商工委員会 第9号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/03/23
会議録
○浦野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等鉱害対策特別措置法案の両案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 先刻の理事会で御協議願いましたとおり、両案審査中、金属鉱物探鉱促進事業団理事長または理事を参考人として出席を求めることとし、並びに本日、両案審査のため、東京大学工学部教授吾妻潔君、日本鉱業協会副会長森五郎君、全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長原口幸隆君及び全日本資源産業労働組合連合会中央執行委員長森嶋勝男君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○浦野委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。 本委員会におきましては、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等鉱害対策特別措置法案について審査を行なっておりますが、本日は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じております。 なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 まず、吾妻参考人にお願いいたします。
○吾妻参考人 ただいま御紹介にあずかりました東京大学の吾妻でございます。 最初私の経歴をちょっと簡単に御紹介申し上げたいのですが、よろしゅうございますか。——現職は、先ほど御紹介ございましたように東京大学工学部冶金学科の教授でございまして、昭和十二年に東大の工学部冶金学科を卒業いたしまして、自来非鉄金属の製錬、つまり鉱石から非鉄金属を取り出す、そういう仕事を専門といたしまして今日に至っております。 公的にこういった公害問題にタッチしました経歴を申し上げますと、御承知の群馬県の安中製錬所の鉱害問題でございますが、東京鉱山監督部からの依頼によりまして安中製錬所の鉱害対策委員会の委員長を命ぜられまして審議したのでございますが、御承知のように、不幸にも監督部長がおなくなりになりまして、この委員会もほどなく解散したわけでございます。続きまして、例のイタイイタイ病でございますが、米の中のカドミウムの含有量の許容量につきまして総理大臣から諮問があったのでございますが、農林省からの委嘱によりまして委員になりまして、それを審議したことがございます。続きまして、環境庁が成立されましてからは中央公害対策審議会の委員といたしまして、昨年は、銅による土壌汚染、つまり米作の収量が減少いたしますので、土壌中の銅汚染の許容量につきまして審議させていただきました。そういったことが大体の経歴でございます。 このたび御提案になりました二法案を実は一昨日拝見したのでございますが、これらの二法案は、全国に多数散在しておりまする休廃止鉱山から発生するであろう公害を根本的に断ち切る、そういうための具体的な計画、立案並びにそれを実行に移すことを可能にするまことに時宜を得た法案であると考えられますので、これが一日も早く公布されまして実施に移されることを切望する次第でございますが、この際、少し時間をおかりしまして、鉱山の経営、つまり鉱業ということの特殊性、これについて述べさせていただきたいと思うのでございます。 御承知のように、鉱業という仕事は、地殻の中に含まれておりまする金属鉱石をさがしまして、その濃縮しているところを掘り出しまして、それから金属を生産する、そういう仕事でございます。ところが、この鉱石を掘り出しますという鉱業、つまり人間が掘り出す鉱石の中に含まれております金属が有害物質でございまして、これが流れ出ましていろいろ鉱害を与えるということで、こういった鉱山を開発することによって鉱害が増加することは事実でございます。かりにこれを人為的鉱害と名づけまするならば、そういった鉱山を開発しなくともそういったところに鉱石がある限りは、それから自然と有害物質も流れ出るわけでございまして、これを自然汚染というように名づけますと、鉱山のありそうなところ、もちろん現在鉱山のないところもございますが、そういったところからは、こういった自然汚染といったものも発生するわけでございます。 この二法案は、いま述べました前者のいわゆる人為汚染に対し、根本的に対策を講じまして鉱害を発生しないように処理するということにつきましては非常に適切な法案ではないか、そういうように考えるわけでございます。 鉱山の坑口とか、堆積場に適当な特定施設を設けまして鉱害を防止する、このことは、御承知のように、われわれそれに関係しております者が考えますと、非常にむずかしい、困難な仕事であり、かつばく大な経費を要する仕事でございます。しかし、この鉱害というものは一日もほうっておくことができないのでございまして、一日も早くこれを防遇することが必要でございまして、そのためには、鉱山がそういった特定施設ができるように低利な金融、場合によりては政府が国庫負担でその一部を負担する、そういった、いわゆる時間の問題でございますので、できるだけ早くその特定施設を設置いたしまして鉱害を防ぐ、そういうことが必要ではないか、そういうように考えておる次第でございます。 しかし、いま申し上げました人為的汚染のほかに自然汚染もございます。この自然汚染に関しましては、現在のところ、たいして手を打っておらない様子でございますし、皆さんの関心も薄いようでございますが、人為汚染と並びまして自然汚染をも防遇する、そういった法案もできるだけ早いうちに御提出いただきまして、そういった措置を講ずる、そういうことをわれわれは非常に希望する次第でございます。 はなはだ簡単でございますが、以上をもちまして私の所感といたしたいと思います。
○浦野委員長 次に、森参考人にお願いいたします。
○森参考人 私は、日本鉱業協会の副会長をいたしております森五郎であります。 初めに、本委員会が、金属鉱業につきまして、日ごろより深い御理解と御指導、御助力を賜わっておりますことにつきまして、心より感謝申し上げる次第であります。 特に、本日は、金属鉱業の鉱害問題に関連いたしますこの二つの法律案につきまして、業界を代表いたしまして意見を申し述べる機会を与えていただきましたことを厚く御礼申し上げます。 両法案につきまして意見を申し述べます前に、この問題の御理解の一助といたしまして、弊業界の現況について一言申し述べさせていただきます。 われわれ業界は、わが国産業の基礎原料であります非鉄金属の安定供給を使命といたしまして、その確保に積極的に取り組み、国内鉱山はもとより、海外における資源の確保に努力いたしてまいりました。しかるところ、ここ数年来のわが国経済の沈滞にあい、市況は低迷し、さらには一昨年のドル・ショックの影響や鉱害問題に関連する支出増も加わりまして、非常に苦しい状況にあったわけでありますが、そこにさらに今回の通貨変動相場制移行に伴う打撃をこうむりまして、経営状況は非常に悪化いたしてまいっております。著名鉱山が相次いで閉山せざるを得なくなっている状況であります。 さて、本題に戻ることといたしますが、鉱山の鉱害に関します規制措置についてでありますが、これは他の業界に先がけて種々整備されておりまして、すでに明治二十年代から独自の鉱業警察体系がつくられまして、国の強い監督体制が整備され、特に昭和二十四年鉱山保安法の成立により、それが一段と強化されてまいっております。 一方、企業もこのような強い国の監督規制に応じまして、鉱害の防止に努力いたしてまいりました。特に最近の公害規制の強化に対応いたしまして、業界といたしましては、ここ数年は年々百億円をこえる資金を投じまして鉱害防止に努力してまいっております。この投資額は、業界の総投資額のうち、昭和四十七年度の見込みでは約二七%に当たりまして、この比率は他産業に比し著しく高いものと思われます。また、弊業界の採用いたしております鉱害防止技術並びに設備は、欧米先進国に比しましてはるかにすぐれていると認められておりまして、私どもは今後とも鉱害防止には万全を期してまいりたい、こう思っておるわけであります。 しかしながら、鉱山の鉱害には、他産業にない特殊性があるわけであります。これにつきまして少しく補足して申し上げたいと存じます。 まず、休廃止鉱山にかかる問題であります。一般の産業の公害の防止は、ほとんどの場合、操業を中止いたしますれば公害の防止もやらなくても済むのに比べまして、鉱山業の場合は、操業を中止いたしましても、そのままでは坑口から酸性の強い水やあるいは有害物質を含んだ水が流れたり、あるいは堆積物がくずれたりすることがありますと、鉱害の原因となることもありますので、これに対し必要な措置を行なわなくてはなりません。このため、鉱山保安法では、鉱山が操業を休止しても、操業中と同様、鉱害防止を義務づけられておりまして、鉱業権を放棄いたしましても、五年間は鉱山保安監督局部長が企業に鉱害防止設備をすることを命ずることができることとされております。 しかし、ここでお考えいただきたいことは、休廃止鉱山の中には、現在の企業の操業によらないものもありますが、現在の法制では、原因行為を行なっていなくても、その責任が現在鉱業権を持っている企業に負わされているということであります。しかも、鉱山業は、操業を長期にわたり継続していくためには多数の鉱区が必要であり、その中には多くの古い鉱山が含まれておりまして、かかる休廃止鉱山の管理が企業にとりまして非常に大きな負担となっております。 次に、蓄積鉱害の問題であります。これはカドミウム等の特定有害物質が土壌中に蓄積して、これにより土壌汚染やいわゆるカドミウム汚染米の発生するなどの問題であります。 これにつきましては、現在の特定有害物質が鉱山操業に関連の深い物質であることから、その責任が鉱山に追及される場合が多いのでありますが、これらの物質はほとんどあらゆる土壌中に存在いたしております。かかる物質が経済的に採掘し得るところで稼行いたしているのが鉱山でありますので、鉱山周辺の土壌中には、一般土壌中に比べまして特定有害物質の含有が高く、言うなれば、相当の自然汚染があるといえるわけであります。 このような自然汚染に、遠い昔の鉱山操業による汚染も加わりまして、企業の操業につきましても、戦争中の無理な強行生産が原因となっている部分もあり、また、当時では、全然予想もされてなかった物質が現在問題とされているものもありまして、このような原因による汚染が複合して土壌中に蓄積されたものが現在の土壌汚染であると考えております。しかも、このような土壌汚染の解決が、現時点で一挙に現企業に要請されているというところにこの問題の困難さがあると存じます。 これら鉱害問題に対処するために、われわれはかねてから国及び地方公共団体の御支援、御助力を賜わりたいと要請いたしてまいったところであります。つきましては、今回の一連の御措置に関しまして私どもの意見を述べさせていただきます。 まず、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案についてでありますが、この改正は、私ども企業が過去の操業にかかる鉱害源に対して鉱害防止工事を行なう場合、本事業団からの融資及び債務の保証を行なっていただくための改正であると承っております。休廃止鉱山の鉱害防止は、国民の健康にかかわる問題であり、早急にその解決が要請されている問題であります。今回の改正は、かかる鉱害源対策を進めるとともに、これに要する企業の負担を軽減していただけるものとして時宜に適したことと賛意を表する次第であります。 また、国内資源の開発を行なっていく場合でありますが、われわれはスクラップ・アンド・ビルドという考え方で新しい優秀な鉱床をさがしまして、古い鉱山をリプレースしていこうとしているわけであります。それによりまして地域社会の発展に寄与していきたい、こう考えておるわけでありますが、地方自治体の中には休廃止鉱山の鉱害問題等々のために消極的な考え方も出ておる現状でありますので、休廃止鉱山の鉱害を始末いたしまして地域社会に御迷惑をかけないということになりますれば、新しい資源の開発に御協力がいただけるものと存じまして、そういう意味でもまことにけっこうなことと思われます。 しかしながら、その内容を見てみますと、要するに、企業の負担で鉱害防止工事を実施させようというものでありますが、さきにも述べましたとおり、過去の鉱山操業の態様並びに自然汚染及び蓄積鉱害の問題もありますので、今後におきましては、より強力な国からの御助成を盛り込んだ内容としていただくこと及び特に中小鉱山に対しましては、その負担能力等から見まして、なお一そうの御配慮を賜わるようお願い申し上げます。 次に、金属鉱業等鉱害対策特別措置法案に関してでありますが、この法律案におきましては、過去の操業にかかる鉱害源の対策を国の基本方針に基づき計画的に推進すること、将来の鉱害防止工事の資金に備えて、あらかじめ積立金を積み立てることがその趣旨と承りますが、これについての私どもの希望は、国の基本方針の立案並びに積立金額の算定及び積み立て方法に関しましては、実態と必要性に応じて企業の意見をも十分取り入れたものとしていただくことをお願いする次第であります。 以上種々意見を申し述べましたが、鉱害の防止は、目下焦眉の問題であり、業界といたしましても、全力をあげてその打開に当たる所存でありますので、各位におかれましても、一そうの御支援御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。 この際、最後にあたり、繰り返してお願い申し上げたいのは、今後におきまして、助成の内容として、前に述べましたとおり、現在の鉱害防止の責任が一がいに現企業のみに帰し得ない種々の事由がありますことと、今回の変動相場制移行によりまして、弊業界の置かれております困難な立場を御参酌賜わりまして、国からのさらに強力な御支援をお願いいたす次第であります。 また、現在及び将来の操業にかかわります鉱害防止設備等に要する費用についても、国家資金融資ワクの拡大、融資条件の緩和、及び税制上の優遇措置等につきましての特段の御配慮をお願いいたしたいことを申し上げまして、私の意見の供述を終えさせていただきます。
○浦野委員長 次に、原口参考人にお願いいたします。
○原口参考人 原口でございます。 金属鉱業の鉱害の問題でございますが、これは一般的な鉱害の問題だけを抽出して議論されるべき問題ではないというふうに考えます。それは、国内金属鉱山を今後存続させていくのか、あるいは国内の金属鉱山は不必要であるという態度になるのか、そのいずれかによってこの鉱害の扱い方の根本的な姿勢が違ってくるというふうに考えます。 昭和三十七年には、本商工委員会の議を経て、衆議院本会議において、金属鉱業の維持発展についての決議を賜わったわけですが、その決議の精神が依然として変わらないというものであるとすれば、この金属鉱業に関する鉱害の問題についても、その姿勢が基本的に横たわっていなければならないというふうに考えます。そうであるとするならば、金属鉱山の特に蓄積鉱害については、国とのかかわり合いなしに、単に企業内、産業内の鉱害の問題としてだけでは、事実上処理できないという事情があることが特徴的であります。 私ども労働組合は、鉱害についてはきびしい態度をもって臨み、今後もその態度を続けていきたい、それは、国内鉱山を維持発展させるために必要であるというふうに感ずるからであります。企業が鉱害に関する社会的責任を免れることができないことは事実でありますが、しかし、長年にわたって開発されてきた金属鉱業の蓄積鉱害について、二法案の中でも具体的には見られておりませんが、国がその責任の相当部分を背負わなければならないという姿勢、考え方がないことについては遺憾であるというふうに思います。 以下、二、三の事例を引いて申し述べたいと思いますけれども、鉱山は、明治以来、単一立法によって行政機関の強い指導監督を受けてまいりまして、他産業に見ない監督下に置かれてまいりました。特に、第二次大戦中は重要鉱物増産法に基づきまして、国家管理のもとに強制的に乱堀、増産をしいられたわけであります。それが今日の蓄積鉱害の大きな原因になっております。その点について、石炭産業には手厚い鉱害の助成策がとられておりますけれども、金属鉱業には何らの助成策もございません。これは地下資源に対する、そして戦争中の政府の態度のもとに置かれた石炭と金属との不均衡、不公平というものが現実に出ている点についても注目しなければならないし、早急に是正されなければならない問題ではなかろうかというふうに思います。 蓄積鉱害の問題については前参考人も申されておりましたので、内容については簡略にいたしたいと思いますが、数百年にわたる歴史を有し、かつ国家の強い監督下に置かれ、国策と密接な関係にあり、さらに、自然に賦存しておる鉱物をいわば蓄積の場所において採掘し、また、その周辺においては休廃鉱山と同じように、現に稼行しておる鉱山の周辺においても、いろいろの自然汚染の問題も併発して起こっておるというような状況もございます。 さらに、冒頭で申し上げましたように、金属鉱業の鉱害問題の処理は、全体の金属鉱業の政策の問題にかかわりがあるということを申し上げたわけですが、現在の金属のおもな地金の価格はロンドン相場によって一方的に決定されておりますので、鉱産物価格に鉱害費用を転嫁することができないという事情もございます。そういうような事情が現在稼行いたしております企業の経営を大きく圧迫をし、そのことが、ひいてそのもとで働いております労働者の生活を不安におとしいれ、将来に対する安心感が希薄になりつつありますので、現在金属鉱業の将来に見切りをつけて他の産業に移転していかなければならないのではなかろうかというような空気も見られるところでありまして、このまま放置することはできない事情にございます。 したがって、今後の問題といたしましては、二法案の仕組みはともかくとして、二法案の背景にあります国が、今後国内鉱山を維持発展さしていくという基本方針に立つのであれば、存続さぜるためには、過去の蓄積鉱害をおもな対象として、国の長年にわたる指導監督あるいは命令によって掘らされてきた国の責任なり——現在の企業は、過去の、いわば先祖のあと始末をさせられているわけでありますけれども、国民が協力して外国に賠償を払ったごとく、国もまたその相当部分の責任を自主的に果たすべきではなかろうか。そうしなければ国内の金属鉱業はほとんど衰退の道をたどっていくのではなかろうか。したがって、そこに働いております五万の鉱山労働者の生活の基盤は全く失われるというふうに考えます。 なお、この二法案が国会にかかっておるわけでございますけれども、通産省には鉱業審議会がございます。そういう審議会の議論も経ない。さらに、この鉱害の問題を関係者が集まる鉱業審議会の場においても、関係者が寄り合い、切実な、まじめな態度によって、この問題を企業ごとの問題ではなしに、産業全体の問題として解決するような機会と努力が必要であるということを申し添えまして、終わらしていただきます。
○浦野委員長 次に、森嶋参考人にお願いいたします。
○森嶋参考人 森嶋でございます。 本日、諸先生方お忙しいところ、私たちの意見を聞いてくださるということで、厚くお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。 それぞれの立場からいま意見の発表がなされておりますが、私は労働組合の立場から、職場を守るという点から意見を申し上げたいと思います。したがいまして、いま御意見を求められております二法案の考え方は一番最後に申し述べさせていただきたいと思います。 まず、金属鉱山は、ただいま原口委員長の話の中にもありましたように、国際相場で銅価がきめられておるという、この価格の低迷がこの一年間ばかり続いてまいりました。それから一昨年の大幅な円の切り上げ、これによっても昨年度は大きな打撃をこうむっております。こういった悪条件が重なりまして、四十七年度中の、昨年の休閉山は四十数鉱山、こういうように続出をしておる状態にあります。 特に従来と異なった特異な点と申しますのは、別子あるいは生野、足尾、尾去沢、最近においては日立という著名な大鉱山が休山もしくは縮小のやむなきに至っておる、こういう現状にありますことを御認識いただきたいと思います。 これはまさに私たちから言いますならば、職場をとられるという危急存亡のときと言っても過言ではありませんし、このような重大な局面を迎えたときに、今回の円のフロートへの移行という問題は文字どおりダブルパンチ的なショッキングな問題でありまして、働く労働者に将来の希望を失わしめておるというのが現状でございます。 通貨調整問題につきましては、それのみならず国内鉱山の将来の展望、こういった問題を困難にしておることは事実でありまして、内容を若干申し上げますと、ドル建てで買鉱条件を設定しておる、そういう面から来る実質的な低下、これは鉱山、製錬ともに影響を及ぼしまして壊滅的な打撃を与えておるというのが現状でございます。そこで、このまま推移をしていくということになりますと、年間に銅が九十七万トン、亜鉛が七十七万トン、鉛が二十三万トンという国内需要に現在こたえておるわけでありますけれども、こういった安定供給が期せられなくなるのではないか、こういう懸念も一方ではされておりまして、産業政策上もきわめて重大な問題でなかろうか、こういう判断から私たちは現在積極的な陳情活動を実施中でございます。 円の切り上げの影響について参考例として申し上げますと、銅、鉛、亜鉛、これが初年度において三百七十八億、次年度においては二百二十九億、ニッケルが百二十四億四千万、次年度は八十二億五千万、その他として初年度六億九千万、次年度六億、合計いたしまして初年度五百九億三千万、次年度から三百十七億五千万、こういった数字が円の切り上げの影響としてあげられております。したがいまして、政府と国会にお願いしたい点は、金属鉱山の産業政策上の位置づけ、これをひとつ明らかにしていただきたいというのが私の第一点のお願いでございます。このことによりまして位置づけが明らかになれば、先ほど原口委員長が申されましたような諸施策がなされていただけるものと考えまして、金属鉱山の位置づけについて御要請をしたいのでございます。 それから次に、探鉱の問題について御要請申し上げたいのですが、資源開発に積極的な助成をお願いしたいということは、先ほど来から言われておりますように、国内鉱山の育成は、鉱物資源の安定供給という面だけではなくて、地域経済の貢献度は歴史が証明しておるところでありまして、大いなる貢献を示しておるものと私たちは考えております。 また、国内鉱山を存続させてもらいたい、また、われわれもその意欲に燃えておるという第二の大きな点は、海外鉱物資源を確保しなければ日本における非鉄金属の需要にこたえることができない。そのためには技術、買鉱交渉力の維持強化、こういったものが絶対必要条件でありまして、現在国会で資源問題が云々されておるときに、国の方針にも沿う唯一の道である、こういうふうにも考えておるわけであります。 油の問題として、産油国の一方的な価格の押しつけというか、OPEC問題が出ておりますけれども、銅のCIPEC問題も大きな問題として今後われわれ日本の金属鉱業には投げかけられてくるのではないか、こういう感じもいたします。これは今日的な課題として要請されておるところでありますから、何としても、この問題を解決するためには、安定供給源としての国内鉱山の位置づけというものは絶対に必要だということを強調しておきたいと思います。 そういった努力といいますか、そういうものが現実にあらわれておるかということになりますと、現にマレーシアにおきますところのマムート鉱山あるいはアフリカに開発されておりますザイール鉱山、特にアフリカは五百数名の労働者を派遣して、まさに民族資本として開発しておる鉱山でありまして、探鉱の問題がこのような国内外を含めての成功例がありますけれども、これも一にかかりまして、先ほど申し上げましたような高い技術を温存しておる、こういう面から、こういった海外資源の開発ができるのではないか、かように考えておるわけであります。 以上のような大きな目的のためにも、国内鉱山を積極的に助成していただきたいと思いますけれども、現在の探鉱の諸制度、これは逐年やっていただいておりますけれども、それでは探鉱がおぼつかない。したがって、次から次と鉱山が閉山をしておるという現状でありますので、抜本的な探鉱費の増額、こういう問題をこの機会にお願いしておきたい、こう考えておるわけであります。 日本は狭いとはいいながら、まだまだ資源はさがせばあるのではないか、こういうふうに私たちはしろうとなりには考えておりますけれども、年々計画されておりますその計画がなかなかわれわれが思うように実行できないということで、積極的な助成策を一段とお願いするところでございます。そして長期的な展望に立った資源政策なりをしていただきまして、われわれの職場を守り、また、日本における安定供給源の確保ということもぜひはかっていただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。 次に、今回われわれに意見を求められております鉱害二法案の問題について言及いたしますが、政府の積極的な姿勢に対して私は高く評価いたしたいと思います。そして、原則的な立場に立ってはこれを理解しております。 ただ、この機会にあえて問題点を申し上げさせていただきたいと思いますのは、まず一つは、融資ワクは全額にしてもらいたい、こういう希望を持っております。 それから積み立て制度ではなく融資制度として、これは特定施設に関する鉱害防止積立金の問題ですが、やってもらいたい、理由はあとで申し上げます。 それから三番目といたしましては、将来は国の助成についても考慮願いたい。その理由といたしましては、鉱害防除については、もう世論の声を待つまでもなく、われわれその業に携わる労使の立場としては、第三者に迷惑のかからないような対処策をとろうということで現在までもやってまいりましたし、そういう責任があるという認識に立って努力しておるわけでありますが、いかんせん、先ほどから言われております蓄積鉱害の問題等を含めまして、その費用は膨大な数字にのぼっております。 法案の中で解説として通産省のほうから出されております数字を見ましても、鉱害防止のための事業総量が三百五十二億七千万円、こういう数字があげられております。その中で、鉱害防止義務者がいない場合、これは八十八億ですが、鉱害防止義務者が存在している場合二百六十四億六千万円、こういう数字があげられておりまして、これからの問題につきましても、休廃止に支出される鉱害対策費というものは膨大なものが予想されておるわけであります。 こういった問題は、企業の問題として単に私たちは見のがせないということは、これらの問題が融資にせよ何にせよ、間接的には労働者の労働条件として圧迫されておるということは事実でありまして、この問題を労働組合の立場から申し上げて善処を願いたい、こういうことでありますけれども、そのためには、先ほど申し上げました三つの点について今後の御配慮をいただきたい。 それから通常の操業時、これにも個々の問題についてこれらの費用を営業費として出していかなければならない問題は当然のことでありまして、それらの問題を含めますと相当量の金が必要となってくるのではないか、こういうふうに考えられております。ぜひ御配慮願いたい点でございます。 最後に、労働組合として現状について訴えたいことでありますが、それはわれわれの労働条件についてでございます。坑内労働という地下産業の悪条件下にありまして、全般的には時短、定年制、こういった一般産業が享受できるような条件は現在何一つ存在しておりません。こういう恵まれない環境にございます。この点はぜひ実態について御調査願いたいと思うわけであります。 それから、これは一つの傾向として申し上げたいのですけれども、昨年末の期末一時金、全産業平均で十九万六千円、最高額は三十五万九千円、最低額が十三万五千円の中で、金属鉱山に支給されております期末一時金は十四万三千円という低額のものでございます。それから四十七年度の獲得いたしました春闘分を含めました額は、平均では七万五千円、これは給料のほうですが、一番高くて電力の八万九千円、金属鉱山は坑内労働をしておるという面を見ましても七万八千円という数字になっておりまして、しかも時間外は平均の十七・四時間に対して二十三・七時間というふうに多くなっておりますし、稼働日数も二十二・八に対して二十三・四という状況下に置かれておりますことも御参考までに申し上げまして、特段の御配慮をいただきたい。 以上をもちまして私の意見といたします。
○浦野委員長 以上で、参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○浦野委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
○板川委員 参考人に、思いついたことを二、三お伺いをいたします。 まず吾妻先生に伺いますが、先生のお話の中で、自然汚染に対して現在全然対策を持っていない、これは重要だ、こういう御指摘がございました。他の参考人からも同趣旨の御意見が述べられておりますが、この自然汚染の鉱害の状況、これは全般的でなくともけっこうでありますが、たとえばこういうものがある、あるいはこれこれのものがあるというような自然汚染の状況について一言御説明を願いたいと思います。 それから、この法案で用意されました予算三百五十二億、この程度で、はたしてこの不存在の鉱害発生源、さらに蓄積鉱害の発生源に対して対策が十分講ぜられるかどうか、たとえば、工事はした、しかし何か特別な大雨でも降ったときには、その工事をやったところが流れ出すということもあるのじゃないだろうか、この程度の予算では完全にはならないのじゃないかという感じがするわけでありますが、その点についてお答えを願いたいと思います。 それから次に、森参考人にお伺いいたします。 円の実質的な切り上げが行なわれ、特に最近非鉄金属の業界が非常な影響を受けているということについてるる御説明がありました。鉱業協会、鉱業者として、非鉄金属の将来について、一体どういう御見解を持っておるのでしょうか。これからの対策として、どういうプランを持っておられるのか。円の切り上げによって地金あるいは鉱石が安く入る。これはまあロンドン相場できまることでありますけれども、こういう状態の中で、一体日本の非鉄金属の産業をどうされるのだろうか。ある統計によりますと、昭和五十年には、銅の場合には八二%を海外に依存しなくちゃならないという状況だと予想されておるのでありまして、そういう点については、どういう考え方を持っておられるか。この機会に承りたいと思います。 それから、現在、銅の関税がかかる分岐点が三十八万五千円ということになっておりますが、この三十八万五千円というのを私どもは再検討すべしということを政府に要求しておるのですが、この点に関する業界としての意見をお伺いいたします。 それから三点目は、この積立金に関しては意見を聞いてほしいという意味のことをおっしゃっております。これは原口参考人も同時に同趣旨を言っておりますが、今度のこの法案ですと、不存在の鉱害防止義務者、この場合には八十八億国費で出される。しかし、蓄積鉱害に対しては、中小企業には三・五%の利子で八〇%、十五年償還、大企業に対しては五%の金利で七〇%、十五年、これは融資で債務保証がされるということになっております。 蓄積鉱害については、他の参考人からもいろいろ御意見がありましたが、確かにこの鉱山の各歴史を資料で見てみますと、たとえば生野鉱山の場合には、西暦で八〇七年に露頭が発見されたとか、あるいは一五七八年、天正六年に銀山奉行所が設置され、そして一七一七年には奉行所が代官所となる、あるいは一八六八年には政府直轄となる、こういうように、生野鉱山あるいは別子あるいは日立、足尾と、とにかく何百年間の歴史を持っておって蓄積鉱害がある。もちろん何百年も前には、量的にはあるいは少ないかもしれませんが、蓄積鉱害があるとされております。 この蓄積鉱害を今度の法律では、現在の企業者に融資をもって排除をさせるということになるわけでありまして、まあ御意見として、たとえば、あとで意見を聞いてほしいと言っておりますから、どういう意見か、その点を率直に述べてもらいたい。これは原口さんや森嶋さんからも、ひとつその点についての率直な意見を開陳してほしいと思います。たとえば、蓄積鉱害分の半分かあるいは三分の一かは国庫補助にすべしという意見が述べられても、私はこの歴史から見てやむを得ないのじゃないかと思います。その点で御意見を承りたいと思います。 それから、原口参考人に伺いますが、十年間で鉱山が三分の一以下に減ってきた、そしておそらく今後十年間に、それこそ全く三分の一以下になり、いまのこの日本の鉱山というのは壊滅的な影響を受けてくるんじゃないだろうか、こう思いますが、労働組合として、労働者の生活を守るために新たな鉱業政策というものを要求さるべきではないか。これは森嶋参考人も言いましたが、とにかく今後、何といっても、海外開発で需要の増大に対する要求をまかなっていかなくちゃならないと思います。その場合に、国内の鉱山がなければ技術を進歩させ、維持することもできない。どうしてもある種の安定供給という意味において、国内鉱山を維持することは当然だ、こう思いますが、こういう点に対して、労働組合側として、率直な御意見がありましたら承っておきたいと思います。 以上、各参考人について質問いたしたいと思います。
○吾妻参考人 第一問の自然汚染の問題でございますが、これは自然汚染が単独に発生する場合もございますが、人為汚染と自然汚染が併合して発生するということが多い例でございます。たとえ鉱山を開発いたしまして、いろんな操業をいたしておりましても、坑口から流れてまいりまする坑内水のほかに、やはり地殻の中に地下水の水流がございまして、人の目に触れないところの水流を通じまして、河川に流れ出る、そういった複合汚染もございますが、純粋な自然汚染に関しましては、私は地質学者でございませんので、具体的にどういった個所にどういったものがあるかということは申し上げることはできませんが、しかし日本は、御承知のように火山国でございまして、その上にいろんな種類の鉱物を胚胎しておりますので、自然汚染が発生するということは事実でございます。 〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕 著名な例といたしましては、例の問題になっておりまする渡良瀬川でございますが、あの川に流れ込んでおりまする一つの小さな川でございますが、その上流に硫黄の鉱物が存在しておりまして、それが風化いたしまして酸度が高まる、PHが下がる、そういう問題がございまして、これに対しましては、渡良瀬川は目下最大話題の一つでございますので、さっそく手をお打ちになったようでございまして、その支流が本流に注ぐ地点におきまして、中和装置をおつけになりまして、そうして酸性を低めて本流に流す、そういった施設をおつくりになったということを聞いておりますが、単にそれだけではなくて、いろいろ調査いたしますれば、そういった自然汚染による鉱害、こういったものが多々存在するように考えられますので、そういったことに対しまして具体策を講じていただければ幸いと存じます。 それから第二問の、予算に対して、いまの法律に基づいた工事ができるかどうかという御質問だったと考えますが、この法律に基づきましてどういった工事をするかということは、この法律案に盛られておりますように、まず基本方針というものがきまりまして、その基本方針に基づいて具体的な特別な設備というものをつくるわけでございますので、その基本方針のきめ方いかんによりまして、予算というものは変わってくるのじゃないか、そういうふうに考えられますが、私は試算したことがございませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、できるだけしっかりした基本方針をお立てになりまして、予算のほうもそれに見合うように十分におつけになりまして、手抜かりのないように設備をおつくりになる、そういうことを希望する次第でございます。
○森参考人 お答えいたします。円の切り上げによって、金属鉱業が将来どうなるかという御質問でございますが、先ほど森嶋参考人から数字をあげて、今回の変動相場制移行に伴う業界の受ける影響金額等について御説明がありましたので、ここで繰り返して申し上げるあれはございませんが、要するに相当な打撃がある。しかし、御承知のように、私ども申し上げましたように、われわれ業界というのは、国民経済が必要とする基礎原材料を供給するのが使命でございます。御承知のように、日本経済の伸長に伴って、その需要もふえてまいるわけであります。したがいまして、われわれとしては、国内鉱山の開発はもちろん、海外に遠く資源を求めて開発を行なっておるわけであります。 そこで、国内鉱山の問題があると思います。先ほど先生は、銅については八二%を海外に依存しておる、こういうお話がございました。大体数字はその程度かと思います。しかし、鉛、亜鉛等は若干比率は高くて、自給率は三〇%程度といわれております。いずれにいたしましても、比率は低いのでございますけれども、何といっても最も安定した資源であるということには変わりはないわけでございまして、今後ともわれわれは歯を食いしばってもこの国内鉱山の維持につとめたい。したがいまして、私が先ほど申し上げましたように、古いコストの高い山を新しい優秀な鉱床を見つけてそれでリプレースをしていく、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドという政策をとっておるわけでありまして、この探査ということにつきましては、国も相当援助をしていただいておりますけれども、なお一そう国内資源の開発に御助成をいただきたい、こう考えております。 それからまた、先ほど来森嶋参考人も申されましたように、国内鉱山というのは、何といっても海外鉱山開発の母体でありますので、これがなくなりますれば、何をもって海外鉱山の開発ができるかということになるわけであります。したがいまして、そういう意味におきまして、国内鉱山は海外開発の母体とわれわれ考えております。何としてもこれを維持しなければならない、こう考えております。 ところが、次に海外の問題でございますが、先ほどの御説明のように、たとえばムソシ鉱山の例がありましたが、向こうの大統領なんかも開山式に来られまして、非常に感謝をされる。言うならば、これは国民経済の必要とする原材料を確保するという意味と、もう一つは、そういう資源保有、発展途上国に対する経済協力を進めるという意味で、非常に有効な手段であるわけであります。 ところが、御承知のように、非常に大きな投資を伴います。一社だけではなかなかできません。したがいまして、数社寄りまして投資法人というものをつくりまして、これが開発に当たっておるわけでありますが、ザイール鉱山に例をとりますと、三百三十億投資をいたしました。ところが、二回の円切り上げによりまして約百億の損失を受けておる。これに対しては、差損を補償するなら差益も取り上げろという議論もあるようでございまして、どうも全く有効な手段がとられておらないように、われわれ感ずるわけです。したがいまして、この差損の問題についてもひとつ格段の御配慮をいただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。 考えてみますと、われわれ、こうやって輸入に大いに努力をしたということは、結局日本の外貨減らしに協力した。ところが、それによってこういう非常な苦境におちいっておる。ところが、これは私、他の産業の悪口を言うつもりはございませんけれども、自動車産業であるとか、あるいはその他軽電機は、輸出をすることによって大いに利益を得ておる。これは要するに、ドルがたまるように御努力をされた結果、大いに利潤をあげられた。輸入に一生懸命努力して、何とかして円の切り上げを行なわないように努力した産業が打撃を受けて、その逆の産業が大いに利潤を得ている。何か割り切れない気持ちがするわけでございます。そういう意味におきましても、ひとつこの通貨問題等々に関しまして、業界の苦しい状況あるいはわれわれの持つ国民経済における使命等々を御勘案いただきまして御助成をいただきたい、こう考えておるわけであります。 次に、関税の問題で御質問がございました。現在確かに銅については三十八万五千円というのが免税点になっているわけでございます。これは要するに、関税というものはユーザーに持っていただきたい、一言で申しますとこういうことでございます。先生は、関税の免税点を上げたらどうか、こういう御意見のように伺っておりますが、通産省の試算によりましても、国内鉱山の平均コストは四十四万程度というような試算もございます。われわれ、もちろん上げていただきたいわけでございますが、これは何と申しましてもユーザーのコンセンサスが得られないことには、これはできませんので、との点はわれわれも上げてはいただきたいと思っておりますけれども、ユーザーのコンセンサスを得られる範囲内において考えていかなければならぬのじゃないかと考えております。 それから、本法案におきます積立金に対する意見ということでございますが、この積立金の算定につきましては、通産省令に基づいて監督局部長が算定した額、こういうふうに法律ではなっておるわけであります。したがいまして、この場合に、特定施設が使用が終わった後にどういうことをすれば鉱害が防除できるかということで、それにはこういう施設が要るんではないか、こういうことから計算をいたしました額ということに相なるわけでございまして、設計その他はやはり民間が主体になって行なうべきものではないかというふうに思われるわけであります。したがいまして、通産省令に基づいて監督局部長が計算をされるときに、われわれ業界の意見を十分聞いていただきたい。要するに、将来のこれから発生すべき鉱害を防除するための一つの担保と申しますか、ギャランティーでございますので、われわれ、もちろん協力するのにやぶさかではないわけでございますが、そういう方法につきまして十分業界の意見を聞いていただきたい。これが私の申し上げたいことでございます。 次に、蓄積鉱害のことについてでございますが、参考人各位からもるる御説明がございましたので、ここで繰り返す必要はないと思いますが、まさに先生のおっしゃっておられます、現在の企業に全部かぶせるのは酷ではなかろうかということで、何とか国でひとつ補助金を支給をしていただきたいというのがわれわれの真意でございます。
○原口参考人 蓄積鉱害の具体的な国の責任の額の問題については、基準として石炭の前例がございますので、石炭の基準を参考にしながらできるのではなかろうかというように思います。 それから、現在国内鉱山は、金属、非鉄金属を含めて百七十鉱山くらいが稼働しておると思いますけれども、現在の状況がこのまま続くと仮定するならば、遠からずして、これは私個人の判断でございますけれども、十を切るというようにさえ感ぜられまして、たいへんな事態になることが懸念をされております。これを防ぐためにどういろ方法があるだろうかということは、各方面で検討されておるわけですが、私どもといたしましては、まずさがすこと、これは年々皆さまの御理解によりまして政府の援助が拡大されておりますが、やはりさがすことの主体は国がやるということをもう少し明確にしてもらいたい。 次に、さがして掘った鉱石から出てくる地金の価格が安定しておらなければならない。ロンドン相場にそのままリンクした上下の幅の激しいいままでの状況から考えますと、それを国内的な仕組みによって安定帯をつくるとか、そういうような安定供給の道を講ずる仕組みがどうしても必要である。したがって、かりにロンドン相場が急騰し上がった場合においても、国内においては低廉に供給できるということが反面裏づけされておらなければならないし、このことは業界全体としてそういう姿勢に徹すればできないことではないのではなかろうかというふうに私は考えております。
○森嶋参考人 蓄積鉱害の問題につきましては、原口委員長のほうからいま申されましたが、私はこれは一例だと思いますが、より専門的に検討されて妥当な線を出したもので補助をしていただきたい、こういうふうに考えております。なかなかむずかしい問題で、はっきり言うことはできないのではないか、こう思っております。 それから探鉱に対する助成の問題ですが、やはり金属鉱山を維持するためには、どうしても第一義的には探鉱に対する助成を仰ぎたいということですが、いま新探鉱補助金でも五割助成というようなことになっておりますけれども、この何割助成という問題もさることながら、助成総額のワクの拡大、こういった問題を各項目について御検討いただきたい、こう思っております。
○板川委員 終わりに、これは森さんに伺いますが、いま原口参考人のほうから価格の安定というものをすべきではないだろうか、こういう意見が出されました。どうも過去の例を申し上げて恐縮ですが、この地金なり銅なりの値段が下がってくると安定帯を設けよう、そのうちに相場が上がってくると業界ではどこかこう退いてしまう。確かにそれはもうかるときには損する話をする必要はないかもしれませんが、長期的に見ますと、この辺で非鉄金属業界が価格の安定をはかる決断をする必要があるのじゃないだろうか。たとえば糖価安定法という法律がありますね。それはお砂糖の値段、これを安定しようということで安定帯を設けて、現にその法律が効力を発生して活動しているわけであります。たとえば、そういうような類似な銅価格安定法というようなものを業界としても考えるべき時期にきているのじゃないだろうか、こういう感じがいたしますが、御意見はいかがでしょう。
○森参考人 お答えいたします。 非鉄金属は国際商品であるわけです。お砂糖とはそこが若干違うのじゃなかろうかという感じがいたしますが、私お砂糖のことはよく知りませんけれども、いずれにしても、非鉄金属の価格は、先ほど来お話ございますように、銅の場合にはLME、ロンドン・メタル・エクスチェンジ、ロンドン金物相場できまるわけです。確かにこの価格は世界の銅の需給状況を正しく反映したものではない。たとえば、このような現在のような通貨のスペキュレーションによっても非常に影響されるというものでございますので、これが標準になるのはいかがかというのは、これは日本のみならずどこの国でも行なわれておることでございますけれども、これは現在の国際商品であるという性格からいってやむを得ないのではなかろうか、こう思われる。したがいまして、糖価安定法の場合には、これは私よく内容を知りませんけれども、政府が、高いときには放出をする、安いときには買って需給を調節することによって価格を安定させよう、こういうお考えかと存ずるわけでございますが、この銅の場合は、一国だけでそういうことが行なわれても、世界的な機構で価格が変わってくるということでございまして、これは全然意味がないわけでございます。したがいまして、われわれも業界といたしまして、去年来備蓄を進めてもらいたいということを大いに申し上げておるわけでありますが、政府の考え方は、基本的には、これは一国だけでやっても意味がない、やはり国際的な安定策というものがなければならないということで、政府も、これに対してはひとつ前向きに努力をしようということでございまして、民間も、現在そういった機構を通じましてそういう努力をしつつあるところでございますので、一国だけでの価格の安定ということはなかなか困難でございますので、今後は国際的な規模においてそれを行なわなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
○板川委員 あまりここで論争したくはないのですが、国際的な規模で銅価格の安定をはかるということは実際むずかしいですね。だから、いまのそういう状態でいけば、原口参考人が言ったように、遠からずして百七十の鉱山が十ぐらいになるだろう、そして日本の非鉄金属鉱業というのは壊滅的な打撃を受けるんじゃないだろうか、こう思うわけです。ですから、そういう点で、まあこれは石炭でも同じですが、必要があったらすぐ掘り出して、必要がなくなったらそのまま放置していいという産業じゃないわけです。場合によっては、必要でないときにも掘り続けており、そうして必要なときに備えるという、石炭でも鉱山でも同じでしょう。ですから国際相場にまかしておったのでは、そういう危険があるんじゃないだろうか、こう思うわけです。 また安定帯の組織あるいは運用等も、別に糖価安定法をそのままやろうという気持ちじゃございませんが、何らかの措置を講じて銅価格の安定帯をつくり、そしてある程度の国内鉱山を確保してやる、これが私は必要じゃないだろうかという見解を持っております。 以上をもって、私の質問を終わります。
○田中(六)委員長代理 野間友一君。
○野間委員 同僚の板川議員のほうからも私がお聞きしたいことについて御質問があったわけですが、二、三、若干補足してお聞きしたいと思うのです。 まず吾妻参考人。今度の特別措置法、これによりますと、鉱害防止事業としてここにあげてあるのは「坑道の坑口の閉そく事業、捨石又は鉱さいの集積場の覆土、植栽等の事業」云々、こういうふうに鉱害防止事業についていまの法案の中には規定されておりますけれども、こういうような、単に坑口を閉塞するとか、あるいは鉱滓の集積場を覆土するとか、こういう程度のもので、はたして防止ができるものかどうか、こういう点についてお伺いしたいというのが一つです。 それから、あと森参考人に対しましては、私たちよく聞くのは、企業が鉱山部分を分離して、つまり資本を分離している、こういう事態が最近進んでおるというふうに聞いておるのですけれども、この実態はどうなのかということ、ここ数年間さかのぼって実態の御報告をしていただきたい。また、そのことによって公害防止との関係についてどうなのかということ、このあたりについてお聞きをしたいと思うのです。 それから、さらに原口参考人に対しましてお聞きしたいのは、これは終了後のものもそうですし、また現在稼行中のものについても、鉱山労働者に対する鉱害被害がかなりあるやに聞いておりますけれども、このような実態についてひとつお聞かせ願いたい。 森嶋参考人に対しても同じことをお聞きしてみたい。 以上です。
○吾妻参考人 ただいまの鉱害対策の問題でございますが、鉱山から発生しまする鉱害、その原因を大きく分けまして水の問題、これは坑口の有害物質が水に溶け出しまして流れて出ていくという水の問題、それと製錬所から出まするガス、ダスト——鉱じんでございますが、それから工場から出ます廃水、そういったものがおもな鉱害源でございます。 それで、いま坑口の閉鎖というお話が出ましたが、これは坑内で自然酸化その他によりまして鉱物の中から溶け出ました有害物質が水に溶けまして、それが坑外に流れ出まして川に流れ込んで鉱害をなす、そういうわけでございますので、坑口閉鎖というのは、単に坑口をふたするというだけでなくて、坑口からその水が出てこない、そういった工事を施す必要がございます。 それから、鉱滓の堆積場でございますが、これは掘り出しました鉱石の不要部分を堆積してあるわけでございますので、その中にも有害物質が若干残っておりますので、これが長い年月の間に可溶性になりまして、有害物質が溶け出るということがございますので、それらも有害物質を含んだ水が出ないようにしっかりと工事をする、そういうことでございます。 しかし、そのほかに、さっきも申しましたように、自然汚染と申しますか、人の目に触れない経路をたどって、たとえば川なら川をよごすということがございますが、これは先ほど申しましたように、十分調査をしていただきまして適当な処置を講ずるということになりますが、いま申し上げました重点的な鉱害対策としましては、坑口の閉鎖、それから堆積場から廃水が流れ出ないようにする、そういったことに尽きるのではないか、そういうように考えております。
○森参考人 お答えいたします。 最近、鉱山の分離ということが行なわれておる、この実態はどうかということでございます。先ほど来わが業界の非常に苦しい立場を御説明申し上げて御理解をいただいたと思うわけでありますが、もともとこの分離の問題につきましては、現在行なわれておりますのを見ますと、要するに、山を存続するために分離もやむを得ないという考え方であります。 基本的には、私、先ほど御説明申し上げましたようにスクラップ・アンド・ビルドということを進めまして、古い鉱山を新しい優秀な鉱山でリプレースしていこう、こういう政策を基本的にはとっておるわけでありますが、この過程におきまして、こういう分離ということも一つの方法として評価をされるのじゃなかろうかというように考えるわけです。この場合、やはり大会社に属しておる場合と小さくなった場合とでは、いろいろな経費が違ってくるということもございましょうし、また分離いたしますと、おそらくこれは大部分は中小鉱山の扱いになろうかと思います。 〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕 そうなれば国からの探鉱補助金等の助成も受けられるというねらいもあろうかと思われますので、そういう意味に御理解をいただければよろしいのではないかと思います。 ただし、この鉱害防止がどうなるかということでございますが、これはもう先生御承知のように、政府の監督もございますし、分離によって鉱害防止がおろそかになるということは全然考えられないことでございます。
○原口参考人 鉱害の問題と労働者との関係でございますが、まず組合員の生命、健康ということが非常に大切なわけでございまして、普通の健康診断のほかに個人個人の精密検査を組織内全般にわたっていたしましたけれども、幸い組合員の中からは鉱害による患者は出ておらないのであります。 ただし、いまの御質問はそのことでなしに、鉱害問題からくる鉱山に働いておる労働者の受けとめ方ということだろうと思うのですが、この点につきましては、片方で鉱山に愛着を持ち、自分の職場に愛情を持っておる鉱山労働者という側面と、それから社会的に非難をされ、彼らの生活感覚から言えばとてもはかり知れない金額が補償費として出されておる、会社は無配になったというようなところからくる不安感というものが混在しているというのがいまの心境だろうというふうに思います。 そして実際に春の賃上げの交渉がこれから始まるわけでございますが、たとえばイタイイタイ病で支払われました非常な金額というものが、あるいはそのことによって無配になったというような状況が、鉱山に働いておる労働者の、せめて世間並みの賃上げができるかどうかということに対する重圧となって、実際には労働者の側に転嫁されてくるというような深刻な問題点が現実にはございますので、やはりこの問題を解決するためには、世間並みの賃金が支払われる金属鉱業になってほしい、金属鉱山であってほしいということで、そういう姿勢で賃金の交渉には臨んでいきたいと思っておりますが、全国的にいって、鉱山に対する不安感はぬぐえませんし、若い青年労働者はほとんど鉱山に来手がないというのが現況でございます。
○森嶋参考人 現在働いております鉱山労働者に鉱害の被害がないかということにつきましては、ただいまの原口参考人と同意見でございます。 鉱山に一番多うございましたじん肺の問題につきましては、戦後いち早く立法化されまして、現行法で救済されておるという現状でございます。 それから、振動障害なり難聴につきましては、認定がむずかしいという点はありますけれども、認定されれば法律で補償されていきます。 それから、世の中で問題になっておりますイタイイタイ病患者につきましては、組織の中には存在いたしておりません。これは砒素患者も最近問題になっておりますが、鉱害防除設備が急速に改善されておりますので、以前働いた人の間には、新聞紙上で見られるような問題はありますけれども、現在の働く者の中にはそういう患者は存在していないということを御報告いたしておきます。
○野間委員 森さんに重ねていまの資本の分離の問題について御質問いたしたいと思うのですけれども、要するに、先ほどから言われておりますように、いろいろな原因、理由がございまして、将来の鉱山経営について魅力をなくしたというようなことから、企業の中から鉱山関係を分離して、そうして中小企業化していく、こういうような現象があるんじゃないかというように私思ったものですから、そうだといたしますと、鉱害防止対策、こういうところに手の届くという、そういう面で手薄になるんじゃないか、そういう危険性が十分あるんじゃないか、こういう質問を申し上げたのですけれども、これに対してもう一度重ねてお聞きを申し上げたいと思います。
○森参考人 お答えいたします。 先ほど申し上げましたように、現在の国内鉱山が置かれておる苦しい状況からいって、分離ということも一つの方法だろうということも申し上げたわけであります。非鉄金属会社がその社会的使命である国民経済の必要とする原材料を供給するという使命を放棄したものでは絶対ないわけでございます。したがいまして、分離された場合に鉱害防止がおろそかになりやせぬかという御心配でございますが、これは絶対に心配はないということを申し上げておきたいと思います。
○浦野委員長 松尾信人君。
○松尾委員 最初に、吾妻先生にお尋ねしたいと思います。 現実の問題といたしまして、先ほども質疑が出たわけでありますけれども、この鉱害責任の問題でございます。現在そこで企業が経営しておるということになりますと、鉱業権者というものが責任を負うわけでありますけれども、先ほどお話しのとおりに、何百年もの歴史がある、ところによれば千年以上もさかのぼって歴史があるわけでありまして、そういうところでいろいろの鉱害が出ております。先生が御苦労なさいましたあのカドミの含有量の問題がありますけれども、これも長崎県の対馬等におきましても、御承知のとおりの実態でございます。 それで、どこまでそのような過去にうんと蓄積されました鉱害、現在そこには鉱業権者がおるというものに関しまして、たとえば一例をあげますといまのカドミでございますけれども、米が汚染される、そしてその米が指定地域から出るようになりまして売れもしない、非常に農民としましても困っておりまするし、そこにどのようにやるかという具体的にいま話が煮結まっていないわけです。ですから汚染米の買い上げ、補償、それから汚染された農地をどうしていくか、いろいろ農林省等も予算を組んで考えております。ですから、一がいに企業の責任だけを追及していくわけでありませんけれども、そういういろいろ山々によりまして、過去の歴史も違いまするし、現在の実態も変わっておると思うのでありますけれども、基本的にどのようにそういうものを理解をして、そしてどのようにして——現地における解決を早くしてやりませんと非常に困っているわけです。農民の職業転換の問題もありまするし、そういうことで何をやっていくかという——病気の問題から離れまして、生産した米が売れない。その買い上げ、補償の問題等にからみまして、そして職業転換等もあるのでありますけれども、そういうところの企業と責任の限界ですね、そしてそこに政府がどのように関与していくべきかという、これはいろいろケースが違いますけれども、基本的に先生のお考えを承りたい、このように思います。
○吾妻参考人 ただいまの御質問非常にむずかしゅうございまして、私は法学を専攻しておりませんので、責任の追及ということに関しましてはよく存じ上げないのでございますが、いま聞くところによりますと、鉱山法では無限責任であるというようなことでございまして、そういったことから、企業者はかわりましても、現在の企業者、採掘権者が全責任を負う、そういったような体制にあるのでございますが、法律的な問題は別といたしまして、個人の私情から申しまして、お互いに困ったときには助け合う、そういった意味で、それになれさせてはいけませんが、寛大な同情のある処置をとる、そういうことが必要ではないか、そういうように考えるわけでございます。 それから有害物質の許容限度の問題でございますが、先ほどカドミウムの例が出ましたが、現在御承知のように、玄米中には一PPM以上のカドミを含んだ米は配給しないということにきまっておりまして、一般のしろうとの方は、一PPM以上の米を食べればすぐにでもイタイイタイ病になる、そういうふうな錯覚を起こしておられる方があるかもしれませんが、これにつきましてもいろんな個人差もございましょうし、政府としてはきわめて安全な限度として一PPMというものをきめられたのでございまして、その一PPMがかりに〇・一をこえてもいけないとか〇・一少なければいいとか、そういった非常にシビアな許容許度ではなくて、きわめて安全性の高いあれではないかと思うのでございますが、こういった基本を設定いたしますにつきましては、一番科学的に確かなものは、やはり人間を使った試験できめなくちゃいけない問題でありますが、現在ではそういった試験は許されないわけでございます。したがいまして、動物実験その他いわゆる疫学的な方面からこれがきめられたのでございまして、いわゆる医学的な根拠からきめておらないのでございます。 現在きめられております許容限度が、将来におきましていろんな医学的な研究から、これほどシビアなものにしなくてもいいというようなケースも出てくるでしょうし、また、この限度以上にシビアに取り締まらなくちゃいけないのではないか、そういった問題が多々出てくると思いますが、これはかかって将来の医学的な研究、これを怠ってはならないのでございまして、単なるそういった疫学的な見地からきめられました現在の許容限度、これが絶対的なものであるというふうには私は考えておりません。そのためには、今後ともそういった研究を累積いたしまして、正しい許容限度を設定する、こういうふうに今後とも努力していただきたい、そういうふうに考える次第でございます。
○松尾委員 もう一つお聞きしたいのでありますけれども、政府が今度休廃止鉱山の調査というものを都道府県に委託するという方針でありますが、これはどうしてか。都道府県にそのような調査を委託する、都道府県が中心になってやっていく、事業団等もいろいろの応援があるようでありますけれども、このような方向以外に、たくさんある休廃止鉱山の調査というものはほかに進める方法がないかどうかということを疑問に思うわけでありますけれども、いかがでしょう。
○吾妻参考人 これはむずかしい法律問題でございまして、つまり鉱害を発生した場合に、その対策の費用負担の問題だと思うのでございますが、これは鉱害に関する法律できまっております。これはもう皆さんが先刻御承知のことでございますが、ただその割合をどういうようにするか……(松尾委員「主として技術関係を聞いております。地方の、都道府県のそのような調査する能力を聞いている」と呼ぶ)そのことにつきましても、非常にむずかしい問題でございまして、結局、負担能力ということが関係してくると思うのでございますが、都道府県におきましても、全然負担しないというようなケースも出てくるかもしれませんが、自分の住んでおるところでございますので、やはりできるだけ負担するということが望ましいのじゃないかと思います。 しかし、何せこれは税金を使うことでございますので、企業から金を出せというのとは非常にケースが違います。その都道府県の住民が納得すれば一番いい問題でございますが、納得しない場合にどうなるかというようなことになるかとも思いますが、やはり都道府県もある程度費用を負担して行なうのがいいのじゃないか、まるまる企業あるいは国でそれを行なうよりも、やはり都道府県も一部負担して、より住みよい国土にする、そういった協調精神もやはり必要じゃないか、個人の意見でございますが、そういうように考えております。
○松尾委員 森さんにお尋ねしたいと思います。 海外から鉱石、地金を日本としては予定を立てて買い付けるわけでありますが、この前ちょっと国内で不況が続きましてなかなか買い付け予定量というものを日本としては十分買えないということがあったように私聞いておるのであります。要するに、海外からの輸入鉱石、地金等を日本でこれだけ買いたいよというような話をきめておいても、国内不況でそれがなかなか思ったとおり買えないというようなことがあったのでありますけれども、これは直接あなたのほうとは関係が薄いかもしれませんが、海外からそういう資源というものを日本に入れるわけでありますから、契約した、またはそのような話をつけたものは、やはり円満に日本に入ってこなければぐあいが悪かろう、こう思うのでありますけれども、いかがですか。今後はそういう問題が起こるかどうかわかりませんけれども、やはり一つの備蓄というような問題もありますし、そういうところから森参考人の御意見を聞きたい、こう思うわけであります。
○森参考人 お答えいたします。 一昨年のドル・ショック、円の切り上げによって国内需要が落ちまして、すでに買い付けたものが余る、こういう現象があったわけであります。その前は、いわゆる政府の経済社会発展計画ということで相当需要が伸びるだろう、資源問題というものは非常に重要な問題であるということで、政府も相当援助をしていただきまして、われわれ海外進出をやったわけであります。ところが、それがちょうど功を奏して、そろそろ鉱石が入り始めたというときにドル・ショックを受けて国内の需要が減った、そのために非常に滞貨が生じた、こういうことがございました。 それで、われわれは、先生御指摘のような、備蓄をしてもらいたいということを政府にいろいろお願いをしたわけでございますが、先ほどお話し申しましたように、備蓄というのは一国だけでやっても意味がないのだ、国際商品であるからということもございまして、なかなか実現は現在もしてないわけでございます。そのかわりに、政府が特別に非鉄金属の鉱石について、輸入ユーザンスを、普通は四カ月でございますが、これを一年延長していただいて、そのために金融がついた。考え方によれば、一年間のものは鉱石という形で備蓄がされた、こういうことになっておりますので、このユーザンスの一年間の延長というのは、今回の円の変動相場制移行についても非常に有効であった、これなかりせば、もっと大きな打撃をわれわれの業界は受けたであろう、こういうふうに考えるわけでございます。
○松尾委員 原口参考人にちょっとお尋ねしますけれども、先ほどお話は出ませんでしたが、現在鉱山で働いていらっしゃる労働者の方々は、非常に苦しい労働環境で働いていらっしゃると思うのであります。いろいろ安全性の確保の問題でありますけれども、これは原口さんとして、なお、こういう点に心配があるとか、まあこのような現状であるから大体安心だとかいうような、その安全性の確保の問題で何かあれば承っておきたい、このように思います。
○原口参考人 現在鉱山労働者は、山で働いている者が三万を割りまして二万七千人ぐらいだろうと思うのですが、鉱山の中で動いていることによってけがをしたり死んだりという件数は、幸いなことには漸減いたしております。したがって、これは山の数が減ったり人数が減ったりということにも関係があると思いますけれども、坑内の労働災害については減ってきております。しかし、先ほども触れましたように、自分が直接けがをしたりということとは別に、自分のつとめている鉱山そのものが今後どうなるであろうかという心理的な、精神的な不安感のほうが非常に増大いたしておりますので、そういう潜在的な不安感というものが、やはり日常の労働を通じまして労働災害にも通じていく温床といいますか、危険性があることだけはわれわれも感じておりまして、その面の組合運動の面における注意はいたしております。
○松尾委員 終わります。
○浦野委員長 中村重光君。
○中村(重)委員 吾妻先生にお伺いいたします。 先ほど来、森参考人からも、また原口、森嶋両参考人からも、この国内鉱物資源はきわめて安定した供給源である、また、海外の鉱物開発の母体であるという点から、その重要な位置づけということについての御意見があったわけであります。ところが、いま政府が進めていこうとする知識集約型ということは、やはり産業の転換あるいはまた国際分業化というようなことが要求されているわけであります。 鉱物は、先ほど来御意見もございましたように、また私どもがいろいろなデータを見ましても、なるほど銅は二〇%を割っている、だけれども、亜鉛にいたしましても鉛にいたしましても、三四%ないし三六%の供給力を持っているといったようなことから、これを軽視できないということは言うまでもないわけであります。 しかし、先ほど申し上げましたように、国際分業化といったようなことは海外低開発国、いわゆる原産地の開発との関連といったようなことも重要な要素を持っているんだというように私は思うわけであります。いろいろな点からいたしまして、この国際分業化といったようなことについての吾妻先生の御見解はいかがなものであろうか。 時間の関係からあわせてお尋ねをいたしますが、鉱害というものをその原産国にまき散らす。原産国の鉱害というものはわれ関せずといったようなことではなくて、国際収支の面からも考えていかなければならないことは、石油にいたしましても鉱物にいたしましても、現地での製油あるいは製錬といったようなことも考えていかなければならない、ある意味においては時代の要請ではないかというように思われます。それらの点に対しての御見解をひとつ伺ってみたいと思います。
○吾妻参考人 ただいま銅資源の問題のお話がございましたが、これを考えます場合に鉄鉱資源と対比して考えると非常にいいんじゃないか、そういうふうに考えるのでございます。 鉄鉱資源の場合は、日本の場合は鉄鋼の生産は世界に冠たるものがあるのでございますが、その鉄鉱石たるやほとんどが外国から輸入しているという状況でございまして、現在の繁栄というものは外国から鉄鉱石を支給される限りにおいては続くでしょうけれども、それが何らかの問題で支給されない、道が断たれました場合にはたちまち一朝にして壊滅する、そういった状態ではないかと思うのでございます。 それに反しまして銅資源は、昔から日本は銅産国といわれるほどでございまして、元禄時代の話になりますが、世界一の産銅国になった、そういった歴史を持っているのでございます。石炭の問題とよく似た点がございますが、せっかくある資源を見捨てて、それを外国から原料を仰ぐということは、われわれとしましては非常に残念なことなのでございます。 しかし、何せこういったことは費用を要する問題でございますので、採算がとれなかった場合にはやむを得ず涙をのんで閉山する、そういう事態になることは明らかでございますが、しかし、何か事ある場合ということを考えますと、やはり万難を排しても国内資源というものは確保しなくちゃならない。先ほどもお話に出ましたように、要るときだけ掘って要らないときはしまっておけばいいじゃないか、そういったものとは違うのでございまして、鉱山というものは生きものでございまして、絶えず手がけてやらないとそれはとうとう死んでしまうのでありまして、そのときになってまた再開するということになりますとばく大な費用もかかりますし、はたして再起できるかどうかということにもかかってくるわけでございます。そういった意味におきまして、国内資源を大切にする、できるだけ温存させる、そういった努力が必要ではないか、そういうように考える次第でございます。 それから、発展途上国を利用してそこで採鉱なり製錬を行なって日本へ運んだらどうかという問題でございますが、これは過去数年間いろいろ論議された問題でございます。発展途上国の問題につきましては、いまから十年ほど前の考え方と現在とは非常に違っておるのでございまして、以前におきましては、非常に合理的ないい資源の入手方法である、発展途上国も日本も恩恵をこうむりまして、相互に恩恵をこうむって非常にいい方法ではないかというようにいわれておったのでございますが、最近聞くところによりますと、発展途上国の資源を開発するという問題も、いろいろ鉱業以外の付加的な条件が出てまいりまして、それも非常に困難になってきたような様子でございます。したがいまして、発展途上国にそういった資源を求めるということの困難性が最近非常に増加したのじゃないかと思います。発展途上国の鉱害問題というようなことにつきましては、かりにそういった発展途上国から資源が得られるとすれば、すでに日本において相当研究もされ、体験もしておりますので、発展途上国に鉱害をまき散らす、そういったととはない、そういうように確信してもいいのじゃないかと思いますが、発展途上国から資源を入れるということは、かつて考えられたほど簡単な問題ではない、そういうような状況になっておるということを聞いておりますが、これでお答えになりますかどうか。
○中村(重)委員 森参考人並びに原口、森嶋両参考人にお尋ねをいたしますが、この発展途上国に対する鉱物資源の期待というものは悲観的なお答えが実はあったわけであります。しかし、先ほども私が申し上げましたように、現地製錬であるとか国際分業化といったような声が非常に高いことも、これは事実であるわけであります。 そこで、現行法の金属鉱物探鉱促進事業団法が金属鉱物事業団法ということに法の名称が変わり、また事業団そのものも金属鉱物探鉱促進事業団から金属鉱業事業団、こういう形に変わる。これは鉱害防止というものが加わった、その点、たいへん重要なんだから、おそらくそれでそういったように名称が変わったのであろう。外山局長がお見えでございますが、まだ実は御見解は伺っていないわけであります。そういうことで名称の変更をやったということは、これは前向きであるというお答えが必ず出てくるのであろうというように私は思っているわけであります。 しかし、もう国内の探鉱開発というものは、将来見通しがたいへん暗いのだといったようなことの意見、なるほど探鉱開発といったものは国内だけではなくて、海外の探鉱も事業団はやっているわけでありますから、それらのものを含めましての探鉱開発促進というようなことの名称であり、また、事業団もそういうことであった。しかし、今回この名称の変更をやったということは、これは撤退作戦というものも実は考えているのだというような見解を持っている者もなきにしもあらずであります。したがいまして、この法律の名称の変更、それに伴う事業団の名称の変更ということについては、どのようにお考えになっておられるのであろうか。 私がこう申し上げますのは、最近政府が出してまいります法律の名称はたいへん長たらしいのがあるのであります。たとえば、教職員の給与の一〇%引き上げの問題に対しましても、人材登用とかなんとか舌をかみ切るような実に長たらしい名称というのがある。円切り上げの問題に対しましての中小企業対策にも、国際経済上云々というように、なかなか私どもの悪い頭では覚えきれないような長たらしい名称を政府は好んでお使いになるのであります。 そのことを考えてみますと、この金属鉱物探鉱促進事業団というものも、促進事業というような名称をとってしまうのではなくて、鉱害防止というようなものは重要な要素でありますから、そのことは当然入れていかなければならないにいたしましても、何かそこに考える余地があるのではないかというようなことも私どもの頭にはあるわけでありますが、それらの点に対して、当事者でいらっしゃいますので御見解をひとつ伺ってみたい、そのように思います。 たいへん長たらしく申しましたけれども、金属鉱物探鉱促進事業団法、これが金属鉱業事業団法というように法の名称並びに事業団の名称が変わる。このことが、一部言われておりますような、いわゆる撤退作戦などというようなものでは毛頭ないのだという確信をお持ちになっていらっしゃるのかどうか、そこいらの点に対する見解を聞くわけであります。
○森参考人 お答えいたします。 どうも事業団の名称の問題については政府の問題でございますので、私からとやかく言うことは避けたいのでございますが、せっかくの御質問でございますので、私の見解を述べさせていただきます。 今度、いわゆる金探事業団に鉱害防止の仕事をさせようということで、名称も金属鉱業事業団というように変えられたということは、私、非常にけっこうなことだと思うわけであります。まだまだ日本は、いわゆる鉱物資源のポテンシャリティーと申しますか、その埋蔵の可能性はたくさんあるわけです。大陸だな等も考えてみますればなおさらのことであります。今後とも探鉱を大いに促進しなければならぬということは変わりはないわけであります。もちろん、現在の事業団は、国内のみならず、海外の探鉱も大いにやっておるわけでございます。今後、その必要性は何ら減少することはないと私は思うわけです。 ところが、先ほど私、申し上げましたように、金探事業団が三段階方式に基づきまして探鉱を進める場合に、やはり地方庁といろいろ御相談しながらやっていかなければならないということになりますと、休廃止鉱山の鉱害があるから、おれのところでもうそんな新しいことをやってくれるなというような御意見が間々あるようにわれわれは伺っておるわけであります。そういう意味で、そのあと始末のほうも一緒にやるんだ、要するに、もっと広い立場から金属鉱業についての仕事をやっていくんだという積極的な意味にわれわれは解しておりますので、先生がさっきおっしゃいましたような、探鉱を何かうしろ向きなものだというふうには考えておらないわけであります。
○原口参考人 私も、ただいま先生からへその撤退の前提ではなかろうかといううわさがあるというお話は初めて聞いたのですが、びっくりいたしました。私の受け取り方では、最低悪くても国内鉱山の現在産出いたしております鉱石量、地金量については、最低確保するということが前提であるように理解いたしておりますし、せんだっても中曽根通産大臣は、直接そのことを言明されましたし、現在よりも後退するということはない、まださがせばあるというふうに考えております。
○森嶋参考人 私の立場からも同意見でありますけれども、撤退をするという意味であるならば、私たちは、先ほど申し上げたように賛成しないわけでありますが、やはり鉱山の位置づけを確立していただいて、その上に立って鉱害防止をしていただく、こういう前提に立った理解をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○中村(重)委員 当事者とされては意欲的なことは当然であり、また、私どもも、皆さん方の考え方に実は変わりはないわけであります。そうした点から、私は、経営者の方々に希望したいことは、この鉱害防止投資というものが、いわゆるうしろ向き投資であるといったような観念をいまだに持っている者がなきにしもあらず、こう思いますが、鉱害投資というものは決してうしろ向き投資であってはならない。これは前向き投資として最も重要性を持ってこの投資に対処していかなければならないという点を強調いたしておきたいと思うのでございます。 先般、実は私どもが公害国会で、当商工委員会におきまして、水質汚濁防止法の審議をいたしたことがあるわけであります。その際、捨て石であるとかあるいは鉱物の集積をいたしている、製錬した、これは製錬したというのか、山では何といいますか、専門語はわかりませんけれども、ともかくそこで集積をする、その集積をしたものから、雨が降ったりいたしますと、地下に浸透してくる、それが水質汚濁という形になってきて、たいへんな鉱害源になっていくのではないか。したがって、そのような地下に浸透させるということを防止しなければいけないのだというので、政府原案を修正をしようとする作業を実は私どもがやりました。 当時の通産省の公害部長は、そのように修正をされて、地下に浸透させることを避けることになってくるならば、日本の鉱物資源の開発はできない、鉱山はすべてつぶれてしまうのだというような、あえて私どもこれを暴言と受け取ってきびしく反省を促した記憶が実はあるわけでありますが、この特定施設ということで、坑道であるとか捨て石であるとかあるいは鉱滓の集積、これは使用終了後のものというようなことが中心となって、今回の鉱害防止法の改正案が実は出ているわけであります。使用中のそうした捨て石であるとか集積というものから鉱害が発生しないためにはどのような鉱害防止の措置を講じているのであろうかという点、たいへん私どもは不安に思っているわけでありますが、森参考人から、あるいはこれは労働者の方々も鉱害の問題にきわめて重大な関心を持っていらっしゃることだと思いますので、それらの点に対しましても、ひとつ三名の参考人の方々、森参考人、原口参考人、森嶋参考人から、簡単でけっこうでありますから、使用中のものの鉱害防止対策はどういう措置を講じているのか。これは万全の措置が講ぜられておるという確信をお持ちになっていらっしゃるのかどうか。 私が先ほど申し上げましたように、いやしくも通産省の役人が、地下に浸透させる、そういうことをさせないようなことをするならば鉱山がつぶれるなんと言うことは、これはきわめて暴言であるといったような受け取り方をお持ちになるかどうか、それらの点、いかがでございましょうか。
○森参考人 お答えいたします。 鉱害投資がうしろ向き投資であるということの御意見がございました。確かに鉱害投資というのは収益を生まない投資であるという意味からいくとうしろ向きだという解釈も成り立つかと思いますけれども、しかし、われわれはその地域社会に立地をいたしまして営業活動を行なっておるわけでありますが、この活動は地域社会と非常に密接な関係がございます。地域社会の発展にも寄与する、地域社会の中で円満に仕事を行なうということでございますので、そういう意味で、この投資は絶対必要な投資、こういうふうに考えておるわけであります。 それから、現在の特定施設について、使用中のものはどうか、こういう御質問でございますが、私の記憶によりますと、確かに酸性の強い水を地下浸透させたらどうかという意見が昔あったことはあります。ところが、これはその場所ではなくなりましても、どこか他のほうへ出て迷惑をかけるということになりますので、これはたしか現在では一つも行なわれてないと私は理解をいたしておるわけであります。 それから、特定施設の問題でございますが、現在提案されておりますこの法律では、その使用後の処置について規定をされておるわけであります。使用中のものについては当然企業者が責任をもって処理するのが筋かと考えておるわけでございます。
○原口参考人 現地においては必ず労使の話し合いの場が厳重に持たれておりますので、労働組合の立場で、これはあぶないというような問題については、必ず事前の措置をさせておりますので、御指摘のようなことはないというふうに私は考えております。
○森嶋参考人 鉱害問題につきましては労使が協力してやっておるということを先ほど申し上げましたけれども、例示として申し上げますならば、製錬においては、新しい技術開発によって、密閉された溶錬装置といいますか、煙を出さないということで自溶炉の建設とか、あるいは廃水につきまして、土地造成も含めて鉱害のないような措置をするとか、いろいろな問題を取り扱っておりますことを実情として申し上げておきたいと思います。
○中村(重)委員 原口参考人に伺ってみますが、三万有余であった労働者の数がいま二万七千名程度になっている。山も減っているということは事実でありますが、また、ある山によりましては、閉山をいたしましてもその山から離職者は出ないでほかの山へ転換をしていくというような事実もあることは承知いたしておりますが、現実に労働者が減っているということは間違いない。先ほど石炭対策の問題——離職者対策ということではなかったと伺いましたけれどもい離職者対策の問題も、石炭の離職者対策のように、この鉱山労働者の離職者対策というものは立法措置というものが必要でないのかどうか、それらの点に対する見解を率直にひとつ伺ってみたいと思います。
○原口参考人 現在までのところは、われわれ労働協約によりまして必ずどこかに職を見つけるまでは会社に責任があるということで、おおむね処置をしてまいりました。現在山に残っております三万を切れた人たちは移りにくい——いままでは移りやすい人が移っていった傾向が多いわけですけれども、土地を離れがたい組合員が多数を占めておりますので、今後閉山、縮小のような事態が起きる場合には完全に職を求められないというような事態も考えられますので、御指摘のような石炭の離職者に準ずる準備対策が必要の段階に入ってきている。できればそういう事態にならないことをわれわれは運動として続けたいと思いますけれども、客観的にはそういう方向に近づきつつあるというふうに言えます。
○中村(重)委員 森参考人にお伺いいたしますが、この鉱害防止事業に対する事業団の融資条件でございますが、先ほど各参考人から、融資条件というものを緩和する、あるいは全額国が負担をするといったようなこと等々の必要性ということについての御意見も伺ったのでありますけれども、防止事業の所要額の七〇%を大企業、中小企業は八〇%ということになっておるわけであります。私どもは、あなたが先ほどお答えになりましたように、鉱害の防止の重要性ということに対して新たな決意でもって対処されるであろうという期待はいたします。いたしますが、資金事情というものが若干ゆるんでおるとはいいましても、やはりこの中小企業等の鉱害防止所要額の八〇%というのは相当重荷ではないのかといった点を考えてみますと、もっとやはり何らかのこの長期低利の融資ということの必要性を感じているわけでありますが、それらの点に対する率直な見解をひとつ伺ってみたいと思います。
○森参考人 お答えをいたします。 今度の鉱害防止に対して事業団から融資を受けるその融資条件の問題でございますが、非常に政府も御努力をいただきまして、現在行なわれております一番最低の金利を設定していただいたということは、われわれむしろ感謝をしておるわけであります。金利は、それは安いほうがいいにきまっておる。望むらくは無利子ということが一番いいわけでございますが、現在の機構の中でそれがなかなかできない。最大限の御努力をしていただいたというふうに評価をしておるわけでありますけれども、特に中小鉱山については非常に低い金利にしていただいたということについて同様な感じを持つわけでございます。 ただ、中小につきましては非常に負担能力が問題ではないか。結局これは幾ら低い有利な条件でもとにかく返済をしなければならない。金利をつけて返済をしなければならないお金でございますので、その点について中小鉱山についてはその負担能力があるだろうかという点について、われわれ若干の危惧を持っておるということを申し上げたいと存ずるわけでございます。
○中村(重)委員 原口参考人、森嶋参考人に伺いますが、企業といたしましては、特定施設の使用終了後であるといたしましても、企業が存在しておる以上は鉱害に対するところの費用の支出、鉱害防止のための万全の措置というものを講ずるということは当然である。だがしかし、国といたしましても、この鉱害防止といった点に対しましては、より以上に重要性を持ってこれに対処していかなければいけないのではないか。地方自治体に対するところの三分の二の補助事業といったようなことがはたしてうまくいくのかどうかという点も私どもはたいへん憂えているわけでありますし、また、五千有余の休廃止鉱山、その中で鉱害が発生をしないのだというのは一千数百にすぎない。まだ調査にすら着手できないといったようなこと等々を考えてみますと、もっと国が責任を持って、地方自治体に対しましても、弱小の地方自治体というものは三分の二の負担にいたしましてもそう簡単にできるものではないといったような点等々を考えてみますと、いま政府が考えているような大企業は鉱害防止所要額の七〇%、中小企業八〇%といったようなことは、たとえそれが長期低利の融資であるにいたしましても、政府の責任がはたしてこれで済むものであるのかどうか。使用者、経営者は責任を当然持つべしということを要求されるでありましょう。この労働者の立場からいたしましても、これらの点に対する御見解はいかがなものであろうか。その点をひとつ率直に伺ってみたいと思います。
○原口参考人 融資の問題だけで蓄積鉱害の問題が十分にカバーできるというふうには私は考えておりません。現在の融資の条件が大手と中小で違っておりますが、この違い方についても私は疑問を持ちます。というのは、鉱害が起きる場合は大手の企業の小さな山においても起こるのでありまして、大手と中小を分けるという理由については、必ずしも私の立場としては釈然といたしません。もっと悪く解釈するならば、大手企業が鉱山部門を離しまして、中小鉱山にし、そして無資力鉱山に転化さしていくというようなことはないとは思いますけれども、そういう危険性を感ずるわけであります。したがって、企業は残るけれども鉱山はなくなるという危険性があるのではないかという点についてかなりの不安を持っておることを申し述べておきます。
○森嶋参考人 同意見であります。
○中村(重)委員 最後に吾妻先生にお伺いいたしますが、先ほど松尾委員からもお尋ねをしておりましたが、具体的な例としては、長崎県の佐須鉱山、これは一名対州鉱山とも言うわけですが、嘉永年間、それよりももっと前からの鉱滓の集積というものが実はある。私も現地に行っていろいろと調査もしてみたこともあるわけです。ところが、その一定地域に限って稲のカドミウム汚染というものが非常に高い。その他の地区も、集積をしておるところの地点あるいは埋設されましたところの地点からいたしますと、もっと広範囲にわたって農作物からのカドミの検出というものがなされなければいけないのであろうというようなものですが、特定の地域からだけ出ておる。これは先生先ほどお話がございましたように、蓄積鉱害と自然鉱害というものの両方が一体化した形ですね。複合鉱害というような形で出てきているのかどうか、具体的な例をもって私は申し上げましたので、お答えを全般的な立場から伺えばけっこうでございますが、自然鉱害、蓄積鉱害というものは、複合鉱害というような形で特定の地点から発生する、広範囲の地点からは発生しないということもあり得るというようにお考えになっておられるのかどうか。 それから、中に埋められてしまっている分と、外へ露出している相当なスペースと申しましょうか、相当な量であるわけですが、そのいずれからも、雨なんかの場合にずっと地下に浸透していくというようなことになるのかどうか、そこらあたりはひとつ御研究になっていらっしゃるわけでございますから、お話を伺ってみたいと思いますが、いかがでございましょう。
○吾妻参考人 残念ながら、私、佐須鉱山も対州鉱山も行っておりませんので、現地の詳しい事情は存じません。 また、いま御指摘の問題は農学の問題でございまして、稲のそういった有毒物資の吸収ということに関しましては、農学の知識は私はございません。しかし、言えますことは、そういった汚染がたんぼの中に存在するというよりも、むしろほかから、水なり土砂なり何なりによって運び込まれて、そのたんぼが汚染される、そういったケースが大多数じゃないかと思われるわけでございます。 その汚染された稲が局部に発生して一般に広く広がらないというのはどうかという問題でございますが、これも私たんぼのことはよく存じませんが、銅の場合なんか考えてみますと、たんぼに水を流し込むいわゆる水口と申します部分が一番汚染がひどいのでございまして、その水口から遠ざかるに従って汚染度も少なく、したがって、農作物に含まれる有害物質の量も減少しておる、そういった現象は私も認めております。 それで、対州とか佐須鉱山がはたしてたんぼそのものに汚染源があるのか、水または土砂によってそのたんぼの中に運び込まれたのか、そういったことはよく存じませんが、かりに水あるいは土砂によって有害物質がたんぼの中に運び込まれる、そういう場合でございましたならば、水系と申しますか、水路と申しますか、そういったことによって汚染の程度というものがきまってくるのじゃないか、そういうように考えております。
○中村(重)委員 最後に原口参考人にお伺いいたしますが、私どもはいま両法案の審議をやっているわけでありますが、特に両法案に対して問題点として指摘されるような点がありましたらば、この際ひとつ率直に御指摘をいただきたい、こう思いますが、いかがでございましょう。
○原口参考人 冒頭申し上げたのでありますが、国の過去における責任がはっきりしていない状態で二法案がつくられたように私には感ぜられますので、その点の明確化が今後の国内の金属鉱山を維持、発展させていくという方針をとる以上、まず基本的に大切だと思います。 また、具体的には、鉱害の補償についての具体的金額を国家あるいは部分的に地方自治体があわせて、石炭の前例もございますので、具体的な数字を関係者ではじいていただければいいのではないか。 さらに、先ほど御指摘の区別して融資をするというようなことについても、その区別をすることによって起こるであろう今後の危険性について歯どめを何らかの形ではっきりさせていただきたいというような問題点もございます。 以上です。
○浦野委員長 玉置一徳君。
○玉置委員 一言だけこの際お伺いをしておきたいと思うのですが、円の切り上げ、フロート制に移りましたことにつきまして、国内の金属鉱業は非常に打撃を受けておるということはよく承知できますが、そこであらゆる施策を講じまして国のほうも対処しようと思っておりますし、国会もその熱意に燃えておるわけでありますが、しょせんは鉱山経営者が不退転の決意を持って、そのことをやる決意がなければだめでありますし、そこに従事する労働者諸君も、またその気持ちになっていただかなければならないと思うのです。 御案内のとおり、商品投機等々いろいろな問題が相次いで起こりまして、国内鉱山という位置づけの重要さをそういう関連から見直されておる今日であります。しかるに、われわれしろうとから見ますと、小さく山を分散していくような傾向があるやに見受けられるのですが、一見すれば、何かうしろ向きのような感じがする、非常に心細いような感じがするわけですが、こういう問題について一体どういうようにお思いになりますか。 それから、いまも中村君から質問がございましたとおり、金属鉱山に従事される方々の将来の保障のために、そういう場合に、鉱山経営者というものはどういう措置をしようと思っているのか、あるいは石炭並みの協会なり国なりの施策を必要とするのか。 それから第三点として、石炭に対する相当な手厚い国の助成等々を考えたときに、関連してどこまでを国の施策に期待されるのか、御要請があればこの機会に関連の参考人から聞いておきたい、こう思います。 それからもう一つは、吾妻先生がせっかくお見えいただいておりますので、日本の非鉄金属の将来というものは、やれば、必ず現在のトン数くらいは、探鉱のしかた、その他のやり方あるいは助成のしかたによって、日本の必要資源の確保はでき得るのか、その可能性はあり得るのか、こういう点につきまして、それぞれの参考人からこの際承っておきたい、こう思います。
○森参考人 お答えをいたします。 円の切り上げによりまして業界が非常に苦しい状況になったということは、先ほど来御説明申し上げたとおりでございます。しかし、われわれは企業の社会的責任を十分痛感いたしておりますので、何とかこの苦境を切り抜けたい、こういう決意を持っているものであります。したがいまして、政府、国会の皆さん、ひとつ絶大な御支援をいただきたい、こういうことをお願い申し上げておるわけであります。 次に、分離の問題でございますが、現在こういう事情ですから、個々の山については相当赤字を出しておるということは考えられる。現在、国内鉱山の位置づけの問題、政府の基本的な考え方等々についても、まだ確定をしておらないという場面もあろうかと存ずるわけでございます。その場合、過渡的にこういう分離ということも行なわれることも、ある程度はやむを得ないんじゃないかというふうに考えておる。経営者といたしましては、分離は、やはりこの山を存続したい、こういう基本的な考え方からやっておるのでございまして、うしろ向きという批判は、あるいはあろうかと存じますけれども、とにかく山を存続したいという気持ちからやっておる措置であることを御理解いただきたい、こう思うわけであります。 それから、石炭並みの施策についてはどうか、こういうお話がございましたが、非常に概括的なお話で、私も先生の御質問の真意をちょっと御理解できない点もございますが、石炭と非鉄金属との根本的に違います点は、石炭は需要がなくなったために撤退をいたした、こういうふうにわれわれ理解をしております。非鉄金属は、まだまだ旺盛な需要がございます。その点につきまして、石炭に対する施策と非鉄金属に対する施策とは、おのずから違いが出てくるのであろう、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。 いずれにいたしましても、われわれ経営者は、非鉄金属というものは、国民経済の必要とするものである、それを円滑に供給をする社会的義務があるということで、この将来についても明るい希望を持っておることをつけ加えさしていただきまして、私の御答弁にかえさしていただきます。
○浦野委員長 どなたかありますか、これに対する御意見。
○森嶋参考人 いまの分離の問題について先生から御質問がありましたが、私たち労働組合としても、こういう形での分離は反対でありまして、そういった意味の企業の労使間における交渉がいま継続されておりますが、しかし何と申しましても、やはり経済性の成り立つか成り立たないかという問題が解消されない限り、こういった問題はあとを断たないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。 それから、鉱山労働者は、簡単に職種がかわって他に移動できないという特殊性を持っておりますので、そういった意味では非常に執着性もありますので、その意味では、まあ精神的にも山を守るという、生活を守るという考え方で皆がんばっております。 以上を申し上げておきたいと思います。
○浦野委員長 先生、お答えがありますか。
○吾妻参考人 日本の非鉄金属鉱業の将来というむずかしい御質問で、私はたして答えられるかどうか疑問に思うのでございますが、まあしかし、御承知のように非鉄金属鉱業は、一般産業、工業と同じでございまして、資源——原料と申しますか、それと労力、資本、そういったものが必要でございますが、そのほかに鉱害という大きな問題をかかえております。 幸いにしまして、わが国における、たとえば銅精錬業という一つの産業をとってみましても、鉱害対策は非常に進歩しておりまして、現在におきましては、世界各国から日本の工場を見学に来る、場合によっては、日本の設備を技術導入しよう、そういった気配が見えるのでございます。 この鉱害問題、鉱害規制に関しましては、日本のみならず外国も同様でございまして、非常にきびしくなりつつございます。それで、鉱害規制があまりきびしいあまりに企業を放棄する、そういった事態が外国において起こるという可能性があるのじゃないかと私は想像するのでございますが、そういった場合に、全世界に対して非鉄金属を供給するのは、どこかが受け持たなくちゃいけない。そういった場合に、幸いにして、銅に関しては、日本は非常に鉱害対策が進んでおりますので、日本が世界の輿望をになって銅の精錬をしなくちゃならない、そういった時代になるかもしれません。まあこれは想像でございますので、何とも申し上げられませんが、そういったことを考えますと、日本の非鉄金属の将来といったものも、部門によりましては、将来大いに発展するのじゃないか、そういった気もするわけでございます。
○浦野委員長 以上で、参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 次回は、来たる二十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十五分散会