社会労働委員会 第21号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/05/11
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、八木一男君外十六名提出の国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、及び国民年金等の積立金の運用に関する法律案の各案を議題とし、質疑を行ないます。 申し出があります。順次これを許します。瓦力君。
○瓦委員 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について御質問いたしたいと思うのでありますが、これに先立ち、今日年金制度の改善が大きくクローズアップされるように至ったその背景を振り返ってみたいと思うのであります。 年金制度とは、申し上げるまでもなく、相互連帯の精神に基づいて老後の所得を保障しようとするものでありますが、今日年金制度の改善、充実が大きくクローズアップされてきた要因としては、幾つかの事情があげられるのであります。 その第一は、急激な人口の老齢化であります。 わが国は、諸外国にも例を見ない急速なテンポで高齢化社会を迎えようとしているのであります。これに伴って、老後の生活に対する国民の関心はきわめて大きな高まりを見せているのであります。 その第二は、老人を取り巻く環境の変化であります。 すなわち、核家族化の進展や老後の扶養意識の変化などにより、従来のいわゆる私的な扶養に依存してきたものが公的扶養、すなわち年金制度に移り変わらんとしつつあり、また今日のように諸物価の高騰により、貯金等の価値が減少していくという中で、わが国の経済の高度成長に伴い、国民感情として国の経済力を社会福祉に回すべきであるといわれております。特に経済成長の恩恵に浴することの少ない老人に対しまして、少しでも分配しようという福祉優先が叫ばれてきたわけであります。 以上のようなことが、老人問題、年金問題が取り上げられることになった社会的要因であると思います。 このような事情を背景として、年金制度の改善、充実はかつてないほど国民のひとしく期待するところとなってまいりました。昨年の総選挙は福祉選挙とも呼ばれ、各党こぞって年金制度の改善をはじめ福祉政策を公約として掲げたのであります。本年四月、四十八年度予算におきましては、社会保障関係費の伸び率二八・八%、総額二兆一千百四十五億円が計上されました。政治の主眼が福祉へ転換され、本格的に第一歩を踏み出す年であるといっても過言でないと思います。福祉元年とも、年金の年ともいわれるゆえんもここにあると考えます。 このような時期に、政府が従来の例による財政再計算期を繰り上げ、厚生年金、国民年金等の大幅な改善をはかるべく今回の改正案を策定したことは、まことに時宜を得たものと考えます。 以下、具体的な質問に入りたいと思うのでありますが、改正案の内容についての質問に入る前に、わが国の人口構造の変化について、以下お伺いしたいと思います。 先ほども申し述べたとおり、わが国は急激に高齢化社会に突入しつつあるのであり、他方戦後の価値観や道徳律の変化、高学歴化の進行、人口の都市集中、貧困な住宅事情など、社会構造の変化は著しいものがあります。 こうした結果、今後勤労世代が老人、児童を扶養するなど、負担分野が急激に変化することが明らかに予想されるのであります。このような変化を考えますと、国民の側からは社会保障制度など国の果たすべき役割りは、今後ますます重要になることは疑いのないところであります。 このように今日のわが国においては、今後急激な変化と相まって社会的、経済的に起きる大きなリアクションについて、長期的な視野に立った厚生行政をどのように推し進めるつもりか、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 わが国の社会保障を考えまするときには、老人問題というものが非常に比重が重くなってまいってきております。先ほどもお述べになりましたように、わが国の人口構造がいま急激に変わりつつあるわけでございまして、老齢人口というものが非常に増加の趨勢をたどりつつあります。昭和四十八年におきましては、六十五歳以上の老人、一億の人口のうちで約八百万に近い老齢人口をかかえておりますが、昭和五十五年、七、八年たちますと、わが国の六十五歳以上の人口は約一千万をこすということになるわけでございますから、大体一〇%程度に七、八年後にはなるというふうなことで、西欧先進諸国の老齢人口の総人口との比率は、一二、三%あるいは一四%程度ということで定着しておりますが、そういうふうな西欧先進諸国における老齢社会というものに近づくように急激に増加しておるこの現実は、老人問題を考えるときには見のがすことのできない一つの傾向であると思います。 それと、先ほどお述べになりましたような環境の変化、さらにまた日本が戦後新しい憲法を採択いたしまして、健康にして文化的な社会建設を目標にしなければならないという新しい憲法の選択、そういうふうなことから、社会保障の充実というものを非常に強く要望されるようになった、こういうふうなことを頭に描きながら、老人問題、老人対策というものを考えていかなければならないと考えております。 特に社会保障において、いままでわが国は戦後もろもろの社会保障の制度なり仕組みというものをつくってまいりましたけれども、老人問題に対しての仕組み、中身というものは非常におくれておったわけでございますから、そのおくれを取り返すようにしなければならない。それがためには、そういうふうに急激に老齢人口がふえていくわけでございますから、こういう人たちに対する対策を行ないまするために負担が急激にふえる、これはやはり社会保障政策をとる上には、忘れてはならない現実でございます。急激に負担が増大する、それでありますから、その増大する負担の伸び率というものをできるだけなだらかに持っていく、急激な社会的負担の増を緩和しながら、なだらかにしていくということが、やはり一番大事だと思うのです。 急激な老齢人口の増加、それに見合う急激な負担の増加を緩和しながら、そしてこの老人問題に対して取り組んでいかなければならない。しかも、この政策は一時的なものであってはならない。長期的な視野に立った、十年なり二十年なり、あるいは年金で申しますならば、年金が成熟する昭和八十年、そういったふうな長い先を見通しながら、そして計画を立てていくようにしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。しかも、こういうふうな負担の急激な増加を避けながら長期的視野に立つ政策、しかも今日までおくれておった老人対策ということでございますから、私どもといたしましては、今後の社会保障政策の中で最重点を置いて、この問題の解決に当たっていくようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○瓦委員 ところで、老後の生活をささえるためには、年金制度の改善充実が最も大きな柱の一つであるということは、ただいまお伺いもいたしました。しかし、それだけでは十分であるといえないのであります。すなわち、医療や住宅、福祉サービスなど各般の施策が総合的に進められなければ、安心して老後を送ることができない。また、こうした体制を確立しなければならないのであります。 この場合に特に私が強調したいと思いますのは、老後の保障というのは、単に年金額を引き上げ、施設を設備するという経済的な保障で十分であるというものではないということであります。何が老人にとって最も必要なのか、老人がほんとうに求めているものは何か。それは老後の生きがいであります。年金はふえた、医療費は無料になった、施設は設備されたといたしましても、それだけで老人が真に満足を得られるものではありません。働ける間は働いて世の役に立ちたい。また、働けなくなったとしても、楽しい余生を送りたい、これが老人の願いであります。 今回の改正によって、年金については大幅な改善、充実がはかられ、スライド制等、今後に及ぶレールが敷かれたと思うのでありますけれども、年金等の経済的な保障に並んで重要な老後の生きがいの問題について、厚生大臣としてどう取り組んでいかれるのか。去る五月七日に発足しました社会保障長期計画懇談会においても、このような老人問題をどのように取り上げていかれるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 老人の福祉をはかる点についての御意見、私もまことに同感いたす次第でございます。老人対策の基本は、何と申しましても老人の精神的な面、すなわち老後の生きがい、これが私は基本であることはもう先生おっしゃるとおりでございます。しかし、まだ厚生省といたしましては、困っておる問題を手をつけなければならぬというふうなことで、今日までそのひとり暮らしの老人の問題、あるいは寝たきり老人の問題、こういった困っておる方々に対する医療の面における施設の充実、これがやはり緊急の問題でございますから、そういう面に力もいたしてまいりました。それと同時に、また老後の所得を保障する、そういうふうなことで、年金の拡充ということで今回、私どもは画期的な五万円年金という制度を打ち出したわけでございます。 しかしながら、こういうふうな年金の充実によって老後の所得をある程度保障する、あるいは困った御老人の方々、病気に悩む方々に対しまして、ひとり暮らしの老人あるいは寝たきり老人対策を進める、あるいは医療の無料化を進める、こういうふうなことを進めておりますが、これだけで私どもは満足しておりません。いな、むしろこういう方々以外の、より多くの御老人の方々の生きがいを、老後の生きがいをどういうふうにして確保していくか、どういうふうにして、その生きがいある生活ができるような環境を整備してあげるか、これがやはり一番大事なことだと考えておる次第でございます。 長いこと社会に貢献をしていただきました、こうした方々の過去の社会的体験を後輩にも指導し、そして、できるだけ元気なうちに楽しい生活をしながら後輩も指導し、その社会的体験を生かしていく、こういうふうなことができますような環境を整備する、これが一番大事なことでございます。精神的な問題、これは老人対策ばかりじゃありません。すべての社会福祉施設についても共通の問題でございます。 そこで、先般できました社会保障長期計画懇談会におきまして、さっそく委員の方から、生きがい問題をひとつ真剣にこの懇談会で取り上げていこうではないか、こういうふうな意見が一回目のフリートーキングに出てまいった次第でございますので、今後八月までには、この長期計画をつくっていただくようにお願いをいたしてございますので、活発な御論議をいただいて、生きがいの問題について真剣に取り組んでいく、こういうふうにいたしたいと考えておる次第でございます。
○瓦委員 経済社会基本計画に基づく社会保障の年次計画が策定されようとしております。わが国の社会保障制度は昭和三十七年、社会保障制度審議会の社会保障制度の総合調整に関する基本方策についての答申及び社会保障制度の促進に関する勧告が行なわれ、今後十年間に当時の西欧諸国の水準に達するよういわれております。しかし、この水準に達するため、さらに強力な政策の展開が必要なわけであります。今後五年間に政策改定を入れて社会保障給付率一一%になるよう努力すると大臣言っておられます。特におくれている年金制度の改善に努力する、こういった御答弁もございました。 また五月七日、先ほど触れました社会保障長期計画懇談会において、十年後には一五%にしたいといったことも述べておられます。つきましては、五年後、十年後の五万円年金の総体的な価値、位置づけ、こういうものをどのように考えておられるか、あらためて大臣からお伺いしたいと思います。
○齋藤国務大臣 日本の社会保障のうちで一番おくれておりましたのは年金でございまして、この年金について、西欧先進諸国に比較してのおくれを取り返すということで、今回五万円年金ということを政府が提案をいたしておるわけでございます。 そこで私どもはこうした、もちろん年金だけではございませんが、年金を含めてもろもろの社会保障の政策を今後五年間に振替所得で申しますと六%から八・八%に引き上げるということを中心として拡充をしてまいりまして、社会保障給付費が国民所得に対して占めておる比率、それを五年後に一〇%ということ、さらに後期の五年後、すなわち十年後には一五%に引き上げる、こういうふうな目標で進めてまいるつもりでございまして、年金におきましてはすでに御承知のように物価スライド制というものを背景としていたすわけでございますから、毎年物価が上がれば、それに準じて年金額が上がる、こういうやり方を進めますと同時に、五年ごとの再計算期も必要に応じて早めまして、そして政策改定、これも私、あり得ると思うのです。 そういうふうなことに前向きに努力をいたしまして、先般も多賀谷委員にもお答えいたしましたが、五年ごとということでございますが、最近における賃金、物価、生活事情等の変化等ににらみ合わせながら、できるだけそういう情勢が変われば、やはり政策改定、これも必要だと思うのです。一応さしあたりとしては、毎年物価スライド制を実施し、そして五年ごとといいますか、そういう政策改定も行ないながら西欧先進諸国並みの社会保障体制を進めていく。したがって四十八年から今後五カ年間の年次別な計画を、先ほどお述べになりましたような懇談会において十分御検討いただきまして、立てていただくようにお願いをいたしておるような次第でございます。
○瓦委員 年金が国民から信頼を得るためには、やはり長期の見通しも立てなければならない、そういった意味で、ぜひこれからの年金問題につきまして適切な御指示を大臣から出されるよう特にお願いしたいと思います。 さて次に、今回の年金改正の内容を中心にお尋ねしたいと思います。 従来のわが国の年金制度は、欧米諸国に比べて著しく立ちおくれているといわれておりますが、今回の厚生年金の改善は老齢年金の水準として加入者の最近の平均標準報酬六〇%程度を確保することをめどに策定されたということであります。加入者の平均標準報酬の一定割合を年金水準として確保するという考え方は、今回の改正で初めて導入された新しい考え方ではないかと思うのであります。 そこで、端的にお伺いいたしますが、今回の改正後の年金水準を国際的に見ると、どういう水準になるのか、日本の水準はどういう位置になるのか、お答えを願いたいと思います。
○横田政府委員 今回の厚生年金の改定は、ただいま先生御指摘のように、平均標準報酬の六割というものを年金の給付水準にするということが一つと、それからもう一つは、年金の実質価値を維持するために毎年自動的に物価スライド制を導入する、言うなれば、いわゆる動かない年金から動く年金に構造変革をした、これが非常に大きな眼目でございます。 年金の水準を国際比較いたします際には、いろいろな問題がございまして、給付水準がどうであるかということが中心にはなりますけれども、そのほかに支給開始年齢についてどうであるか、あるいは保険料の負担についてどうであるか、あるいは被保険者期間についてどうであるか、いろいろな要素がございますので、一義的にそういう優劣を論じるということは、きわめてむずかしいわけでございます。 ただ、中心になります給付水準の点について申し上げますと、今回改正をお願いいたしております平均標準報酬の六〇%という水準は、ILO条約に比較して申しますと、百二号条約では、従前所得の四〇%という水準をうたっておりまして、それから百二十八号条約におきましては、従前所得の四五%という水準をうたっております。この条約にうたっております従前所得というものと同じような考え方に置き直しました場合には、今回の改正の平均標準報酬の六〇%という水準は、大体従前所得の四五%ということに匹敵いたすわけでございますので、ILO条約の中でも高いほうの四五%に匹敵するということでございますので、国際的に見まして、相当高い水準に位する年金であるというふうに考えているわけであります。
○瓦委員 今回の改善は、厚生年金については標準的な加入期間、標準的な報酬の人が、改正後に新たに受ける老齢年金が月額五万円になるということであり、また、国民年金については二十五年加入の場合、年金の水準を付加年金を含めて夫婦五万円とするということであります。 五万円年金はキャッチフレーズにすぎないという声もあります。社会保険的な年金制度を社会保障的な年金制度に切りかえるべきだという声もございます。また、食える年金にしろという声もありますし、これはまぼろしの年金であるといったような批判もございます。厚生年金の場合、月額五万円の老齢年金を受ける者はどのくらいいるのか、また、今後の推移はどういうことになるかお示しをいただきたいと思います。
○横田政府委員 厚生年金の場合につきまして、五万円年金を受ける方の数なり比率の推移を申しますと、まず四十八年度中に新しく老齢年金をお受けになる方が十三万一千人おりますが、この中で月額五万円以上の年金をお受けになられる方は三万一千人でございます。これは全体の二三・九%、それからまた、二十年以上の期間を持っておられる方、厚生年金の場合には標準的な年金受給者でありますが、その方を分母にして考えますと、三六・三%、つまり三割強が五万円年金を受けられるわけでございます。それから、四十八年度末になりまして老齢年金をお受けになる方全体について見ますと、全体の方の数は八十万四千人でございまして、その中で五万円以上の年金をお受けになる方が八万五千人ということであります。 それで、こういったことで新規受給者の中で標準的な方について三割強という数字は、私どもといたしましては、さしあたっての年金水準を現実に受給される方の比率としては、相当高い比率であると思っておりますが、これがさらに年を経るにつれまして、被保険者期間の平均が長くなってまいりますので、相当にふえてまいります。いま申しました四十八年度の三六・三%という数字が、来年の四十九年度になりますと四二%、それから五十年度になりますと五〇%、つまり半数がその年金を受けられるということでございます。
○瓦委員 今日のような経済社会の変動の激しい時代においては、経済成長の成果を受けることの少ない老人層に対して老後の保障に足る年金制度を保障するためには、その条件として、年金額を経済社会の変動に応じて調整していくことが最も大切であります。多年の懸案でありました自動スライド制が今回の改正案に採用されましたことは画期的なことと思います。しかし、スライドの基準に物価のみをとれば、国民の実質的な所得水準の上昇に年金がついていけなくなるのであります。 わが国の社会保険におけるスライド制について見ると、恩給、共済組合は賃金上昇による年金額の引き上げを行なっております。また関係審議会等においても、労働者側委員より賃金スライドという意見もありましたが、その辺の事情と同時に、物価スライドを導入をする基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
○横田政府委員 スライド制の問題につきましては、御指摘のように、社会保険審議会におきましては、物価スライドがよろしいという議論もございましたし、賃金スライドがよろしいという議論もあったわけでございます。 それで、今回御提案を申し上げております政府原案の考え方は、率直に申しますと、物価スライド制を導入したということではないのでございます。つまり自動的に年金額をスライドさせます自動スライドの指標として物価を採用した、こういうことでございまして、これは申し上げるまでもないことでございますが、年金額が物価上昇等によって相対的に価値が減少することをとめる、しかも、そのとめ方が毎年毎年自動的に物価スライド制が発動することによってとまる、こういうふうなしかけを導入したわけでございます。 したがいまして、何年かたちまして、賃金の上昇等が相当に大きいとか、あるいは生活水準の向上なるものが相当に高いというような状態が何年か続くというようなことになりますと、御承知のように、現在の法律では少なくとも五年以内に財政再計算をする、その財政再計算の際に、そういった賃金の上昇でございますとか生活水準の推移でございますとか、そういったものを総合的に勘案をいたしまして、政策改定をするということになっておりまして、その点に関しましては物価スライドを自動的に動かすようなしかけを導入すると同時に、そのたてまえ自体は変えておらないわけでございます。 したがいまして、この物価スライドか賃金スライドかという問題につきましては、自動的なスライドの指標としては物価を採用した。しかし政策的なスライドを何年かごとに必要に応じて行なう際には、物価だけであって、賃金等はその指標とは一切しないというふうなたてまえを導入したわけでは全くないわけでございます。 ただ問題は、自動スライドにしろ、賃金スライドを導入したほうがよろしいのではないかという議論も一部にはございますけれども、この点につきましては、実は先ほど先生御指摘のように、公務員等の問題につきましては御承知のように、すべての方が賃金体系が同じ体系でございます。ところが厚生年金の場合には大企業もあれば中企業もあり、また小企業もあるというようなこと、それから企業格差等によりまして賃金体系というものが、それぞれ異なっております。総じて申しますと、年功序列型でおやめになるころ合いあたりが一番高くなるような賃金体系をとっておる。公務員は大体そういうことでございますが、厚生年金の適用事業所の場合には、おやめになるころは非常に月給が安くなるという方もございます。 つまりそのことは、年齢層によって賃金の上がりぐあいというものが年功序列型賃金体系であるかどうかによっていろいろ変わっておるということがございます。それから業種によっても、いろいろ給与体系が異なりますし、職種によっても異なる、そういうことがございますので、賃金スライドと申します場合には、現役の労働者の賃金の上昇のぐあいを年金水準に反映させるということでございますが、まず、いま申しましたように、賃金体系によりまして、年齢層によって、賃金の上昇のしぐあいが変わってくるというようなこと一つを考えましても、自動スライドのものさしによって賃金スライドを導入するということはいかがかというふうな考えを持っております。 それからまた、賃金スライドを自動的なスライドの指標としてとり得ないことについては、いろいろ問題がありますけれども、われわれとしては、そういうふうな年齢によって賃金の上昇率を異にする、それを受給者層である高年齢者の年金水準にそのまま反映するということは、これは非常に問題だというようなことから自動スライド制の指標といたしましては賃金を採用しなかった、こういうことでございます。したがって物価スライドオンリーで、賃金なり生活水準というものは、一切今後顧慮しないというふうなことでは全くないということを御認識賜わりたいと思います。
○瓦委員 その自動スライド制の導入をこれからはかってまいりますと、財源の問題でありますが、いわゆるこの自動スライド制の導入並びに標準報酬の再評価による財源調達、インフレに伴う整理資源については、もちろん国が負担すべきであると私は思いますが、整理資源の原則をきめないでスライド制を考えてまいりますと、年金制度を混乱におとしいれる。何かそこに原則といいますかそういったものを置いておかなければならないのではないか、かように考えますが、いかがでございましょう。
○横田政府委員 ただいま御指摘のスライド財源でございますとか、あるいは過去の報酬の再評価によって年金額が上がることによっての給付増を、何によってまかなうかという問題でございますが、端的に申しまして、これについてどのような原則が正しいかということは、なかなか一がいには申せないと思います。 それで、今回の改正の中身といたしましては、給付額がふえますと、それにつれて、国庫負担率が二割でございますから、それなりに国庫負担がふえる、これは申し上げるまでもないことでございます。ただ問題は、スライドなり過去の標準報酬を読み直すことによって、特に既裁定者の給付増については、既裁定者はもはや保険料を納めていない方でございますから、その辺の財源をどのように調達するかという問題になってまいります。 それで、今回の改正の内容といたしましては、そのようないわゆる整理資源の問題につきましては、これからの保険料にそれを織り込んでいくという考え方をとっております。 それで、保険学者等が議論をいたします議論のやり方を多少引用して申しますと、この整理資源問題というものは、いわゆる後発的な過去勤務債務である、このような概念規定をいたしておりまして、後発的な過去勤務債務というものをいかなる方法で償却をするかという、その償却の方法というのはいろいろあり得る、こういうふうなことでございます。 ですから私どもといたしましても、そういう後発的な過去勤務債務は、今回改正の案といたしましては、将来の保険料の中に織り込んでまいる。ただし最初申し上げましたように、国庫負担は元金である給付額がふえますと、それなりの二割でございますから、それもそれなりに増加していく、こういう考え方を持っております。ただ、しかし、相当にスライド等がひんぱんに行なわれなければならないような、あるいは政策改定等が相当に行なわれなければならないようなことになった場合を想定して考える場合にも、すべて保険料でまかなうのが妥当かどうかというふうな問題が仮定の問題としてはございますが、そういう問題につきましては、きわめて明確な結論をいまの時点で持っておるわけではございません。
○瓦委員 大臣に、先般の春闘ストのことにつきまして、お尋ねをいたしたいと思います。 野党の要求している賃金スライドにつきまして、大臣は、春闘ゼネストに関連して、春闘共闘委員会に、物価スライドは譲れないが、現在五年ごとに行なっている財政再計算期などを早めると答えております。この時期についてもお尋ねをいたしますが、まずその際、春闘共闘委員会側の要求に対して、賃金スライドは五十年をめどに実施することで政府との間に暗黙の了解がついた、こういうぐあいに伝えられておるわけであります。これは大臣として春闘側とお約束をしておられるかどうか、はっきり御返事を賜わりたいと思うわけであります。
○齋藤国務大臣 先般、春闘に際しまして労働団体と年金問題について話し合いをいたしました。その際に労働側では、賃金スライド制を二、三年の間に採用してくれぬか、こういうお尋ねがありましたので、私どもは賃金スライドを考えてはおりません。すなわち、物価スライドによって物価が上がれば、自動的に貨幣価値を維持するような体制をとり、それから五年ごとに賃金、物価、生活状況等を勘案して政策改定を行なって、その水準を引き上げるという体制をくずす考えはありません。 しかしながら、賃金や物価や生活水準が急激に変われば、五年ごとにという、いわゆる改定の時期は、当然早めてやらなければならない。これは当然法律の運用をつかさどる、運用について責任を持つ厚生大臣のつとめでございます、こういうふうに答えておりまして、誤解があるといけませんから、正確に申し上げますと、「財政再計算期等」「等」というのは水準を含みます。「財政再計算期等を早め、賃金、物価、生活水準等の動向にマッチするよう考慮する。」こういうふうにお答えをいたしておるわけでございまして、それ以上何も明言をいたしておりませんことを明らかにいたしておきます。
○瓦委員 これは非常に大切なことでありますので、大臣のはっきりした御答弁を伺いまして安心をいたした次第であります。 この財政再計算期を早めることにつきまして見てみますと、五年年金と福祉年金を比べると、五年年金は昭和五十年に月額八千円になる、福祉年金は同年には月一万円になるような予定もございます。拠出年金が福祉年金より低くなるというような矛盾が出てくるわけでありまして、私はこの五十年というところに財政再計算期を置くのではないかというようなことを考えたりしておるわけでありますけれども、そういったことを含めて、この財政再計算期をいつごろというようなことを大臣お考えになりますか。
○齋藤国務大臣 普通でございますと、ことし、この法律を提案いたしておりますから、四十八年、五年後ということになりますと五十三年ということになるわけでございますが、五十三年にまで延ばそうなんということは、私は一つも考えておりません。特に最近における賃金の上昇というものは相当大幅でございますから、そういうことを十分考えることが厚生大臣としての私はつとめだと思います。 そういう意味において、賃金、物価、生活事情等が変わってまいりますれば、当然その改定を早める、これは私はつとめだと思いますから、いつということは、何しろまだ法律が通っておりません段階でございますし、それから——通ってない段階でございますから、いまからいつなんということを申し上げましたら、それこそ委員会を無視するなんというようなことになりかねないのでございますから、その点は十分御理解賜わりたいと思う次第でございます。
○橋本(龍)委員 関連。 いま同僚瓦委員のほうから、政府提出の年金についてこまかく質疑を続けてきたわけでありますが、たまたま、いまその賃金スライドの問題を一つのきっかけとして、私どもとしては野党四党から提案をされました年金二法について、ごく基本的な問題点の幾つかをぜひ伺っておきたいと思う点がありますので、しばらく時間をちょうだいしたいと思います。 私は、四月六日の本会議における提案者代表としての八木一男先生の提案理由説明、またその後に行なわれた政府案に対する川俣理事をはじめとする各野党代表の政府に対する質疑、こうしたものを拝見をしながら野党案自体にも目を触れさせていただきました。その中で、これは個別に問題を拾ってまいりますと非常に広範な問題点が出てまいります。これは瓦委員の時間をちょうだいしての関連でありますから、私はこまかい部分について長い議論を申し上げたいとは思いません。 ただ、この際、野党案の基本的な、私どもとしてどうしても納得のいきかねる諸点について伺う以上は、それに対して私どもとしての考え方も申し述べながら御質問をいたすのが例だと思いますので、まず私どもとして野党案に対しての考え方を申し上げて、基本的なことを申し上げながら、それと対比してお答えをちょうだいをしたいと思います。 年金制度そのものについて、私どもは基本的に大きく二つの原則があると思います。申し上げるまでもなく年金制度というものは、老後保障のための制度であります。同時に、非常に長い、長期的な制度でありますために、的確な将来見通しというものの上に立って制度の改善というものがはかられなければならないと私どもは考えております。非常に近視眼的に当面の収支のみに目を奪われるようなことは、これは許される制度ではない。受給者の数の推移あるいは加入者数の推移などについて、相当的確な将来展望を持った上において制度を論じなければならないと考えております。 また同時に、年金制度のあり方というものは、国民的な合意のもとに一つの方向が定められていくべき性格のものだとも考えております。すなわち年金制度というものは、相互の連帯の精神に基づいて、いわば現役の勤労者の方々が、お年寄りに対しての扶養をしていく、老後の生活をささえていくための制度であります。その意味では、すべての国民の納得が得られるような形で、年金制度のあり方というものがきめられなければならない。原則的に私どもはこうした点を年金制度を論ずる場合の基本に置いておりますが、こうした観点から、野党四党共同提案の年金二法につきまして、基本的な数点の私どもは実は疑問が生じたわけであります。 その第一は、野党四党案の財政計画についてであります。 いま申し上げましたように、年金制度を論ずるにあたっては的確な将来見通しというものを必要とするわけでありますが、四党案の内容を拝見し、また提案者として本会議場において八木先生の行なわれた、この趣旨説明を拝見する限りにおいては、年金制度の基盤となるべき年金財政について、何ら将来の計画というものが明らかにされておらない、私どもはそのような感じがいたします。ただ、中を拝見しますと、三年を一期とする賦課方式に移行するんだ、そうして期末に半年分の給付費相当額の準備金を保有するように保険料を定めるというふうに書かれておりますから、これは将来の保険料については賦課方式を前提として考えていけばよろしいかと野党四党案を考える場合には思うわけであります。 ところがその場合、これは私がいまさら申し上げるまでもなく、現在のわが国における急激な人口の老齢化というものは、世界にもこれは類例を見ないほどの急速なものでありますし、その中から考えていけば、今後における老齢年金の受給者また加入者の割合というものは非常に高くなっていくことが考えられます。政府の推計によれば、たとえば厚生年金の場合、昭和四十八年度には受給者は加入者のわずか三%にすぎない。しかし十年後の昭和五十七年になれば七%、二十年後には一二%、三十年後には二〇%、四十年後には三〇%程度まで急激な増加を示していくわけであります。 この政府の推計が完全に誤りだと言われればともかくでありますが、このような人口の推移というものを前提として、いま直ちに賦課方式に移行したとするならば、保険料率そのものは、この人口の推移に合わせて、受給者の推移に合わせて急激に増高していくことは、これは間違いない。そうすれば、これは将来においては月収の三割以上の保険料が必要になるというのが、この推計から容易に推測されてくるわけであります。 これに対して政府案の考え方でいくならば、段階的に保険料を引き上げていく。保険料の負担の増加というものはなだらかに移行していきますし、約四十年後、昭和八十五年になりましても一八%程度の保険料率にとどめていけるという見込みになります。はたして、こういう急激な人口増加に対応してこのような保険料負担が将来必要になることはほぼ予測をされるという状態なのに、この野党四党案の作成にあたって、どのような将来見通しを立てられたか。その将来見通しの上に、どのような長期的な財政計画というものを持って臨んでおられるのか。まあ私どもは、いま申し上げましたような観点から、財政計画として非常に問題がある感じがいたしますが、この点をまず明らかにしておいていただきたいと思います。
○八木(一)議員 日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が提案をいたしました野党四党案に与党自民党の方が積極的に質問をされて、この四党案をよしとすれば御賛成になろうというような意思も含めて御質疑になっていることに非常に敬意を表するわけであります。 いま非常に大切な問題について御質問がございました。私もその問題についてお答えをできるだけたんねんにいたしたいと考えております。(橋本(龍)委員「時間の制約がありますから簡潔にお願いいたします」と呼ぶ)それでは質問者の御要望もいれて、たんねんから、ある程度にいたしたいと思います。 そこで、実はいまの長期的見通しの前に、国民的合意というお話もございましたけれども、それについてはまた次の御質問のときにお答えできると思いますので、まず長期的見通しについて端的にお答えを申し上げたいと思います。 まず、この年金制度は、厚生年金保険あるいは船員保険あるいはまた国民年金、その中の拠出制国民年金と各福祉年金という制度に大まかに分かれておりますが、全部を申し上げると非常に時間がかかりますので、大体似たようなもので量的に非常に少ない船員保険の分は省略をいたします。 厚生年金を主として、それからまた、それに対して国民年金について、いまのことを申し上げたいと思います。 厚生年金はまず第一に、いま昭和四十八年度でございますが、これは申すまでもなく年金制度は昭和八十五年にそのピークに達する、そうしてその後は平準化するということは申すまでもないことであります。したがって、出発点と途中点と八十五年のピーク、一番年金的に年金を給付することが必要であり、また財政的に困難な時期、その時点について、三つくらいの点で要約して申し上げたいと思います。 現在、実は被保険者数は、私どもは、四党案によれば五人未満の事業所の方を厚生年金制度に即時入れることになっております。したがって、その数を百二十五万と推定をいたしまして、政府の見通しの厚生年金の適用者数よりも、これをふやしております。その点少し数字が食い違いがあると思いますが、そういう要素が入っていることをひとつ御理解をいただきたいと思います。 被保険者数は昭和四十八年で大体二千四百七十万人、五十五年で二千七百十九万人。それから簡単にとおっしゃいましたから飛ばします。ピークのところを申し上げます、三千百六十八万人と推定をいたしております。 次に、その年金受給者数、これは老齢、通算、障害、遺族、項目別に申し上げましょうか、合計でいいですか。(橋本(龍)委員「合計でけっこうです」と呼ぶ)じゃ被保険者数はいま言ったように老齢年金、通算老齢年金、障害年金、遺族年金全部入りますから、全部の数を合わせて、本年度で約二百万人、それから五十五年度で四百十五万人、それから八十五年度でふえまして二千二百三万人ということに推定をいたしております。 それについて標準報酬の総額が、四十八年度で二十一兆、五十五年度で二十四兆、これはもう端数は省略します、兆単位で申し上げます。それから八十五年度で二十五兆というのは、これは実は賃金あるいは物価、そういうものの変化がないとしてきた基礎数字であります。変化はあとで申し上げます。変化がない場合に、賃金、物価等の変化がないとして計算をした年金給付費は、昭和四十八年五千三百四十億円、それから五十五年二兆百六十億円、八十五年十二兆八千三百七十億円。兆単位より下を申し上げましたけれども、これではもちろん物価なり賃金が変わりますから、ほんとうの収支計算になりません。 収支計算のほうで申し上げますと、昭和四十八年が、保険料の収入が、いまの四党案のやり方ですから保険料率は変わりませんから、四十八年度に千八百六十四億円の収入合計であります。その中で保険料が千二百七十二億円、国庫負担が百四十九億円、利子四百四十三億円、合計額で千八百六十四億円。五十五年度に、その合計額だけを申し上げると、合計額で五千三百四十二億円。それがピークになりますと、合計額で二百五十一兆四千三百三十億円。収入総計であります。大きいですから、その内容を申し上げますと、保険料が百七十七兆、それから国庫負担が六十七兆、利子収入が七兆強であります。 それに対して、今度は支出のほうでありますが、四十八年に五千三百四十億円、五十五年に四兆二千八百五十億円、それから八十五年のピークになりますと、支出が二百三十九兆七千六十億円ということになります。年度末の準備金は半年分準備いたしますので、そのときに百二十五兆ということになります。これは少し切り捨て、切り上げしておりますので、ラウンドナンバーであります。 このように計算をしました基礎は、昭和五十二年度までは年率一三%で標準報酬は上がっていくという計算であります。それから、五十三年度から五十七年度までは年率一〇%、五十八年度から六十二年度までは年率八%、六十三年度以降は年率七%、準備金の運用利回りは六・二%ということで仮定して計算をいたしました。これはもちろん変動があると思います。 そこで、実は保険料でございますが、保険料は、これは四党では三年ごとに計算をして、いろいろなことをきめることになっておりますからあれですが、三年目のときの相談をいたしておりませんけれども、いまとにかく千分の六十四の保険料、これは第一種の男子の場合であります。女子と坑内夫等は別であります。六十四がずっと続きまして、五十四年までは六十四で、そのままいけるわけです。それからだんだん上がりまして、八十五年に三一%になります。質問者の推定された金額と大体一致をいたします。三一%になりますが、これは保険料全体が三割ということになるわけでございまして、四党案では、使用主七、労働者三ということになっておりますから、これは〇・九割、すなわち九分ということになる。収入の一割弱ということになります。これはピークの一番苦しいときであります。その後は何十年、何百年、こう横になりますから、苦しさはなくなるわけですから、一番ピークのときに一割弱の労働者の負担が必要であるということになります。(「本来の質問者がじれておりますから簡単に」と呼ぶ者あり) 非常に広範な問題ですから、これは三点だけで、だいぶ省略しているわけです。あまり省略して申し上げると、野党案が粗雑に見えますので、できるだけ短く言いますけれども、実は、賦課方式について幾ぶんいまの政府と考え方を似たようにする学者の方は、将来の負担が非常に多くなる、したがって、賦課方式じゃなくて修正積み立て金方式で、現在の労働者にかなり負担をしてもらわなければ、現在の労働者と将来の労働者の均衡を欠くという議論をする方があるわけです。それに対して、私ども四党も徹底的に討議をし、検討した結果、それは当たらない。現在の労働者は、たいへん低賃金と重労働で収奪をされている。その他にも物価高や住宅難などで非常に生活が圧迫をされている。その労働者に高い保険料を課することは、ほんとうに不適当である。将来の社会は、経済も発展するとともに労働分配率がふえて、将来の労働者は、先輩に対する年金に対する負担に痛痒を感じないだけの収入が確保されているべきである、そのようなことで、私が申し上げたような、いわゆる学者たちのいうような形式的の均衡論ではなしに、実質的な均衡論でこれを考えるべきであるという点で、賦課方式に踏み切ったわけであります。 ここで昭和八十五年度労働者の負担が収入の一割弱、九%ということになっても、これは十分な収入が保障され、先輩に対するそのための負担をする、またその労働者が、将来老齢になったときには、それだけの十分な年金が保障されるということが完全に保障されているわけでございまして、そのときはいまと違って、その保障されている実態を目の前に見ているわけです。ですから、これは実際的に労働者は痛痒を感じない負担であるし、積極的に労働者の合意を得られるというふうに考えているところであります。 それでは国民年金について、ごく簡単に申し上げます。国民年金のほうは被保険者総数が、昭和四十八年度二千三百三万人、五十五年度が二千二百七十万人、それから八十五年度が二千百七十六万人と推定をいたしております。これは雇用が増大をいたしまして、自営者よりも雇用者が多くなるということで、こうなってくると推定をいたしておるわけでございます。受給者のほうは、四十八年度九十五万三千人、五十五年度三百八十万六千人、それから八十五年度が千百十六万人であります。給付額のほうはそのような物価、賃金等のスライドがないと見た場合において四十八年度千七百億円、五十五年度一兆六百五十億円、それから八十五年度三兆二千七百九十億円。これはしかし同じように賃金スライドがありますし、生活水準その他で改定もありますので、それを先ほどの例に従って変えていくといたしまして、五十一年度で収入額が、合計五千三百二十億円、その中の保険料の収入が千百五十億円、国庫負担が三千五百六十億円、それから支出額のほうは八千九百六十億円ということであります。 国年のほうが厚年よりも積み立て金がなくなる年数が早うございます。そのころからなくなってまいりまして、保険料の値上げをしてまいらなければならないという事態になってまいります。八十五年度においては、実はわれわれの考え方で保険料を算定したとして、保険料が二十五兆九千億円、国庫負担が二十九兆七千五百四十億円。そして支出のほうは五十五兆ということになります。このときの保険料はピークの一番苦しいときでございますが、賦課方式で月額十二万六千百十七円になります。 ただし、これは先ほど申し上げました物価とか賃金とか、そういうものが関係ないとして、昭和八十五年度に三兆になる。それが関係あるとして五十五兆になるということでございますと、その間に十七対一という比率があります。結局物価、賃金等でいま変化がないとした計算よりも十七倍になるわけであります。いまにこれを逆算いたしますと、十二万六千百十七円というのは月額七千円という金額になります。八十五年のピークでございますから、八十五年を越えたら、あとはぐっと楽になるわけです。 国民年金はその間に階段がありまして、十年年金が始まっておりますが、それをもらう人がどんどんできる。五年年金が二、三年後にできる。そのような中でございまして、このように年金制度というものが非常に老後を安定させるものであるということが、現実に全国民に浸透いたしておりますから、その後における保険料の負担は、みずからの老齢の保障をするものに直結するものであるということで、このような保険料負担がふえてくることについては、国民的な合意が成り立つものと考えているわけでございます。 御希望によりまして、できるだけ省略をいたしました御説明を申し上げましたが、もう一つだけ申し上げておかなければならぬことがあります。簡単に申し上げておきます。 これは国庫負担であります。ここでピークだけ申し上げますと、国庫負担が厚生年金で年間六十七兆ということになります。それで国民年金で二十九兆になります。ピーク時です。ところで日本の経済の将来の計画でございますが、いまのGNP、ことし百兆といわれておりますが、それを私なりに計算をしますと、GNPデフレーター、変化の率、これを年率五%としますと、八十五年のピークにおいてGNPが六千兆ということになって、その場合における国家財政は、GNPと国家財政との比率を、大体ことし及び去年の比率の平均値で出してみますと七百六十兆円、一年間の国家財政が七百六十兆円ということに相なります。 七百六十兆円ということでございますから、この国庫負担九十六兆円ということは、たいした金額ではございませんで、この点、先ほど本来の質問者の言われた社会保障制度審議会の三十七年の勧告によると、昭和四十五年に国家財政の四分の一は社会保障費に出さなければならないという内容が、精密にはついているわけです。その形でいくと、七百六十兆円の四分の一は百九十兆円になるわけです。その中の九十六兆円というのは、年金制度が成立した、年金が社会保障の中で一番中心になる事態を考えますと、これはいささかもおかしな数字ではない、妥当な数字であると考えておるわけであります。 以上、簡単でありますが……。
○橋本(龍)委員 いまのが簡単だとは、とても思えないのですが、簡単だ、簡単でないという議論は別にいたしましょう。ただ、いまの数字を伺っておりましても、国年、厚年の場合のピーク時の加入者と受給者の比率その他、率直に申し上げてたいへん無理な数字の操作をしておられる。細部の数字は、いずれまた議事録が出ました時点であらためて私はその数字の検討はさしていただきたいと思いますけれども、はたして一般会計の中から国庫負担、いわゆる国民の租税から受けた収入、保険料の比率をどこまで年金において適用していくことができるか。あるいはその他については、ずいぶん本質的にも問題があると思います。またその使用者側、労働者側の比率等、あるいは御意見のようなことも妥当な考え方かもしれませんが、しかしその中においても、やはり数字的には私はずいぶん御無理な仮定を置かれたという感じしかしません。率直に申し上げて、そういう感じがいたします。 そしてその場合に、将来あるべき姿がこうである、だから実質均衡論をとるんだという御説明の中にも、これは本会議の趣旨説明の中にもその部分がございますけれども、私は非常に無理な操作だという感じがすることを率直に申し上げておきます。 次に、いまたまたまお触れになりました部分から延長して、四党案の給付水準についてお尋ねをしたいと思います。 四党案によると、二十年加入で年金額が六万一千円ということでありますが、この水準で比較をしますと、政府案において標準的な加入期間としております二十七年加入の場合、およそ八万三千円、これは間違いないですね。三十年加入の場合で計算しますとおよそ九万二千円という数字になる。ところがいま勤労者の平均賃金というものは、男子の場合八万三千円程度、その平均年齢は三十四、五歳程度でありますし、ちょうどその年齢といえば、就職してからすでに十数年を経て子供の二人ぐらいはいる。一家を背負っている年代ということがいえましょう。はたしてこのような年代の勤労者、この勤労者の平均賃金と同額あるいはそれ以上の年金というものが退職後の老人に支給されるということ、これは率直な感じでありますけれども、その費用を負担する勤労者の納得が得られるというふうに提案者はお考えなのかどうか、私は知りたいと思うのです。 かりにボーナスを含めて考えて見ましても、給与総額というものは約十万円程度ですね。そうすると四党案の三十年加入の場合の九万二千円というのは、ほぼこれに匹敵する年金額になっている。これは受給者の立場からすれば、私ども、年をとった立場に自分を置いてみれば、年金額というのは高ければ高いほどいいということは当然でしょう。しかし最初に申し上げましたように、年金制度そのものが相互連帯という精神に基づいて勤労者が老人を扶養していくという制度である以上、私は率直に申し上げて、勤労者と年金受給者というものの均衡もやはり考えていかなければいけないのじゃないか。 八木先生の本来の御主張の憲法二十五条の話は、この際はけっこうです。あの議論から始まりますと、まただいぶいろいろな議論が出てくる。そういう均衡を十分考慮していかなければいけないということに私は間違いはない。国民の感情とすれば当然あるべきじゃないか。この場合に、あるいは二十七年加入とか三十年加入で年金額を比較するのは、おかしいという議論をされるかもしれませんけれども、現にことし年金を新たに受ける方の平均加入期間というものは二十七年ですし、さらにまた近い将来において三十年、三十五年という長期加入の方々が年金受給者になる事態というものも完全にわかり切っておる事実です。 その場合に、はたして野党案のように加入期間二十年で焦点を合わされていかれる考え方というものが国民の合意を得られるかどうか。また、むしろ私は、いまの勤労者の平均賃金から見て、政府案の二十七年を基準としてとる考え方のほうが、より国民的な合意が得やすいと思うのでありますし、その意味からいけば、現実に本年度新たに年金の受給の開始される方々の平均加入期間二十七年という実情から考えてみても、現在の勤労者の平均賃金の水準から見ても、またその平均水準の年齢構成から見ても、むしろ私は、政府案の年金額の水準のほうが国民的な合意というものを得やすいという感じがいたします。 ですから、これは勘の話をして恐縮なんでありますが、一家を背負っている現役の労働者の賃金というものと同等あるいはそれ以上の年金というものを支給するということについて、先ほど八木先生御自身も国民の合意ということを私と同じように言われましたが、すべでの国民が、ほんとうにそれを納得するというふうにお考えなのか、私は、野党案の年金のレベルとして採用された時点というもの、また設定金額というものはちょっと不適当なのじゃないかという感じがするのですが、これは感じでありますから、議論はあるかもしれません。現役の勤労者の老人の年金のレベル、この点についての先生のお感じを伺いたいと思います。
○八木(一)議員 橋本さんの御質問にお答えをいたしたいと思います。 まず最初に、現在三十四、五歳ですかの方の平均の賃金が八万三千円くらい、これによると、二十七年の人が四党案では八万三千円、三十年では九万二千円くらい、その点について均衡を欠いているのではないかという趣旨の御質問だと思います。 これはあくまでもやはり同じベースで比較をして考えていくのが適当ではないかと私は思うわけです。この二十七年という人ですと、たとえば十五歳で厚生年金の適用になった人の場合だったら、二十七年といったら四十二歳、十八歳でなった人ということになれば四十五歳ですか。ですから、三十四、五歳の人とは違うわけでございます。ですから、その点で少し御指摘の点は当たらないのではないかと思います。 実際にやはり御指摘のように、同じ年度の人であっても、たとえば九割台になるというような支給になる時期がございます。その点のほうを特に御主張になっておられるのではないかと推測をいたしているわけでございますが、確かに三十年の時点で、その人と同じ人を比較した場合に、賃金、標準報酬と年金支給額とは非常に接近をして、同じような金額になる。三十年をこえますと、この政府案もそうでございますが、四党案のほうは三十年で定額部分のほうは増加をしないで、比例報酬部分が増加をしていくのでございますから、その賃金と接近した状態は三十五年になれば、またやや離れるというような状態になるわけであります。 そういうようなことになっていますが、それは本質的なものではございませんで、十分な年金を保障するということは、憲法を言うなとおっしゃいましたけれども、憲法の精神から当然なことであって、それで自分たちが将来十分な生活を楽しんで暮らせる、それだけの年金が保障されるということが、これが浸透していけば、そのための保険料の負担というもの、それからまたいまの賃金に比較して、働いていないけれども、かなり年金額が多い、働いている自分たちに比較して、比較的に見れば年金額が多いのじゃないかということも、全国民、全労働者が同じような年金を将来において確実に確立をされるという考え方が浸透すれば、そういう国民的な合意は完全に急速に得られるというふうに考えておるところであります。 簡単にということでございますから、再度御質問があれば、またお答えをいたしますが、一応簡単に御答弁いたしました。
○橋本(龍)委員 基本的に比較の対象を変えると言われれば、しかたのないことで、比較の対象のベースに置く次元が違うのですから、どうしようもありませんが、私はいまちょうど三十五歳です。私と一緒に学校を出た連中は、ちょうどいま平均賃金のレベルにあるわけです。そして今年野党案のとおりに、もし受給開始をするとすれば、年金額のほうが私どもの仲間の給料を取っている者より、はるかに多くなるわけです。やはりこれは不合理な状態になるわけですね。これは失礼ですが、先生の言われるように加入期間、そこで年齢をとって言われる議論というものは、私は世間に通用しないと思うのです。これは感じの問題で比較の問題ですから、ちょっとおきましょう。 いまたまたま保険料の問題に触れられたのですが、先ほどの数字計算というものが、どうしてちょっと納得がいかない部分が幾つかありますけれども、これは私も計算し直さなければわかりません。 ただ、いま野党案が出されておって、それを拝見しておっても、確かに給付水準はその意味ではおそろしく高い。現実に野党案が、もしこの時点で成立をしたとして、本年の勤労者の平均賃金というものを考えるなら、すでに二十七年加入の方方が受給開始をされる今日の時点では、ことし年金を受けだす方は、平均賃金よりはるかに高い年金を受けるというぐらいのベースになるわけであります。(「それは、かまわない」と呼ぶ者あり)さあ、それがかまうかかまわぬか、いろいろな議論が出てくると思う。そういう水準自体については、いろんな問題がありますけれども、先ほど保険料自体は国庫負担をふやすのだから、そこで三割にはならぬというふうな議論をされましたね。
○八木(一)議員 使用主負担です。
○橋本(龍)委員 使用主負担、国庫負担両方とも言われた。国庫負担もふえているのです。(発言する者あり)いや、国庫負担をふやしているのですよ、野党案そのものが。これはたいへん恐縮ですが、本会議で八木先生の御説明になったものをそのまま読んでみても「本案は、保険料値上げなしに、」そのあとに「国庫負担は、厚生年金の基本部分の二割を三割に、船員保険及び厚生年金第三種の二割五分を三割五分に、国民年金の保険料の五割、すなわち、給付に対する三分の一の国庫負担を保険料と同額、」に上げるとわざわざ言われているのですから、国庫負担は現実にふえているのです。これはちゃんといまの質問のとおりです。私は、八木先生が本会議で読まれた議事録そのもので実は申し上げたのです。 そうしますと、私ははっきり申し上げる。あれほど数字を巧妙に——たいへん失礼ですが、巧妙に、しかもまた将来あるべき姿ということから、こういう部分に触れてまで持ち込んでおられるとは実は考えておりませんでしただけに、むしろ率直に申し上げて、このような財政方式で給付水準の改善ができるのかという疑問を持っておりました。当面賦課方式を採用するということでいけば、なるほど保険料を引き上げないでも給付改善はできる。だからこの際、保険料を引き上げる必要はない。しかし二十年、三十年先まで、いまの時点ではという御議論になるかという気も実はしたのであります。 ただ先ほどの御説明からいくならば、ピーク時の数字、そしてそれから逆算をした数字そのものの基本的な部分については、私の申し上げたことも八木先生の想定された数字も狂いはなかったわけであります。そこに対して国庫負担あるいは使用者側負担といいましょうか、そうしたものについての計算というものは、ずいぶんいろいろな意味での変わりがあったようでありまして、これは私はむしろ後日もう一度、八木先生の数字をちょうだいして、数字計算を私なりにはじき直してみてから申し上げてみたいと思います。八木先生の想定された国民所得の伸び、あるいはGNPの伸び、それから逆算した戻し——私は各党には相談しない。私自身の考え方でありますという注釈をつけられましたけれども、先ほどの十七対一という数字のとり方にしても私は相当な議論の場が必要なような気がいたします。 ただ最後に私は一点だけ、これは勉強のために伺っておきたい。そして先ほど瓦さんが質問をされたことに対し、政府側からあった答弁というものを加味しながらお尋ねをしたいと思うわけです。それはスライド制の問題であります。 今回の政府案というものは、従来なかったところへ新たな物価によるスライド制というものを導入し、同時に賃金や生活水準の向上に伴う年金額の水準の引き上げというものは、従来どおりの財政見直しの時期、いわゆる財政再計算期において行なっていこうという考え方になっているわけでありますけれども、私は今回の年金額の自動的な改定というものを取り入れたという点については、それなりに評価ができるものだと思っております。スライド制を採用したということについては、それなりの評価は、いずれの立場からもなされることであろうと思います。 ただ、この趣旨説明の中を拝見していきましても、特に賃金上昇率と消費者物価上昇率との比較で、賃金スライドのほうが年金受給者の生活保障については非常に有利であるという非常に割り切った御説明のみをしておられるわけであります。これは確かに生活水準の向上を反映するのは、賃金上昇率だという理由だと思います。しかし政府案においても、賃金上昇率あるいは生活水準の向上部分というものを全然ネグレクトしているわけではない。そしてまた先ほどの厚生大臣の答弁によれば、財政再計算期必ずしも規格品のように、たとえば五年ごととかなんとかというつもりはないのである。実態を見て、そこは最大考慮をするという趣旨の答弁がありました。 そういったことを考えていった場合に、単純な賃金スライドを主張された野党案の中に、この面ではいろいろ問題があり、また考えなければならない面があるということを私はここで指摘をし、またそれについてのお考えも伺いたいと思います。たとえば厚生年金とか国民年金の加入者は、これは賃金体系においても所得のあり方においても、まちまちであります。また一本の給与表で律せられているわけじゃない。しかも業種あるいはそれぞれの企業によって景気変動の影響もさまざまです。そしてその状況によっては、賃金上昇率そのものだって実は業種とか企業によって、そのときの景気変動によってさまざまであるというのが現実の社会の実態であります。ところが、このような実態にあるのに、これを平均賃金の上昇率のみでスライドするというのは、これはむしろ実態に合わない部分が相当出てくるのではないか、私はそういう感じがします。 同時にもう一つは、賃金の上昇率そのものはむしろ年齢層によっても相当な違いがあります。これも私が申し上げるまでもなく、先生のよく御承知のことであります。一般的に言うならば、若年労働者の賃金上昇率のほうは高く、高年齢者の上昇率というのは、むしろ低い。これがいいか悪いかは別として、そういう実態が、わが国の給与体系の中にもあります。それにもかかわらず、平均賃金の上昇率のみで一律にスライドするというのは、むしろ同じ高齢者でありながら、現に働いている人の賃金より年金のほうが高い率で引き上げられるという矛盾もここには出てきますね。これは現実問題として出てくる。しかもまた賃金というものの中には、ある意味ではお年を召された方々の生活に比較的かかわりの薄い、いわゆる働くという行為に伴って必要な費用その他も当然含まれているわけであります。 そういうような部分を考えていくと、賃金による自動スライドということは、一見確かに生活水準の向上を反映したようでありながら、実質的には、むしろいろいろな問題を社会に巻き起こしていく可能性というものを多分に秘めているのではないか。むしろ私は、その意味では、年金額の実質的な価値の維持をはかるために物価上昇率というものをとりながら、それによって減価を埋めていく仕組みとしての物価による自動スライド、そして賃金及び生活水準等の向上に対しての部分については財政再建債によって年金水準そのものの引き上げをはかっていこうという政府の考え方のほうが、むしろ私は現実の社会の実態から見て常識的でもありますし、現実的でもあります。むしろ画期的なものであると思うのであります。 この賃金スライドというものを、これは考え方の差でありますから、考え方の差を明瞭にさしておるだけです。その場合に、賃金スライドによる、賃金による自動スライドというものを御決定になるまでの段階で、こうした矛盾点というものについての御検討をされたのか、されなかったのか。されたとすると、こうした矛盾点に対しては、どういうお答えをいただくのか、この点を明らかにさせていただいて——これは、私は議論を始めれば議論がまだずいぶんありますけれども、これは瓦委員の貴重な質問の時間をちょうだいしての関連でありますから、私はこの質問は終わりたい。そうしてまた後日の機会に、数字計算その他を見直した上で、なお質問させていただきたいと思います。
○八木(一)議員 いろいろ御意見を交えて御質問になりましたので、できるだけ短くしますけれども、御意見に対しては私どもの四党の立場の意見を申し上げておかなければならないので、その点は御了解いただきたいと思います。(橋本(龍)委員「検討されたのかどうか、それについての中身を……」と呼ぶ) 先ほどの答弁を申し上げたあとで、答弁について、幾分の批判なり食い違いなりを指摘されながら、次の質問に移られたわけでございますので、その部分をちょっとお答えしておかなければならないと思います。ちょっと不規則発言を私がしましたときに、国庫負担が何とかかんとかとおっしゃいましたのは、あれは長期計算では国庫負担を当然この法案で上げて、それから後昭和八十五年までの間において国庫負担の率を上げる計算はしていないということで申し上げたのです。そういう意味で申し上げた、そういうことをひとつ明らかにしておきたいと思います。(橋本(龍)委員「いまの時点では上げちゃう、そこから先は上げない……」と呼ぶ)そうです。国庫負担率は変わらないけれども、負担額は変わる、ある程度対象はふえますから。(橋本(龍)委員「いずれにしても上がるわけですな」と呼ぶ) その次に、たくさん御質問がありましたので、どうも全部覚え切れない……(橋本(龍)委員「質問は一点しかしておりません。賃金スライドについて検討されたかどうかの中身……」と呼ぶ)
○田川委員長 不規則発言はやめてください。
○八木(一)議員 賃金スライドについての点で橋本委員のほうからは、賃金の上がり方について、たとえばこれはおもに厚年のことを言われておったようですけれども、つとめている業種が違う、規模が違う、規模はおっしゃいませんでしたが、(橋本(龍)委員「いや、規模も言いました」と呼ぶ)規模も違う、それから年齢で違う、年齢で違うのを一括して平均的に賃金スライドでするのはどうかというようなことでございます。 その点については、私、日本のいまの独占資本が異常にすごい力を持っていて、中小企業等を非常に圧迫をしている状態の中で、規模によって非常に賃金の上がり方が違うという点はわかります。それから、そういう状態があることは、残念ながらそういう状態です。それから業種によっても、日の当たる産業とそうでない斜陽産業によって違うということも、そういう実態もあることは知っております。年齢によっても、そういう差があるということを知っております。 そこで、しかし賃金の上がり方の少ない労働者は、この独占資本が実際的な力を持っているいまの世の中で、非常に不幸な立場にあるというふうに私どもは考えているわけです。これは労働運動で直していかなければなりません。またいろいろな産業政策で、日の当たる産業と、そうじゃない産業の格差も直していかなければならないし、大企業と中小企業の格差も直していかなければなりません。それが十分に直っていないので、そのような背景のもとで労働運動が進展をしても、財政能力がないとかなんとかということで、賃金が片方は比較的たくさん上がる、片方はちょっとしか上がらないというような、非常に不合理なことが行なわれているわけです。 その不合理なことが行なわれていることをもとにして、スライドを考えておくことでは不十分ではないか。賃金が全体に上がる率をスライドにかけることによって、年金受給者が、その働いているときに賃金で非常に不幸になった者が、それだけ不幸な人が年金ではカバーされるということになろうかと思う。 それからもう一つ、これは勤労者のことをおっしゃいましたけれども、たとえば農業なり、あるいはほかの商売というような国民年金の方々の問題も、それからその中の特に年金制度の発足がおそかったために、それの均てんする時期を得ないで非常に不幸な目にあっているいまの福祉年金または福祉年金を当然もっと拡大して適用されなければならない人、そういう方々の場合も、いまの経済社会の状態で不幸な目にあっているわけでございます。 そういう人たちの年金が平均的な圧迫をされている国民の中で、まだ力をある程度持っている、結集をしている人たちの運動によって賃金が上がった、この平均的な賃金の上がり方をその年金受給者全部に及ぼすということが当然必要ではないか。私どもは積極的に考えてそれを申し上げているわけであります。そのことを主張しているわけでございます。 そこで、物価のスライドでは、いままでの低い年金水準、低い年金受給者の生活、それが物価のスライドが完全に行なわれた場合でも——物価スライドといっても、政府のほうの物価統計はかってなところの材料を使ってきて低い物価が、物価があまり上がっていないということをしますから、これは非常に不適当ですが、それが完全に行なわれたとしても、いまの低い年金生活者の生活水準が横すべりするだけです。そうではなしに、経済が発展をする、労働者の運動によって労働分配率が当然のところに近づいていく、そういうものが全般に及ぶということこそ、これは年金制度にとって最も必要なことではないかということで、これは質問者の方は厚年でおっしゃいましたけれども、私は厚年だけではなしに、国民年金の被保険者も、あるいは老齢福祉年金の受給者も、すべてについて賃金スライドを実施することが、いままでの政治経済の圧迫のために不幸の目にあった人が、せめて老後の生活について、それを埋め合わせていくということになろうと思う。 その点では、ぜひ賃金スライドを全部に適用しようという考え方に、どうか、非常に聡明な橋本委員も御賛成をいただいて、どうか四野党案に自民党こぞって御賛成になるように、ひとつお願いをいたしておきたいと思うわけであります。
○大原議員 私、一言補足的に、簡単に。私のいまの質疑応答、あとに議事録に残るわけですから、それでこれを読んで、またこの政府案に対する質問も発展させなければいかぬ。 一番の政府案の欠陥は——いいところも今回のはあるのです。それは賃金の過去についての再評価を一応しようという姿勢で見たわけです。それでその賃金の六割を保障するということをうたって制度をつくってみたわけです。これは非常にいいわけです。 しかしこの制度が、いろいろ検討をいたしてみますと、賃金の六割を保障するかに見えるけれども、そのこと自体も問題があるんですが、これからずっとまた離れてくるわけです。これはやはり昭和四十二年に一万円年金をつくり、四十四年に二万円年金をつくったが、実際には四十四年の二万円は一万四、五千円の給付なんですね。これもう四、五年たったら、だめになっているのですね。そういうやはり構造が、メカニズムがここにあるというのが政府案の根本的な欠陥です。 それから、わがほうの四党案が、やはり賃金にスライドするというのは、貨幣価値が下落する、これは政府のインフレ政策ですから、年金制度では当然のことですね。で、生活水準をやはり分配していくのが、労働者だけでなしに身体障害者、遺族に対する保障をするということは、これは国際的な先進国の常識なんです。ただし、わが方の四党案によりましても、やはり実施の時期がおくれるのですから、一年間に二割近いベースアップがあるから、おくれますと、現在の賃金水準よりもアップ率は二割近くやはりおくれていくわけです。これでもやはりこういう問題があるわけです。 それであるのに、物価が五・七%四十七年度は上昇しております。賃金は春闘その他で大体一五%上昇しております。五・七%の物価の自動スライドと一五%の賃金スライドというのは、生活水準に年金をスライドさしていくという考え方からいいますと、今朝来の政府のほうの答弁からいたしましても、政府の考え方は非常に欠陥がある。やはり矛盾はいままでと同じようなメカニズムだということであります。国際的な水準から考えてみましても、高度成長の結果を分配するという公平の原則からいいましても、そういうことであります。 それから給与水準の問題でちょっと補足したい点は、われわれの案は最低保障を設けておる。そのかわり上はかなり制限しておるという、上と下を制限してある。政府案でしたならば、比例報酬の分がずっと広がっていくような仕組みになっておりますから、そこが違うのですから、そういう点は社会保障として、やはり給付の水準を考えていかなければならぬということです。 それから保険料の法人負担の問題について何か議論があるというふうに思いますが、お二人の御質問の中で。しかし、日本の法人税は三六・七五%で国際的に非常に低いわけです。それから社会保険料は、使用主の負担は目的税だというふうに政府もいっているわけです。大蔵省はいっているわけです。ですから、法人の課税と社会保険における使用者の負担分を合計いたしまして、法人の負担の公平をはかっていくということが国民の立場からはいいことなんです。ですから、保険料の負担はフィフティー・フィフティーというような、そんなことはないわけです。だから、この財源の問題についても、その問題は十分に考える必要があるのではないかということが一つ。税金からいうと、所得税と間接税とで大衆収奪しているわけですから。 そこでもう一つ最後に、八木委員のお話の中で、私が一つだけ問題を提起しておきたいのは、政府側の長期計算の議論の問題です。つまり八木委員のほうからは、四党案の昭和八十五年をピークとする説明があったわけですが、昭和八十五年には、政府案の計算によると年度末の積み立て金が四百十一兆円になるわけです。その利子が二十四兆円なんです。そのときの国庫負担が二十四兆円であって、保険料が九十八兆円になるわけです。そこで政府案は、若干是正をするというようなことを見ましても、かなり低い給付水準の財源があるわけです。 そこで積み立て方式と賦課方式の違うところはどこかといえば、ピーク時における財源を一年間の保険料で見ると、これは分けて、国庫負担は二十四兆円と見て、ばく大な積み立て金の利子でこれは三つを見ていく、こういうことなんです。わが方の案は、八木委員も御説明になりましたように、その利子分に相当するものは積み立て金でなしに半年間の準備金ですから——しかし半年間の準備金にいたしましても、昭和八十五年になりましたら何兆円ということになるわけでありますから、七兆円ぐらいの利子になります。ウエートが非常に低いわけです。つまりピーク時における、私どもの修正賦課方式を使って切りかえますと、それを切りかえていく際に、一年間の給付財源は保険料と国庫負担と、利子はほとんどウエートがないということであります。準備金に対する利子しかないということでございます。これは六・二%ですね。 ですから、いまのばく大なインフレとか老齢人口の増加率が高いといったって、西ドイツやイギリスもそこに達するまで五十年間です。わが方は四十年間ですからプランスなんかは非常に特殊な人口問題があって百年間かかっておるわけですが、だからほとんど差がないわけです。そういうことですから、ましてやあのピーク時に、人口がこういうことになるということでは予測できない材料があるわけです。未来学者の中には、三十年後には健康な人口が日本の総人口の半分になるだろうというような予測もあるわけです。ですから、非常に長期のことを見通しておいて、積み立て金にウエートを置いて、利子にウエートを置いた財源を考えておくということは、これは目的と手段を混同するという八木委員の提案理由であります。積み立て方式で収奪する。一般財源のかわりに使う。利子に依存するという考え方です。インフレの時代に外国では賦課方式に切りかえたわけです。四党は修正賦課方式になる。だから非常に激変期には、私どもは一年間単位の計算ではなくて三年間の計算で、ばく大な半年間の準備金で費用をずっと見通してやろうということになります。低負担で高福祉ということになるわけです。政府の案では高負担でそういう積み立て金はずっと想定いたしますから、高負担で低福祉ということになるわけです。 問題点はそこにあるわけですから、そういう点を中心に、もう少しやっぱり議論を一つずつしていけば国民的なコンセンサスを得られるし、日本が近代的な年金を持つということは、私は、できる。これは八木委員のお話のとおりで、こういうようなことでございますから、野党案が現実的でないとかなんとかということでなくて、部分的なことで言わないで、ひとつ積極的にこの問題を考えていただいて討論をしてもらいたいということを、政府案と対比をしてということで橋本委員もお話しになりましたから、政府案と対比をしながら私どもの案も対比して考えてみると、問題点はそういうところにある。私どもの案もそういう国際的な水準で年金を早急に確立していこうという考え方であるという点を、御了解をいただきたいということをお願いをいたしまして、私の補足といたします。
○橋本(龍)委員 私これでやめるつもりだったんですが、補足説明をされましたので、私も逆に、いまの質疑の中から明らかになった点を率直に申し上げておきたい。 確かに、いま八木先生、大原先生の話されたような想定をもとにすれば成り立つということは、私も確かに理解はいたしました。ただし、あくまでもその意味では現実の社会機構あるいは労働運動の進展、そうしたものを相当程度に見込まれて、いわば仮定のバラ色の世界を描かれた上に初めて成り立つものであるということも、われわれとしては明らかになったわけです。 現実の社会の中からいま私たちはこの法律、年金というものを考えていく場合に、やはりその矛盾は矛盾として、是正にはつとめながらも、現実の社会機構というものを離れての解決ということはできません。そうなれば、私は先ほど八木委員がはしなくも最後に答弁の中で言われましたように、現実の社会機構の中で、業種による、あるいはそれぞれの企業による、あるいは景気変動の波を受けやすい産業による、あるいは大企業における、中小企業におけるさまざまな矛盾というものを踏まえて私どもは年金の議論はしていかなければならぬ。そうなれば、いま四党案の御説明の中で、むしろ私は、問題を非常に明らかにしていただいた点は、これはありがたいと思うのですが、そうした矛盾点を一応解消できた時点において成り立ち得る案ということを、私には最後の御答弁で非常に明らかにしていただいた、この点を感謝して、なお私どももお互いに論議を尽くしていきたいということも申し上げて、瓦委員にお返しいたします。
○八木(一)議員 ちょっと簡単に……。 いま野党四党案について積極的な御質問をされたことについては敬意を表します。 私どもは、いま橋本さんが大原さんや私が説明しましたことを想定と言われましたが、その想定の立場だったら、この案は十分に成り立つというふうに言われたわけです。私どもはこの想定はまじめに熱心にいたしました。確信を持っておりますので、この案は成り立つというお考えのもとに、そしていまの御質問は、財政的な心配とか、あるいはいささかでも国民的合意が得られるかという点について心配しておられましたけれども、もっと積極的に、全国民に生活を保障するに足る年金を即時つくる。しかも保険料を値上げしないで、いまの苦しい状態に拍車をかけないで、即時に年金をつくるというこの積極面をさらに御評価いただき、ぜひ御賛成をいただいて法律として成り立つようにお願いをいたしたい。
○橋本(龍)委員 私は、いつも野党の皆さんが簡潔にと言われるので、言われるとおり簡潔に質問をしてきました。ですから、もう御答弁は要りません。ただ、私がいま最後に申しましたことの一部分をつかまえて八木先生から補足されましたから、私もその点、補足しておきたいと思います。 私は、先ほど八木先生が言われたような現実の社会の矛盾点が解決された時点においては成り立つ案だということは、私も理解できるということを申し上げた。同時にそれは裏を返せば、先ほど八木先生自身がはしなくも言われたような社会機構の中の種々の問題点、あるいは労働運動の進展ということばで八木先生があらわされた、そうした想定部分が解決されなければ成り立たないものであるということも実は私は申し上げているわけでありまして、ですから、先ほどの数字の点から、これ以上議論は続けられませんし、すでに瓦君の時間を私はずいぶんちょうだいしてしまいましたので、論議そのものはもう後日に譲らしていただきますけれども、私の感想はそういうことであります。
○田川委員長 ちょっと速記をやめておいてください。 〔速記中止〕
○田川委員長 速記を始めて。 瓦力君。
○瓦委員 ただいま、いろいろやりとりがありました財政計画につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。 賦課方式か積み立て方式かという議論がただいまも盛んになされましたが、長期的な制度である年金制度における財政計画としては、世代間に負担の不公平を招いたり、年金制度の発展の過程で急激な負担増をもたらすことのないようにすることが必要である、私はかように考えます。加入者数及び受給者数がほぼ恒常的になる制度の成熟期を見通しながら、なだらかな負担の増加ということを十分配慮しながら、国民的合意のもとに無理のない財政計画を立てていただくことが、制度の健全な発展をはかる上において最も実際的であり、また望むところでもあります。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 そのような意味におきまして、年金の財政方式について、ただいま与党案から賦課方式の問題、いろいろございましたが、今後賦課方式に移行すべきであるという議論もありますが、どのように受けとめておられますか、お伺いをしたいと思います。
○横田政府委員 年金制度の財政計画につきましては、申し上げるまでもないことでございますが、まず第一は、長期的な視野に立った財政運営が可能であるような計画でなければならないということでございます。そういう点から考えますと、現在の人口の老齢化、また、それに伴いましての年金受給者の数並びに比率を考えますと、現時点においては、相当急激なスピードで人口の老齢化を背景とする年金受給者の急増が予想されますので、そういった状態が経常化するまでの間は、財政方式の変更を軽々にすべきではないということが第一点でございます。 それから第二番目には、受給者と被保険者との関係が経常化いたしました以降におきましては、まあどちらかと申しますと、どのような考え方をとりましてもあまり差はないということもいわれ得ることでございますけれども、それに至りますまでの間の保険料負担の増加のしかたというものをできるだけ世代間、もっと端的に申しますと年度間等におきまして、あまりでこぼこのないようにしなければならない。 これは非常にざっくばらんな言い方を申しますと、たとえば今回御提案申し上げております改正案では、保険料につきまして千分の十五の引き上げをお願いいたしております。それで給付内容につきましては、再々御説明申し上げておりますように二倍から二倍半、平均的には二・二倍くらいの給付内容の改善をお願いいたしておるわけでございますが、そのように大幅な給付内容の改善をいたします際でも、保険料率の引き上げというものについては相当いろいろな御議論がございます。それを現段階で賦課方式に切りかえておきますと、ある時点におきまして、何らの給付改善を伴うことなしに保険料だけを急激に引き上げることがどうしても必要になるということが起こってまいります。そういった場合は、実際的にそのような保険料の引き上げというものは、なかなか困難ではないだろうかということもあわせて申し上げておきたいと思います。 それから今回の財政計算につきまして、私どもが従来と異なって特に意を用いました点は、先ほど来申し上げておりますように、動かない年金から動く年金に年金制度の構造改革をいたしたわけでございます。従って従来の保険料率の仕組みそれ自体は動かない年金を前提といたしまして保険料率を算出いたしておったわけでございますが、これから先の保険料率につきましては、スライド制を軸といたしまして動く年金ということになりますので、したがって将来推計につきましても、こういった点を前提といたしましての、いわゆる動態計算というものを十分にいたしまして、その面から見ての適正な保険料率はどれぐらいなものであるかというふうな計算もいたしておる。簡単に申しますと、そのようなことでございます。
○瓦委員 次に、積み立て金の管理運用の問題についてであります。 積み立て金は事業主及び加入者が拠出した保険料の集積でありますから、これを加入者の福祉に役立つような形で運用することが望ましいことはもとよりでありますが、同時に積み立て金は将来の年金給付の原資となるものでありますから、できるだけ有利な運用をはかる必要があることは申すまでもありません。 今回、還元融資のワクを従来の四分の一から三分の一に拡大されたことや、個人に対する住宅資金の貸し付け制度を設けることとされたのは、福祉運用を充実する上で大きく前進したものであると考えるのでありますが、有利運用という面では、昨年九月に積み立て金の預託金利が六分五厘から六分二厘に引き下げられたままであります。当時の金融情勢のもとでは、やむを得ない措置であったとは思いますが、ことしに入り、再び郵便貯金などの金利が引き上げられております。そこで、年金積み立て金の預託金利について、どのような見通しを持っておられるか、お尋ねをしたいと思います。
○福島説明員 お答え申し上げます。 資金運用部資金は、年金積み立て金を含めまして郵便貯金等を統合管理するわけでございますが、その際の預託金利につきましては、ただいま御指摘のように、昨年の金利の実勢に応じまして九月の新規預託の分から、七年ものにつきまして法律上の本則六%、それから附則によります特利〇・五%、合わせまして六・五%としておりましたものを〇・三%引き下げまして六・二%にしたわけであります。同時に、運用部の貸し出し金利もこれに合わせて六・二%に引き下げたという措置をとったわけでありますが、その後、御案内のような経済、金融情勢の変化に伴いまして、去る四月二十三日から郵便貯金の金利も昨年八月の引き下げ前の水準に戻したというようなこともございますし、まあ公定歩合の引き上げその他一般市中金利も引き上げられたというような状況にございますので、運用部の新規預託金利につきましても、これは貸し出し金利も同列でございますが、近く資金運用審議会に付議いたしまして、御了承が得られるならば六・五%に再び旧に復したいという方向で現在検討中でございます。
○瓦委員 次に、福祉年金についてお尋ねしたいと思います。 福祉年金の受給者数は四百万人をこえており、わが国の年金受給者の大宗を占めております。この意味におきまして、現在の老人に対する施策という観点から最も急がれるのは、経過的、補完的年金といわれる福祉年金の充実であり、その位置づけであります。福祉年金の今後の改善の目標とあわせてお伺いをいたしたいと思います。
○齋藤国務大臣 御指摘のとおり、無拠出の福祉年金の充実をはかることは、きわめて緊要な問題でございますので、昭和四十八年度におきましては、三千三百円から五千円に引き上げることにいたしました。しかも昭和四十九年度におきましては七千五百円、五十年度においては一万円、夫婦二万円年金、そういうふうな実現を目途として努力をしようというふうに考えておる次第でございます。
○瓦委員 次に、いわゆる年金の谷間の問題についてお尋ねをいたします。 いわゆる年金の谷間といわゆる年齢層について、どのような措置をするつもりであるか。ことに、先般大臣は、多賀谷委員の質問に、委員会の中で解決してほしいという趣旨の発言がありました。さらに、先般も新聞によりますと、月四千円ということも出ておりますが、大臣、このあたりの御事情についてお聞きをいたしたいと思います。
○齋藤国務大臣 これは、私が申し上げるまでもなく、すでに御承知のとおり、国民年金法が制定になりました当時、年金法の適用からはずされておりました方々で、まだ七十歳未満の方があるわけでございます。すなわち、六十七歳、六十八歳、六十九歳、この方は七十歳になれば、まさしく福祉年金をいただけるわけでございますが、それまでお待ちいただきたいということを申し上げることはできない状況に置かれるわけでございます。そういうふうな状況のもとに、先般予算委員会においていろいろな質疑がございました。これに対しましては、総理も、非常にあたたかいお気持ちをもって、この谷間の問題の解決に当たりたいということを明言されてまいりました。(小林(進)委員「おれの質問に対してだろう」と呼ぶ)小林委員の予算委員会における問題の際に、総理が明らかにそう答弁をいたしたわけでございます。私も、総理の指示を受けまして、六十七歳、六十八歳、六十九歳、この谷間の方々に何らかの形における年金を差し上げるという案を検討いたしておるわけでございます。 しかし、この問題につきましては、政府としては、最終的な結論をまだ得ておりませんが、幸いに年金法が審議中の当委員会において、皆さま方の御意見も十分お聞かせいただいて、その中で解決をはかることが一番適当であろう、こういうふうに考えておる次第でございまして、先般も多賀谷さんの御質問にお答えいたしましたが、当委員会において十分話し合いの上でこの問題の解決をはかっていただきたいということを申し上げた次第でございます。 なお、それに関連いたしまして、先般、新聞にちょっと、四千円程度とありまして、政府・自民党、決定したとか、腹をきめたとかいう記事を見ておりますが、その記事の表題にありますように「程度」ということでございますから、これは推測記事だと申し上げることはできると思うのでございます。決定というなら、はっきりした金額が出るはずでございます。したがって、程度というのでございますから、この記事はいわゆる推定の段階である。したがって、私どもは、もっとこの法案の御審議をいただきまして、この問題は必ず解決する。基本方針はきまっておるわけです。小林委員の非常に御熱心な御質問に総理みずからがはっきりと答えておる問題でございますから、(「公約だ」と呼ぶ者あり)もう公約の公約でございますから、十分お話し合いをいたしまして、この問題を解決し、国民すべて国民年金体制の中に入り得る、こういうふうにいたしたいと考えておる次第でございます。
○瓦委員 大臣の姿勢は前向きでございますので、これをぜひ見守りながら、ひとつ一刻も早い時期に御老人に喜んでいただきたい、かように思うわけであります。 さて、以上のとおり、今回政府が提案されました年金の改正案を中心にして、わが国の年金問題の各般にわたって質問していただきました。 私も、この連休を利用いたしまして、石川県老人大会に出席いたしました。また老人施設をたずねてみました。老人大会では、非常に元気でかくしゃくとした方々の大会を拝見したわけであります。老齢福祉年金の諸制限の撤廃、老人クラブ助成金の増額、そうしてまた、お金ばかりではない、就労、生きがいを与えてほしいんだというような数々の要望も承ってまいりました。 白髪、年輪を刻んだ表情の中にまだまだ社会のために尽くそうとする気魄、こういった情熱を拝見いたしまして、われわれの先輩であり、先達のこの御老人から生きがいを奪ってはいかぬということをつくづく感じたわけであります。一方、寝たきり老人から手を合わされまして、聞き取れないことばの中に社会保障の必要性を痛感いたしてまいりました。これは、国政に携わる者の使命といたしまして、何とかしてあげなければならない問題であります。 また、御老人のお世話をなさる看護婦の方々は、三人がかりでこういった寝たきり老人をおふろに入れる仕事をしておられます。世相が変わりまして、御老人の入院のために百度足を運んだ家族の方は、その後一度もたずねてこない。ささやかな老齢福祉年金、本来だれにも遠慮の要らない、はずの給付金が、実を言って老人方に手渡されていないというケースもあるわけであります。意識の変化といいますか、親子のコンタクトが全くないということにも出くわしまして、断絶ということばを痛いほど知ったわけであります。国会の審議が十分尽くされて、一日も早く本法案が施行されなければならない、年金制度が名実ともに成熟期を迎えるために努力がなされなければならないと感じた次第でございます。 申し上げるまでもなく、年金は老後保障のための重要な施策でありますが、年金制度は、国民の相互連帯の精神に基づいて成り立っているものであります。この意味では、年金制度に対する国民の十分な理解と協力こそが年金制度をささえる基盤であると申しても過言でない、かように考えます。特に急激な人口の老齢化を控え、年金制度がますますその重要性を加えようとしているわが国において、年金制度の発展をはかるためには、国民の年金制度に対する理解を深め、協力を求めることがぜひとも必要でないか、かように考えます。年金教育というようなことも政府として、この際十分お考えをいただきまして、理解の少ない若年層にも大いにPRを怠らないように御努力を賜わりたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○伊東委員長代理 田口一男君。
○田口委員 まず初めに大臣に、年金の入り口問題ですね、そこで二、三ひとつお答えをいただきたいのですが、実は年金の問題が何回かいわれておりますように、昨年の選挙以来、各政党がこぞって年金の充実を取り上げました。これは御承知のところだと思う。 そういうこともありまして、まあ私ごとで恐縮なんですが、他の同僚議員の方もたぶんそうだろうと思いますけれども、金帰火来、地元に帰ったたびに、こういう年金の問題について、それぞれいろいろの話し合いの機会を多く持たれておると思います。そこで、いろいろと話をしておる際に返ってくることば、質問、意見、まとめますと、異口同音にむずかしいということですね。この五万円年金になるとかどうとかということは、ともかく中身は別として、年金の仕組みについて、たいへん複雑怪奇じゃないかという意見が多いわけです。集まってくるそれぞれの方々の層が違いますから、全部が全部とは言いませんけれども、大体厚生年金を中心にしていうと、どうも仕組みが入り組んでおる、むずかしい。もっとわかりやすくならぬかというのが実は率直な意見だと思う。 これは、御存じのように、社会保険関係、労働保険関係をずっと見ても、たとえば、きのうも議論になりました、またこの国会で重要法案の一つである健保の問題を取り上げましても、保険制度になじまないといわれておる医療の問題ですら、医療保険ということになると、ある意味では単純明快な、ことし医療費がこれだけかかった、それに対する保険料はこれだけ要る、だから不足分については、いい悪いは別ですよ、一つの話として、保険料を上げてもらいたいという言い方がすぐ出てくる。いや、保険料を上げるのはだめだから国庫で負担すべきではないかという、単純明快に財政の中身がわかるわけです。また、失業保険につきましても、業務上で病気になって死んだりした場合には何日分の賃金が補償されるとか、休業の場合には何日分の補償があると、労働者にとってはあってはならぬことですけれども、そういう不幸な場合に幾らもらえるかという期待が、そろばんがはじけるわけです。 ところが、事厚生年金、これは保険という名前がついておるのですが、厚生年金に限っては、実はその辺の期待感というものは持てない。同じ年金の仕組みを見ましても、地方職員共済組合なり国家公務員の共済年金、それから公共企業体、これらの中身は相当複雑に書いてはあるのですが、大体標準的な場合には二十年つとめて四割もらえるとか、その基礎は退職前の三年間の平均であるとか、これは労働者としてすぐにそろばん勘定ができるわけです。ところが厚生年金については、全くそれのそろばんがはじけない。先ほどの御質問の中にも、年金局長が答えておりましたように、従来所得の六〇%云々ということが今度明らかにされておるようでありますけれども、法律の条文の中にはそれが出てこないわけです。 したがって、私は、入り口論議と言ったことは、通算年金だとかいろいろなむずかしい問題があると思うのですが、少なくとも標準的に考えて、二十年なり二十五年たった場合には幾らもらえるのか、物価の変動がそれにどうあろうとも、そのときの賃金に対してどれだけもらえるのだというようなことが厚生年金についてうたい込めないものか、特に年金に対する関心が深まっておる今日だけに、それをこの際はっきりすることが、将来にわたって国民の不安また期待にこたえるということになるのじゃないかと思うのです。 そういう点、いますぐはむずかしいとは思うのですが、いまの法体系からいって、少なくとも法律の中に従来所得の何%、ILO条約でいわれておるようなことがずばり明記できるようなことが考えられないか、そういう点についての大臣の御見解をまずお伺いをしたいと思うのです。
○齋藤国務大臣 年金制度につきましては、国民年金のほうはわりあい、二十五年で夫婦で五万円、それから十年年金は夫婦で二万五千円とか、これはわかりいいと思うのです。問題は厚生年金だと思うのですが、おっしゃるとおり確かにわかりにくい点があることは、私も認めます。 御承知のように厚生年金は定額部分、報酬比例部分と複雑に入り組んで制度ができておりますために、多少おわかりにくい点のあることは、私も率直に認めるわけでございます。 ですから、私どもはいつもPRに使っておりますことは、平均標準報酬八万四千円の方は二十七年で五万円になる、こういう説明をし、それからILO条約との関係で、厚生年金は標準報酬制度でございますから、従前の報酬と違うのだということになるのだということを申し上げますときには、その五万円という金額は従前の俸給の大体四五%程度になります、こういうふうに言うておるわけでございますけれども、そうPRいたしましても、なかなかわかりにくい点は私はあると思います。その点は私も率直に認めます。 したがって、いますぐというわけにはまいりませんでしょうが、もうちょっとわかりやすい仕組みにできないか、これはやはり私は将来の課題だと思うのです。将来の研究の課題だと思います。いますぐというわけにはとてもできませんし、いまの大体の計算の方式というものは、だいぶ昔から実は定着しておる仕組みでございますので、いますぐというわけにはまいりませんが、将来の研究課題であるということは、私は率直に申し上げることができると思います。でございますから、社会保険事務所などにおいては、できるだけわかりやすいような指導、PRをするようにということを、役所のほうにも指導しておるわけでございまして、今後とも一そうわかりやすいように指導をいたしたいと考えておる次第でございます。
○田口委員 私の言ったことは、いますぐということを——確かに厚生年金保険法のよって来たった沿革を考えれば、なかなかむずかしいと私も理解できます。しかし将来の課題というのじゃなくて、これほど年金に国民の関心が高まってきておる今日、もっと早く簡単にすべきじゃないか、こういう皮肉な意見もあるのですが、 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 私はそのまま受け売りをいたしますけれども、複雑になっておる現行法体系を、いま言った共済年金なり他の労働保険、社会保険を簡単にした場合に、年金局長を前にして失礼な言い方ですが、年金関係の職員は半分要らぬのじゃないか、要らなくなってしまうのじゃないか、そういう皮肉な言い方もいたしますし、それから、これは私も誤解はつとめて解くように説明をしてきたのですが、いま大臣の言われた従前所得の六割云々という問題ですね、これは前回多賀谷先生の御質問の中でも、そういう点は大臣のほうから説明がありましたから、私はここでは答弁は要りませんけれども、従前所得の四割なり六割ということをあまり強調すると、いま厚生年金の対象者、大中小、いろいろ企業の別はありますけれども、一たん五十五歳定年でやめて、それから六十まで働く、当然に賃金が下がるわけですね。下がった賃金が従前所得だというふうな理解のしかたが往々にしてされるわけです。 だから、大企業でやめたときには十万円もらっておった。その六割ならば、かりに四割、六割としましても、四万円から六万円はもらえるけれども、一たん定年退職して、中小企業に入って、そこでは四万円しかもらえない。それの六割なら二万四千円だ、こういうふうな不安というものが、実はいろいろな説明の中から、それに直接該当する比較的中高年齢者の間にあるわけですね。そういったことから、厚生年金保険法というものはもっと簡単にならぬかという意見もあるのだということをまず御理解をいただきたいと思います。これに対するお答えは要りません。 そこで、いま私は、もっと簡単にすれば年金担当の公務員の数が減るのじゃないかというふうな皮肉な意見もあったということも申し上げたのですが、もっというならば、これは皮肉じゃなしに、私はずばりそのとおりだと思うのですが、なぜ複雑にしておるかという、もう一つの側面は、年金掛け金の積み立て金というものが膨大だ。さっきもお答えがありましたように、四十八年度末には、厚生年金、国民年金合わせて九兆五千億余になるわけですから、そういった金の使い道についてベールをかぶせるために、いまの保険がより複雑になっておるのじゃないかという辛らつな意見も国民の間にあるわけです。 そういうことに関連をして、ごく基本的な、基礎的なことで、きょう大蔵省理財局から資金課長が見えておったら、ひとつわかりやすく言っていただきたいのですが、国会でも問題になった財政投融資資金の原資の中身というものは、運用部資金が全部じゃありませんけれども、運用部資金というものが五割、六割程度占めておる。ほかのものもありますよ。それは一応抜いて、その運用部資金の中に郵便貯金であるとか簡易生命保険であるとか、さらに問題にしておる厚生年金、国民年金の積み立て金というものが入っておる。こういうものが財政投融資資金の原資の大ざっぱなワク組みですね。そういうことになるのでしょう。 そうなった場合に、時間がありませんから、こまかい数字は必要ではありませんけれども、財政投融資じゃありませんよ、運用部資金に、特に厚生年金、国民年金というものが——毎年毎年あればけっこうなんですが、昭和四十七年度末、それから十年前、この二つだけの使途別といいますか、そういうものをちょっとここで簡単に説明を願いたいし、それから運用部資金の、厚生年金、国民年金に限っての、四十七年度末累計額、それをまずお答えをいただきたいと思います。
○福島説明員 ちょっと十年前の数字はいま手元にございませんので、至急調べさせますが、四十七年度の年金資金、これは厚生年金と国民年金、それに船員保険と国家公務員共済からの預託金、この四者を集めたものを年金資金として分類しておりまして、それにつきまして使途別分類をつくるということが法律上きめられております。そのいわゆる四つの年金を合わせた総額は四十七年度におきまして一兆四千八百九十四億円。 そのうちの使途別分類を申し上げますと、住宅に三千三百八十二億円、全体の二二・七%、生活環境整備に三千五百八十八億円、二四・一%、厚生福祉施設に千四百二億円、九・四%、文教施設に二百十三億円、一・四%、中小企業に二千三百五億円、一五・五%、農林漁業に千十一億円、六・八%。以上、比較的国民の生活福祉に関連の高いと思われる六つの項目を合計いたしましたものが一兆一千九百一億円、構成比で七九・九%というふうに相なっております。 さらに国土保全・災害復旧に二百六十四億円、構成比一・八%、道路に七百七十七億円、五・二%、運輸通信に千五百四億円、一〇・一%、地域開発に四百四十八億円、三・〇%。あとで申し上げました四項目合わせまして二千九百九十三億円で、構成比が二〇・一%、合計しまして一兆四千八百九十四億円、一〇〇%、こういう形になっております。 それから十年前でございますが、ちょっと三十七年度の数字はございませんが、三十六年度で申し上げさせていただきますと、当時の年金資金等の新規預託総額は千四百四十億円でございまして、先ほど申し上げた分類に従って申し上げますと、住宅が二百十三億円、構成比で一四・八%、生活環境整備が百八十五億円、一二・八%、厚生福祉施設が二百二十二億円、一五・四%、文教が四十四億円、三・一%、中小企業が二百四十八億円、一七・二%、農林漁業が百五十九億円、一一・〇%、以上六つの項目を合計しました金額が千七十一億円、構成比で七四・三%。 それから国土保全及び災害復旧が七十二億円、五・〇%、道路が七十億円、四・九%、運輸通信が百三十七億円、九・五%、地域開発が九十億円、六・三%、以上四項目合計が三百六十九億円、構成比で二五・七%というふうに相なっております。それから四十七年度末の、これは厚生年金と国民年金の預託の残高でございますが、これはいずれも年金勘定でございます。業務勘定は多少の余裕金もございますから、いわゆる年金積み立て金年金勘定で申し上げますと、四十七年度末におきまして、厚生年金が六兆五千七百八十八億円、国民年金が一兆一千百九十二億円、両方合わせまして七兆六千九百八十億円でございます。 なお、資金運用部の全体で申し上げますと、これはバランスシートでございますが、資金運用部資金全体は四十八年三月末現在におきまして二十二兆八千百六十四億円という数字になっております。で、厚生年金と国民年金の先ほど申し上げました数字で構成比を申し上げますと、両者合わせまして三三・七六%、大体全体の資金運用部資金の三分の一が、厚生年金と国民年金の預託金であるというふうにお考えいただいて、けっこうかと思います。
○田口委員 この運用部資金に回った年金積み立て金が、さらに財投原資となって、それがどういう結果になっておるかということについては、私はここであえて議論をしようと思いません。もういままで何回かやられておるのですから、あえて議論をしようとは思いませんけれども、先ほど瓦委員の御質問もあったのですが、運用部資金の金利について、いまのお答えでは六・二%と聞いたのですが、いまの住宅、生活環境、それから文教とか中小企業いろいろありますね、そのほか財投の使途別区分を見ると、基幹産業であるとか海外協力であるとか、いろいろあるのですが、この場合にどうなんですか、入ってくる金は色分けできぬわけですけれども、出す金は基幹産業であるとか中小企業であるとか、いろいろとある。 その場合に一律に六・二%という貸し出し金利になっておるのか、もっと平たい言い方をすれば、大企業中心の基幹産業に対しては八%とか九%、そのかわり中小企業に対しては四%というふうなことで、平均をすれば六・二%というふうな金利水準になるという仕組みになっておるわけですか、その点簡単に……。
○福島説明員 運用部からの貸し出金利と、それからいま御指摘がありましたように、たとえば融資機関、開発銀行でございますとか輸出入銀行でございますとか、あるいは国民金融公庫、中小企業金融公庫、そういったいわば財投対象機関が末端需要者に貸し出すものについては別でございます。 いま先生御指摘の六・二でございますが、これは現在は六・二で預託を受けまして、運用部のいわゆる貸し付けはほとんど大部分が六・二でございます。ごく例外的に六・七%というのがございます。 ただ、そのほかにこれは運用の形態でございますが、たとえば高速道路等に貸し付けますものは、これは貸し付けではなくて、道路債券の引き受けという形をとっておるわけでございます。この道路債券は、いわゆる政府保証債の金利でもって引き受けます。したがいまして、実質的には六・二%を上回って、たしか現在六・七%程度の利回りになっております。そういうことになっております。 しかし俗に申しますと、債券の引き受けではなくて、いわゆる証書貸し付けと申しますか、いわゆる貸借という形になりますが、原則的に六・二%、そういう点におきましては、いまの御指摘のような大企業向けのもの、よく例に引かれます開発銀行に対して、たとえば八%で貸し、中小企業公庫に対して低く貸すということはやっておりませんで、わが方は貸し付けは全部六・二、開発銀行であれ、中小企業公庫であれ六・二、ただ開発銀行が末端に貸し出すものについては相対的に——中小企業公庫あるいは農林公庫といったような低生産性部門のところは金利を低くしている、あるいは特利というようなものを設けておりますし、開発銀行などの場合は金利を相対的に高くしている。その結果、開発銀行等におきましては年々歳々利益の剰余が出まして、それが国庫納付となって産業投資特別会計に出てくる。これが、この間法案を御審議、成立になったのですが、例のガリオア、エロアの債務償還、余剰農産物の債務償還というものの原資に実は充てられておるわけでございます。 これは先般の法律の成立におきまして繰り上げ償還いたしましたけれども、なお借り入れ金が残りますので、そういう借り入れ金の償却分といいますか、返済に今後数年間充てられるという形になっておりまして、各機関それぞれ仕事の態様もさまざまでございまして、私どもから融資しますのは、くどいようですが、貸し付けは原則六・二、ごくわずかな例外で六・七というものもございます。債券引き受けというのは、そのときの債券利回りということでやっております。 各財投機関がそれぞれ投資ないし運用する際は、またそれぞれの機関個別に中身に応じて、その金利でやっておるという状況でございます。
○田口委員 ここで金利の問題を長々とやるつもりはないのですが、財投資金、それから運用部資金なんか国家資金を操作する場合に、政策金利ということがあるはずですから、この辺もむずかしいとは思うのですが、大体地方債なんかで縁故債、それから公募債をやった場合でも七・一から七・二くらいですね。そういうことから考えると、これは単にわれわれがかけておる年金の資金運用だという狭い範囲で考えた場合に、なるべく高利回りで年金財政を安定させるというのは、これはしろうと考えでも当然だろうと思うのであります。先ほどの御答弁では六・五%に持っていくように努力するようなお話もあったんですが、この運用部資金に年金積み立て金を回す場合の金利、このあたりはやっぱりおたくのほうの政策金利ということで押えるという傾向があるんですか。
○福島説明員 御質問でございますが、実は資金運用部資金の預け入れの際の金利、預託金利といっておりますが、預け入れの際の金利は、いろいろ沿革があったわけでございますが、原則的に申し上げまして、戦後ずっと六%ということで実は預かってきたわけです。これは七年もの以上ということでございますが、実は、くどいようですが、資金運用部資金は預け入れる期間によって金利が違っております。実際問題として先ほど申し上げました二十二兆円の九五%程度は七年ものでございますから、いわば一番高い六%の金利がついている、原則六%の金利のものですが、それにつきまして昭和三十六年度の国民年金の制度ができた際の議論等を踏まえて、できるだけ有利運用をはかるという趣旨で、法律の附則で、年々歳々と申しますか、各年度大蔵大臣が資金運用審議会に諮問いたしまして、そうして特利をつけることができる、実はこういう条項が入れられまして、それに基づきまして昭和三十六年度以降六・五%という特利を一貫してつけてまいったわけでございます。 ところが先ほどちょっとお話が出ましたように、一昨年から昨年にかけましての、いわばわが国は金融史上空前ともいうような超緩慢、超低金利時代が到来いたしまして、それを受けまして十年ぶりに郵便貯金の金利も引き下げられるというような措置も講ぜられたわけでございますが、その際に、その預貯金金利の引き下げの効果を広く国民各層に均てんさせるようにという趣旨も踏まえまして、資金運用部資金の預託金利も六・二に下げ、また貸し出し金利も六・二に下げるということもやったわけであります。 それは昨年の九月からでございますが、現在まだ預け入れ金利も貸し出し金利もいま申し上げましたように六・二でやっておる、こういうふうになっておるわけですが、先ほども申し上げましたように、最近いろいろ金融引き締めといったような措置もとられますし、郵便貯金の金利も、昨年の引き下げは八月一日からでございますが、八月前の姿に戻るというような措置もすでに講ぜられましたので、こういった事態を踏まえまして新規預託分について、いまわれわれが考えておりますのは、六月一日ごろからかな、と思っておりますが、前の六・五の水準に預託金利を戻したい。したがって貸し出しのほうも、いわばそれに連動する形で六・五に戻したい、こういうことで審議会の御意見を伺いたいというふうに考えておるわけでございます。
○田口委員 じゃ、金利のほうはその程度にしまして、今度は、今回の法改正の中に取り上げられておる、年金福祉事業団に対する住宅云々ということなんですが、この年金福祉事業団の財源というのは、いまのお話のように年金積み立て金のある一定割合を還元する、聞くところによりますと、従来二五%であったものが今度約三分の一程度に増額になったと聞いておるんですが、この年金福祉事業団から今度、いろいろな事業の内容を見ておりますと、大規模年金保養基地というものが、八十一億ですか、こういう計画が出ております。 この大規模年金保養基地ということにからんで、私は二、三大蔵省じゃなしに厚生省関係に質問をしたいんですが、この最近出ました「厚生」という、この四月号、これを見ますと、大規模年金保養基地についての構想が署名入りで述べられておるのですが、私はこの構想にけちをつけようとかどうとかということじゃありません。ただこういった保養基地なんかをいま設置しなければならぬという問題、そういう発想は、年金の増額をしなければならぬということと軌を一にしておると思うのです。老人問題がやかましくなってきた、老齢対策ということをもっと真剣に、前向きに取り上げなければならぬということから、その一つの発想として大規模年金保養基地、こういったものの構想が生まれたのだと思うのです。 ですから、私はこのことについてはけちをつけようとは思いませんけれども、でき得れば、というよりも原則的には、積み立てた年金積み立て金というものはすべて、こういう賦課方式とか積み立て方式ということを一応抜きにして、いまの制度のもとでは膨大な、こういう積み立てられた資金というものを、一〇〇%国民の福祉面に還元する、こういうことが妥当ではないのか、そういう点で、二五%が三三・何%にちょっぴり増額になったということは、私はその限りでは一応成果として評価をいたします。が、この保養基地にからんで、ちょっと言いたくないのですが、私は三つほど問題を出して、大臣なり担当局長の考えを聞かしていただきたいのですが、この保養基地の構想に大規模年金保養基地設置懇談会というのが二四ページに出ております。このメンバーに——これはメンバーを選ぶにはいろいろと相談もあったのでしょうが、私は名前は言いませんけれども、民間デベロッパーともいえる、その代表の方が二人入っておるのです。 この方がどうこうというのじゃないのですよ。が、この国会でも相当問題になりましたように、毎日のように新聞で指摘をされておりますように、土地が値上がりをする、建築資材がどんどん値上がりをする、それに対して相当な政治問題になってきておる。きのうなんかも懲罰動議について相当いろいろな意見もありましたけれども、こういった二百億からの投下をしようとする大規模保養基地を考える場合に、そこにその本人の主観はどうであれ、いま特に指弾をされておるそういった不動産業者というのですか、ていのいいことばでいえば民間デベロッパーなるものの代表がそこに入ってということは、結局どこに保養基地がきまるか知りませんけれども、いずれ従来の慣行からいえば、こういった設置懇談会の中で大体のこなしがあるのだろうと思うのです。そうなってくると、そこに土地を買い占めて、かりに二百億という予算がきまっても効果が半減するような、また一方から見れば、この保養基地を設置することによって、不当とはちょっと言い切れぬと思うのですけれども、相当な巨利を博する、大もうけをする、こういう疑惑というものが当然出てくると思うのですね。 ですから、この設置懇談会のメンバーについて、私は、いろいろと中身を聞けば聞くほど、専門家であり、何でありということを聞いたのですけれども、今日こういう問題になっておる際に、たとえば李下に冠云々ということもあるように、この懇談会のメンバーにちょっと無神経過ぎるんじゃないかという気がするのです。その点だけどうでしょう。
○横田政府委員 大規模年金保養基地の構想につきましては、簡単に申し上げますと、先ほど来いろいろ御議論がございますように、今後の老人対策というものは所得の保障だけではだめなんだ。さらにそれに医療の保障、さらに加えられますものは老人に生きがいのある生活をなし得る場を提供する、こういうふうなことだということから、私どもといたしましては、年金によって可能な限り所得を保障し、またその年金を使って生きがいのある生活を送り得るような、そういった物的な施設を提供する、こういう考え方から発想いたしたわけでございます。 ただ何せこういったものをつくります場合には、月並みなレジャー施設というふうになったのでは、貴重な年金資金を使うわけでございますので、たいへん無意味であるというようなことから、相当世界的に見ましても遜色のないような、りっぱなものをつくりたいということを考えたわけであります。しかし、そうなりますと、わが国においては全く初めての構想でございますので、相当高レベルのいろいろな各界の専門家から、いろいろな御意見を拝聴いたしませんと、すぐれた構想というものは出てまいりません。そういうことから基地懇談会というものをつくりまして、主として都市工学、社会保障、建築学、医学その他の各分野の専門家のお集まりをいただいて、いろいろな御検討をいただいておるわけでございます。 そこで問題は、この中に一部の民間の会社の方がお入りになっておるという点でございますが、実はやはり相当大規模な施設を将来にわたって設置運営するわけでございますので、そういった経営をどのようにするかという点についての専門知識も、構想を練る段階において入れませんと、せっかくつくったものが無意味になってしまう、こういうこともございますので、いろいろ各方面と御相談をいたしまして、どちらかと申しますと御無理を願って入っていただいたという感じでございます。 と申しますのは、お入りになっておる方々の具体的な名前はあげませんけれども、その業界においては最も良心的な方といわれておる、そういう定評のある方で、むしろその方はこういうものに入ることによって、かえっていろいろな疑惑を招くのではないかということで、再三再四辞退をされたわけでございますけれども、実は私どもといたしましては、ぜひにもそういった方の御意見を承りたいということで、どちらかといいますと、三拝九拝してお入りをいただいたという事情があることを申し上げておきます。 それから、現実に大規模年金保養基地を設置いたします場合に、民間が買い占め等をいたしまして地価が高騰するということがあったら、どうかという点でございますが、実はこの構想が公式、非公式に一般に知られるに及びまして、各地方から相当多数の候補地の提供の申し込みがございます。したがって私どもといたしましては、そういった候補地というものが将来の年金保養基地として、はたして適当なものであるかどうかという点を客観的に判断をいたしますが、その際の判断の目安の一つといたしまして、民間がこれを取得して、その周辺の地価が相当に高騰をいたしておるとか、あるいはすでに民間の手に入って相当高い地価になっておるというふうな場合は、それは最初からその候補地からはずす予定でございます。 したがいまして、端的に申しますと、県でございますとか、あるいは地元の市町村でございますとか、そういったところが、この基地の用地といたしまして十分配意した上で、十分な広がりの土地を御提供いただけるような、そういう場所にこの基地を設置するという方針でおりますので、いろいろ御心配いただいておりますが、そのような心配は、私どもといたしましては、ないようにいたしたいと考えております。
○田口委員 いまの問題、私は深く追及しようとは思わぬのです。たださっきも言いましたように、いま局長の答弁で、向こうのほうが疑惑を招いては困るからと固辞をしたということを言っておるのですが、それはいまの時世からいって常識だと思うのですね。李下に冠ということを言いましたけれども、その辺の、どうも無責任ということばではなくて、担当局のほうでは不感症じゃないかという気がするのですよ。ですから、いかにそういうことはないといたって、これは市販をされておるのでしょう、こういう本は。そうなった場合には、これはまたということがあるのですから、ひとつ慎重に慎重を加える配慮というものが望ましい、こういう点を今後もひとつ要望しておきたいと思うのです。 私は、この大規模保養センター基地、これをどうこう言うんじゃなくて、これはいろいろと資料を見ますと、年金福祉事業団そのものがずっと経営、運営をしていくというのですから、問題はまあないと思うのですが、従来年金資金積み立て金を融資をしてもらっていろいろな施設を建てておる。たとえばロッジという、国民宿舎というのですか、こういうものは相当あると思うのですが、この還元融資という性格から、設置された施設のたとえばロッジで——国民宿舎で言います。国民宿舎の運営なり、それからもうそろそろ償還期限が来ておるのもあると思うのですが、償還が完了したあとの処置、こういうものについて、貴重な年金掛け金の還元融資でありますから、相当万遺漏がないとは思うのですが、どのように指導をしておるのか、環境庁のほうからひとつお答えをいただきたいと思います。
○中山説明員 お答えいたします。 国民宿舎につきましては、御存じのように厚生事務次官通達が三十八年に出ておりまして、一般の国民が低廉で気軽に利用できる健全な宿泊施設としてつくっておるわけでございます。そういった意味から、先ほどお話もございました年金融資の制度の適用を受けておりまして、設置の主体並びに管理運営の主体は県なり市町村の地方公共団体ということできめております。それで、御指摘の、お話のような償還金が返済後におきましては、いま申し上げたような次官通達というような形でつくっております関係上、今後も設置の目的、趣旨に沿いまして引き続き国民宿舎として運営していっていただけるように自主的な指導でもって対処してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
○田口委員 ちょっと本会議の前の時間もありますから思わせぶりな言い方になるようですけれども、私が調べた限りでは、国民宿舎に限って言うと、いまの次官通達、それからロッジの経営主体、こういうものが全く違ったやり方、年金還元融資というものをまるで安い金利でめったに借りられぬからといって、名前だけ地方公共団体の名前にして、その運営も、それから将来の処理の方法についても全く民間営利団体に、営利業者にゆだねるという事実を私はつかんでおるわけです。 ちょうど時間がもう変になってきたのですが、まあ思わせぶりなことを言うと、昼めしがまずくなるでしょうから、はっきり言いますけれども、あるところのロッジということになっているのだけれども、国民宿舎、それを還元融資をしてもらう際に、この契約書を、覚え書き書というものを私はある地方議員からいただいたのですが、甲、乙という表現で言います。 甲は市町村長、乙はその営利団体です。非営利団体じゃなくて営利団体。甲が乙にかわって金を借りるために名前を貸してやろうというのですね。そして、その市町村長の名前で還元融資を受けて、いまからちょうど十年ぐらい前です。そして覚え書きでは、いまのところ所有権は甲にあるけれども、実質的には乙のものなんだということにはっきり書いてあるわけです。そして償還期限大体二十年でしょう。まだ二十年たってない今日、どういうかげんか知りませんが、償還がほぼ終わりかけておる。だからそれを無償でやろうというのです。無償でもう乙が甲の名前を借りて毎月償還をしてくれた。二十年たたない、十年で償還が完了しそうだ。償還したら、乙のものに無償でやりましょう。こういう覚え書きを十年前に取りかわしておるのです。 そうなってくると、いま言われたように昭和三十八年ですか、当時の次官通達が相当きびしい運用の指針が出ておるのですけれども、その次官通達が出たあとでこういう覚え書きを取りかわし、契約をかわしている。こうなった場合に、たとえば昭和四十八年三月三十一日で償還が完了して、四月一日から乙のものになってしまったとすれば、当然に三月三十一日までは、これも当時の国立公園部長から通達がありますように、利用料金については幾ら幾らと押えておりますね。だから一泊二食でたとえば千五百円だった、三月三十一日までは。ところが四月一日からは所有権がもう民間営利団体に移るのですから、三千円、四千円になってもしかたがないわけです、向こうは営利でやるわけですから。こういう状態がいま起ころうとしておるのです。 そうなってくると、私が言いたいのは、貴重な年金の積み立て金ということで運用するのに、そのように厳重に、慎重にやらなければならぬといっておるけれども、こういう全く年金の還元融資を私をするような、労働者の意向というものを無視したようなやり方ということがやられておるじゃないか。私はこのあと、まだ中断をしてから言わんとするところを言いたいのですけれども、こういう事実があるということを環境庁のほうでは、全国に国民宿舎が幾つあるか知りませんけれども、大なり小なりそういったことがあると思うのです。私はほんの一例だけ言っておるのです。それを知っておるかどうかということをちょっと確かめたいのです。
○中山説明員 私のほうでは、いまお話のございましたようなケースがございますれば、たとえばそういう経営につきましても、先ほど申し上げたような市町村が経営するわけでございますから、かりに民間のほうでやっているということであれば、当然それは環境庁長官に対しまして委託の申請が出てくる。その場合に環境庁としましては、営利を目的としない法人になら委託ができるというような考え方でやっておるわけでございまして、現在五十数カ所のものがそういう形で行なわれております。 したがいまして、いまお話のような事実につきましては現在承知しておりませんでございまして、至急調査いたしまして、次官通達の趣旨に沿った形になるように、できるだけ指導してまいりたい、かように考えております。
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時三十九分休憩 ————◇————— 午後二時二十七分開議
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 休憩前の質疑を続行いたします。田口一男君。
○田口委員 大臣に、ひとつ決意のほどをお聞きしたいのですが、私は、午前中年金積み立て金の還元融資、それの一つの例として国民宿舎の問題を取り上げたわけです。私は、きょうそれを本筋で言おうという気持ちじゃないのです。ただ強調したいことは、労働者といいますか、被保険者が毎月毎月貴重な収入の中からかけた掛け金の累積の積み立て金が、いろいろなルートを通じて還元融資をされる。この還元融資をされて建てた、午前中の例ですが、国民宿舎にとりましても、結局被保険者の手の届かないところでいろいろなことをされてしまう。それは一例、二例だけじゃなくて、ほかにもあるんじゃないかと私は推定をするのですが、それではせっかくの年金積み立て金というものが有効に生きていかないのではないか。 そこで午前中お答えがありましたように、現在はそういった積み立て金というものを運用部資金に回し、運用部資金が財政投融資の大きな原資になっている、こういう仕組みになっておることは、いまの中では理解ができるのですけれども、福祉元年とか、福祉を強調しなければならぬといわれておる今日、この積み立て金の扱い、管理について、野党四党共同提案のように、運用審議会というものをつくって、しかもその際、運用部資金のほうに持っていくんじゃなくて、厚生省の所管にして、被保険者の声が十分反映できる、こういうふうにすることによって——そうなれば全部が全部こういった変な問題が起こらないとは限りませんけれども、相当程度チェックすることができるし、ガラス張りの運営、納得のいく積み立て金の管理ということができるのじゃないか。 ですから、野党共同提案のように、御理解をいただいておると思うのですが、そういった積み立て金の管理運用、ずばり言って、厚生省がそれを握り、運用審議会をつくって、被保険者の声を十分に反映をさせる、こういう考えについて、この際、大臣から福祉ということを重点に考えての御見解を承りたいと思います。
○齋藤国務大臣 厚生年金、国民年金の積み立て金の管理、運用につきましては、現在資金運用部において財投の原資の一部として総合的に運営をする、こういうふうなやり方にいたしてはございますが、こうした年金の積み立て金は被保険者の保険料の集積でございますから、あくまでも国民の福祉に使用せらるべきものである、こういうことでございまして、すでに御承知のように積み立て金は住宅の建設、あるいは生活環境の整備、あるいは福祉施設の充実、あるいは文教、こういったふうな方面に使われておるのでございまして、基幹産業とか貿易、そういう方面には一切使わないということで使途別に総ワクをきめて明らかにいたしておるわけでございます。 特にその中で還元融資として厚生省が直接責任をもって管理する部門すなわち厚生年金福祉事業団あるいは医療金融公庫、こういうふうな方面に出ておるものにつきましては、厳重なる監督のもとに使用せられておるわけでございまして、私としては当面いまのような方式を維持していって差しつかえがない。いな、むしろやはり財投の原資というものは総合的に一元的に運用していく、しかもそうした中にあって使途別に総ワクがはっきりときめられておるわけでございますから、私としては、いまのような総合運営でけっこうだと、かように考えております。しかしながら、あくまでもこの金は被保険者の保険料の積み立て金であるということに立ちまして、被保険者の意向が反映できるようにしていかなければならないと考えております。 そこで、四十八年度におきまして、国会で皆さん方のいろいろな御論議等もございましたので、年金局長のところへ、この積立て金の問題についての懇談会を設置いたしまして、労使の方々あるいはそういう金を使う、使途に関係のあるような、たとえば医療問題あるいは社会福祉の問題、こういうふうなことに関心の深い専門家の方々に委員になっていただいて、年金局長の懇談会を設けまして、そこでいろいろな御議論をいただいて、そして被保険者の意向として、それを理財局にも通じ、資金運用部のほうの審議会にもパイプを通して、そちらのほうに意向が伝わるようにして、そして総合運営ではありましても大蔵省、厚生省一本になって、その本来の使途に使われるように、被保険者の意図が十分反映されるように改善方に今後努力をいたしてまいりたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
○田口委員 被保険者のために使われるように十分検討したいということは、それはそのことはけっこうなんですが、もっと本質的に考えるならば、確かにいま運用部資金として、それが財政投融資の大きな原資となって生活環境改善であるとか、農林水産、中小企業、文教——基幹産業なり海外関係には使っていないと言われるのですが、よく考えれば、そういう農林水産の問題や中小企業に回す金、文教のほうに金を回す財政投融資そのものは、本来的に言えば一般会計というのですか、一般行政費の中でそれは当然見るべき筋合いのものだと思うのです。それは端的にいえば税金でまかなわれる一般会計の中で処理すべき行政分野ではないか、それを年金の積み立て金を原資としてそちらに回していくということは、かりにいま大臣がおっしゃったように、その使途がきめられておって、広い意味での国民の福祉に使われておるのだ、使われるように監視をするといっても、結局他の共済組合のいまのあり方を見ていると、規模が違いますよ。 たとえば地方公務員等共済組合の例を見ても、長期、短期を含めて中央に運営審議会というのがあります。その運営審議会にはいわゆる理事者側といわれるものが八名、それから組合員代表といわれるものが八名、同数で運営審議会を構成をして、これは審議会ですから議決機関じゃありませんけれども、集まった金をどういうふうに使うか、どういうところにどういう施設を建てるか、年次年次に運営審議会でこういった議論をし、会長の諮問にこたえて、組合員が納得のいく事業計画ということを表面的には打ち出しておるわけですね。金額は確かに運用部資金に回すような年金の金と比較にならぬかもしれない。比較にならぬかもしれないけれども、一応短期は別として、結局、事は年金の積み立て金である。 そういう考え方でいきますと、片や一方ではいま例にあげた地方公務員等共済組合などはその使途の末端にまで監視の目が届くけれども、厚生年金、国民年金の積み立て金の場合には末端にまで監視の目が届かないじゃないか。それは先ほど一つの例としてあげた国民ロッジの例でもおわかりだと思う。そういった一般行政で本来まかなうべき行政分野の経費に年金の積み立て金を使うということは、これは筋が通らないし、やはり年金積み立て金であれば、これは被保険者のものであるから、被保険者の納得するような使い方ということを、厚生大臣の主宰する運用審議会というもので監視、運用をしていくべきである、私はこのように思う。 いま確かに財政投融資の大きな財源であるから、そのことによって日本の産業経済が今日栄えてきたということはわかります。わかりますけれども、いい面もあるが、逆に今日福祉の問題をお互いに口にしなければならぬ、こういういろいろな問題を起こしてきたこともまた、財政投融資資金ということが全部じゃありませんけれども、まき散らした一つの結果が、たとえば老人問題として出てきておる、公害問題として出てきておるのである。そう考えると、あれやこれや考えた場合に、結局シーザーのものはシーザーに返すということばがありますけれども、われわれは年金をかけたのだから、かけたものに当然管理、運営をさすべきじゃないか。これは決してむちゃな言い分じゃないと思う。 そういう点について、いま年金局長の私的諮問機関としてのそういうことが考えられておるそうでありますけれども、そういうことじゃなしに、やはり大臣が主宰をする運用審議会、野党四党が共同提案をしましたような、ああいった被保険者の声が十分に反映できるような運用審議会というものを、少なくとも近い将来にはつくる、そういった方向づけをするということが、いま明らかにされないと、くどいようでありますけれども、さっき言った国民宿舎のような問題がある。これは一つや二つじゃないのです。私が知っておる限りでも四件、同じ国民宿舎であるわけです。他に還元融資で、しさいに皆さんのほうで調べた場合に、これはおかしいなというのがあるのじゃないか。なければ幸いですが……。 そういうことを考えると、私が申し上げたように、やはりシーザーのものはシーザーに返すべきだ。こういう点で、監視、運営についてもっと民主的に、しかも納得のいく運用、管理ができないものか、この点をひとつ重ねてお尋ねをしたいと思うのです。
○齋藤国務大臣 積み立て金の自主運営の御議論、私も深く敬意を表して承っておるわけでございます。私は確かにそういう考えもりっぱにあると考えておりますが、現在の運用で支障があるかということを考えてみますと、私どもはこの年金の積み立て金の総ワクの使途別の区分というものも明らかにされ、そして明らかにされたその中で個別的にいろいろ運用されておるわけでございますから、いまあらためてこれを自主運営に切りかえなければならないという積極的な理由を見つけることが困難であると私は考えております。 しかしながら、いまのような制度のままにおいてでも、やはり被保険者の意向というものは十分反映させるその道は、私は努力によって可能であると考えております。そういうふうな意味合いにおいて、もっと運用の改善について検討を加え、労使の方々の御意見がこの運用に反映できるように努力をいたしてみたいと考えておる次第でございます。 そこで、先ほどもちょっと申し上げましたが、年金局長が向こうの臨時専門委員として参画をいたしておるわけでございますが、その年金局長のもとに労使それぞれの御意見を十分反映して、そして所期の目的が達成できるようにする必要があるというふうなことを考えまして、今回年金局長のところに懇談会をつくりまして、忌憚のない労使の意見を承って、その意見が資金運用部の管理運用に反映できる、こういうふうに改善を加えてまいりたい、こう考えておるような次第でございます。 せっかくの傾聴に値するごりっぱな御意見とは存じておりますが、今日の段階においては、現在の制度を改めるということについては考えていないということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
○田口委員 この問題で何回もやりとりしておっても、いまの国家財政の大きな壁ということで、これはむずかしい問題だということはわかりますけれども、いま八つほどある年金制度の運営審議にあたって、それぞれの被保険者が、一方では議決権に参加をするようなところもあれば、一方では審議ということで諮問に答えるようなところもありますけれども、大なり小なり被保険者の意向というものを反映をさせる仕組みになっておる。ところが厚生年金だけは、はっきり言って、ないですね。しかも今日その累積した積み立て金は兆という字がついておる。これはどうしても納得ができないわけです。 ですから、いま大臣の答弁もありますけれども、ひとつ早急に管理運営についての被保険者の声がもっと真剣にストレートに反映できるように考えてもらいたい。 そこで、午前中に私は年金保養基地、この問題からずっときておるのですが、ああいうことを考え、また今日年金の問題を大きな社会問題、政治問題としてお互い合意に達しようとしておる段階なんですが、こうなってきた背景を考えた場合、確かにお年寄りの人口が将来ふえるということもありますけれども、今日の老人問題ということを考えれば考えるだけ、老人施策、老人問題ということを総合的に考えなければならぬという時期に来ておると思うのです。だから、保養センター、保養基地だけで能事足れりとは厚生省も考えていないのでしょうけれども、私どももまたそうは言いませんが、ここまで社会問題化しておる老人問題というものに対してもっと総合的に考えるのに、私は五つほど問題点を整理しなければならぬ。そこで、労働省の職安局長にひとつお聞きしたいのですが、近くこの社労のほうでも審議が始まると思うのですが、中高年齢者の雇用対策。そこでまあ一言で言えば、その中高年齢者の体力にふさわしい仕事と収入を与えるということがいま一番大事だと思うのです。そういった意味で考えられるのは、一つには定年制、それから退職金、こういう問題について、聞くところによりますと、四十五年か六年に労働省としてはそういうことに関しての調査をやられたと思うのですが、時間の関係で二つだけお答えをいただきたいのです。 いま定年制について、五十五歳から五十六歳、七歳というふうに若干延びてきておると聞いておるのですが、かりに五十五、五十六を一つの年齢と考えて、それ以上に七、八、六十近い定年制、そういった分布状況、民間でけっこうですから、ひとつわかっておる限り出してほしいと思います。
○道正政府委員 四十五年に労働省におきまして定年制の調査をいたしております。それに基づいて申し上げますが、全体といたしましては定年制が延長される傾向にございますけれども、現段階におきましては、遺憾ながら五十五歳定年制をとっているものが全体の約六割でございます。あと五十六歳、七歳というのが数%ずつございますが、六十歳以上の定年制をとっている企業も二〇数%ございます。これは大企業におきましては比較的若年の定年制をとり、中小企業におきましては人手不足もございますので、逆に六十歳定年というような傾向があらわれておるかと思っております。 いずれにいたしましても、日本の雇用慣行とからむ非常にむずかしい問題ではございますけれども、年金の開始年齢と定年制との間に数年のギャップがあるということは、やはり基本的な問題でございますので、何といたしましても定年制を延長する必要があるということで、先般閣議決定をいたしました第二次雇用対策基本計画におきましても、計画期間中に六十歳までとりあえず定年を引き上げるという方向で予算も編成いたし、また先ほど先生お話しの法案も準備いたしておるわけでございます。
○田口委員 定年制を延長せよということは、労働市場ということを抜きにして考えた場合、人間の生理からいったら、なるべく早く楽隠居をしたいというのが人情ですね。六十の声を聞いても働かなければならない、これはあまり人間の生理としてはいいことじゃないと思うのですが、現実はそういったことでは済まされない。そこで、いまお答えがあったように、五十五歳が五十六歳、七歳というようにある程度延びておるようですが、私どもが聞いた、これはおたくのほうも持っておると思うのですが、去年、おととしの総評の定年退職者実態調査、これによっても、大体五十五、六歳で定年になってやめておるのが八割から八割五分近く、しかも定年の問題にからんで、かりに五十六歳で会社をやめても、その老齢者が老後の生活をどういうふうにやっていくかという経済基盤を考えるとき、いま年金の問題をさておいて考えると、一つは退職金、一つは再就職、この二つが常識的に考えられますね。退職金は、人によって違いますけれども、標準的な勤務年数で五十五、六歳でやめていったら一体幾らもらっておるか、平均の金額をまず……。
○道正政府委員 退職金の所管は基準局でございますので、私、手元に数字を持ってきておりませんが、大至急調べまして御報告いたしたいと思います。
○田口委員 これは肩ひじ張って聞くようなものじゃないのですが、一つの参考としてお聞きをいただきたいと思うのです。 ちょっと資料は古いのですが、四十四年ごろにNHKで定年というテレビがありましたね。そのテレビと、いまもそう違いはないと思うのですが、平均年齢五十四歳十カ月、勤続年数三十二年、平均退職金の予定が五百二十七万円です。これが大体五十五歳の定年の平均像だと思うのです。 そこで、五百二十七万円という退職金を五分五厘の金利で銀行に預けたとして、それを食いつぶしていった場合、一体どれだけ食いつなげるか。資料によりますと、夫婦で八年四カ月しか食いつなぐことができないというのです。今日、平均余命が延びた延びたといっておるのですが、平均余命一ぱい生きたとすれば、逆算をすると退職金が二千四百万なければ食いつないでいくことができない、こういう一つの報告が出ておるのですが、これは基準局か労政局かどちらか知りませんが、最近の退職金のきめ方、民間の場合には、ことしの春闘の場合でも昨年の春季の賃上げの場合でも、かりに一万円の賃上げがあった場合、第一、第二というふうに区分をして退職金の算定の基礎にするのは一万円のうちの五千円、五千円は退職金の算入の基礎にはしない、こういうことが最近ふえてきておると思うのですが、そういう点について労働省としてはどういう見解を持っておるのか、好ましいと思うのか。いま老後の生活を安定さす経済基盤としては退職金と再就職しかない、こう考えた場合に、その退職金がかりに賃上げをやっても全額退職金の算入基礎にならない、これはいいことか悪いことか、端的にどうですか。
○廣政説明員 いま先生御指摘のとおり、退職金につきまして、いわゆる第一基本給、第二基本給というようなことで退職金にはね返らないような賃金の額のきめ方をしておるという例も私耳にいたしておるところでございますけれども、ただこの退職金が、先ほど先生の御指摘のとおりでございまして、戦後退職金が果たしてまいりました機能そのものは、戦前のものと比べて、はたしてどうであろうかというような点などを考え合わせてまいります場合においては、私どもは退職金だけで老後の生活を確保するということが、はたしてそういうことだけでいいのだろうかという基本問題が退職金にからんであるのではないかと思っております。 いずれにいたしましても、退職金が労使の間で話し合いできまっていくという状況のもとで、第一基本給、第二基本給というやり方をとることがいいのかどうか、そこらの問題、あるいは定年延長とからみまして、いま退職金が非常に累進的な形になっておりますが、こういうことがはたして定年延長との関係でどう考えられるべきかというような、退職金そのものについてのいろいろな問題点があろうかと私存じます。 そういう意味で、退職金の今後のあり方ということとの関連で、いま先生おっしゃった問題も考えていくべき問題ではないか。したがいまして、私どもといたしましてこれがいいとか悪いとかいう気持ちは、やはり労使の話し合いの中で解決されていくべき問題ではないか、このように感じております。
○田口委員 では、観点を変えまして、先ほど定年の実態調査の報告があったのですが、かりに五十五歳、五十六歳で定年でやめて、あと再就職、これの割合ですね。ことし三月三十一日に定年で百人やめた、そのうちどの程度再就職しておるのか。割合でけっこうですから……。 それと、退職をしたときの賃金に比較をして、再就職の場合の賃金の割合ですね。
○道正政府委員 先ほど申し上げました調査によりますと、定年退職者のうち七四・八%、約七五%、四分の三の方が雇用者として就職されております。それから一二%程度の方が自営業、雇用関係でない自前の仕事をされる。残りの方が無職者ということになっております。 それから雇用者として就業された方々のうち、勤務先をかわった者が六九・八%、約七割でございます。残りが、一応定年で身分関係は変わりますけれども、同じ事業場に継続して雇用されている者というふうになっております。 それから賃金関係でございますけれども、中には従来の賃金に比べまして一〇〇%以上になった方もかなりおられますけれども、七〇%未満という方が三八・三%、大体四割近くございます。それからまた七〇%以上一〇〇%の方が三三・八%ということで、全体といたしましては、従来の賃金に比べまして下回っておる方が多いということは事実でございます。 ただ、最近におきましては人手不足を反映いたしまして、たとえば人材銀行その他でごあっせんを申し上げております中には、しっかりした経験、技能、資格等をお持ちの方につきましては、かなり高い賃金で就職されている方もふえつつございます。そういうことで、安定所の窓口におきましては極力いい条件の再就職先をごあっせんするように努力をいたして行政の体制も整備いたしておりますけれども、現状、数字に関する限り、かなり下回っておる方が多いというのが実情でございます。
○田口委員 そこで厚生大臣にお聞きをしたいし、これは年金局の所管だと思うので年金局長にもお伺いをしたいのですが、いまお聞きのように、これはあらためて、それぞれからお聞きいただく前に、もう御理解をいただいておると思うのですけれども、定年でやめて、そのうち四分の三程度が再就職をしておる。再就職をしなければ食っていけない。ところが食っていこうとしても、従前つとめておったときの賃金に比べて七割、まあ特例もございますけれども、平均をすれば七割に賃金がダウンをする。そういう状態で、結局たよるところは年金という所得保障にたよらざるを得ない。こういうところから年金というものが問題になってきたということは、大臣、御理解をいただいておると思うのであります。 ところが、この年金問題で、これもちょうどいまから十年前にできたと思うのですが、各企業ごとで企業年金なり調整年金というものを相当鳴りもの入りで宣伝をしまして、その調整年金というものが最近財政的にピンチにおちいっているわけですね。これは社内預金のような運営をしたということもあるのでしょうが、今度かりに、いま改正案が出ておるように物価五%のスライド制を本法厚生年金が採用しようとしておるのですが、調整年金という、企業がやっておるものにはスライド制ということを契約をしていない。そうなってまいりますと、これは厚生省のほうで相当宣伝をされたと聞いておるのですけれども、いま危機におちいろうとしておるそれぞれ企業が持っている調整年金、企業年金というのは、厚生省で所管しておるのかどうか、ちょっと知らぬのですが、調整年金のほうはしておると思うのですが、それに対してどういうふうに指導していくのか、どう手当てをしていくのか、これは年金局長、お答えいただきたいと思います。
○横田政府委員 お尋ねは、おそらく厚生年金基金の問題だろうと思いますが、厚生年金基金は、先生、御指摘のように、昭和四十年に厚生年金保険法を改正いたしました際に創設いたしました制度でございまして、一口で申しますと、先ほど来、先生の御指摘の厚生年金の中身といたしまして、定額部分と報酬比例部分というのがございます。その報酬比例部分を代行する機関といたしましてつくりましたのが厚生年金基金でございまして、この厚生年金基金をつくらせます際の条件といたしましては、報酬比例部分の代行、それだけではなくて、それに企業内で労使の話し合いによって相当分積み増しをする、そういうようなことによって厚生年金自体の給付レベルを上げる、そういうふうな考え方でつくったわけでございます。 その後、この厚生年金基金は非常に順調に伸びてまいりまして、昭和四十八年四月一日現在で申しますと、この基金の数は八百五十八ございます。この基金でカバーされております加入員の数は四百九十万でございます。この八百五十八基金のうち、過去一年間に設立されました基金が四十二ということでございまして、毎年毎年相当数、この基金の設立を行なってきていることは事実でございます。 それで、問題は、厚生年金基金が給付いたします報酬比例部分については、完全積み立て方式をとっておりますので、今回、スライド制を実施いたします際に、基金に関してはスライドについていけないから、したがって、非常に給付内容が薄くなってしまうのではないかというふうな心配が一部にあるやに伺っておりますけれども、この部分につきましては、そのスライドによってふえる部分は、本元である厚生年金、つまり厚生省自体がその分を支給することになるわけでございますので、あわせまして、その給付は、結局報酬比例部分につきましてスライドアップした分の給付額が被保険者には渡る、こういうことでございますので、今回のスライド制の実施に伴いまして、何らその意味では支障がない、かように考えております。
○田口委員 もし、スライド制をやった場合ですね。しかし、企業ごとにやっている調整年金に何ら支障がないと言いますけれども、それぞれの信託銀行なり何なりと契約しておるのでしょう。そうすると、その契約の内容にはスライドということが書いてありません。そうなってくると、結論から言えば、掛け金をもう長いことかけてきたけれども、もらう分はたいしたことない、もうやめてしまえ、といってやめるにやめられない、こういう問題で、いま八百五十件くらい、約五百万近いそういった労働者が、この調整年金の行くえについてたいへん不安を持っている。支障がないというけれども、現実にそれぞれの信託銀行との契約内容にスライド制が盛り込まれていない。それを厚生省のほうで、いまスライド制にしなさいということができるんですか。
○横田政府委員 私の御説明が舌足らずで誤解を招いたようでございますが、その年金基金自体ではスライドをいたさない前の金額を支払うわけです。スライドいたしましてふえた部分につきましては、厚生年金の本体のほうでお払いするわけでございまして、信託会社等がお払いをするわけではないのです。ですから、それとあわせて受けるわけでございますから、お受けになる被保険者については何の不都合もない、こういうことでございます。
○田口委員 調整年金の問題はちょっと留保しますけれども、当初発足をしたときの話は、そういうことで調整年金をつくる、それぞれの労働組合、労働者はそういう理解をしていなかったですね。本体の厚生年金は厚生年金でもらえる、調整年金のほうはそれでまたもらえるという、そういう発想は、厚生年金が当時一万四、五千円しかもらえないじゃないか、だからそれを補完をするという性格が強調をされておったわけです。ただ、いま局長の言われるように、本法のほうでもらえるではないか、だからこちらの基金のほうでスライドしなくたって、これは二つあわせたら一緒じゃないかということになると、当初発足したときの言い方とはだいぶん違うわけですね。 ですから危機におちいっておるということは、スライドをやったら金が足らぬじゃないかと、といって労働者から徴収をするわけにはいかない、会社からまた取るわけにもいかぬ、この調整年金制度というものは、この本法の成立がどうなるか知りませんけれども、それによって大きな問題になってくる。ですから、ひとつ年金局のほうでも十分この対策について検討して、早急に結論を出してもらいたいと思います。 私が、いま言ったような退職金の問題、定年制の問題、それから調整年金の問題などをあげたのは、結局いろいろな面で中途半端な老齢対策ということしかいまのところやられていない。そうなってくると、つまり、みなが大きく期待をするのは公的年金制度の拡充、充実ということ以外にない、これは十分大臣も御理解をいただけると思う。 少し観点を変えまして、これは健保のほうで、あとあとまだ議論があると思うのですが、いま言ったように、満コロということばがあるように、定年、再就職、労働条件が悪いために病気にかかりやすい、こういったところで、本年の一月から老人医療の無料化、こういうことが実施をされたのですが、病気の問題についても、やはり総合的に老人対策をやる必要があるが、これは年金の問題ですから、きょうはあえてそれ以上に触れません。 さらにもう一つ、総合的な老齢対策として早急に考えてもらいたいのは、大臣からお考えいただきたいのですけれども、老人福祉という面から、この前も多賀谷委員から軽費老人ホームの話がありましたけれども、いま養護老人ホームは、厚生白書によりますと全国で八百十カ所で定員六万人、特別養護老人ホームが百五十二カ所で一万一千人、それから軽費老人ホームは五十二カ所、その設置数を見れば、ある程度あるということは言えるのですけれども、大半は民間の社会福祉法人が経営をしておる施設なんですね。こういった老人福祉の面についても、もっと国、地方公共団体の責任でどんどん施設を拡充し、ふやしていく、こういう点について全くやっていないとは私は言いませんけれども、どうも年金の問題に対する取り組みと比較をすれば、比較にもならぬのですが、こういった老人福祉の面について、どうも政府が総合性に欠ける面があるのではないか。 さらに施設を幾らふやす、いま少ないのですから、ふやすことも大いにけっこうなんですが、施設を充実することと並行して、そこに働く福祉施設の従業員の質的な、量的な拡大ということもなければ、仏つくって魂入れずということになると思うのです。まあ今度寝たきり老人のホームヘルパーを相当ふやしましたけれども、それでもなかなか十分でない。そういう意味では総合的な老人施策の一環としての老人福祉について一体厚生省として、その責任者として、今後どういう見通しを持っておるのか、お答えをいただきたいと思います。
○加藤(威)政府委員 老人福祉対策でございますが、まず御指摘の老人の福祉施設につきましては、先生のおあげになりました数字は若干古い数字を御指摘になりましたけれども、四十七年度の末では特別養護老人ホームが三百六十三になります。それから養護老人ホームが八百九十九、軽費老人ホームが八十四、有料老人ホームが六十ということで、合計千四百六ということでございます。 ちなみに四十六年度が合計で千二百六十八でございますので、四十七年度で百三十八の施設をふやす。その中に入る御老人の収容定員は四十七年度で一万一千六百人ふえる、こういうことでございます。これにつきましては先生も御承知のように、こういう社会福祉施設の整備については四十六年度を初年度といたしまして五カ年間の、社会福祉施設整備五カ年計画というのをもって厚生省はただいま推進しております。 そのうちの三つの大きな柱が、一つは寝たきりの特別養護老人ホーム、寝たきり老人の収容施設をふやすということ。それから重度の身体障害者の施設をふやす。それから保育所。この三つでございますが、特に特別養護老人ホームにつきましては地方の要望も非常に強くて、大体五カ年計画の予定どおり整備が進行いたしております。 そういうことで、この結果によりまして、大体老人ホームに六十五歳以上の人口の二%くらいが五十年末には収容できる。現在が一・四%くらいでございます。そういうことで二%くらいが収容できる。しかし諸外国に比べますと、大体ヨーロッパでは老齢人口の五%前後の老人ホームの収容能力がございますから、それに比べると、まだ少ないということがいえますけれども、家族制度の違い、その他によってヨーロッパ並みにもっていく必要はないと思いますけれども、一応私どもは五十年末には二%にもつていって、その上にさらにそのときの状況に応じてふやしていく、こういう計画で施設整備の万全を期したいというぐあいに考えております。 それから、職員につきましても御指摘のとおりでございまして、私ども一番心配いたしておりますのは、施設の整備は金を使えばどんどんできるわけでございますが、中で働く職員の確保の問題、この問題については相当努力をしなければ、なかなか確保できないという問題がございます。そういうことで、特に職員の処遇の改善、それから勤務状況が非常にきつくて、そして労働条件が非常に悪いという点もありますので、そういう点の改善につとめております。 それからホームヘルパーにつきましても、四十八年度は七千名でございます。四十七年度に比べまして約六百名ふやしております。これもまだまだ不足でございます。そういうことで、五カ年計画をもちまして、これも最低一万二千人くらいは確保したいということで、そのためには給与の改善を大幅にやる必要があるということで四十八年度におきましては、給与を三万七千円から四万五千円に引き上げるということをやっておりますが、今後もそういう処遇改善をいたしまして、在宅老人のためのホームヘルパーの確保につとめたいというぐあいに考えております。
○田口委員 いまの問題に関連をいたしまして、政府の今度の改正案の説明の中に、事業団のほうから住宅のほうに金を回すということがありますが、その住宅で特に老人問題ということを考えた場合に、いま日本がたいへんかんばしからざる、統計数字では六十五歳以上のお年寄りの自殺率が世界でも一、二を争う。そういうお年寄りの自殺の原因をそれぞれの識者が発表をしておるのですが、それによりますと、まず一つには孤独、その次には貧困、病気、家庭の不和、こういったものがそれぞれ重なり合って老人の自殺が世界でも高い。そういう悲惨な状態にあることは知って見えると思うのですが、それを解消をする、そういう方法として私は老人専用の住宅ということが、ここで考えられなければならぬのじゃないか。 口で住宅といいましても、最近のようにこういった土地が値上がりをし、資材が値上がりをして、一般成人でもなかなかうちが建たぬ昨今なんですが、だからといって、老人の住宅をどうでもいいというわけにはまいらぬと思うのです。よく言われるように、みそ汁のさめないくらいのところに子や孫がいて一家団らんができるという状態をつくるためには、老人専用の住宅をつくってはどうか、つくってもらいたいという要望、意見がたいへん強いのですが、この福祉事業団のほうで考えておる住宅、そういったことを考えながら、もう一つには積極的に養護老人ホームや軽費老人ホームといった考え方で、そういう面での住宅融資が考えられないものか、これが一つです。 福祉事業団から今後新しく住宅の資金を貸し付けようとする場合には、平たくいえば住宅公庫から金を借りられるように、個人が申し込めば福祉事業団から住宅資金が借りられる、こういう性格なのか、それとも地方公共団体なり何々団体といった法人が一括金を借りてそういう住宅を建ててやるという建て売り住宅式なことを考えておられるのか、その辺が二つ目の質問です。
○横田政府委員 今年度から新しく始めることになりました年金福祉事業団の被保険者住宅貸し付けの問題でございます。これは実を申し上げますと、公務員の共済組合でございますとか、あるいは私学共済ですとか、いわゆる共済組合におきましては、従来から被保険者の個人住宅に対しまして貸し付けをいたしておったわけでございます。 ところが厚生年金については、社宅の建設資金は還元融資ということで、従来からお貸しいたしておりましたけれども、被保険者個人の住宅資金につきましては、従来とも貸し付けをいたしておらなかったわけでございます。これはいろいろな企業規模の会社、事業場等がございますので、債権確保の問題でございますとか、言うならば融資ベースから見ました際のネックがいろいろございましたので、おそらくそういった事情が背景になって、いままで実施されておらなかったわけでございますけれども、先ほど来御議論のございますように、年金の積み立て金は被保険者がお積みになった積み立て金でございます。したがって、その被保険者が個人住宅をお持ちになりたいというふうな御要望も非常に強いわけでございますので、来年度からこれを実施することにいたしたわけでございます。 それで貸し付けの具体的なやり方でございますけれども、還元融資でございますので、従来同様事業主に対しまして、事業主が被保険者個人個人に個人住宅の貸し付けをなさる場合の原資を提供する、こういうかっこうが原則であります。 ただ問題は、事業主がそういった制度をやっておらない場合、あるいは労働関係の団体でもってそういう事業をやっておられる場合、それを通すルートというものを認めるべきであるというような考え方から、そういった労働関係の団体でございますとか、あるいは事業主団体でございますとか、そういったものをルートにいたします貸し付けも同時に講ずることにいたしております。 それからまた、そういった事業主も、労働団体も、いずれのルートをも使えないような場合につきましては、住宅金融公庫を窓口にいたしまして、その貸し付けをする、こういうふうな三段がまえにいたしまして、貸し付け制度を従来からやっており、これからまたおやりになり得る力が相当強いと思われる大企業だけで、この資金が消化されるというふうな弊害は生じないようにいたしたいと思っております。 それでその場合に、被保険者住宅なるものが、どのような住宅でなければならないかという点につきましては、従来住宅金融公庫でやっておりますような、いろいろなむずかしい基準等は、あまりこの際付加しないことにいたしまして、とにかく御要望の住宅に対しましては、限度額二百五十万円までをお貸しするというふうなかっこうにいたしておるわけであります。 それからもう一つお話のございました、老人の専用の居室その他の問題につきましては、これは従来から地方公共団体が、老人の専用の居室を整備なさる場合のそういった資金を、特別地方債でお出しするという方法をとっておりますが、今回もそれはやるつもりでございます。 それからお尋ねがなかったかもしれませんが、個人住宅の貸し付けにつきましては、従来から住宅金融公庫が、そういった向きにはお貸ししておったわけでございますが、今回私どものほうで実施いたします被保険者住宅資金は、住宅金融公庫をお使いになる方につきましても、同じようにこれを出すわけでございますので、住宅金融公庫も限度額が二百五十万になりますし、こちらも二百五十万でございますので、両方お使いになる場合には、合わせて五百万の個人住宅の貸し付けがなされる、こういうことになるわけでございます。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○田口委員 専用住宅については。
○横田政府委員 ですから、この個人住宅は被保険者がおつくりになる住宅であればよろしいわけでございますので、それはどなたがお住みになるということではございませんが、そういった御要望が強いお年寄りの被保険者が、自分でお住みになるといった住宅をつくりたいという場合の要望も、当然この中には含まれます。 それから先ほどちょっと申しましたように、若い方とお年寄りが一緒に住んでおられて、老人専用の居室をおつくりになるというふうな場合のことにつきましては、従来から地方公共団体がそのような資金の貸し付けをいたす場合に、特別地方債で原資を提供しておったということでございます。
○田口委員 どう考えても、年をとるとお互いうらさびしい感じがするのですが、いまいろいろなお答えを聞いておって、年をとることは、よけいうらさびしいと思うのですね。というのは、病気の問題がある、それから住宅の問題がある。いまの局長のお答えのように、一つの前進かもしれませんけれども、福祉事業団から金を借りて、そういう融資の道が開けたのですから。ところが、土地の問題なんかあって、なかなか建てられない。ですから、私はここで一つ限定をして年金受給権者に限っていった場合、これは融資ですから、年金受給権者が借りようと思ったって、将来のことを考えれば、むすこの負担になるから、ちょっとむずかしい、チェックされる。 前回多賀谷先生が、大臣に国民金融公庫に年金証書を持っていっても金を貸してくれぬという話をしたでしょう。私はあれから地元へ帰って、その係の者にその話を聞いてみたのです。仕組みがそういうふうになっておるけれども、一体どこに原因があるのだろうか。そう言うと、不確かな答えなんですけれども、たぶんこうじゃないかと言っておるのです。たとえば恩給にしろ、公務員の共済年金証書にしろ、金額が入っておりますね、私もいま持っておるのですけれども、二十万なり三十万なり、幾ら安くても。証書に金額が入っているのですよ。だから、それが担保になるというのです。ところが、厚生年金、国民年金の場合に、それができぬ。それが理由じゃないかと言っているのです。 不確かなという前置きで向こうも言っているのですが、その辺で私が言いたいのは、金を借りたって、返す道がない。ちょっと住宅でも建てようと思っても、受給権者に限って言えば、なかなかきびしい。そうなってくると、つまるところは、もっと年金の額を引き上げるべきであるし、一番初めに言った。金を借りるにしても何にしても、いいことじゃありませんが、金額がぴしっとわかる。また現につとめておる者がやめた場合に幾らもらえるかという期待がはっきりできる。こういうようにしないことには、せっかく午前中の答弁で二倍から二倍半にしたのだと大みえを切っておりますが、なかなか今日の老人問題をほぐしていく有効な手にはならぬ。再度、そういった点について、一つ一つ直していく姿勢をこの際明らかにしてもらいたいと思う。 そういう欠陥をこちらが指摘すれば——いま言った、五万円年金を野党共同提案のように、すぱっとするといえば一番いいのですけれども、ほんとうはそう言ってほしいのですが、それはそれとしておいて、いろいろな現状の問題で指摘されたことについては改善するにやぶさかでない、そういった前向きの姿勢をここであらためてはっきりしてもらいたい。
○齋藤国務大臣 老人対策というのは、広範囲にいろいろな問題にわたっております。年金問題、住宅問題、それから医療の問題、国の立場で申しますと税制の問題、各方面にわたっておるわけでございます。そういうふうな関係から、先般、内閣においても全力を尽くして当たっていこうということで、総理大臣を本部長とする老人対策本部というものを内閣につくったわけでございまして、関係各省の諸君も全部入ってもらって総合的に、しかもきめのこまかいやり方をしていこう、こういうことにいたしておるわけでございまして、私どもは老人問題については、いろいろなこまかい問題についても、きめのこまかい手を打っていく。これは私は絶対必要だと思います。そういうことで、今後とも国会の審議においていろいろ御意見の出ました点は十分承りまして、前向きに、きめのこまかい措置を講じていく、こういうふうにいたしたいと考えております。 なお、ただいまお述べになりましたように、国民金融公庫において金を貸してもらえないといったようなお話がございました。私も実は先般、あれは多賀谷先生の御質問だったと思いますが、その後いろいろな事情を調べまして、なるほどこれはごもっともな話だ、これは何とかひとつ考える必要があるのじゃないかということで、どういうやり方がいいか、いま検討しているような次第でございます。 なお、念のためにちょっと申しますと、金額がないというお話でございますが、いま年金局長のうしろのほうの話によりますと、やっぱり年金額は書いてあるそうでございますから、そういうものを持っていけば貸してもらえるようなことになるのじゃないかという感じもいたしますから、金額がないからというのではなくて、いままでは金額が少なかったから、あまり——たとえば御承知のように現在二万円年金でございますから、せいぜい月一万九千円きりもらえませんね。そうすると、年間で二十四万はない。しかし今度は五万円年金となるわけですから、私もたびたび申し上げておりますように、二・二倍に引き上げますと、八十万のうちの六割は二十年以上の加入者でございますから、大体四万一千円から四万六千円の月平均になります。ですから、年間にすると今度は六十万くらいになりますから、これを担保にして相当金を貸してもらえる道もだんだん開けてくるのじゃないか。多賀谷先生の御意見、田口先生の御意見、まことにごもっともでございますので、そういう方面をもう少し前向きに検討するようにいたしたいと考えます。
○枝村委員 関連質問です。 厚生大臣にお尋ねします。 昨年末の総選挙を通じて五万円年金という説が急速に唱えられ始めた。このことは私はたいへんいいことだと思うのですけれども、そのいわゆる政治的、経済的背景は一体どこにあったのか、ひとつ端的に大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○齋藤国務大臣 実はこうした福祉の問題が非常に強く唱えられるようになりましたのは、昨年の七月、わが党において、御承知のように経済成長一本やりの政治から、政治の路線を変えていこうではないか、すなわち成長一本やりの政治から福祉優先の政治に転換しようではないか、こういうことを唱えて田中内閣ができ上がったわけでございまして、そうしたことから変わってまいったと考えております。 しかし、経済的な面から申しますれば、経済成長に伴いまして諸外国からもいろいろな批判が出、さらには国内においても公害問題その他いろいろな問題が出てまいりましたために、経済的にも人命尊重の政治というものに日本の経済も切りかえていく必要があるのではないか、こういうふうな政治、経済両面の政策の転換要請、こういうことを契機にして唱えられるようになり、そして私どもはその政策の一環として考えたときに、国民の福祉のためには一番劣っているのは何か、年金ではないか、制度はあっても中身はたった二万円年金というみすぼらしい年金ではないか、そこで、私どもはこの際、大体標準報酬八万四千円の六割程度を保障できる五万円年金というものも打ち出していこうではないか、こういうふうに変わってまいったものと理解をいたしておるような次第でございます。
○枝村委員 そういたしますと、結局、田中内閣出現によって社会福祉優先の政策を大胆に取り上げて、そうして選挙ではっきり国民に公約して今日まで来て、この法案提出になった、こういうことはひるがえして言うならば、それまでの佐藤内閣は口では人間優先、福祉優先と言っておったが何もやらなかった、こういうことになるわけなんですが、同じ自民党ですから、はっきり聞きますが、そういうことに理解してよろしいですな。
○齋藤国務大臣 私、そういうことを申し上げているのではないのでありまして、佐藤内閣においても——御承知のように現在の二万円年金というのは、佐藤内閣において実現された制度でございます。しかしながら、佐藤内閣ももとより社会福祉の面においては力をいたそうということではあったわけでございますが、それだけでは不十分だという国民の声、政治の声、それから経済に対する先ほど申し上げたようないろいろな反省、こういうことをもととして、こういうふうな国民的要請ということになって五万円年金といったふうなことが打ち出されるようになったわけでございます。 特に選挙に際して各党が福祉、福祉ということになりましたために、わが党政府も五万円程度が適当ではないか、五万円年金をこの際政策として打ち出そうではないか、こういうことになったのでございまして、佐藤内閣時代においても現在の厚生年金法は二度改正をいたしておるはずでございます。すなわち、その前は一万円年金でございました。それが二万円になり、今度は田中内閣で五万円、こういうことになるわけでございます。
○枝村委員 その中で一つ訂正しておかなければならぬのは、今度の選挙を通じて各党がいわゆる年金の問題を取り上げたと言いますけれども、わが党はじめ野党は、ずっと昔からこのことを一貫して主張しておったのです。特に国民がびっくりしたのは、田中内閣になって五万円という年金、これはいまから審議されていって、それがごまかしかほんものか明らかにされるでありましょうが、ほんとうに野党もびっくりするような思い切った説を言い出したということですね。これは明らかなんです。いま大臣も言われたとおりです。 それで、またもとへ戻りますが、佐藤内閣は確かに年金制度をつくって一万、二万という一つの政策を若干いじくり回したことはありますけれども、当時は五万円というようなことは、おくびにも出さなかったということは事実であります。それどころか、生活を保障するものではない、そういう年金の理念を持っておったと思うのです。四十二年から四十四年の間における、われわれの国会における質問に対して、佐藤内閣の大番頭みたいな存在でありました当時の福田大蔵大臣は、はっきりとこの年金は社会保険だという思想を露骨に国会で述べていらっしゃいます。 そう見てまいりますと、田中内閣になって五万円説を述べると同時に、これはいわゆる社会保障的な性格を持つものだというように、今日のいろいろの動きを見ますと受け取られます。だとすると、同じ自民党の政府のもとにおいて、こうまで急激に変わってきたということは、一体何を意味するのであるか、こういうふうに考えます。もちろん選挙のためだということにもなるかもしれませんが、もう少し善意に考えてみてあげますと、よもや思想の転換ではあるまいとは思いますけれども、大胆な基本的な政策の転換である、それとも政策の一部を手直しするものである、いろいろな見方があります。 そこで大臣、率直に答えていただきたいのは、一体基本的にはどのような考え方でこういう年金制度確立を目ざして、いまからやろうとするのか、その点を明らかにしていただきたいと思うのです。
○齋藤国務大臣 この年金に対するいろいろな経営のしかたが非常に変わったではないか、保険主義的なものから社会保障——その意味も私もはっきり理解してない点もございますが、変わったではないかというような御意見でございますが、その点は私ども一つも変わっておりません。わが国の社会保障の形態は、あくまでも社会保険主義、自由主義社会においては、私どもはこの社会保険主義でいくべきである、こういう考え方については、ごうまつも自民党内閣においては変わっておりません。 ただ問題は、たとえば健康保険法のような中小企業を対象とする健康保険につきましては、そうした労使の保険料だけで運営することでは十分ではあるまい、基礎が脆弱であるから、やはりこの際は、一般国民の税金をできるだけお願いしようではないかというふうな方向に変わったり、あるいは年金においてもより現実的に、国民の営んでおる生活水準というものを頭に描きながら、より高度の水準に高めていこうではないか、そういう意味において佐藤内閣から田中内閣に移ることによって——それはもちろん国民的な要望なり、そういうふうな発展を必要とする政治経済的な要請にこたえておるのではありますけれども、基本的な社会保険主義というものを放てきして別な経営方式に変わったのだ、こういうふうには私ども考えておりません。ただ問題は、より現実的な国民生活というものを直視して、その生活の中で豊かさを見つけるという方向にもっと力を入れようではないか、佐藤内閣でも力を入れなかったというのではありませんが、より一そう力を入れようではないか、アクセントがそこに非常に強くなったということであろうと思います。 したがいまして、ことしの二月に策定いたしました経済社会基本計画などにおいても、国際貿易の協調ということと社会福祉の充実を二枚看板に、二本の大きな柱にするということは、私はやはり政治の前進であった、こういうふうに考えておる次第でございます。基本的なそういう社会保険主義といったことの変改によってなされたものではない。国民の要請にこたえながら、福祉国家建設という高い理想のもとに、アクセントを強く置いて進んでいこうということであろうと考えております。
○枝村委員 私よくわからないのですが、そうすると、生活の一部の補助的なものであるというように年金を依然として考えておるのである、形式的には今日でも保険方式をとっておるのですから。しかし内容が充実されていければ社会保障的なものに変わっていくのですから、そういう観点に立って、いわゆる食える年金というものをあなた方は出した。その金額が五万円だということで、この法改正をされたのじゃないですか。だとすれば、佐藤内閣のとっておりましたように、はっきりとこれは社会保障ではなく社会保険だ、生活保障するものでなくして補助的なものだ、こういう露骨な思想、政策はやはり転換して、今日の田中内閣になったのだというように私は善意に見るわけです。 そうでないとするならば、依然としてあなた方の思想、政策というものは、佐藤と同じようなやり方をするということになるわけで、そうなると、いまの五万円年金説そのものも、われわれからごまかしと見られても、しかたがなくなるのですよ。そういう前提があって、もしあなたが社会保障長期計画懇談会なるものを七日に発足したとしても、ほんとうのビジョンというものは十年先にも立ちませんよ。そういう意味でいま私は質問しているわけです。あなたのほんとうの考え方をおっしゃってください。
○齋藤国務大臣 そういう保険主義という形式の問題を離れて、中身についての御意見だと理解いたします。確かにいままでの一万円年金、二万円年金というものは、ある程度の保険料というものを中心にして、ある程度の保険料というものが、どの程度集まるかということを中心にして、老後の生活の一つのささえといったふうな考え方が私は強かったと思うのです。それは保険料の収支計算ということを中心にしての色彩が強かったと思うのです。 ところが私どもは、今回の年金というものについての中身は、枝村先生お述べになりましたように老後の所得保障、老後の生活保障という方向にいくべきである。そうしなければ、いわゆる西欧先進諸国並みの年金にはならない、こういう考え方で進んでおるわけでございまして、その意味から申しますれば、まさしく非常に大きな飛躍であり、転換であった、こういうことは私いえると思いますし、今後ともそういう方向で努力をいたしてまいりたい、こう考えておる次第でございまして、その点は御意見のとおりだと思います。
○枝村委員 だとすれば、私はいわゆるあなたの野党的、戦闘的根性を非常に買って、あなたの在任中にこの計画懇談会でひとつりっぱな基本方針を打ち出してもらいたいと思います。そのためには、午前中に野党四党の提案した年金の法改正に対していろいろ質疑がかわされました。そうして八木委員から理にかなった、きわめて適切な答弁がされ、橋本委員も完全に納得はしないにしても、将来の問題として、これを正しく受けとめるという発言をされておったようでありますだけに、この懇談会の十年ビジョンの中に十分生かしていくということが、あなたに課せられた重要なる課題だというように思っておるわけであります。 そういう意味で、ひとつこの野党四党の案に対して、あなたは一体どういうふうに考えていらっしゃるか、これをひとつ率直に述べていただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 私は最も適当であり、最もりっぱであると考えておる法案を提案いたしておる責任者でございまして、八木さんをはじめとする四党の法律案の内容について、いろいろ批判がましいことを申し上げることは、いかがかと実は考えておるわけでございますが、私をしてしいて言わしていただくならば、橋本委員が先ほど最後の段階において野党四党の案に対して意見を述べましたように、相当いろいろな想定のもとに立案されておる案でございまして、いま直ちに実行することは相当困難なものばかりが想定の中に入っておるようでございます。そういうふうなことから申しますと、橋本委員が先ほど申し述べましたように、なかなかこれはいま直ちに採用するというわけにはいかないであろうと思います。 しかしながら、お互いに国会の場において、いろいろな御意見を戦わすことが国民福祉の向上のためには望ましい。この点については、お互いに考え方は一致しておるわけでございます。ねらいは国民のためであります。これはもう政党政派を離れて、イデオロギーをこえた問題だと私は思います。そういう意味において、今後とも敬意を表しながら勉強はさせていただきたいと思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、いますぐ実行できない想定の材料が一ぱいあるわけでございますから、その想定がたくさんあり、実施できないような想定の上に組み立てられた案に、いま直ちに賛成しろといわれても、これは私は賛成できない。いなむしろ私のほうで提案をいたしておる案というものは、現実的ないろいろな材料を確実に積み重ね、その上に立っての案でございますから、どうか枝村議員もわが政府の提案いたしておりまする法律案にひとつ御理解、御協力のほどを私はお願い申し上げたいと考えておる次第でございます。
○枝村委員 あなたは最初に、田中内閣になって五万円年金説を大胆に打ち出したというのは、いまや国民の大多数の声です。そしてその合意によって、いわゆる老後の生活保障、所得保障を確立せねばならぬという大きな一つの力がそうさせたということをはっきりおっしゃいました。そのためにはやはり食える年金制度というものをつくり上げていかなければならぬでしょう。そういう前提に立てば、野党四党と政府案とは、どちらが国民の望むものであるかというのは、比較すれば明白にわかってくるわけです。ただ問題は、今日の財政下においては、銭の問題としてどうにもならないということを一つ理由にして、あなた方は見向きもしないという態度にやはり問題があるわけなんです。 あなたは社会保障長期計画懇談会なるものをつくって、そして十年計画で西欧諸国並みにするという計画があるならば、この野党四党の案に対して最初からそういう異端視するような態度をとらずに、まじめに取り上げて真剣に検討すれば、ほんとうの意味の国民の合意のもとにおける所得保障、生活保障の年金というものができると思うのです。あなたは銭金のことを言いますけれども、国民の多くの人たちはこの合意に基づく、そして希望する年金制度に対して、いろいろ障害があっても、それを乗り越えてりっぱなものにするために協力してもらえると、われわれは思っておるのです。この時点において、あなた方があくまでもいま言ったように、とにかくどうにもなりそうもないという一点ばりで、この野党四党を見るとするならば、すでに出発点からあなたの考えておる長期ビジョンそのものもくずれていくという結果になりはしないかという心配を私は持っておるわけなんです。どうですか、その点は。
○齋藤国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたが、野党四党の案なるものは、いろいろな、いますぐ実行できないような想定のもとに組み立てられておる案でございますので、やはり私どもは、政権を担当いたしておりまする政府としては、現実的に実行できるといういろいろなデータの上に立って立案することが望ましいと考えておる次第でございます。現実の段階においては、政府提案が一番適当であると私は信じております。 しかしながら皆さま方の御意見も私は十分拝聴いたしておるつもりでございます。先ほども八木委員の御答弁や大原委員の御答弁については私は敬意を表して承っておるわけでございまして、むげにもう聞き捨てにするというふうな考え方はごうも持っておりません。国会の場において、国民のそれぞれの声を代表される皆さま方の御意見を十分承りながら、将来の指針の参考として進んでいく、これが基本的な態度でなければならない、かように私は考えております。 現時点において、年金の改正をやろうとするならば、特に私は、今回において思い切って実現したと思っておりますのは、物価を指標とする自動スライド制、これは口では言えるのです。なかなかできないのです。恩給などにおいても、賃金スライド制とかなんとかいっておりますが、自動式はとっておりません。そこで自動式のスライド制を採用したというのは、私はこれは画期的なものであると信じております。したがって、今後とも皆さま方の御意見については十分拝聴さしていただいて、そしてりっぱな年金のビジョンのために努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○枝村委員 関連質問を終わります。
○田口委員 いまの問題の締めくくりという意味で最後に重ねて大臣にお聞きしたいのですけれども、現実的な問題、それから年金の問題が国民の合意の上に立ってというような表現を使われるのですが、佐藤内閣から田中内閣に移った背景というふうなこともいろいろありましたけれども、この年金の問題で国民的合意に達するには、ひとつ認識を、いま大臣おっしゃったように、与野党を問わず一つにしなければならぬと思うのです。 なぜ年金の問題がこのように政治問題、社会問題化をしてきたかということを端的にいえば、選挙でみんなが一生懸命になったというのは、それだけ基盤があったと思うのですけれども、結局長期ビジョンで、あと五年先、十年先にお年寄りをこうしようという問題よりも、いま現に年をとっている方、年金の受給権者という表現を使いますが、そういった方の生活の状態を考えた場合に、やはり年金というものに大きく依存をしなければならぬようになってきたということは、これは与党野党を問わずにお互いいえると思うのです。 ことばをかえていうならば、従来は——従来といってもここ四、五年前ということじゃないのですが、日本の家族制度という立場からいったら、これは大方の人が御理解をいただいておるように、年をとって世帯を息子に譲った場合には、隠居をした場合には、その子供のだれかに養ってもらえるといううことがありましたね。だから、年金なんということは口に出なかったわけです、一部、恩給というようなことがあったりしましたけれども。ところが、家族制度が崩壊したとはいいませんけれども、幾ら子供が養ってもらった親を扶養しなければならないという、富士山よりも高い気持ちを持っておったにしましても、今日の政治経済の状態の中では親を養うような状態に置かれていない。若い者はどんどん外へ出ていってしまう。かりに親と同居しておっても、親の口を養うような賃金状態じゃない。 これは自民党政府がやったとは、私はそこまで言いませんけれども、そういうふうな政治経済の流れというものが一つあるじゃないか。しかも政策的なインフレということで、先ほど労働省からいろいろと聞きましたように、定年でやめても、なおかつ再就職をしなければならぬ。退職金をもらっても、そうそう長くは続かない。こういう政治経済の中では、どうしたって公的年金というものにたよらざるを得ないのではないかというのが、今日年金問題が出てきた一つの大きな原因だと思う。 とすると、確かに年金技術、保険技術といったようないろいろな問題があるでしょうけれども、そういう現実にわれわれ政治というものがこたえるためには、これは従来に比べると二倍、二倍半というふうに、いま当局はおっしゃいますけれども、はたしてそれで現実のそういった老後の生活安定という経済基盤を補助する、補完するというような年金の金額になっておるのか。ですから野党四党共同提案そのものが、現実にいろいろな言い方をされますけれども、それをすぱっと通せというこちらは趣旨なんですが、いま合意に達するためには、少なくとも物価スライドということに踏み切った以上は、技術的にさらに検討してもらって、賃金スライドということも考えられるじゃないか。二十七年間、八万四千六百円という標準金額というものを逆算するのではなくて、二十年の掛け金で五万円になるというふうなことになるなら、現に年金を受給する資格を持っておる者が声をあげておるのですから、その者が家族制度のそういった問題で子供のお世話になりにくい、子供が世話しようと思っても、なかなか世話できぬ。自分の退職金で食っていこうと思っても、もうそれはインフレの前には力がない。 そういうあえいでいる者に今日ただいまのその問題に対して、この年金制度というものが有効にこたえるようにしなければならぬ。それが残念ながら政府案では有効にこたえるものではない。いままでに比べて若干の前進があることは率直に認めますけれども、そういう現実に有効にこたえるものではないということは、これははっきりいえると思うのです。それを有効にこたえるようにするためには次善の策、その次の策ということは、お互い与野党合意に達するものがあるのではないか。 そういう点について、いま言われたように二十七年間八万四千六百円、五万八十二円というような物価スライドというのではなくて、賃金スライドなり何なりの方法でよりよいものが見つかるのではないか。そういう努力をひとつ政府自身として、直接の担当者である厚生省としても十分考えてもらいたい。この国会の中で結論を出すようにひとつ努力をしてもらいたい。そういう点を私は強く要望いたしまして、質問を終わります。
○伊東委員長代理 田中君。
○田中(美)委員 それでは、私は五万円年金のことについて質問いたします。 政府は、画期的な五万円年金というふうにいわれているわけですけれども、国民の側では、まぼろしの五万円年金というものが、いま非常に浸透してきたようです。朝日新聞の「年金とあなた」という連載の中にも大きな見出しで、「幻の五万円」年金というふうに書かれるようになってきているわけですね。このことが、私自身は結論からいいまして、ほんとうに五万円年金まぼろしであるというふうに思うわけですけれども、その中身を少し質問したいというふうに思います。 まず、五万円年金を、実際に五万円手にできる人というのは何名いるのでしょうか。
○横田政府委員 五万円年金は、再々申し上げておりますように、厚生年金について申しますと、平均的な被保険者、標準的な被保険者期間をお持ちになっておって、標準的な標準報酬の方の、その標準報酬の六割ということでございまして、この場合の標準的な被保険者期間は二十七年、標準的な報酬は八万四千六百円でございます。 現実に、五万円年金をお受けになる方が何人いるかという点につきましては、昭和四十八年度中に新しく老齢年金を受け始める方が十三万一千人おられますが、その中で月額五万円以上の年金額になろうと見込まれる方は三万一千人でございます。これは全体の十三万一千人に対しまして二三・九%、それから御承知のように、厚生年金につきましては、被保険者期間は、標準的なものは二十年でございますので、標準的な二十年以上の方について見ますと三六・三%でございます。 また、昭和四十八年度末の老齢年金受給者総数は約八十万四千人と見込まれておりますが、その中で月額五万円以上の年金額になると見込まれる方は八万五千人程度でございます。五万円年金を受給する方の数は先ほど来申し上げておりますように、本来の受給資格期間である二十年以上加入して、新たに老齢年金を受けられる方について見ますと、さっき申しましたように、四十八年度は三六%ですが、これが来年度になりますと、四二%、それから五十年になりますと五〇%というふうに、逐年増高いたす見込みでございます。
○田中(美)委員 二三%が、来年になれば三〇%、四〇%になるというパーセントだけを聞いておりますと、ふえていくように思いますけれども、そういうふうな感じがしますけれども、四十八年度には八万五千人の厚生年金の五万円をもらえる人があるということですね。そうすると、国民年金は何人あるのでしょうか。
○横田政府委員 国民年金は、御承知のように昭和三十六年に始まった年金でございますので、昭和三十六年に始まりまして、二十五年の資格期間を満たされた方について厚生年金の給付レベルとリンクさせるということでございますので、差しあたっては五万円の給付を受けられる方はございません。
○田中(美)委員 いつから五万円年金の方が出るわけですか。
○横田政府委員 それはただいま申しましたように、拠出制の国民年金が昭和三十六年に始まっておりまして、標準的な加入期間が二十五年でございますので、相当先のことになります。
○田中(美)委員 はっきりとおっしゃってください、相当先ということじゃなくて。
○横田政府委員 この場合にはいろいろな前提がございます。 何歳のときにお入りになったか、それから付加年金にお一人がお入りになったか、お二人がお入りになったか、それから御主人と奥さんと、その年齢がどういうふうなぐあいであったか、いろいろな前提がございますので、そういった前提を置いて考えますと、何年何月からということは、たいへん申し上げづらいのでございますが、三十六年の四月に国民年金が発足いたしておりますから、それから二十五年でございますと、昭和六十一年にこの資格期間を満了する、こういうことでございます。
○田中(美)委員 昭和六十一年にこれが五万円ということでありませんね、付加年金がありますからね。そうすると、ここでは一人もまだ出ないということですね。それから、このときに六十歳になって資格ができるということですから、六十五歳からしかもらえないわけですから、それからもっとかかるわけですね。そうしますと、一番早く入った人、夫婦で両方とも一番条件のいい人で一番最初に五万円もらえる人はいつなんでしょうか。
○横田政府委員 一つの前提を置いて、現実に五万円年金をどういった場合にいつどなたが受給されるかということですが、いまもお話しございましたように、二十五年で昭和六十一年、それから受給年齢が六十五歳でございますので、言うならば、それから五年の待期期間があるということでございます。
○田中(美)委員 わかっていることですから、時間をかけずにきっちり正直におっしゃっていただきたいわけです。一々聞かなければ言われないというふうにしないで、明らかにするという意味で、全部言われたら答えるということでなくて。 昭和六十六年ですね。それでもまだ奥さんはあとからですからね。夫婦で五万円になるということはできないわけです。そうすると一番有力な人でいつになりますか、夫婦で五万円……。
○横田政府委員 それは一応の前提を置いて申しますと、ある時点が出るわけでございますが、何せ昭和六十六年のことでございますので、その間におきまして今回導入いたしました物価自動スライド制が働くことでございましょうし、それからまたそれまでの間には政策改定の機会というものも何回かあることと思いますので、そういったことを考えますと、いまの時点で昭和何年何月から五万円になってそれ以前には絶対にならないということを申し上げるのは、かえって誤解を受けるのではないかと思って、申し上げることを差し控えておる次第でございます。
○田中(美)委員 朝からの中では四十年先というようなことまでが論じられているときなんですから、この数字でいったら、いつになるかということを聞いているわけです。それがわからないはずはないと思うのですね。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕
○横田政府委員 ただいま申しましたように、これから先の物価スライドですとか政策改定ですとか、そういったことが当然加味されていくわけでございますので、そういった前提を置きまして一応申し上げますと、そういったことが全然ないというふうなことにいたしました場合に、現実に夫婦で五万円年金を六十五歳になってお受けになる方は、昭和六十八年の四月分からでございます。ただし、何回も申し上げますように、いろいろな前提がございます。
○田中(美)委員 それを伺うまでにずいぶん長い時間かかったと思います。一言で済んだことだと思うわけですけれども、たいへん言いにくかったということはよくわかります。五万円年金とあれほどいったものが、昭和六十八年の四月でなければ出ない、それも非常にわずかな数ですから、全くいまは国民年金は、いまから二十年後に初めてほんのわずか出るということですね。 それでは現在、五万円年金を厚生年金で四十八年にいただける人の大体の平均は幾らぐらいですか。
○横田政府委員 お尋ねは五万円以上の受給者の平均受給額でございますか。
○田中(美)委員 厚生年金の、五万円年金の今度改定になった場合の、ことしの平均受給です。
○横田政府委員 この法律を通していただきますと、四十八年の十一月一日から実施になるわけでございますが、その時点で申しますと、平均の受給額が三万六千円、二十年以上グループにつきましては四万一千円ということでございます。
○田中(美)委員 それで国民年金の平均はどれくらいでしょうか。
○横田政府委員 国民年金は御承知のように昭和四十六年から十年年金が支給されておりまして、それが改正法が通りますと、お一人について一万二千五百円、夫婦では二万五千円になります。
○田中(美)委員 平均ですね。
○横田政府委員 定額制の年金でございますので、これは平均も、一人一人も同じでございます。ただ、おそらく免除者につきましては、それぞれ違った年金額があるだろうから、実際に給付されている金額を受給者で割った場合のその金額はどうかという御趣旨でございますと、いま私ちょっと計算をいたしませんとお答えできませんので、計算をいたしてお答えいたします。
○田中(美)委員 いままでのお答えの中から、やはり今度の政府のいう五万円年金というのは約三万円以下、国民年金。一緒になりますから、福祉年金も一緒に入れればもっと少なくなるわけですけれども、少なくとも三万円年金というならば、まだしもあれですけれども……。 それから五万円年金の出てきた基準について伺うわけですけれども、なぜ二十七年で計算をしているわけですか。
○横田政府委員 その二十七年は、先ほど申し上げましたように、厚生年金につきましては二十年が標準的な被保険者期間でございまして、それ以下の被保険者期間の方はどちらかといえば特例的な年金受給者というふうにお考えいただいてよろしいと思います。大体各国とも年金の水準を云々いたします場合には、ILOの百二号条約も百二十八号条約もそうでございますが、奥さんをお持ちになっておられる男子について年金の水準を表示いたしておるわけでございます。 この二十七年云々と申しますのは、厚生年金につきまして二十年以上の被保険者期間を持っておられる方が、改正法の施行時期である本年の十一月一日になって受給者になる場合に、平均どれくらいの被保険者期間を持っておるかということを現実に引き出しまして平均をいたしましたその年数が、二十七年であるということであります。
○田中(美)委員 できるだけ数を多くして計算が五万円に近づくように、非常にこの二十七年というのに根拠が薄い。なぜ二十年で計算しないのかというふうに私は思うわけです。 それからもう一つ、読みかえの計算が非常にあいまいだというふうに思うわけですけれども、もし賃金指数で読みかえた場合には、どれくらいの差があるでしょうか。
○横田政府委員 厚生年金につきましては、保険料につきましても保険給付につきましても、標準報酬制度をとっておりますので、したがって毎月勤労統計によります平均賃金によって再評価をするということは、私は実際問題としては意味が薄いと考えております。 ただ、しかし御指摘でございますので、それによってやった場合はどうなるかということを申しますと、たとえば昭和三十二年、実は毎勤統計のほうはこれは暦年でしか出ておりませんし、それから私どものほうの再評価率の読みかえの指数は暦年ではございませんので、完全には合いませんけれども、三十二年、これをとりますと、毎勤統計でいった場合には四・二二、それから私どものほうの再評価率でいった場合には三・八七、多少の開きがございます。そういうことで、かりに先生御指摘のように毎勤統計の平均賃金によって再評価をした場合に、私どもがやった再評価の八万四千六百円というものが具体的な金額として、どれぐらいに変わるかということでございますが、おおよその計算をいたしますと九万八百円でございます。
○田中(美)委員 私は、読みかえのあいまいな、おかしいところを、いまどういうふうにつつこうという気はありませんけれども、しかしここにも非常にあいまいさがあって、もしそちらでおっしゃる四・二二でやっていくとすれば、もっとこれが多くなるというふうになるわけですね。 それからもう一つ、私がこの計算のしかたに疑問を持ちますのは、定額部分というのは定額なんですから、なぜそれに期限がかけられるわけですか。
○横田政府委員 厚生年金の仕組みは定額部分と報酬比例部分になっておりますが、定額部分のほうはどちらかといいますと、低所得の方に対する最低保障的なファンクションを営ませる、こういうことでございます。それで従来から、その点につきましては期間比例によって完全にこれを延ばすということではございませんで、二十年でとめておるわけでございます。
○田中(美)委員 やはり定額部分のところに、人によって変化が出るわけですからね。いまおっしゃった低所得者にというところに、やはり私は非常に問題があると思います。 定額部分というのは、低所得者とか所得者でないとかいうことと関係なく、すべての人の生活の最低を保障するものだというふうに解決すべきだと思うのです。この定額部分でさえが、かけた年限によって違ってくるというのは、おかしいと思うわけです。 この三点から見ましても、この計算のしかたというものに非常に疑問を感ずるわけですけれども、はたしてこの八万四千六百円というのが、ほんとうに庶民が感覚的に受け取る標準の賃金であるかということを非常に疑うわけです。 ですから、庶民は五万円年金と言えば、大体平均が五万円もらえるんだな、自分はちょっと上だから、もうちょっと上、自分は少ないから、もうちょっと下じゃないかというふうに大ざっぱに考えるわけですね。ですから、これが平均だというふうに思ってしまうわけです。標準報酬の一番上限のところを一貫して通ってきた人というのが九万九千三百円ですね。この人でこれで計算してみますと、年金は妻の加給金も入れて五万三千九百五十一円になるわけです。そうしますと、政府の言う五万円年金というのは、決して庶民の平均ではなくて、部長、課長の年金だということは、これは労働者が計算してみて、実際そう言っているわけです。部長年金だ、課長年金だと言っているわけです。数から見ましても、八万五千人しかいないということですね。 そうすると全体から見ますと、いま六十歳以上では大体千百万くらいの老人がいるわけですけれども、六十五歳から見ましても約八百万というふうにしますと、この五万円年金というのは、まさに百人に一人しかいない。国民はそんなに年金の数が幾つもあって、それがこんなに複雑にごちゃごちやしているというふうには思わないわけですから、五万円年金と言えば、みんなくれるんだ、こう思ったわけです。実際にふたをあけてみたら、すべてのお年寄りの中で百人に一人しか五万円年金は出ていないということを、いまになって初めて国民が知った。そしてまぼろしの年金ということばが出てきたんだと思います。 私は、非常にここに強い怒りを感ずるのは、ちょうど昨年の総選挙の選挙対策のスローガンであった。私もちょうどそのとき初めて選挙に立ったものですから、年金の問題はずいぶんやったわけです。そのときにぱっと五万円年金というのを出せば、庶民は、ああ、自民党にまかしておいても五万円出るのかというふうにだまされたわけです。それで中には、ほんとうに福祉年金の三千三百円もらっている人までが、ひょっとしたら五万円出るんじゃないかというふうな錯覚を持つようなポスターを出されたりした。これはあくまでも五万円年金なら、厚生年金をもらう人たちの職場の掲示板に小さくこれが掲示されたんならいいですけれども、町のまん中に選挙ポスターとして「五」というようなことを出したわけです。これはもうほんとうに、若い人をだまかすということが悪くはないということではありませんけれども、行き先の非常に不安なお年寄りというものが、ほんとうにわらにもすがるつもりで五万円というものに期待を持った。それから政治に期待を持ったわけですね。 それを選挙が終われば、どすんと落とされるのは、全く残酷な仕打ちだというふうに私は思うわけです。 年金どいうものは、あくまでも生活の最低保障をするというような、すべての人の生活の最低保障がなされるものでなければならないと思うわけです。六十歳以上のすべての人が最低保障をされなければならないというふうに思います。そしてそれは賃金にスライドしていくということでなければ、いまの資本主義社会の中で私たちは生きることができない。生きることに対する非常な不安を持つわけです。いまのままで、すべての人に一人三万円という最低部分をつくっていくのは、だれが考えても、先ほどの方もおっしゃいましたけれども、食える年金ということでは、三万円では食えるまではいきませんけれども、最低でも三万円という最低保障というようなことをするべきだというふうに思うわけです。そういうことをしていっても、なかなか——一人三万円という最低保障をするということは、これは緊急事態だというふうに私は思うわけです。 こういうことから見まして、私たちが考え、国民が望んでいる年金制度とは、この五万円年金が、ただ計算があいまいだとか、いろいろなところが不備があるということ以上に、国民の心を傷つけているという意味でも、この五万円年金というものを私は許すことができないというふうに考えるわけです。 ここのところで一つだけ補足しておきますけれども、日雇い労働者をやはり厚生年金の中に入れていくという考え方をしていかないと、いけないんではないかと思いますけれども、その点、どうでしょうか。
○横田政府委員 日雇い労働者は御承知のように現在国民年金の適用を受けておるわけでございまして、これを厚生年金の適用下に置くべきであるという御議論も、いろいろな機会に私どもは伺っておりますけれども、日雇い労働者の方々につきましては特殊な雇用形態でございまして、なかなか直ちに厚生年金の適用をするということにつきましては、いろいろな問題がございます。したがって、この点につきましては今回の改正には間に合いませんでしたが、継続して検討をいたしたいと考えております。
○田中(美)委員 では、次に女性の立場から見た年金、女性の年金権について伺いたいと思います。 まず、女性が今度の改定案で五万円年金をもらえる人というのは何人いるでしょうか。
○横田政府委員 先ほど申し上げましたように、年金水準としてとりましたのが、二十年以上の被保険者期間を持つ男子についてでございますので、女性の方が具体的にこの法律実施直後あるいは年度末までに、どれくらい五万円年金を受けられるかという数については、いまのところ、その数字を持っておりません。
○田中(美)委員 それを見ましても、選挙ポスターとして五万円というふうに出したことがいかに男だけを中心にして、男の一部分だけということ、女性は私はおそらく一人もいないんだというふうに思います。もしいたとしても、一人か二人か三人という五万円年金、こういうことでしかないんだと思うのです。そのことについては、私は非常に強い怒りを持っているわけです。 いかに国民をだまかしただけではなくて、女性もだまかした——老人問題というのは、婦人問題ではないかといわれるくらいに、平均寿命が男性より五年長いわけですから、年をとればとるほど女性の数が多くなっていくわけです。そのおばあさんたちが五万円年金に対して期待を持ったということは、なおさらに私はけしからぬことだというふうに強い反省を促したいと思うわけです。 その次に、遺族年金のことですけれども、まず遺族年金が五〇%であるということは、これは夫婦でいるときには一〇〇%もらえても、夫が死ねば五〇%しかないということは、どうして女が生きていくのかということです。そういうことから考えまして、非常に不当だと思いますけれども、これを八〇%にするというふうな考え方はないでしょうか。
○横田政府委員 年金制度におきまして、女性をどのように処遇するかという点につきましては、いろいろむずかしい問題がございます。それで、御質問に対する直接のお答えを申し上げます前に、現在公的年金制度におきまして、女子についてどのような処理をしているかという点について、多少申し上げますと、きわめて優遇をいたしておるわけでございます。 一つは老齢年金の支給開始年齢でございますが、男は六十歳でございますが、女子は五十五歳から出しております。この支給開始年齢が五歳違うということは、いわゆる給付現価に対しましては非常に大きな影響を持ってまいりますし、それからこの支給を受けられる方について見ますと、平均寿命が一定である場合には、支給開始年齢が五歳早ければ五年間よけい支給を受けられる、こういうことがございます。(田中(美)委員「簡単に答えてください」と呼ぶ)それから特例期間の計算につきましては、男子は四十歳以後の期間は十五年でございますが、女子は三十五歳以後の期間が十五年でございます。 それから第二番目には、御夫婦で片方がおなくなりになって遺族年金をもらわれる場合でございますが、奥さんになくなられた夫が遺族年金をもらうケースは廃疾者であり六十歳以上でなければなりませんが、妻の場合には年齢にかかわりなく、廃疾の有無にかかわりなく、また従来は子供があった場合に限られていた時代もございますが、現在は子供のあるなしにかかわらず遺族年金が支給される。 それから第三番目には保険料率の問題でございますが、現行男子は千分の六十四でございますが、女子は千分の四十八……(田中(美)委員「それは古いほうですね」と呼ぶ)新しくなるのが、それぞれ千分の十五これにオンいたしまして、男が七十九、女が六十三。 それから第四番目には、脱退手当金の支給につきましては、女子は二年以上在職で支給される。 いろいろ申し上げましたように、現在のわが国の公的年金制度におきましては、女性についてはずいぶんと優遇措置が講じられておるというふうに考えております。 それから直接御質問の遺族年金の問題でございますが、この遺族年金の問題につきましては、率直に申しまして、今日までのところ各公的年金制度を通じまして基本年金額の二分の一という考え方がとられておりまして、そのこと自体は率直に申しまして、ほぼ定着いたしているということでございます。 この問題をどのように変えるかという点につきましては、実は国民年金制度が発足いたしました際に、これをどうするこうするということを考える一つのチャンスであったわけでございますが、御承知のように国民年金制度につきましては、被用者の妻は国民年金制度に任意に加入するという道を開いております。したがって、任意加入の国民年金にお入りになっております被用者の妻につきましては、遺族年金と御自分の国民年金の給付というものが重なるということがあり得るわけでございます。この際、こういった任意加入ということを一切やらないで遺族年金それ自体のほうをいじるかどうかということも、おそらく一つの問題だったろうと考えております。 それから今後の方向でございますが、一つにはいま申しました国民年金に任意加入の道が開かれております被用者の妻につきまして、むしろその加入を強制したほうがよろしいのではないかという御議論も随所にございます。そういった問題等がございますので、被用者の妻につきましての遺族年金の給付率を直ちに八割に上げるとかそういったことまでは、今回の改正ではいたさなかったわけでございます。
○田中(美)委員 今後なるたけ質問したことに答えていただきたいと思います。いまのところでやはり、そちら側としては、私いろいろ質問しておりましたので、有利な面というのは言っておかなければならないというお気持ちだろうと思いますのでけっこうですけれども、なるたけ聞いたことに答えていただきたいと思います。 これを有利だというふうなことは、私はいま言われたことを一々反論していますと年金の問題からはずれていきますので、このことに触れられませんが、一言触れますと、婦人の賃金が不当に低いということやいろいろな労働条件の悪い中、母体保護の不備の中で、これは決して優遇措置だというふうには私は思えませんけれども、次の質問にいきたいと思います。 国民年金に強制加入ということも、私はやはり非常に検討しなければならないことだというふうに思うわけです。それは夫がなくなって、夫が共済年金に入っている場合に、妻も国民年金に入っていた場合は併給できるわけですね。それから夫が厚生年金に入っていた遺族年金と、自分が国民年金に入っていた場合には、それが併給できる、夫の五〇%と自分のものが両方もらえるわけですね。これは確実ですね。
○横田政府委員 この併給問題につきましては、同じ制度の中では併給しないし、制度が違えば併給する、原則はそうでございます。
○田中(美)委員 そういうことは、夫婦が厚生年金に別々の会社で別々に入っているわけですね。そうして夫がなくなった場合に、その五〇%をもらって働いていると、そのうちに自分が厚生年金の適用になって年金がもらえるようになった場合に、これが併給できないということをいま言っていらっしゃるのだろうと思いますけれども、どちらかがゼロになるわけですね。自分で高いほうを選ぶということになるのだろうと思いますけれども、ここには完全にゼロでないというふうなことがわかっておりますけれども、一応ゼロになる場合があるわけですね。 こういうことは年金が別ならば併用、一緒ならばということですと、女性が自分の一生の方針というものをつくっていく場合に、夫を選ぶときにも、自分が厚生年金に入っているならば、皆さんのような公務員を選んでおかなければ損だという計算をさせる結果になるわけです。そうすると、ほかの会社で厚生年金に入っている会社の人を選ぶ自由というのは、非常にそこなわれるわけですね。どうして女のほうだけがそういう自由を失わなければならないのか、非常にこれは不備だというふうに思います。それはどのようにお考えになりますか。
○横田政府委員 ただいま御指摘の問題にまでなりますと、おそらく年金制度それ自体の問題の多少らち外の問題になると思うのです。 それで、先ほど申し上げましたように、同じ制度の場合には併給はしないということになっておりますが、厚生年金について申しますと、一方の年金が遺族年金である場合には、その基本年金の範囲内では老齢年金との併給を行なうわけでございますので相当優遇はいたしております。ただ結婚の際に、制度の違っただんなさんを選ぶかどうかというその問題までは、ちょっと年金制度の問題としての議論は、なかなかついていけないと思っております。
○田中(美)委員 法律というのは生きたものだと思うのです、人間が使うわけですから。ですから、それは何もらち外と、確かに論議するにはらち外かもしれませんけれども、そうした間違った法律があることが人間の心を変えていくということにもなるわけですね。 それでもう一つ質問しますけれども、これは共済年金にも厚生年金にもあることですけれども、妻が遺族年金をもらいながら国民年金をもらう場合に、母子年金が差し引かれるということは、三分の一減額されるということは、これはどうしてなんですか。
○横田政府委員 それは国庫負担分を調整をする、こういう思想でございます。
○田中(美)委員 それ自体が、母が子供を育てているというものに対して、子供を育てていれば母であるがためにいろいろな恩恵を受けている面と、またこういうふうに子供があるという母子家庭というのは変わりないわけですから、それが自分のものをもらえば、そちらが引かれるということは非常におかしいというふうに思うわけです。もう少し憲法で保障されているように、私たち個人個人ということで考えないと、何でもセットで親子だというような考え、母と女性が別のような、子供がいなければ人間でなくなるようなところがあったり、非常におかしいことがこの中に入り込んでいるというふうに私は思うわけです。 その次の質問ですけれども、妻が離婚した場合には、夫と一緒にいた年限というものが全部何にも属していないということになるわけです。一年二年で離婚した場合には年限が短いということもあるかもしれませんけれども、最近はだんだん中年の離婚が、夫を捨てるというのが多くなってきているわけですね。そういう中で、二十年三十年一緒にいた妻が夫と離婚する場合に、二十年三十年というものは年金に全然入っていないということになってしまうわけです。こういう点は非常に不利だと思いますけれども、どのようにお考えになりますか。
○横田政府委員 遺族年金は御一緒に夫婦生活をしておられた方が、だんなさまがなくなられた場合の年金でございますので……。
○田中(美)委員 いまのは遺族じゃないのです。離婚した場合。
○横田政府委員 別れた場合は、これは奥さんが厚生年金に入っておられたり、国民年金に入っておられれば別でございますが、要するにだんなさんが入っておられまして、その奥さんの年金権は、だんなさんがなくなられたような場合に遺族年金というかっこうに変わるというものでございますので、厚生年金につきましては被保険者はあくまでもだんなさんである被保険者でございますので、それは当然のことではないかと思います。ただ問題は、そういった点もございますので、被用者の妻につきまして国民年金に任意加入をするというようなことで、言うなれば独立の年金権をいずれも取得するような方途が講ぜられておるということでございます。
○田中(美)委員 それは妻夫一緒に仲よくいって老後になって、二人で、そちらでおっしゃる五万円年金で豊かに生活——できるかどうか知りませんが、できている場合はいいですね。ですけれども、離婚した場合には、結局その間妻というのは浮いちゃうわけですね。それはあなたは夫の立場から考えれば、夫を一人の人間として考えた場合には、これは確かに理屈からいえば正当かもしれません。しかし広い人間の、国民の年金ということで考えた場合には、そこに全くどこの年金にも所属しない人が出てくるわけです。国民年金はいま任意加入ですから、知らない人もいるわけですし、そういう人がいた場合も含めてそういう人が出てくるということは、やはり制度をつくるときに考えるのがあたりまえじゃないのですか。ただそれが正当でございますということは、夫一人を切り離してものごとを考え、もっと総合的にものを考えないから、こういうふうにがたがたした年金の制度ができているんだというふうに思うわけです。ですからそういうことばを聞きますと、当然だなんということは夫の立場でしかものを考えていないということだというふうに思います。 その次に、これは非常に大きな問題で、どうしても絶対に考えていただかなければならないものだと力を入れて質問したいと思うのですけれども、遺族年金をもらっている人が再婚した場合には、その遺族年金がだめになってしまう、もらえなくなるということです。そのとおりですね。
○横田政府委員 そのとおりでございます。
○田中(美)委員 母子年金もなくなるわけですね。再婚した場合ですよ。
○横田政府委員 それは関係ございません。
○田中(美)委員 もらえるわけですか、再婚した場合もらえますか。
○横田政府委員 ですから、それは出ません。
○田中(美)委員 母子年金のほうを先にちょっと話してしまいますけれども、この母子の場合の子供は、再婚しましても今度の夫の子じゃないんですよ。皆さん方御存じだと思いますけれども、夫の子ではないんですね、前の夫の子なわけですからね。その子供をどこへ持っていくにしても、一緒に住んだからといって、それは次の夫の扶養義務というふうになるわけじゃないでしょう。どうしてこれをとるわけですか。
○横田政府委員 母子年金は母子であるという状態を前提にして出す年金でございますから、だんなさまがいらっしゃいますと母子だけではなくて、変わりますので、出ません。
○田中(美)委員 そういうところに個人の尊厳というものはないのですよ。何かにくっついていれば権利がなくなる。どこかにくっついていればなくなる。男の人はどこかにくっつけば得になるような形になっていて、女の場合、子供の場合というのは、子供にとっては母子年金の権利というものは自分の父親からもらえるものなわけなんです。それを二人が一緒でなければ、母に夫ができたからということで子供が宙に浮いてしまうわけです。そういうところにも厚生省の姿勢というのが非常に出ているというふうに私は思うわけなんです。 それから遺族年金の場合ですけれども、再婚した場合になくなるということは、これはいま非常に大きな問題になっています。これは保険審や国年審などでもこういう意見というのは考えるべきだということは出ていると思いますけれども、いまお年寄りが——いまお年寄りといわれる人たちというふうに考えたいと思いますけれども、特におばあさんですね。おばあさんが結婚しようというときに、結婚すると遺族年金がなくなるということはあまりにも残酷なわけです。いま老人ホームの実態などを皆さんたちは紙の上だけで見ていられるのかわかりませんけれども、そこでは生きがい論やいろいろなものから、年をとっても一人になった場合にはお互いに寄り添って、また次の夫を見つけ妻を見つけ、そしてそこで茶飲み友だちのように第三の人生を送っていくというようなことはむしろ奨励しているのではないですか。奨励ということは——本人の自由ですからね。結婚しようとしなかろうとかってです。 しかし、おばあさんが好きなおじいさんができた場合に、日本じゅうのおじいさんが全部金持ちなら別ですけれども、おじいさんはまた年金生活者で二万円、三万円しか持っていない。そういう場合に、そのおばあさんが結婚することによって自分のものがなくなるわけですね。そうすれば、とても結婚するということはできないわけですね。前の夫の遺族年金というものを将来の自分のささえにして生きているわけですから。それが夫ができたといったって夫にもよるじゃないですか。お金もないおじいさんの夫ができたからといって遺族年金を取り上げてしまうわけですね。 こういうことは結局——またあなたはここでの論争ではないと言われるかもしれませんけれども、おじいさんには結婚の自由があるけれども、遺族年金をもらっているおばあさんには結婚の自由がないということは、もっときびしくいえば憲法十三条の幸福追求の権利というものを奪われているということなわけです。こういう不備があるということを今後一体どういうふうに考えられるか。いまはだめだ、こう言われるけれども、一体これは不当なのか不当でないのか。
○横田政府委員 夫を失われたおばあさんが茶飲み友だちに新しい夫を見つけられて幸福な生活を営まれることは、まことにほほえましいことでございます。それからまた、けさほど来御議論のように、生きがい対策という点から考えましても、たいへんけっこうなことでございますが、その場合に、夫を失った妻が再婚をする際に、再婚をしてもなくなった夫の遺族年金を受けさせることが必要かどうかという年金の範囲内での議論になりますと、なかなか御無理な御意見ではないかと思います。
○田中(美)委員 どうしてそれが御無理になるのか、私にはたいへんふしぎなんですけれども、その底の中には何があるか。あなた方の考え方の中に何があるかというふうに、私は非常にふしぎに思うのです。厚生大臣はその点どうお思いになりますか。
○齋藤国務大臣 夫がなくなって遺族年金を受けておられるという女性が結婚すると、遺族年金をもらう権利を失う。世界各国みんなそうでございます。夫婦というものはそういうものだと思います。夫婦というものは夫が妻を養うべきものであって、その遺族年金がそのまま続いていくというのはおかしいじゃございませんか。私はそう思います。いずこの国もそうでございます。日本だけがまた違った制度をつくるというわけにはいきますまいと私は思っております。
○田中(美)委員 いま厚生大臣がおっしゃられた、夫は妻を養うものだというふうに言われましたけれども、民法の上にはそのようには書いておりません。配偶者には扶養の義務があるわけですから、妻が夫を養ってもいいであろうし、夫が妻を養っても、それは同等じゃないですか。そういうところに私は一貫して感じますことは、やはり女が再婚するということに対する何か罪悪のようなものを、昔の封建時代の二夫にまみえずというふうな考え方というものが、いまなお底に流れているというふうに私は感ずるわけなんです。もう少し近代的な考え方でこういうものを処理していただきたい。
○横田政府委員 何か私どもの年金に関するお答えが、いかにも女性だけを冷遇しておるような印象の御意見でございますが、実は遺族年金は妻だけではございませんで、夫についてもあるわけです。ある人の奥さんが年金を受けておられて、そうしてその奥さんがなくなった。その夫が再婚した場合に、その奥さんの遺族年金がもらえるかどうか。男についても同じことでございますので、別に女だけを差別してどうこうという制度ではございませんことをひとつ御了承いただきたいと思います。
○田中(美)委員 私はいま女だけを特に差別しているというのでは——結局そういうことになりますけれども、女だけといったって、世の中には男と女だけしかいないのですから、大ぜいいる中の女だけということではないわけです。ですけれども、実際にはいままでのこういうようなものを見てきますと、五万円年金だって、それじゃポスターに男だけの五万円年金と、こう出すべきです。一人も女があれしない五万円年金を、そういうということは、男の平均でいっているというふうに言っているわけです。 ですから発想がすべて男が中心に考えられているのです。そうしてあとから落ちこぼれた女性をどうやって救おうか——という考え方はおかしいかもしれないけれども、どうにかして、どこかでこういうふうにやろうというふうに見えるわけです。初めから人間としてこうやっていくというふうにできていないということのためにこう言っているわけです、私は。それを言っているわけです。何も男、女論を言っているのではなくて、もっと人間というものを考えて、男、女で言わないで、人間で考えてやっていかないから、こういうことがつつき回すと幾らでも出てくるのです。何時間やっても、今夜十二時までやっても……。
○横田政府委員 五万円年金の水準を男についてどうということでございますが、これは先ほど来再々申し上げておりますように、ILOの条約につきましても、妻を持っておる男の人がどうであるか、これは世界的な年金水準についての正札の張り方でございますので、別に私ども男だけをとって五万円だから五万円年金といったのは、女を無視してどうという、そういった御批判は当たらないと思います。
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後四時四十九分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕