商工委員会 第32号
- 発言数
- 218 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/06/20
会議録
○浦野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、輸出硫安売掛金経理臨時措置法を廃止する法律案及び大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案の両案を議題とし、順次政府より提案理由の説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣。 —————————————
○中曽根国務大臣 輸出硫安売掛金経理臨時措置法を廃止する法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。 輸出硫安売掛金経理臨時措置法は、昭和三十八年六月に、当時懸案とされた輸出硫安売り掛け金問題を解決して硫安工業の再建の基礎を確立するため制定された法律であります。 硫安につきましては、昭和二十九年以来、肥料二法すなわち臨時肥料需給安定法、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法に基づき、政府が国内価格を決定するとともに、日本硫安輸出株式会社を通ずる一手輸出体制をとってまいったのでありますが、その際、硫安生産業者が日本硫安輸出株式会社に売り渡す価格は、国内公定価格とすることとされたため、実際の輸出価格が国内価格より低い場合は、その差額が硫安生産業者の輸出会社に対する売り掛け金として処理されてまいったのであります。 しかるに、国際競争の激化により硫安の輸出価格が下落するに伴い、この売り掛け金は年々増加し、昭和三十七年十二月末において二百十五億円に達したため、これを商法の規定に基づき、回収の見込みのない売り掛け金として一期に償却させることとすると硫安生産業者の経営上大きな負担となって、その再建にも支障を来たすおそれが生ずるに至りました。 そこで、昭和三十七年十二月に閣議決定されました硫安工業対策の一環として、輸出硫安売り掛け金を貸借対照表の資産の部に計上し、十年以内に繰り延べ償却することができることとする輸出硫安売掛金経理臨時措置法を制定したのであります。 その後、同法に基づき、輸出硫安売り掛け金は繰り延べ損失として逐次償却が行なわれ、本年三月末をもってすべて完了することとなり、この間、硫安工業は、同法の施行を含めた政府の施策と関係業界の努力により、アンモニアの多角的利用等、所期の目的である体質改善を達成したのであります。 同法は、施行の日から十年以内に廃止するものとするとされていますが、以上申し上げたように、その目的が達せられるに至ったと考えられますので、ここに同法を廃止する法律案を提案いたした次第であります。 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。 次に、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。 わが国の小売商店数は、百四十万店をこえ、そこに働く人々も約四百五十万人に達しておりますが、大部分の商店はきわめて零細であるので、百貨店、スーパー等の大規模な小売店の進出によって著しい影響を受ける場合が少なくありません。 このため、昭和三十一年には、小売業における当時唯一の大企業であった百貨店業を対象として、その事業活動を調整し、もって中小商業の事業活動の機会を確保することを目的として、百貨店法が制定されたのであります。以来十数年を経過し、一方では消費者利益確保の要請が高まるとともに、他方では百貨店以外にもスーパー、ショッピングセンター等の大規模な小売店が出現する等、小売業を取り巻く環境は著しく変化するに至っており、また、経済の国際化に伴い、流通業の資本自由化も強く要請されるに至っております。 政府は、このような情勢の変化に対応した百貨店等の大規模な小売店と中小小売店との事業活動の調整のあり方について、かねてから産業構造審議会にはかっておりましたところ、昨年八月、法改正の方向について答申を受けたのであります。 本法案は、この答申の示した方向に沿って、関係者の意見を十分聴取しつつ作成したものであり、大規模な小売店の出現により中小小売業者がこうむる不測の被害を未然に防止するとともに、消費者利益の確保にも十分配慮したものであります。なお、改正内容が多岐にわたったので、新法の制定、百貨店法の廃止という形式をとることとしております。 次に本法案の要旨を御説明いたします。 第一は、現行百貨店法の中小商業の事業活動の機会の確保という目的に、配慮事項として「消費者の利益の保護」を加えるものとしていることであります。すなわち、消費者物価の上昇、消費者欲求の多様化、高級化という社会的情勢への対応に配慮すべきことを規定したものであります。 第二は、同一建物内の店舗面積の合計が基準面積をこえるものを大規模小売店舗として公示するものとし、これに入居するすべての小売業者を規制対象とすることとしたことであります。これにより、従来の百貨店に加えて、大型スーパー、ショッピングセンター等が大規模小売店舗内の小売業者として把握されることとなるのであります。 第三は、現行百貨店法が採用している許可制を届け出、審査、勧告、命令という体系に改めることとしたことであります。この新しい制度のもとでは、大規模小売店舗において小売業を営もうとする者の届け出があった場合には、通商産業大臣はその地域の人口の推移、中小小売業の近代化の見通し等を勘案して審査を行ない、中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、店舗面積の削減、営業開始時期の繰り延べ等について勧告、命令を行なうこととし、これに違反した者に対しては、現行百貨店法の無許可営業以上の罰則を課すとともに、営業停止をも命じ得ることとしております。 以上が、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○浦野委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○浦野委員長 内閣提出、工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松尾信人君。
○松尾委員 昨日から工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案の審議が始まったわけでありますけれども、このような工場立地の問題を論ずる前に、現在公害に関していろいろの問題が発生しております。環境破壊の問題、そして工場設置につきましても、地域における話し合いができない、このような問題がいま社会問題として非常に重大になっております。現在のこのような問題を政府としましてはしっかり解決していくんだというのがまず基本的に一番大事ではなかろうか、このように思うわけであります。現在のいろいろの問題を未解決のままにいろいろの法律等ができましても、それは問題の解決をさらに延ばすだけであり、問題を複雑にするだけであり、地域社会との話し合いというものはなかなかできがたい、このように思うのであります。 そういう立場からまず通産行政というものをながめますると、何としても、工場排水の問題、大気汚染の問題等、いま社会問題となっておるいろいろの問題を積極的に解決していこうという基本的な姿勢が一番大事である、このように思うわけでありますけれども、大臣のお考えはいかがですか。
○中曽根国務大臣 私も同感でございます。一九六〇年代の高度成長の結果と申しますか、とにかく公害問題がここに大きく現出いたしまして、いまそのあと始末に追われているというのが現状であるだろうと思いますが、これらの問題を一つ一つシラミつぶしに解決するとともに、将来にわたってこういうことを繰り返さないだけの先取りの政治を今日していく必要があるように、反省と同時に、非常に痛感しているところでございます。
○松尾委員 個々のいろいろな問題を解決していきたい、そのような問題を残しては相ならぬという大臣の御答弁でありました。私もそのとおりだと思うのであります。しかし、そのような大臣の御答弁でありますけれども、現実には公害というものが非常に大きな社会問題となりまして、御承知のとおりに、第三水俣病も、発表以来大きな問題となっております。公害環境特別委員会のほうでも現地に参られましたし、私も長崎県で現地参加をいたしまして、ともに現地の実情を見たわけでありますけれども、これは大問題であります。この点につきましては、金曜日に、一般国政問題として私は大臣にお話し申し上げたい、また大臣に速急な対策をとっていただきたい、こういうように思っておりまするので、きょうはあえてその問題に触れませんけれども、何としても公害企業の責任というものを明確にしていく必要がある。やれ三百何十トンの水銀がどうだとか、あそこは八十何トンの水銀がどうだとかいうような御調査も、通産省のほうにおいてはできております。おりますけれども、そのような調査、そしてその責任の帰属、そういうものを一つ一つ明確にしながら、地域におけるそのような公害から起こってくるいろいろの被害というものを解決していく方向に向かわなくちゃならぬのじゃないか。あらゆる公害の源泉というものはやはり工場であります。その工場の監督指導というものは通産行政の基本でありましょう。とするならば、早くそのような点を追及して、企業責任を明確にして、そして生活に困る現地の人々に適切な対策の手を伸べていく必要があると思うのですけれども、大臣いかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 お説のように、一つ一つ原因を究明するとともに、周囲に対する患者の発見、それらに対する医療救護あるいは補償、そういうことを的確に、シラミつぶしにやっていきながら、同時に将来にわたっての予防措置、いろいろ公害関係から見た技術開発、そういう面についても私たちは大いに努力する必要があると思います。
○松尾委員 くどいようでありますけれども、この点はしっかり大臣のほうで腰を据えてやっていただきたい、このように要望いたしておきます。 それから、やはりいま地域でいろいろ問題になっておりますこの電源立地の問題にいたしましても、結局地域が反対するので、せっかく大臣のほうで承認なされたそのようなものも、何年も実現できない。そこには今度は強行的な着手というものが行なわれておる。そして問題がこじれまして、しいて言うならば、工場と地域住民、通産行政と地域住民というものとが隔離と申しますか、意思の疎通を欠いておる。この法案におきましても、環境というものを非常に大事にされまして、地域住民の納得というものが大きな前提になっておるわけでありますから、そういう点から言いますれば、このような法律ができたから地域住民が納得するのじゃなくて、現在どうしようもない、困っておる現実の公害というものをいまおっしゃいましたとおりに一つ一つ解決をして納得させれば、私は地域住民との対話は非常に円満に行なわれるであろう、こう思います。それがなされなくては、いかなる法律ができましょうともそれはやはり砂上の楼閣でありまして、地域住民の心からの納得というものは得られない。得られないところに法の円満なる遂行というものはなされない、このように強く思います。これは遂行していく機関というものは局長中心でありますが、局長もいま大臣のお答えを受けて、どのように今後腹をきめてやっていこうとするか、まず、その決意というものを局長から聞いておきたいと思います。
○青木政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたような方針に沿いまして、私どもとしては万全の方策を重ねてまいりたいと考えます。
○松尾委員 環境保全長期ビジョンの中間報告が発表されております。その中に、「環境破壊は、確かにここ数年来急速に激化してきたが、今日の深刻な事態も、芽生えの段階で適切な対策をうっていれば、避けられたものもあるであろう。」このように指摘をしておるのであります。この文章は短くございますけれども、何事につけましても、政府のとってきたうしろ向きの姿勢といいますか、あと追い行政といいますか、これがこの環境保全長期ビジョン中間報告の中にはっきり指摘されておると思います。でありますから、この産業政策というものの中における基本的な姿勢というものが一番大事であろう、このように思うのであります。 引き続きその報告書の中では、この環境資源は有限のものであり、「長期にわたって環境資源の過度の消費を防ぐ抜本的対策が求められて」おる。そして「環境政策の長期的な目標が環境資源の消費を最小にするという点にあるならば、こうした施策の根本には人間活動なかんずく生産活動および消費活動の適切な制御という施策がなければならない。」このように述べておるのであります。この点について、大臣、どのようにお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 環境政策というものが公害問題等にかんがみまして非常に大きな問題であるということは私もよく認識しております。最近エコロジーというような学問も発達してまいりまして、そういう点に対する学問的面からの研究も進んでおるところでございます。そういうような学問的な面からの研究を援用しながら行政施策の中に盛り込みまして、人間がいろいろな生きていく、あるいは生産をしていく、営為をしていく面についての規制あるいは調整というようなものを適切に行なっていくことが、新しい通産政策の一つの柱になりつつあると思います。それらの点につきましては、まだまだわれわれの勉強は足りませんし、また、そういう学問の開発もそれほど十分に進んでいるとは思いませんけれども、そういうような学問研究の成果をわれわれは適切に享受いたしまして行政施策に反映していきたいと思います。
○松尾委員 次に、過日アメリカの連邦最高裁判所で環境問題に関する重大な判決が下されました。大臣、御承知と思うのでありますけれども、その判決をお読みなさいまして、大臣はどのような見解を持たれておるか、聞きたいと思います。
○中曽根国務大臣 六月十一日に米連邦最高裁判所におきまして、マスキー法は大気汚染地区に対して大気浄化連邦基準の線まで汚染を減らすよう命ずるとともに、現在まだ同基準よりきれいな大気を持つ地区に対しては現状を維持する義務を課している旨の判決が出されたとの新聞報道を承知しておりますが、現在外務省を通じて判決を取り寄せているところでありまして、判決文を見てから見解の表明をさせていただきたいと思います。 わが国におきましては、公害対策基本法第九条に「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」を政府が定めるものとしており、昨今、硫黄酸化物及び窒素酸化物については十分な安全率を見込んだ、世界でも類を見ないきびしい環境基準が設定されたところでありまして、これらの環境基準の達成のため全力を傾けてまいる所存でございます。
○松尾委員 判決を見てからということでありますけれども、この米最高裁の判決確定の要旨は、汚染の地方拡散を許さない、こういう要旨であろうと思います。わが国といたしましては、アメリカと国土等が非常に違っておりますので、なかなかそのまま受け入れるというようなことはむずかしいかもしれませんけれども、要するに、汚染というものの地方拡散を許さない。ですから、過密公害地域からの事業、工場活動、そういうものが一切出ていけないようになるというような趣旨だと思うのでありますけれども、私は、やはり日本においても根本的にはそのような精神をもって、そして環境基準というものが制定されておる中から、やはり地方にこの汚染というものを拡大しないというようなこの米最高裁の判決の基本的な精神だけは堅持すべきであろう、このように思うわけであります。何といってもその判決をまだ取り寄せていない、読んでからということでありますので、いまここで何かということはできませんけれども、趣旨は私が言ったとおりとすれば、大臣の所見はいかがでありますか。
○中曽根国務大臣 公害を防除すると同時に公害を拡散しないように注意するということはまことに同感でございます。判決の内容にもそういうところに触れたところがあると私も聞き及んでおりますが、わが国におきましても、その判決の趣旨、精神を十分くんで行政をやる必要があると思います。
○松尾委員 具体的に聞いていくわけでありますけれども、環境基準の問題であります。 基本法に制定しておりますけれども、この環境基準というものに対してどのような認識を持つか、これは非常に私は今後日本のこの公害問題を解決していく考え方の基本になっていくものであろうと思うのであります。この環境基準というものがいま基本法によって制定されておるけれども、これは単なる努力目標としてのお考えであるのか。またはこの環境基準から一つ一つの企業に対して大気汚染または排水規制、そういうものを一つ一つきちっとやっていくようなお考えがあるのか。この環境基準というものについてどのような認識を大臣は持たれておるか、これを聞いておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 環境基準を設定するということは行政目標でございますけれども、公害の防除、公害対策として非常に重要な政策であると思います。その基準を中心にして、その基準を越えないように諸般の対策が、原料やあるいは生産工程やあるいは廃棄物の処理やその他の面において当然とらるべきものなのであります。わが国でとられました基準の中にはかなり高い安全率を見込んだきびしい環境基準が設けられているものもございますが、最近環境庁と話したNOxの問題とか、その他の問題がそういうものであろうと思います。外国の基準に比べてわが国の棚密度等も考慮して、外国で通用しているものよりもはるかにきびしい基準を設定しているものもございますが、目標はできるだけきびしくというと変ですけれども、科学的に可能な範囲内においてできるだけきびしくして、そして人間の努力の成果をその間に生むようにするということが行政の目標としては妥当ではないか、そう考えます。
○松尾委員 工場が出ていく、新しく工場を設置するというような問題からながめてみますると、どうしても環境基準以下の地域、そこに工場が入っていくと思うのです。環境基準以上の、非常にもうそこまでいろいろ汚染されておる、そういうところでは、なかなかもう進出の余地がない。そうすると、非常に汚染されておる、環境基準すれすれとかなんとかいうときには、今度は個別的に会社、工場により以上のきびしい条件が付されていくであろうと思います。出ていく工場というのは、環境基準以下のところにまずどんどん進出していくであろう、このように思うわけでありますが、そうしますと、そこがまたいまは環境基準以下でありますけれども、やがてそれが工場の進出につれてだんだんだんだんと基準に近くなり、あるいは越えていく、こういう問題が起こってくるわけでありますけれども、そういう意味から環境汚染度というものを常に測定をし、常に工場設置の第一前提要件として政府というものは知っておらないと、いたずらに工場がかってに出ていく、出ていった場合にまた環境基準とその問題が起こってくるということがあると思うのですけれども、この環境汚染度の測定の問題、これをどのようにお考えになっておるか。環境基準以下に抑制していくという問題、これをどのようにお考えになっておるか。これは大臣でなくて局長でけっこうです。
○青木政府委員 先生御指摘のとおり、全然環境の汚染されてないところに工場が出ていく場合には環境の汚染が生ずるわけでありますが、こういうものに対する測定は環境庁を中心といたしまして、現在都道府県におきまして十分その体制を整えるように準備中というふうに私どもは了解しております。したがいまして、私どものほうといたしましては、そういう汚染度の測定を踏まえまして、きびしい環境基準に十分耐えられるような工場しか進出を認めないような指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○松尾委員 当然でありますけれども、その地域における汚染度の測定を常にいたしておきませんと、問題が起こってからまたいろいろと非常に困るわけであります。その点はいかがですか。あらかじめ環境汚染というものをきちっと測定しておく、それについての考え方はどうですか。
○河野説明員 環境大気における汚染の状態を把握するために常時監視体制を整備しておるわけであります。その監視測定の責任は、都道府県、それから政令で定める市がその責任をもって監視測定することになっておりますし、その監視測定体制の整備につきましては国も助成をいたしまして、緊急度の高いところから整備いたしておるわけであります。そして環境基準と環境大気の汚染の状態を測定しまして防止対策を効果的に進めていくよう行政を運用しておるわけでございます。
○松尾委員 せっかくの調査でありますから、それを行政の上に生かして問題が起きないようにする、こういうことですね。これはしっかりやってもらいませんと、調査は調査というものに終わって、次の打つ手とつながっていないような感じで、だから公害が次々と発生をしていくというように思うのであります。これはしっかりやってください。 それから次は、工場立地政策の問題でありますけれども、これは三十年ごろより産業合理化政策の一環として、既成工業地帯もそうでありますが、太平洋ベルト地帯、そういうところにどんどん工場が出ていった。そしてどうもそれが企業サイドである、地域住民に対する配慮が、その出ていく企業というものにおいてなされていなかったというようなことを強く感じるのでありますけれども、結局この工場の適正配置を欠いておった、企業の無秩序な立地というものが客認されてきておった、このようにいままでの工場立地については強く感ずる。その結果が、現在の社会情勢というもので証明されておると思うのです。でありますから、いまも厚生省のほうからお答えがありましたけれども、従来の工場立地の調査というものは、工場適地のインフォーメーションといいますかね、そういうものを指摘する、そういうような機能だけではなかったのか、このように強く感ずるわけですね。今回の改正によりまして、どのような効果を期待しておるのか、いままでの工場立地の調査についてどのような反省をして、そしてその調査というものをどのように今後生かしていこうとするのか、この法案というものはどのような効果を期待しておるのか、このことを聞いておるわけでありますけれども、これは局長がいいですかね。
○山下(英)政府委員 大綱は御指摘のとおり、従来の工場立地調査に関しては、私ども反省すべき点が多々あると思いますし、また、過去においてもその改善につとめつつやってきたわけでございますが、この際抜本的に改正して、原案を提出しておる次第でございます。もとの法律は三十四年に制定されまして、工場立地の調査をやるということでございまして、その場合の主たる目的は、全国にわたって工場の適地を調査する。それは工業用水ですとか工場立地条件、輸送、市場との関係等々、日本において工場を立地する場合に、各業種ごとにどういう立地条件が一番よろしいかということを調査し、その調査簿もつくって閲覧に供しておったわけでございます。 しかし、実際には、その場合でも、その当時からそこに工場が立地した場合に、環境なり周囲住民にどういう影響があるか、公害についてもどうすればいいかということも同時に調査しておりまして、実際上そこに工場が立地するというような場合には、通産省から、その県の係のほうに立地調査の結果を通報して行政としてはやっておったわけでございます。それでは不十分というので、昭和三十六年に一部改正いたしましたが、その改正によって、自今、工場設置の場合には届け出をしてもらう届け出制にいたしましたし、事業者、工場当事者が判断する基準を公表する、そういう制度にいたしまして、そしてさらに、工場の設置場所については政府が勧告するというところまで改正したわけでございます。 しかしながら、御指摘のとおり、その当時からずっとやっておりましたが、環境、公害、周囲との調和というものは依然として不十分でございましたので、今回提案いたしておりますのは、むしろ、さらに百尺竿頭一歩を進めるために、主眼を公害除去、環境を破壊しない、周囲の住民と調和するというところに主眼を置きまして、手段としても、勧告だけでは不十分だから変更命令を出せるようにしたい、こういう原案にしたわけでございます。
○松尾委員 まあ五年も十年も早く、この法案で考えておられるようなことをやっておけば、当然今日のようなせっぱ詰まったいろいろな社会問題というものは起こってこなかった、このように私は感じます。過密とか過疎問題、公害問題、そういうもの、そうしてその解決のためにいろいろの政府の施策がとられてまいったですね。旧全総、新産都市法、新全総、また農村地域工業導入促進法、工業再配置促進法、そうしていまや工業再配置というものの体制ができ上がった、このように思いますが、このようないろいろの法律、制度、工場立地のいままでの政府の動向調査、この政府の工場立地政策というものの上に、いままでの工場立地動向調査というものがどのように取り上げられておるか、単なる動向調査にすぎなかったのではないか、このようにいままでのことを思うのでありますけれども、これは局長、反省してみて、そうして工場立地の動向調査というものが、いろいろの農村工業導入法だとか工業再配置法だとか、新たな工業再配置のそのようなもののどういうところにプラスになって、どういうところにそういうものを生かしていっているのか、そのつながりはどうか、こういうことを聞いておるわけでありますけれども、いかがですか。
○山下(英)政府委員 工場立地動向調査は、昭和四十二年以来、立地調査法の第二条に基づいて実施してきておるわけでございますが、これは私どもは非常に有益であったと思っております。調査をいたしますたびに、その調査自身が広範にわたった目的で調査するわけでございますが、具体的に立地基盤の整備のために工業用水道をこの地点で整備せねばならぬとか、あるいはこの地点で工業団地をこういう形でつくらなければならないという効果をもたらすこともございますし、反面、大きな立地政策としまして、いま松尾先生御指摘のとおり、各種の立地立法が次々と出てきておりますが、最近で申し上げれば、農村地域工業導入促進法も動向調査の結果の一つの立法だと考えております。また、昨年工業再配置促進法の制定を見たわけでございますが、これもまた動向調査の結果だと思います。 大きく申し上げまして、昭和三十年代というものは、日本列島の太平洋岸地域に生産能率中心主義のもとに適正立地政策が行なわれた、これが大きな傾向だろうと思います。四十年代に入りましてから、それの反省と、先ほどの公害、環境等の問題がより大きく加味されまして、そして過疎過密対策というのが出てまいりまして、農村との関係、裏日本への移転と、こういう順序になってきていると思います。
○松尾委員 いままでもいろいろの大規模プロジェクトが計画され実行されてきたのですね。現在もいろいろ計画されておりますけれども、そういう地域では長年にわたって賛否両論がある。そして地域の重大なる問題となっておるわけでありますけれども、その基本的な問題は、何といってもその地域の環境破壊というものにつながっておる、そのように地域住民の人がもう頭の中で思い込んでおると私は感じます。このような不安感は、やはり企業活動の社会的な良心というものに対する不信感ですね。これは非常に根強いから問題が起こるわけでありますけれども、このような問題を工場立地の場合には特によく配慮しなければ相ならぬと思うのです。地域の方々と企業というものの意思の疎通、これが何といっても地域の意見を無視しておる。そうしてやはり企業というものが自分の思いのままをやるという問題の積み重ねでありますので、ここには強力な政府の指導というものがなければ問題が次々と起こってきてお手あげになるのです。でありますから、政府のき然とした基本的な姿勢というものが今後必要だと私は思う。かってに環境基準以下だからどうだこうだという問題ではなくて、大規模プロジェクト等は当然でありますけれども、その他の地域に進出するものにつきましても、やはりそこに企業責任というものを明確にする。社会的な責任、地域を守るという基本的な姿勢、こういうものが絶対必要だと思うのですけれども、取り組み方はどのようにしてそういう問題を解決していきますか。
○山下(英)政府委員 立地問題の要素として大きく二つ分かれますが、通常用地、用水、労働力、原材料、製品の市場等々経済諸要素として立地問題にかつての立地政策が片寄り過ぎておったという点は、先生の御指摘の点がうなづける次第でございます。したがって、今後の方針としましては、むしろ第二の立地上考えるべき環境、周辺との調和、こういう点が立地政策の重点になろうと思います。 このことは政府が政策として助成、誘導、規制によって積極的にやっていくことはもとよりでございますが、私どもの考えでは、企業自身が自分の生産活動をその地でもって長期的に成功させ発展させていくためには、もはや当然みずから考えなければならない前提条件になってきておると思います。過疎の地帯に工業再配置をしようという政府の政策でございますけれども、具体的には、ある一地点に工場を移す場合には、その周辺の環境と調和せずには極端に言えば何事もできない。摩擦が大き過ぎる。東京で払っておった賃金をそのまま過疎地帯で払っていいかという一つの例をとりましても、必ずしもそうでない。そこの住民の生活、賃金レベルとの調和というものが考えられなければなりません。具体的な問題としては山のようにあると思いますが、そういうものを一つ一つ解決して、その地域にとけ込むという基本方針が必要だと考えます。
○松尾委員 そのとおりでありますが企業責任、そういうやはり良心といいますか、あたりまえのことをしていないわけであります。 これはけさの新聞でありますけれども、製紙工場ですね。「汚水工場、次々に発覚」「富士市、コックで操作の悪質さ」ということでこれに載っておりますけれども、これは見つかったのは氷山の一角にすぎません。でありますから、実際に企業の企業責任、社会的な責任、そうして地域を守っていく、地域とほんとうの意味の共存共栄でいくということをしていこうとするいまのお答えからいいましても、まだまだ現実には、こういう悪質なことが夜間ひそかに行なわれておる。それで、これが結局いろいろの問題を起こして、地域で問題になって摘発されていく。いよいよこれは疎隔する大きな原因であります。お答えは、地域の環境をよくしていく、そして地域の人々の納得の得られるようにしていく、それが法の基本的な精神でありましょうし、もちろんでありますけれども、それが現実には守られておらぬ、こういう現実と法の精神とがうまくいかないというところに現在の大きな問題があるわけでありますが、これは大臣もしっかりお考えなされまして、腹をきめて、先ほどお答えのとおりに、一つ一つシラミつぶしにやっていくのだ、こういうお答えでありますけれども、現実にきょう起こっておりますから、あらためていま局長の答弁の締めくくりとして大臣にひとつもう一回そういう問題についてお答え願いたい。それが一番地域環境、そうして地域住民との納得ずくの振興の基本であると思いますので、大臣にお答え願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 一番の基本は、やはり企業の社会的責任感を喚起いたしまして、いやしくも表裏のないように誠実に基準を順守することはもとより、地域住民との調和をよく考えて、その基準の内部であるからといってそれに甘えているような気持ちではいけないので、最小限にさらにさらにそれを縮小していく、そういう考えに立って、みずからもまた従業員を戒めて責任を果たすということが大事であると思いますし、通産省は、そういうことを確保するためにさらに厳重に監督していく必要があると思います。
○松尾委員 基準以下でやっているというととは、一応法のたてまえ上からは許されるわけでありますけれども、そういうことを逸脱しまして、わからないときに、どっとためた悪水を流す、それが地域に大きな問題を起こしておる。そういう問題をやはり解決しないと地域住民の納得は得られない、こういうことを言っているわけでありますから、基準以下はいろいろお考えになるのもあたりまえでありますけれども、それを越えた企業の悪質な行為というものはどのようにお考えになっておるのかということであります。
○中曽根国務大臣 まず社会的責任というものは、もう一つの道義性に基づくものでございまして、法というものの基礎にあるものであります。それを破るということ自体が、企業家としての資格を問われるべきものであると私は思いますし、また基準をオーバーするようなことが行なわれれば、これは行政基準あるいは法基準によって厳重にしかるべく処分するなり行政措置をやらなければならぬと思います。
○松尾委員 では、ひとつ個々の問題でそのようにきちっと大臣の責任のもとに解決していただきたい、このように要望しておきます。 これは一つの例からお尋ねするわけでありますけれども、公害の未然防止、そういうところから実際に工場が生産活動に入る、そしてそこに重合汚染という問題が起こった場合に、その地域における重合汚染が起こったその以降の新設工場の立地というものを認めるのかどうか、そこにはどのような考えがあるのか、これは局長に聞いておきます。
○青木政府委員 既存工業地帯ですでに重合汚染がはなはだしい場合に、新設工場の申請が出た場合にどうするかというお尋ねだと思いますが、あくまで環境基準を守るというのが目的でございますので、現に重合汚染で環境基準を越えた汚染がある場合には、新設工場は原則として認められないと思います。ただ、今後各企業の努力によりまして、あるいは一部排煙脱硫装置をつけるとか、あるいは燃料の転換をするとかいうようなことによりまして、そこに重合汚染が軽減されまして、なお環境容量の特に余裕があります場合に限りまして、その範囲内において新設ないし増設ということが認められるというのがたてまえであるというふうに考えております。
○松尾委員 排水の問題でありますけれども、やはり排水というものをどのように処理していくかということは一番大事だと思うのでありますけれども、いまクローズド方式等がいわれておりますけれども、この工場排水というものについて今後どのようにして指導していくか、どのようにあったらいいかという基本的な問題でありますけれども、局長の考えはいかがですか。
○青木政府委員 排水の問題につきましてはきわめて重要な問題でございまして、大気よりもさらに自然の浄化というものがむずかしい関係もございまして、今後大いに努力をしなければならない問題だと考えます。排水の問題に対する対処のしかたでございますが、まず理想的に申しますれば悪い水を出さないという方式、世にいわれておりますクローズドシステムという方式が最も理想的でございますが、この方式に近づけるのが一番理想的な方法と考えます。ただ、産業によりまして、生産工程によりまして必ずしも完全なクローズドシステムというものを早急に確立することはむずかしい場合もございますので、そういう場合には現在のあらゆる技術を駆使しまして、その汚染物質を極力除去して出していくという方面の技術開発につきまして、通産省としまして行政指導しておりますし、研究開発についていろいろの助成手段を講じているというのが現状でございます。
○松尾委員 本法改正の目玉の一つでありますけれども、敷地利用の適正化がありますね。生産施設の面積、緑地の面積率、こういうものが準則に盛られて、公表されるわけでありますけれども、各業種によって非常にこの比率というものはそれぞれやはり異なるであろう。昨日もこの質疑がかわされたわけでありますけれども、これは企業にとっては重大なる問題であります。また、われわれもこれは非常に重大であると思うし、地域の人々も非常に大きな関心を持っておるわけであります。でありますから、この石油化学プラントだとか、そういうもの、それから一般の製造業に対するこのような敷地利用の適正化の問題、これは昨日おおまかな説明があったようでありますけれども、こういう準則の各業種別における、この敷地利用の適正化の問題はどのようになっておりますか、ちょっと聞いておきたいと思います。
○山下(英)政府委員 昨日「工場立地に関する準則の考え方について」という資料をお配りいたしましたが、ここの冒頭でお断わりしてありますように、現在実態把握を継続中でありますのと、それから私ども事務当局としても、数字的にはまだ業種別にはっきりした原案が固まっておりません。その資料の最後のところに、「過密地域を中心とする生産施設面積率の現状例」というのがございます。そこで、鉄鋼の場合には平均値をとれば四六%、最高値は六六%、石油化学の場合は平均値は三三%、最高値は四一%、電力の場合には平均値で二三%、最高値で四三%等々、御披露してございますが、大ざっぱにいいまして、私どもは、平均値実績を半分にするか、あるいは三割ぐらい減らすかというあたりではあるまいかと考えております。しかし、これは単に平均値の実績だけで画一にやるわけにはまいりませんで、石油化学の場合、電力の場合、それぞれ業種として立地する特性がありますことと、生産工程の特性、排出物の事情等から、公害関連企業とみなされるものはきつくせざるを得ないというような事情がございます。一応実績を御披露したわけでございます。
○松尾委員 初めてこのような敷地利用の適正化というものが真剣に取り上げられたと思うのであります。港を埋めて工場をつくる、そこには緑地地帯はありません。たんぼを埋めて工場をつくってきた、そういうところにもこの工場敷地利用の適正化という問題がなくて、ただ工場をつくればいいんだ、ものをつくればいいんだというようなかっこうでどんどん進出してきたので問題が起こって、このようなお考えになったと思うのでありますけれども、これはほんとうに各国のいろいろの実例をひとつしっかり頭におさめてきちんとおやりなさらぬと、これはいけないと思うんです。せっかくいい考え方でありますけれども、そしてこの緑化運動という問題はいまハイライトを浴びまして、政府全部で取り上げております。 文部省でありますけれども、これは学校を緑化しよう、これは二億の予算で五年間で六千校を緑化しよう、こういっております。それから運輸省なんかは、港湾埠頭の緑化、空港の緑化であります。これは大臣御承知と思いますけれども、北京空港から北京まで、あの十何キロのハイウエーが、左右三段、四段、五段の樹木が植わっておりまして、ほんとうにみごとなものであります。日本には残念ながらありません。今度成田空港まで行く場合に、私は、道路がどのような樹木でおおわれたような緑化がなされるであろうか、こう期待しながら、少し心配しているわけですよ。これは大臣も行って見られたのですから、なるほどと思われたと思うのです。ならば、こういうことをしっかり大臣は、もう各省に率先しておやりなさるべきであろう。建設省も、港湾とか住宅、道路、その周辺をやっていこうということで、いいことであります。いままで非常にこれはおくれております。 通産省が今度は工場緑化の問題を取り上げられておりますけれども、これは真剣にやりませんといけないし、日本の一番大きくおくれておる点だと思うのです。やるのはいいのでありますけれども、これは一斉にいま各省が緑化だ、緑化だというのでグリーンアップというのでやるということになりますとこれは心配するのでありますけれども、苗木の供給の問題であります。そこまで考えませんと、しっかりやろうというのがいわゆる空文に終わるというふうになると思うのであります。そういう点についての配慮はありますか。これはどこに聞きようもないのでありますけれども、とにかく配慮がある、心配は要らぬというような気持ちでもはっきり答えてもらわぬと困る。大臣、これは答えてください。
○中曽根国務大臣 緑地の設定ということは、公害対策や環境対策の非常に大きな重点の一つでございまして、いま松尾先生申されたように、北京空港から北京の町に至る両側の景観はまことに驚嘆すべきぐらいのものであります。日本にあのくらいの政治力がないものかと、われわれもあそこを通りながら反省したわけでありますが、ともかく工場あるいは学校、港湾、あらゆる部門について緑地を設定するということは非常にいま大きな大事な仕事で、各党とも、緑と太陽の都市とか、みなそういうことを言っている以上、緑の供給源である苗木がなければできません。先生のおっしゃるとおりであります。われわれも、そういう意味で、この法案を実行するにつきましては、農林省等とも連絡をとりまして、そういう供給面について遺漏のないように手当てをしてやっていきたいと思います。
○松尾委員 問題はそういうことであります。ところが、苗木がすでに買い占められておるというような、これはもう専門家がおりまして、国がやろうとすれば先々手を打っておるわけですね。やはりそういうものも、これは大きな日本の工場立地の問題、それから日本全国の道路、港湾、すべての空港の問題につながった一つの緑化という問題でありますから、これはしっかり腹をきめて取り組みませんと、案外ひょんなところでこれは行き詰まるということを申し上げておきます。 それから、ことしの九月ごろに緑化センターですか、これが発足するというようなことを聞いております。このセンターというものは一カ所か何カ所かという問題——かりに一カ所としますれば、全国に一カ所の緑化センタくらいではたしてほんとうの情報の提供だとか収集だとか指導というのができるのか、これは作文だけでできがたいのじゃないか、このように思うのであります。 また、その苗木、樹木等の入手の上からも、各都道府県にやはり最低一カ所ぐらいのそういう緑化センターという、日本全体の緑化のグリーンアップの中心館というものをつくっていく必要があるのじゃないか、それがまた確保というものにつながっていくのじゃないか、このように思うのでありますけれども、この緑化センターの考え方、そして私がいま申し上げておる都道府県に設置したらどうかという考え方につきまして、大臣の所見を承って、私の質問を終わりたいと思うのです。 〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
○中曽根国務大臣 緑化用の樹木に対する需要は、先生御指摘のように、非常に急激にふえております。一方、産業界におきましても、紙パルプや林業等の大手企業が緑化用樹木の生産に乗り出しつつあり、また農家も樹木生産を飛躍的にいま増加しつつありますが、ある程度の期間を要するため、当面は需要がきわめて強い情勢でございます。 われわれといたしましては、林野庁とも協力して、樹木の発注形式を検討して、計画的な調整を行なうようにいたしたいと思います。大体、緑化用樹木の生産期間は六、七年かかるようでございますから、いまから計画的にやらないとそごを来たすというふうに考えます。 日本緑化センターにつきましては、基金造成費として補助金二億円、運営費二千二百万円をことしの予算で出しております。それと同時に、緑化用樹木の計画的生産のために県へ約四百万円の補助金を出しておるようでございます。 緑化の問題は各県共通の問題でございまして、御指摘のように各県ごとに緑化センター、またはこれと同じ性格のようなものをつくりまして、六、七年かかる苗木の生長と見合いまして計画的に推進していく必要があるように私も同感でございます。
○田中(六)委員長代理 岡田哲児君。
○岡田(哲)委員 現行法とこのたび提案をされております法案と、双方とも、工場立地の適正化に資するという点については言われているところであります。しかし、今度の法のねらいの一つには、公害や災害を出さないように万全の対策をとる、二つには、みずから快適な環境づくりに貢献することによって地域社会と産業活動とがうまく融和したものでなければならない、こういうところが強調されまして、地域環境との調和、この点が強く打ち出されていると思うのであります。 現行法を見ますと、工場適地の調査、工場、事業場の設置の助言または勧告、国民経済の健全な発展、こういうふうになっております。言うならば、経済効率を重視するという観点に立ってできているものだ、こういうふうに私は見るわけであります。そういう立場から言いますと、これは従来、自民党がとってまいりました経済第一主義という上に立ちまして進められてきた、しかし、もう現在においては、こういうことではならないので、いま申し上げたような点を十分入れてこのたび提案がなされてきた。改正案は、言うならば、国民福祉の向上、こういう点が強く打ち出されてきている。問題は、現行法が規制が届け出あるいは勧告というような点にとどまりまして、規制措置がないのではないか、それがこのたびの提案では、規制措置を強化する、こういうふうに大きく変わっているというふうに受け取るわけでありますが、これは自民党の政治政策といいますか、これが大きく転換をしたというふうに考えるわけでありますが、大臣いかがでございましょうか。
○中曽根国務大臣 今回の法律改正のねらいは、地域社会と融和した工場立地を実現しよう、このために公害のない工場を地域に調和して建設、促進するということを目標として、そしてその方法としては、届け出、勧告あるいは変更命令、違反した場合の罰則、そういう誘導方式をとっておるわけでございます。これを許可制という御意見もありまして、私も御意見を傾聴して聞いておったのでございますけれども、われわれの考えの立て方は、一義的に許可、不許可というぽんとはねつけるような形でなくて、どこにどういう企業が調和するかという考えに立って、ある意味においては企業に警告を与え、あるいは指導しながら調和したところへ調和したものを配置する、そういう基本的考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、いままでのように大体誘導方式というやり方で来ているものと考えます。
○岡田(哲)委員 私は、大臣、許可、不許可とか、そういうことでなしに、従来の現行法というのは、経済効率を重点にし、しかも列島改造その他から判断をいたしまして、工場を生産第一主義的に進めていこうということで法体系が成り立っている。それが、今度提案をされている趣旨が、先ほど申し上げたように、公害を出さないように、それから国民福祉の向上に、地域環境との融和、こういうふうに国民福祉重点に変わってきている。これは自民党のいままでとり来たった政策が大きくここで転換をしたというふうに見るがどうかというふうにお尋ねをしているわけであります。
○中曽根国務大臣 現行法は、立地調査という点に重点を置いた調査的立法でございますが、今回の法律は、公害及び環境との調和、住民福祉ということにかなり重点を置いて盛り込んだもので、その意味においては、自民党の政策は前進しつつある、こう言って差しつかえないと思うのであります。この前の法律とちょっと性格が違うおけです。この前は調査ですけれども、今度の場合は、工場立地に関してこれを地域と調和させるように誘導政策をもって積極的に進めていく、そういう考えでありまして、公害防除並びに住民福祉というものがかなり強く出てきておる、そういうことでございます。
○岡田(哲)委員 いまいみじくも言われたと思うのでありますが、もう一度確認をしておきますと、従来は生産第一主義であって、国民の福祉というものを全然考えなかった——全然と言ったらひどいかもしれませんが、とにかくそれよりも生産第一である、こういうふうに考えてきたが、これは大いに間違いであって、まさに国民の福祉、地域環境との融和というものを考えなければいかぬ、こういうふうに一歩前進をされたということは、自民党の従来の政策が大きくここで転換をしたというふうに考えてよろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 当たらずといえども遠からずという要素がやはりあるだろうと思います。一九六〇年代におきましては、やはり重化学工業化、高度成長ということが政策のかなり大きな部分を占めていたと思います。それに対して、七〇年代の半ば以降は、住民福祉、国民の福祉ということを中心に成長も考えなければいけないというふうに大きく前進したと考えます。
○岡田(哲)委員 わかりました。 次に、工業再配置法との関係でありますが、一応大臣の考え方を承っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 工業再配置法のねらいとするところも、これは過密地域の公害の危険性のある地域から工場を外へ出てもらって、過疎地域に持っていく、そして過疎と思われる地域を誘導地域に指定して、そちらに対する流れを円滑にしよう、そういうこれもある意味における誘導政策の立法であったと思います。 われわれのほうの今度の法律は、そういうふうに工場が移転する場合もありますし、あるいは新設する場合もありますし、およそ工場というものがつくられたり、あるいは増設される場合というものを考慮して、一般的にとらえて、そしてこれを環境と調和させるように誘導しようということでありまして、概念として非常に広いものであると私は思います。
○岡田(哲)委員 概念として広いということでありますが、そういうことよりも、工業再配置法とこの立地法との関係ですね。どういうような関係があるか、あるいはないか、この辺を聞きたいわけであります。
○中曽根国務大臣 もちろん工場再配置で工場が動くという場合にはこの法律が適用されまして、届け出あるいは勧告そのほかの対象にもなります。しかし、工場再配置でなくして、新しく増設されるとか、そういうようなケースにもこれは適用されるわけであります。したがいまして、カバーする範囲は広い、さらに一般的である、そういうふうに考えるわけです。
○岡田(哲)委員 次に、先ほども答弁されたような許可、認可、こういう問題でお伺いをしたいと思うわけであります。 当商工委員会でも、これから百貨店法その他をめぐって出てくると思うのでありますが、私ども考えてみますときに、やはり福祉重点ということで、企業サイドよりももっと住民サイドでものを判断する、そういうときには、許可、認可というのがきついかどうかということは別といたしまして、やはりそういうような措置をとることが適当だ、そういうふうにぜひあるべきだ、こういうふうに思うのでありますが、大臣のお答えを聞きたいわけであります。
○中曽根国務大臣 日本の中において適地に適当な企業を配置する、あるいは工場の設置を新たに認める、そういう思想に基づきますと、どこにどういうものをつくったらいいかという点について、われわれが相談を受ける場合もありますし、地元の市町村からこういう企業を持ってきてくれという陳情を受けることも多々ございます。そういう意味において、誘導政策によって、相談しながら、こうしなさい、ああしなさい、これ以上いけませんよ、これはそこには向きませんよという形でやるということが、わりあいに調和していける方法ではないか、そういうように思うわけです。全然隔絶していて、書類で認可、許可というだけで突っぱねたりあるいは受理するという形よりも、産業立地という面から考えれば、住民との調和も考えつつ進められるというふうにわれわれは考えるわけでございます。
○岡田(哲)委員 またこれはあとにも関連いたしますので、そのときにお尋ねするといたしまして、次は地域社会との融和、住民の理解、協力、公害規制法とのたてまえ、これは御存じのように、権限を都道府県知事に落としている。地域の特殊事情というような点から見まして、通産大臣または事業所管大臣との間で規制をするというふうになっているわけでありますが、この規制者というものは、やはりいま申し上げたような点から見て、私は、通産大臣、事業所管大臣ということでなしに、都道府県知事あるいは特殊市長というところにおろすことがよりいいのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、この規制者の問題について大臣のお考え方を聞きたいわけであります。
○中曽根国務大臣 この法律の性格は、工場を設置する場合に、全国的な基準を設けて画一に行なう、そして全国全般にわたって公害を防除し、環境を保全していくという考えに立ってやるものでございますから、やはり担当大臣が所管をして、全国的斉合性を期待するということが大事ではないかと思います。つまり、工場を設置するという場合に、基礎づくりといいますか、ベッドをつくる、そういうような誘導政策を持っておるわけであります。 そういう面からいたしますと、全国的な仕事を担当している所管大臣が責任を持ってそれを実行すると同時に、住民の意思というものは、きのうも申し上げましたように、市町村を通じてあがってくる、その場合に、知事さんに相当な権限を委任する、そういう形で地域地域の意思というものを尊重しつつ、全国的規格、画一的基準と地域的特殊性というものをそこで調和しながら知事さんにお願いをする、そういう考えに立っておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 お伺いしますと、ちょうど私はその逆のことを考えているのであります。問題は、全国的に見て判断をしなければならないものは当然通産大臣及び所管大臣ということになると思います。しかし、この法が強く言っております地域社会との融和、住民の理解、それから公害をなくするという公害の点でも地方自治体に権限を委譲——権限というより規制する権利を持っている、そういうようなもろもろの点から見ますと、規制者そのものはやはり大臣でなしに地方に落としたほうがいいのではないか。全国的に見るのは当然所管大臣ということになると思うのでありますが、その辺、ちょっとくどいようでありますが、もう一度聞きたいと思います。
○中曽根国務大臣 これは、やはり委任という形で知事さんの御意見を尊重しつつ、中央と地方の調和をはかる、そういうことが適当ではないかと私は思います。工場等によっては、いろいろ公害に関係するものもあり、科学技術的にも中央においてかなり検討しなければならぬ部分も出てくるかもしれません。これからはテクノロジーアセスメントというようなことが非常に重要になってまいりまして、そういう面からいたしますと、科学技術庁とか、あるいは通産省の工業技術院とか、そういうものを大いに活用しながら工場配置についても考えていくという時代にもう入っているように私は思うのであります。
○岡田(哲)委員 これも後ほど法案の内容として出てくる問題でありますので、一応お伺いをしておくにとどめます。 次に、強く言っております地方自治体や住民の声の聞き方の問題であります。問題は、形式をいっているのではなしに、いかにそれを吸い上げるかという点が重大であるということは、もうだれもが異論のないところだというふうに思うわけであります。この中で言っておりますのは、当然工場立地及び工業用水審議会の意見を聞く、そのときに、関係といいますか、地方自治体の代表も入っている、こういうことだから十分その意見を聞いているのだというふうに思うのでありますが、私は、後ほど出てまいります準則をつくる場合、あるいはそのほかの場合も出てくると思うのでありますが、そのときに一度、審議会で大綱をきめて、それから下部討議にかけるといいますか、地方自治体やあるいは住民サイドに落としてその声を聞いて初めて準則が制定される、現在の機構がいいとか悪いとかいうより、できるだけそういう形をとることが、よりこの法の中に肉をつけ血を流すということになるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。そういう点が一つと、それからあとの住民サイドの声を聞くという点、公聴会とかいろいろなことがいわれているのでありますが、問題は、公聴会やあるいはどういう形をとりましょうとも、聞きっぱなし言いっぱなしで、法的には全然それが権限がない、こういうことが従来の例だったと思うわけであります。ですから、この機会に、できるだけ住民からの声が、ちょうど審議会が答申するように、どこどこ地域のサイドの意見としてはこういうものであるというものが集約されてくるというふうに実のあるものにすべきだというふうに考えておるわけでありますが、こういう住民サイド、地方自治体などの声の聞き方、意見の集約のしかた、こういうものを一体どういうようにこれから前向きで取り組んでいくかという点についてお伺いしておきたいのであります。
○中曽根国務大臣 審議会に諮問すべき事項については、審議会においていろいろ関係者の意見も聞き、いろいろなソースから世論を把握しながら、委員の声を通じてまたそれが審議会に反映される、そういう形が審議会の性格であろうと思います。したがいまして、いろいろ関係者、関係団体あるいは地域住民等の意向もその審議会を通じて出てくるべきものであるだろうと思います。ただ単に審議会の委員だけが独断でものを考えるという考えに立つよりも、自分たちが関係している分野のさまざまな意見を聞きながらそれを審議会に反映していくというのが審議会の趣旨であるだろうと私は思います。 それから、住民の意見の聞き方というのが御指摘のように非常に問題点でむずかしいところであるだろうと思います。こういう時代でありますから、千差万別の意見があるわけです。少数の意見もあれば多数の意見もある。少数の中にも、ごく少数もあればかなり大きい少数もある。多数の中でも、ぎりぎりの多数もあれば、かなり大きい多数もある。そういうような意見をいかに公正にとらえるかということがいま非常にむずかしい時代であります。必ずしも声が大きい、ボリュームが大きいという音声量によってものごとの内容がきまるのではない。特に科学的な問題については音声の量とは必ずしも関係しない部分があるわけであります。しかし、また一面において、住民の不安というものは心理的に見てそういうもので出てくるという要素もあります。だから的確にとらえるということは非常にむずかしい要素でありますが、私らは地方自治法等の精神にのっとって、やはり市町村会あるいは市町村長、そういう人たちが地域住民に深甚な配慮をしながら、その声を代表してくるということがまずまず無難なマジョリティーの取り方ではないか、また住民の声の反映のしかたではないか、そういうふうに考えておるわけであります。
○岡田(哲)委員 大体最近の公害問題というのは、地方自治体やそういう関係よりも、住民パワーといいますか、そういう関係する住民の方々の声において支障が大きいということになると思います。ですから、大臣、さきの点もそうでありますが、私はいかなる方法をとるかということで、形を言っておるのではないのでありますが、問題は、われわれの意見、われわれの声が十分に反映されるのだという措置をほんとうにとることがうまく進めていく方法である、こういうふうに実は思っているから言っているわけであります。先ほども言ったように各県、市町村において見られるのは、そういう住民の言うことが十分反映しておれば問題はないわけでありますが、なかなかそれが反映しにくいのが現在ではないか、こういうふうに思うのであります。そういう点から、われわれは今後さらにそういう点についてのこまかい配慮、十分聞ける体制というものに前向きで取り組まないと、やはりこの法をつくっても魂が入らない、こういうことにおちいる危険性があると思うわけでありますが、いま大臣の言われておるのは従来とりきたったものでありまして、少しの前進もないのではないか、こういうふうに思うのでありますが、どうでしょうか。
○中曽根国務大臣 いまのお考えにつきましては私も同感でございます。住民の声を一つ一つ的確にとらえてそして正しい住民の声を反映していくということは、政治あるいは行政をやる者の一番中心的な要諦であると思います。でありまするから、たとえ少数意見なりとも十分それが検討され、調査され、そしてそれが行政に反映されていくということは非常に大事な要素であるだろうと思います。それを具体的にどういうように保障して反映さしていくかという方法についてはいろいろな考えがあると思いますが、それらについても深く研究してみたいと思います。
○岡田(哲)委員 検討ということでありますが、私はぜひこの機会に住民審査的といいますか、名前はこだわらないのでありますが、そういうものをこの法案を成立させる前提としてきちっと位置づけていく、こういうことがなければならぬと実は強く思っている一人なんでありますが、ぜひこの法案審議中にこの方法というものにひとつ十分取り組んで答えを出してくる、こういうことに大臣賛成をしていただけますか。
○中曽根国務大臣 よく検討してみます。
○岡田(哲)委員 いまの検討ということは、取り組むということで了解してよろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 いままでいろいろ御意見もございましたから、それらの御意見もよく頭の中に入れて、われわれがいままでやってきた方法だけでよろしいか、あるいはさらに改良を加える必要ありやなしや、そういう点について検討を加えるということでございます。
○岡田(哲)委員 改良を加えるかどうかということでなしに、いま大臣も言われましたように、現在が十分でないこの法案というものが、住民パワーの声をどういうふうに取り上げていくかということが重要であるという点については同感だと言われたわけでありますから、やはりこのやり方をぜひ審議中にきちっと位置づけていく、こういうことについてぜひやっていただきたいと思うのです。どうですか。
○中曽根国務大臣 民意を的確に反映する。正しく民意をわれわれがくみ取るということは非常に大事なことでございますから、そういうやり方についてはいろいろ御議論もあり考え方も違いますけれども、その民意をくみ取るという精神、行政の扱いの目標については一致しておるわけでありますから、それを具体的にどういうふうに展開していくかということはよく検討してみたいと思います。
○岡田(哲)委員 あまりはっきりしないわけでありますが、十分前向きに取り組んでいくということでございますから、今後これは続けて審議をお願いすることにしたいと思うわけであります。 そこで、法案の中に入るわけでありますが、まず「工場立地の適正化」ということがいわれているわけでありますが、この適正化というものの意味、それからその内容、それから条件、要素、こういうようなものについて非常にわかりにくいわけでありますので、この機会にこの適正化、適正な工場立地、こういうことのいま申し上げた意味、内容、条件、要素、こういうものについて明確にしていただきたいと思うわけであります。
○山下(英)政府委員 今回提案しております法律案におきましては、大きく分けて二通りあると思いますが、適正化という場合には、一つは従来の法律にもございましたように、国民経済上の観点から用地、用水、労働力、輸送条件等の立地条件に関して最も適合した工場立地をするということがございます。さらに、今回は公害の防止、環境の保全、周囲の住民との調和という観点から調和した工場立地を促進する、これが適正化の第二点だと思います。
○岡田(哲)委員 要素という意味についてお尋ねしたのですが、要素はどうでしょうか。——もう一度言います。その適正化の意味、内容、それから条件、要素、この四つを聞いておるわけであります。
○山下(英)政府委員 意味、内容、条件、要素——要素の意味が、ちょっとあるいは誤解しておればまた答弁し直しますが、私どもは工場を新増設する場合に、その私有地内における生産施設、緑地比率、公害施設や、その他の配置状況、こういう要素を取り上げまして、環境、周囲との調和等をはかっていくということでございます。
○岡田(哲)委員 それではあとは午後に保留をしておきたいと思います。
○田中(六)委員長代理 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十分休憩 ————◇————— 午後二時十五分開議
○浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岡田哲児君。
○岡田(哲)委員 途中で切れましたので、よく聞き取れなかった点があるかもしれませんが、工場立地の適正化の意味、内容、条件、要素、こういう点については、まず一点としては環境破壊を行なわない、二つ目としては土地利用計画等が作成されて立地がその内容に合致をしている、周辺の生活関連公共施設が整えられている、こういうような内容であり、条件であり、要素である、こういうふうに確認をしてよろしいものでしょうか。
○山下(英)政府委員 けっこうでございます。
○岡田(哲)委員 続いてこの目的の中に、今度の立法のねらい、公害を出さない、みずから快適な環境づくりに貢献することによって地域社会と産業活動とのうまい調和をはかる、こういうことがそのねらい、すなわち目的だといをふうに思うのです。この立法の目的を見ますと、この生活環境づくり、こういう点はうたわれていないわけでありますが、その点についてはどういうふうにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思うのです。
○山下(英)政府委員 この法律は、工場敷地として手に入れられる私有地内の問題を対象にしておりまして、その周辺の環境は、その他の法律あるいは行政措置によって、都市計画法でありますとか、公園緑地あるいは農地法等によってその地域全体の地域計画はあわせてやっていくという方針でございます。
○岡田(哲)委員 ですから、この目的にうたわれておるのは、最後に国民の福祉を向上するという点でございますが、環境その他の点もすべてこの中に包含されておると読みかえているのだということに理解してよろしゅうございますか。
○山下(英)政府委員 工場を立地する場合に、公害を出さず、環境を破壊せず、周囲の住民と調和すべきであるという目的は、いまおっしゃるとおり国民の福祉向上に入っておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 次に、産業公害の事前調査はいままで当然やられたわけでありますが、この実績と結果、さらにその効果という点について、この際、発表していただきたいと思うわけです。
○青木政府委員 事前調査の実績でございますが、これは法律に基づかない行政措置といたしまして、昭和四十年度から四十七年度までに産業公害総合事前調査という名前で実施されております。この地域は大気関係、水質関係合わせて約五十地域にのぼっているわけでございます。これらの地域に対する調査の実施後工場立地が進展したものあるいはこれから進展が予想されるものなど態様はさまざまでありまして、一がいには言えませんけれども、通産省としましては、これらの調査に基づきまして対象地域の環境汚染の状況を環境基準の範囲内に押えるという指導をしておりまして、それぞれの効果があがったというふうに私どもとしては考えております。
○岡田(哲)委員 どうもお答えがはっきりしないのですが、やった結果、どのくらい、どういうようなことになって、どういう効果があったか、そういう点を聞いておるのでありまして、現行法の中で調査の実績、結果、効果、こういう点を端的に言っていただければけっこうなのです。
○青木政府委員 いろいろやりました地域は多岐にわたっておりますし、地域地域によっていろいろ事情が異なりますが、御質問にお答えするために一例をあげて御説明いたしたいと思います。 たとえば、水島地区における汚染の状況と、総合調査をやりましてその後企業指導をどうしたかというようなことを例示的に御説明いたします。 水島地区におきましては、昭和四十年度並びに昭和四十二年度にコンビナート完成時点を目標年度としました調査を実施いたしまして、コンビナート完成時点においても環境基準を越えないように改善指導を行なったわけでございます。 水島地区における大気汚染の現状は年々改善の方向にございます。すなわち、昭和四十二年度の測定開始時点において存在しました環境基準不適地点が、四十六年度には全測点において環境基準に適合しているようになったわけでございます。 具体的な調査の内容について申し上げますと、調査対象時点を水島臨海工業地帯の完成時といたしまして、現在立地している企業及び将来立地を予定している企業四十八企業、五十一工場のばい煙発生施設を調査したわけであります。 企業から提出されました第一次案では、排ガス中の硫黄酸化物濃度は六二〇PPMでございまして、風洞模型及び電子計算機によるシミュレーション予測結果では、一時間値〇・五九PPMという最大濃度が出るということが予測されたわけでございます。このために最大重合汚染濃度が環境基準に適合するよう各企業の煙源につきましてそれぞれ改善を指導いたしたわけでございます。 その結果、排ガス中の硫黄酸化物の濃度は五九一PPMに減少いたしまして、最大重合汚染濃度も従前の環境基準に適合するようなことが確認されたわけでございます。 いま申し上げましたのは水島地区の大気に関する総合事前調査と指導の実態を御説明したわけでございますが、その後環境基準が強化されておりますので、これに伴いましていずれこの総合調査の見直しをいたしまして、それぞれまた指導いたすという段取りになるようになっております。 一例で申し上げますと以上のとおりでございます。
○岡田(哲)委員 そこで問題は、従来のやってこられた経緯から考えまして、今後公害発生コンビナートに対する反省、事前調査のあり方、特に公害発生安全率の再検討、こういう点についてどのようにお考えになっているか、明らかにしていただきたいわけであります。
○青木政府委員 公害関係の事前調査についての現状は先ほど申し上げたとおりでございますが、実際その後対象地域の周辺にぜんそく病患者が発生するなど公害問題が深刻になっていることも事実でございます。これらについて私どもが考えております原因は、まず第一には、事前調査が指導指針としていました従来の環境基準そのものが残念ながら若干甘くて、人の健康を保護する上で十分ではなかったという面がございます。したがいまして、この点はこの反省の上に立ちまして、去る五月にSO2に関する環境基準を強化いたしまして、さらにNOxに関する環境基準を新しくつくったというような措置をとっておるわけでございます。 それから第二番目の原因は、従来の事前調査に基づいて行なっておりました行政指導は、行政指導でございますので、最終的には企業の判断ということになりますのでおのずから限度があったという点でございます。こういう点につきましては、今回の法律によりまして法的措置もとれるということで改善を行なうことにいたしたいというふうに考えております。 第三番目に調査の方法でございますが、従来の事前調査は予算上の制約もございまして、調査の精度が必ずしも十分でなかったという点もあったかと思います。しかしながら、過去十年経験を有しておりまして、相当高い評価を受けておる方法でございますので、今後この方法を改善していくことによりまして完ぺきな調査にいたしたいというふうに考えております。
○岡田(哲)委員 安全率はどうですか。
○青木政府委員 安全率に対する考えでございますが、この事前調査におきましては、企業が出します最大のときのデータをとりまして、それで環境基準を満足させるという考え方に立っております。したがいまして、そこに若干のアローアンスがあるわけでございます。 それから、現在の環境基準というものは、環境基準そのものに相当高い安全率がかけてございますので、そこで安全率というものは十分見てあるという考え方に立っておるわけでございます。ただ、すべての発生源を全部網羅的に調査するわけではございませんので、そこにおのずからある程度ほかの発生源からの容量というものを見ておりまして、実際に指導いたします場合には環境基準よりやや下回るということを目標にして指導しておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 いまの中にも少し触れておられますが、この調査については非常に私は重要だと考えておるわけですが、予算が従来少なかった、そのために満足いく調査ができにくかった、こういうお話もありましたように、せっかくこれがりっぱに活動するといたしますと、人員なり予算なりそういうものの裏づけがなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、今回、予算、人員についてどのように計画されているか、お伺いします。
○青木政府委員 ただいまの御質問にお答えするに際しまして四十八年度の予算を簡単に御説明いたします。 大気関係の調査分としましては九千三百万円、水質関係の調査分としては三千四百万円の予算でございます。 大気関係には、新しく環境基準がきびしくなりました硫黄酸化物による汚染予測手法の開発費、これは従来やっておりませんで新しい手法を開発しなければなりませんので、これに対しまして三千三百万円、それから新しく環境基準がきめられましたNOxに対する汚染予測手法開発費として二千三百万円を計上しております。 また、水質関係では、水理模型シミュレーションの開発費として二千七百万円が別途に認められておるわけでございます。 以上のようなのが予算の現状でございます。 それから人員でございますが、調査体制としまして、本省の公害防止指導課に八名、それから八通産局の公害保安課十六名において担当しておりますが、今後工場立地法が成立いたしました場合には、現地の調査期間の延長あるいは調査対象物質の拡大など、調査内容を非常に拡大しなければなりませんので、たとえ県の援助を相当得るにいたしましても、予算、人員の面では、法律が通りました場合には、画期的に大幅な拡充を大蔵省に要求してまいりたいというふうに考えております。
○岡田(哲)委員 次に、事業者の秘密ということについてでありますが、第三条については、私も一応お話を聞いておって了解をいたします。しかし、大臣が答弁をされた中に、一つはノーハウの問題、それから一つは特許の問題、この点が二つ触れられておったと思います。こういう点については、当然企業秘密があるのだというふうにいわれておるのでありますが、いまさら言うまでもなく、特許の関係については、当然出願をいたしまして一年半たちますと出願の公告がされるわけであります。公告されるということは、明らかに秘密でなしに公にされるというふうに考えるわけでありまして、当然特許の関係も公表できるものだ、こういうふうに思うわけであります。それからノーハウの問題も法的には秘密に属する事項ではない、こういうふうに考えるわけでありますが、この点についていかがでしょうか。私の言っているのが間違いでしょうか。
○中曽根国務大臣 岡田さんの申しておることは正しいと思います。私が申し上げましたのは、工業所有権関係という、関係ということばを多少ことばの中に入れたと思います。それは特許は御存じのように公知いたしまして、ある一定期間異議申し立てがなければそれが成立するというので、みんな周知するわけでございます。しかし特許の周辺——大体特許を出すというときには、核心だけを権利としてとって公告しておきますけれども、その核心の周辺というものはぼやかしておいて知られないようにしておくものだそうです。あるいは核心と核心との間の連係関係はぼやかしておくとか、ノーハウの場合でも同様なものがございます。あるいは特許の公知されている中身においても、また隠しているところがあるようであります。そういうようなわけで、特許関係をめぐってやはり企業の秘密というものは非常にあるように私は思っております。そういう意味で申し上げたので、特許としてとられた部分は公表されまして周知の事実になっている。先生のお考えは正しいと思います。
○岡田(哲)委員 実はその名前をあげることは避けますが、ある地方自治体で、その企業、工場集団がどのような燃料を使っているか、どのような原材料を使っているか出せ、こうやったところが、実は企業秘密でございまして申し上げることができません、こういう話があったわけであります。私はこれはめちゃくちゃだと思うのでありますが、そういうことで、いままでどうも企業秘密というのが幅広く使われていた。拡大解釈がそれぞれかってにされているという点が一番あるのじゃないか。いま私が大臣にただしましたように、そういう企業側が秘密にしたいという事項はあるにいたしましても、当然出されたものについて広く知らしていく、こういう立場——昨日からいろいろこれについての質問がなされているようでありますが、問題は、もう企業秘密というのはないのだ、こういうふうに理解をしてもそう大きく間違いはない。大臣が言われるように、当たらずといえども遠からずですか、そういう意味で、もう大体企業秘密はないのだというふうに受けてよろしゅうございますか。どうですか。
○中曽根国務大臣 やはり産業秘密というものがあるようでして、秘密防衛戦も非常に盛んなようであります。でありますから、企業間の秘密を取り合ったりスパイを入れたり、産業合戦というのは潜在的にはなかなかあるようであります。一般の住民の皆さまは善意で公害問題を頭に置いていろいろお考えなさっていると思いますけれども、自分の企業関係を防衛するという意味で企業が秘密を外へ出したがらないということも、現代社会においては非常にあると思うのです。しかし、そういう企業の核心に触れるような秘密に触れない限りにおいては、公害関係で住民の皆さんに安心していただくために、最大限に自分たちの資料を整えて出すということは良識の命ずるところでありまして、われわれはそういうふうに住民の皆さんとの協調ということを非常に重要視いたしますから、そういう面については積極的に協力して出し合うように私たちは行政指導いたしたいと思っております。
○岡田(哲)委員 これは私の誤解かもしれませんが、国民はそう見ているようだと思うのですが、通産省というのはどうも企業サイドに立つ官庁である、こういうふうにいわれておりますし、私もそういうふうにも思うのであります。環境庁は住民サイドに立つ、こういうふうにいわれておるわけです。いま申し上げた企業秘密は、通産省側とすると企業サイドに立って一緒の立場でということはないと思うのでありますが、そういう心配がありますので、再度通産省側の意見と環境庁側のこれに対する考え方を聞いておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 私たちは、企業と環境との調和あるいは企業が地元の皆さんに快く受け入れられて初めて企業は存立する、またそうあるべきである、そういう考えに立って、いままでのことを反省いたしまして立地政策を少しずつ転換させているわけであります。そういう考えから、企業サイドに立つということはこの問題についてはいたしません。やはり住民の公害問題に対する回答を的確に出すということが私たちは行政指導としても大事な点であると思っております。
○河野説明員 環境庁といたしましても、住民が公害に対する不安を持たれる場合が当然ありますので、その場合にその不安を取り除き、あるいは正しく理解してもらうという立場に立ちまして、その企業から出される届け出等に関する情報は一般住民に理解してもらうという立場で行政指導をしてまいりたい、かように考えております。
○加藤(清二)委員 関連して。本法案の審議にあたりまして、先日来ずっと企業機密と公害の問題について質疑を静かに聞いておりましたのですが、それに関連して一言だけ質問をお許し願いたい。 通産大臣は、企業機密と公害とが並立した場合、同時発生した場合、いずれを優先しようとしていらっしゃるのか、その点からまず……。もっと具体的に言いましょうか。工場が公害を出しっぱなしている、たれっぱなしているということはわからなくても、どうもあの工場が公害の原因らしいという場合に、その当該発生企業とみなされる、目される会社と協定を結んでいる地方自治体などが、そこで使っている材料、つくっている製品、出している排水あるいは排煙等々について質問書を提出する。その場合に、企業としてはなるべくひた隠しに隠そうとする。しかし、企業を指導、育成する立場にある通産省としてはいずれをとろうとなさいますか。
○中曽根国務大臣 そのような場合には、一般的に住民の健康保持、公害防除が優先さるべきであると考えます。ただ、行政的取り扱いにおきましては、その場合においても通産省は中へ入っていって、そしてその発生源、原因等を探求いたしますけれども、環境庁とも一緒になってやることでございましょうが、その場合に、企業のバイタルな秘密というようなものを公表することが企業に致命傷であるというような場合にはその抑制をするということもあり得ましょう。その辺は、行政裁量の範囲で常識に従ってやることでございますけれども、一般論としては、住民の不安をなくし、原因を究明して、それを明らかにするということが行政の大きな目的でございますから、そういう趣旨に沿ってやります。
○加藤(清二)委員 本法案で住民との調和ということばが使われておりますが、公害基本法の第一条では調和ということは取り除かれて、企業との調和でなくして生活優先、環境優先ということに変えられましたね。したがって、この点は大臣はよく御承知だと思います。この公害基本法第一条の精神からいけば、いまの大臣の答弁はしごく当然だと思います。ところが、立ち入り検査権を大臣も持ち、契約を結んだところの地方自治体、県知事とか市長とかいうものも協定によって持っている場合があります。立ち入り検査をしても企業側がほんとうのデータを出さない。私どもが公害調査団として現地に臨みます。ついこの間うちも連続やっておりますが、出さない、企業機密のゆえに出さない、こういうケースが非常に多い。そこで問題は、どこで発生するかというと、隠しおおせる場合はよろしゅうございますが、立ち入り検査権を持った者が立ち入り検査に臨んだ場合に、工場側が機密優先でもってうそのデータ、うその資料を出した場合に一体どうなるかという問題、これについて大臣はどうお考えですか。
○青木政府委員 法律上の立ち入り調査権がございます場合に、地方公共団体が立ち入りをいたします場合には、これを企業としては拒むことができないものと思います。 それから、法律上の権限に基づきまして、地方公共団体が資料の提出を正当な権限に基づいて求めまして、それに対して虚偽の報告をいたしました場合には、それぞれの法律の条項に従いまして、虚偽の報告をしたということで罰則適用になる、こういうふうに解釈いたしております。
○加藤(清二)委員 よくおっしゃった。この間うち、きのう、きょうとじっと聞いておりましても、その答弁が得られなかった。権限を持って臨んだ場合にうそのデータを出した、理由はというと、企業機密である、こう言う。この場合は関係法によって罰せられますね。 次、もう一つの問題、関連でございますからこれでおしまいにします。公害裁判になります。仲裁裁定がございます。早期に紛争を解決するために仲裁裁定制度が行なわれております。そこへ公害発生企業、当該企業に勤務している労働者が証人に喚問されたといたします。その労働者は一番よく知っております、社長よりも重役よりも何よりも。いかなる薬品をどの程度使って、それをいつの幾日に流したか、あるいはコンスタントに排煙として流しているかということは、そこに従事している労働者が一番よく知っております。したがって、裁判の場合、仲裁裁定の場合、最後のきめ手は、そのたれ流し、出しっぱなしをした労働者が喚問されます。この場合に、その労働者は、虚偽の報告をすれば、これはあとからあとから追及されて、あとで偽証罪で訴えられます。片やこれを正直に発表した場合、企業の機密を漏洩したという罪と会社に不利な証言をしたという罪によって首とか減俸とか、会社、企業側からその労働者がたいへんな不利をこうむる場合がございます。この場合に、一体正直に発表すべきや、あるいは会社側について不正な証言をすべきや、この労働者は非常に迷うわけなんです。この場合に一体いずれがどうであるか、通産省と環境庁、ともに立場を表明していただきたい。
○青木政府委員 ただいまの御質問は法律上非常にむずかしい問題でございますのでいまちょっと即答いたしかねますので、後刻十分研究いたしましてからお答えいたします。非常に法律関係上むずかしい問題でございますので、少し研究さしていただいた上で御答弁さしていただきたいと思います。
○河野説明員 環境庁も同様検討した上でお答えいたします。
○加藤(清二)委員 そんなばかなことでどうするのだ。だからこの法案がもたもたするのだ。
○中曽根国務大臣 私の感じを申し上げますと、私、法律家じゃございませんが、常識的な判断としてこういうことが適当であろう、そういう判断を申し上げます。 法律的にはあとでもう一回精査してみますが、これは労働者が自分の良心の命ずるところでやるのが正しいのではないか。この法律に規定してありますことは、公務員がその職務上知り得た秘密を外へ漏らしてはならぬ、それはもう当然のことであります。それからそういう職務関係で公権力の作用等によって出てくるということをここで規定しているのではないかと思うのです。それは民間関係で労働者が裁判所に呼ばれていろいろ証言するという場合に、会社の不利になるかあるいは公のためになるかというジレンマに立たされるでしょう。しかし、その場合には、やはり良心の命ずるところによってやることが正しい、その場合に会社が労働者に対して不利益処分をやる、そういう場合には労働者自身の一身救済の問題が出てくるのではないか、私は常識的にそういうふうに考えます。
○加藤(清二)委員 関連ですからこれで結論にします。 通産大臣の最後の答弁はやや当を得ていると思います。この法案の審議の最中に住民との調和であるとか企業機密であるとか、もたもたしておりますけれども、環境庁、よく覚えてもらわなければいけませんよ。きのうもおかしな答弁をしておったのだけれども、こんなことはとっくにきまっていることなんだ。三年前に私が公害委員会で決着をつけた問題なんだ。それをいまだに当該監督の責任にあるあなたたちが認識していないなんというたら、とんでもないおかしな話なんだ。これはどう決定しているかと申し上げますと、実はこの仲裁裁定の法案が通過する段階において、その問題を私が提起いたしました。そのおりに、通産省の意見と法務省の意見と労働省の意見とが食い違いました。そこで委員長提出となりまして、いまおっしゃったとおりです。あとで統一見解を発表しますということになったのです。それで統一見解が発表されました。それは法務省からでございます。この場合、いま通産大臣は身分保障の問題が残る、こうおっしゃられました。その点、法務省でははっきりしております。どう発表したか。あくまで人間優先である、公害基本法第一条にのっとって人間優先であり、環境優先である、したがって、企業機密はそのあとに続くものである、ゆえに裁判において証言した、良心に従って真実を述べた者は、それによって会社から身分上、給与上の不利をこうむることは間違いである、もしさようなことになれば、これは労働法並びに雇用法によって訴えなくても直ちに糾弾さるべきである、このことはNHKが解説づきで公表したのです。また法務省の答弁は、当該委員会のみならず、公表された。新聞が一斉に書いた問題なんです。いまなおほんとうにこの法案を審議するならば、それから一歩進んだ問題を討議しなければならぬ。すなわち、私が最初に提案したところの地方自治体、つまり住民福祉の責任を持った地方自治体の団体長、市長であるとか県知事が権限を持って立ち入り検査をした場合に、不実の記載をしたりあるいは不実の証拠を提出した公害発生企業は、当然この精神からいったら罰せられるべきである。調和ではありません。いまごろ調和なんて言っておったら、これは公害基本法を最初に制定したときの精神がいまだにここに流れておると言わざるを得ない。そういう考え方でこれを論じられておっては、これは一歩後退と言わざるを得ない。それであえて質問したわけでございます。私のこの意見というよりも経過報告に対して御意見があったら承りたい。
○岡田(哲)委員 意見がないということは、いま加藤先生の言われたことを当然であるということで承知をされたことと、こういうふうに受けまして、次に移りたいと思います。 次は、準則がきめられて法が施行されたあと、客観的な情勢として新たな事実関係が起こってきた。その場合には当然準則が変更されなければならない、こういうふうに思うのでありますが、弾力的にということばが適切かどうかわかりませんが、そういうことが当然なされなければならぬと思うのですが、どうでしょうか。
○山下(英)政府委員 準則をきめますときは審議会の意見も聞き、全国的基準として最も妥当な線を慎重にきめたいと思いますけれども、昨今のように技術革新等変転の激しい時代でございますから、基礎的な要素が変われば改定をしていくべきだと思います。
○岡田(哲)委員 次は、この「工場立地に関する準則の考え方」ということで出されましたもので、一応その考え方というもの、これに対する態度というものも一わかるわけでありますが、ともすると、こういう調査に基づいて現状がこうであるから、できるだけそれにある程度のファクターをかけていこう、こういうところにおちいりやすいと私は思うのであります。そういうことでなしに、非常に考えた結果これでなければならぬという一つの理想的なものをつくって、やはりそれを現状から引き上げていく、これは当然なことでありますが、そういう現状妥協をしないという点を強くここでやっていかないと、どうも現状に妥協していく、こういう心配がされますので、この点についてのお考え方をお伺いしておきたいと思うわけです。
○山下(英)政府委員 お配りしました資料には、私どもの検討中の材料をそのまま、全国平均の実績と最高値を出しまして、これからどうきめるかでございますが、私どもの方針としては、可能な限り理想的な基準、ぎりぎり理想的な方向に持っていってきめるべきだと思っております。方針としましても、既存と新増設を分けましたので、そういう意味からも、新増設に関しては行政的には多少の無理があっても時代を先取りするようなレベルに持っていくべきだと思っております。
○岡田(哲)委員 そこで先ほど大臣のお考えを聞いたわけでありますが、準則をつくる場合、当然市町村長という代表者が審議会の中に入っているからこれでこと足れり、こういうふうに大体言われているようであります。私も先ほど強く主張いたしましたように、この準則をつくる場合でも、できるだけ地方自治体、関係する地域住民の意見というものを入れていく、こういうことを言ったわけであります。ここでの意見の違いは、当然この審議会の委員の方があらゆる一切の声を集約して代表でやればこと足れり、こういうふうに大臣は言われているわけであります。確かに形の上ではそういうことになると思いますが、情勢が地域地域によっても非常に変わりますし、環境その他もたいへんな変わりがある、こういうような点から幅広く聞く必要がある。ですから、一応この準則というものをきめる方法としては、それが一回下部討議にかけられるというか、地方自治体に落とされ、地方自治体の意見もまた十分聞く、それから地域住民の意見も聞く、こういうような方法をとって、それが最終的に集約された暁に準則として決定をしていくのだ、こういうやり方を強く要望したいわけであります。この点についての考え方をきちっと言っていただきたい、こう思います。
○中曽根国務大臣 審議会の中には、全国の知事さんあるいは市町村長さん等の代表も入っております。また、入る予定であります。そこで、準則をつくる際には、これらの人々を通じて、おのおのそれらの機関、組織にもはかってもらうことになりますし、また、それらの組織が結論を下す前に、それに関係するいろいろな方面と相談をして意見を出してもらうように、そういう手続をとっていきたいと思います。
○岡田(哲)委員 次に、届け出の関係についてでありますが、特定工場の範囲、これが政令にまかされますとどうも狭くなるような心配がされるのでありますが、その点はそういうことにならないかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○山下(英)政府委員 現行法でも、特定工場の規模は、建築面積で三千平米、または敷地面積で九千平米以上となっておるわけでございますが、現在私どもが検討しておりますのは、準則のきめ方に合わしてその基準をきめるのだが、いまお尋ねの方針はもっと狭く基準をすべきである、ちなみに、ほかの過密地帯における工場制限法におけるいわゆるすそ切りの基準は、関西で千平米とか関東で五百平米というのもございます。しかし、この数字がそのままというわけではありませんが、そういうものも参考にし、今度の法律ができるだけ広範囲に適用されるようにきめるべきだと思っております。
○岡田(哲)委員 次に、第一項第六号の届け出を要する指定地区、これについての構想をお伺いしておきたいと思います。
○青木政府委員 第六号の届け出をしていただきます企業に対する指定地区でございますが、これはあくまで密集して工場が建設される予定で、そこの多数の汚染源から出ます汚染が重合して全体の汚染となるというような地区でございまして、いわゆる大規模な工場の密集地域でございます。
○岡田(哲)委員 この指定地域の限定でございますが、大量の工場を擁する地域、そういう場合には当然事前調査をやるわけですね。その事前調査の対象でやった場合と、その指定地域の線引きといいますか、そういう関係からいいますと、どういうことになりますか。
○青木政府委員 事前調査をいたします地域と申しますと、事前調査をする場合に、その工場がたくさん建つ地域と、その影響をこうむる地域とございますが、この指定地域になりますのは、大体工場が建てられる地域のほろとほぼ一致するというふうに考えております。事前調査の結果、ある程度、地域が変動することもあり得るかとも思いますが、原則としては調査をした地域と一致するというふうに考えていただいてけっこうだと思います。
○岡田(哲)委員 この届け出の中に、私、先ほどもちょっと触れましたが、言うならば、企業の使っておる燃料、原材料、先ほどこれは企業秘密だ、こう言われたのでありますが、いままでずっと議論をしてきましたように、燃料、使用材料、それから排出、排水の基準、こういうものが抜けているように思うのであります。この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○青木政府委員 法文上は、「特定工場における大気又は水質に係る公害の原因となる省令で定める物質の最大排出予定量及びその予定量をこえないこととするための措置」という表現になっておりますが、具体的に私ども現在検討中でございますが、その考えておりますのは、当該特定工場におきますます製品の生産規模、それから燃料の種類、使用計画、それから硫黄含有率、それから排ガス予定量及び汚染物質の濃度、それから排水予定量及び汚染物質濃度その他公害防止にかかわるいろいろな施設の設置計画というようなものを予定しております。
○岡田(哲)委員 予定していますということは、すでにこれは提案されているのですが、当然そういうものはこの届け出の中に入れるということで考えていいですか。
○青木政府委員 現在では、そういうような項目が含まれるものと考えております。
○岡田(哲)委員 どういうことですか、もう一回……。
○青木政府委員 現在実施する場合にはそういう項目を含めるというふうに考えております。
○岡田(哲)委員 それから、環境の中に自然生物生活環境施設、こういうものも、特にこの中で生物の関係、こういう調査は入るのですか。
○青木政府委員 現在までの調査の中ではこれを調査項目といたしておりません。非常にむずかしい問題だと思いまして、今後の検討課題かと思います。
○岡田(哲)委員 この検討課題も、さきの検討課題と同じものだというように見てよろしゅうございますか。
○青木政府委員 先ほどの検討課題は相当詰まっている検討課題でございますが、この問題は、データ、学問的研究その他非常にむずかしい問題でございますので、早急に実施ということは困難であろうというふうに考えられます。
○岡田(哲)委員 とにかく非常にむずかしくてもこれはぜひやらなければならぬ、こういうふうに私は思いますので、五十歩百歩といいますか、当然やらなければならぬということで取り組んでいただく、こういうふうによくお願いをしておきたいと思います。 次に、現行法による勧告の事例、内容等がございましたら、簡単でよろしゅうございますから、教えていただきたいと思います。
○山下(英)政府委員 現行法に基づく勧告は前例がございません。何にも働かなかったかというと、そうでございませんで、現行法の規定で工事開始の九十日前に届け出をしますが、その場合に、かりに一例を申せば、その地域の工業用水が非常に枯渇しているときに、用水型工場の届け出がありますと、届け出に基づいて話し合いをいたしまして、勧告まで至らないそういう指導が大部分でございまして、実例はございません。
○岡田(哲)委員 実例がなかったということは、よかったということではないように思うのですが、次に移ります。 ここでもぜひ要望しておきたいと思いますのは、地方公共団体やあるいは地域住民、こういうものから、そのサイドでいろいろな意見が出てまいります。そういう意見が出てきましたときに、それに基づいて、それを十分尊重した上で勧告あるいは変更命令、こういうこともぜひやるべきだというふうに思うのですが、この点どうでしょうか。
○山下(英)政府委員 法律上は審議会の議を経てということでございますが、昨日来中曽根大臣からたびたび御発言ありましたように、私どもは、実際の運用におきましては、周辺住民の意見を最大限に反映さしてやっていくつもりでございますので、市町村長、県知事等から事前に情報をとる、意見を聞く、かつ少数のグループの意見でも、まとまった提案があれば、それも吟味するということで運用していくつもりでございます。
○岡田(哲)委員 次に、複合汚染に対する問題についてでありますが、この勧告についての周辺地域、こういうふうにいわれているのでありますが、この周辺地域という範囲はどういうふうに考えられておるのか、明確にしていただきたいと思うのです。
○青木政府委員 これは重合汚染が工業地帯からどの程度離れた地点において生ずるか、それぞれの地域の特性によって異なるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、産業公害総合事前調査をいたします場合にも、ある発生源から一定の距離をおきましたその影響を受ける地域を想定しまして、そこに対する影響を科学的に調査するわけでございますので、そういう影響の及ぶ範囲でございます。
○岡田(哲)委員 その影響の及ぶ範囲ということでいま言われましたので、この点についてはそういうふうに確認をさしていただいておきます。 次に、権限の委任についてであります。先ほど大臣にも、これに関連する問題で質問いたしたわけでありますが、公害法によります地方自治体の長に権限が委任されて——この場合特に申し上げておきたいと思いますのは、特定の市長が現在の中から漏れているのですが、最近の事情からいいますと、特定市長というものは当然これに加えてしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるのです。私どもは必要だと思うのですが、この点どうでしょうか。
○山下(英)政府委員 最近の立法令等におきましても、県知事から市町村長に権限を委任されているのがふえております。私どもは、一部を県知事に権限委任いたしますが、従来とも中央所管大臣から直接市町村長に委任している例もございませんし、今後県知事と市町村長との間で、また実際に即して検討をしたらいかがかと存じております。
○岡田(哲)委員 この問題は、私はぜひ入れていくことが必要だ、こういうふうに考えておりますので、この点を強く申し上げて御検討願いたいと思います。 次に、罰則の点についてであります。この罰則を見ますと、変更命令の場合には、六カ月以下の懲役、改善命令違反の場合には十万円以下の罰金、こういうふうになっておるわけであります。問題は、六カ月が低い、十万円が安い、こういう意味のことではございませんが、水質汚濁や大気汚染の法律によりますと、同じような命令違反の場合に、一年以下、二十万円以下、こういうふうに懲役も罰金もきめられているのであります。そのちょうど半分になるわけでありますが、それが高いかどうかという議論をここで展開するよりも、他法令とのバランスの上から見て、どうしてこういうことになるのか、こういうふうにきめられたのか、この点についてお伺いをしたいわけであります。
○山下(英)政府委員 おっしゃいますとおり、公害関係の直接規制法では罰則が原案よりも高くなっておりまして、私どもも罰則は相応に高いほうがいいという方針で、法務省当局と議論をいたしました。最終的に原案になりましたのは、なるほど直接規制法と今回の立地誘導の法律とでは違うという点と、例としましてたとえば建築基準法などは十万円、六カ月以下でわがほうと同じになっております。 先刻先生から御質問がありましたように、要素といいますか、規制の手段たるものが土地の比率であり、生産用地の比率であり、緑地の比率であり、あるいは施設の配置というような限られた手段でありますし、そのやり方は、確かに建築基準法に似ている面もございます。公害という大きな要素は持っておりますけれども、直接規制法とはやはり違うのではないか、こう判断した次第でございまして、法務省も他法令とは原案で均衡するという見解を持っております。
○岡田(哲)委員 私はまだほかの法律を調べたわけでございません。いま二つだけ見て、バランスがとれていないということを感じたのです。 それからいま、この法律の趣旨からいったならば当然この程度であるというふうに言われましたが、どうもその辺、よく納得がいきませんので、これはまた引き続いて御検討願うようにしたいと思います。 時間もきましたので、最後にいたしますが、地域社会との融和という点が強く打ち出されてきておるわけでありますが、問題は、公害企業でない企業でも、進出する場合に地元住民の反対がある場合もあると思います。一番大きい問題は、公害企業に対する住民の反発だと思いますが、そうでなくとも、最近の実例から見ますといろいろな問題が出ているのでありまして、地域社会との融和、心から歓迎して受け入れられること、たとえば進出した以後、地域社会の中に溶け込んでうまく協調しながらいく、こういうのが理想だと実は思うのであります。そういう点から見ますと、工場内にあります野球のグラウンド、運動場あるいはレジャー施設、こういうようなものもその企業が地域に開放していくという点も考えられると思いますし、またその工場内でなく、工場外に企業が持っている施設などいろいろなものがあろうと思いますが、こういう施設についても、できるだけ地域に利用さしていくべきだと思うわけであります。融和をうたわれている以上、そういう点について十分行政指導をしていくように考えられていると思うのでありますが、その点、この法それ自体には触れているわけではございませんから、そういうものについての考え方、行政指導上の問題についてお伺いをいたしたいと思うわけです。
○山下(英)政府委員 まことに御指摘のような点が本法施行の一つの副産物だと私どもは思っております。そして現に最近の幾つもの事例で、工場敷地内に公園をつくってそれを公開したり、一部運動場を公開したり、また自分の敷地の外側によけいに土地を手当てして、それを公共団体に寄付をして、そこを緑地、遊歩地に使って住民に提供したりするような例が少しずつふえております。私どもも、今回の法律に関連しまして、そういう面は直接規制はいたしませんけれども、行政指導によって促進させて、それとあわせて敷地内の今回の法律施行と一体で運営すべきだ、こう考えております。御意見のとおりでございます。
○岡田(哲)委員 冒頭に申し上げましたように、公害を出さない、みずからの快適な環境づくりと地域社会活動との融和、こういうような点から見まして、公害などについても、さらにつけ加えるべき点などございますし、それから先ほど強く言いましたように、地域住民サイドの最近の事例から見まして、これをいかに形の上でだけでなしに、その声を聞きながら理解、協力を得るようにするかという点がこの法の実際問題として重要な点だというふうに考えます。大臣との質疑応答の中では、具体的なそういう方法について私まだこれから意見もあるわけでありますが、時間も過ぎましたので、いま申し上げたそういうような点を強く申し上げながら、一応きょうのところここで終わりたいと思います。
○浦野委員長 藤田高敏君。
○藤田委員 私は、昨日の私自身の質問並びに同僚議員の質問に関連して幾つかの追加質問をいたしたいと思います。 先ほど企業機密の問題について加藤議員から質問がございました。一番肝心なところについてはだれもお答えがなかったわけでありますが、そのことの妥当性を認めるのか認めないのか、この点、通産大臣並びに環境庁の見解を承りたいと思うのであります。
○中曽根国務大臣 加藤委員の御質問に対して私は私なりの所見を申し上げましたが、私はまだ法制的な確認はしておりませんが、私がお答え申し上げたことが正しいと思います。
○河野説明員 加藤先生の前回の統一見解についてお話がございましたが、私も同感でございます。
○藤田委員 国会の審議経過を通していままで確認されたことは、これは当然のこととしてお互いに確認をし合っていきたいと思う。なかんずく加藤議員が質問の中で触れましたが、公害問題に関連をして、裁判の過程において、いわば特定企業の労働者が法廷に立って、そうして俗にいわれておる企業機密というものを陳述した場合に、不当な差別を受けたり、あるいはそのことが雇用条件に影響するなんてことになれば、これはもうまさしく憲法違反でありますし、裁判所でまず宣誓をやって、そうして自分の良心にたがわず証言をする、こういう裁判の精神からいっても否定されることでありますから、この種のことは、当然私は、裁判所においてどのようなことをその労働者発言をしようと、これは身分を含めて保障さるべきものだと思うわけであります。その点は、これは当然のこととして確認してよろしいかどうか、これが一つであります。 それといま一つは、むしろ問題になることは、ここまで環境問題がやかましくいわれてきておる今日、この法律の中にもありますように、公害に関する点については企業機密はあり得ないのだ、こういうことを国の方針として確認をしなければ、環境保全というものは公害対策基本法のたてまえに沿った立場からいってできないのじゃないか。そういうことを確認しないと、たとえば一歩進めて、公害企業の中で働いておる労働者が公害を告発するという場合に、これが企業機密を漏洩したという形でその問題を提起されるということになるのであって、私は、今日ここまで日本列島が汚染されて、お互い一人一人の国民がその生存権さえ侵害をされておるという情勢下においては、いままで論議をしてきた公害に関する企業機密というものはあり得ないのだということを政府の統一見解として確認をすべきだと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
○中曽根国務大臣 まず第一点につきましては、政府のさきに出しました統一見解にもちろん従います。 第二点の問題につきましては、この法律の性格からいたしまして、これは工場立地法という形で「工場立地の適正化に資するため、工場立地に関する調査を実施し、」「並びにこれらに基づき勧告、」云々を行なって、「国民の福祉の向上に寄与することを目的とする。」こういう体系の法律でございまして、そういう意味において、公権力を用いて企業の内容に踏み入り、そうしていろいろなノーハウやあるいはノーハウの周辺にある産業秘密まで知り得るという場合があるわけでございます。現在のように、こういうふうに産業秘密の争奪戦あるいは探知戦というようなものが非常にきびしいおりから、これは一種の財産権にもなると思うのです。そういうようなものに公権力を使用した場合に、それが他に不当に窃取されるとかなんとかいうことは、やはり財産の保護という面もございまして、国民の権利として、基本的人権の一つとして守ってやらなければならぬところがあると思うのです。公権力の作用として出てきた場合守ってやる必要がある、そういうふうに思うわけであります。しかし、先般来成立しました公害諸立法の精神にかんがみまして、そういう財産権を保護してやるということも、これは公共の福祉の範囲内においてやるべきことであり、公共の福祉の面は非常に最近は拡大しているわけであります。したがいまして、運用にあたりましては、そういう精神をもって運用していかなければならぬ、そういうふうに思います。
○三喜田説明員 お答えいたします。 いま通産大臣の言われたとおりだと思います。
○藤田委員 私は、国民の基本的人権についても、財産的な人権といいますか基本権と、人命にかかわる基本権と二通りあると思うのです。私自身は法律的な問題については全くのしろうとでありますが、私はそのように考えるわけであります。 そういう立場から考えます場合に、この公害の問題は人命にかかわる問題でありますから、いま通産大臣が言われたような基本権として同列に問題を位置づけるのではなくて、やはり人命を尊重する、人間の健康保持を優先する、いわゆる人間尊重の基本権を第一義的に取り扱っていく、こういうことでなければ、私は、今日の公害問題あるいは環境問題の解決はでき得ないし、いわゆる人間環境宣言の確認を世界的にした、そういう方針にも合致しないと思うのですよ。そういう点からいけば、なるほどいま大臣が御答弁になられたのは、この法案に関する非常に限られた限度内の企業秘密ということについて答弁をされたと思いますが、私は、この問題に関連をして、一般的な企業秘密も、その部分が公害問題に関連するのだということであれば、それはいままでいわれてきた企業秘密の範囲から除外するのだ、こういうことにしなければ、いままでややもすると今日までの公害問題というものは企業秘密ということで、それが隠れみのになってきたんじゃないか。公害に関するような部分は全部企業秘密で隠してきて、そうして国民の広場にはそういう問題を発表しない、提起しない、ここに私は公害問題の一番大きな原因があったと思うのです。そういう観点からいって、せっかく工場立地の法律を審議する段階で、従来の企業秘密というものに対する考え方を少なくとも公害環境保全に関連する部分については企業秘密というものはあり得ない、なぜならば、国民の健康保持のためには当然のことだ、こういう国民的概念を明確に政府の統一見解として発表し、これを国会の意思として確認することはきわめて大切ではないかと思うのですが、あらためてその見解をただしたいと思います。
○中曽根国務大臣 一般論として、公害の場合における個人の財産権とそれから公共の福祉を守るという立場というものの比較考量という問題になってまいりますと、最近は公共福祉ということは非常に重視されてまいってきておりまして、これは現在における公害の状況から見れば正当なことであるだろうと思います。その場合に、では具体的にどの程度の健康を考えて公共福祉と個人的財産権の保護ということを調和させるかということは、これは個々のケース・バイ・ケースによって公共の重要性と個人あるいは会社の財産権の重要性と比較考量してみないと一がいには言えないと思います。しかし、一般的に見て、ただいま申し上げましたように、公共福祉が公害の場合には非常に優先されてきつつある、そういう観念を持って考うべきであると私は考えています。
○藤田委員 これはことばじりではありませんが、公共の福祉ということが一般的に尊重されつつあるということではなくて、当然のこととして尊重されるべきである、こういう解釈をとるべきではないかと思うのですが、どうでしょう。
○中曽根国務大臣 されつつあるというのは客観的な叙述で申し上げたので、主観的にはさるべきであるということも正しいと思います。
○藤田委員 基本的な考え方は大かた一致したように思うわけであります。私が昨日からこの問題を特にこのように申し上げるのは、やはり今日の公害は、たいへん失札な言い分ですけれども、今日までの工場立地の段階で企業秘密というようなものに名をかりて、公害を発生する企業を通産省サイドとしては非常に優遇し過ぎてきたのじゃないか、過保護的な対処のしかたをしてきたんじゃないか、あえて言えば、最近政治公害という名がついておりますが、極端に言えば、通産省公害だということさえ私は言えると思うのであって、やはりこの際、これだけ世の中が発想の転換だとか新しい価値観を追求するとか、こういわれておる時代ですから、通産行政の基本的なあり方、工場立地に向けての基本的なものの考え方、これも産業政策の立場で考えるのではなくて、まずその前提になるべきものは、人間の生命を尊重する、環境保全を十二分にやるのだというところに大前提を置いて工場立地を考えていくべきであろう、そういう観点からいけば、この公害に関する部門については、ノーハウの面を含めて、企業秘密はあってはならぬ、このように考えるわけでありますが、最後の見解として大臣の御答弁を求めたいと思います。
○中曽根国務大臣 産業立地にあたりましても、公共福祉、住民福祉が優先するという考えは同感でございます。しかし、産業上の秘密の問題に関しましては、先ほど申し上げましたように、この法律の適用については、やはり財産権という面において守ってやる要素もなければいかぬと思います。もしそれを侵す場合には、憲法違反として損害賠償をやられるという危険性も出てまいると思います。したがって、この法律に関しましては、やはり公共福祉と個人あるいは法人の財産権の擁護ということをいかに調和させるか、一般的に公共福祉が優先しているということは原則でありますから、それを観念にして判定すべきものであると考えます。
○藤田委員 この点についてはこれでやめようと思ったのですが、やはり最後の大臣の答弁を聞きますと、どうしてもひっかかるのですね。それはなるほど財産権の侵害というようなことで裁判になって、損害賠償を請求されるような事態になるかもわからないけれども、しかしそれは財産上の問題として最終的には解決がつく。しかし一方、公害で健康をおかされ、あるいは人命を失うようなことについては、取り返しがつかないわけですからね。そういう点からいけば、同じ基本権だといいながら、人権尊重の立場からこの立法も運用をされるべきである、こういうふうに基本的な考え方としては明確に位置づけないと、これ自体の工場立地法を制定するにあたっても問題が将来残るのではないか、こう思いますので、念のため大臣の見解を求めたいと思います。
○中曽根国務大臣 御趣旨はよくわかりますが、やはり法律をつくるときには、憲法違反の疑いのある法律をつくることはわれわれとしてもなかなかできにくいことでありまして、そういう意味において、財産権に関する秘密の問題点がここに書かれているのだろうと私思います。しかし、これを運用するにあたりましては、公共福祉優先ということは、先ほど申しましたとおり、現代政治を支配する原則でありますから、政治並びに行政においてそれを十分勘案して行なうべきであると思います。
○藤田委員 次の問題についてお尋ねいたしたいと思いますが、昨日も少しく他の同僚議員からも触れたと思いますが、第十五条の二、いわゆる国の援助についてであります。これには国の補助と財政上の助成、援助並びに税制上の援助と大きく分けて三つだと思うのですが、私は、この公害法のたてまえではございませんけれども、今日PPPの原則というものが確立されておる以上、この種の、ここに出しておるような考え方を適用いたしますと、PPPの原則に反すると思うのですが、見解はどうでしょうか。
○山下(英)政府委員 十五条で、私どもがこの法律に関連してやります国の援助は、この法律が持っております誘導的な性格の範囲内だと思います。 詳しくは援助の内容を御説明すればわかっていただけると思いますが、PPPの原則は私どもは貫いていく、特に公害規制法の場合にはもちろんそうですが、この法律におきましてもPPPの原則を貫きまして、そして前向きに緑地をつくるとか厚生施設をつくる、そういう誘導面におきまして、企業に対しては主として低金利金融を見ていく、公共団体その他につきましては直接補助金を見ていく、こういう方針でございます。
○藤田委員 国の援助の条文を見ましても、十五条の二を見れば「工場又は事業場に係る環境施設の整備につき、必要な資金のあっせんその他の援助」をすることができる、こういう趣旨の条項でありますが、私は、これから新規の事業をやる、新しい会社をつくる、新しい企業を起こす、こういう事業家が公害防止、環境保全に向けての施設をつくることは企業家の当然の義務だと思うのです。そういう当然の義務ともいうべきものに対して、国が財政上の援助あるいは金融上の援助をしなければ公害防止や環境保全に向けての事業活動ができないという事業家、そんな事業家まで援助して工場をつくる必要はないと私は思うのです。それは、今日の概念からいけば、結局公害を発生させないような施設をつくって、そうして昨日来問題になっておりますように、国民の福祉に寄与していくということが事業家の社会的責務であって、こういう寛大な措置は、少なくとも環境施設の整備という名のもとにこういった助成策をとるべきではない、私はこう思うわけであります。あえてとるというのであれば、中小企業だけに限定すべきじゃないか。 さらに、いま一つの質問は、既存の企業体が、この準則に適合するように工場内の配置を改善していくという場合に、おそらくこの条項が適用されるんだろうと思いますけれども、極端な言い方をすれば、今日まで大企業は公害のたれ流しなり、公害の吹き流しでたいへんな利潤を求めてきておるわけであります。そういうものに対して公害防止の施設をつくるのに、私の知る限りにおきましては、例の公害防止事業団といったような事業団を通して資金を充当していくような制度もあるようでありますが、わざわざこの法律の中に、そういう既存の企業に対してまで援助をする必要はないのじゃないか、あえてやるのであれば、中小企業にのみ限定する、こういうことでこの法律の性格を規定づけるべきではないか、私はこう思うのですが、どうでしょうか。そういう金があるのであれば、年金をはじめ社会福祉の問題がこれだけやかましくいわれておるのですから、そちらへ国民の税金を使おうではありませんか。私の質問に対する答弁を求めます。
○山下(英)政府委員 四十八年度予算におきましてただいまの件に関して私どもがとっております措置は、開発銀行からの七・二%の特利融資、中小企業金融公庫から七・〇%の特利融資の二つでございます。これはいまお尋ねのお申し越しのとおり、中小企業に関しては中小公庫、したがって、問題になりますのは、開銀の融資ワクが不要ではないかという点になるかと思います。これも私どもは緑地等、特に今回の準則の決定にあたって前向きに理想的にしていく、通常ならば普通の土地手当ての企業努力の限界を少しでも促進させていくという効果をねらった融資ワクでございまして、事実上これによって企業を直接援助するというよりも、政府の誘導政策のてことして、そういう企業に対して政府も加担しておるんだという効果をねらった措置でございます。御承知のとおり、OECD等におきましても、PPPの原則は民間企業の直接負担であると同時に、政府及び企業が一体となって公害防止につとめるべきであるという部分がございますが、私どもはPPPの原則にのっとっておる措置だ、こう考えております。
○藤田委員 私は、一般的な産業資金に開銀の融資をしたりすることについてまでとやかく言っておるわけではないのであります。この法律に関係して工場立地をするにあたってまで特別にこういうワクを設けてやる必要はないじゃないか、特利制度を適用するような必要はないじゃないか、こう言っておるわけであります。私は、こういう助成措置を講じなければ企業ができないというのであれば、そういう企業家には会社なんかつくらさなくてもいいじゃないかと思うのですが、どうですか。 しかも、これは環境施設の整備に向けて特別金を出すというのですから、これからの企業家は、緑地をつくったり準則にいっておるような公害防止の施設を、工場をつくった場合に最低の条件として確保していくんだということは、これは今日の企業家として当然の腹ぎめをさすべきことであって、国がこういう援助措置や誘導政策をとらなければ企業ができないというのであれば、そういう企業家には企業を起こしてもらわなくてもいい。こんなものがなくてもりっぱに公害防止の施設をつくって、この準則に合うようなことをやってでも私は企業をやりたいんだ、会社をつくりたいんだというものにだけやらしていったらどうでしょうか。そういう大企業にまでやる必要はないと私は思うのです。あらためてその見解をお尋ねすると同時に、時間の関係がありますからいま一つ質問をいたしたいと思います。 いずれこの法律は日の目を見るようになるんじゃないかと思うわけでありますが、この法律が成立した場合、現在のたとえば大分県の鶴崎の新日鉄の増設あるいは苫小牧の開発、こういったものに対してこの法律を適用するのかどうか、この点を一つお尋ねしておきたいと思います。
○山下(英)政府委員 前段についてお答えいたしますが、あの法律の書き方が助成誘導立法の例文にならっておりますので広くなっておりますが、実際には、主として緑地造成に関して、ある場合に、企業の大中小を問わず開銀は融資することができるというワクを今予算でつくったわけでございまして、私どもとしても、これは言ってみれば試金石的なつもりでもございます。緑地造成というのは、現在まで昨今燎原の火のごとく広がってはおりますけれども、前回御質問のありましたように苗木の手当て等々、緑地の管理等々、経費に関してわからない部面も相当ございまして、こういうものを促進するためには、初期の段階ではある程度国の刺激剤が要る場合が多いものですから、そういう規定を挿入した次第でございます。
○青木政府委員 後段についてお答え申し上げます。 苫小牧並びに大分の地区におきます新日鉄の増設はこの法律施行後に当然なると思われますので、事前調査を十分いたしまして法律の適用があるものと解釈いたします。
○藤田委員 私は前段の答弁については理解することはできません。これは文章上からも緑地が中心になるというのであれば、うたい方についても、表現のしかたについても、もっと明確な表現のしかたもあるだろう。これは環境施設の整備ということになれば、その中身の十中八、九が緑地だなんて、そんな理解をしろというほうが私は無理じゃないかと思いますね。ですから、この環境施設の整備ということは、あくまでも常識的な解釈からいっても公害防止の施設、環境保全に向けての施設、これが中心になるんだということであれば、それは緑地も含めて、昨日の共産党の同僚議員のなにではありませんが、緑地がどの程度まで直接的な環境保全の役割りを果たすかは、私はこれは効果が薄いと思うわけでありますけれども、しかし、そういうものについてまで工場立地の段階で国が過保護的な援助をすべき時代ではない、こういう私の見解を強く表明しておきます。このあたりも、通産サイドというものは依然として企業側のサイドに立ってすべてものごとを解決しようとする、私はそういう基本的な姿勢が依然として貫かれておることを非常に遺憾に思います。 そこで、先ほどの鶴崎なり苫小牧はこの法律が適用されるということについては、そのことを確認します。 最後に、先ほど岡田議員のほうから質問をしたことに対して、届け出の中に使用原材料、燃料、こういったものについて、この届け出の中に当然含まれるんだという意味の御答弁がありましたが、そういうことであれば、いわゆるこの六条の届け出事項の六号のように「最大排出予定量及びその予定量をこえないこととするための措置」というしりだけをこの報告事項にするのではなくて、その工場はどういう原料を使い、どういう材料を使い、どういう燃料を使って、排出量としてはどれだけのものは最高として出てくるんだ、いわばその中で使うものと結果として出てくるものを両方やはりこの届け出事項の中に具体的に明示すべきじゃないかと思うのです。こういうことがこの届け出事項の中に入るべきものだ、こう思う。そういうふうに予定しておるということであれば、この条文に私は正確に表現すべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○青木政府委員 先ほど御答弁申し上げましたのは現在考えている予定でございますが、この中で特に燃料の種類、使用計画、硫黄含有率と書きましたのは、ここに書いてございます「予定量をこえないこととするための措置」の一番大きな問題でございまして、いま一番問題になっております汚染物質でございます硫黄酸化物でございますが、これの汚染量を減らすための一番大きな手段としまして低硫黄化という問題がございまして、そのためにはどういう硫黄含有率の燃料をたくかというのは非常に重要な問題でございますので、私どもは特に考えている例示の中に入れたわけでございます。この辺をこまかく書きますと、かえって今後の検討におきまして届け出事項をきめますときに狭くなりますので、非常に大きな書き方をいたしておきまして、そのときどきに応じて必要な資料をとろうということでこういう表現にいたしておるわけでございます。
○藤田委員 終わります。
○浦野委員長 野間友一君。
○野間委員 通産大臣にお聞きしますが、先ほどの論議で、また、私もきのう御質問したわけですが、いわゆる企業の秘密と公害との関係ですね。これはいまの大臣の答弁を聞いておりますと、公共の福祉と財産権の保障、憲法二十九条ですね。これとの関係で何か事を論じておられるように思いますけれども、それは間違いございませんか。
○中曽根国務大臣 これは憲法の解釈論になりますけれども、あの憲法に書いてある財産権等も公共の福祉に優先されるというような条文がたしかあったように記憶しております。公害問題のような場合には公共の福祉という高気圧が非常に張り出してきている分野であって、そういう分野のものとして私は解釈しているということであります。
○野間委員 私はそれはおかしいと思うのですよ。要するに公害によって人間の命や健康が破壊される。これは憲法二十五条の健康で文化的な生活を営む生存権、この生存権と人間の生きる権利とそれから財産権、つまり憲法でいいますと二十五条と二十九条と人権が相矛盾した場合にどうするかというのがこの問題の正しい態度じゃないか、こういうように思うわけですね。ですから命と財産、いわば企業の秘密、財産権、それと人権とが対立した場合に、これはまさしく人権を優先するという考え方が当然出てこなければならぬと思うのですね。公共の福祉と財産権というような、そういう二つの対立物でものを考えることは間違いだというふうに思いますが、いかがですか。
○中曽根国務大臣 私は私の考えのほうが正しいと思います。私、憲法学者じゃありませんからよくわかりませんけれども、しかし、やはり公共の福祉という概念のほうが個人の権利よりも優先する、そういうことが憲法の条文に画然と書いてあるわけであります。そういう面から見ますと、個人的な諸権利よりも大衆全体のための保護とか利益とかいうようなものが優先されることがあるのだということを憲法で厳然と書いておるのでありまして、正しくこの問題がこの問題に適用さるべきである。生きる権利ということば、あるいは権利、それはほんとうの権利としてどの程度確立されているか、私まだ勉強不十分ですけれども、いままでの判例の取り扱い等から見ると、こういう権利の対立の場合には、公共の福祉という、より上位の概念でこれを処理しているんではないか、そう思います。
○野間委員 大臣、それは違うわけですよ。公共の福祉というのは、それぞれの人権を外から外在的にどれだけチェックすることができるかという点から公共の福祉の概念というものが打ち立てられたわけですよ。ですから、人権とそれに対する制限、これが公共の福祉なんです。そうではなくて、企業の秘密と公害という問題になりますと、まさしく生きる権利と財産権、これの対立物として扱わなければ誤りだというふうに私は考えるのです。ですから、いま大臣のおっしゃるのは公共の福祉の位置づけがやはり違うと思いますが、どうですか。
○中曽根国務大臣 憲法二十九条に「財産権は、これを侵してはならない。」「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」こういう条文がありまして、公共の福祉と財産権の問題もここに触れておるわけであります。それ以外に何条でございましたか、公共の福祉云々ということばがあったところがあると思います。十二条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」それから第十三条においても、生命、自由、幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、最大の尊重を必要とする。こういうふうに公共の福祉ということがいつもおおいかぶさっていて、これがやはり憲法の各条章をおおっている一つの基本原理ではないかと思うのです。これが適用さるべきではないかと私は思います。
○野間委員 やはりそれはおかしいですよ。人権を外からどれだけ制限していくか、チェックできるか、この理屈としてできたのが公共の福祉なんです。いまのテーマの根本的な対立というのは、やはり人間の生存権とそれから企業の秘密、つまり財産権ですね。これを対立物としてとらえなければ誤りなんですね。そういう二つが対立した場合に、当然人間の生きる権利を優先さす、こういう考え方を持ってもらわなければ、私は本法の執行にあたっても十分そういうことが生かされないと思うのです。そうでなければ、命と財産とが何か調和するという関係にしかとらえられないと思うのです。この点について、さらに大臣の憲法上の勉強を少しお願いしたいと思います。 きのうに引き続いて私は質問を続けたいと思いますが、本法が既存の工場については適用されない、このことなんですね。これはたいへん私は問題になると思うのです。きのうも例をあげましたけれども、たとえば川崎とかあるいは府中、ここでは独自に会社と企業との間で緑化協定を結んで、そしていろいろと手だてを講じておる。だから、やろうと思えば既存の工場についても一定の割合の緑地を設ける、こういうことはできると思うのです。ところが、本法では、このような既存の工場については全くこれは適用されないことになっておるわけですね。きのうもその点についてかなり質問をしたわけですけれども、さらにあらためて既存の工場についてなぜ緑地の割合をつくらないのかというあたりについて、大臣の御答弁を求めたいと思います。
○山下(英)政府委員 一つは、既存の工場が今回私どもの意図しました法の目的からみてあまりにもおくれ過ぎておる実情でございます。したがって、もし既存のものも対象にするということであれば、自然と準則の基準が実績に近いものにならざるを得ない。やはり法ができましたあとは行政運用をしていかなければなりませんので、タイミングもありますし、不可能を可能にするのはなかなかたいへんでありますので、基準そのものが低くなってしまうということでございます。御指摘の地方公共団体と数企業とが協約によって緑地を一〇%つくる努力をしようというような協約がございます。しかも、それは広がりつつありますが、それと、私どもがいま出しております届け出、勧告、命令という体制とではやはり違いまして、協約のベースのあるところにはこの法律を適用してもいいじゃないか、既存の工場に適用できるじゃないかということも検討してみましたけれども、それはやはり無理があるので、まず新増設から始めようということであります。それでは、既存はほっておくかといえば、昨日もお答えしましたように、現在でも私どもはいろいろな行政指導のチャンスがありますが、今後とも、かりに既存の工場が同じ敷地内で設備を更改する場合、建て直す場合あるいはもしも可能であって外側に土地を買い増しまして緑地をつくれるような場合、あるいは周辺がある緑地化計画を持つような場合等々チャンスをつかんで行政指導していきたいと思っております。
○野間委員 結局せんじ詰めてみれば、要するに、既存の工場についてはさまざまな困難が伴うので緑地をとることができない、こういうふうに私は答弁の中から伺うわけですけれども、それはそのとおりでしょうが、そうだとすれば、実際その地域で苦しんでおる住民が地方自治体につぶさに実情を訴え、また、地方自治体がその現場に来て何とかというようなことで個別的な協定を結んで少しでも改善をしていく、こういう積極的、前向きな姿勢でいくこと、こういうところがいま出てきておる、こういうふうに思うのです。国としては、このような末端の地方自治体が一生懸命努力しておるにもかかわらず、国自身が積極的にこういう方策でいままできたということはないと私は思うのです。しかも、既存のもの、いまほんとうに被害をこうむっておるそういうものをほっておいて、このような新しいものだけに適用するというところに行政の欠陥があると私は思うのです。ですから、もっと積極的になぜやれないのか、いまの答弁によりますと、とにかく既存のところも規制しようと思えば基準がゆるくなる、こういう話がありましたけれども、これは規制の技術上の問題で、これは従前のものも新しく建てるものも区別すべきじゃないと思いますが、かりに万一百歩譲ったとしても、たとえば基準にある程度の弾力性を持たすというような方法で積極的に私はしてしかるべきだと思うのです。そうでなければ、要するに、いままで公害企業がどんどん環境やあるいは人間の生命、健康を破壊していく、これでこういう工場の立地が困難だ、既存のものにほおかむりして、このようなものをつくって、さらに外へ外へとこれを出していく、このための国民なりあるいは住民の一つの心理的効果をねらうだけのものにしかすぎないのじゃないか、こう言わざるを得ないと思うのですが、ひとつ明快な答弁を願います。
○山下(英)政府委員 既存工場の実態は地域、業種、まことに多様でございます。四日市なり川崎等過密地帯の例をあげますれば、工場によっては現在建蔽率は六割ということでございますが、それ一ぱいもしくはいろいろな事情でそれをこえておるような敷地内密集のところがございます。そこに一律にいま緑地をつくれ、生産施設比率をこれこれにせよということはいろいろな支障をもたらしますので、従来の行政指導を強化し、かつこの法律が施行されれば、それによって大いに促進をいたしますけれども、法律上の規制は避けよう、こういうことでございます。自治体が緑地化協約をしておるのに対して中央政府がほっておるわけではございませんで、現在でも、緑地化に対しては、既存のものに対しても低利融資をしておるわけでございます。
○野間委員 私は融資のことを聞いておるのじゃないのですよ。こういうふうに既存のものについてもやはり規制していかなければだめだ。末端の地方自治体では苦労しながらやっておるのです。やって、不十分ではありましてもこれは成功しておるのです。そういう姿勢の問題を私は聞いておるのです。 先ほど川崎とか府中の例をあげましたけれども、さらに聞いておる例からいいますと、神戸製綱の加古川の製鉄所、ここではグリーン作戦、こういうことで工場の緑化を進めまして、付近住民から期待されておる、こういう報告も私は受けておるのです。ただこの場合には、グリーンベルトの幅が五十メートル、非常に少ない、工場の全敷地の一〇%前後、これが目標である、こういうふうに私は聞いておるわけです。しかし私は、企業としてはこれだけのものを既存のものがやるということは、それなりに評価していいと思うのです。しかも、この工場立地法、これを適用されるのは零細企業じゃない。小企業じゃないわけですね。ですから、既存のものについてもやる気があればこれはできると思うのです。それをやらないところに今度の工場立地法のねらいというのですか、それがくさいものにはふたをしてほうっておいて、そして住民感情をある程度やわらげるために単にこのような形だけのものをつくるにすぎないんじゃないか、こういう疑惑を私は持つわけです。ですから、これは確かに行政指導といろいろ言われますが、しかし行政指導といいましても、これは一定の基準もなければこれに従う義務もないわけですね。ですから、やはり法律的にこれを規制すべきである。既存のものに規制もできずに、はたして今後の効果が保証できるか、私は非常に疑問に思います。さらに重ねて答弁を求めます。
○山下(英)政府委員 これは誤解なさっているはずはないと思いますが、既存工場でもその新増設をする場合にはこの法律が適用になります。ですから、そういうときにこの法律によって緑地化比率、環境施設等をつくらせるということがありますが、私どもはむしろこの法律が施行されますと、特にそういう意味も含めて準則を公表いたしますので、現在御指摘の緑化協定——実は緑化協定等も私どものところに相当問い合わせがございまして、今回国会で審議される原案はどうなるのか、準則もどうなるのかという問い合わせが多々ございます。そして地方公共団体から工場立地に関する相談が来ておりますが、そういう動きは準則発表とともに非常に促進されるだろうと思いますし、私どもも、罰則はございませんけれども行政指導を強化していきたいと思います。 反面、それではさらに一歩踏み切ったらどうかということで、変更命令を出す、罰則もかけてとなりますと、実際問題として、それでは一年以内にそういう密集地帯に緑地をつくれるか、あるいは二年かかるかというようなことになると、今度は法律全体が結局において事情によって書き分けた法律にならざるを得ないと思います。私どもは、まず取り急ぎ新増設に関してこういう立法をお願いしたい、こういう考えております。
○野間委員 かりに基準が万々違ったとしても既存の工場に対してどうして法律的な規制をしないのか。先ほど既存の工場についても規制の網をかぶせると基準がゆるくなる、こう言われました。基準がゆるくなるということは、既存の工場についても可能だということを逆に言っておると思うのです。したがって、過渡的な現象としても、これはやはりある程度の割合が違ったとしても、これは当然法的な規制をすべきじゃないか。あなたのいまの答弁によっても、する条件はあるわけでしょう。ゆるくなる、だから新しく建てるものについて規制した、あなたはいまこういう答弁をしたわけですからね。これはどうですか。
○山下(英)政府委員 全国の既存工場を網羅しようと思いましたら、一言でゆるくと申し上げましたけれども、まことに多種多様な書き分けをしていかないといけないだろうと思います。地域によりましても、その単なる地域だけでなくてその周辺の立地状況でも、一年待てばできるところと五年たってもできないところもございます。したがって、既存工場に関してやるとすれば、数字による基準ということでなくて、ゆるいきついのほかに、実情に即した立法技術を要するのじゃないかと思います。
○野間委員 それは技術上の問題だと思うのです。確かに立法技術上技術は複雑かもわかりません。しかし、やる気があれば私はやれると思うのです。これに手をつけてない。これは私は先ほど申し上げたように、今度の工場立地法、これはこれそのものの効果は私は期待はできない、このように考えるわけです。 この問題について大臣にお聞きしますけれども、既存の工場についていま局長から答弁ありましたけれども、大臣はどのようにお考えになっておりますか。
○中曽根国務大臣 できるだけ広く適用することが望ましいと思いますけれども、この法律を適用するにあたりましては段階的に実施して、現実性を持った法律として考えていただいたほうがけっこうである、こういう考えに基づいて今回は新設を主にしたわけであります。
○野間委員 今回はということですが、そうしますと、既存の工場についても近い将来においてこのような規制をお考えになっておるかどうか。いかがですか。
○中曽根国務大臣 将来は将来の問題として、成り行きを見ながら検討してみたいと思います。
○野間委員 どうも私は納得できません。 次に、重合汚染の問題に関してお聞きしたいと思いますが、この法案によりますと、汚染物質の排出についての調査、届け出、勧告命令ですね。これから集中して立地される地区、それから指定地区にこれは限られておる。これから立地する工場であっても、指定地区からはずれれば立地の段階での規制は受けなくて済む、こういう結果になるのじゃないかと思うのです。これでは非常に不徹底だと思います。この点どうお考えになるかということが一点と、指定地区とは一体どのようなものが現に予定されているか、この点についてお答えを願いたいと思います。
○青木政府委員 この法律の対象といたしましての指定地区に限りました理由は、指定地区におきまして重合汚染が非常に生ずるわけでございまして、指定地区外の単独立地の工場につきましては、ある程度その企業において汚染の予測もつきますし、現行の公害防止諸法によって十分その目的が達せられるからと考えたからでございます。 それから、指定地区は現在どういう地区を予定しているかということでございますが、これは今後集中的に大規模な工場、事業場ができるであろうという地区でございまして、全く新しい地区といたしましては、たとえば東苫小牧のような地区が将来想定されるわけでございます。もう一方は、現在ある程度集中して工場、事業場がございましても、今後なおそこに新規の工場が参ったり、あるいは増設が行なわれる可能性がある地区でございまして、たとえて申しますならば、鹿島地区とか大分地区ということが予想されるわけでございます。
○野間委員 次は、届け出の点についてお聞きしますが、指定地区に立地する特定工場が汚染物質の最大排出予定量、あるいはそれをこえないこととするための措置、これらについて届け出をする、こういうことになっておりますが、その届け出をする段階で企業に示せる具体的な排出基準、これは私はなければならぬと思うのです。届け出をする企業は何を基準にしてその企業の排出規制を行なうのか、はっきりしないと思うのです。それから届け出の時点で、これはどのように運用されるのか、どのようにお考えになっておるのか、ちょっとその点お聞かせ願いたいと思います。
○青木政府委員 届け出を要する指定地区にはあらかじめ事前調査が行なわれますので、その事前調査につきましては、その結果を公表しておりますので、その事前調査の結果等を判断いたしまして、工場は自分の計画を立て、それを届け出てくる、こういう段取りになるように考えております。
○野間委員 ただ、調査をされる時点においては、一体どのような業種のどのような汚染物質を排出する工場がどの規模でできるということは、私はまだわからないと思うのです。その時点において排出基準そのものを個々の企業に示すことができるわけですか。
○青木政府委員 確かに御指摘のとおり、調査の段階ではすべての工場が立地計画を持っているわけではございませんし、明確な計画を有しているわけでもないと思います。ただ、そういう地区につきましては、あらかじめ各企業のおよその当初の計画というのがございまして、それを大体とりまして、なお若干穴があくところはある程度の想定を入れまして、こういう業種がこれくらい来るだろうという想定を入れまして、事前調査の中に入れて検討するわけでございます。
○野間委員 ですけれども、調査をされる時点で、いま申し上げたようなことがわかりますか。あとからどんな業種のどんな企業が来るかわからない段階だと思うのです。早い者勝ちということになるのですか。 そこで具体的に言いますと、最初にできた企業、ここに一体どのような基準を示せるのかということです。これは次から次へと出てくるわけでしょう。その点どうですか。
○青木政府委員 御指摘のとおりなかなかむずかしい問題もあろうかと思いますが、たとえて申しますならば、たとえば東苫なら東苫という地区を想定いたしますと、これから港湾計画をつくって、これから建設が行なわれるわけでございますが、あそこに進出をおよそ予想される企業は大体どういう業種、何工場くらい、あるいは生産量として何万トンのこういう物資をつくるという想定がある程度できておりますので、そういう想定の上に、現在の技術をもってどれくらいの施設ができ、どれくらいの公害防止施設ができるかということも予想できますので、そういうものがデータとして調査の計算に入るわけでございまして、従来の経験から申しますと、およその計画が調査に入ります段階では各企業から出されているのが通常でございます。その後いろいろ進出する企業が具体的にきまってまいります間に若干の相違が出てまいりますが、それはそれでデータを入れ直すというようなことで調査を修正してまいるというのが従来やっておりました手法でございます。
○野間委員 これはいま申し上げたように非常に不十分だと思うのですよ。ですから、こういう場合には総量規制との関係で考えれば、それでも非常に複雑な計算とか方式が要ると思いますが、これでは個別的なあれについて規制するような効果的な措置ができるかということになりますと非常に不十分だ、これは非常にむずかしいということを局長も言われましたけれども、私はそういうふうに考えるわけです。 次に質問を進めますけれども、立地において汚染物質の排出などが規制される指定地区であっても、この法律の発効前に設置された特定工場については重合汚染規制の対象にはならぬ、こういうふうに解釈する以外にないと思いますけれども、それはそのとおりでいいですか、どうですか。
○青木政府委員 この法律の適用はございません。
○野間委員 たとえば鹿島などの場合、ここでは四割程度がいま設置済みになっておる。あと六割がまだ残っておる。こういうふうに私理解しておるのですが、そうなりますと、既存の四割についてはこれは適用されない、あとの六割についてだけがこの立地法の適用がある、こういうことになると思うのです。これは一体どのように調整されるのか、この矛盾ですね。
○青木政府委員 法律の適用上はおっしゃるとおりでございますが、既存の工場でございましても増設等がございますので、そのときに全体としての排出量の調整なり公害防止施設の増設を勧告、命令する等、既存の工場に対しても全く及ばないわけではございません。増設の場合には全体としての指導ができるという点はございますが、増設もない、現在すでに設置されているという工場に対しては、法律の適用は直接はございません。
○野間委員 私は既存の工場と申し上げているので、増設などについては言っておらないわけです。ですから、あそこのコンビナートでできたものについてはこの法律は及ばない、これからできるものについてだけは規制していく、こういう非常にアンバランスなものができるわけでしょう。これはそのとおりだと思うのですよ。そうすると、既存のものについてはこの法の規制がありませんから、あなたがおっしゃるのはおそらく行政指導、こういうふうにおっしゃると思いますが、こういうところは一体どうするのですか。これはやはり行政指導だけで済ますわけですか。
○青木政府委員 既存の工場につきましては、現行法では排出基準等による規制は受けますけれども、この法律によります規制は受けないということになります。したがいまして、その面は現実の、いまおっしゃいましたように行政指導ということで発生量を減らしていくことを指導する以外に方法はございません。
○野間委員 だから私のほうは重ねて申し上げているように、やはり既存の工場についても積極的に、そのような新しく立地するものと同じように規制をしなければだめだ、こういうことがいまの例からも明らかになると私は思うのです。行政指導、これはいま申し上げたように、基準もなければまた拘束力、義務もないわけですからね。だから同じ地域にありながら、すでにあるものについては規制を受けない、結果的にはこうなるわけですね。これは指導は指導として、そういうふうになりますね。これではやはりぐあいが悪いので、全体に網をかぶせてほんとうに環境を保全し、健康やあるいは命を守っていくという立場から、もっと抜本的、根本的に考えなければ、小手先の細工だけでは環境の保全はできるわけがない、私はそのように考えます。 そこで、この汚染物質の排出に対する規制、これは指定地区において届け出、勧告あるいは命令の対象になっております。ところで、かりに勧告に従わなくても、あとで改善することができるならば変更命令を出すことはないというふうに私は法文から解釈するわけですけれども、それはそのとおりですか。
○青木政府委員 勧告をいたしましても、その勧告内容と必ずしも同一じゃない方法によりまして実際の目的を達し得るならば、命令までかける必要はなくなると了解しております。
○野間委員 そうしますと、勧告をして、そしてしかもあとで改善することができるような場合、しかも、勧告は出るけれどもそれに従わないという場合の措置はどうされるわけですか。
○青木政府委員 勧告を受けた場合、その勧告に従わない場合には、原則としては変更命令になるわけでございますが、勧告を行なったケースのうち、それほど困難なく勧告の原因となった事態が除去できるようなケースまで罰則つきの命令を出す必要はないというふうに思いますし、また勧告するのは一方法を勧告するわけでございますが、必ずしもその方法によらないで他の方法によって実際の事態が解決されるならば、その場合も命令までかける必要はなくなるというふうに考えております。
○野間委員 ここにやはりまた抜け穴があると思うのです。勧告するけれども従わない、しかし命令までしない。そうしますと、やはりさまざまな口実を設けて、かりに勧告までやったところでこれが是正、改善されない、そういうことがこれから出てくると思うのです。そうしますと、すでに立地の段階で規制そのものがもうしり抜けになる、こういうことは必至だと思うのです。なぜ命令しないのですか。ほんとうに環境や命を大切にするという立場から出したとすれば、この場合でも当然するべきだと思うのですが、どうですか。
○青木政府委員 勧告をいたします場合は、予想されるような重合性を避けるために、その企業に対しまして公害の防止施設の設置等の適当な手段を命ずるわけでございまして、また、ある汚染負荷量を一定の限度内におさめるということを勧告するわけでございますが、こういうことが実質的に担保されない限り、命令をかけてその実効をあげるというふうになるのが当然だというふうに考えております。
○野間委員 どうもよくわかりません。勧告しますね。従わない。命令しない。それじゃそのまま放置されるわけでしょう。これはそのまま放置するわけでしょう。別に制裁はありませんからね。それでいいのですか。もしそうだとすれば、これは立地の段階からしり抜けになるのじゃないか。なぜそこまで保護しなければならぬか、こういうことです。
○青木政府委員 若干説明が不十分だったかと思いますが、勧告をいたしました場合には、原則としては、従わない場合には命令をかけるわけでございます。ただ、例示で申し上げますと、ある公害防除施設をつくるべしという勧告をいたしました場合、公害防除施設をつくらなくても、たとえば燃料を低硫黄化して同じ効果をあげますというような誓約を得まして、十分それが守れるという心証を得ました場合には、場合によりましては命令まで至らない場合もある、こういうことでございます。
○野間委員 だから申し上げているわけですよ。勧告されたけれども、これは除去しなくても低硫黄を使えば是正される、だから命令は出さない、こういうことですが、そしたら、勧告したけれども、そのままの状態が結局低硫黄を使わない場合は続くわけでしょう。それを是正する措置、方法はあるのですか。
○青木政府委員 この法案の目的は、重合された汚染が生じないように勧告するわけでございますから、そのために、十分できるという確証がない限りは命令までいくわけでございまして、それがもし守られない場合には、もう一つの担保としましては規制立法が当然ございますので、そちらのほうで罰則を受けるわけでございますので、いずれにいたしましても、企業といたしましては、立地の段階でそういう指導をして、そういう指導の結果を担保できるような方策をとらなければならないという点は同一ではないかというように考えております。
○野間委員 どうもよくわからないわけですよ。改善を命じて、いま具体的に低硫黄の問題が出ましたね。これをやれば除去しなくてもいいということでしょう。ところが、低硫黄は勧告したけれども使わない、そういう状態が放置された場合にどうして規制するかということです。
○青木政府委員 私どもが命令をかけないという場合には、そういう低硫黄の燃料をたくということが十分実施できるという確信がある場合に限りますし、またその担保といたしましては直接公害規制立法がございますので、それを使わぬ場合には、後におきまして排出規制違反ということで規制立法のほうで取り締まられるという二重のかんぬきがかかっておるわけでございます。したがいまして、十分この効果は担保できるというふうに私どもは考えております。
○野間委員 もっとすなおに考えてほしいと思うのですよ。勧告して従わない場合には命令する、そこまでストレートになぜできないのですか。なぜ回り回ったようなことをするのですか。なぜすなおにできないのですか。
○青木政府委員 若干説明が悪かったかと思いますが、原則としては、勧告いたしまして勧告に従わない場合は命令に至るというのが通常のケースでございます。ただ、私がいま御説明しましたのは、例外的にそうでない場合もあり得るので、法律上はそういう措置になっておるということでございます。
○野間委員 非常に不十分で、私は納得できません。きのうからいろいろお聞きしたわけですけれども、結局やはり問題としては、既存工場についてはこれは適用できない、規制していない。しかも、きのうからずっと、緑地について目的が明らかでないとか、芝でよいとか、そういう論議がありましたが、要するに、やはり緑地についても遮断緑地の必要性、この広さを法律上明確にしなければならない。これが明確になっていない。また、公害防止の不徹底などから、新しい産業立地をいかに住民に受け入れさすか、こういうことが結局この法案のねらいじゃないか、これ以外に私は考えようがないと思うのです。そして、いわゆる日本列島改造論、こういうものを促進する手段としてこのような立法が準備されたという以外に私は考えようがないと思うのです。したがって、抜本的に、先ほどから申し上げておるように、既存の工場について網をかける。緑地について、これを既存の工場についても、あるいは新しい工場立地についても、割合とかあるいは緑地の目的、こういうものを正確に法律上明記する。あるいはいまの勧告と命令との関係でも非常に不十分である。この点について、もっと抜本的にやはり住民の意向を十分聞いた上で、そして下から、ほんとうに、上から企業を見るのではなくて、民主的あるいは自主的なそういう住民の意見を聞いた上でこのような規制を加えなければ、私はこれは不十分だ、こう考えざるを得ないと思うのです。 いろいろ質問しましたけれども、時間が来ましたので、一応これで終わります。
○浦野委員長 次回は、明後二十二日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十分散会