社会労働委員会 第38号
- 発言数
- 102 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/07/03
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
○田口委員 時間の関係で、今度の法案のうちで大体三つほどに限って質問したいと思います。 その第一点は、まず、この法案の性格について私の理解が間違いないかどうかをお聞きしたいのですけれども、一つには、工場再配置その他で住宅を建てる。言うならば、炭鉱離職者それから駐留軍離職者のように、ことばはなにですが、しりぬぐい的なものが一つと、もう一つは、定年の延長、身障者の雇用の促進、こういったことを誘導していく。ですから、この法案は二つの性格を持っているのではないか。一方では誘導的なもの、一方では、ちょっとことばは変ですけれども、しりぬぐい的なもの、こういう二つの性格を持った法案であるというふうに理解していいですか。
○道正政府委員 しりぬぐいということばがございましたけれども、第二条の五項は、現在移転就職者のための宿舎を全国各地で建てているわけでございますが、ところによりましてはあきがあるわけでございます。そういう場合に、移転就職者の需要に支障がない限り、工業再配置促進法の規定によりまして移転した従業員に貸与しようということでございますので、これをもちまして工業再配置促進法の住宅対策をやろうというようなものではございません。なぜこの程度のことを法律に掲げたのかということになりますけれども、これは事業団法の書き方が非常に限定的になっておりますので、こういう書き方をいたしませんとこの程度のこともできないという法律上の仕組みがございますので、この機会に訂正をしたわけでございまして、しりぬぐいということは考えておらないわけであります。
○田口委員 そうすると、一番初めに書かれたこの高年齢者に対する定年の延長それから身障の問題、これらはこういったことが望ましい、こういうふうにしてもらいたいという、言うならば多少の金をつける、誘導的といってもいいわけですね。
○道正政府委員 これはもう御指摘のとおりでございますので、特にお答えしなかったわけでございます。これは非常に積極的な意味を持っておるわけでございまして、工業再配置の住宅の問題だけは補完事務的な、法律的な手当てだというふうに御理解いただきたいと思います。
○田口委員 そこでお尋ねをしたいのですけれども、確かに提案理由の説明を読んだ限りでは、またいろいろとお話がありましたように、新聞なんかに載っておりますように、高年齢者の雇用の促進、定年の延長ということは、私はいまの時代で最も積極的に進めるべきだと思います。ところで、そういう積極的に進める場合に、雇用、職業ということと表裏一体の問題は賃金なんですね。この賃金体系ということが、定年制を延長する場合に切っても切れないいろいろな問題があと起きてくると私は思うのです。定年の延長と賃金体系という問題、これは私いままで経験をした狭い範囲で申し上げますと、たとえば新高校卒で、ある会社に入る、二十年、三十年、平均三十五年くらいつとめて、そこで五十五歳、五十六歳で定年でやめる。本人は働く意思があり、働く能力を持っておるにもかかわらず、五十五、六歳で定年でやめていかなければならぬ。そういったそもそもよって来たる原因を考えた場合には、これは私の立場から好ましいとはいえませんけれども、その企業の人件費総ワクを考えた場合に、日本の賃金体系は言うならば大企業を中心にして終身雇用、それから年功序列型賃金体系、こういうものを持っておりますから、言うならだんだんエスカレートして上がっていく、賃金総ワクもふえるからここでちょん切ってしまう、これが定年制だと思うのですね。ところが先回二十九日の局長の御答弁によると、定年の延長ということは即、身分も賃金も、いわゆる労働条件に変更のないことが好ましいというお答えがあったのですが、確かに好ましいことには違いありませんけれども、一方の側から見れば、だんだん賃金がエスカレートしていく、こういうことが必ずや定年延長した場合に、特に大企業を中心にして起こってくるんじゃないか。そういう点から考えると、いま私があえてお尋ねをしたこの定年延長促進というのが誘導的な、積極的な性格を持っておればおるだけ、そういう賃金体系の問題について、いまここでどういう賃金体系が望ましいかということについても、これはがちっと固まっていないにしろ、一つの方向を与えなければ、それぞれ定年延長で労使の間でまたトラブルが起こる、そう思いますので、そういったことについてまずお尋ねをしたいと思うのです。
○渡邊(健)政府委員 定年制を延長する場合に、日本の従来の年功序列賃金と密接な関係がございますことは、先生御指摘のとおりであると存じます。従来の五十五歳定年というのは、それまでの年功序列賃金と表裏一体をなした制度でございまして、五十五歳定年ということを前提にして賃金が勤続年数に従って上がる仕組みになり、そうして定年退職の際にはそのときを基礎にして退職金が支払われるという仕組みに相なっておるわけでございます。したがいまして、定年を延長する場合には、従来の年功序列賃金を延ばすとすると、当然勤続が延びるに従ってさらに賃金が上がっていく。定期昇給が続けられて上がっていく。しかしながら、その年齢以上になりますと、勤続が延びたからといって必ずしもそれに対応して労働能力がそれだけ上昇すると限らない。その辺のギャップの問題がございます。そういう中で年功序列賃金を伸ばすということになると、先生御指摘のように企業の側で申しますと、いわゆる賃金原資、賃金コストの問題とも関連してまいるわけでございます。そこにこういうふうに定年延長がスムーズにいかない問題もあると存じます。 そこで私どもは定年延長を勧奨いたしますについては、当然そういう問題があるんだということを認識いたしまして、その辺は十分に労使で調整を考えないと、かけ声だけでは定年は延びないのじゃないか、かように考えております。そこで昨年も定年延長を呼びかけるにつきましては、その辺の問題を解明いたしますために、中山伊知郎先生を会長といたします賃金研究会というのが前々から労働省にございますので、そこで昨年の秋に、定年延長に伴う賃金制度をどう考えるかということの御意見を出していただきまして、まず相当詳しいレポートをいただいたわけでございます。もちろん賃金体系の問題でございますから、労使が話し合ってその問題を処理すべきではございますが、基本的な考え方としては、日本も最近のいろいろな技術革新、労働力構成の変化等から考えて、年功序列賃金だけでなしに、仕事や能力をもっと加味した賃金制度という方向に進むべきである、しかしながら当面定年を延長するに際しては、単に従来の定年年齢すなわち五十五歳を過ぎても、勤続が延びたことのみを理由として定期昇給を必ずしも続ける必要はないのではないか、そういう考え方で労使で実情に合った賃金制度の調整を検討すべきである、大まかに申しますと、そういう考え方に立った研究報告をいただいておるところでございます。地方に定年延長を推進するように指示するに際しましても、私どもは賃金と定年との関係、これはそれぞれの企業の労働力構成、職種、仕事の内容等によっても違いますので、一律には申せませんけれども、それぞれの企業においてそれらの問題があるということを十分に労使が認識して、事前に労使でそれらの問題をどうするかということをよく話し合って、そうして話し合いによってそれらの問題を解決しつつ定年延長をはかるようにということを、地方にも労使に周知方を指示いたしておるところでございます。そういうような方向で労使が話し合う際には、先ほど申しました賃金研究会の研究報告等も労使の話し合いの一つの参考にして、合理的な解決をはかってもらいたいということを指示いたしておるところでございます。
○田口委員 確かにおっしゃるように定年と賃金体系の問題は不離一体のものというのか、理解は同じなんですが、それを労使の間で十分話し合え、企業によっていろいろ違うだろう、これも私は現実的な問題としてはそう一がいに否定いたしません。ところが、ちょっと資料が古いのですが、いまの賃金研究会の前に中央雇用対策協議会というのが、一九六五年というのですから昭和四十年です、四十年に、これは職安局と日経連、各使用者団体の合作といわれておるのですけれども、「企業における労務管理近代化の方向」ということで、たいへん抽象的な言い方ですけれども、いろいろ名目をあげながら近代的な賃金体系の導入が必要である、こういった一つのレポートをまとめておるわけですね。この近代的賃金体系の導入ということになると、それを一読した限りでは職務、職階といった賃金体系の色彩がどうも濃いように思うのです。そうなってまいりますと、いまちょっと触れられたように、ある一定の年齢にまでいったときに、それから以降は定期昇給なんか一年に一回ではなくて、一年半に一回とか二年に一回とかいうようにカーブが鈍化していく、そういうことも一つの方法だというお話があったのですが、私は今度は内部の問題、内部の問題といいますのは企業の中を考えた場合に、これはいわゆる地方自治体と大企業とでは多少色合いが違うでしょうけれども、頭がつかえるというのは若い連中に多いわけです。県庁なんかの例を見ますと、いま三重県の例といえばちょっと何ですけれども、課長、課長補佐以上は五十五歳でやめなければならない、定年制ではありませんけれども。それを一方では、五十五歳になればまだ末の子供が高等学校に行っておる、もっとおりたい。ところが、その課長補佐の下くらいの係長なり主査くらいの連中から言えば、早いところああいう人がやめていかないと、いつまでたっても係長でいなければならぬ、いつになったら課長になれるのだという、上ばかり見ておらなければならぬ。そういう気持ちが公共企業体、地方自治体、民間を問わずあるだろう。そういったところで労使の話し合いをやれということになると、私は定年制延長を否定をするのじゃありませんよ、絶対に否定はいたしませんけれども、どうしたって定年延長が五十五歳から五十七歳になった、六十歳になったとしても、ここで言っておる労働力が枯渇をしそうだ、だから高年齢者の労働力というものをもっと活用すべきだという発想のもとに定年の延長を考えられたと思うのですが、その企業にとってみれば、定年延長された一人一人、具体的なAなりBなりCなりという人が、どうもおりづらい。賃金は前と同じ、ポストがついていない。まあ毎日来て机の上に足をほうり出して新聞を読むというような、極端な一つの例ですけれども、そういうことになる。もうおりづらいからやめていこう、定年を待たずしてやめていくということが、どうしたっていまの状態の中では出てくるのです。そういう下地があるところへもってきて職務、職階というものを押しつけていけば、企業というのはシビアなものだということで、年をとったって若くたって、仕事によって賃金に差がつくのはあたりまえじゃないかということになれば、これは言わずもがなですけれども、そうはいかないと思うのです。そうなると、私はいまの日本の労働組合運動のいろいろな賃金なりそういう身分上の団体交渉で一つの目安になるものは、労働省あたりが出す、こういったものも一つの方法ではないか。これは誘導するわけじゃありませんけれども、そういったことが一つの目安となって団交が煮詰まっていく、こういう実例が多いわけですから、やはり定年延長を促進させるという誘導政策をとる以上は、相並行して賃金体系がこういうことになれば望ましいじゃないかとか、こういうことをいま出しておかないと、いたずらに定年延長を進めたけれども該当者はいづらいし、若い者は若い者でそうむげに、じゃまだからどいてくれというわけにもいかないし、そういう問題は必ずや一つ一つの場面で今後起きてくると思うのです。そういう点をいまから考えて一つの考え方、方法というものを出しておくことが必要なんじゃないか、こう思うのですが、重ねてひとつ……。
○渡邊(健)政府委員 ただいま先生御指摘になりました点は、賃金体系と同時に人事管理の問題でもあるわけでございまして、これも私ども定年制延長に当然相伴う問題だと思っております。日本では賃金が年功序列的であると同時に、いわゆる昇進等も年功的人事管理と申しまして、いわゆる先輩が順を追って管理職につくといったような、そういった年功的な人事管理が行なわれておるわけでございます。したがいまして、もし定年を急に延長いたしますと、いままでならもう退職して人事の刷新が行なわれたはずなのに、高齢者がなお上のほうのポストを占めるために人事停滞が起こる、こういう問題が現実問題として起こり得るわけでございます。そこでそういう問題につきましては私ども、やはり当然定年延長について考えるべき問題だということで、昨年、労働者生活ビジョン懇談会に定年延長の考え方とその推進について御諮問をいたしましたが、その中間報告の中では、人事管理をどうするかということについてある程度考え方が示されておるわけでございます。その考え方は、やはり人事管理についても、いままでの年功序列オンリーの人事管理ではなしに、もっと能力を加味した人事管理というものを導入すべきだ、日本は一方においてまあ中高年になった方はあまり——若いときは職業訓練その他の能力再開発で努力されますが、もう定年間近になると会社もあまり能力再開発に努力しない、御本人もあまり能力再開発を進んで受けようとされない。こういう傾向があるけれども、やはり定年を延ばすためには能力を発揮しながら最後まで就業の場で働く、こういう形になるべきなので、中高年になっても能力再開発ということを労使ともにつとめるべきだ。それから人事管理も単に年功だけではなしに、その能力に応じてその人事管理をすべきであって、たとえて言うならば、必ずしも管理職にならなくても、能力に応じて専門職制度を設けて、専門職として優遇し、専門的な知識経験を生かしてもらうといったようなやり方もあるかと思いますし、それからまた定年制は、要するに一ぺんに定年を上げますと、たとえば五年一ぺんに上げると、五年間上のポストがふさがっておって下の人がどうにもならない、こういうことになって人事停滞を招くこともあるので、二、三歳ずつ小刻みに何回かに分けてやるとか、あるいは現在五十四歳の人は五十六歳の定年、現在五十三歳の人は五十七歳の定年といったような段階的定年延長方法といったものをとれば、そう人事の大幅な停滞を招かずに定年延長を進める方法もあると思います。それらの人事管理をどうなすべきかということにつきまして、かなり具体的な考え方を示した御答申をいただいておるわけでございます。 私どもは、先ほど申しましたような賃金にいたしましても、ただいまの人事管理にいたしましても、当然定年制延長に伴うそういう年功的な日本の労働慣行、これを同時に調整していかなければ定年延長は具体的になかなか進めがたいと考えておるわけでございますが、それらの調整の考え方につきましては、ただいま申しましたように、賃金については賃金研究会のいろいろな示唆などもございますし、人事管理についてはビジョン懇談会からのそういう中間報告の示唆もございますので、これらを定年延長の促進方の通達においては、参考にするということで地方に流しまして、労使がそれらの合理的な考え方を十分参照しながら、それぞれの企業に合ったやり方で問題の処理をしつつ定年延長を進めるように、こういう指導をいたしておるところでございます。
○田口委員 私はいまそういう乏しい経験の中で申し上げたのですけれども、概していえば、定年延長をいまの労働者は望んでおる。しかし、望んでおるその中身は、ただ単に中高年齢者になったから就職の機会というものがだんだん限られてくる、働きさえすればいいんだという意味の定年の延長じゃなくて、働く意思、働く条件、体力を持っておれば、あくまでも賃金、労働条件というものは変更すべきではない、そういう気持ちが根っこにあって定年延長ということに賛成をしておるわけでありますから、やはりこれからそういったいろいろな研究会、これは労働省が実施するわけにはいかぬと思うのですが、一つの指導方法としては賃金、労働条件の変更を加えない、働く意思、働く体力がある限りは従来と同様である。そうでなければ労働力の活用ということにはならぬわけですから、そういう点で今後とも十分ひとつ配意をしていただきたい、こういう注文をつけておいて、この問題については一応一区切りをつけたいと思うのです。 なぜそういうことを言うかといいますと、二つ目の問題にも関連をするのですが、働く意思、働ける体力を持っておりながら、いままで定年退職であるとか何であるとかということでその職場からほうり出された。また、仕事につこうと思ってもなかなか就職の機会が与えられない。そういう方がいわゆる失対事業に吸収をされておるわけですね。これが四十五年、四十六年に支度金というふうなものを出して、相当数が減ってきておるということを数字の上では承知をしておるのですが、この失対事業で働いておる失対労働者といいますか、この賃金を考えた場合に、これはいままでこの委員会で何人かの方々がそれぞれ質問をしておりますから、私はあえて重複を避けます。避けますけれども、どう考えてもいまの失対賃金というものが低過ぎる。一方では中高年齢者の労働力を活用するために定年制を延長しなければならぬという一つの労働政策を打ち出しておきながら、一方ではまたそういう働く意思、働く体力を持って失対事業で働いておる労働者の賃金というものは——実は私、どろなわ的のようかもしれませんが、きのう、おととい地元に帰りまして、失対事業の現場を二、三カ所回ってみました。そこで昼休み、いろいろと話し合う機会を持ったのですが、これは労働大臣御承知だろうと思うのですが、平均して千五百円ちょっとですね、いまの賃金は。千三百三十円というのなんかもありますけれども、平均して千五百円。これは、率に直せば 一三・二%。この上げる、上げないということは前回の委員会で相当議論がありましたから私は突っ込みませんけれども、一方で春闘の賃上げ相場が二〇%近い。物価がどんどん上がっておる。こういう中で一三・二%の賃上げを予算上きめて、きめたばかりだからしょうがないじゃないかということでは、働く意思、働く体力を持っておって——それなら失対からほかへ行けばいいじゃないかといったって、人間のことですから、将棋のこまを動かすようなわけにはいかない。そうなってまいりますと、どうしてもいま働いておる失対労働者の賃金というものを、そういう技術的な問題、いろいろ制約があるにしたって、これは一三・二%、千五百十円ぐらいの賃金では食っていけぬじゃないか。こういう点について一体どういう考えを持っておるのか、あらためてもう一度大臣のほうから御見解を承りたいと思います。
○桑原政府委員 失対賃金のきめ方の問題でありますけれども、御承知のように失対法の十条の二という規定がございまして、類似の作業に従事している労働者の賃金を考慮してきめる、こうなっております。その具体的なデータは日雇い建設労働者の賃金を基礎にしてきめるわけでございます。先生御承知のように失対就労者の年齢が六十歳になっております。七十歳の方も相当数多くなっております。一割以上になっております。そうしますと、どうしても重作業とか土工とかいう方たちが非常に少なくなってまいりますので、結局そのデータをもとにして計算いたしますと千四百五十円八十四銭、こういう形になるわけであります。したがって、特に失対事業の労働者の賃金を低く押えるという気持ちはございませんでそういった法律に基づきまして、そのデータに基づいてきちっとやっておる、こういう事情でございます。
○田口委員 では、大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、変なことを言うようですが、こういうことわざがどこから出たか、御存じですか。メンタルテストみたいな言い方で失札ですが……。「日本の名物、富士に桜に煙突男」ということがかつていわれたそうですね。これはいつごろいわれて、どういう背景かということを、大臣、相当御年輩ですから御存じだろうと思うのですが、ちょっと失札な言い方ですが、お聞きをします。
○加藤国務大臣 ちょっと、いまのことわざ、わからぬのでありますが、もう少し詳しく……。意味がわかりませんので、どうぞ。
○田口委員 たいへん失礼な言い方みたいになったのですが、いまから四十年ぐらい前、景気が悪くて労働組合もあまりない。そこで賃金がどんどん下がる。物価がそのわりに下がらない。首を切られる。そういったことに抗議をして、いまならストライキでしょうけれども、そういう組織がありませんから、労働者は煙突の上にのぼってそこで籠城をして、おりてこい、おりてこないと言うけれども、要求を聞かなければおりてこぬ。そこで、じゃ、言い分を聞くから煙突からおりてくれということが、昭和五年当時随所にあったそうですね。これはきのう聞いたまだぬくぬくの話なんですが、当時そういった労働組合組織がなかったから、せっぱ詰まって煙突の上にのぼって、おれの要求を聞け、聞かなければおりてこぬぞということをやったのだと思うのですけれども、いま失対労働者の諸君が一応全日自労といったような組織を持っておりますけれども、普通の大企業なりそういったところの企業に働いて組織されている労働組合と違って、法律、予算で一三・二%ですよといって押えられておる。いま部長がおっしゃったように、たしか失対法十条の二で賃金と物価とはあまり関係がない、よく似た職種の賃金を見てきめるのだという、そういった制約のもとに、かりにストライキをやっても、他の労働組合がとり得るいろいろな行動を行使しても、いまの状態では一三・二%という予算上の制約から上に持っていくということはなかなか困難なわけですね。 それで、きのうも私、そういった職場でいろいろと話を聞かされて身につまされたのですが、人間は一カ月三十日生活しなければならぬ。ときには三十一日。ところが、失対賃金は二十二日しか支給されない。あと、ざっと十日くらいは所得なしで生活をしなければなりませんから、二十二日分の収入をずっとならしてやっている、こういうことですね。最近PCBやなんだということで魚の値段がどこもかしこも下がりました。ところが主婦の店なんかに行くと、大体午後四時から五時になれば、その下がった魚の値段がまた下がるわけですね。そういったところに、安いから行って、魚を買って食べる。そこでこういう話が出ました。命を保とうと思えば暮らしが保たぬ。高いものを食って命を長らえようと思ったら暮らしのほうがついていかない。暮らしを保とうと思えば、PCBやなんかが入っておると知りつつも安い魚を買って生活をしていかなければならない。なぜ同じ労働者でありながら失対賃金というのはそういうワクで押えてあるのか、いろいろな話を聞かされました。いま私は政府の代弁をするのじゃありませんけれども、いままで先輩の議員がいろいろと議会で質問をして、大臣なり失対部長のほうからこういう答弁があった。これを突き破っていくにはもっともっと運動しなければならぬというような話もしたのですけれども、そういう現実の中で通り一ぺんに、失対では十条の二があるから、さらにいま公定歩合を再度引き上げて景気をぐっと抑制をするような国の方針があるから、失対賃金を上げるのはたいへんむずかしいのだということをいっても、現実に毎日毎日働いて生きていく失対労働者の生活の状態を見た場合に、総予算がこうだから、国の状態がこうだからといって一三・二%というアップ率を変えないでおくというのは、これはいかにそういう厚い壁があるにしても、労働政策としてまずいのじゃないか。だからこの際、一体こういういまの物価高の中でこういった、悲惨といろ表現は私は使いたくありませんけれども、たいへんなまなましいそういう声を聞かされた以上、どうすればいまのそういう生活を若干でも緩和することができるか、言うなれば失対賃金の再改定ということにどういうふうに応じていく意思があるのか、ここのところを大臣からはっきり答えてもらいたいと思います。
○加藤国務大臣 この問題は最近失対のほうの方からもいろいろ御熱心な要請がありまして、いま田口委員のほうからのこれに対する何とか特別な配慮をしてくれぬかというお話は十分わかりますから、一三・二%のときには予算折衝のときに大蔵省と相当いろいろ折衝いたしまして、あの当時の情勢から見ると納得できたのでありますが、最近の物価の問題、いろいろな関係からしまして、いますぐにこれを補正予算を組むということもなかなか困難な状態がありますが、物価のほうは政府は鎮静をはかっておりますけけども、このことも政府委員からお話があったように、政府としては対策を講じ、また夏季の分についてはさっそく支給するようにいたしておりますが、諸般のいろいろの事情は十分、私失対の方々とも何回もお会いいたしまして、苦しい現状の点もわかりますので、いま具体的にこうするああするということは各省との協議の結果も待たなければならぬ、また生活保護者の問題とは全然関係ありませんけれどもそういう問題、いろいろな微妙な関係がありますので、御趣旨を体して、私としてできるだけ総力をあげて各省と協議いたしまして、この苦しい中からひとつ何とかこれに対するあたたかい思いやりで対処したい。ほかの大企業とか、またその他の公共企業体と違いまして、ストライキとかそういう権利もありませんし、ほんとうに現状から見ると気の毒な点がありますので、私自体といたしましても相当真剣にいろいろな点を考慮いたしておりますので、本日的確な、こうしてああするという御答弁のできないのは遺憾に思っておりますけれども、それに対する認識は私も十分あらゆる点をわかっておりまするので、何かはなはだ抽象的なお答えでありますが、これに対しては本腰で私各関係者といま取り組んでおりますので、いましばらくの推移を見て御報告ができる段階がくると思っておりますので、ここしばらくの間推移を見ていただくようにお願いいたしたいと思います。
○田口委員 いましばらく真剣に考えるという大臣のお答えなんですけれども、それはここで深追いをしてすぐに改定をしろとか、いましばらくというのはいつごろまでだということまで、私はそこまで追い詰めませんけれども、少なくともこれは今日ただいまの問題でありますから、同じ労働者でありながら、すでに四月一日から一九%、二〇%賃金が上がっておる。そうして早いところでは六月十五日にはそれを基礎にして夏期手当までもらって生活をエンジョイするということまでやっておる労働者もおるのですから、これはひとつ早急に該当の労働組合の代表とかなり真剣に話を詰めてもらって、安心して働けるような期待を持てる回答を大臣のほうで出していただきたい。 そこで、一つだけ。これは大臣の前向きの回答をいただきたいのですが、労働組合の団体交渉じゃありませんから、ここで幾ら出せという、そんな言い方もできませんけれども、前回失対部長の答弁を聞いていますと、確かに一三・二%の賃金が低い。いろいろな制約のもとで、そういったことを当面緩和をするために夏なり冬なり手当というものを賃金としてよけい出しておるじゃないかという答弁があった。大体七月の十二日にその手当が出るのでしょう。夏期手当という表現を使いますけれども、それが新聞で見ますと九・五日ですね。九・五日というと平均千五百円として一万五千円にならぬわけですね。十日として一万五千円です。ことしの夏期手当の支給月数を見ると、まあこれは大中小いろいろ差がありますが、日額になおして九・五日分なんというのはないと思う。ですから、予算の範囲内でという制約は私は十分承知をいたしますが、かりに部長がこの前答弁をしたように、そういういま低い平均失対賃金、これは理解できるけれども、これをカバーするために臨時の賃金を出しておるではないかということからさらに発展をして、この臨時の賃金が九・五日ではなくて、少なくとも区切りのよい十日とするとか十五日にするとか、団交じゃありませんからここでうんすんは私は言いませんけれども、そういった点についてそれくらいはいま、九・五日は少ない、だから〇・五ふやすとか、あと五・五ぐらいふやすとかというふうな方向での検討はできませんか。
○桑原政府委員 失対就労者につきましては、現実の賃金といたしましては、これは性格論としてはなかなか日々に働いておる方にそういったボーナス的なものがいいかどうかという基本論がございまして、四十六年度の法改正のときもいろいろ議論があったわけでございます。しかし、いろいろの経緯を経ましたけれども現実にある制度でございますから、私どもとしてはこういう制度を活用して、少しでも早くお手元に届くような形をつくるべきじゃないかということで、先回御答弁申し上げたようなことで、一三・二%アップして支給したわけです。これに並行いたしまして地方でも、単独措置ということばを使っておりますけれども、国の三倍程度のものは出ております。そういうようなものもあわせて、この機会にそういった生活の状態のために何とか切り抜けていただきたいということを就労者団体にも申し上げておるようなわけです。 これをふやしたらいいじゃないかという御意見でありますけれども、予算でかなりきちっときまっておるものですから、先ほどの賃金と同じような問題でございますので、先ほど加藤大臣が申し上げたように、今後の検討課題といたしたい、かように思います。
○田口委員 予算できまっている、きまっていると言うのですけれども、ちょっと私解せぬことが一つあるのです。いま地方のほろで云々という話がありましたけれども、いま労働省として——私はかつてそういう中に入ったことがあるのですが、たとえば国の予算できまったのは九日半だ、それじゃ足らぬから県なり市なり失対事業を実施しておる自治体に対して組合でプラスアルファを詰める、こういう交渉をやって二日なり三日なり積み上げるということを過去にいたしましたね。そういう場合に、私が過去に経験したことでは、そういう出すこと自体けしからぬじゃないかといって労働省が県なり市を押えたでしょう。 〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕 いまではそれを押えてないのですか。それは市に余力があったら、こういう事情ですからアルファとして出してもけっこうですよということですか。
○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、臨時の賃金そのものに基本問題がございますが、現実に地方でそういった慣行がございますし、いわゆる住民福祉という形で低所得者層全体に関連しながら、そういった地方公共団体で御措置いただくものについて特にこれだけではいけないというようなことは申し上げてはおりません。
○田口委員 きょうここで幾ら押し問答をやっても、さっき大臣がやや抽象的に、深刻にお答えありましたが、いまの失対賃金のアップ率では今日の経済情勢から見ても不十分である、いまどうこうするという具体的な答えはないが、関係各省とも連絡をとりながら事態の解決を早急にはかりたいということは間違いないんですね。
○加藤国務大臣 この問題は、物価と生計費とリンクしておらず、審議会で類似の労働者の賃金も考慮してきめる、こういうふうにはっきりと——本年度の一三・二%は予算できまっておりますので、理論上からいうとなかなかむずかしい点があることは、これは部長からのいまのお答えで、薄情な感じがする御答弁でありますけれども、原則はそのとおりでありますが、諸般の関係を考慮いたしまして、大臣が組合の方なり各県のいろいろな方と会ったことはあまりないそうでありますけれども、私ごく最近各失対の方々の苦情も、懇談しよく聞いておりまして、いろいろな点を考慮いたしまして、何とかこれに対する措置を検討したいという決意だけは持っております。それについてはまだここで申し上げかねる点もいろいろありますので、この点は今後の推移を見て御趣旨に沿うように大臣としては対処する決意でありますので、いま、そうしたらどうするんだ、大臣の見解と言われると、なかなか申し上げかねる点もありますので、十分考慮いたしまして、その他いろいろなことを考えまして、あたたかい気持ちでこれに対処するということだけはお答えしますが、いまいろいろな関係もありますので、ここで具体的にこうだああだということを申し上げかねる点もあることを御了承をお願いいたしたいと思います。
○田口委員 じゃそういう検討をしていただくことを期待しますが、重ねて検討するために、私は、きのう行っていろいろ聞いた数字を、実態を御参考までに申し上げたいと思います。 夫婦二人、大体奥さんが五十三くらい、それからおやじさんが六十ちょっとこしておるのですが、この夫婦二人の場合ですね。一日いま言った千五百十円でしょう。そこで、一日幾ら要るかということを聞いたんです。ちょっと時間をとって恐縮ですが、ひとつ重要な問題としてお聞きをいただきたいのです。何を食べておるというふうなことは、ここでは省略をいたします。金額だけでいいますと、食費一日——この内容を私が聞いて、はたして失対の賃金は生活できる賃金ということできめたのか、片一方の生活保護法という——どの辺に位置づけるような賃金としてきめたのか、たいへん疑問に思ったんですが、一日千二百三円要るわけですよ。食費とかたばこ、ふろ代も含めて千二百三円。食べて、それからふろへ行って、たばこもおやじさん一箱くらい吸わんならぬ。「わかば」というたばこを吸っておるそうです。それで一日千二百三円。千五百十円もらって千二百三円引けば、三百円しか残らぬわけです。そしてその現場は自分のうちから三・九キロあるんです。その市役所の例規として、四キロをこえなければマイクロバスを出さぬというんですね。三・九キロだからマイクロバスを出さない。市内のバスが片道四十円、往復八十円要る。三百円しか残らぬところへバス賃八十円引いたら二百二十円しか残らぬ。そこで、三・九キロ先の現場まで行くのに朝、いまはまだ五時に起きても明るいですけれども、往復徒歩で、自動車が渋滞したりどんどん走っておる中を、八十円を浮かすために三・九キロを歩いている。約一里ですね。そういった生活です。 それでこれは冗談みたいな話で、そこで大笑いをしたのですが、その五十幾つのおばさんが赤いもんぺをはいておるのです。おばさん、えらいはでですなと言ったら、そのおばさんが私に言うんです。私らの買う衣料は年に合わすんじゃない、金に合わして買うんだというわけですね。この意味わかるでしょう。年齢に合わして衣料を買うんじゃない、自分のふところに合わして衣料を買うというんです。だから赤かろうが白かろうが、自分のからだに合ったらそれでいいじゃないかと、冗談話であと大笑いになったんですけれども、こういう状態で、いまの大臣の言われるように、いろいろ複雑な事情があってここでは言えぬ、それも私は一歩下がって一応わかるとして、しかしこれを年末ころまでその再改定の方針を延ばすということになれば、いま失対事業で働いておるこれらの労働者の方々、何の望みがあるか。一方で定年を延長して中高年齢の労働力を大いに活用しようじゃないかという御時世であります。同じ働く意思があり、働く能力を持っておる失対事業に働いておる労働者については、生活できる賃金とは義理にもいえません。生存するぎりぎりだと思います。こういう状態にある労働者が、まだまだいま日本国内にわんさとおるんです。ここのところに目をつけていただいて、予算の制約だ、何だかんだというお役所のことですから、しちめんどうくさいことがあるでしょうけれども、この問題は一日も早く結論を出すべく、関係する労働組合の代表の方とも真剣に話し合ってもらいたい、そのことを申し上げて私は次に移りたいと思いますが、重ねて大臣から、いま私が申し上げた、きのう聞いてきた生活実態、それを改善をするために、大臣の決意を表明をしていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 いま失対の方々の血のにじむような生活、これも十分よくわかります。しかし理論上からいくと部長が言ったような関係でありますが、政治というものはいろいろの苦しい立場の方のことを考えるのは当然でありますので、よく御趣旨を体して、私として何とかこれに対する改善を、年末までというような気持ちでなく努力します。それ以上、いろいろな点がただうまくいっただけでなく、私自身も田口委員と同様、各地方の方々、組合の幹部の方ともできるだけお会いしてよく聞いておりますので、政府委員のほうからとしてはいま言ったような答弁でありますが、そのいろいろの仕組み以外にひとつ考えて対処いたしたい所存でありますので、先ほど申し上げたように、しばらく推移を見て、御趣旨に沿うような結果が出るような方向を私自体も望んでおりますので、対処いたしますことをあらためて申し上げまして、もうひとつはっきりした的確な答弁でありませんが、ごしんぼう願いたいと思います。
○田口委員 では、それは一刻も早く解決をしていただくことを要望して、最後の第三の問題に移りたいと思います。 先般のこの委員会で安定局長のほうから、身体障害者のモデル工場というお答えがあったのですが、身体障害者の雇用を促進するという面で、二、三お尋ねをしたいのです。 いまある身体障害者の雇用促進法というのは、どちらかというと、心身障害者のうちで心じゃなしに、からだのほうの障害が主ですね。たとえば不幸にして手をなくしたとか足を切断したとか、そういったからだのほうの障害者が対象だと思うのですが、私がこれから言うのは心のほうなんです。特に精神薄弱者、これは労働省と厚生省、それぞれ福祉政策でまたがってくると思いますから、そういうつもりでお答えをいただきたいのですが、割り切った言い方をすると、行政の範囲でいえば、労働市場性のある人が労働省の管轄で、労働市場性のない人は厚生省、こういうふうに分かれると思うのですけれども、市場性のあるなし、これは一がいに、IQが高いから低いから、むずかしい問題だと思うのですが、一体労働市場性のあるなしというものをどこで判定するか、その辺のところをまずちょっとお聞きをしたいのです。
○道正政府委員 御指摘のように、重度の身体障害者それから精神薄弱者の問題になりますと、厚生省と労働省と両方に区分するのが非常にむずかしい場面が多くなってくると思います。しかしながら、御質問のどこで区別するのかということになれば、私どもとしては、お医者さまの手を離れている方で労働能力が絶無である、これは労働市場性がないわけでございますけれども、労働能力というものを総合的に判定して、残存能力があればその限度において職業のごあっせんをするというのが私どもの責務と考えております。
○田口委員 市場性のあるなし、たいへんこれはむずかしいと思うのです。モデル工場の場合たいへんよい構想だと私は賛意を表するのですが、実はこれはある厚生省所管の、私の地元である三重県の樹心寮という、そういった精薄者をある一定期間収容して、そこでいろいろな訓練をやって、それで就職の能力があれば住み込みでやるとか、いろいろなところにもあっせんをしておるのですが、そこの職員と話し合った結果、こういう希望を持っておるのですね。私はそこでやっておるのを一つ持ってきたのですが、これはネジをとめるだけの簡単なものなんです。これは余談ですが、一個ネジをとめると三十銭です。これをつくって三十銭もうけるという意味でやるんじゃなくて、ある電機メーカーの下請の下請のまた下請の、そこのおやじさんが理解があるものですから、納期なんかをやかましく言わずに品物をもらってきてやらせるわけです。大体幾つぐらいできるかということを念のために聞きますと、二十四人のそういった能力を持った者で、朝から一日八時間ぶつ続けにやった場合三千から三千五百程度しかできぬというのです。三千として千円ちょっとですね。金額は問題じゃないのですけれども、そういう作業をやっておる。そこで、そこの職員なり所長が言っておるのは、施設の性格からいって一がいに言えぬのですけれども、こういうネジをとめることを一生懸命訓練をさせて眠っておる神経を呼び起こす、そこで一年なり二年なりたって当然その施設を出なければいかぬわけです。出た場合に、でき得るならばこういった電機メーカーの下請なんかで雇ってもらえれば、ああいう精神薄弱者の方にしたらスムーズに就職されるんじゃないですか。それが、出るとばたっと切れるわけですね。そういうことについて、これは厚生省の所管か労働省の所管か知りませんが、いまの樹心寮の例でいえば、厚生省の所管ですけれども、そういった方がそこを出所して、一人前といかなくともある程度社会的に自立できる、また習い覚えたそういうことがそこに生かされるというような一貫した施設というものが考えられないか、そういう点、何か構想なり例があればお答えいただきたいと思います。
○穴山政府委員 いま先生がおっしゃいました樹心寮は私どもの精薄者の更生施設でございますが、いまネジその他の職業訓練をやっているわけでございます。 それで、たとえばこういう施設を出たあとでいわゆるアフターケア的に何かをやる必要があるんじゃないかという問題と、それからさらに、出たあとでいわゆる従来身につけたものを持って就職できないかという二つの問題があると思います。それで、私どもは最近精神薄弱者の通勤寮というものをつくるようになりまして、精神薄弱者が、これは就職をした人でございますけれども、就職した人が施設を出まして職場に通う間にやはりいわゆる対人関係の問題でございますとか、非常に卑近な問題としましては職場に通う場合の電車その他の乗り方でございますとか、あるいは交通その他のいろいろなこと等を指導しませんと、一人で職場に通うことができなくなるわけでございます。したがって、退所後こういった通勤寮というようなものに入ってもらいまして、そこで日常生活を指導すると同時に、やはりそこの指導員が、職場に通う通い方、あるいはまた最初のうちは職場でも、ある程度職場に安定するようにいろいろとついて指導をするというようなことで、いわゆる職場その他の日常生活について指導するという施設をつくり始めたわけでございます。 それで、ここである程度訓練ができて一人前に職場に通うことができるようになりますと、現実の問題としましては、通勤寮を出て通勤寮のそばのアパートその他を借りて通勤を始めるというようなことをやっているわけでございます。これは施設とそれから退所しましたあとのいわゆる職場との間の一つの指導と申しますかアフターケアの問題もございますけれども、私どもとしてはできるだけ職場に就職でき、またその職場で安定できるようにということでやっているわけでございます。 ただ、その前にそもそもその職場に就職するという問題があるわけでございまして、その問題が非常にむずかしいわけでございます。それで私ども労働省その他にいろいろお願いをして、できるだけこういったような人もというようなことで考えているわけでございますけれども、現在身体障害者でもなかなかむずかしいというのが現実の姿で、まして精神薄弱者になりますと非常にまたむずかしい問題が現実にあるわけでございますけれども、少しでもそういったことができる人についてはできるだけ職場で門戸を開いてもらって、私どももいま通勤寮その他の措置でできるだけそれが通って定着できるようにという努力はするつもりでございますけれども、そういった職場開拓ということも労働省その他と一緒になりましてできるだけやらなければいけないというように考えているわけでございます。
○田口委員 通勤寮の問題に関連して、今度はモデル工場とどう結びつけるかということですが、いまもお答えがありましたように、精神薄弱者の方の特性といいますか、いろいろあるわけですね。これを調べてみますと、これも樹心寮の例で私は申し上げるのですが、就職率といいますか四七、八%ですから比較的いいほうだと思うのですが、そこに入っておる方々のいろいろな特性を数字であらわしたのがあるのです。着物を着たり脱いだりすることができる、ややできるというのを一括しますと、大体七三%ぐらいが自分で着物を着たり脱いだりできる。それから食事についても八二%ができる、ややできる。排せつについても、できる、ややできるが八割からある。稼働能力についても六九%ができる、ややできる。家事の手伝いについては四一・六%ができる、ややできる。この辺からちょっと落ちてくるのですがね。さらに問題は、ことばを通じて自分の意思を相手に伝える意思疎通というのが四〇%と落ちてくるわけです。文字とか数の理解については二割しかできない。さらに対人関係を見ますと二五・六%。この数字からいえることは、いま言った通勤寮とモデル工場と私はぴしっと結びつかしてほしいと思うのは、自分で着たり脱いだり、食べたり出したりするということはまあまあ人手をわずらわさない、ところが職場で働いておって、これは一つの例で話があったのですが、やはりのろいものですから、健常者という表現がありますが、ばかとかうすのろというふうなことを言うわけですね。 〔塩谷委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着 席〕 そうすると、かっかと頭にきて仕事をほっぽり出して帰ってしまう。そういった意味でのことばを通じての意思の疎通とか対人関係ということが、言うなれば健常者に比べて劣っておるといいますか、指数でいえば数が小さいわけですから、そういうことで、モデル工場の場合に、そこに働きにいって朝八時半から五時まで拘束をされている間は、作業指導員とかなんとかが理解をもってそうやってやる。ところがいま局長がおっしゃったように、仕事が終わって帰ってその保護者——自分のうちから通っておってもなかなか親もめんどうくさがるものですから、そういったいろいろなはけ口を聞いてやるといった対人関係の疎通されていないものを、ケースワーカーなりなんなりが聞いてやる、これがあって両々相まって、モデル工場というものも十分運営していけるんじゃないか。ですから厚生省、労働省という一つのセクションがありますけれども、ことさらに心身障害者の雇用の促進をはかるという場合に、せっかくモデル工場をつくった場合には、最近の交通事情なんかも考えて、モデル工場になるべく近いところにそういう通勤寮というのですかをつくって、そしてそこでただ寝泊まりさせるだけではなくて、そこでアフターケアを十分やっていけるような指導員、ケースワーカーも配置する、こういうことがあってこのモデル工場が成果をあげるだろうし、それを見てひとつおれのところもやろうかということにもなってくるのじゃないか。そういう点を、いま通勤寮というお話がありましたけれども、モデル工場に併設する。併設ということはぴたっとじゃないのですよ、ある程度離れている、そういうふうな一体的な計画があるのかどうか、それをひとつ双方からお聞かせいただきたい。
○道正政府委員 先生御指摘のように、この問題につきましては労働省と厚生省の緊密な連係動作が必要であろうと思います。モデル工場につきましては、これは精神薄弱者でもよろしいし重度の身体障害者でもいいわけでございますが、いずれにいたしましても、かりに精神薄弱者のモデル工場をつくる場合にいろいろ援助するわけでございますが、その援助の対象の中には先生御指摘の通勤寮よりもっと事業場の内あるいは近辺に従業員の宿舎をつくるわけで、これも援助の対象にしてまいりたいというふうに考えております。また工場内で精神薄弱者の方々のお世話をする指導員も必要でございまするし、また安定所の中におりまして、外部から工場内の関係者と協力していろいろ援助、指導申し上げることも必要かと思います。いずれにいたしましても、精神薄弱者の方々に一人でも多く社会に積極的に参加するような、生きがいを持った職場生活を送っていただくように、厚生省と十分連携を密にいたしまして対処してまいりたいというふうに考えます。
○穴山政府委員 ただいまの問題でございますが、モデル工場はそもそもそういった目的をもってつくりましたものでございますから、中ではやはりそういった心身障害者に対する態度と申しますのは非常に気をつけておられると思います。ただ一般の工場に入りましたときには、やはりいま先生がおっしゃいましたようなトラブルが起こる可能性もございますので、私どももこういった心身障害者が雇用されておりますところでは、そういうところについてできるだけそういうことのないように私どもも十分注意をしていかなければいけないというように思うわけでございます。 それから現在通勤寮は約十四くらいありまして、三百人くらい全国的には入っておるわけでございます。先ほど先生もおっしゃいましたように、モデル工場でございますとか、あるいは身障者の福祉工場、精薄の福祉工場というのが将来できたときには、やはり私どもそれと有機的な連携が保てるように考えていかなければいけないというように考えております。ただいま通勤寮では指導員とか寮母というような人がいろいろ生活の指導訓練をしているわけでございますけれども、たとえば通勤寮を卒業いたしまして近所のアパートに移るというような人も出てくるわけで、そういう人に対しては福祉事務所の福祉司でございますとか、あるいは精薄の相談員でございますとか、そういったような人が常時会っていろいろと相談事に乗るとか、あるいは悩みを聞いてあげるとかいうような、やはりきめのこまかい指導と申しますか、そういったようなことをしなければいけないというように思うわけでございまして、そういろ面で私どもも多角的にいろいろな配慮をこれからしていかなければならないというように考えておるわけでございます。
○田口委員 最後に要望してお答えをいただきたいのですが、精薄の方であっても一応働く以上賃金が問題になるわけですが、いま樹心寮の例でこれも申し上げたいのですけれども、四〇何%の就職率があってたいへん高いのですけれども、では一体どれだけ賃金をもらっているかということを調べた。そうすると、住み込みで食事つき、月三千円というところが相場ですね。少ないじゃないかという話もしたのですが、これは企業の側にも責任があると思うのですが、一方精神薄弱者の保護者、父兄にもたいへん責任がある。自分のところに置いておってはやっかい者だという考えから、幾らでもいいから引き取ってくださいといっておるのですね。金は問題じゃない、うちのやっかいにならなかったら、間に合わないでしょうがひとつおたくで使ってくれるならありがたい、そういったことを反映して、住み込みで食事つきで一日百円です。大体ああいう方はそう金を使うということもないそうですけれども。だから今後モデル工場なりいろいろな心身障害者の雇用を促進するにあたって労働省あたりに特に気をつけてもらいたいのは、それをいいことにして低賃金で搾取をするといった問題の起こらぬように、モデル工場にしても相当希望があるようですが、十分吟味をしてそういったことの起こらぬように気をつけてもらいたい、そのことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○山下(徳)委員長代理 小宮武喜君。
○小宮委員 今日における中高年齢者の雇用の状況から見てまいりますと、定年延長を促進するとともに、定年到達者の再就職をすることも非常に重要であることは言うまでもないところでありますが、しかしながら、わが国の定年制はまだまだ五十五歳定年が一般的でありまして、定年退職後の職業生活はきわめて不安定な状態にあるということであります。しかも老齢福祉年金の本格的支給開始年齢との間には大きなギャップもあり、高齢化社会を迎えて、定年後の生活不安を訴える者は毎年増加しておるというのがわが国の現状だと思いますが、定年制というものは大体どうして生まれたのか、定年制の歴史についてひとつ参考までに見解を伺いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 定年制は、調査によると、明治の末期にすでに一部存在したようでございますが、大企業を中心に広まってまいりましたのは第一次大戦後というふうに承知をいたしております。当時日本の産業は非常に発展しつつあったわけでございますが、当時は労働力の面で申しますと、不熟練労働力は非常に供給があった。熟練労働力は必ずしも十分でない。それで特に大企業におきましては、若い義務教育を卒業したくらいの労働力の中で優秀な者を採用し、訓練をして、そうして企業内で熟練労働力に養成をいたしておった。したがいまして、企業内で費用をかけて養成した労働者はできるだけ長く企業内で働いてもらいたいということで、長期勤続を勧奨する意味もございまして、生活費等も考慮していわゆる年功序列賃金ということで、長く勤続するとそれだけ昇給して賃金も上がる、こういう仕組みがだんだんにできていったわけでございます。それと同時に、それらの人が四十、五十という年齢に達してまいりますと、勤続が長くなってまいりますから賃金は相当上がってくる。しかしながら今度は年齢との関係で、長期勤続したからといって必ずしも労働力は上がってこないという問題がございます。特に当時におきましてはいわゆる筋肉労働、重労働がございました。ある程度の高年齢に達しますと、今度は肉体的に仕事の能力が賃金に伴わない状況が出てまいる、こういうこともあって、年功序列賃金と労働能力、それらの調整をはかる道として、一定の年齢に達しますと定年ということで退職させる。しかし同時に、その際には勤続年数に応じた退職金を支給して、そうして老後の生活がある程度まかなえるようにするという仕組みが出てまいった。そういう意味で、当時の不熟練労働力の過剰、熟練労働力の不足、そういう中で年功序列賃金と、それから当時の労働態様との関係における労働能力が高年齢になると賃金との間にギャップができる、それらを調整する制度として定年制というものができてきた、かような経過であると理解をいたします。
○小宮委員 いまの答弁にもありましたように、定年制というのはおもに経営者側の事情によるものであって、労働者側の労働権、生存権という立場から設けられていないということは明らかなんです。したがいまして、この問題について論議をすれば相当時間がかかりますから、それくらいにしておきますけれども、これは根本的に、定年制の問題についてはお互いに論議を深めなければならない問題が多数存在しております。 それにしても、たとえばアメリカ、ドイツ、フランス、イタリアでは六十五歳の定年制を設けているわけですが、わが国では、これは先ほどからも申しておりますように、いま一部で、大企業等においては定年延長の傾向が出てまいりましたけれども、やはり外国に比べるとまだまだ定年制が低いということははっきり言えると思うのです。その意味で、わが国におけるこの定年制が外国に比べて低いというのは、どういうような事情によるのか。たとえば、先ほどから申し上げますように、外国の経営者とわが国における経営者の間に、中高年齢者層に対する配慮の問題、労働能力の問題、いろいろな問題があると思いますが、わが国において定年制が一般的に五十五歳だ、外国ではすでに六十五歳になっておるということを考えた場合に、労働省としてはどういうふうな見解を持っておられますか。
○渡邊(健)政府委員 外国の定年制と日本の定年制はやや性格が違うのではないかと思うのです。外国の定年というのは、年金受給資格ができました労働者の方がいわゆる就労から引退するという慣行、これが定年に相当するわけでございますが、日本の場合には、就労から引退するというのではなくして、当該企業から退職する年齢が定年ということになっておるわけでございますから、定年退職された方もまた別な企業に移って就労を継続するという場合が非常にあるわけであります。そういう意味で、定年といいましても、外国の定年と日本の定年と、意味するところがかなり違うと思っております。 日本の場合には、先ほど申しましたような歴史的な経過もありまして、五十五歳という定年というのが慣行として非常に一般化しておるわけでございまして、当時、そういう慣行ができましたときには、まだ国民の平均寿命も今日よりは非常に短うございましたし、それから労働態様も、先ほど申し上げましたように重筋労働が多くて、高年齢になると従来の仕事が続けられないといったような問題もあったわけでございますが、最近におきましては、労働者の方においても寿命が当時から見るとかなり延びております。それから仕事の態様も、技術革新等によりまして、だんだん重筋労働が少なくなって、五十五歳以上の方でも就労できる仕事というものが非常にふえてきておる、そういう問題がございます。 それからまた他方におきまして、当時は社会的にいわゆる家族主義が一般化しておりまして、定年後も子供の扶養を受けるといったようなこと等によって、生活がある程度、自分の退職金と合わせてはかられるという問題もございましたけれども、近ごろはだんだん社会的に生活態様も変わりまして、核家族化といったような問題もあるわけであります。 一方において、もちろん社会保障は当時から見ると整備してまいりましたが、厚年その他の老齢年金等の支給年齢との間になおギャップがあるといったようなことから、今日では五十五歳で定年になりましても、なお生活の必要上働かなければならないという方も多くなっておるわけでございます。それから日本全体として労働力が高齢化しておる等々の面から、労働者の方の老後の福祉のためにも、それからそれらの方の労働能力の発揮、生きがいのある老後の生活というためにも、やはり五十五歳の定年は当然延長していくべきものである、かように考えておるわけでございます。
○小宮委員 確かに、定年制が設けられたというのは、労働能力の問題と関係して大体五十五歳という年齢を設けられているわけですが、しかしながら、先ほど言われましたように、昭和の十二、三年ごろと違って、そのころは人生五十年といわれていたのが、今日では人生七十年といわれるように、平均寿命も延びてきた。一方、従来の労働作業というのは力作業であったのが、技術の革新によって仕事の態様も変わってきたというようなことになってまいりましたので、当然これは定年延長という、定年制というものについての考え方も変わってこなければならないと思うのです。これは一般的な労働力の需給の問題にも関係してまいりますけれども、その意味での定年制と労働能力の関係については、どのように考えておられるのか。それと定年制について、政府の考え方はどうなのか。 それからまた、定年制について最近経営者の中にも、五十五歳の定年制については考えざるを得ないということで、漸次定年制を延ばす傾向も出てまいりましたが、それらの中で、経営者の定年制に対する動向、また政府の見解、それからまた定年制と労働能力の問題についてどのように考えられるか、ひとつ答弁を求めたい。
○渡邊(健)政府委員 定年制と能力の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、最近は日本国民全体の寿命も延びておるということ、それから労働態様のほうでも昔のような重筋作業というものがだんだん減りまして、技術革新により、高年齢者の方でも就労できるように労働態様が変わってきたこと等々から考えまして、労働能力から見て、労働者の方の労働可能年齢というものが上がってきておる、かように考えるわけでございます。それに加えまして、先ほども申しましたような社会的ないろいろの事情の変化、労働者の方がなお五十五歳後も働かなければならない必要性、それからそれらの方が労働可能年齢が延びたとすれば、その能力を発揮して、できるだけ生きがいのある生活を老後になっても続ける、そういったような労働者の福祉の関係等々から考えまして、現在の五十五歳中心の定年は延長する必要があると考えておりますが、いまなお五十五歳が一般的であるというような実情も考えまして、政府の経済社会基本計画におきましては、その計画期間内、すなわち五年以内に六十歳定年が一般化するようにつとめるということを目標にし、雇用基本計画においても同様にその計画期間内に六十歳定年が一般化するということを政府としては政策の方針として目標にいたしておるわけでございます。
○小宮委員 定年制に対する経営者側の動向……。
○渡邊(健)政府委員 申し落としまして申しわけございません。 漸次近ごろは、そういう事情、労働力の不足等もございまして、定年延長をしようという企業が出てまいっております。四十五年に調査いたしましたところでは、四十三年から四十五年までの間に企業内で定年制の延長をした企業は、調査企業の約一割あったわけでございますが、その後におきましても、特に一昨年、昨年来等から、電機産業、造船業、自動車産業等々におきまして、定年延長を実現しつつある企業もふえてまいりました。なお、かえって中小企業におきまして、技能労働力の確保等の必要から、定年を延ばしておる企業がふえておるところでございます。
○小宮委員 定年制の現状についてですが、いま、大企業、中小企業を含めて、全事業所の中で定年制を設けておる事業所は幾らあるのか、それは全事業所の何%になるのか、その数字的な説明を願いたい。
○渡邊(健)政府委員 定年制を実施いたしております企業は、調査によりますと全企業の中で七〇・九%でございます。なお、これは規模別によって違いがございまして、大体五百人以上の企業でございますと九五%以上、ほとんどが定年制を実施いたしておるわけでございますが、五百人から三百人では九三・二、三百人から百人では八一・五、百人から五十人では五九%、五十人から三十人のところでは四〇・六というように、規模が小さくなるに従ってその実施割合が逐次少なくなっておるのが実情でございます。
○小宮委員 今度は具体的な内容ですが、五十五歳定年制を実施しておる企業はどれくらいで、五十五歳以上の定年制を実施しておる企業はどれくらいになりますか。
○渡邊(健)政府委員 定年の内容につきましては企業によりまして若干は、一律でない、職種だとか何かによって定年を変えておるところがございますので、それはちょっと統計になりにくいので、それを除きまして、一律定年制を採用しておる事業場、これは大体定年制実施事業場の七二%、大部分でございますので、それについて申しますと、一律定年制を採用しておる事業場のうち、五十五歳を定年といたしておりますものは五八%でございます。そのほか、五十五歳から五十七歳を定年としているものが一四%ございますので、五十五ないし五十七歳定年制を合わせますと七一・五%、約七二%に相なるわけでございます。なお中小企業では、先ほども申しましたように最近六十歳を定年とするものがかなりふえておりまして、六十歳以上定年の——六十も含めてでございますが、事業場の割合は二三・一%ということになります。
○小宮委員 中小企業の場合、六十歳定年を設けているというのは、これは若年労働者がなかなか集まらぬから六十歳定年を設けているわけです。だから、少なくとも定年制を見ただけで定年制の問題が普及したということに考えることは、私は早計だと思うのですよ。そういった意味で、定年制がどうなっていくかということは労働力の需給問題に非常に関係があると思うのです。したがいまして、最近におけるわが国の労働力の需給状況はどうなっておるか、その点についてひとつ説明を願いたい。
○道正政府委員 全般的には不足基調が強まっております。しかしながらこれを年齢別に見ますならば、かなりのばらつきがございます。大局的にいいまして、四十代までは求職倍率は一以下あるいは一・二程度でございますが、これが五十一をこえますと三・七倍というふうに、五十を境にいたしまして非常に高まってまいるわけでございます。地域によりましてもかなりのばらつきがございますけれども、数字を申し上げればそういう状況でございます。
○小宮委員 定年退職者でどうしても働かなければやはり生活がやっていけないということで、再就職を希望する人がかなりいるわけですけれども、そういうような再就職を希望する人は、定年退職者の中で何%ぐらいになるのか、そしてその希望者の中で何%ぐらいが再就職ができておるのか、その点いかがですか。それとあわせて、定年退職者の就業状況はどうなっておるのか、その点いかがですか。
○桑原政府委員 定年退職者の再就職状況についてお答え申し上げます。 昭和四十五年に行ないました定年退職者の状況調査によりますと、定年退職者のうち七四・八%が雇用者として就業いたしております。一二・一%が自営業に従事されておりまして、一三・一%の方が無職、こういうことになっております。無職の方のうち七八・一%の方がやはり就業を希望しておられます。そういう状況でございます。
○小宮委員 今後毎年、定年退職される方々は何名出てくるのか。また、中高年齢者に対する経営者側の求人動向というものはどうなるのか。片一方では定年退職でやめていく。それに対して、経営者側のこの定年到達者に対する求人状況はどうなっていくのか、その点いかがですか。
○桑原政府委員 定年到達者の今後の見通しというのは非常にむずかしいと思われます。定年延長その他、非常に最近動いております。ただ、私どもの最近の調査によりますと、定年退職者の数は毎年大体十二万六千人程度ではないか、こういうふうに見ております。今後労働人口が高齢化いたしますので、これがふえていくのではないか、こういうようなことでございます。 なお、五十五歳以上の高齢者に対する求人の状況でございますけれども、現段階では大体一人の求人に十人ぐらいの方が希望を持っておられるというような倍率でございます。
○小宮委員 その意味では、定年制の問題は本来労使の間で解決する問題ではありますが、やはり国としても、労使の問題ではありますけれども、お互いの労使の自主的解決を尊重しながらも、積極的に定年延長についての援助を指導すべきだと思うのですが、やはり大幅定年延長について現在障害となっておる問題点、そのような問題を解決しなければなかなか大幅定年延長はむずかしいだろうと思う。そういうような大幅定年延長を実現するためにはどのような問題を解決したらいい、解決すべきだというように考えておられるのか、その点いかがですか。
○渡邊(健)政府委員 私どもが事業所について調査をいたしましたところによりましても、定年延長をなかなかやりにくい原因としてあげられておるものが、賃金原資が増加する、あるいは人事が停滞する、労働の質が低下するといったようなことを企業側ではあげておるわけでございます。これから考えまして、やはり賃金原資の増加ということは、日本の年功序列の賃金制度、それからそれに基づく勤続年数に応じた退職金制度、こういうものが定年延長と非常に関係いたしまして、定年延長の場合に問題になるのではないか。それから人事が停滞するという点につきましても、日本の場合は賃金だけではなしに人事もいわゆる年功序列的な人事がとられている。したがって定年延長すると人事が停滞し、若い人の労働意欲等に関係するといったような問題。それから労働の質が低下するという点につきましては、やはり高年齢者であるためになかなか労働能力の増進が困難な場合がある。特に技術革新で新しい技術が導入されるような場合には、若い人よりも適応力上の問題があるといったような点が問題点であると思います。私ども、年功序列賃金につきましては、これは定年延長については当然に考えなければならない問題で、それなくしては、かけ声だけかけても定年延長はなかなか実現困難だ、かように考えておるところでございまして、その意味で、定年延長を民間に呼びかけるにつきまして、年功序列賃金と定年延長の関係をどう考えたらいいかということで、中山伊知郎先生を会長といたします賃金研究会に御意見を求めまして、昨年の暮れに同研究会から御報告をいただいたわけでございます。詳細なものでございますが、要旨は、日本の賃金制度は年功序列制だけではなしに、基本的には仕事や能力に応じた要素というものも今後強めていくべきだ。しかし、そういう基本的な問題には時間がかかろうから、さしあたり定年延長を進めるについては、従来の五十五歳定年をこえてまで勤続が延びたという理由だけで定期昇給を続けるというやり方についてはこの際検討することが適当だといった内容でございます。 退職金につきましても同様その賃金研究会から、勤続が長くなると累進的にふえる仕組みになっている退職金制度については、定年を延長した場合に従来の定年年齢をこえてまで累進的に増加させるかどうか、この辺は再検討することが適当だという方向の御報告をいただいておるところでございます。 それからまた、年功序列人事管理制度につきましても、定年延長についての御意見をお出しいただきました労働者生活ビジョン懇談会の報告におきまして、これからは人事管理も年功序列だけではなしにもつと能力を加味した方向に進めるべきである。そのためには、一方において中高年の人に対しても、会社の労働者自身も能力再開発ということにもっともっと力を入れるべきであるし、それから企業の人事管理においても能力を重視した人事管理をし、中高年あるいは定年を延ばした方についてもそれぞれの能力に応じた活用方法を考えて、必ずしも管理職ばかりにしなくても専門を生かして専門職にするとかあるいは後進の指導、こういう方面の指導を担当させるとか、そういった能力を生かした人事管理を導入すべきだ。 それから、定年を延長する場合にも、一挙にやると場合によっては、労働力構成によっては人事停滞ということがあるので、数年ずつの定年延長を何回かに分けてやる、あるいは年齢別に定年延長年齢をきめて、たとえば現在五十四歳の人は五十六歳、五十三歳の人は五十七歳定年というような形で段階的な定年延長をやれば、急激な人事停滞を招かなくて済むのではないか等々の相当懇切丁寧な改善方法についての御指示もいただいておるわけでございます。 そこで、私どもは企業に定年延長をすすめるについては、これら賃金研究会あるいは労働者生活ビジョン懇談会の御報告等を参考に供しまして、それらを参考としつつ労使が企業の実情に合ったやり方で問題の解決を自主的に話し合いによって処理していただくようおすすめをしておるところでございます。 〔山下(徳)委員長代理退席、橋本(龍)委員長 代理着席〕
○小宮委員 労働省の考え方は、やはりほんとうに労働者の生活権というものを考えてやってもらわなければ、いまのような話は企業側の考え方であって、企業側の立場に立って定年延長をやろうとしているように見受けられて非常に残念ですけれども、われわれが定年制というものを考える場合には、企業サイドのものの考え方、企業サイドの都合だけではなくて、あくまでも労働者としての生活権というものを考えてこの定年制の問題は取り組まなければならぬと私は考えております。 それにしても今度労働省は定年延長を促進するために、定年延長を実施した中小企業に対して定年延長奨励金を支給するようにしておりますけれども、これぐらいの対策でこの定年延長は推進されると考えておられるのかどうか、その点はいかがですか。
○桑原政府委員 定年延長の問題は、先ほど基準局長がお答え申し上げましたように、いろいろな問題がからんでおります。したがって、私どもといたしましては組織をあげて、労使と十分御相談しながら適切な御指導を申し上げていきたい。したがって、その場合のいろいろな資料提供あるいはモデル例の提供等をやっていきたいと思います。したがいまして、この中小企業に出します定年延長奨励金も一つの援助策でございまして、そういうものを総合してやっていきたい、こういうふうに考えております。
○小宮委員 この定年延長奨励金、これは定年延長を行なったことに対する報酬としてやるのか、非常にこの趣旨があいまいであります。したがって、その点明確にしてもらいたいということと、それからこの二万五千円という延長奨励金は大体どういうような根拠で二万五千円と算出したのか、それがどうも不明でございますから、その点明らかにしてもらいたい。
○桑原政府委員 定年延長いたします場合に問題になりますのは、やはりいろいろ高齢者の能力と仕事の関係が出てまいります。やはり一番ポイントになりますのは、いろいろな訓練とか研修をやって、その方がほんとうに企業に喜ばれて定年が延びていくということがやはり必要ではないかと思います。そういった意味で、積極的にそういった定年延長の受けとめ方に対する援助策、こういうことでございます。そういたしますと、私ども前例を持っておりますのは、高齢者が再就職します場合に、企業に職場適応訓練というような制度を持っておりますが、三カ月程度企業にお預けして職場適応訓練をします場合に、大体その経費が二万五千円でございますので、そういうものを参考にいたしたのであります。
○小宮委員 この定年延長を実現したり、また退職者の再就職を促進するためにも、やはり中高年齢者の働く場を確保しなければ定年延長も再就職も非常に困難だと思います。その意味では私は、政府が中高年齢者の能力に適合した職業の調査研究をひとつ行なって、そして中高年齢者を適した職場に就職させるような施策をやはり講じなければならないのではないかというふうに考えます。したがって、このような中高年齢者をただ再就職させるのだ、また定年延長をするのだといってみても、やはり先ほど申し上げました労働能力の問題とも関連して、そういうような人たちが働く場を政府としてもやはり考え、またそういった中高年齢者がどのような職種に適しておるのかということもやはり調査研究を行うべきであるというふうに私は考えますが、その点いかがですか。
○道正政府委員 全く御指摘のとおりでございます。高年齢者が一般に就職が困難である原因の一つは、高年齢者の能力、経験を生かし得るような職種が十分に開発されていないということでございます。したがいまして、高年齢者の雇用促進をはかるためには定年延長の措置とあわせまして、高齢者向きの職種の調査研究あるいはこれらの職種への雇用の勧奨を行なう必要がございます。このために労働省では雇用促進事業団に職業研究所というのをすでに設置いたしております。そこにおきましては、高年齢者の適職や能力に関する調査研究をすでに実施し、レポートも出しております。また、これらの研究成果をもとにいたしまして、中高年齢者に適合する職種を選定いたしまして、このような職種につきましては一定率の雇用を事業主に勧奨することを行なっております。今後ともこういう高齢者向きの職種の研究、さらにそれを生かしての、それに基づいての積極的な高年齢者の雇用促進に努力をしてまいる考えでございます。
○小宮委員 そのためにも、中高年齢者というのは、やはり若年者に比べて、新しい仕事への対応性が乏しいということと、特に居住地区から離れて再就職するということは非常に困難な問題でありますから、やはり中高年齢者の一人一人に対して、きめのこまかい配慮が必要だと私は思うのです。そのためには中高年齢者に対する職業紹介体制の充実強化ということについても、ひとつ考えていただきたいと思うのですが、その点いかがですか。
○加藤国務大臣 この問題は、定年延長をすれば高年齢者の雇用関係はうまくいく、これだけではどうしても足らぬと私は思います。最近の国内の労働力の需給関係、先般も行管から勧告が出まして、全国の職安課長を招致いたしまして、私が一時間以上も、平たく言うと説教したのでありますが、今後の労働省の職安は、若年者の関係はもう順調に行くのだから、今後職安関係の第一線のやり方を、役人式をひとつ変えてくれ、かようなことを申すと、役人式というのは悪いことばであるが、やはり高年齢者はいままでも体験ができておるのでありますから、一人一人の能力、一人一人のいままでの経験、こういうのをよく勘案して、ただ一律に役所式でやられたのではうまくいかぬと私は思います。そういう意味で、職安の方も努力はいたしておろうけれども、端的に言うと努力が足らぬ、今後は最高責任者も第一線に立って、今後は中高年齢者の雇用対策が労働者の職業紹介のもとになる。いままでのようなやり方では困る。どちらかといえば、このごろは若年者のほうは就職の機会がふえているので、今後はこの中高年齢者の問題に力を入れよ、いまのように雇用促進事業団には研究調査機関もできたというけれども、私はそれだけでは納得しておらぬのであります。やはり本省の頭の切りかえ、地方の頭の切りかえ、そしてきめこまかいいろいろの住宅問題その他、結局事業主に対して、ひとつ責任者が行って、いろいろ相談して、頼んで、全体が若年者よりはこの問題に集中せい、理論からいくと、大事だと思いつつも、そのほうが手抜かりでありますので、今後労働省の雇用対策はこの方面、人数は少ないけれども、やはり身体障害者の問題、これにも重点を置け、ほかのほうはスムーズにいくから、こう言って、何というかお説教というか訓辞を与えたのでありますが、役所の話を聞くと、人材銀行だとかまたは中高年齢者の相談コーナーをつくっておるとか、これは理屈だけで、話だけで、私はこれではいかぬと思います。そういう意味で先般も、この間の御質問にも答えたが、大臣があまり行ったことがないのでありまして、これは国会が済みましたら、全国できるだけ歩いて、叱吃激励いたしまして、高年齢者に対するあらゆるきめこまかいことをやってまいりたい。これは好むべき状態でありますが、どうもこのごろ、これは原因はどこにあるかわかっておるのでありますが、やはり若年者がなかなか採りにくいというので、高年齢者に対して、労働者のほうの立場に立って、企業家もそれに適応したようなやり方が、全国で最近は、ここほんとうの最近の状態でありますが、適応したような工場の形態、高年齢者に対して適応した、御婦人に適応した工場のやり方が、だいぶ開発されました。これは事業主のほうも認識してきたのでありますが、やはりかようなことも労働省が中心となって、事業者の意見も聞いたり労働者の意見も聞いたりして、今後高年齢者に対する対策を、私は、ただ調査機関を設けたというようなことではなく、抜本的に、今後末端の機関その他を動員いたしまして、大臣としてはかたい決意でやる所存であります。
○小宮委員 職業紹介のあり方について、私がたびたび苦情を聞くのは、やはり定年到達者の人たちは、再就職するにあたっても自分の技術を生かせる場、それでなくてもそれに類似する場を求めているわけです。ところが職業紹介のあり方では、結局畑違いの仕事に紹介して、ここに行きなさい、それで、もし行かなければ失業保険の給付を差しとめるぞというような、そういうことを言っておる安定所の人もおるようですが、こういうようなことは、やはり職業の選択の自由からいっても、あまりそういうような畑違いの仕事に行きなさい、行かなければ失業保険金の給付を差しとめるぞというようなことをほのめかすようなやり方は、私は行き過ぎじゃないかというふうに考えます。これは私はときどき聞いておるのです。そこらの点について、これは行き過ぎとお考えですか。
○加藤国務大臣 そのとおりでありまして、これは私どうも言いにくいのでありますが、お役所の人はどうしてもお役所式という考え方がありまして、さようないろいろな弊害の話も聞きますししますので、私が先ほど申し上げましたように、いままでのやり方を変えて高年者の立場に立って、あたたかい気持ちであるように、根本的に頭の切りかえをしてくれ、テープに取っておりますけれども、ちょっと言い過ぎたのでありますが、これは言い過ぎでありません。今後は日本の雇用関係、また、職業紹介とかいろいろ末端の職安関係、本省の頭の切りかえをせねばいかぬと思います。やはり役所全体が、これはもう行政の根本でありますから、いろいろな福祉対策もこのごろ始まってまいりまして、福祉対策もやらなくちゃならぬけれども、やはり本来の労働行政としましては、この問題に集中しなくてはならぬ、こういう意味で、いま言ったように五十歳、六十歳になってくると型ができておりますから、それで無理やりに、一律にコンピューターでやる式のことでは、それはなかなかいきません。そういう意味で、やることはいままでの頭の切りかえをしてもらって、懇切に個人個人のことを聞いて、それに合うようなことをやることが、これが老人の雇用対策の根本だ、いまの頭を切りかえてくれ、それでなかったら皆さんの仕事は無意味だぞ、こういうきついことを言いましたので、御指摘の点は、これはいいことではありません。やはり役所式というのは、どうしても権限を持っているほうを強調して事務を処理する、これではいけません。そういう意味で今後はさような方面に切りかえるように最大の努力をいたしますととをここでお誓いいたします。
○小宮委員 大臣は答弁が長いので、私の質問時間がだんだん迫ってきますから、私の指名したときだけ大臣は答えてください。 今回法改正を行なって、心身障害者の雇用機会の拡大をはかるために、モデル工場に対する特別融資制度を創設したほか、税制上の優遇措置も来年度から講じられることになりましたが、このような措置のほかにぜひとも必要なのは、やはり国民一般、特に事業主の心身障害者に対する理解と協力がなければ、私としてはなかなかその効果はあがらないと思います。そのためにいま政府としてどのような対策を講じておるのか、その点ひとつ御答弁願いたい。
○道正政府委員 御指摘のとおりでございまして、国民一般なかんずく事業主の方々の御理解と協力がなければ心身障害者の雇用促進が十全を期しがたいというのは、もう御指摘のとおりでございます。そういう意味では、全国的に国民運動を展開する必要がある。従来とも毎年九月を心身障害者雇用促進月間として、心身障害者の雇用優良事業所に対する表彰であるとかポスターの作成、配布、セミナーの実施等々、かなり幅広い運動を行なってきております。特に心身障害者を多数雇用されている事業主の方々が集まって、それぞれ情報の交換をするというのは非常に現実的に効果をあげておりますので、そういうことも今後拡充してまいりたいと思っております。各地に、事業主をもって構成する雇用促進協会というのもすでに十県近くできております。こういうことも今後は県と協力いたしまして、全国一律に各県漏れなく雇用促進協会を設立いたしまして、相互に情報の交換、知識、意見の交換をしていただく。それが波及効果をもたらしまして全国的に雇用促進の機運の醸成されますように努力をしてまいりたいと思っております。
○小宮委員 現在心身障害者の中で雇用可能な人がどのくらいいて、現在そういうような人の中で雇用されていない人はどのくらいおりますか。それと、いま申し上げました特別融資制度とかまた税制上の優遇措置はモデル工場のみに適用されるのか。これまで心身障害者に深い理解を示して、現在でも採用しておる企業があるわけです。そういうような既存の企業にも適用されるのか、その点ひとつ明らかにしてもらいたい。
○道正政府委員 四十七年三月末現在におきましては、十八歳以上の心身障害者の方は百七十二万人おられます。そのうち就業者が七十九万、未就業者は九十二万でございます。そのうち現在就職を希望されておる方は九万五千人でございます。私ども心身障害者対策を重点的に行政の目玉として推進いたしておりますので、四十七年の八月から心身障害者の雇用促進倍増計画というものを定め、すでに地方にも指示しております。 それから税制上の特別措置は、モデル工場とオーバーラップする場合もあります。要するに、モデル工場につきましては税制上の恩典もいきますが、モデル工場でなくても税制上の優遇措置は講じるように一応切り離して、一般的に心身障害者を多数雇用されておる方々に対しまして、税制上の優遇措置が及ぶようにいたしております。
○小宮委員 このモデル工場に対する融資が長期低利の融資であっても、この心身障害者を五〇%以上かかえて事業を経営するということは非常に容易なことでないと思うのです。これは私が現に今度の日曜日に調べてきたところによっても、そこもかなり心身障害者を採用したわけですが、やはりどうしても大きな赤字が出たということで、二名は配置転換といいますか、ほかのほうにやはり移っていただいた、ほかの事業所に移っていただいたということもじかに聞いてきたわけですが、何といってもやはりそういうようなモデル工場にしても既存の工場にしても、やはり一般民間の場合は仕事を、仕事量を確保しなければ、これは心身障害者を採用しようにも採用できないわけですから、そのためにも仕事量を確保するという意味において、一般の民間企業の場合は競争入札なんです。そういう点も生産性の高い人たちがおらなければどうしても競争入札の場合に受注をとることができないということで、仕事が減少してきた、そのために赤字をかかえたというような現状が現在私も聞いてきたわけですが、したがってやはり国がモデル工場をつくって長期の融資をし、またそういうような税制上の措置をするというならば、それだけでは不十分だ。したがってその企業が仕事量を確保するためにはどうするのかということをまず考えなければ、これは全くかけ声だけで、ナンセンスだと私は思うのです。その意味で、たとえば一つの考え方として、官公需の仕事は優先的にそういったモデル工場にやるとか、また身体障害者を一定率以上採用している既存の企業に対しても、官公需の仕事を優先的に発注するとか、そういうようなことを考えなければ、私はただかけ声だけに終わってしまうということを懸念しますので、その点に対しての労働省の考えはどうですか。これはひとつ大臣からお聞きします。
○加藤国務大臣 お説ごもっともで、いいアイデアでありますので、官公需に対する発注の問題は積極的に確保をはかるように関係各省に連絡いたしまして、閣議などでも発言いたしましてその方針にすることは私は当然と思います。
○小宮委員 それと同時に、先ほど申し上げましたこの融資の金利がいままでは六・二%ですね。それでたとえば建物の場合それから設備の場合、いろいろ五年とか十五年になっていますね。こういうような金利の問題、それで返還条件の問題も考えてやらなければ、私は非常にむずかしいと思うのです。だから今度のモデル工場に対するそういうような金利、融資の制度は幾らになっておるかということと、既存の心身障害者を採用しておる企業に対してもモデル工場と同様な措置を講ずべきだ。まずやはり金利は絶対下げるべきだというふうに考えますが、どうでしょうか。
○道正政府委員 御指摘のとおり、モデル工場に対する融資の利率、これはなるべく低利であることが望ましいと存じます。最初の試みでございますので、四・六%という、一般に比べますればかなりの低利になっておりますけれども、これで十分とは私ども思っておりません。したがいまして、今後さらにこれを引き下げるように努力をしてまいりたいというふうに存じます。
○小宮委員 最後に一つ。特にこの心身障害者の雇用促進をはかるためには、労働省、厚生省それから文部省あたりの関係出先機関がやはり緊密な連携をとりながらきめのこまかい指導が必要だと思うのですが、そのためにはやはり地域の身障者の一人一人の社会復帰の希望といいますか、そういうような社会復帰の計画を立てて、その計画に基づいて労働省、厚生省、文部省あたりが連携をとりながらやらなければ、ほんとうに効果はあがらぬのではないかということを考えますが、その点についての御答弁と、もう一つ、最後に私提言したいのは、心身障害者の雇用促進について、政府自身が、民間に、こういうようなモデル工場をつくるから、長期低利の融資もするぞ、その税制上の優遇措置もしますよ、だからどんどん心身障害者を雇ってくださいということを言う前に、官庁、特に国とか県、地方自治体というようなところが、民間にやらせる前に、率先してみずからが範をたれて、そして、労働省あたりは心身障害者の人も何人か使っておられるようですけれども、各省にも呼びかけて、人に使えと言う前に、まずみずから、国なり県なり各市町村なり、そういうような地方自治体において、もっともっと心身障害者の人たちの雇用を増大させるような努力をすべきであり、ぜひそういうようなことをしていただきたいということを申し上げたいのですが、これは最後に大臣の所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○道正政府委員 前段の御質問に対して、私からお答えいたします。 現在、第一線におきましては、心身障害者の社会復帰を促進するために、公共職業安定所、福祉事務所等が共同して、各種の施設に対する巡回相談あるいは事業所の見学等を行なっております。 ただいま学校も入れろ、こういうお話がございましたが、そういう点も含めまして、今後とも連携を密にとってまいりたいと思います。 なお中央におきましても、昨年の十二月に、中央心身障害者対策協議会というのがありますが、そこから報告が出ております。中央心身障害者対策協議会そのものが各省の連携機関でございますけれども、そういう機関の活動をさらに活発にすると同時に、労働省、厚生省あるいは文部省が協議を重ねまして、関係機関間の連絡が密でないために心身障害者の行政から取り残されるというような方が出ないように、今後とも各省間の連携動作は密にしてまいりたいと存じます。
○加藤国務大臣 民間に比べて国なり地方公共団体が率先して雇用すること、これはもう当然であります。率は一・六とか一・七、民間よりは高くは出ておりますが、これを励行するように、適宜な措置をさっそく各方面に連絡いたしますし、また通達も出しまして、御趣旨の線に沿うように必ずいたします。
○小宮委員 質問を終わります。
○橋本(龍)委員長代理 田邊誠君。
○田邊委員 もう各委員から非常にこまかい質問がありましたので、一言、二言だけ質問をさせていただきます。 大臣、国の雇用政策の基本というのは一体何でしょうか。いまの自由社会といわれる中で、雇用に対して国がとれる部分というのはある種の限定があると思うのですけれども、しかし、それはそれとして、やはり労働力を確保し、そして産業を伸展させる上からいって、雇用問題は非常に重要なものでありますが、私は、第一には、現在の雇用の状態というのがどういうものであるか、需給関係はどうなっているかということの情勢を的確に把握することがやはり必要だろうと思うのですね。それから第二には、現在の雇用情勢の中で特徴的にとらえなければならない部面は一体何があるか。たとえば、業種別に見てどういうところにウエートがあるか。中高年齢の問題が盛んにいわれておりますが、そういった年齢差からくる問題についてどう見るのか、あるいは地域差の問題がもちろんありますが、これに対してどう見るのか、そういういわば一つの要素について国がどう対応するのか、これが第二番目。第三番目には、将来のあるべき雇用の姿というのは一体どうなのか。ここで、さっきからいろいろ論議をされてまいりました定年延長の問題が出ておりますし、それから完全雇用という問題を量質ともに言わなければならぬということがあろうと思うのですね。この将来のあるべき雇用の問題。それから第四番目には、予測せざるといいましょうか、あるいは国の施策等によってこの雇用情勢が大きく変動を受ける、こういうことに対応して当然国がある種の対応策をとらなければならぬということがあろうと思うのですが、いままでやってまいりました国の雇用政策というものは、いま私が大きく四つばかり申し上げました中の一体どこに重点を置いてやってこられたのか、それでいかなる実効をあげてこられたのかということについて、大臣の率直な感想でいいですから、一言お伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 雇用対策基本計画は閣議でも決定いたしておりますが、ゆとりのある充実した職業生活を目ざして、政府としては完全雇用の実現、また雇用需給関係をよく確保して、労働者が明るくそして朗らかに、安心して生活ができるような方針で雇用対策を固めるのが、基本方針であります。
○田邊委員 大臣のいまのお話は基本的な姿勢の問題でしょうが、私は、国の雇用対策というものが非常に立ちおくれておる、というよりも、一体雇用政策というものがほんとうにあったのかということを実は疑わざるを得ないのです。 それで、この雇用対策法に基づいて国は、いま大臣のお話がありました雇用対策基本計画というものをお立てになるということになっておるわけです。第一次から第二次の雇用対策基本計画がつくられたというわけでありますけれども、私も実は非常に勉強不足でありまして、この基本計画というものが一体あったのかというように思いまして、この法案の改正が出ました際に、四十二年以降の第一次五カ年計画、それから今回の改正案の基調をなすところの第二次の基本計画、これを読ませていただいたのであります。多くは作文に終わっておりますが、大臣、あなたはこの第二次の基本計画についての考え方についてお述べになっていらっしゃいますけれども、この基本計画の意味するものは一体何なんでしょう。そしてこの基本計画がつくられたことによる効果、さっき職安局長は波及効果なんということばを使われましたけれども、一体この効力はどんなものがあるんでしょう。私はその中でこの基本計画をつくられ、雇対法があり、国が雇用政策を推進しておるけれども、それには幾つかの要素があると思うのです。さっき申し上げたようにすべて国がこれにかかわりあるということにはならぬわけですが、一つには国が指導できる部面があると思うのです。いろいろな雇用上のバランスがとれていない、あるいは不安定雇用というものを安定化させていくということですね。いわば国がこれでどういう面で指導助言ができるのか。それからもう一つは、国が直接介入するという、勧告をしたりするというような部面、たとえば擬装解雇をすれば、そういうものに対してはこれもやっちゃならぬぞといって国がそれに対して差しとめる、それからまた国が雇用に対しての一つの規制といいましょうか、あるいは一つの義務を課するといいましょうか、みだりに解雇したりなんかする部面についてはいままで届け出制等が消極的にあったわけですけれども、そういった部面、こういったものに対してこの基本計画なり雇用対策法というものがどういうような効果を現実にあらわしているのかということに対してはいかがですか。
○道正政府委員 この春、第二次の基本計画をきめたわけでございますが、第一次の基本計画におきましてはいわば量的な完全雇用の達成を目ざす、そのための雇用の見通しであるとか、あるいは労使に対する呼びかけ、国として行なうべき施策、これについて政府内部の思想統一をはかり、労使にも呼びかけるという性格のものでございました。 量的な完全雇用、これはいろいろ評価は分かれるところではございますけれども、概括的に申しまして一応量的な面での完全雇用というのは達成されつつある。しかしながら、先ほど来御指摘のように年齢によって、あるいは地域によって、あるいは産業によりましていろいろ問題がなおあることも御指摘のとおりでございます。 それから、一応就職はしておっても、個々の労働者から見まして、ほんとうに働きがいのある、生きがいを持った職業生活が送られているかどうかという見地、いわば質的な面から考えますならば、必ずしもいまだ十分でない。量質あわせ備えた完全雇用に向かって大きく前進をはかると同時に、第一次の計画で残された各種の問題、これについてきめこまかく配慮して解決に努力するという趣旨で第二次基本計画が定められたというふうに申し上げられると思います。
○田邊委員 答弁は全く私の質問とは的はずれの、すれ違いの答弁ですけれども、私の言ったことの意味がわかればそれでよろしゅうございます。 そこで、雇用対策基本計画というけれども、実際には基本計画になっていない。一体第一次から第二次に至るところのこの五カ年間に、この基本計画に基づいて具体的にどういう施策がはかられて、それがどのように雇用面に好影響を及ぼしたかということの面から見れば、これは私は全く絵にかいたもちであると思うのです。ですから、言うなれば、雇用対策基本計画といっているけれども、これは一つの雇用に対する白書といいますか、そういう面が非常に重要だと思うのです。さっき私四つばかりの要素を申し上げたけれども、何といっても雇用情勢を的確に把握するという、こういった点が必要である、そういった点で私は一つの側面を持っている、こういうように見なければならぬと思うのです。 もう一つは、やはり具体的な雇用の変動にどう対応するのか、どう対応できるところの計画を立てるのかということがなければ、私は、いかに名作文をつくってもそれは何もならぬと思うのです。 以下、私は、もう時間がありませんから一つだけ申し上げたいのは、いわば個々の企業の経営のよしあしによって変動があるということも、われわれはもちろん注目をしなければなりません。しかし国家的な政策、特に最近における国際的な経済の変動、こういったものによって起こるところの雇用情勢の大きな変革といいましょうか、これに対応して一体国はどういう対策をとろうとするのかということが一つはなされなければならぬと思うのです。 そこで、私はこの基本計画をずっと読ましていただいたけれども、一つだけ感心したのは、西欧の、特に西ドイツ等におけるところの雇用調整計画制度、こういったものについて検討を行なう必要があると三二ページに書いてありますけれども、こういったことに対して政府が着目する必要があるというのは、私はうかがい知れるところだと思うのです。西ドイツ等において法制的に雇用の調整計画を立て、これを制度化している、こういったものに対して一体日本の政府はどういうふうに学び、どういうふうにこれに対して対応していこうとするのか。この計画はそういう面も書いてありますけれども、あなた方のお考えがあればひとつお聞かせいただきたいと思います。
○道正政府委員 経済の変動、特に国際経済の変動に伴いまする雇用問題、これは場合によっては非常に深刻な問題が起きるわけでございまして、各国とも対応策を種々検討しておるようでございます。西ドイツにつきましては、ただいま御指摘がございましたように、一九六九年に、使用者が一定数以上の解雇をしようとするときは、四週間前に行政当局に文書で届け出るというようなことをすでにやっております。そのほかスウェーデンその他の国の立法例もございます。私どもといたしましても、こういう立法例は十分参考にいたしまして、日本の国情に合った大量の雇用変動、特に国際的な経済変動によりまする変動に対する対処策、これは今後真剣に検討しなければならないものというふうに考えております。
○田邊委員 最近日本においても円の切り上げがあり、また円の変動相場制移行があり、再切り上げ必至といわれている、こういう情勢の中であります。まあ見方によっては、いままでこういった国際通貨調整の波に日本は比較的洗われないで済んだという見方もありまするが、私は必ずしもそうでないと思うのです。これは具体的な例を申し上げることがきょうはちょっとできませんけれども……。 そしてまた、今後にそういう問題が起こった際における雇用情勢の大きな変革にどう対応するかということを、政府は当然予測してかからなければならぬと思う。私は、できれば解雇制限法等の非常にきつい法制が必要ではないかと思いまするけれども、いま直ちに自民党政府によってこれができようはずがないのであります。このことを非常に悲しむのでありますけれども、しかし情報を的確に把握しながら、これに対する適切な対策が必要であることは政府も御案内のとおりであります。 私どもは、いままでの雇用対策上最も憂慮すべき事態が、ついこの数年間においても、アメリカにおけるところの繊維の自主規制あるいは電気製品の不買等、いろいろ国内に直接影響を与えるような情勢の変化等があった。これに対して表面は大量の解雇等が一時に行なわれるということはなかったかもしれないけれども、潜在的には非常に苦悩に満ちた、いわば諸種の推移があったことはうかがい知れるところであります。 そういった面について、いままでの法律では非常に微温的な対策しか講じられておらないという状態でありますから、今後の国際情勢の変化や国内の景気の変動等々によって、企業が労働者に対して一方的に犠牲をしいるような立場をとらんとする場合においては、国の力においてこれが予防措置を講ずる。そしてまた、その企業に対して国がそういう予防措置を講ぜられ、適切な措置が講ぜられるような、そういう届け出を事前に行なわしめるということは当然必要になってくると思うわけでございますから、これに対して国は、一体どういうような規制措置をとられようとするか。いままで一体何をやったかといえば、失業保険の支給なりあるいは転換給付金の支給等わずかなことしかやっておらなかった国のいままでの現状に照らしてみたときに、せめて、そういったものに対応し、いろいろなきめこまかい施策がとられ得るような、そういう事前の措置だけは必要ではないか、私はこう思うのです。大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 国際経済の変動、第一次の円の切り上げ、今回のフロート制への移行等の状況を見ますと、国際的な経済の変動が日本に及ぼす影響がほんとうに懸念されます。企業がこれに対する無秩序な雇用調整をやろうとする場合に、労働省としてこれに対する防止の対策をはかることが一そう重要であります。 先ほど政府委員からも答弁いたしましたように、ドイツなり諸外国の制度を参照して、これらの雇用変動に対処するための雇用調整制度について現在研究いたしておりますが、ただ、従来の失業保険の関係だけでなく、これも勘案しなければならぬが、これと並行して前向きにこれらの問題を検討する。これが大量解雇という場合に、現在のようなかっこうでは、私は、ほんとうに労働者の立場を擁護することはできないと思います。そういう意味で、事前の届け出制に対して大臣といたしましても前向きに当然対処することを考えております。
○田邊委員 われわれは、不測の事態に即応できるような国の施策というものがどうしても必要である、こういう観点から、大量解雇がやむを得ざる情勢の中に、事前の届け出制の制度づけをする必要があると実は強調してきたわけでございまして、政府もそういった面に沿って、ぜひひとつ対処してもらいたいと強く要望するわけでございます。 各委員からも質問がございましたが、いままでは、一つには失業が起こった場合には失業対策事業、一つには失業保険の支給を二大柱として、言うなれば、非常に狭い範囲におけるこれが対応策を講じてきただけにすぎなかったわけでございまして、しかも出す金自身が、労使が積み立てた中からいろいろな施策が講じられてきていることに対する不満がいままであったことも疑いない事実であります。そういった失保会計等にたより切ってきたところの政府の無為無策というものに対して、われわれはきびしく糾弾されなければならぬと考えておりますから、したがって今後国の一般会計等からくる雇用問題、雇用政策における国の財政というもの、きょう大蔵大臣来ておりませんけれども、ひとつ所管の労働大臣は、当然国がこれに対する手厚い財政上の措置を講ずることに対して最大限の努力をしてもらい、いま言ったように特別会計等にただ単にたよるという意識をだんだんと払拭してもらうという考え方に立って、今後の施策を積極的に講じてもらいたいと思いますけれども、いかがでございますか。
○加藤国務大臣 田邊議員のおっしゃいましたとおり、今後、日本の雇用の関係から見まして、御趣旨の点を体しまして労働省としては前向きに対処いたしますことをお答えいたします。
○田邊委員 終わります。
○橋本(龍)委員長代理 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○橋本(龍)委員長代理 ただいままでに委員長の手元に、塩谷一夫君、八木一男君、石母田達君、坂口力君及び小宮武喜君より本案に対する修正案が提出されております。 —————————————
○橋本(龍)委員長代理 その趣旨の説明を求めます。塩谷一夫君。
○塩谷委員 ただいま議題となりました雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 第一は、再就職援助計画の作成を要請する事業主を労働省令で定める年齢未満の年齢を定年としている事業主としている原案を修正し、労働省令で定めるところにより、定年に達する労働者を雇用する事業主に対して要請することとしたことであります。 第二は、現行の雇用対策法においては、大量の雇用変動については、公共職業安定所長に届け出または通知を行なうべきものとされておりますが、届け出または通知をすべき時期が法律上明確ではありませんので、離職にかかる大量の雇用変動の場合の届け出または通知は、事前に行なわれるべきことを法律上明確にいたしますとともに、届け出または通知があったときは、国は、公共の職業訓練機関が職業訓練を行なうこと等の措置により、離職者の就職の促進につとめることとしたことであります。 なお、この修正部分は、法の公布の日から六月を経過した日から施行することとし、所要の経過措置を附則に設けたところであります。 第三は、移転就職者用宿舎を貸与することができる者を、原案においては、工業の再配置に伴う工場の移転に伴い住居を移転するために宿舎の確保をはかることが必要であると公共職業安定所長が認める労働者としておりますが、これを、住居の移転を余儀なくされたこと等に伴い職業の安定をはかるために宿舎の確保をはかることが必要であると公共職業安定所長が認める労働者としたことであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○橋本(龍)委員長代理 修正案について御発言はありませんか。——御発言ないものと認めます。 —————————————
○橋本(龍)委員長代理 それでは雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案並びにこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 まず、塩谷一夫君外四名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○橋本(龍)委員長代理 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○橋本(龍)委員長代理 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○橋本(龍)委員長代理 この際、塩谷一夫君、八木一男君、石母田達君、坂口力君及び小宮武喜君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、趣旨の説明を求めます。八木一男君。
○八木(一)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について努力すること。 一、定年の引上げをすみやかに実現するよう、必要な財政上の施策を充実することその他関係者に対する積極的な指導援助を行なうこと。 一、定年到達者の再就職援助計画の作成及び再就職援助担当者の業務については、定年に達する労働者及び関係労働組合と協議し、その意向を尊重して行なわれるよう配慮すること。 一、定年到達者に限らず、広く高年齢労働者の職業の安定のため、職業訓練の充実、職業紹介の体制の整備等の措置を講ずること。 一、失業保険制度の抜本的改善について早期に検討を行ない、その際福祉施設のあり方についても明確にするとともに、雇用対策に関する一般会計予算の充実に努めること。 一、心身障害者の雇用を促進するため、雇用率の実効性の確保、雇用促進のための援助策の充実等に努めること。 一、心身障害者を多数雇用する事業所に対して、官公需についての受注の機会が確保されるように努めること。 一、移転就職者用宿舎については、入居期間の延長及び間取りの改善を図り、実情に即した運営に努めること。
○橋本(龍)委員長代理 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○橋本(龍)委員長代理 起立総員。よって、本案については塩谷一夫君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。労働大臣加藤常太郎君。
○加藤国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、関係各省とも協議の上善処をしてまいる所存であります。 —————————————
○橋本(龍)委員長代理 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本(龍)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○橋本(龍)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後一時二十三分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕