社会労働委員会 第33号
- 発言数
- 293 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/06/25
会議録
○田川委員長 これより会議を聞きます。 健康保険法等の一部を改正する法律案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、順次これを許します。八木一男君。
○八木(一)委員 議題の件について厚生大臣その他政府委員に伺いたいと思います。 厚生大臣は社会保障に対する重大な責任を持っておられるのですが、社会保障の目標とするところはどのように考えておられるか、ひとつ見解を承っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 社会保障は、私が申し上げるまでもなく、国民の貧困、疾病あるいは障害あるいは老齢、そういうふうなことからくる経済的な苦しみ、そういうものを解除し、前向きのゆとりのある生活を進めるような方向に努力することだと考えておりますが、その目標としては、言うなれば西欧先進諸国並みに近づけるような方式で進めていくべきであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 たいへん不満足な返事であります。考え方を即時直していただきたい。経済的と言われましたけれども、健康とか命という問題が社会保障の主管大臣から出てこないのは、とんでもないことだと思う。それから、西欧諸国並みに追いつくのが目標だ。そんな目標であってはなりません。社会保障の理念に従って、ほんとうに完全になるような方向が目標でなければならない。西欧諸国よりもはるかにりっぱなところが目標でなければならないし、日本の社会保障がりっぱなものになることによって、おくれた西欧諸国がそれに追いついてくる、世界の人類の生存権が保障される、それが目標でなければならない。いまの答弁のような、目先の、腹のすわっていない目標をもって社会保障を考えることは間違いである。いま申し上げたことをひとつかみしめられて、再度、積極的な御答弁をいただきたいと思う。
○齋藤国務大臣 社会保障の基本は、健康にして文化的な生活を保障することが基本であることは、全く同感でございます。私どもはさしあたり西欧先進諸国並みと申しておりますが、それは私の究極の理想ではありません。日本には日本らしい社会保障の目標があってしかるべきでありますが、非常におくれておりますために、さしあたりその辺を目標として進めながら、よりよき、より高き社会保障の国家になるように全力を尽くしていかなければならぬであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 訂正後少しよくなりました。齋藤厚生大臣はどのくらい長く厚生大臣をやっておられるかわかりませんし、あるいは野党になってわれわれを追及されるかもしれませんし、あるいはまた、即時総理大臣になって厚生大臣のしっぽをたたくというようなことになられるかもしれませんが、将来のことはとにかく、現在の厚生行政において、いま二度目に御答弁になったものをさらに強力にした目標によっていろいろなことを計画される、そのことによって社会保障が進む、その中の医療保障も進むということになろうと思う。そういう決意をさらに固めておいていただかなければならないと思う。 そこで、社会保障の具体的な問題でございますが、必要ないろいろな環境、条件が全部整えられることはもちろんでございますけれども、給付の点でいえば、いつでもだれでも必要な給付を無条件で必要な期間だけ受けられる、それが社会保障の具体的な目標でなければならないと思う。そのことについて厚生大臣の基本的な考え方を伺っておきたいと思う。
○齋藤国務大臣 究極の目標とするところのものは、医療で申し上げますならば……
○八木(一)委員 社会保障全体の話ですよ。
○齋藤国務大臣 社会保障全体で申し上げますれば、全国民がひとしく最高度の給付を受けられるようにする、これはもうお述べになりました御意見と私も全く同意見でございます。
○八木(一)委員 では、医療の問題について具体的な目標は何かということについてお考えを伺っておきたいと思います。 社会保障の中の医療保障の問題については、具体的にどういう目標が必要であると考えておられるかお尋ねしたい。
○齋藤国務大臣 医療について申し上げますならば、すべての国民が、どういう地域にあっても、医学や薬学の進歩を背景にした充実した医療を受けられるようにすることが基本でなければならない、かように考えております。
○八木(一)委員 今度の御答弁はある程度ましであります。それをもう少し具体的に言うと、全国民が、たとえば保険あって医療なしという問題であってはならない。無医地区というようなものがほんとうに実際に解消されなければならない。無医地区という問題は、昔は無医村といっておりましたけれども、いま市町村合併が行なわれまして、そして片一方に無医村があって、片一方にお医者さんのいる村がある、合併になれば、その村は、とにかく一方にお医者さんがいますから無医村ではなくなるということになっていますが、そんな形式的な状況であってはならない。無医村ではなしに、無医地区というものが一切なくならなければいけないし、形式的に一人だけお医者がいる、医療機関があるということであってはならない。たとえば山間や離島で非常に急激な疾病が起こった、片一方で、盲腸災で、すぐ手術をしなければ命が失われる、片一方では、難産で、処置をしなければ母子ともにあぶないといった場合に、一人の医師がどっちかを見殺しにしなければならないというような状態であってはならないわけです。そういう点で、少なくともその地域にたくさんの医療機関がある、たくさんの医師がいる、あるいはまたその他の医療従事者がいる、そういう状態にまで立ち至らなければ、ほんとうに問題が解消したことにならないと思っております。そのようにお考えになっておられると思いますが、ひとつその点についてお考えを伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 私どもは、無医地区というふうなものがないように、どんな山間僻地等にありましても、すべての国民が進歩した医療を受けられるように考えていかなければならぬであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
○八木(一)委員 無医地区の問題、緊急医療体制の問題、そして入院をしなければならないときに、差額ベッドではなしに入院できる状態、そこで重い病気を十分に医師が診察をし、治療し、そして看護婦はじめ関係の方々が看護その他の重要な問題に当たる、そこで付き添いの要る看護が必要なときに本人の負担なしにそれが行なわれるというような状態がなければ、保険あって医療なしということになるわけでございますが、保険あって医療なしという状態を解決するとともに、次に必要なことは何か。これは少なくともそのような病気のときに、患者が負担なしに、金銭上の心配なしにそれを受けられるということでなければならないし、もう一つは、順序が逆になりましたが、一応医療があったとしても、それがいま医学の進歩の中で、あるいは薬が非常にいいものができた中で、あるいはいろいろな診断や治療のための器具がそろった中でそういう最新のものが受けられるという体制、そういうものにならなければほんとうのものにならないと思うわけであります。 そのあとのほうの問題でございますが、最近は制限診療という問題がそうやかましくなくなってきております。しかし、前にはたいへんそういう問題がありました。たとえばストレプトマイシンとヒドラジッドとパスが結核をなおし得るという状態になりましたときに、その三剤の耐性菌ができて、その三剤ではきかない、そのときにカナマイシンができ、そしてピラジナミドができ、それを使えば結核がなおるという状態ができましたときに、その新薬が保健薬として長く使われなかったという事象がございました。そういうようなことが起こってはならないと思うわけであります。いま薬の乱用が保険経済を非常に悪くさせる、そういう点は重大な問題であって、それについて合理的になるようにしなければならないし、薬品によって製薬会社はボロもうけをする、それが非常に保険経済にも影響を与える、そしていろいろの給付をふやすことにも間接的にブレーキになっているという点は改めなければなりませんが、こういう風潮のもとに、たとえば新しくガンのなおる薬ができた、非常に高価である、けれども、これは保険薬に入れないというようなことが行なわれては、とんでもないことになろうかと思う。この制限診療の問題についてどのようにお考えか、ひとつ伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 御指摘のように、最も進歩した医学、薬学の恩恵を受けるというふうにしなければならぬことは当然でございまして、いま例に引かれたような、ガンに非常にきくような薬がかりに開発されたといたしまして、それが幾ら高価であっても、それを薬価基準に登載しなければならないであろうという御意見、そのとおりだと思います。問題は、国民がそういう進歩した医学の恩恵あるいは薬の恩恵を受けられるような状態をつくっていかなければならない。しかもまた、そうした場合において考えなければなりませんのは、わが国の医療保険というものは保険主義でございますから、またそういうことに耐え得るような財政でもなければならない。両々相まって国民の医療の完ぺきをはかっていく、こういうふうにすべきであろうと考えております。
○八木(一)委員 もう一つ、自己負担なしに医療が行なわれる医療保障体制をつくらなければならない。たとえば国民健康保険の給付は、いまのところは七割にとまっている、そして健康保険その他被用者保険の家族の給付はいまのところ五割にとどまっている、こういうものを解決をしなければ、このような自己負担分が非常に苦しいために実際に医療を受けることができないという状態が起こり得るわけであります。こういうことをなくすために自己負担を一切なくする、全部十割給付にするという方向に向かって厚生省の医療行政、医療保障行政は進まなければならないと思います。将来の方向でございますが、そのような方向にしなければならないと思いますが、厚生大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 保険主義をとっておる保険のもとにおいて、全家族の給付が十割にしなければならないかどうか、私はその辺は多少問題があるんじゃないかと思うのです。やはり七割なり六割なり、そういうところに保険に対する認識も十分国民に持ってもらわなければならぬ問題もあるわけでございまして、乱診乱療といったような問題もあるわけなんです。私は気持ちはよくわかります。もう八木委員の非常に御熱心に主張されておるその気持ちはわかりますが、必ずしも、全部が十割にしなければこれりっぱな保険ではないのだ、そこまで言えるかどうか。やはりそれにはある程度のチェックする役割りが必要ではないかというふうなことも考えられるわけでございまして、そう一がいにすべて十割にしなければならぬかなあ、そういうところまではどうであろうかという感じがいたしております。
○八木(一)委員 わざわざお断わりして、将来のと私は申し上げております。将来のということでひとつ御判断をいただきたいと思うわけです。 いま保険主義をとっていると言われました。保険主義自体、私どもは、これは間違いだ、保障主義に変えなければならないと思っておりますが、保険主義の立場でいっても、給付と、それの国庫負担はたくさんふやさなければならないけれども、齋藤さんは、保険料負担も必要だという点でおっしゃっておられると思うのです。その意味のことは、現時点のあなたの考え方としてはわからないではない。しかし、自己負担という部分は、これはいけないものだ、なくさなければならないという観点に立ってこの問題を進めていただかなければ、とんでもないことになるわけです。自己負担があっていいということは、その思想は、医療保障がなくてもいい、そしていま政府の進めている医療保険というものがなくてもいい、その思想につながるわけです。皆さん方は、保険制度だから、全部国費じゃなくて、医療サービスじゃなしに、保険料を取るのはあたりまえだと思っておられるでしょう。一応私わからないではありません。しかし、患者が病気のときに自己負担を取るというのは、社会保障の精神はもちろん、社会保険の精神からもこれは完全な逆な方向であります。一部に受益者負担というようなことを、おもに経済や財政ばかりを考えて、国民の生存権というものを考えない、間違った考え方の人がそういうことを言います。だれも病気になりたくてなる人はないということを考えれば、受益者負担などというものは、ほかのことでも許しがたい思想でございますが、この医療の問題については断じて許してはならない思想である。いま一部に乱診乱療があるから、ただにしたら、診療を受けることがマニア的に好きな人がしょっちゅう来るだろうということの御心配があってああいうことを言っておられるだろうと思いますが、そのような一部の受診気違い、その問題に焦点を当てて——国民が、いま金がなくても、からだが悪ければすぐもよりの医療機関に飛び込める、一文も持ってなくても飛び込める、そういう状態がつくられなければ、ほんとうの意味の国民の健康は守れないわけであります。そういう点で、自己負担というものは、将来の方向として一切これは排除しなければならない、現在の方向としてもそれをなくす方向で急速に努力をしなければならないという気持ちになっていただかなければならないと思います。その点についての厚生大臣の再度の御見解を伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 なるほど、将来の理想的な姿はそういう姿が望ましいかと思います。しかし、現実的には八木さんの仰せになったような理想がいますぐにはなかなか実現ができるかどうか、現実問題としてはやはりいろいろな問題もありますから、そういう問題を克服しながら、究極の理想はそうあるべきものかなあとも思います。しかしながら、その辺の調整がなかなかむずかしい問題であろう、かように考えます。
○八木(一)委員 原則的なことはそのくらいにいたしまして、この委員会で、保険あって医療なしという問題、医療の供給体制の問題、そして医療制度の抜本的な改正をはかるという問題について同僚委員から熱心な質疑があり、応答がございました。私は、その間、運営のためのいろいろな、時間を要することがございまして、同僚委員の御質問なりそれに対する政府側の御答弁をつぶさに全部聞いていることができなかったことをたいへん残念に思っております。速記録もおくれておりますので、つぶさにそういうことはあれですから、ダブる点があるかもしれませんが、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。 そこで、医療供給体制を急速に完全にしなければならないという御質問がたくさんあったわけでございますが、それについて厚生省としてどのような決意を持っておられるか、ひとつ総括的に伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 医療供給体制の整備をはからなければならないということは、もう私どもも十分理解をいたしておるわけでございます。一般的に申しますと、医療施設を、公私の総合病院、そういうものを中核とした専門病院をそれに配置した包括的な治療、地域的な医療体制を確立する、さらにまた、先ほど来お述べになりましたような僻村対策の問題、あるいは救急医療の問題、あるいは夜間、休日の問題、こういう問題を合理的に整備し、地区住民の需要にこたえるような仕組みをつくっていかなければならないということの必要性については全く同意見でございます。そこで、この問題については、現実的な問題として、いま福祉長期計画というものをつくろうということで五月早々に懇談会を設けることにいたしたわけでございまして、目下一応の医務局の原案を示しまして審議会において御審議を願っておるところでございます。でき得ますならば八月の末までに一応の計画を青写真をつくっていただくようにお願いをし、必要な予算については、その一部分を四十九年度の予算として要求し大蔵省とも折衝しなければならぬであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 いま懇談会をつくって用意をしていられる、その一部について四十九年度に大蔵省に要求する、そういう御答弁がございました。厚生省の態度としてはまことに手ぬるいと思う。保険あって医療なしということが言われて、この委員会でもさんざん言われております。保険あって医療なしでは、国民にとっては、命と健康を守られないだけではなしに、たいへん経済的にも迷惑であります。健康保険法は、いろいろのものがございますが、すべて強制適用であります。強制適用で健康保険料を取られている、あるいはその他の、船員保険料を取られている、あるいは共済組合の掛け金を取られている。取られておって、その健康と命を守ってもらえる法律的な保障がある。保障があるのに、医療供給体制が整っておらないからそれが受けられない、これは経済的な意味では詐欺です。国が詐欺をやっているようなことはとんでもないことになる。もっと大事なことは、命と健康を守る、生きていくためのほんとうの基本的権利をこのような行政の怠慢によって剥奪をしておるわけなんです。極端に言えば、間接的な殺人ということもできる。非常に重大な問題であります。それを、いまごろ懇談会をつくってやるということ自体がおそい。いまやるという姿勢はまあ認めるとしても、その一部を来年は大蔵省に要求をする、こんな腰の抜けた態度でどうなりますか。ことし中につくって全部を要求する段階的に何年計画というようなことは許されません。即時に全部をやらなければいけない、そういうことであります。 大蔵省に言っておきますが、厚生省は懇談会できまったものを全部要求をする、大蔵省は、全部要求しなかったならば、国民の命と健康を守ることは政府の責任である、政府の責任を果たすための財政的な準備をすることは大蔵省の責任である、主計局はその準備をしておかなければならない、こんな要求では大蔵省の主計局の責任が果たせない、なぜ全額を要求しないか、そういう態度で当たらなければならないと思う。そのことについて、大蔵省を代表して辻君のごまかしのない答弁をいただきたい。もしその答弁が不十分なものであれば、主計局が、大蔵省が国民の健康を圧殺する、健康を無視をするということになることを踏んまえて答弁を願いたい。
○辻政府委員 医療供給体制が重要な問題でございますことは、私ども財政当局といたしましても十分認識をいたしておるところでございます。この問題につきましては、ただいま厚生大臣からお答えがございましたように、厚生省で検討しておる最中でございますので、厚生省から相談がございますれば、私どもといたしましても十分検討いたしまして適切な措置をとってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○八木(一)委員 いま言ったように、いま厚生省が一部しか出さないというようなことになれば、あなた方は、国の政策を推進するための財政、これは閣議できまるわけですが、その財政をつくるための準備をする、やはり国家公務員としてその責任があるわけです。厚生省が弱腰でも、そんな一部の要求ではわれわれの公務員としての責任が果たせない、主計局として大蔵省の責任が果たせない、慣例では、要求がなければなかなか出しにくい、なぜ全部の要求を出さぬのか、そういう態度で大蔵省が当たらなければならないということを申し上げた。それについてまともな返事がなければ、大蔵省は国民の生存権を無視しておる、愛知君がそうでなくて、愛知君は国民の生存権を大事にした気持ちを持っているのに、大蔵省の辻君がそれと違った手ぬるい返事をすれば、あなたは大蔵省としての、公務員としての資格がないということになる。いまの国民の健康と命を大事にする政治を進めるための財政的な準備をする、そしてそのために、厚生省の要求が少なければ、それは困る、さらに健康と命を守るための要求を十分に出してもらわなければ大蔵省としては困る、そのような態度で処すべきであるということについての質問をしたわけであります。そのことずばりについてお答えをいただきたい。
○辻政府委員 国民福祉の向上あるいは社会保障の充実につきましては、本年度におきましても予算編成の大きな柱になっておるところでございまして、私ども財政当局といたしましてもできる限り努力をしておるつもりでございます。そういう考え方に立ちましてただいま御指摘の問題につきましても対処してまいりたいと思います。
○八木(一)委員 いまできるだけ努力をしておるつもりですと言いましたが、厚生省のそういう医療供給体制についての要求を大蔵省はそのまま受け入れましたか、何か削減しませんでしたか、予算交渉の中でも。これは閣議できまりますから一体だと齋藤さんはおっしゃるかもしれない。厚生省の事務当局としての医療供給体制をつくるための要求について、予算折衝中に大蔵省の主計局が、それは困るとか、そういうブレーキをかけた事実が一つもないかどうか、担当の局長から伺っておきたいと思います。
○滝沢政府委員 四十八年度の予算編成にあたりましても、医療供給体制はきわめて重要な課題でございまして、結論的に申しますと、たとえば看護婦養成の問題につきましても、公的な補助対象になる施設のほかに、国立みずからも実施するというようなことがございます。具体的には、たとえば公的の場合については補助金で参りますけれども、国立の場合は直轄でございますから、そのまま全額を必要とするわけでございます。そういうものを、国立で実施する場合あるいは補助金で実施する場合、総合的に勘案いたしまして、われわれの要求と財政当局との折衝の結果をもって具体的に実施可能な計画ができたものと理解いたしておるわけでございます。
○八木(一)委員 折衝の過程で具体的に実施可能なものというような、そんないいかげんな御答弁じゃいけません。あなた方は要求したけれども、財政上都合が悪いから、ことしはこのぐらいという答弁があったに違いない。そういう事実がなかったとはっきり言えるなら言ってください。あるでしょう。要求したけれども、大蔵省は、ことしはこのぐらいにしてくれ、そういう事実があったかなかったか。
○滝沢政府委員 予算の編成の原則といたしまして、やはり最終的に財政当局とわれわれ予算を要求している者とが話し合いの結果、われわれも了承して政府としての原案がきまるわけでございます。具体的には、先生おっしゃるように、個々の事例において要求額とそれから予算の決定額と当然差があって、それを先生のおっしゃるように要求どおりにならなかったというならば、それは全般的にそれぞれに相当ございます。
○八木(一)委員 そのとおりです。それはもう幾らごまかしても、あらゆるところでそういうことがあるわけです。この医療供給体制について、大蔵省が、他の財政的理由、ワクに入らないとかなんとかということで必ずブレーキをかけます。そこで、この間辻君もいた席で憲法二十五条の講義をしておきました。辻君も聞いていたはずです。ですから、医療供給体制に対する厚生省の要求を削減をするということがあれば、その公務員は、その省のそのことに関係した者は、全部憲法違反の行動をやっているということになるわけです。憲法違反の行動をやっているということになる。そういうことで、ことしは済んだから、既往についてはやわらかく解釈してあげますが、今後、国民の命を守る医療供給体制に対する厚生省の要求を大蔵省が一文でも削減するようなことがあれば、大蔵省全員が憲法違反の責任をとるということになるということを覚悟してもらいたい。そして厚生省は、そのような状況の中で、予算で削減されるであろうというような、そういうへっぴり腰ではなしに、国民の命を守るという立場から、絶対に必要なものを徹底的に要求をする、そして、いま懇談会で結論がついたらその一部を要求すると厚生大臣が言われましたけれども、現状で、厚生大臣は警戒をしておられる。厚生大臣も、そうではない、全部要求しようという気持ちにいまなられたと思う。それを補佐するのがあなた方だ。断じて国民の命と健康を守ることについては完全な要求をする。年次計画というような、そのようななまぬるいものではなしに、即時それを全額を要求する。厚生大臣は、その全額を要求なさる、そういう決意を披瀝をいただきたいと思います。段階的であれば、その間に医療機関ができないために国民の命が失われることがあります。健康の回復ができないことがあります。命という大事な問題、それを憲法の問題とともにかみしめていただいたならば、一部分を要求するというような弱腰の態度であっては断じてならぬと思う。結論を急ぎ、十分な結論に従って全額を来年は要求をする。そのことを実際にするのは大蔵省の知恵です。命を守るためであれば、どんなことでもできるわけです。財政の裏づけができないはずはない。そんなことができないものであれば、財政を預かる資格がない。懇談会の結論の全額を来年に即時要求するという決意をひとつ厚生大臣から伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 私どもは、憲法の精神にのっとり、国民の健康と命を守る、そういうために全力を尽くしておるわけでございまして、来年度の予算においては必要な予算は必ず要求する、これはもう当然のことでございます。全力を尽くして努力をいたす考えでございます。
○八木(一)委員 では、一部じゃなくて全額を要求することを確認をしておきます。そして懇談会のメンバーも、へっぴり腰な人がいないとは限りません。理想は持っていても、大蔵省という壁がある、しかたがなかろうというようなことで、国民のための非常な意欲を持ちながら、現実の壁というものは厚いというような判断をする方がありますけれども、いま厚生大臣は全額を要求する、そして大蔵省はそれに対してそのとおり対処をするという態度を表明されたわけです。したがって、国民の命と健康を守るために医療供給体制を完全にするための財政的な心配は要らないのだ、裏づけはされているんだ、その立場に立って懇談会のメンバーが最良の結論を出すように、懇談会のメンバーに厚生大臣並びに関係当局からひとつ明確にお伝えをいただきたいと思います。そのことのお約束をいただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、来年度は来年度において必要な予算は要求いたします、こう申し上げたわけでございますから、その趣旨は十分お伝えをいたして、努力をいたしたいと思います。
○八木(一)委員 私はいま、医療供給体制というのは、大きな意味で全部かぶるわけでございますが、たとえば無医地区の問題や緊急医療体制の問題やあるいは入院の部屋の問題を申し上げました。それを完全にするためには、質的にりっぱに医学教育を完了されて、経験も豊かな医師、もちろん同様にりっぱな看護婦さん、そしてまたその他の医療関係の従事者が充足されなければ、これは完全にできないことは明らかでございます。その医師の養成あるいは看護婦の養成についてどのように計画を進められるか、伺っておきたいと思います。
○滝沢政府委員 医師の養成につきましては、昭和四十二年並びに四十五年に、具体的な数字をあげまして文部省に厚生省から申し入れました。その数字は、昭和六十年をもって人口十万単位医師の数を、現状は百二十八程度でございますが、これを百五十以上にしたい、少なくとも百五十にはしたい、こういう趣旨でございます。これがただいまの文部省の大学設置の進行状況から見ますと、いろいろ御審議いただいております旭川あるいは山形、愛媛、これを踏まえましてこの定員で進行いたしたといたしましても、大体昭和六十年をもって当面の目標でございます人口十万単位百五十は確保できる見通しでございます。 看護婦につきましては、現状、医療法で四人に一人、あるいは結核、精神については、知事の認可を得れば特例的に六人に一人という基準がございますけれども、これは現在のわが国の病床数をその数字で割ってみますと、ほぼ充足しているわけでございますけれども、実際は、先生御存じのように、人事院等の関係によります勤務条件としての二・八体制、そのほか医療の高度化、いわゆる重症患者のためのICU設備というような等々踏まえまして、看護婦の需要というものが現実に非常に増大いたしておりますので、医療法の基準を現実には上回る需要があるわけでございます。その点を踏まえまして、将来の患者数を予測し、それからいまのような二・八体制というものを各病院で——各病院に看護単位というものがございますけれども、その看護単位を、一般病院では八割が二人夜勤ができるようにする、二割は一人夜勤でやむを得ない、こういうふうにし、結核、精神については六割を二人夜勤にする、四割を一人夜勤にするという仮定に立ちまして、完全な理想的なものではございませんが、それをもちまして養成計画を立てましても、大体充足できるのは五十三年というのが、われわれの現在持っておるところのほぼ実現可能な具体的な計画でございます。(「看護婦問題はだめだ、そんなのは問題にならぬ」と呼ぶ者あり)
○八木(一)委員 いま熱心な同僚委員の前向きな不規則発言がありました。そういうことであります。そういうことについては前から論じられておりますし、またこれからも論じられるでありましょう。しかし、いまの御答弁の中で、完全なものでありませんけれども、という御答弁があった。そんなことではいけないのです。完全なものを、そしてそんな五十三年というような妙なことではなしに、急速に——これは養成ですから、質的にりっぱな内容を持った看護婦あるいは医師ができていただかなければならないから、金だけ出して翌日それだけそろうというものでありませんけれども、それだけに急がなければならない、それだけに段階的であってはいけないという問題であります。看護婦の充足のための養成計画にしろ、医師の養成計画にしろ、いままでの段階的にという考え方、これは教育をするための時日が要るということはもちろんしかたがありませんが、その教育機関、そういうものを一ぺんにたくさんつくる、そしてまた、看護婦さんの場合には、そういうものはできても、その大切な、しかも激しい仕事に対して、人数をたくさん充足して、そのような激しい仕事でなしに、ほんとうの意味の疲れがたまる状態でなしに看護に邁進できる、医師も同じように診療に邁進できるという体制をつくるということでなければならないんで、医師の養成計画も看護婦の養成計画もまことに腰だめだと思う。それまでにもつと医療の需要がふえますよ。いまの状態でそれまでにおくればせに何とかかっこうのつく答弁くらいのことしか考えておられない。そうではなしに、さっきもそのために大蔵省にはその決意を固めさした。だから、そんなようななまっちょろい計画は即座にやり直して、急速に完全に国民の健康を守れるような医師や看護婦の養成計画を、質的なものを十分にして立てなければならないと思う。その点、いまの計画を即時に——即時といっても、あした、あさってではなくても、少なくともこの半月以内くらいにこの問題をほんとうに完全な計画にやり直す、そしてその要求を完全に大蔵省にする、来年からは猛烈な勢いでいままでの間違いが正される方向になるということをやっていかなければならないと思います。それについて、大臣と局長の両方の御意見を伺っておきたいと思います。
○滝沢政府委員 この問題につきましては、医師の場合は、離職している方がまた再び、就職するというようなことはほとんど現実的ではございませんけれども、看護婦の場合には相当数の在宅で資格のある方かおられます。この点が——いまお答えしたのは養成計画全体でございますけれども、先生のおっしゃるような緊急的な、現状に対処する方法としては、もう一つ、現状のやめていくという傾向を防止するための給与の改善、労働条件の改善あるいは保育所の設置、こういう点については私はやはり具体的に充実していく必要があると思います。 それから養成計画につきましても、基本になるのは、これを教える先生の確保の問題が実はあるわけでございまして、この点については、先生の御趣旨に沿うようにどちらかというと早目に充実して、あとからでもそれをむしろ補えるように、そういう意味で教員数の確保の見通しとの関連を踏まえて修正し、検討いたしますけれども、基本的にその教員養成の数というものがございまして、養成所を設置する教員がない、この実現可能な範囲で先生の御趣旨に最大限沿うような計画は立てたいというふうに思っております。 なお、その在宅の看護婦の確保についても、これは従来二千人程度が掘り起こすことができるだろうという見通しでございますが、これをやはり何万人という程度に掘り起こすためには、よほどのやはり処遇の改善あるいは労働条件の改善、あるいはナースバンクというような考え方に立ちまして、全国の看護婦有資格者を登録いたしまして、これにふだん医学の進歩に対応する看護婦の心得ておくべきこと等を常時教育指導として流しながら、公衆衛生活動をはじめ病院活動にパートタイムでもいいから勤務していただくというような、在宅看護婦の掘り起こし対策というものも予算要求的には検討いたしておりまして、そういうことを総合的に踏まえまして看護婦対策に対処いたしたい、こういうふうに考えております。(「そんな答弁、十年前から聞いているよ」と呼ぶ者あり)
○八木(一)委員 厚生大臣、いまの熱心な不規則発言、お聞きになったと思います。これはほんとうに熱心な同僚委員が前から言っておられたと思うのです。ところが、それが一つもほんとうの意味で行なわれていない。そこでいま大蔵省に私はきつく言ったわけです。大蔵省が立ち会いのもとです。あなた方の要求については一切削減をしないということを確認をしておきます。したがって、いままでのへっぴり腰のものじゃなしに、計画を急速に完全なものにつくり上げて、その医療供給体制、その中の特に医師、看護婦等の充足問題そしてそれの具体的な問題としては、その人たちの処遇の問題が十分に考えられ、そういう問題も含めてやっていかなければならないと思います。厚生大臣に、在来のちょっとずつふやすということじゃなしに、ほんとうに根本的に腰を据えて来年からぐっと供給体制を、その要員の問題を中心として進めるという決意のほどをひとつ伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 看護婦の確保は、国民医療上最も緊要な問題でございます。私も、今日まで努力はいたしてまいったわけでございますが、まだまだ不十分な点があることは十分認めておるわけでございまして、今日までの努力が不十分であったことの反省の上に立って思い切った養成計画を立てる、こういうふうに努力をいたす覚悟でございます。
○八木(一)委員 最後の答弁はまだ非常に手ぬるいと思うのです。さっき言ったように、完全な方向で全額を初年度昭和四十九年度に要求する、こういうことについてさっき確認をいたしました。そのことについて、その内容を全額要求するのだったら大蔵省困るだろうというようなことは一切考えてはならない。国民のために医療供給体制をつくるのだ、そのことで厚生省のいままでのたるい、おくればせの原案を即時完ぺきにして、それを要求されるということを要求しておきたいと思います。 それから、その問題に関連してですが、実は昨日の新聞で見ますと、防衛庁で、ほんとうの法律によらない、大学法によらない防衛医科大学か、防衛大学の医学部か、何かそういうものをつくろうという計画があるようでございます。そこで、そのことについて厚生省と文部省に伺っておきたいのですが、これによると、それをつくるということは、防衛庁の医官の定員で、これをつくるとすると、隊員三百九人にお医者さんが一人という割合になる、そういうことでございます。ところが、日本人全体だと、この新聞の、正確な記事だと思いますが、七百八十六人にお医者さんが一人というような状態。そうすると、非常に元気な健康である自衛隊員にそのようにお医者さんをたくさん配置しよう、弱い人、病気の多い年寄りや子供やそういう人たち、特に、同じような年齢でも、自衛隊員になる人は、相当りっぱな、健康でなければ採用されませんから、同じ年代でも、もっと弱い人は国民の中には比率高く残っておる。そういう国民に対する医師がこのように七百八十六人、自衛隊員は健康な人に三百九人、こんなことが、いま医師全体があるいは看護婦全体が足りない状態で考えられていいものかどうか、厚生省としてのお考えを伺っておきたいと思います。
○滝沢政府委員 防衛医科大学のことにつきましては、先生御指摘のように、医師の防衛医官と申しますか、その医官の定数を満たした場合について現状の隊員との比率を見ると、三百十二というような数字になることは承知いたしておりますが、今回の養成計画は、大体一学年定員が八十名程度でございまして、医師は六年間の養成を要するわけでございます。したがって、現実にそのような現状の定員が防衛医科大学の卒業生によって完全に満たされる事態というものは、私ちょっと数字的にはわかりませんけれども、かなり先になる。そのときの国民に対する医師の供給状況というものも若干改善はされますけれども、確かに差はあるわけでございます。私は防衛庁の説明もわれわれの立場から聞いておく必要がありますから、いろいろ説明を聞きましたが、一点は、まず自衛隊の性格上、隊付の医官というものを必要とする。各隊ごとに現場でいろいろ活動する隊員に対する健康管理の立場から隊付医官を必要とする。それから、病院というものも持っておるというようなことを踏まえまして、自衛隊としては自衛隊なりの必要性があるのだ、こういうふうに説明は聞いております。 そのほかに、実はこの防衛医科大学は九年間の義務年限がございまして、それが大体二佐ぐらいのところまで九年かかるといくんだそうでございますが、そうして必ずしもその後は、まずその八十名卒業しても、そのまま自衛官になるかどうかということの保証は完全にない。金額を返還すればいいというような形になっているようでございます。その上に、その九年義務年限が終わりますと、医師としての身分は医師国家試験を通っている一般医師と同様でございますから、国民医療の中に参加してくる。こういうことで、自衛隊としての定員と常時確保している姿とは、確かにいまの計算では、完全に満たせば三百十二という数字になりますけれども、途中の経過は必ずしもいきなり三百十二になるわけではございませんし、それから九年後は一般医師としてわが国医療の中に参加していただける、こういうふうにわれわれも理解しておりまして、一応確かに数字の上では、国民一般に対する医師の数と、自衛隊だけをとりました医師の数とでは差があることは事実であろうと思いますが、そのような状態の達成できるのもかなり先のことでもございますし、また、九年間の義務年限後には逐次交代して一般医療の中に、わが国の医師の確保の中に参入されていくということを、私としては防衛庁の説明によって理解いたしております。
○八木(一)委員 厚生大臣に伺いたいのですが、医務局長は、防衛庁に何か理解をしてくれとさんざん頼まれて、その点で苦しい答弁をしているようですが、苦しい答弁の中からも、国民全体に配置される医師の割合よりも、防衛庁に配置される医師の隊員に対する比率のほうが高い目標である、だんだんこっちもよくなるから、この比率は少なくなるというようなことで何とかまぎらわそうという御答弁であったけれども、しかし、それでも全国民に対する医師の割合よりも多い状態であるということは、御答弁で明らかであります。 そこで、その御答弁の中で、これは防衛庁とのおつき合いの立場で非常に苦しいことを言っておられますけれども、そういうことであってはならないと思う。医師というものが少ない、看護婦というものが少ない、国民の命と健康を守る体制が非常に条件が悪い、それを急速に立て直さなければならないというときに、これは少なくとも全国民を対象として医療供給体制あるいは医師、看護婦の充足体制がつくられなければならないということは明らかだろうと思うのです。それについての厚生大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 一般医療において国民の数との比率、それから自衛隊の数との比率、お述べになりましたような数字になっていると思います。しかしながら、実際のところ、自衛隊の医官というものを充足することはいまなかなか困難な状況に置かれておるわけでございます。しかして、そういう防衛の医学校ができましても、右から左にあした卒業生が出るわけでもありませんし、勉強中は付属病院等においては一般医療に開放されるわけでもございますし、それから、お述べになりましたように、何年か先に義務年限みたいなものが済めば国民医療にも入ってくる、こういうわけでございますから、私はそう潔癖にお考えにならぬで、そのときそのときの社会的要請に従って医者の養成をはかる、必要な要請を満たす、満たすということにむしろ重点を置いていっていいのではないか。国民医療については、御承知のように、十万対百五十になるように目下計画を進めて医科大学の増設などもいたしておるわけでございますから、そうこだわらぬでいいのじゃないか。社会的な要請は満たしていくということが私はむしろ必要なんではないか、こういうふうに考えております。
○八木(一)委員 われわれとしてはたいへん承服しがたい御意見であります。大体医療というものは、病気にかかりやすい、病気にかかった、そういう人たちのためにあるのですよ。自衛隊員は健康ですよ。一般の国民のほうが健康がおかされているし、そして重病にかかる人が多い。無医地区の問題も解消されていない。緊急医療体制も解消されていない。そのときに、自衛隊員の健康を、あるいは命を、ほかの国民の健康や命よりも重く考える、そういうことが許されていいのですか。自衛隊員は重要な任務に邁進をしておって、ほかの国家公務員は、ほかの地方公務員は、ほかの民間で経済や社会のために働いている人たちは、自衛隊員よりも健康をよりよく、同じように保たなくていい、そういうお考えですか。あなたはそういうお考えですか、はっきり伺っておきたい。そういうお考えならそういうお考えでわれわれはこれから対処をしなければならない。少なくとも国民全体は同じように命を、健康を守れる、そういう体制を国が保証しなければならない。特に質的に見れば病気の度合いの多い、弱いからだの人たちに対して、具体的には厚みをかけた対処をしなければならない。この二つのことに全然背反をした方法が行なわれている。そういうことをあなたがそれでいいのじゃないかということになれば、極端に言えば、憲法九条違反の自衛隊というものを、あなた方は一般の国民よりも大事なものとして考えている、憲法二十五条の違反だけではなしに、憲法第九条の違反の気持ちを心の中に包蔵をしておる、そういうことになりますよ。いまのような御答弁は訂正してお答えをいただきたいと思う。
○齋藤国務大臣 一般国民医療のための医師の養成を何にもやっておらぬとおっしゃるならば、あるいはそういう御批判があるかと思いますが、一般国民の医療のためには、先ほど来申し述べておりますように、十万対百五十人の医師を養成し確保しょうということでどんどん毎年計画を進めておる、しかも計画はちゃんちゃんとでき上がっておる、こういう事態でございましょう。そういうふうな中にあって、たとえば無医村対策としての自治省において医学校を創設するとか、あるいは医官の充足が不十分であるというのでこれを確保 しようではないか、そういうふうなそれぞれの社会的要請に従ったそういうことをやることは一向私は差しつかえない。一般国民を無視しておりません。一般国民の医療のための養成計画は着実に進んでおる。それが進んでいないとおっしゃるならば、なるほど、それはいかぬという御議論も出ると思いますが、まあ八木委員は十分心得ておっしゃることであるとは思いますが、必要な社会的要請を満たすためのそういう施設は私は適当であろう、かように考えております。
○八木(一)委員 先ほどの医務局長の答弁にあったように、いろいろなほかの省に遠慮をして言っていられるけれども、この計画によれば、自衛隊の隊員に対する医師の配置のほうが、一般の国民の水準よりも度の高い方向を進んでいるということは明らかだ。医療供給体制が非常に不十分であって困る、そのために医師や看護婦の充足を急がなければならないときに、少なくとも片方が完全に十分にあるのならば、そういうことを言うこともあるいはそう追及されないことかもしれない。全体の立場が非常に充足が足りないときにそういうほうの計画を進める、密度を高く、スピードを高く進めるということは許されないことだ。それを何でも並行的にやっているからいい、そんなことが許されると思っているんですか、あなた。一般の国民よりも自衛隊のほうが大切だと思っているんですか。いまの答弁は取り消していただきたいと思う。閣議の中でいろいろ防衛庁の長官と厚生大臣とおのおのの立場でやり合うでしょう。そう言ったからといって、あなたが閣議の中で自衛隊のほうの計画を押えるということができない状態にあるかもしれません。しかし、国民の命を預かるはずの厚生省の主管者としてはそれであってはならない。一般の国民の命と健康を同じように考えなければならない。その場合に、じょうぶな人と弱い人があれば、ほんとうに実質的に考える場合に、弱い人のほうを先にしなければならないということはあたりまえのことじゃないですか。そのことがわからない厚生大臣ではないと思う。いまの答弁は取り消していただきたいと思う。
○齋藤国務大臣 また同じ答弁になるかと思いますが、私どもは一般国民のための医療というもののためにそれぞれの医療担当者の養成をはかる力をいたしておるのです。これはわかっていただけると思うのです。(八木(一)委員「足りないんだ、おそいんだ」と呼ぶ)そこでそういう計画は着実に進んでおるわけでございます。そうした中にあってもなおかつ僻村のお医者さんを確保するということは容易でない。これは実際そうなんです。一般国民のためを思って医師を養成いたしましても、それがどの程度無医村に行っていただけるか、これは強制的に配置するというわけにはまいりません。ということでありますれば、無医村の医療担当者を養成するために自治省はいろいろな計画を進める、自衛隊のほうの医官が十分でない、これを確保するために努力をする、適当じゃございませんか。私どもは全国民を頭に描いて考えておりますれば、そういうふうな一般的な医療担当者の養成だけで不十分、満たすことのできない社会的要請、それは私はこたえるのは当然政府としてなすべきことだ、かように考えております。
○八木(一)委員 あなたは一般の国民に対する医師の比率を、防衛庁の自衛隊の隊員に対する医師の比率よりも先に多く確保できるという計画をいまお持ちですか。いまお持ちなら、あなたの御説明も、われわれはこれは許容しがたいけれども、その意味で最小限度は筋が通ると思うのです。そういう計画を持っていないんでしょう。数字で明らかにしてください、この自衛隊の目標と一般医療の医師の配置をいまあなた方が計画を持っておられるかどうか。
○滝沢政府委員 先ほどお答えいたしましたように、確かに、現在の医師の養成計画を進めていきましても、人口当たりの人数からいきますと、単純に、先ほど御説明いたしましたように自衛隊の医官の定数が満たされたと仮定した場合、隊員数と割ると確かに三百十二という数字が出ることは事実でございますから、そういう面と、現在持っておる医師の養成計画からいきますと、いわゆるその数字を上回り、あるいは同数になるということは現実的には実現が不可能であります。
○八木(一)委員 専門的に担当している医務局長の御答弁はそうであります。そうしたら、全国民よりも自衛隊員に対する健康を守る体制のほうが早く進む。自衛隊のほうがほかの国民より大事なんですか。自衛隊の隊員よりもほかの国民のほうが健康と命を軽視されていいんですか。そんなばかなことがあったらたまったものじゃない。しかも、平均的に同じでもこれは妥当ではないのですよ。自衛隊員は若い人ばっかりだ。年寄りや赤ん坊は入っていない。同じ年代の人でも、自衛隊の体格検査に合格して他の平均的な人よりも健康的にはすぐれている、他の人のほうが弱い。弱い国民に対する医療の体制をあと回しにして、強い国民だけを先に進めることを厚生大臣として是認をするならば、あなたはほんとうに厚生大臣の資格はありませんよ。私は、その他の点につき、あなたは、歴代の厚生大臣の中にはりっぱな人もおりましたけれども、そうでない人もあったけれども、かなり上位に入っていると思っている。しかし、ここでそんなことをおっしゃるのならば、もう齋藤厚生大臣には期待を持てないし、その指導される厚生省にも期待を持てない。それは国民にとっても不幸であります。厚生大臣は社会保障に対するいままでの熱意を固められて、自衛隊や防衛庁長官に対する義理立て、こんなとんでもないことは粉砕をして、正しい立場で御答弁をいただきたい。
○齋藤国務大臣 たびたびお答えいたしておりますように、一般国民、さらにまた僻村の住民、自衛隊員の医療、全部私は大事だと考えているわけでございまして、それぞれの社会的要請を満たすための施設を講ずるということは適当である、私はかように考えております。
○八木(一)委員 全部同じようにということだったら、同じように進めなきゃならないということでしょう。自衛隊の一部局だけが先に医療の供給体制がほかのものよりよりよくなる、全部じゃないじゃないですか。自衛隊のことだけ考えているということになるじゃないですか。表面的に見ても、全国民と同じ程度であっても不適当だけれども、最小限度同じ程度でなければ許されない。しかも実質的にも見れば弱い国民が大部分だ。老人や乳幼児や産婦や、あるいは同じ年代の人でも自衛隊の体格検査に合格をしないからだの人がいる。そういうことを考えれば、そのような答弁はできないはずです。いまの適当であるということばを取り消していただきたい。
○齋藤国務大臣 自衛隊は自衛隊としてのいろいろな機能を果たす上において医官の充足が絶対に必要だと私は思うのです。必要でありますが、現在の段階では医官の充足はなかなか困難である。そういうふうな事態に対処してそういう大学を設けるのは適当である、私はかように考えています。取り消せと言われましても、私も取り消す考えはございません。
○八木(一)委員 いま平行線のようですね。それでは、きょうじゅうにもう一回この問題について質問をしたいと思います。先の問題があるし、ほかの諸官庁の方も待っておられますので、この問題は保留をしておきます。それまでにあなたの間違った考え方をかみしめて、この間違いを正していただきたいと要求をしておきます。 次の関連の問題に移ります。文部省大学学術局長見えていますね。——いまの問題について文部省としてはどのようにお考えになっておられるかを伺いたいのですが、その前に、いままでの論議を聞いておられたと思うのですが、ちゃんと大学の法律に従ったものでないものがほかでつくられる、このことは文部行政としても重大な問題であろうと思う。そういうことではなしに一、医学教育を担当していられる文部省としては、医学教育の部分を急速に拡大をして、この非常に不十分である医療供給体制を直していかなければならない、そのことは当然一元的にされなければならない。全国民のための医師をつくり上げる、そういうところに一部局のためのものがっくり上げられることは、これはいま言ったように猛烈にバランスをくずすことになる。その防衛医科大学のほうに医学教育の専門家が配置をされるならば、それは国立大学のほうの医学部に配置ができるはずです。防衛医科大学のほうで教育をした人が一般の医師のほうに行くことができると書いてあっても、これは防衛庁の医科大学でやったならば、そちらに引っぱられることは必至であります。よほど、そこでけんかをしたか居ごこちの悪い人は一般のほうに入るでしょう。具体的には防衛庁に勤務をするということになることは明らかであります。そういうようなことは厚生行政上は許されないけれども、大学の医学行政に当たっておられる方としては、国立大学は全国民のための医療に当たる医師の教育体制をあなた方がつくられるということが当然であり、足りないところを私学の医学部についていろいろの対処をなさるということであって、各省別にそのようなものを行なうということは、医学教育の一貫性、そしてそこで養成をされた医師が全国民のために診療に従事をするあるいは研究に従事をするという立場から問題であろうと思うのです。その点についての文部省大学学術局の御見解を承っておきたい。
○木田政府委員 御指摘のように、医学教育の拡充は当面の非常に大きい課題でございまして、昭和四十四年まではずっと長く国公私立の医科大学四十六校ということで進んでまいったのでございますが、昭和四十五年以降わずか三年の間に十三校、四十八年開校のものを入れて十四校の医科大学の増設という、かなりの激しい増設を見るに至りました。これは医者の不足に対する養成というものを急速に進めたいという関係者の強い要望のあらわれの結果であると思っております。 文部省といたしましては、国民一般の教育システムを学校制度としてお世話をいたしております。ですから、広く医師の希望者を医学教育という形で担当いたします学校は、文部省が国公私立の医科大学あるいは医学部として新増設を行ない、またその認可をいたしておるわけでございます。ただ、御指摘の防衛医科大学校でございますが、これは一般の国民を対象にいたしました教育機関ではございませんで、防衛庁の職員の教育訓練機関というふうに私ども理解をいたしておる次第でございます。いろんな職域におきまして職域内の職員に対する教育訓練を行ないますことは、広く学校教育法の正規の学校ということではございません。その意味では、防衛庁が職員のための必要な教育訓練機関として防衛医科大学校を設けて医官の不足に対応するということは、学校制度とは別のものだというふうに理解をいたしておる次第でございます。
○八木(一)委員 文部省の大学学術局としては、そのような方向は好ましくないとお考えにならなければならないと思いますが、それについての御答弁を……。
○木田政府委員 一般的に教育制度、学校制度をもちまして対応できるということでありますならば、それはそれなりに努力をしていかなければならない点もございます。しかしながら、現在におきましても特定の職域の職域訓練に近い形のものは学校制度の外で行なわれてきた例がございます。先ほど来御意見の出ておりました看護教育、看護婦養成もそうでございまして、正規の学校制度とは別の形で養成がかなり行なわれてまいりました。時代の進展とともに正規の学校で一般の青年に対する教育の体制を広げていく必要性が起こっておりまして、私どももその方向には努力をしなければならぬと思っておりますが、なお一面におきまして、特定の領域で、しかも防衛庁のように特定の職員の中だけの養成、訓練の課題として行なわれますものにつきましては、これは学校制度で足りない場合にそうした養成、訓練の組織が設けられていくということもまたやむを得ないのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
○八木(一)委員 看護婦さんのことでありませんで、いまは医師の養成機関のことをお尋ねしておるのです。医師の養成機関で医師を養成しなければならない。そのときに、それがおくれているというときに、当然一元的に文部省の国立大学あるいはまた文部省の認可になった私立大学の医学部でこれがやられるのが本筋である。それが、ほんとうの基本的なことをやるためにいろいろな教官その他の充足が非常に困難であるという条件がある。そのときに、一部分のものにその者をとられるということは、全体の医師養成、医学のためには非常に妥当でないということでなければならない。当該の役所のいろいろな訓練のために必要だということは、これは非常に警戒をしなければならないことですが、自衛隊であれば、細菌戦争に関するそういうような研究をするという非常にゆゆしきおそれがあります。そうでなくとも、もしほんとうにそうでなければ、たとえば普通にあまりない銃創や砲弾による負傷、そういうようなことの治療の特別な部分があるというようなことが、無理に考えれば言えないことはありませんが、これは、ほかでもダイナマイトの破裂でけがをする人がある、ほかでも猟銃にあたってけがをする人があるわけです。ですから、一般の医学で対処しているわけです。一般の医学で教育を受けた人が防衛庁の中に勤務する、それで特別の問題についての研究なり実習に当たるということは、一般の医師が防衛庁に採用をされてやったらいいことであって、そういうことを主眼とした教育は断じて必要ないと思う。特に、いま銃創だとか爆薬の破裂ということを申しましたけれども、そうでなくて、細菌戦とか、そういう許しがたいゆゆしき問題でそういうことがやられるおそれがあるわけです。そうした場合に、医学教育のほんとうの責任を持っておられる文部省としては、そのような間違ったやり方の方向に対しては断じて反対をなさらなければならないと思うのですが、それについてもう一度決意のほどを伺っておきたいと思います。
○木田政府委員 一般的に、正規の学校制度で教育をいたしました人たちが社会に巣立って、社会の各方面に必要な人員として迎えられる、それですべてうまくいくということであれば、非常に望ましいことだと私も考えておる次第でございます。しかしながら、学校教育だけで社会のすべての要請を十分に満足できるということでもございませんので、あらゆる領域におきましてそれぞれの領域ごとにいろいろな教育訓練機関が設けられていくということも、程度問題でございますけれども、またある程度やむを得ない二とではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。 それは、学校教育の将来のあり方をどのように持っていくかということを考えます場合に、私どもやはり十分反省をし、他の社会の各方面での教育訓練の動きと学校教育との関係ということにつきましては、慎重な検討と配慮を加えていかなければならぬことだというふうに考えております。しかしながら、お尋ねの医科大学校でございますが、あらゆる領域におきまして職業訓練もございますれば、また企業内の訓練もいろいろある、そうして防衛庁がその職員、医官を充足するために自衛隊の立場でこれを養成、訓練をしたいということにつきまして、御遠慮願わなければならぬというほどの強い立場は私どもにはないのではないか、また、それなりの要請を満たしていかれるということにつきましては、これはやむを得ないものがある、このように考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 国民のための医師の養成が非常に重大な時期であります。そのときに、一つの部門の養成をやむを得ないということであれば、そういうことが乱立をして、全国民のための診療に当たる医師の充足がそれだけおくれるわけです。医学教育、医学の研究と診療に当たる医師の養成のために責任を持っている文部省としては、そのような本筋を守らなければならぬ。いろいろな場所場所でその職能的に必要なものは、一般的に教育を受け、研究をし、医師という資格を持った者が、その現場現場における必要なもの、必要な研究をされるということでなければならないと思います。これはあくまでも本筋ではない、あくまでも妥当でないという考え方で文部省としてはこの問題に対処していただかなければならない。これについての簡単な御返事をお聞かせいただきたいと思います。
○木田政府委員 一般的には、ただいま申し上げましたように、正規の学校教育で社会各方面の御要請を満たしていくということが学校制度として 一番望ましいことだというふうに思っております。
○八木(一)委員 いまの自衛隊医科大学の問題については、たいへん答弁が不十分でありますから、後に保留をさせていただいて、先に進ましていただきたいと思います。 では、次の問題に移ります。医療供給体制について先ほどから質問をし御答弁をいただいております。健康保険法の条文の中にはいろいろの条文があって、たとえば病院や診療所に対する入院とかあるいは看護というものは、その給付の一つの法定条件になっております。それが実際には差額ベッドが多くて入れない、全体に病床が少なくて入れない、入ろうと思っても差額ベッドでまた入れないというような問題、あるいは看護体制が、その衝に当たっておられる看護婦さんは一生懸命やっておられるけれども、人数が足りない、労働条件が悪くて十分な看護ができない。そこで付添看護婦をつけようと思えば、それに対する費用が出ない。実際的には国民にとってそのような看護体制ができないということは、この健康保険法の条文で、これは強制適用の法律ですから、強制適用の法律で国民に約束したことを果たしていないということになる。法的には契約違反になる、極端に言えば詐欺になるということになろうと思うのです。実際上そういうことにならないように、先ほど申し上げた医療供給体制については断固たる方法で急速に進めていかなければいけないということであります。 そこで、次の問題に移ります。家族給付率について今度六割にするという案を出しておられます。ところが、御承知のとおり前に七割を出されたことがある。そして社会保険審議会も社会保障制度審議会も、少なくとも七割だといっておるわけです。先ほど基本的な医療保障に対する態度で、厚生大臣も、当然自己負担をなくするという方向で進まなければならないという決意を述べておられます。この六割という原案が、その点で非常に問題外に少ないものである。そしてそのいわゆる修正案というもので示された七割も、この実施時期が非常におそいということから考えて、たいへんいまの政府の対処、あるいは政府をささえられる与党の方々の熱意はおありになりますけれども、まだ不十分だというふうに考えておるところでございますが、この家族給付率を高める、それを一そう推進していただかなければならないし、その実施時期を早くしていただかなければならない。それについての厚生大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 家族給付を七割にするということは、財政的にも相当多額の費用を要するわけでございますから、政府原案においては、しかも脆弱な政管健保においていますぐやることはできないということで、六割給付ということを御提案申し上げておるわけでございます。そこで先般橋本案が提出されておるわけでございまして、それが十月実施ということでございます。この修正の橋本案が成立するかどうか私も存じませんが、与野党の話し合いによって成立いたしますれば、院の決定でございますから、私どももこれに従わざるを得ないと考えております。私は十月実施でも財政負担がなかなかたいへんなんじゃないかと思うのですが、それをどうするかということを私がとやかく申し上げるのは筋違いだと思うのです。私が十月実施を繰り上げたほうがいいとか悪いとかいうようなことをお答えする立場にないということは、これは御理解いただけると思う次第でございます。
○八木(一)委員 社会保険審議会の意見書というのが十二月に出ておりますね。まあこれはちょっとおいておきましょう。 それでは今度は、高額医療費の問題について御質問を申し上げたいと思います。 高額医療費の問題については政令で定めるようになっておりますので、これからこの法案が通ったときに、このやり方についていろいろお考えになって政令を出されることになろうと思います。ですから、この問題については、これからこの院の論議を頭に入れられて、かみしめられて実施の方向を定められるべきものであろうと思うわけであります。いまのところ高額医療費の問題についてどのようにやろうと考えていられるか、素案がありましたらお教えをいただきたい。素案そのものがなければなくてけっこうです。変な素案はないほうがいいですから。あるようでございましたら、一応素案として伺っておきたいと思います。なければなくてけっこうであります。
○北川(力)政府委員 家族の高額療養費の支給につきましては、ただいま先生仰せのとおり、額でございますとかあるいは支給要件等につきましては、政令で定める事項でございます。なおかつ、政令をきめます際には社会保険審議会の意見を聞く、こういう形になっております。ただ、私どもこういった制度を提案いたしました関係もございまして、現在のところ考えておりますものは大体次のようなところでございます。 これは、家族の療養に要した費用の額がレセプト一件当たりについて三万円をこえる分について償還をする、こういうことでございます。 その他細部の御意見もいろいろございますので、そういうところを基本にわきまえまして、それ以外の方法につきましては、政令を定める際に審議会のほうで十分に審議をせられる、こういうようなところを考えている次第であります。
○八木(一)委員 いま一部分の素案を伺いました。厚生大臣としては、この院の審議の過程を十分に頭に入れられて、もちろん社会保険審議会の意見を聞かれるわけですが、政令を制定なさろうというお気持ちであるはずだと思いますけれども、それについてちょっと伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 この問題については各方面からいろいろな意見が述べられております。疾病によって、たとえばガンとか成人病とかいうふうな病気に限ってやったらどうとか、いろんな意見があるわけでございますが、私どもとしては、一件一月三万円というのがすっきりしてわかりいいんじゃないか、こういうふうに考えております。しかし、これは政令事項でございますから、社会保険審議会においてまたいろんな意見も出ると思いますから、意見は十分承るようにいたしたいと思います。しかし、現在のところ、一件一月三万円、これがかえってわかりいいんじゃないか、こういう感じもいたしております。
○八木(一)委員 一件一月三万円というのがちょっとわからないんですが、たとえば私が健康保険の家族であった場合に、病気にかかっても一月のものが三万円をこえた、そこは高額医療費の対象になる。この六月にそうであって七月にそうなった場合には、これは初めから無料になっていかなきゃならないと思いますが、いまのお考えではどうなりますか。
○北川(力)政府委員 この事務処理等につきましては、先生も非常な専門家でいらっしゃいますので私からあらためて申し上げるまでもないと思いますが、いま申し上げたとおり、レセプト一件当たり三万円をこえる分についての償還払いでございます。したがいまして、レセプトというものは一カ月単位でやってまいりますので、そういう意味合いでは、あくまでも当該家族についてレセプト一件について、つまり一カ月についての償還払い、こういうかっこうになりますから、家族が違ってまいりますると一人一人別な計算になろうかと思います。
○八木(一)委員 御質問を申し上げたところではないところをお答えいただいたけれども、同じ患者で六月に三万円こえて、それが今度七月になった場合のことを伺ったわけです。
○北川(力)政府委員 六月について三万円をこえた場合には償還払い、それから七月になりましてまた三万円をこえた場合は償還払い。これがレセプト一件についての償還払いの考えであります。
○八木(一)委員 いまの素案がたぶんそうであると間接に伺いましたが、それではこの高額医療費の制度をつくった意味がほんとうに激減をするわけですね。まず、一人の患者について三万円自体が非常に高過ぎるわけですが、ある程度以上のものを高額医療費にしたら、翌月はその病気については初めから高額医療費のあとの支払いの対象になるということでなければならないと思うわけです。そのことについて、これは保険局長から伺っておきたいと思います。
○北川(力)政府委員 ただいまの御提案は、最初の月について三万円をこえた分について償還払いをする、その次の月からは無料というお考えだと思います。ただ私どもは、この制度は新しくつくります制度でございますし、また、先生おっしゃったような二カ月にわたれば直ちに無料というふうなことがいいかどうか、そういう点は、やはり保険財政と申しますか、いろんな面から考えまして相当問題点があろうかと思うわけでございます。 ただいま大臣からも申し上げましたように、この点についてはいろいろ御意見ございまして、いま先生は一カ月をこえれば無料ということをおっしゃいましたが、別な方々の御意見によりますと、あるいは半年あるいは三カ月をこえた場合に無料にしてはどうかとか、あるいはまた、家族が多い場合に、高額療養がかさんでまいった場合に世帯単位で考えたらどうかとか、あるいはまた、大臣が申し上げましたように疾病で考えたらどうかとか、あるいは所得階層別に考えたらどうかとか、いろいろな御意見が審議会その他の場であるわけでございます。 でございますので、そういう点はいろいろ考えさせてもらわなければならない問題点であろうと思いますけれども、私どもは、この制度が現在の健康保険制度の家族療養費の支給という仕組みに乗って償還払いをするという限りにおきましては、いま申しました家族一人一人について、しかも的確な形で発足をするという意味では、レセプト一件三万円をこえる分については償還をする、こういう形のほうが制度の発足上はきわめてスムーズではないかと思っております。制度が発足をいたしました後におきましていろいろまた実際上問題点が出てまいります際には、これは検討をしなければならぬ点はもちろんあろうかと予測されますけれども、現段階では、いま申し上げたようなところで考えているようなわけでございます。
○八木(一)委員 私が次に質問しようというところまで先にお答えになりました。 実は高額医療費三万円以上は無料になると、一般にこの問題を新聞紙上で見ていられる方は、その点で非常に政府としては、厚生省としてはよく踏み切ったというふうに思っておられます。国民はそれに期待をしております。期待をしておりますけれども、内容がその期待の十分の一や百分の一のようなものであれば、ほんとうに残念であります。いまの、月をまたがってずっと無料になるということが一つ大事でありますとともに、もう一つは家族が二人も重病であったというときに、おのおの三万円であったら、結局その世帯にとっては六万円はどうしても負担しなければならないということになるわけであります。そうでなくて、家族で二人、複数の重病人があったときには、全体である程度の金額をこえたものについては無料にする。三万円がいいかどうかは、これはまた申し上げますけれども、そういうことが当然考えられなければならないと思うわけであります。 実は、私は数年前に私の長男をガンでなくしました。三年間ほど療養をしておりました。幸いにして、不幸中の幸いでございましたけれども、その子供は健康保険の本人でございましたから、十割給付でございました。そのつとめ先のほうもかなり月給を満額くれておりました、途中で減りましたけれども。だから、そういうときの条件としては一番いい条件だったわけです。私も落選の前でございましたから、一応の歳費等はいただいて、ある程度の生計はまかなえる状況にありました。それでも、この三年間のガンのむすこの治療については、精神的な苦しみはこれはもう申し上げることのできない状態でございますが、経済的にも非常に苦しみました。私のような歳費をもらっていない家庭が普通の場合には全部であります。そして健康保険の本人でない患者が普通の場合ほとんどであります。そのときに、そういう患者をかかえた家族の精神的な苦しみは、もうこれは筆舌に尽くしがたいのですが、それ以外に経済的な負担が非常に濃厚にかかってくるということは、ほんとうに気の毒なことであります。そういう場合に、たとえばおとうさん、おかあさんがガンになった、両方とも健康保険の扶養家族であるというような場合もあるわけです。高額医療費の場合はそういう場合が多いわけであります。ガンに限りません、その他の成人病の場合もあります。そういうことを考えますと、ほんとうに国民のために考えられたというそういう高額医療費の制度でありますけれども、一件で一月に三万円以上、一人だけ、そういうことであっては、これはほんとうにこの精神を発揮することにならないと思います。 それから家族が二人あった場合は、その家族の負担が合わせて幾らになったら、それ以上のものは両方とも月をまたがっても高額医療の無料を適用する、そういうことがぜひ考えられなければならないと思います。これについては、法律的には政令にゆだねられております。これからできるわけであります。辻君も聞いておられますが、財政問題がそれの中のブレーキでありましょう。しかし、いままで聞いておられて、大蔵省の人も人の子であろうと思います。そういうことを厚生省が、ほんとうにこの高額医療費を実のあるものにしたいということをやった場合に、これはそれを否定なさるはずはないし、否定されることが許されることはないと思う。そういう意味で、行政運用でやられることでございますから、家族を合わせたものについて、それを両方合わせてある程度以上の金額になったら、両方とも医療費を月をまたがっても無料にするというふうにぜひ御推進をいただきたいと思うわけであります。その点について厚生大臣と保険局長と両方から御答弁を願いたいと思います。
○北川(力)政府委員 家族高額療養費の支給制度は、ただいま先生から仰せられたとおりでございまして、現在のような疾病構造を持ちます社会、現在のような非常に変動の多い社会、こういう中では、新制度の持つ効用というものは、やり方によって非常に私は大きなものがあろうかと思います。そういう意味合いで、一面においては、家族の給付率が低いがためにこういう制度ができるわけでございますけれども、今度の改正は、そういった意味で家族の給付率を引き上げますと同時に、残った分につきましても、高額療養費ということで、いわば高いお金のかかる疾病については保険でその手当てをしよう、こういう考え方に出ておるわけでございます。 ただ、いまおっしゃったようなお話の中で、たとえば世帯単位のこの制度の運用でございますとか、あるいはまた、一定期間の経過後については全額無料にするとか、いろいろな方法があるわけでございますけれども、そういった制度を現行の健康保険制度という一つの流れに乗っけてみた場合に、そういうやり方がはたしていいかどうか、何ぶんにも新しい制度でございますので、たとえば世帯単位の原則というものについても、制度面の考慮というものもこれは十分慎重にやらなければならぬと思うわけでございます。 いま例に出されましたガンの方々のまことに悲惨な例、こういうものも私どもは身近に幾つか経験いたしておりまして、こういうものを考えますと、今度でき上がります制度は、できるだけ配慮をもった運用をしなければならないと考えておりますが、何ぶんにも現在の健康保険制度との関連もございまするし、新しい制度でもございますから、そういう点はひとつ制度発足と相前後して十分に考えていかなければならぬじゃないか、このように考えておるような次第でございます。 たくさんの問題があることは事実でございます。でございますが、すべて問題は、政令制定の段階におきまして、社会保険審議会の意見を聞くということ、また、制度をわかりやすく的確に発足させるということ、また、現在の健康保険制度のメカニズムに乗っかって制度を運用してスタートすることがより好ましいということ、そういうことあれこれを考えまして、現在のところは、ただいま申し上げておりますようなことを考えておるような次第であることを御了承願いたいと思います。
○八木(一)委員 その中で、制度をわかりやすくするということをおっしゃる。わかりやすくするということは、わかりいいほうがいいですけれども、わかりやすくするよりは、高額医療費がほんとうの意味で十分にその制度が適用されるというほうがよいことは明らかです。ただわかりいいというよりも、その対象者にとっては、わかりいいということは問題ではありません。一生懸命に考えます。だから、三万円ということはわからなくても、それは家族一緒になったらいいなということは希望を持っていますから、自分の身近なことに関係することは、いささかわかりにくくても、言えば一ぺんにわかることです。わかりやすいというようなことは、世の中に宣伝することだけです。わかりやすいほうがいいけれども、少し複雑でわかりにくくても、たとえば、これは一人じゃなくて家族を一緒に合算したものですということがわかりにくいことであっても、患者をかかえた家族にとってはそれのほうがいい、そういうことになる。一人いま重病人をかかえている、一人おばあさんがガンだけれども、これでおとうさんが脳溢血になったらどうなるかというときに、そういうときには足してこうなるのだといったほうが、一言わかりにくくても、それのほうがどんなにありがたいことか、どんなによいことか。だれでもわかりやすい制度というのは、わかりにくいよりいいにきまっているけれども、そんな形式的なことよりは、ほんとうに重病人をかかえた家族の生活が破壊されなくて、重病人が家族の生活を破壊するというような懸念が、病気の苦しみや心配の中にそういうものが加わらないように、十分に診療を受けて病気をなおすということができるほうが、はるかに大事なことです。わかりやすいということと、それが手厚くなるということは、一億対一としてもまだ開きが少な過ぎます。わかりやすいということの大事なことは一兆分の一ぐらいなんです。ほんとうにあたたかい適用をするということは、一兆倍といっても、もう一つ単位を上げてもいいぐらいの重要なことであります。わかりやすいというようなことで、この制度が十分になることをブレーキをかけないでいただきたい。 もう一つ、健康保険制度の制度に乗るかどうか、そんなものは形式であります。国民のための政治をやる立場としては、その制度に乗るかどうかというのは、乗せるのはあなた方がすればできる。 そういうような形式的なことを、わかりやすいとか、制度に乗るかどうか、熟するかどうかというようなことではなしに、ほんとうに高額医療費が役に立つようにやっていただかなければならない。幸いに条文に載っておりません。政令できめるのです。これからあなた方がやろうとすれば、この内容を十分にすることは十分できるわけです。そういう点、厚生大臣が、ひとつ世論やあるいはこの委員会における討議や、あるいはまた社会保険審議会の意見や、そういうことを積極的に受け入れられて、また、そこが足りなければ厚生省がほんとうにそのような人たちのために対処をするという決意で推進をされて、この内容が十分なものになるようにやっていただきたいと思うのですが、厚生大臣の御決意のほどを伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 高額医療費償還制の問題は、家族の自己負担が高額の場合に軽減しようという趣旨でできておるわけでございますから、現在のところ、一件一月三万円程度と考えてはおりますが、これを最終的にきめるまでには、関係各方面の御意見も十分承り、さらに私ども審議会における委員の方々の御意見も十分に承って最終的にきめる、これは当然のことでございます。
○八木(一)委員 厚生大臣の御決意はけっこうであります。いま一つ一つ言っていましたが、一ぺんに言えばよかったのですが、三万円という限定自体がぼくは高過ぎると思う。これをはるかに少なくする。これは二万五千円とか二万円じゃ少ない。一万円がいいか五千円がいいか、これはあれですが、とにかく三万円というものじゃなくて、もっと少なくして、それで少ないもの以上のものを高額医療費の対象にする。それもその考え方の中に、推進の問題の中にぜひ入れてもらいたいと思います。 それから家族全体を合わせて考えるという問題、月をまたがって考えるという問題全部をひとつ私の申し上げた趣旨に従って御検討になり、御推進になっていただきたいと思います。 さらにそれにつけ加えて、これが償還払いであります。現物払いにぜひしていただきたい。現物払いにぜひしていただきたいわけです。それについてのお考えを伺っておきたいと思います。
○北川(力)政府委員 現物払い、現物給付にしたほうが適切ではないかという御意見は、社会保障制度審議会の御答申の中にも、一部の有力な御意見として承っておるようなわけでございます。私どもは、そういう御意見もあり、また、現在考えられております償還払いということが最善の策であるとは必ずしも考えておりません。ただ実際上、あるいはおしかりを受けるかもしれませんけれども、医療機関の窓口におきまして、御批判がございますが三万円なら三万円ということで、どの時点で三万円をこえるというようなことにつきましては、患者さんのほうにもなかなかいろいろ御配慮が要りましょうし、また医療機関の側におきましても、現在の状況におきましてはかなりむずかしい事務的な問題があること、これもまた事実でございます。そういった問題のむずかしさから患者さんとお医者さんとの間にトラブルが起こりましても、これまたわれわれとしては憂慮すべき問題でもあります。あれやこれや考えまして、現在のところは、やはりこの償還払いという形でスタートすることが、この制度の総体的に見たスムーズな実施を確保できるのではないか、このように考えておるわけでございまして、問題は、この償還払いというものをいかに早くやるか、こういうことについて十分にくふうをしてまいりたい、このように考えておりますので、現在の段階において私どもが考えておりますこの考え方について御了承をいただければ幸いだと思います。
○八木(一)委員 熱心に考えられているようですけれども、その点私は了承することができません。ぜひこれを現物払いでやっていただきたい。 何回も繰り返して言っているようですから簡単にしか申し上げませんが、沖繩が本土復帰になる前に、沖繩県が本土にまねて健康保険をつくっておりまして、それは全部償還払いでありました。本土の健康保険が猛烈な赤字と皆さんが称せられるような状態になっておりましたときに、沖繩の健康保険だけが黒字であります。同じ制度であるのに黒字、ところが違うところは一つ、償還払いと現物払いであります。現物払いということでなかったために、沖繩の人たちは、たとえば重い病気で、重い手術を受けるときに、その金を自分で用意しなければならない。それができないということのために、たとえば十何万円かかるような手術を受けられない。自分の命を失う状態にあっても、家族の命を失う場合にあっても、それを受けられないという事象が出てきているわけであります。したがって医療費は高くなっております。それが一つの黒字の原因であります。そしてまた、たとえばもう少し軽い病気の場合に幾分の償還払いをもらえる。しかし、そのときにそれを受け取りに行くためにつとめを休まなければならない、あるいは商売を休まなければならない、そして交通費が要るということになれば、その人々が償還払いの金額をもらいに行くために経済的にはむしろマイナスが起こる。だから、しかたがなしにあきらめるということになる。したがって、その受け取りに来ないからそれだけ黒字になる。そういうことが沖繩の当時の健康保険の黒字の原因であります。沖繩県とそして他の日本の国土の人たちが罹病率がそんなに違うはずはありません。むしろ沖繩のほうが熱帯病が多い、そして衛生状態が悪い、ほかのところよりも病気が多くならなければないはずだ。生活程度も低いから、もっと重い病気の人も多くなければならないはずだ。それにもかかわらず、沖繩のほうの健康保険が黒字であったのは、その償還払いという制度のためであります。 財政だけを考える人はそれのほうがいいかもしれません。しかし、国民の健康、命を守るという点であれば、現物払いのほうがいいということは明らかであります。今度高額医療費の問題を、なぜそういうことをおわかりになっている方が償還払いをとられるか、それについてはほんどうに残念であります。事務的な点だと言われます。事務的な点は、償還払いであっても、あと事務はしなければならない。事務的な点について、ほんとうに処理すれば、現物払いだってできるはずです。そんなことのできない、事務的な処理ができないような日本人じゃないはずです。厚生省ではないはずです。そして病院ではないはずです。事務的な処理のために大切な制度がほんとうに生かされないということであってはならないと思います。そしてもし皆さま方が、高額医療費でいいかっこうをし出したけれども、これがほんとうに運用されないで、金が要らないほうがいいというような、ほんとうに許しがたい気持ちを一つもお持ちになっていないとするならば、事務的な処理は解決して現物払いにされるべきであります。もし根底に、償還払いにしておけば、制度はいいものをつくったようなかっこうをしておるけれども、あまりそういうことは該当者は少なくなる、だから、いいかっこうだけして、実際は財政的な金が少なくなるというような考え方があってはならないと思いますが、もしそういうことが一つもないなら、当然事務の問題は解決をして現物払いにされるべきだろう。いま年寄りが長い病気で入っている。長い病気で入っている年寄りにしてみたら、ほんとうに家族に経済的な苦痛を与えているということが気持ちの上ではたえられない問題であります。いま重い病気であれば、その人としては、いまの医学でほんとうに完全にすればなおるけれども、だめなんじゃないかというような危惧も持っておられます。どうせだめならば、家族に金銭的な負担をかけないで、うちに帰って命を終わろうというような、世の中の非常に冷たい空気のためにみずからの人権を狭めたようなあきらめの気持ちを持つ方もあるわけです。社会はそうであってはいけないと思うのです。そこで、償還払いと現物払いの差、そういう制度があっても、経済的に非常に困難なときに、そのお金を準備するだけの貯蓄がない家庭が非常に多いわけであります。そしてまた借金をするために——それまても借金をしております。子供や嫁に、あるいは老妻にその借金をさせにいこうということをほんとうにつらいことと考えて、もういい、もういいと、私は退院して、うちで自分の育てた盆栽を見て命を終わるというような考え方を起こす方が多いのです。そういうことにならないためにも、現物払いであったらそれだけ借金をしないで済む。同じお金を保険の財政で、また国の財政も関係ありますけれども、国の財政で出すならば、なぜ生きた使い方をしないか、なぜ現物払いをしないかと申し上げなければならないと思うのです。皆さんは有能な方です。事務的な問題で苦しいと言われるけれども、できるはずです。それをできるようにしていただいて、現物払いにしていただくということをぜひとも要請をしておきたいと思います。これについても、厚生大臣のほんとうの意味の前進したお考えをひとつ伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 この制度は新しい制度でございますが、健康保険組合、共済組合等において償還制ということは一部実施しておるわけでございますので、それもけっこうなれて円滑に運営されておりますから、私はそれでいいんじゃないかとも考えております。そしてまた事務的な上からいっても、現物給付にいたしますと、医療担当者のほうもなかなかはっきりわかりにくい点もございますから、そのほうがいいんじゃないかと思いますが、せっかくの八木委員の御意見でございますから、実施するまでには十分ひとつ検討はいたしたいと考えております。
○八木(一)委員 前半でなしに後半のお気持ちをぜひ固めていただきたいと思います。ほかのところで、健康保険組合で何とかということもありますけれども、健康保険組合の方々は比較的日の当たるところで働いておられる方が多い。したがって、貯蓄その他の条件も家族が非常に重病になった方々よりも、特に政府管掌の方々よりもそういう条件は少しはましであります。そこでやっておって、それも付加給付でやっておるという問題が一部あっても、それは本体ではないはずです。本体であるこの健康保険法、この点についてぜひ現物払いが必要であるということを十分にかみしめられまして、政令についてそれが生きるようにしていただくということを強く要請をしておきたいと思います。 次に、この問題について、国民健康保険については何か昭和五十年からというふうになっておるようでございますが、どうなっておりますか。
○北川(力)政府委員 国民健康保険におきましては、先生も御承知のとおり、市町村が保険者でございまして、その財政の状況は区々ばらばらでございます。そういう意味合いから申しまして、私は、何ぶんにも新しい高額医療費の償還払いという、相当お金のかかる制度でもございますから、全保険者について一斉にこれを実施いたしますことは、市町村にもかなりな財政的負担をかけやせぬか、そういうようなことを懸念いたしまして、この制度を全国まんべんなく実施いたしますためには、一応四十八年十月からでございますけれども、五十年の九月末日までということで三カ年計画——と申しましても実質はまる二年でございます。まる二年の間にこの制度を全国的に施行したい、こういう基本的な考えを持っているわけであります。 ただ、先般からこの問題が当委員会でもいろいろ御審議をされまして、なるべく早くこの制度を実施すべきではなかろうか、こういうお話も非常に熱心に承っております。そういう意味でございますので、私どもは、五十年の九月の末までに国保の全保険者について実施をするということは、いわば五十年の九月末日ということがこの制度の締め切りの期限でございまして、それまでの間にできるだけこの制度が各市町村において円滑に実施されるようにできるだけの配慮をしてまいりたい、そういうつもりでございますので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。また、そういうことを先般も大臣からもお話を申し上げております。ですから、そういう趣旨で国保の実施の意味は御理解願いたいと思うわけでございます。
○八木(一)委員 それが理解できません。高額医療費というものは必要であるということで厚生省はこの問題の制度に踏み切られた。政府管掌の健康保険の家族、これは大事にしていただかなければなりません。しかし、同じように、国民健康保険の被保険者も同様に大事にしていただかなければならない。これも何か事務的だとか、全国そろってとか言われますけれども、国民健康保険では全国強制適用になっているわけです。経営の主体は市町村になっておりますけれども、市町村のほうがこの医療保障については熱心であります。たとえば老人医療費の無料、これをやったのは市町村が先です。国はあとです。市町村から府県、それから国になっております。乳幼児の医療保障の問題も市町村が取り上げようとしております。このような国民の健康と命を守る制度については、国よりも市町村のほうがずっと熱心です。国が一緒にやろうといえば、そんな体制は直ちに整えられます。ですから、この高額医療費は今年の十月からでしょう。そうして、これは法律が通るか通らないかわかりませんけれども、今国会中に決着がつくでしょう。それから十月までに準備ができるはずです。ことしの十月から国民健康保険にそれを適用させるようにしていただかなければならない。それについてぜひ適用させるように厚生省としての立場で推進をしていただきたい。これは法案の改正が要るかもしれません。そのことについては国会が対処しますけれども、そのことについてそれを推進できるように、厚生省としてはぜひこの問題に対しての態度をもっと前進したものにしていただかなければならないと思います。これは局長か大臣、どっちかに答弁を願います。
○北川(力)政府委員 まず私から申し上げます。 いま申し上げたとおり、先般も大臣は、この問題はできるだけ早い機会に全市町村が実施するようにやりたい、具体的には四十九年度じゅうにやりたい、こういう意味のことを申し上げております。 私どもがこのことを考えましたのは、先ほどから申し上げるとおり、やはり財政状態のばらばらな市町村でございますから、実施の円滑化を期する意味でこういうような立て方をしたわけでございまして、先ほど申し上げたとおり、五十年の九月末日というのは、この制度実施の国保に関する締め切りの期限である、こう考えておりますから、その期限の範囲内でできるだけ早期の実施をはかられますように、全国の市町村とも協議をいたしまして円滑な実施を期してまいりたい、かように考えております。
○八木(一)委員 事務的に伺いますが、法律的には法案の中では五十年の何月何日となっておりますか。
○北川(力)政府委員 法案の上では、五十年の十月一日からということになっております。
○八木(一)委員 善は急げということばがございます。これはほんとうに善、十分ではないけれども善の方向ですから、極力急がなければならぬと思います。法案を提出されておりますから、厚生大臣にこれを本年十月からにしてくれと言っても、それは国会の問題であって、私には答弁できないとおっしゃると思う。おっしゃると思いますけれども、来年に法案を提出することは、当然厚生大臣としてはそういう権能を持っておられますから、厚生省としてもそういう責任を持っておられると思うので、当然昭和四十九年四月からこれを完全に各市町村において実施をする、こういう法案の提出をぜひやっていただきたいと思います。このことを確約を願います。
○齋藤国務大臣 この問題については、先週当委員会の委員の方にお答えをいたしたこともございますが、一応三年計画ということにいまはなっておるわけでございます。これはどうしてそうしたかと申しますと、これを実施するためには、各市町村において相当の医療費の伸びを考えなくてはなりません、財政負担を考えなければなりません。そこで、そういう自治体に対して一方的に、全国一斉一時にやってしまえ、こういうことをすることが適当か。やっぱり自治権もあくまでも尊重しなければいかぬ、こういう考え方で一二年計画ということにしたわけです。五十年の十月というのは、三年計画の最終の目標を書いているだけでございます、ことしから始めていくわけですから。そこで、これは法律の修正とかそんなことは関係ないので、五十年の十月までにはどんな場合でも完成しましょう、こういう規定なんでございますね。そこで私どもは、しかし町村からの要望が高まってまいりますれば、三年計画なんてゆうちょうなことでなくて、少なくとも二年ぐらいに完成するとか、そんなふうなやり方に進めていくようにしたい、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 法律条文を詳しく読んでないので、いま厚生大臣、法律は五十年の何とかだからと言っておられるけれども、この法案が通ったとしたならば、たとえばそれを早く進めたいという市町村は早くできるようにこの法案はなっておりますか。
○北川(力)政府委員 いま大臣が申し上げました趣旨は、この制度を国民健康保険についてもできるだけ早く全国実施をしたいということが根っこでございます。法案上は、確かに、国民健康保険に関するこの制度の施行の規定は五十年十月一日でございますから、先ほど申し上げましたように、ことしの十月から五十年の九月末日まで、実質二年間、まる二年間でこの制度を達成しようというわけであります。(「完成だろう」と呼ぶ者あり)完成といえば一番正しいかもしれませんが、完成でございます。いま大臣が申し上げましたのはそういうことでございますけれども、行政の実施上は、何も全保険者を三分の一等分いたしましてやるわけでもございませんで、できるだけたくさんの保険者が早く実施ができるように、そういう点については十分な配慮をしていきたい、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございますから、これは法律の修正というふうなことでなくて、行政の実施上、行政運営上そういうことは私どもは十分に努力をしてまいりたい、そういうことでございます。
○八木(一)委員 ちょっとはっきりしないのですがね。ずばり言います。ある市町村が、これを非常によい制度としてやりたい、ことしの十月からやろうとするときには、法律上できるのかどうか。
○北川(力)政府委員 この制度の実施方法は、具体的に申しますと、各都道府県でいろいろやはり財政状況等もございますから、そういうものも勘案をいたしまして、当面円滑に実施可能なというところを選んでまいると思います。そういうことで、この選んでまいりましたものを私どものほうで十分に検討をいたしまして、やはり基本には財政問題があるわけでございますから、その上でこの制度の実施について踏み切る、こういうことになろうかと思います。この実施の方法は、かつて先生御承知の三十九年から四年間で国保の世帯員の七割給付をやったわけでございますが、そのときには四年間でやったのでございますけれども、これは実際上の実績を見ますと、厳密に四分の一でやっているわけではございません。そのときの実施の方法といたしまして、いろいろなことばを書いておりますけれども、一つの方針といたしまして、いまおっしゃったように、AならAという市町村が実施をしたいという場合に、隣接する市町村の大部分が事業を実施しておるために、これを実施しないことが著しく均衡を欠く等の特別な事情があると認められる市町村については、いろいろな事情を考慮して、財政事情等も勘案して選定ができる、実施をさせることができるというような実施方針が、かつての七割給付の段階的実施のときにもあるわけでありますから、私どもこういった過去の例にもなら・いまして、そのケースバイ・ケースで処理をしてまいりたい、このように考えております。
○八木(一)委員 たいへんこう懇切のようで、わかりにくい説明ですけれども、とにかくことしの十月からこの高額医療費について踏み切りたいという決意のある自治体があった場合に、それができるのかどうか、端的にひとつお答えをいただきたい。
○北川(力)政府委員 本件は、いずれにいたしましても、法律案においてはこういう実施三カ年計画でございますし、御要望としてはいろいろあるわけでございますから、制度を実施いたします前に各都道府県あるいは市町村等と十分に協議をいたしまして、どの程度のものか実施が可能であるか、また、たくさんのものが実施できるように十分に協議してまいりたい、こう考えております。
○八木(一)委員 たいへんわからないのですけれども、実施ができるものだったら実施できるというふうに理解をしたいと思います。ことしの十月から実施のできる市町村は実施できる、そしておくらさないように、その一番の完成期は昭和四十九年の四月、四十九年四月から断じてあらゆる自治体がこれを実施をする、そういう態度になっていただかなければならないと思う。このことについて齋藤厚生大臣の明確な前進した答弁をいただきたいと思う。
○齋藤国務大臣 たびたびお答えをいたしておりますように、十分そういう御希望の町村とは相談をいたします。それから三年計画ということになっておりますが、なるべくならば、こういう制度はいい制度でございますから、町村も財政負担なかなかたいへんなことだとは思いますが、二カ年くらいで全部完成させる、こういうことに考えておるわけでございます。
○八木(一)委員 いま言ったように、とにかく十月からやるところはできる、法律改正案を出して、四十九年四月以降は、どんなところでも、怠けているところでも絶対やるという体制にしていただくように強く要求をしておきたいと思います。 次に、この高額医療費の問題にまた関連をしてですが、公費医療のワクを拡大しなければならぬと思う。高額医療費と実質的に関連がありまして、成人病とかガンとか、そういうものが実質的に関係があります。たとえばスモン病とか、あるいはあらゆる公害病とか、そういうものが公費医療としての対象として拡大をされなければならないことは明らかでございます。ベーチェット病とか、いろいろなものがいま研究され、進めておられますけれども、大きな問題として成人病あるいはガン、そういうものを公費医療にすることによって問題に対処をしていかなければならないと思います。この高額医療費のあとの問題がそれと並行して行なわれるならいいのですけれども、そのことをそらす考え方があってはとんでもないと思います。たとえば、成人病で全部公費医療になるところを、高額医療ということで三万円だけは先に取っておくということであれば、公費医療の全額国費で負担をしてその問題に対処しようという方向をそれだけ値切るということになります。そういう考え方は当然ないはずだと思いますけれども、実際に公費医療制度を拡大をするということを進めていただかなければ、この疑いがほんとうだということになります。公費医療制度について飛躍的に拡大をする、特別な病気だけではなしに、成人病とガンというような多くの人のかかるものにまで公費医療を拡大をするという方針がなければならないと思います。それについてひとつ伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 公費負担の問題につきましては、それぞれ社会的要請がありますれば、その社会的要請に即応していろいろ考えていかなければならぬ問題であると私も思います。しかし、どれをどうするという具体的な問題につきましては、いま何とも答えることは困難でございますが、社会的要請かあれば公費負担というものが拡充されるというのですが、私は考えていいと思いますが、社会的要請に応じて考えておるわけで、いますぐどれをどうするということは答えることはできません。
○八木(一)委員 最後だけ力を無理に入れなくてもいいですよ。耳がありますから、大きな声なら、初めから終わりまで大きな声で、小さな声なら、初めから終わりまで小さな声でけっこうです。妙なところに力を入れないで答えていただきたいと思います。 そこで、公費医療を拡大するということは社会的要請です。社会的要請があればというようなことは、賢明な齋藤厚生大臣のことばとしてはおかしいです。社会的要請なんです。だからそれを拡大をする、そういうことを早く推進をしていただきたい。それで、ただ慢然としてではなしに、たとえばことしはスモンとかベーチェットとか、そういうものは全部やる、そして半年後には成人病を全部入れる、あと半年後にはガンを入れる、そのような決意で進めていただかなければならない。 時間の関係がありますから、もう一つの問題を申し上げます。 老人医療費の無料化の問題各自治体から進んで、政府がしぶしぶあとから取り上げたわけです。この老人医療の無料化の問題をさらに拡大をする。六十歳なり、そういうところから老人医療の無料化をやるということになれば、この高額医療費の問題もその部分だけダブってきまして、それだけ少なくなるわけであります。老人医療の無料化を推進をする、あるいは乳幼児医療の無料化を推進をするということを、この高額医療ということですりかえたのではいけないと思う。まさかそんな気はないと思います。老人医療の無料化の拡大をする、乳幼児の医療の無料化を推進をする、そういう考え方でなければいけないと思う。そういうことについて厚生大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 老人医療の無料化は、御承知のように本年の一月から七十歳以上を実施し、本年度においては六十五歳以上の寝たきり老人まで拡大しよう、これは政府としては思い切った政策であると思います。これをどういうふうに拡大するかということでございますが、いまのところ、実施の状況を十分勘案して考えてみなければならぬと思いますので、いますぐそれを六十歳まで下げるとか六十五歳まで全部下げる、そういうことはいまのところ考えておりません。六十五歳まで下げようということでいまやっておる最中でありますから、そういう意味でもう少し実績を見て十分検討いたしたいと思います。 それと同時に、乳幼児の問題でございますが、これについては、乳児の医療という本質の問題から、いろいろ意見があるようでございます。それよりもむしろ健康検診について無料にすべきだという意見が圧倒的に強いのでございます。そこで、御承知のように、本年度の予算においても乳児の健康検診を無料にしようという政策を打ち出しておるわけでございまして、乳児の医療という問題は、ただ、ただでやるからというふうなことだけではやはりいけない、母親の愛情というものを中心に相当考えなければならぬ問題があるということを医療担当者自身がいろいろ言うておるわけでございます。しかし、検診はできるだけ無料にしてやるべきだ、こういう御意見でございましたので、検診については本年度から無料にしよう、こういうことでいたしておるような次第でございます。
○八木(一)委員 老人無料化の問題について何らただいまは考えておりません、ただいまは何とかと、そういうことは適当じゃありません。考えていかなければならないのです、国民の要望に従って。ただいまは考えておりませんかどうかと私は聞いてないのですから、ただいまは考えていませんなんて、そういう返事は必要ないのです。そんな必要のない反動的な御返事はなさらないでください。国民的な要望に従ってそれを前進させるということでなければならない。考えているかどうか聞いてないのですから、ただ考えておるかどうか聞いていないのにそんな否定的な答弁をするものじゃありませんよ。 それから、乳幼児の問題について医療担当者が言っておる、どんな医療担当者が言うか知らないけれども、そんなことでこの問題の方向を——そんなものでそういう問題を考えるものじゃありません。母親の愛情があることが必要だというのは、あたりまえの話であります。乳幼児の医療無償を要求することが、愛情がないと考えるような医療担当者があったら、とんでもない。そんなとんでもない者の意見を反映して、大事な国政を論ずるにあたって、そんな気違いみたいな医療担当者の言うことを理由にして国政の方向を考えるということは大間違いです。母親の愛情は当然なければならない、検診もしなければならない、しかし、医療保障はあったほうがいいのはあたりまえの話だ。そんな片言隻句をとらえて、ブレーキをかけるような発言をしてはなりません。時間がないそうだからこれを詰めませんけれども、その問題について、老人の医療無償の問題も、乳幼児の医療無償の問題も、あなたが言った検診の問題も積極的に進めていただかなければならない。 委員長にお願いをいたしますが、たいへん答弁が不十分であったり、あいまいであったり、そういうことのためにちょっと時間が経過しまして、予定の時間がありますけれども、国政の大事な審議でございますので、幾分超過することをお許しをいただきたいと思います。その中であと必要な事項を急速に申し上げたいと思います。 その次に、労働省おいでになりますので、労働省に伺いたいと思いますが、この春の賃上げでかなり全国的に賃上げがありました。大体どのくらいの率で平均的に賃上げになったか、労働省のほうから御見解を伺っておきたいと思います。
○葉梨政府委員 春闘によりまして、基準賃金は民間企業で二〇・一%、公共企業体で一七・五%上がりました。まだ少し中小企業が残っておりますが、これは、これまでの例からいいますと、民間企業のいままでの賃上げの、大企業を中心とする賃上げ率よりはやや上になるのではないだろうかということが予想されております。
○八木(一)委員 厚生省として今度の健康保険財政を考えられたときに、賃上げはどのくらいになると想定してこの予算を組まれたか、伺っておきたい。
○江間政府委員 四十八年度の収入を算出したときには、一二・四%くらいを見込んでおります。
○八木(一)委員 そういうことで、厚生省の保険財政についての基礎数字と実態とは大いに違うわけであります。このことについて厚生省は勘案をされて健康保険の問題を御推進を願わなければならない。時間がなくて残念ですが、大きな開きがある、大きな開きがあるから、厚生省の健康保険財政についての見積もりはそれだけ狂っている、狂っているということは、それを頭に入れてなお改善を進める、あるいは負担を少なくするということが当然なされなければならないということを肝に銘じておいていただきたいと思う。 次に、はしょってということになりますが、健康保険法の改正案については、保険料の負担を上げようということについて国民的な非常な反対があり、野党四党が反対しておるわけであります。その点で、いまの数字も勘案されてこれを直す、そしてまた、委員会の審議を頭に入れられて対処されていく必要があろうかと思いますが、この問題とともに、負担という問題については、労働者の負担が多くなることは困るという点が多いわけであります。そこで、労使の負担区分を、いま保険料の負担の五対五をわれわれ野党では少なくとも七対三にすべきだという考え方がある。それについてぜひ厚生省としては考えていかなければならない。ほかの社会保険との関係、つり合いがあるということをよく言われます。しかし、健康保険法という医療保障の根幹の法律と、そして厚生年金保険法というような所得保障の根幹の法律がいま出ている時期でございますから、一ぺんに労使負担区分を変えるということの非常に大事な時期でございます。そのことについて、もう一つ失業保険法というようなものがあります。そういうことについてもあわせて考えなければならないと言われますが、後に労働省のお考え方を伺っておきたいと思いますが、労使負担区分を変えるということをぜひ考えていかなければならないと思う。 ところで、いま組合管掌の健康保険については実際上労使負担区分が変わることを是認をする方向がとられているわけであります。現在健康保険法では、組合管掌では最高率が八%、そうして労働者の負担は最高三・五%ということになっております。五対五ではない条件が組合管掌の健康保険ではあるわけです。この精神を広げてぜひ労使負担区分を変えるということをこの機会に推進をしなければならないと思うわけでありまするが、厚生大臣の前向きの見解を伺っておきたい。
○齋藤国務大臣 前向きに答弁しろ、こういうことでございますが、私たびたびお答えいたしておりますように、失業保険なり医療保険なり厚生年金なり、労使の負担の割合は折半ということが長いこと熟しておるわけでございまして、国民的にも私は定着しておる考えではないかと思います。しかしながら、こういう社会保険制度の改善進歩 のためには労使の負担をある程度変えたらどうだ、こういう強い御意見が国民の中にあることも私は十分承知をいたしておりまするので、私はこれは将来の大きな政治的な課題だと思う。いますぐどうということは言えませんけれども、これはやはり慎重に考えなければならない問題にだんだんなりつつあるものではないか、こういうふうに考えております。いますぐどうするということは別といたしまして、こういう問題については、社会福祉の充実発展ということから考えてみて、次の政治課題として十分研究をいたしたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 同じく社会保障制度を担当している労働省の御見解を承りたいと思います。 労災法については全額使用主負担。失業保険法があと残っております。労働省としては特に労働者の生活や権利を考えなければならない責任を持った官庁でございます。そこで、主管をされている失業保険法について、当然労使負担区分を変える——失業というものは、ほんとうは使用主が失業しないようにしなければならない責任があるのに、何らかの事情でそういうふうにならなくて失業したということになるわけでございますから、特にそういう点について使用主の責任を深く考えなければならない。そうなれば当然労使負担区分も五、五ではなくて、使用主の分担率を多くするということに踏み切られなければならないと思う。厚生省もやや前進した考え方を持っている。労働省が、その失業保険法等関係の問題について、労使負担区分を使用主に多く、労働者に少なくということを推進していただく必要があろうと思うわけでございますが、労働省を代表して政務次官の御意見、またもしあれば局長の御意見も承っておきたいと思う。
○葉梨政府委員 法律によりまして、失業保険制度について昭和五十年度に見直すことになっております。そういうことを踏まえまして、先般失業保険研究会を委員を委嘱しまして発足いたしました。そこで、いま先生おっしゃいましたような御趣旨につきましては委員の皆さま方にお伝えいたしまして、十分に検討させていただきたいと思います。
○道正政府委員 せっかくのあれでございますので……。 厚生大臣並びに葉梨政務次官からお答えいただきましたとおり、私ども今後検討課題としては検討してまいります。
○八木(一)委員 労働省は労働者の権利や生活を保持する責任がありますから、特にこの問題について急速に御推進をいただきたい。厚生省は分量的に非常に大きなものを持っておられるわけでございますから、他の官庁と相談してと前に言われましたが、労働省はすでにそれを前進する決意を披瀝をされました。厚生省が踏み切られればこれは断じて実現ができるわけであります。その点で御推進をいただきたい。ことにそれまでの間に組合管掌の健康保険の労働者については実際上労使負担区分が直っておる。ところが、政府管掌のほうは直らないようになっている。零細企業ということをいわれる人もあるけれども、それ以上に零細企業に働いている労働者の負担が苦痛である程度ははるかに大である。この政府管掌について、少なくとも組合管掌にそういうことがあれば、ことし出される法律としては、使用主は五割以上、労働者は五割以下というようなことに出されて、そしてその間の交渉によって労使負担区分が実際的に変わるように、そのような配慮があってしかるべきであったと思います。来年は、労使負担区分は七、三に分ける、このような健康保険法や厚生年金法の改正案をぜひ提出をいただきたいと思うわけであります。強く要求をしておきたいと思います。大蔵省は国家公務員共済組合法等でこういう問題に関係あるが、その問題についてもぜひとも推進をしていただきたいと思う。大蔵省のほうの負担はやはり使用主としての負担か——何かお考えもあるとかなんとか言われますけれども、共済組合法については失業についての給付がありません。ということは、全部完全雇用するというたてまえからきているわけです。ところが、失業について他の国民全体の負担、そういうことを使用者としての大蔵省や諸官庁は免れておる。そういうことを考えられれば、ほんとうのところ使用主としてのあなた方に余裕があるはずです。ほかの問題について、短期や長期について労使負担区分を変えるということはぜひ積極的に考えられなければならないと思う。 時間がありませんから、お呼びした方にあと一点だけ伺いたいと思います。運輸省の船員局長に伺いたいと思います。 船員の人の労働基準法として船員法があります。船員法においては、船員の健康や疾病については、一定の期間船主が全部責任を負うということになっているわけであります。ところが、船員保険法では一部負担が船員から取られることになっておる。船員法では船主が責任を持つということになり、船員保険法では、船員の労働者が診療を受けるたびに初診時の一部負担を取られる。両法律の矛盾があります。そのことについて運輸省の船員局長はどう考えるか、伺っておきたいと思います。
○丸居政府委員 ただいま船員法におきましては、先生御指摘のとおり全額船主負担という規定がございます。ところが、片一方、船員保険法のほうでは、そうではない、差がある、確かにそのとおりであります。その差額につきましては船主に負担をさすことになっておりまして、船主が事前または事後においてそのものを船員に払うということにいたしております。
○八木(一)委員 実際に事前に払われているのですか。全員に払われていますか。
○丸居政府委員 その点につきましては、大体払われておると思います。しかし、たとえば自分が船に乗っておったときの傷害で、おりたらすぐ解雇になったという小さい船もございますので、そういう点についての徹底が欠けるんではないかというので、だいぶん先の話にはなりますけれども、その点についてもう少し明瞭に船主及び船員にそういうものであるということを知らせなければならぬというので通達を出しております。最近の模様はちょっと私はよく存じないのでありますけれども……。
○八木(一)委員 厚生省に前に何回も指摘したところなんです。船員保険法の一部負担は消除をするということをしなければ、日本の法律の中で矛盾があるんです。これは十年ほど前に指摘した。七年ほど前にも指摘をした。全くなまけた厚生省であります。船員保険法の初診時の一部負担、その他の一部負担は削除するということをしないと、日本国の中にある二つの法律が矛盾をする、とんでもない状態であります。これ一つだけでもあなた方の健康保険法は撤回をしなければならないという問題であります。どうお考えになりますか。
○江間政府委員 先生の御指摘の点は、古くから問題になっておるところであります。われわれは現状におきましては船主側で福祉費として償還いたしておるというのが実情でございます。船員保険法におきます疾病給付部門はいろいろな性格のものがまじっておるという関係から、一部負担を現状ではとって、その後において償還しておるというのが実情でございます。
○八木(一)委員 形式的な御答弁ですが、船員が 一部負担でどんなに困るかはおわかりですか。横浜を出る、次に下田に入る、焼津に入る、四日市に入る、神戸に入る、広島に入る、そして北九州に行く、そういう船に乗っている船員が、非常に歯が痛い、横浜で初診時の一部負担を取られる、次のところで取られる、次のところで取られる。船員は移動しているんですよ。ですから、普通の 一部負担よりもずっと重いものが取られるわけです。それで、あとで返すと言われるけれども、一部負担というものは、その負担が苦しいですから、それなら歯が痛いけれどもやめておこうかということになる人もいる。高給の船員だったら、高額な月給を取る人だったら別だけれども、零細な漁船の人たちだったらそういうことになる。そうしたら、歯がうんで全部歯ぐきをとらなければならないようなことも起こる。重大な人権侵害ですよ。しかも金額的にはものすごく多い。一部負担で船員の場合には何カ所も取られるという被害がある。しかも、あとで返すと言うけれども、零細な漁船や零細なところの親方は、ものわかりの悪いところが多い。漁船や何かの親方はものわかりが悪くて、腕っ節が強い。そんなことはおれは知らぬ、そんなものを寄こせと言うなら、払ってやらない、そんなに何回も言ったら、しつこいやつはぶんなぐるというようなことも、封建的な船では起こります。陸上と違いますからね、警察も何にもない。文句を言うならぶんなぐるぞということだって起こりかねない。したがって、弱い船員、貧しい船員はあきらめなければならないということが起こる。そういう実情があるわけです。前から指摘をしながら、船員保険法の初診時一部負担を取らないということはなぜできないのか。船員の基本的な権利を定めている船員法の規定と船員保険法とが矛盾をしていることを前から私は何回となく指摘をした。厚生省は馬耳東風でこれを直さない。船員保険法の一部負担をぜひ削除することを考えなければならない。賢明な委員の皆さんでこれを削除する国会の結論が出なければならないと思うけれども、不幸にしてその結論が出ない場合には、厚生省みずから来年度は船員保険法の一部負担を削除する改正案を提出しなければならない。このことについて、保険局長、これは検討しますとかなんかでは許されない問題だ。来年は船員保険法の一部負担を削除する改正案を提出をする、そのことを明確に答えてもらいたい。
○北川(力)政府委員 船員保険法の一部負担金の改善につきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、改善をはかるということで、たしか三十七年でございましたか、衆議院におきましても、また参議院におきましても、附帯決議をいただいております。そういう意味合いで、私どもはこの問題については十分に問題意識を持っておるわけでございますけれども、これを具体的にどう処理するか、やはり船員保険の職務外疾病に関するこの初診時一部負担金の問題は、いろいろな保険給付を受けます者と受けない者との均衡等もございまして、制度の円滑な運営ということから必要なものであると考えておりまするが、ただいまのような御意見もございましたので、どういうふうな処理をするか、私どもは十分にひとつただいまの御意見を銘記いたしまして検討を続けてまいりたいと思っております。
○八木(一)委員 最後の締めくくりに厚生大臣がおられませんので、非常に残念ですが、もうお帰りになるわけですね。十分ほどと言われて、八分ですね、二分ぐらいたったらお帰りになるんでしょう。 では、あと申し上げますが、実は日雇労働者健康保険法についてこの中で御質問を申し上げる予定でおりましたが、残念ながら、答弁の食い違い等があって時間が経過をしました。後の委員のところにお許しをいただいたときに関連質問等であるいはまたお時間をいただいて日雇労働者保険法の質問をいたしたいと思いますが、厚生大臣が帰ってこられるまでにその筋だけ申し上げておきたいと思います。 日雇労働者健康保険法について、なぜ家族給付率の引き上げあるいはまた高額医療費の問題を提起をされなかったか、貧しい労働者の家族がその問題を放置されていることは許されないと思う。なぜ政府管掌の労働者と日雇労働者についてそういう差別をもって考えられたか、とんでもないことだと思う。それについてひとつ伺っておきたいと思います。
○北川(力)政府委員 日雇労働者についての健康保険制度は、確かにお尋ねのとおりに、最も社会で恵まれない方々についての健康保険制度でございます。そういう意味合いで、先生も御承知のとおり、二十八年に発足をいたしまして二十年間の歳月が経過をいたしましたが、その間に実際は見るべき改善というようなものは、三十六年の改正以来でき上がっていないわけでございます。その後、制度が非常に社会の恵まれない方々に対する健康保険制度でありますだけに、三五%という非常に多い国庫補助を投入はいたしておりますけれども、なかなか一般の状態というふうな面において給付の改善との見合いで関係者の合意が得られないまま最近まで来ているのが実情だと思います。そういう意味合いで、多年関係の方々が非常に苦労をされまして、御苦心をいただきまして、昨年の六月に社会保険審議会並びに社会保障制度審議会から、当面この程度の改善は関係者の合意があるので、早急に実施をしろ、こういうふうな御答申をちょうだいいたしております。そういったことから、私どもは、おっしゃったとおり、この今回の改正案でもって決して満足すべきものとは考えておりませんし、御提案のとおり、健康保険制度と同じレベルの給付にすることが、私はこれはもう将来進むべき当然の道だと思います。そういうことはございますが、なかなかにまたそのためには、お金の問題でございますとか、いろいろ関係者の間で相談をすべき問題もございますから、当面、関係者が合意されました、現在提案申し上げております改正案の線でまず三十六年以来の改善を行ないまして、行ないましたあと、幸いにこの法案を御承認いただけますれば、すみやかにこの改善を考えたい、これが現在の考え方でございます。
○八木(一)委員 少なくとも来年において家族療養費を政府管掌の健康保険と同じに並べる、高額医療費の適用をする、このような改正案を来年に出されますか。
○北川(力)政府委員 現在お願いしております健康保険法等の改正案との関連でございますから、健康保険法の改正を御承認いただきますれば、当然その問題は次の段階として検討しなければならぬと思っております。
○八木(一)委員 厚生大臣はいないな。それでは、帰られたらすぐやめますけれども、それまでIL O条約の問題で……。 ILO条約の社会保障に関する条約を批准できない理由としていろいろなものがあります。医療手当その他あります。そこの中で、お産の問題で国際基準に合っていない部分があると思います。その点についてひとつお答えいただきたいと思います。
○北川(力)政府委員 ILOとの関係につきましては、おそらく御指摘はILO百二号条約であると思います。 ILOの関係におきましては、お産については現物給付で必要な費用がまかなえるように、こういうことを申しております。先生御承知のとおりであります。ただ、現在の健康保険法におきましては、いわゆる現物給付としては療養給付について行なうわけでございまして、お産というものが疾病という保険事故になっていないわけでございますから、そういう意味合いで私どもはこれを疾病に取り上げることについては非常に問題がある。もちろん、異常分べん等については疾病として給付もあるわけでございますけれども、それ以外の通常の正常分べんはそうでないわけであります。でありますから、問題は、この分べん費の給付をできるだけ手厚いものにする、こういうことが現在における最も重要な問題であると私どもは考えておりまして、そういう意味合いから、今回の改正案におきましては、分べん給付の最低保障を四万円にかさ上げをいたしまして、できるだけ、ILOでいっております直接そういった関係経費をまかなえるに必要な経費というものに近づける、こういう努力をいたしておるつもりでございますので、そういう意味合いでひとつ御了承いただきたいと思います。
○八木(一)委員 大臣がいらっしゃらないから休憩という話がありますから、休憩して、それからしますが、いまの問題だけ結論をつけておきたいと思います。 できるだけ近づけるとおっしゃったことは、ILOの基準に十分にまだ達していないということであります。このILOの百二号条約を批准するために、いま無理やりにやれば批准の条件に達する状況にありますけれどもほんとうのところは、経済的に発展をしている日本の国としては、ILO条約について、最低の基準ではなしに、十分な基準を達成をして、ことしじゅうに批准をしなければいかぬ。その中でこのお産に関する給付の問題について近づけるというお考えですが、このくらいは完全にILOの基準に合うようにして批准に邁進をせられなければならない。先日予算委員会の質問で厚生大臣から、ことしじゅうに批准に努力したいと考えておるということでありますが、いま形式的に、無理やりにすればできないことはない。そうではなしに、ほんとうに経済的な発展をした国として十分に各条件の大部分を達成したという状態で批准をしなければならない。その中で、ごく簡単な問題として、このお産の給付の問題については完全にILO条約の基準を満たすようにしなければいかぬ。その点について健康保険法のお産の給付の問題は非常に足りない。さらに、先ほどの日雇労働者健康保険法は、この健康保険よりも分べん費というものがはるかに少ない。こういう非常な欠陥は直ちに解決へ邁進しなければならないと思います。それについて前進する方向の御答弁をいただいて、一応ここで切りにしたいと思います。
○北川(力)政府委員 百二号条約の批准関係と分べんに関するものについての重ねてのお尋ねでございます。 大筋におきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、かりに先生おっしゃるように一般的な意味での分べんの現物給付化という問題になりますと、その辺につきましては、現在の診療報酬の点数表で点数化されておりますもの以外に、分べんの介護料等のいろいろな慣行料金的な問題もございますので、そういう問題はこれを診療報酬として取り上げます場合にはどういうふうに評価するかというむずかしい問題も実際上はあるわけであります。そういう意味で、こういう問題は今後それなりに考えたいと思います。また現金給付をさらに改善するというように考えなければならぬと思います。さらに、この問題は、費目は母子保健のサイドの対策のしかたともかね合っておりますから、そういう点を総合的に勘案いたしまして慎重に検討することが必要だと考えております。
○田川委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。 午後一時二十四分休憩 ————◇————— 午後二時八分開議
○橋本(龍)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 休憩前の質疑を行ないます。田中美智子君。
○田中(美)委員 まず保険料の問題から質問していきたいと思います。 保険料を値上げするということが、いま国民にとっては非常に重大な生活の破壊につながっていくというふうに国民は受けとめているわけです。保険料をなぜ上げるのかということについて、なぜ健康保険が赤字になったのかというところの原因を正しく分析して、その正しい分析に向かってどのように正しく対応したか、どのようにその赤字にメスを入れたか、そういう結果があってこそ初めて国民は健康保険の値上げというものに、話し合いに応ずるという気持ちになるんだと思います。 それが全く、いままでの審議の中で、ずいぶんこの赤字については話されたわけですけれども、肝心なところにメスが入っていない。いままで審議されたものの中では、政管健保の体質というものがもともと赤字を生むものであるんだ、これに対していままで政府が怠慢であった、それを放置してきたということが当然赤字になったんだということ、それからこれに対してどういうふうに政府は今後責任をとるかということ、それから薬代が非常に大きく健保の赤字に影響しているということ、これに対してどういうふうにメスを入れるのか。それから病人がどんどんふえているということは、これは一体だれの責任なのであろうか、病人がふえるということも非常に赤字に関係しているわけです。そういうようなことがいままで出されたわけです。 そこで厚生大臣にお尋ねしたいわけですが、赤字の一番大きな原因、いますぐメスを入れなければならない問題は何であるかということをお聞かせいただきたいと思います。 初めにちょっとお断わりしておきますが、時間がありませんので、できるだけ簡潔にお答えいただきたいと思います。
○北川(力)政府委員 ただいま赤字の問題につきまして放置してまいったということと、それから薬代の問題、それから病人がふえているという問題がございました。 放置という問題につきましては、今回の改正案で四十八年度末までに生ずるであろう赤字はたな上げをいたしまして、一般会計で補てんをいたすということになっております。 それから薬代の問題は、なるほど御指摘のとおり四二、三%を占めるというふうな非常に大きな一割合でございますので、これにつきましては、私どもも従前から申し上げておりますとおり薬価調査を励行いたしまして、健康保険で取り入れられております薬価基準についてできるだけこれを適正化していく、こういう方向で現在までもやってまいっておりますし、今後もまたそういう方向でやってまいるつもりでございます。 また病人がふえてまいっておりますという問題は、これはやはり最近のいろいろな社会的な条件の変動と申しますか、そういったことで疾病構造も変化しておりますし、それから人口構造も老齢化しておりますし、そういった面からいろいろな新しい疾病がふえてまいっていることも事実でございます。そういう面につきましては、一方においては保険給付の内容をふやして、たとえば家族給付率を上げるとか、あるいは家族の高額療養費を支給いたすとか、そういったことで対応いたしますとともに、難病奇病等については制度を拡充していく、こういうことでやっておりますので、大体いま先生がお述べになりましたようなことに対しまして、今回の改正案ないしは改正案の周辺の諸問題で、医療問題あるいは医療保険制度の対応のしかたは、ほぼ適切にいっているのじゃないか、このように考えるわけであります。
○田中(美)委員 いま薬のことについても適切にやっている、いままでの怠慢は一応反省して、たな上げするということは、それでいいとしましても、薬代の問題は、ただ薬価基準の問題を考えるということだけでは正しい対応になっていない、独占薬価をどうするかということにまでメスが入ってない、一番中心のところにメスが入ってないということ、それから病人の増加に対しても高額医療費を多少出したからとか、そういう難病などに対する対策をやったからといっても、次々と高額医療費はかかる、病人がふえているということに対しては何にも手が打たれていない、こういうことがあるわけです。 これはもう今後の重大な問題だと思いますけれども、これについて何も触れられない。これについては、いままでにも寺前さんや石母田さん、またほかの委員の方からもいろいろ質問があったわけですけれども、いままでの審議の中で、この点は全く解明をされていないというふうに思うわけです。そういうものがきちっと解明をされないでおいて、これから病人をふやさないようにする、独占薬価にもちゃんとメスを入れて、高過ぎるものは正常にするというふうなことをしないでおいて保険料を上げるということは、これは国民は納得できないというふうに思うわけです。 それから国民が納得できないだけでなくて、いまの高物価に対して公共料金的なものを値上げするということが、いかにいまの物価高を刺激し、またこれを促進していくかということは火を見るよりも明らかだと思うわけです。そういう点からいっても健康保険の値上げというものは絶対に許されないというふうに思います。 いま物価高ですけれども、昨年の五月と比べまして、物価高がどれだけになっておるか、そちらでおわかりでしょうか。上昇率です。前年度対比で一年間にどれぐらい上がっているか。
○岸野説明員 正確な数字はちょっと手元にございませんのでわかりませんけれども、多分一六、七%くらいではなかったか、こういうぐあいに考えております。
○田中(美)委員 二八、七%も上がっているわけですか。
○岸野説明員 一〇%程度だと思います。
○田中(美)委員 この保険料を値上げするについては厚生省側が物価指数を知らないということは、ちょっと困ると思います。これがどんなに国民生活に影響するかわからない。一七%であればたいへんなことですし、これはもう絶対に上げることのできないことですし、一〇%程度ということは、もう少しはっきりわかりませんですか。
○岸野説明員 ちょっと時間をいただきたいと思います。すぐ調べたいと思います。正確な数字はただいまわかりません。
○田中(美)委員 保険料を値上げするということが、ほかの物価にたいへん影響を与えるということで、少なくとも厚生省は上げる段階で、常に物価高というものに敏感であってほしいと思うわけです。これは新聞にも盛んに出ているわけですから、こういうことを——いまの物価上昇というのは、私が新聞記事で見ましたのでは、五月の前年度比では一一・六%の上昇というふうに書いてありました。厚生省が御存じないというのは、ちょっと驚きましたけれども、朝鮮動乱ブームの昭和二十八年、このときに一二・八%という上昇をしているわけです。それ以来の上昇率なんですね。ということは、もう戦後ほんとうに二番目の大きなインフレというか、物価が非常に上がっている時期なわけです。この時期に国鉄も値上げする、健康保険も値上げする、年金も値上げするということが、どんなにいまの私たちの生活、国民の生活を脅かすものであるかということくらいは厚生省は考えるべきだというふうに思うわけです。 赤字の原因がはっきりしていない。赤字をどうやって押えるかという対策も立っていない。ただ赤字になったから、それを国民にかぶせてくるということは許されないというふうに思うわけです。これは同じ政府・自民党とよく申しますけれども、六月五日の参議院の大蔵委員会で日銀の総裁が物価高について言っているわけです。これは六月五日ですから、ついこの間ですね。公共料金の値上げと公共投資の繰り延べを主張しているわけです。公共料金の値上げを押えていかなければいけないということを日銀総裁が言っているわけですね。そういうことを言いながら、それは馬耳東風にお聞きして、そうしてどんどん値上げをしていくということは、ほんとうに許されないことだというふうに思います。 その点厚生大臣から、どうしてそんなにまで値上げをしたいのかということを簡単にお聞きしたいと思います。
○齋藤国務大臣 私は値上げを積極的にしたいという考え方では全然ございません。 御承知のように今回の法案は、もう私何十回となくお答えをいたしておるわけでございますが、今日まで三十数年家族給付が五割にとどまっておりましたそれを、六割給付に高めましょう、それから高額医療費の償還制をやりましょう、分べん費も多くいたしましょう、こういうふうな給付改善を一方においてやろう。それにはどうしても、給付の改善ということであれば、保険制度をとっておる以上は、被保険者の方々にも、ある程度の負担をお願いしなくちゃならぬ。しかし、たくさんの負担をお願いするということはたいへんでございますし、財政を健全化しなければならないということで国費の分も定率で一〇%の補助をいたしましょう、過去の累積赤字はたな上げにいたしましょう、そういうふうな計画の上に立って最小限度の負担だけはお願いしましょう、こういうふうにしまして千分の七十から七十三、こういうふうにお願いしょうというわけでございます。 そこで、こういうふうな負担と、それからふところに入ってくる給付の改善——高額医療費は現実に金が返ってくるわけです。いままでは出しつばなしでございましたが、三万以上になれば戻ってくる。給付がよくなるということになればお医者さんに払う分が減るわけであります。そういうふうなことで、給付の改善、保険料負担、これを差し引いていろいろ計算をいたしますと、いつか予算委員会でも私お答えいたしたのでございますが、経済企画庁の計算によりますと、よそのほうのことは別として、健康保険法の改正に関する部分だけを考えてみれば、物価値上げには、むしろマイナス要因になっておることに実はなっておるのでございます。すなわち、給付のほうが多くて、出すほうが少ないということです。数字を計算いたしますと、そういうことなんです。すなわち、消費者の生活水準にはマイナス要因に響いている、こういうことになっているのです。 よそのものをみな集めてこうなるということは、これは健康保険法の審議ですから、そんなことを私は言うわけじゃない。健康保険法に関する限りにおいては、給付と被保険者の負担というものを比較検討いたしてみますると、マイナス要因に響く。これは私は国会討論会でもはっきり申し上げたことでございます。しかも負担と申しましても——これは多いか少ないか別ですよ、千分の七十から七十三ということになりますと、折半負担でございますから、十万円の標準報酬の方は月百五十円だけ上がるというわけです。その部分をとらえれば確かに値上がりです。しかし給付のほうを見ていただかないで、そちらだけ言われるのは、どうも私としては心外だ、こういうことでございます。
○田中(美)委員 保険料を値上げしていて、それが物価に響かないという根拠というのは非常におかしいし、私は、なぜそんなに上げたいのかということについて、もっと簡単におっしゃっていただきたいと思います。もういつも、それは聞きあきているぐらいに、十万円に百五十円ということを言われておりますけれども、そこだけをとらえられて、そういうふうに言われることは、非常に部分的、主観的なものの考え方をしていらっしゃるというふうに言わざるを得ないと思います。この点についていままでいろいろ審議されておりますし、同じお話をなさるわけですから、それほど保険料を値上げしたいんだということ、そういうお気持ちだけはよくわかりました。 その中で、労働者の負担をどうやって少なくして、そしていい給付をしていくかということが、やはり本来の考え方だというふうに思うわけです。そうすれば、やはり保険料を上げないということと同時に、また労使の負担割合というものを労働者を少なくしていくということで、何とかして労働者の負担を少なくしよう、そういう努力があってもいいと思うわけです。これもいままで何べんもお聞きしているわけですけれども、厚生大臣はいつも五、五が定着しているというふうに言われるわけですが、どうして定着しているのか、その根拠をお聞かせいただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 根拠といって具体的に文字に書いたものはございませんが、失業保険が制定になりましたのは、戦後昭和二十二、三年ころであります。それ以来ずっと大体そういうふうなものかなと、なれていると言っちゃ失礼ですが、大体そういうふうになっております。それから健康保険のほうはもうずっと戦争前からの歴史を持っておるわけで古いわけでございますが、これもいままでのところ労使折半ということで落ちついてきておるというわけでございまして、私は、それぞれの長い歴史において落ちついた仕組みになっていると思うのです。 しかしながら、最近における労働者の負担の限度も相当高くなっておるということも考えておりますから、将来の政治課題としては、この折半原則ということも十分検討しなければならない時期に来ているのではないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
○田中(美)委員 将来考えるという、この将来というのは、何年先でも将来ですので、一体いつそれを考えるのか、なぜいますぐできないのかということを簡潔に言お答え願いたいと思います。
○齋藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、現在の段階でこれを改めるということは私は考えておりません。しかしながら、将来の日本の社会福祉というものの進展というものを考えてみれば、そういう問題も一つの研究項目である、そういう問題意識を十分私は持っているんだということを申し上げておるわけでございます。
○田中(美)委員 いまずっと五、五が常識になっているように言われましたけれども、これは日雇い健保などでは昭和二十八年ごろからずっとこれは五対五ではないわけです。事実これは昭和二十八年には五円と八円、使用者側が八円ですね。三十三年には労働者八円、使用者側十円、三十六年ごろから五、五になってきているわけです。しかし昭和四十年、これは国会に提案されなかったといっても、厚生省が社会保険審議会に出した改正案で、これは一級、二級、三級と分かれていて、十円、二十円というふうに使のほうが負担をしているわけです。四十円、六十円とか、十三円、四十二円というふうに五、五でないわけですね。こういうことは過去にあったわけです。こういうことについてはどうお考えになりますか。ずっと定着してきている、こう言われますけれども、過去にこういうことはあったし、少なくとも四十年ごろには厚生省はこういう考え方を持っていたわけですね。
○北川(力)政府委員 ただいま日雇い健保の例が出ました。確かに制度発足の当時、二十八年のときには保険料の負担区分がたしか二種でございまして、その一種のほうは使用主のほうが高いということになっておりました。それから四十年に改正を考えました当時に、先生のお話しになりましたように、いまのようなことを、その時点において考えたことも事実であります。ただ、それは実際問題として法案として提出もされなければ、また制度化もされておりません。そういうことで、考えたことはございましたけれども、それは日雇い健保という制度についてでございまして、たまたまそのときのいろいろな事情を勘案して、そういったことが考えられたのでございましょうが、一般の健康保険制度全般につきましては、現在まで、健康保険組合は別といたしまして、そういったことは考えられておりませんし、今後そういう問題を全般問題として考えるのであれば、いま大臣からお話がありましたように、単に健康保険制度だけではなくて、社会保険制度全体の問題でありますから、これは一つの政策問題として十分に検討すべき問題だろうと思っております。
○田中(美)委員 やはり厚生省としても、これは何とかしなければならないというふうに思いながら、何とかしてごまかしてやるまいというふうに考えているのだ、気がつかないのでもないし、定着して、それが常識だからというのでやっているのではないのだというふうに私は思います。四十年まで、少なくともそういう考え方があったという証拠はあるわけですから……。 いま組合健保を除いてという話がありましたけれども、組合健保では決して定着はしておりません。流動性を持っているわけです。七対三、これ以上の組合というのが、最近では労働者の戦いが高まりまして、まさに日に日にふえているということで、定着しているという厚生大臣のおことばがどんなにおかしいかということは、いろいろなところに証拠として出ております。御存じだと思いますけれども、この「賃金と社会保障」の三月上旬号、ナンバー六二一の五九ページに労使負担割合が七対三以上の健康保険組合一覧表というので、ずらっと出ております。これはいま全体としましては確かにまだ半数にはもちろんなっておりません。いま大体三百近くがなっているわけです。千五百組合の中の三百ですからまだ多いとは言えません。しかし、これが日に日にというふうにふえてきている。政府はそういう動きというものを見て、それに対処していくというふうにしなければならないのではないかと思うのです。 それをいままでむしろ政府が押えてきた、組合に対しても政府が介入したというふうな疑いが非常にあるということで、労働者はむしろこういうふうに言っているわけです。政府は五対五を定着させようとして必死になっているというのが労働者の実感なわけです。これは組合健保の労働者が言っているわけです。こういうことをして、結局この政管健保の五対五というものが——組合健保が、あるところでは一〇〇%、労働者が一銭も負担しない組合さえできているわけですね。そういう動きを、この政管健保の五対五というものが、むしろ足を引っぱる役割りをしているのではないか、定着どころの騒ぎではないというふうに私は思うわけです。これについて言だけ、それでも定着しているんだとおっしゃるのでしょうか。
○北川(力)政府委員 保険料の労使負担割合につきましては、やはり五対五、いわゆる折半負担というものが原則であるという形におきまして、私どもは定着をして、今日までまいっているというふうに申し上げておるわけでございます。 健康保険組合の場合には、いまおっしゃいましたように、組合によってそれぞれバラエティーがございますけれども、その折半負担がくずれておりますのは事業主のほうが多いということであります。ただ、この問題はいろいろ見方がございまして、いま言われたように極端な場合に被保険者負担がゼロになる、あるいは被保険者負担の割合が非常に少なくなる、こういうことがはたしていいことかどうか、こういう問題はまた別のサイドから、われわれとしては検討しなければならない、やはり法律にも書いてあるわけでございますから。健康保険組合の場合には大企業とか、あるいは負担能力のある、連帯意識があるものがつくる組合でございますので、そういう割合について法制上変更できることになっておりますけれども、それじゃ極端に事業主負担を大幅にすることが結果的に労働者のサイドから、被保険者のサイドから、どういうふうなことになるか、それはやはり多角的に検討しなければならぬ一つの問題だと思います。 でありますから、原理原則は定着をしておる。ただ健康保険組合のような運営に非常に弾力性のある、また給付の面においても弾力性のあるそういうところでは、もう制度発足以来の負担割合が何と申しますが、バラエティーがあるわけでございますから、それはそれといたしまして、原理原則はどこまでも折半負担というものが、いままでは定着をしてきているとまず見ていいのじゃないか、そういう趣旨のことを申し上げているわけでございます。
○田中(美)委員 定着しているということですが、いまこれが非常に動き出しているということです。この問題は簡単に済ましていきたいと思ったのですけれども、どうも回答の中に疑問がたくさん出てくるものですから、ここで時間を食ってしまいますけれども、先ほど大臣は保険料値上げについても、国民から値上げとして取っていく分よりも給付のほうが多いのだと言われましたけれども、私の調べた数字とは違います。これはまた繰り返すことになると思いますけれども、もう一度はっきりとどれだけ取り上げて、どれだけを給付改善に充てているのか、これを数字で明らかにしていただきたい。私の調べた数字と厚生大臣のおっしゃることとは反対です。私のほうは保険料の増収のほうが給付よりも多くなっているということです。
○北川(力)政府委員 四十八年度の満年度で申し上げますと、今回の改正案によりまして、給付の面におきましては七百二十四億の改善でございます。それから保険料のほうは労使折半負担でございますから、被保険者負担分、いわゆる労働者の負担分は五百十九億でございますので、その両者を比較いたしますと給付改善のほうが多い、こういうわけでございます。
○田中(美)委員 保険料の値上げというのは千三十八億ですからね。保険料を上げているわけでしょう。そういうごまかしをおっしゃるというところに厚生大臣の特徴があるというふうに私は思うわけです。政府が出しているものと同じ数字で私たちはやっているわけです。それでしたら、ものごとというのは部分的に、主観的に言うのではなくて、総合的に科学的にやっていかなければいけないんだと思うのです。数字は全く一緒です。しかし労働者の負担が半分だからといったって、保険料をぐっと上げているのじゃないですか。こういうところに非常にインチキがあるわけです。 これ以上言っても始まらないと思いますけれども、この保険料の値上げも結局弾力条項と厚生保険特別会計法、これのかかわりあいというものは寺前議員と多賀谷議員がずいぶん質問していらっしゃったわけです。これに対する政府の回答というのは、収支がまかなう上に立っているからというふうな非常にあいまいなことを言っていられるわけですけれども、これで見れば、今度値上げをしても、また赤字になるならば弾力条項でもってすぐ値上げをしなければならない。いままで借りられたお金が、値上げをしなければ借りられなくなる、こういう危険なものをくっつけている。これは国民には非常にわかりにくい形であるわけですけれども、単なる値上げだけでなくて、その次に今度は国会にかけないで、ますます値上げをしていこうという危険なものを織り込んでいる。ほかの組合では、まあ組合健保でも労働者の意見が反映する場があるわけですけれども、今度のこの政管健保の弾力条項の中では労働者の意見を反映するところが全くない。国会しかないのに、国会の議を経ないで、かってに大臣の心だけで値上げをしてしまうということは、これは最も国民が不満に思い、また容認できない点だというふうに思います。 この点、そもそもの話になりますと長くなりますけれども、いま私たちは大きな観点から、ものごとを考えていかなければならないというふうに思うわけです。というのは、世界の社会保障がどういうふうに動いているか、これと世界の中で日本が正しい位置を占め、正しい交際をしていく日本国であるというふうにしていくためには、社会保障の面でも世界の標準と合わせていくのが当然だというふうに思うわけです。 それにはどういう基準があるかというと、二つの基準があるというふうに思います。それはILO百二号条約といわれているもので、一九五二年の社会保障の最低基準に関する条約ですね。この百二号条約というものをわれわれは踏まえて、せめてこれ並みにはいくという考え方をしていかなければならない。これを率先して批准していくという考え方をしなければならないというふうに思うわけです。もう一つは、これは一九六一年の第五回世界労組大会で採択された社会保障憲章です。これは労働者の立場から国際的な社会保障の目標をどこに置くかということを話し合われて、憲章が採択されたものです。この二つを私たちは常に頭に入れながら、日本の情勢はどういう状態か、どこまでいっているか、どういう基準がこうなっているかということを検討していかなければならないと思うわけです。 それで百二号条約をいま批准するということについては、大臣はどう考えていられるわけですか。
○齋藤国務大臣 ILOの百二号条約につきましては、疾病だとか失業だとか老齢、災害、いろいろな部門に分かれておりまして、たしかそのうちの四部門を満たしておれば批准することができる、そういうふうな条約であったと思います。 そこで実は私どもも社会保障の進展からいうて、こういう条約は一日も早く批准したい、こういうふうに考えておったわけでございますが、まだやはり四つの条件を満たしておらない点があるように思われる節があったわけでございます。そこでいろいろ検討いたしました結果、最近におけるいろいろな法律改正等のこともありましたので、大体のところ四部門とも批准が可能であろうという結論になりまして、できまするならば、来年の通常国会に批准案を提案したい、こういうふうなことで考えまして、目下厚生省の中で事務当局のILO条約批准のプロジェクトチームをつくりまして、事務的にこまかく条約の案文とにらみ合わせながら間違いがないかどうかということで検討をいたしておりまして、おそらく来年の春の国会には批准案件を提案することができる、こういうふうに考えておる次第でございます。
○田中(美)委員 この五二年の百二号条約というものは、その後総会でいろいろ審議をされまして、新しい条約ができているわけです。それについての批准というのはどうなりますでしょうか。百三十号条約です。
○綱島説明員 御説明申し上げます。 百二号条約が一九五二年にできまして、そのあともう少しその程度を高くいたしました国際条約が、百二十八号、百三十号というのができております。これにつきましても、先ほど大臣から申し上げましたプロジェクトのチーム、その中でこまかく検討いたしております。その新しいほうの条約につきましては、かなり程度をアップしておりまして、私どものほうの今回の法律改正に基づきます給付内容、それから今後の将来の改善の方向、こういう点等十分検討を突き詰めていきたい、こう思っております。
○田中(美)委員 その百二号条約ができてから、もう十五年以上にもなっているわけですね。それをいまごろどういうふうな形でなさるかわかりませんけれども、来年の春だ——その次にはもう百二十八、百三十号と出て、世界のレベルはどんどんアップしていっているわけですね。それにちっとも追っついていかないで、どんどんいいものができてきているのに、前の古いほうを、ほんとうにゆっくりゆっくりあとから行っている。そういう姿勢からして、それが結局こまかい保険料の問題にしても、労使折半の問題にしても、すべてがおくれてきているわけです。こういうふうに繰り返し繰り返し、百二号条約でいわれているものを、いままだやっていない。 これはあとに触れたいと思いますけれども、そういう姿勢ではいつまでたっても、世界はそのままじっとしてはいません、歴史も世界もどんどん流れていっているわけです。どんどん向上しているわけですから、それに速度を速めて追いついていっていただかなければ、いろいろなところに出てくると思います。 それからもう一つ、社会保障憲章については、厚生大臣御存じでいらっしゃると思いますけれども、どのような見解を持っていらっしゃるでしょうか。
○齋藤国務大臣 一九六一年社会保障憲章、これはご承知のようにソ連、東欧を中心とした世界労働組合大会において決議されておるものでございます。この憲章は、労働組合、労働者側の立場に立っているものが非常に多いわけでございますから、ILOのような労使公益と申しましょうか、三者構成的な立場に立ったものではございません。しかし、その内容とするところのものは、たとえば原則的には社会保障は全国民に対し差別なく、本人による何らの負担もなく、病気老齢等の一切の社会的罪悪に対して適用されなければならない、こういったようなことで、本人による何らの負担もなくというふうなところは、私どもも同意いたしかねます。 けれども、気持ちとしては、全国民に対し差別なく、病気、老齢等の社会的罪悪に対してめんどうを見ていかなければならぬという基本的な考え方、ただその負担のやり方とか、あるいは財源とか、あるいは管理とかこういったものは、いま直ちに賛成いたしかねるものがございます。ございますが、すべての国民がいかなる地域にあっても高度の治療を受けられるようにするとか、あるいは老齢年金は全国一律に年金制度を施行する、これはもう当然のことですから、そういうふうな社会保障の拡充について非常に御熱心な決議であることについては敬意を表しますが、負担の内容、あるいは財源、管理、そのほかの問題については、あまり労働者一方に片寄った考えではないか、こういうふうなことで、その点については、いま直ちに賛成いたしかねるものがあります。
○田中(美)委員 立場はよくわかります。と申しますのは、百二号条約でさえ、まだ批准できない日本の厚生大臣として考えた場合に、日本がGNPが世界第二位だというように言われるそういう国でありながら、百二号条約がいまなお批准できない、そうして社会保障の給付額というのは世界の国で二十六番目だということを考えたときに、そういうレベルからお考えになれば、世界でいま人口の三分一の人たちが社会主義国に住んでおりまして、労働者の数はますます社会主義国だけでなくてふえているわけです。そういう意味で、この社会保障憲章というものは地球上の人類からすれば、非常に多くの人たちの、統計からいっても目標であるというようなことを私は考えるわけですけれども、その点も十分頭に入れておいていただきたいというふうに思います。 この社会保障憲章の中でいっておりますことは、社会保障憲章の中では七つの観点が強調されているわけです。その六つ目に、「社会保障の財源は、雇主か国、またはその両者の負担とすべきで、保障をうける者の負担は減らすこと」であるというふうに強く主張しているわけです。こういう観点から見ましても、労働者の保障を受ける側の者たちの負担を減らすということは、もう世界の国際的な常識になっているわけです一そういう意味で、この労使折半の問題が、いま保健組合のほうで非常に急速に七対三のほうに向いているというようなことも、十分考慮に入れていただきたいというふうに思います。 それでは、次の質問に移ります。次に、家族給付のことについて伺います。 家族と本人の給付の差のある西欧諸国というのはどこかあったでしょうか。ちょっと一言、この間ちょっと聞きのがしましたが……。
○北川(力)政府委員 先般申し上げました西欧先進諸国におきまして、そういう差別は原則としてないものと考えております。
○田中(美)委員 これも世界の常識として、本人と家族の給付の差があるというのは非常におかしいわけです。これを差をなくしていく努力というものが、いますぐ十割にするということは、これは大きな国民の願いですけれども、それに近づけていくということは政府でも考えてないことはないと思います。もう十年前から七割にするというふうに言っていらっしゃるし、大臣も一、二年の間には七割にする、両審議会でも七割だと主張しておりますし、国保ももう七割になっている、こういうことは、いまだれが考えても七割というのは当然なことです。それにもかかわらず、今度の国会に六割で出したというのは、どういうわけなんでしょうか。
○北川(力)政府委員 確かにただいまお話しのように、七割という問題は皆保険後、国民健康保険でそういった七割のレベルができ上がりましたので、当面施行すべき給付水準だと思います。今回の改正にあたりましても、ただいまお話しのとおり関係審議会からは多少ニュアンスの差はありましたが、家族の給付は七割にすべきであるというふうな趣旨の答申をちょうだいいたしております。 ただ政府管掌健康保険におきましては、長年の非常な赤字の累積でございまして、御承知のように今年度末では三千億になんなんとする、こういう赤字のさなかの給付改善でもございますから、かたがたまた七割に一挙に上げますについては、相当大きな財源も要するわけでございますので、私どもは今回は長年、三十年間上げられなかった五割給付というその壁を突き破って、とりあえず六割給付ということに進む、そしてこれができ上がりましたあと、できるだけ早い機会に七割給付を目ざす、こういうことで考えたような次第でございまして、何ぶんにも多年の赤字の累積の中で、赤字と縁を切って多額の国庫補助を投入をして、そして給付の改善をするというような、そういう全体のからみを考えますと、段階的な改善という意味で、とりあえず家族の給付を現行の五割から六割まで引き上げよう、こういうわけでございます。 ただ、これに加えて高額療養費の償還制がございますから、実質は六割と申しましてもプラスアルファになる、このように御承知願います。
○田中(美)委員 まあ、高額医療費のほうはプラスアルファでなく、マイナスアルファのものもありますので、いまのものは必ずしもそうは言えないと思いますけれども、いまこの七割の問題ですけれども、赤字があるから三十年の壁を破ったということをたいへんに自慢げにおっしゃるわけですけれども、人間立場が違うとこうも違うのかと思います。これはむしろ恥ずかしい話ではないか。もし私がそちらにすわっていたら、三十年も放置していたということは非常に恥ずかしいことなわけです。ですから触れたくないことを、堂々と三十年の壁を破ったというふうに自慢なさる感覚というのは、やはりだいぶ狂っていらっしゃるのじゃないかというふうに思うわけです。 世界の常識になっていることが——ずっと家族が半分であったというようなことは、まさに十九世紀半ばの思想から出ているわけです。それがいままであったということは、むしろ恥ずかしいことだったわけですね。それをやっと壁を破ったといっても六割、さんざん大臣も七割にする、両審議会もこういっている、国保でもこうなっているといっていながら六割で出したというところに、私は非常に怒りを感ずるわけです。 それはなぜかと申しますと、私案にしても、いまこの審議の中で橋本私案として七割が出されてきている。これはもともとかけ引きでなかったのか。七割にすべきものをわざとしないでおいて、そしてほかの弾力条項やいろいろとどうしても譲歩できないもの、これになるたけ目を向けさせないで、ここでかけ引きとして七割を出して、そしていかにも審議の過程で国民の意思を聞いて政府がそういう姿勢をとったというふりをしているのではないかというふうに非常に私は怒りを感ずるわけです。七割にすべきだというふうに思っているなら、初めから七割出すべきじゃないか。むしろ国民を愚弄しているような出し方である六割という出し方というのは、けしからぬというふうに私は思うわけです。 絶対にできないなら——これはいつだったか、どなたかがおっしゃっていましたけれども、完ぺきだといっていながら直しているじゃないか。それは確かに水かけ論ですけれども、こうした姿勢というものかいろいろなところに——重大なところでは決して譲歩していない。これだけ審議しても馬耳東風に、大事な国民の最も要求するところは何の手直しをしようとしない。そのままで衆議院を通してしまおうということは非常に許せないというふうに思うわけです。家族と本人の差があるというのは、ほんとうに日本だけだと言ってもオーバーでないような状態でありながら、これを近づけていこうとしない。何としてもいま八割、九割というものに、それでも差があるということではおかしいわけです。それを六割というふうな形です。 先ほど、これはヨーロッパでは十九世紀半ばの思想だというふうに私は言ったわけですけれども、西欧諸国で健康保険が最初にできたころには、確かに保険主義がとられていたというふうなことから家族給付というものが入っていないという時期もあったわけです。しかし健康保険というものは、あくまでも社会保険であるけれども、社会保障の立場をとるんだ、社会保障の一環なんだということも西欧諸国では常識になっているわけです。日本でも多分に一般的には社会保障というようなことをいわれているわけです。生命保険のような保険とは違うわけです。それが西欧諸国でも保障の立場から社会保険の対象として給付率も本人と家族の区別を全くしないというふうになっていったわけです。 ですから、いま日本の厚生省が考えていることは十九世紀半ばの考え方であって、日本の医療保険というものはまだ社会保障の一環の名に値しない、そういうものだというふうに、この家族給付のところは強く感ずるわけです。健康保険の抜本改正、抜本的再編成ということがいわれているわけですけれども、まずこれは家族と本人の給付率というものをそろえるところから始めていかなければならないということだと思います。あくまでも社会保障の立場でとらえていくということが世界の常識になっているのに、なぜ日本だけが十九世紀半ばの思想のままで厚生省があるのかということです。 これが私の主張ですけれども、その点について厚生大臣はどうお考えになっているのか、一言簡潔にお願いしたいと思います。
○齋藤国務大臣 社会保障の中核でありまする医療保障につきましては、今日までたびたび申し上げてありますように、わが国は保険主義をとっておりますし、西欧先進諸国においても、そういうふうな体制をとっておるわけでございまして、全額国でめんどうを見るというふうなことだけが社会保障などとは、私どもは全然考えておりません。
○田中(美)委員 お答えはすりかえないでいただきたいと思うのです。何も私はいますぐ全額国が見なければ社会保障でないとは言っていません。あくまでも世界の社会保障の歴史の上から言っているわけです。人類の知恵が蓄積され、人類の文化が蓄積された上から言っているわけです。それをそのように右でなければ左というふうな回答というのは、御返事がしにくいというふうに受け取る以外にないと思います。 時間がありませんから、次に進みますけれども、大臣は自民党の「国民医療対策大綱」というのをお読みになっていらっしゃると思います。私も丁寧に読ませていただきました。その中で、これは公聴会のときにも吉田秀夫さんが触れておられましたけれども、一番最初のところをちょっと読んでみますと、たいへんに格調高く始まっているわけです。「健康は人間活動の源泉である。それは、経済発展の原動力であり、民族繁栄の基盤である。疾病は、人生の破綻であり、生活転落の因であるとともに民族衰亡につながるものである。」というふうに自民党の「国民医療対策大綱」は始まっているわけです。 しかしよく注意深く見てみますと、これは五五四ページにありました。こまかいところで五六二ページです。これには「社会保険方式を健康保障の中核として堅持すること」というふうに書いてある中に、これも短いので読んでみますと、非常に問題なことばがあるわけです。「国民の生命と健康を守る根本には、まづ国民の一人一人が自分の健康は自分で守るという自己責任原理」自分で自分の健康を守れるでしょうかね、大臣。ちょっと続けます。「家族、近隣の君達、職場を同じくする者等がお互いに注意し合い、相扶け合う相互扶助の自覚がなければならない。」こういうふうに書いてあるわけです。これを読みまして、ははあ、政府の健康保険の今度の改悪案というものが、まさにこれに逆行している。自己責任の原理と相互扶助、これに置いていこうとすることが、高負担そして低福祉というものになっているのだというふうに思います。 この中には、非常に危険なものというのは、ほんとうに注意深く読まないと、ところどころ格調高いところがあるものですから、ことばだけであるものですから、それにごまかされて、ほんとうにたいへんなので、自民党の出されたものというのは、読むのに非常に時間がかかるわけです。 そういう点から考えますと、先ほど申しました、まさに十九世紀半ばの産業組合時代の思想をむしろ持ち込んできている。こういうことは、高度成長の中でもうわれわれの健康は、自分で自分の健康に責任が持てなくなってきている、こういう中で高度成長の遺物である格差をそのまま残していこうとしておるということは、全く容認できないというふうに思うわけです。 自民党政府がいつもいいますのは、国民本位に転換するのだとか、生活優先だとか福祉元年というようなことをいわれるわけですけれども、福祉元年というふうに大臣いわれるならば、一言で言ってどこが福祉元年になるのですか、簡単に一言でお答え願いたい。
○齋藤国務大臣 先ほどお読みになりました「国民医療対策大綱」は、私が党にあったときに書いたものでございますから、私はよく承知をいたしております。病気というものは本人自身がどういう症状であるかということを十分自覚し、そしてそれをどういうふうにすればなおせるか、それはやはり自己責任というものが一番大事なことだと思います。ただその場合に、いろいろ経済負担において苦しいところがある。そこで保険制度においてめんどうを見ようとか、あるいは公費負担をどうしようかということになるのであって、やはり自分の健康は自分が管理するという自覚がないといけない。私はそのように確信をいたしておるわけでございます。 そういうふうな考えでございますから、どうも私どもの書いたのを読みにくいとおっしゃるが、よく読んでいただければ、非常に常識的に私は書いている、こういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
○田中(美)委員 それが福祉元年のお考え方ですか。
○齋藤国務大臣 福祉元年のお答え漏らしましたが、要するに私どもは、日本の福祉が一番おくれているのは何か。西欧先進諸国と言うと御意に召さぬかもしれませんが、私どもは自由主義の西欧先進諸国というものを範とするわけでありますが、そういうものと比較すると、一番おくれているのは何か。中心はやはり年金です。そこで一番おくれておる年金について思い切った改善をする。今度は五万円年金、まさしくできるのです、この法律が成立すれば。そうお笑いにならぬでお聞き取りいただきたいのですが、そこでこの年金というものは、五万円年金というのは西欧先進諸国に比べて、相当高い水準ですよ。 したがって、この年金が動きだすようなレールを敷くということであれば、先般来申し上げております経済基本計画、五カ年計画というものができておりますから、あれに基づいていきますと、今後五年後にわが国の社会保障給付費は国民所得に対して一〇%、十年後には一五%になる。間違いなく西欧先進諸国に匹敵する水準になるわけであります。したがって、そのレールを敷く、福祉社会に向かってのレールを敷く、まさしく元年である、私はさように考えておるものでございます。
○田中(美)委員 非常に社会保障のお勉強が足らないというふうに私は考えます。 年金の問題きょうは年金の問題でありませんけれども、さんざん国民のお金を九兆円も取り上げておきながら、いまなお出さないというところに問題があるので、ちょっとぐらい水増ししたからといって、それが福祉元年だということでは、非常におそれ入った考え方だというふうに思います。もう少し福祉元年というのは、多面的に考えていかなければならない。 そういう点で、たとえば第二次大戦中にイギリスにおいて、チャーチルがビバリッジに調査をさせたビバリッジ報告というのは、もう御存じだと思います。第二次大戦後に、このビバリッジ報告に基づいて——これは非常に総合的なものです。これに基づいて、ゆりかごから墓場までというふうなスローガンのもとに、その報告の中のものが次々と取り入れられていった。これはあとで、いろいろマーシャルプランや何かによってぐらついてはおりますけれども、そういう形で出発した。そういうときに——福祉元年ということばだというふうに私は大学で学生に教えておりました。 ただ国民のお金を九兆円も取り上げておいて、それを何に使ったか明らかにしないでおいて、ちょっとぐらい水増しをした。それで福祉元年というような思想では、これはどんな若い学生であっても納得いかないというふうに思うわけです。やれることをやらないで、ろくな調査もしないで、そして老人医療にしたって、全国三千以上の町村のほとんどの自治体で始めてから、初めて政府が腰を上げる。そして英断をもってやったんだというふうなことで、どうして福祉元年と言えるでしょうか。もうちょっと福祉というのをきちっと根本的に考えてやっていただかなければ、いまのこの資本主義の非常に発達した、円熟した中での矛盾というのは、ますますひどくなっているわけです。それこそ徹底的にこうした——何もイギリスの例のとおりにやれというわけではありません。しかし、そういう画期的な動き方をしたときに、初めて、それも始まったときにそれを福祉元年と言うべきだということを大臣に一言お教えしておきたいというふうに思います。 その次に、薬価の問題について質問いたします。 薬価の問題は、これは寺前議員の質問、それから石母田議員の質問、相当の時間をかけて薬価の問題で、いかに不当な製薬独占が利潤をあげているかということや、また政府がそれに対して非常になまぬるいということが、非常にはっきりしたわけです。時間をかけてやったわけですけれども、それに対しては政府の姿勢というのは非常に私はあいまいで、納得いかない。それはなぜかといいますと、やはり大薬剤メーカーに対するメスを入れていないということですね。あれだけいわれても、それにメスを入れようとしない。これが大きな赤字の原因になっている。それだけでなくて、薬による公害というものも出ているわけですから、不当な利潤をあげながら、まさに大薬剤のメーカーというものが、健康保険の制度に寄生虫のようにくっついて、そしてそこから吸い上げていっている、まさに私たちの保険料を吸い上げていっているというふうにしか私には思えないわけです。 もう一度お伺いしますが、これに対して政府はどうしてメスを入れられないのかということを簡単にお答えいただきたいと思います。
○松下政府委員 ただいまの御質問、製薬メーカーの利潤にメスを入れられないからという御質問の意味は、あるいは先日石母田先生から御指摘がありました、製薬メーカーの経理内容に立ち入って、国がその薬価について強制的な措置をとるべきではないかというような御趣旨の御質問かと存じますが、そのような前提で……。
○田中(美)委員 いいえ。薬の原価を公表できないかと私は聞きたいわけです。特に、どこの会社の経理の中身を全部見てどうということをいま言っているわけじゃないのです。薬の原価に対する国民の疑惑というのは非常に大きいわけです。それで、ちまたでいわれていますのは、薬九層倍といわれるだけでなくて、最近は新薬においては百倍、二百倍といわれている。しかし、それは証拠がはっきりないわけですね。ですから、アリナミン一錠が幾らというようなことを、一錠が十円だというようなことをいいますね。しかし、それははっきりとしてメーカーから公表されていないわけです。どうして公表できないのか、これを聞きたいわけなんです。
○松下政府委員 まず医薬品の原価というものの考え方でございますが、医薬品につきまして、これを製造いたします場合に、あるいはその一つの医薬品の製造にあたりましての材料費あるいは人件費、そういったものの機械的な計算のほかに、医薬品というものの特性から申しまして、その医薬品の開発されるに至るまでの経費あるいは医薬品というものの特殊性から申しまして、その医薬品の製造過程における品質管理に対する経費、製造の終わりました後におきましても、その保管あるいは輸送等の段階を経まして最終的なユーザーの手に渡り、使用されますまでの品質も保証しなければならない、そのための管理の経費、そういったものもすべて考えまして、医薬品の原価というものは考えられなければならないものであろうと存じます。 特に新しい医薬品を開発していくということは、国民の医療を高めます上におきまして、ぜひとも不可欠のものでございまして、新しい医薬品の開発につきましては通常三年ないし五年の日時を要し、二千ないし三千の品目について検討いたしまして、それで役に立つのが一つか二つということが常識的な線であるというふうに専門家によっていわれておるわけでございます。 こういったものを全部総合いたしまして、医薬品というものの生産が成り立っておる、そういった医薬品産業の特殊性から申しまして、原価に基づいて価格を云々するということは技術的にも非常に困難でもございますし、また反面、現在の自由主義経済のもとにおきます企業の中で、正常なる自由競争において価格が決定されておるという一般的な経済情勢の中で、医薬品の企業に限りまして、原価に基づいての価格の決定を行なっていくということは、これは社会情勢といたしましても必ずしも適当ではない、さように考えておるわけでございます。
○田中(美)委員 まるで、どこかの大メーカーの社長さんのおっしゃるようなことを、私はいま聞いているわけではないわけです。日本の政府の役人に話を聞いているわけです。原価というものはあるはずです。それをどのような薬価基準にするかということは私は聞いておりません。薬というのは一番人間の生命にかかわるものです。それから将来開発しなければならないとか、いろいろなことがあると思います。それにお金がかかるならば、どういうふうにして薬価基準をきめるかということは、それからの問題であって、いま出ている薬が一体幾らでできているかということぐらいは、わかるはずです。まさかそんな大メーカーの社長のようなことばを聞くとは思いませんでした。非常に意外に感じます。 原価がなぜ公表できないのかということを私は聞いているわけです。なぜ厚生省が薬のメーカーに対して原価を公表せよということができないのか。これは独禁法に触れているんじゃないかと思う面もあるわけです。それで聞いているわけですね。これはどなたに聞いたらよろしいのですか。公取委の方にお聞きしたらいいのですか。
○橋本(龍)委員長代理 いま公取委の吉田事務局長が参っております。ただいまの田中委員の御質問、薬務局かあるいは公正取引委員会か、いずれか御指定いただければ、どちらからでもお答えいたします。
○吉田(文)政府委員 各企業の原価が具体的に公表できないかということでありますが、これはいきなり原価を公表する、具体的に各企業が製造原価あるいは販売費、一般管理費等で幾らである。かということは、独禁法の四十三条という規定がございまして、「公正取引委員会は、この法律の適正な運用を図るため、事業者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。」この事業者の秘密を除くというところでひっかかってまいるわけでございまして、たとえばいままでには再販売価格維持契約、再販の場合の原価を具体的に個々の企業についてどうだという形で公表したことはございませんが、四十五年の十月、それから四十七年の五月の二回にわたりまして化粧品、医薬品ごとに再販実施全メーカーの平均値、いわゆる総売り上げ高に占める構成費という割合で、売り上げ原価、つまり製造原価、販売費 一般管理費営業利益、純利益というのを、そういう形で公表したことはございます。
○田中(美)委員 法律というものは人間がつくったものですから、幾らでも変えることができるわけですよね。いまこれだけ薬公害か起きているし、そして保険財政の中で薬代というのが非常に大きく占めている。それはなぜだかわからない。ただ、そうなっている。薬を飲み過ぎて病気になるというふうなことも事実起きている。それから国民の中では、病院に行けば馬に食わせるほどの薬を飲ませられるというのが実感です。ほんとうにその薬を全部飲むのが正しいか正しくないのか、これはわかりません。しかし、これは国民の実感なんですね。人間の生命にかかわる大事なものです。こういうものについては企業の秘密もへったくれもないと思うのですね。それをなぜ直そうとしないのか。もしそういう法律で、いまできないというなら、これを直すという姿勢を、政府が法律を改正していく、そしてこれをはっきりあれしていくというふうにしてもらわなければ困るじゃないかと思うのですね。 それじゃ、なぜできないのかというふうに聞くわけですけれども、まあできないんだというふうにおっしゃるんだと思うのです。こういうことはアメリカやイギリスでは公表しているではないですか。これは何かといえば自由主義経済、資本主義の社会では企業の秘密だとか自由競争であるとかいいます。しかし私は何もソ連や中国がどうと言っているわけじゃない。日本が資本主義ならイギリスやアメリカだって資本主義です。こういう国では公表しているではないですか。それをなぜ日本がしないのか。結局厚生省が、大企業の社長の言うようなことを言っていたんでは公表できないんだと思うけれども、もうちょっと政府がしっかりしてもらって——私は大企業横暴だと思います。しかし横暴かどうかということは、ここでしっかり公表さしてみて初めてどうなっていたかということがわかるのではないですか。そうしなければならないところまで国民の健康が侵されているんじゃないかという疑問が出ているから言っているのです。 厚生大臣、なぜアメリカやイギリスでできることが日本でできないのか、これをお聞きしたいと思います。
○松下政府委員 ただいまの御質問、二、三の点が重ねての御質問だと思いますので、順次お答え申し上げたいと思います。 まず医薬品の副作用による被害という問題についての御質問がございました。医薬品の副作用について、先生のおっしゃいました薬公害というような問題につきましては、私どもも非常に深い関心を持っておりまして、こういったことの起こりませんように医薬品の品質、製造方法等につきましては、さらに厳重な規制を加え、医薬品の承認許可の審査につきましても非常に厳格な資料を要求いたしまして、中央薬事審議会の審査を経る等の方法によって適正化をはかっておりますと同時に、また今後すみやかに検討すべき問題といたしまして、万一の不測の副作用によりまして事故が生じました際の救済制度につきましても、現在急速に検討を進めておる段階でございます。ただ、そういった医薬品の品質、副作用の問題に起因いたします被害の問題は、これは先生御指摘の薬の価格とは異質の問題でございまして、そういったことと価格の原価を公表するということにつきましては、関係のない問題であろうと考えております。 それからその次に、御質問のございましたイギリスあるいはアメリカにおいて薬の原価を公表しておるではないかという御質問でございますが、これは先日、石母田先生から御質問のございましたイギリスのロシュのトランキライザーの問題あるいはアメリカにおきましてのキーフォーバー委員会の問題、そういったことを例として御指摘であろうと存じますけれども、こういったことは、いずれも先生が先ほど取り上げられました独占価格、そういった医薬品の独占という問題を中心にいたしまして、独占的な立場において管理価格が形成されているのではないかというような立場からの特殊な医薬品を対象といたしましての調査でございまして、わが国におきましての医薬品全体の原価がどうなっておるかというような問題とは異質のものであろう、さように心得ております。
○田中(美)委員 いま私が言っていますのは、部分的なことを言っておるのではなくて、たとえば薬公害にしても、これが赤字と何の関係があるかということですね。しかし私の言いますのは、大メーカーが薬を患者に飲ませることによって実際にもうけているのじゃないかというふうに考えているわけです。ですから、薬の中身の問題もあります。しかし、たくさん飲ませ過ぎるという問題もあるわけですね。それから中身の危険なものをちゃんと取り締まってない面もあるのじゃないか。それはどうしてかといいますと、総合的に考えて大企業が非常に横暴をしているということを言っているわけです。ここを押えていくという姿勢を持たなければ、ただ原価だけを出せば、すべてが解決すると言っているわけではないのですね。原価さえ公表させられないのかと私は言っているわけです。なぜそんなに大企業に弱いのかと言っているわけです。これを私は言っているわけです。 ですから、救済制度はもちろん病気が起きたら、しなければなりません。しかし、ろくな制度してないじゃないですか。サリドマイド児なんというのは、全く政府の怠慢からなったといわざるを得ないくらいでしょう。それはアメリカではちゃんと押えたわけですね。だから出なかったじゃないですか。それを救済するのは当然です。しかし、そういうことが起きないようにするということは——なぜ起きたのかといいますと、やはりこれは政府の姿勢が、きちっとした制度ができていない。政府の姿勢が弱いというのが、大企業にあらゆる面で横暴させているというふうに思うわけです。だから薬公害にしても、値段の高いものをめちゃくちゃに飲ませているということから結局そうした薬公害が出ているわけです。だから一つ一つ何か大企業を押えていくという方向をとっていかない限りは、これは制度が違いますだとか何だとかかんだとかいうことを言っていたのでは、どんどんひどくなっているじゃないですか。いま私たちはどんなふうになるのだろうかと非常に不安なわけです。 〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕 そしてきょう私が一番質問したいということは、こういうふうに総合的に考えて、大企業の横暴というものをこんなふうに野放しにして原価さえも公表させられない、こういう状態の中で医療機器の産業が年々増大しているわけです。私は、これはまたいろいろな医療公害も起きやしないか、それからまた今度は医療機器の産業というのは、お金が大きいわけですから、健康保険の赤字を根本的に、また財政を根本的にくずすんではないか、薬でさえこんな状態になっているのに、これがきたらどうなるんだというふうに考えるわけです。 しろうとで考えれば、確かに薬がなければ困るんだ、それからいろんな医療機器というものが私たちはほしい、その恩恵に浴したいわけです。しかしこれを正しく、ほんとうに人間の役に立つように使うという姿勢でなければ非常におそろしいことになるわけです。これが薬で証明されているわけでしょう、健康保険を赤字にしているし、薬公害を起こしている。これをここまできているのに押えられないような姿勢で、この医療機器の問題というものを一体どう政府は考えているのか、私は非常におそろしい気がするわけです。この点についてお考えを聞きたいと思います。
○滝沢政府委員 先生の御指摘は私も一つの考え方だと思います。特に最近新聞紙上等で健康産業あるいは一兆円産業というような表現を使いまして、特に医療機械の関係についてのそういう傾向が見られることは確かでございますが、しかし私はこれは薬の問題とは、医学の面からは、先生も御理解すでにお持ちのように多少違う面はあろうと思います。したがって医学の進歩に伴い、検査機能の合理化あるいは正確化ということからいって機械が進歩していくということ、そのこと自体は私はそう押え切れるものではないし、大事なことだと思いますが、問題は機械の、製品の正確性というようなものをしっかり管理できるかどうか、こういう問題について私はやはり今後行政の立場からは検討する必要があると思います。 ちなみに金融公庫等の医療機械の貸し付け額も全体に占める割合からいきますと一五%程度でございますし、国立病院の経営費の中の医療機械の予算は約三%程度でございまして、そういう数字からは、まだそう大きなシェアは占めておりませんけれども、考え方としては私は、医療機械については将来を考えて、やはり使用する機械の管理という面からは十分関心を持つ必要があると考えております。
○田中(美)委員 十分管理をするというおことば、そのまま信じていいんだと思いますけれども、薬でさえ大企業の横暴を許せないということは、そこに何があるかということは、人間の生命さえが商売の道具になっているということに根本的な誤りがあるということです。これをこのまま放置していくならば、私は、こういう人間をほんとうにしあわせにする機械というものが、また人間を殺していく、これが利潤の対象になっていたんでは殺していくということを心配しているわけです。 ですから、ばかの一つ覚えのように薬の原価を公表せよ、こう言っているわけじゃないのです。それさえできてないでいて、十分管理すると、いまおっしゃいましたけれども、それはなかなか信じられないわけですよ。薬さえできないものがどうしてできるのだ。こういうようなことは、いろいろなものを読んでみますと、非常に心配なことがたくさん出てくるわけです。 今度のこの医療機器というのは特にコンピューター産業がおもに入ってくるわけですね。いろんな資料に、東芝などがずいぶん大きな市場を占めているようですし、日立だとか松下だとかいろいろ出ております。こういう大手メーカーというものが出てくるというだけでなくて、コンピューター産業になりますと、IBMだとか外国資本も入ってくるわけです。そういうところからも入ってくるわけです。 そうしますと、結局いままでは、われわれ患者の立場から素朴に考えた場合に、病気になったときに何にたよるか、いつの間にか私たちは薬にたよっていたわけなんですね。医者とほとんど接触もない。三時間待って三分しか医者には会えないのだということで、ほんとうに馬に食わせるほどの薬をもらって帰ってきた、それにだけたよっているというような医療の荒廃がきている。それを今度は全く機械で、人間と人間が接するということもなくなってくるわけです。これのよしあしは今後の専門家にまかせるとしましても、そういう状態の中で、あくまでもこの医療機器というものが薬と同じように利潤の対象に扱われていたのではたいへんなことになるというふうに思うわけです。 聞くところによりますと、アメリカの動きですけれども、いま宇宙開発費というものが縮小しているとか、それから国防費が多少削減された、それを何で大企業が補っていくかというと、医療機器産業を大幅にふやしていくのだというようなことがいわれているわけです。まさにこれは人間の生命に関係するものが全く利潤の対象に扱われている。これはコンピューター産業ですから、日本に入ってくるのは当然ですね。そうすると日本の大メーカーだけでなくて、アメリカの大メーカーまでが日本にどんどん入ってくる。これがわれわれの生命と関係のあるところになってくるおそれがあるわけです。これはいまここで討論しましても始まらないことだと思います。 しかし、私がなぜこれを取り上げているかというと、薬価一つ規制できない、薬公害一つ押えられない、われわれの生命を大企業の利潤の対象にしている、そういう姿勢の中では、こういう危険性というものは今後出てくるのだということを予告しているわけです。これに対しては早急に手を打たなければならない。どうしてもいまの政府ではできないのだろうか——私は、できないのではないか、これだけ審議をいままで尽くしてきても、決して抜本的な改革案が出されていないというところを見ますと、政府がそれだけの力がないのだろうかというふうに思います。これは自民党の政策大綱にも書いてありますように、それこそ健康はその民族の衰亡にかかわるものですよ。それが大企業の利潤の対象にされて、その上、今度は外国の大資本にまで押されてくるといったときに私たち日本民族がどうなっていく、非常にオーバーな言い方でありますけれども、そういう危惧を持つので、ここで質問さしていただいたわけです。 時間がありませんので、大急ぎで次に移ります。 次は、高額医療費の問題ですけれども、この高額医療費はずいぶん皆さんが審議をなさっても、この点は、あくまでも政府は目玉商品だといい、自慢をしているわけですね。先ほども家族給付六割というときに、高額医療費があるからプラスアルファだ、こういうふうに言われましたけれども、ここでは公費負担の肩がわりというものがあるわけですね。たとえば十五万円の医療費がかかった場合には、いままでは、公費は七万五千円だったものが三万で済むようになって、結局七万五千でいいものが十二万かかってくるということは、四万五千というものが保険に肩がわりをしている、二十万ならば七万も肩がわりをしていくという形になって、国庫補助をふやしただとか、やれ何だとかいいながら、いままで公費負担の分を保険に肩がわりさせているわけです。それの総額というのは大体どれだけ肩がわりさせたいというふうに思っていられるわけですか。総額だけちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○北川(力)政府委員 いま数字は申し上げますが、その肩がわりとかどうとかということでなくて、やはり先ほどお話がございましたように医療保障をやっていく場合に、その中心に社会保険主義というものがある。その場合に社会保険の医療をよくしていく、家族の給付率を上げていくということになるのが、そのいわゆる医療保障、社会保障を達成していく社会保険としての当然の筋道だろうと私は思うのであります。 でありますから、それが結果的には公費負担医療がそれくらいへこんでまいりましても、それは全体の考え方としては、やはり社会保障を達成する社会保険の充実ということで、これは当然そうあってしかるべきじゃないか、このように私は考えます。 で、ただいまのお話にありました全体の額を四十八年度満年度で引き直しますと、約七十九億でございます。
○田中(美)委員 七十九億ですか。もうちょっと多かったように思うのですけれども、約百億近いお金というものが、いままで公費で負担していたものを保険にかぶせてきているわけです。こういうことは、私は、専門でやっていなければ国民は気がつかないと思うのです。そして、ただ高額医療費ということで三万円以上みんなただ、こういって国保の赤字をかけてくる。そして保険料を値上げしていくというところに、非常に私はやり方がこそくだというふうに考えるわけですけれども、これは時間がありませんので……。 レセプト単位の問題やこういう問題は、非常に国民の一人一人の立場に立った考え方ではないというふうに思います。しかし、差額ベッド、付添料、こういう問題が高額医療費の中には入ってないという問題、非常に矛盾に満ちているわけです。 その中で一つはっきりさせておきたいのは、療養費あと払い制の問題ですけれども、これは自由診療のようになるわけではないのですか、お金を取るときに。保険の点数で全部いくわけですね。
○北川(力)政府委員 そのとおりでございます。
○田中(美)委員 それは間違いないですね。——この療養費あと払い制というのは、御存じだと思いますけれども、沖繩県の例をとりまして、七〇年の八月には二千万ドルの黒字が出たというのは、これは有名な話です。じゃ沖繩県人は病気にならなかったのかというと、そうではなく、お金がないから、かかれない。そしてかかって、たいへんなお金を出して、あとで払ってもらおうというと、そのとおり全額返ってこなかった。そこには自由診療の措置がなされていたということで、非常にあと払い制というのは、危険なものだと思うわけです。 沖繩は、まさに保険があって医療なしというモデルになっていた。実際に医者にはかかれない。そして沖繩県では、性病やハンセン氏病や結核のように、特にハンセン氏病、結核というのは本土のほうでは徐々に解決されていっているものが、非常に蔓延しているというような、おそろしい状態が起きているわけです。これが聞くところによると、政府の指導でなされている、ある程度モデルとしてやられたのではないかというようなことがいわれているわけです。これは非常に、そのように日本の健康保険制度が移されていくとすれば、これはゆゆしき問題だというふうに思うわけです。 こういう小さな点を、いかにも突っついているようですけれども、やはり自民党の政策大綱の中にあります、これは五六七ページですけれども、ここには大学の付属病院と、それから歯科の補綴、これを償還制にしたいということが書いてあるわけですね。そうしますと、おかしいぞ、こういうところから突破口にして償還制払いをしていこうとしているのではないかというような非常に疑問を持つわけです。これは絶対に容認できないことだというふうに思います。 これは寺前議員も言われましたように、入院患者であれば簡単にできることなんですから、現物給付——入院患者が多いわけですから、一万人のうちに二、三人しか外来はいないということなんですから、これは簡単に現物給付ができるはずです。これをしないというところに、やはりこの大綱に書かれているような、大学の付属病院を償還制にしようというような、その突破口ではないかというようなことで、絶対にこれは容認できないというふうに思うわけです。 差額ベッド、付添料がいかに国民を苦しめているかということは、いままで非常に十分な審議ではありませんが、幾らか出ておりますので、時間が足りませんのでここを飛ばしていきます。 この高額医療費が三万円で、あとは全部ただかと思ったところが、そうではない。あと払い制であり、差額ベッド、付添料は入っていないのだ、それだけではないわけです。いま患者が、実際に入院している患者というのは、どういうことで苦しんでいるか。差額ベッド、付添料、これはもうほんとうに苦しんでいるのです。 これは阿部光美さんという方の領収書です。こうしてためているのです。これ全部差額ベッドです。公費で入っている人です。公費で入院している。これ差額ベッドで「室料区分E、三十一日分」と書いて、二万百五十円というふうに取られている。こんなにたくさんずっと、ほとんど毎月、二万四千円、二万二千円、二万円、二万円、二万七百円、二万一千円とこういうふうに、こんなにたくさんの、これがほとんどが差額ベッドですね。ですから、もうただだ、ただだと言ったって、この差額ベッドだとか、この上に付添料が要るような病気ですと、これはたいへんな金額になっているということが全く放置されている。こんな保険制度は私はないと思うのですね。実際に病気になったって、病気を直すことができない。 それからガンになった、小児ガンの場合でも非常に、「小児ガンの子どもを守る会」で「のぞみ」という、こういう機関紙を出しております。これは読んでいますと時間がありませんので飛ばしますけれども、もう収入の半分以上というものを、病院にただである、ただとして入っている人が家計の半分以上というものを、その病院の差額ベッドだとかそういうもので払っているわけですね。その上に、これはあまりいままで触れておりませんので、ちょっと患者さんの状態をお話ししておきたいと思います。 というのは、入院患者の補食費ですね。これが月に一万円から一万五千円、これはぜいたくをすれば、それは切りがありません。しかし、補食というものをどうしてもせざるを得ない状態にあるわけなんですね。これはいま、国立病院で入院患者さんの一日の食費というのは幾らになっていますか。
○滝沢政府委員 四十八年度は二百九十円だと思いましたが……。二百四十九円を上げまして、二百九十円ぐらいがまあ確保できているというふうに思います。
○田中(美)委員 いま私たち外で食べますときに、ラーメン一ぱい二百円する時代ですよ。そのときに二百四十九円、今度上げたって二百九十円でしょう。こういう食事が、これは一日ですから、三回に分けるわけですからね、どんな食事になるか、おわかりだと思うのです。これでもただなんですね、病院ただだ、こういうふうに言われればただです。しかし、こんなことで病気がなおりますか。なおらないから、だからこれは一万円、一万五千円という補食費をかけているわけなんですよね。こうしなければ生きていかれないわけです。 これはちょっと余談になりますけれども、参議院で今度当選なさった沓脱さんという、大阪で大接戦して勝たれたあの方が、なぜ医者でありながら政治家になったのかという私は演説を聞いたわけですね。非常に涙が出るようなことでした。沓脱さんは結核の医者ですよね。結核の入院患者を見ていまして、金がない者から死んでいったというのです。ですから、結局これだってそうです。病院へ入ったら、ただだと言うけれども、三食で二百五十円ぐらいのものを食べていたら、これは貧乏人はなおっていかないのですよね。金持ちは幾らでも食べることができるでしょうね。そういう状態にいまなおしているということです。 これはちなみに、余談ですけれども、動物園にちょっと聞いてきたわけですよね。チンパンシーは——まああそこに入院しているわけじゃないでしょうけれども、オランウータンとかゴリラとか、一日八百八十六円食べているわけですね。やはりほんとうに生きていこうと思うならば、そういうものがかかっているわけなんですね。それからライオンなんか二千円です。トラが千五百円、キリンが六百円という。ゴリラやオランウータンよりも少ない食費。この動物を生かしていこうと思えば、これだけの金がかかる。入院患者を生かしておこうというところにないから、こういうことなんですね。これでいかに補食に困っているか。そのためにたいへんなお金を使っているわけなんですね。こういうことは、全く医療政策の中では取り上げられていないし、それから付添料が高いために家族が付き添うわけです。特にこういう小児ガンだとか子供の入院の場合には、やはり母親がいなければということもあるし、金もかかるということで母親がつくわけですね。 これは私は、名古屋大学の病院を実際に見てきました。小児病棟を見てきたわけです。おかあさんたちの話をじかに聞いてきたわけです。時間がかかりますので簡単に話しますけれども、小児ですから夫婦は若いわけです。その若い御夫婦が一年も二年も別居しているわけですよ。それ自体もう家庭の崩壊につながるわけですね。おとうさんは、病院代がかかるから、うちでつましい食事をしている。おくさんは病院でベッドの下や横に寝ているわけですね。きちんとした設備だってありやしない。こわれかかった洗たく機が一つ。それで遠いところの洗たく場へ干しに行って、そしてうっかり目を離せばそういう洗たくものがなくなっている。第一、付き添ったおかあさんがどこで御飯を食べるか。食べるところがないわけですね、子供にはつくけれども。そうすると、あっちこっち歩き回って、どこかのうどん屋を見つけたり、一ぜんめし屋を見つけたりして食べてくる。いまの近代国家といわれる日本の中で、まさに原始的なんですね、こういう状態というものを全く放置しているということは。それを見ましたら、これを考えていないというところに、何が福祉元年だという怒りを強く感ずるわけです。 そこで何といっても、この高額医療というのは現物給付にしなければならないということ、それから療養費払いは絶対に廃止するということ、それから診療報酬を高めて付き添い、入院費、差額ベッド、こういうものの解決というものを政府が積極的な改善案を持つべきだというふうに思うわけです。これについて厚生大臣から、こういう患者の苦しみというものについて、どうしていこうと思うか、一言お答え願いたいと思います。
○齋藤国務大臣 患者さん方が、医療費のほかにいま申されましたような差額ベッドであるとか付添看護料とか、いろいろな周辺の経費が相当かかっておる事情は私も承知をいたしております。これはできるだけ軽減するようにしなければならぬとは考えておりますが、個別的にこれは非常に差のある問題でございます。たとえば差額ベッドの問題も、いま一度にこれを廃止するというわけにまいりません。本人の希望もあるものもあるわけでございます。しかしながら、こういうことがすべてのベッドについてとられるということは好ましいことではありませんから、できるだけ規制をし、本人の希望に反して差額ベッドに入れられるということのないようにしていかなければならぬ問題でございましょう。それから看護の問題につきましては、たびたびお答えもいたしておりますが、基準看護の適用についてできるだけ範囲を拡大し、経費の負担を軽減するように努力をしていかなければならぬだろうと思います。 しかし、いずれにいたしましても、医療費外に相当患者の御家族が負担をしなければならないという事情にありますことは、私も望ましい、いいことだとは考えておりませんので、一歩一歩そういうものが軽減されるように努力をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○田中(美)委員 一歩一歩努力すると言って、それは口で言うのは簡単ですけれども、具体的にどういうふうに改革していくのかというお話がなければ、ただいいことではない、いいことではないどころか、結局ただ事ではない情勢です。実際に行ってごらんになっていただきたいと思いますけれども……。 その次の質問に移りたいと思います。 これはリハビリの問題です。ILOの百三十号条約、これは日本の政府はいまのままでは、なかなか批准にはいかないだろうというところがあるかもわかりません。しかし百三十号条約では、予防と正常分娩とアフターケアの給付を対象にすることを繰り返し強調しているわけです。これが全くなされていないわけですね。日本の政府というのはILO百三十号は全部無視していると言ってもいいんではないかというふうに、ひどいものだと思います。日本の健康保険というのは、病気保険になって健康保険じゃないから、婦人の正常分娩というものを保険に入れるということは世界の常識であるにもかかわらず、日本はほうってあるわけですね。そうしてこのリハビリも全くほうってあるわけです。 時間がありませんのでこまかいことを飛ばしていきますが、一言お答えいただきたいのは、リハビリの機能療法やいろいろな療法があります。それの点数が労災の場合となぜ違うのかということ、これを簡単に、ほかのことをごとごと言わないで、なぜ違うのかということだけお答え願いたいと思います。
○北川(力)政府委員 御指摘のように、労災保険とではリハビリの点数が違っております。これは労災のほうでは一つの施設基準を設けまして、その施設基準に従って点数を設定しているという面が違っているのだろうと思います。私どもも、健保のほうで労災と違っている点が全く問題がないとは思っておりませんので、現在関係学会からのいろいろな要望もございますから、今後こういった診療報酬の問題を専門に協議をいたします中央社会保険医療協議会の場で十分に審議をされるものと考えております。
○田中(美)委員 そういうところでゆっくり審議をいただいてから、ゆっくりお直しになるのでしたら、たいへんにおそいと思います。いま非常に老人時代といわれるように老齢人口が多くなっていくという中で、特にこのリハビリの要求というのは急速に高まっているわけですので、のんびりしていただいては困ると思うわけです。 いま脳卒中で倒れる方というのは、一年間に一体何人くらいいるのでしょうか。
○滝沢政府委員 脳疾患で死亡する実数でございますが、四十六年の数字で十七万六千八百九十五でございます。
○田中(美)委員 年間十七万人脳卒中で死亡する方があるということは、大体脳卒中は半分の方がなくなるといわれているわけですね。ですから約二十万くらいの人が、それ以外に脳卒中で倒れても生きているわけですね。二十万の方が脳卒中で倒れて後遺症を持って生き残られるわけです。いま日本のわれわれの常識では、脳卒中で倒れれば後遺症が残る、もし残らなかった場合は全く好運だというふうに考えるわけですけれども、リハビリの点から見ますと、リハビリの効果というのは非常に大きいわけです。この二十万の人たちはこのままほうっておけば、結局間もなく寝たきり老人になるわけです。そして、一、二年後には余病を併発してなくなっていくという形が多いというふうに聞いているわけです。 これをもし放置しないで、すぐリハビリをやるとすれば、大体十人のうちの九人が歩けるようになる、ほとんどの人が機能を回復するという結果が出ているわけです。日本のリハビリの技術というものは、世界的に見ましても、決しておくれてはいない。ただ評価が非常におくれているわけです。二、三十年評価がおくれているというふうにいわれているわけです。この評価がおくれているということは、そういうことがなされないから、わからないわけなんですね。技術だけは進んでいる。やれば十人のうち九人が歩けるんだ。その中で特におかしいというふうに思いますのは、運動療法、これはおもに動くようになるわけですね。これが何時間やっても点数として二十点しかないわけです。労災のほうでは、これは時間によってずっと違って、四時間以上やれば百五十点というような点数になっていく。しかし、このリハビリの場合には、幾らやっても二十点にしかならないということが、まず歩けるというところに関係するわけです。 それからもう一つ、人間は手の機能が足より非常にすぐれているわけですね。それだけに、もとに復帰するということがむずかしいわけです。作業療法というのが全く治療の対象になっていない。リハビリの対象になっていない。点数がゼロですね。これはどういうわけなのか。驚くべきことだと思うわけです。これをもしきちんとやれば、この作業療法をちゃんとやることができるならば、日常生活のすべての仕事の中の九五%ができるようになるというふうな統計が出ているわけですから、脳卒中というのは死ななければ決しておそろしい病気ではないんだ、もとに戻るんだ。ましてや六十歳前の人であるならば、職場復帰さえできるんだということを医者が訴えているわけですね。それだけの技術も進んでいる。それなのに、なぜこれを放置しているのか。そういうことで慢性病をふやしていくし、老人の死ななくてもいい人も殺してしまう。 こういうものが全く給付改善の対象になっていないということは、福祉元年で年金を上げますというならば、当然非常に多くの老人を対象にしたリハビリというものをやっていくということでなければ福祉元年にならない。厚生大臣だって、もうそのお年なんですから、もしものことがあったときにはリハビリでやれば、これはもう後遺症を残さずにいくわけです。それくらいのことは、やはりきちっとやっていただきたいというふうに思います。 次に移ります。次は予防の問題です。これもILO百三十号で繰り返し強調されているにかかわらず、これが全く給付改善の中に入っていない。ですから、ほんの一握りの給付改善と引きかえに保険料を大幅に引き上げる、健康保険の改悪法案だと私たちが言うのは、こういう給付改善が全くされていないからです。まして百三十号条約でいっているリハビリと予防、そして正常分べんというものは全く手を触れてないわけですね。ですから、大幅な給付改善なんということは、とても言えるものではないわけです。 時間がありませんので、簡単にお答えいただきたいと思いますけれども、そちらのほうで、長野県の八千穂村とか岩手県の沢内村、そういうところでの予防というものかどの程度——健康保険の赤字を埋めるという観点からだけ見るのはよくないと思います。しかし、実際に赤字の点ではどういうふうに影響しているかということをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○北川(力)政府委員 ただいまお話しのありました岩手県の沢内村と長野県の八千穂村の場合については、次のような状況になっております。四十四年度、四十五年度及び四十六年度の状況について申し上げます。 沢内村の場合は、それぞれの年度におきまして、これは国保の被保険者一人当たりの療養諸費の状況でありますが、四十四年度の場合一万四千四百六十二円、四十五年度一万八千七百六十六円、四十六年度で二万一千四十六円、以上であります。沢内村のあります岩手県の平均は、それぞれの年度におきまして一万三千六百九十七円、一万六千六百九十一円、一万九千四百五十五円、以上のような状況で、沢内村のほうが結果的には一人当たりの療養諸費は高いような実情であります。 長野県の場合で申しますと、同じ年度で八千穂村の場合には、それぞれ一万二千百八十八円、一万三千九百十円、一万五千三百四十二円となっております。長野県全体の平均は一万五千二十五円、一万七千九百六十二円、二万七百四十六円となっておりまして、この場合には八千穂村のほうが県の平均よりは下回っておるような状況でございます。
○田中(美)委員 そうすると、厚生省としては沢内村では何の効用もなかったというふうに言われるわけですか。
○北川(力)政府委員 この数字を見る限りは、どういう判断をしていいか、いろいろ状況も違いますから私どもは一がいに申し上げられないと思います。 沢内村は先生御承知のように全国でも有名な地域医療、総合医療の典型的な村であります。相当前からそういう地域医療をやっておりまして、そういう関係でおそらくは予防関係の諸費も多いのだろう。予防関係の費用をかけますと、その当初はおそらくは給付費は相当上がってまいると思います。またそれが継続すると、結果的には下がる場合があるかと思います。 長野県の八千穂村の場合にも地域医療のかなり発達した村だと思っておりますけれども、この場合県平均よりは下がっておるという実情があって、実は突然のことで十分な解明はしておりませんが、予防給付といいますか、予防給付的な諸施策が相当進んでおる、あるいは進んでいないということによって全国平均的にどのような結果が出ているかということについては、この資料で見る限りは十分なお答えがしかねる感じでありまして、それぞれ予防的な諸費をかければ、あるいは地域医療として総合的な施策を講すれば、それは結果的に被保険者住民に寄与することは間違いないと思うのであります。
○田中(美)委員 沢内村は私、過去にいろいろ調べたことがあります。そこでは四、五年の間に、昭和四十一年あたりから乳幼児の死亡率がゼロになっておりますね。そういうようなことを考えて、ただ赤字対策として予防するという考え方はおかしいのであって、ほんとうに人間がしあわせに健康に生きられるというところでやっていく中で、結果的には病気を少なくすることによって赤字を出さないということになるのだと思います。 八千穂村の場合には健康診断というものを非常に徹底してやっているわけです。そして部落ごとに佐久病院が中心になって健康診断をしていっているわけです。受診率七〇%、そういうようなことです。それほど大きな予防対策ということではないわけです。しかし、八千穂村から送ってもらった資料を見ますと、これは広い範囲にしますといろいろ条件が違いますので、いま言われたように、確かに比較がしにくいと思いますけれども、南佐久の七カ町村と八千穂村だけを比べてみますと、非常に大きな決定的な違いが出てきておるわけです。これを読み上げていきますと、あれですけれども、十年間に一・三五くらいのものが〇・八に下がっていくというような非常に大きな功績をあげているわけです。 こういうことを考えまして、この予防というものをせめて——八千穂村のように一軒一軒回ってもらわなくても、われわれが病院に健康保険証を持っていけば、ただで健康診断がしてもらえるということは、いま何としても最低の予防なんだというふうに思うわけです。 いまわれわれ百人のうち四十四人が医者通いをしておるというほど病人がふえているわけです。私たちはちょっとにきびが出ればPCBではないかとか非常に神経質になっておる。ですから、病気というふうにならなくても不安だから、ちょっと胃がおかしい、胃ガンじゃないかとか、そういうことを考えるわけです。精神的な緊張というか不安が非常に高まっている時期ですから、せめて一年間に一回か二回の健康診断というものが健康保険証でできるようにしてもらうことが急務だと思うわけです。こういうふうに考えますと、いろいろな点で給付改善というものがいかにお粗末であるかということが、ますますクローズアップされてくるように私は思うわけです。 次に、病気の構造ですが、私たちが子供のころにこわい病気といわれていたものがなくなってしまって、いまは病気が違ってきているわけです。大きな変化というものはわかりますか。
○滝沢政府委員 疾病構造の変化につきましては、先生いま御質問で例示されましたように、伝染病あるいは寄生虫というようなものが大幅に減少してまいりまして、昭和三十六年と四十五年を比べますと、特段目立って増加傾向のものをさがしますと精神障害、これが約二倍程度に増加いたしております。それから循環器系の疾患、これも二・五倍程度でございますし、それから呼吸器系の疾患、これはいわゆる結核が伝染病に入っておりますので、一般的な意味の呼吸器疾患、それから消化器系の疾患、これには統計上、歯の問題も入っておりますけれども、いずれにいたしましても増加傾向が顕著でございます。そのほか減少しているものに出産期の死亡はやや減少の傾向でございますが、きわめて微々たる減少でございます。それから不慮の事故については、これも明らかな増加の傾向でございます。
○田中(美)委員 そうしますと、非常に病気が変わってきているわけですね。そういう点では脳卒中とか、ガンとか、心臓病、高血圧というのが非常にふえているわけですね。精神病もふえている。こういうふうに考えますと、なぜ病気がこんなに変わってきているのかという観点から見た場合、私は厚生大臣に少し考えていただきたいと思うわけですけれども、いかに自民党の政策大綱というものが、病気は自己責任なのだ——だれか好きで、自分で病気になる人がいますか。だれだって病気にならぬように気をつけているのです。気をつけていたって、どこから何が入ってくるかわからないような状態じゃないですか。それをどうやって自分で防ぐことができるのですか。厚生大臣は防げるとお思いになっていますか。いま、ますます病気というのは社会的要因になってきているのだ、この点どういうふうに思っていらっしゃいますか。
○齋藤国務大臣 仰せのごとく、最近いろいろな公害その他の関係で、そういう関係の病気はふえておる、そういう事実は私はよく認めております。ただ問題は、どんな病気になりましても、自分の健康を守るためにはどうすればいいかということ、を考えるならば、やはり自分も自分の健康管理に相当留意する、これは私は大事なことだと思うのです。もちろん防げないいろいろな公害が発生して、最近の水俣病とか、ああいうふうな病気がふえておる。私はその事実を否定をいたしておりません。自分でこれを防ごうといったってできるものではありませんが、一般的にいうて、自分の健康状況がどうであるかということについては自分で十分認識を持って努力をしなければならない、人まかせにはできない、こういう意味において私は自己責任ということを、自分の自己責任と申しますか、そういうことを言うておるわけでございます。
○田中(美)委員 自分で留意するといったって、どう留意したらいいのか。これはそういうことが大臣のお考え——大臣は一体御自分のおからだをどのように留意していらっしゃるのか。国会におりますと昼御飯も夕御飯も食べられないこともありますし、どういうふうに留意したらいいのか。この空気も何が入っているのかわからない。この水だって何が入っているかわからぬ。どういうふうに飲んだらいいのか、飲んだらいけないのか、どう留意したらいいのか、私は大臣にお聞きしたいくらいです。どうやって自分のからだを考えるか、まさに、私は睡眠時間をとるということを留意する以外には、自分の健康の守りようがないというような感じです。 そういう中で、そういう神経だから——こういうことが新聞に載っていたわけです。これはお読みになられたと思います。厚生大臣のことが出ているわけです。六月二十二日の読売の夕刊です。「サカナ汚染」というふうに大きく書いてありまして「“無神経閣議”」というふうに書いてある。そして「“ちょっと騒ぎ過ぎサ”」下に「PCBは心配ないと厚相」と書いてあるのです。PCBが心配ないなんというようなことを、いま厚生大臣が言われるのはどういう根拠で心配がないのですか、国民は心配しているのですから。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○齋藤国務大臣 PCBは心配でないなんということを私は言うた覚えはありません。
○田中(美)委員 それでは読売新聞が間違いで書かれたのかもわかりません、私はじかに聞いておりませんので。ここは厚生大臣のことばとして、カッコづきで書いてありますので、もう一度読ましていただきます。「「PCBは水銀にくらべ大体心配ない。水銀については妊産婦がマグロなどをたくさん食べることはいけない。摂取量について注意を喚起しなければならない。ネコにマグロのカン詰めを毎日二個ずつ二か月間続けて与えると水俣病と同じ症状が出る。しかし普通の量を食べていれば大丈夫だ」」これが新聞に出た日本の厚生大臣のことはであるということは——言った覚えがないと言われますので、別にこれを懲罰にかけようなどとは思っておりません。 しかし、これは六月二十二日の話ですが、これはきょうの話ですね。きょうの話で、厚生省が献立を出していらっしゃるのですね。厚生大臣はPCB心配ないと、こういうふうに言われるわけですけれども、マグロのさしみは四十七切れしか食べてはいけない、一週間にですよ。そうすると七、七、四十七で、一日に七切れしか食べられないということですね。七切れなんというのは、ほんとうに簡単な一人前に足らないぐらいですよ。これを毎日食べておっては、あぶないということは、これはただごとではないんじゃないですか。これはどうやって防ぐのです。 厚生大臣が御自分で、自分の健康は自分の責任なんだ、自分で留意しなさいといいますけれども、いまの私たちにとっては——私はいまここへの通勤は近いところにいます。しかし一般の労働者は遠いところから通ってきているわけですね。満員電車の中でゆられて、きたない空気を吸って、そして食べるのに一々、マグロ食べるときも一、二、三と数えながら食べていかなければならぬ。小アジなら十二匹、一週間にですよ。一日に小アジ二匹も食べられない。それ以上食べたらあぶない。これは一々こういう表をこう持ちながら、食堂に行って食べなければならない。これも自己責任で全部やらなければならないというのですか。 ここまで来たということは、これはまた繰り返しますけれども、なぜなんだということ。大企業の利潤を、もうけようもうけようとするのをほったらかしてきたという姿勢にあるのじゃないですか。これは政府・自民党すべての姿勢だと思うのです。そうしてとうとうここまで日本を、私たちを脅かすところまで来てしまったわけです。それに対して厚生大臣は心配ない。ネコはマグロのあれを食べたら水俣病になるけれども、人間は適当に食べていればだいじょうぶだ。一体、適当にどうやって食べるのか。そうして次々と病人が出ていっているわけです。ましてPCBは一定の量にならなければ発病しないわけですからね。ある日突然何万という人かPCBの——ちょうどお米の油の中毒患者のような、ある日突然起こらないということがどうしていえるでしょうか。それに対して日本の医療制度というものが一体どれだけ対応できるのか、全くひどいものだと思います。 そういう中で、いま緊急にやらなければならないことは、大企業の横暴というものを押えるということがいま緊急だ。そうすれば、厚生省がこれに対して、大企業の原価の一つぐらいは発表させる。薬価の基準を押えるということぐらいの指示ができるということは、当然すべきことなんだというふうに思うわけです。あくまでも社会保障憲章だけにこだわるわけではありません。しかし国と資本家の責任でもって抜本的な再編成というものが必要なんではないかというふうに思うわけです。 このPCBの問題、こういうことを厚生大臣か——新聞記者か悪いのかどうか知りません。言わないことが言ったというふうに書かれているならば、これに抗議をして、言っていないというふうに明らかにしてほしい。国民は、厚生大臣がPCBは心配ないと思うので、自己責任の原理で安心して物を食べるわけですからね。そうしたらそのとき、PCBの病気になったときには、厚生大臣が責任を持ってくださるのかどうか。その点、一言厚生大臣、こういうことをおっしゃってないかもしれませんけれども、それに対して厚生大臣がはたしてきちっと、それじゃ全部厚生大臣の責任で病気になったときになおしてくれるのか。もとどおりのからだになおしてくれるのか、もう一度その責任をお聞きしたいと思います。
○齋藤国務大臣 PCBはこわくないなどということを私は言うた覚えはございません。昨日水銀に関する暫定基準をきめましたが、あれに基づいて政府の、各省の施策が相談されて実施されることになるわけでございまして、水産庁におきましては濃度の高い魚が市場に出回らないようにするということが一つの前提でございまして、その前提に立って市場には濃度の高い、汚染度の高い魚が出回らないようにし、そしてまた魚についてはマグロとかその他の問題についてもお互いにできるだけ注意をして食べるようにいたしましょうということにいたしておるのが暫定基準でございます。 すなわち汚染度の高い魚が市場に出回らないようにするということがまず第一前提、こういうことでございまして、国民の食生活に心配のないようにしようじゃないかというので暫定基準ができておるわけでございます。 マグロについては水銀が多く含有されておるといわれておりますが、これは天然水銀でございまして、さらにまた私どもの日常の食生活の慣行からいって非常に危険なほど分量を食べるという状態にはないということで、あの専門家会議においては暫定基準は適用しないことにしよう、これは日本一流の専門家がきめた水準でございます。さように御了承願っておきたいと思います。私どもの役所がかってに、これは適用しないとかなんとかということを、きめているものではないということを御理解いただきたいと思います。
○田中(美)委員 さしみを一日に七切れ以上食べちゃいけないんだとか、アジは一匹と三分の一だとか、そんなことで、私たちはほんとうに、——だからこそ精神障害がふえたなんというのは、ほんとうにおかしくなってしまいますよ。そんなことを考えていたら……。いま大臣が言われましたけれども、汚染された魚が出回らないようにするということ自体もうおかしいですよ。そんな魚をつくっていることがもうおかしいのですよ、魚はもともと汚染しているのじゃないのですから。だれがしたのですか。そこをとめない限り——魚をみんな汚染しておいて、それが出回らないように、漁師がとってくればそれは金で買い込んでやる、何しろ話にならないわけです。しかし話にならないと言っていては、私たちは国民の健康に責任を持っているわけですから、何としても、話になるようにしなければならないだと思います。ほんとうに笑いごとではないし、こんなことを言った、言わない、そんなことを新聞に書かれるような厚生大臣では国民の健康は守れない。そして給付改善というものは、ほとんど何にもやらない、深く追及していけば、ほとんどがこうだ。ほんとうにインチキと言いたくなりますけれども、ほんのちょっとの給付改善と引きかえに大幅に保険料を上げて、そして医療の荒廃はそのままに放置し、ますますこれをひどくしていく。病人をふやさないという対策というものがなされていない、いまのようなひどい状態というものは早急に根本的に解決しなければならないと思います。 時間になりましたので、最後にどうしても抜本的な再編成を早急にしていただきたいという要求を申し上げて、終わりにしたいと思います。 部分的に主観的にちょこちょこと手直しをする、机上で手直しをするということは今後一切やめて、根本的に再編成をやっていただきたい。そのためにはまず労働者の健康保険と国民健康保険の二本立てにして、給付やなんかすべて一緒にいくようにきちっとした体制をつくっていただきたいというふうに思います。 それから国と資本家との負担というものを中心にしていく、そして本人と家族の差をなくして十割給付に近づけていくということは、これは大きなことだと思います。 それから三番目には医療保険の管理運営というものに必ず労働者や市民の意見を反映させるような民主的な運営をする、たとえば弾力条項のような、今度のような国民の意見が全然反映されないようなやり方というのは、全く許せないのだというふうに思います。 それから公費負担の医療の拡大というのは、これはもう早急です。前々からいわれている原爆症のようなものは当然国家補償の問題であるし、生活保護家庭の医療の問題それから六十歳以上の老人や乳幼児、それから各種の難病、こういうものは当然公費負担にして無料にしていく、保険との相乗りということでやっていかないということをしなければ、抜本的に再編成できないのだというふうに思います。 それから医者や医療技術者の技術を正当に評価するということと、医療の現場で働いている労働者の正当な賃金を保障するということ、それから病院の経営の安定と設備の改善が可能になるような制度にしていかなければならない。いまのような制度では良心的な治療をすれば医者が自分の首を締めなければならないというふうな制度になっているところに、ますます医療独占などが寄生していく大きな原因になっているのだと思います。 それから独占薬価を規制して薬価基準を大幅に引き下げる、これは早急にしなければ、健康保険制度というものは、先ほど話しました医療機器産業の進出にもよってめちゃくちゃにされてしまうということがあると思います。 いつでもどこでも、だれでもが十分な医療を受けられるということを国民は一番望んでいる、この観点に立たなければ、どんな医療制度も実際には意味をなさないものだというふうに思うわけです。そういう観点からしまして、先ほど申しました政府・自民党の社会保険方式中心主義というものを徹底的に改め、自己責任とか相互扶助の原則に立っているということは、いままでの病気の変化、それからいまのPCBやこうした食品公害の問題などを考えただけでも、もうこういうものは過去の古い考え方になってきているのだということを十分に納得していただきたい。そして国と資本家の負担で、できるだけ早急にこの健康保険の抜本再編成をしていただきたいというふうに思います。この点について大臣の御意見を伺って、私の質問を終わりにしたいと思います。
○齋藤国務大臣 いろいろたくさんお述べになりましたので、一々お答えしますと時間が長くなりますからお答えいたしませんが、私どもは段階を追うて実施可能なところから改善を行なっていく、目ざすところは抜本改正であるというふうに考えておる次第でございます。
○伊東委員長代理 枝村要作君。
○枝村委員 最近の新聞にも出ておったと思うのですけれども、知能障害の子供を守ろうとする親の会が六月十七日に結成されたことを厚生大臣御承知だと思うのです。これは小児てんかんの病気にかかった子供を何とか救済しようとする全国的な運動の展開だと思うのですが、これは私考えるに、つまるところ、赤ちゃん難病に対する強烈な施策、救済を要求する、それと同時に医療福祉行政に対する追及でもあるというように考えるわけであります。生まれる子供の百人に一人は小児てんかんになるといわれておって、全国で十万以上がこの病気におかされていると推定されておるところであります。厚生省はどのような対策を立てているかということについて、いまから若干のお伺いをしていきたいと思うのです。 そこで、小児てんかんには二十ぐらいの種類があるといわれております。軽いものであれば適正な治療をすれば、なおるといわれておるのです。心配がないといわれるのですが、そうでない、いわゆるなおりにくいものになると、ほとんどが脳障害を起こしてしまう。特にその中でも点頭てんかん、レイノックス症候群というのは非常に悪質であるそうです。これはおとなになれば発作そのものはとまるようでありますけれども、いわゆる白痴になるといわれております。このような問題について、これまで厚生省として調査研究もされておったとは思うのですけれども、その結果今日明らかにされている点があれば、ひとつここで説明をお願いいたしたいと思います。
○加倉井政府委員 御指摘の小児てんかんにつきましては、いまだ十分に検討されておりません。しかしながら、いま御指摘のような問題につきまして、私のほうといたしましては難病対策の一環として取り上げるか、精神衛生全体の問題として取り上げるか、あるいは小児の精神疾患として取り上げるか、いろいろ検討事項がございます。したがいまして、そういう問題とあわせまして今後の対策を立ててまいりたい、かように考えております。
○枝村委員 いまの御返答を聞きますと、全くそういうものの調査研究というものは行なわれていないということですね。
○加倉井政府委員 大体そのとおりでございます。
○枝村委員 まことに遺憾なことだと私は思います。それでこのような難治性のてんかんの原因の究明がされていないにしても、大体の原因というものは、厚生省でそれぞれの専門家もおるのですから、わかると思うのです。ですから、ここでお答えできると思う点だけ質問してみるのですけれども、大体どういう原因でこういう悪性な、たとえば点頭てんかんなどが起こるのか、この点くらいは説明できるでしょう。
○加倉井政府委員 私どもの症例報告的な報告から類推いたしますと、出生後の外傷が大部分であるというふうに聞いております。そのうち一部は先天性のものもあるというふうにいわれておりますけれども、私どものほうの聞いておりますところでは、大部分が出生後の外傷によって点頭てんかんを起こす、こういうふうに聞いております。頭部の外傷によりまして点頭てんかんになるというふうに聞いております。
○枝村委員 私もしろうとですから、よくわかりませんが、レイノックス症候群というのは何ですか。
○加倉井政府委員 てんかんの子供がいろいろの症状を発症いたします、その症状をレイノックス氏が命名した症状だというふうに聞いております。
○枝村委員 しかし、いま私が習い覚えで言った、いわゆる悪質な、悪性なものだという点については、これはお認めになるわけなんですね。
○加倉井政府委員 大体、幼児期にそういう症状を呈しておりますけれども、発育にしたがいまして、その症状が消えてまいります。しかしながら、精神障害と申しますか、ある程度の精薄状態が残るというふうに聞いております。
○枝村委員 聞いておるという程度であって、いま親たちがたいへん心配しておるし、いままで統計から見ましても、こういう人たちはたとえ発作がなおっても、先ほど言ったように脳障害を起こして、いわゆる白痴のようなかっこうになるということについては、これはお認めになっておるわけでしょう。
○加倉井政府委員 そのとおりでございます。
○枝村委員 そこで、いまちょっとお答えがありましたが、この原因は出産後のいろいろな障害によって起きるといわれております。それも一つの原因でしょうが、主として、やはり難産によって、いろいろ仮死産をするとか、吸引分べんをさせるというような、そういう無理な出産が一つの大きな小児てんかんの原因になっておる。それからもう一つは、医師の過失事故がその一つの原因にもなっておる。そうして最近のワクチン禍による後遺症、こういうふうなものもいえると思うのですね。出産時段階での、いわゆるそういうものに対する予防措置というものが、今日の段階では全くといっていいほどないところに、こういう小児てんかんが出てくる、こういうふうに見ていいのではないかと思うのです。 これはしろうと考え的な一つのものですから断定はできませんが、厚生省の専門家であるあなた方は、そういう親たちが考えておることに対して否定しますか肯定しますか。
○加倉井政府委員 出生時の脳障害につきましては、これは分べん介助におきます医師の技術の問題に関係するかと思います。しかしながら、出産時の予測せざる事故等に対処いたしまして、医師に万全の技術があるというふうにも私ども考えておりませんが、そういう問題につきましては、絶えず医師といたしましては研修を重ねなければならないというふうに考えております。 ただ、こういう心身障害児の発生につきましては、現在児童局におきまして、心身障害児発生予防につきまして、いろいろ研究されております方々に研究助成をいたしております。したがって、そういう面からもこういう不幸なる子供さんの障害発生につきまして、何らかの結論が一日も早く私どものほうに御報告いただけるように祈っておる次第でございます。
○枝村委員 結論的に言いますと、生まれながらにしての病ではなく、いま言ったような原因でなった、こういうことですから、結局何らかの方法でこれを防ぐことができるのだということはいえるのじゃないかと思うのです。そういうように見ていいのですね。
○加倉井政府委員 その可能性は十分あるというふうに私どもは期待いたしております。
○枝村委員 今後の課題としては、他の病気と同じようなことですけれども、早期発見、早期治療、こういう体制が万全に整えば、これはある程度防ぐことができる、こういうふうにいえるわけなんですね。最近新しい治療方法が学会でも考えられておりまして、そうしてなおるということも次第に、どのくらいの数字でふえておるか知りませんけれども、その方向になりつつあるというふうに聞いておるのですけれども、それは事実ですか。
○加倉井政府委員 臨床家の人々は、事実いろいろ治療方法等につきまして検討されているようでございます。
○枝村委員 それを裏づけるように、たとえば東京女子医大の福山教授あたりは、はっきりと言い切っております。いわゆる早期発見、早期治療をすれば、たとえば入院さして徹底的に行なえば、これはなおる可能性もあるというふうに言われております。 ところが厚生省の一部の人たちの中には、こういう病気は入院してもなおるような病気じゃない、こう頭から否定的なんですね。われわれからいえば、そういう不心得の考え方を持っておる者がいるのです。もしそういう考え方があるとするなら、これはたいへんけしからぬことでありまして、厚生大臣、こういう考え方が厚生省の中にあるとすれば、これはけしからぬことでありますから、もしそういう人がおるとするならば、そういう考え方を持つ人に対して厳重に、いかなるところでも、入院しても詰まらぬからというようなことを言わせないように、ちゃんとした指示を与えて、むしろ積極的な発言をして、そういう人たちを入院させてなおす方向にさせるようにすべきだと思うのですが、その点をお伺いしたい。
○齋藤国務大臣 小児てんかんは非常にむずかしい病気であり、その態様もさまざまであるということを聞いておるわけでございまして、なるほど現在まだ十分調査もいたしておらぬような状況にありますが、やはりもう少し実態を調査し、その医療費について考える必要があるならば、何らかの適正な措置を考えることが必要になってくるのではないか。十分まだ承知していない点もありますが、やはりもう少し勉強する必要があるのじゃないか、私はこういうふうに考えております。
○枝村委員 いや、いま私の質問は、大きな意味で言っているのじゃないのです。小さいことですけれども、実はほんとうのことをいいますと、ただ一官僚が言ったことばでも、それはこういう子供を持つ親にすれば、やはりたいへん悲しいことなんですよ。たとえばそんな子供さんを持っておられることは気の素であるけれども、入院してもなおるような病気じゃない、入院は必要ない、外来に行けば月に五千円くらいで済むのじゃないか、こういう発言を厚生省の一官僚でもするとするならば、いま言った親の心情を考えたら、これはたいへんなことなんですよ。そういう意味で言っているのですよ。 それで現に東京女子医大の福山教授も言っているのだし、いま入院されておる人たちも、その実効が現にあらわれてきているのですね。はっきりぴしっとなおるというところまでいかぬにしても、いろいろ投薬や、あるいはホルモン療養、あるいは注射なんかしておりますと、引きつけを起こすのも次第におさまっていく。脳波測定では、やはり異常は認められますけれども、そういう方向になっていく一るの望みがあるのです。そういう方向におる中で、いま言ったような厚生省の一部の人たちが言うとすると、それは全然失望を感じて、望みも何もなくなってくるという意味で、大臣に、そういうけしからぬことを言わせぬように、しかも現実にはそうはなっていないということを質問しているのだから、はっきりとお答えをお願いしたいと言っているのです。
○齋藤国務大臣 仰せになりましたことは、私もそのとおりだと思うのです。なるほど治療方法とかなんとかはまだはっきりしなくても、そうした子供をかかえている親御さんにとってみれば、何とかしていただければなおるのじゃないかという一るの希望をみんなが持っておるわけでございまして、そうした方々にそういうことを話すということは、ほんとうに適当なことではないと私も思います。しかし、私もこういう病気については症状の実態もなかなかはっきりもしないし、それから治療法も非常にむずかしい問題ではありますけれども、何かにつけやはりこういうような気の毒な病気については調査をするということが私は当然だと思うのです。 先ほど、前段の話はあたりまえのことだと思ってお答えをいたさなかったわけでございますが、親御さんにとってみれば、何とかあの先生に見ていただければ、なおるかもしれぬ、あの病院に行けば、なおるかもしれぬと、みんな心配している問題だと私は思いますので、もしそういうことを言うならば、ほんとうにこれは適当な発言ではない、かように私も考えております。
○枝村委員 そこで結局不治の病か、それとも完全になおらないとしても、適当な治療を施せば快方に向かうかであるのですけれども、私はいま言いましたように難病ではあるけれども、診療体制を整備して、さらに生活と家庭をささえる経済的な負担の軽減とか、あるいはそういう持っておる人たちに対する精神的な援助などをすれば、この病気も克脱できるのではないか、こういうふうに考えておるところであります。 そこでお伺いいたしたいのは、親たちの率直な言い分ですけれども、はっきりいうと、次のようなことを言われておるのですよ。 第一に、一般の小児科医は小児てんかんについて正確なことを何一つ知らないのではないか、まあ失礼に当たるかもしれませんけれども、いろいろな接触の中でこういう印象を受けていらっしゃいます。多くの診療機関で患者はいいかげんな診断をされて薬をのまされているんだ、こういうふうに考えられている。これはある一方では、そんなことはないと言われるかもわかりませんし、小児科のお医者さんに対しては失礼な言い分かもしれませんけれども、持つ親の気持ちとしては、そういうふうな印象を受けるそうであります。 そして二番目には、専門医が少ないために、予約診療を行なうところがたいへん多い。したがいまして、診療の機会が非常に限られていることなんです。ですから、単に脳波測定を受けるのですら、一週間から二カ月くらい予約を待たなければならない。こういうことでは、どうもお医者はたよりにならぬという不満が親御さんたちにはあるわけなんです。 それから三番目には、たとえ専門医にかかれたとしても、入院の場合には一カ月に——これはそれこそ健保の本題に入るのですけれども、十五、六万円の診療費を必要とする。今度からは三万円以上かかったものは、これは保険で見るということになるわけですけれども、それにしても、これはたいへんな額になって経済的負担に耐えられない、こういうふうになっております。 ですから一口でいうならば、お医者やいまの医療体制がほんとうにたよりにならない。こういう気持ちが親御さんにある。しかもそれはいま言いました入院される人は、いわゆる不幸中の幸いということばの表現はあまりよくないのですけれども、そういう立場にある人であるし、もう少し極端にいえば、親御さんが言うのですから私は失礼なことばじゃないと思うのですけれども、金やひまがあるから、それができる。方々のお医者を回って歩いて、そして入院を求めて、入院できるというのは、そういう人たちだからこそできるのであって、ほんとうに金もひまもない人たちは、そういうお子さんを持ったら、それこそそのままに放置して泣きの涙で過ごさねばならぬ、そういう人たちがたくさんあるということなんですね。 こういう状態にある今日の、たとえば小児てんかんだけではありませんけれども、そういう難病をかかえておる人たちをどういうふうに救済するかということが、今日一番厚生省は考えねばならぬ問題ではなかろうか、こういうふうに考えておるのですが、厚生大臣はいかがお考えでございましょうか。
○齋藤国務大臣 そういうふうになかなか治療方法も分明でありませんから、親御さんにとってみれば、病院に入っても、なかなかなおらない、いいかげんな薬だけをのまされているんじゃないかとか、いろいろ心配をなさる。私はその心境をよく理解できます。そしてまた病院に入りますれば相当な医療費がかかるということでございますから、親御さんにとってみれば、心配が一そう加重されてくるわけでございます。 そこで、なるほど私も専門の知識は持っておりませんが、治療法がないからといって投げておくべきものではないと私は思うのです。治療方法がないというならば、何かそういう治療方法がないものかと開発について努力する——もちろん努力だけでほんとうに見つかるかどうか、そういう方法があるか、私もわかりません。けれども、そういう親の気持ちを十分頭に描きながら、また、最近における進歩した医学をもってするならば、何とかそういう治療方法を開発できないかということで研究し、必要な経費を投じていくのは当然だと私は思います。 経済負担の問題については、先生もいまお述べになりましたような保険でということでありますれば、今度は高額医療の対象におそらくなるわけでございますから、それで何とかある程度の軽減をはかることができると思いますが、将来やはりこういう病気については、もう少し症状なり状況の実態を調査しまして、医療費の問題についてもっと解決する方法があるかないか、もう少し研究する余地は十分ある、私はかように考えておる次第でございます。
○枝村委員 そこで、具体的にお願いなり質問をしていきたいと思うのです。 先ほどの御答弁では、厚生省は、小児てんかんについては調査も研究もほとんどされていないようですから、直ちにこの実態調査を行なうように強く要請をしたいと思うのです。そのためには今後調査研究費の計上を行なわなければならぬのでしょうが、当面直ちに、少なくともいまから言う調査をひとつやってもらいたいと思うのです。これは、四十九年度の予算編成にひとつ間に合うようにしていただきたいのです。 一つは、患者数の推計を出してもらいたい。 二つ目は、行なわれておる治療の実態を調査してもらいたい。この場合に、小児科で扱う場合と精神科で扱う場合の違いがあります。これは地方自治体でまちまちだそうでありますから、どちらにといってはおかしいのですけれども、精神科でやれば、精神衛生法によって外来の場合はただになるわけなんです。小児科の場合には保険でやらなくちゃならぬというようになっておるようでありますから、こういうのもちゃんと調べて、そして、その違いがあるならば、あるものに対して統一した見解をやはり明らかに示して、できれば保護者の負担の軽減をさせるような方向に措置されることがいい。ただ、精神衛生法によるだけがものの解決じゃございませんし、あとから質問いたしますけれども、ほかの方法で公費負担に全体を切りかえていく方法もあるようですが、いずれにしても治療の実態を明らかにしない限りは、そういうことは出てきませんから、これをやってもらいたい。 それから、患者は一体どれくらいの経済的な負担を家庭に実際おぶわしておるかという、その実態も同時に明らかに調べてもらう。こういうことが第一の要求ですが、いかがなものでしょうか。
○加倉井政府委員 患者数の推計あるいは治療の実態等につきまして、実態調査をせよというお話でございますが、実は私どもの統計調査部を通じまして、患者数の推計、あるいは本年度、精神衛生実態調査等を実施することになっておりますけれども、小児てんかんの数が非常に少ないので、おそらくこの調査にはあらわれてこないと思います。したがって、その推計の方法論その他、非常に困難な面があろうかと思いますけれども、検討させていただきたい、かように考えております。 ただ、二番目に御指摘になりました、もし小児科へ小児てんかんの患者が通院した場合には保険でというお話でございますが、これは私どものほうも精神衛生法で処理することになっておりますので、小児科であっても精神衛生法の対象でございました場合には公費負担の道がございますので、その点は御理解いただきたいと思っております。
○枝村委員 しかし、こういう治療を受けておる人からの報告によりますと、そういうふうに統一的な取り扱いがされてないようなことになっておるようですよ。
○加倉井政府委員 私どもの指導がまだそこまでいっていなかったということかと思いますので、その点は早急に小児科医等に周知徹底をはかりたい、かように考えております。
○枝村委員 その次に、早期発見のために、とりあえず脳波測定を公費負担で行なってもらいたいということです。国公立の病院すべてに脳波測定機能を持たせること、これをひとつ四十九年度の予算で行なうようにできないものかどうか、こういうことが二番目の要求です。どうですか。
○加倉井政府委員 脳波装置の設置につきましては、これは医務局長からお答えするほうが適当かもしれませんけれども、おそらく公的医療機関につきましては脳波装置の設置はすでに行なわれておると思いますが、実際にそれを使いまして患者の脳波を測定するのにかなり時間がかかりますので、先ほど御指摘がございました予約診療というような非常に時間がかかる形になるのではないかというふうに考えております。その点につきましては医務局長と十分相談いたしまして、スムーズに脳波の測定ができるような体制を検討させていただきたいと思っております。
○枝村委員 小児てんかんの早期発見は、現行のゼロ歳児検診、三歳児検診では、結局脳波まで調べないのでしょう。もし親が自発的に測定させようとすれば保険でやらねばならぬ、こういうふうになっておるのですから、先ほど言いましたような要求をしておるわけなんです。 それと、国公立病院すべてに脳波測定機能を持たせようというのですけれども、四十四年の医療施設調査では全病院の四〇%しか脳波測定機能を持っていない。現在では国立医療機関は約六〇%、こういうふうな数字が私のほうではわかっておるのですけれども、そういう状態ですか。
○滝沢政府委員 先生のおっしゃいます脳波の普及の状況は確かにそのとおりでございますが、四十四年の全医療施設の数字が少し低いのでございまして、その当時国立は四四くらいでございましたけれども、いま六〇になっておりますので、一般もまず六〇近く普及しているんじゃないかと思います。 先ほど来お話しの小児てんかんの脳波の測定というのは、きわめて幼少の子供にあれだけの機械を備えて脳波を検査するというその技術と申しますか、周囲の看護婦を含めて経験者が相当なれておりませんと、この脳波の測定というものは一日に何べんしかできない。したがって、世田谷の小児病院などでも、先生御指摘のように何週間も待っていただかないと順番が回ってこない。これは小児てんかんのための脳波測定というのじゃなくて、全般的に脳波測定を必要とする子供は、やはり世田谷などで待っていただく以外にない。非常に静かな状態の中で、あの機械を頭につけて、そしていやがらせずに子供の脳波を測定する、この技術が非常にむずかしいのでございます。したがって、集団検診的になるべく大ぜいやれというようなお考えはごもっともだと思います。医療機関もそれぞれ各地に脳波装置を持っておりますが、子供の脳波の測定、しかも三歳児以下の脳波測定というところに、私はかなり専門技術的な問題があると思いまして、この問題はかなり特定な機関をやはり指定して、若干遠くてもそこへ疑わしい子供には行っていただく。特に保健婦などの教育を通じて最近問題が提起されましたこの小児てんかん——従来はてんかんというものを、どちらかというと親もいやがって、あまり表に出さなかったものが今回の親の運動を契機にこのようになってまいりますと、医療関係者がもっとこの問題に対する知識を取り戻して、そして対策を講ずる必要があるというふうに考えております。
○枝村委員 よろしくお願いいたします。 それから次に、国保加入者が適用を受ける場合と被用者健保加入者が受ける場合と扱いに格差がある、この矛盾をなくしてもらいたいということなんですけれども、たとえば政管でいきますと、総医療費が一万円要ったとする。そうすると、国、県が二分の一を見るから、五千円見る。そして健保のほうで五千円を見ますから、患者には一つも負担はかからないけれども、国保では患者負担は三割という条項があるために、国や県が五千円見て、さらにそのあとの五千円の残りを国、県で七割見て、患者が三割で、依然として千五百円の負担を患者は負わなければならぬ、こういう矛盾がある。これは法そのものを改正しなければどうにもならぬというようなことをいわれておったわけですけれども、これはちょっとおかしいと思うのですね。こういう矛盾をなくするようにひとつ検討をする気持ちはございませんか、こういう質問です。
○北川(力)政府委員 確かにいまのお話のとおり、現行の精神衛生法と健康保険法あるいは国民健康保険法との間の調整はそのようになっております。この問題は調整をすべき問題でございまして、現行法上はやむを得ないのでございますけれども、公費負担医療と、それから医療保険との関係をどうするかという問題とのかね合いで、今後この問題の検討を十分詰めたいと思います。
○枝村委員 その次に、小児てんかんの医療補助制度を四十九年度に創設することの要請です。その方法には、特定疾患対策の対象とする、いわゆる難病対策にするとかいう方法もありましょうし、また母子衛生対策として、たとえば小児ガンの対策あるいは小児ぜんそくというものがいま行なわれておりますが、それと同様な取り扱いをしていくというような、いろいろな方法があるでしょう。あるでしょうが、いずれにしても、いわゆる公費で、冒頭に述べました小児ガンに対する国のあたたかい援助によって、親御さんにやはりあたたかい救済の手を伸べる。それは同時に精神的な援助にも通ずることなんですけれども、こういう措置をしていく気持ちはないか。私の要求は、さっそく四十九年度からそういうことができるように作業を進めてもらいたい、こういうことなんですが、いかがですか。
○加倉井政府委員 いま御指摘の心身障害児対策あるいは特定疾患対策にするとか、これが可能であるかどうかということにつきまして、十分検討させていただきたいと思います。
○枝村委員 ひとつよろしくお願いします。 それからこの際ですから、特定疾患についてひとつ尋ねてみたいのですが、先ほどの小児てんかんの中でも最も悪性とされるレイノックス症候群、これはやはり難病の一種でしょうね。
○加倉井政府委員 私どもが特定疾患といたしまして特定いたします疾患につきましては、特定疾患対策懇談会の委員の方々の御意見を徴しまして、委員の方々の御意見に従いまして特定をいたしてございます。したがいまして、この専門家の委員の方々の御意見により、小児てんかんが特定疾患であるということに御意見が一致を見れば、これを取り上げるにつきましては、やぶさかではございません。
○枝村委員 大体難病の基準というのは一体どこに求めておるのですか。この難病の定義をひとつ教えてください。
○加倉井政府委員 第一点といたしましては、現在原因が不明でございまして、ある程度症状その他の診断基準がそろっておりますそれらの疾患につきまして、現在治療方法が確立してない疾病、これをまず第一のグループとして取り上げております。 それから第二のグループといたしまして、その疾患によりまして、将来重篤な後遺症が残りまして、かなり介護等の問題が残り、しかも長期間にわたりまして医療費を要する、こういう疾病につきまして第二のグループといたしまして特定疾患の対象といたしております。
○枝村委員 きわめて広範な——定義でもないですな、まあ常識的なことばですね。原因不明で治療の方法がない、そういう病気がいわゆる難病というなら、たくさんあって、小児てんかん、これもあなた方自身が知らないくらいですから、これも難病ということになるのですね。それも医師の診断によっていろいろまちまちにきめられたり簡単に片づけられたりするということになるわけです。いまのところは、いま言ったように、特定疾患対策懇談会でいろいろ検討してみて、最終的にきまったものが難病ということになるわけなんですが、これは科学性がないとは言いませんけれども、しかしおくれた部分、取り残される部分がたくさんあるということも現実の問題として起きてまいりますね。そうでしょう。
○加倉井政府委員 御指摘のように、いわゆる難病と申しますものは非常にたくさんございます。しかしながら、やはり当面非常に急がれている問題につきまして、まず取り上げるというのが特定疾患対策懇談会の専門家の委員の方々の御意見でございまして、四十八年度におきましては、昨年度の八疾患にプラスいたしまして、二十の疾患につきまして、治療、研究方法あるいは原因の究明等に取り組むことになっております。
○枝村委員 この前のだれかの質問に答えられて、研究班で一生懸命やっておる、研究班にいわゆる研究費として今年度五億三千万円あげた、これを個人に支払ってやっておるというふうに言われました。それから医療費補助は六億三千六百万円出しておる、そういうふうに言われたのです。それはたいへんいい努力で、いいことなんですけれども、そこで新たな問題が出てくるのじゃないですか。 たとえばことしは六種類の難病が決定されて、それには医療補助費というものが出されておる。これはその人にはただなんでしょう。ところが、今日二十種のうちの他の十四種は、まだ何もきまってない。同じ難病は難病ですね。たいへん苦しんでおるその人たちの新たな差別というものがここで出てくるわけです。一挙にきまれば——二十種以外のあと四十、五十あればまた差別があるでしょうけれども、二十きめた中の六と十四の差別。片方で寝ている人はただ、片方は全額自分で負担するか、保険でどうなっているかわかりませんけれども、たいへんな負担をこうむらなければならぬ。それは単に難病にかかっておる患者やその家庭の問題でなくて、それを入院させておる病院側、看護婦、あるいは厚生省そのものもそういう状態を見て、これは人道的に見ても、いろいろな点から見ても、そこにはたいへんな矛盾と悩みを持つと思うんですね。そういう今日のちょっと困ったような状態が出てくるということが現に起こっておると思うのですね。だとすれば、これはやはり早く解決していかなければならない問題ではなかろうか、こういうふうに私は思うのです。 それで、いまの小児てんかんもそういう意味では、どう見ても特に悪性のものは難病だといえますから、これを救済する、せぬというのは、また先ほどのあれもありますから、あれですけれども、早く調査研究して、そして公費負担にすべく、そしてこれがやはりなおっていくようないろいろな治療方法というものを研究していかれるべきである、こういうふうに考えておるところです。ひとつ厚生大臣——あなた寝ておっていいの。聞きましたか。一生懸命にこれに力を入れていただきたいと思います。いいですか。
○齋藤国務大臣 この特定疾患については、治療方法がはっきりしない、原因もはっきりしない、そういうことになっておるわけでございます。そこで、いますぐこれが特定疾患に該当するかどうかということについては、はっきり言えないと思いますが、十分実態を把握することがやはり先決でございますから、そうした十分の調査もできてないということでございますので、いろいろな方法を通じまして、その実態を把握、調査いたしまして、ひとつできるならば前向きに問題の解決に当たるようにいたしたい、こういうふうに考えます。
○枝村委員 次に、精神病院の問題について若干質問してみたいと思うのです。 日本精神神経学会の中に病院問題委員会というのが設けられて、その委員会の調査によって幾つかの報告書がまとめられておるわけなんです。そういうことを実は厚生大臣御存じでしょうか。——この病院問題委員会は、いわれております烏山病院問題という、いわゆる同病院の一医師を何の理由もなく首を切ったということから、それが訴訟問題まで発展して、さらに精神病院の内部の問題から社会問題へまで発展していくという事件が学会の中で取り上げられ、それがきっかけに今日いろいろ話題になっておる各種の病院の問題を、学会という立場から問い返して、学会なりの見解を打ち出すべくつくられた、こういうことなんです。 この委員会がそれらに結論を導き出そうとするものは、一口に言うと、医療の立場である精神病院の中で、患者の人権それから医療従事者の人権という面、すなわちこの患者と医療従事者を医療という側面からのみではなく、一般社会の中の一員である人間としての側面から問い返してみようとしているものであります。私は、これはすばらしい考え方であり、実践の方法だと思っております。きわめて賛成すべき、むしろそういう精神学会の中の新しい動きだと思っておるわけなんですが、こういうことに対して厚生大臣はどういう所見を持っていらっしゃるか、お伺いいたしたいと思います。
○加倉井政府委員 先生の御指摘にございましたように、現在精神神経学会におきまして、精神病院の問題委員会が設置されまして、精神病院の事故あるいは人権等、運営管理上に関する問題につきまして、現在いろいろ討議をされているということを聞いております。 従来、精神病院におきまして、事故その他の問題がございまして、私どもといたしましても非常に苦慮いたしておったわけでございますが、学会の面からそういうことを取り上げていただきまして、精神病院のあり方その他につきましていろいろ御討議されるということは、非常に望ましいことでもあり、その結論によりまして正しい適正な運営がなされるということは、私どもも望むところでございまして、きわめてけっこうなことだろうと思っております。
○枝村委員 厚生省も、そういうふうに公になったのですから、ある程度調査も分析もされておりましょうし、学会の一定の方向も承知されておると思うのですけれども、これもやっぱり国会あたりでも取り上げられて、そうして、行政と国会とが一緒になって、いい方向でいろいろな道を見つけ出すように努力せねばならぬと思います。 そういう意味で私は取り上げていくわけなんですけれども、今日の段階で、その委員会が調査の結果、一定の結論づけられたものがあるわけなんですけれども、その前提となるのは、五つの病院の問題についていろいろこまかく調査、分析し、結論を出しておられます。その点は知っていらっしゃいますか。
○加倉井政府委員 五つの病院につきましての問題点につきまして、現在私どもの聞いておりますところでは、問題提起をして、それにつきまして討議をされておる、したがって、まだ結論は私どもは聞いておりません。
○枝村委員 いわゆるびしっとした結論めいてどうこうするという指針はないですけれども、一定の方向というものは明らかにされております。 そういう立場で、御存じだろうと思うのですけれども、第一番目に吉田病院における不当入院の問題がありますね。これはどうも私のほうから一方的な説明に終わるようになりますけれども、ひとつこれはぜひ明らかにしておかなければならぬと思いますから申し上げますが、これは奈良県の吉田病院に十四年来入院しておりましたある一人の患者の退院要求に端を発して明るみに出た問題です。 これで指摘されるのは、長期にわたり不当に入院させておった、それから院外の作業の名のもとに不当な低賃金労働をさせた病院のあり方に疑念が持たれるという、こういう問題の内容なんですね。委員会はそれについて調査、分析の結果、五つの項目にわたって問題点を指摘しておるわけなんです。 その中で一番にあげられているのは、その患者の入院は明らかに不当である、こういうことですね。これは精神衛生法の第三十三条の同意入院のそういうところから見ていきますと、当然批判されねばならない問題に発展してくるわけなんです。 それから、同法の二十条に基づく保護義務者選任が、実はこの場合行なわれておらないわけなんです。そして、保護者の資格にもならないような人の同意によって入院させて、しかも長期の間自由の拘束が行なわれて、退院可能になっておるにもかかわらず、保護者でもない姉の意思で拘束を続けてきた。ねえさんとその患者との間に、いろいろ複雑な事情はあったでしょう。あったでしょうけれども、そういう同意を与えるような、親権者か何か知りませんけれども、その資格のない人の意見を優先的に聞いて、そうして長期にわたって拘束して、退院してもいいと院長は言いながらも、それの同意がないから退院させないということは患者の人権を全く無視した行為である、こういうふうに同委員会は結論づけておるわけなんです。 さらにこれを発展さしていけば、どこにもいえることなんですけれども、精神衛生法そのものがそういう行為、いわゆる患者の人権を無視しておる、そういう行為のささえになっておる。これをよりどころにして院長や病院側がそういう人権無視の行為を公然と行なっておるようになっておる。そういう結論づけたような一つの集約をしておるわけです。そうなると、やはりただ病院のことだから、そうして病院内部の事件だから、厚生省行政当局は関係ないというわけにはいかなくなるわけなんです。これが吉田病院の実態なんです。 二番目は佐藤神経科病院の問題があります。これは名古屋に存在する病院なんですけれども、これは無資格の人が診療を取り扱っておる。そしてその結果、それに基因したかどうかわかりませんけれども、児童が死亡した事件、そしてそのほかに一部の人たちが横暴な患者と結託して病棟を支配して、他の患者をリンチさせるような事件が起きた。もう一つは、結核に罹患した患者が確定診断のつくのがおそいために、診断がついてから旬日を待たずにおなくなりになるというような事件がございました。これは明らかに身体的合併症に対する予防、医療がこういう精神病院の中には非常に不完全である、不十分であるということを暴露したと思うのです。しかもこの病院では一斉検診なんかというものは全然やっていない。こういうことがこの事件のあらましなんです。 この問題に対して、同委員会は次のように指摘しているのです。 これは結局は医師不足、看護婦不足が招いた一つの問題だというのです。これはやはり健保の審議の中でいままで各委員が十分質問し、討議した問題です。ここにもこういう問題となって、悲劇となってあらわれてきておるわけなんですね。だからこれも厚生省としても十分考えていかなければならぬ問題です。それからこの病院では患者がいい治療を受ける権利を十分認められておらないということになっている。いわゆる無資格者によって診療を受けた。患者によって病棟が支配されて、不十分な施設の中で日常生活をおくらなければならぬという、こういう貧しさが出ておるということを見ますと、これは医療行政全般の問題として今後考えねばならぬことだ、こういう指摘をこの委員会はしておるのでありまして、全く私は正しい指摘だと思っております。 三番目は「中村病院問題と福岡の精神医療措置優先の精神医療の現実」についてという調査分析の結果が報告されております。 この事件の概要は、一人の青年が何か暴行を働いたということで、強制的に福岡の中村病院に措置入院させられた。これは前に精神病院に入っておったということが理由かもしれない。そして一週間あとですか、結局死んで退院させられたという事件です。調べてみましたら、からだには数十カ所の傷あとがあり、その他いろいろなところに暴行やその他を受けた犯跡が残っておる。だから家族が警察に訴えて、そうしていま訴訟問題になって、裁判ざたになっておるという問題なんですね。 これなんかを委員会が調査をしてみますと、福岡全体のことを調べておりましたが、この中村病院というところは、非常にずさんな措置入院というものが当然のように行なわれておるということが明らかにされた。どうして死んだかというのは、裁判のさなかでありますから、ここでは明らかにできませんけれども、いろいろ調査の段階で、隣におったある患者は、その死んだ人がせっかんを受け、リンチを受けておったという報告をしておるわけですね。そういうところから見ますと、これはまたたいへんな事件だというように見えるわけです。 それから四番目に富士山麓病院における暴動発生事件というもの、これはまたたいへんなことなんですね。これは、患者二十九名が病棟を占領して医師一名に暴行を働いて、そしてそれをひっつかまえて保護室に閉じ込めて、そして他に看護者二名を別の保護室に閉じ込めて治療の改善を要求する、こういう暴動なんです。 これに対して委員会の指摘は、まず第一に職員の患者に対する態度ないしは人権意識の問題が一番先にあるわけであります。この暴行そのものは決してよいことではないけれども、その原因は一体どこにあるか、それを調べてみたら、いま言ったことがまず第一に指摘をされる。人権がかなり侵害されておった。そこの病院長は研究モルモットのために患者を取り扱っておるという、そういう方針がすみずみまで行き渡っておるために、それが日常のいろいろな、患者をなおすという名目のために治療を施されるために、その不満が爆発して、特にアルコール中毒者ですから、そういう暴動へ発展しておるとするならば、これはたいへんな人権の問題として取り上げなければならぬ、こういうように指摘をしております。 それからもう一つは、アヤメ病院といって、東京で起こった事件ですけれども、これは患者三人が脱院しようとしたその際に、そこの看護婦さんの口をふさいで、さるぐつわをはめた。そして逃げて、その結果看護婦さんがおなくなりになった、こういう事件です。これもいま裁判にかかっておりますけれども、その原因も、いろいろ治療の方法とか、措置されておる間のいろいろな事情が彼らをしてそうさせたという原因もあるという指摘をされております。 いずれにしても、こういう、単に五つでありますけれども、これは他山の石として考えなくてはならぬのは、今日の精神病院の中における問題が非常に大きくクローズアップされてきたのに対して、病院側自体が、おれたちは患者を単になおすために治療する、働いておるんだという、そこには人権を尊重するという感覚なんというものは必然的に長い習慣の中になくなっていっておるのではないか。先ほど言ったような、やはり一人の人間として、これを見ていかなければならぬという内部からの自己批判、自己反省を求めながら、同時に、そうさせておるもろもろの今日の政治、行政、医療体制などに対してメスを加える必要があるという、こういう方向になってきたのでありまして、私は、たいへんいいことだと思います。 そこで、その委員会がこれらの実態を調査研究したものの一応結論として方向づけたのが四つあげられております。 その一つは、まず第一に医療の姿勢なんです。先ほど言いましたように、精神病院、精神医療というものは、特殊な患者でありますから、公共の福祉という立場で、人権尊重をその次にするという、そういう立場で「社会防衛優先」ということばが使われているのですけれども、その精神衛生法そのものが、やはりそういう骨子でできておる、そういう体制や、「低医療費政策など患者不在の医療を安易に受け入れてしまい、時により、逆にこれらの体制や政策を都合よく利用すらしてしまっている医療の姿勢。これは医療の長い歴史の中で培われたものであるが、この医療の姿勢の中には、患者のためという理由のもとに、実は患者不在の医療を無反省に行ってしまう流れがあり、事例の処々にそれがうかがえた。」これは私が先ほど言ったような、そういうのを第一に指導して結論づけております。 それから二番目に、精神衛生法の体制について指摘をいたしております。「精神医療における医療優先の姿勢に表裏一体となり、社会防衛偏重を正当化し、患者個人の立場を保証しなかったのは精神衛生法体制であり、この体制が患者の人権を奪うことに医療側の抵抗感を失わしめる大きな原動力となっている。」こういうのを二番目に指摘しております。 それから第三番目に、患者も巻き込む搾取の体制ということについて指摘しております。「医療とくにその中における精神医療への蔑視による精神病院の貧困は、患者、病院職員、病院経営者がお互いに生きる権利を主張し合い、弱い立場である病院職員、そして最も弱いものとして患者が搾取され、その正当な権利を失っている。」 まだありますけれども、四つの中の三つのこういう重要な指摘が、五つの病院を調査した結果、そして分析した結果、一定の結論として出されておるわけなんですけれども、これはたいへん貴重な、これからの提起だと私は思っております。 このような、いわゆる病院のあり方について、いまこの報告書に基づいて私は言ったのですが、このあり方について、厚生省として基本的なこれに対する姿勢について、先ほどちょっと伺いましたけれども、もう一ぺんお伺いしておきたいと思います。
○加倉井政府委員 いろいろ先生が御指摘になりました精神病院問題委員会の報告等につきましては、いずれまとまりました暁には、学会におきましてまた検討されるということだろうと思います。 これと別に、私どもといたしましては、やはり精神病院におきまして、過去におきますいろいろの事故等の報告もございました。したがって、そういう事故の防止という面から、あるいは適切な精神病院の運営という面から、私どもといたしまして、職員の質の向上あるいは学問的な問題といたしまして、精神病院の職員に対します研修会を毎年開催をいたしております。あるいはまた、日本精神病院協会等も通じまして、そういう問題の処理あるいはそれに対する職員の資質の向上につきましても、私ども十分連絡をとってきたつもりでございますが、今後とも資質の向上等につきましては格段にまた努力をいたしたい、かように考えております。
○枝村委員 ひとつ厚生省も、いま一生懸命精神学会がやっているのですから、人ごとじゃないような気持ちで取り組んでもらいたいと思います。 それから、保険局長にはひとつも質問せぬから申しわけないので、一言質問いたしたいと思うのですけれども、とにかく健康保険の個人の負担料がたいへん高いというのは、いままでの質問の中で出ました。大臣は、その高い原因の一つにやはり労使折半、これがその原因にもなっておる、それから諸外国では、ほとんどが企業側が高額を持つというところが多い、だから折半という主義は今後は検討し直していかなければならぬというようなことを答えられたようですね。あなたはいままでそういう答えをしたんです。それをひとつ早くしてもらいたいと思うのです。 日本の健保の料率は、いま審議されておるように、千分の七十で、そしてそれを労使で折半をしております。イタリアは千分の百二十・三、これは高額ではありますけれども、労働者負担は賃金の千分の一・五である、残りの千分の百十八・八はつまり経営者負担となっておる。そうでしょう。それからフランスの料率は二本立てなんですけれども、いずれにしても、その事業主負担がきわめて高い。たとえば月収五万円の労働者に対して、日本では千七百五十円であるのですが、フランスでは六千百二十五円を、それぞれ経営者が負担しておる。社会主義の国は、これは体制が違うのですから、大体無料が多いのですけれども、資本主義の日本がそのまねをせいといったって、それは無理でしょうけれども、資本主義の国であっても、そういうふうに労使折半というような時代におくれなような保険料負担というものは早く検討し直して、そして労働者には軽い負担をすべきだ、事業主が大幅の負担をするというやり方、制度に変えていくべきではないか、こういうふうに私は思うのです。その点についていかがでしょうか。
○北川(力)政府委員 ただいまの問題は、大臣からもすでにお答えを申し上げております。おっしゃるとおり、西欧諸国では確かにそういった傾向が見られまするが、わが国の各種の医療保険制度においてそういう方向をとりますことは、やはり一つの大きな政策的な問題でもございますから、今後、たとえば厚生省にあります長期懇談会でございますとかそういうところで、十分そのあり方について具体的な検討をお願いしたい、かように考えております。
○枝村委員 そういうように個人負担料率が非常に高い、そういう観点に立って、特に精神病に対して見た場合に、最近では老人や乳児に対しては医療全額無料化の線が打ち出されてまいっておるのですけれども、どうも精神病に対してはそれが行なわれておりません。先ほどまあ若干約束して、前進の方向がとられるように私は受けとめたのですけれども、今日では、精神衛生法の二十九条や三十二条によるものが若干公費で見られておる。しかしこれも、たとえば届け出や自由を拘束するという条件のもとにそういうことが行なわれておるということなんでしょう。ですから、そう見てまいりますと、これは精神病の続きになるのですけれども、その患者に対する取り扱いがどうも、公費負担の面からいたしましても、非常に重たいような気がいたすのです。 それで、いわゆる精神衛生法第二十九条の措置入院者は約三〇%、それから生活保護法の医療扶助で入院した者が大体四〇%程度で、残りの部分は被用者保険や国民保険で入院しておる、こういうふうに数字が出ておるわけなんですが、それに間違いないでしょう。
○加倉井政府委員 措置入院患者の負担区分についてはつまびらかでございませんけれども、入院患者の費用負担区分については大体御指摘のとおりだと思います。
○枝村委員 ですから、結局精神病の患者も健保の体制下に全部送られておるということなんですね。ですから、このような人たちに対しては、先ほどから何回も繰り返して言うようですけれども、公費で負担するというこの原則をあくまでも貫いていってもらいたいということを要望します。 それと同時に、ここで一つだけ最後に要望なりをしておきたいのですが、いわゆる精神科のお医者さんあたりが非常にいっておるのは、医学界の中でもおれたちの分野は、どうもいろいろな面で差別をされておるというように思われているのではないかと思うのです。 たとえば点数の新設やら改正する点は、大体中医協の議を経てやるわけなんですね。ところが、この委員の構成の中にいわゆる日本精神神経学会ですか、それに属する人々が入っておるのかいないのか私知りませんけれども、どうもその意見が反映されないでおるようなことをおっしゃるわけなんですね。だからすべての面で精神医療の問題が他の一般医療に対して差別とか立ちおくれとかいうようなものがやはり端的に本年度でもあらわれてきておる。一ぱいありますけれども、これは一々申しません。そういうふうに思われているわけです。 ですから、一つの要望とすれば、中医協の委員にそういう方々も加えるように厚生省は努力すれば、たとえば先ほどのいろいろな問題を摘出して日本精神神経学会がたいへんいい方向で進もうとする。それに行政当局、厚生当局がある一面からの援助を与えるという一つの形をもあらわすことになるわけです。これは私の一方的な即断で、必ずしも適当であるかないかわかりませんけれども。他のお医者さんにしかられるかもしれませんけれども、しかし全般から見た場合には、こういうこともやはり当然検討しておく必要があるのではないかというように考えられます。その点はいかがでしょう。
○北川(力)政府委員 中医協の構成は、先生御承知のように診療担当者と支払い者側、さらに公益を加えております。それで診療担当者側の委員の選定にあたりましては関係団体の推薦によってきめております。したがいまして診療各科別に不公平にならないように、そういう関係団体で十分、そこは厳重にその辺のチェックをいたしました上で推薦をいたしてまいるわけでございますから、そのようなことはないと私は存じます。 なお、御注意もございましたから、今後とも中医協のほうにおきましてはいろいろ診療報酬改定の際に各科別のアンバランスが起こらないように十分な配慮をわれわれも中医協のほうにお願いしたいと思います。
○枝村委員 いまの中医協の委員構成の中に各科別で精神科なんかの委員が入っていないのでしょう。
○北川(力)政府委員 現在の委員の方の中には直接精神科専門の方はいらっしゃいません。
○枝村委員 そこにやはり精神的か、何か知りませんけれども、その面での問題発生があるというように思われているのではないでしょうか。その点はひとつ十分配慮してやっていただきたいと思います。 以上で、質問を終わります。
○小林(進)委員 関連して。 関連質問でございますので、ごくかいつまんで御質問を申し上げたいと思いますが、健康保険法の改正に関する審議もまだ十分尽くされていないようでございますが、いろいろ与野党との折衝の関係でどうも今週中にこの衆議院の審議は終わるように話が進められておるように承っております。しかし、まず国民の側からいたしますと、何で一体政府はこの法案に執着をして、どうしても通そうとする頑迷な態度を続けておるか。野党四党は精力的に、この悪法は断じて通してはならないということで、これ、絶対的な抵抗を続けているのでございますが、この与野党の対立関係がまだ国民の間には明確にされていない点があるやに感ずるのであります。やはり国民の利益を代表しておりますわれわれの立場からは、この対立点をひとつ明確にして、どっちの主張が一体正しいのかということを国民から判断してもらわなくちゃいかぬ。 そこで、私はまず厚生大臣にお伺いいたしますが、私はもう政府の言い分はわかった。わかっておりますから、それは十分了承いたしております。そこでひとつ大臣の口を通じて、われわれ野党がなぜ一体反対しているか。われわれ野党が反対しているその項目をどの程度に大臣は理解されておるかを私は知っておく必要がある。これは知っておかないと。将来同じことを繰り返すことになります。そのわれわれの言い分をひとつ——われわれの主張は一体どこに重点があって、どこにわれわれの主張の無理があるかどうか、大臣の口からわれわれの主張をひとつ承っておきたい。
○齋藤国務大臣 私が、小林委員をはじめ野党の方々がなぜ反対しておるのか、その理由を言え。どうも、詳細に全貌を、私が受け取っておることを申し上げることは、これは非常に困難な問題でございますが、いろいろな質疑応答の中を通じて私なりに理解しておるところによると、保険制度の改革もけっこうであるが、保険制度についても抜本的な改革をなすべきではないのか、そういうことをやらずに一部のものだけの改革をやるのはどうであろうかといったふうな御意見。さらにまた医療問題の基本は、医療供給の体制の整備にあるのではないか。そういうことについて政府はどういうふうに考えているのだ。そのほか、いろいろたくさん、値上げの問題とか、医薬分業の問題とか、地域医療の問題とか、さまざま、質疑応答を通じまして、かくかくの理由で反対であるといったふうな御意見があるように承っておるわけでございますが、基本的には小林委員がどういう点で一番反対をされておるのか、私が想像して申し上げることは失礼と存じますので、まあこの程度にさせていただきたいと思う次第でございます。
○小林(進)委員 まだあなたは、われわれ野党の反対する理由について、その程度の認識しかされておらないから、問題の基本的な解決点に至らないのです。それくらいの認識しかないというのは私は情けない。私は繰り返し言っているのでありますが、あなたがたもしろうとで、まあ与党も派閥の均衡か何かで突然変異で厚生大臣になられたしろうとの厚生大臣なら、私はあえてあなたに無理な注文はいたしませんよ。しかし、あなたはしろうとじゃないんだ。ここ十年間われわれとともに、医療制度はいかにあるべきか、保険制度はいかにあるべきか、政管保険はいかにあるべきか、心魂を傾けてともに語り合ってきた仲なんだ。私が事態の急を認識している同じ程度より以上にあなたは知っておられるはずだ。そして、その間にあなたは幾つもわれわれに約束をされた。合意の上に附帯決議もつくられた。合意の上にわれわれと一緒に健保の改革案もやられた。あなたは一体、大臣になったら、それを弊履のごとく捨てたじゃないですか。私はまずその問題が、問題の要点をつく以外に、大臣の姿勢として、政治家として、良心あらばその地位にとどまるを得ず、信を国民に問うてさっそく辞表を提出すべきではないかと私は申し上げたい。 関連ですから時間がありませんので、具体的に言いましょう。 まず、あなたは重大な公約を四つ犯されている。たいへんな罪をあなたは四つ犯しているけれども、まずその一つから申し上げます。 一体、政管保険の改正という、いまお出しになっているようなこの改正案を、過去に何回この国会へお出しになりましたか。この社労委員会へ何回お出しになったか。何回出したかくらいの記憶はあるでしょう。何回お出しになりましたか。どうぞ。
○齋藤国務大臣 政管健保法の改正は、まあ数回、ここ十年出ておるわけでございますが、主として内容とするところのものは、政管健保の財政赤字対策ということで料率の引き上げ、これが中心の改正が大半であったわけでございます。昨年まで提出いたしましたのも赤字対策法として出ておりました。なおそれに伴いまして、昨年は医療保険の抜本改正ということで、またもう一本の健康保険法の改正が出されました。さらにまた、供給体制の確立として国民医療法の改正が出されましたが、今日まで出されました多くのものは赤字対策、料率の引き上げ、それが中心の法律改正であったと私は理解をいたしております。
○小林(進)委員 私はあなたに何回お出しになったかという回数を聞いているのです。いいですか。私が申し上げましょう。 ともかく政管保険は昭和三十九年において初めて積み立て金を全部使い果たした。百七十三億円の累積赤字を生ずるに至った。問題はここから始まるのです。このために、政管保険財政の健全化をはかるために暫定対策としてひとつ政管の改正法を出さなくちゃならぬと言うて、これが昭和四十年です。問題の発生は昭和四十年です。いいですか。それは覚えてください。 昭和四十年の第五十国会に標準報酬の月額の上限を五万二千円から十万四千円に引き上げ、保険料率を千分の六十三から千分の七十に引き上げるという改正案をお出しになった。このときは審議未了に終わっているのです。このときからこの委員会の絶えざる混乱が始まったのです。それで、五十回は審議未了で終わった。これが第一回目です。 ところが、第二回目には第五十一国会、いいですか、続けて第五十一国会に同改正案が上程せられて、千分の七十となっていた保険料を千分の六十五に引き下げるなどの修正が行なわれた上で、これが可決になっているんですよ。それが昭和四十一年の四月から実施された。いいですか。これが第二回目に出されたんです。その四十一年に千分の七十の改正案を出して、昭和四十一年の四月から実施されたが、その改正を実施した四十一年、その年においてすでに単年度二百六十六億円の赤字が生じている。いいですか。赤字が生じているんです。それからあなた、これを繰り返すこと、私はこの内容の説明から言わぬで、回数だけ言いましょうか。昭和四十年に第五十国会で第一回を出した。昭和四十一年第五十一国会に第二回目のやつを出した。続いて昭和四十二年には、これはまた赤字になっちゃった。一年もたないで昭和四十二年に第五十五国会で第三回目の暫定措置の改正案をお出しになった。それでいいかといったら、これがまた一年もたないのだ。昭和四十二年の第五十六国会で第四回目の、また、あんた、暫定措置のこの政管の改正案をお出しになった。もうそれでいいのかといったら、二年もたないで昭和四十四年第六十一国会にまた五回目のこの政管保険の暫定の改正案をお出しになった。その四十四年から一年もたないで、四十六年の第六十五国会でまた第六回目のこの政管の改正案をお出しになった。いいですか。それでもういいのかといったら、今度は昭和四十七年、一年もたたないうちの第七回目の第六十八国会で、今度は同じく政管を中心にする健保の改正案をお出しになった。いままたお出しになった。これは八回目です。 昭和四十年から同じ趣旨の法律改正案をこの八年間に八回もやりくり、やりくりする。こういう一体法案の出し方は、あなた、まともだとお考えになるんですか。そのためにこの国会で審議された時間は、一体何百時間ですか、何千日ですか。私どもが第一に政府の姿勢を糾弾し、厚生大臣を糾弾し、この健保の改正案に断固排撃をしなければならぬ第一の理由はここにあるんです。どんな悪法といえども、八年の間に八回も修正案を出し、この国民の負託を受けた国会議員にこれだけの迷惑をかけている。ずうっと迷惑をかけている。しかもこの八回の間に審議未了に終わることが四回だ。いやしくも修正可決せられることが三回です。こんなぶざまなことが、一体この健保法案以外にどこにありますか。——ありますか。だれが悪い。私はこれが第一にこの法案を断じて了承できない、四つあるが、そのうちの一つの理由だ。 繰り返して言いますよ。昭和四十年から昭和四十八年に至る八回も、同じ法律の改正案を出して国会を混乱におとしいれているというこの罪は、まさに刑法に触れざるといえども、政治の面からいえば、万死に当たるこれは重大なる罪悪ですよ。そういうことをやった。しかもその内容といえば、さっきも言うように、第五十一国会は第二回目の改正でありますが、それは非常に混乱におちいって修正可決しているんです。修正可決をして通したばかりのその年において、もはや単年度二百六十六億円も赤字を生じている。赤字を処置するために出したという法律が、実施をせられて半年もたたないうちに、すでに二百六十六億円も赤字を出して、昭和四十一年度末には九百八十億円の累積赤字に達するというこんな改正案を出して、顧みて恥としないんですか、あなた。 そうして混乱を生ずると、直ちに今度は昭和四十二年には第五十五国会に第三回目のまた同じ改正案をお出しになった。しかもその言い分といえば、いま言っているのと同じです。累積赤字は一応たな上げすることにいたしまして、これ以上赤字を発生させないための臨時応急対策として、健康保険法の臨時改正特例に関する法律案を提出いたしますから、どうぞよろしく、それじゃもうこれを出したら次の年から赤字にならないか、絶対に赤字にはなりません、もう二度とお手数はおかけいたしません、こう言って出したじゃないですか。それで、そのとき出した内容は、入院時一カ月の負担金を一日三十円から六十円にする、初診の際の負担金を百円から二百円にする、外診薬剤一日分十五円の超過分について一剤一日十五円の負担金にする、政管保険の保険料率を千分の六十五から千分の七十二にするという、いま出している改正案と同じようなものを昭和四十一年に出してきた。けれども、これも国会が混乱におちいって、ついに審議未了に終わったんだ。 終わったら、続いて昭和四十二年、もう翌年だ。今度は第五十六国会に——これがいわゆる健保国会と称せられるもの。この健保国会にまた同じような法案を出してまいったのであります。そのときに波乱万丈いたすと同時に、わが社会党の当時の執行委員長佐々木更三、当時の書記長成田知巳氏が、政府の公約違反のために、ついに下部の代議士諸君の突き上げを受けて内閣を投げ出すという悲惨なる大きな犠牲まで受けるという混乱の状態におちいったんだ。わが党はそういうような大きな被害を受けながらも、政府の苦境をこれ見るにたえずということで、保険料率を千分の七十二から千分の七十に引き下げ、外来投薬時の本人定額負担を被保険者の標準報酬が二万四千円以下のときは免除する等の修正が行なわれて、そして衆議院の本会議でかろうじてこれが可決されたんだ。 いいですか。そのときに本法による特別措置は、当分の間とあるのを、昭和四十四年八月三十一日限りだ、もうこういう料率を引き上げたり、あるいはこの政管に関する特例は、改正は、臨時措置は、昭和四十四年八月三十一日限り効力を失うことといたします、もう二度とやりませんから、ひとつお許しをいただきたい、これは神聖な本会議場の中で、そういうきちっとした条文をつけて、この法律を通したんだ。昭和四十四年八月までは臨時立法にして、それ以上はもう臨時立法にいたしませんという理由の根源には、一体どういう理由があったのか。それはあなたは御存じでしょう。 すなわち、この二年以内にいわゆる医療保険の抜本改正を行ないまして、毎年毎年こんな赤字を繰り返すようなことは二度といたしません、二年間だけの暫定措置にして期間を与えていただきたい、その間には必ず公約を守って、永久にこんなぶざまなまねはいたしません。約束したじゃありませんか。その大きな約束に従って、昭和四十四年八月までの臨時立法にしたんじゃありませんか。そうでしょう、あなた。齋藤先生、そうでございましょう。あなたはおわかりでしょう。だから私は、さっきから言っているように、しろうとの厚生大臣が来たんなら言わないぞ。あなたはみんな知っているじゃないか。私が言っていることはうそですか。うそだったら、うそだと言ってください。
○齋藤国務大臣 そのとおりに理解をいたしております。
○小林(進)委員 そうでしょう。いかにずうずうしいあなたでも、それまでうそだとは言えないはずなんです。 しかるに四十二年八月、二年間に抜本改正は必ずやりますと言っておきながら、これをサボタージュしたのは一体だれなんだ。政管保険の財政は、これほどまでに固い約束をして、昭和四十二年にわが社会党内閣も吹っ飛ばして通してやったにもかかわらず、臨時特例法の制定によって財政はどうなったかといえば、昭和四十四年九月に、もはやこの二年の間に——これがもし昭和四十二年の九月にこの約束で本会議の決定どおり効力を失ったら、昭和四十四年だけで単年度五百億円の赤字が生ずるんだ、赤字が予定されていた。同年末の累積赤字は一千八百億円が見込まれるようになったんです。どうです、あなた。これほどまでの苦心をして、争ってつくり上げたって、すでにその年度からもう赤字じゃないですか。昭和四十四年九月には一千八百億の赤字が見込まれる、そんな改正をして一年間も効力のない法律のために、何回われわれを死ぬような思いをさせてこれは苦しめてきたんですか、あなた。 そこで一体政府はどういう処置をしたかといえば、政府はここでまた同じことを繰り返している。すなわち、当面の財政破綻を防止するために、臨時特例法の有効期間をさらに延長する改正案を国会に提出してきたのです。 これが昭和四十四年の第六十一国会ですよ。その国会の中で、すなわち健康保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案というのがこれなんだ。こういうものを出してきた。そうして、その臨時特例法等の一部を改正する法律案の内容の中で、昭和四十四年九月に失効する法律の有効期間をまた二年間延長し、昭和四十六年八月三十一日までにすること。第二番目には分べん費を六千円から二万円に、配偶者の分べん費を三千円から一万円にする。いまのあなた方が抜本改正だという中に入っている分べん費がここに出てきているのです。ここでちゃんと出てきているんですよ。赤字退治のための言いわけに、何でも腹が大きくなった人さえだましておけばいい、すぐこういうときになると分べん費を持ち出してくるんですけれども、十年一日のごとくごまかすというのもほどほどにしてもらいたい。何が分べん費だ。 そうしてそのほかに、臨時特例の法律有効期間は政管保険の保険料を千分の七十から七十一にする。すなわち分べん費のよけいに出す分だけは、また〇・一%だけ上げて、その分だけは千分の七十一にする、こういう改正案を出してきた。これが第六十一国会で、この委員室がほんとうに割れるような与野党とも混乱の状態におちいって、とうとうこれが修正可決されているのでございます。 そのときの改正案が、私はこれは一部成功、一部失敗であると思うのでありまするが、その四十四年の改正案で法律の題名の中から臨時特例という字句を初めて削除したわけだ。臨時特例の字句を削除いたしまして、臨時特例の期間の延長を取りやめ、そして初診料二百円、入院時一日六十円の負担金は、今度は健康保険法本法の中にそれを入れ、政管健康保険料率千分の七十は、健康保険法において規定する、まあこういうことに大まか改められた。 これは私はやっぱりここまで来ると、臨時特例法にしておいたほうが、むしろ政府の注意を喚起せしむるためにはよかったんじゃないかと思うけれども、しかしこのときの与野党の言い分は、もう臨時特例ではだめだから、これを本法の中に入れたら、なおさら政府がこんな改正などということを、いかにあつかましくても二度と出してこれないだろう、一年間にまた出してきたが、本法の中に入れたら、少しはこの法律もいわゆる固定化して、もはや政管健保の問題でこれから先、与野党でこんなに苦労して相争うようなことはなくなるだろうという、大きな期待と願いと、いま一つ、政府、総理大臣、厚生大臣の大きな公約もあって、これを本法の中に繰り入れた。 ところが、それほど苦労してつくったんだから、もう赤字の退治ができたかといったら、そのときも、政管保険の赤字はその後さらに悪化した。いいですか、さらに悪化して、昭和四十五年度だ、この法律が通ったその直後、昭和四十五年度単年度赤字が三百八十三億です。齋藤さん、私は演説しているんじゃありませんから、よく聞いてくださいよ。累積赤字が一千七百八十六億円ですよ。まるで、苦労して改正をしたそのあとに、ちゃんと赤字が大きくでき上がってくるんだ。何のために苦労し、何のためにこれは改正をしたんですか。 昭和四十六年度に至っては、単年度赤字は七十九億円、これはいわゆる擬制適用を追っ払ったものだから、やや赤字が減りまして七十九億円、累積赤字が一千九百八十億円、こうして政管健保制度創立以来の危機がここで生じてきた。 ここで政府は、昭和四十六年度から実施すべき事項を取りまとめて、昭和四十六年の二月十七日だ、二年もたたないうちに、第六十五国会に健保改正案を提出してきたのです。このときはもう六回目です。六回目の改正案を出してきた。そうして、いわゆる上下限の引き上げ、賞与を保険料の中に算入する、保険料率の弾力調整というやつを初めて出した。いまの、千分の八十というのもここへ出してきた。弾力条項を出してきた。保険庁長官が自由に保険料を取れるようにしようという、聞くもあさましいようなこういう改正案を出してきた。これは質疑応答の段階で終わったのです。 いいですか。これは審議未了に終わったからいいんだろうと思ったら、昭和四十七年の第六十八国会でまた出してきた。そのときには、一体保険財政はどうなっていたか。昭和四十七年度末には単年度六百九十四億円の赤字である。だんだんこれが、政管健保を改正していくたびに赤字がふえていくのですよ。単年度で六百九十四億円、累積赤字が二千八百億円の赤字になった。 ここで政府は昭和四十七年、去年の二月十八日、財政政策である健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案というのを提出してきた。標準報酬の上下限の改定、保険料の引き上げ、賞与に関する特別保険料の徴収、国庫補助の定率化、弾力調整などというものを出してきたわけなのでありますが、これは申すまでもなく、この衆議院の社労委員会で、血を吐くような思いでやりながら、五月二十五日にようやく衆議院の本会議を通過したのです。五月二十六日に国会が終わるという前日くらいに衆議院を通っている。そろそろ政府はここで会期を延長しまして、六月十六日まで二十日会期を延長したが、ついに参議院において通過するに至らず、審議未了になったということです。これが第七回目の改正です。 いま出ておるのが第八回目です。そうして、今度出してきたこの保険料の改正の中に、今度は赤字対策じゃない、抜本改正といっているけれども、何ですか、いまの、おなかの大きな者の出産料をよけいやるというと、八年前と同じ内容じゃないですか。ただ高額保険料というものが少し頭を出してきたが、これをもっていわゆる赤字対策の臨時措置法ではなくて抜本改正だなどと、いけずうずうしくもよく言われたものだと思います。そういうことでこれを押し切ろうとなされている。 しかし、これを押し切って、一体これでやって赤字が退治できるという自信がありますか。過去にみんな、あなた方は出すたびに言った、これが通れば必ず赤字がなくなりますと。何百回となくここで約束した。約束したそのあとから赤字がふえていっている。そんなことに、われわれがいかに人間がいいとは言いながら、ばかも休み休みにせいということばがありますが、一回、二回、三回ならばだまされてみようという話もあるけれども、八回までもだまされて、なおだまされ続けるというわけがないじゃありませんか。われわれが反対をする幾つかの理由の中の第一がここにあるんだ。いいですか。人を小ばかにするのもほどほどにしてくれ。男なら、これはおこらなければ男の値打ちが下がりますよ。何のかんばせあってわれわれがここで国会議員をやっているか。関連ですから、これが第一です。 第二番目。いいですか。私は、第一回もあなた方ここへ提出したのを——うそだというなら、うそだとおっしゃい。あなた方は数回とおっしゃったが、私は正確に八回と言った。この八回あなた方がお出しになったことが一体間違いであるか、間違いではないか、ひとつ明確に証言してください。
○齋藤国務大臣 確かに私の記憶も小林委員の仰せになりましたのと同じでございまして、四十年来八回目の改正になるわけでございます。そういう経過をたどって今日に至っております。
○小林(進)委員 それほどまでに記憶が明確なら、こういうものを出せるわけがないのです。それほどの記憶があれば出せるわけのものではない。これが第一です。 それから第二番目だ。第二番目に反対するも理由。この八回も同じような改正案を繰り返して国会にお出しになる前に、これを通してくれれば、これはほんとうの臨時措置法だ、この間には抜本改正をやりまして、保険調整を必ず出します、二度と迷惑をかけませんということを総理大臣は何回約束されましたか。私は全部速記録から調べてきておるんだから、うそ言っちゃだめです。何回抜本改正をやりますと、この速記録をつけて、国民大衆をうしろにして、何回総理大臣が約束いたしましたか。厚生大臣がここでかわったけれども、厚生大臣が何回ここで約束いたしましたか。回数を言ってください。
○齋藤国務大臣 これこそ回数は正確に覚えておりませんが、臨時特例法を出したとき以来そのつど言っておった、私はかように理解をいたしております。
○小林(進)委員 臨時特例法を出したつど言ったなどという性格のものじゃないのです。一つの改正案を出すたびに、本会議場でもこれを約束し、予算委員会でもこれを約束し、そしてこの委員会の中でも約束した。何回も歴代の厚生大臣が約束した。もう厚生大臣、あなただけとの約束では、われわれはもう疲れ切って信ずるわけにいかない。総理大臣を出しなさい。そうしたら佐藤前総理大臣もときには本会議、ときには予算委員会、ときには社労委員会のこの席上で、神かけてうそは言いません、必ず今度だけは抜本改正をいたします、もう二度と皆さま方に御迷惑をおかけしません。やったじゃないですか。 いやしくも一国の総理大臣や一国の国会議員が、一国の大臣が、国民に向かって数回ことばをきわめて約束をしておきながら、それが守られないというならば、一体何の国会です。何の政治家です。一体われわれはだれを信用すればいいのですか。一体だれを相手にしてこの問題を審議すればよろしいのですか。まずその責任をとってもらわなければ、われわれはこの法律に賛成することができない。第二の理由です。約束を破ってもいいのですか。総理大臣でも、厚生大臣でも、そういう公の席における約束を破ってもいいのですか。いいならいいと、ここでおっしゃい、あなた。その答えによっては私も考えがある。これは脅迫じゃないです。
○齋藤国務大臣 歴代の厚生大臣がそういうふうに述べたことは、そのおりでございまして、昨年も抜本改革という名において健康保険法の改正を提案いたしたわけでございますが、この法案は衆議院の段階で廃案になったわけでございます。 そこで私は、抜本改正の問題については放棄したなどとは申しておりません。しかし昨年提案いたしましても、その後関係団体から非常な反対の意見が強くなりまして、国民的コンセンサスを得ることがなかなか容易ではない、こういう事態でございますので、さればといって健康保険法の改正について改善をすべきものがあるのに、これを放置することは適当ではない、かように考えられましたので、その抜本改正の中で提案をいたしておりました一部の政管健保の給付の改善の部分は、今回の法律改正の中に取り入れることとし、残余の部分、すなわち組合健保との調整の問題あるいは医薬分業等々の問題については、もうしばらく時をかしていただきたいということで、給付の改善だけを取り入れて、今回の法案に提案をいたしておるわけでございまして、私としても抜本改正をやらないとか放棄したとかいうことを申しておるわけではございません。
○小林(進)委員 総理大臣がここで何回、抜本改正はやります——昭和四十二年にこの改正案を出したとき、二年間の暫定期間がほしい、四十四年までの二年間には必ず抜本改正案を出しますと言った。出さなかったじゃないですか。四十四年になったら、また二年間延長して四十六年まで、必ず抜本改正をやって二度と迷惑かけません、出さないじゃないですか。出さないから、一体約束を破ってもいいのかということを私は最初に言っている。政治家は、一国の総理大臣はそういうことを破ってもいいのですか。私はそれだけ聞いているのです。
○齋藤国務大臣 国民に約束をいたしたことは、これは実現するために努力するのは当然だと私は思います。
○小林(進)委員 それじゃ約束を破ったらいけないのですな。いけないのですな。いけないんですね。いけないのか、そんなことはもう政治家の常道だから——政治家とは言えません。われわれ社会党は破ったことはございませんが、自民党政府としては約束を破るのはあたりまえなんだとおっしゃるなら、おっしゃってください。いけないのかいいのか、それだけ言ってください。
○齋藤国務大臣 先ほども申し上げておりますように、公約を守るために昨年抜本改正法案を出したわけでございますが、それが廃案になり、その後各方面からの反対も強くなりましたので、いま直ちに抜本改正に関する法案を提出することはきわめて困難である、こういう認識の上に立って、必要最小限度の改善をいたしましょうということで今回の法案になっておるわけでございまして、抜本改正についてその公約を破ろうなどという考えはありません。今後とも見直しながら努力をいたしましょう、こう私は申し上げておるわけでございます。
○小林(進)委員 あなたは一番大事なところをごまかしているのです。そういうごまかしの答弁は政治家としてやっちゃいけません。私はあなたが予算委員会に来られたときも、あなたは大臣の資格はありませんと言った。あなたはせいぜい本省の課長ですと言ったのは、それがあったからです。政治家の一番大事なことは約束を守るということだ。然諾をとうとぶということです。いいですか。 総理大臣の問題はしばらくおきましても、去年の斎藤大臣、間違っちゃいけません、あなたじゃないのです。故斎藤大臣、あなたの前任者の厚生大臣です。この厚生大臣は、いま言われたように昭和四十七年五月十六日、五月二十五日には国会を終わるというそのわずか十日前ではありますけれども、しかし、あなたの言われた健康保険法等の一部を改正する法律案、いわゆる抜本改正案というものを出されたのです。あわせて、会期延長した同じく五月の二十六日、医療供給体制の整備を内容とするいわゆる医療基本法案というものをお出しになった。いいですか。それはあなたがお出しになったのじゃないですよ。前の斎藤厚生大臣がお出しになった。そのときに一体斎藤さんは何と言った。 前の、なくなられた大臣斎藤さんは、これは私が約束したわけじゃありませんが、総理大臣はじめ歴代の厚生大臣がこうやって本会議場や委員会において抜本改正を出しますという約束をしたのだ、時の政府の責任者としての私の立場からも、一政治家としての立場からも、与野党間におけるこの約束というものを、まず第一に守るのが政治家の本義なんだ、政治家が約束を守らなければ、国会はあってなしがごとしだ。政党はあってなしがごとしだ。民主政治はあってなしがごとしだ。政治家に必要なのは、然諾を重んずることなんだ、約束を重んずるということなんだ、これが廃案になろうと、野党に攻撃を受けようと、政治家としての約束は必ず守らなければならぬから、私は石にかじりついても約束は実行いたしますと言って彼はこれを出したのだ。それで私は買ったのだ。これが私は政治家の姿だと思った。これはあなた、与党、野党の問題ではないです。政治家として基本の姿勢の問題なんです。 だから私は、なるほど斎藤さんはりっぱだ。間違っちゃいけませんから繰り返して言いますけれども、前斎藤大臣です。同じサイトウでもこんなに差があるものかと思うのでございますけれども、前の厚生大臣はそうやって繰り返し、政治家の然諾は何ものにも増して大切なんだ、そのルールが破れたら政治は成り立たぬということになる、議会政治は成り立たぬから私はこれを行ないますと言って出した。そして出して、それが日の目を見ずして、ついに逝去されたのでございますが、私はその前例に比較して——それをあなた引き継いだのじゃないですか。その前任者の霊魂を背中にしょって、あなたは次の厚生大臣としてここにあらわれたのじゃないですか。なぜそれを守らないのです。昭和四十年からかくも繰り返し、あなたの政党、あなたの政府がこの国会を通じて国民に約束したその然諾をなぜ守らないのです。われわれはこの法案にどうしても反対をしなければならぬという第二の理由はここです。 国会の中における約束ごとがこんなふうにして弊履のごとく捨てられるならば、われわれは何もここで審議する必要はない。ほんとうは何もやる必要はない。なぜ守らないのです。なぜ前任者のその意思をあなたは尊重しようとしないのか。なぜその総理大臣の約束をここで守ろうとしないのか。法三章でもよろしい。然諾を重んずるという一片の政治家の良心があるならば、ちゃんとここへその改正案というものが出てこなくちゃいけない。抜本改正案というものが出てこなくちゃいけない。それが政治家の基本姿勢です。笑いごとじゃありません。なぜ約束を守らないのです。なぜ前任者の前例をとうとばないのです。
○齋藤国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、昨年抜本改正として出しました項目のうちの政管健保の改善の分は今回の法案の中に取り入れて出したわけでございます。そのほかのいわゆる財政、組合との関係の問題、医薬分業の二つの問題が中心になるわけでございますが、これは各方面において国民のコンセンサスを得ることの困難な問題でございますので、この問題についてはしばらく検討さしていただきたい、もう少し国民的コンセンサスを得るように努力をした上で出したほうが適当ではないであろうか、こういう考え方でございまして、私もその点については放棄したものではない。これはもう初めから私そう申し上げておるわけでございます。 したがって、前の斎藤厚生大臣がお出しになりましたもののうちの大筋、三分の一程度が今回の法律の中に入り、残りの問題はもう少し研究をさしていただきたい。私は出さないということをはっきり言っておるわけでも何でもございません。その点はどうか、御不満でございましょうが、御理解をいただきたいと考えておる次第でございます。
○小林(進)委員 あなたはそれで答弁になっているとお考えになりますか。昭和四十二年から二年の期限を切ってその間に出します、四十四年にまた二年の期限を切ってその間に出します、その約束ごとに対して、前厚生大臣は約束を守られた。あなたは、約束を破ったわけじゃない、もちろん出します——出しますというなら、一体いつです。みんな期限を切ってここでかたく約束をしたことを、あなたは期限もつけないで、将来適当な時期が来たらやりますなどということが一体約束の部類に入りますか。それが約束であると一体あなたは自信をもって言われますか。そんなものはわれわれの言う約束の中に入らないのです。そんなものはことばの遊戯です。もし約束を守るというならば、きちっと期限を期して、その間に身命を賭しても出す、出せなければ責任をもって腹を切るという、それくらいの覚悟を込めてこそ約束が成立するのじゃございませんか。あなたのことばは約束を守ったことにはなりません。 しかもあなたは、国会で何回もここで答弁したというけれども、あなたは最初一体何と言った。そういう答弁じゃなかった。やりやすいところからやるんだ、抜本改正も基本法もとても国会を通過する見込みがありません。だから通過しやすい、やりやすい分からやるんだ、あなたはこう言ったじゃありませんか。私はそのことばもちゃんと記憶している。やりやすいことだけやって、やりづらいことはみんな置いていくというなら、それはもう政治じゃありません。それは行政です。行政のベースです、そんなことは。一片の政治家ならば、事の困難を払いのけても約束を守るというのが君、政治家の良心じゃありませんか。それがあなたは厚生大臣の資格はない、せいぜい行政官庁の課長だ、これを言った私の真意はそこにあるのです。困難なものにぶつかってこそ政治家の約束が全うせられるのではありませんか。しかもあなたは、抜本改正の三分の一はこの中に入れた。これはますで米や水をはかるわけじゃありませんから、三分の一とか四分の一とか、それは主観的なものの見方ですけれども、私はいま出している抜本改正なんというものは、これは抜本じゃないと思う。赤字対策の一つの言いわけの材料にしかすぎないと私は見ている。 先ほども言っているように、いわゆる出産手当を幾らに上げるなんというのは、いま始まった抜本改正の一項目じゃない。暫定改正のときからちゃんと出てきているのです。しかもそのほかのいわゆる死んだときの埋葬料の値上げなどをするというのは、こんなものは抜本改正の重要な項目じゃありません。ないよりはいいと思うけれども重要項目じゃない。しかも私は三万円以上の高額の保険料の負担だというところで、内容を聞いてみれば、全くごまかしだ。決して抜本改正と言い得るような画期的な内容ではございません。ございませんが、この国会の中で十数年ことばを重ねて論議をし尽くされた抜本改正は、いまあなたが言うところにあったんじゃないですよ。問題はあったんじゃない。しかし、それはまだ三番目の問題として言いますから……。第二番目の、健康保険法に野党の立場から断じて了承できない第二の問題は、いま申し上げました、いいですか、約束を守らない。一国の総理大臣が国民に向かってかたく約束をしたその約束を守らないという政治の根幹に触れる重大問題が置き去りにされているから、私はこれは認めるわけにはいかない。 第三番目に言いますよ。第三番目に、抜本改正とおっしゃるその内容だが、いまも言うように、われわれがこの国会の中で抜本改正の問題を重点項目として取り上げたものは、いまも言うところの問題じゃないですよ。子供を産むときにその出産料を高くせいなどというのが抜本改正の中心眼目じゃないのですよ、そんなのは。死んだときの埋葬料を高くせいなどというのは、抜本改正の中心課題じゃないんだ、これは。それを中心議題のように問題をすりかえてくるところに、第三番目としてわれわれがどうしても了承できない理由がある。何ですか、一体。もし抜本改正に必要な重点項目を並べてきたら、そんなのはその項目の十八番目か二十番目ごろです。 第一番目、われわれが抜本改正で要求したことは、いわゆる被用者保険、同じ労働者、同じ働いているその人たちが受ける給付内容に差額があったり、その人たちの出す保険料に差額があったり、その範囲に差があったり、保険のいわゆる給付を受ける期間に差があったり、同じ労働者がなぜ一体これほどの差別をしておかなければならないんだ。この矛盾を早く直していただきたいというのが抜本改正の中心眼目じゃないですか。そうでございましょう。ひとつそれがあらわれていますか。 日雇い健保の—— これはきょうは日雇い健保はやりません。これは日を改めてやりますけれども、日雇い健保の療養の給付期間二年間を三年半にするなどという、これはほんのごまかしであって、いかにあなたたちが声を大にして抜本改正だ、抜本改正だと言ったところで、従来の審議の過程から見れば、ちっとも抜本改正じゃない、そんなものは。 第一は、同じ労働者が受けるその保険の給付を公平にして差別のないようにしてくれ。内容も均等にし、給付も均等にし、保険料も均等にし、差額も均等にして、ひとしくいわゆる社会保険の恩典に浴するようにひとつ苦労していただきたいというのが抜本改正の第一の要求だ。 第二番目は、いわゆる差額ベッドです。健康保険法そのものにきめてある差額ベッドの問題、いまこれでみんな被保険者は困っている。これをいささかでも改正する方向に向けてもらいたいというのが第二の要求です。 第三番目は完全看護です。完全看護と保険に銘打ちながら、どこでも完全看護などというものは実施されてない。 あるいは休日の診療、あるいは緊急医療、あるいは無医地区における医療の問題、先ほどからもお話がありました保険はあれども医療なしだ。保険料ばかり取っても、一つも健康保険に浴し得ないような状態が十数年一日のごとく放棄されている。それが一体この抜本改正のどこへあらわれてきていますか。この法案のどこへあらわれてきていますか。一つもないじゃないですか。 そういうわれわれが声を大にして叫び続け、論じ尽くしたこの抜本改正の問題が、一つもこの中にあらわれていないにもかかわらず、ことば巧みにわれわれをろうらくをしながら、抜本改正でございますなどと言う、内容に全くごまかしがあるというのがわれわれが賛成できない第三番目の基本的な理由なんです。どうですか、それが入っていますか。これを行なうことによって、いささかでもいま私が申し上げましたこの四つ五つの、われわれが抜本改正の中に盛っていただきたいと願うような気持ちで要求したその項目が一つでも入っていますか。入っているなら入っていると言ってください。
○齋藤国務大臣 お述べになっておられましたような数々の問題が問題であることは十分私も理解をいたしております。すなわち、各分離しております保険制度間における給付の均衡をはかり、負担の公平をはかる、これが一番大事な問題であるわけでございまして、給付の均衡をはかるその一環として実は昨年抜本改正の中で取り上げました、いわゆる家族給付の六割給付というものは今回の改正の中に入れておるわけでございますが、しかし私は、これだけで満足しておるということは一つも言うておりません。私は、そういう問題については今後とも努力をしていかなければならぬ問題である、かように考えております。 特に負担の公平をはかる、政管健保と組合健保との問題、これは御承知の財政調整とかいろいろな問題があるわけでございますが、これがまた小林委員御承知のとおり、なかなか容易でない、コンセンサスを得ることのむずかしい問題でございます。しかし私はこういう問題の解決に努力する、これは当然なさなければならぬ問題でございますので、将来とも努力をいたしたいと考えておる次第でございます。 さらにまた差額ベッドの問題、これなどもほんとうにむずかしい問題でございます。できるだけのことを規制しようとしておりますが、最近における病院の経営が困難であるというふうなことで、これが非常に乱に乱れておる。これはおっしゃるとおりです。今後とも私はそういう問題にはできるだけの努力はしていかなければならない。少なくとも国公立病院等については一応二割なら二割、三割なら三割という基準を設けているわけですから、これを励行させるように、財政の問題もございますが、努力をしていかなければならぬ問題であることはお述べになりましたとおりであります。 こういうふうな問題について私も十分理解はいたしておりますが、なかなかこれは一朝一夕には解決のしにくい問題ばかりあるわけでございまして、ただ、前向きに私は全力を尽くしたいという気持ちは持っておる、努力はする、それはひとつ御理解をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 関連ですから私も長く言いませんけれども、いま、もはやあなたのようなそういうさわやかな答弁をしている時期じゃないのですよ。そういう答弁は、先ほど私は改正案を八回あなたは出したじゃないかと言っている。第一回目や第二回目であれば、まだ私はだまされてみたいという気持ちにもなりましょう。三回なり四回なら、まだだまされてみる気持ちにもなりましょう。五回、六回ならば、今度はほんとうにやるのじゃないかという気持ちになるだろうけれども、八年間に八回も改正案を出して、いまのあなたのような同じ答弁を八回も繰り返されて、さようでございますかとわれわれ引っ込むことができますか。問題は、そういうときじゃないのです。 一体われわれがこうやって憤慨するのが間違っているのか、あなたのその答弁が世間に通るあたりまえの答弁なのか、だれにでも聞いてみてくださいよ。いかに野党が人がいいといったところで、そんな答弁で実際満足できるところではない。いま少しあなた覚悟をきめて答えなさい。覚悟をきめなさい。そんなことではだめです。私は腹にありますよ。私があなたの立場なら、すぱっと回答する回答を腹の中におさめている。考えて答弁してください。
○齋藤国務大臣 御承知のように差額ベッドの問題とか付添看護婦の問題を、全部保険の中で解決するということは実際困難だと思うのです。これは小林委員だって十分御承知のとおりだと思います。しかしながら国民は医療を受けるときにそういう保険そのものではないが、そういう周辺の問題に非常に悩んでおる、私はこれはそのとおりだと思うのです。これは小林委員の御指摘のとおりでありまして、私どももこれを何らかの形において解決するように努力していかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
○小林(進)委員 考えているのはいいんですよ。いつおやりになりますか。
○齋藤国務大臣 この法案の審議にあたりまして前々から申し上げておるところは、いわゆる差額ベッドの問題については、当該病院の財政との関連もありますが、きめた基準というものは守らすように指導をしていきたいということを申し上げてあります。 それから、基準看護の問題については、その適用の範囲を広げるように、今後二カ月の間に具体的な案をつくって提示いたしたいということを申し上げておるわけでございます。しかし、もとよりそれだけで十分だなどとは私は思っておりません。今後とも十分そういう問題については努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
○小林(進)委員 少なくともこういうふうに長い間論じ来たったものならば、私の質問に答えるならば、これからのいわゆる医療の需要はどういう角度で伸びていく、それに対して医療の供給体制はどんな形になっていくか。あるいは担当者をはじめ看護婦、そういうものの不足分は現在どれだけになっているか、ことしの六月だったらどうなる、七月になったらどうなる、来年になったらどうなる、それに対して、こういうふうな具体的な歯止めをちゃんといたします。こういうような供給体制をつくります。だから二度ともはやこの赤字対策のための法案を繰り返すことはございません。ちゃんと数字をあげて具体的な案を示して、二度と公約違反することはございませんという、そういうきちっとした答弁が出てくるのがあたりまえです。何にもないじゃありませんか。それをひとつ明確になさいと私は言っているのです。
○齋藤国務大臣 確かに医療担当者——看護婦等の医療担当者の養成の問題、そのほかの供給体制の問題、仰せのごとくまだ具体的な案ができていないことは私も遺憾とするところでございますが、たびたびお答えいたしておりまするように、医療施設の体系的整備の問題看護婦その他の養成の問題これにつきましては、いままでのような怠慢の態度であっては許されませんので、先般来申し上げておりまする社会福祉長期五カ年計画の中で、今後五カ年間に責任をもって供給体制の確立をはかるような具体的な案を御検討ただくことにいたしまして、目下審議会において御検討をいただいております。したがって、この問題については八月一ぱい程度で、八月末を目途として具体的な案をつくってもらう、こういうことにお願いをいたしておりまして、目下鋭意御審議をいただいておる最中でございます。
○小林(進)委員 私の質問時間はもう超過したからやめろという連絡が来ましたから、私は残念ながら質問をやめなければなりませんが、残念ながら私は、あなたの答弁には一分の信頼を置くわけにはいきません。また、私はあなたの答弁は答弁としてなっておるとは考えておりません。でありまするから、残念ながら、きょうのところはこれで終わりますが、この質問はもはや厚生大臣を相手にして質問をしてもだめだという結論になりました。場所を変えて私は総理大臣にやります。総理大臣に同じ質問を私はやります。やってなおかっ具体的な答弁が出なければ、総理大臣をやめてもらうか、私がもう国会議員をやめるか——私はもうやめてもいいと思います。この問題で、これほど私どもが精魂を傾けて八年も九年も心血を注いで戦い抜いてきて、一つも約束をされないようなこんな国会なら、私はいたって意味がない。むしろ国会議員の議席を離れて、広く国民の中でいかに政治というものがでたらめであるかということを訴えながら、国民とともに戦い抜かなければならぬと私は見ております。事態はそれほど急迫をしているということであります。 あなたはまだ問題の本質に対する重要さを理解していられない。残念ですが理解していられない。私どもがどんなに腹の中から憤慨しているかというその事実も、あなたはまだ認識していられない。 心から罪を謝し、心から悪いと思ったら、そんな答弁なんか出てくるはずはない。たった一つ——たった一つあなたのことばの中に言われたこと で、はっと思ったことは、いままでの怠慢はもう許されないということを言われた。長いあなたの答弁の中に一言良心らしいことばは、それ一つです。あなたは自分の口で言われた。いままでの怠慢ということを言われた。それを拳々服膺してくだざい。八年間の長きにわたって国会をだまし、 国民をだまし、野党をだまし、怠慢を続けてきた、 サボタージュを続けてきた。そのサボタージュは、もはやわれわれは命にかけても二度と許すわけにはまいりませんから、また場所を変えて断固として私は戦い抜くことを宣言をいたしまして、残念ながら時間が来ましたから、これでやめることにいたします。 〔伊東委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕
○大原委員 所定の時間があと二十分になりましたので、私はできるだけこの時間の範囲内で私の質問のめどをつけたいと思います。 きょうは、各省からたくさん来ていただきましたが、できないかもしれません。その点はまた場所をあらためて質問いたすことにいたします。私はいままでの質問を踏まえて時間の中で二、三詰めて質問をしたい、こういうことがございますので、順序を変えまして質問をいたしたいと思います。 いままで社会党の、わが党の田口委員が初めてこの問題について質問をいたしまして以来、各委員からたび重ねて質問があったわけでありますが、この点について、最初に衆議院の法制局の見解を聞きたいと思います。 これは厚生保険の特別会計法についてでありますが、その十八条ノ八の中に、第三項がございまして、その前文は略しますが、「年度ニ於ケル健康勘定ノ歳計ニ不足ヲ生ズル虞アル場合ニ於テ一年内ニ保険料を以テ其ノ償還ヲ為シ得ルコト明ナルトキハ当該不足スル金額ヲ限リ同勘定ノ負担ニ於テ借入金ヲ為スコトヲ得」こういう条項についてでありますが、この問題についていろいろな角度からの議論があったわけであります。そこで私は、二つの点でまず衆議院の法制局の見解を聞きたいと思います。 第一は、この問題をいろいろ議論をいたしてまいりますると、千分の七十から千分の七十三に保険料を引き上げる、七十三から八十までは弾力条項と称する規定を適用いたしまして、言うなれば三者三泣きという浪花節的答弁があったわけでありますが、これらの議論の中で橋本私案も出てまいりました。そこで問題は、一つの仮定をとってみますと、審議会において同意を要するというふうに、改正するというふうにいった場合に、審議会において同意をしない、こういう現象が出てくることは当然であります。そこでその場合に、この条項との関係において考えてまいりまするならば、借り入れ金はできないわけでございますから、そういたしますると、この借り入れ金ができないという事態において、政府が責任を持って運営しておる政府管掌の健康保険においては、いかなる措置をとるかということが何ら明確にされていない。こういう法律論からいいましても、詰めてまいりますと、こういう議論が出てまいります。 もう一つは、特別会計をもって弾力条項に対しまして、あるいは弾力条項の千分の八十が一応終わりまするならば、赤字基調を持っておる保険財政の中において、それ以上の保険料の引き上げをなさなければならない。そういう場合が生じた場合にも、保険料の値上げを特別会計から強制的に圧力をかけて、言うなれば一般的な法律の常識によるならば、財政法の常識によるならば、特別会計は器をきめるものである。であるのに、その特別会計の規定を通じて本法における保険法の運営の基本にかかわる、いままで議論がございましたことで明らかなように、赤字基調の問題、そういう問題につきまして財政面からワクをはめて、そして政府が抜本改正あるいは医療供給面の改正等総合的な改革が必要である。そういうことをたび重ねて議論をしながらも、そういう責任を放棄をして、いつまでも保険料の値上げ、患者負担に財政の赤字を転嫁するという、法律といたしましたら、非常に常識を逸脱するようなそういう問題があるのではないか。こういう二点からいままでの議論を私は詰めてまいりまして、それについて法制局からこの法律上の欠陥に対する見解をひとつ聞かしてもらいたい。こういうことで、まず第一に衆議院の法制局からの御答弁を要求をいたします。
○川口法制局参事 初めにお断わり申し上げておくことが必要かと思いますが、私は本院の法制局の職員でありまして、政府側の法制局ではございませんので、政府案自体についてのいろいろな答弁その他は遠慮すべき立場にございます。したがいまして、ただいまの御質問につきまして、私は一法律を勉強している者としての、申しますれば参考人的な意見を申し上げまして、委員各位の御審議の参考に供していただければという程度に御理解を願いたいと思います。したがいまして、隔靴掻痒の感があるかもしれませんが、一般論で申し上げるほかございません。 そこで、まず特別会計法と社会保険の実体をきめてある健康保険法、つまり実体法との関係につきましては、ちょうど国民から税金を取るのに租税法律主義で憲法にきめられまして、各所得税法案、いろいろな法案が国会で審議される。これに対して、この税金を受けた政府の財政はどうあるべきか、財政運営はどうあるべきかというので、財政及びその系列のものもいろいろの特別会計法等もございます。そのとき一応理念といたしましては、税金を取るのは最小限度に付すべきであるのが憲法のたてまえでありましょう。ところが他方において、財政法の要求は、わかりやすく申しますと、堅実一点ばり、要するに借金でまかなうようなことはできるだけやめろ。これを文句で申しますと、財政法の、国の歳出は公債や借り入れ金以外の歳入でまかなわなければならないという大原則があるわけであります。しこうして、今回の政府案の構想は、その点について申しますと、むしろ現行法よりもその財政法の線により一歩近づいたというふうな弁明すらできるのじゃないか、一方では。そのように考えます。 ところが実際にこれを具体的に先ほど大原先生の御質問にある趣旨で解しますというと、保険法の実体法の立場からは、弾力条項の運用は、国会としては立法権者でありますたてまえ上、なるべくこの委任条項は狭くして、できるだけこれをしぼりたいという御意向を持たれるのは、国会議員として当然であると思うのであります。そこである程度の理念上のどこかすれ違いができる。政府案の本質は、会計法のこの本質は、文句で申しますと、この弾力条項の規定による保険料率の引き上げにかかわらず引き上げられた年度におけるいろいろな経費が不足した、こういう表現を用いております。 そこで、いま政治折衝の段階にありまするのであまり突っ込んだことは申し上げられませんが、この弾力条項の、一方的健康保険法の弾力条項の運用につきまして政府原案に対して若干の手を加えるような条項があるやに新聞紙上で伺っておりまして、その点を若干差しつかえございますけれども、それとの関連を考慮しながら考えてみますというと、一方で弾力条項による保険料率の引き上げにかかわらずということば自体は、法律的には制度上政府限りで保険料率の引き上げというのは、弾力条項で国会が許しておりますから、これを前提として、そして赤字解消の問題を論議する、会計法で書くことは法律的にはいささかも違法ではない、きわめて当然であると考えております。 ただ実際の運用の面において、そうするとそれがはね返って、これをどういう表現で言ったらいいか知りませんが、実際の運用によって間接にそれが実体法たる健康保険法の弾力条項の運用を財政面から間接的に強制することにならぬかどうかということが、ただいまの御質問のポイントであろうかと考えるのでございます。この点につきましては、まず法律的な議論と、それから実際政策面、立法政策上の議論とを分離して申し上げないといけないと思いますが、一般論としましては、たとえば財政法自体の、さっき申しました四条の条文を繰り返して申しますと、公債や借金でまかなっちゃいかぬ、こう書いてあります。その裏側には当然に税収入とかその他のしっかりした収入で国の財政はまかなえという意味がございます。しかし、だからといって、この財政法四条の条項を置くことによって、財政面から税金の引き上げを要求しておるというふうにはどなたもおっしゃらないであろう。学者もいささかもそういうことの論説は書かない、財政法としては当然のあり方だ、こう言いたいでしょう。それと全く同じように法律的には、ここの政府の原案におきまして、いささかも、一方の法律で、つまり会計法の法律で実体法を暗に間接に強要するという面はないということができます。 しかしながら、他方において、実際の運用の面におきましては、私、法律の理屈ばかりやっておりますので、これからあとは政策の内容に非常に突っ込み過ぎますので、私の答弁を控えさしていただきたいと思いますが、仮定で申しますと、この影響があることだけは確かでありまして、保険料を上げても、つまりことばをもっと積極的に言いますと、保険料を上げるのを先にして、それでもまかなえなかったときに初めて借り入れができるという体制を、実際の運用がその度合いが過ぎれば過ぎるほど、他方において影響力——これは法律的な意味での影響力じゃございません。経済的な意味における影響力というものが一応は想定される。その場合でも法律論としては、厚生大臣は弾力条項の運用に関しまして独自の政治的判断から、みずからの責任において保険料率の引き上げを決定される権限を持っておられると思いますが、ただし、それが財政面の会計法の規定から間接的に、一種の何と申しますか、法律的な影響力ではございませんが、事実上の影響力を受けるおそれが全然ないか。このように詰めて質問をかりにされたといたしますならば、ことばが過ぎるかもしれませんが、それは全然ないとは申し上げられない。このあたりでごかんべんをお願いいたします。
○大原委員 時間があと五分ですね。十八条ノ九項では、四十八年以前の赤字については、これは言うなれば、簡単に言えばたな上げするというふうに規定をいたしておるわけです。そこで、会計単年度の原則で財政法四条という原則があるならば、これは何も、いま私が指摘をいたしました条文を書く必要はないわけです。特にいままでの質疑応答でわかっておりますように、ここに出ておりますこの試算ですね。末尾に出ておりますが、参考資料の一ページ、二ページにかけて出ております昭和四十八年度収支の見込み、そしてこれは制度改正前と制度改正後に分けて試算表をつくってあるわけでありますが、この問題に対するいままでの議論からいたしましてもそうですが、時間がないから簡単に申し上げますが、たとえば賃金の値上がりについて標準報酬にはね返って収入増になる部面と、それから当然予測できるような診療報酬値上げの面とを差し引き相殺いたしましても、これは七、八百億円以上、だれが計算いたしましても赤字が出るということになるわけです。 この赤字の基調は四十九年以降においても変わりないのだ。これらの問題は、国民や患者の立場に立って考えるならば、当然一般財源や保険料で負担すべき問題を負担しないという、そういうことではなしに、やはり国民や患者が納得できるようなそういう措置を政府がとって、そしてその上において納得できるならば、負担に応ずることにやぶさかではないというふうな精神で考えるべきである。いままでの質疑応答で明らかなように、政府は供給面全体を通ずる改革について、かなりの質疑応答における問題点についての答えをいたしておるようですけれども、いままでの質疑応答の中で、最後の段階で齋藤厚生大臣から、八月末につくり上げる医療保障基本法で、これから五カ年間の供給面を含むところの具体的な施策をやりたい、あるいは経済企画庁が出しております基本計画の中における実現をはかりたい、こういう非常に問題のある問題点を含めて、そういうことを言っておられるわけでありますが、そういうこと自体が国民の立場から見れば、納得できないような政府の施策である。 こういうことを前提として考えるならば、このような会計法十八条ノ八項においてワクをはめて、財政面から健康保険法の実体を拘束するような、そういうことは常識からいっても政治論からいっても許すことはできない、そういう条項である。こういうふうに私は問題を指摘することができるというふうに確信をいたしております。これに対して厚生大臣に答弁があれば、私はお聞きいたしたいと思います。 そこで問題は、私は、健康保険の保険料を上げるという問題だけに問題を矮小化して議論をいたしておりますけれども、きょうは各関係省庁の出席をわずらわしたわけですけれども、やはり問題の一つは、日本の医療に対する基本的な考え方が非常に大きな欠陥がある、こういう点であります。大切な点について、私はこの質問をいたそうといたしておったわけでありますが、供給面の重要な点で、これだけは絶対に五カ年計画の中に盛るべきであるという点を含めてはっきりした言明がなければ、このような問題を国会としては通すわけにはいかないというふうな、そういう問題を私は提起をいたそうといたしましたけれども、約束の時間が参ったようでありますから、きょうは私は約束の時間をきちっと守って、ここらあたりで私の質問は中断しておきます。 これは一々質疑応答をいたしますと時間が長くなりますから、中途半端になりますから、問題点だけを指摘して、この問題はさらに本委員会においても議論をする機会はあるし、あるいは衆参両院を通じましても機会があるわけですから、だから、できるところからやって抜本改正をやりますということだけでは、いまや済まない。これについて、この問題点については国会として確実な責任が持てるようなめどをつけることができるような問題がある。そういう問題について、私は、政府は責任をもって残された機会において答弁をされることを強く要求いたしまして、私の時間がちょうど参りましたので、これは中途半端な答弁は求めませんが、これをもって私の質問を終わります。
○山下(徳)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○山下(徳)委員長代理 速記を始めてください。 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時一分散会