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71回国会衆議院1973/06/14

社会労働委員会 第27号

発言数
234
登壇者
10
会派数
4
開催日
1973/06/14

会議録

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、指定により、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出の児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、八木一男君外十六名提出の国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、同じく国民年金等の積立金の運用に関する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  申し出がありますので、順次これを許します。大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 先週のこの委員会におきまして、私は年金法案について質問させていただきましたが、国民の強い要望をかなえるための年金制度の改革にあたって、基本的な理念あるいは方針について、厚生大臣並びに野党共同提案者である八木先生に、それぞれ御見解を述べていただいたわけでございます。両方の一致点と申しましょうか、それは福祉国家と年金制度の充実というものは切っても切り離せない関係にある、大幅に立ちおくれておりますわが国の年金制度を早期に、より根本的に改善をしていくことである、こういうことであったと思うのであります。  そこでまず最初に、国民の関心を非常に集めておりますところの厚生年金、国民年金の被保険者が拠出しております保険料の積み立て金、この問題から入っていきたいと思うのです。  この積み立て金が、昭和四十七年の見込みで厚生年金、国民年金合計いたしますと七兆八千四百九億円、それから四十八年度の、これは推定でございますが、合計すると九兆円以上になるというようなばく大な積み立て金になるわけでございますが、その積み立て金の管理運用について、かねがね問題視されてきたことは御承知のとおりでございます。すなわち、被保険者への還元率が低い、こういうことであります。ようやく二五%から三〇%への還元融資ワクの拡大はされましたものの、まだまだ不十分といわざるを得ません。  そこで、われわれは常に被保険者の立場からものを考えるわけでございますが、このたび野党四党共同提案の国民年金等の積立金の運用に関する法律案が提案されたわけでございます。これまでの政府案のものの考え方と、この野党四党共同提案の考え方の大きな相違点を、まず共同提案者の八木先生に答えていただきたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)議員 大橋先生の御熱意あふれた質問に敬意を表しながら、御答弁を申し上げたいと思います。  非常にばく大な積み立て金が現在あるわけでございます。私どもは賦課方式をとるわけでございますから、将来において、この積み立て金はなくなっていくものでございますが、相当の間ばく大な積み立て金があることは疑いのない事実であります。この積み立て金については、野党四党は、このように考えております。  積み立て金は、将来その被保険者あるいは対象者が老齢化、退職をされたときに、その老齢関係の年金、あるいはまた、この方が不幸にも障害を受けられたときに障害関係の給付として、それからまた不幸にして、なくなられたときに遺族関係の給付として支給されるべき原資であります。したがって、それは国民、被保険者並びにその家族に参るはずの金でございます。それ以外に行くところはないわけであります。したがって、これは被保険者、また厚生年金保険あるいは船員保険等では労働者のものであると断定して間違いがないと思うわけであります。それにもかかわらず、この積み立て金が、それに関係のない人たちの意思によって関係のないところに多く運用されておるということは、はなはだ不当なことでございます。  したがって、私ども四党は、これは被保険者または労働者のものという観点のもとに、その被保険者または労働者の意思に基づいて、被保険者または労働者のために運用せらるべきものであると信じて疑わないところであります。現在のその状態を改めるために、この国民年金等の積立金の運用に関する法律案を提出いたしたわけであります。  現在、この厚生年金、国民年金等の積み立て金は、そのほとんど大部分が資金運用部に回されまして、いまの独占資本に非常に親切な政府の手によって運用されておるわけであります。そういうことでは、この積み立て金のほんとうの性質に絶対に合わないわけでございますから、この法律案を成立さしていただいて、ぜひ被保険者のためになるように、これが運用されるようにしていただきたいわけであります。  この内容は、御承知のとおり、国民年金等の運用審議会をつくりまして——これは被保険者の代表が過半数を占める委員構成になっておりますが、そこに関係官庁の代表者を一人ずつ、それから学識経験者を入れまして、その運用の方向を定めていただくことになっております。  それから、この積み立て金は一般資金と福祉資金に分けることになっております。私どもの真意は、これを全部福祉資金にしたいわけでございますが、現在積み立て金がすでに貸し付けられておりますので、それを即時全部取り返すことは法律上できないことでございますから、そのために福祉資金と一般資金に分けたわけであります。本旨は、これを全部福祉資金に使いたいというところであります。しかしこれは、公正なる運用審議会の決定によってなるように法律案はなっておるわけであります。被保険者の代表が過半数を占めており、高名な学識経験者または役所の代表が入っておられるわけでございますから、当然そのような運用がされて、新しく入る保険料の全部が福祉資金に回ることになるであろう。そしてまた、返済された一般資金は当然福祉資金に回るように御決定になるものと私どもは確信をいたしておるわけでございます。  したがって、今後動かし得るものは全部福祉資金に回る。いままで残念ながら一般資金に回っているものは、それぞれの契約期間が解けるまでは一般資金にとどまっているということになろうと思うわけであります。  次に、この福祉資金の運用のしかたでありますが、この年金の制度の性質上、当然、老齢者のための施設、障害者のための施設あるいは遺族関係の母子家庭等の施設、またその関連の施設に第一義的にこれが運用をされるということは当然であろうと思いまするけれども、しかし膨大な資金でございますから、被保険者のために運用をされるべき財政的な余裕が非常に少ない。したがって、具体的に申し上げましたならば、このような被保険者の、いま国民の中で一番資金に困っている住宅資金に回す、そういうことが量的に見て一番大きな部分になろうかと思うわけであります。  住宅の資金等に回すということは、いままでもかすかに行なわれております。新しく入った保険料の三割が、このように還元融資ということにされて、いろいろな方法で行なわれておりますけれども、その回っているものは必ずしも被保険者直接に回っているわけではございません。また回っていると称せられる部分でも、いわゆる社宅というかっこうで、その労働者の住宅の関係の融資とされているわけでございますが、社宅というような関係でございますと、それで建てられて一応その住宅に入り得る人がありますけれども、その会社から職を離れると、社宅であれば、その住居を明け渡しをしなければならない。したがって、そのために非常に労働条件が悪くても、社宅を離れることが生活上できないというような条件のもとに、そのような低賃金、重労働に甘んじなければならない、そういう労務管理に使われるおそれが多分にあるわけです。  そうではなしに、ほんとうに労働者自身また労働者をお世話をしている団体自身にこの融資がたくさん回され、また一般の自営業者の皆さんにも直接に融資が回されまして、重大な住宅難の解消を大きく進めることになることを期待をするわけでございます。  簡単でございますが、一応の御答弁といたします。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 要するに、いまの御答弁を伺っておりますと、積み立て金の管理運用については、被保険者ないしは労働者に対する福祉還元が主体になるのであるということとともに、この福祉資金と一般資金との二つに区分をするというのは現状の段階であって、将来はもうほとんどが福祉資金としての活用である。こういうことになれば、確かに現在の政府の管理運用の考え方とは大きな開きがあることがはっきりいたしました。八木先生に対する質問、またあとでたくさんやりますので、よろしくお願いします。  そこで政府にお尋ねいたしますが、社会福祉事業振興会というのがございます。この社会福祉事業振興会に、厚生年金の積み立て金が融資財源として、いわゆる原資としてかなり回されていると思いますけれども、私の調べでも昭和四十六年で五十一億円、昭和四十七年で八十四億円、昭和四十八年度で百十億円の額がこの社会福祉事業振興会の原資として回っていると思うのでございますが、その点ちょっと確認いたしたいと思いますが、どうでしょうか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)政府委員 そのとおりでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これらの財源というものは、言うならば国民の浄財ともいうべき性質のものでございます。これらの管理運用にあたりましては、その趣旨、目的をたがうことなく十分配慮されてしかるべきだと思うのでありますが、残念ながら、この管理運用面からきわめて遺憾な事実を私はきょう明らかにしたいと思うのでございます。  いまから申し上げるのは、年金制度そのものの議論からしてみれば、少しはずれるかもしれませんけれども、ただいま申し上げました積み立て金ときわめて深い重要な関係を持っておりますので、多少の時間をさきたいと思います。  実は、先般三月の十二日でありましたか、予算委員会でわが党の山田太郎議員が取り上げましたところの、鹿児島県重度身体障害者収容授産施設、社会福祉法人緑風会「太陽の里」の一件でございます。すなわち、約三千万円の使途不明金があるということが、質疑が行なわれようとしたわけでございますけれども、時間切れで深く掘り下げることができませんで、今日に及んでいるわけでございます。  この「太陽の里」は、身体障害者に向かいまして、保護と同情にすがって社会の片すみに生きるのではなく、希望に胸を張って自立、自活できるその喜びのためにと高らかに呼びかけて、身体障害者の募集に当たっております。これはそのパンフレットの一つでございます。  ところが、その実態というものは、身体障害者を食いものにしているといわれるような運営がそこにあったのでございます。これにつきましては、わが党の機関紙もかなり大きく取り上げてすでに報道いたしておりますが、要するに身体障害者の皆さんを安い報酬で使って、一部の役員の私腹を肥やしているのではないかと疑われるような事柄がたくさん横たわっているということでございます。  一例をあげるならば、四十七年の四月に開園されたわけでございますが、その募集要項には、報酬というものが月に一万二千円から一万五千円になりますよとあるわけでございますけれども、実際には園生が手にした報酬というものは、四月、五月の二カ月間は訓練期間だということで、平均二千円、また訓練期間終了後六月以降は四千円を頭打ちとして、それ以上はどうなったかといえば、「太陽の里」の言い分では、四千円以上の部分は全部貯金してあげておりますということであったわけでございますけれども、事実中村さんという二十四歳の方がやめたとき、九月にやめたわけでございますが、貯金として七百円もらっただけだという事実が明らかになっております。しかも四十七年四月開園しまして、九月まで五カ月間のうちに九人もの人がやめている事実がございます。さらに今日まで二十名近くの障害者がやめたいと非常に苦しんでいるという声も聞かれているわけでございますが、私は、これは実態を調査する必要がまずあるということを述べておきます。  一部の管理者の不心得者あるいは理事者側の不心得者のために、指導の任に当たっている他の方々にたいへん迷惑を及ぼすことであろうかとは思いますけれども、私はやむを得ないことであろうと思う。私自身幼少のころから貧乏と逆境の中に泣いてきた体験者の一人でございまして、恵まれない方々のための代弁者という私自身の使命もありまして、かつて昭和四十三年でありましたか、心身障害者を基本的に救済していくための基本法をつくりたいと提案し、各党に呼びかけ、協力を得まして基本法が成立されたという経緯を持っておるわけでございますが、そういう意味で私は、こうした心身障害者に向かって食いものにするようなものがあったとするならば、これは絶対許されないものであるということをまず申し上げます。  そして、いまの福祉問題についての質疑はあとの機会に譲りまして、先ほど問題になりました、要するに使途不明金の問題について入っていきたいと思います。  「太陽の里」は、収容棟、作業棟建設工事につきまして、工事終了後県庁社会課に契約及び支払い報告書を提出いたしております。そのときの中身は、工事総額は一億二千三百七十六万円となっております。しかし、同じ工事を「太陽の里」から請け負った小牧建設から県庁の建設部に提出されました工事費というものは九千四百六十一万円と報告されているのでございます。したがいまして、そこに二千九百十五万円の差額が出てきております。  そこで、わが党がこれをふしぎに思いまして、調査をいたしたわけでございますが、工事を請け負いました小牧建設に対しまして、いろいろ事情を聞いて確認いたしましたところでは、契約書の金額も実際に受領した金額も九千四百六十一万円であります、このとおりはっきり証言いたしております。この証拠も私、ちゃんと持っておりますが、ということになりますと、ここで二千九百十五万円の差額金というのが使途不明金になったということでございます。これはすでにその後いろいろと関係者と折衝いたしておりますので、この点については明瞭になっていると思うのですけれども、まずこの点について確認をいたしたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)政府委員 先生のほうからの御指摘もございましたので、私ども鹿児島県庁及び「太陽の里」の役員を呼びまして、いろいろ調査をいたしたわけでございますが、確かに最初申請のときの金額と、それから現実に支払われている金額との間に食い違いがあるという実態はあったのでございますが、それがどういうぐあいに使われておるかということについては、全部領収書を取り寄せまして点検いたしましたところ、ただ小牧建設に支払われたということになっていたのが、ほかの業者に支払われたという事実もございますが、著しく不当であるというほどのことはなかったという報告を受けているのであります。  しかし、現実に日自振、日本自転車振興会のほうに五月の末でございましたか、五百六十五万円の返還金が返還されたというような事実もございますので、確かに申請にあたって補助の対象にならないもの、そういうものもひっくるめて補助申請をしたというような事実もあるようでございます。そういった面で、経理面において今後十分注意すべき面があったというぐあいに私どもは承知しておるところでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 二千九百十五万円の差額については一応認めた、それから、現地を調査させたということでございますが、確かに調査に行かれたようでございます。電話でなさったのか、あるいは派遣されたのか、その点は、私はつまびらかではないのでありますけれども、山田太郎氏が予算委員会で質問した後に、厚生省の関係者から、調査いたしましたら、確かに手続上の、ミスはありましたけれども、金銭的な間違いはまずございませんでしたということで、このような一覧表といたしまして、いわゆる二千九百万の使途の明細書なるものを持ってまいりました。  これは走り書きみたいなものではございましょうけれども、実はこれを受けまして、われわれはそうだったのかということで、中身をずっとわれわれなりに見てみたわけでございますが、私はこれを見ながら、厚生省は二千九百万円の使途不明金について、金銭的には間違いなかったというこの内容について、でっち上げたのではないか、こういうふうな感じを深くするのであります。  それは要するに、厚生省のこの説明書を見ると、数字のつじつま合わせである、こういうふうに考えざるを得ない。なぜならば、合計すれば二千九百万円になるわけでございますが、小牧建設の追加工事は、これからいきますと四百四十七万円、こうなっております。それから目的外に使用した、当初計画とは異なった支払い額及びその他で一千九百四十六万四千六百七十九円、それから諸経費が五百二十一万五千三百二十一円、いま言った諸経費の五百二十一万五千三百二十一円というものには領収書はつけられておりません。他のものは一応領収書はついてきておりますが、それだけに私はふしぎに思うのであります。  まず、すでに小牧建設から「太陽の里」へ一億二千三百七十六万円の領収書が切られているという事実があるわけです。そして、ここに報告された、つまり使途不明金の明細なるものには領収書がついてきております。ということは、簡単にいえば、領収書のダブリですよ、これが一つ。  それから追加工事の四百四十七万円についても疑問点がございます。それは、「太陽の里」の建設工事というものは、昭和四十六年七月の十七日に着工いたしまして、四十七年一月二十五日に完成をいたしております。そして完了報告書は四十七年五月二十日に提出されているわけです。ところが、この厚生省の説明書による追加工事の時期というものは、四十八年三月二十二日に見積もり書が出ているわけです。ところが、ここにあるのは、見積もり書が昭和四十八年三月二十二日、しかもその見積もり書に対する支払いが二日後の四十八年三月二十四日の領収書になっております。これが二つ目。  もう一つ、諸経費、先ほど申し上げました諸経費は五百二十一万五千三百二十一円でございますけれども、これは領収書なしの問題でありましたが、そのほかの小牧建設に出ている諸経費等を合わせてまいりますと、合計いたしますと九百七十四万九千九百七十九円という膨大な諸経費となっているわけでございますが、これは一般的な事業面からいきますと、大体経費というものは五%程度でございまして、少なくとも六百万円くらいにしかならないわけでございますが、これは九百七十四万九千九百七十九円という数字になるわけであります。これは非常に疑いを持たれるところになるわけでございますが、いま申し上げました三つ、この点がどうも納得いきませんので、もう一回説明をしていただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)政府委員 「太陽の里」というのは、実は鹿児島県で唯一の重度の身体障害者の援産施設であります。県もこの建設のときから「太陽の里」のできるのを非常に期待しておりました。私ども振興会の資金を貸し付けたわけでございますが、それにつきましても、県のほうから非常に熱心なお話がついておりました。これはぜひ完成させたいので、十分資金の配慮を願いたいという趣旨であります。県も、この施設については非常に関心を払っておるわけでございます。そういうことで、私どもも先生の御指摘がございましたときに、県の者と、それから施設関係者を呼びまして、担当の者が逐一事情を聞いたわけでございます。  それによりますと、確かにいま先生が御指摘になりましたような点がございます。四百四十七万の工事費をあとで四十八年三月に支払った、これはなぜそんなにおそく支払ったのかということを問いただしましたところ、小牧建設と、それからこの施設の役員との間で、非常に親密な関係と申しますか、そういう関係がございまして、そして小牧建設のほうは「太陽の里」の社会福祉法人のふところぐあいというようなものを見て債権として持っておった。したがって、いずれ請求するということで債権として持っておったのだけれども、いろいろ問題が指摘されるということなので、払うべきものはちゃんと払ってもらうということで、この段階に支払いを受けたというような説明をしておったそうでございます。  私どもといたしましては、それ以上の追及はできなかったわけでございまして、非常にその点、先生の御指摘になるような釈然としないものはございましたけれども、建設会社のほうで支払いを待ってやったんだということを言っておるわけでございますので、一応その点については、そういうことでございます。  それから雑費、諸経費につきましては、これは確かにいろんな経費を合わせますと——普通諸経費というのは、工事費の五%というのが普通でございますが、この「太陽の里」の場合は、それが一応九百七十四万円ということで、五%をはるかにこえておるのでございます。しかし、ほんとうの、いわゆる工事請負側の工事に伴う諸経費というのは、「太陽の里」におきましても四百五十三万円でございまして、これは工事費の五%以内でございます。ただ、そのほかのものは、要するにこの「太陽の里」をつくります場合に、いろいろな会議をしたり、あるいはほかの施設を見に行ったり、いろんな支出がございます。普通五%という範囲内に入る諸経費、それ以外のものがだいぶある、こういうことで金額がかさんだということでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまの局長さんの答弁では、どうも納得しがたいのであります。大臣、いまの問題はさておきまして、いわゆる厚生省関係あるいは通産省関係の補助金ないしは融資を受けている工事、当然工事が完了すれば義務的に報告書を出さなければなりませんね、完了報告書。その報告書が報告された先によって大きく金銭的にも相違を来たしておる。同一工事で、同一内容のもので、報告書の中身が、金額が、先ほど言いましたように二千九百十五万円もの開きがある。これだけでも監督官庁としての責任が問われるところではないかと私は思うのであります。  たまたまこの問題が指摘されまして、調査をなさっているのですから、厚生省当局としては、ある意味では問題だと思われたのでしょう。しかし、その調査の中身は非常に温厚的ですよ。私は何も無理やりに債権をつくれというものではありませんが、やはり不正は不正として手きびしく追及していかなければいかぬと思うのです。  なぜならば、「太陽の里」は、いま申し上げましたように、身体障害者、それも重度の身体障害者の授産事業としてやっているわけでございまして、いわゆる篤志家の善意にささえられた事業であります。私はその点については、そういう関係者に心から感謝と尊敬の念を払うのでありますけれども、いま私が言わんとするのは、やはり不正については徹底的に追及し、明らかにして、そして健全なる運営をしていかなければならぬ、こういうことだと思うのです。  その「太陽の里」に対する請負業者から出ている領収書というものは、総工費に対してすべて出ているわけです。厚生省が調べてきた、この二千九百万円の不明金についての説明書には、またあらためてほかの領収書が、小牧建設以外の業者の領収書が添えられてきている。領収書がダブっているわけですよ。ということは、これはどういうことになるのでしょうかね。公文書偽造になるのか、あるいはどうなるのか知りませんが、そういう領収書のダブりが現実にあるということ。  それから追加工事もすべて一切がっさいを含めた工事が、先ほど言いましたように四十七年一月二十五日にすでに完了しているのです。それが先ほど言いました一億二千三百数十万円の金額の中に一切がっさい含まれているわけですね。その領収書がついているわけです。私は証拠として、それを持ってきておりますよ。それにもかかわらず、この厚生省からの報告書では、この二千九百数万円の使途不明については追加工事が四百四十七万円入っていたんだと言うのです。いつの追加工事か調べてみたら、報告されたずっとあとの一年もの後の四十八年の三月二十二日。これが見積もり書である。しかもお金の支払いが二日後のことになっているのですね。これだけでも何かつじつま合わせのためにつくられた中身であると疑っても、これはしかたがないでしょう。ましてや目的外使用、つまり補助金や融資金を使用するためには、その目的に合致しなければならぬはずです。その目的外使用されたと思われる金額、当初計画とは異なった費用というものが千九百四十六万四千六百七十九円もあるわけです。  おそらくこれは通産省の方も調査なさったと思う。いまのお話では五百何ぼの払い戻しをさせたというような答弁があったように思いますけれども、私の調べでは——私の調べというよりも厚生省の説明によってはじき出した金額ですらも、目的外使用が千九百四十六万四千六百七十九円と、こうなるわけですよ。その辺がどうも納得いかぬ。そこで、まず大臣の御見解と、それから通産省のとられた措置、それを答弁していただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)政府委員 確かに日自振の補助の申請を受ける場合に、小牧建設幾らというような領収書といいますか、それをつけて出してきている。それが現実に工事が終わったあとで、ほんとうにどこの建設会社に幾ら払ったかということを突き合わせてみますと、確かに食い違いがございます。これは施設のほうでは、なるべく早く補助金をもらいたい、そのためには領収書を適当に書いてくれる業者から、一応の工事の総額はわかっておりますから、それで書いてもらって、それで現実に仕事をするときには必ずしも申請のときに領収書を書いてくれた建設会社そのまま——その金額そのままじゃなくて、その一部を別の会社に請け負わせている、こういう実態もあるようでございまして、その結果、申請のときの建設会社に幾ら、小牧なら小牧に幾らということと、現実に小牧に払ったものと食い違っているという御指摘がございますけれども、それはほかの建設会社にやらしておるので、こういうような実態があって食い違っておる。そういう点は、確かにけしからぬといえばけしからぬわけでございます。そういう点もあるというふうに私は承知しておるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 答弁の途中ですけれどもちょっと疑問を抱きましたのでお尋ねしますが、補助金あるいは融資を受ける場合に申請書を出すときに、領収書をつけて出すのですか。そういう実態があるとおっしゃいましたね。まだ工事もしていないのに、先に領収書をつけて補助金ないしは融資金を受けるシステムになっているのでしょうか、大臣。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)政府委員 その点は日自振のほうにお伺い願いたいと思うのです。私どもは、そういう領収書なしというぐあいに聞いておりましたけれども、この点は、現実の日自振のほうにお問い合わせを願いたいと思います。

後藤宏通商産業省重工業局車両課長

○後藤説明員 お答えいたします。  先ほど来いろいろ御質問がございます社会福祉法人緑風会に対する日本自転車振興会補助金でございますが、昭和四十六年度の同振興会の公益振興資金から「太陽の里」の建築費及び機器等整備費の一部につきまして一億二千五百一万四千円に対して、補助率をかけ合わせまして八千四百三十八万円の補助が決定され、支払いがすでに行なわれていたわけでございます。ところが、本施設の建築整備に関しまして、先ほど御質問ございましたように三月十二日の衆議院の予算委員会で公明党の山田先生から御指摘を受けましたので、私どもといたしましては直ちに日本自転車振興会の職員をいたしまして三月十四、十五、三月二十六、二十七の二回にわたりまして特別監査を実施したわけでございます。  ところが、ここで明らかになりました事実は、先ほど先生が御指摘のとおりの事実が出ておりまして、私どもの補助いたしました建物の建築費のほかに実は県の補助でやっております総工事費がございますので、私どもの補助金八千六百二十六万円のほかに、県費の補助金三千七百五十万円を含めて建物建設費につきましては一億二千三百七十六万円の支出を行なう計画になっております。また先ほど御指摘の小牧建設から同じ領収書が出されまして、自転車振興会からも、あるいは県からも金額が支払われておったわけでございます。  ところが、この点につきましては、いま御指摘がございましたが、あくまでも精算払いのシステムになっておりまして、工事が完了したあとで領収書を出して、それに基づいて精算払いという形で払うかっこうになっております。ところが監査の結果では、小牧建設に対しましては建築費としては実際に九千四百六十一万円しか支払われておりませんで、差額二千九百十五万円は別の費目または別の相手先に支払われていたことが判明いたしまして、私どもが監督しております日本自転車振興会の補助金の制度から申し上げますと、いわゆる水増しの受領の事実が明らかになったわけでございます。  私ども、日本自転車振興会の補助金は、実は経理の収益の一部をもって社会福祉施設の建設を助成するという趣旨で設けられておりまして、こういった補助につきましては競技法それからまた日本自転車振興会の補助規程に基づきまして厳格に運営しておる次第でございます。現在の補助規程によりますと、こういった事実が明らかになりますと、補助金の交付を受けた場合には、補助金交付の全部または一部を返還を求めることができるということになっております。  このような規程を考慮しつつ、他方、先ほど来御説明ございましたように、この緑風会の「太陽の里」につきましては、本施設が鹿児島県にたった一つの重度身体障害者の授産施設である、しかもある程度の事業成果を出しておるということ、それから補助金の全部を返還を求めた場合には、この事業が成り立たないということをも考慮いたしまして、補助金の全部を返還を求めるということはいたしませんで、水増し受領分にかかります日本自転車振興会の不正受領分に対しまして五百六十五万八千円の返還を求めた次第でございます。  この結果、五月二十九日付でいま申しました五百六十五万八千円は返還を受けております。さらに、同日付で緑風会から始末書を提出させております。なお緑風会に対しましては、四十八年度も同振興会の公益事業の対象といたしまして、施設資金といたしまして補助金七千三十七万円を内定しておりまして、こういった経緯にかんがみまして同会から自発的に申請を取り下げさせております。  以上でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ちょっとお尋ねしますが、いまの御説明では、確かに不正があった、水増しがあった、それに対しては厳正なる処置をとったつもりだ、その返還金は五百六十五万八千円であったということでございますが、その中身はさておきまして、その前にこの補助金を受けるときのシステムですけれども、工事が終了してから申請して、それで受けることになっているわけですか、もう一回ちょっとお聞きします。

後藤宏通商産業省重工業局車両課長

○後藤説明員 お答えいたします。  いま御指摘のとおりでございまして、工事が完了後、工事業者の領収書を付しまして精算払いの形で補助金を支払っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これはぼくは常識的に考えているのですけれども、じゃ、かりにその仕事が目的のためではない、目的からはずれていると判断された場合は、一切そのお金はおりないわけですね。

後藤宏通商産業省重工業局車両課長

○後藤説明員 当然でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 そういうことになりますと、福祉事業をやろうとして、その補助金を申請しようとする場合は、あらかじめその中身を第三者的な立場の方から証明してもらわなければならぬと思いますね。でないと、申請そのものも問題になるでしょう。それが目的どおりであったかどうかも判断の基準が明らかでないと思います。その、いわゆる基準といいますか、それを判断して認可するのは、どこになるのですか。

後藤宏通商産業省重工業局車両課長

○後藤説明員 いま御質問の趣旨を日本自転車振興会の補助ということでお答えいたしたいと思いますが、御指摘のように、この事業を実際に実施する能力があるかどうかということを十分事前に審査しながら行なうわけでございまして、まず日本自転車振興会の補助の場合には、申請の経由先は、中央、地方の共同募金会の手続を経て、そこの推薦を経て実は出しておるわけであります。同時に県知事の副申、県知事からの推薦を受け、さらにこの補助決定にあたりましては厚生省から推薦を受けまして、それをもとにいたしまして一つの案をつくりまして、日本自転車振興会として補助事業計画をつくるわけでございます。これを通産省にございます車両審議会という審議会に付しまして、通産大臣が認可をいたしまして最終的に決定いたすわけでございます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 速記を起こして。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣、これは私は非常に重大な問題だと思います。要するに仕事が終わって補助金の申請をする、そのときは確かに終わっているのですから領収書があると思います。形式的には、申請をして、内定をして、そして補助金が下がって、それから工事が始まった、こういうことになっているはずなんですよ。その形式的な問題と実態というのは非常におかしな姿であるということになりますね。  しかも厚生省がその中身についてはチェックをして、確かにこれは社会福祉事業である、間違いないのだという、いわゆるその証明役をする、いまの話ではですよ。しかも工事するにあたっては、やはりお金が要るのですから申請をしなければならぬ。そのためには領収書が先に要るぞ。仕事もしてないうちに、おまえ先に領収書を書け、こういうことにならざるを得ないわけですね。もしそういう実態ならば——慣例ならばあるいはやむを得なかったのかもしれませんけれども、どうしても私はこれは納得いかぬですね。大臣どう思いますか、これは。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 普通の国の補助金でございますと、一応内定をして、この程度ならということで補助金が出てやるわけでございますが、いまお述べになりましたこの自転車振興会のほうは、申請者のほうが一応の見積もりをして、そうして総ワクこのくらいでございます、このくらいで何ぼ補助金をしてください、で、補助金交付の内定といいますか決定をしてもらうわけです。そしていよいよ金を支出するのは工事ができ上がったときにやります、こういうふうな御説明だったと思うのです。  ですから、すなわち申請者がこういう建物で、こういう規模のものをつくります、それには何億かかります、そういう書類をつけて自転車振興会に申請する。で、自転車振興会は厚生省と通産省とよく相談し合って、それはなるほどけっこうじゃないか、この建物をつくるには一億かかるだろう、それじゃ六割くらい補助しようか、五割くらい補助しようか、こうなるわけでしょう。それでその決定といいますか内定といいますか、そのことばは私はよくわかりませんが、要するに補助金交付のワクをきめるのです。そのワクの中で現実に工事をやったときに金の支出をする、こういう説明だと思うのです。  ですから課長さんのお話は、補助金交付の決定というか内定というか、それと現実的な金の支出をチャンポンにしたような話をするから、大橋委員おわかりにくいだろうと思いますが、私はたぶんそうだと思いますから、もう一回お聞き取りいただきたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 さすがに大臣のお話のほうが話としてはよくわかります。しかし大臣、それではもう一つ疑問を投げかけますが、小牧建設はこれにかかわる作業棟、収容棟に対する工事金の総額が九千四百六十一万円で契約をしておるのです。実際に「太陽の里」から受けた受領金も九千四百六十一万円ですね。ところが「太陽の里」に出されている領収書の合計を見ますと、一億二千三百七十六万円になっているわけです。それはなぜそんなことをしたのですか、工事もしていないのに、なぜ領収書を切ったのですかと業者に聞いたならば、そういう申請にあたって領収書が先に要るのだ、それで書いたというわけですよ。出したというわけです。領収書は全部そろっていますよ。この点はどう理解したらいいのですか。

後藤宏通商産業省重工業局車両課長

○後藤説明員 お答えいたします。  補助金の交付申請をするときに領収書は要らないのでございまして、これは先ほど大臣の御説明のとおりでございます。私どもは申請内容を検討して内定し、決定し、しかるのちに事業が竣工しまして、事業が終わったときに領収書が出まして、それを確認いたしまして現金支出をするわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまの説明なら、よく理解できます。それも、説明は理解できるけれども、現実の問題が納得いかぬのですよ。だから、これは厚生省が調べに行ったというものの、私というよりも公明党に対する説明書ですね。これも言うならば、でっち上げではないか、責任問題になるぞと言いたいところですよ。  私は、この問題は、いろいろとふくそうしている問題であろうと思いますので、大臣の責任のもとに、もう一回これを再調査していただきたい。これに対して大臣のお考えを聞かしてください。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先ほど通産省の課長さんからもお話がありましたように、その水増しの分は返還を命じたとか、いろいろお話があったようでございます。そこで、いろいろ大橋委員のお話を承りますと、私もどうもあまりすっきりしない感じがいたします。しかし厚生省の社会局のほうでは、事務的に調べますと、それ以上深入りをして調べる権能もないものですから、これは社会局としては土建業者に対して。一応そういうことになっていると思いますが、こういう社会福祉施設についての問題は、私はやはりガラス張りで、はっきりさせるものは、はっきりさせなければならぬと思うのです。  しかも重度心身障害児のめんどうを見ておられる施設であり、鹿児島県にとっては、ただ一つの施設として県も非常に評価している、こういうことでございますから、一点の疑点もはさまないように調べておかなければならぬと思いますから、これは大橋委員のそういう御質問を待つまでもなく、明らかにするものは明らかにしたい、かように考えておる次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もう一つ、この際報告しておきたいのですが、同じ工事に対して、県の民生労働部社会課に出されている報告書は一億七千五百五十六万三千二百二十五円です。それから、同じ工事ですよ、社会福祉事業振興会に出されている報告書は一億六千八百六十一万円です。自転車振興会に出されているのは一億二千三百七十一万円です。それぞれ金額が全部違うのですね。これは他の工事が入ったというなら別ですよ。同じ工事の報告書で全部違う。これはやっぱりずさんという以外にないし、責任問題だと私は思うのです。この点もあわせて、あとでいいですから、答えていただきたい。  それからもう一つ、これは事務的な問題になりますから局長さんでけっこうですけれども、授産会計にもちょっと疑問があるのですよ。四十七年九月度の「太陽の里」の授産会計書の中に、三十八万二千円の支払い利息が計上されております。ですから、その利息を逆算してまいりますと、年利八・四%程度として計算していきますと、元金が二千六百七十四万円に相当すると私は思うのであります。大体この二千六百七十四万円が何に使われたのだろうか。えらい大きな金額ですからね。これもこの調査のときにあわせてやっていただきたい。いいですね、局長さん。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)政府委員 御質問の点につきましては、ある程度わかっております点はいま御説明申し上げ、さらに必要によって調査をいたしたいと思います。  最初の申請金額が違っておるという御指摘でございますが、これはそのとおりでございますが、それは自転車振興会の補助の対象になる事業と、私どものほうの社会福祉のほうの振興会の補助対象と、若干食い違っております。たとえば土地の整地費というようなものは、自転車振興会では対象にされておりませんが、私のほうでは対象にしているというようなことで、若干そういう工事総額についての補助対象の違いということで、申請が違ってきている点もあるわけでございます。  それから利子の点でございますが、これは確かにそういう利子を払っておるようでございますが、これは結局運転資金のために市中の金融機関、鹿児島信用金庫からでございますが、二千五百万円の融資を受けているということに私どもの調べではなっております。その二千五百万円については、おもに運転資金、基準寝具の権利金とかその他授産の材料の格納倉庫ですとか、一部設備費にも使っておりますけれども、ほとんど運転資金に使っておる、こういうことでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 こればかりに時間もとれませんので、結論を急ぎますけれども、私に言わせれば、これは社会福祉事業の名をかりた一つの大きな不正行為ではなかろうか。これは私に言わせれば大がかりな不正行為でございますが、こんなことは、「太陽の里」がひとり相撲をやろうたってできるものではない。つまり、国あるいは県、「太陽の里」、業者と、一連の、悪いことばで言うなら、ぐるになって何かが行なわれたのじゃないかという疑惑を持たざるを得ないのであります。初めから水増し計画で申請がなされようとしたのだ、このような疑いをはさまざるを得ません。こういう疑いを晴らすためにも、今後の調査で明らかにしていただきたい。もし事実が判明したならば、それなりの、いわゆる応分の処分もしていただきたい、こう思うのであります。  そこで、もう一つお尋ねしたいのですが、四十八年度の補助金及び借り入れ金についてでございますけれども、「太陽の里」では、四十八年度の事業計画としまして、自転車振興会から一億四百九万円を補助してもらおうとした、あるいは社会福祉事業振興会からは二千八百万円の融資を受けているということになっておりますけれども、これは間違いございませんか。それぞれ答えてください。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤(威)政府委員 私どもの社会福祉事業振興会から、四十七年度でございますが、二千八百万円という金が出ております。四十六年度四千二百万円、四十七年度二千八百万円ということになっております。

後藤宏通商産業省重工業局車両課長

○後藤説明員 お答えいたします。  先ほどから御説明しておりますように、四十八年度に増築工事ということで私どものほうの補助金七千三十七万円を内定いたしましたが、今回のいろいろな経緯にかんがみまして、同会から自発的に取り下げさせておりますので、いまは全くないということでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 自転車振興会関係は同会から自発的に取り下げさせたということでございまして、この問題もやはり問題含みであろうと思いますので、あわせてこれも再調査をしていただきたいということです。  要するに、公益事業について、県や国の援助は当然でございますけれども、社会福祉事業の美名に幻惑され、あるいは逆用されているということになれば、これははなはだ遺憾なことでございまして、この「大陽の里」の一件から推察をしてみますと、補助規程が示すような自己資金がかりになくとも、うまく立ち回れば一銭も自己資金がなくとも、何らか事業ができるのじゃないかというような気にもなるのでございますが、こういう点は今後しっかり指導監督してもらいたい。  また、自転車振興会ないしは社会福祉事業振興会の補助基準あるいは貸し付け基準等に照らしまして、今回の場合は、自己資金がなくともできるようになっておりますね。不正事実がはっきりしてきてわかったのですけれども、そういう立場から見てまいりますと、社会福祉事業法第四十二条の違反にもなるのではないかと私は思います。こういう点もあわせて調査してもらって、確たる報告を求めるものでございます。  同時に、私は、この社会福祉事業がつぶれることを望んでいるわけではございません。むしろ大いに発展してもらいたいわけでございまして、そのためには、先ほど言いました理事者あるいは役員の中に一部の不心得者がいたのではないかとも推測されますので、そういう方は処分なさるなり、あるいはその理事会あるいは役員会のメンバー構成をあらためて再検討して、あるいは身体障害者の代表の方等をむしろその中に入れて、円満なる運営ができますことを強く希望いたします。  最後に、厚生大臣に、いままでいろいろ述べましたものを総合して、答弁を求めるものでございます。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先ほど来大橋委員がお述べになりましただんだんのお話、よく拝聴をいたしたわけでございまして、今日まで社会局においても、現地の者、さらに県庁の職員も招致いたしまして調査をいたしたわけでございますが、やはりこういう社会福祉施設につきましては、疑念を差しはさまれるようなことがあっては、その健全なる発展を期することは困難でございますから、今日までのいろいろな状況等につきまして、さらに一そう県とも相談しながら厳重に調査を進め、必要な処置を講ずるようにいたしたいと思います。  なお、それと同時に、これは御承知のように、監督官庁は第一次的には鹿児島県知事でございますから、今後の運営等につきましても、どういうふうにしたほうがいいか、本省が差し出がましくいろいろな人事まで口を出すわけにもまいらぬと思いますけれども、県とも十分打ち合わせまして、この協会がもし誤りをおかしておるとするならば、誤りはどんどん是正させ、今後も健全なる運営ができるように県とも相談して指導をしていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 今度の法律改正の中に、年金福祉事業団法の一部改正がございます。私は、この一部改正の内容にこれから入りたいと思いますけれども、年金福祉事業団と厚生団との関係についてでございますが、過去何回も議論されて問題点が指摘されてきたところでございますけれども、たとえば、昭和四十三年四月二十五日の衆議院の決算委員会におきましての答弁には、当時の伊部年金局長さんの答弁がございますが、「事業団発足以来一号業務が掲げられておるにかかわらず、実施がされていないという点は確かに問題でございまして、明年度の財政再計算期におきましては、この問題につきまして早急に結論を出したい、かように考えております。」と明確な答弁がございました。四十七年の三月十七日、今度は参議院の決算委員会で、わが党の中尾辰義委員の質問に対しましては、これはなくなられました前の厚生大臣斎藤昇大臣ですけれども、「この国会」——第六十八国会ですね、「中に結論を出しまして、」「はっきりと御答弁申し上げ」ます、このように言っておるわけでございますけれども、今回の改正案を見ましても、この質問者の意図はさっぱりくまれているような改正はなされていないと私は思うのでございますが、この点についてどうお考えになっているかお尋ねします。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 年金福祉事業団の事業の問題でございますが、ただいま先生御指摘のように、この事業団が昭和三十六年に発足いたしまして以来、法律上は還元融資の仕事と、福祉施設の設置、運営と二つの仕事ができるようになっておるわけでございますが、先ほど御指摘のように、こういうことにはなっておりますが、その設立の当初から両方の仕事をあわせ行なうことは実際上も非常にむずかしいというようなことで、今日まで年金福祉事業団が福祉施設の設置、運営をいたすという面につきましては、まだ手を染めておらなかったわけでございます。  今回改正をお願いしております年金福祉事業団法関係の改正点は、実はこの施設の設置、運営の問題につきまして、あらゆる施設を年金福祉事業団に設置させるというようなことを実際にやることは、かえっていろいろ混乱を起こす、またむずかしい問題があるということから、今回年金福祉事業団において現実に行なわせようとしております大規模年金保養基地の設置、運営を想定いたしまして、その施設の設置、運営ができるような、そういった法体系に改めたほうがよろしいというふうなことから、この改正をお願いいたしておるわけでございます。  それならば、将来にわたって、厚生団と年金福祉事業団と福祉施設の設置、運営につきましては、どのような割り切りをするかというような点でございますが、端的に申しますと、年金関係は、御承知のように、厚生年金、それから国民年金、船員保険の年金部門と三つの制度にわたっておりまして、そういう三制度にわたりましての福祉施設というものについては、年金福祉事業団にさせることを本則とする。それぞれの、たとえば厚生年金の被保険者のための施設等で従来から行なっておるようなものにつきましては厚生団、それから船員保険関係の施設につきましては、船員保険会というようなところで従来と同じように行なわせたほうがかえってよろしいのではないか、こういうふうな考えを持っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私がいまお尋ねしたいと思うところは、これまでさんざん議論になってきました福祉事業団の仕事の内容について、大臣の答弁にしろ局長さんの答弁にしろ、これは確かに問題でございます、改めなければなりません、法改正の必要がありますという答弁があったにもかかわらず、今回の法改正は、いま言うように、改正はなされておりますけれども、質問者の意図とは多小離れた改正の中身になっておるということなんですね。その点について、私、ちょっと疑問を抱くわけです。  そこで、確認の意味で申し上げますが、あくまでも、法律的には年金福祉事業団が二つの融資あるいは事業を行なうことになっておりまして、厚生団そのものの動きについては、法的には裏づけられていないという立場になっておると思うのです。厚生年金保険法第七十九条、国民年金法第八十四条には「政府は、被保険者、被保険者であった者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。」「政府は、前項の施設のうち、年金福祉事業団法第十七条第一号に掲げるものを年金福祉事業団に行なわせるものとする。」とあります。また船員保険法五十七条ノ二の二項も同じでございます。福祉施設は年金福祉事業団に行なわせるとあることは、法律上では明快なんですね。はっきりしているわけです。しかし実態を見てみますと、社会福祉施設等の管理、運営というものは依然として厚生団が行なっている。だからいま申し上げました法律との関係はどうなるのかというのが一つ。厚生団のやっている事実、それと先ほど言ったように法律との関係はどうなるのか。また厚生団がこうして運営できる法的根拠。これを述べていただきたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 厚生年金保険法の七十九条、それから船員保険法にも類似の規定がございますが、先生が御指摘のとおりでございます。それを受けまして年金福祉事業団法の十七条がございますが、十七条の一項一号で「老人福祉施設、療養施設その他の施設で政令で定めるものの設置及び運営を行なう」こういうことになっておりまして、実は年金福祉事業団法のこの政令ができておりませんので、現実は年金福祉事業団が、この事業を行なえない、法律的にはそのようなかっこうになっております。  それなら厚生年金保険法等の本法で、福祉施設は年金福祉事業団に行なわせるのだというたてまえをうたっておりながら、この政令ができておらない。こういった法律的な関係において財団法人厚生団に福祉施設の経営を委任するのは、いかなる根拠であるかという問題でございますが、この点につきましては、実は私どもの法律解釈といたしましては、厚生団に委託いたしております委託というのは私法上の委託契約であって、こういった私法上の委託契約でもって委託することを禁止している趣旨ではない、そういうふうな解釈をいたしております。  ただ、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、本来的に融資業務と福祉施設の設置、運営をあわせ行なうことのたてまえになっておりながら、いわば片肺飛行を続けておるということは変則でございますので、今回新しく実施いたします保養その他について、これを行なわせるというようなことで、その関係の所要の法律改正をお願いしておるということでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまの答弁の中で「厚生年金保険法第七十九条、船員保険法第五十七条ノ二及び国民年金法第八十四条の施設のうち、老人福祉施設、療養施設その他の施設で政令で定めるものの設置及び運営を行なうこと。」とあるわけですね。ありますけれども、実際問題としてこの法律が三十六年十一月一日に施行されて以来、今日までこの政令が未公布のままになっている、こういうわけですね。今回はこの政令は出されるのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 今回この改正法を通していただきましたならば、大規模年金の保養その他を行なうように所要の政令の改正をいたします。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまの御答弁では、あくまでも保養のための総合施設の部分についての政令を出す。従来の施設について、厚生団から年金福祉事業団に移管して管理するのかどうかという点については、どうでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 その点につきましては、先ほども申し上げましたように、大体の割り切りといたしましては三年金制度共通のものについては、事業団に行なわせる。それぞれ厚生年金なら厚生年金の被保険者なり受給者だけのためのものは、従来どおり厚生団に行なわせるというのが、大体の割り切りはそういうふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これは結論的に申し上げたいところだったんですが、厚生団のなさっている仕事というものは非常に意義があると思います。決して私は反対ではない。それならば、もっと法律上胸を張ってその仕事ができるようなものをつくってあげるべきだ、こう思うのです。たとえば今度の法改正の中を見ますと、いわゆる十七条第一号の中に「老人福祉施設、療養施設」と書いてある部分を、これを「保養のための総合施設」と改めると、こうあるのですね。何のためにきわ立って、いままであるものを消して、そしてこういうことばに変えなければならぬのだろうか。「保養のための総合施設」が例示であるというならば「老人福祉施設、療養施設その他の施設」という「その他の施設」の中で当然読めるんじゃないかと私は思うのでございます。この点についてはどうお考えですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 現行法の十七条一項一号の「老人福祉施設、療養施設その他」となっておりまして、老人、療養、これはいずれも例示でございます。したがいまして、法律的にはこの例示を特段に変える必要はございませんけれども、やはり法律の例示は実態に即応しておったほうがよろしいというふうな見地から先ほど申し上げましたように、大規模保養施設をまず行なわせるというふうなたてまえをとります以上、例示もその実態にふさわしいような例示に改めた、あくまでも例示の施設名でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 例示というならば、先ほど言ったように「その他の施設」の中で十分読めるのではないか、しかし、実態はこれからいよいよ大規模保養施設にねらいがあるのだから、こう変えたんだという話ですけれども、どうもその辺が疑いたくなるところなんです。要するに改正案で「保養のための総合施設」を主文として従来の「老人福祉施設」あるいは「療養施設」は「その他の施設」の中で読むというのは、私は理解できないということをここで強く言っておきます。もし例示とするならば「保養のための総合施設」もちろんこれは入れていいでしょう。そのあとに「老人福祉施設、療養施設」云々と表現しても差しつかえないのではないかと私は思うのですけれども、これについての見解を伺いたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 その点につきまして例示を一つにするか二つないし三つ並べるかという点は、おそらく法律技術ないしは法律案の表現の問題だろうと思いますが、その点も十分議論はいたしましたが、やはり例示としては、あまり並べるのも好ましくない。しかも実態に合ったような例示をすべきであるというふうな、法制局等との相談の結果もございまして、いま申し上げたような改正案になっておるのでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私は、その辺があえて削除されているので、何か意図があるのではないかと勘ぐりを持ちたくなるところでございます。実態的には合うのかもしれないということですが、従来の老人福祉施設あるいは療養施設の管理運用というものは、今後は年金福祉事業団がやるのかどうかという点について、こちらのほうは厚生団だ、そういうことなのか、この点もう一回明確に御答弁願います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 先ほど申し上げましたように、大体の割り切りは三制度共用のものは年金福祉事業団、それぞれの制度のものは、それぞれの事業団あるいは船員保険協会等というふうに割り切っておりますが、これは未来永劫にそういった割り切りでいくかどうかという点になってまいりますと、やはりその経営の実態なり、それからその団体の経営についてのいろいろな経営能力であるとか、いろいろなものを総合勘案してきめなければならない問題であるというふうに考えておりますので、はっきり将来ともこうだとは言えませんが、ただ方向としては、いま申しましたように三制度共通のものであるか、それぞれの制度独自のものであるかというふうなことで割り切りをいたしたいと思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 厚生大臣、この社会福祉事業団と厚生団との関係は、毎回といわれるほど法律に照らしてどうかという問題が出てきたわけです。先ほど申し上げますように、厚生団の仕事そのものは私は否定するものではございませんし、むしろもっと伸びてもらいたいと思うくらいでございます。しかしながら、いまの法律の法文上からいきますと、非常に日陰者みたいな感じで働かなければならぬような感じを受けるのでございまして、この点は、厚生大臣の指定する団体に委託することができるというような法律改正でもなさるほうがいいのじゃないか、私はそう思うのですけれども、その点はどうお考えになりますか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 厚生団と年金福祉事業団との関係、法文との関係のお尋ねでございますが、法律的にはいま年金局長から御答弁申し上げたようなことで割り切っていいのではないかというふうな感じが私はしておるわけでございます。     〔橋本(龍)委員長代理退席、塩谷委員長代理着席〕  そこで、厚生団でございますが、大橋委員のお述べになったように、すっきり割り切ってはっきりと、こういうふうな御意見、それも一つの御意見だとは思います。しかし、多年にわたる慣行として、厚生団がいろいろな仕事を行ない、そして法律的にも、そういうことをやることについて否定的な法解釈にはならないということであってみれば、現在のままで差しつかえないというふうに私は考えておりますが、将来の問題として、せっかくの大橋委員の前々からの御意見、御主張でございますから、何らか法律的にはっきりさせる必要があるかどうか、その辺も含めて将来の問題として、十分ひとつ研究させていただきたい、かように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 要するに、法律の上に厚生大臣の指定する団体に委託することができるという文字さえ入れれば問題のない解決だと思うのです。その点いま検討するということでございますので、これは厚生省のために私は言っておきます。  次に、具体的な問題に入ってまいりますが、標準報酬の考え方、とらえ方についてでございますけれども、このたびは再評価係数が採用されております。今回の改正案の目玉商品の一つともいわれているわけでございますが、従来の全期間、いわゆる昭和三十二年十月以降の全平均をとってきたことに比べますと、確かに一歩改善されたところである。しかしながら、算出の根拠については非常に疑問を抱かざるを得ない、きわめて複雑化しているということですね。まず、この点について御説明を願いたいと思うのです。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 今回の年金の改正の最大の眼目の一つであることは、先生ただいま御指摘のとおりでございまして、この標準報酬制度の再評価のやり方を簡単に御説明申し上げますと、まず加入者の過去の標準報酬を直近の被保険者の平均標準報酬をもとにいたしまして再評価をした、そして、この場合の直近の被保険者の平均標準報酬と申しますものは、四十六年十一月から四十八年三月までの平均標準報酬を使っております。これは技術的にぎりぎりこの辺までしか使えないというふうなところから、直近の被保険者というものは、いま申しました期間に設定をいたしております。  こういうふうにいたしまして再評価率を出しまして、その再評価率を基本にして現実の再評価の指数を出しておるわけでございますが、おそらく御疑念の点は、この再評価率をそのままなまで使わなかったのは一体どういうことか、おそらくそういう御疑念だろうと思います。  これにつきましては三つございまして、まず第一点は、御承知のように、厚生年金の年金額の算定の基礎に使います全加入期間というものは、前回改正の際に昭和三十二年十月前の標準報酬は切り捨ててございます。要するに、その時点におきまして年金額の改定をする一つの手法といたしまして、特にインフレのひどかった時期というものは切り捨てないと、いたずらに年金額を低くしてしまうということで、三十二年十月前の標準報酬というものは、その前に被保険者加入期間があった方について切り捨ててございます。したがいまして、全加入期間を通じての標準報酬でもって年金額を算出するという観点から申しますと、ある意味では非常にかなわなものになっておるわけでございます。  たとえば三十二年十月までの間に会社の課長なり何なりにもうすでにおなりになったという方の場合を考えますと、三十二年十月以降の標準報酬というものは、要するに入ってからの全期間ではございませんで、管理職になってからの標準報酬のその期間だけが算定の基礎になる、こういうような関係がございます。したがいまして、そういったことで、三十二年十月以前の標準報酬をすでに切り捨てておるという要素を加味いたしまして、そこで、まず一つ修正をいたしております。  それから第二番目には、被保険者集団として厚生年金の被保険者をながめました場合に、被保険者集団といたしましての平均年齢は逐年上昇いたしてきております。したがいまして、現在、いま申しました直近の被保険者期間である四十六年十一月から四十八年三月までの被保険者期間内における被保険者の年齢構成と、それから三十二年十月から何年間かの年齢構成というものは非常に違ってきております。日本の給与体系全体の問題でございますけれども、被保険者集団としての平均年齢が上昇いたしますと、それなりに平均標準報酬が高くなります。したがって、直近の平均標準報酬というのは非常に高く出ますので、それでもって被保険者集団としての平均年齢が若かった時代の標準報酬を再評価いたしますと、いたずらにその辺の再評価率が高くなり過ぎるということがございます。そういう観点を考慮いたしましたのが第二の修正の要素でございます。  それから第三番目には、標準報酬でもって標準報酬を再評価するわけでございまして、平均賃金そのものは使っておらないわけでございます。と申しますのは、厚生年金保険の場合には、保険料につきましても、それから給付につきましても、標準報酬制度というワク組みをいたしまして、それに準拠して計算をいたしておりますので、標準報酬同士の比較をしませんと、適正な再評価率は出てこないわけでございます。ところが、先生十分御承知のように、標準報酬制度の改定というのが賃金の実勢と合わせて随時改定をされるというふうなことにはなっておりません。厚生年金の場合には、それがすぐ給付にもはね返ります関係上、比較的頻度が多く改定はいたしておりますけれども、それでも必ずしも賃金の実勢を十分に反映しておるとはいえないわけでございます。  その場合問題になりますのは、上限が問題でございまして、上限が非常に低いままで何年か放置されておるというようなことがありますと、その部分の再評価につきましては、上限が低く押えられておりますと、そこでの平均標準報酬は実勢よりもずっと低く出るわけです。  ところが、標準報酬同士を比べますと、現在はたとえば十三万四千円ということで、今回二十万に改定いたすわけでございますが、非常に低く押えられていた時代よりも平均の標準報酬は高く出る、したがって、その比率でもって実際の個々人の標準報酬に対してかけ合わせて、平均標準報酬を個々人について出しますと、これまた標準報酬の上限改定がなされなかった時期については、高きに失する結果になる、こういうことがございます。  そういうことから、この三つの要素を勘案いたしまして、先ほど申しました標準報酬同士の倍率をそのまま使わずに、それにいま申し上げました三つの修正要素を加味して出しましたのが、今回御提案申し上げております標準報酬の再評価率でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 るる御説明なさいましたけれども、たとえば三十二年の十月から三十三年の三月の間のポイント五・五三〇となっておりますね。にもかかわらず修正表は政府案によりますと三・八七になっているわけですな。こういう点。いま三つの修正率がいろいろと述べられたわけでございますけれども、非常に複雑だな、率直にいって、そう感じます。一回の説明では、なかなか理解できないというわけですが、問題点は、この改正案では昭和四十八年四月以降から五年後の再計算期までの間に発生した新規裁定者にとって、この間の読みかえについてはどうなるんだろうか、われわれはこういう疑問を抱くのですけれども、この点についてはどうでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 御質問の御趣旨は、今回やったような再評価のやり方を、この次の再計算期においてまたやるかどうか、こういうことだろうと思います。  私どもは、かねがね大臣からもいろいろお答え申し上げておりますように、標準報酬の六〇%というものを年金の水準として確保いたしたい、こういうふうな考え方を持っております。したがって、ある時点ある時点をとりますと、これは場合によっては落ち込むこともあり得るわけでございますけれども、長い目で見ました場合の日本の年金の水準といたしましては平均標準報酬の六割、もっと大ざっぱにいえば、現役労働時代の六割を年金水準として確保いたしたいということでございますので、この次の再計算期におきましても何らかの方法によりまして、そのような水準を維持いたすつもりでございます。  ただ問題は、御承知のようにスライドの問題にいたしましても、標準報酬の再評価の問題にいたしましても、現在の厚生年金制度にとりましては、きわめて革命的なことでございますので、これを実施いたしました結果、厚生年金の財政なり何なりがどのような変化をするかということについて相当の見きわめがございませんと、将来にわたっての年金制度の維持は困難になるというような観点から、今回はこの再評価の手法を次の再計算期に必ず行なうというしかけにはいたしておりませんで、何らかの方法によりまして、かねがねお答え申し上げておりますような年金水準は維持する、そういったかまえでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 要するに、来年度に受給が発生する対象者にはどう適用するのか、あるいは修正率がそのまま適用されるのかどうかというわれわれの疑問に対して、いま、結論的には標準報酬の六〇%を確保できるような中身にしたい。そのためには、そのときそのときによって何かを考えていかなければならぬのだというような御答弁であったろうと思いますが、これは非常に重要な問題だと思います。  この評価のしかたによって実質的な年金額になるかならぬかというのがきまってくるわけでございまして、私はここで大臣にお尋ねしたいのですけれども、来年度以降再計算期までに受給が発生する人に対しては、このままだと不公平にならざるを得ない。ですから少なくとも標準報酬月額の算定を簡素化する——いまも説明を聞いていて非常に複雑ですものね。簡素化するために最高報酬時の三年平均をとる、いわゆる実勢賃金に近づけた、賃金の上昇に自動スライドさせていくというようなやり方、これが妥当ではないかと思うのでございますが、大臣の御見解を承りたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 年金額の計算の基礎の報酬に何をとるかという問題は非常に大問題でございます。御承知のように、国家公務員の場合につきましては退職前三年の給与を基準にいたしまして共済年金を計算いたしております。これをどのようにするかという点につきましては、実はこの案を策定いたしますまでの間に私どももいろいろ考えたのでございますが、厚生年金は、申し上げるまでもないことでございますけれども、大中小いろいろな企業格差と申しますか雑多な企業をかかえております。それから業種、職種がまちまちでございます。  したがいまして、この給与体系につきましても、国家公務員等におきますような、いわゆる年功序列で、退職が近くなるに従って最高の賃金水準になることもない、平均的に申しますと、大体四十歳の半ばが一番給与水準が高い時期である。企業によっては、そうでないところももちろんございます。そういうようなことから、どの時点の給与をもとにして年金額を算定するのが最も受給者にとって有利であり、かつ企業間、業種間、職種間等において不均衡でないようになるかということを考えますと、やはり厚生年金の場合につきましては、全加入期間を通じましての標準報酬の平均をとるということが最も妥当である、こういうふうな結論でございます。  大橋先生御指摘のように、そうではなくて最高時の賃金をとれば、すべて問題はなくなるという御議論ももちろんございますし、私どももたいへん貴重な御意見だとは思いますけれども、そうなってまいりますと、また反面の問題といたしましては、報酬に比例いたしまして保険料を拠出いたしておるわけでございますから、そういった保険財政とのバランスの問題等から、いろいろ問題があることも事実でございます。ただ、しかし、企業間の格差ですとか、いろいろな点につきましては、一つの有力な解決の手段であろうとは思いますけれども、いろいろ考えました結果、全加入期間をとる、しかし十年前の給与をそのまま使ったのでは問題にならないというようなことから、ただいま御提案申し上げておるような再評価の手法をとったということでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 要するに期間を短縮するならば、まず簡素化になることは事実でございますし、また同時に従来の平均標準報酬よりも実勢賃金に近いものになる。たとえば共済組合のように退職前三年の平均標準報酬をとっておるし、あるいは過去の最高標準報酬の前後三年の平均標準報酬を再評価して計算しているわけですね。  これについて、わが公明党も標準報酬月額のきめ方については、このような基本的な考えを持っております。個々の年金額の比例部分の計算の基礎となる平均標準報酬月額は、被保険者期間であった全期間の最高標準報酬月額の三年平均とする。つまり一番高いところだけずっと集めて三年の平均をとる。これが公明党の主張ですから、十分今後の検討の参考にし、公明党の案になるように努力していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 ただいまも申し上げましたように、非常に貴重な御意見でございますので、今後制度の改正につきましては、十分検討させていただきたいと存じます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは、今度は保険料の大幅値上げについての御見解を承りたいのでございますが、今回の改正案は、特に関心を呼んでいるのは給付の面よりも——五万円年金とおっしゃいますけれども、これは看板に偽りありとかなんとか言われまして、いろいろ論議されておるわけでございまするが、給付の面よりも負担の面に関心が寄せられておるといっても過言ではないと思うのであります。厚生年金は男女ともに千分の十五の大幅な引き上げになっております。  今回の改正案を見ますと、保険料の引き上げだけではなくて、これに加えまして標準報酬の引き上げがございます。これが行なわれますと、いまの保険料の引き上げと合わせますと、相当の収入増になる見込みだと私は思うのでございますが、この際は保険料のほうは引き上げないで、そして改善をなさる、こういう基本的な考えに変えられるべきではないだろうか、私はこのように主張するのですが、どうでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 保険料の引き上げの問題も、要するに大幅に給付改善をいたします年金の財政を何によってささえるか、こういう問題の一環でございます。それで私どものほうは、御承知のように、大幅に改正いたします年金の財政をささえるものとして、まずその二割を国庫負担する、その残りの八割につきましては保険料でもって負担をする、労使折半である、こういうふうな考え方をとっております。それで実は先ほど先生の御質問にもございましたように、厚生年金につきましても相当巨額の積み立て金があるわけでございまして、その数字は先生も先ほどおっしゃいましたように、四十八年度末には八兆一千五百十三億円になる見込みでございます。  ただ問題は、年金の改善なるものが今回こっきりの改善であるかどうかとなりますと、いわゆるスライド制を導入いたしたこと、それからもう一つは、さっきも申し上げましたように、標準報酬の六割水準というものを年金水準として維持したいということになってまいりますと、これをずっと伸ばしてまいりますと、たいへんな給付額になります。それで現在は御承知のように、厚生年金の被保険者に対しまして、受給者は非常に少ないのでございますけれども、われわれが成熟期と予定いたしております昭和八十五年くらいになりますと、今回の私どもの御提案申し上げておるような改正の内容でもって大体一年間の支出総額は百三十八兆円になります。そういった百三十八兆円という膨大な支出というものを、それから先は大体横ばい的に負担しなければならない、そういった年金財政の設計になるわけでございます。  したがいまして、その時点になったら、国民所得というものがどれくらいになるかとか、いろいろな計算の方法はございますけれども、いずれにしましても、百三十八兆円の単年度支出をかかえる年金財政ということになりますと、それなりの財政の設計というものを長期にわたって講ずる必要があるというふうに考えております。そういった観点から今回御提案申し上げております考え方は、再計算期ごとに千分の十五ずつ上げていって、大体成熟期になりました際に、年間の支出額の三年分くらいの積み立て金と申しますか支払い準備金、そういったものを持つというような考え方をとっておるわけでございまして、その辺から逆算いたしますと、今回の保険料の値上げというものは、それほど大き過ぎるものではないのではないか。  それから非常に端的に申しますと、年金水準は大体平均的に申しまして二・二倍ないし二・五倍、給付面につきましては、そういった水準が、今年のこの法律が予定どおり施行されることになりますと、十一月からそうなるわけでございます。二・二倍ないし二・五倍、それに対しまして保険料のほうは千分の六十四から千分の七十九ということでございますので、そういったつり合いから見ましても、いろいろ御納得いただけるのではないだろうかと思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 どうもそれが納得いかぬのでございます。  これは話はそれますけれども、大臣聞いておってくださいよ。いまの田中内閣が特に人気を下げたのは何かといえば物価のウナギ登り。物価を下げますと言うけれども、さっぱり下がらないということ。これが国民の最大の不満でございます。今回また国鉄運賃を値上げをしようとする、健康保険のほうも、どうやらそういう考えであるようだ。あれやこれやと値上げばかりですよ。せめて年金の改善にあたっては国民の皆さんの気持ちは、どうか値上げをしないで改善できるようにということであった。  われわれ野党はその点を十分加味しながら話し合ってできたのが今度の野党四党共同提案の中身であります。この四党共同提案の一番の目玉というのは、保険料値上げをしないで、現状のままで実際に六万円年金が支給できるという中身になっているわけですよ。ですから、局長さんが事務的にいろいろお述べになりましたけれども、政治的な立場からいけば、やはり保険料の値上げは今回は見合わせる、こういう立場で臨むのが、いまの厚生大臣の責務ではないかと私は思うのでございますが、どうでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 せっかくの大橋委員の御意見でございますが、賛成いたしかねるわけでございます。  御承知のように私ども、物価が上がるという最近の状況につきましては非常に憂慮をいたしております。しかし今回の五万円年金につきましては、既裁定年金受給者の受ける年金額は二・二倍にはね上がる。これは私たいへんな改正だと思うのです。いままで二万円もらっていた人は、この法律が通りまして施行になりますと、とたんに四万四千円になるのです。現実に四万四千円になるのです。しかもまた、将来のいろいろな問題につきましては物価スライドをしていく、こういうことなんです。それで、しかも標準報酬の六割の五万円年金を確保しましょう。これはたいへんなことなんです。夫婦で五万円年金を確保し、その価値を維持するために物価スライドをしていこう。これは大橋委員は多年社労におられたのですから、よくも政府はやったものだと言っていただけると思うほどの大改正だと私は思うのです。  そこでこういうふうな思い切った改正。これは御承知のように厚生年金だってできましたときは、十年前に国民年金ができるときは一万円年金です。それから先般は二万円年金、それが五万円年金なんです。これは現実問題として国民年金については、いまもらう者はないじゃないかとおっしゃる。それはそのとおりなんです。二十五年たってないから、できないのですが、そういうふうな思い切った改正をやる。それをやりながら、しかも将来の私どもは責任をもって年金財政を確保していかなければいかぬのです。御承知のように老齢人口はどんどんふえてきております。いま七、八百万の老齢人口が十年たったら一千万、一千二百万、そういうふうな段階になることは、もう確かに趨勢としてなります。そういうふうな、一千二百万程度になりますと、今度は初めてそれが落ちついてまいりまして老齢人口の増減があまりなくなってくる。そのときに初めていわゆる賦課方式になる。すなわち世代間の負担の均衡をはかることができる。  ですから、大橋委員その他野党の方々がお述べになっております賦課方式は、時が来たらそうなるし、そうしなければならぬ。その意味においては私は将来の問題として賛成なんです。しかしながら老齢人口が急激化しておるこの現段階において、世代間の負担の均衡というものをはかる。それがためには、どうしても長期で見なければならない。それがためには完全積み立て方式でやれば料率はもっと高くなるのです、ほんとう言いますと。私どもはそういう完全積み立て方式はとらないで、将来は賦課方式に変わっていくであろうということも頭に描きながら、そして負担はできるだけ少なくしようではないか。そういうふうなことを考えてみれば、この程度の負担は、やはりごしんぼういただかなければならないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  私ども、いなかに参りまして、いろいろな方々にお目にかかりますが、既裁定年金受給者の方はほんとうにびっくりしているのです。保険料に何らの寄与もしていないのです、ほんとう言うと。今度の改正によって保険料収入に何らの寄与もしてない。いままで二万円もらっていた者がとたんに——保険料は増額していないのです。この人たちは納めてないのですから。その人たちが法律施行と同時にとたんに四万四千円にはね上がる。これはたいへんなことだと言うて……(「あたりまえのことだ」と呼ぶ者あり)これはあたりまえでも何でもないのです。これはほんとうのことです。そういうことで、私どもがいなかに行きますと、むしろ既裁定年金受給者は一日も早いこの法律の成立を望んでいるのです。これは実情だと思うのです。これは大橋委員もそういうふうな御意見をお聞きになっておられると思うのです。  そこで、そういうふうな思い切った大改善をやるのに千分の一五の——これは私そう言ってはなんですが、これが完全積み立て方式ということになれば、もっと多くなります。しかし私どもは負担というものは、なるべく上げてはならぬ、こういう基本的な考え方に立ち、そしてこの程度のごしんぼうはいただきたい、こういうわけです。大橋委員はこの道の専門家なんですから、この辺のことは十分わかっていただける、私はこのように考えておりまして、据え置くなどということは全然考えてない。これは明らかにしておきたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 この問題は野党案と政府案との大きな対立点でございまして、あとでこのほかの問題につきまして、野党共同提案者である八木先生に答弁台に立っていただきたいと思っておりますが、そのときにいまの問題も含めて御答弁願いたいと思います。よろしくお願いいたします。  そこで、ことしは年金の年だとか福祉元年だとか言われるように、国民の皆さんがあげて年金の大改善を望んでいる。端的に申し上げますと、いま直ちに六万円年金がもらえるようになるであろうという、少なくとも政府は五万円、五万円と言っておったのですから、最低五万円年金は直ちにもらえるようになるのだろうというふうに考えているわけでございます。けれども、現実に計算してまいりますと、五万円受ける人というのは、きわめてわずかでございます。これはいままで議論されてきたところでございます。  そこで、国民の皆さんは、いま言いましたように、とにかく将来のことではない、いまわれわれは生活に困っているんだ、年金というものは生活権という、生活保障を基礎としたものでなければならぬ、そのためには生活のできる年金を、こう叫んでおるわけですね。それを実現するためには、やはり財政方式をどうしても賦課方式に改めざるを得ない。これは火を見るよりも明らかなんですよ。  これはさておきまして、保険料はとにかく据え置きにして、それよりも保険料の労使の負担割合を改めることこそが先決ではなかろうか。現在労使の比率は五対五です。それを少なくとも三対七に改めるべきであると野党案は主張しているわけでございます。それは、保険料の労使負担の中身をヨーロッパの年金調査団が調べた内容をとりますと、一九七一年でございますけれども、その負担割合は、フランスは労働者が三・〇、使用者が五・七五、料率は八七・五%です。イギリスは労が四・七五、使が六・七五、料率は一一五%。イタリアは労が六・九、使が一三・七五、二〇六・五%が料率。西ドイツは八・五、八・五、一七〇%。日本は三・二、三・二、六四%。このように労使折半式をとっているのは西ドイツとわが国だけでございます。  ところが、わが国は賃金に対する保険料の負担というものが国際的には少しも低くないということでございまして、これは大いに改めるべきであるということでございます。この労使の負担割合につきまして、野党案の主張していることに一日も早く改善なさることを要求するわけでございますが、この点についての見解を承りたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 労使の負担割合の問題につきまして各国の例をおあげになったわけでございますが、実は労使折半をとっております国は、西ドイツのほかにアメリカ、オーストリア、こういったところは労使折半でございます。ただ、私どもは世界各国どちらが多いか少ないかということだけではございませんで、やはりわが国におきましては、健康保険の制度や各種の公的な年金制度全般を通じまして、従来から労使折半でやっておるわけでございます。  いま直ちにこれを改めることは、一体どのようなことになるかという点になりますと、確かに労働者のほうの負担が低くなって事業主が高くなることは、労働者の面から見れば有利ではないかというようなことが一応いえるかもしれませんけれども、そのことによって、その負担に十分たえ得る事業主というものは、はたしてどれほどあるかどうなのかという点もございますし、それからまた、いたずらに事業主側の負担を大きくすることは、かえって公的制度である年金につきまして、何とはなしに労務管理的な色彩を強め過ぎる結果にはならないかとか、あげてみればいろいろな問題もございます。  そういう観点から、私どもは労使折半の問題につきましては、当面これを改正するということは選ばなかったわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これも重要な対立点でございまして、本気になって検討してもらいたい。先ほど保険料と財政方式の関係につきまして、厚生年金の平準保険料は男子で千分の百十・八、改正案での保険料は千分の七十九でございまして、平準保険料に対しましては七割だけを負担をして、三割は後代負担にしているのだ、こういうお話でございましたけれども、積み立て方式の保険財政の観点から見た場合、いまのインフレ情勢下においては積み立て金の貨幣価値がぐんぐん下がっていく。したがいまして、この千分の十五の引き上げと言ってみても、これはそういう立場から考えると無意味だ、千分の十五の引き上げなどは考える必要はない、こういう観点からも思うのでございます。その点について、もう一度考えを述べていただきたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 積み立て金は御指摘のように現在並びに将来におきましての給付財源として非常に大きな意味を持つわけでございますので、これはできるだけ有利に運用して、給付財源としての額をふやしていくというようなことを考えなければなりませんが、同時にまた、その運用がきわめて安定的な運用でなければならないと思います。  そういった観点から、御承知のように厚生年金につきましては、その全額を資金運用部に預託いたしまして、その預託いたしました資金運用部のほうの資金の運用につきましては、いつも御議論をいただいておりますように、福祉重点的な運用をする。そういった部門への運用を八五%程度にする。それから還元融資についても、四分の一でございましたのを三分の一までふやすというようなことを加味しながら、とにかく長期にわたって有利かつ安定的な運用をいたすということでございます。  したがいまして、そういった観点から十分の配慮をいたしておりますので、世上いわれておりますように、また先生御指摘のように超長期にわたる積み立て金というものはインフレ経済下においては、どんどん目減りするだけであるということも一つの御議論ではございますけれども、長期にわたってながめました場合に、必ずしもそういうことではないというふうに考えております。  それからもう一つは、賦課方式云々の問題でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、また大臣からも申し上げましたように、二倍以上の給付額の引き上げをいたす際の千分の十五の引き上げでございます。賦課方式で六十四に押えておっていった場合に、どうなるかということになりますと、これはいろいろ計算のしかたにもよると思いますけれども、おそらく給付改善というものを伴うことなしに、ある年になって急激に保険料を引き上げなければならないということは、計算上当然に出てまいるわけでございます。二倍の引き上げで千分の十五の料率の引き上げが非常に問題でございますから、そう大きな給付改善をいたさずに、ある年次になりまして保険料の負担だけが相当重くなるということになりますと、やはりその時点の保険料の拠出者というものは、相当の抵抗感を持つのではないかということ等もございます。  これが、私どもが従来から申し上げております世代間ないし年次間の負担の公平をはからないと、なかなか保険財政というものは円滑に運営できないものだということの根拠でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いろいろ御説明なさいますけれども、要するに中身を見てまいりますと、現実的に後代負担にかなりたよっているわけですね。たとえば国民年金の場合を取り上げましても、今度保険料が九百円にも引き上げられるわけでございますけれども、国民年金の平準保険料は二千六百円といわれておりまして、それから見ると結局三分の一の程度でありますね。その大部分は、やはり後代負担となっているわけでございまして、いまの財政情勢から見てみても、好むと好まざるとにかかわらず賦課方式に移行せざるを得ない状態にあると言っても過言ではない。  先ほど大臣は、いずれはそういうときが来るんだというような答弁でございますけれども、私は、もう賦課方式に入るときが今日来ているんだ、いまなんだ、そしてまた、先ほどの、国民の要望を満たすためには、どうしてもこの財政方式を賦課方式に改める以外にはないんだということ。現実問題と照らし合わせまして、この際は思い切って賦課方式に切りかえていくことをはっきりなさったほうがいい。私は、厚生省は何で積み立て方式に、まあことばの上だろうと思いますけれども、固執なさるんだろうかと、これがふしぎでなりません。この点について、もう一回大臣の御見解を承りたい。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、老齢化人口が現在急激に進んでおる、この認識が私は一番大事だと思うのです。今後十年、二十年——西欧諸国においては、老齢化社会というものを現出するには、ほんとうに数十年の長い歴史を経過してなっております。そしていま老齢化人口が落ちついています。日本はそうじゃないのです。日本はいま急激に伸びつつある。  こういう段階にあるということの認識の上に立って、しかも長期に、長期にと申しましても、二十年、三十年、これは見方によって長期だとおっしゃるかもしれませんが、現在の会社、工場に働いておられる方々は、三十歳といたしますれば、二十年といえば五十歳になることなんです。そんな長期のものでも何でもないのです。そういうふうな、長期にわたる財政を健全化していく、安定さしていく、これが第二番目の問題。  それからもう一つの問題は、老齢化人口が急に進んでいるのですから、そこで世代間の負担の均衡を失しないようにしなければならぬ、不均衡を防ぐようにしなければならぬ。こういうふうな考え方に立つときには、どうしても現在のような財政方式が望ましいと私は考えております。これは私の信念でございます。  そこで、そういうふうな段階を経て、日本は西欧諸国よりも早い期間の間に老齢化社会が出現いたします。そのときには、これは大橋委員のお述べになりましたように、その世代間において全部負担する積み立て金は、二、三年分の余裕さえ持っていればいい、こういう時期が必ず来る。また、私としても、そういう時期が早く来るように努力はしなければならぬと思います。これは私もそのとおり、その点については先生の御意見と私も同意見でございますが、いま直ちにそれをするということは、長期にわたる財政を崩壊せしめる。国が責任を持つということは私はできない。責任を持った政府としては、やはりこういうふうなことを考えながら、現在の財政方式が最も賢明である、かように考えておる次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これは平行線をたどるだけだろうと思いますので、次に移らしていただきます。  年金の谷間にある老人の救済問題でございますが、申し上げるまでもなく、国民年金発足当時五十五歳以上の方々は制度に加入できなかった。その方々が現在六十七歳以上になっていらっしゃるわけでございますけれども、七十歳以上は一応福祉年金が出ますので、六十七歳から七十歳までの方、要するに百二十九万人という方が谷間にいらっしゃるわけですね。この福祉年金の支給の年齢制限を、七十歳を六十五歳に引き下げるならば、この問題は簡単に解消するわけですね。簡単だろうけれども、それには相当の財源が要るんだよというはね返りがあろうかと思いますが、これはかなり財源を必要とするかもしれませんけれども、救うべきだと思うのです。この、年金の谷間にある老人の皆さんは、福祉元年あるいは年金の年といわれた、いまのときに思い切って救うべきだと思うのであります。  実は厚生省の見解といたしまして、六十七歳は二千円だとか、六十八歳は三千円、六十九歳四千円、七十歳は五千円だ、このような見解が新聞紙上等にちらほら見られたわけでございますが、こういう点も含めまして御答弁願いたいのですけれども、私は、こういうランクをつけるのではなくて、六十五歳に支給制限を引き下げなさい、これを主張するのです。  これに対して、野党案の提案者である八木先生にも、この谷間の問題、また先ほどの問題も含めて御答弁を願いたいと思います。それじゃ、まず八木先生のほうから……。

八木一男日本社会党

○八木(一)議員 大橋先生の御発言は、ほんとうに当を得た問題だと思います。ほんとうに厚生大臣が社会保障のことに、しんから熱心でおありになれば、そのとおりにいたしますという御答弁が即時に出てくるべき問題であると思います。  谷間の問題でございますが、実は政府のほうは、本国会において、予算委員会あるいは本会議、またこの社会労働委員会で、谷間の問題については、この委員会の審議を待って対処をしたいということを言われた。その意味では、社会保障についてある程度の熱意を持っておられるようでございますけれども、ある程度ではいけないので、ほんとうに完全なところまでいっていただかなければいけないと思うわけであります。  この谷間の問題について本院で討議をされたときに、六十七歳ということではなしに、六十五歳ということで提起をされておったわけです。ところが、それを何らか、六十七、六十七とペースを変えているように政府のほうがやっているわけであります。形式的にいいますと、六十七歳は——それはいまの十年年金その他から見て、六十七歳から六十九歳までの人が一番谷間になる、形式的にそういうことをいうことができます。しかし、この十年年金制度の始められましたときに、非常に複雑な年金制度については国民に理解がほんとうに少なかったわけであります。この理解を深めようという厚生省の努力は、実際にはほとんど功を奏しておりません。ほんとうに年金が必要であるということを浸透さしておったならば、この十年年金に入った方は多いかと思いますけれども、ほとんどそうではありませんから、六十七歳以上は谷間だということを限定されるのは、厚生省としては国民のことをほんとうに考えておられないと思うのです。国民年金の、拠出制の年金が六十五歳から開始をされるという制度である以上、やはり六十五歳——ほかの年金制度では五十五歳開始もありますし、六十歳開始もあります。少なくとも六十五歳以上の老齢者が、何らかの意味の年金を受給せられるという状態は、いますぐ実施しなければならないわけでございます。  この谷間の問題の老齢福祉年金を六十五歳から開始をさせるということが絶対に必要であると考えまして、四野党は熱意をもって、この提案の中に、これを入れたわけであります。  それとともに、大橋委員から御指摘がありましたように、政府のほうは、巷間、新聞紙上で発表されたことによりますと、対処をしても、その金額を減らそうというふうに、いまのところは考えておられるようでございます。良心がおありになったら、こういうことはなくなると思いますけれども、いままでのところは、情報によれば、良心がはなはだ少ないというふうに私どもは感ぜざるを得ない。その理屈として、その前に六十九や六十八の人に差し上げていないのに、これが六十五になったら、それだけその人が均衡を欠くというような、年金に国の費用を出そうということを何とかへ理屈をつけて、これを削減しようという意図のもとに、そのような理屈を立てておられるようであります。  そういうことは、あらゆるところに起こるわけであります。たとえば老齢福祉年金制度の始まる前の人たちは、これがなかったのです。それで、政府が社会保障をとって、やや目ざめて少し考えたとき、事態に際会された方は、それから老齢福祉年金を、いささかのものを受給されたというわけであります。その前の人は一つももらっておられないわけであります。政府が初めからもっとしっかりやれば、そういうふうなことは起こらないのですけれども、まごまご、怠慢なことをしておるから、その前の人はそのあとの人に比べて少しもらい分が少ないという事象はありますけれども、これはこういう制度の発展過程ですから、発展したときに前の人たちよりは少しましなものをもらえる、給付を受けるということは当然のことであります。それをそういうような論点で、前の人と比較して、あとの人が得になるといけないから削減をしろ——社会保障をよくしようという気持ちは毛頭ないと断定しなければいけないような態度ではないかと思うわけでございます。  こういう意味で、六十五歳からぜひ老齢福祉年金をつくっていかなければならない。老齢福祉年金自体が、いま政府案ではわずか月三千三百円のものを五千円にしかしないというようなことでございますが、野党案のように、少なくとも一人二万円にして、そして夫婦四万円になるようにして、ほんとうに生活のできる年金というものをつくっていく必要があろうと思います。     〔塩谷委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕  ここで大橋委員が言われましたことに論及したいと思うのですが、少しそれに似た問題について野党案について、もう少し御説明を申し上げたいと思います。  谷間の問題は、老齢福祉年金の六十歳後代の人たちの問題としていわれておりますけれども、そのほかにも谷間ということばに当たるような問題がたくさんあるわけです。  たとえば拠出制年金で非常に不幸な原因で生活が非常に苦しい方々が免除を受けておる。免除を受けた年金は、最初は政府の案はゼロだ。保険料徴収をかんべんしてやるというような恩きせがましいようなことをいって、一番年金の必要度の多い人を年金制度からほうり出すというようなけしからぬ案でございました。これは昭和三十四年、五年のころ。ところが、そういうことはけしからぬという国民の追及にあって、ほかの人には保険料の五割の国庫負担をしているのだからということで、その五割の国庫負担分だけ積み立てて、したがって十の保険料に対して五の保険料がくる。そういう計算で三分の一だけの年金を免除期間は原資を用意してやるというふうに制度が変わっております。こんなものが三分の一であってはいけないと思う。保険料の免除を受けなければならない人は年金の必要度ははるかに多いわけです。野党案はこのことを体して免除を受けた人たちの年金を全期間納入をした方にできるだけ近くなるように四分の三の年金を確保しようという案でございます。  こうしたことのないように、あるいはまた二十一歳以前に障害を受けた方が障害年金から排除をされている。したがって二級の給付がない。所得制限があるというようなことを考えますときに、いい内容の障害福祉年金、またこれに第二級の障害福祉年金を新設する、そういうことを野党案のほうには盛っているわけでございます。  なお谷間の問題に関連して、日雇い労働者の方を厚生年金制度に入れるというように促進をするというようなこと。あるいは特に遺族や障害の方方は年金の必要度が多いのです。通算年金通則法では遺族や障害についての通算がない。一番不幸な人たちに、気がつかないと思って国の原資を回さないようにわざわざそういうところを巧妙に、通算制度があるといいながら、そういうところだけはずすというような怠慢なものを直そうということで、谷間問題を一切解決をして、すべての方方が生活できる年金を即時に支給を受けることができるようにして、野党は四党案を提案をしたわけであります。  さらにいま、このような年金案をつくるにあたりまして、保険料の問題を先ほど御指摘になりました。保険料の問題について、いい年金をつくるために保険料を値上げをするのではいけない。保険料を値上げをしないでやるべきだという大橋先生の御卓見を伺っておりました。これはそのとおりであります。いま政府のほうは修正積み立て金方式をとる。賦課方式は将来とるけれどもいますぐ野党案のところまでいかなくて、保険料の値上げは給付を改善するのだから、この程度はやむを得ないから、ごかんべん願いたいという政府側の答弁を伺っております。野党案は、政府案よりはるかにいい内容のものを保険料の値上げなしにやろうというわけであります。野党案については、財政的にも確信をわれわれは持っております。保険料の値上げをやらないで、これを実現をしたいと思うわけであります。  そこで、いまの世代と後代との均衡ということを政府や厚生大臣は言っておられます。均衡ということは、ほんとうの実際的な均衡でなければなりません。形式的な均衡であってはならない。いまの国民、いまの労働者は低賃金と重労働あるいは零細企業等の圧迫によって生活が非常に苦しい状態にあります。そして物価の値上がりで、さらにそういう点が拍車をかけられているところであります。その方々が厚生年金や船員保険やあるいは国民年金の保険料を大幅に引き上げられることは非常に苦痛であります。ところが、将来このピークといわれる昭和八十五年ごろ、またその前までに、当然国民の生存権に従った諸要求が出て、そして内閣が国民のための政治を施行しようとするならば、いろいろの政策が行なわれて、収奪がなくなり、そしてまた国家財政を通じた間接収奪もなくなって、生活が楽になっていなければならないと思うのです。その時代の被保険者、その時代の労働者は、先輩のための年金の負担をしても、一つも生活には痛痒を感じないだけの十分な収入が確保されていなければならないし、確保されているべきであり、私どもはそのような状態になると確信をいたしております。  したがって、いま保険料を上げないで賦課方式をとって、そして積み立て金を取りくずして、この年金をよくしていっても、将来そのような取りくずしの原資がなくなっても、その時代には、その時代の労働者や国民が十分な生活を確保されて、自分たちの先輩のために、また自分も将来それを保障される制度のために、そのような負担にはいささかも痛痒がないという状態ができまするので、いまの保険料を上げない、将来はそういうよい状態をつくるということで、野党は保険料の値上げをしないことが絶対に必要であると確信をいたしまして提出をいたしておるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 どうもありがとうございました。  厚生大臣、先ほどの年金の谷間の問題についても、四党共同提案者の意見もこれあり、これをあわせ含めて答弁を願いたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 私は八木さんと討論するわけではございませんから、大橋委員の御質問の谷間の問題についてお答えを申し上げます。  まず第一に、大橋委員は専門家ですから御承知のとおり、国民年金というものは拠出制年金が本体だということをお考えいただきと思うのです。拠出制年金を私どもは今後健全に育成していかなければならぬ、こういう考え方が基本にあるわけでございます。そういう考え方に立って今日まで私どもは来ておるわけであります。そこで国民年金法ができた当時、五十五歳以上の者については保険料を納める期間はないであろうから、老後の生活のゆとりを何とか確保してあげるようにしようではないかというので、無拠出年金というものができ上がっているわけです。そこで、そういうふうに今日まで十二年間、そういう制度で今日まできたわけであります。  ところが、そこにはずれておりますのが現在まだ七十歳になっていない六十七歳、八歳、九歳のものが現在残っておるわけです。そこで、こういう人たちは普通でございますと七十歳になれば老齢年金をいただける。しかし、それまでお待ちいただきたいというのは、こういうふうな年金の大改善をやる際に、これはどうも多少まずくはなかろうか、こういうふうなことで、谷間問題というものが起こってきておるわけでございます。したがって、六十七歳以下の方々は、すなわち完全なる拠出制年金に入っておる者もたくさんあるわけです。さらにまた、あの当時、年金法ができた当時に五十歳前後でなかなか入れなかったような人たち、その他の方々については十年年金あるいは五年年金、こういうものが体制としてちゃんとできておるのです。ところが、そういう体制に何にも入ることのできないのが六十七歳、八歳、九歳、これが純粋の谷間でございます。  そこで私どもは、この方々に対して何らかの措置を講ずべきではないかということを考えまして、先般、昭和四十八年度の予算審議の際にも、予算審議の最中に総理大臣、さらに私も、この谷間にある六十七歳、八歳、九歳の方については法案審議の段階において決着をつけましょう、結論を出すようにしましょう。これは私は田中内閣の大英断だったと思うのです。予算審議の最中にこういうことを言った。私はこれは大橋委員、びっくりされたんじゃないかと思うのです。修正案を暗示するのではないかというふうなことを言われた方もあるほどなんです。そういうふうに私どもは拠出制年金というものの健全なる発展、育成をしなければなりませんが、国民年金という、国民皆年金体制の中に入って、やはりどうしても入っていない方々、しかも七十歳になれば無拠出でいただけるのですが、三年間お待ちいただくのもどうであろうかということで、私どもは英断をもって、すなわち国会において答弁したわけなんです。  したがって年齢を引き下げるなんという考えは全然持っておりません。その方々はちゃんと十年年金なり五年年金なりに入る体制に入っております。しかも今度の法律改正においても、五年年金に入りたい方はもう一回ひとつ入ってくださいということをお願いしょうという法律を出しておるのです。したがって問題になっているのは、六十七歳、八歳、九歳の方でございまして、こういうわけでございまして、この問題の解決は法案審議の過程においてひとつ決着をつけていただきたい、こういうふうに私は申し上げておるわけでございまして、田中内閣がいかに福祉に前向きに取り組んでいるかということの姿の証左だ、かようにすら考えているわけでございます。年齢引き下げなどは全然考えておりません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 この点になるといろいろと問題が出てきそうですね。まず第一に、総理が確かに予算審議の途中であなたがおっしゃったようなことを言った。われわれは当然のことだと思って聞いていた。びっくりはしません。問題は、それよりも中身だと思っておるのですよ。どの程度になるんだろうか。第一に福祉年金、約五千円になりましたけれども、これは前回に比べてかなりの引き上げではありますが、福祉年金自身がぐっと低水準にあるわけですよ。これが引き上げられたからといって、これは生活権の云々というような対象になる話ではありません。したがいまして、われわれは五千円で現状ではやむを得ないが、少なくとも谷間にいるこういう老人に対しては、この際支給すべきである。  なぜならば大局的に見れば今日、経済大国日本といわれるほど経済的には裕福な国になったわけですよ。そのもとを背負われた方々がいま言うように谷間の方々であろうと言っても過言ではないのです。ですから、これは国の恩人であり大功労者であり、そしてまた高度経済成長の陰にある公害、環境破壊、その他いろいろの失敗問題の償いの意味においても、こうした功労者である谷間の方々に、この際は何とか救いの手を差し伸べよう。新聞紙上ではランクづけて発表されておりましたけれども、われわれはこういうことでは納得いかぬと思うのですね。  いま、きわめて強いことばで、六十五歳引き下げは全然考えていませんなんと言われておりますが、それならば、このランクづけはせめてなくしてもらいたい。新聞で発表されているようなことではなくて、もっと思い切った中身で修正してもらいたい、こう考えておるのですけれども、どうですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 谷間におられる方々に対する年金額について新聞紙上いろいろ伝えられておりますが、これは私は全然発表もしておりません。しゃべってもおりません。いろいろな推測に基づいているものではないかと思います。しかも私としては、その額がどの程度が適当であるかということについても私が言うべき筋のものではない。これはすなわち法案審議の過程において、当委員会においていつぞやも申し上げましたが、与野党でお話し合いを願いたいということを申し上げたことがございまして、私が金額はどの程度が適当であるなどということを申し上げる立場にないことはおわかりいただけると思うのです。十分法案審議の過程において結論を出していただきたい、こういうふうに私は申し上げておるわけでございます。  新聞紙上段階別をもうけるとかいろいろ伝えられておりますが、これは私は発表いたしておりません。おそらく推測ではないか、かように考えておる次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 新聞で発表になっているランクづけの中身については全くあずかり知らないことであったと。それではお尋ねしますが、かりに与野党の話し合いの上で、今後この修正問題が行なわれるであろうと思いますけれども、その際、大臣の見解を聞きたいことは、こうしたランクづけは好ましくないという見解に立たれるのかどうか、まずそれだけでいいです。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 そういう中身の問題については、政府としては言うべき立場にない。これは大橋委員、十分私の立場も御理解いただいていると思うのです。それを追及されましても、私の口からは申し上げにくい。申し上げるべきものではない。すなわち国会審議の過程において、ひとつ結論を出していただくようにお願い申し上げたい、こう言うているわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もうどうせ、口を割らないとおっしゃるならしかたない。それでは五年年金と十年年金、経過的年金についてでございますけれども、それぞれ今度改定されるわけですね。しかし、これは二つの問題がひそんでいると私は思うのです。  まず最初に引き上げ幅に相違点がありますね。五年年金現行二千五百円が今度八千円になろうかというわけです。十年年金が現行五千円が一万二千五百円になる。現行では五年年金よりも十年年金は倍額になっているのですが、改定の中身は倍額になっておりません。ここに一つの考え方の矛盾があると思うのです。  それからもう一つは、このように改定されたといえども、その改定額というのは、老後の生存権にこたえる額ではないという二つの問題がひそんでいることを指摘いたしますが、この点について、どのような御見解を持っていらっしゃるのか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 五年年金、十年年金の改定の幅でございますが、御指摘のように五年年金につきましては、二千五百円を八千円、それから十年年金は五千円を一万二千五百円。それでどうしてこうなったかという点でございますが、端的に申しますと、十年年金につきましては——国民年金で現に支給されておる年金は現在のところ十年年金だけでございます。したがいまして、現に支給されておる年金の改定幅というものをできるだけ厚生年金の改定幅等に合わせる必要があるというようなことから二・五倍という考え方をとりました。それなら昭和五十年から給付が始まる五年年金についてはどうするかということでございますが、これも二・五倍でいいかどうかという問題になりますが、福祉年金が相当大幅に改正されるというふうなことも勘案いたしまして、この五年年金のほうは三倍を上回るような八千円に引き上げたわけでございます。  それから、これによってあらゆる老後の生活がまかなえるかどうかという問題でございますが、これによってあらゆる生活がまかなわれるというふうには言い切れないと思います。ただしかし、老後生活の相当大きい部分をささえるというそのファンクションは相当に広まるというふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 先ほど大臣は、福祉年金は無拠出である、ほかの国民年金の拠出の型との問題をいろいろと述べていらっしゃいましたけれども、たとえば五年年金と福祉年金との間に矛盾を感ずることが出てきました。なぜならば、いまの局長の答弁でも、今度は八千円、三倍だとおっしゃいますけれども、この支給開始は昭和五十年になるはずです。昭和五十年に年金額が月八千円だというわけですね。ところが福祉年金は、昭和五十年になりますと、少なくともいまの経過からいって一万円になる、これは田中総理も言っておりました。私は無拠出の方にそういうお金を出してはならぬというのじゃなくて、先ほど言うように、もっともっと出せと言っているほうですよね。矛盾だというのは、無拠出の方は一万円、それから拠出の方は八千円、これは一体どういうことだろうかと悩むのでございますが、どうでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 五十年に一万円、確かに総理大臣、厚生大臣から政治的なスケジュールとしてそういうお話がございまして、私どもも、その政治的なスケジュールに沿って、これから先、福祉年金というものの性格づけ等を急がなければならないわけでございます。  それで、無拠出年金のほうが五十年に一万円になった際に、拠出制年金の一つである五年年金が八千円であるのはおかしいではないか、確かにおっしゃるとおりの疑問はございます。  ただ問題は、拠出制年金につきましては拠出制年金なりの改善が行なわれてまいるわけでございまして、この八千円という金額は、現時点におきまして十年年金や福祉年金やいろいろのものとのつり合いを考えました際に、現在八千円という計算上の金額であるということで、これが現実に支給されるまでの間には、拠出年金の論理でどのような改善が加えられていくか、いまの時点では私どもは自動的な物価スライドまでしか申せませんけれども、いろいろなことによって、これがまた現に支給される時点においてはどうにかしなければならないか、あるいはこれでいいのか、これは拠出の論理、無拠出の論理ということでそれぞれさばいていって、非常に極端なことを申しますと、場合によっては、拠出のほうが無拠出よりも低いということも理論的にはあり得ないことではないということまでしか申し上げられません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 非常に年金制度の無計画性を暴露なさっているような、披露なさっているような印象を受けてならぬわけでございますが、理屈をつければ幾らでもつくわけです。どんなことでもつくわけです。正は正、反は反なりの理論があるわけですから。しかし年金制度全般を見た場合に、非常に矛盾じゃないか。大臣、わかるでしょう。その点についていま局長も、これはこのままではおかしいんだということを言外にひそませながらの答弁でしたし、これはやはり何とかしなければならない問題ですよ。どうするつもりですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 大橋委員のお尋ねにお答えいたしますが、理論的には、拠出制年金と無拠出年金というものは、完全に分けて考えるべきものであると私は考えております。この点については、大橋委員もそういう意見じゃないかと思うのです。筋としては、そのとおり分けて考えるべきである。  ところが、現実の問題の金額として、かりに五十年になったときに、八千円がそのまま八千円であれば、片方は一万円になるじゃないか。私どもも総理大臣も、五十年度には無拠出を一万円にすると言っておりますから、こっちのある程度保険料を納めた人が少ないじゃないか。そういう議論が、理論的にははっきり割り切っても、現実問題としては金額の面からそういう意見が出ることは確かだと思います。理論的にはそのときにはどうなるか。八千円というものは物価スライドにおいてそれまでに何%か物価が上がっていけば、八千円が九千円になり一万円になるかもしれません。そこまでは理論としてはいえる。(「それはへ理屈だ」と呼ぶ者あり)これはへ理屈ではない、現実問題として、五十年度になったときに、かりに八千円が物価スライドで九千円になったといたします。九千円と一万円、これはどう考えても社会通念には合わないと私は思います。おっしゃるとおり。  そのときには私は、先のことを約束申し上げるのもどうかと思いますが、当然それは改定されるべきものである。それがいわゆる政策改定、やはり社会通念に合致したような政策改定、五十年度の法改正においてそれが問題になるのは当然だ、私はかように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これはいま気づかれたわけではないと思いますが、政策改定でそれはちゃんと補っていくという御答弁ですので、どの程度期待していいのか自分ながらわかりませんが、期待せざるを得ません。ひとつこの点は大改善を望みます。  時間の関係もございますので、次に移りますが、実例を申し上げます。矛盾だらけですよ、局長さん、申しわけないけれども。  大阪市の住吉区に住むTさん、五十歳になる方ですけれども、この方は厚生年金に昭和二十七年に入られたわけです。綿布専門の商社、いわゆる小企業ですけれども、入られて、十四年たったところが会社が倒産をした。そこで、この方は失業保険をもらいながら生活していくうちに再就職をなさろうとしたけれども、年齢が高くて再就職が困難であったということで、やむを得ず自営業を始められたわけです。同時に国民年金にお入りになった。そして四年経過するうちに病気で急死なさったわけです。昭和四十五年の秋になくなられた。ところが、この方には奥さまと次女の十七歳になる女の子供さんがいたわけですが、国民年金たのですけれども、その関係はどうなるのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 そのとおりでございます。ですから定額部分とふくらんだ部分は、つまり厚生年金は国で管理いたしておりますので、御理解のとおりでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 そうしますと、何だか年金基金の存在価値がなくなってくるのではないかというような印象を受けるのです。また政府の援助措置も薄らぐのではないか、こういう考えを持ってくるのですけれども、この点についてはどうですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 基金の存在価値云々というのは、その時代時代において基金がどういうふうなことをするのがよろしいかという観点も、やはり導入しなければならないと思っております。  それで実は今回改正の中にもお願いしてございますが、基金がいろいろな福祉施設を経営するというようなことも基金の仕事の一つとして取り組もうというようなことも考えておりますし、それからこれから先、いま申しましたような今回のさばき方でいくのがいいのかどうか、この点については、やはり本格的な検討をする必要がございますので、その検討の結果によりましては、またやり方を変えるということもあり得ることであるというふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 どうやら時間が参ったようでございますので結論的にお尋ねいたしますが、今回の改正の内容等からすれば、年金基金の将来性は非常に危ぶまれてきたと理解せざるを得ないのであります。また今後ますます生じてくるであろう後発過去勤務債務引き上げ財源について一体だれが、どこが負担をするのか、この点について明快な答弁をお願いしたいこと、もう一つは、これは大臣も含めて聞いてもらいたいのですけれども、政府は厚生年金基金のあり方について今後どのように指導助言していかれるのか、この点を明確に答えていただきたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 後発的な過去勤務債務をどのような方法で償却するか、この問題は非常にむずかしい問題でございます。それからまた各年金制度によりまして償却のやり方が異なっております。一例を申しますと、国家公務員の場合には、そういったものは積み立て金の利差益でもって一部償却するというようなこともございますが、厚生年金につきましては、現在のところ、こういったものは保険料でもって償却をする。それは一時償却でございませんで、長期にわたっての平準保険料率にそれを織り込むというようなかっこうで償却をやっております。  それから基金の現在並びに将来の問題でございますが、ただいま申しましたように、基金が報酬比例部分にプラスアルファ分を支払うというこの体制自体は何も変わっておるわけではありませんけれども、ただ問題は、今回のような再評価なりスライドというものに基金自体がそのままのかっこうでついていくということは、財政設計上もなかなか無理がございますので、その部分は今回は当分の間、厚生年金本体のほうで給付をするというふうなたてまえにいたしましたが、今後は基金というものに対する被保険者なり、あるいは事業主のいろいろな御要望等も総合的に勘案いたしまして、せっかくできておる制度でございますので、できるだけこれが有効に働くような、そういった検討を続けてまいりたいと思っております。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 基金の今後の運営についてのお尋ねでございますが、基金は御承知のように、先ほど来年金局長からお答えいたしましたように、報酬比例部分を代行いたしましょう、さらにまた労務者の福祉のために上のせの金も会社は出しましょう、こういうふうなことで両々相まって自己運用を行ないながら、労務者の年金額をふやすようにできるだけしてあげましょう、こういう制度でできたわけでございます。そこで今度の改正についても、その問題がやはり問題になったわけでございますが、基金が数多く今日もうできておるわけでございます。その中には財政が苦しいものもあり、比較的豊かなものもあり、さまざまでございます。  そこで、そういう中にあって年金局長からさっきお答えいたしましたように、スライドの分や再評価の分までそちらにやってもらうというのも、これも一つの方法かなという国の考えもありましたが、統一的なやり方でそれをやらすということになりますと、これはたいへんなことになるわけでございます。そういうふうなこともありまして、この際は、今度の法律改正においては、そういうスライドの問題、再評価の問題は健康保険本体のほうでめんどうを見ることにいたしまして、あなたのほうは従来のとおりの報酬比例部分だけを管理をし、さらにまた福祉のための上のせもしてやっていただきたい、こういうふうにしたわけでございますが、この問題はやはり本質的な問題があると思うのです。  私は、こういうふうな基金制度というものができた以上は、これをりっぱに育成していくということが大事だと思います。やはり会社側には、それなりの特殊な事情がございますから、その独自性を生かしながら基金を育成する、こういうことが大事だと思いますので、根本的な検討をいたしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、案ができますれば、また国会に提案をし、御審議いただく、こういうふうになると思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もう時間が来ましたので、残念でございますが、要するに厚生年金基金は比例部分を代行しておりますけれども、現行の男子で千分の六十四でございますが、そのうちの定額部分といたしまして、千分の三十八は国へいき、千分の二十六が比例部分として基金積み立てとなっているわけですね。今回の改正では男子が千分の七十九に引き上げられる内容でありますけれども、依然として基金には千分の二十六だけしかいかない。国が千分の五十三とっていくという非常に不合理が見えるわけでございます。きょうは時間が参りましたので、これでやめますけれども、要するに年金制度は問題点が山ほどあるということにお気づきになったと思います。したがいまして、この改正に当たってまだまだ整理しなければならぬ問題がたくさんあるということに着目して積極的に前向きに改善をしていただきたい。  残りの部分まだたくさんあるのですけれども、これは次回の委員会の同僚坂口委員に譲ることにいたしまして、以上をもって終わりといたします。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十六分休憩      ————◇—————     午後三時五十二分開議

田川誠一自由民主党

○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続けます。和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 大臣、年金の問題について御質問をするわけですけれども、総選挙のときの国民の得た印象というのは、やはりこの五万円年金というのが大きくクローズアップされまして、すぐということでもなくも数年のうちには五万円という年金が渡るようになるのじゃないかという印象を持っておったと思うのです。この国民の印象に対して、政府の提出の法案は、これは十数年というタイムラグがあるわけで、ちょっとペテンにかけられたという印象がぬぐい得ないと思うのです。この問題を、政府はどういうふうに考えておられるというのでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 昨年の選挙の際には間違いなく、わが党は五万円年金ということを提案し、さらにまた老齢福祉年金については、できるだけすみやかに一万円ということを主張しておったわけでございます。そこで、老齢福祉年金のほうは一万円をできるだけすみやかに、こういってありますから、その点は、私ははっきりしておったと思うのです。ただ、五万円の年金、厚生年金、国民ようでございます。これを全面的に拡大すべきだと思うのでございます。この問題とあわせて、あとで答えてもらいたいのですが、障害年金等級の問題といたしまして、認定基準の判定のむずかしさがまた指摘されているわけでございます。つまり厚生年金は一級から三級まで、これは労働能力を何割失ったかできめられているものでございますが、これは非常にあいまいさが残るために、症状は患者なりの訴える内容と医師の診断内容とが食い違っていくケースがかなりあるわけであります。  したがいまして、社会保険庁の審査会へ出されている不服審査請求の内容というものは障害認定についての不服が一番多い、こういうふうにも聞いております。また患者側の訴えが半分以上認められているということでございますけれども、要するに障害厚生年金の一級から三級、いろいろとあることと、また国民年金の等級は日常の生活にどの程度支障を与えるかを目安にしていると聞いております。一級はふだんの生活を一人ではできない状態である、二級は他人の助けは必要がない、生活に著しい制限を受ける程度であるということになっているそうでございますが、この問題点は、障害認定基準が年金の種類によって格差を生じているということでございます。  たとえば両眼の視力の和が〇・〇四以下の場合、国民年金加入者ならば一級になる、厚生年金なら二級になるという。同じことですよ。両眼の視力の和が〇・〇四以下の場合は、国民年金加入者ならば一級、厚生年金加入者ならば二級になる、こういう不合理があるわけですね。また障害等級の不統一のために多く審査請求が出ているという、この大きな問題が横たわっているわけでございますが、先ほどの問題とあわせて御答弁をお願いいたしたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 障害年金の等級の問題につきましては、先生の御指摘のように、厚生年金については労働能力の面に着目をし、国民年金については日常生活能力に着目をするというようなことで考えておるわけでございますが、実はこの等級の統一、一元化の問題は非常に以前から私どもも何とかしたいということで、いろいろな努力はいたしてきたわけでございます。ただしかし、基本にはこの関係の医学的な見解の統一というのが非常にむずかしゅうございます。それからもう一つは、各制度それぞれ発足の歴史を異にし、その歴史の発足と同時に、いろいろそれなりの必要に応じてそれぞれ等級表をつくって云々というようなこともございまして、なかなか困難な問題ございますが、制度が違うことによりまして、障害等級がまちまちであるというこの現状は何とか解決をしなければならない問題だと思っております。  それから、具体的な認定の問題でございますが、各制度によりましていろいろ認定の基準について表現の差はあるようでございますが、実際の運用はそれほど異なっておらないのではないかと考えておりますが、もし必要がございましたならば、実務的な点から社会保険庁からも御説明申し上げることが適当かと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もう時間がございませんので、大臣に結論をお願いしたいと思いますが、このように、制度によって等級がばらばらになっているということは好ましくないということは局長も認めたとおりでございますが、年金制度の等級等の統一といいますかを当然はかるべきだと思いますが、大臣の御見解をお願いいたします。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 障害等級が厚生年金、国民年金によって差がある、いろいろ沿革がありまして、そういうふうになっておるわけでございますが、好ましいとは私も言えないと思います。そういうふうな問題について今後とも検討を加えて、なるべく制度間においてこういう問題について差のないようにする、これがやはり一番望ましいことだと思いますから検討をいたしまして結論を出すようにいたしたい、やはりこういう問題は、きめのこまかい措置が必要でございますから、慎重に十分検討して措置をするようにいたしたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 こうして話してまいりますと、問題だらけと言いたいところですね。それこそ、この次の次の通常国会にはすべてが整理されるぐらいの強力な努力をお願いしたいということでございます。  そこで、時間がだいぶ迫ってまいりましたので、一方的に言わしていただきますが、スライド制の取り入れば一歩前進とは思いますけれども、消費者物価指数が五%上昇した場合云々ということは考えを改めるべきではないか。賃金にスライドすることである、ということは、生活実態と時間差の問題を解決するためには、これ以外にないということを申し述べておきます。  次に、今回の改正案で、平均標準報酬月額についての再評価、読みかえが行なわれたわけでございますけれども、これに伴いまして年金基金財政状態はきわめてきびしい状況に置かされるということを聞いております。年金基金の財政状態が今回の改正のあおりといいますか影響を受けて、きわめてきびしい状態に置かれているということを聞いておりますが、その理由を述べていただきたいということが一つ。それから読みかえ、再評価によって生じますところの上のせ分について、今回厚生特別会計で当分の間補なっていくということになっておりますけれども、どの程度の給付額が見込まれているのか、またその「当分の間」とはいつからいつまでのことなのかということをお尋ねいたします。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 年金基金のお尋ねでございますが、年金基金は、御承知のように報酬比例部分を代行する機関として発足いたしたものでございます。問題はそれに各企業の実情によりまして、相当企業なりに可能な限りの上のせをして手厚くする、こういうふうなことでございます。したがいまして、これはどちらかといいますと、年金基金において払います給付というものは企業年金的なもの、こういうことになりますので、基金の財政自体は当然完全な積み立て方式でなければ運営できないわけでございます。ところが先生ただいま御指摘のように、厚生年金自体につきましては、報酬の比例部分につきまして再評価、それから今後は物価自動スライドということを加味してまいりますと、その部分を完全に基金が代行することはできなくなるわけでございます。  したがいまして、それに見合います原資をどのような方法で調達するかということでございますが、この部分につきましては、厚生年金本体のほうでそういったものを準備する。したがって基金のほうは、報酬比例部分につきましては再評価なり今後のスライド分というものは考えない。これは厚生年金本体のほうで支給をする、こういうふうなたてまえをとっておりますので、したがって基金が再評価なりスライド制の導入によりまして経営的に困難になるという、そういった問題はないわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 今度の改正案で「厚生年金保険法第四十四条の二の規定の適用については、当分の間、」云々、こう続いているわけですね。これは一口にいうならば、今回の改正によって、いま言われたようなアップ分が出てくるわけですね。その差額分について国が当分の間負担してまいりましょう、ほんとうは厚生年金の本体が行なうのだけれども、当分の間は国が見てあげましょう、この法案はこういうことですね、違うのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 それは厚生年金の本体が見る、こういうことです。基金のほうは払わなくてよろしい、ふくらまる部分は、厚生年金の本体のほうが定額部分は従来とも払っておるわけですから、定額部分にそのふくらんだ部分を乗せたものを厚生年金の本体が払う、ですから基金は、インフレートした分や、再評価したことによって給付額がふくらんだ部分は基金からは払わなくてよろしい、従来どおりの給付である。したがってそれは基金の完全積み立て金でもってまかなえる財政設計になる、こういうことでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは、その差額分については基金を通じて支払うのではなくて、国から年金受給者に給付されるのだというようなことを聞い  したがって私ども、いま大臣のおっしゃることをよく理解しながらいろいろ申し上げたいと思うのですけれども、私はこれは七十歳を六十七歳に下げたと同じような形の考え方ができないだろうか。私どもは六十五歳と言っていますけれども、これができなければ、いまの谷間の問題がありますから、その谷間の底のところまで七十歳の基準を下げたらどうであろうか、これは私は無理な主張じゃないと思うのです。六十五歳までという私ども基本的な主張を持って、これは変えたわけじゃありませんけれども、政府とのいろいろな話し合いの中で、そういうふうな考慮を持っていただく余地があるのかないのか。これは大臣の御所感だけでけっこうですけれども、お伺いしたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 どの程度の額にしたがいいかということは、私の口からは申し上げにくい問題でございますが、私は、個人的に和田委員のお気持ちもよく理解いたしますが、この方々について七十歳になる前に七十歳と同じ額にするのがいいのかどうか、私はやはりそこにまだ少し割り切れないものがあるような感じもいたします。和田委員のように、もうだれも文句も言わぬだろう、七十歳以上の人はもうすでにもらっておるのだから文句も言わないだろう、同じ額でいいじゃないか、こういうふうな御意見のようでございますが、しかし、やはり七十歳になったところで五千円という仕組みになっておるわけでございまして、七十歳までお待ちいただくのは、まことにお気の毒な話だということで始まるわけですから、同じ額がいいのか、その辺は少しまだわからないような私は感じがいたします。しかし、これは私の個人的な考え、感じですから、ひとつ与野党で十分お話し合いをお願いして結論を出していただくように私はお願いをしたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 つまり、先ほど申し上げた、約束が少し違うという感じを持っておるさ中のことですから、このような理屈の立つ問題は、そしてまた政府にあまり大きな財政的な負担もかけない——相当の金にはなると思いますけれども、ということであっても、これぐらいの努力はすべきだということを強く申し上げておきたいと思います。  それから、一万円になってからの、あとのお考えはどういうふうなお考えですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 一応、五十年度において一万円ということを考えておるわけでございますが、いわゆる老齢福祉年金というのは、老後の生活を全部ささえる年金かどうかということになりますと、実は発足当時以来、そういう考えはない、これは全然ありません。いわゆる拠出制年金は老後の生活をささえる、こういう考え方で出発しておりまして、無拠出のほうは、これは全部国民の税金でございますから、あくまでも老後の生活に多少のゆとりをということできたわけでございますが、一万円ということになりますと、今度は夫婦二万円というわけですから、やはり相当な額になってくるわけでございます。  そこで、五十年度までは一万円ということを政治的にお約束をしておるわけでございますが、そのあとはどうするか、やはり従来のように無拠出老齢福祉年金は老後生活に多少なりのゆとりというふうな考えでいくのかどうか、あるいは全額国費であっても、老後生活をささえるという考え方を強めた無拠出年金制に変えていく必要があるのか、事本質にかかわる問題になってくると思うのです。  そこで、実は先般つくりました社会保障長期五カ年計画の中で、五十年度までは一応そうなっておりますが、五十一年度以後どうするか、それは性格の根本的な検討から始めなければならぬ問題でございますので、この懇談会において根本的な性格をも含めて、ひとつ御検討願って、五十一年度、五十二年度をどうするかということを策定していくようにしたいと思います。すなわち、根本的な性格の検討の時期に五十年度を契機としてなる、こういうふうに考えておる次第でございます。したがって、額がどういうふうになるのか、その辺の検討を待って善処いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 前から申し上げているように、お年寄り、しかも現在のお年寄りに対する年金となると、最低所得保障という観念とすぐイコールになってくる問題だと思うのですね。そういうふうなこともあるし、この保険制度というのは確かに基本は拠出の制度になっておりますけれども、これは社会保障制度への一つの発展段階として拠出制の保険制度を位置づけてみると、やはり無拠出の場合でも考えられる。そう十年も二十年もというやつではなくて、少なくとも五年くらいのうちには、生活できる一人二万五千円とか、合わせて五万円とかというような額を考えるのが考え方として私は正しいんじゃないか、こういうふうに考えるわけで、そういう問題を含めて大臣もお考えをいただきたいと思います。  それから、いまいろいろ五万円年金等の問題が話題になっておりますけれども、五万円年金、これはスライド制でもって実情に合わしていく計画があるわけです。つまり賃金の現在の実額の六〇%というこの考え方を堅持していくというお考えなんでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 将来における年金の水準の問題につきましては、先生御指摘のように、標準報酬の六〇%というそういった水準は、将来にわたっても維持いたしたい水準というふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そういうことであれば、なおさら、いま大臣もちょっと言及されました七十歳以上の拠出しない福祉年金の場合は、それでもって生活をするという考え方はなかったという御答弁ですけれども、それは確かにいままで過渡期のそういうふうないろいろな財政的な理由もあるだろうし、また拠出した人との関係もあったと思いますけれども、もうこれは賦課方式へのつまり修正的な軌道へ政府案でも入っているわけですが、そういうふうな考え方を、ぜひ強く持っていただきたい、こういうふうに思うのです。  それに続きまして、いまの五万円年金をつくり上げている場合の固定部分と報酬比例部分というあの問題ですね。これは政府としては、いまの案は動かせないものだというお考えでしょうか、あるいはいろいろ審議の過程で少しは——つまりこの問題が、過渡的ないろいろな賦課方式への橋渡しの問題とも関係してくる問題だと私は思うのですけれども、この問題についての考え方、絶対これは曲げられないという考え方なのかあるいはことによったら——ことによったらというのは、おかしいんですけれども、そういういろいろな前提があれば考えられる問題であるのか、これが一つ……。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 厚生年金につきましての定額部分と報酬比例部分の関係でございますが、これは審議会におきましていろいろ御議論をいただきました際にも、大体現在のように定額部分と報酬比例部分は半々ぐらいの割合がよろしかろう、こういうふうな御意見でございましたので、私どもはその御意見に沿っております。  そこで問題は、定額部分というものは一体何だというふうな問題になりますが、これは先生十分御承知のように、大体所得の再配分の機能を果たさせて、と同時にまたそれが厚生年金における最低保障的なファンクションをあわせ持つという、こういうふうな位置づけになっております。そこで最近いろいろな方面で御議論がありまして、そういった定額部分を国民全体についての年金の基礎的な金額としてリンクさせる必要もあるんではないか、そのような方角で、国民全体に対する年金制度をいろいろ考え直したらどうかというような御議論もございます。  ただ現在、私どもが御提案申し上げておる、この厚生年金におきまする定額部分の考え方というのは、将来における年金制度の統廃合なり何なりの問題というものを非常に長期的に展望いたしますと、どのようになるかは存じませんけれども、さしあたっては最初に申し上げましたように、審議会等におきまして現在のフィフティー・フィフ年金については——特に国民年金についてだと思うのです。厚生年金は、御無知のように、八十万人ことし老齢年金の対象になるわけですが、その六割、四十八万というのは老齢年金、残りの四割の方はいわゆる経過年金でございますから二十年未満の方でございます。ですから、六割の老齢年金の方々は、再評価等によりますと平均して四万一千円から四万六千円という金額になるわけでございます。こういう厚生年金の方々は、しかも、来年になると現実五万円以上もらえる方が多くなってくるわけですから、その点はあまりがっかりしたということは私はないのじゃないかと思うのです。  ただ問題は国民年金であると思うのです。確かに、国民年金について私どもは、二十五年保険料を納めれば五万円になるのですよという解説はしなかったと思うのです。二十五年で五万円ということは、解説は、私はしなかったから、あるいはそういう方々が、まあ六十五歳になれば国民年金のものはみんなもらえるのかなという期待を与えたかもしれない。その点は私も、わが党政府としても、趣旨の説明が不十分であったという点は反省しなくちゃならぬだろうと考えております。  ただ御承知のように、そんなことを言っちゃしろうとの方にはわかりにくい話ですけれども、由来年金というものは、ある程度の年数をかけ、ある程度の保険料をある期間納め、そうして俸給額がどの程度になるか、それによって年金というものはきまるものだということが一応常識なんでございますが、しかし一般の農家の方々その他の方方に、そういう点について知識を求めるということは、私はあるいはむずかしいかなという感じもいたします。ですから国民年金に関する限りにおいては、二十五年納めないと五万円にならぬのですよ、十年程度ですと半分の二万五千円ですよというふうなことの趣旨を解説しなかったという点については、多少反省すべき余地があったかなという感じは私は持っております。  ただ厚生年金のほうは、いま申し上げたようなわけですから、これは五万円にならぬでも、五万円近いものになり、来年からは五万円以上になるわけですから、これはそう問題はないのではないか。ですから今後は、こういう年金のようなものを説明いたしますときは、やはりその趣旨をもうちょっと徹底させるような努力を政府もすべきではないかということを痛感をいたしておるような次第でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 比較的率直な感想だと思うのですけれども、この問題はやはり説明が不足であったというだけではなくて、何かのことで大臣のお考えになっておる、国民への政府の説明が足らなかったというよりは、非常に不十分だった、申しわけなかったというような意味の答弁だと思うのですけれども、そこのところを具体的にあらわすいろいろな方法があると思うのです。その一番大事な問題が——年金がいま一番ほしいのはやはり老齢者ですね。つまりいまの年金を受ける人の七〇%以上の人は老齢福祉年金といわれているわけですね。この問題でも政府の、いま大臣のおっしゃるような意のあるところを、やはりできるだけカバーするという気持ちが必要だと私は思うのですが、この点お気持ちとしてどうでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 私どもは政府の施策としていろいろ考えていることについて、もうちょっときめをこまかく、詳細に趣旨を徹底させるように努力しなければならぬ、今後ともそういうふうにいたしたいと考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この問題について、つまり一万円というお話がありましたけれども、これはできるだけ早く一万円という説明をしたようですけれども、この一万円というのを、来年からやる努力をするというくらいのところがないと、総選挙のときの与党が出した公約とは少し歩調が合わない、私はそういう感じがするのです。  そこで、老齢福祉年金を今年から五千円という政府の案でございますね、この五千円というものを少なくとも政府の努力として老齢福祉年金を七千円——一万円はすぐできなくても、七千円ぐらいのところは努力としてやるということと、もう一つは谷間の問題で、六十七、八、九という年齢の方ですけれども、これでいろいろ伝えられるところによると、六十七歳が二千円とか六十八が三千円とか六十九歳が四千円とか、これは私はいかにも官僚的な発想だと思うのです。つまり数字の上でのバランスをとった発想であって、現在の六十七歳も七十歳も生活条件は違いやしませんよ。そしてまた年金を受けられるかもわからないという期待もほとんど変わりはしない。しかも、これは六十七、八、九という、きわめて限定されておる人に対する待遇であって、これにいろいろ区別をするというのは、私はもしそういうふうな発想をしておるとすれば、これは間違っているというふうに思うのですが、大臣いかがでしょう。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 老齢福祉年金につきましては、政府においてはたびたび国会においてお答えいたしておりますように、ことしは三千三百円から五千円、四十九年度は五千円を七千五百円に、五十年度において一万円、こういうふうにいたしておるわけでございまして、その線に沿うて努力をいたす考えでございます。  そこで、谷間の問題でございますが、これはもう先生御承知のように、国民年金創設当時五十五歳以上の者であった方々については、保険料を拠出する期間も短いことであるから、これは一応拠出制の国民年金には入れないことにいたしましょう。しかし、老後生活の多少なりのゆとりを与える意味において無拠出の老齢福祉年金をつくろう、こういうことで、まあ七十歳になりましたら、そういたしましょうと、こういうふうないきさつで今日まで来ておったわけであります。  そこで、大体の方々はもう七十歳以上になったわけでありますが、当時の五十五歳、五十六歳、五十七歳、その三年齢層の方々がまだ七十に達しない。そこで今度年金の大幅改善をやって国民皆年金制の網の中にみんな入れようではないか、こういうことになりましたので、このいままで落ちこぼれておった方々を何とかその網の中で救ってもらう方法はないだろうか、そういういきさつから始まりまして、先般の国会でも、予算委員会その他においても、総理も私も法案の審議の過程において、おきめいただくようにお願いをしたい、こういうことを申し上げて、相当前向きにこちらは答弁をいたしたつもりでございます。  そこで、こういう方々、七十歳までお待ちになれば五千円なり七千五百円なりにすぐなるわけでありますが、七十歳になるまでの間の金額をどうするか、これについては、新聞で二千円、三千円、四千円というふうに段階的にやったほうが、まあ来年になると今度は四千円になるぞという楽しみを与えるといった意味合いにおいて、これも一つの方式かな、しかし、ということで、新聞にも出たこともございますが、これは私は発表したわけでも実はきめたわけでも何でもありません。  そう言ってはあれでございますが、新聞社のほうで推測的に、段階的にやったほうが楽しみを与えるといったふうな意味合いも兼ねて推測的な記事として私はなったものだと考えておるわけでございまして、その額をどの程度にするかということについては、私のほうからきょうの段階で申し上げることは控えさせていただいて、与野党十分お話し合いの上で、法案の審議の段階で決着をつけていただく、こういうふうにいたしたい、こんなふうに考えておる次第でございまして、一律がいいか、段階式がいいか、あるいは額は幾らがいいか、そういう問題等も全部含めまして、国会審議の段階で与野党でおきめいただくようにお願いしたい、こんなふうに考えておる次第でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 非常に誠意のある御答弁だと思いますけれども、この問題は、たとえば六十七、八、九という三カ年にわたる人を七十歳以上の人と同じようなことにしたとしても、だれも文句は私は言わないと思う。七十歳以上の人が、これはおれたちにはちょっと歩が悪いとか、あるいは七十歳以下の人が、これじゃ不公平だなんと、そんな主張の全然ないものだと私は思うのですね。検討を願わなければならない問題の一つだと私は思うのですけれども、この点ひとつ大臣の御所見をお伺いしたい。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 ただいまのお尋ね、私も理解できるわけでございます。ただ諸外国の例とか、いろいろな定年制の問題とか、いろいろからんでおるわけでございますが、そういう問題も含めて十分ひとつ検討いたします。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 次は物価スライドの問題です。  これも各同僚委員から質疑のあった点だと思いますが、これも非常に進歩した考え方が今回初めて採用されたということで私どもも高く評価をするわけですけれども、第一の問題は、この物価スライドという問題は年率一〇%も上がるなんということを——今年はその可能性が非常に強いのですが、こういうような物価状況で、はたして政府としてかなりの確信をもってこの制度を導入したのかどうか、この決意のほどをひとつお伺いしたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 今回のスライド制の導入でございますが、御指摘のように、私どもこれを原案に入れることにつきましては、相当思い切った決断をいたしたわけでございます。たとえば物価が七%も八%も上がるということがございますと、今度のスライド制の導入は上がった分だけ自動的に年金額をスライドさせる、こういうことでございますので、年金財政の面から申しますと相当深刻な影響がございます。  ただ、しかし年金について一番大事なことは、やはり年金受給者になりますと、その受給者は全生涯を通じまして年金が大きなたよりになるわけでございますので、これが経済変動等によりまして目減りをするというふうなことだけは絶対に避けなければならない。公的年金として、その目減りは絶対に避けるべきである。そういうふうな見地から、思い切ってスライド制を導入いたしたわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 たとえば七%、一〇%物価が上がる、今年。私は最近、経済調査機関の代表的なものを四つ、五つ回ってみたのですけれども、いまの状態でいけば年率一〇%を下るというふうな見通しを立てる調査機関は、ほとんどないというような状況ですね。こうなった場合に、これが二、三年も続くという場合には、年金の財政に対する影響というものは非常に大きなものになってくる。これはそういう場合のことを予想して何かカバーする手段もお考えだと思うのですけれども、どういうところでカバーするおつもりですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 今回の改正につきましては、スライドによって給付水準が上がる。それによってふえる給付に必要な費用は保険料でもってまかなう。もちろん保険料と申しましても、二割分は厚生年金につきましては国庫負担でございますので、ふえた給付に対する二割は当然国庫負担。その残りにつきましては保険料でこれをカバーする、こういう考え方でございます。  ただ、しかし非常に異常にそういった上昇が続いて年金財政としてピンチにおちいるというふうなことが、もし万一発生するようなことでもございましたら、それはそれなりに、そのときいろいろな方法を講ずる必要はあろうかと思いますけれども、現在のところは、いろいろな経済見通し等によりまして大体の物価スライドはこの程度というふうな計算をし、それから保険料率を割り出して、その保険料でもってまかなうというふうな財政設計をいたしております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 政府の今年度の見通しは五・五%、将来の見通しとしては四%台に下げる、望ましいのは三%台だ、こういう見通しがあるわけですね。そういう見通しだと、これはしっかりそれを守っていけば、物価スライドというものは財政的な負担をそう心配しなくてもやっていけると思うのですけれども、いまある内外の状況から見て、日本の悪性化しつつあるインフレーションという問題を見て、はたしていまおっしゃったような考え方でこのスライド制が維持できるかどうか、そういうことについての政府の確信みたいなものをお伺いしているわけですけれども、異常な事態が起こった、たとえば一〇%以上が二年も続くということが起こった場合にどういう措置がありますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 御提案申し上げておるこの考え方では、大体いま先生御指摘のように政府の経済見通しなり、あるいは経済社会基本計画における見通しなり、そういったものを基準にいたしまして財政を仕組んでございますので、そういった異常な事態の発生は今回御提案申し上げているこの中には入っておりませんが、ただしかし仮定の問題といたしまして、たとえば一〇%も一五%も上がったという場合には、ある一定率以上のものについては国が直接何らかの手当てをするとか、いろいろな問題が解決方法の一つとしては想定できるわけでございますが、ただ今回はそういうふうな異常な事態を想定しておりませんので、したがって先ほど申し上げましたように保険料でもってこれをカバーするというふうな設計をいたしております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 私どもはこれは物価スライドよりは賃金所得に対してのスライドのほうがいいのじゃないかという考えを持っているわけですけれども、政府のほうは、いや物価スライドでやっていくんだというお考えなんですが、異常に物価が上がるというような事態を考えますと、私はむしろ賃金のアップにスライドさせたほうが、そういう場合に打つ手も国民を納得させていく方法としても見つけやすいと思う。物価にスライドさせていきますと、一〇%以上のアップになりますと、まるまる何らかの方法で政府が持つか——これは政府が持つといっても政府に金があるわけじゃないから何らかの方法で取らなければならない、そういうことが起こりやすいというふうに思うわけです。  そういう点を考えますと、いまの物価の状態だと、物価スライドのほうが政府にとっては負担もしやすいという考えになるのでしょうけれども、この二、三年の物価が五%台で移るなんという見通しはほとんど困難ですね。よほどドラスティックな経済政策をする以外に方法がない、それをやれば不景気になるというふうな見通しがありますから、この問題もそういうふうな現実に予想される事態を考えながら、ひとつぜひとも御検討いただきたい、そういうふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 実はスライドの指標に物価をとるか、賃金をとるかというふうな問題でございますが、実は審議会における御意見の中でも賃金を指標とすべきであるという御意見もございましたし、それから物価を指標とすべきであるという御意見もあったわけでございます。今回私どもが採用いたそうとしておりますスライド制は自動的に年金額の相対的目減りを防止するためのしかけとして物価スライド制を導入しているわけでございまして、あくまでもインフレ等による年金の変化を埋め合わせる、こういう見地からでございます。したがって、それだけでもって賃金によってスライドという考え方は一切排除したというわけではございませんので、賃金によるスライドにつきましては、再計算期におきましていろいろ年金額の全面的な改定をいたします際には十分に考慮をする、こういうふうな考えでございます。  大体通常御議論いただきます際には、何とはなしに、現在ある賃金のほうが非常に上昇率が高くて物価上昇率のほうが低いものでございますから、ただ単に年金財政の面から安いほうの物価スライドを導入したのではないかというふうな御議論もいただく場合が多いのでございますが、確かに先生御指摘のようなそういったこともあり得るわけでございまして、私どもはどちらが安いからこれを導入した、どちらが高いからこれを拒否したということではございません。自動スライドはあくまでも年金の相対的な価値を維持するためのしかけとして物価を指標にした、それから賃金スライド的なものは、全面的に改定をいたしますそのチャンスには十分にそれを考慮する、そういうふうな考え方をとっておるわけでございます。したがいまして、政策的に年金額を改定いたしますティーの報酬比例の構成を維持することが妥当である、その御意見に従ったものでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この点については、話し合いの余地はいまのところ持ってないということでございますね。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 話し合いの余地と申しますよりも、御提案申し上げた趣旨はそのようなことでございますので、できればそういう線で御決定いただけることが最もよろしいと私どもは考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それから五年年金への任意加入ということを再開した、これは非常にいいことの一つだと思うのですけれども、明治三十九年四月二日から四十四年四月一日までとなっているが、なぜ明治三十八年生まれの者のみを除外したのかということを、ぜひとも質問してくれということがあるのですが、この点はどうでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 五年年金の再開の問題につきましては、昭和四十五年に五年年金を開始いたしました際に、五年年金に加入できるその年齢階層の方につきまして、五年年金に再度お入り願う、そういう機会を与える、そういうことでございます。したがいまして、年齢区分につきましては、いま先生御指摘のようなそういった区分になっております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 拠出制の障害年金は一級、二級の区別がございますね。この障害福祉年金には二級がないのは、どういうわけかという質問がよくあるのですけれども……。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 障害年金を支給する障害の程度をどのようにするかという問題は非常にむずかしい問題でございまして、一番の問題は、ある年金においては非常に幅が広いし、ある年金においては幅が狭いというようなこともございます。そういった点は各年金を通じてのいろいろな問題でもございますので、これはいろいろ将来にわたって検討しなければならない問題だと考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これはいろいろと種類があるし、程度があるわけですから、障害福祉年金でも少なくとも二級という制度をつくっていくということが必要だと考えますので、この点も念のため申し上げておきたいと思います。  いろいろとたくさんございますが、一つの重要な問題として、現在の厚生年金では夫が主で妻が従となっているために、夫が年金をひとり占めにするというようなケース、これは悪い夫だと思うのですが、ひとり占めするというようなケースもなきにしもあらずで、そういう悲劇があちらこちらにあるわけですけれども、こういう事実がある限り、やはりそれをカバーするような法的な考慮が必要だと思うのです。憲法では男女平等なんですから、個人として尊重されるわけですから、この問題、大臣はどのようにお考えになっておりますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 御承知のように厚生年金は被用者年金でございますので、被用者である夫につきまして、いろいろな年金権を想定いたしておるわけでございます。したがいまして、夫につきましても、被用者の妻につきましても同じような権利ということは、なかなかむずかしい問題だろうと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これはいろいろな税法上の問題でも問題の起こっていることでありますけれども、悪い夫がもらった年金を自分だけポケットへ入れて妻には渡さないということは、何かの形でこれはカバーする必要があると私は思うのですが、方法はないのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 年金の問題といたしましては、なかなかむずかしい問題だろうと思いますが、せっかくの年金というものがその趣旨に沿った使われ方をしないということでは困りますので、十分いろいろな機会をとらえまして、せっかくの年金ですから効率的にお使いいただくように、いろいろ御助言は申し上げなければならないと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それから年金の繰り上げ支給の問題。老齢年金の受給資格の期間を満たしている者には、本人の申し出、意思で五十五歳からでも繰り上げて支給できるというような制度も、実際問題として必要なケースが非常に多いと思うのですが、この問題はいかがでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 五十五歳に繰り上げるかどうかという問題は、実は最近の問題といたしましては、定年制と、それから年金の受給開始年齢との関係をどうするかというふうな角度から考えるべきものだと考えております。現在は御承知のように五十五歳定年の企業が多いわけでございますけれども、その定年をもう少し、六十歳くらいまで延ばすべきだというようなことで、定年制延長という、そういったことがいろいろな方面で議論をされ、また政府としても定年制をもっと延ばすべきだというような方角にございますので、したがってそういった矢先に五十五歳に繰り上げて云云ということをやりますことが、かえって定年制の問題に反対の影響を与えるというようなことも、やはり同時に考えなければならないというふうに考えております。  したがいまして、今回はそういった見地から繰り上げ支給の問題につきましては、改正法の中に織り込んでおらない問題でございますけれども、これはいずれの問題といたしまして、受給開始年齢の現在の六十歳というものも、将来とも六十歳でいいかどうかという問題もございます。たとえば諸外国等におきましては御承知のように六十五歳というのが通常でございますし、また日本の受給開始年齢の実際から申し上げますと、平均的には六十二歳から六十三歳になっておるというような事情もございますので、定年制の問題、それからもう一つは諸外国並みに受給開始年齢を少し延ばして、その結果、ほんとうに年をとってからの老後の生活者に対しましては、より手厚い年金の給付をするというようなことも十分考えるべきだと思います。  たとえば現在の時点で四、五歳程度の受給開始年齢の上げ下げをいたしました際には、給付に要する費用というものに対しまして三割程度の影響がございます。ですから、たとえば現在の時点で五歳くらい受給開始年齢を延ばしたといたしますと、年金の財政面からは三割くらいの給付改善がそれだけでもって可能である。それから引き下げた場合にはその反対の現象が起こる、こういうふうなこともございますので、いろいろな角度から十分な検討はいたしたいと思いますが、今回はそういったことで改正法の中には組み込んでないわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 御説明はよくわかります。定年制の問題があり、いまのような財政的な見地の問題もあることはわかりますけれども、現実に五十五歳過ぎたらほしいという人が相当数おるわけです。したがって例外的にも、あるいは補足規定としてでも、そういうふうな道を開く。これはそれによって定年制を阻害するとかいろいろなことがあってはいけません。いけませんけれども、現にそういうふうなほしい人が相当数おるという現実に立ってみれば、何らかのそういう例外的な、過渡的な規定を設けることが必要だと私は思うけれどもいかがでしょうか。なかなかできないものでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 これは確かに御意見でございまして、私どもも相当慎重に検討はいたしたつもりでございますが、先ほど申し上げましたように年金財政に与える影響というものも相当大きいわけでございますし、それからまた定年制とのからみというものがございますので、検討をいたしますればするほど非常に大問題なものでございまして、この受給開始年齢については今回は手を加えなかった、こういうことでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 外国の例を引かれましたけれども、定年問題についての考え方が全く違うわけであって、日本の場合は五十五歳定年というのが非常に多いですね。現に非常に多い。またないところでも事実上そういうふうにやっておるという事実がありますので、この問題は、やはりひとつ御  それからもう一つは、将来予測について非常にむずかしいのは、これから先、工場、事業場というものが一体どれくらいふえるのか、したがって被用者の数というのはどのくらいになるのか、この辺も将来の長期にわたっての経済見通しが前提になってまいりますので、その辺も言うべくしてなかなか捕捉困難な要素でございます。そういったことにつきまして、現時点において見通せる限りにおいては、大体将来被用労働者というものはこうなる、それから現在の加入者というものは、大体そのころになれば何歳ぐらいでおやめになるであろう、またもう一つは、おやめになったあとの平均余命というものが、大体平均的に何歳になるであろうか、そういうことを考えました際に、先ほど申し上げましたように、私どもの推計では昭和八十五年あたりが、そういった受給者というものが被保険者に対しまして一定割合を保つに至る、そういった成熟段階に達する、こういうことでございます。  したがって、そうなりますまでの間には、受給者は被保険者に対しまして、どんどんその比率を高めてまいるわけでございますので、その間の費用の負担をどのようになだらかに世代間ないしは年次間に割り振るかという観点から財政設計をいたすわけでございます。したがって、賦課方式に移す時期を早めるとかおそめるとかいうことが、長期にわたって拠出を必要とし、そのような方に対して全生涯を通じて年金で生活を保障するというふうな拠出年金の場合には、なかなか言うべくして人為的には操作できない要素があるということも申し上げておきたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これはおっしゃるとおりだと思います。ただこの賦課方式への移行という問題は、ある時期で飛躍させなければいけない、そうでないと、これはおっしゃるとおり実行不可能になります。  そこで、先ほど政府の意思が修正賦課方式とはいっておられるけれども、やはり今後とも積み立て方式を基本としてやっていきたいという気持ちを持っておられるから、またそれ以外にちょっとやりようがないのだというお気持ちがあるから、いまのような御意見になると思うけれども、それをできるだけ早く賦課方式に変えていくのだという意思を持てば、ある時期で飛躍という時期がどうしても必要になる、そのための準備も必要になってくる、こういうことになるわけですね。したがって、いまの修正賦課方式というのは、若干、ごまかしておるわけじゃないだろうけれども、むずかしい点をいいあらわしておるというふうにもとれるのですが、この点大臣いかがでしょう、今後の問題として。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先ほど来局長からお話があったと思いますが、現在は修正積み立て方式、そこで将来賦課方式にどういうふうに移行していくかという問題になるのですが、私は、将来は必ずそうなると思うのです。  問題は、いま非常に急激に老齢人口が伸びている。ある一定の時期にくれば、それが落ちついていく。ヨーロッパはもう落ちついているわけでございます。そこで、この辺で落ちついているかなあと判断することが一つの大きな転機だと思いますし、同時に、かりに上昇カーブにあるようなところだが、この辺もうちょっとしのげば落ちついていくな、こういうところもあると思うのです。やはり究極には修正積み立て方式から賦課方式に移行する、私は当然だと思うのです。  そういう意味合いにおいて、いつ老齢人口が定着——定着というか落ちついてきていると判断するか、それからその当時持っておる積み立て金の金額がどの程度になっているか、そういうふうなものともにらみ合わせながら、やはり二、三年程度の保険給付をまかなうに足る積み立て金があれば、私はもう思い切って賦課方式に切りかえていいと思うのです。ただ、それが一番むずかしいのが、いま急激に老齢人口が伸びている、そこに非常に判断のしかねる問題があると私は思うのです。  それからもう一つの問題は、そうした賦課方式に移った場合に、保険料率がどの程度になるかということもやはり大事だと思うのです。そうなりますと、今度は保険料率の急激な上昇というのはなくなるわけですから、落ちついた姿の保険料率にしなければならぬ。それの高さも、現在私が理想的に考えているのは、西ドイツがわりあい安定した姿になっておるのです。たしか千分の百八十。その千分の百八十というのがドイツの賦課方式の安定した姿だと私は見ているのです。  ですから、そういうふうなところとにらみ合わせながら、料率も急激に変わらないようになる、そういうことを頭に描いてすべきだと私は思いますが、そのときに政府としては政策的な努力、賦課方式に切りかわるためのいろいろな政策的努力、これは私は絶対に必要だと思います。そのことが賦課方式の移行を早めるものである。自然に流していけばこうなるというのではなしに、多少、二年でも三年でも早めるという努力、これは私は絶対に必要であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。私も、将来は賦課方式になるばかりじゃなしに、そういう方面に一日も早くなるような努力もまた続けていかなければならぬだろう、こういうふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 その問題と関連しまして、女子ということになると、いまの給付を受けるという立場から、あるいは保険料を支払うということとの関係で、実際問題としてかなり差別があるわけですね。女子は就労して、間もなく結婚をなさるというふうなこともあるし、職場を離れていくわけですから、非常に歩の悪い脱退一時金のようなものをもらうというケースが非常に多い。そういうふうなこともあって、今回の一五%の場合は、たしか一律だと思うのですけれども、これはどうして差別、区別を——これは正しい差別だと思うのですが、区別をしなかったのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 女子の保険料率につきましては、保険料算出の手順といたしまして、男子、女子、坑内夫、それぞれ分けまして平準保険料率を計算いたすわけであります。女子につきましては、実はいま先生御指摘のように早くやめて結婚なさるといったこともございまして、従来は女子の料率というものは低くおさまっておったのでございますけれども、今回の財政再計算期にあたりまして、いろいろ従来の実態、それから将来の見込みを想定して計算いたしますと、相当高い平準保険料率になってまいります。したがって、相当高い平準保険料率を女子について即刻実現するということは非常に困難であるというようなこともございますので、実は男子と女子の間で多少プールいたしまして、これを低めた結果、上げ幅は同じ千分の十五になったという、そういった計算の経緯がございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これはやはり、現実に保険から受ける利益の違いというものがありますから、料率についても、いまお話しの点はわからぬじゃありませんが、区別をしてするのが公正だというふうに思うのですけれども、その点は御検討の余地はないですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 ただいま申し上げましたような料率の計算結果になりますので、さらに女子の上げ幅を少なくするということは、保険財政の設計の上から申しますと、非常にむずかしい問題だろうと思います。  ただ問題は、女子について、なぜそういうふうに平準保険料率が高く出るか。一番の問題は、御承知のように支給開始年齢が五歳早いということでございます。それからもう一つは、女子の平均余命が男に比べまして非常に長い。これが保険料率を高める要素になっておりまして、今回再計算の際に高く出たというのは、この辺の要素が非常に大きくきいておるわけでございます。  ただいま脱退手当につきましては、御承知のように昭和五十一年までは女子につきましては、二年で出すというふうなことに特例措置を講じておりますが、もしこういった特例措置を将来にわたって、また少し長く延ばすというようなことでもありますと、あるいはその分だけの保険料率というものは計算上低くなるということも考えられ際には、先生ただいま御指摘の問題等も当然考慮に入れなければならない大きな要素であろうかと存じます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま御答弁にありましたように、物価が上がったことで年金の実質価値が下がるという問題は、これは絶対カバーしなければなりません。いまいろいろと申し上げた点をひとつ御参考にいただいて、今後とも御検討を賜わりたいと思います。  次に八兆円問題があるわけですけれども、八兆円に達するような積み立て金がある、そしてまた今度は標準報酬の月額の上下限の引き上げもある。そういういろんな収入があるわけであって、保険料の大幅な引き上げをやらなくともやっていけるのじゃないかという見方があるわけですけれども、やはり千分の十五というかなり大幅の引き上げなしにはやっていけないかどうか、その根拠を大づかみでけっこうですから、お答えいただきたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 簡単に千分の十五引き上げのいきさつを御説明申し上げますと、保険料率の計算につきましては、いわゆる平準保険料率というものがどれくらいになるか、そういう計算をいたすわけでございます。その結果、男子について申し上げますと、平準保険料率として必要なものは千分の百十一というふうになっております。それをすぐ千分の百十一に引き上げるということは非常に困難でございますので、いわゆる階段保険料と申しまして、当初はそれを少し低めて、そして何回かそれを繰り返すことによりましてこの低めた部分をリカバーする、そういうふうな考え方をとっておるわけでございます。  ただ問題は、従来はそれだけでもって保険料率を決定いたしておったわけでございますが、今回初めて過去の標準報酬の再評価によりまして、既裁定、新規裁定を含めて相当大幅な年金額の引き上げをやります。それから将来にわたりましては、物価を指標といたしまして自動スライド制を実施する。いわゆる動かない年金を動く年金に変えるわけでありますので、その平準保険料率だけでもって保険の料率を決定するということは、いささか問題だというようなことで、今回お願いしておりますような、こういった改正が将来にわたっても繰り返されるということ想定をいたしまして、その場合に千分の十五上げて、五年ごとに千分の十五ずつ上げていった場合にどのような財政計算になるか、そういった計算もあわせ行なったわけでございます。  そういった計算もあわせ行ないまして、大体年金制度の成熟期が昭和八十五年というふうに私どもは見込んでおりますが、その時点におきまして、単年度の給付総額の三年分程度を、積み立て金と申しますか支払い準備金と申しますか、そういった資金を蓄積をするというふうな財政設計をする、そこから振り返って千分の十五をさしあたって上げ、五年ごとにこれを実行いたしました際に、どのような保険財政の推移をたどるかということを計算いたしたわけでございます。そういたしました際に、五年ごとに千分の十五ずつ上げてまいりまして、最終的な成熟期には三年分程度の積み立て金を持つというふうな財政設計をするのが年金財政の長期的な設計として最も適当であるというふうな見地から、この千分の十五というものをきめたわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この問題は、計算のしかたによっていろいろな結論が出てくると思うのですけれども、こういう問題で、国民の側から見れば、いかにも大幅な引き上げだ、八兆円もの積み立てがあるのに、その利子だって相当なもの、だろうし、あるいは今度の標準報酬の月額の上下限を上げるということでも相当大きな増収があるだろう。それなのに、千分の十五も上げるということはいかがなものかという強い意見がございますね。それで、八兆円というものから出てくる利息とかあるいは標準報酬の上下限を上げることから出てくる収入とか、そういうものと、今度の平均して三万六千円というアップされた年金というものとのバランスを、もっとはっきりわかるような説明のしかたが私は必要だと思うのですけれども、いまの八兆円の問題、上下限の問題の収入増というものがどういうふうに見込まれておるのか、ひとつ御説明願いたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 その問題にお答え申し上げます前に、一言申し上げておきたいことは、厚生年金財政の収支のバランスでございますが、四十八年度とか四十九年度とか、現在並びに次年度程度のそういったバランスを考えます際には、給付が非常に少ないわけでございますので、おそらく現在の保険料を据え置いても十分に間に合う。と申しますのは、四十八年度につきまして基本的な年金でございます老齢年金について申し上げますと、老齢年金の受給者は八十万人でございます。これは被保険者数に対しましてわずか三・六%でございます。それがある程度年金制度が成熟してまいりますと、たとえば昭和七十五年になりますと、老齢年金の受給者が被保険者に対しまして一九・七%になります。それから成熟期である昭和八十五年になりますと、この比率は二七%になります。したがって、老齢年金だけとりましても、十人の被保険者で二・七人を養なわなければならない。現在はこれが三・六%でございますから、十人で〇・三六人、こういうことでございますので、ここ数年間のバランスで年金財政を云々するということはきわめて不適当である、こういうふうなことでございます。  ただ、来年度それから今年度あたりの保険料値上げによってどれぐらい増収になり、あるいは標準報酬の値上げによってどれぐらいの増収になるかという数字を御参考までに申し上げますと、標準報酬月額の引き上げによりまして増収される分が二百六十一億二千八百万円、それから保険料率の引き上げが千百五十四億八千百万円でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 おっしゃるとおり、かなり長期の見通しに立って保険の財政というものを考えなければならぬわけですけれども、今後賦課方式への移行という問題を強く念頭に入れておるか、あるいはいまの状態をずっと続けていこうかということによって、この問題の見方は非常に変わってくるわけだと思うのです。政府のほうもそうだと思います。修正賦課方式というわけですから、そういう方向への発展をできるだけ早い機会に持っていこうという考え方に立てば、いまおっしゃるような問題についての考え方もがらっと変わってくるわけですね。  そういうこともありますので、あまり固定的にお考えにならないで、いまから十年後の問題を数字ではじいてこうしなければならぬ、保険からいえばそうなりますけれども、そういうようにお考えにならないで、いかにも高いという印象だけは——これはそれでもゼロにするということは、できないでしょう、ある程度の弾力性を持たしていくということが必要だと私は思うのですけれども、この問題はいかがでしょうかね。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 年金の財政の問題につきましては、賦課方式に移る時期を早めるとかおそめるとか、これはことばの上では言い得ることでありますけれども、年金制度の実際というものから出発いたしまして考えますと、そういったことは、なかなかむずかしいのでございます。と申しますのは、年金制度のいわゆる成熟度合いというものを考えました場合に、まず給付金額がほどほどの水準である、これが成熟の一つの特徴でございます。それからもう一つは、受給者というものがどの程度になるか、これがもう一つの成熟の要素でございます。  この受給者を急激にふやすとかどうとかいうことは、たとえばこれから先、短期間の加入期間で年金を出すような、そういった経過年金をどしどし導入するとか、そういうことでも考えれば別でございますけれども、そうではなくて現在の厚生年金で申しますと、二十年加入で六十歳で退職いたしました際に老齢年金が出る、このしかけを前提といたしますと、成熟の度合いというものは人工的に左右できるものではないわけでございます。の影響はなかった、こういうふうなことでございますので、今回は千分の十五上げるにつきまして、免除料率の引き上げということは行なわなかったということでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この問題はすでに関係団体との話があると思うのですけれども、聞くところによりますと、厚生省の当局者と基金の関係者との話し合いが過去何回か行なわれたということは聞いておりますけれども、その場合に五百万人といわれる基金制度に関係をしている人たちの気持ちが必ずしもストレートに通じていないという問題を私非常に強く聞くのですけれども、この間のいきさつをよろしかったら、お伺いしたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 関係者と私どもとの間の接触は、これは当然ひんぱんに行ない、十分その実情を把握する必要があるわけでございますが、主としては、基金連合会を通じまして私どもとの間で、いろいろなやりとりをいたしております。  基金連合会にはおも立った基金の代表者も入っておられますし、それからもう一つは免除料率の問題を含めまして、将来の基金のあり方というものを本格的に検討すべきときであるというので、基金連合会の中にそれを処理するための機関を設定したようでございますので、その関係等とも私ども常時接触いたしまして、いろいろ御相談はいたしています。  この免除料率の引き上げ云々については、個々の組合によっていろいろな事情が、差違があることは当然でございますけれども、今回は引き上げの問題については深追いをしない。しかし、将来にわたって、この問題も含めまして基金のあり方については、厚生省もフランクにこの基金連合会の共同の場にも出てきて、いろいろ相談をしてほしいということでございますので、私どもももとより願ったりのことでございますので、当然そのような方向で御相談を尽くしてまいりたいと思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 関係者の話を私はいろいろと聞いてみたのですけれども、確かに厚生省としても今回の引き上げによっていろいろな問題が出てくる。また基金側に財政的な問題を中心として困難な問題も出てくるということを理解をした上で、何かの一つの対策を考えてみたい。これは厚生省だけでなくて三者間で。そういうふうな話し合いになっていると聞きますけれども、これは事実ですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 それはただいま申し上げましたように、主として連合会の場におきまして、お互いに十分にその問題の本質を掘り下げて検討をいたしましょう、こういう意味合いでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 検討するという場合に料率を変えないで検討するというのは、非常に私は範囲が狭いと思うのですが、これは具体的にお答えできないような問題があると思いますけれども、つまり基金側の人は、何か自分たちの大事な組織がやっていけるようなことを、お考えになっておられるという希望みたいなものと、しかし、どう考えても料率の問題に触れなければ、たいしたことはないのだというふうな不安みたいなものがあるわけだと思うのです。そういう問題について、厚生省はひとつおれにまかしておけ、だいじょうぶだというような、そういう何か自信みたいなものがありますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 免除料率の問題に限定して考えますと、どうも話がぎすぎすいたすわけでありますが、実は私どものほうは、基金に対するいろいろな事務費の援助の問題でございますとか、あるいは福祉施設を、どのようなかっこうで資金の自主運営をさせることによって実施させるか、そういった問題も含めまして基金の将来構想を考えていこう、こういうことでございます。  それで御承知のように、この基金は昭和四十年に法律改正がなされました際に導入された制度でございまして、たとえば健康保険組合等に比べますと、それに対する事務費等の援助のしかたというのも必ずしも十分ではないという問題等もございまして、この機会にそのような問題等も含めまして検討いたしたい、こういうことでございます。  ですから免除料率だけについて、今回は上げなかったが、いつどうするこうするという、その問題だけに限定しての検討ではないわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 私は無理なことを申し上げているわけではない。私に強く陳情される方も私は無理な話だとは聞いていないのですけれども、先ほどから申し上げているとおり、この制度自体を、いろいろ問題にしなければならない時期に来ていることは事実だと思います。将来そういう問題を含めて検討しなければならぬということも否定はいたしません。また私どもの野党案でもそういう考え方が盛られておることも事実です。  しかしながら、反面から考えますと、この制度はつくられた理由があって制度がつくられた。健保の場合に健康保険組合があると同じような意味で基金制度というものもつくられておるわけで、そういうふうな点から見て、しかも前の四十六年には、これはもっともだから、ひとつ上げてやろうというので二%上げた。今回もし上げないで見送りますと、あとかりに上げるとしても上げる時期というのは、この二、三年で来るわけじゃない、ことによっては十年近くも、そのままほったらかされるということもあるわけですね。そういう問題の見通しはどうでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 大体この基金につきましても、本体と同じように原則的には五年に一回の財政再計算というものをいたすわけでございますので、きわめてそっけなく申し上げますと、財政再計算の結果、免除料率を引き上げる必要が生じてまいりましたならば、率直にこれは引き上げる措置を講じなければならない、こういうふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 四十六年からだから、いままでもう約三年、これから五年だと八年。八年間というのは、いまの物価もどんどん上がる、いろいろな条件、死亡率その他の問題も上がるときですから、まあ局長さんにお願いしても限度があると思いますので、大臣、ひとつ何らかの決断をもって——これは臨時の措置ですよ、今後の永久的な措置ということは再検討が必要だというのは申し上げている。しかし臨時の措置として、五百万もの人がこれは困るのだ、こう本気で言っているわけですから、これは局長さんの行政範囲とは少し越えた問題でもありますけれども、大臣、ひとつ何かそういう点での御検討を始めてみようというようなお気持ちがあれば——私はあってしかるべきだと思うのですが、五百万もの人が一生懸命あれしているのですから、ひとつお答えを願いたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 この問題は、私も実は話を聞いて十分承知をいたしておるわけでございます。ただ今度の法律改正に際しまして、それがすぐ免除料率の引き上げにつながるのかというと、理屈を言いますと、これは御承知のように報酬比例部分の代行をし、自主運営をする、そしてその上積みをしなさい、そして福祉のために大いに働きましょう、こういうことから始まっておる。しかし今度の法改正によっては報酬比例部分についての、例の将来の物価スライドの問題なり、例の再評価の問題については、あなたのほうは手をつけずにけっこうです、それは厚生年金の本体のほうでいたします、こういうことでございますから、理屈から言えば、これはほんとうに年金局長の言うたどおり、いじる必要はないということになるわけでございます。  そこで、この基金ですが、まあ基金にはたくさんの数があるわけなんですが、その中には言うまでもなく、財政の非常にいいのもたくさんあるのです。ほんとう言うと悪いのは少ないのです。これはおそらく、和田さんのお述べになりましたのは、悪いほうの一つの例を中心に言われているに違いない。特に女子労務者を対象としたものについてのお話であろうと思うのです。私も実はこれは心配しておるのです。それは先ほどの保険料率ますけれども、この特例措置はあくまでも特例でございますので、できるだけこういう特例措置の延長は避けまして、ことに昭和三十六年以来は通算年金の措置もできておりますので、できるだけ本来的な年金権に結びつけたほうがよろしいという見地から、これが再延長は考えておりませんので、その分の料率を引き下げる点は計算に入っておらないわけであります。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これを要するに、つまり保険料率という問題についても、今後いろいろ御検討の過程では、多少の引き下げということも考えられるし、あるいは男女の問題も、実情に応じたこともあるいは考えられる余地もあるというように承知してよろしゅうございますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 この料率は先ほど来申し上げておりますように、現在のこういった法律制度を前提といたしまして、五十一年に特別の脱退手当金の制度がなくなるということを前提といたしました際には、千分の十五という同じ上げ幅が、せいぜい女子についての精一ぱいの料率の設定だというふうに御理解いただきたいと思います。さらに引き下げることは、なかなか困難な問題だろうと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 なかなか困難でも、これは一つの最初大きな目標として、政府がごまかしたという印象を国民は持っておるのですよ。先ほど大臣もそういうふうなことを一部認められておるのですから、これは政府も一生懸命努力をして、できるだけ負担は少なくしていくというような考慮はあってしかるべきだと私は思いますので、強く要望したいと思います。  この問題と関連しまして特にきょう御質問したいと思っておりましたのは、厚生年金基金制度の問額なんですけれども、たしか四十六年でしたかの改正のときは料率を、千分の七でしたか、七引き上げたときに二%ぐらい基金への、つまり普通免除料率といわれるものを、二%ぐらい引き上げていますね。それからまだ一回も上げていないが、それは前の千分の七というわりあい低い引き上げのときにも二%上げているのに、今度は、いろいろ理由はあると思いますよ。あるけれども、一五%も上げるのにこれを据え置いたというわけが私はわからないのです。ひとつ御説明いただきたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 免除料率の問題につきましては、厚生年金の保険料率を幾ら上げたから、したがって、その分の何%が免除料率にはね返る、こういうふうなしかけではないわけでございます。御承知のように、厚生年金の代行をいたしております部分と申しますのは報酬比例部分でございまして、その報酬比例部分について免除料率をどう考えるかという点で一番基本的に問題なのは、報酬比例の再評価並びに将来にわたってのスライドを実施いたします際の、言うなれば後発的過去勤務債務の大きさでございます。そういったものにつきましては、御提案申し上げておる法律にございますように、それは定額部分と合わせまして政府が管掌いたしております厚生年金制度から直接加入者に支給するというたてまえをとっておりますので、その分の基金の財政負担というのはないわけでございます。そういう関係から、免除料率が当然スライドの実施なり再評価の実施なりによってその影響を受けるということはございません。  それからもう一つは、免除料率をどうするこうするという問題につきましては、この基金につきましての財政再計算というものをやりまして、そこでもってはたして今後にわたって基金の免除料率を上げるべきかどうかということを検討いたすわけでございますが、今回この基金につきまして、いろいろ財政再計算をやってみた結果、現在男子は千分の二十六、女子は千分の二十二以内におさまるというふうな計算結果になっておりますので、その点からも今回免除料率の引き上げをいたさなかったわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この基金の側のいろいろな試算が行なわれておるようですけれども、私の手元にきておるそういう試算はたいへん財政的に苦しいんだという試算、これは読み上げてもいいのですが、時間がありませんから一々読み上げはしませんけれども、これは全国の基金の関係のところがらも、各地方の連合協議会ですか、からのあれでも、具体的な数字をあげて、もしこれを上げてくれないと、たいへん困ったことになるんだ。ことによったら、もうこういう制度は、これは赤字になってはしようがないんだからということを申しておるところもあるわけですけれども、これは一つこの制度自身の問題はあります。  これは四十一年でしたか、四十年でしたかつくったときに、こういう特別の基金制度をつくるという必要性、目的等の問題はあります。また将来においては、この制度そのものを考えなければならぬという問題もよく承知できます。できますけれども、せっかく必要があってできた制度、しかも五百万人もの人がこの制度によってカバーされておるということがあって、この基本の制度が現在まだずっと継続しておるという条件のもとですから、この制度そのものの将来の問題としては問題はあっても、現在この制度の運用について非常に困難を来たす見通しが、厚生省側のいろいろの試算とは違った見通しも出ておるということですから、これは臨時の応急的な問題として、この問題は考慮してしかるべきだ、こういうように私は思うのです。その点いかがでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 免除料率を引き上げなかったいきさつにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、将来にわたって基金のあり方をどうするか、それからその基金に対する各企業なり、あるいは被保険者等のいろいろな要望がどういうものであるかということも十分検討しながら、基金の将来というものを考えなければならないという考え方を持っております。したがいまして、この点につきましては、基金の当事者も含めまして私どもも十分検討を重ねていくつもりでございます。  先ほど申し上げました再評価によってふくらんだ部分、それから将来物価スライドによってふくらむであろう部分も、今回は本体の厚生年金から定額部分とあわせて支給する方式をとっておりますが、それはそれといたしまして基金の将来についてどのような役割りを果たさせるかということは、十分に検討を進めてまいりたいと思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そういうこととして、現在免除料率というのを四十六年のときは上げて——そういう必要があって上げているのですからね。今回また上げたいろいろな理由は、前よりは多くなっても少なくなっていないというふうに私どもは聞いているわけであって、これはほんとうに真剣なんです。特に女子をたくさんかかえているところとか、そういうところは、ほんとうに真剣なんです。  将来の問題は別として、これはいろいろ問題があることは十分承知しております。保険の将来の全体的な体系の問題から見ても、いろいろ考え方があると承知しておりますけれども、今回、四十六年に上げた理由が、そのまま拡大しておりこそすれ、なくなってはいないという条件のもとで、一五%も上げようというわけですから、これは何ぼかのことは考えてあげないと、制度を認める限りは、私はそういうふうな考慮があってしかるべきだ、こう思うのですが、いろいろこまかい関係者の試算している問題とか、いろいろないきさつは申し上げません。申し上げませんけれども、そういう一つの検討課題だということを、ぜひともひとつお認めを賜わりたいと思います。これについて……。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 免除料率をどうする、こうするの問題だけではなしに、先ほど申しましたように総合的な見地から検討いたします。  ただ免除料率につきましては、個々の基金、その基金がいつ設立されたものであるか、それからその基金の加入員の構成がどうであるか、いろいろな要素を加味いたしまして保険料率を再計算いたすわけでございますが、今回いろいろな要素を入れての再計算の結果は、免除料率を動かすほどておられる。こういう状況のもとで、具体的には、特にこの問題なんかに対して相当はっきりした、福祉を重視するというこの意思が明確に出るような措置が必要だと思うのです。  いまの、局長さんの諮問機関、どういう形か知らないけれども、そういうことをするのも一つの方法だと思うのですけれども、もっと高いレベルのものを考えてみたらどうだろうか。局長さんの諮問機関ということになれば、これは公正な意見であっても、非常に事務的な意見になるわけで、これもやりようによれば局長自身の裁量でもできるわけで、もっとこれを権威的なものに、いよいよ政府もその気になったなという印象を与えるものにするためには、もっと上部のそういう道具立てが必要だというふうに思うわけです。これについて総理のもとで厚生大臣が中心になる、少なくとも厚生大臣が責任を持った何かそういうふうなものができないだろうか。この積み立て資金は巨額のものですから、今後ますますたまっていくわけですから、この運用について大臣自身がはっきり責任をとる、つまり福祉への転換という大きな時代の切りかえを、大臣自身が責任をとるという趣旨のいまの審議会——審議会と言ったらあれですが、懇談会のようなものを、機動的で、しかも権威のあるものをつくっていくということが必要だと思うのですが、これはどうでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 こうした運用の問題については厚生大臣が責任を負うべきことは当然でございます。ただ所管が年金局の所管でございますから、年金局の、とこう申し上げましたが、年金局に置くのがまずいというなら私自身がやったっていい、実は私はこう考えておるのです。  これはやはり国民に対してそういう誤解を与えてはいかぬと思うのです。零細な金を集めて、そしてそれは現在全部福祉に使っておるのですから、産業などには一文も出しておらぬのですから。ところが、いろいろな誤解がある。だから、そういう誤解を消し、と同時に福祉優先にできるだけそういう金を、しかも直接福祉につながるように考えていく、こういうやり方をしなければいかぬと思いますから、私は局の懇談会と申し上げましたが、省全体というか、大臣の懇談会ということでも私は差しつかえないと考えておりますし、日にちを置いてその問題はもっと研究さしていただきたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 私がそういうふうに言うのは、この資金の運用というのは厚生省の全域にわたるわけですね。それは年金の問題は、年金局長が責任を持っているということもありますけれども、やはりその必要という面から見れば厚生省所管の全域にわたる。しかも厚生省の全域以外にも、文部省のところにも、自治省のところにも、いろいろあるわけです。そういうことですから、少なくとも厚生大臣がこの運用については責任を持つということをはっきりした形で制度的にも確立をして、大蔵省もそのつもりで、その発言を聞くという体制だけは最低必要だというふうに思うわけでございまして、ひとつぜひともその問題についての御検討をいただきたいと思います。  まだいろいろとありますけれども、定義としても、私は非常に良識的な御発言をいただいたと思っておるわけですけれども、この年金の問題で、特にいままで日本で一番欠けておると思われるのは、年金自体の総額が、いわゆるナショナルミニマムといわれる最低保障の額に達していないということは事実だったと思う。今回の法律案でその総額については、まあ部分的ではあるけれども、だんだんと近寄りつつある、大きな努力をしているということは評価はしていいと思うのですが、現在お年寄りである人、しかもこの積み立てをしてない人、この人の保障がいかにも少ないじゃないかという一般の世評は私はそのとおりだと思う。これは五千円という金額に端的に表示されているわけでございます。  大臣からのお話にもありましたが、確かにいままでの経過を見れば、これでもって生活ができるというものよりは、何かの足しにしてくださいという程度のお金であるけれども、この段階になって、つまり福祉中心という、いよいよ年金が登場してきたという段階になると、こういう問題については、先ほど来御質問しましたように、できるだけの措置をとっていただきたい。特に政府は五十年までに一万円年金と言っているわけですけれども、この一万円の額も、まあいままではしばしばそういうお約束で額も上げてきたこともあるのですが、これはやはり夫婦合わせて五万円という額に近づけることを標準に今後ともお考え賜わりたいと私は思うのです。  やはりわれわれが言う年金というのは、これは今後生活の最低保障ですから、直接最近の問題としては、六十七、八、九のこの谷間の人については、私は二千円とか三千円とかいうみみっちいことを言わないでほしい。この人たちについてはこれをあげたからといってだれも文句は言いませんよ。それは双手をあげて歓迎する問題だと思うのです。したがって、この年齢の該当者は、七十以上が五千円であれば七十以上と同じように、六十七歳以上から五千円だというふうなことをぜひともひとつお考え願いたい、こういうふうに強く思うわけです。  そして先ほどから申し上げているとおり、賦課方式への移行という問題を政府として意欲的に考えてみる。これは私は大臣からもかなり意欲的な答弁をいただいたと思うのですけれども、事務当局の発想になりますと、これは非常にむずかしいのですよ。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 年金局長から先ほどるる御説明いただきました。よくわかりますよ。これは非常にむずかしい。しかし、これはある時期に飛躍が必要ですね。そういうことですから、政府として賦課方式への移行という問題をぜひともひとつお考え願いたい。  と同時に、先ほどの基金の問題、これは当面の過渡的な問題として、五百万人の方が目の色を変えて言っている問題ですから、ぜひともひとつこれは善処方をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 枝村要作君。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 まず大臣にお伺いいたしますが、さきの委員会で、あなたは前の佐藤内閣とは違った意味で年金制度に取り組んでおるというようなことを言われたのでありますが、まあその国が福祉国家であるかどうかの目安は、その国の年金制度によってはかられるといわれるだけに、田中内閣が真剣に取り組むことをわれわれをはじめとする国民はひとしく望んでおるわけであります。  ところが今回提案された内容は、率直に言って、かけ声だけはたいへん勇ましいのでありますが、実は中身のたいへん乏しいものであるということが、この審議の過程で次第に明らかにされてまいっておりまして、国民は少なからず失望しておると私は思うのです。しかし、それでも多くの国民は、だからといって望みを全く失ってはおらないと思う。年金制度がいわゆる目先だけのごまかしでなく、長期の展望をもってこれは改善され、確立されていくであろうということを信じておるからだと私は思うのです。  そういう意味で、この委員会の審議を多くの人人は見守っておると思うのでありますので、政府はひとつ、自己の提案だけにこだわらずに、いろいろな意見を聞いて、それを参考にするなり、あるいは取り入れられるものなら取り入れて、そしてよいものにしていくという努力をしてもらいたいというように思うのでありますが、いかがなものでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先般も枝村委員の御質問にお答えいたしたと思いますが、わが国の社会保障が西欧先進諸国に比べまして劣っておりまする一番大きな問題は年金であるわけでございます。そこで、日本の社会保障を西欧諸国並みに近づけるためには、どうしても年金の充実をしなければならぬ、これは私は一番緊要な問題だと思います。そのほかの社会保障体系においても不十分な点はたくさんありますが、それはそれとして、一番はやはり年金の充実、そういうことであるわけでございます。そこで、実は今回五万円年金というものの問題、脱退手当金の問題、それから免除料率の問題、三つひっくるめている問題なんだと私は理解しているのです。そこで何とかならぬかなと、私は非常に同情的なんです。しかし理屈がなかなか思うように立たない。そこに実は苦心さんたんをしておるというのが私の偽らざる心境でございます。しかし和田先生のような専門の方々が仰せになることですから、ただ陳情を取り次ぐというふうなだけのものではないと思いますから、十分私も検討いたします。検討いたしますが、なかなか理屈がないので実は苦心している、これが私の率直な心境でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 よくわかりました。その理屈は、ここではちょっと時間もありませんから、あれですけれども、これはやはり公的な問題ですから、十分に納得のいく理屈をつけ、そして御了解のもとに何らかの改革をしなければならないということだと思いますから、ひとつ今後とも御努力をお願い申し上げたいと思います。  それから積み立て金の運営の問題、これは私、長年いろいろなことを聞くのですが、これは、いま政府がせっかく大事なお金を預っているわけですから、これを、物価もどんどん上がっていくという状況のもとで、価値が非常に少なくなる、実際上のあれがなくなっては困るから、相当の利子も取らなければならぬということで、いろいろと御苦心になって運用をしておることもわかるのですけれども、この問題について、支払っている側は、どうも政府はこの多額の基金を財政投融資の形で経済成長、つまり大資本を中心とした経済成長のほうに厚く厚く流しておるという印象は、どうしても避けられないのです。     〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕 また、現在の運用の実態から見ても、政府はそういう悪い気持ちでやっているわけではないんでしょうけれども、善意で何とかこの金を大事に守っていこうという気持ちでやっていると思いますけれども、この問題についてはどうしても納得のいくことにならないのです。厚生保険の特別会計、国民年金特別会計からの資金運用部資金に貸し出されている三月末の残金は幾らあるか、またそれぞれの特別会計からの還元融資残高は幾らあるか、これをぜひとも聞いてくれというのですが、いまおわかりになれば——いいのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 三月末の数字はいま調べてみます。  それ以外の、年度末の見込みとか、そういったことではいけませんでしょうか。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それでいいです。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 まず積み立て金の現状でございますが、四十七年度末、まだ決算が済んでおりませんので見込みになりますが、厚生年金では六兆六千七百九十六億円、それから国民年金では一兆一千六百十三億円、合計いたしまして七兆八千四百九億円でございます。  それから還元融資のほうは、これは実は昭和四十七年度までは、当該年度の増加分の四分の一相当額でございまして、四十七年度で申しますと、大体の数字は三千七百億でございます。それが四十八年度から三分の一引き上がりました関係上、大体五千七百億ということになっております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この運用の問題については、何かいろいろ説明はありましても、これはどの党からも、そしてまた一般の国民も、不自由している金のことで、複雑な計算、あるいは仕組みはどうしてもわからないわけですから、一言で、おれたちが払っている金を、おれたちに相当部分を返さないで、そして大企業に貸し付けておるということは、はっきりとすぐそれをそのまま理解するわけです。しかし、それも、この数字のあれから見れば、あまり間違ったことでもないわけです。  この問題は、何とかして、私は国民が納得のいくような形のシステムをつくる必要があるんじゃないかという感じがしてならないのです。この資金運用部あるいはその他のあれについて何かの、国民もその運用に参加したという意識の持てるような仕組みを考えてみたらどうだろうか、こういうふうに思うのですが、大臣へこれはむずかしいことですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 厚生年金、国民年金の積み立て金の運用については、資金運用部資金として、財投の原資として運用するという、いまの仕組みについては、あの仕組みはあれなりで私はけっこうだと思っているのですが、そのやり方について、もう少しくふうをする必要があると実は私も考えておるわけでございます。  すなわち、どういうことかというと、この積み立て金というのは、被保険者——労働者ばかりではありません、会社のほうも出すわけですから、結局労使双方から出ている金です。それが将来の年金に充てられるべき金でございます。その間、積み立てられている間はできるだけ有利に回して、しかも、それは国民の福祉なり国民生活に還元されるように運用していかなければならぬ。実際そういうふうに運用されておるのです。  よく世間では、この厚生年金とか国民年金の金が産業関係のほうにいっているではないかとか、軍需産業のほうにいっているではないかというようなことを言う方がありますが、それはとんでもない話で、ちゃんと総ワクをきめておりまして、産業投資、さらに貿易投資には一文も出しておりません。一文も出しておりません。総ワクでがちっときまっておるのですから、そんなことは全然ありませんが、それでも、何ぼ私がそう言うても、何かというと、悪口という意味で言うのか、知らぬで言うのか、私もよくわからぬのですが、産業に使っているじゃないか、産業奉仕しているじゃないか、貿易に使っているじゃないかとよく言うのです。これは全然ありません。ありませんが、やはりそういう金でございますから、被保険者の意向を反映させるという努力は、これはしなければいかぬ。  それにはどうすればいいかということを実はいま考えておるのですが、ちょっともう少し詳しく申しますと、年金局長のところに、労使の方々、すなわち被保険者ですね、それと学識経験者の方方とで組織する私的な——私的というのも、役所につくるのですから同じことですが、公的な懇談会をつくりまして、そこで年金積み立て金はこういうふうに運用すべきではないか、来年は、総ワクといっても、こういう方面のワクに使ってもらおうではないか、こういうふうな意見を十分そこで御相談願って、その懇談会の会長が資金運用部資金の委員になる。これは、資金運用部資金の委員というのを学識経験者だけでやっているわけですから、そうすれば、そこで労使の意見でいろいろ議論がある、それをその懇談会の会長が——学識経験者が会長になるわけですから、その会長が資金運用部資金の審議委員になっていただくということであれば、厚生省で労使入れての意向がはっきりわかりますから、その意向を資金運用部において実現する、こういうふうな仕組みが私は絶対必要だと思っているのです。そういう形で被保険者の意向が反映されるようにしていけばいいのではないか。あとの全般的な運用は、いまの資金運用部資金の運用のやり方で私はけっこうだと思っているのです。  ただ問題は、意向を反映させるという努力、形式、それが一番大事じゃないかというようなことを私は考えておりまして、実は、この法律が通りましたら、あとすぐ、八月にでもなりましたら、来年度の予算の編成にすぐ入るわけですから、八月にもなりましたら、そういう仕組みをつくり、そしてその懇談会の会長が資金運用部のほうの審議会の委員に入っていただく、こういうふうにすれば、まあ少し回りくどいような話でございますが、私は被保険者の意向が十分反映されるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございまして、私のそうした気持ちも、大蔵省にはすでに伝えてある次第でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これはまあ一つの重要な努力だと評価したいと思いますけれども、何しろいまのこの政治は、いままでの高度経済成長から福祉へという大きな転換点に、しかも急テンポで変わっているわけですね。変わらざるを得ない。田中内閣も、そういうふうなことを公然と御主張になっておられる。こういう状況のもとで、具体的には、特にこの問題なんかに対して相当はっきりした、福祉を重視するというこの意思が明確に出るような措置が必要だと思うのです。  いまの、局長さんの諮問機関、どういう形か知らないけれども、そういうことをするのも一つの方法だと思うのですけれども、もっと高いレベルのものを考えてみたらどうだろうか。局長さんの諮問機関ということになれば、これは公正な意見であっても、非常に事務的な意見になるわけで、これもやりようによれば局長自身の裁量でもできるわけで、もっとこれを権威的なものに、いよいよ政府もその気になったなという印象を与えるものにするためには、もっと上部のそういう道具立てが必要だというふうに思うわけです。これについて総理のもとで厚生大臣が中心になる、少なくとも厚生大臣が責任を持った何かそういうふうなものができないだろうか。この積み立て資金は巨額のものですから、今後ますますたまっていくわけですから、この運用について大臣自身がはっきり責任をとる、つまり福祉への転換という大きな時代の切りかえを、大臣自身が責任をとるという趣旨のいまの審議会——審議会と言ったらあれですが、懇談会のようなものを、機動的で、しかも権威のあるものをつくっていくということが必要だと思うのですが、これはどうでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 こうした運用の問題については厚生大臣が責任を負うべきことは当然でございます。ただ所管が年金局の所管でございますから、年金局の、とこう申し上げましたが、年金局に置くのがまずいというなら私自身がやったっていい、実は私はこう考えておるのです。  これはやはり国民に対してそういう誤解を与えてはいかぬと思うのです。零細な金を集めて、そしてそれは現在全部福祉に使っておるのですから、産業などには一文も出しておらぬのですから。ところが、いろいろな誤解がある。だから、そういう誤解を消し、と同時に福祉優先にできるだけそういう金を、しかも直接福祉につながるように考えていく、こういうやり方をしなければいかぬと思いますから、私は局の懇談会と申し上げましたが、省全体というか、大臣の懇談会ということでも私は差しつかえないと考えておりますし、日にちを置いてその問題はもっと研究さしていただきたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 私がそういうふうに言うのは、この資金の運用というのは厚生省の全域にわたるわけですね。それは年金の問題は、年金局長が責任を持っているということもありますけれども、やはりその必要という面から見れば厚生省所管の全域にわたる。しかも厚生省の全域以外にも、文部省のところにも、自治省のところにも、いろいろあるわけです。そういうことですから、少なくとも厚生大臣がこの運用については責任を持つということをはっきりした形で制度的にも確立をして、大蔵省もそのつもりで、その発言を聞くという体制だけは最低必要だというふうに思うわけでございまして、ひとつぜひともその問題についての御検討をいただきたいと思います。  まだいろいろとありますけれども、定義としても、私は非常に良識的な御発言をいただいたと思っておるわけですけれども、この年金の問題で、特にいままで日本で一番欠けておると思われるのは、年金自体の総額が、いわゆるナショナルミニマムといわれる最低保障の額に達していないということは事実だったと思う。今回の法律案でその総額については、まあ部分的ではあるけれども、だんだんと近寄りつつある、大きな努力をしているということは評価はしていいと思うのですが、現在お年寄りである人、しかもこの積み立てをしてない人、この人の保障がいかにも少ないじゃないかという一般の世評は私はそのとおりだと思う。これは五千円という金額に端的に表示されているわけでございます。  大臣からのお話にもありましたが、確かにいままでの経過を見れば、これでもって生活ができるというものよりは、何かの足しにしてくださいという程度のお金であるけれども、この段階になって、つまり福祉中心という、いよいよ年金が登場してきたという段階になると、こういう問題については、先ほど来御質問しましたように、できるだけの措置をとっていただきたい。特に政府は五十年までに一万円年金と言っているわけですけれども、この一万円の額も、まあいままではしばしばそういうお約束で額も上げてきたこともあるのですが、これはやはり夫婦合わせて五万円という額に近づけることを標準に今後ともお考え賜わりたいと私は思うのです。  やはりわれわれが言う年金というのは、これは今後生活の最低保障ですから、直接最近の問題としては、六十七、八、九のこの谷間の人については、私は二千円とか三千円とかいうみみっちいことを言わないでほしい。この人たちについてはこれをあげたからといってだれも文句は言いませんよ。それは双手をあげて歓迎する問題だと思うのです。したがって、この年齢の該当者は、七十以上が五千円であれば七十以上と同じように、六十七歳以上から五千円だというふうなことをぜひともひとつお考え願いたい、こういうふうに強く思うわけです。  そして先ほどから申し上げているとおり、賦課方式への移行という問題を政府として意欲的に考えてみる。これは私は大臣からもかなり意欲的な答弁をいただいたと思うのですけれども、事務当局の発想になりますと、これは非常にむずかしいのですよ。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 年金局長から先ほどるる御説明いただきました。よくわかりますよ。これは非常にむずかしい。しかし、これはある時期に飛躍が必要ですね。そういうことですから、政府として賦課方式への移行という問題をぜひともひとつお考え願いたい。  と同時に、先ほどの基金の問題、これは当面の過渡的な問題として、五百万人の方が目の色を変えて言っている問題ですから、ぜひともひとつこれは善処方をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 枝村要作君。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 まず大臣にお伺いいたしますが、さきの委員会で、あなたは前の佐藤内閣とは違った意味で年金制度に取り組んでおるというようなことを言われたのでありますが、まあその国が福祉国家であるかどうかの目安は、その国の年金制度によってはかられるといわれるだけに、田中内閣が真剣に取り組むことをわれわれをはじめとする国民はひとしく望んでおるわけであります。  ところが今回提案された内容は、率直に言って、かけ声だけはたいへん勇ましいのでありますが、実は中身のたいへん乏しいものであるということが、この審議の過程で次第に明らかにされてまいっておりまして、国民は少なからず失望しておると私は思うのです。しかし、それでも多くの国民は、だからといって望みを全く失ってはおらないと思う。年金制度がいわゆる目先だけのごまかしでなく、長期の展望をもってこれは改善され、確立されていくであろうということを信じておるからだと私は思うのです。  そういう意味で、この委員会の審議を多くの人人は見守っておると思うのでありますので、政府はひとつ、自己の提案だけにこだわらずに、いろいろな意見を聞いて、それを参考にするなり、あるいは取り入れられるものなら取り入れて、そしてよいものにしていくという努力をしてもらいたいというように思うのでありますが、いかがなものでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先般も枝村委員の御質問にお答えいたしたと思いますが、わが国の社会保障が西欧先進諸国に比べまして劣っておりまする一番大きな問題は年金であるわけでございます。そこで、日本の社会保障を西欧諸国並みに近づけるためには、どうしても年金の充実をしなければならぬ、これは私は一番緊要な問題だと思います。そのほかの社会保障体系においても不十分な点はたくさんありますが、それはそれとして、一番はやはり年金の充実、そういうことであるわけでございます。そこで、実は今回五万円年金というものを打ち出したわけでございまして、確かに厚生年金のほうは既裁定年金受給者についても相当再評価をいたしまして上げましたから、大体の方々は五万円をこさなくても、四万一千円なり四万六千円という平均に出てきます。おそらくこれは来年あたり新規にやめられる方は五万円になる、こう思うのです。  そこで、問題は国民年金で、先ほども和田委員にもお答えいたしましたが、確かに選挙のときに、二十五年掛け金を納めれば、国民年金五万円になるのですよという説明はしなかった、そういう点は確かにまずい点もあったかなというふうに反省もいたしております。しかし、今回の法律が成立すれば、二十五年掛け金を納める方は間違いなく五万円になるというレールだけは敷けた、こういうことであろうと思います。  そこで、今日まで各方面の委員の方々からいろいろ御質問をいただきました。賦課方式に切りかえれば、もっと多くの金を早く出せるんじゃないかとかいろいろな御質問がありましたが、私どもとしては、よりよき充実のために今回の改正はその第一歩だ、この改正でおしまいになるのではないのだということで、私は今後とも年金の充実のために、これを第一歩として一つのレールを敷かれたわけでございますが、そのレールの上をさらにもっと早く走るように努力を続けてまいる、これがやはり日本を社会福祉国家に近づける道である、かように考えまして、今後とも精力的に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 まあ私どももいま政府で提案されたものを全面的に否定したり、あるいはごまかしだというような、一種の対外向けのことばだけで済まそうというそういうことではないんでありまして、評価すべき点は幾つかの点にあることを認めるわけであります。  しかし問題は、野党四党が提案しておりますものと政府のと対比していろいろものを考えた場合には、あるいはすぐそれを取り入れるということもできない問題もあるかもしれません。しかし、当面の問題として幾つかの問題が、また政府にその腹がありさえすれば、これを取り入れる部分もあると思うのですね。そういう問題に大臣を先頭として真剣に取り組むか取り組まないかという態度によって、やはり多くの国民が、あなたが言われた、いわゆる将来に対して、よりりっぱなものにするという、そういう政府の態度に信頼して希望がますます持ててくるということになるわけであります。  そういう意味で私がいま質問したわけでありますから、あとからまた締めくくり、途中でいろいろな問題の中でもお話を申し上げますけれども、そういう気持ちでひとつ審議に取り組んでもらいたいと思う。まあいろいろ同じような質問もあるかもしれません。長時間ですから、あなたもお疲れでありましょうけれども、ひとつがんばっていただきたいと思うのです。それで大臣だけじゃありません、ほかの方々も同じように御苦労さまでございますが、ひとつやってください。  まず第一に、公的年金制度は、これは原則的な話になるのですが、一体何を目標にするのか、何を政策ゴールにするのかという点について、ちょっとお伺いしておきたい点があるのです。それで何万円にしようとかしないとかというような前に、もっといま言いましたような点について、ここでやはり明らかにしておく必要があります。このような質問に対しては、答えはいつも同じような内容になって返ってくるわけでありますけれども、どうしてもこれはやはり何回でも聞いておく必要があります。  そこで私からいえば、この問題は一口でいえば、やはり社会的な適正な方式、言うなれば食えるだけの年金であるということでなければならぬと思うのです。食えるということの意味は、これは社会的に必然的にきまってくるわけです。したがって、社会的に見て妥当だと思われるものをいろいろ追求していく、この社会的な妥当性が、いわゆる一つのゴールであると私は思うわけなんです。そういう私の意見に対して、大臣はどういうふうにお考えになるかお答え願いたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 公的年金は、被用者年金であるとそうでない年金であるとを問わず、長いこと社会に尽くしていただいた方々、それは労働の面であろうが何であろうが、そういうふうな方々の老後の生活を安定させるということが私は基本でなければならぬと思います。その場合に考えなくちゃならぬのは、夫婦一体と考えて老後の生活の安定をはかる、これがやはり一つの考え方ではないかと思いますが、それならば具体的にその目標はどの辺に置くかということに私はなると思うのですが、どの程度が老後の生活の安定になるか、これは私はいろいろな考え方があると思うのです。今日までのなれた生活状況等も頭に描かなければなりませんでしょう。  そこで私どもが現在考えております標準の額は、国際的に考えれば常にすぐILOと出てくるわけでありまして、ILOの社会保障の勧告と申しますか、条約と申しますか、それによりますと平均賃金の四〇%を下らないようにというふうなことを言われておるわけでございます。そこで平均賃金の四〇%ということになりますと、私どもの厚生年金は、御承知のように標準報酬制を採用いたしておるわけでございますので、平均標準報酬の大体六〇%程度が、平均賃金で申しますと四〇%を下らない。これには御承知のように賞与とか何かを含んでない標準報酬制を採用しておりますから、平均賃金で申せば四〇%を下らない。それから厚生年金が採用しておる標準報酬ならば、平均標準報酬の六〇%、この辺が大体一致した線ではないか。そこで今度は国民年金のほうになりますと、これは種々さまざまな方々が入っておるわけです。農業に従事しておる方、あるいは中小企業に働いておる方々さまざまおられますので、そこで、そのほうの平均所得をとらまえて、どの程度という線を引くのも困難であろう。ですから、これは厚生年金に右へならえで、夫婦で考えてみれば、厚生年金のほうの平均標準報酬の六〇%というくらいのところにしておけば、国民年金のほうも、まあまあの線ではなかろうか、こんなふうに考えておるわけでございます。  しかし、私どもは必ずしもこれが最も理想的な姿であるなどということは一つも考えておりません。よりよき生活を追求するということは、人間として当然のことでございますから、さしあたりの線としては、その辺を考え、これを一歩としてもっと前向きに考えていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。文化の向上に伴いまして、この志向した考え方の線の引き方も上がってくる、これはもう当然のことだと私は思いますから、文化の伸展とにらみ合わせながら、経済社会の伸展とにらみ合わせながら、こうした考え方を基礎として進んでいくべきではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いまのお答えは一般的な答弁にすぎぬのでありまして、私の言おうとするのは、期待しておるのは、そういうふうに国際的にもいまとられつつある全産業、全労働者の六〇%、これが採用され、あるいは保障として四〇%を下らぬということ。これはしかし、根本は先ほど言いましたように、社会的な適正な方式にそれが合っておるかおらないかということなんですね。いまの段階では、それがいわゆる合っておると見られての一定の線がそこに引かれたと思うのです。その根本は何かという質問なんです。それは食える年金であるかないか、年金というものはそういうものではなかろうか、こういうことなんです。  それから、年金制度は生存権の保障だから、同時に、それをささえるものは社会的な連帯と世代間の合意が必要であるということは、もちろんわれわれはよく知っています。だから、もう一度聞きますけれども、年金制度というものは、ただお情けにちょいと出すというものでなくして、根本的にはその目標、ゴールはやはり食えるだけの年金でなければならぬという、こういうことに対してあなたはどうお考えになっておるか、こういうことなんです。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 食える、食えないというのは、私もよく理解しかねますが、お情けによるような年金であってはならない、これは確かにそうです。憲法で定めるところの健康にして文化的な生活を営み得るような考え方に立ったものでなければならない、こういうふうに私は理解をいたしております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 そこに、いまの政府とわれわれとの間に若干のズレが、若干じゃない、大きくあるかもしれませんがね。とにかくわれわれが先ほど言いました生存権の保障である、たとえば人間の寿命が七十二歳が大体平均だとされておりますれば、十八歳から六十歳までつとめる、四十二年間つとめるんですね。あとの十二年というものは当然国家が保障する、いわゆる公的年金によって生活を送る、それは、いわゆる食える年金だ、こういうふうなものの考え方を持つわけです。  ところが、あなたは、どうしてもそれに触れたがりませんのは一体何か。それは政府は、そういう公的年金だけで老後の一切の生活保障をしてやろうという根本的な思想、考え方がまだどうしてもないのではないか。あるいはそれは、たとえば生命保険とか貯金など、企業年金その他のいろいろの老後の保障を約束するような制度があります。それに対して政府がいろいろな形で奨励したり保障したりしておるのですが、やはりそれにたよって、めいめいやりなさいという思想があるために、この公的年金制度に対する根本的なわれわれとの意見の相違があるし、早く言えば、だから本気にならないという怠慢が政府の中には出てきておるのじゃないか、こういうふうに思うわけなんですよ。  おまえが悪いと言われれば、それはしかたがありませんけれども、悪いように思わせるのは、今日まで政府のとってきた態度なんです。それを根本的に改めない限りは、何ぼいいことばを言われても、先ほど言いましたように、国民は安心して政府にまかして、そうして年金制度にたよっていこうという、いわゆる安堵感というものは生まれてこないのじゃないか。そして、きょうあたりの読売新聞の世論調査によりますれば、老後の安定の問題で、年金なんというものは——いろいろな問題が出ておりますが、それは出ようにもしようがないほどお粗末だから出ないのであって、あれがある一定の程度まで出ておったら、これは問題にしてもう少し上げなければならぬとか、高く引き上げろというようなことが出るのでしょうけれども、その余地がないほど問題にされておらないというところに、むしろ私は問題があるような気がするのです。その点をいま聞いておるのです。どういうものですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 確かに仰せのごとく、現在、年金というものを考えてみたときに、すべての国民は老後保障は年金に、こういうふうな意識が薄いということを私は認めざるを得ない現実だと思います。しかし、私どもはそういうことで満足してはならない。先ほど来申し述べておりますように、老後の生活というものは公的年金によって保障されなければならない、しかもそれは健康にして文化的な生活ということを標準にしなければならない、そういう方向に私どもは向かっていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、お述べになりましたように、世論調査において、たとえば、老後の保障は何によるか、年金ですよとなるように、私どもも努力をしていかなければならぬ、確かにその点においては、今日までの一万円年金から二万円年金、これはもうわんわん言うても問題にならぬのですね。夫婦で二万円、そういうふうなことで、確かに国民の年金に対する認識は薄かったと思いますが、老後保障は年金によるというくらいのところまで私は努力をしていかなければならぬ。  そういう意味において、先ほど申し上げたように、今回の改正はもとより理想的なものではないと思いますが、そうした方向に向いての非常に大きな第一歩であると、私はその点は信じております。ですから、この一歩をさらに二歩、三歩進める、こういう方向に今後とも私は努力していきたい、こういうふうに先ほど来お答えをいたしておるわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いま私が言いましたような意見は、これは単に社会党や私個人が言っているのではなくして、いわゆる今日の年金ブームといわれる中では一般的な常識的な考え方でありますから、いまあなたもお答えになりましたように、これは十分取り入れて、根本的な、やはり年金そのものの目標というものに対して取り組まなくてはならぬと思うのです。  そこで、そういう立場からして、現行の公的年金制度の重要な欠陥が幾つかあるのですけれども、その中で特に五つほど私はあげてみますから、これに対して一つずつお答えを願いたいと思うのです。  それで、まず第一に大きな欠陥の一つは、年金の絶対的、相対的な水準が非常に低い。先ほど和田委員も言っておりましたように、国民の最低生活、いわゆるナショナルミニマムさえも保障する役割りを果たしていないということがまず第一にあげられるわけでありますが、これに対して大臣は率直にイエスかノーかでいいですから、あまり理屈を言わずにお答え願いたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 ただいま先生御指摘の、年金の絶対的、相対的水準が低く、ナショナルミニマムさえも保障する役割りを果たしていない、これはいろいろ考え方があろうと思います。それで、そういったことではよくないので、今回、相当大幅な改善をする、率直にいえば、そういうことだろうと思いますが、ただ問題は、年金によってカバーする老後生活の部分というものはどの程度のものかという点につきましては、これは世界各国の例を見ましても、いろいろございます。すべてが年金によってカバーされなければならないというものでもない。そのほかにいろいろな社会保障関係の施策がございます。  日本の場合で申しますと、たとえば医療費につきましては老人医療費の国庫負担というふうなことで別途に処理されておりますから、したがって、年金でもって老人の疾病の部分までカバーする必要はない、そういうものはいろいろなからみ合いがございますので、年金のナショナルミニマムというものが、いかがなものであるかという点については、これはいろいろ議論があり得ると思います。  ただ、その点につきましては、年金の専門的な審議会でもっていろいろ御議論をいただきました結果、御提案申し上げておるように、平均標準報酬の六〇%程度を年金でもって保障するのが、これから先の年金の水準として適正なものであるというふうな御判断でございましたので、そういうふうな改正を仕組んだということでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 どんどんいきます。  その二番目には、国民皆年金制度ができておるのですけれども、現在、最も給付を必要とする老人の大半が本格的な給付を受けるに至っていないということは率直にお認めになりますね。——だから今回の法改正もするとかいうことでしょうけれども、それにしてもまだまだ、いま言われた、指摘したとおりであるということは、これは率直に認めますね。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 国民皆年金制度ができましたのは、御承知のように昭和三十六年でございますので、皆年金体制に入りましてたかだか十二年でございます。したがいまして、その国民皆年金のスタートを切りました、その国民年金制度につきましては、まだ本来的な受給者が出ておらないということがございます。それから、厚生年金につきましても、昭和十七年にその前身の制度ができまして、その後二年たちまして現在の厚生年金制度が発足したわけでございますが、年金制度は、先生御承知のように、相当長期にわたって被保険者としての実績を積み重ねて、その結果受給者になる息の長い制度でございますので、実はわが国の場合には、率直に申しまして、世界各国と比べますと、そもそも本体になった厚生年金自体もあまり歴史は古くないし、ましてや皆年金体制になったのは昭和三十六年であるというようなことから、お説のように本格的な給付を受ける老人は非常に少ないということは事実でございます。  したがって、そのようなものを防ぐ方法といたしまして、全額国庫負担による福祉年金制度というものを併用いたしておるわけでございますが、この福祉年金の問題につきましては、それによってあらゆる老人生活をカバーするというものではございませんけれども、他のいろいろな施策と相まちまして、相当老人の生活のよりどころとして、よりがいのあるものに仕立てていく。  それからもう一つは、受給制限の問題につきまして、たとえば昨年までは二百五十万程度の収入のある子供さんがいらっしゃいますと、その方には老齢福祉年金はいかなかったわけでございますが、それを六百万円までに引き上げることによりまして、相当受給の対象者をふやすとか、そういった俗にいわゆる年金の成熟化の問題につきましては、いろいろな手を講じているわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いろいろお答えになりましたけれども、老人に対する年金の水準については、全くといっていいほどお粗末であり、改善が加えられていないのです。とりわけ無拠出の年金などは、でたらめにもほどがあるほど大きな格差があるということが現実の姿なんです。つまり、拠出したかしないかで老後の生活保障をきめるというところに、やはり根本的な問題があるというように思うのですね。しかも、これは私が言わぬでも、拠出したかしないかは、そのときのいろいろな事情であったのですから、たまたま老齢であるという理由で年金に加入できなかったという制度的な欠陥事情だけであって、本人の意思とは全然無関係であったのですね。しかも、現在における老人の置かれておるいろいろな地位、立場あるいは経済的なことを考えたときに、むしろ私は、福祉年金にウエートをかけていくというくらいの政策の配慮が必要だというように思うのです。その点についてはお答え要りませんが、そういうことで大きな欠陥がここにはあると思います。  三番目は、各年金制度がいろいろ分かれておりますね。分立しておる。相互の調整などがたいへん不十分である、そうして給付格差が大きい、こういうことなどから、各種の年金をめぐって全般的に公平性というものが維持されていないという点がやはりあげられると思うのです。その点についてどう思いますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 御指摘のように、現在のわが国の公的年金制度は、制度で申しますとおおよそ八つの制度に分立いたしております。それで、率直に申しまして、どちらかと申しますと、非常に古くからございました役人関係の年金に比べまして、民間の年金、その大宗をなす厚生年金というものが相当底辺部にあったことは事実でございます。そういうふうなことから、今回の厚生年金制度の改正を機といたしまして、いわゆる官民格差となる不合理な水準の差というものはほとんど解消するものと考えております。  ただ、問題は、八つの制度に分かれておりますと、どのようにその水準をそれぞれの年金について引き上げることをいたしましても、その間の完全な斉合性を保つということは非常にむずかしい問題でございますので、遠い将来のことを展望いたします際には、制度をできるだけ一本化に近いようなかっこうに持っていく必要は、おそらくあるだろうと思います。  ただ問題は、それぞれの制度がそれぞれの必要に応じてできておりまして、それぞれ何年かの歴史を持っておりますので、いま一挙にそういうことを無視いたしまして、ただ単に一本化ということを考えても実現は不可能でございますので、各制度につきまして、共通の問題は共通の視野からできるだけ不合理な格差をなくすというふうな努力をいたす必要があろうかと思います。たとえば、年金のスライドの問題につきましても、今回厚生年金では自動的に物価でスライドするような仕組みを導入いたしましたけれども、これは共済の関係では、いますぐそれと同じような体制にするということは、なかなか困難な問題があるというようなことで、いまの時点で考えましたときに、そういう各制度間のどちらかといえば不合理な格差が完全に解消しておるということではございませんけれども、できるだけこういう不合理な格差は逐次是正いたしてまいりまして、一本化をするに至らずとも、国民全体に対する年金による給付というものが合理的に斉合性を持つような形に努力を続ける必要があろうかと思います。今回の改正は、その第一歩であるというふうに私どもは認識いたしております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 四番目には、社会経済の変動に対応できる仕組みになっていないということなんですね。そこで、今回スライド制が採用されておるのですけれども、それにしても、物価スライド制だけでは、ほんとうにいまの変動に対応できる仕組みになるかどうか、そして年金の生活安定機能が、そのことによって十分に果たされるかどうかという問題がやはりあるわけですね。これは私は、あとから質問はスライド一本にしぼって行ないますから、そのとき十分話し合いをしたいと思うのですけれども、その点が四番目の欠陥として指摘されるわけですが、どうですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 年金は、長い間の被保険者期間を経過いたしまして、受給者になって受給を受けますと、全生涯を通じてその年金の受給者でございます。したがいまして、相当長期にわたってものを考えなければいけませんので、経済変動等によりまして年金の価値そのものが目減りをするようなことがあったのでは、年金として非常に欠陥のある年金制度でございます。そういう見地から、今回厚生年金につきましてもスライド制を導入いたしたものでございまして、これがスライド制として実際に回ってまいりますと、厚生年金の水準なるものも、その意味では年金らしい年金の姿を長きにわたって保つものと考えております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 五番目として、積み立て金の運用などが制度運用に民主的体制を欠いておる。これはしばしば指摘されるところであります。そして制度や方法が非常に複雑なために、だれもが自分の年金を自分で計算することができないという欠陥があるわけなんですね。これはお認めになりますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 年金の計算自体が非常に複雑で、自分の年金がどれくらいになるか計算できないという点、これは私も率直にそういったことは困ったことだと思います。  ただ、問題は、厚生年金について申しますと、定額制と報酬比例制というものがございまして、定額制というものは、御承知のように、所得の再配分機能、それからまた年金の最低保障の機能、そういったものをあわせ営むということになっておりますし、また、年金自体が、被用者年金の場合には、大体各国とも定額制一本ではございませんで、やはり従前所得というものについて何がしかの水準を年金水準として維持させる、こういうことになっておりますので、その組み合わせ方式になっております。  したがって、自分の年金が幾らであるかということを直ちに計算できないという点についてのデメリットはございますけれども、だからといって現在の厚生年金のこのしかけ自体をどのように単純化するかという点につきましては、いま申しましたように、いろいろな機能をあわせ営ませております関係上、簡単にわかりやすい年金額の表示ということは、なかなかむずかしいので、将来できるだけわかりやすい年金に変えていく努力はいたしますが、いまさしあたって、どのようにしたらどうなるかという知恵がないのが現状でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いま言いました五つの大きな欠陥、これも一般的に指摘されておるところです。政府もその欠陥を認めざるを得ないのでありまして、その立場に立って今回の年金制度に対する取り組みが行なわれておると思うのです。とりわけいまの老人に対する年金制度というものは全くお粗末しごくでありまして、そのために多くの人々があすの生活にも困るといった状態に置かれておりまして、そしてこの年金制度を審議するわれわれに対していろいろな陳情の手紙などがたくさん来るわけです。私はここで一つだけ紹介させていただきたいと思います。  これは東京の大田区のある人から来たのですけれども、「いまの年金では生活できない」という訴えなんです。「私は六十八歳で年金の谷間におかれています。かなりの高血圧なのですが、このとしになっても一銭も年金をもらえません。このことはなんとしてもしかたがないのでしょうか。同じような状態の人が全国に何十万人もいるはずです。現在、福祉年金は七十歳から三千三百円、今秋から五千円になるのですが、これは涙金であり、生活できるはずがない。老人の生活はどうやっていきていくのかわからないところまできています。先程のべた谷間の人達、年金をかけてない人も含めて、ぜひ一万円すぐにだして欲しい。それでなければ私達は生活できないのです。」こういう訴えなんです。政府も、単にこういう手紙が来たとか来ないとかいうことで聞き流すのではなしに、ひとつ真剣に考えてほしいと思います。  それではスライド制の問題について質問をしてみたいと思います。  今度の改正でスライド制が導入されたということについては、各界とも一応評価をしておるところであります。その意味では、私どもも御努力に対して感謝をいたします。しかし、どうせスライド制を導入するのであるならば、先ほどもちょっと言いましたように、これは魂のしみ込んだものにしたらどうか、こういうふうに思うのです。だれが見ても、スライド制がしかれて、ほんとうによかった、社会の変動に適応できるものだ、しかもちゃんと、自分は今度こうなったら、これだけ年金がふえるんだ、引き上げられるんだ、そういうものにする。早く言えば、われわれの言うように賃金の自動のスライド制を導入しないか、こういうことなんです。この要求は、われわれが国会のこの場を通じて言っているだけでは決してないのでありまして、これは多くの国民の、大げさなことばで言えば圧倒的な要求だと思うのです。それは政府はもちろん、大臣も承知されておると思うのです。ですから、この問題について、ひとつ十分審議をしていきたいと思います。  そこでまず最初に、外国ではこのような制度は早くからとられておるように思うんですけれども、特にフランス、西ドイツ、イタリア、スウェーデンなどの年金制度について、これがどのようになっておるかということを、ひとつ教えていただきたいんです。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 各国とも実にいろいろなスライドのやり方をやっておりますが、二、三各国の例を引用させていただきます。  まずスウェーデンにつきましては、物価指数が前回調整時に比べて三%以上変動した場合にそのつど年金額を調整する。それからイタリアは、生計費指数が一年間に二%以上変動した場合に翌年の一月分から年金額を調整する。一年間に二%以上の変動がない年には翌年まとめて調整する。カナダは、消費者物価指数が一年間に一%以上変動した場合に翌年の一月分から二%の限度内で年金額を調整する。デンマークは、年金物価指数が前回調整時に比べ三%以上変動した場合にそのつど年金額を調整する。それから西ドイツは、専門委員会の勧告に基づき、経済成長率、労働生産性、就業者一人当たり所得等を考慮して法律により毎年年金額を改定する。これは要するに自動的じゃございませんで、毎年法律をかえていく。それからフランスは、前年の傷病手当金の平均額の上昇率に基づき定める増額係数によって毎年年金額を改定する。こういうようなことでございまして、いろいろのやり方がございます。  それで、今回改正案で導入いたしましたスライド制は、賃金か物価かというふうに賃金と物価を対置させまして、それで物価を採用して賃金を排除したというふうな誤解をよく受けるのでございますが、決してそのようなものではないのでございます。要するに年金額の実質価値が自動的に維持されるために自動スライドを実施する、その場合の指標は消費者物価指数である、こういうことでございます。それで同時に、原則として五年に一回行なわれる財政再計算期におきましては、従来同様年金額の全面的な改定をする。このたてまえは同時に維持いたしておるわけでございます。  したがいまして今回改正でおわかりのように、再計算期においては非常に大幅な改正が行なわれる。しかも今回改正は、厚生年金について申しますと、財政再計算期五年を一年早めまして四年目の改正でございますし、それから厚生年金と国民年金を水準においてリンクさせる関係上、国民年金につきましては、再計算期を二年早めまして、三年目の改正をいたしておるわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 まあ外国のは物価、賃金いずれもスライドを非常に早くからとっております。だから、いま相対的に日本の年金水準が低いのは、早くいえば、こういうスライド制がしかれてないところにあるといってもいいのではないかと思いますね。だから今日とられておるのは、むしろおそきに失するというように思っております。  先ほど説明がありましたように外国の例を見ましても、賃金スライド、それから物価もあわせてやっておるところがだいぶ多いようでありましてね。そうなると日本の場合も、いまおくれておるこの低い年金水準を高めるためには、諸外国の例もありますように、日本の場合、物価だけのスライドではたしていいものかどうか、こういう問題にもなってくる。むしろおくれているだけに、いろいろ事情はあろうけれども、賃金自動スライド制も入れて、この年金制度を確立していくほうがいいのではないかというように考えられてくるわけなんです。  そこで物価スライドを今度とられるわけなんですけれども、これにも私は若干問題があると思います。この物価スライドを行なう場合に、その基準となるものはどこに求めるのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 基準となる物価指数は、総理府において実施いたします消費者物価指数をとりたいと思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 問題は、そこにもあるような気がするのです。なぜかといいますとCPI指数のとり方が、私どもから見ると、きわめて政策的に低く押えられる傾向があるように見受けられるからなんです。その点については、私のほうから一方的に言うのもおかしいのですけれども、どう考えてみても、そのようにしか思えないのです。  それで、その理由はたくさんあるわけなんですが、一番問題は、消費者世帯の中には、労働者世帯も経営者世帯も込みで抽出されているわけです。しかもここでいうところの世帯は、単身者世帯は含まれていないということです。老齢年金をもらう人の中には、ほとんど単身世帯が多いのじゃないかと思うのですね。そうすると、これらの人々の生活の構造というものが全然この指数の中には反映されてこないことになるのではないか、このような疑惑が当然のように生まれてくるわけなんですけれども、これは厚生省として、どう思いますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 御指摘のように、消費者物価指数の調べ方と申しますのは、日本において平均的な世帯の規模、そういったところで一体どういうものをどのように調達しておるか、平均的な世帯構造を対象にして調べておるわけでございます。そういうことで、世帯主の年齢が約四十歳、それから世帯の規模が約四人、こういうふうなものを標準的な世帯として、それを対象に、そこでもって購入いたします重要な商品、サービス、料金を四百二十八品目選んで調べておるわけでございます。  したがいまして、御指摘のように老人世帯だけを抜き出して云々というのではございません。現在の日本における平均的な世帯を対象として見た場合に、そこで調達する商品なりサービスの物価指数というのはどうなっておるか、こういう調査でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 それで二番目に言えるのは、いわゆるウエートのとり方で、持ち家世帯の比率が非常に高くなっておるのですね。それから家賃や間代のウエートというものは極端に低くとられておるようですね。それからその次には、いま一番問題になっておるのは、家計調査には住宅購入がいわゆる投資とみなされておるわけですね。これは消費支出には含まれていないわけなんです。これはいまの世の中では、国民生活とあまり合わないような気がする。こういうことなどを見てみますと、総理府統計局が作成しておる消費者物価指数は、どうも先ほど言いましたように統計的な欠陥があって、そうしてこれを基準にする物価スライド制を採用されると、それでなくてもどうも疑わしいというのに、さらに低くやられる、こういう懸念が十分あるわけですね。それが第一です。  そこで具体的にお聞きするのですけれども、今度物価スライド制を取り入れます。これは四十九年から行なわれるのですか。そうする場合、これによって給付のいわゆる支出増加額は、ここにいう四十九年から、あまり長く言わぬでもいいのですけれども、大体どのぐらいの推定になるか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 四十九年の十一月からこのスライド制を実施するわけでございますが、これを実施した場合に、当該年度どれぐらいの歳出増になるかという点でございますが、四十九年度について見ますと、給付費の一%相当額が七十四億円でございます。これは厚生年金、国民年金を通じまして七十四億円でございます。したがって、何%上げることになりますか、それによって自動的にこの金額がきまってまいります。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 たとえば物価が五%以上という場合に、五%の場合には幾らになるのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 三百七十億円でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 五十五年には、どのくらいになるのですか、たとえば五%の上昇で。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 五十五年でございますと、現在が四十八年でございますから、その間に通常の形でまいりましても一回財政再計算期が入ります。したがって、給付レベルがどうなるかという前提を見つけることが非常にむずかしいので、なかなか金額はすぐには計算できないわけであります。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 再計算期の問題を入れずにですね。それはわかるでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 御必要でございましたら、いま大まかな計算をさせまして、でき次第御報告いたします。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 賃金スライド制の場合、あなた方は頭から考えていないから、そんなことは知らぬと言えばそれまでのことですけれども、これがやはり今日の社会情勢の中で、たとえば賃金上昇率が一五%、そうだとすれば、これも物価スライドと同じようにそのまま適用されていきますと、五対一五ですから三倍、こういうことになりますね。そういう計算の方式で支出増というものは見ていいのでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 賃金スライド制の場合には、全体の勤労者の平均賃金をとって指標にするのか、あるいは一定年齢層の上昇率をとって指標にするのか、まずその問題がございます。それで、年金の場合には御承知のように老齢者の世帯でございますので、老齢者の世帯の生計費なるものが、若年労働者を含めた全体の勤労者の賃金上昇率に即応して引き上げるのが、はたして妥当なのかどうかという問題があるわけでございます。  そんな関係がございますので、賃金スライドの場合には、どの上昇率をとるかということは、はなはだむずかしい選択の問題であると思います。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 財政再計算期におけるいわゆる改定、引き上げは一体何を基準にしてやられますか。これは一種の賃金スライドという——賃金スライドじゃありません、賃金が上がったから改定していくんでしょう。その基礎基準ですが、どこに求めているのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 財政再計算期における年金額の改定につきましては、これはいろいろなやり方があるわけでございます。それで昭和四十四年の改正の際は、御承知のように昭和三十二年十月以前の標準報酬をすべて切り捨てまして、それ以降の平均の標準報酬でもって年金額を計算する。要するに古い時代、特にインフレのひどかった時代の標準報酬を切り捨てまして、それ以降の標準報酬をなまのまま使って平均値を出して、それでもって年金額の改定をいたしたわけです。  今回の改定につきましては、御承知のように定額部分につきましては四百六十円を九百二十円、それから報酬比例部分につきましては、昭和三十二年十月以降の標準報酬につきまして再評価をいたしまして、なまのままの数字ではございませんが、現時点での平均標準報酬との対比において再計算をして、その結果の平均を出してそれを年金額の基礎に使う、こういうやり方をしたわけでございます。  これから先、財政再計算期においてどのようなやり方でもってこの年金水準の引き上げをするかということにつきましては、そのとき最も適当であるという方法を選択するわけでございますが、今回の再評価の手法なるものは、どちらかといいますと、賃金あるいは生活水準と申しますか、そういったものを可能な限り反映するような方法によって改定を行なっておるということは、いえると思います。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 では、やはり賃金の上昇率に見合う改定を行なうのでしょう。いままで長いことおっしゃいましたけれども、はっきり言えば再計算期における改定の根拠は、賃金が上昇したということを大きく参考にして、あるいはそれを基準にして改定、引き上げを行なうのでしょう。そうではないのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 その点は、この次の再計算期においてどのようなやり方をするかは、そのとき判断すべき問題だと思いますが、その時点におきまして賃金の上昇が相当に大きいというような場合には、改定の要素の中で賃金を基準として改定をすることに相当の比重がかかるであろうということはいえると思います。今回の再評価の手法は、賃金そのものではございませんで、標準報酬を現時点のものと古いものとを比べて、そこで再評価をいたしておりますし、それもそのまま、なまには使っておらないわけでございます。  先ほどもお答え申したわけでございますけれども、被保険者集団の年齢の老齢化の問題でございますとか、あるいは標準報酬の上限を行なわなかった時期についての修正の問題でございますとか、いろいろそういった修正をすることによりまして適正な再評価をいたしておりますので、賃金によるスライドに非常に近いということはいえるかもしれませんが、賃金そのものを使ったものではないということです。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 そうしたら、主として読みかえとかいわれるようなものによって行なったということですね。  いまからの話になるのですけれども、賃金スライド制を採用、導入するということになった場合には、いろいろその統計が出されております。人事院もありましょう。労働省の毎月勤労者賃金統計などもあるわけですけれども、一体どこのものを採用し、どこに基準を置くかということが、まず考えられなければならぬと思うのです。それでいま厚生省として、もしそうなった場合には、どこに置くというふうにお考えになりますか。  それともう一つは、今度はあらためて再計算期が来ますが、その場合には単に読みかえだけではなくして、賃金水準に、賃金に見合った引き上げをしていくということになれば、どこかのものをやはり引き合いに出してやっていかなければなりませんが、その場合に、いま言いました、どこを採用して基準としていくかということが当面出てくるわけですけれども、どういうふうにお考えになっていますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 賃金スライドをやるといたしました場合に何を基準にするかという問題でございますが、この問題につきましては、賃金の上昇が相当激しければ賃金を考慮する比重が高くなるということはいえますが、賃金スライドそのものを再計算期において実施するかどうかということは、やはりその時点になっての判断の問題でございますので、どの賃金の指数をその場合に選択するかということは、ちょっとただいまの段階ではお答えしづらい問題でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 それはひとつ別におきましょう。  そこで問題は、いま説明がありましたように物価スライド制を導入された四十九年の段階で大体三百七十億の支出増加になる。賃金スライドが導入された場合には、たとえば一五%の上昇率を示す、その場合には、労働省の統計を採用してそういう数字が出た場合、三倍ですから一千百十億円の支出増加になる。ですから結局物価スライド制を採用する、賃金スライド制を導入するということによって、いわゆるその要するお金はあまりたいしたことはないということになるわけなんですね。三倍は三倍、四倍は四倍ということなんでしょうけれども、全体から見て、あまりたいしたお金は要らないということになってくるわけなんです。  そこで大臣にお聞きしたいのは、賃金スライド制を導入しないという理由が、いままでの質問の中で幾つかお答えになりました。その中で、財源がないことを理由にされたことはないわけなんですね。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 自動スライドの指標を賃金にするか物価にするかの判断をいたしました際に、財源の見地から物価を選んだと、そういったいきさつはございません。これは先ほど来申し上げておりますように、年金は受給者になってから全生涯を通じて受けるものでございますので、その期間において実質価値を維持するためには、いかなる方法をとるか、そういうふうな純粋な立場から消費者物価指数を指標にするというふうな選択をいたしたわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 財源を理由に賃金スライド制を導入しないということは、いままでも言ってないし、実際には積み立て金が何兆円とあるのですから、金は幾らもあるということになる。そうすると、ほかに理由があるわけなんです。その理由は、自民党側も言いましたし、あなた方のほうも言ったと思うけれども、もう一ぺん、私の口から言わせずに、あなたのほうから言ってください。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 自動スライドの指標として賃金スライドをとらなかった理由は何かというお尋ねでございますが、いろいろございます。  まず最初に御認識いただきたいのは、厚生年金の適用事業所は千差万別でございます。業種により、職種によりいろいろバラエティーがございますし、大企業、中小企業あるいは零細に近い企業等もございます。そういうことで、賃金の上昇率などというものも、非常にばらつきが多うございます。それからまた、職種、業種によってのばらつきはもちろんある。それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたが、年金水準に導入するスライド制の指数といたしましては、年金生活者は、先ほど先生も御指摘のように、老齢者でございます。その老齢者の年金水準を上げ下げする指標に、一体どの年齢層の賃金の上昇率なり下降率を使ったらいいか、その選択の問題もございます。  いろいろなことがございまして、少なくとも自動スライドの指標としては、賃金を採用することは無理であるという結論に達したわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 企業にそれぞれバランスがあって、そして、たとえば一五%、一七%年金額をアップすると、現に働いている人が一〇%の賃金アップで、一つ違いでやめた人と働いておるという人が引き続いておりますから、そこにはたいへんなアンバランスがあったり矛盾も起こってくるという、そういう例なんですね。だから、そういうこともあって、この賃金スライド制というのは、今日の段階では、まだなお十分検討する余地がある。こういう理由なんですね、早く言うと。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 どうも私の説明が舌足らずで、なかなか御理解いただけないようでございますが、要するに、自動スライド制の指標としては、賃金を採用することは無理である。しかし、財政再計算期におきまして年金額を全面的に改定いたします際に、その時点において賃金の上昇というものが相当のウエートを占めるということであれば、それなりのウエートをかけて改定の作業をする、こういうことでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 だから、全面的否定だと私は言っていないのです。だけれども、全面的に採用できぬのは、そういうことだ。そういうことですね。そこにやはりわれわれとしては、問題点がある。それは橋本理事がそういう意味のことを八木提案者に質問した中でも、はっきりいたしましたが、しかし、それは、われわれから言えば、きわめて問題の多いところでして、今日の大体の構造そのものに大きな欠陥があるわけなんですから、それ自体を改めていくのは、もちろんですけれども、だからといって改めるまで、この賃金スライド制を採用せずにおくことによって、ますます年金制度そのものを、やはり水準を低めていく。それから老後の生活安定により多く役立つような年金制度を放棄するというような結果になっていく。また、そういう大きな別の矛盾、欠陥というものがあらわれてくるというように思うのです。  ですから、むしろそういうのは一つの理由であって、最大の問題ではないと思います。できない最大の理由ではないと私ども思っておるわけでございます。むしろ厚生省は、そういう年金制度をそういう意味で水準を高めていくために、賃金自動スライド制を採用して、そうして企業の大小のアンバランスそのものをそこから直していくという、そういう先導的な、前進的な役割りを果たしてやるという、現につとめておる人たちまで、年金制度の拡充によって、賃金そのものまで、いいところの高水準、格差のないところまで引き上げていくという、そういう政策的な考えまで及ぼして取り扱うべきではないかというように考えております。いまの皆さん方の考え方では、現状維持のままでいくということによって、そういう人たちをも犠牲にしておる。そういうことであっては、一つも進歩はないような気がするわけなんですね。だから、そういう考え方は、ひとつやめてもらわねばならぬと思います。そこには進歩性がないからです。  そこで、あなたのほうでは、賃金自動スライド制はとらないけれども、しかし財政再計算期ですか、その時期には、それをも加味したものを入れて、そしてやりますということを公式に言われております。と同時に、大臣も、この前の四・二七のストライキ収拾のときの七項目合意の付属みたいな申し合わせの中に、そういう意味のことをおっしゃいました。これはここでも答弁されたように、賃金スライド制の実施については、御要望の趣旨は理解できるので、財政再計算期等を早め、賃金、物価、生活水準等の動向にマッチするよう考慮する、こういうふうにおっしゃったわけなんです。  そこで、私は端的に聞くわけなんですが、そういうお考えがあるならば、いまの五年以内というのを四年か三年か二年——一年といったら大体賃金自動スライド制になるのですからね。一番近いのは二年か三年か——四年じゃあまりたいしたことはないわけですから、三年か二年かということになるのですが、できれば、思い切って一年、いま言ったように、自動スライド制に率先して政府が踏み切ってくれることによって、多くの国民の期待が裏切られずに、信頼感が高まってくるでしょう。こういうように思うのですね。  しかし、それがどうしても当面すぐできぬとすれば、その縮める時期を何年にするか。縮める時期を三年にするか二年にするか、こういうことになるのですね。その点を明示して、縮める年を明らかにしてもらえば、私どものいまからのいろいろな参考になると思うのですけれども、できませんか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 これは先ほど来のいろいろな質疑応答でいくならば、毎年は、物価スライドによって貨幣価値の減価を防ぎ、そして貨幣価値の減少を防ぎながら水準等の問題については、財政再計算期において、必要があれば改定をしていく、その際に、賃金なり生活水準なりを十分に反映させるようにしたい、これがこの法律のたてまえでございます。したがって、この法律は、物価スライド制を本体としながら賃金スライド制も加味している。こう私は評価していいと思うのです。  そこで、との財政再計算は法律で五年以内、こうなっているのですね。これは前々からです。ところが、現在提案しておる法律は四年ですね。五年待たないで、四年でやる。こういう水準改定をやっているわけでございます。  それから最近における賃金、物価の上昇というものは相当きびしいものがあるということであってみれば、四年より早めるというのは、私は当然のつとめだと思うのです。現在ですら四年なんですからね。ですから、四年を縮めるということが適当なときじゃないかと思うのです。しかしながら、まだこの法律も施行にもならぬうちから、二年目にやります、三年目にやりますということは、やはり言えないのじゃないでしょうか。もう少したって、賃金なり物価の上昇の状況、そういう経済の状況の推移を見なければならない。法律施行後の賃金、物価その他の経済状況の推移を見ながらやっていかなければならない。これは私は御理解いただけると思うのです。  したがって、現在の法律ですら、四年で水準の改定をしておるわけですからね、それよりも早めたいと思っているのです。早めるように努力しなければならぬ、早めなくちゃならぬと思いますから、四年未満であることは、私は確かだと思います。しかし、それが二年目になるか三年目になるか、それはいまからはっきり申し上げることはできないのではないでしょうか。これは私は十分御理解いただけると思うのです。まだ法律も施行になっておりませんし、その施行後の賃金、物価、その他経済状況の推移、これを頭に描きながらやらなければなりません。しかし、いまのような状況が続くならば、四年待っているなんということは、私はできないと思います。やはり年金の充実のためには、それよりは早めた期間において改定を行なう、これは私は政府として当然のつとめではないか、こういうふうに考えております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 物価スライドではもう生活の実態には実際に合わぬということは、結局認められるわけなんですね。結局、五%上昇しなければ、その年はスライドせぬのですから。そういう場合が去年あたりは四・五ですか、ということになったということで、こういう数字が出れば見送られるわけなんですから、その年度までの間にはたいへん時間差があるし、物価と賃金の問題などを比べてみますと、実際にはどうにもならないという問題が当然出てきます。  だから、あなた方自身もいま言いましたように、賃金スライドを加味したようなもので、いまからのスライド制は行なっていくということになってきたと思うのです。だから、私どもの要求は、賃金自動スライド制を導入するのには、別に財源その他では一つも問題はない。ただ先ほど言ったような理由で、自動スライド制はできぬというのは、単に政策的な問題だけじゃないかというふうに考えるのです。そこであなたのほうが、ひとつ考え方を切りかえさえすれば、いつでも、あすからでも、四十九年同時に実施できない問題はないと私は思うのです。ですから、私はしつこく言っている。  しかし、一たん皆さんが提案したんですから、直ちに修正に応じることができないとするならば、先ほど言いましたように、再計算期におけるいわゆる年の縮め方を、自動スライドと同じくらいのところまでやることによって、皆さん方の前向きの姿勢を国民にも示すことになるのではないかということなんです。それであなたに、では二年にせよ、一年半にせよという私の要求に対して、しますという答えはこの場では出ません。あなたから出たのは、四年ではないということは出ましたけれども、私の言っていることを十分考えて今後の取り扱いをしてもらいたいと私は思います。それで、それ以上、私は齋藤厚生大臣を信頼して、聞こうとはいたしません。  最後に田中内閣は、先ほど言いましたように、佐藤内閣とは全く異なった福祉政策を大胆に取り入れる、こういうことで今回の年金制度も提案されたと思うのです。私ども期待するのは、田中さんの決断と勇気ですよ。日中国交回復を田中さんの手によって実現させたことは、私はほんとうに高く評価しているのです。これはすばらしいと思います。それと同じように、内政面においても、やはりやるべきだと思うのですね。この前の小選挙区みたいなものでなく、田中さんが言うように、一内閣で一つの大仕事をする。これを年金制度の問題でやってみなさい。田中さんの評判はたいへんよくなりますよ。齋藤さんは田中内閣づくりのためにたいへん一生懸命になられたわけですから、あなたはやはり田中さんに堂々と進言して、この年金制度の問題についても、最初から言っているように、野党四党の案を十分取り入れる、参考にする。当面は、たとえば自動スライド制その他、いろいろな問題があります。谷間の老人の問題もありましょう。こういうやつは、当面は片がつく問題があるはずです。それを大胆に修正として受け入れてやるように、あなたは田中総理と相談して、決断と実行でやってみなさい。  いま二十何%か十何%か知りませんが、支持率は下がったといいますが、田中さんがあの日中国交回復をやったその時点、あの行動を、こういうところにも行なわれたら、また回復するかもしれない、そういうチャンスだと私は思っておるのであります。そういう意味で非常に期待しておりますから、ひとつ一生懸命にがんばっていただくように強く要望いたしまして、私の質問は終わります。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 次回は明十五日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時五十六分散会

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