社会労働委員会 第24号
- 発言数
- 516 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/06/07
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 先週わがほうの山本委員、村山委員、あるいは他党の委員が、それぞれ質問をいたしました。したがって、私はその質問にあまり重複しない形で、いままでの質問者の意見を演繹しながら質問をいたしたいと思います。 〔発言する者あり〕
○田川委員長 御静粛に願います。
○田邊委員 私の質問は、政府案に対して、いろいろなファクターがありまするから、その個々について質問いたしまするけれども、若干の提案もございますので、それについて御答弁いただきたいと思います。 ただ、お断わりしておきたいのは、われわれ個々の問題に入りますると、何か政府案を、その基本において是認するような形に受け取られては、はなはだ迷惑でございまして、われわれが持っている考え方は、すでに政府も御案内のとおりでございます。当然そのわれわれの主張点を前提としながら意見を吐いていかなければならないと思っております。 いま大臣がいろいろな発言をされておる中で、まず基本点として一致点を求めておかなければならぬことは、いま国民が求めておるところの医療、この医療の中で、その中心となっている医療保険の制度、これに対しては、いろいろな面で不満や矛盾を感じていると思うのです。したがって、われわれは、この国民の側からするところのそういった疑問にこたえて、これが改善をはかっていかなければならないというのは当然だろうと思うわけです。 私どもが目ざすところの医療というのは、平たく言えば、国民がよい医療をいつでも、そしてまたどこにおいても受けられる、こういう体制であることは、御承知のとおりであります。さらに、これを医療経済の面から言えば、当然国民は公平な負担でもって、平等な医療給付を受ける、こういう権利があるということが第一であろうと思うのです。 このことの持つ意味は、現在の医療保険制度というものの中にあるいろいろな制度間の矛盾、格差あるいはまた各制度を通ずるいろいろな違いからくることも非常に大きな要因でありまするけれども、いろいろな地域別、階層別における格差、あるいは働いておりながらも、その職場が違うことによって起こるところのいろいろな差、こういったものをわれわれはなくしていくことが、まず第一に公平な負担で平等な医療給付を受けるという国民の立場であろうと思うのです。 第二は、やはりいまは保険主義をとっている、社会保険の形をとっているというわけであります。これの形についての是非はまた後ほど論じなければなりませんけれども、まあいわば日本のいまの制度は大陸型と申しましょうか、西ドイツ的なそういう形をとってきている。しかし、それに向かうべき道は、あくまでもやはり社会保障として、これをとらえる。国民の直接的な負担、税によるか保険によるかということについて、いろいろありましょうけれども、しかし、いずれにしても直接的な負担をなるべく少なくしていく、そしてまた国全体の責任の度合いというものを、社会保障に向ける度合いを多くしていく。そして国と事業主の負担でもって医療というものをまかなうということ、これが向かうべき道であると思っておるわけであります。そういう体制をつくる。医療行為というものがそういった体制の中で行なわれる、これが至当だろうと私は思うのです。ですから、まずそういった前提の上に立って、ものごとを見なければならないというように思うのです。 私が、そのことを言うのは、今度のいわば健保法の改正案というものは、政府はただ単に保険者の立場でもって近視眼的に、いまあるところの赤字を埋めようというような形であってはならない。将来のあるべき医療というものを目ざして、それに向かう一環として、そのプロセスとして、この改正というものがなされる。その立場に立たなければ意味がないということも含めて、私はいま前提の話をしたわけであります。 大臣からひとつ、私の意見に対して特別な御意見なり、あればお聞かせいただきたい。
○齋藤国務大臣 ただいま田邊委員のお述べになりました御意見につきましては、私もほぼ同様な考えを持っておるものでございます。 すなわち、国民医療は、すべての国民がどの地域にあっても、最近における進歩した医学、薬学の恩恵を受けた充実した医療を受けられるようにしていく、そういう体制をつくる。そういう施設を整備することに、政府としては全力を注ぐべきである、こういう考えにつきましては、まことに同感でございます。 そういうふうな医療を受けられるための経済負担の問題としての保険、これは基本的には、私はあくまでも保険式でいくべきであるという考え方には立っております。その点があるいは多少御意見の違いはあるかもしれませんが、保険主義というものをやはり貫いていかなければなりませんが、そういう観点から見てみましても、現在の保険制度が九種類近くになんなんとする制度に分立しておる。そこに給付の不均衡等が見られておりますことは、まことに遺憾でございまして、できるだけ制度間の格差と申しますか違いというものをなくして、どの職域にあっても、どの地域にあっても、大体ほぼ同じような負担の公平の上に立った格差を解消していくという方向に進んでいくべきものであろう。この点につきましては、私はまことに田邊委員の御意見とほぼ同じように考えておる次第でございます。 そこで問題は、そういう保険主義というものをかりに貫くといたしましても、それぞれの持っておる保険の基盤と申しますか、保険に加入しておる人的構成の上からいって、さらにまた、そういう方々の所得の構成からいって脆弱であるものについてはできるだけ、やはりそれは保険主義といって労使だけにおまかせするということであってはならない。そこで国もできるだけの援助と申しますか、国がこれを補強してあげる、これがやはり必要ではないか。すなわち、国もできるだけそういう脆弱さの違いに応じながら補強をし、そして制度間の格差を徐々になくしていくような仕組みに持っていく必要があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。そういうふうな考え方に私ども立って努力はいたしておりますが、まだまだ不十分な点は私はあると思います。 そこで、まず第一に、そういうふうな不十分な点を一つでも改めながら、そして徐々に格差のないような保険制度に持っていくために一歩一歩前進していく、そして根本的な格差のない保険制度というものを全般的に打ち立てるようにしていかなければならぬではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。 あるいは、この保険主義といったふうなところにつきましては、多少いろいろ御意見の違いはあるかもしれませんが、基本的には保険主義を貫きながらも、国ができるだけ、そういう脆弱者というものに対する補強をとりながら格差を解消し、すべての国民が公平な負担のもとに、あまねき医療を受けられるようにしていくべきものであろう、こういうふうに私どもも考えておる次第でございます。
○田邊委員 基本的な面で実は論議、論争しなければならぬところはありますけれども、それはそれとして、現状認識では大臣の答えも私は受けられると思うのですね。 そこで、いま医療保険制度の中でいろいろな問題があります。いま制度間の矛盾の問題は私も言いましたし、大臣もその脆弱さを克服しなければならぬ、そしてそのために、国の援助もこれもひとつやっていかなければならぬ、こういう話がありましたが、それともう一つ——もう一つといいましょうか、医療保険制度で、当面打開しなければならぬ要素というのが私はあると思います。これは大臣でなくてもいいですが、いま差し迫って私が言いました、国民の側からいろいろな不安や不満を持っているということを考え、そしてまた保険主義を大臣は当面はとるという話があったのですが、そういうことからいいますと、より一そうの重要な要素を実は内包していると見なければならない。 そこで、いま医療保険制度の中で克服し、打開しなければならぬ当面する問題は何でございましょう。
○北川(力)政府委員 ただいま大臣からも申し上げましたように、現在の医療保険制度、非常に種類も多くて、内容もかなりバラエティーがあるわけでございます。 現在の医療の環境から申しまして、医療保険制度の前提と申しますか、あるいは医療保険制度と並行してと申しますか、そういう意味合いで整備すべき条件は少なくないと思いますが、医療保険の面で考えますと、やはり一番問題は給付をよくするということ、また制度相互を並べてみますと、負担の面におきましても、負担の公平をはかっていくということ、何と申しましても給付内容の充実、そういうことが現在の一番大きな問題ではなかろうか、このように考えております。
○田邊委員 その点では、あとでもうちょっと政管健保においてさらに言及をする際に、いまの局長の話は現実になってくると思うのですね。私はもうちょっと広く実は言いたかったのでありまして、少し私の質問がぼうばくとしておったから、受け取りにくかったと思うのですけれども、最初に私が言ったことを実はよくかみしめていただきたいのです。 いろいろな国民の側からするところの要求、要望、不満、こういったものの中で最大のものは何かといえば、一つには医療保険というものが予防の面、健康管理の面、これに欠けておる。これは医療の全体の問題ですね。 それから治療の面でも、いろいろな矛盾がありますことは、これは三時間待って三分診療だといわれるようなことや、保険あって医療なしといわれるような、過疎地帯における保険料は払っておるけれども、それに対する給付がない、受けられない、こういう体制。 そういうものもありますけれども、もう一つ予防と健康管理と並んでリハビリテーション、これがなされていない。これは診療報酬体系の中でもそういった面についての不備が現実にあることは御案内のとおりでありまして、若干の是正はなされておっても、これはまだまだ十分でない。このリハビリテーションというものは今後の日本においていろいろな面で考えさせられる問題だ。 それから、もう一つの大きな問題は、これは論議の中にありました差額ベッドなり付き添い料なり、こういう問題。それからこういった差額ベッドや付き添い料という問題を含めて、いわゆる保険のワク外にある——薬もそうですが、そういう問題を一体保険のワクの中にどう入れていくか、あるいは保険のワク内で、それが包括できないものについては一体どうするのか。これは公費負担医療の問題とあわせてどうするか。それがやはりさっき大臣と私の言った、いわゆる制度間における調和といいますか、あるいは格差といいましょうか、それをなくすということと並んで、非常に重要な問題であろう、こういうふうに思うのです。これはそのとおりでしょう。
○北川(力)政府委員 確かに御指摘のとおり、現在の医療問題は、医療保険の問題だけではございません。医療保険に隣接をいたしましたいろいろな問題、あるいは医療保険の前提問題等を含めまして、いまお話にございました医療保険で給付をする医療内容につきましても、いわゆる予防、治療、リハビリという一貫した包括医療体制というものが必要なことは、現在の疾病構造の変化とか、あるいは社会条件の変動に応じて現在の最も大きな要請であろうかと思います。 また、差額ベッドの問題、あるいは付き添い看護の問題、そういった問題も、保険のいわばワク内の問題であると同時にまたワク外の問題でもある。物的、人的な供給体制と非常に関連の深い問題でございます。 したがいまして、私どもは医療保険を考えます場合には、先生のお述べになりましたとおり、医療保険内容の充実はもとより、これを取り巻く医療制度全体の問題につきまして、最も現在的な要請あるいは将来に向かってどういう点が最も重要な問題であるかというところに、正確な視点を定めて施策を展開してまいる必要があろうか、最近そういう感じをますます強めているような現状でございます。
○田邊委員 特に政管健保について、さっき局長が言ったことは当てはまるわけで、これは私もしかと承っておきたいと思うのであります。給付の改善、それから負担の公平化、言うならば給付面における水準の引き上げ、特に他の医療保険制度との間における格差を埋めるという、そういう相対的な面においてもこれが言える。それから負担の公平化という面については、いま局長が言ったとおり。これはもう大臣そうですね。
○齋藤国務大臣 先ほど来申し述べましたような考え方から、負担の公平、給付の改善、これが当面大きな問題であろうと考えております。
○田邊委員 そこでいま申し上げた前提をちょっと記憶においていただきまして、個々の問題について、ちょっとお聞きしておきたいと思います。 今度の政府案は、これはいろいろなことを申し上げますると意見が交換できるわけですけれども、大体私も何回かこの問題は取り扱ってきましたし、大臣もまたわれわれと同じような立場で取り扱ってきた経験をお持ちですから、あえて言わないようにして、この財政対策と給付面における改善、これを織り込んだ政府案である、こういう形になっておりますから、一面の大きな面は、これは何といっても財政対策、政管健保における累積する赤字をこの際解消して、その健全化をはかる、こういう考え方であると思います。そういう中でいろいろな提案がなされておるわけであります。ちょっとこまかい話から入りましょう。 保険料は今度千分の七十から千分の七十三に引き上げる、こういうお話でございまするが、この七十三に〇・三%上げたのは一体どういう根拠でございましょうか。上げようとするのは、どういう根拠でございましょうか。
○北川(力)政府委員 今度の改正につきましては、いまお話しのとおり、給付の改善と、それから財政の恒常的な安定という二つのファクターがあるわけであります。 給付の改善の面におきましては、三十年来据え置かれておりました家族給付率の引き上げ六割でございますけれども、これをやりますことが一つと、それから現在最も社会的な要請の強い高額な医療費のかかる療養費につきまして、これを一定限度額以上については償還をするという制度を取り入れておるわけでございます。こういった給付の改善がございますので、その前提といたしましては、先ほどもお話がありましたような政管健保そのものの持っております基本的な体質の弱さは、一〇%の国庫負担で補強いたします、また累積の赤字は三千億円に近いものは金を出します、こういうことでございますけれども、いわば今回の政管健保の再出発と申しますか、再発足と申しますか、そういうような意味合いの改善でございますから、過去の赤字と縁を切って基本的な体質の弱さを補強をして、その上でいま申し上げましたような、かなり思い切った改善をする、こういうような形になっております。 そういうことでございますので、今回の改善を行なうにあたりましては、実際には料率で申しますと、〇・五%程度の引き上げが必要とされるわけでございますが、一挙にこれをこの程度まで上げることは、なかなか困難でございますので、基本的な料率の引き上げといたしましては〇・三%程度にとどめまして、残ったところは低所得者を除外した、いわゆる特別保険料というものでカバーをしていく、そういう関係上、〇・三%の引き上げにしたようなわけであります。
○田邊委員 昨年も〇・三%の引き上げを提案しているのです。昨年は給付改善がなかったんですね。これは別の抜本改正と称する似て非なる法律案を出しまして、その中に、いわゆるプールの問題を含めて給付改善の問題が出てきている。そうすると、ことしの案は去年と内容において違う。にもかかわらず保険料の引き上げ率は、提案は昨年と同じ〇・三%、これは理屈に合わぬじゃないですか。
○北川(力)政府委員 確かにそういうような問題のとらえ方もあろうかと存じます。ただし今回の改正は、いま申し上げましたように、基本的な改正の特殊性と申しますか、そういうものの給付の改善をはかるということが第一点でございまして、そうは申しましても、保険の運営でございますから、やはり財政の恒常的な安定をはかるということは、保険段階では非常に必要とされる点は先生も十分に御承知いただけると思います。そういう意味合いで今回は財政対策としてではなくて、全般的な給付の改善、財政の恒常的な安定という総合的な意味で、この料率というものをとらえまして引き上げ措置をはかっていこう、こういう考え方でございます。 結果的には昨年のいわば純然たる財政対策における〇・三%と、それから今回の、いわば基本的な改革のワンステップとしての料率の引き上げの〇・三%は同じものになっておりますけれども、考え方はいま申しましたように、かなり違っておるというように私どもは考えております。
○田邊委員 そうしますると、これは〇・三でなくてもいいわけですね。これは結果論として出てきたわけですか。他のいろいろな要素を組み合わせてみて、最終的に〇・三が、つじつまが合うというので出したのですか、どうなんでしょうか。
○北川(力)政府委員 これも先ほど申し上げましたことに関連をいたすわけでありますが、今回はその基本的な財政体質の補強というものを国庫補助でやっております。昨年の財政対策では五%の予定をいたしまして、当時の当委員会の非常な御努力によりまして一〇%というふうな修正をしていただいたわけでございます。そういうこともございますので、まず第一点は、そういう意味で財政基盤の脆弱さを補強していくのが昨年と違って一〇%、こういうことでございます。 それでかりに昨年のように給付改善というものを行なわないで、いわゆる財政対策だけ、赤字対策だけということでございますれば、あるいは料率引き上げというものはなくても済むわけでございますけれども、今回はやはり給付改善というものをやっておりますので、そういう意味合いで、先ほど申し上げたとおり、全体上これを料率に換算しますと、〇・五%程度になるわけであります。これを所得の高いもの、低いものに振り分けて、基本的な料率は〇・三だけ上げる、あとは特別保険料でまかなう、こういうような仕組みをやっているような次第であります。
○田邊委員 非常に重要な発言をしておりますけれども、そうすると、あなたのいまの答弁は、保険料の〇・三は給付改善がなければ引き上げる必要はなかった、こういうわけですね。これは給付改善のために〇・三上げるということですね、こういう認識ですか。
○北川(力)政府委員 社会保険の原理的なものから申しまして、給付費をまかなっていくのは原則として保険料であるということにつきましては、大体これはもう一般的な原理だろうと思うのでございます。しかし、今回の措置は先ほど申し上げましたように、それだけではなくて、保険全体の運営の基盤をまず補強をした一〇%があって、その上で給付の改善をするということでございます。しかしながら、なお今後の問題につきましては、いわゆる弾力調整的な問題に関連をいたしました国の補助もございまするし、そういった点を考えますると、給付の改善というのは、単に料率だけでまかなうというような、そういうような姿勢だけを示しているとは言い切れないと思います。
○田邊委員 そう答弁がくるくる変わっちゃ困る。さっきの局長の話は、給付改善がなければ〇・三を上げる必要はない、こういう答弁です。昨年はその給付改善はなかったけれども、〇・三の引き上げを提案した。そうすると、あなたのほうは朝令暮改、それは去年と、その思想においても、寄り立つところの理論的な根拠においても違ってきている、こういう認識ですか。
○北川(力)政府委員 先ほども申し上げましたが、昨年の場合には国庫補助が五%でございまして、そういう意味合いで〇・三というのが出てまいったわけでございますが、今年度は根っこの国庫負担が一〇%でございますから、そういう意味から申しますと、昨年と同じ計数で比較をして、保険給付の改善はすべて保険料率の引き上げでやる、そういうふうには必ずしも言い切れないと思うのでございます。
○田邊委員 そうしますと、この保険料の〇・三というもの、これはやはり数字の問題ですから、〇・三がいいか、妥当かどうかという判断をしなければいけないのですね。そうすると、昨年は給付改善がなかったけれども、〇・三の引き上げを提案してきた。ことしは給付改善もある、財政対策もある、また特別保険料のことはあとで言いますけれども、そして保険料は昨年と同じ〇・三の引き上げをやってきた。この間にあなた方の考え方に矛盾はないか、違いはないか、こういうことです。 もし矛盾がないとすれば、あなた方は、この中の一体どのくらいの要素がこの財政対策に振り向けられ、どのくらいの要素が給付改善に振り向けられるという考え方ですか。
○北川(力)政府委員 金額的にどのように振り分けるかということにつきましては、私はいま明確にお答えができないかもしれませんけれども、全体的に申し上げられることは、一〇%の国庫補助と、それから〇・三%の保険料率の引き上げ、こういうことをあわせて考えていただきますと、そういうことを一体にして初めて今度の保険給付の改善が行なわれる、こういうことになるわけでございます。
○田邊委員 それならば逆を言いまして、今度の提案の中に給付改善がなかった、五割から六割のなかった場合は、これは一体保険料は何ぼになるのですか、国庫補助は何ぼになるのですか。
○江間政府委員 お答え申し上げます。 来年度の改正におきまして、満年度の場合でございますと、政管健保の収支は千百七十九億の赤字になるわけでございます。そのうち標準報酬の改定によりまして財源の不足分が四百九十億、それから定率の国庫補助によります分が八百七十三億、しかし、片一方で給付改善といたしまして合計しまして七百二十四億の支出増があるわけであります。片一方、保険料の改定によりまして増収が五百四十八億でございます。したがいまして、最終的には改正後の収支の見込みは大体とんとんの基調ということになるわけでございます。
○田邊委員 全くわからない答弁です。ぼくらは給付改善の問題を、これからの議題の重要なポイントとしております。当然家族給付は七割、八割、九割というふうにすべきである。その場合に一体どういうふうな措置をとるかということに関連するから聞いておるのです。したがって、給付改善が五割から六割、今度は六割にするのでしょう。しなかった場合、今度の給付改善が五割で、いままでと同じく家族給付は五割という場合には、あなたのほうは一体どういうスタイルなんですか。国庫補助は何ぼ、それから料率改定は何ぼ、それから標準報酬の上下限は何ぼ、それが基礎でしょう。それに立って、いわゆる給付改善は一割いたします、そのために必要なバランスをとるためには、どれとどれとどれとの要素をつけ加えます、こういう形になるのでしょう。家族給付が五割という場合にはどういう形になるのですか。それがわからなければ、これから先、よりいい医療保険にしようというわれわれの願望というのは全く開けてこない。そうでしょう。
○北川(力)政府委員 家族の給付を五割から六割に上げます分につきましては三百九十七億の財源を新しく必要といたします。したがいまして、かりに六割給付にいたさない場合におきましては三百九十七億のお金が要らない、こういうかっこうになると思います。
○田邊委員 そういう答弁のしかたじゃ、われわれは納得するわけにはいかない。だから家族給付五割の場合には、具体的に言いますると標準報酬の上下限は要らないのか、あるいは国庫補助は一〇%は要らないのか、保険料率の改定は要らないのか、特別保険料の創設は要らないのか、あるいは要るとしても、その比率はどのくらいになるか、これをまず資料として出しなさい。
○北川(力)政府委員 資料はお出しいたしますけれども、いまお話しのございました、現状のままにおいてその国庫負担をどうするか、あるいは保険料をどうするか、いろいろ組み合わせがございますので、いま先生のおっしゃいましたような点をどういうふうに組み合わせるかを考えまして、資料を提出いたしたいと思います。
○田邊委員 だめだよ、それは。まず現状では一体どうなのか、どうするのか、そして現状を改善するためには、どういう要素の組み合わせができるのか、これがわからなければ、今後、たとえば給付の改善は将来七割にすると大臣も言っているでしょう。その場合には一体どういう組み合わせで持っていくのかということがわからぬじゃないですか。そんな積算の基礎がわからないで、こんな提案ができるはずがない。
○北川(力)政府委員 これは先ほども医療保険部長から申し上げましたが、改正前の収支見込みは千百七十九億でございます。改正なかりせば、したがってこれだけの赤字が生じる、それに対しまして給付改善がない場合には七百二十四億の支出減が出るわけでございます。それから反面……(田邊委員「七百二十四億じゃないよ、三百九十七億だよ」と呼ぶ)三百九十七億は、これは家族給付率の引き上げだけでございまして、給付改善全体でとらえますと七百二十四億、(田邊委員「いまぼくが言っているのは、家族のことを言ってるんだよ」と呼ぶ)家族の場合は三百九十七億でございます。それから定率の国庫補助が八百七十三億ございますし、それから標準報酬の改定で四百九十億でございますから、したがって、給付改善がないというふうにいたしますると、大体国庫補助の一〇%、それから標準報酬の改定というふうなことで、大体のところはまかなっていけるんじゃなかろうか、そういうような計算になろうかと思います。
○田邊委員 あなた、そんな子供みたいな計算をしたってだめだよ。余ってくるじゃないか。ざっと見ただけで、すぐわかる。だから、あなた方がこの法律案を出した、まずその前提になる給付改善のほうをいろいろ討議していこう。 まず給付改善しない場面では、どういう形ができているのか。そして給付改善を積み上げる場合、これは家族療養費ばかりじゃなくて、分べん費その他も入っていいですよ。その場面では一体どういう要素が並べられるのか。こういうことをやっていかなければ、これからわれわれ論議できませんよ。われわれは家族給付の引き上げについて、これはやはり国民的な要望を持っているわけです。その場合に、あなた方は一体どうするのかということがわかってこないでしょう。私の言うことは無理かね。それはどうですか。
○北川(力)政府委員 それはおっしゃるとおりでございまして、先生のお話は、要するに改正と申しますか、給付改善がなかった場合、特に家族給付率の引き上げがなかった場合、そういう場合において現状のままではどうなるかということだと思います。ただし、その場合に前提条件としてお話の中には定率の国庫補助一〇%というものがあり、かつまた標準報酬の改定というものも入っておるんではなかろうかというふうな感じもいたしますので、そういうことを全体的に申しますと、もちろんこの給付改善がなかった場合には、標準報酬の改定あるいは定率国庫補助というものだけを加えますと、千百七十九億の単年度赤字は十分にまかなえる、そういうことになると思います。
○田邊委員 まかなえるとか、まかなえないとかいうのじゃなくて、これだと国庫補助一〇%と上下限の改定でもって、おつりがくるわけなんだから、あなた、そんな簡単に、余りが生じても、それでいいんだなんということでは困るのでありまするけれども、これは主計官のほうは、大蔵省は、こういった場面ではどういうふうに考えますか。国庫補助一〇%は、あなたのほうも給付改善があろうがなかろうが、これは当然な措置だ、上下限の改定がそれに加わるだろう、こういう厚生省側の話ですが、あなたも考え方は、それでよろしゅうございますね。
○渡部説明員 お答え申し上げます。 非常にむずかしい問題でございまして、給付改善がなかった場合にはどういう財政対策をとったであろうか、こういう御質問であろうかと思うわけでございますが、今回の改正をいたすにあたりまして、厚生省とわれわれのほうでいろいろ話をいたしましたのは、今回の政管健保の改正にあたりましては、従来の抜本改正の経緯からいたしまして、給付の改善と、さらにあわせて財政対策を講じようということで一本で全体の構想を練ったわけでございます。 したがいまして、構想を練る途中におきまして、給付改善をしない場合にはどういう財政対策を講ずる、さらに給付改善をしたので、これだけ乗っけて財政対策を講ずる、こういうような二段がまえの作業はしておらなかったわけでございます。したがいまして、その途中において先生の御質問のような、仮定を置いた計算をいま立ててみろ、こう言われましても、これは真実、事実の話でございますが、そういう計算をいたしておりませんので、われわれがいま至急に、そのときにどういう態度であったろうか、こういうお問いをされましても、実は答えようがないわけでございます。 ただ仮定の問題といたしましては、国庫補助の問題あるいは標準報酬の問題なんといういろいろな組み合わせがあり得ようかと思います。しかし、われわれは最初からそういうことを考えないで、今回の場合は給付改善と財政対策とあわせ講ずる、こういう前提のもとに計算いたしておりますので、今回のような対策を講じた、こういう次第でございます。
○田邊委員 それならば逆に聞きまするけれども、家族給付を八割にする場合にはどういう組み合わせなの。七割でもいい、家族給付七割はどういう組み合わせでいくの。いまの意見を演繹していくならば、あなた方は妥当な家族給付は、さらに一割引き上げた場合、あるいは二割引き上げた場合は、どういう要素でこれを積み上げていくの。
○北川(力)政府委員 六割の引き上げをさらに七割にするということになりますと、かなりこれは政策的な改定ということになると思うのです。それで財源的に申しますと、七割に上げますだけで大体三百七十三億程度の財源を新しく必要とする、そういうことになります。 これもいまの話に関連をいたしますが、七割に引き上げました場合に、それじゃ保険料率はどういうふうに設定をいたしまして、それからさらに国庫補助をどういうふうに仕組んでいくかというふうな問題は、全体的にもかね合っておりまするので、現在のところ七割引き上げを前提にした場合の全体の改正の構図というものにつきましては、いま申し上げました全体的な関連がございますから、どういうスタイルが一番適切であるか、いま直ちにお答えしかねますけれども、これはそういうことが前提になれば当然考えなければならない問題だと思っております。
○田邊委員 そうすると今度の六割にしたのは、これはほかの改善もありまするけれども、私は昨年の提案と違うところを特徴としてとらえているのです。それをした場合には一体どういう積み上げをしたかということは、今後を推しはかる上において非常に重要なポイントなんですね。昨年は確かに五%の国庫補助で財政対策をやった、衆議院の修正は一〇%だった、そうしてやっと保険料率の足切りをした、こういうあれがありましたね。そういう国会のいわば意向というものを踏まえながら今度の案をつくるときに、家族給付を六割としたということの中でもって、一体国庫補助というものの一〇%が妥当なのか、あるいはいま保険料の〇・三の引き上げが一体妥当なのか、特別保険料の一%というのが妥当なのか、これを論じなければ、あなた、この法律案論ずる価値ないでしょう。 ですから、仮定の問題だとあなたおっしゃるけれども、そういう積算の積み上げをしていないで、ただ場当たり的に何かちょっと少しずつつけていく、適当につけておけばよろしいというわけですか。それじゃ国民がたまったものじゃない。国民に負担を求めるならば、それだけにやはり理論的な根拠があり、その必要度というものが国民に認識をされ、理解協力をされる形でなければ、これはやはり国民の合意を得ないと私は思うのです。そういう点からいって、五割から六割、そして六割から七割なり八割、こういう場面について、どういう組み合わせをするかということについて明確にしておかなければ、私の考え方をこれから述べることはできない。どうでしょう。
○北川(力)政府委員 これは先ほども申し上げましたが、やはり昨年の改正の考え方と今年度の改正の考え方は違うわけでございます。昨年はいわば純然たる財政対策、赤字対策でございまして、そういう中で五%の国庫補助、それから〇・三%の保険料引き上げ、あるいは特別保険料というふうなものを設定をしたわけであります。今年度はそうではなくて、昨年の当院の修正等もございまして、やはり財政の基盤保障を一〇%にして、全体的な姿を健全なものにして、その上で新しく保険給付の改善というものを出しているわけでございますから、その点は昨年とは考え方におきましては、御批判はあろうかと思いますけれども、全体の考え方は全く違っているというふうに御理解を願いたいと思うのであります。 したがって、五割から六割に上げるという場合にどう仕組むかということは、現在御提案を申し上げておりますような形で全体の構図をつくっているわけでございまして、昨年とは全然これは違ったものである、私どもはこのように考えておる次第でございます。
○田邊委員 そうするとあなたのほうは、いま言った給付改善等をやるについては、何も保険料の改定や特別保険料の徴収や上下限の改定は必要ないかもしらぬ、国庫補助が一五%になって全部まかなえれば、それはもう関係ありません、こう言うのですか。そうじゃないんでしょう。そうじゃないとすれば、当然どういう要素がどこにどの程度かみ合って、それが積み重なって一体今度のこういう提案の数字的中身になったのか、これを私のほうが知りたいのは当然の話じゃないですか。そうじゃないですか。 いま仮定の話だと、あなたおっしゃったけれども、主計官もそう言ったが、それならば、七割なりにする場面ではどうなるのですか。あなた方の考え方を演繹していけば、家族給付の療養費を七割に引き上げをした場合には、この組み合わせをさらに引き伸ばしていけば一体どういう形になるのですか。
○北川(力)政府委員 先ほどお答えを申し上げましたが、七割給付の問題は大臣もすでにお答えを申し上げておりますとおり、この法律を御承認願いましたあと、できるだけすみやかに七割給付というものを実現したい、こういうふうな基本的な考え方を持っているわけでございます。したがいまして、七割給付を前提にいたしました保険料率の設定でございますとか、その他財源的ないろんな問題があるかもしれませんが、そういった問題につきましては、いろいろの組み合わせがあろうかと思いますので、七割給付の場合にはこういう組み合わせでやるという決定的なものは、実は現在持ち合わせていないような実情でございます。
○田邊委員 そうすると、いろいろな要素が組み合わさっている中でもって適当に動かしていいわけなんだな。これは保険料率を〇・三引き上げる、あるいは特別保険料の創設、こういう要素を、逆に言えば、いじっても何ら差しつかえない、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。それは困るとおっしゃるんならば、これはそういう積み上げの中に——もうちょっとかみくだいて言いましょうか。たとえば給付改善がありまして、家族給付の一割引き上げがありました。これは、さっきのあなたのお話のように国民負担もやってもらいたいです、しかし脆弱な政管健保ですから国庫補助もその中に入れなくてはいけないでしょう。その点は上下限の改定でもって、ある程度カバーしていかなくてはいかんでしょう。何%か知らぬけれども、そういう度合いが積み重なって、この一割の問題について私たちは処理した、そう言うのか。 さっきのあなたの答弁からすれば今度の保険料の引き上げというものは、特別保険料も含めて給付改善なかりせば引き上げる必要はなかったと、あなたは答弁されておる。ということになれば、給付改善というものが保険料の引き上げに非常なウエートをもってつながっている、こういうようにわれわれは受け取っておるわけです。一番最初に話を戻して、抽象的な原則論なんかわかっておるんだから、そんな答弁なんかする必要はないんだから、いま私が言ったことに対して一体どういうあなたのお答えが出てくるのですか。
○北川(力)政府委員 非常に端的に申し上げれば、七割給付ということになりますれば、その財源は原則として保険料でまかなうべきものだと思っております。 それからただいま先生御指摘の中で、標準報酬の改定が今回の改善の有力な財源というお話がございましたけれども、確かに数字的に申しますと、そのとおりかもしれません。ただ制度全体をながめますと標準報酬の改定は四十一年以来上限が上がっておりませんので、この問題は、結果的には財源とはなるといたしましても、いわば七年間に生じた被保険者相互間の大きな負担の不均衡を是正するという意味合いにおきましては、この改正が持つ意味は多少ニュアンスが違っているんじゃなかろうかと思います。 そういう意味合いで、私どもは端的に申し上げまして、七割給付の場合の全体の構図をどうするかということは、現在の段階で申し上げますならば、これは保険料率でまかなうということが原則ではなかろうか、このように考えております。
○田邊委員 そうしますると、あなたの考え方からいえば、この提案の中にある弾力条項というものは、これは保険料の引き上げと国庫負担をリンクさせる必要はないですね。あなた、そんな矛盾した話を堂々と述べてもらっちゃ困るのです。だから私は、何%か知らぬけれども、いろんな要素が積み重なっていくだろう、だからその要素というものをお示し願いたいと、ちゃんとさっきから言っている。あなたのほうが明確に、給付改善というものは保険料でまかなうと言うならば、審議する必要はない。大臣の答弁で、給付の改善は保険料と弾力条項を使用する、その際にはいわゆるリンク制がある、国庫負担もついている、こう言っているんだから、そんな答弁ではだめだよ。
○齋藤国務大臣 局長の答弁が非常に不十分であったかと思いますが、たびたびお答えいたしておりまするように七割給付という問題につきましては、私は今日まで、法律成立後これが実現のために努力すると申しております。したがって、七割給付をするためには、数字だけで見ましても、かりに五割が六割になるときと同じように三百九十七億かかるのか、あるいはもっと多くなるのか、私も積算はわかりません。だが、四百億前後はかかるだろうと思います。 そこで、かりにですよ。これはまだ七割給付ということを私確約しておるわけじゃございませんから、かりに七割給付として四百億かかるとすれば、その財源はどうするか。それは先般来たびたび申し上げておりまするように、弾力条項の国庫負担をつけた保険料率の引き上げ、すなわち三者三泣き的と私申し上げるのですが、三者三泣き的なやり方でこれをまかなうべきものである、私はこのように考えています。
○田邊委員 ですから私の要求したのを理事会でもって御検討いただいて、五割の場合は一体どういう形、六割のはわかっていますから、七割の場合にはどういう形を予想しているのかということについて、委員会に提出しなくてもいいですから、一応お示しをいただきたいというふうに思うのです。
○田川委員長 田邊君の御提案につきましては、政府から調査をいたしまして理事会に提出させるようにいたします。
○田邊委員 私、実はまたあとで違う角度で質問をいたしまするから、一応保留をしておきます。その基礎については、もう少しほかの要素も質問いたしましたあとでまた質問をいたします。 そこで、保険料についてちょっとお聞きをしていきましたところが、そういうお話になってまいりましたのですが、いま三者三泣きのような話が大臣からちょっと出ましたから、ここで話を求めておきたいのですけれども、この保険料は〇・三上げますると、たしか事業主が〇・一五、被保険者が〇・一五、こういう形になるわけですね。そうでしょう。これは一体どういう理論的な根拠で半分ずつ負担することになっているんですか。
○北川(力)政府委員 保険料の負担につきまして労使折半の原則と申しますか、これは多年定着をしてまいりました負担の場合の一つの割り振りでございます。そういう意味合いで今回も〇・三%の引き上げに際しましては、これを折半で御負担を願う、こういうふうな考え方でございます。
○田邊委員 実はわれわれが非常に既定概念でもってさっと通り過ぎていることについて、もうちょっとただしていきたいと思うんですよ。労使折半の原則というのが定着していると言うけれども、必ずしもそうじゃないと思うのですね。私はここでもって西欧の例をいろいろ言おうとは思いません。まあイタリアのような例もございまするが、これは労働組合が非常に運動を続けている中でああいうことになっているわけですけれども、日本においても、私は必ずしも労使折半というのは定着しているとは思わない。いわゆる労災はもちろん事業主一〇〇%、それから業務上の災害は被保険者三分の二負担。これらを総合してみると、加重平均して二分の一負担、こういっているのですね。けれども、私はこれは何も厳格にフィフティー・フィフティーという意味ではないと思うのです。労使折半負担の原則のよって来たるには、いろいろな要素が確かにある。労使がお互いに労使関係というものを正常にするためには、責任を持つというようなこともある。資本家側がよけい持つということになると、逆に資本家の発言力が強くなって困るじゃないか、こういう意見もある。いろいろな意見がありまするけれども、経営者に私は聞いてみますると、社会保険料というものを経営者が負担することについて、これは一つには給与に準ずるような、そういうもの。それから販売生産活動の経費を構成するという面からいって、企業利益には直接影響を及ぼさないということが多いのですね。そういった点からいって、労使折半負担というのはいわば一つの精神であって、必ずしも五対五という形であることを必要としないというふうにわれわれは思っておるのです。 いま大臣からも局長からも答弁がありまして、医療保険の中における負担は公平化をする、こういう話があった。公平にしてもらいましょう。私は公平にしてもらうために政府は努力をしてもらいたい、するべきである。現に組合健保はフィフティー・フィフティーになっていないことは御承知のとおりです。大体保険料が四十六年度末で六十九・七という中で、被保険者はいままで千分の三十五以内でありました。そして大体の割合というのは四十六年度において五八対六二という割合であります。これは企業が大きいほど事業主の負担が高い、しかも組合健保は御承知のとおりの付加給付がある、言うなれば給付水準が高い、こういう状態であります。この身近にある組合健保の例からいいましても、この労使折半負担というのは私は定着していないと思うのです。 しかも今度保険料の引き上げをあなた方は策していらっしゃる。そうなってくれば、政管健保に入っているところの労働者と、いわゆる組合健保に入っているところの労働者の負担割合はさらに格差が広がる、こういう状態であります。あとで時間があれば申し述べまするけれども、特別保険料のいわゆる強制適用と任意適用という、こういう問題もある。いよいよ格差は定着してくる、こういう形になると私は思うのでありまして、そういった点から見れば、簡単にフィフティー・フィフティーのようなことを定着しているという言い分というのは、政府としては一考を要する、こういうふうに思っておるわけであります。 私は何もそれをすぐさま七、三にしろとかいうことを言おうとするのじゃありませんけれども、この組合健保との間における差、労働者の問における格差、これは最初に大臣なり局長が言った負担の公平化をはかる意味で、この際、こういった既定概念をあらためてひとつ再考すべき必要がある。ここまで実はいろいろ考えていかなければ、ただ上つらだけなでた形でもってものごとを処理しようというのは、私は国民のためにとるべきではない、こういうふうに思っておるわけですが、いかがですか。
○齋藤国務大臣 労使折半の原則についての御批判、非常に私も理解し得るところでございます。しかし現在のところ、もうすでに私が何も申し上げる必要はございませんでしょうが、失業保険なり健康保険なりその他においては、従来とも労使折半という原則できているわけでございます。(「労災は」と呼ぶ者あり)労災は当然事業主全額負担でございますから、問題はございません。 そこで問題は、私は田邊委員のような御意見もあると思いますが、むしろこういうふうな脆弱な保険については、事業主でもやはり負担は苦しいわけでございますから、労使をひっくるめた保険経済全体について国が脆弱を補強する意味において援助をする、こういう方式のほうがいいのじゃないかと実は考えているのであります。そういう意味において今回初めて、いわゆる一〇%の国庫の定率補助というものが実現をし、さらに将来給付の改善その他を行なう場合の保険料については、また三者三泣きと申し上げますが、労使が五十五億ずつ出せば国も三十何億というふうに出すという新しい方向が打ち出されたと思うのです。 ですから私は、むしろ経営者のほうもやはり中小企業でございますから、非常に苦しい、そういう状況の中にあるときは労使の負担率を七、三なり六、四に分けるというよりも、全体をとらまえて国が援助をするという方向がいいのではないか、こういうふうに考えて、この案というものができていることは御理解いただけると思うのです。 しかし私も諸外国のいろんな情勢等も知っておりますから、いますぐというわけじゃありませんが、しかし将来の問題として考える時期が来ると思います。いますぐというわけじゃないが、する時期が来ると思いますが、当面私ども政府が考えておる考え方は、労使をひっくるめた保険経済全体というものについて、国がある程度の援助をする、こういう方式のほうが適当ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○田邊委員 問題は、私が実は最初にただしたのはここにあるのですが、制度間の格差をなくする、いろんな格差があります。給付の問題やらその他ありますが、一つは負担の公平化、一番身近な問題は、これは今度の改正案の中にも組合健保のことは触れているのですが、組合健保の間における格差を解消することは、当然政策的な面における当面の目標だと私は思うのです。となれば、負担の公平化という面から見て、必ずしも折半負担というものを固執する要素というのはない。 これは、組合健保についてちょっとお聞きします。大体四十六年度は千分の六十九・七、この中で付加給付にかけている費用は何%ですか。それから保健施設、病院、診療所費にかけている費用はどのくらいですか。
○北川(力)政府委員 四十六年度で法定給付に要する料率は四十九・一七でございます。それから実際の保険料率の負担は六十九・七七でございますので、大体その約二〇%のものが、いま言われました、その他の保健施設費とか、あるいは付加給付とか、そういったものに回っていると思いますが、この中には事務費もございますので、実際上はおおよそ一五%程度のものが付加給付等に振り向けられておる、このように考えております。
○田邊委員 あなたのほうも新しい資料ですけれども、われわれが見たところでも四十五年度については付加給付は六・九八、保健施設、病院、診療所費は六・三五であります。大体一三・三三%、あなたの言う大体一五%であります。したがって事務諸費を除いてみましても、いわゆる直接的なものは五十九・七なんだ、約六十であります。そうした場合に、大臣、政管健保との間における格差はますますひどくなっていく。これを忘れてはいけない。いま失業保険その他のことを言われたが、一番身近なのは、何といっても医療保険と他の制度との間における差はどうなのかという問題であります。 もう一つの国保は、一人当たりの保険料は一体どのくらいでありますか。一世帯当たりの保険料は大体どのくらいでありますか。そしてこれは所得に対してどのくらいの割合になりますか。
○北川(力)政府委員 四十六年度の国保の一世帯当たりの平均でございますが、所得は六十七万七千円、それから保険料は一万九千二百四十六円、保険料の所得に対します割合は二・八四%であります。
○田邊委員 大臣、国保もこういう状態ですね。もちろんそれは給付の面やその他、違う面があります。構成の中身も違いがあります。しかし、いずれにしましても政管健保の労働者というか被保険者といいましょうか、それはきわめて不遇だと思うのです。大臣も言われたけれども、脆弱面を国でカバーするということももちろんやらなければいけない。しかしそれと同時に、いま言った負担の公平化というものを求めるとすれば、この保険料について七十がいいか七十三がいいかということは別としても、その中における被保険者の負担割合というものは当然もっと軽減されてしかるべきだ、私はこういう考え方に立つのですけれども、大臣、私の考え方は誤りですか。
○齋藤国務大臣 田邊委員のような専門家の御意見について誤りであるなんという批判がましいことは私は差し控えさせていただきますが、実は政管健保の問題と組合健保との問題については負担の公平をはかるべきである、こういうふうなことは前々から言われて、いろいろ意見が出ておるわけであります。そこで、ひとしきり組合健保と政管健保との財政調整をはかったらどうかという意見もありました。けれども現在もあるわけでございます。そこで、私もこれについてはどうしたらいいだろうかということを考えたことがございますが、今日の段階でコンセンサスを得ることがなかなか容易でないというので、この問題は、次の研究項目ということにいたしたいと考えておるわけでございます。 そうなってまいりますと、それでは政管健保だけの負担の公平ということを考えてみて、どうであろうかという御意見が出てくるわけでございますが、先ほども申し述べましたように、労使の負担割合を変えるということも将来やはり一つの問題になってくるとは思いますが、むしろそれよりは、たびたび申し上げて恐縮でございますが、中小企業の経営者もやはり苦しい。そういうことも頭に描いて考えるならば、国の負担でできるだけ援助して補強してあげるというやり方、それから将来の保険料の値上げの場合においても、先ほど来申し上げておりますような弾力条項によって、労使だけに負担をさせるというのではなくて、そのつど国も応分のめんどうを見る、こういうやり方のほうが適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし、もとより田邊委員のようなこの道の専門の方の御意見でございますから、私も将来十分研究させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
○田邊委員 現実には提案をしているんですから、それに対して、あなたのほうが確固たる信念と考え方を持っていなければ国民を納得させるわけにはいかぬ、私はこう思っているわけです。いま言ったような歴史的な背景や他の制度とのかね合いを見ますと、負担の公平化という面からいえば、フィフティー・フィフティーの労使折半負担が定着しているなんという、ただ単なる考え方でもって見過ごすことは必ずしもできない、こういうふうに思っているんです。 私は実は一々試算をしているのですけれども、これはきょうは詳しく申し上げません。これは何も労使負担を四、六なら四、六にしろということではないけれども、少なくとも被保険者負担というものを他の組合健保なり国保と比較をして公平化をはかるという方向にいくべきだ。しかも事業主負担をそれによってふやすことについては、中小企業の経営者であるから、これはなかなかまかない切れないだろう、したがって、その部面については国が肩がわりをする、こういう理念というか考え方というものも、これはやはり将来考えていかなければならないことじゃないかというように思うのです。 そういった面から見ると、この一・五くらいの使用者負担というものを国で負担をすれば一体どのくらいになるかということでいろいろ計算してみると百六十六億くらいだろう。国庫補助率で計算すればわずかに二%弱であるということも、私の試算では出てくるわけであります。ついでに特別保険料もひとつ撤廃をして国でもって肩がわりをすれば、両者合わせて三百八十二億、大体四%強という形になるから、一〇%に四%強を加えるという形になると、これはより国民の合意を得るのに近づくのじゃないかという気がいたしておるのでありまして、このことをひとつ私の提言として申し上げておきますけれども、この中身は別として、大臣は前段の私の、いまのこういう考え方に立つべきであるという方向づけに対してはどうでしょう。
○齋藤国務大臣 田邊委員からいろいろ具体的な御提言がございましたが、そうした具体的な提言については私どもの立場上——立場上ではなくて、現在の段階における私どもの考え方からいたしまして賛成いたしかねるわけでございますが、将来の問題として考えなくちゃならぬときは、国保なり健保、さらにまた健保のうちでも政管健保との関係、そういったような負担の均衡、公平をはかっていくような方向に私どもは努力していかねばならぬ、かように考えております。 ただ、いまお述べになりましたような国庫負担を何%上げるとかというふうな具体的な問題については、いまのところさようなことは私は全然考えていないということだけは申し上げておきたいと思います。
○田邊委員 ちょっと一つの問題で少し見きわめていきたいのですけれども、理事会の打ち合わせもあるようですから先に進ませていただきますが、保険料と並んで特別保険料の創設を考えていらっしゃる。これは総報酬制につながるという危惧の念を持つことはうかがい知れるところです。しかも政管については強制適用、組合健保については任意適用、ますます私がさっき申し上げた格差が広がるじゃないかと言ったのであります。こういういわば懲罰的な意味を含めた規定というのは、よほど考えなければならぬと私は思っておるのでありまして、非常に危険な要素を持っているじゃないか、こういう危惧の念に対しては、あなたのほうはどう答えますか。
○北川(力)政府委員 特別保険料につきましては、最初申し上げましたように、全体的に全被保険者にべたに今度の給付の改善に伴ういろいろな財源を負担してもらいますと、料率に換算いたしまして〇・五%程度になるわけでございます。したがって〇・五%の保険料率の引き上げということは、やはりかなりな増率でございますので、基本的な料率の引き上げとしては〇・三%にとどめて、残りの〇・二%に相当する分につきましては、いわばそれにかわるものとして特別保険料というものの創設を求める、こういうことでございます。 しかも昨年のいろいろな当院における御議論等もございましたので、その点はいろいろ勘案をいたしまして、報酬月額が五万円未満の低所得階層については特別保険料は免除をする、あるいはまた本体の保険料の標準報酬の頭打ちとのかね合いも考えまして、高額なボーナスについては五十万円の頭打ちを設ける等の措置を加味いたしまして、今回特別保険料というものを考えたような次第でございます。
○田邊委員 私を納得させるような答弁ではありません。そして、これが国民に与えるいろんな影響というものは非常に大きい、軽々にこういったものは入れるべきでないという審議会の答申もある。われわれとしては、これは認めるわけにいかないというように思います。 さてその上に立って、この特別保険料というのは標準報酬月額によるところの保険料に上積みされる、そうですね。
○北川(力)政府委員 そのとおりでございます。
○田邊委員 そうしますると、取るほうは結局標準報酬の取る保険料に上積みをされるわけでございまするから、したがって、給付は当然これも含まれますね。現金給付、傷病手当、被保険者の分娩費の中に、この特別保険料も含まれますね。
○北川(力)政府委員 この制度は、ただいま申し上げましたように、全体的な保険料をべたに上げるというかわりに、むしろ低所得者を考慮して考えた制度でございまして、しかも法律案にもございますように、財政面に着目をいたしまして、財政が安定しますまでの当分の間の措置として提案をいたしておるわけでございますから、これは標準報酬には関係がございません。したがって、このほうは現金給付等としてはね返るものはないわけでございます。
○田邊委員 そんなはずはありませんよ。当分の間であろうと何であろうと、取るほうは取っておって、それでもって現金給付の中にこれははね返らぬなんという、そんな一貫性のない話は、これはやらずぶったくりじゃございませんか。そういう形でもって国民に対するというのは、きわめて政府の考えというのは国民の立場に立っていないと私は認識せざるを得ないと思うのです。たとえ当分の間であっても、当然この傷病手当の中に、あるいは被保険者の二分の一の分娩費の中に入れるべきである。これは理論的に、そうでしょう。これは当然そういうものじゃないの、現金給付というのは。どうですか。 他のいろいろな社会保険のいままでの組み立てからいって、これだけ入れないという法はないですね。当分の間であろうと何であろうと、その間どのくらいの期間であるか知らないが、その間、期間のうちにちゃんと入る、これは現金給付にはね返るというのは原則じゃないですか。どうでしょう。
○北川(力)政府委員 確かにいまお話しのとおり、この問題は標準報酬に組み入れませんので、そういう意味で現金給付等にははね返りをいたしません。ただ、保険の一番基本的な給付である現物給付につきましては、やはり特別保険料が給付することは当然でありまして、かえってこんなことを申し上げると失礼になるかもしれませんが、そういった面での給付のはね返りはある。ただ当分の間の措置として、財政の安定までの間でございますので、これはひとつ暫定的な措置として当分の間ちょうだいをする、こういうような仕組みにしたわけでございます。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○田邊委員 ですから、その考え方は、この種の社会保険の医療保険のあり方からいって、これは適切なんですか。妥当性を持っているのですか。私は取るべきものを取れば、それに対する給付は、それに見合うものが与えられるのが当然だと思うのです。それだから出すのでしょう、現物給付であれ現金給付であれ。それだから国民から取るのでしょう。現物給付は出すけれども、はね返るけれども、現金給付ははね返らないという、そんな理論は成り立ちませんよ。これはだめですよ。他の保険の状態から見て、われわれとしては、これだけ現金給付にはね返らないという措置をとったことについては、これは了解できません。
○北川(力)政府委員 確かに先生の御指摘のような現金給付への見返りがないという点は、この制度につきまして一つの問題点であろうとは存じます。ただ基本的な考え方といたしまして、最初申し上げましたような暫定的な財政安定のための対策ということが一つございますのと、それから給付の面におきましても、現物給付のほうにおいては、これがはね返ってくるというふうな面もございますので、確かにこれが他の社会保険制度として、健康保険の基本的な仕組みの上から見まして、均衡のとれたものであるかどうかということになりますと問題ではございますが、そういう財政安定のサイドからの当分の間の措置として、こういう制度を仕組んでみたような次第でございます。
○田邊委員 それはまことにまやかしですわね。いゆる給付というものは、一つには国民の負担によってまかなってきているわけですから、これは暫定的であれ何であれ、国民からもらう。あなたのほうは、理論づけはいま言った〇・四くらいになるから、それを肩がわりする意味でもって特別保険料を徴収する性格は同じでしょう。取る側は性格的に同じであって、支給するほうは、それを区別して入れないという、これは私はやはり理論的に成り立たないと思うんですよ。これはどうなんでしょう。
○北川(力)政府委員 ただいま申し上げましたが、確かに先生おっしゃるとおり、健康保険の全体の構造の中で保険料という問題と保険給付とのかね合いを考えますと、まことにおっしゃるとおりでございます。ただ同じことを申し上げるようでございますけれども、財政安定までの当分の間の措置として問題でありますことと、それから全体的な負担が所得の高低にかかわらず、べたに上がるということを避けますために、こういう制度を取り入れたわけでございまして、この制度自体がいまおっしゃったような意味で、制度全体の構造の中で完全なものであるというふうには必ずしも考えておりませんが、要するに財政安定までの当分の間の措置の問題であるというふうに御了解願いたいと思います。
○田邊委員 納得しないね。おとなしくしゃべっているから納得していると思ったら間違いだ。もうちょっと納得するように答弁してください。
○北川(力)政府委員 これはいろいろ特別保険料につきまして、どういうふうな仕組みをとるかというふうな点はあるわけでございますけれども、またがってこの制度を考えました際にも、標準報酬に組み入れるというようなことを考えた時期もあるわけでございます。ただし、いろいろな点を勘案いたしまして、今回はあるいは御納得をいただけないかもしれませんが、全体的に見れば最も基本的な問題である療養の給付の財源にはなるわけでございますし、また当分の間の措置でもございますから、全体の負担の公平という面から見て、低所得者の負担も考慮したような意味もあるわけでございまして、こういった点を総合的に勘案いたしまして、多少不十分な点はございますけれども、このような制度を組んだというのが実情でございます。
○田邊委員 きわめて不十分な立場で、これはそういったものが組み入れられているということであることを受けとめておきます。あなた方のようなそういう場当たり的な考え方でもってやられたんじゃ、国民ははなはだ迷惑ですよ。これは第二の保留点にしておきます。 それから第三番目の問題は、上下限を今度引き上げるということですね。これがまことに、あたりまえのような話をあなた方はされておるんですけれども、これも一面においては国民の負担増であることは間違いない事実であります。十万四千円から二十万円、これは年金もそうですから、同じことになるわけですけれども、これは一体どういう考え方でもって二十万円にしたのですか。
○北川(力)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、標準報酬のワク組みの改正は、四十一年以来行なっておりません。その間に標準報酬の基礎になります賃金は非常な高水準に達しておりまして、昨年の十月現在で現行標準報酬の最高級であります十万四千円に分布されております被保険者が一三・八%に達しております。このままでいきますと、ことしの十月には大体二一%程度になるというふうに見込まれております。また組合健保の場合におきましては、同じく四十八年十月には三六%程度と見込まれております。こういうことをいろいろ勘案をいたしますと、多数の所得の高い方々が、等級の頭打ちによって所得に比して相対的に低い保険料負担をしているというふうな、いわば保険内部での負担の不均衡、不合理というふうなものが生じている点は事実でございます。 そういった意味で今回、負担の公平をはかるという見地から七年間据え置かれましたこの標準報酬の上限につきまして、その後の賃金水準の上昇等を考えまして、二十万円というふうに改定をしたいというわけでございまして、このような改定をもしお認めいただきますと、ことしの十月には、先ほど政管健保の場合に一四%近くと申し上げました数字が大体二・二%近くになりまして、過去における標準報酬の等級区分の改定の際における上限該当者の割合の例と比較いたしましても、大体全体のワク組みについての上限者のばらつきが均衡のとれたものになる、こういうふうに考えましたので、このような改正をお願いをしたわけでございまして、なおこの点につきましては、各種の審議会におきましても、おおむね妥当ではなかろうかというふうな御答申をいただいております。
○田邊委員 健保法の改正、ずいぶんぼくはここで何回かやっているわけだから、そういった前置きはもう聞いたことにしておきますから、そういうのは要らない。そうでなくて、二十万円にした根拠は一体何かと聞いている。その妥当性は一体何か。
○北川(力)政府委員 いま申し上げた最後の問題に当たるわけでありますが、大体二十万円にいたしますと、ことしの十月で上限二十万円のところが二・一六%程度になりまして、これは過去のいろいろな標準報酬改定の際における上限該当者の割合と、ほぼ均衡のとれたかっこうでございますので、その程度のものを上限として設定したわけでございます。
○田邊委員 これは結局上下限、下限のことについては、あとで触れますけれども、上限の改定というのは、推移したところの年度、それからその上のたまりぐあい、これとのかね合いでもって考えなければいかぬのです。ですから、これを改定したならば二・一六%ですか、になるというだけでもって改定するというのは、片手落ちなんですよ。四十一年からですかね。これ、ちょっとほうっておいて、それでもって十万四千円を二十万円にする。それはたとえば三年なら三年、五年なら五年の中でもって何%たまればやるというふうな理論づけがなければならない。 そうすると、あなたがいま言った二%、大体以下であればこれまたそのままでいいが、二%以上になったら上限の改定をすべきであるという考え方ですか。
○北川(力)政府委員 全体の等級数から申しまして、それからいま申し上げました過去のいろいろな例、上限に滞留する被保険者数の分布、そういうことから見まして、まあ大体その辺のところでございますと、全体的に均衡のとれた等級別の配分になるんでなかろうか、このように考えているわけでございます。
○田邊委員 だから、大体上のたまりぐあいがどのくらいになれば、あなた方は上限としては妥当なのか。
○北川(力)政府委員 これは絶対的なものは、あるいはないかもしれません。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、標準報酬等級が現在は三十六等級でございまして、今度改正いたしますと、これが三十五等級になるわけでありますが、そういった等級全体の中での割合といたしまして、しかも二十万円というところをつかまえまして、大体その二、三%程度というところが一つの標準になるのではなかろうか、こういうふうに考えております。これがそうでなければならぬという絶対なものとは申しませんが、過去の例から見て、また標準的な考え方からいって、この程度のものが妥当な線ではなかろうか、このように考えております。
○田邊委員 まあまあ主義というのが世の中に多くまかり通っては困ると思う。あなたの答弁を聞いていると、まあまあという話が何回も出てくるが、この種のものを、まあまあというのでは困る。私はよしあしは別として、やはりこれには一つの理論づけがなければいかぬと思うのですよ。ですから、これは社会保険審議会の答申の中に、使用者側が平均標準報酬の大体倍くらい、いまでいえば十七万くらいと言っているのは、私はそれが妥当であるかどうか別として、一つの定義だと思うのですよ。何かあなたら、それに対する裏づけがなくて、やみくもでもって、さっきの保険料もそうだし、特別保険料もそうだしするが、まあまあこの辺でいいだろうというので、あなたのほうで何の根拠もなくて適当に引き上げられたのでは、これは国民も困りますよ。 大体上げるならば、これは何年ごとに上げる、それでなければ、いま言った平均標準報酬の倍なら倍、二・五なら二・五、そうでなければ、上限のたまりが全体の何%になったら上げる、何か理論的な裏づけというものがなくて、まあまあこの辺だろうなんという考え方でもって健保法の改正をやられたのでは迷惑です。ですから、その根拠を示してもらいたい、こう言っている。
○北川(力)政府委員 どうも私の日本語がまずくて、まあまあと申し上げまして、まことに申しわけないと思います。私が申し上げましたのは、現在七年間確かに標準報酬の上限を据え置いてまいりましたことは、負担の公平からいって非常に問題があるし、できるだけその間に改定をしておくべきだったと思います。改定する機会があったにもかかわらず引き上げなかったことは、まことに残念でございます。全体的に標準報酬の上限をどの程度におさめるかというメルクマールでございますが、いま先生御指摘になりました社会保険審議会の一部の意見として出ております平均標準報酬の月額二倍程度、これも一つの標準になろうかと思います。それから私が申し上げました過去の例等から見て、全体の等級にばらまかれておるパーセンテージの中で、その上限が二ないし三%というところを一つのめどにものごとを処理するというのが、一つの標準的なものさしになろうかと思います。 いずれにいたしましても、そのどちらをとるか、またこれ以外にも別な見方があるかもしれません。そういったところを、答申のことも十分考えましたけれども、私どもはいま申し上げました上限のたまりぐあいのパーセンテージということを過去の例に徴して、この程度のところが妥当な水準ではなかろうかと考えて、今回のような二十万円という最高の等級を設定したような次第でございます。
○田邊委員 そうすると、今度もしこれを変えるとすると、大体その二十万円以上は二・一六%になる。これがまた何%くらいになったら、上限を引き上げるのですか。どのくらいたまったならば、引き上げるのですか。
○北川(力)政府委員 二十万円の上にいろいろ積んでいくのでありますから、通常で申しますと、上限の該当者の割合がたとえば三%をこえるような時点がまいりました場合には、やはり上限改定の時期が来るのではなかろうか、このように考えております。
○田邊委員 私は、これはいい悪いは別として、やはりこの種のものも一つの理論的な裏づけが必要だろうと思うのですよ。ですから下限の引き上げはかなり慎重でなければなりません。たとえばこれが〇・五%以上になったならばやるというような一つの考え方、それからこれは負担公平の原則からいいますると、この上限問題はまた別の考え方が成り立つわけなんですね。ただ、私どもは、四十一年以来上げていなかったのを突如倍くらいに上げるという唐突なやり方に対しては了解するわけにいきません。 ですから今後のいろいろな考え方をひとつまとめてもらって、たとえば該当者が二%以上になったなら引き上げる、しかし該当者が一%を下らない範囲でもって上限をきめる、これが一つの定説だ。あるいはまた標準報酬が、平均賃金と置きかえてもいいのですが、これが一〇%以上上がったなら上限を引き上げる。やはり考え方に何か理論的な裏づけをもって対処してもらわなければ、全く適当主義でもってすべてが律せられたのでは、全体をながめてもらえば何とかかっこうついているでしょうなんという、そんな考え方では困る。私はこういうふうに思って、たとえばの話ですけれども提案をしているわけですけれども、それはどうですか、大臣。
○齋藤国務大臣 まことにごもっともな御意見だと私承りました。確かに今日まで長いことこの上限問題を政府が提案しなかったということは、私は適切でなかったと考えております。すなわち負担の公平ということからいえば、これはその必要があるときに提案すべきものであったと思います。しかし過去のことを言うてもどうしようもありませんから、今後の問題として、私はやはり一定の基準をつくりたいと思います。二、三%がいいのか、いまお述べになりましたような標準報酬でやるのか、これについては今後社会保険審議会の専門家の意見も聞きまして基準をきめるようにいたしたいと思います。 幸いに、今度のこの法律の中の本則の第三条ノ二というところに、将来いろいろ必要があるときには改定の措置を講ぜられるべきものとするという条項がございますから、この法律条項の運用方針について、この法律が成立いたしました暁に、社会保険審議会に諮問いたしまして、はっきりした基準をきめるようにいたしたいと思います。そのほうが国民にとっても非常にわかりいいことでございますから、そういう基準を設定するようにいたしたいと思います。
○田邊委員 今度国庫補助が一〇%になる。これは昨年衆議院でもって与党修正をした足跡をとどめて、今度こういうことになった。これもさっきの話からいいますると、一〇%が妥当かどうかというのは、はっきりわからぬわけですが、ただ、全体の組み合わせから見ると、その程度がよかろうかといっているのですね。しかし政府は、国会の中において、成立をしなかったけれども、衆議院においてそういった措置がなされたことに対して、あまり尊重していないわけですね。 昨年の例は御承知のとおりの給付改善がない形でもって、これが一〇%必要だという国会の、衆議院の意思が表明された。ことしは給付改善があるという形でありまするから、いわば今年度の収支は五億円でしたか八億円でしたか十億円ですかの黒という形でとんとんだといっているのですけれども、将来を見渡した考え方に立つべきだろうを私は思うのです。 それは一つおきましても、この一〇%というものがはたして妥当なのかどうか。これは山本委員の質問やら私どもが永年主張してまいりました、いままで定額でもって二百二十五億円で終始してきたことからくる赤字の累積、そういったものに対して、いわば罪滅ぼし的な意味でもって定率にしたということをいま誇らかに言っているけれども、実はわれわれとしては、これで満足すべきものではないという考え方に立つわけであります。その上下限のことを除きますると、今度の料率の改定案がいわゆる四月実施でもっていきますると、三百六億円、特別保険料によるところの収入増が二百十一億円、合計で五百十七億円でありまするが、これに対して国庫補助は二百二十五億円から八百十一億円に今度なるというのでありまして、五百八十六億円ばかりふえたというのですね。 そうすると、この限りで見た場合には保険料率の改定、特別保険料の創設、これの五百億円、それに国庫補助の増額分が五百億何がしという形で、いわばさっきの大臣の言うように、三者三泣き、二者両泣きだか知らぬけれども、そういうようなことを数字はあらわしておる。しかし現実に大臣どうでしょうか。いま国会でもってこの法律案を審議中でございます。国会が終わるのは七月二十四日でございます。そうすると、これが通過をいたしましても、この実施期日は、ずれますね。それはわれわれは、このままの状態の中でこれを通すわけにいかないと思いますけれども、たとえば通った場面では実施時期がずれることは御案内のとおりです。そうなんでしょう。
○北川(力)政府委員 そのとおりだと思います。
○田邊委員 そうしますると、たとえばこれは八月一日に実施時期がずれたという形になったときに、この八百十一億円はどうなるでしょうか。
○江間政府委員 お答えいたします。 八月実施の場合には一般会計の受け入れは大体六百億くらいになります。
○田邊委員 それはどういう根拠ですか。
○江間政府委員 月割りで計算するからでございます。
○田邊委員 月割り計算というのは、これはこの一〇%の八月一日からの何カ月でしょうか、これをかけた数字じゃないですね。
○江間政府委員 結局七月までは従来どおりの定額補助の二百二十五億を月割り計算し、それから八月以降は一〇%の国庫補助で月割り計算するというふうにすれば、大体六百億になりますということでございます。
○田邊委員 それは、だれがそういうふうにきめているのです。二百二十五億円の月割り計算なんということは、だれがきめているのですか。われわれは、そんなことを承知していませんよ。
○江間政府委員 これはわれわれが事務的に、法律が改正された場合には一〇%の国庫補助が出る、それまでの月におきましては二百二十五億でいくという従来の考え方からでございます。
○田邊委員 第一、二百二十五億円が少ない。何年も二百二十五億円だった。これは少ない、こういう考えで、これは定説になっておって、何も二百二十五億円でなければならぬということはないのですよ。政府はそんな考え方だったら、とんでもない間違いですよ。これは当然、定額であったにしても、逐年ふやすべきものをふやしてこなかった。その考え方が誤りであり、それが不備であるということをもって、今度は定率にして一〇%にしようというのでしょう。実施の時期がずれたことによって、その七月三十一日までの分は昨年まで実施しておったところの二百二十五億円を踏襲しなければならぬという考え方は私は納得できない。
○江間政府委員 われわれの考え方といたしましては、法律が改正された時点から一〇%という考え方をとり、それまでは従来からの考え方を踏襲するということでやっております。
○田邊委員 二百二十五億円なんというのは、一体何でそれが基礎になるのですか。たまたま何年かそれをやっていたからでしょう。ずっと二百二十五億円というものが国の動かすべからざるところの憲法の規定でもってやっていたのですか。そうじゃないのでしょう。ある時期はもっと少なかった。ある時期にふえてきて、そしてそれが何年か続いてきたというイージーゴーイングな形をとってきたにすぎない。 まして今度は、そういったものが実は誤りであった、医療費もふえております、とても足りません、したがって定率にいたしましょう、昨年は五%、ことしは一〇%という考え方をとっておるのですから、したがって、たとえ実施時期はずれても、それに対して政府が負うべきところの責任は当然負ってもらう。今年度八百十一億円の予算を計上しておる限りにおいて、その趣旨を生かすということは、当然の成り行きだと思うのですよ。 主計局長お見えですか。大蔵省、どういう考え方ですか。——主計間の考え方は大体わかっているのだ、この間うちから何回も聞いているから。あなたの考え方はわかっているから、主計局長を呼んでこい。さっきから要求しているのだから、だめだよ。
○田川委員長 ちょっとそのまま待ってください。
○田邊委員 それじゃ、ほかの質問をしていましょう。 大臣、私は大蔵省は非常にきついのだろうと思って、渡部主計官の顔を見ていると大体わかるのだが、去年もそうだったのです。そういったことは許されるのでしょうかね。健保の赤字を何とかひとつなくそう、そのために国は定率補助を実施すると、あなたが実は高らかにラッパを鳴らした。そして八百十一億は今度の予算で組んでおる。たとえ実施時期はずれても、七月までは二百二十五億円月割り計算なんという、こういう考え方でもって一体いいのでしょうか。これはひとつ大臣の裁量でもって、八百十一億について当然今年度は確保する、こういう考え方に私はまず立つべきだというふうに思っているのですが、どうでしょうか。大臣、ひとつこの辺でもって勇気を出しなさい。
○齋藤国務大臣 法律改正の際にはいつも、実は昨年もおととしも、たしかそういう例になっておったと思います。すなわち、法律改正を提案いたしまして、それが流れますときに、前の年の二百二十五億ということで来ておったわけでございます。 こういう慣行がいいかどうか、私もいろいろ意見はあるところだと思いますが、これはやはり法律が通った段階でないと、なかなか処理しにくい問題だと思うのですね、実際のところ。ですから、いままで、昨年も実は五%の定率で提案をいたしまして、その法律が廃案になる。そうすると、やはり従前の補助額で来ている。こいう慣行で来ておったものですから、ひとつどうかできるだけ早く御協力をいただきまして、法律が成立いたしましたときに何とか考えなければならぬ問題だ、こういうふうに私は考える次第でございます。確かに適当な措置であるかどうか、多少私も考えさせられる点があることは、そういうふうに申し上げておきたいと思います。
○田邊委員 あなたのは通らないことを大体予測して、通ったことを考えていないというのだったら、これはまたわれわれも考え直さなければならぬ。あなたは通ることを前提にして法律を提案しているのじゃないの。通ったら、一体これはどうなるんですかと聞いている。八月なら八月一日に実施した場合に、七月まで二百二十五億の月割りというのは——月割り計算というのは当然あるかもしれないよ。しかし、昨年まで二百二十五億円だったから、ことしも二百二十五億の月割りでいいなんという話は、これは私はいただけないだろうと思うのです。 ですから、百歩譲って定率一〇%を八月からやるという形であっても、その前の二百億円ぐらいの金について、これはどうして投入できないのですか。昨年もそうだったですね。百四十八億円の金が実は余った。おととしも五十億円の金が余っている。これは喜んでいるのは大蔵省だけだ。これは大蔵省の金じゃないんだから、間違えちゃ困る。これは国民に提示していこうということなんだから。そして、国会の審議を通じてこの成立を期そうとあなた方は考えている。成立の時期がずれたという場面は当然予測をできるという中でもって、この八百十一億円がいつの間にか何ぼか形の上で消えていくなんという、こういう考え方というのは、私は何としても了解できない。 これは二百億円がありとすれば、実はかなりのいろいろな施策ができるのですよ。それをあなたは、ひとつしっかりとかかえて、大蔵大臣が何と言おうと、しっかりかかえ込んで、これは国民のために確保する、こういうふうに御答弁いただけますか。
○齋藤国務大臣 いままでの例は、御承知のように廃案になったときの例でこうきているわけでございますね。そこで、私は一日も早く成立させていただきたいとお願いしているわけですから、御協力をいただけることと私は信じておるわけなんでございますが、その時点において何とか考えにゃなるまいなという、実は率直な気持ちを持っているのです。しかし、いま具体的にどうするということは申し上げられませんが、今度はいままでとは違うということで考えにやなるまい、こういうふうに私申し上げている次第でございます。
○田邊委員 あまり元気が出ないような答弁で、これはもう何としても私としては納得ができないというふうに思っておりまするが、この一〇%というものの理論づけは毎年のように話がありまして、昨年は国民健康保険の四割五分、日雇い健保の三割五分に比較して一体何ぼが正しいかというようなことが論議されました。その中に参考人に出ていた審議会の近藤さんの意見が出されたり、いろいろな意見が出ました。そういう議論をわれわれは頭の中に置いております。 しかしやはり私はもう一つ、角度を変えて見ますならば、他のいろんな政府が考えているところの施策、たとえば年金なら年金との比較、これも私は一策だろうと思うのです。厚生年金は給付率の二〇%、国民年金は三分の一であります。そして国民年金に見合うものとしては、国民健康保険は調整を含めて四割五分見ますという形から見ると、このいわば同じ階層としての厚生年金の給付率の二〇%に比較して、政管健保の一〇%は少ないという論は、私は、マクロ的に見たときにいえるのではないか。あなたのほうでもって一〇%というのが、絶対もうこれは正しいというなら別だけれども、そうでないとすれば、そういうことに対する見方はどうでしょうか。
○渡部説明員 国庫負担一〇%の根拠についてのお尋ねでございます。これにつきましては、従来からいろいろ経緯がある問題でございますが、すでにしばしば申し上げておりまするように、従来の定額負担に比べまして、今後は給付費の伸びに対応しまして国の援助もふやす、こういうかっこうにいたしたわけでございますが、この一〇%補助につきましては、御存じのように昨年は五%で提案をいたしたわけでございますが、当院の修正でもって一〇%、四十七年度は七%、四十八年度以降一〇%というような修正もなされました。そういうようなものも考慮に入っておりまするし、この一〇%補助によります四十八年度予算額、それが大体八百十一億が二百二十五億に比べて三・六倍というようなことでございまするので、国の援助としましても相当大幅なものになるというようなこと、それから他の社会保険に対するバランスの問題でございますが、これにつきましては、昨年来問題になりました市町村国保とのバランスの問題でございますが、国民健康保険の場合の補助率は四五%でございますが、政府管掌健康保険の場合、この国庫補助と事業主負担とを加えますると、大体総医療費ベースでは四六・六%に相なります。こういうようなことで、市町村国保とのバランス上も、ほぼこれで権衡しておるのじゃなかろうかというようなことでございます。 それから、ただいま他の長期給付の年金関係等につきましての国庫負担に比べて、この短期の健康保険の国庫負担の割合が低いではないか、こういう御指摘でございますが、長期と短期とにつきましては、いろいろ意見があるわけでございますけれども、やはり短期保険の場合には、これは諸外国もそうでございますけれども、原則として国庫負担なしに保険主義で運営していく。しかしながら、そういう国でございましても、長期給付につきましては、ある程度の国庫負担をするというようなたてまえをいたしておりまして、わが国の場合もそういう考え方で従来長期と短期とのそれぞれの国庫負担の割合が違います。 たとえば同じ共済組合の制度におきましても、私学共済の場合には短期も長期もやっておりますけれども、短期につきましては国庫負担はございません。長期につきましては一八%の国庫負担をやっておるというような考え方でございます。たとえば短期の場合で、組合健康保険につきましては原則として国庫補助はございませんけれども、同じような被保険者が対象となります厚生年金保険につきましては給付費二〇%の国庫負担を行なっておるというようなことで、これはいろいろ沿革的にもそういう差がございまするし、諸外国におきましても、いろいろそういう差があるのではなかろうか、このように考えております。
○田邊委員 いまの主計官の答弁の中で一つの考え方が出てくると私は思うのです。それから大臣の先ほどの、保険局長も答弁したと思うのですが、いわゆる組合健保との間における格差、これをやはり是正する、その脆弱性を是正する、この組合健保に対して政管健保の脆弱性とは一体何でしょう。
○北川(力)政府委員 やはり組合健保と政管健保とを比較いたしますと、歳入、歳出の面でいろいろなファクターが違っていると思うのであります。歳入の面では、組合健保のほうは標準報酬が高うございますから、したがって、歳入は多いという点が一点ございます。それから歳出の面におきましては、政管健保の場合には標準報酬も低く、かつその被保険者の構成も比較的老齢者が多い。したがって、疾病も多くて、歳出も多い。こういうことで歳入面と歳出面と、いわば両方積み重なって、組合健保と政管健保の場合とを比較いたしますと、その間には非常に大きな格差が出てくる、このように考えております。
○田邊委員 組合健保と政管健保の平均標準報酬の差は一体どのくらいの割合でしょう。
○北川(力)政府委員 約二〇%でございます。
○田邊委員 大体四十一年の七七・一%から始まって、最近八〇%をちょっとこえるという状態でありますけれども、依然として二〇%の大体格差、落差がある。これをひとつ政管健保のいま八 〇%ぐらい、四十五年の八〇・七%程度のものを一〇〇%まで引き上げたとすれば、一体どのくらいの収入があることになりましょうか。
○江間政府委員 お答えいたします。 四十六年度について試算してみますと、保険料収入では、もし政管健保の被保険者が組合健保と同じような収入があると仮定しますと、大体千二百億円くらいの増収が見込まれます。片方、医療給付費の面では大体九百億円くらい支出減になる、こんな見当かと思います。
○田邊委員 したがって、さっきの大臣の話を受けて私実はいま質問をしているわけですけれども、この政管健保は組合健保に比較して収入面の脆弱性がある。これは逆ざやの傾向にある。これがなくなれば、支出面におけるところの年齢構成の問題は、女子が多いという問題、それから医者にかかる部面が多い、環境面からいっても多い。いろいろな支出増の問題がありますが、これを一応抜きにしても、いまの八〇%という二〇%差というもの、これを埋めるとすれば四十六年度大体千二百億から千三百億、四十八年度大体千六百億くらいの、いわば逆にいえば収入増になるはずでありますから、政策的に見た場合には、政管健保、組合健保のこの差、大臣の言われた脆弱性、これをひとつ政府がめんどうを見てやる、こういうことが私は成り立つと思うのです。それが国の補助の一つの政策上におけるところの理論づけになる、こういうように私は考え方としてなると思うのですが、さっきの大臣のおことばを受けて、私はそういうふうに考えるのですけれども、いかがですか。
○齋藤国務大臣 収入の差額の分を全部国が埋める、そういうやり方が適当であるかどうか、私は必ずしもそうは思いません。それだけじゃなしに、やはり全般的ないろいろな要素を考え、よその社会保険に対する国庫補助率、そういうものをあわせて考えるのが、やはり適当ではないか。収入の不足分を全部国がまるまるもう見るのですよということが、はたして適当かどうか、その辺は私は多少疑問を持っておるわけであります。
○田邊委員 あなたの話を受けて、私はそういう質問をしておるわけでありまして、最初から私がそれを言っているのじゃない。他の保険との問題は、さっきも言ったとおり、いろいろと論議をされてきたから、私はここであえて繰り返さないだけです。そういう一つの理論づけもあります。国保や日雇いとの関係もあります。それから厚生年金との、これは短期、長期のことについて、いま話がありましたけれども、それをおいてみても、これは話が合う。これは国民年金、日雇い、国民健康保険、これらの短期、長期、これについても三分の一、三五%、四五%ですから、厚生年金の二〇%に対して、二〇%を入れたら、これは決してまずいものじゃ絶対ない。 しかし一面あなたの言われたようなことを受けて、いわゆる政管健保におけるところの体質の弱さというものを、これはひとつ国が見てやろうじゃないか、こういう立場から見て、その一つの問題であるところの平均標準報酬の差について、いま数字を承ったところによれば大体千五、六百億ぐらいの状態にある、これをひとつ国でもってめんどうを見てやる。私は何も正確にこれをいつも見ろということを言っているのじゃありません。そういう考え方をするというのは、これは政策的な面から見た場合には一つあり得るのじゃないか、こう言っているのです。これは間違いですか。
○齋藤国務大臣 政管健保の脆弱性を判断する資料として、いま仰せになりましたようなことを考えるということも私は一つの要素であろうと思います。しかし結論的に、であるからその全額をということになりますと、そこはどうであろうか、こう申し上げておるわけでございます。
○田邊委員 その要素であることについては、お認めいただいたと思うのでありまして、それをどのくらい国が見るかということは、また今後の一つの論議になるかと思うのですが、一応そういうことで承っておきたいと思います。 話はずっと進んでいきましたから、いいと思いますけれども、主計局次長がお見えですから、話は聞いたと思いますけれども、八百十一億円がことしの予算で組まれたが、定率の実施がずれたという場面を想定したときには、これは月割り計算という話もさっきからあるわけです。 これは二百二十五億円というのは、いままで何年間かとってきたから、何か動かしがたいようだが、その前はこれは二百二十五億円ではなかった、最初は幾らでしたか、五億円でしたか、そんなところから発足したわけですね。そういうことであるから、この二百二十五億に固執する考え方というものは私はないのじゃないかと思うのです。これはせっかくあなたのほうは八百十一億用意された、この金をどうぞ政管健保でお使いください。国会の審議がいろいろなことがあって、特に自民党と政府の責任でもってこれだけ実はおくれてきているという状態の中でもって、実施時期がずれるかもしれないということになれば、これは政府としては八百十一億の金というものは、何もその中を削って、いやその分はひとつ大蔵省に戻してくれというような根性ではなくて、当然ことしはこれは一〇%、四月実施の八百十一億円については、どうぞ御随意に政管健保でお使いください、これが私は政府がとり得るところの最も国民に奉仕する立場に立った考え方である、こういうように思っておるわけであります。二百二十五億円にあなたのほうは固執される必要も根拠もない、そういうふうに思って、さっき質問したのですが、何か補足的に答弁することがあれば言ってください。
○辻政府委員 ただいま御指摘のございました八百十一億円の積算の根拠につきましては、先ほど御説明申し上げたと思いますけれども、御承知のように従来の定額補助が二百二十五億円でございましたので、その三月分と、それから今回お願いいたしております一〇%の定率補助は四月実施でございますので、その十一カ月分の合計といたしまして八百十一億円を計上しておるわけでございます。法律が通りませんければ、当然定率補助のほうは実現しないわけでございますので、田邊委員御承知のような従来の経緯もございますし、やはりその分といたしましては、定額のほうで調整せざるを得ないのではないか、ただいまのところは、私どものほうはそういうふうに考えております。
○田邊委員 調整をどうするのかということがよくわからなかったのですけれども、必ずしもそれがどうしても固執しなければならないことではないというふうにわれわれは受け取っていきたいと思うのですよ。これについてはまだ行く末わかりません。さっきも大臣が何か考えなければいかぬだろうという話がありましたが、通ったことがないものだから、通った場面をちっとも予想してないということで、これはわれわれ自身も、その点ではある程度わかるわけです。経験のないものについては、なかなか教えにくいわけです。その点はひとつそういうことで、大蔵省もこれに対しては十分考慮してもらいたい。配慮して国民の要望に沿った措置をとるように、私は強く要求しておきたいと思う。 さて、時間がだいぶなくなったのですが、一番最初に申し上げた点は、これを繰り返しますると、なかなか論議が尽きませんから、せんだっての山本委員の質問にもありましたし、各委員が質問したと思うのですが、今度の財政の措置によって、まあまあ収支がとんとんに運んでいく——実は私ちょっとこまかく数字を持ってきたのでありますけれども、これを申し上げる時間がないので残念でございまするが、逆ざやもだんだん解消されてきておる。これは標準報酬もだんだん上がってきているという形でもって考えますると、給付改善や医療費の改定等を抜きにいたしますると、今後の大体の財政の見通しは一体どうなりましょうか。
○江間政府委員 現在の時点で長期の収支の動向を的確に見込むというのは、むずかしいところでございますが、今回の対策が原案どおり実施された場合には、かりに過去の収入支出の伸びが引き続くというような仮定をいたしますと、収支は大体において当面均衡のまま推移するというふうに判断いたします。
○田邊委員 それはあれですか、給付面の伸びは、あなたのほうで大体過去の例からいって、保険医総辞退があったり、あるいは特別何か病気が起こったりというようなことがあれば別ですけれども、いずれにしても、ある程度の幅はあっても大体の平均指数は出ていると思うのですね。問題は収入面の平均賃金の引き上げがどうかという点で、この間も山本委員が質問しましたけれども、私はその裏を言いますと、逆に言えば、平均賃金の引き上げが大体何%くらいならば収支はとんとんですか。
○江間政府委員 たとえば医療費の改定という要素を全然別にいたしますと、医療費の支出の平均的な伸びは大体九ないし一〇くらいに考えていいかと思うのです。したがいまして、それをまかなう収入が自然増としてどの程度考えられるかということであろうと思います。標準報酬の最高限の関係もございまして、いま申し上げた九、一〇くらいではちょっと困るわけであります。もう少し高い一二、三%くらいのベースアップがあれば、ほぼ収支均衡するのではないか、大ざっぱでございますが、そのように考えております。
○田邊委員 したがって、この春闘の行くえはまだはっきり出てはおりませんけれども、二〇%なり二一%なりという賃金引き上げがあれば、その分はいわば余剰としてこれは残っていく、繰り越される、こういう形になると思うのですね。大体支出の九%から一〇%、それから賃金の引き上げが一二、三%というところで、特別な事情の変化がなければ収支とんとんであるという形ですね。したがって、ことしは二〇%から二一%くらいの賃金の引き上げが予想されるという形になりますと、収入増はこの一二、三%を差し引いて一体どのくらいになりますか。
○江間政府委員 この前もお答えいたしましたけれども、非常に大ざっぱにいいますと、大体百五十億から二百億くらいのオーダーになるのではないだろうかと思っております。
○田邊委員 そこで医療費の値上げは毎年どうもやらざるを得ないだろうと大臣は言われておるわけでありますが、これはこの賃金の増との見合いがあります。医師会はスライドを実は言っておりますが、この医療費の引き上げというものが毎年行なわれるという事態に対して、一体どういうふうに対処していかれましょうか。給付の改善と医療費の改定については弾力条項等を適用する、こういうお話があるわけでございまするが、この医療費の改定という事態、これは一体毎年どの程度を見込んだらいいかということは、ちょっとわからぬでしょうが、過去の例からいいまして、いろいろな場面が出ておりましたが、たとえば毎年五%なら五%の医療費の引き上げがあったといたしますると、この状態は一体どうなりましょうか。
○江間政府委員 たとえば四十八年度でどうかということについてお答えいたしますと、医療費の改定が一%あったとしますと、大体八十一億円くらいの支出増になると思います。ただわれわれ予定いたしております国庫補助一〇%、さらにこれを入れますとネットで大体七十三億円くらい。医療費の改定一%ごとに七十三億円ぐらいの支出増になります。
○田邊委員 したがって五%といえば三百五十億円くらいですね。賃金が二〇%くらい上がったといたしましても、どうも二百億くらい足りなくなる、こういう形であります。二百億を埋めるためのこの弾力条項の適用というのは一体どのくらいですか。 〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
○江間政府委員 大体一・五から二くらいの間になるかと思います。
○田邊委員 何ですか一・五というのは。
○江間政府委員 千分の一・五か二ということになるかと思います。だから〇・一五ないし〇・二くらいの間だと思います。
○田邊委員 これは単位がちょっと間違うといけませんね。よく説明してください。 そうしますと、〇・一五なり〇・二。医療費の値上げが五%、賃金が二〇%という好景気が続いたという形でも、一年に〇・一五なり〇・二ですね。そうなってきますると、これはいまの収支というものを私が一応仮定的に考えてみても、医療費の改定というものは過去の例からいって五%にとどまるということは、まずないわけですが、これはもう二、三年でもって、この財政の均衡化というものは破綻を来たすという状態でありますね。そうでしょう。
○江間政府委員 先生のような仮定を置かれるとそうなんでございますが、そこら辺は所得の伸びの状態がどうかということともからみまして、またあるいは標準報酬の最高限の問題ともからむと思うのでございますが、まあそれが急速であるか、それとも徐々であるかというくらいの感じかと思います。
○田邊委員 法律改正をまた将来にわたってやるというならば、これはまた弾力条項なんというのは別に要らないわけだ。あなたのほうはこれによって一体どのくらいの均衡化をはかれるのかということでもって、医療費の値上げをまず別にし、給付改善を別にして、いま論議を進めてまいりまして、たとえばの話ですけれども、医療費の値上げをどのぐらいにおさめていくかということについての答弁もないから、五%と押えた場合においてすらも、二、三年でもって大体この財政均衡化というのは破綻をするという形を、私は一例として示したのであります。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 あるいは賃金の引き上げはもっと少ないかもしれません。あるいは医療費の値上げはもろと多いという状態の中であれば、これは赤字におちいる年数というものは、もっと近い将来こういう形になる。これは非常に憂慮すべき事態であるというように思わざるを得ない。大臣、いかがでございましょう。いまのやりとりの中で、どのようなお考えをあなたはお持ちでございましょうか。
○齋藤国務大臣 給付の改善や診療報酬の改定、そういう場合に、弾力条項を使っていっても二、三年程度じゃないか、こういうような趣旨の御意見のようでございますが、私は二、三年でそうなるとは思いません。二十年も三十年もこのままでいけるかということになると、なかなか私もそれまで安定的にいけるという考えは持っておりませんが、私はやはり相当長期にわたって安定の状態を続け得るのではないか、こういうふうに考えております。 特に診療報酬の改定などにつきましては、先ほど来いろいろ御論議を賜わりましたが、賃金の自然増収というようなことを相当頭に描いて考えるわけでございますから、私は二年や三年ということではなしに、もうちょっと長期に、それが何年かと言われましても、これはこういう経済事情が目まぐるしい変転をしておる際でございますから、十年も二十年もこのとおりいかれるというようなことを私はなかなか断言するのは困難だと思いますが、二年や三年などというものではない、やはり相当長期にわたって安定していける、かように考えておる次第でございます。
○田邊委員 私はいま非常に収入面は賃金の上昇は高い、医療費の改定は、あなたは一年ごとにやらざるを得ないと言っているのですが、医療費の改定は少ないと実は見込んだ、一番実はよりいい状態というものを考えて、いまたとえばの例を出したのです。あなたが医師会に対してどのぐらいの抵抗力を示されるかわからぬけれども、たとえば賃金が二〇%ぐらい上がって、この医師会のいうところの診療報酬のスライド制、これを実施するとしたら、一体どのぐらいのスライドをしなければならないのですか。 医師会のいうところの国民所得に比例したスライド制、私は実はこの考え方に対しても非常に問題があると思うのです。医師の技術料即国民所得に比例をするというような考え方というものは、これは当初に経費をまかなう考え方からいえば、それはかなり違いがあるわけでして、これに対しても私は理論的にうなずけないものもありますけれども、賃金が二〇%上がって、医師会のいうところの診療報酬のスライド制の、この医師会の表、この表によって中医協でもって診療側が出したところのスライド制についての考え方、これを実施した場合には一体どのぐらいの医療費の値上げなんですか。
○北川(力)政府委員 医師会のほうから出ております、いわゆるスライド制といわれているものの組み立て方は、人件費と物件費と技術料に分けて、それぞれのファクターでスライドするというふうな計算をしているわけでございますが、何ぶんにも現在まだその問題について論議の最中でございまして、私どものほうはそれによってどの程度の数字が出てくるか実際のところ正確な計算がまだできないような実情でございます。
○田邊委員 それはあなた不届き千万な話じゃないか。いまこれでもって中医協はもめて、大臣は何かいまやろうかと言っているのでしょう。大臣もこれは毎年改定をせざるを得ない、こう言っている。支払い側は毎年改定については話に応じよう、スライドはいろいろな条件というものが前提でなければいけない、こう言っているわけですな。ですから、そういった場面を予想しなければ、これから先の健保の財政の行く末は論じられないじゃないの。当然医療費改定の大きなファクターを占める成り行きを考えたときに、この医師会のいうところのスライド制を実施したら、一体どのくらいになるかということを考えないでもって、あなた方はこの法律を出したの。特に弾力条項を出したの。大臣の全く根拠のない楽観論、まあもうちょっと長くもつだろうなんて、そんなあなた精神訓話みたいなことを言っちゃ困るのですよ。 一体医療費の値上がりはどのくらいか、賃金の引き上げはどのくらいかということを見渡して、一体このくらいもつだろう、いままでの過去の経験からいって。こういう組み立て方でもって大体五年なら五年、三年なら三年もつ、この法律を出せば。こういうことでなくて、まあもうちょっともつだろう——もたなかったら、どうしますか。この法律を出したけれども二年しかもたなくて、あとまた赤字になったらどうしますか。 だから私は、いわゆる診療報酬のスライド制が実施されたときは、賃金が春闘で二〇%上がった、国民所得もそれにつれて上がる。それから大体人事院の勧告というものも、それにつれて上がると予想できます。こんなのは計算すればすぐできる。毎年の春闘に比較をして人事院勧告がどのくらいかということでもって、医師会のいうところのパラメディカル職種と事務員等のその他の職員の給与についても、ひとつ出てくるという形でもって、薬品の問題はあとで言いますけれども、大体要素が出てくるでしょう。そうすれば一体どのくらいの医療費の引き上げになるのですか、こう言っているのです。
○北川(力)政府委員 医師会と申しますか、診療担当者側からは、いまおっしゃったような形で提案がございまするし、それを分解いたしますと、いま申し上げたようなかっこうで人件費、物件費技術料をスライドしていきたい、こういう考えがあるわけです。現在中医協で診療報酬の改定というものは、先生御承知のとおり十分に審議を尽くされて結論が出てくるわけでございますが、こういった提案に対しまして、現在中断をいたしておりますけれども、それまでの過程におきましては、公益委員の側において、しからばそういう提案をどういうふうに処理をするか、あるいはまた診療担当者側に対して支払い者側のほうから、これに対してどういうふうな要求を最終的にきめて、それをどう調整するかというふうな段階で、きわめて重要な段階になっていることも事実でございます。 そういう意味合いで実はいまのところ推測ということではございますけれども、どのような程度のパーセンテージになるか、現在の段階では的確なことは実は申し上げかねると申しますか、十分な計算がまだいまのところできていないような状態でございます。そういうところで御了承願いたいと思います。
○田邊委員 だから、それを試算をしてみたら、一体どのくらいになるかと聞いておるのですよ。これは私はそうなってほしいとか、なってまずいとか言っているのじゃない。これはあなた方のほうでどう考えたって、中医協の自主的な判断できめてくるのでしょうから。しかし、そういった場面を予想しなければ、この法律は出せないでしょう。まして弾力条項といわれる〇・七のいわゆる上積みを認めてくれというような提案ば、一体どういう根拠で出しているのですか。 それによってある程度の将来を見通して何年かの財政的なバランスがとれるという見込みに立っているのでしょう。だからスライド制でなくてもいい。スライド制でなくともいいから、いままでの過去の例からするならば、医療費改定というものが昨年の二月に一三・七%、実質一二%の引き上げがありました。その前にも四十五年の七月に医科について〇・九七%の実施がありました。ずっと前にあるわけです。そういった過去の経緯からいって一体どのくらいのものを見込んで、あなたのほうは医療費の改定がある、一年に直したら何%くらいの医療費の改定があるというふうに見込んでいるのですか。
○北川(力)政府委員 お尋ねのような趣旨でございますれば、私どももおよその見当はつくと思います。ただスライド制ということでございますと、人件費とかいろんな中身が、ウエートのかけ方等にも問題がございますので、やや問題があると思います。いまもおっしゃいましたように、現在までの時点における医療費の改定は、四十七年の二月が一%、それから四十五年の二月が八・七七、四十二年の十二月が七・六八、四十年一月が九・五というふうなことでございまして、その辺のところをずっと平均をいたしますと、大体のトレンドといたしまして五%から六%程度のものが上昇をしていくのではないかというような一応の見込みでございます。
○田邊委員 私がかってに五%と言ったら、五%という話が出てきたけれども、この五%で考えたときに——これは実質五%ですか、薬価の引き下げを除いてですね。
○北川(力)政府委員 そのとおりです。
○田邊委員 そこでこれが五%であった場合に、この法律の弾力条項の適用等によって、どのくらい一体まかなえるのでしょうか。賃金の引き上げのほうは不確定要素はありますよ。ありますけれども、大体五%というのは、いままでの過去の例からいって、賃金の引き上げ率はどのくらいかというのは、大体のやつが出てくるわけですから、そうすると一体どのくらいもつのでしょう。逆に言えば、弾力条項は一体何年間にどのくらい発動するでしょうか。
○江間政府委員 保険料収入と医療給付費の過去の趨勢を見ますと、医療給付費の動きはおおむね一六%台の伸びを示しております。医療費改定の際の、政策を除いたいわゆる自然増を見ますと、大体九ないし一〇%、それはすでに申し上げたとおりであります。これに対しまして保険料収入のほうは過去の例では大体一三ないし一五%くらいであります。もし標準報酬の条件の改定が適当に行なわれたというふうに仮定しますと、大体一六%台の伸び率になる。このためにすでに六ないし七%の医療費改定には大体たえられるというふうにわれわれは現在時点では考えております。
○田邊委員 これはとても、こんなことをやっているというと、給付改善なんか、大臣が幾らことばで説明してもだめになりますね。これはやはり別な考え方を出さないと、あなたの口公約でもって、これが通ったら早く七割給付をやりますといっても、とてもできませんね。いかに強気の大臣といえども、そういった見通しをくつがえすだけの力量を持っているわけではないということになってくると、まことに国民に対しては、うまいような口ぶりを示すけれども、実際にはこういったみみっちい考え方に立っては、とてもものごとは実行できない。こういう形になるわけですから、これはもうちょっと別の大きい知恵を出しましょうや。そうしなければ、とてもだめです。大蔵省みたいに八百十億が実施月がおくれれば、それも削ろうなんて、そんな考え方を持っていたのでは、これはとても国民の負託にこたえるわけにはいかない、こういうふうに私は思うのです。 実はこれから本論に入ろうと思ったけれども、時間がだいぶ過ぎているので、たいへん残念なんですが、これからいわば収支の状態というものをもうちょっと見きわめていきたいと思っていたのですが、大臣、中医協はいまたいへん御苦労さんですけれども、いろいろともめておりますが、大臣がいろいろと考えられる——ちょっとその前に、もう一つだけ念のため聞いておきますが、医療費引き上げのことで実質五%ないし六%といったら、もちろん薬価の引き下げが入っている。これは引き下げが最近非常に悪い。あなたのほうで適当に操作しているのではないか。そうでないかね。 四十年十一月に四・五%引き下げがあって以来、四十二年十月に一〇・二%、四十四年一月が五・六%、四十五年八月が三%、四十七年二月が一・七%の引き下げでありますが、これを年平均に直しますと、四十二年十二月の改定によって大体五・一%、その次の四十四年の場合は、一年間について四・一%、その次の四十五年については一年間に二%、四十七年の改定による年度換算にいたしますと、一%しか薬価の引き下げになっていない。これは重大ですよ。こんな状態であるから、いわば医療費の値上げをそのまま放置するかっこうになってくる。 まずわれわれとしては、この合理化の問題がいろいろと手がけられなければなりませんけれども、診療報酬の体系自身の問題がありますが、それに触れる前に、この薬価の引き下げについて、五年前ぐらいは年換算五%以上の引き下げになっておったのが、いま年換算一%ぐらいしか引き下げにならない。これはあまりにも甘過ぎはしませんか。どう思いますか。
○北川(力)政府委員 確かに薬価の問題は医療給付の面におきまして、きわめて重要な問題でございます。ただいま先生おっしゃったとおりの実績で薬価基準の引き下げを行なっておりますが、このような状況で十分とは、われわれも考えておりません。 ただ薬価基準問題が非常に重要視をされてまいりまして以来、いわゆる薬価基準と実勢価格との格差が四十年当時に比べて現在かなり狭まっておることも事実でございます。そういうことがございますので、四十年十一月の時点における引き下げと、四十七年二月における時点の引き下げとは、率の比較という問題がそのまま正しいというふうになるかどうか問題がございますけれども、しかし、昨年の二月改定の際の薬価基準の引き下げを行ないましたときに中医協から出ております建議書におきましても、やはり薬価基準の適正化問題というのを一つの大きな項目として取り上げているわけでございます。 したがって、薬価の調査は、そのときに毎年一回行なう。それから毎年一回行なう以外に、いわば経時的な変動を追跡して調査をして、絶えず実勢価格を把握をして薬価基準の適正化をはかっていくように、こういう昨年一月の中医協の建議書もあるわけでございますから、そういった意味合いで従来からも努力をしてまいりまして、相当程度薬価基準と実勢価格の差は縮まっておりますけれども、今後もいま申し上げました建議書の趣旨を十分に受けまして、関係当局とも協議の上、適正化に向かって十分な努力をしていきたい、このように考えております。
○田邊委員 これは、こういう数字がいままで出ていなかったから、何か薬価が引き下がったようなことをいっておるけれども、年換算してみて驚いた。ですから、これに対して強力な手だてを講じなければ、薬でもっていまや国民が全部滅亡するというような時代ですから、薬の害等の問題については実はいろいろとお話をしたいと思っておったのですが、これはできませんが、いまあなた、薬価の実勢価格との差はだんだん少なくなってきているというけれども、しかし、相変わらずバルクラインが九〇ということでいっている限りにおいて、実勢価格と薬価基準の差が縮まったということは理論的にいえない。これは一体どういうふうにすべきなんですか。 医師会は反対している。支払い者側は五〇%にしろ、公益はその中間をとって七〇%ぐらいがとりあえず適当じゃないかといって、これも適当な話ですけれども、一体どういうふうにすべきなんでしょうか。これは五〇%が限界といっていいかどうかは、ちょっと意見があります。プラスマイナス五〇というようなことが、はたしてどうかということについては意見がありますが、いまの九 ○でいいとはだれしも思わないと思うのです。これはどうでしょう。だれが答弁するのですか。
○齋藤国務大臣 この問題は、私が申し上げるまでもなく、いま中医協で紛糾しておる一つの項目でございます。立場がそれぞれにありまして、相争っておる問題でございますので、これについて、とかくの意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、薬価はあくまでも実勢価格を的確につかむ、それから的確につかむような強力な措置を講ずる、これ以外に道はないというふうに考えておる次第でございます。 したがいまして、このバルクラインの五〇とか七〇とか九〇とかいうのは、いま紛糾の問題でございますから、この問題についてお答え申し上げることは、御事情を十分御理解でございますから、ひとつ差し控えさせていただきたいと思います。
○田邊委員 これは、実は医療供給体制の確立の問題と医療保険制度の抜本改正の問題の中で、医療費の値上げをただ口をあいて見ていていいというわけのものではない。どうしても合理化をはかって、医療費の値上げを総体的には少なぐするという形をとらなければいかぬ。その中の非常に大きな要素になることは御案内のとおりであります。われわれはそれに見合った技術料の引き上げをしなければならぬと思います。 ですから、診療報酬体系の改定、これから先の合理化といいましょうか、適正化といいましょうか、これを強力にはかっていくという考え方に立たないと、ただ、医療費が上がりました、したがって保険料も上げたり、国の負担も上げなければならないというだけではいかぬ。できれば、そういう中身が変わっていって総体的なワク組みが変われば、保険料も上がらないし、国の負担もよけい持たなくて済む、渡部主計官が喜ぶという形だから、診療報酬体系の合理化について、これはほんとうの前提だとわれわれは主張してきたわけであります。これをやらなければ、保険法の目先の改正ではだめだ、こう言ってきた。政府はなかなか腰を上げぬという形で今日まで来たわけですが、この問題についても、ひとつこれは徹底したメスを入れることが望ましいというふうに思って、強く要求しておきます。 もう時間が来たそうですが、ひとつ大臣、中医協もいまもめておるところだから、あなたは非常に言いづらいだろうけれども、これから先の日本の医療の供給体制というものを考えるときに、われわれは、日本では歴史的に開業医が中心にやってきたということを知っています。しかし、その状態でいいというようには、われわれは考えていない。医師会は少し勘違いして、医療国営論をわれわれが吐いているようなことを言っていますけれども、そうではない。しかし、いずれにしても、この適正配置はしなければならぬ。一つには、私は病院の体制というものをどうするかということだと思います。 きょうは、実は私の質問の主目標は、この病院の中におけるベッド規制等の問題について、あなた方の、これから先の考え方を聞いていきたかったのでありますが、非常に残念でありまして、実はあとでもって、委員長、理事さんのほうにお許しをいただいて、この問題についてはひとつ見きわめていきたいと思います。 この中医協の構成についても考えなくちゃならぬ。これを言うと禁句だなんて、あなたのほうは言うかもしれませんけれども、考えなければいかぬですよ。武見医師会長がどう言おうと、現実にこの医療機関の中でもって、開業医が、もちろんその使命は重大なものがあるし、歴史的な経緯があることは私は存じておるけれども、しかし一方において、やはりこのいわゆる公的病院等の果たしているところの役割りは大きいわけです。特に、入院費問題等病院の独立採算上からくる非常な赤字対策、これをどうするかということが問題じゃないか。 したがって私は、診療側も、このことについても——古い話をして申しわけないけれども、あなたのほうも病院の代表を昔は入れておった。三十三年から三十五年までですよ、入れておった。これが次の三十五年くらいの改定でもって開業医だけになった。日本医師会代表だけになった。こういう経緯は御存じのとおりでありますけれども、これはやはりいつの日にか変わっていかなければならぬ趨勢にある。いまの医療の趨勢というものがある。これはまあ武見さんがどういやがっても、どう拒否反応を示しても、私はそういう状態になってきているというように思うのです。 しかも、昭和三十二年に、厚生省保険局長高田正巳署名で、当時の堀木厚生大臣と日本病院協会長神崎三益との間において取りかわしたいわば念書がある。これは御存じでしょう。この念書があるということを踏まえていただきますれば、診療側の委員として、病院の代表というものについてもどうしても入れなければならぬ、こういう時期に来ているというようにわれわれは思うのです。武見さんに遠慮しないで答弁してください。
○齋藤国務大臣 中医協は、御承知のように目下紛糾をいたしておるわけでございまして、一日も早く事態を解決し、本来の機能が発揮できるように、そしていま望んでおる診療報酬改定、すなわち技術料を中心とした診療報酬の合理化が一日も早く実現するように私も念願をいたしておる次第でございます。事態収拾のために目下努力をいたしておる段階でございますから、とやかくのことは申し上げにくいと思います。 それから、ただいま申し述べましたような問題も、やはりこれにからんでいる問題でもございますので田邊委員のような専門の方々の御意見でございますから、十分承り、尊重いたさなければならぬと考えておりますが、いまはっきりしたとやかくの意見を申し述べることだけは、ひとつお許しをいただきたいと思います。
○田邊委員 実はあなた、非常に苦しいと思うのです、これは。私も事態をさらに紛糾させようなんて気持ちはさらさらない。しかし、基本姿勢は持っていなければならぬ、こういう考え方に立って言うわけでありまして、念書は御存じですね、昭和三十二年の。これはあなたは答弁するのがぐあいが悪ければ、当時保険局長高田正巳が書いておるのだから、これは原本は保管をしておるわけだから、まあ大臣が答弁するのがしづらければ、保険局長……。
○北川(力)政府委員 私ども実は率直に申し上げまして、詳しくは存じませんが、そういうものがあることは存じております。
○田邊委員 あることはひとつ確認をされて、当時の大臣が、この病院の立場が十分に反映するようにすることは必要である、したがって日本病院協会の主要な役員であったところの神崎氏が、この中医協の診療側委員でとどまることは当然のことであるという認識の上に立って、これは今後の方針として記録に残しておくと書いておるのであります。現実として生きておるわけであります。でありますから、早急の機会にこの念書が実現されることを、私は強く要求しておきたい。大臣にかわって、あなたでも答弁してください。
○北川(力)政府委員 非常に重要な問題でございますし、また非常に微妙な段階の現在でもございますので、先生のただいまのお尋ねにつきましては、私もよく銘記いたしておきます。
○田邊委員 禅問答みたいなことを言わぬで……。ぼくの発言について、あなたのほうも明確にこれを確認しておくということでよろしゅうございますな。
○北川(力)政府委員 ただいま申し上げたとおりでございます。
○田邊委員 それでは、ひとつ医療保険の抜本改正の問題について触れていきたいと思うのでございまするけれども、時間がなくなりましたから、一応午前中、私の質問をこの程度にとどめて、またの機会に質問をやらせていただきたいと思います。 ————◇—————
○田川委員長 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、これを許します。多賀谷眞稔君。
○多賀谷委員 いわば労働者の健康保険あるいは年金、今日皆保険と言われる時期に、政府としては整理をする必要があると思うのです。そこで私はまず具体的にお聞きしたいのですが、国民健康保険の中に、労働者、すなわち雇用関係のあるもの、これはどのくらい入っておりますか。 〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
○北川(力)政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、こういうふうに理解をしていいと思います。つまり現在のいわゆる雇用者でもって、被用者保険の適用を受けてない方々は、主として五人未満の事業所に雇用されている方々だと思います。その数が、四十七年度の推計でございますが、現在大体二百九十五万人くらいというふうに推計されておりますので、私の理解に間違いがなければ、先生のお尋ねに対しましては、そのような数字かと思います。
○多賀谷委員 国民年金なりあるいは国民健康保険、いわば被用者保険でないということが前提で出発をしているわけです。そして今日のように、皆保険になって整備された段階においても、依然としてこれが、被用者でありながら一般の国民年金なりあるいはまた国民健康保険の中に入っておる。そこに類型として非常に整理しにくいものがある。そこで私は今日、労働者年金、被用者年金あるいは被用者健康保険というものを整理する必要がある。これ、一体大臣はどういうようにお考えですか。
○齋藤国務大臣 私は、基本的には五人未満のものも、やはり被用者保険の中に吸収統合するのが筋である、こういうふうに考えております。今日まででも実は五人未満のものを健保なり、あるいは厚生年金なり、まあ健保に入りますと、自動的に厚生年金に入るわけですが、そういうふうに入れるにはどうすればいいかということで、事務的にもいろいろ検討したときもあったわけでございますが、なかなか事務的にやっかいなことでございまして、今日までおくれております。 しかし私は、やはり基本的には五人未満の被用者の方々も健保に入る、国保じゃなくて健保に入る、こういうふうな筋道のほうが将来として望ましいことである、そしてまた、そういうふうな方向に私は努力していかなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。
○多賀谷委員 あるべき姿としては、そうあるとおっしゃるが、一体それを統合するといいますか整理をする時期はいつでありますか。いつを目標にして整理をされるのですか。これは大臣でしょう、答弁は。
○齋藤国務大臣 いつまでとは言いにくい問題でございますが、実は本年度に実態の調査費を組んでおるわけでございますから、その調査費を使いまして、もろもろのそうした実態を調査いたしまして、解決の方向に向きたいと思いますが、いま何とかその実態調査の結果が出た段階で計画的に進めるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○多賀谷委員 労働省はもうすでに実施の時期を示しておる。労働省ができて、どうして厚生省ができないのですか。
○北川(力)政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、厚生省としては、多年の懸案でございます。いま先生御指摘のように、労働省ができて厚生省ができないというのは何かと言われますと、いろいろ適用上の技術的な問題も実はあるわけでございます。 失業保険とか労災保険の適用のしかたと、それから健康保険の適用のしかた、あるいは日雇い健保の適用のしかた、それぞれみな違っておりまして、こういうものを技術的にどういうふうに整理をして適用をしていくか、またその社会保険それぞれの内容も違っておりまするから、厚生省関係の保険について、すべて労働省のような適用のしかたをするかどうかというのも検討課題でございまするし、そういった技術的な問題、そういう点を十分に詰めて、またこれをやるためには非常にむずかしい問題の一つとして、相当膨大な職員も必要でございまするし、そういうところを十分に詰めた上で、できるだけ早い機会にすっきりさせたいというのが、私どもの現在の考え方でございます。
○多賀谷委員 いま皆保険でなければ私は、それは相当な、事務量も膨大になるし、職員も要るということはわかるわけです。しかし皆保険でしょう。それは厚生年金のほうは比較的容易である。ただ、国民年金のほうで、すなわち健康保険のほうで整理する場合は、給付がいろいろありますから、これは困難であろうと思うけれども、しかし現実には国民健康保険というのがあるのですから、現実に給付しているわけですね。ですから、私は、労働省のように、労災であるとかあるいは失業保険のように、その事故があるいは事由がめったに発生しない、だからできるのだということだけでは、役所として、健康保険についてもすでに行なっておるし、それから国民年金についても、すでにその労働者はどこかに入って行なわれておるわけですから、それは事務が、いままでの国民健康保険のある分を分量として、それが自治体でやるか国でやるかは別として、それを国民健康保険の場合には一般の健康保険に、あるいはまた厚生年金の場合は国民年金に、こう振り分ければできるでしょう。そんなむずかしいことじゃないですよ。やろうとしないからできないのでしょう。
○北川(力)政府委員 実情を申し上げますと、五人未満の事業所は、現在事業所数が約六十七万、その二倍の百十四万くらいの膨大な事業所数があるわけでございます。それから、対象になります被保険者もきわめて変動性が多くて、就労浮動性と申しますか、そういう点が多いものでございますから、そういう意味合いで、やはりこれを的確に把握をして、行政の執行としても間違いのないようにやっていくためには、現在の保険のテクニックの上において相当問題点が多いわけでございますので、そういうことも考えながら、そのためにはいろいろな事務処理体制の整備を必要とする、人員の面におきましても、相当なたくさんの人が要りまするし、それからまた適用していく上においても、いろいろくふうが要るのじゃないか、こういうふうな意味合いのことを申し上げたわけでございます。
○多賀谷委員 事業所の数だって労働者だって同じですよ。労働省ができるのに、なぜ厚生省ができないかと聞いているわけです。それは適用事業所の数であるとか労働者の数、これがなかなか調査の対象にしにくいとおっしゃることはわかるけれども、しかし、それをあえて労働省はやっておる。なぜ厚生省はできないのか、おかしいでしょう。労災も失業保険もできるというのに、健康保険とそれから年金はできないという理由が立たないでしょう。やろうとしないからですよ。全然理由が立たないのですよ。五人未満の事業所は同じようにあるわけです。しかし労働省はできるのに厚生省はできないという理由が全然ない。実際的にも技術的にもあり得ないですよね。大臣、いつからやりますか。
○齋藤国務大臣 御指摘のとおり、あるいは熱意が足りなかったかもしれませんが、四十八年度において調査費をもって実態の調査をやるという段階まで来ておるわけでございますから、その結果を待ちまして、ひとつ五人未満のものも健保なり厚生年金に吸収できるように計画を立てるようにいたしたいと思います。 そこで、きょうの段階で、何年計画でいつまで、こう具体的に言え、こう言われましても、ちょっといますぐというわけにもお答えできませんので、もうちょっと調査の実態をとらまえて、その時点において計画的にやっていく、こういうふうにいたしたいと考えております。しかしながら現実的にやろうと思いますれば、やはり四、五年は私は実際問題としてかかると思うのです。労働省のほうでやります場合も相当な期間をかけてやっておりますから、始めるとしても四、五年はかかるのではないか、かように考えるわけでございます。
○多賀谷委員 そうすると大臣が銘打って発表されるであろう社会保障五カ年計画の中には、最終年度には五人未満の事業所について、厚年なりあるいは健保等の適用はされる、こう見ていいですか。あなたの五年計画の中に入るのでしょう。
○齋藤国務大臣 そこまで私も詰めて申し上げているわけではございませんが、おそらく、本年における実態調査がはっきりいたしますれば、いわゆる社会保障長期計画の中に入れて検討するということになると思います。
○多賀谷委員 実態調査、実態調査とおっしゃるけれども、実態調査をやった結果むずかしければやらないのですか。実態調査はわかりますよ。しかし、あなたのほうは、何年計画をもって最終年度は何年からやるのだという、このぐらいわかるでしょう。実態調査を見なければわからぬですか。
○齋藤国務大臣 実施することを目途として調査をやるわけでございまして、調査の結果やらぬという方向ではないわけでございます。ただ、いつまでに完成するのか、こういうお尋ねになりますと、それはまだはっきりいえないのではないか。やるとすれば四、五年かかる。ということであってみれば、ことしから調査を始めるわけですから——もっと具体的に申し上げますれば社会保障長期計画の中に入れて計画を立てます。
○多賀谷委員 大臣は社会保障計画の中に入れます、こういうことですから、まず社会保障給付の国民所得に対する割合が、提示された五カ年内には行なわれるであろう、こういうふうに期待をしておきます。 次に、今度の日雇労働者健康保険法の改正案、これはどうも古証文のようですね。この改正案は、田中内閣のできる前のですね、あなたが厚生大臣になる前。すなわち昭和四十七年の六月十二日の社会保険審議会にかけ、さらに翌日の社会保障制度審議会にかけられた案文が出ておる。その後新内閣になって、そうして福祉政策を打ち出して、選挙をして、そして厚生年金なりあるいは健康保険の改正の提案がなされておる。これをやはり踏んまえて、古証文でなくて新しいのをつくって提案をして、そして同じように田中内閣としては、また齋藤厚生大臣としては、新しい構想で発表されてしかるべきではなかったですか。これはもとの大臣がやった、もとの内閣がやったのを、そのまま国会に出すというのは不見識きわまると思うのですが、どうですか。
○北川(力)政府委員 日雇い健保の改正につきましては、先生も御承知のとおり三十六年から何ら改正ができておりません。そういう意味でいろいろ関係者の間に改善の非常に大きな熱望がございました。ただ、日雇い健保法の改正と申しますのは、なかなかに関係者の合意が容易には得にくいような面も少なくないわけでございまして、そういう意味合いで、いまお話しのとおり昨年の六月にやっと現在御提案申し上げておりますような案が関係者の合意を得て、とりあえずこの案で実施をしてほしい、こういうような要請が固まったわけでございます。 確かに、それ以来の時日の経過もございますので、また社会、経済的な変動というふうなものもございますし、いろいろ考えますると、これが現在考えられる最適の案であるかどうかというふうな議論はもちろんあろうかと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、当面合意を得たところで改善を急がなければならぬ、こういう非常に急務としての要請もあるわけでございますので、とにかく昨年合意を得たところを今国会に提案をいたしまして、そして当面要請の強いところをまず早急に実現をしたい、こういう意味合いで今回の改正案を提案申し上げたような次第であります。
○多賀谷委員 四十七年の国会に出されておる健康保険、それと大体対応をした日雇い健康保険を出されておるわけです。それならば、やはり新しい健康保険法の改正が出ておるのに、日雇いのは昨年のだという、これはどうもそのものの考え方が、私は役所があまりにも日雇いというような層に対して冷遇しているのじゃないか、こういう感じを持つ。少なくともあたたかくない。そして関係者の同意がなかなかむずかしい——これはわりあいに楽なほうですよ、厚生省がやる中で。いまの健康保険なんてたいへんですよ。これ最も楽でしょう。最も楽なのを、この前かけておったから、今度はややこしいからという、そんな無責任なことは通用しないのじゃないか。 せっかく新大臣が抱負持って出られたのですから、古証文をまた新大臣に読ますなんというのは、これは役人としてもはなはだ失礼に当たるし、それを読む大臣も不見識な話だ、こういうふうに思うのですよ。時代は変わっておるのですからね。この一年間に福祉政策でも大きな転換をしようとしているわけでしょう。また、そういうことを公約して新内閣はできた。また、選挙で訴えたわけでしょう。それに古いのを出す。ほんとうに日雇いの層は気の毒な層です、いまから内容にタッチしますけれども、これはあまりにも冷たいではないか。大臣どういうようにお考えですか。
○齋藤国務大臣 実は私、昨年暮れ大臣に就任いたしまして健康保険の改正を考えたわけでございますが、その際、日雇い健康保険のほうも少し手直ししようかというような感じを持っておったわけでございます。そこで、そういう気持ちもあったのでございますが、社会保険審議会に私も出席いたしてみますと、前大臣のときにすでにきまっておった、この日雇い健康保険について労使の方方から、あれはそのまま出してくれるんでしょうな、なるべく早く出してくださいよ、こういう非常に強い要望なんです。これは私は、はっきりそう申し上げてけっこうでございます。 すなわち、日雇い健康保険法はよその保険制度に比べますと、ほんとうに不十分な点が多いと私は率直に思います。それから、おくれている点もたくさんあると思います。しかし、そのおくれを少しでも早く取り返していただきたい、これが労使の非常に強い要望であったわけでございます。 私に対して、昨年の六月に労使一致して答申をしたあの法律案要項は、あなたが大臣になっても間違いなくやってくれるんでしょうな、そして早くやってくれなければ困ります、こういう実は強い要望がありましたので、この際手直しいたしておりますと、まだ相当時間がかかる、それじゃせっかく労使の意見の一致した法律案でございますから、国会にそのまま提案し、不備の点、不十分の点はまた次の機会に、できるだけ早い機会に手直しをする、こういう態度が賢明ではなかろうか、こういうふうに考えて出したわけでございます。その点をどうか御理解いただきたいと思います。
○多賀谷委員 大臣、あまりいじましいじゃないですか。ほんとうに気の毒じゃないですか。古証文でも何とかしてくださいという気持ちでしょう。それは大臣、そのまま出す理由になりませんよ。そういう層の気持ちをくんでやるのが厚生大臣でしょう。ですから労使がこの前のを出してくれるんでしょうねと言ったら、大臣はプラスアルファして出すのが新大臣ですよ。どうもやはり大臣のそういう気持ちでは、りっぱな福祉政策はできない。ほんとうに気の毒でしょう。あのままでもひとつ何とかしてくれるんでしょうね、こういう気持はいじましいでしょう、政治家としては。ですから、それをむしろよりよくして出してやるのが厚生大臣の役目じゃないか、こういうように思うのですがね。
○齋藤国務大臣 それはそういう御意見もおありかと思いますが、日雇い健康保険法につきまして、もっと思い切った手直しをしようといたしますと、やはりもっと相当大幅な保険料の値上げといったふうなことになるわけでございます。保険費をとっている以上は、これはやむを得ないことでございます。そういうふうなことも考えて、そして不十分な点があっても、足りないところをできるだけ早く補う、こういう意味合いにおいてできるだけ早く提案をし成立を急ぐ、このことがむしろ大事なことではないか。手直しすることによって保険料を相当大幅に上げ、それによってまた労使が意見一致しないということになりますと、なかなか提案ができにくい。それよりは、まずおくれた点を補うということのほうが先ではないか、私はこういう判断をいたしまして、昨年六月合意を見ました法案を提出した次第でございます。 したがって私は、これで十分だなどとは一言も申しておりません。これを出発点といたしまして、できるだけ早い機会にまた改正をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○多賀谷委員 いまから逐一質問をいたしますから、それに対して、どういう改善案を持っているかお聞かせ願いたいと思います。 その前に私は、日雇い労働者という、この現在日雇労働者健康保険法の適用を受けている労働者の階層というものを聞きたいと思う。 一つは、要するに政府及び自治体の行なう失対事業の労働者、これはわかるわけです。どういう職種の人々が、この日雇労働者健康保険法の適用を受けておるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
○江間政府委員 日雇い健康保険の被保険者というのは、失対事業の就労者のほかいろいろな形があるわけでございますが、たとえば一番多いのは、やはり建設関係の日雇いの方でございまして、たとえば土工であるとか、あるいは土工に関連したような技能工であるとか、あるいは生産工程作業に従事している者、その次に多いのが大体サービス業の従事者、それから沖仲仕、それから運搬人などの運輸通信作業の従事者というような方が、かなり多いということでございます。
○多賀谷委員 最近地方自治体が独立採算制をしいられて、そして公営企業において料金徴収等を委託という形で行なっておる。ですから、この委託という労働者は、一体どの健康保険に入るんでしょうか。
○江間政府委員 もう少し具体的にお伺いしないと、わかりませんけれども、その方が就労される場合のその契約内容等で、常勤的な態様のものでございましたならば、おそらく共済組合的なものに加入することになりましょうし、そのときの契約次第で、いろいろ変わってまいるかと思います。
○多賀谷委員 もう少し具体的に申し上げますと、従来は地方公務員の臨時職員等だった。ところが、独立採算制をしいたために全部個人に委託契約をした。そうして同じ仕事をしておるわけですけれども、この料金徴収に一枚幾らだ、こういうことで委託契約をしたわけです。そこで一体この労働者はどこの健康保険に入ったらいいんでしょうか、こう聞いておる。
○江間政府委員 いまおっしゃったようなその仕事の態様でございますと、おそらくその方は本人の独立した資格において事業を行なわれる方なんでございますから、国民健康保険の被保険者になるのが至当であろうかと思います。
○多賀谷委員 そのとおりです。ところが夫婦共かせぎの場合ですね。従来は主人の扶養家族であった。ところが、働くようになったところが、これは収入があるというので、扶養家族から除外をされた。そこで、御主人と子供は主人の被用者保険に入っておる。奥さんだけは除外をされた。そこで奥さんが国民健康保険に入ろうとした場合に、次のような料金を取られて本人はびっくりした。すなわち擬制世帯主になるわけです。そこで奥さんの収入だけでなくて主人の収入にかかってくるのです。主人の収入と奥さんの収入。それから世帯主ですから、自分の財産ではないけれども主人の財産にかかってくる。それから均等割りと所得割りがくる。こんなばかげたことが一体あるでしょうかね。自分の財産でもないものを、主人の財産と、主人の収入と、本人の収入と世帯主と均等割り、こうくるのです。そうしなければ国民健康保険にすら入れない。これは私は、要するに谷間にある人たちについて全然考慮してない証左じゃないかと思う。 自治省は地方公営企業法を改正して、料金徴収は委託することができると、ほうり出した。ほうり出された人はどうなるか。全然考慮してないです。その人が、いままでは主人の扶養家族であった場合は一銭も要らなかったのに、今度自分の収入だけでなくて主人の収入にかかり、主人の財産にかかる。それから均等割りがくる。世帯割りがくる。たいへんな国民健康保険税になるわけですよ。これに対して、どういうように自治省並びに厚生省は考えておるか。
○出原政府委員 技術的な事柄でございますので、私からお答えをさしていただきたいと思います。 御案内のように国民健康保険では、保険料を賦課する場合に世帯を単位にいたしまして、その世帯の所得を見て均等割り及び所得割りという形で、いろいろほかの形があるわけでございますが、賦課することになっておるわけでございます。したがいまして、世帯を単位に見ますと、お話のような場合に御主人の所得というものも賦課の対象の金額になるわけでございます。国民健康保険は、制度のたてまえからそういう形をとっておりますが、なおお話のございましたように、擬制世帯主という形で御主人並びに子供さんはその被保険者ではないわけでございますので、こういったものにつきましては、特に御主人は所得のある方でございますから、擬制世帯主の分につきましては、御主人の分の保険料は頭割りで取らないことにいたしまして、奥さんのほうにかかるようにしてかける、こういうことになるわけでございます。
○多賀谷委員 ですから正確に言いますと、御主人と、それから奥さんの所得を足して、そして御主人の分だけ控除する、二分の一控除になっておる。しかし、この御主人の資産にはかかってくるわけですよ。奥さんの資産ではないけれども、御主人の資産にはかかってくる。そうして均等割りと所得割りがくる。一体こういうような雇用関係あるいはまたそういうことを全然考慮しないで、これに何らの配慮もしないで、普通のような場合の健康保険の取り方をしておる。これに対して私は非常に不満だ。ですから実際はどうしておるかというと、入っておらぬです。実際は奥さんだけは、どこの健康保険にも入っていないんです。ですから奥さんだけ病気したらたいへんだ、こういっている。子供は御主人の扶養家族であるが、奥さんは、皆保険においてもほうり出されておるわけです、現実は。これに対して大臣はどう思われますか。
○出原政府委員 いまのお話のようなケースにつきましては、奥さんが髪結さんでございますとか、パーマネントをやっておられるように、奥さん御自身が国民健康保険で、かつ大きな事業をやっておられるという場合に、御主人がつとめ先につとめておられるという場合も同様でございまして、これは全制度間を通ずる問題でございますが、国民健康保険が世帯を中心にものを考えるというたてまえをとっております以上、その間において御主人の所得に相応する部分、要するに御主人が国民健康保険で払うべきものに相応する部分を全額から差っ引いて、残りはその世帯として保険料を負担していただくというたてまえをとらざるを得ないということは、やむを得ないことと考えております。
○多賀谷委員 やむを得ないなら、これは日雇健保か何かに擬制として入れたらどうですか。こんなばかな話、ないですよね。御主人は御主人で会社の健康保険に入って、そして収入から取られておる。ところが、自分の財産でもないのに御主人の財産プラス自分の収入プラス御主人の収入の、人頭割りですから二分の一控除、それに均等割りと世帯割り。 ですから、そういうようなつじつまの合わないことを平気でやっていて、それに疑問を感じないというのが私はふしぎだと思うのです。厚生省がそれに疑問を感じない、これはおかしいなという感じを持たない、それは当然だといって、疑問を感じないところに問題があるのです。これは何らかしなければならぬじゃないかという気持ちが起こってこないところに問題がある。こんな矛盾、ないでしょう。わずかしかない収入で、ものすごい国民健康保険税を払うなら、本人は入らぬほうがいい、こういうことになるでしょう。これで皆保険が遂行できますか。
○北川(力)政府委員 現在のこの社会の大きな変動から出てきております、ひずみのような問題が、おっしゃったようなかっこうで出ているんだと私どもは思っております。私どもは、いま審議官からお答えを申し上げましたが、そういう問題が全くないというふうには考えておりませんで、いわば一種の二重負担のようなかっこうになっているわけですから、今後それをどういうかっこうで処理をするか、また日雇い健保の関係の御指摘もございましたが、皆保険下における被保険者の立場の平等性と申しますか均衡性と申しますか、そういう面を考えて、十分ひとつ検討してみたいと思います。
○多賀谷委員 大臣、私は、単なる労働契約上の雇用関係だけで律しておるところに問題があると思うのですよ。事実上使用関係があれば、この人が日雇いなら日雇い健保に入れたらいいと思うのです。ただ、役所のほうがこういういびつな不安定雇用を出したところに問題がある。臨時職員でも、雇用契約があれば、それはいままでの健康保険に入る。ところが、委託契約。しかも集金人ですよ、委託契約者というのは。普通の事業主じゃないですよ。このことは、たとえばNHKの集金人だって、電力会社の集金人だって同じですよ。集金人の身分というのは、こういう形なんです。 そこで、労働組合がつくれるかと言ったら、労働組合はつくれると言うのですよ。この人たちが集まって労働組合をつくることはできます、これは労働者です、労組法のいう労働者だ、こう言う。基準法のいう雇用関係と見るか、それは見ませんと言う。そして労働省は、その見ないというのは、逆に厚生省の社会保険に加入しているかどうかが条件だ、こう言っているのですよ。ここにありますね。ところが厚生省のほうは、それは基準法の適用があって、雇用契約があるかどうか、それが条件だと言う。両方とも条件の中に逃げておる。ですから結局できない。こういう問題になっておるわけです。 これは相当多くの数なんですよ。私は水道料金の話をしましたが、集金人という制度はほとんどそうですね。外務員なんというのもそういう形になるものが相当多い。これは膨大な数になるわけです。ですから、労働省にはやがていびつな雇用契約という意味で聞きますけれども、厚生省としては、やはり日雇い健保なら日雇い健保の中に入れていく、そして事実上使用関係があったらいいじゃないかということでいくべきではないかと思うのですがね。あるいはまた、相手の企業は零細な企業ではないですから、普通の使用関係でいくというならば、何も日雇いでなくとも、普通の健康保険に入れてもいいのです。ですから、その点を解決しなければならぬ時期が来ておるんじゃないか。こんないびつなものを、そのまま放置するわけにいかないと思うのですが、どうですか。
○齋藤国務大臣 多賀谷委員の御質問によって、私もそういう方々がおられることを知ったわけでございまして、基準局と保険局でお互いに何か逃げ回っておるような印象を受けます。こういうことは、あまり適当なことではございませんから、ひとつ両省で相談し合いまして——まあ雇用契約というようなことは別としまして、働いているという事実をとらまえて善後措置を講じてあげる、これは私は当然だと思いますから、なるべく早く解決するように両省で相談いたしまして、前向きに善処いたします。
○多賀谷委員 大臣は幸いにして労働行政を長い間やってこられたのですから、両方よくわかると思うのです。ですから、この問題は、日本のあらゆる社会保険の外にある、あるいはいろいろな福祉の外にある人ですから、ひとつ制度に乗せるように検討していただきたい、こういうふうに思います。 そこで具体的に質問したいと思いますが、まず健康保険の改正案と日雇保険の改正案の相違点について一つ一つお尋ねしたいと思うのです。 何といっても、大臣がテレビあるいは答弁で言われる給付改善ですね。一つは高額療養費の負担の新設の問題、もう一つは家族給付の五割から六割という問題です。これは依然として、一方は新設されないで、高額負担に対する補助がない、一方は五割負担だ、こういうことですが、日雇い健保以外には、もう五割負担というのはないでしょう。これはぜひひとつ改善してもらいたいと思うのですが、どうですか。
○北川(力)政府委員 先ほどお答え申し上げたことと結果的には、あまり変わらないことになるわけでございますけれども、確かに、おっしゃるとおり、今度の改正案を比較いたしますと、両方には相違があるわけであります。ただ日雇い健保のほうは、三十六年以来改善がないということで、昨年合意のあったところを、できるだけ早く実現をしたいというのが喫緊の要務と考えておりますので、そういった意味で当面家族給付の六割への引き上げはございませんけれども、合意のあったところをまずやって、それが実現した段階において、引き続いて健康保険の現在の改正案並みの水準にできるだけ早い機会に引き上げてまいりたい、このような基本的な考えを持っている次第でございます。
○多賀谷委員 六割というのは、当時、政府管掌の健康保険にもないのですから。政府管掌の健康保険だって五割だったのですからね。日雇いのほうは、六割にしてくれという案が出るはずがないでしょう。そういう発想が出てくるはずがないでしょう。ですから、健康保険のほうに六割という線が出たならば、やはりそれと同一水準を出すべきじゃないですか。労使が話し合ってきまったからという、意見の一致をみたから。そんなことは理由になりませんよ。いまかければ、六割にしてくれというにきまっている。健康保険も高額負担の場合は、ひとつ見てもらいたいというにきまっているのです。その健康保険の改正案が出る前にはかっておるのですからね。それはそんなことをおっしゃっても、全然理由にならないですよ。
○北川(力)政府委員 確かにおっしゃるようなサイドからながめますと、そういうことになろうかと思います。 ただ現在御提案いたしております案がまとまりましたのが昨年六月、これはただいま先生からお話のあったとおりです。その後健康保険につきましては、昨年の秋以来の、改善についての社会保険審議会という専門審議会での建議というものがございまして、それをもとにして今度の改正案を御提案をいたしておるわけでございます。日雇い健保のほうも、かりにいま先生が言われたような、たとえば家族の五割給付を六割給付にするというようなことになりますと、あるいはまた高額療養費の制度を新設をするということになりますと、全体的に現在のような保険料負担でいいかどうか、全体的に相当大幅な内容の変更を来たすのが当然だろうと思います。そうなりますと、やはりその変更することについて、審議会等をはじめ関係者の間で十分納得のいく合意を得るためには、かなりな時間もかかりますし、それよりもいろいろ御批判もあるかもしれませんが、当面その合意があったところをまずやるということが、この際は先決問題だ、このように考えております。 もとより先生のおっしゃいました健康保険の今度の改正案と、それから日雇い健保の改正案との相違は、私どもも十分にそれは知っておりますし、そういう意味で、今回の改正案ができ上がりました暁には、なるべく早く健保並みに今度の日雇い健保の内容も持っていきたい、こういうことを考えておりますので、現時点における実現可能なものを早くやりたい、こういう気持ちだけは御理解を願いたいと思います。
○多賀谷委員 どうも健保のほうが通過をする自信がないというようなことですね。通過をしたあとに、法律になったら、それに見習って水準を上げましょうという、どうも、出してみたけれども自信がないから、ひとつ通過をして法律になったら水準を上げましょう、裏にはそういう危惧があるようですが、何にしても私はやはり同じ基準で、同一歩調で、同一時点に立って、これは若干差があっても、しかたがないかもしれませんよ。しかし、出すべきじゃないですかね。私はそう考えます。 そこで一つずつ質問をしていきたいと思いますが、やはりこれらの方々は高額療養費の場合はどうするのでしょうか、大臣、どういうように考えられておりますか。それは組合健保の方よりも政府管掌健康保険の人々が気の毒だ、それならば日雇いの人のほうがまだ気の毒だということになるのでしょうね。そちらのほうは保険料のこともあるからというのでは、これは政治としてはちょっと公正を欠くんじゃないでしょうか。
○齋藤国務大臣 おっしゃること、私十分理解をいたしておるわけでございます。特に高額医療の問題などについては、日雇い健康保険にもできるだけ早い機会にこの制度を導入したいと考えておりますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、日雇いの問題というのは、保険料を上げることについて非常にむずかしい状況にあるわけでございます。国としての負担も相当高率になっておる段階でございますので、なかなかそのほうも思うようにいかぬ。一歩一歩改善の方向に向かって進むよりないのではないか。私も、ほんとうにお気の毒な方々でございますから、そうした充実した保険の内容にするようにすべきだとは思っておりますが、いますぐそこまでいけない。そこで、さしあたり非常におくれている面だけは、何とか解決しなくちゃならぬ、こういう考え方で提案をいたしたような次第でございます。
○多賀谷委員 大臣、それは、千名以上の企業の労働者の場合は組合健保、それ以下の場合は政管健保、それから日雇いの場合は日雇い健保、こういう仕組みにも、もうすでにその宿命を持っているんじゃないですか、そのことは。そういう、九つにも保険を分けておるという、そのこと自体が、もうそういう宿命を持って出ておるのですから、政府としては、福祉行政をやる以上は、そういうことを踏まえてやるべきじゃないですか。ですから、それはどうも理由にならないのですよ。一番困るほうから見てやろうという気持ちでない。それはやっぱり私は、政治としては公正を失する、こういうように思います。 そこで、いろいろ差があるわけですけれども、実にふしぎなのは、たとえば出産手当のような場合ですね。これは基準法では産前六週間、産後六週間、こういっておきながら、産後は二十一日しか見ない。産前は今度改正になって九日しか見ない。あとはどうしておれというんですかね、これは。産後は六週間、これは強制ですから、正確にいうと五週間の強制ですけれども、働いてはならぬとこういっておる。しかし出産手当はくれないという、このことですね。働かしてはならない、働いてはならないといいながら、出産手当は二十一日しかくれない。健康保険のほうは産前も産後も四十二日で、これは基準法どおり行なえば、それだけ手当を見ましょう、日雇い健保のほうは働いてはいかぬけれども、手当は上げませんという、そんな政治がありますか、一体。
○北川(力)政府委員 産前産後の基準法上の休暇の問題と出産手当金を支給する問題とは、形の上では別な問題でございますけれども、いまおっしゃいましたように、健康保険のほうでは確かに四十二日ずつになっております。日雇い健保のほうは、これは二十八年に発足したわけでございますが、発足当時からやはり日雇い健保の財政的な弱さと申しますか、そういう面もございまして、現在国庫補助は三五%を入れておりますけれども、なお、いま問題になっておりますような現金給付の面における健保との均衡性というようなことになりますと、日雇い健保全体の運営上の財政上のいろいろな制約とか、そういうものもございますので、やはり逐次この支給の日数について改善をしていくということで今回、いま先生がおっしゃったような改正案を提案をいたしたような次第でございます。 基本的には、私どもは現在のこういう考え方がベストであるとは思っておりませんが、とにかく逐次改善をしていくということで、今回の案も、昭和四十四年当時の社会保険審議会にはかりましたときの修正意見というふうなものを取り入れましてつくったわけでございまして、そういう範囲内において御理解を願えれば幸いかと存じます。
○多賀谷委員 いろいろ給付に差があることもわかりますけれども、こういう矛盾はやっぱり直しておかなければなりませんよ。働いてはいけない、しかし手当はやらないなんという、それは健康保険と日雇い健康保険の給付の差という問題じゃないと私は思うのですよ。働くことはできないのですから。また、してはならぬのです。そういうように一方では法律では規制しながら、手当は上げませんと、こういうんですよ。そういうつじつまの合わない、行政の一貫性のないことでどうしますか。この点は、労働行政ですが、厚生大臣はもう長い間、十分知っておられますから、少なくとも基準法が強制して休ます日は出産手当は出すわけでしょう。
○齋藤国務大臣 いろいろときびしい御質問、よく私も理解できるわけでありますが、日雇い健保は健保なりで、この仕組みで、その保険料がどうのこうのというふうな仕組みでできているものですから、そういうふうになっておるわけでございまして、私もこれが望ましい姿だなどとは一つも考えておりません。ですからこれを出発として、そういう給付の改善に今後とも一そう努力をいたしてまいるようにいたしたいと思います。
○多賀谷委員 療養の給付期間の三年半——健康保険の場合は五年ですけれども、この三年半が切れたあとはどうなるのですか、この方は。
○北川(力)政府委員 三年半の期限が切れますと、原則として受給はできないわけでございますけれども、今回の改正におきましては、給付期間が経過いたしました後におきましても、所定の保険料が納付をされておりました場合に限っては、転帰まで給付を行なうことにしておるというような、そういう改正内容もあるわけでございます。そういうところから、いまのような条件が満たされておれば給付を受けられる、そういう点で三年半経過後の前進はあると考えております。
○多賀谷委員 これも、療養給付の問題もたいへん重要な問題です。 それから傷病手当金、二十二日を三十日、これはちょっとみみっちいですね。たった一カ月というのはみみっち過ぎるんじゃないですか。健康保険は六カ月あるいは特殊な病気は一年半ですけれども、これはあまりにも少ないのですが、二十二日を三十日にするという、これは何とかなりませんか。
○北川(力)政府委員 何とかなりませんかということになりましても、何とかならないようなことになるのでございますが、四十四年に審議会から答申をいただきましたときには、二十七日という原案を三十日というふうに延長をされておりますので、少なくとも現在の段階におきましては、私どもは三十日に延長することによって当面できるだけの改善をした、そういうつもりでおりますので、その辺は御理解をいただければ幸いだと思います。 なお、すべて給付にわたりまして基本的な仕組みが違うということを先ほど大臣も申し上げましたが、健康保険の場合には、すでに保険料を納付をしている、それから日雇い健保の場合には、保険という仕組みの中で考えます限り、御承知のとおりその給付を受ける月の前二カ月間に二十八日間の保険料の納付というような受給の要件がございますので、やはり保険ということになりますと、保険料とのかね合い、そういったこともございますから、そういう基本的な仕組みから、たとえば傷病手当金なら傷病手当金の支給日数のある程度の制限というものも、現在のたてまえではやむを得ない事情ではなかろうか、このように考えております。
○多賀谷委員 財源とか仕組みとかおっしゃるが、一体どのくらい金が要るのですか。たとえば六割給付にしたり、それから家族に高額療養費の新設をしたり、一体どのくらい金が要るのですか、健康保険並みにすれば。さっきから財源財源、仕組みが違うとおっしゃるけれども、一体どれだけ金が要るんです、それは。
○江間政府委員 あらましでございますが、六割給付にいたしますと、大体六億円の支出増になると思います。高額医療費は大体二億円くらいの支出増になります。
○多賀谷委員 そんな大きな金じゃないでしょう。十四兆も予算を組んでいるんですからね。そんな大きな金じゃないのですよ。ですからこれは政策なんですよ。金額が膨大だというなら別として、日本経済、日本のいまの財政から見れば、そんな大きな金じゃない。一番気の毒な層ですよね。その程度ができないのですか。
○北川(力)政府委員 先ほどからるる申し上げておりますとおり、当面この一番要請の強いところを実現するということが一つございます。それから八億という金にいたしましても、これをどのようにして財源的に処理をするかという問題がございます。やはり保険でございますから、これを全額国が見るということも、すぐにはそういう結論が出るのはなかなかむずかしい状態でございますし、健康保険に比較いたしまして、この日雇い健保は、全体的に規模も小そうございますから、金の面をながめますと、かなり高くない額でございますけれども、いま申し上げましたような負担関係とのかね合いでどう考えるかということについては、なお今後検討を要する問題でございますので、とにかくこのレベルで一刻も早く改正したい、改善を実現したい、これが私どもの念願であるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
○多賀谷委員 そうすると、国庫負担率が幾らになりますか。それとも、その残りの料金換算にすればどのくらいになりますか。
○江間政府委員 先生のお尋ねの趣旨は、先ほどの八億を国庫負担率に直せば何%になるかという御質問でございますか。——大体二%ぐらいになるかと思います。
○多賀谷委員 その二%というのは何ですか。
○江間政府委員 要するに、八億円は総支出の大体二%ぐらいに当たるということでございます。
○多賀谷委員 ですからその料率に、いままでの三五%の国庫補助率で現在出しておりますけれども、それは全額国庫で見るとすれば、どのくらいになるんですか、率は。あるいは三五%をそのままにして、今度はそれを料率として、労使の料率として見れば、どのくらいになるのか。
○江間政府委員 いまおっしゃった八億というのを、そのまま国庫補助にする、国庫負担にする、そうすると、現在三五の国庫負担の割合でございますが、それが三七になるということでございます。
○多賀谷委員 大臣、二%を出せば、大臣がいま健康保険で提案された問題は片づくんですよ。ですから、その他いろいろ、傷病手当金やその他ずっとありますけれども、問題は、私はやはり新しい健康保険法の改正に沿った、新しい日雇い健保を出すべきではなかったか。そこで、大臣、一体いつこの改正案を出されますか。
○齋藤国務大臣 私は、現在提案いたしておりまする法律が成立いたしますれば、できれば来年度の国会にでも、さらに日雇いについては改正案を出すべきである、かように考えて検討を命じたいと考えております。
○多賀谷委員 終わります。
○山下(徳)委員長代理 この際、午後三時まで休憩いたします。 午後二時四十分休憩 ————◇————— 午後三時十分開議
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。
○金子(み)委員 私は、初めに医療制度の問題で、少し大臣の御所見を伺わせていただきたいと思うのでございます。 それはほかでもございませんけれども、去る四月に東京で開かれておりました健康と医療の経済学という国際シンポジウムがございましたが、その国際シンポジウム、一週間の国際会議だったわけですが、これが終わりました時点で、その会議の中の概要などがあちこちいろいろなところに披露されておりましたし、いろいろな機会があって聞くことができたのですが、その中で、国際シンポジウムの会議の統一見解として二つのことが示されていたわけでございます。 その一つは、必要なときに必要な医療が与えられるということでございます。それから、いま一つは、貧富によって医療内容の格差があってはならないというのが二つ目の統一見解でございましたが、この国際会議の統一見解に対して、厚生大臣となさっては、日本の医療制度と結び合わせて、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか、御所見を伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 国民医療の望ましい姿といたしましては、すべての国民が、どの土地に住んでおっても一番進歩した医学、薬学の恩恵を与えられるような体制をつくっていく、これがやはり一番の基本であろうと思います。したがって、貧富の差などによって受ける医療の内容が差があるというふうなことがあってはならない、さように私は考えておる次第でございます。
○金子(み)委員 そのお考えを日本の医療制度の中にはめ込んで、厚生省として、日本の医療制度は、かくあるべきだというようなものをおつくりになって、お示しになる御意見はおありでございましょうか。
○齋藤国務大臣 そういうふうな考え方から医療供給体制を整備するということが最も緊要な問題でございます。医療施設を体系的に整備する。それから医療従事者を十分に確保する。さらにまた地域的に問題のありまする地域、無医村地域の医療をどういうようにするか、あるいは、休日急患医療をどういうふうにするか、そういったような問題の整備をはかっていくことが絶対に必要であると考えているわけでございまして、今日まで相当の努力はいたしてまいりましたけれども、まだ不十分の点もたくさんありますので、今後はこうした医療供給体制を整備することに全力をおきたいと考えておりまして、先般来発足いたしました社会保障長期計画懇談会におきまして、まっ先にこの問題をひとつ取り上げていただこう、こういう考え方で御審議を願っておるような次第でございます。
○金子(み)委員 医療を受けるということは、私どもが憲法に保障されている人間の基本的権利、国民の基本的な権利だと思いますが、これは無限にあると思います。個人の権利としては無限にあると思うのですけれども、これに有限の医療、医療というものは無限だというようにも考えがたいので、これは有限というように解釈できると思いますが、有限の医療を結びつけるというところに非常にむずかしい点があるだろうというように思うのでございますけれども、この国際会議のときにもいわれておりますように、患者は無限の要求を持っておりますから、患者の要求というものは非常に大きいと思います。しかし患者の要求というのが、やはり何と申しましても、中心に存在するべきではないかと思うのですけれども、ただ患者の要求というのは、別の角度から考えますと、ほんとうに必要な要求が、その中でどれだけあるかということも、やはり考えなければならないのではないかと思うわけです。 そこで医療の必要性というものがあらためて考えられるのじゃないかというふうに思いますが、その患者の要求と医療の必要性と、そして医療の需要供給という面とが日本の場合はごっちゃになっているのじゃないかというような感じがするのです。これはやっぱりきちっと区分されていくべきではないか。三つともそれぞれ原則的に別だと思いますから、区分された上で進められていかなければならないのじゃないかと思うのですが、現状を見てみますと、患者の要求にこたえるとか、あるいはその必要度を満たすというのではなくて、むしろそれらはあと回しにされているような感じが現状ではあるのじゃないでしょうか。 たとえば資料によりますと、過去十年間に病人の数は二倍にふえておりますね。これは国民健康調査に出ておりますし、それから有病率にしても千人に対して、この十年間では、三十六年に五十・三人だったものが百十・三人になっておりますし、老人はさらに疾病の罹病率が高くて、六十五歳以上の場合には三人に一人というような数字が示されておりますが、これだけ需要があっていいわけですね。患者の側から、国民の側からいえば要求があっていいわけだと思います。 そして同時に、これだけのものが数字の上にあがっておるということは、医療の必要性というものも出ているのだと思うけれども、それが実際に満たされていない。その幾つかの例としては、もうこの間うちからたびたびこの委員会でも問題になっておりますように、ベッドの不足でございますね。もともとベッドの不足が日本にはあるわけでございますが、さなきだに少ないベッドの上に、今日ではそのうちの二〇%にも及ぶようなものが閉鎖されているという問題がございます。 病棟閉鎖の問題ですが、これはもう民間だけでなくて国公立でもあります。厚生省直接の御所管の国立小児病院でも、四百床の中で空床になっているところが八十幾つかありますし、国立東京第一病院など、医療センターとしてのモデル病院ですが、ここは千二床のうち六百二十二床が空床である。あるいは都立の老人病院は七百のうち三百が閉鎖されているというぐあいに、国公立の施設ですら、このようになっているわけでありますから、まして民間施設が非常にひどいということは、前回もお示し申し上げたと思います。ことに特殊病院としての、たとえば精神病院でありますとか、あるいは重度心身障害児の施設でありますとか、そういった施設は、さらにはなはだしい実情があるわけでございます。 ただ単にベッドが少ない、閉鎖されているということだけでなくて、医療内容、診療内容の低下があるということも問題になっていると私は思うのです。その診療内容の低下はいろいろあると思いますけれども、たとえば行なわなければならない患者さんの手術を制限する。毎日手術をやっていた病院が一日おきに手術をするということは、手術をする患者の数を減らしていく。あるいは十分精密な検査をしないで長年の経験と勘で患者を診断していく、そして済ませていくというようなことが実態としてあるわけなんですけれども、これらの問題は何が原因でこういうことになっているか、その根本的な原因は何だと当局ではお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○滝沢政府委員 先生広範にわたりましての御意見のあと、一つの締めくくりとして内容の低下を具体的におっしゃり、またベッドの不足の問題もおっしゃったわけでございますが、特に内容の低下の問題で手術の制限等の問題、これは確かに医師の不足等によりまして、外部から定期的に日をきめて応援していただかないと手術ができないというような病院が非常にふえてきております関係もございまして、スケジュールをきめておる、救急的な問題については別といたしましても、全般的なスケジュールが制限されておるというような問題もあろうと思います。 それから経験的な問題と検査の問題でございますが、先生のおっしゃるような、要するに経験にたより、十分な精査もなしにやっておるという一面もあろうと思いますけれども、逆にまた、検査がある程度非常に厳密に濃厚に行なわれるというような、きらいもあると申しますか、十分な患者の納得のいく説明なしに、検査がかなり行なわれているというような意味の問題もございまして、それが内容の向上であるのか、むしろ内容的に適正であるのかというような問題もございますけれども、確かにいまの医療の問題につきましては、需要と供給、最初に学会の問題を提起されましたように、需要と供給の関係が非常にアンバランスになってきております。それはまた、医師が費やします時間の問題の上からもそうでありましょうし、また個々の判断能力というような点も含めてそうでございましょうし、いずれにいたしましても、そのような問題が全体としてわが国の医療の、先生のおっしゃる意味の問題を含んでおるということは事実だろうと思います。それを反映いたしまして、やはり医療にまつわるところの紛争というようなものも実際的には、たいへん多くなってまいっておることも事実でございます。 結論的には、やはり最初におっしゃった需要と供給の問題にからむ、特に供給体制の立ちおくれと申しますか、今後の体制を十分整える必要がある状態にきておるというところにあろうと思うのでございます。
○金子(み)委員 いまのお話はよくわかりましたけれども、たいへん抽象的なんで、具体的にどうすればいいかというふうに御計画でいらっしゃいますか。
○滝沢政府委員 医療の供給体制の中で柱になりますことは、医療の関係従事者の充足であろうと思うのでございますが、医師につきましては、文部省の計画に基づきまして、大体当面の予定でございます昭和六十年に、ただいま十万対百二十八の医師数を百五十以上にするということについては、本年度までの医科大学の設置計画をそのままにいたしましても、ほぼ達成できるという見通しに立ったのでございます。 そのほか、医療従事者の中で最も不足しております看護婦の問題についても、これはほとんどわが国の医療の供給体制側の問題点の大部分の問題点が、看護婦の不足にあると言っても過言でないと思うのでございます。その他OT、PTあるいは特殊な機能訓練、あるいは将来、身分制度はまだございませんけれども、STというような、諸外国に比べまして、量的なものはもちろんのこと、内容的、質的に足りないものがまだたくさんあるわけでございます。そういう問題に対して対処するのが、基本的な問題であろうと思います。 もう一つは、医療機関の整備の問題がございますが、これもやはり最近、病院病床数の増床傾向がやや低下してまいっております。四、五年前までは一年間大体四万床が増加いたしておりましたが、ただいま二万五千床程度に低下しておりますが、これは見方によっては、医療の従事者の不足によって病床の設置ができないという面もあろうと思います。 それからもちろん、必要な個所に必要な医療機関を設置することに対しても、やはりそういうような総合的な隘路がございまして、まだ問題点として残っておりまして、僻地医療のみならず、人口急増地帯等における医療の提供体制というものが、供給の上で新しい問題として提起されているというふうに考えます。
○金子(み)委員 いまのお話ですと、医療従事者の問題と、それから医療を供給する医療機関の問題とが原因だというふうにお話しになりましたですけれども、医療を運営するための経費の問題なんか問題にならないんでしょうか。人と物とが出てきたんですけれども、それだけで体制は整うわけでございますか。
○滝沢政府委員 御指摘のとおりでございまして、われわれ医療供給を担当する側から申しますというと、それに伴うところの経費、費用の問題がやはり基本になるわけでございまして、これの大宗を占めますのは診療報酬の問題でございます。そのほかにも、やはり公的資金の投入を適時適切な場所に投入することについての従来の施策は、必ずしも十分ではなかったということが、今後の医療供給体制を充実していく上に重要な柱になろうと思うのでございます。
○金子(み)委員 医療費の問題が出てまいってきたのでございますが、厚生省が直接御所管していらっしゃる国立病院、国立療養所の医療運営に関する経費の問題として問題になっておりますのは、特別会計にしておられるという問題だと思います。あるいは地方公共団体の病院が、公営企業法に基づくやはり特別会計であるという問題がありますが、こういう問題は、私どもが最初に例として示しました、ことしの学会の統一見解、そうして大臣が御所見をお述べくださいました、あるべき姿というようなことから考えますと、これらはやはりいつまでも特別会計のままで運営されるということが、今日の自治体病院の赤字問題ですとか、あるいは国立療養所、病院の経営の困難とかいう問題に結びついているのではないかと思うわけですが、その辺を改めるお考えはおありでございましょうか、あるいは五カ年計画の中で、そのことは考慮されているのでございましょうか、お尋ねしたいと思います。
○滝沢政府委員 国立医療機関の使命は、これは医療の上で今後の新しい——従来もその使命を国立療養所は結核対策のため、あるいは国立病院は一般対策を、特にここ十年、ガンセンターを中心としたような特殊医療、そういうことに逐次使命を果たせるように努力いたしておりまして、国立病院はつとに特別会計、それから国立療養所も最近特別会計に移ったわけでございます。 現在、費用の問題とからむ御質問でございますが、国立病院は経営費の中の九割は自前と申しますか、診療報酬でペイいたしておりますけれども、国立療養所は七〇%でございます。それで、なおかつその使命を果たすということでございまして、現在のところ、御質問の趣旨からいきますというと、この特別会計は収支差額を一般会計より補てんしていただく形で、それぞれの使命を果たしているという仕組みになっておりますので、この問題に対して基本的に変更する考えはございません。ますます国立病院としての使命を果たすことをむしろ主眼に考えまして、それに相当するペイがどういうふうに対応されるかということについては、一般診療報酬の問題のほかに、国の医療機関に対する使命ということに対応できるような努力をし、そうしてもちろん、国民の税金を十分に投入していただけるだけの努力をしたいという考えでございます。 それから地方公共団体等につきましては、公営企業法に基づきまして政令で、看護婦養成であるとか、あるいは僻地医療、公衆衛生活動というような特別な不採算的な医療につきましては、一般会計からの繰り入れを認めるという仕組みでございまして、一般的には独立採算制というような表現で言われておりますけれども、政令に基づきまして、しかるべき基準というものは定められておるわけでございますので、これは自治省関係になりますけれども、この問題については、われわれとしては五カ年計画の中では、そのような現状の体制の中で、公的病院、特に地方公共団体の病院について、今後どういうふうに国として対処していくかということを中心に考えたいというふうに考えておるわけでございます。
○金子(み)委員 いろいろお考えになって、スムーズに合理的に運営されれば、たいへんけっこうだと思うのですけれども、それがうまく動いていないからではないでしょうか、医療費の問題として取り上げてみたいと思いますものの一つに、大きな問題として差額徴収の問題がございます。国立病院が赤字になれば、その差額は一般会計で補てんしてくれる、たいへんけっこうだと思うのですけれども、そのほかのところではそういうわけにはまいりませんし、ことに民間病院の場合には、とてもそんなわけにはいかないわけですね。そうしますと、いま問題になっておりますこの差額徴収の問題ですが、この問題をどういうふうに考えるかということについて、少しお尋ねさせていただきたいと思います。 差額徴収の中で取り上げたいと思いますものは、二つございますが、一つは、いわゆる差額ベッドといわれるものですが、差額はベッドでしょうか、差額室料なんじゃございませんか、その辺はどうなんですか。
○北川(力)政府委員 差額ベッドは、いわゆる差額ベッドということに御理解を願えばいいと思います。
○金子(み)委員 ちょっとよくわからないのですけれども……。室料じゃないんですか。
○北川(力)政府委員 これは皆保険になります前から、戦前からこういう問題がございまして、発生的には、いわゆる実態関係は部屋代の差額ということでございます。それを俗にいわゆる差額ベッドというふうにいっております。
○金子(み)委員 病人が病気を療養して健康を回復するために入院いたします場合に、その人の生活の本拠は病室になりますね。その療養生活の環境ということを考えればベッドだけが問題にはならない。ベッドは重要な本拠ではございますけれども、しかし、ベッド及びそれを取り巻く周辺の環境というものが病人の健康回復には非常に重要だということは十分わかっているところでございます。 それが、呼び名として差額ベッドといわれているのかもしれませんけれども、非常に誤解を招いております。たとえばベッドには御承知のようにいろいろな種類がございます。それで非常に高級な、ちょっとボタンを一つ押せば思うように背中が起き上がれたり、足が上がったり、いわゆるギャッチベッドといわれるものの中でも自動的になるものもあるし、それから手で回してそれをするものもあるし、あるいは構造としては動かせるようになっていても、人手をかりなければできない、看護婦さん、その他の人たちが行って手で持ち上げてささえをして起こすというようなものもありましょうし、あるいは寝たら、からだがベッドの中に埋まってしまうような、ぺちゃんとへこむものもあります。間に一枚板を入れたり、新聞を積んだりして平らにするというような操作をして休んでいるベッドもございますね。 そういうふうにベッドにもいろいろピンからキリまであるわけでございますけれども、差額徴収をされているベッドがはたして有能な高級なベットで——差額徴収をされているかいないかという実態が非常に問題になっています。実際には差額徴収されていながら、そういうベッドで寝ていない人もいるわけですね。その場合差額ベッドというものは非常に誤解を持たれて不信を買われているわけなんですけれども、これは何か訂正なさいますでしょうか。
○滝沢政府委員 いまの先生の御提案と申しますか、確かに差額ベッドと通称呼んでいることはたいへんな誤解を招く、確かにおっしゃるとおりだと思います。 当面国立病院の実態を受け持っている立場から私のほうでお答えいたしますが、正しくはやはり部屋全体の機能なり設備なりがそれだけの料金を、本人も希望があって入っていただき、それだけの料金をいただくだけの部屋の設備をしてあるものでなければ、本来そういう差額をいただくことが不適当だという考え方で、国立病院の場合は従来三百円——二百円程度のものもございましたが、これを解消いたしまして、設備を直し、部屋全体としての機能をよくした上で、患者の希望に沿って特別室を使っていただくということでございまして、差額ベッドと通称呼んでいることは誤解を招くおそれがありますので、一般的には訂正すべきだと思います。
○金子(み)委員 非常に高額の差額が取られております。いま国立病院の実態を御説明いただきましたが、そういうのはほんとうにまれな例でございますね。今日では大体平均千円と申しますか、大体三千円くらいになっているようでございます。そして五千円から一万円、一万円以上の差額が、四十三年から四十七年までの間ですから、ここ四年間くらいでございますけれども、もう四・一三倍、四倍以上にふえている。 結局ながめてみますと、四十三年から四年の間に金額の少ない差額徴収をしているところは、どんどん少なくなっていっています。それと逆に金額の高いものが、どんどんふえているというような実態になっているわけでございます。ですから、この問題は非常に大きな問題だと思います。この一月十九日でしたか、社会保険審議会の総会で御意見が出ておりますね、病室の差額徴収は目に余るものがあるから、これの規制を強化するようにというふうに総会でいわれておるはずでございますが、規制をするような行政指導をなさったのでございますか、いかがでございましょうか。
○北川(力)政府委員 いわゆる入院料の差額徴収問題につきましては、三十九年に皆保険を適用いたしました直後に、基本的な方針を固めておるようなわけでございます。皆保険下における差額徴収問題の一番基本的な問題は、患者が希望しないにかかわらず事実上やむを得ず差額徴収という形で病院に収容される、これを避けることが必要ではないかということが最も基本的な問題だと思います。当時から現在まで約十年近い歳月が経過をいたしておりますが、その間私どもはそのときの基本的な方針に基づきまして指導もいたしてまいりましたし、また調査、チェックもいたしてまいりました。 ただ、残念ながら、いまお話しのとおり、最近の差額徴収の問題はいささか乱に走っている、また全病床からまんべんなく差額を徴収しているというふうな例もまれにあるというふうなことでございますので、私どもはこの際、従前の方針を十分に確認をいたしまして、差額徴収問題が乱に走らないように、けじめがつくように十分に留意をしてまいりたいと思っております。 当時の一般的な標準といたしましては、全病床数の五分の一程度にとどめることが望ましいといっておりまして、こういったところを一つの基準として、いま御指摘になりましたような、また審議会で問題になりましたような差額徴収が放漫にならないように十分に留意をして指導をしていきたい、このように考えております。現に医務局長からお話がございましたが、国立病院あるいは公的な医療機関、そういったところにつきましては、できるだけこういう方針に沿うように、現実の実態を早く改めるように、すでにその分の指示をいたしておるような現状でございます。
○金子(み)委員 厚生省御所管のある事務官が、差額はちっとも悪くはないのだ、ベッドそのものは医療とは直接関係がないのだから、かまわないというふうにおっしゃっていらっしゃいますね、差額ベッドというのは病院の収益をあげるということが目的なんでなくて、むしろ患者の希望があるから、そういうものをつくっているのだというふうに発言していらっしゃるということは、私はちょっと理解に苦しむのでございますが、そういうふうに理解してよろしいわけでございますか。
○北川(力)政府委員 ただいま事務官の発言というお話がございましたけれども、私の記憶に間違いがなければ、たしかある雑誌でそういうことを言っているというふうに読んだ記憶がございます。これは私どもは決してそういう意味ではなくて、やはり一部には、一般的な要望でありませんけれども、患者さんのほうで差額を取られてもいいから、とにかく差額徴収ベッドに入りたい、このような希望のある向きがないことはないわけでございますので、その限りにおいては、そういう差額徴収ベッドというものもあることもやむを得ないのではないか、こういうことでございます。 基本的な方針と申しますか、態度はどこまでも、保険患者が希望をしないにもかかわらず、差額ベッドにしか収容できないというふうな状態は絶対に避けるべきである。事務官が言っておりますことは、その気持ちは、私がいま申し上げましたように、希望者がある場合には希望の範囲内ではやむを得ないんじゃないか、こういう意味合いだと私は考えておりますので、そういうふうに御理解を願いたいと思います。
○金子(み)委員 そうだといたしますと、先ほど局長が、五分の一程度はあってもしかるべきじゃないかと思うとおっしゃいましたが、五分の一といえば、数字としては、かなり大きな数字でございますね。それは差しつかえないというふうに御指導なさっていらっしゃるわけでございますか。
○北川(力)政府委員 もちろんこれはマクロの話でございまして、病院それぞれの構造、設備とか、あるいは地域的ないろんな条件とか、そういったことによって差はあると思います。ただ従前から現在まで全般的なパーセンテージとして私どもが一つの指導基準として言ってまいりましたのは、五分の一程度ということでございます。したがって、この基準を具体的に個々のケースに当てはめます場合に、すべてがすべて、これだけなければならぬとか、あるいはこれだけならあってもいいとか、そういうことではございませんで、マクロの観察で、この程度のものが大体標準のものになるのではなかろうか、そういう意味合いでございます。
○金子(み)委員 厚生省の行政指導のように実態が動いていれば、非常にいいと思うのですけれども、事実はそれに反しておりまして、この差額徴収というのが一般化しつつあるわけですね。 それで、ここにいろんなところの資料が出ておりますけれども、たとえばいまここへ出ていました赤十字病院の場合には、全国に三十五赤十字病院がございますけれども、その中で一〇〇%差額を取っているという病院が数カ所ございます。資料がございますから名前をあげてもいいのですけれども、特にあげる必要はないと思いますから、ここでは申し上げませんが、そういうものがございます。一番少ないので四九・〇%、ですから半分ですね。四九・〇といえばほとんど五〇%に近い。これが一番少ない差額を取っているベッドの割合でございまして、あとはそれ以上です。みんな六〇台、七〇台、八〇台、九〇台、一〇〇というのがあるわけなんです。 こういうような実態をどうして見過ごしていらっしゃるかという問題なんですけれども、もういまに動かなくなるのじゃないでしょうか。いわゆる差額室代の問題ですけれども、このように一般化しつつあるというのは、一体どういう理由だと考えていらっしゃるのでございましょう。
○北川(力)政府委員 いろいろ原因はあろうかと思いますが、やはり一般的には一つの基本的な問題といたしまして、現在の診療報酬というものが、はたして適正なものであるかどうかというような問題があると思います。それからもう一つは、病院というような、いわゆる医療供給体制の中で物的なサイドからながめまして非常に基本的な問題になる病院、その病院の機能、その機能が公的なものであれば、公的なものに重点を置いて相当に公的な資金を投入すべきであるというのが現在の医療の姿であろうと思うのです。 でございますから、そういった両面から考えまして、やはり診療報酬の問題から現在のような状況が生まれていないとは言えませんし、また医療供給体制を整備するという面から申しますと、公的な資金の導入ということを現在より一そうやって、いまおっしゃいましたような公的な医療機関の最も典型的なものの一つである日赤等につきまして、そのようなことが起こらないようにやっていく、そういった供給体制上の資金投入の問題とかあるいはいまの診療報酬サイドの問題が今後早急に適正化あるいは強化の方向に向かわなければならない、こういうことが原因ではなかろうかと考えております。
○金子(み)委員 一般の人たちは、この問題について非常に疑問を持っているわけでございます。それだから、たとえば診療報酬請求の水増しのようなものが行なわれるのであろうかと思ってみたり、あるいは必要以上にたくさんの薬を飲まされるのであるかと思ってみたり、いろいろなことがいわれております。あるいはまた例の人口妊娠中絶なんかをいたします場合に、これを手術をする人は、できるだけ隠しておきたいわけでございます。ですから、その患者の隠したいという気持ちを利用いたしまして法外な値段で手術をするとか、あるいは歯科診療で、配給されている金を高い値段で金歯を入れるとか、さまざまなことがあって、一般の国民はみな非常に疑惑を持っているわけでございます。これはいま御説明のありましたように、いわゆる診療報酬の問題が大きな底流をなしているのじゃないかと考えられます。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 ことばをかえて言えば、いわゆる医療保険のあり方が正しくないと申しますか、適当でないための、俗なことばで言えば、これは抜け穴みたいなかっこうに差額徴収が利用されているのじゃないだろうかというふうに考えられない節もないと思うのですが、その辺はいかがでございましょうか。
○北川(力)政府委員 先ほどお答えを申し上げましたとおり、差額徴収問題の基本になる入院料につきましても、皆保険の現状では診療報酬がその財源でございます。これに上のせをして差額徴収をするというふうなことは、やはり診療報酬のあり方の問題が基本にあろうと思います。 それからもう一つ、公的な助成ということを申しましたが、これは金子先生も御承知のとおり、たとえば大病院で付属の看護学院等を持っている場合に、そういった看護婦の養成といったような公的な事業についても、診療報酬を財源にして養成をしなければならない。多少の助成もあるようでございますが、そういうような現在の公的ないろいろな供給体制上の資金投入の不備といった面も関連をしてまいりまして、現在のような実情が出ているのじゃなかろうか、このように考えております。
○金子(み)委員 公的な財源の投入、いわゆる病院の整備に対する国庫補助、そういうものはお考えになっていらっしゃるのでしょうか。五カ年計画の中では、そういうものもあわせてお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○滝沢政府委員 従来は公的な補助金というものは、都道府県並びに公的病院だけに限って出しております。その内容の性格は、ガンあるいは救急、僻地等の特殊な医療対策を特に掲げまして出しております。しかし項目的には、病床不足地区に対する補助という項目もございますが、積極的な活用がまだ比較的なされていない。いまのお尋ねは一般的な意味の公的病院等の今後の整備に対して助成するか、積極的にさらに拡大するかというお尋ねと思いますが、この点については五カ年計画の中で検討いたしたいと思っております。
○金子(み)委員 では五カ年計画に大いに期待をしたいと思いますので、御計画を進めていただきたいと思います。 その次の質問は、同じ差額徴収の問題でありますが、付添看護料の問題でございます。元来医療保険の診療報酬のあり方といたしましては、一般の入院費のほかに看護の加算料として基準看護の制度がございますね。基準看護料というのを取るようになっています。これは詳しく申し上げるまでもないことですけれども、たとえば今度は特類ができて、六百四十円でございますか、一日一人当たり六百四十円、これを患者から受けるようになっておりますが、基準看護の承認を受けている病院というのは、看護はすべてその病院でいたしますということが前提でございますね。病院側でお世話をいたしますということが前提になっております。それでもいわゆる入院料でまかなえない、よりよい看護というのですか、非常におかしなことになるのですけれども、元来なら入院料に全部そういうものは入っていなければならないのに、いわゆる一般入院料では十分なお世話ができないような状態になっておりますと公表しているようなものでございますね。それで、いわゆる基準看護という制度ができて、そして基準看護料を患者が支払うということによって、よりよい看護が行なわれる、こういうことになっているわけでございますね。 ところが実際問題としては、基準看護の承認を受けている病院ですら付き添い看護をつけなければならないというような状態が出てきていて、つけるようにとお医者さんから指示があってつけるというような状態になっているわけでございますけれども、これは一体どういうことになるのでございますか。本来ならば、それでいいはずのところを付き添い看護をつけなければいけない、付添婦をつけてほしいというような指示を受けなければならないということは、患者さんからすれば、基準看護料を支払った上で、さらに付添看護料も支払わなければならない、こういうふうになるわけでございましょうか。
○北川(力)政府委員 基準看護の問題は、いま先生おっしゃったとおり、診療報酬の上におきましても加算を行ないまして、それだけの一つの基準看護の承認基準に合致するような条件があれば、一切病院自体ですべての看護を行なう、こういうたてまえになっておるわけでございます。 したがいまして、基準看護の承認を受けております病院においては、いまお話にあった付き添い看護という問題はたてまえ上起こってこないわけでございます。ただ、現実にそういったことがありますことは、私どもも耳にいたしておりまして、またそういうケースがありましたときには、すみやかにこれを直させるなり、あるいはまた極端な場合には、基準看護の承認を取り消すなり、そういったような措置をいたしておる次第でございます。 こういう状況が起こっておりますのは、一つの基準に合致はいたしておりましても、実際上看護婦さんが不足しておって、ある期間あるいは摩擦的に、実際には看護婦さんの充足ができてない、こういう状況が起こってまいりますために起こってくる現象も少なくないと思います。したがいまして、私どもは、基準看護の基準というものにつきましては、いま言われたように、診療報酬でもカバーをしながらつくっておるわけでございますから、できるだけそれに合うような看護力の充足ということをやっていただいて、基準看護の承認があるのにふさわしい病院、ふさわしい施設というものになることが急務ではないか、このように考えております。 一般的に健康保険で申しますと、付き添い看護というものは基準看護の承認を受けてない病院について認められる制度でございまして、基準看護の承認がある限り、基準看護の病院だけで付き添い看護というものは制度上あり得ないわけでございます。
○金子(み)委員 制度上あり得ないと私も思っております。ところが、実際にあるのをどうしたらいいんでしょうかというお尋ねをしたわけです。(「二重払いだよ」と呼ぶ者あり)二重払いです。それを申し上げたわけです。局長が、そういうのがあったらば承認を取り消すというふうにおっしゃっていましたが、実際に承認をお取り消しなさった例がおありになりましたでしょうか。
○北川(力)政府委員 ごく最近のことは、ちょっと私記憶いたしておりませんが、何年か前にやはりそういった例がございまして、特に公的な病院等の例がございましたものですから、取り消した例があるように記憶いたしております。
○金子(み)委員 いまの問題でございますけれども、結局、患者が高い負担をしょわされておるわけですね。安くても一日三千円から四、五千円はかかるわけです。そして患者によっては、一人だけでは間に合わなくて、二人の人をつけなければならないということだって起こっているわけでございますね。こういうふうなことは、ことばをかえれば、本来なら病院の看護力を補ってあげているということになるわけで、かわりをつとめてあげているということになるわけでございますから、患者が支払う付添看護料というのは、本来なら病院が支払うべきものじゃないかと私は考えるのです。その辺はいかがでございましょうか。そんなものは病院が払わなくたっていい、患者側で払うべきであるというふうにお考えでございましょうか。その辺はいかがですか。
○北川(力)政府委員 非常に現実にはむずかしい問題でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やはり一方においては、看護婦さんの定員なら定員というものがあって、しかし現実には、その看護婦さんが充足されないという、まことに残念な現状があることも、これは先生御承知のとおりでございます。 したがいまして、この問題の保険サイドからの解決と申しますか、そういうことから申しますと、私どもは、できるだけこの問題は看護力の急速な充実ということがまず行なわれるべきじゃなかろうか、このように考えるわけでございます。そういう状態でございますので、保険で払っております基準看護料以外に病院のほうで、これをまた重ねて基準看護病院が負担をする、こういうことはいまのところは考えていないような実情でございます。
○金子(み)委員 たてまえとしては、確かにそのとおりでございます。それが実現できるように十分行政指導をしていただきたいことを、お願いしたいわけでございます。 そこで、たてまえから申しますと、基準看護を実施していない病院における付き添い看護というのは、保険者が必要と認める場合に給付するというふうになっているわけでございますね。これは法律できめられております。そして、それを必要だからとして給付をする、その裁量は保険者にまかされているという問題でございますが、そのことについて、厚生省からすでにもう看護の承認基準についての通達も都道府県にお出しになっていらっしゃるのも承知いたしております。ところで問題は、この看護の承認基準の取り扱いが一定していないというところに問題があると私は思っているわけです。 お示しになった承認基準というのは、一つは「病状が重篤であって、絶対安静を必要とし、医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合、」それからもう一つは「病状は必ずしも重篤ではないが、手術のため比較的長期にわたり医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合、」こういうふうになっているわけでございますね。これの解釈が必ずしも一様ではないというところに問題があるんだと思うのです。 特にここで問題にしたいと思いましたのは「随時適切な処置を講ずる必要がある場合、」というのは何でございましょうかということをお尋ねしたいわけでございます。たいへん抽象的なものですから……。
○北川(力)政府委員 ただいまお述べになりました承認基準は、昭和二十六年にできましたものでございます。確かに表現は抽象的でございますので、第一線での現場での、この規定の運用、この承認要件の運用というものについてバラエティーがあることも、私どもは絶対に否定することはできないと思います。特にこの問題に関連をいたしまして、当時こういった承認要件をつくりましてから以後、疾病構造の変化でございますとか、あるいは社会環境の変化でございますとか、そういった問題が現在は非常に顕著になってまいっておりますので、このような抽象的な基準でいいかどうか、またこのような抽象的な基準じゃなくて、この基準の範囲をもう少し現在の疾病構造、社会環境に合わせるように変更することを検討すべきかどうか、そういう問題が現実にあると思います。 こういう問題についていろいろ問題がありますので、私どものほうの社会保険審査会にもいろいろなケースが出てまいりまして、実際上、行政機関の第一線で承認をされてない、それに対する審査請求があって、審査会において承認をされるというケースも現在ときどきはあるわけでございますから、いまおっしゃいましたような、このような基準の運用についても、十分に具体的な問題として詰めなければならないし、また承認基準そのものについても、いま申し上げましたように、再検討すべき時期が来ているのではないか、このように考えているのが現在の実情であります。
○金子(み)委員 私のお尋ねした御答弁じゃなくて、考え方をおっしゃってくださったわけですけれども、問題は解釈の違いというのが出てきているわけですが、それをお尋ねしたわけなんです。 たとえば患者さんの側から言わせれば、日常生活の世話をしてもらう、療養上必要な看護をしてもらうために付き添いの人をつける、こういうふうに理解するわけでございますね。それから、医師の立場からすれば、療養上必要と認めるときは、行政庁がどういうふうな解釈をしていらっしゃるか別としましても、自分が必要だと思えばつけたいし、それからもう一つ考えていうならば、医院なら医院、小さい病院なら小さい病院でもいいと思いますが、自分のところの看護力が非常に不足だから、それを補わせるためにつけようじゃないか、こういうふうに考えてつけさせるというつけ方も、ずいぶんあるようでございます。いろいろなつけ方がございます。それで、患者はわかりませんから、つけろと言われたから、つけるわけなんで、いつまででも医師に言われるとおりつけていて、そしてその看護料を支払う。これはつけたんだから保険で払ってもらえるものだと思って申請しますと、それはだめだと言って断わられる、これが問題なんでございますね。 だから、つけるというときの、これはつけなければならないと判断するときの判断のしかたと、それから今度はそれをつけたあとで、看護料を払ってしまったあとで、申請をしているわけでございますね。これがほんとうは逆なんで、初めに申請するべきだと思うのですけれども、実態はいつもあとからやっていますから問題が大きくなると思うのです。そうすると、いやこれは必要と思えない、認められないということで切られてしまう。ここで厚生省や社会保険庁やの指導していらっしゃることと、いわゆる実際に審査を担当しておられる社会保険審査会との食い違いがあるわけですね。ここに問題が起こって、ずいぶん何人かの人たちが泣いているわけです。 ですから、こういう問題を、なぜこんなところに食い違いを生じるのかということが実はふしぎでならないわけです。厚生省でお出しになった通達であるし、方針であるし、それを社会保険審査会が審査してきめるわけですけれども、意思が伝わってないというのはどういうわけなのか、よくわからないのでございまして、その辺はどういうふうに私たちは理解してみんなに説明したらよろしいものでございましょうか。
○北川(力)政府委員 審査会の審査の裁決例と申しますのは、裁判で申しますと個々の判決でございますから、実際上の拘束力は当該案件についてしかないわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたとおり、最近におきまして付き添い看護の承認についての不服審査の申し立てがかなりあるわけでございます。かなりございまして、その中には、いま御指摘のありました、はたして「病状が重篤であって、絶対安静を必要」とするものとは一体どういうわけであるか、あるいはまた「医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合、」とはどういう場合であるか、こういう問題について、個々のケースについては原処分庁とは違った判断をしている例があります。ありますが、これはそれぞれのケースについてのケース・バイ・ケースの判断でございまして、いま御指摘の「随時適切な処置」というのは、はたしてどういうことかというふうなことになりましても、一がいには申し上げかねると思います。 ただ、一つの例といたしまして「医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合」とはどういうことかというと、裁決の中に、医師による監視処置のみならず当然看護婦による看護業務上の随時適切なる処置と、その前提となる監視等を含むものと解すべきであるというふうな例もございますし、なかなかこの解釈はバラエティーがあるというふうに私どもは考えておりますが、要は、現在のような実情のもとで、この承認基準の運用が不当に、あるいは必要以上にシビアにわたらないように、そういう点を憂慮いたしまして、今後いろいろな会合を通じるなり、いろいろな機会をつかまえまして、こういった点について大きなでこぼこのない運用をするように、できるだけの努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
○金子(み)委員 いま不服審査の話が出ましたのですけれども、不服審査によって承認が変更されるということがあるわけですね、不服を申し立てます場合に。そうするとそれがもう一ぺん審査されて、ああそうであったかということなんでしょう。それが訂正されるということがあり得るということは非常にふしぎだと思うのですね。おかしいじゃないかと思う。そうすれば最初にその判定をしたのが不正確であったのか、あるいはきびし過ぎたのか、いろいろなことが考えられるわけですけれども、どうしてそういうふうに、たてまえと実際とが違ってくるかということなんですが、私はやはり行政指導が不徹底であるか、まずいのか、不十分かという、そこら辺にくるのじゃないかと思うのですけれども、それは不服審査が改正される、あるいは改められるというようなことがあるということは、最初は間違っていたということで、なぜ間違ったかということは、やはり行政指導のまずさということになるのじゃないかと思うのですけれども、今後ないように努力いたしますとおっしゃいますが、具体的にそれを出していただけないでしょうか。 たとえば厚生省とそれから保険庁が考えていらっしゃる、看護に関する概念ですね、どんなものかということをお出しいただいて、それから審査会がどういうことを考えているかということをお出しになって、それを討議してみていただけないでしょうか。私はここに食い違いがあるのだと思うのです。さっき私が抽象的でわからないと申し上げたでしょう、その抽象的でわからない中身が、あちこちにいろいろなものがあるのです。それをなぜぴしっと改めていただけないのでしょう。看護の概念というものはきまっているはずなんでございますね。
○北川(力)政府委員 先ほども申し上げましたが、一つは付き添い看護の承認の基準の問題と、それからいまおっしゃいました、どんな基準をつくるにいたしましても、その運用の問題と両方あるわけでございます。 誤解のないようにお願い申し上げたいのでございますけれども、審査会はどこまでも請求のあったものに対して裁決するわけでございますから、容認される場合もあれば、却下される場合もあれば、棄却される場合もあるわけでございます。たまたま最近付き添い看護の問題についてわりかし審査会に申し立てがあるケースが多い。こういうことは、やはりいまの御指摘のように、基準そのものにも問題がございますし、またその基準の運用につきましても問題がありますので、こういった抽象的な基準でいいかどうか、あるいは抽象的な基準にしても、現在の実情に合うような、さらに細分化したような基準を示すことができるかどうか、また実際の基準そのものをどのようなかっこうで現実に合わせるように変えることができるかどうか、そういう点を現在部内で十分に検討をいたしておる段階でございます。 検討いたしておる段階で、いま申し上げました実際上審査会にあがってまいりまして、その申し立てが容認をされたようなケースは非常に参考になると思いますので、その辺を十分勘案しながら、新しい運用方針というふうなものについて十分前向きに考えてまいりたいと思います。
○金子(み)委員 いまの局長のお話、たいへんけっこうだと思いますので、進めていただきたいのですが、いまやっていらっしゃるというお話でございますが、いつごろ結論を出していただけますでしょう。
○北川(力)政府委員 これは金子先生が一番お詳しいわけでございますので、看護の概念という問題と、それから保険の上で付き添い看護を認めるという問題と、実は両方にわたっているわけでございます。したがって私ども、単に保険局だけでこの問題を処理すべき問題ではございませんで、まことにむずかしい、また最も重要な、最も急がなければならない看護業務というふうなもの、そういうふうなものを基本に置いてきめていくわけでございますから、この問題の所管部局とも十分相談をいたしまして、第一線での、現場での運用が、いま御指摘のあるような不都合なことがあまり起こらないように、できるだけ好ましい基準をつくるように努力をしている最中でございます。
○金子(み)委員 最中でございますとおっしゃいました。医務局長いかがでございますか、医務局、御担当でしょう。
○滝沢政府委員 ただいま保険局長からお答えがございましたように、看護問題の制度懇談会が行なわれておりまして、看護のあり方などにもいろいろ言及して、近く中間報告的なものが出ます。しかし、それは必ずしもそれがなければ、この問題は判断できない問題ではございません。しかしながらやはり基本的には、そのような問題の答えも待ちながら、ただいま保険局のほうからの御相談を受けまして、この問題に対処してまいりたいと考えております。
○金子(み)委員 いま医務局長がおっしゃっていらっしゃいますその懇談会というものは目的が違いますね。ですから私がいまお尋ねして、お願いしている件の問題をお取り扱いになる会じゃないんじゃないですか。ですから、保険局長がおっしゃっていらっしゃるのは何をさしておっしゃったのか私わからないのですけれども、もしこれからやろうと思っていらっしゃるんだったら、そうおっしゃっていただきたかった。そして所管の局課と相談をしながら、この不安定な抽象的なことばの解釈をきちっと出すんだとおっしゃっていただければ、それでいいのですけれども、いまやっているとおっしゃるものですから、わからなくなっちゃったのですけれども……。
○北川(力)政府委員 金子先生非常に御専門でございますので、私がむしろお教えをいただきたいほうでございますけれども、この付き添い看護の問題を議論をしてまいりますると、先ほど少しお話が出ましたが、より基本的には基準看護の問題にも話は及んでくるわけでございます。そういう問題がございますので、基準看護のほうに問題が及んでまいりますと、一体その基準看護の基準というようなものは、現在のような基準でいいかどうか、そういうような一番ベーシックな問題があるわけでございます。 でございますから、私のほうはこの付き添い看護という問題だけを現在の限られた範囲内だけで考えれば、具体的な問題として、いろんなケースをつかまえて、よりこまかなものができるのかもしれませんけれども、こういう問題を考えます場合には、やはりいま申しましたその前の問題ともからみ合わせて考える必要がある、こういうことで実は看護行政を担当している医務局のほうとも相談をしている、こういうような事情でございます。
○大原委員 関連質問。 大臣、この議論は、いま家族の五割、今度六割給付の残りについて三万円以上の高額医療負担について給付措置をしよう、こういう制度があるわけですね。そのこと自体はいいわけですよ。給付率を上げていけばもう解決するのですけれども、その暫定措置としてやっているのです。 しかし、いま質問がずっとありましたように、差額ベッドとか付添看護婦に対する患者の負担というものは、いまの矛盾の中で急速に拡大しておるわけです。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 民間医療機関等で、べらぼうにいい設備をやっておるところ、そういうところである程度請求しているということは、これはやむを得ない場合を含めて患者側の合意であるからですが、公的医療機関といわれているものまで、五分の一と言ったけれども、実際質疑応答を通じてわかるように三割とか五割とか十割やっているのがあるわけです。もう一般化しているわけです。たとえば付添看護婦の問題、差額ベッドの問題で、たとえば差額ベッドだったら、一日一万円取ったら三十万円を払うわけです。だから、べらぼうな負担ですよ、これは。これは総医療費の、つまり医療費の対象外ですよ。計算外です。そういう差額ベッドとか付添婦に対する患者側の負担というものは、一体どのくらいあるというふうに理解しておるのかという根本問題が一つあるわけです。 そこでその上に立って、この問題はまた別に議論をさらに深めていくとして、いま金子委員から御質問になっている点は、つまりいまの基準看護の基準というもの、中身というもの自体が実情にそぐわない、非常に長く経過しているから。そこで、質疑応答の中で保険局長は、そういう実情だから、基準看護についての基準の不備を認めながら、付き添いの実態については、審決ですね、不服審査に対する審決ですが、そういうものを例にとりながら、付き添い看護について給付をしなければならぬ場合は、いまの実情の措置としては運営上、行政上の問題として基準をきめたい。基準看護のもとを正す問題と当面の措置の問題がいま議論になっているわけだが、このあとの措置が必要だ、こういうことで質疑応答が進んでまいりまして、そして医務局長のほうからは、あなたは非常に正直な方であるから正直に言われたと思うのですが、端的に言えば、第一に基準看護のほうを直してきなさい、そのことを直さないでおいて、付き添いの問題だけについて準則なり行政運用上の措置をきめることはできませんよ、あなたの見解はそういうことなんです。事実上ははねかけ合いをしたわけです。 ですから患者の立場に立って私どもが健康保険法の改善、改正の問題を議論する場合には、三万円以上の高額医療給付の問題も重要ですけれども、それ以外に付添婦の問題等を含めて、難病にしても奇病にいたしましても、長い病気で実際上そうしなければならぬ条件というものは、いまたくさんあるわけですから、そういう実態に即して、患者の側が手数を要しないで請求できるような当面の措置もとりながら、少なくともそれくらいはとっておきながら基準看護全体を改革する、そういう心がまえがなければ、ここで幾ら議論したって何にもならないんじゃないか、こういう議論ですよ。 ここまでせっかく質疑応答が詰まったのですから、もう少し具体的な、いつごろまでにそういう暫定的な措置についてはやるんだ——これは基準看護全体についての問題は入院費との関係もございますよ。入院費については病院の要求が通っていない。独立採算で締め上げられている公的医療機関としては、赤字を出してはいけないということから、医薬品の使用のほうへ向かう事実がある。そういうことなんですから、全部つながっている問題ですから、根本的な改革と当面の措置については、ぴしっと患者の立場に立って納得できるような措置をとっていかなければ、やはりざるの中へ水を入れるようなものだ。患者の立場に立ってみれば負担はどんどんふえていくじゃないか、とてもじゃない、病院なんかに入れないじゃないかという議論になるわけです。 ですから、いまどういう議論をしているという話がありましたから、いつごろまでにそういう問題についての結論を出すのか、こういう点を保険局長でも医務局長からでもいいから御答弁いただいて、なおそういうような答弁ができなければ、いまのような答弁の蒸し返しであれば、私は審議を引き延ばしているわけじゃないんだから、その上の厚生大臣が、この問題はどういうふうに措置いたします、このくらい言わなければ何のために審議しておるのかわからぬですよ。いかがです。
○北川(力)政府委員 たいへん重要な問題の御指摘でございました。私どものほうは、この基準看護にかかわる問題は、基準看護という限りにおきましては保険のほうでございますけれども、先ほども申し上げましたように基準看護自体を見直すということになりますと、看護業務そのものにもかかわってまいりますから、この点は看護行政を担当いたしております医務局のほうとも十分にいま相談をしております。なかなかむずかしい問題でございますので、きょう、あすには結論が出るというようなそういうものではないかもしれませんが、十分に看護の現状を両局で分析をいたしまして現在の実情に合うようなものにいたしたいと考えております。 しかしながら、この付き添い看護という問題だけに限定をして申し上げますと、先ほどから金子先生も御指摘のとおり実際上この不服申し立てもかなりあります。また現在のこの承認基準そのものが、現在の疾病構造とか社会環境に合ってない面もあります。そういう面もございますので、付き添い看護の基準をどの程度現在の実情に合うようにするか、この点は保険局として、ひとつ早く結論が出るように十分に検討を進めたいと考えております。
○大原委員 基準看護料適用の病院、ベッドは、看護料を払っているのですよ。その上に二重に付添看護婦の看護料を払うのですよ。二重払いですよ。ですから、これは両方改善していかなければいかぬわけですよ。だから基準看護をいまの範囲でできないという理由があるならば、そういう問題が審決というような例に重なっているのだから、それを患者の立場に立っておられるならば、全国のどこの病院でも、これが公平に適用できるような行政運用の基準というものを明示をしておいて、当面の措置としてはこうします、それで基準看護料の看護の内容については、こういうふうに改革いたします、看護婦養成はこうです、そこまで行かなくても、そのくらいぐらいは明らかにしておかないと、一生懸命やっておりますというだけではだめですよ。 それは三万円の問題を議論する場合には、一カ月三十万円も四十万円もワク外で負担している事実があるんだから、人一人を雇うといったって、付添看護婦の場合には個人個人の事情によって雇われない場合もありますよ。ばく大な、一カ月に五万円、六万円では雇われない場合がありますよ、こういう仕事の内容上。ですからそういう面について検討しているんだったら、いつごろまでにやります、この審査が終わるまでには結論を出して、ここに出したようなのを出します、御意見をお聞きしますとか、そのくらいやらなければ、問題点が明確になっておるのに、ここはおしゃべりの場所ではないんだから、そのぐらいは、たとえば今月中にやりますとか、来月中にはやりますとか、これはきのうきょうの問題じゃないんだ。いままでずっと議論している、これは審議中にやるのがいいよ。私だったら、私が質問するときには、そういうことを言うかもしれぬが、きょうは関連ですから……。 めどぐらいはつけておかなければ、患者の立場に立って、国民の立場に立っての審議とは、これは言えないですよ。どこが権限を持っておるのか、責任はどこが持っているのか、保険局か、医務局か、厚生大臣なら厚生大臣に責任があるということになるけれども、いかがですか。これはもう少し具体的な答弁をしなさい。
○北川(力)政府委員 付き添い看護の基準につきましては、いまも申し上げましたが、これが現在、基準をつくりましたころに比べて非常に老人性の疾患がふえておりますとか、交通事故による患者が激増しております。そういった新しい条件があるわけでございます。したがって、この問題は、現在の基準が現状にそぐわないような状況になっております。できるだけ早く新しい基準をつくりたい、こういうことで現在詰めておる段階でございます。 それからもう一つ基準……。
○大原委員 いつまでに詰めるのか。
○北川(力)政府委員 これはもうできるだけ早い機会にやりたいと思います。
○大原委員 来年か再来年のことか。
○北川(力)政府委員 これは、なかなかむずかしい問題でございますけれども、できるだけ早く——私は真実の意味において申し上げているんですけれども、できるだけ早くやりたいと思います。それからほかのことは……。
○大原委員 ほかのことはいいです。そのことは、かなり問題は煮詰まっているんですよ、この問題は。何回もどの委員もいろいろな角度から質問しているのですよ。そんなことが審議の経過の中で、しかも行政運用の中で、ある程度既成事実がある問題について、行政当局がサボっているというような問題について、めどがつかないような審議なんかないですよ。こんなことは、この問題の基本問題があるんですよ。基本問題があるんだけれども、そのぐらいのことは——はね返りの答弁なんかしておって、そうですがといって下がるわけにはいかぬですよ。 いつまでにやりますか。来年か、再来年か、五年のうちか、十年のうちか、五カ年計画でやりますなんというのはだめですよ。そこらは基準看護の内容についてやるべきであって、当面の措置については、これは何回もずっと前から議論している。この抜本改正の議論をしているときからずっとやっている問題、行政措置でできる問題です。しかもこれは根本的に解決する問題じゃないですよ、二重支払いの問題ですから。ですから、その問題については私は厚生大臣、二人でちょっと相談してもいいから答弁しなさい。
○齋藤国務大臣 この差額ベッドの問題、付添看護婦の問題、患者さんにとってみれば、たいへんな負担になっておることは、実は私も十分承知をいたしております。実は私も基準看護の承認の基準ですね、根本的な問題は別として、承認基準を改定しなければ、どうにもならぬじゃないかということを、私もしょっちゅう言っているのですが、事務当局に言わせますと、なかなかいろいろな看護婦の問題あり、さまざまある、こういうわけで非常にむずかしそうなことを言っておりますが、この道の専門家であられる金子先生や大原先生のお話でございますから、この際馬力をかけて、少なくとも二カ月以内に必ずやらせます。二カ月以内に暫定的な措置はやらせます。そのことだけ申し上げておきます。五カ年計画などとは申しません。その点は明らかにいたしておきます。
○大原委員 私は関連質問ですから、これで終わりますが、差額ベッドとか付添婦の負担とかいうものを、公的医療機関その他全部調べることはできないけれども、この国会に臨む場合は、そのくらい調べておかなければいかぬ、資料としても。いまの質疑応答を聞いているとないですよ。五分の一とか低めに言うた、いまはそうじゃないんだ。だから患者や国民の立場に立ってみれば、あるいは総医療費では二兆五千億円、三兆円、三兆五千億円ぐらいから、ちょっとカーブが下がっているというけれども、その医療費の中に保険負担、国庫負担、個人負担というふうに制度的に認められておる以外の、そういうワク外の負担というものがずっとふえている。ものすごくふえている。総医療費の中で払われないものがあるのです。 その実態を把握しなかったら、皆保険下のそういう制度の改革を論ずることはできぬわけですから、そういう資料を私は最大限早く出してもらいたい。このことを私の資料要求として申し上げておきますから、保険局長のほうから御答弁ください、これは大臣でなくてもよろしいから。
○北川(力)政府委員 現在あります一番新しい資料は、昨年の六月一日現在の資料でございます。その後は先生御要求のような全体的な資料はございませんので、全般的なものといたしましては、昨年の六月現在の資料としてできるだけ早い機会に提出いたしたいと思います。
○金子(み)委員 では、それはどうぞよろしくお願いいたします。 看護の問題になりましたので、一つお尋ねしたいのですが、それは前回私が質問を申し上げたことでございますが、いまの問題の基本になりました問題だと思っております問題で、いわゆる看護婦の需要供給の関係の問題でございます。これを医務局にお尋ねしたわけでございますが、新しい体制で、すなわち二・八体制と基準において、看護婦の需要供給関係について早急に検討するというお返事でございましたけれども、その分がどこまでできているかという点を中間報告でもけっこうでございますから、聞かせていただきたいと思います。お見通しが立っているか立っていないかという問題でございます。 いま一つは、そのことが実現される暁には、いま問題になっておりました変則的な基準、看護の基準でございますけれども、基準看護制度などというようなものは廃止されるべきだと私は考えておりますけれども、そのことは一緒に考えてくださっているのでしょうかどうでしょうか、それを聞かしていただきたいと思います。
○滝沢政府委員 この前のお尋ね以後検討しております問題につきまして、まず二・八体制をどの看護単位で何%にするか。国立の場合、ただいま大体一看護単位一人の夜勤の単位が五〇%程度でございまして、県立病院その他の公的病院には、ややそれよりも一人の看護単位が少なくなって、二人が多くなっているところもございます。これは先生御存じのように、十六人が一看護単位にいませんと、このローテーションが組めませんから、九人で一看護単位一人夜勤の単位が組める。わが国の約二万二千に及ぶ看護単位というものから計算いたしまして、そのような需給関係をはじきますと、現在の養成ベースをまず一学年定員で四千人くらい増強する必要があるということになりますので、これについての対策をやはり五カ年計画の中で行なう必要がございます。そのほかに養成のための教員の確保の必要がございますので、かねて大学の、いわゆる学校教育法の一条校による看護教員という問題も文部省にお願いいたしまして、ただいま審議会の部会をつくって御検討願っておるわけであります。 このようにして教育制度の面と、それから従来の各種学校の面も含めました養成計画は、少なくとも養成ベースで、一学年定員ベースで四千人以上の者を確保する必要がございます。そうしますと、五年後の約五十三年ごろになりますと、養成ベースで七万以上を確保する必要がございまして、就業ベースで、進学あるいは保健婦への進学その他総合的に計算いたしまして、年ごとの新たな就業者の確保を五万人以上に持っていき、養成ベースを七万人以上に持っていく。五万も、もちろん五万ぴったりでございませんで、五万五千に近い数字等に就業ベースで持っていきたい、このようなことをやりまして、二・八体制のいま以上の改善が期待できるのではなかろうか。ただ週休二日制の問題等がこれにからまってまいりますことが新たに検討を要する問題でございますので、この問題にまだ十分な検討をしておりませんが、さらに週休二日制の問題がこれに加わるわけでございます。 もちろん、これらの看護婦確保の根本になります給与改善あるいは養成所の運営費の補助、就学資金の改善、あるいは離職防止対策としての長期に勤務した場合に対する看護婦への何か優遇策を講ずるというような問題、あるいは一たん離職した人の再就職の問題、これらの問題を積極的に講ずるための計画を検討いたしておる次第でございます。 前回以後検討いたしました問題の態様は以上でございます。 それから基準看護につきましては、廃止するという方向のお考えというか、お尋ねでございましたが、私はやはりその病棟の性格ごとに基準看護の制度というものを定める必要があろうと思いますし、それも一般的な意味の病棟と同様のペイをするということは、実際に運営上は高くペイをしていただかないと——やはりそういう意味では一つの基準看護的なものの考え方は残していただいて、そしてそれを合理的に差があるペイをしていただきたい。一般病棟と濃厚な看護をするところでは、料金は別に払うという仕組みもできたら考えていただきたい。これはわれわれ医療を供給する側からの希望であるわけでございます。そういう意味の基準看護は存置していきたい、こういう考え方でございます。
○金子(み)委員 私が申し上げましたのは、現在の基準看護のベースが現在の医療法の施行規則の十九条の数字できめられて、そしていまの基準看護がつくられているからだと私は思っているわけです。ですから、今度新しく二・八体制を再検討してくだされば、その限りにおいては、私は要らないのじゃないかということを申し上げたわけなんです。ですから、そういうふうに解釈していいかというふうに申し上げたわけでございます。 それから、もう一つお尋ねをいたしておきたいと思いますのは、やはりこれも関連事項でいま局長がおっしゃいましたけれども、前回看護婦不足の問題のときにお尋ねいたしましたことで、厚生大臣から御回答いただきましたので、今度も大臣から御回答いただきたいのですけれども、看護婦の不足の大きな原因の一つになっている給与改定の問題で、大臣も積極的に前向きで給与改定をしたいとおっしゃっていただきました。 要するに、現在の基準のもとになっている、人事院がきめておられます医療職(三)表の抜本的改正でございますが、これをことしの八月の勧告までに思い切った抜本改正をするように人事院と交渉するとおっしゃっていただきましたが、その件について、いまはもう六月に入りましたので、時期が来ていると思います。どのように促進してくだすっていらっしゃいますか、厚生大臣並びに人事院の方から御回答願いたいと思います。
○齋藤国務大臣 この問題につきましては、事務当局の間で人事院に給与改定についてのお願いをいたしておりますが、私もできるだけ早い機会に近く人事院総裁にお目にかかってお願いをいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○長橋説明員 看護婦の給与改善につきましては、いろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、いわゆるベースアップ等に関連します給与改定につきましては、例年どおり本年も勧告を予定されておりますけれども、その勧告に備えまして調査検討を目下している段階でございます。なお、組合からの要望もございますので、それらも総合的に検討してまいりたい、かように考えております。 なお、本勧告前にやりました措置といたしましては、御承知のように、先月の二十二日に人事院規則を改正いたしまして、夜勤手当千円の措置をいたしました。 なお、准看護婦の三等級昇格問題につきましては、関係当局といろいろ御相談を申し上げている段階でございます。
○金子(み)委員 私がこの前のときに申し上げましたのは、例年のスライドを一〇%だったのを一五%にするとか、あるいはそれを一七%に引き上げたとかというような改正のことを申し上げたわけじゃないのです。それは毎年必ずあるのは当然の話なんですけれども、そんなことでは解決がつかないということを申し上げたので、医療職(三)表の構成そのものを抜本的に改善するという意味のことを申し上げたのでして、そのことがどの辺まで運んでいるかということをお尋ねしたわけです。 厚生大臣の御答弁ではたいへんに抽象的で、具体的にどこまで厚生省が試案をお立てになって、それを人事院に持ち込んでいっていらっしゃるのか、わからないのですけれども、考え方の基盤といたしまして、そのように考えてくださっているのかどうか不安になりましたから、もう一ぺんはっきりおっしゃっていただきたい。
○滝沢政府委員 この問題につきましては、先生が社労委で御指摘のように、給与表が十五年、二十年とたちますと、たとえば義務教育の学校の教職員、女子の職員の方と比べましても、非常に給与表が寝てしまうという表をお示しいただいたわけでございます。 これについては、私はやはり基本的な問題であろうと思いまして、人事院の給与局長にもお会いし、その点について強く要望し、お願いいたしておるわけでございまして、初任給はかえって看護婦のほうがいいような実態でございますけれども、毎年の昇給の表の段階が少ないために、長期に勤務した場合に給与表が寝てしまう。この問題の是正を特に中心にしてお願いいたしておるわけでございまして、十分これを考慮していただき、実現するように努力いたしたいと考えております。
○金子(み)委員 くどいようでたいへん失礼ですが、原案がおできになりましたら、見せていただけますでしょうか、資料として。
○長橋説明員 例年人事院は成案を得ますと国会、内閣に御報告申し上げておるわけでございます。したがいまして、成案を得ましたならば、国会に御報告申し上げて御審議をいただくという段取りになろうかと思います。
○金子(み)委員 私が申し上げたのは、その正式に国会にお出しになる前です。勧告としてお出しになる前に、どのような形で勧告されようとしているかという段階で拝見したい。
○長橋説明員 これは医療職俸給表(三)表だけ取り出してというわけにまいりませんので、各俸給表とも関連いたす問題でございます。したがいまして、やはり最終的に意思統一をいたしまして、国会の御審議をいただくということではないかと思います。
○田川委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田川委員長 速記を始めて。
○長橋説明員 従来、勧告に際しましては、事前にいろいろと御相談をいただき、また、こちらのほうもいろいろ御意見をお伺いしたりして相談しておりますけれども、しかし、最終的な成案ということになりますと、やはりそれは正式に国会ないし内閣に意見を申し上げるということになろうと思います。
○金子(み)委員 私もよくわからないのですけれども、正式な成案になったものが国会に出てくるのは承知いたしておりますけれども、私が心配しておりますのは、それ以前の段階、厚生省とお話し合いをなさったその段階で、どんな形のものができ上がり、そしてどういうものが勧告されようとしているかという、その時点なんです。厚生省は参加なさるわけですね。
○滝沢政府委員 これはお願いをしている立場でございまして、決定については厚生省はもちろん、各省とも参加するたてまえではございません。人事院がいたします。
○金子(み)委員 それはわかります。 それじゃ、この問題はあれといたしまして、厚生大臣にお願いしておきます。厚生大臣が人事院へお持ち込みになるもの、それは拝見できますでしょうか。
○齋藤国務大臣 それは、先ほど医務局長から申し上げたような内容について強力に要請をする、こういうことになるわけでございます。大体今月中に、できるだけ早い機会に人事院総裁にお目にかかって、看護婦の給与の実態を話をし、根本的な改革をしていただくようにお願いをしよう、こういうふうに考えておる次第でございます。
○金子(み)委員 きょうは私は健保の質問をさせていただいているのでございますけれども、いま看護の問題が出てまいりましたものですから、関連をいたしますので、ここで緊急な問題として取り上げてぜひ厚生大臣に聞いていただきたい問題がございますので、お願いしたいと思います。 ほかでもございませんけれども、すでに厚生大臣も御存じのことだと思いますが、重度心身障害児を収容いたします島田療育園の件でございます。緊急事態だと申し上げましたのは、実は島田療育園では五月の三十一日に初めてストライキを一時間打ちました。これは昼休みにいたしました。島田の人たちは、ああいう特殊な施設でございますので、ストライキを打つということについては、もうやりたくなくて、何としてもしたくなかったのを、がまんしてがまんしたあげくの果てにやらざるを得なくなってやったという実態でございますけれども、やりました結果はまだ解決に至っておりませんで、情報によりますと引き続き九日、十日、十一日、これはまた一時間の時限スト、さらに十二、十三、十四、二時間のスト、そして最後に十五日三時間、これは午前中にやるそうです。 そうなりますと、非常に子供に迷惑がかかる、子供に大きなしわ寄せが寄っていく問題になるので、これはゆるがせにできないと思うのでございます。ほかの病院のストの場合でも全く同じことがいえるのですけれども、この施設なんかは、御承知のことだと思いますが、特殊な施設でございますから、そのような事態が起こるということは、とてもがまんできないと思います。これは何とかして押えなければいけないと思うのですけれども、その押える手だてとして、ぜひ考えていただきたいことを私はいまからお願いしたいのでございます。 それはほかでもございませんが、先般参議院の予算の分科会のときに、私たちの党の田中委員が質問いたしましたときに、厚生大臣が御回答くださいました。それで、こういう子供たちを介護する職員の数を、子供一人介護人一人というふうな数字にぜひ来年度の予算の中で考えていきたい。現在は一・五人に一人になっているわけです。標準がですね。実態はもっと悪くて、一・七とかあるいは二とかということになっておりますけれども、そういうようなことをおっしゃっていただきましたのと、それからそれだけでは間に合わないので、実はいまストを打とうとしているということは、現在もうどうにもならないからやっているのでございまして、四十八年度の間にいますぐ何とかしなかったら、あそこはもう成り立たなくなるわけなんです。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 それで、四十八年度に、八〇%が腰痛症になっているような島田の状態では、その人たちの問題を何とか少しでもよい方向へ持っていくために代替要員を入れるということが必要なわけなんですが、その代替の人たちを入れるための費用を何とか捻出して、めんどうを見ようとおっしゃっていただいたわけですね。そのことについて実現をぜひしていただけるかどうかという問題を、いま一度ここで確認させていただきたいのです。まずそれを確認させていただいた上で、そのことを具体的にお願いしたいのですが、いかがでございますか。
○穴山政府委員 島田の問題につきましては、私どもも東京都を通じて報告を聞いております。実際にああいう施設につきましては、これは民間施設でございますので、各都道府県知事がまずいろいろと相談にあずかり、指導するというようなことでございまして、私どもも東京都を通じて、いろいろ情報を聞いたりしているわけでございます。 それはそれといたしまして、この重症心身障害児の施設の介護体制の問題につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、この前、来年度の予算においては介護職員がおおむね一対一になるように考えたいというようなことから、大臣の御指示もございまして、四十九年度の予算編成の際には、一つの私どもの重点項目として、これが実現を考えていきたいというように考えております。 それからもう一つ、四十八年度、当面緊急の措置としては、何かやらないかという第二の御質問でございますけれども、その点につきましては、やはり大臣の御指示もございましたし、本年度の予算の中で何とかワク内でのひねり出しということを、いまいろいろと考えているわけでございまして、私どもはある病気、特定の病気に対して対策をするということではなくて、やはり腰が痛いというような事象があることは事実でございますし、むしろそういったようなことの発生しやすい労働条件というものを改善していくということを私どもとしては考える必要があるのではないかということでございまして、これはまだ考えの一つでございます。一つと申しますか、最中でございますから、決定したわけではございませんけれども、たとえば体重の重い子供を多くかかえているようなところにつきましては、少しでも介護体制の改善が本年度内からはかられるようにというようなことにつきまして、現在与えられております予算のワクの中でいろいろとやりくりができるか、何とかしてやりくりをしたいというようなことで、いま検討しているわけでございまして、御承知のように、これにつきましては、なお財政当局との折衝もございますので、現在、いま申しましたようなことで検討をしていることは事実でございまして、これについて、なるべく早く結論を出したいというように考えております。
○金子(み)委員 先般社会労働部会で児童家庭局長においでいただいて、この問題のもっと具体的な試案を伺わせていただいたことがございます。きょうは具体性をお示しにならなかったのですが、そのときのお話では、四十八年度には、通常の例としては、年度内のことでもあるので五、六千万円ぐらいのものは何とかなるであろうとおっしゃっていただいたのでございますが、それは事実そのように進めていただけると理解してよろしゅうございましょうか。
○穴山政府委員 この間はああいうようなところでございましたので、ざっくばらんに私のほんとうのめどのようなものを申し上げたわけでございまして、したがって、決してうそであるというわけではございませんけれども、現在実際に実施するためにということになると、いろいろ詰めて計算をしたりする必要がありますので、いま作業をしている段階でございますけれども、大体この前御説明しましたような線に沿って実現をはかっていきたいというように考えております。
○金子(み)委員 それで、お願いがあるわけでございます。いま御説明の中に、体重の重たい子供が何人いるところをどうとかいうような基準をつくりながらというようなお話がございました。そういうふうに、厚生省で助成をおおろしになるときには、そういう基準が必要だということも十分承知いたしておりますけれども、問題は非常に逼迫しているということをわかっていただきたいわけです。 この前のときも、厚生大臣もまだごらんになってないというお話でしたし、政務次官も忙しくてまだ行かれないというお話でしたし、児童家庭局長も、あるいは御担当の課長もまだいらしてないわけですね。ですから、この施設はほんとうに見ていただかないとわからないのですけれども、きょうは時間もございませんので、あまり時間はとれないのですけれども、お願いは、何とかしようと思って考えてくださった、そのあたたかい気持ちを具体的にその施設の人たちが感謝できるような形であらわしていただきたいということをお願いしたいわけなんです。いままでよく政府がなさいました、いわゆる総花式な、どの施設にも全部平均化して、どこからも感謝されぬような措置を今度はおとりにならないで、ほんとうに困っている、せっぱ詰まっているところ、もうつぶれそうになっているところに重点的に出していただきたいということなんです。 ですから、いまの場合でございますと、もう島田がストライキを打ち始めております。そして情報によりますと、びわこ学園がもうスト権を獲得してやろうとしていますし、その先に砂子がやろうとしているのです。こんなふうに重度心身障害児の施設が連鎖反応のようにそんなことを起こしていったら、たいへんだと思うのです。ですから、どうしてもここで食いとめていただきたい。食いとめていただくためには、一番問題になっているびわこや島田や砂子という施設に重点的に配分していただきたいということをお願いしたいのですけれども、それは御配慮いただけますでしょうか。
○穴山政府委員 私は就任早々島田に参りまして、いろいろと施設を見せていただきました。確かにたいへんだということも、そのときによく見せていただいたわけでございます。しかし、たいへんな施設は島田だけではなくて、ほかにもいろいろとあると思います。いま特定の施設に重点的に配分しろというようなお話でございますけれども、私どもが一つの基準をつくりまして考えたいということで、これはどの施設にも全部というわけには当然いかない、やはりいま申しましたようなところに当てはめる。しかも、ほんとうに必要であるというようなところに配分になると思うわけでございまして、その点は、いま先生のお話の御趣旨も十分に含みまして検討をいたしたいというように思っております。
○金子(み)委員 その点はぜひよろしくお願いしたいと思います。たいへんにみんなが期待して、がんばっているところでございますのでお願いいたします。 いま一つのお願いは、厚生省から東京都に行政指導をしていただくことができるわけでございますね。それで、御承知だと思いますけれども、東京都はこういう特別な施設に都としてもプラスアルファをつけて、そして非常に援助をしてくれているわけでございます。島田の場合も、昨年までは一人当たり一万八千円だったのをことしから二万八千円の加算をプラスアルファとしてつけておるわけでございますが、この費用をできるだけ、いま申し上げた代替要員の人件費に使うことができるように、代替要員をそれによって入れることができるように行政指導をよろしくお願いしたいと思うわけでございます。 それからいま一つは、島田が看護婦の寮を増設いたしております。この看護婦の寮を増設するためにくめんをいたしまして、自転車振興会からお金をもらったり、あるいは自己資金もひねり出したり、そしてあとは東京都から援助を申請するというかっこうに出ておりますが、この分につきましても、ぜひ厚生省のほうから東京都のほうに御指導いただいて、そして島田が要望いたしております五千万円ほどの助成金を出してもらえるようにということをお願いしたいと思います。これはお願いでございますので、よろしくおはかりしていただきたいと考えます。 それで、島田のほうの要望もございますし、私どもからもお願いしたいと思いますのは、局長はごらんになっていただいたようでございますが、どうかこういった特殊な施設の特殊な問題というのを最高責任者であられる厚生大臣が、ぜひしっかりと身にしみてわかっていただけるように、実感をつかんでいただきたいのです。話や写真や文章だけでなくて、実感としてつかまえていただきたいと思いますので、国会が終わりましたときには御案内申し上げますから、一緒にいらしていただきたい。このことをお願いしたいと思いますが、お約束いただけますでしょうか。
○齋藤国務大臣 国会が終わりましたら、機会を見まして私もこういうお気の毒な子供を扱っている施設を見たいと考えております。
○金子(み)委員 では、島田の問題はそこでおくことにいたしまして、健保の問題に返ります。 次に、お尋ね申し上げたいと思っておりますことは、いままで何人か質問者がお立ちになりまして質問なさいました問題と同じ問題になるのでございますけれども、私は私の立場からこの問題について、いま一度質問させていただきたいと思っておるものがございます。 それは保険の財政問題でございますが、財政問題のうちの一つは高額医療費の国庫負担の問題でございます。この問題につきまして私たち一生懸命に説明をしておるのでございますけれども、一般の人たちがたいへんにこの問題を正しく理解していないということがあるのでございます。 というのは、具体的にどういうことかと申しますと、三万円だけ用意すれば、あとはみんな見てもらえる、こういうふうに理解しているわけでございますね。それはテレビの厚生大臣の御説明でも、皆さんは三万円だけ用意してくださればよいのですということを繰り返しおっしゃっていました。そういうような点から出てくるのだと思うのですけれども、実際問題としては、これは一人について一カ月、そして一件だけ、こういうことでございますね。そこら辺がとっても説明不足ですね。ですから、ほんとうにみんなは、なあんだ、ごまかされたのかという感覚を持つのでございますね。五万円年金と同じようなことになりかねないのです。ですから、この辺はやはりもっとはっきりと、そして親切な説明の御指導がございませんと、国民は、私どもが接触いたします人たちは理解が悪いです。悪いと申しますか、理解しておりません。非常に誤解して、あら、そういうことだったのかというので、あらためてもう一ぺん考え直す、こういうようなことになって、それじゃ、ちっともありがたくないじゃないかというふうな言い方にかわってくるわけですね。 ですから、そこら辺のこともぜひわかっていただかなければならないと考えておりますが、この問題で私が申し上げたいと思っておりますことの一つは、せっかく目玉商品としてこのたび政府が高額医療費の負担をして、みんなの国民の医療費を軽減させるようにしてあげようというふうに考えてくださったその親心を、具体的にそうなるように進めていただきたい。 と申しますのは、どうして一人一件でなければいけないのかという問題です。一家族でなぜ考えられないのか。一軒の家の世帯の経済というのは一つでございますね。ですから、みんな何人も収入を持っている人ばかりが寄り集まった世帯というのはあるのかもしれませんけれども、普通一般、しかもこれは家族の医療費でございますから、そうすると世帯主を中心とした一つの家庭で、そして財政が一本になっています。ですから二人病人が出た場合に、二人で二万五千円ずつになれば五万になるわけですね。ところが、その場合に三万として、あとの二万を見ていただくというようなことにならないわけでございましょう。二万五千ずつ出さなければいけないわけですね。そこにもう非常に負担が大きくて、問題があると思うのですが、これはどうして一世帯として数えていただけないのか。そこまで考えていただければ、ほんとうに血も涙もある高額医療負担だといって考えることができると思うのですけれども、それはいかがでございましょうか。絶対無理でしょうか。
○北川(力)政府委員 家族の高額療養費の新設につきましては、提案いたしております法律では、その支給要件、支給額あるいはそれに関する必要な事項は政令できめるということになっております。私どもはこの新しい制度といたしまして、また現在最も要請の強い問題といたしまして、これを取り上げたわけでありますけれども、実際問題としてこの制度を円滑に実施をするということになりますと、やはりかなり明確な姿で制度をスタートさせる必要があると思います。そういう意味合いで、いまのところ医療機関の関連事務でございますとか、あるいは患者さん側のいろんな問題も考慮をいたしまして、一件一カ月三万円をこえる分について償還払いをする、こういうような仕組みで発足をいたしたい、このように考える次第でございます。 確かにいまの仰せのとおり、世帯単位でものを考えるとか、あるいはまた私どもの専門審議会にもいろいろな意見がございまして、一定期間以上は無料にするとか、いろいろな意見がございますけれども、何ぶんにも新しい制度でございますし、事務処理も的確にやってまいらなければならない問題でございますので、いま申し上げましたような、一件三万円をこえる分について償還をする、こういうふうな構成をとっておる点を御了解願いたいと思います。
○金子(み)委員 十分了解ができないのですけれども。納得できないのですが……。事務処理の点からいきましても、一件一件やるよりは一世帯で見るほうが、処理のしかたはしやすいのじゃないかというふうに、私どもはしろうと考えで考えるわけでありますけれども、家族単位にできなかった理由が事務処理の点にあるのでしょうか。
○北川(力)政府委員 やはりこれは現在の家族の給付でもそうでございますが、被保険者の被扶養者にかかる給付は、どこまでもその一人一人について行なうわけでございまして、現在のところ、世帯単位の給付というものは考えておりませんので、やはり一件一件で整理をする、こういう考え方が通常の考え方であろうと思います。
○金子(み)委員 通常の例で、前例によるということだと思います。それは確かにそうすれば間違いもないでしょうし、やりやすくもありましょうけれども、私が申し上げているのは、——それはよくわかるのです。ですけれども、せっかくの目玉商品として、ここまで考えついてくださった、非常に私はいいことだと思っているのです。ですから非常によいことを進めていらっしゃるのに、せっかくのものが価値が半減するような形に、なぜなってしまうのかということが非常に残念だから申し上げているのでありまして、その点が考えていただけないかということでありますけれども、前例によるとか、あるいはいままでにそういう形できたからというのであって、これは経費のためではないわけですね、償還なさるわけですから。 これはそういう理由でだけしかないとすれば、新しい問題は新しいあり方で進めても、決して間違ってはいないのじゃないかと思うのですけれども、ただ仕事のしかたが、いままでの前例とは違うから、新しい体制を整えなければならないということはあるかと思いますけれども、それはやはりやるべきではございませんでしょうか。それをあえて避けて通るというのは、何というのですか、イージーな行き方だというふうにしか考えられないのですけれども、そんなふうに考えては間違いでございましょうか。
○北川(力)政府委員 イージーでございますとか、あるいは間違いでございますとか、いろいろ御批判はあろうと思います。しかし、この制度自体やはり高額な療養費を要するものについて、現在の保険医療費の支払いのシステムの上に乗せてこの制度をスタートをするということになりますと、私はやはりいま申し上げましたような一件三万円以上について償還払いをする、こういう形で発足をすることが最も的確な制度の実施につながるというふうに考えておりまして、いずれこの問題は将来にわたって問題点も残すかもしれませんけれども、ともかく早急にそういうかっこうでスタートをする、的確な姿でスタートをする、現在の仕組みの中でものを考える、そういうことが新制度を考える場合には一番必要なことである、こういうふうに考えておりますので、決してイージーでありますとか、あるいはいま先生の言われたような、この方法以外はもう全然考えないんだとか、そういうことではなくて、この考え方が、一番すなおな的確な制度のスタートにつながっていく、こういうような趣旨から考えておるのであります。
○金子(み)委員 平行線のようでございますから、私は最も的確な措置だというふうには理解いたしませんけれども、申し上げていっても同じだと思いますから、その点につきましては、この辺でおきます。私としては理解できないと思っております。 いま一つの点は、療養費払いの問題です。いま局長も療養費払いとおっしゃいましたけれども、なぜ療養費払いにするのなら、初めに現物給付で出せないのかという問題です。お金がないからじゃないですね。これもやはり前例でございますか。
○北川(力)政府委員 これもいろいろそういう御意見が関係の審議会等でもございましたし、またすでに当委員会におきましても、そういった御意見をちょうだいをいたしております。ただ、一応三万円というものを制度の中身として予定をいたしておりますが、三万円以上の償還ということになりますと、三万円まで積み上がってくるまで医療機関の窓口においてその整理をいたします。あるいは医療機関にとりましても相当な事務でございますし、またそこまでのことをやる患者さんの側におきましても、かなりこれはむずかしい問題もないことはないわけです。 したがって、こういう制度はとにかく三万円をこえる分についてはできるだけ早い期間に償還をするという、そういう事務処理を考えたいと思っておりまするので、現金給付、償還払いということでスタートすることが、先ほども申し上げましたが、的確な制度の実施につながるのではないか、このような考え方に立って今度の制度を償還払いというふうなかっこうで考えたような次第であります。
○金子(み)委員 私は、本日の質問の最初に国際シンポジウムのお話をいたしましたけれども、そのことから考えましても、お金があるなしによって医療の格差があってはならないという考え方を正しい考え方として、将来のあるべき姿として考えるというのでありましたならば、高額医療費の場合は、お金がなくてほんとうに困っている人たちが医療を受けるときに助けてくれるというので、非常にありがたい制度であるには違いないのです。ところがお金のない人は初めからないわけですよ。何カ月かたってお金ができるんじゃないのですね。ですから病気になったときに、まずお金がほしいわけです。今度の制度によりますと、お金を耳をそろえて用意しなかったら、医療が受けられないわけですよ。そのお金をどうやってそろえてくるかということが問題なのでして、借金をするかわかりません、何をするかわかりません、どうやってととのえてくるかわかりませんけれども、それが問題なのでして、すぐにぽんとお金が出せるような人たちは、それをあと払いで返していただいても、そんなに感じないと思うのですけれども、何にもない人たちだからこそありがたがっているのに、その何にもない人たちがほんとうに心から感謝するような仕組みでないというところに、私は非常にこだわっているわけなのです。 この前も例が出たかもしれませんが、こんなことがあっては困ると思うのですけれども、復帰前の沖繩では医療費は全部療養費払いでございましたね。ですから私どもは昨年の三月に調査に出かけましたときに、実際にそういうおかあさんたちに会って、泣きつかれてほんとうに困ったことがございます。母子家庭などでは、子供が病気したら、その医療費を用意するのにおかあさんの的確な仕事がないわけです。いままでの仕事では、とても医療費が払えない、高いものですから。そこで母親は夜中に、子供が寝てからこっそり家を抜け出していって売春をやる以外に方法がないわけなのです。そういうのをすぐに業者がつかまえてお金を貸してくれるわけです。それで借金で苦しんでいく。そういうような実態が非常に目に見えていました。 沖繩の売春は、いわゆる職業売春の問題もさることながら、こういったいわゆるしろうとの一般家庭の、母子家庭のおかあさんの中にあるということが、非常に特殊な事例として私どもは胸を痛めて帰ってきたわけですが、そのようなことが再びこちらで、本土の中でも起こるとは思いたくないし、起こってはたいへんだと思うのですけれども、どうやって初めに必要なお金を用意するかということをわかっていただけないでしょうか。それがあればほんとうに、この高額医療費というものを国が見てくださるということは、ものすごく光りますし、大きな恩恵であり、医療はまさしく福祉として、ここにかっちりと接点が結びつけられると私は思うのでございますけれども、残念ながら、ここでまた接点がなくてすれ違ってしまうわけです。そこを何とか考慮する余地はもう全然ないのでございましょうか。
○北川(力)政府委員 私どもも、この高額療養に要する費用を現物給付で行なうことが間違いであるというようなことは、さらさら申しません。ただ、先ほどからも申し上げておりますとおり、現物給付ということにいたしますと、患者さんの自己負担が一定の額をこえるとき以後は、医療機関のほうにおきましても、患者に対して医療費の支払い請求ができなくなる。また、この場合、いつの時点で一定額をこえることになるかという判定の問題もございますし、いろいろなわずらわしさが出てくることも事実でございます。現在、こういった事実といたしまして、たとえば健康保険組合、共済組合等でやっております、一定額の足切りをして付加給付をする、その付加給付は償還払いをする、こういうような仕組みも現にあるわけでございますから、新しくこういう制度をスタートさせます場合にも、私どもは既定、既存の、現存しているこの流れ、システムに乗って、この制度を確実に的確に発足をさせる、こういうことで考えた次第でございます。 将来どういうかっこうで改善をしていくか、いろいろ問題はあるかと思いますけれども、何ぶんにも沖繩の場合とは違いまして、現在すでに五割給付をしております上に、今後は六割給付をして、さらに高額医療費について、とにかくできるだけ近い機会に償還されるということでございますから、そういう点、制度の全体をおながめいただきますならば、現物給付でなくても今度の制度の評価というものは、それなりにやっていただけるのではないか、このように考えている次第でございます。
○金子(み)委員 命の問題だから、とにかく何とかやるであろう、そういうふうな気持ちがちょっとでもその中にあるとしたら、私はゆゆしい問題だと思います。そういうふうに考えていただいたのでは、せっかくの目玉商品が泣くというものだと思うのです。その辺は、私どもは、やはりほんとうに医療を福祉として国民に与えるためには、そこまで考えていただくべきじゃないかといまでも思っております。 その次に進みます。次のお尋ねは、これも毎回どなたもお尋ねになっていらっしゃることなんで、私ももう一度納得したいのでお尋ねしたいのですが、家族給付の割合の問題でございます。 五割を六割に今回おきめになる御予定でございますけれども、私たちの素朴な疑問は、両審議会ですら七割にすべきだという答申が出ておりますのにもかかわらず、なぜ六割に落としていらっしゃるのかということが、まず第一点でございます。
○北川(力)政府委員 私どもは、今回の改善でやはり家族の給付率を上げるということは、たびたび申し上げておりますとおり、三十年ぶりのことでございます。しかも、一方、政管健保の置かれております状態は、三千億になんなんとする赤字を基調にかかえておりまして、そういう中で、あえて現在の福祉また社会の要請に応じるために、今度の給付率の改善に踏み切ったわけでございます。 仰せのとおり、社会保険審議会も、また社会保障制度審議会も、両方とも、多少のニュアンスの差はございますけれども、家族は七割給付にすべきであるということを提言をされております。でございますから、そうすることが望ましいことかもしれませんが、いま申し上げましたような、赤字のさなかにもかかわらず、従来の赤字はたな上げをして、しかも国庫補助というものを定額から定率に切りかえて、一〇%という多額のものをつぎ込んで、そういう中での改善でございますので、当面まずワンステップとして五割から六割に引き上げる、そういう段階的な給付の改善に着手する、そういった方針のもとにやった措置でございまして、そういう意味合いで、現在の政管健保の保険財政が置かれております現状というようなものも、ひとつ御了知の上、とにかく給付率の引き上げに踏み切った、そういう点についての御理解を願えれば幸いだと思います。
○金子(み)委員 三十年ぶりというのは、おそきに過ぎるとすら私たちは考えるわけであります。お尋ねしたいのは、もしこれを七割にするということにいたしましたら、どれくらいお金がかかるのですか。
○北川(力)政府委員 四十八年度の満年度ベースで約三百七十三億円でございます。
○金子(み)委員 それではあと三百七十三億円必要になるわけですね、差し引き収支の点を考えれば、少し数字が変わりますけれども。それでしたら、国庫補助一〇%というのを一五%にすれば十分補えますね。それは可能性ございませんか。
○北川(力)政府委員 可能性ということでございますが、国庫補助の問題につきましては、私どもたびたび申し上げておりますとおり、今度の改正のスタートラインの一つの基本的な問題として、政管健保の非常に弱い体質を補強するということで、一〇%の国庫補助を導入しておるわけでございまして、おっしゃるように、七割給付を行なうに必要な財源とのからみで、それが直ちに国庫補助率の一五%ということには必ずしもならないと思うわけでございます。
○金子(み)委員 財政の基盤が非常に弱い政管健保だということは、私ども毎回聞いておりますし、そのとおりだと思います。ですから、それだからこそ国庫補助というものがあるのじゃございませんでしょうか。大体国民健康保険には四五%、先ほど討議がございました日雇い健保は三五%の国庫補助が出ておるわけですね。財政基盤の脆弱な政管健保、しかも政府が直接管掌しておられるこの政管健保に、なぜ一五%の補助ができないのか、私は非常に理解に苦しむわけでございます。 もともと国庫補助というのは、国の責任において、ものをするときに出すということのほかに、国民のための医療保障としてこれを医療費に充てるということがあると思いますし、この保険財政の収支のアンバランスを充足するという目的でも国庫補助が使われるべきだと思うのです。そういうふうに考えたならば、これが一〇%になろうとしておる、これは飛躍的な向上かもしれませんが、それを一五%にすることによって、みんなが期待しておる家族給付が六割から七割になれるとするならば、それはやはり考えていただけるのではございませんでしょうか。それくらいのものは国の大きな予算の中でできないわけはないと考えておりますが、その辺はいかがでございますか。
○北川(力)政府委員 七割給付の問題と、それから国庫補助率の一〇%をさらに上のせするという問題は、非常に重要な問題でございます。現在提案をしております中身におきましても、基本的な一〇%の国庫補助のほかに、また弾力調整規定というものが援用されました場合には、保険料率〇・一%について総給付費の〇・四%を国が負担するという、いわゆる一〇%にプラスアルファをする国庫補助というものが一定の条件のもとに仕組まれているわけでございます。 でございますから、将来七割給付というような事態、かりにそういう場合に、国庫補助の問題を一〇%という問題で考えるか、あるいはまたそれ以外の問題で考えるか、基本的にはやはり保険料率の問題ということが出てまいるわけでございますけれども、そういう全体の財源負担のかね合いの中で考えるべき問題でございますので、七割給付にするという段階におきまして、そういった問題は総合的に考えていきたいと思う次第でございます。
○金子(み)委員 そういった段階でというお話でございますけれども、それをなぜいまこれから出発しよう、改正をしようという段階で考えられないのかということを私はお尋ねしているわけなんです。
○北川(力)政府委員 これは最初申し上げたとおり、赤字のさなかの改善であって、当面実現可能な段階的な給付率の引き上げとして六割まで上げるということでございますから、たびたび大臣も申し上げておりますとおり、この改正案を御承認いただきました暁には、できるだけ早い機会に七割給付の方向を指向したい、こういうことが現在ただいまにおける私どもの考え方でございます。
○金子(み)委員 法律が通った段階にはというのが二言目には出てまいりますが、それを伺うと、私たちはもう質問することができなくなるような気がするのです。法律を通すためにお話し合いをしているのに、法律が通ってからということにいつもなってしまいますのは、たいへん遺憾だと思います。 この問題は、それなら、なぜ両審議会が七割にすべきだという答申をしたのかということも、たいへんに素朴な疑問として出てくるのです。両審議会が財政的な問題を抜きにして考えていらっしゃるとは考えられません。ですから審議会が答申していらっしゃるのを、なぜ六割に削っておしまいになったのかということについて、先ほどの御説明では私は十分承服いたしかねるのでございますが、この問題は時間の関係もありますので、このまま一応保留させていただきまして、次へ進みたいと思います。 次は、例の弾力条項の問題でございますが、たいへんに初歩的な質問をさせていただきますが、なぜ弾力条項を設ける必要があったのかということを教えてください。
○北川(力)政府委員 今回のこの法律改正の基本的な考え方は、たびたび申し上げておりますが、それは従来の赤字はたな上げをして、政管健保の脆弱な体質の基盤を補強して内部の負担の不公平を是正し、そして保険の給付改善に取り組む、こういうことであります。そういうことで政管健保のいままでのような赤字基調から脱しまして恒常的に安定した運用を期したい、これが私どもの基本的な考え方でございます。また現在は社会、経済的に変動する要因の非常に多い社会でございまするから、そういった変動に機敏にかつ柔軟に対応していくためには、こういうふうな一定の幅で負担の関係も調整できる、こういう調整規定を中に入れまして、そのつど法律改正をして対応のしかたがおくれるようなかっこうではなくて、一定幅において、そのときどきの要請にそのつどこたえていく、こういうことを中身に仕組んでおきますことは、今後相当長い期間政管健保の安定的な運用をはかる上において、ぜひ必要な措置ではなかろうか、このように考えて、この規定を盛り込んだようなわけでございます。 なお、この規定の援用につきましては、たびたび申し上げておりますけれども、この規定が〇・一%上がりますと〇・四%国庫補助率がふえる、そういうふうな政管健保にプロパーな国庫補助のリンクという仕組みが入っておりますから、そういう意味合いにおきましても、単なる保険料率の引き上げだけで将来の保険のブレに対応するというものではございませんで、国も必ずつき合う、こういうかっこうになっておりますから、いま申し上げましたことを総合的に評価を願うならば、今回の改正の考え方として、こういう規定があることは決しておかしくはない、むしろ当然のところではないか、このように考えているようなわけであります。
○金子(み)委員 どうしてそのつど国会にはかってきめることができないのでしょうか。それでは時間的におそくなるというふうに、いまおっしゃったように私には聞こえたのですけれども、そんなのは物理的な問題ですから、そのようにならないようにさえ、はかればいいことであって、やはりこれは非常に大きな意味を持っていると思います。率はたいへんに小さいように思えますけれども、しかしこの問題は、その奥に非常に大きな問題がひそんでいると考えるわけでございます。 私の心配は、厚生大臣が審議会の意見を聞いてできると、こういうふうになっているわけでございますね。審議会の意見を聞いてなさるということなんですが、両審議会の答申をすら十分お守りにならない厚生大臣が、その審議会の意見を聞いてなさるということには、たいへんに失礼ですけれども、あまり信用が置けない、こういうふうなことも私は考えているわけです。 そういうような意味合いもございまして、いま一つは、一々国会の審議にかけることはたいへんである、あるいはめんどうであるというような怠慢な態度というようなものも出てくるんじゃないだろうかというふうに考えたりいたします。この前の質問のときに申し上げましたように、国民の代表である国会にかけないということは国会を無視している。かってにやれるじゃないか、こういうような姿勢が見えないとはいえないと思いますが、これは少し思い過ぎでございましょうか、いかがでしょう。
○齋藤国務大臣 私からお答えいたしますが、由来一年間の短期保険というものは、そのつどそのつど、その情勢によって調整をとっていかなければならぬわけでございます。先生もすでに御承知だと思いますが、国家公務員共済組合、その他の共済組合全部こういう規定を設けて運営をしておるわけでございます。しかも、よそのそういうふうな規定は上限の制限も何にもございません。そしてそのときそのときの財政の状況に応じて、その単年度の収支とんとんの財政政策をとっていこう、こういう仕組みでございまして、行政執行には当然必要な規定であるわけでございます。従来とも実は保険法にはあったんでございますが、何年かの特例の法律をするときに削ってあるわけでございますが、まあそれはそれとして、由来短期保険というものは、行政執行の円滑化ということからいえば、これは当然必要な規定であるわけでございます。 しかも、私どものこの保険法は上限の制限までつけている。その範囲内において国会の御審議をいただいて、そして厚生大臣が諮問をすることについての授権をしている、こういうわけでございます。しかも厚生大臣がかってにすぐやるというのではない。保険庁長官が必要であるということでありますれば、厚生大臣がもう一回そこでチェックをして、ほんとうに必要かどうか、もっと企業努力で何とかならぬのかという反省を行ない、しかも厚生大臣が社会保険審議会の意見を聞くということで、こういう複雑といいますか慎重な手続をとるのは、よそのものには全然ないんです。そういうわけでございます。 しかもこの条文は、こういう慢性的な赤字の際にでもやれるような条文にはなっておりますが、私たびたび本会議等で申し上げておりますように、これを運用する場合は限定したい、運用の方針を限定したい。すなわち診療報酬の改定とか給付の改善とか、そういうような緊急な事態についてだけ私は発動させるようにしたい。慢性的な、経常的な赤字の際には、こういう規定は発動しないということを私は運用の基本方針としておるわけでございます。 そういうわけで、よその国家公務員あるいは地方公務員等の短期の共済組合は全部こういう規定があり、しかもこれだけ慎重な手続をよそはとってない。まあしかし、それがそもそもいけないんだというなら、これはまた別です。それは別ですが、短期保険というものは、由来そういう性格のものであるということから、まず御理解をいただきまするならば、私はむしろ必要な規定ではないか、こういうふうに考えておるものでございます。
○金子(み)委員 いま一つ言わせていただきますれば、いま大臣がおっしゃいましたことが、ほんとうに実現されていくということでなきゃならないと思うわけでございます。しかし、たいへん申しわけないんですけれども、いま、ほかにはない、これは非常に慎重にいろいろ考えてある、いろいろなかせもつけてあるというふうにおっしゃったように私は思うのですけれども、そのかせをはずしてしまうおそれもないことはないのですね。はずそうと思えば、はずせるということがございますので、その点も非常に私は危惧をしているわけです。ですから、そういうことが絶対ないということを何かでお示しいただけますでしょうか。何に使うかということも、はっきりさせていただけるのでございましょうか。
○齋藤国務大臣 これは御承知のように社会保険審議会の意見を聞いて、上限もちゃんと法律で書くわけでございますから、こういう上限を取り払うというふうな考えはいま全然持っておりませんが、そういうときは国会にまたかけなければならぬわけです。 それから意見を聞くという場合に、かってにやるというふうにしようというならば、これは法律も改正しなければならない。したがって法律できちっと制限をしておるわけでございます。あと問題は運用だけの問題でございます。運用の問題については、私は大臣としての責任において申し上げておるわけでございますから、おまえの話は信用ならぬ、こう言われるならいざ知らず、やはり政府を代表して厚生大臣が間違いなく運用いたします、限定的運用をいたします、こう言うわけでございます。もしそんなことをしようものならば、社会保険審議会において賛成も得られませんし、それから次の機会において国会できびしい批判を受けるということになるわけでございますから、私が責任をもって申し上げておるわけでございますから、これはもう御信用いただくきりないんじゃないかと思います。しかし、おまえの言うことは信用ならぬ、こういうなら、これは別でございます。
○金子(み)委員 私が申し上げたのは、かってに取りはずすということじゃなくて、これはたいへんに、そちらからごらんになると都合のいい条件なんでございますよ。たいへんやりやすいし、そして、まあ一口に言えばたいへん都合のいい条件なんです。ですから、これはたいへんいいということになっていると思いますので、私が心配しているのは、かってに取り払うのではなくして、これはワクを広げるということが次々と起こってくるのじゃないかということを申し上げたわけなんですよ。もちろん国会に、はかってですよ。ですけれども、いま七・三が八まで広がりますね。それをさらに九にしよう一〇にしようというふうなことが次々と、この最初の突破口を通ると起こってくるのじゃないかという懸念を持っておりますものですから、そのことを申し上げたわけでございます。そういうことはございませんでしょうか。
○齋藤国務大臣 相当長期にわたる経済の安定を考えた法律でございますから、さようなことは考えておりません。
○金子(み)委員 それでは大臣のおことばを信用することにいたします。けさほど来の質問では、すぐまた赤字になるんじゃないかというふうな意見も出ておりましたようでございますが、大臣がそうおっしゃいますから、そうなるのだろうと思って信用いたしておきます。 それで、そのようなことでございますが、今度のこの法律はいろいろと問題がたくさんあるわけでございますが、結局は保険の収入増を本来のねらいとしては持っていらっしゃるというふうに私どもはどうしても思えます。大臣はそうじゃない、給付のためにできているんだというふうにおっしゃいますが、給付は収入増を、収入増、ことばをかえて申しますれば、国庫補助のほかは全部国民の負担になるわけでございますけれども、それだけ負担をさせるということに対する、それをなだめるような意味で、これだけ給付するからいいじゃないかということで、給付があとからついてきているような気がするわけです。大体保険は、元来は給付を目的にするものなんじゃないですか。給付をするためにどういう方法でそれを準備をするかということにあるので、やはり給付に重点が置かれるべきだと思います。 今度のは、やはり給付はあとからつけた、なだめのお菓子のようなものであって、やはり本心は衣の下によろいが見えると申しますか、保険財政の収入をはかって、おつくりになっている案だと思いますので、私どもはやはりそういう意味合いが含まれている保険制度でございますから、これを賛成することは私としてはできない、そういうふうに考えているわけでございます。 保険の問題を以上で終わらせまして、せっかくの機会でございますので、局長もお見えになっていらっしゃいますから、一つだけ医療供給体制という面でお尋ねさせていただきたいものがございます。 それは、四十六年の十月十二日の通達で、都道府県に公衆衛生局長からお出しになっていらっしゃいます「過疎地域保健指導事業の実施について」というのがございます。この問題なんでございますけれども、これは法律に基づいてこういうような政策をお出しになったということも承知いたしておるのでございますけれども、そもそも法律をつくるときから問題があったのだと私は思われます。この過疎地域保健指導実施の内容なんですけれども、一口にして申しますと、お医者さんが過疎地域には行ってくれないから、保健婦を設置することによって問題を解決しようというのが、たいへんに俗な言い方ですけれども、一口にしてこの政策のねらいじゃないかと思いますが、なぜ保健婦を置けば過疎地域の保健指導対策及び無医地域と重なっておりますところは、無医地域の活動ができるというふうにお考えなのか。私はその基本的なお考え方を聞かせていただきたいと、きょうは思っております。
○加倉井政府委員 私どもといたしまして、過疎地域に保健婦を駐在させること、このこと自体は健康の指導あるいは疾病の指導、そういうことを通じまして、そういう地域の住民の方々の疾病対策あるいは健康対策に資したいということでございまして、やはり医学的な教育を受けたそういう職種の方の駐在によりまして、その地域の住民の方々の健康状態がある程度把握ができます。したがいまして、そういう状況から、さらに疾病あるいは負傷等の事故が起こりました場合に、しかるべき医療機関との連絡も密接にあるいはすみやかにとれる、こういう前提のもとに保健婦の方々にその地域の状況を監視と申しますと語弊がございますが、そういうことで駐在をお願いする、こういう趣旨でございます。
○金子(み)委員 もう時間がないようでございますけれども、医務局できめていらっしゃる無医地域と、それからこの過疎地域とが重複するところもございますね。それから重複しないところもあるようでございますけれども、そのような場合に、無医地域になぜ医師を派遣することを努力なさらないで、保健婦を置くことによってそれの代行をさせながら、あるいは代行じゃないとおっしゃるかもしれないけれども、もし代行でないとするならば、保健婦が病人を指導する場合に指示を仰がなければできない。その指示をどうやって仰ぐのかという問題が起こりますが、これはほんとうに指導する場合には、その点は非常に問題になるだろうと思います。たとえば電話で指示を仰ぐというようなこともあるようでございますけれども、医師は電話で状態を聞いてそれを診断し、そして処方することができるのでございましょうか。
○滝沢政府委員 確かにこの僻地の医療の問題と、それから過疎地区の保健婦対策との関連でございますが、オーバーラップしているところと、しないところと確かにあるようでございますが、われわれば決して保健婦を医師の代行と考えているわけではございませんで、公衆衛生局長から答弁申し上げましたような、地域の医療関係者が連携し得るための一つの重要なキーポイントになっていただく意味で、保健婦の過疎地域への駐在をお願いしておるわけでございます。 医師の確保ができないのは、別の意味で非常に問題がございまして、これもまたわれわれとしては新しい対策として、もっと大きな中心病院に僻地診療部のようなものを設置いたしまして、これに相当強力な国庫助成をして、かなりの広範な地域の僻地医療を交代で受け持っていただくというような着想も一つの考え方であろうと思いまして検討いたしておるわけでございまして、保健婦はその場合今後とも国保の保健婦のみならず、そのような特殊な対策の保健婦も含めまして、養成の上でまだまだ不十分でございますし、また養成ができます場合でも優先してそのような地域に確保するように努力して、総合的な地域の連携プレーによる医療確保の一環としての保健婦対策というふうに御理解いただきたいと思います。 それから医療の問題につきましては、電話等によって指示を受ける場合に、もちろん限界がございますけれども、具体的には違法性がないというふうに考えております。
○金子(み)委員 この問題はまだ私申し上げたいこともございますしいたしますが、時間の関係がございますので保留させていただきまして、別の機会に譲らせていただきたいと思います。保健婦はしょっちゅう緊急避難ばかりやらなければならなくなるんじゃないだろうかということがどうしても考えられますので、それらの問題についても、また別の機会に質問させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○伊東委員長代理 速記をとめて。 〔速記中止〕
○伊東委員長代理 速記を始めてください。 石母田達君。
○石母田委員 私はきょう質疑に入る前に、前回寺前議員が福島県の厚生部の保険課が社会保険協会との連名で、この「絵でみる健康保険改正」ということで、あたかもすでに国会を通ったような形でのリーフレットが出された。この問題は明らかに国会の審議権に対する重大な介入の問題だということで、これについての調査をするようになりまして、これは理事会で取り上げられたと思っております。その点についての調査の結果と、それからそれに対する政府がとった措置についてお伺いしたいと思います。
○北川(力)政府委員 ただいまお尋ねの福島県における健康保険法改正案のPRの問題についてお答えをいたします。 本件は、福島県下におきまして現在のこの改正案の内容を広く県民に周知をするというような意味合いで、福島県と県の社会保険協会とが協力をして作成をいたしたものでございます。それで作成の部数は、まず最初に一万二千二百部をつくりまして、そのあと九万六千部をつくっております。作成時期は大体三月から五月にかけてでございます。作成の費用は全体で約五十五万円でございますが、最初の一万二千二百部につきましては社会保険協会がこの費用を負担をいたしております。それからあとのほうにつきましては、社会保険協会が三十六万円と県費で十万円を負担をいたしております。これは配布の先は、県内の健康保険の適用事業所、または全市町村の一般住民を対象にして配布をいたしたものでございます。配布の時期は三月の中旬から五月の初旬にかけてでございます。 大体以上が、この件のPR紙の発行についての概要でございます。
○石母田委員 これに対する厚生省としての、厚生大臣の見解と、それからとった処置についてお伺いしたいと思います。
○北川(力)政府委員 私どもは現在この改正をいたそうとしております改正案の中身につきまして、できるだけ国民の方々に広く正確に知っていただこうと、こういうことを考えておるわけでございまして、そういう意味合いから、最も接触する機会の多い第一線の機関に対しましては、日ごろからこの現行の制度はもとより、改正が行なわれます場合にも、その改正の内容について、それぞれの県において県民にわかりやすく、かつ正確に内容をお伝えをするようにお願いをしているところであります。 今回の福島県の場合におきましても、そういった意味合いで、できるだけわかりやすいかっこうで地元の社会保険協会と協力をして作成をしたものでございまして、このような意味合いにおきましては、本件は改正案のPRとして間違ったものではないと思っておりまするし、またその内容を見てみましても、大体今度の改正内容というものを全面的に網羅をいたしております。中身といたしましては全部を網羅をいたしておりますので、改正案のPRとしては適切を欠くものではないと、このように考えております。
○石母田委員 非常に重大な発言なんで、私、厚生大臣に再度お伺いしたいと思います。この「絵でみる健康保険改正」というのと「(案)」というのと二つある。それで、これが自治体に出されたときに、二つの市あたりで、これは国会の審議に非常に影響するのじゃないかということで配布をためらっているところもあったと聞いております。 そういう問題で、こうした役所が率先して、いま国会で審議中のものをPRする、これはこの間の四国の郵政局の問題で郵政大臣がはっきりと見解を表明して陳謝した。今度はこうした福島県厚生部保険課が市町村あるいは町会などを通じてこうした配布をしようとしたという問題について、地元の新聞でも問題になっているというふうに聞いております。特に厚生大臣は出身県でございますので、そういう点での見解をお伺いしたいと思います。
○齋藤国務大臣 私は福島県が郷里でございますが、私が指示したわけでも何でもございませんが、これで見ますと、「絵でみる健康保険改正(案)」ということで、これは市町村とかなんとかいろいろ関係あるところに、今度の改正法律案というものは、こういう中身でございますということを保険の専門官庁である厚生部保険課が趣旨を徹底させるためにやったものである、かように私は理解をいたしておるわけでありまして、先般の郵政省の性質のものは、御承知のように郵政省の職員とは関係のない事項について、一ぱい趣旨を書いてあったものだと私は承っておるわけでございまして、こちらのほうは、保険というものの専門の部局が、それが通れば自分が所管するであろう法律案の内容について、おそらく会社やあるいは市町村からいろいろ問い合わせがあると思うのです、この法律案は国保にも関係があるわけですから。そういうことでいろいろ質問を受けるだろうと思いましたので、おそらくこういうふうなことをしたのではないだろうか、かように私は考えております。
○石母田委員 この前出したのは「絵でみる健康保険改正」という「(案)」がないものです。したがって、案というものであれば、これはいま審議中の案である。そのことでさえも、私は市町村という自治体で、中立であるべき機関を利用するということについては正しくない。しかし、この間非常に問題になったのは、こうした「健康保険改正」というあたかも通過したかのごとき印象を与えるそういう内容のものをすでに市町村を通じて配り、あるいは一部配ったという問題で、下で問題になった。これは当然で、国会でまだ審議中のものです。通ってないものです。そこへこういう役所が、「(案)」というものを抜いたもので「改正」ということであれば、当然もう国会は通ったものとして理解するほうが私は当然だと思うのです。そういうものをやることがあたりまえだ、PRのために必要だと、こう言うのですか。
○北川(力)政府委員 ただいまお話しのとおり、このPRの資料には「(案)」というものと、それから「(案)」という字が入っていないのと両方ございます。 ただ、この内容も、ごらんいただきますと、もう十分におわかりのとおり、この内容は全く両方同じでございまして、改正の必要性から、またこういうかっこうで改正をしようとしているということが書いてございますわけでございますから、結論としては、「改正(案)」と書いたほうがより正確を期するというふうな、そういうタイトルとしては意味があるわけでございますけれども、内容的には全く今回改正されようとしているものについての説明でございますので、決して、改正されたものをPRをする、そういったふうな間違った誤解を招くことは全くない内容になっておるように、われわれとしては承知をいたしております。
○石母田委員 私は大臣に聞きたいのです。こういうものを、いまこの健康保険の改正の法律案をめぐって、国民の中でこれに反対する、われわれ自身も含めて、そうした問題がいま国会で審議中のものです。きょうのこの委員会もその一つです。そういう中で、一方の側の政府提案のものを、こうして中立であるべき自治体の機関を利用して、あるいは自治体で県税を利用してこれを発行する、買う、こういうようなことをなされたら、一体国会の審議権というものはどういうものであるか、こういう問題について、私は、厚生大臣として、この間郵政大臣が表明した内容と、きょうは違った内容のことを同じ政府の閣僚が言っているというふうに聞こえてなりませんけれども、もう一度こういう問題について確認をしていただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 先般の書類は、健康保険法の改正、国民健康保険法の改正に関係のない——関係がないというか、権限がない部局において行なわれたものでありまして、今回の「(案)」は、御承知のように、県庁の厚生部保険課、それから、この福島県社会保険協会というのは、社会保険の趣旨の徹底をはかるそういう外郭団体であると思います。本来の仕事について趣旨の説明をしようということであったものであるわけでございまして、健康保険法の改正が国会で審議になっておりますことは、県庁の役人も社会保険協会もみなわかっておるわけでございます。通ったとはだれも思っていないわけでございまして、現在出しておる保険法案というものは、こういう内容でございます、市町村でもこういう関係があります、会社ではこういう関係がございます、こういうことを本来の業務としてやったものと私は理解をいたしております。
○石母田委員 じゃ、この「健康保険改正」ということでやったのと「(案)」というのとは同じだと、こういうことですか。
○齋藤国務大臣 同じといいましても、内容が全部同じでありまして、市町村あてには「健康保険法の一部を改正する法律案は、今国会に提出されているところであるが、その改正内容について広く県民に理解を得ることが必要であり、」云々と、こう書いてありまして、追って書きには全部法律案と、こうして出されると私は承っております。
○石母田委員 これはどうなんですか。 〔石母田委員、書類を示す〕 これもいいというのですか。これは「(案)」と書いてないじゃないか。それなら訂正して出す必要はないだろう、よかったら。
○北川(力)政府委員 ただいま大臣が持っております分につきましても、先ほど申し上げましたとおり、内容は全く市町村に配ったものと同様のものでございます。これを使用主、被保険者に配布いたします際に、県当局からは「すでに御承知のように去る三月二十七日の衆議院・本会議で厚生大臣から健康保険法の改正について趣旨説明が行なわれ、ただちに社会労働委員会に附託されました。そのあらましは次のとおりです。」というふうなことで、これから社会労働委員会で審議が始まるというふうなことを織り込んだ文書をくっつけておりますので、これも全く「(案)」とは書いておりませんけれども、現在ただいまから御審議を願うというふうな内容で盛られておりますから、内容的には同様のものと考えております。
○石母田委員 じゃ、もう一回、くどいようだけれども、大臣、これは全く同じだ——私は内容を言っているのじゃない。ここで問題になったのも、理事会で問題になったのも、「健康保険改正」ということで「(案)」がないということについては、これはあたかも通ったかのごとき印象を与えるということは、当然じゃないかと思うのです。この点どうですか。この「(案)」と書いたのと「改正」というのと全く同じに受け取れますか。
○齋藤国務大臣 なるほど「(案)」という問題がないことは私も適当でないと思います。思いますが、送り状にはちゃんと書いてあるのでございますね。ですから、本物だけを見ましても、まずいのでございまして、送り状と一緒にごらんいただきますれば、なるほど国会で審議中の法律案だなということは、私はわかっていただけると思うのです。しかし、それだけ突きつけられて「(案)」とないのはどうだと言われれば、これは「(案)」とないのは不適当だと、こう申し上げておきます。
○石母田委員 そのとおりだと思います。それで、ただ、送り状が一緒についているわけじゃないですから、これは全部一人一人見る人は住民が見るのですから、これしか見ないのです。これから判断するのは当然のことなんで、いまのは若干詭弁だと思います。 さらにいま一つ、宮城県民政部保険課長、この名前で「健康保険法改正のあらまし」というもので、こういうものがやはり出ております、事業主及び被保険者各位と。 これによりますと、いろいろ前書きが書いてありまして、「つぎのような改正の趣旨で、赤字財政のさ中に画期的な給付改善を主体に、その方向をかえようとするものですから、単なる値上げ法案ではないという評価と、ご理解をいただきたいと存じます。」これは明らかに内容の報道ではなく評価を与えている。それから支持と理解をいただきたい、こういうものを自治体の保険課長が公文書に出すということについては、これはどうですか。 〔伊東委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕
○北川(力)政府委員 ただいまの宮城県のPR資料でございますが、このほうも、いまおっしゃったように、今回の改正についての趣旨、これは私どものほうから第一線の関係部局にも言ってあります。そういう意味合いで、今回の改正の内容を正確に知らせる、こういう意味合いで書いたものであるというふうにわれわれは考えておりまして、この保険課長名で出しております文章も、これが非常に今回の改正案を別な形で取り上げているというふうには考えておりませんで、やはり今回のPRのしかたとしては適切なものではなかろうか、別にさしたる問題はないのじゃないかというふうに考える次第でございます。
○石母田委員 私は大臣に聞きたい。いまの読んだ部分の、内容の報道じゃなくて、その前の分のこの評価は、単なる値上げ案でないんだ。だから、「単なる値上げ法案ではないという評価と、ご理解をいただきたい」、こういうふうに要請することについても、これは自治体がやってもかまわない、こういうことですか。
○齋藤国務大臣 まさしく私も値上げ法案だけとは考えておりませんから、私も思っておりません。思っておりませんから、保険課長という宮城県の公務員が、その趣旨を徹底させようということで事業主、被保険者各位に改正の趣旨、給付の改善、健保財政の健全化、保険料の改定、その他というようなことで趣旨を普及徹底させ、しかも県としては、こういう評価をしているということは、私は一向差しつかえないと考えております。
○石母田委員 そうすると、公務員の地位を利用して、一方のこの法案を、いま審議中のものを、一方の側に立って、これを保険課長という名前で、そうして公費を使ってこういうことをやるということは、かまわないのですか。
○齋藤国務大臣 この内容について趣旨を徹底させ、ある程度の評価をしていることでありまして、国会審議に対して圧力をかけるなどという意図は全然ありませんし、そんなことはできる筋のものでもないわけであります。
○石母田委員 絶対納得できないですよ。これはそういうものがあなたの主観的な意図じゃないんだ、実際これは民生部保険課長とか先ほどの福島県の厚生部だとか、あるいはこの間のポスターの問題にしても、ああいう形で自治体なり、そうした役所なりが、こういう行動をとれば、これは一方のそうした政府提案を促進させる、こういうことを住民に与えることは明らかじゃないですか。そういうことになれば、われわれが国会で審議しているのは必要ないのじゃないですか。そういうものをどんどん圧力をかけてやるなら、一体どうなるのですか。そういうことをやっていいんだったら、国なんというのが、そういうことで住民に対して公費を使ってどんどんやっていく、これじゃ国会の審議というものに対してどういう影響を与えるかということは、はっきりするじゃないですか。
○齋藤国務大臣 この文書は送り状にありますように、今回提案されております法律の内容、その趣旨を説明をし、ある程度の評価を加えながら、通った場合には、こういうことになりますよ、修正されたら、こういうことになりますよ、廃案になったら、こうなりますよと必要のつど、みんな伝えていくのが当然のつとめだと私は思います。
○石母田委員 この問題については、私は納得できませんから質問を留保しまして、次に移ります。この問題については、国や自治体が、中立であるべきものが、こうした政府の一方の提案の線で、これを住民の側に県費なりあるいは税金を使ってやるということについて私は絶対反対です。この問題についてはまたあとでやります。
○齋藤国務大臣 この文書は自治体がやっているのではなくて、県庁の民生部の保険課並びに保険法の趣旨説明の任務を持っております福島県でいえば社会保険協会がやっていることなんでございまして、自治体がやっているのではございません。それはどうか御承知願っておきます。 それで、自治体に対してはどういう関係があるか、それは国保について高額医療というものが行なわれる、それは当然でございます。
○石母田委員 ちゃんと先ほど報告があったように、県費で十万円出して、そうして市町村を通じてやっているわけでしょう。これは明らかに介入しておるじゃないですか。全然保険協会だけの組織で、それだけでやっているのじゃないでしょう。 時間がありませんので、先に進みます。 次に、この間これまた寺前委員が、ロシュの二つの薬品についてイギリス政府が価格引き下げ命令を出したことについて質問いたしました。この点について、さらにお聞きしたいと思います。 イギリス政府は幾らのものを幾らまで引き下げよといっているのか聞きたいと思います。クロルジアゼポキサイド、こちらのほうは五ミリグラムの錠剤、それからジアゼパムの二ミリグラムの錠剤について答えていただきたいと思います。
○松下政府委員 私どもの得ました情報によりますと、イギリスの通商及び消費者問題担当大臣のロシュに対する価格引き下げ命令におきましては、クロルジアゼポキサイド、ただいまお尋ねの五ミリグラム錠百錠の価格につきまして七〇年の価格を六〇%引き下げる、それで七〇年の価格は八十ペンスでありますから、それを三十二ペンスにする、またジアゼパムにつきましては七五%引き下げまして、二ミリグラム錠百錠の七〇年価格の八十三ペンスを二十一ペンスにするということを命じておるというふうに承知いたしております。
○石母田委員 この間寺前委員に答えました——めんどうなのでクロルと言いますけれども、クロルのほうが七円十銭、ジアゼパムのほうが四円八十銭と答えたのは、いまの五ミリグラム一錠、それから二ミリグラムという問題、これは引き下げ以前の値段ですね。
○松下政府委員 先日の御質問に対しましてお答え申し上げました価格は、七三年一月の薬価につきまして一錠の価格を七三年一月当時のポンドと円の換算レート、一ポンド八百二円五十六銭という価格によって換算して得ました価格に、日本と対比しやすいために一一%のオンコストを加えて計算いたした価格であります。 それからジアゼパムの二ミリグラム錠につきましても同様でございます。これは七三年一月の薬価は、先ほど申し上げました七〇年の薬価よりも下がっておりまして、〇・五三ペンス、これを同じ換算方式を用いて換算した価格でございます。
○石母田委員 そうすると、いま答えたのが一九七〇年の価格だったわけですね。
○松下政府委員 一番初めに申し上げましたのがそうでございます。
○石母田委員 そうすると、その価格で値段を下げた場合に、クロルのほうが六〇%下げる、それから片一方は七五%下げた場合の、いまの五ミリグラム、二ミリグラムの値段は幾らになりますか、一錠についてやってください。
○松下政府委員 便宜上これは現行の換算レートに基づいて換算いたしまして、いま申し上げました一一%のオンコストを計算いたしますと、クロルジアゼポキサイドの五ミリグラム錠一錠二円四十銭、それからジアゼパム二ミリグラム錠一錠一円五十銭、そういう価格でございます。
○石母田委員 そうすると、日本の薬価基準と比べたら、クロルの五ミリグラム、ジアゼの二ミリグラムは幾らですか。
○松下政府委員 現在の薬価基準で申しますと、現在クロルジアゼポキサイド五ミリグラム一錠五円七十銭、それにジアゼパム二ミリグラム一錠十二円三十銭でございます。
○石母田委員 そうしますと、クロルはイギリス政府の命令で下げた場合のイギリスの値段は二円四十銭、そうすると、これが日本の薬価基準でいえば五円七十銭、それからジアゼでいえば一円五十銭のものが十二円三十銭、こういうことで、日本の場合が高い、こういうふうになりますか。
○松下政府委員 イギリスにおきます引き下げ命令の結果による価格と対比いたしますと、御指摘のとおりでございます。
○石母田委員 引き下げ前にしても、イギリスは日本よりも安いのに、それでも高いといって、先ほどの報告のように、クロルの場合も四〇%に下げる、ジアゼのほうも二五%に引き下げるよう命令しているわけですね。ジアゼパムのごときは、イギリス政府の命令どおりになれば一円五十銭ですから、十分の一以下になるというわけです。こういうふうに十倍以上のものをわれわれが薬として使っているということになった場合に、当然保険の赤字の原因として、この間も論議されたように、四三%も薬剤費、薬代が占めているという中で、こういう問題について日本の政府として検討を加えていくということはないのですか。
○松下政府委員 前回の委員会におきまして、寺前先生の御質疑に対しましてもお答え申し上げましたとおり、医薬品の価格の決定方式あるいは価格の内容は、それぞれの国の実情によりまして非常に条件が異なっております。また社会保険に適用いたします場合に、あるいは社会全体としての薬価の決定方式もそれぞれ異なっておるわけでございまして、国際価格を比較いたしましても非常な高下がございます。わが国におきましては、医療保険におきます薬価基準は、先生御承知のように自由競争によって形成されます市場価格の実勢を把握いたしまして、それを反映いたしまして九 ○バルクというような方式によりまして薬価基準、価格を決定するというたてまえをとっておりまして、イギリスの例にならうということは、必ずしも適当ではないというふうに考えております。
○石母田委員 いまロシュの問題が西ドイツでも問題になっている。これは知っていますか。
○松下政府委員 西ドイツにおきまして、カルテル庁が西ドイツのロシュのトランキライザーの価格調査を開始をしたという情報は得ております。
○石母田委員 このロシュの問題が、EC六カ国の反トラスト局の中でも問題になっていることは知っていますか。
○松下政府委員 EC、ヨーロッパ共同体におきまして、アンチトラスト委員会が英国の独占委員会の報告書を入手いたしまして、EC規約侵害の有無というような問題につきまして調査、検討を始めたという情報は入手いたしております。
○石母田委員 このロシュの問題について、オーストラリアやスウェーデンでも、このロシュ社を呼んで事実の調査に乗り出している、こういうことを知っていますか。
○松下政府委員 御指摘のような幾つかの国におきまして、イギリスの情報が伝わった後において調査を開始したようであるという情報は得ておりますが、詳細につきましては、つまびらかにいたしません。
○石母田委員 いまの答弁にあるように、これは決してイギリスだけじゃないのです。したがって、イギリスとの制度の違いというような問題は理由にならない。自由経済といえば西ドイツだってこれは自由経済です。いま言われた国はみなそうでしょう。その中で医療制度のそれぞれの違いはあります。薬価のきめ方もいろいろ違いもあるでしょう。あるけれども、そういう不当に高いものを買っているということについて、それぞれの国がこうやって国民的な医療の立場、それぞれの立場から手をつけているのですよ。これに比べますと、日本の政府のとっている態度というのは、こういう問題を避けているのか、あるいは意識的にこれをやっていないか、全く誠意がないというふうな態度といわざるを得ないと私は思います。この点についてどうですか。
○松下政府委員 ただいまの先生の御質問、薬価基準との関係についてと承知いたしまして、お答え申し上げたわけでございますが、御指摘のように、イギリスあるいは西ドイツその他の幾つかの国において調査が開始されておるということは承知いたしております。 ただ、先生も初めにおあげになりましたように、イギリスにおきましても、これは独占委員会の調査でございます。それから西ドイツにおきましても、それに相当いたしますカルテル庁というようなところで調査をしておるわけでございまして、いずれもこれはロシュの医薬品が高いという要素もあろうかと存じますけれども、調査の契機となっております理由は、もっぱらロシュの薬が独占的な価格を形成しているかどうかという問題が中心になって調査が行なわれているわけでございまして、必ずしも御指摘のような医薬品の価格を云々するという形態のものではない。そういう意味におきましては、薬価基準等の対比において、これをそのまま参考にするというのとは、多少異質のものがあろうかと考えております。
○石母田委員 全く詭弁だ。独占的な価格、これが問題になっている。そのとおりでしょう。イギリスで問題になったのは、イタリアの四十何倍だという高い独占的な値段が問題になったわけでしょう。やはり薬の値段でしょう。それが問題になって、こういうものが反トラスト、反独占委員会などで問題になっているでしょう。独占で値段が不当に高い、それが国民の医療の保険などにも影響しているから、イギリスなど政府自体が乗り出してきたわけでしょう。それで引き下げの命令を出しているじゃないですか。
○松下政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、もちろん価格が高いということが一つの契機であるとは存じますが、問題になりましたのは、法律的に申しますと、イギリスにおきましてロシュのマイナートランキライザーがどれだけのシェアを占めておって、価格を形成すること、その独占的な操作が可能であるという点が問題である。それは独占委員会の報告にもそのように述べられておるわけでございます。イギリスにおきましてのマイナートランキライザーという中でロシュのいま先生おあげになりました二つの医薬品のシェアは九〇%以上だという報告がなされておるわけでございます。
○石母田委員 それじゃ聞きますけれども、この間の答弁にもあったように、こうしたものが日本でも取り扱われているということですが、そのクロルジアゼポキサイドとジアゼパムを一体どれくらいで日本へ輸入しているのか。その原価は、輸入ですからキログラムがいいでしょう、キログラムで、どのくらいすると思いますか。
○松下政府委員 薬事法における輸入販売の承認制度につきましては、これは先生御承知のように医薬品としての適格性、効力及び安全性を審査するというたてまえでございまして、価格につきましては承知いたしておりません。
○石母田委員 これがわからないで高いとか低いとか——これはどうしてわかるのですか。調べようと思えば調べられるのですか。それとも企業の秘密だから発表できない、こういうものでしょうか。
○松下政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、これは企業間の自由な契約に価格はまかされておるわけでございまして、厚生省といたしまして、薬務局といたしまして、審査にタッチいたしますのは、もっぱら医薬品としての適格性という点についてでございます。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、こういった輸入価格を調査する権限あるいはたてまえをとっていないわけでございます。
○石母田委員 そのたてまえはわかりますけれども、もしそれが非常に不当に高いものだった場合、保険財政がいま赤字ということで、このように国民的な論議を呼び、その負担をどうするかというような問題でいま真剣な論議がされているという中で、こうしたものがどのような値段で入っているかということを調査しようと思えばできるのだけれども、厚生省でやっているのは、ただ安全性と適格性ということだけだからしないのか、あるいは政府として調べようと思えば調べられるのか、これは大臣のほうに聞きたいと思います。
○松下政府委員 私どもといたしましては、医薬品の承認、許可、輸入販売、製造販売等につきまして薬事法に基づいての権限を行使しているわけでございまして、薬事法のたてまえといたしましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、医薬品としての適格性につきましての審査をするということが権限として与えられておるわけでございます。 医薬品の価格につきましては、先ほど薬価基準の決定方式について申し上げましたように、別途医療保険のために国内において販売され、医療機関において使用されます医薬品の市場価格を調査するということを行なっておりますだけでございまして、個々の契約の内容に立ち入りまして調査をいたします権限は、私どもは持っておりませんわけでございます。
○石母田委員 この二つの薬を扱っている会社の名前について、もう一度お答え願いたいと思います、国内で……。
○松下政府委員 ただいまお尋ねのロシュのクロルジアゼポキサイド及びジアゼパムを扱っておりますのは、国内では武田薬品工業と山之内製薬の二社でございます。
○石母田委員 そうすると、この武田、山之内、この大製薬会社が一体どのくらいの値段で、こうしたものを輸入しているのか。この問題が、先ほど独占価格と申しましたけれども、べらぼうな値段で、イギリスあたりでも、またオーストラリア、スウェーデンでも、EC各国でも問題になっている。こういう値段で当然日本でも高く買っているのじゃないかということが予想される。そして、新聞にも問題になっておる。こういうことを皆さんが見て、政府として、これは調査をしなければならぬ。ただ薬事法のたてまえがあるから、やらないのだ——なぜそれをしようとしないのか。相手が武田や三共だからなのか。この点を聞かせていただきたいと思います。
○松下政府委員 先ほどからお答え申し上げておりますように、まず薬事法に基づく私どもの薬務行政における権限といたしましては、契約の内容に直接タッチする権限はございません。 それから、薬価基準の算定方式につきましても、先ほどお答え申し上げましたとおり、自由競争に基づく市場価格をできるだけ正確に反映するという方式をもって薬価基準が決定されているわけでございます。 その間におきまして、特定の医薬品について、原価あるいは輸入価格を調査いたしまして、それを云々するという決定方式は現在とっておりませんし、またそのような方式をとることは、いまの医薬品の価格決定の方式あるいは状態からいたしまして、必ずしも適当なことではないのではないかと考えておる次第でございます。
○石母田委員 どうもその点が納得いかないのです。商社の買い占めのときも、初めぼくらが材木の問題をやったときには、自由経済とか企業の秘密ということで、なかなか資料が手に入らなかったのです。しまいには、A、B、C、D、E、Fという六つの大商社の名前で材木がどのくらいの値段で入ったかという資料を出さしたのですけれども、どうも今度の問題も、いろいろなことを言うけれども、武田や山之内という大製薬会社だから、そういう輸入価格を調べようとしないのじゃないか。その輸入価格が知れると、やはりイギリスやその他のようにべらぼうな値段で買ってもうけていることがわかるのじゃないか、こういうことをおそれているのですか。
○松下政府委員 私どもの薬務行政の衝に当たります公務員といたしましては、決して、御指摘のような考え方は毛頭持っていないわけでございまして、ただ先ほどから申し上げておりますように、諸外国におきまして問題になりましたのは、もっぱらロシュのその国におけるマイナートランキライザーのシェアがたいへん高い独占価格を形成しておるのではないかという意味におきまして、カルテル庁あるいは独占委員会というような、そういった価格形成に関する諸官庁におきまして問題にされておるというふうに承知いたしております。 ただいま先生のおあげになりました先日の商社の問題につきまして、やはり買い占め等をもって国内の価格を独占的に操作し得るかどうかというようなことが、やはり問題になったのであろうと存じますが、私どもの承知いたしております限りでは、こういった、いわゆる向精神薬としてのマイナートランキライザーの中でロシュの二つの医薬品の占めます日本国内におけるシェアは、必ずしも高くございません。ほかの社でも同じような種類の同じ薬方の医薬品を出しておるわけでございまして、そういった同種同方のマイナートランキライザーの中で、ロシュの原末を使いました医薬品も同等の立場において価格競争をいたしまして、公正な自由競争による価格が形成されましたものを、薬価調査によって反映させるということが、最も妥当な決定方法であろう、さように考えておる次第であります。
○石母田委員 それじゃあなたたちがどうしても調べないというなら、私のほうから調べたことを言いましよう。 私のほうは、そういう大製薬会社はなかなか教えてくれない。それで、ある小さな製薬会社のジアゼパムのいわゆる原末の値段を調べた。ここに見積もり書がある。それを見ますと、一キログラム入り六十五万円、こう書いてある。ジアゼパムは価格の変動があるので、品薄のこともあるからというようなことも書いてあります。このように、調べれば調べられる。調べようと思えばわれわれでも。 これで見ると、一キログラム六十五万円。しかもこれは直接ロシュから買っているのじゃない。したがって高いのですね、貿易商社から買っているのだから。あなたが言われた武田とかあるいは山之内というような大製薬会社は、もっと安く買っているはずなんです。 大体イタリアから、一ドル三百八円のころで千百ドル、約三十四万円で買えるのじゃないか。これは証拠がありませんが、そう言われているのです、業界の中で。したがって、原価は大体キログラム当たり三十四万から六十五万くらいではないか。こういうふうに一般の業界では言われておるわけです。 ところで日本の薬価基準に、このジアゼパムの一%散というのが載っています。御承知のように、一%散というのは、ジアゼパムが百分の一入っている。あとの百分の九十九は乳糖をまぜてあります。つまり一番簡単な薬です。乳糖をまぜた粉薬ですね。これが薬価基準では一グラム五十円というふうになっています。ジアゼパムが一キログラム三十四万円から六十五万円ですから、その百分の一ギラムは三円四十銭から六円五十銭ということになるわけですね。乳糖が少し入っていますけれども、乳糖は安いものです。乳糖の薬価基準は一グラムどのくらいですか。
○松下政府委員 一グラム四十銭と思っております。
○石母田委員 一グラム四十銭ですから、この三円四十銭のジアゼパムの原末に、百分の九十九グラム、つまり大体一グラムと見ても、約四十銭、これを加えても三円八十銭でしょう。この中小業者が買った高い原末でも、六円五十銭に四十銭足した六円九十銭になるわけです。これが薬価基準、つまり政府が実勢価格と称して、見合ってつくったというこの薬価基準になると、五十円になる。そうすると、武田とか山之内というような大企業では、この製造コストの十二、三倍、私は、これは薬価基準でいうと、べらばうな値段じゃないか、こういうふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○松下政府委員 原材料費、先ほど申し上げましたように、私どもジアゼパムの輸入価格は承知いたしておりませんが、御指摘のようなこともあるかもしれません。 ただ、原材料費と薬価基準をなまで比較するということは、それだけ比較いたしますと、御指摘のように非常に格差があるわけでございますけれども、医薬品は他の商品とはいささか性格が異なりまして、いわゆる生命関連商品といわれるものでございます。医薬品産業は高度の知識技術集約産業であるという特性を持っておる性質のものでございまして、医薬品の安全性、有効性あるいは品質を確保するということのためには、研究開発あるいは生産さらに販売、末端までの過程におきまして、他の製造業と比較いたしまして特段の費用を要するというような特殊な性格を持っておりまして、御指摘のような散剤あるいは錠剤というような場合におきましても、その製剤の方法あるいは包装の形態、保存の方法、そういったことによりまして、同じような原材料を使った医薬品でございましても、たとえば吸収の状況、排せつの状況、体内における代謝の状況、そういうことを検査いたしましても、相当の格差が見られるわけでございます。 医薬品の価格は、そういった精密な技術料と、さらに将来に向かいまして、新しい医薬品をできるだけ国民医療のために開発していかなければならないというような費用を含む性格のものでございまして、御指摘のような点は、おそらく事実であろうと存じますけれども、原材料費と薬価基準をいきなり比較するということは、なかなか困難ではなかろうかと考えております。
○石母田委員 私は一般的なことを言っているのじゃなくて、ジアゼパムの一%散というのは、一番簡単な粉薬ですよ。決して開発のどうのこうのとか、あるいは高度な技術を要するなんというものじゃないですよ。そうでしょう、乳糖が入っているだけですから。しかも三、四円で入ったものが薬価基準五十円の値段で医療機関に払われる、大体実勢価格に見合うとすれば。この差というものは、どういう理由にしろ、大きな格差であることは、あなたも認めておるとおりです。この格差によってだれが一番利益を受けるかといえば、扱っている武田、山之内というような大製薬会社が、その利益になることは明らかでしょう。どうでしょう。
○松下政府委員 原末と末端の薬価基準の価格だけを比較いたしますと、あるいは御指摘のようなことが申せるのかもしれませんが、いま申し上げましたように、医薬品は全体といたしまして、原材料の価格形成に占める比率というものは、一般的に非常に低いわけでございます。そういった点から申しまして、医薬品全般の品質を確保し、さらに今後の新しい医薬品を開発していくというような要素を勘案いたしますと、医薬品の価格形成は、そういったことを踏まえましての良識ある企業活動を前提といたしまして、自由競争場裏におけるおのずからなる社会的な価格形成というものを基礎にいたすのが妥当であろうというふうに考えております。
○石母田委員 あなた、そういうことを言うんだったら、武田や山之内に、一体どのくらいの値段で輸入しておるのか、原価、これをきちんと公表して——知っていて言わないのか調べてないのか知らぬけれども、安く入っているのか、どのくらいで入っているのかということでなければ、それを全然国会の中では明らかにしないで、高いの安いのと言っている。原末の価格が、私が言っているのが正しいのか正しくないのか、それさえあなたは言ってないでしょう。そうじゃないですか。あなたは私の言ったことに対して、そのまま比較するのは、おかしいとかなんとか言っているけれども、あなた自身は、一体、私の言う三円八十銭とか四円とかいうものは認めているのかどうか。あなたは知らないと言っているのだから、あるいは調べようとしないで言っているのだから、それならもし——知っているような口ぶりだから、それはそのまま比較するのはできないというんなら、その比較する基準である武田、山之内の製薬会社がどのくらいの値段で入れているのか、その原価をきちんと発表してください。
○松下政府委員 私は、あるいはことばが足りませんでしたら、おわびを申し上げなければいかぬのですけれども、決して、先生が御指摘になりました原末の価格について異議を申すつもりで申し上げたのではないのでございます。ただ、わが国におきます医薬品の価格決定の方式が、そういった原末が幾ら、人件費が幾らというような原価計算方式をとって決定されるシステムのものではないということを申し上げるつもりで御説明を申し上げたわけでございます。その点は御説明が足りませんでしたら、おわびを申し上げたいと思います。 ただ先生御指摘の、ロシュから原末を輸入しております会社は三社であると申し上げましたのですけれども、現実にジアゼパムの製剤を国内でつくっておりますのは、決して御指摘のような大手の二社だけではございませんで、さらにそれから原末を購入いたしました会社もございまして、中小企業も含めまして十五社に及んでおります。そういったところでつくられますジアゼパムの価格が全部いま御指摘の薬価基準をもって統一的に使用されておる、そういう状況でございますので、ことばが足りませんでしたら、補足させていただきたいと思います。
○石母田委員 私は一般的なことを言っているのじゃない。だから、輸入品に開発費というのはあるのですか。武田製薬や山之内がジアゼパムを入れて、それをそのまま売るんじゃないですか。一%散をつくるのに開発費というのが要るのですか。
○松下政府委員 ほかの産業でもそうであろうと思いますが、私が申し上げましたのは、将来に向かっての新しい医薬品の開発費というものは、それぞれの当該企業におきましての医薬品の全体の利益の中から生み出さざるを得ない宿命を持っておるということを申し上げたわけでございまして、新しい医薬品の開発は、大体二千ないし三千のものを手がけて一つものになればいいというふうにいわれておるわけでございまして、そういった特殊な要素を医薬品企業が含んでおるという御説明を申し上げただけでございます。
○石母田委員 一般的なことを言っているのじゃなくて、ジアゼパムのときには、六十五万というのは特許料しか入ってないわけでしょう。具体的にジアゼパムの話を言ってください、いまロシュの問題を言っているわけですから。これの中には開発費は入ってないわけでしょう、特許料は、六十五万円の中に入っているはずです。そうでしょう。
○松下政府委員 現在の医薬品を新しく発売いたします際の承認の方式といたしましては、たとえ輸入の医薬品でございまして、外国ですでに薬効等が認められておるものでございましても、国内で新たに発売をいたしますためには、そのための厳格な検査をいたし、また臨床データあるいは先ほど申し上げました吸収、代謝、排せつというような臨床的なデータも含めまして厚生省に申請を出してまいりまして、その申請書類を薬事審議会に諮問いたしまして、初めて輸入販売が承認されるというシステムをとっておるわけでございます。したがって、たとえ輸入の医薬品といえども、単に輸入価格だけが、それに必要な研究開発費であるという性質のものでは必ずしもないわけでございます。
○石母田委員 先ほど私の言った原価について特に異議があるわけではないと言っておるのは、大体その程度であろうというのですか。それとも知っていて、大体そういうことだということでしょうか。あるいは全然仮定の問題として言っているのですか。
○松下政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、厚生省といたしましては輸入価格は承知をいたしておりませんので——ただ先生が御指摘になりました資料につきまして、決して異議を申しておるのではないということを申し上げたにとどまるわけでございます。
○石母田委員 私が、この問題を問題にしますのは、先ほどから再三申し上げておりますように、現在の健康保険の赤字という中でこの薬剤費、薬代というものが四三%も占めるという最も大きな原因になっておるわけです。これをどうするかという立場から、このようによその各国でも独占価格というか、あるいは不当な価格について問題にしている。そういう中で、なぜ日本の政府だけが、これに手をつけようとしないのか。私は、これは国民から見ても非常に疑惑の出るところだと思うのです。幾らあなたの説明を聞いても、この問題について、武田や山之内の輸入する値段がどのくらいなのか、厚生省としては承知していませんというなら、なぜ承知しようとする努力をなさらないのか。法律がいろいろあると言われる、たてまえにいろいろあると言われる。しかしイギリスだとか、あとでアメリカのことを申しますけれども、こういうところで、すでにやっておるじゃないか。しかも、あなたたち自身が昨年の一月でしたか、医薬ジャーナルに書いてあるのですけれども、「薬務局、薬界に大幅値下げを要望(具体的要求)価格改定ヒヤリング。」どういうヒヤリングをされたかわからないけれども、この記事で見る限り、そうした蔵出し価格についてこれを引き下げの行政指導もやっているように見えるのですね。 こういうことさえも、このような新聞で大きな問題になっているのに手をつけようとしない。しかも、この生産額というのは、そうばかにならないのですよ。クロルジアゼポキサイドが錠散剤合わせて約四十六億円、ジアゼパムが七十六億七千万円、二つの薬で約百二十三億円ほどの生産が行なわれておるわけですから、やはりこういう赤字という問題を出して、その薬代、薬剤費というものを節約する、少なくするという立場からならば、こういう問題に政府が積極的な態度を示すのが当然だ。行政指導をなぜできないのか。こういうことについて、私は厚生大臣に聞きたいというふうに思います。
○松下政府委員 ただいま昨年の建て値の改正のことについて御質問がございましたので、御説明を申し上げたいと思います。 昨年、前提といたしまして、先ほどから数字を申し上げておりますように、わが国の医療保険におきます薬価基準は、社会に出ております、普通の医療機関が購入されておる価格の実態を把握いたしまして、その実勢価格をできるだけ忠実に薬価基準に反映するというのが原則でございます。比較的近い過去におきましてそういった原則を貫きますためには、業者の中でいろいろな取引方法のからくりによりまして、薬価基準であらわれてまいります価格が、必ずしも実勢価格を反映しないのではないか。もっと具体的に申しますと、添付あるいはその他の取引方法のからくりがなされましたために、実際の取引価格が薬価基準をかなり下回るというような声が起こってまいりまして、そういうことを是正いたしますために、私どもといたしましても一般的な問題といたしまして、メーカーに対して建て値を引き下げて実勢価格と建て値とをできるだけ近づけ、そういう操作の余地がないように、販売業者に対しても指導していただきたいということをお願いいたしたわけでございまして、特定の医薬品を取り上げまして、これが高い、あれがどうというようなことを申したのでは決してないわけでございます。全体といたしましては、やはり実勢価格を薬価調査によってとらえ、それを薬価基準の決定に反映させるという方針は、終始変わってないというふうに考えておる次第でございます。
○齋藤国務大臣 私からもお答えいたしますが、医療費の中で薬が相当の部分を占めておるということについては、私も重大なる関心を払っております。そこで薬価につきましては自由市場における自由なる実勢価格の形成、これがやはり一番大きな問題でございます。そこで私どもは、その実勢価格を薬価基準に近づける。薬価基準に近づけるというのはおかしいのですが、それをそのままそっくり薬価基準にするというふうなやり方で努力をしていかなければならぬ、こういうわけでございまして、私どもは年一回の調査に基づいて薬価基準というものをきめておりますが、さらに経時的調査と申しますか、追跡的な調査、これはどんどんやらなければならぬ、こういうふうに私どもは考えているわけでございまして、そしてあくまでも、その実勢価格というものを薬価基準に近づけていく努力は当然しなければなりませんし、私どももいたしておるような次第でございます。 どうも私も専門的知識がございませんから、あまり具体的なことを聞かれましても——これは専門家の薬務局長がおりますから、それに答弁させますが、基本的には、あくまでも自由市場において行なわれる実勢価格を薬価基準に近づける。あるいは年一回の調査だけではだめだ。やはり追跡調査も、できるだけ回数多くやって近づけるように努力する。これは当然のことであり、薬務局も、その方針で努力をいたしておるわけでございます。
○石母田委員 いまの大臣の話をこういうように理解していいですか。一般的な、そういう追跡もやるけれども、このジアゼパム、クロルジアゼポキサイドの、いわゆる精神安定剤、二つの医薬品が非常に国際的な問題になっておるわけです。その価格の問題で、それも日本に入っておるわけですから、こういう問題を先ほどの討議されておる保険財政というような問題からも調査して、そうして十分追跡調査をして何らかの手を打つ、こういうことをお約束できるのかどうか、再度確かめたいというふうに思います。
○齋藤国務大臣 私は、いま具体的な、この薬について申し上げておるわけではございませんで、全医薬品について、自由市場において形成されておる実勢価格がどうなっておるか、これを常時調べておるわけでございます。
○石母田委員 それは当然のことであって、いままでと変わらないわけです。きょう私が問題にしておるのは、こうしたものが、二つの医薬品がロシュというところから入っておるものが非常に高くなっておる。それで原価についても、まだ十分調査してないらしいから、それを調査して、そうしてもし不当に高いものであるならば、これは保険財政の立場から押えなければならぬ。そうでしょう。そういうことをやろうとする意思があるのかどうか。あくまでも、もうけるのはあたりまえじゃないか、自由価格でやっておるのだから、そんなこと知っちゃいないと言うのか。この問題について、一般的ではなくて、私が先ほどから提起しておるわけですから、このロシュから輸入しておる、主として武田、山之内の取り扱っておるジアゼパム、クロルジアゼポキサイドについて、そうした調査あるいは何らかの手を打つ方向を持っておられるのかどうか、そういう意思があるかどうかお聞きしたいと思います。
○齋藤国務大臣 私は、この二つの薬について、輸入価格をどうのこうのということを申し上げておるのではないのでありまして、医薬品として販売されておる自由なる市場、その中において形成される実勢価格がどうなっておるか、それを年一回の調査だけではだめだから、さらにできるだけ回数多く追跡調査をして薬価基準に近づけるように努力しております、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○石母田委員 しつこいようですけれども、その中にはジアゼパムも、クロルジアゼポキサイドについても、当然入っておるわけですね。
○齋藤国務大臣 もちろんこの薬ばかりでありません。全医薬品について年一回の実態調査もいたしておりますし、さらに追跡調査もいたしておるわけでございます。
○石母田委員 特に先ほどの討議の中で、あるいはこの間の寺前議員の質問、あるいは諸新聞の報道、先ほどからの各国で問題にしているという中で、特に日本政府としても、こういう問題に関心を払って、何らかの調査の手を打たなければならぬ、こういうふうにお考えにならないのですか。
○齋藤国務大臣 私どもは、これだけ世界経済も自由経済の中で動いておるわけでございますから、医薬品の価格がどういうふうに動いておるか、常に関心をもっておるということは、はっきりしております。
○石母田委員 私委員長にお願いがあるのですけれども、こういう状態ですから、私は、この問題について、ぜひ武田薬品や山之内の社長を参考人として呼んでいただいて、そして国会の中で、われわれ自身としていろいろお聞きもし、また調査をしたい。この薬価問題は先ほどから述べますように非常に重要な問題であるということは、政府当局も述べておるとおりですけれども、とにかく各国で、このロシュの医薬品を入れているところか、ほとんどといっていいほどいま問題にしているわけです。ですから当然、これに関連して日本の薬品も売られているわけですから、この問題について、いろいろな調査を政府自身がいろいろの制約でできない、こう言っているわけですから、国会の中で十分われわれも直接そうした人たちに聞くというようなことで、ぜひ参考人として呼んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
○田川委員長 石母田君のお話は、運営に関する問題でもありますし、理事会で御相談をしたいと思います。
○石母田委員 できるだけ実現できるようにお願いしたいと思います。 それでは同じく薬の問題で、私どもは大製薬会社のもうけを押えなければならぬ、そして薬価を下げて、この赤字の中で最も大きな原因となっている部分を節約して、そうして勤労者に対する負担をなくした給付改善が行なえるようにする、こういうことで、この薬価の問題を特に重視しております。と申しますのは、寺前議員も前回述べましたように、大製薬会社というのは非常に長期にわたって経営が黒字です。しかも、普通の製造会社に比べて、約三倍近くの利益をこれらの会社が上げている。そのおもな理由がこの医療保険、私どもから言わせしめると、この中に寄生し、これにたよって今日の利益を上げているわけです。 そういう中で、私は、いわゆる先発権といわれる問題について、これからお話ししたいと思うのです。この問題は、先発権ということによってこれらの大企業が大きな利益を得ているその手段になっているというところから、この問題について質疑を行ないたいと思います。前回もお話に出ましたけれども、われわれの資料調査によりまして、いわゆる新薬ということで百六十一種の医薬品が、私どものことばで言えば、先発権リストという中に載っているわけですが、その中で、外資系の製薬会社と資本金十億円以上の大会社という会社を除いた場合に、あとどのくらい残るのか、つまり、それ以外の会社はどこどこなのかということをお答え願いたいと思います。
○松下政府委員 ただいま御指摘になりました百六十一種の新医薬品と申しますのは、四十二年十月以降、審査制度を改めまして以降の新医薬品の承認を得たものというふうに了解いたしておりますが、これで承認許可を得ました企業の総数は六十二社でございます。そのうちで外資系企業が十五社、それからそれ以外の企業で大きいと申しますか、資本金十億円以上というのが二十四社、両方合わせますと三十九社でございまして、したがって残りは六十二社から引きますので、二十三社ということになるわけでございます。
○石母田委員 これはあとで私たち自身もよく調べたいと思いますけれども、いまの答えですと、三十九社が外資系並びに資本金十億円以上のいわゆる大きな会社というふうになると思います。そういうところから見ますと、やはり新医薬品に指定されているということによってリストに載りますと、いわゆる先発権といわれている、三年間他の医薬品がそれと類似のものはできない、こういうことで生産が独占されているということになるわけですね。先発権——あなたたちは先発権ということばを使わないから新医薬品リストといいますか、そういうリストについてのあなたたちの指示、通達によりますと、三年間は同じものの薬はできない、こういうことになっているのですね。
○松下政府委員 ただいま御指摘の点は、おそらく私どもが指導いたしております副作用報告義務のことをおっしゃっておられるのだろうと思います。 昭和四十二年十月に医薬品の製造承認等に関する基本方針を実施いたしまして、特に新しい医薬品の承認につきましては、医薬品の副作用問題について非常に世論もきびしくなってまいりましたし、また医学、薬学の進歩に伴いまして、有効な反面、慎重に使用いたしませんと副作用の発生するおそれがあるというふうな医薬品も出てきたわけであります。そのために、まず審査の段階におきまして、できるだけ詳しい急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性、その他の特殊毒性等の実験事例を出させまして、審査に万全を期しておるわけでございますが、医薬品の性質上広く世の中で使われておりますと、特殊体質等の関係もあろうかと存じますけれども、時として、なお副作用が生ずることも免れない。 そういう意味におきまして全く新しく発売されました医薬品につきましては、できるだけその流通ルートを明らかにいたしまして、その副作用につきましては細大漏らさずその発売、製造いたしましたメーカーに集まってもらい、そしてそれを報告する義務を課する。これは薬事法に基づきます承認の条件としてきびしく課しておるわけでございます。 そういった方法によりまして、新医薬品についてはできるだけ早い時期に副作用の事例を収集し、対策を講ずる必要があるというところから、このような制度をとっておるわけでございまして、決して御指摘のような先発権と申しますか、最初に発売いたしましたメーカーを保護するというような考え方は持っておりません。そういった方法につきましては別途医薬品特許、物質特許というようなことで、これは通産省と御相談いたしまして、今後特許制度の完成によりまして、そういった別の面の考慮はなさるべきものであるというふうに考えております。
○石母田委員 結局いま言われたのは、四十二年九月十三日の医薬品製造承認等に関する基本方針の中で触れた部分、さらに昭和四十六年六月二十九日の薬務局長の名で出された「新開発医薬品の副作用報告の一部改定について」こういうことの内容ですね。
○松下政府委員 御指摘のとおり、申し落としましたが、四十二年十月におきましては副作用報告期間を二年というふうに限定いたしておりましたものが、その後の実績あるいは学説の進歩等によりまして、相当長期の使用にわたって初めて副作用があらわれるというような医薬品も考えられますので、それを三年に、御指摘の時期に改めたわけでございます。
○石母田委員 その改めた中で、注として、「3、新開発医薬品の承認にあたって課する副作用報告義務の期間」——いまの三年ですね。「を、いわゆる先発権と称する向があるが、これは先発メーカーを保護するということではなく安全性の観点から副作用についての観察期間中は同種の医薬品の承認をしないというのが、本来の趣旨である。」ということですから、理由はともあれ、その三年の間は同種の医薬品は製造を承認しない、こういうことになるわけですか。
○松下政府委員 御指摘のとおりでございます。
○石母田委員 この中で、いわゆる先発権と称せられて、これが「先発メーカーを保護するということではなく」と、ことさらに入れざるを得ないという状況、これはどういうところから出ているわけですか。
○松下政府委員 先ほど先生の御質問にもございましたように、その制度の趣旨をよく理解いたさない人たちで、ときといたしまして、そのような誤解を持つ向きがございましたので、そういうものではないということを、その際に明らかに示すという方針であったであろうというふうに考えております。
○石母田委員 その誤解の中でと言われる中で、先発メーカーの保護をするということに結果としてなるというのは、主としてどういう点ですか。
○松下政府委員 そういう誤解を招きましたのは、おそらく二年あるいは三年の期間、その一番初めに開発したメーカー以外に同種の医薬品が承認されないということをもって、そのような誤解が生じたのではないかと考えるわけでございますが、ただ、その点は四十二年の基本方針をごらんいただきましてもおわかりのように、たとえ同種の医薬品がその後申請されました場合でも、吸収、排せつの資料と、医学的な資料は相当詳細なものを必ずつけさせるという原則をとっておりまして、決して安易に承認するたてまえをとっていないわけでございます。 それからもう一つは、四十二年当時からの実績といたしまして、幸いにして、そういった副作用報告義務を課せられました医薬品の中で、その報告の中で重大な副作用が発見されたというケースが比較的少なかったというところから、そういった本来の趣旨がやや忘れられまして、別の意味のメリットというような誤解が生じたのではなかろうかと考えております。
○石母田委員 その副作用ということで、それだけ聞けば非常に大事なことであるようですけれども、なおかつ、そういう誤解を生ずるというのは、端的に言えば、この先発権というもので指定された医薬品の価格によって得る利益が非常に大きいというところから、後発メーカーというか、その間その薬と同種のものができないという他の会社からの批判というか、そういうものじゃないですか。端的に言って、先発メーカーを保護するといわれる内容というのは、結局値段のことでしょう。
○松下政府委員 これは何となく言われておったことでございますので、どういう趣旨で言われておったかということを、私もいまの時点で、はっきり申し上げることは、なかなか困難なんでございますが、その業界の一部で、先生の御指摘のような誤解も、あるいはあったのかもしれないということは否定できないかと存じます。
○石母田委員 じゃ、はっきり書いたのがありますから、読みましょう。これは武田薬品工業株式会社の第九十三期営業報告書、昭和四十七年四月一日から昭和四十七年九月三十日までの営業の概要を報告したものであります。その中で「販売の状況について申しあげますと、医薬品部門では、前期にくらべ感冒薬が」——かぜ薬です。「季節的な関係から減少いたしましたが、ビタミン剤をはじめ炎症・腫脹緩解酵素剤」——炎症とかはれものにきく「「ダーゼン」などの売上が伸長し、さらに当期新発売の新広範囲合成ペニシリン「バストシリン」なども加わって、きびしい価格競争下にありましたが若干の増収になりました。」ここに出てくるダーゼンとかバストシリンというようなものは、すべてあなたたちの言われる新医薬品です。いわゆる先発権のリストに載っている医薬品です。 こういうところから見ましても、ここに載ったものが、やはりその会社の営業の中での主要なものになってくるというところから見ましても、私は、この先発権を保護すると言われるのは、決して誤解とかうわさではなくて、現実にこうした利益をあげておるから、それ以外の会社や競争会社から言われておることじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○松下政府委員 通常、会社の営業報告あるいは財務報告等におきましては、この会社の同期における事業の概要報告をするわけでございまして、その中に、その期において、あるいはそれに続く近い期におきまして新しく始めた事業につきましては、大きく取り上げるのは通常の例であろうと思います。ただ、いま御指摘のような医薬品につきましては、私も個々の医薬品の効能あるいは生産額等を承知いたしておりませんけれども、やはり最近において新医薬品として開発されたものの中に、一般論といたしまして、相当国民の医療に貢献し得るというような有効な医薬品があったということは申し上げてよろしいのじゃないかと考えております。
○石母田委員 一つぐらいの例では、あなたはなかなかうんと言わないので、もう一つ読みましょう。三共株式会社営業報告書、昭和四十七年四月一日から九月三十日までの営業報告です。「品目別には、広範囲抗生物質製剤「クロロマイセチン」、ビタミン類が競合品との価格競争により伸び悩みの状況にありましたが、一方、新精神神経調整剤「セレナール」、脳循環代謝改善剤「ヒデルギン」、合成副腎皮質ステロイド剤「オルガドロン注射液」等が順調な売上げを示し、業績に寄与しました。」こういうふうになっていますが、このセレナールというのは、これは先ほどの新医薬品の指定の中に入っていますか。
○松下政府委員 百六十一種の中に入っております。
○石母田委員 この三共の常務取締役に福地言一郎という人がいまして、これはかつてこの国会の社会労働委員会で、参考人として発言されたことがあると、この議事録には書いてあります。昭和四十年の五月三十一日、第四十八国会社会労働委員会の中で、参考人としてこういう発言をしています。 「日本の特許制度は製法特許でございまして、物質特許ではございません。したがいまして、せっかく独創的な新薬品を開発いたしましても、すぐ同一物質が市場に競争品として登場してくるうらみがあるのでございます。しかも最初新薬品の製造許可を受けます場合におきましては、先ほど諸先生方から御指摘がございましたとおり、非常に大部ないろいろな資料を要するのでございますが、同一物質を次に製造許可を受けます場合におきましては、比較的容易にこれが許可を受けられるのが現状でございます。」その次です。「そこで、どうか薬務当局におかれましては、」皆さん方ですね、「これらの実情を御勘案の上に、同一製品を申請される後発メーカーに対しましては、最初に新薬品を開発したところの努力というものをお考えの上で、何らか、たとえば時間的な差を相当つけられるとかなんとかいうことの御配慮が願えれば非常にありがたいと思います。」こういうふうに三共、大製薬会社の常務取締役がこの国会で述べられて、これに関連したかどうか知りませんけれども、その後二年から三年に延ばされた。 あなたの言う副作用の問題、これは非常に重要な問題です。これは否定するものではない。むしろもっと強化してもらいたい。しかし、この先発権と、こういう人たちの自分たちの会社の利益、この中には副作用なんて一つも書いてないでしょう。自分たちの利益を守るために、何とか時間を延ばして差をつけてほしい。この中で利潤を追求する、営利を追求する。こういう立場から、この先発権が設定されたとすれば、これは営業報告書の中に、先発権リストに出された薬がどんどん出てくるのは当然のことなんです。この問題について、あなたたちは副作用のほうだけ言うけれども、片方のほうについては、どうお考えでしょうか。
○松下政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、私どもといたしましても、新医薬品を開発するという医薬品製造業の社会的責務は非常に大きい、それは率直に申し上げまして考えておることでございます。これはぜひ伸ばしていかなければならない。ただ、そういう先発のメーカーの開発の権利を保護いたしますためには、やはり法律的な手当てをきちっといたしまして、それによって保護されるという体制をとらせることが必要であると考えております。 いまの御指摘の、聞き間違いがありましたら、おわびいたしますが、四十年という御指摘がございましたけれども、そのころはまだいまの副作用報告制度はないわけでございます。その当時といたしましては、福地さんが述べておられますように、一つの医薬品が承認されますと、それと同一物質である医薬品につきましては、比較的簡単に承認がなされたということは、否定できないわけでございまして、それが四十二年の基本方針以降、先ほど申し上げましたように、二番目以降のメーカーにつきましても、これは別の意味でございますけれども、相当きびしい資料を要求するというようなシステムはとっております。 したがいまして、現在行なわれております二年あるいは三年の副作用報告期間、これはあくまで副作用の確認ということを企図いたします以外には、他意はございませんので、別途先生が御指摘になりましたような、開発の促進というような問題につきましては、私どものほうからも通産省とも御相談いたしまして、現在特許法の中に認められておりません医薬品に関する物質特許制度というようなことを、きちんと法制化をお願いをいたしまして、そういった形によって保護すべきものは保護するということが、正道であろうと考えております。
○石母田委員 それじゃ聞きますけれども、いまここで述べたように、武田の、炎症やはれものにきくダーゼンとかペニシリンの一種といわれているバストシリンについても、これでもうけたといっている。三共はセレナールで、これは精神安定剤ですけれども、もうけたといっている。これはみな、いまのリストに載っている。このリストに載っている場合は、まだ市場に出回っていないわけですから、先発権だから、実勢価格というわけにはいかない。では、この値段はどうやってきめるのか。初めて薬価基準に収録する場合のきめ方は、どうなっているのか御説明願いたいと思います。
○北川(力)政府委員 ただいまのお話の中で、まずセレナールについて申し上げます。 セレナールは、いまもお話しのように精神神経剤でございまして、四十七年二月一日に薬価基準に収載をされたものであります。この薬の薬価算定にあたりましては、同種の薬効を持っておりますジアゼパムが比較対象薬として選定されまして、ジアゼパムの二ミリグラム一錠が本品十ミリグラムに対応するものとして、同一の一日薬価として一錠十二円三十銭の薬価が算定されたものでございます。
○石母田委員 まあ、いいでしょう、時間もあれですから。ジアゼパムの問題でいま出ましたけれども、結局ジアゼパムと比較して割り高できめた、こういうことでしょう。
○北川(力)政府委員 そういうことでございます。
○石母田委員 割り高、割り安主義というと、いま出されたように、たとえばAという薬は一日一錠飲む、Bという新しいのは一日二錠飲むとすると、一錠と二錠だから、Bの値段はAの半分。率直に言えば、そういうことになるわけですね。そうやって値段をきめる、こういうことですね、割り高、割り安というのは。
○北川(力)政府委員 いま申し上げました薬効等を参考にしてやっておりますから、大体そのようなことでございます。
○石母田委員 失礼しました、同じきき目の場合は……。 そうしますと、いまのセレナールはジアゼパムと比較してきめた。このジアゼパムというのは先ほどから、これはべらぼうに高い値段じゃないかということで問題になっている。国際的にも問題になっている。あなたたちは何とか問題にしまいとしているけれども、現実に私どもの調べた数字では、あのようなべらぼうな値段で売っている。そういうことで、このジアゼパムそのものが高い。高いものに比較してきめたら高くなるのは、これはあたりまえです、この基礎があれだから。 そうなりますと、このセレナールという三共が出している精神安定剤は、ジアゼパムが国際的に問題になるほど高いものなら、それと比べて当然また高いものになってくる。全体から見ればですよ。当然そういう価格になるでしょう。そうして二年なり三年なり、ほかのものはつくっちゃいけないとなって、その値段でどんどん売ってごらんなさい。その値段で保険からどんどん医療機関に金を払ってごらんなさい。これは赤字になるのは、あたりまえですよ。そういうものにメスを加えようという気持ちがないのだから。こういうことを、何だかんだといって、しようとしない。原価の十二、三倍もするのだ。そういう高い薬。さっきから再三言うように、きき目は同じだ。高いものに合わせて、またやっちゃう。こういうことで新薬をきめていけば、これはセレナールだけじゃないですよ、新薬はみんな高くなるのはあたりまえですよ。 では、もう一つ聞きましょう。このリストの中に台糖ファイザーというアメリカ系の外資会社がやっているビブラマイシンという抗生物質があるのです。これは一体何に比較してきめたのですか。
○北川(力)政府委員 ビブラマイシンは四十五年七月一日に収載をされております。これは同種薬効を持っております比較対象として同じテトラサイクリン系抗生物質である塩酸テトラサイクリン五カプセルに対応するものとして、その一日の薬価により二百三十二円五十銭として算定されたものと推定をしております。
○石母田委員 同じ抗生物質のテトラサイクリン、こういうことですね。このテトラサイクリンが十数年前アメリカで大きな問題になって、アメリカの上院の中に反トラスト、反独占委員会の小委員会、通称これはキーフォーバー委員会といいますが、ここでこの値段が問題になったことを知っていますか。
○松下政府委員 承知いたしております。
○石母田委員 これはこのキーフォーバーの「少数者の手に」「独占との戦いの記録」という翻訳されている本が出ておりますけれども、この本でテトラサイクリンが問題になっておりますが、この一カプセルの原価が幾らだというふうに書いてありますか。
○松下政府委員 同書によりますと、当時陸軍の医療補給機関に納められておりました二百五十ミリグラムカプセルの原価が約一・五セントであるというふうに報告されておるのを承知いたしております。
○石母田委員 これは約一・五セントでありまして、正確には二百五十ミリグラム一カプセルが一・六六セントとなっております。一・五セントというと当時の円・ドル換算でいいますと、どのぐらいになりますか。
○松下政府委員 当時の三百六十円レートで換算いたしまして私ども一・五セントと承知いたしておりますが、一・五セントで換算いたしましたが、五円四十銭になると思います。
○石母田委員 五円四十銭。これはこの本で見ますとアメリカのブリストルという会社に原価の資料提供を命じて調べたものなんですね。日本の国会図書館にもキーフォーバー委員会のヒヤリングの資料が来ておりますけれども、アメリカでは日本と違って、このように製薬会社の原価を提出させて問題にしておるのですよ。これは先ほど私が正確に言ったのは、ここにある資料なんです。これがキーフォーバーのものなんですけれども、いわゆるブリストル社のテトラサイクリンの原価を提出させたのです。この五円四十銭。これは一九五五年から五七年ごろのアメリカの製造原価ですが、これはそれじゃ日本の薬価基準ではどのくらいになりますか。昭和三十一年ごろの薬価基準ですから、これはすぐわかりますか。
○松下政府委員 三十一年九月一日に制定されました薬価基準で百四円となっております。
○石母田委員 五円四十銭のものが日本では百四円だ、これは大都市。地方では百六円九十銭になっておりますね。これは単純にまた比較すると云々と言うけれども、あまりにも違うでしょう。アメリカの原価の二十倍ですよ。ものすごい高い。ところでこのキーフォーバー委員会のあと、アメリカの連邦取引所は一九六三年にいわゆる審決、この決定を下しておるのです。そうしてテトラサイクリンの価格を引き下げる措置を講じて、薬局への卸売り価格が三十セントから六セントに引き下げられたのです。これもまたこの本に書いてあります。六セントというと当時の円・ドルレートで二十一円六十銭ですから、アメリカでは一九六三年から薬局が二十一円六十銭でテトラサイクリンを仕入れることができるようになったのです。つまり三十セントから五分の一に引き下げられた。ところが、そのころのテトラサイクリンの日本での薬価基準はどのくらいか。これはすぐわかるようでしたら、二百五十ミリグラムの一カプセルの値段はどのくらいですか。一九六三年か五年ころですね。
○松下政府委員 ちょっと失礼いたしました。いつごろの薬価基準ですか。
○石母田委員 一九六三年か四年か五年ごろ。六三年が一番いい。
○松下政府委員 六二年の薬価基準におきまして、二百五十ミリグラム一カプセルが七十七円です。
○石母田委員 やはり原価で見るとまだ十三、四倍高いわけですね。ですから、アメリカの薬局で売っている卸売り価格に比べても三倍で、やはり高い。このビブラマイシンと比較した昭和四十五年ころの、このテトラサイクリンの価格が四十六円五十銭なんです。ですから、まだ十数年前のアメリカの原価の八倍、十年前のアメリカの薬局の卸売り価格の二倍以上になるわけです。こういう高い薬価をつけておいて、それと比較して先ほどの新薬をきめる。つまりテトラと比較して、このビブラをきめた、そのテトラサイクリンが、アメリカでこのように大きな問題になって引き下げ命令を出された、こういうものです。これは私感心したのだけれども、このキーフォーバー委員会が会社に提出さした中にこう書いてあるのです。 〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 コンフィデンシャル、つまり企業の秘密で印刷しないようにしてくださいという、会社でいえば、これは企業の秘密に属する文書らしいのです。この提出を求めて、いまの原価を調べていって、これはあまりに不当に高いじゃないかといって引き下げさしたのです。これで国民が非常によくなったのです。これはいまの年数からいっても一九五七、八年ごろから六三年までかかったというのだから、相当の抵抗もあったと思います。しかし、アメリカという政府でさえもやった。この勇気なんですよ。あなたたちは二言目には、よくアメリカというけれども、自由経済というけれども、その自由経済のアメリカでも、この企業の秘密だといって印刷しないでくださいというものを出さして、そうして薬の値段を下げさしておるのです。 こういうことが、なぜあなたたちにはできないのか。ほんとうに健保の財政の赤字の原因はどこにあるのか、国民の医療の立場に立って勇気を持ってどのような障害があろうと、やったらいいじゃないですか。それをこういう安易に、それにまた割り高割り安主義だといって、どんどん高い新薬をやる、三年間はつくらせないのだ、こういうことでは、ますますいまの薬の値段は高くなって、大企業が収益をあげて、武田とか三共などというのは、何べんも言うように、普通の会社の何倍という利益をあげてきておる。これはまさに保険に寄生しているのですよ。 私はこういう問題から、どうしてもあなたたちはこの保険の財政を問題にするならば、厚生省、通産省もこうした原価をきちんと調べて、一体どのくらいの——これは商売してごらんなさい、原価が問題になるんですから。そういうことをきちんとやる必要がある。そうして最低、この原価を調査して公表させる、あるいはこの間寺前議員が要求しました百六十一種類の薬の値段、二十種類しかまだ国際価格が皆さん方から回答が来ていない。その二十種類のうちでも七種類が世界一高いんですね、ほかの国に比べて。一番安いのなんか一つもないんです。 日本はそういうふうに薬が非常に高く売られている。そういう仕組みになっている。それを野放しにしてきている。それをもうけほうだいにしておいて、今度は赤字だからといって勤労者、労働者の保険料率を引き上げる、ボーナスからも引く、ここに私は自民党政府の体質が、大企業、大製薬会社には手を触れない、もうけをそのままにしておく、こういう疑惑が出されても、何だかんだ言って手をつけようとしない、そうして弱いところだけにどんどん来る、こういうやり方が、今度の健康保険法の改悪の最たるものだと私は思っております。 そういう意味で、ぜひ私は厚生大臣にお願いしたい。こういう問題について原価を調査し、公表する、あるいは百六十一種類の問題についても、すぐに資料提供に応じてこれの国際比較を出させて、大きな世論を背景にして、こうした不当な利益をあげている大企業、大製薬会社の中に薬価の問題についてメスを加える、こういう点での厚生大臣のき然たる態度をお願いしたいというふうに思います。
○松下政府委員 ただいま御指摘の幾つかの点についてお答え申し上げたいと思います。 先生御指摘の、アメリカにおきますキーフォーバー委員会が十数年前におきまして、いまお話しのような措置が行なわれたということは、私ども先ほどお答え申し上げましたように承知をいたしております。ただ、先生もおっしゃいましたように、このキーフォーバー委員会は上院のアンチトラスト委員会の中の組織があるということでございまして、これはやはり先ほどのイギリスの例で御指摘になりましたときにお答え申し上げたのと同様に、特に医薬品という問題を指向したと申しますよりも、やはり国内におけるシェアの独占、その独占による価格の形成がないかどうかということが中心になって実施された行為であろうと思います。 わが国におきましては、これは特許等の関係もございまして、先ほど申し上げましたように、国際価格はかなりまちまちでございまして、ただいま御指摘の塩酸テトラサイクリンにつきましても、各国の価格を比較いたしてみますと、アメリカで現行の大体恒常的な卸価格といたしましては、先ほどのオンコスト的なものが、アメリカでは六七%というのが通常の慣例でございます。これを加算いたして考えますと、レダリーの品で大体原価で二十円、日本が四十五円、イタリアが四十六円七十銭、それからスイスが百三十四円七十銭、西ドイツが七十二円四十銭といったようなことで、国際的にこういう特に特許問題等もからんでおります医薬品の価格は、それぞれまちまちでございます。 現在、外資系の企業と競争いたします段階におきましても、従来向こうから一方的に特許権を導入しておりましたようなものが、資本の自由化というようなことも間近に控えまして、外国系の企業におきましては、日本と提携いたします場合にもクロスライセンスというような形で、こちらからも新しい医薬品の権利を、ノーハウを提供しなければ、なかなか提供しないというような状況にもなってきております。 また、寺前先生からも御指摘がございまして差しあげました資料の中でも、日本で高いものが多いという御指摘でございますが、なおこの数の問題につきましては、百六十一品目の中でまだ薬価が決定されておりません三十六品目、それから国産品で外国に該当品がございません三十二品目、そういうものを除きました九十三品目につきまして調査いたしましたところ、同じ剤型の国際比較の可能な品目、つまり海外主要国でわが国と同一規格品の販売が行なわれている品目につきまして調査いたしました結果、二十品目という数になったわけでございまして、これはお届けいたしますときに御説明があるいは不十分であったかと思いますが、その点はお許しをいただきたいと思います。 国際価格で申しますと、そういったようなことで、わが国における新薬品の開発の努力というものは、今後国民医療の全体のためにも非常に要求される時代になってきておりまして、一例として申し上げますと、日本で発見されまして国際的に称賛を得ておる結核薬であります硫酸カナマイシンというようものにつきましては、日本の薬価が三百八十円、それに対しまして世界で最も安いといわれておりますイギリスでも千百六円、イタリアが千十八円、西ドイツが千八百五十三円、スイスにおきましても千七百二十八円というように、高いところでは日本の五倍というような価格もつけられておる状況でございます。 先生の御指摘になりました点、薬価につきましては、いろいろと私どもも考えなければならない点があろうかと存じますが、基本的には、やはり日本の医療の将来ということも考慮いたしますと、やはり新薬品の開発、その能力を持たせるということも、きわめて大切なことでございます。それから国際経済関係がこういうふうに非常に流動してまいりまして、価格の比較も、なかなかものによりまして困難な点もあることも、ひとつ御理解いただければと思います。 それから原価計算によって価格を決定すべきではないかという御指摘でございますが、何度も申し上げておりますように、現行の薬価基準価格は、収載品目については自由競争を通じて形成される市場価格、それから新収載品目につきましては、いま保険局長からお答え申し上げましたような方式をとっておるわけでございまして、いずれも直接あるいは間接に競争市場における自由競争による価格形成のメカニズムというものを前提といたしておるわけでございます。 原価計算方式につきましては、いろいろな困難な点がございまして、たとえこれは実行しようといたしましても、適正な利潤の見込み方として公正な市場があるかどうか、あるいは先ほど来申し上げております製薬企業に不可欠な研究開発費というものをどう配分するのが適当であるか。特に先ほども申し上げましたように、失敗に終わった研究開発というものは非常に数が多いというような要素もあるわけでございます。あるいは薬の特性からいたしまして、流通サイドでも非常に手数がかかるということを先ほど申し上げましたが、適正な販売経費というものをどう見込めばいいか、いろいろな困難な点がありまして、現段階といたしましては、いろいろ御示唆を含んだお話をいただきましたわけでございますけれども、現体系によります自由競争を前提といたしまして、さらに各企業が公正な競争によりまして、社会の実勢に合って適正なる価格において販売される、それを薬価基準に正しく反映させるという方法が最も妥当ではなかろうか、そのように考えておる次第でございます。
○石母田委員 もうその問題は終わりますけれども、私は何も資本主義を否定しろとか、自由経済を全部やめろとか、そんなことをいま言っているのではないのです。要するに高いのです。何だかんだいったって高いのです。自由競争だって、先発権で三年間は独占的なものになるでしょう。だから、こんなことは目を向ければ、やろうという気持ちがあれば、同じ土俵の中でやれるのだから、そういう立場に立たなければいかぬ。すぐ保険料を高くするとかなんとかでなく、こういうところにすぐ目をつけて、どうしてやらないかということを言っているのです。 それでは、あなたたちの姿勢が依然としてそういうことでしたら、これはまたあとでやりましょう。ただ、そういうことだけを強く国民の立場から要望しておきたいと思います。 さて、いま出ました労働者の保険料の負担について、応分の負担だとか、ちょっとした値上げだとか、「三泣き」だとかいろいろ言っておりますけれども、私は、月収八万円で一体どのくらい労働者、政管健保の被保険者が——これは健康保険だけじゃないのですから、年金も今度上がるでしょう、失業保険は上がらないけれども失保もとられるわけですから、健保と、それから年金が上がったとして——上がらせないようにするけれども、あなたたちの案と、それから失業保険の掛け金を合わせると一体どのくらいになるか、これまでに比べてどれだけふえるか、この点ちょっと答えていただきたいと思います。
○江間政府委員 便宜的に医療保険部長からお答えいたします。 月収八万円の被保険者本人が支払わなければならない保険料、健康保険が七%で二千八百円、厚生年金、男子の場合ですが六・四%で二千五百六十円、いずれも月額でございますが、失業保険が一・三%で五百二十円、合計いたしまして一四・七%、月額にしまして五千八百八十円でございます。
○石母田委員 そうすると、これは年にすると大体どのくらいになるのかな。
○江間政府委員 五千八百八十円が月額でございますので、十二倍いたしますと七万一千円くらいでございます。
○石母田委員 多少私たちと計算が違うようですけれども、またこまかくなりますから……。 これは東京電力などのいわゆる組合健保の被保険者ですと、またこれより少し安くなるわけですけれども、どっちにしろ、一年でいえば約一カ月くらいの掛け金を払わなきゃならぬということになるわけです。二十何・何日になりますか。こういうふうに見ますと、一年のうちの約一カ月近くをこうした掛け金を払うために働くとなったら、ちょっとした掛け金の値上げというものじゃないと思います。 こういうことになりますと労働者の負担というのはかなり重い。しかも資本家の負担の割合からいいますと、国際的な調査を見ても、家族給付なんかでは低いにかかわらず、資本家の負担がわりあいに少なくて労働者の負担が重い。割合からいっても、そういうふうになっているのじゃないか。この国際的な資料か何かありましたら、イギリスとかフランスとかイタリアとかいう先進諸国でいいですから……。
○北川(力)政府委員 先進諸国といたしまして、西欧のおもな国の疾病保険における事業主と被保険者の保険料の負担割合について申し上げますと、大体次のとおりであります。 西ドイツは、わが国と同様労使折半であります。 それからスウェーデンの場合は地域単位の保険が運用されておりまして、全貌についてはわかりかねますが、ストックホルムの例を申し上げますと、被保険者が四〇%、事業主が六〇%の負担割合となっております。 フランスにおいては、商工業労働者を対象とした一般制度と、その他の特別制度に分かれておりますが、一般制度の場合は被保険者が二二%、事業主が七八%となっております。 イタリアでは、保険料は組合員あるいは被保険者の職種によって異なっておりますが、負担割合はおおむね被保険者が二%、事業主が九八%程度であります。 なお、イギリスは御承知のように保険料負担なしでスタートいたしましたが、一九五七年からナショナル・ヘルス・サービスの費用の一部に充てるため保険料を徴収することとなりました。この保険料は年齢、性別によって若干異なっておりますけれども、十八歳以上の男子の場合の負担割合は、被保険者が約六六%、事業主が三四%。例示的に申し上げますと、先進諸国の場合は大体以上のような状況でございます。
○石母田委員 イギリスの特殊な例を除いて、大体日本のように五対五というのじゃなくて、資本家の負担が多いわけですね。ところが日本では、大企業が主として入っている組合保険のほうは七十五条で事業主の負担を増加することができるということになって、実際にはそうなっている。ところが政管健保のほうは五対五ということが、これまた法律の七十二条できめられておる。しかも、戦前は労災と一緒だから計算しにくいとしても、戦後から見ても、ずっと変わりなし。この間大臣でしたか、これは定着化していると言われたが、定着化していいことならいいけれども、世界の趨勢からいって、これは一体どうなのか。もちろん中小企業が多いから、中小企業に対して国も手当てをしなければならぬ、こういうこともあるでしょう。しかし、いまのような先進諸国の負担の割合から見ると、日本もこの割合について検討しなければならない時期に来ているのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、厚生大臣のお考えを聞きたいと思います。
○齋藤国務大臣 この問題につきましては、けさも田邊委員にもお答えいたしましたが、いろいろ御意見のあることは承知いたしておりますが、大体失業保険、それから健康保険は今日まで労使折半というような形で来ておるわけでございまして、そういう意味においては私はこういう慣行は——定着していると言うとお気に召さぬかもしれませんが、定着していると考えております。 そこで、この比率を直したらどうかという御意見もありますが、むしろ私は、中小企業の経営者のほうもやはり苦しいことは苦しいわけでございますから、その経営者のほうに七・三なり六・四というふうなことで労働者よりも比重を多くするというやり方よりも、労使折半で保険料は出していただくけれども、その保険経済を国が全般的にめんどうを見る、一〇%なら一〇%めんどうを見るということのほうが日本には適当しているのじゃないか、こういうふうに実は私、考えているのです。けさほど来からそういう御意見もありましたが、私はそのほうが適当ではないかというわけで、今回初めて一〇%というものを出したわけでございます。しかし、この問題はやはり次の将来の——いまその時期に来ているとおっしゃいましたが、まだそこの検討をする時期までは来てないと私は思います。将来の問題としては研究課題にのぼってくるであろうということは、私も考えております。しかし、まだそこまで、いま何とかしなくちゃならぬということを考えなければならない段階ではない、私は率直に言ってかように考えております。
○石母田委員 この労使負担の割合を変更した場合には、そういう中小企業者の問題をどうするかという問題は、これは一〇%にこだわらず、どんどん国庫で負担すれば解決する問題ですけれども、ただ私どもが言うのは、これは財源の問題としても非常に重要なんですね。 〔橋本(龍)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 この労使負担の割合をかえた場合には、労働者の保険料が若干低くなっても資本家のほうのあれがふえますから、全体としては財政的にはふえるというようなことでありますので、この点はぜひ積極的に検討していただきたい。 さて、いま赤字の問題が出ましたけれども、赤字赤字と言われますけれども、その最大の原因について、政府としてどういうふうに考えておられますか。
○江間政府委員 先日もお答えいたしましたけれども、基本的に政管健保の被保険者は、組合管掌の被保険者と比べまして、所得が大体二割程度低い。それから組合員の構成が政管健保におきましてかなり高齢者に片寄っておる。男女の比率も若干違います。その結果として、やはり受診率も政管健保の被保険者のほうがやや高い。それらを中心に両面にわたって原因があろうかと存じます。
○石母田委員 何といっても、この十年間を見ても病人がどんどんふえているわけですよね。数から見ると倍になっているというふうにいいますけれども、こういう病人が非常にふえて、しかも政管のほうはいま言ったような年齢構成も高い、それから所得層も比較的低いというふうなことですけれども、そういう中で組合健保をどんどんつくるわけで、いま健保は一千万人以上になっていると思うのですけれども、片一方は千三百万人ですね、被保険者だけとすると。そういう状況で、この組合健保のほうは非常に黒字だといわれている。私、最近資料の要求で、組合健保の設立できる基準とその根拠というのを見たわけですけれども、これは昭和二十五年ごろのものだといわれているのですけれども、大体この基準でいまでも組合健保は設立されているわけですか。これはいまでも使われていますか。
○北川(力)政府委員 大体これが基本でございます。
○石母田委員 この三項目のところに「組合設立後の組合財政の見透しが良好であること。(被保険者が過去一年間においておおむね一千人以上であること。また、標準報酬が同種同規模の事業体にくらべて同等またはそれ以上であり、かつ過去一年間における被保険者の受診率の調査結果等からみて、財政の見透しが良好であると認められること。)」こういう条項がありまして、そのあとには、過去において成績がいいもの、つまり黒字になるような見込みのあるもので大規模なものはパスして、どんどん組合保険をつくるということになれば、当然政管健保のほうには財政基盤の弱いものが集まらざるを得ないという仕組みになってしまいますけれども、この点はどうなんでしょうか。
○北川(力)政府委員 設立基準の点についてでございますが、ただいま先生がお述べになりましたところは、やはり組合ができましたあと健全に運営されるということが、組合の最も基本的なファクターでございます。それで、法律の仕組みといたしましては、かりに組合が赤字になりまして、ばく大な債務を残して解散いたしますと、その債務はすべて政府が継承いたしますので、そういう意味合いで、いま申し上げましたような相当厳重なチェックをいたしまして設立の要件といたしております。したがって、確かにいまお話しのとおり、そういった財政状況の見通しのあるもの、また連帯意識の強いもの、そういうものが組合としてできましたあとには、総体的には政府管掌健康保険の財政状況は、その以前に比べてよくなるようなことはないというのが通常の状態でございます。
○石母田委員 簡単に言えば、そういうよくなる状態ではないわけですね。そういう仕組みになってしまっているわけですよ。そういう中で有病率はどんどんふえ、病人はどんどんふえる、年齢構成も高くなる、所得も低いとなれば、これは赤字になる。このことは決して個人個人の責任じゃないわけですよ。病気一つ見たって、交通事故や災害、公害、これはみんな社会的な原因です。 特に、私は川崎で聞いたのですけれども、公害病患者が健保の中へ入ってかかっているという、この財政負担もあるわけでしょう。この公害病患者がいわゆる業務外の、つまり健康保険法の第一条の点からいっても、健保でやらなければならぬという根拠、これは一体どこにあるのか。ついでに、現在健保にかかっている公害病患者というものは、どれくらいの人数がいて、金額がわかればそれも知らせていただきたい、こういうふうに思います。
○江間政府委員 公害患者として認定されました政府管掌健康保険の患者の数字を申し上げますと、新潟、四日市、熊本、富山あたりを集計いたしますと、人数にいたしまして政管健保が本人が八十八名、家族が二百十一名、計二百九十九名、医療費の額にいたしまして、四十八年四月現在で三千四百万円くらいの金額になります。これらの患者につきましては、まず一義的には、われわれの健康保険の被保険者といたしまして給付いたしますが、その原因が公害であるということが判明いたしましたならば、われわれのほうからは求償権を行使しております。
○石母田委員 そうしますと、この川崎のいまから言う例は解決されているのでしょうか。川崎における四十六年三月から四十七年二月までの年間に公害認定患者の治療に要した総医療費は三千九十一万円余、うち公費負担は千六百二十四万円となっておる。したがって、千四百七十万円が健保で支払われた。またいまの推定ですけれども、川崎が公害認定患者で被用者保険というものの医療費を推計したところ、この期間六百五万円になるといっている。こういうことになりますと、これは公害企業が一円も出してないということになるのだけれども、あなたのいま言ったことは、はっきりいうと、これの関係ではどうなりますか。
○江間政府委員 公害患者かどうか不明であります段階におきましては、われわれ給付いたしますが、公害病患者であるということがはっきりいたしましたならば、われわれその費用の請求を別のところにいたしまして、そうしてその金を埋めるということをいたしております。
○石母田委員 それは健保の負担にはならないということですか。
○江間政府委員 健保の負担にはならないということでございます。
○石母田委員 私は、いまこの健保の財政の赤字を検討する場合に、そうした公害、それから、いわゆる公費負担の分をきちんと全額公費負担をして、そうして健保財政から切り離していく。老人医療費の問題、乳幼児の問題、そういうことも財政対策として非常に必要だと思うのです。同時に、国と資本家の負担の原則ということを私どもは毎回言っておるわけです。先ほどから言っているように、財政規模がいろいろな点で弱くならざるを得ない。しかもまた、年齢構成や所得別受診率から見ても、非常に弱さを持っておる政管健保、こういうものに対する国と資本家の責任というものをもっと強めなければならない。これで負担するというのが原則である。第一、この医療保障というものは均等、つまり職業とか貧しいとか金持ちだとか、あるいはまた性別、年齢、保険料をこれだけ払っておるから、これは少ないとか、所得があるとかないとか、そういうものによって差別されるというものじゃないと私は思うのです。これはやはり均等の原則で平等にこの医療の成果というものを受けなければならない。こういう点での国の責任というものが憲法二十五条に規定されておる内容だというふうに私は思っております。 そういう意味で、いまいろいろと有病率が高まっている、あるいはいまの公害の問題を見ましても、国や資本家の責任、負担でこうした問題を解決していくということが非常に大事だということだと思っております。 時間が非常にございませんので、私、最後の質問の診療報酬の引き上げの問題についてお尋ねしたいというふうに思います。 さて、診療報酬の引き上げが非常に問題になっております。現在診療報酬の引き上げの問題がいろいろ要求、要請されておりますけれども、この問題についての基本的な考え方を、まず厚生大臣からお聞きしたいと思います。
○齋藤国務大臣 最近における物価、賃金といった経済社会状況の動向にかんがみまして、特に病院の経営の問題、看護婦の問題、さまざまございますので、できるだけすみやかに本年度の診療報酬の改定は行なうべきであると私は考えております。 ところで、そういう診療報酬改定の中身は、皆さんもすでに御承知のように、中央医療協議会において相談をしてき、それに基づいて厚生大臣が諮問をして行なう、こういう仕組みになっておるわけでございまして、先般来、中央医療協議会において審議を願っておったのでございますが、先月の十五日、医療担当者側から円城寺会長を信任しないという文書が私あてに提出されまして、今日まで事態が解決されず、診療報酬の改定が実現されてない状況にありますことは、私としてもまことに残念なことでございます。一日も早く事態を収拾し、診療報酬の改定が早く行なわれることを私は希望し、期待をいたしております。そういう意味合いにおいて、目下私は事態の収拾、中央医療協議会が正常なる運営に戻るように最大の努力をいたしておる段階でございまして、したがって、具体的な問題等につきましては、本日は私がとやかくのことを申し上げることを差し控えたいと考えておる次第でございます。
○石母田委員 診療報酬の問題については、常にそうしたお答えがなされておりますけれども、私は、厚生大臣が責任をもって一体この診療報酬についてどういう基本的な考えを持っておられるのかという点について、私が聞いている幾つかの事実を申し上げますので、その点についてこれが事実なのかどうか、あるいはその点についてどう考えられるのかということについてお伺いしたいと思います。 いま診療報酬の不合理という問題が、一つは老人医療の無料化の問題について障害になっているということを聞いております。それは昨年から調剤料が変わって、慢性患者が医療機関から敬遠される結果になっている。老人の中で長期慢性疾患が多いので、こうした問題が出てくるわけですが、昨年二月までは一剤一日分八円の調剤料がついていた。それがいまでは何剤何日分出しても四十円だ。ですから、たとえば二剤で七日分出していたのは、いままで八円掛ける二掛ける七で百十二円調剤料としてもらっていたものが、いまでは四十円。つまり差し引き七十二円減収ということになる。 ですから、いままでどおりの調剤料を得ようとすると、一週間のうちに三回通院してもらうということになるわけですけれども、そういうようなことは、老人などのような長期慢性患者では、なかなかできないことだということで、結果として老人は病院に来にくい。また医者のほうでも、老人のような長期慢性患者を敬遠するというような状況が起きているということを聞いておりますけれども、この点についてはどうでしょう。
○北川(力)政府委員 昨年の二月改定で、ただいまお話しございましたように、薬剤料の算定について改定をしたことは事実であります。ただ診療報酬の改定は、先ほど大臣からも申し上げましたが問題が幾つかございまして、従来から適正化の方向ということ、それから新しく経済とかあるいは社会の変動に応じた改定、あるいは技術料の評価、こういう問題が出ております。私どもはそういった適正化の方向の一環として、昨年の二月改定では、薬剤、医療の算定について、いまの御指摘は一例でありますけれども、そういうかっこうの仕組みをとったわけであります。 老人に関連した問題でございますけれども、老人についてそういった影響が全然ないということじゃなくて、たまたまあるいはあるかもしれません。しかし診療報酬の今後の改定のあり方といたしましては、いま申し上げました適正化ということを中心にやりますので、全体的に改定の流れというものをながめてみますと、こういったやり方は今後の新しい方向に体系を向けていく場合において、決して間違った方向を向いてない、やはりそういう方向で適正化をはかっていく中の一環としてとらえていく、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
○石母田委員 非常に答えの水準が高くてわからないのですが、結局出来高払いでしょう。あなた方が過疎地の診療報酬の問題でやったときは、出来高払いだから云々と言っていたけれども、いまの診療報酬はそうだ。そうすると、その剤の数とか日数によって調剤料を出すべきが普通だと思うけれども、そういうふうにはならない。そういうような改定の方向がいいと言っているのか悪いと言っているのかわからない。新しい方向から逆になっているのか前になっているのか、もう少しはっきり言ってください。
○北川(力)政府委員 私が申し上げましたのは、一般論といたしまして、従来の調剤のしかたを改めて、現在のようなやり方にしたほうが調剤料のやり方としては合理的である、こういうことを申し上げたわけであります。
○石母田委員 だから、そういう結果が、いまの老人医療の問題の一つの障害になっているという事実を認めるのか、それともそうでないのか。われわれ聞いた者から見ると、調剤料は四十円ときめれば減るでしょう。これは認めますか。いままでたとえば剤ごとに日数で払っていたものが……。
○北川(力)政府委員 長期に投与いたします場合には、確かにそういうことになってきます。
○石母田委員 ではもう一つ。老人の検診にとって多いのは尿のたん白等の状況、また血圧測定で、これは報酬が出てないというふうに聞いていますけれども、これはほんとうですか。
○北川(力)政府委員 前回の改定で簡単な検査というものは初診料の中に含めて計算をいたしておりますので、そういう意味で出てないわけでございます。
○石母田委員 ですから、いままでは安くても二十円ぐらいはあった。これでは、老人なんかの血圧だとかそういうものを扱えば結局損というとおかしいけれども、収入の面からいうと、初診料は少し上がったといっても、やはり老人の場合には、これでは医療機関がいやがる傾向が出るんじゃないか。労働者でいえば生産意欲というけれども、医者も人間ですし、経営をやらなければならぬから、そういう患者を医療機関が敬遠しがちになる原因の一つになりはしませんか。
○北川(力)政府委員 診療報酬全体の適正化、合理化という問題でございますので、老人の場合にはそういった例が絶対ないというふうには、われわれも申し上げませんけれども、全般的には、前回の改定はいま申し上げましたように初診料にまるめて、初診料を上げて、その中で処理をするというかっこうをとっておりますが、そのこと自体は、全体的にながめますと適正な方向だと思います。 ただ、いまのお話に出ました例によっていえば、老人についてだけそういった特別な手当てをするとかそういうことは、またよけい点数表を複雑にいたしますから、その点は今後の改定の場合でも、なかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えるような次第であります。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
○石母田委員 全体の改定について、また甲表、乙表の一本化の問題については、いま時間がありませんから、その不合理性については触れませんけれども、私はもう一つ、有床診療所で一日の室料が三百六十円、看護料が二百円となっている。たとえば診療所ですから十九床として、この十九床全部入っておるとして、一カ月の看護料の収入が二百円かける十九、それから三十日として十一万四千円。かりに朝昼晩一人しか病棟にいないととして、終日二十四時間では週に百六十八時間ですから、労働基準法でいう四十八時間労働とすると、いろいろな休暇もありますから、四人の看護婦が必要だと思うのです。この四人で割ると何と一人当たり二万八千五百円、こういうことになります。ボーナス、各種手当、法定福利費などを引くと月二万円ぐらいになる。こんなばかげた賃金で、いま働く看護婦さんはいないということは常識でもわかることなんです。実際に診療報酬というのは、そういう内容のものなんですか。
○北川(力)政府委員 ただいまの例に出ましたのは有床診療所であります。有床診療所は御承知のように長期間入院として収容するわけではございませんで、医療法から申しますと、四十八時間しか収容できないというたてまえになっておりますから、そういう点から考えまして、いまのような計算も、それはあり得るかもしれませんが、実態関係としては、そういう計算はあまり実情に合わないような感じがいたします。
○石母田委員 計算、合うか合わないか知らないけれども、入院料はあまりにも安いのじゃないですか。それで、看護料が病院三百円、診療所が二百円、差があるのはおかしいと思うけれども、常識的に見て、両方とももっと上げなければしようがないじゃないですか。いま差額ベッドなど、いろいろいわれるけれども、そういう中で、あまりにも安過ぎませんか。私は大幅に引き上げる必要があると思うのだけれども、どうですか。
○北川(力)政府委員 まさに、そういった点は現在中医協でいろいろ議論をしておる点でございます。つまり、昨年の中医協の建議におきましても、先ほども申し上げましたが、診療報酬の適正化の問題と、それから経済変動に応じた改定、あるいはまた技術料の正しい評価、こういったことの提言があるわけであります。そういう意味合いで、現在もいわゆるスライド制的なもの、そういうものが中医協における論議の非常に大きな柱になっておるわけでございますから、今後中医協におきましても、いま例に引かれましたような問題も含めて、いろいろな条件の変動に対応した改定をどういう方向で行ない、かつまた、それをどういう部門に分配するか、こういう問題は十分に慎重な審議を続けてもらいたいと思っております。
○石母田委員 もう一つ。これは私自身が経験したことなんですけれども、私横浜で、ある病院に日曜の夜いたのです。そうしたら、子供が急病だということで、あっちこっちあれしたが、いないということで、そのとき十時過ぎだといいのにねということばがちょっと出た。私聞きとがめて、いろいろ話をした。ところが十時過ぎると、何か夜間の加算手当が三点よりも、もっとついて高くなるらしい。つまり日曜の夜中に急患が来る。そしてその子供が前にかかっていた、再診だとすると再診料が五点、加算が三点で八点。前に薬をやっているからといって、たとえば薬代頓服一つやって一点だとする、調剤料が五点、のどが少し荒れたというので七点と、処置をつけたとしても二百十円だ。 そのうちは看護婦さんを起こさないで娘さんを起こしたけれども、これで電灯をつけたりストーブなんかつけたら、赤字になってしまうのじゃないか。こういう非常識な点数で幾ら夜間救急体制をつくれといっても——何事も金じゃないと思うけれども、これは当然何回かに一回は断わりたくなると思うのです。 この問題は、幾ら医は仁術だと言う人だって、そうなると思う。ましてや、いまの開業医の状況あるいは病院の状況からいって、こういうことで医師が救急夜間体制をいやがるというのは、そういう体制が組みにくいというこの中にも、こうした全く非常識きわまる低診療報酬というようなものが一つの原因になっておる、こう思いますけれども、どうでしょうか。
○北川(力)政府委員 診療報酬の改定というものを医学医術の進歩に合わせてやるとか、あるいは社会経済の変化に対応してやっていくとかということは当然でございます。いま御意見に出ました、いわゆる夜間の診療あるいは休日の診療、こういったものは、すでに中医協の場におきましても今後検討さるべき最も重要な問題として取り上げられておりますし、そういった面には、おそらく今後の適正化の方向の中で十分な配慮が加えられていく、そういう方向で論議をされるものである、そのように私は考えております。
○石母田委員 私は、しつこくこういう幾つかの事実を聞いていったというのは、この診療報酬という問題を、ただ医師の要求というだけで見たり、あるいはいまの中央医療協議会が健康保険や船員保険の診療報酬をきめる、もちろんきめたものは国保の場合も準じて広まるけれども、つまり主として保険という関係から診療報酬を論議されているとしたら、これは正しくないと思う。 この診療報酬というものは、いま幾つかの例を見ても、患者、国民が必要な医療を受けるという点から見ると、このような低診療報酬というものが、どんな大きな障害になっておるか。皆さん方は薬価基準をきめるときは、先ほども言ったように、いつでも高過ぎるから、低くさせるようにする。これも政府が主導的にきめるもの、これも中央医療協議会でやるんだといっても、やはり厚生大臣がきめるものだ。その政府が一方では、まるで中小企業の単価をたたくみたいに、べらぼうな単価でじゃんじゃん押えてくる。こういうような不当な医療体系を持っておる。 これが、今日差額ベッドを生み出し、あるいは先ほど薬価基準と実勢価格が差があるから、薬で息をつく、あるいは添付した薬を使う、薬の使い過ぎも出てくる。そうしなければ医者がやっていけないような立場に追い込んでいるのです。その結果、老人医療にしても、夜間救急体制にしても、困るのはだれか。国民全体ですよ。ですから、国民医療の立場、そういう問題からいっても、私はこの診療報酬のこれを早急に解決しなきゃならぬ。そしていまのような仕組みを変えていくということについて、単に中医協、中医協というのじゃなくて、政府自身がどういう基本的な態度で臨むか、こういうものを是正しなければならぬ、仕組みを変えていかなければならぬという方向で臨まない限り、私はほんとうの解決はないと思うのです。 そして医師の技術料とか、これは正当に評価する。あるいは薬剤師、看護婦、リハビリ担当者、その他の医療従事者の技術的なサービスもきちんと評価する。入院料、給食費などもきちんと評価していく。そしていま問題になっているスライド制というような問題もきちんとやっていくということでないと、ほんとうにいまの医療破壊の危機を乗り切って、国民がどこでも安心して必要な医療を受けられるという状況に、その方向での前進がないと思う。あなたがいわれたようなものが、合理的だとか何とかいっているけれども、私はそういうものから見ると、こういう低診療報酬体制を合理化するという意見であれば、これは全くこうしたものに逆行するものだというふうに考えているわけです。そういう意味で、私はこの診療報酬の早急な是正と適正な引き上げを、きちんと行なうよう政府に要求したいと思います。 あわせて、先ほどから質問してまいりましたいまの健康保険法の問題にいたしましても、薬価の問題あるいは公費の全額負担の問題、その他資本家と労働者の負担の割合というような問題でやれば、十分この保険料の引き上げ、あるいは勤労者の負担増なしに家族給付の引き上げなどを含む大幅な給付改善ができる。こういう立場から政府に対して、以上のことを要求して、私の質問を終わりたいと思います。
○田川委員長 次回は明八日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後八時二十四分散会