社会労働委員会 第32号
- 発言数
- 325 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/06/23
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 健康保険法等の一部を改正する法律案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 昨日に続いて質問を続けたいと思いますが、公立病院、ことに自治体病院の赤字の問題に触れておったわけですが、その際、厚生省のほうから人件費の問題に触れられまして、自治体病院は人件費が高い、同じ公的病院でも日赤の人件費はこれだけの比率になっておる、こういうお話がありました。 そこで私は、人件費の問題に触れるならば、この公立の病院でも何と基準法違反の多いことですね。これは一体どういうように考えておられるのか。私の手元にある統計によりますと、重点監督事業所として指定をされて四十四年から四十七年までの間に四千六百八十四の病院の監督を行なったうちで、違反病院数が四千百九十三、実に八九・六%という高率を示しておるのですよ。これで一体人件費が高いと言えるか。なるほど、四十四年から比べると四十七年は若干違反件数が減っておりますけれども、それでも、四十七年五月に全国の都道府県労働基準監督署が四百七十九の病院について監督を実施した結果が発表されておるのでありますが、四百七十九の病院中、是正勧告を受けた病院が四百ある。実にその違反率が八三・五%になっている。一般産業よりもずっと多いんですよ。そうしてその内容を見ると、労働時間関係、それから休日関係、はなはだしきは割り増し賃金関係が三四・二%も占めておる。就業規則、健康診断、放射線関係、ことに女子の労働時間と休日と割り増し賃金が非常に違反件数が多い。これを一体厚生省はどう見ておられるのですか。
○滝沢政府委員 この労働基準法と医療機関の問題でございますが、基本的に申しますと、公私を問わず病院というものがこういう問題に対する、何といいますか、事務処理体制を含めまして、意識も、また書類の整備等も非常に不備であるというのがまず基本的にございまして、われわれがいま先生御指摘の八十何%という違反の中でさらにその中身を分析いたしてみますと、六割が大体実質的に、率直に申して個人に影響するとか個人の不利になるような違反事項、それから四〇%は、報告事務等の、全く病院側の事務的な処理が不備のための御指摘があるように承知いたしております。いずれにいたしましても、先生が数字をあげられましたように、それぞれの部門における勤務状態、公私を問わず、私だけではなくて公のほうについても労働基準法に対する御指摘がございまして、この点につきましては、労働基準監督局とされましては、先般の御意見をお聞きしまして自主点検方式というものを病院には採用いたしまして、そういう書類を配りまして自発的にいろいろ点検事項を報告させる。従来他の事業所に比べて病院というものがそういう問題に対する観念が薄いということに対して、われわれもこれはきわめて重視しなければならないというふうに思っておるわけでございます。 一般的にきのう来申し上げた人件費の問題につきましては、人件費の占める割合の中の一人当たりの単価の問題も、国立、県立等の公務員の場合、特に地方公務員等の場合は、府県によっては若干国家公務員を上回っている実態もございました。そういう単価的な意味の人件費の増もございますが、そのほかには、事務職員等を含めて、一般私的病院あるいは日赤等よりも、医事業務その他事務処理の系統が、会計法等の問題もあろうと思いますけれども、若干多いというふうに私たちも理解しておりまして、それぞれ、先生御指摘の労働基準法と人件費の問題とを結びつけますと、確かに必ずしも十分とはいえないと思いますが、単価等の問題を含め、現実の姿としては、各病院の経営主体によりまして人件費というものがかなり経営の具体的な収支の問題に影響を与えているということは、これは医療関係者あるいは病院管理というものを研究している分析の立場からは一般的にいわれていることでございますので、きのうはそういう問題を取り上げて、お答えしたわけでございます。
○多賀谷委員 私は医務局長の認識はおかしいと思うのですよ。のうのうと言う。実は個人に対する問題が六割です。それは報告事務は四割でしょうけれども、違反件数が六割というとたいへんですよ。そのことを報告すること自体が、私はその感覚を疑わざるを得ないのです。人件費が高いというけれども、何と待遇が悪いということが問題になっておるわけでしょう。人数が足りないということが問題になっておるわけでしょう。そうして公立だって四年間に実に八七・一%の違反率を示しておる。公的医療機関が八七・八、普通の医療法人が八七・一、その他の法人が八七・一、個人が九〇・九、こういうことで、もちろん事務的な問題もあるでしょうけれども、割り増し賃金を払わなかったり、体日の問題というのは、言語道断だと思う。要するに一つは人間が足らないということでしょう。でありますから、御存じのようにあきベッドになって、わざわざつくった病床が閉鎖されている。いままでずいぶん話がありましたから、よしますけれども、これはもう都立の老人病院だとか国立の赤ちゃん病院までベッドが閉鎖をされているということは許されないですよ。ですから、人件費は今後上がると見なければいかぬのです。オートメーションがきかない、しかも看護がだんだん手が要るようになる、現在でも不足だといっているのだから、人件費は当然上がっていく、こういう認識の上に立たなければならない、こういうように私は考えるわけです。 そこで私は、労働省は基準法違反の問題についてどういうように考えておるか伺いたい。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、病院関係につきましては労働基準法違反がなお今日でも非常に多いということは、われわれ非常に残念に思っておりまして、数年来、病院を重点業種に指定いたしまして極力この監督指導に当たっておるところでございます。これにつきましては、一つには、先ほど医務局長からもお答えがございましたように、労務管理に対する関心と申しますか、認識と申しますか、そういうものが十分でないという点もございます。これらにつきましては私ども引き続き重点的にその監督指導に極力つとめたいと考えておりますし、先ほど医務局長のお話にもありましたように、本年から、病院だけではありませんが、比較的基準法違反の多い業種につきまして自主点検方式というものを導入いたしまして、自分で毎年それぞれの労働条件について基準法に適合しているかどうかということをチェックして監督署に出していただく、そういうことによって、みずから、こういう点はうちでは基準法違反になっているんだなという意識を持たして、自主的な順法の気持ちを起こしてもらうということも始めたわけでございます。もちろん、さらに監督官による監督指導を一そう厳格にし、私どもは両々相まって基準法の順守を確保してまいりたいと思っております。 なおそれ以外にも、やはり先生御指摘のような、看護婦が足りないとか、あるいは経営状態がよくないといったようなことも、基準法違反を多くしておる原因の一半であると考えまして、毎年監督結果につきましては厚生省のほうにも御連絡し、そしてこちらからそれらの点についての改善方をお願いいたしておりまして、厚生省と協力いたしまして一日もすみやかにこういう基準法違反が多発している状態を改善してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○多賀谷委員 私は、今日の看護婦不足、医者不足あるいはその他医療担当者の不足、そういうことを考えれば、これは人件費が上がるというのは必至の状態である、こう踏まざるを得ないと思うのです。 そこで、今日の自治体病院の状態を見ると、単なる自治体病院でなくて、甲表病院というのは赤字になるような仕組みになっておる、すなわち、これは診療報酬体系にやはり問題がある、こういうように見ざるを得ないわけです。現実にあれだけ近代化であるとか合理化といわれた診療報酬の甲表というものが発足をした当時から見ると、病院においても三五%採択しておったのに、いま甲表の採択の病院が二三%に減っておる。そうして、本来医療の公共性の原則に立って営利性を排除していく公的病院でも、最近は薬剤の使用が非常に多くなっておる。これはやはり診療報酬体系に私は問題があると思うのですね。ここに私は「社会医療調査」という四十六年度の調査表を持っております。甲表採用の病院でその診療点数の構成比、一〇〇といたしますと、投薬と注射がそれぞれ二四・三%、一七・一%になっておる。合わせて四一・四%。ところが、乙表無床診療所では、投薬が五七・七%注射が一一・七%で、六七・四%という形になっておる。一方、入院を見ると、甲表採用病院が二八・一。現実に一人当たりの一般病院における入院原価というのは、診療報酬の料金から比べると実際赤字になっておる。これは全国自治体病院協議会で発表しておるわけですが、「四十七年度患者一人一日当り入院料原価計算表。」要するに原価が二千八十二円。ところが収益は、現行点数による平均入院料が、これは平均をいたしまして千百九十二円、室料差額百六円、計千二百九十八円で、七百八十四円の赤字になっておる。ですから、入院のほうでは赤字になっていくという仕組みになっておるわけですね。ですから、病院のほうが赤字だということもいわれておるのは、この診療報酬の仕組みがそうなっておるのじゃないか。でありますから、公的病院といえども、収益をあげるためにはどうしても薬剤にたよらざるを得ない。そこで結局日本だけがいわば薬剤費が非常に高いという異常な情勢を示しておるわけです。これは悪循環になっておるわけです。そこで、一体この状態をどういうように解決しようとしておるのか、これをひとつ厚生省からお聞かせ願いたい。
○北川(力)政府委員 診療報酬の問題は、ただいまお話しのように非常に多くの問題があるわけでございます。甲乙に分かれまして以来の問題でありますけれども、特に基本的には物と技術の分離という問題がございます。それからそれに関連をいたしまして、それとうらはらになりまして、いわゆる診療報酬の適正化という問題が根っこにございます。そういう意味合いで、実はいろいろ御批判もございましょうけれども、最近数年間あるいは十年間、診療報酬の改定というものはそういった線に沿ってやってまいったわけであります。たとえば看護の問題につきましても新たに特類看護をつくりますとか、あるいは慢性疾患指導料をつくりますとか、あるいは入院の場合にはドクターフィーということで入院時医学管理料をつくりますとか、最近はいろいろ適正化の方向を指向しているということもまた事実かと思います。しかし、最近の傾向といたしまして、いま御指摘のございましたような経済の変動に対応した形で診療報酬は改定すべきである、また、日進月歩の医学のあるいは医術の進歩に適応したような改定をすべきである、こういうことは、専門の協議会でございます中医協のほうからも御指摘を受けておりますし、また私どもも、適正化と並行いたしまして、そういった現在の社会の変動に対応する改定、あるいは医学技術の進歩に即した改定、そういうことを今後は中医協の御意見を十分に聞きながら具体化していかなければならない、このように考えておるような次第でございます。したがいまして、いままでの傾向といたしましては適正化の方向を指向いたしておりますけれども、なお一そうそれを今後きめこまかくやっていきますと同時に、新たな、いま申し上げましたような経済変動に対応した改定、あるいはさらに医学技術の進歩に適応した改定、こういうことを並行してやっていかなければならない、このように考えておるのが実情でございます。 なおまた、いまの御指摘にありました薬の問題でございますけれども、このほうも非常に大事な問題でございまして、従来は、診療報酬の改定のつど、あるいはそれとは別個にも、薬価基準の引き下げを実勢価格に合わせるようにやってまいっております。しかし、決してこれで十分とは考えておりません。今後とも薬価の調査というものは毎年一回月をきめてやるべきである。また、薬価の調査をやりましたあとも、追跡をしていわゆる経時的検討を加えるべきである、こういう御意見を中医協からもちょうだいいたしておりますから、そういったところも考えまして、薬価基準の適正化につきましては、いわゆる薬価基準の引き下げというような方向で今後とも引き続いて十分な努力をいたしてまいる考えでございます。
○多賀谷委員 北川さんは、参議院の予算委員会の分科会で、薬剤の場合のマージン、これは大体二割から三割程度ある、こういう発言をされておりますが、そうですが。
○北川(力)政府委員 参議院の予算委員会の分科会で、いま先生お述べになりました自治体病院協議会の診療報酬に関する資料についての質問のときに、前回の、昨年二月改定の際のいろいろな算定の根拠についての御質問がございました。その際に私が申し上げましたことは、全体的な改定のしかたといたしましては、個々のファクターを積み上げて改定をいたすわけでございますけれども、それをやりますと同時に、全体的にマクロでどのようなことをやれば大体の総額というものがきまっていくかというようなことも同時並行的にやられておるわけでございます。その際に、薬品によりましては、いまおっしゃいましたような程度のマージンがあるものもないとは言えませんので、そういうことも加味をして算定の参考にした、そういう意味合いで申し上げたような次第でございます。
○多賀谷委員 そうすると、これは算術計算ですけれども、投薬、注射において大体二割ないし三割のマージンが考えられるとすると、総数を一〇〇といたしますと、一七・五のマージン、益金がここに出るというのは乙表の無床診療所。ところが、甲表の病院では一〇・四しか出ない。それはそこに非常に差がつくわけでしょう。それから入院のほうは赤字だといえば、結局病院は赤字だと、こういうことを言わざるを得ない。その累積が、昨日質問をいたしましたように一千億をこしてきたということである。 そこで自治省にお尋ねしたいのですが、あなたのほうはこれをほんとうにどうするつもりですか。将来の改善の見込みがあるのですか。ないでしょう。一体どうするつもりですか。
○加賀説明員 お答え申し上げます。 ただいまの件につきましてはなおよく検討してまいりたいと思います。
○多賀谷委員 厚生大臣。
○齋藤国務大臣 きのうもこれは多賀谷委員にお答えしたと思うのですが、現在の自治体病院は、御承知のように、足りないところは一般会計で十分繰り入れる必要があるというふうになっておりますが、それにも一つの制限がある。それからまた、非常に困るときは特別交付税でめんどうを見る、一応こういうふうな仕組みになっておるわけでございます。しかしながら、いまのような状態に放置しておくことが国民医療上十分か、率直に言いまして、これは私はやはり問題だと思うのです。 そこで、もちろん診療報酬の改定ということも当然必要にはなることでございますが、そういうことは、一般的な診療報酬を改定いたしましても、なかなか具体的に解決することは私は困難だと思うのです。そういう意味において、私は、国会が済みましたあとに自治省とも真剣にいろいろ相談をしてみたいと考えておりますが、たとえば看護婦養成所のような問題についての国からの補助金の問題とか、そういうふうに国家的な立場において助成できるものをできるだけ拾い上げるというふうな方式が一つあると思うのです。それからもう一つの方式は、従来の赤字をどういうふうにして処理していくか、こういう問題もありましょう。累積しておる赤字をどう処理していくかという問題もありましょう。そういうふうな問題を総ざらい点検いたしまして、自治体病院の財政再建と申しますか、そういうふうな方向について、自治省、厚生省一体になってこの問題を検討するように私はしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 自治体病院の行なっておる——ちょっとくどいようですが、国家的要請に基づくものが相当あるわけです。そういうものについては国がどういうふうにめんどうを見るか、それから固有の赤字として累積しておるものの建て直しをどうするか、いろいろな区分に分かれると私は思いますが、そういう問題を総ざらいしてひとつ真剣に取り組んでいきたい、こんなふうに考えておりまして、できるならば来年度の予算要求までにある程度の結論を出すようにしていかないと、私は自治体病院の機能を十分に発揮できないような状態に置かれるのじゃないかというふうに考えております。ただ、職員の給与の問題等につきまして、私も実はこれはほんとうに急いでやっていただきたいと考えておって、中医協があんなふうになって、私はほんとうに責任を痛感しておるのですが、診療報酬の改定をできるだけ早くやっていくようにしていかなければならぬのじゃないか、こんなふうにも考えております。
○多賀谷委員 どうも大臣はみな国会が終わってからという話で、われわれは肉体的な事情はよくわかりますけれども、しかし、やはり国会で審議しているわけですから、国会中にはっきりした答弁をしてもらいたい、こういうふうに思います。 四十九年度の予算には間違いないわけですね。これはもうひとつ確約しておってください。
○齋藤国務大臣 四十九年度の予算の中でどういう項目になりますか、またそんなことを言っていると怒られるかもしれませんが、国会が済みましてすぐ始まるわけですから、自治省と十分相談をして善処をいたします。
○多賀谷委員 次に、老人医療無料化に伴う影響について、これは川俣委員からも質問があったわけですけれども、いろいろな問題が起こっておるわけです。お年寄りがいままで長い間病気をかかえておって入れなかったので、今度は無料になったということで入院をされるという事例も非常に多いのだろうと思います。 そこで、全国自治体病院協議会のほうから大臣のお手元にもいっております、あるいは厚生省もそれに似たものを発表したとか発表しないとか問題になっておりますが、要するに一般患者の入院が困難になったという状態、それから一般待機患者が増加をした、看護に手数がかかるので看護要員が不足をした、患者一人一日の収入減による経営悪化、こういう問題が出ておるわけですね。そこで、一体これについてどういうように対処をされるのであるか。要望書もずいぶん出ておるわけです。 それからもう一つは、特別養護老人ホームの不足というものがやはり病院に圧迫が来ておるんじゃないか、私はこういうように思います。あるいはまた、養護老人ホームに入っている人も、三割くらいは、本来特別養護老人ホームに入れなければならぬ人がまだ養護老人ホームに入っておる。こういうことを考えると、やはり特別養護老人ホームというようなものを早く拡充をして、一応毎日のようにお医者さんに見ていただく必要のない人は、そういうところに入居してもらう、あるいはまた何らかの方策を考える、あるいはまた老人病棟というものを拡充をするとか、いろいろな方法があるのだろうと思うのですが、今日の事態に対してどういうようにやろうとされておるのか、これをお聞かせ願いたい。
○滝沢政府委員 確かに、老人医療の無料化に伴いまして、最近自治体病院の実態調査が御発表になりまして、われわれもその具体的な数字に今後の対策上たいへん参考になる点が多いわけでございます。この自治体病院の調査は一月実施の三月末現在でございます。これが大体七十歳以上の患者の院内に占める割合が二%程度、一六が一八というような割合になっておりますが、この一六という数字は、全国のスタートのころ一二、三というふうに見ておりましたのに比べますと、根っこがまずもともと少し高かったように思います。そういう点で特に地方の市町村立の自治体病院等がかなりこの老人医療に強い影響を受けるだろうということが考えられます。 当面われわれの対策といたしましては、まず、昨年末の医療審議会におきまして、御存じの公的病院に対する病床規制の問題がございます、これをまず検討しました際に、五万以下のいわゆる一般市町村の地帯において非常にベッドの制限が強いということで、前々からこの数字を直すべきだろうという声がございましたので、四十七年では、一万分の四十二でありましたのを、四十八年は五十三を適用し、それから四十九年は五十七を適用するというふうにしまして、かなり大幅にベッドの規制をまず緩和したのでございますが、そのほかに、老人病棟をつくる場合、老人病棟というのはやはり老人特有の療養生活の実態がございますから、たとえば便所にも手すりをつけるとか、あるいはベッドの高さなども、できたら自由行動のできる老人患者のためには若干いままでの一般病院のベッドの高さよりも低いベッドを用意しなければならぬ、そういう配慮をした老人病棟をつくることを今後予算措置の上で計画的に補助していきたい、その場合、いまの公的病院の病床規制を老人病棟をつくる場合はこれを規制からはずすということも今回審議会で定めていただき、これを各府県に通知してございます。現実にこの五月までに全国で、わずかでございますけれども、この加算制度を活用した申請が約六百床出てまいっております。今後も、本年度中もこの問題は若干ふえると思います。来年はこれは長期計画の一環といたしまして検討いたしておりますが、老人病棟に対する補助制度を検討してみたいというふうに考えております。従来も、公的病院の病棟を整備する場合に、ガンだとか小児であるとか、救急であるとかいうような問題に対して特殊対策として補助金を用意していましたが、今度は老人病棟というものの設置に対して公的病院に対する補助の制度を検討いたしております。そのほかに、やはり老人も当然含みますけれども、リハビリテーションということが非常に重要な問題でございますから、むしろリハビリテーションのほうのベッドに患者を回すことによって老人の一般病院における受け入れを容易にしたいということで、このリハビリテーション病院というものを各県に設置を計画的に進めたいというあたりが、長期計画の中で老人の病院の受け入れ体制として検討しているおもな内容でございます。そのほかに、収容主義ばかりでなく、先生御指摘のように特養との関係ということもこれは大事でございますから、国立の施設も含めまして、一般的には、われわれが地域計画を立てる場合、必ず老人病棟をつくるような、あるいは老人を大幅に受け入れる病院の周辺には県が計画的に特養を設置していただく、場合によっては病院の敷地内に併設的に特養を持っていただくということを地域計画として指導いたしておるわけでございます。国立病院も老人病棟を持ちたいというときに、県にお話しして、その県の広域市町村圏の中に特養を必ず設置していただきませんと、病院機能と特養との機能が結びつくことが非常に必要である、こういう点を検討いたしまして計画を進めております。
○多賀谷委員 わかりましたが、厚生大臣、予算はどうですか。
○齋藤国務大臣 実は先ほど申し上げましたような問題、これは医療施設の体系的整備という項目の中に入れておりまして、私、率直に申しますが、例の社会福祉長期懇談会、あの中にこういう問題を一括して実はぶち込んでいるのです。一括してぶち込みまして、いま御審議をいただいている最中でございます。したがって、この案に基づきまして予算編成に着手する、こういう考え方でございます。
○多賀谷委員 大臣は何か委員、協議会にまかしたような話ばかりして、だめですよ。それであなたとしては、老人の問題老人病棟とか、いろいろな施設についても国も補助金を出してその助成をする、こういうつもりですね。
○齋藤国務大臣 そのとおりに考えております。
○多賀谷委員 例のカネミとか森永乳業とか、いろいろ食品公害が起こって、これが解決しておりません。そこで、厚生省のほうでは、公害病補償法という、いわば一時療養費立てかえの法案を出す、こういうように聞いておるんですが、これはいつ出されるわけですか。また、内容は概略はどうなんですか。
○滝沢政府委員 この問題は、環境庁のほうで公害健康被害の救済措置の法案を出しておりまして、われわれの聞いておりますところは、従来健康保険が根っこにございまして、それに対して自己負担分をカバーするという方式を、根っこから公費の負担によって公害患者の医療を担当するという法案の内容と承っております。
○多賀谷委員 この前の済生会の火災がありました際に、本院でもいろいろ決議をしたわけです。なくなった患者さんの補償も済んだ、そしてあと、焼けたあとの、いわば設備の整備もやっている。われわれが調査をしましたときにも、新しい病棟をつくりつつありました。この公的病院に対してできる限り助成をしたいと、大臣はこうおっしゃっておったが、どういう助成をされつつあるか、お聞かせ願いたい。
○滝沢政府委員 先生も御存じかと思いますが、患者の補償と申しますか、そういうものにつきましては、済生会としてはできるだけ自前の、済生会全体の立場から努力いたしております。しかし、建物整備等については極力御援助願いたいというのが、われわれが聞いております基本原則の考え方でございます。したがいまして、具体的な数字はただいま持ち合わせていませんが、建物整備につきましては、福祉事業団等からの融資等を含めまして積極的に御援助してまいりたい、こういうふうに考えております。
○多賀谷委員 これは現実もう費用が要っておるわけですから、至急お願いをしたいと思います。 最後に、いままでの質問をずっと通じて結論的に申し上げますと、世界的に見て医療費がぐんぐん上がっておるという情勢にある。そうして先ほど、国際的な水準に近づきつつあるとか、あるいは遜色はないとか、いろいろな表現を使われましたけれども、その後私が調査をしましたら、統計はいろいろ出ているわけですけれども、WHOの統計が残念ながら少し古いものですから、それではイギリスの、これは保健経済事務所というのですか、この事務所で出した統計、あるいはアメリカの社会保障庁調査統計部で出した統計を見ますると、やっぱり日本は著しく低いですね。これは一九六八年の統計で、先日私が質問したのは国民所得に対する割合ですが、これは国民総生産の割合で出ております。そういたしますと、カナダで七・二五、アメリカで六・七一、スウェーデンが六・二六、フランスが四・九〇、イギリスが四・六八、ドイツが五・七、それに対して日本は三・四五、こういうことですから、やっぱり非常に低いということです。しかも私どもがこの医療の問題についていろいろ勉強しておりますと、何とも、どこから手をつけていいかわからないぐらいひずみが出ておる。あれもこれもだというような状態であります。やはりこれを整備するためには私は相当の費用が今後要るだろうと思う。そうしていま現実に賃金も上昇期にある、しかも医療担当者は不足だという状態になっておる、こういうことを考えると、医療費は相当上がっていくということをまず覚悟しなければならぬと思うのです。 そこで、今日の状態から言うと、日本の医療費の中で占めておる薬剤というものをどうしてもこれを減少さすということが、何を言っても一つの大きな問題。もう一つの問題点は、労働者の負担率はもう国際水準の限度に達しておるということですよ。でありますから、結局労使の割合を変えるか、これ以上の負担は事業主にさすか、しからずんば、国が見るか、この二つに一つをとる以外にはないと思うのですよ、現実に。ですから、いま診療報酬の問題で社会保険審議会でいろいろ議論をされておりますが、要するに国は金を出さないでおいて保険の統合とかなんとかと言うから、これは基本的にうまくいかない。やはり国は金を出していまの高い水準に合わせるということが必要だ。そうしなければ統合できません。高いところを削って低いところを中間にならそうったって、大体それは無理なんです。ですから、そういう問題が必要だし、言うならば、被保険者あるいは団体側は、医療供給についてはものを言うけれども、自分のほうについてはものを言わない、供給側は、保険についてはいちゃもんをつけるけれども、自分のほうの供給体制については指一本触れさせたくない、こういう気持ち、これではうまくいかないです。国は金を出さない、こう言う。ですから私は、そういう点においてはやはり総合的に政府のほうで考えて、国は金を出す、そうしてその中で漸次理想の方向に近づけていくということが必要ではないか、こういうように思うわけです。 今度の健康保険法は、残念ながら、若干の給付の改善はありますけれども、やはり国はそう金を出さない。今度は一〇%出したじゃないかと言われるけれども、これは四十七年度の国が支出する費用、赤字補てんとして出さなければならぬ費用を見ると、大体同じくらいですね。特別に四十八年度から多くなった状態ではないわけです。ですから、やはり労働者、被保険者に負担をかけようといえば、それはもう限度が来ておる。やはりそういう点を考えて対処してもらいたい。 最後に厚生大臣の答弁を求めて、終わりたいと思います。
○齋藤国務大臣 まず第一点の、総医療費の中で薬が現在四十何%を占めておるという事態については、私も実は深く関心を持っておるわけでございます。しかも、その薬の金というのは一部潜在的な報酬として実際はそうなっておるということでございますから、総医療費の中で薬の占める割合というものが二〇%がいいのか三〇%がいいのか別としまして、そういうふうになるように、技術料が高くなるように私はしていくべきものだと信じております。したがって、今後とも私どもはそういう事態を踏まえ、そういうふうなものと技術というものの配分について、技術が高く評価されるような診療報酬になっていくように私は努力をしていくべきだ、かように考えております。 それから二番目の問題は、いろいろな保険制度において労働者の負担の能力はもう限界に来ておるのじゃないか、今後は国なり事業主なり、そういう意見、私は一つの大きなりっぱな卓見だと思います。きのうもちょっと多賀谷委員にお答えいたしましたが、労使折半という原則は現在まで長いこと行なわれ、慣習的に行なわれ、そしてそれが慣習として定着化しておるような感じを私は持っておるのですが、やはりこれは将来の政治課題として考える時期が早晩来る、私はさように考えております。当然、将来の保険制度における労使の負担割合、これは私は真剣に取り組んでいかなければならない政治課題だと考えておりますが、それと同時に、国もできるだけ援助をしなければならない。こういう問題につきましては、それぞれの保険制度における実態というものを冷静にとらまえて、脆弱な面については、保険料だけにまかせるというのではなく、国もできるだけその脆弱を補強してあげる——というのではまだ不十分だとおっしゃるかもしれませんが、さしあたりはそういう考え方に立って努力をしていく必要があるということについては私も同感でございます。特に私は、また自画自賛するなどと言われるかもしれませんが、御承知のように、政管健保は昔は労使折半だけ、今度の政府原案では一〇%ということで国が定率で金を出す、これは私は一つの前進だと思う。しかもまた、その後、いわゆる弾力条項、これはいいかどうか私もわかりませんが、弾力条項によって、今度は〇・一上げれば国も〇・四出す、すなわち三者三泣き的な考え方が導入されたということは、私は前進だと思います。しかも今度は橋本私案によりますと、これはまだ成立しておりませんが、私案によりますと、保険料率が〇・一でございますか上がりますと、総給付費の〇・六、これはまさしく三者三泣きでございますね。私はこれは成立することを望んでおります。望んでおりますが、そういうようなことで、将来の方向を暗示するものがその中に含まれているのではないかというふうに私は考えておるのです。ですから、そういうふうな法律の改善、そういうものを足がかりとして、おまえらはゆっくりだとおっしゃるかもわからぬけれども、私らは私らなりに精一ぱい努力しているのです。しかも、そういう方向も示唆しながら努力している。これはぜひ高く評価をして、健康保険法の成立に努力していただきたい、こういうふうに私は考えている次第でございます。
○田川委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 実は昨日内閣と文教で強行採決が行なわれたことは御承知と思いますが、わが委員会も行なわれるのではないかというもっぱらのうわさでございましたけれども、委員長さんの崇高な政治的責任感そして判断によりまして、ついにそういう議会制民主主義を踏みにじるような暴挙には出ずに終わって、きょうこのように整斉と審議できましたことを非常にうれしく思う一人でございます。 いまから、与えられた時間、問題の健康保険に関連いたしましていろいろとお尋ねをしてみたいと思います。 まず初めに、申し上げるまでもないのですけれども、この世の中で最もとうといものは何かといえば、人命に過ぎるものはない、人の命ほどとうといものはないと私は思います。 さて、人間がこの世に生をうけますと、好むと好まざるとにかかわらず、年をとっていかなければならぬわけです。どのようにすばらしい人であろうとも、若くてきれいな人であろうとも、だんだんと年をとっていけば、しわも出、いわゆるおじいちゃま、おばあちゃまになるわけであります。そしてその一生の間にほとんどの者が病をします。病気にかかります。そして最終的には死というものを迎えるわけであります。いわゆる生老病死というものは、生まれた者は必ずその法則に従わざるを得ない。そこで、その一生の間にいわゆる医学、医術、医療、そういうものにお世話にならざるを得ない。そういうことから、この医療に対しましては当然医療制度というものができ上がってきたわけでございます。そしてまたその一方におきましては、お医者さんも慈善事業ではないわけでありまして、当然そこには経済的な問題がかかってきます。また、医療を受ける側にいたしましても、当然そこには経済的な負担がかかってくるわけでありまして、要するに、そういう面をとらえまして医療保険制度ができ上がったと思うのであります。つまり、医療制度という土台の上に医療保険制度というビルが建てられた。御承知のように、昭和三十六年、国民皆保険体制が確立したわけでございますが、その土台の医療制度が完全に整備されないまま医療保険制度の皆保険体制がしかれたということは、ゆるやかな土台の上に高いビルが建てられたようなものでありまして、当然問題が起こってくるわけでございますが、いずれにいたしましても、この医療というものは、人の命、健康をあずかる大仕事でございます。したがいまして、そこには社会保障という精神に立脚した行政がなされなければならない、政策がとられなければならない。つまり、医療保険制度といえども、医療保障制度というそういう基本的な考えに立った上での保険行政でなければならない、私はこう思うのであります。 ところが、現在の医療制度、医療界をながめてまいりますと、保険あって医療なしといわれております。まことに残念なことでございますけれども、保険が強制的に加入させられて保険料を取られる。しかしながら、いまだに無医村があり、無医地区がある。そのほかいろいろあるわけでございますが、いずれにいたしましても、保険あって医療なしといわれる実態、要するに、医療保険制度にさまざまな欠陥、問題点がある。これを立て直さない限りはこの保障制度もうまくいかない。特に保険の中では保険財政が問題になってきているわけでございますが、うまくいかないということでございます。 そこで、抜本的改正の問題がここ十数年前から叫ばれてきているわけでございますが、一体この抜本改正というのはいつごろまでに実現されるのであろうか。実は先般大阪の公聴会に参りまして、そのときに、公述人に、なぜこのような抜本対策がなされないのだろうか、御意見をお伺いしたいということで二、三の方から意見を述べていただいたわけですけれども、こう言っていました。それぞれ医者の立場、いわゆる医療を施す側、あるいは医療を受ける側、つまり支払う側、三者、いまおっしゃった三者ですね、その三者がそれぞれ、現在の医療界の実態を深く理解して相協力し合っていかない限りはこれはまとまらぬのは当然だけれども、それをリードしていくのは厚生省なんだ。つまり、はっきり言えば厚生大臣の政治力なんだ。もうここにかかっている。確かに抜本改正の中身というものはすでに審議会から表示されている。はっきりと示されている。それを現実の上に、行政の面にあらわしていくかいかないかは、ひとえに厚生大臣の政治力ないしはその内閣の力にかかっているんだという意見が述べられておりました。私もなるほどと同感をしてきたものでございますけれども、先ほど大臣は、きのうもそうおっしゃっていましたけれども、今回はとりあえずこの健康保険法の改正案で政管健保の保険財政の安定をはかって後に、次に抜本対策をやるのだ、こうおっしゃっておりましたけれども、いっ抜本対策なるもの、いわゆる国民が期待いたしておりますような抜本改正はいつ行なわれるかということを最初にお尋ねしたいと存じます。
○齋藤国務大臣 保険制度の抜本改正ということが唱えられて非常に久しいものがございます。私どももできることならば何とか保険制度の抜本改正というものを実現したいと鋭意努力をいたしておるわけでございますが、何しろ、皆さんも御承知のように、それぞれの制度がそれぞれの沿革を持って出発し、久しい歴吏を持っておるという関係もありましょう、なかなかこれ利害関係が複雑でございます。支払い側の関係、医療担当者の関係、一般の大衆の関係、複雑でございまして、ちょっと一つ取り上げてみても、なかなか国民的コンセンサスを得ることが実は非常に困難でございます。したがって、昨年提案いたしました政府提案の抜本改正案と称しましても、実はそれは社会保障制度 議会等々における御意見の一部きりないわけでございます。その一部ですら、御承知のように、国会に提案いたしますれば、昨年は国会において一日も御審議をいただけない、こういう事態でございます。社会保障制度審議会の答申の一部ですら、国会に出しましてもなかなか国民的コンセンサスを得ることができない。こういう事態で、全般にわたる保険制度の根本改正というのは、私は現在の時点ではできないと思うのです。そこで、その国民的コンセンサスを得るために努力をしても、なかなかきょうの時点では困難だ。しかしながら、保険制度がばらばらに分かれておりますために、特に給付などにおいて不均衡が一ぱいあるわけです。そこで、このおくれておる給付の不均衡、まずここから手をつけることが手っとり早いじゃないか。たとえば今度の提案いたしております政管健保につきましても、家族給付五割、三十数年投げっぱなしですよ。こういう事態で過ごすことがいいのか。やはり実行可能なものから手をつけ、そして将来は各制度間の給付の不均衡を直し、負担の公平をはかっていく、そういう方向に向いて——それは向いていなければ別です。向いて、実行可能なものから段階的にやっていくことがかえって近道ではないか、こういうような考え方で今回提案いたしたわけでございまして、私どもは、そういうふうに一歩一歩積み重ね方式でいくのがきょうの時点においては適当ではないかというふうに考えておりまして、そういうふうな基礎ができれば、そこで今度は抜本改正をやるのが非常にやりやすくなる、こういうふうな考えでおるわけでございまして、いつおまえは出すか、政治力は弱いぞ、こう言われましても、確かに政治力も私は弱いかもしれませんが、そういう方向で努力をしてまいりたいと考えておるような次第でございまして、いつおまえは出すかということにつきましては、はっきり申し上げることは、私はきょうの時点では困難だと思います。
○大橋(敏)委員 私は、抜本対策は当然やらなければならないわが国の重大な課題だと認識しております。当然、厚生大臣もその気持ちは同じであろうと思います。私は、この抜本対策というものは、やはり厚生行政に徹した人、単なるそのポストにすわったというだけではなくて、厚生行政そのものに徹した、いわゆる経験の上からも、あるいは人生経験からもそういうものを積み上げてきた人、そういう人が大臣になったときでなければできないという考えからいきますと、齋藤厚生大臣はもともと厚生省の官僚でございまして、ものすごいベテランだと聞いております。いまをおいて抜本対策をやらずしていつの日にあろうかという気さえあるわけですよ。いまのお話では、現状ではとても抜本改正はできない、そしていつなんて言われたって答えられないという話でございますけれども、今回の改正案が、よしあしは別といたしまして、一応通るならば、五年くらいは持つだろう、そういう話を耳にしているのです。五年持てば、その間にはいわゆる国民が希望している抜本対策をやるのだということを私は仄聞しているのですけれども、そういうことすらもあなたはまだ言えない立場ですか、どうですか。
○齋藤国務大臣 はっきりとその出す時期は申し上げることは困難だと思いますが、先生がお述べになりましたような期間において何とかまとめ得るならばまとめるように努力しなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 私は五年以内ならいいと言っているわけではないのですよ。これは誤解しないでくださいよ。厚生省の中に、いまの保険財政の問題で頭がとられてしまって、肝心の抜本改正をする余裕すらないのだということも聞きましたけれども、これは弱い。そういうものではない。抜本改正というものは何よりも先にやるべき仕事なんだ、手をつけるべき仕事なんだ。 そこで、先ほど大臣は、前国会で抜本対策の一部を出しただけでも審議もしてもらえなかったなんというようなことをおっしゃいましたけれども、国会に提案され、委員会に付託され、審議の時間さえあれば、これはゆうゆうと審議いたしますよ。だけれども、その時間すらない。ただ名目的にていさいだけ整えられたのでありまして、まして、中身というものは、保険審議会も制度審議会も、両審議会が、抜本対策の名に値しない中身ではないかと、きわめてきびしい答申をしている中身だったですね。私はむしろ、あなたではないけれども、前大臣が恥ずかしくてとうとう出し切れなかったのではなかろうかというわけなんですよ。だから、審議しなかったのではなくて、審議する時間がなかったというわけですから、それは認識を改めてくださいよ。わかりますね。ちょっとこれに対して……。
○齋藤国務大臣 その間の事情、よく承知いたしました。
○大橋(敏)委員 非常にむずかしいことはわかりますけれども、国民の要望を全身に受けて、少なくともあなたが厚生大臣の間に確固たる抜本対策案を起草してもらいたいことを強く希望します。 それから、保険財政の赤字の要因につきましては、先ほどからもいろいろと議論されておりますが、薬の問題が非常に指摘されております。確かに、現在の診療報酬体系というものは、いわゆるものと技術、つまり薬とお医者さんの技術が混同いたしておりまして、特にお医者さんの技術というものの評価というものが低いし、あるいは横に一律的である、こういうことで、非常に問題視されておりますが、現状ではいたし方ない。つまり、お医者さんの収益の中に薬のマージンが大きなウエートを占めていることも事実でございます。そして、今日の保険財政の大きな混乱あるいは問題を招いていることも事実でございまして、私は、まあいろいろ問題ありましょうけれども、今日の医療行政、医療界の混乱のもとは、この薬と技術が混同している診療報酬体系にあるのではないかということを強く考えるものであります。したがいまして、もともと言われておりました医薬分業、これはもう積極的に実現すべきである、私はこう思うのでありますが、この医薬分業がいわゆる制度審議等の答申の線に沿って具体的に推進されていくならば、この診療報酬体系もおのずと適正化されていくのではないか、こう思うのでございますが、この医薬分業についての御見解を述べていただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 医薬分業につきましては、政治の方向としてそうあることが望ましいということは、私もたびたびお答えいたしておるとおりでございます。しかし、これもなかなか一足飛びに全国一斉に強制的にやるなどということはやり得る状態でないことは、御承知のとおりでございまして、私は関係団体がこういう問題を、充実した国民医療を提供するという観点に立って、大所高所から私は十分話し合いを続け、問題点を煮詰めていく必要があるのではないか、それと同時に、薬剤師の方々も受け入れ体制の整備、そういう面にもっともっと努力していただかなければなりませんし、それと並行して、関係者の大所高所に立っての話し合い、その上に立って問題の解決の方向に進めていく、こういうことが適当ではないかと考えておりまして、厚生大臣としては、あるべき、望ましきそういう方向にできるだけの努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 四十六年度の制度審の答申の中にも、医薬分業の推進について、こう述べております。「医薬分業は、完成年次とその時点における除外地域を確定して、この際、前提条件の整備を急速に進めるとともに、移行の仕方についての関係者間の協議を促進して、強制実施を推し進める。」こう述べておりますね。やはり強制実施を推し進めるというところに私はウエートを感ずるわけですが、ただ話し合い話し合いというだけでは、それはなかなかやはり利害が伴う問題でありまして、むずかしい。先ほど言うように、ここには大きな政治力が必要なんですね。こういう意味でもう一度大臣の決意、熱意といいますか、お伺いし たいと思います。
○齋藤国務大臣 全国一斉に強制的にということは、いまの時点では、私は率直に言って、困難だと思いますが、困難だから推進しないということであっては問題の解決にはなりません。したがって、そういう関係者団体の大局的なコンセンサスを得るような努力、それについて政府も積極的にプッシュするようにしていかなければなりません。それと同時に、受け入れ側の薬剤師会におけるいろいろな整備の問題、これについてはできるだけ急がすようにしていかなければならない。調剤センターですかの整備等につきましても、今日までできるだけ助力もいたしておりますが、そういう方向にどんどん助成の予算をふやしながら受け入れ体制の整備に努力いたしてまいる、そうして、強制的というわけではありませんが、できるだけ早い機会に医薬分業という筋を通しながら、そうして診療報酬も技術料が高く評価されるような形になっていかなければならない、さように考え、今後とも積極的に努力をいたしたいと考えております。
○大橋(敏)委員 実は今回の法案は従来の法案とはずいぶん違うんだ。つまり、われわれは改悪と言ってきましたけれども、改悪だけじゃない、改善の内容も含まれている、すなわち、抜本対策の一環とした政管健保の財政対策案である、このように政府は御宣伝なさっておりますけれども、われわれはそのとおり受け取るわけにはまいらぬのであります。なぜならば、根本的なことを申し上げますと、今回の法案は、確かに前回出されましたいわゆる抜本対策案と、それから保険財政対策案、私はその案をきょう持ってきていますけれども、この二つをいわゆる一つにした、しかも問題点だけはずしてやられたような感じの中身なんですね。たとえば、先ほど話があっておりましたような財政調整の問題は、前回の抜本対策案の中身にしてみれば、この財政調整案と高額医療のものだけはまあまあ抜本対策の名に値するけれども、そのほかの内容は抜本対策の名に値しないのだという答申だったですね。そのいわゆる財政調整の問題を今度ははずされておりますし、ということで、もともとだめだといわれている中身を合わせてきた中身だからだめなんだ、私は端的にこういうように理解したわけなんですね。 そこで、まず私たちがはっきり申し上げますと改悪というのは、保険料の引き上げ、千分の七十から千分の七十三の引き上げですね、特別保険料の徴収、これは橋本私案では取られましたけれども、弾力条項、これはけしからぬ、これはよくない、こういうのは当然抜本対策を行なったその立場で初めて持ってこれる問題であって、それをやらないでこれに手をつけるというのは間違いである、改悪であるということで強く反対しておるわけです。だから、これを取ってくだされば、あとの問題は大いに話し合いたいと思いますね。そこで私が弾力条項の問題をやかましく言っているのですけれども、これはあとでまた話しましょう。その前に、まず、厚生省が改善だとおっしゃっているその中身がたいした改善でないということを私は述べてみたいのであります。 まず、家族給付率を五割から六割にする、橋本私案では七割である、三十年ぶりの改善だからたいへんなものでしょう、こう言っておりますね。だけれども、七割にせよというのは、いま始まったことではないのですね。もうずっと前から関係審議会では述べられてきました。第一、国民健康保険は本人、家族とも七割というのがもう昭和三十七年ごろからなされてきたわけです、まあ四年がかりではありましたけれども、十年もたっているわけですよ。ですから、七割というのは——かりに橋本私案の七割がなされてみたところで、これは立ちおくれていたのがようやく実現されたということであって、三十年ぶりの改善だから喜びなさいという中身ではないと思うのです。むしろおそきに失したことをあやまるべきである、私はこのぐらいに思うのでございます。しかも橋本私案によれば、ことしからやろうというのじゃないでしょう。四十九年の十月からという話ですよ。来年のことを言えば鬼が笑うということわざすらありますけれども、これは私はごまかしだと思うのです。もうすでにある新聞では、四十九年の十月からというのは全く国民をばかにしたことではないか、おそ過ぎる、少なくとも四十九年の一月からやるべきではないか、そうなれば当然財源の問題が起こってくる、その財源は国庫補助率一〇%を一三%にすれば十分カバーできるじゃないか、一三%ぐらいは当然だ、こういう論調で述べられていたのを私は見ましたけれども、なるほどなあと、ある意味では印象深くそれを読んでおったのですけれども、七割の問題はそうですよ。三十年ぶりという立場から見ればこれはえらい改善かもしれませんけれども、水準の立場からいえば、これはおそきに失した当然のことであるということです。それについて何かありましたら一言言ってください。
○北川(力)政府委員 たいへんきびしい御指摘でございまして、私どもも非常に感銘深く拝聴いたしました。私どもは、三十年ぶりの改正、あるいはまた、当然いままで社会的に七割というものは家族について実現をすべきであるというふうな考え方が定着をしておるということもよく存じております。ただ、先ほど先生のお述べになりました、今度の改正案というものが改正部分と改悪部分とがあるというお話でございますけれども、いろいろ御批判もありましょうけれども、全体的に見て、そういう場合になお改善というふうなことあるいは改悪というふうなことの判断は、やはり総合的にこれを評価してもらうべきじゃなかろうかというのが、私どもの基本的な考えでございます。 それから七割の問題は、いろいろ御批判がございましたが、やはり昭和十八年という時点でこの制度が法定化をされ、五割給付制度が法定されましてからあと現在まで五割できたわけでございます。特にこの医療保険制度の最も標準的な政府管掌健康保険におきましては多年の赤字の連続の中でございまして、私どももこの五割という壁を突き破るということはなかなか困難な実情にあったことも御理解願えると思うのでございます。やはり医療保険制度でございますから、財政をネグレクトして考えるわけにはまいりません。したがって、私どもが申し上げたいこと、また御理解願いたいことは、特にいまおっしゃいました皆保険以後の家族の給付水準の引き上げ、こういう非常に大きな社会的な要請、こういうものに三千億の赤字たな上げというふうな前提のもとに、赤字のさなかにおいて、政府案では六割でございますが、橋本私案によれば七割でございます、そういう多年破ろうとして破れなかったこの厚い壁を突き破って五割の線から一歩踏み出して家族の給付率を上げるということ、幸い七割にでもしていただければたいへん改善になろうと思います。五割給付に比べて七割給付は四割のアップでございます。現在、かりに家族の方々が二万円の金がかかるという場合に、現行制度でございますと一万円は窓口で払わなければなりません。かりに七割が実現いたしますと、一万円のところが六千円で済む、こういうことを考えますと、私どもはやはり七割給付というものはこれはたいへんな改善ではないか、 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 あるいはまた、こういう赤字のさなかにおける改善というものもそれなりに大きな評価をしていただける問題ではないか、こういうふうに考えておりまして、おそきに失したではないかと言われれば確かにそうかもしれませんけれども、とにかく赤字基調の中で、赤字の問題と縁を切って政管健保が再発足をする、その際に、長年破ろうとして破れなかった家族給付の五割の厚い壁を突き破って前へ出る、そうして一般的にいわれておりますとりあえず実現すべき給付水準ということで六割あるいは七割ということを達成することは、これは私はそれなりに十分な御理解と御評価を願えるのではなかろうか、このように考えておりますので、そういうことではないという御意見もあるかもしれませんが、そのように御理解を願えれば幸いだと存じます。
○大橋(敏)委員 五割より七割になったことは、確かにそういう立場からいえば改善です。 それで大臣、先ほど橋本私案を非常に評価なさっていたようでございますけれども、残念ながら、この橋本私案の七割の問題は四十九年の十月からですね。すでに国民の皆さんからおそ過ぎるという声が出ているのです。これに対して、大臣、どうですか。いいことですから、やはり早めたほうがいいのじゃないでしょうかね。
○齋藤国務大臣 いいことは何でも早めればいいというだけでは私のほうはいかないのでございまして、それぞれの財源というものを頭に描いてものを考えなければならぬことは、十分おわかりになっていただけると思うのです。先ほど新聞の論調を取り上げられて、一月にという論調もあったというお話でございますが、そういうことに触れないで、非常に前進の橋本私案である、あのままでもやれといわんばかりの論調もあるのでございまして、一々——一々と言っては新聞の論説に失礼かもしれませんからこれ以上は申しませんが、やはり国の財源というものを考える政府としては、いいことだからすぐやれと右から左に言われましてもそう簡単にはまいりません、こうお答えをせざるを得ないと思うのです。まことに私も大橋委員のような専門家の方に失礼だとは思いますが、やはりいまの段階では財源というものを考えないではものを進めるわけにはまいらぬのだということは、どうか御理解いただきたいと思うのです。
○大橋(敏)委員 その論説の中に、一月にすべきである、ましてや、その財源不足は国庫補助率を一三%に上げるべきである、これは根拠のないことではないと思うのですね。というのは、前国会でも国庫補助率一二%の話まで実は出ておりましたし、審議会等でも二〇%の線は出ておることは御承知のとおりです。しかし、それは現実問題とすれば一挙に二〇%というのは問題であろうが、少なくともその中をとって一五%程度は何とかいけるのではないかということが、かなり専門的な人の話の中にあるわけですからね。だから、この論説の中の一三%というのは、これは大蔵省が問題になるわけでございますけれども、決して無理な内容ではない、やはり努力しよう、それで行こうという決意さえ固まればあるいは話がつくのじゃないか、私はこう思うのです。それこそあなたならばやれる仕事だろうと私は思うのですよ。一三%まで、そして早める、どうですか。
○齋藤国務大臣 どうですかと、こう言われましても、いまの段階では私は国庫負担はこれが限度である、かように考えておる次第でございまして、これ以上ふやすということはとうてい考えられません。
○大橋(敏)委員 法案をおつくりになったときには、これ以上の中身は考えられませんといって出されたはずでございます。今度橋本私案が出ました。これは自民党の方でございます。そしたら、すばらしい中身であるとほめていらっしゃいます。だから、やはり絶対的なものじゃないわけですね。相対的に考えも変わっていくということでございますので、あまりかたくなな返事をなされないほうがいいのではないかと思います。 それで、もうこれ以上言ってもこれは煮詰まらないと思いますので、弾力条項の話に入りたいと思いますが、その前に、弾力条項はぼくらは反対ですけれども、保険料が〇・一上がるつど国庫補助を、〇・四から、今度の私案では〇・六、連動方式をとる。私は、弾力条項を抜きにすれば、これは賛成です。連動方式大賛成でございます。ただし、弾力条項はこの際はやはりはずすべきであるという意見です。これは決して私のエゴイズムで言っているわけではございません。これも前回の答申の中にあります。 財政対策法案の答申の中に、「千分の八十を限度とする保険料率の弾力的調整の規定は、保険財政の長期的安定を図るためには必要なものと説明されてはいるが、」いいですね、ここまではわかるというのです。いいけれども、「少なくとも昭和四十七年度」これは前の法案ですから「四十七年度においては」とありますけれども、今回に直せば、四十八年度においては「すでに収支は均衡され、発動の必要はない。」おそらく今回もそうですね。今回の法案の収支バランスを見ますと、きちっと均衡しておりますので、少なくとも四十八年度においては弾力条項の発動は必要ないわけですからね。だから、「何故この際規定しようとするのであろうか。むしろ、抜本的対策の成立後において諸条件の変化をおりこんだうえ、長期的財政見通しにつき十分検討を加え、しかる後規定すべきである。」 弾力条項というのはこういう立場からつけるべきでありますよと、こういうこれは答申なんですよね。だから、答申を尊重なさるならば、なるほどともう御理解願えると思うのですけれどもね。どうでしょうか。
○北川(力)政府委員 保険料率の弾力的な調整の問題でございますが、確かに、そのような専門審議会のお話があったわけでございます。ただ、今回の場合におきましては、たびたび申し上げておりますように、従前の三千億円以上の赤字をたな上げをいたしまして、政管健保にプロパーな体質の弱さというものを一〇%の国庫補助で埋めて、将来に向かって給付の改善もしますし、また保険財政の安定もはかっていこう。しかも、医療保険の将来というものは、先ほどからるるお話がありましたように、今後給付の改善あるいは医療内容の向上、いろいろな要因があるわけでございます。また、社会的にも経済的にも変動要因が多いわけでございますから、そういう意味合いでは、そういうような変動に柔軟に対応していくというためには、やはり一定の幅で保険料率というものを上下できる、こういうようなメカニズムを、今度は抜本改正のワンステップでございますので、組み込んでいくことは、制度の仕組みとして私は当然あってしかるべきものでなかろうかと考えております。 過去の経緯から申しましても、実は四十一年の改正、つまり、非常に赤字が累積をいたしまして、四十年改正というものが法案として日の目を見ないままに流れました。それまでの間は、健康保険制度には、いわゆる政府管掌健康保険には弾力調整という規定はあったわけでございます。また現在、同種の短期保険にもこういった仕組みはあるわけでございます。 そういう意味合いから申しますと、いま申し上げましたような近い将来に予想されるこの要因に対応するためにこういう弾力調整的な仕組みを組み込んでいくことは、私は必要ではなかろうかと考えております。しかも、いま、その部分についてだけは評価するとおっしゃいましたが、やはりこの規定によって保険料率が引き上げられますときに、〇・四、あるいは橋本私案によれば〇・六、こういったものがリンクをして国が補助をするというかっこうになっておりまするから、そういう意味合いから、政管健保にまことにプロパーな仕組みでございまして、そういうところを総合的に考えていただきますと、今度の仕組みというものは、医療保険制度というものの性格、また今後の医療給付内容の充実、相当目まぐるしく変わる中における内容の充実改善、そういったことをすべて考え合わせますと、この制度は必要な制度ではなかろうか、このように考えておるのが私どもの考え方でございます。
○大橋(敏)委員 大臣、いまいろいろ局長さん話しておりましたけれども、一応理屈は通ると思うのですけれどもね。その答申に盛り込まれた精神を見る限りにおいては、この抜本対策案というのが前提条件なんだよ、これを早くやりなさい、でないと政管健保の赤字対策というのは安定しませんぞ、こう言っているわけですよ。だから、抜本対策の方向をはっきりした上でこの弾力条項を使うか使わぬかをきめていきなさい、こう言っているわけですからね。やはり先に戻ってくるわけですな。抜本対策を、やはり三年も四年も先じゃだめなんですね、やはりいますぐにでも、こういうことになるわけです。いますぐと言ったって今国会には間に合いませんけれども、少なくとも次の国会までには抜本対策のすばらしいものを提案なさるべきだと思うのですがね。どうでしょうか、これは。
○齋藤国務大臣 先ほども申し上げてありますように、私どもは抜本対策として銘打っていろいろな案を考えますと、なかなかいますぐ国民的コンセンサスを得ることは困難である、そこで段階的に実施可能なものから手をつけていく、こういう考えでございます。しかしながら、私どもは、先ほど申し上げておりますように、保険制度の抜本改正というものを放棄しておるわけではありませんから、できるだけ関係各方面のコンセンサスを得るように努力しながら前向きに努力していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 きのうの質疑と、きょうもあったと思うのですけれども、橋本私案の弾力条項に対するいわゆる要件といいますか、給付改善、診療報酬改定、その他緊急な場合云々とあったのですけれども、これは削るんだというような方向になりました。三つの最後の、その他緊急の場合はまた、発動しないのだというふうになったらしいのですが、要するに、給付改善と診療報酬改定にのみ使うというようなことですけれども、きのうの質問では、またたく間に発動しなければならなくなるだろうし、また今回の法案は赤字をたな上げするし、もうこの法案独自で今後は進んでいきなさい、つまり、厚生特別会計からは出ませんよ、覚悟なさいよということだったのですけれども、きのうの多賀谷先生の質問に、たしか、厚生特別会計からめんどうを見るようなお答えがあったように思うのですけれども、もう一回それを確認したいのですけれども、どうですか。
○齋藤国務大臣 お答えいたしましたように、私どもの提案いたしております仕組みというものは、よそから金を借りぬで済むような仕組みでできておるということを申し上げたわけでございます。そこで、橋本私案のように、弾力条項発動の場合が制度的に、理論的に限定されるということになれば、通常経理上生ずるであろう赤字について弾力条項を発動するわけにはまいりませんから、その部分については金を借りるということは理論的に当然になるのではないか、そこでこの点は何とかしなければならぬ問題ではなかろうか、こう申し上げておるわけで、きのうお答えいたしましたとおり、私もいまでもさよう考えております。
○大橋(敏)委員 これは当然の御判断であったと私は思います。そうでなければやっていきようがないと思うのですね。それだけに政管健保の体質というのはもともと赤字になる要素を十分はらんでいるわけでございますので、中身についてはもっともっと掘り下げていってみたいと思います。 そこで大臣にお尋ねいたしますけれども、国民健康保険、これは家族、本人とも七割給付でございますけれども、先ほども申し上げましたように、昭和三十七年から四年がかりではあったのですけれども実施されまして、今日十年以上たってきたわけですね。もうそろそろこの給付率を引き上げるべきであるという声が非常に強いのです。そういう関係者から、もう七割ではだめだ、引き上げろ、こう言ってきているのですけれども、この国民健康保険の給付改善についての御意見を承りたいと思います。
○齋藤国務大臣 国民健康保険においても給付率は七割、率直に申しまして、私はいまの段階では適当なものだと考えているんです。しかしながら、それだけではなかなか財政も非常に苦しい面がたくさんあるわけで、国はできるだけの援助もいたしているわけでございまして、今日財政の非常に苦しい中でこれ以上に給付率を上げるというのはいかがなものかなというふうに私は考えております。しかしまた、社会経済の発展に伴って、もっと上げなければならぬという事態も考えなければならぬ時代が来ないでもないと私は思いますが、いまの時点において、これを上げるか、はい、上げますというわけにはまいりません。まあこの辺が適当だと私は考えております。
○大橋(敏)委員 大臣はあくまでも保険財政の立場からものを見ていらっしゃいますけれども、先ほどから言いますように、人の命、健康というものは、あくまでも社会保障的観点から見ていくべきものである。そういう立場から言えば、多少の財政の苦しみが出てこようとも、それは国で大いにカバーしていく、そして少しでも給付改善に乗り出す、こういう立場をとっていってもらいたい、こう思うのでございます。 ちょっと話は変わりますけれども、今回、高額医療の問題が出てきておりますですね。これは、国民健康保険の場合ならば、七割は健康保険で見ましょう、あとの自己負担の三割は公費で見てあげましょうという高額医療の中身になっておりますね。その点は間違いないですね。
○北川(力)政府委員 七割給付の残りの自己負担分の中で三万円を超過する分については、ということでございます。
○大橋(敏)委員 そこで国民健康保険関係者が非常に懸念していることは、この高額医療というものが出てきたことによって、これはいいことだけれども、ことによると家族給付費七割というものがもう定着してしまうのではないか、こういう心配をしているんですね。だから、そういうことではないということを、大臣の御意見として述べてもらいたいですね。
○齋藤国務大臣 高額医療の償還制と七割給付という問題とは何の関係もございません。しかしながら、七割給付を上げるということはいまのところ考えていない、こう申し上げておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 ただ、あくまでも高額医療を実施するにあたって、三割の中の三万円以上の分についての公費負担という制度ができ上がりますからね、これが定着しないようにということを私は言っているわけですから、これは今後改善をする場合の参考にしていただきたい、私のこのことばを忘れずにいていただきたいということです。 そこで、高額医療の問題でございますけれども、これは昭和四十八年の十月から三年計画で実施されるんだ、これも先ほど説明がありましたけれども、制度審の答申によりますと、三年計画は国民の期待に沿うものではないから、繰り上げ実施することを配慮されたい。先ほど大臣は、これは地方自治体の財政問題があるから、そうは簡単にいかぬのだ、三年ぐらい余裕を持って、自治体の立場も考えながら、少なくとも三年目には完全実施をしたい、こう述べていらっしゃいましたけれども、答申では、三年は長過ぎる、繰り上げて実施なさったらどうか、こういっておるのですが、この点についての御意見をお伺いしたい。
○齋藤国務大臣 この問題は、昨日でございますか、お答えいたしましたが、国民健康保険制度は市町村という自治体が経営しているものでございますから、自治権は大いに尊重しなければなりません。財政負担も相当伴うことでございますし、七割給付にいたしましたときの例もございますので、一応三年計画ということでございます。しかし、地方の要望が出てまいりますようになれば、三年というものを繰り上げて、ことしと来年の二年で完成するというくらいのことは努力しなければならぬであろうと私も考えております。しかし、最初の段階は、行政指導によって三年目は必ずそこまで持っていきますよという宣言の文字が施行日でございまして、厚生省としては当然努力しなければならぬと考えております。
○大橋(敏)委員 制度審の答申の趣旨を生かして、行政の上で実質的に早く実現できることを強く要望しておきます。ただ、今回の法案が出たとき、高額医療のことが非常に高く評価され、全国民的にその期待は大きいわけですよ。ほとんどの方は、直ちに実現するのであろう、国民の皆さんの気持ちというのはそういうところにありますから、それも思いあわせて行政の上に実現してもらいたいということです。 それから高額医療の支給要件あるいは支給額の問題でございますけれども、これはやっぱり問題がございますですね。たとえば、これは両審議会で明らかになっていることでございますけれども、内容は政令で定められることになっておりますが、審議会でこういうことがいわれておりますですね。一レセプト、月一枚で自己負担三万円をこえることを基準として高額医療費を被保険者に支給する。まあ三万円の適否は別としまして、要するに、その三万円というのはあくまでも一人一レセプト、月に一枚だ、二カ月にまたがってはだめなんだ、こういうことなんですね。たとえば今月一万五千円、来月一万五千円かかって三万円になってもだめだ、こういうことでしょう。 それから、この一レセプト主義は、事務的には確かに簡単であるけれども、医療機関との関係も問題はないけれども、同じ一月でも外来と入院、転医等の場合にレセプト二枚で三万円をこえるものは、この高額医療が適用されない。つまり、外来と入院あるいはお医者さんをかえる、そういうことで二枚になった場合は、二枚合わせて三万円以上になってもこれはだめなんだということでしょう。 それから、毎月たとえば三万円程度の自己負担をしている、つまり二万八千円とか二万九千円とか、こういう負担をしている人が半年以上も継続しているような場合はどうなるのかと聞いてみましたら、それもだめなんだ。あくまでも一月で三万円をこえなきゃだめなんだ、それも一枚のレセプトだ、こういうふうな規定がありますですね。また、長期療養で三万円程度、その以下ですね、その程度の医療費がかかっているような被保険者にとっては、特にその人が世帯主であるような場合は、きわめて深刻な問題になってきます。 せっかく高額医療制度ができましても、現実にはなかなかその恩恵に浴せない。だから、高額医療制度は私も非常にいいことだと思いますけれども、この三万円というのがいいのかどうかという問題が一つ。それから、いま言ったような規制、制約、これをもう一度検討すべきではないか、私はこう思うのでございますけれども、どうでしょうか。
○北川(力)政府委員 高額療養費の制度は、今回新しく設ける制度であります。いまお述べになりましたように、現在において考えておりますことは、現在のこの医療費の支払いの流れの上に乗っかってこの新制度を的確に発足をさせるということが、私どもの基本的な考え方でございます。ただ、そういった場合に、いま御指摘になったような、いろいろな実情論からする問題点は確かにあろうかと思います。また、基本的な給付率の問題とのかね合いもあろうかと思います。そういった事柄、これは法律案にも書いてありますとおり、高額療養費の額でございますとか、支給要件でございますとか、その他細部につきましては政令で定めることになっておりまして、かつまた、政令をきめます場合には、専門審議会でございます社会保険審議会において十分御意見を聞くようなたてまえになっております。 そういうことでございますので、現在はそういうことで考えておりますし、また、そういうことで発足することが、この制度を的確にやるきわめて重要な要件であろうと私は思っておりますが、この制度が発足をいたしましたあとどういうふうな状況で推移をするか、そういった点も考え合わせまして、本法のこの高額療養費制度についてどのような問題点をどのように解きほぐしていくかというようなことは、その段階においていろいろ検討してみたい、このように考えているのが現在の考え方でございます。
○大橋(敏)委員 高額医療の問題については、先ほど言いましたように国民の皆さまも大きく期待をかけているのですけれども、中身は、いま私が指摘しましたように、非常に問題だらけなんですよ。一つ先ほどの指摘に落としましたけれども、同一世帯に二人以上の被保険者がいて、合わせて月三万円をこす場合、これもまただめなんです。というように、一つ一つ取り上げていくと、その適用になる人というのは、該当する人というのはきわめて限られた人になって、宣伝されるほどの恩典を受けない、こういうことなんですね。いま、政令をつくる段階においてさらに検討はするという局長の答弁でございましたけれども、この点やはり大事な問題ですから、大臣から御見解を承っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 この問題については、実は各方面からいろいろな意見が寄せられております。たとえば三カ月間は三万円にして、あとは無料にするようにしたらどうだとか、あるいはまた、疾病を限ってやったらどうだ、ガンとか成人病、こういうふうにやったらどうだ、それから世帯の家族全部合わせてやったらどうだ、これはさまざまな希望でございますから、いろいろな希望が出るのは私はごもっともだと思います。 そこで、この制度は新しい制度でございますから、一朝一夕にこれが理想的だという制度をすぐ生み出すということは私は困難だと思いますが、事務的な手続等を考えてみますれば、一月一件三万円というところから出発をしていく、そして施行の状況を見ながら、改善するものがあれば改善していく、こういう方向が私は一番適当ではないかと思うのです。これはいろいろな意見があるのです。病気でやれという説もあるのです。なるほど、そういえばそうだなと考えますが、病気だけに限定すると、今度はまずい面もありますから、これは非常にむずかしい。ですから、さしあたり一番理解がいいものは、一件一月三万円、こういうふうに国民に覚えていただいて、そして将来実施状況を見ながら改善を加えていく、このほうが私は適当な方式ではないかと思います。
○大橋(敏)委員 大臣が提案された法案の中身ですから、もっといいことを考えていらっしゃるのでしょうけれども、その程度の答弁をせざるを得ないと、私はむしろそう感じます。 要するに、非常に高額医療をやるのだやるのだということでこの法案が宣伝されてきましたけれども、先ほど申し上げますように、その全国的実施は少なくとも三年はかかるということでありますし、中身においては非常に問題があるということで、鳴りもの入りの宣伝ほどの内容ではなかったということなんですね。だから、もっとこの中身を充実していただきたいと強く要望しておきます。 それから、いまの高額医療費制度の問題と老人医療の公費負担との調整についてお尋ねしたいと思うのですけれども、審議会での当局の答弁では、高額療養費が老人医療の公費負担制度に優先すると説明されておりますけれども、これはせっかくことし一月から国の老人対策の重要な施策としてこの老人の医療の無料化がなされたわけでございますけれども、これを保険が肩がわりすることになるということ、かつ老人医療公費負担制度による国庫財政への波及は著しいものが私はあると思うのでございますが、こういうことを考えてまいりますと、先ほどの審議会での当局答弁というものはこれは問題ではないだろうか、こう感ずるのですけれども、どうでしょう。
○北川(力)政府委員 今度の高額療養費の制度は、健康保険あるいは国民健康保険の中では、いわゆる法定給付としてこれをつくるわけでございます。老人医療の公費負担は、現在の仕組みは、法定給付である健康保険の給付の残余について、一定の条件のもとに老人医療の公費負担、いわゆる無料化をやるわけでございますから、そういう意味合いでは保険が優先をするわけでありますから、新しく法定給付として設けられます高額医療というものは、老人医療の公費負担に優先することは当然であろうと思います。
○大橋(敏)委員 老人医療の無料化はまた非常に評価されたわけでございますけれども、地方自治体の立場から言うならば、財政負担といいますか、財政過重といいますか、そういうのが非常なものらしいのです。その上にそういった肩がわり負担をになうことになることは、これまたきわめて重大な地方自治体の深刻な問題ではないか、私はこう感じていま言っているわけでございますが、これも今後の検討課題にしていただきたいということを要望しておきます。 そこで、高額医療の問題に戻りますけれども、療養費払いというのがとられるわけですね。療養費払いというのは、これは非常に問題だと思うのですよ。私は現物給付でいくべきであると思う。要するに、せっかく三万円以上は見てあげましょうといいますけれども、その三万円のお金を持っていかなければいけませんね。そして事務的な手続をとっていよいよ自分自身に返ってくるというのはきわめて時間的な差異もあろうかと思うのでありまするが、そういうことからまいりますと、これはやっぱり現物給付に変えていくべきではないか、こういうふうな考えを持っているのですけれども、この点についてはどうでしょう。
○北川(力)政府委員 確かに、この高額療養費の制度を現物給付でやったらどうかというような御意見もあります。ただ、現物給付方式をとりますと、患者さんの自己負担額が一定額をこえたとき以後は医療機関は患者に対して医療費の支払い請求ができないということになりますし、また、この場合に、どの時点でその一定額、たとえば三万円なら三万円をこえることになるかというふうな、そういうことの判定について、患者さんのサイドにおきましても、あるいはまた医療機関のサイドにおきましても、相当わずらわしい面があるというふうなことも、これまた事実であろうかと思います。 そういう意味合いで、私どもは、現在行なわれておりますいわゆる健保組合あるいは共済組合等における付加給付、大体これは何千円から何千円というふうなことで足を切りまして、それをこえる分について償還払いをしている、こういうやり方が現在あるわけでございます。したがって、そういった方法ももうすでに定着をした制度でございますので、そういう方法にならってやることが、新制度の発足としては的確な実施を期し得るのではなかろうか、こういう意味合いで、現在のような、提案申し上げているような形をとったわけであります。 問題は、そういうわけでありますから、できるだけ早く償還をするということについて、今後償還の期間を何とか早める、こういうことについてできるだけの努力をする、これが現在私どもが考えておりますこの制度の実施上のくふうでございますから、十分なくふうをいたしまして、この制度ができるだけ実効を発揮するように配慮してまいりたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 現物給付と療養費払いのあり方の実際的な影響というものが大きなものがあると思うのです。というのは、老人医療無料化が地方自治体でぼつぼつと実施されたわけですが、全国で数十カ所、国が実施する前に地方自治体で行なったわけです。私の選挙区である福岡県は、療養費払いではなくて現物給付で行なったわけです。ところが、非常にその効果があったといいますか、該当者が遠慮なくいらっしゃいましてその恩典に浴したわけでございますけれども、そのほかの県では療養費払いであった。福岡県は現物給付であった。そこでぐーんと受診の内容が明確に分けられているわけですね。ですから、ほんとうに困った病人を救おうという立場に立つならば、あくまでも現在とられている現物給付制度を優先すべきである、私はこう思うのであります。今回せっかく高額医療が実施されるわけでございますが、とりあえずということであるならばいいとしましても、これを定着化するようなあり方は私は賛成できない、こういう意見でございますが、これについての大臣の御見解を承りたいと思います。
○齋藤国務大臣 この制度は、さきにもお答えがあったと思いますが、健康保険組合、共済組合等においてすでに実施しておるものなんです。そこで、むしろこれは非常に喜ばれておりますし、事務的にもこのほうが定着をいたしておりますので、いますぐ現物給付に切りかえるということはちょっとどうであろうか、こう私はいま考えております。
○大橋(敏)委員 これは違うのですよ。やはり事務的に定着しているのは現物給付方式ですよ。一部療養費払いが採用されているのでありまして、それはやはり勘違いです。実際の姿を御存じでないのです。これはやはり先ほど私が言ったように順次改められるべきであるということを強く要求しておきます。 それから、老人医療の無料化の問題でございますけれども、これは老人対策の重要な政策であったことは間違いございませんが、せっかくことしの一月から実施に踏み切られたのですけれども、受け皿といいますか、厚生行政の不備といいますか、それがあったために、老人の皆さんが入院や通院の数が非常にふえたために、受け入れ体制が不備だということから、非常に混乱を来たしているということでございます。せっかく治療を受けに行っても、施設がないために満足な治療を受けられないというようなことで、厚生省にかなり苦情が飛び込んでいるという話も聞いておりますけれども、先般厚生省で国立病院と国立療養所を対象に無料化の実施前と後にわたっての老人患者の推移についての調査をなさったことを聞いておりますけれども、御説明願いたいと思います。
○滝沢政府委員 老人医療の無料化につきまして、先般自治体病院の御発表がございましたが、国立病院の関係につきましても、昨年の十二月二十日現在と、それから毎月二十日現在で全国の病院、療養所からただいま統計をとるように指示いたしまして取りまとめておるわけでございます。国立病院について申しますと、七十歳以上の患者が全体に占める割合につきましては、若干地域の差がございます。十二月二十日現在で北海道が、たとえば七十歳以上の患者が国立病院の患者数に占める割合が二〇・八という数字がございますが、近畿地区では一一・七というようにかなりの差がございまして、総平均で一三・四でございます。これが四月二十日現在でやはり一三・四、統計調査の結果はそのようになっておりますが、地域的にもそう大きな変動はございません。一方、比較的慢性の疾患を集計いたしております国立療養所について、同様、十二月二十日現在と四月二十日現在と比較しておりますが、これによりましても、やはり若干地域差がございまして、関東信越地区が九・七、北海道が一八・四で、平均で一三・一が一四・一ということで、国立療養所の関係では七十歳以上の患者が占める割合の増加はさほど顕著ではございません。しかしながら、自治体病院では、先ほど多賀谷先生にお答えしたように、一六が一八というように、一六という数字が、自治体病院のほうは比較的根っこから高いという実態がわかっております。 それから日赤等につきましても一部調査しておりますが、やはりこの点につきましても四十七年の四月一日が七十歳以上の患者が日赤病院全体の一二%を占めておりましたが、四十八年四月一日で一四・八ということで二%、したがって、自治体病院も二%、日赤も二%、国立は療養所の関係で一%というのが、まだ四月とかあるいは三月とかという数字でございますので、七月の所得制限の影響というものを考えますと、まだ今後の推移によってはこの問題はかなり重要な問題であろうというように考えております。
○大橋(敏)委員 自治体病院協議会の調査を見てまいりますと、これはきわめて深刻な公立病院の実情が浮き彫りになっております。昨年の十一月三十日と、ことしの三月十日の二回にわたって実施されたようでございますけれども、全国四百十カ所の公的病院でございますが、入院の老人患者を対象に調査なさったそうです。それを見ますと、七十歳以上の入院患者が総入院患者の一五%であったものが、実施後は一七%に伸びた、また七十歳以上の老人患者の伸び率は一八%と大幅に伸びている、そうしてその影響はいろいろと各所にあらわれている、大まかに言えば、急性患者の入院がむずかしくなった、ベッドが詰まってしまって、救急患者の入院が非常に困難になってきた、あるいは老人医療には人手がかかる、確かにお年寄りの治療には人手がかかる、看護婦不足に輪をかけていよいよそうした看護婦不足、手不足といいますか、そういうことが深刻化してきている、あるいは診療密度が老人医療というのはある意味では低いために、収入の面からは非常に苦しい立場にある、経営悪化を招いているというようなことが、自治体病院の関係の協議会の調査ではっきりしてきたわけです。こういうこともありまして、当然厚生省にはその要望が参ったと思うのでございますけれども、先般厚生省といたしましては、老人の医療の無料化の効果をあげるために、老人専用ベットを国立病院、療養所等に設けるように、事務局に検討せよと御指示をなさったことが新聞に出ておりましたけれども、この中身を具体的に御説明願いたいと思います。
○滝沢政府委員 国立病院につきましても、四十八年度、あるいは実際の上ではかなり前から、結核療養所としての結核患者の減少に伴います国立病院としての病床の活用という面から、それぞれの地域医療の需要に応じまして、老人医療無料化の実施される以前から、一つの療養所の使命転換の意味でかなり進めてまいりましたが、このようになってまいりますと、かなり計画的に実施する必要がございまして、四十九年度以降の社会保障五カ年計画で国立療養所、病院も含めての老人対策、先ほど多賀谷先生にお答えいたしましたように、都道府県における各地域ごとの老人病棟等の設置に対する国の助成策あるいはリハビリテーションということがかなり重大でございますので、病床を埋めないためのいわゆる社会復帰か、あるいは自前で自分の用事が足りる程度には回復させる、したがって、場合によっては在宅に受けとれ得るだけの医療効果を発揮する、こういうためにはリハビリテーションが大事でございますので、従来弱かったリハビリテーションの病院機能を強化いたしたい、このような一連の対策、もう一つは、老人福祉との関連におきまして、病院と特養とのなるべく近隣ないしは同一施設内の併置対策、それともう一点、われわれ検討いたします問題で、イギリスなどでは成功していると聞いておりますが、デー・ホスピタルと申しまして、単なる外来老人医療は、収容しなくても、しかし在宅のままでは医療が放置されてしまう、こういう者に対して、病院からバスを回して、老人を夕方には帰してあげる、病院にいる間は治療、リハビリ、あるいはできたら簡単ないわゆる手作業等をさせるというような施設がイギリスではかなり普及していることを承知いたしております。これらはかなりわが国でも採用する必要があるんじゃなかろうかということで、長期計画の一環の中にそのような施策も盛り込みたいということで、ただいま検討いたしております。
○大橋(敏)委員 要するに、国立病院あるいは療養所等の老人医療の無料化に伴う入院増については、大いにそれを受け入れる体制を整えなさいということであろうかと思いますけれども、公立病院においては御承知のように病床規制がなされてきたわけですね。今回の御指示というものは、この病床規制が緩和されたというのか、それとも老人の問題だけに限ってそうなったのか、その点ちょっと聞きたいのですが……。
○滝沢政府委員 病床規制の問題につきまして、結果的にお答えしますと、先ほどお答えしましたように、地域ごとに人口に応じた規制の根拠の数値が置かれているわけです。たとえば三十万以上の都市の地域は、人口一万対六十四という数値がいま適用されている。それが五万以下の人口の少ない小地域は、従来四十二でございました。六十四と四十二という差があった。それをだんだん地域差をなくせというのが審議会の御意見でございましたので、昨年の暮れの審議会では、四十八年、四十九年に適用するこの数値について改善をいたしまして、これを五十七という数値に変えたわけでございます。そういう大幅な改善はもちろん一般病床としての規制を緩和するという趣旨でございますが、あわせて老人医療の対策ということが今後重要であろう。その予測が、今度の自治体病院の報告を見ますと、人口階層別に見ました、いわゆる人口五万以下の小地区に最も七十歳以上の患者の占める割合の増加傾向が強いという結果が出ております。これはわれわれも予測した点でございますので、今回の緩和は当然であったというふうに考えております。それと、先ほどもお答えしましたが、この規制外に老人病棟をおつくりになりたい公的病院は、これは加算制度としてこの規制のワク内で認めるということが今度の審議会で定められました。これは都道府県に通知してございます。すでに香川県等においてもかなり具体的な申請が出てまいっております。これは要するに、規制をはずしてでもこういう特殊な対策のためには病床の緩和ということをやるべきだという審議会の御意見が固まったわけです。老人以外に、公害病、原爆医療、こういう特殊な医療についても各病院の規制ははずすべきだ、こういうことが今回加えられてございます。
○大橋(敏)委員 大臣、この公的病院の病床規制というのは、わが国の医療行政の上に大きなマイナス点といいますか、発展の立場から見た場合のマイナスの分がずいぶん指摘されたわけでございますが、審議会等の答申を見ましても、病床規制は一日も早く撤廃すべきである、あるいは大幅緩和するべきであるということをいっております。当然大臣もその方向で今後進まれるだろうと思いますけれども、その点大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 病床規制につきましては、医務局長から先ほどもお答えいたしましたように、そのつど、社会的要請に基づくものはワク外にするとか、いろいろな努力をいたしておるわけでございますが、基本的にはこうしたものはだんだん廃止する方向に進んでいくべきではないか、こういうことにも考えておりますが、これもなかなかむずかしい問題でありますから、慎重に検討しながら善処いたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 医務局長にお尋ねしますが、たしか三月何日かの社労委だったと思うのですが、この病床規制の問題について、病床の転床加算を行なう場合は地方の医療機関整備審議会にはかることが法律で義務づけられると、こうおっしゃったと思うのですけれども、法律では、知事が許可を与えない処分をするときには医療機関整備審議会の意見を聞くことになっていると、こうあると思うのです。そうしますと、医務局長の答弁というのは法律の何条によっておっしゃったのか、聞きたいのですけれどもね。
○滝沢政府委員 条文についてはただいまお答えいたしますが、内容は、確かにおっしゃるように、許可しない場合に限って審議会にかけろというような条文の内容、趣旨だったと思います。それが先般も御質問がございまして、一般的には、事務次官通知等で、厚生省が行政指導として何でもかんでもみんなかけろというふうにしてあるのはけしからぬという御質問がありました。これは確かに、三十九年、これらのものを実施しましたときに、全体というものを各都道府県の医療機関整備審議会が把握していくということの趣旨も含めまして、決して規制という意味ではなしに、この審議会で御審議願うようにしたらどうかという行政指導は確かにいたしております。ところが、御質問の趣旨の中に、厚生当局の見解をただしたら、これはやはり行き過ぎだ、法律にきめられた部分だけは審議会にかけるべきで、その他のことについてもかけろというふうな行政指導は直すべきだ、こういう御趣旨の御質問もあり、私もこれは検討いたしたい、こういうふうにお答えしてございまして、いまの先生の御質問も同一の趣旨の問題であろうというふうに理解いたしております。
○大橋(敏)委員 知事が許可を与える場合はいわゆる地方の医療機関整備審議会の意見を聞く必要がない、このことは法文上明確ですね。まず確認いたします。
○滝沢政府委員 そのとおり「都道府県知事は、第一項の規定により前条第一項又は第二項の許可を与えない処分をしようとするときは、あらかじめ、医療機関整備審議会の意見を聞かなければならない。」こういうふうになっておりまして、まあそれ以外のことも聞いてはならないとは言えませんけれども、条文をやはりそういうふうにすなおに解釈すれば、先ほど来御質疑があり、また先般の御質疑にもお答えしたように、この問題について時間も経過している問題でもあり、また医療機関整備というものを地域医療計画で進めていくという考え方の趣旨にのっとってこの点は検討いたしたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
○大橋(敏)委員 これは簡単な通知、通達だと思っていらっしゃるかもしれませんけれども、これが地域の医療を非常に混乱させているという実態があるわけです。法文上もうはっきりしているのですからね。ですから、ましてや、三十九年四月一日の公的性格を有する病院の開設等規制の実施についての通達、これは当然改めるべきであろう。医療法の法文上明確になっている点をわざわざ地方の医療機関整備審議会にはかることはない。あなたはいま立場をおっしゃっておられましたけれども、このぐらいはすかっとした内容に改めなければ地方医療に混乱を引き起こすということを私は指摘したいのですが、もう一回その点について御答弁を願います。
○滝沢政府委員 先生の御質問の背景に、やはりこの問題が各地区の医療機関整備の上に多少トラブルを起こしておるというようなことがその背景にあって、いろいろ御質問の趣旨もあろうと思うのでございますけれども、そういう趣旨で、決して——その規制するという意味とは別に、やはり円満に話し合いがついてこの医療機関の整備の問題が進むようにという意味で、当時、各界の代表者を集めた審議会で意見を聞いたらどうか、こういう趣旨で出しておるわけでございますので、この点等も十分検討いたしまして、従来出しました次官通知等について検討の上、この医療機関整備は今後地域医療計画ということでわれわれは進めたいと思っておりますので、そういう趣旨にのっとって、各府県の医療機関整備審議会がうまく活用できるように通知の再検討をいたしたい、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 それでは、いまから申し上げるのは何も地方自治体の病院の問題じゃなくて、一般的な病院の問題についてお尋ねしたいのですが、現行医療法の盲点をついた一つの事件を私ここで申し上げます。それからその問題点を指摘をし、改善を迫りたいと思うわけでございますけれども、実例をあげてまいります。 静岡県賀茂郡東伊豆町稲取というところに、これはすばらしい病院ができたのです。ところが、六カ月というあっという間に、それが倒産といいますか、休止といいますか、やまったのです。しかも、六億三千万というばく大な借金を背負って、地域の皆さまにそれこそ御迷惑をかけたまま放置されているという問題なんです。 これは、医療法人三和会というのが実は昭和四十三年三月二十九日にできたのですけれども、定款変更をしまして、主たる事務所を今度はいま言いました伊豆ハイランド病院にして、従来の下田病院を従たる事務所に変えたということです。いわゆる二つの病院を持ったというわけですね。この伊豆ハイランド病院の開設に私は非常に疑問を抱かざるを得ないのであります。 そこでお尋ねをいたしますけれども、病院というものは、建設し、でき上がった後に開設の許可をとるようになっているのかどうか、それとも、あらかじめ建設その他の所要の要件を整えて申請をし、許可を待って建設工事にかかり、そして開設に踏み切っていく、こういうことになっているのかどうかということを最初にお尋ねします。
○滝沢政府委員 その問題については、個々のケースによって、いろいろ手続上、たとえば先ほどいろいろ議論されましたように、病床規制にひっかかるような場合につきましては、これはあらかじめいろいろの審議なり検討がなされた上で着工するということがありますけれども、いま先生の例に引かれた医療法人は、病床規制からははずれますので、したがいまして、先生の御質問の内容からいきますと、病院の建設ということ——病院の建設には、坪数あるいは病床の一ベッド当たりに占める坪数ということはいろいろきめられておりますから、事前にそういう問題について大きな欠点がないような配慮をしながら、どちらかと言うと、病院というものを先に建ててそれから許可申請が出てくるという例が多いのでございまして、事前にその計画そのものがチェックされるということは、病床規制のような問題の地域でない限り、一般的には、いま申し上げたように、病院の建設というものが具体的に進められて、その後に許可申請が出て、それから県の職員がその内容を点検して許可していく、こういうような形をとっているわけでございます。
○大橋(敏)委員 大臣、これはやはり一考すべき問題ではないかと思うのですね。小さな病院ならばいざ知らず、いま私が問題にしておる病院はこういうことなんです。 名称は伊豆ハイランド病院、所在地は静岡県賀茂郡東伊豆町稲取、敷地は約一万平方メートル、建物は鉄筋コンクリート六階建て、延べ七千八百十八平方メートル、病室、予備室、バス、トイレ付き病室十室、そのほか百室、病床数二百二床。ずっといろいろ述べられておりますけれども、簡単に言えばこんなにでっかい、それこそ大病院でございますよ。 こういう病院を建てて半年もしないうちにつぶれたというわけです。しかも、これを建てるには、敷地から建物から全部借金ですよ。いわゆる善意にまって会員制度でお金を集めたものですよ。それが倒れたときにはもう六億三千万の赤字を持っているわけです。どえらいことですよ。これは関係者からしてみれば、それこそ、病院ができる、自分のぐあいの悪いところを直したいという善意から、協力的に会員になっていっているわけですよ。そういう病院がまたたく間に倒れていくということですね。しかも、いま局長の答弁では、病院開設については手続上どちらでもいいんだというようないいかげんな中身、これはやはり問題だ、まずそう思うのですね。 たとえば、この病院は、四十三年四月十三日に開設許可がおりて、二日後の四月十五日には病院が開設されているわけですね。もう手続上はきわめて形式的なんですね。こういうことでいいかどうか。 ましてや、県当局の話によりますと、ここから招待状をいただいたそうですよ。ところが、非常に書類が不備だったけれども認可いたしました、こういうことだった。というのは、どうしてそういう不備なものを認可したのかと聞きましたら、まあもじもじしながら答えていたのは、そこの院長さんが——M氏と言っておきましょう。らい研究所に三十年間もつとめていらっしゃった厚生官僚であるというんですよ。いわゆる大先輩だというわけてすね。また県の衛生部長は——Kさんと言っておきましょう。やはり九州大学出身の、先ほどのMさんとの間では後輩に当たるわけですね。そういう人間関係でもあるというようなことで、いわゆる目に見えない圧力的なものがあるんですね。しかも、いま病院開設にあたっての規制というものは非常にゆるやかなものでありまして、これはもしかしたらだめになるのじゃないかという予測はしておりましたものの、言えない立場にあるわけですね。 そういうことから、私はもっと法的に厳格な措置をとるべきではないか、こう感ずるのですけれども、どうでしょうかね、大臣。
○滝沢政府委員 この問題は、確かに、医療法人の許可、あるいは今回の例のように、一つの医療法人が根っこに下田病院を持っておって、それからもう一つハイランド病院を持つ、主たる事務所を変える、こういう手続全体が県に出てまいっておるのでありまして、先生の御趣旨からいきますと、現在、医療法人の許可そのものの中で、財政上の問題というようなことに対する県の職員の知識、技能と申しますか、そういう指導力も、率直に言って弱いのじゃないかと私は思うのでございますし、また、内容的にそういう問題を点検することに対するわれわれの指摘あるいは指導も不十分であるというふうに、今回の御指摘の例では感じておるわけでございまして、この点については至急通達を出して、医療法人の許可、あるいは最近特に医療機関の運営の問題についてかなり困難な例も出てきたり、あるいは事業として医療機関を経営するような風潮もなしとしないのでございますが、そういう点を踏まえまして新たに通知を出したいというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 大臣、お聞きのとおり、これは非常に問題なんです。いま局長は、確かにこれは問題だから、通達を出し直していこうという答弁だったので、まあ次に移りますけれども、要するに、県当局のいわゆる役人さんが、大先輩からの申請にあたってはあまりものが言えないような状態に置かれておる。というのは、いまさっき言いましたように、法の規制そのものが寛大過ぎるからということに通ずるわけですから、これはやはり局長が言ったとおりにきびしく規制すべきだ。 もう一つ申し上げますと、伊豆ハイランド病院の会員募集にあたって、厚生大臣あるいはその夫人、その他の有名人の入会をあげまして、鳴りもの入りで宣伝しているわけですよ。厚生大臣といえば、あなたではないんですよ、これは元厚生大臣、当時の厚生大臣ですね。「次の方も入会なさっています」音楽家、俳優あるいは元横綱だれそれとかいって、その次に園田直さんですか、この方の名前がかっちり出ている。その下に「園田天光光殿(同夫人)」とかあるのですな。厚生大臣までが、これはりっぱな病院なんだ、私も会員ですよとやっているわけですよ。だから、まわりの住民の方は、これはすばらしい病院ができるということで、われもわれもと会員になられているわけですよ。そして半年目にあっという間に、出した金がパア、こういうわけです。かわいそうなものじゃございませんか。しかもその出資をなさった方々は、ほとんどの方がやはり患者さんなんですね。ぐあいが悪いわけですよ。その病気をなおしたいばっかりに、こんな厚生大臣まで会員になっているような伊豆ハイランド病院ならば間違いなかろうということで加入しているのです。ものすごいんですよ、その加入者は。きょうはちょっと資料を持ってき忘れましたけれども、そういうことなんです。こういうのをどうお感じになられますか、大臣。これはやはり注意せねばいかぬですね。どうですか。
○齋藤国務大臣 私も、どういういきさつでそういうふうになったのか、よくわかりません。御批判は差し控えさせていただきたいと思います。
○大橋(敏)委員 いずれにいたしましても、やはり半年ぐらいで倒れていくような中身ですから、やはり専門家が見れば、これはおかしい、これはどうかなるんじゃないかという不安は十分感じているわけですよ。県当局の方も、あるいは厚生省のお役人の中にも、知っていらっしゃった方がいるかもしれません。しかし、先ほど言ったような状況下でありますので、ついついオーケーのサインを出した。その結果こうなったというのですね。こういう点は、私は、今後の厚生行政あるいは医療行政の上で大きな問題点となりますので、強くこの点を指摘しておきます。 それから、先ほど申し上げましたように、開設から半年後に倒産をした、四十三年十二月の十三日この伊豆ハイランド病院は休止してしまっているわけでございますけれども、多くの小口債権者が実は泣いているわけでございます。病院側はこれに対して直ちに債務弁済計画というものを立てております。四十三年十二月十五日に債務弁済計画というものを立てておりますけれども、こうなっております。中身は「伊豆ハイランド病院建設にからむ大口債権者は、再建のメドがつくまで支払を猶予し、小口債権者えの優先弁済を認める」こういっているんですけれども、現実問題は、ほとんど特に小口債権者個人に対する弁済がなされていないというのが事実でございます。 伊豆ハイランド病院関係の内容を調べてみたのですけれども、小口債権総額は三千二百六十七万九千四百七十八円、下田病院の小口債権額を見てまいりますと五千二百九十四万九千八百二円、合計いたしますと八千五百六十二万九千二百八十円、こういう大ぜいの方からこれだけのお金を借金している病院なんですけれども、これが払えない状態になっている。このため、関係者の中には、ノイローゼぎみになって、それこそ頭がおかしくなり、あるいはそのためではなかろうかと思われるような死人さえも数名出ているという話でございます。 地元ではもうさまざまなうわさが立っておりますが、そのうわさというのはこういうことなんです。これはもう最初から医療法人三和会の理事長——Sさんと言っておきましょう。そのSの計画倒産ではなかったのだろうか、これはもう至るところで出ております。なぜならば、この理事長というSさんは、現在、二億円ほどのお金を持って沖繩のほうに飛んでいっている、そうして同じようなことを計画中だといううわさも立っております。また、この伊豆ハイランドは、伊豆稲取という、きわめて風光明媚な観光コースの最適地に建てられたというわけでございますけれども、先ほどお見せしましたように、見るからにホテルみたいな、しかも中身は、これはごらんのとおり、にホテルそのものですよ。これをごらんになってください。ですから、これは計画倒産をして、あとではホテルを経営するもくろみもあったのではないかといううわささえ立っております。 そのほか、いろいろと問題があるわけでございますけれども、もう一つ疑念を持たれていることは、この伊豆ハイランド病院が着工されたと同時に、その建設を行なった建設会社が、同じ理事長のSさんの家と理事の家——これはHさんと言っておきましょう。これが世田谷の成城と御殿場のそれぞれに邸宅が一緒に建てられているわけですよ。病院が建設されると同時に理事長と理事の大邸宅がそれぞれのところに建てられている。これはもう健全経営をなされていれば何でもない問題であるかもしれませんけれども、あっという間に倒れて、行くえ不明になっている理事長の姿を見た場合、これも何かおかしいんじゃないかといううわさなんです。 ですから、これはやはり一病院の問題ではない。これは厚生行政の上からいっても、医療行政の立場から見ても大きな問題であるとして調査に乗り出していただきたい。厚生省がじきじきこの問題を調査していただきたいということを私は主張したいのですけれども、その点に対する大臣のお考えを聞かせてください。
○滝沢政府委員 この医療法人三和会の先生のお調べになったようなこまかい点はわれわれ承知していなかったわけでございますけれども、いろいろ先生の御指摘もございまして、最近調べました中では、この三和会は事実上解散しておりまして、所有の物件等も競売され、現在無財産の状態にあるということでございまして、まあ小口債権者との間にあっせんしたらどうかというような御意見もあるようでありますけれども、事実上の状態は非常に困難だと思うわけでございます。しかしながら、いろいろ医療行政、特に県がこういうものの許認可の責任の立場から、いま御指摘のような問題の経緯の全体というものを整理して、そうしていろいろ反省すべきものは反省し、また、これが問題点として法律的に検討できるものがどの程度あるのか、そういう点もいまの段階では私もわかりませんけれども、いずれにいたしましても、県の医療機関許認可の行政の中で確かにかなり書類のやりとりが複雑になされておるようでございますし、これも一つの事例として詳細に検討しておく必要がある問題でございます。そのことが、やはり私が検討するとお答え申し上げました医療法人の許認可の一つの実例として、これはかなり極端な例ではございますけれども、またあり得る、またあった事例であるということであれば、この問題は詳細に検討して、それらの医療法人の取り扱いの上に重要な一つの問題点として調べておく必要がありますので、県と十分連絡をとりまして詳細な事実に関する報告がまとめられるように考えたいと思います。
○大橋(敏)委員 大臣、この倒産の理由に、たしかこの病院が動き始めると月に約千五百万円くら いの収入はあるんだという計算だったらしいのですね、それが現実問題七百万円程度の収入でしかなかったということらしいのです。非常にずさんな計画なんですね。そこで、半年間の見込み違いとはいうものの、まあ六カ月かげるその差額八百万円といたしましても四千八百万円という程度なんですけれども、倒産時には伊豆ハイランド病院関係で六億三千万円の債務を背負っておったというこの現実問題ですね。そこにいろいろと疑惑がわき、そして騒ぎが起こっておるわけです。だから、いま局長は、それなりに調査し、まとめて報告いたしますというような答弁をいたしておりましたけれども、厚生行政、特に医療行政の今後のあり方についてのこれは一つの問題点、示唆であろうと思います。だから、これを厚生大臣の責任、のもとに調査をさせるということを一言答弁の中に述べていただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 いろいろ問題があるようでございますので、厚生省として病院の監督といったような意味合いから必要な調査をいたしたいと、かように考えます。
○大橋(敏)委員 それでは次の問題に移りたいと思いますけれども、昭和四十七年十一月一日に許可になった駿東第一病院を開設した阿部院長さん、事務長さんは石井さんというのですけれども、これはメディカルサービス、資本金五十万円であった。ところが、これも実在しない株式会社を設立して、社長に石井さん、そして役員に阿部さんと、こういうことになっているようでございますけれども、私が言いたいことは、名義の上で院長が医者であるならば許可になって、そして病院経営が実際にできる。あとその医者がいようといまいと、というような中身になっているというところに問題があるんではなかろうか。この点についても一言御見解を述べていただきたいと思います。
○滝沢政府委員 ただいまの事例は、私、具体的には承知していないのでございますが、先生御指摘のように、名義だけで実質が伴わないという問題については、決して私、そういうものは絶無であるとは否定いたしません。特に二カ所管理というような問題について、一カ所は自分で持っているが、二カ所目に名義を貸してある、これは地域によっては知事の許可によって二カ所管理が可能なようになっておりますけれども、そういう問題についても的確に把握できているかどうかというような問題もあろうと思います。これは先ほどの例と同様、医療行政の許認可、あるいは診療所は届け出制度でございますが、病院となると許可制度でございます。管理の責任という立場から、十分いまのような例もあわせて調査いたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 それではこのハイランド病院についての質問はこれで終わりますが、次に現実問題にまた返ります。 老人の医療の無料化が実施されまして地方自治体病院が非常に困ってきた、国の援助対策をきわめて渇望しているということでございますが、これは財源問題でお尋ねしたいと思いますけれども、国保の保険料は三割程度の引き上げをこの老人医療無料化に伴って余儀なくされるというようなこともいわれておりますし、国の援助のあり方をここで説明していただきたいと思います。
○北川(力)政府委員 ただいまのお尋ねの中で、老人医療の無料化の実施に伴いまして市町村等の国保の財政にはね返りがあるということは十分に見込まれます。そういう意味合いにおきまして、老人医療の無料化の実施に伴う受診の上昇でございますとか、こういったことによる医療費の増加をできるだけ緩和をいたします意味で、この四五%の国庫補助金のほかに、四十八年度予算におきましては、制度が全面的にことしの一月から実施をされておりますから、それに伴って保険料負担の急激な増加を緩和をするため、老人医療対策臨時調整補助金として本年度予算に三十四億円を計上いたして、所要の助成措置を講じているような次第であります。
○大橋(敏)委員 これは申し上げるまでもなく、国保には国から四五%の援助がすでになされているわけでございますね。それから今度の老人医療の無料化というものは、自己負担の三〇%ですか、公費負担として見られることになったわけですね。今度の財源対策を見てまいりますと、もちろん四五%分として百七十三億ですか、これがきまっておりますし、また公費負担分としましてたしか七百八十一億が計上されているように思っております。そしていまおっしゃいました三十四億は、いわゆる二五%の保険料に相当する部分であろうかと思うのですけれども、この三十四億円というのは、これは毎年——毎年といいますか、この分については、つまり一時的な国庫補助金ではなくて、定着していくものかどうかということなんです。これについて……。
○北川(力)政府委員 老人医療の実施に伴いましてどのような波及的ないろいろの増加があるかということは、これはやはり長期的な観察を要する問題であろうと思います。ただ、いま申し上げましたのは、従来から市町村でやっておりましたものを、ことしの一月からは国の施策として全面的に実施をいたしますので、その際の、発足当初のかなり急激な医療費の上昇というふうなものをも加味いたしまして、これはそれに対する助成金でございます。したがって、将来これを恒常的に助成するかどうかという問題につきましては、四十八年度の推移というものがまだ十分につかめてもおりませんから、そういった意味合いで、この助成措置後のこの制度の実施に伴う影響等を十分解明した上で、今後の助成をどうするかということについて検討をいたしたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 この老人医療無料化に伴って地方自治体に対する財源対策としては、今度は確かにカバーされたやに見えます。見えますけれども、現実問題としまして、地方自治体は国がこうして実施する前からすでに老人医療無料化を行なっているところがかなりあるわけですね。そういう関係市町村はきわめて苦しい財政情勢に追い込まれております。何らかの姿でこの点についても援助の手は打たれないものだろうか、こう考えるのですけれども、どうでしょうか。
○北川(力)政府委員 ただいまお答え申し上げました点について一点だけ補足いたしておきますが、もともとこの四五%の補助金につきましても、その根拠になる医療費の中身、これにつきましては、老人医療の実施に伴う波及的な増加ということを織り込みまして、その上でこの四五%の補助金というものを計算をしてあるわけであります。さらに、いま申し上げました三十四億円は、それ以外に——それ以外の部分につきましては保険料負担でありますから、その保険料負担の増加をできるだけ抑制するという意味合いでやっておるわけでございますから、基本的には今後も定率の四五%の補助の中には今後の伸びというものを勘案をしていく、こういうようなことになっております。それ以外の保険料負担の増加は、いま申し上げましたように、制度の実施が長期的にどのような影響を及ぼすか、当面どのような影響を見込んだらいいか、こういう点は今後の実施状況を十分分析しました上でその対策を考慮していく、こういう考えであります。
○大橋(敏)委員 先ほども申し上げましたように、これは推計で出てくる問題であろうかと思いますが、いまのコンピューターの推計というのですから、かなり正確であろうとは思いますけれども、やはり現実問題として地方自治体の財政逼迫というものは想像以上のものがございます。いま言われました財政調整交付金のワクの拡大、その財政調整機能の拡大をもっと行なってもらいたい、そして一時的な国庫補助金ではなくて、これをある意味ではルート化していってもらいたい。というのは、今回の老人医療の無料化の実施にあたって、やはり国保の保険料の引き上げが余儀なくされているということなんですね。ですから、この三十四億の今回のいわゆる交付金ではございますけれども、これをもっと拡大し、先ほど言いました財政調整機能そのものの拡大も行なっていただきたい、さらに要望いたします。その点についてはどうですか。
○北川(力)政府委員 今後の老人医療の実施の影響というものを十分見た上で検討させていただきたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 これから申し上げますのはまたちょっと立場が変わりますけれども、七十歳以上のお年寄りがこれからいよいよ病院に行って治療を受けようとしますね。いままでは療養費払いですか、そういうことで医者に行って、そしてかかったお金の領収書をもらって帰ってきて、役所に行ってそれを申請して、そして通知があってまた役所に行って、やっとお金がもらえたということですね。今度の法改正ではおそらくその必要はなくなったと思うのですね。一切がっさい医療機関のほうでやってくれると思いますけれども、AならAというお年寄りが病院に行った、そしていろいろ治療を受けたそのものに対する請求というものは、おそらく医療機関からは、国保関係の分としての請求と、それから老人医療の無料化に要した費用ですね、その請求書二枚がいわゆる国保連合会支払基金に出されるわけですね。二枚の請求書がいくわけです。一人の患者で二枚の請求書がいく、そしてその請求書はそのまま市町村のほうにいくわけでございまして、その市町村から医療機関のほうに請求の金額が返ってくる、こういうふうなルールになっていると思うのですけれども、考えてみれば、同じ治療の内容が二つの請求書に分かれて、しかも出される先は終局的には市町村であるということになれば、これは非常に複雑で、医療機関としてはたいへんなことであろうと思うのですけれども、これのいわゆる請求事務の一本化の考えはあるのかどうかということですね。これについて御答弁を願います。
○加藤(威)政府委員 老人医療のいまの医療機関の請求手続といいますか、それについては、先生御指摘のとおり、現在のやり方は、私どもといたしましては、この制度をつくりますときに、できるだけ簡素化するようにということで努力をいたしまして、請求書の様式その他については非常な簡素化をしたつもりでございますが、いま先生御指摘のように、しかし二通出さなければいかぬということ、これはわれわれも何とかならぬかということでいろいろ考えましたけれども、国保関係は、これは一応原則は二通でも、払うのは同じ市町村でございます。一つは国保の会計、それから一般会計、市町村ですから、これは一枚でもいいという指導をいたしておりまして、一枚になっておるところも相当ございます。ただ、一般の被用者保険のほう、これは一枚は基金のほうにいくわけですね。それから残りのものは市町村。ですから、これは全然支払いのあれが違うわけです。それでこれは二枚ということになっておりますが、そういうことで、一応老人医療のスタートのときには、医師会ともそれで話し合いがつきましていまやっておるわけでございますけれども、しかし、現実にやはりお医者さんの負担が相当きつくなっているということも私ども承知いたしておりますので、いま厚生省の中にそのプロジェクトチームをつくりまして、それをできるだけ簡素化しようということでいまやっております。私ども、一本化できるならそうしたほうがいいということでいま検討をやっておるという段階でございます。
○大橋(敏)委員 実は老人医療の無料化が実現されて、次に来ているのは、幼児医療、三歳以下の無料化の問題、これも地方自治体で始まっておりますが、次々と社会福祉、社会保障の立場からこうした政策が実現してきて、国もどうしても踏み切らざるを得ない立場に立ってくると思うのです。近いうちにそうなると思うのですが、老人医療の無料化の実施にあたって行政上の問題点が明らかになってきたと思うのです。いまの事務手続の問題にしても、あるいは先ほどの財源の手当てにいたしましても、一つのモデルができたと思うのです。ですから、すでにこれから幼児医療の無料化に備えて、そうしたいろいろな研究作業をなさる気があるかどうかということを大臣にお尋ねいたします。
○齋藤国務大臣 事務の簡素化は非常に大事なことでございますから、社会局長からもお話のありましたように、できるだけ請求事務を簡素にするという方向で今後も努力をいたしていきたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 いま私が聞いたのは、事務そのものではなくて、事務ももちろん含めてですけれども、いよいよ今度は幼児医療の無料化がやってくる。いま地方自治体は老人の無料化の問題だけでも財源問題でがたがたしているわけですね。今回は国でこれからやるところにはちゃんと財源は措置しましたから安心せいとはいうものの、調整交付金というものは十分なものではない。これは定着するのかどうかと私は聞きましたら、今後さらに検討を進めようという話があったわけですけれども、すでに老人医療の無料化に対していろいろと問題点がはっきりしてきたのだ、これを手当てをなさっていくわけでございますけれども、その次にあらわれる幼児医療の無料化に際してまどわないようにいまから作業をなさっていく気はないのですか、こう聞いているわけです。
○齋藤国務大臣 将来の事態に備えていろいろ研究していきたい、かように考えております。しかし、乳児医療の無料化というものは、これは非常に問題があるのです。ただ、保険でいくとかなんとかいう経済負担だけの問題ではなしに、医療の上からいって、乳児医療を無料にするということは医療上よくないという説があるのです。乳児保育というものは母親の愛情が中心でなければならぬ、そういうことで、ただただにさえすればいい、医者にさえ飛んでいけばいいのだということではいけないのではないかという医療上の非常な問題があるわけでございまして、そういう問題も十分あわせて考えていかなければならない問題だ、かように私は考えております。
○大橋(敏)委員 医療そのものの中身、施術の問題あるいは病気の問題についての中身については、それはそれなりの議論はありましょうけれども、政治のおもむくところは当然これは実現されなければならぬ内容であるということです。それをわきまえていただきたいということです。そういう立場から真剣に取り組んでいただきたいと強く要望いたしておきます。 時間も相当迫ってまいりましたので次に移りますが、公費負担の制度の問題点をあげてみたいと思いますけれども、難病の公費負担、地方自治体における乳幼児あるいは妊産婦、身体障害者、公害病等を対象にした自己負担分の無料化などがございます。これはいわゆる保険プラス公費負担制度が実施されているわけでございますけれども、医療機関はもちろんのこと、保険関係機関の重複事務やその他複雑な問題等が増大して、パンク寸前にあるわけでございますけれども、この辺で医療保険と公費負担制度のいわゆる交通整理といいますか、こういうのを行なわねばならぬのではなかろうか、私はこう思うのでございます。いろいろともう公費負担の問題が出ております。地方自治体においては特に出ておりますので、こういう点、厚生省ははっきりとこういうパターンでいくべきであるというものを示すべきではないか、こう思うのでございますが、この点について御見解をお述べ願いたいと思います。
○北川(力)政府委員 国民の医療をどういう形で保障していくかという基本にかかわる問題かと思います。現在のわが国の医療保障の中核はやはり保険でございますから、そういう意味合いでは、この医療保険というものを現在分離はいたしておりますけれども、できるだけその内容を充実をして、保険中心に医療保障の充実をはかっていくということが根本だと思います。 ただ、現在までございますいろいろな公費負担制度、たとえば結核にいたしましても、精神にいたしましても、あるいはまた原爆とか、その他いま話題に出ました老人医療とか、そういった公費負担医療というものは、あるものは社会防衛的であり、あるものは国家保障的であり、あるものはまたその他の公費を投入すべきような性格を持っておるということでやってまいっておるわけでございますので、その辺は、私どもは、いまおっしゃいましたように今後どういう方向で整理するかという問題はございますけれども、社会保険が中心になって、原理原則としてはその残りを補うもの、それから最近のものといたしましては、公害についての健康被害補償に関する法案のような、根っこから国が持つ、こういうものも新しくあらわれてまいりましたし、その辺はひとつ現在の体系について基本的にどう整理するかをこの際あらためて見直してみるべきときだ、そう思っております。そういう意味合いで、現在の制度は現在の制度でそんなに私は間違った姿だとは思っておりませんが、厚生省内にも、長期の計画を立てる中の一環といたしまして、公費負担制度とそれから保険との関係をどういうふうに整理すべきかという点についてのプロジェクトチームもできておりますので、そこでいま検討を煮詰めている段階でございますので、そのように御了承をいただきたいと思います。
○大橋(敏)委員 たしか難病対策といたしまして昨年は八疾患を選定しまして、ことしの四月の二十三日にさらに十二疾患を加えられたと思うのでございますが、いずれも六月ごろまでに各疾患ごとに専門家による研究班を編成して、三年間をめどに組織的な研究が進められることになる、こういうことを私は聞いているのですけれども、これは間違いございませんか。
○加倉井政府委員 先生御指摘のとおり、すでに二十疾患につきまして研究班の編成も終わっております。現在各研究班におきまして実験計画あるいは研究計画等も検討されまして、予算の申請も私どものほうに出てまいっております。また、七月に入りますと各研究班とも総会を開催いたしまして、具体的な打ち合わせをされるという話も聞いておりますので、早急にその計画に基づきまして研究が実施される段階に至っておると思います。
○大橋(敏)委員 実は最近ぼくは新聞で見たのですけれども、点頭てんかんというのがあるんだそうですね。これはきわめて悪性で、重症のてんかんの一種である。原因は二十種類ほどあるそうですけれども、きめ手がなくて診断基準もないそうです。発病するのは生後三カ月から九カ月の間だ。このてんかんのけいれんが直っても知能障害が残るというおそろしい病気らしいですね。いまだに厚生省あるいは大学病院にも詳しいデータはないということを聞くわけですけれども、これなどもやはり大きな難病の一つではないでしょうか。この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○加倉井政府委員 点頭てんかんにつきましては、御指摘のようにやはり難病の一つだというふうにも考えられます。しかしながら、本年度の計画におきましては、私どもが難病懇談会の先生方の御意見に基づきまして疾病の選定をいたしました。したがって、点頭てんかんのお話は四十八年度には出てまいっておりませんけれども、今後いろいろ私どもお話の段階におきましてそういう話題も提供いたしまして、取り上げるべきは取り上げるということにいたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 大臣、これはこまかいといえばこまかいことかもしれませんけれども、どうしても大臣のあたたかい心におすがりしたい話をいまからやるわけでございますが、新宿区に住んでいらっしゃる富居さんという、八歳になる小学校二年生の子供さんなんです。これは実は見せたほうが早いと思うのですけれども、讀賣新聞夕刊に出た分なんですが、この女の八歳の小学校二年生の子ですけれども、自分のももに注射を打っている写真なんです。私はこれを見て、何だろうかと思って中身を読んでみましたら、小児糖尿病だそうです。一万人に一人くらいらしいのですけれども、「毎朝、登校前のインシュリン注射が欠かせない日課だが、これさえすませばほとんど普通の健康児と同じだ。でもいまの医学では一生続けなければならない。もしサボれば失明や衰弱など合併症を招き、一命を失うという難病だ。」こうして毎日打たにゃいかぬそうですよ。そうして「ところがこうした自宅治療が健康保険の対象からはずされ、家族の家計を圧迫している。患者とその家族がお役所に何度も働きかけてきたが、そのつど、にぎりつぶされてしまい、行政の怠慢さに強い怒りを感じている。」という記事なんですね。毎日打たなければいかぬ。これを打てば一人前、普通の子と同じだ。打たなかったならば、いま書いてあったように、失明したり、あるいは衰弱など、合併症を招いて一命をなくすることさえある、こういう病気なんですね。こういう人を何とかしてくれませんかね。どうですかね。
○北川(力)政府委員 ただいまお尋ねの件は私も読んでおります。ただ、保険給付の対象とならないかどうかという点につきましては、いろいろ問題があるわけでございます。私よりもあるいは専門家の局長のほうからお話をしたほうがいいかもしれませんけれども、糖尿病におけるインシュリン療法は、血糖値と食事療法との関連から専門の医師が十分な管理のもとで実施をされるべきものでありまして、そういう意味合いで、直接医師によって治療を行なうものにつきましては、これはもとより一般論として保険給付の対象になることは当然でございます。しかし、御指摘のようにいわゆる自己注射と申しますか、自家治療と申しますか、これにつきましては、それによって起こる医療事故等の責任問題というふうなものもございますので、こういう問題につきまして直ちに結論を出すというふうな段階には現在達しておりません。問題は、この小児糖尿病患者に特有な、いまおっしゃったような、命にかかわる問題であるという問題もございますけれども、そういった保険給付の対象にするかどうかという以前の問題として、いま私が申し上げましたいわゆる医事関係法令と申しますか、医事関係法令でいまのような自己注射、自家治療というふうな問題をどういうふうに考えるか、こういう問題が実は根っこにあるわけでございます。でありますから、医事関係法令の観点から見て、あるいはまた、医事関係法令の実際の施行のやり方、そういう点から見てこの問題をどう処理するか、この処理のしかたによって、これはいいということになりますれば、当然これは保険に乗っかってまいります。これはまだ疑問であるということになりますると、これは結果的に保険給付の対象にならない、こういうわけでございますので、この問題を単に保険サイドだけの問題から取り上げるのはどうであろうか。確かに、その新聞に出ております記事は、まことにおっしゃるような実情を私も十分理解いたします。しかし、いま申しました根本的なその問題の処理、これが先決でございますから、そういう点につきまして、いま申し上げました保険給付で取り上げる問題以前の問題として検討いたしますと同時に、あわせまして、その問題の解決ができるならば、これを保険給付として取り上げるかどうかということについても結論を出したい、このように考えておるのが、現在の考え方でございます。
○大橋(敏)委員 手続上はいろいろと難点もあろう、あるいは煮詰めなければならぬ問題があると思いますけれども、いずれにしましても、現実にこうして注射を毎朝打って出かけていく方が、数は少ないと思いますけれども、いらっしゃる。そういう家族の家計というものはかなりきびしいものであろうと、私はこの新聞の中から読み取ることができるわけです。血の通った行政という立場でいまの検討を早めていただいて、何とか、保険給付になるか、もしならない場合には、そのほかの措置で救われるようなものを考えてもらいたい。いかがでしょうか。
○齋藤国務大臣 ほんとにお気の毒な子供さんの例でございまして、十分あたたかい措置を講ずるように善処いたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 時間もだんだんたってきましたが、もうちょっとありますから、少しお願いします。 医療ミスと思われる事故が最近非常に目立ってきております。医療ミスをめぐる患者、家族と医師との紛争というものは、患者側の人権意識の高まりとともに非常にふえてきている、こう思うのでございますが、これについて、すでに医師会のほうでは、医師の手落ちによる医療事故に対しては、一開業医について一年間一億円まで支払おうという、いわゆる医事賠償責任制度が七月一日から実施されるやに聞いております。ところが、厚生省のほうは、いまようやく医事賠償責任保険制度をつくって被害者を救っていこうという歩みをなさりかけたところだと聞いておりますけれども、これは大体どういうことなんでしょうか。医師会との関係もあわせて御答弁願いたいと思います。
○滝沢政府委員 この問題につきましては、先生御指摘のように、七月一日から日本医師会がこの医事賠償責任保険制度について踏み切って実施される、このこと自体につきましては、だんだん高額的な補償の問題にもなりますし、諸外国も、アメリカが同様の制度をとってやっておりまして、むしろ保険会社があまり給付が多くて音をあげているというような情報も入ってきております。いずれにいたしましても、医師会がそのようなことに踏み切ったことについては、私はやはり十分評価して、これの推移に応じてわれわれは医事紛争の処理の問題についての適正な措置を検討していくべきだ、しかも単なる事故そのものの因果関係というような問題でなく、そもそも医療における基本的な患者と医師との関係等を踏まえて、広い意味の医事紛争というものを検討する必要がございますので、医師会のこの発足は発足として評価して、この経過、しかも第三者的な審議会をおつくりになって十分適正な審議を重ねてやりたいということのようでございますし、それはそれなりに経過を見守ると同時に、われわれとしては、それ以外にも、無過失であるというような例を含めたトラブルの範囲というものはかなり広範囲にわたるものと考えますので、一応今回は研究班という形でこの問題について諸外国の制度等も十分研究しながら、総合的にこの対策が樹立できるような方向で検討いたしたい、そういう趣旨で今回の研究班を発足させるわけでございます。
○大橋(敏)委員 先ほど申し上げますように、日本医師会では七月一日から医事賠償責任制度を実施していくということになっておりますけれども、いま局長さんは研究班を発足させたと言いますが、大体いつごろのめどでこの実施に踏み切ろうとなさるのか、もう少し具体的にお願いします。
○滝沢政府委員 先生の、実施に踏み切るというのは、研究その他の成果を踏まえた具体的の実施に踏み切るのはいつかということでございますれば、この研究は少なくとも一年では済まないし、かなり時間はかかると私は思います。したがって、それで医師会等の七月からのものが動いていく。そこにいろいろの整理なり問題なりが出てくるかもしれません。そういうものを踏まえて、国として、あるいは医師会がやっている制度、アメリカは医師会がやっている制度をそのままやっているようでございますけれども、国としてどういうような施策が必要かということの具体化は私はそれ以後になると思いますので、そう短時間でこの重要な問題の処理はむずかしかろう、むしろそういう覚悟で臨みたいと思っております。
○大橋(敏)委員 私は新聞で、少なくとも一年以内には結論が出て、来年度中には実行に踏み切られるというような中身を見ましたもので、非常に期待をかけたのですが、一年では無理ですか。
○滝沢政府委員 事務的なお答えでたいへん恐縮でございますが、研究班というものはそういう性格なものというふうに、事務的にはおそらく受け取られたと思いますけれども、こういう事業は、研究といいながら、一面、行政上非常に必要だという意味で厚生科学研究費を使って着手するわけでございますので、単なる一般研究費のように一年で打ち切るというようなものの考え方はとれないと思いますので、そういう考え方で臨みたい、こういうふうに思います。
○大橋(敏)委員 自治体病院の経営悪化が深刻になってきているわけでありますが、四十一年の地方公営企業法の改正によりまして、一般会計と病院会計との負担区分の明確化がはかられたほか、国の援助措置のもとに赤字病院に対する財政再建の道が開かれている等、財政健全化のための措置がなされたものの、診療報酬の不適正等の原因によって自治体病院の経営は急速に悪化の一途をたどっていると思うのでございます。私がここに持っております資料を見ましても、損益収支の決算において、四十六年度は百九十億円、四十七年度は百六十一億円、これは推計ですが、四十八年度は四百六十一億円、これも推計でございますけれども、累積赤字は、四十六年度は五百三十五億円、四十七年度は六百五十億円、四十八年度は千五十億円、このような巨額な見通しになっているわけでございまして、自治体病院は財政面からいよいよ壊滅していくのではないかという心配をされております。 そこで、昨年二月の医療費の改定の計算の根拠は、四六年度の数値が基礎であるはずでございます。これは国会答弁でもはっきりいたしておりますが、四六年度の数値が基礎になって昨年の二月に医療費の改定が行なわれた。四十七年、四十八年と、春闘による賃金の上昇あるいは物価上昇等、これは医療費には組み込まれていないということになる。要するに、その後の人件費、物価の上昇等の差はだんだんと大きくなって、これが赤字を生む要因になりますけれども、政府としては財政措置についていかなるお考えを持っていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
○北川(力)政府委員 自治体病院の経営上の苦しさをどういうふうにカバーしていくかという、厚生行政サイドでの基本的な考え方は、先ほど大臣からお答えを申し上げたとおりであります。私どもは、自治体病院につきまして、いま先生おっしゃったように、一つは公営企業法というものがあるわけでございまして、公営企業法の定めによりますと、自治体病院の基本的な性格からいって、高度な医療とか、不採算な医療とか、先駆的な医療とか、あるいはまた看護婦の養成とか、そういった公的な面につきましては公の資金を投入するということになっておるわけでございます。でありますから、一つは診療報酬の改定という問題がございましょう。また一面におきましては、公的な資金というものを医療投資として地方自治体がさらに前向きに十分な努力を積み重ねるということもあるかと思います。 診療報酬の改定は、いまおっしゃったように昨年の二月に行なったわけでございますけれども、その後の状況は、いまお話しのとおり、春闘等によるベースアップもございますし、また物件費の上昇等もございますから、これは現在中医協で相当詰めた議論が行なわれております。その議論の中身は、たびたび申し上げておりますとおり、経済変動に対応する診療報酬の改定あるいは医学技術の進歩に対応する改定、これが一つの大きな柱であります。でありますから、そういう点を中心にいたしまして中医協で早急な結論をいただくならば、そういう方向に沿って改定をしていく、それによって自治体病院における経営の苦しさも診療報酬の面からカバーをしていく、先ほど申し上げました自治体それぞれにおける公営企業法の精神に基づいた、あるいは最近における医療投資を拡大すべきであるという社会的な要請に基づいた資金の投入、こういうこともわれわれ十分期待をいたしております。 こういうことを彼此勘案しながら、先ほど大臣が申し上げましたように、この問題に相当早急に解決を要する問題といたしまして、早い機会に総合的な対策を立てるべきである、このように考えております。 これは診療報酬の面から申しますと、いま私が申し上げたことが現状でございまして、それは中医協においてきわめて熱心な討議が進められておりますから、その結果を待って対処をしたい、こういう考えでございます。
○大橋(敏)委員 いま局長さんは、中医協で一生懸命審議している、それで対処していくとおっしゃいますけれども、現実にはもう物価あるいは人件費は上げられて、四月から給料もさかのぼってなっているわけですね。そういう立場からいきますと、もう中医協の審議を待てないというのが実情なんですよ。さっき言ったような数字で、もうほんとうにものすごい財政負担になってきているわけですね。 そういうことで、厚生省は、国立病院あるいは療養所については財源措置をして、そして肝心の自治体病院は、自前でやれ、こういうことで、非常に無責任な態度ではなかろうかと私は思うのでございますが、自治体病院の困難の最大の原因はこの辺にあるのではないか。つまり、厚生省の自治体病院に対するこの冷たい態度、この冷たい態度に問題があるのではないか、私はそう思うのでございますが、大臣、どうですか。
○北川(力)政府委員 診療報酬の改定につきましては、中医協で非常に詰めた議論が行なわれておるということは、いま申し上げたとおりでございます。ただ、現在若干議事不正常な状態にあるわけでございますが、これが正常化いたしました暁には早くやりたいというのが、中医協の考えでございましょう。ただし、診療報酬の改定は、やはり改定だけではなくて、当然にこれに伴ってこれをどういうふうに負担をするかという負担の問題があるわけでございます。そういう意味合いで、この中医協の場では、診療報酬を受け取る診療担当者側と、それからこれを支払う労使並びに保険者というところで非常に複雑、デリケートな議論が行なわれているわけでございますから、負担問題と切り離して改定問題だけ先行するわけにはまいらない、これが中医協のきわめてむずかしい、またきわめて重要な役割りなんであります。 でありますから、そういう点を御理解いただきますならば、私どもは中医協における合意というものが一日も早くでき上がることを期待をしながら、そうして現状、つまり人件費物件費が相当に上昇しておる、こういうものを一刻も早く解消する、こういう意味合いで申し上げましたので、中医協の審議は、そういう改定問題とそれから負担問題がうらはらである、そういう点もどうか御理解願えれば幸いかと思います。
○大橋(敏)委員 要するに、自治体の病院の経営が悪化している、これは人件費、物価の上がりに対応できない。それ以前に医療費というものがきまりますからね。そういうギャップといいますか、問題をはらんでいて、非常に困っております。 それで、いま局長さんは、中医協中医協と言っておりますけれども、現実問題として中医協はストップいたしておりますね。大臣、この前折衝なさったそうでありますが、中医協はいつごろから再開される見通しなのか、この際それを聞きたいことが一つ。 それから、いまの自治体病院の赤字に対する人件費物価等による原価補償について国が当然行なうべきだと私は思うのでございますが、それについての御見解をあわせて聞きたいと思います。
○齋藤国務大臣 自治体病院が最近非常に赤字になっておりますことは、十分承知いたしておるわけでございまして、この自治体の病院の財政を再建するということは非常に大事な問題でございます。先ほど来お答え申し上げておりますように、この財政再建のためには、国の立場に立った助成あるいは従来の赤字をどう立て直すか、そういう問題等々がございますので、今後自治省とも十分相談しながら何とか解決の策を講ずるようにしてまいりたいと考えております。 なお、中医協が御承知のように現在正常な機能を発揮できない状況にあるわけでございまして、私もまことに遺憾とするところでございます。何とか一日も早くこの事態を収拾してすみやかに診療報酬の改定の早期実施ができますように全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございますが、いましばらく時間がかかるのではないか、かように見ておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 正直言って、地方自治体は中医協の結論を待つという余裕はないと思うのですね。いよいよ追い詰められているという感じでございますが、当然、地方交付税でどうのこうのという議論もありますけれども、これはもうもともと地方の国有の財産でございますし、当然こうした事態に備えて国が別途に何か援助をしてあげるべきだと私は思うのでございますが、この点について御見解をお願いします。
○齋藤国務大臣 いますぐ国が援助を与えるということをお約束申し上げるわけにはまいりませんが、財政再建について自治省とも十分相談いたしまして善後措置を講じてまいりたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 それでは次の問題に移ります。 看護料の問題ですけれども、絶対的不足額があるということですよね。この前、四月六日の参議院の予算委員会でこの看護料の積算数値が議論されておりまして、保険局長も大体その議論をのみ込まれていたようでございます。私はそれを読んでみて感じたわけでございますが、それによりますと、医学管理料と、室料、給食料と含めますと、合計しますと現行千九百八十円の入院料に対して、原価が三千四百二十五円かかることになっておりますね。差し引き千四百四十五円ということが結局赤字になるわけでございます。千四百四十五円が、七五%を占めることになりますけれども、赤字になる。一面、総医療費の内訳を見てまいりますと、四三・七%が薬代あるいは注射代となっておって、その薬代には少なくとも二割から三割のマージンが含まれている。これは先ほど多賀谷真稔さんの質問のときにもあっておりましたように、薬代について二割、三割のマージン、すなわち、このマージンは潜在技術料ということで収入として含まっているわけですね。そういうことで病院が経営されている、私はこれ自身に問題があると思うのですね。薬から出てくるマージンを含めて病院全体の経営をまかなっていきなさいということは、自治体にとっては不合理だと思うのです。したがいまして、先ほどの看護料千四百四十五円をこのマージン分でカバーしてもらいたいと私は言いたいところなんですね。カバーいたしますと、千四百四十五円の分をパーセントに直しますと、約九%全医療費よりもはね上がることになりますけれども、マージン分を計算しますと、一二・八%ですかになります。差し引きましても三・八%なおかつ余るという計算になるわけでございまして、要するに、全医療費の中にマージン分が十分含まれておりますから、これを看護料の絶対的不足料に充当してほしい、こういうことです。わかりますか。そうしますと、マージン分よりそれを引いてもなおかつ余ることになるから、何とかいけるのではないか。ただし、こういうことを言いますと他に影響が出てくることもありますけれども、まずこの問題だけについてお答え願いたいと思います。
○北川(力)政府委員 私がこの前の予算委員会の分科会で質疑を受けましてお答えを申し上げましたときは、実は看護料等につきましても、あるいは診療報酬全般につきましても、その積算の基礎について私は十分にそれを私なりに了解をしておるつもりはないわけでございます。いまおっしゃいましたのはどういうことか、私もまだ一〇〇%は了解をしかねるのでございますけれども、現在の看護料は、いろいろ先生いまおっしゃったように、基本的な室料でございますとか、あるいは基準看護の問題でございますとか、全部を加算いたしますと、かりに特類看護でやりますと大体二千三百円近いものになるわけでございます。 それからマージンの問題が出ましたが、これはそのときもお答えを申し上げましたが、私は、全般的に診療報酬改定の際に、薬価のマージンというものが二割、三割すべてについて万々間違いなくあるというふうに申し上げたのではないわけでございまして、薬につきましては、ものによりましてはそういうものもある、しかし、昨年二月の改定の際の積み上げた計算のほかに一、全体的な人件費、物件費あるいはいろいろなものを別なサイドからマクロに計算をいたしました場合の積算のしかたとしてその程度のものを見込んだというふうなことがある、そういう意味合いで申し上げたわけでございます。 〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 それから薬価基準の改定の際の薬価と実勢価格との差、この分はいわゆる潜在技術料として診療報酬を改定いたしましても、必ず診療報酬の改定の際にその分を差し引くわけではなくて、技術料としてオンをするわけであります。でありますから、全般的には、潜在技術料といわれております薬価のマージンは、いかなる改定がありましても、必ずその改定のときにそのままのかっこうでいわば物から技術へ乗り移っている、こういう関係になりますので、私はいまの御議論は御議論として拝聴いたしましたが、そういったやり方がいいかどうか。改定のしかたとしましては、いま申し上げました診療報酬の適正化をやっていく適正化の中でいろいろなファクターを考えて、看護面が不十分であれば看護面のかさ上げをする、また、薬価基準と実勢価格とに差があれば、その差というものはきれいにして薬価基準を適正化していく、残ったその差額というものは技術料にオンをして診療報酬の技術面のものとして還元をしていく、こういう考え方でございます。 そういうことをやっていきますれば、これは自治体病院だけの経営あるいは自治体病院だけの看護料の積算基礎という問題ではなくて、診療報酬全般の改定あるいは薬価基準の引き下げ、そういう問題とのからみで処理をしていく問題だと思っております。そういう意味で御理解願いたいと思うのでありまして、自治体病院だけ切り離してやります計算、またはそういう自治体病院だけについて診療報酬改定ないしは看護料の問題についての議論をすることは、診療報酬というサイドから見ますと、やや問題が一般的ではないのではないか、このように考えておるのでございます。
○大橋(敏)委員 あなたがおっしゃるとおりだ。確かに自治体病院の問題だけではない。しかし、身に差し迫った自治体病院の赤字については、看護料の絶対的不足料については、いま言った総医療費の中に含まれる薬のマージンからそれを差し引けば解消されるではないか、そして診療報酬の適正化については別途それ相応の検討を進めていくべきであるということを申し上げたわけです。 そこで、時間が来たようでございますので、ここで質問を終わりたいと思いますが、大臣、いろいろとこうして議論してまいりますと、医療問題にはさまざまな問題がまだ横たわっているわけですね。そうしたいわゆる抜本対策を一日も早く実現されることを希望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。 最後に、大臣の抜本対策に対する決意をもう一回述べていただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 抜本対策を樹立することの必要性については、大橋委員と意見は全く同感でございまして、今後ともそうした方向に向いて最大の努力をいたしたい、かように考えます。
○橋本(龍)委員長代理 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。 午後一時五十七分休憩 ————◇————— 午後二時三十七分開議
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 休憩前の質疑を続けます。小宮武喜君。
○小宮委員 前もってお願いしておきますけれども、いまからの質問は、もうかなりいままで論議し尽くされた問題もありますので二十番せんじ、三十番せんじぐらいになるかもしれませんが、ひとつ丁寧に御答弁をお願いします。 健保財政については、これは政管健保ばかりではなくて、日雇い健保にしても、それから組合健保にしても、また国民健保にしても、いろいろ赤字がもうすでに出始めております。そういうような意味でこれはこういった赤字がどうして出るのかということについて、その赤字の原因について、どのように考えておられるか、まずお伺いします。
○北川(力)政府委員 いろいろいま言われました各種の医療保険によりまして赤字の原因はバラエティーがあると思います。 政管健保の場合は、いつもいわれておりますように、歳入面と歳出面を構成するファクターが結果的に逆ざやになるようなかっこうになっておりますから、これは体質的に赤字であるといえると思います。 逆に健康保険組合等におきましては、歳入、歳出の関係が、そこには多かれ少なかれ、ゆとりがあるわけでございますので、これは基調としてやはり黒字基調であると思います。 そういうことで全般的には、赤字の原因は何かといわれますと、かなりバラエティーがございますけれども、最近の事情から申しますと、やはりこの医療費か相当程度伸びてきておる。もちろんその医療費の伸びというものは、中身といたしまして医療技術を進歩させる、あるいはまたいろんな経済変動に対応さして改定をしていく、こういう意味合いもございますから、その結果としていろいろ伸びてきている。これを歳入面の基礎になる賃金の伸びでカバーできればいいわけでございますが、これをオーバーしていく場合に赤字が出るわけでございまして、そういう意味合いで、最近のいろいろなそういう社会的な事情とか、あるいは医学医術の進歩であるとか、あるいはまた有効な薬品の出現であるとか、そういったことが積み重なりまして、個々の制度については、それぞれバラエティーはありますけれども、赤字基調のものが出てくるのではないか、このように一般的には考えております。
○小宮委員 赤字の原因について抽象的な説明がありましたけれども、それでは、私が考えておりますのは、やはり赤字の大きな原因の中には患者が非常にふえてきたのではないかということが考えられます。したがって、これは昭和三十一年に約三百万だった患者数が四十五年には七百万人にふえていますね。したがって、国民皆保険になった三十一年以後の患者数の推移がどうなっているかということについて、まずお伺いします。
○滝沢政府委員 患者調査によります、これは人口十万単位の数字で私の手元にございますから、申し上げますが、三十一年が三千百四十五、三十五年が四千八百五、それが四十五年六千九百七十七、途中の数字がございますけれども、このようなことになっております。
○小宮委員 現在は。
○北川(力)政府委員 それでは私から、各医療保険制度別のただいまお尋ねの患者数の推移について御説明いたします。 昭和三十一年度と四十六年度の各制度別の受診率を比較いたしますと、政府管掌健康保険の場合は一・二八倍、組合管掌健康保険の場合には〇・九四倍で、これはやや減っております。それから国民健康保険の場合には一・六五倍となっておりまして、組合健保を除いて各制度とも受診率の増加、ただいま御指摘になりました患者数の増加ということは、やはり受診率の増加でございますが、そういった国民皆保険等に伴う受診率の増加が顕著に認められているところでございます。
○小宮委員 それで私が聞きたいのは、その患者数が国民皆保険になってから現在まで、どういうふうに推移してきたかということと、したがって、具体的に何十万とか何百万とかいう数字をあげてもらって、そのうちで結局政管健保別、組合健保別、それから国民健保別にその内訳はこうなっておるのだということを私はお聞きしておるのです。どうですか、わかりませんか。
○北川(力)政府委員 私が申し上げましたのは、患者数ということを、いわゆる受診の率に、受診の率に引き直して申し上げたほうがわかりいいと思いまして、そういう意味合いで申し上げたものでございます。 それでいま申し上げましたように、三十一年度から四十六年度までの分をさらに詳しく申し上げますと、政府管掌健康保険の場合には、三十一年度におきましては、全体の被保険者の中での受診の割合でございますけれども、八・三三四であったものが一〇・六七四、それから組合管掌健康保険の場合には一一・九三七であったものが一一・二〇七、日雇い健保の場合には三・八七六であったものが七・六〇七、船員保険の場合には一〇・九九〇のものが一四・一二一、国民健康保険の場合には九・三四一のものが一五・三九〇、このようになっておりますのが具体的な数値でございます。
○小宮委員 私は、やはりそういうような数字だけでは、たとえば何万百人になったのか——三十一年度で、たとえば百万の人は三十二年にはどうなったのか、三十五年にはどうなったのか、四十年にはどうなったのかという推移を私はお聞きをしておるのです。その数字は持ち合わせないですか。
○滝沢政府委員 全国の推計患者数の推移でございますが、これは先生のおっしゃいますように、先ほどは十万と申し上げましたが、実数で申し上げます。 これは病院、診療所全部のトータルでございますが、三十六年四百七十六万五千、四十一年六百三十四万九千、四十二年六百三十八万四千、四十三年六百七十三万九千、四十四年七百一万八千、四十五年七百二十四万七千、四十六年六百三十八万六千人。以上でございます。
○小宮委員 それでは、この政管健保の一日当たりの診療費の推移はどうなっておりますか。四十一年以降のものをひとつ示してください。
○江間政府委員 政管健保の一日当たりの金額の動きでございますけれども、被保険者本人について見ますと、昭和三十八年、入院一日一千九十七円だったのが、昭和四十六年には二千九百二十一円にふえております。大体三倍近くふえております。家族につきましては、昭和三十八年、入院一日五百九十三円だったものが、昭和四十六年には一千三百六十四円と二倍半、二倍ちょっとくらいにふえております。
○小宮委員 いま、この政管健保、組合健保、国民健保別に、平均標準報酬額は幾らぐらいになっていますか。
○江間政府委員 昭和三十七年について見ますと、政府管掌の健康保険の標準報酬月額は一万九千四百三十五円、それに対しまして組合管掌の健康保険の平均標準報酬月額は二万五千八百三円。それに対しまして昭和四十六年度、政府管掌健康保険が五万六千百十六円、組合管掌の健康保険が六万八千百四十五円、一般的にいいますと、大体両者の間の二割の格差がずっと続いておるというような感じでございます。
○小宮委員 これは皆さん方、昨日の十二時半に強行採決するということで、きのうのこの順序から見て、私は五時からになっておったが、これは当然強行採決によって質疑が打ち切られるということで準備してないんじゃないですか。それはそれとして、もう少しまじめに資料そろえて答弁してもらわぬと困まりますよ。 それから政管は、いまの答弁にもありましたように、やはり政管健保、それに組合健保を比較しても、やはり標準報酬月額が違うのです。特にこの政管健保の赤字が大きく出たという一つの原因には、このインフレによって物価の値上がりが医療費全体を押し上げておるのでありまして、政管健保組合員の収入というものが、この物価の上昇に比例して上がっていない。特に政管健保の組合員は中小企業組合員ですから、そういうふうな意味では物価の上昇に比べて賃金の上昇率が低い、そのために組合健保に比べて保険料収入がやはり低くなっているわけです。したがって、こういった状態の中で政管健保の赤字が出るのは、私はもうこれは当然だと思うのです。 もう一つ聞きますけれども、それではいま申し上げましたように、政管健保の標準報酬月額というのは、四十一年以降どのように推移しておるのか説明してください。
○江間政府委員 昭和三十一年度以降十年間を比較してみたんでございますが、政管健保の平均標準報酬の伸びの割合は、年率にいたしまして一二%ぐらいの割合で伸びております。それに対しまして、組合管掌健保のほうは一一%ほど伸びております。ただし、この両者の差は、主として標準報酬最高月額というもののいわゆる頭打ちの人数が組合のほうが多いということによるものだろうと思います。
○小宮委員 私は政管健保に特に赤字が出た、またあるいは健保財政全体の赤字というものの原因の中には、やはり製薬メーカーだとか医療メーカーの医療費の収奪によるのではないかという気持ちを持っております。今日この国民の総医療費の中に占める医薬品の割合は、四〇%とかあるいは四三%とかいわれております。ほかに医療器械が一〇%それ以外にあるわけです。したがって国民総医療費の中で、医薬品の占める割合は五〇%以上になっております。たとえば四十四年度を例にとりましても総医療費が二兆一千五百十九億で、この五〇%といえば一兆五百億になります。したがいまして、四十一年以降の国民総医療費がどうなっておるのか、ひとつ数字をあげてください。
○江間政府委員 四十一年が一兆三千五百二十二億、四十二年が一兆五千六百四十三億、四十三年が一兆八千四百十九億、四十四年が二兆一千五百十九億、四十五年が二兆五千五百三十四億、以上でございます。
○小宮委員 この総医療費の中に占める医薬品の割合は、いま言われましたように、わが国では四〇%とか四三%とかいわれておりますけれども、イギリスでは九%、アメリカでは一五%になっております。どうしてわが国だけこういうふうに高いのか説明を願いたい。
○北川(力)政府委員 確かに四二・三%という額は一番われわれが問題意識を持っている点でございます。ただ、この額がいま先生が言われました国際的に見て非常に高いかということにつきましては、いろいろ議論があるところだと思います。と申しますのは、技術料が外国に比べて低いために、総体的に率といたしましては薬剤の占める割合が高くなっている、あるいはまた疾病構造等が変化をし、医療内容が高度化してくるなど、医療の質的な変化というふうなものによる点もあると思われます。そういう点も決して少なくないと思われますので、いま統計的に出ております四二あるいは四三というふうな薬剤費の占めます割合が適正な医療の結果であるならば、私どもは必ずしもこれは全面的に否定すべきものでないと思うのであります。 この辺は非常にむずかしい問題でございますけれども、ただ、いま申し上げましたように、薬剤が必要以上に使用されているというふうな御批判もあり、この問題については保険の運営上非常に私どもは問題意識を強めている問題でございますので、そういう意味からいろいろな対策はやっております。つまり診療報酬体系の適正化とか、あるいは薬価基準の適正化とか、そういったことによりまして、そういった面の適正化につとめていきたい、これが現在の実情でございまして、非常にいま問題のある点であると思います。
○小宮委員 国民皆保険とともに製薬メーカー、医療機器メーカーが急成長したことは事実なんです。これは厚生白書でも「このように直接国民の生命に係わりをもつ医薬品産業は、ここ十年間の日本経済の高度成長や医療保険制度の拡充と相まって顕著な伸長を遂げてきた。」こういうふうに書いてあるわけです。したがって、その中でも著しい成長を遂げたのは、この製薬業界の中でも、大小二千くらいありますけれども、その中の約三十社くらいの大手製薬メーカーなんです。したがって三十社といえば時間がかかるから、この三十社の中の特に大手製薬メーカーといわれる数社の最近の年間の売り上げ高、純利益、資本金、こういったものはどういうふうに推移しておるか、ひとつ三十五年以降のものについて説明してください。
○松下政府委員 ただいまお尋ねの大手製薬メーカー通常十二社を標準的にとって、これは有価証券報告書に基づきまして私ども計算をいたしておりますので、それについて御説明申し上げたいと思います。 これはいわゆる専業メーカーだけでございますが、大手十二社の昭和三十五年からの伸び率でございますが、いまお尋ねの三十五年に対比いたしまして四十七年の上期までの決算が出ておりますので、便宜上三十五年の上期と、四十七年の上期と比較いたしましての伸び率をお答えいたします。 資本金の移動状況は、十二社合計で三十五年上期が百三十八億円、それが四十七年上期で六百九十八億円、約五・一倍、売り上げは五百十二億円から二千九百五十四億円、約五・八倍、純利益二十七億円から百五十七億円、やはり五・八倍、そういう増加の状況でございます。 なお御参考までに申し上げますと、その間におきます国民総生産の伸び率が十五兆四千九百九十二億円から七十九兆四百二十一億円、これも約五・一倍でございまして、大体それに相応する伸びを示しておると考えております。
○小宮委員 大手メーカーの著しい成長というのは、やはり不当な薬価による高利潤によるものではないかと私は考えます。たとえばクロマイにしても、これは薬価基準では二百五十ミリもので一錠は四十三円になっております。ところが実勢価格は八円から十円。名の通ったメーカーものでも十五円程度です。ペニシリン系統のアンピシリン製剤についても薬価基準は二百五十ミリもので一錠百六十六円です。 そこで、これはある薬剤師の話ですが、この薬剤師が、このアンピシリン製剤の必要が生じたので、名前は申しませんが、A社に相談をしたところが、最初は百錠で一万円ということをいわれた。しかし話しておる中で、それでは八千円までまけましょう。つまり一錠八十円です。薬価基準の半分まで価格を下げてきたわけです。さらに、この薬剤師は今度はB社に尋ねた。B社では値段は幾らでもよろしいということであったけれども、それではいけないので値をつけてくれと言ったところが、五百錠まとめて買えば一錠四十三円でけっこうです、こういうようにいっております。しかしこの人は五百錠も一度に買う必要はないので、これを断わって次のC社に当たってみた。そうしたら百錠五千円でよろしいという返事があったそうです。そこでこの薬剤師は最初のA社にもう一度尋ねたら、今度はぎりぎりで百錠六千円でよろしいということだったそうです。それで、この薬剤師はC社の百錠五千円、つまり一錠五十円、薬価基準の三分の一以下の値段でアンピシリン製剤を買ったということです。 どうですか。まるでバナナのたたき売りみたいにこういうようなことが公然と行なわれておる。この薬価基準と実勢価格とはどうしてこんなに違うのですか。私はやはり薬価基準が高過ぎるのではないかというように考えますが、厚生省の所見をひとつ承りたい。
○松下政府委員 先生御案内のように、現在の薬価基準の定め方は、厚生省で中医協の御決定に従いまして行なっております年一回の薬価調査に基づいて決定をいたしております。決定方式といたしましては、販売業の全数と医療機関の一定比率のものをとりまして、販売サイド及び購入サイドのほとんど全数調査をいたしておるわけでございまして、その調査の内容に基づきましていわゆる九〇%バルクライン、これも中医協の御意見によってきめておるわけでございますが、安いほうから数えて九十番目までの購入価格、その九十番目の価格をもって基準を決定いたしております。 一方におきまして実勢価格の決定方法は、いま先生御指摘になりましたように、基本的にこれは自由競争による価格でございますので、ふだんの取引の状態あるいは支払いの方法あるいは購入数量等によりまして非常に千差万別でございまして、ある部分の調査におきましては、いま御指摘のような薬価基準よりも相当低い価格で購入しておるという実例もあるわけでございます。ただ、やはり薬価基準とあまりにもかけ離れた商取引が一部においてなされておるということにつきましては、先生も御心配のように、これはやはり医薬品というものの信頼性にも関することでもございますし、必ずしも適当ではございませんので、私どもといたしましても、できるだけ妥当な価格で適正な販売方法がとられるようにという全体的な指導をいたしておるのでございまして、そういった安い価格で売られておるものにつきましては、一方では薬価調査におきまして、その実勢価格をできるだけ薬価基準に反映させる、それから一方ではそういった不当な乱売的な販売方法が行なわれないように厳格なる指導をする、そういう両面の方法によりまして、できるだけ実勢価格と薬価基準とを大きな格差のないものにしていくという努力をいたしておるところでございます。 さらにまた、本年度からは中医協の御意見に従いまして追跡調査等を行ないまして、さらにそういった格差をなくしていくという努力を続けてまいりたい、かように考えております。
○小宮委員 それでまたある例を申し上げますと、ある大手製薬メーカーが東京の各問屋に対して当面の薬価方針を指示しておる内容を見てみますと、薬品別に三段階に分けて、A品目は原則として基準単価で売るもの、B品目は一定の線を設けてそれ以歩の価格で売るもの、それからC品目は大幅に値下げして大量販売してもよろしいという、そういうような趣意書が出ておるわけです。したがって、こういうように値引きしても、乱売しても、これはやはり高い利潤があるのではないかというようにわれわれは見るわけです。特にこの薬価の原価というのは一体幾らなのかということに疑問を持たざるを得ないわけです。 昔から薬九層倍ということばがあります。確かにいまいわれている、いまのわが国の自由競争の中では、お互いにそういった自由競争をすることによって価格のサービス、品質のサービスをするのが自由経済の原則ですが、その意味では、せっかく安く販売できるものでも安く売ってはいけませんよ、薬価基準を設けてこれまでは高く売りなさいというように、薬価基準そのものが、安く販売することができる薬品を薬価基準まで引き上げていって、そして高く売りなさい、もうけるなら、どんどんもうけなさいというようなことにしか理解できないのですが、そういうような意味で、大体薬価の原価というものを調査したことがありますか。
○松下政府委員 いま先生御指摘のように現行の医薬品の価格の決定は、基本的に自由主義経済に基づきますところの企業の自由なる競争によって、適正なる競争によって、できるだけいい製品を安く提供させるということが原則でございまして、特にその医薬品のような商品につきましては、御指摘のような原価を調査すると申しましても、医薬品のような特殊の商品につきまして調査すること事態、たとえば今後の新しい医薬品の開発についてどれだけの経費が適正であるか、あるいは医薬品のように流通の末端段階まで非常に慎重な管理、保管を行なわなければならないものについて、どの程度の管理費用を見込んで利潤を計算することが適正であるかというような点につきまして、技術的にも非常に困難な問題があるわけでございます。 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、原則的にできるだけ実態に即した実勢価格を反映できるような薬価調査に努力をいたしまして、そういった薬価調査を適正に薬価基準に反映させるということに主力を注ぎまして、御指摘のような薬価基準と実勢価格との乖離が起こるということはできるだけ避けるようにする。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 いろいろな調査段階におきますくふうによりまして、いま御指摘のような安く売られておるというような実態がもし普遍的でありますならば、それは次の薬価調査におきまして必ず調査に反映するわけでございまして、そういった方法によってむしろ薬価基準を下げていく、そういうような手段をとることが最も適当な方法ではなかろうか、このように考えまして努力いたしたいと思います。
○小宮委員 それでは、現行の薬価基準は九〇%バルクライン制を採用していますね。どうも私は、なぜ九〇%を採用するのか、しろうとですから何といろいろ説明されても、いまの実勢価格と薬価基準とはあまりにも差があり過ぎる。その意味では、八〇%ではなぜいけないのか、七〇%ではなぜいけないのか。たとえば中医協の中でも、九〇%は高過ぎるから、五〇%にしてもいいではないかという意見もいろいろあるわけです。なぜ九〇%を採用したのか、その根拠について説明を求めます。
○北川(力)政府委員 現在の九〇%バルクライン方式につきましては、二十八年当時に、当時の物価庁から薬価調査についての事務が厚生省に移管をされました際に、物価庁で行なっておりました八〇%バルクラインというものから算出される価格が、厚生省における集計方式に置きかえますと、これが九〇%バルクライン価格に大体近似しているところから、現行の九〇%バルクライン方式というものが採用されておるというふうに私どもは承知をいたしておりまして、自今そのままのかっこうで現在に至っておるような次第であります。 この九〇%バルクライン価格の意味は、ただいま薬務局長からも申し上げましたように、全国の医療機関で購入しております医薬品の九〇%が購入できるような価格ということであります。 このバルクライン九〇%という数字につきまして、いまお話がございましたが、これを平均的な五〇にしたらどうかと、あるいはまた八〇はどうか、七〇はどうか、そういった議論は確かに現在の中医協におきましても、一部の委員のほうから行なわれております。しかし、これはなかなかむずかしい問題でございまして、またこの問題をどういうふうに処理をしていくことが、薬価の適正化につながっていくかという問題は、中医協におけるきわめて重要な審議のテーマでもございますので、現在中医協におきまして、いわゆる診療報酬の適正化の中の一環として、この問題も議論はされておりますので、私どもは現在検討されておる結果を待ちまして、どういうふうに処理をするか、そういう点につきまして十分に考えたい。現在のところはいま申しましたようなかっこうで、この方式が踏襲されておるわけであります。
○小宮委員 あとでまたずっとやりますから……。 診療機関では基準薬価で購入して基準薬価で投薬するというたてまえになっておりますね。しかし、現実にはそういうようには行なわれておりません。このたてまえどおりにいけばもうかるのは製薬メーカーだけなんです。 そこで、三十一年以降、一番多く使用されておる薬品を例にとって、薬価基準の推移をひとつ説明を願いたい。
○北川(力)政府委員 ただいまのお尋ねは、薬価基準がどの程度下がっているかということを例示しろということでございますか。
○小宮委員 一番多く使用されておる薬に例をとって……。
○北川(力)政府委員 それでは、私どものほうでいま持ち合わせております資料で申し上げますと、三十一年ということでありましたが、三十五年以降のものについて申し上げますと、大体次のような品目について次のようなかっこうとなっております。 一つはクロラムフェニコールでございますが、これは三十五年六月一日現在で百二円五十銭でございましたものが、昨年、四十七年二月で四十三円。クロルプロマジン散、これは精神神経用剤でございますけれども、これが同じく三十五年六月で五十五円十銭であったものが、四十七年二月一日では十五円五十銭となっております。それから抗結核剤のイソニアジドについては、同じ時点で十円七十銭であったものが、四十七年で五円であります。またビタミンB1剤の塩酸チアミン散、これが三十五年六月一日で一円六十銭であったものが、四十七年二月一日で五十銭。大体四つの例でございますけれども、このような下がりぐあいを示しております。
○小宮委員 昨年の九月に薬価調査をやっておるはずですね。調査をした結果は、大体ことしの三月ごろ明らかになるということになっておりましたけれども、昨年の九月に実施された薬価調査の結果について報告してください。
○松下政府委員 九月の薬価調査につきましては調査は終了いたしておりますが、現在まだ集計の段階でございまして、結果を御報告するまでには至っておりません。
○小宮委員 ことしの三月ごろに明らかになるというふうに伺っておりましたけれども、大体出ておりませんか。
○松下政府委員 ちょっと御説明が不十分だったかと思いますが、昨年の薬価調査は、現在薬価基準に収載されております品目につきましては、御承知のように一部のものにつきましては銘柄別収載がなされておりますが、大部分のものにつきましては、いわゆる統一限定品目方式をとっております。それにつきまして中医協におきましても、銘柄別収載についても検討すべきではないかという御意見がございまして、薬価調査自体は一応銘柄別の集計もなし得るような調査をいたしております。ただ中医協におきまして、今後の薬価基準の登載方式につきまして銘柄別にすべきかいなかという御結論をいただいておりません関係で、現在そういう作業を控えておるという段階でございます。
○小宮委員 この薬価基準に関連して、わが国の薬品業界で昔から添付販売という商習慣が行なわれておりますけれども、それが国民皆保険が実施されてから各業者間の競争が非常に激しくなって、添付量が次第にエスカレートしております。最低五〇%、通常一〇〇%か二〇〇%、はなはだしきは最高九〇〇%まで添付量が及んで、常軌を逸するような行為が行なわれております。そこで、四十五年の十二月の中央社会保険医療協議会で、添付が行なわれている医薬品については薬価基準から削除すべきであるという決定がなされてから一時下火になりましたけれども、最近再び復活しておるという事実がありますが、その事実を御存じですか。
○松下政府委員 先生御指摘のように四十五年の十二月に、中医協におきまして添付のあった医薬品について、そういった行き過ぎたものについては薬価基準から削除すべきであるという御決定がございまして、私どもとしても、省内にも適正化の組織をつくり、また各都道府県にも指示をいたしまして、医療用医薬品の販売適正化委員会というものをつくりまして、業者に対して非常に厳格な監視指導を行なっておるところでございます。 現在におきましても、もちろん先生がいまおあげになりました方針につきましては変わりはございません。今後ともそういう厳格な方針で臨むつもりでおりまして、各都道府県の適正化委員会におきましても、おりに触れて医療機関、あるいは特にそのメーカー、卸に対しまして個別の指導を行なう等の方法をとっておりまして、現段階におきましては、私どもといたしまして、こういった行き過ぎた添付を行なっておるというようなものは承知をいたしておりません。なお、今後ともさらに厳格な指導を続けるつもりでございます。
○小宮委員 いま添付販売が行なわれている事実は、厚生省としてはつかんでないのですか。
○松下政府委員 さようでございます。
○小宮委員 それでは、もし事実が判明した場合は、四十五年の決定に基づいて、薬価基準から削除するということは、はっきりしてい事ね。
○松下政府委員 そのとおりでございます。
○小宮委員 それからわが国では薬品公害、薬害、これは非常に最近起きていろいろな社会問題になっております。これは御存じのように森永の砒素ミルク事件、サリドマイド事件、その他キノホルム、クロロキン製剤、こういうようなことで非常に薬害事件が多発しておりますけれども、現在製造許可になっておる薬品はどれくらいありますか、わが国で。
○松下政府委員 現在、先生御存じのように、薬事法に基づきまして、薬局方に収載されております医薬品につきましては製造許可だけでございますが、それ以外の医薬品につきましては製造承認を必要といたします。製造承認を現在行なっております医薬品の数は約十万でございます。
○小宮委員 諸外国と比べてどうですか。
○松下政府委員 日本の薬事法と外国の薬事法とでは、それぞれの国の状況によりまして、たてまえが違っておりまして、たとえばアメリカあたりはOTCと称します一般医薬につきましては非常に簡易な方式がとられ、承認許可制度もないというような状況もございまして、これに対応して比較できる数字は私ども持ち合わせておらない次第でございます。
○小宮委員 現行の薬事法では一たん承認された医薬品については承認を取り消す規定がないのですね。したがって、たとえばこういった森永砒素だとか、クロロキンだとか、あるいはキノホルムだとか、こういうような薬については製造禁止されても、やはり登録から取り消すということは、やっていないのでしょう。
○松下政府委員 いま御指摘のように、薬事法にはそういう明文規定はございませんけれども、本来の薬事法のたてまえから申しまして、厚生大臣が医薬品としての製造を承認するということは当然の前提として、その医薬品としての有効性を持ち、また、安全性においても、その有効性との均衡において医薬品として必要であるという判断をするという前提があるわけでございます。つまり、全体として医薬品としての有用性を認めた上で承認をいたすわけでございます。 したがって、承認をいたしました後において、あるいは予測し得ざりし副作用が発見されるとか、あるいは非常に耐性菌が増してまいりまして、医薬品としての有用性が低下してくるというような場合には承認自体その理論的根拠を失いますので、そういった場合には法の明文を用いずして行政法の一般原則に従いまして、当然取り消しをなし得るもの、これは法制局とも相談をいたしまして、法の解釈としてさように考えております。 ただ、ただいま御指摘のような、森永は食品でございますけれども、その他の問題になりました医薬品につきましては、こういった一度承認いたしましたものに対して法律の権限を発動するということは、やはり国の立場といたしまして相当慎重を期さなければならない性格のものでございますし、一方では、しばしばいわれておりますように、こういったものは、やはりそういう問題が生じました時点において、すみやかに適当な処置をとることが、国民の保健医療上より必要であるという考え方に立ちまして、たとえば御指摘のキノホルム等につきましては、その疑いが持たれました段階でメーカーを指導いたしまして、製造、販売を全部停止をさせる、そのような実際上の行政措置によりまして、国民医療上さらに敏速な処置をとって、できるだけ害を最小限度に食いとめるというような努力をいたしておるような次第でございます。法律の解釈としては確定いたしております。
○小宮委員 だから、そういった薬害が発生した薬については、行政指導上の面から製造、販売は禁止しておるけれども、法律上登録されておるものは、そのまま残っておるということですか。そうでしょう。
○松下政府委員 これはケース・バイ・ケースでいろいろでございまして、自発的に承認を取り下げて抹消いたしたものもございます。それから形といたしましては、全部製造、販売を中止いたしまして、そのまま残っておるというものもございます。 私どもといたしましては、先生御指摘のように、実際に製造が行なわれていないものが現在形として残っておるということは、行政事務の簡素化の面からいたしましても、また国民の感情からいたしましても、必ずしも適当でないということも考えておりまして、そのために昭和四十六年度から五カ年計画をもちまして、医薬品の薬効及び安全性の再評価ということで、現在なお製造を続ける意思を持っておる医薬品全部につきまして、メーカーから再度資料の提出を求めまして、再評価の事務を現在進行中でございます。そういった段階におきまして、メーカーが製造の意思を持たない医薬品はおのずから明らかになりますので、その段階におきまして全体的な整理をいたしたい、さように考えております。
○小宮委員 現在製造許可になっておる医薬品は、いま十万という答弁をされましたけれども、実際に製造、販売されておる医薬品は、十万のうちでどれくらいですか。
○松下政府委員 約四万品目でございます。
○小宮委員 そうすると、あと残りの六万というのは、製造許可になっておりながら、実はそのさま製造販売をされていない。ただ登録されたのは、そのまま残っておるということなんですね。それは、いま薬事法の規定に取り消しの規定がないもんだから、そのまま残っておるということなんです。 特に私が心配するのは、そういうように薬害を起こした薬について、そういう製造承認の登録がそのまま残っていれば、またいつこれを使わぬとも限らぬし、往々にしてあるわけです。だからもう一度、この薬事法の改定をやって、現実に、十万の製造許可をとっておる医薬品が、四万しか製造販売されてないから、六万については、そのままもう死文化してしまっているわけです。特に行政指導の面で、そういうような薬害を起こした薬については製造、販売は禁止しておるというけれども、これも登録のまま残っているわけです。この際、そういった薬事法を改定して、その承認を取り消すというような措置がなぜとられぬですか。
○松下政府委員 これは御質問の前にお答え申し上げたようなかっこうで失礼いたしましたが、先ほど申し上げましたように、現在そういうことも含めまして、薬効問題懇談会の答申に基づき、薬事審議会の中に特別部会を設け、さらに各薬効群別の専門家による調査会を設けまして、全品目の医薬品についての薬効安全性の再評価をいたしておるわけでございます。 先ほど申し上げましたように、やはり製造するかどうかというのは、第一義的にはメーカーの意思にかかっておるわけでございまして、非常に珍しい病気に使われる薬であって、それほど生産量はないけれども必要だという医薬品もございまして、したがって製造されてないという短期間の実績だけで全部取り消すということも、これも適正を欠く場合もございますので、メーカーの意思と、それから客観的な医薬品としての適格性、両方の面からこういうものは整理をいたすのが最も妥当であるという前提のもとに製造を継続する意思のある医薬品についてはメーカーからその有用性を証明する資料をさらに提出させて、その専門の委員会において御審査を願って薬効を再評価する、安全性を再確認する。同時にそういった意思を持たない医薬品につきましてはメーカーが資料を提出してまいりませんので、その段階におきましてメーカーが製造する意思がないということを確認いたしまして、こういったものを全部承認あるいは許可の対象から整理する、そのような措置をとるべく現在作業を続けておる段階でございます。 御指摘のようなことは十分含みまして作業をいたすつもりでございます。
○小宮委員 いま答弁の中にありました薬効問題懇談会の問題ですね。これも四十五年の九月に厚生大臣の私的諮問機関として発足したものですね。そして四十六年の六月に再評価について答申がなされているわけです。しかし答申がなされてから、もうまる二年を経過しようとしているわけです。その間のこの作業はどうなっておりますか。
○松下政府委員 御指摘の四十六年七月の懇談会の答申に基づきまして、さっそく四十六年十月、中央薬事審議会、これは御承知のように薬務行政全般に関する厚生大臣の公的な諮問機関でございます。その中に医薬品再評価特別部会というものを設置いたしまして、さらに薬効群と申しておりますが、効能別の医薬品、これは約三十薬効群になりますけれども、その薬効群別の専門調査会といたしまして、第一には共通の事項を調査いたします基礎調査会、それから薬効群といたしましてはビタミン等代謝性製剤、それから抗菌製剤、精神神経用剤、その各調査会を四十六年度に設けまして、それから四十七年度には循環器官用剤、肝臓障害用剤、鎮痛剤、麻酔剤、アレルギー用剤、呼吸器官用剤、その六調査会、さらに本年度におきましては外皮用剤、ホルモン剤、消化器官用剤、そういった調査会をまずつくりまして、並行してこの再評価の作業を進めております。 これは御想像いただけますように、医学的には相当困難な精力の要る仕事でございまして、これがあまりにも制限的に解釈されますと、医療上支障を来たすというおそれもございますし、また、これがいままでのが、そのままほとんど認められる——学問的にそうなればけっこうでございますが、あまりにもゆるやかになりますと、その作業の目的にも沿わないという要素も出てまいりますので、ほとんど臨床の専門家がおもでございますけれども、こういった方の御意見に基づきまして慎重な審議を続けておる段階でございます。こういったそれぞれの調査会の御結論を得次第、薬効群別に順次結論を出して作業を進めていく、そのような段階でございます。
○小宮委員 新薬の申請件数は年間何件ぐらいあって、承認されるものは何件ぐらいあるのか、ひとつ参考までに説明願いたい。
○松下政府委員 年間の製造承認の申請件数でございますが、一ころは非常に件数が多かったわけでございますけれども、四十二年以降次第に審査の基準をきびしくいたしまして厳格な資料を要求しておる関係もございまして、やや数が減ってきております。四十六年で申しますと、新開発医薬品、これはいままで全くなかった新しい物質を医薬品として使いたいという申請でございますが、これが約百件でございます。それからその他の医薬品、これはいままでにすでに承認を得ております医薬品と大体同じような種類の医薬品でございます。それが約六千件。それから四十七年で申しますと、新開発医薬品が約百件、それからその他の医薬品が約四千件、そういうような数字になっております。
○小宮委員 間違いないですか。
○松下政府委員 それから承認されました件数は、四十六年で新医薬品が約百四十、これは、新医薬品はかなり時間がかかりまして、前年度のがずれ込んでおる関係で、申請よりもふえております。それからその他の医薬品が約五千、それから四十七年におきましては、新医薬品の承認が約八十、その他の医薬品が、これも前年度からのずれ込みがございまして約六千でございます。
○小宮委員 この提出書類の審査を行なう審査担当官は何名ですか。
○松下政府委員 これは必要に応じまして——薬務局の中の薬剤師の技官相当ございますので、忙しいときには動員をいたしましてやっておりますが、専任でこれに当たっております担当官は五人でございます。
○小宮委員 なぜ私がこういうような質問をするかと申し上げますと、いまのように申請件数が、四十六年でも六千件、四十七年に四千件ですね、新薬開発のものもありますけれども。五人くらいでこれを審査するとすれば、この人が年間かかりきりでも、六千件の場合に千二百件ですね。その間会議もあろうし、出張もあろうし、病気する場合もあろうし、あるいはまた休暇で休む場合もあろうし、そういうようなことを考えると、これは年間だけを単位にはできませんけれども、一件当たりの書類の審査時間というのは、もうほんとうに微々たるものですね。 そういうようなことであるから、いろんな問題が起きてくると私は思うのです。審査官というのは、そういうように時間がないから、メーカーから出された資料をそのままうのみにする以外ない。うのみにして、それを審査して承認を与えた結果が、いろんな薬害を起こしているわけですから、やはりもっと審査担当官をふやして、製薬業者から出された資料をそのままうのみにせぬで、もっと慎重にこの審査をする体制をつくるべきじゃないのか。そのためには審査官もふやそうし、予算もつけて、国民が安心して薬害が起きないような十分な体制をつくるべきだと私は思うのですが、どうですか。
○松下政府委員 御指摘のとおり私どもといたしましても現在の審査事務は、相当担当官が仕事に追われておりまして、これで七分であるとまで申し上げるつもりはございませんけれども、ただ、いま御指摘の審査官の行ないます仕事は、こういった提出された資料に基づきまして、特に先ほど申し上げました約百件の新医薬品につきましては、そういった提出されております資料等が法令あるいは行政指導に従って整備されておるかどうかというような審査をいたしました上で、やはり中央薬事審議会の新医薬品特別部会のさらにその傘下にございます各専門の調査会に提出いたしまして、その調査会で専門の方々によります非常に慎重な審議がなされるわけでございます。 これは大体毎週一回くらい忙しい先生方にお集まりをいただいておりまして、それでもいろいろな追加資料等求めまして、時によりますと、先ほど申し上げましたように一年へ二年の長期を要するというようなものもあるわけでございまして、新規の医薬品につきましては非常に厳格な審査をいたしております。それからまた一般の従来ありますような医薬品につきましても、先ほど申し上げました四十二年にそれまでの審査方針をさらに厳格にいたしまして、その医薬品によります吸収、代謝、排せつの資料等を添付させるというような厳格な基準を課し、さらにその品質の確保をはかるための規格試験方法、そういったものを必ず提出させまして、これは自家試験をさせるための基準でございます。 その試験方法につきましては、これは必ず専門の機関である国立衛生試験所で実際にそれを実施してみまして、その試験方法が適正であるかどうかというようなことを検査いたしまして、そういったことも含めて審査をいたしておるわけでございまして、必ずしもいま申し上げました五人の審査官だけで、こういった審査が行なわれておるというものではございません。 また、新医薬品につきましては、特に添付いたします資料は、これは原則といたしまして専門の学会誌等に発表されまして、学会において、公的な権威を認められておるものに限って添付を認めております。そういうような非常に厳格な審査をいたしておるわけでございますが、なお御指摘のような点につきましては、私ども増員あるいは機構の整備等につきまして努力いたしますと同時に、また、公的な検査機関といたしましても衛生試験所等をさらに整備いたしまして、国民に御心配をかけるようなことのないように努力いたしたい、そのように考えております。
○小宮委員 いま、中央薬事審議会の問題が出ましたけれども、わが国では、製薬メーカーとそういうような医学者との間にいろいろな癒着があるという問題が、いまいわれておるわけです。たとえばある大学の、名前は知っておるけれども申しません。大学の医学の研究グループに対して、製薬業界からかなりの寄付金がなされております。こういうようなことから、いま私が申しましたように、たとえば中央薬事審議会で審議するにしても非常におざなりになる、あるいはいろいろなうわさが出ておるということを、われわれ耳にしておりますけれども、やはりそういった各研究——国立大学ですよ、国立大学の研究グループにすら製薬業界から寄付金が出されておる。金を申し上げてもいい、大学の名前を申し上げてもよろしゅうございますが、それは言いません。 だからそういうことでは、いま中央薬事審議会が非常に公正に厳格に審議されておるといいながらも、国民の目から見れば疑惑を持たざるを得ません。したがってこれは、文部省の関係になろうかと思いますが、やはりそういうような研究グループが要する研究費用を、製薬業界からの寄付を受けて研究するというような体制では、これはもうもってのほかだと思う。やはりこれは、十分研究がやれるように国としても予算措置をすべきであって、そういった予算措置が少ないから、そういうような製薬業界から寄付金を受けて研究費の足しにしておるということでは、これは将来日本の医療というものをゆがめていく結果にもなりますので、その点だけは、文部省が来ておりませんけれども、そういうことが万々ないようにやってもらいたいということを文部省のほうに伝えてもらいたいと思いますが、どうですか。
○松下政府委員 御趣旨の点、文部省にも伝えますと同時に、私どもも所管の製薬メーカーに対しましても、寄付をすることはけっこうだろうと思いますけれども、そういう疑惑を招くような形にならないように十分注意いたしますように指導いたしたいと思います。
○小宮委員 それでは、大臣が手持ちぶさたでおられるようですが、すでに御存じのように、中医協で診療報酬のスライド制導入問題をめぐって診療側委員と支払い側委員との間に意見が対立して、診療側委員から会長不信任が出てみたり、さらには中医協をボイコットしておるというような事態が続いております。この紛糾しておる事態について大臣もだいぶ努力しておられるようですが、大体診療側の態度が非常に強硬であるために、いま行き詰まっておるような状態だとわれわれは拝見しておるのです。大臣、この中医協の紛争は解決する見通しがありますかどうか、どういうふうに解決されるとお考えですか。
○齋藤国務大臣 御承知のように、中医協で医療担当者側が会長を信任しないという書面を私のところに提出いたしまして、それ以来紛糾をいたしておるわけでございます。私も医療担当者側並びに支払い側、両方の方々にもお目にかかりました。公益側の方々にもお目にかかりまして、いろいろ御意見のあるところを承ったわけでございまして、対立点は相当深刻な、根深いものがあるように感ぜられるわけでございます。 そうした各側のいろいろなお考えに対して、私がいまとやかく批判がましいことを申し上げることは、かえって事態を解決するためには適当でございませんから、そういうことは触れることを差し控えさしていただきたいと思いますが、私は現在の医療機関が公私ともに経営が非常に困難であるという事情にあること、その他等のことを考えまして、一日も早くこの事態の収拾をはかりまして、中医協が正常な機能を発揮できるように努力しなければならぬと日夜考え、またそうした方面の努力をいたしておるわけでございます。 いつ解決するかということになりますと、いますぐその確たる日にちを申し上げることは私はできませんが、なるべく早くこれは解決しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。私どもとしては、できるだけ早い機会に解決をしなければならない、国民のために迷惑をかけるばかりでございますから、解決しなければならないというふうに考えて努力をいたしておる次第でございますが、相当根深い問題もあるようでございますので、もうちょっと時間がかかる、こういうふうに私は認識をいたしておるような次第でございます。
○小宮委員 大臣は診療側が主張しておる診療報酬のスライド制について、診療側に対してこういうことを言っていましたね。四十六年七月当時の齋藤厚生大臣と武見会長との了解事項であり、当時の佐藤首相も確認しており、継続責任の原則からその趣旨の実現に努力する、こういうふうに言っておられますね。これは医師会の保険医総辞退の収拾にあたって、当時の齋藤厚生大臣と武見会長との間の約束かもしれません。しかし、これは、中医協の中で支払い側委員、公益委員にも、正式にもはからないまま、討議もされないまま厚生大臣が武見会長とそういうような約束をしたということについて私は問題を感じますけれども、それは別にして、その当時の、いまの齋藤厚生大臣の前の大臣ですが、武見会長との間に約束された、密約事項ですかどうか知りません、われわれはあまり国民が知らぬから密約事項だと思うのですが、その約束された内容について、ただ診療報酬のスライド制の問題ばかりではないと思う。それをひとつこの際明らかにしてもらいたい。武見会長と前齋藤厚生大臣の約束した事項について。
○齋藤国務大臣 これは四十六年の七月、総辞退のあとに、厚生大臣と武見会長との間に了解事項が発表され、この事項の了解にあたりましては、時の佐藤内閣総理大臣も確認をいたしておるわけでございまして、これはもし必要がございますれば、その当時の了解事項というのを書面で差し上げてもけっこうでございますが、いろいろな項目がございます。 いまお述べになりましたような「診療報酬を物価、人件費にスライドしていくことについては、厚生大臣としても之が実現に努力する。」というような項目と、さらに「右実施についての了解細目」として「国民の連帯意識の高揚、生存期間の一貫保障、労務管理と社会保障の分離、負担と給付の公平、低所得層の有病率の高いことの考慮、医療従事者の質的向上」等々たくさんの実施項目があるわけでございますが、この約束には密約といったようなものは全然ないと私も承知をいたしておるわけでございます。 そこで、この約束と私との関係になるわけでございますが、同じ自民党政権下にあるわけでございますし、あの当時の齋藤厚生大臣が約束したことについて、私に代がかわりましても、あの当時の約束は知らぬのだというて避けるわけには私はいかぬと思うのです。やはり役所というものは、その責任は継続していかれるべきものである、かように考えておるわけでございますので、先般医療担当者側にお目にかかりましたときにも、この紛糾しておる事態を解決するという意味ではなくして、一般的にこのスライド制については、以前の齋藤厚生大臣のお約束しましたことは私も継続して尊重いたしますということを申し述べておるわけでございます。この中には密約などは全然ございませんので、もし必要がございましたら、書面を差し上げることにいたしたいと思います。
○小宮委員 ややもすれば——たとえは今度の春闘共闘委が最後のストライキの収拾の段階で、春闘共闘委の発表では、年金の賃金スライド制については五十年をめどに努力する、こう厚生大臣が言ったというようなことで堂々と発表されているわけです。厚生大臣は、そういうような約束はした覚えはありませんと言うし、国民は何が何やらさっぱりわからない。 だから、たとえばこういうような文書で回答した部分、あるいは口頭でまあまあというようなことを言ったのか、口頭での了解事項とか、暗黙の中での了解事項とか、いろいろ多いものだから、国民はさっぱり真意かとこにあるのか——これはまた年金の問題のときにいまの問題に関して質問しますけれども、そういうような意味で、このような問題のほかに、たとえばちょうど昨年の改正案では、組合健保とか政管健保の財政調整の問題が顔を出しておった。今回はこれは引っ込めておる。こういうようなことも、これは武見会長の年来の主張なんですね、組合健保と政管健保の財政調整の問題は。 そういうような意味では、このことも約束の中にあったのではないかというふうに私は勘ぐっておるわけですが、これの中にはないようですけれども、これも昨年の改正案には出ていたわけですよ。今度は引っ込めております。この点については、そういうような約束は、責任の継続の原則からいってどうでしょうか、全然ないですか。
○齋藤国務大臣 公的地位にある方々がいろいろな約束をしましたときに、密約などというものを結んではならない、これは当然でございます。財政調整につきましても、そういう文言はありませんし、私はそういう密約はないと承っております。
○小宮委員 大臣は、いまの問題にしても、この診療報酬の問題にしても努力すると言われておりますけれども、中医協はこれまで大臣の諮問方式をとっていないのですね。中医協というのは、いままで建議方式一本やりできているわけです。そうすると、そういうような中で大臣が努力をすると言明してみても、どういうふうな努力をするのか。また、これは支払い側委員も公益側委員も、大臣が診療側の委員に所信を述べておるだけであって、支払い側委員も知らなければ、公益委員の方々もそういうようなことは知らないわけですね。そうすると、どういうふうにその努力をするのか。結局中医協の審議をそういうようなことで拘束することになるのか。具体的に、大臣が努力するということは、どういうふうな努力をするのか、よくわかりませんので、教えてください。
○齋藤国務大臣 非常にむずかしい問題でございます。が、努力するというのは、もちろんこの努力によって、私がいろいろなことを申し上げることによって、中医協を拘束するなどという考えは全然持っておりませんし、中医協は独自の諮問機関でございますから、独自の権能で活動をするわけでございます。したがって、私はそれを拘束するなどということはできませんが、努力のやり方については私はいろいろあると思うのです。 厚生省はこういうことを考えておるので、こういうこともひとつ考えてもらいたいというようなことを会長を通してお願いをするというやり方もありましょうし、各側にお目にかかったときに、私は、こういう約束が継続して、私の責任でございますから、あなた方ももう少しこういうことを考えてくださいとか、それはやはりいろいろなやり方があると思うのです、努力の方式は。まあ一番いいのは、それは諮問するというやり方が一番いいと思うのです。それはもう単刀直入、私はこういうように考えているから、これについて意見を出してくれ、こういうふうなことを言えば、一番端的にいいと思いますが、いまの段階でそれをやると、また、これ、たいへんなことになるわけでございまして、その努力のやり方というのは非常にむずかしいと思いますが、私はまたやり方もおのずからにあるわけでございまして、どういう努力のやり方をするのか、具体的に言ってみろというても、やはり言いにくいものもございます。しかし、最大の努力はいたさなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
○小宮委員 大臣も診療側にまたいいようなことばかり言っておるようだけれども、はたしてそううまくいくかどうか。その場をおさめるためにそういうようなことを言ったのか知りませんが、さらに大臣は、最近の賃金、物価の動向にかんがみ、診療報酬の改定はすみやかに実施するということも言明しておられますね。 そうしますと、私が思い出すのは、中医協は非常に長期間にわたって再開されないという事態が発生した場合に、これは以前、神田厚生大臣が職権告示で医療費の改定を行なわれたときがあります。そうしますと、大臣はこちらでは、診療側にはこうこう努力すると言うておる、こちらではまた、その診療報酬の改定をすみやかに実施すると、こう言っておる。そうすると、中医協はなかなか再開できない、いまのようなことでは相当の問題があるようです。そうなると、やはり、いよいよ大臣が、国会が閉会にでもなったあとで、職権告示で診療費の改定を行なうのではないのかという——これはまあ齋藤厚生大臣はそういうようなことは万々ないと思いますけれども、前にそういう前例があるだけに、私ちょっと気になりますので、その点は、いいえ絶対にいたしません、そういうようなことはありませんというお気持ちがあれば、はっきりここで言ってもらいたいと思う。その点、ちょっと気にかかるところがありますから。
○齋藤国務大臣 私は、最近の賃金、物価その他の経済状況からかんがみまして、できるだけ早い機会に診療報酬の改定をやっていただきたいと思っているのです。この旨は私は、医療担当者側にも、支払い側にも、公益側の代表である会長にも、実は個別にお願いをしておりました。しておったわけでございますが、こういう事態になっております。そこで私も一日も早くと思っておりますが、長引いたら待っておれぬから、おまえは職権ででもやる考えがあるかといったふうなお尋ねのようでございますが、私は職権でやるということはよくないことだと思います。いやしくも中医協という機関が法律に基づいてできておるわけですから、その中医協の御意見というものを無視して職権で医療費を告示する、そんなことはもう全然考えておりません。この点は、はっきりさしておきたいと思います。
○小宮委員 それでは、健保の改正案について質問をしますけれども、今回の改正のねらいというのは、これまでの政管健保の赤字を解消するために二千八百億に及ぶ累積赤字をたな上げする。それと同時に、保険料を値上げすることによって九百六十六億の増収を見込み、さらに国庫補助を一〇%増すことによって八百十一億の増収をはかる一方、給付改善による五百九十三億の支出増と単年度赤字を差し引いても、なお十億の黒字財政にしようとするものだというふうにいろいろいわれております。私もそのように理解しておりますけれども、それでは、改正案によった場合に政管健保の収支の概要はどうなるのか、ひとつ説明願いたいと思います。
○江間政府委員 お答えいたします。 政管健保の対策が原案どおり実施されたと仮定しますと、満年度ベースで大体均衡するということになっておりますが、たとえば満年度ベースの場合で申し上げますと、改正前の収支の見込みは大体構造的に一千百七十九億円の赤字になることになっております。それに対しまして、診療報酬の上下限の改定、これによります増収が四百九十億円ほど見込まれるわけでございます。そうして定率国庫補助の導入によりまして八百七十三億円ばかり収入がふえます。 一方、給付改善によります支出増は七百二十四億円でございます。さらに保険料の増収でございますが、これによりまして増収が五百四十八億円。その内訳は、保険料率を千分の七十から千分の七十三に引き上げます部分が三百三十二億円、特別保険料の部分が二百十六億円となっております。 以上申しましたように、このまま放置いたしましたならば生じるであろう一千百七十九億円に対しまして、増収とそれから給付改善によります支出増、そういうものを差し引きますと、八億円ばかりの黒になるということであります。
○小宮委員 この累積赤字をひとつ年度別に数字を示してください。
○江間政府委員 昭和三十九年度から申し上げます。昭和三十九年度が百七十三億円、四十年度が六百六十九億円、四十一年度が九百七十八億円、四十二年度が一千九十九億円、四十三年度が一千百八十七億円、四十四年度が一千三百十九億円、四十五年度が一千七百八十六億円、四十六年度が一千九百八十億円、四十七年度はまだ決算が済んでおりませんで見込みでございますが、大体二千八百億円の予定でございます。
○小宮委員 この改正案によりますと、弾力条項の発動は診療報酬の改定や給付改善その他緊急の場合に限って実施するということがいわれておりますが、この点について大臣は、本年度医療費の自然増は八・九%に対し保険料収入は一二・三%にのぼる見込みであるので、医療費の改定がなければ収支は保てる、こう説明しています。しかし、昨年並みの一二%の改定があった場合は約百八十億の赤字が出ることが予想されるということで、説明がいろいろ委員会の質疑の中で出されております。そういうような意味では、それでは一二%の改定があった場合はこの百八十億の赤字が出る。診療報酬の改定が何%くらいまでならば弾力条項の発動はしなくても済むのか。その点どうですか。
○江間政府委員 その点につきましては、いままで何べんもお答えしてあるところでございますが、大体保険財政の収入の増を対前年比で一六%くらいのものを見込むといたしまして、そして標準報酬の最高限の改定が適切に行なわれるという前提で考えますと、医療費のいわゆる自然増を大体九%程度と考えまして、そこら辺から大体六、七%ぐらいの医療費の改定にはたえられるのではないかというふうに考えております。
○小宮委員 この弾力条項の保険料率を〇・一%ずつ上げるごとに国庫補助率が四%ずつふえていくわけですが、この〇・一%と〇・四%とのかね合い、これは何か根拠がありますか。
○北川(力)政府委員 弾力条項といわれるものによって保険料率を〇・一%上げました場合に改正案では国庫の補助が〇・四%つくことになっております。これは一つは基本的に御了解願いたいことは、弾力調整規定を援用する場合が、いまお話にありました診療報酬の改定でありますとか、あるいは医療給付内容の充実でありますとかそういった場合に行なうわけでございますけれども、その場合には当然にやはり負担増が伴ってまいります。それについて従前と違っておりまして、とにかくそういう場合には保険料負担、つまり労使の負担に加えて国も応分の負担をつき合うということがまずあるわけです。そのつき合う率が〇・四%でいいかどうかというお尋ねだろうと思うのでございます。 これは四十八年度ベースで考えてみますと、〇・一%保険料を上げました場合に、満年度でその財政効果は約百十億円。労使折半で五十五億円ずつでございます。これに対しまして〇・四%は約三十五億円に当たっておりますので、大体被保険者負担あるいは事業主負担の五十五億に対して、その程度のものをつき合うということでございます。 それで、どうしてそういうことになるかということになりますと、絶対的に〇・四%でなければならないという絶対的な理由はあるいはないかもしれませんが、いま申し上げましたように、とにかくそういった率で国が医療会計とか保険給付内容の充実の場合の労使の負担に国も補助をする、そういうところに大きな意味があるわけでございます。いまのようなかっこうでも、そのつき合う率はまず労使の負担に大体近い線までつき合う、こういうようなかっこうになっておりますから、そういった意味でその基本的な意味と、また〇・四%の大体の意味するところを御理解願えれば幸いであると思います。
○小宮委員 料率が〇・一%上がった場合に百十億で、労使折半して五十五億、そして今度国庫補助率のほうは〇・四%上げた場合、三十二億と私は見ておるわけですが、三十五億と言われれば、まあそれはそれでいいですが、その場合、何も根拠はないわけですね。ただ近づけたというだけの話であって、かりに五十五億、労使折半分の五十五億負担するとした場合には〇・四%はどういうふうに数字が変わりますか。
○北川(力)政府委員 大体〇・六%を少し上回る程度だと思います。
○小宮委員 これはやはり政管健保の場合に、ただでさえ中小企業に働いておられる方々の生活というのは非常に苦しいし、しかも、やはり大手企業に比べて、組合健保の方々に比べれば賃金の上昇率も低い。したがって、そういうような立場から見れば、この〇・四%の根拠にしても、ただ近づけたというだけでは、はっきりした、われわれが納得するような根拠はないわけです。そういった意味では、私はやはり少なくとも折半分の五十五億に近づくように〇・六%ぐらいまでは引き上げるべきだというように考えておりますけれども、実際いまの財政状態からいって、国が〇・二%上げても、これはもう金額にしては微々たる問題ですから、この問題についてもそういうような、もう少しふやすような考え方をしてもらいたいと思うのですが、これについては、大臣にひとつ、そういうようなことはどうしても〇・四%でなければいかぬというような考え方があれば、その考え方を承っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 この問題はたびたびお答えいたしましたように、将来の労、使、国との負担割合というものをいろいろ考えまして、今後は労、使、国、すなわち三者三泣き的な金額にしたらどうだろうかということで〇・四%ということにしたわけでございます。五十五億、五十五億と、大体三十五億。そこで、これは先ほども局長から話のありましたように、〇・四%でなければならぬという根拠はありません。できるだけ三者三泣き的な方向に今後は持っていきたい、こういうことで考えたわけでございます。 ところで、先般橋本修正案が提出されておりますが、それによりますと〇・六。〇・六ということになりますと、金額的にも三者ほぼ同額、たしか〇・六が五十五億に近い、五十五億よりちょっと減るかと思いますが、まあ五十五億に近い額になるわけで、ほんとうに名実ともにといいますか、一二者三泣きみたいな額になるわけでございます。そこで、この橋本修正案につきましては、皆さまの御協力をいただいて成立いたしました暁には、私としてはこれを尊重し、同意をいたしたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
○小宮委員 その橋本私案ばかりでなくて、われわれも強く要求するところですが、特に家族給付の六割の問題これにしても、これは七割をわれわれは強く要求しておるわけですが、橋本私案では、来年の十月からということでございますが、ことしの十月から実施した場合に、この弾力条項はどうなるのか、いまの弾力条項を発動せずに済むのか、七割にすれば発動しなければならないのか、来年の十月から実施するとすれば、弾力条項を発動せずに済むのか、ことしの十月からやれば発動しなければならないのか、発動するとすればどのくらいの料率引き上げになるのか、ひとつお答え願いたい。
○北川(力)政府委員 今度お願いをいたしております改正案で、いわゆる料率の弾力調整規定が実際に適用されますのは、四十九年度以降の財政収支に関連してでございます。そういう意味合いで、いまお話にありましたように、かりに七割給付というものを本年十月からというお話がございましたが、そのことによる本年度じゅうの弾力調整規定の具体的な援用というものはないものと私は現在のところ考えております。 ただ、そういう場合におきましても、四十九年度におきましては、この七割の給付の問題は満年度で影響してくることは事実でございます。それからまた、四十九年度十月、すなわち橋本私案にございますようなかっこうになりました場合には、もとより四十九年の十月からの分について七割に給付が上がるわけでございますから、その分については当然に給付費がふえてくる、そういう状態になるわけでございます。したがって、四十九年度以降のこの弾力調整規定の援用ということになりますると、四十九年度以降におきましてはそういったケースが予測をされる、つまり本年度じゅうではなくて、来年度におきましては当然にそういうことが予測される、こういうように私どもは考えております。 なお、いろいろケースがございますが、これを来年度十月から行なった場合に政管健保でどの程度の負担になるかということにつきましては、社会保険庁のほうからお答えを申し上げす。
○江間政府委員 四十九年度につきましては大体四百億くらいの支出増になるかと思います。
○小宮委員 それから昨年末、社会保険審議会で健保改正についての意見書を厚生大臣に出しておりますが、この意見書では、これは保険料率の引き上げとか、特別保険料の徴収、弾力条項には反対である。しかし、反対意見があったにもかかわらず、改正案でそのまま意見が無視されて織り込まれておるし、一方、審議会が満場一致で答申をしておるところの家族の七割給付は実現されていない。 私、いつも思うんですが、審議会、審議会と審議会がたくさんあるわけですけれども、政府は都合のいい場合は、審議会の意見を尊重するとか、自分たちの都合の悪いときは審議会の意見を無視するとかいうような、どうも政府は審議会を隠れみのに利用しておるような感じがするんですが、大体大臣、この社会保険審議会というものの存在をどのように見ておられるのか、ひとつ所見を聞いておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 審議会は、厚生大臣に対して社会保険に関するいろいろな建議なり、諮問に答えたりする一つの機関でございまして、私は関係各方面とも非常に見識のある御意見をお寄せいただいておるわけでございまして、厚生行政進展のためには非常に大事な機関であると私は考えております。しかし、この審議会の御意見がなかなか満場一致で出てこないのでございます。労使それぞれ意見が違う、公益側もまた違う、こういうわけで、いろいろな答申が出るときは並行答申なんというおかしなことは——おかしなと言っちゃ、これまたしかられるかもしれませんが、そういうさまざまな意見がばらばらで出てくるという面があるわけでございます。そういうようなことで、全会一致で来るなら、これまたわかるんですが、必ずしもなかなかそうもいかないという面もあります。 そういうようなこともありまして、私どもこの審議会の意見をもとにして案をつくりますときには、まあ大体大方の意見はこの辺かなあというところを十分踏まえて案をつくる、こういうことになっておるわけでございますが、私にとりましては、それにしても非常に大事な機関であると考えております。
○小宮委員 それでは、ひとつ具体的に計算をして教えてください。 今度は標準報酬の上限も現行の十万四千円から二十万円に引き上げた。したがって、かりに標準報酬月額二十万円の人は、今回のたとえば特別保険料、標準報酬の改定、保険料率の引き上げ、これを、この改正案によった場合に、幾ら負担がふえるのか、ひとつモデル的に計算してください。
○江間政府委員 お答えいたします。 標準報酬二十万円の方は、従来は十万四千円で計算しておったわけでございます。現行の保険料月額は三千六百四十円であったわけでございます。このたび標準報酬の最高限その他のいろいろな改正が行なわれまして、その結果といたしまして、保険料月額のもろもろの統計は七千六百三十九円になります。
○小宮委員 これは全部入れて……。
○江間政府委員 全部入れてでございます。 内訳を申しますと、上限の改定によります分が三千三百六十円、それから保険料率千分の三上がることによる分が三百円、それから賞与に対する分が三百三十九円ということでございます。賞与はいま十二分の一を申し上げたので、これを十二倍いたしますと、七千六百三十九円になるわけでございます。
○小宮委員 これは個人の負担の分ですね。二十万円の標準月額の人ですね。
○江間政府委員 被保険者の負担分でございます。
○小宮委員 それでは、今度は健康保険法の改正だけでなくて年金法の改正も出ているわけですね。そうすると年金法の改正も加えた場合に、この人は両方合算して幾らの負担になりますか。
○北川(力)政府委員 ただいま医療保険部長から申し上げましたように、賞与の問題は、いま三百三十九円でございますが、一応賞与を別にいたしますと、健康保険の分で二十万円の方が三千六百六十円増になります。それから厚生年金のほうで三千六百十二円、合計いたしまして七千二百七十二円でございます。
○小宮委員 それから大臣は、社会保険審議会の総会で、家族給付率を一割アップの六割にとどめたのは、政管健保の財政基盤が弱いのであって、しかし今回の改正案が成立してから両三年以内には七割給付を実現するということを言明されておるわけですね。もちろん橋本私案は来年の十月からということでありますが、そういうのであれば、今度のこの健康保険法の改正案の中で、もう大臣がはっきり両三年以内には実現すると言っておるわけですから、ひとつ大臣からはっきり、来年の十月から実施するならするということを言えませんか。大臣は両三年と言っておるが、両三年というのは、来年も両三年の中に入るわけですから。
○齋藤国務大臣 私は、財政負担も相当かかることでございますから、この法律制定後七割給付を目ざして努力しますということを言ってまいってきたのでございますが、橋本修正案によりますと、来年の十月からということが出ておるわけでございます。そこで、いま私はそれに——普通でございます。と、賛成だということを言えない立場にあるわけでございます。大体そういう修正案が出まして、成立したときに政府の意見というものを申し上げるというのが普通のたてまえでございますが、私は、いまから申し上げていてもけっこうだと思うのです。 すなわち、皆さんの御協力によってそういう修正案が成立すれば政府としては同意をいたします、こう申し上げる次第でございます。
○小宮委員 いや、橋本私案とは別に、大臣は両三年以内には七割給付を実現しますという答弁をしておられるものですから、それでは両三年というその時期を明確にしてほしいというのが私の質問なんです。橋本私案というのがくっついたようですけれども、これは抜きにして、両三年と言っておるけれども、いつから七割給付にするのか、大臣の考え方をお聞きしたいと言っておるわけですから……。
○齋藤国務大臣 橋本修正案がかりに成立しないということになりますれば、政府は独自の案を来年度提案をする、こういうことになると思います。
○小宮委員 それでは大臣、ボーナスによる特別保険料の徴収についても、大臣は当分の間ということを言われておりますが、当分の間といっても、これはやはりわれわれの立場としては明らかにしてもらいたいと思うのです。当分の間というのは、いつまでですか。この点いかがですか。
○齋藤国務大臣 法律の文言の当分というのは、ほんとうの当分でありまして、二年の場合もあり、五年の場合もあり、十年の場合もあるというようなわけでございます。要するに財政が安定するまで、こういったふうな気持ちでございます。すなわち、財政安定が確保されるようになったら、やめましょう、こういうことでございまして、何年になりますか、これは明示できないというのが当分という意味であるわけでございます。
○小宮委員 その暫定の財政が安定するまでということですが、いつになったら財政は安定するのですか。この健保の改正案というのは、そういうような長期的な財政の安定の見通しの上に立ってやられたのじゃないですか。
○齋藤国務大臣 もちろん財政の長期的な安定を考えておるわけでございますが、何年という年を限ってのお尋ねでございますから、何年を限ってということは、私にもちょっといまのところ判断しかねるわけでございます。それがはっきりわかれば年数を言うわけなんで、わからないから当分と書いておるわけでございます。その点はまあしばらくといったふうな意味に御了解願っておきたいと思います。
○小宮委員 大臣が、そういうふうな答弁をするから、この今回の改正案というのは、ただ収支のバランスを数字のつじつまを合わせただけだ、だから一両年のうちにはすぐ均衡が破れてしまうという批判が強いんです。われわれも審議する立場として、すぐパンクするような今回の改正案を審議しても——これはいま言っておられる弾力条項を設けた趣旨もそこにあるのでしょうけれども、われわれから言わせれば、弾力条項にしたって、政府が、毎年毎年健保の改正を出すと国会でいろいろうるさいから、まあこの際弾力条項を設けて、二年なり三年なり、五年なりになるか、ひとつここで厚生大臣の権限でひとつやっていけるようなものをつくっておこうというのが弾力条項で、もしほんとうに国民が納得して、われわれが理解するような赤字であれば、遠慮なく、毎年こういうふうに赤になりましたから、こういうふうに改定しますというような提案がされるはずなんです。 したがって、そういうような健保財政というものを長期的な見通しの上に立ってやってもらわないと、もうすでに先ほどから言われておる弾力条項の問題でも、診療報酬がすでに六、七%までならばいいけれども、それ以上上がったら、もうすでに弾力条項を発動しなければならぬ。また給付改善をしたってすぐ、六割を七割にすることによってまた弾力条項を発動しなければいかぬというような問題について、幾らわれわれが審議しても、すぐ来年そういうふうになる。現在、診療報酬改定だって、おそらく目の前に来ておるわけです。 その意味ではやはり今後そういうような赤字が出た場合は、国庫補助をふやしていくというような考え方を持ってもらわないと、もう来年はパンクするような見通しのある健康保険法改正案をここで審議すること自体がどうも、そういうふうなあやふやな、ほんとうに安定しないようなこの改定案を審議することがどうかという感じがするのです。健康保険財政の安定をはかるために、もっと長期的な見通しの上に立っての改正案というものを出してもらわないと困ると思うのですが……。
○齋藤国務大臣 私どもの提案いたしておりますいろいろな施策を認めていただけるならば、最低五年は安定できる見通しである、かように確信をいたしております。
○小宮委員 五年間。それではこの高額医療費の問題ですが、高額医療費の問題についても、私何を根拠にして——これは政令の云々ということかいわれておりますけれども、この高額医療の三万円にしても、私はやはり問題があると思うのです。ほんとうにいまの政管健保の組合員の方々の、これは労働省がおればいいのですけれども、平均収入がどれぐらいあるのか。この政管健保の組合員の現在の平均月収というのはかなり低い。そういうような中で、三万円の自己負担というのも、これは非常な負担だと思うのですよ。だから、その意味で三万円という根拠、なるほど、こういうふうになっておりますね。自己負担額は政令で定める額をこえるときは、一定の割合で医療費を支給することができるということで、その政令で定める額が三万円になっていますから、三万円以上の高額負担になったというふうになるわけですが、三万円の根拠というのはどういうことですか。負担能力がこれくらいならあるというふうに考えたのですか。
○北川(力)政府委員 大体三万円というふうに見込んでおりますのは、政令でそのようにきめようというような趣旨でありますが、これは一つは実績があるわけです。実績がどういうことかと申しますと、政府管掌健康保険の被扶養者の場合に、四十六年度の実績といたしまして一日平均の入院費が約三千円弱でございます。これは通常の入院費でございますので、これを基礎にいたしまして大体一日三千円でございますから、その六割給付といたしまして、自己負担額が一日一千円をこえる程度、そういうことでございますから、私どもはこういう実績から考えて、おおよそ一日に千円程度のものは通常の入院費でございますので、その程度のものは御負担を願えないものであろうか。こういうことで、大体一カ月三万円程度のところを標準にして、それをこえる分については高額療養費として償還払いをする、こういうところを一つのメルクマールとして考えたような次第でございます。 もちろん、この点にはいろいろ議論があるかもしれませんが、大体そういったところが、昨年も考えましたし、今年度も考えました一つの基準でございます。
○小宮委員 私はそういうような実績から云々ということを言われますけれども、やはり政管健保組合員の負担の限度内というような考え方に立たないと、三万円でもこれは二カ月、三カ月、半年、一年続くと相当な負担額でありまして、政管健保の組合員にしてみれば、それはほとんど負担の限界以上の金額です。したがって三万円にしても、私は特に考えてもらわなければならないことは、たとえば各人の標準月収がありますね。平均月収があります。二十万円の人もおろうし、あるいは五万円の人もおろうし、そういった人たちが、二十万円の標準報酬の人あるいは五万円の人、この人たちが同じ三万円ずつ負担するということにも、これは問題があると思うのです。しかもそれが一カ月くらいならまだしも、一年も二年も続く場合に、五万円の人たちが負担する能力があるかどうか。 したがって、そのいま言われた三万円にしても、先ほどからも意見も出ておりましたけれども、そういうような平均月収の多いか少ないか、多寡によって、あるいはその治療期間が短いか長いかによって、やはりこの三万円の減額措置あるいは免除措置、そういうようなものを当然考えなければ、せっかく高額医療制度というものを設けて、皆さん一応は歓迎しておるのですけれども、もっともっとやはりそれがもう少し血の通ったきめのこまかいところまで私は検討してもらいたいと思うのですが、どうですか。
○北川(力)政府委員 ただいま、御承知のように高額という概念につきまして、これはやはり相対的な概念であるというところから、私どもの専門審議会である社会保険審議会にこの案を提案いたしましたときにも、その答申の中で一部の御意見として所得に応じた金額を考えるべきであるという御意見がございました。それからまた、いまお話にありましたとおり、長期にわたるものにつきましては何カ月間で切って、そのあとはすべて免除するというような御意見もございました。いろいろこの高額療養費の償還払いという制度は、相当現在の時勢からいいまして実効を発揮しなければならない制度でありますだけに、今回のこの制度の発足にあたりましては、私どももそういったむずかしい問題点をいろいろ考えておることは事実でございます。 ただ、何ぶんにも新しい制度でございますし、的確に制度を発足させるというふうな意味合いで、現在考えておりますのは、現在の医療保険の制度に乗っかった形で、償還払い、またレセプト一件について三万円というところを一つのメルクマールにして、この制度の正確な発足を期したいというのが、現在におきます私どもの偽りない気持ちでございます。 ただ細部につきましては、どういう仕組みをつくるか、そういう点は政令事項でございますし、また政令をつくるときには社会保険審議会に諮問いたしますので、そういう過程におきまして、そういったきめのこまかい詰めをやらなければならぬわけでございますが、とにかく制度の発足をやりました上で、いろいろ長短がございますから、そういう問題につきましても十分検討して、この制度が真に期待に沿うような実効が発揮できるように、私どもは漸次その中身について検討を加えてまいりたいこのように考えておりますのが現在の考えでございます。
○小宮委員 新しい制度がもう発足するとき、こういうような問題は、やはりはっきりさせておかなければ、新しい制度が発足してからは、いま言われておりますけれども、もう一たび発足すると、それがなかなか改正しにくい。まあそれは政令ですから、法律とは違うからやりやすい面はありましょうけれども、しかし、私がいま言ったようなことは全国民が強く要望しているわけですから、それでは検討することを約束しますか。
○北川(力)政府委員 ただいまお答え申し上げたとおり、つまりこの制度を現在の仕組みに乗せて的確にスタートさせたいという気持ちが私どもは基本にあるわけでございます。ただ、政令事項でありますことと、それから専門審議会である社会保険審議会で十分に審議をいただくということがございますから、その過程におきまして、ただいま先生のおっしゃったような御意見はすでにあるわけであります。どういうかっこうでそういう意見を処理していくか、これは検討しなければならぬと思います。 ただ現在のところでは、私どもはまず制度を発足させて、その模様を見て将来の手直しをしていく、これが現在の段階でございます。まあ検討しながら制度の発足に備えたい、こういうことでございます。
○小宮委員 それはぜひひとつ検討してもらいたい。 それから、この高額医療費は三万円以上の超過部分を結局保険で払い戻すということになっているわけですね。そうしますと、被保険者が病院にかかったとする、そしてたとえば三十万円、五十万円支払いの請求が来たら、一応は各人がその三十万なり五十万の治療費は払って、そのあとで保険からの給付を受けるという形になるわけでしょう。そうしたら、どうですか、三十万、四十万、五十万の金をこういうような組合員が右から左にできますか。それは一応払えばあとで保険から返ってくるわけですが、しかし、保険からこうこうして払い戻しがありますので、そのときお返ししますから、ひとつお金を貸してくださいということで、その人は四方八方手を尽くしても、そう簡単には三十万、四十万という金はなかなか借りられませんよ。それに保険給付の払い戻しが、すぐ翌月に払い戻されるかどうかもわかりません。そうすると、一カ月なり二カ月なり毎月その三十万なり四十万の金をくめんするほうはたいへんなんだ。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、そういうように本人がその三十万なり四十万の金を支払う形を取りやめて、本人はやはり三万円払うというような方法が技術的にできないか。技術的な問題もあろうかと思うのですが、ぜひこれをやってもらいたい。そうしなければ三十万、四十万、五十万の金を、毎月そういうような組合員があちらこちらかけずり回って金を借りてきて、高利貸しにでも借りたら、たいへんですよ。そうして払って、あとで給付を受けて返すといっても、高利貸しに借りたら一割くらい利子がつく。それが二カ月、三カ月となったらたいへんですよ。そういうような点、どうですか。三十万請求が来たら、本人は高額医療費の三万円を支払う、それだけで済ませるというようなことは技術的にできないのかどうか、どうですか。
○北川(力)政府委員 今度の家族の高額療養費について、いまお話しのように三万円自己負担だけして、あとは現物給付にするということでございますが、この問題は技術的に不可能であるかと言われますと、私どもも絶対に不可能であるとは言えません。ただ、現在の医療機関の窓口のいろいろな事務、あるいはまたこの医療機関に患者さんがかかる場合のいろいろな手続、あるいは医療機関の診療費請求の手続とか、そういったことをあれこれ考えますと、将来そういう請求事務の簡素化とか、あるいは各種保険公費負担医療の請求の一元化、そういった問題が相当程度整備されました場合なら別でございますけれども、現状ではなかなか、絶対不可能ではないにしても、かなりわずらわしい面が患者さんの側にもございますし、また医療機関の側にもあると思うのであります。 でありますから、私はいま先生がおっしゃったように、三十万、四十万の例がございましたが、確かにこれは大きな問題だと思います。しかし、現在はこういう制度がないわけでございますから、とにもかくにも償還制度という形ではございましても、こういった制度を今度はつくるわけでございます。でございますから、こういう制度をつくって、それから、いまのお話にもありましたが、一たん支払われたあとはできるだけ早くこれを償還する、こういうことを考えていくのが、現在の段階では最善とは言わないまでも次善の策ではないだろうか、かように考えております。 どれくらいの期間で償還できるかということも、いろいろ当委員会ではすでに御議論があったわけでございますけれども、どういう仕組みをとるか、これまた今後の改正法の実施の問題でございますが、何とか早く御本人の手に渡るように、そのことをひとつ十分きめこまかくきめまして、円滑な償還払いができるようにそのほうのことをむしろ重点的に考えたい、このように考えておるのが現在の段階の考えでございます。
○小宮委員 特に中小企業においては別段貸し金制度があるわけではないし、銀行に金を借りに行くといったって担保もない、家もないというような人たちに銀行も貸しません。どこからその金を融資するかといえば、一番手っ取り早いのは高利貸しなんです。高利貸しに行けば一割も利子を取られる。そういう中で、いま言われたように、今月のもので来月の支払いに間に合うように給付があればいいけれども、それもいまの場合はっきりしないのでしょう。たとえば今月分を支払って翌月返ってきたやつで、また向こうに支払わなければならぬ。そういう期間がどうなるかということが問題です。 それともう一つ考えてもらいたいのは、そういうような高利貸しに依存して金を借りる、その分だけ高利貸しに利子を取られる。四十万としたら四万利子を取られる。そうするとその人は、三万円の医療費と四万円の利子を支払えば七万円です。先ほど標準報酬は中小企業の場合は幾ら取られているか、五万円でしたか六万円でしたか、そちらのほうにみんな取られてしまう。生活はどうしますか。したがって厚生省関係で、何かそういう資金を貸し付ける制度を利用するようなことはできないのですか。たとえば世帯更生資金とかいろいろな更生資金とかなんとか、何かないのですか。
○北川(力)政府委員 貸し付けの制度のお話はまあ別に置きまして、先生の想定といたしまして、相当長期間にわたって高額なお金がかかる病気が続く、こういう前提があろうかと思います。私どもはいま申し上げたように、この償還払いを大体どのくらいのタームで行なえるかということになりますと、これは一つのやり方でございますけれども、かりに六月なら六月に診療を受けられまして、そこで二十万なら二十万金がかかったという場合に、現在できるだけ早い形でこれを償還するといたしますと、おおよその見当でございますけれども、少なくとも一カ月余りあるいは一カ月半ぐらいで御本人に償還できるぐらいの仕組みができるのではないだろうかということで、いま検討しております。 したがって、そういうことがかりにできますと、最初の資金のくめんという点は確かにございますけれども、そのあとは、先生のいま想定されました長期にわたる場合でも、これは償還払いがそういうタームで行なわれれば、あとは資金がころがっていくわけでございますから、一番最初に問題が確かにございますが、あとはかなりこの制度は償還払いによりましても実際的な効用を発揮するのではないか。したがって、先ほど申し上げましたように償還払いをできるだけ早くやるということが、この元金償還制度をとる限りは、私どもの今後この新しい制度を実施するにあたりまして最も肝要なことではないか、このように考えて、その辺の方法についてのきめこまかい詰めをしたい、このように考えていることを申し上げたいわけであります。
○小宮委員 先ほどの答弁の中でも、四十六年度の政管健保の組合員の平均標準報酬月額は五万六千百十六円であるという答弁がありました。そうすると、その中から三万円を高額医療費で払う。それは初めの一月か二月になるか知りませんが、やはりそのほかに三万、四万払って利子まで負担しなければいかぬということになると、この人たちは何で生活していくのかということが問題です。 だから先ほど私が言うように、たとえば標準報酬月額の多寡によってこの人たちは二万円にするとか、あるいは一万五千円にするとか、あるいは二十万取る人はもうちょっと上げるとかというような——上げることは私反対しますか、しかし、少なくとも三万円という根拠自体が先ほどからの質問でも明らかなように根拠はないわけで、ただ近づけたというようなことですから、これはどうですか、局長さん考えられて、あなたがその身になってもたいへんなことですよ。皆さん方ただ三万円負担するというものだから、三万円だけ払えばいいという考え方をみんな持っておるのです。そうではありませんよ、これは皆さん方初めこう言うて、一応皆さんが三万借りようと、五十万借りようと、六十万借りようと、皆さん方が払うのですよと言うとびっくりしてしまう。それはそうでしょう。この点はぜひとも何とか考えてもらわぬと、せっかくの三万円の高額医療費の問題がかえってそっぽを向かれ、悪評を買うような結果にもなると思うのです。 いま言っておるように、平均月収の多寡によって、あるいはまた期間によって短縮するとか、免除するとか、減額するとかという問題を、ぜひとも考えてもらいたいということと、もう一点は、いま言っているこの人たちに対して、何らかほかの貸し付け制度みたいなものは、たとえば厚生省のいまの制度の中で、ここからひとつ借りて払ってくださいというような、金利の安い融資の方法が考えられないかどうか、くどいようですが、この点どうでしょうか。
○北川(力)政府委員 確かに私どもが考えましても、いま小宮先生からお話がございましたように、この高額という概念をどういうふうにとらえていくかということは生活の実感からいいまして、非常に重要な問題だろうと思います。そういうことと、それから先ほどから申し上げておりますとおり、反面現在の保険制度の中でこの新制度を動かしていくわけでございますので、やはり保険の中でのできるだけスムーズなものの処理ということも考えなければいけません。そういうことから考えまして、私どもは先ほどからるるお答え申し上げておりますような、そういう仕組みで制度の発足をはかりたい、このように考えているわけであります。 いまお尋ねのありました中で、何か貸し付けの道はないかということでございますが、これは実際上先生のお話が、前提として政管健保の平均的な標準報酬月額の方々を前提にしたお話でございますので、平均的な問題としては確かにそうかもしれませんけれども、実際上に起こりますケースは、かなりバラエティーがあると思うのでございます。でございますから、貸し付けのようなものを必要とするというようなものが実際にあれば、またそういうことを想定してどういうふうな方法があるか、こういう点は検討課題として私どものほうも制度の発足と同時に、いろいろな方法があればひとつ考えてみたい、今後の検討課題として十分ひとつ銘記をしておきたいと思います。
○小宮委員 先ほどからるる申し上げておりますように、政管健保の加入組合員の生活というのは皆さん方が考えられておるようなものではないのです。したがって、政管健保の赤字の問題にしても、やはり先ほどから申し上げておるように、確かに医療費の値上がりに賃金の上昇がついていけないというような問題もからんでおりますので、そういった意味では、特に政管健保等については国庫補助が、今度一〇%の定額にするわけですけれども、こういうような国庫補助はもっと引き上げを考えてやるべきだというように考えますけれども、国庫補助の引き上げについては大臣どうでしょうか。
○齋藤国務大臣 健康保険法の今回の改正によって、定率一〇%ということにいたしたわけでございまして、総医療給付費が八千億ということであれば八百億、実はたいへんな額なんでございます。昨年までは二百二十五億なんです。ということを考えてみれば、これ以上ことしまたふやせというのは、ちょっとどうも無理のような感じがいたします。二百二十五億が八百八十億、たいへんなことなんです。しかも、弾力条項が発動いたしまして料率がある程度上がりますと今度は三者三泣き、同額で上がっていくわけですから、一〇%については御不満もおありと思いますが、やはりこの辺でひとつごしんぼうをいただきたいものだと私は考えております。
○小宮委員 私はあとで大蔵省にも質問をするのですけれども、いま福祉元年とか福祉国家建設とかいろいろいわれておりますが、その中でも特に考えてもらいたいことは、国の予算自体が、たとえば対前年度比何%ふえたという予算規模の中で、厚生省の予算も対前年度幾らふやしたというようなことで予算編成も行なわれるわけですが、やはり政府としても重点政策目標をきめて、たとえば厚生省みたいな、こういうような健保を預かり年金を預かるところは、そういうような対前年度比の予算規模が何%であるから、そのワク内でまかなうということではなくて、特に厚生省あたりは、ほかの省がかりに一五%であっても厚生省としては三〇%ぐらい予算額をふやして、そうしてやはり社会福祉の問題には取り組んでいくというような、これは政府全体の姿勢の問題ですけれども、やはりそういうような問題が必要ではなかろうか。 そうしなければ、この予算のワク内にしばられて、いろいろなことをやっていかなければならぬというような問題もありますので、これはぜひ政管健保の問題にしても、厚生省が七〇年代のこれからの一番花形の脚光を浴びる担当省庁ですから、その意味では国庫補助にしても、やはり十分考えてもらわなければならぬと思うのです。 それから、組合健保ですが、組合健保はなるほど先ほども申し上げましたように、十何億の赤字に転換しつつはありますけれども、政管健保みたいな財政悪化は来たしていないわけです。特に今回政管健保と同様に、標準報酬の改定とか保険料率の引き上げ——特別保険料の問題は組合の自主性にまかされておりますけれども、これは政管健保がきまれば組合健保も必ず特別保険料を取るようになります。そこまでしなければなおらないほど組合健保は財政が悪化しておるのかどうか。これは社保審あたりでも弾力条項だけ引き上げればいいではないか、保険料率を上げるならば、この標準報酬の改定はしなくても済むではないかという指摘さえされておるわけですが、組合健保の問題について、この政管健保と同様にやはり保険料率、標準報酬の引き上げ、こういった特別保険料の徴収こういうようなことをしなければならないのかどうか、どうでしょうか。
○北川(力)政府委員 現在健康保険組合は約一千五百四、五十あると思います。ただ、大企業がつくっております単一の組合もございますれば、御承知のように中小企業のようなものが集まりました、いわゆる総合健康保険組合もございます。そういう意味で、組合健保の財政というものも中身はばらばらでございますけれども、最近はやはり医療費の増高等もありまして、相当程度高い料率をとっている組合が多いわけでございます。したがって、現在の状況で申しますと、四十六年の数字でございますが、健保の平均の保険料率は約七十ということになっておりまして、頭打ちが現在八十でございますから、頭打ちに近い七十のところまで平均が来ておる。しかも頭打ちの八十という料率をとっている組合がたしか私の記憶では大体一割近くあると思います。 そういう状況でございますので、やはりこの際は組合健保は一般的に黒字基調と申しましても、そういった中身を考えますると、組合の場合にも料率の改定ということは必要ではないか、このように考えまして、今回組合の料率幅の改定をお願いしているような次第でございます。
○小宮委員 今度標準報酬の改定をやりますと、大体組合健保の場合の平均標準報酬月額はどれくらいになりますか。
○北川(力)政府委員 現在計算では、ことしの十月の見込みで九万二千七百五十八円でございます。
○小宮委員 今度の場合も、組合健保の場合も、たとえば標準報酬が改定される。これが二十万円になるとした場合に、標準報酬月額がかりに十五万円の人と二十万円の人とが、負担がどれだけふえますか。 それともう一つは、やはり厚生年金法の改正もありますから、厚生年金法の改正ともあわせた場合に、十五万円の報酬月額の人が幾らふえるか、二十万円の人が幾らふえるか。その場合ちょっとモデル計算をしてみてください。
○北川(力)政府委員 ちょっといまできておりませんので、平均料率をかけて計算するということでございますれば——いま申し上げましたように組合でございますので、ほんとう言いますと、組合別に料率をかけなければいけませんが 、平均的なものでございますれば平均料率をかけるということでございますから、計算いたしまして後ほど申し上げます。
○小宮委員 それでは看護体制の問題についてちょっとお尋ねしますが、現在の看護の承認基準では「病状が重篤であって、絶対安静を必要とし、医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合、」もう一つは、「病状は必ずしも重篤ではないが、手術のため比較的長期にわたり医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合、」とされておりますけれども、病状が重篤とまではいかないまでも、相当程度重症で、寝返りだとか食事だとか用便とか自分でできない場合は、付き添い看護を認めるのが私は社会通念だと思うのです。ところが厚生省とか社会保険庁というのは、この看護承認基準の範囲を非常にきびしく、狭く解釈して行政指導しておりますから、いろいろなトラブルが発生しておりますが、付添看護婦の申請件数は年間幾らで、最近の例でけっこうです、承認件数は何件ぐらいありますか。
○江間政府委員 四十七年度におきまして看護費を承認いたしました件数は一万一千八百九十九件でございます。申請件数はどれだけあったかという件数は正確には把握いたしておりません。われわれのほうでは大体申請に対する承認件数の割合は九七%ぐらいである、その結果が一万一千八百九十九件であるというふうに承知いたしております。
○小宮委員 これはいろいろ問題がある問題ですが、この看護承認基準というものを私はやはり少し緩和すべきではないかというふうな幹事がいたします。特に現在看護婦不足が叫ばれておる中でもあるし、現在の看護の承認基準を緩和する意思はありませんか。
○北川(力)政府委員 ただいまお話にありましたように、看護の承認につきましてトラブルがあるというお話でございましたが、実態関係を申し上げますと、看護承認が行なわれないために、いわゆる不服審査の制度がありますので、そういった不服審査に乗っかってくるケースの中で、この件がかなりあるわけであります。そういうことがありますのが一つ。 それから一般的に考えましても、先ほど先生からお述べになりました承認基準、そういうものが現在の社会事情とか疾病構造とかそういったものにぴったりしているかどうか、これはやはり問題が残っておるわけでございます。したがってこれは先般の、今月の七日の当委員会においてもこの件の御質問がございまして、やはりそういった看護承認基準というものを再検討すべきではないかというようなお話がございました。それに対しまして大臣のほうから、大体二カ月以内くらいに検討をして結論を出すと、そういう方向で結論を出したいと、こういうことをお答えを申し上げておりますので、私のほうはいま先生のおっしゃったようなことを十分踏まえながら、また大臣の申しましたことも十分わきまえて検討を急ぎたい、このように考えます。
○小宮委員 そこで、付添看護婦に対する保険給付の問題ですが、なるほど大きな病院では、これは医療法にいうところの看護基準がとられておるということで認められておりません。しかしながら小さい病院では、それが特例として認められておりますけれども、この付き添い看護に対する保険給付の問題も、これはぜひひとつ考えてもらいたいと思いますが、まずは全国の病院の病床数は幾らで、正看、准看合わせていま看護婦が幾ら不足しておるのか、その点をひとつ御答弁願いたいと思います。
○滝沢政府委員 全国の病院の数と、それからそれに伴います医療法に定められました看護婦の基準。一般の場合四人に一人、それから結核、精神は六人に一人、そのようなことで計算してみますと、一般が、これは四十六年末の数字でございますが、六十五万床、結核、精神、合計で約百八万床でございます。そういうものを全部計算しますと、トータルで病院の入院、それから外来は三十人に一人という基準がございます。これを合わせまして二十四万二千八百九十九人というのが計算上の必要数でございます。 それから四十六年末の医療施設調査によって、就業しておる看護婦さんの御報告をいただいておるわけでございまして、これを当てはめますと二十五万一千ということで、一応四十六年末の実態は、この基準よりも数字の上では余っているという数字になるわけでございますけれども、実態は労働条件としての二・八体制あるいは医療の高度化に伴いますところの集中看護、重症患者に対する集中看護というようなことを踏まえまして、必要な病院にはもっと多くの看護婦が実際には勤務することが必要になってきておるものですから、非常に強い不足感が起こってきておるということでございます。
○小宮委員 看護婦不足という問題は原因はどうでしょうか。給与が安いからでしょうか、その他労働条件、待遇等が悪いから看護婦不足というような現象が生ずるのですか。その点どうでしょうか。これは諸外国の例と比べても、看護婦の数が人口一万人当たりを見ても少ないのですね。その点どうでしょう。原因はどこにあると思いますか。
○滝沢政府委員 先生もいま御質問の中で例に引かれたことすべてが、あらゆる角度から問題点の一つでございますが、特に女子職業としての看護婦さんというものの教育制度というもの、御存じのように准看はただいま中卒二年の養成でございます。中卒で一つの身分を与えるという制度というものは他の職種ではもうほとんどございません。医療に関係するレントゲン技師にしても、検査技師にしても、すべて高校卒ということになっております。そういう点、非常に准看の方は数多く入学していただきますけれども、しかし、今度は在職年数が比較的短かくて離職されるということ、これに結婚の問題女性としてのそういう問題がございますし、また結婚して育児と仕事とが両立しない、それから夜間勤務がございます。こういうことも踏まえて、それにふさわしい待遇というものがかりに十分用意できれば、それはそれなりの一つの答えになると思いますけれども、これがまた全体から見ますと、女子職業としての比較論、かりに小中学校の義務教育の学校の先生、これは大学卒の方が多いわけでございますけれども、多少その点を勘案して比較してみましても、どうしても十年、十五年という長期になりますというと、給与表が寝てしまって看護婦との差が出てくる。これを今回人事院に大臣からも申し入れをしていただいて改善をお願いしている。総合的にそのようなものが重なって看護婦の不足というものが結果いたしております。 もちろん根本の養成個所数、学校数も不足いたしております。こういうこともやはり根本的には原因しております。したがって、やはり総合的な対策を講ずる必要がございます。また、現在一般社会におる方に再び勤務していただく、こういうような方策についても努力の必要があろう。非常に広範にわたる対策が必要であろうと思いますが、まあそういうこと等が原因になっておる、このような関係であろうと思います。
○小宮委員 そこで、そういうような看護婦さんが不足しておるということで、結局、完全看護体制がとられておるはずの病院でも、なかなかいないということで、必然的に付添看護者を雇わなければならぬという事態が発生しているわけですね。ところが一日雇おうとすれば四千円から五千円も取られるということで、これは入院患者にとって大きな負担となっているわけです。したがって、この付添看護者に対しても国が医療法で四ベッド一人という基準をきめた責任もあるわけですから、それが守られないというような事態の中では、やはり、国がそういうようないろいろな看護婦対策もやる、施設もふやして充足をするような方向で努力されていることはわかりますけれども、しかしその間というものは、実際そこまで完全に充足されるかどうかは、なかなかむずかしい問題ですので、したがってその間でも、当然入院患者は付添看護者を必要とするわけですから、そういうことを考えたら、当然保険給付を認めるべきだというように考えますが、それは厚生省も大臣の指示で検討をし始めたということを聞いておりますが、いかがでしょうか。
○北川(力)政府委員 基準看護の問題は、やはり保険のサイドから申しますと、基準看護の承認を受けております保険医療機関につきましては、看護職員が、必要とされる看護はすべて行なうということがたてまえでございまして、そのたてまえに立つ限り、現在保険医療機関で基準看護の承認を受けておりますにもかかわらず付き添い看護をつけておりますような場合には、これは原則としてそういうことが改善をされるように、また改善をされなければ基準看護を取り消す、こういう措置に出ることが私はたてまえであり、当然のところだと思います。 問題は、いま医務局長からも申し上げましたが、基準看護の基準そのものの検討はもちろんございましょう。しかし現在の基準看護でも、入れものがあっても人が来ないという実情があって、やむを得ず、そういう実態が起こっておる。したがいまして、私どもはできるだけこの充足を急ぐということが先決問題ではなかろうかと考えております。 より基本的には、それは現在の疾病構造とか患者さんの実情から見て、基準看護そのものをどう考えるのだとこう言われれば、これはまた別に、基準看護以前の看護体制そのものの問題として考えていかなければなりませんが、現状では私どもは、基準看護をたてまえにして、できるだけ必要な看護人員の充足をはかっていただく、こういうことの施策を進めることが先決である、これが現在の考え方でございます。
○小宮委員 その先決であるという基本的な考え方はわかるのです。しかし、そういうようなことを言ってみても百年河清を待つにひととしいことで、なかなかそれが実現できない。その間苦しむのは、やはり被保険者ですね。先ほどから申しますように、やはり付添看護者が必要だというような場合に、実際基準看護体制がとれておらないから付き添いを雇わなければならぬ。雇えば金がかかるということで、少なくともそういうような基本的な考え方と現実との食い違いが出てきておりますから、そこまで努力する間、やはり現実的なものの処理のためには、暫定的にでも、付添看護者に対する保険給付を認めるというようなことも弾力的に考えてもらわなければ、いま医務局長の言われておるように、それでは、そういうような医療法でうたわれておる看護体制がいつとれるのかという質問に、逆に今度は返ってくるわけですよ。 たとえば、今度政府の四十八年度予算案にあたって、全国十七カ所に看護婦養成所を新設するということと、ほかに既設養成所を増設するために十億円の補助金を何か要求したということをいわれておりますが、そういうようなことをしても、これは医療法にうたっておるところの看護基準制度から見れば、まだまだほど遠い問題なんですね。それまでに、いまの基本的な考え方はわかりますけれども、それでは具体的にいつごろまでに、医療法にうたっておるような看護基準体制がとれるのかどうかということを逆に質問しますが、どうでしょうか。
○滝沢政府委員 これはわれわれぜひとも目標をきめて実現しなければならない重要な課題でございまして、社会保障長期計画、ただいま厚生省全体で立案している中で、医療供給体制の問題は非常にその重要な柱にしているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、養成計画を少なくとも四千人以上、四千五百人程度の器を用意する必要がございます。ただいまでの養成計画は、だんだん定員を増してきましたけれども、われわれの計画では四千人以上の養成ベースにして、そして、ただいまのところ、定員ベースで看護婦がわが国全体で一学年定員で五万三千人くらいでございます。これを昭和五十三年くらいまでに七万人以上のベースに持っていきたい。したがって、五年間に約二万人の定員の増、新たに養成所の入学できる定員の増をはかる必要がある、それは大体四千人ぐらいの増をはかっていく必要がある、こういうことで計算しまして、それが退職する率も加えましたりいろいろして計算しまして、わが国の患者数の増加も見込みまして試算しますと、大体昭和五十三年ごろでないと、どうやら医療の上に、看護婦がいまの基準看護の問題等に対応できる数字になることはむずかしかろう。たいへんむずかしい。気の長いようなお話で恐縮ですけれども、ともかく養成に三年はかかる。それから、看護婦を養成するのに、それに対する教員の確保をはかる必要があるというようないろいろの循環、悪循環と申しますか、ございまして、これを解決しながら進めるとして、ただいまの計画ではそのような状態でございます。
○小宮委員 したがって、先ほど私は、看護の承認基準を改正する意思はないのかどうか、緩和すべきではないかといったのは、そういうような日常生活の介助についても、やはり入院に必要な看護を認めるとか、たとえば専門知識を必要としない業務については看護補助者を使うとか、軽い病気であれば二人を一人で持つとかいろいろなことも考えられると思うのですが、そういうような意味での看護承認基準を改正する気持ちはないのかという質問をしたわけです。 しかし、現在いわれているこういう医療法に基づく四ベッドに一人ということは、厚生省は五十三年ごろまでにそれを完全に確保したいということを言っておるけれども、五十三年でしょう、そうすると、その間は、先ほど言ったような問題が、たとえば付添看護者に対する保険給付制度の問題はつきまとうわけですよ。だから、これは真剣に考えてもらわないと。どうですか。はっきりしてください。
○北川(力)政府委員 付き添い看護を承認するという問題と、それから基準看護をどう処理するかという問題とは、私はこれは別な問題だと思うのです。それで、基準看護の問題につきまして、それをやっている、承認を受けている医療機関についても、なおかつ、五十三年とおっしゃいましたが、それまでの間については、何か付き添い看護を新たに認めたらどうかというような話に尽きるだろうと思います。そうなりますと、現在の基準看護というものを一ぺんその原点に返って、どういうふうな形で考えるかという問題に実は問題が返ってくるわけでございます。 私は、決して医務行政と保険行政でこの問題をキャッチボールするつもりはさらさらございません。ございませんが、ただ基準看護というたてまえをくずさないで、しかも付き添い看護を認めるということは、これはもう基準看護の基本にかかわる問題である。基準看護の基本にかかわる問題ということは、結局、看護業務とは何か、あるいは看護の質をどう考えるか、こういう看護についての質並びに量の基本にかかわる問題でございます。いわば、看護業務とは一体何だ、看護業務はどうするのだ、そういう問題でございます。 でございますから、この問題は、いま医務行政を担当しておられます医務局のほうでも、この看護問題の懇談会をつくられまして、早急に結論を出すように急いでおられますが、そういう問題とのかね合いもございますので、付き添い看護基準をゆるめる問題と切り離してこれを処理しなければならない。したがって、私はどうしても、現段階では、先ほど申し上げました、先生御指摘のようなギャップはあるにしても、現在の段階で、この基準看護の承認を受けている病院について、質的に保障ができないような付き添いを安易にわれわれは承認をしていくわけにはまいらない。それはもう基準看護の基本にかかわる問題である。したがって、これをどうするかは非常に大きな差し迫った現実の問題でございますから、無為無策であってはいかぬと思います。 しかし、そういうかっこうで、基準看護の承認を受けたものについて、なおかつ付き添いを質いかんにかかわらず認めていく、こういうかっこうでの解決は私は避けたい、このように考えるものでございますから、はなはだ重複して申し上げましたが、先ほどのようなことを申し上げたような次第でございます。
○小宮委員 大蔵省おりますか。——大蔵省は、こういった、いま盛んに論議がされておるようなことを皆さんは考えられて、この四十八年度の予算要求にあたっても、そういった看護婦の充足対策として厚生省が大蔵省に要求した予算を、大蔵省はこれを半分たたき切っておる、そういうような大蔵省の考え方、どうも私は大蔵省の福祉対策に対する基本的な考え方に疑問を持たざるを得ないのです。 たとえば老人対策にしても、寝たきり老人の家庭奉仕員、いわゆるホームヘルパーの報酬の基準単価にしても、現在三万七千円、これではどうしても成り手がないので、これを六万四千七百円に上げようということで厚生省が大蔵省に要求したところが、これもたたき切って、ただ四万五千円になっておる。あるいはホームヘルパーが老人の家を回って洗たくものを全部自分の家に持って帰って自分の家の洗たく機で洗たくをする、そうしてまたお届けするというようなことに対して、何とか厚生省は老人の人たちとこういうようなホームヘルパーの人たちが、少なくともそういうような時間を省いて、一時間でも二時間でも老人の方々と話し合いをする時間をふやそうということでやっても、それもたたき切ってしまう、あるいは寝た切り老人に一日九十円の給食をやろうとしても、これもたたき切る。 このように、今度の看護婦対策にしても、大体大蔵省のこの福祉という問題に対する基本的な考え方がどうも私には納得できませんので、こういうような福祉に対する大蔵省の基本的な考え方を聞いておきたいと思います。
○渡部説明員 お答え申し上げます。 四十八年度の予算編成にあたりまして、これは閣議決定をいただきました予算編成方針におきましても、国民経済の成長の成果を国民福祉に還元するというたてまえから、社会保障の充実につきましては意を用いたつもりでございます。全体の伸び率といたしましても二八・八%という近来にない大きな社会保障費の伸びを計上いたしておりまして、さらにその中身におきましても、特にお気の毒な老人であるとか、あるいは身体障害者とかいったようなものの対策が中心になります社会福祉費につきましては、対前年度六五%という伸びを示しております。これは一般会計二四%の伸びに比べましては非常に大きい伸びを計上しておるわけでございます。 個々の対策の中身についてでございますが、これは厚生省当局と予算編成の最終段階におきましていろいろ御協議の上、最終的に閣議でおきめいただきました数字でございますが、たとえば看護婦確保対策におきましても、当初要求にはございませんでした夜間看護手当の三百円を千円に増額といったような措置も講じておりますし、あるいは老人給食サービスというお話がございましたけれども、これは別に項目として計上はいたしておりませんけれども、実際の施設の整備補助金としまして実行上認めるというような措置も講じておるわけでございますので、もちろん全体の中身につきましてはいろいろ御不満もあろうかと思いますが、われわれといたしましては社会保障の充実というものにつきまして配意したつもりでございますし、また今後とも十分配意してまいりたいというように考えております。
○小宮委員 大体今度の健保改正弾力条項を特に強く主張したのは大蔵省でしょう。違うのですか。——差額ベットの問題は、大体各病院の病床数の現実は何%になっておるのですか。
○北川(力)政府委員 昨年の六月に公的な性格を有する医療機関について調査を行ないました結果によりますと、総病床数に対する差額徴収病床数の割合は平均で二〇・〇二%であります。国立病院の場合は一〇・一八%、公的病院の場合は一七・一六%、その他の公的医療機関の場合は二八・一一%、その他が四二・四〇%であります。なお民間の医療機関でございますが、これは実は昨年の六月に調査をしようと思っていたのでございますけれども、例の保険医の総辞退等の問題のあとの事情もございまして、十分な調査ができませんで、ただいま申し上げました数字は公的な性格を有する病院についての昨年六月の実績、これが私どもが現在確実に把握しております数字でございます。
○小宮委員 大体差額ベッドについては、厚生省としてはどういうような考え方をお持ちですか。 それはいま現在の実績から説明がありましたけれども、たとえば、その病床の大体何%くらいが妥当と思うのか、またいまのような実態の中でこれを規制する考え方があるのかどうか、ひとつ差額ベッドに対する厚生省の考え方をお聞きしたいと思います。
○北川(力)政府委員 この問題につきましては、いわゆる差額の病床、部屋代の負担のために必要な医療の機会が妨げられるようなことがないよう配慮する必要があるというのが私どもの基本的な考え方でございまして、そういう意味合いで昭和三十九年に差額病床というものは一定割合以下に押えるようにということを一般的な方針として明示をしてまいってきたような実情でございます。現在のところ、そのときの方針によりましても大体四分の一から五分の一程度というようなところが一般的な限度ではなかろうかと思っております。ただ最近の実情によりますと、それから九年ないし十年近く経過いたしておりますが、いろいろな事情もあろうかと思いますけれども、この差額ベッドの実情というものが、私どもが当時考えておりましたのに比べまして、やや乱に走っておるというような傾向もございますので、そういう点は、いま申し上げました基本的な考え方から逸脱をしないように十分な指導の徹底をはかってまいりたいと思っております。 こういう意味合いで、国立病院等の公的性格を有する病院の開設者に対しましては、すでにその旨について指示をしたところでございまして、その改善の状況をも見ながら、その他の医療機関につきましても十分指導の徹底をはかってまいりたい、これが現在の考えでございます。
○小宮委員 看護婦不足の問題を取り上げましたけれども、今度はお医者さんも非常に不足しておるということで、特に僻地、離島では医師の問題が非常に深刻な問題で、われわれがそういうような離島あたりへ行っても、切実な声として訴えられているのですが、無医地区は全国で大体どれくらいありますか。
○滝沢政府委員 無医地区と申しますと、定義は大体人口五十人以上を三つのグループに分けて、五十人から二百九十九人、三百人以上、あとは千人以上、こういうようなことで、それぞれに、たとえば千人以上くらいいれば診療所をつくる必要があるだろうというようなことで区分けしまして整理して、そして中心になる村なら村の中心地から半径四キロ以内というようなことでその地区をつかむというようなことでやりまして、二千四百七十くらいが現在無医地区としてわれわれがつかんでおる。しかし、それにいろいろ対策が行なわれて、約半分がまだ具体的にこちらの補助対策である、たとえば患者輸送車であるとか、あるいは巡回診療車であるとか、そういう車を補助金対象で二千四百のうち約半分が整理できましたけれども、あと千カ所くらいは数の上では残っておる、こういうのが実態でございます。
○小宮委員 医師の数は諸外国と比べた場合にどうなりますか。日本の場合は少ないですか。
○滝沢政府委員 医師の数の適正な数字というのは、これはいろいろな学者の方が苦心してやっておる事例があるようでございますが、結論はやはり人口対医師数というようなことで、おおむねどこの国も考えておるようでございます。 わが国は現在人口十万に対して百二十八という数字がございますが、これを昭和六十年までに百五十くらいには持っていきたいということで、昭和四十二年と四十五年に具体的に文部省に申し入れまして、それを受けて文部省が国立大学等の定員増あるいは新設等をしていただいておるわけでございまして、現在の旭川あるいは山形、愛媛、これの段階までの数字で予測をいたしましても、昭和六十年には十万対百五十二に達するということになるわけでございます。 一九六八年でございますけれども、アメリカが十万対百五十三、西ドイツが百六十七、フランスが百二十八、イギリスが百十六ということで、ヨーロッパ型はちょっと少な目でございまして、わが国とほぼ同じ型、ドイツ、アメリカがちょっと高いということで、ほぼ六十年で百五十という数字、当面の医師確保の目標としては、そのような計画でございます。
○小宮委員 私の出身県である長崎県の対馬には国立病院があるのですよ。国立病院があって医師の定員は四名になっておる。しかし一人しかいない。しかも内科だけということで、ああいうふうな対馬あたりの離島では、もう唯一の総合病院としての期待が国立病院にかけられておるのだけれども、たった一人しかいない。それは私立の開業医ならば、医師が向こうに行って赤字になるとかいろいろな問題があるから、なかなかむずかしいにしても、国立病院と名がついておりながら定員四名の医師に対してたった一人しかいない。しかも内科医だけだ。だから外科を何とかしてくれという七万人島民の強い要望があるのです。国立病院でもそのような状態ですから、どうですか、国立病院であればなおさらのこと、厚生省としては何とかすべきじゃないですか。
○滝沢政府委員 これは全く具体的な対馬病院の御指摘でございますけれども、先生の一人とおっしゃるのは、院長のほかに内科医が一人というのが実態でございます。院長も長年——対馬はいまは一般病院ですけれども、過去には結核対策等やってまいりまして、結核等に従事した内科医だけでございますので、確かに御指摘の外科医が一人もいないということでございまして、この定員四名のうち二名はいるわけですけれども、他の外科二名を長崎の大村病院から派遣することについて、いろいろ局の中で相談してもらいましたところ、いまの若い医師は単独で行って、看護婦一人を相手にしてできる外科というものに対する自信を、いわゆる正しい意味で自信というものを持ちがたい。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 したがって、一人の派遣というものに対して非常に抵抗があるわけです。だから二人行けるようにしろ、こうなりますと、これがまた医師の確保と定員との関連で非常に難航いたしておりますが、これは先生の御指摘を持つまでもなく、実は対馬の市町村長の皆さん方も私のところへ参りまして、過去に陳情を受けまして、それ以来具体的な検討をさせておりますが、外科医については以上のようなことで、何とか打開していけるようにいたしたいというふうに考えております。 そのほか福岡のほうから、小倉病院からは産婦人科だけはただいま応援しておりますし、地元の医師の非常勤的な応援も得ておりますので、確かに外科の確保が焦点になっております。これはぜひとも努力して外科ができる病院にしたいというふうに考えております。
○小宮委員 最近大きく社会問題となっておるのは、日曜、祭日とか休日における救急患者が、医師がいなかったとか、あるいは病床が足りなかったとかいうことで、たらい回しされておるうちに死亡するという事件が発生しております。これは非常に大きな問題であります。したがいまして、救急患者の診療体制はどうなっておるかということ。もう一つは救急病院や救急診療所の救急施設体制はどうなっておるかということ。それから救急患者で医療施設や医療体制が原因で、助かるべき命を失った人は大体年間どれくらいおるのか、わかりますか。あわせてまた、救急患者の概要について御説明を願いたい。まとめて言いましたから。
○滝沢政府委員 救急医療体制はたいへんむずかしい問題ですけれども、先生の御指摘のように個所数としては三十九年に消防法が改正されまして、指定された市町村の消防署が患者を搬送するということになったわけでございます。これは定められた文言によりましても、決して交通事故と限定しているわけではありません。したがって、一般的に家庭内に起こった急病患者も——ただいま三〇%程度は交通事故でございますが、他に消防署の救急車で搬送されておるわけでございますが、それを受け入れるために厚生省が告示病院というものを定めまして、そして病院、診療所を五千近いものを全国で指定いたしておりますけれども、これの条件としては外科医がいるとか、あるいは手術室が別になって、玄関が救急車を受け入れるに便利かどうかということでやってございますけれども、地域によっては、先般もこの委員会で御指摘がございましたように、市町村には義務づけられているけれども、告示された病院がないという市が約百カ所あるというような実態もあるわけでございます。 そのようなことで今後の対策といたしましては救急告示病院は主として、従来は交通事故を中心にやってまいりました。そこで私のほうは救急告示病院の中で補助金を出して救急医療センター、特に脳外科ができるような病院を全国に百五十三カ所、いままでに補助金を出して育てております。医師の研修もやっております。それからこの救急医療センターはもう少し広域市町村ごとに広げていくということで、やがては二百五十カ所程度のものに拡大していきたいという計画を立ててやっております。 そのほかに一般的には、休日、夜間の診療という問題が非常に重要になってまいりましたので、交通事故以外の家庭内の急病患者等を中心とした休日、夜間の医療確保ということで、各市にそういうセンターが生まれつつございます。また、医師会の話し合いで当番医制が生まれつつございます。ただ、この問題点はやはり施設を整備したいけれども、国の補助金を十分考えていただけないかという問題の提起がなされております。これについては検討いたしたいと思っておるわけでございます。 以上申し上げましたように、交通事故を中心に起こりました救急問題が、実は患者の数から見ますと交通事故による患者はむしろ一〇%くらいでございまして、八〇%、九〇%程度は一般急病患者でございます。これに対応する対応のしかたが少しおくれておったということで、休日、夜間の対策を今後充実するというのが課題になってまいっております。 それから先生御指摘の死亡、特に何とかすれば死亡が救えなかったかということは、正直に申し上げて、私どもにその具体的な判断の数字はございません。また非常にむずかしいことでございます。しかしながら過去に交通科学協会で「岡村論文」という岡村先生の論文がございますけれども、これによりましてもやはり三十分以内が勝負であるということと、それからできるだけ総合的な機能のいい病院に運ばないと、運んだ先の死亡率から見ると、小さい病院に運んだほうがやはり率がどうしても高い。というような問題の提起がございますので、われわれは先ほど申し上げたセンターに、病院から消防署と連絡し合って、病院から出向く救急活動というものをどうしても考えなければならぬじゃないかということを検討いたしたいと思います。 これは死亡者を救うというためには、いまの消防署員による搬送に待っていること、やはり現場に行くことに問題がある。行かない、行くということによって、それが左右されないか。先生の御指摘の命を救うということを考えると、現場におもむくということに対する重要な問題点がないか、こういうふうな観点でただいま検討いたし、将来これの実現をはかりたいというふうに考えております。
○小宮委員 それから厚生省の保険医療の監督結果によりましても、医療機関の不正請求が多いですね。依然としてあとを断っていないですね。これは何が原因かということをお聞きしたいのですが、保険医療機関の不正請求問題は、その監督官庁である厚生省の医療専門家が不足しておるのではないかと思いますが、この点については昨年の十二月二十六日に出された社保審の健保制度改正の意見書の中でも、早急に具体策を講ずる必要があるということで、監査の強化が指摘されておるわけですが、この点どうなんですか。どういうふうに具体的に監査強化をやられますか。
○北川(力)政府委員 診療報酬の不正あるいは不当という問題は、適正な医療保険の運営の面から考えまして、きわめて重要な問題でございます。そういう意味合いから従来からこの指導、監査につきましては十分な努力をしてまいったわけでございますけれども、なお現在でも、一部にそういった傾向が見受けられますことは、まことに残念でございます。大多数の医師の方々はきわめて良心的な診療をやっておられるはずでございますし、一部のそういった不正、不当のために全体の評価が落ちるということも、これまた遺憾なことでございますので、私どもはできるだけそういうことがないように監査、指導等の充実をはかっておるところでございます。 その状況を四十六年度について申し上げますと、監査をいたしました保険医療機関は九十六、それから国保等の療養取り扱い機関が九十一であります。その監査後の措置の状況は、保険医療機関を取り消しましたものが五十、療養取り扱い機関の取り消しが四十三、保険医療機関につきましての戒告が三十四、同じく療養取り扱い機関の戒告が三十三、注意をいたしましたものが保険医療機関について一、療養取り扱い機関について二、以上のような数字でございまして、これを診療報酬の返還額で見ますと、七千百四十八万九千円でございます。 この数字を見る限り非常に少ない数字ではないかというような御批判があろうかと思います。ただ私どもこういったことをやります前にいわゆる集団指導でありますとか、あるいは個別指導でありますとかそういったことによって、できるだけこういったことがないように事前の防止の対策につきましても、できるだけの手だてを講じておるわけでございまして、そういった点をあわせて勘案して御理解をいただきたいと思うわけでございます。 なお、また監査の実際的な役割りを果たす保険関係の地方機関が不足をしているという御指摘でございますが、確かに現在定数百七名に対しまして現在員は七十六名でございまして、相当数が不足をいたしております。今後これの充足対策は多年にわたるきわめて困難な問題でございますけれども、最近におきましてはこの地方の医療専門家、地方機関に特別な調整号俸一二%をつけますとか、そういった処遇上の改善も行なっておりますし、なお一そうそういった方面に意を用いまして、監査の体制の強化にもつとめたい、このように考えておるのが現状でございます。
○小宮委員 次に、医療事故の問題についてお聞きしたいのですが、近年医師の治療ミスや誤診による医療事故が非常にふえまして、患者と医師との間にいろいろなトラブルが発生しております。このほど福岡の医師会が会員に極秘で配布した「医療紛争事件の概要」というものがありますが、それを見ましても、医療事故は、年々件数はふえております。しかもその中には、ペニシリンのショック死だとか、患者を取り違えて人工中絶したものとか、あるいは手術器を体内に置き忘れたものとか、そういうふうなショッキングなものが報告されておるのです。 このようなことは、まだほんとうに一般には知られておりません。このような医療事故というものの実態が、これはやはり全国的に見て、かなりあるのじゃないかというふうに考えております。そのようなことを厚生省は把握しておるのかどうかということと、それで医師会で、全国で四十三県に紛争処理委員会を設けていますね。だから、そういった紛争処理委員会で取り扱った一年間の紛争事故はどれぐらいあるのかということ。 もう一つは、その中で死亡事故はどれだけあるのかということです。これは医療事故というものが、訴訟であらわれてみたり、示談、泣き寝入りとか、いろいろな問題が出ているわけですが、そういうような問題についても、厚生省として、もしつかんでおられれば、御答弁願いたい。
○滝沢政府委員 実は医療事故というもの、あるいは医事紛争という広い意味でそのように申し上げる問題につきましては、実態の把握ということは、事柄の性格上、非常にむずかしい問題でございます。ところが、先生いまおっしゃったような、医師会がそれぞれ紛争処理委員会を設けておる、それの件数の集積されたものは、昭和三十七年以降四十六年まで千六百四十件というものが医師会の雑誌等に公表されております。ただ、これについて、中身に、先生御指摘の死亡が何名あるかということについては、数字が具体的にあらわれてございません。 なお、法務省関係の統計資料によりますところの特殊損害賠償第一審係属事件数、これの資料によりますと、医療は、訴訟四百件、調停が十五件で四百十五件でございます。その他、薬品とか食品あるいは自動車、労働災害等についても訴訟がございますが、これらの問題の中では医療が比較的多い、公害が三百五十五に対して医療が四百、他はかなり少なくなった数字でございます。
○竹内(黎)委員長代理 小宮君、所定の時間が経過していますから、結論をお急ぎ願います。
○小宮委員 この医療事故について、昨年の暮れ、国民生活審議会から医療訴訟を取り扱う医療紛争処理委員会と被害者救済のための医事賠償責任保険制度を設置するよう提案されております。これについては、厚生省も被害者救済制度の検討には乗り出しておるようでございますけれども、それはいつごろその成案ができるのか。 もう一つは、一方医師会でも、ことしの七月一日から医事賠償責任保険制度を発足させることになっておりますが、いま言う国民生活審議会から提案されておる医事紛争処理委員会ですね、これは医師会だけがつくっておりますが、やはりいろんな被害者の立場に立った場合に、公正な、公的な、このような調停をするとか、そういうような第三者機関による公的な紛争処理委員会設置を厚生省は考えるべきではないかというふうに考えますが、その点どうでしょうか。
○滝沢政府委員 国民生活審議会の御指摘の中に、大きく三つございますが、委員会の問題につきましては——医師会か七月一日から医事の損害賠償の保険制度を始める。これは先ほども御答弁申し上げましたように、われわれとしては、外国なども、ほとんど医師が、民間の保険会社とそのような契約による損害賠償制度を行なっております。金額が非常に多くなってきて、今回は一件一億までを限度とする、このようなことに踏み切ったことにつきましては、私は、やはり正当に評価していい問題だと思うのでございますが、ただ、この中で審査制度は、医師会員が加わらない厳正な中立機関をもって審査をして実行していきたいということになっておりますので、これらの経緯を見守った上、われわれとしては、これらの問題にさらに並行して問題を処理するような、あるいは先ほど先生御指摘の、公的な委員会等の設置が必要かどうか、これは本年度から研究班をつくりまして、検討に入っております。 その他窓口の設置についての御提案がございました。こういうようなことも含めまして、本年度から発足いたします医事紛争に関する研究班において——学者約七、八名で編成いたします。近く発足いたしますが、十分検討いたしたい、こういうふうに考えます。(「時間だ」と呼ぶ者あり)
○小宮委員 では、最後にもう二つだけ質問します。 大臣、全国の主婦を対象に健康診断を実施するということで、事務当局に具体案の検討を指示した、こう言われておりますが、(「大臣はいないぞ」と呼ぶ者あり)もう急ぎますから……。大臣の考え方は、今回この健康保険法の一部改正案が成立をすれば、健康診断をするに必要な予算は何とかなるというような考え方で指示しておるようですけれども、もしこの健康保険法案が成立しない場合は、この全国の主婦を対象にしての健康診断は、取りやめるのかどうかということが、まず一点。 それからこの健康診断は、やるとすれば毎年実施するのか。それとも何年おきか、定期的にやるのか。それが二番目。 それから最近各地方自治体で乳幼児の医療無料化の問題が起きておりますが、これに対して医師会側では、やはり時期尚早だというようなことを言っておりますけれども、こういうようなことに対して、厚生大臣の所見をひとつ求めたいということと、それから特に老人の医療費の無料化の問題については、地方自治体の病院において、老人の入院患者が急にふえたために、急性患者のローテーションが急に悪くなった、あるいは老人患者は人手を要するものですから、看護婦さんが、非常に不足が深刻になってきたとか、さらには、このために病院経営が苦しくなったとか、いろんなことが言われているわけですよ。したがって、この公的病院の病床規制措置がありますね。——質問はよけいしたいのですが、はしょります。少なくとも老人病院とか老人病床については、この公的病院の病床規制措置から適用を除外すべきではないのかということです。 それから老人専門病院とか、老人病床の建設費運営費についても、これは当然、国とか地方自治体等で負担ないし助成するような措置を、やはり考えるべきではないのかというように思います。 以上、質問をして、いろいろありますけれども、やんやん言っておるからやめますけれども、一括して答弁してください。
○齋藤国務大臣 主婦の健診についてのお尋ねでございますが、これは当委員会においてお答えをいたしたこともございますが、会社、工場につとめておる方々は、基準法によってそれぞれ健診いたしておりますが、都市の婦人の方々などは、そういう健診を受けるという機会が全然ないわけでございます。やはり予防健診ということが非常に大事なんでございまして、私としては、今日提案をいたしておりまする法案が成立しました暁に、福祉施設として主婦の健診を実行して、計画的に実施していく、こういう考えでございます。
○滝沢政府委員 乳幼児の医療の問題、医師会の協力についてでございますが、これについては、先ほど来問題になっておりますような事務処理の問題と、医師会が主張しておりますのは、乳幼児は健康管理が重要ではないか。先ほど大臣がお答えのように、乳幼児については母親の責任において育てるという意味から、医療の無料化については、健康阻害がすぐ医療と結びつくのにむしろ問題があるという御見解で、これでお答えとしては、かわれると思うのでございます。 それから、老人問題は私のほうの担当の医療機関の問題でございますが、今回の医療審議会で規制のワク外にはずしてございますから、公的病院の規制外に老人病棟をつくる場合については認める、こういうことで具体的に五、六百床の申請が出ております。 それから、病床については、先ほどお答えしましたように、病床の設置について補助することを、具体的に検討いたしたいと考えております。
○小宮委員 大臣の答弁がまだ漏れております。 大臣は、今度の健保改正の法律案が成立した場合は、全国の主婦の健康診断の費用ぐらいは何とかなるので、実施したいというようなことを言っておられますが、それではもしこの健保が成立しなかった場合は、その健康診断はお取りやめになるのか、その点お聞きしたい。
○齋藤国務大臣 この法案が廃案というようなことになりますれば、その予算を使うわけにまいらないわけでございますが、私はこれを期待いたしておりますから、必ずやれるようになると考えておる次第でございます。
○小宮委員 私、きょうは少なくとも四時間の質問をしようと思ってきたけれども、理事会で三時間ときめておるものですから、これぐらいでやめますけれども、残りはあらためて機会を設けてやりますから、これで質問を終わります。
○竹内(黎)委員長代理 坂口力君。
○坂口委員 日雇い健保につきまして、二時間ばかりの時間をちょうだいしてありますが、大臣のほうが御用がおありのようでございますので、重点的に三点だけお聞かせいただきたいと思います。 日雇い健保の被保険者またはその御家族の医療の利用状況を見てみますと、ほかの保険に入っておみえになります方と比べて、入院日数が多いわけでございます。一日当たりの点数で見ますと、決してそう多くはないわけでございます。どうしても一件当たりの日数が多いものですから、全体の医療額が多くなっているという統計が出ております。また、日雇い保険に入っておみえになります皆さん方の疾病分類を見せていただきますと、特に循環器系の病気の方が非常に多い。そのほか神経系と申しますか、神経痛とかリューマチあるいは関節痛といった病気が、ほかの保険の方に比べると非常に多くなっている。これはやはり非常な過重労働といいますか、そういったようなところからきているというふうに考えざるを得ないわけでございまして、何と申しましても、そういうふうなお仕事の内容の層の人が特に多く入っておみえになります日雇い健保でございますので、こういう人たちの保険を一番厚くしていただかなければならないのは、当然だと思うわけでございます。 先日の健保のときにも申しましたけれども、実は予防給付ということを申しまして、皆さん方のほうから、予防給付ということについては別ワクで考えたほうがいいのではないかという御意見もいただきました。しかし、この疾病内容を見せていただき、そして外国の例なんかを見せていただきましても、ある程度は予防給付ということが保険の中に加味されてきております。最近のものでは、西ドイツのものですが、一九七〇年ぐらいから予防給付的なものが入っております。これは全部の疾病に入っているわけではございませんで、たとえば西ドイツの場合には、三十歳以上の女子及び四十五歳以上の男子はガン予防のための検診だけを取り入れている。また四歳までの児童については、正常な心身の発育を阻害する疾病にのみ取り入れているわけです。 こういうふうな取り入れ方をするといたしましたら、たとえはこの日雇い健保のみにつきましても、特にその中で多い病気に対する予防に取り入れることについては、今後検討には値するのではないか、こう思うわけでございますが、それに対する御見解をまず聞かしていただきたいと思います。
○江間政府委員 先生御指摘のように、日雇い健康保険の被保険者及びその家族の病気で非常に特徴的なものは、循環器系の疾患が一番多いということでございます。それに対して政管健保の場合には、消化器系の病気が多い。明らかにそういう特徴がございます。 それからまた、先生が御指摘になりましたように、一件当たりの日数が政管健保に比べると多い。にもかかわらず金額が、一日当たりの金額で見ますと低いというのは、おそらく、日雇い健康保険の被保険者の平均年齢が大体四六・七歳となっておりますが、これが政管健保に比べますと平均年齢で一二歳くらい多いということ。すなわち成人病の系統の方が多いということによるものだと思います。そこで先生御提案のように、保険として当然予防給付を取り入れるべきだという考え方も出てくると思います。 御承知のように、非常に厳格に保険ということを考えます場合には、やはり保険事故があって初めて保険給付をするということが基本的にあるわけでございまして、そういう考え方があるからこそ、保険というものの中で予防給付が取り上げられにくかったわけでございます。先生のおっしゃったような外国の例も、最近は少しずつ出てきておりますが、まだ一般論としては、やはり事故ということに着目するのが本来だろうと思います。ただ、われわれも実際にそういう必要があることは意識しておりますので、保健施設という形で実質的に保険給付の一環としてそういうことをやりたい。政管健保でも考えておりますし、日雇いについても考えておるわけであります。 ただ御承知のように、保険財政自身、疾病の給付自身に非常にお金がかかり、その余裕がない。優先順序をつけるとおかしいのでございますが、やはり疾病給付の支払いに非常に追われ、赤字が累積しているというような条件のもとで、なかなか保健福祉施設費を計上することは、むずかしいという条件がございます。しかし、おっしゃることは十分わかるわけでございます。保険財政をできるだけ豊かにしましたならば、そういうふうな保健施設費も十分計上することはできるであろうと思われるのでございます。
○坂口委員 やはりそういった予防給付が行なわれるとしましたら、弱い体質の保険——経済的には非常にむずかしいかもわかりませんが、しかしその弱い層の人々のところでまず行なわれるのが、筋道としては一番順当ではないかと思うわけであります。今後この予防給付の問題が検討されると思いますが、ぜひこの日雇い健保のところで、まずそれを手始めにやっていただきたいと思うわけであります。ひとつ積極的な御検討をお願いをしたいと思うのです。 次の問題は、給付期間とそれから高額医療費の問題でございますが、これは健保の問題とも重なってまいりますし、先日もいろいろと御意見を伺いました。今回この給付期間は二年から三年半ということに延長されましたので、これは一つの進歩であるというふうに私たちも考えておりますが、しかし他の保険はこの期限というのがないのに、この日雇い健保には、やはり三年六カ月とはいうものの、まだ期限があるわけでございます。いろいろ弱い保険でございますし、特に高齢者等が入っておられます保険でございますので、いろいろ言いたいことはあるわけでございますが、その中で順序をつけるとしたら、やはり給付期間と高額医療の問題が何と申しましても、一番先に私どもとしては言わねばならない問題でございます。特にその中で、長くその病気にかかられる方、あるいはまた期間は短くても非常に高額の医療費の要るような方、そういう人をどうしても救わなければならないと思うわけでございます。 そういう意味で、今回三年六カ月というのがつきましたが、何とかしてこれを取るような方向に進められないだろうか。今回だめであれば、今後のスケジュールとして、こういうふうにするつもりだというお話でもけっこうでございますが、今回の段階で、さらにこれが討議の余地があれば、それにこしたことはないわけでございます。何とかして、この問題をひとつ考えていただきたい。 それから給付の問題では、その病気だけですね。期限が切れますときの——期限が切れると申しますか、病気になった、その病気については、今度は二年が三年六カ月になりますが、他の病気についてはだめである。もし合併症なんか出たような場合には、どうなるかということも、ひとつあわせてお伺いしたいと思います。
○北川(力)政府委員 今回の改正におきまして、療養の給付期間を現行の二年から三年半に延長いたしましたことには、ただいま先生からもそれなりの御評価をいただきました。その結果、前回も申し上げましたが、大体四十五年四月の政管健保の診療分の実績によってこれを推計しますと、大体これによってほとんどの方々が実質的に療養の給付を全期間にわたって受け得るような形になると思います。ただ長期の疾病もございますので、もちろん問題は残ります。しかし今回の改正は、さらに受給要件に加えまして三年半の期間が経過をいたしましても、その月についてさらに受給要件を満たしておりますと、その次の月はまた給付を受けられるというようなかっこうにもなっておりまするから、いわば二段がまえでかなりな改善になっておると思うわけであります。 問題は、いまおっしゃいましたように、疾病ごとではないかということでありますけれども、受給をいたしますためには、受給要件として、日雇い労働者でございますので保険料の納付が非常に不確定であるということで、前二カ月間に二十八日間以上の保険料納付あるいは六カ月間に通算して七十八日間以上の保険料納付ということが条件になっております。したがって保険料と保険給付というものは、リンクをしているのが保険制度のたてまえでございますから、そういう意味合いで、同時疾病についてこの給付期間というものを設定をするわけでございます。合併症の場合につきましては、いろいろケースがあろうと思います。しかし、これはむしろ先生のほうがお詳しいかもしれませんけれども、本体になる病気にいわば随伴をして余病を併発するというような場合には、おそらくは解釈上、運用上これに含まれると思いますけれども、全く疾病には無関係に別な疾病が発生をするというような場合には、やはり現行の制度では給付の対象にならない、このような解釈になろうかと思います。
○坂口委員 受給の要件でございますけれども、入院しておりますときに、受給要件を満たすことがなかなかむずかしいわけでございます。そういう意味で、こういうふうな一つの条件つきではなしに条件を取った形で何とかならないものであろうかということを私どもは考えておりますし、それをお願いするわけでございます。 それからもう一方の高額医療費の件でございますが、これも今度健保のほうは三万円という一つの価が出されました。これについてもいろいろと意見はありますけれども、健保のほうでこういうふうな一つの案が出されたわけでございますので、日雇いのほうも何とかしてこういうふうな同じような線が出ないものであろうかと思うわけでございます。初めにも申しましたとおり、何と申しましても一番弱いところに一番厚くというのが政治の基本でもあろうかと思います。そういう点からいきますと、どうしても健保について、日雇いにつかないというのは片手落ちである、こういう感を抱かざるを得ないわけでございます。大臣の今後これに対する御所見をひとつ伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 日雇い健保におけるもろもろの給付が一般の健保よりも劣っているということは御指摘のとおりでございます。そこで私ももっと思い切った改善をしたいとも考えたのでございますが、一応昨年六月でございましたか、社会保険審議会において労使双方が意見一致いたしました原案でございますけれども、それをまずさしあたり——よその保険に非常に劣っておりますので、さしあたりその分だけ何とか改正しようじゃないかということで、本法律案の提案になったわけでございます。 そこで、私は、この法案が成立いたしましても、なおかつよそより劣っているわけですから、第二段階として、成立したその時期を踏まえて他の保険と均衡をはかっていくように改善していくべきだと思うのですし、そういう中で、お述べになりましたように、給付期間の問題とか、あるいは高額医療の問題、特に日雇い健保においては対象が老齢化している方が非常に多いわけでございますから、そういうふうな意味からいっても、やはり高額医療償還制のようなものは、いろいろな給付の差のあるうちでも、まっ先に取り上げる必要があるのじゃないかという考えを私も持っておるわけでございまして、坂口委員とその点は全く同感でございます。法案成立後できるだけ早い機会に改善をするように努力をしてまいりたい、このように考えております。
○坂口委員 ぜひ私どももお願いしたいと思いますし、でき得れば大臣、法律の中の一部を修正して、そういうふうな形にしていただければ、われわれとしては一番いいわけでございますが、いま大臣がおっしゃったように段階的にということも決してわからないではございません。しかし、ほかの保険と比べますと、あまりにも劣っておりますので、そういう面からいきますと、何とかしてこの改正の時期にもう一歩ひとつ前進してもらいたいという気持ちが強いわけでございます。 きょうは私も時間がそうございませんので、これ以上は申しません。ほかの委員の方に譲らしていただきますが、この問題をひとつ今後の討議の中でも一そう煮詰めていただいて、一歩でも二歩でも前進させていただきたいと思うわけでございます。 初めの給付期間のほうも同じことでございまして、この給付期間についても先ほどもちょっと出ましたが、受給要件がありますけれども、この分はあとの高額医療とは違って、今回の改正案の中でも私は考えていただける部分じゃないかというふうに思うわけでございます。ひとつこのほうも積極的にお願いしたいと思います。 それからもう一点は、これは少し日雇い健保からはずれますけれども、日雇い健保等に入っておみえになる方で、しかもうちに非常な難病等の方をかかえた方がかなりあるわけでございます。そういう方があるために、正式に働きにいくことができない。パートでしか行くことができない。そのために日雇い健保等に入らなければいけないという悪循環を繰り返しておみえになる方がかなりございます。 そういうふうな人の中に脳性小児麻痺のお子さんを持たれた方をかなり知っております。ところが、その脳性小児麻痺の子供さんを持ってお見えになるわけですが、そうした施設に預けたいと思っても、なかなか預かってもらえない。一つは施設の数が少ないということもありますが、しかし、単に施設の数が少ないだけではなしに、現在の制度の中に、こういうお子さんをどうしても施設のほうが入院をさせないような仕組みがあるわけでございます。 それをもう少し具体的に申しますと、いわゆる重度心身障害者の場合には指導費というものがついております。月三万九千円ですか、指導費がついております。ところが、脳性小児麻痺のお子さんの場合には、これが何らっかないわけなんです。その辺が、重度の、いわゆる重心と言われる子供さんの場合にはつくのに、脳性麻痺のときには、なぜつかないのかということが私はよくわからないわけです。その辺のところ、おわかりいただける方ございますか。
○穴山政府委員 最近肢体不自由児施設の中に入る子供の中に脳性麻痺をもって入る子供が多くなりつつあるというのは、いま御指摘のとおりでございます。 この肢体不自由児施設につきましては、重症心身障害児の施設と違いまして、いま御指摘のように、重症心身障害児の施設は医療機関でありますけれども、重症指導費というものを現在加算しておりまして、金額もいま先生がおっしゃったとおりでございます。肢体不自由児の場合には、重度の子供を入れております場合には重度加算という制度がございまして、現在その重度加算費というものを各施設に出しておるわけでございます。 ただ問題は、重症の場合には何せダブルハンデでございますので、大体医療費の五五%ぐらい、先ほどのお示しになった金額ぐらい出ておるわけでございますけれども、肢体不自由児の場合の重度加算につきましては、医療費等の約二〇%ぐらいが加算されておるわけでございます。したがって、その金額も重症心身の施設に比べて低いわけでございます。しかし、現に重症の指導費にあたる重度加算というものを現在施設には一やはり肢体不自由児の施設も医療機関でございますけれども、医療機関の医療費のほかにやはり加算は出しているわけでございます。 それで、四十八年度は——四十七年度から入ったわけでございますけれども、四十七年度は、やはり子供の数に相応するだけの予算が計上されなかったのでございます。四十八年度はその子供がおりますだけは大体カバーできるくらいの数は計上したわけでございます。 ただ、その重度加算の費用というもの自身がまだ重症に比べると低いというような問題があるわけでございまして、今後の問題として重度加算の充実ということには来年度以降も努力しなければいけないというふうに考えます。
○坂口委員 重度の身体障害者の場合に比べて、脳性小児麻痺の子供さんの場合のほうが、かえってまあ頭はいいわけでございます。頭はさえているわけです、からだは言うことを聞きませんけれども。だからよけいに世話がかかる。重度の身体障害者よりも、むしろこの脳性小児麻痺のお子さんのほうにかえって手間がかかる、手間がかかるというと、あれですけれども、世話を要する。その脳性小児麻痺の子供さんに、この指導費というものがつかずに、重度のお子さんだけについているということがどうも合点がいかない。だから病院では、肢体不自由児と申しましても、いわゆる小児整形外科的な、子供さんのみを多く収容して、脳性麻痺の子供さんのほうを入れない傾向がございます。これは脳性麻痺の子供さんを入れると、どうしても赤字になる。現在の段階ではやっていけないわけです。だから入れない。全部がそういうことになっております。だから、せっかくそういうふうな施設がありながら、やはり脳性麻痺の子供さんは入れられずに家に置かれるというケースが多いわけです。 したがって、そういう子供さんをお持ちのところは、その父兄はなかなか働きにいけない。特に女の方なんかは働きにいけない。で、日雇いのほうの健保に入らなければならないというような人が、かなりあるわけです。そういうふうな方のお話もいろいろ聞きますと、何とか入れてほしいという御希望が多いわけですが、しかし現在の制度がそうなっておりますので、その制度がそれをはばんでいるとしか思えないわけです。同じような障害があってしかもどちらかといえば、世話がかかるほうの脳性麻痺のほうにこの指導費というものがついていないというのは、私はどうしても納得がいかないわけです。これは今後私はどうしても検討してもらいたいと思うのですが、その辺もう一度お願いいたします。
○穴山政府委員 脳性麻痺が原因で入っております子供でも、重度に該当しますと重度加算がつくわけでございますけれども、その辺は私どももできるだけ実態に即したいと思いまして、本年も重度の加算の対象になる範囲を広げて予算を組んだわけでございますが、その点は私どもさらに努力をしなければいけないと思います。 それからもう一つ、根本的に、最初におっしゃいましたように施設自身がまだまだ足りないという問題もございますので、これも整備五カ年計画で三年目でございますけれども、やはりこういった施設についてもより充実をはかっていきたいというふうに考えております。
○坂口委員 実は大臣、いまお話しさせていただいたようなわけでございまして、この内容が重度の身体障害者と脳性小児麻痺と——おわかりにくいかと思いますけれども、実情は脳性小児麻痺のお子さんのほうが世話がかかりますので、これは指導費というのは、ぜひ重度の方と同じだけの額をひとつつけていただくように御努力をいただきたいと思うのでございます。それをお願いして、御意見をお願いしたい。
○齋藤国務大臣 まことにごもっともなお尋ねでございますので、来年度の予算編成にあたりましては、そういう坂口委員のお気持ちも十分理解して、最大の努力をいたしたいと思います。
○坂口委員 そのほかお聞きしたいととは、まだたくさんございますが、たとえば分べん費の問題でございますとか、埋葬料の問題でございますとか、やはりこういった問題も、ほかの保険の方に比べまして、日雇い健保の方は非常に少のうございます。今回の場合でもちょうど半分でございます。分べん費は健保の方は四万円出ておりますが、この日雇いでは二万円、埋葬料のほうは半分の一万円というようなことになっております。こういった問題も、今回がだめなら、どうしても引き続いて何とかして考えていただかなければならないと思いますが、大臣のお約束の時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
○竹内(黎)委員長代理 次回は明後二十五日月曜日、午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十九分散会