点にも着目いたしまして、たとえば振替支出というものが今回では五%をこえるようになりまして、これは従来からはかなりの前進であろうと思います。こういう点もまた御考慮をいただきたい点であると思います。
○阿部(助)委員 いままで低かったのでこれからだとおっしゃるけれども、これでも低いのですよ。そうすると、この次大蔵大臣になった方が今度はこうしましたと言うけれども、それでもまだ低い。一体自民党は今日まで何年政権を担当してきたんです。そして、これだけ経済が大きくなったという自慢をされる。そういう中で、ことしからこうだなんということでは——だから私は先ほど言ったように、歴史的な経過をどう踏まえておるのか。その反省の上に立ってこうして、これからどうするんだという計画をお出しいただかないことには、私はなったばかりでと、こうおっしゃるかもわからぬけれども、今日まで自民党政権は続いてきておるのですよ。それだから私は、先ほど歴史的経過を言ったわけであります。 事務当局でいいからひとつ数字を出してもらいたいのですが、皆さんのほうではいわゆる五万円年金と、こうおっしゃるけれども、いま年金受給者の数はどれだけあるか。その数字だけでいいですから言ってください。そうして五万円年金を受ける人は来年何人あるのか。もう一つは、四十七年度の年金会計の収入は幾らで、支出は幾らか。これをちょっと数字を出してみてくださいませんか。
○愛知国務大臣 その前にちょっと一言お答えいたしておきますが、過去を振り返りながらこれからのことということはごもっともなことがございますから、先ほども過去を振り返って一言申し上げたわけです。たとえば年金制度にいたしましても、御承知のように過去において、戦後において各種の年金制度をつくったわけですけれども、その年金制度の中には、たとえば昭和三十六年から発足しているものもある。そして年金制度というものの性格から申しまして、これはたとえば二十年とかあるいは経過的に十年、五年というようなことがございますし、それから各種の年金制度によっては発足の時期が違いますから、一がいにぴしゃりとクリアカットにだれは何万円ということは言えません。しかし、たとえば厚生年金で申しますと、今回の改正案をお願いいたしておりますことが実現いたしますれば、現在、加入してから平均して二十七年経過しておられるような方については、ずばりと五万円あるいはそれ以上のものがもらえる。その数は幾らかということは、いま政府委員から正確に御説明いたしますけれども、大体一割ということが言えると思います。現実にこの年金の制度の上で、たとえば従来は三万円前後というような方がずばりと五万円、私どもが申しております五万円年金というものがそういうふうに実現されるわけでございます。その数が一割程度というのは、現在のところは、この年金制度の本質からいってそういうことになるのが自然の成り行きである、私はかように存じます。
○阿部(助)委員 ちょっと数字を述べてください。
○吉瀬政府委員 いま担当の辻次長が参っておりませんので、私、手元の資料で御説明申し上げたいと思います。 昭和四十七年十月一日の老齢年金の受給者数でございますが、厚生年金で六十六万人、国民年金で四十万人、その他船員保険で二万人、各種共済組合で六十万人、福祉年金で三百四十四万人というような数字になっております。
○阿部(助)委員 合計で幾らです。
○吉瀬政府委員 五百八万くらいですか……。 なお、将来の老齢年金の受給者、これを厚生年金と国民年金に分けて申し上げたいと思いますが、四十八年度には厚生年金の受給者七十六万二千人、これが五十年には百三万七千人になります。さらに五年あとの五十五年には百六十六万三千人、こういうような数字でございます。一方国民年金のほうでは、四十七年の十月が四十万人でございますが、四十八年度には七十九万八千人、五十年度には百七十九万五千人、五十五年度には二百九十四万七千人、こういう数字がございます。
○阿部(助)委員 それで、五万円年金を受ける人の数はわかりませんか。
○吉瀬政府委員 担当次長がいま参りますので、ちょっと……。
○阿部(助)委員 それで、四十七年度の大体の見込みでもいいですが、厚生年金の年金会計で、入ってくるのと出るのとはどうです。
○吉瀬政府委員 担当次長が至急参りますので、ちょっとお待ちをいただきたいと存じます。
○阿部(助)委員 まあいずれにせよ、大臣は一割程度とおっしゃるんですが、五万円年金を受けるのはどういう人の一割なのかわからぬが、私はもっとはるかに低い数字だと思うのであります。そうすると、皆さんは五万円年金、五万円年金とこう言うけれども、これは不当表示じゃないですか。誇大広告じゃないですか。ここの委員会で、不当表示だ、誇大広告をやめろという話がよく出るのでありますけれども、これは政府、自民党まさに不当表示をやっておるということになりませんか。大臣、これは五万円をもらう人があるんだということだけれども、いわゆる五万円年金なんという表現は取り下げられるべきだと思うんですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 事務的に詳しい計数を正確に申し上げるべきでございますが、時間かかるようですから、私から常識的に申し上げます。 先ほども申し上げましたように、例を厚生年金にとりますと、二十年以上加入の者の平均の加入期間が二十七年になっておる。で、その方々の標準的な年金は五万円あるいはそれ以上になります。現実の数字で七万五千人でございます。で、この七万五千人は、私の記憶では全受給者の約一割。七万五千人が現実に五万円年金になりますから、そして先ほど申しましたようにこれは制度の問題で、しかも現実に改正になれば直ちに五万円もらえる人がこれだけあるわけですから、私は誇大広告ではなくて、年金というものの性格からいって、現実に改正と同時に七万五千人の方がこれに均てんされる。そしてあとは年齢の関係とか退職する状況とかによって違いますけれども、皆さん五万円になる。そしてこれには物価のスライド制がつく。これが現実の姿でございます。
○阿部(助)委員 この数字がいま皆さんのほうで示されません。私なりに調べたのはあるのでありますが、あまり正確を期しておりませんのであれですが、しかし、非常に低い率であって、制度がどうだこうだ言うけれども、皆さんが五万円年金だと、こうおっしゃれば、年金をもらう人が大多数、相当数が五万円もらえるというときにこれを言うのがあたりまえでありまして、一割とか五%がもらえるから五万円年金だなんというのは私は誇大宣伝だ、こう思うのであります。しかも、誇大宣伝である上に、さらに最近の物価の上昇、こういうことを考えますと、これまたまさに吹っ飛んでしまうということじゃないですか。物価は一体どうされるのか、一体どこまでいくのか、いま国民はたいへんな不安にかられておるわけであります。 たとえば最近問題になっておる大豆は一体どうするんです。国民の口にとうふももう入らなくなるというのが実情じゃないですか。皆さんのところで調べたところによりますと、大豆の輸入は、大体いままでどおり入荷をしておるのですね。しかも輸入価格は上がっていない。にもかかわらず、最近の大豆の値上がりはたいへんに激しい。一体これはどういうことなのです。これは、企画庁の方もおいでになっておりますので、企画庁のほうからでもけっこうですが、一体これはどういうことなのです。いままでの輸入量はちっとも落ちていないのですよ。そして輸入価格は上がってはいないのです。にもかかわらず、最近の大豆はめちゃくちゃな値上がりをしておって、とうふが七十円だ八十円だというほど上がってしまう。庶民の口に入らなくなってくる。一体これは企画庁はどういうことだと思っているのです。
○愛知国務大臣 大豆の問題は、私ども非常に心配をしている問題でございますから、政府といたしましては、各外国等に対しましても緊急輸入の手配をいたしておるところでございます。大豆の値上がりは、多少私の見方が違うかもしれませんけれども、世界的に品不足、特にソ連その他との関係などを見てみましても、やはり品不足で、アメリカあるいは中国から輸入をしたいということであっても、これまた世界的減産で、非常に困っておるというのが、一番基本的な原因ではないかと思います。輸入量が一つも減っていないというお話でございましたけれども、ごく最近はそこにも変化が起こっているはずでございます。政府としては、大豆は、みその関係もあり、しょうゆの関係もあり、これはたいへんな重大な問題でございますから、手配をいたしまして、中国などは非常に好意的に出荷の手配を無理をしてやってくれつつあるように、私も農林省を通じて聞いております。 それから、一つは取引所の問題などもあろうかと思いますが、これも所管は違いますけれども、取引所などが、実物なくしていたずらに市価をつり上げるというようなことに対しましては、行政的に所管の省からそれぞれ措置いたすか、あるいはいたしつつあるはずである、こういうふうに私は理解をいたしております。 なお、大豆の問題について、詳細は、もし必要があれば農林当局からもお聞き取りいただきたいと思います。
○阿部(助)委員 私は、この問題、各省の担当のところを呼んでやるというほどいま時間がありませんから、少なくともこれだけ問題になり、閣議でもいろいろと緊急輸入の話が出たとかいうお話でありますので、物価という問題、しかも消費者物価、これは同時に貨幣価値の問題であり、予算編成上の重大問題だと思うのであります。それだけに、大まかでも大臣からその辺の問題をお伺いできると思ったのでありますが、輸入の点は、大蔵省の輸入の実績を調べてみても、最近減っていないのですよ。しかも、輸入価格もいまのところは上がっていないのです。これから世界的な品不足であり・これから先高見越しだということでは、わからぬではないけれども、現実は上がっていないのです。高いのはまだ来てないのです。にもかかわらず上がるということに対して、一体どのような手を打っておるのか、それとも全然手が出ないということなのか、政府として責任がないということなのか、その辺を私は聞いておるのでありまして、私、そう詳細をここでお伺いをする時間的な余裕もないのです。
○愛知国務大臣 ただいまも申しましたように、何としてもやはり輸入は確保しなければなりません。これは大豆の問題だけではございませんで、飼料等についても、政府としては重大な関心を払って、先ほど申しましたように、たとえばこれは取引所の監督権の発動の問題もあろうかと思いますが、それぞれ重大な決意で、物価問題との関連も非常にございますから、措置をいたしつつあるところでございます。
○阿部(助)委員 そこを聞いておるのでして、いまはまだ高いのは入ってきていないのですよ。しかも輸入の量も減っていないのです。それでは上がったというのに対してどういう措置をされるのか、どういう措置をされたのかということを、私はいま聞いておるのです。
○愛知国務大臣 御案内のように、輸入制限もございませんし、それからそのほか関税の問題もございませんし、御承知のように、いわば自由取引の問題でございますから、それなりにこれに対する対策も非常にくふうの要るところでございます。しかし、いずれにしても国民生活に必要な数量というものは、将来ともに確保しておかなければならない、また同時に、それが今日の値上がりを押えるということにも基本的に必要なことであろう、かように考えております。要するに、国内的な措置については、詳細のことは所管のほうからお聞き取りをいただきたい、こう先ほどから申しておるとおりであります。
○武藤(山)委員 大臣、関連してちょっといまのを詰めたいのでありますが、商品取引所の現物取引といった、先物信用取引を認めているというところにガンがあるのですよ。いまは証券ですら、株の売買ですら大蔵省の監督は非常にシビアに網をかけておる。ところが、現物商品取引所においては、そういう投機的な傾向で価格が非常に動く。これをやはり閣僚の一員である大蔵大臣は、特に経済見通しで、あなたのほうは年間五・五%の消費者物価の上昇でとめるのだ、それを国民に公言しているのですから、やはり抽象的な答弁ではなくて、大蔵大臣としてはこのように閣議で主張して、物価安定のためにこういたします、いつごろまでにきちっとその結論を出します、それぐらいの答弁をしなければ、やはり大蔵大臣として信用できませんよ。もう一回そこらのこれからの方法についてきちっとしてくださいよ。
○愛知国務大臣 それらの事実は私も承知をいたしております。それから先ほど総理大臣からもこれは何とかいたしますということを言明いたしておりますが、私はしかし行政的な措置その他については所管いたしておりませんから、そういう点については他の省からお聞き取りをいただきたいということを申し上げておるわけであります。
○阿部(助)委員 いま中国から輸入を急いでおるというけれども、これは前に約束した分が、天候のぐあい等で積み出しがおくれておるそうでありまして、それを何がしか積み出すということでありますが、きょう調べたところによると、大体六万トン前後これが入ってくる。しかし入ってくるのは、これはまた商社を通じて、そしていままでの流通経路を通るということになりますと、やはりいままでも、ここまで上がったのは、先ほど来繰り返し言うように、輸入量は減ってないんだ、輸入価格は上がっていないんだ、いわゆる買いだめ、売り惜しみという形の中で、これは値上がりをしておるとしか思われない。それに対して手を打たないとすれば、入ってくる大豆は一体どうなるのです。また同じような経路を通って同じような結果になることだけは間違いがないのじゃないですか。そしていま大臣は、自由取引だからなかなかわからぬ、しかもこれはよその省の所管だからわからぬ、こうおっしゃるのでありますが、自由取引だということになれば、私はもう一つお伺いをしたい。 先ほども予算委員会で問題が出ておりましたように、鉄鋼はなぜ自由取引で競争をさせないのです、政治が介入して。先ほどの予算委員会の話は私はたいへん不満足に聞いておったのでありますが、これは不況カルテルということでやったけれども、昨年の三月期の決算と九月期の決算をごらんになれば、不況カルテルでございますということで生産の量は減らしました、利益はちょうど倍になりましたなんというでたらめなもうけ方を皆さんは是認しておられるじゃないですか。これが自由経済といえるのですか。その点、大臣からお伺いしたい。
○愛知国務大臣 管理価格の問題はまた別の大きな問題でございますが、これは政府としても公取委員会といたしましても、十分現下の法制のもとにおいてなし得る限りのことはいたしますということを言明していることは、先ほどお聞き取りいただいたとおりでございます。それから不況カルテルは、これは私は正確でないかもしれませんが、最近まで十二品目か不況カルテルが認められておったようでありますが、現在は二つくらいしか残っていないように承知しております。
○阿部(助)委員 私、時間がたいへんないので急ぎますけれども、木材にしても、確かに木材の場合は少しは輸入価格も上がってきておるのです。しかしその上がる率よりもはるかに大きく小売り価格が上がっておるという点、私は数字を全部持っておりますけれども、そういう点を考えると、私はいまの政府のあり方にたいへん不満なんだ。しかしこれはもう時間がありませんから先へ急ぎます。 今度は小麦がアメリカでたいへん上がっております。そうすればやがて日本は、皆さんの、自民党の政策によって日本の小麦生産はたいへん少なくなっております。したがってこれは外国の小麦の値段がもろにかぶってくるという危険性を持っておる。そうしますと、これは食管の問題になってきて、米審の議を経てこれが処理されることでありましょうが、小麦が上がればこれはたいへん主食が上がるわけであります。これから日本が輸入するだろうところの小麦の値段は、先高ということだけは間違いがない。そのときに財政を担当される大蔵大臣は、小麦は輸入価格がいかに上がっても、国内の価格は食管法に基づいて据え置くという方針を財政当局として堅持されるのかどうか、その一点だけ聞いておきたいと思います。
○愛知国務大臣 上がるということを確定的な前提としての御発言でございますが……。
○阿部(助)委員 予算は上がっている。
○愛知国務大臣 それは承知しております。しかし、まだこれからうんと上がるということを前提にしておられますから、それにお答えしているわけです。これは何と申しましても、消費者物価を経済見通しのとおりに、値上がり幅を五・五%にとどめたい、これを堅持したいと思っておりますから、情勢の変化によりまして、できるだけその線に沿うような考慮と措置はいたしたいと思います。しかしいま小麦について、そんならこうなったらどうだということは、将来のことですから私はお約束できません。
○阿部(助)委員 しかし、これは財政当局としてどうかということであり、これはもう将来のことだといったって、年度内のことだ。皆さんが四十八年度予算を編成され、そしてそれを執行する問題なんでして、将来の問題だなんということではなしに、私は大蔵大臣として、この問題には財政当局としてはこういう方針で、上げない方針でいくならいくというくらいのことがなければ、いまの予算案の審議なんておかしいじゃないですか。そんなことがきちんとできないならできないでしようがないです。どうなんですか。
○愛知国務大臣 ですから、いま申し上げておりますように、この予算の執行ということは、経済見通しに照応してつくられた予算であり、これを執行してまいりたいのでありますから、それをただいまの私の立場としては、そういうことでございます、こう申し上げておるわけでございます。
○阿部(助)委員 一つはこの問題は、私は小麦にしろ大豆にしろ、皆さんの農業政策の失敗、これが外国の農産物の価格の変動をもろにかぶるようにした農業政策の失敗だと思うのであります。そしていま大臣は物価を五・五%とかなんとか言うけれども、これは一体どういうことなんです。これは小坂さんが言っておるのですけれども、皆さん内閣として一緒だと思うのですが、ちょっと読みますと、こういう演説をしておる。五・五%「これは単なる見通しの数字ではなく、政府、国民がともに努力することによって達成される政策目標であります。」さっぱりわからない。一体国民はどういう協力をするのです。国民は物価が上がっては困るのです。国民が協力して物価が下げられるものなんですか。国民がどう協力するのです。不買運動をやれということなんですか。
○愛知国務大臣 まあ国民と申しましても、一般的に国民に呼びかけたわけでございまして、たとえば大蔵省の管轄の問題から申しますれば、証券界に対していろいろの措置は行政的に打っておりますが、さらに業界の自粛を求める、あるいは金融の政策にいたしましても、それに関連する人の自粛を求めるということも、その中に私は当然入ると思います。消費者に対して特にどうこうといった意味では必ずしもないと思います。
○阿部(助)委員 たいへんにそういう点でまぎらわしい書き方でして、特に消費者物価の場合、大臣、消費者物価が上がってほんとうに困るという層は、どっちかといえばこれは勤労大衆、低所得層なんです。一年間で一億も二億も所得のある人にとっては少々米が上がろうと何が上がろうと、収入との相対的な関係においては、これは苦痛にならないのです。私たちが消費者物価をやかましく言うのは、これは勤労大衆が困るからなんです。 こういう形で、いまとうふが上がる、みそ、しょうゆはもちろん上がる、材木が上がる。実際材木が上がることによってトラブルが多いのです。私の承知しておるのでも、いなかで数件あります。建てかけたところが材木が上がった。大工さんが負担せねばいかぬとなれば大工さんは破産してしまう。そうかといって、頼んだ勤労者は精一ぱい住宅ローンを借りておるので、これ以上は金が出てこない。一体どっちが負担するかという問題で相談に来られてみても、私たちも処置がないのです。こういう問題がもう国民の中で蔓延しておる。消費者物価はどうしたところでこれは勤労大衆にたいへんな苦痛を与えるということで、私たちは、こんなずさんな書き方ではなしに、もっと政府が確信を持って物価問題に対処しなければ、皆さんのおつくりになった予算自体が、これが根底のないものになるじゃないですか。消費者物価の値上がりというのは、貨幣価値の測定でしょう。それがこんな「達成される政策目標であります。」ということであるならば、いまの予算もまた、これは目標でございますということで予算を編成されたんですか。この予算でやります、しかしいろんなことで補正を組むことはあるだろうけれども、この国会に提案する今日の段階はこれでやるのですという皆さんの、大蔵大臣の確信を持ってやられた予算案だと私は思うのですが、これも国民の協力を得て達成できるところの政策目標でございますということで予算を国会というところに提案しておるのですか。
○愛知国務大臣 これは正確に申せば、物価の問題、物価それ自体と予算とは性格が違うものであると思います。 それから、一言つけ足しておかなければならないことは、消費者物価が勤労大象の最大の関心の問題である、これはもう私もとくと承知いたしておるつもりでございます。先ほど例を土地などにあげましたのは、インフレムードをあおるのが一番困るわけでございますし、これが大衆にまたムード的に影響することがございますから、それでその一例をあげて、そういう方面には大いに協力を願い、自粛を願わなければいけないということを例として申し上げたわけであります。
○阿部(助)委員 こういう形でムードを押えたいと言うけれども、どっちかといえば、このムードを一番おつくりになったのは田中さんの日本列島改造論じゃないですか。私は、この辺で政府自体もう少し物価に真剣な取り組みをして、これで押えるんだ。五・五%だってたいへんなんです。しかしこういう形でいけば、先ほどの福祉は飛んでしまう。一体なぜこう物価が上がるのか。しかも国民大衆は、物価で苦しめられる上に、私は最後に税金のことをお伺いしたいのでありますけれども、今度は、皆さん減税だ、こうおっしゃる。それは数字の上では三千何百億減税だと言うけれども、しかし国民の負担は重くなってくるわけですね。地方税、公租公課、全部入れますと、国民所得に対する割合は、皆さんの資料で計算すると二一%から二二・二%、金額でいって三兆六千九百五十九億というものが負担増になってくるわけであります。この点はお認めにならざるを得ないと思うのです。これは皆さんの資料で計算をいたしました。もし当局の人たち狂っておるとおっしゃるならば、あとで御指摘を願いたいのであります。 時間がないからここは飛ばします。 そして夫婦子供二人で百二十万円の所得の人が、皆さんの大体予測しておられるように、一五%のベースアップをした場合、百三十八万円になるのです。この比較でいま皆さんの減税あるいはまた片方では社会保障費の値上がり、こういうものを計算していきますと、これは五万九千円の負担増になるわけですね。——私の計算したのをお貸ししましょうか。——そういう形で、今度は減税したと言うけれども、実際は負担は重くなっていく。それなればこそ、税金面でいうボーダーライン層の納税者の数はどんどんふえていく。税調に出した資料と私のところにくだすった資料と何がしか数字が違いますので、どちらがほんとうか私にはわかりませんが、二千九百二十一万人もの給与所得者が納税人口にふくれ上がるなんということになるわけでありまして、私は勤労者に対する税金はたいへん重くなってくる、こう理解するのですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 それでは、説明資料について御説明の必要があるかと思いますから、主税局長からお答えいたします。
○高木(文)政府委員 ただいま例示されました、年収百二十万円の給与所得者がベースアップになった場合の負担の問題でございますが、一五%ですから年収が百三十八万円になります。その場合の税の負担は、収入がふえます関係で税もふえるわけでございまして、所得税、住民税、それから社会保険料が給与にスライドして上がると考えますと、年収百二十万円の場合の税額が、八万三百円ぐらいであるものが十一万一千六百円ぐらいになります。ただ、これは四十七年度の現行税制での計算でございまして、今回の減税によりまして、十一万一千六百円が九万六千六百円ぐらいに減るはずでございます。ただそれでも、もちろん八万円から九万六千円に負担は一万六千円ふえますが、それは収入がふえた場合には負担はやはりふえるわけでありまして、収入がふえても負担が高まらぬというわけにはなかなかまいらぬ。それで今回の減税で、十一万一千円になるはずのところ、九万六千円ぐらいにとどまるという関係になっております。 負担関係はいま申しましたとおりでございます。
○阿部(助)委員 そうおっしゃるけれども、私の数字とちょっと違うようです。これは私が皆さんの資料で計算したのですが、これではいまのような皆さんの数字でとってみても、五・五%の物価の上昇というものを考えると、生活はいままでよりもはるかに苦しくなるというのがはっきりするわけなんです。ところが一方、法人の場合例をとってみますと、これは大臣、私の書いたのをごらんになったほうがよくわかります。法人の所得は、四十一年と四十八年を比べますと、二・五三倍に伸びておるわけです。ところが、法人税は、その伸び率よりも低く、二・四七倍、法人税はその所得の割りには伸びていないのです、低いのです。ところが一方、個人の所得になりますと、個人所得は一・八六倍にすぎないのに、所得税の合計は二・二四倍に、これは高くなるわけです。これは皆さん計算すれば間違いないはずであります。こういうことを見てくると、たいへんに法人は恩典を受けておるということになる。 もう時間がないから急ぎますが、その次のページを見ていただけば、しかもその法人の中で、資本金ごとに区分けをしてまいりますと、十億円以上の企業——私は皆さんに百億円以上の企業の資料をお願いしたのだけれども、出てきません。したがって、皆さんの区分けしておるように、五百万円から一千万円、一千万円から五千万円、五千万円から一億、一億から十億、十億以上と、こう分けて私はこれを計算してみますと、十億以上の会社が一番納める税金が率として低いということになってくる。大法人ほど納める税率は低くなっておるという計算が立つのです。もちろんこれは特別措置の恩典であります。そういうことを考えると、日本の法人税というものは、いかにもこれは矛盾した、富の再配分という税の機能からいってみても、逆進的な法人税のあり方だというのが明瞭になってくるわけですが、大臣はこの法人税を強化する、引き上げるというお考えはございませんか。
○高木(文)政府委員 ちょっとただいまお見せいただきました数字がすぐわかりませんのですけれども、一般的に申しまして、法人税は比例税率になっておりますし、所得税は累進税率になっております関係上、国民経済が膨張してまいりますと、所得税のほうが伸び率が高くなる傾向にあるわけでございまして、さればこそ毎年所得税については減税が行なわれているという関係があるわけでございます。 なお、ただいま御指摘の資本金別の負担割合につきましては、確かに御指摘のようにいろいろ問題があるところではございますが、一般的には資本金額の大きい企業ほど配当がふえてまいります関係上、現行の比例税率中の留保分にかかる税率と、それから配当にかかる税率との関係、それからもう一つは利子配当についての源泉所得税の支払い額がありますが、それは法人税負担になってまいりませんという関係上、法人税の納付額としては計算上出てまいりません関係上、資本階層別に見た場合に、単純に法人税額で比較すると、かなりいま御指摘のような傾向が出ますが、そこらのところは、かねがね先生の御主張でもあり、私どもも十分研究すべきだということで、現在、昨々年の国会以来の宿題になっておりますので、研究いたしております。まだ資料その他、勉強不十分のところがございますが、参考までに申しますと、私どもの手持ちの資料では、四十六年度で資本金一億円以上の法人の課税所得に対する負担割合、これは法人税だけでなしに、法人税を払います前に前払いで払っております所得税等も加えまして見ました負担割合は、大法人が大体三四%強というところが四十六年度の姿のようになります。それから資本金一億円未満で見ますと三三%強というぐらいのところになるようございまして、いずれこの数字は精査をいたしました上、よく御説明をいたしたいと思っておりますが、先ほど御指摘のようにはどうも開きはないんではないかというふうに思っております。
○阿部(助)委員 私は皆さんの資料で計算したのでありまして、間違いはないと思うのでありますが、皆さんも大体傾向としては認められたわけであります。そうすると昨今のように、会社のほうで内部留保が多くなって、あるいは株にいく、あるいは土地にいくという形で、むしろ物価つり上げの張本人になっておるのはこの辺ではないか。しかもそれに対して、ことしは法人税に何も触れなかったというのは、一体大臣いかがなものですか。私は当然法人税の引き上げ、これの措置がとられるだろうと、こう期待しておったわけですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 この点は、私の考えはこうなんであります。法人税につきましては、税率の問題も御指摘のようにいろいろございますけれども、まず課税所得ですね、これを広げること。つまり先ほども御指摘がありましたような特例措置を取っ払うということ、ちょうどこれは政策的にも、たとえば輸出優先というような考え方が従来の政策でありましたけれども、これを徹底的に直していかなければならぬ時期でもございますから、こういった関連の特例措置を今回改廃する。これで、まあ私も正確なところまだ納得が実はできないのでありますけれども、平年度少なくとも四百億円の増徴になると思います。まずここから手をつけたというふうに御理解をいただきたいと思います。 それから、当年度の歳入、税収入の問題ではございませんけれども、土地に対する相当強力な政策の一環として法人税の譲渡税も創設することになりましたので、これが二〇%としても平均的に見て、土地の譲渡をやっているいかなる業種でありましても合わせて七割の税になる。これは相当なものでございますが、そういったような点について適宜適切な措置を考えていきたい。 それから、法人と所得の関係をどうするか、あるいは直接税、間接税の関係、比率をどうするかというような点につきましては、これは大きな問題でございますから、引き続き今後の問題として検討いたしたい、こういうふうに考えております。
○阿部(助)委員 時間が来たようですからやめますが、最後に私は、このように諸物価は上がっていく。そして福祉は、皆さんの宣伝にかかわらず依然として低過ぎる。そして大法人には非常に甘い税制、三六・七五という税率自体が非常に甘い上に特別措置をまだたいへんよけい残しておる。あなたはいま特別措置の廃止によって四百億と言うけれども、また片方の特別措置をつぶすと別な特別措置をつくる、そして差し引きずると十億円だけがふえるというような、こんなことでいまの問題は解決されない。そして高負担だけが大衆に押しつけられていく。こういうことをやっていれば、円問題の解決はますますほど遠くなってくる。解決にはならない。むしろ大法人から税金を取ることによって社会保障を進めていく、そしてスペキュレーションの余地をなくしていく。私は、これならばあなたの言うトリレンマの解決に向かうことだと思うけれども、いま皆さんの提案されておるこの予算案あるいはまた提案されておるいろいろな施策を見ておりますと、これはトリレンマの解決ではなしに、ますますこの矛盾を深めるだけである。特に円問題の解決からはほど遠くなるということだけは間違いないと思うのであります。そしてアメリカの商務省の報告の「日本株式会社」なんというこの報告書を見ておりましても、まさに特別措置に対しては猛烈な非難の報告をしているわけでありまして、そういう点で大企業優先、そして大企業のためにはいままでのようになりふりかまわずめんどうを見るという政策の大転換なしに、私はあなたのおっしゃる三つの問題の解決は不可能だ、こう思うのですが、最後に大臣の所信をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○愛知国務大臣 いろいろ御意見を承りまして、またたいへん貴重な資料をいただきまして感謝申し上げます。 同時に私は、冒頭から申しておりますように、この三つの課題に対しましていろいろと考えまして、いま御提案をいたしております予算をはじめ、法律案を含めまして、私はもうこれが最善の方向であると、こういう確信を持っておる次第でございます。 それから、円の問題にもお触れになりましたけれども、通貨調整というのは大体各国の例を見ましても、その効果というものがあらわれるのにはかなりの期間が要るわけでございまして、私としてはこの三つの課題に対してこのようなやり方をとにかくひたむきにやっていくことである。そのことによって、私は冒頭に申しましたように、三課題の同時解決ができる、その方向に向かって邁進していくということがいま日本のとるべき最善の措置である、かように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○大村委員長代理 村山喜一君。
○村山(喜)委員 大臣、三年ぶりに質問をいたしますので、少しピンぼけかもしれませんが、ひとつお答えをいただきたいと思います。 いま三つの目標を同時解決をしたい、非常にけっこうなことなんです。しかし、きょうの夕刊を見てまいりますと、もうドルが非常に不安定になって、五億ドルをこす買いささえをヨーロッパでは行なっているようであります。スミソニアン協定がもう行き詰まったのだというような見方も出ているわけです。一日の日には日本銀行がドルの売りに対して買いささえをやったと新聞が小さく報道しております。一体どれだけやったのでしょうか。
○林(大)政府委員 日本銀行を通しますドルの介入は、為替相場の日々の大きな変動を防ぐために、また、スミソニアン体制できめられました二・二五%のワイダーバンドの幅の中に相場を落ちつけますために、随時行なっております。その介入の金額につきましては、各国通貨当局いずれもこの金額を発表することはしないというのが慣例になっておりますが、その日の売り買いの状況は、インターバンクの為替市場を通して、幾らになったかということは明らかになるわけでございます。ただ、そのうち一部のものは銀行間で売り買いが行なわれまして、銀行間の出合いがつかない部分についてだけ当局は介入をするわけでございます。御指摘のとおり、昨日きょう、かなり市場にドルの売りが出ておりまして、日本銀行を通ずる介入を行なっております。
○村山(喜)委員 金額は明らかにできないとおっしゃるのだったら、それはいいですが、予算の編成が、四十八年度の経済見通しに基づいて編成をされて、その中で、付表の中に出ていますが、国際収支の中で長期資本収支は見込みまではっきり出ています。四十八年度の見通しも出ております。短期資本の収支は四十六年度の実績だけ出ているわけですね。 そこで、お尋ねをいたしますが、四十六年度では流動性のある短期資本が三十一億ドルあった。一体いま幾ら持っているんですか。短期資本は幾らあるというふうに見ているんですか。ということは、先ほど言いましたように、国際収支の黒字を減らしていくというのでしょう。となれば、長期収支だけではなくて、短期収支の動きもチェックしていかなければならぬわけです。もう円の切り上げが近いというような思惑でドルが流入をしてくる。日本の為替管理政策というのはきちっとしておるとはいえ、やはり流入してくるそういうような投機的な資金というものを規制していかなければ、しょっぱなから四十八年度の経済の見通しもくずれてくる。大臣、どういうふうにお考えですか。
○愛知国務大臣 数字の点はちょっと事務当局から説明いたさせます。
○村山(喜)委員 数字の前に、あなたの考え方をおっしゃってください。
○林(大)政府委員 御質問の御趣旨でございますけれども、ただいま御指摘のとおり、四十八年度の経済見通しは、長期資本収支まで入れました基礎収支についてだけ行なわれております。また、四十七年度の実績見通しも同様に基礎収支まででございます。 御指摘の短期資本でございますけれども、短期資本につきましては、総合収支の中に入ってまいりますいわゆる短期資本収支のほかに、銀行部門を通じて入ってまいります短期資本があるわけでございます。これらがいかなる金額になるかということは、実際の問題としてきわめて予測がむずかしいわけでございまして、四十六年度の実績におきましては、短期資本で三十一億三千百万ドル、それから為銀部門で二十六億ドルの流入があったわけでございます。これらの短期資本の流入をできるだけ少なく食いとめることが必要であるということは、御指摘のとおりでございまして、このために私どもいろいろな手だてを講じまして、短期資金の流入を食いとめているわけでございます。 その典型的なものを申し上げますと、いわゆる輸出前受けの規制と称されるものをいたしております。それから銀行部門につきましては円転換規制ということをいたしております。そのような手段によりまして、短期資本の流入は、諸外国に比べますと、格段に強い防壁を形成しているわけでございます。
○村山(喜)委員 防壁を築いていらっしゃるわけだけれども、現在どれだけある、だからこれ以上ふやしてもまずいという一つの政策目標というものがなければ、私は経済の運営というものはやっていけないと思うのですよ。だから大蔵大臣、あなた、いま短期資本がどの程度国内にあるという把握をしていらっしゃるのですか。
○愛知国務大臣 これはやはり現在の日本の立場といたしましては、ただいま林局長から御説明いたしましたように、短期資金の流入をできるだけとどめるということにいたしておりますから、現在の状況は全体に対して影響を与えるような程度のものではございません。しかし同時に、先ほど来御指摘がありますように、この状況については十分注視をしておく必要がある、かように考えております。
○村山(喜)委員 大臣は心配要らない、そういうような過剰なものではないとおっしゃるけれども、われわれは過剰であるのかどうか、四十六年度の実績は三十一億ドルだ、現在これだけなにしているから心配は要らないのだという数字を明らかにしてもらわなければ、国民に対してあなた方が納得しろといわれたって、われわれ自身も納得はできません。その点を明らかにしてください。
○愛知国務大臣 これは先ほど事務当局からも御説明いたしましたように、流動性といいますか、その状況がかなり流動的なものでございますしいたしすまから、その数字を的確にそのつど申し上げるというようなものには適しないように私は感じます。現在のところ、先ほど申し上げましたように、これが全体の政策に影響するような程度のものではございませんということをはっきり申し上げておきたいと思います。
○村山(喜)委員 いや、政策に影響を与えない程度だったら明らかにしてもらっても差しつかえない、科学的に説明が……。愛知さんともあろうものがそれで納得しろといわれたって、私は頭が悪いせいかわからぬけれども、それではやはり納得ができない。
○林(大)政府委員 短期資金の中には、日本の銀行が海外で取り入れまして海外で運用するものも含まれているわけでございます。また国内に取り入れましても、それをまた海外に投資するものもあるわけでございます。現在やっております、私が先ほど申し上げました円転換規制と申しますのは、海外から短期資金を取り入れますと、それに相当する金額は海外に向かって押し出さなければいけないという規制でございます。現在のところ、外銀借り入れをユーロの取り入れとを合わせました主要な日本の為銀の海外短資の受け入れば約九十億ドルでございますけれども、それより大きい金額が海外に放出されている。その海外に放出されているというのがなかなか見方がむずかしゅございますけれども、形といたしまては、輸仕手形あるいは輸入手形、あるいは海外に対する短期、中期、長期の貸し付け金という形で海外に放出されているわけでございます。そのような方式によりまして、海外からかなりの金が入ってまいりましても、その金額は外へ押し出すというふうに私どもはくふうをしているわけでございます。
○村山(喜)委員 円転換規制をやり、そして海外投資に振り向けながらも、なお外銀ドルのそういうようなのまで含めて九十億ドル、これはやはり大きいと思うのですよ。ですから、私は、長期資金との関係においてもやはり経済見通しでは、それは表には載せられないけれども、そういうようなものがこれからの過剰流動性の原因にもなっていくんだ、そしてまた円切り上げの原因にもなっていくんだ、ドルが弱いですから。そういうようなのもにらみ合わせながら大臣は経済の運営をされるべきだと私は思うのですが、その点いかがですか。
○愛知国務大臣 そのとおりでございます。
○村山(喜)委員 そこで私は、三つの目標を同時に達成をするその手だてを教えてもらいたいのですよ。非常にけっこうなことです。外貨は減らす、福祉は増進する、そして物価は五・五%で安定をさせる、非常にけっこうずくめでございます。しかしどう考えてみましても、その有効な政策手段というものが私たちには納得ができない。大臣は、その三つを三つとも達成をしてみせますということで、非常に御自信を持っていらっしゃるようですが——確かに大蔵省も最近はきめのこまかい手当てをやっておるようです。たとえば過剰流動性を押えるために預金準備率の引き上げであるとか、あるいは窓口規制であるとか、あるいは手形買い取りの規制であるとか、あるいは金融調整は買いオペで対処をするのだとか、土地の融資を抑制をせよという局長通達を出してみたり、それから金融機関の株式の取得については自粛をせよと押えてみたり、信用取引の規制等もあわせてやったり、いろいろな措置をやっていらっしゃることは、われわれは新聞その他を通じて承っております。しかし一体そういうようなことをやって——なるほど株は五千円のダウを割りました。これから土地のほうも値下がりになればけっこうですが、それで一体五・五%で物価を押えることができるのかということです。ほんとに大蔵大臣はだいじょうぶだ、おれにまかせろと、あなたはこの場で言えるのですか。財政、金融、税制のあなたが総元締めです。経済企画庁はそういうような立案をするかもしれないけれども、実際力を持っているのは大蔵大臣、あなたですからね。ですからその立場から、よし、おれにまかせろとおっしゃれば非常にうれしいのですが、どうです。
○愛知国務大臣 結論としては、まことに微力でございますが、一生懸命やって、この三つを解決いたしたいという意欲は満々と持っておるつもりであります。 そこで、どうしてそういうことがやれるかということ、これはごもっともな御質問だと思いますし、冒頭に私は阿部さんの御質疑にもお答えいたしましたように、やはり今日のような状況においては、何がむずかしいのかということ、何が問題であるのかということを率直に分析をし、これをお示しをいたしまして、そうしてこういうふうにやっていきたいということを申し上げることが私はすなおであり、民主的であると考えましたので、あえて三つの課題ということを申したわけであります。そうして一口に申せば、私は、内需中心と申しますか、その内需という中には社会保障、社会資本の充実ということが大きな比重を占めると思いますが、同時に日本の国内でできる資源は、資金のみならず、これを国民が要望しておられるようなところへ傾斜するように方向転換をするようにしていくことが一番中心ではなかろうか、私はこういうふうに考えるわけでございます。 それから、御質問以外になって恐縮なんでありますけれども、たとえば公債を出すということについてはいろいろ御批判がございますけれども、やはり財政を通じて公私両部門の資源の配分を適正にする。それからこれは分析を理論的にやるとなかなかこまかいいろいろの議論がありますけれども、常識的にいえば、やはり輸出が非常に大きくてドルが累積している。そこから反射的にくる金融の過剰流動性というものが現実の問題でございますから、これをやはり適度な公債をもって吸収して好ましい方向に向けるということもこの際とるべき手段であろう、こう考えたようなわけでございます。 それから、何よりも大事であることは、消費者物価であると私は考えます。したがいまして、これもいろいろの御批判、御意見がございますけれども、歳出予算の面でも消費者物価の中で、特に日常どこの家庭でも食べなければならぬようなもの、いわば生鮮食料品等については、生産の安定的な確保と市場の活用ということと、それから消費者に直結する、まあ俗なことばを使って恐縮ですが、八百屋さん、魚屋さんというようなところへの加勢ということ、そしてこれは迂遠なようではありますが、相当な効果が期待できる。これは天候その他で恵まれた関係もございましょうけれども、昨年の秋ごろ消費者物価が四%台でとどまったというようなことも、私はこういう点がかなり効果があったのではないかと思いますから、歳出予算の面におきましてもこういった面は相当思い切ったくふうをいたしたつもりでございます。 だんだんこうしてお話を申し上げたように、私はこう考えますが、消費者物価を何とか五・五%以下に上がり幅をとどめるということが、いま一番国民の望んでおられるところである、これにあらゆる努力な傾倒したいと私はこう考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 本会議の席でもわが党の辻原議員の質問に答えて、公債発行政策によって資金の流れを変える、これは確かに一時的には資金の流れを変え得ると私は思う。ただし、それが金融資産として金融機関なりに保管されて、それがまた買いオペ、売りオペの対象になっていくでしょう。そうなってきたときには、やはりそれだけ過剰流動性の根源を後にはつくり出すわけですよ。そのことは、一年過ぎたら凍結を解かれるわけですから、まあ一年間は個人が国債なり公債を買い受けて金融資産として持てば、確かに金融は引き締まるわけですけれども、しかし金融機関なりが、機関投資家がそれを持った場合には、そういうふうに過剰流動性の源泉としてまた動き出すわけですから、そのことはもう大臣よく知っていらっしゃるとおりです。 それで、過剰流動性の問題ですね、やはりこれの一番の対策は、金融引き締めとかなんとかいうものもありましょうが、こういうようなインフレマインドが定着するような段階の中にあっては、税金で過剰流動性というものは吸い上げるんだという基本的な姿勢がなければ、私はいまの公債を発行していく、それで吸収するんだというようなやり方では、インフレをおさめることはできないんじゃないかと思うのですよ。いまインフレに対する認識の度合いは、大臣はどういうふうな段階なんですか。
○愛知国務大臣 インフレに対する認識は、まあ大きく分けると私は二つあると思います。これはもう土地の値上がりとかあるいは株式市場の状況とか、そういった点を見ますと、インフレムードというものが非常に高揚して、これが一般の大衆の方々にも換物思想というものが出てくる、これが私は一番おそるべきことであると考えますので、その点に対する措置というものが非常に大事であるということが一つであると思います。 それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、私は税の上では、多少これは御意見と違うかと思いますが、法人にも相当重課したつもりでございますから、この点はちょっとわきのほうに置きまして、やはり現実には金融の問題だと思います。よく法人の手元資金が非常に潤沢になっているということが指摘されますけれども、大数観察からいうと、何と申しましてもこれは金融機関を通ずる資金の過剰でございますから、やはり現在の状態においてとるべきことは金融に対する——私は自分のことばで申しますと、目的的な規制というものを相当徹底して強化いたしたいと考えるわけでございます。というのは、内需を全般的に、いわゆる総需要というものの抑制を徹底的にするというのはちょっとまだ時期がどうかと思いますので、目的的に、何に行く金を押える、何に行く金を押えるということが必要かと思いますので、これが先ほど一々具体的にお取り上げいただいてたいへん私もありがたく思っておりますけれども、最近いろいろの手を次々と打っておりますことはそういう考え方を実行に移しておるわけでございます。 たとえば預金準備率の引き上げもあの程度では三千億円くらいしか凍結できないではないか、そのとおりでございますけれども、その三千億円が凍結されたということによって、融資の規模がこの数倍にわたるわけでございますから、これは相当のてこになったのではないかと思いますが、なお情勢を見まして、さらにこういう点についても一段と前進をする必要が場合によってはあろうかと思います。 それから土地関連、あらゆる業種であるとを問わず相当徹底した一種の何といいますか緊急的な措置を行ないましたのも、ここしばらくの間に相当の効果が出てくるのではないかと私はこんなふうに考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 大臣が一生懸命になって取り組んでいらっしゃるのはよくわかるのですが、もう、ちょっと手おくれじゃなかろうかという気がするのですよ、私は。ですから、もうとにかくインフレムードどころじゃなくて一年で株価が二倍にも上がる、土地が半年で一〇%も上がる、そうして一坪千百万円の、はがき大にしたら一枚分の土地が五万円もするようなNHKの土地の価格が出てきたり、ゴルフ会員権や絵が投機の対象になったり、そうして卸売り物価の年率は八・五%で上がってみたり、これは一月の上旬も〇・七%上昇しているのですよ。そうして商品相場を見ればたいへんなこれはもうギャンブル経済になっていますよ。そうして毛糸で百億円ももうけた大手の大口の投機家もあらわれているのだということまで報道しているでしょう。そういうようなのから見て、平価調整の活用はやらない、金融の引き締めでやる、税金のほうは法人税もそのままにしておるのですから、ことし間に合うわけじゃない。そうなってくると、税制面での引き締めもやらない、金融の引き締めでやる、総需要の抑制はまだそういう段階じゃない。考えてみると、どうも何というのですか、甘く今日の状態を見ているのではなかろうかという気がするのですよ。そういうふうになって結局インフレが進行していったら、一番困るのは大衆ですからね。私は三年ぶりに東京に来てみまして、一番初めに驚いたのは、このインフレになっているということでびっくりしたのですよ。そういうような状態の中で、一体株の上昇によって一年間にどれだけのキャピタルゲインが生まれているのですか。
○大谷説明員 株の時価評価でございますが、大体倍になっております。二十四兆といいますのが四十八兆ということになっております。ただし、これは帳簿上の評価額でございますから、現実に売買するときになってみなければ損益ははっきりいたしませんという問題はございます。
○村山(喜)委員 いまお聞きのように、大臣、GNPが百兆、株の上昇によって二十四兆は株主の諸君の利益になっているのですよ。そうして土地が、これは幾らあるのかわかりませんが、私のほうでも調べてみますが、大臣もひとつ土地の値上がり分によってどれだけ資産の保有家がもうかっているのか調べておいていただきたいのです。これは約三十兆円だといわれている。そうなると、約半分はそういう資産家の人たちの手に富が集中をして、そうして大衆はインフレのために減価していく。そうして苦しくなっていく。最近の物価が異常な状態を続けていけば、これはもうまさに自民党の危機というのはこれを私は言っているのだと思うのですよ。それは自民党の危機だけでおさまるのだったらいいですが、国民の生活が破壊される。それに対して私は憤っているのです。それに対してまことにのんびりと大蔵大臣はお考えをお述べになったのですが、それでいいのですか、再度この点を確認をしておきます。
○愛知国務大臣 のんびりと見えるとは、たいへんどうも恐縮なんでありますけれども、非常に私も深刻に心配しながら日々送っているわけでございます。 ただ、いまのキャピタルゲインのお話ですが、これはよく言われることなんでありますけれども、たとえば土地につきましても、一体その評価額をどう見るかということが、たとえば土地の保有税、譲渡税を考えますときにも非常にこれはわれわれも悩んだ点でございます。強制的なたとえば再評価をする。一体何を基準にして再評価できるか。あるいはまた所有者自身が任意に再評価するということを認めるとすれば、これはあとで相当な不公平ということにもなりかねないというようなことをいろいろと状況を考えまして、現在提案をいたしておりますような譲渡税、保有税の構想を税制調査会でもずいぶん御検討いただいて、その結論を尊重してこの法律案として出しているようなわけでございまして、これはたいへん失礼なことを申すようでございますけれども、こういったものがこれだけもうかっているはずだ、株の保有をしていればこれだけのあぶく利益がある、土地についてはこれだけある、これは感覚的には非常によくわかるお話で、これを召し上げれば何も苦労はないではないか、これは感覚的には私もよく理解できるわけでございますけれども、いざこれを法律案として御審議をお願いし、あるいは御審議を終わりまして執行するという面になりますと、とてもこれは自信が持てないというような面を、実際の行政面をあわせて考えますとその辺になかなか、感覚的にこれはやれ、これはよかろうと言われることが必ずしも行なえないということも、また一つ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○村山(喜)委員 税源としてキャピタルゲインの捕捉が困難であるということは、私もわかります。しかしながら、税法の措置によりまして、配当だけの所得者についての課税最低限度の所得税額の限度額は二百七十五万七千二百五十円なんですよ。これは法人擬制説の問題やらいろいろありましょうけれども、不労所得の場合にはこれだけ課税最低限度額を引き上げておいて、月に二万五千円くらいの中学校の卒業生からは、ボーナスもありますからそのくらいの割合になりますが、所得税を取る。これではやはり政治の公平さに国民は納得しないと私は思うのですよ。大臣、こういうような点を勇敢に、政治の姿勢の流れを変えようということを田中さんは言っているんだから、愛知さんもこういうようなものの不公平感というものをなくしていく税制をやるんだということで対処できないですか。これから御検討になる御意思はございませんか。
○愛知国務大臣 これは先ほど来申しておりますように、たとえば法人税の扱い方を将来どうするかというようなことは、まじめに検討すべき一つの問題であると私も考えております。ただ、現在のところは、繰り返すようでございますけれども、かねがね指摘されておる課税の所得の範囲を拡大する、すなわち特例措置をやめるということを中心に考えていくということが実際的でもありますし、また適当な措置である、こう考えておるわけでございます。 それから、キャピタルゲインの問題について、あるいは配当所得だけで所得を得ているという者に対してどういう措置をとるか。ただいまも御指摘がありました法人擬制説とかあるいは二重課税の問題とか、従来もいろいろな議論があるわけですが、別の委員会では、もうそういう理論の問題ではないではないかというおしかりも受けたわけでございますが、将来の問題としては、こういう点も頭に入れまして考えてまいりたいと思います。
○村山(喜)委員 次に、公債政策についてお尋ねをいたします。 ことしは大型の国債発行でやっておいでになるわけですが、これは単に国債だけをつかんで問題を論ずるのではなくて、政府保証債もあるいは地方の公募地方債も、それから政府関係機関等の非公募債も、これは「ファイナンス」にも出ておりましたが、理財局長の考え方は私も拝見しました。これはやはり全部とらえておく必要があるのじゃなかろうかと思うのですよ。そうしませんと、一般会計の予算規模、それに財投、それに地方財政、それから地方のいろんな特別の法人、公社、公団、そういうようなものまで公的資金を吸い上げて動かす経済というものは、私は五十兆くらいになるのじゃないかと思うのです。それくらいの大きさになっているということになりますと、いま公共債がどれくらいたまっているのだろうということをきっちり統計的に捕捉をされていないそうですね、推計だけは出ておりましたが、これは事実ですか。
○橋口(收)政府委員 お尋ねのございましたのは、公共債全体でどのくらいの残高があるかということでございますが、これは御質問の中にございましたように、地方の公社等になりますと正確な統計がなかなかつかみにくいわけでございますが、一応私どものほうで推計作業をいたしまして、「ファイナンス」にもちょっと書いておいたわけでございますけれども、四十七年度の末でどのくらいの残高があるか、国債、政保債その他全部含めまして公共債としては大体十七兆程度ではないか。それに対しまして民間債、事業債、金融債合わせまして大体十兆程度じゃないか。二十七兆余が全体の債券の残高だというふうに推計をいたしております。 それからさらに、四十八年度末にどのくらいになるかということもあわせて推計をいたしておりますが、これはまだこういう席で申し上げるほど推計が固まっておりませんので、御参考までにしておいていただきたいと思いますが、公共債十七兆と申しましたのに相当するのは大体二十一兆くらいになりはしないか、それから民間債十兆と申しましたのが大体十二兆くらいになるのじゃないか、両方合わせまして三十三兆程度ではないかというふうに推計いたしております。
○村山(喜)委員 まあこれはたいへんな一つの資金源というのですか、資産勘定になるわけですが、そういうふうになってきますと、国債の管理政策だけでなくて、大蔵大臣はそういうようなひっくるめたすべての公共債というものの管理政策を長期的に考えながらやっていきませんと、これがどういう形で景気に影響をしていくのだというような問題やら、いろいろ資金の流れの上から見ましても、ウエートが非常に大きくなってくると思うのですよ。ですから、そういうような長期的な管理政策というものがもう今日の段階で出てきていいのじゃないかと私は思うのですが、それがまだ正確な統計資料もないというような状態では心もとないのですけれども、どうですか。
○愛知国務大臣 これは御指摘のとおりでございまして、ただいま橋口局長から説明もありましたように、主としてこれは縁故債というようなもの、あるいは地方公共団体の公社というものが出します債券というようなことになりますと、近来これは一つの傾向になっております関係もありまして、なかなか数字的な捕捉もつかない。これは私といたしましても早急に的確な動向は把握しておかなければならないことである、こういうふうに考えております。 それからもう一つは、いま管理政策というお話がございましたが、やはり国債自身にいたしましても、先ほど来申しておりますように、ある程度出すわけでございますから、これが今後何年間かの動向を見て、国民経済の発展の状況との間にどういうウエートになるか。それから償還の関係なども十分これは考えていかなければならない。これらの点は、財政だけの今後の五年計画とか十年計画というようなとらえ方よりも、むしろ、いずれまた社会経済発展計画でございますか、新たなるものが発表されるわけでございますけれども、そういうワク組みの中でも、この問題は取り入れて動向を展望しておかなければならない。この二つの点が私のいま心中にある大きなファクターでございます。
○村山(喜)委員 そこで私は、長期国債の保有者別の内訳をお知らせいただきたいと思うのです。私の四十七年三月末現在の資料によりますと、金融機関の銀行の保有は二六・五%、日銀がわりと少なくて五・六%ですか、資金運用部資金でかかえているのが五〇・四%ということになっているのですね。そうなりますと、資金運用部資金が国債を抱いているというかっこうになっている。資金運用部には資金運用部としての資金の使途が別にあるわけでしょう。なぜこういうような形になっているんだろう。そしてまた、きょう予算委員会で中澤茂一氏のほうからも指摘をされておりましたように、四十一年債の六千七百五十億の借りかえの問題なり償還の問題の資料が提出をされていない、こういうようなこと等も指摘をされて、これは違法じゃないかということを言われているわけですが、そういうようなところから見まして、この国債の管理政策というものがどうもおかしいのじゃなかろうかという考え方を抱くのですが、それは間違いでしょうか。
○愛知国務大臣 管理政策と、村山さんことばをお使いになっておりますが、その御趣旨とされることはよく理解できるわけでございます。その点につきましても、十分これから考えていかなければならないということは、ただいま申しましたとおりでございます。 ただ、一言付加すれば、財政法上あるいはその他の法律上の要件としての償還についての政府の国会御審議を願っている形は、私は現在のやり方が適法であると確信をいたしておりますが、しかし同時に、いまのようにシェアが大きくなる。したがって、将来の償還計画、発行計画等の国民経済に対するシェアが相当大きくなっているというような実態から申しまして、国会に対する御説明あるいは御批判を仰ぐ、そういう方法については十分慎重に考えたい、かように考えておる次第でございます。
○村山(喜)委員 いま国債の利子支払い分が幾らになりますか、パーセンテージでいえば。
○橋口(收)政府委員 お尋ねがございましたのは国債の利回りという御趣旨であろうかと思いますけれども、利回りは六分七厘一毛七糸でございます。それから国債費は四十八年度は七千億……。
○村山(喜)委員 利息は幾らですか。
○橋口(收)政府委員 そのうち利息が大体四千億でございます。利払い額が四千四百八十一億円でございます。
○村山(喜)委員 いまのような発行ベースで国債がふえていくとした場合には、国債の依存度を一六%ぐらいに見て、五年後には利払いがどれくらいの割合になりますか。
○橋口(收)政府委員 ただいまお尋ねになりましたような計算はいたしておりません。景気の繁閑なりそのときの財政事情によりまして国債の発行額にも増減がございますので、そういう計算はいたしておりませんが、利払いの費用の財政に占める割合等の国際的な比較で申しますと、四十八年で四千四百八十一億円でございますから、歳出の規模に対して三・一%でございます。アメリカが八・六、それから西独が二・九、フランスが三・〇、大体そういう水準になっております。
○村山(喜)委員 一般会計の予算規模がことしのように二四%もふえ、それから国債の依存度が一六%というような割合でこれから進んで資金の流れを変え、社会資本のウエートを民間資本よりも高めていくという政策をとっていく方向であるとするならば、五年後にはやはり利子負担率が三〇%をこえるという計算が出るようです。そういうような点から考えてみますと、国債をこれから発行していくのには、昔は景気がいいときには国債の発行額を押える、不景気のときには景気調整的な機能として発行量をふやす、こういうふうなことだったけれども、今度は違うのでしょう。今度は景気のいいときでも社会福祉を充実しなければいかぬ、あるいは社会資本を充実しなければいかぬ、そして黒字を減らさなければいかぬというために、税金も自然増収もふえるけれども国債もどんどん発行するんだという、そういうような積極的な姿勢なんですから、それをとるとする場合には、一体どこでそういうような長期的な見通しをつけておやりになるのか、その点を明らかにしてもらわないと、これはたいへんなことになるんだという心配をわれわれはしているのです。その点は大臣、どうでしょうか。
○愛知国務大臣 これはまた公債の根本の論議にもさかのぼるかと思いますけれども、私はいわゆる赤字公債というようなものは念頭にございません。したがって、財政法第四条のただし書きで認められておりますものが公債財源として許され得る限度でございますから、そして今回の予算におきましてもその限度よりはずっと下でございますから、そういうところに一つの抑制弁が働きます。それから振替支出のもとになるようなものはしたがって公債財源ではございませんし、それから御指摘のように、われわれもこれを今年度については言っておりますが、景気調整の弁としての公債の使命だけにとらわれないで、今度の場合においては公私両部門の財政資金の配分ということに思いを寄せて公債をこの程度に発行いたします、こう申しておるわけでございますが、これはやはり先ほどもちょっと申しましたように、国民経済の今後五年とか十年とかの見通しを見ながら、その年度年度で公債の発行の規模をどのくらいにするかということは、当然真剣に考えるべきものである。したがって、ことしの程度をこのまま維持するがいいか、ふやすほうがいいか、減らすほうがいいか、いろいろの場合が想定されますので、今日を基準にした利払いあるいは償還費というものの計算は、橋口局長が申しましたように、ただいま持っておりませんけれども、これはしかし仮定の前提を置いて計算すればすぐ計算できることではございます。
○村山(喜)委員 だから、社会資本と民間資本のアンバラを変えていくんだという政策目標を、ことしは非常に打ち出しているわけですよ、景気調整機能よりも。だからむしろ景気調整機能という役割りは下に置いて、その社会資本と民間資本のアンバラを変えていくんだという、そういう政策目標の中で公債政策というものをとっていらっしゃる。いま建設公債も発行ベースの範囲内だ、それは二〇%ですよ。そういうような形の中でどんどん出していったら、これはもう破産してしまいます。ですから私は、いつまでもこういうようなかっこうで続けられるものではない。だから、それは必ずいつの時点かは増税という形をあなた方は打ち出してくるに違いない。その点を指摘をしておきます。 それから、もう一つは税金の問題なんですが、もう十分しかありませんので、簡単にやります。 税収の見込みなんですが、大蔵委員会は歳入委員会ですから、そういうような面から私お尋ねをいたします。先ほどいただいた資料の中にもございますが、源泉所得税の中の給与所得、これは賃金の一五%上昇を見込んでいらっしゃる。総理府家計調査によりまして過去の動きを私はずっと調べてみたんですが、可処分所得の伸びは一〇・五%ぐらいしか伸びていないようです。それで一五%は過大な見積もりではないかと言ったら、説明に来た担当者がいわく、そんなことはありません、これはやはり勤労者以外の給与所得者の消費購買力もふえておるし、それから独身者のほうのなにがふえているんだ、それから雇用数もふえているんだというふうな説明がありました。一体何によってこの根拠を定めたんだと聞いてみたら、これはやはり経済見通しだ、こういうことです。そうすると、この経済見通しの中で雇用者の所得の伸びというものをどれだけ押えているんだということで計算してみたら、一七・五%の伸びだということで押えていらっしゃる。これは雇用者数が二%ふえるわけですから、これを引き直してみたら一五%だ、こういうことでしょうが、一体そういうふうに雇用者の所得は、ことしは春闘その他で大幅に賃金が上がるのだという予測のもとに経済見通しをお立てになっていらっしゃるのかどうか、その点を明らかにしてもらいたいと思うんですよ。 それと同時に、法人税の法人所得の伸びは、これは一二二・四なんですが、法人税においては二四の法人税の伸び率があるだろうということでこれはつくってある。そうなると、やはりこれから法人の場合にはきびしく取り立ててやるんだという判断があるのか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。 それから、時間がありませんのでついでに申し上げます。 それはみなし法人の給与所得控除の問題です。これもいろいろ説明聞きました。またこの委員会においても、各党からそれぞれその問題については要請もあったようでありますが、私は税法の上から見ましてどうも不可解なんです。こういうような制度をとる以上はやはり問題点があります。それはいま白色とのバランスがこれによってまた大きくくずれてくるということ、それから給与所得者とのバランスがくずれてくるということ。だからこれによっては、自分で給料を事業主がきめるんですから、給料の取り方によって得をする人と得をしない人と出てくるわけです。そして給与所得を控除した残りは、これを配当とみなして税額の一〇%控除の配当課税をやって処置をするというんですから、まさに税法上は不可解な改正を考えているわけです。 そういうような点から見まして、いまクロヨンという不合理が俗にいわれておりますが、そういうような点でますますこれが不均衡が拡大をしていくことになった場合には、一体これに対してどういうふうにお考えになり、そのバランスをおとりになろうとしているのか。私はやはり白色の人たちもこれを引き上げるような措置をとるとか、あるいは給与所得者についての申告所得をその希望によってはとらせるとか、何かの措置をとらせないと非常にバランスがくずれてくる、そういうふうに思うのですが、その点についての説明を五分間でしてください。もう時間がありません。
○新田政府委員 雇用者所得の計算でございますけれども、推計でございますけれども、御承知のように雇用者所得は賃金そのものではないわけでございまして、賃金よりも広い概念になるわけでございます。見通しでは一七・五%になっておりまして、雇用増を二・三%見ておりますので、一人当たりとしましては約一五%の伸びになるわけでございます。 それから、その計算方法としましては、マクロ的に、全体の鉱工業生産、GNPの伸び、それから労働力需給の見通し、その他そういった指数との相関値を求めて計算しておるわけであります。 それから、法人所得につきましては、鉱工業生産とかあるいは卸売り物価の動向とか需給ギャップの動向とか、そういったものとの相関式で計算している数字でございます。
○高木(文)政府委員 法人税収の収入見込みは、経済企画庁のほうの見通しの数字は四十七対四十八は一二二・四%、先ほどおっしゃった数字になっておりますが、税収の見込みでの伸び率、これは、税収は実は一種の積み上げ計算でやっていくわけでございますが、その結果では、との企画庁の見通しよりも若干高くて、一二三・八という数字になっております。これは、法人税収は法人の所得よりは若干景気変動のときにおくれがあらわれまして、つまり決算期の時期の関係、それから申告は決算期の二カ月あとであるという関係でおくれがありますので、ダウンカーブのときにもアップカーブのときにも、少しずつ経済の実態よりはおくれてあらわれてくるという結果の影響で、若干先ほどの一二二・四と一二三・八との開きが出てきておるわけでございます。 それから、事業主報酬問題につきましては、まさに村山委員が御指摘になりましたように、負担のバランス問題ということがあるのは事実でございます。事業主報酬制度につきましては、かねがね国会におきましても、こういう制度を採用してはどうかという御議論がございまして、昨年までは私どもは、それは負担公平の問題があるのでいかがかということを言っておったわけでございますが、昨年からこの国会の税制改正の前提となります間におきまして、税制調査会等で御議論いただきました際にも、結局税負担の均衡に関しまして種々疑義があるので、現段階においてこのような方法を所得税の基本税制の中に取り入れることは適当でないというのが、政府の税制調査会の答申であったわけでございます。にもかかわりませず、私どもがみなし法人税制の採用に踏み切りました理由といたしましては、やはり基本政策としては問題があるかもしれませんが、法人と個人との、個人類似法人と個人の事業主とのバランス問題というのが一つありまして、そこで現段階においては一種の政策として、それからまた期限を設けた試験的実施の意味におきまして、こういう制度を試みるということも意味があるのではないかということから採用に踏み切ったわけでございます。
○村山(喜)委員 大臣、私はまた租税の法律案が出ました段階でいろいろと問題を追及してまいりますが、生計費に課税をせず税源のあるところから税を取るのだという原則が、どうも日本の税制というのでは、ゆがんで、確立をされていないわけです。それで、総理府の家計調査年報と月報を私ずっと調べてみましたら、どうも勤労世帯の伸び率は、非常に消費支出も伸びておりませんし、可処分所得も実質の伸びは、四十六年が三・九%、それから四十七年も、これは物価上昇を引いていけば四%程度じゃなかろうかと思うのです。借金返済の黒字ワクはありますが、借金返済に追われているというような状態が出ております。 そういうようなのを考えてみますと、はたしていまの基礎控除なり給与所得控除というものが適正であるかどうかという点については問題を感じます。景気政策の上から見ましても、景気回復のパターンに私は狂いがあるのではないかという考え方を持っておりますが、どうもそういうような面で、税制の果たす経済の上における影響というものもきわめて重大でございますので、そういうような給与所得者、勤労者世帯の収入の伸びというのが非常におくれているということだけをぜひ念頭に置いて、問題の処理に当たっていただきたいということを要望しておきたいと思います。 終わります。
○大村委員長代理 荒木宏君。
○荒木(宏)委員 日本共産党・革新共同の荒木ですが、大臣に質問をするにあたって一言前置きを申し述べます。 大臣は、財政演説と所信表明で、福祉社会の建設と物価の安定、国際協調と国際収支不均衡の早期回復、この課題を強調されました。これは私どもも非常に重要な問題だと思います。しかし、それは大臣が言われたのとは全く違った立場です。物価を安定させ、国民の命と暮らしを守り、しわ寄せは絶対に許さぬ、そういう立場からこのことを非常に重視しておりますが、まず国際収支について申しますと、一昨年の夏にいわゆるニクソン声明があったときに、労働者、中小企業者はたいへんな被害を受けました。また、暮れに円の大幅切り上げがあったときにも、沖繩県民はじめ大きな損失を受けたことはもう御承知のとおりです。こういうアメリカの無理を通して国民が犠牲になる、こういうことを許せないという立場から、まず国際不均衡の問題について質問をいたしますが、この問題についてアメリカの側には全く原因はないのか、このことをお尋ねしたい。
○愛知国務大臣 ちょっと私、最後のところをよく理解できなかったのでありますが、アメリカ側には全く原因がないかとおっしゃったのでございましょうか。
○荒木(宏)委員 そうです。
○愛知国務大臣 これはその前提として通貨調整、それから一昨年暮れのスミソニアン決議というのは、これは多数国間でやったものでありまして、アメリカの要請とかアメリカの強圧とかいうことではなかったということも事実でございますし、アメリカ側に全然原因がなかったかとおっしゃれば、その前にさかのぼって、いわゆる一昨年夏のニクソン・ショックということについてはアメリカ内部の事情も大きにあった、こういうふうに、これは客観的な事実としてそう判断すべきものではないかと思います。
○荒木(宏)委員 答弁について要望しておきますが、ないのかとお尋ねしましたので、あるかないかとまずおっしゃっていただきたい。 そこで、時間の関係がありますから、四十六年度の、政府の閣議の了解されたいわゆる世界経済白書によりますと、アメリカの国際収支の悪化の原因は、アメリカのインマレによってその国際競争力が弱ったからである、こういうふうにおっしゃっているのですが、これはその意味で国際収支悪化の原因がアメリカにある、こういうふうに伺ってよろしいですね。
○愛知国務大臣 それはアメリカにはアメリカの事情がございましたでしょう。それを客観的に記述したものであると思います。
○荒木(宏)委員 もう一つ伺っておきますが、同じく続いて、貿易外収支、移転収支の部門では、たとえば政府部門では、海外の軍事支出、経済贈与、これが大幅な赤字になっておって、むしろ民間部門の海外投資収益は黒字である、こういうことで、アメリカの海外の経済贈与、軍事支出が国際収支赤字の原因だ、こうおっしゃっているのですが、これもそのとおり間違いありませんね。
○愛知国務大臣 これはイエス、ノーと簡単には言えないことで、やはりアメリカの経済事情にはいろいろの変動があったことと思います。
○荒木(宏)委員 四十七年、ちょうど一年前に政府自身が閣議決定をされた文書の中にはっきりと、アメリカの国際収支悪化の原因はそれだというふうにお書きになっているのですから、そのことを前提に伺いますが、現在アメリカはこのことを反省していますか。
○愛知国務大臣 これはアメリカの当局からお聞きにならなければ、私からはちょっとお答えできません。
○荒木(宏)委員 では田中内閣は現在、すでに一年前に指摘した、アメリカに原因があるじゃないかということについて、アメリカがどう見ているか、このことを伺いたい。
○愛知国務大臣 二、三日前にアメリカは、ニクソン大統領の第二期になりましてから、いろいろの教書や方針を発表いたしております。われわれとしてはこれがアメリカの基本的な考え方だと理解をいたしておるわけであります。
○荒木(宏)委員 いま御指摘の、二、三日前の経済報告内容によりますと、七二年に多くの国、特に日本は不均衡是正にある程度の自由化措置をとったが、七三年じゅうにさらに新たな措置が是正に貢献することを希望する、つまり自分の側で海外軍事支出や経済贈与の問題を解決しようということを述べずに、むしろ日本のほうでやれ、こういうふうに言っておるように見られるのですが、この点はどうなんですか。
○愛知国務大臣 これもアメリカがああいうふうなことを言っておりますが、こちらにもこちらの自主的な立場というものがあると思います。
○荒木(宏)委員 この国際収支の問題は、大臣の表明された所信によりますと、非常に重要な課題だとおっしゃっている。しかもこれは、当の相手がどういうふうな出方をしているかということを、これはいままでに被害を受けた国民の立場にとっては非常に重大な関心事です。ですから、相手には相手の立場があるというだけではこれは済まされぬことで、その意味でアメリカのほうが反省をしないで、むしろ日本のほうに過酷な要求を押しつけてこようということがこの報告の内容で、ありありと見られるじゃないか。政府はそういうふうにごらんになっているのか、それとも、いや、アメリカのほうはどう言おうとそれは関係ないのだ、こちらはいわれるとおりにやるんですというふうなことなのか、それを伺いたい。
○愛知国務大臣 これは日米間だけの問題ではございませんで、日本としては世界の日本としてこれだけ日本も力がついてまいりましたから、アメリカだけではなくて、たとえば通貨問題であれば二十カ国の委員会というものの一員としての立場がございますし、あるいはまた南北問題というようなことを考えましても、日本には日本としての立場があると思います。そこで、それらを総合して、具体的な問題があるならばそれらを踏まえてアメリカとの折衝に当たるというのが日本政府の基本的姿勢でございます。
○荒木(宏)委員 国際経済のもとで、いろいろな国との関係が入ってくるというのは、これはおっしゃるまでもないと思います。問題は、私が指摘した一年前の政府の閣議了解された文書の中に、IMF体制のもとでは、アメリカの国際収支赤字、これが世界に、ことに資本主義国先進国にインフレを輸出するのだ、こういうことをお書きになっているわけですよ。ですから、ほかの国と同列になる問題ではなくて、ことにアメリカとの関係は重視するとこの間施政方針演説でおっしゃったばかりなんでありますから、その国がいま私が指摘したように、政府自身が一年前におっしゃったような態度を、この大統領文書で読む限りではとらないで、さあ、おまえさんのところやるのだぞ、こういってきているときに、大臣の所信表明されたこの文章の中には、アメリカに対してやりますよ、国民の利益と生活を守ってまいりますよというのは一言もないじゃありませんか。このことを申し上げているのです。いかがですか。
○愛知国務大臣 国際経済の問題として申し上げたのであって、その基本には、日本の国民の立場というものが基調にあることは当然でございます。
○荒木(宏)委員 一般的な国際経済のことを伺っているのじゃなくて、四十八年度予算を審議してくれとおっしゃっている田中内閣の大蔵大臣として、もうすぐアメリカから来ますよね、エバリーさんだって来るし、話はありますね、そのときに、国民の立場を守って、労働者、中小企業者の利益を守って、そうしてこんなことを言ってくるアメリカに断固やります、こうはっきりと言っていただけますか。
○愛知国務大臣 予算といいますか法案の御審議を願っているのですが、あなたのいまの御質問が御質問だから、私はそういうふうにお答えをしたのであります。
○荒木(宏)委員 この問題については、アメリカの言いなりになるというような対米追随の態度はもうきっぱりと捨てて、ほんとうに日本の労働者、中小企業者、国民の利益を守る、輸入インフレ、外貨インフレ、そういうことは許さぬということで、そして賃下げなしの週四十時間制、そして労使の対等の立場でのほんとうの意味の最賃制、こういったものを実施して、そういう意味でこそ内需を喚起する、こういうふうになされるべきだということを私は強く主張いたしまして、次の質問に移ります。 次は、物価を安定させ、生活を守るという立場からの公債政策についてですけれども、この四十六年、四十七年の外為会計の払い超はどのくらいになっていますか。
○愛知国務大臣 正確な数字は事務当局から御説明いたしますが、大体四十六年中が四兆円余り、四十七年が一兆七千億円程度でございます。
○吉田(太)政府委員 四十六年度の外為払い超は四兆三千五百五十八億円でございます。ただ、この中で、民間に出ないですぐ日銀に戻った分を差し引きますと、ネット三兆一千九百三十億円、それから四十七年に入りまして十二月末まで一兆三千五百八十億、合わせまして大体四兆五千億前後でございます。
○荒木(宏)委員 先ほど私が引用しましたこのいわゆる世界経済白書によりますと、「固定レート下では、中央銀行的な役割を果しているアメリカが赤字を出せば、各国の外貨準備が増え、通貨増発につながるというシステムがあるということであり、これにより、」「アメリカからその他の先進国へインフレが輸出されたとみられる。」こういっていますが、いま伺った外為の払い超によりますと、まさにインフレが輸出されたということになると思いますが、いかがですか。
○愛知国務大臣 四十七年のその白書のときには、個人的に申せば私は閣外におりましたから、どういう文章であったか私は存じません。ただ内閣は継続しておりますから、そういう点からお答え申し上げますと、そのときの白書はそこに言い七あるとおりの見方をしていたんだと思います。
○荒木(宏)委員 だとすれば、現在の払い超が、そのときの内閣の見解が変わらなければインフレになるんじゃありませんか、こう伺っているのです。
○愛知国務大臣 現在の私の立場としては、この払い超をもとにした日本経済の現状に対していかにすればよろしいかということを一生懸命考えて対策を講じておるつもりでございます。
○荒木(宏)委員 そうしますと、一年前に閣議了解されたこの見解は変わったとおっしゃるのですか。
○愛知国務大臣 そう言っているわけではございませんで、そのときはそうでございましょう、そして内閣は継続しておるのでございますから、それでよろしいでしょう、こう申し上げているのです。しかし同時に、私の現在の立場は、現在の上に立っていかにすればいいか、日本がいかに自主的にあればいいか、国内的に国民の御要望にいかにこたえればいいかということに専念しているつもりであるということを表明いたしたわけであります。
○荒木(宏)委員 そうしますと、インフレが輸出されたとは見ていない、こうおっしゃるのですか。一年前におっしゃっていることはいまの大臣の見解とは違う、こうおっしゃるのですか。
○愛知国務大臣 それは、ですからそれを認めておるわけでございますよ。その白書がそう書いてあるのはそれでいいんでしょうと申し上げているわけです。そして現在においては、この状況下においていかにすればいいかということを考えてい る、こう申し上げておるのです。
○荒木(宏)委員 どうすればいいかということを考えるには、まず現状をどう見るかということが前提になりますよ。一年前にインフレだと見ていれば、そしてそのことがそのとおりだとおっしゃって継続しているのなら、いまだってインフレと見なければいけないことになるんじゃありませんか。
○愛知国務大臣 それは歴史的に見ればそういうことになるんでございましょう。しかし、過去の論議よりも私はこれからの論議が必要であると思いますし、それは当然過去がどうあったろうかということがこれからの対策にも大いに関連はある、こう思います。
○荒木(宏)委員 ですからこそ申し上げているのです。現在をどう見るか。それには、これは過去なくして現在はないのですから、継続的な発展なんですから、一年前にインフレだと見ていれば、そのとおりだというのなら、いまでもはっきりインフレだと認めて、事実をはっきり認めて、その上に立ってこそ正しい対策が立てられるんじゃないですか。ですから、抽象的なそういう方法論議ではなくて、インフレだと認めているこの文書が正しいとおっしゃるのなら、とりもなおさずそのことは、いまもこの外為払い超はインフレだということになることをお認めになるんじゃないですか。そしてその上に立ってどうするかという論議になるんじゃありませんか。
○愛知国務大臣 それは一つの思考法はそうでございましょう。
○荒木(宏)委員 思考方法をお認めになったのなら、その方法による結果もお認めになるんじゃないですか。
○愛知国務大臣 その論議がどういう意味があるか私にはわかりませんが、そういう御論議ならば私は私の意見を申し上げることになるのですけれども、少し御審議を願っている本論から逸脱するのではなかろうかと私は率直に考えます。
○荒木(宏)委員 それじゃ角度を変えまして関連して伺いますが、日銀の貸し出しは四十七年度で幾らになっておりますか。
○吉田(太)政府委員 ちょっといますぐ調べまして、後ほど正確な数字をお答え申し上げます。
○荒木(宏)委員 お答えいただくのですか。
○吉田(太)政府委員 四十七年、暦年でございますが、手形割引で千七百四十億、それから手形貸し付けで一兆九千四百八十一億、合わせて二兆一千二百二十一億でございます。
○荒木(宏)委員 今度の公債発行で、いまおっしゃった貸し付けで出ている金で公債を引き受けるということ、これはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○愛知国務大臣 二兆三千四百億円の中では市中消化が一兆七千億です。
○荒木(宏)委員 私が伺っているのは発行額のうちのいわゆる市中消化の金額云々じゃなくて、市中消化とおっしゃるその消化内容が、さきに日銀から出ている貸し付けの金でやられるのじゃないか、こう伺っているのです。
○愛知国務大臣 これは金融でございますし、常識的に申し上げれば金にしるしはございませんから、どの金がどの金ということはちょっと申し上げにくいと思います。
○荒木(宏)委員 その意味から言いますと、金にしるしはつけられぬ、だとすれば、日銀から貸し付けで出ている金で公債を引き受ければ、これはまさにその意味での通貨の過剰発行になるのじゃありませんか。
○愛知国務大臣 しかし、いま市中にはいわゆる資金が相当ございますから、それで引き受けてもらうわけでございます。政府の立場といたしまして、その資金がどういうところから出てきたものかということは、資金の出どころあるいは金にしるしはございませんから、これがどういう関連性があるかということはちょっとなかなか説明がむずかしいところでございます。
○荒木(宏)委員 私がお尋ねしているのは、だからこそそういう意味でインフレにならないという歯どめがないじゃないか。先ほど、引き受けたのがまたオペレーションで日銀へ戻って金が出るという点は社会党のほうから指摘がありました。そういう意味で、いま過剰流動性というふうな言い方をなさっているけれども、外為にしろ日銀のほうから金がどんどん出て、それが公債引き受けということに当たっているとすれば、それはインフレということになるし、しかもそれをさせないという歯どめが、金にしるしはつけられぬということで言えないんじゃないか、こういうことを言っているわけですよ。 そこで関連をして、いわゆる市中消化について先ほど大臣のお話では目的的規制をするんだ、こういう御説明があったように伺いました。問題は規制のあり方ですけれども、方向規制ということはもちろんありましょう。しかし、同時に、量の規制だって機能の規制だってありますよ。公債で吸い上げて入った金はすぐ財政支出されますね。ですから市中消化をされるという消化内容ですが、これは市中でいまほかへ向かないで一応市中銀行が抱いている金、それが引き受けの対象になるんじゃありませんか。
○愛知国務大臣 公債の市中消化というのは要するに市中の資金でこれを購入してもらうということでありますし、購入されたものが金融機関と日本銀行との関係で将来売りオペになるとか買いオペになるとかいうことは、そのときの日銀を中心にした金融政策で行なわれるわけですから、これは売りになるとか買いになるとかいうことを断定できない性質の問題であると思います。 それから規制ということ、私は目的的にと申しましたのは、日銀を通ずる金融機関へのいわゆる資金調整の方法を申したわけでありまして、たとえば土地融資に関連すると認められるようなものは押えるとかストップするとか、あるいは株式、証券等に投資されるものは押えるとか、そういうことを目的的な調整と申したのであって、これは公債の市中消化とは別のまたカテゴリーに入る問題でございます。
○荒木(宏)委員 私がお尋ねしておりますのは、大臣がそのことに関連して述べておられる民間資金の活用ということですね。つまり公債消化に立ち向かう金がそのときに一体寝ているのか起きているのか。動いているのかそれとも休んでいるのか。寝ている金でそれを消化するのでしょう。ほかへ投下されている金をわざわざ引き揚げてきてそれで消化するということにはならないのじゃありませんか。
○愛知国務大臣 ほっておけばほかに向かうかもしれない金もその対象には入るかと思います。
○荒木(宏)委員 だからこそその向かう前のいわば休んでいる金を吸い上げて財政支出へ出すのですから、その意味で言えば、金の動きをもっともっと促進して、つまりその意味でインフレになるのじゃないか、こう言っているわけです。
○愛知国務大臣 そこで吸収したものは福祉国家建設に傾斜できるような財政の機能を使ってまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。
○荒木(宏)委員 いま福祉というお話があったのですけれども、関連ですからこの内容を申し上げますけれども、四十八年度の予算の公共事業費の中で、いわゆる大企業向けの産業基盤づくり、これは私どもの計算では六五・五%、しかし生活環境施設は一六・七%。こうだとすると、福祉社会とおっしゃるけれども、結局は寝ている金も吸い上げてきて大資本向けに金を出す。そのことがいまおっしゃっている民間資金の活用であり、政府のとっておられる公債政策じゃありませんか。
○愛知国務大臣 これは二つの点をいま言われているのだろうと思うのですが、一つは一般会計の公共事業費のことをおっしゃっていると思います。これは、なるほど道路はあなたのお話では大企業向け、こう言われるのだろうと思いますが、比率でごらんいただきますと、たとえば公園であるとか廃棄物処理であるとかいうようなものは、公共事業費内の伸びは前年に比べて七一%とか六七%とかいうものがこれは非常に今度の予算の中の特徴の一つとしていただきたいと思うのです。つまり、一般公共事業費の配分も福祉国家建設のほうに傾斜するようにくふうをこらしておるわけであります。 それから、財投のほうについても同様のことが言えるわけでございます。これは何としても道路の建設とかあるいは新幹線だとかいうようなものもみんな大企業のためであると言われるのかもしれませんけれども、やはり先ほども他の委員会でも話題になりましたけれども、鉄道のローカル線をどうするかとかあるいは赤字線をどうするかとかあるいは鉄建公団で地域住民の非常に要望している新線建設をどうするかとかいうことも入っておりますが、同時に、やはり農村の生活環境をよくするというほうにできるだけ重点を置いたのが今回の財政投融資計画の内容になっております。
○荒木(宏)委員 公債の問題ですね、それから引き受け、いわゆる消化の問題については、日銀券の発行の残が一月三十一日、一月中で六兆七千百三十億円になっている。前年同月対比の増発率が二六・二%にもなっている。これは二十六年の二八・三%に次ぐいわば金のだぶつきのときですが、そのときにいまのような形で歯どめがないままで、しかも寝た子を起こすような意味合いを持つ公債を発行された。こういうことについては、何と言われようと国鉄、健保の問題とあわせて、これは物価高を招くものであり、国民生活を破壊するものであるということを強く指摘をしておいて、次の質問に移りたいと思います。 福祉福祉ということを先ほどからおっしゃっているのですけれども、今度の政府の経済見通しで、国民総生産と、それから個人消費支出の対比、これはふえていますか、それともふえておりませんか。この点はいかがですか。
○田辺説明員 政府がまとめました明年度の経済見通しによりますと、国民総生産の名目成長率で申しますと一六・四、これに対しまして個人消費支出は一五・二、こういうぐあいにふえております。
○荒木(宏)委員 ちょっとお聞き取りいただけなかったようですけれども、国民総生産の中の個人消費支出、この比率がふえているかどうかということです。つまり全体の総生産の中で何ぼ使うたかという割合、それがふえたか減ったかということです。
○田辺説明員 失礼いたしました。個人消費支出の構成比は、見通しによりますと五一・一%となっております。
○荒木(宏)委員 だからそれは去年、おととしに比べてふえておるのか減っておるのかということです。
○田辺説明員 四十七年度の実績見込みによりますと五一・七でございますから、若干構成比としては微減をしております。
○荒木(宏)委員 四十六年度実績では五二・四%というふうに見ておりますけれども、そうするとずっと下がってきておるのじゃないですか。
○田辺説明員 GNPに対する構成比としましては、非常に長期的に見ましても漸減の傾向にあるように思われます。
○荒木(宏)委員 その限りでいえば、ずっと消費が減っていれば、これはむしろ福祉はふえたとはいえないんじゃないですか。
○愛知国務大臣 これは別の観点からまた見ていただきますと、GNPに対する構成比で直接ずばりと福祉といえるものは振替支出であります。振替支出は五・一%になっておりますから、これは四十七年度よりは上がっておりますし、それからここ数年来の状況を見ますと、五・一までになりましたことは相当の振替支出としては上昇であります。
○荒木(宏)委員 全体としてこういう構成対比で下がっていること自体、おっしゃるような福祉と自画自賛なさるようなものでは決してないということを指摘し、かつ軍事費をやめて、物価を押えて、ほんとうに公害を発生源で取り締まって、社会福祉、社会保障をうんと思い切って伸ばす、こういうふうなほんとうの福祉政策を財政金融の面でもとられることを国民の立場から強く主張して、次の質問に移ります。 国民所得に対する租税負担率、これは先ほど社会党のほうからもお話がありまして、少し数字の点で食い違いがあったようですけれども、この委員会で机の上に配付されました四十八年度の大蔵省主税局の「租税及び印紙収入予算の説明」の二五ページによりますと、四十七年見込みで一八・九%、四十八年度予算で一九・五%、租税負担率はふえているんじゃありませんか。
○高木(文)政府委員 御指摘のとおり、租税負担率はだんだんふえております。
○荒木(宏)委員 負担率がふえれば、これは世間では減税じゃなくて重税だというんじゃありませんか。
○高木(文)政府委員 租税負担率の問題につきましては、わが国の租税負担率は世界の各国に比べて著しく低いわけでございます。なぜ租税負担率が日本の場合はそんなに低いのかと申しますと、一つには軍事支出が少ないという関係でありましょうし、一つには社会保障制度に立ちおくれがあって税のほうも少ないが福祉支出が少ないという関係にあろうかと思います。長年わが国の場合の租税負担率は大体一九%台でほとんど移動なしにここ十年くらいきておりますが、将来もろもろの福祉施設の増加に伴いまして租税負担率がだんだん上がっていかざるを得ないと考えます。
○荒木(宏)委員 政府委員の方はよくお尋ねしたことをお聞き取りいただきたいと思うのですが、外国との対比をお尋ねしたのじゃないんですよ。四十八年と四十七年を比べてみればこれは上がっている。にもかかわらず減税だと言っている。普通の意味じゃ、減税というのは下がることでしょう。負担率が上がっているのに減税だというのはこれいかに、こういうことを言っているわけです。
○高木(文)政府委員 国民所得の大きさと税の大きさの関係が負担率でございますから、したがいまして必ずしも国民経済が大きくなり国民所得がふえた場合に、その負担率が上がったらそれは減税ではないということにはいえないと思います。私どもの計算では、本年の減税がなかりせば大体負担率は二〇%くらいになっているところでございます。減税の結果一九・五くらいになっておるわけでございまして、必ずしも、負担率が上がれば減税ではないというのは、別のことばではないかと思います。
○荒木(宏)委員 これで非常に田中内閣の言われる減税ということの意味がはっきりしたと思うのですけれども、これをやらなかったらもっと上がっているぜ、だから要するに負担率の上げ方を少し手かげんしたんだ、こういう意味でおっしゃっていることになると思うのですが、四十七年は減税はやらなかったでしょう、やらなかった場合よりもやったとおっしゃっているほうがふえているのですから、これはわれわれの普通の考え方だとおよそ減税なんといえるしろものじゃないと思いますけれどもね。 将来についてはどうですか。将来については負担率は同じ状態でいくのか、下げるのか、上げるのか、この点はいかがですか。
○愛知国務大臣 ちょっと待ってください。この比率というのは全体の比率を、負担率を言っているわけです。これは先ほどからもいろいろ御質疑がございましたけれども、所得の階層別でごらんいただきますと、これがよくおわかりいただけると思うのです。ですから、階層別に見ればもうまさに減税なんです。そうでなければ減税額というものは出てこないわけです。たとえば標準家族で最低の税の負担限度が一〇・七%も上がっている。そしてこれは先ほど例を上げて局長からも御説明いたしましたが、その間に物価がどう上がっているか、あるいは一方でベースアップがどうなっているかというようなことを加味いたしますればよくおわかりいただけると思います。これは階層別で、たとえば先ほど来お話のありますように、なかなか日本ではそこまではできないと思いますけれども、多額の所得のある人に非常な重い所得税をかりにかけるとすれば、この負担率というのは平均して上がる場合もございます。ですから、一律に全体の負担率だけで減税になってないというお説は、そのままは通らないんじゃないかと私は考えます。なおそういう点については十分内容的に御説明いたしたいと思います。
○荒木(宏)委員 将来はいかがですか。いま私が言いましたこれから先どうです。
○愛知国務大臣 勤労所得につきましては私も非常に強い関心を持っておりまして、今後におきましても、ますますこの点については重点を指向しなければいけない、こう考えております。
○荒木(宏)委員 経済審議会の答申、昨年の十二月十五日に出された資料を見ますと、昭和五十二年度では租税負担率が二四・六%になっている。ちょうど、きょう確かめましたところでは、これが二四・八%になっている。租税の負担額で見ますと四十七年度に比べて二一三%も、つまり二倍以上もふえるのだ、こういうふうな経済社会基本計画があるようでございますけれども、ほんとうにこういうことをお考えになっていらっしゃるのですか。
○高木(文)政府委員 長期経済計画はまだ審議中でございまして、いま最終的な詰めがなされております。ただ、いま改定作業中でございますが、前の経済計画におきましても、それから私どもに関係あります税制調査会におきます検討におきましても、租税負担率はなだらかながら上がっていくのはやむを得ないだろうというのが一般の見解でございます。
○荒木(宏)委員 なだらかながらというお話ですが、四十七年の十六兆二千五百九十七億、これは審議会で出された数字ですよ。五十二年度になったら三十四兆六千四百五十六億、五年間で二・一三倍になり、ふえる額は十八兆三千八百五十九億、一年に直したら三兆六千七百七十億円ふえているのですね。とてもなだらかと思えませんがね。この問題について、ことしの一月二十二日に田中総理が記者会見されたところでは、現行の所得税を減らしたい、こういうふうにおっしゃっているのですけれどもね。思い切って減税を進められることを強く希望しますけれども、同時にそのときに、それをやるには取引税、付加価値税などの導入を考え、税制を置きかえなければならない。だから減税をやるとしたって置きかえて今度は間接税をふやしていくのだということを記者会見でおっしゃっているのです。いま非常に関心の的になっている付加価値税、これを絶対にやらないと大臣はお約束できますか。
○愛知国務大臣 これは実は検討中の問題でございます。いまやるともやらないとも言えません。
○荒木(宏)委員 この間接税になりますと、これは全日自労で働いている人も言うまでもなく、病人もみんな負担するわけですから、そういう意味から言えばまさに逆進的なことになりますよ。いま付加価値税をやめろという要求は非常に強くなっている。ですから、そういうことじゃなくて、大資本向けの特権的な減免税、これは前に大蔵省が出された数字とわれわれが言っている数字とは違いますけれども、しかしそれも内容をはっきりさして、そういう特権的な減免税をすぱっとやめて、そうしてわが党が言っている二兆円減税、大幅減税をほんとうに国民の立場に立ってやられることを強く主張しまして、時間が来ましたから私の質問を終わります。
○大村委員長代理 広沢直樹君。
○広沢委員 きょうは時間の関係もありますので、こまかい各政策の問題につきましては法案審議のとき、一般質問のときにお聞きするとして、まず最初に、基本的な福祉への経済転換について、大蔵大臣の考え方をお伺いしておきたいと思います。 いま最大の課題になっておりますのは、やはり国民の福祉の向上であり、さらにそのための経済の安定成長である。この基本的な土台の上に立って先ほど大蔵大臣が三つの大きな問題点をあげられた。これはもっともだと思います。 〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 しかしながら、いままでの経済の運営のあり方というものは、成長があって福祉が成り立つという、こういう論理に立脚して、経済政策あるいは財政の運用も進められてきているわけです。しかしながら、これを福祉への転換ということになれば、これからの経済政策あるいは財政の運用につきましても、福祉の充実をどうするかということをまず具体的な案を立てた上で、これに対する明確な位置づけがなされなければならないと、こう思うわけでありますけれども、基本的な考えをまず伺っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 基本的な考え方は、国民的な要望にこたえていかなければならない、それは何と申しましても福祉政策である、こういう基本的な認識の上に立ちまして、できるだけのことはやったつもりでございます。たとえば年金の問題にいたしましても、老人対策にいたしましても、あるいは難病奇病にいたしましても、相当いままでやりたいあるいは拡充したいと思っておったことが、ことしは予算の上でもずいぶん取り上げられたのではなかろうか、一般的に私は評価されているように思います。それから社会資本の充実のほうも、先ほども申しましたけれども、やはり福祉国家建設ということにできるだけ傾斜ができるように、こういう点に重点を置いたつもりであります。
○広沢委員 それは、いま大臣の答弁は、いままでも何回か繰り返されているわけでありますが、私が聞いているのは、いわゆる今日の大きなひずみというものは、経済成長第一主義、そのために経済成長をささえていくための企業、産業重点の政策をとってきた、したがって福祉というものがあと回しにされてきた。福祉を充実していくためには経済成長というものを考えて、それがあってこそ福祉ができるんだという考え方が今日までの経済政策であり、財政の運用の基調になってきたわけです。したがって、七二年度の経済白書を見てみましても、「新しい福祉社会の建設」という表題の中でも、成長あっての福祉、こういう考え方がとられておりますし、さらに田中総理の「日本列島改造論」の中にも、やはり成長は福祉を約束するんだ、こういういままで経済成長、高度成長という一つの柱のもとにとってこられた基本的な考え方が変わっていないのではないか、こういう点を指摘申し上げているわけでありまして、やはりこれは二者択一で成長が先かあるいは福祉なのか、こういう基本的な問題については、もちろん福祉を充実していくためには経済の成長がなければならないことは事実です。しかしながら、具体的な運用の上に立っては、やはり今日までとられてきたのは、それだけ日本の経済をある程度国際並みに持っていかなければならない、そのためにはやはり経済成長を主眼にしてやっていかなければならないというために、今日の福祉という問題があと回しにされ、またそのために大きなひずみというものができてきているわけです。したがって、今日国民から福祉という問題が盛んにいわれるようになったということは、やはり成長と福祉というものの中に乖離があるということが問題として指摘されているわけであります。したがって、今度の財政あるいは経済の運用のあり方についても福祉だということがいわれてはおりますが、それならば具体的な福祉の計画を立てた上で、その裏づけ的な経済の成長はどうあるべきかということを明確に示さなければ、国民はやはり福祉へ大きく第一歩を踏み出したというふうには受け取れないではないか、こういうふうに言っているわけですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 その辺になりますとまた大きな議論が出てくるところだと思いますけれども、私の考えは、やはり成長というのは安定的な成長でなければならない、しかし、これが成長がしぼむようでは福祉政策の拡充ということはできない、こういうふうに考えているわけでございます。ですから、たとえば財政というものを考えます場合も、国民経済の安定的な成長の中で、できるだけそういった面への配分を、国民経済の中に占める財政の配分をできるだけ福祉のほうに向けるようにということで、まあ今年度でいえば、一般会計の予算でもこの程度のことが提案できたというふうに御理解をいただきたいと思います。
○広沢委員 文章の上だとかことばの上では、それはわかります。しかし、実質的な問題から考えたときに、やはり四十七年度の経済見通しでも、GNPは実質的には八%ぐらいになるのではないかという見通しが現在では一〇%をこえているというわけですね。そして四十八年度の経済見通しによりましても、GNPはやはり一〇・七、これは民間の見通しよりも一番低い、最低の見通しでありますけれども、民間はもっと、一一%あるいは一二%に上がるのではないか、こういう大体一致したような見方が出ております。これはやはりいままで政府がとってきた高度経済成長政策における経済の成長を示しているわけです。したがって、これだけのものをささえていくということになれば、今日、基幹資源型産業を中心として行なわれてきた経済政策というものが基本的に変えられる、ある程度セーブされるということを意味しないと思うわけです。 したがって、いまおっしゃったように安定成長のラインというものは一体どこにあるのか。潜在的な経済力から考えていくと一〇%ぐらいになったのだというかもしれませんが、しかし、今日までつちかわれてきた大企業産業というものはそれだけの力を持ってきたわけでありますから、したがって、今日福祉への転換ということであれば、ある程度経済の成長を、安定成長をどのラインに置くか、それによって今度はそれを福祉に回すというような具体的な配慮がなされなければならないのではないかということを指摘しているわけです。いかがですか。
○愛知国務大臣 そこでもう一歩掘り下げて申し上げますと、安定成長の内容は内需中心ということで、そしてその成長の度合いが外に向けられないように、国内でできます資源、ということばがはたして適当かどうかわかりませんが、これを国民のために配分ができるようにこの内需中心、そして内需というものの内容は、いま申しましたような福祉への傾斜というふうに考えていきたいということを基本理念にいたしまして、たとえば一般会計予算も、それから財投も、そういう気持ちでつくったつもりでございます。つまり輸出優先はやめよう、これはもう非常にはっきりしております。しかし同時に、国民経済の大きさが急激にしぼむというようなことは避けなければならない。そういう意味で安定成長、その中で内需向けということに重点を置きたい、こういう考えでございます。
○広沢委員 私がいま基本的に問題にしていることは、確かにいまおっしゃったように、内需中心もけっこうでしょう。国際収支の均衡を保つ上から考えてみても、いまから輸出をどんどん伸ばすというわけにいかぬことは、先ほどいろいろ論議があったとおりであたりまえのことです。しかしながら、いま福祉へ道を大きく変えるんだ、あるいは今度の予算が福祉への夜明けであるというような一つの福祉型予算であるということを強調されておるわけですが、国民が期待していることは、ある程度財政的に多少予算がふえたとかいうことよりも、具体的にほんとうに福祉という目標を立てて、その計画に基づいて予算組みがこれからなされていく、あるいは経済の政策にせよ、財政の運用にせよ、なされていくんだという目標を与えなければ、福祉へ大きく経済政策は転換されたということを感じ取れないではないか。わが党が要求してまいりましたようないわゆる福祉への具体的な計画というものを示さないで、ただ、四十八年度予算においては、いままで非常におくれておった部門について、ある程度それを大きくカバーしてきたということだけでは、福祉型予算だということは言い切れないわけです。その点の具体的な福祉への計画というものは、いまだに政府にないわけでしょう。それを具体的に示してこそ、今後の経済運用というものは、あるいは財政の運用につきましても、これを実現していくためにこれだけの経済活動が必要である、あるいは財政を運用させなければならぬという計画が立てられるのであって、それが示されない限り、これは十分に福祉への転換がなされたということは理解できないと言っているわけですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 まことにごもっともでございます。先ほどもちょっと言及いたしましたが、あとそうですね、おそくとも二週間以内くらいには、経済企画庁を中心にいたしました社会経済発展計画の大体の考え方が明らかにされるはずでございます。その中に福祉政策が年次を追うてこうなるというところの具体的な、いま御所望のようなところまではいかないと思いますけれども、大体の考え方、それから先ほど来申しております、たとえば財政の面でいえば振替支出がどういうふうな程度になる、それを五十二年目標にして、ひるがえって具体的な厚生省中心の案ができる、こういうふうに私も期待をいたしておるようなわけでございますから、相当の長期的な展望は、いろいろ御要請のある方々に対しては時間がかかって申しわけないと思いますけれども、意欲としてはあるいは順序としては、そういう点にこれからもスピードを上げて計画化してまいりたい、こういうふうに考えております。 それから、具体的にこれでほんとうに福祉福祉と言っているが何ができるかと、こういうお話もごもっともではございますけれども、たとえば七十歳以上の方々が、いよいよ本格的に無料医療給付で全部がカバーされる、一定の条件下でありますが六十五歳まで延びてくる、あるいは難病奇病対策が全面的に取り上げられた、あるいはまた公害というようなものにつきましても対策が相当に進んできているというようなことは、その関係の方々は目に見えて私は喜んでくださると思います。 それから、年金についてもインチキだというような極端な御批評もございますけれども、年金というものの制度自体からいって、拠出制年金におきましては、相当の年限拠出をして、そしてその上でもらえるものでございますから、すでに相当の年限がたって、厚生年金でいえば二十七年加入しておって、平均の方は五万円ずばりと改正ができればもらえる。その人数は、年金制度の特色としまして、だれでもが加入さえしていれば、一年しか加入していなかったあるいは年齢は三十歳でも五万円もらえると思われたとすれば、それはちょっと期待はずれでございましょうけれども、年金というものの制度からいって、確かに五万円もらえる方が現に何万人と出てこられるわけでございますから、こういう点は具体的になるほどこうなったなということは見ていただけるものである、こういうわけでございまして、急速にいろいろと展開をしておるわけでございますから、今年度でそんなに胸を張ってどうだどうだということはできないにいたしましても、方向はこれで定まった、こういうふうに私は理解していただきたいし、ぜひそういうふうにいたしたいというのがわれわれの考え方でございます。
○広沢委員 経済発展の計画の中で具体的にその福祉への方向というものを示していきたい、こうおっしゃっておられますが、いままで新経済社会発展計画にせよ、あるいはその前の計画にせよ、やはりその問題というのは指摘されておるし、載っておるわけです。私もそれを読んでみましたけれども、具体的な問題として取り上げられているというよりも、抽象的に、そしてあるいは文章としてはきれいに書いてありますが、具体的にそれがどういうふうに実行されてきたかという問題としては、結果として出ておりません。それで、いま私が申し上げているように、この計画、具体的な年次計画を示せ、それに立って経済の政策にせよ財政の運用をしていくという具体的なことをいま示してほしいということを言っているのでありまして、いままでと同じようなそういう福祉に対しての方向づけということだけでは、いままでとは何ら変わりがないではないか。いま国民が願っていることは、そういう明確なこれからの——いままで産業発展の下積みになってきたそれらの方々が、日本の経済が世界でGNP第二位といわれるくらいになる中で、今日われわれの生涯の安定が期せられるのではないか、経済成長があって福祉があるんだと政府は約束してきたんだから、いまこそそうなるのではないかという期待を持っている。しかしながら、現実には限られた財源の中ですから、ぱっとそれを変えてしまうということはできないことは当然のことです。 〔木村(武千代)委員長代理退席、大村委員長代理着席〕 ならば具体的なそういう年次計画をあげてきちっと方向を国民に示すべきではないか。 それから、先ほど質問しないことについてもいろいろえ答えていただいたのですが、四十八年度予算において社会保障関係費は対前年度比二八・八%伸びている。確かにこれは伸びています。しかしながら、一般会計に占める構成比のウエートの上から考えてみますと、前年度は一四・三%、今年度は一四・八%、ほとんど変わってないわけですね。ですから、このことは何を意味しているかというと、いままでのおくれている分について多少は埋め合わせ的に財源が上積みされたということは言えても、具体的に福祉型予算へ転向されたというふうには受け取れないわけです。諸外国の例を調べてみましても、予算の構成比の中でいわゆる社会保障関係費だけをとらえてみましても、もっと日本の倍くらいな状態になっています。たとえばアメリカにしても三三%のウエートを占めている。そういうようなことから、いま御説明があったいわゆる福祉型予算にするためにこれだけの配慮をした。確かに、一つ一つ例をあげていきますと、時間がありませんので申し上げられませんけれども、こまかい配慮はなされておる。しかしそれは十分ではないわけです。たとえば三千三百円の福祉年金が五千円に上がったということは、確かにそれは数字の上からは上がったかもしれません、パーセンテージの上からは、いままでにない上がり方かもしれません。しかしパーセンテージで生活するわけにはいかぬわけでして、具体的にいまの現実の状態では、今日の経済の中で生活していく上においてどれくらいの金額が適当であるか、そういう観点に立って考えなければならぬわけですね。ですから、方向づけだけでは困るのです。今後もいまのような考え方で、具体的に福祉の方面に対する財源というものを、伸びが二八・八%といいますが、そういう姿勢をとっていかれるのか。さらには、一般会計の中に占める社会保障関係、福祉といったら社会保障関係だけではありませんが、たとえていえば、最も密接な社会保障関係というものの構成比をもっと上げていく考えはないのか。ですから、いまただ議論しておっただけでは、それは上げていく考えですと言うかもしれません。しかし、いつになったら現実的な生活が、いま老人福祉の問題、年金の問題を取り上げましたけれども、現実的に合うようにできるかということを国民は待っているわけでして、それを具体的に示すような計画というものをあらわしてもらいたいと言っているわけですが、この点いかがですか。
○愛知国務大臣 たとえば老齢福祉年金にしましても、今度は五千円にいたしたわけですが、これは平年で申しますと五千二十四億円かかるわけです。しかし、明後年には一万円にいたしますということをわれわれも公に申しております。これは再来年は一万円にはいたします。 それから、先ほどちょっと触れましたが、社会経済発展計画のほうでは、五十二年度には振替所得の対国民所得構成比を八・八%に引き上げます。これは非常に明確にいたすつもりでございます。これは、御案内のように、五十二年に八・八に引き上げるということを押えるということが公に決定されますれば、それをもとにしまして、ひるがえって来年度はどう、再来年度はどうということが、厚生当局でも計画ができると私は思います。これはかねがね社会保障問題懇談会などで非常に熱心に討議されておったことを御承知と思いますけれども、その念願は、この振替支出を国民所得対比八・八%にぜひしたいということが念願でありましたのを、取り入れられるはずでございます。先ほど申しましたように、これは正式に決定されるのはまだ二週間ぐらい、いろいろのことがございますから時間がかかりますけれども、私はこれを押えることがきまれば、かなり明るくなってくるのじゃないかと思います。こういう点で、先ほどもおわびかたがた申しまして、だんだん時間がおくれておることは申しわけございませんけれども、こうして一つ一つ重要なところを押えて長期計画に取りかかろうとしておる、この態度でおりますことは、御理解をいただきたいと思います。
○広沢委員 時間がありませんけれども、税制の問題については、これは法案が出たときの審議の中でいろいろやりたいと思いますが、いまの成長あっての福祉という問題の中で、これを基本的に変えていくということの一つの例としては、やはり今日の法人税を、税率を上げていく。法人税にも中小企業と大企業とありますけれども、いろいろ議論はありますが、総括的に法人税を上げていくというふうにしていくことによって、その財源が福祉財源として確保される、こういうような具体案を示さないことには、先ほどもいろいろ議論の中で説明がありましたいわゆるいまの租税特別措置の中での改廃を行なって、相当その面での財源は浮いてくるはずだ。しかし、租税特別措置は、これは釈迦に説法みたいになりますけれども、やはりその情勢、情勢によって政策的に行なわれるわけであります。何もいま、これまでの企業を優遇していた租税特別措置を廃止するという問題ではなくて、昨年あるいは一昨年あたりから、輸出の問題に限っては輸出振興税制なんという特別措置というものは漸減させていかなければならぬというような処置をとってきているわけですね。ですから、やはり基本的にいままでのそういうような政策的な、その情勢によって変えられる問題ではなくて、基本的な税制の仕組みというものを変えていくことによって、成長あっての福祉というよりは、福祉への転換という一つの具体的な意味としてあらわれてくるのじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 法人税の問題につきましては、先ほど申しましたように、これはちょっと意見が違うので恐縮でありますけれども、四十八年度といたしましては、課税所得を拡大するということでまず懸案を解決し、そして将来の問題として検討しようということでこの改正案を御提案申し上げておるわけでございますので、その立場を御理解をいただきたいと思います。
○広沢委員 やはり法人税の基本は三五%、それに一・七五%を租税特別措置で付加しておるんですが、今日のような状況の中では、やはり法人税率というものを上げていくということ、これは諸外国に比べて実効税率というものは低いということは再々指摘されているところでありますから、この基本的な問題をいじらずして、いわゆる租税特別措置で政策的にそのときどきに応じて処置していった、その問題だけをいじったことによって福祉型へ変えたというような言い分をとられるということはおかしな議論じゃないかと、こう思います。したがって、この件についてはまた法人税の改正の法案の問題のところでいろいろ議論してみたいと思います。 もう時間がほとんどありませんけれども、もう一つ予算とインフレの問題についていろいろお伺いしようと思っておったわけですが、総括的に聞いておきたいと思います。 やはり、先ほどから御指摘のように、福祉の向上ということになれば、その大前提ということはインフレを抑制するということをまず考えていかなければならぬ。しかしながら、先ほどのお話にもありましたとおり、四十七年度は消費者物価というのは大体政府の見通しに押えられるであろう。しかしその内容は、季節的な商品の値上がりがなかった、安定していたということにささえられたものであって、いままでの政府の消費者物価の見通しというものはいつもはずれているわけです。四十八年度は五・五%にするという見通しを立てている。しかし、これは努力目標であるということでありますし、卸売り物価の問題についても大体二%に押えるという見通しを立てているんですが、具体的に、このことを達成するための具体的な政策というものを、簡単でいいですから基本的に示していただきたいということ。 それから、やはり予算が非常に大型になってきているということ、これは福祉の充実という上から必要だといえば、何もそれに反対でありませんけれども、しかし、いたずらに予算というものを、内容をいじらないで、福祉の充実のために予算というものは大型化しなければならないという形で大きくするということは、いまインフレ傾向のある中で、かえってインフレを高進させる結果になってくるのではないか。したがって、またその運用のあり方についても、その大型化した予算というものがそういう影響を与えないようにするためには、やはり赤字を埋めるとか、いわゆる国債をもっと減額するとか、あるいは公共投資もこれは必要でしょう、いままでの民間投資から公共投資へ変えていかなければならない、こういう資源配分の不均衡を正そうということは当然のことですけれども、しかし、こういう景気の面から考えた場合は、公共消費のほうへ、もう少しウエートを置いて考えていくべきではないか、こう思うわけです。したがって、公共消費のほうへ変えるということは、やはり先ほど申し上げました福祉のほうへ具体的にもう少し予算というものを配分していくことが、やはりこのインフレに対する、財政の大きさの上においては必要なことではないだろうか。その点については、公共投資というものは相当伸びておりますし、それから公共消費の面、いわゆる福祉関係へ回す予算というものもふえておりますけれども、まだまだその点においてはやはりこういう大型の予算の中で景気に与える影響というものが大きく出てきて、インフレが高進されるのではないかという心配もあるわけですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 インフレ問題につきましては、先ほど来しばしば繰り返して申し上げておりますように、この点は私も一番心配の点でございます。ただ、これも繰り返しでございますけれども、この予算の編成、財政の中には私はインフレの要因はない、こういうつもりでございますが、同時に一般的なクライメートと申しましょうか、これに非常なインフレ的傾向がある、やはりそれはもとを正していかなければならないので、特に金融政策に重点を置いてまいりたいと思います。相当強力な施策を逐次展開してまいりたいと思います。 それから、したがって大型である予算という御批評に対しましては、私はやはり国民的な要望にこたえるためには相当の歳出予算を組まなければならないし、またそれが適当なことであると考えたわけでございまして、先ほども二、三の例を申し上げましたが、私は福祉関係については、まあこういうことを申し上げてもいかがかと思いますけれども、厚生当局などが考えておられたことはほとんど私は何らかの形で予算化できたつもりでございます。たとえば、同時に今後の問題にも関連いたしますけれども、物価スライド制をこの年金制度に入れたこと、あるいは扶養義務者の所得制限を大幅緩和というよりはほとんど撤廃したと申し上げてもよろしいと思いますが、こういう点はもう長年踏み切りがつかなかった点でございますが、これは相当の決意と努力でこれに踏み切ったということも、またあわせてこの機会に申し上げておきたいと思います。
○広沢委員 最後に一問。いま財政的にもインフレ的な要因というものはほとんどないだろう、ほとんど金融あるいは税制面で今後の対策を立てていきたいということですけれども、先ほどから過剰流動性の問題が問題になっています。そのために金融政策としてはことしの初めに預金準備率を引き上げたわけですが、しかし、その程度で今日のインフレ的要因というものを押えていけるかということが一つ問題がある。今後またそれをものすごく引き締めを強化していきますと、めぐりめぐってまた過剰流動性の問題に戻ってくるわけですね。いろいろ説明している時間がありませんけれども……。ですから、これからのインフレ対策を金融面だけがやるということは非常に無理がかかってくると思いますけれども、今日とっている預金準備率の引き上げ、あるいは対策をいろいろ並べておりましたが、その程度であなたが今日のインフレ要因というものを押えられると考えているかどうか。今後はもっともっとその点に対しては、こういう手を打たなければいけない、たとえば公定歩合の引き上げを考えているとか、そういう考え方があるのかどうか最後にお伺いして、残余のことについては次回に回したいと思います。
○愛知国務大臣 私は、金融政策の面につきましては、先ほど具体的に村山さんからも政府があるいは日銀を通してとりたる措置については一々言及をされましたから、私からあえて申し上げませんでしたけれども、その中には、これまた相当の決心でやりましたことも含んでおります。特に土地関連の融資に対する措置のごときは、これは相当思い切った措置のつもりでございます。これらの一連のとりました措置は、これからその効果を十分見ながら、フォローアップしながら、さらにとるべき措置あるいは傾聴すべきものがあればこれをとることにやぶさかではございません。
○広沢委員 終わります。
○大村委員長代理 竹本孫一君。
○竹本委員 二、三の点について御質問をいたしたいと思います。 最初は、ことしの日本の経済に関する大きな問題の一つは、円の再切り上げ問題があると思うのです。それに関連をいたしまして、ベトナムの和平が実現しつつある、あるいは実現したということでございますけれども、アメリカは、一九六九年が一番多かったと思いますが、年間にベトナム関係で二百七十億ドルくらい使った。これが和平によってあるいは難民救済あるいは復興援助というようなことで、やはり相当の負担が出ることも事実でしょうけれども、激しかったころの戦争の経費の負担ということに比べれば、ずいぶんアメリカの経済的な負担というものは減るだろうと思うのです。そのことが実質的にドルを非常に強くする、それがまた間接には、日本の円の再切り上げに対する圧力を減じていくというふうに私は見て、その影響力というものは、へたな日本の第一次、第二次、第三次の円対策よりもあるいは効果が大きいかもしれぬ、影響が大きいかもしれぬというふうに考えておりますけれども、大蔵大臣はベトナム和平に伴うアメリカのドルの実質的な力の回復と、それの日本の円の切り上げに対する圧力の軽減というような問題について、どういうふうな評価をしておられるかをまず承りたいと思います。
○愛知国務大臣 ただいまの竹本さんの御意見は、通常考えられる見通しではなかろうかと私も思います。すなわち、何といたしましても、アメリカの負担は常識的に軽減されたと見るべきでありましょうし、それからごく最近の大統領教書あるいはその他のものを見ましても、アメリカの予算の組み方も堅実と申しますか、これは失業率がどのくらいになるかということにかかっているように思われますけれども、増税はしないとかあるいはむだづかいはやめるとかいうような体制で出発しようとしておりますことは、常識的に見ればアメリカの経済が漸次正常化することである、ドルは強含みになる、こういう見通しをするのが常識的であると思います。 しかし、このごろの国際経済界というものはきわめて複雑でございまして、常識的な見方だけではなかなか当たらぬ場合がございますから、私の見通しは当たらないかもしれません。しかし、ともかくも私どもとしては円の再切り上げというようなことは考えておりません。そしてスミソニアン以来まだ一年とちょっとしかたっておりませんし、通貨調整の効果というようなものは、列国の最近の例から申しましても、どうしても二、三年はかかります。いまわれわれがやりつつある円対策を中心にした諸般の財政金融その他あるいは貿易、関税あるいは資本の自由化等々に及ぶ一連の措置をどんどん遂行していく、わき目も振らずにこれをやることが、私から申しますれば、三つの問題を同時に解決する方向にいくものである、こういう確信のもとに立っておりますが、アメリカの経済は何といっても日本とも非常に関係が深うございますから、この上ともアメリカ経済の動向については十分注視をしていきたいと思います。 なお、経済援助のお話もちょっとございましたが、アメリカとしては今後も七十五億でございますか、インドシナ平定後においても援助を続けるのだということをいっておるようでございますが、この情報は竹本さんの受けておられる情報と同じように私も聞いております。
○竹本委員 常識的には期待できるが、国際情勢最近非常に複雑怪奇であるから、どこまで期待していいかわからないということになりますと、私は円の再切り上げを防ぎ得る条件というものは、これがむしろ一番大きな要素ではないかと思いますから、それに期待ができないということになると、ますます悲観的ということになるわけですけれども、この問題はまた機会を改めて論議をしたいと思いますので、次へ進みます。 次には、二四・六%でよくいわれる財政の膨張の問題でございますけれども、これがまたインフレになるかならないか、中身が問題だというようなことでいろいろ論議をされておるわけですけれども、私は、インフレになるかならないかということを、ことしの一年の十四兆円の予算だけで論議をするということはあまり意味がない。問題は、最近数年間の流れというか、趨勢を見て、またこれからの、今後の膨張なり発展なりを見て、その中で全体的につかまなければいけないのだろうと思うのですけれども、これも時間がありませんから、大臣の見通しを承りたいのでございますけれども、たとえば四十二年に五兆円程度のものであったものが、いまは十四兆円になっておる。数年間の間に三倍近くなっておるわけですけれども、このままで政財が、たとえば一般会計の予算でいいですけれども、膨張していったならば、五年後の昭和五十三年になれば一体四十兆円ぐらいのところになるのか、四十五兆円ぐらいになるのか、その辺の見通しはどういうふうに見ておられるかということであります。 あわせて、公債もいろいろいま論議が行なわれておりますけれども、いまから五年後の五十三年ぐらいになれば、日本の公債の発行の残高はどのぐらいになるだろうか。 大体の見通しを持っておられるだろうと思いますので、この二つをお伺いいたしたい。
○愛知国務大臣 ただいまの御質問もまことにごもっともだと思うのでありますけれども、今後財政の規模がどういうふうになっていくのがいいであろうかということについては、よほど真剣に、深刻に考えていかなければならないと思います。実は、今年度と昨年度を比べて二四・何%というような程度で毎年毎年ずっと繰り返していけば、竹本さんのおっしゃるように、十年先には相当膨大なものになる。しかし、必ずしも私はそういう動向をたどることがいいのか悪いかということは、これは財政の長期計画ということは非常にむずかしい問題だと思うのですね。少なくとも計画とはいえないまでも、見通しというようなものができるかどうかということですが、しかし私の考えとしては、先ほどもしばしば言及いたしましたけれども、社会経済発展計画というものが衆知を集めていまつくられつつあります。近い機会に公表されると思いますが、その検討、作成につきましても、もちろん国民経済と財政との配分というような問題は討議もされておることでもございますから、政府といたしましても、むずかしい問題ではございますが、鋭意検討してまいりたい。いまのような程度でずっと続けていくという算術は簡単で、数字もお示しができますけれども、いろいろとまた誤解を与えてもいけませんですから、この点は簡単な勘定でございますから、数字を申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、お気持ちはよくわかりますし、その御心配を体して政府としても真剣に考えてまいりたいと思います。 なお、お許しをいただいて、国際金融局長からドルの、先ほどなかなか微妙でということを私申しましたが、具体的にレイテストの状況を御報告したいと言っておりますから、ちょっとつけ加えて……。
○林(大)政府委員 簡単に申し上げます。 先ほど竹本委員から、ドルの基調はベトナムの平和実現によりまして強くなる基調にあるというお話、まことに御卓見でございます。実はこの一両日、ヨーロッパで市場がやや不安ぎみになっているようでございまして、東京市場でも何か心配らしいような気配をしている向きもあるようでございますが、そのような心配は全くないわけでございますので、蛇足でございますが、申し上げておきたいと存じます。
○竹本委員 おそくなって、時間もありませんから、簡単に尋ねることに中心を置きたいのですけれども、いまの財政の問題ですね。きょうは時間もありませんから、私はその問題を十分論議もできませんけれども、日本の財政は、まあある意味からいえば、毎年毎年二〇%なり一六%なりということで伸びておりますが、今度ニクソンは、予算を削減するとか公定歩合を上げるとかいうことで、やはりインフレと対決する、取り組むためにそういう思い切った手も打つけれども、日本の場合には、財政の伸びが非常にスローダウンしたという例はあまりない。最近は極端にいえば無原則に膨張の一途をたどっておる。圧力団体もあばれほうだいだ。こういうことを考えますと、この調子でこのまま伸びていったならば、いま申しましたように、もう五十三年には四十五兆円を突破するかもしれないというような膨大な予算にふくれ上がっていくということでございますので、これは非常に心配をするわけなんです。 そこで、きょうは公債の償還計画が予算委員会で問題になっておりましたけれども、とにかく、財政についても一つの展望がないということは非常にあぶないと私は思う。政府としては長期経済計画の中ではこれを考えるということになっておるようでございますけれども、これも内容を見なければ、これからまだ論議はできませんけれども、きわめてマクロ的というか、あるいはずさんなと申しますか、従来の延長線の上で伸びているだけだ、こういうことになりますと、政府が考えておられるもの以上に予算は膨張する心配のほうが多いということで、膨張に次ぐ膨張ということになりますので、私はその点を心配して、予算についても一ぺんゆっくり、五年後にはどのくらいの規模を構想すべきか、構想されておるかということを、やはり論議を詰めてみたいと思っておるのです。 それと関連をしまして、先ほど大臣からもおことばがありましたけれども、やはり財政は困難だけれども、一つのまあ五カ年計画ぐらいのものはそれなりに持たなければうそだ。これはドイツにおいては、御承知のように、中期財政計画というものを持とうとしたこともある。イギリスは公共支出白書の中でそうした一つの全体的な見通しを持とうと努力しておる。日本でもそういう考え方がいままでなかったわけでもないというふうに理解をいたしておるのでございますが、これはいまのように膨張に次ぐ膨張をしておるような状態でありますから、なおさら日本の経済が無軌道あるいは無原則にインフレへの道を走らないようにするためにも、この辺でやはり全体としての長期計画あるいは長期展望を持たなければいかぬ。それを、ことばがそうであるかどうかは別としまして、財政五カ年計画といったような形で相当具体的なものを持たなければいかぬ。日本の経済社会発展計画でも何でも、いろいろ書いてあるけれども、ほんとうの意味での財政的裏づけというものはないというか、はなはだ不十分であるというべきか、どちらでもいいですけれども、とにかく日本の長期計画には一番大事な財源の裏づけというものがあまりない。そうしてみると、結局実質的には、みんなスローガンみたいなものをたくさん並べておるだけで、ほんとうの意味の計画が計画として成り立つ物的な基礎を持たないということになるのじゃないか。日本の経済全体が無軌道にインフレの道を走らないようにするためには締めくくりのものがなければならぬ。それはやはり財政だ。そういう意味で、財政五カ年計画といったような一つの計画性を持たしたい。非常にむずかしい財政のことでございますから、厳密な意味の計画と称すべきものに値するかどうかは別としても、そういう方向の努力は少なくともしなければならぬ。ドイツあたりでも中期財政計画ということばも使っておるわけですから、そういうことが必要だと思いますが、その必要性を大臣はどういうふうに認識されるかどうかという点を伺っておきたい。
○愛知国務大臣 たいへんごもっともな御意見で、私も同感でございます。同時に、私は非常に率直なことを申しますと、財政の規模を国民経済の伸展とともに考えるということは、私は比較的やさしいことではないかと思います。今日、歳出面で福祉国家の建設ということは大きな命題になっておりますけれども、その中で健康保険あるいは年金というようなものは、社会連帯的と申しますか、こういう観念で国民的に育て上げるべきものではないかと思います。これは公的な扶助というものとは私は違うと思うのでありますけれども、内容的にそういう点の考え方をはっきりしてまいりませんと、保険という名前であろうが、あるいは拠出制年金であっても何でも、歳出にあげて、取るべきものは取るということで、これに対してお互いに助け合っていく、あるいは保険制度を育て上げていくということで考えていかないと、これは財政がとてもむずかしいことになるのではなかろうか。ですから、ひとしく社会福祉と呼ばれておりますけれども、その内容を質的に洗い直しというか、考え方を洗い直し、そうして純粋の歳出におぶさるべきものと、それから相互連帯の精神でこれをうまく育て上げること、そういう点を同時にこの際考え方を国民的にコンセンサスをつくり上げてまいりませんと、ただ単に大きさだけをこうであるとかいっても、これはなかなかうまくいかないことである。したがって、内容的に考え方を徹底的に論議し合ってやっていかなければならないことである、私はこういうふうに考えます。 それからもう一つは、歳入面をどういうふうに考えるかということであります。先ほど来税についての御意見、公債についての御意見などは私も謙虚に傾聴いたしたわけでございまして、当年度においては私はこの行き方でよろしいと思いますけれども、長期の計画から申しますれば、そういう点を謙虚に考えながら、長期計画の策定ということに向かうべきものである、こういうふうに考えます。私は、内容的な、特に歳出面に対する国民のばく然たる期待、そしてそれが将来どういう姿に、いわば自然増みたいなかっこうになってまいりますとこれはたいへんなことになる。あえて率直な意見を申しますと、そういうところに実は考えなければならぬ問題があると思います。
○竹本委員 大臣の言われるように、内容が大事だということは私もよくわかります。しかし同時に、内容がいいとしても、日本の経済がになっていけるあるいは解決していけるキャパシティーは限界がありますから、内容がいいから、あるいは栄養があるからたくさん食っていいといろわけにはいかない。やはり腹には限界がある。そういう意味から、やはり大きさも同様に問題なんですね。その意味で一つの大きさから見た展望も要るのではないかということが一つ。もう一つは、いま内容ということを言われましたが、これはあらためて伺いますが、日本の経済社会五カ年計画といいますか、そういったようなものの中には、従来はまだそういう観点が少なかったからということもあるでしょうけれども、あるいは今度の新長期計画の中には、いま大臣が言われましたような福祉の問題がどの程度に織り込まれようとしておるか、同時に、この前の長期計画というか、中期計画というか、計画の中には、国防の問題はほとんど入っていなかったと思うのです。ところが、いま四次防、五次防がこれだけ問題になり、日本の経済の大きな問題点となっておるときに、その問題を抜きにする——すなわち内容ということからいえば、国防の問題にしても福祉の問題にしても、その内容の大きな柱となるべき問題だと思うのです。それは過去は別として、今度の長期計画の中にはどの程度のウエートをもって織り込まれておるか、この点をひとつ伺いたい。
○愛知国務大臣 その辺はまだはっきりいたしておりません。
○竹本委員 そうなれば、これは要望になりますけれども、大臣がいませっかく内容が大事だと言われたけれども、その内容の重要なポイントが今度出てくる長期計画には忘れられておるというか、抜けておるということになれば、それこそ重大な問題でありますから、それは今度の計画の中には必ず織り込んでもらうように要望をいたしておきたい。 最後にもう一つ、日本の日銀券の増発の問題でございますが、これはヨーロッパのEC十カ国の蔵相会議のときにも、大体通貨の増発というものはGNPの実質的な成長率にプラス許容される範囲の消費者物価の上昇、まあヨーロッパでは大体四%といっておるようですけれども、四%。そうしますと日本でいいますと、ことしでいいましても一〇・七%プラス四%ということになれば、一四・七%ぐらいのところが、西欧EC連中の考えるような通貨の膨張の一つの基準、めどということになると思うのですね。 ところが、これも問題になっておりますように、まあ特殊な事情もありましょうけれども、二〇%をこえ二二%をこえ、最後は二六・二%の通貨増発である。これは非常に行き過ぎであると思うが、一体日銀券の——ここで貨幣数量説を議論しようとは思いませんが、これもやはり一つのめどになると思うのですね。決定的なものとはいえないが一つのめどになる。そうなれば、昔はそういう意味で日銀券の増発には大きなめど、制約条件をつくっておったわけですから、これからの財政膨張、公債の増発、また余剰の流動性の問題もあるといったような中で、大蔵大臣、日銀券の増発にはこれからいかなる目安を持たれるのか、何らかの一つの基準を持たれるのか、持たれようとしないのか、その点だけ伺って終わりとします。
○愛知国務大臣 これもまたたいへん大切な問題で、私も同様、現在の日銀券の発行状況については非常な関心を深くいたしております。ただ、私はやはり日本の実情からいって、そしてまた制度からいっても通貨数量説はとりません。そして最近の日本の状況から申しますと、これもまあ率直に申し上げますけれども、ある面でいい点もございまして、要するに消費ムード、レジャームード、その大衆のお金の使い方というものが、何と申しますか小切手その他等は習熟しておりません関係もございまして、一がいに西欧的な発想にはそう気にしなくてもいいと思います。しかし、やはり感覚的に大事な問題でございますから、私は先ほど別な委員会でお答えいたしましたのは、いま一生懸命金融政策をかなり強く展開しております。そういうことが結果において大体これならという程度になってくることを、現在のところ期待しておりまして、限外発行制の問題などについても、かねていろいろ議論はあったわけでございますけれども、現在ああいう制度に手をつけてまで数量的な制限ということは考えておりません。
○竹本委員 これはいずれにしてもたいへんむずかしい問題でございますし、大臣もトリレンマの中で日夜の御健闘非常に御苦労さまでございますが、どうか財政の膨張にしても日銀券の膨張にしても、これが無軌道にインフレへの道に走らないように、もう少し科学的なめどを、あるいは基準を持って、ひとつ努力されるように希望を申し上げて終わりにいたします。
○大村委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後十時五十四分散会