商工委員会 第39号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/07/06
会議録
○浦野委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、公益事業に関する件及び中小企業に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
○板川委員 大臣と中小企業庁長官が出ておられますが、きょうは、御承知のように、全国で十一万という魚屋さんが生活擁護のために大会を持っておるという状況であります。この魚屋小売業の対策について若干質問いたしたいと思います。 水銀、PCBの汚染魚の摂取量の基準というのを厚生省がこの間発表し、それが国民に一種の、誤解的なものもあるかもしれませんけれども、しかし重大な食生活上の不安を与えたことは御承知のとおりであります。その後厚生省がこれを訂正し安全宣言を発表したが、一時間後にその安全宣言をまた取り消す、こういう事態を繰り返しておることによって、一そう国民の食生活に不安を与えつつあるというのが現状であろうかと思います。そういう厚生省の不手ぎわもありまして、魚屋さんがいま非常に苦境におちいっておるのであります。この間、陳情を受けたところによりますと、大体売り上げが三分の一に減ってしまった、そしてこれは安全な魚だと言っても立証する方法がない。ですから、もう国民のほうから言えば、幾ら魚屋さんが安全だと言っても、安全地域でとれた魚だと言っても、なかなかこの不安が去らないでおるという状況であります。こういうことによって生じた魚屋小売商、魚屋さんの当面する売り上げ激減による商売上の危機というものに対して、通産省としてどういう対策をお持ちであるか、小売商を擁護する、小売商の生活、生業を守るということは通産省の当面の任務でありますから、どういう対策をお持ちであるか、お伺いをいたしたいと思います。
○中曽根国務大臣 先般あの直後に新聞発表もいたしましたように、汚染水域に近い地域の生鮮魚介商、魚屋さん、鮮魚商あるいは仕出し屋さん、そういうような魚に関係していると思われる業者に対しまして二百万円の融資制度をつくりまして、そのうち五十万円は三分の利子で一年据え置きであったと思います。それでその三分の利子につきましては関係経済団体に負担してもらうように話しまして、また三分とそれから一般の通利との間の部分については都道府県が六割五分補給した場合には国がそのめんどうを見る一そういう制度をつくりまして、それを一般にお知らせいたしまして、それによって魚屋さんや皆さんの苦境をとりあえずお手伝いしたい、こういうことでございました。具体的には中小企業庁長官から御説明申し上げます。
○荘政府委員 大臣の御説明のとおりでございますが、若干補足をいたします。 貸し付け限度が二百万円で、うち五十万円につきましては金利を三%ということにいたしております。融資をいたします機関は、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫の政府系三機関でございます。それから五十万円をこえ二百万円までの部分につきましては通利で融資ということに相なるわけでございます。なお、この三%という特利によりまして三機関は相当な逆ざやになりますが、これにつきましては通利との差を国と地方公共団体で別途三機関に対して補てんをするということにいたしております。 なお、上記の措置とあわせまして、今回の融資対象になる事業者であって、これら三機関に既往の借り入れ残高があるものについては、一年以内の返済猶予をするということにいたしております。なお、この二百万円までの融資は特利部分も通利部分も通じまして一年の据え置きを含めまして五年という貸し付け期間にいたしております。
○板川委員 これは無担保、無保証の百五十万と別口ですか。
○荘政府委員 別口でございます。
○板川委員 これの救済融資を受けられる対象範囲というのは全国的ですか。
○荘政府委員 御指摘の点は、現在問題点として検討されておる中心の事項でございます。先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、貸し付け対象者は水銀またはPCBの汚染によりまして漁業に著しい支障を来たしている水域に近接する地域、これは陸上の地域という意味でございますが、そういう水域に近接しておる陸上の地域において事業を行なっており、かつ、その水域から漁獲された魚介類を取り扱うことを主たる業としていた中小企業であって売り上げが著しく減少したものというのが現在の対象としてきまっております。これはそういう措置として方針はきまっておりますけれども、具体的にまだ水域の確定というふうなところまでまいっておりませんので、その意味におきましては、具体的にそれでは地域がきまっておらないではないかということでございますれば、現在その地域確定の作業を急いでおる段階である、こういう状況でございます。
○板川委員 大体のこの推定はできるのじゃないでしょうか。十一万人の魚屋小売商がある。この救済の対象となる魚屋さんはどのくらいであるか。その著しく売り上げが減ったということは、とにかく調べてみなければわからないのでしょう。対象となる魚屋さんというのはどのくらいの割合ですか。
○原山政府委員 お答えいたします。 地域につきましてはPCB関係は八地域ということで確定しておるようでございますが、水銀地域につきましては、現在水産庁のほうで調査地域をどういうふうにするかということを検討しておられるというふうに聞いております。私ども水銀、PCB関係で汚染しておる地域の周辺の魚屋さんの数は一万五千くらいの見当になるのではないかというふうに承知しております。
○板川委員 聞くところによりますと、こういう対象となる地域というのは、通産省、こういうことじゃないですか。PCBの汚染された地域は八水域である、水銀が九水域である、そしてその水域の隣接の郡、市町村を指定する、そして市町村長がその小売業者が五〇%以上売り上げが減ったことを認めたものに対してこの融資の対象とする、こういうふうに言われておりますが、さようでありますか。
○原山政府委員 お答えいたします。 汚染地域に近接するというふうな解釈は、ほんとうにその隣の郡、市町村だけというふうにするのか、もう少し広くとるべきかというふうな点をいま検討しておりますが、できるだけ広くとっていきたいというふうに思っております。 それから被害の認定でございますが、売り上げが五〇%減というのを目安に考えていきたいと思っておりますが、市町村長の証明というふうなことで融資してまいりたいというふうに思っております。
○板川委員 そうしますと、私の言ったとおり隣接という点は若干幅があるが、大体この指定地域の付近の、いわば港周辺の市町村で魚屋をやっている者が五〇%以上売り上げが減ったということを市町村長が証明したならば融資の対象とする、こういうふうに考えていいんですか。
○原山政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
○板川委員 全国の魚屋さんが十一万軒と言われておりますが、いま報告によりますと、この対象になるのは、大幅に見て一万五千軒で、一割強ですね。そうしますと、この売り上げが五〇%以上減っておる、この水域に関係ない全国の魚屋小売商、これの救済対策というのはどうお考えですか。
○荘政府委員 私どもが承知しております統計では、いわゆる魚屋さんというのは六万軒程度であろうと考えております。あと、乾物屋さんというふうなもので、魚も一部なまの魚もあるし、いろいろなかん詰め類とか干もの類もある、コンブなんかも扱っておるという小売業を合わせますと、御指摘のような相当な数になろうかと思います。 その中で一番問題になるのは、何と申しましても鮮魚販売を主たる業としておる小売業でございます。いわゆる魚屋さんでございます。最近、PCBショックと申しますか、魚は何となく気持ちが悪いということで、売れ行きが、全般的に消費者の手控えと申しますか、落ちておるということは、もう新聞にも毎日報ぜられておるところでございますが、それを国全体の小売の売れ行きの減少というふうなことを全部対象に取り上げていくかどうかという点につきましては、これはよほど慎重にまた考えなければならない問題であろう、こう存じますが、この汚染水域から出てくる魚を従来扱っておったというふうな業者にやはりポイントを置きまして、この緊急対策を至急に講じていくということが私どもの基本的な考え方でございます。
○板川委員 具体的に一つ伺いますが、すし屋さんはこの対象になりませんか。
○荘政府委員 なります。地域等につきましては、従来のような考え方でございますが、小売もすし屋さんも同列に考えております。なお、干ものとかつくだ煮等の水産加工業者もございます。これも同様でございます。
○板川委員 それもいわば水銀九水域、PCB八水域周辺、この周辺の人で五割以上売り上げが減った場合のみ救済の対象になる。しかし、この八水域、九水域以外の一般の地域は全く救済の対象にならない。これは慎重に対処しなければならぬ。いまどうされておりますか。これは、私は全国的な現象ではないかと思うので、その水域に限らず、全国的な対象にすべきじゃないですか。さっき通産省では六万軒だというならば、一万五千軒で、あと三倍です。いま言ったこの対策を一万五千軒にとったとすれば、利子補給に要するこの予算というものは一体どのくらいを考えておりますか。
○原山政府委員 全体の被害金額、融資必要額等、鋭意、現在、各県それから水産庁等と三者で協議して検討しております。まだ全体の金額は確定しておりませんので、至急詰めてまいりたいと思っておるところでございます。
○板川委員 利子補給分は……。
○原山政府委員 全体の融資金額が確定いたしますと、それに対する三%と通利の七・七%との差額をかけて出すわけでございますが、全体の融資必要額がまだ確定いたしておりません。
○板川委員 一万五千軒としたらいいです。一万五千軒を対象に考えたらいいです。
○原山政府委員 一万五千軒ぐらいの魚屋さんがこの地域に——いま地域は、実はPCBは確定しておりますけれども、水銀の関係につきましては、現在、水産庁あるいは環境庁のほうでいろいろ検討しておられるというふうに聞いておりますが、その点が最終的にまだきまっておりませんので、それに合わせてやっていきたいというふうに思っておりますが、現在言われております水銀九地域、PCB八地域ということで、その地域にある魚屋さんの数ということでございまして、大体一万五千軒見当じゃないかというふうに推定しておるところでございます。
○板川委員 全部五十万円借りたとした場合に、一万五千で幾らぐらいになるのですか。
○原山政府委員 五十万を一万五千にかけますと、大体七十五億ぐらいになろうかと思いますが、その七十五億の……。
○板川委員 金利の差、通利との差、これは四%として、二億七、八千万かそこらじゃないですか。
○原山政府委員 そのような見当になるかと思いますが、まだ確定しておらないところでございます。
○板川委員 まあ一万五千軒の魚屋あるいはそういう小売商を対象に想定しておる。そして二百万までは別ワクで融資をする、うち五十万は、これは通利が七・七%程度であるが、三%とする。そして三・七%分については利子補給をする、こういうことなんですね。そうしますと、この一万五千軒にしまして七十五億ですね。そしてその三・七%分というと二億五千万程度ですね。これは政府が三機関に出資をするなりしてその分は政府が持ちます、こういうことになる、こう解釈していいですか。ちょっと数字を当たってみてください。
○原山政府委員 通常利息と特利との差額につきましては、これは国が、県が直接補助した場合について六五%対三五%の割合で県に対して補助をする、こういうことになっておりますが、実際の方法は、金融機関に対して補助金を県が出すということは非常にむずかしゅうございますので、特利を受ける対象の人に直接利子補給をするというふうな形式になろうかと思っております。
○板川委員 総体の金額はどれくらいですか。
○原山政府委員 総体の金額につきましては、まだ全体の金額等は確定しておりませんので……。
○板川委員 それは二億五千万程度ですね。
○原山政府委員 計算をやりますと、先生のおっしゃるとおりになろうかと思います。
○板川委員 まあ通利との差をどうするかは技術的問題ですからとやかく言いません。しかし、全国の魚屋さんが重大な生活上の危機におちいっているときに、その対策として用意されておる金額が二億五千万程度ですが、これで当面する魚屋さんの救済対策に政府が積極的に取り組んでいるという姿勢でしょうか。これは大臣に伺いたいのですよ。全国的に食生活に不安を与えておりますが、その根本はやはり政府の公害防止対策の不備からこういう事態を招いたのじゃないですか。そういう責任を感じたならば、私はもちろんあとから言いますが、この公害問題の防除対策もそうでありますけれども、当面は全国の魚の小売商に対する救済政策がわずか二億か三億、その程度で事足れりという考え方は、口では通産省は中小企業のために一生懸命やっていると言っておりながら、何ですか、この二億五千万か——幾らかふえたとしても三億か四億じゃないですか。これで十分だというふうにお考えでしょうか。
○中曽根国務大臣 元来公害問題はPPPの原則によりまして汚染者負担という原則で、いずれそれらは企業に、原因者に求償するということになると思います。したがって、政府としてはつなぎのとりあえずの手当てをするという意味におきまして、緊急的にそういう措置をやっておるのでございまして、まあ金額全体から見ると、魚屋さんその他で大体百五十億円くらいの目の子算用融資ワクを一応考えております。しかし、これは緊急の当面の手当てとして、とりあえず早くやろうということでやっておることで、もし事態が深刻になって必要性が出てくれば、その時点においてまた考えてみたいと思っております。
○板川委員 大臣、私もPPPの原則、この公害防止の費用というのは発生源が負担すべきだという原則を否定するものじゃないのです。しかし、いまこの段階で発生源をさがして、それからその救済費用を負担せいということにまいりませんから、それは政府が対策として出しておき、あとでそれを取ればいいのであります。そのPPPの原則を否定するものじゃありません。ただ、そういう原則の上に立って政府がいまとろうとしている政策はあまりにもお粗末じゃないかということを指摘したいのであります。私もきょう質問する予定でなかったのが突然質問することになりましたし、政府もいわば準備もなかったと思いますが、これはぜひひとつ再検討していただきたいと思います。もっと実態を把握して再検討していただきたいと思います。大臣、ひとつそれについての所見を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 とりあえずのつなぎの措置としてこれを緊急的にやっておるのでありまして、もし必要性が出てきて事態がさらに大きな手当てを必要とするということになれば、私も御趣旨に沿って再検討いたします。
○板川委員 けさのニュースかで、横浜市では五十万以下を無利子にする、そうして五十万から二百万までの間の利息を通利から何がしの負担をしよう、こういうようなことを決定して発表されたようであります。私は全額無利子とは言いませんが、地方自治体と一緒になって、この際、融資の利子についてさらに前向きな検討をしてもらいたいと思いますし、さらに、この対象をこんなごく限られた港の周辺の市町村で営む魚屋さんというだけでなくて、全国的な被害者に対する救済の手を差し伸べてもらいたいと思います。 大臣に伺いたいのですが、こういう国民の食生活に重大な不安を与えておる現状から見て、私は、当面は魚の検査体制を早急に整備する必要があるのじゃないかと思うのです。実際魚屋で、この魚は汚染水域外からとったと言っても、じゃ汚染水域外の魚が安心なのかと聞かれた場合に、いや、それはまだ検査をしていない、こういう水産庁あるいは厚生省関係の答弁のようですね。ですから、早急にこの水域と魚の汚染検査というのを整備して、それも一回や二回じゃなくて、この水域からとれたのは安全ですよ、この水域は基準以上だから魚をとらせてない、こういうものを国民の前に明らかにする。しかも、その検査の体制がただ単に水産庁か厚生省かどっかでやったというだけじゃなくて、消費者を含むオープンな、公開の検査機関というのでなければ、消費する国民のほうはやっぱり不安が消えないですね。そういう検査体制を早急に整備すべきじゃないか。検査の機関は各県にほぼあるようであります。あるいは国にもありましょう。しかし、いまこの検体を持っていって検査をしてくれというと、長いときは一月か二月かかる。優先的にやっても二、三日はかかる。この二、三日かかるやつで各地域のやつを何回か検査をして、絶対この辺は心配ない、こういうような体制を整備することが当面食生活の不安をなくする考え方ではないだろうか。もちろん汚染地域を浄化する対策は、またそれはそれとしまして、当面そういうことが必要じゃないかと思うのですが、大臣はどうお考えですか。
○中曽根国務大臣 汚染地域と魚との関係及び汚染地域外と魚との関係等を明確にいたしまして、国民の皆さま方に安心をして魚を食べていただくようにするということは非常に大切でありますし、また急を要することであると思います。それらにつきましては、農林省からも係官が来ておりますから具体的なことは答弁申し上げさせます。
○平井説明員 検査の問題につきましては、具体的に市場その他において厚生省の検査官のあれでございますから、水産庁としましても、その結果に基づきまして、漁場と魚種との関係ということについては極力早期に明らかにしまして、消費者、漁業者の不安を除きたい、さように考えておるところでございます。
○板川委員 私はどうして通産大臣に指名して見解を伺ったかというと、この公害の原因というのは、いわば通産省の監督下にある企業の公害たれ流しが原因じゃないでしょうか。ですから、その原因を除去して、国民の不安をなくすということは、通産大臣は所管外であっても、それに対して最も熱心に責任を感じてやらなくてはならぬだろうと私は思うのです。それは通産関係の所管外であって、水産庁である、農林省である、あるいは厚生省だ、環境庁だということでなくて、通産大臣として、今日の日本の周辺をこれほどPCBなりあるいは水銀なりで汚染さした責任を痛感されて、国務大臣として、国民の不安をなくすために一番献身的に行動しなくてはならぬと私は考えておるから通産大臣に聞いたわけです。大臣の所感はどうですか。
○中曽根国務大臣 通産省も責任者の一人と心得まして、お説のとおり、できるだけ早く国民に安心してもらう措置をとるように迅速にやっていきたいと思います。
○板川委員 いままでの通産行政を見てまいりますと、化学物質の危険性というものに対しては非常に——新しい化学物質というのが毎年何か二十万件ぐらい出るのだそうですが、その上に実用に供されるのが五百件とか千件とか毎年あるのだそうです。新しい化学物質というのは、実際危険性の有無というのがなかなか判定しにくいものがあるわけなんです。そういう場合、従来の通産省の態度というのは、その新しい化学物質の危険性というものを軽視して、企業を擁護し公害たれ流しを許してきた、こういうことになっておるわけです。特に水銀なんかは、これこそ化学物質ですが、有毒で危険性があるというのはもうすでにわかっておる事態であります。しかも、水銀のたれ流しを許してきて、今日、日本列島を汚染した、こういう責任を通産省として考えなくてはいけない。通産大臣、それはおれの所管のときじゃなかったという考えを持たれては困るのでありまして、通産省としてこの公害の責任を痛感して、公害排除のために全力を尽くすべきである。それにしては、通産省所管の魚屋さんに対する救済政策というのはあまりにもお粗末であるということを私は強調して、今後の再検討と前向きな取り組みを要請して、私の質問は、時間となりましたから終わります。
○浦野委員長 神崎敏雄君。
○神崎委員 先般の委員会で、関西電力に対する問題で、問題別といいますか、各章的なことをあげて、今後これを各論的に伺っていきたい、こういうことで申しておいたのですが、きょうはその第一に取り上げたいことは、この関西電力が近畿一円に公害をばらまいてきた企業であることは広く知られておりますが、当局もこれを認められるかどうか、まずこのことを初めに聞きたいと思います。
○中曽根国務大臣 関西電力の発電所が周囲に対して若干の公害源であったということは認めざるを得ません。
○神崎委員 関西電力は、これまでの公害防止対策が十分でなかった、こういうふうにいま大臣からの答えがあったのですが、では、それに対して、当局はどういう指導をきょうまでにやってこられたか、このことを伺いたい。
○中曽根国務大臣 規制値の範囲内に公害をとどめるように関西電力も努力してきたと私は思います。具体的な防除施設、努力等につきましては局長から答弁申し上げます。
○井上政府委員 関西電力の公害防止対策でございますが、これは一つは低硫黄燃料の確保ということでございまして、ナフサであるとかあるいは原油のなまだきであるとか、そういうことを行ないまして、規制値以下の低硫黄燃料を確保いたしたいということでございます。その次は排煙脱硫の問題でございまして、これにつきましては、九電力の中でも率先いたしまして排煙脱硫の研究をいたしておりまして、今後の計画におきましても相当大きな排煙脱硫装置をつけていくということを考えております。なおかつ、ガス化脱硫の問題につきましても、いろいろと関係のリファイナリーと合同いたしまして、いま研究いたしておる段階であります。
○浦野委員長 井上局長、語尾がはっきりしないので、ことばをもう少しはっきり答弁してください。
○神崎委員 私が言おうと思ったら委員長から注意がありましたので、ひとつそういうふうに頼みます。 不十分であったと判断することの内容ですか、いまお答えになったのは。具体的に関西電力が公害対策に対して不十分であった、どの点が不十分であったのか、この点を明確に簡単に答弁をしていただきたい。
○井上政府委員 公害、たとえば煙の場合でございますと、環境庁がきめた基準がございますが、各地方自治体におきまして上のせ基準がいろいろございます。その上のせ基準につきましていろいろと大阪府あるいは兵庫県等と話し合いをいたしまして、従来のものでは不十分であるのでそれを上のせしろというような話がありまして、それについて協定を新しくつくりまして、それに従って努力しておる。協定はちゃんと守っておるわけでございますけれども、上のせ協定を要求されたというような点であると思います。
○神崎委員 協定は守っているけれども、上のせ協定は守ってない、こういうことですか。
○井上政府委員 上のせ協定は守っておりますけれども、上のせ協定を要求された。したがいまして、環境庁の基準以上の基準でいまやっておるわけでございます。
○神崎委員 どうも井上さんの答弁のしかたといいますか、私の聞き方が悪いのか、同じことを何べんもオウム返しに聞かなければならぬようなことになるのですが、いま不十分であったということをおっしゃって、また当局もそのことを認められた。そうすると、企業は具体的に過去の公害のたれ流しといいますか、これに対して反省しておりますか。どういう点で反省しておるというふうに認められるのか。また、これに関連して当局は現在どのように反省されておるのか、これを聞きたい。
○井上政府委員 たとえば尼崎の発電所でございますが、これにつきましては、公害問題につきまして非常に問題があるということで、これの事実上の停止を予定よりも早くやった。これにつきましては、通産省が仲に入りましていろいろ地元との話を、これはこういうとき以外は停止すべきであるということで指導していったわけでございます。 それからなお、四十七年度の関西電力のたきます燃料のサルファ分は〇・七%程度でございますけれども、これを将来は大幅に下げまして、〇・二%以下くらいにしたい、大体五十二年度くらいを目標にしていま努力しておるわけでございます。そういうことでありまして、従来の規制以上の規制をだんだんと要求され、それに対しましてはちゃんと約束をいたしまして、約束したところに従いまして燃料の確保なりその他の手を打っておる、こういうことでございます。したがいまして、そういう新しい上のせ協定につきましては、それを十分守る、あるいはそれ以下のことを努力する、できるだけそういうものを出さないように努力したい、そういうことでいまやっておるわけでございます。
○神崎委員 いま尼崎発電所の場合は通産省も中へ入って指導した、こういうようにおっしゃっているのですが、それはいつのことですか。
○井上政府委員 ことしの春だったと思います。
○神崎委員 春とは何月ですか。
○井上政府委員 ちょっとはっきり月を覚えておりませんが、ことしの春ごろでございます。ちょっと調べてからまた後ほどお答えします。
○神崎委員 春といったら大体三月、四月をさして春といいますがね。 ききの委員会で、私は、四月号の「電力時報」ですか、ここで吉村社長の発言を読み上げました。あれは四月号ですね。あなたは春に指導されたと言われましたが、どのように会社側は反省しているのか。また、通産省の指導もこのように無視されておっていいのかどうか。——では、もう一ぺん読み上げてもよろしいですよ。吉村社長は、公害対策費など利益があがらないからというようなことを堂々と活字にしているでしょう。あなたのほうが指導されている中でやられている。それについてどう考えますか。
○井上政府委員 関西電力の公害対策につきましては、これは関西電力に限りませず、電力会社全般の問題でございますけれども……。
○神崎委員 ぼくは関西電力のことを聞いているんだから、それに答えてください。
○井上政府委員 関西電力も同様でございますが、できるだけ公害を出さないように最高の努力をしようということで、これはわれわれが常日ごろよく言っておりますが、電力会社側もそういうことで努力するということを話をしておりまして、吉村社長の発言というのはどういう趣旨で言われたのか、私ちょっとよく理解できませんが、決してそういうことではございませんで、関西電力といたしましてもわれわれとしましても、そういう公害というものをできるだけ押えたい、したがって上のせ基準とかいうこともありますけれども、そういうもの以下になるように、これはともかく電気事業の経営の根本的な問題であって、これを解決しないことには電気事業としての存在理由がないではないかということで、これは社長会議などでもみなそういう結論になっておりまして、電力経営の根本問題であるということでみな認識してやっておるわけでございまして、どういう機会にどういう趣旨で発言されたかよくわからぬのですけれども、そういうことはなく、やはり一生懸命やっておるのじゃないかと思うのです。その資料を実はさがしてみたのですが、なかなか見つかりませんで、私まだ読んでないものですから、はなはだ恐縮でございますけれども、そういうことでございます。従来からの会社側の態度なりわれわれの指導方針はそういうことでございまして、できるだけ少なくなるように努力したい。利益を生まない投資だからそれは投資をしないというような態度では決してございません。
○神崎委員 私がきのう物特で電力問題の基本点について質問しましたね。あなたもそれに対して答弁された。あそこでは、物価上昇に及ぼす影響から電力料金の値上げに関連して質問した。きょうはまた違う角度で、この間の委員会の各論的な形で入っているわけなんです。きのうも申し上げたように、今度の値上げを申請している中で、公害対策、いわゆる公害の防止対策費なるものが非常に大きな比重を占めている。そうすると、公害の設備は非常に充実した形でやるのか、物価が上がるのに、私企業が設備投資をするのに、一般消費者にそれを料金として転嫁することは間違いであるという観点は物特でやったのです。きょうの場合はそうではなしに、ほんとうにいままでやってきたのか。今後もやろうとしているのか。人の命にかかわる問題です。しかも、それを煙突を非常に高くすることによってやるというようなことはおよそ拡散することだということは、この前の委員会でも指摘しました。あなたはまだ読んでないということはふまじめだと思うんだ。この前の委員会で私は、「電力時報」の四月号に、こういうような談話を出している、だからそれを手に入れて、——井上さん、こっちを向いて聞いてくださいよ。そこで話をしておったら、またわからぬちぐはぐな答弁になりますよ。そうしたら、すぐそれを取り寄せてお読みになったらどうですか。この公式の場ででたらめを言っているのじゃないのですからね。そういうふうに春に指導しておるときに、その春の四月号に——それは原稿は二月に書いたのか一月に書いたのか知らない。あるいは話をしたのか知らない。しかしながら、そういうものが活字になっておる。ほんとうに通産省の指導をまじめに受けようとしているのか。そういう相手を、雑誌にはそういうふうなことを書かれてありますか知りませんが、本心はそうでないと思います、おそらくそういうことでないと思います、社長会議でもそういう姿勢ではないというように、なぜそんなに関電の社長を守らなければならないのか。むしろ通産当局は、指導していることを聞かなかったり、あるいは逆な行動をとったら、憤慨したり、あるいは指導の強化にさらにもっともっと監督権を発揮しなければならない、そういう立場にある側が、言うことを聞かなかったり、指導をまじめに受けようとしないような側の肩を持つのはどういうことなんですか。それほど通産当局は関電に負い目を持っているのですか。
○井上政府委員 私は関西電力の肩を持っているわけでも何でもございませんで、事実を申し上げたわけでございます。これは社長会議なりあるいはいろんな会合、会議の席上でそういう話はいろいろいたしておりますけれども、それにつきましては最高の努力をしようということで意見が一致いたしておりまして、決して肩を持っているわけではございません。
○神崎委員 では、いまぼくがあげた四月号については読んで対処しますか、どうですか。
○井上政府委員 よく検討いたしまして対処いたします。
○神崎委員 次に多奈川第二火力設備計画が申請の中に出ておりますね。これは前回も指摘しましたが、いま大阪府では、公害対策審議会の中で、一回だけ多奈川発電所の開設問題で審議会があった、ところが地域の意見もあって、これが紛糾をして、途中でやめた、そして二回目はいつ開かれるかわからない現状だ、こういうのが今日の現状です。ところが今度の申請の中に、さきにもあげましたように、これが、四十八年の八月、来月ですね、これに着工する、そうして五十年の八月に運転を始めるというのですね。これはどういうことですか。こういうものをあげてくる姿勢、この申請の態度について当局はどう考えますか。
○井上政府委員 実は電気の開発計画につきましては、その施設計画というのを電気事業法に基づいて——法律に基づきますものは二年間、実際上は三年間とっておりますけれども、その中にこれはあがっておったということでございまして、それをそのまま書いてきているのじゃないかと思いますが、これは希望計画をとるわけでございまして、別にそれを認めるとかどうこうということではございません。それと同じように、今回の場合も、申請書にあがっておりますことは一応その会社側の計画としてあげておるということでございまして、これは策定の段階で当然その実態に合うように修正さるべきものである、こういうふうに考えております。態度といたしましては、これは前の施設計画にあがっておるものをそのままあげてきておるということで、やや軽率ではなかったか、こういうふうに考えます。
○神崎委員 ぼくはやや軽率だというようなことではなしに、基本的姿勢に問題があると思うのです。通産省に対して申請をあげるという場合、当初は、過去何年間はそういう計画を持っておったが、現在はなかなかこれが計画どおりにいきそうにないというのが現在の時点の現状なんです。現実なんです。それに二月か三月前の五月あるいは六月の時点に、八月に着工するんだと月まできめた。まだ海のものとも山のものともわからない。だから、たとえば四十八年ではなしに四十九年の八月ごろになれば、これが着工できるような見通し、あるいはこれから話し合いを詰めていって、地元の人にも納得してもらう、あるいは聞いてくれなかった場合は他の場所でやる、第二想定はこういう想定を持っておる、こういうようなことを具体的にあげてこそ、ほんとうに——あなたは、この前は、関電は現在経営が悪化しておるということを認めておられる。それについては、また後日の委員会で悪化していない反証をどんどんあげていきますが、こういうもののいわゆる計画費をどんどんあげてバランスシートを出せば、それは悪化するように見えますよ。しかし、実際はこういうようなものが具体的には着工もできないんでしょう。そういう姿勢はまじめな姿勢なのでしょうか。少なくとも、ことばは少し過ぎますけれども、ブローカーあるいは露店商人のような人たちが商売をする場合、どうせ値切られるんだから少々高く言っておいても、値切ったところでちょうど自分が考えている値段に合うというようなことで、水増しの値段を言うようなときがいままでの常識としてあったと思うのです。それは認めますよ。しかし、いやしくも関西電力の長期計画が二年、三年であっても、一般消費者を困らすような電力値上げの根拠を示す場合、その根拠の内容の非常に大幅な比重を占めておるところのこの開設計画なるものを一月や二月前に——言うならば、いまの場合は架空です。こういうものを出してきているということについて、指導しなければならない、監督しなければならない当局として、こういうものはまじめな申請だというふうに受け取られるのかどうか。あなたも東京に籍があるにしても、大阪は近いですから、大阪の状態を知っておられると思う。あるいは新聞や報道でよく御存じだと思うのです。これは君、話がついておらぬじゃないか、まだ一回しかやっていなくて、それもうまくいっていないじゃないか、こんなものを計画を出してきても困る、もっと具体的に見通しがついてから出しなさいというような姿勢をとるのが責任ある立場に立った方の姿勢じゃないかと思うのですが、そうではございませんか。
○井上政府委員 関電の今度の申請書の中の多奈川発電所が八月に着工という計画になっておるのは、これは実態から見ましておかしいと思います。その点はおっしゃるとおりだと思います。
○神崎委員 おっしゃるとおりだということを認めたら、どうしますか。
○井上政府委員 電源の開発計画は、需給に合わせまして需給をカバーするためにその前から開発計画を立てるわけでございますから、これはずらすなり、あるいは他の地点を入れるなり、あるいは他地域からの購入電力でカバーするなり、そういう点を全般的に検討するということになると思います。
○神崎委員 したがって、こういうような姿勢で申請をする会社ですから、さきの公害問題でも非常に危惧をし、通産当局の指導も真剣にほんとうに聞こうという姿勢であるかどうか。いかに前の通産次官が副社長、幹部におるにしても、あまりにもふまじめだ。ほんとうに指導を受けるなら受ける姿勢をやはり貫くべきだ、こう思うのです。一方では社長会ですか、そこではそういうふうなことをおっしゃっているか知らないけれども、一方では、公害対策費では収益があがらないから、何かいわゆる捨て銭をほうるようなニュアンスのある発言をするということは、ほんとうにまじめに聞こうとする態度じゃないということを私は指摘しておきたい。ほんとうに公害防止対策に真剣に取り組むならば、その具体的な計画をあるいは技術内容を含めて明らかにすべきである。また、科学者をはじめ住民の納得のいくようなものであるべきだ。公害対策は、当局はその具体的な計画の報告を受けておられますか。もし受けておられたら、それを全面的に公表するよう私は強く要求したい。当局の見解を聞きたい。
○井上政府委員 関西電力の公害対策につきましては、これは今度の申請書の中に経費ということでいろいろとあがってきております。その分だけの抽出はまだ終わっておりませんけれども、現在検討中でございます。これを公表するかどうかにつきましては、別途、中で一応検討いたしてみたいと思います。
○神崎委員 公表するかしないかはまだ検討すると言われるが、ここは委員会ですから、ここで具体的にその計画をあるいは技術的内容を含めて明らかにすべきだと私は思う。それを強く要求する。そういう技術的内容までも含めていない計画なのか。ただ煙突を高くするから何百億要ります、あるいは電線を地下に埋めますから何百億要ります、こういう中身だけなのか、あるいは技術的な内容は、しかも科学者の意見なども聞いた、そういうようなものを基礎にしたもので、こうすればこうなるというような中身を詳しく含んだものかどうか、それをここで明らかにしてください。
○井上政府委員 電気料金の改定の資料の問題でございますが、これは非常にこまかいものの積み上げでございます。(神崎委員「公害防止関係」と呼ぶ)それも同様でございます。それで、そういうものにつきましては、実際に必要であるか、どの程度の効果があるか、そういうものにつきましては、一件ごとに専門の担当官がこれをヒヤリングをやりまして一々詰めていくわけでございます。ただ包括的に内容がはっきりしないものがあがっておるということではございません。
○神崎委員 私はそういうことを聞いているんじゃないのです。その中身で技術的な内容を含めた、たとえば、これはこうだ、これはこうなったらこうすればこうなるというようなことを具体的に含んだものがあるのか、あれば言ってください。それを言っているのです。なければないでよろしい。
○井上政府委員 公害対策のごく概要を申し上げます。そしてそれにつきましては個々に担当官がヒヤリングをやりまして、そこでいろいろな問題点を詰めるわけでございます。そしてその経費が要るのか要らないのか、そういう施設が要るのか要らないのか、そういうものを検討するわけでございます。いまあがっております大体の関係でございますが、火力の関係では、これは煙突の問題がございます。これは姫路第二の第五号、第六号、海南、多奈川の第二、そういうものがございます。それから排煙処理の関係では、集じん機の関係、これは境港、それから春日出、姫二、海南、そういうところがございまして、約十七台の集じん機をつける。それからNOxの対策につきましては姫二、それから境港、そういうものがございます。四十六罐を考えておる。排脱につきましては、海南、尼東、大阪火力等七カ所につきまして百十六万キロワット相当のものをつけたい。それからそれに伴います煙道、通風の設備であるとか、排煙の監視施設であるとか、そういうものについてのものがあります。それからその次が低硫黄の貯油施設をつくりたいとか、騒音防止にどういうことをやりたい。それから排水対策としては、汚水対策、それから温排水対策、そういうものを含めてどういうことをやりたいということが出ております。たとえば温排水対策ですと、海南の場合には、海南その他につきまして五カ所に深層取水をやりたいとか、それから有孔の斜堤をつくりだいとかいう、そういう計画が具体的には出ております。それから原子力の場合でございますが、原子力の場合につきましても温水対策とその他の経費が出ております。それから変電所なんかの騒音防止対策としてはどういうことをやりたい、こういうものがずっとこまかく地点ごとに出てまいりまして、そういうものを一カ所ごとに、担当官が非常にエキスパートでございますから、そういう者が非常にこまかくヒヤリングをやりまして、ほんとうに要るのかどうかということを詰めていくわけでございます。そういうものを集計いたして計画ができて、それの費用が上がってきまして、それが料金にはね返ってくるというかっこうでいくわけでございます。
○神崎委員 やっと少し全貌が明らかになったのですが、その結論はいつごろおろされるのですか。その結論が出た場合、それは天下に公表されるのですか。先ほど検討されると言いましたが、ぜひ私は公表すべきだと思う。そして一般の科学者にこのような結論で人体に影響はないというように、まずそういうエキスパートの人が認めることが、私は一番国民に対しての責任のとり方であり、また納得される非常に大きな安心感も与えると思うのですが、どうですか。
○井上政府委員 公表の点につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、中でちょっと検討させていただきたいと思います。(神崎委員「いつごろ結論が出るのですか」と呼ぶ)結論につきましては、現在検討中でございまして、これは従来の例によりますと、大体早いものでも四カ月程度かかっておりますが、最近コンピューターなどが相当使いやすくなっておりますので、その点でどの程度時期が短縮できますか、ちょっと不明でございますけれども、十分に慎重になおかつできるだけ早くやりたい、こういうふうに考えております。
○神崎委員 次に大臣に伺いますが、公害はその発生源で取り締まるべきである、これは一般的に常識になっておりますが、公害はその発生源である大企業にある。それが今度は一般の国民の生活を脅かす。いわゆる料金値上げの中に大きな比重を占めているのですが、これについては、公害対策費などはやはり国と企業の責任をもって負うべきである、こういうふうに私は考えるのですが、大臣はそのように考えられませんか。
○中曽根国務大臣 公害対策費はやっぱり企業が負うべきものであって、国が負うべきものではないと思います。
○神崎委員 企業が負うべきだということは、それは国が負うべきものではない、企業が負うべきである。そうすると、一般消費者側も負うべきじゃないのですね。
○中曽根国務大臣 それが原価の中に入って将来電気料金という形で出てくることはあり得ると思いますけれども、直接消費者や国が負うべきものではないと思います。
○神崎委員 それは少し納得ができないですね。一般消費者はそういうものは負うべきではないと思うけれども、それが料金としてやれるということは、企業が負うべきものを一般消費者にその責任をいわゆる料金という形で転嫁さしていく、負担をさしていくことになったら、結局一般消費者が、企業が公害をたれ流してきた現在、これを改善するという形の設備を料金でまかなうということになって、合うことになるのですか。少しそこでは論理が矛盾しませんか。
○中曽根国務大臣 企業の責任に属すべきものは企業が負担するのが当然であって、一般国民の税金でそれをやるべきものでは原則としてないと私は思うのです。しかし、公益事業といえども私企業でありまして、私企業が永続的に経営していくためには、やはり原価があって、それに見合うだけの収入を持って、また維持改善していくだけの力を持っていかなければ継続ができないわけであります。それが自由経済の原則であります。したがいまして、そういうものまで国が税金で負担する、国民がそれを直接負担するということは適当ではないのであって、そういう公害防除に関する費用等は、いずれは料金その他によって還元されていって永続的に電気供給が保証される、そういうことが行なわれなければならぬと思っております。電気事業法によりまして電気事業者は供給の責任をしょっております。したがって、供給するという大命題のもとにいろいろ経理等も考えてみますならば、一部は電気料金等によって消費者が負担されていくということもやむを得ない事態ではないか。ただし、それらの消費者負担というものをできるだけ少なくするように努力すべきことはもちろんであります。
○神崎委員 理屈はそういう形でおっしゃるが、結果は税金でまかなうか、あるいは消費者のいわゆる使用料金でまかなうか、会社はそういう形のことを今日までやって、先ほどから指摘するように通産省の指導もまじめに聞いているようには思われないし、そうした結果、これはきょう質問しようと思ってなかったが、そういう話になりましたから言いますが、どんどんといわゆる内部蓄積をし、株主の配当は年間一割を維持てそうして周囲に公害をばらまいて、それはあげて企業に責任がある、そういうことで、それを改善するために公害対策費なるものを膨大に組んで、そしてそれの費用を企業が責任を持たなければ、国民の命を守るという立場から国が責任を持つという形で指導監督の立場にある通産当局が、なぜそのことを強く主張しないのか、こういう立場から言っているわけです。だから、一般国民の税金でそれについて補おうと、あるいは料金に転嫁しようと、企業は一部持つかしれないけれども、あげてそういう形が料金に転嫁されたりするようなことにいまの計画ではなっている。申請内容を見たらなっている。そういうことでは国民は納得できない。だから、これはまた料金のところとか、そういうところでは申しますけれども、あくまでもこれは大臣、先ほど言われたように公害は企業責任だ、公害は発生源でとめること、そして企業責任である、そのことを政府は強力に指導すべきである。命を縮めるような公害をまいて、これを改善するという設備をするときに、その設備費を全部消費者に転嫁する。これが値上げの大きな理由の一つになっている。そして中では、きのうも物特で言うたように、いわゆる一方の側面をつくと、これは私企業である、一方のをやると、いわゆる公共性が出てくるのですね。公共性と企業性の問題がそこに二つの問題として出てくるわけですね。だから、これは非常に重要な問題なんです。その点では、私は一番おそれることは、ちょうど国会が終わって、そして次の国会に行く段階にこれが認可をされて、そして今度新しい国会でこれを論議するときには、もうすでにそれは実施しているのだ、こういうような形になる、そういうような形にいくのじゃないかという心配がある。ところが、きのうの読売新聞では、経企庁と通産当局との考え方が少し違うような記事も出ておりましたが、経企庁は、年内には公共料金の値上げをしない、こういうような形で出ておるということですが、きのうも物価を下げるといって、田中さん一生懸命言っておるのですね。ところが、物価値上げのほんとうの根源になる電力、ガス、こういう問題は、物価全体に及ぼす波及効果というものは非常に大きいのですね。経企庁からいただいたのは〇・〇五で、きのう物特でそのことを追及すると、それは全国平均であって、関西の場合は二・八だ、そう言うとすぐそういう形になってくるのですね。関西電力の値上げに及ぼす影響を聞いた場合は、全国ではこうだけれども関西に及ぼす影響はこうだと言う。それでも低いと私は思いますけれども、そういうふうな形に、常にほんとうに国民の命を守り、そして生活を楽にすると記者会見ではりっぱなことをおっしゃるけれども、こういう問題については非常に企業べったりのところがあるのですね。先ほどからもよく言っておりますけれども、まさかここの席上で私たちは関西電力の肩を持っておりますというような答弁はされないし、こちらもされるだろうとは思いませんけれども、しかし実際問題としては、もっと厳格にやって、もっと企業責任を追及すべきだ。きのうも言いましたように、独占企業にあぐらをかいて——たとえばもう独占企業だから思うままにやられるのですね。われわれは何ぼ上げられたってついていかなければならない。食べるものを始末してでも、着るものを始末してでも電気をとめられるということはできないのです。ろうそくで生活するわけにもいかないし、懐中電灯で生きていくわけにもいかないし、モーターも回らないでしょう。関電が高いからといって、だからどこかほかで電気を買おうといったってどこにも売ってないでしょう。ガスが上がったからといってほかの会社からガスを買うというわけにもいかぬでしょう。そこが問題なんですね。だから物価の値上げというものは、独占企業と公共料金の値上げが一番大きな比重を占めておる。その観点に立って私は質問を続けておるわけなんです。まだ質問をしたいところがありますが、もうしばらく続けさしてもらいます。 では観点を変えて、今度は燃料費の問題に移ります。昭和三十年代から四十年代の前半、石油の国際価格の値下がりがあったはずですが、これは間違いないですか。
○井上政府委員 三十年代から四十年代にかけましては、特に三十七年以降四十三年くらいまでは相当下がっております。
○神崎委員 この間いまあなたの認められた値下がりの分で総体的に燃料費負担が低下したと私は考えるのですが、これも間違いありませんか。
○井上政府委員 キロワットアワー当たりの火力発電の燃料費は傾向として減少いたしております。
○神崎委員 では、そのキロワットアワー当たりの燃料費が低下したことについて、その結果、どれほどの経理上の額が関西電力はプラスになりましたか。
○井上政府委員 原価要素のアップ、それからダウンといろいろございますけれども、全体的に見まして、これは燃料費が下がっただけでなくていろいろな問題がございました。上がりたものもあるし、下がったものもあるわけです。そういうものの中で、やはり燃料費のダウンが大きなウエートを占めると思いますけれども、三十七年度に任意積立金を十五億円積んでおります。三十八年度におきましては十六億円積んでおります。三十九年度におきましても十六億円、四十年度も十六億円ということで、四カ年にわたりまして任意積立金を積んでおります。(神崎委員「締めて何ぼですか」と呼ぶ)締めまして六十三億円になります。これだけのものを積めた原因の非常に大きなものは燃料費のダウンである、こういうように考えております。
○神崎委員 いまおっしゃっただけで六十三億円の燃料費が安上がりになった、それを積み立てておる、こういうことですね。それもひとつ次の質問の課題として残しておきましょう。 そうしたら、次に、四十六年に円の切り上げがあって四十八年にフロートになった。この二回の為替相場の変動によって輸入燃料費というのは安くなったはずですね。このことについて経理上どれだけのプラスが出ましたか。
○井上政府委員 これにつきましては、ドルのダウンだとか円のアップとかいう問題は、直接電力会社の燃料費の買い付け狂響くものではありません。これは石油会社を通じまして響いてくるわけでございます。したがいまして、その前後のプライスがどうなっておるかということを申し上げますと、硫黄分が一・三%の重油でございますが、これは四十六年の上期は六千九百円でございます。それが四十七年度の上期では七千五百六十円ということで、この一年間に約一〇%アップいたしております。いろいろなダウン要因があったにかかわらず一〇%上がっておるということでございます。それからミナスにつきましては、やはり同様のもので七千八百円が同時期に八千八百円ということで一三%上がっておるということでございます。それが実績でございます。
○神崎委員 私は、その差額というのは石油会社が取って電力会社のほうにじかにいってないという答弁をされるかと思ったら、そのとおりされたのですが、その間は、フロートをやるとかあるいは円の切り上げ、ドルの切り下げ等による差益分は全部石油会社が持って、それに見合った形で電力会社には値下げして売ってないのですか。また、電力会社は下がっておる現実を見て値下げ要求を石油会社にはしないのですか。
○井上政府委員 電力会社と石油会社の間の燃料の価格の決定は、長期間両方で議論を詰めまして非常に激しい議論がございまして、新聞紙上でも非常に書かれておるわけでございますが、そういう非常に激しい交渉の結果、数ヵ月かかりまして、あるいはもう年度が過ぎてさかのぼって適用するというようなことになる事態も多いわけでございますけれども、そういうような交渉の結果きまったものでございます。ただ、その間いろいろな、たとえば油の種類がいいものに変わったりするというようなこともございまして、いろいろ話がこまかくなりまして非常に紛糾するわけでございますけれども、そういうような経過を経てきまっておるわけでございまして、これは天下周知の中で議論している問題でございます。
○神崎委員 会社と会社、企業と企業との関係は、そういうケースあるいはそういう規模でありましょうが、そういうようなことも一般国民の生活のいわゆる生活費的な性格を持ってきている。一般家庭電力あるいは中小零細企業の電力というものは、もう必要欠くべからざるところへ来ているわけですから、そういうものに対する指導も、私は、企業の中に内部干渉せよという意味ではないけれども、行政指導の面では、やはりその時期、時期に応じた指導は強化されるべきだと思うのですね。たとえばOPECの値上げ攻勢の幅は、これまでの燃料費低下の幅以上のものである、こういうことは証明できますか。
○井上政府委員 まだ計算いたしておりません。
○神崎委員 では、計算できたら、資料としていただけますか。
○井上政府委員 提出いたします。
○神崎委員 では最後に、石油の国際価格値下がりの時期には、対米従属、とりわけ炭鉱労働者を犠牲にして、石炭から石油へといわゆるエネルギー革命を強行した。石油値上がりの時期には国民を犠牲にして、いわゆる料金引き上げを強行しようとする。ここには自主性を欠いた資源外交と大企業奉仕、国民の犠牲、これがいまの政府の姿勢だ、こういうふうに先ほどから、あるいは前回、きのうの物特、三回にわたって私は尋ねているのですが、どうもこれがいまの政府の姿勢である、こういうふうに思わざるを得ないし、またそのとおりだと思うのですね。いまこそ私は、ほんとうに国民の生活を犠牲にする、こういうことのない政策に根本的に転換をしてほしい。もともと根拠のない燃料費値上げ、あるいは経営悪化、これを理由にして関西電力が料金値上げを申請するということは断じて認められない。おいおいこれからもシリーズ的に各側面からお尋ねを続けていきたいと思いますけれども、大臣は、国民福祉を優先するということをよく機会あるごとにおっしゃっているが、中曽根大臣に最後に伺いたいのは、いろいろ考え方の立場は違うにしても、ほんとうに電力とかガス代が上がりますと、一般家庭や中小零細企業に及ぼす影響というものと、それからいわゆる波及効果というものは非常に影響が大きいわけですね。そうすると、大臣、いつも言われるように、国民福祉を優先する政策をとりたい、こういうような考え方を述べられるのですから、私は、この申請に対しては、機会あるごとに申しますけれども、慎重の上にも慎重にやって、ほんとうにこの際、行政指導の監督の立場にある通産省は、こういう独占企業の大企業は、これは関電だけじゃなしに、大阪瓦斯もそうですが、一ぺんここでメスを加えて徹底的に総点検すべきだ、こういうふうに思うのですが、日ごろの大臣の言われていることと、いま私が求めていることについて、一言ひとつ見解を聞かせていただきたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 国民福祉を優先させる政策を行なうということはわれわれの考え方でございまして、ただいまの神崎委員のお考えには、私たちも原則的に同感でございます。したがいまして、この査定にあたりましては、厳重にこれを審査して、前から申し上げておりますように、かりに上げる場合にいたしましても、これを最低限にするように、これを慎重に取り扱ってまいりたいと思います。
○神崎委員 では、きょうはこれで終わります。
○浦野委員長 松尾信人君。
○松尾委員 きょうは、主として大臣に質疑を行ないたいと思うのです。内容は、日米通商関係の諸問題であります。時間もたいしてありませんので、私は要点を申し上げたいと思うのであります。 最近、大豆また綿実その他の米国における輸出規制、それがまたカナダのほうにも一つ波及作用として及んでおるというような傾向でありますけれども、そういういろいろのいまの向こうの輸出規制に対応するために、これはやはり通商産業でありますから、基本的には日米通商問題としては、通産大臣の基本的な所管の問題であろう、このように私は了解するわけであります。 それで、いろいろ過去のことから私はきょう申し上げますけれども、田中総理が就任されて、そしてハワイの会談もされた。その後、日米の両政府当局の話し合いもたびたび行なわれておる。箱根でも会談が持たれておる。日米相互の経済、産業界の代表ともたびたびお互いに会って、話し合いを進めておる。そして日本といたしましても、誠心誠意この貿易の、日本の黒字、アメリカの赤字幅という日米通商上の大きな問題につきましては一生懸命努力されてきた。こういう長年の政府の、また民間としての積み重ねがなされてきたわけであります。 それで、まずこの四十八年の米国における赤字、日本における黒字幅、これをいまどのように押えていくようにお考えになっておるか。ことしのあれはどうか。こういうことをまず最初に聞いておきたい。
○中曽根国務大臣 最近に入りまして、対米貿易は、予想以上に輸出の鈍化、輸入の急増の傾向が見られまして、四十八年度の対米貿易収支は輸出四・五%増、輸入三二%増で、わが国の出超額は二十五億ドル程度まで縮小すると見込まれます。しかし、本年五月までの実績及び貿易先行指標は、従来の予想を越えるテンポで顕著なアンバランス縮小を示しておりまして、本年一月−五月の数値を年率に換算しますと、四十八年度の対米出超額は二十億ドルをかなり下回る数字を示しております。これは機械的に当てはめただけでございますから、まだそれほど信憑性のある数字ではございませんが、いままでの徴候ではそういう現象が起きておるのでございます。
○松尾委員 そのようなわが国の誠意ある努力、それで黒字幅の大幅な減少というように一生懸命つとめていらっしゃる、これは評価するところであります。さらにまた、いろいろ大きな問題を起こしました日米両国政府の繊維協定、またそれを補完的に行なおうとするわが国のいろいろな輸出貿易管理令による規制、そういうこともされまして、一生懸命にアメリカとの通商関係というものを正常化していきたい、このような努力も積み重ねてまいっておられる。このようなわが国の誠意の積み重ね、そういう中で米国の今回の一連の輸出規制措置、これがまた次に他の農産物、木材等にも及ぶのじゃないかという心配、これがまた国民の生活必需物資でありまするために、物の値上がり、関連物資の値上がり、そういうものに非常に影響が出る。また今後も出るであろうと懸念されておるわけでありますけれども、これは一時的な、かつインフレ抑制等の特殊的なケースというようなことをアメリカは言っておるようでありますけれども、こういうことに対する大臣の認識を承っておきたい。
○中曽根国務大臣 世界的な資源の不足時代、特に食糧の不足時代に今日は当面いたしまして、各国政府とも非常に苦心しておるところでございます。アメリカ政府当局においても同じような状態で、特にインフレぎみに悩んでやむを得ずああいう措置をとったものであると思いますけれども、あまり寝耳に水にやられるとわれわれも非常に当惑する次第でありまして、やはり今後連絡を密にして、お互いに大きな摩擦や混乱を起こさないようによく注意し合いながら進めていくべきものであると思いますし、お互いがまた物資を融通し合う、そして共存共栄をはかるという考え方も、石油その他の場合において必要ではないか、そう思います。
○松尾委員 ある程度これはやむを得ないアメリカの措置である、このようなことも言えると思いますけれども、やはり農産物につきましては長年にわたってわが国が大きな顧客である、また誠心誠意大臣もしっかりこの黒字幅の削減については努力されておる。わが国のそのような誠意、また一般民間の経済界もそのような努力を重ねておる。そういうところの配慮というものが——それは国際的な物資でありますから需給の問題でいろいろ窮迫することもありましょう。 〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕 しかし、アメリカの国内事情の変化によって、そのつどこれを特別の配慮もなくて一つ一つ実現されていくということはまことに遺憾ではないか。それで、そういうことについても、いまの大臣の簡単なる所信の表明でなくて、やはりそういうものに対処していく日米通商関係における基本的なものをきちっと持っておきませんと、一つ一つ規制をされてはまた日本に問題を起こす、そしてこれはある程度国際的な商品、またそのときの問題であるからやむを得ないというようなことではやはりいかぬのじゃないか。これはどこかで何かきちっとした発言をされて、そして防げるそのめどというものを立てて——同じ規制を受けるにしても、やはり日本の誠意というものと、そして日本の特殊な、長年の大きな購買者としてのそういうたてまえも主張されて、何とかこれを解決するめどというものを立てておかないと、次々と今後も起こるんじゃないか、こういう心配があるわけで聞いておるわけでありますけれども、いかがですか。
○中曽根国務大臣 日米間におきまして長期的にそういう物資の関係でフリクションを起こさないように今後も配慮する必要がある、こう考えまして、先般、火曜日に塩川政務次官をアメリカに派遣いたしまして、先方の将来の見通し、それから各物資別に向こうの考え方を聞いて、また当方の考え方も言って、そういう点に対する展望と見通しを得るようにつとめておるところでございます。 なお、塩川政務次官は、なたね等でやはり制限しようとしているカナダにも回りまして、同様に長期的な展望、見通し、今後行なう各国の措置等について話し合いをしてくるように指示しておきました。 なお、今月の十六、十七日にアメリカとの間で貿易経済閣僚会議がございまして、ゲント商務長官も日本に来るということでございますから、この機会を利用いたしまして、この点については特に先方の考えも聞き、われわれの考えも申し上げて、長期的な安定を行なえるようなお互いの保障措置と申しますか、そういうところまで話を進めていきたいと思っておる次第であります。
○松尾委員 いま最後に大臣がおっしゃったように、長期的なトラブルを起こさないような安定措置をとる、これは少なくとも日本の基本姿勢でなくてはいけないと思うのです。それにやはりプラスアルファで、長期的に安定させるためには日本としてもこういうことを主張しよう、このような面でもしっかり彼らに納得させようというような——これはアメリカがどうもかって過ぎるというような感じを持つわけですよ。あまり大臣が発言しませんからね。大いに意見を言うたというようなこともないし、政務次官をやった、それは向こうの事情を調べる、向こうの意向を聞くというようなことで、それではやはり通産省としては、通産大臣としては、日米のこのような問題、これは日本の消費者、また、関連業界に大きな影響を与えている問題何かそこに納得のできる政府の話、政府の確信、政府の政策、こういうものがなければいけないと思うのですよ。政務次官が行っていろいろ話を聞いてくるであろう、少しは条件を緩和してもらうような話もしてくるであろう、カナダにも回ってくるとおっしゃいますけれども、それはやはり大臣自体がはっきりされて、そうして言うべきことは言う。少しお控えぎみじゃないか、このような感じがするのですけれども、そうじゃないですか。どうです。
○中曽根国務大臣 決して控えぎみということではありません。私自体も、アメリカに対しましては言うべきときには言っておりますし、それから政務次官に対しても、先方に対して言うことについても一々指示しておりまして、われわれ及びわが国民の今回の措置に対するアメリカに対する非常な不満及びこちらの迷惑、そういうことも思い切って言ってくるように言ってあるのであります。
○松尾委員 それをやはり国民の前にもう少し明確にしたほうがいいと思うのですよ。どのような成果を持って政務次官がお帰りになるか、それはそれといたしましても、やはり言うべきことは言う。それをお互いが言っておるのじゃなくて、国民に訴える。そして米国のためにも言うべきことは言ったほうがいい。言わなくてはいけないことをお控えぎみであってはいけない。大臣の姿勢というものがぴしっとしておればやはり納得するわけであります。そして強い要望を出しておるのだ、特別な配慮をわれわれは要望しておるのだ、これは長期に及ぶものではない、皆さま方にこういうことで長らく迷惑をかけることはない、通商貿易の責任者としてわれわれはきちっとやっておるのだということをお出しになりませんと、いまのところは姿勢としては弱いのじゃないか。何のためにいままで努力をされてきたのか。何のために貿易の自由化等を一生懸命やっていらっしゃるのか。そうしてそういうことを全部ネグレクトして、振り捨ててアメリカが自国のそういう当面の問題だけで取り上げて配慮をしないという点につきましては、強くおっしゃって、堂々と国民にも知らせていってもいいのじゃないかと私は思うのです。また、そうなくてはいけないと私は信じます。もう少しはっきり大臣の姿勢というものを国民に訴えるべきであるというように思います。くどいようでありますけれども、いかがですか。
○中曽根国務大臣 やはりわれわれが考えている物資の供給に関する長期的安定という所期の目的を達することが目的でございまして、それに役立つならば国民の前に幾らでも言いますけれども、国民の前にうっぷん晴らしみたいなことに聞こえるように誤解があっても、これはいささかどうかと思うわけで、何が一番実効性があるということを考えて、ことばづかいその他も注意しているところでもあります。アメリカ当局にしてみても、大豆が三倍も値が上がってくれば非常に困ってくるというのはわかるので、ほかの政府が非常に窮境におちいった場合に、非を鳴らして鼓を打って談ずるということも一つの方法かもしれませんが、やはりお互い友好国で、将来ともに長いつき合いで物資の有無融通をやっていこうと思いますと、向こうの困っているときにはこちらも同情してあげなくてはならぬ要素もあります。しかし、われわれが考えていた信義が裏切られたという点は、これはあくまで談じなければなりませんけれども、相手の立場に理解を持つということもまた一面大事ではないかと思っておるところであります。
○松尾委員 それで単に怒りをぶちまけたり、報復的な措置をとれ、こんなことを私は大臣にすすめたり、言う気持ちは全然ありません。基本的にはそのような長期安定の問題でありますから、その点も理解いたしますけれども、いままでのこれだけの日本の苦労、日本の誠心誠意の努力、そういうものに対して言うべきことは言うべきである。言っておるのだということをお示しなさったらどうかということを言っているわけでありますから、これは十分お考えおき願いたいと思います。 もう一つの問題は鉄くずの輸入規制、またアメリカの輸出規制の問題であります。これは米側の措置、日本側の措置というものが同時に七月二日に発表されておるわけでありますけれども、時間がありませんから米側の措置のごくポイント、日本の輸入制限措置のポイントだけを、これは局長からでもけっこうでありますから、おっしゃってください。
○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。 米側の措置の概要につきまして簡単に御説明いたしますと、七月一日以後契約のものにつきましては、原則として輸出を認めないということでございます。ただし、七月中の船積みのものにつきましては、当然のことでございますが、アメリカ側としては輸出を認める。八月以降船積みのものにつきましては、七月中旬ごろどういう取り扱いをするかにつきましてアメリカ側で発表いたしたいということでございます。 措置の具体的な内容はそういうことでございますが、実質的な観点でこれを申し上げますと、日本に対しましては、日本側の要求の五百万トンにつきましては輸出を承認するということが合意されております。ただ、アメリカ側といたしましては、七月船積み分を八月以降なるたけ月ごとにならして輸入されることを希望するということでございます。われわれはこれに対応いたしまして輸入貿易管理令の発動を行ないまして、現在その割り当ての方法につきまして検討中でございますけれども、問題は平電炉メーカーにしわ寄せがいかないような配慮を加えますことを根本といたしまして、今後それの実施に入りたい。七月中旬ごろ具体的な方針については発表いたしたい、こう思っております。 なお、今回のスクラップの輸入につきまして若干商社の思惑等もあったような節がございますので、割り当てにつきましては、メーカーの実需に即しましたメ−カーに割り当てをするという方法をとることによりまして、商社の思惑を排除いたしたい、こう考えておるわけでございます。
○松尾委員 日米双方の規制の内容はいまおっしゃったとおりと思いますけれども、なぜアメリカが規制しなければいけないのか、その間の経緯を少しここではっきりしてもらいたい。 もう一つ言いたいのは、上半期にすでに二百七十万トンのくず鉄が日本に輸入されておる。下半期もその調子でいけば年間六百万トンに達するのであろう、このようなことも当然予測されておるわけでありますが、その間の経緯ということも私はまた聞いておるわけであります。去る四月ごろにアメリカのほうからいろいろこの問題について申し出があって、日米双方の業界でいろいろの話し合いをして、その話し合いがくずれたために米側としてはこの規制をとらざるを得ない、このようなことを私聞いておるわけでありますけれども、経緯の内容としてはそういう点も踏まえてお答え願いたい。
○山形(栄)政府委員 スクラップのアメリカからの輸入につきましては、いま先生のお話しのとおり、五月十四日にアメリカ側から日本のくず鉄の買い付けにつきまして調査を実施したいという申し出がございまして、われわれといたしましては、先ほど大臣からのお話がございましたように、日米の秩序ある貿易関係というのが今後長期的に見ましても非常に大事だと思いましたので、早急に業界をしてこれを検討させまして、業界側といたしましては四百五十万トンの秩序ある輸入を行なうという合意に達しまして、これを米国政府に伝えまして非常に評価されたわけでございます。ただし、この合意と申しますのは、法律に基づく輸入組合等の合意でございませんで、あくまで業界の自主的なる話し合いといいますか、努力目標といいますか、そういうことであったわけでございます。したがいまして、強制力は別にあるわけでございませんでしたので、その後、国内の鉄鋼の需要の強調等も反映いたしまして、商社の買い付け等が非常に進みまして、六百万トンをこえるような数字に相なったわけでございます。六月二十九日にアメリカ側からさきに申し上げました四百五十万トンを著しくオーバーする買い付けがなされておるという御指摘がございました。これは非常に遺憾なことでございますので、早急にわれわれといたしましては、約束の数量、しかし約束の数量では若干不十分でございますので、これを合理的に計算されます五百万トンの輸入ということで成案を得たわけでございますが、これにつきましては今後きちっとこの数量を守らなければいかぬわけでございますので、貿管令の発動というかっこうで、先ほど言いましたような基準に基づいてきちっとしたかっこうで運営したいと思っております。 なお、この五百万トンでございますれば、現在の鉄鋼生産の実情からいいまして十分なる輸入数量でございます。
○松尾委員 わが国として初めての輸入貿易管理令の発動になるわけですね。これは日米両国の業者の話し合いで、強制力はない。その中で、日本の業者が抜けがけ的に買い付けを進めていったというような、話し合いが固まらないので、アメリカからこのような措置を受ける。これはやはり反省をしなくてはいけない。アメリカの業界の申し入れ、次には向こうの政府から相当日本の買い付けの急増に対する申し入れがある。その間、日本はわからなかったわけですか。
○山形(栄)政府委員 まことに遺憾なことでございますけれども、詳細にはわれわれのほうで把握いたしておらなかったのは事実でございます。
○松尾委員 何も、そこを一々責めるような気持ちはありませんけれども、やはり相手にある口実を与えない。これは大臣に聞くわけでありますけれども、何でも国際協調の線もこの貿易自由の中からありまして、一生懸命になって、それで日本も自主規制でやっているわけであります。秩序ある輸出もしているわけであります。今後は逆に秩序ある輸入という問題に発展するわけでありますけれども、残念ながらこのくず鉄の問題についてはまだ掌握できない。一々業界の契約なんかを追跡することはむずかしいでしょう。この貿易についてはこの水準ワクがありますから、一生懸命になって通産当局もお調べでございますけれども、その他のものについて一々追及はできないと思います。思いますけれども、やはり何か趨勢とか、問題の起こりそうなものというのはどうとかしてつかみませんと、問題が起こってからアメリカから取り上げられてやる、また、他国からそういう問題が起こってからやるということでは、国際的な協調という精神からいったら少しまずいんじゃないか。そうして問題をこじらせていったら困る。五百万トンという、そういうめどが立ったからいいようなものの、やはり新聞発表によりますと、これは鋼材の値上がりですよ。内地のくず鉄の値上がりもどんどんやっておりまするし、また、建築業界というものが、これは十五万、二十万、三十万といわれるそういう業界の人々が、先般セメントその他で非常に苦労しておるから、何としてもいまのうちに手当てをしておこう、こういうことになりまして、やはり外国等も、また日本国内においても、からみ合った問題を起こしてまいりまするし、これは大臣としてむずかしい問題であります。 〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、これをどうとかして問題のあるようなものを察知して、そして未然に防止していく。問題が起こっても今回の鉄くずは、これは解決策としては悪い方向ではない、私はこう思いますけれども、これはもっけの幸いでした。しかし、このようなことだけでおさまればいいけれども、そういかない場合がありますとこれはやはり重大なことになります。この点について大臣いかがですか。
○中曽根国務大臣 お示しのとおり、やはり両方に緊要な物資についてはふだんからよく注意をしておいて、相手側に迷惑のかからぬようなオーダリーインポーテーションという考え方が必要になっていると確かに思います。いろいろトウモロコシその他の品物についてもこういうことは起こり得ますから、これを機会にやはりよく輸入状況等調べておきまして、外国に対してあまりフリクションを起こさないような措置を常時講ずるように努力してまいりたいと思います。
○松尾委員 それで、そういう点では国際的にも日本は配慮するというやはり大所高所からの見地をとる。そして他方、最初に申し上げましたとおりに、納得できがたいものは日本は堂々と主張する。そういう線を堅持されながら、この一連のアメリカの輸出規制措置というものに対しまして、ぴちっとした通産当局の国民の納得できるものをお固めになる。そして見通しを立てて、ひとつ国民の納得できるような方向で解決をしていただきたい。これを私は念願するわけですけれども、最後に一言でいいですから、大臣のそういう面における今後の考え方を聞いて、質問を終わりたいと思います。
○中曽根国務大臣 松尾先生のお示しの線に沿いまして、常時よく注意をしながら、輸入数量並びに輸出数量を的確に把握しつつ、外国とフリクションを起こさないように、しかも日本国民の最大の充足を得るような方策で通産政策を進めてまいりたいと思います。
○浦野委員長 中村重光君。
○中村(重)委員 理事会の申し合わせもございますので、二、三点にしぼって緊急な問題ですから大臣に見解を伺っておきたいと思います。 御承知のとおりに、水銀やPCBによる海の汚染ですね。人体に影響がないという、その許容量を越え、魚が汚染されるという事態が起こってまいりまして、そして熊大の武内教授の第二水俣病、第三水俣病というのが発生する。追っかけるように厚生省は、基準量というのを大臣御承知のとおり、たとえばアジの場合は十二匹以下はいいのだと発表したのですね。ところが、大臣は魚がお好きかどうかわかりませんが、私は魚がたいへん好きでしてしょっちゅう、一日一回魚を食べなければならぬぐらい好きなんです。私も、アジを週に十二匹という厚生省発表の記事を読みましたときに、非常な不安感を感じた。このごろは、魚を食べるときにも、いいだろうかと思って正直申し上げて非常に不安なんです。おそらく漁民の人たちだって、そんなに魚が汚染されているものかと思いながら、みずから魚を食べながら、不安感を持っているわけですよ。昨日も、長崎県から百三十人ぐらい漁民が上京して参りまして、また各部屋にばらばらになって、私のほうにも各漁協長が参りまして、話しましたが、あなた方はどうだ、いや私たちもけしからぬとは思いながら、食べるのにやはり不安を感じるのですと正直なところを言っておりましたが、そこで厚生省のあの発表というのが全国的な大きな不安感という形で波及をしてまいりました。結局魚をとってきても売れない。魚屋さんが悲鳴をあげているということは大臣御承知のとおりです。午前中板川委員の質問によっても、大臣もそれぞれお答えになったわけですが、そうしたことで、漁業者は操業をいたしまして魚をとってまいりましても、魚が売れません。日雇いなんかに働きに行っている連中がだいぶいるわけなんですね。たまりかねて、きょうは九段会館で十時から、水銀、PCB被害漁民決起大会という、名目は公害被害危機突破全国漁民総決起大会というのが開かれました。各県三十名くらいということで通知を出したのだそうですが、その三十名に対して、長崎県から、あの遠いところから百三十名も上ってきているのですから、きょうは九段会館はたいへんなことなんですよ。各党代表が出まして、いまあいさつをして、もう終わったところだろうと私も思っております。 こういう事態ですが、大臣、どうしたらいいかということです。いま政府は二百五十億ですか、全国で融資のための資金の用意をしている。たてまえとしては、利子補給をしてやって、若干の金利を払ってもらうということですが、実際は金利はとらないという形で処理をするのだろうと思います。そうした生活資金的なつなぎ融資で問題が解決をする事態ではない。ともかく厚生省のあの発表によって、不安をさらにかもし出しているわけですから、公害があるのに、公害がないからだいじょうぶだから食べろ食べろということは無責任な話で、これはやってはいけない。かといって、汚染地区ということでその地域だけを限りましても、魚は回遊いたしますから、やはり不安感というものは除かれないだろう。ともかく何とかしなければならぬ。 私は私なりにこうしたらいいじゃないか、私の考え方を申し上げると、若干飛躍したというように大臣から御批判があるかもしれませんけれども、ともかくこのままじゃいけないんだ、何とか思い切った強力な手を打たなければいけないのだと思いますが、大臣も、公害源が工場であるだけにいろいろと担当大臣としての構想をお持ちであろうと私は思っておるわけですが、大臣の見解をひとつ伺ってみたいと思います。
○中曽根国務大臣 当面の緊急に行なうべきこととしては、やはり汚染された魚と汚染されていない安全な魚との区別をはっきりさせて、国民の皆さんに見分けがよくつくようにして安心して食べていただく、そういうことではないかと思います。それで、汚染海域において汚染と思われる魚を指定し、それから汚染でない海域における安全な魚を指定して、それを早く公表して、この魚は汚染海域の汚染魚ではございませんということを市場その他で明示して、テレビその他で国民の皆さんによく了知していただいて、そして安心してマーケットへ行けるようにする、つまり安心感ということが今日では一番大事なことで、金融や何かの措置というものは、これはびほう措置であります。一番大事なことは、国民が安心して魚を買いに行ける情勢をつくり出す、そういうことではないかと思います。PCBにつきましては大体汚染水域がはっきりいたしておりますけれども、水銀についてはまだ必ずしも確定しておらぬようでございますから、水銀についてできるだけ早くそういうデータも出してきめなければならぬ、そういうように思います。
○中村(重)委員 大臣のおっしゃることは筋道としてわかるような気もするわけです。しかし、それではもう間に合わないということですね。汚染されていない魚、汚染されている魚という区別をつけることだってこれはたいへんじゃないでしょうか。きのうも築地に揚がった魚が汚染されておった、長崎県の五島等から送られてきた三百六十箱送り返しですよ、大臣。五島に工場なんてないのですよ、そんな有毒性のものを出すような工場は。しかし、やはり付近の海域から出ますと、魚は回遊するわけですから、そういう形で送り返さなければどうにもならぬという事態が起こってくるのです。これは確かに魚は回遊する、また水も動いている、こういうことでございますね。だから、大臣のおっしゃることは、考え方としてわかるようですけれども、なかなかそう簡単な問題ではない、わかりにくい問題である。 また政府も、安全宣言というものをやるという形に私はなると思うのですが、安全宣言というものは、その裏づけがはっきりしなければ出せないのではないか。関係の各都道府県から安全宣言というものが出ていますけれども、何の効果もないわけです。そして確信を持って安全宣言というのをしているのではないのですね。まあ自分のところの県の海域に工場なんというものはないのだから汚染されているはずはないということからだいじょうぶだというので、その影響の大きさに驚いて安全宣言というのが出されている。何の効果もないというのが実態です。ですから大臣、もっと根本的な解決策を導き出さなければいけないのではないでしょうか。 具体的に私は申しますが、ヘドロが出ているところ、どうしてもヘドロを処理できないところは凍結する以外にはないと思います。同時に、この根源である水銀とかPCBを使う工場を閉鎖するというか、その水銀とかPCBを使わせない、まずこれを確立するということではないでしょうか。水銀は体温計とか寒暖計というのは使わなければならないでしょうけれども、それ以外は使わなくても差しつかえない。なるほど生産能率というものは低下をするでしょう。これはやむを得ない。また政府も、重化学工業から知識集約型の方向へ転換をするということを明らかにしているわけです。生産のダウンがあるということ、これはもうやむを得ない。あまりにも高度経済成長政策というものが進み過ぎた結果こういう姿になっているわけですから、これをダウンさせるということは当然でなければならないと思います。 そのためには、いま水銀のこともわからないのだからというようなことであってはいけないのではないか。はっきりしないのにその工場を閉鎖させることは憲法上の問題があるといったような、いろいろの配慮も出てくるであろう。しかし、何の罪もとがもない漁民あるいは魚屋さんというものが、あるいはその他の関係者が、その海が汚染されたことによってもう仕事ができなくなってしまった、商売がされなくなってしまった、そういう事態になりますと、そのこと自体が憲法上ゆゆしき問題であると私は考えているわけであります。ならば、もっと強力な思い切った措置をとらなければいけないのではないでしょうか。当面の措置として大臣がいまお答えになりましたようなことも私は全くむだだとは思いませんが、それで問題は解決いたしません、こう申し上げざるを得ないわけです。いかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 PCBにつきましてはもう使用を禁止しております。それから水銀につきましては隔膜法に転換するように指導いたしまして、時期を明示してそちらのほうにいま転換しつつあるわけでございます。しかし、この工場を一挙に閉鎖するということになりますと、苛性ソーダは日本のいまの化学工業その他で非常に重要な資材でありまして、新聞もできなくなるし、石けんもできなくなるし、そういうことで非常に大きな影響が出てまいります。塩素にしても同様で、水道の滅菌等にも差しつかえてくる、こういう国民経済上の問題もございます。ですから、これをにわかに閉鎖するということはその他の影響等も考えて次善の策はないかという考えに至らざるを得ないのであります。そういう面からいたしますと、いまのような時期を明示した転換という形でしばらく時間をかしてもらうということでやっておるわけであります。しかし問題は、いまそれを閉鎖したところで蓄積は残っておりますから、いまの回遊魚の問題は蓄積されたものの影響であるだろうと思いますから、この蓄積されたものをどう処理するかということは非常に大きな問題であります。その点については私ら知恵が足りないせいか、いま申し上げたような原則で早く国民に安心してもらう、そうして需要を起こすということ以外に魚屋さんを安心させてやる方法はないような気がいたすのであります。つまり、科学的根拠に基づいて人体の安全水準というものをきめて、安心して魚を買いにいけるような環境をつくるということ以外にはないんだ。生業というのは、一時の問題ではなく、これからずっと、あるいは子供の代までやっていかなければならぬ商売でもありましょうから、そういう意味において安全感を与えるということは、いま一番の当面の政治の課題ではないか、そういうふうに思うわけであります。それにはかなり金を使っても、海域別にそういう措置をやることが必要ではないか。ちょっと頭が悪いものですから、それ以外にいまのところ考えつかないのであります。
○中村(重)委員 大臣は頭が悪いんじゃなくて、よ過ぎるんだけれども、またよ過ぎるから考え過ぎるということもあり得るのかもしれないのです。 いま、蓄積されたものだと言われたが、そのとおりですね。もう一つ問題は、アセトアルデヒドにいたしましてもあるいは塩化ビフェニールにいたしましても苛性ソーダ、これは行くえ不明になっているものがあるわけですね。これも私はたいへん不安がある。これをどうするかということは、これはひとつ大臣からはっきりお答えをいただきたい。 もう一つは、水銀について、隔膜法の問題についても、時期を明示する。いままで一つの方法は出ておりますが、もうそのままではだめなんだから、ではこれはいつまでにするかということについての方針は固まっておると思いますが、それらの点はいかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 いま実態調査をやっておりまして、できるだけ早く、おそくとも七月下旬までにはその使用の経過、全貌を明らかにするようにいまやらしておるところでございます。 それから、時期を明示してまずクローズドシステムにし、それから隔膜法に転換するということはこの間指示しておるところでございまして、具体的には政府委員より御答弁申し上げます。
○田中(芳)政府委員 水銀使用工場の実態調査でございますが、ただいま大臣からお答えがございましたように、私どもといたしまして関係いたします七十六工場を総点検をいたしております。今月中にはその結果をまとめまして公表をいたしたい、このように考えております。 なお、PCBにつきましては、問題となりました八水域、ここに三百三十八工場が立地いたしております。これも現在係官を派遣する等によりまして、その実態を調査中でございます。これも七月中に取りまとめる目標で鋭意努力中でございます。 隔膜法への転換でございますが、その前にやはり水銀に対しますこうした国民的な不安というものが大きく広がっておる状況にかんがみまして、来年四十九年の九月までにこれら苛性ソーダ等の工場につきましてはクローズド化を完了することとしております。 なお、疑わしいと申しますか、問題とされております九水域につきましては、本年度中にこれを完了するように会社に指示をいたしておるところでございます。 なお、こうしたクローズド化によりまして排水面での不安といいますものは解消し得るとは思いますが、もともと水銀といいますものにつきましては有毒有害な物質でございます。かつまた、工場に働く方々の健康ということも考えておかなければならないということで、水銀を使用しない方法へ転換する。そういうことで、いま関係各社から隔膜法への転換計画を提出させております。五十年の九月を目途に極力これを切りかえるということにいたしておりますが、現在会社からの計画書の審査の過程で、私どもはできる限りこれを繰り上げるように指示をしてまいりたい、このような考え方のもとに取り組んでおるところでございます。
○中村(重)委員 普通の常識でいきますと、いまそれぞれお答えになりましたようなことでございましょうが、今日の事態から言いますと、あえてのんびりしたやり方だと申し上げざるを得ない。そんなことではどうにもならないという深刻な事態にあるということを認識の上対処していただきたいということであります。 もう一点は、大臣が、これは安全であるということで不安感を除去するための努力をしなければならないと言われたが、これは当然でございます。テレビ対談であるとか、いろいろなことが考えられなければならない。熊大の教授が調査をいたしましたのも、都道府県の委託によってやったわけであります。これに対して電光石火——この水俣病が発生いたしましてからもう十二、三年でございましょう。公害立法が発動いたしましてからでも三年くらいになる。熊大教授が第三水俣病の疑いありと発表いたしましてから政府はてんやわんやで、先ほど申し上げましたような厚生省の安全基準というものを出して、さらに不安をかもし出したということ等を考えてみますと、ほんとうに政府は手ぬるいというか、無責任というか、国民に対して弁解の余地はないと私は思います。やはりもう進んであらゆる調査をして、人体検査もやり、そしてどんどん発表していくというようなやり方というものが政府にはとられなければならない。発表するだけではだめでありますから、対策を立てまして、そして海をきれいにするし、人間の健康も生命も守っていくというあらゆる施策を強力に、何よりも重大な政治課題としてやっていくということでなければいけないのであります。その点が落ちているということは間違いないと私は思います。なお不安感を除去するということもたいへんむずかしい問題でございますが、申し上げたように、ここはヘドロが非常に処理ができません、蓄積されているものはこういうことで処理いたしましたということ、それからPCBはもう使わないという方針を決定しておりますが、それをこうしたんだ、それから水銀にしてもこうなんだということで裏づけがきちっと明らかにされなければ、なかなかいまの不安感というものを除去することはでき得ないのではないか。ですから、むしろ今日のこういう事態になってきたことが、常識はずれなやり方がこのような事態を招いたわけでありますから、非常識だといわれるくらいに強力な手を打たなければ、先ほど大臣がお答えになりましたように、いろいろいま水銀を使わなければこういう事態になるんだ、国民経済の上からも問題なんだということでは話になりません。私は、それでは問題の解決にはならないというように思うわけであります。その点だけを重視して、被害者となっておるところの漁民の生活も健康も、農民の生活も健康も第二、第三に扱っておるという非難を免れ得ないであろうというように私は思うわけであります。だからその点は十分ひとつ考えてもらいたい。 それから、これは被害者でございますから、魚屋さんに対してもそうでありますが、漁民に対する補償をどうするのか、このことは明確にしなければならない問題であると思いますから、以上申し上げましたことと、最後に触れましたこの補償の問題、これに対しての大臣のひとつ見解を伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 迅速的確にやれという御趣旨につきましては私も同感でありまして、ややもすると政府の手がおくれていることを深く反省しなければならぬと思います。この上とも関係各省と協力いたしまして、迅速的確に事を運ぶようにいたしたいと思います。 それから、漁民に対する補償の問題は、PPPの原則によりまして、もし加害者、原因者がはっきりした場合には当然それを原因者に負担させるということであります。当面は、緊急措置といたしましてつなぎ資金の触資等をしておりますが、その融資等につきましては漁民に負担させないように、終局的には原因者に負担させる、それまではいろいろ、国または地方団体または関係経済団体に負担させる、そういうような形によって処理していきたいと思っております。
○中村(重)委員 PPPの原則、これは当然でありますけれども、なかなか原因を明らかにするということについて時間がかかるであろう。そのことを十分責任を痛感して、いわゆる融資という形をおとりになるという方針を決定したと思います。その額にいたしましても、二百五十億やそこらでは話になりません。九州だけでも、五十万といたしましても百五十億くらい要るといわれているわけであります。ですから、額においてもお話になりません。そしてまた、私は融資という名の補償であるというように理解をいたします。それでなければ漁民あるいは魚屋さんに対するところの補償はその中に入っていない、ほんのわずか二億か三億の緊急融資を考えておるにすぎないということを私は伺っておるわけであります。そういったようなことでは話になりません。したがいまして、いまの大臣の御答弁で私は満足いたしませんが、理事会の申し合わせもございますので、環境庁にも来てもらいましてあらためて質疑をしたい、そのように考えます。 何回も申し上げましたように、強力な、非常識といわれるくらいに思い切った措置をおとりになることを強く要請をいたしまして、きょうの質問を終わります。
○浦野委員長 次回は、来たる十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二分散会