商工委員会 第5号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/02/28
会議録
○浦野委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤清政君。
○加藤(清政)委員 私は、ただいまからドルの切り下げによる事実上の円の再切り上げ、円の変動相場制への移行という状態に立ち至ったわが国の通商産業政策の基本、大豆の暴騰に象徴される生活必需物資の急激な価格の上昇とそれに関連する流通ルートの問題、さらに円の再切り上げによって最も早く影響を受けると思われる中小零細企業に対する救済措置及び将来にわたっての育成強化策、筑波研究学園都市建設法に伴う筑波に移転する研究機関及びそこに働く人々の労働条件の問題について、通産大臣及び関係当局にお尋ねいたしたいと思います。 まず初めに、私は、過日の通産大臣、あとから参ると思いますが、並びに経済企画庁長官の所信表明に関連しまして、わが国の通商産業政策並びに物価、公害、中小企業対策の基本的な考え方についてお尋ねしたいと思います。 政府は、四十八年度の予算編成にあたり、福祉優先をうたい上げ、また同時に、福祉、円、物価という当面緊急に解決をされなければならない三つの課題、政府はこれをトリレンマと呼んでおりますけれども、この三つの課題を並行的に解決するためと称して、十四兆二千八百四十億円という大型予算を編成したわけでありますが、私は、こういうさらにインフレを助長するような大型予算で、はたして政府の言うトリレンマは解決することができるかという点について、大きな疑問を持っております。 たとえば、公共事業費は二兆八千四百億円という巨費が組まれておりますけれども、これが予算総額に占める割合も、昭和四十七年度の一八・七%、二兆六千四百九億円から一九・九%というぐあいに、主要経費の中では、国債費に次いで高い伸び率でありまして、構成比では最高の水準となっております。福祉をうたい文句にしていながら、実は列島改造重点の予算であったということが明らかであろうと思うわけであります。 私は、政府が本気でいわゆるトリレンマを克服しようと考えているのであるならば、生活に関連した社会資本の充実をはかり、公害防止のための予算配分をふやし、勤労者の所得水準の引き上げを通じて国内需要を拡大するという政策に転換すべきであろうと考えるのであります。現在の高度経済成長政策の路線をそのままにして、そのワクの中で福祉、円、物価を同時的に解決していこうとする限り、トリレンマはいつまでたってもトリレンマとして、国民生活の上に大きくおおいかぶさってくることは必然的であろうと思うわけであります。 通産大臣は、「健康な国民生活と美しい国土の回復を目ざし、」と所信表明の中で述べておられる。また、経済企画庁長官は、「豊かな環境の創造、ゆとりのある安定した生活の確保、物価の安定及び国際協調の推進の諸目標を達成するための斉合的かつ具体的政策体系を提示しております。」というように所信表明の中で言われておりますけれども、一体大企業中心、輸出第一主義という経済成長一辺倒の政策の中で、はたしてどれほどに公害のない緑のあふれた国土を回復できるのか、私はいささかの不安を禁じ得ないわけであります。 たとえば、列島改造が打ち出されて以来、地価はどんどん上がり、庶民からマイホームの夢を奪ってしまいました。それでも何とかがんばって土地を確保しようと思ったら、今度は材木がどんどん上がってしまいまして、家を建てられなくなってしまった。それが大半民間デベロッパーによる土地買い占めによるものであることは、わが党の調査でも明らかであるわけであります。 私は、政府当局者がかりに美辞麗句を並べたといたしましても、実態をカムフラージュするような態度を捨てて、ほんとうに腹をくくって、思い切って現在の経済政策を転換する決断を持っていただきたいと考えるわけであります。 私は、まず最初に、以上申し上げました通産大臣の所信表明並びにいま申し上げました経企庁長官の所信表明について御所見を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 来年度の予算編成にあたりましては、従来の成長型指向から福祉型指向に転換さすべく通産省としても心がけた次第でございます。 それで、やはり無公害社会の建設とか、あるいは消費者行政の重視とか、あるいは中小企業の重視とか、あるいは国際協調、そういう面にも配慮をいたしたことは、私の所信表明で申し述べたとおりでございます。 特に今回の予算の重点には、年金を中心にする社会保障費の増大、それから公共事業費等に見られます社会資本の充実、こういう点が非常に強調されておりましたために十四兆というふうに膨張いたしましたけれども、これは昨年からことしにかけて、予算編成の時点において、日本の内外の経済条件を勘案し、見通しまして、この程度が適当である、そういう観点に立ってつくったものでございまして、私は、予算の規模及び内容においては妥当なものであり、これが田中内閣が公約してきた諸般の政策を実現していく第一歩になる、そういうように感じておる次第でございます。
○加藤(清政)委員 小坂経企庁長官が参りましたが、小坂経企庁長官の所信表明の中で、やはり福祉、物価、円、いわゆる「豊かな環境の創造、ゆとりのある安定した生活の確保、物価の安定及び国際協調の推進」という問題につきまして、斉合的な体系を樹立して今後やっていくという所信が披瀝されているわけでありますが、いま私が申し上げましたいわゆる政府の言うトリレンマを解決するという、福祉、物価、円の問題についての経企庁長官の所信についてお尋ねしたいと思います。
○小坂国務大臣 いまの状況は、国民経済的に見まして、どうしても従来の生産・輸出指向型を国民福祉中心の経済構造に変えていかなければならないということは、これは全国民的な命題であると考えておるわけでございます。一方、日本は輸出ということを非常に大切に考え、これは資源のない国でありますから、原材料を輸入して付加価値をつくって輸出をする、そうして次の原材料を買うという形で戦後の復興をやってきたわけでございますけれども、非常に輸出がふえて輸入が伸びない。国際的に貿易の黒字が非難されるような形になっておる。この形を改めていかなければならぬ。それは円の問題で円の力が強過ぎるではないか、こういう点で問題をかかえておりますので、やはり輸入をどうして増強するか。これには輸入ワクの拡大もあろうし、あるいは原材料輸入型から製品輸入型の先進工業国の形に変わっていく必要もあろうし、また、ある面では、方々から要請されておる自由化も進めていくようにしなければならぬ、こういうようなことを考えているわけでございまするが、しかし国民福祉を指向するにいたしましても、何といっても国内に物価高の状況があってはならぬので、いわばインフレ対策と申しますか、物価高の状況も押えながらいかなければいかぬ。そういう関係で、大蔵大臣はトリレンマというハイカラなことばを使ったわけでありますが、この三つを同時に解決しようではないかという意気込みをもって政府としては取り組んでおるわけでございます。 このところ、円の問題、これがヨーロッパのほうからアメリカのドルの切り下げという事態に伴って円の自動的な切り上げの問題が出てまいったわけでございますし、いま円がフロートしておる。そこで、貿易上の黒字の問題は、このできごとによってかなり条件は違った、こういう認識に立っておるわけでございまして、私どもは、いま国内物価の抑制ということに傾斜的に努力していかなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
○加藤(清政)委員 いま中曽根通産大臣並びに小坂経企庁長官から、所信表明についてのそれを具体的に今後実行の中でやっていくという決意がうかがわれたわけでありますけれども、はたして通産大臣、経企庁長官の言われるように、福祉を最重点にして今後の政治の中にこれを取り入れて一そう努力をするかどうかということについて、私はたいへん疑問を持つわけでありますが、特にこの予算を見ますると、列島改造を中心にした予算がたいへん多いということであります。 御案内のとおり、国民総所得を四倍にして、さらに生産を二倍ないし三倍にふやそうというこの列島改造の本旨というものを予算の骨格の中に入れておることについては、私はたいへんに疑問を持つわけでありますけれども、過般のストックホルムにおける人間環境会議において、公害国日本のレッテルが張られたわけでありますけれども、福祉と公害に最重点を置くという、その積極的な姿勢がこの予算編成の過程において取り入れられてないということについて、私はたいへん不満に思うわけでありますが、いま通産大臣並びに経企庁長官から、所信表明の中に福祉あるいは公害の問題あるいは円対策、物価の問題について積極的に取り入れてやっていくというお話がありましたので、ひとつそれに大いに期待して、全力投球をしていただきたい、そのように思います。 次に、私は、最近異常な値上がりで社会問題になっている大豆と、それに関連して流通機構の問題についてお伺いいたしたいと思います。 私がことさらに申し上げるまでもなく、大豆は、私たち日本人の食生活の中で多様な利用度を持っております。たとえば、とうふだとか、納豆だとか、みそだとか、しょうゆ、油の食料品あるいは家畜の飼料だとか、あるいは肥料だとか、いろいろさまざまに利用がされておるわけでありますが、とりわけとうふ、納豆、みそなどは、庶民の手ごろなたん白源として貴重な食料品であるだけに、値上がりの影響は大きいわけであります。とりわけ肉や魚には手を出しにくい低所得層の人々に与える影響はたいへん大きいと思います。とうふ屋さんにおろされる大豆の価格は、一体現在幾らぐらいになっているかという点について、また、この一年間どの程度値上がりをしているかという点についてお尋ねします。 また、農林省が製油会社から放出されるという五万トンの大豆は、値上がりに対してどの程度の鎮静効果を持つと考えておられるか、その考えをお伺いしたいと思います。 まず、この点につきまして農林当局の説明をいただきたいと思いますが、資料をお持ちでしたら、その資料を御提出願いたいと思います。
○内藤説明員 お答え申し上げます。 現在とうふ用と申しますか、食品用の価格という第一点のお尋ねでございましたが、御案内のように、製油業界から放出いたします大豆につきましては、トン九万円程度というようなことで放出を指導しておりまして、とうふの全国組合でございます全豆連と製油業界との間に、ここ数日間に契約が進行しているというような状況でございます。 第二点の、それは通常の場合に比べてどうであるかというようなお話でございますが、御案内のような事情から、本年の一月に入りまして、大豆の価格というものが非常に急騰しておりまするけれども、いま申し上げましたような水準といいますのは、昨年十一月ごろまでの平常な事態に比べますると相当に高い水準であることは間違いございません。 それから、第三点に、放出後のとうふの価格の水準でございまするが、現在までのところ、放出が進行中でございまするけれども、すでにそういう原料手当ての見通しをもちまして、関東の一部、それから静岡県、九州等において、とうふの価格をすでに発表したものを下げるというような動きは個々に伝えられておりまして、県の数で申しますると、私どもが確認しておりまするものだけで、すでに五、六県に達したかと思いまするが、今後の動向等につきましては、なお実態を十分把握したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○加藤(清政)委員 ただいま説明をいただきましたが、内容からもわかりますように、昨年十二月一日に四千二百円の仲間相場で取引されていたものが一月三十日には一万五千円という高値を記録しましたし、その後、若干落ちついてきたとはいうものの、昨年十二月に比べて約二倍という高値であります。 私は、先日、町のとうふ屋さんをたずねていろいろと聞いてみました。零細なとうふ屋さんの中には、こう大豆が高くてはとてもやっていけないといって廃業した人がおります。問屋が大豆を売り惜しんでおるために休業状態に追い込まれたとうふ屋さんが、もうすでに都内で何軒かあります。一体一俵四千円前後であったものがわずか二カ月の間に一万五千円に値上がりしてしまうほど原料が不足しているのかどうか。 いま私の手元にある資料によりますると、農林省の今年度の大豆の需要見込みは、とうふ、油あげは約三十八万トン、納豆が六万七千トン、凍りどうふが五万二千トン、製油用が二百五十万トン、みそ、しょうゆで約十八万トン、合計で約三百十八万トンになるわけであります。一方、輸入実績はどうかと申しますると、昭和四十七年の年末までに、すでに約三百四十万トンの大豆が輸入されているのであります。つまり、需要見込みよりも約二十万トンもよけいに輸入されているのでありまして、ということは、原料がないのではなくて、それがどこかにストックされておるというふうに考えざるを得ないのでありますが、輸入商社等で買いだめ、売り惜しみがあるというようなことを聞いておりますけれども、通産省としては、それらについての調査はされたものかどうかという点、また、農林省では、この点についてどう把握しているかという点、責任あるお答えをひとつ承りたいと思います。 さらに、物価対策という観点から、通産大臣は今回の事態をどう見ておられるのか。大豆のように、国民生活に密着した物資が自由輸入物資として野放しにされているというところに大きな問題があろうと思うわけでありますが、将来届け出制にして指導の対象にできないものかどうか、この点、大臣の御見解を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 大豆のような国民生活に密着した物資につきましては、政府としては、重大なる関心を持ってその需給関係をトレースし、また、国民生活に悪影響が及ばないように、いろいろな行政措置等をもって積極的に措置すべきものであるだろうと私は思います。 ただ、ああいうような大豆その他のものにつきましては、いまの自由経済のもとにおきましては、政府輸入というような態度はとらないで、民間輸入ということをとって、できるだけ自動調節を行なえるようにしておきたいという考えでおるわけですけれども、今回の日本の国内事情の過剰流動性というようなものがある程度基因して、それによって投機的な行為が起きてきたということは、これは見のがすべからざることでございまして、われわれとしては、そういう一部の異常購買力のほうを規制するということがまず非常に大事ではないか。 それと同時に、出てきた臨床的な諸現象については、いろいろ取引所に対する規制であるとか、あるいは業界に対する行政指導によって吐き出させるとか、あるいはそのほかのいろいろな有効な措置をとるということが、現在の体制のもとにおいてはやむを得ない体制である。しかし、こういうことが起こるであろうという予測を的確に把握して、そしてこういうことを起こらせないように手を打つということが行政当局の責任でありまして、そういう点においては、われわれのほうにおいても反省すべきところがあると思います。
○内藤説明員 御質問の前段の点についてお答え申し上げます。 大豆の需給の全体数字につきましては、ただいま先生がおっしゃったとおりでございまするが、ただ、食品用と、それから搾油用というようなものにつきましては、その用途におきましては、大豆相互間の流用というようなものは相当実務上限界がございまして、本年の場合におきましては、食品用大豆の大宗をなします中国の大豆につきまして、御案内のような中国の非常にまれな天候が悪いというようなことで、旧穀の積み出しがほとんど不能になった。したがいまして、新穀の到着が非常におくれるというようなことに伴いまして、食品用大豆の入手に不安を感じたというようなことが、一番、食品用大豆の価格高騰の原因であったわけでございまして、各実需者が当用のものをそういう行先き不安にかられまして相当手当てをする、その手当てが集中するというようなことによって価格の高騰が生じたのではないかというふうに、私どもといたしましては判断しているようなわけでございます。 それから、第二段の、商社につきましては、これはすでにお話ございましたけれども、通常の場合におきまして、商社は、契約運送の途上におきましてすでに売却するという量がほとんどでございまして、これは将来の価格条件その他によって、もちろんそういう状況は変わってまいりまするけれども、大部分のものにつきましては、事柄の性質上当然のことではございまするが、国内の実需者と売却契約を結びながら外国から引いてくるというのが実情であるというふうに判断しておるわけでございます。
○加藤(清政)委員 さらに、この問題は商社による投機といった問題にも関連してまいると考えられますので、本委員会に商社の代表を呼んで、事情を聴取すべきであると考えますが、この点について、委員長のお取り計らいをお願いしたいと思います。
○浦野委員長 先般もそういう意見が出まして、きのう、きょうの理事会で、いつ呼ぶかということの日をきめようということになっておりまするが、まだ確たる日は決定いたしておりませんが、ある時期に、なるべく早い時期に、商社を参考人として呼んで事情を聴取したい、かように思っておりますので御了承いただきたいと思います。
○加藤(清政)委員 そのように取り運ばれておりますれば、意のあるところをおくみ取り願いまして、可及的すみやかにひとつ商社の代表を呼んで、事情を聞いて、抜本的な対策を立てるということにお願いしたいと思います。 次に、輸入された大豆はどういう流通ルートを経て小売り店に回ってくるかという点についてお伺いをしたいと思います。 国内での野菜などの場合でも、産地では、出荷するよりも処分してしまったほうが経費がかからないし、また赤字が減るというような状態のときでも、消費者の手元に届くときは、いつの間にか高い値段がついていっているというぐあいに、全く庶民としては理解できない複雑な流通の仕組みがあって、それが物価を引き上げる大きなガンになっているように考えられるのでありますが、大豆の場合には、どういう流通ルートを経て消費者のところに届くのか、御説明をいただきたいと思います。 また、通産省として、流通機構を簡素化し、物流、つまり物の流れを円滑にするためにどのような施策を考えておられるのか。現在どのような行政指導をされているのか。あわせてお尋ねしたいと思います。
○内藤説明員 お答え申し上げます。 輸入大豆の流通経路でございますが、これは御案内のように、商社が輸出国におきまする業者との間に契約をいたしまして、国内に入りましてからは、実需者団体と商社が直接契約しておる場合もございます。製油などの大手はさようでございまするが、そういう経路が一つと、それからさらにもう一つの経路といたしましては、一次問屋と二次問屋とございまするけれども、そういうところを経由いたしまして、実需者が問屋からそれを購入するというような、大きく分けますると、そういう経路になりますけれども、業態によって若干の差があることは事実でございます。 なお、現在問題となっておりまする食品用の大豆につきましては、これも業種によってまちまちでございますが、とうふにつきましては、比較的問屋を通ずる経路が多いと申しますか、とうふの全国組合は商社と一括契約するというようなことはないようでございます。 それで、零細なとうふの製造業者が安定的に原料を確保するための流通の近代化の指導でございますが、これまた御案内のように、私どもとうふの製造業者につきましては、近促法に基づきます近代化計画におきまして共同購入事業というものを取り入れておりまして、この原料の共同購入事業を推進指導するということに全力をあげておるような次第でございまして、東京、それから九州等は、原料の共同購入事業がとうふ製造業につきましても非常に進んでおりますが、全国で半ばをやや越える県におきましてとうふ製造業者の原料共同購入事業が進められているという現状でございますので、一そうこれを推進いたしまして、流通経路の近代化をはかってまいりたい、こういうように考えておる次第であります。
○加藤(清政)委員 次に、中小零細企業対策についてお尋ねいたします。 四十七年度版のいわゆる中小企業白書によりますと、わが国の製造出荷額の半分、輸出額の四割、商業販売額では八割が中小企業によってになわれておりますし、労働者の四分の三は中小企業で働いているということからも明らかなように、中小企業は、日本経済のいしずえともいうべき役割りを果たしているのであります。 しかし、それほどに高い貢献度を示している中小企業に対する政府の施策はどうかと申しますと、本年度予算案に見られる中小企業対策費はわずかに八百三億円、予算総額に占める比率は〇・六%というきわめて貧弱であります。これでは中小企業の健全な育成などといってみても、しょせんかなわぬ夢ではなかろうかと思うのであります。特に今回の円の変動相場制への移行という事態の中で、輸出関連の中小零細企業や地場産業は深刻な打撃を受けると考えられるのでありますが、これらに対してどういう緊急対策を講じようとされておるのか、お尋ねします。 また、景気の波が来るたびに、経済がインフレになってもデフレになっても、笑っても泣いても目じりにしわが寄るように、景気のしわ寄せを受けて倒産の危機に立たされている中小企業の育成について、政府はどのような展望と長期的な施策を考えておられるか、この際、大臣の誠意ある答弁をお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 中小企業の重要性につきましては、冒頭申し上げたとおりでございます。特に今回のように円の調整ということによって輸出関係の中小企業が大きな影響をこうむるということは、われわれ行政当局の責任において守らなければならない、そういう考えを持って、大蔵当局とも連絡して、金融あるいは税制あるいは為替保険、あらゆる面において、いま強力な手を打っているところでございます。 その前に、ともかく今回のこの調整の波がどういうふうに具体的に中小企業に寄っているか、業種別、地域別にいま実態調査をやっておりまして、それがほぼできつつあるという状態でございます。その実態調査に基づきまして具体的な施策を具体化していく、そういう準備をしているところでございます。 詳細にわたりましては、長官から御説明させます。
○莊政府委員 中小企業の緊急対策でございますけれども、全国約百の産地につきまして通産局を通じまして実情調査を行ない、現在その内容について検討いたしております。さらに、輸出産地百程度では、中小企業の輸出に対するウエートというのは二割程度で小そうございますので、中小企業を主とした業種ごとの全国団体のほうにも、現在輸出について受けるであろう影響の度合い等について別途調査を進めております。これらを総合いたしまして、なかなか困難な作業ではございますけれども、輸出面から受ける打撃はどれくらいかということをなるべく早くつかみ、それに基づいて緊急の対策を講じたく思っております。 対策の方向としては、要約して申しますれば、やはりショックを受けて、そのためにがたがたになってしまっては、中小企業として、困難な状況のもとでりっぱに発展させていくという端緒が失われますので、金融上の緊急措置というものを講ずる必要があります。前回の融資の返済の猶予とか、あるいは今回また別途財政措置を講じて緊急融資を相当額行なうというふうなことがぜひとも必要でございます。 また、民間からの借り入れ促進のための信用保険についての特例という措置も、新規に当然必要になってまいります。 それ以外に、私どもとりあえずの措置として、民間の金融機関に対して、大蔵省と共同いたしまして中小企業への金融の円滑化についての全面的な協力要請もいたしましたし、為替の予約制度というものは前回も行ないましたが、たしか昨日、大蔵省のほうから為替銀行のほうに預託が行なわれて、それによる予約がすでに始まっておると承知いたしております。 なお、今後の業種別の、打撃の特にひどい業種につきましては、前向きの構造対策、転廃業を含めた構造高度化対策というものが必要になってまいりますので、引き続きそちらのほうにつきましても、県その他関係機関とも十分連絡の上、そういう方向への計画を練り、所要の助成措置というものを十分に講じていきたい、かように考えておる次第でございます。
○加藤(清政)委員 いま長官から別途財政措置を講じたいということでお話がありましたが、具体的に別途とは一体どういう措置を講じて中小企業に活を入れるか、しかも、緊急対策について具体的にどのようにするかという点について、もう一ぺんお答えを願いたいと思います。
○莊政府委員 前回のドル対策のときには、中小企業の政府系三金融機関から特別の緊急融資を行ないました。最初千五百億のワクを設定し、後ほどさらに状況を見て三百億を追加して千八百億円の緊急融資を特利で行なったわけでございます。そのために、昨年は年度途中で財投の補正を行なっております。それからまた、商工中金に五十億ばかり出資を行なっております。 さらに、民間の金融を円滑にするために、信用保険制度を開設いたしまして、保険の引き受け限度額を二倍に引き上げるということにいたしまして、かつ保険料率等についても特例を行ないました。そのための所要財源として、信用保険公庫に二十億円の出資を行なっております。 今回もその二つに即して申しますれば、当然貸し出しワクというものを今後設定し、それに必要な財投資金等について早急に手当てをしてもらうべく大蔵省と具体的な折衝に入りたい、かように考えております。金額については、いま調査中の被害の影響を見ました上で所要の金額というものを今後はじきたいというように考えております。なお、その場合に極力融資条件についても改善につとめたい、かように考えております。 なお、先ほど申し上げましたように、前回の第一次のときの緊急融資の千八百億の一部につきまして返済期が迫っております。もうすでにきておるものもございますので、これの繰り延べを行なうということでございまして、これの財源措置をまたどうするかというふうなことは三金融機関の資金繰りの問題でございますので、財源についても大蔵当局と今後折衝いたしたい、かように考えております。
○加藤(清政)委員 時間がありませんので、最後に、私は、工業再配置促進法に関連して、下請企業及びいわゆる町工場の再配置の問題及び筑波研究学園都市に関する問題についてお尋ねしたいと思います。 まず初めに、工業再配置促進法の施行によりまして、大企業の地方への移転の動きが活発化しておりますが、大企業の移転に伴い従業員や関連下請会社に対してはどのような配慮をしようとしているのか、また、過密都市におけるいわゆる町工場といわれる小零細企業は、公害問題等で地域住民と摩擦を生じるようなケースが目立ってきておるわけでありますが、だからといって、これらの小規模経営では家族労働や内職に依存する度合いが大きいために、おいそれと地方へ移転できないというのが実情であろうかと考えられるわけであります。したがって、これらの小零細企業の設備の近代化をはかり、経営の安定を期するために地域内における適正な再配置が必要であろうと考えられるわけでありますが、このような構想に対して、政府は、積極的に助成していくということを考えておられるかどうか、大臣の御見解をお尋ねいたします。
○中曽根国務大臣 いまの問題を具体的な例で申し上げますと、たとえば、日立製作所の亀有工場の移転というような例で見ますと、やはり工場としても、下請関係や労働組合には非常に気を使って、いろいろ協議もし、いろいろな手当てもしてやっておるのでありまして、われわれのほうの通産局も、そういう指導を実はしておるのでございます。われわれといたしましては、大企業が工場を移転するという場合には、関連下請企業に急激な影響が起こらないように工業再配置促進法に基づく移転計画の認定にあたって、下請組合など、下請企業を代表するものの同意をとるとか、あるいは下請企業の処遇について親企業からきめこまかい計画をとるなど、十分な配慮を講じているつもりでございます。 それから、移転の際の種々の問題解決のために、親企業が下請企業と十分話し合って、できる限りの協力をするよう政府としても積極的に指導しております。日立製作所の場合は、下請企業サイドの要望を聴取し、これに沿って日立製作所に対して、移転工場における長期発注計画の早期提示、それから移転する下請企業についての用地や、資金の確保、移転しない下請企業と移転工場との取引の継続及びその円滑化のための共同輸送の実施など、各般にわたる協力を強く要請して、そしてその内容を実現させつつあります。 なお、いまお話がありました地域内の問題につきましては、やはり中小企業の性格から見まして、遠いところに行くということは必ずしも適当でないというものもございます。そういうものにつきましては、その地域内においてある程度合理的調整を行なうということが適当であるかもしれません。たとえば、非常に大きな工場が移転して、そのあとをどうするかという場合については、公園とかあるいは音楽堂とか、森林とか、そういうところへ返還するということが好ましいと思いますが、情勢によっては、一部分をそういう下請関係の団地にして、そうして新しい工場立地に基づくインダストリアルパークといいますか、部分的にそういうことにするということも考えていいのではないか。これはやはり下請の皆さんの希望等も考えてみて、いろんなバリエーションを持って考うべきものではないか、そういうようにも思います。
○加藤(清政)委員 これも工業再配置促進法と関連するわけでありますが、研究学園都市という名のもとに政府が進めております大学や、研究施設の筑波移転の問題についてお伺いしたいと思います。 筑波研究学園都市建設法は、その第一条の中で、「試験研究及び教育を行なうのにふさわしい研究学園都市を建設するとともに、これを均衡のとれた田園都市として整備し、」とうたっております。この研究学園都市構想には、最初から各方面で疑問視する向きが多かったと聞いているわけでありますが、現在すでにオキシダント公害が発生し、警報がしばしば鳴っております。また、この新都市を取り囲む中で、鹿島工業地区とか、霞ケ浦工業地区だとか、あるいは江戸崎工業地区、筑波工業地区など、大規模な工業基地の建設が予定されております。地図で見まするとわかりますように、筑波研究学園がありますが、このまわりをずっと工業団地で取り囲んでおる計画であります。もうすでに公害警報が出ている。研究学園都市が、今後各社が進出して、大規模工業基地を建設したら一体どうなるのか、もはや結果は明らかであります。研究学園都市と均衡のとれた田園都市などといううたい文句では、すでに破綻を来たしているのではなかろうかと思うわけでありますが、大臣はこの現状をどのように考えておられるか。また、事情変更の原理というものがありますが、現状に対応して施策を立てていくところに政治の根源というものがあろうと思うわけでありますが、思い切って再検討しなければならない時期ではなかろうかと思うわけでありますが、それについてのひとつ大臣の所信を承りたいと思います。 さらに、政府機関の研究施設の移転に伴い、職員の生活の問題が今後大きく浮かび上がってくるのではなかろうかと考えられるわけでありますが、たとえば宿舎の問題だとか、現地へ移転した場合の待遇の問題、さらにはいろいろな事情で移転できない人の問題があろうと思いますが、これについて、当局としては、一体今後どのように対処していこうとするのか。これまで移転に関してどのような対策を講じてきたか、その点につきましては関係当局からお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 筑波研究学園都市は、いわば過密過疎問題解決への一つの試みでもありまして、私は非常に有意義なことであると思っております。私は、昨年現地を視察してまいりましたが、あそこに公害が起こっているというのは初耳であります。あそこに煙が出てくるような工場はいまのところございません。研究施設でございますから、そう水の害もあるとも思いませんし、騒音の害があるとも思いません。そういう点はよく注意して配置その他ができていると心得ております。 それで、あの住宅やあるいは宿泊の関係の施設が整って、道路関係も整備されれば、まず理想的なそういう研究環境ができるのではないか。初めは道路が悪かったりして、長ぐつで歩いたり、夜懐中電灯が要ったり、いろいろしたようでありますが、近ごろはわりあいに整備してきまして、春にはウグイスが鳴くし、環境としては非常にいい環境である、そういうように私見てまいりました。したがいまして、研究者、技術者というようなものは、ああいういい環境で研究が進められるということが私は望ましい、そういうふうに思いまして、政府としては、この移転促進計画を推進していく考えは変わっておりません。 それから、ただし移転促進に伴いまして、いろいろ従業員の皆さま方との関係が出てまいりますが、これらの点につきましては、労働組合やあるいはそういう関係者の意見もよく聞いて、できるだけ御要望を達するようにして、円満にこの移転が行なわれるように細心の注意を払って行かしたいと思いますし、私もそういう方針でやっていくつもりでおります。
○太田(暢)政府委員 移転職員の宿舎の件でございますが、これは現在決定いたしておりますものについて申し上げますと、まず公務員住宅の中では、最もレベルの高いもの、現在東京につくっておりますものよりはかなり広さも広いものが筑波にはできます。さらに、現在の宿舎法によってきめられておりますものよりも多くの人が一ランク上の宿舎が供給されることになっております。ただ、この宿舎につきましては、なお今後とも私どものほうでは、いろいろ職員の意見その他現在つくっておりますものの欠陥その他もいろいろ把握いたしまして、より良質のものができるように努力をいたしたいと考えております。 それから待遇問題でございますが、これはいまきまっておりますものは、移転します職員は、全員八%の移転手当が、十年という期限は切ってはございますが、つくことになっております。この十年という期限は、その期限が切れましたところで再検討ということになっておりまして、私どものほうとしてはぜひそれを延長するということでいろいろお願いしたいと考えております。 それからさらに、この移転手当あるいはその他の待遇に関しまして、現在取りきめられておりますものをさらに拡大する方向に何とか優遇していただくようにいろいろ要望して努力していきたいと考えております。 それから、退職者に対する問題でございますが、これもいまのところは、できるだけたくさんの人が喜んで行っていただけるようなもの、いいものをつくるということで全力をあげております。しかし、いろいろな事情でどうしても行けない方が出てくると思われますが、その人たちに対します対策といたしましては、まだ具体化いたしておりませんけれども、これは各省庁に共通の問題でもございますので、筑波研究学園都市建設推進本部という、次官メンバーで構成されたそういった機関がございますが、そこの中に、関係各省庁の局長クラスで構成いたします移転機関職員対策協議会というのがつくられておりますが、ここで、これからそういった問題を具体的に練っていくことになっております。現在その基本方針を事務担当者レベルで検討中でございます。 それから、私どものほうとしましては、さらに、この退職者に対します退職手当その他に対しましての優遇処置を、現在ありますものよりもいい優遇処置をしてもらうように、いろいろ関係当局に要望いたしたいというぐあいに考え、そういう方向でいまいろいろ検討している段階でございます。
○加藤(清政)委員 いま大臣から、この筑波学園都市については意欲的なお考えを持たれて、すばらしい学園都市をつくっていくというようなお話がありましたし、また、移転に伴う職員の問題につきましても、いま院長から答弁がありましたけれども、この筑波学園都市を取り囲む中で、いま私が地図でお示ししたように、工業団地あるいは団地が陸続と建設されていくという将来計画があるわけでありまして、現在はともかくとして、やはり将来の展望を持った中に、団地がまわりを囲繞したという形の中においては空気は流れるわけでありますので、はたして緑豊かな静かな学園都市が建設できるかどうか、将来展望に立ちまして、私は、たいへんその点通産大臣とかみ合わない点がありますが、持ち時間は一時間でありまして、もうすでに時間が参りましたから、こういう問題については後日に譲って、また御質問したいと思います。 時間がすでに参っておりますので、本日の私の質問を終わりたいと思います。
○浦野委員長 板川正吾君。
○板川委員 先日、私は、大臣の所信表明に対して質問したのでありますが、時間の関係でその際触れることができなかった問題を、きょうは時間を若干いただいたものですから補足して質問をいたしたいと思います。 通産大臣に伺いますが、今日国民が政府の行政なりあるいは通産行政に一番不信を持っておるのは、第一は大企業優先の通産行政、第二は輸出第一主義、こういう点に国民が大きな不信を持っておるのであります。この二つの、大企業優先の行政、輸出第一主義、この点が典型的にあらわれておるのが自動車産業であろうと私は思います。そこで、自動車産業に的をしぼってひとつ質問をいたしたいと思います。 これは事務的な問題ですから大臣からでなくていいですが、昨年一月から一二月までの間、わが国の自動車の輸出貿易に占める割合実績、それをひとつ答弁してください。
○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。 四十七年の一−十二月の自動車の輸出台数は百九十六万台でございまして、前年に対しまして一〇.五%の増となっております。輸出金額でこれを申し上げますと、総額三十二億九千万ドルでございまして、対前年で二六%の増でございます。生産に対します輸出比率は、四十七年一−十二月で三一・二%ございまして、御指摘のとおり、全体で三十二億ドル、非常に全輸出の中に大きな比率を占めておるわけでございます。
○板川委員 三年前とどういう割合を示しておるか、三年前と比較をしてみてください。
○山形(栄)政府委員 いま申し上げました四十七年一−十二月を三年前、四十五年と比較いたしますと、四十五年の輸出数量が百九万台でございます。これに対しまして、いま申し上げましたように四十七年は百九十六万台でございます。金額で申し上げますと、四十五年が十四億六千三百万ドル、これに対しまして、先ほど申しましたように、四十七年が三十二億九千万ドルでございます。
○板川委員 昨年のわが国の生産台数が、四輪車ですが、六百三十万台、輸出がその中で約二百万台、その割合は三一・二%、貿易の輸出金額二百九十億ドルの中でほぼ三十六億ドル、一二・二%、そのうち対米輸出が、約二百万台の中で約百万台、五一・一%、自動車の本家であるアメリカにこれほど急激に、ことに四十五年から四十七年、倍になっておりますが、輸出できたことは、ある意味では、日本の自動車が技術的に水準がよくなったということでありましょう。その自動車の本家になぐり込みをかける実力を持ったということは御同慶にたえないかもしらぬが、しかし、このように輸出が急激に増加した原因はどこにあると思いますか。
○山形(栄)政府委員 いろいろな理由があろうかと思いますけれども、日本の対米輸出の車は、御存じのとおりいわゆる小型車といわれているものでございます。この辺に相なりますと、いま御指摘のとおり、日本の技術水準、それから生産工程の合理化等が非常に進んでまいったのが一番大きな理由かと思います。 それから、アメリカ国内の労働力不足等がございまして、アメリカの小型車の販売価格は非常に高いわけでございますので、労務賃等の関係で日本が相対的に非常に有利に相なっておることも事実だと思います。 それから、もっと基本的に申し上げますと、日本の自動車の素材でございます普通鋼、特殊鋼等の価格の相対的な優位性もこれを否定すべきではない、こう思われるわけでございます。たまたま日本国内の合理化の成果を踏まえて、アメリカ国内の小型車に対する需要にこれがフィットいたしまして急速なる伸びがはかられたのであろうかと考える次第であります。
○板川委員 値段が特別安いということはありませんか。アメリカ向けの千六百ccクラス、小型乗用車ですが、これのFOBの価格は、一昨年一六・八八%対ドルの円の切り上げがあった後、どの程度で輸出をされておりますか。FOBの価格です。
○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。 米車との比較は詳細にいまわからない点がございますけれども、私の聞いておりますところでは、現時点におきまして、同種のアメリカのビッグスリーのつくっております価格よりも小売り価格は日本のほうが若干高目に売っておるというふうに聞いております。 それからもう一つの御質問の、円切り上げ前後のFOB単価の問題でございますけれども、これは通関統計の平均で、四十六年七月平均が千四百ドル。これに対応します四十七年一月平均が千六百四十五ドルに相なっておりまして、この上昇率は一七・五%でございます。
○板川委員 私の調査では、四十七年十一月の調査で千六百ccクラスのFOBの価格は四十万円、千三百ドル、こういうふうに資料として持っております。昨年の十一月が千三百ドル、これを三百八円で換算しますと円貨にしまして四十万円ということになります。千六百ccクラスの現在の国内価格は幾らですか。
○山形(栄)政府委員 最初に、先ほどの千六百cc、千三百ドルぐらいというのは、全車種の平均でございますので若干高く出ておりますが、千六百ccの一月現在の価格は、先生のおっしゃるとおり千二百九十九ドル、約千三百ドルでございますので、念のためにちょっと申し上げておきます。 いま御質問の国内価格との比較でございますと、御存じのとおり、輸出価格はFOBでございますので、これに見合う国内価格は蔵出し価格に相なるわけでございますが、これは一つの例でございますが、千六百ccで大体相当するものについての比較を申し上げますと、円建てでFOBが四十一万円ぐらい、国内の蔵出し価格が三十九万円ぐらいでございます。
○板川委員 私の調査では、千六百クラスの国内販売価格は、小売り価格にいたしますと七十四万四千円です。これは主要課税物品または料金の間接税負担割合という資料の中から取ったのですが、七十四万四千円である。一五%の物品税がかかる、そうすると、この物品税のかかった課税標準価格、蔵出し価格というのは四十九万一千円見当である、こういうふうになるのですが、いまあなたの調査では車種を取りかえておるのじゃないですか。千六百ccですよ。同じもので比較しなくちゃだめです。
○山形(栄)政府委員 千六百ccといいましてもいろいろな車があるわけでございます。同じ車におきましてもいろんなスペックの違いがございまして、なかなかそこの均一性をつかむのがむずかしいわけでございます。 私の先ほど申し上げましたのは、一つの例として、ある社の同じものが輸出で四十一万円のときにそれと全く同じものが幾らかという比較を申し上げたわけでございまして、先生お話しのような同じ千六百でも、それよりも小売り価格が高いものがこの世にあることは当然でございます。おそらくそれは例示として使いましたサンプルの違いではないかと思うわけでございます。
○板川委員 時間があればその問題は詰めて比較をしてもいいのですが、時間がございません。しかし私の主張したいのは、千六百ccクラスのFOBの価格が千三百ドル、日本円に直してほぼ四十万円、そして日本で売っておる千六百cc、まあブルーバード級ですね、これは七十四万四千円。これの税金を差し引いた蔵出し価格を推算してみますと四十九万円。だから約九万円見当国内のほうが高く蔵出しをされておる。国内の消費者はそれだけ高く売りつけられておる。輸出は安い。これが日本が外貨が足らなくて困っているというときならば、ある意味では輸出価格が安かったということもわかる。しかし、昨年は、御承知のように、輸出が非常な勢いでふえており、あるいは円の切り上げが一昨年行なわれたという情勢の中で、依然として輸出第一主義という価格がとられているのじゃないだろうか、こう思います。この資料を突き詰めてみれば私のほうが正しい。おそらくそっちはわざとすれ違いの他の資料をもってやっておるに違いないと思う。 だから大臣、この輸出価格が非常に安いんですよ。安いからアメリカでうんと売れるのですよ。ある時期にはそれはわかるけれども、去年のような状態になってまでなおかつ輸出第一主義の政策をとっておるということは、私は通産省として怠慢ではないか、こういうことを結論として言いたいのですが、いかがですか。
○中曽根国務大臣 昔は輸出価格が安いということがあったそうですけれども、最近は賃金そのほかも上昇いたしまして、普通の経常の採算ベースでこれは貿易を行なっている。特に下げているということはない。それよりもむしろアメリカの車のほうが対抗力が弱まってきている、そういうような情勢である由であります。私もそうだろうと思います。
○板川委員 いずれ議論を詰めてみたいと思います。 次に、私は、自動車メーカーと下請部品業との関係について大臣の見解を伺いたいと思うのです。 自動車メーカーというのは、その五五%ぐらいは、部品を買い集めてそれをアセンブルする、組み立てるという会社であります。その大半が部品業界に発注をする、部品業界はそれをさらに下請、再下請、再々下請という零細企業に下請をさせてメーカーに納める、こういう産業形態をとっておるわけです。この自動車産業に見られるものは典型的な——大臣はよく軍隊のことばを使うのがお好きなようですが、海軍でいうならば、メーカーはいわば艦長クラス、「日高」の艦長じゃないけれども、艦長クラス、しかし部品業界というのは従卒くらいな関係で、いわば従属関係にあるんですね。ドルが切り下げられ、円が切り上がる、これはたいへんだということで、そのしわ寄せを部品業界、下請業界に押しつけていく傾向がある。下請業界はそれを甘受しなければやっていけない。たてつけばこれはたいへんなことになる。日本の自動車産業というのが真に発展するには、私は、メーカーと部品業界との関係が従属関係でない対等な関係になってこそほんとうの産業の発展というのがあり得るのだろう、こう思います。 そこで、大臣にお伺いいたしますが、二月二十六日の新聞にこういう記事が出ております。「日本自動車部品工業会は二十三日の役員会で、円の変動相場制実施と今後の通貨問題について協議した結果、今後の自動車部品需要は自動車メーカーの方針に大きく左右されてくるとの結論に達し、近く日本自動車工業会材料部品委員会と同会政策委員会と部品購買問題を含めた円通貨問題について会談することを決め、同日自工会に申し入れた。円の変動相場制や米国のドル一〇%切り下げなどから、わが国自動車業界の輸出競争力は低下を余儀なくされているうえ、人件費や原材料の高騰から部品業界もこれら要因を企業努力で吸収できなくなっている現状にあり、部品輸出面にも大きく現われるものと影響が懸念されている。」「部品価格の適正化に自動車メーカー側の協力を求めていくものとみられる。」こうありますが、この部品業界、さらにその下請——従来、下請あるいは再々下請、零細企業ほど最近は賃金関係など上がる率が高いのですね。賃金の均てん化といいますか、平均化して、大企業に匹敵する、あるいは大企業より現状の賃金が低いから、さらに大企業より上げろという動きすら、零細企業、中小企業の中に多い。そういうような情勢の中で、部品工業界が下請等の意向もくんでこの要請をしたものと思うのでありますが、大臣の見解はいかがですか。
○中曽根国務大臣 円調整等によって下請関係に圧力が来ることをわれわれは一番注意をしていなければならぬと思っておりますが、特に自動車とかあるいは家電製品とかいうものについても大きな関心を持っておるわけでございます。 最近の統計によりますと、自動車メーカー十社、それから部品メーカー七十社等を調べてみますと、税引き後の純利益及び売り上げ高、利益率等を見ますと、自動車メーカー十社は五百四十一億円の純利益を生み、三・〇九%の利益率を生んでおる。部品メーカー七十社は、百二十億円の純利益を生み、二・四二%の利益率を持っている。ところが一般の製造業三百社について見ると、二千八百五億円の純利益を生み、二・〇五%の利益率、これは四十六年下半期の統計でございますが、これを見てみますと、自動車の部品メーカーは全般の製造業よりも率がいい。ただし、親の自動車会社よりは落ちている、こういう形になっております。 それから、従業員一人当たりの現金給与額を調べてみますと、昭和四十五年度におきましては、自動車メーカーが年間百万円、部品メーカーが九十一万円、全製造業が七十三万円という統計になっております。これはおそらく非常な合理化、近代化が進められたために給与がよくなってきつつあるのだろう、そう思いますが、その一番末端までがそういうものに入っているかどうかは、これはしさいに検討を要するところであります。 そういう意味からも、御指摘のとおり、部品メーカー、下請業者等に圧力のこないように、先般来申し上げました法規等によってこれをトレースしていく、そういう努力をしていきたいと思っております。
○板川委員 大臣の資料と私の資料が若干違うので、私は有価証券報告書の中からとったのでありますが、自動車メーカー十三社の売り上げに対する純利益、これが四十六年上期では五・七%、四十六年下期が六・三%、こういうふうになっております。同じ今度は自動車車体、部品製造業ですが、これの売り上げに対する当期純利益割合は、四十六年上期が三・五%、下期が三・六%、こういうふうになっておる。これは製造業の三・六%から比較するとほぼ同じでありますが、いずれにしましても、このメーカーと部品業界との利益率というのが非常に差がある。 そこで、こういう記事が実はこれまた一月九日の新聞に出ております。たとえば、トヨタ自動車工業は八日、十一月期決算を発表した。国内販売が大幅に伸びた結果、前期より九%の増収、二七・四%の増益と好調な決算だった。特に税引き利益は三百十九億円となり、三百億円の大台を軽く突破した。輸出は円切り上げで減少したが、国内増販がこれを吸収したかっこうとなり、日産自動車と同様なパターンの決算となった。半期の利益が三百億円を突破したのは、わが国の民間企業では初めてで、トヨタは二期連続利益日本一の座を占めた。また、借り入れ金は長短合わせてわずか二十三億円となり、昭和五十年ぐらいには無借金経営となる、パーフェクト経営となる、こういうふうに一月九日の新聞に出ております。 トヨタがよくなることをわれわれ文句を言うわけではありませんが、こういうトヨタに代表される自動車メーカーのこの繁栄というものが部品業者及びその下請業者の犠牲の上に立っておるということをわれわれは考えなくちゃならない、こう思うわけであります。この通貨騒動の後に、どういう結果になるかわかりませんが、もし大きな被害が出た場合に、大企業は依然としてこういういんしんをきわめ、それに関連する中小、零細下請業者が非常に苦しい立場になっておる、このまま放置しておきますことは、結局は通産省が大企業優先の政治をしている、こういうふうに国民にはとられるのじゃないでしょうか。この点、大臣の見解を承っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 私の選挙区の高崎周辺にも、かなりライトであるとかあるいはブレーキとか、いろいろ下請をやっているのがあります。私もひまがあると行って見てきておりますが、その下請と親会社との関係というものはなかなかデリケートなところがあって、おっしゃるように、あまり強いことを言うと発注を減らされる、そういう弱みがあるものですから、なかなかその人たちの主張を通すということはむずかしいようで、私も、そういう事情はよく了知しております。したがいまして、こういう円の調整のような変動が起こるたびに、おそらく下請へ圧力がいくにきまっているから、そういう圧力をできるだけ少なくするように通産局等にも指示いたしまして、実情をよく調査して、そしてもしそういうわれわれが意図していると違う方向に動く場合には注意したい、そういうふうに思っております。
○板川委員 大手メーカーが週休二日制を四月から実施する、けっこうであります。同時に、これは下請業者にも同様な措置がとれるような指導と考慮を払ってもらいたいということを要望いたします。 恐縮ですがもう一つ、当面する問題について一言伺ってみたいと思います。 自民党のほうで商社等の買いだめ、売り惜しみに対する規制措置を目下検討中、田中総理からそれを早く立法化せい、こういう要望が出されておると伺っております。この買いだめ、売り惜しみに対する規制措置というのは、一体自由経済を原則とするいまの自民党政府のもとで、いかなる理念からこれに規制を加えるのかという考え方を、ひとつ通産大臣でも経済企画庁長官でもけっこうですから、伺いたい。
○小坂国務大臣 実は、この規制の問題は党のほうでお考えになっていらっしゃるのでございますから、最終的なことを私が申し上げることは、これは越権の措置になると思いますけれども、考え方として申し上げます。 私は、実はこの問題に関しましては、根本は過剰流動性であるというふうに考えております。これは一昨年のドルの変動に際しまして、一六・八八という円の引き上げ、それに至るまでに相当のドルがたまっておる。これが外為の支払い超になっておって、この間にいつかも申し上げたと存じますけれども、相当な円資金がだぶついているわけですね。これをどこかへ吸収していかなければならぬ。これは日銀が準備率の引き上げをやったり、あるいはまた貿易商社の手形の割引について制限を置いたり、あるいは土地に対する貸し付けの制限をしたり、いろいろと窓口指導をやっておるわけでございますけれども、また第二段の準備率の引き上げというようなことも考えておるわけでございます。 そういうようなこともいろいろやって、この大きな軟体動物のごとくあちこちに出てまいります過剰流動性というものを退治しなければならぬ。これが株に行ったり土地に行ったりあるいは先ほどの大豆に行ったりするわけであります。根本はこれの引き締めでございます。しかし、それと同時に、応急、臨床的な措置も講じなければなりませんので、これはやはり行政指導をやる、通産省なり農林省なりがその物資についての行政指導をやっていただくということも、これまた適切なことでございまして、必要であろうと思いますが、さらにそれでもどうにもならぬというものはどうするかという問題が起きます。 これに関しまして、いわゆる物統令、これを考えてみたらどうかというお話もあったわけですが、物統令というものは、御承知のとおり、戦後の緊急事態に対処するためにつくられたものでございまして、あれは片山内閣もやっていたわけでございますけれども、二千何ぼというようなたいへんな統制、マル公をやったわけでございます。これがだんだんはずれまして、今日は工業用のアルコールとふろ屋の料金、この二つになっておるわけでございます。 いまの話でお聞き取りいただきましたように、問題は公定価格というものがあって、マル公があって、それに違反するものはという考え方で取り締まっておるわけでございます。たとえば、切符のようなものは定価がございますから、それをダフ屋が売るというようなことは取り締まれるわけでありますが、そうでないものをマル公を新しくつくってやっていくという考え方には、私どもの経済理念として反するものがございますので、これは何か生活に密着したようなもので、それをいまの行政指導でやっていくが、さらに行政指導をやる場合に、たとえば在庫量であるとか取引量であるとか、そういうものを出してもらうということを役所が言った場合に、これを拒んだりあるいは虚偽の申告をしたり、そういうふうなものは取り締まる必要もあろうし、これは当然のことでございますが、そういうふうなことでお考えになっていらっしゃるのではないかというふうに私は思っておるわけであります。
○板川委員 自民党政府が資本主義をとられ、いわゆる自由経済を原則としておる、こういう中である種の規制を加え得るとすれば、私は、これは独禁法の不公正取引という観点からでないとできないのじゃないだろうかと思いますね。これは政府じゃないけれども、一つの議論として聞いてもらいたいと思いますが、きょうの新聞を見ると、規制する内容は、一定の事業者に報告義務を課して報告を求める、場合によっては立ち入り検査をする、そして必要に応じて勧告をする、勧告を聞かなかった場合には公表する、規制の内容はそんな方向にあるといわれておりますが、もしそうだとすれば、これはやはり独禁法二条の七による不公正な取引を規制しよう、自由経済の原則を守るという立場からいうならば、不公正な取引を取り締まるという観点へ理念から立法化が考えられるのだろうというふうに感じます。実は私どもが、昭和三十八年に私が提案者となりまして市場支配力濫用防止法といいますか、これを当委員会に提出をしたが、残念ながら日の目を見なかったのでありますが、実はその市場支配力濫用防止法というのは、一定事業者に報告を求める、立ち入り検査ができる、勧告をする、公表する、こういうのと内容はほとんど同じような法律の形態をなしております。それで、もしそういう方向に来るとすれば、対象とする相手が違います。いま考えられているのは、商社等の買いだめ、売り惜しみを中心とする考え方ですが、われわれが考えておるのは、いわば寡占事業者の経済力乱用防止法という考え方に立っておるわけです。対象は違いますが、規制する形が非常に共通している。それは独禁法の不公正な取引を取り締まるという観点に立つわけでありますが、もし政府が——自民党もそうですが、今度の公取の予算等を見ましても、人件費を除いたら、公取の費用というのはほとんどふえてないわけですね。人件費の値上がり分くらい、あとは人が三人、五人ふえるという程度のことで、むずかしい物価の取り締まりとか、経済力乱用を取り締まるとか、こういう非常に綿密で高度な取り締まりをするものは公取に一切まかせていこう、しかし公取の人数はふやさぬぞ、予算はふやさぬぞ、こういうことになろうとする。おそらくそうですよ。ということは、私は結局本気でその買いだめ、売り惜しみを規制するという方向ではないのではないだろうか。どうも国民にかっこうだけとっていこうという政府・自民党の——ほんとうは政府が出したいといったのですが、出せないから議員立法というのです。政府自民党のそういう意図ではないだろうかと私は思います。 公取の委員長が来ておりますから、一言お伺いしますが、この商社等の買いだめ、売り惜しみに対する規制というなら、独禁法の二条の七の不公正取引方法の観点から取り締まっていくというほかにないのではないかと思いますが、どうお考えですか。
○高橋(俊)政府委員 私ども十分に検討いたしておりましたが、結局お互い立法化の措置が必要であるということになったのは、独禁法そのものずばりではこれを取り締まることができないであろうという観点からでございまして、いま御指摘の不公正な取引方法、これは実は平常の用語としては、いまのような投機、思惑に対して不公正だ、それはそのとおりなんです。私どもの法律に書いてある「不公正な取引」というのは、ややその範疇をしぼっておるわけでして、不公正な取引方法の一般指定というのは別に告示でありますが、これは昭和二十八年以来一貫して一つも変わっていないで、法律に等しいほど縛られているといってはおかしいですけれども、私のほうで変えようと思えば変えられるのじゃないかとおっしゃいますが、そこはそういかないようになっておりまして、要するに、独禁法の目的に沿って内容を規定されておる。たとえば、自分の取引上の地位を不当に利用して相手方に対して不利益な取引をするというような表現がありますが、これは投機、買い占め、そういうものは直接とらえるというものになりませんので、それで遺憾ながら独禁法の範疇外でございまして、人数の点からみましても、おそらく所管は公取にはならないというふうに私は予測しております。しかし、これは自民党のほうで検討されておりますので、何とも申しかねますが、解釈としては、独禁法というのは、ややその辺については一般常識の範囲よりは専門的に解釈されておるということだけ申し上げておきたいと思います。
○板川委員 もしこの法律ができて取り締まるのが警察だといったらおかしいのじゃないですか。だから、やり得るとすれば独禁法の法体系の中で取り締まらなくちゃならないだろう。幸いにして二条の七の中には「不当な対価をもって取引すること。」とか、あるいは取引上の優位な地位を利用して不正な対価をもって売る、こういうような観点からいかないと、警察がこれを取り締まるというかっこうになると、戦時経済に戻るようなことになるから、それはおかしいと思います。いずれにしましても、これはこれからの議論ですから、一言議論してみました。 以上をもって私の質問を終わります。
○浦野委員長 次回は、明後三月二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時十五分散会