社会労働委員会 第31号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/06/22
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 健康保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 大蔵大臣が見えますので、先に財政問題からお聞かせ願いたい、かように思います。 そこで、まず厚生大臣にお尋ねをしたいのですが、国民総医療費が厚生省の調べによりますと、昭和四十五年度に二兆五千五百三十四億、国民所得に対する割合は四・三二%であり、これは昭和三十二年度に比べて六八七・四%の伸びを示しておる。そうしてその間の消費者物価指数は八四・三%の伸びを示しており、診療報酬の伸びは指数にして七二・八%伸びておる。これをわれわれしろうとが見ますと、ふしぎに思うのは、国民総医療費は七・八倍になっておるのに、診療報酬は指数において消費者物価指数の伸び率よりも低い。これは一体この方程式をどういうように考えたらいいでしょうか、しろうとにわかりやすく説明願いたい。
○北川(力)政府委員 ただいまお話がございましたように、国民総医療費の伸びと、それから国民所得に対する割合、あるいは消費者物価指数の推移は御指摘のとおりであります。診療報酬の引き上げによります上昇率は、御承知のようにこれは診療報酬をたびたび改定してまいりました累積でございまして、消費者物価指数と比べて診療費の伸びが高い、あるいは総医療費の伸びが多いということは、これはその間に必ずしもパラレルでなければならぬという理由はないと私は思います。 総医療費がどういうわけでこのように伸びてまいったかということを考えてまいりますと、先生のお話は三十二年度以降の問題でありますので、それ以降の医療費の増加要因といたしましては、一つは皆保険、あるいは給付の改善、あるいはその医療内容といたしましては制限診療の撤廃でありますとか審査の撤廃でありますとか、そういった非常な医療費の伸びの要因があるわけでございます。かたがたまた疾病構造の変化ということもございますし、人口の老齢化ということもございますから、そういった社会的な要因というふうなもの、あるいは医療保険をめぐるいろいろな要因というふうなものが重なりまして、その結果こういうことになってきたわけでございますので、結果的に申し上げますと御指摘のような数字ではございますけれども、総医療費が伸びておりますのには、それだけの理由があり、また診療報酬が伸びておりますのには、それだけの理由がある、私どもはこのように考えておるような次第でございます。
○多賀谷委員 診療報酬の伸びの指数を見ると、物価指数に比べて若干低い。ですから、お医者さんのほうで診療報酬を上げてくれという要求はわかるわけですよ。ところが総医療費を見ると、診療報酬が七二%に対して、その約十倍の六八七%伸びておる。どうもこの計算がはっきりわからない。この方程式のなぞはどういうふうに解くのですか、具体的に説明を願いたい。
○北川(力)政府委員 いま申し上げたようなことでございますけれども、方程式といわれますと、どういう方程式でどういう答えが出るかということは、私は必ずしも数字をもって正確に申し上げることはできないかと存じます。ただ、いま申し上げたような総医療費を構成するいろいろな要因というものを考えますと、それにはそれだけの理由がございますし、いま申し上げました以外にも、やはり医学、医術の非常な進歩でございますとか、あるいは非常に新しい薬効の高い薬品の出現でございますとか、そういったことの積み重ねで全体的な医療費がふえてきておる、また受診率も増加をしてきている、人口構成も変わっておる、社会的な疾病もふえておる、そういうことがやはりこの問題の答えではなかろうかと思います。 したがって厳密な意味で、方程式でどういうふうに解明するかというふうなことになりますと、そういったものは私は現在持ち合わせておりませんが、全体的な傾向といたしましては、いまのような要因の累積の結果、消費者物価指数に対してこのような結果になっておる、そういうような一般的な傾向ではなかろうかと承知いたしております。
○多賀谷委員 それにしても、ちょっと数字が異常じゃないですか。診療報酬費そのものは指数は七割程度。しかし総医療費は七倍というのはどうもわれわれとしては解せない。 そこでさらに細部にいろいろ調べてみますと、診療費がこれは十年間ですか四倍、検査が十倍、薬が七倍、こういうように伸びを示しておる。そこで、ああそういう状態ならば、このくらい伸びるのかな、こういうぐあいに考えるのですけれども、何にしても、お医者さんのほうは患者が非常に多くなっていくわけですか。それとも、いま申しましたように薬は相当伸びておる、こういうところに原因があるのですか。もう少し的確に答えていいだろう。これだけ数字がアンバランスになれば、厚生省としてはこの原因は、こことこことここだ、その他にもあるけれども、大体こういうことであろうと思うと、もう少し的確に答えられるはずですね。
○北川(力)政府委員 診療報酬を構成いたします要因といたしましては、御承知かと思いますけれども、受診率と一件当たりの日数と一日当たりの金額というものが基本的なファクターでございます。いま申し上げましたいろいろな事情、たとえば国民皆保険あるいは制限診療の撤廃あるいはまた人口構成の急激な老齢化あるいは社会的な疾病構造の変化というふうなことにつきましては、やはり医療内容の充実と相まって受診率をふやしておるということになろうかと思います。また最近こそ横ばいはいたしておりますけれども、そういうふうな受診の機会が多い、また医療内容が向上してくるということで一件当たりの日数というものも非常に顕著な伸びを示しておるのが事実でございます。なおまた一番問題になりますのは、やはり一日当たりの金額でございますけれども、これは医学、医術の進歩でございますとか、あるいはまたいろんな医薬、薬学の進歩、そういうことでこれが相当な伸びを示しておる。それは結果的には、いま先生御指摘のように近代的な検査の増加でございますとか、あるいはまた医薬品の増加でございますとか、そういうものはもちろんございますけれども、そういうものが積み重なりまして、一日当たりの金額が伸びておる。 したがって、いま申し上げましたことを総合いたしますと、受診率の非常な増大、これは先ほど申し上げたような理由でございます。それからまた一件当たりの日数の伸び、さらに非常に大きな要因といたしまして、一日当たりの金額が顕著な伸びを示しておる。その相乗積として診療報酬というものが出てまいるわけでございますから、それが出てまいりました上で、さらにまた引き上げが行なわれるというふうなことで、私どもはこの診療報酬の伸びというものは相当顕著でないか、このように考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 それでは一体国民所得に対する総医療費が四・三%という数字は、国際水準から見てどうですか。要するに日本の医療水準は、国際比較、すなわち先進諸国に比べて高いと思われますか、それとも低いと思われますか。まず、厚生、大蔵両大臣からお聞かせ願いたい。
○北川(力)政府委員 数字は、ただいま先生おっしゃったような四・三%ということで総医療費の国民所得に対する割合は、最近数年間は推移をいたしております。私どもはこういうレベル、この水準というものは国際的に見ましても決して低くはない、大体国際的なレベルに達しておるのではなかろうか、このように考えております。
○多賀谷委員 厚生大臣……。
○齋藤国務大臣 ただいま保険局長から答弁いたさせましたような数字でございますので、ほぼ国際水準に達しておる、かように考えております。
○多賀谷委員 大蔵大臣どうですか。
○愛知国務大臣 これは私としてもほぼ国際水準並みになってきた、かように認識いたしております。
○多賀谷委員 しかし、病院のほうもお医者さんも、みんな低医療費だと言っておるのですよ。日本の医療政策は低医療費政策だと医師会も言っておるし、そうしてあらゆる階層が低医療費政策だ、こう言っておる。しかし、いま大蔵大臣、厚生大臣は大体国際水準並みだ、こう言っておる。ほんとうにそう思っておるのですか。
○齋藤国務大臣 先ほど申し上げておりますように、国際水準に近い線になっておる、かように理解をいたしております。
○多賀谷委員 スウェーデンが一九六九年、七・六八です。西ドイツが七・二七%、フランスが六・二五%です。それは人口構造も違うでしょうけれども、保険局長はこういう間違ったことを大臣に伝えてはいかぬですよ。それは、過去三十二年くらいから見ると確かに総医療費は上がっておる。上がっておるけれども、国際水準から見ると、まだまだ非常に低いですよ。この点を十分把握しなければ日本の医療行政はできない。大臣、どうですか。
○北川(力)政府委員 私が申し上げましたのは、一つの例といたしまして先進国であるイギリスの例に比べて申し上げたのでございますが、御指摘のようにドイツとか、あるいはスウェーデンとか、そういったところに比べますと、もちろん多少下回っておるということは言えると思いますけれども、一般的に見て、この程度のレベルでございますと、国際レベルに比べて、そんなに遜色はないというふうなことを私は申し上げたわけでございます。
○多賀谷委員 私はなぜこのことをくどく質問するかといいますと、日本のいまの医療政策を考える場合に重要なポイントになるのです。これを間違えますと、いろいろな点にひずみが出てくるでしょう。現実にあちらこちらにものすごいひずみができておるでしょう。大体国際水準並みにいっているんだということになれば、あとはアンバラを直すだけですよ、水準は上げないで。そういう状態ではないのですよ。 だから、あなた方がいま健康保険法を改正して料金を取ってやらざるを得ないというのは、結局国際水準に達してないからでしょう。あなた方の意見を聞けば、われわれはもうこの法案を審議する必要はない。いままでの限度でやりなさい、こう言わざるを得ないですよ。ですから、人口構造は若干違うにしても、西ドイツが七・二七、フランスが六一二五という数字から見ると、はるかに下回っておる、こういう認識に立たざるを得ないのですが、これは厚生大臣、どういうふうにお考えですか。あなたがそんな認識だったら、この法案通りませんよ。
○齋藤国務大臣 私どもは必ずしも国際水準並みという考えではありませんが、それに近づけるように努力をしておるわけでございます。イギリスに比較いたしますと、大体同じような感じもいたしております。ただ、そのほかのドイツとかフランスとかスウェーデン、こういった国々に対しましては御指摘のような点があると思いますが、国際的な比較というのは非常にむずかしいものだとも思うのでございます。人口構造なり疾病構造なり、さまざまな変化等もありましょうし、必ずしも比較することが正確にできるかどうか、むずかしい問題はあると思いますが、私どもは国際水準に近づけるという努力だけはしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 細部については、また意見の交換をしたいと思いますけれども、要するに、社会保障給付費の医療費に占める割合だけ見ると、日本は医療費は高いんですよ。しかし、国民所得の医療費のいわば絶対額を見ると非常に低いということですよ。問題は、これをはき違えると、たいへんなことになるわけです。そこで、日本の医療水準が外国に比べて低いということになれば上げなければならぬ。 ところが大蔵大臣、労働者が負担するその比率は、給料に対して西ドイツを除いたら、大体国際水準並みなんです。むしろ日本は高いんですよ。ですから、労働者の負担率は国際水準の限度にきておる。限度にきておるとするならば、それ以上は一体どこが負担をするか、こういうことですよ。それは結局国が持つか労使の比率を変えるか以外にない。要するに、事業主が持つか国が持つか、いずれかですね。大蔵大臣どういうふうにお考えですか。
○愛知国務大臣 健康保険制度を充実改善したいということは、われわれも念願しておるところでありますが、それについては国も財政的にも援助しなければならないが、同時に長期的に、保険制度というものの本旨からいって、収支が均衡しているということが私は大事なことだと思います。その面からいって保険料でも若干の引き上げも必要であると思いますし、同時に財政の面から申しましても、たとえば現制度においては累積した赤字が異常なものでありますから、これをたな上げする。それから定率の国庫補助をする。今度は一〇%の原案として御審議を願っておるわけですが、これは従来の国会の御審議等においてあらわれた、いろいろの御意見を取り入れて一〇%の定率の補助ということにいたしました。これはやはり財政的には将来にわたって相当の負担になってくるわけでございます。 ですから、外国との比較もいろいろの点でいま御意見がございましたように、細部にわたって沿革やあるいはその他いろいろな要素から比べてみなければ、科学的に水準がどうかということは、なかなかむずかしい問題ですが、先ほど申しましたように、全体としては、ほぼ国際水準並みになりつつあるという認識を持っておるわけです。そういう認識も同時に踏まえながら、日本の、ことに政管健保の制度については長期にわたって収支を改善する。そのためには応分の国庫の負担も必要である。しかし、これもおのずから限度があることであって、国民全体の負担でございますから、そういう角度に立って、この原案がこの際としては適当であろう、こう考えておるわけであります。
○多賀谷委員 フランス、西ドイツ、イタリア、スウェーデン、イギリスに比べて、日本は労働者の負担の率が一番高いのです。労働者の負担が一番高いということです。この上に労働者の負担を多くするということは何ごとであるか。第一、賃金の各国の百分率で言ってもいいです。労働者の賃金の額、保険料の集計をとってみても、フランスが医療、年金、家族、失業保険、これらを入れても五・五八%ですよ。イタリアは七・〇五。ところが、日本はいままで七・二五であった。しかし、今度はあなたのほうは弾力条項を一ぱいに使うでしょう。あとから質問しますが、特別会計法であれだけ締めつけるわけです。そうすると八・七五になるわけです。西ドイツが一四・三五で丸 しかし、西ドイツは大蔵大臣御存じのように、連邦政府予算の二九%が社会保障費ですね。日本は一四・八だ。ですから、西ドイツは労使とも高い保険料を払っているけれども、政府はものすごい犠牲を払っておる。約三割、三〇%の社会保障費を出しておる。日本は労働者が一番高い比率を納付しておるのですよ。それなのになぜこれ以上労働者に負担をかけようとするのか、これをひとつお聞かせ願いたい、大蔵大臣。
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、政管健保については、やはり日本としては日本独得の考え方といいますか、日本の国情に即した考え方でいかなければならないと考えますが、累積赤字がこのままの状態ではどうにもならないということに着目して、累積赤字をたな上げするというようなことは、今度は財政のほうからいえば相当思い切った負担を忍んでいこうとするのがこの考え方でございます。 それから、定率国庫負担一〇%ということも、定率ではっきりするわけですから、これは今後の財政的な負担も非常に大きくなるわけですが、これは国民全体、要するに税金で負担をしようというわけでございますから、したがって保険料のほうの負担につきましても、若干の引き上げを御容認いただきたいというのが、健保制度というものを末長くりっぱに充実するという観点から、私どもとしてはぜひこの考え方が必要である。 ドイツの場合は、連邦制度というものが日本と違っております。また、それから出てくるいろいろの点も違っていることは事実ですけれども、やはり日本は日本としての考え方でいくべきでなかろうか、私はこう考えております。
○多賀谷委員 累積赤字、累積赤字とおっしゃいますけれども、保険局長、これはいつからの累積赤字なんです、昭和何年からの累積赤字ですか。
○北川(力)政府委員 昭和三十七年度から実質的には赤字が出たわけでございます。ただ、実際上はその時点におきまして、政管健保は相当多額の積み立て金を持っておりましたので、三十七年度、三十八年度、それから、私もやや記憶がさだかでありませんけれども、この二、三年度の間はその積み立て金を食いつぶしてやってまいったのでございますが、要するに三十七年度に発した実質的な赤字、そういうものがその後積み重なってまいりまして今日の状態になっておるわけでございます。
○多賀谷委員 要するに、この、あなたのほうの資料であります。昭和四十年にすでに六百六十九億円赤字を背負っておるわけです。それから昭和四十七年に二千八百億でしょう。こんなに長い間かかった累積赤字ですよ。何か、三千億が急に突然あらわれたような話じゃないですよ。むしろ安いじゃないですか。これだけの政管健保を維持するにおいて、十年ぐらいの赤字が三千億だというのです。二千八百億だ。一年に直してごらんなさい、幾らでもないですよ。ですから、何かものすごい赤字を背負ったようなことを言うけれども、年度で見ますと、四十年に六百六十九億円もうすでに赤字を背負っておるのです。それから以後でしょう。そんなにふえていないですよ。 大蔵大臣、どういうようにお考えですか。あなたは、累積赤字、累積赤字と言うけれどもこれは早く処分すれば何でもなかったでしょう。
○愛知国務大臣 ですから、早く処分したいと思って従来も考えておりましたが、この機会に、本来保険会計というものは自主的に運営されるべきものであるし、やはり収支の均衡ということが担保されなければならないのが制度の本旨であると思います。ですからこの際、定率の補助もやりましょうということを踏み切りますこの機会に、従来のものはたな上げにいたしまして、これから自主的運営で収支がバランスができるように、これが長期にわたって本制度を充実していくゆえんであろう、こう考えておるわけです。 したがって、その累積赤字が多いか少ないかあるいは何年間でどうとかいうことではなくて、筋としてこの際処理すべきものは処理をして、そうして政府負担というものも定率で負担することにして、これで自主的に運営していこうという、この筋は完全に通っておる。国民の税金ですよ、これは。
○多賀谷委員 国民の税金はわかりますよ。しかし一方大企業は組合健保がある。そうして、いわば零細企業ばかり集めておる保険でしょう。中小企業ばかり集めておる保険でしょう。多くの老齢者ばかりかかえておる保険でしょう。政府が出すのがあたりまえじゃないですか。国民の税金とは何ですか。そういう所得のバランスをとるのが政府でしょう。税金はわかっていますよ。でありますから、なぜ手当てを早くしないか、十年もかかって三千億といえば、そうたいしたことではないですよ。それを何か突然三千億、膨大な赤字、膨大じゃないですよ、期間が長いですから。 そこで私は、時間がないそうですから、いわば今度一番威嚇的な立法のように感ずるのは、厚生年金特別会計法の一部改正です。要するに一年内の間に保険料の収入で償還することができ得るすなわちごく短期なんですね、この短期融資しか借り入れ金をしてはならぬと書いてある。私はこの法律はまさに威嚇立法だという感じがする。これによって弾力条項を全面的に発動しなければならぬです。これは社会保険審議会の議を経るとかなんとかの問題じゃないのですよ。どうにもこうにもならぬ、借金をさせないのですから。借金をさせなければ当然保険料を上げざるを得ないでしょう。社会保険審議会にかけてみても手はないのですよ、借り入れ金が全然できないのですから。 借り入れ金ができないようにして、そうして諮問してもどうにもならないでしょう。これは反対したってしようがないでしょう、借り入れ金ができないのですから。ですから、お医者さんにも何にも払えなくなるのです。看護婦さんにもお医者さんにも手当が払えなくなるようにしてあるのです。私はこういう立法は大蔵省としてつくるべきでない、こういうように思うのですがね、大蔵大臣。
○愛知国務大臣 やはりこの問題は、ただいま私が申し上げました趣旨から出ているのであって、これから、保険料収入の伸びとか医療給付費の伸びであるとか、こういうことを考え合わせてみまして、政管健保が自主的に運営される、均衡がとれるように自主的にやっていくということが私は大事なことではないかと思いますから、こういう点と、それから国庫の負担率を従来の案でいえば五%ということを一〇%に広げるというようなことで、政府も努力いたしますが、この会計も十分自主的に運営されるように、したがって新規の借り入れということについては制限をつけるということ、これがこの一貫した一つの考え方である、こういうふうに考えるわけでございます。 したがいまして、弾力条項の発動というようなことがありますような場合、これはまあそのときの場合でありますけれども、原則的に借り入れ金はやらないでやっていくという筋が大事なところではなかろうか、こう考えるわけでございます。
○多賀谷委員 一年以内に保険料をもって返済することができない場合には、その場合は借り入れをさしてはならぬ、こう書いてある。ですからほんの短期融資は別として、一年見て、そうして収支がどうも合わないという場合には借り入れ金をさしてはならぬと書いてある。借り入れてはならぬと書いてある。これはどうしても——弾力条項じゃないですよ、初めから心それなら八〇%としたほうが正直です。弾力条項で、何かで、審議会にかければ、意見を言えば何とかなるような、こういうような仕組みのように見えるけれども、事実上はそれはできない、借り入れ金できないのですから。どうしますか。先生の給料だって払えぬじゃないですか。大蔵大臣、どういうようにお考えですか。
○愛知国務大臣 いや、これはここに書かれているとおりなんであって、威嚇的とかなんとかいう御見解がございましたけれども、先ほど来申し上げました趣旨に基づきまして、「引上ゲラレタル年度ニ於ケル健康勘定ノ歳計ニ不足ヲ生ズル虞アル場合ニ於テ一年内ニ」云々、「当該不足スル金額ヲ限リ同勘定ノ負担ニ於テ借入金ヲ為スコトヲ得」と、このとおりでございます。
○多賀谷委員 これは弾力条項じゃないですよ、厚生大臣。あなたのほうは弾力条項だと思っておられるのは大間違いですよ。金を貸さないのに、弾力条項と言うが、弾力条項じゃないですよ。これはもう八〇%と書いておったほうが正直ですよ。大蔵大臣もだれも金を貸さぬと言うのだから。給料も何も払えぬじゃないですか。薬代も何も払えぬじゃないですか。なぜこんなものを認めて、そうして審議会にかけて、いかにも審議会で何か意見を言うことができるように、こういう錯覚におちいっておるのじゃないですか、厚生大臣。
○齋藤国務大臣 今回の改正法案は、全般を通じまして、過去の累積赤字はたな上げにし、あとは単年度でとんとん経理をしていくようにお願いをしたい、そういうたてまえから、こういう文字になったものである、私はさように理解をしておるわけでございます。
○多賀谷委員 時間がないそうですから、最後に大蔵大臣、要するにこれを修正していただかないと、削除していただかないと、弾力条項ということばでなくなる。弾力がないのですよ。あなたのほうが金を貸さぬと言ったら、審議会にかけようと国会で審議しようと、金の出どころがないのですから、結局、薬代なんかをもう払わぬという以外に手がないのですよ。他に方法はないのですよ。金を貸さぬというのですから、借り入れちゃならぬというのですから。ですから、弾力条項と言っておるけれども、弾力でも何でもない。これは必然的に上限の八〇%まで保険料を上げざるを得ない仕組みになっておる。どこの機関にかけようと、それはどうにもならないのだ。こういうことをひとつ認識してもらって、もう一回大蔵省で再考願いたい。
○愛知国務大臣 私はこれで差しつかえないと思うのですが、どうですか。一年内に保険料をもって償還をなし得ることが明らかなときには、当該不足する金額を限って借り入れ金をすることができる、こう書いてあるのですから、これで十分まかなえると私は思います。
○多賀谷委員 大臣、一年以内に返せる見込みがある場合には、それはどこでも貸してくれますよ。ところが、一年をこえて返済見込みがまだ立たないという場合には借り入れしてはならぬと書いてあるのですから、結局弾力条項でも何でもない。八〇%までずっと保険料を上げざるを得ない、こういうように考える。これでいいのですか、厚生大臣。あなたは審議会の議を経るとか意見を聞くとか、これは意味ないですよ。もう自然に上げざるを得ないでしょう。
○齋藤国務大臣 この十八条ノ八の三項にありますように「不足ヲ生ズル虞アル場合ニ於テ一年内ニ保険料ヲ以テ其ノ償還ヲ為シ得ルコト明ナルトキハ当該不足スル金額ヲ限り同勘定ノ負担ニ於テ借入金ヲ為スコトヲ得」すなわち過去の赤字は一応たな上げにする。あとは単年度においてとんとんの経理をやっていただきたいという仕組みに一応なっておるわけでございますから、私は仕組みとしてはそういう仕組みで、これでいいのではないかと思うのです。——仕組みはですね、私はそう思います。
○多賀谷委員 そうするとあなた、ペテンにかけたようですよ、厚生大臣。審議会の議を経るというのは形式じゃないですか。金を全然貸さないというのですね。保険料を上げざるを得ないでしょう。全然余裕がないのですよ。弾力条項でも何でもないですよ。どこの意見を聞かなくても、もう会計上どうにもならなければ厚生大臣がやる以外にないでしょう。これは自動的に上がらざるを得ない仕組みになっているのですよ。そうでしょうはっきり言ってください。
○齋藤国務大臣 御承知のように、私どもが提案いたしておりまする弾力条項というのは、赤字を生じたときには発動するという仕組みでございます。そういうことであれば、借り入れはその仕組みを受けてやる。それで、橋本私案の話を申し上げるのはどうかと思いますが、橋本私案のようにある程度そちらのほうを限定用途、用途を限定するということになれば、内容が少し変わってくるのじゃないかと私は個人的には思いますが、私どもの提案している法案全体のとらまえ方は、私はこれでいいのじゃないか。弾力条項発動が、御承知のとおり赤字を生じたときには、すべて発動するという仕組みになっておるわけですね。ということであれば、この条項はこれでいいのじゃないか、こういうことになるのではないか、私はそう思います。
○田川委員長 ちょっと多賀谷君。大蔵大臣が大蔵委員会に呼ばれて、もう時間になりましたから……。
○多賀谷委員 はい。 厚生大臣の気持ちは、いまの法律ではそうだけれども、しかし弾力条項といわれるものの中身が変われば、当然この厚生保険特別会計の条文を修正してもらわなければ困る、こういう形になるのですが、いいですか、それを承知してください。
○愛知国務大臣 いま厚生大臣が前段に言われたとおりで、政府の提案いたしておりますこの改善案によりますれば、収支がうまくとれることを見込んでいるわけでございますから、それを前提にしてこの条文は、厚生大臣のおことばからいえば、仕組みとしてこれで正しい、私はこう考えております。しかし将来、政府の案というものについて、まあ私は橋本私案というものも新聞では承知しておりますが、そういうふうな考え方がかりに、これは国会の御審議のことですからとやかく申しませんが、そういう事情や状況の変更があれば、こういう点についても検討しなければならない場合があり得ようか、そういうふうに私は考えます。 現在の政府提案の筋でいけば、この条文は私は正しい考え方である、それはやはり基本的な考え方の問題であって、自主運営で年間はバランスがとれる、したがって過去の赤字はこの際たな上げにしてしまう、その考え方を通せば、こうお願いすることが将来とも自主運営でりっぱにやっていける、こういう考え方でございます。
○多賀谷委員 法人税等についても聞きたかったのですけれども、残念ながら大蔵大臣が退席をされました。 そこで厚生大臣として、これは所管の問題ですけれども、日本の労働者の負担率というものは高いのだという認識をひとつ持ってもらいたい。あなたは労使折半は定着をした、こうおっしゃるけれども、必ずしもそういう状態ではないですよ。諸外国の例を見ても、日本のはもう労働者負担は限度に来ておるのですよ。それは健保だけじゃありませんよ。年金あるいは失業保険等を含めて見ると、大体諸外国に比べて高い。ですから、これ以上負担をさすということになれば、私は労働者にではなく、いわば事業主か、あるいは国庫負担を増大するか、このいずれかを政府としては選ばなければならないと思うのですね。そこで厚生大臣は一体どういうふうにお考えですか。
○齋藤国務大臣 労使の負担が限度に来ておるかどうか、それは私は、なかなか判断しにくい問題だと思っております。 ところで、労使折半ということは、一般的に申しますれば、私はたびたびお答えいたしておりますように、失業保険にいたしましても、健保にしても、厚生年金においても、わが国においては社会保険における保険料というのは、労使折半ということが着々定着しているのじゃないか、こういうふうに私は考えております。しかしながら、私は、この問題については次の大きな政治的な課題になるということの問題意識は十分持っております。たびたびお答えいたしておりまするように、これは将来の相当大きな政治的な課題になるという問題意識は持っておりますが、一応労使というものは折半という原則、たてまえというものが一般国民に定着しているのじゃないかと思います。 そこで問題は、そういうふうな考え方の上に立って、それぞれの保険制度、健保なりあるいは厚生年金なり、そういうふうな制度制度においての特殊な要請、それはその中の構造的な要請もあります、そういうふうな制度制度のそれなりの構造的なものから来る要請に従って、そのつど国が適正な補助金を出す、こういうたてまえがいいのではないか。特に政管健保のような場合になりますと、中小企業を対象といたしておりますから、労使の折半をくずすよりも——中小企業経営者それ自身もやはり相当苦しい、そういうことを考えて、全体を含めて国の補助をふやす、こういうやり方のほうがいいのではないか、私はこういうふうに考えております。 しかしながら一般的に言えることは、労使折半の原則というものについては、相当これはいろいろ考えなければならない問題を包蔵している、こういう問題意識は、私は十分持っておるつもりでございます。
○多賀谷委員 そこでバランスの問題ですけれども、この政管健保と組合健保の比較をしてみますと、これはたびたび出たのでしょうけれども、標準報酬月額で政管が五万三千百十五円、これは四十六年度です。それから組合健保で六万五千九百二十七円、ここで約二割くらい差がありますね。それから一人当たりの法定給付費において政管が四万六千八百五十一円、組合が三万七千六百五十五円、ここで約一割以上の差が出ておるのです。 これはもちろんいろいろ見ると、五十五歳以上をその構成比で見ますると、政管で一一・三八%、それから組合健保で五・八七、こういう数字が出ておる。こういういろいろなデータをずっと集めてみますると、やはり一割の定率の国庫補助というのは非常に低いというデータが出るのですが、あなたのほうで今度国庫補助率を定率にした、しかも一割だということですけれども、一割の定率では非常に低いのではないか、こういうように考えますが、どうですか。
○北川(力)政府委員 一〇%の国庫補助問題につきましては、いまのお話のように組合健保との相対的な比較関係という問題もあろうかと思います。また政管プロパーの問題もあろうかと思います。私どもは、このような一〇%になりましたことの意味合いは、前回は五%で提案を申し上げまして、いわゆる財政対策法の中で、当院の御意思によりまして一〇%までこれを御配慮願ったわけでございます。このことを政管健保の場合に過去十年間くらいの、いま先生がおっしゃいました一人当たりの保険料あるいは一人当たりの保険給付費というようなもの、そういうものと比較をいたしまして計数的に追跡をしてみますと、いわゆる逆ざやと申しますか、マイナス要因というものが一〇%前後になっているというふうな計数上の実績はあるわけでございます。 なお、それは三十七年に標準報酬の上限を十万四千円に改定いたしましてから、いま標準報酬を上げておりませんので、上げておりません状態のもとにおきましても、大体一〇%程度の逆ざやが恒常的に出ておるということでございますから、今度の改正案でお願いしております標準報酬の上のせが二十万円までやるわけでございます。そうしますと、いま申しましたような、一人当たりにいたしまして保険料と保険給付費との差額は従来より伸びるということはまずないのではないか、われわれはこのように考えまして、そういった過去の実績とか今度の法律改正案による標準報酬の伸びでございますとか、それからまた前回の当院における、いろいろな御審議の成果とかそういったものを全体を踏まえまして一〇%というふうなことを考えたわけでございまして、大体このようなことでございまするが、基本的な政管健保の脆弱な体質改善はできるのじゃないか、このように考えております。 ただ、いまおっしゃいました組合健保との比較におきましては、組合健保と単純に比較いたしますと、なるほどその面に関する限りは一〇%という数字が正しいかどうかということは問題であるかもしれませんけれども、比較のしかたにもいろいろあると思います。私どもいまのところは政管健保のそういった過去のことを考え、いろいろなことを考えまして、この程度のことで基盤の補強をする、基盤の補強をするのはこの程度のものでまず適切なものではなかろうか、かように考えておるのが実情でございます。
○多賀谷委員 そうしますと、バランスよりも、いままでのいわば赤字を補てんする上においては一〇%ぐらいが適当ではないか、こう考えたということですね。組合健保と政管健保のバランスから考えると、まだ差が多い。さっき言いましたように三割くらい。しかも今度上限が二十万円になりますから、平均標準報酬の月額がぐっと違ってくる。差がなおついてくる。それは組合健保のほうは三割以上とどまっておるというのですから、十万円のところで。ですから組合健保のほうが政管健保よりも標準報酬月額を見ると金額的には差がついてくる、こう考えざるを得ない。 これは恒久的な問題になりますと、漸次格差が縮まるのでしょうけれども、いまの段階ではそう考えざるを得ない。でありますから、さらにこの差は拡大をし均衡を失する、こういう面もあると思います。もっとも給付の問題については、チェックの問題もありますから、一がいにこれだけではいえないと思いますが、何にしても非常に低いということです。 それから社会保険庁にお尋ねをしたいのですが、政管健保と国保との給付費の補助率でベースを置いて考えればどういうことになりますか。 すなわち、国保の場合は総医療費でしょう。それから政管の場合は補助率が給付費ということですから、国保の側を給付費と見て、一体バランスがとれておるのかどうか、どのくらいか。
○北川(力)政府委員 政管健保の場合には、いまお話しのとおり国の補助は給付費ベースで一〇%でございます。それから国保のほうは総医療費に対する補助率が四五%でございますので、これを給付費ベースに引き直しますと六四・一%になります。ただ政管健保の場合には一〇%の補助率のほかの負担は労使折半でございますから、給付費ベースで四五の事業主負担がある。総医療費ベースに直しますと三八・五%の事業主負担がございますので、その点を差し引き計算いたしますと、国庫補助ベースということをいまのように計算をいたしまして、これを実質給付率にいたしますと、政府管掌健保が八六・五%、国民健康保険の場合には七〇%ということになりまして、確かにそこに多少の差はございますけれども、相当程度、一〇%程度の給付補助によって、格差が縮まっていくということは事実じゃなかろうか、このように考えております。
○多賀谷委員 給付費を前提にして国保の補助率を見ると、結局事業主負担分は本人保険料と同額、こう考えれば、純然たる国庫負担というのは、四〇%とした場合には二一・九%、それからこの四五%とした場合は二九・一%、こういう計算になるのです。保険料と同額を事業主が出してくれたと仮定をして、そしてあなたのおっしゃる六四%から引きますと、結局そういう形になるのですよ。ですから、いま本人負担も多い国保と比較をして云々は言いません、これも足らぬと言っているのですから。しかし補助率をずっと算術的に計算をしますと、非常に低いということですね、政管のほうは、そういう形になる。国保のほうから見ると非常に低い。ですから、組合健保あるいは国保と全体的に見ると、どうしても二〇%ぐらいの補助率が妥当じゃないか、こう思うのですが、どうですか。
○北川(力)政府委員 相対的な問題でございますので、何%が最も適切な数字であるかということは、私はいろいろ議論があろうかと思うのです。この問題を詰めてまいりますと、いろいろ議論がございますように、いわゆる医療保険制度全体の改革の中で、どのようにして負担の公平をはかり、また給付の均衡をはかるかという問題に帰着するかと思います。 したがいまして、この問題は、今回は政府管掌健康保険を中心にした健康保険、いわゆる被用者保険の家族給付の引き上げ、あるいは国民健康保険を含めた家族高額医療費の給付の面の改善、政府管掌の国庫負担の定率化の導入をやっておりますけれども、全体的な制度の改善を考えますと、いま申し上げましたように、全体の中身で考えなければならぬ問題でございますので、多年懸案になっております財政調整というような問題もございます。あるいはまた地域保険と職域保険を、どういうかっこうでドッキングをするかという問題もございます。 そういう問題は、私どもは今回の改正の次のステップにおいて、非常に大きな問題としてつかまえていきたい、このように考えているのが実情でございます。
○多賀谷委員 これは次の機会に、全体のバランスを考えたいということであります。 そこで、大臣、この間も公聴会において公述人がいろいろ述べられたわけです。大体本人と家族の給付を差別しておるというのは、日本だけじゃないですか、どうですか。
○北川(力)政府委員 確かにおっしゃるとおり、先進諸国では医療保険制度におきましては、その辺は大体そのくらいの給付になっていると考えます。
○多賀谷委員 大臣、これはかっこう悪いですよ。とにかく日本の健康保険の発生の歴史というものが本人中心主義で、本人の労働力だけ維持すればいいという考え方できましたから、家族のことなんか考えておらなかった。実際は生活に困るからというので、五割見てやったというのが、従来の経緯であります。しかし、今日皆保険になりますと、やはり早急に、これは本人と家族を区別しないで、同率にするということが必要ではないですか。今度五カ年計画をつくられるそうですから、これは長期計画の中に、年次的にひとつ入れる必要があると思うのですが、どうですか。
○齋藤国務大臣 仰せのごとく、各保険において家族給付が違っておるということは、私ももうほんとうに不自然だと思うのです。そこで、今回の政管健保においては、家族給付について初めて手をつけて、五割から六割、こういうふうな努力をしておるわけでございまして、将来、保険制度全体を通じて、こういうふうな各保険制度下における家族給付の率の違い、格差、それと本人との格差の問題、こういう問題もあわせ、やはり根本的に考えなければならぬ時期が私はきていると思うのです。 そういう意味において、先生お述べになりましたような長期計画の中で、補助率の問題もございますし、それと相並んでこういう問題を長期的に検討いたしたいというふうに考えております。
○多賀谷委員 もう一つ、なぜ政管健保に——組合健保は任意ですけれども、特別保険料なんかつくったのですか。私は実に奇異だと思うのです。これはどういうわけですか。この問題はあまり論議しません。しかし発想の過程がおかしいと思うのです。どうなんです。
○齋藤国務大臣 一言、平たく申しますと、今度六割給付にあたって、従来の慣行でございますと保険料値上げということだけにつながるわけでございます。そこで保険料ということになりますと、毎月の俸給袋から、ちょうだいするということになりまして、おそらく千分の七十五なり七十六ぐらいになるのじゃないかと思うのです。そうなりますと、毎月いただくのも、これはたいへんだし、それよりは、一部分は賞与からいただくということのほうが出しいいのではないだろうか、平たく言えば、そういう考え方でございます。保険料では、かえって出しにくいのじゃないか、負担しにくいのじゃないか。ですから、一部を賞与から出していただくようにしたらどうだろうか。そういう考え方が発想の始まりでございます。
○多賀谷委員 これはかなり質問をされておりますし、橋本私案も出ておりますから、削除されるものと思って、私はそれ以上聞きませんけれども私は賞与を入れるなら入れてもいいと思う、率直に言うと。これは長期給付の場合です。長期給付の場合、私はそれを入れて、そのかわり、給付もボーナスの入った、期末手当の入った分をもらいたい。やはり年金なんかもらって金額が少ないというのは、さびしいですよ。 ですから、私はこれは総収入なら総収入でいい。そのかわり、給付も総収入にすべきだ。労災だって、長期給付のものは私はそうすべきだと思うのです。これは私の個人の意見です。しかし短期給付に期末手当を入れるのは、ちょっと間違っている。これは結局、それに関連をする給付を受けることができませんからね。ですから、基本的にどうもこの発想は間違いじゃなかったかと思うのです。ですから、削除されるのは賛成なんですよ。
○齋藤国務大臣 政府としては、間違いだとは思っていませんで、実はそのほうが被保険者の方々が負担しやすいのじゃないか、こういう考え方から出ておることを御理解いただきたいと思います。
○多賀谷委員 ですから、考え方から出たことは事実ですけれども、もうこの段階では、削除してもらいたい、こう思っているのでしょう。
○齋藤国務大臣 ときどき申し上げておりますように、橋本私案が皆さま方の御協力によって成立いたしました暁には、政府としては削除に反対するものではないというふうに申し上げております。
○多賀谷委員 これは、むしろ間違いを直していただいたということなんですね。日本の労災だって年金だって、長期給付の場合に期末手当を入れないで計算するのは間違いですよ。もう四割以上の期末手当が入るのに、これは別にして年金をやるなんというのは、そもそも間違いです。当然それは入れるべきなんです。しかし短期給付に入れるというのは、これは非常に問題がある、短期給付の場合はその恩恵を受けないから。傷病手当金でも、そうです。こういうふうに思うのですよ。ですから、どうも私は日本の優秀な役人らしくないと思うのですよ、こんなのは。日本の官僚はなかなか優秀だけれども、こんな案を書くというのはこれは私はほんとうに間違った構想ではなかったか、こういうように感ずるわけです。 そこで大蔵大臣が見えておりましたので、いわば質問の順序を変えたわけですが、少し前もって基本的な問題を質問してみたい、こういうように思います。 政府は、従来日本の医療保険制度に対する抜本的な対策を諮問をされ、その答申を受け、今日までになるわけですが、いままで毎国会抜本策を講ずべきではないかということが主張されてまいりました。昭和四十四年の八月五日に政府が諮問して、社会保障制度審議会は四十六年の九月十三日に答申をしておる。社会保険審議会も四十六年十月八日に答申をしておるわけですね。それにもかかわらず今日までじんぜん日が延ばされたということは、一体どういうことであるのか。私はここが一番重大な問題ではないかと思うのです。あれだけ佐藤内閣の命取りにもなりそうな総理大臣発言もあったわけでしょう。総理大臣がかわったから、知らぬ顔をして、その問題には触れられないけれども、一体どういうことであるのか、お聞かせ願いたい。
○齋藤国務大臣 医療保険制度の抜本改革ということについては、今日まで社会保障制度審議会等々においていろいろ御審議をいただいて、いろいろな答申も得ておったわけでございます。そういう答申を踏まえて抜本改正をやろうということで、党と一緒になって努力をいたしてまいりました。しかしこの問題を解決しようといたしますと、各団体との関係がなかなか調整しにくいものがあり、国民のコンセンサスを得るということは非常に困難な問題がたくさんあったわけでございますが、一応そうしたものを取り入れて、昨年健康保険法の改正ということで国会に提案をいたしたわけでございます。 しかし、なかなか問題が広範にわたっておりまして、たとえば医薬分業の問題、それから政管健保と組合健保との間の財政調整の問題、現物給付の問題と償還制の問題、いろいろさまざまな問題があるわけでございまして、昨年は出しましたが、すぐ廃案になったというふうな事態もあり、なかなか国民のコンセンサスを得るということは困難な事態でございますので、私どもはそうした中にあって緊急な、早く解決を要せられる問題を先に解決することが適当ではないか、それもしかも抜本改正への方向の一歩として、できるだけのものは解決しなければなるまい、そういうふうなことを考えまして、実行可能なものを段階的に実施するという基本方針に立つ、しかもそれは抜本改正を目ざしてのステップである、こういうふうな考え方をとらざるを得なかったわけでございます。 したがって、私どもは抜本改正の問題についてはもう放棄したという考えは全然持っておりません。先ほどお述べになりましたような組合健保と政管健保との負担の問題、あるいは制度間のいろいろな格差の問題、国保との問題、さまざまあるわけであります。そういう問題については、次の段階においてひとつ慎重に検討をしていく、こういうふうにしたいと考えておるわけでございまして、放棄したわけでは全然ございません。国民のコンセンサスを得るような努力を続けながら、そうした方向に努力をしていきたいという気持ちはひとつも変わってないことを御理解いただきたいと思います。
○多賀谷委員 次の段階というのはいつですか。
○齋藤国務大臣 次の段階がいつかというお尋ねでございますが、時期を限ってのお約束はできませんが、できるだけ早い機会にそうした方向に努力をするという考え方でございます。
○多賀谷委員 大臣、逃げているんですね。大臣就任中、在任期間中とてもやる意思はないですよ。もう少し明快に答えたら、どうですか。こんな健康保険法を出しておるんですからね。いままで佐藤内閣時代は、何度かこの抜本対策の問題で政府は苦境に立ったでしょう。今度は知らぬ顔をしておる、内閣がかわったから、総理もかわったから。この問題を解決しなければ、もう矛盾がものすごく拡大をしておるでしょう。ですから、いつ出すのか。いつをめどに作業をするのか、これをお聞かせ願いたい。
○齋藤国務大臣 いつ提案をするような時期になるかというふうなお尋ねでございますが、私は確約はできないと思います。先ほどもそれぞれの保険制度に対する家族給付の問題、本人との問題、それから保険制度における国庫補助の問題、格差のいろいろな問題、そういう問題につきましては先ほどもお答えいたしましたが、社会福祉長期計画の中で十分検討するということを申し上げておるわけでございまして、そうした基盤的な問題が相当解決されれば、その上に立って抜本改正というものはなし得るわけでございます。したがって、抜本改正というものの方向を目ざして、いまのような問題を長期計画の中で検討していこう、こういうわけでございますから、そういうものとにらみ合わせながら検討していくべきものであると私は考えております。 したがって、いつおまえらは成案を得て、こう言いましても、いつということは、なかなか申し上げにくいと思います。しかし方向は、そういう方向を目ざして努力したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 あなたのほうが諮問をして、相当の日時を費やして答申が出ているのですから、答申が出ている以上、はっきり政府は態度を決定すべきですよ。やはりあちらにもいい、こちらにもいいような顔をするから、日本の政治はうまくいかないんですよ。あるべき姿というもの、それは現実を無視してはなりませんけれども、政府がきめたらその方針でいく、こういうことが必要ではないですか。そこにやはり政治力というものが必要じゃないですか。私はどうも大臣は逃げの一手のような感じがするわけですけれども、非常に残念で、真剣になってこの問題に取り組まぬ以上、日本の医療行政というものはうまくいかない、こういうように考えざるを得ない。 そこでアンバランスの問題について具体的にもう一つ聞きますが、例の家族高額療養費の負担の問題、国保はどうするのですか。
○北川(力)政府委員 家族も同様に健保に準じて本制度を発足させます。
○多賀谷委員 いつからやるのですか。
○北川(力)政府委員 ことしの十月から三カ年計画で実施をいたします。
○多賀谷委員 それがいかぬですね。こんな緊急な問題をなぜ一番弱い層である国保に一緒に実施しないのですか。これを健保にやってごらんなさい、ほうはいとして、その声が起こりますよ。三カ年なんてそんなゆうちょうなことできませんよ。健保で実施をする、各組合保険もやる、共済もやるようになったら、もう取り残された日雇い健保と国保は当然すぐ実施しなければならぬ問題ですよ。三年なんて、なぜ三年かかるのですか。政府はき然とした態度で臨むべきですよ。金がなければ金をつけるべきですよ。この問題は不平等じゃないですか。
○北川(力)政府委員 確かにそういったような御意見もあろうかと思います。ただ国民健康保険の場合には、市町村の場合にもそうでございますし、また組合の場合もそうでございますが、保険者が多数にのぼっておりまして、その財政の状態もきわめて多様にわたっているのが実情であろうかと思います。そういう意味合いで、この国民健康保険における実施というものにつきましては、できるだけ円滑な実施ということで、その辺の事情を考えまして、私どもは三年間の計画で実施することを考えたわけでございます。 これは確かに全体的な要請といたしまして、この制度が非常に有効なものでありますだけに、おっしゃるような御意見がありますけれども、そういう事情も考えましたことと、それから過去における世帯員の七割給付をやりましたときに四カ年計画でやったというような実情もございますので、そういったことも考えまして確実に財政事情に見合ったように実施をする、こういうことで考えておる次第でございます。
○多賀谷委員 これは引っ越しをしますよ。移動が行なわれますよ。ある町村はそれをやっておる、隣の町村はやらないというと、籍を変える問題が起こってくる。三歳未満の医療の無料化をやっておる町村、やはり移動が起こっておるのです。ましてや高額医療保障なんかすれば、これは一斉にやらないと現場の市町村はたいへんに苦慮しますよ、自分のほうに割り当てのないほうは。それは金の問題でなくなるのですね。市町村長は、いや私のところは財政事情が悪いからということでは、この問題は切り抜けできないのです。個人にとっては、きわめて深刻ですからね。ですから、これは当然一年間に行なうべきである、こういうように思います。複雑ではないのですよ。あとは金の問題だけなんです。大臣どうですか。これぐらいはできるでしょう。
○齋藤国務大臣 実は当初考えましたのは、こういう考えであったわけでございます。この制度を一挙に実施するといいましても、実施する主体は各市町村それぞれでございます。あるいはこの高額医療の問題に関連して保険料の増徴というようなことを来たすかもしれない。そういうことになると、国からやかましいことを言って、一挙にと、こう言っても実施しにくい面があるのではないか。かつて七割給付というものをやりましたときにも実は四カ年計画であったと思うのですが——たしか三年か四年の計画であったと思いますが、そういうことをやった経験があります。そこで無理やりやらすということよりは、こういう要請があることは私はよくわかりますが、市町村の、自治体の自主性というものをもう少し考えてあげて、そしてその三カ年間に国の行政指導を行なって、三年後には完全に完成するような努力をしようじゃないかということで、努力目標として昭和五十年というようにいたしたわけでございます。 しかしながら本年度においては大体三分の一の予算というものを計上しておりますが、要請によっては、私個人で申しますならば、来年度の予算をいまから約束するわけにはまいりませんが、できるならば二年くらいに縮めていくというくらいのことをしなければならぬのではないか、ことしと来年くらいで完成させるというくらいのことをすべきではないかと私は考えております。しかし来年度の予算のことでございますから、いまここではっきりは申せませんが、どんな悪くても、ぎりぎり三年目には全部完成させましょう、そこで市町村にいろいろ負担をかけることもありますが、ひとつごしんぼういただいて、二年目くらいには全部完成させる、しかしぎりぎりは三年目ですよ、こういったふうに完成の時期をぎりぎり三年目にはする、こういうふうな意味合いで進めたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
○多賀谷委員 予算から見ても百三十億、国庫負担を見ても六十六億くらいでしょう。ですから、もう全町村で、やるところは一斉にやってもらいたい、予算はあります、こう言うべきじゃないですか。四十八年度の予算は七億三千三百万円、それだけしか組んでないで、そうして三カ年計画だ——やはり政治というものは、ここが肝心じゃないですか。そういういいことは一斉にやる。県に割り当てるでしょう、県は市町村に話をしにいく、そして予算はこれだけしかありません、こういうようになると、たいへんな混乱を起こしますよ。厚生大臣、そういうことはよく御存じですからね。こんなことくらいは、もう一年間に全部終わります、町村でどうしてもうまくいかないところがあるかもしれませんが、政府の方針としては一年間に全部完了します、こう言っていいのじゃないですか。
○齋藤国務大臣 いま申し上げましたように、自治体の自治権というものをできるだけ尊重しようではないかということから、いますぐというわけにはいかぬという町村もあるだろう、そこで完成の時期は三年までには何とかさせよう、こういうつもりでやった。しかしながら要請がおのずから強くなれば、私は三年が二年に縮まるという可能性は十分ある、かように考えております。
○多賀谷委員 そうすると、四十九年度の予算で全部終わるわけですか。大臣、いまそういう気持ちですか。四十九年度の予算に残りを全部計上して、そして全部完了する、こういう気持ちであると考えていいですか。
○齋藤国務大臣 実施の状況を見まして、できるなら、もう来年一ぱいくらいで、二年くらいで完成させる、こんなふうな努力をしたい、私は腹の中ではそう思っております。来年の予算のことは約束はできませんが、私はそういうつもりで努力をしたい、こういう考え方でございます。
○多賀谷委員 では、厚生省の要求としては四十九年度に全部完了する要求を出したい、こういう気持ちであると考えていいですか。
○齋藤国務大臣 そういうつもりで努力したいと、いまのところ考えております。
○多賀谷委員 それは非常に期待をしておきます。このくらいは簡単なことですから、私はできると思うのです。 次に、私は医療に対する国の行政のあり方、それは非常に疑問なのですよ。なぜかと言いますと、たとえば医学教育にしても、自治医大とか防衛医大とか省別、目的別の大学ができる。それから公的病院にしても、共済組合の病院とか、何か国が一貫して医療行政に取り組むのではなくて、自然発生的に要求からできるのを、あとから追認をするというような形に行政が行なわれておるというのは、私は本来医療行政というものが確立していないからだと思うのです。大臣どういうようにお考えですか。 私は医大というものが目的別や省別にできるというのは本来おかしい。あるいはまた公的な病院、ことに政府の資金を使ったりするところの病院が、金を持っておるところが個別に病院をつくっていく、これも非常におかしいのですよ。それなら、なぜ国立の病院を建てないのか。医療行政というのは全く確立してないのじゃないかと思うのです。その点どういうようにお考えですか。
○齋藤国務大臣 私は必ずしもそうは考えませんで、それぞれの社会の緊急な要請に即応した措置を講じていくということが必要だと思うのです。なるほど自衛隊の医科大学校、自治省の医学校——いま一番問題になっておりますのは僻地、僻村というところの医療、どうやってお医者さんを充足するか、私は非常にむずかしい問題だと思うのです。この問題を解決するには、なるほど一般の医師の養成、そのワクの中でできるだけそちらに行っていただきたい、こうするわけですが、これはいままでの過去の体験からいうと、なかなか容易ではないのです。そこで、卒業したならば、何年かは義務的に自治体、僻村で働いていただける、そちらのほうから縛っていくというやり方、これがやはり一つの社会的必要性だと思うのです。 それから自衛隊についても、なかなか医官の充足は容易でない。ああいう集団的な活動をするものでございますから、それを一般の医学生を養成して、そちらにぜひといいましても、個人の考え方を拘束するわけにもいかない。そこで、なかなか充足することも困難だ。 私はやはりそのつど、その場合、場合の社会的な緊急の要請、これに即応して、すべての国民がどこの地域にあっても、あまねく充実した医療を受けられるような仕組みにしてあげる、これは必要なんじゃないか、こういうように考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 それは基本的には、国が医者の養成をサボったからですよ。私はちょうど沖繩に昭和三十九年に行きまして、帰ってきて琉球大学に医学部をつくろうと思って厚生省と文部省を呼んだ。一体どのくらい費用が要るのか計算をした。戦後一つも医学部ができていないし、医科大学もできていないのですよ。戦後は全然資料がありませんと言う。そこで私どもは初めてびっくりしたわけです。これはふしぎなことだと思った。その後ようやくにして秋田大学に医学部ができてから順次、今度の国会でも三医学部ないし医科大学が提案をされておりますけれども、しかし私は自治医大とか、あるいは防衛医大というような省別、目的別の医大をつくるというのは、本来おかしいんじゃないかと思うのですね。これは委託生でもいいのですよ。自治体から委託をしてもいい。これは絶対量が足らぬというところから、もちろんきておるのですけれどもね。 しかし、そういったあとからできたものを追認をしていくという医療行政、これは私は、病院の設立も同じですけれども、どうも厚生省あるいは文部省が何ら指導的にやろうとする意欲を持っていないんじゃないか、こういうように思います。これはどうですか。
○齋藤国務大臣 必ずしも私はさように考えておりませんで、医学生を養成する必要のあることは私も十分理解しておりますし、諸外国に比べれば、まだ少ない。これは十分わかっております。しかし、それは養成はどんどん進めてまいりますが、そういう学生さんが卒業して、はたして現在のような状況のもとで必要な医官を充足することができるだろうか、あるいは僻村に行っていただけるであろうかということを考えてみますと、率直にいって、なかなかこれは私、自信がございません。 そういうようなことであってみれば、目的別というよりも、そういう緊急な社会的要請、これを満たしてあげることが、むしろ国民医療の進展、発展の上からは適当なんじゃないか、こういうふうにすら私は考えておるわけでございまして、一本の形だけで、はたして医療需要全部を満たすような医師の養成というものは可能であるかどうか、これは私は非常にむずかしいと思うのです。そういう意味において、私はやむを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
○多賀谷委員 私はどうも行政がこういうところで乱れておるという感じを持つわけです。すきっとするだけがいいことではないわけですけれども、しかし何か自前でやれるところ、これは自治体は自前でやるんではなくて、どうにもならぬからやっているわけですけれども、防衛庁のように自前でやれるところはやったほうがよろしい、こういうこと。それから、病院でもそうですよ。共済病院でも金のあるところ、あるいは労災病院でも厚生年金病院でも金があるからやりなさい、そういうやり方ですよ。 これは私は、厚生省が予算から、あらゆる面から指導力がないからだと思うのです。ですから、その点年金病院ができるなら、なぜ厚生省が国立病院を建てないのですか。どうも財政が何とか融通のつくところは病院を持っていく、こういう考え方ですね。私は特殊病院は、そう言わないのです。何か特殊な病院、特殊病院は言わないけれども、実際の問題としては特殊病院でない、それになぜ基金のあるところは、それで経営していくという——それなら国立でやったらいいじゃないか、こういうように思うのですがね。どうもおまえのところは金があるから病院を建てろ、そういう行き方というものが本来間違っておるんじゃないか結局厚生省が予算を取り切らぬからですか。一体どうなんですか。
○齋藤国務大臣 いや、私は金があるから、そちらで病院を建ててくださいというのではなくて、それぞれ共済組合は共済組合で自分の被保健者の諸君の健康保持といったようなことから、やはりそれぞれの必要性に基づいてやっておるわけでございまして、府県も市町村も、それからそういう共済組合も、私は必ずしもそれを否定する必要はないと思いますが、しかしながら全体計画の中では一定の基準というものを考えていかなければならぬと私は思っているのです。 一定の基準というものはお互いに相談し合いながら考えていかなければならぬと思いますが、何もかも設置主体が国でなければならぬ、府県でななければならぬ、市町村でなければならぬ、厚生省でなければならぬというところまでいくのがいいのかどうか、私は多少そこに疑問があるのです。けれども、何かしらやはり全体的な指導のワクの中で考えていかなければならぬということについては、お述べになりました意見と私は同意見でございます。
○多賀谷委員 私も全部国立でやれとか自治体でやれとは言っていないのですけれどもね。しかし国立なんか全然ふえていないでしょう。むしろ公的病院は漸次減っているでしょう。ですから、結局金のあるところだけ病院をつくっている。あとは全部後退をしておる、現実にはこういう形になっておる。ですから今後この国立病院なんというものはどういう基準でつくるのですか。いままでは陸海軍の病院を国立にした。ですから偏在をしておる。そういう形が大部分ですよ。 そうすると一体今後国立病院というのは、どういう役目を持って配置するんだ、あるいは自治体病院というものは、どういう任務を持たすんだ。それに対しては補助金をどのくらい出すんだ、あるいはまた救急病院に指定した場合は、どういう手当てをするんだ、こういう総合的なものが何にもないんじゃないかと思うのです。あったら、ひとつお示しを願いたいと思います。
○齋藤国務大臣 実はこの問題は、私は非常に大事な問題だと認識しておるわけでございます。すなわち、そういう病院の診療施設の体系を整備する非常に大事な問題だと思っておるのです。そこで実は社会福祉長期計画の中のまつ先の項目として、施設の体系的整備ということの御審議をいまお願いしておるのです。実はその考え方は各大きな県、小さな県さまざまおありでしょうから、広い意味の広域的な地域を中心とした国公立病院というものを中軸とし、民間の医療機関の協力をどういうふうに得られるか、そういうことを頭に描きながら、総合的な病院を中核的な病院として、そしてそれに専門的な、近ごろのガンとか、あるいは成人病とか、あるいは小児医療の問題とか、こういうふうな特殊な専門病院をそうした体系の中にどうやって位置づけていくか。そして総合病院だけあっても、そういう専門病院がないところは、それはだれが受け持ってつくっていくように整備していくか、こういうふうな一つの中核的な総合病院を、それは国の病院になるか県立病院になるか別としまして、こういう国公立病院、それから民間の診療機関の協力も得られるようにするには、どうすればいいか、そういうことを中核とした、それぞれの専門のガンなり、成人病なり、小児医療の病院とか、そういうものを併置した総合的な診療施設の体系というものを、どうやってつくったらいいかということをつくるべきだと思うのです。 そういう考え方に基づいて、いま一応のこちらの考え方も向こうに示しながら、その長期計画懇談会の中で、実はいま検討を始めていただいているような次第でございます。できるだけ早い機会に一つの体系的な整備の構想というものを八月の末くらいまでにつくってもらえないかというふうにお願いしております。 大きな県はそういう地域を一本にするというわけにいかないと思います。大きな県になりますと、三地区くらいに分かれるかもしれません。そういうふうなことで地域的な診療施設の体系的整備、こういうものにいま全力をあげて努力しようということで、お考えをいただいておるところでございます。
○多賀谷委員 現実に公的病院に対して政府は助成金はどのくらい出しているんですか。
○滝沢政府委員 ただいまの公的病院に対する国の助成につきましては、項目といたしましては、先ほど大臣から御説明のございましたようなガンの診療あるいは小児医療、救急医療、僻地というような特殊な医療を行なう場合の最初の施設をつくる予算につきまして、四十八年度で約七億五千万程度の予算を用意いたしております。一部病床の不足地区に対する予算も入っておるわけでございます。そのほか、公的なものとして、看護婦の養成につきまして、施設の設備に五億六千万が出されております。 これは施設を整備するときの補助金でございますが、運営費といたしまして、四十八年度、日赤、済生会等の特殊な診療部門に対する運営費の補助として二億八千万、それから、看護婦養成の場合につきましては、自治体は交付税等で見ていただいておりますので、むしろ公的の一部並びに民間を含めた看護婦養成所の運営費の補助が八億二千万、これが大体公的医療機関に対する国の助成の実態でございます。
○多賀谷委員 一体、そのくらいでできるんですか。施設費の何が年間七億五千万。七億五千万で建設費の助成をするというのは、一体何件できるんですか、こんなことで。 私は最近西ドイツが、病院の財政的安定及び病院療養費日額調整のための法律を一九七一年に出している。相当の助成金を出しておる。一九四九年から三分の二の補助率を出しておるわけです。これは純然と公的なものだけではありません。やはり、宗教団体のような病院もいろいろある。ですから、かなり保険料も取っておるけれども、国は相当の助成をしておるのですよ。日本の場合は、保険料は取るけれども、助成をしない。だからウナギ登りに上がっていくわけですね。大臣、どうですか。こういう点は見習わなければならぬでしょう。アメリカだって最近は相当の補助金を出している。大臣、どういうふうに思われますか。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
○齋藤国務大臣 御承知のように、現在の公的病院、それは日赤、済生会のようなものにつきましては、本年度からある程度の援助をしようということでいたしたわけでございますが、そのほかの県立、市町村立の病院、これはたてまえは、それぞれの自治体が負担をする。それで足りないところは、特別交付税でめんどう見るとか、そういうふうな仕組みになっておるわけでございます。しかしながら、現在のこういう公立、府県、市町村立病院というものの病院経営は非常に苦しい状況に置かれておるわけでございまして、これを従来のように、それは市町村自治体が一般会計でめんどうを見、足りないところは特別交付税だということで済むのか、済まないのか、私はどうも、多少疑問を実は抱いているんです。 たてまえは、なるほどそのとおりに違いありません。しかしながら、いま病院の経営が非常に苦しい。もちろんそれは診療報酬の改定というものによっていろいろ心配しなければならぬ面もあることは私わかりますが、それだけで、はたしていまの病院経営が健全に運営できるようになるかという点に私は非常に疑問を持っているんです。でございますので、私はできるだけ早い機会に、自治省とも相談して、この公立病院の財政を健全にさせるためにどうすればいいんだという問題を実は検討してみたいと考えております。そして、何らかの方策が打ち出されれば、政府としてこの問題は、やはり真剣に取り上げていく必要があるのではないか、こういうふうに私は真剣に、問題意識を持って努力いたしたいと考えております。
○多賀谷委員 国立病院には累積赤字とか累積欠損というのがないのですが、自治体病院には一千億になんなんとする累積赤字があるわけですね。これは国立になくて、自治体にあるというのはどういうわけですか。
○滝沢政府委員 国立の場合は、国立病院特別会計法という法律がございまして、その中に、勘定区分として、一般の国立病院と、それから結核等の長期療養をする国立療養所の二つの勘定に分かれております。これがそれぞれ、たとえば診療報酬の改定などがありました場合については、翌年の収入見込み等もまた変わりますけれども、年度ごとに予算を編成する際に、収入を見、支出を検討していただいて、最終的に大蔵省と折衝の上に収支のバランスが組まれるわけでございます。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、その年の変動要素がいい面に変動すれば、剰余金と申しますか、プラスになる場合もございます。それから、いわゆる人事院の給与改定等がございますれば、当初その予算が組んでない場合については、補正によって特別会計に一般会計からの補てんをしていただくという仕組みになっております。 それから、公的病院の場合は、公営企業法に基づきまして一応診療収入によってまかなうのを原則といたしますけれども、いわゆる十七条の二の財政負担の原則というものに基づきまして、看護婦養成であるとか、あるいは僻地医療であるとか、救急医療であるとか、あるいは高額な費用を要する施設設備等の場合、これは公営企業法の政令によって一般会計から導入できるという仕組みになっておると理解しております。
○多賀谷委員 そうすると、国立の場合は特別会計によって、そして年々一般会計から繰り入れておる。だから赤字というものはない。その年度で全部収支がとんとんしていくようになっておる。ところが自治体の病院の場合には、一般会計から繰り入れる金額については条件がある、こういうものでないと一般会計から繰り入れてはならぬ。だから、どうにもならぬから、結局一千億の赤字が累積をしておる、こういうことですね。
○滝沢政府委員 赤字という要素を、年度ごとに一般会計から病院単位にながめたときに、一般会計からいただいておる、そういうものを含めて、病院として見たときに赤字であるという見方であろうと思います。したがって基本的には、その政令で定められた特殊な事項のような部分を除いては、あの十七条の二は、やはり収入によってまかなわなければならぬ、いわゆる一口に独立採算制といわれておるのが実態でございまして、したがって公的病院の場合は、個々の病院でございます各市町村、各県立の病院であって、病院単位にそれをながめたときに、その収入と支出とのバランスを考えたら赤字が出てくる、それを総括すると、先ほど来お話しのように自治体として一千億に達するとか、こういうようなお話になるものと思います。
○多賀谷委員 ですから、一千億の赤字になっておるわけでしょう、結局病院としてながめれば。それの中にも毎年一般会計から入っておるわけですね。それは条件を付して入っておる。しかし、一般会計から入っておるけれども、それは条件があるから、結局一般会計としては出すことのできない金が一千億の赤字になっておる、欠損になっておる、こういうことでしょう。
○滝沢政府委員 一般的に言えば、そういうことになるわけでございますが、主として私は国立の病院の実態と自治体病院とを各般の数字でながめた場合、たとえば例を人件費に引きますと、国立の場合の人件費が大体経営費の中の六一%を占めております。県立がほぼ同じ六〇%前後でございます。ところが日赤は五四、あるいはその他の経営体の病院になりますと、四〇近いところも出てまいります。したがって、この人件費が年々アップしていくという問題のほかに、その人件費というものが全体の病院経費の中に占めている割合が各経営体ごとに違います。いわゆる国の場合は国家公務員、地方の自治体の場合は地方公務員という形の方が病院の従事者として勤務しておるという形をとっておる。当然ではございますが、そういうことで、かなり国と県立の場合は人件費比率が高いということが、経営全体の上に影響をいたしておるように思います。 それから、医師の確保等のための給与費、その他全体としての給与費の増高傾向に対する影響というものと、原則的には、医療を供給する側から率直に申しますと、要するに診療報酬というようなものは、病院経営の根幹でございます。それが適正に病院経営のものと結びつくということについて、われわれ医療を供給する側の気持ちからいったら、それがやはり期待いたしたい根本にはあるわけでございます。
○多賀谷委員 自治省は一千億の赤字はどうするのですか。
○加賀説明員 自治省といたしましては、病院事業につきまして、地方公営企業法の規定に基づいて指導しているわけでございます。すなわち、その経営に要する経費につきましては、当然その収入をもってまかなうというたてまえでやっておるわけでございますが、ただ、病院事業のうちには看護婦養成あるいは救急医療に要する経費、それから僻地病院等に要する経費、こういう行政ベースでまかなうべき経費、あるいは能率的な経営を行なっても収支まかなえないような経費というものについては、一般会計から繰り入れるというたてまえをとっておりまして、それ以外のものについては、料金収入でまかなうというような考え方をとっているわけでございます。 しかしながら、現実に、毎年給与費も上がっております。また、建設、改良費の増高の問題もございます。さらには、経営合理化不徹底の問題もございます。さらには……(発言する者あり)
○多賀谷委員 続けて言ってください。
○加賀説明員 さらには適正規模の問題、医療機関の体系的整備の問題もあるわけでございます。特に大きいのは、社会保険診療報酬の問題がございます。 こういう問題がございますが、自治省といたしましては、先ほど申し上げました一般会計から繰り入れるものについては、地方財政計画に適切な財政措置を講じておるわけでございます。やはり各般の問題について病院事業における問題点もかかえておりますので、これらの問題について関係各省とも十分に打ち合わせながら、適切な措置をとっていきたいと考えております。
○多賀谷委員 その問題は、いままでの経過はわかりました。そこで一千億の赤字を一体自治省はどうされるのですか、こう言っている。法律によって、これは一般会計から繰り入れることはできないのでしょう。ですから、一体一千億の赤字はどう処理するのですか、こう聞いているのです。
○加賀説明員 これらの問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、診療報酬の問題等も含めまして、関係各省とも相談しながら措置してまいりたいと考えております。
○多賀谷委員 その過去の累積の欠損金をどうするつもりか、こう聞いているのですよ。いまからの話は、いいですよ。しかし、いままでの一千億になんなんとする赤字をどうするのですか、と聞いているのです。それはどういうふうにするつもりですか。
○加賀説明員 きわめてむずかしい問題でございまして、赤字の原因として一千億という数字をあげたわけでございますが、私どもとして四十七年度の経営状況についてまだ取りまとめ中でございまして、その数字がどうなるかわかりませんが、四十六年度末におきまして累積欠損金が確かに五百三十六億になっております。そういう趨勢を見てまいりますと、四十七年度、四十八年度末には相当多額の赤字になるということでございますが、この赤字解消のためには、企業の経営努力の問題もございます。先ほどから再三申し上げました社会保険診療報酬の適正化の問題もございます。あるいは適正規模の問題、あるいは医療機関の体系的整備の問題、こういういろいろな問題がございます。これらが複雑にからみ合いまして、赤字の原因になっておるわけでございますので、ただ一千億の赤字をたな上げして済むというような財政問題だけでもございません。 そういう意味合いを含めまして、私どもとしては前向きに関係各省と相談しながら、この問題を処理していきたいということでございます。
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時十六分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕