商工委員会 第34号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/06/26
会議録
○浦野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺三郎君。
○渡辺(三)委員 工場立地法については、現行の工場立地の調査等に関する法律がきわめて不備なものになっております現状の中で、これを大幅にしかもむしろ抜本的に改正をするという立場で考えなければならない時点に来ておると思います。したがいまして、そうした前提に立ちながら質問をしたいと思います。 本法案の審議が始まりましてから、今日の最大の課題の一つであります公害対策、それから環境保全の観点にしぼった質問が相当いままで詰められてまいりました。しかし、これに対する当局の考え方あるいは答弁は必ずしも十分ではありませんし、まだ明らかにされなければならない問題点も幾つか残っておると思います。したがって、私は端的に、それらの問題について幾つかの問題にしぼりながら質問を申し上げたいと思います。 まず最初に、第二条関係についてお伺いをいたしたいわけです。この第二条二項の工場適地調査の内容に、公害防止に必要な調査、こういうことを加える必要があるのではないかというふうに考えておりますが、この点についてはどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。 なお、関連をしますけれども、四項の公害防止調査には幾つかの内容が書かれておりますけれども、ここに生物の分布等の生態調査、これを加える考え方がないかどうか、この点も二項の問題とあわせてお伺いをしたいと思います。
○青木政府委員 第一の御質問でございますが、第二条の工場適地の調査に公害防止に関する調査を加えるべきではないかという御質問でございますか。
○渡辺(三)委員 そうです。第二項に。
○青木政府委員 第二項の関係は、第二項では従前の調査を書いておりまして、第四項で公害防止に関する調査というものを規定しているわけでございます。 第四項の調査に生態系その他の条項を加えるべきではないかという御質問に対しましては、確かに現在の調査ではそこまで至っておりませんが、将来の問題としては研究してまいりたいと考えております。その理由は、生態系に関します調査につきましては、その事実、理論その他につきまして、十分この調査に取り入れるほど解明されておるとは思えないわけでございまして、今後その辺の研究の成果を取り入れまして、ある程度この調査の中に取り入れることができるような状態になりました場合には、そういうものも加えて完ぺきな調査にいたしていくということで、将来の検討事項ということでございます。この問題は非常にむずかしい問題でございますので、近い将来すぐこれに取り入れられるというわけにはなかなかまいらぬと思いますが、今後鋭意その辺の研究の成果を私どもも勉強いたしまして、なるべく早い機会にこういうものも中に入れられるということにいたしたいというふうに考えております。
○渡辺(三)委員 なかなかむずかしい問題で検討しなければならぬという答弁でありますけれども私は現在の公害の実情、全国に起きておりますいろんな問題を見ますと、このことが大きく取り上げられて対象にされなければ、ほんとうの意味での環境保全なり公害の防止というものはうまくいかないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけなんです。 そこで、いまの御答弁に関連してお伺いをするわけでありますけれども、どういう機関で現在この研究が進められておるのか、それから研究の現状といいますか、いまその過程にあるとすれば、その中でどの辺まで進んでいて、どういう点が問題があるのか、こういう点についてもあわせてお伺いをしておきたいと思います。
○青木政府委員 生態系の問題に関する研究につきましては、私どもまだ十分その内容について承知しているわけではございませんが、官庁といたしましては環境庁が生物の分布その他につきましての研究をしているというふうに聞いております。そういうようなものをあわせまして、むしろこれからどういう研究状況にあるのかという点を勉強してまいりたいというふうに考えております。
○渡辺(三)委員 いまの御答弁でありますと、これは全くこれからの問題というふうなことで、通産省としては、今回の工場立地法の改正にあたってはそういう面については全く対象に入れないといいますか、入れられる状態ではない、こういうふうな御答弁であったと思うのです。私は、そういう点では今度の立法に対しては非常に不満を持つわけであります。 そこで、小規模な企業立地以外の立地予定地についてはすべてあらかじめ自然、生物それから生活環境施設、こういった環境にかかわる調査を行なう義務を明確に課して、そしてその内容を公表するようなものでなければならないのではないか。現在の生活環境という問題を考えた場合には、そこまで立地法は踏み切った考え方を持つべきではないか、こういうふうに考えるのでありますけれども、いま申し上げた中で、生態系に関するいろいろな問題についてはいま局長から御答弁がありましたから重ねて追及しようとは思いません。しかし、いま私が申し上げたような点についてどのようにお考えですか、お伺いをしたいと思います。
○青木政府委員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、現行の第二条第二項の「工場適地等の調査」の中で、「当該地区の地形、地質その他の自然条件及び用水事情、輸送条件その他の立地条件に関する資料を収集する」ということがございますが、この中に、国の地方の開発計画なり、その地域のいろいろな社会的条件もある程度は収集して現在調査しているわけでございます。したがいまして、大きく抜けておりますのは、現在、エコロジー的な観点からいたします生物に対する影響その他の分につきましては、まだいろいろな研究手法も未発達でございますし、データそのものも完全にはそろってないという状況でございますので、この辺は将来の問題として研究をしてまいりたいというふうに考えております。
○渡辺(三)委員 次に、第六条関係についてちょっとお伺いをしたいと思います。 この六条関係は届け出の問題でありますけれども、この届け出の中に、いわゆるその企業の使用する原材料あるいは燃料、雇用量などを加えながらその内容を公表する、こういうふうな規定を明確にすべきであろうと考えるわけでありますけれども、これらの問題についてはこれまでも質疑の中で御答弁がありましたが、必ずしも明確ではない、こういうふうに思いますので、その点について再度明確にお答えをいただきたいと思います。
○青木政府委員 お答えいたします。 ただいま御質問の中にございました原燃料につきましては、それの第六号にございます汚染物質の最大排出予定量をこえないようにするための措置という中で届け出るべき具体的な内容として、その特定工場における原燃料の種類及び使用計画それから排ガス予定量、汚染物質濃度等とあわせまして届け出事項に含めるように検討しております。 ただ、それを公表すべきかどうかということにつきましては、個々の工場からの届け出につきまして公表しているという立法令はきわめて少なくて、われわれのところでは見受けられない点もございますし、この届け出事項は府県を経由してとることになっておりますので、府県には十分その内容がわかっておりますし、府県を通じまして関係市町村にも当然この事項が回っていくというふうにも考えられますので、特に一般に公表する必要はないというふうに考えているわけでございます。
○渡辺(三)委員 広く一般に公表する必要がないという話でありますけれども、これはどういう手段でそれを公表するかという技術的な問題がありましょう。それから一般にという表現、これは非常に広い、あるいは抽象的な表現でございますけれども、私どもここでこれまでの質疑の中でも主張してまいりましたし、また、私がいまここでお聞きをしたいと思っておりますのは、この一般にという表現をその地域の関係住民というふうに置きかえてもいいと思うのです。そういう意味でお尋ねをしておるわけなんですが、このことはあとでちょっと時間がありますれば触れますけれども、何回かこの委員会でも詰められました公聴会制度の中身、形式、こういうふうな問題とも関連をし、とにかく今回工場立地法がいままでの法律を改正して提案をされている、またされなければならないという今日の状況を考えた場合には、その地域の住民に工場立地について不安感をなくする、こういうふうなことが一番大きな問題だと私は思うのです。そういう点から考えた場合には、いままであまり例がないからといってこの公表をどうしてもやりにくいというふうなことでは非常に消極的ではないか、こういうふうに私は思うのです。この点は、関係住民に対しては、いま言ったように公害にかかわる問題でありますから、これは進んで公表をし、その地域の住民の協力を得られるというふうな立場が前提にならなければならぬと私は思うのですが、その点重ねてもう一度お伺いをしておきたいと思います。
○青木政府委員 工場の立地に関して住民の理解を十分得る必要があるという点については、私どももそのとおりに考えております。ただ、現在のルールが、住民の意思はその代表者である知事あるいは市町村長を通じて反映されるということもございますし、本法を施行する上でかなりの権限を都道府県知事にも委任することになっておりますので、結局市町村長あるいは府県知事を通じまして住民にはその必要な部分については十分その徹底をはかる機会があるというふうに私どもは考えておりまして、届け出そのものを直接公表するということではなしに、その地方自治を通じまして必要な事項は、当然住民の理解を得て、市町村長あるいは都道府県知事を通じてそういう意見が十分反映されるというふうに私どもは考えるわけでございます。
○渡辺(三)委員 その点がやはり少し考え方が違うわけですよ。いままでも工場立地にあたっては、現行の法律では不十分ではありますけれども、しかし今日、公害問題がこれだけやかましくなっている状況の中で、やはり現行法の規定そのものの不備はあったとしても、住民の不安感をなくする、あるいはまたこの公害を未然に防止をする、こういうふうな立場に立って、この問題については非常に重要なウエートが住民サイドからも、あるいはまた、その企業立地を許可する側においても考えられてきたと思うのです。 そういうふうな点で問題を考えてみますと、立法の技術的な問題やあるいはまた都道府県知事ないしは関係市町村がその内容については大体知っておるからというふうなことでは非常に不十分ではないか。いままでも、知っておって立地を許可しておりながら、あとでたいへんな公害問題が出てきて、非常な大きな騒ぎになっておる、こういうふうな現状から考えますならば、この点については、やはり私は、もう一歩積極的に前に突っ込んだ、そういうふうな考え方を前提としての法律の制定というものがしかるべき姿ではないか、こういうふうに考えます。 そこで、住民意思の尊重について、これは何回もこの委員会の質疑の中で繰り返されましたけれども、私はもう一度、この点を明確にしていただきたい、こういうふうな立場で質問をしたいと思います。 立地が適切であるかいなか、こういうふうなことにつきまして、関係住民の意見が公聴会制度などによって十分反映されなければならない、このことはいまも申し上げましたし、それから、この審議が始まって以来、繰り返されてきたところであります。その形式、内容、また公聴会制度そのものを持つ考えがあるのかどうか、どうもその点がいままでまだ不明確な点があるようです。ですから、その点ひとつ明確に、そういう制度を持つのか、持たないのか、それから、持つとすればどういう形式と内容をその中に含めて考えているのか、はっきりお答えをいただきたいと思うのです。
○山下(英)政府委員 住民の意見を十二分に聞く、そしてそれを尊重するという方針は私どもも全く同じでございますが、そのやり方としまして、公聴会を開くかどうかという点につきましては、現在私どもは開かずにやっていける、こう考えております。先ほど青木局長からもお話がございましたように、工場個々の届け出は、手続に従って県知事経由で受理いたします。そして、これは個別の工場敷地内の諸事項を主とした届け出でございますので、行政官庁でそれを審査いたしますが、その周辺の環境、公害、保安等に関する事情は随時周辺住民に知らさるべきものだと思っております。市町村長なり自治体議会を通じて出てきます意見あるいは不服なりにつきましてはこれを十分取り上げますし、そのほかに、少数のグループによる意見が直接自治体あるいは行政官庁に来る場合もあると思います。従来の行政事務の運用の経験から、そういうやり方で住民の意思は反映するのではないかと考えておる次第でございます。
○渡辺(三)委員 いろいろ御説明がありましたが、要するに、公聴会制度というものについては活用しなくてもよろしい、その考えはない、こういうふうに尽きると思うのです。これは公聴会を開かずにやっていけるということでありますけれども、開くことが適当でないという考え方なのか。だとすれば、その適当でないという理由あるいは公聴会制度を持つことによって出てくるであろうというふうにもし想定されているとすれば、その弊害、どういうふうなことを考えてそうおっしゃられておるのか、この点どうも私ども理解できません。いま局長がその他の方法をいろいろあげられましたけれども、私は、やはりその公聴会制度というものを、この問題だけではなくして当局ではともすれば忌避するような態度に見えてしようがないわけです。科学技術特別委員会などでもこの問題がいろいろ取り上げられておるようでありますけれども、なぜそういうふうな態度をおとりになるのか、この点ちょっと私どもふに落ちない点がございますので、その点を含めて御答弁いただきたいと思います。
○山下(英)政府委員 ご承知のように、通産省の行政でも、公共料金の決定とかあるいはまた独禁法関係の企業の合併とか、法律で公聴会の手続が規定され、それを踏んでやっておる行政が多々ございまして、私どもも公聴会の取り柄というものは十分承知いたしております。ただ、このいま御提案を申し上げておる法律は、工場の立地に関し、その周辺の住民、地域社会との融和をはかるという目的がございますが、その場合に地域住民の意見というものをどういう形で行政的に吸収すべきであるかという、これは自治体行政との関係もございましてきわめて広範な問題だと思います。自治体がみずから便宜公聴会等を開かれるのは別でございますが、法律でそれを義務づけて市民の意見というのはこうやって聞くべきであるというぐあいにするまでには、私どもの研究もまだいっておりませんので、そういった一般的な方法として今後も検討したい、こう思っております。
○渡辺(三)委員 どうもこれは何回質問しても同じような答弁になっておるわけですが、公共料金引き上げの問題で公聴会制度をとっておる、法律的にもそういう措置をとっておる、あるいはこれと同じように、あるいはそれ以上に、今日この企業から出てくる公害といいますか、これが住民の生命、健康にきわめて重大な影響を及ぼしておる、こういうふうな状況の中では、公共料金の引き上げに全く劣らない、場合によってはそれ以上の重要なかかわりが出てくると私は思うのです。ですから、私は、この公聴会制度そのものですべてが簡単に片づくとは思っておりませんけれども、いろいろな条件の中でこのこともやはり保障されなければならないのではないか、こういうふうな立場をとりますので、何回も質問を申し上げておるわけですが、どうもこの問題についてもあまり積極的な態度が見られません。 次に、立地の基準についてお伺いをしたいと思いますが、立地が適切であるかどうか、この判断の基準が必ずしもはっきりしておらないと思います。それをどのように考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○山下(英)政府委員 立地調査に適地調査及び立地動向調査がございますが、その立地条件に関する調査は、内容は省きますが、地質、気候等の自然条件から用水、輸送状況、エネルギー事情、労働力等の立地条件、それからまた、都市計画法なりその他諸関連法規のその地域における状況、さらに、実際上は産業公害の問題も従来もやっておりましたし、その適地調査でもやっておるわけでございますし、また、学校とか病院等の住宅事情も含めて諸条件を考えるわけでございます。その場合に、この地域にこういう業種の工場をこういう規模でつくる場合には経営者はどういう判断をしなければならないかという、その判断の基準をできるだけわかりやすく丁寧に指導していくというのがこの法律のいまの立地調査に関する指導でございます。
○渡辺(三)委員 そうしますと、端的に、二、三お伺いしますが、この立地が適切であるかどうかこういうふうな判断の基準としまして、その立地にあたっては、一つは、環境破壊を絶対行なってはならないこと、あるいはいまちょっと関連して触れられましたけれども、土地利用計画がすでに策定をされておって、そうして土地がその内容に明確に合致をしておるというふうなこと、あるいは周辺の生活関連公共施設が整えられる、こういったような諸条件が、この立地が適切であるかどうかの判断の基準として明確に据えられているかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。
○山下(英)政府委員 いまおっしゃいました都市計画法その他による周辺の地域指定なり何なり、これに従ってもらうということは当然判断の基準に入ると思います。御質問の趣旨がそれでよろしいかどうか……。
○渡辺(三)委員 私が申し上げたうちの一つをいま局長が答えられたわけです。 一番先に申し上げましたのは、その工場立地によって環境破壊が絶対に行なわれることはない、こういうふうなことが一番大きいわけですけれども、これが一つの前提になっているかどうか、その判断基準に入っておるかどうか。 それから二番目に、都市計画法あるいは土地利用計画、こういうふうなものを申し上げたわけでございます。 それから三番目は、二番目とも関連しますけれども、周辺の生活関連公共施設が十分に整備をされる、こういうふうな前提条件が立地の判断基準に入るかどうか、こういうことをお伺いしたわけです。
○山下(英)政府委員 第一の環境を破壊しないことというのは、これは大前提でございます。単に産業公害のみならず、広く周囲環境を破壊しない、これが判断の基準でございますし、第三の周囲住民の環境生活に必要な諸施設、これも私どもは望ましいと考えておりますし、また、この法律による立地調査で直接にできる範囲というものは非常に限られておりますけれども、御承知のように、そのほかに農地法なり自然保護法なり等々の法律の中には相当きびしい強行法規もございまして、そういうものの活用によって、環境、周囲住民の生活諸施設が完備されていくということを同時に期待しておるわけでございます。特に今後とも過疎地域等に工場立地を一つの基点として無公害、文化的な都市をつくっていこうというような場合には、なおさらそういう御指摘のありました工場敷地外の全体計画というものが非常に重要になってくると思います。
○渡辺(三)委員 今度の改正案にはございませんけれども、一定業種あるいは一定規模以上の立地については都道府県知事及び指定都市の市長が許可権を新たに持つ、こういうふうなことが非常に重要なのではないか。これは都市計画、地域開発というふうな問題についての大きな責任を市長なりあるいは都道府県知事なりが持つようになっております現在、新たに一定の規模以上の立地が行なわれる、あるいは一定の非常に公害にかかわるような業種がそこに造成される、こういうふうな場合には、どうしても市長なりあるいは都道府県知事なりの許可権というものは必要になってくるのではないか。そうでないと、われわれが心配するような状態が過去においても起きてまいりましたし、これからますますそういう危険性があるのではないか、こういうふうに思われるわけでありますけれども、その点について、今回の改正案では、そこまでは触れられておりません。こういう点について一体どのようにお考えなのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
○山下(英)政府委員 今回の法律は、企業経営者が自分の工場用地として入手しましたその私有地内における工場を公害のない緑化された周囲に融和するものにしよう、こういうたてまえで立法されておりまして、その周辺の地域も含めて、広範囲にわたる地域開発はこの法律と直接には関係がないと私も思います。しかし、そういった都市づくりなり地域開発が非常に大事でございますので周辺地域に関して、土地開発の全般の問題として、その開発事業なり土地の売買について比較的きびしい政府の介入、場合によっては許可制なりあるいは使用制限なりが必要になってくると思いますが、その周辺のそういった諸措置と相関連しつつ、私有地内の指導をやっていく、こういう法律だと思います。その場合に、この準則を公表しまして準則を守らしていく、それがさらに許可制でやっていったらどうかという御趣旨の御意見もあろうかと思いますが、この法律はむしろ準則をできるだけ可能なレベルの高いものにいたしまして、それを守ってもらうが、届け出の内容を審査をしました結果、準則に適さないものは変更命令をし、罰則をかけていく、一般的には届け出をもって足るこういう立て方にしたわけでございます。
○渡辺(三)委員 いまおっしゃいましたように、改正案は、工場の敷地内の配置の合理化あるいは複合汚染に対する若干の配慮が中心になりまして、立地法の内容としてはごく一部にしかすぎない、こういうふうに私ども見るわけであります。そして、敷地内の配置の合理化というのは、必ずしも周辺の環境の維持向上には結びつくものではない、そして複合汚染については、これまでの質問の中でもずいぶん出ましたけれども、本来は排出規制を総量規制に変えることによって防止すべきである、こういう意見が非常に強く出されました。ですから、そういう点から考えますと、今回の改正案というのは非常に限定されたものでありますしそれだけに不十分さはいなめないのではないか、こういうふうに思うのであります。 いま勧告の問題も出ましたので、それに関連して、これは具体的に一、二お聞きしておきたいのであります。勧告の条件の中に、考え方としては拘泥されておったようでありますけれども、土地利用の計画、都市計画に適合するものであること、それからこれも表現の中に出ておりましたが、学校あるいは上下水道の公共施設の確保に支障を来たさない、こういうふうな点を第九条の勧告の条件の中に新たに明確に規定を加えるべきではないか。その点はどのようにお考えですか。
○山下(英)政府委員 御指摘の第一点は、都市計画法の強行規定で当然守らねばならないし、それに違反すれば向こうの法律でも違反になりますし、こちらも当然変更させるということになると思います。問題はその学校、病院でございますが、これは現在の法体系では、行政指導でできるだけやっていく、予算措置、自治体を通ずる開発計画等をもちましてやっていくということになると思います。
○渡辺(三)委員 この学校、病院あるいは上下水道、こういうものについて行政指導とおっしゃるわけでありますけれども、本法の中に明確に規定としてこれを加えるべきであるし、加えることによってその点がきわめて厳格になっていく、こういうふうに私どもは考えておるのです。これは行政指導を強めて、予算措置を講じて、そしてやっていこうとしているのだというふうな考え方はわからないでもありませんけれども、やはり規定の中に明確化することによって、そのことがはっきりと保障されていくのじゃないかと思うのですね。どうなんですか。それは法律の書き方としては何かまずい、こういう技術的な問題があるのですか。それとも規定にまでは加えないでひとつ行政指導にまかしてくれという考え方なんですか。その点は、どうなんでしょう。
○山下(英)政府委員 ほんとうに過疎地帯に新しく無公害工場を建てまして、それを起爆剤にして都市を新しく、相当長期間かかりますけれどもつくり上げていくというような場合には、起爆剤になります。工場立地と、直ちに学校、病院というようなものが関連してくると思います。 そこで、現在別の委員会で御審議願っております国土総合開発法案とか、また、まだ国会に提案はしておりませんが、場合によっては、そういう新都市を日本につくる場合に地域開発を総合的に把握していく法体系はどういうのがいいかということも関係各省で研究は重ねております。ただ、いま御審議いただいております工場立地法におきましては、もちろんそこへ立地する場合に職員、労務者の病院、学校等がすぐ問題になるわけでございますが、それは工場内であれば、もちろん立地準則の条件なりまた変更命令等々の、この法律に基づく諸措置に関連いたしますが、周辺地域におきますそういった施設は、やはり自治体と十分協議しながらやっていくという従来のたてまえをとっていくよりしかたがないのじゃないか、こう考えております。
○渡辺(三)委員 立地決定後の調査の問題についてお伺いをしたいと思います。 立地が決定され、そして建設が進められ、操業が行なわれる。この操業後において立地基準を維持するに必要な調査権というものを明確に保障しておくことが必要なのではないか。立地の決定にあたっては、その前提になるいろいろな調査はあったとしても、今度は具体的にそれに基づいた形で操業が開始されたあとに、どのような状況で立地条件に合致した進め方がされておるのか、こういう点を調査する必要がないのだろうか、こういう点についてもひとつ考え方をお聞きしておきたいと思います。
○山下(英)政府委員 これは法律が制定されましたあと、運用上大事な点でございまして、届け出そのものが虚偽であった場合にはもちろん罰則がかかります。しかし、届け出をしてそのとおりの配置で操業をしたけれども、周辺に公害が出たというような場合は、これは公害規制法による直接的な規制で取り締まっていくべきだと思います。もし操業をしている過程で、この法律で示しました諸条件から逸脱して施設を増設したり変更したりする場合には、当然あらためて届け出審査を経ますので、その点も違反が出れば罰則がかかりますので、運用上十分注意していけば当初の姿は維持されると思います。
○渡辺(三)委員 十一条の「実施の制限」の問題についてお伺いをします。 この制限の期間については「その届出が受理された日から九十日を経過した後でなければ、」云々というふうに出ておって、これが三カ月ということになっておるわけでありますけれども、この三カ月でいいのかどうか。というのは、私どもの考え方から言わせれば、この期間はもっと長くすべきではないか、こういうふうな考え方を持つわけであります。時間がありませんから質問は集約したいと思いますけれども、あとでこの問題に関連して私どもの基本的な考え方を述べたいと思いますが、そのことは別として、この九十日というふうなことでいいのかどうか。たとえば五カ月、六カ月、こういうふうな形のほうがむしろ妥当なのではないかというふうな考え方がありますけれども、この九十日にされた根拠をひとつお答えいただきたいと思います。
○山下(英)政府委員 長ければその間に提出者が計画変更をしたり、再度訂正届け出をしたりするような事態も起きてくると思います。しかし、長ければより事前に行政官庁が把握するという特典がございます。そこで、何日にするかということを検討したわけでございますが、参考にいたしましたのは、たとえば、騒音規制法の特定施設の届け出は工事開始の三十日前でございますし、水質汚濁防止法、大気汚染防止法の特定施設の場合は工事実施の六十日前の届け出でございます。私どもも、そういうのを参考にしまして、立地でありますから九十日以前が妥当ではないかと考えた次第でございます。
○渡辺(三)委員 そうしますと、これは官庁においても、この九十日前に届け出があれば、その立地諸条件についてはすべて十分に検討し尽くすことができる、こういうふうな確信がおありになって、そうして、もちろんいま言われましたほかの法律との見合いもありますけれども、そういう確信があって九十日前というふうに判断をされたのですか。この点はちょっとくどいようですけれども、念のためにもう一度お聞きします。
○山下(英)政府委員 これは私ども行政官庁が負わされている非常につらい点でございますが、予算、人員等の条件もありますけれども、行政事務として迅速でなければならないということから、府県で届け出を受理しましてから九十日あればできるだけ各方面からの審査を完了できる、こう考えた次第でございます。
○渡辺(三)委員 次に、勧告の問題でありますけれども、これはいま私どもが中心的に議論をしておりますのは、この環境の問題あるいは公害の問題であります。この勧告について環境庁長官が意見を述べる、これを明確に規定するという必要がないのかどうか。各省庁のいろいろな協議や打ち合わせの中でそれが十分に消化される、こういうふうなことを考えておられるかもしれませんけれども、その点についてはどのように考えておられるのでしょうか。
○青木政府委員 勧告と環境庁長官との関係でございますが、私どもは、この届け出が出ましたものの写しは環境庁長官のほうに送付することになっておりますので、環境庁長官は、一般的行政行為に対して環境の保全上必要があるときは通産大臣その他の関係の行政機関の長に対して勧告することができるという条項もございますので、特に個々の勧告について協議をいたす必要はないのであって、むしろ必要があれば環境庁長官はいつでも通産省の行政行為に対して勧告することができる、こういう一般条項でもって足りるというふうに考えたわけでございます。
○渡辺(三)委員 多くは申し上げませんけれども、それで十分でしょうかね。必要があれば環境庁長官が意見を述べることができる、こういうふうなことで、はたして今日大きな問題になっております内容、そしてまたせっかくいま法律を改正して工場立地についての——私は必ずしもこれは非常にきびしい規制だとは思っておりませんけれどもしかし現行法の不備を改正しようとしておるこの改正案の中において、いままでのような一般的な考え方でよろしいのだろうか、もっとこれは協議ないしは二重権限、そういうふうなもので明確に環境庁長官の意見がこの問題について加えられるような措置が必要なのではないかというふうな気がするわけですけれども、いま局長おっしゃるように、必要あればできるのだから、こういうふうなことで、そういう一般規定で十分なのでしょうかね。
○青木政府委員 この勧告は個々の企業に対する勧告でございまして、そのもとになっておりますのは、その事前調査なりその他の一般的な事項、基準があるわけでございますが、その辺で十分環境庁の御意見が反映するようになっておりますので、個々の勧告行為について、特に従来の方針に従ってやる行政行為でございますので、これを一々協議する、その他の手間をとる必要はないのでありまして、むしろそういうことは一般的なところで十分環境庁の意見を反映しておれば、個々の行政行為については各省庁の長にまかしておいても十分であるというふうに考えたわけでございます
○渡辺(三)委員 具体的な問題について、あと一つだけお伺いしておきたいと思います。 全国各工場の水銀の使用状況、それから過去の使用量、これは新聞の報ずるところによりますと月末までに明らかにする、こういうふうになっておりますけれども、この点は明確に確認をしてよろしいでしょうか。
○青木政府委員 水銀の調査につきましては、現在方々で汚染状態が起こり、いろいろの問題が生じています。主たる原因でございますのは、大体化学工業の三業種でございます。過去に発生したものといたしましては、水銀法によるアセトアルデヒドの工場あるいは塩ビの工場でございます。それから現に使用しておりますのは、水銀法によりますソーダ工業でございます。この三業種につきましては、現在各企業に立ち入りをいたしまして、その実情を調査いたしておりますので、その結果を六月末までに通産局段階で取りまとめまして、七月末までには、知り得た情報は取りまとめまして公表できる段階になるというふうに考えております。
○渡辺(三)委員 最後に、大臣お見えになりましたので、一つだけ若干の意見を述べながら見解をお聞きしたいと思います。 今日制定さるべき工場立地法、それは政府が企業の立地を支援するあるいは推進する、いわば工場立地促進法的なものではなくて、立地される周辺住民の利益あるいは国民生活全般の利益確保の観点に立ってむしろ土地の規制を行なう、いわば工場立地の規制法的な性格のものでなければならないのではないか。現状はそうなってきているのではないか。私どもはそういうふうな立場に立ってものを考えますし、それから質問もそういう点でずっといままで続けてまいりました。ですからこの第一条の目的にかかわるわけでありますけれども、工場立地に対して関係地域の意見を十分に尊重する、そして必要な規制を加えることによって環境の保全あるいは国民福祉の向上、こういうものを目的とするというふうに明確化すべきではないか。今日の、極端にいえばこの汚染し尽くされているような状況の中では、そういう点を明確にすることによって、この中で繰り返し言われました企業との調和の問題とかなんとかありますけれども、私はそこに重点を置いた工場立地法にすべきである、こういうふうに考えるわけなんで、具体的に言えば、当然の目的の変更といいますか修正というふうなかっこうにもなりましょうけれども、この点について大臣の御意見を最後にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○中曽根国務大臣 先日御答弁申し上げましたように、公害防止という観点もこの法案の非常に重要な骨でございまして、そういう意味で、もし不十分であるとしますならば、そういう環境保全ということを強調するという方向にこの法案の一部を修正することについて、私は適当であると考えます。
○浦野委員長 板川正吾君。
○板川委員 工場立地法に対して若干質問いたします。 何回か同僚議員が質問しておりますから、幾つかのポイントだけ簡単に伺ってみたいと思います。 この工場立地法の改正案を今度提案された目的は、簡単に言ってどこにあるのですか、これを伺ってみたいと思います。
○中曽根国務大臣 住民の福祉並びに国土保全等も考慮いたしまして、工業立地というものを適正化する必要がある。そのために諸般の法律並びに行政施策をきめて、ある程度規制的要件を担保して、そして最初に申し上げましたような目的を達しようという考え方でございます。
○板川委員 この目的、改正のポイントは、私は二条に明らかになっておると思いますね。第二条では一項、二項、三項は若干字句は違いましても従来と同じ条文であります。四項が入ったということが今回の改正の目的、趣旨ではないかと思いますが、いかがですか。これは事務当局でもいいですよ。四項の「工場立地に伴う公害の防止」ということが入ったことが今回の法改正の最大のポイントじゃないのですか。
○青木政府委員 工場立地の調査に関することに関しましては、この第四項で、大規模な工場または事業場の設置が集中して行なわれることに対しまして、調査を行なって解析をするということが一番大きなポイントであるというふうに考えております。
○板川委員 大臣、これはいろいろ規制の方法が加わったのですが、根本的には従来の工場立地の調査等に関する法律では、公害に対する対処のしかたが不十分だから、今回法律を改正して公害防止に重点を置くような改正を行なう、これが今回の法律改正の大きな目的じゃないだろうか、こう思います。ところが、これは何回か言われているのですが、環境保全ということを明確に第一項でうたわない。これは大臣も再三言っておりますね。国会の意思がそうであれば、環境保全ということを目的の中に入れてけっこうです、こう言っておられた。これはわかるのですが、私はここで強調したい点は、今日の公害の実態というものを考えたら、通産省はもっと環境保全というものに責任を感じなくてはいけないと私は思います。責任を感じて、第一条の目的の中に、産業を調査して振興する、誘導政策をとる、しかし同時に一面規制をして環境の保全をするということをみずから明確に法案の中に出してこなければならないのじゃないか。この第一条を見ましても、「国民の福祉の向上に寄与する」ということで読もうとしておったようですね。うしろのほうへいきまして、条文の中に入りますと「環境保全」ということをいっておる。だから、環境保全というものも取り上げておることには間違いない。しかし、目的の中ではあえて「国民の福祉の向上」ということで読もうとしておる。こういうことが通産省が環境保全、公害防止というものに積極性を欠いている姿勢だと私は感じますが、大臣はどう答弁されますか。
○中曽根国務大臣 今回の法改正の主要な骨の一つに、公害防止に関する諸般の配慮を加えました修正が入っておるわけでございまして、そういう意味において、目的の中において、住民の福祉ということだけで強調することでは足りない、環境に対する配慮ということをもう少し強調せよとおっしゃることは筋の通っておることばであると思います。
○板川委員 これは法制局でもあるいは事務当局でもいいですが、国民の福祉と公共の福止との差がありますか。解釈上違いがありますか。
○山下(英)政府委員 表現の差に伴って多少ニュアンスは違いますけれども、実体は同じことになると思います。
○板川委員 公共の福祉というようなことばを使っておる通産省の法令を見ましたならば、商店街振興組合法の目的には「公共の福祉」ということばが使われております。液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律にも「公共の福祉」ということばが使われております。今度は公害対策基本法を見ますと、生活環境の保全ということばが入っておる。大気汚染防止法にも生活環境の保全ということばが目的の中に入っておる。あるいは騒音規制法、公害防止事業団法、これら公害防止というものの目的を持った法律はすべて生活環境の保全ということばが入っておるのに、この工場立地法の中には「国民の福祉」ということばで、商店街振興組合法あるいは液化石油ガスの保安に関する法律、こういったものと同じような表現のしかたを目的の中でとっておるということは、通産省の態度というものが、国民の健康を守る、生活環境を保全するということに対して実に非常な消極的な態度をとった法律案だという感じが私はいたします。この姿勢は、私は通産省としてまことに遺憾な態度だと思うが、この点についての見解をひとつ承っておきましょう。
○山下(英)政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、私どもは、当初、環境の保全無公害工場の建設ということが主の法律でございますから、それを趣旨とした法律でございますから、そういう考え方においては決しておろそかであったとか、人後に落ちることはなかったと思います。ただ、最終的な条文整理の段階におきまして「国民の福祉」という中に環境の保全なり公害の防止ということも全部含めて表現するということで原案を作成した次第でございまして、現在どう考えておるかということは、先ほど中曽根大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。
○板川委員 商店街振興組合法は公害防祉を目的としていないわけなんだけれども、これにも「公共の福祉」ということばがある。だから、これは修正に応じようということですからいいのですが私は国会修正を待たなくても、通産省の原案としてそのくらい出てこなければいかぬ、こういう気持ちを強調しておるのですよ。だから、公害列島という今日の公害社会を生み出したのじゃないかと思います。従来の工場立地の調査等に関する法律等の場合に公害防止という点には欠ける点があったが、しかしこれをうまく解釈をすれば全く公害に対する対策がないわけじゃないと思うのです。従来の工場立地の調査等に関する法律、これで公害防止というものにどういうふうに取り組んでまいりましたか。
○山下(英)政府委員 従来の法律におきましては確かに立地条件を適正にするということでございまして、公害が表に出ていないきらいがございましたが、実際にはその地域の諸立地条件、輸送等も含める経済的な条件及び業種別にその地域にどういう規模のどういう工場を建てるべきかという判断をいたしますときには、特に過去十年は、もうそこから排出する水なり煙なりの産業公害を無視はできませんでした。したがって、私どもとしては、工場適地調査におきましても、立地動向調査におきましても、産業公害の可能性あるいはその防止方法、特に御承知のように、各自治体におきましては防止条例等で地域的な規制をしておりましたので、それは当然立地条件の一つにも入りますし、公害問題も含めて運用いたしております
○板川委員 過去の法律、工場立地の調査等に関する法律でも、工場立地に関し事業者の判断の基準となるべき事項の公表の中に、通産大臣は、工場立地及び工業用水審議会の意見を聞いて事業者の判断の基準となるべき事項を公表する、そしてさらに六条の届け出の中に「立地条件が特に悪化するおそれがないと認められる」ということで、立地条件が悪化する場合にはいろいろ制限しようこういうことが過去の法律でもあったわけですね通産省も、こういう法律に基づいて公害防止のために過去に努力してきたという形になっておる。 そこで伺いたいのですが、ここにある資料は鹿島臨海工業地帯の開発の現況という、いわば案内のパンフレットです。ここでは公害対策についてこういうことを宣伝しております。「工場操業に起因する公害としては、大気汚染、水質汚濁、騒音・臭気等が考えられるが、県は、昭和三十九年度から各種公害事前調査を実施しており、これに基づき進出企業等関係者に対して、次の措置を基本として実施させることを指導するとともに、県も積極的に生活環境保全体制を整備し、公害のない工場建設をめざして努力してきたが、昭和四十五年度は、石油化学コンビナート、火力発電所及び製鉄所における高炉の稼働等が予定されているので、試運転対策をはじめ、操業にともなう公害防止措置を推進する。」こんなことをいって、これは工場立地の調査等に関する法律ができて以来、国と県が協議して、ひとつ公害のないコンビナート、工場団地をつくろう、こういうことになって指導しておった。その公害のない工場団地、コンビナートとしておった鹿島臨海工業地帯がいまや完全な公害地区となった。通産省や県が指導してそして公害のないコンビナートをつくると言っておりながら実はいま公害地帯と化したということに対して、通産省としてはどういうような反省をされておるのですか。この点について伺っておきます。
○青木政府委員 鹿島の工業地帯の事前調査は、御指摘のとおり、通産省が行政措置に基づく事前調査として実施したわけでございますが、それが現在ある程度の公害を生じているということにつきましてはいろいろ理由があると思いますが、一番大きな理由は、当時の事前調査といいますのは当時の環境基準というものを一応のものさしにしてやったわけでございます。その後、御承知のとおり、当時の環境基準では十分人の健康が保持できないということになりまして、本年の五月に新しく硫黄酸化物に対する環境基準の見直しをしたわけでございます。したがいまして、その点で、従来の行政指導が古い環境基準に準拠しておりますために若干甘かったという点は反省せざるを得ないと思います。 それから、鹿島地区でいろいろ公害が起こりましたものの中には、特に汚水処理施設等が予定どおりできなかった面、あるいは若干故障を起こしたというような事情もございまして、水質に関しましても若干のトラブルがあったことも事実でございます。 ただ、今後はそういう新しい環境基準に基づいて事前調査を行ないますので、将来人の健康に害があるような公害を生ずるような事前調査はないように改善してまいりたいというふうに考えておりますし、水質関係のいろいろな事故につきましても、その後改善を見ておりますので、現在の基準では、水質に関しましては一応基準を達成している、こういうふうに考えております。
○板川委員 通産省の環境基準というのは、いわば弊害が出てからあとから改正をする、弊害を防止しようという積極的な取り組みがない、こういうところに通産行政の最大の欠陥があったんだと私は思うのです。 大臣に伺いますが、最近の新聞、五十キロの人で、一週間に〇・一七ミリグラム程度のメチル水銀許容量の範囲では、アジが十二匹、イカが二・三枚、スズキが一〇・三匹、ハマチが一・六匹、サンマが五・八匹、イワシが一〇・二匹とか、こう出ておる。日本人は重要なたん白源として魚にたよっておる。ところがその魚も、実はこういうように水銀汚染をされておって、これ以上あまり多量に摂取すると健康に重大な被害がある。魚はいかぬと思って、肉や穀類ということになると、これはまたPCB、水銀等に汚染されておる。国民は実は何を食っていいのか、重大な不安にかられておると思うのです。私は、通産省が焼き打ちを国民からされないのは全くめっけものだというぐらいに思っています。この分でいきますと、大臣の任期中に焼き打ちをかけられるかしれませんよ。国民は何を食っていいかわからない。そういういわば公害列島日本、今日の公害の状況を出したのは、企業の公害たれ流しが原因でしょう。そのたれ流しの状況を、企業を監督し、指導する立場にある、あるいは公害を防止しなくちゃならない産業官庁として対策を怠っていたということが最大の原因じゃないでしょうか。それは何も中曽根通産大臣一人の責任というのじゃない、歴代の通産大臣の責任だろう、こう思いますが、大臣はどういうふうに反省されておりますか。
○中曽根国務大臣 今般水銀の基準等も出まして、また水産庁の調査等もありまして、公害関係について国民の皆さまにいろいろ御迷惑をおかけしておることははなはだ遺憾でございます。 一九六〇年代の重化学工業化の政策の思い至らざるところがやはりいま反省されまして、そういう点についてもっと重点的に取り締まりや規制を強化すべきであったと反省しておるところでございます。とりあえずは、ともかく総点検をやって、どの地域がどの程度の汚染状況にあるのか、汚染状況にないところは、許容量の範囲内のところはどこであるか、そういうことをできるだけ早くやりまして、国民の皆さま方に安心していただけるようにするということ、それから現在そういう汚染されている地域は早く清掃して、その地帯の住民の皆さまにも安心してもらうようにするということ、このことが大事であると思います。 けさも閣議で、環境庁を中心にいたしまして九月までに一応の調査を至急やってしまおう、そうしてそれに対する対策を各省、推進会議を通じてどしどし推進していこう、それに必要な予備費の支出もやろう、そういうことで閣議できめたところでございますが、われわれとしては、過去の始末と将来に対する再発防止のために真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
○板川委員 大臣は週刊誌なんかほとんど読まないと思いますが、最近の週刊誌にこういう記事が出ております。これは出席者は農林省食品総合研究所室長西丸震哉という方、それから東京大学講師、物療内科の専門家で高橋晄正氏、聞き手が伊丹十三氏ということなんですが、この週刊誌によると、あと二、三十年でおそらく日本の人口が三千万か四千万くらいになるだろう、そしてこの中の議論として、どうせ死ぬなら早く食べて早く死のう、長生きすると香典ばかり取られてしようがない、また、悲惨な状態を目の前に見ながら死ぬよりも、とにかく好きなものをうんと食べて早く死んだほうが、香典ももらえていい、こんなことを冗談に言っているくらいですが、しかしこういった人たちが最後にどういうことを言っているかというと、「もし、われわれの意見に学問的な反論があればいつでも討論に応じます」こう言っているのですね。 私はこれはただ単なる笑いごとに済ませられない記事だと思います。二、三十年後に日本の人口が四千万、三千万程度に激減するほどばたばた死ぬかどうかわかりません。しかし、今日瀬戸内海沿岸でとれる魚というのは、十匹のうち五匹くらいは鼻曲がりや骨曲がりの奇形魚だといわれています。われわれ埼玉のいなかの内陸の河川でも、十匹のうち二匹くらいはもう奇形魚です。水俣でネコが人間の先になって死んでくれました。いま人間の絶滅の前にそういう魚類がいわば先行的な現象をあらわしておるという考え方もあるわけです。それはこの奇形魚、鼻曲がりや骨曲がりの魚の運命と日本民族が何十年か後に同じような状態にならないという保証はないというのが国民の気持ちじゃないでしょうか。だから産業官庁としては、この過去の企業優先、公害たれ流しという監督不行き届きの責任を重大に感じなくちゃならぬこう私は思います。所感をひとつ伺います。
○中曽根国務大臣 そのとおりに思います。日本人の個々の生命を守り、福祉に貢献するというのが政治の目的でございますから、その基本の健康がそこなわれるということはおそるべきことでございます。政治としては産業よりも生命の尊重ということは、われわれとして取り上げておる今日の態度でございまして、そういう線に沿ってこれからも行政を進めてまいりたいと思います。
○板川委員 そういう態度を本気でお持ちであるならば、この法律の第三条の二項をちょっと見てください。「前項の工場立地調査簿には、前条第一項の調査又は第十条第一項の報告により知り得た事業者の秘密に属する事項を記載してはならない。」こう書いてあります。 公害反対運動が各地に盛り上がっております。公害反対運動者がいろいろの公害企業を追及しようと思って運動を展開しますと、常にその前面にはだかるのは企業の秘密ということです。大臣の論法をもってすれば、いわば企業の秘密という城壁に、反対攻撃は常にここで足踏みをしてしまう。企業の秘密、事業者の秘密というところで公害反対運動というのは追い返されてしまうのですね。だから、ほんとうに大臣が産業行政というものを国民の命を尊重する方向へ切りかえていくというならば、三条の二項の「事業者の秘密に属する事項を記載してはならない。」ということを削除するべきではないかと私は思いますが、いかがですか。
○中曽根国務大臣 現行法三条二項の問題でございますが、これは第一項において、立地調査簿を閲覧に供するものとして行政庁に制度として公表を義務づけていることに対応しまして、この規定が企業の秘密にわたる事項まで記載し、公表することまでを許す趣旨ではないという意味を明らかにしたものでございます。統計法、独禁法においても同種の規定を入れてある例がございます。国家公務員法百条は、公務員個人の、秘密を漏らしてはならないことを義務づけておるのに対して、本法の規定は、制度的に記載をしてはならないこととして、いわば行政庁に義務づけている点において異なるものでございます。 本法第三条第二項の規定については、環境保全公害防止の観点を強化するという本法改正の趣旨に沿って厳密な解釈、運用をいたす所存であります。いわゆる企業秘密として法律上保護の対象となるものは、企業の生産方法その他の技術に関する秘密など、社会的あるいは経済的に価値を有するものでなければならないと考えられます。したがって、公害防止に関する調査の結果として企業秘密は含まれないと考えております。かりに企業秘密に当たるものがあるといたしますと、それはたとえば国際契約上秘密保持義務があるようなノーハウといったようなごく少数の事項に限定さるべきものと考えております。
○板川委員 この企業の秘密という事項の中には、公害に関する企業の秘密ということはない、公害に関する限りは事業者の秘密ということはあり得ないというふうに大臣、おっしゃったわけですか。
○中曽根国務大臣 公害防止に関する調査の結果として企業秘密はまず含まれないと考えております。
○板川委員 まずはよけいじゃないですか。大臣産業優先か人命優先かといえば、これはもう人命優先の政策をとらなくちゃこれからの産業官庁としての資格はないのじゃないですか。だから、たとえば三条の二項で事業者の秘密は記載してはならないというけれども、公害に関する事項に関してはこの適用はあり得ない、こういうふうに明確に言ったほうがいいのじゃないですか。それはわれわれも、たとえばノーハウというような、複雑な機械を操作したりあるいは完成するために必要な技術的な知識だとか、そういう意味のことまですべてこれを公表しろということを要求するものではありません。しかし、事公害に関する事項を事業者の秘密として記載してはならないというふうに解釈する必要はないのじゃないですか。ひとつ明確に、公害に関する事項は事業者の秘密に属さないと——大臣は独禁法にもあるといまおっしゃいましたが、確かに独禁法は三十九条、四十三条によってこの事業者の秘密を守ろうとします。その趣旨は、正確な資料がほしいから、発表しないから正確に正直に報告してほしい、こう言っております。そのために秘密に属することは公表しない、こういうことに独禁法ではなっているわけであります。しかし、独禁法の解釈としては、事業者がこれは秘密だといっても公正取引委員会の判断に基づいてこれが秘密だと見ない、こういうことが独禁法の解釈上あり、公取としてはそういう解釈をするとされておるのです。だから、事業者がこれは秘密にしてくれということを通産省がこれは秘密だから記載しないということは公害に関する限りあってはならない、こう私は思うのですが、いかがですか。
○中曽根国務大臣 いまのお尋ねの趣旨に関する限りにおきましては、公害防止に関する調査の結果として企業秘密は含まれないと考えます。
○板川委員 私は、事業者が社会的責任を感ずるならば、この三条二項などはないとしても、当然正直に三条一項のとおりの報告なりあるいは届け出なりをすべきではないかと思います。 〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕 大体、この事業者の秘密というのは、統計法によってもあるのですけれども、実際これはわれわれ常識的に考えても噴飯ものというのが多いのですね。たとえば各企業の生産数量を出せ、鉄鋼会社なら鉄鋼会社の生産数量を出してほしいというと、通産省はA社、B社、C社というふうにして数量を出す。A社、B社、C社というのは、鉄鋼産業に多少の関心を持つ者ならどこだということがすぐわかる。しかし、なぜ名前を明らかにしないかというと、これは統計法によって指定統計外に使わせないという規定があるから、事業者の秘密だといって名前を隠す。こんなことが秘密であれば、あらゆることが秘密にならなくちゃならないことなんですね。この事業者の秘密というのは、いずれ私も根本的に各般にわたる検討をして議論をしなくちゃならないと思いますけれども、事業者の秘密ということは、社会的責任を感ずるならば、これを事業者側として多くを主張しない、社会的な責任ということから事業者の秘密というのを主張すべきじゃないし、これをごく少なく押えることが当然だ、こう思います。 この第三条の調査簿に記載する事項というのはどういうことなんでしょう。この第三条は工場立地調査簿をつくるということになっておりますが調査簿に記載される事項は何かということの内容がまことに不明確であります。一体、これはどういうことをこの調査簿に記載をしてそれを閲覧に供するのでしょう。これは事務当局でいいです。
○山下(英)政府委員 適地調査の記載事項といたしましては、一つは地形、地質……(板川委員「適地調査じゃなくて立地調査です」と呼ぶ)立地動向調査の記載事項は、業種別、地域別、特に県別に、立地件数、敷地面積、建築面積、これはもちろん予定でございますが、平均地価、設備投資額、立地地点選定の理由、適地内立地件数、面積、造成用地への立地件数、面積、これらにつきまして記載してもらい、集計、分析するわけでございます。
○板川委員 いま聞いた範囲では、それに特別な「事業者の秘密に属する事項を記載してはならない。」というほど秘密的事項はなさそうなんですね。第三条を読んでみると「通商産業大臣は、前条第一項の調査及び第十五条の三の報告に基づいて工場立地調査簿を作成し、事業者、工場又は事業場を設置しようとする者その他これを利用しようとする者の閲覧に供するものとする。」こういう非常に抽象的な規定で、そのあとに「報告により知り得た事業者の秘密に属する事項を記載してはならない。」こういうことになると、どうも一項のほうは抽象的で、二項の事業者の秘密を守るということのウエートのほうがはるかに強い感じがする。これを事業者は拡大解釈をして、そしてこれは企業の秘密であるといって公害関係の施設を見せないとか、あるいは火事があっても門を閉ざして事業者の秘密だといって消防隊を入れないというような例なんかもありましたけれども、この事業者の秘密というのが過大に解釈されるように書いてある。これは三十四年にできた旧法律で、その当時は多少そういう傾向もあったかもしれないけれども、この十年間、最近における公害問題というものを考えたならば、私は、この三条の二項というのは削除するか、表現をもっと適切に変える必要があるだろう、こう思います。 あとについては、先ほどからわれわれの同僚委員が何回も質問しておりますから、私の質問はこれをもって終わりますが、ひとつ公害防止の行政を国民から焼き打ちをかけられないうちにしっかりとやってもらいたいと思います。このことを要望いたします。
○田中(六)委員長代理 次回は、明二十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十五分散会