社会労働委員会 第43号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/07/19
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、順次これを許します。寺前巖君。
○寺前委員 厚生大臣、有害物質を含有する家庭用品の規制が今回急に出てきたというのは、一体どういう理由ですか。
○齋藤国務大臣 御承知のように、最近食品その他を通じましていろいろ問題が発生してまいりまして、実は昨年食品衛生法の改正をいたしまして相当範囲を広めたのでございますけれども、そのほかにも、やはりこれに類して規制の措置を講ずる必要があるのではないかというふうなことから、食品または日用の家庭用品全体について安全を確保するという体制をしこうではないか、こういう考え方から、昨年来出てまいったわけでございまして、厚生省におきましては、有害物質を含有する家庭用品ということが対象となり、それが通産省においてはそういう化学物質の製造というところまで広げていこうではないかというふうに、各省とも国民の生活の安全というものを考えて包括的な体制をしいていこうではないか、こういうことになったものと考えておるわけでございます。
○寺前委員 要するに、化学工業の発展、これが国民生活に非常に大きな有益な役割りを果たしているけれども、同時に健康を害するという危険な側面も持っている。そこで、今日化学工業が非常に発展した段階においては、どうしてもその便利な面だけじゃなくして、健康を害しないように、長期にわたって人間の生存あるいは地域環境を保全していくというところが一番中心の問題なのでしょう。私はそうだと思うのです。私の見解は間違いですか。ちょっと、これは担当のほうからでいいです。
○浦田政府委員 大臣の先ほどのお答えも、そのような趣旨からであったと思いますが、まさに寺前委員のおっしゃった点が一つの大きなねらいだったわけでございます。
○寺前委員 そうすると、化学工業の発展に伴っていろいろな化学物質ができてきていると思いますが、一体どれだけの種類が化学物質として存在しているのですか。通産省の方がおられますか。
○小幡説明員 ただいま一般の化学工業品として生産されております品目の数は約五千と推定されております。そのほか別途輸入という形で国内に供給されておりますのが約二千、合わせて約七千品目が国内で供給されているというように推定されます。
○寺前委員 現在その七千という品目が国内でと、こう言われるけれども、それではいろいろ輸入もされてくる経過全体から考えると、もっと広範囲に世界的には使われておるだろう。それは医薬品の面ですね。それからいろいろな分野に化学物質というのは使われていると思うのですね。だから考えられるすべての量からいったら、どのくらいの数ありますか。
○小幡説明員 ただいま私が申し上げた数字は、医薬とか農薬を除いた一般の化学工業製品という意味で申し上げた数字でございますが、医薬、農薬については通産省のほうではっきりした数字をまだつかんでおりません。
○寺前委員 通産省が知らないのだったら、厚生省のほうは知ってますか。
○松下政府委員 医薬品につきましては単品というような形で日本薬局方第一部に収載されております品目は約八百でございます。ただ、それ以外にも局方外医薬品といたしまして、新しい物質につきまして承認を受けておるものがございますが、この化学物質別の数につきましては、申しわけございませんが、現在手元に資料を持っておりませんので、調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
○寺前委員 いま医薬品についてのお話でしたが、農薬その他がいろいろ人体に環境全体として影響してくるのですが、その分野は化学物質はどういうことになっておりますか。厚生省でわかりますか。
○浦田政府委員 ちょっと私どもの手元に数字がございません。
○寺前委員 それではそういう化学物質全体が人体にどういう影響をもたらすのかということについて研究もし、規制すべきものは規制をするということが必要になるわけですね。現在そういう化学物質がどのようにして法律で規制をされているのか、全面的にわたって説明してくれますか。
○浦田政府委員 まず私の所管しております分野から申し上げます。 食品衛生法の上で食品添加物として、実は食品に化学物質を用いること自体は原則的には禁止しているたてまえでございますが、特に安全性の確認されたものについて、あるいはその使用量の規制等の制限をつけて安全性の確認されたものについて許可して認めるというたてまえで、現在約三百三十種類の食品添加物の使用が認められておるところでございます。これらの安全性の確認は、国際的にいろいろと研究が積まれております。たとえばWHO、FAOですでに基準のきめられておりますものはそれに準拠し、必要な場合には国内でそれの追試等を行なっておって、それに基づきまして使用を認めておるところでございます。
○松下政府委員 薬事法、毒物及び劇物取締法の関係について御説明申し上げます。 薬事法につきましては、これは先生御案内のように、医薬品、化粧品、それから医療用具の中にも、一部、アマルガムのような化学物質がございます。それから、医薬部外品、そういう用途別の形で、直接または間接に、保健衛生上の目的に使用されますものにつきまして、それぞれの用途にふさわしいかどうかというような点につきまして、品目ごとの審査をいたしまして、承認あるいは製造の許可を与えるという形で規制をいたしております。医薬品の成分の中には、ただいま環境衛生局長から御説明をいたしましたような添加物的なものが医薬品にも使われておるわけでございます。そういったものにつきましては、環境衛生局と連絡をとり、できるだけ共通の基準をもって規制されるような方途を講じております。 それから、一般的に、化学物質等で人体に対する急激な毒性あるいはそれに準ずる激しい作用を及ぼすものにつきましては、毒物及び劇物取締法によりまして、その製造、使用等について、登録あるいは一定の基準をつくる等の方法によりまして規制いたしております。農薬につきましても、毒性あるいは劇性の強いものにつきましては、農林省所管の農薬取締法のほかに毒物または劇物として指定をいたしまして、そういった危害防止の面からの規制をいたしておる、そういう状況でございます。
○寺前委員 それ以外には、化学物質に対する規制をする法律というのはないのですね。
○浦田政府委員 先ほど言い落としまして恐縮でございますが、私のほうの食品衛生法の関係で、さらに器具あるいは容器包装等に使われております化学物質についての規制、それから洗浄剤、それからおもちゃなどに使われております化学物質の規制というものが対象となっております。あとは、ほかの省の関係になります。 通産省関係で申しますと、家庭用品品質表示法、これは対象品目といたしましては、繊維製品、合成樹脂加工品、電気機械器具及び雑貨工業品の中から政令で定めるものとなっておりまして、製品の成分、性能、用途、その他品質に関して表示すべき事項及びその表示方法を定めるなどによりまして、家庭用品の品質に関する表示の適正化をはかる。やはりこの表示に関係いたしまして、間接的にこれの品質というものの規制ということができるかと思います。 それから、電気用品取締法、これは電気用品一般でございまして、やはり通産省の所管の法律でございますが、電気用品による危険及び障害の発生の防止ということが目的でございます。 それから農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、これは農林省でございますが、飲食料品、農産物、畜産物、水産物等が対象になっておりまして、適正かつ合理的な農林物資の規格を制定し、これを普及させることによりまして、農林物資の品質の改善、生産の合理化、使用または消費の合理化等をはかるとともに、その品質に関する適正な表示を行なわせることによって、一般消費者の選択に資するということが目的でございます。(寺前委員「それも制限をしたり、規制じゃないですね」と呼ぶ)やはり間接的には規制ということに相なろうかと思います。 それから農薬取締法という農林省の所管の法律がございまして、農作物を害する病害虫の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤等が対象になります。趣旨は「農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保を図り、」ということでございまして、国民の生活環境の保全に寄与する、また国民の健康の保護に資するということを目的としております。 それから労働安全衛生法でございます。これは労働省の所管であります。職場における労働者の安全と健康を確保するということから、いろいろな有害あるいは有毒の物質に対する規制ということが行なわれております。 大体以上のようなことになっております。
○寺前委員 いま話を聞いておったら、そうすると、従来の関係でいくと食品衛生法、薬事法、それから毒劇物法、それといまの労働安全衛生法で製造禁止があるから使ってはならないという、大体それだけの法律ですね。 これでは、先ほどのお話だけでも八千ですか七千ですか、あるということになると、ほんの一部分がそういう形でチェックをされておる。通産省としては、このようなことで人体に対するところの保護になるというふうに思っておるのかどうか。そこで新しい法律を通産省としても出すということにきめたのでしょう。そうじゃないのですか。
○小幡説明員 化学物質が直接身体に触れたりする場合には、労働安全衛生法あるいは毒物劇物取締法等により規制を受けておるわけでございます。また化学物質を意図して摂取する、たとえば薬とか食品添加物というようなものは、ただいま厚生省のほうから御説明のあったように、それぞれの法律で取り締まりを受けておるわけでございます。 しかしながら、一般の化学工業品というものは、概しては、そういった、意図して摂取するとかというものではないし、またそのうちの一部は、確かに身体に直接触れることによって害を及ぼすというものもあるかと思います。またそういうものは、毒劇物法あるいは労働安全衛生法というもので取り締まられる。しかし、残りの非常に数多くの一般の化学工業品というものは、意図して口に入れたりするものでもないし、また毒劇法で取り上げられますような毒性あるいは劇性といいますか、そういうものを持っておるものも少ないということでございます。しかし、そういうものであっても、これが使用され、また使用後の廃棄を通じまして、環境に流出しておる。その物質の特性によりまして魚に蓄積するというようなことから食物連鎖によりまして、意図せず人に摂取される、こういうケースがあるわけでございます。この典型的な例がPCBでございます。 そういうことで、急性毒性というようなものは、それほど高くなくても、そういった特殊の性質を持っておるために、身体に摂取されて慢性毒性を起こす、こういうものがあるということがわかりましたので、これは単にPCBだけではなくして、現在数多くある化学工業品の中にもそういうものがあるのではないか、また今後開発される新しい物質の中にもそういうものがあるのではないかということから、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案を立案いたしまして、ただいま国会で御審議を願っておるわけでございます。この法律の目的といいますのは、そういう環境を経由して人体に摂取された場合の健康被害を防止するというところにあるわけでございます。
○寺前委員 そこで、世間はPCBということで、ずいぶん問題になったんです。現にまた問題になっているわけですね。ところが、化学物質が全体として先ほどのお話のように品目で七千からある。PCBもその一つだ。環境汚染でいくのは、この化学物質全体がどういう役割りをしているかということを見ていかなければならぬことになるわけですね。ですから、新しくつくられようとする、その通産省の法律案というものは、それぞれが毒劇物とかあるいは食品添加物とか、直接食べたり、直接胃の中に入れてはき捨てたりするところでないものにも、いろいろな形で影響するので、もとのところでそれを検査しなければならない、そして環境全体についてやらなければならない、こういう趣旨だろうと思うのです。そうすると、これはそういう意味では二重のチェックになるのですか。これが一つ。 それから、今度家庭用品という法律がここに出てくる。そうすると、その意味の二重チェックになるのかという問題が一つです。 それから、もう一つは、その新規の化学物質について、これは問題にしようという法律になっていますね。そうすると既存の化学物質が七千からある、これはどういうことになるのか。これが二つ目。 それから三つ目は、今度はその化学物質が社会に影響を及ぼしていくということを考えたら、どのような検査方法をとるのか。私は、基準とかオーケーというのを与えたら、無条件に信用してしまうということになるだけに、この検査というものが、少なくともこれこれの検査をしないことには責任を負うことにならないというふうに思うので、その検査方法は化学物質について一体どういうふうにやろうとしているのか。この三つについて、ひとつ通産省から説明してください。
○小幡説明員 第一点の二重チェックの問題でございますけれども、この法律の目的はただいま申し上げたとおりでございまして、環境を経由して人体に摂取された場合の健康被害を防止するというところにあるわけでございます。しかし、人体に摂取された場合に、その毒性によって健康に被害を及ぼすことを防止するために、ただいままでに御説明ありました薬事法とかあるいは食品衛生法とか、こういった法律ですでに化学物質について規制を受けているものがあるわけでございます。そういった点につきましては、この法律の適用から事実上除外するという措置をとりまして、二重のチェックを避けておるわけでございます。 それから、ただいまの家庭用品の規制に関する法律案でございますが、これとの関係について御説明いたしますと、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案では、環境を経由して人体に被害を及ぼす化学物質については、特定化学物質を政令で指定することにしております。そうしてそのように政令で指定されました特定化学物質は、一般消費者の生活の用に供せられる製品の製造または加工に関する用途には使用させないということが法律上明定されております。 それはなぜかと申しますと、一般消費者の生活の用に供せられる製品に特定化学物質が使用された場合には、こういう製品の性質上回収するというようなことがきわめて困難であります。通常、こういうものは使用後、廃棄されて環境に流出してしまうとみなさなければならない。そういたしますと、こういう家庭用品に特定化学物質を使用させるということは、環境汚染を生ずるおそれがあるということで、特定化学物質による食物連鎖を経ての人体摂取が起こる可能性があるということから、家庭用品には使わせない、こういう規定を盛り込んでおるわけでございます。 それから既存化学物質をどうするかということでございますけれども、この法律では、新規の化学物質につきましては製造または輸入の前に厚生大臣及び通産大臣に届け出をする義務を課しておるわけでございます。そういたしまして、届け出られました新規化学物質について、その化学物質が分解性とか蓄積性とかいう点でどういう性質を持っておるかというのを審査いたします。そうして非常に分解しがたい、あるいは蓄積性が高い、こういうものについては食物連鎖を経て人体に摂取される可能性が高いわけでございますから、人体に摂取された場合の影響というものもさらに審査する、こういうことにしておるわけでございます。 それでは七千からある既存化学物質をどうするんだということでございますが、これはこの法律案の附則におきまして、通産大臣はこの法律が施行されてから三カ月以内に既存化学物質名簿というものを作成することにいたしております。そうしてこの法律施行前一月前までにその既存化学物質の訂正等の申し出を受けることもできるわけでございますから、訂正をした上で確定するということで、まず名簿づくりを行なう。そういたしまして、それ以外のものが既存化学物質として届け出が出てくるわけですが、この名簿づくりされた既存化学物質につきましても、国がその分解性、蓄積性等の審査を行なうということにいたしております。すでに本年度一億四千万円の予算を取っておりまして、これによりまして既存化学物質の分解性、蓄積性等の試験を開始しよう、こういう計画でおるわけでございます。 それから、次に検査方法でございますが、これは環境経由で人体に影響があるということを防止するわけでございますから、環境を経由して人体にはたして入るのかどうか。つまり食物連鎖が起こるのかどうかということをまずチェックしなければならないわけでございます。そこで、検査の方法としては、その化学物質のバクテリアによる生分解性というものをまず試験をいたしますが、物質によりまして、微生物による生分解を非常に受けやすいもの、それから受けにくいもの、非常に性質に差がございます。環境におきまして生分解を受けて、無害な炭酸ガスとか水のような無機質に変化するものであれば、これは環境残留性がないということから蓄積の可能性もきわめて少なくなってくるわけでございます。 それから、次に蓄積性の試験をやるわけでございます。蓄積性の試験は、これは魚を水槽に飼って、その水槽の中に特定化学物質を少量溶かして、魚にどれだけ蓄積されるかということの試験をするわけでございますが、これもその化学物質の性質によりまして、非常に蓄積しにくいもの、それからPCBだとか、あるいはDDTだとか、あるいはメチル水銀のように非常に高い蓄積性を有するものがございます。 そういうようなことで、化学物質についてそういった性質がどうなのかということを検査しておる。そうして難分解であり、高蓄積性であるというような化学物質については、当然これは食物連鎖により人体に入ってくる可能性が高いということから、入った場合の毒性等の試験をする、こういう仕組みにいたしておるわけでございます。
○寺前委員 いまお話を聞いたわけですが、化学物質そのものが、もとで規制をしておかなかったら、食品になったり、薬になったり、家庭用品になってきたという場合は、その化学物質の具体的な使用の問題ですから、もとでどういう判断をするかというのが一番重要な位置を占めますね。もと自身が環境を破壊する。先ほどから聞いておったら、環境に影響していくということを通じての特定化学物質についての規制だというお話でした。そうすると、特定化学物質の指定をするまでの期間が要りますね。化学物質を、特定化学物質として指定するかどうか。それは一定の届け出をして、いまおっしゃった検査方法で検査をして、これが環境にどう影響していくかへその検査結果に基づいて今度は特定化学物質の指定に入る。特定化学物質になったら、ここからは許可制になっていくわけですね。お許しがないものは使ってはならない、こうなるわけでしょう。 そうすると、この間の検査の時間が野放しになるわけですよ。届け出だけだから、実際にそれは使われていくのだから、それであとからそれはちょっと危険でしたよという判定が出てくるという結果になっていくだろう、私はこういうやり方をしておることに非常に危険性を感じている、これが一つの問題。私の見解に間違いがあったら、あとから御指摘いただきたいと思うのですよ。 それから第二番目に、検査方法において非常に私は心配をする。どういうことかというと、たとえば、食品衛生調査会というのですか、ありますね、厚生省、あそこで検査をするのに急性の検査、亜急性のもの、それから慢性の検査、それから特殊毒性検査、いろいろなことをこうやるわけでしょう。現にはたしてどこまで検査をやられているのか、私は実はそれも心配している。何かというと、環境で大切になってくるのは、これは個々のものに——さきのお話でいったら、魚とか、バクテリアのお話がありました。個々の分野に蓄積されるだけではだめなので、環境全体どうなるかということが、また重要な位置を占めてくる。その場合に、これが催奇性がどうなんだ、あるいは次代、三代にわたって遺伝的にどういう結果があらわれてくるのか、ここのところの検査がなかったら、将来にわたっての責任を負うことにならない。 そうすると、そういう検査方法というのは、私は先ほどのお話を聞いておって不安になってきたのは、一億四千万円の予算だと、こうおっしゃるけれども、一品目の急性検査、亜急性あるいは慢性、そうしていま言ったような特殊の毒性を検査するということをやったら、二、三年前でも三千万円ぐらいはかかったといわれておるのですよ。研究所へ行ってお聞きになったら、すぐわかりますよ。一億四千万ぐらいで、一体、どういう検査をおやりになるんだろう。私は、環境の検査をやるとなったら、これはたいへんなお金を使って、たいへんな体制、チームをつくってやらなかったら、今日までの七千品目からのものがあるという段階に対する環境の安全を守るという体制にはならないと思う。私の見解に誤りがあったら御指摘をいただきたいと思う。
○小幡説明員 第一点の検査期間中化学物質が野放しになるのではないかという点に関しましては、新規の化学物質を届け出をいたしますと、届け出られた化学物質について、ただいま申し上げましたような試験等による審査をいたすわけでございます。そうして審査の結果、特定化学物質の要件に該当しないという通知を受けたあとでなければ、その新規の化学物質を製造し、または輸入してはならないということにいたしております。安全が確認されたあとでなければ、製造、輸入はできない、こういうシステムにいたしております。 それから既存の化学物質でございますが、これにつきましては、これはすでに製造、輸入が行なわれておるわけでございますから、これを事前チェックというわけにはまいりませんので、これはできるだけすみやかに点検を行なうということにいたしております。ただ、たとえばその点検の過程におきまして、特定化学物質になる疑いが強い、特定化学物質に指定するのには、まだ試験は終了していないけれども、その過程でその疑いが強いというような場合には、その化学物質の製造、輸入、使用の制限に関して必要な勧告ができるという規定も置いておりまして、審査期間が長くかかる場合の弊害を防ぐ、こういう形をとっておるわけでございます。 それから第二の点の一億四千万円で、はたしてどれだけの試験ができるのかというお話でございますが、先ほどから申し上げましたように、私どものこの法案で対象といたしておりまするものは、意図して口に入れるというものではなくて、環境を経由して人に入ってくる場合の話でございますから、まず、いきなり毒性試験にすべてかかるということではなくて、環境における許度というものをまず審査するということでございます。そこで分解性試験、蓄積性試験というものを行なうわけでございますが、これは実験室的な規模におきまして、その分解性それから蓄積性というものを試験できるわけでございます。 それで一億四千万円というのは、初年度におきまして約四十件、既存の化学物質を審査するための費用として計上されておるわけでございます。次年度以降もさらに増加さしていきたいというように考えております。
○寺前委員 そうすると、その化学物質を事前に届け出して新規のものはやる。既存の七千からあるものは放置のままだ。それでも新規のものは届け出さして、そこで検査をやる、二重チェックになるから。けれども、事前にそれがあるということで、もとで押えたというふうに単純に思ったら、私はたいへんになるということはわかりました。なぜかといったら毒性検査やらないというのでしょう。そういうお話でした。そうしたら毒性検査をおやりになっていないのに、一応化学物質としての事前の検査があったというふうに見ておったらたいへんだ。私は、既存のものであっても、毒性検査をやらなかったら環境の問題については安全性ないと思いますよ。 たとえばPCB、いま大問題になっている、あれは毒性検査なしでやっておったらだめでしょう。違いますか。実際に責に入り、魚に入り、それが人間に入ってくる。どういう影響をもたらしてくるのか。私は毒性検査を全部やる必要があると思いますよ。そういう、環境を汚染して、そうして人体に影響を持ってくるというものは毒性検査は要らぬのだという考え方がもしもあるとするならば、それは間違った理解じゃないか。私は科学者じゃないから正確でないかもしらないけれども、しろうと考えにはそう思いますけれども、どんなものでしょう。
○小幡説明員 PCBが非常に問題になったわけでございますけれでも、なぜPCBがあれだけ環境汚染を起こし、そうして食物連鎖で人体に摂取されるようになったかということを考えますと、PCBという化学物質は微生物で非常に分解されにくいものでございます。したがって、環境にいつまでも残留するという性質を持っているということでございます。それから魚に対する蓄積性というものが非常に高いという性質も同時に兼ね備えて持っているということで、それで食物連鎖を経て人体に摂取されるということになるわけでございます。 一般に有機の化合物である場合には、これは炭化水素類というものを考えますと、通常は微生物によりまして生分解を受けて、炭素は炭酸ガスになり水素は水になるといういわゆる自然の浄化作用を受けておるわけでございます。また蓄積性の点におきましても、一般的にはPCBのように高い蓄積性を持っていないということから、いわゆる食物連鎖による人体摂取という可能性がきわめて少ないということになるわけでございます。 それで、いま毒性試験をやらないではないかというお尋ねでございましたけれども、必ずしもやらないということではなくて、まずそういった分解性とか蓄積性とかということを審査いたしまして、自然界でどういった浄化作用を受けているのかということをまず確かめる。それで食物連鎖の可能性があるのかないのかということを確かめるということをまずやりまして、そうして食物連鎖の可能性がある、こういうものにつきましては、これは人に摂取されるわけですから、これについては当然毒性試験を行なう、こういう形をとっておるわけでございます。
○寺前委員 だから私は、その検査をやる必要がないということを言うんじゃない。その検査はおやりなさい。しかし同時に毒性検査については、私は第一に現状の環境がどのように破壊されているのかという問題について汚染の状況の調査をやる必要がある、それから、そういうものについて毒性検査をもっと厳重にやらなかったら、環境というのは、いま急性的にすぐに現象としてあらわれなくても、次の時代、三代目の時代にどのような影響を持ってくるか、催奇形性という問題なんかになってきたときには、どんな悲惨なことになるかわからないから、したがって、そこまでちゃんと見通しを持って毒性検査というのはやらなければだめですよ。それにしたら、一億何千万円という予算では、初年度か知らないけれども、本気でもってやるかまえではないんじゃないか。七千から既存のものが出ておる段階では、これについて私はほんとうにおそろしいということを感じているという問題提起ですから、これはぜひとも真剣に考えてほしいと思うのです。 それで私は具体的に、PCBはだいぶ関係の省あるいは公害特別委員会でも問題になっているようだから、フタル酸エステルについてちょっと聞いてみたいと思うのです。 フタル酸エステルというのは、化学工業の中では使用量としては非常に多いのでしょう。生産量としても、プラスチックの中に可塑剤として入ったりしている。だから、化学製品の中で、たとえばある論文を見ると、プラスチックについてこういうことを書いていますよ。 一九七〇年で、日本のプラスチックの生産量は年産五百十二万トンに達し、米国の八百八十二万トンに次いで世界第二位だ。「日本のプラスチック生産金額は八千二百億円で化学工業総生産の二六%を占めるにいたり、さらに成型加工業を加えれば、プラスチック製品の全生産額は一兆七千億円を越えると推定される。海外からのプラスチック技術購入が多いとはいえ、多くの高分子化学研究者や、工学系大学卒業者の多くの優秀な頭脳がそれを支えているといえる。」というふうに、このプラスチック産業というのは、化学の中では量的にはものすごく大きな位置を占めてきておるわけでしょう。 先ほどの通産省の御説明では、PCBの場合は蓄積性が高いから毒性検査をする必要があったんだという御指摘だった。そうしたら、ぼくは知っていますよ。フタル酸エステルの蓄積性は少ない、分解性が高いということは一応言われておりますよ。確かにそれも一定の事実だろうと思うのです。けれども蓄積が全くないかといったら、これはもう非科学的になると思う。それなりの蓄積はあると思う。それは私は一つずつのものについては、そうか知らないけれども、これが生産量がきわめて大きいということになると全体の汚染量というのは、今度は量との関係で見なければならない。質だけで見るわけにいかない。環境を見る場合には、私は質と量と両面から見なかったならば、その汚染というのは非科学的になると思う。 それじゃ、このフタル酸エステルについて、これは既存の化学物質でしょう。これは一体どいういふうに取り扱われるつもりなんだろうか。どういうふうなお考え、現在どういうふうになっているのか、どういうふうに取り扱われるつもりでおるのか。
○小幡説明員 フタル酸エステルは、もちろん既存の化学物質でございますから、これはもちろん点検の対象になるわけでございます。ただ、いつからそういうことを始めるかという点でございますが、本年度の予算におきまして分解性試験設備、それから蓄積性試験設備というものをつくるわけでございまして、現在その準備を進めさしておるところでございます。大体来年早々くらいから実際の試験を開始するということができるという目標で、いまやっておるわけでございます。そういうことでフタル酸を含めまして、その他の化学物質につきまして来年早々くらいからそういった試験を開始したいというように考えております。
○寺前委員 それを聞くのは、心配になったから聞いたのです。蓄積性が高いからPCBの場合は毒性検査というお話しがされた。ぼくはそれは否定はしません。蓄積性は高い。だから急性の問題になってくる。しかも将来の次代、三代の問題について言うならば、これはもっと早い段階にあらわれたんだから、きわめて明白。けれども環境問題を云々するというならば、それは質だけではだめじゃないか、量を検討する必要があるだろう。そうしたら、プラスチックの場合は量的にかなりの影響力を持ってきておる。フタル酸エステルの場合には明らかに分解性は強いけれど、量の問題から言うならば、次代、三代の問題について検討する必要がないか。だから蓄積性だけでは問題にならないんじゃないか。毒性検査の必要性を私は指摘しておるのです。そういう角度に立っておられるのかどうか。私の聞きたいのはそこなんです。そういう角度に立ってフタル酸エステルについて検討されるつもりでおられるのかどうか。
○小幡説明員 分解性あるいは蓄積性というものがどれだけあれば、食物連鎖による影響を考えなければならないか、これは技術的に非常にむずかしい問題かと思います。ただ、たとえば蓄積性というものについていままでの試験を申し上げますと、これはその化学物質を水槽に溶かして、そこで魚を飼った場合のその水槽の濃度に対する、その魚に蓄積された化学物質の濃度の比率であらわしておりますが、その濃縮倍率がPCBの場合には約四週間で一万七千倍以上になるというような試験データが出ておるわけでございます。それから、メチル水銀というようなものについては、これも数千倍になる。それからDDTも千倍のオーダーだ。それに対しまして、たとえば白灯油のようなものは数倍にしかならない、あるいはその他の有機化合物でも数十倍あるいは数百倍というようなデータがあるわけでございます。 そして、これは専門家の御意見でございますが、たとえば一回の濃縮倍率が千倍をこすようなことになりますと、食物連鎖というのは、たとえば魚介類の中でも行なわれるわけでございますし、プランクトンにたまって、そのプランクトンを魚が食うというような連鎖があるわけです。そういう場合には、千倍をこすような場合には、濃縮倍率は十万倍に達するというような御意見もございます。それが逆に百倍程度であれば、そういった食物連鎖がありましても、それは百十倍という程度にしかならないということで、この一回の濃縮倍率の違いというものが実際の食物連鎖による濃縮には非常に大きな差を生ずるということがいわれておるわけでございます。 そういうことで、物質によってこの濃縮倍率に非常に格差があるということから、目安をどこに置くかというのは、さらに専門家の意見を聞いてきめたいとは思っておりますけれども、そういういままでの実験データ、これまでの知見というところから、食物連鎖の可能性のあるものといいますか、これは毒性試験に持っていかなければならぬというものと、そうでないものとは十分な安全度をとってふるい分けることができるというようにわれわれは了解しておるわけでございます。
○寺前委員 一般論を言っているのではなくて、フタル酸エステルについて具体的に提起しているのです。これは使用量がものすごく多いのです。使用量が多いということは、分野もまた非常に多いということです。それはたとえば、薬のカプセルになって、胃を通って腸の中までその薬を持っていくためにカプセルになって使うというふうにも使われる、あるいは人工じん臓の場合にも使っていこうというところまできているわけです。あるいは血液バッグのほうに、人体に直接的影響を持っているところまで、フタル酸エステルというやつはプラスチックという形になって使われていっているわけです。あるいはこれは中止になったけれども、ガムの中にまで可塑剤として使われているわけです。だから、かなり直接的にも使われるし、塗料になったり、接着剤になったり、いろいろな分野に使われているわけです。 私は、これは総合的なものだから二重のチェックになるにしたって、一番もとは通産省のところで、既存の化学物質に対する製造の登録をするという場合に、これに対して環境を考えるときに、これだけいろいろな分野に、直接的にも使われているやつもあるけれども、同時に環境全体にこれだけのものが使われたら、たいへんな問題じゃないか。そうすると、こういうものについては当然私は毒性検査を十分やっておく必要があるのじゃないだろうか。だから蓄積性だけで単純にいっておってはだめなのじゃないだろうか。私は、直接的な面は食品衛生法なり、あるいは薬事法なり、いろいろな形での制限で、またチェックをするかしらぬけれども、全体として量がこれだけ使われる場合には、やはり毒性検査というのをやるということは、私は同時にやっておかなかったらだめだ、環境の調査と検査のやり方と両面が私は必要だと思うのであります。 環境庁おりますか。環境庁はこのフタル酸エステルの問題についてどういうふうに思いますか。
○太田説明員 環境庁のほうの規制ということになりますと、やはり水質汚濁防止法にのっとりまして、事業場からの排水中に含まれる当該物質の規制ということになろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、厚生省並びに通産省のほうで、いろいろな環境に対する分解性とか蓄積性とか、それから慢性、急性のそういった毒性試験をやった上で、これがPCBその他の物質のように一定の人間に摂取される許容量がきまってまいりますと、それからさかのぼりまして、事業場から排出される水について、どれだけ以下に押えなければいけないかということがきまってくるわけでございまして、その結果を待って、それを採用するかどうかきめてまいる、こういうことになるわけでございます。
○寺前委員 フタル酸エステルは、水の問題で国際的に研究しているところがありますか。
○太田説明員 私は承知いたしておりません。
○寺前委員 環境庁はもう少し勉強してくれなければ困るよ。化学物質がいま大問題になったわけでしょう。化学製品として量が非常に多いのがフタル酸エステルなんです。これはソビエトでは規制しているのでしょう。アメリカでもそうなんです。そこへ来ているのです。そのときに単なる蓄積性だけを問題にしておったら、環境庁のほうとしては環境を守る上においては非常に重要な段階になるわけです。だから、個々の食品衛生法とかあるいは薬事法その他の面からだけで、直接的な面からの問題を云々するだけではなくして、環境全体の面についても研究してもらう必要がある。私はこれは要望しておきます。 それで直接的に今度は厚生省に聞きますけれども、一番もとを押えるところの通産省がああいう検査の体制であるということに対して私は心配しているのです。そこで私は、具体的にフタル酸エステルの問題で、これは新しいこれからの問題になるから指摘をするのだけれども、厚生省としてはフタル酸エステルについて、どういうふうに今日まで考えてきて、今後どういうふうに処理していこうと思っておられるのか、聞かしてほしいと思います。
○松下政府委員 御指摘のフタル酸エステル、D ○Pにつきましては、いま御指摘のような薬事法の関係では——カプセルというお話でございますが、カプセルはやはり腹の中に入って溶解する必要がありますので、カプセルには使われておらないと承知いたしておりますが、御指摘のような、血液バッグのうちのプラスチック製の血液バッグの可塑剤にはDOPが用いられている例がございます。そのために、DOPにつきまして昨年七月にまず専門家会議を招集いたしまして、急性毒性、それから慢性毒性につきましての検討を求めたわけでございますが、まずそのDOPは非常に溶出度が弱い、それで、現在の血液バッグの基準に定められております範囲の規格を守られておる限りは、保健衛生上は支障がないという結論を得ております。 なお、御指摘のように、これは慢性毒性等の問題もございますし、広く使われておりまして、医薬品あるいは医療用具の面でも検討を要する面がございますので、安全性を検討いたしますために、引き続き研究班を発足いたしまして、あるいは放射性のDOPを用いて臓器内の状況を調べるとか、あるいは水とか血液によります溶出試験を行なうというような試験を継続しておるわけでございます。現在までに得ました結論といたしましては、この医療用具等に用いられておりますDOPによる人体への影響はないという結論でございます。
○浦田政府委員 寺前委員、先ほどすでに御指摘のあったところでございますが、食品衛生の立場からのフタル酸エステルに対する考え方についてお答えします。 フタル酸エステルは、御指摘のように、従来チューインガムにその使用が認められておりましたが、昨年十二月にその指定は取り消しております。本品は、慢性毒性試験及びチューインガムからの溶出試験の結果などから見た場合には、一応安全であると言えると思いますが、昨年、フタル酸エステルによる環境汚染が問題になったわけでございまして、業界においては、その使用を取りやめようという積極的な姿勢を示してきました。私どもはそれを指導いたしまして、削除するということにしたわけでございます。 それから、フタル酸エステルがプラスチック容器として用いられる。それがさらに食品への溶出ということも考えられるわけでございます。これらにつきましては、私どもは、六月の二十二日でございますが、塩化ビニール製容器包装の規格を定めまして、フタル酸エステルのような可塑剤の溶出についての規制をいたしております。 全般的に申しまして、寺前委員御指摘のように、やはり私どもは、終局的に起こるであろう食物連鎖を通じての人体への影響ということも考えまして、環境汚染を通じてフタル酸エステルが人体に摂取される、あるいは接触するという機会も考えまして、薬務局あるいは通産省あるいは環境庁、至るところと十分に連絡をとり、御指摘の催奇形性あるいは遺伝への影響ということについては、さらに研究して、必要な規制をとっていただくように、私どもとしても積極的に働きかけていきたいと思います。
○寺前委員 私は、いま局長の答弁で、初めてちょっとほっとしておるのです、正直言うと。というのは、何でも検査をやったら、それでいいんだというふうに単純に言っておったらいかぬ、こわいのだ、正直に言って。一般の人はそうか、検査が済んだか、ばんと判こを押してあったらいいんだな。ところが、その検査の中身は一体何かということをはっきりしないとこわいんだよ、実は。それは次の時代、三代——たとえば普通、実験をやった場合でも、サリドマイドを見てごらんなさいな。サルの実験までやっている。マウスと違うのです。サルの実験までやって、その薬はいけるじゃないか。ところが実際、催奇形性、アザラシの子のようなあんな姿の子供が生まれてきた。 実際にテストというのは、非常にこわいものなんですね。いろいろな角度でやってみたけれども、その結果、またあんな形まで出てくるのだ。それがまた次の時代、三代先まで考えたら、ほんとうに毒性検査というのは、急性や亜急性や慢性というだけではだめなんで、もっと毒物、毒性検査をほんとにやらなかったら、——これはお金はかかるけれども、将来にわたって責任を持とうと思ったら、やる必要がある。 そういう意味では、ぼくはいま安全性だということが、急性、慢性段階までで安全性ということだけでは、将来にわたって責任を持つところの厚生省としての態度にはならない、日本政府の態度にはならない。特にそのフタル酸エステルの問題について、ことしになってからも、たとえば四月の二十六日のサンケイ新聞で「苦いおもちゃ赤ちゃんに安全か」ということで投書が出ている。あるいは神戸の生活科学センターの調査で、ことしの二月十日ですよ、洗たく用の手袋の問題とか出ているのです。まさに家庭用品あるいはおもちゃ、こういうような日常の、われわれの周囲の中の問題から現実的な被害まで起こってきておる。これは現実的な、そういう直接的な被害もあるかもしれぬけれども、もっともっとそれ以上に環境のほうが汚染されていないんだろうか、ここのところを考えてもらわなければいかぬ。 そしてさらに言うならば、フタル酸エステルについて、いまのところ安全だというようなことを言っているけれども、アメリカでもこう言っているわけでしょう。例のダナンの血液パック、あれをめぐってそれ以後問題になったけれども、アメリカでも現状の規制の範囲内では安全だ、こう言っているわけです。規制の範囲内、こう言っているのだよ。現状の規制ということは何かといったら、アメリカでは、フタル酸エステルについて、ちゃんと使ってはならないフタル酸エステルがあるのですよ。知っていますか、厚生省。日本の場合は、使ってはならないという規制はないのですよ。全くの野放しなんですよ。アメリカはDHP、DMEP、DBEP、HNP、これらについて、少なくとも日本の塩ビ協会が推薦している十七種類のうちで四つまで、これについては使用の制限をやっているのですよ、アメリカでは。 いいですか、私は、ほんとうにもっと研究してほしいと思うのだよ。あまりにもこれを軽々しく安全性だと言っておる。アメリカでも安全であると言っておるけれども、前提があっての安全性ということを言っておるのだよ。しかも環境としての水の調査とか空気の調査というところまで来ているのですよ。それから見たら、日本のこのフタル酸エステルに対する取り扱いというのは、軽々しい。大体フタル酸エステルについて、さっきチームをつくって、検査をやらしてきたというけれども、何ぼの予算でやったのですか。この予算を言ってください。
○松下政府委員 いまの御指摘のアメリカとの血液セットの比較でございますが……(寺前委員「血液セットじゃない、フタル酸エステルの使用の問題です」と呼ぶ)医療容器に関するフタル酸エステルの使用の基準でございますが、わが国では血液セット及び輸液セットにつきましての基準を定めておりまして、現在の基準は、塩化ビニール樹脂製血液セットの基準におきましては、蒸発残留物にいたしまして五十PPM以下、それからディスポーザブルの血液セット及び輸液セットの基準におきましては、蒸発残留物百PPM以下でございまして、米国の製品につきまして試験をいたしました結果では、残留物は約〇・八PPM、それから日本では使っております、DOPを使いました血液セットにおきましては〇・二ないし〇・三PPMでございます。 私、さっきフタル酸エステルの御質問をいただいて、DOPと混同してお答え申し上げまして、失礼いたしましたが、日本で使われておりましたのは、いまおあげになりました種類のうちでDOPだけでございまして、溶出率の最も低いものでないと、この規格に合格しないという意味におきましては、日本の基準はアメリカの基準よりもさらにきびしいものとして受け取られておるようでございます。実際に試験をいたしました結果では、常温におきまして、五時間この品質を使いまして、溶出量はゼロでございます。 それから現在、先ほど申し上げました研究班の経費につきましては、これは年度途中のことでもございますので、衛生試験所等の経常的な経費の中でまかなっておりまして、この研究班のための特別な経費というのは計上いたしておりません。
○寺前委員 いま局長の言っておるのは違うのだよ。私が言っておるのは、フタル酸テステルを使っておる、たとえばプラスチックだとか、いろいろなフタル酸エステルを使っておる——医薬品で言うておるのとは違うのだよ。むしろ通産省の所管するほうの問題なんだよ。いろいろな形でフタル酸エステルを使っておるのだよ。その種類はいろいろある。そして日本に塩ビ協会というのがあって、塩ビ協会が推奨しておるのだよ。こういうものを十七種推奨しておるのです。その十七種推奨しておる中にDOPもあるし、アメリカではそういうものについてDOPというものは、こうこうこういうようなものについて使ってよろしいと使用目的をちゃんと制限しておるのですよ。こういう目的には使ってよろしい、こういう目的には適用しませんよ。その中で日本が推奨しておる十七種の中で、先ほど言った四品目までは、これは使用してはなりませんよとちゃんと指定までしているのだ。これはどんな目的のやつにもだめですよ。それをやるのは、ちゃんと毒性検査まで含めて研究しておるのだから、こういうことが言えるのだ。 だから、さっき通産省の人が蓄積性だけを言われたから、私は心配になった。アメリカではすでにそこまでちゃんと、特殊毒性検査のところまで研究して、使用目的までちゃんとやっているのですよ。そういう点から言うならば、日本の研究というのは非常におくれている。特に、いま局長が言ったように、一般の予算の範囲内でこのフタル酸エステルについての検査をやっているとするならば、もう一つおくれていると言わざるを得ないのですよ。特別に研究班をつくって、特別に研究費を組んで、そうしてやるという大じかけのチームをつくってもらう必要がある。 これはどこの担当になるのか知らぬけれども、局長は薬のほうからだけしか考えておらぬから。これは総合的にPCBと同じこと。ちゃんとチームを組んでもらって、これはだれが答弁してくれるのか知らぬけれども、大臣か……。ちゃんとチームを組んでもらうことと、それから環境汚染が一体どういうふうになっているのか。すでに空気や水にどのように変化が起こってきているのか、そういう環境調査をやるということ。それから特別に予算を組む、チームをつくる。そうして、先ほどの局長の答弁のように、催奇性とか次代、三代を含むところのそういうところまでの特殊毒性検査まで含めての検査をやって、次の時代に影響をもたらさないように十分な措置をしてもらいたい。すでに諸外国ではやられているのだ。日本のほうは生産量では世界第二位の生産量の段階になっているのに、あまりにもこの問題に対する取り扱いがお粗末過ぎる。これについて、いま総合的に大臣から御答弁をいただくならば、私はこの点はっきり次の時代のことを考えて提起したいと思うのです。
○齋藤国務大臣 フタル酸エステルにつきましての該博な御意見をお聞かせいただいたわけでございまして、私も寺前君の御意見を聞くに従って、これはやはり相当本腰を入れてやらなければならぬ問題だということを痛感いたしました、 そこで、これは環境その他の問題等ございますから、政府全体として考えなければならぬ問題でございますから、今後環境庁、通産省、厚生省、三省一体となって総合的な試験検査をやるような仕組みを考えていかなければならぬだろう、かように考えております。 それと同時に、私どもの省としましても、家庭用品とか薬とかいろいろ問題もございますから、それはそれとしてプロジェクトチームをつくって検査をいたしますが、政府全体としてやはりもっと幅広い環境という問題があるわけですから、そういうふうな家庭用品とか薬だとか食品だとかいうことだけではなく、広い範囲のプロジェクトチームをつくってやらなければならぬであろう、こういうふうに考えておりますので、関係各省と十分相談をいたしまして、そういうふうな仕組みをつくるようにいたしたい、かように考えております。
○寺前委員 重ねて要望しておきますが、私、さっきちょっと検査の一つの例を言いましたが、二、三年前でも毒性検査というのは三千万円からかかっているのですよ。だから、予算的にも特別に組まなかったら、この体制はできないのです。チームと同時に予算的にもやってもらって、そうして環境全体について考えてもらいたい。これはひとつ要望しておきましょう。 そうして最後に、私はもう時間があれでございますのでお聞きしますけれども、今度家庭用品の法律をつくって、これは私心配なのは、全部あと追いなんです。できた品物についての検査なんです。これはもう追いかけごっこなんです、生産はどんどんできていくのだから。この点も私は心配なのです。食品衛生法でも、添加物のほうは原則として規制して、これは使ってよろしい、こうなる。ところが容器、包装、食器になってくると、これは結局あと追いになっておるのですね。要するに、これはいかぬ、こうなる。これはいかぬというのは、あとはよろしいということになる。だから、あとからあとから追いかけて、これはいかぬ、これはいかぬというのをつくらなければならない。だからたいへんなのです。 ほんとう言うならば、一九六〇年に日本で行なわれたところの国際的な学会ですか、ガンの研究会のときに、全部こういうものを使ってよろしいという範囲内でやっていく。新しく研究したものは一から規制を受けて、それは使ってよろしいということでふやしていく。ほんとうはそういうふうに食品衛生法も直さなかったらあと追いになって、その間野放しになって危険性を伴うんだ、これはぜひひとつ検討してもらうことだと私は思うのですが、これに対する御意見。 第二番目に、家庭用品の問題については、あと追いで全部検査をしていかなければならない。それじゃ、この検査体制があるのかないのか。監視員をつくる、こう言う。現在でも食品衛生の監視員の体制があります。たとえば私の住んでいる京都市でいうならば六十名の監視員がおります。対象の件数は四万件です。そうすると、その監視員は実際に机にすわっておる人もおるから、第一線の人は一人平均千件ということになる。これは事実上監視不可能なことになる。せめて三倍くらいの数がなければだめなんじゃないでしょうか。それでもこの保健所には二分の一の国庫負担の人件費がいく。ところが、実際には研究所とタイアップしながら、だめなわけでしょう。ただ地方の研究所はどうかと言ったら、これは補助金を出すわけじゃない。日本全国でいうならば、ほんとうにこう研究体制を持っている研究所というのは、指折り数えるほどしかないのじゃないでしょうか。 そうすると、地方の研究所についても人件費の助成から一定の援助をして、研究体制とそれから食品の監視体制だけじゃなくて、今度家庭用品まで持ち込まれるのだったら、この家庭用品に対する監視の体制をどういうふうにやるのだろうか。私はここの中身を明らかにしてもらわなかったら、実際はあと追いの仕事も事実上できないという問題に直面すると思う。これが第二番目の問題。 第三番目に、中央のいま衛試でやっておるところの検査。ここの体制では担当官は二人だという。そうして毒性検査その他の諸君の協力を得ていま検査をやっておるという。この体制ではどうにもならないだろう。毎年、毎年の人員要求も衛試から厚生省に、厚生省から大蔵省にという段階でパアになってしまう。毎年要求しておる。現在の体制でもパアになってきておるのに、はたしてこういう中央の段階におけるこの体制が責任ある体制になるのかどうか。この点についてどういう体制でいくのか、御答弁いただきたい。
○浦田政府委員 まず第一点の家庭用品の安全のための規制法案にいたしましても、これはあと追い行政ではないかという御指摘でございますが、確かに先生御指摘のとおり、食品衛生法の添加物の取り締まりのごとく原則禁止、いわゆるポジティブリストによって規制していくということが理想であろうかと思います。私どもが今回御審議をお願いしております法案、これを見ますと、そういうふうな欠陥の御指摘があろうかと思いますが、やはり全般的な本国会に提出しております法案の中身というものとの関連あるいは過去の公害国会等でもっていろいろ御審議願い、成立したほかの法律との関連、そういったものもお考えいただきたいと思います。 私どもは今回ネガティブリスト方式をとりました。これは家庭用品に使われております化学物質によって起こされるであろう健康障害というものを、ほかのすでに法律で規制されております化学物質による健康障害というものと比べた場合、これは実態で申すわけでございますが、いままで取り締まりが行なわれていなかったということは、比較的軽微なものであったということもあると思います。 それから、それこそあと追い行政そのものではないかという御指摘になるわけでございますけれども、現にすでに数多くの物質が数多くの家庭用品に使われておるという段階でございます。私どもはそのすべてをとらまえて、一つの基準をつくっていくということをなすべきであったかもしれませんけれども、それまでにはやはりかなりの時日を要します。しかしながら事態は、急速にこういった問題に対する国民の関心も高まっておりますし、また環境汚染という問題を考えますと、それこそ急速に手を打つ必要があるというふうに私どもとしては考えたわけでございます。とりあえずはネガティブリストで出発いたします。しかしながら、これを急速に広げまして、ポジティブリストで事実上食品衛生法における食品添加物の取り締まりのごとく、できるだけ早い機会になしていきたい。 さらには、他方に私どもは期待いたしまして、たとえば通産省のいま提案されておる化学物質の審査、製造規制法案でございますか、そういったものによって新製品に対する事前チェックをしていくということに期待し、さらには今後の問題として、すべての新しい化学物質を製造する、あるいは工業化するという場合に、いわゆるテクノロジーアセスメントの手法を取り入れまして、事前に十分人体への影響はもちろん、子孫への影響というものもチェックいたしまして、こういったものは一切製造はまかりならぬといったような体制まで進めていくということでもって、早急に万全の体制を整えるように、なお努力したいと思っております。 それから、検査体制あるいは監視体制への御指摘でございます。 これは確かに寺前委員御指摘のとおりで、われわれも過去におきまして、それなりの努力はしてきたつもりでおりますけれども、率直に申しまして、いまだ不十分でございます。これは齋藤現大臣が御就任以来、強くこの問題について心配されまして、先ほども大臣の御答弁の中にもありましたように、すでに省内で検査体制全般について、これは厚生省のみでなく、厚生行政として関連しております全国的な分野におきまして、いかにしていまの検査体制、監視体制というものを強化拡充していくかということをテーマといたしまして、プロジェクトチームを結成したわけでございます。 御指摘のように監視と申しましても、まさに科学的なデータに基づく監視でなくてはならないわけでございまして、それをバックアップするものは申すまでもなく試験検査機関でございます。これは地方におきましては地方の衛生研究所、さらには保健所の検査室ということに相なろうと思います。また中央におきましては、国立衛生試験所が中心となってその他の研究機関があるわけでございます。 まず、プロジェクトチームで一応中間的に取りまとめた意見でございますが、これらの既存の研究機関を、国立衛生試験所を中心といたしまして 一つのナショナルネットワークといったような形でもって相互に有機的に関連づける。それに必要な国立衛生試験所の技術者の確保あるいは機構の改革あるいは予算の拡充といったようなことについては、来年度の予算でもって厚生省の施策のうちの一つの大きな柱として立ち向かう。それから地方の衛生研究所におきまして、これはいままでの財政援助というものは不十分でございましたが、こういった新しい発想方法からどのようにこれを予算的に援助していくかということについても、一つの大きな宿題として立ち向かっていこう。さらには、保健所の試験検査室をいわば地方衛生研究所の一つの事実上の出先の機関として活用できないかといったことも含めまして、さらに必要な人員の確保あるいは職員の研修というものも含めまして、先ほど中間報告をまとめたところ でございます。 また、家庭用品の取り締まりにつきましては来年度から実施が予定されるわけでございますが、さしあたりは自治省とも御相談いたしまして、新たに家庭用品の衛生監視員制度を設けまして、これによって実施していきたいと考えております。 しかしながら、実際上の問題として、ただいま現に任命されております食品衛生監視員あるいは環境衛生監視員等々との重複等もあって、なかなか思うように人が得られないのじゃないかという御指摘であろうかと思いますが、先ほども申しましたように、検査体制の抜本的な整備拡充ということの一環といたしまして、私どもはその方面の技術者の確保ということについては努力をしてまいりたいと考えております。 衛生試験所、それから地方衛生研究所、これらは御質問では別々に聞いておられますが、このようなことでありますので、ナショナルネットワークとして考えるということでもって一本化してお答えした次第でございます。
○寺前委員 時間が来ましたので、これで終わりますけれども、私はもう一度、問題は次の時代、その次の時代を考えたときに、これはたいへんな決意をして——あと追いの体制であるならば、あと追いは、それだけにまた人的にも、中央段階における地方に対する保証がなければやれない仕事なんですから、財政的な援助を組んでまで、人件費を組んでまでその体制をやっていくということでなかったら、法律はあるけれども、実践的にはないにひとしいということになるので、特に大臣の決意のほどを聞いて終わりたいと思います。
○齋藤国務大臣 この試験検査体制を強化整備することは、厚生行政において目下緊急な問題でございますので、来年度の予算におきましては、この点を最重点の項目の一つとして予算の要求をいたしたいと考えております。しかしながらまた同時に、この法律制定後直ちに着手しなければならぬ問題もございます。そういう問題につきましては、局長からもさっきお答えいたしましたが、プロジェクトチームをいまつくっておりますので、必要な予備金の要求までいたそうということで準備をしておる次第でございます。
○田川委員長 大橋敏雄君。 〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
○大橋(敏)委員 私もただいま審議されております有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律案について質問を申し上げるのですが、私この法律を見まして、大体八条からなって、有害物質の含有量、溶出量、発散量などについてまず基準を設けていく、合格品には安全表示をするのだ、これは法律上そういうことばはうたわれておりませんけれども、私はそういうふうに受け取れるわけです。また規制量につきましては、厚生大臣の諮問機関であるところの生活環境審議会にはかって政令で定める、あるいは保健所に家庭用品監視員を置いて随時チェックをしていく、また違反者に対しては製造、輸入あるいは販売禁止、回収命令、悪質業者等には懲役一年、罰金三十万以下というような内容になっていると私は思うのでございますが、いまの法案に対する私の大ざっぱな考え方には間違いがないかどうか、まず……。
○浦田政府委員 要点において大体そのとおりかと思います。
○大橋(敏)委員 私がなぜいまのように確認を取ったかと申し上げますと、合格品には安全表示をするのですね。——ということなんですけれども、そこもよろしいですか。
○福田説明員 先生御指摘のように合格品そのものには、この法律には表示をするということは明文上はございません。しかし御承知のように、現在家庭用品品質表示法、これは通産省所管でございますが、それに全面的に表示をさせるということになっておりまして、実質的には表示はできるということになるわけでございます。
○大橋(敏)委員 実は最近の新聞を見ておりますと、業界の自主規制によりまして安全マークがいろいろとつくられて、その品物に表示をさせられておるのでございますが、今回のこの法案が示しております、いわゆる合格品に対する安全表示との関係、私いまここに手にしておりますのは新聞記事ですけれども、日本ゴムビニール手袋工業会から出ているSGマーク——安全マークですね、あるいは日陶連のSの字、安全のついたもの、あるいはそのほか、いろいろとこうして新聞等にも発表になっているわけですけれども、いま申し上げますように、これら業界の自主規制による安全マークと、いま審議されている法律との関係性ですね。というのは、当然国の指導でそういうことは行なわれていくとは思いますけれども、具体的に見解を述べていただきたいと思います。
○福田説明員 確かにこの法律の規制は家庭用品の安全を確保するということが主体であります。そのために、先生おっしゃいましたように表示をするわけでございます。これは使われております化学物質の含有量あるいは溶出量または発散量というようなことで厳重な検査をいたしまして、一定の基準をつくるわけでございます。その基準に合致している限り、これは安全であるということがねらいでございます。また、その使用方法につきましては、それの適正な使用が行なわれるような方法で表示をするわけでございます。 したがいまして現在御指摘のような自主検査と申しますか、業界自体でやっております検査は、安全マークというのは、こことは関係がないわけでございますが、今後そういうような業界の自主検査というものも指導しなければいけません。現在行なわれますマークそのものを、われわれは認めるわけにはまいらないということになってまいると思います。したがいまして、今後はそういうようなマークは、まぎらわしいものは指導によりまして撤廃をさしてまいります。こちらのほうの基準に合ったものをしていくということに指導してまいりたいと思っております。
○大橋(敏)委員 確かにいま国の指導でまぎらわしいものは撤廃していく、私はそれが望ましい姿であろうと思うのです。ありとあらゆる品物に、いろんなマークがついてまいりますと、一体どれが何のマークであるやら、さっぱりわからなくなるということで、せっかくの規制が規制にならない、こう思うのでございます。 そこで、この規制基準をどこに置くかということは非常に重要な問題になると思うのです。せっかくの規制が、基準そのものが甘ければ効果はないということになるわけですけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○福田説明員 第四条に有害物質の含有量、それから溶出量または発散量に関し、基準を定めるというように規定してございますように、まず化学物質が有害であるかどうかという問題が先決でございますが、この有害という意味は、有毒であることはもちろんでございます。特に有毒の場合は毒劇物取締法等で取り締まっておりますので、有害ということを幅広く取り上げてまいりたいというふうに考えております。 まず、からだに直接かつ長時間接触するような場合、あるいは接触の部位が限定されるような場合、あるいは拡散とかあるいは吸入等によりまして人体に接触する、あるいは吸入するというような頻度が非常に多いものにつきまして、有害物質であるというようなものを取り上げます。 それでその含有量、これはたとえば洗剤中におきます塩酸、硫酸の濃度であるとか、そういうような濃度的なもの、含有濃度規制を行ないます。と同時に溶出量は、衣料の処理剤等にございますように汗で流れ出すというようなものも取り上げてまいる。それから発散量は、たとえばホルマリンあるいは接着剤、塗料等にございますように、発散をして吸入するというようなものも取り上げて、安全な基準を定めてまいりたいという考えでございます。
○大橋(敏)委員 先ほどの委員からもうすでに質問があっておりましたけれども、監視体制の問題です。たとえ、この法律がいかにりっぱな中身としてでき上がったとしてみましても、現実の監視体制が確立されなかったならば、これはざる法に近いと言われても過言ではない。確かに家庭用品衛生監視員という名前で配置されて、工場などの立ち入り検査もできる、こうなっているということですけれども、すでにさきの委員が具体的な数字をもって指摘しておりましたように、食品衛生監視員の人数ですらも現に人手不足である、またこの食品衛生監視員と今回の家庭用品衛生監視員を兼任させる方向にあるのかどうかということですね、そういう点も含めて、もう一度厚生省の見解を述べていただきたいと思います。
○浦田政府委員 おっしゃるとおり、やはり一つの法律を施行するにつきましては監視制度というものが非常に重要なポイントになろうと思います。しかも本法での規制対象というものは非常に幅広い、数多い家庭用品ということに相なるわけでございますし、またいろいろと化学物質についての性状も承知していなければならないという技術面の広範な専門的な知識も必要とされます。現在私どもはすでに食品衛生監視員制度を持っておりまして、食品衛生全般の取り締まりに当たっておるわけでございますが、大橋委員御指摘のように、必ずしも監視回数なりあるいは監視の内容なりが十分なものでないということは、残念ながら私どもも認めざるを得ないのでございます。 それにさらにまさるとも劣らない専門的な知識を要する家庭用品衛生監視員制度を設けることにつきまして、その要員の確保等に困難があることも承知いたしております。しかしながら、先ほど検査、監視制度全般について、寺前委員の御質問のときにお答えいたしましたように、私どもはいまの段階において、むしろ過去の考え方の延長に立ってものを考えるということでなくて、食品のみならず、薬品のみならず、この家庭用品等々の監視につきまして検査体制とともに私どもとしては一番最大の重要事項として来年度以降の予算要求にも臨みたい。さらに緊急を要するものについては、今年度において予備費を要求してでも、してまいりたいというつもりでおります。 御質問の家庭用品衛生監視員、これは初年度には基準確定品目も少のうございますから、当面必要かつ最小限度の人員の確保にはつとめることといたしまして、私どもが予定いたしておりますのは、専従職員として約二百名程度、それから補助職員として約八百名程度、自今逐次増員をしてまいりたい。また質的な面の向上につきましても、全体の検査機関、監視体制強化の一環として研修制度を設けて、現在そのような資格、技能を持っていない職員についても、早急にそのような研修を通じまして勉強させて、要員の確保につとめてまいりたいと考えております。
○大橋(敏)委員 大臣、この法律はおくればせながら、やはり一歩前進の法案であると考えまして、われわれは基本的には賛成でございます。しかしながら、中身に入ってまいりますと、行政の実体の上から見た場合、やはりこれはたいへんな問題が横たわっている。いま言ったような監視体制の問題なんかは、きわめて重要な問題ではないかと思うのです。 そこで、実際の仕事というのは地方自治体がやる。いま申しましたように、食品衛生監視員すら、もう人手不足でどうにもならない状態にある。その上にこのような監視員が必要になってきた。いま局長さんのお話では、具体的に員数も表示しながら予算関係の話がありましたけれども、とにかくやはり人と予算ですよ。何といっても国が都道府県に対して十分な予算的援助がない限りは、これは望めないことである。したがいまして、私は大臣に、この予算的な大臣の決意といいますか考え方、これをどうしても聞いておきたい、こういうことです。
○齋藤国務大臣 いま大橋委員のお述べになりました監視、検査体制の整備の問題は、結局この法律を有効に生かせるかどうかのきめ手になるわけでございます。したがって私どもは、この家庭用品の今回の法律並びに食品衛生法全部ひっくるめまして思い切った監視、検査体制を整備強化する、こういうことでなければならないと考えておりまして、先般来実はプロジェクトチームを編成いたしまして、いろいろ検討を願っておるわけでございますが、来年度の予算要求におきましては、特に最重点を置く考えでございます。 すなわち、国立の衛生試験所を頂点といたしまして、地方の衛生研究所、さらに保健所の検査室等があるわけでございまして、そういうものが一体になって有機的に動いていくような監視、検査体制を整備するということでなければならぬわけでございます。来年度の予算編成におきましては最重点を置いて概算要求をいたす決心でございますし、同時にまたこの法律が成立いたしました直後、直ちにやはりやらなければならぬ幾多の項目があるわけでございますから、そういう項目につきましては、必要な予備金の支出もお願いをしよう、こういう考えでございます。 この問題はほんとうに国民の生活の上に不安を与えないようにするためには、これは政府、厚生省としても思い切ったことをやらなければ、とうていだめだと思うのです。いままでややともすると、こういう面の予算が非常にじみであったために、どうも十分伸びなかった。そういうことも十分反省をし、国民の生活を守る上から私は全力を尽くして、この予算の拡充のために努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 この法律の運用について、すでに問題点が指摘されておりましたけれども、いまあと追い法案ではないかという話が出ておりましたけれども、私もこれは同感でございます。 従来の規制法というものは製造を承認して検査を続けることとしている。そういう従来の法律とは違って、今回の法案というものは、何らかの被害が出てから検査をし、その結果に基づいてつくっていくという方法がとられている。実態的にそうせざるを得ない理由が述べられておりましたけれども、私は何となくこの法律の中身から印象を受けることは、手おくれになるのじゃないか、そういうふうな感じで一ぱいでございます。 要するに著しい健康被害を引き起こすような疑いのあるものについては、よりきびしい規制方法を考慮すべきではないかということが一つですね。 それから、もう一つ申し上げたいことは、これもいま話が出ておりましたが、試験、検査体制を思い切って拡充強化すべきである。厚生省の調査では——調査というよりも試験結果がことしの秋ですか、十一月にはっきりして、それからようやく表示をさせるんだということのようでございますけれども、こんな調子では、いつまでたってみても規制の効果があがらないのではないか、こういう疑問をはさまざるを得ないのでありまするが、この点については、どうお考えですか。
○浦田政府委員 第一点の御指摘の、本法案はあと追いではないかということでございますが、率直に申して、私どもも現に出回っております家庭用品について、現に使われておる問題物質、化学物質、有害なものをいまからふん縛ろうというわけでございますから、そういった意味では、あと追いであると思います。 私どもは気持ちとしては、もちろん食品添加物のように現に出回っておるものすべての化学物質、あるいはそれを使っております家庭用品を網にかけまして対象として取り上げまして、そしてすべての安全性というものを確認した上で、再び流通機構に乗せるといったようなことが、健康を守るという立場からいけば、あるいは理想的なものであろうとも思います。しかしながら、この法案だけをお考えいただくと、そういうことでなくて、今国会にすでに提出されております他の法案、あるいはいままですでに国会でもって成立いたしました他の関連の法律制度、そういったようなもの全体を、私どもとしては総合的なあり方というものを考えつつ、いままで各種法律あるいは制度でおおうことのできなかった分野、これを、なるほどあと追いかもしれませんけれども、まず規制いたしましょうということでございます。 それから、どのようにして、その規制の対象を選んでいくかということでございますが、これはもう先生御案内だと思いますが、この法律があと追いとは申しながら、すでに過去のいろいろな研究の結果、試験等によりまして比較的問題があるという物質は即座に私どもとしては規制の対象に入れるわけでございます。これは現に被害があって、あとからそれを対象に入れるということではございませんで、あらかじめ私どもとしては、ねらいをつけた特定の有害な物質については、即座にこの法律の施行とともに対象に入れるわけでございます。 それからいろいろと私どもは至急に検査、調査を進めまして、できるだけ対象物質を広げていきたい、そしてより広範な、より安全なものに仕上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。その検査が間に合わないで、いろいろ問題が起こる場合も考えられます。検査結果が出ずに健康障害を起こしたということも考えられます。これは六条の二項によって、かりにこの法律の対象として初めからその取り締まりの対象として取り上げていない有害物質によって起こった場合——有害とはいうわけにはまいりませんが、物質で起こった場合には、必要な措置を即座にとるようになっておりますので、それ以上再び健康障害が起こることがないように対処できると思います。 それから、将来の問題になって恐縮でございますけれども、新化学物質がこれから先発明されまして、工業化される、あるいはいろいろのものに使われるといったような場合には、通産省のほうで出しておる、化学物質の取り締まり法案で取り締まりが期待できると思います。また、さらに将来の問題になろうかと思いますけれども、いわゆるテクノロジーアセスメントと申しますか、新しい化学物質が発明された場合には、事前にその物質が、われわれの環境なり、われわれの健康に、さらには子孫に、どのような影響を与えるかということをあらかじめ十分に検査して、そしていやしくも問題があるというものについては、そういった化学物質の工業化あるいは使用ということはやらないといったような方向での抜本的な対策、取り組み方というふうに進めていくように努力いたしたいと考えております。 なお、御指摘の検査でございますが、確かに非常に広範な検査を、しかも短時日の間にやらなければならないということで、試験、検査を請け負った機関は非常な努力をしておりますが、なかなか思うように検査品目はあがっておりません。しかし来年度からこれは実施が予定されているわけでございます。それまでには、少なくとも必要最小限度の問題のある物質についての基準は出るように、さらに努力するように要請したいと考えております。
○大橋(敏)委員 厚生省は、先般家庭用品による被害調査をなさったということが新聞報道されておりましたのですが、それを見ますと、十人中七人までが何らかの被害を受けた経験を持っている。特にかぶれ等の皮膚障害が多かった。このほかぜんそく、気管支炎、肝障害の被害を訴えていた人もいた。そういうふうに、いろいろと記事が出ていたわけでございますけれども、これによって今度の具体的なこの法律の進行がなされると思うわけでございますけれども、ひとつ具体的な問題をお尋ねしたいと思うのです。 それは今月の三日に、北九州の小倉区の熊谷産婦人科医院で新生児十人が、からだの色が急に青黒くなったという病気が発生したわけですね。また六日にも北九州市と田川市など四つの病院で十三人の赤ん坊が同じ病状になったという事件が発生したわけでございますが、これは新聞報道によると、貸しおむつによる奇病である、こういう報道がなされておったのですが、厚生省はこれは御承知ですか。
○浦田政府委員 承知いたしております。
○大橋(敏)委員 そこでこれらを診察した小児科医の先生や大学教授らが集まって協議した結果は、確かに血液のヘモグロビンに化学物質などの作用で起きたメトヘモグロビン血症だとわかったということでありますが、どうやら貸しおむつを使用したことにその原因があるようだ、共通しているようだ、こういうことでございます。さっそくそういう方々が、北九州厚生年金病院の石井敏武さんという小児科の部長さん等をはじめ、北九州市衛生局に対して、この問題を重視して実態調査を行ないなさい、早急な対策をおやりなさい、このように申し入れているはずでございますが、現地では具体発な対策、措置はとられたかどうか。
○浦田政府委員 報告を徴しますと、現在久留米大学の医学部及び北九州市の衛生研究所で原因化学物質の究明並びに疫学的調査を実施中でございます。 なお、病名は先生が御指摘のようにメトヘモグロビン血症ということでございまして、いわば赤血球のヘモグロビンに含まれております鉄が化学物質で酸化されますと、正常なヘモグロビンがメトヘモグロビンになるわけでございまして、そういたしますと酸素を運搬する機能がなくなりまして、一種の貧血に近い状態になる、こういうことでございますので、原因が何か化学物質に原因するのではないかということで当該疾病との因果関係について、これは久留米大学のほうで追試中でございます。それで原因化学物質でございますが、北九州市の衛生研究所で分析中でございます。 また、いわゆる疫学的調査というものの一環にもなるわけでございますが、北九州市の公衆衛生課におきましては、まだ確定したわけではございませんが、台湾のおむつ製造業者が使用しておった化学物質、これはまだどういうものか物質名は不明でございますが——ではないかという推測をいたしておりますので、北九州市の公衆衛生課はこの輸入をやっております神戸市の振興実業に、台湾の製造業者の使用した化学物質を問い合わせるように指示いたしております。その製品のルートを見ますと、台湾の製造業者の方がおられるようでございまして、そこから神戸市の輸入業者である振興実業、それから北九州市のおむつセンター、これは貸しおむつ屋でございます。そのようなルートによって運ばれているようでございます。そういったことで現在病気の原因並びに原因化学物質につきまして鋭意追求中でございます。 なお、幸いに病院に入院しました患者さんにつきましては、ビタミンCの投与等の結果、全員回復に向かっておるということでございます。
○大橋(敏)委員 赤ちゃんの病状が快方に向かっていることは非常に喜ばしいことでございますが、これが大事に至らなかったのでよかったのですけれども、今回の法律とこの事件を見ていった場合、罰則規定等がどのように適用されていくのかということをちょっとお尋ねしたいのです。 いまもお話がありましたように、どうやら台湾の業者から日本の貸しおむつ業者が輸入したというのですけれども、その中に輸入業者が入っているわけですね。つまり七月一日に台湾のほうから輸入業者が輸入して、それを貸しおむつ業者に一万枚手渡した。その貸しおむつ業者が北九州あるいは飯塚、直方、行橋方面に、病院をおもに、そして少量は個人に貸し出した、こういうことになっておるわけですけれども、この責任の所在といいますか、この法律に照らした場合にどういうふうになるのですか。
○福田説明員 ただいまお尋ねの件は、貸しおむつ業者が貸し出しておりましたおもむつが、現在物質を分析中でございますが、それはいま局長が答弁いたしましたように、この化学物質がおむつに原因するということになりました場合は、当然台湾から輸入いたしました、この場合におきましては神戸市の振興実業、ここに責任があるわけでございます。この法律におきましては、そういうような輸入業者が有害な化学物質を含んでおるものを販売する、いわゆる貸しおむつ業者に販売したわけでございます。そこの輸入業者の段階で規制ができることになっております。したがいましてその五条の違反で、罰則は十条が、いずれも適用されるということになるわけでございます。
○大橋(敏)委員 それでは輸入の場合はあくまでも輸入をしようとした業者そのものに問題がいくわけですね。国内の場合はあくまでも製造する業者そのものにいくわけですか。
○福田説明員 おっしゃるとおりでございまして、国内の場合は製造及び販売、両方にかかってまいりますけれども、製造業者にその原因が帰せられる場合は、当然製造業者にかかってまいることになるわけでございます。
○大橋(敏)委員 国内の場合は、製造業者にもその原因があれば当然罰せられる、それからそれを買って販売したほうにもあるのだというわけですね。輸入の場合は、あくまでも輸入業者それだけに限定される、こういうことですね。
○福田説明員 少し語弊がございましたかもわかりませんが、国内の場合は当然そのもとは製造業者でございますので、製造業者に直ちに罰則の適用がございます。それから販売業者に適用いたします場合は、販売業者が故意に、知りながら、あるいはその監視員等の注意を受けながら、なお販売していたという場合は、当然販売業者にもかかってまいります。輸入業者の場合は、輸入した段階で、そこの輸入業者に適用されるということになるわけでございます。
○大橋(敏)委員 それは理解できました。 次の問題に移りますけれども、女性の方、よくまつ毛につけまつ毛というのをやりますが、そのつけまつ毛にやはり何だか問題があって、非常に目がかゆくなるとかなんとかということで、そういうことがやはりことしの三月十一日の新聞に報道されておりましたけれども、現行の薬事法には、つけまつ毛の接着剤に対する規制がない。そこで東京都衛生局はさらに調査を続けるとともに、厚生省につけまつ毛の規制を強く申し入れた、こうあったわけですが、それは受けましたですか。そしてどのような措置をとられたか、お尋ねいたします。
○浦田政府委員 つけまつ毛の接着剤に鉛ですか、何かが含有されておるということで皮膚に障害を起こす、あるいは目の中に入れると、いろいろと障害を起こすでいったようなことでございまして、これは薬務局の所管でございますが、東京都からの報告に徴しまして、直ちにその販売を停止させまして回収させておるという措置をとっております。
○大橋(敏)委員 先ほどの貸しおむつの問題にせよ、いまのようなつけまつ毛にせよ、その被害が生命に及ぶような問題ではないので、まあまあというところでしょうけれども、これが逆に——逆にというよりも、ほんとうに思いがけない方向に進んだ場合、たとえば、かゆい程度ならいいけれども失明をするようなことになった場合、どうなるのだと思っただけでも、はだ寒い思いがするわけでございますが、こういうことについて、行政的にもっと具体的に力強い指導がなされねばならない。私強く要望しておきます。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで実はいまからABSの洗剤関係について質問に入りたいと思うのですけれども、いまここに持っておる私の本は、「日本の洗剤その総点検」有名な柳澤文正先生のあらわされた本でございます。私はこの本をまだ詳しくは読んでおりませんけれども、一べつしただけでも、自分自身の中性洗剤等に対する、合成洗剤等に対する認識の甘さを恥ずかしく思ったほどです。これはたいへんなことだな、こういう思いで実はきょう質問申し上げるわけでございますが、まだ大臣はこの本をお読みになっていないと思うのですね。局長さんは読んでいても、まだ読んでいないという態度をとられるかもしれませんが、いずにしましても、わが国の洗剤問題は、これはゆゆしき問題に発展していくぞという感じを私は深めておりますが、現在厚生省はこの中性洗剤に対してどのような見解を持って臨まれているのかお尋ねしたいと思います。
○浦田政府委員 柳澤先生は中性洗剤の毒性につきまして、非常に御熱心に繰り返し発言され、あるいは著書等もあらわしておられるわけでございますが、私ども厚生省が現在中性洗剤のいわゆる安全性と申しますか、それに関しまして、どのように考えておるかということでございますが、先生御案内のとおり、このABS、中性洗剤は従来野菜もしくは果実または飲食器の洗浄の用に供せられてきているところでございます。この中性洗剤は御指摘のABSを主成分としておるのでございますが、その安全性については昭和三十七年に食品衛生調査会において、内外の資料について検討した結果、中性洗剤を野菜、果実または食器等の洗浄の目的から、はなはだしく逸脱しない限り健康をそこなうおそれはないという答申がございましたのは、これも先生御案内のとおりでございます。 厚生省は自今その答申に沿いまして、使用の指導ということを行なってきたところでございます。御指摘の安全性に関しまして三十七年の答申はいただいておりますが、常にその後も万全を期するという観点から、その後新たに疑問が提起されるたびに慎重な検討を行なってきているところでございます。ごく最近の例でございますが、三重大学の三上教授によりまして胎子、ネズミの腹子でございますが、胎子への影響に関する報告などが出されております。これにつきましても、私どもは直ちに担当官を三上教授のところに派遣いたしまして同教授の御意見もお伺いする、そしてさらにこれを参考として安全性の再確認のための実験を実施するというようなことで、常に慎重に対処してきておるところでございます。また、今年四月に、昨年の食品衛生法の改正を踏まえまして、食品に関連のある洗剤、洗浄剤の規格基準というものをきめ、その中に使用上の注意基準というものをきめまして、さらに万全を期していくというふうな対策も行なってきているところでございます。
○大橋(敏)委員 いま局長さん答弁がありましたように、食品衛生調査会は、通常の使用では無害であるという結論を出したというような答弁があったのですけれども、昭和三十七年の科学技術庁での総合研究では、その要旨を見てまいりますと、毒性が明らかになっているということがはっきりしております。実は「洗剤有害論の根拠」として、科学者の研究がいろいろと発表されておりますけれども、「合成洗剤は酵素の働きを阻害する」というようなことで、すでに、「ABSが肝細胞に入ると一千万分の二グラムの濃度でミトコンドリア活性を阻害する」これは科学技術庁の研究報告で発表されているわけですね。また「合成洗剤は赤血球を破壊する」これも「ABS6mg/mlで溶血する」これも科学技術庁の研究報告で実験成果が報告されているわけですね。にもかかわらず、食品衛生調査会は、通常の使用では無害だというように結論を出して答申をしたのだろうか、非常に疑問を抱くのであります。 またその調査会の答申に対する批判がさまざまに出ておりますけれども、昭和三十七年の十一月の十四日、食品衛生調査会は、答申案をきめて厚生大臣に提出しておりますけれども、「食品衛生調査会の答申の主文は次のとおりですが、個々の研究については科学技術庁調整局でまとめた「中性洗剤特別報告」があり、各論一〜五(昭和三八年三月)と総論(昭和四〇年七月)とからなっております。」その中に「中性洗剤を野菜、果物類、食品等の洗浄に使用することは、洗浄の目的から甚だしく逸脱しない限り人の健康を害うおそれはない」こういうふうに答申が出されておりますけれども、この答申に関する疑問が、非常に各所からその問題点が指摘されているわけですけれども、この答申の中身は非常に甘かったのではないか、こう私は判断せざるを得ないのですけれども、答申の中身を皆さんがどうのこうのと批判なさることはできないかもしれませんが、実態から見た場合に、私は、これは確かに甘い、こう思うのですけれども、どうお考えになりますか。
○浦田政府委員 御指摘の昭和三十七年度の特別研究促進調整費による研究でございますが、食品衛生上の観点から、各種毒性試験、経皮浸透試験、皮膚障害、製造工場での障害、上水への影響、また下水への影響等、広範囲にわたって調査研究を行なっております。 食品衛生調査会の結論は、本調査研究及びその他広く内外の研究報告を総合的に検討した結果、結論を出したものと承知しております。 なお、御指摘のように、この科学技術庁の報告を、しさいに読んでみますと、確かに各項目の試験結果について述べた各論では、たとえば濃厚溶液を用いた場合の試験の結果などについても説明がしてございます。そして洗剤による障害の発生も記載されております。しかしながら、総論で「洗浄の目的から甚だしく逸脱しない限り人の健康を害うおそれはない」ということでございまして、矛盾するのではないかというふうな御指摘もあろうかと思いますけれども、これらの各試験の結果、試験溶液の濃度とか作業時間などの条件とあわせて総合的に検討すべきものでもございますし、総論と矛盾するものではないというふうに考えております。 また御指摘にありました酵素活性の阻害あるいは肝臓機能の阻害、または赤血球の溶血作用などの点でございますが、これらの試験結果では、試験管内での試験でございまして、生体内でもこのようなことが起こるということは、洗剤の生体内への吸収量などの条件もございまして、学問的な飛躍があると言えると思います。 科学技術庁の特別調査研究費によります動物実験や洗剤工場従業員の肝機能検査等の結果から一は、洗剤による肝機能、酵素活性の障害や赤血球の溶血作用は認められておりません。さらにまたABSをウサギに多量、これは一匹について五十ミリグラムという多量でございますが、投与いたしますと、血中のカルシウム量を低下させ、燐の量を増加させるという実験結果がございます。(大橋(敏)委員「時間がないから簡単でいいです」と呼ぶ) 食品衛生調査会で検討した結果は、実際に人体に摂取される量、摂取状況から判断して、問題がないという御意見をいただいております。
○大橋(敏)委員 局長さん、一生懸命御答弁なさっておりますけれども、これは中身を調べれば調べるほど、やはり厚生省の姿勢は正さなければならぬのじゃないか、こういうふうに私は強く感じているわけです。 たとえば日本食品衛生協会というのがございますね。厚生省の外郭団体で社団法人ですけれども、これが昭和三十一年に中性洗剤ライポンF、これについて第一号推奨広告を行なっております。これがきっかけになって、各メーカーに同様の推奨を行なっております。これなどは、企業に絶好の宣伝材料を提供した、こういうふうに私は見ます。なぜならば、たとえば厚生省実験証明、あるいは、本品は毒性を有せず衛生上無害でありますとか、またこの推奨広告の最後の付記の中に、厚生省の関係官をはじめ学界、国家機関の推奨者が審査員として厳密な検査を行なって、というようなものが付記されているのでね。 ところが問題点は、中性洗剤についての調査研究というのは、その当時実際には全然というほど行なわれていなかった。にもかかわらず、こうした推奨広告を出したことは、審査員の中に食品衛生調査会の委員が兼任をしていたという事実、またこういうことから考えてまいりますと、実際その中身は、毒性があったとしてみても、毒性がありますということも言いにくくなるでしょうし、実際の規制はできない。また推奨広告には証明料として多額のお金が企業側から日本食品衛生協会に支払われているという事実もあるやに報道されております。 こういう点から私は大いに行政姿勢といいますか、厚生省の姿勢を改めるべきではないか、ここに大きな問題点がある、こう思うのでございます。 時間が非常に迫っておりますので、答弁は簡単に要点だけ述べてください。
○浦田政府委員 重要な問題でございますので、できるだけ簡単にお答えしたいとは思いますが、やはり要点だけはぜひ述べさせていただきたいと思います。 御指摘の日本食品衛生協会の洗浄剤推奨制度でございますが、昭和三十一年から確かに行なわれております。これは当時の世情にかんがみまして、農薬、じんあい、土砂等によって汚染されるおそれが野菜や果実等にございましたために、特に野菜類については寄生虫卵など付着の可能性が非常に多かったために、これらの除去に洗浄剤が効果的であるという観点から、審査の上、当時洗浄剤の品質は非常に粗悪なものが多かったわけでございますので、品質のすぐれたものを推奨するために行なったものというふうに聞いております。 しかし私は、局長に就任いたしましてから、このような事実を知り、さらにその後の世情の変化というものも踏まえまして、いやしくも公益法人がこれら製品について検査手数料を受け取って推奨するということは好ましくない。実は昨年六月、国会のこの委員会でも御指摘があったかと記憶しておりますが、このような制度を廃止するというふうに厳重に注意いたしまして、すでにこの制度は廃止されておると承知しております。 また、確かに当初この審査に関しまして厚生省関係者が参画していたことも事実でございます。しかし、これは誤解を生ずるものであるということでもって、三十五年以降は厚生省の関係者は一切参画いたしておりません。 私どもは中性洗剤の安全性につきましては、わが国のみならず諸外国の各種実験データも参考として判断されたもの、公正なものであるというふうに確信しておりますけれども、いろいろと問題が提起されております。これらにつきまして、先ほども申しましたように新たに規格基準を設ける、あるいは新しい問題点については積極的にさらに試験を行なっていくということによって消費者の不安の解消には今後ともつとめてまいる所存でございます。
○大橋(敏)委員 「台所用中性洗剤」という日本食品衛生協会から出ている小冊子あるいはパンフレット等が非常に中身が問題であるということで、四十七年六月の当委員会でうちの当時の古寺委員が質問しましたときに、たしかそれを認めて、そういうことは今後中止させます、あるいは改めさせますということであったわけでございますけれども、とにかくこういう疑いを持たれるような姿では、ほんとうの意味の規制はできません。 大臣に私はお願いしたいのですけれども、行政はやはりすっきりとした、どこにも貸しにならない状態にあって初めて正しい運用ができると思うのです。私、時間がないので残念でなりませんけれども、大臣もぜひこの「日本の洗剤」という本をゆっくりと読んでいただきたい。そして事の重大性を認識してもらいたいと思う。これは単なる厚生省批判のための本ではないと私は考えます。やはりこれを参考として、りっぱな今後の行政がなされるように強く要求するわけですけれども、大臣、いずれにいたしましても、こうした食品衛生協会等の姿勢の悪さ等について大臣の見解を聞かしていただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 食品衛生協会等の姿勢の問題につきましては、正してまいらなければならぬと考えております。 そこで中性洗剤につきましては、食品衛生調査会のああいう答申がありますことは局長が述べたとおりでございます。しかしながら、この問題につきましては、各方面からまだいろいろな問題を指摘している方々が多いのでございます。私としましては、こういうふうな誤解と申しますか、心配をされておる向きにつきましては、十分やはり私は解明する必要があると思うのです。そうしてやはり国民全体が安全性について信用できるようなものにしていかなければならない、かように私は考えておるわけでございます。 一応、先般中性洗剤につきましての使い方等によるいろいろな規格等も改正いたしましたけれども、やはりそれだけではまだ十分問題の解明にはならぬと私は思います。特にまた、三重県の三上教授などもいろいろな問題を提起しておるわけでございます。私どもはやはり最終的に絶対安全だというふうな、かたくなな態度はとっておりません。あくまでも問題提起があるならば、その問題を十分解明しながら安全を確保されるようにしていかなければならぬと考えておりますので、実は先般来、三上教授等も研究班に入っていただいた新しいプロジェクトチームをつくりまして、中性洗剤についての毒性問題について真剣に考えていただくようにしたい、かように私は考えておるわけでございます。 この問題は各方面でもいろいろな意見を述べておる方もあり、安全性について不安を持っておられる方々もありますから、安全なら安全でけっこうでございますが、そういうふうな不安を与えないように、やはり各方面のいろいろな意見を持っておる方々にも全部入っていただいて、そうして総合的な真剣な検査、研究をやっていく、こういうことにいたしたいと考えておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 時間がないので残念ですけれども、わが公明党の北九州市議団が先般、十六日から四日間にわたりまして北九州市の小学校百二十四校の調理員四百四十四人と、四つの保育所の四人、計四百四十八人の中性洗剤を使っている実態調査をやったわけですが、想像以上にその被害を受けていた実態が出てきました。私はここでそれを発表したかったのですけれども、もう時間が参りましたので、これは後日に譲りますけれども、いずれにしましても、学校で中性洗剤を使って非常に被害が出ているということがわかったわけです。 それから東京都が、これまで中性洗剤で野菜やくだものを洗っても効果があまりない、慢性毒性のほうが心配だということで学校給食の洗剤使用中止を指示した、こういう動きがあるわけでございますけれども、これと先ほどの答申の中身とはずいぶん違うわけですね。答申は安心である、こういうふうにいっておりますけれども、現実は被害が出ている、東京都はすでに中止をした、これとの関係性についてどうお考えになりますか。
○浦田政府委員 三十七年当時は確かにまだ寄生虫卵の害とかいったようなことが、心配されたわけでございますが、現在ではそういったような状況は著しく改善されまして、事実上寄生虫というような問題は解消しておるわけでございます。したがいまして、現在の時点におきまして、東京都が行なったごとく、中性洗剤を用いて野菜を洗浄する必要性があるかどうかということにつきましては、東京都に入荷する野菜などの汚染状況の調査などもいたしまして、そうして十分に水洗いを前提にしたものであるかどうか、こういったようなことを全面的に適用できるかどうかといったようなことなども慎重に検討いたしてまいりたいと思っております。私どもはやはり東京都だけの問題でなくて、全国的な問題でもございますので、至急に野菜、果実等の細菌汚染などの状況も調査いたしまして、中性洗剤による洗浄の衛生的意義というものを再検討する方針でございます。 三十七年のことを繰り返して恐縮でございますけれども、あのときはあのときの時点として意義があったと思いますし、また通常の使用ということでございますので、今後の新しい情勢も踏まえまして、より安全な、より安心していただける使用方法というものもさらに検討してまいりたいと思っております。
○大橋(敏)委員 私が聞きたかったことはそういうことじゃなくて、中性洗剤を使って野菜とかくだものを洗っているわけですよ。あるいは食器を洗っているわけです。そういう洗っている人が、わが党の北九州市議団の調査では、全体の調査の約半分程度が何らかの被害を受けておる。皮膚あるいはつめのはげた人もおる。あるいは肝臓まで悪くなっている人もおるということで、さまざまな被害実態が出ているわけですよ。それと、東京都が中止しているということは、やはり中性洗剤そのものに問題があると見ているわけですよ。わかりますね。それが野菜、くだもの等もたいした被害はないというような答申の中身になっているという関係は非常に問題じゃないか。私は、全面禁止していく方向でものを考えるときが来たのじゃないか、こう言いたいところなんです。どうですか。
○浦田政府委員 お説よくわかりました。北九州市の被害等その他新しい中性洗剤に対する疑問点につきましては、私どもも至急に事実を調査いたします。 さらに先ほども申しましたように、私どもは中性洗剤が絶対安全だというふうに、かたくなな態度をとっておるわけではございません。いま三上教授の新しい問題提起などもございまして、私どもは至急に研究あるいはさらに調査を進めまして、消費者の皆さま方の不安の解消というものにつとめてまいりたいと思います。私どもはもしも健康に障害があるということであれば、当然健康中心の立場から中止するということでございます。ただその事実確認ということについてやはり若干の時日は要するにいたしましても、厚生省の基本的な姿勢というものはいま申し上げたとおりでございます。
○大橋(敏)委員 最後に大臣、これは先ほどから何べんも繰り返して言っていますけれども、何も柳澤文正先生から私は頼まれたわけじゃないのですが、これはわが国の中性洗剤の公害問題がこれから想像以上に広がっていくであろうということを示唆しております。これはもう非常に大事な問題であり、すでに示唆され、指摘されておりますので、あらためて厚生大臣にこの本の熟読を要請しまして、私の質問を終わりますが、これに対して読むか読まぬか一言。
○齋藤国務大臣 先ほども私がお答えいたしましたが、やはり中性洗剤については、この安全性についていろいろ問題提起をしておる方がおられるのです。ですから、私どもは先般の三十何年かの調査会の答申、通常の使用方法であれば安全ですよという答申がありますけれども、その後いろいろそういう著書があり、三上教授の提言があり、そのほかまたいろいろ心配されている向きがたくさんおるのです。そういうことも踏まえて、これは十分検討しなければならない。(大橋(敏)委員「読みますか」と呼ぶ)読みます。十分ひとつ今後とも検討してまいりたいと思います。その本はさっそく買いまして十分読むことにいたします。
○大橋(敏)委員 終わります。
○田川委員長 小宮武喜君。
○小宮委員 質問時間が足りませんので、答弁のほうもひとつ簡潔にお願いします。だらだらやってもらっては困ります。 そこで、まず質問したいのは法律案ですが、第三条に(事業者の責務)として「家庭用品の製造又は輸入の事業を行なう者は、その製造又は輸入に係る家庭用品に含有される物質の人の健康に与える影響をはあくし、」云々とありますが、輸入品について規制をどういうふうにしますか。先ほどからも台湾から輸入されたもので、何か北九州でいろいろ事故が起きたとか言っておりましたけれども、そういった意味で国内で製造されるものについては、たとえば次の第四条の基準を設けることによって規制することができたとしても、輸入品に対する規制はどういうふうにしてやるか。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○福田説明員 お尋ねの件は、国内の場合は確かに四条で基準を設け、五条、六条で規制をかけております。輸入業者につきましては第三条の責務、それから第五条で同じく販売等の禁止をかけておりまして、先生お尋ねの件は、まずどういう方法でチェックするのかということだと思いますが、まず、こういうような家庭用品の規制法ができて、こういう化学物質については、有毒なものは基準が定められておるということを、輸入業者から外国の製造業者に対しまして周知徹底させるようにいたします。 その次の段階といたしまして、外国の製造業者から買い取って輸入する場合でございますが、これは契約の中でそれを再確認いたしたいというふうに考えております。そういうような物質が入っているかどうかということを十分輸入業者にチェックさせまして、安全なもの、基準に適合したものを輸入さすということになってまいるわけでございます。
○小宮委員 外国の製造業者にこちらのほうの基準を周知徹底させるというけれども、外国は外国でそれなりのいろいろな基準を設けてあるわけですね。そういうような中で、口で言うことはやすいけれども、現実問題としてそんなことができるのかどうかという問題があります。また製品になった品物に対して、具体的にそこに含まれる成分規格はどうなのだとか、基準はどうなのだということを調べるのは非常にむずかしい問題だと思うのです。 この問題でまた論議をすると時間がありませんので次に移りますが、この家庭用品の基準について「厚生省令で、」「家庭用品を指定し、その家庭用品について、」「必要な基準を定めることができる。」ということに第四条はなっていますね。この四条の一項、二項も「必要な基準を定めることができる。」というふうになっています。そうしますと指定する家庭用品というのは、これは厚生省が考えておる指定家庭用品の分類表がありますね。この品物に対しては全部基準を設けるということですか。その点どうですか。
○福田説明員 お尋ねの件は、厚生省令で定める範囲と、その明文の書き方の問題であろうと思います。 まず厚生省令の範囲でございますが、先生ただいまお述べの家庭用品は将来全部にわたって規制するようにしたいと思っております。ただ前提といたしまして、化学物質が有害であるということで、有害物質の含有量、溶出量、発散量につきまして基準を定めるわけでございます。それができ上がったものから家庭用品を取り上げるということになるわけでございます。 それから第二点の「定めることができる。」という規定でございますが、これは先生のおっしゃるように、では定めないこともできるのかというようなつもりではございませんで、これは実は厚生大臣の権能規定といたしまして、厚生大臣がこういう取り締まり立法におきまして基準を定めることができるのだという権限を持っているという意味の権能規定として書いたわけでございます。
○小宮委員 その意味では、ここで指定された家庭用品全般について基準を定めるということであれば、「必要な基準を定めることができる。」ということではなくて、必要な基準を定めるということをはっきりすればいいじゃないか。何かこういうように「必要な基準を定めることができる。」ということにしておくと、われわれから見れば、定めぬでもいいのじゃないか、またこの家庭用品として指定された品目の中でも、定めるものと定めないものとが出てくるのじゃないかというような疑問を持つわけです。いままで厚生省がやってきた実績を見ても、私は必ずしも厚生省のやり方を信用しておりませんから、こういうようなところに抜け道をつくっておるのじゃないかという気がするのです。 その意味では家庭用品全部に必要な基準を設ける。むろん家庭用品に指定するものは、第一条の目的であるように、有害物質を含んでおるから家庭用品に指定するのだから、そうであれば、ここははっきり必要な基準を定めるということでいいじゃないか。法律用語としてもこういうふうに書くのかどうかは知りませんけれども、しかし、やはり明確にはっきりしていいんじゃないかというような気持ちを持つものですから、そういうような質問をいたしましたけれども、やはり全部の家庭用品については、いま言う厚生省令あるいは食品衛生とかいろいろな問題ありましょうけれども、一応は基準を設けるということですね。
○福田説明員 そのとおりでございます。
○小宮委員 それから、第四条の三項の規定に「前二項の規定により基準を定めようとするときは、あらかじめ、生活環境審議会の意見をきくとともに、当該家庭用品についての主務大臣に協議しなければならない。」これは主務大臣と協議することを義務づけしてあるわけですね。そうすると、これはたぶんこういうような家庭用品について、おそらく通産省だと思うのですが、私はやはり、こういった人の健康を守る立場からいえば、あらかじめ生活環境審議会で意見を聞くだけで十分ではないのか、生活環境審議会で意見をあらかじめ聞いて、その上に通産大臣とまた協議をするということになると、いままでの例から見てもその基準そのものが薄められていくとか、またゆがめられていくとかということが、たびたびこれまでもあっておるので、私はそういうような所管の通産大臣と協議しなくても、当然生活環境審議会の意見を聞いて、そこできめていいのではないかと考えるのだが、なぜわざわざ「主務大臣に協議しなければならない。」ということを、ここに挿入したのですか。
○浦田政府委員 御指摘の点でございますが、私ども厚生省の立場といたしましては、当然に国民保健衛生上の問題は厚生大臣の権限と責任において行なっていくというたてまえをくずすものではございません。私どもはあくまでもその義務遂行には責任をもって当たらなくてはならないという所存でおるわけでございます。 それでは、この協議事項は何かということでございますが、今国会に実は通産省のほうから化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案という法律案も出しておりますが、こういったような場合における保健衛生上の問題はどうするかということになりますと、これは通産省のほうで独自におやりになるということではございませんで、この件については、やはり保健衛生の主務大臣である厚生省のほうに協議があるということになっておりますし、こういったことからも、おわかりいただけますように、あくまでも保健衛生上の観点が最優先するというたてまえでございます。 しかしながら、実際上の問題として、家庭用品はそれぞれ商品として生産されております。産業の重要な要素となっておることも事実でございます。したがいまして、確実に本法の趣旨及び基準を守らせるためには各主務大臣の御協力を得るということが必要であるというふうに判断したのでございます。
○小宮委員 その考え方は私も否定するものではありません。しかしながら、生活環境審議会でそういうような意見をまとめる段階では、当然通産省あたりの意見を聞いてもいいのではないか。またここで「協議しなければならない。」という、はっきりした義務づけをするよりは、それは主務大臣の意見を聞くこともできる、というようにいろんなやわらかいことばも使えるわけです。「協議しなければならない。」となると、これは絶対に義務づけてあるわけです。 これは通産省の公害に関するいままでの姿勢を見てきても、私も公害の特別委員会におりますけれども、われわれが見ておって、通産省の姿勢というものは、どちらかといえば、消費者の立場よりは企業のほうに片寄っておるというような印象を受けましたので、そういうような懸念をしておるわけです。そういうような懸念がないということであれば、それはそれなりに理解をしますけれども、時間がないから次に移ります。 第五条等の販売の禁止、回収命令ですね。これによりますと、「家庭用品の製造、輸入又は販売の事業を行なう者は、その基準に適合しない家庭用品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で陳列してはならない。」次には、「家庭用品の製造、輸入又は販売の事業を行なう者がその基準に適合しない家庭用品を販売し、又は授与したことにより人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認める場合において、」と書いてありますが、その法律が成立しても、もちろん一年先ですけれども、しかしこの法律が成立をして一年後には、こういうような基準に該当しないような、また人の健康を害するようなおそれのある製品ができると私は考えていないのです、理論上は。基準を設けるわけでしょう。基準は何のために設けるかといえば、人の健康に被害を及ぼさないような基準をつくるわけでしょう。 それがここで販売禁止だとか回収命令の中で、そういうようなおそれがあるとかいうようなことは、おかしいのではないか。それはかりに何かそこで事故が発生したという場合の回収ならば、これは話はわかります。しかし、おそれがある場合とか、その基準に適しない家庭製品については、それでは初めから基準に適しない家庭製品が製造されることを予想して考えているのですか。そういうようなことであればなおさら、私がここで心配するように、この法律の条文そのものが何かしり抜けになっておるような感じがするわけですが、その点いかがですか。
○福田説明員 現在出回っております家庭用品そのものにつきましても、基準をつくりまして当てはめていくわけでございます。これを先生おっしゃいますように、全家庭用品につきまして、基準が定まりましたときは、先生のおっしゃるように全部についてそういうおそれがないということになるわけでございます。われわれも一日も早く、できるだけ早くそれをそういう状態にするように、基準の設定を急いでまいりますが、施行後直ちに全商品にわたりまして、家庭用品にわたりまして基準ができるということには相ならないわけでございます。その間いろいろの経過的なものもあろうかと思います。ここの法律の五条ないし六条の問題につきましては、これは基準に適合しないものを販売し、あるいは授与するというようなことは、一切この五条で禁止しておるわけでございます。 したがいまして、基準に合致したものが販売されることになるわけでございますが、六条の回収命令のところでそれを特に書いてございますのは、これは法律上の入念規定でございまして、いわゆる「人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認める場合」というのは、基準に適合しない場合ということを、さらにきびしくいうという関係でございます。
○小宮委員 現在、製造、販売されておる品物についてどういうような措置をとるかというのは、経過措置の中でもはっきりすべきであって、法律の条文としてこれが成立した場合、理論上はこういうようなことがあってはならないというのが、われわれの理解なんです。それをわざわざ書いてあるから、何かこれはまた厚生省は口ではりっぱなことを言っておるけれども、変なことをするのではないかというような疑いがあるものですから、これは失礼な話ですけれども……。 しかしそれでは、基準に適合しない家庭用品であるのか、適合した家庭用品であるのかという判定はどこでやりますか。たとえば何か商標でも張りますか、消費者はわかりませんものね。
○福田説明員 この基準に合致いたしました家庭用品につきましては、家庭用品品質表示法によりまして、全部品質の表示をいたします。したがいまして、消費者から見ますれば、その使用量、使用方法あるいは使用器具というようなものは、その表示によりまして明らかにできるというふうな方途をとりたいと考えております。
○小宮委員 いままでも例があるのは、たとえば皆さん方が製造所、事業所に行って、一々製品にいま言う品質の表示をやるわけにはまいりませんね。そうしますと、これは従来例があったことですが、皆さん方の場合は、合格したというその表示を事業所に全部渡して、事業所のほうで、その製造した品物に全部張らせるか、さもなくば、先ほどから問題になっておる食品衛生協会に一括して渡して、そして衛生協会が事業所に渡して、事業所がいままでも全部張っておるわけです。そういうことをするならば、これは国民の立場から見れば、ほんとうにだいじょうぶなのか、その場合適用しようとしまいと、レッテルを張ってしまえば同じじゃないか、そういうような危険性があるのです。だからその点、どういうふうにして貼付するのか、それをひとつ教えてください。
○福田説明員 家庭用品品質表示法によりまして、法律に基づく審議会がございます。そこで、その中の内容につきまして審査いたします。そこで認められたものについてだけ品質表示を行なうということになっておるわけでございます。 私のほうは、その表示のしかた、これは従来非常に不十分の場合がございますし、あるいはまぎらわしい場合がございますので、その辺は今度はこの法律の立場からいきましても、十分安全である、それから使用の方法はこうだということが具体的にわかるように、通産省にも言いまして、審議会にはかりたいというふうに考えておるわけでございます。
○小宮委員 この回収命令にしても、販売禁止の問題についてもそうですが、たとえばその製品があとで問題が起きたということで、回収命令、製造、販売の禁止を出すという場合に、たとえば製造元から卸業者、小売業者、消費者に移っていくわけですね。品物はそのときはもうすでに各家庭にまで行き渡っておるわけです。その場合、回収命令を出す、それから製造、販売禁止命令を出すといった場合の損害補償の問題が起こってくると思います。 たとえば事業所と卸売りなら事業所と卸売りの関係になろうし、卸売りと小売りの場合は卸売りと小売りの関係になろうが、小売りと一般家庭の場合は、これは使用しては相ならぬとなった場合に、家庭の消費者が、だれにその責任を持っていって——ただ単に品物だけ取り上げますよということではなくて、買っておる品物に対する責任は、損害補償は、だれがするのですか。
○福田説明員 被害者は各段階であるわけでございますけれども、製造業者がいわゆる基準を守らなかったということで製造し、販売した場合、これは当然製造業者にその責任をとらせるということが、回収の場合でも言い得ると思います。 なお製造業者等につきまして、そういうことで責任問題がございますと同時に、被害者に対しましては、やはり回収の結果損失をこうむる場合もあるわけでございますので、これに対しましては現在、食品、薬品等を含めまして救済制度をどうするかということを別途考慮中でございます。その検討を待った上で改定を考えてまいりたいと存じます。
○小宮委員 急ぎます。 次は、先ほどから問題になっております合成洗剤について質問しますが、厚生省は昨年食品衛生法を改正するまでは、合成洗剤については無害だ無害だということを十数年来一貫して主張してきておったわけです。ところが昨年食品衛生法の改正をやって、今回またこの法律の改正をやろうと法律の提案をしたということになりますと、合成洗剤に対して厚生省は従来の主張の誤りを認めて、有毒性を認めたということになりますか。その点いかがですか。
○浦田政府委員 厚生省は、従来から通常の洗浄の目的を著しく逸脱しない限りという使用上の注意を含めて、人体への急激な障害はないというふうに食品衛生調査会の答申を受け、またそのように行政指導してきたところでございます。すべての化学物質もそうだと思いますが、やはり使用上のいろいろな注意というものは必ずあるものだと思います。 昨年、食品衛生法の一部改正に伴いまして、今春洗浄剤の規格基準を改正いたしましたが、従来のその考え方をさらに徹底するためにいたしたものでございまして、厚生省の見解を変えたものではございませんけれども、先ほどの質疑の中にもございましたように、私どもは将来とてやはり、国民の皆さん方の不安の解消については、もしも問題が提起された場合がございましたならば、慎重に対処して結論を出してまいりたい、不安の解消につとめてまいりたいと考えております。
○小宮委員 この合成洗剤に対する規制は、昨年食品衛生法を改正されるまで何ら法律がなかったわけですね。ところが厚生省は、この合成洗剤の推奨普及だけはちゃんとやってきた事実がある。たとえば昭和三十一年九月厚生省公衆衛生局環境衛生部長名で各都道府県知事あてに出した「野菜類、食器類等の合成洗剤による洗じょうについて」という通達を出しております。内容はもう言いません。これによりますと、結局厚生省はこれまで合成洗剤を推奨してきた。その結果、いろいろな事故も発生しておりますね。その事故はまた別として、厚生省は食品衛生法を改正されるまでは、合成洗剤についての取り締まり規制は何らないのに、ちゃんと奨励だけはやってきておる。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 これはどういうような根拠に基づいてやったのですか。
○浦田政府委員 御指摘のように、昭和三十一年九月二十一日付をもちまして、厚生省は環境衛生部長名で各都道府県あて、野菜類、食器等の合成洗剤による洗浄について指導を行なっております。これは先生御案内だと思いますが、野菜果実類がその当時の世相から見まして農薬や、じんあい、土砂などに汚染されておる。さらにその後も問題になっておりましたのは寄生虫であります。また腸管経由の伝染病、腸チフスといったようなものでございますが、その可能性が多かったので、それらの付着除去に洗剤が効果的であるということが、実験の結果でも実証されておりまして、その当時の世情にかんがみまして、食生活をより衛生的にするために行なったものでございます。 その後、情勢も変わってきまして、いまあらためて果実あるいは野菜類に対する洗浄の効果、あるいはその前にさかのぼって野菜果実類の汚染状況というものもまた調査いたしまして、現在の世情に合った使用方法、規制というものを考えていく必要があるということを申し上げたいと思っております。
○小宮委員 もう時間がないのでかけ足でやりますが、昭和三十七年九月二十日に、先ほども質問が出ましたけれども、日本食品衛生協会がライポンFを推奨品として宣伝したのですね。ところが、このライポンFによって、これはもちろん牛乳と間違えて飲んだわけですが、死亡事故が起きた。これにしても厚生省から言わしめれば、それは量を間違って飲んだんだから、死んだほうが悪いんだということになるかもしれませんが、ちゃんとライポンFの宣伝にもこういうふうに書いてある。日本食品衛生協会推奨項目の中に、本品は毒性を有せず、有害な不純物を含有していない。さらにその付記には、審査にあたっては厚生省の関係官をはじめ、学界、国家機関等の権威者が審査員として厳密な審査を行なったものである。だからこの死亡被害者というのは、一応間違って飲んで嘔吐を催したけれども、これを見て、厚生省がちゃんと推薦もしているし、そのうちになおるだろうということで病院に行かずにおったところが、二時間後になくなった。 これは裁判記録にはっきり出ておる。ただ一口だけしか飲んでない。だから、むしろその意味では厚生省あたりがいままで無害無害ということで主張してきておった関係で、こういうふうなことをした関係で、むしろ厚生省と日本食品衛生協会がこの人を死に追い込んだと言っても過言でないと私は思う。そういうようなことをいままで厚生省はやってきた。 また、この業者でも有害性を知っておりながら、これを製造、販売していたという形跡があります これはもう急ぎますから、たとえばこれは某石けん会社、名前は言いません、昭和四十年に東京、大阪の消費者八百名を対象に洗剤、シャンプーに関する調査を行なっております。この調査の結果によりますと、手荒れの経験は、台所用洗剤、洗たく用洗剤、住居用洗剤の各製品ごとに三〇%から六〇%の人が手荒れの経験があるということを答えている。製品別ではライポンFはその調査事例の中で四五%、ワンダフルKが二六%、アルコLが一五%、住居用のマイペットに至っては一〇〇%の人、全員が手荒れの経験があるということを、この調査に答えておるわけです。 しかし、このような状態を知りながら某石けん会社は依然として製造を続けていた。また、厚生省はこれを知っているのかいないのか知りませんけれども、やはり厚生省のこういった合成洗剤に対する取り組み方、指導のあり方に私は問題があると思う。いままでどういうような行政指導をやってきたのか、まずお聞きしたい。
○浦田政府委員 昭和三十七年に粉ミルクと間違えてライポンFを誤飲されて死亡したという事故があったということは承知いたしておりますが、この事件につきましては、昭和四十二年六月東京地方裁判所におきまして、本件の死因は中性洗剤の誤飲によるものではないという判決が下されていると承知しております。したがいまして、この事故と推奨行為とは何ら関係はないのではないかと考える次第でございます。 なお、洗剤推奨制度につきましては、すでに厚生省からの指示によりまして、本年五月十八日、日本食品衛生協会がこれを全面的に廃止いたしております。 それから御指摘の、合成洗剤メーカーが有害性を知りながら販売を続けていたという事実でございますが、これに対しましては、私どもはその事実を承知いたしましたので、業界に対して適正濃度での使用、使用後の手入れということについて、さらにあるいはまた手袋の使用ということにつきまして表示制度を設けることになりましたので、これか徹底方を指導してきているところであります。
○小宮委員 いま局長はそう言われたけれども、この死因については監察医務院の死体検視書にはABS中毒となっておるわけです。 しかし、その問題はそれとしまして、特にいまメーカー側の姿勢について問題を感じるのは、これは御存じのように最近某合成洗剤のクリーナーによる手荒れ問題が起きたとき、この会社は一時製造を中止しましたね。そのときでさえ、この会社では、クリーナーは非常に洗浄力が強く、被害は使用量を誤ったためであり、適切な使用量を表示しなかったミスだけが企業の責任である、こういった全く反省のない企業側の態度が、いままでのような合成洗剤によるいろいろな被害を食いとめ得なかったし、また食いとめようとして努力しなかった企業側に私は大きな責任があると思う。 そのようなことに対して厚生省は、まあ先ほどの答弁がありましたから、その点はここで触れませんが、とにかくいずれにしても、いままでメーカー側は非常に無反省に、ただ売らんかな売らんかなというだけで製造販売する、それに厚生省が一役買って宣伝をする、被害は年々ふえていく、こういうような事態というものをやはり厚生行政として私は大きく反省をしてもらいたい。 それから昨年、この食品衛生法を改正され、洗剤についての項目を新たに設けられましたですね。しかし、これにしても何も目新しいものじゃないのです。これはもう各企業が自主的にやっておる問題であり、また使用基準についても、もうすでに常識化されておる問題なんです。それを麗々しく新しく基準を設けたと言っておるけれどもあれは目新しいものじゃないのです。あたりまえのことをあたりまえのこととして、ただ基準として厚生省は出しただけの話なんです。まあそれはいいです。 それでは、食品化学課にこの合成洗剤に関する専門担当官は何名いますか。——いないでしょう。
○浦田政府委員 食品化学課といたしまして、これだけを専門に扱っている、ほかの仕事は一切しないという専門担当官はおりません。
○小宮委員 おらぬですね。食品化学課の予算の中にも合成洗剤に関する予算は一文もない。間違いないですね。——これでは基準を設けてみても、予算も計上していない、専門の担当官もいない。これは食品添加物のほうが兼務でやっておるから。こういうのでは結局、基準はきめたけれども、もう何もやるな、何もしなくてもよろしいということではないですか。これでは幾らりっぱな基準をつくったといばってみても、絵にかいたもちと同じじゃないですか。そういうようなことをやるから、いつも厚生省の行政というものは、あと追い行政になる。これは答弁はいいです。ひとつ注意してもらいたい。 それからこの家庭用洗剤の八〇%、ほとんどが洗たく用ですが、この中のABSによって、先ほども質問の中に出ましたけれども、河川なり水質の汚濁が非常に広がっているわけですが、これは環境庁ですか、この汚染の状況についてひとつ説明を願いたい。
○太田説明員 いまのお話のABSによる水質汚濁の状況でございますが、実は昭和四十七年度から排出状況並びに環境に含まれますABSの状況につきまして調査を始めたばかりでございます。その結果を待ちまして、厚生省がこれから引き続いてなされますその毒性試験等の結果を待ちまして、環境基準並びに排水基準の設定、そういったことを検討してまいりたい、こういうふうに考えております。 しかし、一応玉川浄水場の取水のところのABSの含有量の数字を断片的でございますが申し上げますと、昭和三十五年時代では〇・一五ぐらいでございました。それが四十二、三年の前までは一PPMをこしております。四十六年でございますか、これが〇・五PPMという数字が出ております。これは非常に断片的でございますので、ただいま申し上げました全国の環境調査、排出状況調査、そのほうの結果を待ちまして所要の措置をとってまいりたい、かように考えております。
○小宮委員 環境庁はおそくできたのだから、これはやむを得ないとしても、厚生省はそれまで何もしていなかったということです。これは先ほども言われましたように、昭和三十七年に衆議院の科学技術振興対策特別委員会で、この合成洗剤についてはやはり問題があるということで、科学技術庁の中に特別研究班を設けて調査をやっているのです。その中でもちゃんと報告書が出ておる。だから環境庁ができるまでは、厚生省がそれを所管しておるのだから当然やらなければならない問題を、いまになって、質問をするときになったら、それは環境庁の所管でございますと逃げてみたって、環境庁はできたばかりだから、厚生省がいままでやってこなかったというのは怠慢です。 それからもう一つは、ABSの魚介類に対する影響はどうですか。これは水産庁。
○佐々木説明員 ABSのいろいろな構造によりまして若干毒性の程度は違いますが、現在までに水産関係の国及び県の試験研究機関でテストいたしましたところでは、大体コイ、ウナギ、それからヒメダカを使いました結果で、四十八時間の半数致死濃度で二〇ないし三〇PPMというような、おおむねの数値でございます。ただ、アユにつきましては、もっと影響を受けやすいのでございまして、大体四PPMくらいで四十八時間のうちに半分以内は死ぬという結果が出ております。 それからもう一点、水産庁の研究所でやりました結果で、やはりナマズを使ったものは、大体〇・五ないし一〇PPMぐらいまでの間でナマズを使いまして長い間飼育してみますと、味覚をつかさどります、いわゆる味蕾のまわりの脂肪がだんだん十分でなくなりまして、魚の機能のうちの索餌行動が非常に影響を受けてくるというような結果がいままでわかっております。
○小宮委員 地下水に対する汚染の問題はどうですか。これは環境庁。
○太田説明員 第一次的には、地下水もやはり使用されました形で表面水となってくるわけでございますから、その表面水と申しますか、その排出状況、それから環境の状況、分布状況を調べまして、それで必要があれば第二次的に地下水のほうまで究明してまいることになるかと思います。
○小宮委員 最後に、財団法人食品薬品安全センターについてちょっとお尋ねします。 このセンターは昭和四十五年の十二月の十五日に大体設立はしておりますけれども、二年半を経過してもまだ研究所の建物すら完備していないというような状況の中で、厚生省の今度の予算を見てみますと、四十八年度の予算の中から二千万円を補助するようになっていますが、こういうような、まだ何ら建物も完備していない財団法人の食品薬品安全センターに二千万円の補助をどうしてするのか、何か厚生省と特別の関係があるのか、その点いかがですか。
○浦田政府委員 財団法人食品薬品安全センターは厚生省の監督のもとに財団法人が認可されているのでございます。御指摘の二千万円の補助金ということでございますが、これは実は補助金ではございません。確かに御指摘のように昭和四十五年の十二月十五日、財団法人としての認可はなされておりますが、その後、用地獲得の問題で多少手違いがございまして、ようやく昭和四十八年に入りまして用地が確定いたしまして、近日中に研究所の建設に着手するということと相なっております。 しかしながら、研究所が完成するまでの間、やはり試験研究及び検査などの事業を行なうということが要員確保の上からいきましても必要でございますので、都内豊島区高田に研究室を設けております。近く試験研究が開始できるという運びになっておりまして、厚生省といたしましては、昭和四十八年度に同センターに対しまして二千万円を計上いたしました。これは食品の安全性の確保についての調査研究の委託費でございます。私どもは、同センターの今後の運営については、適正に行なわれるように厳正に監督指導してまいりたいと考えております。
○小宮委員 急ぎます。 この財団法人の常務理事に厚生省の前医務局長だった人がすわっておりますね。そういうような意味で、私は何か特別のつながりがあるのじゃなかろうか、そればかりではありません。このセンターの某氏はこういうことを言っているのです。土地問題のごたごたがなければ、うちが指定検査機関の第一号になっていいはずであった、こういうふうに言っておるのですが、昨年、食品衛生法の改正の際、指定検査機関制度を新しく設けられておりますが、この指定検査機関にこの財団法人を指定する考えではなかったのですか、どうですか。
○浦田政府委員 昨年、食品衛生法の一部改正法案を御審議していただいた経過で、それに関する質疑が出たわけでございますが、なおその後いろいろと食品衛生上の問題のみならず、薬品の安全性の問題等々、検査機関の拡充ということが非常に世論としてもきびしく出てまいりまして、厚生省は現在検査機関制度の画期的拡充強化ということでもって、省内にプロジェクトチームをつくりまして、真剣に取り組んでいる段階でございます。 しかしながら、全般的に国全体としてのこのような検査体制を見た場合に、単に国公立の試験研究機関をもって全部の要望をまかなうことは不可能でございます。また決して効率的でもございません。しかしながら、ただこれを無節操に無原則に民間の試験研究機関を拡張し、その試験研究機関の検査結果をもって、いろいろと法律上の要件を満たすといったようなことについては、これはできないわけでございまして、私どもは民間の試験検査機関をやはり積極的に育成すると同時に、その健全な適正な運営、試験検査結果に対する社会的な評価というものが定まるといったような方向でなければならないと考えております。 したがいまして、特に民間の研究機関について、これは適正である、いろいろとこちらの提示いたしました厳重な条件を満たしておるというふうに認めた場合には、厚生大臣がその検査機関を法律上の指定検査機関として食品衛生上のいろいろな検査をさせる、場合によってはそれを公正、妥当なものとして国としても認めていく方向へいくということで、官公立並びに民間、それらの有機的な、総合的な検査機関の健全な育成発展というものを願ってできたものでございます。
○小宮委員 私もその民間の検査機関というものができることについて、そのことにとやかく言おうと思いません。ただ、この機関ができる経緯というものが何か不明朗な点がありはせぬかという感じがするものですから……。たとえば、四十五年に厚生大臣の私的諮問機関として食品問題懇談会というものがつくられております。これの存続期間は四十五年の五月から翌四十六年六月までになっておるわけです。その間、この法人が設立されたのは昭和四十五年十二月であります。その意味で何かつながりがあるような感じがすること、また、そればかりではなくて、食品問題懇談会のメンバーが三人そのまま行って、ここの役員にすわっておるということを考えた場合、厚生省はいろいろ弁解しておりますけれども、何か不明朗な感じがする。 それから、薬事法の改正もやるんじゃないですか。そして薬事法の改正の中でも——この財団法人は食品薬品安全センターになっておるわけですから、食品のほうは食品衛生法を改正されて、いま言う指定検査機関に指定をされようとしております。また薬事法も改正して、そしてやはりこういうような指定検査機関を設けるのではないですか。そういうこともこのセンターの某氏は語っておるわけです。だから名前も食品薬品安全センターとなっておるわけです、その点、薬事法の改正もやるという腹があるのか、またその場合に、やはりその財団法人にそのことを指定するのか、その点も聞いておきたいと思います。 もう時間がございませんからやめますけれども、しかし、いずれにしても、どうもこの法人ができたいきさつから見て、くさい。それから研究所長に予定されておる人も元薬事審議会の会長がすわる予定になっておる、こういうようなことを考えると、われわれはいま答弁がいろいろ言われておりますけれども、何かくさいものを感じるのです。そういうようなものがなければ幸いですが、しかし、そういうような問題について、ひとつ大臣の所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○齋藤国務大臣 薬品、食品の安全問題がきわめて重要な問題でございます。そういうふうな考え方から、そうしたセンターを財団として設立しようということになったのでございまして、何らその関係にはやましいものもありませんし、いかがわしきものはありません。この点は、はっきり申し上げておきます。
○小宮委員 質問を終わります。
○田川委員長 以上で本案についての質疑を終局いたしました。
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時五十一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕