P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
71回国会衆議院1973/07/03

商工委員会 第37号

発言数
241
登壇者
14
会派数
3
開催日
1973/07/03

会議録

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私は、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案について、大臣に質問をいたしたいと思います。  大臣の提案理由の説明を詳しく読ましていただきましたし、さらに法律の内容をそれぞれ検討いたしましたが、この法律案全体を通じて感じますことは、現下の流通機構の中における小売業の事業活動全体の置かれている立場、こういうものから考えましても、この法案は全体的にきわめて不備な点が多いということを私は痛感いたしておるわけであります。特にわれわれは、法案として上程されているという段階の中において、いち早く百貨店法の持つ欠陥、それがむしろ逆行の方向の中で改正される、こういうようなことを仄聞いたしまして反対の意向を明らかにいたしておったわけであります。しかし、その後において、当局のこれに取り組む態度が逐次変化をし、さらにまた、われわれも現下の情勢下においてこの法律がきわめて重要な意味を持ち、不備ではあるけれども、これを成立させて小売業界全体の問題を一歩前進させる、こういう意味において積極的に取り組むべきだ、こういうように考え方を変えてまいりました。したがって、それらの考え方を前提にいたしましてこれから質疑をいたしたいと思います。大臣におかれても明快なる答弁、また、関係局長におかれても明快なる答弁をひとつお願いしたいと思うのであります。  そこで第一に、私は、この法律案の中で、大臣の説明でもありますとおり、一方では消費者の利益を確保する、と同時に、小売業者の方々の置かれている立場に対してその調整を行なう、こういうようなことが重要な柱として指摘をされておるわけであります。中小小売対策における消費者に対する考え方、これは大規模小売店舗においても同様であろうと思うのでございますが、消費者は王さまであります。したがって、消費者に対する利益をいかにはかるかということが小売業界全体においての最大の課題でなければならないと思うのであります。  そこで私は、この消費者の利益というのは一体どういうことなのかということについていろいろ考えてきておるわけでございますが、これは底廉にして安易に購入できる状態である、そしてそのことが、大規模店舗、中小規模店舗、零細店舗等等いろいろございますが、結局それらの店舗を持って営業されておる方々が、時間と距離との関係の中でサービスというものを含めた相互補完によって、その消費者に対して満足を与えていくことができるのではないか、そういう方向にこの法律の運用の精神も基本的にはかっていかなければならないのではないか、こう思うわけであります。  しかし、先ほど基本的な考え方に基づいて申し上げましたとおり、消費者の利益をはかるとともに、中小小売対策を一つの重要な柱としておるわけでございますので、これが変わっていく、消費者の利益という形の中において百貨店法の持っている精神が否定されていく、こういうことになりますると、これはたいへんなことになっていくと思うのでございまするが、この点について大臣は、いままでの百貨店法の精神はそのまま引き継いでいくのである、こういうぐあいにお考えになっておられるかどうか、冒頭御質問申し上げたいと思うのであります。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 最近におきまする流通界の変化に即応いたしまして、大規模店それから中小小売、零細小売、それから消費者、そういう人たちの利害を調整いたしまして、そして特に消費者の利益ということも十分念頭に置いて、今回の法改正を御提案申し上げた次第でございます。  一面においては、大規模店の横暴をできるだけ抑制させるという面は、旧百貨店法の精神をそのまま受け継いでおりますが、許可制から届け出制に今回変わりました一つの大きな理由は、中小小売店が集まって寄り合い百貨店というものをつくりまして、これは中央等のいままでの大規模百貨店の進出に備えまして、中小都市等において小売商が共同防衛という意味において寄り合い百貨店をつくって、一定規模以上の建物の中で共存するという形態をつくるわけでございますが、そういうものまで許可制にするということはいままでの中小小売業を擁護するという意味からも過酷である、そういうこともありまして、届け出制にはいたしましたけれども、しかし事前審査制、勧告、営業停止命令、罰則等の諸般のワクを設けまして、それで事実上許可制と同じような意味の指導を行なえるようにしたわけでございます。したがいまして、その審査にあたりましては、いまの法の精神をよく考えながらそれを実施していくということにいたしたいと思っております。  また一面、スーパー等が出てまいりまして消費者が非常に利便にあずかっているということも現実であり、やはり小売零細企業といえども努力をしなければいかぬ事態でもありますので、ただ漫然としてこれを保護するというよりも、競争しながら共存していく、そしてその競争の過程において、われわれは、この間、提案して御審議いただきました中小小売商業振興法等を活用いたしまして、一面においてそちらの援護措置も十分行なっていく、そういうこともあわせて行なっているわけでございます。  一言にして申し上げれば、消費者利益というものを非常に念頭に置いたということ、それからスーパーの進出等も頭に置いたということ、それから百貨店に関する規制というものはこの運営においていままでの精神を失わないということ、それから中小零細小売商業の保護という面についてもいろいろな考慮をもってやったということ、そういう全体の複合体として、名前もいままでの百貨店法という法律を改めまして今度御提案申し上げた次第なのでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そうなりますと、先ほど私御質問申し上げましたとおり、中小小売対策法としての性格は変わらない、こう確認してよろしいわけですね。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 一面においては、百貨店等大型店に対する抑制、それから一面においては、中小並びに零細の小売店に対する振興、こういう点については変わりございません。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、本法案が提案された理由につきましては、主としていま大臣の御説明は、内面的な、いわゆる国内的な面におけるところの点を御説明なされておるのでございまするが、私どもは、この法案に対して関係各業界が一致してその成立を希望している最大の条件の中に、外資の進出、いわゆる外資の自由化によってもたらされるであろう悪い影響をこの際積極的に除去しておかなければならない、これが本法案を提案した最も大きな外的な要因じゃないかと思うのであります。特に今日多国籍企業が着々とわが国に進出をしておるわけでございまして、御承知のとおり、モントゴメリーワード等の一〇〇%の外資進出、あるいはJ・マグニンとダイエー、あるいはシアーズローバックと西武流通グループとの提携等々、数えあげれば、これはこれからますますふえてくる。日本の流通機構、なかんずく日本の小売商業に対して非常に悪い影響をもたらしてくる面が多分に懸念されるわけでございます。そういう点に重点を置かれた御説明がなければ、本法案を提案された意味がきわめて薄弱になってくると思うのであります。特にシアーズローパックのごときは、この一社だけでアメリカ国内においてわが国の流通界における百貨店、スーパー百二十数社全体のシェアと匹敵するほどのシェアを確保しているという、巨大なる資本と能力を持っているわけであります。これがいま申し上げましたとおり、西武流通グループと提携する形の中においてわが国に進出してきた場合、これを野放しの状況に置いた場合どうなるかということは非常に大きな意味を持ってくると思うわけでございます。これらについて、この法案の中で具体的には触れられておりませんが、これら外資の進出に対してどのような処置をされ、この法案は、それらに対して国内法としての立場に立っておりますけれども、全く同等の取り扱いをする法律であるのかどうか、大臣の見解を聞いておきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 外資の進出ということは非常に重大問題でございまして、われわれも非常に慎重にこの問題は処理しておるところでございます。  御指摘のように、最近はアメリカから婦人専門服店のジョセフマグニンあるいは総合小売業のモントゴメリーワード等が進出してまいりましたり、また最近イギリスの子供洋品店のマザーケアーが日本の企業と合弁による日本進出を表明しておりますし、御指摘のシアーズローバックも西武とカタログ販売について提携しております。いずれも現在までのところ営業活動を開始はいたしておりませんけれども、この傾向はますますふえてくると考えざるを得ません。日本の大型小売商業は合併、提携等体質が強化されておりますからあまり影響を受けることはないと考えられますけれども、小売業の大部分は中小零細企業であって、資本の自由化についてはいろいろな影響が出てくるということをわれわれは注意しておるわけでございます。  それで、現在の国際情勢等を見ますと、趨勢としては一〇〇%自由化に段階的に踏み切らざるを得ない情勢でございますが、その間にできるだけ時間をかせいで中小零細企業の体質を強化するという一貫した方針をもってやっておるのでございます。  昨年の七月、箱根会談におきまして、大体アメリカ製品、また直接それに関連するものを取り扱うという条件つきで店舗数が十一までは五〇%の自由化ということでわれわれはアメリカと話し合いをいたしました。このワクは、いずれまた段階的に緩和されていかざるを得ない国際情勢であると思いますけれども、われわれとしては、この中小零細小売関係の体質強化と見合ってその点は深甚なる注意をしながら行なうべきである、そのように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこでいま大臣がお話しになったように、わが国内における流通業界、なかんずく小売商業関係においては非常に大きな影響を受けるということが予測されるわけであります。なればこそ、一方的に中小小売対策法としての性格を持ち、いわゆる大型スーパー、百貨店等の進出に対応するといいながら、百貨店、大型スーパーもまたこの法律の成立に積極的な意欲を示している大きな理由だと思います。したがって、わが国のこの面におけるところの対策、商業面に対する対策というものは一刻も猶予を許さざる重要な段階に目下迫られつつある、こう考えておるわけであります。ところが私は、この体制に対応する政府の対策というものが果たして十分かどうかということになると、全く十分でないということを感ずるわけであります。たとえば、この前の中小小売商業振興法を審議いたしましたときには中小企業庁の商業二課、今度は企業局の商務一課、二課というような形で、全く通産省の中においてばらばらの措置がとられている。このような体制の中でそのような大きな課題にこの法律を運用しながら対処していくということは、私はきわめてむずかしいと思うのであります。したがってこの際、通産省の中に商業局ともいわれるべき一貫した体制の中で強力なる対策を打ち出していく、そういうような組織が当然必要になってくると思うのでありますが、大臣の見解を聞いておきたいと思うのであります。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 中小小売商業の振興につきましては、この間、中小小売商業振興法案を御審議いただきましたが、今度のいろいろな施策の中にも、個人商店における事業主報酬制度の創設とか、あるいは無担保、無保証の経営改善資金の融資制度に踏み切ったとか、あるいは事業税その他の面におきましても、これからわれわれは大いに施策を進行さしていくつもりでおります。  それで、今回のいま提案申し上げた法律、大型小売店の中における小売調整法の中におきましても、そういう点の配慮はまたかなりわれわれはやっておるつもりでございまして、この運営につきましてもわれわれはやっていくつもりでございます。いろいろまた御指摘いただきまして、われわれの意の足らざるところがありましたら、われわれもいろいろ検討を加えていきたいと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 いまの商業局というようなことは、組織的な問題でありますから一気になるとは思いませんが、十分検討して前向きに対処していただきたいと思うわけであります。  次に、この法律のそれぞれの条文について質問を進めてまいりたいと思うのでありますが、まず原則的な面について、局長でよろしいですからお答えを願いたいと思うわけであります。  この法律をつくりました一つの大きな理由は、大規模店、特にスーパー、ショッピングセンター等の進出をどのように調整するか、こういうところにその大きな眼目があるのでございますけれども、この大型スーパーないしショッピングセンターあるいは百貨店等に対してそれぞれ措置をとっておられますが、この法律案の内容は、主として大資本による大型大規模店の進出を抑制するものであって、小規模資本による寄り合い百貨店とか寄り合いスーパー等、零細規模企業の人たちの共同化、協業化によってつくられたものに対しては、この対策についてはおのずとその差異があってしかるべきだと思うのでありますが、この点はどうなのかということが一つであります。  二つ目は、この大型スーパーないしショッピングセンター等の進出は、ここ数年来、急激にその伸びを示しております。本年度においては、ダイエーが三越のシェアを上回ったといわれるほどの進出を示しておるわけでございますが、昭和四十三年以来、大型スーパーに対する行政指導というものが行なわれているというように聞いておるわけでございますが、その実情がどのようなものか、簡潔でけっこうでございますからお答えを願いたいと思います。これは局長でけっこうです。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 今回、百貨店法を改正して、新しく大規模小売店舗云々という原案を出しました。その改正点の一つの大きなポイントは、従来、百貨店というものを企業単位でつかまえまして、千五百平米以上あるいは政令都市ならば三千平米以上の店を持っておる企業がどういった小売店舗を増設する場合も規制の対象にするという従来の方式であったわけでございます。その規制を十六年余続けております間に、大型スーパーが出てきて、これをどうしたらいいか、多少技術的ではございますが、各面から検討しました結果、結局において建物でとらえるよりしようがないということで、大規模店舗というものをまずとらえることにしたわけでございます。したがいまして、いま御指摘のように、大型スーパーとか大資本のものはそれでとらえられるのでございますが、同時に、零細小売業地区を都市計画によりまして建て直して、大きな広い中で小売業の寄り合い百貨店をつくるという場合も、やはり建物が大きいという理由で、一応、今回、原案の法律の対象にならざるを得ない、これは御指摘のとおりでございます。ただし、もちろん法の趣旨から申しましてそういうようなものを規制するということはございません。先ほど中曽根大臣が申し上げたとおりでございます。特に法律の条文を申し上げますと、たとえば十一条の後段などに、消費者に対する配慮とあわせて、大規模小売店舗における中小小売業の近代化その他について配慮しなければならないという規定を入れましたのもいま申し上げた理由からでございます。  第二点の、近年大型スーパーが燎原の火のように広がりましたことは御指摘のとおりで、私どもは特に昭和四十年以降その傾向が著しくなっておると存じます。そして、それもスーパーの規模が大きくなりまして、百貨店法で申し上げる千五百平米、大都市三千平米以上のものがふえてきたわけでございますが、私どもはいろいろな御意見も聞きまして、まず昭和四十三年の六月に、大型スーパーに対し通達を出しました。ただ、そのときは、御承知のように大きな建物の中で一つの企業が実際は経営しているけれども、階層別に、ワンフロア千平米ずつ別々の企業がやっているかのごとく、事実形式的には別々の企業でございますが、別の企業でやっておって、包み紙を同じにしたり、売り子の制服を同じにしたりして、通常見たところでは一階から六階までデパートと変わらない。しかし、せんじ詰めて究明すると、百貨店法の規制にはかからないというものがたくさん出てまいりましたので、そのときの通達は、広告なり商号、勘定場所、店員の服装等についてまぎらわしくないように、疑似的な要素は取り除くようにという通達でございました。引き続きまして、昭和四十五年の九月には、このままではやはりいけないということで、百貨店法に近い規制を通達によって行なうべきであるというので、四十五年九月付の通達によりまして、今後、特定店舗、つまり百貨店と同じくらいの広さを持つスーパー等であって百貨店法にかからないものは、開店日の三カ月前に通産局に届け出てほしい、また、休日、営業時間についても地元との話し合いをやってほしいという通達を出しました。さらに、産業構造審議会の流通部会でもこの問題を取り上げて真剣に御議論なさったその討議の内容等を考えまして、四十七年八月には、その届け出日を開店日の六カ月前に繰り上げ、百貨店と同じように取り扱う、かつ、実際には話し合いをしてもらう、つかない場合には開店を延期する、あるいは店舗面積を削減する、時間も繰り上げる等々、通産大臣の勧告によって百貨店と同じように取り扱いますよということを通達いたしまして、四十七年十一月一日からこれを実施しております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、いま言われたような行政指導をしながら、いわゆる百貨店法を補完するというような形の中で仕事をやってこられておるということについて私も知っておるわけでございますが、そうなりますと、今後の問題として、第三条で、いま局長が御説明になられた点について千五百平米と三千平米以上を規制の対象にするというわけであります。しかし、いま行政指導をしなければならないという形の中で、法律を改正しなくともそれをしなければならなかったということが四十三年以来の状況であるとするならば、この法律が施行されたあと、一体三千平米に対して二千九百九十九平米だった場合どうなるのか、あるいは千五百平米に対して千四百九十九平米だったらどうなるのかという問題が当然出てくるわけであります。したがって、一定の基準でございますけれども、その基準の中における対応策というものは、今後もその条件に適応しながら行政指導の面で指導していかれるのかどうか。簡略でけっこうですから、考え方だけをひとつお示し願いたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 新しい法律が通りました場合は、その法の規制としては、やはり基準は基準でございまして、千五百平米以下のものは届け出義務もなければ、自由になります。なぜそこを自由にしたかというのは、いままでの経験から実情を御説明申し上げる必要がありますが、それは後といたしまして、結論的には自由になります。ただし、私どもとしては、先ほども御指摘がございましたように、この百貨店法の運用は小売業全体の行政運用の一部として考えてまいりますということは、先刻御審議いただいた中小小売商業振興法ですとか、その他の中小企業庁の金融財政等々の諸行政もございますし、私どもとしては、かりに法の規制に直接かからなくとも、小売商業地区において地域的な問題が起きましたときは、行政的にこれに指導介入をしていきたいと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 これは冒頭申し上げましたような経過の中でそのおそれが十分でありますので、いま申し上げました、あなたの答弁のような面において、ひとつ十分なる対策を立てておいていただきたい、こう思います。  そこで、この法律を審議する経過の中でいろいろむずかしいことばがたくさん出てくるわけです。たとえば、いま申し上げました一つの具体例として、三千平米が二千九百九十九平米だった場合どうなるのかというようなこともございますが、それ以上におそれがある場合、申し出た者の意見を聞かなければならない等々、きわめて抽象的であり、しかも、そのことばの持つ意味がどのようにも解釈されるようなことばがたくさんあるわけであります。しかし、その一つ一つをここで質問申し上げている時間的余裕もございませんので、この点について一点だけ質問をしてみたいと思うのであります。たとえば第八条に「中小小売業の利益が著しく害されるおそれがあると認めるときは、」云々ということが言われておるわけであります。この「おそれ」というものは一体だれが判断するのかということになってくるわけであります。さらに、第七条二項の「その地区内にある商工会議所又は商工会の意見及び通商産業省令で定めるところにより申出をした者の意見」これはいかなるものを具体的にさすのか、まことに抽象的でわからないわけです。ひとつこれらの問題について一、二の点でございますが、明確にしておいて、すべてが明らかになるような方向にしておかなければならないと思いますので、この二点について御質問を申し上げたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 ただいま御質問いただきました点が、実はこの新しい法律を運用していく場合の核に当たる部分だと私ども思います。できるだけ簡単に答弁をいたしますが、まず「おそれ」のほうでございますけれども、これは従来とも百貨店法のもとで地方ごとに具体的にそこの小売商業代表者、商工会議所あるいは地元の市長、県庁等の方々も参与として入っていただいて議論をしてまいりました。また、広くは外国の学者その他もいろいろのことを研究しておられます。したがいまして、私どもとしては、従来の経験から、たとえば学者の言っておるような顧客の吸引力の法則というようなものも取り上げますし、それから申請してきた売り場面積とその地域の商業人口との関係、それが距離的にどういう範囲であるか、さらにはいわゆる商業圏といいますか、買いものに来てくれる交通事情も含めた距離における買いもの人口と売り場面積の関係等々、できるだけ客観的な基準を設けてまいりまして、その上で行政当局としてはその基準に基づく判断をすることが一つと、もう一つは、実際にその地域における大きくいえばコミュニティー全体のいろいろな事情によってそこに大型店が進出することの諸影響を何といっても判断すべきでありますし、あるいは小売店代表の陳情なり不服なりあるいは同業スーパーの不満なりというものを取り上げまして、最終的に判断をしていくべき点だと思います。したがいまして、客観的にも積み上げますし、そのつどの事情にも十分耳を傾けていかねばならない。まさしく運用の核に当たる点だと思います。その場合に、それはいま先生は八条で申されましたけれども、もちろんこれは七条において勧告をするとき自体にそういう問題が起きるわけでございます。  さらに次の点でございますが、申請をする者という点につきましては、これはその地域の消費者も小売業者もあるいは学識経験者も、すべての人を含むと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 この問題はまたあとで出てくるのでございますが、一応先へ進みます。  そういたしますと、この七条二項に「商工会議所又は商工会」云々ということがあるわけでございますが、そういうような調整をする機関の中で、本法案の目的、大きな柱の一つとして、いわゆる大規模小売店舗審議会の問題があります。さらに商工会議所の中に設けられる商業活動調整協議会というものがあるわけであります。この運用のいかんによっては本法案の性格がだいぶ変わってくるわけでございますが、これの中に、小売商業の代表者、消費者代表を加えるということでございますが、大規模店に比較して小売商業者の代表者の比率がきわめて少ない。あるいはまた、閉店時刻あるいは休日等の問題に関して当然それに最も密接な関係のある従業者の代表者がこの中に入っておらない等々、今日までの運営の中においてきわめて多くの不備が見られるわけでございますが、今後の運営について、この大規模小売店舗審議会の役割りの認識並びに商業活動調整協議会に対するこれら関係者の参加を極力多く求める、こういうような点についての考えをひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 第一に、審議会のほうは、これは基本政策をきめます中央の重要な審議会でございますが、これの人数は、現在百貨店法でやっております七名でありまして、私どもは、七名全員が中立的な学識経験者と考えております。その肩書きだけ見ますと、消費者代表と見られる方も二名入っておりますし、金融界代表という方も入っておられますが、私どもの選びました基準は、すべて中立の学識経験者だと思います。  もう一つの、現地におきます商工会議所の一機関として活動する商業活動調整協議会の代表でございますが、これは現状を先に申し上げますと、現在全国で百六十四の協議会がございますが、その委員を私どもが区分けしてみましたところが、学識経験者が三七%、商業者、これはその周辺の中小小売等、大型も、場合によって百貨店代表も入っておりますが、この商業者が約四四%、消費者が一七%、こういう区分けでございます。そのほか官庁関係が参与として入っております。ここでは消費者の意見、小売の意見等々を反映してもらうわけでございまして、私どもは今後ともそういった部門からの代表者が必ず入る、そういう運用にしていきたい。特に労働条件なりあるいは休日なり閉店時間なりというものをあれします場合には、まさにそういった消費者、小売店等と非常に関係があると思います。ただ、労働条件、つまりそこのスーパーに働いている職員の労働条件ということになれば、これは労使間の問題で少し観点が違ってくると思いますが、間接的にはこれにも影響のあるものだと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 大臣はどこへ行ったのですか。——いま大臣に聞こうと思ったのですが、大臣がいないので、いまの質問について補足しておきたいと思うのです。  いまの説明でおおむねいいと思うのでありまするけれども、この問題についていわゆる問題が起きた場合、結局審議会ないし商調協等の意見を聞いてやるということになるわけです。ところが、この法律の条文を見た場合に、商工会議所または商工会の意見を聞くということになり、運用上においては大規模小売店舗審議会にはかる、こうなっておりまするが、この法律の全体を通じまして、その百貨店ないし大型店舗の存在する地方自治体の意見を聞くとか、地方自治体の役割りというものがこの法案のどの条項を見てもないわけです。中小小売商業振興法の場合にはその点がたくさんありました。しかし、この場合に、商工会議所または商工会の意見を聞くということだけであります。商工会議所とは、地方自治体に対して一体どのような位置づけの意味を持っているのか、商工会とは一体どのような位置づけを持っているのか。本来これら問題における紛争が発生した場合、必然的に地方自治体に対して強く請願ないし要望が出されているのがいままでの多くの例であります。ところが、それらの例を全然無視した形の中において、この法律案についてはいままでの運用をそのまま認めたような形の中だけで処理をさせているということは、時期的にきわめて不適切ではないか、こう考えるわけですが、大臣いらっしゃいましたから、原則的な問題でございますので、大臣の見解をひとつ聞いておきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 商調協の中のメンバーの参与として地方公共団体の関係者等は全部入るようになっておるそうでございます。その際にいろいろ御意見を承るということになると思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 大臣、すわったばかりですのでよくわからないのでしょうが、私の質問したのは、いま局長から前向きに答弁があったから、そのことはよろしい。しかし、重要な問題は、その商調協ないし審議会というものがこの法律の柱である、具体的な問題が発生したとき、いわゆる通産省はそれぞれの機関にはかって意見を求めながらその処理をしていく、なおそれが聞かなければ行政的な指導をする、こういうことになっておるわけですが、このなっている中で「商工会議所又は商工会の意見及び通商産業省令で定めるところにより」云々となっておるわけです。この第十五条の中にも、「商工会議所等への通知」となっておるわけです。だがしかし、肝心な地方公共団体、たとえば都であるとか市であるとか県であるとか、こういう関係地方公共団体との関連が全然この法案には書かれていないのです。中小小売商業振興法についてはたびたび出てきておるわけです。当然これらの問題については関連が出てくるわけでありますので、そういう場合どうしてこれが地方公共団体との関連の中で法律として示されなかったのか、今後そうした場合どうするのか、当然関連が出てくるわけですから、その場合における処置をどうするかということを原則的にお聞きしておきたかったわけです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 商工会議所または商工会にお聞きする、そういうふうに発動いたしますと、商工会議所または商工会が商調協の意見を徴して、その上で通産省に答申する、そういう形になっていることと思います。したがいまして、必ず商調協の意見を聞くということになりますから、その中に、いま申し上げたように地方団体あるいは通産局、そういうものが参与として入っておりまして、その際に意見の調整があると考えております。  御質問の趣旨は、商工会議所や商工会にのみ聞かないで、並行して直接市町村にも聞いたらどうか、そういう御趣意かもしれませんけれども、大体これは百貨店法のときからこういう調整活動は民間団体にずっとやらしてきておるのが例だそうでございます。やはり閉店時間とかあるいは休業日数とかいうようないろいろなサービス関係のことは業界内部が一番よく知悉しているわけでございます。小売商業振興法の場合には、街路あるいは共同店舗あるいはアーケードあるいは自動車の駐車場、そういうことでかなり市町村に直接関係することが多かったわけでございますけれども、こちらの部面は営業活動の内部の調整という問題が主でございますから、そういうふうに区別ができておるわけであります。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 若干私は見解を異にするのですが、いずれにせよ、商工会議所または商工会というものも、民間団体とはいいながら、公的といいますか、いわゆる地方公共団体的なものでないことは間違いないことでございますので、ともすれば偏見、予見、予断というものが入りやすいものでございますから、今後の運営につきましては十分なる配慮をこの件についてはしておいていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、いま閉店時間とか休業日数とか、こういうことについて民間の人たちの意見を聞いたほうがいいということで大臣の答弁がございましたので、それに関連した質問をしてみたいと思うのであります。  私は、本法案のもう一つの大きな柱は、いわゆる事業活動の調整という形の中において、百貨店、スーパー、小売店が持つそれぞれの長所を生かしながら正常なる商業活動を行なわしめる、それぞれの立場を尊重しながらそういう活動をなさしめる、そういうところに本法案の重大な意味があろうと思うのであります。これは冒頭に申し上げたとおりです。といたしますならば、何をおいても一番大切なことは、それぞれの立場が立つということでなければならないと思うわけであります。しかも、節度ある発展の中にそれぞれの立場を立たせていくということが、この法律を運用していく重大な精神でなければならないと思うのであります。  そこで私は、何がその柱であるかということについていろいろ研究をいたしたのでございますが、結局巨大なる資本と、その資本の力によって巨大なる設備をすることのできる大型店舗に対して、それが社会的な一定の役割りを与える、与えるとともに消費者に満足をさせる、同時に、そのことによって発生する付近小売商店に対する悪影響をなくする、こういうことが大型店舗における節度ある営業方針でなければならないと思うのであります。その節度ある営業方針というのは何かといえば、今日的課題といわれているところの、働いている人たちに対する社会通念上におけるところの一定の労働条件はやはり与えてやるべきことが必要だと思うのであります。小売店だからといって、一般の労働観念と異なった形の中におけるところの過酷な労働条件等があってはいけないということが一つであります。  二つ目には、それらの条件を守るために、また付近小売店の営業活動に悪影響を与えないために、一定の時間内におけるところの閉店時間を明記する形の中においてその指導を明らかにしていく、いわゆる閉店時刻以後におけるところの付近住民の欲求にこたえるためには、付近小売店舗がその役割りを果たしていく、こういうような形がとられていかなければならないと思うのであります。したがって、そのことの持つ意味が結果的に小売店舗経営者の社会的な地位の向上になり、あるいは小売店舗に働いておる人たち、あるいはまた大規模店舗に働いている人たちの生活の向上、人間的な向上につながる、そういうことになろうと思うのでございます。本法案についてもそれらの配慮がなされておるやに聞いておるのでございますが、これはすべて省令による、こういうような形の中で処理されておるわけであります。したがって、これからは省令というものの持つ意味が非常に大きいのでありますが、この省令についてはあとで質問いたします。原則的に大臣に、いま申し上げました二つの点、営業時間の点、それから付近におけるところの休日その他の条件についてどうお考えになっておられるか、ひとつお聞かせを願いたい。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 御趣旨は全く私らも同感でございます。大型店舗と中小小売商との間の摩擦の一番の問題は、お客に対するサービスの問題でありまして、営業時間の問題とか、従業員の休日日数の問題とか、送迎バスを使うとか使わないとか、福引きとか景品とか、そういうものがやはり一番影響するものではないかと思います。そういう点につきましては、これは法文上にも明記してありまして、閉店時間あるいはそういう問題については、われわれとしては商調協を通じ、あるいはわれわれ自体も厳重に監視しながら調整していこう、こういう考えに立っております。  それから第二番目の中小企業、零細企業の従業員の福利に関連する問題にもなりますが、確かに大型店との間にまだ格差がございまして、働く一月の日数、休業日数にいたしましても、あるいは閉店時間等についても、いろいろ差はあるようであります。しかし、大体いままでの通念では、デパート、大型店は六時に終わる、それからスーパーも大体同じころ終わって、それから中小零細小売店が八時ないし九時ごろまでやって、そのあとのお客さんを引き受ける、そういうような慣習的ないままでの時間帯があったと思います。やはりそういうものは原則として尊重さるべきではないか。それから従業員の問題については交代制でやるという問題もございます。当直あるいは直制度によりまして二交代でやるとかなんとか、いろいろございます。そういう面につきましても、零細小売店につとめておる従業員の福祉というものにつきまして、私たちはよく注意をいたしまして、格差ができるだけ起きないように努力してまいりたいと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで局長にお尋ねをしますが、いま大臣のお答えになられたような面、法律に明記していますというけれども、具体的には明記してないですね。いわゆる商調協云々と言われておりますけれども、そういうことをしなければならない。「閉店時刻及び休業日数」として第九条以下それぞれ書かれておるわけでありますが、結局その中で、通商産業省令で定めるその時間の範囲内であれば届け出は必要ない、それを越える場合についてはその届け出をしなければならない、こういうような形、表現は逆でございますけれども、そういうように書かれております。通産省令で定める基準というのはどのような基準を考えておるのか、これは法律を審議する際非常に重要な意味を持っておるわけです。現行の百貨店法以下ではいけないし、むしろ時代が進展しておるわけですから、週休二日制がいまやまさに大規模企業においてはほとんど定着しつつある現況の中で、通産省令をつくる基準としてどこにそのめどを置いておるか、この際ひとつ説明してもらいたいと思う。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、いままでの運用よりも、より国民福祉的かつ地域融和的な基準にする方針でございます。私どもが法律実施後省令できめる基準といたしましては、時間のほうは夕方の六時がいいか七時がいいか、現在そういう議論をして資料を集めております。かりに六時ときめますと、それ以降まで閉店時刻を延ばす人は届け出てもらって事情を審査する、こういうことでございます。  それから休業日数のほうは、二日以下にするなんということはもちろんございませんで、その基準を二日にするか三日にするか四日にするかという問題でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 その二日にするか三日にするか四日にするかということでございますというところが問題であって、私も先日ある雑誌に週休二日制を調査して発表いたしておるわけでありますが、今日大企業においてはほとんど週休二日制になっておる。しかし、今日の商業界における現状の中で即週休二日制にいくということはなかなかむずかしいわけでございますが、いかにして経営者、従業員とも消費者サービスをしながら、その健康と周囲の環境に適応した営業をしていくかということについては、細心の注意を払わなければならない時期に来ていると思うのです。それに対する政府の指導というものが非常に大きな役割りを果たしていくと思うのです。  そこで私は、一つの具体的な例として、現在行なわれておる週休二日制、これは大型店舗等において、百貨店等においても採用されておるところがございますが、それは先ほどお話がございましたように、交代に休むとかいろいろな操作が行なわれておるわけでございます。交代して休むということは結果的に店をあけておるということでございますから、先ほど来質問した趣旨における意味を何ら持たない場合等もあります。一斉休業というものが必要だと思うのであります。今日的にいえば、そのことが非常に重大な意味を持っておると思います。私はそういうことを前提としながら、それぞれの届け出に基づいて営業していかれるところにおきましては、毎週一回必ず一斉休業制を採用させる、それから平日の営業時間については六時までにする、土曜、祝日については六時半まで、中元や年末については七時まで、これらを最低基準にして省令を定められてはどうか。ただ、中元であるとか年末であるとか、きわめて商業活動に忙しい時期があるわけでございますが、これらの時期については若干休日を縮小することもやむを得ないのではないか、こういうぐあいに考えるのですが、この点についてのお考えをひとつお示し願いたいと思うわけです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 ただいま先生から御指摘のあった点もごもっともかと思いますので、十分検討してみたいと思いますが、ただ、この場合の省令は大型の小売店のみならず、その他の寄り合い百貨店あるいはテナントとして入った中小小売商業者も対象になるということも判断に加える必要もございますし、あるいは周辺の中小小売商といたしましては大型店舗の休日日数が多いほうがいいという立場もございますが、反面、昨年の二月に中小企業庁で調査いたしました消費者の意識調査の結果では、どうも年中無休、それから一週間に一日ないし二日あるいは週休制がいい、この三つのカテゴリーに分けまして大体消費者の意向というのは三等分されておるといったような事情もございますので、さような要請を勘案いたしまして前向きに検討いたしたい、かように考えます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 いまの答弁のとおりひとつ前向きに検討していただきたいと思うのでありますが、そういたしますと、現在の法律の中で営業しておる方々の問題が発生してくるわけであります。いわゆる法律は、届け出によって、事前審査をして許可をされた人たちに対する一つの指導方針ということになってこようと思うのでございますが、現在までの方々に対してはどうやるのか、これも当然いまの御説明の範囲の中に含まれていると解釈していいのかどうか。これをひとつ答弁願いたいと思うのです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 既存店舗の休日につきましては二つの立場があるかと思います。一つは現状についてどう考えるかということと、いま一つは今後既存店舗がどのような動きを示すか、二つの場合に分かれると思いますが、後者の場合には、当然本法の規定が適用になるわけでございます。前者の現在の休業日数あるいは営業時間についていかに扱うかということにつきましては、本法の立案、検討の段階におきまして、率直に申し上げて二つの意見があったわけでございます。一つは、一応何はともあれ平穏無事にきておるんだから、現状のままでいいじゃないかという考え方と、いま一つは、やはり新しく開店する大型店舗とのバランスの問題あるいは商店街の秩序といったような立場からの問題、さような点からはむしろ調整を加えるべきではないかという二つの意見があったわけでございますが、現在われわれといたしましては、少なくとも行政指導によって一定期間たった後には、新しい店舗と同じく時間、休日等についても調整の対象として考えていきたい、さような考えになっております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 それではその一定期間とは一体どの程度を予測しておるのか。いわゆる三月も一定であるし、半年も一定であるし、三年も一定でありますが、私はそう長い時間を置いて指導するということでなくて、できるだけ短い時間の中においてその指導の効果をあげるべきではないか、そのことのほうが営業活動の平均化、平衡化といいますか、そういうことをはかる上できわめて重要だと思いますので、その点についていま少しく御答弁をいただきたいと思うのであります。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 大体一年以内と考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私どもの予測した答弁は半年以内、こう考えておったのですが、若干延びがあるようです。これはひとつできる限り短くするように御努力を願いたいと要望しておきたいと思います。  そこで、政令都市と地方都市と、現在これらの問題については区別が存在しているわけでございますが、今新省令においてはこの区別は撤廃してもいいのではないか、こう思うのであります。それらの区別が、現実の問題として、方々の都市においてはもう存在しなくなっている。いわゆる地方都市である、政令都市であるといってみても——たとえば川崎市が今度政令都市になりました。しかし、千葉市がまだ政令都市になっていないといっても、そこの間にはそんなに大きな違いはないと思うのであります。政令都市、地方都市という概念ではなくして、実情に適合した形の中において逐次その区別は廃止していくべきではないかと思うのですが、この点はどう思いますか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 現行百貨店法におきましては、御指摘のとおりに、いわゆる政令都市としからざる都市と区分いたしておるわけでございますが、これは一つには、やはり両地域におきまして小売商なりあるいは消費者の慣行に差があるということと、それから戦前からございましたいわゆる旧百貨店法におきましても、そういった地域区分をとっておったのを踏襲したものと思います。したがいまして、今後の問題といたしましては、現行百貨店法が制定になりました三十一年当時以降現在に至るまでの事情の変化あるいは現状を踏まえまして検討してみたいと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで大臣に次の質問をいたしたいと思うのでありますが、本法律案によりますれば、第十四条、第十八条から第二十一条に、営業の停止以下いわゆる罰則の規定があるわけでございますが、この法律が真にその意味を持ち、冒頭来質問申し上げているとおりのような趣旨に基づいて運用されるためには、この罰則規定がどのように的確に運用されるかということが非常に大きな意味を持つと思うのであります。このことの持つ意味は、前回の小売商業振興法に比較いたしますと、きわめて明快かつ微細にわたっておりますので、その内容については、私はとかく申し上げるのではございませんが、運用については、非常に重要な意味を持ってくると思うのです。いわゆるこの運用が不十分である場合におきましては、法律は単なる精神条項になってしまうわけであります。いわゆるざる法、しり抜け法、こういうことになってくるわけでございますので、これについて大臣は、どのようにこれらの条項の運用をはかっていかれる考えであるか、その決意を具体的にお示しを願いたいと思うのです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 御指摘の点は、今度の法案の中でも非常に重要なポイントでございまして、いわゆる許可制から事前審査制に移りましたそのうらはらの関係で、こういうような厳重な罰則等をやっておるところでございます。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕 特に営業停止処分というのは業者にとっては非常に痛い処分でもございますし、また、罰則における罰金の金額等もかなり上げておるわけでございます。これは非常に重要なポイントでありまして、やはりその地域における営業活動の調整を大中小おのおのの小売店において行なうという場合には、通産省が目を光らせておいて、そしてそれらの実態を常に把握しつつ違反を起こさせないということが協調をもたらす一番のポイントでございますから、もし違反が不問に付されるとか、看過されるというようなことになれば協調は不可能になります。そういう意味において、これらの罰則その他は厳重に励行していきたいと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 いまのような大臣のお考えでこの法の運用がなされていくわけですが、ここで心配になることは、このようなきびしい内容を持ったこの法律案が施行される前に、これらの処置を免れるために、いわゆる新増設に対するかけ込み申請というもの、あるいは申請をしないで法のすれすれの段階の中でそういう新増設というものが行なわれると思うのであります。したがって、これに対する歯どめをかけなければ、新しい法律が施行されるまでの間にそれらの地域の中においていろいろな形でより多く弊害を発生してくる可能性があると思うのでございまするが、これについては企業局長名によるところの通達が出されております。私はこの通達を読ましていただいたのでありまするが、このような通達は通達の意味としてまことに弱いのではなかろうか、こういうぐあいに感ずるわけであります。したがって、このような通達の精神は、この法律が施行されて運用されるに至る間においては、いままで行なわれているいわゆる事前審査に類した行政指導をあわせて行なう、こういうようなことでなければ、かけ込み増設というのですか、そういうことに対して歯どめができないのではないか、このように危惧するのでございまするが、これは局長でけっこうですからひとつ答弁願いたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 現在各都市におきましてスーパーあるいは大型店舗が、百貨店法ではなくて、従来の通達の対象になるようなものが方々で建てられておりまして、それが現地で問題になっておる、これは相当にございます。  そこで六月十二日に、いま御指摘の通達を出したわけですが、私どもも一片の通達で事が解決するとは思っておりませんので、これについては、ちょうどこの法律が、かりに御審議いただいて今国会で通れば、六カ月の経過期間がありまして、来年の一月ごろから実施になる、そしてここの条文の経過規定にもございますように、建物を建てる人はさらに六カ月、小売の人はさらに四カ月というようなことで、来年の二月、三月、四月、五月、この辺が移りかわりの時期でございます。ことしからその辺にかけまして、私どもは不当なかけ込みというものがないように行政的に全力をあげたいと思っております。現在私どもが集めておる情報では、なるほど各都市でやっておりますが、一つは地域の小売業者、あるいは場合によっては消費者にもですが、かけ込みの印象を与えていたずらに不安を巻き起こしておるが、進出側の意図は実際にはかけ込みではない、こういう場合も相当にあります。  それからもう一つは、従来の通牒で届け出も出さず、違法——違法ではなくて、通達にも反してかってにこそどろのようにかけ込んでいるという例はございませんで、きちっと届け出はしております。少なくともことしの十一月、十月あるいは九月に開店予定でやっておる人は、みんな届け出をしてございます。ただ、中には来年の十月とか、来年の九月に開店予定で、その前宣伝のために地元で問題が起きておるものがございます。そういう方々も届け出を出したあとは、通達に従って、地元の各種の懇談会なりで協調、話し合いをしてもらっております。  最後の結論的に先生がおっしゃいましたのは、私は経過規定の運用に関する面で、第七条だと思いますが、私どもは、もちろんその経過期間、百貨店はきちっと従来どおりやってもらうとともに、スーパーにつきましても、通達はその間も守ってもらうという方針でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、いま言われたような点について、ほとんど問題がない、届け出が行なわれながら新増設が行なわれている、こう言われるわけでございますが、多分に、いま行なわれつつある新増設の動きの中に、法律が成立した段階において当然許可されないであろうと予測しながら急いで新増設をしている、こういうものが皆無ではないと思うのでございます。いまそんなことはございませんという答弁でございますが、たとえば江東区大島地区において目下ダイエーが増設しようとしている店舗は九千八百五十平米というような、ほんとうに気持ちだけ一万平米を切ったような形の中で新店舗の増設を急いでおるわけであります。昨年末来この法案が提案されるであろうといわれている状況の中でこの申請がなされ、地元が大反対しながら今日まで来ているわけであります。幸いに商調協に類した機関の中で討議が進められつつあるようでございます。私は、この結論をいまここで具体的に内容まで明らかにしてどうだこうだという時間的余裕がございませんので、要望しておきたいと思うのでありますが、このような一つの問題に対しましても、先ほど来答弁があったような精神に基づいて、付近住民ないし付近消費者ないし付近小売店舗、商店会、専門店会その他の方々の意見を十分徴しながら適切な処置をひとつしていただくよう、これは要望を申し上げておきたいと思うわけであります。  そこで、そういうような形の中でいまかけ込み新増設等々が行なわれる可能性を持っていますので、それに対する処置を厳格にしていただくと同時に、私は山下局長が日経流通新聞に流通対談として書かれてあるものを読んだのですが、これは公式の場所でございませんから案外真意がそのまま伝わっていたのかどうかわかりませんが、この文章を見た範囲内における感じとしましては、本法を運用していくについてきわめて柔軟性があるというか、弱いというか、そういうような気がしてならないのであります。いわゆる法の運用は、厳格にすることによってむしろ全体的な利益をはかることができる。先ほど来大臣も答弁しておられるし、私もそのとおりで質問しておるわけでございます。私どもはそうだということで、当初この法案は絶対反対だと言っておったのが、審議の経過の中でその態度をきめていこう、こういうように変更してきておりますのもそこにあるわけでございます。したがって、当面の責任者である企業局長の本法運用にあたっての決意をひとつこの際聞いておきたい。いたずらに誤解を招きますので、決意を明らかにしておいていただきたいというのが一点であります。  もう一つは、大臣に質問をいたします。あとの時間の問題がございますのでもう一点しか質問できませんので、要望を含めた質問を大臣にいたしておきたいと思います。  この法案が結果的に大規模小売商業の云々という形の中で中小小売商業者の利益を守りながら消費者の利益を守り、かつまた大型小売商業者の利益をも守っていく、こういう形の中で提案されておるわけでございまするけれども、私どもが一番心配するのは、中小零細企業、なかんずく零細小売商業者対策というものに対して、この前の中小小売商業振興法において落ちこぼれて、あの対象にならない層、あの法律の対象そのままではどうにもならないような層がたくさんあるわけでございますので、こういう部面に対して積極的な対策の拡充をはかっていくべきではないか、こういうような点を私は強く、この法律案の内容を検討する中で感じたわけでございまするが、大臣のこの面についてのお考えをひとつお聞かせ願いたいと思うわけであります。  さらに、流通近代化の問題は、今日的課題としてきわめて大きいわけでございますので、この課題に取り組む通産当局の姿勢はもっともっと強化しなければならない。さっき商業局という提案も私いたしておりまするが、この点については、法律の運用についていま一度大臣の決意をこの際お聞かせをいただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 御指摘のように零細企業の対策という問題は非常に重大な問題で、ややもするとわれわれはなかなか手の届きかねる場面でございます。先般の中小小売商業振興法の際にもいろ  いろ御質問いただきましたが、あの法案の中にも、金融やあるいはその他の政策面においてそれに配意しているところもございます。何といっても、ちょうど毛細血管のように、各町々等におきまして一般のお客さま、消費者の需要を一番満たしておるのは零細小売商業でございます。肉屋さんにしても魚屋さんにしてもあるいは薬屋さんにしても、一々デパートに買いに行くということはまれな例で、大部分は町かどや自分の近所のそういうところでやっておるわけでございます。したがって、これらの零細小売商業といわれる店舗が経営を充実さして、そしてサービスをよくするかどうか、新鮮な安い商品を提供できるかどうかということが消費者の福祉にすぐつながってくる問題でもあり、また、小売零細企業が発展する基礎にもなってくるわけでございまして、大部分の国民生活というのはその場面で行なわれておる。また、それによって国民の大多数が働きがいのある生きる場所を提供されておるわけでもあります。従業員の数にいたしましても同様でございます。  そういう認識に立ちまして、先般来事業主報酬制度であるとか、そのほか諸般の政策をやってまいりましたけれども、われわれとしては、そこに実際の中小企業政策を行なう重点があるという認識を持ちまして、本法案を運用するに際しては細心の注意をもってやっていきたいと思っております。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 法が通りました際に、実定法を厳格に施行するという心組みでは人後に落ちないつもりでございます。御指摘の座談会等においてどういうニュアンスが出ましたか、場合によっては消費者の利益とかあるいは流通近代化ということも私の念頭にあります範囲で出ているかもしれませんが、法律の拘束的な規定は厳格に実施する、そして私自身、この法律の根底が小売業における大きな格差があるという事実から出ておりますので、その格差は協調的に是正していくべきものだ、むしろ中小小売業者の近代化、レベルアップということに通産省はじめ政府は全力をあげるべきだと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 それでは、公取が来ておりますので、通産当局に対する質問を終わりまして、公取に対して若干質問したいと思うのであります。  いまお聞きのとおり、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案は、あなたも聞いておられるような趣旨のようにこれから審議が続けられるわけでありますが、私は公取にお聞きしたいことは、この法律を運用するに際して、いままでいわゆる昭和二十九年に百貨店における不公正取引の特殊指定が行なわれているわけであります。この問題について最近の実情はどうなっているか、時間がございませんので簡略でよろしゅうございますから、ひとつ御説明願いたいと思います。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 昭和二十九年の十二月に百貨店業につきまして特定の不公正な取引方法を告示で指定しております。それでこのおもな内容は、いわゆる手伝い店員あるいは不当返品の問題等がございますが、この告示の第六項で、原則として手伝い店員は不公正な取引方法として禁止される。ただし例外がございまして、特殊な技術、能力を有する者、そういう店員については除いております。  それからまた、不当返品につきましても、百貨店が購入した商品を理由なしに返品することは特殊指定の第一項で原則的に禁止をされております。しかし、これも例外がございまして、納入した商品がきずもの、あるいは納入した商品が注文した商品と違うといったような場合においては許容されているわけでございます。  それで、手伝い店員の現況でございますが、四十八年一月現在におきまして、百貨店でございますが、全国で二百七十二店舗を調査いたしました。それで従業員数の合計が二十一万六千二百七十九名、そのうち手伝い店員が四万二千二百三十名というふうになっておりまして、全従業員に対する比率は一九・五%ということになっております。  それからなお不当返品の関係でございますが、四十六年の十一月から四十七年一月の三カ月間の全体の返品の状況は、平均で総仕入れ金額の九%、うち衣料品が最も高くて一三%というふうになっております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 この法律が施行された際、いわゆる昭和二十九年において不公正取引に対する特殊指定が行なわれているにもかかわらず、なおかつ今日このように二十一万人に対して四万二千二百三十名というような多くの手伝い店員がおり、返品があるという事実の中で、これからますますその数が多くなっていく可能性を持っております。公取も近ごろあちらこちらで忙しくてたいへんだろうけれども、これらの問題に対して厳格に対処していく、こういうことは絶対必要ではないか。特に同じ店舗の中における手伝い店員と本店員との持つあらゆる格差、そのことによって発生する職場内の空気、こういうものがもたらす消費者に対する不利益というものは非常に大きなものがあろうと思うのです。今日そのことは特殊指定を行なって指導しているにもかかわらずなお減少していないということについては、公取としては一大奮起をひとつ私は要望したいと思います。そこで、これらの問題について十分なる取り組みをしていく決意があるかどうか、この際もう一度質問をしてみたいと思うのであります。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 従来も再三にわたりまして業界の自主的な改善努力を要請してまいりました。ことに四十五年十一月には百貨店業者に対して改善するよう強く警告をいたしております。その後も三回にわたりまして百貨店から改善計画書の提出を求めて強力に改善方を指導しているわけでございますが、今後さらに百貨店に対してはより一そう強力に改善指導していくという方針でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 以上で質問を終わりますが、大臣、局長並びに関係者は、本法律の成立が一日も早からんことを待っている多くの人たちがあることと同時に、また、本法律が成立したことによっていろいろな面における弊害が発生するのではないかと心配している多くの人たちもあることをよくお考えの上、ひとついままで私が御質問申し上げました趣旨を尊重せられて、積極的に取り組みをしていただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。     〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 お許しを得まして、ただいま審議されております法案について、若干の質問をいたしたいと存じます。  きょうはまことに珍しいことに、委員さんの数よりお客さんの数のほうが多いようですね。欠席の多いのは何党でございましょうか。これほどお客さんが多い、一言もしゃべらずにもう一時間の余もじっと聞いてみえるということは、この法案に対する国民の熱意がいかに大きいかという何よりもの証左だと私は思います。  それほど国民が注目をしている法案でございますので、まず大臣にお尋ねしますが、昭和三十一年五月二十三日、忘れもいたしません、この法案を審議いたしました。そうして、この法案が通過いたしました。それ以後、通産省としては、この報告の徴収をどの程度受けておられますか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 法律に基づく開始あるいは廃止の報告等すべて受けております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 罰則の適用は、あれから十数年たっておりますが、どの程度行なわれましたか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 罰則適用の事項がございませんで、適用は皆無でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 それでは、百貨店法に対する違反行為は過去十数年の間何もなかったと認識していらっしゃいますか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 御承知のように、面積、営業時間等々につきまして、このままでは法違反になるおそれのありました場合が皆無ではございません。幾つかございましたが、幸いにして当事者側が変更、訂正等をして、違法事項にならずに済んでおります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 それでは注意、勧告その他通産省としての指導の任務、それをどの程度適用なさいましたか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 文書による警告等はございませんけれども、口頭による、あるいは出頭を命じまして注意、警告を発したことはございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 私はあえて特定固有名詞を聞こうとは思いません。信用を最も大事とし、伝統を重んずる百貨店のことでございますから、固有名詞を聞こうと思いませんが、本省が見るに見かねて注意を発したとか、呼んで注意をしたとか、勧告したという例が幾つぐらいございますか。件数にして何件くらいですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 お尋ねが三十一年制定以来でございますので、正確にはいま申し上げられませんが、大体年に一、二件の程度と御了解いただいていいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 その結果は、その注意が完全に守られ、悪かったことが改められたと認めていらっしゃいますか。それとも、いまなお続いているとお認めでございますか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 私どもの入手しております情報に基づく認識では、全部訂正されておると思います。もし訂正されておらなければ、これが違法になるようなケースもございますので、その点はそういうぐあいにチェックしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 公取の答弁とたいへん矛盾した答弁をいただきました。  私は、本法について、見方を消費者の立場からながめてみたいと思っております。これを大企業小売店と小規模小売店とのシェアの競争であるとか、あるいはシェアの拡大であるとか、縮小であるとかという見方もあるようでございます。私は、そういう見方もけっこうだけれども、何より大事なことは、消費者を守る、そして商業活動を正常化する、流通機構を正常化するということで、これが何より大切なことではないかと思います。したがって、その立場から、私はかつて百貨店の協会の会長でいらっしゃるお方、あえて名前は差し控えますが、そのお方に質問をしたことがございます。答えられましたことは、伝統的に正しい商法によって、よい品を適正な価格で販売する、こういうことに努力したい、お客さんに対しては楽しい買いものが安心してできるよう、万全の体制をとるため鋭意努力する、こういうまことにりっぱな、どこからながめても欠陥のないおことばをいただきました。そのために何をなさいますかと言ったら、諸法令に基づく表示の適正化、計量の適正化、商品包装の適正化、商品検査体制の整備、公正な競争ルールの確立等々とおっしゃられました。これもりっぱなことでございます。そして、取引の改善対策から、百貨店の体質改善ということまでおっしゃられました。これもけっこうでございます。  しかし、どうもおっしゃっていらっしゃることと実際とは少しかけ離れている点があるようでございます。なぜかならば、この法案をさきに審議いたしましたおりに、三十一年五月二十三日、このときに私は再三申し上げました。せっかく国民経済の健全な発展に資するためにこの法律が施行されるとするならば、ぜひやってもらいたいことがある。それは止め柄であり、それは不当な返品であり、それは中小零細商業との格差を拡大するところの手伝い店員である。これをこの法案の中にうたい込むべきであると、私どもは修正案を出しました。にもかかわらず、それは法案にうたい込まなくても、りっぱな方々ばかりであるから自主的にそれは守らせるべきである、そのほうがより法案をりっぱなものにするゆえんであるというスコラ哲学方式によって、わが党の提案は法案の中には盛られなかったけれども、必ず実行に移しますというかたいかたいお約束をいただいておるのでございます。にもかかわりませず、あれから足かけ十八年です。依然としてそれは守られておりません。公取さん、もう一度手伝い店員の数字をそこで発表してください。もう一度認識さしてください。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 これは四十八年一月現在の数字でございます。これは二百七十二店舗の百貨店の合計でございまして、従業員数が全体で二十一万六千二百七十九名、うち手伝い店員が四万二千二百三十名ということでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 お聞き及びのとおりでございます。二十一万に対して四万、これは約二割余でございます。依然として行なわれている。このことを私は百貨店協会の会長さんにお尋ねいたしました。そうしたら、まさにこれは私どもの恥部でございますとおっしゃられました。恥部を探り出して聞くほどこちらもやぼじゃありません。しかし、恥部を隠すだけでは体質改善にはならないでしょう。大臣、この点いかがでございますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 二十一万の店員の中で四万人の手伝い店員があるということは非常に数が多いし、営業行為自体正常ではないと思います。この点につきましては、新しい法律施行に際しましていろいろ注意していきたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 この四万人の手伝い店員は労働者でございます。この労務管理は、だれが、いつ、どこで行なえることになっておりますか。労働省にお尋ねいたします。

吉本実労働省労働基準局監督課長

○吉本説明員 手伝い店員の労務管理の問題でございますが、私どもの四十六年に調査した現状から申し上げますと、労働条件を明示するのはだれであるかという点になりますと、これは数字で申しますが、派遣元の管理者が示すのは約八割強ということになっておるのでございます。それから具体的な現場におきます作業指揮とか、あるいは出退勤の管理等につきましては、過半数以上は派遣元のところで行なっておるというのが実態でございまして、いろいろの実情によって違っているというのが現状でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 実情によって違うというような答弁では、私が次にお尋ねいたしますことが発生したときにどうなさいますか。すなわち、労働基準法違反が行なわれたら、これはだれが責任をとるのですか。

吉本実労働省労働基準局監督課長

○吉本説明員 実情、つまり作業指揮の実態あるいは賃金の支払い、そういうところの実情に応じまして、具体的な管理者がだれであるかということを基準にいたしましてその者を使用者とし一手伝い店員の労働者の労働条件の確保をはかるというようなたてまえで臨んでおります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 いまあなたは派遣元で管理するのが八〇%ぐらいある、こういうお答えでございました。遺憾ながら、私の質問をあと一時間じっと聞いてください。そうすると、派遣元では管理ができないということがよく御理解いただけます。  先ほども話が出ましたように、止め柄から返品から、大体品物を納入する側は、もはや百貨店にしてもスーパーにしても主導権がないのです。したがって、ここが超勤をやらされたり、あるいはその他労働基準法違反のようなことをやらされても、派遣元ではそれに対してクレームをつけることができないのです。一方的返品であれば、商法第五百二十四条違反によって倍額請求のペナルティーがつけられるはずなのに、それを指導する通産省はいままで一度もやったことがないと言っている。そうでしょう。やったって効果がないからなんです。そこに金力と組織の大きな格差があるからなんです。派遣元が、どうしてデパートに働いている派遣労働者の管理ができますか。どうやってするのです。もしあなたが派遣元の社長であったならば、商品納入元の専務であったら、あるいは労務担当の重役であったならば、大きなデパートで年末年始に忙しい——ちょうどいままたお中元売り出しでたいへん忙しいが、そこへ出張しておる店員の労務管理はどうやってやるのです。お教え願いたい。

吉本実労働省労働基準局監督課長

○吉本説明員 先ほど私が実情を申し上げましたのは、その調査の実態でございまして、実際の作業指揮なりあるいは賃金の支払いあるいは超勤の命令者というものがだれであるかということによって使用者として見る、こういうふうなことで判断をしておるわけでございます。したがいまして、いま御質問のように、すべてが派遣元だということをとっておるわけでございませんでして、一つの事柄について使用者としての役割りが派遣元にもありますし、それから派遣先のデパート、スーパー等にもある、こういうこともあり得るわけでございまして、その限度において適正な指導をしていかなければならない、こういうように思うわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 私はおっしゃられる意味がよくわかりません。私が派遣側の労務管理者であったとするならば、私はあえてこう申し上げたい。とてもじゃないが私では手が届きません、労働基準法違反があっても、それに対してクレームをつけることはできません、と言うてもなかなか聞いていただけません。だから、できるならば、手伝い店員の労務管理はその働いている場所の方にしていただくと同時に、したがって、そこから発生するところの違反案件に対する責任は働いている場所のほうで持っていただきたいというのは当然の言い分だと思いますが、これについて労働省としては将来どのような指導をなさる御予定ですか。同時に、この案件は通産大臣にもお尋ねいたします。なぜかならば、いまやデパートよりスーパーのほうがはるかに売り上げが多いというような巨大なマンモススーパーも出来しているからでございます。

吉本実労働省労働基準局監督課長

○吉本説明員 ただいまのようないろいろな派遣店員等の雇用関係の複雑な形というものが最近いろいろな形であらわれているということは先生も御承知のとおりでございますし、本件につきましても同様でございます。そういう意味で、先ほど調査結果から見て実態に応じて判断すると申し上げたわけでございまして、実際の作業指揮なりあるいは時間外労働の命令なりというものは、派遣先にありますればその限度において使用者としての取り扱いを受けるということにもなりますし、その場所あるいはそのときによりましていろいろな態様がございますので、その上に基づきまして判断をする、こういうふうなことでございます。したがいまして、第一義的には、一体どこがその契約なり、あるいは具体的な労務の指揮をするかというところを根拠にいたしまして、そういった形の指導をすると同時に、それに違反した者に対しましては、基準法の線に沿いまして是正をはかっていく、こういう形で臨んでまいりたいというふうに思っております。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 この点は独禁法に関する問題で、有利な地位を利用して弱い者にいろいろ不当な行為をやらせる、そういう条項に該当する問題であると思います。通産省としましては、百貨店協会に対して、こういう派遣店員のような制度をやめるようにだいぶ指導したようでございます。百貨店協会におきましても、委員会をつくってそれを自粛するように努力したらしいのですけれども、御指摘のように、二割前後はまだおるようであります。これはまことに遺憾な事態でありまして、いまの独禁法の精神から見ましても、また、使われている派遣店員の身分や福祉の面から見ましても、これはできるだけ早期に解決しなければならぬと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 私も同じような意見でございます。  ところで、まだこの百貨店とにわかにできましたスーパーと比べてみますと、労働基準法の立場からいけば、どちらかといえば、私どもの調査によっても、百貨店のほうが労働基準法をより順守しておるように見えます。私どもは、本法案は重要な法案でございますから事前調査をいたしました。関西へも九州へも飛びました。関東はもちろんでございます。関係地区をずっと調査いたしました。そこで知り得たことでございますので、根拠のないことを申し上げているのではございません。もし労働基準法違反がスーパーで起きたとすると、そのときの責任は、出張店員を出したほうに責任があるのか、これをもらい受けて、自分の職場でこの人を使ったスーパー側、百貨店側にあるのか、そのいずれかをはっきりしていただきたい。

吉本実労働省労働基準局監督課長

○吉本説明員 基本的には、先ほど申し上げましたとおり、労働の実態、その作業指揮の実態に応じて判断するわけでございますが、基準法の諸条項を大まかに考えますと、たとえば労働時間関係とか、あるいは安全衛生の関係のように、そこの職場で具体的な作業に関連して出てくるというふうなウエートの強いものにつきましては、派遣先でこれを取り扱うべきであるというふうに判断しますし、それ以外の点につきましては派遣元が取り扱うべきであろう。いずれにしましても、先ほど申しました基本線に基づきまして使用者は判断していく、こういうたてまえでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 本件につきましては、労働専門のわが党の委員がまた追ってこれを深めていきたいと思います。  私がなぜこういうことを聞かなければならないかというと、それは百貨店協会の会長さんも言うてみえる。消費者に対して、快適な雰囲気の中で楽しい買いものが安心してできるようにする、こうおっしゃってみえる。その場合に、労働者が不満でぷんぷんしていたら、売ってやるがな、こういうような態度であったならば、消費者は王さまというこの百貨店協会の会長のおことばは、むなしいものになるからでございます。うそになるからでございます。百貨店のようなおえらいところの会長さまがうそをおっしゃってはいけないでしょうね。  そこで次に、経企庁来ておりますね。百貨店のマージンは何ぼくらいあるといいでしょうか。小売商店のマージン、百貨店のマージン、スーパーのマージン、平均してどれくらいが適当であるとお考えでございますか。

小島英敏経済企画庁物価局長

○小島説明員 百貨店のマージンにつきましては、ただいま大あわてで資料を調べましたところ、四十六年度下期の数字、これは日銀の経営分析でございますが、売り上げ高純利益率で三・〇三%、四十七年度上期の同じく数字が二・七二%ということでございまして、その他のスーパーと小売店につきましては、ちょっと担当官が席をはずしておりまして至急の間に合いませんでたいへん申しわけございませんが、推定いたしますところ、百貨店のマージンに比べますと、商品の構成等から考えまして当然より低いというふうに考えております。  それからもう一つのお尋ねのマージンがどれくらいであるべきかということにつきましては、なかなか個々の業種の適正マージン率というものがゾルレンの数字として何%であるかというような数字はどうも算定しにくいものであるというふうに考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 算定しにくいということは妥当性がないということである。私の聞いているのは純利益を聞いているのではございません。もう一度お尋ねいたします。仕入れ原価一万円のものは店頭に並べるときに幾らと正札をつけると適当とお考えでございますか。

小島英敏経済企画庁物価局長

○小島説明員 同じように何%が適当であるかという数字は私ども判断いたしかねるわけでございますけれども、現実の数字といたしまして、同じ経営分析の売り上げ高総利益率というものがいわばグロスマージンでございますけれども、この数字は四十七年度上期の数字が二二・七七%、約二三%ということになっております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 その二三%はデパートですか、スーパーですか、小売ですか。私はデパート、スーパー、小売と仕分けしてお尋ねしておる。

小島英敏経済企画庁物価局長

○小島説明員 百貨店の数字でございまして、スーパー、小売につきましては、先ほどと同じ理由によりまして、ただいま持ち合わせておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 わかりました。それ以上のものがあったら、どうしますか。

小島英敏経済企画庁物価局長

○小島説明員 どうしますと言われましても、この総マージンにつきまして、役所が直接規制する立場にないわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 何ぼ値をつり上げても役所は知らぬ顔をしている、こういうことでございますね。

小島英敏経済企画庁物価局長

○小島説明員 独禁法その他の法律に基づいて適正な業務を行なっている以上は、マージンの位置につきまして直接規制する立場にないということが一つでございます。  それからもう一つは、この百貨店の場合は直接考えられませんけれども、先日御審議の上、最近成立いたしました、略称投機防止法の関係等で不適正なものがございます場合には、これはその観点から規制の対象になるというふうに考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 独禁法のことは、公取さんが来ていらっしゃいまするから、あとで公取さんに聞きます。  経企庁としては、国民生活、国民の経済を総合的に集約し、判断し、指導しなければならぬ任務があるはずです。あなたは、先ほど約二三%とおっしゃられました。私は、この案件について、百貨店協会にあした聞くつもりでございます。さきに聞いた数値を私はここに持っております。百貨店のほうから聞いた数値です。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕 しかし、なぜこんなことを追及しなければならぬかといえば、実際に私どもが百貨店へ行って買ってみる、あるいは納入業者から聞いてみると、二三%、そんなものじゃございません。そこに問題がある。  では、あなたにお尋ねする。私は、ここにゆかたを一反持ってきた。これの原価計算をやってみましょう。これは着尺でございます。尺幅です。そうしてこれは大体三丈二尺ものでございます。中には二丈五、六尺ものもございますが、これは三丈二尺ものです。これは織り工賃は一反百円でございます。染め工賃も一反約百円でございます。ことしのゆかたは、スーパーやデパートで幾らに売っておりますか。次々と実物を出しますが、いま幾らで売っていますか。

小島英敏経済企画庁物価局長

○小島説明員 どうも個々の物につきましては先生ほど商品知識がございませんので、明確なお答えをいたしかねるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 私は、あなたを責めようとは思っておりません。ただ、国民が被害を受けることをおそれるものでございます。しかも、これをつくるメーカーのほうでは、先生、うちでつくって納めたものがどうして東京へ行くとあんなに高うなるのでしょうかという声は、魚屋さんもお百姓さんも、繊維をつくっている小機屋の方々も一様におっしゃることです。少なくとも原産地から出荷したときの値の三倍から五倍になるというのです。私は、いまゆかたが東京染めで幾らで、浜松染めで幾らで、名古屋染めで幾らであるかということはちゃんと知っていますし、それをどのデパートで幾らで売っておるかということも知っていますよ。しかし、それを言えば、何かマークしてそのデパートだけをいじめておるように逆に受け取られますから、そういうことはあえて申しませんが、生産者側の声をあなたに聞いてもらいたい。せいぜい五百円前後でできる。これを手ぬぐいにいたしますると十二本取りと申しまして、大体これを十二本に割ってみればようおわかりのとおりなんです。ところが、それより小さいハンカチが百円に売られておる。そうでしょう。そうすると何倍になりますか。  紋綸子でございます。これは一体幾らですか。幾らなら適当ですか。小売で売られるときに、幾らなら適当ですか。このネクタイは、皆さんもお買いになっていらっしゃる品物です。どうしてこれが四千円も五千円もしなければならないのですか。どうしてこれが一万円もしなければならないのですか。あえて私は買ってきたのです。どこにそれだけの値打ちがありますか。それは通産省のおっしゃるように、付加価値をつけるべきである。なるほどけっこうだ。付加価値をつけたら、付加価値をつけた人が利益をするというならわかるのです。付加価値をつけた人じゃなくて、これを仕入れるときには、たたいて買って、止め柄にして買っておきながら、この人が今度は付加価値を吸収するということになりますと、通産省の方針、それでよろしゅうございますか。紋綸子や紋ちりめん、京都から——いま委員長の席にいらっしゃるお方の郷里でもこれをつくっているわけです。去年の秋ごろでは一体幾らしていたか。匹でもって一万五千円、これは着尺でございまするけれども、三丈六尺ものでございます。匹ですよ。これがこの正月になったら一体幾らになりましたか。反で三万から四万円ということになったでしょう。それでは一体何倍になったのですか。七倍にも八倍にもはね上がったじゃございませんか。そのものは、ほんとうに品不足であったか。これです。品不足であったか。そうじゃございません。品不足ではないのです。紋綸子、紋ちりめんだけで一千万反の余できておるのです。これは普通の人では使わない生地です。これの需要者というものはごく限られた人なんです。一億の人が買ったとしても十人に一反買えるはずなんです。しかし、これは女性が使う生地なんです。女性も年ごろからの人だけで、赤ん坊、大学卒業前はほとんど使いません。お年寄りも使いません。これの需要人口からいけば、一人当たり四反から五反もできておるはずなんです。どうしてこれがそんなに高うなるのですか。七倍にも八倍にもどうしてなるか、私は、ふしぎでかなわなかった。ところが、娘が嫁入りするというときは、農村の人でも、せめて嫁に行くときぐらいは絹と名のつく着物を買うてやりたい、これが親心なんです。これを染めていって、どうしてそんな三十万も五十万もするようになりますか。だれがそうしたのですか。だれがそうさせたのですか。だれが値上げをさせたのですか。と同時に、犯人はだれであるか、物価値上げの犯人はだれであるか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 まあこれはやはり投機心理というようなものがあのころ非常に起きまして、それによって購買者の無知あるいは知識の欠如に乗じてそういうばか値が出てきたのではないかと思いますし、そういうことを厳重に規制し得なかった政府につきましても一半の責任があるように思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 まだまだこんなものは序の口です。全くそんなことは序の口です。ここに大島つむぎがあります。これは匹です。これが女性の柄になりますと七十万、八十万、百万という値になっている。どこにそんな値打ちがあります。私は自分に求めたのですから、あえて男柄を買うてきました。男柄にしました。確かに本場大島つむぎとなっております。私は沖繩のどろ染めも調べに行きました。鹿児島の生産地へもこれを調べに行きました。生産地から出るときに、これは百万も二百万も、そんな値はしておりません。十分の一以下です。どうしてこれが都会へ来るとそんなになります。だれがそうしたのです。問屋がもうけたのですか。生産地からスーパー、デパートに並ぶまでの間にだれとだれがおりますか。簡単なことです。  公取にお尋ねします。生産地から消費地へ来たら、内地をちょっと移動しただけで五倍にも十倍にもなる、そういうことは正しいあり方ですか。おたくの鏡に照らして見るとどういうふうに映るのですか。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 なかなかむずかしい御質問でございます。独禁法では、その価格が生産地から消費地に来るまでに高くなったというだけでは、これに対してどうこうということはできませんけれども、もしその間に不公正取引方法のような独禁法違反の行為があれば、その行為自体に対しては規制ができるというふうに考えております。おっしゃった場合、どういう行為が介在しているか、これはわかりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 具体的に申し上げましょう。私は京都の某デパートの店員でございます、京都へ行けばいい絹織物が買えるというので、北関東やら福島あたりの農協、経済連が団体を組んであそこへ連れていくのです、いいお客さんが、カモがネギをしょってきた、こう言うのです。これに対してどうするか。いいとき来ていただきました、あしたになったらこれはまた二割高になりますよ、ゆうべ夜業で正札をつけかえたばかりでございます、こちらの品物は夜業できょう正札を二割上げました、こっちの品物は正札がつけてございませんので、こっちのほうをどうぞお買いあそばせ、一夜に二割上がったということが何回も繰り返された。そこで、京都の婦人会の方々に、私どもが調査に行ったときに、ぜひこのことだけは政府のお役人さんに知らしてくれと言われた。わあっときてそう言われた。あのデパートさんというのは、もとのほうが上がらぬのに、新聞が上がったというと一週間のうちに正札を三回もかえてもいいのですかと言う。そのおかげで倍の値になっております、困りました、こんなばかなことがありますか。労働者の賃金を一割アップするのに長いことかかって、わっしょわっしょとおやりになる。それでもなかなか上がらない。しかし、デパートさんは、自分のところへ仕入れたものが、新聞が上がった上がった、品がすれだ品がすれだというと、とたんに二倍にも三倍にも上げていってよろしいものでございましょうか、デパートってそういうものでございましょうか、こう言うのです。そんなことをタクシー運賃でやられたらどういうことになるでしょうか、こういうことなんです。公取に承りたい。きょうこれは御婦人の切なる願いでございまするから、経済学を知らないお方にもよくわかるように御説明願いたい。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 これもなかなかむずかしい御質問で、いま直ちに違反になるとかならないとかいうことを確信をもってお答えできる自信はございませんが、先におっしゃった前の場合、あしたになったら価格が倍になるから、きょうお買いになったほうが得だ……(加藤(清二)委員「あしたになったら二割正札を上げます。正札を何回でも取りかえる」と呼ぶ)正札をかえること自体は、私はおそらく直に独禁法にはひっかかってこないと思いますけれども、ただ、あしたになったら二割上がりますからきょうのうちにお買いくださいといって、それがかりにうそである、虚偽であるとすると、場合によったら不当表示になるのかなという感じでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 場合によらなくても、あなたはどなたかに遠慮してものを言っているようにしか受け取れない。完全なる不当表示じゃございませんか。もっと突っ込んでいけば、交織物の大島をこれは全部一〇〇%絹でございますといって売っている店もある、完全に不当表示でしょう。鯨の肉を牛肉だと言って売ったらどうなる。それだけでもいけないといわれています。輸入牛肉は輸入牛肉と言えといわれておる。それを松阪肉だと言ったら、これは不当表示にきまっておる。当然のことでしょう。にもかかわらず、通産省は立ち入り検査もしない。どうなっておるんでしょう。おかげで物価はどんどん上がり、そのかわり田中内閣の人気はどんどん下がる。上がったものは物価で下がったものは内閣の信用である。しかし、それはごかってでしょう。しかし、そのおかげで迷惑するのが国民であるということになりますと、国民の怒りはもはや押えることができなくなってくる。御婦人の怒りは執拗ですよ。根が深いですよ。長く続くんですよ、これは。公取と通産省と両方の御意見を対策を含めて承りたい。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 先ほど場合によったらと申し上げましたが、もしそれがうそであれば不当表示になる疑いはございます。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 せんだっても羽織のひも、帯どめにつきまして家庭用品品質表示法で政令追加をいたしましたが、その理由も某百貨店における混織で問題を起こしたからでありまして、そういった不当表示等がございましたら、私どもも消費者の立場に立ちました法律、行政が多々ございますので、それぞれの分野において果敢にやっていくつもりでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 これは必ずしもデパート、スーパーだけのことじゃございません。デパート、スーパーがやるものだから、わしらももうけにゃ損じゃ損じゃ、どうせやるならやらにゃ損じゃ損じゃといって小売屋さんまでが同じように値をつり上げなさった。仕入れ値段は安かったけれども世間の空気を見ていて、とたんに小売商札を変えていきなさった。そのおかげで絹織物も綿織物も毛織物も上がった。おかげで東京の小売物価指数は、繊維を最高に前年度に比べますと一〇%から一三%余伸びておる、ここらに原因がある。とすると、物価値上げの犯人はだれだったのでしょうか。もはや答えは明らかです。私はデパートに内政干渉しようなどとはさらさら考えておりません。ただ、われわれは国民の代表なんです。国民の味方なんです。国民がみすみす損をすることを黙ってながめているわけにはまいりません。  次、この消費者保護、これをデパート協会の会長さんも最初にうたってみえる。どんなに法律が変わろうと、百貨店法の名前がどんなふうに変わっていこうと、やはり消費者保護ということが金科玉条、にしきの御旗になっているはずなんです。それが侵されているという事実をわれわれは認識してこの法案を審議しなければならぬと思います。具体的事実に立脚して、ぜひひとつ消費者保護の立場に立っていただかないと、通産省はやはり大企業の手先であると評価をされなければならぬ。これに対しての通産大臣の……。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 いろいろお話を承りまして、消費者の無知に乗じたり、あるいは欲望に乗じて不当に値をつり上げていくような行為があるということを教えていただきましたが、われわれのほうは大いに戒心してそういうことを起こさせないようにやりたいと思います。やはり情報を正確にお伝えするということが一番大事ではないかと思います。そういうような不当なあるいは不正な行為が行なわれるのも、無知に乗じてやるというようなことがあるように思いますので、それらの商品に対する正常な値段あるいはそれらの需給に関する情報をよく消費者にお知らせして、あまり心をはずませて先物に飛びつくような気持ちを起こさないような措置をすることがまず第一に必要であると思います。  また一面において、デパートあたりで、デパートというのはぜいたく品を売るところ、高級品を売るところというようなことに乗じて値を高くしていく、そういうこと自体が今日のデパートの精神に反しておる、大衆消費の相手になっておるのがデパートで、そういうデラックスなゴージャスなものを売るのはデパートの本旨ではなくなっておる、そういう面からもデパートに対して大いに自粛を求め、またわれわれは取り締まりをやっていきたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 物価構成を破壊すると申しましょうか、日本の物価の体系をくずすと申しましょうか、もっと端的にいえば、値上がりの原因がもう一つございます。  そこでそれについて申し上げますが、それが止め柄、返品というのでございます。公取さんはすでに御調査なさっていらっしゃいますから、あえて公取さんを追及しようとは思いませんが、この止め柄、返品ということは、足かけ十八年前、この法案を審議するときに私がここで声を大にして言ったことなんです。止め柄とは何じゃというやじも飛びました。おまえの口をとめたほうがいいじゃないか、こういうやじまで飛びました。これはたいへん不公正な取引だと思います。同時に、そのことは、納入する側から見ればたいへんな欠損になるわけでございます。自分のつくったものを不特定多数に売ってこそ利益が返ってくるはずです。同時にこれを多数に売ってこそ値は安うなるはずでございます。しかし、それをデパートなるがゆえにとか、大きなスーパーなるがゆえにというので、よその店へ納めてはいけないといって、せっかくよくつくった柄をとめられたということになれば、これは明らかに権利の侵害といわざるを得ない。あるいはこれが売れていった場合にすれば、有価値的物権といいましょうか、財産権を侵害されたといわざるを得ない。それがあえて行なわれているのが現状である。しかもなお、せっかく納めたものが、ゆかたのようなものになりますと季節ものです。こういうふろしきなどでございますれば、これは一年間共通して商えるものでございましょう。ところが、このゆかたなんかになりますと、いまが小売店で売れる一番の最盛期なんです。七月、八月を越えたらこれはどうなります。せっかく止め柄したものが売れなかったら、これは返品ということで返ってくる。  それでは、これをどこまで返品するとよろしゅうございますか。返品がよろしいとおっしゃるなら私は承りたい。どこまで返品していったらいいのか。これを染め加工したところでとめるのか、織ったところまで持っていくのか、糸を引いた紡績まで持ち込むのか、どこでとめたらいいか。返品がよろしいというならば、どこでとめたらいいかを私は聞きたいし、その返品によるところの欠損はだれが負担したらいいかということを承りたい。いわんや先ほどあなたがおっしゃったように、これがきずものであれば別なんです。これは論外の話なんです。これはやがて商法の契約違反になるじゃございませんか。民法にも違反する行為になるでしょう。商法並びに民法、それから公序良俗の慣習法にも違反する行為になる。それがあえて横行しておるということはどういうことか。あまりにもデパートやスーパーの力が強くて、納入業者が中小零細企業、それだけのことなんです。力の大きいものが何も悪いことをしていない零細企業の権益を侵害し、なおあとで返品ということで欠損をかけた。これは公取と通産大臣に承りたい。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 いわゆるデパート等の不当返品につきましては、先ほど昭和四十六年十一月から四十七年一月までの状況を概略申し上げましたけれども、先ほど申しましたように、その納入した商品がきずものあるいは注文した商品と違うといったような場合を除きまして、不当返品というものは優越した地位の乱用行為、つまり百貨店業における特殊指定の違反ということでございます。これについては今後ともきびしく規制していきたい、こういうふうに考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 あなたのお調べになったところではそれが何件ありますか。なければこっちが出します。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 これは時点はちょっと古うございますが、四十六年十一月から四十七年一月の三カ月間におきまして、返品状況は平均しまして仕入れ金額の九%、衣料品は一三%ということでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 問屋の利益とか納入業者の利益は何ぼくらいならいいのです。さきのあなたのほうのあれですと、三%とか四%、これは輸出のマージンも大体四%だ。しかし、現物が——あえてあなたの数字を使わせていただきます。私は一三%と思っておりません。まだまだあります。いわく言いがたいのです。あなたのほうが調書をとられてもよう書かない。それがばれたら首になるからです。だから、私のところの名前を出さなかったり、デパートやスーパーの名前を出されなかったら書きます、こう言う。そうでしょう。あなたがお調べになっても、われわれが行ってもそうだ。だから私はあえてデパートの、スーパーの名前は言いませんが、現に行なわれておるのは、あなたは一三%とおっしゃったが二〇%のようだ。四%や五%の利益しかないものが、一三%も二〇%も返品が来たらどうなります。直ちに倒産でしょう。そこでどうする。生きる知恵としてやむなく返品の来ない小売商店へ止め柄を取られた残りの物を持っていって、それを一番いい柄と同じように高い値で売って、そうしてぺイさせるのです。ということはどういうことになる。小売商店で買われる人たちが割り高なものを買わなければならない。しかし、権力を持ち、金力を持ったほうは、この柄がよろしいというと、があっと値を上げる。どうしてこれが一万円になります。これのほうがはるかに糸使いがいいのですよ、先染めですから。トップ染めで、はるかにこれはいい。柄がいいと、があっと値を上げる。

稻村佐近四郎自由民主党

○稻村(左)委員長代理 加藤委員に申し上げます。申し合わせの時間が来ましたので結論を急いでお願いいたします。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 わかりました。結論にはなりませんが、この件について通産大臣の見解を承りたい。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 止め柄のような、デパートのようなものがほとんど独占的に支配しているものについて返品をするということ自体が少なくとも商業道徳に反することではないか。押えておく品物でありますから、押えた以上は自分が責任を持ってこれは処理すべきではないかと思います。そういうような余波を受けて、今度は小売のほかの商店のほうに圧力が行ったり、消費者が不当な高い値段で買わされるというようなことは避けなければならぬと思います。そういう実態を究明いたしまして、もしかりそめにもそういう止め柄のような事情があるとすれば、われわれはデパートに対して自粛を求め、直させようと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清二)委員 大臣は何か次の時間があるそうですから、まだまだ序の口ですけれども、もう本日はやむを得ません。足どめはいたしません。止め柄もいけないし、あなたの足をとめることもいけないですからとめません。  さて、私の質問はまだまだ序の口でありまするが、すでに一時半になりました。それですから本日はこの程度にして、残余の質問は、しからば百貨店あるいはスーパーが新しく許可制が届け出制になった場合、ますます自由の権限が広がる、広がった場合には、これが下請に対してたいへんな権力になり、なおかつ今度商法改正で親企業は子企業に対して会計経理の検査権まで発動することができるようになる。ますます大きいものの権力を拡大することが今国会で行なわれようとしている。その中から消費者を守り、中小零細企業を守るにはいかにしたならばいいかという問題が残っております。これは次回のお楽しみということにしまして、本日は、この程度で終わります。

稻村佐近四郎自由民主党

○稻村(左)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十四分休憩      ————◇—————     午後三時七分開議

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。神崎敏雄君。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 まず初めに、次官がおられますので伺いますが、百貨店法を改正する理由と背景についてお伺いいたしたい。

塩川正十郎自由民主党通商産業政務次官

○塩川政府委員 百貨店法は、法を制定いたしました当時、いわば大規模店舗としていわゆる百貨店経営しかなかったのでございますが、その後、時代の進展と経済のあり方が変わってまいりました。特に消費関係のあり方というものが非常に変わってまいりました。そこで百貨店に類似したいわゆるスーパーというのが導入されてまいりまして、これが日本式スーパーというような形でだんだんと発展してまいりましたが、そのスーパーが百貨店法に抵触しない範囲で拡大されていっておるという実情がございました。そこで、百貨店に準ずる商行為なり、あるいはまた営業のやり方も、そういう点がよく類似しております等ございますので、スーパーも百貨店法の規制の中に入れていくべきだ、こういう考え方が強くなってまいりました。一方また消費者の側から考えてまいりますと、大量仕入れ、大量販売というメリットをどこかの点で消費者も受けたいということは、これは当然のことでございます。そこで、いろいろと勘案いたしました結果、スーパーを何とか規制の中に入れていくということと、それから消費者の利益をできるだけはかっていくということと、それからさらには近隣の小売商業の方々の既存の権益を侵さないという範囲内において、この三者の関係を調整していくというのにはどういう方法がいいかということが問題になりました。それに伴いまして、今回法案提出をさしていただいておりますような大規模小売店舗という考え方に立って規制していこうということになった次第でございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 そこで伺いますが、提案理由にある「不測の被害」というのは一体どういうことか、具体的にひとつ教えていただきたい。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 従来百貨店法の運用を通じまして私どもは経験を積んできたわけでございますが、その経験から幾つかの基準となるようなポイントができております。  一つは、これは日本の経験でもそうですし、外国の研究家などの発表にもあるわけですが、大型店舗あるいは百貨店の売り場面積を幾らにするかという場合に、その売り場面積とその周辺の人口との関係でございまして、これが一平米当たりで何人までならいいか、十人がいいか七人がいいかというような基準が一つございます。かりに新しい住宅地域でまだ商店街もできていない、そういうところに三千平米のものが出てきまして、平米数で割ってみたら、従来のところが人口当たり三人とか四人というところでありますれば、三千平米のものが出ていっても不測の被害というものは与えないと思います。しかし、すでに密集しておる商店街のところにさらに二軒、三軒と大型店がある。それで、交通の便もいいから購買人口も三人、四人いるとしましても、そういう地域におきましては、売り場面積当たりの人口がすでに相当に、売り場面積が過剰になっておりまして一平米当たりの人口が少なくなっておりますので、そこに進出いたしますと周辺の小売業に損害を与えます。その関係から、それでは周辺の人口というものはどういうぐあいに見るか、一つの商圏域というものが生まれてくると思います。その商圏域のきめ方についても幾つかの基準ができると思います。交通事情、住宅事情等によって、その地域の特性に合わせた基準ができると思います。これらのものから出ました基準を一つの判断にいたしまして、かつやはりこれは地域社会の特殊な事情に影響されるところが多うございますから、その周辺の小売の実情あるいは消費者の性向、またそこで販売しますものが、いわゆる身の回り品なのかあるいは日用品なのか、あるいは俗にいう買い回り品という、普通使わないけれども、よそ行きのために買う着物のような品物、その品物によって、それに与える被害の状況が変わってくると思います。そういう実情と先ほど申し上げたような基準を合わせまして判断すべきものだと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 この「不測の被害」というのは、一般消費者が受けるような被害なのか、一般小売店が受ける被害をさしていわれているのか、どちらですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 一番大事なのは、原案七条で勧告をします際に、中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうか、この判断だと思います。したがいまして、中小小売業に対する影響、これがまず第一でございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 そうすると、この法案は、大規模店が進出してくる、そのことで中小小売商の売り上げ等が減少する、こういうような形における予測される被害を防止する、そういうような性格しかこの「不測」というのは持っていないのですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 そういう種類の被害が相当程度になるかどうか、それを判断いたしまして、それが相当収入が減る、そして小売の中には生業的なものもありますから、そうすれば生活権も脅かすということになりますので、その影響を判断するわけでございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 どうも抽象的ではっきりしないのですが、大体言うておる「不測の被害」ということ自体が抽象的なんですけれども、まあこれはこれでおいでおいで、次に、この法律の目的に、いわゆる総則、第一条に、調整する際、消費者の利益に配慮しつつ行なう、こういうふうになっておりますね。ここでの消費者利益とは具体的にどういうことをさして言われているのですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 これはこの法律を出します根拠になりました百貨店法にはかからないけれども、それに類似した、つまり私ども特定店舗と呼んでおりますが、大型スーパーその他の大型店舗の例でございますが、こういう場合には、店舗内で御承知のようにセルフサービスをし、品物も、画一品ではありますが相当にそろえて、そしてスペースをゆっくりとりながらサービス人員を省き、かつ消費者が少なくともそういった日用の画一品ならば買いやすいようにする、そして一定の品質を保証する、そして物によっては周辺の小売業よりも安い値段で売れるようにする、こういう特色から、昭和四十年以来急速に全国にはびこってきたわけでございますが、これは私どもが目ざしております流通近代化の一つの現象であろうと思います。そういった消費者の需要にこたえるスーパーの特色、これを無視することができない。そこで、これは流通近代化のために助長、促進すべきであるが、しかし百貨店法のワクをくぐって自由にそういうものができたのではいけないというので、今度の規制の対象にしたわけでございます。  また、今後零細小売業がどうしたらいいかという場合も、それにはそれで特色がございまして、全部ではありませんが、小さい店ではあるけれども、ごくもよりの購入者が週に二回、三回と来てくれる、顔も名前も覚えれば、かりにそれがめがね屋さんであるとすれば、その人の目の度合い等もわかっておるから、相談しながら品物を売る、その店のあるじがコンサルタント業務の一種をやりながら、しかも特殊、専門に特化しながら消費者の需要にこたえていくという特性もあります。零細な八百屋さん、食料品、日用品の場合にはまたそれなりに消費者の需要にこたえている面もございます。  そこで、この法律が通りました際に、私どもが運用していく際の基本的な方針の一つに、各小売業の業態にあわせて消費者の需要、欲求にできるだけ合った小売業を助長していく、これがこの法律でも一つの方針として第一条にうたわれ、かつ第一条で明文を載せておる趣旨だと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 そこで、いろいろ言われたけれども、いま言われていることは、要約すると、安い、いいものを消費者に供給するということだと思うのです。そうすると、消費者利益について考えた上で二、三聞いてみたいと思うのですが、まず第一に、現在小売業に対する大商社、大企業による系列化が進んでおりますが、この実態をつかんでおられますか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 たとえば現在百貨店と目されるものが二百強ございますが、そのうちの四十七社は別に小売企業を持っておりまして、そしてその子会社に約五百の店舗を持っております。したがいまして、みずからが百貨店であるとともに、五百店舗近いものを子会社にやらせておる。これが百貨店の別会社方式でありますし、また、大手百貨店あるいは大手スーパーが大都市において自分の本拠をつくるとともに、地方都市で業務提携をして地方スーパーと一緒に小売業を営んでおる実例が相当にあります。初めは地方における共同仕入れ等々の業務提携からだんだんと業務提携の度合いを深めておるものがございます。  それから、いわゆる大手商社、一般の貿易までやっておる商社にしてそれが持ち株あるいは子会社を持ちましていわゆる小売業へみずからが進出しておるというケースも多々見られます。それから、御承知のように、電鉄系の会社が百貨店なりあるいはスーパー、専門店等を持っておるものが相当数ございます。これらはいずれも、いま先生の言われた大企業にして小売業に子会社関係を伸ばしておる種類だと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 相当数、相当数で、まあ数はあとでまたこちらから資料で申し上げますけれども、その程度のことしかつかんでおらないということと関連して、こういうように二百のうち四十七社があって、五百店も店舗を持って大企業、大商社の系列化が進んでおる。こういう段階では、一般小売商店はそれで被害を受けたり、あるいは一般の消費者はこれで便宜をさらに増大したりするような現実だというふうに見ておられますか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 御指摘の点は、消費者への利益という点からいって、大企業の小売への進出がプラスになっていないのではないかということだと思いますが、(神崎委員「なっていないとまだ言ってない。現段階で、それで小売商がいいかということを聞いておる」と呼ぶ)むしろ従来までの百貨店法におきまして、私どもが百貨店が新しく地方都市に進出するような場合に商工会議所商調協等で近隣代表者と調整してまいりましたのも、そういった大企業の進出の場合が多うございます。中小小売店が集まって新しい百貨店に入るというよりも、中央の百貨店が地方に出ていくとか、あるいは電鉄会社が新しく建てるというような場合に、その周辺の代表者と話し合いをいたしまして調整をする。したがって、百貨店法の運用も、中小小売業とそういう大企業との調整を通じまして、消費者に対してどういう形がその地域ではいいかということを行政上やってきたわけでございます。  ただ、消費者の利益、消費者の買いやすい点からいいますと、場合によっては、交通網の発達とともにターミナルのところにとにかく百貨店ができてくれればいいとか、出勤の帰りに食料品が買えるように八時まであの店があいていてくれればいいというような御要望も多々ございます。私どもとしては、そういう消費者の要望と、それにこたえる大型店の即応のしかたと周辺代表者の御意見とを公平に判断して百貨店法を運用しておる次第でございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 どうも趣旨が徹底してないようですから、これはまたあとの問題と関連して聞きます。  では第二に、一つの商圏内で売り上げ高において何%ぐらいを占めたらその地域のプライスリーダーとなるか、それはどう見ておられますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 正確な話を事務当局に聞いてみましたけれども、小売業の間で行なわれている競争の中で何%というような定説はいまのところないそうであります。と申しますのは、最近は非常に自動車なんかが発達してきてどこからでも買いに来れるとか、いままでの流通形態、社会経済圏と非常に商売の態様が違ってきている由でございます。そういう面から、何割ぐらいということで一義的にきめることは非常にむずかしい状態になった、こういうことでございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 では次に、第三に伺うのは、百貨店とかスーパーがプライスリーダーになれば、そこで扱う商品というものは大体安くなるのかどうか、これはどうですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 大型店舗においてどのくらい品物が安くなっておるか、この点につきましてはもちろん品物によってもいろいろと違いまして、正確な統計はございませんのですけれども、一つ御紹介申し上げますのは、昭和四十一年の七月に内閣広報室で消費者行動に関する動態調査をいたしました。その集計を申し上げますと、近隣中小小売店と百貨店とスーパーの三つを比較しております。  生鮮食品、これは野菜、鮮魚、食肉でございますが、そういうものについて世論調査しました結果、安いのはどこかというのに対して、スーパーが八一%、小売店が一八・一%、百貨店が〇・九%、買いやすいのはどこかというのに対して、スーパーは四四・一%、小売は五四・一%、百貨店は一・八%、品ぞろえがよいのはどこかというのに対しまして、スーパーは五七・八%、小売は二一・二%、百貨店が二七%、品質がよいのはどこかというのに対しまして、スーパーが一九・四%、百貨店が二〇・二%、小売が六〇・五%、いまあげました生鮮食品の例は、私はスーパー、大型店舗が比較的有利に安いものをサービスできるものだと思います。これに属する似たものは加工食品、実用衣料、雑貨等にも類似の数字が出ております。ただし、今度逆に高級衣料、身の回り品、家電、家具、書籍、写真機、娯楽品等になりますと事情が変わりまして、むしろ小売店ないしは百貨店のほうが安いとか、買いやすいとか、品質がよいという数字があがっております。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 それは午前中の百貨店のほうが高いという話と、だいぶその統計とは違いますね。先ほどようけ出して高い高い、それであすになったら二割上がるという話も出ていましたが、その統計とはだいぶ違うのですね。  それはそれとして、次に百貨店、スーパー合わせて昭和四十五年で四千二百六十九店舗、こういうふうになっていますね。これは企業数にしてどのぐらいになるのか。また、この企業中に大企業は何%を占めておるのか。ここで言う大企業の規模とは、資本金はどのくらいで、従業員はどのくらいをさしておるのかということ、そちらのほうに握っておられたら知らしてほしい。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 四十七年六月現在の統計で申し上げますと、企業数にして百貨店は二百七社、スーパーは六十五社でございますが、その二百七社の百貨店が持っておる店舗数は五百八店でございます。スーパー、ショッピングセンター等が持っております店舗数は三千七百九十八ございます。資本金はまちまちでございまして、現在その資本金の一覧表がございませんので、後ほどお答えさしていただきます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 あわせて従業員のやつもお願いしておきます。  そこで、第三条に関連して聞きますが、現在の十大都市の百貨店、スーパーそれぞれの一店舗平均売り場面積はどのぐらいになっておりますか。また、その他の都市の場合はどうか、どのように違うのか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 百貨店につきましては、十大都市の一店舗当たりの平均が一万四千九百五十五平米でございます。これに対しまして十大都市以外のその他都市におきましては……(神崎委員「スーパー」と呼ぶ)スーパーは大手十五社について調査いたしましたところ、十大都市における平均面積が二千十一平米でございます。それぞれその他都市について申し上げますと、百貨店につきましては六千百五十八平米、スーパーにつきましては二千五百八十九平米となっております。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 これは平均の価値が出たのですが、最高はどのくらいの平米になって、最低はどのくらいですか。その上限と下限とわかっておったら教えてください。いまの質問は、あとからあるいは後日にやる当局側の資料をほしいから聞いているのですから、正確にひとつ言うてもらいたい。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 ただいまはっきりした数字を持ち合わせておりませんが、百貨店につきましては最高が三万平米程度になるかと思います。スーパーにつきましては二万平米弱、大きいほうはそういったところかと思いますが、小さいほうにつきましては千平米を下回るものが、たとえば百貨店の場合五百八店舗のうち百五、六十あるかと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 いろいろ数字を伺っている中で大規模小売店の実情は、大資本による小売業支配をますます強化してきている、また強化しようとしているということがいまの数字からでもうかがえるのですが、この大資本による市場占拠率の増大が消費者に具体的にどのような利益になってプラスされておるのか、もし実例を持っておったら実例をあげて報告をしていただきたい。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 実例を持ち合わせておりませんが、百貨店、大型スーパーあるいは中小小売商、それぞれにおきまして競合する部分もございますが、それぞれがそれぞれの機能を生かして商品の販売行為をやっておるということになるかと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 販売行為をやっていることじゃなしに、大規模の小売店がどんどんできてくるということがいわゆる小売業の全般の支配をいよいよ強化してくる、そうしてこの大資本によるところの市場占拠率が増大すれば、もちろん小さな小売店は侵害されるのですが、同時に、その中で一般消費者はどのような利益に、あるいはプラスになるのか。こういうところでは、こういう形でスーパー、百貨店をふやしたために、そのまわりの商店街も非常に繁栄した、また、地域に住んでいる居住者もこのように具体的な利益を得ている、こういう実例があったら教えてほしいということを言っている。そういう実例はお持ちになっておらなかったら持ってないと言ってもらってもいい。こちらであとでお見せしますから……。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 四十六年の十二月に中小企業庁で調査いたしました大型小売店の影響実態調査、この結果について若干申し上げますと、従業員別に見た場合のトータルといたしまして、大型店の出店が総合して有利であるというのが二一・一%、それから不利であるとするのが四二・三%、変わらないとするのが三一・四%、残りの五・二%はわからない、こういう回答を寄せております。トータル的に申し上げますと、大規模店の進出にあたって、その有利、不利についてはいま申し上げたような一般的な傾向があるかと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 広報部から出ている世論調査のパンフレットを見たらそういうようなことは全部書いてありますが、そうではなしに、実際の実例を私は聞きたかったんです。  たとえば、ここに小売業者の概要と営業状況の表がありますが、四十五年、百貨店構成比は一一・一%、スーパーが六・八%、全国平均一七・九%、これはない地域もたくさんありますから、これを考えますと、集中しているところでは三〇%以上のシェアをこうした大企業の進出によって独占されているというようになっているんですが、そういう傾向はあなたのほうではつかんではおらないのですか。この法律をつくっていく過程あるいはこの法律を考えられる段階で、そういう調査もしないでこういう法律をお考えになったんですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 大型小売業の市場占拠率につきましては、必ずしも適切な資料はございませんが、各種の資料を組み合わせまして推計いたしましたところ、昭和四十五年における地域別シェアを次に申し上げたいと思います。  都道府県別に見ますと、十大都市をかかえております八都道府県におきましては、スーパーが六・二%、百貨店が十三・五%、中小小売商業が八〇・三%となっております。これ以外の府県におけるシェアは、スーパーが五・五%、百貨店四・六%、中小小売商業は八九・九%となっております。  なお、東京都について申し上げますと、スーパー五・一%、百貨店二〇・七%、中小小売商業七四・二%、大阪府におきましては、スーパー七・〇%、百貨店一七・〇%、中小小売商業七六・〇%となっております。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 私の聞いているのは、一般的にいうこの百貨店法ができます段階では、スーパーあるいは百貨店が、大都市では三千平米、その他の都市では千五百平米、こういうことを規定されて、それ以下ならいわゆる届け出制もなく幾らでもできるような状態になっておる。こういうような法律をつくられることで、一般商店街あるいはそれと直接の利害のある方は非常にこれを憂慮して、先行きについては非常に心配しておる実例がたくさんあるんですね。実例については後日言いますが、一つだけ申しておきたいのは、そういう形のことが、なおかつ一般商店街の振興になったり、あるいは一般消費者の利益になる、そういうふうな考え方からこの法律ができておるというような主張に対して、そうではないのだ、一般商店街も一般の消費者も、これがたくさんできてくることによって、大きな被害こそ受け、これでよくなっておらないのだ、ただよくなるのは進出してくるスーパーとか、いわゆる大企業とか、そのシェアを独占しようとする人たちだけがこの法律を歓迎するものであるという立場で聞いているのです。  たとえば、これは大阪の、私の住んでいるところではない場所のほうがいいと思って、これは豊中市の現状なんです。これは大臣にそちらへ回して見てもらいますが、この茶でかいているのが従来ある市場です。青でかいているのがスーパーでここ二、三年のうちに進出したものなんです。そして、たとえばここは有名は千里ニュータウン、中曽根大臣も行かれたと思うのですが、万博のあったところです。そこヘニュータウンができたときに、ここにはやはりショッピングセンターが要るというので、当時の知事がこの商店街、いわゆる商工会議所あたりに話をして、そしてここは発展する、非常に前途有望ないわゆる市場である、したがって、ここで商店街を二つつくってくれないか、こういう知事からの懇請に従って、そこの商店の方々は店を払ってここへ集中したわけです。そして万博が来るというような段階が来たときに、突如としてここへ来たのが阪急百貨店であり、日本板硝子、いわゆる日硝、これはあとで系列も言いますけれども、大丸のピーコック、これらが三つ来て、そして現在これが開店休業のようになってしまっているのに、その補償も何ら認められない。これは先般現地調査をしたのですが、特にこの地域で集中しているのは曽根、岡町、豊中、庄内というところですが、こういう形で従来あって、そして市場が何とかその地域の人たちの要求に応じているところへこのような形で人口が集中する上にかぶさってきて、そして完全に、この前、小売店のときに申しましたように、毛布をカーテンがわりにしたり、あるいは敷布をかぶせて、五十軒ある中で四軒も五軒も店を閉めておる。そうすると市場全体がもう荒廃してしまって、そしてお客さんが寄りつかない。だが、何百万円で買ったしにせも、もうそんなさびれたところを買うところはない。ところが、出ていくところがないので、住宅がわりにしている。ちょうど農村の三ちゃん農業のように、むすこや娘はもう家業を継がないでどこかへ働きに出ていく。そしておじいちゃん、おばあちゃんが残ってそこへ住みながら細々と店を出しておる人もある、もう全然住宅にしておる人もある、こういう状態なんですね。これはちょっと大臣に見てもらってください。  そこで、それは私がマルをつけたものではありません。そこの商店の方々の訴える中で——商店会の名前は言いませんが、商工会議所の議員です。そういう形でふくそうしているということの実情を知っておいてもらいたい。  そこで続けて言いますが、いままでにあげてきた幾つかの点を総合しまして、プライスリーダーにならんとしている百貨店とかスーパーは、小さな私的企業ではなくて、いまや商社、私鉄、さきにおっしゃったように大資本が中心となっておるのですね。ここにも問題の根源がある。たとえば、上位企業の企業グループ別ランキングと実態というものなんですが、通産省はあまりおつかみになっておらないような話でありましたから、私のほうから申し上げると言ったのはここなんですが、たとえば私鉄関係を見ましても、西武流通グループは企業数七十社、これは年間三千七百七十億の売り上げをやっておるのですね。それから阪急流通グループ、これは十社ですが、これも千三十三億、東急流通グループ、十四社、これは九百六十八億、近鉄グループ、これは十一社、九百二十億、名鉄グループ六百四十五億、これは十三社ですね。これが上位にランクされる私鉄の関係です。  そこで背景といいますか、一番初めにこういうことになった背景を聞いたのですが、いま私たちが非常に問題にしている大商社の買い占め、投機ですね。大資本のこれらが進出をして、そうして一般の小売商店の自営を圧迫している。ここにも大資本、大規模小売店、この進出がどのような形で出てきているか、消費者の利益につながるという点から非常に私は重大だと思うのですが、決してこれは一般の消費者が便利だ、あるいは安くていいものが買えるとか、そういうようなものではなしに、もうこれは完全なる系列が明らかになっておる。  たとえば三菱商事ですね。これは日経の流通新聞で「豊かな時代の流通戦略」というような題で発表している。これが西友ストアと契約したのが昭和四十四年で、三菱商事が西友に二百億融資して、西友ストアが仕入れる商品の二〇%をこれが占めておる。広屋という大手食品問屋に資本参加して、問屋を通じてスーパーを支配しておる。伊勢丹との折半出資で丹菱開発を設立している。そうして大規模ショッピングセンターを開発、運営している。  三井物産はどうか。昭和三十年代にスーパー対策委員会をつくりました。それから四十年に一〇〇出資で第一スーパーを設立した。これの問屋の系列化は物産食品販売、エフワン、繊維ですが、これをつくった。それから先ほどあげた名鉄百貨店とラファイエットが提携した。物産はラファイエット社からの繊維製品を輸入することを担当していく。そのうしろにちゃんと三井物産がこれを支配して握っておるのですね。  丸紅ですが、これはダイエーです。ダイエー向け専門の配送会社エンゼルを設立した。これ以後丸紅繊維流通センターをつくった。スーパーへの商品供給。また緑屋に資本を出しておる。そうして経営に参加しておる。  次は伊藤忠商事、これはスーパー・マイマートを直営している。伊藤忠繊維流通センター、これは西友ストアなどへ商品供給もやっておる。繊維問屋のレナウンニシキを系列化。さらに、合弁会社のマグニン・ジャパンをつくっておる。アメリカのJ・マグニン、ダイエー、伊藤忠の三つで合弁会社をつくっておる。その主力は伊藤忠の手にある。  もう一つは住商、サミットストア、これは住商が一〇〇%出資しておる。  それから日商岩井は高島屋グループと提携をやっておる。  以上のように、商社によるスーパー進出は、第一に資本参加、第二に問屋の系列化及び配送センター、いわゆる流通センターを握る。そうして供給面からスーパーの系列化を強化しておる。三番は百貨店と提携して直接進出をしていく。こういうのがいまスーパー、百貨店にどんどんと出てきておる現状なんですね。  こういうようなことについて、この法律ができまして、一般商店がその経営を保護されたり、あるいは一般消費者の暮らしにプラスする、そういうようなねらいではなくて、この法律の背景というものは、いわゆる大都市においては三千平米、その他の都市は千五百平米、先ほどもあげられておったように、私もあげようと思っておったのですが、二百九十九だったらどうするのか。それは届け出もないのだ。こういうものがどんどんと出てきて、たとえば三千平米ならだめだというから二百九十九平米と——飛躍した論議かもしれませんが、これを三つ並べたらどうなる。三つ並べて一つ一つ名前を変えたらどうか。これをブリッジでつないだら一つの建物とみなされるでしょう。ところが、地下道をつくって通路をつくる。商店街のように、いわゆるいまの地下街のようにつくる。その場合、一つ一つの名前が別であって、資本の背景は、ある一人のあるいは一つの独占大企業であった、こういう場合で二百九十九だったら、もう何の制肘もなくやられる、こういうことになって、少し飛躍かもしれないが、そういうこともでき得るというふうに思うのですが、こういう傾向については、大臣はどのようにお考えになるのですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 いまの後半からお答え申し上げますが、二千九百九十九の間違いじゃないかと思いますが、——二千九百九十九、三つつくって、そうしてそこへ渡り廊下をつくるというようなことは、この法律ではたしか禁止されている対象になっておりますから、そういうものはできないはずです。もしつくれば違反としてわれわれはこれを処分いたす考え方でおります。  それから、ストアがうんとできて、まん中が一般の人の通れる通路になっている場合、公共の通路になる場合は、これは二つに分けるものとして考える。そういうような定義をはっきりさせておりまして、脱法行為を防ごう、こういう考えであります。  これらの点については、いずれ政府委員から必要あらば御説明申し上げます。  それから第一の点の系列化の問題でございますけれども、確かに御指摘のとおり、商社等がいろんなルートを通じて企業に対する支配力を不当に強めていくということはわれわれは賛成しません。元来、商社というものは貿易商社であって、海外貿易に伸びていくべきだということは前から述べておるとおりでございますけれども、しかし、一般の消費者の利便になるような範囲内で、不当でないと思われるような世界に出ていくことまで否定することはできないと思います。スーパー等を見ておりますと、私は、スーパーというものはわりあいに民衆に受けているんじゃないかという気がするのです。これは、調べてみますと、値段がわりあいやはり安いです。それから非常に便利である。それから清潔感がある。そういうようなところでスーパーというものがわりあいに受けていて、そのために中小企業、零細企業が打撃を受けているのだろうと私は思いますが、しかし、それは結局はやはり安いとかあるいは快適であるとか、そういうような要素があるためにお客がそちらへ動いておるので、これは一般の中小企業も眠っていていいということではないので、自分たちも努力していかなければならぬところであると思います。しかし、そのスーパーをつくる場所等については、いままでの中小企業を圧迫しない場所に新しくつくっていくということならばまず妥当であろう。新しい団地ができたり住宅街がどんどんできました場合に、また個人商店ができる前にスーパーというものができる、そういう場合は、現地の消費者の利便にもなることでございまして、そういう点まであながち否定すべきものではない。ただ、込み合って中小企業が血で血を洗うようになっているところヘスーパーをつくるということは、私は、そういう点はできるだけ抑制しなければならぬものではないか、そういうように思います。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 大臣の言われていることについて、私も決して正反対の考え方を持っているわけじゃない。ある面はそのとおりだと思うのです。しかし、その快適である、そういうものと、いわゆる共存共栄ですか、競争していかなければならぬということはわかっておっても、今日の商店の中小、いわゆる零細商店はそういうような形にやっていくための財力といいますか、資本力がない。そういう形で、小売商の問題で無利子無担保で貸すのだ、こうおっしゃったと思うのですけれども、それには手続があったりいろいろありますが、とにかくそういうことをやったらいいということはわかっておってもできない。また、ある面はのれんというのか、しにせというのか、そこでずっと代々やってきた、そういう一つのカラーもありますね。そういう形からもなかなか思い切った改造もできない、財力もない、そういうようなこともある。  しかしながら、資本力を持っている大企業というものは、まずこの地図で見ていただいたように、発展するということになったら、もう血も涙もないんですね。どかんと駅前に持ってきて——いっぺん中曽根大臣、今度大阪のほうに行かれたら、阪急の曾根の駅でおりていただいて、あの辺を一ぺん見てもらったら、大きな建物は、ここに書いてあるように、これだけ密集しているんです。それは買う人はどこへ行っても便利ですよ。あの駅におりて近いところに快適な売り場があったら便利でしょうけれども、従来あった商店というものはそのために全部淘汰されていっている。この場合の問題をあげているわけですね。だから一面ではそういうことになるが、一面では非常に大きな被害と犠牲がある。これを両立さしていき、なおかつ小さいものを守り育てていくことが政治だと思うのです。ところが、いまの場合はそういう形で、たとえば三千平米だという形の一つの制約にしたら、二千九百九十九、もう届け出もしないでやれるというような形になってくれば、おそらく今後どんどんとこれはふえていくんじゃないか。いまでも中川零細の商店が苦しんでいる上に、さらにもっと苦しみを大きくする。中でもその資本背景がこういうような、先ほどあげたような背景が、大資本を投入していって、先般の買い占め、売り惜しみのような形にじゃんじゃんやっていかれた場合は、全くスクラップ・アンド・ビルドではなしに、スクラップ・アンド・スクラップになっていく、こういう形の方向に行くのですね。一体この法律をだれがおつくりになったのか、だれとだれとの手によっておつくりになったのか、あるいは発案されたのか、そこのところをひとつ聞きたいと思うのです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 今回この法律をつくる一つの動機になったのは、現行の法律をもってしてはスーパーの規制ができない。そこでやはりこれだけスーパーが発展してまいりますと、各地において地方の中小企業と摩擦が起きてきて、私らの耳にもひんぴんと方々からきております。これをほうっておくわけにもまいりません。しかし、いまの現行の百貨店法ではできない、そういう点もありまして、スーパーも規制のワクに入れようという一つの目的もあって新しい立法となったわけであります。そういう点においては、中小企業保護のためには一歩前進しておる要素もここにあると思っております。また、そういう心がけで、現地の中小企業と百貨店とスーパーが調和しておのおのの特色を発揮して生活あるいは共存できるように私たちは配慮していきたいと思っておるわけです。  それから、この法律をつくったのは通産省全体の知恵を働かせまして、そうして審議会の答申がございまして、その答申を受けてつくりました。この原案をつくるにつきましては、昨年の夏なかなか各団体の利害が衝突して意見が一致しておりませんでしたから、私が百貨店、スーパー及び商店街、小売等の代表を集めまして、そうしてよく話し合ってくれ、みんなで最大公約数の調和点を見出してくれ、現状を是認するわけにいかぬ、何とかもう一歩新しい時代に沿うように流通界を調整する必要がある、そういう意味でともかく話し合ってみて最大公約数をつくってみてくれ、そういうことを私直接要望いたしまして、いろいろいきさつがありましたが、大乗的に三者がこの線ならばということでまとまったのがいま提出している原案でございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 大臣から伺ったら、スーパーの規制が中小零細企業、いわゆる商店との摩擦をなくするために、あるいはこのままでもなおかつやっていけるような配慮があったというような意味のことをおっしゃったのですが、しかもこの法律は通産省の者がつくって、そうしていろいろ関係者を集めて、大臣、苦労したという話ですが、これはこういうことになっておるんですがね。これは紀尾井三郎氏の書かれたものですが、「“病魔”ついてまわる法案」——これは聞いておいてもらってけっこうです。「ご難の法案といえば、この国会に出されている「大規模小売店舗法案」——いままで売り場面積とか、営業時間が法律的に野放しになっているスーパーなどをデパートなみに規制しようという法律で、建て前は町の小売店を守るためとなっているが、カゲの立案者はデパートといわれている。ところが、いよいよ審議開始を前に、法案づくりの陣頭指揮をとっていた日本百貨店協会の会長、松屋社長の古屋徳兵衛が病気で倒れてしまった。四月の中旬にひいたカゼがこじれ、いまでは面会謝絶で入院中だという。会長に故障が起きたら、近畿百貨店協会会長が会長を代理することになっている。そこで近畿の会長、大丸社長の井狩弥治郎が急ぎピンチヒッターに立ったが、「なにせ人柄が円満すぎるし、会長代理の肩書きでは、野党の委員たちをカゲで説き伏せるのに迫力がとぼしい」というのがもっぱらの評どうも百貨店に関係のある法案は、むかしから“病魔”がついて回るという。四十六年の十一月に、協会は百貨店法の改正案をまとめ、全力をあげて法改正を政府に迫ったが、そのさなかに会長の当時三越社長、松田伊三雄がやはり病に倒れた。そのまま松田は亡くなったが、おかげで法改正はうまく進まなかった。古屋は、松田のあとのリリーフ会長だけに、ジンクスを気にしてか、「国会の空転はどうなっている、審議開始の見通しは」と、ひとり病床で気をやんでいるそうだが、協会としてはエース不在のまま国会審議に取り組むより仕方がない。この大規模小売店の規制法案には、勿論、ダイエー社長の中内功ら、スーパー業界は反対している。この虚に乗じて、スーパー側が野党工作に積極的に動き出したなどという情報もあるので、古屋は気が気でないだろう。」これが週刊文春に紀尾井三郎氏の話で載っているのですがね。こんな話は聞かれたことがありますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 その記事は、私も汽車の中で読んだことがあります。たわいもない憶測である、そう思いました。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 これは単なる憶測だと中曽根さんの立場であったらおっしゃるだろうと思うのです。また、そう言わなければならぬだろうと思いますが、しかしこれは署名原稿で、やはり数十万冊発行されている週刊文春ですね。大体この大規模小売店舗法という法律をつくろうと考えたのは、百貨店の進出や百貨店のシェアを圧迫するスーパーをどのように規制しようかということが主たる目的で、そして政府に向かってここにいわれているような形でどんどんと圧力といいますか、そういうものをかけてきた。そこでいろいろお考えになった上で、苦労されてこういう折衷案のような案が出てきた、こういうふうにとられてもしかたがないし、むしろそのほうが真相じゃないか、こういうふうに思うのです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、この法律をつくる一つの動機になったのには、各地において小売とスーパーが摩擦を起こしてひんぴんと私らの耳にも入りますと先ほど申し上げましたが、むしろ小売が困っているわけです。百貨店はスーパーに多少脅威はあるでしょうけれども小売ほどではないのです。夕方になると奥さん連中がみんなスーパーのほうへ行ってしまって、魚屋さんや八百屋さんやそのほか非常に困っている場所が出てきたわけです。いま神崎委員御指摘のとおりであります。むしろ百貨店よりは小売じゃないかと私は思うのです。そういう摩擦を調整しなければならぬという要素もあって、私らが関心を持ってスーパーも取り組んできたというのは、むしろ小売のほうという面を非常に考え、それから公正競争という面も考えて、三つの調整、あるいは流通体系の中に調和させよう、そういう考えでやったわけで、百貨店の応援のためにこういうものをやっているわけでは断じてありません。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 一応それは聞いておきます。あとで機会があればこちらの言い分もまた申すことにして、次に、具体的な法案について伺いますが、第七条関係について幾つかの点にわたって聞きたいのです。  まず「相当程度の影響」とはどの程度の影響か。これは事務当局でけっこうです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 相当程度の被害、影響といったものを一律に外形標準化することはきわめてむずかしいことでございます。土地柄によりまして、あるいは人口構成によりまして、あるいは中小小売商業者の近代化努力等、いろいろな状況から変わってくるかと思います。さような観点から、届け出ました際は通産大臣も慎重に審査すると同時に、百貨店審議会の後身である大規模小売店舗審議会の意見を聞く、審議会は商工会議所あるいは商工会の意見を聞く、それぞれはまた商業活動調整協議会の意見を聞くといったふうに、地元の意見、消費者、小売商業者あるいは学識経験者等の意見を十分吸い上げまして、ただいま申し上げたルートを逆に戻ってまいりまして、審議会から大臣に進言する、答申するという形で判断することにいたしておりますが、いずれにせよ、相当の程度ということは周辺の中小小売商業者の売り上げが減るとか、あるいは利益率が落ちるとか、大規模小売店が出ることによりまして顧客の流れが変化することによって受くる影響の度合いと、それがただいま申し上げたような程度のものになった場合には調整活動を開始する、かようなことになるかと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 すみませんが、一々そう長くなしに簡潔に。七条だけ聞きますが、さらにこの中で審査するというのですが、審査というのは書類でやるのですか、あるいは利害関係人も呼んでやるのですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 まず原則として届け出が出てまいるわけでございますから、書面審査によるわけでございますが、必要に応じて商工会議所等を通じて地元の意見も吸収いたしますし、あるいは書面審査で足りない場合には、・関係者を招致しましてその意思を聞くということにいたしたいと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 続いて、大規模小売店舗審議会というのはどういう構成でやっていかれるのですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 現在の百貨店審議会は会長以下七名の委員によって構成されております。今後大規模小売店舗審議会になっても、この構成を当面は踏襲せざるを得ないかと思っております。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 この審議会は、会長は田中久兵衛さん三井銀行の会長、片岡一郎さん慶大教授、小嶋秀夫さん毎日新聞論説委員、戸田つるさん消費科学連合会副会長、影山衛司さん日商専務理事、末永広子さん全国地婦連幹事、宇野政雄さん早稲田教授、変わりありませんか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 さようでございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 これの審議会の審議基準は一体どうなっていますか。

稻村佐近四郎自由民主党

○稻村(左)委員長代理 委員長に発言を求めて発言をしてください。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 先ほども申し上げましたようなことから、特に審議基準というものをきめておりません。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 基準なしにものをきめるんですか、何かものをきめるときに。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 審議会は通産大臣から諮問があったつど関係の商工会議所あるいは商工会の意見を聞くことになっておりますし、それぞれの商工会議所あるいは商工会は、そのもとに設けた商調協の意見を聞き、その結果として判断するわけでございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 そうすると、この百貨店法というのが制定以来審議された実績を年度別にあるいは暦年別でもけっこうですが、わかっていますか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 この十数年間に百十八回の審議会を開催いたしておりますが、年度別には整理いたしておりません。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 これはこの審議会でおそらくやられた問題だと思うのですが、「百貨店法許可申請件数、問題件数調べ」というのを持っているのですが、これは問題件数が本省で二十三、局で十二で、三十五ですね。それから、いままでにやられてきた、たとえば千五百平米未満、五千平米未満、一万平米未満、二万平米未満、二万平米以上、それの営業新設増がこれによって審議の対象になっておるのが三百十一件ある、これは昭和四十五年以降の申請件数であります。その三百十一件のうちで、だめだといわれたのは一件だけですね。これは何でこの一件だけがだめになったのか。一件以外は、三百十件は法律に照らしてよかったのか、何を基準でやられるのかということを先ほど伺ったのです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 不許可になった一件は熊本のケースでございます。その他のケースにつきましては、面積削減あるいは開店日の繰り延べ等によりまして対処いたしております。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 そういう答弁はいただけません。熊本のケースとは一体どういうことだ、何を理由でこの一件だけはいかぬようになったのか、あとの三百十件はどのような基準でパスしたのかと聞いているのに、それが熊本の一件でございます、熊本のどこで何がどうなったのかさっぱりわかりませんね。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 ただいまの不許可になった熊本のケースについてふえんして御説明申し上げます。  昨年熊本におきまして、現地資本二社と現地以外の資本一社、合計三社の進出計画が申請されてきたわけでございます。これを先ほどのルールに従いまして、現地の商工会議所に戻して現地での調整をはかりましたところ、一挙に三社が出てくるということは急激なる影響を地元の中小小売商業に与えるということを理由といたしまして、地元資本の二社を面積削減の上許可して差しつかえない、それから現地資本以外の一社についての出店は不許可処分にされたい、かような答申が返ってまいりました。従来、百貨店審議会の運用といたしましては地元の意見を尊重して処理いたしておりますので、さような答申に基づいて一件不許可処分にいたしたわけでございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 次に、依然として七条ですが、第二項に通産省令で定めることになっておるというその通産省令というのはどういうものを予定されているのですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 省令の内容といたしましては、手続あるいは書面の様式等を規定する考えでございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 先ほどからしばしば地域の商店との摩擦、こういう大企業が出てくるときにやはり一番困る問題は地域だ、こういうことを言われているのですが、こういう審議会というのは、非常に地域の事情に明るい地方自治体の中にそういう審議会を置いたらどうなんでしょう。これは全国的なところで一つでしょう。これは地域自治体の中にこういう審議会なんかを置かれたら、これからこういう問題がより具体的に、ここで認可していいか、あるいはこの届け出を受理したほうがいいか悪いか、こういうふうなことがもっと利害関係者に対して親切になり、そして意見の発表も具体的に聞き取れる、そのことが非常に血の通った政治をじかにやれるというふうに思うのですが、地方自治体等の中に審議会を置く考えはございませんか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 本件の調整問題は、御指摘のようにきわめて地方的な面も多かろうと思います。しかし反面、そういった小売商業の調整のほかに、消費者保護の問題あるいは流通近代化の問題、全国的な立場において判断すべき要素も多々あろうかと思います。さような観点から、過去十数年の実績を前提といたしまして、本審議会はやはり中央に設ける、むしろ現地の意見は商工会議所あるいは商調協を通じまして十分これをくみ上げて、その意見を尊重してケースごとに処理するのが適当かと考えます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 いろいろ御答弁になったけれども、いままでどおりやるということですね。一つも考えは変えないということですね。——それだったらそう答えてください、うなずいているだけじゃなしに。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 審議会についてはさように考えております。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 さように考えているとは、地域に置かないように考えるのかどうか、こういうことを聞いているのです。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 原案どおり地方に置かずに中央にのみ審議会を置くことにいたしたいと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 それで、地域に置いたほうがいいと思うが、あなたはどう思いますか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 審議会そのものは中央に一つ置けばいいかと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 では十一条、この中で「配意」というのがありますね。題は「配慮」になっているが、中には「配意」とありますが、「配意」とは、たとえばスーパーの届け出があり、それを知った地域の中小小売商が寄り合い的な百貨店をつくろうとした場合、そのスーパーの進出を押える、そういう配意があるということに解釈してよろしいですね、十一条は。——もういっぺん言いましようか。スーパーが出てこようとしたとき、その地域にスーパーが来られたら困るといって、地域の人たち、商店が集まって寄り合い的な百貨店のようなものをつくろうとするような動きやら、そういうことを言ってきたような場合には配慮するというふうにこれは理解していいのですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 大型店舗の進出に対しまして、地元の中小小売商業者が寄り合い百貨店をもって対抗しようとするような場合、中小小売商業対策として積極的に考えたい……(神崎委員「どっち」と呼ぶ)寄り合い百貨店のほうでございます。大規模小売店の進出に対しまして、地元の小売商業者が寄り合い百貨店を組織してこれに対抗しようとするような場合、しかも、そういった寄り合い百貨店が、第三条に定義いたします大規模小売店舗内にある一応の届け出義務規制対象になっておるような場合でございましても、そういったものについては原則としてフリーパスさせたい、かような意味でございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 一つだけいいことを聞きました。それは歓迎します。  次に、第十四条第二項について具体的に説明してください。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 本法におきます調整活動は、まず第一番に、大規模小売店舗、これは建物でございますが、大規模小売店舗を新設する人が大臣に届け出る。大臣は、これに基づいて公示するわけでございますが、そういった届け出公示をもって調整活動が開始されるわけでございますが、かりに大規模小売店舗の所有者と、その中に入居する大規模小売店とが競合して、結果としてあるいは意識的に届け出がない、したがって表示が行なわれないといったような場合を想定いたしまして、その場合には営業停止処分といった厳罰をもって臨みたい、かような趣旨でございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 この中で、もし「影響を及ぼしていると認めるときは」だれが認めるのですか。これが一つと、「一年以内の期間」とはどんなことか。また、さらに「全部又は一部を停止すべきことを命ずる」、非常に抽象的で弾力的で、この法案を読んでおったらどうにでも解釈を拡大して、きびしいほうへも拡大できるし、ざる法的にも拡大できる。「一年以内の期間」というと、一年は十二カ月だということになってくると、一年以内というのは、六カ月でも一年以内ですし、十カ月でも一年以内だし、一カ月でも一年以内ですね。それからまた「全部又は一部を停止すべきことを命ずる」、非常に抽象的で弾力的なんですが、もっとこれは明確に、いわゆる趣旨に沿わないようなことが起こった場合にはこのようにやるということをきめられないのですか。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 第十四条二項について三点の御質問があったわけでございますが、まず「影響を及ぼしていると認めるとき」当然このような場合には調整行為が行なわれておりませんので、こういう表現はとっておりますが、現実にはもう影響を及ぼしているものという解釈に立っていいと思います。(神崎委員「だれが」と呼ぶ)第十四条二項に抵触する大規模小売店舗に入居する大型小売店舗でございます。  それから第二点の「一年以内」というのは、これはやはり情状の程度によりまして最高一年、それ以内において影響の度合いあるいは競合性の度合い等を判断して大臣がきめることになるかと思います。  それから「全部又は一部」でございますが、たとえば食品関係につきまして地元周辺の中小小売商業者に相当程度の影響を及ぼしているといったような場合には、食品売り場だけをとめさせ、営業停止処分にするということもあり得るということを含みまして、「全部又は一部」という表現をとったわけでございます。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 これについても意見がありますが、また後日に残します。次に、大臣に聞きたいのですが、流通業の一〇〇%自由化に関して、現在小売業の自由化というのは一体どうなっているのですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 昨年七月の箱根会談においてアメリカのエバリー代表との間でいろいろ議論がありまして、大体五〇%自由化を十一店舗についてふやしましょう、ただし、それで扱う商品はアメリカ産の商品及びこれに直接関連する商品に限る、日本商品は扱わない、そういう約束で、それだけ認めたのが現状であります。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 この法案は小売業の一〇〇%資本の自由化を前提としているように私は思うのですが、そういうことは心配ないのですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 これは国際的な公正取引という面から見まして、小売業も段階を追うて自由化しておるということは趨勢でありまして、ただ急激にやると打撃が多いものでございますから、徐々に徐々にやって次第にならして、そしてアレルギーを起こさないような体力をつくらせる、そういう考えでやっているので、いずれ一〇〇%自由化しなければならぬときが来るだろうと思います。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 去る四月の二十七日に、対内直接投資等の自由化についてという閣議決定をされておりますね。五月一日にこれを実施する、こういうことになって、その閣議決定の中身は、いまの言われておることとは一致いたしますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 究極で一致しております。個別審査業種に残しておりまして、申請してきた場合にはこれは審査するということで、その基準がいま言ったような考え方に立っておるわけで、運用面においてそういうことが実施されておるわけであります。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 閣議決定で、小売業は現行どおり個別審査、ただし店舗数が十一以下の場合は現行どおり五〇%の自由化、したがって十一以上は一〇〇%の自由化ということに理解していいですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 それは逆であります。十一以下は五〇%を認める、十一以上は個別審査で権限が留保されておる、そういう意味です。

神崎敏雄日本共産党・革新共同

○神崎委員 いろいろ伺ってきましたが、大体約束した時間が参りましたので、まだまだ、この法律は非常に重要ですし、やはり地域の一般小売商あるいは消費者について非常に影響の多い法案ですので、きょうはこれで一応質問を保留して、後日また、先ほどお答えいただいた数字等をよくこちらも分析しまして質問を続けたいと思います。  きょうはこれで一たん終わります。

稻村佐近四郎自由民主党

○稻村(左)委員長代理 中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 時間の関係がありますから、法律案にしぼってお尋ねをいたしますが、最後に公正取引委員会に百貨店の特殊性の問題について、同僚委員から質問した問題を避けて質問をいたします。  まず端的に伺いますが、大臣、百貨店法の改正の必要性はどういうことですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 現行百貨店法の中におきまして欠陥とされておりますところは、わりあい百貨店と小売商業との関係を意識してつくられていたように思います。しかし、その間に、消費者の利益擁護ということが非常に大きく現代社会に出てまいりました。それと同時に、スーパーというような新しい大型店が出てまいりまして、これが現在野放しになっているということでございます。そういうような面を改革すると同時に、その百貨店、スーパー、小売というようなものが調和ある、そうして公正取引を行なうような、そうして消費者の利益を重んじる、と同時に小売零細商店というものの立場をよく考えた、そういう新しい体系を生み出す必要があったわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この法律案の成立によりまして、いま大臣お答えになりましたように消費者利益というものがどう守られていくのか、また前進をしていくのか、並びに小売店の立場を考えたとおっしゃいますが、小売店の利益というものがこの改正によって守られるというのか、前進をするということになるのか、その点をひとつ詳しく具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 こまかい具体的なことは政府委員から御答弁申し上げます。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 消費者の利益は、条文上は一条及び十一条に明記したわけでございますが、その実際の運用は、私どもは、この法律の核に当たります届け出が出てまいりましたときに七条によって審査をいたしまして、そしてこれは勧告すべきかどうかという判断を通産大臣がしなければなりませんが、その際の一つの大きな尺度としてこの法律が明文を載せたと思います。百貨店法には、先生も御承知のとおり、そういう文言がなかったわけでございますが、今回かりに出ました具体的な案件が、その地域において幾つかの経験値から見て、たとえば一平米当たり七人あるいは八人という地域であるから、これは周辺の中小小売業のためには出ないほうがいいんだという一つのものさしと同時に、その進出大型店舗が別の面から、たとえば取り扱い品種とか、それから駅のもよりであって、近郊小売店では取り扱わない乗りかえ客を相当吸収するとか、まあそういった具体的ないろんな点から、その地域の消費者にもこれはプラスであるかどうか。プラスであれば、先ほどの小売業との均衡問題を判断すべし、こういう法律上の要請があるものと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 実際問題として見解を伺いますが、大型小売店舗が新設をされる、あるいはさらに増設、拡張をされるということは、平面的に見ると小売商にとっては脅威である。一方今度は消費者にとっては、そのことが競争条件がさらに加重をされるということになると、利益につながっていくということにならないのかどうか。したがって、本改正案によりまして、小売店の立場を考え、消費者の利益を守るということになるのかどうか、矛盾することにはならないのかどうか、その点をひとつ伺ってみたいと思う。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 私が先ほど御答弁申し上げました中に、公正競争、公正取引ということも一つの要素として申し上げました。これはたとえばスーパー等が出てきた場合に、スーパーはわりあいに便利で、値の安いというものもございまして人気があるわけです。これはいままでややともすれば停滞ぎみであった小売商業、零細商業等に一つの何か啓蒙的な警告を発するような意味もあるわけで、小売商業、零細企業等は、先般通過させていただいた法案等を活用して大いに抵抗力、体力を強くして近代化し、合理化していかなければならぬ立場にもなってきておるわけでございます。そのことはまた消費者の利益にも連なってまいります。ですから、一カ所に常に停滞しているというやり方でなくて、刺激し合って改革へ、改良へと前進し合うという体系の足並みをそろえさせる、そういう意味もあって全部の利益になっていくであろう、こういう考えを持っておるわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 問題は、小規模小売店というのが大規模小売店と比較して消費者の利益を守っていないという認識の上に立つか、守っているという認識の上に立つかということで変わってくるであろう、私はそのように考えている。小売店は小売店なりにたいへんその特性を発揮して消費者の利益を守るという努力をしておるというように考えるわけです。したがって、今後届け出制ということになりますが、それによって大規模店舗が新設をするとか、あるいは増築、拡張をするというような場合に、これを認めるかどうかということについては慎重に考えていかなければならない。ともすれば規模が大きいからこれが消費者の利益につながるのだというような即断というのか、そういった考え方がなきにしもあらずと私は考えているわけです。行政当局といたしましては、それらの点を十分ひとつ念頭に置いて、今後の行政の上に生かしていくということでなければならないということを申し上げておきたいと思います。  百貨店法は、御承知のとおり従来許可制でありました。これを届け出制にしたのはどういうことなのか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 従来、ある一定規模以上の店舗を持つものを百貨店という指定をいたしまして、その企業行政として百貨店法があったと思います。したがって、従来は法律上百貨店と規定されるものは、かりに五坪でも十坪でも売り場面積をふやすとき、あるいはホテルに小さな売り場をふやすときは許可を得なければならないという企業行政でございました。これに対して法の一つの盲点というようにして蔓延してまいりました大型店舗、スーパー、ショッピングセンター等を規制の対象にすることが今回の法案提出の一つの目的であったわけでありますが、技術的にどうしたらいいかということをいろいろ検討しましたが、結局において建物でまず規制しなければならない。したがって、今後は企業行政ではなくて、三千平米もしくは千五百平米ですが、いずれにしても基準以上の建物を建てて、その中で小売を営む場合にはすべて法の対象にしなければならない。その場合に、はたして従来のようにそれはいけないことだからまず許可を受けなさい、大型小売店はすべて許可を受けなさい、何人も許可を受けなさい、こうやれば許可制にもなったわけでございますが、私どもは、現在の日本の社会の実情から申しまして、それは一応届け出制にして、自由に売り場をつくるのはいいんだけれども、まず届け出なさい、そしてその周辺との事情を政府側で審査しまして、そしてもちろんそれが周辺小売業その他と摩擦を起こす場合には勧告をし、命令をし、罰則もかける、こういう体系にしたわけでございます。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 もう一点補足申し上げますと、最近中小企業、零細の小売業が集まりまして、寄り合い百貨店というものがだいぶできておるわけでございます。これらは、むしろスーパーや大型百貨店に対する共同防衛として、中小企業、零細企業が知恵を使ってつくり出してきたものでございますけれども、これらの共同防衛でできたものまで許可制にするということは、いささかどうかと思うわけであります。したがって、営業は自由でやっていいんだ、ただし周囲との調和の必要上届け出て、いろいろ審査は受けなさい、そういう形で寄り合い百貨店というものも考慮にありまして届け出制にしている、それと同時に、スーパーもワクに入れて届け出制にする、そういう考慮が働いたわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いま大臣がお答えになりました共同スーパー、寄り合い百貨店、この問題については、あらためてまたあとでお尋ねをしてみたいと思うのです。大臣がいまお答えになった寄り合い百貨店、共同スーパー、これは中小企業が零細なままであってはいけない、中小企業が寄り集まって、百貨店あるいはスーパーをやって、中小企業の生きる道を見出していこうという国の政策によるものであります。その考え方からいきますならば、これを届け出制にしたことは、その芽をつむことに通じないかどうかということで問題が一つあるわけであります。したがいまして、許可制を届け出制にするという大義名分というものには私は必ずしもつながるとは考えません。百貨店が従来許可制であったものを届け出制にしたその根拠は何かということに対する企業局長の答弁もどうも明確ではないと私は思います。従来は企業式であった、今度は建物式に変わったのだ。建物式に変わった場合、建築基準法との関係がどうなのか、建物式によることは、いわゆる建物によって許可をするということになってくると、建築基準法はこれは許可制であるから、百貨店法において許可制であり、建築基準法において許可制である、したがって、同じ許可が、二つの法律によって制約を受けるということに問題はないのかどうかというようなことが大義名分としてここで明らかにされるならば、許可制が届け出制になったということについて、一応私は納得できる説明につながっていくかもしれないと思います。そうではなくて、いま企業局長が答弁をされたようなことでは、許可制を届け出制にしたという大義名分は立ちにくいし、つながってこないのではないかというふうに私は考えます。  もう一つ問題は、消費者利益と一体のことを考えていくならば、許可制から届け出制にするということは、これは競争条件を整備したことにつながってまいりましょう。しかしながら、寄り合い百貨店であるとか共同スーパーであるとか、あるいはスーパーであるとか、疑似百貨店を百貨店と同一土俵の上にあげて届け出制にする、しかも、それが勧告その他いろいろなことによってこれに規制措置を課するということは、これは競争条件の排除につながってまいります。この法律案は、一方においては競争条件を満たしていこうとする、一方においては競争条件を排除していくということにつながってまいりますと、相矛盾する措置であるということの非難も免れ得ないのではないか。この点をどう御説明になるのか、聞かせていただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 御意見はごもっともでございます。いろいろな時代の要請が各方面から参りまして、それらを調和させようという意味で、最大公約数の線を模索いたしまして、いまのようなかっこうになりました。百貨店を許可制から届け出制にするということは、中小企業その他に対してはマイナスの作用である、中小企業保護については欠けるところがあるように思います。しかしまた、スーパーを入れるということは、これはプラスの作用をなしてきていると思います。そういうようないろいろな時代の要請も考えて、百貨店とスーパーの性格があまり変わらなくなってきたという点もあるし、スーパー自体が非常に各地に店をつくりまして、ものすごい巨大な力を発揮しつつあるおりから、これも何か規制を加えなければ小売商店との関係において黙視できない状態にもなりつつある、そういうような面から考えまして、従来の百貨店の許可制とほとんど変わらないくらいの事前審査制という深いえぐりをやりまして、その点はそれで一方において担保する、それと同時にスーパーもそのワク内に入れ、そして小売商業との関係において小売商業のためも考える、そういうようないろいろな考慮をめぐらしまして、最大公約数の線として、多少矛盾している面も局部局部にはあるのでございますけれども、現代を処理するにはこれでやむを得ない、そういう考えに立って提出したものであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 同じ大規模であるが、それぞれの特性を持っているそうした大規模小売店が、同一土俵の上に立って思う存分競争してもらいたい、そのことが消費者利益につながっていくというような考え方をお持ちなのかどうかということも、ひとつあとで、一緒でけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思います。  ただいま大臣がお認めになったというのか、一つの矛盾点として肯定をされたことと関連をいたしまして、マスコミ等が取り上げて、次のようなことを言っております。今回の百貨店法の改正は、外には資本の自由化の攻勢がある、内にはスーパー等の大規模小売店の攻勢がある、この両方の攻勢、腹背から敵を受けた、この苦境の立場に立った百貨店を守るために、今回の百貨店法の改正が行なわれたのだという声があることが、マスコミ等によって取り上げられておる。先ほど神崎君からも相似たような指摘があったわけでありますが、この批判と申しましょうか、この指摘に対しまして、大臣はそうではないという説得力のある御説明ができるのでございましょうか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 その点は先ほどお答えいたしましたが、やはり最近まずスーパーとの間でかなり中小小売商業との摩擦が起きておりまして、各地で私らのところにそういう問題が持ち込まれてまいっております。それから百貨店も、かなりこういう外資の関係等も考えているのでしょう、全国的系列化の方向に狂奔してきておるという情勢もありまして、それが内面的にもかなり進んでいるように私らにらんでおります。そういうような情勢の中で、被害を受けているのは、また受ける危険性があるのは中小小売商業であるだろうと思うのであります。そういう面から中小小売商業を現代に即しながら刺激を与えつつ、どうして守っていくかという考慮も働きまして、事前審査制ということを加味した、事実上許可制に近い届け出制ということによって、一面そういう大きな資本力の奔放な動きを抑制しようという考えもあるのであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いま大臣がお答えになりました事前審査制と届け出制は、具体的な運用の上にどう変わってくるのかという点です。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 ただいま大臣の言われた事前審査制というのは、もちろん法律用語でもなんでもございませんけれども、普通ならば、法文の上ですらっと届け出をすべしと書いて済むところを、本原案のように七条で、また、ほかのところでも書いてございますが、届け出を受けた通産大臣は、こういう点を審査して、そして勧告するかどうかをきめなければならないということを明記しておりまして、そこの届け出を受けた通産大臣の判断の内容が法律上ある程度しぼられておるところに差異があると思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 事前審査によってただいまお答えになりましたような取り扱いがされるということになりますと、事前審査ではなくて届け出制でありました場合は、届け出のしっぱなし、これに対してはいかなる措置も通産省は講じようとはお考えになっておられなかったのですか。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 これももちろん届け出を出す、そしてその届け出を受理した通産大臣は必要なときには勧告をする、勧告に従わない場合は命令をするというたてまえの法律は多々ございますし、私どもも、正直申し上げまして、そういう案も今回の改正案に一度つくってはみました。しかし、種々議論の結果、七条に書きますように、通産大臣は、届け出があった場合においては、これは全部で四行以上に及ぶものでございますが、「相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、そのおそれがあると認めるときは、」というこまかい明文を入れまして、その審査に一つの意味と範囲をしぼったわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 事前審査制をとることにおいて新たな条文が加えられたというのはどの条文ですか。届け出制の場合は必要でなかった、事前審査制になったからこの条文が入った。事前審査ということを声高らかに、大臣の先ほどの御答弁のように、形式的には届け出制、実質的には許可制、そういった方向で運用の妙を発揮していきたい、ことばは若干違うのですけれども、意味は私は同じであろうと思っておりますが、それならば事前審査によってこう変わったのだ、こう変わるのだ、条文の点では事前審査という形になったからこの条文が入ったのだ、こうならなければ説得力はありません。したがって、その点をもう少しわかりやすくお聞かせをいただきたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 第七条でございまして、二行目から読ましていただきますと「その届出に係る大規模小売店舗の周辺の人口の規模及びその推移、中小小売業の近代化の見通し、他の大規模小売店舗の配置及び当該他の大規模小売店舗における小売業の現状等の事情を考慮して、その届出に係る事項が実施されることによりその届出に係る大規模小売店舗における小売業の事業活動がその周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、」この四行強の条文でございまして、それに三項目はっきりと審査すべき事項が明記されたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この点は、いわゆる事前審査制なるがゆえに、当初考えておったことから——これは原案ではあなたのほうは事前審査ということは考えておられなかった。正直に申し上げまして、私どもは総選挙の前に成田委員長が盛岡談話でもって許可制を届け出制にすることは反対であるという党としての態度表明をしたことがあります。したがいまして、通産省が許可制から届け出制に後退をさせるということについては問題であるということを絶えず指摘をしてまいりました。そのことが直接事前審査制につながったのであると私はあえて断定しようとは思いませんが、いずれにいたしましても、あなたのほうはそうした声というものを無視できない、これはやはり傾聴に値するといったような考え方もあったのではないかというように私は考えているわけであります。それらの点等々、各方面の意見を参酌されて、事前審査制という形に今後法の運用をしていこうという考え方であろうと私は考えるわけであります。したがいまして、大臣がお答えになりましたように、実質的には許可制と変わらないのだということについて、中小企業等には、やはり許可制が届け出制に変わったということに対する危惧の念、不安感というものがあるわけでありますから、そのことを明快に具体的に内容を御説明するのでなければ、私はいわゆる中小企業の不安というものは去らないであろう、こう思います。したがいまして、もう一度この点に対して、中小企業の方々が納得できるように、そしてそのことが消費者の利益をそこなうものではないということが消費者にも理解ができるような御説明をひとつ伺いたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 この七条の条文のような条文になりました理由の一つには、やはり成田委員長の岩手声明というものがかなり影響していることは、率直に申し上げて事実であります。やはりわれわれは皆さんのコンセンサスを得た法案にしてこれを通過させたいという気持ちもございましたから、成田談話というものは許可制と言っておられるが、事実上それに近いところまでぎりぎりどうやって持っていけるかということの検討も命じまして、そのほか諸般の御意見も参酌して、こういうふうになったわけであります。おそらく成田談話の背景には、中小小売零細企業の立場を考えてああいう発言があったのだと私思いますが、そういう点も考えの中に入っておったことも事実であります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 既存店舗と新設店舗の規制条件というものが、法律案を見る限りにおいては同一ではない。新設大規模小売店については、それぞれの条文によって規制措置があります。ところが、既存の大規模小売店については規制の措置がここにございません。この点は、午前中同僚佐野委員からも指摘をいたしたところでありますが、大臣、具体的な事実として考えてみていただきたい。  ここには既存の大規模小売店があります。今度はここに、極端に言って隣には、本法の対象になる新設の大規模小売店があるわけであります。規制措置がありませんから、休日の問題、閉店時間の問題、極端に申し上げますと、年中無休の大規模小売店もないとは言えません。従業員は交代で休むということだってあるでしょう。店舗は休まない。新設のものは本法により、あるいは本法に基づく通商産業省令によって、休日であるとか閉店時間というものが規制されてまいります。並んでおって、閉店時間であるとかあるいは休日であるとか、同じ日に私は休めということを言っているのではありません。年中無休の店、本法によって、それに基づく通商産業省令によって、月に四日の休みであるとかあるいは二日の休みであるとかいうような店、閉店時間も相違してくる、こういうことが当然のように考えられているのかどうか。この法律案を見る限りそうなっているのであります。どうしてこのようなばかげた法律案をおつくりになるのか。常識で考えたらこういうことはわかるのであります。ただ反対があるから、既存の店舗の抵抗があるからこれは避けて通ろうなんという考え方では、少なくとも冒頭に大臣がお答えになりましたような小売店の立場に立ち、消費者の利益の上に立って公正な法律の運用をはかっていきたい、流通小売業の産業の発展をはかっていきたいという考え方には通じてこないと私は思います。このような矛盾についてどのような説得力のある説明がなされるのであろうか、私はその点を伺ってみたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 公正競争という面から見ますと、確かに御指摘の点は検討しなければならぬ点であると思います。御指摘を受けましてわれわれもいま検討を加えているところでございますが、企業局長より御答弁申し上げます。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 大臣の答弁されたとおりでございまして、検討中でございます。したがって、いまさらへ理屈がましいことを申し上げるつもりはないのでございますが、原案提出者としてちょっと言わせていただきますと、そもそもこの法律全体が開店時を一つの時間的な基点として規制しようということで初め思想統一をいたしました。したがって、それで体系を立ててみたんですが、それで体系を立てますると、既存のスーパー等については一応それを一つの既成事実として認めて、そのスーパーなり大型店舗が現状を変更する場合、つまり面積を拡大したり閉店時刻をさらにおそくしたり休業日数をさらに減少したりする場合にはもちろん七条、八条、九条にかかってくる、こういうたてまえにしたわけでございます。ただし、いま先生から御指摘がありましたように、かりに一万平米で建てたものをそこに今度新しく近隣に一万平米の申請が出た場合に、従来まで百貨店法の運用の実績から見ますと、その場合にその既存の一万平米も一番上は売り揚面積に使わないようにするという調整までして、新しいものの最終判断をこれも九千平米あれも九千平米とやった実例がごくまれにございますけれども、原則的には、面積のほうは既存のものはそのまま一つの既成事実として認める。ここまではいいとしても、さて営業時間とか休日にしましたらば、新規のものについてある判断を下すときに、なるほどそこが一つのコミュニティーとして地域社会をつくるときに、いままでのものが既成事実の上に眠っていていいか、こういう問題は確かに大きな問題だと思いますので、いま大臣が申し上げましたとおり、私どもも鋭意この点を検討したいと思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 局長、頭脳明晰なあなたの答弁でも説得力に欠けるのです。経過期間を置くことは私は納得するし、理解ができます。既存のものに対してこの法の適用する期間ということについて、一年なら一年の経過期間、経過措置を置く、それならばわかるのです。百貨店とスーパーと、ましてや国の中小企業の施策であるところの寄り合い百貨、共同スーパーまで今度は届け出制にして同一の方向にこれを並べていこうとすることは、お互いに共通の土俵の上に立って公正な競争をしなさいということなんです。冒頭大臣から、百貨店法の改正についての意義という点に触れた答弁が実はあったわけであります。ならば、既存の大型小売店舗であろうとも新設のものであろうとも共通の土俵の上に立って競争をやらせるということでなければなりません。そうせずして真に流通産業の発展、秩序というものが守られていくでありましょうか。何と御答弁なさろうとも、私はある種の抵抗に通産省が屈服したといわざるを得ないのであります。いかにあなたのほうで検討なされようともすでに矢は放たれた、法律案は提案されているのであります。一度提案したけれども、問題点であるからもう一度この点は取り下げて、あえて再検討をいたしましょう、直して再提出をいたしましょうという意味なのか、あるいは朝令暮改のそしりは免れないだろうけれども、また次期国会においてでも改正案をお出しになるという考え方の上に立って、ただいまのような御答弁が出たのかどうか、あるいは国会においてこれを修正をするということになれば、行政当局との間に十分話し合いをやって合意して、公正な方向にこれを改めていこうとするお考え方の上に立って検討しておるという答弁が出たのかどうか。そこいらの関係はいかがでございましょうか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 検討という意味は、本委員会における各党の皆さんの御意見がどういう御意見にまとまるであろうか、そういう点をよく伺いましてわれわれの態度をきめていきたい、謙虚に考えておるところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大都市三千平米、地方都市千五百平米、これの根拠を伺ってみたいと思うのですが、従来百貨店法によって三千平米であり千五百平米ということは私も承知をいたしておるわけであります。しかし、流通産業は大きく変わってきました。また、通商産業省令によりましても、休日等においても大都市の場合は月四日、地方都市の場合においては二日であります。週休二日制というものは、大きないまの波であります。これをまた大都市と地方都市を区別をすべきものではないのではないかというように私は考えます。したがいまして、休日等について、今後地方都市も週四日制という方向に統一をさせる方向に努力をされる御意思があるのかどうか。また三千平米と千五百平米、現在のように流通産業が大きく変遷をしておる段階におきましてもこれだけの差をつけることが適当とお考えになっておられるのかどうか。この二点についてお答えをいただきたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 省令で法施行後にきめたいと思っておりますが、ただいま御指摘のうちで、従来月何日休日を設けるべきかというので、四日と二日の差をつけてまいりましたが、現在私どもは、御指摘のとおりもう差は要らないのではないか、生活条件その他から見ましてその差は要らない、政令都市も地方都市も一緒の基準でよろしいと思いますが、面積につきましては、例の一年間御討議を願いました産業構造審議会の流通部会の専門の方々の御意見の結果、私どもは現在はまだ差をつけておくべきだと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 一応理解はできます。同一であるということには必ずしも問題がないとは言えないと私も思っております。地方都市の小売商の規模、力関係といったようなものから考えてまいります場合、やはり大都市と地方都市と面積の面においては若干の差をつけるということは妥当であると私は思っておりますから、この点は納得をいたします一ただ三千平米、千五百平米がはたして妥当かどうかということについては今後とも検討の余地があるであろう。現在百貨店法が三千平米であるから、地方都市が千五百平米であるから、この点は何ら検討を加えることなく、従来と同じにしたということのように感ぜざるを得ないところに若干の問題を感じております。  なお、それ以下の大型小売店、これは規制の対象になっていないわけでありますが、小売店に与える影響も非常に大きい、かといって小売店のことだけを考えてまいりますと、消費者利益の問題というものもこれは出てこないとはいえない。やはりその場合は、小売店というのは、冒頭私が申し上げましたように、小売店は小売店としての特性、妙味を発揮して消費者の利益をはかるために努力をしておるということは私も認めているわけでありますから、それらの点に対してどのようにお考えになっているのか。今後三千平米あるいは千五百平米以下の大規模店の新設あるいは増築等にも問題が起こってこないとは言えないと思いますが、その場合はどのような行政措置を講じようとお考えになっておられるのか。いわゆる指導行政ということになってまいりましょうから、それらの点をひとつ伺っておきたいと思います。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 この点はまさしく指導行政でございますが、この法律の規制対象にならない、したがって届け出は要らないということでございますが、せんだって御審議いただきました中小小売商業振興法もその一つでございますが、私どもとしては、中小企業庁をはじめ中小小売商業に関する特別の法律もしくは行政上の、金融等も含めまして、相当の手だてを持っております。したがいまして、この法律の趣旨から見て、もし大都市二千五百平米とか千五百平米とか、場合によってはもっと小さいものでも、ある特殊の事情から周辺小売業に不当な摩擦を起こすような場合には、全力をあげて指導をして、この法律の趣旨に沿った結果に持っていきたいと思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 ただいまの答えが単なる答弁に終わらないように、生きた行政をひとつやっていただきたい。また、この問題はたいへん重要な問題でございますから、大臣から重ねてひとつ考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 ただいま企業局長がお答えいたしましたように、深甚の配慮をいたしまして、行政の実施につとめる考えであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この届け出制になる、あるいは事前審査制になるといったようなことから、かけ込み申請というものが相当多く出ているように伺ったのでありますが、その状況はどうなのか、そのかけ込み申請の扱いをどうしようとお考えになっていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。

橋本利一通商産業省企業局次長

○橋本政府委員 四十五年の秋以来、いわゆる擬似百貨店に対しましては局長通達によって指導行政を実施いたしておりまして、いわゆる特定店舗について届け出を出させております。その届け出件数について申し上げますと、四十五年の十月から四十八年の五月まで、月平均にいたしまして大体十三件ということになっておりますが、昨年の十月から本年の五月までの時点だけを取り上げますと二十件、過去の月のピークは十六件ぐらいでございます。したがって、平均値あるいはピーク時に比べましても、この十月以降の届け出件数は増加しておるという現状でございます。これを一応かけ込み増設的なものと解釈いたしまして、当方では諸般の手を打っております。  まず第一番には、昨年の十一月から従来の行政指導の線を強化いたしました。強化の内容は二点でございます。従来少なくとも三カ月前に届け出をすることになっておったものを、少なくとも六カ月前に届け出をさせる。いま一つは、今回の法案の中にもございますような勧告制を導入いたしまして、最終的に話がつかない場合には、通産大臣が、行政指導ではございますが、勧告権を発動するといった形で、従来の行政指導を強化しておる。いわゆる通達行政の強化がまず一つあげられるかと思います。  それから第二には、これは六月の十二日付でございますが、企業局長名をもちまして、チェーンストア協会の会長に対し、無用の混乱を起こすことのないよう、その新増設については深甚の注意を払うように通達いたしております。  それからいま一つは、これは実態的な問題でございますが、この届け出件数が非常にふえてはおりますが、その計画書を見ますと、その大半のものは、幸い本法案が成立した以降この法律の適用を受ける時点にかかってまいりますので、現実の問題として本法による措置も可能である、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまお答えによりまして、いろいろ配慮をしておられることは理解ができました。いずれにいたしましても、先ほど私が申し上げましたように、そうしたかけ込みが出てくるということは、既存の店舗と新設とこれを区別していこう、既存のものは法の対象にしないという考え方であったところに、いま言うかけ込みというものが私は出てきたと思う。しかし、本委員会で各党話し合いをいたしましてこれを修正するというような形になってまいりますと、これは経過期間といったようないわゆる経過措置という問題が出てまいりますが、いまのそうしたかけ込みのものは経過措置というものの対象にしていいかどうかといったような問題等も出てまいりましょうから、ひとつ十分検討をしておいていただきたい。また、私どもも、この点につきましてはいろいろと具体的な事実の上に立って意見を申し述べる機会もあるであろう、こう思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。  それから、地方都市に起こってくる問題でありますが、生協、農協スーパー等はこの規制の対象としては考えておられないのかどうか、まずその点をひとつ先にお答えをいただきましょう。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 この二つは、それぞれ独自の法律に従って、その個別法で許されておる範囲で、農協の場合には関係農民、生協の場合には組合員のために、その利用のために小売販売をしておるという実情、そういうたてまえでございまして、そのために免税措置もやっておるわけでございます。したがいまして、この法律の対象にならないわけでございますが、問題は、それが員外利用をどこまでふやしてくるか、その実態によって大型店舗に似たような機能をしてくるおそれがございます。そういう場合に私どもも強い関心を持っておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 たいへん苦しい答弁でございますが、局長、これは、部課長はいるが中小企業庁長官がそこにおられないのだけれども、中小企業者は非常にさびしさを感じますよ。  その員外利用というものが公正に行なわれているのかどうか。地方都市におきましては、農協等のスーパーが相当大型化している。このことから致命的な打撃を受けてきている。金融の面において、税制の面において、農協スーパーと中小企業者と同一の条件の中にありません。別の法律なんだからいたし方がないのだ、そう簡単に片づけられるものではないと私は考える。  たいへんむずかしいことは私も承知いたしております。したがって、十数年前私どもが中小企業基本法をつくります際に、やはり農協スーパーといえども——そのときはスーパーということは申しませんでしたが、農協等が流通関係の事業を行ないます場合は、やはりこれも何らかの規制措置を講ずる必要があるのではないかということで、いろいろありました。正直に申し上げまして、自民党、社会党、その他各党、農協関係の議員、私ども中小企業関係の議員との間に意見の相違があったことは事実であります。たいへんむずかしいことである。私は一方的にこの問題について政府を責めようとは考えておりません。しかしだからといって、これは別の法律なんだからいたし方がないという形でそう簡単に片づけられたんでは、中小企業者は浮かばれないのではないでしょうか。農協スーパーが真に組合員の利益を守るために必要であるならば、あえてこれを不可であるとは申しません。それはそれとしてやってもらわなければなりませんけれども、何らかの形において中小企業者と共存し得る道というものが開かれていかなければならないと考えます。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕  これらの場合において、小売商業調整特別措置法というものがどう働くのか、この場合、調整法の対象にもならないとお考えになっていらっしゃるのかどうか、調整法の対象になるとするならば、どのようにこの調整法というものが働いてきたのか、また働かすように通産省、中小企業庁はこれに対処してこられたのか、それらの点もあわせてひとつお聞かせをいただきたいと思います。大体、呼ばなかったけれども、長官だとか次長だとか、きょうはどうしたのか。

生田豊朗中小企業庁指導部長

○生田政府委員 生協と農協でございますが、先ほど企業局からお答え申し上げましたように、生協法あるいは農協法に基づいております。  ただ、この生協あるいは農協の特に員外利用につきまして、それが周辺の中小小売商業者に影響を与えている事実につきましては、私どももいろいろ話を伺っております。それで、通産省といたしまして、農林省あるいは厚生省と連絡をとりまして員外利用、これは、生協につきましては員外利用が許可制になっておりまして、この許可が過度に行なわれないように、この許可につきましては、中小小売商業者に悪影響の及ばない範囲において許可を与えるというたてまえになっておりますので、そのたてまえをくずさないように、それから農協につきましても、員外利用が法律の規定を越えて過度に行なわれないように、両省と連絡をとりまして、その指導をお願いしているわけでございます。  それで、生協につきましては、四十六年の十一月に厚生省の社会局長名で各都道府県知事に対しまして、員外利用の自粛に関して指導を行なうように通達を出してもらっております。それから同じく生協でございますけれども、生協の員外利用の実態につきまして、最近私どもで各都道府県を通じまして調査をしたわけでございますが、生協の数が全国で約千ほどございますが、そのうち三百七十の生協に対しまして、各都道府県知事から員外利用の許可が与えられております。  それから、商調法についての先生の御指摘でございますが、これは生協と中小小売商業者との紛争につきましては、御指摘のとおり商調法の対象になるわけでございます。したがいまして、当事者の一方あるいは双方から申し出がありましたときには、都道府県知事があっせん、調停が行なえるたてまえになっております。ただ、この商調法につきましては、中小小売商業者の方に、必ずしもこの法律の存在あるいは法律の効果につきまして周知徹底していないうらみがございますので、私どももいろいろ機会を見まして、この法律を活用されるように小売業界にいろいろ趣旨の徹底をはかっている次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 たてまえのとおりいったならば、部長、たいして問題は起こらないのです。たてまえのとおりいってないわけなんだ。だから問題になる。また、いっておるかいっていないかということについて、追跡調査なんというのは中小企業庁はやっていないじゃないか。この小売商業調整法が制定されましてからもう十五年ぐらいになるでしょう。どこでこの法律が働いていると思いますか。全然働いていないのじゃないかと言ったところが、この間京都に行ったところが、私のほうで一件働いておりますと言った。あるとするならば、その程度でしょう。有名無実の法律です。  そのことは、言いかえれば、中小企業庁が関心がないということなんだ。中小企業庁はアイデアマンではないはずなんだ。法律をつくりさえすればよろしいというものじゃない。いかにこの法律あるいは制度の中において中小企業を守っていくか、そうした熱意の上に初めてこの法律というものは有効に働いていくわけです。私は憤りすら感じているわけであります。この委員会であなたがたてまえ論をとうとうと論じたところで、だれがそのたてまえ論をああそうかなといって感心して聞く人がありますか。たてまえ論を言うこと自体がナンセンスなんだ。十分反省をしていただきたいということを申し上げておきます。  次に、先ほど大臣からお答えになりました寄り合い百貨店あるいは共同スーパーの問題でありますが、これは高度化資金を使って寄り合い百貨店とか共同スーパーというものは建設をし、事業運営を行なっておると思いますが、そのとおりでございますね。

生田豊朗中小企業庁指導部長

○生田政府委員 そのとおりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 じゃ、寄り合い百貨店とか共同スーパーというのは、たてまえのとおり公正に運営されておりましょうか。

生田豊朗中小企業庁指導部長

○生田政府委員 公正に運営されていると考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 今回寄り合い百貨店と共同スーパーを届け出制にして同一土俵の上に乗せたということは、スーパーがだめになっている、これが本音ではございませんか。ならば、公正に行なわれておらぬということを裏づけしておると私は思う。この点どうお考えになりますか。

生田豊朗中小企業庁指導部長

○生田政府委員 ただいま先生御指摘の点でございますけれども、私どもは、この寄り合いスーパー、寄り合い百貨店が大手の百貨店あるいは大手のスーパーのダミーになっておりますので、同じ土俵に乗せたというふうには考えておりません。これは部内でいろいろ検討した結果でございますけれども、寄り合いスーパー、寄り合い百貨店につきまして、これを今回のこの大規模小売店舗法の規制の範囲からはずしました場合には、新しい擬似百貨店のような脱法行為の形式が生まれるのではないか、その点を懸念いたしまして、同じ規制のワク内に入れたわけでございますが、先ほど来御説明申し上げましたように、そういうものにつきましては、これを規制するのではなくて、一応形式的な規制の対象にはいたしますけれども、実質的には、それが自由に活動できるように、自由に開店できるようにいたしたいというように考えている次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それはおかしいよ、君。同じ法律の中に、寄り合い百貨店と共同スーパーというものはこういたしますという区別する法律案の何ものもないじゃないか。同じように規制をしようとしておきながら、寄り合い百貨店、共同スーパーにおいては、届け出があったならば、それを直ちに認めてやろう、表現は違うんだけれども、あなたの答弁はそういうことになる。そういうことはおかしいよ。じゃ、書き直しなさい、この法律を。そういう安易な便宜主義的な答弁は許されない。企業局長、責任ある答弁をしてください。

山下英明通商産業省企業局長

○山下(英)政府委員 ただいま生田部長が申し上げましたのは、十一条後段のところを申し上げたんだと思いますが、私どもも、結局いろいろな形がございまして、いま中村先生御指摘のいわゆるダミーというのは非常に悪いほうの例だと思います。それから、真実、その都市開発の区画整理に応じまして、中小企業庁も補助するし、建設省も特別の権利を与えて、ほんとうの寄り合い百貨店をつくっているところもありますし、また、あいのこのように、事実私どもが百貨店法の運用でやってきた経験でございますが、一万平米のうち四千平米は近隣小売店の希望者を入れ、その核になるところは中央からの企業が売り場面積をやるというような抱き合わせ寄り合いの場合もございまして、種々雑多と言っていいぐらいに形がございます。  そこで、この法律としては、一応網はかぶせて届け出はしてもらいますが、その届け出を受理したあとの審査の配慮として、十一条の後段にございますように、前段は消費者の利益の保護についての配慮でございますが、後段は「あわせて、大規模小売店舗における中小小売業の近代化その他の小売業の事業活動の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないよう配慮しなければならない。」ここで、七条の勧告を通産大臣が出しますときに、寄り合い百貨店は十分その特殊事情を考慮すべしということを明記したわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いずれにしても、寄り合い百貨店と共同スーパーといったようなものを本法律案の対象にしたということは、公正に行なわれた場合は後段を考えていきましょう、しかしながら、ダミーになるおそれがあるからこの法律案の対象にしたことは事実じゃありませんか。これを否定なさいますか。いままでいろいろとあなた方のほうでは、本日に至りまするまでさんざん苦労をしていらっしゃいます。そのほどは私も承知をいたしております。寄り合い百貨、共同スーパーをこの対象にするということについては、いろいろと議論があったところでしょう。しかし、私が指摘をいたしましたような、そういうダミーになっているというようなことから、これを放置できないということが本音ではありませんか。そこまでは否定できないでしょう。あえて答弁を求めませんが、重大な問題ですから申し上げておきます。部長、この点についてお答えをいただいてから、あいまいな点は明確にしておいていただくわけであります。きょうは、もうすぐ六時になりますから私の質問は保留をしなければなりません。したがって、統一見解も出していただかなければなりません。この質問を終わりましたあとで話し合いをされて、大臣から明快に統一見解としてのお答えを私は明日伺うということにして、いまの点は、ただいまお答えをいただくことをしばらく猶予しておきたいというふうに考えているわけであります。  次に、指摘をしておかなければならないことは、これは大臣、重要な点であります。ダミーになっていることは事実であります。ダミーになっておるのにかかわらず、高度化資金を使わしたということはどうなのか。これは当然償還命令を出さなければなりません。中小企業なるがゆえに高度化資金二分七厘の金利が使われておるのです。しかし、それは形だけであって、実態は大型スーパーのダミー化している。ならば、この高度化資金をそのまま使わしたままこれを償還命令を出さないで放置しておくわけにはまいりません。一件でも償還命令を出して償還をさしたという事実があるのかどうか。ならば、その具体的な事実をお聞かせいただきたい。この点をどう措置しようとお考えになるのか、ひとつ明快にお答えをいただきたい。

生田豊朗中小企業庁指導部長

○生田政府委員 寄り合いスーパー、寄り合い百貨の計画がつくられました段階で、大手のダミーであります場合には、もちろん高度化資金の融資はしないわけでございます。ただ、一、二例がございますけれども、経営が不振になりまして、そのあとで、その経営の立て直しのために大手のスーパーがそこに入ってきたようなケースはございます。その場合も、厳密に申しますと、償還命令を出すべきでございましょうけれども、ただ、その場合には、その中にまだ入居しております他の中小小売商業者の経営も十分に考える必要がございますので、その点を総合的に考えまして、措置している次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまのは答弁になりません。したがって、先ほどのこの法律案について後段がどうだとか前段がどうだとか、いずれにいたしましても、この寄り合い百貨、共同スーパーというものが本法律案の対象となるということについては問題が一つあるわけであります。しかし、ダミーになるということであるから、私どもといたしましては、ダミーになってはいけない、やはりこれは規制をしなければいけないであろうというように今日までのいろいろな、本委員会は初めてでありますけれども、いろいろな説明等が聞かされております。おそらく与党の部会等におきましては、それらのことについての話があっているのではないでしょうか。ならば、私はたいへんな問題であると思いますから、この点はいろいろと擬装されるのではなく、問題を問題としてさらけ出して、これをどうしたらよろしいのか、大臣から明日明快に一つの統一見解としてこの点をお答えをいただくことにいたしまして、きょうはこれで保留をいたしまして私の質問を終わります。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長 次回は明四日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗