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71回国会衆議院1973/07/11

商工委員会 第41号

発言数
260
登壇者
17
会派数
4
開催日
1973/07/11

会議録

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、発電用施設周辺地域整備法案及び参議院から送付されました内閣提出、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案の両案を順次議題とし、それぞれ政府より提案理由の説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣。     —————————————     —————————————

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 発電用施設周辺地域整備法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国の電力需要は、国民生活の向上と国民経済の発展に伴い、今後とも毎年一〇%程度の伸びが予想されています。  他方、ここ数年電力会社が発電所の立地を計画しても、地元の同意が得られないため、国の電源開発計画に組み入れることのできないものが増加しており、また、これに組み入れた後においても地元住民の反対にあって建設に着工できない例も多々生ずるに至っております。このままの状態が続けば、数年後には電力不足がきわめて深刻な問題となることが懸念されるところであります。  このような住民の反対の根底には、一つには環境保全の問題があることは御承知のとおりであり、発電所設置による公害を防止し環境を保全するため、今後とも最大限の努力を払うことは言うまでもないところでありますが、立地難のもう一つの理由として、発電所等の立地による雇用機会の増加等による地元の振興に対する寄与が他産業に比べて少ないということが大きな問題としてあげられようと存じます。事実、発電所等の立地が予定されている地点の地方公共団体は、住民福祉の向上に資する各種の公共用施設の整備事業の推進声強く要望しております。  本法案は、このような状況を踏まえて、発電所等の立地を円滑化し、電気の安定供給の確保に資するため、発電所等の周辺地域において住民福祉の向上に必要な公共用施設の整備事業を推進するための措置を講じようとするものであります。  次に本法案の概要について御説明いたします。  第一は、国は、火力発電施設、原子力発電施設等の発電用施設の設置が確実である地点のうち、その設置の円滑化をはかる上で、公共用施設を整備することが必要であると認められる地点を指定し、公示することとしていることであります。これについては、当該地点が工業再配置促進法の移転促進地域をはじめ一定要件に該当する地域に属するときは指定しないこととしております。  第二は、この指定された地点の属する都道府直の知事は、当該地点が属する市町村の区域とこわに隣接する市町村の区域において行なおうとする道路、港湾、漁港、水道、都市公園等の公共用施設の整備計画を作成し、国の承認を求めることにしております。この計画には、公共用施設の整備に関する事業の概要と経費の概算について定めるもので、他の法律の規定による地域の整備等に関する計画との調和及び地域の環境の保全について適切な配慮が払われるようにしております。  第三は、整備計画に基づく事業の実施に要する経費の一部を発電用施設を設置する者に負担させることができることとしております。これは、発電用施設を設置する者が地域社会に対する協力という観点から行なうもので、整備計画に基づくを設置する者と協議して、地方公共団体の負担する金額の一部を負担させることができることとしています。なお、国は、この経費の負担について関係者の申し出があればあっせんに当たることししています。  第四は、国が承認した整備計画に基づいて地方公共団体が実施する事業のうち、特定の施設の整備事業については通常の補助率を特別に引き上げて適用することとする等事業の円滑な実施をはかることとしています。この特定の施設は、道路、港湾、漁港、水道及び都市公園のうちから政令で定めることとなっておりますが、たとえば市町村道路は、通常三分の二とされているのを四分の三に、漁港は十分の五を十分の六に引き上げることができることにしております。このほか、国は地方債の起債について配慮する等財政上、金融上の援助措置を講ずることといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  御承知のように、PCBによる環境汚染及び被害の発生は、非常に大きな社会問題となりましたが、これは、従来の化学物質の安全性に関する考え方に再検討を加える必要のあることを痛感させるものでありました。すなわち、新しい化学物質の開発と利用は、国民生活の充実に多大な寄与をなすものである反面、このような化学物質の中には、その使用に際し、あるいは使用後の廃棄を通じて環境を汚染し、人の健康に被害を及ぼすおそれのあるものがあり、その防止体制の確立をはかる必要があることが明らかになったわけであります。  このような新しい人体汚染の形態は、化学工業の発展に伴い新たな化学物質が年々生産されていることを考えるとき、単にPCBの問題としてのみではなく、化学物質全般について安全性を確認する必要があること、そしてその結果問題とされた化学物質について環境に放出されないよう、その製造、輸入、使用及び消費にわたりクローズドシステムを確立する必要のあることを強く認識させるものであります。  このような状況にかんがみ、昨年の国会におかれましても、早急にその対策を講ずるべきである旨の決議がなされたところであり、政府といたしましては、昨年七月から、通商産業省に設置されております軽工業生産技術審議会「化学物質の安全確保対策のあり方」について審議をお願いし、慎重な検討をいただいたところであります。その結果、昨年十二月に、施策の内容につき同審議会の答申を得ましたので、ここにその趣旨に沿って化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案を提出することといたした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、新規化学物質に関する審査及び規制であります。  これは、新規の化学物質を製造し、または輸入しようとする場合において、それについての事前審査制を採用し、その化学物質がPCBに見られるように自然環境において分解しにくく、生物の体内に蓄積されやすいものであり、かつ、継続的に摂取される場合には人の健康をそこなうおそれがあるものであるかどうかを判定することとし、安全であるという判定結果が出るまでの間は、製造または輸入を認めないこととしております。  第二は特定化学物質の規制であります。  ただいま申し上げました難分解性等の性状を有し、かつ、人の健康をそこなうおそれがある化学物質は、これを政令で特定化学物質として指定し、その製造が使用等において環境汚染をもたらさないよう所要の規制を行なべこととしております。すなわち、特定化学物質の製造及び輸入については、許可制とし、その使用についても、環境汚染を生ずるおそれがない一定の用途以外の使用は認めないこととするとともに、製造業者及び使用業者に対しましては、その製造及び使用に関し、一定の技術上の基準を順守させることとしておりますほか、既存化学物質が特定化学物質に指定された際すでに出回っている当該化学物質及びそれを使用した製品について、その回収をはかること等環境の汚染の進行を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができることとしております。  なお、既存化学物質のうち、特定化学物質の疑いの濃いものについては、特定化学物質の指定に至らない間においても、その製造、輸入または使用の制限に関し必要な勧告をすることができることとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、以上申し上げました本法案に基づく施策は、PCB類似の性状を有する化学物質による環境の汚染を未然に防止するために必要なものであり、既存の公害関係法規等と相まって、化学物質の安全性を確保する上できわめて重要な役割りを果たすものであると考えております。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 内閣提出、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 本法の目的につきまして確認しておきたいのですが、一つは消費者の利益、二つには大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整、三つには周辺の中小小売業の事業活動の確保、そのうちどれを重点にしておる法律であるかということについてお伺いしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 百貨店法をほとんど全面的に改めましてこういうことにいたしましたのは、一つには消費者保護という時代の要請が強く出てまいりましたのを強く出すということ、それから、スーパーのような、あるいは百貨店類似のものが出てまいりまして、先般も質問がございましたが、これが脱法的行為ではないかと思われるような競争を営んできておる、そういうものをやはり規制の対象に入れる、そして百貨店及び大型小売店あるいは中小小売業商店街等との調整をはかるという点、それからやはり公正取引という面がそういう面からも出てくると思いますが、公正競争という点に注目いたしまして、全部を考えて提案された法案である、このようにお考え願いたいと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 私がいま申し上げた三点のどれにもウエートをかけて考えておるという大臣のお話でございますが、消費者の利益を保護するために、本法において具体的にどういう措置をおとりになっておるわけですか。これは局長でもけっこうです。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 条文上の文言としましては、第一条に「消費者の利益の保護に配慮し」ということが明記されておりますほかに、十一条を特掲いたしまして、この法律で一番大事なポイントでございます届け出を受理したあとでそれを審査し、必要な場合には勧告、変更命令を出すわけですけれども、その際、審査をし、勧告を出すかどうかを判断しますときに、「消費者の利益の保護について配慮し、」という条文を置いたわけでございます。これがもしかりになかったといたしますと、実際上は政府側の審査でいろいろとそういうことも配慮するとは思いますが、どちらかというと、大型店舗が進出します際に、その地域で中小小声商業に相当の影響を与えるということが主たる判断の要素になりがちでございます。その際に、そういう要素のほかに、さてその大型店が出た場合にそこの近隣住民の消費者の利益をどれほど益するものかどうかということも忘れずに判断すべきであるということを法律上明文化しておる次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 届け出があった場合、通産大臣が審査をして、問題があるものについて審議会の意見を聞いて変更の勧告を出すのは第七条ということになっておるわけですが、はたして通産大臣が審査できるのかどうか、届け出があったら、中小は除いてその他のものは地元の意見をまず聞いてから通産大臣が判断して審議会にかけるべきではないか、このように思うのです。また、この審査期間はどのくらいを予定されておるわけですか。これも局長でけっこうです。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 届け出が出ますと、それは手続的なことになりますが、その届け出の写しを直ちに地元の商工会、商工会議所に送付いたしまして、同時に審査を開始いたします。もしも審査の結果、勧告が必要であるという場合には、三カ月以内にそれをしなければなりませんので、受理しました政府側としては相当に急いでこれを審査せねばなるまいと思います。そして勧告をするといたしましたならば、資料をそろえて審議会にはかる、そうしますと審議会は、自分だけで審議せずに、地元の商工会、商工会議所から意見を徴します。先ほど申し上げましたように、届け出と同時にコピーが行っておりますから、商工会、商工会議所では直ちにそれを周知徹底させて、地元の意見は届け出と同時に聴取しておるわけでございます。いま申し上げた手続が一つの流れですが、それと同時に、もちろん地元の商工会、商工会議所が届け出のコピーを受け、意見を聴取し、これは大きな問題である、これは相当に影響があると判断した場合には、審議会から問い合わせのある前に、自分から進んで審議会に意見を持ってくる、あるいは直接政府当局に持ってくるということでございます。この辺は、旧百貨店法において多年経験を積んできたやり方をベースにしておりまして、私どもとしては関係者の意見は相当に、相当にといいますことは十分に聴取できるものと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 第十条の「改善勧告」について罰則は設けないのですか。この点についてはどのようにお考えですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 これには罰則をかけておりません。その理由は、この法律の主たるねらいは、中小小売商業に事業活動の機会を与えるために、大規模店舗が進出する際はまずその面積を考える、それから開店の日を考える、それから営業するときの閉店時間と休日、こういう点がこの法律による主たる規制項目でございますが、さらに進んで顧客の送迎とか、その他営業に関する行為において、大規模小売店舗と中小小売商業の利害関係を調整しようという、どちらかといいますと主要規制対象以外にさらに追加さるべき事項でございますので、この点については、政府側の改善勧告をもって指導行政で足りるのでないかという考えでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 これは確認の意味でお伺いしたい。大規模の小売店舗というのは、大企業の建てる基準面積以上の建物が対象になることはむろんでありますが、中小企業者が建てる寄り合いのそういう百貨店、協業組合や合併会社が近代化のために建てるものであっても、基準面積以上であれば対象となるのかどうか、これをひとつ確認の意味でお伺いしたいと思うわけです。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 これは今回、従来の百貨店法の企業単位の規制から、大型店舗の建物を規制対象にいたしまして、法律の立て方が大きく変わりました関係で、大きな店舗、建物を建て、その中で小売業を営む以上は、俗にいいます寄り合い百貨店、ただいま御指摘の中小小売業者が集まってやる大規模店舗も規制対象になります。ただし、その場合に、十一条後段の規定で、もちろん中小小売商業の近代化ということは、中小企業政策また政府の政策の根本でありますので、規制対象には一応なりますけれども、そういう場合にはむしろ促進すべき事業でありますので配慮することが規定されておる次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この答申におきましては、「大規模小売店の新増設が特定の地域で集中的かつ大規模に行なわれ、周辺中小小売商がこれへの対応体制を整えることがきわめて困難な場合等には、」「大規模店新増設について勧告、措置命令」云々、このようになっておるわけですが、本法の運用については、このような大きな問題のあるもののみが対象となるのかどうかですね。特定の地域に集中的かつ大規模に行なわれなくても、周辺中小小売商に影響を及ぼすことが十分考えられるわけですが、本法の運用方針についてお伺いしたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 おっしゃいますとおりに、答申及びその答申をつくります前の委員会における議論の場合には、過去の経験値から見まして、いま御指摘のような大規模店舗が集中的にある一地域に重なっている場合を特に明記されておりますけれども、この原案におきましては、大規模店舗基準以上のものであります限りは全部届け出を審査いたします。そしてその際に、そういった集中地域でなくても、特殊のその地方の事情によって本法でいう摩擦が起きる、調整が必要だと判断しました場合には、やはりこれを規制の対象にし、勧告をしていくつもりでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この第七条におきまして、通産大臣は大規模小売店舗の店舗面積についてこの減少勧告をすることができることとなっておるわけですが、届け出面積から減少させる場合、どういった基準でこの面積ならよいという判断をするのか、この辺についてお伺いしたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 この判断の基準は、従来の経験からいいまして、ある程度数値的な経験値もできてはおります。それはそこの商圏、人口ですとか売り場面積あるいは交通事情その他を加味しました一つの数量化された基準もできておりますが、私どもはそういうものを参考にいたしまして、その地方の事情に合わせて判断していくべきだと思います。そして開店日をおくらせれば原案のままでいいのか、あるいはやはり申請面積よりも二割ないし三割切らなければならないのか、それはそのときの個別の事情によると思いますが、最低限はもちろん基準面積まで、地方都市における申請がありましたときに、千五百平方米までの間でどこまで削減するかという判断をすることになろうと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 局長のおっしゃることもよくわかるのですが、その辺をよく通産省で煮詰めてやはり考えておかなければ、もちろんケース・バイ・ケースはわかるわけですけれども、何か非常にばく然としていますね。その辺はいまここで私がこれ以上言っても、そこまでの準備はないわけですから、これは特に何かの尺度といいますか、やはりあらゆるそういう調査をなさった上で、何らかの基本的な考え方に基づいてプラス・ケース・バイ・ケースの現地判断、現地の事情を考慮して決定をする、この辺のところをお考えになるべきじゃないかと思うわけです。そうですね。——それじゃそういう点をよく整備なさるように、これは申し上げておきます。  それから、たとえばこの基準面積以下の建物をおのおの異なった資本で隣合って建てる場合は本法の対象とならない。これが将来通路とか連絡橋等によって接続された場合、本法の扱いとしてどうなるのか、また本法の何条によってどのような措置がとられるのか、これについてお伺いしたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 御質問の趣旨は一つの建物と解釈するかどうかという問題にかかってくるかと思います。当初設立した場合に、いわゆる一つの建物と認められないような形で、しかも基準面積以下である場合には調整の対象になりませんが、その後通路等をもってつなぎ合わせ、一つの建物とみなされるような場合には本法の適用対象になります。具体的には第三条の第八項に一つの建物の解釈につきまして「屋根、柱又は壁を共通にする建物及び通路によって接触され、」という文言がございまして、通路によって接続されるということで一つの建物と読むべきかと思います。さような場合には、本法第五条によりますところの「大規模小売店舗における小売業者の届出」を出して、必要とあらば大臣の調整の対象になる、こういうことでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから本案は届け出審査制であるわけですが、これは基本的には許可制と考えてよいのか、また届け出制と考えてよいのか、この辺についてお伺いしたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 届け出制であるか、許可制であるかということは、法制的に割り切りますとやはり届け出制に属するかと思います。ただ、審査を慎重にやるということで、届け出を受けましたら直ちに事前審査をやる、必要な場合には、問題のある場合には勧告もしくは命令あるいはこれを担保するための行政命令あるいは罰則等の適用によりまして強行し得るようになっておりますので、事実上運用上におきましては、必要ある場合には許可制と同様の効果を期待できる、かように解釈しております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 じゃ約束の時間ですから、これで終わります。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 板川正吾君。

板川正吾日本社会党

○板川委員 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案について若干質疑をいたしたいと思います。  この法律案を読みまして、どうも私ども何となくこの法律案の名称がぴんとこない感じがするのです。たとえば百貨店とかスーパーとか、具体的にそのものを表現しているならいいのですが、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案、大と小と相反する文字が混在するために、どうもこの法律案の名前が、大小が相次いで並んでおるために読んでぴんとこない。ここで名称についてちょっと申し上げたいのですが、大規模店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律、こういうふうな言い方ではおかしいのですか。大規模小売店舗、そしてまた小売業と出るので、どうもこの法律の名前がなじみにくいのですが、大規模店舗における小売業の事業活動、こういったほうがすなおに読める、また読んで頭に浮かぶような感じがするのですが、法案の名称について、これは事務当局でけっこうです。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 原案はむしろより正確にしたいということで、大きな事務ビルの下で小さなたばこ屋とかあるいは菓子屋などの小売業店舗が入る場合もあるわけでございますが、それは省こう、その大きな建物が主として小売業を中に入れている建物であるから大規模小売店舗と称しようていうので、より正確にするという意味でそこに小売の字が入ってしまったわけでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 まあこれは特別議論することじゃないのですが、大がつき、小がつき、また小がつくというので、法案の名称がどうもなじみにくい感じがいたしますから、お聞きしました。  そこで今度は第一条の「目的」の根本理念というものについて伺いたいと思います。  その前に、百貨店法の改正案といわれておるのですが、この百貨店法の目的というものをどういうふうに理解しているか、これは事務当局でいいですが伺いたい。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 現行の百貨店法も、基本的な趣旨は、百貨店の営業面積の拡張に伴って中小小売商業の事業機会が失われることのないように調整しようという趣旨と解釈しております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そうですね。百貨店法を見ますと、第一条で「この法律は、百貨店業の事業活動を調整することにより、中小商業の事業活動の機会を確保し、商業の正常な発達を図り、もって国民経済の健全な進展に資することを目的とする。」こういうふうに書かれておって大規模な百貨店の事業活動を調整して、小売商業の事業活動の機会を確保するという趣旨から百貨店法が生まれて運用されてきたことは御承知のとおりでありますが、この法律案の第一条の「目的」を見ますと、「この法律は、消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もって国民経済の健全な進展に資することを目的とする一このようにうたわれておりますが、「消費者の利益の保護に配慮しつつ、」というこのことばがなければ、ほぼ百貨店法の趣旨と同じ、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。本法の根本理念というのが、「消費者の利益の保護に配慮しつつ、」という新しいことばを除けば、「大規模小売店舗」というのを百貨店に読みかえると、百貨店法のほぼ延長、百貨店法と同じ趣旨を持っておる、こういうふうに理解してよろしいかどうか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、大規模小売店舗という名前で、百貨店と、俗にいうスーパー等々が入ったこと、これが大きな一つの要素でありますのと、消費者の利益ということを明文化したこと、これが違いでございますが、中小小売商業との事業調整がやはり根本であると思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 従来は百貨店という企業主体を規制する法律だった。今度は店舗を中心に百貨店も大型スーパーも同一に規制をする、届け出制から事前審査制に戻るが、しかし根本的には百貨店法の精神もこの中に盛り込まれておる、こういうふうに理解をいたしたいと思います。  そこで今度新しく入りました「消費者の利益の保護に配慮しつつ、」ということばがありますが、この考え方、理念というのが本法の中でどのように位置づけられるのだろうか、これを伺いたいのであります。産構審の答申を見ますと、産業構造審議会流通部会の中間答申としては、「新しい経営技術導入による消費者物価問題に対する貢献、豊富な品ぞろえによる消費者の多様化した欲求の充足等大規模小売店による流通近代化の効果を十分生かしつつ、大規模小売店進出に対する中小小売商の円滑な対応を可能にするため、届出制によりその進出を事前に周知させることを中心に行なわれるべきであろう。」とし、また、「届出制に移行する場合でも、大型小売商の大規模小売店の新増設が特定の地域で集中的かつ大規模に行なわれ、周辺中小小売商がこれへの対応体制を整えることがきわめて困難な場合等には、このような大規模店新増設について勧告、措置命令等を発動しうる余地を残しておく必要があろう。」こういうふうにいっております。これはとにかく届け出制にしてある程度自由にさせていこうということになるが、規制措置のほうは「勧告、措置命令等を発動しうる余地を残しておく必要があろう。」という意味で、非常に消極的な思想をこの答申は盛っておるわけであります。こういう産構審の答申の思想と今度事前届け出、事前審査制というものを採用した本法と若干の食い違いがあると思いますが、この消費者保護の配慮という理念と本法との関係について説明を願いたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 原案のほうから先に御説明しますと、一条に明文を入れまして、そこで目的をはっきりさせましたほかに、十一条前段におきまして、この法律で最も肝心な点と思われます届け出が出ました際に、政府がこれを審査する、そして勧告すべきかどうかを決定せねばなりませんが、そのときに、ほかの要素に加えて、その周辺消費者にとってどれだけその大型店舗の進出が利益になるかどうかを判断すべきである、配慮すべきであるということを明文で規定しておるわけでございます。これは一条も十一条も現行百貨店法と違った点でございます。ただいま先生が審議会答申をつぶさに御披露くださいましたが、率直に申しまして、審議会における議論においては、現在の百貨店法で欠けておる点、つまりスーパーの問題を別にしまして、消費者利益というものをもっと小売業行政で重視すべきでないか、特に物価関係でございますが、そういう御意見が比較的主導的であり、かつ答申の中にもニュアンスとしてはそういうものが強調されておったと思います。私どもはもちろん答申にできるだけ忠実に原案をつくったわけでございますが、正直に申し上げまして、原案をつくる過程におきましても、第一次原案から何度も調整、修正をして、ただいま提出しているような原案になったわけでございまして、答申にはできるだけ忠実のつもりではございますが、特にその審査の条項等におきましては、消費者の利益もさることながら、その周辺の小売業の調整も十分従来の百貨店法の精神を引き継いでいこうという点が少し強くなっておると思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そうですね。産構審のニュアンスよりも、本法の運用にあたっては、この旧百貨店法、廃止される百貨店法の精神のほうに重きを置いて、そして事前審査制というのをきびしく運営して小売業の事業活動等を適正に確保できるようにする、ただし、それをやるのであるが、消費者の利益というものも念頭に置きますということで、重点は、この小売業の事業活動等を適正に確保するという第一条後段のほうにあるということに私は理解をいたします。  いま局長、十一条の問題で触れられましたから、ついでに十一条にいきますが、十一条を見てください。「消費者に対する配慮等」という第十一条の規定は、どうも私は、いまの精神からいうとこの意味がよく理解できない。これは十一条で「消費者に対する配慮等」というならば、たとえば「通省産業大臣は、第七条第一項、第八条第一項又は前条第一項に規定する措置の運用に当たっては、消費者の利益の保護について配慮」せい、こういうことで、十一条は配慮のしかたを具体的にここに規定すればいいんじゃないだろうか。それを「あわせて」云々ということをいいますから、この十一条の規定というものがどうもちぐはぐな感じがいたします。これは「消費者に対する配慮等」というならば、消費者の利益保護について配慮するという点まででよろしいんじゃないだろうか。あとは、「あわせて、大規模小売店舗における中小小売業の近代化」云々というのは、別の法律でも読むことができますし、七条の規定でもそういう趣旨を守ろうとしているわけですから、必要はないんじゃないだろうかと思うのですが、この点はどう考えますか。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 おっしゃる点は私も実は同感でございます。ただ、多少便宜主義もありまして、つまり配慮事項が大きなもので二つある。一つは消費者の利益保護であり、一つは、寄り合い百貨店等、真に中小小売業の近代化政策というものも忘れてはならないという、この二つの配慮事項を一つの条文で並べたという便宜的な弊害はあると思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 実際これはちょっとおかしい文章に私は感ずるんです。  ついでに伺いますが、「消費者の利益の保護について配慮し、あわせて、大規模小売店舗における中小小売業の近代化その他の小売業の事業活動の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないよう配意しなければならない。」とあります。消費者利益の保護については配慮せよと主張し、小売商業近代化その他については配意しなければならないとありますが、この「配慮」と「配意」というのは、法律上どういう区分があるんですか。これは法制局から聞きたいんですが、法制局来ておりますか。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答え申し上げます。  本条第十一条は、この法律案のほかの規定、実質的な内容をなしております第三条から第十条まで、あるいは第十二条から第十四条までのように権利を制限したり義務を課したりするというような規定とは異なりまして、先ほど板川委員の御指摘のように、通産大臣が勧告または命令を行なうにあたっての心がまえを示している、いわゆる訓示規定と称しているものでございますので、当方で法律案を審査いたします際にも、用語の使い分けにつきまして、いまの権利を制限するような規定ほど、ことばの意味の差異と申しますか、神経質にならなかった点があるということを一応お断わりしました上で御説明申し上げたいと思います。  さて、「配慮」と「配意」につきましては、いろいろ字引きなどを引きましても、そのことば自体に非常に大きな意味の差があるというようなことはないようでありますけれども、この法律案全体の構成、あるいは第十一条について板川委員ただいま御指摘ございましたように、前段と後段に若干の質の差があるというような点から見ますと、次のような御説明ができるんじゃなかろうかと思います。  まず、第十一条の前段は、第一条の目的に「消費者の利益の保護に配慮し」と書いてございますので、その字句をそのまま用いることによりまして、今度の法律で、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整をする際に消費者の利益が阻害されることがあってはならないという、いわば時代の要請をはっきりさす、鮮明にするというような趣旨でその字句をそのまま使うということをせざるを得なかったのであります。  次に、第十一条の後段、いまの「配意」のところでございますけれども、これは先ほど御指摘ございましたように、この法律案がいわゆる建物主義というような構成をとりました結果、事業活動を調整する必要がほとんどないような中小小売商業者をも、形式上は、形の上では調整の対象に含んでしまうようになるということを考えまして、この法律の運用にあたって、大規模小売店舗内の中小小売商まで調整の対象とするものではないということを明らかにするために、特に勧告または命令の運用の心がまえを明記するという趣旨で書いたわけでございます。これは、先ほど山下企業局長が申したとおりでございます。このことは、これも御指摘ございましたように、第七条ないし第八条には勧告なり命令の要件のところで、一応解釈上当然ということも言えないことはないわけでございますが、これをさらに明確にするためということでございますので、前段と異った用語を用いるほうが、いわばそのニュアンスの差ということが明確に出るかと思いまして、前段と異なった「あわせて、」「配意し」という表現を使ったわけでございますので、その点御了承いただきたいと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 私は、後段の「あわせて、」以下は、実は蛇足だろう、こういう感じがするのですが、この「配慮」というのを私もいろいろ字引きを引いてみましたら、配慮とは心を配る、心づかいとありまして、配はまあわかりますが、慮はおもんばかり、よくよく考える、あるいは思いめぐらすこういうようにおもんばかりという意味がいわれております。この「配意」というのは、ではどういうのかというと、心を配るという。やはり同じですよ。そして配意とは心を配る、そして配慮と書いてありました。結局、配意も配慮も同じで、じゃ意とは何ぞや、こう字引きを引いてみますと、意とは心、心ばせ、こんなことがあります。結局、配慮と配意というのは、語彙として変わらない。変わらないのをこの法律の一つの条文の中で書きますと、何か特別な意義が、異なる意義があるように感じます。これはおかしいんじゃないかと思うのですが、どうもいまの説明では、大体、後段の「あわせて、」以下がおかしいじゃないか、この「配意」もおかしいじゃないか、あまり使ってないことばでおかしいんじゃないかと思うのですが、もう一ぺんひとつ説明してください。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答え申し上げます。  ただいま板川委員御指摘のとおりでございまして、字引きを引きますと、配慮も配意も、具体的ないわば言いかえでございますけれども、心を配ること、心づかい、心配というようなことでございまして、おっしゃるとおりにそう差はございません。ただ、先ほど申し上げたことの繰り返しにややなるかと思いますけれども、前段のほうにつきましては、目的にそういう趣旨が書いてあるがけで、規定の内容としては、大体そういう規定が書いてないということもございますので、目的と同じことばを使う必要があるだろうということで配慮ということばを用いたわけでございます。  なお、後段につきましては、先ほど来御指摘おりますように、私のほうからもお答え申し上げましたように、七条、八条等で実は中小企業者に対する配慮——簡単に配慮と申し上げますが、配慮は十分読み取れるということもいえますが、なお蛇足というような御指摘もございましたのです仕れども、たとえ蛇足的なものであっても、この十一条で通産大臣の運用にあたっての心がまえを書く以上は、なお一そう鮮明にすることが必要じゃなかろうかという意味で、あわせて配慮する。号の際に同じ配慮ということばを使うよりも、いわば前のほうに書いてあることをさらに明確にするという意味では、違うことばを使ったほうがその趣旨が出るのではなかろうかというつもりで書いたわけでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 蛇足ですからちょっとじゃまになるが、まあそれはそれでいいといたしましょう。  今度は通産省に伺います。この法律は、従来の企業規制というものから建物規制に変わった、たとえば寄り合い百貨店、寄り合いスーパー、こういったものも、一定の面積を占めればもちろんこの規制の対象になる、こういうことになりますが、ちょっと私、これで一体これはどうなるのかといま考えついたんですが、じゃ、商店街がずっと寄り合い的に一定の面積の店舗を連続して行なった場合には、この法律の規制対象にはなりませんか。商店街が店舗をずっと寄り合いスーパー的、寄り合い店舗的に軒を連ねてやって、この規定の売り場面積以上を占めておった場合に本法の対象にならないんですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 先生御指摘のケースが本法に規定する一つの建物と解釈できるかどうかということにかかってくるかと思います。一つの建物と解釈される場合には、基準面積をこえる場合には当然本法の適用対象になってくるわけでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 普通はならないかもしれませんが、寄り合いスーパー、寄り合い百貨店というのは、もちろん基準面積をこえる場合規制対象になる。したがって、商店街組合というもので連続した店舗を持った場合に対象には当面はならない、こういうふうに理解していいですね。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 お話のように一応本法の対象になるわけでございますが、ただ十一条後段の趣旨等から、事実上の問題としては運用上大体フリーパスすることになるだろうと考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 さっきの第一条からの議論にちょっと戻りますが、この第一条の目的が百貨店法から引き継がれた、中小小売商業の事業活動の機会を適正に確保する、こういう考え方に重点を置くならば、たとえば中小小売商業者が集合して寄り合い百貨店、寄り合いスーパー、こういうものを経営する場合と、大資本百貨店あるいは大商社を背景に持つスーパー、こういうものの進出に対して同一な扱いをすべきじゃない。これこそ配慮なり配意なりが十分加えられていいんじゃないだろうか。要するに、中小企業者が集まってスーパーなりあるいは百貨店なり寄り合いで行なうという場合と、大資本が進出する場合とは、扱い上差があっていいんじゃないだろうか、運用上ですね、こう思いますが、この考え方はいかがですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 御指摘のとおり、運用上差等があってしかるべきかと考えます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 わかりました。  第七条関係で伺いますが、この七条の一項、これは第一条の目的の消費者保護の明文を除いた第一条の目的を具体的に扱おうとしたのがこの第七条の精神ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 御指摘のとおり、第一条の目的を生かしての調整手段の規定でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 第一条の消費者保護の規定を除く目的を具体的にあらわしたのが七条の精神だ、こう思います。  ここで伺いますが、第七条に、「通商産業大臣は、第五条第一項又は前条第一項若しくは第二項の規定による届出があった場合において、その届出に係る大規模小売店舗の周辺の人口の規模及びその推移、中小小売業の近代化の見通し、他の大規模小売店舗の配置及び当該他の大規模小売店舗における小売業の現状等の事情を考慮して、その届出に係る事項が実施されることによりその届出に係る大規模小売店舗における小売業の事業活動がその周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、そのおそれがあると認めるときは、大規模小売店舗審議会の意見をきいて、その届出を受理した日から三月以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を減少すべきことを勧告することができる。」とありまして、その中で、通産大臣は「その周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、」とありますが、この審査する機関、これはどこでやりますか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 通産大臣が行なうわけでございます。     〔稻村(左)委員長代理退席、羽田野委員長代理着席〕

板川正吾日本社会党

○板川委員 もちろん通産大臣が行なうとあるのですが、通産省で審査をすることになりますね。この条文では、通産省で審査をして、おそれがないということになれば、そのまま六カ月後には店舗のオープンはよろしい、こういうふうに解釈をいたします。これは事前審査の第一の関門ですね。おそれがないということになれば、そのまま通って認められるわけであります。通産大臣の審査というのは今後の運用で実はなかなか重要なポイントになると思います。通産大臣の胸先三寸で簡単におそれなしとしてオーケーしてしまうようなことになる可能性がありますが、審査にあたっての通産大臣の心がまえというのはどうでありますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 立法の趣旨、三つないし四つの法の目的をあげましたが、その法の目的が実現するかどうかということをよく周囲を見渡し、また届け出の内容、本質等をよく精査いたしまして、その調和をとれるかどうかを確信を持ってやれるという場合にこれをパスさせる、そういうことであろうと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 これは法律を運用する上で実は一番重要なポイントだと私は思いますから、十分慎重に審査をされることを要望しておきます。  七条一項の後段に、その審査をして、そのおそれがあると認めるときは、大規模小売店舗審議会の意見を聞いて、届け出したものに対して開店日の繰り下げ、店舗面積を減少すべきことを勧告することができる、こういうふうに書いてあります。これはおそれがあると認めたときでありますが、これはここで聞いたかどうかわかりませんが、繰り下げあるいは店舗面積の減少という勧告ができるのでありますが、被害の影響の程度によっては、無期限まで開店を延期させることも可能か店舗面積の減少というのはゼロまであり得る、こういうふうに説明があったようでありますが、確認してよろしいかどうか伺いたい。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 第七条の勧告は、大規模小売店舗における小売事業の活動によりまして、周辺の中小企業が相当程度の影響を受けるおそれがある。そういった場合に、そのおそれを排除する必要左範囲内において勧告を行なうことになっておるわけでございますが、そういった勧告の性格を前視といたしまして、必要とある場合には、店舗面積につきましては、店舗面積の合計が基準面積と同一になるまで削減も可能であるかと考えております。したがいまして、さような場合には、個々の企業にとっては全面的に削減ということも可能性としては出てくるかと思います。同様な趣旨におきまして、開店日の繰り延べにつきましても、情勢によりましては、その影響の度合いによりましては無期限ということもあり得るかと思いますが要は周辺の中小小売商業者に及ぼす相当程度の影響、あるいはそれを排除するために必要な限度ということで本条を運用していくことになるかと田います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 わかりました。  七条二項について伺います。七条二項で「その地区内にある商工会議所又は商工会の意見及び通商産業省令で定めるところにより申出をした者の意見をきかなければならない。」こうありますが「その地区内」というのはどういうふうに解釈いたしますか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 大規模小売店舗の進出の影響のあるものは、非常に広範な地域に及ぶ場合もございますが、第一義的にと申しますか、主としてその影響の出る地域はやはりその周辺にあるかと思います。先刻御承知のとおり、商工会議所あるいは商工会というのは一定の市町村を区域として乱立されておるわけでございますので、そういった意味合いから、法文上は関係の商工会議所あるいは商工会といったような表現をとっておりますが実際上、運用上必要な場合には地区外の商工会議所等の意見も聞く必要もあるかと考えております

板川正吾日本社会党

○板川委員 それからこの法文では、その大規模小売店舗の所在地がその地区内にある商工会議所又は商工会の意見を聞かなければならないというふうになっておるわけです。これは大規模小売店舗審議会がその意見を聞くということになっておりますが、大規模小売店舗所在地がその地区内にある商工会議所という意味は、その行政区のというふうに理解してよろしいのでしょう。商工会議所というのは行政単位にありますし、商工会もそうですから、そういうふうに理解していいでしょう。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 商工会議所等につきましては、地域を限って設置されるわけでございまして、言いかえますと、商工会議所の地域ということでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 商工会議所は行政単位にあるいは商工会も行政単位に行なわれていますから、行政区単位というふうに理解してよろしいと思いますが、これは従来百貨店審議会の中にありました商調協といわれております機関ですね、これは今後も商工会議所または商工会の中に置かれるというふうに考えてよろしいのですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 存続させる方向で考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 百貨店法の運用の歴史を見てきますと、百貨店は、先ほど言いましたように、小売商業の適正な事業活動の機会を確保するというたてまえで運用されてきた。その運用の従来の基準というのは、百貨店がつくられるその地域の商工会議所にある商調協といわれている機関の意見を聞いて、そして商工会議所が通産省に答申をしておる、こういう経緯をたどってきたと思うのです。百貨店法当初は、百貨店がつくられる周辺の商工会議所の意見を聞いた。昭和三十年代においては、百貨店ができますと、その周辺の小売商業が重大な被害を受けたからそういう方式をとってまいりました。しかし、四十年代になりますと、商工会議所の中に設けられた商調協の意見を受け入れただけでは百貨店法の運用が十分でないという事態になってきた。実は百貨店ができることを周辺の小売商業は大賛成になってしまった。初めは反対しておったのですが、実は百貨店ができると、そのおこぼれ、あるいはその周辺がいわば商店街的になって、そのおこぼれ利益を受ける。だから商調協は、百貨店ができることに反対する理由はほとんどなくなってきた、こういうふうにわれわれは実態を見ておるわけであります。ですから、もしこの小売商業者の適正な事業活動を確保するというたてまえをとるならば、この大規模小売店舗ができる地域の商工会議所ではない、かえってその周辺の商工会議所なりの意見を聞く必要がある。そうじゃないと、本法の目的が実は達成されない形式的な運用になる可能性があります。この点をどういうふうに補ってカバーしていくか、運用上の心がまえを伺いたい。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 必要がある場合には、事実上周辺の商工会議所の意見が反映されるように、あるいは周辺地区における中小小売商業者の意見が反映されるように処理してまいりたいと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 それはどこで……。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 法文上は規定はございませんが、運用上の問題として処理いたしたいと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そこで七条の二項をもう一ぺん聞きたいのですが、読んでみます。「大規模小売店舗審議会は、前項の規定により意見をきかれた場合において、その意見を定めようとするときは、その大規模小売店舗の所在地がその地区内にある商工会議所又は商工会の意見及び通商産業省令で定めるところにより申出をした者」——修正案が出ていることは、ここに消費者及び小売業者その他の者の意見を聞かなければならない、こういうようになるのでありますが、この条文でいいますと、その意見を定めようとするときは、地区内にある消費者、小売業者あるいは省令で定めるところにより申し出をした者の意見ということになって、その地区内にあるということがかぶさってくるような感じがいたしますが、これは通産省令で定めるところにより申し出をした者と、こういうところで幅を広げることができるのですか。この法律上読めるのか読めないのかということをお伺いします。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 ただいまお読みになりました「地区内」ということばは、「商工会議所又は商工会」までにかかりまして、「省令で定めるところにより申出をした者の意見」という「申出をした者」というところにはかかりません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そうしますと、「通産省令で定めるところにより」という省令で定める場合に、いま言った趣旨をこの中に織り込まれるものと理解してよろしいかどうか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 さようでございまして、特に資格を限定せず、小売商業者、消費者あるいは学識経験者等申し出のあった方の意見をお聞きすることにいたしたいと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 わかりました。  それから、実は本法に直接関係ございませんが、商工会という文句が出てきましたから通産大臣に一つ伺いたいことがあります。  商工会法については、昭和三十五年に私ども商工会の組織等に関する法律の立法に参加したのでありますが、このときに実はこの商工委員会で一番議論になりましたのは、商工会をつくって、結局これは自民党の末端の選挙運動に利用するのじゃないか、こういうことが一番論争点になったわけです。当時政府側は、絶対にそういう特定の政党のために商工会というのは利用しない、こういう言明を当時の大臣も再三されておりまして、そしてそのために商工会法第六条に「商工会は、営利を目的としてはならない。」、二項として「商工会は、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行なってはならない。」、三項で「商工会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」こういうふうに実はこの六条の三項を追加することによってこの法案が成立をしたのであります。ところが、その後の運営の実態を見てまいりますと、まさに私どもが心配して危惧しておったように、選挙の際には商工会が政治団体化する運用が行なわれている。これは全部とは言いません。そういう法律違反の運用が行なわれていることに対して、一体通産省としては、商工会というものに厳正にこの法律を守らせるためにいかなる指導をされてきたか、この点について伺っておきたいのであります。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 商工会は、現在でも、また創立の当初以来も、政治的には厳正中立を守っているだろうと思います。商工会の中における個々人が自分の信条に従って政治的な支持を行なうということはあり得ましょうし、また、そのメンバーがそういう政治的団体を結成して応援するということは個々的にはあり得るかもしれませんが、商工会として特定の政治団体を特に応援するとか政治行為をするということはないと思っております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 法律上はそう規定してありますから、商工会の加盟メンバーが個人的にどの政党を支持するか、これは自由なんです。それは私どもとやかく言いません。しかし、商工会の組織を通じて特定の政党の候補者を推し、その選挙活動をするということは法律違反であり、間違いだと思いますが、実はそういう事例があらゆる選挙の際に行なわれておるのであります。たとえば、埼玉県で知事選がありました。その際に、商工会の組織を通じて、上からの命令をもって、この商工会は何台用意しろ、この商工会は何台用意しろ、こういう指示で、商工会あてに何百台という示威運動をするための自動車を集めさせた例があります。ですから、これは適当な機会にぜひ商工会に通達身出して、厳正に法律を守れという指導をしていただきたいと私は思いますが、いかがですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 承知いたしました。

板川正吾日本社会党

○板川委員 次に、公取に伺います。  しばしばここでも議論になってまいりました、昭和二十九年告示第七号で行なわれました百貨店に対する公取の特殊指定の内容について、とりあえず説明していただきます。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 特殊指定の内容でございますが、簡単に申し上げますと、まず第一は、納入業者に対する不当な返品、第二は、商品納入後の不当な値引き、第三は、納入業者に著しく不利益となる委託販売取引、第四は、特売等に供する商品を著しく低い価格で納入させること、第五は、商品の不当な納入拒否、六は、手伝い店員の不当な使用、七としては、上記の要求、つまり手伝い店員の不当使用の要求を拒否したことを理由とする納入業者に対する不利な取り扱い、第八は、景品つき販売の原則禁止、以上でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 昭和二十九年告示第七号で「百貨店業者が、左の各号の一に該当する場合を除き、」という書き出しがら、一号から八号にわたっていま言った不公正取引の特殊指定が行なわれているわけであります。これに対するいままでの運用状況について説明していただきたい。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 いまこの全部についての運用状況は手元にそろっておりませんが、八つの特殊指定の内容のうちで一番重要なるものは、第一番目の不当返品、それから第八番目の景品つき販売の原則禁止であるというふうに考えております。この運用状況につきましては、先ごろの当委員会でも申し上げたとおりでございまして、これは過去三回にわたって改善計画書を出させ、厳重な指導をいたしておりますけれども、まだ必ずしも改善されておりません。今後は、より一そう強力な行政指導によって、不当な返品あるいは不当な派遣店員、こういうものは廃止の方向に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 この百貨店における特殊指定の問題ですが、派遣店員の問題がここでもしばしば論議をされました。この派遣店員について特殊指定の六号で「百貨店業者が、自己の販売業務のために、納入業者にその従業員等を派遣させて使用し、または自己が直接雇用する従業員等の人件費を納入業者に負担させること。ただし、納入業者の納入に係る商品について、通常百貨店業者の従業員のもっていない販売に関する特殊な技術または能力を有する従業員等を派遣させてその商品の販売業務に従事させることが、当該納入業者の直接の利益となる場合を含まないものとする。」というように規定をされております。わかりやすく言えば、特殊な品物で、その販売について特殊な技術、技能を必要とする場合に、納入業者は納入した物を販売してもらえば利益になるわけですから、お互いの利益となる場合は派遣店員はよろしい、こういうように限定して派遣店員が認められております。ところがこの間、参考人に聞きましても、この派遣店員についてはまことに申しわけないというか、みずからの非を認めておられますが、この特殊な技能、特殊な能力を必要とするという場合以外の派遣店員というものに対して、従来公取はどういう指導を行なってきたか、伺いたい。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 特殊指定には先生おっしゃいましたように書いてございまして、特殊な技能あるいは技術あるいは能力を持っている者、それから派遣店員を出させることが当該納入業者の直接の利益となる場合は除かれております。これ以外のものにつきましては、別にこの条項に該当しませんので違反とはなりませんから特別の指導はいたしておりませんが、ただ、特殊の技術あるいは能力というような点の解釈の問題で、この場合は、通常百貨店の売り場店員の持っていない販売に関する技術、能力であって、その習熟に一年以上の期間を要するものというような解釈を従来とってきているわけでございます。これからはずれるものは、このいわゆる特殊な技術、能力に該当するものではないということで指導してきているわけでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 従来の運用は、さっき言ったことがちょっと私はひっかかるのですが、「通常百貨店業者の従業員のもっていない販売に関する特殊な技術または能力を有する従業員等を派遣させてその商品の販売業務に従事させることが、当該納入業者の直接の利益となる場合を含まない」、だから、その百貨店従業員の持っていない特殊な技術または能力というのは、少なくとも一年以上たたなくちゃわからないようなものということを運用の基準としておるようでありますが、一体この一年以上というのは初めて聞いたのですけれども、一年以上という基準はどういうことでできたのですか。特殊な技術または能力ということを一年以上というのはあまりにも基準が低過ぎるのじゃないですか。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 私がいま申し上げました一年以上というのは、昭和四十五年十一月十七日の「手伝店員問題について」という通達の中にうたってございます。繰り返しますと、「通常百貨店の売場店員のもっていない販売に関する技術能力であって、その習熟に一年以上の期間を要するもの」というのを一応の基準にしておるのであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 この百貨店の派遣店員というのが非常な数字に、まあ二割ということにこの間報告もありましたが、いずれにしましても、この点は今後厳正に扱ってもらいたいと思いますが、時間となりましたから、最後に伺います。  この法律は読みづらいのですが、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律が今度成立した場合に、この告示七号はどうされますか。改正をする意思がありますか。それともこのまま読みかえていくのですか。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 従来の百貨店につきましては、特殊指定を現在のところ特に改正する必要はないと思っております。ただ、量販店につきまして、これは大規模小売店舗法が提案されました背景となった小売業の構造変化等の事情を踏まえまして、量販店についてどうするか、目下検討中でございますが、少なくとも、大型の量販店につきましては、仕入れ面を中心に何らかの規制が必要であるというふうに考えております。ただ、それをどういう形でこの特殊指定に織り込むかということは現在検討中でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 この間、参考人の意見を聞いたときには、まあ大型スーパーは、派遣店員等については、百貨店と違って、あまりないようですね。あるいはその他返品とか不当値引きとかいろいろな点も、百貨店よりも歴史が浅いだけにないようであります。  しかし、今度この法律ができて同一に扱われることになりますと、百貨店だけはこの規制を受ける、大型スーパーは受けないということになりますと、そこに将来差別がつく可能性があります。ですからその点は、この告示七号の精神をもとにひとつしかるべく検討していただきたいということを要望して、質問を終わります。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 中曽根通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中曽根通商産業大臣。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 去る七月四日の商工委員会の冒頭に、その前日の中村先生の御質問にお答えする発言を行ないましたが、十分意を尽くしていない点がありましたので、本日あらためてお答えを申し上げます。  本法案が建物主義をとり、寄り合い百貨店等をも対象としたのは、再度大型スーパーが疑似百貨店方式で事実上脱法することを排除するためのものであります。したがって、大企業のダミーについては、寄り合い百貨店等の形態をとる場合も、立法の趣旨からして当然勧告、命令の対象となります。  しかし、純粋の中小小売商業者に対しては、本法案の立法趣旨にかんがみ、原則として調整の対象としないよう運用すべきものと考えます。  なお、本法案の運用にあたっては、万一にも中小小売商業者の寄り合い百貨店が大企業のダミーとならないよう、厳正な審査を行なう決意であります。また、万一大企業のダミーが純粋の中小企業と偽って高度化資金の融資を受けていることが判明した場合は、中小企業振興事業団法第二十二条の規定に基づく業務方法書等の定めるところにより、繰り上げ償還をさせることはもちろんであります。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣の、私の質問に対する統一見解に基づいて質問を進めてまいりたいと思いますが、与党のこのような出席の状態では審議を進めるわけにはまいらない。五名の理事の中で一名はやむを得ない事情で退席をされたようでありますけれども、ほかはわからないのですね。委員長は常任委員長会議に行っているようでありますからやむを得ないといたしましても、このような出席状態で野党に協力を求めるということ自体、あまりにも与党の誠意がなさ過ぎると私は思う。きょうの理事会でも、この法案の採決が行なわれたあとに、中小企業基本法の改正について審議してほしいということであった。私どもはそれに協力をすることにやぶさかではないという協力的な姿勢を示したわけだけれども、これでは話にならぬじゃありませんか。与党の出席をこれからどんどんすすめる——いま若干入ってまいりましたが、委員長は努力をしてもらいたい。よろしいですか。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 承知しました。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いま大臣の統一見解がなされたわけですが、この第十一条の後段の規定というのが前回の委員会の場合におきましては入っておりましたが、これは削除されているわけであります。その点私は了といたしますが、板川委員の質問に対しまして企業局長のお答えがございました。十一条後段については、いわゆる便宜主義的な点があると思う。その一つは、消費者の利益ということを考えるのだ、中小小売業の近代化その他、小売業の近代化活動の問題云々は、寄り合い百貨店等のことを配慮してという意味のお答えが実はあった。そうなってまいりますと、十一条後段というものはやはり寄り合い百貨店というのが中心になっておるような印象を企業局長の答弁からは私は受けたわけであります。そうではなくて、企業局長、第十一条の後段は、むしろショッピングセンター、こうした場合に、この十一条後段というのが多く適用されるという形になっていくのではないか。寄り合い百貨店の場合は高度化資金を使って、そして共同店舗を設置する、組合が共同店舗をつくる、その中に組合員が入る、その組合員には、やはり近代化融資等をやらなければならないという場合が出てくると私は考えるわけです。したがって、十一条後段は寄り合い百貨店というのが中心ではなくて、デベロッパーであるとか、そういったいわゆるショッピングセンターというものが、むしろこの十一条後段を適用して、中に入る中小企業の近代化をはかっていくということに重点が置かれていくのではないか、そのように思うわけです。したがいまして、せっかく、明快ではないといって大臣の前回の統一見解を削除されたわけでありますけれども、先ほどの企業局長の答弁では、これと私は完全矛盾とは申しませんが、矛盾に近いものがあるというように印象を受けるわけでありますが、その点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、先ほどの私の板川先生への答弁におきまして、十一条後段に関する部面で、寄り合い百貨店というのを引用いたしましたことが誤解を招くおそれがありますので、その点を訂正させていただきます。  十一条後段は、正確に申し上げれば、大規模小売店舗となる建物に入居いたします中小小売商についての特例を定めて配慮事項を明記したものであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それで了承いたします。  法制局はお見えですか。——いま質疑をいたしておりますこの大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案の中に、いまお聞きの寄り合い百貨店が実は対象になるわけですね。寄り合い百貨店というのは、中小企業振興事業団法に基づくところの資金が実は融資の対象となるということになるわけです。ところが、この寄り合い百貨店がダミー化したような場合、繰り上げ償還という形がなされるということになってまいりますが、この法案の中には、中小企業振興事業団法と本法案との関係というのが明らかになっていないわけです。私は、寄り合い百貨店が本法の対象となるということになってまいりますと、そしてそれに基づいていろいろと調整行為等が行なわれてくるということになりますれば、やはり中小企業振興事業団法の関係をこの法文の中に明記しておかなければいけないのではないかという感じがいたしますが、その点、法制局の見解はいかがでございましょうか。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答え申し上げます。  ただいま中村委員から御指摘ございましたように、中小企業振興事業団法では、法律的には明確にはなっておりませんが、一応根拠といたしましては、先日来この御審議でお話が出ておりましたように、振興事業団の業務方法書によりまして、ただいま御指摘のございましたような、たとえば寄り合い百貨店、寄り合い百貨店の中に入っております小売商が大企業のダミー化した場合に、それに対して、たとえば融資の繰り上げ償還をさせるというようなことは可能だというふうに考えております。ただ、振興事業団法と今度の法律とをいま中村委員御指摘のように、いわばつなげると申しますか調整をするというようなことをすることが適当かどうかという点につきまして、われわれの判断を申し上げますと、振興事業団法はいわば融資を中心にいたしました助成法でございますので、その助成の対象につきまして、いわば非常にこまかく選別をする、あるいは途中から変化をしたときに最初の融資の条件あるいは融資の契約に反するようなものにつきまして、いわば懲罰的な繰り上げ償還というようなことを考えることも可能だろうと思いますが、今回のこの法律では、ある建物、大規模小売店舗と考えられるような建物の中に入ってくる小売商についての判断ということでございますので、入ってくる際の判断ということがまず第一に働くだろう、しかも、入ってくる際の小売商の実際の判断につきましては、七条、八条の規定について、先ほど関連して御答弁申し上げましたように、その際に周辺小売商への影響があるかないかの判断を十分いたしますので、その際に実質的にその資本系統等の審査をすることも考えられるかと思いますが、入って営業をやっておりますものを資本がどうか融資がどうかというようなことをあとからさかのぼりまして調整をすることは必ずしも適当ではあるまいということで、このような形にいたしましたために、振興事業団法のようないわば助成法的なものと、今度の法律のようないわば規制法、事業者間の事業活動の調整をある視点から規制をするというような法律との間に差が出てくることもやむを得ないかと存じておるわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 一応了承することにいたしますが、企業局長、本法律案と中小企業振興事業団法と関係があることだけはお認めになりますね。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 認めます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 お認めになるならば、私どもにお配りになります法律案の参照条文の中に、百貨店法、中小小売商業振興法、小売商業調整特別措置法、割賦販売法、登録免許税法、通商産業省設置法、地方自治法、こうあります。中小企業振興事業団法をこれの中にお入れにならないのはどういう事情でございましょうか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 先ほど来御討議いただいておりますように、中小企業振興事業団の場合には、その事業を通じて私どもとしては間接的に関係がある、こう判断いたしたわけでございます。     〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕 いま読み上げられました関連法律は、きわめて本法と直接的なものをあげた次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そのような答弁は私は事実と矛盾すると思いますよ。私が読み上げましたものが直接的に関係がある、中小企業振興事業団法は間接的であるということが言えますか。それじゃ一つ一つこれを説明をしていただいて、中小企業振興事業団法との比較をしていただきましょうか。寄り合い百貨店が本法の対象になる、しかし大臣の統一見解の中で明らかにされたように、ダミー化するといったような場合がこの調整の対象になってくる、認めない、後日これが発見されたという場合、振興事業団法に基づいて繰り上げ償還をさせるわけです。そういう事態が発生をいたしますと本法案に基づいて今度は届け出であるとか、あるいは勧告命令という調整行為が働くわけなんです。最も関係の深い法律が中小企業振興事業団法ということになるのではありませんか。これが間接である、したがって必要がないのだ、私が読み上げたものは直接的なんだというようなことは、いささか実態にそぐわない答弁であると私は理解をいたしますが、そうではないのですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 間接、直接はあるいは語弊があるかもしれませんが、実際的にはきわめて重要な関係がありますが、私が申し上げましたのはきわめて形式的でございまして、参照条文で法律を並べておりますのは一から七までありますが、そのうちの六法律は全部この提出原案でどこかに引用したり改正したりしてある直接的な関係でございます。それから一つの中小小売商業振興法は、今国会に同時に出しましたので直接条文に出てきませんけれども入れた、こういう形式的な関係でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私が指摘いたしますように、関係条文として中小企業振興事業団法をこれに入れたほうがよかったと思っているのですが、入れないほうがよかったと思っているのですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 先ほど来御討議いただきましたように、きわめて重要な関係がありますので入れたほうがよかったと反省いたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 入れるべきであるともう少しすなおに非は非としてお認めにならなければむしろこの審議を混乱させるのです。落ち度がないということにはならない。入れてなかったからといって、この法律案というものを私どもが審議をするについてこれを否定をするというような形のものではないわけであります。しかし、これほど関係を持ちます条文が参照条文として落とされている。にもかかわらず、これが間接であるから入れなかったという積極的な拒否理由をおあげになるから私はこれを指摘せざるを得ないわけです。もう少し委員会の審議というものをなめらかに行ないますためには、すなおな態度で対応していただきたいということを御注意申し上げておきたいと思います。  それから次にお尋ねいたしますが、お尋ねをいたします前に、大臣はきょうは十二時五十分ごろ用があるという連絡を受けたわけですが、適当な時間に御退席になってけっこうでございますが、しかし次に質疑をいたします一、二問だけはお聞きいただきたいと思います。  食堂は百貨店、大規模店——むしろこの食堂というのは百貨店が中心であろうと思うのでありますけれども、総売り上げの何%程度を占めているんでしょうか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 ただいま持ち合わせておりませんので至急取り寄せて御答弁申し上げたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣、私が聞いていただきたいと申し上げておりますのは、食堂は百貨店の売り場面積の外になっているということです。そして外になっていますからその食堂をずいぶん広くとる、そしてあとでこの食堂をたとえば半分なら半分にすることだってあり得るわけですね。そして三千平米なら三千平米の中にその食堂を半分にして入れるということがある。その場合はあらためてまた届け出等をなさなければならぬという、何と申しましょうか、新増設の形式をとるわけです。きわめて複雑なやり方です。同時に、この食堂というのは、百貨店の総売り上げの、私もここで資料を持っていないわけでありますが、相当な比率を占めていると私は思うわけです。これは外であるということに問題があるということが一点であります。  それからいままでは対象となっておりました階段、トイレ、これも今度は三千平米の外になったということです。ところが独禁法では、依然として企業主義でやろうとしていらっしゃるのです。いいか悪いかは別ですよ。本法案では建物主義になるのです。同じ百貨店、いわゆる大規模店の行政運営の中に、片や建物主義、片や企業主義ということになる。それから公取の場合は、独禁法の場合は食堂は対象になっているのです。本法案の場合は食堂は外である。こういうふうになるわけです。こんなに相矛盾したことがあってもよろしいのかどうかということを私は問題視するわけです。  しかし、大規模店というのは通産省の、何と申しましょうか、大規模店の面積が三千平米、千五百平米、それ以上を調整をするという形になるわけであります。独禁法は持殊指定に基づいてそれに対するところのいろいろな取り締まりをやっていくということになってくるわけですから同一でなくてもよろしいというようなことも成り立たないとはいえないかもしれません。しかし、あまり好ましいことではないというように私は思うわけであります。ましてや本法律案を提案するにあたって公取と何らの相談がなされていないということも、やはり私は適当な措置ではなかったのではないかという感じがいたします。今後の行政運営の関係もありますので、大臣並びに公正取引委員会の委員長にそれぞれお答えをいただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 公取とはよく相談をいたしましていろいろの法体系の間に矛盾がないように、また運用におきましてもお互いによく協調し合って、そのおのおのの法の目的を発揮できるようによく連絡をいたしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 目下御審議願っておる通産省関係の法律案の大型小売店に対する規制の目的と、私どもの扱っておりますところの独禁法による百貨店に対する規制の目的と一〇〇%同じというわけにはいかないんじゃないかと思います。というのは、私のほうのは、その経営を営む事業者がその唯一的な地位を乱用するというふうなことを中心に規制の対象としております。したがいまして、非常に小さな普通の専門店、小売店が寄り合い百貨店を形成したという場合に、これが資本的なつながりが全くない、それ自体がどっちかといえば中小企業に属する、こういう場合にも、その店舗の配置という点では規制の対象としてけっこうでございます、そういう必要があると思いますが、私どものほうからいいますと、その事業者という点からいえば、その点若干違う。面積の点は多少の食い違いがあるかもしれませんが、大体の大筋としてはそう大きく隔っておりませんが、要するに事業者の規模が大きくて、これは一般の小売店とは違うし、納入業者に対する価格の面などから規制の対象にすべきであるというのが特殊指定の目的になっておりますから、少しはその間に差があるというのは中村委員もお認めになっておられるようでありますが、そういう趣旨でございますので、まああまり食い違ったことをやらないように注意はいたします。双方の連携を密にいたしまして、おのおのの目的から遺憾なきを期したいと思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 一〇〇%同じでなければならないというように私も考えないのです。公正取引委員会は、公正競争という立場から特殊指定をやって取り締まりをやっていかれるということになるかといって通産省も、消費者の利益、いわゆる出小企業の利益をそこなわないような両者が共存するという形の行政運営というものがなされなければならない。これらのこと等から考えてみますとたとえば食堂の問題で、片や売り場面積の中に入る、片やこれが外であるということは決して好ましいしいものではない、少なくともその点だけでも日一でなければならないという感じがいたします。今後十分検討されて、是正すべきものは是正をしていくという点を十分配慮してもらいたいということを強く要請をしておきたいと思います。  大臣、御退席になってけっこうでございます。  具体的な問題で一、二点お尋ねをいたしまして私の質疑を終わりますが、先ほど板川委員から特殊指定の問題に対しましていろいろ質問がなされたわけでありますが、伊勢丹が三年で手伝い店員を全廃するといった新聞報道をしたわけですが、これを実施したのかどうか。それから伊勢丹が実施をするしないにかかわらず、その他の百貨店に対する公取の指導、手伝い店員に対する指導はどう進めているのか、これを完全になくする時期はいつなのかということを伺いたい。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局取引部長

○熊田政府委員 ただいまの百貨店の手伝い店口の問題でございますが、まず伊勢丹の問題でございます。伊勢丹からは、初め五年計画で手伝い店員をなくしていきたいという計画であったけれども、これを三年に縮めるつもりである、そういう線でいま納入業者と協議をしておる、こういう申し出がございました。  私どもといたしましては、ひとり伊勢丹に限りませんで、現在の百貨店に対します特殊指定、これから見まして、まだ現在の手伝い店員の状況はその規制が十分守られておらないという状況でございますので、今後すべての百貨店につきまして、六号の規定によりまして、特殊技能を要するものはやむを得ませんけれども、それを除いたものにつきましてはできるだけすみやかに手伝い店員をなくしていくという方向で指導をしたいと思っておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 百貨店に対する独禁法及び景表法の規制、これがまことに不十分だと私は考えているのですが、この規制の状況はどうなっているのですか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局取引部長

○熊田政府委員 景表法の問題につきましては、百貨店の特殊指定の八号に景品の提供についての規制の規定がございます。これによりまして、百貨店は原則といたしまして商品の購入を条件としてはいかなる景品提供もできない、これが原則ということになっております。もちろん例外的に周辺の小売店でやっておるものと全く同じもの、あるいは周辺で小売店が一斉に景品つき販売をやる場合には、それと実質的に同じ条件のもの、こういうようなものは例外として認められておりますけれども、あとは原則として景品つき販売を禁止をするということになっておるわけでございます。こういうことによりまして景品についての規制はなされております。  それから表示の問題でございますけれども、この表示につきましてはいろいろ個別の問題がございまして、こちらから警告を出したケースが過去においても二、三ございます。たとえば正絹と表示し、あるいは絹一〇〇%と表示しておる帯締めとかいうようなものにつきまして、実際には合成繊維がまざっておるというような組成分につきましての虚偽の表示がなされておる、こういうようなケースもございました。また、大蔵省払い下げダイヤモンドというようなうたい文句をつけましてダイヤモンドを販売する、その場合に大蔵省から払い下げたものであるかどうかは弁別がつかないというようなケースもございまして、こういうようなものにおいて弁別がつかない場合には、大蔵省の払い下げということはうたわないようにというような指導もいたしておりますが、こういういろいろなケースが最近出てきておりますので、表示の適正を期するという点から公正競争規約をつくらせるように現在指導をいたしております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 むずかしい場合もあるということはわかるわけであります。昨年八月でしたか、百貨店で販売していた和装用品の不当表示、これに対しては公取は警告処分をしているようであります。いまお答えのとおりです。ところが、公取の資料等から私ども見ますと、この種の事件というものは当然排除命令を出すべきではなかったか。これを警告処分に付したのはどういうことからですか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局取引部長

○熊田政府委員 これは当時委員会におきましていろいろ慎重に審議がなされたわけでございますが、これはやはり百貨店の公平を期するという面もございます。といいますのは、実際にはほとんどすべての百貨店におきましてこういうような表示が行なわれておるようでありましたけれども、実際に私ども公取が把握いたしましたのは、つまり試買をいたしましたのは、そのうちでほんの一部でございました。そういうような点で公平の点に問題もございましたし、それからその組成分について全く絹が入っておらないというようなケースはほとんどございませんで、大部分が合成繊維がまざっておる、こういうようなケースでございまして、その場合にそれでは何%まざっておればそれは排除命令に相当するか、あるいは警告に相当するかというような点も、非常に判断のむずかしい点もございました。まず公取といたしましては、これは最初の事例でもございますので警告をいたしまして、それでも直らないという場合には排除命令をするのが適当であろう、こういう判断から警告をいたしたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 公取の検査結果が発表されているわけですね。ところが、申し上げたように警告である。排除命令は出していない。いまのようになかなかむずかしいといったら排除命令はなかなか出せないですよ。あなたのほうのやり方はおざなりだ。もっと厳正な態度で消費者利益を守って  いくということでなければならないと私は思う。今後十分厳正に法の運用をはかっていくという点を強く求めておきたいと思います。  公取委員長にお尋ねをいたしますが、委員長が御出席でない当委員会におきまして、本法案の対象になりますものが従来の百貨店だけでなくて大型スーパー等が今度入ってくることになりますが、私の、百貨店と同じように本法案の対象となる大規模小売店舗は特殊指定にする必要があるのではないかということに対しまして、これを検討するという答弁がなされているわけであります。委員長のお考え方はいかがでございましょうか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 今回大型小売店舗ということで、従来いわゆるスーパーマーケットといわれるようなものが百貨店と同じような建物規制を受ける。百貨店も届け出制であるといたしましても同じランクになったわけでございますが、この機会に私どもとしましても、従来はいろいろな形で実際には百貨店の私どものほうで規制しております建物の大きさに達しないような方法でのがれているスーパーマーケットがかなりあったと思いますが、実態に即しまして——もちろんいま形の上でもうすでに大型小売店舗である、百貨店同様であるというふうなものも実質的にはあると認められます。そういうものは、いまの私どもの考えとしては、原則的には、先ほど私も申しましたほんとうの意味での小さな業者の寄り合い百貨店であるというものを除けば、いまの三千平米とか千五百平米というものの解決は、私のほうで実質的にそれは一体として一つの業者が行なっているのと同じであるというふうにみなせますが、これはいまの特殊指定の中に取り込んでしまうというような方向で検討してみたいと思っております。大体そういう方向にすればほとんど落ちこぼれはないというふうに考える次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 時間の関係もあり、これで質問を終わりますが、本法律案を審議をしてまいりまして、政府側の答弁にきわめて不明確な点があった。私の質問に対しまして大臣の統一見解を二度までも出さざるを得なかったということ等、十分反省をしていただきたい。問題は、今後の法の運用が私はきわめて重要であると考えます。省令の改正も行なわれなければなりません。中小小売業者との共存共栄、消費者利益、これらの点に十分ひとつ法の運用に遺憾なきを期して、この法律案が有効に働くことができるように政府の一そうの努力を期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十二分休憩      ————◇—————     午後二時三十七分開議

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 現行の百貨店法では新設あるいは増設が許可制になっておるわけですけれども、これが今度は届け出制ということに変えられるわけですが、この許可から届け出とした理由は何なのかということからまずお伺いしたいと思うのです。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 現百貨店法は企業でとらえまして、一定基準以下の店を持っておる企業を百貨店としてとらえまして、その企業数は実際には二百前後でございますが、その企業が売り場面積を新増設する場合には一件一件許可をする、こういうたてまえでございます。言ってみれば、企業行政として、しかも新増設を原則禁止で許可ではずしていく、こういうことでございます。これに対して今度はスーパーその他大規模小売店舗を法の対象にしようということで研究いたしました結果、まず一定基準以上の小売を営む建物を対象にしなければいかぬということでございますが、大きな建物を建てるということを原則禁止で許可で許していくということは少し無理があるのじゃないか。それから今度その中で小売業を営もうとする者、これにつきましても一定基準を設けて、それから先、それを越えるものは届け出をしてもらって、そして大きな小売面積を新しくつくって営業をすることは差しつかえないが、その場合に、法の趣旨である周辺の中小小売商業と摩擦を生じる場合にはこれを規制していこうというたてまえにしたほうが、今回の新しい法律の目的、趣旨かつ規制対象から見て適しておると判断したわけでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 私がお聞きしたのは、実質的な理由についてお聞きしておるわけです。要するに、許可制というのは当事者が官庁に手続をして、それに対して何らかの官庁の行政処分が必要になるわけですね。ところが、届け出制の場合はそうではなくて、当事者が官庁にしかるべき形式的な手続を具備したものを持っていく、それだけでいい、これが許可制と届け出制の根本的な違いであると思うのです。私がお聞きしておるのは、許可制から届け出制にした実質的な理由は何なのか、こういうことをお聞きしておるわけです。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 一般的に、それが禁止されるということが届け出制に変えることによってなくなります。したがって、基準以上の店舗をつくろうとする場合でも手続に従って届け出を出す。そして政府側から三カ月以内に、審査の結果これを変更すべしということがなければ、そのまま自由に計画を実行できることになります。したがいまして、いままではおよそ百貨店の新増設はすべて許可が要ったのですが、今回は法の趣旨に沿って、場合によっては住宅地域に新しくスーパーが進出して、それが近隣消費者の利益になる、かつ中小小売業には圧迫にならないというような場合には、届け出を出して、そのまま自由に計画を実行できるという効果になります。したがいまして、原案でねらっております点も、いい、消費者のためになる、かつ流通近代化に役立つ範囲の大型店舗は自由にしてもらおう、こういう意図が含まれております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうしますと、百貨店についていいますと、従前の許可制が今度届け出制ということで手続が緩和された、こういうふうに見ていいわけですね。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 手続的には従来の百貨店もまず届け出を出します。しかし七条、八条にございますように、それは審査を受けますから、その百貨店の進出が、従来にもありましたように、その地元で問題が起きる場合には、今度は審査後は従来の許可制と同じ効果を持つようになります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そこまで回りくどく言わなくても、一般的に考えて許可と届け出は違うわけです。先ほど申し上げたとおりなんです。すなおにお答えになったら時間が省かれますが、要するに百貨店については従前は許可制だったけれども、それが届け出制になった、これは緩和された、当然のことだと思うのですが、この点について確認を求めておるのです。私はいわゆる条件、事前審査、そういうことはいま聞いておりません。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 百貨店も届け出でけっこうでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 けっこうだから緩和されたというふうにどうしてすなおにお答えにならないのか。この産構審の「流通革新下の小売商業」、この中にも八三ページのところに書いてありますが、「現行百貨店法は緩和すべきである」、それからなお、八五ぺ−ジには「届出制に移行する場合でも、大型小売商の大規模小売店の新増設が特定の地域で集中的かつ大規模に」行なわれておるということで、許可から届け出制に緩和される。緩和されますと、これが「特定の地域で集中的かつ大規模に」行なわれるというような内容がこれに記載されてあります。こういうことからしても、要するに、許可から届け出になるということは緩和であり、それによって百貨店がいままで以上に進出する、そういう条件ができたというふうに私たちは理解しております。これはおそらくそのとおりだ、この本にもその趣旨のことが書いてありますからそのとおりだと思いますが、もう一度その点について、念のためお答えいただきたい。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 とくともうおわかりのことだと思いますので、結論を端的に申し上げれば、従来の許可制が届け出制になったという範囲では緩和になっております。  それから答申を引用なさいましたが、きょう午前中も答弁申し上げましたように、答申をいただいてからできるだけそれに沿うような原案をつくりましたが、そこにありますように、大規模店舗が集中して問題を起こす特別な極端な場合に、届け出を受けてもこれを審査して許可変更をしていくようにするという趣旨のことが書いてございますけれども、その点につきましては、私どもは、答申をいただいたあとで原案をつくる段階で多少ニュアンスの差が出ておりまして、原案のように届け出、勧告、命令という体系をとって、そこに、審査の際に、七条にございますように特別に数行の条文を入れて、審査方針を規定したわけでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それが八五ぺ−ジにも続けて書いてあるんですよ。「そのような大規模店新増設について勧告、措置命令等を発動しうる余地を残しておく必要があろう。」確かにこの点についても言及してあるわけですね。ですから、結局届け出ということで、許可制から今度は緩和され、そして届け出をした場合に、特別の事情があれば勧告等の一つの措置が例外としてとれる、こういう一つの歯どめがあることは私は否定しないわけですが、基本的に許可と届け出の点についていまお聞きしたわけです。  続けて聞きますが、売り場面積について、これは先ほどからその面積の範囲について、壁はどうかとか、食堂あるいは階段、踊り場、いろいろ出ておりましたけれども、いずれにしても十大都市では三千平方、その他では千五百平方、これについては従前の百貨店法と変わりないわけですか。この売り場面積の根拠、これをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 本法案を立案するにあたりまして、先ほど来話が出ております従来現行百貨店法がとっておる企業主義から建物主義に変わったわけでございます。この主たるねらいは、やはり大型店舗がいわゆる疑似百貨店の形で事実上脱法することを回避するために建物全体としてとらえるそういった趣旨から建物主義を導入するに至ったわけでございます。  その建物主義に変わるにあたりまして、基準面積をいかように定めるかということは非常に議論のあったところでございます。百貨店法が制定されましたのは三十一年、それから戦前の百貨店沖が昭和十二年だったかと思いますが、さような井からとっておった三千平米ないしは千五百平米というものを現在時点においても適用するかどうか率直に申し上げましてそういう議論もあったわけであります。少なくとも二倍、三倍にしてしかるべきでないか、かような意見もあったわけでございますが、反面、建物主義をとることによりまして、基準面積以下のものを直接規制の対象にしづらくなるというような点も考慮いたしまして、従前採用しておりました三千ないし千五百平米というものを基準面積として、従来の慣行と申しますか、一応なじみのある数字として採用した、こういうことでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうすると、確たる根拠なしに三千あるいは千五百、従前の百貨店法の面積をそのまま踏襲したというふうにいまお聞きしたわけですが、この面積の基準が相当と考えておられるかどうか、お答え願いたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 経緯的にはただいま申し上げたようなことでございますが、当面この程度で適当と考えております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 スーパーの店舗面積、売り場面積、これの最適規模は一体どのくらいなのか、お答え願いたいと思うのです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 いわゆる最適規模というのは、商業、工業にかかわらず非常に算定が困難かと思います。ただ、先ほど先生が御引用になられました流通部会の答申の中に、セルフサービス方式の場合には千ないし千五百平米の規模において単位当たり面積あるいは一人当たり販売高が一番高く出ておるという表現があることは事実でございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 いまお答えになったわけですが、確かに五一ページによりますと、これはスーパーの場合ですが、千から千四百九十九平方、千五百とは書いてないのですよ。千四百九十九平方、このものが「売場面積当たり、従業員当たり販売額が最も大きく、営業経費率も最も低くなっており、一つの最適規模を示している。」こういうふうに、いま引用しました産構審の報告書には出ておるわけですね。そうしますと、最適規模であるこれらのものが今度の規制の対象にはならない、こういうことになるわけですね。この点について事実の確認を求めたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 おっしゃるとおり、届け出の対象にはなりません。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうしますと、要するに、この法案の立法趣旨の中には、中小小売商の保護というのがあるわけですが、スーパーの最適規模であるこういう千から千四百九十九、この売り場面積のものが規制されないということについで、通産当局は一体どう考えておられるか、この点をお聞かせいただきたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 先ほども申し上げましたように、最適規模であるかどうかということは問題が残っておるかと思います。したがいまして、後ほど触れたいと思いますが、問題は、法律によりまして企業の営業行為を規制するという場合に、特に本件につきましては、いわゆる大規模な大型店舗と中小小売商との間に抜きがたい競争条件上の格差が那辺にあるか、どの程度の規模になればこの格差を法的に補完是正する必要があるかという観点から本件を判断いたしたいと思います。  ただいまも申し上げましたように、なるほど千ないし千五百平米におきましては、単位面積当たりあるいは一人当たり売り上げ高というのは最高額になっております。ただ、売り上げ高が単位当たり多いか少ないかという点だけ申し上げますと、先生の御引用になりましたのは、三百平米以上のセルフサービス方式ということでございます。コンビニエンスストアとして中小企業庁が指導しております百ないし三百平米、このあたりの規模のほうがむしろ単位当たりの売り上げ高から申し上げますと数字としては高いといったような現実がございますので、必ずしも一人当たりあるいは単位面積当たりの販売高が大きいからといって、そこに調整の対象を区別するということは、現実問題としては困難かと思います。  試みに申し上げますと、チェーンストアの上位、大手十社が昨年の三月以来約一年の間に出店いたしました数は百四十三件でございます。この百四十三件の中で、先生の御指摘になる千ないし千五百平米に属する店舗の数は九件でございます。一割にも満たない、こういった事情にあることをわれわれなりに解釈いたしますと、やはり消費者ニーズにこたえるためには、少々回転率が悪くとも、商品展開を広くする必要があるのじゃなかろうか。そうなれば、売り場面積一平米当たりあるいは従業員一人当たりの売り上げ高というのは当然減ってまいるわけでございます。ただ、そういったことによって、消費者に対してワンストップショッピングの機会を与えるといったような形、あるいは少々回転率は低くとも高率のマージンが期待できるといったような品物も展示するといった必要性から、だんだん規模が拡大していっているのじゃなかろうかと解釈するわけでございます。さような点から千ないし千五百平米というのは、物理的に見ますと、平均値で見ますと三百平米以上のセルフサービス方式をとる店においては最も高い数字が出ております。いわゆる大規模小売店舗といたしまして規定いたしまして、中小小売商業者との間に競争条件の差異があり、したがって、そこを調整してまいる必要があるということにはならないのではなかろうか。さような観点から、従来どおりの三千ないし千五百平米というものを基準面積に採用したわけでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 この前の井狩参考人と私との質疑にもありましたが、いわゆる百貨店系列、このスーパー、この売り場面積、これも同じく規制の対象にならぬわけです。あとでさらにまた申し上げますが、しかもいま産構審のこの報告によりまして先ほどから質疑が展開されておりますけれども、いずれにしても千から千四百九十九、これは一つの最適規模、こういうふうになっているわけですね。したがって、おそらくスーパーが、これらの届け出、つまり基準面積以下、これはともかくとして、届け出制を免れようとすれば、しかも最も効率的なこのような売り場面積で地域で営業できる、これに対しては何ら規制の対象にならぬということになると思うのです。そうだといたしますと、このようなものがたくさんあちこちに出ていく、これは効率がいいからできますよ。しかも、いま申し上げたような百貨店系列のスーパーがほとんど規制の対象にならぬ、こうなりますと、周辺の中小小売商、これらはたいへんな打撃を受けることは事実だと思うのです。明らかだと思う。一体このような売り場面積、いまの最適規模で、これらの周辺の中小小売商、これらが影響を受けると考えておるのかどうか、どのように思われておるのか、そのあたりをひとつ御回答を求めたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 現状におきまして地元の中小小売商業者とトラブルないしは紛争を起こしておりますのは、かなり大きな規模、大体売り場面積が一万平米をこえるようなケースでございます。したがいまして、現状をもって将来を言うわけにはまいりませんが、少なくともスーパーについては、従来は自由と申しますか、行政指導以外には法的根拠のある規制はやっておらなかったわけでございます。したがいまして、将来の店舗展開がどうなるかという問題がございますが、現在の時点におきましては、もちろん影響は全くないとは申し上げませんけれども、相当程度の影響を与えるというところまでならないじゃなかろうか。ただ、さような場合には十分これは地元で話し合いをさせるように、従来特定店舗においてとっているような行政指導を展開してまいりたいと考えております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 きのうですか、行政指導についていろいろ批判が出ておりましたが、行政指導で問題が解決するなら、実際いってこんな法律は要らぬわけです。こういうスーパーからいってほんとうに最適規模であるものがどんどん、しかも何の手続も要らずにできるわけでしょう。そうしますと、中小零細企業が最も深刻な打撃を受けることは当然だと思うのです。そのような多少の影響はあってもそう大したことないというような考え方でこの法案をつくられるとしたら、これはもう大きな誤りだと思うのです。許可制を届け出制にした、これは緩和になるわけで、したがって私たちは、むしろ百貨店並みに、百貨店サイドにスーパーを引き上げて許可制にする、しかも、この店舗面精も、それぞれの地域の特性によって、さらに従前の百貨店法の売り場面積をむしろきびしく規制していくという態度が必要であって、従前の売り場面積を踏襲するということは、私は中小小売商に対する打撃が非常に大きい、このように思うのです。これについて再考する考え方があるのかないのか、通産大臣お答え願いたいと思うのです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 やはりいままでの千五百あるいは三千平米という基準は、歴史的にそういうスケールできたので、小売商業、商店街おのおのその数字に対応するようなかまえをみんな歴史的にもやってきたと思うのです。その数字をにわかに広げたりあるいは縮めたりするということは、対応ずるほうのかまえ方においてもいろいろな変化を及ぼして、すぐ即応というわけにいかないという情報もあるのではないかと思うのです。でありまするから、一応その基準でいって、今後流通界に大きな変化が起こるとか、お客さんの方向に大きな変化が起こるとか、そういうものがありましたら、われわれもその事態に応じて法を再検討するという考え方を十分持っていきたいと思っておりますし、また、この法を運用する上におきまして、中小企業のほうの擁護ということは一貫して流れておる考え方でありままして、また、この委員会におきまして皆さま方の御質問もそういう角度からの御質問、御検討が非常に多うございました。そういう点も私たちはよく踏まえまして、法の運用に遺憾なきを期していきたいと思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 ただ、従前の法は許可制ですね。ですから、これがどのような処理がされたのか、これはまた一つの問題でありますが、それにしても、少なくとも許可制ということでそのチェックはできたと思うのです。ところが、今度はそうではなくて届け出制というふうになりますと、これはいままでの比ではないと思うのです。特にいま申し上げたように、最も効率のいい、これが規制の対象にならないということになりますと、こういうめんどうくさい手続をするなら——これは効率もいいわけですから、千五百以下というところが、とりわけ各地方都市とかあるいは団地等々にどんどんできていくということになりますと、従前の、長年つちかった中小小売商が非常に大きな打撃を受ける。したがって、従前の百貨店法、いままでの実態あるいは経過からして、今度新しく法ができた場合に、売り場面積が従前と変らなくてそのままスムーズにいくということはあり得ないと私は思うのですけれども、大臣の見通しとしてはこれでいいというお考えですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 現在の時点においては、これでいいと思います。大きな変化を与えるということは流通界にかなりの波乱も起こしますし、これを施行してみまして、そうしてお客さんの声やあるいは小売商業関係の声もよく聞いてみて、そうして 来もし検討する必要があれば検討するにやぶさかでない、こういう弾力的な態度で行きたいと思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 大臣、そういう答弁をされますけれども、実際私はあちこち現地の声も聞いてみたのですが、これがこのまままかり通るというとたいへんなことになるという声もあちこちで聞くわけですね。ですから、おそらくこの法案が通りますと、私はいろんな問題がたくさん出てくると思うのです。そういうような考え方で対処されますと、私はたいへんなことになるということを警告したいと思うのです。しかも、先ほども若干あげましたけれども、大丸社長の井狩さんの話にもありましたけれども、要するに百貨店がどんどんスーパー業界に進出している、しかも大部分がこの最適規模、この店舗である。こういう実態をどのようにお考えになるのか。この前にも引用して質問したのですが、百貨店協会が「関係小売企業調査報告」というのを出しておるわけです。これは昨年の五月です。表には秘密の「秘」と書いてありますが、これはどこでも入手できます。これによりますと、百貨店系列は非常に数が多いのですが、百十五社がこのアンケートに回答があって、そのうちの五十四社が関係小売企業を持っておる。しかも、関係小売企業の数が百三社、こういうことから書き出してありますが、百三社の関係小売企業店舗の数が五百三十七店、結局一社平均が五・二店を持っておる。五十店以上持つ百貨店が二社ある。こういうことがあるわけですね。しかも、売り場面積は一店の平均が千二百四・一平米、六大都市では千三百六十二・七平米、六大都市以外の都市では八百九・五平米、こういうことになっておるわけです。ですから、百貨店系列のスーパー、大量販売店、これらについては、ほとんどこれは規制の対象にならぬと思うのです。これは一つには、先ほどから産構審の答申を引用しておりますように、この程度のものがやはり効率が最もいいということがあるからこそ、こういうような売り場面積になっておると思うのです。百貨店はずうたいの大きいのがたくさんありますけれども、結局スーパーにしてみれば、このようなものが最適規模だということで、こういう店があっちこっちできておるということになろうかと思うのです。こういう実態を踏まえた上で、大臣、やはり同じようなお考えでしょうか。こういうのがどんどんできると思うのですが、どうですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 一面におきましては、やはりお客さんの利便ということも考える必要があります。法案の中にもそういうことが書いてあります。でありますから、公正競争ということを確保して、ただ独禁法に違反するような強者が優位を持って弱者を圧迫するということがないように、これは先般来いろいろ派遣店員とか、その他の問題でも御質問がございました。そういう点は厳重に規制をしつつ、やはりまた一面において、お客さんの便利あるいは低廉なる物資の供給ということも考える必要がありますので、しばらく様子を見ていきたい、こういうように思うわけでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 しかし、効率のいいのがちょうど抜け穴のところにみな集中しておる。しかも、いま申し上げたように、百貨店の系列のスーパーが最もそこにいっておる。これからどんどんこれが出てくると私は思うのです。ですから、そういうような考え方は、私は率直に申し上げて甘い、こう言わざるを得ないと思うのです。  そこで、産構審答申の中に大手の百貨店、それからスーパー、これらが地方都市の百貨店あるいは中小スーパー、この系列化の傾向があるという事実が指摘されております。この実態は一体どういうものであるのか、具体的にひとつ御指摘を願いたいと思うのです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 大手スーパーが地方スーパーと業務提携をやっていくということにつきましては、幾つかの例がございます。これは一方から見ますと、商品展開を豊かにするということ、あるいは地方百貨店にいたしましても、そうした都市の大手百貨店の信用を自分の店にもつけたいといったような感触もあるかと思いますし、あるいは共同仕入れといったような面で緊密な関係を都市百貨店と地方百貨店との間に結んでいっているのもございます。一応当方で調べましたところでは、百貨店系のスーパーあるいは専門店等は九十六社程度あると理解いたしております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 さらにこの産構審によりますと、大手のナショナル・スーパー・チェーン、それから中堅の地方スーパーチェーン、それから小型スーパー、これらの間の企業規模の格差の増大、これに伴う縦の系列化、横の提携の進展、これらが見られるようになろうという指摘が、これは五二ページにあるわけですね。しかも、これらの前に、バーテイカル・インテグレーション、これによる生産部門の利益の取り込み、こういう指摘もあるわけですけれども、このいわゆるバーテイカル・インテグレーション、これらの具体的な例ですね。これは垂直統合というふうに訳すると思うのですけれども、このように大手がずっと中小を系列化していく、あるいはスーパー同士、同じように百貨店、スーパーがそうやっていく。それによって企業の規模が非常に格差が大きくなる。縦、横、十文字にこのようにからめて系列化させている。こういうような現象、実態がいまの産構審でも指摘されておりますが、具体的にどことどこはどう交差して、どう系列化されておるか。先ほど九十六社という指摘がありましたが、これについて具体的にひとつここで答弁願いたい。もしいますべてについて答弁ができなければ、資料としてひとつ本委員会に提出されたいということを要求したいと思うのですが、どうですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 流通部会における答申も将来の発展の方向という形で表現いたしておりまして、そういった意味合いから現在時点でかなり実証的に個別、具体的に多くのものを申し上げるという段階に至ってないと思いますが、たとえばダイエーグループ、西友グループ、ジャスコグループニチイグループ、こういったものがその例に当たるかと思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 この間の参考人の質疑の中でも私は引用したのですが、例の日経流通新聞、この編集によりますと「豊かな時代の流通戦略」の中で出ておるわけですね。しかもこれによると、先ほど御指摘申し上げた百貨店や大型スーパーの系列化、ここに商社がからんでくるわけですね。商社がこの世界に入ってくる。これが一つの大きな特徴だと思うのです。具体的にこのからみ合いというものをいま申し上げた資料から指摘したいと思いますが、これは神崎委員もたしか本委員会で質疑をしたと思います。三菱商事、これは昭和四十四年には西友ストアと契約して、そして西友に二百億円融資しておる。西友が仕入れる商品の二〇%を三菱が扱う。それから大手の食品問屋、これは広屋というそうでありますが、ここに資本参加をして、問屋を通じてスーパーを支配している。さらに伊勢丹との折半出資で丹菱開発をつくりまして、大規模ショッピングセンターの開発、運営、こういうものに当たっている。この三菱の系列はこういうふうになっているわけですね。それから三井物産が昭和三十年代にスーパー対策委員会、これをつくりました。四十年には一〇〇%出資で第一スーパーをつくっておる。それから問屋の系列化としては物産食品販売、エフワン、こういうものを系列化している。エフワンは、これは繊維ですね。それから名鉄百貨店、これとラファイエットの提携をあっせんして、物産はラファイエット社からの繊維製品の輸入を担当するということでここに入っておる。それから丸紅、これはダイエースーパー向け専門の配送会社エンゼル、これをつくっておる。これ以後丸紅繊維流通センター、これをつくっておるわけですね。そしてスーパーへの商品供給、これをやっておる。また緑屋、これにも資本参加をしている。それから伊藤忠商事、これはマイマートというスーパーを直営しておる。それから伊藤忠繊維流通センター、こういうものもつくりまして、これは西友ストアなどへ商品供給をしている。それからレナウンニシキ、繊維問屋、これを系列化している。それから合弁会社マグニン・ジャパン、これをつくりまして、ダイエーあるいは伊藤忠それからマグニン、これらが合弁会社をつくっておる。それから住友商事、これがサミットストアですか、これは一〇〇%出資。日商岩井が高島屋グループと提携している。こういうふうに商社は、百貨店あるいはとりわけスーパー、この業界にたとえば資本参加、それから問屋の系列化、配送センター、流通センター、これによる供給面からスーパーを系列化している、それから百貨店と提携して直接進出する。こういうようなことが非常に顕著であるわけですが、このほかにもスーパーへの融資、それから店舗設備のリース、これらの形で大商社のスーパーの系列化、こういうものが進められておるということがこの引用しました資料の中に書いてありますが、こういう事実を通産省は把握しておるのかどうか。これはいま指摘申し上げた日経流通新聞の中に記載があるわけですが、どうですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 ただいま御指摘のような方向にあるということは当方でも承知いたしております。具体的に一体総合商社が関係のスーパー等にどの程度納入しているか、二、三の例につきまして申し上げますと、A社の場合には年間の仕入れ総額が八百四十億程度ございまして、それに対する総合商社からの直接取引は十五億五千万、一・八五%、二%弱という数字が出ております。それからB社のケースにつきましては、四十七年度の仕入れ総額が二千五百八十億、これに対しまして総合商社からの仕入れ総額が七十七億、比率にいたしまして三%程度になっておりますが、商社の直接納入の大きいものでもせいぜい数%程度ではなかろうかと思います。それから先生の御指摘のあった商社の息のかかった問屋との関係でも、高いものでせいぜい一割前後ではなかろうか。さように見ておりまして、系列化の方向はだんだん出てまいってはおりますが、流通部会の答申にもございますように、将来の方向として一応提言と申しますか、示唆しておるわけでございますので、現状では、系列化の方向は出てきつつはございますが、まだその行為が目に余るほど大きく、たとえば先ほど申し上げたような納入比率が過大になっておるというところまではいっておらないというのが現状認識でございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 これは別の資料ですが、ことしの一月五日の日経流通新聞に、特集、塗りかわる流通地図、こういう報道がなされております。これは都市銀行の流通融資系列、それから主要商社の流通業との関係ということで、多少これについても指摘を申し上げざるを得ないと思うのですが、三菱が西友、ジャスコ、ニチイ、長崎屋、オーケー、伊勢丹、これは株式の保有、それから融資、リース、商品供給、人材派遣、こういう形でかかわっておるということ、それから三井物産がダイエー、西友、ニチイ、長崎屋、イトーヨーカ堂、いづみや、東光ストア。丸紅がダイエー、ジャスコ、長崎屋、イトーヨーカ堂、いづみや、東光ストア、緑屋十字屋。伊藤忠がダイエー、西友、ニチイ、長崎屋、イトーヨーカ堂、それからいづみや、東光、サニー。日商岩井がダイエー、いづみや、東光。兼松江商がニチイ、長崎屋。住商がニチイ、いづみや、サミットストア。トーメンがダイエー長崎屋。蝶理がダイエー、ジャスコ、イトーヨーカ堂。日綿実業がダイエー、長崎屋。このようにこの新聞は指摘しておりますが、このそれぞれのかかわり合いが、先ほど指摘申し上げたように株式の保有やあるいは商品供給、それから融資、リース、人材派遣、こういう形で一つの表が出ておりますが、これによると、ほとんどの総合商社がそれぞれスーパーと非常に深いかかわり合いを持っておる。私たちは、最初、大手の百貨店あるいはスーパー、これらが中小のスーパーあるいは百貨店を系列下におさめてそしてシェアを握る、こういう方向で動いておるというふうに考えておったのです。ところが、いろいろ調べてみますと、それだけではなしに、その背後にはやはり商社がある。商社が、何のことはない、このようなスーパーに対する系列化支配、こういうものをいま盛んに強めておるということが先ほどの資料、それからいまの日経流通新聞、これから明らかにうかがわれると思うのです。先ほども申し上げたのですが、この間のときですが、いわゆる買い占めで悪名高い商社が、このような世界に、しかもこぞって大量に計画的に進出をしつつある、こういう実態を通産大臣はどのようにお考えになっておるのか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 現在は流通革命の時代といわれますように、非常に大きく商業界、小売業界の激動しておる時代であります。お客さまの嗜好も非常に変わりますと同時に、また一面においては国際化もしております。品物について、国境を越えていいものを欲するという、そういう時代にも変わっておりますし、そういうお客さま側の変化にこたえていろいろな商法を生み出して、大資本、中資本、小資本あるいは流通界外のものが、たとえば商社のようなものが納品しようと思って非常に鮮烈な競争を展開しておるという時代になっております。  そこで、これらの大きな戦国時代みたいな乱戦状態をこの法案によって一応整理をいたしまして、そしてその後どういう変化が流通革命の上に起きてくるかよく検討しながら私たちは対応していこうと思うのです。もちろんたとえば都会の大きな百貨店が地方の小中百貨店の系列化を行ない、あるいはスーパーや小売店舗に至るまでの系列化を行なっていくという事実も私らは非常に関心を持って見ておりますし、資本系列においても、あるいは商品系列においても、あるいは輸送、配達系列においてもさまざまなアイデアがいま出て、商品コストを安くしようとしておることも見のがしておりませんが、一貫して言えることは、中小企業を保護するということ、それから消費者の利便を考えるということ、それから大資本とか巨大な土のが横暴なことをすることは許さないということこれは商社の問題についても御答弁申し上げたとおりでありまして、流通界についてこの戦国時代の様相をもう少しよく見詰めまして、必要あらば第二段、第三段の処置もしなければならぬ、そう思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうすると、端的に申し上げて、このような商社のいわゆる系列化進出はそれなりに評価をされておるのか、あるいは憂慮すべき事態というように考えておるのか、これはどんどんこれから進むのか、一般の常識と申しますか、書かれてありますが、この点どうですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 力のあるものが自由を乱用して、その力を膨張させようという傾向がある場合にはわれわれはこれを監視し、またいろいろな面において規制をする必要が出てくるのではないかと思います。しかし、お客さま本位で、そしていい商品を安く売っていこうという面があるならば、これはまたお客さまが喜ばれることであって、あながち否定することでもない、そういう調和をどういうふうにとるか、これは実態を見きわめながら検討していきたいと思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 ただ、ここで問題になるのは、何度も申し上げておりますように売り場面積ですね。この一つの規制からこぼれ落ちるというか、むしろ規制にならないのが系列下のスーパーの実態であるという事実、それからこの法案によってスーパ一が売り場面積の一定基準以上については多少とも規制の対象になるということについて、私も全然否定するということはないわけですけれども、しかし少なくとも届け出ということで緩和され、しかもそれにかからないのは非常に効率的なスーパーといわれておる。しかも一そこへ商社がどんどん進出してくるということは非常に憂慮すべき事態だ。とりわけ中小小売商の皆さんは何百年、何十年の昔から、ほんとうに一つ一つ血と汗の結晶で開拓して自分の販路を展開されてきたというような一つの歴史的あるいは沿革的な、そういう経過からして、やはり何としても中心は——消費者保護はまた別の側面で問題になりますけれども、こういう中小小売商をやはり保護するという立場からひとつ考えていかなければならぬのじゃないか、そういう立場からものを考えた場合には、いま申し上げたような一つの現象、事実、こういうものは非常に憂慮すべき事態である。この中で中小小売商が軒並み切り捨てやら、あるいは深刻な打撃を受ける、極端に言いますとそのように私は思うのでありますが、これは誤りですか、どうですか、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 必ずしも誤りではないと思いますし、そういう傾向がなきにしもあらずであると思って、われわれは深甚の注意を払って見ておるところであります。それで、先ほど申し上げましたように、大きな力のあるものが自由を乱用して小さいものを圧迫するということは、われわれはこれを許しません。しかし一面において、スーパーというものが出てきたことによって、どれくらいお客さんが便利になったかということも見のがせない事実であります。われわれはそういう面から、一面において、中小小売商業振興法のような法律を出し、あるいは無担保、無保証の特別の金融制度も創設し、あるいは事業主報酬制度も今度の年から実行し、こういうふうにして専門店、小型店独特の味を持っておる小売商業、零細商業を保護しつつ、たくましく伸ばしていこうと思っておるわけです。規制ばかりが能ではないので、振興ということも非常に大事な面で、そして競争させつつ両方が発展していく。競争的共栄、競争的共存といいますか、そういうような形がやはり体系としては長い目で見て望ましいのだ。その場合に中小雰細小売商業がどうしても力が足りませんものですから、そういう点については国家がもっと力を入れてこれを助長しようと思っておる次第であります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 たいへん私もくどいようですが、効率的なスーパーが結局対象にならぬわけでしょう。しかも、規制の対象にならない商社については、いわゆる反社会的と申しますか、悪質な行為はこれを規制していくということはそのとおりだと思うのです。ただし、法律上の根拠がなければこれらを規制することはできないということなのですね。そうすると、結局千五百以下のそういうスーパー等については、これはもうほんとうに野放しになる。単に行政指導というようなことしか発揮できないということになると思うのです。ですから、千五百以下でありますと、これは脱法行為ではありませんから、こういうものがどんどん出てくる。それについて行政指導といいましても、正直申し上げて限界があると思うのです。ですから、そのような事態を踏まえた上で、売り場面積が規制の対象にならない以下のものについて、このようにどんどん商社が進出して小売商業が非常に圧迫を受けるという場合に、どのような効果的な措置が考えられるのか、ひとつ大臣に重ねてお伺いしたいと思うのです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、たとえば商社がいろいろな場面へ進出してくる。洗たく屋まで出てくる、こういうようなことは適当でないと私らは考えておるわけです。それで、それらの実態に応じてわれわれは総合商社法みたいなものも検討してみたい、事実に即してわれわれはよく検討いたしてみたい、こういうことも答弁申し上げておるのであります。しかし、一面において自由経済、自由競争ということで商品がよくなり、お客さまに一番利便な世界が現出するのでありまして、これをあまり角をためて牛を殺すというような形になるとかえってお客さまにも不便になります。共産党とわれわれの考え方は、統制とか規制を好むか好まないかという点によって非常に違うだろうと思います。われわれは自由経済がもう長い目で見ていいと思っておりますから、できるだけそういう原則を踏まえながら、ある限度以上にきた場合にはこれを規制する、こういう考えに立っておるわけです。この法案も、そういう趣旨によりまして千五百平米あるいは三千平米という基準値を一応出したのでありますけれども、しかし、今後の実態を見ながら弾力的にいろいろ検討も加えていく、これは先ほど申し上げたとおりであります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 関連して消費者保護との関係で若干質問したいと思うのですが、先ほどあげました垂直統合、いろいろなそういう系列化をして、そして私たちはカッコつきの流通の近代化だの思うのですが、このような大資本あるいは大商社、これらの近代化によって商品が安くなるかどうか、いわゆる消費者の保護になるかどうか、その点をさらに私たちは考えてみたいと思うのです。先ほども申し上げたように、要するに、商社の買い占め、商社がほんとうに市場を占有しますとあのような生活関連物資まで買い占めて、そして大多数の国民に値段をつり上げて迷惑をかけるというような事態一つを考えてみても、商社が直接このような中小小売商の世界に入って、そして系列化していく、市場を占有していくという事態になりますと私は、これは単に流通が近代化されてコストが下がるということには決してならぬと思うのです。きのうも一丁三十三円のとうふの話がありましたけれども、一つ、二つ目玉商品をつくって顧客を勧誘して、そして結局高いものを売る、こういうような実態についても私は若干知っておるわけですけれども、そういうようなことから考えましてどうなんでしょうか。垂直統合とかいうようなもので、あるいは近代化で、はたして消費者の保護、物が安くなるというようなことが出てくるかどうか、大臣この点についてはいかがですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 これは担当するものの心がけにもよるのでありまして、べらぼうなもうけをしようと思ったら、おっしゃった垂直統合のような場合はこれが硬直してきて、おとりやえさはいいけれども、それ以外は全部値が高くなるという危険性がなきにしもあらずでしょう。しかし、その場合には中小零細あるいはその他の小売商業が実力を発揮して、それらの硬直したバーティカル・インテグレーションをたたくでしょうし、そこにまたおもしろい競争原理も働くわけであります。ですから、やはり自由を確保しておくということが終局的に見て、長い目で見て、お客さまや国民全体のためになる、そういうふうに思いまして、私たちはもちろんある限度を越したものは統制しますが、できるだけ自由を確保する。これは思想においてもそうだし、流通界においても同じである、そういうように思うわけです。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 大臣、私も決して社会主義国であるという認識はもちろんありませんし、また、いまの資本主義体制、それを前提にしてものを申し上げておるのです。百貨店法だってそうでしょう。あれは要するに、中小小売商を保護するために許可制にして、大資本が圧迫しないように一つの歯どめをしようということでできたと思うのです。ですから、そういう意味において、私が申し上げるような弊害がある場合には、いかに自由競争、自由経済の世の中であるからといって、これを野放しにするわけにはいかない。これは大臣の御指摘のあったとおりだと思うのです。私はそういうことを踏まえた上で御質問申し上げておりますので、その点ひとつ念のために申し上げたいと思います。  続けますが、いま申し上げたように、垂直統合によって物が安くなるかどうかということなんですけれども、私は安くならないと思う。いまのスーパーの例もありますし、またアメリカの例もあると思うのですけれども、率直に申し上げて大臣、いかが、ですか。こういうようなことで系列化していって、一定地域の市場を占有して値段をつり上げて、結局お客さまには高いものを買わしていく、プライスリーダーが一体何%占有することによって生ずるかということはいろいろ議論はあるところですが、少なくともこのような商社の進出を許すということになりますと、結局このようなプライスリーダーになって、この一部のものが価格をきめていくというような結果になりはせぬか。そうだといたしますと、むしろ消費者、要するに顧客の立場から見て、保護どころか不利益になる場合だって十分あり得ると思うのです。これらについて何か方策、手だてがありましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 強い力を持った者がそういう垂直線合をやったという場合には、そういう強い力と関係のない中小零細小売商業はチャンスとばかりに一斉に彼らを論難し、あるいは商圏を広げていく努力をするでしょう。そこにやはり先ほど申し上げましたように、おもしろみがあって、垂直統合というものがそれで破綻してくるモメントもあるので、そういう意味で、できるだけ自由活動の分野を広げておくということは非常に大事なことであって、垂直統合自体を牽制する意味においても自由というものを大いに確保しておくようにしていきたいと私は思います。それで、かりに垂直統合をやったという場合におきましても、恣意的に値を上げるというようなことをやれば、長い時間をかけてみれば、これは必ずたたかれるに違いありません。そういう点からして、そういうことは大いに監視する必要はありますけれども、それを法的規制や何かでやるということよりも、自由競争の原理にまかせたほうがよろしい。もちろんカルテルとかトラストの弊害はわれわれもよく知っておりますから、そういう点については独禁法を発動し、あるいは公取等とも連絡して、よく監視をしていくつもりでおります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 独禁法等の規制の対象になる場合は、これは別の話になるのですけれども、私が一貫して御指摘申し上げておるのは、このような系列化の中で中小零細小売業者が打撃を受け、また、消費者の立場に立った場合でも、必ずしも物そのものは安くならない、こういうことを申し上げておるわけなんです。消費財の流通機構というのは、ここに一九六四年に通産省の企業局が出された本があります。これの中にも流通段階の数、この問題について指摘があるわけですが、この数が減ってもいわゆる流通コストは下がらない、こういう指摘がありますが、これはいかがですか。事務当局でけっこうです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 御指摘の点は流通段階の数が減ればということについて、それでも流通コストは下がらないという御趣旨かと思いますが、ここに一つの調査がございまして、東京における一般小売店とチェーンストアの物価指数の比較でございますが、一般に見ますと、通常の小売店で販売いたしております価格よりも当然一段階か二段階、流通段階が少ないと思われますチェーンストアにおける物価指数のほうが低く出ております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうしますと、「一九六四年の流通機構」の中にはこういう指摘があるわけですね。いわゆる「大量取引に伴う流通段階の短縮が可能であれば全体の流通コストを左右することもあり得る。」という指摘があるわけですね。これは二三ぺ−ジにあります。そしてアメリカとの比較がしてあるわけですね。これによりますと、要するに非常に流通が近代化されたアメリカ、この中で、それじゃ流通コストが下がったかどうかということについて二四ぺ−ジに指摘があるわけです。結局アメリカでも流通コストが五〇%前後、これは二五ぺ−ジにも表がありますが、これはわが国もほとんど変わらないわけですね。要するに、数を減らして近代化しても、結局流通コストそのものはほとんど変化がない、こういう指摘が通産省自体によってなされておるわけです。これはやはりその流通段階が、ある面では確かにそれによって、コストというか費用が軽減される面もあると思うのです。ただ問題は、むしろその配分がたくさんの数に配分されると一つ当たりの配分が少なくなるし、また数が減りますと配分が多くなるという結果が、これは確かに現象面としてあると思うのですが、これはアメリカと日本とあまり変わらない。しかも、その構成要素、人件費ですね、この彼我の相違、これを考慮に入れるならば、いかに近年わが国においても賃金コストの上昇が著しいとはいえ、なおかつわが国のほうが流通部門の合理化が総体的におくれている、こういう指摘までちゃんとあるわけです。この点はどうなんですか。そうすると、企業局で考えておられた、この本をものにせられた、これは改められるわけですか、どうですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 流通マージンの日米の比較でございますが、先生ただいま御指摘になりましたように、両国における流通マージンは大体同じかというふうに考えておりますが、ただ、内容的に見てまいりますと、アメリカの場合には、大型企業のシェアが日本より非常に高いということと、それから人件費はやはりアメリカのほうが高く、かつ国土が広いために物的流通費が日本より高く出ております。さような点から、アメリカでは物流面、仕人面での合理化を推進しているということかと思いますが、わが国におきましても、やはり賃金上昇というものが毎年高く出てきておりますので、今後ますますその流通マージンというものを高くしていくと申しますか、上昇傾向に向かうのじゃなかろうか。そういった立場から一そう流通近化を進めていく必要がある、かように考えております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それはわかります。やっても、この比較の中にありますように、流通コストそのものはそう変わりはないのじゃないかどいうようなことは、これはどうなんですか。これは変わりますか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 賃金が上昇傾向にございますので、よほど流通近代化に努力をいたさないと流通コストは上昇する可能性がございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 時間の関係もありますので、次に質問を進めますが、いずれにしても、何度も繰り返し申し上げておるように、許可が届け出になったということと、それから売り場面積が従来と変わっていない。しかも、最低規模の特にスーパーの店舗、千から千四百九十九、この中で、商社が百貨店などを系列化して、中小都市あるいはその他の小都市に進出しておる、こういうようなことをいま私が指摘したわけですが、こういう点から考えて、本法案は、これはやはりいまの流通問題でもそうですが、これによって多少スーパーが歯どめになるという現象面がありましても、中小小売商の保護あるいは消費者保護という点から、これで全うできるかどうかということになりますと、私は違うと言わざるを得ないと思うのです。  そこで、具体的にその条文について若干の質問をしたいのですが、この七条は一つの歯どめのところですが、これも何回も皆さんお聞きになっておるわけですけれども、「相当程度の影響を及ぼす」という「相当程度」とは、具体的に一体何なのか。どのような基準を持っておるのか。これをひとつお聞かせを願いたいと思うのです。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 七条でるる書いてございますが、結局周辺の中小小売商業にどういう影響を与えるか。これは従来百貨店法の経験もありますので、商圏人口とか売り場面積あるいは従来の小売業の売り上げ高とか、さらにそこを通過する交通事情であるとか、人口その他による一応の経験値から数量的なものもございますが、それを基準にいたしまして、その届け出のあった地域における特殊事情とほかの大型店舗の状況、それからそこで購買する消費者の事情、それと中小小売店舗の事情とを勘案しまして判断するわけでございますが、その場合に、周辺中小小売商業の事業活動の機会を削減するという場合に、相当程度の影響がある、あるいはないという判断をするわけでございます。  先ほど来先生が非常に心配をしておられますが、届け出のありましたものについては、そこの七条の規定もフルに活用いたしまして、事前審査という形を特に法文に明記いたしましたわけで、むしろ許可制とほとんど変わりのない運用ができますし、先ほど来御心配の点は、届け出のあったものについては、ないと思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 これは七条によりますと、最初に審査するわけですが、審査する場合には、行政サイドで審査して、おそれがあると認めるときに限って審議会の意見を聞く、こういう二段がまえなんです。そうですね。そうしますと、まず、審査そのものが行政サイドでいかようにもなる。つまり、その時点においては、おそれがないと認めれば、これは審議会にかけることは要らぬわけですね。私は、これは大きな問題があると思うと同時に、この審議会にかける場合に、審議会の審議の内容あるいは運営、これは一体どうなるのかということです。とりわけ私がここで提起したいのは、この意見の申し出について、省令で定めるところにより意見の申し出ができるという規定が七条二項にあるわけですが、この申し出人、この範囲は一体どうなのか、こういうことについて、その省令の中身についてお聞きをしたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 まず、第七条の審査のやり方でございますが、通産大臣に届け出がありますと、大臣が直ちに己れをもよりの商工会議所あるいは商工会に通知いたすと同時に、かねがね諸般の資料を準備しておきまして、その資料に基づいて審査をいたします。資料の内容といたしましては、当該地域の人口動態あるいは当該地域における中小小売業の近代化の状況あるいは他の大規模小売店舗の配置並びに活動状況、かようなものを十分に資料を駆使して、届け出のあった案件につきまして事前に厳正な審査をやる。単純に審査と書いてございますが、事前審査を十分に遂げるわけでございます。その間、一方商工会議所あるいは商工会に案件を通知してございますので、そちらのほうからも意見があがってくる、あるいは必要に応じて地元の意見も聴取するといったようなことで審査をいたします、おそれのある場合に、第二段階として審議会にかけるわけでございますが、審議会におきましては、事務当局から事前審査の結果を詳細に説明して、相当程度の影響を及ぼすおそれありと判断した根拠を示すわけでございますが、それをベースにして、審議会といたしましても、それぞれ判断するにあたって、今度は正式のルートとして商工会議所あるいは商工会に意見を徴する。それぞれの商工会議所、商工会はいわゆる商調協、これの構成メンバーは地元の消費者、小売業者、学識経験者によって構成するわけでございますが、その商調協の地元における調整の実態あるいは満場一致を見ない場合には少数意見を付して意見を上げてくるかと思いますが、それを審議会としては商工会議所あるいは商工会経由で聴取いたしまして、通産当局からの説明、あわせて地元におけるそういった調整の結果を勘案いたしまして、審議会としての態度を決定し、通産大臣に答申する。通産大臣はこの答申を尊重して、その案件を処理する、かようなことになるかと思います。したがいまして、審議会としての態度は、勧告を発動する必要があるかないか、あるいは発動するとしてどの程度の内容のものであればいいかということを事務当局の事前審査の結果をよく踏まえ、または地元の意見をよく反映させる形で聴取した上で決定することになるかと思います。  それから、第三点として申し出をしたものの範囲でございますが、これは特に資格を限定いたしておりません。省令によって、一定期間内に一定の手続で申し出るようにというようなことを規定いたすつもりでございますが、申し出をする者としては、一般消費者、小売業者あるいは学識経験者、それぞれ自分の意見を開陳すべく申し出をした人に対してその機会を与える、かように考えております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 いまの答弁の中で二点ばかりさらに答弁を求めますが、この七条は二段がまえと申し上げましたが、まず行政サイドで審査をして、審議会の意見を聞く、こういうふうになると私は条文から解釈するわけですが、いまの答弁によりますと、この審査の段階で何か地元の意見を聞くというような答弁があったと思うのですが、そういうのはこの法上では全く触れてないわけですね。それはどこを根拠に言われるのかということが一つです。  それから、審議会の審議の内容について、公開なのかどうかということと、口頭なのか。つまり、公開主義、口頭主義をとるのか。単に書面で上げてこいということだけなのか。  そしてもう一つは、その申し出をする手だて、これはどのように告知するのか。もし省令の中に入れるとすれば、どういうふうに考えているのか。もう一ぺん答弁を求めたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 御指摘の第一点でございますが、まさに法文上はさようなことは書いてございません。事務当局として審査をし、意見をきめる段階において、必要とあらば、あるいは先ほど申し上げた商工会議所等に通知してございますので、その線に従って意見を申し出たときに聞く。ただ、審査を最終的にいたすのは通産大臣でございます。  それから、第二点の審議会は公開かどうかという点でございますが、これは非公開でございます、  それから、文書によるかどうかということでありますが、審議会の答申は、商工会議所から文書で上がりますし、あるいは審議会から大臣への答申も文書で上がることになるわけでございますが、必要に応じて意見を口頭で聞くこともあり得るかと思います。  それから第三点の申し出の手続につきましては、省令でございますから当然官報にも載りますが、幸い法律が成立し実行段階に入る過程におきましては、十分に関係の方面に、説明会等を持ちましてPRをいたしたいと思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 いま省令で述べるように保障するという趣旨の発言があったと思うのですが、省令の中で、いわゆる利害関係人、小売あるいは消費者これらが口頭で意見を述べるという権利、これを省令の中にちゃんと記載されるかどうか、さらに確認を求めておきたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 意見を申し出る者は、申し出るにあたりまして自分の意見の概要をその申し出る際の書面の中に書いていただきますが、必要に応じて審議会等の場において口頭で補足していただく、かようにいたしたいと思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 補足というのは気になるのですが、これは本人が申し出れば口頭で意見を述べるという権利を省令の中には規定しないのですか。どういう形で口頭の意見を担保するのですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 書面で意見の概要を提出していただきます。必要ある場合に審議会に出席していただいて補足説明を聞く。原則は書面での意見の開陳でございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 必要があるかどうかは、だれが判断するのですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 審議会の会長でございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうしますと、必要があるかどうかを会長が判断をして、そして必要がなければ、これはもう口頭では意見の開陳をさせない、こういうことですね。そうすると、権利でないわけですね。単に会長の裁量によって、場合によれば聞く、聞きおくという程度だと思うのです。そうだとすれば、麗々しく七条二項では、いかにも、いまの話にありました小売とか消費者の意見を聞くということが書かれておりますけれども、実質的には、要するに書面で意見書を出す。それですべて事は済むのじゃないですか。それは私はおかしいと思うのです。少なくとも必要があるというのは、これはむしろ意見を申し出たほうなんです。ですから、その申し出たほうが口頭の請求をすれば、これを当然許すということがたてまえじゃないかと思うのですが、これはどうですか。これは行政不服審査法の関係ではそうなっていますね。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 申し出てくる意見の内容にもよるかと思いますが、案件が多数ございます。過去にもそういった実績がございますので、大体書面を見ることによって、言わんとするところ、あるいはそれによってこちらが処置すべきことはおおむねのところがわかる場合が多いかと思います。そのような場合といえども、口頭で説明を求めないような場合であっても、当然審議会としては、さような意見があったということをテークノートして、答申する場合に通産大臣にも意見を出すということになるかと思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 単なるテークノートでは困るのですよ。要するに、私が申し上げたいのは、必要があるから口頭の意見の開陳を請求するわけなんですから、それをどうしぼるか。 たとえば、同じような意見のものはこれをしぼっていくという方向について、私はそれに対する反対はないわけですよ。しかし、少なくともこういう非常に大事な問題ですから、意見の開陳を請求すれば、これは必要があるから請求しておるわけですから、これを原則として認めるという方向でしなければ、ほんとうにこれが要するに利害関係人の意見を聞くということにはならぬと思うのです。しかも私が申し上げたいのは、意見書を出せということになりますと、これはまさにお上の仕事そのものだと思うのです。消費者やら小売商にきっちりした書面を書け、こんな酷なことがありますか。書面をきっちり書かなければだめだ。これはもう全部書面審査の段階ではねられてしまうわけです。しかも、必要があるかどうか、この判断についてまで、これを会長が判断するまでとにかく詳細な意見書をつけろということになりますと、これは私は、ほんとうに消費者とか、そういう利害関係人の意見を聞くということにはならぬと思うのです。したがって、私は、そういう態度でなくて、本人が請求すれば意見を聞くというふうにするべきだと思いますが、どうですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 審議会の段階に至る前に、地元における商調協等の場もございます。その場でも意見を申し述べる機会はございますので、審議会の段階では原則として書面で意見を述べていただきまして、必要とある場合には口頭で意見を述べる機会を持つ、さような形で実施してまいりたいと考えてます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それはだめですよ。そんなことではほんとうに大衆の利益を保護することはできませんよ。重ねて私はその点について強く要望するわけですが、特に訴訟との関係でお伺いしたいわけです。  従前の許可制であれば許可処分の取り消し訴訟ということで訴訟になじんだわけですが、この場合に、七条の要件を具備するかどうかということについて訴訟の対象となり得るのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。  それから当事者適格をお伺いしておきます。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 異議申し立てをし得る人は、この法律の規定によりまして、直接その権利なる利益を侵害された、直接的に影響を受けた当該小売商は当然のことでございますが、本法自体、周辺の小売商のことも、中小小売商との関係で調整行為をやるわけでございますから、周辺の中小小売商も異議を申し立てる資格がございます。ただ、一般消費者につきましては、そういった行為の反射的な結果としての影響しかございませんので、これは適格性はないかと思います。要するに、大規模小売店舗の中に入る小売業者と、それから周辺の中小小売業者が適格者と考えております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 訴訟の関係ではいかがですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 訴訟の場合にも、ただいま申し上げたと同様のことになろうかと思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうしますと、具体的な請求の趣旨はどうなりますか。それと訴訟の関係についてなぜ法文化しないのか。この二点についてお伺いしたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 大規模小売店舗の中に入居いたしまして通産大臣の調整行為の対象になった小売商業者につきましては、たとえば店舗面積の削減が度を過ぎておるとか、あるいは開店延期の日が長過ぎるとかいったような形で訴訟ができるかと思いますし、反面、周辺の中小小売商業者におきましては、通産大臣の処分が軽過ぎる、もっと面積を削減すべきである、あるいはもっと延長期間を長くすべきであるといったような事項をかまえて訴訟できるかと思います。さようなことでございますので、一応この法文の中には規定を置かなかったということでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 法制局は来てないわけですか。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 法制局は来ておりません。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 来てないようですから、あらためてもう一度確認いたしますが、不服審査法あるいは行政訴訟法、いずれにしても不服審査あるいは訴訟の対象になる、その当事者適格は影響を受ける小売業者である、こういうことですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 さようでございます。調整行為の対象になる大規模小売店舗内の小売業者と周辺の中小小売商業者ということになるわけであります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうしますと、勧告のない場合にはどういう訴訟が起こせるのですか。つまり、届け出をしますね。あれこれ審議します。しかし、その結論は届け出そのものを認容するという場合には、認容処分の取り消しになるわけですか。それとも認容処分そのものは行政行為になるわけですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 不作為の場合には対象になりません。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうでしょう。だから一生懸命手だてをやっても、行政処分がなければこれは訴訟の対象になりませんよ。これが多少減額されたという処分があれば、その処分がどうだという訴訟は確かに起こせるかもわからない。しかし、何らの手だても、つまり行政処分がなければこれは訴訟の対象になりませんね。そういうことですね。そうしますと、単に利害関係人が一片の書面を出すだけで、しかも、審議会の会長が必要がないと認めれば口頭による意見の開陳もできない、あるいは訴訟にも親しまない。一体どうやって救うのですか。七条では麗々しく「変更勧告」と書いてある。しかし、何らこれを担保するものがないじゃありませんか。いかがですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 先ほど来申し上げておりますように、大半の案件は相当程度の影響を与えるおそれがある場合という——審査が要るわけでございますが、大半の案件がやはり審議会にかかる。審議会にかかるということは、地元の商工会議所あるいは商工会に付設される商調協の場で十分意見が煮詰められてくるわけでございますので、そういった意見があわせて審議会の審議の場に反映されてくることになるわけでございますので、特に口頭による意見の開陳を原則といたさなくても、十分意見を吸収し得るのではなかろうか、かように考えております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 ですから、実際いま申し上げたように麗々しく書いてあるけれども、利害関係人の意見を十分聞く、しかも司法審査の対象にはならないということになりますと、これはもう行政サイドにすべてまかす以外にないんじゃないですか。だから、通省産がきめればそれに対して何の文句も言えない。単に一片の書面を出すということだけじゃありませんか。しかも、その書面を出さなければだめだということになりますと、これは加害関係人が全部そういう一定の形式を持った書面を出さなければならぬ。出してもそれが全く意味がないことになるのじゃないですか。そういうことでこの第一条に立法目的が書かれておりまして、消費者の利益の保護あるいは中小小売商の保護ということをうたってありますが、これを担保するものにはならぬ、こう言わざるを得ないと思うのです。とりわけ私が最初に質問申し上げた許可制と届け出制の違い、これがいまここに出てくるわけですね。許可制の場合には、これは処分の対象になるから、訴訟の対象になりますよ。ところが、届け出制の場合には、これがないわけです。これは致命的じゃありませんか。  次に質問を続けますが、審議会の構成についてお伺いしたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 審議会の機能として考えておりますのは、本法の調整行為の通産大臣の諮問に答えるということが大きなポイントになってくると思います。(野間委員「構成です」と呼ぶ)現行百貨店法における委員の構成は学識経験者七名ということで、関係利害人を入れない学識経験者のみで構成いたしております。本法による大規模小売店舗審議会におきましても、大体百貨店審議会と同じような機能を果たすということから、現在の構成を踏襲したいという方針でおります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 えらい時間をとって申しわけありませんが、もうしばらくお許し願いたいと思うのです。そうしますと消費者とかあるいは小売商、これらの代表者は審議委員にはならぬわけですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 現在の百貨店審議会の七名の構成について申し上げますと、消費者代表が二名、学者が二名、ジャーナリストが一名、商工会議所代表一名、金融業界代表一名の構成になっておりますが、これはそれぞれが学識経験者という立場に立って参加いたしておるわけでございまして、直接商業者等をこの委員に加えるというふうには考えてはおりません。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それじゃ時間の制約が参りましたので、最後に一点だけですが、現行の百貨店法の許可制のときでも、不許可にしたのはわずか一件なんですね。これは二万平方メートル以上新設の場合です。これ一件しかないわけです。先ほど同僚委員の質疑に対して、行政指導の段階でいろいろ調整したりあるいは削減、こういうものもあるということでしたが、確かにこれはあります。しかし、基本的に不許可にしたのは一件しかない。つまり許可制の時点においてですらこのような結果しか出てないわけです。これは昭和四十五年以降のもので、通産省からもらった資料なんです。しかも、これが今度は緩和されて届け出制になる。しかも、ほんとうに司法審査の対象にもならなければ、どんなに意見を上げても結局通産サイドでこれが全部処理されていく。しかも、審議会の審議委員の中に利害関係人が入ってないということになりますと、これはもうたいへん大きな問題だと思うのです。その点を指摘して、私が先ほどから申し上げておるような具体的な問題点を入れて、さらに再考した上で本法案を提出されたい、このように考えますが、最後に大臣いかがですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 この法案の一つの眼目は、百貨店に対してはいままでのような許可制の実質を持たせながら、しかもスーパーもこの中に入れ込む、そういう意味で厳重な事前審査制、ほとんど許可制に準ずるような措置をこれでとったわけであります。そういう意味において、百貨店に対する審査と同じような厳重な審査をわれわれはやって、地元に対する諸般の影響、特に中小零細企業に対する影響というものを重要視してやっていく。いままで商調協において一番摩擦が起きたことはそれでありますし、スーパーが近ごろ方々へできるについてわれわれのほうへ苦情を申し入れてくるのは、中小零細企業でもあります。したがいまして、当然その問題が重点に置かれると思いますので、われわれはそういう観点に立って、地元の中小企業との調整というものを主眼に置いて厳重な審査を行なう、こういう考え方を持っております。  そのほか二、三の点につきまして御指摘になりましたけれども、われわれはいままで御答弁申し上げましたように、この法の趣旨というものは、一つにおいては、お客さま、消費者のためを考え、もう一つにおいては、最近大きく成長してきて各地で摩擦を起こしているスーパーというものを正式に規制の対象に取り込むということ、それからもう一つは、流通の合理化という面もありますし、また一番大事な眼目は中小企業の擁護という面があるわけであります。そういう法の精神を体しまして各セクション、セクションにおいて厳重なチェックを行ないまして、そして法の趣旨を生かしていきたいと思っておるわけであります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 最後に、一点抜けましたので、最後のほうにお聞きした訴訟の対象にならないという結果についてはいかがですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 これは行政処分としての勧告、変更命令があった場合にはもちろん訴訟の対象になりますけれども、届け出の段階ではまだならないのは、行政処分に対する異議申し立て、そのほかの法令の指示するところであると思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 ですから、不作為の場合には訴訟の対象になりませんので、届け出があって、しかも変更命令がない場合には、これはそのままということになるわけですね。この点が非常に大きな欠陥であるということを最後に御指摘申し上げて質問を終わります。     —————————————

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。  本法律案に対し、田中六助君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる修正案が提出されております。     —————————————    大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案に対する修正案  大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案の一部を次のように修正する。  第七条第二項中「通商産業省令で定めるところにより申出をした者」を「消費者又はその団体、小売業者又はその団体その他のもので通商産業省令で定めるところにより申出をしたもの」に改める。  附則中第十五条を第十六条とし、第十一条から第十四条までを一条ずつ繰り下げ、第十条第二項中「前項」を「前二項」に、「同項」を「各本項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項を次のように改め、同条を第十一条とする。   前条第四項において準用する第九条第四項において準用する第八条第一項又は前条第五項において準用する第十四条第一項の規定による命令に違反した者は、三百万円以下の罰金に処する。 2 次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。  一 附則第四条第三項の規定に違反した者  二 前条第一項又は第二項の規定による届出をせず、または虚偽の届出をしたもの  附則中第九条の次に次の一条を加える 第十条 この法律の施行の際第三条第一項に規定する建物において小売業を営んでいる者は、当該建物ごとに、閉店時刻の繰下げにつき第九条第三項の規定による届出をした場合を除き、この法律の施行の日から起算して一年以内に、その閉店時刻を通商産業大臣に届け出なければならない。ただし、その閉店時刻が同条第一項の通商産業省令で定める時刻以前であるときは、この限りでない。 2 この法律の施行の際第三条第一項に規定する建物において小売業を営んでいる者は、当該建物ごとに、休業日数の減少につき第九条第三項の規定による届出をした場合を除き、この法律の施行の日から起算して一年以内に、その休業日数を通商産業大臣に届け出なければならない。ただし、その休業日数が同条第二項の通商産業省令で定める日数以上であるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による届出は、第十二条第二項及び第十三条の規定の適用については、第九条第一項又は第二項の規定による届出とみなす。 4 第九条第四項及び第十五条の規定は、第一項  又は第二項の規定による届出があった場合につ  いて準用する。5 第十一条の規定は、前項において準用する第  九条第四項において準用する第七条第一項又は  第八条第一項に規定する措置の運用について準  用する。6第十四条第一項の規定は、第一項又は第二項  に規定する小売業を営んでいる者が第一項若し  くは第二項の規定に違反し、又は第四項におい  て準用する第九条第四項において準用する第八  条第一項の規定による命令に違反した場合につ  いて準用する。7 第十七条の規定は、第四項において準用する第九条第四項において準用する第八条第一項又は前項において準用する第十四条の規定による命令についての異議申立てがあった場合について準用する。     —————————————

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 この際、修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 ただいま提案されました修正案につきまして、私から提案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案は、お手元に配付されているとおりでございますが、修正点の第一は、第七条第二項において大規模小売店舗審議会が通商産業大臣の変更勧告等について意見を定めようとするとき、意見を聞かなければならない「申出をした者」を「消費者又はその団体、小売業者又はその団体その他のもので申出をしたもの」に改めることであります。  申すまでもなく、本案は、消費者の利益の保護に配慮し、大規模小売店舗の周辺の中小小売業者の事業活動の機会を適正に確保しようとするものであります。したがいまして、通商産業大臣が変更勧告等を行なう場合に、消費者、小売業者等の意見が十分反映されるよう、これらのものを明記する必要があると考え、修正した次第であります。  修正点の第二は、この法律施行の際、大規模小売店舗において小売業を営んでいる者は、その閉店時刻及び休業日数が通商産業省令で定める基準をこえているときは、この法律の施行日から一年以内に通商産業大臣に届け出なければならないこととし、この届け出については、変更勧告、変更命令等の規定を適用する旨の規定を附則に設けたことであります。  原案におきましては、本法施行の際、既存の大規模小売店舗において小売業を営んでいる者の閉店時刻及び休業日数については通商産業大臣の変更勧告等の対象になっておりませんが、本法制定の趣旨である周辺中小小売業者の正常な発展及び本法の対象となる大規模小売店舗における小売業と既存のものとの公平を考えますと、既存の大規模小売店舗における小売業の閉店時刻及び休業日数についてもチェックすることが必要であると考え、修正した次第であります。  以上が修正案の提案の趣旨であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 これより討論に入るのでありますが、本案並びに修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、田中六助君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 起立多数。よって、本案は田中六助君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     —————————————

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 本法律案に対し、稻村左近四郎君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。稻村左近四郎君。

稻村佐近四郎自由民主党

○稻村(佐)委員 ただいま提案されました附帯決議につきまして、提出者を代表して、私から提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。      大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 大規模小売店舗における小売業者の届出については、厳正な審査を行ない、万一にも大企業のダミーが寄合百貨店の形態をとって、本法による調整をまぬがれることのないよう十分措置すること。  二 大規模小売店舗審議会及び商業活動調整協議会の組織及び運営については、消費者、中小小売業者及びその従業員の意見が十分反映されるよう措置すること。  三 閉店時刻及び休業日数の基準の設定にあたっては、従業者の福祉、地域との融和等を重視し、特に休業日数については十大都市、その他都市の区別を撤廃するよう検討すること。  四 百貨店業者等の基準面積未満の大規模店舗についても、本法の調整措置に準じ適切な指導を行なうとともに、駈込み新増設については、従来の行政指導を強化し、本法の趣旨に基づいて処理すること。  五 百貨店における派遣店員、不当返品等の不公正な取引方法の規制を厳格に実施するとともに、本法の制定にともない新たに対象となる大規模小売店舗における小売業の不公正取引方法の特殊指定について検討すること。  六 百貨店、大型スーパー、商社等による中小小売店の系列化等の抑制について強力な指導を行なうとともに、中小小売業者の事業分野の確保について適切な措置を講ずること。  七 大規模小売店舗の進出により直接影響を受け、事業転換を余儀なくされる中小小売業者に対しては、その円滑な実施を図るため所要資金の融資等特段の配慮を行なうこと。以上であります。  各項目の詳細の説明につきましては、これまでの審査の過程において、委員各位には十分御理解いただけたことと存じますので、この際、省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根届商産業大臣。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、行政に万遺憾なきを期する次第であります。どうもありがとうございました。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は付録に掲載〕      ————◇—————

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 次に、内閣提出、中小企業者の範囲の改定等のための中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中六助君。

田中六助自由民主党

○田中(六)委員 ただいま議題となりました中小企業者の範囲の改定等のための中小企業基本法等の一部を改正する法律案について御質問を申し上げますが、その前に、大臣にまず二点ほどお聞きしたいのです。  その一つは、総理大臣は現在の日本の経済情勢をインフレーションじゃないというふうなことを言明なさったわけでございます。しかし、現実に日本の経済学者のおもな人たち、下村治先生を除いては、インフレーションの内容について、コストプッシュインフレーションだとかデマンドインフレーション、スタグフレーション、その他各角度からインフレーションであるという見解を持つ学者がほとんどでございますし、国民生活の立場から見ましても、最近の卸売り物価指数というのは異常な値上がりで、昔のように卸売り物価指数と消費者小売物価指数が大きな差があって、安心だという経済情勢ではございませんし、一方また総需要の抑制というようなことからも、ある程度の手当てが行なわれておるわけでございますが、これは大蔵大臣にお聞きするのが順当かと思いますけれども、通産大臣も、日本の零細な企業から上は大企業を含めまして、産業の大きな責任者として現在の経済情勢をどういうふうに見ておるか。総理大臣の言うようにインフレーションじゃないというふうに見ておるのか、あるいは私ども国民がほんとうに皮膚で感じておる、毎日の生活でこれはインフレーションじゃあるまいかと思う、そういうような立場から大きなギャップを感ずるのですが、大臣はどのような御認識をお持ちでしょうか。     〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 この問題は、インフレーションという定義をいかに解するかということによって人々の回答が違うと思います。自分はこのようなものをインフレーションと考える、そういうこのようなものをインフレーションと考えるという考え方によってその結果が出てくるのでありまして、ある者はインフレーションであると言い、ある者はインフレーションでないと言うのは、定義の変化、根底が違うからそういうふうに変わってくるのだろうと思います。  下村さんの説も私拝読しておりますが、現在の日本は物価騰貴の圧力のもとにある、したがって総需要をカットしなければいけない、こういう点においては大体皆さん一致しておるのであると思います。しかし、物価騰貴の原因が悪循環を起こして、循環ごとに心理的に投機的に上がってくる形勢にあるかといえば、そこまではいっていない。だから、そういう悪循環のもとに物価が騰貴する状態をインフレーションであると定義すれば、現在はインフレーションではないと言い得るでしょう。しかし、物価問題に非常に鋭敏な学説や学者がおって、そういう物価騰貴の圧力があり、一部にそういう現象が出てきておる状態をインフレーションであるといえば、これはインフレーションとも定義できるだろうと思うのです。ですから、定義をどういうふうにとるかということによるので、インフレであるかないかということを断定的に私が言うことは、定義をどう申し述べるかということにかかっておるので、いまここでその定義をぐだぐだ言うことは必ずしも適切でないと思います。しかしともかく、国際的にもかなり物価高の形勢で、海外からの物価高が流れ込む危険性もございますし、また、総需要を全般的に見た圧力がかなりあって、ややもすれば上がろうとしておる気配にあることは事実であると認識しております。

田中六助自由民主党

○田中(六)委員 インフレーションは定義の問題、見る見方の角度の問題からいろいろ考えられるのであって、いま自分がぐだぐだ言うことはちょっと差し控えたいということでございますが、ほんとうは時間が許せば大臣のぐだぐだ言う御見解を聞くことのほうがわれわれの理解を深めるのではないかという気がいたしますけれども、時間もございませんので、定義の問題として私も一応聞いておきたいと思います。  それからバンクレート、つまり公定歩合の問題でございますが、日銀の公定歩合について、日銀の総裁はもちろん、各大臣が、近く公定歩合を引き上げるのだとか、引き下げるのだとかいうことを非常によく言う。それから日銀の総裁そのものもそれが現実になる事前に平気で、このバンクレートの問題をぺらぺらしゃべるのですが、こういう傾向は私は世界にほとんどないと思うのです。それから昔は、少なくとも私の記憶している限りでは吉田、池田内閣、佐藤内閣のときもそういうふうなことは少なかったんじゃないかと思うのですが、大体中央銀行の中心レートである国の公定歩合というものは極秘裏にすべて処理すべきものであって、それをもう数カ月前からそういうことをしゃべって、いよいよそれが実現できるときはすでに各マーケット市場はそのレートを織り込み済みで、何ら市場繰作はなされないのが日本の最近の傾向だと思うのです。十六年前、私、イギリスにちょっとおるときに、バンクレートのリーケージ、つまり漏洩事件があったのですが、これが漏れたために時のマクミラン内閣、初期でございましたが、てんやわんやで国をあげてイギリスは大騒動をしたことがあるのですが、それほど中心金利というものは極秘であらねばならない。そうなれば多少金融的な操作で経済が運営できると思うのですが、日本の最近の状況というものはまるでほんとうになってないのですが、そういう傾向について、私はあまりにもすべてが民主化という観点から、そういうことまでが妙なぐあいに走っているんじゃないかという気がするわけでございますが、この点、閣議にいつも御出席で、しかも重要閣僚を占めておられる大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 その点は全く同感であります、公定歩合のような問題が、事前に新聞に載るというようなことは適当なことではございません。ただ、日本のジャーナリズムが近ごろは非常に鋭敏で、知る権利を行使いたしまして、非常に早くものごとを伝えますので、そういう点で政府当局もこれを秘密にしておくという努力はいろいろしておるけれども、自然に漏れてしまうという形になってしまうのかもしれません。いずれにせよ、田中委員のおっしゃることはまことに同感でございます。

田中六助自由民主党

○田中(六)委員 こういう中心金利の問題については、今後とも閣議あるいは政府は十分慎重戸やってほしいというふうに考えます。  それから中小企業の基本法の一部改正法案でございますが、最近の経済の情勢から見まして、スミソニアン体制で日本は大きく円の切り上げをやったわけで、過去二年間ぐらの間に、三百六十円から二百六十円、いまフロートしておりますけれども、百円もレートを実質的に切り上げておるわけでございます。こういうことがどの程度中小企業者に響いておるかということを私ども憂えるわけでございますが、幸いに政府は一生懸命の対策をやっておりまして、現実にあまりこれに対する被害が大きくひずみとしてあらわれていかいということも聞いておるわけでございますが、これは事務当局でけっこうでございますが、この二年間の間、つまり中小企業の倒産件数でございますが、四十六年の上半期、つまり一−六月、それから四十七年の一−六月、四十八年の一−六月、この間にどの程度中小企業が倒産しておるか、件数をお知らせいただきたいと思います。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 四十六年の一−六月で四千六百四十八件でございます。このときは三百六十円レートの時代でございます。それから四十七年の一—六月は三百八円のスミソニアンレートでございますが、三千六百十五件、それからことしの一−六月は、かりに二百六十五円と申し上げておきますが、現在のフロートのもとで三千四百三十四件という倒産件数でございまして、全体といたしまして四十七年及び四十六年の水準を下回っておるという状況でございます。なお、四十七年の年間の倒産件数というものが約七千百件でございまして、四十六年に対しまして二二%の減でございまして、この四十七年というのは、一年間を通じまして、四十二年以降の最低の倒産件数であった年でございますが、その四十七年に比べましても現在は平穏に経過しておるという状況でございます。

田中六助自由民主党

○田中(六)委員 四十六年の一六月四千六百四十八件、四十七年一六月三千六百十五件、四十八年−六月三千四百三十四件、傾向としてはどちらかというと下がっておる。しかし、この数字だけでは数字の魔術がございまして、内容的にはかなり零細企業あるいは中小企業は困っているのじゃないかと思います。と申しますのは、この三カ月間だけで三度公定歩合の変化があっておりますし、その他預金準備率の引き上げ、最近はまた予算面からも締め上げようというような傾向でございますので、私はこの点、何かと申せば中小企業が一番被害をこうむるのではないかと思いますが、こういう体制下にありまして、今後の中小企業対策をどういうふうに持っていこうかという、中小企業庁の腹づもりをお願いしたいと思います。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 当面、中小企業業界が最も関心を持っております問題は、現在の急激かつ広範な金融の引き締め政策の影響の問題でございます。この問題につきましては、ドル対策の問題とも非常に関連があるわけでございますが、中小企業に対する金融の円滑化を確保するという見地から、二つの措置を財政当局及び通貨当局に対して強く私どもからも要請をいたしまして、その方針で対処するという確約を得ておるわけでございます。  第一は、中小企業向け金融のほとんどの部分を占めております市中の金融機関からの中小企業向けの融資比率というものを引き下げないということでございます。これは昨年を通じましての金融の緩和基調のもとで、市中、都市銀行と比率が非常に上がってきておったということは御案内のとおりでありますが、その比率を下げてはならないということでございます。  第二は、こういう引き締めの際には、どうしても政府関係金融機関の役割りが非常に大切になりますので、政府関係三機関を通じます融資のワクの確保をはかるという点でございまして、現在、年度間の融資ワクの繰り上げ使用ということを行なっておりまして、不足になれば、後日、財投等による補正を行なうということを財政当局とすでに話を進めておるところでございます。当面の過剰流動性を克服するためのやむを得ざる金融引き締め対策については以上のとおりでございまするが、長期的な問題がより大きな問題でございまして、これはかねて当委員会でも御審議いただきましたいわゆるドル対策法の際にもしばしばお尋ねがあり、お答えしたとおりでございまして、長期的にわが国の中小企業というものを今後も維持発展さしていくために、その体質の改善を各般の総合施策によってはかっていくということが最も大切でございます。事業の転換も必要になりましょうし、知識の集的化ももちろん必要でございます。その際に、やはり取り残されやすい小規模零細企業に対しましては、一般の中小企業対策とはまた別に、金融とか税とか指導の面で格段の特別の配慮のもとに措置を講ずるということが必要でございまして、来年度以降もこの方向で施策をさらに  一段と整備充実いたしたい、かように考えております。

田中六助自由民主党

○田中(六)委員 長期的な対策、短期的な対策で体質改善をして、知識集約型の方向で事業転換をはかっていって万全を期したい、そういうようなことをどうか着実に実施していって、粗漏のないようにお願いしたいものと思います。  それから、今回の定義改定でどの程度の中小企業数をそのワク内に入れられるかということをお答え願いたいと思います。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 今回の中小企業の定義改定でございますが、改定といっておりますが、実質は経済情勢の変化に伴ういわば修正でございまして、明らかに大企業であるというふうなものを中小企業扱いしようという趣旨では毛頭ございません。資本金を工業の場合一億まで引き上げることによりまして約五百七十ばかりが新規に対象となってまいります。これは四十五年の工業統計に基づいての計算でございます。同じ四十五年の商業統計に基づきまして、今回の卸売業の定義の改定に基づいて三千四百強のものが新しく対象になってまいります。合わせて四千弱ということでございます。

田中六助自由民主党

○田中(六)委員 今回の定義改定で約四千弱が中小企業者の範囲に入り、非常にこれは拡大して、中小企業対策の対象になり得て救われるという面から見ればいいことだというような解釈も成り立つわけでございます。私もそれが万全の措置で、そういうふうになっていけば非常にいいというふうに考えますが、ただ心配なのは、この改定で範囲が広がっていくだけでは、必ずしも政府としては十分ではない。十分だと思っているかもわかりませんけれども、まだまだ十分ではない。この中小企業対策そのものが、範囲の拡大によってかえって薄められるという逆効果が出てくるおそれが十分にあるわけでございます。したがって、私どももこの点をおそれるわけでございますが、中小企業庁としては、この点に対する対策あるいは考えをどういうふうに考えているのか、この二点について具体的にお答え願いたいと思います。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 今回の定義改定の基礎になりました昨年八月の中小企業政策審議会の意見具申におきましても、先生御指摘の点が特に述べられておる点でございます。小規模対策の充実を基本前提として中小企業の定義改定について検討するようにというのがまた当委員会での御決議でもございました。そういうことで、中小企業政策全般の中で、四十八年度におきましては、特に小規模対策に力点を置いて進めたつもりでございます。  まず金融面について申し上げますと、無担保、無保証の経営改善資金融資制度の創設がございます。それから、小規模企業を対象といしたました五〇%の無利子融資を行なっております。設備近代化資金、それから小規模企業向けの設備貸与制度につきましても四十八年度においては強化をはかっております。その他中小企業振興事業団からの零細製造業の共同化のための融資のワクの拡充国民金融公庫のいわゆる無担保貸し付けといっておりますが、保証人だけで貸し付ける金融制度がございますが、この限度を今年度からは三百万から五百万まで上げまして、五百万までは各支店限りでスピーディーに処理ができるようにいたしたわけでございます。また、今国会、当委員会で御審議いただきました信用保険法におきましても、特別小口保険の限度引き上げ等の措置を講じて、民間金融機関からの融資の円滑化をはかることといたしたわけでございます。  第二に、税制上の措置といたしましては、四十八年度は、画期的な措置といたしまして、懸案の個人事業主報酬制度の創設をはかりましたほか、同族会社の留保金課税につきましても、前年度に引き続き相当大幅な改善を行なったのでございます。このほか、従前に引き続きいわゆる経営指導の面、企業診断の面につきまして、指導員の増員その他の措置を四十八年度においては特に配慮いたしたところでございます。  なお、中小企業の中で従来ともすれば施策の盲点になっておりました全国百九十万、従業員数六百四十万をこえます中小小売業を対象にいたしまして、初めて中小小売商業専門の法律として振興法を御提出した次第でございます。  以上のように零細企業対策につきましては努力しておるところでございますが、中小企業の約七五%はいわゆる零細企業でございます。金融の面でも税の面でも指導の面でもまだまだ至らないところがきめて多いことを私どもその衝に当たる事務当局としても非常に申しわけないと残念に存じております。今後格段の整備充実をはかるということを私どもの方針、基本的な課題として努力をいたしたいと思います。

田中六助自由民主党

○田中(六)委員 ただいま企業転換そのものの指導や、そのためには長期低利の融資とか、あるいは税制面についても十分の措置をしていくが、まだまだ足りない、私はまさしく十分の措置というまでには至っていないという気がしますので、中小企業基本法ができてちょうど十年、今回これを改定するという潮どきでございますので、十年一昔ということばもございますから、心を新たにして、一そう中小企業あるいは零細企業のために十分な措置を願って、私の質問を終わりたいと思います。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長代理 加藤清政君。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 昭和三十八年に中小企業基本法が制定されたわけでありますが、この間わが国は、政府の推進してまいりました高度経済成長政策が、規模の面でもまた構造の面でも大きな変貌を遂げまして、中小企業もその波の中であるものは切り捨てられ、あるものは大企業の締めつけに抗しながら営々として努力を重ねてきた実態があるわけであります。  そこで、今日におきましても政府の中小企業政策は決して十分とはいえないのであって、相変わらず大企業中心の通産政策が行なわれておるのでありますけれども、中小企業基本法が十年を経過した今日、あらためて中小企業施策の中を問い直してみる好機であろうと思うわけであります。  私は、ただいまから中小企業の範囲改定について通産大臣並びに公取委員長と関係当局にお尋ねするわけでありますけれども、中小企業、小規模企業の置かれている現在の立場というものを念頭に置かれまして、血の通った御答弁を願いたいと思うのであります。大体通産当局並びに公取当局からの御答弁でいいと思うのですが、一点中曽根通産大臣にお尋ねしたいと思うのです。  最近の公定歩合の引き上げ並びに預金準備率の引き上げ、さらに総需要を押えて過剰流動性を吸収して景気の過熱を冷やすということで、金融引き締めが非常に顕著に行なわれてまいり、九月にはまさに九月決算、九月の危機といわれておるのが世上であります。  そこで、最近の倒産の動向を見ますと、大体倒産のサイクルというものは秋口あるいは年末、年度末が一番高いわけでありますけれども、本年の五月には、前年度五月に比べてサイクルがたいへん高かったということが見られたわけであります。これは中日スタヂアム等の倒産による六十社あるいは七十社ほどの関連倒産も大きな影響を受けておると思うわけでありますけれども、こういった金融引き締めについての九月危機が世上うわさされて、中小企業、特に小規模企業者が戦々恐々とされている。大企業はそういう経済の中に入りましてもびくともしませんが、特にそのしわ寄せを受ける中小企業あるいは零細企業に対して、政府として何らかの措置をとられ、それに対する対応策を持っておられるかどうか、その点について中曽根通産大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 最近の一千万円以上の負債金額の倒産の動向を見ますと、四十七年一年間では景気上昇と金融緩和基調のもとで総じて四十一年以来の最低水準に推移いたしました前年に比べ、件数、負債金額とも二、三割の減少を示しました。四十八年に入っても、一−六月で見ますと、大勢としては落ちついた動きを見せておりますが、中日スタヂアムのような特殊の例もありまして、件数では最低水準に推移した前年同期をなお下回ったものの、負債金額では若干上回っております。  御指摘の五月さらには六月の動向については、前年同月比でやや増勢が見られますが、これには上述の特殊事情が作用しているところが大きいと思います。それを除けば上半期を通じて比較的落ちついた動きを示しております。しかし、今後は金融の引き締めが続く中で、人件費、材料価格の上昇等によって経営内容の悪化が進むことが懸念され、倒産が増加していくことが予想されております。  最近の企業経営の内容を見ておりますと、金融面によるものよりもむしろ材料確保難、そういうようなものが多いように思います。特に塩ビ関係あるいは伸銅品関係等においては材料入手難というようなものが非常に多く見えてきつつあるように思います。これらについては、需給調整協議会等も活用して供給の円滑化を最大限にはからなければならないと思っております。  なお、金融につきましては、 この間のドル・ショック以来特別のワクを中小企業に設定いたしまして、もしそれで不十分ならばいずれワクをさらに増してもよろしいから、金融は十分つけてやるようにというふうに配慮しておりますが、中小企業についてはまだ金融面についてそれほど深刻な事態が出てきておるとは思っておりません。しかし、全般的に見ると、やはりまだ過剰流動性が残っておるように思いまして、全体的な金融引き締めは今後も続いていくと思いますけれども、しかし中小企業については、いやしくもそういう影響がないように私たちも配慮してまいりたいと思っております。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 通産大臣から、金融引き締めによる中小企業あるいは小規模企業者に対する対策等については万全を期しているというお答えがありましたが、ひとつ九月危機説が世上流されておりますので、たいへん中小企業や小規模企業者が戦々恐々とされておりますから、そういうことにつきましてもいま大臣から御答弁ありましたように万全を期していただきたい、そのように思います。  それではまず最初に、この法案の中小企業者の範囲の改定は、どのような経緯で提案されるに至ったのか、中小企業の実情とあわせてひとつ御答弁願いたいと思います。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 今回の定義の改定は、昨年八月の中小企業政策審議会の意見具申に基づいて、それの具体化をはかったものでございまするが、経緯について申し上げますと、昭和三十八年に現在の中小企業基本法を定めた際に、それまで法律で若干の違いがありました中小企業の定義のしかたを基本法におきまして統一的な基準を示しまして定めたわけでございます。その当時は、工業では三百人または一千万円以下ということになっておったものを三十八年に五千万円に上げたわけでございまするし、それから商業、サービス業は、それまでは三十人または一千万円以下となっておったものを三十八年に五十人に上げたというのが基本法制定当時の経緯でございます。  その後十年間、経済の成長等に伴いまして諸般の情勢が年々変わってまいりました。工業関係あるいは卸関係の中小企業界からも、近年この三十八年の基準では妥当でない、むしろ普通の中小企業でも大企業扱いをされて落ちていく危険すら上るということで、妥当な調整を望むという御意目が多かったわけでございます。中小企業政策審議会からは四十四年にも一度意見具申がございまして、その際は結論を得なかったのでございますが、引き続き検討すべき重要事項と決議されておりまするし、当委員会でのその後の御決議もございまして、昨年の中政審の答申におきまして、今後の中小企業の範囲の改定についての基本的な考え方というものが示されたわけでございます。私どもはそれに基づきまして、詳細なデータに基づいて種々の計算をした上で中政審の専門の先生方の御審議をいただきまして、今回御提案申し上げておるような改定案を見た次第でございます。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 審議会の意見具申は、七〇年代の中小企業政策全体のあり方を方向づけることを主たるねらいとしているようでありますが、そういう全体のあり方と今回の範囲の改定とはどういう関係にありますか、その点お伺いいたします

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 中小企業政策審議会では、今後十年間の中小企業のあり方と政策の方向という大所高所の御議論があったわけでございますが、その場合に政府の施策のあり方が問題の中心でございます。その施策の対象となる中小企業の範囲をどこに定めて施策を講じていくかということは、申すまでもなく基本前提になるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、四十四年の中小企業政策審議会の中間的な意見具申におきましても相当御議論になったのでございますが結論を得ないまま持ち越されたというのが実情でございます。それで今回の意見具申におきましては、この定義の改定問題というのが実は今後の中小企業政策の姿勢問題と非常にからんで御議論があったと答申にも明確に出ております。その点が四十四年の答申に比べての非常に大きな特色ではないかと実は考えております。  その第一点は、定義の改定は行なう、同時に、今後の中小企業政策というものはその中小企業というものの多様性を十分に認識して、それぞれの実態に応じた対策を講ずべきである、特に零細企業に対しては、また別途の観点からの特別の配慮というものが特に必要であるということが力説されております。これが四十四年の答申に対しての非常に大きな特色の第一点でございます。  もう一つの特色は、その零細企業問題にからみまして中小小売商業問題というものを今回の答申が非常に大きく取り上げまして、私どもそれを踏まえて、当委員会でも御審議いただきました中小小売商業振興法というものを立案し、また百貨店法の改正問題というところもその一環として通産省としては方針を固めるに至った、こういう経緯がございますが、すべて、定義の改定だけではなくて、それと含めて零細企業に対しての特別の配慮というものを答申が御指摘になっておるという意味で、この定義の改定問題というのは実は今回の答申の非常に核心的な問題であった、中核をなす問題であったというふうに私どもは認識しておるものでございます。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 先ほどの田中委員と質問も重複しますので、御答弁は簡単に願ってけっこうですが、七〇年代の中小企業政策に関する提言の前提として中小企業者の範囲を見直そうという意見のようですが、それでは定義改定の内容はどうしようとするお考えか、またどういう根拠で、どのような改定をしようとしておるのか、ひとつこの点をお聞かせ願いたいと思います。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 今回は改定は二点ございまして一つは工業等につきましては、現行法では、従業員が三百人以下または資本金が五千万以下となっておるその資本金を一億円に、ちょうど倍に改定するということでございます。この改定の理由は、基本法制定以後、経済の成長に伴いまして中小企業においても増資等が行なわれておりますし、資本装備率も上がってきておるということで、五千万円では低きに失するということが四十五年度の、これは最近の工業統計でございますが、これの分析によりましてきわめて明確に指摘されておるわけでございます。そこで、この工業統計を基礎に算定をいたしまして、三百人対応としてならば現在は一億円が最も妥当な線であるということで改定に踏み切ったわけでございます。  それからもう一点は、商業、サービス業の関係でございまするが、商業、サービス業につきましては、現在は従業員五十人以下または資本金が一千万円以下となっておりますが、その中で卸売業につきましては、その業種の実態から申しまして小売業とは著しく異なっているわけでございます。そこで、卸売業については別の定義をすることが妥当であるということから、卸売業につきまして四十五年の商業センサスを基礎に、工業と同様の手法を用いまして詳細に検討いたしまして、今回百人または三千万円以下ということを別途に制定するということにいたしたわけでございます。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 いまの御説明ですと、現在の中小企業者の定義のしかたには何も手をつけずに、単に資本金の規模と従業員の規模を変えようとしておられるようでございますが、現在の中小企業の定義を従来の手法に準じて従業員数と資本金の相関分析で行なうということが妥当であるかどうか若干の疑問があるわけですが、中小企業者の範囲をきめるのに資本金や従業員数といった、いわば外形的なまた量的な基準を用いる方法から、もっと質的な基準が用いらるべきであるようにも考えられるわけです。また、量的な基準としても、たとえばむしろ出荷額とか販売額あるいは収益性といった中小企業者の営業の動向をより正確に反映する指標を用いるべきではないか、かように考えるのですが、いかがでしょうか。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 アメリカにおきましては、中小企業の定義を工業では従業員数だけで、それから卸売業については売り上げ高だけできめておるということが言われております。わが国におきましては、御指摘のように、従業員数と資本金という企業規模に着目した指標を使っておりまするが、御指摘のように、出荷額とか販売額とか収益性というふうな指標を使うということも、これは御意見でございます。私どもも、こういう点についても、今回は中政審におきましていろいろ専門の御意見も伺い、実は検討もいたしたわけでございますが、何ぶんにも業種、業態がきわめて多様であるということがございまして、いわばそれぞれの企業の中味に入ったような、収益性をとるとか、販売額という数字をつかまえることがなかなか容易でないということが一つと、それから景気の変動等によりまして、こういう基準数値に対しまして営業の状態というものが非常にまた変動しやすいという難点もございまして、今回はこれは見送りにしたわけでございますが、こういう問題につきましても、諸外国の例等もさらによく研究をいたしまして勉強をいたしたい、かように考えております。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 いまの御説明をひとまず聞いておくことにいたしましても、いま一つの重要な問題があります。と申しますのは、現在の中小企業の定義では、資本金か従業員数のどちらかが基準を下回っていれば中小企業とみなされるわけでありますけれども、たとえば従業員数が三百人以下であれば資本金が三億円でも中小企業ということになるわけであります。これはどう考えても不合理と考えられますが、この際、資本金と従業員数の両方の条件を当てはめた形で中小企業の範囲をむしろ明らかにすべきではないかと思うのですが、この点いかがでしょう。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 この点は、現在の基本法制定の際にも国会で始終御議論のあった点であるということは、私ども十分に承知いたしております。今回の改定にあたりましても、審議会においても、この点についていろいろ御審議がなされたわけでございまするが、この十年間この定義でやってまいっておりまして、かりに現在の定義のまま、「又は」というのを「かつ」というふうに置きかえて、両方満足しなければいけないというふうにかりに置きかえてみますと、今日まで中小企業として扱われてきておった人たちの中から相当数の事業者が脱落せざるを得ない。その中には、私ども業種、業態に即して見まして明らかに中小企業としての助成をしてしかるべきだと思うような事業者がほとんどであるというふうな検証もいたしました。そういう点から、基本的にはやはり従来の方式を使いまして、業種によりまして労働集約性の高いのもあれば、資本集約性の高いものもあるわけでございますから、「又は」ということを定義のきめ方の基本としてやっていくことが行政の進め方として最も妥当ではないかというふうに最終的に判断をしたわけでございます。  なお、この場合に、私ども今後の行政にあたって特に留意いたしたいと思います点は、御指摘のように、資本金が非常に大きくても従業員が三百人を切っておれば形は中小企業になる。それに対して、たとえば中小企業の三機関から融資をするのかという問題など実はあるわけでございます。この点につきましては、従来から大資本の実質的子会社と見られるような実態のものに対しましては、たとえばそれが中小企業の定義に合っておってもこれに対しては融資はしないということで、政府関係の中小企業公庫等、設備資金の需要が相当来るわけでございますが、厳重な運用をやっておりますし、今後もその点には十分留意をいたしまして、間違いのないようにやってまいりたいと思います。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 いま御答弁がありましたが、やはり経済にしても社会情勢にしても当然変化はありますし、特に事情変更原理ということからいいましても、従来そういう立場で従業員数と資本金の数で中小企業の規定をしておったということでありますけれども、やはり世界経済の動向とにらみ合せながらそれにマッチした中小企業のあり方というものを把握していかなければならない、そのように思いますので、ひとつそういう点には弾力性を持って運用にあたっていただきたいと思います。  ところで、今回の定義改定によって新しく中小企業に参入される企業は一体何社くらいになるのか、また、これによって全企業の中で中小企業の占める割合はどのくらいになり、小規模企業を除いた中小企業の平均資本金額、平均従業員数はどのくらいになるのか、それは現在のものと比較してどうなるのか、その点お尋ねいたします。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 まず工業でございますが、正確に申し上げますと五百七十一増加いたします。現在の中小企業製造業というのが七十三万八千五百二十四でございますが、これが五百七十一ふえまして七十三万九千九十五になります。したがいまして、中小製造業の製造業全体に占めます数の比率が九九・六%から〇・一%上がりまして、九九・七%に上がります。  それから卸商業でございますが、三千四百六十八の増加でございます。現在の定義では二十八万四千百二十二でございますが、これが二十八万七千五百九十になります。全体の卸に対しまして中小卸の比率といたしまして、現在の定義では九八一二%で、若干低いのでございまするが、これが一・二上がりまして九九・四%に、ほぼ工業並の水準なるという状況でございます。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 ただいま御説明いただきましたように、企業数及び比率というものはそれほど多くはないわけですが、新規参入の企業はいままでのものと比べて規模の大きいものが多いわけです。とすると、当然資金需要の面でも大型化することが予想されます。こうした規模の大きい層が取り込まれることによって施策の重点が大規模な層に片寄ったもの、つまり上位シフトになるのではないかと心配されるのであります。今回の定義改定にあたっては、小規模事業者への施策上の配慮はされているのかどうか、その点お尋ねいたしたいと思います。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 御指摘の点は、中小企業政策上非常に重要な問題であると存じます。中政審の答申におきましても、まは当委員会での御決議におきましても、いま先生御指摘の点が強く指摘をされておる点でございます。  そこで、小規模事業対策につきましては、先ほどの御質問に対してもお答えしたのでございますが、金融面におきまして、四十八年度から特別な経営改善資金貸付制度の創設に踏み切りましたほか、従来からの零細企業向けの設備近代化資金、設備貸与制度の拡充をはかった次第でございます。また、中小企業振興事業団の小規模工場の共同化の融資ワクの拡大、国民金融公庫から、保証人だけで融資をする無担保貸し付けワクの五百万円の引き上げ、さらに保険法の改正によります特別小口保険の限度額の引き上げ等の一連の措置を講じたわけでございます。  税制上におきましても、個人事業主報酬制度の創設、同族会社の留保金課税の軽減等の措置を講じております。さらに最も重要な、零細層企業に対します各般の指導とか診断の業務の拡充をはかりますために、指導員の大幅増員、待遇改善等にも四十八年度におきましては鋭意努力いたしたところでございます。さらに、零細企業がほとんどすべてを占めております中小小売業振興のために、当委員会におきまして中小小売商業振興法案を御審議をいただいた次第でございます。  先ほど申し上げましたとおり、いろいろ各般の施策の積み重ねによらなければ小規模事業対策というものは決して効果をあげないと思います。一つだけやればそれで効果が出るというものではないところに小規模事業対策の本質があり、またむずかしい点があると思いますが、私どもあらゆる面におきまして今後及ばざるところを急速に整備充実するように格段の努力をいたしたいと存ずる次第でございます。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 この点に関して、小規模事業者への施策の浸透は必ずしも十分だといえないのが実情でございます。中小企業庁の調査によっても、政府系中小企業金融機関による長期、低利融資制度を知らないものは三〇%ないし四〇%、それから中小企業信用補完制度を知らないものが六〇%から七〇%もあるというように聞いております。しかも、企業規模の小さいほど、地方の中小企業者はなお知らないというもので、その比率が非常に高くなっている点に留意しなければならないと思います。これはたいへん問題だと思うのですが、したがって、小規模企業への施策の浸透のための広報活動の強化、こういう問題について一体どう取り組んでいるのか、あわせて御答弁を願いたいと思います。

莊清中小企業庁長官

○荘政府委員 御指摘の点は、私ども伺いましてまことにじくじたるものがあるのでございまして、重大な反省をしなければならないと思う点でございます。この施策のPRについては従来から努力してまいっておるのでございますが、四百数十万の中小企業が全国津々浦々にございまして、いまだいま御指摘のような状況にあるということはまことに私ども遺憾であると存じております。  四十八年度におきましては、中小企業庁予算の中で、この施策広報予算というものを七割程度画期的に実は増額をはかりまして、五億八千四百万円にいたしました。さらにこのほかに、小規模事業者のみを対象といたしました施策広報費といたしまして一億三千百万というものが別にございます。昭和三十八年当時に比べますとさま変わり的な予算の充実をいたしておるわけでございますが、今後も中小企業業界からの実際の御要望も再度よく私ども調査をしてみまして、従来からやっておりますテレビとか映画とかパンフレット、月刊誌等いろいろな手段を講じてやっておるのでございますが、これがさらに真に効果的な運用されまするように、私ども運用面の改善も含めまして、予算の充実と運用の改善と両方に特段の努力をいたさなければならないと考えております。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 せっかくの融資制度ですから、特に中小企業、小規模事業者に対する融資を最大限に利用させて、やはり近代化をはかっていかなければならないいそのようなことで、きわめてそういう制度を知らないがために、せっかくのこの施策を浸透できないわけですから、PRには万全を期してこの融資制度を利用していただく、それについてひとつ格段の御努力を願いたいということを希望したいと思います。  そこでこの法律を所管されている公正取引委員会の委員長、事務当局にお聞きをしたいと思うのですが、まず今回の改正で、下請代金支払遅延等防止法の親事業者と下請事業者の定義を変えようとされておりますが、その内容はどういうことなのか、わかりやすくひとつ御説明願いたいと思います。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 今度は下請事業者になり得る者の範囲は、資本金の上限をいままでは五千万円というふうにしておりましたものを一億円に引き上げるということでございます。したがいまして、親事業者に該当するものは、資本金の額または出資の総額が一億円をこえる法人である事業者で、個人あるいは資本の額が一億円以下の法人である事業者に対して製造委託、修理委託をするもの、これが一つ、それから、資本金額が一千万をこえ一億円以下の法人である事業者で、個人または資本金の額が一千万円以下の法人である事業者に対して製造委託、修理委託をするもの、こういうふうに五千万円のところが一億円ということになるわけでございます。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 この下請代金支払遅延等防止法で、いま五千万円の法人たる事業者、これが一億になって、個人または資本の額もしくは出資の総額が一億円以下の法人たる事業者に対して製造委託をする、または修理委託云々という御説明がいまありましたが、この点についてお尋ねしたいのは、特にこの下請代金支払遅延等は、最初にできたのはやはり下請業者に対する積極的な救済策として、たしか下請代金支払促進法というようなことや、あるいは遅延等防止法というように変わってきましたが、したがって、下請代金はすみやかに払うというのが原則であるわけであって、六十日以内に払うとか、あるいは不当な値引きとか、返品等を禁止した、そういう制度で、下請業者の積極的な保護策として取引力の向上ということでできたと思うのです。  そこで、今回の改正によれば、たとえば資本金額が八千万円の企業と下請関係にある資本金額が三千万円の事業者は、下請事業者として法的保護を受けられなくなるわけですね。     〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕  一般的にいえば、資本金額が五千万円をこえて一億円以下の親企業と下請関係にある資本金額が一千万円をこえ五千万円以下の下請企業の取引は、今回の法改正によって下請代金支払遅延等防止法の規制からはずされるということになると思うのですが、このような規模の小さい一部の下請企業が保護の対象からはずされるというのはきわめて問題だと思うのですが、この点について公取はどうお考えですか、お尋ねしたい。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 先生おっしゃいましたように、確かに今回の改正案が成立しますれば、たとえば資本金八千万円の事業者と資本金三千万円の事業者との取引は下請取引とは異なるということになるわけでございます。製造委託等の取引の実態を見ますと、資本金一千万円超五千万円以下の事業者が、資本金一億円をこえる事業者から製造委託、修理委託を受けている場合が多い。これが大部分でございまして、資本金五千万円をこえ一億円以下の事業者との取引はきわめて少ないというふうに考えるわけでございます。これを実際に調査したことがございますが、資本金五千万円超、一億円以下の事業者と、資本金一千万円超五千万円以下の事業者との下請取引の実態につきまして、昭和四十七年十二月末現在で、製造業に属します資本金一千万円超五千万円以下の事業者六百五三社について調査した結果は、以下申し上げるとおりでございまして、資本金五千万円超一億円以下の事業者との取引の比率はきわめて低い。その一つは、資本金一億円超の事業者とのみ下請取引しておるものが六百五十三社のうち三百二十四社、それから資本金五千万円超一億円以下の事業者とのみ下請取引しておるものが二十二社、それから以上申し上げました双方の事業者と下請取引しているものが三百七社でございますが、この場合の下請依存度、下請に依存しております割合は資本金一億円超に対しては五七%、資本金五千万円超一億円以下に対しては一六%という数字が出ております。それから次に資本金一千万円超五千万円以下の事業者も、資本金五千万円超一億円以下の事業者も、これはともに中小企業ということになるわけでございまして、取引上の力の差はきわめて小さいのではないかという点、したがいまして、下請法上特に措置しなくても支障はほとんどないのではないか。ただ、八千万円の事業者が三千万円の事業者に対して不公正な取引を行なったような場合、つまり事実上下請法違反の行為をやったような場合には、これは独占禁止法の不公正な取引、一般指定の十によって措置ができるわけでございます。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 支障がないのではないかという御答弁がありましたが、従来五千万円を水準にいたしまして、それからさらに一億という上限になって、まん中の五千万円が取り除かれたということになるわけでありますけれども、特に下請業者の問題については、先ほども触れましたが、積極的に取引力の向上をはかると同時に、未然に下請業者に対する対策というものを立てていかなければならないという角度から、従来の既得権としての下請業者が今度はずされるということになるとたいへん不利益をこうむるわけであります。そこで、これはひとつ下請業者に限っては、五千万円を限度としてむしろ留保されるべきではないかと私は考えるわけでありますけれども、このことについて、独占禁止法または一般行政指導によっては、はずされる人たちに対する万全の措置を講ずる用意があるかどうか。その点、最後にお聞きしたいと思います。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 確かに、先生おっしゃるとおりでございまして、資本金五千万円超一億円以下の事業者に取引上優越した力の乱用行使が認められる場合には、これは独禁法の不公正な取引として規制してまいるというつもりでございます。また、下請法に直接これが乗ってこなくても、行政指導によって支払い遅延等をなくすようにしてまいりたい、こういうふうに思います。

加藤清政日本社会党

○加藤(清政)委員 時間も参りましたので、質問をこれで終わります。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 次回は、明後十三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会

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