商工委員会 第50号
- 発言数
- 122 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/09/07
会議録
○浦野委員長 これより会議を開きます。 参議院から送付されました内閣提出、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田哲児君。
○岡田(哲)委員 いまお話がありましたように、参議院からの送付でもありますし、また、この法案は、当然現時点ではできることが非常に必要だというふうに考える立場でございます。しかし、そういう立場でございますが、当然この審議の過程の中で、この立法に肉をつけ血を通わせる、こういうことが必要でありますので、もしそういう点に触れます場合には、十分答弁やその他の方法で明らかにしていただくようにお願いしながら、入っていきたいと思います。 その一つは、一九七一年のアメリカの学者の報告によりますと、現にあります化学物質の数が約二百万種、年間で二十五万種類の増加、そのうち、少なくとも五百種類の化学物質が工業化されているという話であります。政府の答弁で聞きますと、工業化されているものが国内で大体七千程度、製造で五千種、輸入で二千、毎年四百種類の増加があるといわれておるわけであります。私の聞きたいところは、国内で八千が七千という千の差、増加数で五百が四百という百の差、こういう数字の問題を言っているのではありません。現在までにすでに七、八千程度という非常に多い化学物質があるのだということであります。それから毎年増加するのにも四、五百あるということであります。 また一方、先日磯野参考人の御意見にもありましたように、WHOの最近の出版物にアメリカ政府が発表したリストで、人間環境に約一万五千種類の有害物質が現存している。さらにドイツやスイスでも、調査の結果、家庭環境に入り込む危険のある有害物質の総計約四万種類が記載されていると述べられました。こういうことを考えてみますと、私の受け取り方では、とにかく有害と認められる化学物質がすでに現在数千から万という単位にあるというふうに思うわけであります。 それから、話は違うのでありますが、先日の軽工業生産技術審議会の答申の中でも、新たなもので製造または輸入するものについては予防的な観点に立って安全性を確認する、既存のものについては早急に安全性を確認する、こういうふうに言われておるわけであります。新規も既存も、予防的観点と早急にということばの違いだけで、ともにこの安全性を確認する必要は一致しているというふうに思うのであります。 そこで、この予防的観点といい、早急にという、これはともに安全性の確認をすることには間違いないのでありまして、ことばは変わっていても、新規も既存も、ともに安全性の確認が必要である。すべての安全性は同じように確認することだというふうに思うのです。言うならば、新規も既存もすべて安全性を確認する、こういう立場に立っていると思うのでありますが、いかがですか。
○飯塚政府委員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、化学物質につきましては新規も既存も問わず、これが環境を経由いたしまして人の健康に甚大な影響を及ぼすようなことは徹底的に取り締まる必要があるわけでございます。
○岡田(哲)委員 だが、この法で見ますと、新規化学物質と限定をしているように思うのであります。既存の化学物質については、この法案で見ると、名簿に記載されるだけで届け出の義務もなく、したがって事前審査の対象にもならない、安全性の確認のための審査はない。これは非常に種類の多い既存物質について不明確だというふうに思うわけであります。よって、この新規と同じような立場で審査をするというふうにいま言われたわけでありますが、この特定化学物質の指定、二十三条の製造、輸入、使用の制限に関する勧告の措置、こういうものについては、当然この際明らかにしておく必要があるというふうに思うのであります。ですから、この新規と特に限定をしていないということをこの際明確にしていただきたいと思うのです。
○飯塚政府委員 この法律におきましては、新たに化学物質を製造し、または輸入するものにつきまして審査をし、許可制にかからしめるということになっておりますが、既存の化学物質につきましても、これを十分監視していく必要があることは先生御指摘のとおりでございますけれども、本法におきましては、既存の化学物質につきましては、附則の第二条におきまして、既存化学物質の名簿をつくりまして、この名簿の中の化学物質につきまして国ができる限りすみやかにこれの分解性、蓄積性、さらに慢性毒性あるいは特殊毒性等につきまして審査をいたしまして、もし審査の結果、本法で言います特定化学物質として指定する必要があると認めた場合には、二十二条によりましてその製造の禁止並びに回収等の措置を命ずることになっておるわけでございます。 さらに、審査の結果、まだ明確な結論が出ていない段階におきましても、特定化学物資に該当すると疑うに足りる理由がある場合につきましては、事前に二十三条によりまして勧告をいたしまして、できる限り事前の措置として、こういう物質が引き続き生産され、販売され、環境を汚染することがないように措置をいたしておるわけでございます。新規のものにつきましてはこれからつくるわけでございますので、この法律で最初から製造、輸入の許可等ができるわけでございますが、現在製造され流通、販売されております既存の化学物質につきまして、直ちに新規のものと同じような扱いをすることは法制的にもいろいろ問題があるわけでございます。しかしながら、実態的にはこういう物質についての弊害が起こらないように、ただいま申し上げましたような法律上の規定によりまして措置することにいたしておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 いまの御答弁だと立法上むずかしいという話でありますが、考え方はそういうふうに考えられているとするならば私も一応了解するわけでありますが、そのためには事前審査の審査方法、試験項目、実施要領という具体的対策や措置などを、これは当然この法案自体を見ましても非常にその辺が不明確だというふうに私は思いますので、この際以上のようなものをきちっとあげていただきまして、資料として提出してもらいたいと思います。いいですね。 次に、聞くところによりますと、PCBの数は二百九種類の違った化合物質の混合物であるというふうに聞いております。そういたしますと、PCBだけでも二百九種類の物質があるわけでありますから、ここで、私どもはいままではそういうことをあまりよく知らずにPCBだけを問題にしてきたのでありますが、PCBを一つだけ適用するのか、あるいは二百九種類の数一つ一つを適用するのかということになってくるのでありますが、この辺の見解はどういうふうにお考えでしょうか。
○赤羽説明員 PCBを化学的に見ますと、確かに二百九種類ございますが、実際工業的に使われておりますのは、これはつきます塩素の数によって大体の性質が分かれます。そのうちの三個塩素が入ったもの、四個塩素が入ったもの、これが主体でございます。なお、それの塩素のつき方による異性体というのが幾つかございますので、その混合物になっておりますから、実際の商品としては一つのグループとして、大体大まかに数個のグループを試験すれば十分であると考えております。
○岡田(哲)委員 アメリカの法律をちょっと見ますと、危険な化学物質またはその物質群と、群というふうにうたわれております。いまのお答えを私聞いておりまして思うのでありますが、やはりPCBの中にはいま言ったようなものがある。こういうものは群というふうなとらえ方をすべきではないかというふうに思います。どうもわれわれこういうのに非常に弱いのでありますが、やはりPCBをめぐる群ということばはなぜか立法の中には一つも見られなかったのでありますが、それはどういうような立場に立たれて出されておられるか、この辺についてお伺いしたい。
○飯塚政府委員 一つの化学物質の類型として考えます場合に、御指摘のようにPCB群というような考え方はあるかと思います。しかしながら、法律に基づきまして厳格な審査をし、規制をするということになりますと、群というような比較的常識的な観念だけで規制するわけにはまいらぬと考えますので、したがって群の中の個々の物質が取り上げられまして、これが個別に審査を受け、規制の対象になるということにせざるを得ないかと思います。 〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕 ただ、いずれにいたしましても、群の中に属する化学物質につきましては大体同じような化学的な性質を有すると考えられますので、たとえば分解性につきましても、蓄積性につきましても、同じような観点からこれの審査に当たることは考えられるわけでございます。現実の法律上の取り締まりとしては、個々の物質ごとにやる必要があるわけでございます。
○岡田(哲)委員 そうすると、PCBが二百九種類ある。PCBというだけでなしに、その中の幾つかお答えがさきに課長からありましたが、そういう二百九種類の中でも適用するものとそうでないものというふうに一つずつ個々にいくわけですね。そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○赤羽説明員 普通工業的に使われますPCBは、生産するときに、たとえば三つ塩素が入ったものをつくろうとしますと、それの類似のものが一緒にできてそのまま使用するわけであります。したがいまして、そのでき上がりましたそのものを一つのグループとして対象にして実際上の問題は差しつかえないと思います。ですから、塩素三つのグループのものあるいは四つのグループのもの、そういった扱いが実際的かと思われます。
○岡田(哲)委員 ちょっとよくわかりにくいのですが、その場合三つか四つの群をPCBという名前で取り扱うのか、やはり何々群というふうに言うのですか。いまの答弁だと私よくわからないのです。
○赤羽説明員 具体的にはその際の名称のつけ方にいろいろくふうが要るかと思います。ただし、PCBの場合には比較的はっきりしておりまして、PCBのうちの三塩化物というような表現で実際の製品の性格はあらわせるんじゃないかと思います。
○岡田(哲)委員 次に、PCTについてちょっとお伺いをしたいのでありますが、資料を提出していただきましたところによりますと、昨年の六月までに二千六百二十トンが生産をされ、百四十トンが輸入をされている、合計二千七百六十トンというふうになるわけであります。人体への影響は、急性毒性はPCBよりは弱いというふうにいわれております。慢性毒性は不明であって現在その試験中である、こういうふうに資料が出されたのでありますが、この調査によりますと、このPCTは人間は汚染されておりますが、魚や野鳥についての調査を見ますとほとんど汚染されていない。見方によっては食物から人間のからだに入るということではどうもない、生活環境から直接人体を汚染しているものだ、こういうふうに考えられるわけであります。 そこで現在、先ほど申し上げたように、こういうPCTというものが二千七百六十トンも出回っておって、それが現在おそらく回収の方向に回っておられると思うのでありますが、このPCTの取り扱いというものは一体どういうふうにこの立法の中でされようと考えているのか。 それから輸入があるから外国では使っていると思うのでありますが、外国の例がもしおわかりになったら知らせていただきたい。 それからもう一つ、先ほど試験中と言ったのでありますが、厚生省の国立衛生試験所で試験をしているようでありますが、この試験の経緯などわかっておりましたら教えていただきたい、こういうように思います。
○飯塚政府委員 PCTにつきましては、日本におきましては、先生御指摘のように鐘淵化学及び三菱モンサントの二社におきまして現在まで約二千六百トン生産されたわけでございます。これは毒性についてはまだ試験中でございまして、不明な点が多いわけでございますけれども、いずれにしてもPCB類似製品でございまして非常に問題のある製品ということで、昨年三月にこの両メーカーとも生産を中止いたしております。またこのために現在は生産も……
○岡田(哲)委員 そういうことを聞いているのじゃない。この立法の中でPCTをどういうふうに取り扱うかということです。
○飯塚政府委員 PCTにつきましては、PCBと同じような性質のものというふうに一般に考えられておりますが、分解性、蓄積性、慢性毒性等の試験を経まして、これは有害であるという判定をいたしますと、特定化学物質として指定されるわけでございます。現在はPCBと同じように行政指導によりまして新たなる生産、販売は中止させておりますけれども、今後試験等を経まして審査の結査、特定有害物質として指定されますと、この法律に基づいて製造、輸入の禁止並びに販売製品の回収等の措置が講ぜられることになるわけでございます。 それから第二問の、外国の例並びに厚生省の試験所におきます研究状況につきましては、担当課長から説明いたさせます。
○赤羽説明員 補足させていただきます。 PCTにつきましては、これまでに使われましたのはPCBとやや異なりまして、電気関係もございますが、接着剤、塗料、インキというような開放系の用途が多うございました。したがいまして、すでに使われたものにつきましてはアンケート調査を行ない、現在いろいろ調べておりますが、予想されますところではこの回収はかなり困難かと思われます。毒性等はPCBより少ないという報告もございますが、まだ十分なデータがとれておりませんので、厚生省のほうで試験を行なっておられます。 なお、本法の運用につきましては、既存物質の見直しのとき、最も優先的に試験の対象として取り上げられるものの一つかと思われます。
○松下政府委員 衛生試験所におきますPCTの検査につきましては、環境衛生局のほうで食品との関連におきまして調査を委嘱しておるという報告は受けておりますが、現在の進行状況につきましては、申しわけございませんが、いま手元に資料がございませんので、ただいま電話で照会中でございます。連絡があり次第お答え申し上げたいと思っております。
○岡田(哲)委員 私は、PCBは新規化学物質の第一号に入れるというふうに聞いておるわけであります。いまの御答弁だと、既存物質のうちの取り扱いでPCTを取り扱うということですが、その辺の関係は、いままでの筋道からいいますと少しおかしいように思うのですが、どうでしょう。
○飯塚政府委員 PCBは従来から日本において生産され、また輸入もされ、かつ流通経路を通して販売されておったわけでございまして、したがって、法律上の概念としては既存化学物質になるわけでございます。この既存化学物質の中でおそらく第一号として特定化学物質に指定される、こういうふうに考えております。
○岡田(哲)委員 いまのを確認するのでありますが、新規の第一号だというふうに聞いたのでありますが、既存の第一号にするということですか。その辺くどいようでありますが、どうですか。
○飯塚政府委員 第一号と申しますのは、特定化学物質としての第一号に指定される、そういう意味でございまして、したがって、これは化学物質としては新規ではございませんで、既存でございますけれども、ただ特定化学物質としての指定の第一号だという意味であります。
○岡田(哲)委員 次に、これは非常に簡単にお伺いします。 「自然的作用による化学的変化」というふうにありますが、これはどういうことをいわれておるのか。 それから、生じにくい、生じやすいというふうにいわれておりますが、この判定の基準はどこに置かれているのか。この二つをお伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 「自然的作用」と申しますのは、空気とか日光とか熱あるいは微生物、こういったものによりまして化学物質がそういう自然界の物質の影響によりまして変化をすることをいうわけでございますが、いま申し上げましたような自然界の諸物質の中で一番その自然的な変化を起こしやすいものは微生物でございます。ここでいっておりますのは、化学的な微生物による自然的な作用による変化ということをいっておるわけでございます。
○赤羽説明員 この法律では、環境を汚染して、そのものが再び人間に入ってくるという害を規制する趣旨になっております。そうしますと、自然界にそのものが汚染として残るか残らないかということが重要な判断の基準となりますので、変化の起きやすい、起きにくいは、結局分解率ということばで普通はあらわしておりますが、逆に換算いたしますと、何日間たてばどのくらいなくなるということが目安になるかと思います。それで、実際すでに知られておりますものでやってみますと、数日で分解してしまうもの、何年もかかるものというようにかなり差がございますので、そこで実はかなり明確な判定ができるのではないかと思っております。
○岡田(哲)委員 私の言っている生じにくい、生じやすいというのが答えになっていない。
○赤羽説明員 不幸なことでございますが、PCBが環境に流れ出まして、これが環境を汚染しておるということについて、かなり多くのデータがとれました。これが一つの目安、基準になって今後の判定に使えるかと思われます。
○岡田(哲)委員 非常に不明確なんですね。生じにくい、生じやすいという基準なんですが、もう少しわかりやすく説明できぬでしょうか。 それから、いま微生物から入ってくるというようなお話がありました。しかし、これを見ていきますと、環境の汚染ということがいわれているわけであります。先ほど私はPCTについて触れたのですが、PCTというのは野鳥やその他人間外のものからは、どうも食物からは入ってこない、直接環境の中から起こっているというふうにいわれているのですね。ですから、いまのお話を聞いていると、微生物から入ってくるということになりますと、このPCTの取り扱いはおかしくなってくる。だからその辺を明確にしてもらいたい。
○赤羽説明員 人体に再び入ってまいりますときに、食物等を経て入る場合と、直接呼吸や皮膚に触れて、飲み水とかで入ってくる場合と、いろいろございます。両方ともこの場合は対象になるわけでございまして、その際、環境にどれだけたまっているかということが問題でございます。微生物と申しますのは、環境に出ましたときに、それが分解して無害化され、環境に残っているかいないか、その判定のもとになるわけでございます。
○岡田(哲)委員 そこで、この環境ということばなんですが、アメリカの立法を見ますと、「環境には、水、大気、陸地、そこに生息するすべての生物、及びこれらすべての間に存在する関係そのものを含む」こういうふうに、私どもが読んでも非常にわかりやすくなっております。この一条の中でも、環境の汚染防止ということがうたわれているのです。しかし、第二条の関係に入ってみますと、どうもその環境ということばはなくなってしまって、人間の健康のみを規定しているというふうに思うわけであります。人間以外の生物及びそれらすべての間に存在するものの環境の点というものは、この二条の関係で見ますとあいまいになって消えているんじゃないかという感じがするわけであります。その辺は、先ほどPCTに触れたのもそれでありますが、そういう関係すべての関係というものでとらまえないと、たいへんこれは問題があとに残されるのではないか、こういうふうに私どもは心配をするわけであります。ですから、せっかくりっぱな法律にするためには、そういう立場でこれをつくっていかなければならない、こう思うのでありますが、いかがですか。 〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕
○飯塚政府委員 御指摘のように、本法におきましては、人の健康をそこなうということに限定をいたしまして、環境の汚染というようなことについてまで規定をすることになっていないわけでございますが、アメリカにおきましては、現在まだ法案は審議中でございますけれども、環境の保護についても規定しておるようでございますが、ただ、今回のこの法律の中で自然環境、自然、たとえば動植物等の被害というような自然界に対する影響につきましてここで取り上げなかったのは、化学物質が生物に与える影響は一体どういう程度のものであるかということが、その因果関係並びに程度につきまして、十分、現在の段階では試験し得るところまでは至ってないわけでございますので、したがって、法律できびしく規制するというたてまえからいきますと、現在試験等の手法が確立している段階に限らざるを得なかったわけでございます。
○岡田(哲)委員 この第一条で、環境汚染の防止というふうにまずうたわれている。それから、いま申し上げたように、環境の中から人体に有害なものが出てくる、あるいは直接口からでなしに、PCTの場合、それ以外のところから出てくるというふうに私いままで言ってきたわけであります。いまのお話によりますと、人体だけで、環境についてはこの法律に入っていないということが明らかにされたわけでありますが、環境についても、因果関係からいって当然やらなければならなくなってくると思うのであります。環境については一体どういうふうにしようと考えておられるのですか。
○飯塚政府委員 環境問題の中で、現在具体的にいろいろ議論されておりますのは、たとえば富栄養化の問題があるかと思いますが、この問題一つ取り上げてみましても、この原因が一体化学物質だけによるものであるのか、あるいは屎尿とか工場排水とか下水、こういったものの複合的な汚染の影響によるものであるのか等いろいろ議論もあるところでございます。したがって、現在の段階で、たとえば富栄養化の問題一つとりましても、その原因が化学物質だけであるということできめつけるわけにはまいりませんので、先ほど申し上げましたように、環境の関係につきましてはこの法律で取り締まるということがなかなかむずかしい段階でございます。しかしながら、いずれにいたしましても富栄養化の問題につきましては、今後とも関係各省相協力しましてこの問題の究明に乗り出さなければいかぬことは事実でございますので、これらの点が明確になります段階におきましては、この法律におきましても、取り上げ方につきまして検討する必要があるかと考えております。
○岡田(哲)委員 答申の中にも当然この環境の問題が出てきているのです。いまのお答えでは、この立法では人の健康だけで、環境については触れない、こういうふうに言っておるのでありますが、当然触れなくてはならないということについてはお認めになっておるように私受けるわけであります。そういうふうな立場に立ちますと、この立法では人の健康だが、次の第二段階では環境というものについてやっていくのだ、こういうふうに受け取るわけであります。それならば、これは非常に重大な問題ですから、政府の態度として、この際明確に文書で出しておく必要がある、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょう。
○飯塚政府委員 軽工業生産技術審議会の「化学物質の安全確保対策のあり方」の答申におきまして、最後のところに、先生御指摘のような環境の問題につきましても指摘はされておるわけでございます。それによりますと、「化学物質により、生物相の調和が撹乱されることを防ぐことも重要な問題であり、ここでは検討の対象としなかったが、このような問題についても別途検討されるべきものと考える。」とうたっておるわけでございます。この「別途検討されるべきものと考える。」というのは、「化学物質のみならず下水その他種々の要因によるものであり、下水処理施設の整備等総合的な対策を講ずることが必要と考えられるが、」という前提を置いてこういう答申になっておるわけでございますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、政府といたしましては、この問題につきまして引き続き検討する必要があるということを明確にお答えいたす次第でございます。
○岡田(哲)委員 ですから、私がいま申し上げましたように、この立法では人の健康なんだが、これがさらに進むに従って、この立法の中に環境の問題を当然入れなければならぬ、こういうふうに考えられておるというふうに受けとめていいですね。
○飯塚政府委員 試験の方法あるいは環境に対する影響を総合的な立場から考える必要があるということで、現在の段階で直ちにこの法律で取り上げるということはいろいろむずかしい面もあると思いますけれども、今後の検討課題としてそういう方向で検討する必要があると考えております。
○岡田(哲)委員 非常に不明確なんですが、簡単にいうと、第一段階、今回の段階では人の健康、次の段階では環境の問題を入れる、こういう道筋で前向きで取り組んでいく、こういうふうに受けとめていいんですね。
○飯塚政府委員 そのように御理解願ってけっこうでございます。
○岡田(哲)委員 次に、除外されるものとして、毒物、劇物、覚せい剤、麻薬、放射性物質というものがあるのでありますが、いま問題になっている石油たん白、これについても除外されると聞いておるのであります。この本法の対象から除外をする理由というものを明確にしておいてもらわなければならぬと思うのでありますが、ここでその点を明確にしていただきたいのと、それから、石油たん白の除外は、この立法上の条項のどういうものを適用して、どういう解釈であるのか、この点をお伺いしたいと思うわけであります。 〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕
○飯塚政府委員 この法律で石油たん白を取り扱うかどうかという問題でございますが、結論から申し上げますと、石油たん白は取り上げないということでございます。取り上げない理由といたしましては、この法律では化学物質が環境を経由して人の健康に被害を与えるというものを取り上げておるわけでございますけれども、石油たん白は動物等の飼料として使われることが予定されておるわけでございまして、この場合には毒性そのものの試験が必要でございます。動物に直接食わせるわけでございますので、これは毒性があってはたいへんなことでございます。したがって、この法律でいっておりますように、一度環境に入れてそれが人体に影響を与えるというような経路ではなくて、直接動物の口に入ってそれが動物に対して被害を与えるのはもちろんのこと、人間にも影響を与えるということになるわけでございます。したがって、この法律で取り締まっておるよりもあるいはもっと厳格に取り締まる必要があるかと考えるわけでございますが、これにつきましては、農林省所管で飼料の品質改善に関する法律というのがございますけれども、聞くところによりますと、石油たん白あるいは石油たん白類似の製品の取り締まりの関係で、この飼料の品質改善に関する法律の改善等の措置を農林省、厚生省等で検討をしているように聞いているわけでございます。したがって、いずれにいたしましても、本法において動物の飼料等になります石油たん白を取り上げるということは適当ではなく、むしろ本法よりももっと厳格な規制の形の法律の体系で取り上げる必要があると思います。 なお、石油たん白につきましては、現在のところ、行政指導もありまして、企業においてもこれを生産し、あるいは輸入し、動物に使わせるということはないように指導いたしておりますので、当面石油たん白について問題が発生するということは考えられないわけでございますけれども、法律上の取り扱いとしては、ただいま申し上げましたようなことになると考えております。
○岡田(哲)委員 ちょっと大臣にお伺いをいたしますが、いまもちょっと触れましたけれども、毒物、劇物、覚せい剤、麻薬、放射性物質が除外される、また、その石油たん白も、いま言ったように、他の関係でやるからこれが除外される、こういうふうになっているわけです。この三十三条で見ますと、食品衛生法、農薬取締法、肥料取締法、薬事法、こういうふうに載せられているのでありますが、こういう重要なものについては、やはり二重規制があってもいいのではないか、こういうものについては、規制のいろいろなものが二重になっても、さらにやることが大事だ、こういうふうに私は思うのでありますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 念には念を入れよという御精神でより安全度を確保するという御趣旨はわかりますけれども、法のなじみぐあいからいいますと、ダブってかぶせるということは、特殊の場合を除いてはあまりないのではないかと思います。やはり当該特別法があるという場合には、その特別法を優先させて、それによる責任を明確にさせておく、そういう態度でいままで法の制定というものはきているように思うのでございます。これもやはりその同じような例ではないかと思いまして、御趣旨はわかりますけれども、それがために安全度が失われるということはない、そういうように思います。
○岡田(哲)委員 次に、届け出の関係ですが、厚生省令、通産省令で定める事項、この届け出の事項の内容はどのようなものであるかという点でございます。政令で定める場合は届け出は免除される。この政令で定めようとしているものは一体何か、またその理由はどうか、この条項の解釈で除外されるものは一体何か、拡大解釈によって抜け道になる心配が非常にあるのでありますが、その辺のことを一まとめにしてお答え願いたいと思うわけです。
○飯塚政府委員 第三条におきます省令によります届け出事項でございますが、厚生省令、通産省令で定めるところにより、化学物質の名称その他の厚生省令、通産省令で定める事項を届け出ることになっておりますけれども、これは名称のほかには、たとえばその化学物質の化学構造式あるいは検査の方法、用途とか生産数量、こういったようなものを届け出させることにいたしておるわけでございます。 それから第三条の第一項で「政令で定める場合」というのがございますけれども、これは先生御指摘のように、法律の抜け穴にならないかという点についての問題でございますが、ここで政令で指定いたそうと考えておりますものは二つございまして、一つは中間物質、もう一つは先ほども御質問が出ました飼料等でございますが、中間物質につきまして、これは政令で除外してもいいというように私どもが考えておりますのは、中間物質は原料として使用されて他の化学物質に変化するものでございますので、中間物質そのものが環境に放出されるということは絶対にない、そういう中間物質に限りまして、これの政令での除外指定を考える。飼料につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、いずれにしましても、ここでは非常に具体的な規定のしかたをしまして、いやしくも法律の抜け穴になるようなことにならないようにこの政令の書き方に気をつける必要があるわけでございます。
○岡田(哲)委員 この届け出が免除されるということで、どうも抜け道になるという心配はあるわけであります。いまお話しのように、十分この点は留意をしてやっていただきたいというふうにお願いをしておきます。 次には第四条の関係なんですが、三カ月以内に一号から三号までどれに該当するかを判断をする、こういうことだと思います。しかし、見てみますと、おそらく全部といっていいほど四条の三号になるのではないか。一、二は大体もうあれですが、すべてといっていいほどこの三号になるのではないかというふうに思います。そういうふうに見ますと、その中で「すみやかに」というふうにうたわれておるわけであります。この三号というのは、御存じのように一、二のどれに該当するか明らかでないもの、こういうことですね。非常に不明確で、むずかしい、判断しにくいというものが三号になるわけでありますから、それをすみやかに判定しなければならぬ、こういうふうに書かれておるわけです。 そこで、その心配をするのは、非常に判断しにくい、困難であるというものがすみやかにいくということは、どうも受け取り方として拙速主義におちいるのではないか、こういう心配をするわけです。いままでいろいろな化学物質の関係を見ますと、先ほど出ましたPCTでもそうでありますが、判断を下すまでに一年か二年か、あるいはもっとかかるのかもしれない、こういうふうに、ほかの事例から見ますとむずかしいのを「すみやかに」というふうに書いてあるわけでありますから、当然これは拙速主義におちいってしまう。人の健康に非常に重大なものが拙速主義で判断を出してしまう。ですから、私に言わせると、非常に判断に困るものについては、当然この判定について十分な審査を行なう——早くなくてもいいと言っているんじゃないんです。それは早いほどいいのだが、むずかしい場合にはきめない、こういうことが大事ではないか、逆にいうとそういうふうに思うのであります。特に毒性についても疑問の残っている間は判定しない、その間は製造または輸入をしない、こういうことを私は明確にしてもらわぬと非常に心配が残る、こういうことを言いたいのでありますが、どうですか。
○飯塚政府委員 第四条の第二項におきまして、御指摘のように白、黒いずれとも判定しがたいもの、つまり灰色と思われる化学物質につきまして、これは試験をするわけでございますが、そのときにすみやかに、その新規化学物質について実施される試験の試験成績に基づいて判定をして、その結果を届け出した者に通知をしなければならないということになっているわけであります。 この「すみやかに」と申しますのは、判定を急いでやれという意味ではございませんで、行政庁がややともすると判定の仕事にすぐに取りかからないで怠慢になってはいかぬから、行政庁の怠慢を戒めるという意味でこの「すみやかに」という規定が置かれたわけでございまして、この「すみやかに」という字句によって判定がおろそかになり、拙速主義をとって判定をやるという意味ではごうもございませんし、ここにありますように、実施される試験の試験成績に基づいて判定をするわけでございますので、実施される試験は、その方法が明確に定められて、その定められた方法に従って確実にやった試験の結果に基づいて判定をするわけでございます。 御指摘のように、慢性毒性につきましては、相当長い期間を要するものもございますし、場合によりますと二年くらいかかるという場合もございますが、そういう試験をやる必要のある物質につきましては、二年の慢性毒性の試験の結果が出るまではここで判定するわけにはいかないのは御指摘のとおりでございます。
○岡田(哲)委員 話を聞いておって、どうも非常におかしく思うのですが、この「すみやかに」ということばは、行政官庁の怠慢といいますか、サボリをなくするようにという意味だ、これはこういうふうに受け取っていいのですか。
○飯塚政府委員 法律の例文としてよくある文言でございますが、これは先ほどもお答え申しましたように、行政庁の怠慢を戒めるという意味で使われるのが一般的な用語の例でございます。
○岡田(哲)委員 大臣、いまの答弁について私は非常に疑義を持つのですが、そういうことでいいのですか。
○中曽根国務大臣 条文を読んでみますと、やはりいま基礎産業局長がお答え申し上げましたように、行政庁がぐずぐずして、行政行為をすみやかに、あるいはそういう試験等々をやらないのを戒める意味にやはり書いているのじゃないか、そういうふうに思います。
○岡田(哲)委員 私は、こちらから、そういう怠慢だ、こういうことならばあれですが、法の中に行政庁の怠慢を戒める意味でこういうものが入るというのは少し疑問が残るのであります。 それはそれだけ言っておきますが、先ほど私の申し上げたように、精神としては私と一緒だ、すなわち、この毒性について少しでも疑問の残る間は判定をしない、その間は製造、輸入も行なわない、こういうことが答えられておるわけであります。この文章全体を何回読み直してもそうでありますが、非常にどうも拙速主義におちいるという心配があるわけでありますから、この点はひとつ非常に明確にこの委員会で確認をさしておいていただきたい。文章を変えるとかなんとかということ、てにをはをここで言おうとは思いませんが、そういうことで聞きたいと思いますから、それでいいですね。
○飯塚政府委員 試験の結果が判明するまでは、その物質に対する判定を下すということはできませんし、したがって、その結果を相手方に通知するということもできない。まさに先生御指摘のとおりでございます。
○岡田(哲)委員 次に、PCBについてだけ考えてみましても、この暫定排出許容量は環境庁、食品中暫定的規制値は厚生省、飼料の暫定許容基準は農林省、特定化学物質及び障害予防規則は労働省、こういうふうに、PCBだけとっても非常に多くの省庁にわたるわけであります。また、このために九省庁だとか十一省庁というふうに、総合的なPCB対策を推進することになってできておるわけであります。これは問題が発生してから対策というものになるわけであります。そのほか、千葉ニッコーの問題やら何やらかにやら、最近起こってくる事例を見ますと、一つの問題が全部各省庁にまたがるものが非常に多くなってきているのですね。 そういう点からこの法を静かに見ますと、私は、環境庁がこの法については責任を持つべきだ、通産省ではなしに環境庁が持つべきだという主張を実はしたいわけであります。なぜかというと、これは非常に失礼な言い方ですが、どうも通産省というのは企業サイドに立つ、こういうふうに私も思いますし、おそらく国民もそういう立場でながめていると思うのであります。環境庁はやはり住民サイドである、こういうふうに私も判断するわけであります。アメリカの立法を見ましても、環境庁が主導権を持っておるということであります。こういうふうに見ていきますと、このような立法については環境庁に持たしたらどうか、環境庁が中心でやっていく、推進していくべき性格のものではないか、こういうふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。
○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘になりました問題点でございますが、本法案において考えられておりますところは、環境の問題に非常に関係が深いということは私どもも十分認識をいたしております。環境庁といたしましては、この問題につきまして、先生のお話の中にもございましたように、水銀等の対策協議会ということで各省庁を集めて、この調整をするという役割りを持っておりますので、ここの場所においていろいろの議論をいたすことは当然でございますが、この中の一つ一つの規制をする、あるいは個別の判断をするという実態に立ちますと、やはりその物質の化学的な性状についての試験、検査、研究の実態というのはどこが一番持っておるかということになりますと、これは通産省の試験研究機関というものが最も長い伝統を持って、学問的にも高い水準のものを持っておるということでございますし、製造工程に関するものもそういうものを持っておる。また、人間の健康という点になってまいりますと、これは厚生省というもので伝統的にやっておるということでございまして、その実技のすべてを環境庁が握るということは、決して本法案を完全に生かすべきものではないだろうというように私ども考えております。 しかしながら、この問題は非常に関係がきわめて深いものでございまして、この法案の中におきましても、これは環境庁長官に対しまして、この第三条で届け出の中身はすべて環境庁長官に送付されてくるということになっておりますし、また第四条の第四項におきましては、この「第一項及び第二項の判定を行なうために必要な試験の項目」という中に、環境庁としての、その必要な試験項目は何かということにつきましての意見を当然反映さすべきであるということで、こういうものは総理府令で定めるという形で入っております。また、第五項におきまして、この必要があると認めるときは、厚生大臣、通産大臣に対してこの説明を求める、意見を述べるということでございますので、環境庁としては、非常にきびしい態度で、ここにおきましてこの必要な説明を求め、また意見を述べるということを貫きたい、また、政令できまりますので、当然閣議においてこれは決定されるということでございますので、それによって環境行政としての立場は、全体的な調整機能をこの法律の中の条項において十分担保できるというように考えておる次第でございます。
○岡田(哲)委員 いまの答弁の中でいみじくも出てきましたように、従来こういうものの調査機構や運営、権限といいますか、そういうものは長い問の伝統で通産省が持ってきた、環境庁にはそういうものがない、だから通産省がやるのだ、こういうことでありますが、問題は、やはり通産省のそういう調査というのは、従来から企業サイドでものをとらえる。私どもの立場から言うと、環境庁というのはやはり住民サイドでとらえるという立場に立つわけですから、どうも通産省にまかしてしまうと企業サイドの立場に立つ、こういう心配を先ほど言ったのですね。それが従来通産省にあるからというのが一つの大きなウエートであって、あとはもう三条、四条でいろいろきめられているからという御答弁であります。 〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕 私は、当然そういう主導権を環境庁は持つべきで、それが正しいのではないかという立場でいま言ったわけでありまして、いまいみじくも言われたそのことが、こういう形、こういう形というのは通産省主導型でいく危険性が非常にあるのじゃないかという不安が残るわけでありますから、ここで、はっきり大臣にも答弁していただきたいと思うのでありますが、その辺の心配がないような方向というものを今後とってもらいたいと思うし、環境庁も、第三者的とは言いませんが、こういうふうになっておっても非常に多くのチェックと主導権を強く入れていくという方向をここで明確にする必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
○中曽根国務大臣 通産省はこういう公害とか有毒性の判定という問題について企業サイドでものを取り扱う危険があるという御指摘ですが、そういう事実はありませんし、そういうことはやりません。化学サイドでものをやるということはあります。そういう方向で私たちはやるということを申し上げておきます。
○岡田(哲)委員 いま化学サイドということばが出ました。私はぜひそうしていただきたいのでありますが、やはり通産省というのは、私は企業サイドで企業の育成やその他をやる立場だろうと思うのです。ですから、それが悪いと言っているのではないのです。とかくこういう問題はということで言っているのでありまして、ぜひひとつ化学サイドに立つようにするためには、できるだけ権限といいますか、運営を環境庁に主体を置いていくというふうに進めていただくように、この場で申し上げておきたいと思います。 次に、これはまた非常に不明確なんですが、九条に「需要に照らして過大とならない」ということばが出てくるのであります。需要がありさえすれば許可するのか、また認められた需要がない限り許可しないのか、どちらともとれるように思うのであります。一体これはどういうふうにお考えになるか、お伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 第九条におきまして、製造の許可の基準の際に「需要に照らして過大とならない」という規定がございますが、特定化学物質の需要につきましては、用途制限内での使用しか認めないということは当然でございます。したがいまして、ここの需要というのはその指定された制限内での需要でございます。この需要も、この需要の範囲内において国内において製造される、あるいは輸入されるものは認められる、これは用途が指定されておりますから、ほかにどうしても代替品がないとか、あるいはその他万やむを得ない場合に認めるわけでございまして、しかもその用途も非常に限定的なもので、開放型への使用は認めず閉鎖型の使用に限るというふうに、用途も限定するわけでございます。したがって、その需要の量というのも必要最小限のものにしぼられる、かように考えております。
○岡田(哲)委員 この十三条で「何人も、政令で定める製品で特定化学物質が使用されているものを輸入してはならない。」というふうになっております。そこで、この何人ということばでありますが、日本の国民大衆というふうに私は受け取るのでありますが、そういうことでいいかどうか。この国民は、その政令に定められる製品であるかどうか、特定化学物質が使用されているかいなかという判定については判定できないのじゃないかというふうに思うわけであります。要は、この政令で定める特定化学物質のチェックをどういうふうにするのかという問題になってくるわけでありますが、この点どうでしょうか。
○飯塚政府委員 十三条におきまして輸入のチェックの問題が規定されているわけでありますが、十三条におきましては、特定化学物質が使用されている製品のうち輸入が禁止されるものを政令で指定することにしておりまして、政令で指定するにあたりましては特定化学物質の使用の実態を十分に調査いたしまして、特定化学物質が使用されているおそれがある商品を可能な限り具体的に指定していくということにいたしております。たとえば、どこの国のどこの会社がつくっている製品で、商品名はどういう名前で売られているという、非常に具体的な名前で指定をいたすつもりでおりますので、したがって、一般国民でありましても、その指定を見ますと、これが特定化学物質が使用されているかどうかということはチェックできるというふうに考えております。要するに、具体的な指定をするかしないかによりまして一般国民が知り得るかどうかということになるだろうと思いますが、先ほどお答えしましたように、指定につきましてはきわめて具体的に政令指定をするつもりでおります。
○岡田(哲)委員 そうすると国民は、品物を見るとちゃんと表示されている、非常にこまかい点まで表示されている、それを見ればわかる、こういうふうに受け取ればいいわけですね。 そうしますと、私ちょっと不安に思いますのは、外国企業など、まあ日本でも当然企業機密なんというのがいつでも問題になるのですが、特にこういう化学物質関係については企業機密というものが非常に多いのじゃないかという心配を持つわけでございます。そういう点からすると、輸入品に対するチェックというのは外国の企業機密との関係でどういうふうになっていくのか、こういう心配をひとつ解明していただきたいと思います。
○飯塚政府委員 外国におきます新製品等につきましては、国の試験研究機関等におきましても、外国の文献あるいは外国の情報あるいは学会の報告というようなものもかなり詳細に把握しておるつもりでございまして、それらを総合いたしますと同時に、なお外国の情報等につきまして、疑わしいものにつきましては、在外公館あるいはジェトロ等を通じて直ちに調査させ、資料を収集せしめるというようなことで、国としては、外国の新規化学物質等につきましては、その情報の把握に万全の措置をとるようにいたしたいと思います。ただ、御指摘のように、企業が秘密で、これを全然外部に発表しないで、しかも、それが外部からも探知できないというものがかりにあったとしますと、これは御指摘のように、なかなかむずかしい問題が起こるかと思いますけれども、新規の化学物質につきましては、現在世界的に安全性の問題が強く叫ばれておるわけでございますので、企業もその製品を売ろうとします場合には、安全性を一般消費者に訴える必要があるかと思いますので、その製品を構成する原料その他の詳細につきましても、やはり外に発表しないと、その製品の安全性についての理解を得られないというような世界的な情勢もございますので、御指摘のような心配というのは、かつてよりはずっと少なくなっているのじゃないか、かように考えるわけでございます。
○岡田(哲)委員 いまお答えのように、非常に少なくなっている、そういうものがあった場合には非常に困る、こういうことに尽きるのです。それではどうも能がないのじゃないかという感じがするわけでありますが、この点は、相手だけにたよって、その相手方の出方だけ信用していく、こういうだけではどうも心配でならぬわけであります。いままで新たなものがどんどん輸入されてきている。それは、最近の傾向から少なくなってきても、やはり企業機密が国内にもあるように、外国の企業機密というものについて一体どういうふうに対処していくのか、この辺は非常に明確にしてもらわぬと不安が残る、こういうことだと思うのです。 そこで聞きますが、米国の航空機の関係、おそらく軍関係で使用されているPCBというものが相当あるのじゃないか。当然ある。これが環境を汚染している。そういうものの実態をつかんだことがあるかどうか、これを明らかにしていただきたいと思うのです。特にアメリカの場合をさして言うのでありますが、アメリカの場合には、ビルや交通機関、地下街、こういうものは火災防止の目的や、そういう理由で、PCBの使用が認められている、こういうことですから、当然相当多量のものがいろいろなものに、いま言った火災防止上というようなものには入れられて、日本の中に持ち込まれてきている、特に軍関係というのはわれわれの手の届くところではないのでありますが、そういう点のチェックを一体どうするのかということについてであります。これは私は相当な量だというふうに推測するわけであります。それが国民の健康上からも非常に大事なんだ、重大なんだ、この実態調査の結果を公表してもらいたい、こういうふうに思うのです。
○飯塚政府委員 アメリカにおきましては、PCBは開放系の用途は禁止されておりまして、それがそのまま環境に流出しないような閉鎖系の用途に限定されておるようでございます。したがって、かりに日本におります米軍がアメリカから製品を輸入いたします場合も、これは閉鎖系のものに限られておると思うわけでございます。御指摘のように、在日米軍のPCBの使用の実態について調査をしたかというような点でございますけれども、私どものほうは、まだこの問題について在日米軍の使用製品について調査をいたしたことはないわけでございます。
○岡田(哲)委員 これは私がいまさら言うまでもないのですが、相当な基地に対して相当な物資が入っておることは事実です。そういう立場で考えてみると、問題は、チェックをしなくて野放しにしている、しかも、いま開放系と閉鎖系の問題を言われましたが、日本ではPCBをシャットアウトしておるのでありますが、ともかくアメリカ国内では、火災防止という立場のものについてはいろいろなものに使われてきている。ですから私は、相当なものじゃないのかと先ほども言ったのですこれはやはり非常に重大な問題だと思いますので申し上げておくのと、もう一つは、そういう関係で今後もどんどん入ってくるのですが、企業の機密がわからぬとさっき言ったが、それ以上に私はチェックのしかたがむずかしいのじゃないか、一体どういうふうな方向でこのチェックをするのか、そういう態度を明確にしてもらいたいと思う。
○飯塚政府委員 本法が施行されまして、PCBが特定化学物質の第一号として指定されますと、この法律に基づきましてPCBの用途の制限等が行なわれるわけでございます。したがって、日本国内におきまして米軍が使うものにつきましても、この法律の適用はあるというふうに私どもは考えておりますけれども、なお、実際のこの法律適用のしかた等の問題につきましては、外務省その他の関係方面とも直ちに協議をいたしまして、御指摘のような心配な事態が日本国内においてなくなるように努力をいたしたい、かように考えております。
○岡田(哲)委員 大臣、いまそういうお答えですが、お聞きのように、やはりこれは非常に重大であると同時に、チェックのしにくい問題です。これに対してどういうふうに対処するのかということであります。いま各省と相談してということでありますが、大臣、これは責任ある答弁をお願いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 米軍といえども、日本のまわりの環境の浄化、住民の保健衛生に協力することは当然であります。したがいまして、PCB等の被害がまわりの住民等に出ないように米軍当局に対して外務省を通じて扱いを注意してもらうように要請したいと思います。
○岡田(哲)委員 注意だけでは、いま私の言っていることの答弁にはならぬのです。当然注意はするのだが、企業にも企業秘密があるように、特に軍関係、そういうものについてのチェックのしかたというものをどういうふうにされるのか、これを明確にしてもらいたいというふうにいま申し上げているのであります。
○中曽根国務大臣 行政協定を調べてみないと明確にまだよくわかりませんが、たぶん兵器やその他の場合には日本側が外からチェックするとかなんとかということは困難ではないかと思うのであります。そういう意味におきまして、兵器その他にもしそういうものが含まれているという場合には、米軍側にみずから日本側のそういう要請、要望に対して協力してもらうということをやってもらわなければできないわけでありますから、私は、そういうものがあるとすれば大部分そういう関係ではないか、そう思うわけであります。でありまするから、やはり外交当局を通じてそういうことを要請するということが妥当な手段ではないかと思います。
○岡田(哲)委員 とにかく私はチェックの問題をいま申し上げておるのでありますが、量がどれだけあるのか、どういうふうになっているのか、その実態は当然調べられていないようであります。しかし、これは事が現段階のように非常に公害が問題になり、しかもこの法案がせっかくできようというときでありますので、ぜひこのチェックの方法について、先ほども各省と相談をしてという話もありましたが、政府の態度というものを出していただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。 時間が来てしまったのでありますが、まだまだたくさんお伺いしたいことがありますが、以上をもって一応きょうのところは終わりたいと思います。また引き続いてあとお伺いすることにいたします。終わります。
○浦野委員長 近江巳記夫君。
○近江委員 それでは直接質問に入っていきたいと思いますが、まず最初にお伺いしたいのは、この審査制度の対象は新規化学物資のみに限定しておるという問題であります。この既存化学物資につきましての規定は名簿の作成だけにとどめておられるが、一つは、この理由についてであります。 実際考えてみますと、人体に有害で環境汚染を起こすおそれがあるというのは、現に生産され、また使用されておる既存化学物資のほうが問題であるわけです。ですから、この点に重点を置いて審査制度というものを設けるべきではないか、このように思うわけですが、この点につきましてまずお答えいただきたいと思います。
○飯塚政府委員 既存化学物質の中でPCBが非常な問題を起こしまして、このPCBのような化学物質についてあらかじめその製造、輸入、販売等を規制するというのがそもそも本法をつくろうといたしました動機でございますが、御指摘のように、既存の化学物質の審査を急ぎ、かつこれを厳格にやるということの必要性はまことにごもっともでございまして、この法律におきましては、附則第二条におきまして既存化学物質の名簿をつくることになっております。 その審査につきましては、法律の上では明文はございませんけれども、生産量の多寡あるいは化学物質の構造等から判断いたしまして、現在ございます既存化学物質約七千のうち、四百については早急にこの試験、検査を行なう必要があるというふうに考えておるわけでございます。検査の結果、この法律の二十二条の特定化学物質として指定する必要がある、あるいはそこまでいかなくても、試験が中途の段階におきましても、蓄積性、分解性あるいは慢性毒性等の面から見て疑うに足りる理由があると認められる場合には勧告を行ないまして、そのものが環境に放出されないような措置を事前にとるようにいたしておりますので、これらによりまして既存化学物質に関する規制もできるというふうに考えておるわけでございます。
○近江委員 その既存化学物資に対する規制、これは法的な上からいきましても、いろいろな点におきましてやはり新規のものに比べると非常に弱いわけです。ですから、この問題については、きょうは厚生省も来られておるわけですから、どのようにお考えであるのか、厚生省のひとつ考え方をお伺いしたいと思います。
○松下政府委員 既存化学物質につきましては、ただいま先生御指摘のように、この法案の内容におきましては、新規化学物質とは取り扱いが異なっておるわけでございます。その趣旨につきましては、ただいま通産省のほうから御答弁があったとおりに私どもも了解いたしておりまして、これはむしろ現在の問題といたしましては、そういった既存化学物質についてそれぞれの使用段階におきまして新規化学物質の場合と異なりましての現段階における治験が集積されており、まだ未開拓の部分もあるわけでございまして、こういったものにつきましては通産省とも御相談をいたしまして、それぞれの担当の分野におきまして実際上の蓄積性、分解性あるいは慢性毒性等に対します検査を進めてまいりまして、この法律の適用につきまして国民の保健衛生上の確保ができますような措置を両省協力のもとに進めてまいりたい、さように考えております。
○近江委員 先ほど御答弁ありましたように、七千種類のうち約四百というものが非常に心配である、こういうことなんですね。そうしますと、慢性毒性の検査なりそういういろいろな検査をなさるそういう機能と申しますか、現在考えておられるそういう国立衛生試験所なり、そういうところにおきまして年間それでは何種類ぐらい確実に検査ができるのですか。そうしますと、危険であるとおっしゃった約四百種には何年かかるのですか。現実に汚染し、いろいろな心配を出しておるのは既存ですね。既存物資が多い。既存物資が問題なんですが、その点についてお聞きしたいと思います。
○松下政府委員 化学物質の環境汚染、それに伴う保健衛生上の危害の検査につきましては、まず蓄積性及び分解性につきましての検査をいたしまして、蓄積性、分解性等の点におきまして環境循環によりまして人体に影響を及ぼすおそれがあると認められたような化学物質につきましての毒性の検査を行なうというたてまえをとっておるわけでございます。毒性の検査につきましても、慢性毒性あるいはものによりましては催奇形性の試験あるいは次世代試験等の必要も生ずる場合もございますので、一つの品目につきましての手数、経費等がだいぶ違ってまいります。したがいまして、現在の機能をもって具体的に何品目ということをお答え申し上げるのは困難でございますけれども、現在の衛生試験所の毒性関係の機能は逐年強化をいたしておりますし、来年度の予算におきましてはさらに飛躍いたしまして、こういった毒性、安全性関係のセンターを設置するという予算も要求しておる次第でございまして、そういった現在の機能の最大限の活用と、それから機構の拡充によって十分な国民の信頼にこたえ得る検査を続けてまいりたい、さように心得ております。
○近江委員 そのあなたの御答弁というのはそのままに受け取りたいとは思うのですけれども、しかしいろいろ聞いてみますと、一検体を検査するだけでもなかなかたいへんだ、催奇性の問題であるとか慢性毒性の検査であるとか、それは検体によって全然違うわけですけれども、非常に困難である。どんどんと新規の物質もできてくる、こうなってまいりますと、現に心配になっておる既存のものについても、どれだけ完全にそれだけの検査をしてもらえるか、チェックもしてもらえるか、非常に心配なわけですね。 そういう点で、いま局長は来年度大幅に拡充するということもおっしゃっておるわけですから、きょうは通産大臣もおられますし、これは各省強力な体制をしいて予算を獲得してもらって、こういう法律もできるわけでありますから、万全の体制ができるように努力してもらわないと、いまの状態であれば、御答弁だけで安心するわけにはいきません。これは申し上げておきます。 それから、従来新規の化学物質というのは、毎年どの程度わが国において製造され、またどれだけ輸入されてきておるのか、これが一点であります。 それから、本法の施行後新規化学物質の製造または輸入の届け出件数はどの程度と想定されておるわけですか。この二点についてお伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 従来わが国の国内で生産されました化学物質は、年間トータルにおきましては、先ほど申しましたように五千件でございますが、毎年の動きを見ますと、年間で七十ないし百でございます。それから輸入の面につきましては、新たに輸入されるものは、年間でとりますと三十ないし五十でございます。したがいまして、この生産と輸入両方合わせますと、年間に百ないし百五十程度になるのではないかと推測いたしております。 それから、今後の届け出がどの程度になるかという御質問でございますが、従来の生産並びに輸入はいま申し上げたような数字でございますけれども、本法が施行されました当初というのは、やはり若干申請が減るのではないか、つまり、本法によるその審査の結果まだどういうようなことになるのかわからぬというような気持ちが企業側にはあるかと思いますので、おそらく本法の運用をしばらく見守る、審査の状況等を見守るというような観点から、若干手控えられて、年間でおそらく五十ないし百程度に減少されるのではないかと考えております。ただ、この審査の状況等が漸次わかってまいりますと、おそらく旧に復しまして、いままで毎年生産され輸入されたような数量のものが申請されてくるというふうになると思いますけれども、本法施行の当初においては若干それは減ってくるというふうに考えております。
○近江委員 本法が施行されると申請が減ってくるということの意味は、私は重大だと思うのですよ。いままでこういう危険性であるとか、そういうことを意識しないで、企業がただ生産第一で、これは必要なんだというようなことでぼんぼん出してきておった、ところが今回は、審査されるぞということで減らしてくる、これが問題なんですよ。ですから、こういうことを放置してきたというその責任をまず政府自体がほんとうに反省しなければいかぬ。しかも、その審査の状況を見てまた申請がふえてくるだろうということは、審査を甘くしていけば幾らでもまたばんばん出すぞ、裏を返して言えばこうなるでしょう。これは厳重な審査をして、今後はそういうような危険なものはつくらせてはいかぬ、このように思うわけです。ですから、政府のそういう従来の姿勢というものについて大きく反省をしてもらいたい、これを申し上げておきます。 それから、この審査制度の確立に伴って、審査体制の拡充、行政機構の整備について、先ほど薬務局長のほうから来年度の予算問題等の構想についてお話があったわけですが、いま国立衛生試験所は何カ所あって、人員はどうなっておるか、今後どういうように拡大していくのか、そして来年度のそういう体制に完全に対応できるかどうか、こういう具体的な御答弁をひとつお聞きしたいと思うわけであります。
○松下政府委員 現在、国立衛生試験所は東京に本所がございまして、大阪に支所を持っております。そのほかに、全国五カ所に薬用植物栽培試験場といった形で組織されておりまして、現在の定員は、総員で二百九十七名でございます。 いま御質問の化学物質等に関する毒性の試験というのは、この組織の中で毒性部というところが主として担当するわけでございますが、そのほかに薬理部、衛生微生物部、医化学部、薬品病理部、そういったような部におきましても総合的に機能を動員いたしまして、これは御理解いただけますように、相当錯綜する要素を含んでの試験でございますので、そういった形で現在行なわれておるわけでございます。 予算といたしましては、衛生試験所の四十八年度の総予算は、衛生試験所自体といたしまして約八億八千五百万円、それから他省庁等からの依頼検査等の経費を含めますと約九億二千五百万円という額になっております。 ただ、先ほども申し上げましたように、現在この化学物質のみならず食品、医薬品、家庭用品等につきましての安全性が大きな問題になってきておりまして、こういったものの試験、検査の体制を早急に拡充する必要があるということで、厚生省といたしましても、省全体の問題といたしまして、プロジェクトチーム等を設け、外部の専門家の御意見も伺いまして、今後の強化策について協議をいたしました結果、一つは、先ほど申し上げましたように、国立衛生試験所を中核といたします検査機能の拡充をはかる、それからこういったことは相当大きな組織、ネットワークをもちまして、連携して検査を行なうという体制が必要でございますので、地方衛生研究所、これは各都道府県、指定市が持っておりますが、この地方衛生研究所の検査機能、あるいはさらに簡易なものにつきましては保健所の検査室等を一つの総合的なネットワークといたしまして、強化指導をはかっていく、それからそういった毒性関係、安全性関係の情報管理につきましても強化をはかるというような前提をもちまして、来年度以降の計画を立てておるところでございます。 これは二年計画で考えておるわけでございまして、来年度の計画といたしましては、食品医薬品等安全センターというものを衛生試験所に付置いたしまして、支所の形になろうかと存じますが、九十四名の人員をもちましてこの検査機構を強化してまいりたい。また、同じく衛生試験所に情報管理部というようなものを設置いたしまして、医薬品等に関します安全性、毒性の情報を処理いたしまして、何らかの問題がありましたときに早急にそれが発動できるようにするというようなシステムの強化を考えておる。そういうようなたてまえで今後進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○近江委員 その計画につきましては、二年計画ということもあるわけですが、こういう法律もできるわけでありますから、大蔵省のほうでいま各省の予算を検討しておると思いますが、年度末にほぼ最終決定——もちろん国会で最終決定ですけれども、期間もあるわけですから、それを一年で縮めるというぐらいの意欲でやってもらわないと、法律はできたって体制ができなければ何にもならぬでしょう。この点は特に要望しておきます。 それから、試験の実験方法等に関する事項が本法ではほとんど規定がないのでわかりませんけれども、分解性とか蓄積性あるいは慢性毒性についての試験方法という問題ですけれども、確かに時とともに研究も進むということで、そういう経過はわかるわけでありますが、非常にまだ未熟な点がたくさんあるということもよく聞くわけであります。したがいまして、現実にそういうような検査をやっていかなければならない。しかし、根本的な試験方法の確立なりそういう問題にも手をかけなければならぬということになってきますと、従来に毛のはえた程度の体制であればこれはできませんよ。ですから、そういう中身につきましてよほど万全な体制をとらないと私はできないと思うのです。 それから、この試験費用の企業負担についてはどのぐらいになるのですか。どの程度見込んでおるわけですか。これはどうですか。
○飯塚政府委員 新規化学物質につきまして試験をいたしますのは、生分解性と蓄積性、それに慢性毒性、それからものによりまして催奇形性あるいは発ガン性というような特殊毒性についても試験を行なうわけでございますが、それぞれの化学物質につきまして毒性の審査等も違うわけでございますので、一がいに幾らかかるかということは、いまここではちょっとわからないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、十分な試験を行なう必要がありますので、それに必要な経費は企業が負担しなければいかぬと考えております。
○近江委員 それで、申請があって三カ月で回答するということになっておるわけですが、現実にそういう蓄積性であるとか慢性毒性であるとか、分解性であるとか、催奇形性であるとか、発ガン性であるとか、そんなことは実際に三カ月でできるのですか。その点はどう考えておりますか。
○松下政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、慢性毒性の検査はものによりましていろいろでございますけれども、原則といたしまして、実験動物につきまして大体においてその生涯にわたって投与をいたしまして、その体重とか内臓の変化あるいは許容量等を調べる検査でございますので、これにつきましてはやはり相当の期間を要するのが通例でございます。したがいまして、この三カ月と申しますのは、やはりそういったおそれがあるかどうかということを振り分けるための期間でございまして、実際に慢性毒性を検査しなければならないものにつきまして三カ月でこの検査を終えるということは私ども考えておりません。
○近江委員 そういうように一つ一つ見ていきますと、まあ法律ではそうなっておりますけれども実際上はできない。そうしますと、どうしても企業から出てくるレポートといいますか報告書、それを大体うのみにして、まあまあこのぐらいだったらいけるだろう、こういうことが将来において大きな問題になってくるわけです。ですからこれは、企業から出てくるそういう報告書につきましても、よほどシビアにチェックをしていかないと、いままで大体厚生省のそういう検査なんていうものは、これは言い過ぎかもしらぬけれども、企業なり何なりから出てきておるそれをほとんど通していく、そういうことであれば何にもならぬと思うのですよ。ですから厳重にチェックをしてやっていくということについて、これをひとつ今後心がけてもらいたいと思うのですね。この点を要望しておきます。 それから、この化学物質の安全性に関する審査について、環境庁長官にも審査権を与える必要があるのじゃないかということが非常にいわれておるわけですが、この点について、きょうは環境庁も来ておられますし、どう思いますか、御意見を承りたい。
○橋本(道)政府委員 先生から御質問のございました、環境庁としてこの法案についてどういうぐあいに考えるか、きわめて重要な問題であるという御指摘でございますが、私どもも、この法律は、私どもの観点から見て非常に重要なものであると考えておるわけでございます。 この法律の中におきましては、まず第三条の製造の届け出というものが厚生大臣、通産大臣に出されてまいりますと、それはすべて環境庁長官のほうに写しを遅滞なく送付されるということになっておりますので、環境庁としては、厚生省、通産省がどのような物質についてその届け出事項によって審査をしているかということを了知することができる形になっております。 また、第四条におきまして、第四条の四項でございますが、ここの中に「第一項及び第二項の判定を行なうために必要な試験の項目その他の技術的な事項」というところにつきまして総理府令というのがここに一つ入っておりますが、これは環境汚染という観点から特にどういう事項を検査しなければいけないか、それに基本的な技術的な事項は何かということにつきまして総理府令で定めるということでございまして、たとえば例をあげますと、生物濃縮であるとか、あるいはこれは現在までの知見では、やはり生物学的半減期というものが非常に問題になるということもございますので、こういうものが当然にこの中で考えられるということになっております。それで、第五項におきまして「必要があると認めるとき」とありますが、環境庁長官といたしましては、非常に厳格にこの点につきまして判断いたしたいと思っておりまして、問題があれば、厚生大臣、通産大臣に対して必要な説明を求め、意見を述べることができる、そういう形になっております。 そういうことで、環境庁は総理府の中の調整機構でございますが、体制も強化いたしまして、ここの必要な試験検査項目、技術的な事項といいますものは年々進むことがございましょうし、また「必要があると認めるとき」というところをきわめてきびしくし、必要な説明を求め、意見を述べるというところを非常にきびしい態度でもって対処していきたいということでございます。 なお、この後段のほうに、環境長官が必要があれば要請ができるというのがございまして、この点につきまして問題があれば要請をして、回収措置等の措置命令を二十二条によって発動してまいるとか、あるいは勧告を要請するということは当然にきびしい姿勢で臨むべきであるということを考えておるわけでございます。
○近江委員 事前に厚生大臣、通産大臣に対して説明を求め、意見を述べることができる、あるいは要請ができると言いますけれども、これはやはりサブのような形になるわけですね、通産、厚生に比べれば。あなたのほうとしては、きびしく両省に対して言うということを言っておられるわけですが、それはそれできびしくやってもらわなければ困ると思うんですよ。そうすると、問題は通産省であり、厚生省であるということになると思うのですが、そういう環境庁の要請なり説明あるいは意見等につきましては特に受け入れをしてもらわないと、ただ意見を聞くということだけじゃいかぬと思うんですね。この点について、通産省として、また大臣として、環境庁のそういう勧告なり、そういう問題につきましてはよくそれを受け入れていかれるのかどうか、この点だけを大臣にひとつ御答弁いただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 環境庁はお目付みたいなものであると心得て、環境庁の勧告なり要請についてはこれを十分尊重してまいりたいと思っております。
○近江委員 それから、本法に基づいて行なったこの審査結果の判定が誤っておった、あとで環境汚染が行なわれ、さらに健康被害が発生した場合、これは当然国家が賠償しなければならぬと思うのですが、そういう責任についてはどうなるかということです。 それからまた、それをつくった企業の責任はどうなるか、この二点についてお伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 化学物質の審査につきましては、先ほど来申し上げておりますように生分解性、蓄積性、毒性等につきまして慎重な試験の結果に基づきまして審査をし、その使用、輸入、販売等の許可をするわけでございますが、ただ万一、御指摘のように国の行政上の責任によって、つまり国に過失がありまして間違った判定を下したというような場合には、当然国家賠償法に基づきまして国が賠償責任を負うことになるわけでございます。 それから企業のほうの責任でございますけれども、これは国が国家賠償法上の責任を負うこととは別に、企業としては当然民法上の不法行為の責任に問われるというふうに考えております。
○近江委員 この場合、両方この重大な責任を負うということをいまおっしゃったわけであります。ですから、この責任に基づいてこれはやっぱり進めていかなければならぬわけでありますから、厳重に今後は運用してもらいたい、このように思うわけです。 それから、PCBが非常に問題になってこういう法律をつくるというところまできたと思うのですが、このPCB以外で特定化学物質の要件に該当しそうなものとしてどういうものが考えられるか、また、水銀化合物等の重金属類につきましてどうであるか、この二点についてお伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 本法を制定するに至りました経緯は、PCBの被害の重大性に深く反省をいたしましてこの法律の制定に踏み切ったわけでございまして、したがって、この法律にいいます特定化学物質の指定の第一号としてPCBはおそらく指定になるんではないかというふうに考えております。 なお、PCB以外の物質についてどういうものが考えられるかということでございますが、これはたとえば水銀、カドミウム等の重金属化合物につきましてもいろいろ心配な点はあるわけでございますけれども、ただ、いま直ちに水銀、カドミウム等が含まれている重金属化合物はみんな指定になるということを申し上げるわけにはまいりませんので、これは当然審査としては一番早く手がけるべき物質だと思いますけれども、試験結果に基づきまして審査を行なった上でこれら物質の取り扱いについて措置されることになるかと思います。
○近江委員 この特定化学物質の要件というのはPCBの性格そのままであると思うのですけれども、そうしますと、本案の制度というものもPCBを想定した仕組みというものになっておると思うのです。しかし、今後このPCBと異なるタイプの化学物質が出てきて環境汚染をすることも当然考えられるわけでありますが、そういう場合に、本案のそういう規制方法では対応できないということもあり得るんじゃないかと思うのです。この点についてはどのようにお考えですか。
○飯塚政府委員 本法案におきましては、PCBのような物質を想定いたしまして規制の態様をきめておるわけでございますけれども、その後こういう態様、こういうパターンだけではなくて、ほかのパターンによります環境汚染の物質が出てくるおそれがあるというようなことがわかりました場合には、本法に対して所要の改正を加えて、そういう物質についても取り締まれるようなことをする必要があると考えております。
○近江委員 それから輸入製品に特定化学物質が使用されているかどうかのチェックは、先ほども社会党の委員のほうからも話がありましたが、企業機密との関連もあり、非常に困難な面が多いんじゃないかと思うわけですが、具体的にどういう方法で行なうのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 輸入品につきまして、その輸入を制限する必要のある物質につきましては政令で指定するわけでございますが、政令指定の際にはその製品名を国民一般にもわからせる必要があるわけでございまして、どこの国のどういう会社のどういう名前で売られている製品かということをきわめて個別具体的に政令で指定するつもりでおります。
○近江委員 ともすると輸入製品というのは非常にいろいろなネックがあるわけでありますので、いま御答弁があったように、これもひとつ厳重に今後チェックをしていただきたいと思います。 それから、特定化学物質が使用されております製品につきまして表示をさせる必要があると思うのですけれども、これについてはどのように指導されますか。
○飯塚政府委員 特定化学物質の使われております製品につきましては、その用途を限定することにいたしておりまして、つまり一般消費者が主として使うような製品にはこれを使わせないということは法律の上でも明示されておりますので、したがいまして、一般消費者にこれを知らしめる措置をとらないと法律として万全の措置をとれないというわけではございませんので、たとえば閉鎖系等の特定の用途に限って使用されるわけでございますから、特に表示をする必要はないと考えまして、この法律におきまして表示の規定は置かなかったわけであります。
○近江委員 そうしますと、用途制限の問題につきましてはよほど厳重にやらないと、表示もしないということになってきておるわけでありますので、問題があると思うのです。そこで、この用途制限違反に対する監視体制というものはどうなっておるかということなんです。 それから、先ほどは閉鎖系のものだからする必要はないと言っておりましたが、じゃその閉鎖系のものをたとえばそういう事業者が使用する、ところが、それをぶっこわしてまた流れ出るというようなこともあるわけですよ。ですから、そういうことについては、事業者につきましても十分認識させなければならぬわけです。ですから、使うところは一部限られておるかもしらぬけれども、そういう事業者の使用するものが全然わけがわからなければ、閉鎖系といったって、それをどういうように措置するかということです。また環境を汚染するかもわかりませんよ。そういう事業者等については、表示をしないということになればどういうように徹底をするのですか。万全を期すならば、たとえ閉鎖系のものであっても通達、指導をして教えるとか、何らかのことをする必要があると思うのです。その二点についてお伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 用途制限に反した製品の規制の問題でございますけれども、第三十四条によりまして用途制限違反者に対しては罰則の規定の適用があるわけでございまして、三年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金ということになっておるわけでございます。 罰則の問題は別にいたしまして、実際にそういうことを防止する必要もあるわけでございますので、これにつきましては試買テスト等の措置も政府として講じまして、そういう実態があるかないかということについて政府みずからも調査について努力をする必要があると考えるわけでございます。
○近江委員 もちろん罰則はあるわけですけれども、要するに、政府も調査するということを言っておるわけですが、調査するということだけであれば抽象論なんですよ。監視体制としてはどういう監視をするのですか。 それからもう一つ、先ほど私が言ったように、閉鎖系のものであっても、それを使用する事業者なりが認識がなければだめだというんですよ。その時点で、たとえば閉鎖系のものを製造する、ところがその製品がうまくいかないということでぶっこわす場合もあるわけですよ。ところが、そういうものが使ってあるという認識がなければ、またどういうことで環境汚染になるかわからぬ。その閉鎖系のものを製造しておるようなところに対してはどういう指導をするかということを言っているんです。
○飯塚政府委員 閉鎖系につきまして使用を認めるという場合に、その使用者は届け出の義務がございますと同時に、十七条におきまして基準適合義務というものがございますが、許可製造事業者はその製造設備等につきまして、厚生省令、通産省令に定めた技術上の基準に適合するように維持しなければならぬということになっておるわけでございます。これらの規定によりまして、閉鎖系の用途につきましても規制を加えていくことが可能だと考えております。
○近江委員 それともう一つは、監視体制について具体的に考えているかということを聞いているわけですよ。調査をするということは、私は抽象論であると思う。だから、どういう監視をするのか、監視体制はどうなっていますかというのです。
○飯塚政府委員 監視体制といたしまして一番具体的に考えられますのは、試買テスト等をできる限り広く行なうことだと思いますが、このために四十九年度予算といたしまして五百万円の予算の要求をいたしておるわけでございますが、それによりまして試買テストの充実をはかっていきたいということを考えておるわけでございます。
○近江委員 それで、このPCBが特定化学物質の指定第一号になるようなお話がいまあったわけですが、そうしますと、この指定用途というものにつきましてどういうものになりますか。 また、この代替品が開発された場合、PCBの使用者に対してはどういう措置があるわけですか
○飯塚政府委員 PCBにつきましては、現在行政指導によりましてその用途を制限いたしておるわけでございますが、開放系につきましてはもちろん禁止をいたしておりますし、それから閉鎖系につきましても、たとえば小型コンデンサー等のように一般消費者の手元にもいって、かつ廃棄処分等について問題を起こしやすいものについては、これを抑制するような指導をやっておるわけでございます。現在、代替品がないためにその使用をやむを得ず認めておりますものは、新幹線等の車両の変圧器、整流器等のきわめて限られた部門に限定をいたしておる次第でございます。 なお、運輸省、国鉄当局におきましても、現在は使用いたしておりますけれども、将来できる限り早い機会にその使用も新規のものについてはやめたいというような意向も持ち、現在ほかのものについての研究をやっておるようでございますので、この法律の施行の暁には極力その用途の制限をするということになるかと思います。
○近江委員 それから、第二十二条に基づいて回収命令を発動する場合、罰則との関係もあるので、この回収方法というものについて具体的に明示する必要があると考えるわけですが、回収方法としてどういうものが考えられるか。 また、この回収以外のその他の必要な措置というのは何であるか。この二点についてお伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 二十二条におきまして回収その他必要な措置を講ずるということになっておりますが、回収につきましては、たとえば新聞広告あるいは販売店におきますポスターの掲示というようなことによりまして、これは回収の方法につきましてはきわめて具体的に定めましてこれを順守させるつもりでおりますけれども、それによって回収の万全をはかりたいと思っております。 なお、その他の措置としていま考えておりますのは、たとえば製品名の公表とか、あるいは在庫品を凍結して動かさないようにしておく、あるいは販売先を確認いたしましてこれを通報せしめるというようなことを考えておるわけでございます。
○近江委員 この回収した特定化学物質の管理及び処理については、本法に規定がないわけです。これは具体的にどういうように指導するのですか。たとえばPCBの場合も、兵庫県の高砂工場におきましてはドラムかんで野積みをされておった。そこで世論も非常にやかましくなって、タンクをつくってそこにほうり込んだ。こういうことは、通産省がそれについてぴしっと指導しないから、法律だけつくってあとの処理とか、そういうことについての適切な指導がないから、こういうことが起こるのですよ。本法においてもそれがないのです。これはどうするのですか。
○飯塚政府委員 本法におきましては規定をいたしておりませんけれども、法律上の措置といたしましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によって措置することになると思います。もちろん行政的な指導につきましてはいろいろ行なう所存でございますけれども、法律上の措置としては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によって措置することになろうかと思います。
○近江委員 特にこういうことは最後まで見ていく、チェックをしていくということが大事なんですね。ですから、いま局長がおっしゃったように、こういう問題についてもよく考えていただいて、あとの締めくくりを万全にできるようにこれは特に強く要望しておきます。 それから、第二十三条の勧告はどういう場合に発動するかということと、それから勧告のほかに、緊急の場合の措置命令の規定が必要ではないかと思うのですが、これについてはどうお考えですか。
○飯塚政府委員 特定物質として指定に値する場合には、二十二条によりまして、命令を下し、製造禁止、回収等の措置を講ずることになるわけでございます。二十三条の場合には、その前の段階でございますけれども、分解性とか蓄積性試験の結果から問題があると見られ、また、こういう物質につきましては慢性試験を行なうわけでございますが、慢性試験の途中で疑わしいというものが出てきた場合には、これを二十三条の勧告の対象として取り上げていきたいと考えておるわけでございます。二十三条の運用につきましては、できるだけ前広に、問題を起こさない前に措置いたしたいということで考えておりますので、この運用につきましては弾力性を持って措置をしていきたいというように考えておるわけでございます。これをあまり厳格に適用しようといたしますとかえって弾力性が失われますし、したがって、二十二条との関係からも、この勧告といたしまして二十二条で規定しました命令ほどの強い措置をとることにしなかったのは、この二十三条の運用の弾力性をはかりたい、できるだけ事前に危害の防止に必要な措置を講じたい、こういう趣旨からでございます。
○近江委員 それから既存の化学物質の名簿にはどの程度の数が記載される予定なのか。いろいろ検討されておると思うのですが、そうしますと、これらすべてについてチェックをしなければならないわけでありますが、このうち特に早急に試験を行なう必要があると考えるものはどのくらいあるのですか。
○飯塚政府委員 既存の化学物質は、国内で生産されましたものは約五千、輸入が約二千、合わせまして七千あるわけでございます。このうちの過半数は染料だろうと考えますけれども、既存の化学物質の中で早急に試験を行う必要があると思いますのは、まず生産量が非常に多いもの、それから物質の化学構造等から見まして、分解性、蓄積性、慢性毒性等の可能性のあるものと考えられるもの、こういう二点に焦点をしぼりまして選定をしていきたいと思います。年間生産百トン以上のものをまず考えていきたいと思いますけれども、百トン以上のものにつきましては数といたしまして四百ございますが、この四百につきましてできるだけすみやかに試験検査を実施していきたい、かように考えております。
○近江委員 大体百トンときめた基準自体も問題があるわけですよ。そうでしょう。百トン以下でもいろいろな点で非常に心配のあるものもたくさんあるわけですね。ですから、それは通産省でよく検討されて、百トンというのは何も科学的な厳密な意味はないわけですから、百トンということにこだわらずにこれはやられるように特に希望いたします。それは検討されますね。次の答弁のときにひとつお答えをいただきたい。 それから化学品審議会の構成ですね。具体的運用方針等についてどのように考えておられるか。現在の軽工業生産技術審議会と根本的に異なるのはどういう点であるか、この点についてお伺いしたいと思います。
○飯塚政府委員 先ほどの答弁の中の百トンでございますが、これはもちろん百トンに限定しなければならぬ理由はごうもございませんで、化学構造等から見まして百トン以下のものでも早急に試験を実施しなければいかぬものが出てきました場合には、これも当然早急な審査の対象に取り上げていくつもりでおります。 それから化学品審議会の構成等の御質問でございますが、化学品審議会は、委員の構成につきまして学識経験者、消費者代表、報道関係者、業界代表等が委員として参加していただくことになるかと思いますけれども、本法と最も密接な関係がございます化学物質の個別の判定の問題につきましては、この審議会の中に特別の分科会を設けまして、この分科会の構成メンバーとしては、化学、生物等の専門家だけで構成するつもりでおります。そのほかの学識経験者、業界等の関係は全然入れないで、専門家だけで構成をしたい、かように考えておる次第でございます。 それから従来ございました軽工業品生産技術審議会との違いでございますけれども、従来の軽工業品生産技術審議会は産業振興を主目的としておったわけでございますが、今回新たにつくろうとします化学品審議会におきましては、化学品の安全性の確保ということに主眼を置いた審議会にしていくつもりであります。なお、従来の審議会は化学産業だけではなくて、雑貨工業及び土木建築材料工業等も入っておったわけでございますけれども、今回の化学品審議会からはそういった業種のものは除きまして、もっぱら化学品だけに限定をして審査をしていただく、かように考えております。
○近江委員 一時という約束をしておりましたので、留保しておいて、一応これで終わりたいと思います。
○浦野委員長 次回は、来たる十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十九分散会