商工委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 259 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/03/27
会議録
○浦野委員長 これより商工委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。 内閣提出、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等鉱害対策特別措置法案の両案を議題とし、審査を行ないます。 —————————————
○浦野委員長 両案の趣旨につきましては、お手元に配付した資料によって御承知願いたいと思います。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部未喜男君。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○浦野委員長 速記を始めて。 阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 今日まで、ともすれば産業開発第一主義、経済の高度成長優先で進めてきた通産省が、公害対策なりあるいは環境保全の問題について真剣に取り組もうとする姿勢が出てきたことについて、私はまず敬意を表したいと思います。 このように、今日、公害防止、環境保全という立場から産業開発、産業構造についての転換が迫られておるのではないか、そういう気がするわけでございますが、特に大臣は閣僚中の重鎮でもございます。いわゆる大物大臣でございますから、大臣のお考えは、政府全体に非常に大きい影響を与えると私は理解をしております。 そういう意味合いからまずお伺いをしたいのは、今日大臣のお考えで、なお産業開発が優先をするのか、あるいは公害の防止なり環境の保全というのが通産行政の中で優先をするというようにお考えになるのか、所信をお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 われわれの考えは明瞭に、福祉のための成長であり、発展である、目標は福祉である、そう考えます。
○阿部(未)委員 大臣、きのう参議院の質問で新聞等の報道によりましても、例の水俣病裁判の判決についていろいろ議論がかわされた中で、何か水俣病の公害の認定を、二、三億円金を持ってくれば公害認定からはずしてやるというようなことをかつての閣僚がチッソに話を持ちかけた、そういうことが出ておりましたが、閣僚の一人として大臣、このような政治姿勢をどうお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 それはうわさであると思います。そういう不見識なことはないと信じます。
○阿部(未)委員 これは所管でありませんからそれ以上は聞きませんけれども、私どもとしても、もしそれがほんとうでありとするならば、事公害に対する政府の姿勢としてきわめて重大だというふうに考えておるところでございます。 例の休廃止鉱山の関係ですけれども、大臣も御承知と思いますが、イタイイタイ病は言うに及ばず、宮崎の土呂久の問題にしても、あるいは東北の岩手県の松尾鉱山のあとにしましても、その他数え上げればこれは枚挙にいとまがないのですけれども、いわゆる鉱山企業が今日までかってに山を掘り出して、そのために残された鉱害というものは非常に膨大な数にのぼっております。しかも、特に私は先般松尾の鉱山を見てしみじみ感じたのですけれども、硫黄を掘り出したあとがそのままになっておって、ときどきはここが火をふいておるし、さらに、ここから流れ出る水は北上川を汚染して、毎日膨大な炭酸カルシムウを投入しなければ、北上川の汚染がとまらない。いや炭酸カルシウムを投入してさえ、なお北上川がよごれて、その流域の人たちが非常に大きな迷惑をこうむっておる。いわば金属鉱山の——硫黄が金属鉱山と言えるかどうか問題があるのですけれども、これは大体おたくの解釈では、金属鉱山等という中に硫黄も含めているというような考えのようでございますから、いわゆるこの金属鉱山のそうした廃鉱から鉱害がたれ流されて、地域の住民がたいへんな迷惑をこうむっておる、こういう問題について、大臣はどうお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 公害の防除というものは、現代政治の非常に重要な使命でございますので、川の汚染あるいは住民の被害を全力をふるって防除するようにしなけりゃならぬと思います。
○阿部(未)委員 特に、いまの北上川の問題について、現在どういうふうな取り扱いになっておるのか。もう少し具体的に、これは大臣でなくても事務当局でけっこうですが、答えてもらいたいのです。
○岡安政府委員 北上川の問題についてお答えいたしますが、先生おっしゃるとおり、現在PH調整のために国と県で炭カル投入をやっておりますが、これは現在四十四田ダムの環境その他の保全ということが目的で、暫定的な対策を講じておるわけでございます。それにつきましても、相当多額の資金を要するわけでございますので、至急、根本的な対策を講ずる必要があるというふうに考えまして、現在通産省の経費をもちまして一部覆土等の事業をやっておりますが、これもやはり部分的な対策でございます。 そこで、四十八年度におきまして、私どもは、基本的な対策を講ずるための経費を現在要求いたしておりますので、それによりまして、根本的な対策樹立のための調査をいたしまして、できれば、私どもは、北上川からPHの調整をしないで済むような、根本的な対策を至急講じたいというふうに考えております。
○阿部(未)委員 いま例をあげましたけれども、一例にすぎないのですけれども、いわゆる租鉱権者なり鉱業権者がそこを掘って、もうかる間はずっと掘り続けて、利益がなくなればほっぽり出して、そのあとは、いまお話しのように、国が経費をかけて鉱害の防止をしなければならない、そういう状態になっておる。全国にこれは非常に数が多いのですが、そういう企業の姿勢について、大臣はどうお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 これはOECDの原則できまっておりまするPPPの原則、すなわち汚染者が責任をしょい、それを清掃し、防除する責任を負う、そういう原則で、これは処理すべきものであると思います。それで足りないところは国や地方団体が援助する、そういうことが原則的に正しいと思います。
○阿部(未)委員 確かに大臣のお考えはそのとおり、私どももいわゆるPPPの原則と申しますか、そういうもので処理すべきだと思いますけれども、現実にいま問題になっておる休廃止鉱山では、いわゆる資力のないといわれる租鉱権者なり鉱業権者が非常に多いわけで、いまの松尾鉱山の場合も、これも明らかに一例ですけれども、資力がないから国がそれを全額まかなって、今日鉱害の対策を行なわなければならない、そういうふうに、いわゆる鉱害等について全然配慮をせずに、もうかる間は掘り続け、もうからなくなったらほっぽり出して、無資力ということで国の責任に押しつけていく、そういう企業の姿勢をどうお考えになりますか、こうお伺いしたわけです。
○中曽根国務大臣 そういう無責任なやり方というものは糾弾さるべきであり、政府としても、監督を厳重にして、そういうことをやらせないようにしたいと思います。
○阿部(未)委員 やらせないようにしたい、こう申されても、実際には資力がないということになれば、国がせざるを得ないことになってきます。いわゆる金属鉱山の鉱害対策については、そういう事例が非常に多いわけで、当然法の上で責任を負わせるべきだとお考えになっても、たとえばすでに租鉱権が放棄をされて、もう責任者もいない廃止鉱あるいは五年間の責任期間中ではあっても資力がないというものが非常に膨大な数にのぼると私は思うのですが、それは全部国が当然負担してやらなければならぬことになるのじゃないかと思います。おそらくこの法律ができても、そういう関係から、網の目から逃げていくものが非常に多いのではないか。これらをどう捕捉していくお考えであるかということを大臣にお伺いしておるわけです。
○青木政府委員 現在鉱害防止工事の義務者の存在しない山が相当ありますことは、御指摘のとおりでございます。そこで、今度の法律できめておりますのは、今後そういうことを極力少なくするために、まず第一に、義務者が存在する間に計画的に鉱害防止工事をさせるということが第一点です。 それから、現在稼行しておる山につきましては、鉱業権者に積立金を積ませまして、終わりましたときに必ず鉱害防止工事ができるような資金的な担保をしておくということをきめておるわけでございまして、今後極力、そういう無責任な企業者が出ないようにすることがこの法律の目的でございます。
○阿部(未)委員 少し具体的に内容に入っていきたいと思いますが、いまお話もありましたように、現在地方公共団体が事業主体となって行なっておる鉱害防止事業というのがございますけれども、この地方公共団体が事業主体になっておる鉱害防止事業と、今度の、いま提案をされております金属鉱業等鉱害対策特別措置法との関係はどういうふうになりましょうか。
○青木政府委員 現在地方公共団体に補助金をつけましてお願いをしております鉱害防止事業がございますが、これはすでに鉱害防止工事の義務者がいない部分でございます。これにつきましては、今度の法律で、第四条の規定がございまして、第四条に「使用済特定施設に係る鉱害防止事業に関する基本方針」というものを定めることになっております。 この基本方針で、大体どれぐらいの期間にどういう工事をするかということをこの地方公共団体の行ないます事業につきましてもきめることにいたしております。このことによりまして、政府としましては、現在のところ考えておりますのは、五カ年でございますが、五カ年にこういう義務者不存在の鉱山の鉱害防止事業を完了したいというふうに考えております。
○阿部(未)委員 そうしますと、いわゆる鉱山保安法の第二十六条によって鉱業権が消滅した後もなお五年間は鉱業権者とみなされる、こういう趣旨になっておると思うのでございますけれども、これに該当する鉱業権者あるいは租鉱権者が本法の適用を免れたい、いわゆる金を積みたくないという考え方から、地方公共団体が事業主体となっておる鉱害防止の事業のほうに逃げ込みたい、そういう考えで、いわゆる無資力等を理由にして、地方公共団体の事業のほうに逃げ込む心配がたくさん出てくるのじゃないか。特にこの関係が非常に多いのじゃないかと思いますが、どういうふうに把握をしておられますか。
○青木政府委員 鉱山保安法におきましては、鉱業権者等に広範な鉱害防止義務を課しておりまして、鉱業権が消滅した後でも五カ年間は鉱山保安監督局部長は鉱害防止のために必要な措置を講ずることをその原因工事者に命ずることができるということになっております。したがいまして、当然その義務違反に対しては罰則も適用されますので、この法律の制定が採掘権等の放棄を促進することには必ずしもならないと私どもは考えております。地方公共団体の補助事業の対象となりますのは、鉱害防止義務者不存在または無資力ということが条件でございますので、補助金交付要綱できめられておりますが、第一に採掘権等消滅後五年以上を経過したもの、採掘権等消滅後五年未満でありましても、法人の場合は解散している場合、個人の場合は破産宣告を受けるとか、実際にその生計を維持するために必要な金額以上の所得がないということを確認した上で、こういう事業を行なっておりますので、現在資力のあるものは、この法律によりまして義務を免れるということはないものと私どもでは考えております。
○阿部(未)委員 そこのところで、いわゆる無資力であるという認定、これが私は一番問題になると思うのです。生計を維持するための収入があるかないかとか、資産があるかないかとか、こういう認定を受けて無資力であるということになって、地方公共団体の補助事業に回るかどうかということになってくるのですが、この認定はだれが行なうことになりますか。
○青木政府委員 無資力になりますことについての事実につきましては、国税局、地方公共団体等の確認が得られるということを必要要件としております。したがいまして、この補助金項目を行ないます場合には、鉱山保安監督局部長が義務者の不存在、または無資力の判断をすることになっておりますが、そういうことを資料として十分確認した上でやることになっております。
○阿部(未)委員 最終的な決定権は各鉱山保安監督局部長にある。しかし、その局部長がその認定を行なうにあたっては、いまお話のありましたような資料をそろえて認定を行なう、そう理解してよろしいわけですか。
○青木政府委員 そのとおりでございます。
○阿部(未)委員 次に移りますが、本法は、大体金属鉱業の特に蓄積鉱害と今後発生を予想される鉱害の対策を中心としてつくられておる。これはこれ以上しかたがないものだと思うのですけれども、すでに発生をしておる鉱害がございます。先ほども申し上げましたが、神岡鉱業所の場合でも、健康被害は別にしまして、例のカドミウム汚染の問題が起こっております。これは私の郷里の大分県でもあるわけでございますが、そのほかの地域でも、いわゆる土壌の汚染あるいは河川の汚濁等によって起こっておる。端的に言うならば、ものの被害と申しましょうか、土壌汚染等によって住民が被害をこうむっておる。これに対する救済については本法では触れられないと思うのですが、どういうお考えでございましょうか。
○青木政府委員 現在すでに汚染されております土壌または水質汚濁等によって生じます被害につきましては、おっしゃるとおり、この法律の対象にはなっておりません。こういうものにつきましては、たとえば土壌でございますと土壌汚染防止法の救済の方法がございますし、そういう救済をされない場合につきましても、鉱業法の無過失賠償責任という規定がございまして、被害に対しましては鉱業権者は一般的に賠償の義務を負っているということになっておるわけでございます。
○阿部(未)委員 特にその場合、無資力の場合ですね。土壌の汚染が行なわれてカドミウムが出る。そういう場合の土壌の改良ですか、そういうようなものについて何か適当な責任を負わせるように本法で規定すべきではなかったのですか。どうでしょう。
○青木政府委員 そういう物的な被害が生じた場合の責任を負わせる方法でございますが、現在のところでは、やはり鉱業権者に負わせるよりしかたがないわけでございまして、それ以上の救済方法につきましては、必ずしも鉱害だけに限らず一般的な問題となりますので、一般的問題として今後検討していくべきものだというふうに考えております。
○阿部(未)委員 特に最近いわゆる一般の公害についても、ものの被害に対して補償できるような措置を講ずべきであるという意見がかなり強くなっておるようでございますし、環境庁等でもそういう方向で、来年あたりはそういう法律を出したい、こういう意向のようでございますので、この点については、要望でございますけれども、十分連携をとりながら、そういうものができる場合には金属鉱山の鉱害等についても同時に措置できるような配慮を特にお願いをしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○青木政府委員 そういう場合には、私のほうといたしましても極力それが救済されるように協力してまいりたいと思っております。
○阿部(未)委員 次に、各条項に入っていきたいと思います。 二条一項で「金属鉱物等」という「等」ということばが使われておりますけれども、この「等」という中に含まれるものとしては、先ほどちょっと申しましたが、金属鉱物ではないが、硫黄なんかは含まれるという解釈になっておるわけであります。私らは、このほかにも螢石なんかも当然含まれると思いますが、想定をされるものはどういうものになりますか。
○青木政府委員 この法律の規制の対象となります鉱物の種類を「金属鉱物等」としておりますのは、金鉱、銀鉱、銅鉱、鉛鉱、亜鉛鉱、水銀鉱、砒鉱等の金属鉱物のほかに、非金属鉱物といたしましては、現在のところ硫黄及び螢石を通商産業省令で定める予定にいたしております。 その理由は、これらの鉱物の採掘及びこれに付属いたします選鉱、製錬等の事業の用に供せられます坑道、捨て石、鉱滓の堆積場は、その使用が終了したままで放置しておけば、金属鉱物にありましては水銀、砒素、鉛、銅、亜鉛、鉄、マンガン、クロームというような有害物質を含んだ坑水または廃水が流出するほか、非金属の硫黄及び螢石にありましても砒素または弗素というような有害物質を含む坑廃水が流出いたしまして、環境に悪影響を及ぼすおそれがあるということでございます。
○阿部(未)委員 逐条的に審議をしたいのですが、大臣の時間の都合もありますから、大臣に聞きたいところがありますので、少し飛んで質問します。四条の二項によりますと、大臣が基本方針を定めて、「鉱害防止事業の実施の時期及び事業量その他」云々とありまして、「必要な事項を定める」こういうふうになっておるようでございますけれども、この基本方針をおきめになって、きめたらすぐ公表することになっておりますが、いつごろ遅滞なく公表するのか、その時期をちょっとお伺いしたいのです。
○青木政府委員 この法律の四条の規定にあります基本方針でございますが、これは五条の規定に基づきまして、採掘権者等が鉱害防止事業計画を作成いたしまして、これを鉱山保安監督局長に届け出るにあたりましてよりどころとなるものでございます。そのために、この法律の施行後三カ月以内において政令で定める日から施行されるわけでございますが、その施行後なるべくすみやかに公表することになるように検討を進めております。 それからまた基本方針は、鉱害防止義務者が存在するもののみに限らず、鉱害防止義務者が存在しない、いわゆる先ほど申し上げましたように、地方公共団体が行ないます防止事業を含めることになっておりますので、こういうものを早期に処理するという姿勢を示すことも必要でございますので、なるべく早く明確に示したいというふうに考えております。
○阿部(未)委員 もう少し詳細に質問をしたいのですけれども、あとでやりますが、特に大臣の基本方針は、本法の成立後三カ月以内につくられるものか、本法施行後につくられるものか、どうなるのですか。
○青木政府委員 本法が施行されると同時か、あるいは施行後直ちにというくらいの間に発表いたすつもりでおります。
○阿部(未)委員 それではお伺いしますが、通産省でお出しになっておる「金属鉱山等の鉱害対策について」の中に、特に六ページ以降にそれぞれの対策が立てられておりますが、たとえば地方公共団体も含むというお話でございましたけれども、その中には無資力あるいは租鉱権者のいないものが大体八十八億一千万円ぐらいかかるだろう、これを五年間でやるとか、あるいはその次に十年間で何ぼかかるとか出ていますが、これは基本方針の一つをなすものではないのですか。
○青木政府委員 こういうことが基本方針の内容の一部になりますが、そのほかに工事の方法ないし工事をいたしますにあたりまして、特に留意すべき事項等が基本方針の中に定められる予定になっております。
○阿部(未)委員 大体、私はこれに書かれておるものが基本方針の中核的なものだというふうに理解をするわけです。 そこでお伺いしたいのですけれども、四条の三項に「通商産業大臣は、基本方針を定めようとするときは、環境庁長官に協議し、かつ、中央鉱山保安協議会の意見をきかなければならない。」というふうになっております。ところが、まだ本法ができていませんから、おそらく基本方針について環境庁と御相談をなさったというふうに私は理解をしておりません。しかるに、すでに基本方針の一部はここに通産省の案としてでき上がっておる。このように、いわゆる政府の中における行政が縦割りで行なわれて、横の連絡がきわめて欠けておるのではないかということを私は非常に懸念をする。特に、鉱害の対策については単に通産省だけの考えでいくべきではないから、わざわざ四条の三項に環境庁と協議をするとなっておるにもかかわらず、すでに基本方針の大綱に関する部分ができ上がっておる。こういう政府の姿勢について私は疑問を持つのです。通産大臣、どのようにお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 これは主たる仕事が通産省でございますから、通産省でいろいろな素案をつくりまして、その素案をもとにして環境庁に合い議して、最終的には両大臣の間において調整して基本方針を完成する、そういう手続があるわけでございます。通産省としては、主たる官庁でございますので、そういう素案といいますか、原案といいますか、そういうものをつくって皆さんの御批判を得る、そういう機会を得ているわけでもございます。
○阿部(未)委員 通産大臣、これはすでに広く公表されて、われわれが討議をする資料になっておるのです。この中に、いま私が申し上げました基本方針の大綱をなす部分が入っておるのです。しかも、この提案をされておる法律の四条三項には、もう一ぺん読みますよ。「基本方針を定めようとするときは、」——あなたが定めようとするときは、「環境庁長官に協議し、」と、こうなっておるのです。あなたの答弁では、うちが主たる官庁だから、うちでつくって議論をして、そのあと環境庁と協議をするのだということですが、私は、それは協議という部類に入らない、事後承認になると思うのです。協議をするということになっている以上、こういう基本方針の大綱をなすものが出る前に協議があってしかるべきだ、法の精神はそうだと私は考えるのですが、大臣のお考えはどうですか。
○中曽根国務大臣 これはあくまで通産省内部の案、方針でございまして、予定でございますとか、そういうような意味で文章ができているわけでございます。そういう通産省側の素案をもちまして、それで環境庁に合い議をする、合い議するための原案、そういうふうにお考えいただけば幸いでございます。
○阿部(未)委員 それはちょっと大臣、詭弁ではないでしょうか。政府の意見が統一をされてから国会にその審議を求めるべきであって、国会でこの法案が通ってから、それから環境庁と協議をするというのはこの法の精神にもとるものだ。そこで、苦しい言いのがれをなさる必要はない。手落ちであったら手落ちであったと、この基本方針をつくる前に環境庁と協議をすべきであったと、すなおにお答えなさるべきではないでしょうか。私はいまの大臣の御答弁は詭弁にすぎないと思うのですが、どうでしょうか。
○中曽根国務大臣 やはりその年の政策をきめます場合、特に予算とか法律とか、そういうものをきめます場合には、ある程度の内容というようなもの、通産省の意図というものを国民の皆さまや、あるいは大蔵省にも示して、それによって資金もいただく、そういうことにもなっておりますので、何ら原案を持たずに、めくらめっぽうにやっているのじゃないか、そういう批判も受けますから、そういう意味で、通産省側の意図をここでお示し申し上げたというふうに御了解願いたいと思います。
○阿部(未)委員 それは、無理からぬことだ。通産省がまず原案をつくるということについては私は何も反対しておりません。その通産省がつくった原案で、環境庁と協議をして、それから予算要求をなさり、この法律が国会に出さるるべきであって、法律を国会に出して通ったあとで環境庁と話し合いをするというのは、私はこの法にいう協議ではないと思うのです。原案を通産省がおつくりになるのはけっこうです。原案ができたらそれを環境庁と話し合いをして、それが政府案として、あるいは法案として、あるいはこういうものとして国民に問われるべきものであって、国民に問うてから後に環境庁と話し合いをするのは、大臣、それは協議ということにはならないのじゃないでしょうか。通産省が原案をつくったら環境庁と話し合いをし、まとまったものが予算要求の基礎にもなりましょうし、また、法案として国会に提案されるものともなるわけです。それが四条にいう協議という精神だと私は思いますが、どうですか。
○中曽根国務大臣 法律が成立してからそういう各省の権限の調整あるいは発動があり得るわけでございまして、法律ができる前に、主たる責任を持っておる通産省がいろいろな原案を考え、方針を示し、そして国民の御理解と大蔵省の予算の配賦を受ける、そういうことであるわけでございます。法律が成立すれば、今度は正式に両省の権限というふうになってまいりますから、法律に従って調整を加えていく、そういうことになると思うのであります。
○阿部(未)委員 どうも私は大臣のお話が納得できません。通産省が原案をつくることはけっこうです。しかし、大臣のお話のように、法律ができなければ協議できないのだとおっしゃるならば、こういうものが法律もできないうちに出てくるのがそもそも間違いで、でき上っていない法律について——この内容は予算を伴うものですよ。予算を伴うが、こういうようにやりたいという通産省の案が出ておる。しかし、一方では、環境庁と協議をして基本方針をつくらなければならない。環境庁と協議もしていないのにこういう基本方針の大綱が出ておる。その姿勢が間違っておるのではないか。原案をおたくでつくるのはけっこうです。しかし、環境庁と協議をし、予算要求されて、それからこの基本方針の大綱が出てくるのではないか。順番から言えばそうなるはずであるし、重ねて言いますが、四条三項にいう環境庁との協議というのはその事前に行なわれるべきである、それが協議である、そういうふうに思いますが、どうでしょう。
○中曽根国務大臣 やはり法律ができます前にも、大蔵省あるいは環境庁とは協議しておりまして、事務的レベルにおいてはそういう協議済みのもので出てくるわけでございます。しかし、正式に役所同士の協議というものは、法律ができてその法律の権限に基づいて行なうという意味でございます。
○阿部(未)委員 大臣は時間がないようですから、私はもう少し聞きたいのですが、どう言っても、いま大臣のおっしゃっておるのはやはり牽強付会だという気がいたします。この基本方針の大綱をなすものを出されておるのですよ。法律がこれから通ってからというあなたの発想はいいです。法律が通ってから環境庁と協議するという発想はいいかもしれませんが、それならば環境庁に相談をしなければならない。通産大臣の出す基本方針の大綱をなすものをなぜ環境庁に相談せぬうちにお出しになりましたかと聞いておる。ここに協議という精神が生かされていないと思うのです。お答えになったらもう行っていいです。
○中曽根国務大臣 事務当局にただしてみましたら、やはり事前に環境庁の事務当局とはいろいろ打ち合わせて了解を得た上でやっておる、そういうことでございました。
○阿部(未)委員 御苦労さまでした。 それでは次に入りますが、もう一つお伺いしたいのですけれども、これはちょっと法解釈上の問題です。 二条の二項で、採掘権と租鉱権または採掘権者と租鉱権者というものの定義にずっと触れられておるわけです。これは鉱業法の五条、六条の関係をずっと照らし合わせてみますと、最終的にこういうことが出てくるのじゃないでしょうか。たとえば、鉱業権者があって、そして租鉱権者がある。租鉱権は消滅をしたが鉱業権だけは残っておる。そういう形のものが出てこないかどうか心配しておるのですが、どうでしょうか。 〔浦野委員長退席、稲村(佐)委員長代理着席〕
○青木政府委員 御指摘のような場合は生じ得ると考えております。
○阿部(未)委員 そういう場合には、いわゆる残っておる鉱業権者が、租鉱はしてなかったが、単に鉱業権者であるというだけでこの法の適用を受ける、そういうことになってまいりますか。
○青木政府委員 そのとおりでございます。
○阿部(未)委員 鉱業法の何条か私もはっきり記憶しておりませんけれども、鉱業権は試掘権と租鉱権だというふうに規定されておったように私は思うのですが、そうなると、鉱業権者は常に租鉱権か試掘権を持っておるということにもなるのじゃないですか。どうですか。そこのところは。
○別府政府委員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘ございましたように、鉱業法上は、鉱業権は採掘権と試掘権という二種類になっております。採掘権は鉱物の採掘を目的とする権利、試掘権は探鉱を目的とする権利ということでございますので、租鉱権はその採掘権の上に認可を受けて設定できるということでございます。したがって、租鉱権が消滅いたしますと、その下の採掘権がいわば生き返りまして、採掘権というものは残るということになっております。
○阿部(未)委員 そうすると、単なる鉱業権というものだけではなくて、鉱業権なるものは必ず採掘権が残ってくる、そういうことになりますか。
○別府政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○阿部(未)委員 その関係は大体わかりましたが、その次に、続いて法制局のほうにお伺いしますけれども、いまも私どもは、同時に出されたから、この金属鉱業等鉱害対策特別措置法案と、それからもう一つの金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案を同時にやっておるのですけれども、この二つの関連は一体どういうことになりますか。事業団法のほうが先に成立をしないと、あとの特別措置法のほうが生きてこないように思いますが、どんな関係になりますか。
○別府政府委員 お答えいたします。 内容につきましては、政策問題でございますので、通産省のほうからお答えすると思いますが、いま御質問のございました事業団法の今回の改正は、今回の特別措置法と直接関連のない改正でございまして、大部分は実は予算措置と関係ございますので、先生御存じのように、いわゆる予算関係法律案ということになっております。したがって、予算関係法律案はできるだけ成立をいわば早く認めていただきたいという趣旨もございまして、そちらで予算関係事項につきましての事業団の業務の改正というようなことを行ないました上、予算関係ではございませんもので特別措置法に関連いたします積立金の管理というような業務を事業団法のほうに、特別措置法の施行と同時に入れるというような考え方をとっております。
○阿部(未)委員 いわゆる何というのですかね、こっちの事業団法ができ上がらないと特別措置法が生きてこないといいますか、特別措置法の審議ができないような気がする。なぜならば、金属鉱業等鉱害対策特別措置法の中に事業団の業務等が入ってくるわけですから、事業団がないのにこっちの法律が入ってくるというのはおかしい、事業団ができ上がらないうちにこっちの法律が入ってくる、そういうことにならないのですか。
○別府政府委員 お答えいたします。 事業団が新設されるような場合には先生おっしゃったようなことになる可能性はございますが、金属鉱物探鉱促進事業団という事業団が現存しておるわけでございますし、その事業団におきましては探鉱関係のいろいろな業務をやっておるわけでございまして、それに関連する予算のいわば拡張された部分、増加された部分につきましては、事業団法の改正で行ない、なお特別措置法関係の業務は、詳しく御説明申し上げますと、特別措置法の附則の一項というところに、事業団が金属鉱業事業団という名称に改正されることを予想いたしまして、金属鉱業事業団法の中に鉱害防止積立金の管理業務というのを入れる、そういう順序が順序としては一番適当だろう、そういうふうに考えた次第でございます。
○阿部(未)委員 私は専門家ではありませんから詳しいことは存じませんけれども、いまお話しのように、金属鉱業等鉱害対策特別措置法の中の附則の二に「金属鉱業事業団法の一部を次のように改正する。」、こうなっておる。ところが、まだこっちの金属鉱物探鉱促進事業団法の一部改正が行なわれていないと仮定をすると、ここにこういう名称が出てくるのは非常におかしい気がする。ですから、先に金属鉱物探鉱促進事業団法の一部改正が行なわれて、そうしてこっちのいわゆる特別措置法の附則の二でこの名称が出てくるのじゃないか、そういう気がするのですが、立法技術の上ではどういうことになりますか。
○別府政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のように、二つの法律がございます際に、その法律の関係はなかなか処理がむずかしい点も出てまいりますが、先ほど御説明申し上げましたように、事業団法自身が探鉱促進事業団という形でございますし、その改正は今度の特別措置法が出なくとも必要な部分がある、しかもそれは予算関係であるということでございますので、ここで国会の御審議をどうこうするというわけではございませんが、事業団法の改正、特別措置法に関連しない部分の改正を先行してお認めいただきたいという趣旨のもとに、事業団法の一部改正とこの特別措置法の改正を順次御審議いただく、形としては一括審議していただくというふうに政府としては考えておるということでございます。
○阿部(未)委員 それで私が質問した趣旨がわかっていただけたようですが、そうすれば、予算関係もあるけれども、立法の手順としては、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部改正が先に行なわれて、それが行なわれるであろうということを想定して、そしてこちらの金属鉱業等鉱害対策特別措置法が提案されておる、そうやはり理解をすべきだと思いますが、そうですね。
○別府政府委員 最初に説明不十分で申しわけございませんでしたが、おっしゃるとおりでございます。
○阿部(未)委員 次に、農林省がお見えになっておりますから、先ほど来議論をしましたから大体おわかりになっておるだろうと思いますが、いま全国で、この金属鉱山の関係で土壌の汚染が行なわれて、農畜産物等に被害のあるところはどのくらいございますか、お知らせ願いたいのです。
○遠藤(寛)政府委員 いろいろな数字がございますが、おおむね推定でございますけれども、大体三方七千ヘクタールというふうに言われております。
○阿部(未)委員 できましたら、もうここでお答えできる程度の範囲でしたら、どことどことどこでどういう被害と、もしできなければ資料として提出していただいてけっこうですが、できるならば大きいところだけでも、どこにどういう被害があるということだけでもお知らせ願えませんでしょうか。
○遠藤(寛)政府委員 非常に個所数が多うございまして、千何百カ所もございますので、それを一々は申し上げられないのでございますが、種類といたしまして、たとえば金属別の種類でかりに申し上げますと、カドミウムにつきまして大体二万九千五百ヘクタールぐらい、銅につきまして二万九千ヘクタールぐらい、亜鉛が約二万七千ヘクタール、それから鉛で一万七千ヘクタール、砒素で約一万ヘクタール、これは多少重複等もございますから、重複を排除しますと三万七千四百二十ヘクタール、大体そういうことでございまして、おもな県は、先生御承知のようなカドミウムにつきましての富山県でございますとか福島県、長崎県といったようなものがございます。銅でございますと渡良瀬川の流域、そういったような地域がおもな地域ということになっております。
○阿部(未)委員 続いてお伺いいたします。そういう土壌が汚染をされて土壌改良をしなければならない範囲、いわゆる三万七千ヘクタールのうちで土壌改良をしなければならないもの、すでに土壌改良が終わったものがわかっておればお知らせ願いたいのです。
○遠藤(寛)政府委員 土壌改良の方法につきましてまず先に申し上げないといけませんが、先ほどちょっと御説明のございました農用地の土壌の汚染防止等に関する法律によりまして、具体的には必要か必要でないかということを大体の見当をつけました地域につきまして細密な調査を環境庁所管で行ないまして、その結果に基づきまして何ヘクタールということをきめまして、それで地域の指定を行ないますので、現在直ちに何ヘクタールが必要であるということはちょっと申し上げられないわけでございます。一々の地域につきましてそういう地域指定をいたしまして、都道府県知事が計画を立てまして、それを農林省、環境庁が承認をいたしまして、その結果、対策事業を公共事業として行なう、こういう仕組みになっておるわけでございます。
○阿部(未)委員 その土壌の改良を行なう場合に二つの方法があると思うのですが、一つは、先ほどのいわゆる廃止鉱山とか無資力の関係で国が直接行なわなければならないものがあると思いますが、なお鉱業権者なり租鉱権者が残っておって、土壌汚染とかあるいは河川の汚濁があって地域の住民が非常に困っておる、その対策を立てなければならないという場合には、先ほど大臣もPPPの原則でやりたいとおっしゃっておりましたが、これは農林省ではないかもしれませんが、そういう租鉱権者、鉱業権者によって措置をせられておるものがございますか、どうでしょうか。
○遠藤(寛)政府委員 ただいままでに先ほど申し上げました事業計画の承認が終わって費用の負担が決定いたしておりますのは、安中の関係一カ所でございますが、それにつきましては農民の負担はございませんで、県及び国、それと企業の負担ということで全部がまかなわれるようになっております。
○阿部(未)委員 それについては農民の負担はなくて、企業と県と国だ、こういうお話でございましたが、大体いまのは一カ所だけでしょう。それ以外のところで、端的に言うと企業負担によって汚染土壌の改良というものが行なわれておるところがありますか、ありませんか。
○遠藤(寛)政府委員 いま申し上げました一カ所以外はまだ事業の段階にまで至っておりませんので、全額企業の費用負担でやりました事業というのはまだございません。
○阿部(未)委員 では私が知っておる範囲で申し上げますと、たとえば土呂久の場合、あの下流の地域では、砒素の汚染と思われますけれども、いわゆる稲が伸びなくて——砒素の場合は伸びませんね。しかも、そのわらを馬が食べるとフラフラ病などになって死ぬとか、あるいは私のところでも、大分県のいわゆる馬上金山の関係で、同じように砒素の鉱毒によって稲が伸びない、そういう地域がだんだんあるわけでございます。これは、私の考えでは、いまたしか鉱業権者が存在しておったと思うのでございますけれども、農林省を責めるのは少し酷だと思うのですが、そういうところについて先ほどのあれでは、鉱害の対策はするが被害の補償までは本法は及ばないのですから、どういう措置をとっていかれるのか、その点をどちらからでもけっこうですから御答弁願いたいと思います。
○青木政府委員 そういう場合には、一応現行法のもとでまいりますと鉱業法百九条の損害賠償責任というのがございますので、鉱業権者が存在する場合には鉱業権者がその損害を賠償することになっております。ただ現在まででも、これは私どもすべての事例を掌握しているわけではございませんが、農作物の減収がありました場合に、鉱業権者と農業者の間で話し合いをしまして減収補償をしている例は多々あるというふうに聞いております。
○阿部(未)委員 大体その関係はわかりましたが、せっかくこういう法律ができるわけでございますから、もちろんこの法律のワクをはみ出るものはあろうと思いますけれども通産省としても、鉱業権者、租鉱権者に対して、特に土壌汚染や河川の汚濁等についてものの被害がある場合には、率先して救済と申しましょうか、その責任を負うような行政指導が願いたいと思いますが、どうでしょうか。
○青木政府委員 鉱業権者に責任があります場合には、極力損害賠償を行なうように行政指導してまいりたいというふうに考えます。
○阿部(未)委員 最後に、法制局のほうにもう一点お伺いしたいと思いますが、本法に関する予算措置、特に事業団関係については予算措置が必要なので予算がついておるようでございます。もちろんこれは目下審議中でございますけれども、すでに衆議院を通過しておるわけでございます。 ところで、国家予算とこの法律との関係ですけれども、私は本来法律ができ上がってその法律に必要なものが予算として計上されるべきものだというふうに考えますけれども、この審議に当たってみますと、どうもこれは予算が先についておってそれから法案の審議に入っていくというような気がいたしますが、これも立法技術上の問題とは思いますけれども、その関係はどういうように理解をすればいいのでしょうか。
○別府政府委員 お答えいたします。 一般論といたしまして、私の立場でお答えするのが適当かどうかの問題はございますが、予算は御存じのように四月一日から施行しなければならないというような一応の制約がございますこと、それから法律案はその予算措置がどの程度に行なわれるかということを予想しまして、法律の審査等に若干の時間を要するということのために、一番理想論といたしましては先生おっしゃるように、法律案の審議と予算案の審議とが並行して行なわれることが望ましいかと思いますが、現実の状態あるいは慣例的には、予算の審議が相当進んだ段階で法律案の審議が行なわれるというような状況になっておりますので、その点は御了承いただきたい、そういうふうに考えております。
○阿部(未)委員 大体それで理解ができました。 それではもう一つ最後にお伺いしておきたいのですが、さっき急いだものですから少し抜かしてしまったのですけれども、四条二項の関係ですが、いわゆる基本方針には「鉱害防止事業の実施の時期及び事業量」その他実施をはかるために必要な事項となっておりますが、実施をはかるために必要な事項とは大体どういうものが考えられるわけでございますか。
○青木政府委員 鉱害防止工事にはいろいろなやり方があると思いますけれども、鉱山保安法上ぜひ確保しなければならないというような具体的な基準につきまして、たとえて申しますならば、こういう堆積場にはこれくらいの覆土をして植樹をする必要があるとかいうような具体的な内容につきましての基本方針をきめるということでございます。
○阿部(未)委員 もう一つ、五条の三項で採掘権者または租鉱権者の届け出る鉱害防止計画は、受理の日から九十日以内に限り変更を命ずることができるという内容になっておるようでございます。そうしますと、各採掘権者なり租鉱権者が鉱害防止計画を各鉱山保安監督局部長に提出をして、これの変更命令を出す場合には九十日以内に出すことになると思いますが、変更をしなくてもよい、計画どおりに実施してよろしいという場合には、特段の通知をするものですか、しないものですか。
○青木政府委員 九十日以内に変更命令をかけることができるということでございますので、何もしないで九十日を経過いたしますと、それはそのまま認められたということになることになっております。
○阿部(未)委員 そのことは、逆に解釈すれば、鉱害防止事業計画を提出しても、九十日たたなければ変更命令があるかどうかわからない、だから極端に言えば、九十日間は変更命令があるかもわからないのだから、九十日たつまでは黙って指をくわえて、鉱害防止をせずに待っていなければならない、そういう理屈になりはしませんか。
○青木政府委員 九十日間はそういう状態にありますので、もしそれ以前に手をつけるならば、要するに変更命令がないものと想定をして直接工事に着手するということはあり得ますけれども、それはその後にもし変更命令がかかった場合は、内容を変更しなければならないということになるわけでございます。
○阿部(未)委員 そうすると、これはきわめて不親切な法律になるのであって、変更命令があるかもわからないのに九十日以内に鉱害防止の事業に着手する者は、私は常識的にはいないだろうというように考えます。そうすると、九十日待たなければならない。意欲的にもっと早く鉱害防止をしたいというお考えがあったとしても、この九十日という期間が定められているがために、九十日間は放置をする、まあ鉱害のひどくないものならばけっこうですけれども、もしもかなりひどい鉱害であるとするならば、その九十日間というのは非常に重要な意味があるのじゃないか。とすると、むしろ鉱害防止事業計画が提出をされたならば、これでよろしい、あるいは変更せよということを直ちに、といっても事務手続上なかなかむずかしい問題もありましょうが、通知をしてやることのほうが、行政の立場からは親切なやり方ではないでしょうか。
○青木政府委員 先生御指摘のような事情もございますけれども、各鉱山保安監督局部に提出されましてから九十日間というのは、相当膨大な量の計画の審査でございますので、最低限それくらいは検討させていただきませんと、その良否を判断するのは事実上困難であろうというふうに考えますので、極力急ぎまして、あまりだらだらと審議をしないようにいたしますけれども、九十日間というのはある程度必要な審査期間ではないかというふうに考えます。したがいまして、九十日間の時間をいただきたい。ただ、変更命令はございますけれども、実際の工事につきましてはそれほど——非常に不備な計画であれば大きな変更がございますが、通常の場合は、基礎工事あたりのところは、手をつけましても、変更命令によって大きな障害を生ずることはないものと考えますので、実際上はそれほど支障はないものと私どもは考えております。
○阿部(未)委員 どうも私は理解ができないのですけれども、これは一方的に租鉱権者なり鉱業権者、最近の行政のことばでいえば鉱害防止責任者というのですか、これに対して責めを負わしているように思えますけれども、お役所のほうが、いわゆる鉱山保安監督局部のほうが、準備でき次第に逐次変更すべきものは変更する、あるいは変更せぬでよろしいものはそのまま着手するという、事業計画に認可というと変ですが、認可をして着手していく、その最大期間が九十日でありますというのなら、私のほうは理解できるのです。ところが逆に、鉱害防止事業責任者のほうは、九十日待ってみなければ変更命令が来るのか来ないのかわからない。だから、早くやりたいけれども鉱害防止事業をやらないでおる。ということは、おたくのほうの鉱山保安監督局部のほうがもっと早く審査をして、できたものから連絡して、そして最大限九十日以内には全部連絡が終わるのだ、こういうふうにこの法を解釈すべきじゃないか、またそういうふうにしてやるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
○青木政府委員 先生御指摘のとおりだと思いますので、実際上の解釈と申しますか、事務的には、変更命令の必要ないものと判定したものは、極力早く御本人に通知いたしまして、その後は変更命令を出さないであろうということを十分相手方に通知するような措置をとって運営してまいりたいというふうに考えます。
○阿部(未)委員 これは重大なところですから確認をしておきますが、いまの御答弁によりますと、九十日以内に可能な限り鉱山保安監督局部のほうから変更命令の必要のないものは連絡をして早くやらせる、変更命令の必要のあるものは九十日以内に変更命令を出していく、そういう措置をする、いわゆる通知と申しますか、連絡をしてやる、その最大限が九十日だ、そういうふうに理解して間違いございませんか。
○青木政府委員 そういうふうに理解をしていただいてもけっこうなように運用してまいりたいと思います。
○阿部(未)委員 これで終わります。
○稻村(左)委員長代理 中島武敏君。
○中島委員 非常に時間が制約されておりますので、私は簡単に質問を行なって、あと庄司委員のほうに譲りたいと思っているわけです。 それで、土呂久をはじめとして、休廃止鉱山による鉱害の被害というものは非常に続出いたしております。ところが、この金属鉱業等鉱害対策特別措置法案を見ますと、鉱害防止義務者のいない廃止鉱山については、この法律の対象外になっておると思うのです。 そこで、念のためお尋ねしたいのですが、鉱害防止義務者のいない休廃止鉱山はどれくらいあるものでしょうか。
○青木政府委員 大体現在までの推定の数字でございますが、全国の鉱山約七千ございまして、そのうち約五千が休廃止鉱山でございます。そのうちで義務者のいないものは幾らかということでございますが、その五千のうちのほぼ大半が防止義務者のいない山というふうに考えております。
○中島委員 大半ではよくわからないんですけれども——。
○青木政府委員 正確に申し上げます。 全国に約七千の鉱山がございまして、このうち、休廃止鉱山は五千でございます。そのうち四割に当たる約二千が休止鉱山、鉱業権がありまして掘ってない山でございます。その他の六割約三千が、鉱業権が消滅している廃止鉱山でございます。したがいまして、この六割の三千が義務者のいない山というふうに御了解願ってけっこうだと思います。
○中島委員 鉱業権が消滅しておりましても、五年間は鉱害防止義務があるわけですね。そうすると、鉱業権が消滅しているのは三千といま言われましたね。そうしますと、五年間ということを考えますともう少しふえるわけですか。
○青木政府委員 鉱業権が消滅している山の中で、二十六条命令をかけますとその義務が生ずるわけでございますが、実際鉱害防止工事のできる能力がある山とない山とありまして、この三千は、ほぼ鉱害防止工事をやる能力のない、無資力あるいはすでに会社が消滅しているというケースでございますので、約三千と申し上げたのはそういう意味でございます。
○中島委員 もう一つお尋ねしますけれども、鉱業権者が、義務はないとしても、どこにいるかわからないというような、そういう人といいますか、そういう場合はどれくらいあるものでしょう。
○青木政府委員 現在その数字を把握しておりませんので、後ほど調べてお返事いたします。
○中島委員 私は、こういう数字を把握しておられないというのはまことに問題だと思うのですね。結局鉱山保安法の二十六条によって、鉱害を防止するという義務が鉱業権消失後も五年間はあるわけですね。しかし、今度の法律によりますと、この鉱害防止義務者のいない廃止鉱山についてはこの法律の対象外になるということになるわけです。そうなりますと、その対象外になった廃止鉱山、この山に対する鉱害防止、これは一体だれが行なうかということになりますと、結局これは国かあるいは地方自治体が行なうということになるわけでしょう。そうですね。どうもいろいろ数字もたいへんあいまいなものが出てくるのでちょっと確認しておきます。
○青木政府委員 現在鉱害防止工事の義務者のいない山につきましては、国が都道府県に対しまして補助金を交付しまして都道府県がその防止工事をするという制度になっております。 〔稲村(佐)委員長代理退席、佐野委員着席〕
○中島委員 そういうことについてどういうふうにお考えになりますか。
○青木政府委員 この鉱害防止工事をいたします必要のある山は人の健康に害のある物質を出している山でございますので、鉱害防止工事をする義務者がいない場合でありましても何らかの措置を講じなければならないわけでございます。したがいまして、義務者が存在する場合には鉱業権者等の義務者に防止工事をさせることになりますが、いない場合にはやむを得ず国及び地方公共団体が防止工事をせざるを得ないというのが現状でございます。
○中島委員 私がお尋ねしたのは、この鉱害防止義務者がいなければ国あるいは自治体が結局これを負担しなければいけない、鉱害防止を行なわなければならないということになるわけですね。このことについてきわめて不合理だというふうにはお考えになっていないかということを私はお尋ねしているのです。
○青木政府委員 本来鉱業権者等鉱害防止工事の義務者がやるべきことを国または地方公共団体がやるので、決して好ましいことではないと考えております。したがいまして、そういう事態を極力少なくするように今回の立法をいたした次第でございます。
○中島委員 山を掘るだけ掘ってあとは鉱害をたれ流したまま五年間たてば義務がなくなるということでやっていく。これはあなたも望ましいことではないというふうに言われましたけれども、私はもっとはっきり言えば、やはりそういう鉱害をたれ流しているのは、結局その山を持っていた者、それに大きな責任があると思うのです。そういう点でなぜそれが免れるようになっているかといえば、はっきり言えば、結局鉱山保安法の二十六条によってその義務が免れるようになっているわけですね。だから、もっとはっきり言えば、私はこの鉱山保安法二十六条を改正をする、そしてもっと義務が遂行できるというふうにすべきではないかと思うのです。そのことについての見解を伺いたいと思います。
○青木政府委員 本来鉱山保安法の体系からまいりますと、鉱山を操業している者に対する保安義務が中心になるわけでございます。ただ、この鉱害問題はなかなかあとに尾を引く問題でございますので、特に五年間は命令をかけることにしまして、その間、鉱業権者でない者につきましても鉱業権者とみなすという規定を設けてあるわけでございます。これは通常の保安義務に比べまして特に長い期間を課してあるわけでございまして、これをより長くするというのは一つの考え方ではございますけれども、非常に古い事実につきまして古い責任を追及するということになりますし、操業の安定を阻害する面もございますし、また事実の確認も非常に古くなりますとむずかしくなってくるという点もございますので、大体五年ということで立法してあるわけでございます。したがいまして、これを延ばすか延ばさないかという問題は検討すべき問題かもしれませんけれども、現在のところ、私どもは、これくらいの義務でけっこうではないかというふうに考えております。
○中島委員 私は、あなた自身が先ほど国や自治体が負担しなければならないということは一つの予盾だというふうに言っておられる、そしてまた同時に、これよりも延ばすことは必要ないという結論を言っておられるが、その間に非常に矛盾があると思うのですね。もっとこの問題について検討するべきじゃないでしょうかね。
○青木政府委員 先ほど申し上げましたように、鉱業権の実際の行使にあたりまして、いろいろ操業問題につきましてあまり長い期間そういう将来の鉱害問題についての義務を課すことは法の安定性を阻害する面もございますし、いわゆる操業の安定性を阻害する面もございますし、非常に古くなりますとその事実関係もなかなか把握しにくくなるという点もございますので、いろいろ総合勘案いたしまして、私どもは、現在のところ、これを延ばすということは考えておらないということでございます。
○中島委員 私は問題だと思うんですね。操業の安定性を阻害するからこれを延ばすことは考えていないというのが中心的な考え方でしょう。私は、はっきり申し上げて、これはたいへん企業寄りの考え方だと思うのです。鉱害を防ぐというこのことを第一義的にやらなければならない、しかも、それをだれの責任においてやるかということは、非常に私ははっきりしていると思うのです。これは企業の責任においてやらなければならないものですよ。鉱業権者の責任においてやらなければならないものです。ところが、通産省のいまの答弁によれば、操業の安定性を阻害するからこれを長く延ばすことはできない、こういう答弁なんですね。私はこれは納得することができませんね。
○青木政府委員 いま五年で切っておりますが、そのいろいろ理由を申し上げましたけれども、大体五年ぐらいの間には鉱害問題を生ずるか生じないかということがほぼ明らかになるような実態でございます。したがいまして、五年の間に命令をかけますと、その後はその命令はずっときくわけでございますので、そこでほぼ大半の問題は解決されるのじゃないかという面もございますので、それを考え合わせまして現在直ちに改正することは考えてないと申し上げたわけでございます。
○中島委員 休廃止鉱山の鉱害問題は五年間の間に顕在化しますか。あなたはいま五年間の間に鉱害問題は顕在化する、だからわかるのだ、わかるから五年の間に命令をかければその命令は生きるのだ、こういうふうに答弁された。休廃止鉱山の鉱害問題というのは五年間の間にわかりますか。いままでの過去の例、これによって証明されますか。むしろ逆じゃないでしょうか。五年間ぐらいでは顕在化しない、そしてもっと二十年、三十年あとになってさえも出てくるというのが実態じゃないですか。
○青木政府委員 現在までに顕在化しました鉱害問題について考えますと、従来は重金属分析の技術的問題もございましたし、それから鉱山から流れました微量の重金属が実際に人体に被害を及ぼすという経路その他の問題につきましても不分明なところが多かったわけでございますが、現在まで相当いろいろな問題を通じまして、その辺の分析技術も発達しましたし、そういう経路も相当明らかになってきておりますので、今後は相当長い期間を経過した後に初めて顕在化するという鉱害はそれほど多くないというふうに私どもは考えております。
○中島委員 私はそういう答弁では納得できませんね。したがって、この問題についてはこれ以上この問題をここでやることはやめますけれども、とても納得できる性質のものではありません。もっとやはりほんとうに鉱害を防ぐという立場に立ち、そしてまた鉱害を防止する義務はだれにあるのかということをもっと明確にし、そしてそういう義務のある者が、責任のある者が、鉱害を防止できるようにする、そのことをはっきりやるべきだと思うのです。そうだとすれば、五年間で義務を免れるということのほうを改正するのが至当じゃないかと思うのです。 次の問題にいきますが、第四条に「使用済特定施設に係る鉱害防止事業に関する基本方針」を作成する、それを作成する場合は「環境庁長官に協議し、かつ、中央鉱山保安協議会の意見」を聞くということが書かれております。そこでお尋ねしたいのですけれども、地方自治体の意見は聞かなくてよろしいことになっておるわけですが、この理由を聞きたいと思うのです。
○青木政府委員 この金属鉱害問題につきましては地方自治体との関係がきわめて密接でございまして、たとえば義務者が不存在の場合には地方自治体に鉱害防止事業をやってもらうというような関係にございます。したがいまして、この法文上は協議が明記されておりませんけれども、実際上は十分よく連絡をとりまして、自治体との事務的な連絡を密にいたしまして運用するという方針は、そういう方針になっております。
○中島委員 それだけはっきりしているのでしたら法文の上で明文化されたらいかがですか。
○青木政府委員 法文上明記はしてございませんけれども、運用上はそういうことになっておりますので、また、そういう連絡を密にしなければ、この金属鉱害の防止事業というものは実際上できない関係にございますので、特に明文に書きませんでも十分目的は果たし得るのだということで明文化しなかったわけでございます。
○中島委員 私は、これははっきり明文化しておいたほうがいいと思うのです。やはり土呂久の場合にしても何にしても、地方自治体のほうからどんどんその要望が出され、それに応じていろいろなことがやられていくということになっているわけなんです。この地方自治体を除いて環境庁長官に協議をするということだけで基本方針をきめていくということは、はたして正しい基本方針をきめることができる保障になるかどうかということを考えた場合には、やはり地方自治体の、私は住民の意見というふうに言いたいのですけれども、住民の意見はもちろんとして、少なくとも地方自治体の長の意見は聞く、あるいは地方自治体の意見は聞くというぐらいのことはきちんとやるべきだと思います。 私は簡単にやるつもりだったのですが、二つばかりでひっかかってしまって、とてもじゃないけれども時間がなくなってしまったんですが、それでは一時ここで中止します。
○佐野委員 午後五時から連合審査会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時五十五分休憩 ————◇————— 午後五時十分開議
○浦野委員長 休憩前に引き続き連合審査会を再開いたします。 質疑を続行いたします。庄司幸助君。
○庄司委員 私は、今度の措置法案について質問するにあたりまして、大臣に若干初歩的な問題で基本姿勢を伺いたいと思うのでありますが、実は仙台の八木山というところに亜炭の廃鉱があるわけであります。これはもう廃坑が山じゅう張りめぐらされておりまして、そこへ宅造が行なわれて、非常に危険な状態があって心配されておったのですが、はたせるかな、昨年の十月二十四日に末永悟さんという子供さんがこの穴に落っこちてなくなったわけです。ところが、嘆き悲しんでいるおかあさんに対して警察署から呼び出しがきまして、これは親の過失致死容疑であるということで送検されたわけであります。この問題について大臣から、これは一体過失致死容疑に当たるこの親の責任なのか、あるいはこれを放置してきた、これまでの休廃鉱対策、これをとってきた政府の責任なのか、私はこの辺はっきりお聞かせ願いたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 相当因果関係というものがどういう牽連関係をその事案について持っているか、いまお話を承っただけでは判断できないと思います。そのときの親の監督の状況とか、あるいは子供さんがその場へ行った事情とか、その前後の状況とか、もっといろいろこまかい具体的な判断を得る資料がないとちょっとお答えできない案件ではないかと思います。
○庄司委員 それじゃ申し上げますが、ここは宅地造成され、しかも畑も相当ある。畑の中に穴があいておったわけですが、子供からすれば、これは当然安全な畑である、親も当然そう思っておるのだろうと思うのですが、こういう鉱山あと地、廃鉱あと、こういうものについては、通産当局が徹底的な対策をとる必要があったのじゃないか、私はこう思うのです。その辺大臣、どうですか。
○中曽根国務大臣 それはいつ廃鉱になったのか、鉱業権者、企業者がどの程度の責任を持っておる事案であるか、そういうところを具体的に案件としてつまびらかにいたしませんと、私は正確にはお答えができませんが、とにかくしかし、その鉱業権者なり企業者が、まず第一義的にそういう不幸な事件を起こさないように処理をする責任があり、また、監督官庁である通産省やあるいは県その他も、そういう事件が起こらないようにそれを監督する一般的な責任もある、そういうように思います。
○庄司委員 それじゃ次に移りますが、先ほどのわが党の中島委員の質問に対して局長さんのほうから、現在休廃止中の鉱山が七千ある、そのうちの廃止鉱山が三千であるということでしたが、この三千の鉱山に対して徹底的な監視の目が通産省で行き届いているのかどうか、これをひとつ伺いたいと思うのです。
○青木政府委員 先ほど申し上げましたように、現在休廃止鉱山は五千でございまして、そのうち休止鉱山が二千、鉱業権のない廃止鉱山が三千でございます。この三千の廃止鉱山につきましては、そのうち——休廃止全体をくるめまして、非常に汚染物資が出ている危険性の高い約千鉱山につきまして、昭和四十六年度より四年計画で鉱山保安監督局部長の調査をいたしております。残りの分につきましては、これから約三、四年の計画をもちまして県に概査を順次委託いたしまして、その概査の結果、危険なものについてはさらに鉱山保安監督局部で精査をするという段取りになっております。
○庄司委員 そろそろ本論に入らせてもらいますが、今度の措置法の第四条には「使用済特定施設に係る鉱害防止事業に関する基本方針」、こうありまして、「通商産業大臣は、この法律の施行前に使用を終了している特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針を定めなければならない。」こういうふうになっております。その基本方針を定められる場合、先ほど申した三千の廃止鉱山あるいは二千の休止中の鉱山、これに対して徹底的に鉱害をなくすための方針をつくられる決意がおありなのかどうか、この点をまず伺いたいと思います。これは大臣にお願いいたします。
○青木政府委員 この使用済み特定施設にかかる鉱害防止事業の実施に関する基本方針につきましては、休止鉱山のうち鉱業権が残っておりますものにつきましては、当然鉱業権者が計画を出す必要もございますので、この基本方針に入れるわけでございます。廃止鉱山、すでに鉱業権のない鉱山につきましては、そのうち非常に危険度が高い、したがって、政府が補助金を出しまして地方公共団体に鉱害防止事業をしていただく分につきまして、この基本方針の中に盛って、計画的な実施をしていく、こういう段取りになっております。 〔浦野委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
○庄司委員 私は、徹底的におやりになる方針をおつくりになるのかどうか、それを伺ったのです。
○青木政府委員 この休廃止鉱山につきましては、大体非常に危険の高い千の鉱山につきましては、先ほど申し上げましたように、ほぼ四十八年度で調査が完了いたしますので、このうち必要なものについては基本方針の中に入れるわけでございます。残りの分につきましては、先ほど申し上げましたように県に概査を委託して、この中から順次必要なものは取り上げまして、この基本方針の中に入れていく、こういう段取りになるわけでございます。
○庄司委員 くどいようでありますが、時間が過ぎるので簡明にお願いしたいのですが、徹底的な鉱害対策をおとりになるのかどうか。千なら千でもいいですよ、三、四年計画であとの分についてはやるということですから。それを徹底的におやりになる、この点どうなのか、簡潔にお願いしたいのです。
○青木政府委員 これは全部徹底的に調査いたしまして、必要があるものにつきましてはこの計画の中に入れてまいるつもりでございます。
○庄司委員 ではいまの御答弁は、徹底的な計画をおつくりになって、徹底的な調査をやって、徹底的な対策をとる、こういうふうに理解します。 それからその次にお伺いしたいのは、この四条の三項の中に、基本方針を定めようとするときは、環境庁長官に協議する、そうして、かつ、中央鉱山保安協議会の意見を聞く、こうなっておりますが、この点で、環境庁長官との協議がこの計画をつくる際の前になるのか、あるいはあとになるのか。午前中の討議でもあったようでありますが、この辺もう一ぺんお答え願いたいと思います。
○青木政府委員 この基本方針を定めます際には、通産省で原案をつくりまして、それを環境庁長官に協議し、かつ、鉱山保安協議会の意見を聞いた上で、最終決定といたしまして公示することになるわけであります。
○庄司委員 通産大臣の基本姿勢が徹底的に対策をおとりになるということでありますから、一つの具体例でもって、この件はどうなさるのか。一つの試金石にもなるわけでありますが、私は岩手県にある松尾鉱山の例でひとつお伺いしたいと思うのです。 松尾鉱山の鉱毒水対策につきまして通産省と建設省、それから厚生省、環境庁ですか、いろいろ協議いたしまして対策を練っておられた最中だろうと思いますが、北上川の水質について今回基準が出されているわけであります。この水質基準の出されたのはけっこうなんでありますが、一番の、肝心かなめのPHについては全然定めがない。これは下流住民が非常に苦しんでいる問題でもありますので、肝心かなめのPHの基準がなしに北上川の水質基準が定められたといたしましても、これはほとんど有名無実の水質基準になるのではないか。なぜこのPHの基準が定められなかったのか、この点、理由をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
○山村説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、北上川の環境基準の当てはめにつきましては、まだ最終的に告示の段階に至っておりませんけれども、水質部会の審議の経過で申し上げますと、御指摘のとおり、PHにつきましては後ほどきめるということにきめております。この理由は、御案内のとおり、PHにつきましてはその対策が明らかでないということで、そのPHの達成の見込みのないものを現時点できめても意味がないという判断から落としたわけでございます。 それで、PHを落として、その他の項目についてきめた理由でございますが、水質汚濁は必ずしもPHだけの問題ではございませんで、家庭下水とかその他有機物による汚濁、つまりBODとかいう有機物による汚濁も重要な要素でございまして、北上川の場合、盛岡市、花巻市等の下水によってかなりよごれております。その対策をすみやかにとらせるために、PHの対策が確立する前にあらかじめ下水等の対策を立てさせようという意図から先行してきめたというのが実情でございます。
○庄司委員 そうしますと、これは私は重大な問題だろうと思うのですが、基準をきめても達成する見込みがないというような状況にあるとすれば、昭和四十四年から、つまりいまから約四年前から、松尾の鉱毒水の問題では、数次にわたり対策あるいは協議をなさってきたわけですが、それについて全然PHを落とせるめどがないということになりますと、いままでのこの対策協議は何をやってきたんだ。これは地元で非常に憤慨しておるわけですが、いままでの対策協議というのはほんとうに意味なかったんじゃないか、こういうように言われてもしかたがないんじゃないかと思うのですが、その点どうなんです。
○山村説明員 このPH対策につきましては、本年度環境庁も本式に参画いたしまして、若干の調査費を投入いたしまして、その抜本的な総合的な対策を検討しようということで、先生御指摘の四年前から発足いたしました北上川の対策協議会を活用いたしまして、その下部機関としての専門委員会をフルに御利用させていただきまして、現在四十七年度事業としてその総合的な対策と、その効果といいますか、その事業の評価をいたすべく調査いたしておるわけでございます。 すでにこの十二月に中間答申が出ておりまして、たとえば赤沢川の川の水がしみ込んで、それが鉱床に触れて酸性化して川に入るというような事実も明らかであることから、この工事には直ちに着手しょうというような方向が出されておりますし、また山腹の水がやはり坑内に入りましてそれが酸性化して川に入ってくるとうようなこともかなり明らかでございますので、その調査を徹底的にやろうというような、この二点についてすでに中間答申が出ております。 そのほか、すでに建設省が松尾鉱業所から引き継ぎまして中和処理も行なっておりますし、各般の施策を現在調査し整理いたしておる段階でございまして、一応の環境基準、PHを落としたわけでございますけれども、告示案と申しますか、すでに決定された環境基準の類型指定の中にも注釈を入れておりまして、読み上げますと「松川合流点から北上川橋の間のPHについては、現在その改善のための各種の調査や対策を実施または検討中であり、これらの結果を総合的に勘案したうえで別途基準値を定めることとするので、PHに関する基準値は適用しない。」ということで、おおむね一年後を目標にPHについては定めようというようなつもりでおります。
○庄司委員 いまの水質保全局の課長さんの御答弁だと、北上川の水質基準にPHを入れるというのは一年後、一年後には入れられる、こういうふうに解していいのですか。
○山村説明員 一年後を目標に調査検討を進めるというつもりでございまして、その調査結果いかんによってはあるいはいろいろ問題が出てくるかもしれません。そういう問題をはらんでおりますことを御了承いただきたいと思います。
○庄司委員 その点で、たとえばパルプの廃水の場合ですと、当年度は暫定でこれくらい、それから昭和五十年からはこうなるとか、こういう明確な数字が明示されているわけですよ。ところが、こういう松尾の鉱毒水対策についていうならば、そういう明示ができないという段階にいまあるのじゃないかと思うのですよ。そうすると、いままで四年間いろいろ調査研究あるいは対策をとってきて、通産なりあるいは——主として私は通産だろうと思うのですが、通産の対策が非常に中途半ぱだったのじゃないか。及び腰の対策をやっている。予算の許す範囲内だけですね。しかも、その予算というのは、いまの体制から考えられるこれくらいしか取れないだろうというような予算の範囲内でしか調査研究をやらないし、対策もとらない。こういう及び腰があるから環境庁のほうでせっかくPHをやろうとしてもめどがつかないのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、その点は、通産のほうとしてはどうですか。
○青木政府委員 松尾鉱山の鉱害につきましては、きわめて規模が大きいということもございまして、私どものほうとしてできる最低限の応急の工事はしておるわけでございますが、根本的に大規模な工事で抜本的な対策をつくる必要があるということで、関係各省庁寄りまして、環境庁を中心にいたしまして調査をいたしまして、その調査に基づきましてその水の流れの根本を直すという、非常に大規模な工事をもってやることになっているわけでございまして、私どものほうは、いままでなかなかそこまで手がつかなかったというのは事実でございますが、応急措置をいままでいたしておったというふうに御理解いただきたいと思います。
○庄司委員 それでは、抜本的な対策をおとりになるようですから、私は、松尾の抜本策として一応いま考えられるものとして次のような点があるだろうと思うのですが、その点で御見解を伺いたいのです。 当面強酸性の鉱毒水、坑内水の水量は大体毎分二十トンから二十五トン出ておる、こういわれておりますが、この中和が約三分の一しかいまやられていない。あとの三分の二は中和されないで赤川に流されて、川に炭カルをぶち込む。だから、炭カルの効果はなかなかきかないんだ、こういわれているのですね。その点は、いままでの鉱山対策上通産もいろいろ御指導なすったのだと思うのですが、やはり根本的な対策はシックナーなりあるいは沈でん槽——現在のあれではとてもじゃないが、いまの三分の一くらいしか処理できないという状況ですから、これは完ぺきなシックナーなりあるいは沈でん槽をつくる方向で検討すべきじゃないか。そうやって赤川の強酸性の鉱山水全体を中和する、この考えに立たないとやはりこの根本的な対策にならないと私は思うのですよ。 それから二番目は、露天掘りをさんざんやらしたわけですから、この露天掘りに浸透する水が強酸性の原因にもなるわけですから、この露天掘りあと地の全面埋め立てをやる必要があるのじゃないか。 それから三番目は、赤川の河道が鉱床に触れて流れておりますから、これも酸度を強める原因になるわけです。その点では赤川の河道の流路の変更、これをとられる必要があるのじゃないか。 それから四番目には、鉱山周辺にある堆積場、AとBとありますが、これも表土をかぶせて植生をやる、こういう対策をやはりいま直ちにとる必要があるのじゃないか、こう思うのですが、通産のほうのお考えはどうですか。
○青木政府委員 ただいま御質問の中で、若干建設省のほうでおやりになっている分もございますが、私どもに関係した分を申し上げますと、露天掘りあとの全面的な埋め立てにつきましては四十八年度から実施の予定でおります。 それからA、Bの堆積物につきましては、補助金対象としまして工事を続けている最中でございます。
○庄司委員 そうしますと、いま御答弁漏れもあるようですが、山元での完全中和のシックナーその他の問題、これはどうなんですか。
○松村政府委員 河川の水質を正常に維持する、これにつきましては河川管理者として私どもも責任を十分感じておるわけでございます。そういうような関係から、この松尾鉱山の鉱毒問題につきましても河川管理者として、暫定的な措置として炭カル投入を四十七年五月から引き続きましてやっておるわけでございます。これといたしましては、下流の四十四田ダムの地点におきましてPHが四になるような炭カル量をいままで注入してきたわけでございます。これにつきましては、今後水質基準等がはっきりいたしますとそれに応ずるような措置をとることになると思います。 それから、赤川の源流の水が坑内にしみ込むのを防ぐ工事、これにつきましては、先ほども申されましたように対策協議会等の中間報告にもそういう措置をやる必要があるということで、これは来年度四十八年度からこの赤川の源流の部分につきまして流路工、いわば川の底を三面張りと申しますか、流水が入らないような措置、これの工事に着工する予定でおります。 以上、簡単でありますが、補足をいたします。
○庄司委員 どうもシックナーの問題やあるいは沈でん槽の問題のお答えが通産のほうからないのですが、これはやる気があるのですか、ないのですか。簡潔にお願いします。
○蓼沼説明員 お答えいたします。 松尾鉱山の問題につきましては、鉱山が閉山後、その対策につきまして環境庁を中心に関係各省で一応その対策を、永久対策が確定いたしますまで割り振ると申しますか、受け持ちましてやることになっております。 通産省といたしましては、先生いま御指摘のございました、一つは堆積場でございます。A、B堆積場その他の堆積場を含めまして覆土、植生、その他の事業でございます。 それから露天掘りをいたしました露天掘りのあとの埋め戻しあるいは発火防止というところを現在対象ということで、現在ございます休廃止の鉱山の補助金工事の対象として考えて、四十七年度にも一応いたしておりますが、四十八年度にこの工事をいたすということで考えております。
○庄司委員 では、最後にもう一つ別な問題を伺って終わりにしますが、山形県の南陽市のカドミウム汚染の問題です。これは休廃止鉱山も相当含めて、いま生きている鉱山もあるわけですが、通産としてこの徹底的な調査をやったのかどうか、私はどうも疑問なんですよ。その点で、これは徹底的な調査をおやりになる必要があるのじゃないか。 その中身でありますが、一つは、休廃止鉱山や現存鉱山の汚染源がどこにあるのか。それからその汚染源ごとの汚染の負荷量、それからその処理対策はどうするのか。なお、環境庁のほうとしては、やはり水質なり土壌なり川どろなりあるいは米の問題、健康の問題、この調査をおやりになって、公表なさる必要があると思うのですよ。 なぜこういうことを申し上げるかというと、この間、山形県議会で非常に問題になったのは、山形県の衛生部がせっかく調べた米、これが一PPM以上出ているのが四カ所以上ある。それから〇・四PPM以上のものが十一カ所もあるのですね。これはもう大問題なんですよ。その点で、私はこの調査をおやりになったのかどうか、それからそういう数字は環境庁はおわかりなのかどうか、これをあわせて通産と環境両方にお伺いしたいと思うのです。
○蓼沼説明員 お答えいたします。 南陽市のカドミ汚染については、上流の鉱山でございますが、これは管轄をいたしております仙台の鉱山保安監督部におきまして、この調査を幾度かいたしております。 現在までの調査結果でございますが、この上流にございます鉱山は全部で四鉱山ございます。一つは吉野鉱山、それから南沢鉱山、それから朱山鉱山、熊野鉱山、この四鉱山でございます。この鉱山につきまして監督検査を実施いたしまして、現在その排出の状況については基準をオーバーいたしておりません。
○松山説明員 お答えいたします。 四十五年にこの地域につきましては農林省の調査が行なわれまして、カドミウムが一・〇PPM以上含有する米が検出されておりますので、土壌汚染防止法が四十六年の六月から施行になりましたので、環境庁としましては、山形県に補助金を出しまして、この地域の約百五十町歩につきまして、土壌汚染防止法に基づきまする対策地域の指定あるいは対策計画の樹立のための細密な調査を行ないました。その結果は、県としましては、四十七年の三月二十八日に公表をいたしております。結果では、六十点調査をやりまして、米のほうでカドミウムが一・〇PPM以上含有する米が一点検出をされております。四十七年度におきましては、この結果を踏まえまして、一・〇PPM以上のカドミウムが検出された地区につきましては休耕をいたしております。 なお、先ほど先生御指摘になりましたことしの三月に、過去の保有米につきまして調査結果云々という話もございますので、私ども県のほうからその後報告を受け取りましたので、そういう事情もございますので、四十八年にはもう一度調査をやってはいかがか、そういった指導を県に対しましていたしておるところであります。
○庄司委員 終わります。
○田中(六)委員長代理 島本虎三君。
○島本委員 通産大臣も来ていらっしゃいますし、そしていま休廃止鉱山の鉱公害対策の確立について法案が出され、これを審議している段階でございます。私どもも昭和四十七年の六月十六日、衆議院の公害対策並びに環境保全特別委員会で上げた「休廃止鉱山の鉱公害対策の確立に関する件」という決議案件、これにのっとってそれぞれ立法化が促進され、ここにでき上がったわけであります。この決議の線に沿うて逐次お伺いしてまいりたい、こう思うわけであります。 それは言うに及ばず、大臣も出ていらっしゃいますが、とりあえずイタイイタイ病のカドミウム中毒、それから水俣病の有機水銀中毒、それと四日市等のいわゆるばい煙による公害被害、一連の産業公害であります。これは企業の排出によるところの被害であります。今回の水俣裁判は政府に対しても重大な警告であります。私どもは、いまこの法案を審議するにあたっても、こういうような被害者の立場を十分考えて、再びこういうようなことがないように、鉱山の場合にはまさに抜本対策はこれでなければならない、これだけの意気込みでひとつ当たらなければならないと思っているわけでございます。四日市裁判が出たあとの通産行政はすでにさばかれたものでありまして、今度すべて態度も変えなければならない状態だと思いますが、大臣のこれに対する所感をまず先にお伺い申し上げたい、こう思う次第です。
○中曽根国務大臣 その点につきましては島本委員と同感でございまして、福祉のための通産行政という方向に思い切って転換しなければならないと思い、私もそういうつもりで行政を進めている次第でございます。
○島本委員 いま鉱山の、金属鉱業等鉱害対策特別措置法案、これを審議するにあたって、いろいろな要素がありますが、この中で田中総理もよく言っておりますPPPの原則、これとの関連性を大臣はどのようにお考えでこの法律に当たられましたか。
○中曽根国務大臣 PPPの原則は、日本におきましても行政官庁内部におきまして採用いたしまして、このPPPの原則を極力厳守するように行政を進めてまいりたいと思っております。ただ、PPPだけではカバーしきれないいろいろな問題が日本には特殊事情としてございますが、そういう場合には、国あるいは公共団体が出動いたしまして被害者を救うという立場に出ていかなければならぬところがあると思います。
○島本委員 当然鉱山は私が言う必要もないほど、専門家である皆さんのほうがこれを実際専攻しているわけでありますから私はここで伺いたいのですが、そのPPPの原則、掘るだけ掘ってあとはたれ流しにしている所有者がいる。そしてそれが時効にかかったあとは、その人がおっても時効ということで今度義務を免れる、こういうような状態を現出してはならない、こういうように思うわけであります。 そういうような意味がらしても、この決議案の一項から六項までそれぞれわりあいに具体的に書かれておるのであります。そういうようなことがあっては困るから「関係都道府県等の協力体制を確立し河川の水質土壌の汚染状況を含め総点検を行なうこと。」こういうようにはっきりしるしてあるわけであります。当然関係都道府県等の協議体制の確立も十分に考え、この法案の中に盛り込んであるものだと思いますが、この点に対しては事務的にどのように扱いましたか。
○中曽根国務大臣 さきの国会におきまする公害特の御決議に関しましては、通産省といたしましてもこれを尊重いたしまして、六項目にわたる諸般の関係についてそれぞれの対策を講じております。具体的な点につきましては局長から御説明申し上げます。
○青木政府委員 ただいま御質問の中の都道府県との関係でございますが、この法案を出します前に関係の都道府県とは十分協議いたしまして、案文も見ていただいて、その意見も十分取り入れております。その際、私どもとしましては、こういう公害問題でございますので、都道府県と密接な関係が必要だということで、十分事前に御相談を申し上げるということでお約束しておりますし、そういう運営をしないと、本来こういう問題については解決ができないというふうに考えておりますので、十分密接な連絡をとって処理してまいるつもりでございます。
○島本委員 当然、密接な協力体制を確立しなければならないのであります。しかし、やはりPPPの原則を踏まえてこの法律の運用に当たらなければならないことは、大臣の御答弁のとおりでありまして、私も同感であります。そうすると、この地方自治体の意見を十分尊重し、また、現地でそれを監視できるのは自治体であります。そういうことからしまして、これを明記しないということは逃げられるおそれがある、責任を免れるようなことになってしまいはせぬか、そのおそれがないかどうか、これを心配するわけであります。したがって、私は、いま掘るだけ掘ってあとは逃げてしまう、たれ流しをして、そのままにして逃げてしまう、あと五年たったら義務はもう消滅した、こういうふうなことであってはならないと思うのです。これをどなたが監視し、どなたがこれと連携をとってやるか、これもはっきり法案の中に明記してあって完全じゃないかと思うのであります。この点等については、単なる義務的な、協約的な一つの慣行によるような行き方を考えておるようでありますが、まさにそういうような必要があるなら、法案に盛ってはいかがですか。これははっきりこの点、義務づけてございますか。
○青木政府委員 法文上、明確には出ておりませんけれども、この仕事自体が、もし鉱害防止義務者がなくなりますと、都道府県に仕事をやっていただくという関係にございますので、基本方針を定めるなり、こういう事業を実際にやりますなりにつきましては、都道府県と十分な連絡をとらなければできないことになっておりますので、その辺も考慮しまして、十分事前に協議をいたしたわけでございますが、特に法文に明記する必要はないという都道府県側の御意見もございまして、私どもとしては、全く共同でやるような運営をいたすつもりでございます。
○島本委員 「河川の水質土壌の汚染状況を含め総点検を行なうこと。」という、これは生かされてございますか。
○青木政府委員 金属鉱害の総点検につきましては、私どものほうとしましては鉱山に対する部分を分担いたしておりまして、それに基づきまして千五十の鉱山につきまして四十五年度から四年計画で調査を実施してきておるわけでございます。 さらに、鉱害防止上、監督検査が必要と認められる約六百の鉱山については、休業後といえども継続して鉱山監督上の検査を実施しているわけでございます。 さらに、四十八年度からは、すべての休廃止鉱山の実態を把握すべく、前述以外の休廃止鉱山の概査を地域事情に詳しい地方公共団体へ委託するために予算を計上しておる次第でございます。 その他の部分につきましては、環境庁を中心にいたしまして、付近の河川その他、それぞれの各官庁に分担しまして総点検を実施いたしたわけでございます。
○島本委員 環境庁では、河川の水質の総点検をどのようになすったか。農林省では土壌の汚染状況を含めて総点検をなさいましたか。その結果について御報告願います。
○太田説明員 ただいま通産省からお答えがございましたように、環境庁といたしましては、昭和四十七年度、すなわち本年度から調査にかかりまして、各省庁といろいろ御相談しながら、たとえば私どもでは公共用水域並びに土壌、それから健康被害、その辺、それから農林省、通産省、労働省、その辺と連携をとりながら調査を実施しておる次第でございます。 私どもの調査は本年度から始まりましたばかりでございますので、まだ結果はいただいておりませんので、今後ともその調査は継続してまいりたい、こう考えております。
○遠藤(寛)政府委員 農林省は、環境庁と協議をいたしまして、御指示に従いまして、一つは全国的な概況調査を、これは全国で四千点の地域を選びましてやりました。その中で、環境庁関係ですでに汚染地域ないしはそれに類似しているところというところにつきましては、その概況調査を行ないますときに、あわせて詳細な調査を行ないまして、作物の生育状況、土壌の状況、それから作物の分析、そういうものを行ないまして、環境庁にその結果を報告するということになっております。 ただ、データの全体につきましてはただいま整理中でございまして、まだ結果は出ておりません。
○島本委員 河川の水質それから土壌の汚染状況、これは的確に把握して早く行政的な手を打たなければ、水質の汚濁はまさに進行形なんです。肝心の環境庁がこの点にこれから手をつけるのでは少しおそい。政務次官も来ておりますが、こういうような状況で、法律が制定されようとしているのに、この中に盛られておるところの河川の水質、土壌の汚染状況の点検、これがことしからだというのでは少しおそきに過ぎるのではないか、もっとピッチを早めるのでなければ公害行政に対処できない、こう思います。環境庁は少しスローモーションのような気がいたしますが、いかがですか。
○坂本政府委員 一般的には、四十七年度からのいま申し上げましたような調査の進行状況でございますが、問題のあるところにつきましてはすでに調査を開始いたしております。
○島本委員 この第二項の「鉱山鉱公害行政の推進のため、処理体制の充実を図るとともに関係各省との連絡体制を密にすること。特に毒劇法等の適用される鉱山については通商産業、厚生両省の間で十分連絡をとること。」とあり、またとらなければならないことは自明の理でありますが、この件について厚生省との間の連携、連絡、これは十分におとりになってございますか。
○松下政府委員 ただいま先生御指摘になりました昨年六月十六日の御決議に基づきます厚生省が通産省と連絡してとりました措置及び厚生省といたしまして法令上とりました措置の概要を御説明申し上げます。 まず、通産省と連絡会議を頻回持ちまして、砒素鉱山に関する一斉検査の状況の把握、それから金属鉱山等保安規則の一部改正に対する御相談をいただきまして、それに毒劇法を所管いたします立場からの意見を申し述べる、それから現に毒劇物を製造しております鉱山を把握する、そのような連絡会議を三回開いております。 それから、さらに通産省が休廃止鉱山につきまして、そこに残っております毒劇物の処理を行なわれます場合、各都道府県に置かれております毒物劇物監視員に指示をいたしまして、必ずその立ち会いをして処理の安全を期するということで、二十九カ所の鉱山につきましてその措置を行なっております。さらに、昨年の五月に毒物及び劇物取締法施行規則の一部を改正いたしまして、廃止届けを出してもらいます場合に、廃止のときに所有しております毒劇物の保管及び処理方法、それを届け出させることによりまして休廃止鉱山に残っている毒劇物の処置につきまして、その廃棄あるいは処理等につきましての行政指導の徹底をはかるような改正をいたした次第でございます。
○島本委員 それは改正を行なったということですが、いつ、どのように改正を行なったのでしょう。ちょっとお知らせ願いたいと思うのです。
○松下政府委員 改正を行ないましたのは昭和四十七年五月十七日、毒物及び劇物取締法施行規則の改正でございます。改正の内容は、廃止届けの中にそれまで入ってなかった「廃止の日に現に所有する毒物又は劇物の品名、数量及び保管又は処理の方法」これを新たに加えるという改正でございます。
○島本委員 それと三の点にございまするけれども、三の中には「休廃止鉱山における鉱公害防止を迅速かつ効果的に行なうため、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度について拡充強化を図るとともに、稼行および休止鉱山における蓄積鉱公害の除去ならびに閉山時に行なう鉱公害防止工事等に必要とされる資金確保のため、制度の画期的改善を検討すること。」こういうようにあるわけでありますが、この「制度の画期的改善を検討する」こればどのように具体的に具現いたしましたか。
○青木政府委員 まず鉱害防止義務者が不存在の休廃止鉱山の場合でございますが、これにつきましては、今度の新しい事業団が、工事の事前調査を行ない、または地方公共団体が求める場合にはその技術指導を行なえるように事業団法を改正いたしておる次第でございます。予算としましては、従来の二億数千万円の予算を約三倍の七億円に増額いたしております。 それから鉱害防止義務者のおります蓄積鉱害源に対しましては、まず資金援助が必要でございますので、事業団法を改正いたしまして、こういう資金の貸し付け及び債務の保証ができるように法律上の改正を行なった次第でございます。 制度といたしましては、大企業に対しましては所要額の七〇%を年利五%で貸し付ける、それから中小企業に対しましては所要額の八〇%を年利三・五%で貸し付けるという制度を創設いたしまして、いずれも償還期限は十五年、うち据え置き二年という制度でございます。それから残余の分は市中銀行から借り入れる必要がございますが、これらの市中銀行から借り入れます際に、債務保証を行なえるような制度も準備したわけでございます。 それから現在稼行しております今後の操業にかかわります将来の鉱害防止事業に必要な資金を確保するために、鉱業権者に対しまして鉱害防止積立金制度というものを創設いたしまして、これを強制的に積み立てさせまして、終わってからあと十分工事ができるというような担保をする制度も同時にこしらえてございます。
○島本委員 確かに今回の場合は七億計上されておるようであります。鉱害防止義務者が不存在の鉱山の鉱害は、地方公共団体が事業主体となって工事を実施し、事業団がこれを援助する、こういうようなことでありまするけれども、確かに補助は三倍計上されておるようです。約七億です。しかし、これは各鉱山保安監督局の試算によると、八十八億一千万円、これを五年間で一掃する予定だという報告がございますが、七億で五年間では八十八億にならないではありませんか。約十八億組んでいないと、これは予定どおりいかないことになりますが、この辺はどういうことなのでございましょうか。
○青木政府委員 七億は予算でございまして、これは三分の二の補助でございますから、事業費としましては十億余りになるわけでございます。それで四十八年度を初年度としまして漸次増額いたしまして、五年間に八十八億の総工事を実施する、こういう計画になっておるわけでございます。
○島本委員 確かに前年度に比べて三倍以上の七億を組んだのはいい。しかし、せっかくここに五年間で一掃する予定で八十八億一千万円を組んだとある。それを二倍にしてみても十八億組まなければ五年でやれない。七億でこれをいかに入れても十四億——十四億じゃ十八億になりませんから、これはまた予定の計画が実施できないおそれがないか、こういうことを心配するのですよ。これでいいという根拠をはっきりさしてみてください。
○青木政府委員 この工事は各県に委託するわけでございますけれども、いろいろ工事の準備、それから工事をいたします際に急激にふやすことも問題でございますので、初年度はこれくらいにいたしまして、漸次毎年ふやしまして五年間で完了するというなだらかなカーブの増額を見込んでおるわけでございます。
○島本委員 平均してやったならば十八億組まなければならない。徐々に上げていくとしたら今後は少ない分だけよけいいかなければならないから二十億以上も組まなければならないことは当然あるわけでございまして、それをここではっきり確認しておきたい、こういうように思うわけです。大臣、いまの答弁でございますが、その点よろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 ことしの予算はもうきまっておるわけでございますから、明年度以降につきましてはできるだけ努力してまいりたいと思います。
○島本委員 せっかくここで八十八億一千万円という数字をあげて、これを五カ年間で一掃する予定計画を通商産業省から出しておるわけであります。鉱害対策について出しておるのでありますから、これに当然沿わなければならないと考えます。したがって、そうするならば、私が算術でやって十八億、しかし徐々に増していくというなら、今後は少ない分だけ上増しになりますから二十億—二十五億は当然必要になろうかと思います。その点は十分考えて対処してもらいたいと思うのです。この点は特に大臣に申し上げておきます。 それから税制上の問題点も、これは助成措置等について十分合理的な結論を出したい、こういうようなことになっておるわけでありますけれども、本施設運営に対して、税制上の問題に対する扱いはどのようにお考えですか。
○青木政府委員 鉱害の防止施設全体に対する税制上の一般的な優遇措置のほかに、特にこの金属鉱害についての税制上の措置はいたしておりません。ただ、先ほどからいろいろ指摘されておりますように、鉱害防止工事のための積立金につきましては損金算入の方法を研究すべきだという御意見がございますので、本格的な積み立てが始まります来年度の税制改正には十分研究をいたしましてそういう措置がとれるように努力してまいりたいというふうに考えております。
○島本委員 それは私ちょっといただきかねるのです。内閣総理大臣田中角榮、前は通産大臣として、はっきりとここに、鉱業法に無過失賠償責任の制度がある、こういう制度がある以上、これに何かを合わせる意味においても基金とか、そういう制度があってしかるべきだという考え方は理解できる、通産省で広範囲にわたって検討している、税制上の問題その他の助成措置等について勉強して合理的な結論を見出したい——実力通産大臣の中曽根さんもおられる。これをはっきり言ったのは田中角榮現総理であり、前通産大臣なんです。この税制上の処理は全然考えていないというようなことになったら、あなたは官僚として総理の意にさからうことになるじゃありませんか。
○青木政府委員 公害対策につきまして種々の税制上の措置がございますことは、御承知のとおりでございます。そこで、この鉱害防止積立金につきまして現在以たような制度といたしましては、公害防止準備金制度というのがございまして、これを最大限利用することによりましてある程度の税制上の優遇はできるわけでございますが、こういう制度とかね合わせまして、今度新しくできます積立金につきましてはこの制度でいいのか、あるいはさらに優遇の度を増した制度にする必要があるのかという点を、次の税制改正で十分検討いたしまして、大蔵省当局とも協議いたしまして、その整備をはかりたいというふうに考えております。
○島本委員 そこだけは完全にチェックしておいて万遺憾なきを期さないとだめだと思います。特にここで皆さんもおられ、中村重光理事もおられるわけでありますから、この点等は十分にチェックしておいてもらいたいと思います。 それと鉱山が休廃止した後、鉱害が起こらないようにするための体制、これはもうすでに十分考えておられたはずであります。そしていま案になって出てまいりました。これも十分理解できるところであります。すでに鉱業権者がいなくなったもの、これはまずはっきりしていますから、これはやれると思います。いてもすでに休止しているもの、これに対しては融資でやる措置もありますから、これはできると思います。弱小鉱の場合に、融資しても返済の当てのない企業の場合の鉱害対策に対してはどういうふうなことをする予定でございますか。
○青木政府委員 鉱害防止義務者のいない場合につきましては、国が地方公共団体に補助金を交付して地方公共団体に鉱害防止工事をやっていただくことになっておりますが、いやしくも鉱業権者が生きている間は、たてまえ上鉱業権者が責任を持って鉱害防止をするということが鉱山保安法上の義務でもございますので、これにやらせるのが筋であるというふうに考えます。ただ、中小鉱山の場合には資力がきわめて小さいために、なかなか資金調達ができないということもございますので、いわゆる鉱害全般の融資制度よりもはるかに手厚い制度として金属鉱業事業団からの融資、また市中金融に対しても保証するというようなことで融資の道を講じたわけでございます。
○島本委員 返済の当てもない企業の場合の鉱害対策については万全かということなんです。これはイエスかノーかでいいのです。
○青木政府委員 鉱業権者がある以上、そういう制度によって鉱業権者にやっていただくということで万全を期したいと思います。それで鉱業権者が支払い能力がなくなった場合には元へ戻りまして、無資力の鉱業権者になりますので、国と地方公共団体でその補完をしていく、こういう制度に戻るというふうに御理解いただきたいと思います。
○島本委員 鉱業権者が現存しておって、それに融資の道もある。しかしながら、返済のめどもない弱小企業である、これは仮定なんですよ。返済の当てのない場合でも、鉱害対策の場合にはきちっとやらしておいて、不良債権になってもかまわないのだ、こういうようなのでなければ、ほんとうに鉱害対策はやれないじゃありませんか。石炭山が一つあって、これはいかに何であっても保安対策は完全にやらなければだめなんだ、やっても採算のほうが先になっていって、あのような状態を現出しておったことは皆さん御存じのとおりなんです。資金もない、融資の返済のめどもない弱小企業である、そういうようなものははっきり手を打たないとだめだと思うのです。 鉱業権者がいてもいなくても、そこから鉱害をたれ流しさせてはだめなんですから、これに対して弱小権者がいる場合は、おまえもやらせるのだ、なるほど融資を受けてやる方法なんですから、やってけっこうです。むしろそっちのほうを優先にしてこれをやらせて、いよいよどうにもならない場合には地方公共団体、または不良債権になってもかまわないのだ、だから完全にやれ、こういうのでなければ、私は実を結ばないのではなかろうかという懸念を持つのです。それくらいの覚悟があるのかないのか。
○青木政府委員 融資の制度でございますので、全く返済見込みのない場合にまで融資をすることはなかなかむずかしいと思いますが、極力この融資制度で鉱業権者にやらせるという方向で処理してまいりたいと思います。もしそういう融資を受けられない程度の鉱業権者でございますならば、鉱業権を放棄してもらいまして、無資力として処理する以外に方法がないのではなかろうか、こういうふうに考えております。少なくとも鉱業権者がおり、融資を受ける能力があるならば、やはり鉱業権者が始末をするというのがたてまえであるというふうに解釈いたしております。
○島本委員 この第四の決議の中の「休廃止鉱山および周辺地域における地域住民並びに元従業員の健康診断を積極的に実施し、医療救済等適切な救済措置を行なえるよう現行関係法制全般について検討すること。」これはなかなか大きい問題であります。なお、労働省においては、労働災害補償保険法の適用を積極的に行ない、被害者の救済をはかれ、こういうようなことがあるわけであります。そうすると、休廃止鉱山及び周辺地域における地域住民と元従業員の健康診断を実施して、医療救済等の適切な措置を行なえるような法体系全般についての検討が当然あるわけであります。地域住民の問題については、元従業員の健康診断とあわせて厚生省では十分調査をしておることだと思うのですが、調査の実績をちょっとお知らせ願いたいと思います。
○山本説明員 お答えいたします。 休廃止鉱山の周辺の住民の健康調査につきましては、すでに環境汚染の調査の実施されましたところの結果を見まして、住民の健康に影響があると予想されるところにつきまして調査を実施しておりますが、現在までのところ、宮崎県の土呂久の調査の結果は、御承知のように、救済法の指定地域といたしまして指定したところでございますが、そのほか、現在までのところ、全国で七つの鉱山、その周辺につきましての健康調査を都道府県を指導いたしまして実施しておるところでございます。
○島本委員 それでは労働者災害補償保険法の適用を行ない、被害者の救済をはかることについて、労働省ではどのようにこれをやっておられますか。
○北川(俊)政府委員 休廃上鉱山の元労働者の労災補償につきましては、たとえやめてから後疾病がわかりましても、労災保険法の適用のあるものにつきましては当然全面適用をいたします。なお、労災保険法は昭和二十二年に施行されておりますけれども、それ以前のものにつきましては労災保険法の適用がないわけでございますけれども、いままでのところ、たとえば松尾鉱山あるいは土呂久鉱山の例に見られますように、当該鉱山の鉱業権者が存在します場合には、労災保険適用と同じような補償、医療費の支給というものを行政指導によって実現をいたしております。
○島本委員 厚生省では十分調査をしておって、いま例をあげられましたが、土呂久では、どういうような調査をして、どういうような措置をされたのですか。これは砒素で内臓をやられた者、それからおかされた者、それから地域指定の問題点、移住してその指定を受けられない人に対する措置、多発地帯でなければこれを受けられなかったというような実情、こういうようなものは、具体的にその実情に沿わない調査のしかたなんじゃありませんか。この点は指摘されておるのですが、十分こういうことのないように調査をせいということなんです。土呂久の場合を例にとって、いま調査を十分にしたということですから、どういう調査をなさったのか、そしてこの場合には、内臓についてこれは完全に把握されたのかどうか、地域指定の問題はどうなのか、この点等についてひとつ発表してもらいたいと思います。
○山本説明員 お答えいたします。 土呂久の調査につきましては、当初県が調査を実施いたしまして、土呂久地区の住民が約二百八十数名だと思います。これにつきまして、全員について症状等のアンケート調査をいたしまして、最終的には八名の者につきまして、精密検診をするために、熊本大学及び延岡の県立病院に入院をさせまして、皮膚の所見その他の所見につきまして、内臓等も精密検診をいたしたわけでございます。 その結果、七名の者につきましては、皮膚所見等から砒素による影響があるものとして、これにつきまして知事があっせんいたしまして、補償和解をいたしたわけでございます。土呂久の地域にかつて住んでおった人、現在は他の府県あるいは他の町村に住んでいる人の一部につきましては、その調査の事後の調査をしておりますが、なお現在、県におきましては、それらの従前、土呂久に住んでおって、影響を受けたと思われる人につきましては、他県の者につきましても調査をなるべく十分進めるという方向でやっております。私どもも、それについてのいろいろの助成並びに指導をしておるわけでございます。
○島本委員 これはいまそういうように言われておりますが、やはり労働者、元従業員、こういうような人に対して、全般について検討し、現行関係法の法制全般について検討しなければならないのだ、こういうようなことだったのですね。したがって、この土呂久の問題も十分やっているということなのですが、これは救済が不十分じゃございませんか。検査項目は、皮膚検査、鼻粘膜検査、砒素量の測定、これは頭髪によって行なった検査項目、それと外部症状、こういうようなものをやった。したがって、リューマチである者、神経痛である者、肝臓障害の者、呼吸器障害の者、高血圧疾患等の者に対しては、全部はねられて、皮膚症状だけしか取り上げられない、こういうような不完全な結果しか出ていないでしょう。これじゃうまくないのだ。したがって、もっとこれに対して幅広く、内臓等についても、それから地域指定の問題についても、移住——居を移した者です。こういうような者に対しても、また周辺の住民に対しても、多発でなければむずかしいという、この点をはずしてでも、これは救済せいということなのです。これは現在行なわれていないでしょう。こういうような状態では、これは困るということなのです。ですから、これはもう少し熱を入れて、血を通わせるような行政をやらぬとだめです。
○山本説明員 お答えいたします。 私ども土呂久の問題につきましては、慢性の砒素中毒というのに着目いたしまして救済の対象にしたわけでございます。県の調査並びに入院等による検診の結果を専門の委員の先生方で御検討いただきまして、現在の認定の基準といたしましては、皮膚障害及び鼻膜の障害等を一つの指標にしておりますけれども、今後そのほかの鉱山におきまして、このような調査を進めた上で、内臓の一部についての影響等があるということがはっきりいたしますならば、それも認定の条件に加えたいと思っておりますが、現在までの土呂久の検診の最終結果といたしましては、あの要件で診定するので十分であろうという専門家の御見解でございますので、そのようにしておるわけでございます。 なお、砒素による影響以外のものが、たとえばリューマチ性のものがあるとかということも調査のデータとして出ておりますが、現在までの専門家の見解といたしまして、それが慢性砒素の影響によるものとは考えがたいということでございますので、それにつきましては、県におきまして、一般的な地域住民に対する保健対策というところの措置をするという方向で措置をし、かつ実施をしておる、こういう状況でございます。
○島本委員 念のために申し上げておきます。 これに当たった医師自身がやはりこの被害者であり、調査委員自身が、この調査ではだめだと県を通じてこれをちゃんと具申しておるのです。どうもそういう誤りがあるようですね。以前水俣関係でも、厚生省は、昭和三十四年に重大な誤りをした。その後、これは有機水銀の中毒だと思ったとたんに、その委員会をやめさしてしまった。そのまま今度は水質汚濁のほうに移して、当時の経済企画庁、そこでも十人の委員が有機水銀だと認め、たった一人の人が魚の腐ったことだと言った。そのために、それを取り上げず、解散してしまった。その結果がいまの水俣の被害です。したがって、そういうような肝心の点になったら行政の手を抜くというやり方は、いままでの通弊です。少なくとも環境庁は、そういうようなことを是正するためにできた重大な調査権もあるのですから、この点等についてはもっとメスを入れて、十分調べて過去のそういうような悪例なんかのまねをしなくてもいいですから、これもき然としてやってほしい。このことだけは、答弁は要りませんから、はっきり申し上げておきます。 それと同時に、砒素は指定になっておりましたか。「休廃止鉱山に由来する土壌汚染については、原因者が明確を欠き、または無資力である場合が少なくない現状にかんがみ、国においても積極的にその改善につとめること。」とありますが、銅、砒素等の被害については、これはもう実態調査に基づき、できるだけ早く土壌汚染防止法の指定物質としたいということになっておりましたが、これらの銅と砒素、これはどういうふうになってございますか。
○松山説明員 銅につきましては、昨年の十月に土壌汚染防止法による特定有害物質に指定をいたしまして、対策地域の指定要件を定めました。 砒素につきましては、御指摘の点もございますので、目下調査中でございますので、その調査結果によりまして、期日は明示することはまだできませんが、できるだけ早い機会に土壌汚染防止法による特定有害物質に指定するよう検討中でございます。
○島本委員 大体いつごろ指定になる見込みか、発表できませんか。
○松山説明員 それにつきましては、調査結果によりますので、時期は明示することは現在できかねる次第でございます。
○島本委員 この土壌汚染については、農林省では、四十七年度は一億五千九百万円、本年度四十八年度予算では農地関係では二億三百万円、重金属汚染地客土事業ということで予算を組んでおられますが、土壌汚染対策は本法によっての予算ですか。
○遠藤(寛)政府委員 地域指定から対策計画までは土壌汚染防止法でいきます。それから、事業の実施につきましては、農林省の場合は土地改良法によって事業を行ないますので、その両法に関連しての予算でございます。
○島本委員 この農林省のほうの予算、二億三百万はあまりにも少ないじゃありませんか。通産省の予算に比べたら格段に少ないじゃありませんか。
○遠藤(寛)政府委員 この内容でございますが、その事業全体が一年目に全部やってしまうわけではございませんので、今年度の予算あたりも大部分はまだ全体計画の計画調査費でございまして、事業費はごく一部分になっております。事業の計画が成り立ちまして、事業実施の段階で今後どれだけのものが要るということになりますと、その必要に応じまして、その分だけ明年度以降予算をふやしてまいる予定になっております。
○島本委員 これは農林省のことですから、やってくださるだろうと思います。いままでの在来のものですから、それを今度は新たにこの法律ができてからやるのに、これだけの予算しか組んでいないということになったら、私はちょっと少なきに過ぎると思っております。私はそういうような心配を持っておりますが、この点大臣にも言って、少なかったら通産大臣とも相談さして、これはどんどんとやらせるようにしてやってもらいたい、こういうように思います。 資力のない休廃止鉱山から人体鉱害を起とした場合の責任の所在に対しては、どういうふうになっておりましたか。これは環境庁ですか、通産省ですか、どっちになりましょうか。
○青木政府委員 休廃止鉱山につきましても、他人に損害を与えた場合は、鉱業法第百九条の規定によりまして無過失責任制がございますので、民事責任は鉱業権者が連帯して負うことになっております。
○島本委員 北海道の一番南部に硫黄山である恵山硫黄鉱山がある。あれももう廃止になってだいぶたったまま、鉱業権者がいないような状態で、漁業被害を起こしたままになっておりますが、これは解決できましたか。
○青木政府委員 恵山の問題につきましては、現に鉱業はいたしておりませんけれども、鉱業権者がおりましたので、その鉱業権者と漁業者の間でいろいろ折衝が持たれたと聞いております。その後どういう決着がついたかについては、いま手元に資料を持っておりませんので、もし必要がございましたら、調べまして御報告いたします。
○島本委員 この点は長い間放てきされておって、その排出によって漁業被害が起こった。いま言ったら、鉱業権者がいたそうであります。これがいなくて困っていた問題でありますけれども、いたとなればなおさらけっこうですから、これはその後の折衝がどういうふうになっているか、結果がどうなのか。この件についてあとから報告してもらいたい。これは委員長のほうにお願いしておきたいと思います。よろしゅうございますか。
○田中(六)委員長代理 青木局長に申し上げますが、この件についての資料の提出をあとからお願いします。
○島本委員 鉱山の場合はわかりましたが、石炭山の場合はどういうふうな扱いになるのでございましょうか。
○青木政府委員 石炭山につきましても、鉱害の賠償につきましては、鉱業法上同じ取り扱いでございます。
○島本委員 最近、山が疲弊してだんだん廃止されていく傾向が多いわけです。特に通産大臣も、この際エネルギー対策としても原子力や重油専焼の火力発電等考えておられるようです。田中総理も、総理になる前、またなってからも、石炭専焼の火力発電の構想をはっきり発表してございました。やはりこういうようなものに対しても一つのアプローチを持って臨まなければならないのじゃないかと思っているわけです。黙っておったら、これも休廃止鉱山になってつぶれてしまう、どうにもならなくなってしまう。生きている間にこれをやったならば、まさに両全じゃなかろうと思うわけですが、石炭専焼の火力発電の構想、これはどういうふうになってございましょうか。
○中曽根国務大臣 石炭専焼の火力発電所をまず北海道に、次いで九州につくりたいと私は念願しております。それで問題は、サイトの問題あるいは公害防止の問題等で住民の皆さまの御意見が一番大事な問題でございまして、いまそういう意欲を持ちましてこれから調査あるいは具体的にこれを進めよう、そういう気持ちでおるのでございます。
○島本委員 もう時間がないからやめろという紙がきてしまいましたが、私自身もいろいろともっとお伺いしたいこともあるわけであります。最後にただ一点、やはり休廃止鉱山、休または廃止してしまってそのままにしておけば、その水によって相当の被害を住民に及ぼすことになります。それをそのまま便っておれば、やはりそれに対する保安の措置とあわせて十分な対策も講じられることになると思います。エネルギー対策の中でも、最後に石炭専焼の火力発電の構想、これは生かすべきであろう、これはいまの産業構造の面からも、一つの今後の行き方からしても、公害をなくするという考え方からしても、根絶させないための十分な配慮という意味においても、私は必要だと思います。今後これを大いに進めてもらいたいと思うのです。ことに北海道の場合には、そこに一つの生きるための方法というか、拠点を置いているのでありますから、この点は強力に進めておいてもらいたい。休廃止鉱山にしないための方策として、私はこのことを心から望んでおきたいわけであります。大臣、最後に決意を承って、私は終わらしてもらいたいと思います。
○中曽根国務大臣 熱意を持って、できるだけ早目にそれを実現するように努力をいたします。
○島本委員 長い間、ありがとうございました。
○田中(六)委員長代理 坂口力君。
○坂口委員 最初に通産省のほうにお伺いをしたいわけでございます。 水俣判決でも明確になりましたように、本来鉱害問題は行政当局の手抜かりから発生したものがいままでに多うございます。この休廃止鉱山に対します決議を商工委員会で四十六年に、それから公害環境特別委員会でも四十七年に行なっておみえになります。それぞれの決議事項に対して、その後具体的にどういうふうに取り組まれたかということを、まず通産省のほうからお伺いをしたいと思います。
○青木政府委員 決議に対します通産省における対策の実施状況について概括的に申し上げます。 まず第一に実態調査でございますが、重金属による鉱害のおそれのある千五十鉱山に対しまして、昭和四十五年度から四カ年計画で調査を実施中でございます。四十八年度もこれを継続して行ないますが、四十八年度で大体完了する予定でございます。 それから、四十八年度から地方公共団体に委託いたしまして、その千五十鉱山以外の休廃止鉱山につきまして概査を行なう予定でございます。これは四十八年度分九百四十鉱山を行なうことといたしまして、予算に計上いたしております。 また、鉱害防止のための監督の強化をはかるために鉱山保安監督局部の鉱務監督員の増員を行なうことにいたしまして、四十八年度に二十四名の監督員の増員を行なうことにいたしております。 それから決議の第二の事項の連絡体制のことでございますが、環境庁及び厚生省と密接な連絡をとっておりまして、特に先ほど御説明いたしましたように、毒劇物の取り扱いにつきましては厚生省との間に連絡会議を設けまして、四十七年六月に鉱山保安法の省令を私どものほうとしては改正いたしまして、毒劇物に対する規制を強化したところでございます。 第三番目に、補助金制度の拡充強化と資金の確保でございますが、鉱害防止義務者が存在していないものにつきまして、地方公共団体が行なう鉱害防止事業に対する補助金を、四十八年度には、四十七年度の二億三千万円に比べまして約三倍の七億円に大幅に増額いたしますとともに、鉱害防止義務者が存在するものにつきましては、鉱害防止工事を計画的に行なわせるように金属鉱物探鉱促進事業団法を改正いたしまして、四十八年度から政府資金を長期低利で融資いたしまして、さらに鉱害防止義務者が他の金融機関から資金を借り入れる場合には、その債務保証を行なえるような所要の改正をすべく現在御提案申し上げているところでございます。 このように所要の予算措置、連絡体制の確保の立法上の措置をはかって、その実効を期しているところでございまして、今回の特別措置法案のほうでは、最後の総合的な鉱害防止措置といたしまして、鉱害防止義務者に将来生ずる鉱害源の確実な処理を担保するために鉱害防止積立金制度をつくることにいたしております。 さらに、現に生じております蓄積鉱害源の処理に関する鉱害防止計画を作成して、計画的に処理するということを義務づけることを柱とした法案を出しておるわけでございます。 通産省としましては、こういうことによりまして、国会において決議されました対策を推進しておる次第でございます。
○坂口委員 環境庁にお聞きします前に重ねて通産省のほうにお聞きしたいわけでございますが、先ほどいろいろと御説明がありましたその中で、これは通産省のほうからいただきました資料によりますと、現在休廃止鉱山は五千三十七という数字であります。休廃止鉱山がこれだけあるわけですが、四十七年の質疑なんかで見ましても、先ほどちょっと島本先生との御討議の中にもありましたが、これは労働省、農林省、厚生省、通産省、環境庁が一体となって総点検を行なうという御答弁があるわけです。この五千三十七の総点検の計画、いまおっしゃった中にも入っていると思うのでございますが、その中で、点検をなすってこれは注意しなければならぬというふうなものはどれだけあったか、それをひとつお聞きしたいと思います。
○青木政府委員 お答えいたします。 五千三十七の休廃止鉱山がございますが、このうちの六百三十八につきましては相当危険度が高いので、鉱山保安監督局部におきまして定期巡回をいたしておりますので、この実態の把握を十分いたしておりまして、なおそこから出ます廃水につきましては鉱山保安監督局部で直接監督しまして、基準以下に押えるような措置をとっております。 それ以外の休廃止鉱山につきましては、先ほど申し上げましたように、千五十の鉱山につきまして現在調査中でございまして、四十八年度をもって千五十の全部の調査が終わることになっております。残りの三千三百四十九がございますので、この三千三百四十九を調査いたしますために県に概査を委託する制度を四十八年度から発足させる、こういう調査計画になっておるわけでございます。 いままで重金属調査で調査いたしました数字でございますが、四十七年九月末現在の数字でございますが、現在この千五十のうち調査が終わりましたのが約六百五十一鉱山でございます。このうち何らの措置も必要ないといいますのが二百三十六ございまして、そのうち何らかの措置が要るというのは四百十五ありまして、この四百十五のうち非常に危険度の高いものからそれぞれ措置をとることにいたしまして、義務者の存在するものにつきましては鉱業権者等に指示をいたしております。それから義務者の不存在のものにつきましては緊急のものから漸次都道府県と協力いたしまして鉱害防止工事を実施していく、こういう順序になっておるわけでございます。
○坂口委員 いま六百三十八非常に危険度の高いものがあるという御答弁がございましたが、もう少し具体的にお願いしたいのは、その危険度が高いというのは、そこからの廃水の水の中にかなり重金属等がひどく、その周囲の住民の健康等に害を及ぼすほど含まれている、そういうことでございますか、六百三十八が非常に危険度が高いというのは。
○青木政府委員 六百三十八と申しますのは休廃止鉱山の中で非常に汚水を出しておる山でございまして、これは鉱害防止工事をさせるだけではなくて、定時に回りましてその水を検査して、常にその出ます水を基準以下にするように鉱山保安監督局が監督しておるという数字でございます。その他のところは定時には回りておりませんので、先ほど申し上げましたように、調査をいたした上、必要なものについて必要な措置をとる、こういう処置をしておるわけでございます。
○坂口委員 重ねてお聞きをしたいと思うのですが、たいへんこまかなことになりますけれども、そういう検査をなさいますときに、これはたとえば年に一回してしまったらそれでそこは終わりということでございますか。それとも、たとえば定期的に年に何回かというふうにおやりになっておるのかどうか。
○蓼沼説明員 お答えいたします。 現在対象といたしております鉱山の中で定期的に巡回をいたしております鉱山は稼行中のもの、それから現在までに問題があるというもので休廃止鉱山になっているもの約二千、これが対象になっているわけでございます。それ以外に現在調査をしております鉱山、これを数カ年計画で全部きれいにしてしまおう、こういうことでやっておるわけでございますが、調査をいたしております対象は現在調査がどんどん進んでおりますのでこれは一回ということでございます。ただし、その調査の結果対策が必要なものについては、鉱山保安法の中でフォローアップ、追跡調査ということをいたしておりますので、必要に応じて調査の回数は多くなるわけでございます。
○坂口委員 たとえばそういうふうな休鉱山がそこにあって、そしてその下流のほうで水道水をとるというような問題が現実問題として起こるわけでございますが、水道のほうは厚生省のほうですね。そのときに水道水を取るというような場合に、その上流のほうに休鉱山があるような場合には、通産省と厚生省の間では何かそういった連絡というようなものはあるわけですか。
○浦田政府委員 水道法によりまして厚生大臣がその計画を認可するという仕組みになっております。事前にチェックいたします。その段階で必要な情報は通産省のほうに御連絡いたしまして得るようにいたしております。
○坂口委員 そのときに、たとえば水道を引きますときには、取り口と申しますか、そこの水についていろいろきめられたこまかな項目がございますが、そこの水の検査で合格さえすればいいということでございますか。
○浦田政府委員 上水道は人間の飲用に供するという非常に重大な意味を持つものでございますから、水道法で給水する水の基準について非常に厳重な規定を設けております。しかし、取る水につきましては基準はございませんが、事実上の問題といたしまして、人間の健康にかかわることでもございますし、また、そういった原水から水をつくり出すいわばコストの問題にもからむことでございまして、私どもは、先ほど申しました計画をチェックする段階でもってそういった点も十分気をつけるように事実上の指導をいたしております。
○坂口委員 実は例といたしまして高山市に平金鉱山、休鉱山になっておりますけれども、あるわけでございまして、この鉱山の下流のほうから水を取っている例があるわけでございます。その場合に、これは最終的にいろいろなデータが整ったわけではございませんので具体的な問題を問題にしようとは思いませんが、事実問題としてそういうふうな問題があるわけでございます。その平金鉱山の坑口の辺ではかなりカドミウムですとか、亜鉛、銅、鉛、こういったものが出ている。それからかなり下流ではございますけれども、水道の水を取っているわけです。 聞いてみますと、やはりじゃ口のところに出る水の段階では何らいまのところ問題はないということなんですが、その坑口から、かなりと申しますか、少し下のほうまでその川には魚が住まないというようなことがあるわけなんです。幾つかの川が相重なって下のほうに行っておりますので、水を取っておりますところに行きますと、かなりこれは薄められておるということは考えられるわけです。これにつきましていろいろ聞いてみますと、かなり以前に一度この水を水道に取りたいというふうに思って検査をしたときに砒素が出たので一ぺんそれを中止したというような歴史的な事実もあるわけです。ところが、最近ではそれが出ないということで、そこからすでに水道水が取られているわけでございます。 私どもいろいろ考えてみますのに、そういうふうな休鉱山でございますので、ふだんのときには流れている水の中にたいへん少ないけれども、たとえば非常に豪雨があったときですとか、あるいは地震があったときだとかというようなあとに、かなり多量に流れ出はしまいかという心配をするわけでございます。この前に砒素が出たというのは、どうも聞いてみますとあの伊勢湾台風のしばらくしたあとでの調査であったというようなことでございます。この具体的な問題をいまの段階でここで取り上げるつもりはございませんが、一般論といたしましてこういった休鉱山が上流にあります場合に、その下流から水道水を取るというようなことは、かなり神経質にやらないとたいへんなことにもなると思うわけでございます。その点、特にこの水道水を取られる場合に、普通の水道を引かれる場合とは別に、休鉱山が上流にあるというようなときには特別に何かそういうふうなチェックをしておみえになるかどうか、もう一度ちょっとお聞きしたいと思うのです。
○浦田政府委員 御指摘の高山市の水道の拡張工事についてお話申し上げたら具体例でもってよろしいかと思いますが、高山市の水道の拡張工事につきましては、確かにそういった市民の方の一部の不安もございました。したがいまして、私どもといたしましては、給水の面については十分に安全性が確保されておると思っておりますが、なお取水面につきましても十分に定期的に、というよりも毎日でございますが、検査を続行いたしまして不安を取り除くようにというふうに指導いたしまして、それは実行されているはずでございます。 〔田中(六)委員長代理退席、浦野委員長着席〕 それから、やはり原因となります廃坑でございますが、これらにつきましても、地震その他災害のときにくずれないように防護工事をする等の予防手段をとらせるように、これも厳密に指導いたしております。 それから一般的な例といたしまして、そのような個所を上流に持っているという水道計画につきましては、事前に十分調査をし、検査をして安全性を確かめて工事を進めるように指導いたしたいと考えております。 また、地震、災害等のとき、あるいは洪水等のときは水そのものの濁度が非常に増すとかいうことでございまして、そういったときには一時取水を停止するというふうに指導いたしております。
○坂口委員 ひとつ飲み水のことでございますので、そういうふうな地形のところは十分注意をしておやりをいただきたいと思うわけでございます。 また、通産省のほうにお伺いしたいわけでございますが、いろいろこの総点検をなさいます場合に、検査の対象となります重金属、これはどんなものが含まれておりますか。お聞きしたいのは、砒素だとか、鉛だとか、亜鉛だとかいうようなものも入っているかどうかということをちょっとお聞きしたいわけです。
○青木政府委員 砒素、鉛、亜鉛、すべて入っております。
○坂口委員 これは先ほどの島本議員の御質問の中にもあるいはあったかと思いますけれども農用地の土壌の汚染防止等に関する法律がございますが、この中では、砒素だとか、鉛だとか、亜鉛というようなのは除かれているわけでございます。除かれていますね。それで休鉱山等がありまして、その下のところに、あるいはその周囲に田畑がかなりある場所があると思うのです。その場合に、もしもその鉱山からいろいろのそういうふうな重金属が流れ出れば、当然その地域の土壌というのは汚染をされると考えなければならない。ところが、この農用地の場合にはカドミと銅が入っておりますけれども、砒素だとか、鉛とかいうのは入っていないのか、ひとつお聞きしたいと思います。
○岡安政府委員 土壌汚染防止法によりましては、有害物質につきましては政令でこれを指定するということになっておりまして、現在カドミウムと銅だけが指定されております。お話しの砒素、鉛等につきましては、やはり土壌中に含まれます砒素、鉛の量と、それからその土壌で生産されます農産物中にどれだけこれが移行するかというようなメカニズムの調査を現在いたしておりますので、それらの結果をまちましてできるだけ早く有害物質に指定をいたしまして規制の対象にいたすということを考えておる次第でございます。
○坂口委員 そういたしますと、これは間もなく取り入れていただくというふうに解釈してよろしゅうございますでしょうか。環境庁長官、先ほど向こうのほうの環境庁のほうの会議のときにお話が出ておりましたが、法律というのは、そのときどきに合ったように常にこれは変えていかなければならないのだという御見解であったように承りましたが、これもその一つではないかと思いますので、長官から、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律の中に、砒素だとか鉛、亜鉛、これを入れるということについてひとつ御見解を承りたいと思います。
○三木国務大臣 土壌汚染の中にはカドミウムだけですが、これはやはりもう少し範囲を広げて、(坂口委員「カドミと銅の二つ」と呼ぶ)これはそのような方向で検討をいたすことにいたします。
○坂口委員 ありがとうございます。ひとつ早急にお願いをしたいわけでございます。 それから、時間がありませんので次に移らせていただきますが、この水質汚濁防止法、この中の十九条に損害賠償の項がございますが、ここに有害物質ときまった日以後の賠償というふうになっておりますが、これについて一つの休鉱山なら休鉱山があって、その地域でその住民に何か異常が起こった。その場合に、その因果関係ははっきりわからない。ところが何かが起こった。そのあとで、その中に含まれておる何かの物質と、それからその疾病との間に何らかの因果関係があるということがあとでわかった。その物質が新しい有害物質であったら、それは有害物質ときまった日以後の賠償というふうになっておりますけれども、これはそういうふうに私理解しているのですけれども、もしもそれだったら、ちょっとその辺が理解ができにくいので御説明をいただきたいと思います。
○船後政府委員 水質汚濁防止法の第十九条は無過失責任を規定したものでございますが、この第二項によりまして、新たに有害物質となったものにつきましては、この規定は、有害物質となった日以後の水質にかかわる損害について適用があるということになるわけでございます。このように定めておりますのは、無過失責任は、被害者の側におきまして故意、過失の立証を要しない。民法の原則といたしております過失責任主義の大きな例外をなすものでございますから、したがいまして、物質を特定しておるということになるわけでございます。 しかしながら、ただいま御指摘がございましたように、被害が起こった状態においては有害物質であるかどうか全くわからないというようなものにつきまして損害賠償の責めがあるかどうかというのは、過失責任主義のもとにおきまして責めに任ずることになるわけでございまして、個々のケースに即しまして故意、過失の立証ということが行なわれる。その故意、過失の立証につきましては、御承知のとおり最近の判例、これはすべて過失責任主義のもとにおける判決でございますが、最近の判例はかなりゆるやかな立証になっておるという状況でございます。
○坂口委員 この点についてもう一つだけお聞きしておきたいと思いますが、そういたしますと、その有害物質がその疾病との間に因果関係があるということがわかって、その有害物質が既存の——既存のものであるというと変ですけれども、すでにいままではっきりしているものであった。たとえば水銀なら水銀みたいなものとの関係があったというような場合にはさかのぼるわけでございますか、お聞きしたいと思います。
○船後政府委員 第十九条の無過失責任の対象となっております有害物質は、水質汚濁防止法によりまして有害物質として規制いたしておる物質でございます。したがいまして、行政規制の面におきましては、物質が人間の健康というものに環境を通じて重大な影響があるということが判明いたしますれば、当然取り締まりの対象として有害物質に指定するわけでございますし、そういう規定されております有害物質によって被害が生じますれば、その場合には、この十九条の規定によりまして故意、過失の立証は要しないということになります。
○坂口委員 そういたしますと、私はそこでたいへんわかりにくくなるわけでございますが、たとえいままで明らかになった物質ではなくても、それがはっきりと因果関係が証明されればやはりその以前にさかのぼるというふうに改めるべきではないかと思いますが、この点いかがでございますか、もう一度お願いしたいと思います。
○船後政府委員 民法の原則といたしましては、七百九条に不法行為の規定がございますが、やはり行為者におきまして、故意または過失責任を前提といたしておるわけでございます。したがいまして、無過失を規定した条文は、この水質汚濁防止法のほかに鉱業法等にも例があるわけでございます。いずれにいたしましても、あとからさかのぼって無過失を適用するということは法秩序の維持の点からきわめて問題がある、かように考えております。
○坂口委員 この問題は、ほんとうはもう少しお聞きしたいのですが、時間がございませんので、日をあらためて、私も勉強さしていただいてお聞かせいただきたいと思います。 次に、いわゆる休廃止鉱山における鉱害の問題というのはいままでたくさんございましたが、それは企業にも責任はございましたが、私は通産省のほうにもあったと思うわけでございます。なぜなら、鉱業法の百九条に賠償の義務というような項目がございます。それからもう一つは、鉱山保安法の第二十六条に、五年間の間は通産省が鉱害を防止することに対して命令権があるというような法律がございます。この法律の運用というものは、現在までどういうふうになっていたのかということをお聞きしたいわけでございます。
○青木政府委員 鉱業法百九条は、鉱害につきましては無過失責任制度をとっている制度でございます。したがいまして、鉱山の活動によりまして被害を受けました被害者は、過失あるいは故意を証明せずして賠償責任を追及することができるわけでございまして、たとえて言いますならば、最近の例で言いますならば、イタイイタイ病に関しましては、この法律の適用によりまして、故意または過失の証明なしに三井金属鉱業に賠償責任が課せられたという運用になっておるわけでございます。 それから二十六条の命令は、鉱業をやめましたあと五年間は通産大臣が公害防止上の措置につきまして命令ができるということでございまして、この命令は、適宜私どもとして必要がある場合に発動しておるわけでございます。
○坂口委員 この保安法の第二十五条、それから第二十六条についての通産省の命令交付状況の一覧表というのを私いただいております。これを見せていただきますと、これができました昭和二十四年から四十五年までの問は全然ない。四十六年からあとに実質的には何回かの命令交付状況というのがございます。 私は、この問題をここで詳しく申し上げようというわけでは決してございません。こういうふうにやろうと思えばできる法律があるのに、それがつくられたままで全然それが運用されずに二十四年から四十五年まで来ておるということでございます。この間全然それじゃ何もなかったかというと、私はあったと思うのです。四十六年からせきを切ったようにだだだだっとこう来ておるわけでございます。私はなぜこんなことを申し上げるかといいますと、今回新しいきょう審議をしております法律ができるわけでございますけれども、いかに法律ができましても、こういうふうな運用上の欠陥がありますと何にもならないということでございます。そういうふうな意味で、新しい法律ができるのはけっこうでございますが、この保安法のようにつくりはしたけれども、長い間、二十年も近くの間何にも運用されずそのままになっている、こういったことがあってはどうにもならないと私は思うわけです。 そこで通産大臣に最後にひとつ今後の新しいこの法律のできることに対する姿勢なるものをお聞かせいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 やはり法律ができます場合には、法律の条文もさることながら、官庁も含めた社会意識というものが非常に重要であろうと思います。公害問題等に関する社会意識がこれだけ高まってまいりまして、そのまわりの力に作用されて法律の寛厳おのおの時を得るように運用されてきているわけでございます。したがって、いままでそういう法律があっても、基準がなかったとか、基準をつくる意欲が自覚されなかったとか、そういうポイントは私はあったんだろうと思います。 しかし、幸いにこういうふうに社会意識が広まってまいりまして、官庁自体も戦々恐々として公害問題に取り組むようになってまいりました。今回の法律をつくるにあたりましては、われわれは単に法律の条文だけでなくして、官庁自体のそういうものごとに対する心がまえをよくわれわれの吏僚に伝えまして遺憾なきを期したいと思います。
○坂口委員 時間がなくなりましたので、いま通産大臣からお聞きいたしましたが、ひとつこういうふうなことがないように、保安法だって四十六年まで全然そういうふうな社会的な意識の場で問題になっていなかったことはなかったと思うのです。これはもう四十年ごろからいろいろ問題が出ていたわけです。しかしながら、四十六年まで運用されていなかったというような実例がございます。ひとつその点、今後ともよろしくお願いしたいと思います。 あと二、三お聞きしたいことがありますが、時間が参りましたので、私は、きょうはこの辺でやめさせていただきます。ありがとうございました。
○浦野委員長 以上で、本連合審査会は終了いたしました。 これにて散会いたします。 午後七時十四分散会