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71回国会衆議院1973/04/26

社会労働委員会 第18号

発言数
140
登壇者
11
会派数
2
開催日
1973/04/26

会議録

田川誠一自由民主党

○田川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、八木一男君外十六名提出の国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、及び国民年金等の積立金の運用に関する法律案の各案を議題とし、順次その提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣齋藤邦吉君。     —————————————

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  日雇労働者健康保険につきましては、昭和三十六年以来法改正が行なわれないまま今日に及んでおりますので、給付内容をはじめ制度面についての改善が緊要な問題となっておりますが、一方、その財政は、今日非常な悪化を来たしております。  このため、政府といたしましては、日雇労働者健康保険の財政健全化をはかりつつ、順次その給付内容を改善する方針のもとに、今般、給付期間の延長、現金給付の引き上げを行なうとともに、賃金実態に即して保険料日額の改定を行なう等の制度の改善をはかることとした次第であります。  次に、改正案の内容について申し上げます。  まず、給付内容の改善につきましては、第一に、療養の給付期間現行二年を三年半に延長し、また、その後においても、所定の保険料が納付されていれば、引き続き給付が受けられるようにいたしております。  第二に、傷病手当金の支給期間は、現行二十二日でありますが、これを三十日に延長し、また、支給日額も現在二百四十円、三百三十円の二段階でありますが、これを納付保険料に応じて最低八百円から最高二千六百四十円までに引き上げをはかることとしております。  第三に、出産手当金につきましても傷病手当金と同様に、その支給期間、支給日額の改正を行なうこととしております。  第四は、埋葬料につきまして、被保険者本人に対する支給額を現行四千円から一万円に引き上げることとしております。  第五は、分べん費につきまして、被保険者本人分べん費を現行四千円から二万円に、配偶者分べん費を現行二千円から一万円に引き上げることとしております。  次に、保険料日額につきましては、昭和三十六年以来賃金日額四百八十円以上の者は二十六円、四百八十円未満の者は二十円に据え置かれてまいりましたが、その後の賃金の上昇を考慮し、賃金実態に即して合理化をはかることとし、賃金日額に応じて五十円から二百円までの四段階に改定することとしております。なお、賃金日額四百八十円未満の被保険者につきましては、現行どおり二十円に据え置くことといたしております。  最後に、この法律の実施時期につきましては、昭和四十八年四月一日からとしております。なお、昭和五十年三月三十一日までの間は傷病手当金及び出産手当金の支給日額の最高は千八百円とし、保険料日額は五十円から百三十円までの三段階とする経過措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  児童扶養手当及び特別児童扶養手当制度については、母子家庭及び心身障害児に対する手当制度として、逐年その改善につとめてきたところでありますが、福祉の充実が重要な課題となっている今日、母子家庭及び心身障害児に対する福祉施策の向上をはかる必要性は一段と高まっております。  今回の改正案は、このような趣旨にかんがみ、手当額を大幅に引き上げるとともに、公的年金給付との併給制限を大幅に緩和することにより、これらの制度の充実をはかろうとするものであります。  以下、改正法案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額を、昭和四十八年十月から、児童一人の場合、二千二百円増額して、月額六千五百円に引き上げるとともに、さらに児童扶養手当については、昭和四十九年一月から、児童二人の場合の加算額を四百円から八百円に引き上げることといたしております。  第二に、特別児童扶養手当について、昭和四十八年十月から、原則として公的年金給付と併給するとともに、児童扶養手当については、老齢福祉年金及び障害福祉年金との併給を行なうこととし、受給者の福祉向上をはかることといたしております。  なお、以上の法律事項のほか、扶養義務者の所得による支給制限について今回大幅な緩和をはかることといたしております。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  医療保険制度の問題につきましては、財政の健全化をも含めた抜本的な改善がかねてから重要な課題となっているところでありますが、制度の中核的存在である政府管掌健康保険が現在まで十年間深刻な財政難を続けてまいりましたこともありまして、昭和三十六年の皆保険達成以来健康保険においては見るべき改善が行なわれないまま今日に至っております。医療保険の分野では関係者の間で利害がいろいろと錯綜し、問題の根本的な解決をはかることが困難なものが多々あることも事実でありますが、これを何とか解決の方向へ導く努力の積み重ねが必要と考えるものであります。  今回は、これまでの経緯にかんがみ、また、関係審議会の意向等を尊重いたしまして、国民の福祉水準の向上を求める要請にこたえるべく、福祉重点施策の一環として、実現可能なものから段階的に制度の改善に着手するとの見地に立ち、改正を行なうことといたしたものであります。  すなわち、今回の改正は、制度創設以来三十年間改善されないままになっている家族療養費の給付率の引き上げ、高額療養費の支給等家族医療給付の改善を中心に、国民医療の確保に関する医療保険の側での対策を充実強化するため給付改善を行なうとともに、保険の運営上重要な問題である保険財政の恒常的な安定を確保するための諸施策を講じようとするものであります。この改正によって懸案の抜本改正の第一歩が踏み出せるものと確信いたしている次第でございます。  まず、健康保険法の改正について申し上げます。  第一は、医療給付の改善でありまして、家族療養費の給付率を五割から六割に引き上げますとともに、高額な医療につきましては、家族療養費にあわせて高額療養費を支給し、自己負担とされているもののうち一定限度額を越えるものを保険から全額給付することといたしております。  第二は、現金給付の改善でありまして、本人分娩費の最低保障額を現行二万円から四万円に引き上げ、さらに配偶者分娩費について現行一万円から本人分娩費の最低保障額と同額の四万円に引き上げるとともに、家族埋葬料につきましても改善をはかることとしております。  第三は、標準報酬の改定でありまして、その等級区分が最近における給与の実態と著しくかけ離れるに至っている結果生じている負担の不公平を是正するため、現行三千円から十万四千円までの三十六等級でありますのを二万円から二十万円までの三十五等級に改めるものであります。  第四は、保険料の改定でありまして、政府管掌健康保険の保険料率を七%から七・三%に改定するとともに、当分の間の措置として、現在保険料の算定の基礎とされていない賞与等について、支給のつど、その一%を労使折半により特別保険料として徴収するものであります。なお、この特別保険料は、報酬月額五万円未満の者からは徴収せず、賞与などが五十万円をこえるときは、五十万円として計算することとしております。  第五は、国庫補助の拡充でありまして、財政基盤の脆弱な政府管掌健康保険に対して、これまでの定額国庫補助を改め、定率制の国庫補助を導入することとして主要な保険給付に要する費用の一〇%を国庫補助するものであります。  第六は、保険料率の調整とこれに連動した国庫補助率の引き上げの問題でありまして、政府管掌健康保険の保険料率について、厚生大臣は必要あるときは社会保険審議会の意見を聞いて、法定料率の上下〇・七%の範囲内でこれを調整できる規定を設け、同時にこの規定により法定料率を越えて保険料率を引き上げた場合には、先に述べました定率国庫補助の割合を料率〇・一%につき〇・四%ずつ増加することとしております。  第七は、健康保険組合関係でありまして、それぞれの組合の規約で定めるところにより、特別保険料を徴収できることとするとともに、保険料率の調整幅が現行三%から八%までであるのを三%から九%までに、被保険者の負担料率の限度が現行三・五%であるのを四%にそれぞれ改めることとしております。  次に、船員保険法の改正について申し上げます。  船員保険の疾病部門につきましても、先に述べました健康保険の改正に準じ、家族療養費の給付率の引き上げ等保険給付の改善を行なうとともに、標準報酬の改定等所要の改正を行なうものであります。  また国民健康保険法の改正につきましては、健康保険法の改正に準じて高額療養費を支給することとしております。  次に、厚生保険特別会計法の改正について申し上げます。  この改正は、昭和四十八年度末における政府管掌健康保険の借り入れ金にかかる債務をたな上げするとともに、新規の借り入れを限定し、また、昭和四十八年度以前に健康勘定において生じた損失を一般会計からの繰り入れによって、補てんする方途を講ずるものであります。  なお、この法律の実施時期につきましては、本年四月一日からとしておりますが、高額療養費の支給に関する部分につきましては、諸般の準備手続等を考慮いたしまして本年十月一日から実施することとし、また国民健康保険法の改正は昭和五十年十月一日からとしております。  以上が、この法律案を提案する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  わが国は、急速なテンポで高齢化社会を迎えようとしているのでありますが、他面核家族化の進行や扶養意識の変化などにより、わが国の老人を取り巻く環境は著しく変貌しつつあります。このため、老人問題をめぐる国民の関心はかつてない高まりを見せており、中でも老後保障の柱となる年金制度に寄せる国民各層の期待は、きわめて大きいものがあります。  さらに、経済社会の発展の成果を各世代を通じて均てんさせる上からも、老人が安心して老後を送ることができる年金制度の確立をはかることは、いまや内政上最優先の課題の一つと申すべきものであります。  今回の改正法案は、このよう一な趣旨にかんがみ、わが国年金制度の大宗をなす厚生年金及び国民年金を中心に、老後生活のささえとなる年金の実現を目ざして、年金給付の水準を大幅に引き上げるとともに、年金額のスライド制を導入するなど各年金制度の改善充実をはかろうとするものであります。  まず、年金額の水準につきましては、厚生年金について最近の被保険者の平均標準報酬の六〇%程度を確保することを目途に、改正後新たに老齢年金を受ける場合の標準的な年金額をおおむね月額五万円に引き上げるものであります。国民年金につきましても、二十五年加入の場合の年金額を付加年金を含めて夫婦月額五万円の水準に引き上げることといたしております。  また、多年の懸案であったスライド制につきましては、年金額の価値維持のため新たに物価変動に応ずる自動的なスライド制を導入することとし、あわせて財政再計算期に従来どおり国民の生活水準その他の諸事情を勘案して年金額の改定の措置を講ずることにより、将来にわたり適正な年金額の水準の確保をはかることとしております。  以下、改正案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。  まず、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。  第一に、年金額の水準につきましては、定額部分を大幅に引き上げるとともに、報酬比例部分について過去の期間の標準報酬を最近の標準報酬の水準をもとにして再評価することとして、その飛躍的な改善をはかることとしております。  その他、妻の加給年金の額並びに障害年金及び遺族年金の最低保障額の引き上げ、在職者に対する老齢年金の支給範囲の拡大等の改善を行なうこととしております。  第二に、年金額の自動的改定措置、すなわち、いわゆるスライド制の導入についてでありますが、年度平均の消費者物価指数が五%をこえて変動した場合には、その変動した比率を基準として、政令で定めるところにより、年金額を改定することとしております。  第三に、標準報酬の改定についてでありますが、最近における賃金の実態に即して二万円から二十万円までの三十五等級に改めることにしております。  第四に、保険料率の改定についてであります。給付水準の引き上げに伴ってその改定を行なうこととし、今後受給者が急激に増加することが見込まれているため、将来にわたる保険料負担のなだらかな増加を期するとともに、長期的な財政の健全性を確保するという見地に立って、保険料率を千分の十五引き上げることとし、以後段階的に引き上げをはかっていくこととしております。  なお、以上の改正は、昭和四十八年十一月から施行することとし、現に支給されている年金につきましても、同様に年金額の引き上げをはかることとしております。  次に、船員保険法の一部改正についてでありますが、厚生年金の改正に準じて、年金額の大幅な引き上げ、スライド制の導入、その他所要の改正を行なうこととしております。  次に、国民年金法の一部改正について申し上げます。  第一に、拠出年金の額についてでありますが、その水準の大幅な引き上げをはかることとし、現実に支給されております十年年金については、現行の月額五千円を月額一万二千五百円に引き上げ、また、五年年金については、現行の月額二千五百円を月額八千円に引き上げることとしております。  その他、付加年金の額を引き上げ、障害年金の最低保障額及び母子年金等の額の改善を行なうこととしております。  第二に、年金額の自動的改定措置についてでありますが、拠出年金について、厚生年金と同様のスライド制を導入することといたしております。  第三に、保険料及び国庫負担についてであります。今回の給付水準の引き上げに伴う保険料の急激な増加を避け、さらに将来にわたる財政の健全性を確保する見地から、保険料は月額九百円とし、昭和五十年一月以後段階的に引上げをはかっていくこととしております。同時に、十年年金、五年年金等の経過的な老齢年金について、国庫負担割合の引き上げをはかることとしております。  第四に、高齢者の任意加入の再開についてでありますが、任意加入の対象とされた年齢層で加入しなかった人を対象に、申し出により、再び五年年金に加入できる道を開くこととしております。  なお、以上の改正による年金額の引き上げは、昭和四十九年一月から実施することとしております。  次に、福祉年金の改善について申し上げます。  各福祉年金の額につきまして、昭和四十八年十月から、老齢福祉年金を月額五千円に、障害福祉年金を月額七千五百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金を月額六千五百円にそれぞれ引き上げることとしているものであります。  最後に、年金福祉事業団法の一部改正について申し上げます。  年金福祉事業団が設置運営する施設として、保養のための総合施設を明示いたしますとともに、新たに、被保険者のための住宅資金の貸し付けを行なわせることといたしております。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 八木一男君。     —————————————

八木一男日本社会党

○八木(一)議員 私は、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、ただいま議題に相なりました国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案並びに国民年金等の積み立て金の運用に関する法律案について、提案の趣旨並びに内容の大綱について御説明申し上げます。  社会保障制度の確立は、声ある者、声なき者を問わず全国民の切実な願いであります。そしてまた、このことは、憲法がその第二十五条第二項において、国に対して明確に責務を課しているところであります。にもかかわらず政府がGNP世界第三位、成長率世界第一位と誇号するわが日本において、その社会保障制度が西欧諸国よりはるかに低位にあることは、低賃金、高物価、公害と並んで、憲法を軽視をし、大資本に奉仕をする自民党政権の冷酷きわまりない政治の代表的なものと言うべきであります。  ことに医療保障とともに社会保障制度の重要な柱である年金制度の劣悪な現状は、全く国民を無視したものといわなくてはなりません。ウナギのぼりの物価上昇で大部分の国民の生活が異常に圧迫されておりますが、その中でも障害者や母子家庭等は全く苦しい生活にあえぎ、多くの老人はきわめて暗い生活を送っております。戦前からの老後のための貯蓄は、戦後のインフレで完全に消え去り、さらに、家族制度が音を立てて崩壊をしております。そうした現状の中で明治、大正、昭和と続いた圧政と苦難の中を生き抜いてきたわれわれの先輩に対するいまの政治は、きわめて冷酷であり、怠慢であります。  住宅医療等々老人等のために対処すべきことは多々ありますが、年金制度の確立こそがその中心であることは、何人も否定できないところであります。しかしその現状は、全くお話しになりません。ちなみに昭和四十七年度の六十歳以上の人口約一千二百万人でありますが、そのうち、老齢年金の受給者はすべての制度を合わせて約六百五十三万、そのほぼ半数にしかすぎません。しかもその六割が年金という名に値しない、あめ玉年金、すなわち月三千三百円の老齢福祉年金の受給者であります。厚生年金の受給者ですら平均月一万六千五百円、老人の暗い生活の嘆きがこの数字で裏書きされているといえましょう。  われわれは、昭和三十三年政府が全く放置していた国民皆年金を実現するため、抜本的国民年金法案を国会に提出をしたことをはじめとして、年金制度確立の先駆的役割りを果たすため努力を続けてまいったのでありますが、老人等の生活の現状と人口老齢化の進行を重視をし、昨年総選挙での公約を果たすべく四党一致して、ここに、本二法案を提出したわけであります。  そのうち、まず、国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。本法案は国民年金法、厚生年金保険法、船員保険法並びに年金福祉事業団法の一部を改正しようとするものでありまして、先ほど提案理由の説明のありました政府提案の厚生年金保険法等の改正案と主要点において対比をしながら御説明申し上げたいと存じます。  本法案の目的とするものは、まず第一に老人、障害者、遺族の生活を保障するに足る年金制度を、いわゆる月六万円年金として確立しようとするものであります。これは厚生年金では、被保険者期間二十年、国民年金では二十五年の人を計算の中心点として六万円年金と称するものであります。これに対し、政府案は、厚生年金では、被保険者期間を二十七年に引き延ばして上げ底として、五万円年金と称し、国民年金では付加部分を加えて夫婦月五万円年金と称するものであり、これを本案と正確に比較をすれば、厚生年金において三万七千円、国民年金において、夫婦四万円としか称し得ない内容であります。  野党四党案が誇大宣伝の政府案とは違い、真に充実した内容であることを明確にいたしておきたいと存じます。  第二に、年金の最低保障額の確立と、それに見合った福祉年金等の改善であります。  厚生年金、船員保険中、老齢年金の最低保障額が妻の加給を入れて現行法月額一万二千二百円、政府案月二万四千四百円であるのに対し月四万三千円とし、それに見合い、老齢福祉年金について現行法月額三千三百円、政府案月五千円を月二万円、すなわち夫婦月四万円とし、さらにこれを上回り二十五年年金額に近い、五年年金、夫婦四万六千円、十年年金、夫婦五万一千円を実現しようとするものであります。  さらに、現行法では月八千八百円、政府案では一万八千四百円であるのに対し、月額三万三千円を最低保障額とする障害及び遺族関係の年金、並びにこれに準じた各福祉年金額の飛躍的引き上げをはかるものであります。これこそ、いますぐ、生活できる年金をと叫ぶ国民の要望にこたえる道であると確信をいたします。  第三に、年金の支給対象を大幅に拡大し、年金を必要とする全国民に制度を及ぼし、かつ、また全労働者に被用者年金を適用しようとすることであります。  すなわち、国民年金においては、六十五歳から老齢福祉年金の適用、二級障害福祉年金制度の創設、福祉年金の扶養義務者並びに配偶者の所得制限の撤廃であり、国民年金保険料免除者に対する年金の大幅増額なども同じ趣旨の改正であります。  厚生年金においては、五人未満雇用事業所の労働者への強制適用、日雇い労働者に対する厚生年金適用促進、在職老齢年金制度の拡大及び改善、五十五歳以上退職者の繰り上げ減額年金制度の創設、船員保険も含めて、保険料かけ捨て及び脱退一時金受給者の年金受給権利の確立の推進であり、各制度を通ずるものとしては、遺族年金、障害年金の通算措置の促進であります。  これに対し政府案では、福祉年金の所得制限、在職老齢年金について、わずかな改善を行なおうとするのみであり、その他の多くの事項については、一切取り上げられていない点を明らかにいたしておきたいと存じます。  以上の第二、第三がいわゆる谷間問題の解決等、社会保障の理念に従い賦課方式の考え方に基づき多くの国民のため、年金制度を質的に改革をしようとする本法案の特徴であり、社会保険主義の弊を改めようとせず日陰にいる人々にきわめて冷たい政府改正案とは、全く考え方を変えた抜本的な改正案であることを明確にいたしておきたいと思います。  第四に、賃金自動スライド制を実施することであります。本案は厚生年金、船員保険はもとより国民年金にも、ことに各福祉年金を含めて賃金自動スライド制をとることにいたしたのであります。  自動スライド制が年金制度に欠くことのできないことは、もはや申すまでもありません。しかし、政府案のように物価スライドでは現在の苦しい国民大衆の生活水準、その中でもつつましい年金生活者の生活水準を維持するだけにとどまるものでありまして、私たちは活躍中の青壮年と同様に先輩の生活が豊かになるよう賃金スライドが絶対に必要であると確信してこのことに踏み切ったのであります。ちなみに昭和四十七年度に、政府の推計では消費者物価上昇率は五・七%、賃金上昇率は一五%と推定をされ、賃金自動スライドのほうが年金受給者のための生活保障にきわめて有効であることをつけ加えておきたいと存じます。  第五に保険料の据え置きと国庫負担の増率であります。  年金制度の充実を推進するのに際し、国民生活の現状から見て保険料の値上げは、断じて避けなくてはなりません。  わずかな年金の充実を計画する際に、これを国民の負担増でまかなおうとする政府案とは違い、本案は、保険料値上げなしに年金の飛躍的充実改善を実現しようとするものでありまして、国庫負担は、厚生年金の基本部分の二割を三割に船員保険及び厚生年金第三種の二割五分を三割五分に、国民年金の保険料の五割すなわち給付に対する三分の一の国庫負担を保険料と同額すなわち給付に対して五割に増率することとし、厚生年金、船員保険の保険料の労使負担区分を使用主七、労働者三に改めることとしたのであります。各年金の保険料を引き上げ、しかも引き続き一そうの引き上げを計画し、国庫負担増率をしない低福祉高負担の政府案に比し、四党案は、高福祉低負担「社会保障充実は、国と、資本家の負担で」の国民に対する公約を明らかに果たすものであります。  第六に、年金財政を現行の積み立て方式より賦課方式に転換することであります。政府はこれに対し、後代の負担との均衡をはかるべきであるとの理由のもとに積み立て方式を主張しております。しかし、われわれは高物価、低収入で保険料負担が苦しい現状と、物価が安定し、十分な収入が保障され、年金のための負担に痛痒を感じない、将来あるべき状態とを考慮したとき、政府のように形式的均衡論はとるべきではなく、実質的均衡論こそ、重視さるべきであると、確信をいたします。ことに、政府の積み立て方式論の真の意味は、高い保険料を吸い上げばく大な積み立て金を大資本の設備投資や産業基盤をつくるために利用しようとするものであり、目的と手段を混同、いな逆転させ、インフレによって、国民を収奪しようとするものであり、その意図は、断じて、粉砕されなければならないと信じます。  積み立て金制度を継続しようとすれば、たとえ政府が言うごとく、その修正度を、幾ぶん増大し、さらにわれわれが主張するごとく国庫負担の増率及び労使負担区分の変更を行なっても、国民年金の被保険者及び厚生年金、船員保険の労働者の近い将来の負担は、たえがたいものになることは必至であります。したがって、われわれは、この際賦課方式に向かって、踏み切り、現在並びに近い将来の国民の負担の増大を避け、年金制度の飛躍的充実をはかることにいたしたのであります。大資本の立場に立った、俗論を排し、深い国民的視野に立って、断固として、賦課方式に踏み切ったことを明確にいたしておきたいと存じます。  第七に、本案は、国民年金と、厚生年金、船員保険の各制度間の均衡をはかる考え方のもとに、構成されたものであり、さらに、すべての年金制度充実の過程において、他の被用者年金制度と、早急に肩を並べるようにする考えのもとに、つくられたものであることを明らかにいたしておきたいと存じます。  次に、本案の具体的内容を要約して御説明申し上げます。  まず、国民年金法の改正についてであります。  その第一は、年金額の引き上げ及び支給範囲の拡大であります。  第一点は、老齢年金の引き上げでありまして、夫婦で月額六万円の年金を実現しようとするものであります。このため老齢年金の額は、現在保険料納付済み期間一月につき三百二十円で計算しておりますものを、千二百円に改め、加入期間が二十五年の場合、現行法では月額八千円、政府案では二万円をであるのに対し、これを月額三万円すなわち夫婦月六万円に引き上げることにいたしました。  また、ただいま支給が行なわれております、経過的年金の額につきましては格段の配慮を払うこととし、十年年金については、現行法の月額五千円、政府案では一万二千五百円を月二万五千五百円に、すなわち夫婦月五万一千円に引き上げ、近く支給が開始をされる五年年金につきましても、現行法の月額一人二千五百円、政府案では八千円を、月二万三千円、すなわち夫婦月四万六千円に引き上げることといたしたのであります。  なお、この際、保険料免除期間の取り扱いを改めることに踏み切りました。心身障害者、生活保護世帯など、保険料納入を免除された人たちこそ、特に年金を必要とするものでありまして、これらの人達の年金額が他の人に比較して、はるかに少ないことは、現行制度の大きな欠陥であります。したがって、現行の保険料免除期間は、年金額の計算上保険料納付期間の三分の一の評価とされておりますが、これを四分の三と評価し、日陰の人たちの年金を大幅に引き上げることにいたしたのであります。  第二点として、老齢福祉年金につきましても飛躍的な改善を行なうこととし、いわゆる谷間問題を解決するために、その支給開始時期を現在の七十歳から六十五歳に引き下げるとともに、その額をあめ玉年金、お小づかい年金としかいえない現行の月額三千三百円、政府案五千円に対し、生活保障年金を実現するために飛躍的に引き上げ月二万円夫婦月四万円にすることにいたしました。ただ七十歳未満の人につきましては、施行日から一年間は月一万円、その後一年間は月一万五千円にとどめ、三年目から月二万円とすることにいたしております。  第三点は、質的に見て最も所得保障の必要の度の多い障害者のための障害年金の改善でありまして、その額を老齢年金の改善に準じて引き上げるとともに、その最低保障額を障害の程度が二級の者で現行法の月額八千八百円、政府案一万八千四百円に対し、大幅に引き上げ月額三万三千円にすることにいたしました。  第四点は、障害福祉年金の支給範囲の拡大と、年金額の増額でありまして、この点は、現在拠出制障害年金制度から、除外されている障害者のために、特に欠くことのできない改正点であります。すなわち新たに、障害の程度が二級の者にも支給することとし、その額は一級にあっては、現行法の月額五千円、政府案七千五百円に対し、飛躍的に引き上げ月三万三千円にすることとし、二級にあっては月二万四千七百五十円にすることにいたしたのであります。  第五点は、母子年金、準母子年金及び遺児年金についても、現行法の月額八千四百円、政府案一万八千四百円に対し、月三万三千円に引き上げることといたし、また、母子福祉年金、準母子福祉年金の額を現行の月額四千三百円、政府案六千五百円に対し、月二万四千七百五十円に引き上げるとともに、子や孫が二人以上ある場合に支給される加給金の額を一人につき月額千円に引き上げることといたしました。  第六点は、扶養義務者並びに配偶者の所得による福祉年金の支給制限は、一切これを撤廃することにいたしたのであります。  その第二は、年金額の賃金自動スライドであります。  その第三は、年金の財政方式でありまして、現行の財政方式は、いわゆる積み立て方式によることとされておりますが、今後は、賦課方式を原則として、年金財政の運営にあたっていくべきことといたしております。  第四は、国庫負担の増額であります。現行の保険料に対して二分の一の国庫負担を保険料と同額とするものであり、これは給付に対して三分の一の国庫負担が二分の一になることは、各位の御理解のとおりであります。  その他、今回の給付改善に伴う支出増の過半を国庫負担することとし、また、インフレ等に伴う整理資源について、別途国庫負担をできるようにいたしたのであります。  第五は、既裁定年金の扱いでありますが、改正後の規定に準じて、大幅な年金額の引き上げが行なわれることといたしました。  次に、厚生年金保険法の改正について申し上げます。  その第一は、年金額の引き上げ及び支給要件の緩和であります。  第一点は、老齢年金の引き上げでありまして、これは本年十一月新たに老齢年金を受けることとなる者に加入期間二十年で妻の加給を加えて月額平均六万一千円の年金を支給しようとするものであります。  そのために、まず、基本年金額の定額部分の算定基礎額四百六十円を千六百五十円に引き上げ、報酬比例部分につきまして、その乗率を現在の千分の十を千分の十五に引き上げるとともに、平均標準月額を計算する場合において、過去の低い標準報酬月額を現在の水準に合うよう再評価することにいたしました。  また加給年金につきましても、妻については月額四千円、子については、千五百円に引き上げることといたしたのであります。  第二点は、老齢年金及び通算老齢年金の在職支給の要件の大幅な緩和であります。  第三点は、老齢年金を五十五歳から本人の請求により、繰り上げ減額支給する制度を新設することであります。  第四点は、障害者の所得保障を重視をし、障害年金の最低保障額を老齢年金の改善に準じて、引き上げることとし、二級の場合で現行の月額八千八百円、政府案一万八千四百円に対し大幅に引き上げて、月三万三千円といたしました。  第五点として、遺族年金の最低保障額も、現行法の月八千八百円、政府案一万八千四百円に対し、月三万三千円に引き上げることといたしました。  その第二は、年金額の賃金自動スライドであります。  第三は、標準報酬の下限を二万円、上限を二十万円に改定することであります。  第四は、財政方式であります。国民年金と同様現行の積み立て方式から賦課方式に移行すべきことといたしております。  右の原則にのっとり、保険料率は現行の率を維持することといたしました。また、現在折半負担になっております保険料の負担割合を労働者側三、使用者側七の割合に改めることといたしましたが、当分の間は、従来どおり折半負担を続けることといたしております。  国庫負担につきましても、現在一般的に給付時における二〇%、第三種は二五%の国庫負担がなされておりまするのを、それぞれ三〇%、三五%に増率することとし、さらに、インフレ等に伴う給付改善の結果必要となる整理資源について、別途国庫負担をする道を開くことにいたしました。  第五は、既裁定年金の扱いでありますが、改正後の規定に準じて、大幅な年金額の引き上げが行なわれることにいたしました。  第六として、五人未満の事業所の労働者についても、強制適用に踏み切ることにいたしたのであります。  次に、船員保険法の改正について申し上げすす。  船員保険の年金部門につきましては、厚生年金保険法の一部改正に準じて所要の改正を行なうことといたしました。  さらに、年金福祉事業団法の一部改正について申し上げます。その内容は、年金福祉事業団に被保険者に対する住宅資金の貸し付け等の事業を行なわせることとするものであります。  なお、年金制度につきましては、今回取り上げた事項のほかに困難かつ深刻な問題が山積をしていることは、同僚議員各位のすでに御承知のとおりであります。たとえば、各種公的年金制度の統合の問題、妻の地位の問題など非常に大きな問題がありますが、この法律案は、緊急に措置されなければならない重要事項として、三つの事項を提示し、政府にすみやかに実現する責務を課するものであります。  その一つは、日雇い労働者の厚生年金制度適用であり、第二は、かつて、厚生年金等の被保険者であった者をできる限り年金給付に結びつけるためのいわゆる掛け捨て並びに脱退一時金受給者の救済措置でありまして、第三は、各種公的年金における遺族年金及び障害年金の通算措置を講ずることであります。  終わりに、この法律の施行は国民年金については昭和四十八年十月一日、厚生年金及び船員保険については同年十一月からであります。  次いで国民年金等の積立金の運用に関する法律案について申し上げます。  現在、国民年金、厚生年金保険、船員保険の特別会計の積み立て金については、その大部分が資金運用部に預託され、直接間接に大資本の利益のために用いられ、被保険者のために用い得る資金は、増加資金の四分の一程度に限られているわけでありますが、これは全く不当なことであります。  これはこの運用に関し被保険者代表の意思を表示する制度がなく、また、運用の主体が大蔵省に握られていることに基因しております。  元来、積み立て金というものは、老齢または、障害の場合被保険者に、死亡の場合遺族に支給まれるものであり、当然その全部が被保険者のものと考えることが至当であります。たとえ、国または資本家がその中の一部の金額を負担していたとしても、積み立て金となったときに、被保険者のものになり、彼らには絶対に戻らないものであって、これに対して介入する権利は断じて認めるべきではございません。  こうした明確な立場に立ち、四党は、積み立て金の運用は、被保険者の意思によって決定され、被保険者のためになされるべきであるとの見地から、本法案を提出したわけであります。  本案の主要な内容は、国民年金等積立金審議会を設置し、その構成は、被保険者代表者が十名、学識経験者五名、政府側三名とし、被保険者の意思が完全に反映できるようにしたことであります。  この審議会の決定に基づき、厚生大臣が、積み立て金を福祉資金と一般資金に分かち、福祉資金は、審議会の議にはかりつつ、運用することにいたしてあります。  一般資金については、急速に減少し、福祉資金が真に被保険者のために役立つ運用がなされることを確信して、本法案を提出した次第であります。  以上で、四党提出二法案の提案理由の説明を終わるわけでありますが、いずれも、年金制度充実及び整備が内政の急務であることにかんがみ、国民のためにこれだけは即時絶対に必要であるとの確信のもとに、四党が一致して提案したものでありまして、さらに、四党とも一そうに年金制度の向上確立のため邁進する決意を持つものであることを明らかにいたしておく次第であります。  全同僚議員各位、われわれ四党は、即時生活できる年金をと叫ばれる国民の声、将来を安心できる年金制度をと求められる国民の意思を体して、強い決意を込めて、本二法案を提出いたしました。この二法案を熱心に審議を賜わり、満場一致可決されることを強く要望をいたしまして、提案の趣旨説明を終わります。(拍手)      ————◇—————

田川誠一自由民主党

○田川委員長 健康保険法等の一部を改正する法律案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を行ないます。  申し出がありますので、これを許します。戸井田三郎君。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 ただいま議題となりました法案につきまして、私はまず政府に対して、高度成長経済下における福祉の点について、お考えをお伺いしたいと思うのであります。  政府は、この四十八年度を福祉元年として、今年度の予算を編成されております。福祉、社会保障関係予算に非常な重点を置かれたことは、高く評価しなければなりません。国民各層においても、これを歓迎されておられることは、御承知のとおりであります。  しかし一方に、急激なる高度成長経済下においては、この福祉に向けられた金額の数字だけでは、これを高く評価することはできないのであります。われわれを取り巻く社会環境は、きわめて人間生活を阻害する条件があまりにも多くなっております。これは、戦後貧困から脱却し、GNP世界第二位の高度成長をなし遂げたその副作用の一つのあらわれでありますが、この経済成長というものを、だからといって私は否定するわけではありません。むしろわれわれの生活の上に幾多のしあわせを与えたし、また、豊かさを求めればこそ、生産性の向上に励んだのであります。  しかし反面、人間のしあわせというものが、健康という最大のしあわせの上に築かれなければならないことは、言うをまたないのであります。その観点から見れば、現在の超過密都市というものが、一方において、私たちの健康を非常に阻害をいたしておるのであります。  そこで、われわれはいま、このきびしい現実に立って、この矛盾の上に立って、健康という最大のしあわせを求め、人間の豊かさを求めるために、きわめて重大な岐路に立たされて、そのいずれの道を歩むか選択に迫られているわけであります。  私は、政府の福祉元年という観点が、その立場に立って深奥にして、しかも遠大な理想を追求するものでなければならないと思うのであります。保険体制の確立もその中の一環として確立されていかなければならないと思います。そのために国も国民も、このきびしい現状を理解し、力を合わせて福祉国家への道を歩んでいかなければならないと思うのであります。  そういう意味において、まず福祉政策の理念とでもいいますか、大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 近時、国民各階層の中から福祉優先の政治が強く要望されるに至りましたことは、国民のため非常にしあわせなことだと私は考えております。私どもが福祉ということを考えますときには、いろいろな表現のしかたがあると私は思いますが、何と申しましても福祉の基本は、まず第一に貧困を克服することであり、疾病の苦しみを克服することであり、障害の苦しみを克服することであり、さらにだれもが避けることのできない老齢に対する問題を解決する、こういうことから出発しておったと思います。  戦後二十数年の間、わが党政府は、そういう考え方に立って、もろもろの福祉政策というものを進めてまいったわけでございますが、しかしそうした積み重ねの上に立って、私どもはさらに私どもの身のまわりの環境を豊かにする、すなわち社会資本の充実、そうしたことが一番必要であり、そうした豊かな環境の上に立って、当面私どもが克服しなければならない貧困、疾病あるいは老齢、そういう悩みを克服し、さらに一段と高く、ゆとりのある安定した生活というものを営み得るようにしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。  しかも、そういう観点から、私どもは何としてでも西欧先進諸国並みの福祉社会を、さしあたり当面の一つの目標として進んでいきたいと考えておるわけでございまして、今回私どもの提案いたしました健康保険の問題も、あるいは厚生年金、国民年金の問題も、すべて西欧先進諸国並みの福祉社会建設ということへの出発を意味するようなものとして提案をいたしたわけでございます。特にこうした豊かな環境の中で、ゆとりのある安定した生活を営み得る状態をつくる、そうした中で一番の基本はやはり健康であるということでございます。  その意味において、わが国の医療においてもっと豊かな医療が受けられるような体制をつくる、これが今回の健康保険制度の改正であるわけでございまして、いままで申し述べました福祉社会建設の一つの問題として健康保険制度というものを提案した、こういうふうに御承知おきいただきたいと考えておる次第でございます。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 ただいま大臣から、社会資本を充実し、西欧諸国並みの水準に引き上げるという強い御決意を承ったのでありますが、そういう意味からして、復興日本の急激なる繁栄の他の一面について世界の人たちが非常に心配しております。すなわち、経済成長の底力といいますか、こういうものを別の観点から見て心配しておるわけでありますが、それは、小さな国にたくわえられたこの巨大な経済的エネルギーが、このまま外に向かって突き進めば、再び危険な道を歩みやせぬかということで、西欧諸国もそうでありますし、アメリカも東南アジア諸国もそうでありますが、その意味で日本を注目いたして見ているのであります。したがって、日本が福祉の道へ歩むということは重大な意味を持っていると私は思うのであります。  話は余談になると思いますが、いま大臣が言われた社会資本の充実という観点からして、政府はいま過密過疎を観消するために、あるいは日本列島改造というような巨大な国内投資を、これからしょうというふうに進んでおるわけでありますが、これらも、いま言われたように、福祉国家建設の一つの地ならしである、健康にして文化的な生活を保障する理想社会へ進むものである、かように私は思っておるのであります。同時に、世界の人たちがいま警戒していること、このままの経済成長を続けていくということに対する警戒、心配、こういうものを国内投資に向けるということで、しかも福祉という目的を達する、平和政策の一環である、私はかように思うのであります。  そこで、福祉社会でのいろいろな役割りというものが当然重要な役割りを占めてくるわけでありますが、医療制度の現状を見るとき、その改善を行なおうとするならば、常に適正な手段と最新の資料、その順序をとっていかなければなりませんが、すでに複雑に入り組んだこの医療の現状というものは白紙に絵をかくようなわけにはいかないのであります。  そこで、山積みされた医療問題を解決し、前進させるために、その原因を究明し、緊急を要するものから逐次なし遂げる、こういうようなことが先ほど提案理由の説明でもありましたが、今回提出された法案が将来の医療体制確立にどのような位置を占め、関係があるかということについて大臣の御意見を承りたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、福祉社会の建設のための一つの大きな柱が医療問題の解決であります。すなわち、一億国民どの土地にありましても、日進月歩の医学、薬学の恩恵を受けられるような体制をつくる、これが基本でなければならない、かように考えておるわけでございまして、私どもは医療体制、医療制度につきまして、抜本的な方向というものを打ち出さなければならないと考えてきておるわけでございます。  しかしながら、医療体制、医療制度の根本的な改革ということになりますと、利害関係が複雑でございまして、なかなか思うように進むことができません。医療制度の中の一つの大きな問題は、経済負担を解決するところの保険制度でございます。  この保険制度一つ考えてみましても、政管健保あり、組合健保あり、あるいは公務員その他の共済組合制度があり、あるいは日雇い健康保険制度がある。こういうふうなばらばらな保険制度になっておるわけでございまして、これを初めて白紙にものをかくようなわけにはまいりません。これらの制度は、それぞれの沿革を経てきておるわけでございます。  そこで、こういうふうな将来の一つの大きな医療制度の根本的改革ということを目ざしながらも、しかし投げてはおけない、当面やらなければならぬものだけは積み重ねていかなければならない。すなわち、実施可能なものから逐次実施していって、そしてそれが集大成されたときに初めて国民の医療保険制度というものが完成する、こういうふうに考えるのでございまして、医療保険制度の根本的な改革につきましては、今後とも私どもは必要なものから、実施可能なものから逐次行なっていく、これが必要であろうと考えております。  そうした経済負担の問題の保険制度と相並んで、やはり一つ大きな問題は医療供給体制の確立でございます。医療供給体制の確立ということになりますと、これに従事するお医者さん、あるいは看護婦さんの問題がございます。お医者さんの問題は、幸いにわが国の医学教育というものが進歩してまいっておりますために、一応十万人単位で百五十人、大体西欧先進諸国並みの医師の養成というものが可能になってきていることは、お互いに御同慶の至りだと考えておるわけでございますが、そのほかの医療関係者の養成、これがなかなかたいへんな問題でございます。  さらにまた、医療施設という問題になりますと、これもまた国公立それぞれの病院がたくさん乱立しておりまして、なかなか体系的な整備ができておりません。  さらにまた、僻地無医村地区における医療供給体制をどうするか、離島に対する医療供給体制をどうするか、あるいは救急医療体制をどうするか。今日までできるだけの努力をいたしてまいりました救急医療体制などになりますと、百万人単位について一カ所の救急医療センターを設ける、あるいは数百カ所の医療供給体制のための救急病院の告示病院、こういうふうなことでできるだけのことをいたしてまいりましたけれども、医療施設の体系的整備ということになりますと、まだ今後なすべきものがたくさんあるわけでございまして、私どもはそうした面に今後とも一そう努力をいたしてまいりたいと考えております。  したがって今回の健康保険法の改正というものは、すなわち経済面の問題としての保険制度について申しますれば、抜本改正というものを目ざしながら、必要にしてかつ実施可能なものから段階的にやっていく、こういうたてまえに立っておりますし、同時に医療供給体制という面から見ますれば、私どもはこの法律の成立と相まって、すでに先生御承知のように、いわゆる福祉の五カ年計画というものをことしから策定することにいたしておるわけでございます。すなわち先般、経済審議会において福祉の五カ年計画というものをつくるということで、厚生省においては年次別の五カ年計画をつくる。医療施設の整備、無医村対策、救急医療対策あるいは施設の体系的整備、こういうものを五カ年計画でやっていこうということで、来月早々には懇談会を発足いたしまして、そしてことしの八月までにはこの福祉五カ年計画を策定しよう、こういうことでございます。  したがって、今回の改正法律案というものは福祉社会建設における医療面の出発である、(発言する者あり)こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 ただいま誇大広告というような声も出ておりますが、私は誇大広告をひとつ政府にしていただくことも、これは将来の医療制度改革のために、大いにここで誇大広告をしていただきたいと思います。  いずれにしても、今回の改正案というものが抜本改正の第一歩である、こういうようなお話であります。  わが国の健康保険制度が発足したのは、当時はごくわずかな勤労者を対象としたものであります。しかし、昭和三十六年に国民皆保険体制に入って、それから後に非常に様相が一変したように思われるのであります。それはわが国の医療伝制基盤というものが、その当時の社会的な要求というものに、必ずしも十分受け入れ体制というものができていなかったのではないか、こういうふうに思うのであります。  当時は、経済的な理由で医療を受けられないことがないようにというような観点から、国民皆保険制度を発足さしたと思いますけれども、開業医中心のわが国の医療体制の中にあっては、当然増加される受診者、そういった方々の需要に応ずることができなくなる。そこで乱診といいますか、乱治療あるいは場合によっては薬の浪費、どこの家へ行っても引き出しあたりをあけてみると、お医者さんからもらった薬があるというような状態が起こったわけであります。  お医者さんはその逆に過重労働で、新しい医学の進歩というものを勉強しようと思っても時間的にも余裕がない、疲れる、したがって、近くにお医者さんがいても、ほんとうに診断、治療をしてもらおうというようなときには間に合わない。お医者さんの技術水準においても、あるいは時間的にも間に合わないというような深刻な現象をいま呈しているように思うのであります。このような状態になってくると、また悪くいえば、お医者さんは神さまではないのだから、毎日毎日非常に疲れる、忙しい、どんどん患者は来るというような状態になってくると、保険体制の盲点をついて、あるいは金もうけに走るというような人が出ないとも限りません。  医療費から一切のむだを省くということは、なかなか困難なことではありますけれども、不可能にしても減らす余地というものはあるわけであります。それがためには、医療担当者の協力とか、あるいは同時に患者自身の自覚——いまではちょっとした、昔だったらお医者さんに行かぬようなものでもお医者さんに行ってみてもらうというようなことであります。こういうようなことが自分で自分の首を締めるような形にもなるわけでありますから、そういった意味の自覚も必要であります。また、保険者や事業主のそういう意味での指導というものがやはり必要になってくるのであります。  そのほか、わが国が他の諸国と比べて異常な医療費の伸びを示したというような、わが国における特異な体質でもあるのかどうか、ひとつお伺いしたいのであります。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 私は、誇大広告的に申し上げているのではございませんで、事実を率直に披瀝し、批判されるところは十分御批判をいただいて、お互いに政党政派を離れて、そして国民の医療問題というものを解決していかなければならぬ、こういうふうなのが政府の抱いておる基本的な態度であることを、まず申し上げておきたいと思うのでございます。  そういうふうなことを考えてみまして、私ども、できるだけ医療という問題について、経済負担を少なからしめるようにということで今日まで努力をいたしてまいりました。ところが、特に一番問題であります中小企業問題、こういうことでなかなか思うように今日まで進みませんでしたが、福祉社会建設ということであってみれば、中小企業の労働者の方々の医療費における経済負担を軽減しなければならぬ、こういうふうなことで、実は三十六年以来初めての改正という家族給付率を、すなわち五割から六割、こういうふうな改正をいたしておるような次第でございます。  そこで、そういうふうなことの制度的な努力をいたしてまいっておりますが、先ほどお述べになりましたような医療費からむだを排除するようにという御質問、私、まことにごもっともだと思うのです。乱診乱療あってはならない、そういうことはもう当然のことでございます。それがためには、どうしても私どもは医師会等を中心とする医療担当者の御協力をいただかなければならないことは、もとよりでございますし、同時に、診察を受けられる患者の方々、被保険者の方々、そういう方々にも十分自覚をしていただいて、医療担当者と相まって、むだというものを排除し、乱診乱療をなくすようにする、これは当然つとめなければならないと考えておる次第でございまして、政府としても、そういう面の広報ということにできるだけ努力をいたしてまいりたいと考えております。  しかしながら、また医療の供給体制の上においても問題が一つあるわけでございまして、病院と診療所というものの責任の分担、これを明らかにする、これなどもやはり一つの大きな問題であろうと思います。  それからさらに、私どもは、よく病院あるいは診療所等に行きますと、三時間待たされてたった二分くらいきり診察が受けられないなんということもありますが、こういうふうな実態などについては、時間の非常に大きなむだでございましょう。こういう問題などは、まさしく病院、診療所との責任の分担を明らかにして、利用される方々がそれぞれの道を選んでいただく、こういうことも必要でございましょうし、さらにこれは、どうしても将来は情報システム化ということの大きな構想に向かって進んでいくことが時間のむだを排除する道だと私は思います。幸いに、来年度において情報システム化の第一歩としての相当な予算も計上されておりますから、今後はこういう方面において時間のむだを省くような努力をいたしてまいりたいと考えております。     〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕  しかし、いずれにせよ、こうした時間的なむだ、経済的なむだ、これを排除するには、国のそうした医療体制の整備と相まちまして、患者さん方の自覚、それから医療担当者のそうした御協力、これなくしては絶対できない、こういうふうに考えるわけで、政府としても、そういう方面に、広報に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 もう一つは、そういうふうにいろいろなむだがあり、あるいは困難な問題はありますけれども、都市では、そういうことであってもできるわけであります、しかし、いなかのほうへ行くというと、実際には非常に不便を感じておられます。いわゆる無医地区というものがまだまだたくさんあるように聞いております。そういう意味からいえば、医療の機会均等というものが必ずしも保たれていないんではないか、非常に残念なことに思うのであります。特にこういう国民皆保険の体制下にあっては、こういう機会均等が行なわれないということも大きな問題の一つであろう、かように思います。厚生省では、年次計画をもって取り組んでいるということも聞いております。  私は、兵庫県の第四区から出させていただいておるわけでありますが、私の選挙区の中に家島という小さな島があります。人口一万ほどの島でありますが、つい先年までは台湾の方がお医者さんで来てくれたわけです。その台湾のお医者さんが、この一月に突然国へ帰ってしまった。休ましてくれということで帰ったのですが、その後とうとう帰ってこない。帰ってくるだろう、帰ってくるだろうと思っておったところが、帰ってこない。これは困ったということで、急にお医者さんさがしを始めたわけであります。町会議員が四団に分かれてキャラバンをしてさがし集めた。ところが、なかなかいないのです。すぐそばに姫路市という大きな都市がある。お医者さんがたくさんおります。しかし、そこへわざわざ来てくれるというお医者さんがいない。姫路市から一時間も船に乗っていかなければならない。たまたま私は厚生省へたずねて、お世話になって、北海道の方が来ていただくというようなことで、それも来ていただけるどうかわからなかったのですけれども、村の人は熱心なものですから、その日のうちに北海道へ四人飛んでいった。そういう熱意を買われて来てくれたわけです。  そういうようなことを考えると、やはり無医地区を政府の手で何としてでも解消していくということが、生命と健康という大事な人間の問題でありますから、ぜひ実現していただかなければならないと思うのであります。こういう意味におきまして、政府におかれては、どのような具体的な方針でこれから解決に臨まれるのか、御意見をひとつお伺いしたいのであります。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 無医地区の医療対策、これは私ども厚生省としては非常に重視しておる問題の一つでございます。  そこで今日まで、実は昭和三十一年度から三次にわたり年次計画を立てまして、こうした地域における医療の供給体制をどうするかということで計画を立てて、いろいろな計画を実施してまいったわけでございます。たとえばそういう地区には診療所をつくるとか、あるいは患者さんを輸送するような車を予算的に心配してあげるとか、あるいは巡回診療のための自動車を心配してあげるとか、こういうふうなことをできるだけやってまいりましたけれども、まだまだやはり無医地区における医療というものは十分受けられない、そういうことがたくさんございます。  そこで、こういう問題について私ども考えておるのでありますが、こういうやり方は全部、たとえば各町村において、うちの村では隣の町からお医者さんに来ていただけるというところもありましょう。さらにまた、車さえあれば隣の町まで患者はいつでも運べるのだ、こういう町もありましょう。そこで、ことしの八月までに現在の無医地区について総ざらいしてみようと思うのです。そして、各町村ごとにいろいろな特殊事情があるわけでございます。私の村には隣に国立病院がある。それならば、国立病院なり療養所からお医者さんに一週間一回は来てもらえるような体制を厚生省に心配してくれ、こういう希望を持つところもありましょう。それから、私のほうは隣の町の医師会の御協力をいただいて、病院とはっきり契約をして、そして患者が出たら、そこに運ぶために輸送車を一台ほしいというふうな、各町村ごとにいろいろなニュアンスがたくさんあると思うのです。  そこでこの際、八月までにこういう無医村についても総ざらいしてみようと考えております。総ざらいして、そして病人が発生したときに一時間以内に医療を受けられる、こういう体制をつくることが私は基本だと思うのです。  なるほど無医地区にも全部お医者さんに行っていただくのが望ましいことに違いありません。望ましいことには違いありませんが、実際問題それはできません。日本はお医者さんに強制的にそういう配置命令を下せる権限はありません。それはできないのであります。自由社会においては、医師の同意なくして無医村に行ってもらうというわけにまいりません。そこで、そういう方々に医療を受けられる体制をつくる、これが基本であります。  そこで私どもは、この無医地区につきまして総ざらいをいたしまして、患者輸送車にするか、あるいは診療所をつくるというやり方がいいか、あるいは親元病院の協力によってこの問題を解決するか、いろいろな方式がありますから、その村、村に合った具体的な計画を八月までにつくるようにしたい、こういうことで目下計画を進めているような次第でございます。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 特に八月までに無医地区を総ざらいする、たいへんけっこうな御構想であり、計画であります。ぜひそれを推進していただきたいと思います。  もう一つは、最近特に問題になっておりますことは休日診療あるいは祝祭日あるいは夜間の診療という問題が大きくなってきておりますけれども、特に近年は週休二日制が叫ばれているような時代でございますから、そういうときにおける医療の配置といいますか、そういうことがやはり一つ重要な問題になってきはせぬかと思うのであります。  この問題は現在各地区では、私もあまり詳しくは知らぬのですが、当番制のような形になって、開業医の方や私的病院の方々によって不十分でありますけれども行なわれております。しかしこれは徹底しておりません。私どもの近くでは、新聞の地方版のすみに、緊急診療所はどこであるということが、ごくわずか載っかっているだけであります。そういう状態から見たならば、だれでも知っているような公立病院、公的な病院、こういう病院にもやはり協力を願って、そして緊急な場合であるとか、あるいは夜間であるとか、あるいは祝祭日とか、そういうようなときにもひとつ協力してもらったらどうか、こういうふうに思うのであります。こういう点について、最近の状態等どなたがひとつおわかりでしたら、お知らせいただきたいと思います。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 緊急の問題につきましては、いわゆる消防法に基づきますところの交通事故等の、屋外におきます主として外科的な対策につきましては、消防法に基づきまして救急車による搬送、それを受けるところの救急指定病院と申しますか告示病院、診療所というものを設けてございます。  主として先生お尋ねの休日、夜間等における一般的な家庭内におきますところの急病患者の対策でございますが、これにつきましては、ただいまの実態といたしましては、郡市の医師会数が八百二十七全国にございますが、実施の地域数が五百二十三で、約六五%が実施に入っております。非常に休日、夜間の診療というものは小地域的な対策が必要でございますので、主として一般家庭内に起こりますところの急病につきましては、医師会を中心に実施いたすわけでございます。  ただいま御指摘の公的病院に対する救急医療の担当問題でございますが、これにつきましては、主として外科的な時間的に急ぐような重症の患者等を受け入れるために救急医療センターというものを全国百五十三カ所用意いたしておりますが、これはまだ不十分でございますから、先ほどの五カ年計画に基づきまして、さらにこれを拡大いたす方向でございます。  いずれにいたしましても、休日、夜間の診療につきましては地区ごとに計画をお立て願い、建物等について必要であれば今後県が協力いたしまして、これが設置についても考慮いたしたいと思いますし、それからこれが運営の問題につきましても、やはり単なる数だけでこなすというような問題ではございません。待機しておっても患者がない場合もございます。そういうようなことを含めまして、設備運営費についても五カ年計画の中で十分検討してまいりたいというふうに考えております。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 ぜひそういう緊急、特に夜間の救急患者等に対する便宜、こういう点について十分な御配慮をお願いいたしたいと思います。そういうようなことも、やはり現在の医療体制の中で、特に医療従事者が不足していることが大きな原因にもなっているのではないか、かように思うのであります。特にわが国の医療体制がそういう意味で整っていない。医師の不足あるいは看護婦の不足、こういうような状態が非常に深刻なところまできておるのではないかと思います。最近では大きな病院でも、ベッドはあるけれども、看護婦さんがいないから入院を受け付けられないというようなことも、私たちのところでもあるわけであります。  そういう意味からするならば、医療制度改革の一つの前提として医師、看護婦さんの確保、こういうようなことにつとめなければならないのではないか。特に看護婦さんの場合は世界の各国、先進諸国と比べて著しく少ないようであります。医療という点からすれば、お医者さんに見てもらう時間はごくわずかでありますけれども、患者さんが看護婦さんに見てもらう時間というものは非常に長いし、精神的にもあるいはいろいろな面で看護婦さんにたよるところが多いわけであります。そこで看護婦さんの労働量というものも、はた目で見るようなものでなくして、たいへん過重な労働になっていると思います。  そういう意味からするならば、やはり看護婦さんが働きやすいような魅力的なものにすること、その魅力的なものにするまず第一は、やはり十分な補給体制がつくということだろうと思うのであります。遊ぶひまもない、めしを食うひまもない、こういうような状態で追い回されておったのでは、看護婦さんになる人もいない。そういうような悪循環になっているのではないか。そういう意味からするならば、まず看護婦さんに対する待遇というようなものを十分にして、魅力あるものにひとつさしていただかなければならないと思います。また同時に、足りないという絶対的な条件の中においては、やはり新しく養成教育するということが大切であります。  そういう意味で厚生大臣は、その実態においてどういう認識の上に、そして今後どのような補強体制というものをとっていかれるのか、お伺いいたしたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 大体、現在、看護婦さんの数は三十数万おられるわけでございますが、最近における医療需要の増大、さらにまた医療の高度化、そういうふうなこと、それから勤務体制の整備、こういうふうな問題から看護婦の不足というものが強く訴えられておるわけでございます。  そこで、この問題を解決するためには、できるだけ養成する数をふやす、これが大事であることはもとよりでございます。これにつきましては、できるだけ養成所に対する補助の増額などをいたしまして、施設の拡充をはかってまいりたいと思いますが、さらにまた看護婦さんであって、やめて御家庭に帰っておられる方がおられるわけでございます。  こういうふうな潜在的な看護婦さんに、もう一回、時間の余裕のあるときにはお手伝いをいただくような方法がないだろうかということも一つの問題でございまして、そうした方々を、お子さんをお持ちの方が多いわけでありますから、共同の託児所みたいなものをつくる、そして子供さんは託児所で預かって、その御婦人に働いていただく、こういう保育所の施設を整備しようというふうなことで今日まで多少設置はいたしておりまするが、もう少し大規模にこれを拡充していくということが必要であろうと計画をいたしておりすす。  それから、何と申しましても、第三に申し上げなければなりませんのは、処遇の改善であります。特に夜勤があるわけでありますから、先般実は国立病院等につきましては、昭和四十八年度の夜勤手当を一日一千円ということに増額いたしましたが、そうしたことばかりじゃなしに、やはり処遇の改善を思い切ってやる、これ以外に私は魅力ある職種にすることは、困難であると思います。     〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕  そういう意味におきまして、本年度の公務員の人事院勧告に期待をいたしておるわけでございまして、近く私も人事院総裁にお目にかかりまして、この看護婦不足の実情を訴え、そして魅力ある職業にしていただくためにも、この待遇改善に人事院としても思い切った勧告をしていただくように直接お願いに行こうというふうに考えておるわけでございますが、やはりこの処遇改善、これが何と言っても私は一番大事な問題だと考えておるわけでございまして、今後ともそういうふうな面、質量両面にわたって看護婦等の医療従事者の確保に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 特に看護婦の処遇改善、これには十分力を入れていただきたいと思います。これが最も前提であり、魅力ある職場につながると思うのであります。  また近年は、大きな病院等でもそうですけれども、特に差額ベッドというものがたいへん蔓延をいたしておるように思うのであります。これはやはり病院経営というものが非常に苦しいというところからの一つのしわ寄せである。このしわ寄せはどうも患者に寄せられている。こういう点が非常に問題だと思うのです。今日の病院経営は、また一方医学の進歩によって、あるいは施設とかあるいは機械、そういうような整備が常に要求されてまいります。そうなってくると、やはり医療の採算というものも考えるのは当然だと思うのであります。  そういうような意味で、その採算がもとで差額ベッドであるとかいろいろなものが出てくるのではないか。医療機関の整備にそういう意味から政府がやはり公的資金を大量に導入して設備の補充をひとつしていただく、こういうことが、ひいてはいま問題になっている患者に差額ベッドのしわ寄せというものがくることを防ぐことができるのではないか。こういう意味で公的資金というものを十分に投入していただく方策はないか、ひとつお伺いしたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 お話、まことにごもっともでございまして、私どもは、この差額ベッドというものについては本人の意向ということを十分中心に考えていかなければならぬ問題でございまして、本人の意向も聞かずに差額ベッドの差額料を徴収することのないようにということを指導しておるわけでございます。  特に国公立の病院等については、差額ベッドの数なども、まあこの程度に自粛してくださいということで一応の数字も示しておるわけでございますが、やはりこういうふうなことが最近は非常に目に余るものがあるようになってきたことは、ほんとうに遺憾でございますが、もしそれが採算がとれないから、こういうことをやるんだということであるならば、それはやはり診療報酬改定という問題等において合理的に処理していかなければならぬ問題ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  それと同時に、私どもは、国公立病院についてばかりではありません。民間の診療所につきましても、医療金融公庫あるいは特別地方債等によって、できるだけの資金の融資をいたしておるわけでございまして、公的医療機関については、特に一番問題でありました日赤等につきましては、本年度から二億八千万円という金を日赤、済生会等に補助するようにいたしました。  さらにまた公立につきましては、県立、町村立につきましては、いわゆる還元融資の金でめんどうを見ておるわけでございますが、それでも非常に赤字だというので、地方の病院がもう悲鳴をあげて実は来ておるわけでございます。これにつきましては診療報酬改定という問題、これは私は、当面急いでお願いしなければならぬ問題だと考えておりますが、それだけで問題が解決するかどうか、これは私、問題だと思うのです。  それから、たてまえからいえば、府県市町村立病院は一般交付税でまかない、赤字になれば特別交付税でめんどうを見るというたてまえになっておりますが、これだけではたして済むのかどうか、厚生省としても、もう少しこの国公立病院についての赤字問題に取り組む必要があるんじゃないかというようなことで、これは来年度の予算の課題としていま検討を進めておるような次第でございます。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 特にいまお伺いした問題は、患者という立場が非常に弱い立場ですから、とにかくお医者さんの前へ行って診断をしてもらうということになったら、何でも聞いて診断をしてもらいたいという立場に立つわけであります。ですから、そういうところにしわ寄せがくるということだけはないように、ひとつしていただきたいと思うわけであります。  以上、いま社会問題となっている幾つかの問題についていろいろ御意見を伺い、その対策をお伺いしたわけでありますが、いずれも国民の生命と健康というものにつながる問題であります。ある問題については、ただ金だけでは片づかない問題もたくさんあるわけでありますから、計画的に着実に前進させていくために、医療体制を次々にひとつ整備をしていただきたいのであります。  昨年は医療基本法案を御提出になったようでありますが、今年はどういう意味でこれを御提出にならなかったのか、まあ再検討をされておるということも聞くのですが、いかがですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 実は昨年、医療基本法というものを提案いたしたのでございますが、提案いたしましたところ、衆議院ではもうほとんど審議していただけなかったわけでございます。さらにまた、この法案提出と同時に関係各方面からいろいろな反対の意見が出てまいったわけでございます。そこで、この問題、法案という形でいろいろな問題について統一的なコンセンサスを得るということは、なかなか容易ではない。そこで、この問題に対する法制としてはもう一回練り直しましょう、練り直して、そうしてできるだけ各方面のコンセンサスを得るようにして、そしてその上で法制としては出すようにしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  しかしながら法律は出さなくとも、たとえば先ほど申し上げましたような無医村対策の問題、救急医療対策の問題、あるいはまた医療施設の体系的な整備、あるいは従事者の養成、こういう問題は法律は別として、現実的な問題として、実態としても、これはやらなければならぬ問題でございます。そういう問題については、先ほどもお答えいたしましたが、いわゆる経済社会基本計画に基づく五カ年間の福祉年次別計画というものを厚生省がいま立案をするわけでございますので、その立案の際に、この医療供給体制の中身については年次別の計画を立てて国民の期待にこたえるようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、法制的なものは一応練り直したい、こういうふうに考えておるわけでございます。しかし法制的なものは練り直すといたしましても、その中身の問題については解決していかなければならぬ問題ですから、これは年次別計画を立てて進めていく、こういう考え方であることを御理解いただきたいと思うのでございます。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 それでは現在提案がされておる健康保険の改正案についてお伺いしたいと思います。  まず、今回の給付改善の柱である家族給付は、制度創設以来三十年ぶりの改善であるというふうにいわれておりますが、政管健保の財政の状況からして、六割に引き上げた政府の努力というものは一応認められるわけでありますけれども、国民健康保険が七割でありますし、また組合健康保険の場合でも、実際には付加給付を加えて七割程度になっておるようであります。そうすると、七割給付というものは、大体現在では常識に近いものになってきているように思うのですが、特に中小企業を対象とするこの政管健保におかれては、もう一つお考え願って、七割給付ということを求める声にひとつこたえていただけないものか、これをひとつ真剣に御検討願って、近い時期に七割給付というものを実現していただくようにお願いをし、また大臣の御意見をひとつお伺いしたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 家族の七割給付という問題、率直にいいまして、私も実はこの法案を提案するにあたりまして、できるならば七割給付くらいにしたい、こう考えました。御承知のように国民健康保険においても家族七割でございます。しかし、本人も国民健康保険においては七割でございます。政管健保は、本人十割で家族が五割ということでございますから、できるならば国民健康保険並みに七割給付にしたい、こう考えましたが、はたしてこの政管健保の財政の中でそれをまかない得るかどうか、これはやはり問題なんです。  これは御承知のように、今日まで政管健保においては赤字に悩み、三千億の赤字をかかえております。そこで保険制度でございますから、何もかも国でお出しなさいというわけにはまいりません。これは保険制度のたてまえ上、やむを得ないことでございます。そうすると保険料ということになります。六割給付にしても相当の保険料の負担をお願いしなければならぬ。今度の法律改正においては千分の七十が千分の七十三、〇・三でございます。その〇・三でも反対だ、反対だとおっしゃる方々がおられるわけでございます。そこで今度は七割給付ということになりますと、なかなかそう簡単にいかない。  そこで一応まず、私どもは必要にして最小限度の実現可能なものから手をつける。まず段階的に六割、それと同時に政管健保の財政も健全化していただきましょう、三千億の赤字はたな上げします、そのかわり国も一割の補助金を出しましょう、ここまでして努力をして、そしてこの法律が成立した暁において政管健保の財政というものを見直しながら七割まで持っていきたい。私は七割に持っていく考えでございます。したがいまして、私はこの法律が成立いたしました暁、直ちに七割給付実現のために、できるだけ早い機会に七割給付が実現するように最大の努力をいたすことを、この機会にはっきり申し上げておきたいと思います。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 ぜひそうお願いしたいと思います、特に中小企業という非常に弱い体質の健康保険でありますから。  そこで、国民総医療費から見た個人負担の傾向というものを調べてみると、患者の医療に要する直接経費の患者負担分は、最近では大体二一から二三%というようになっております。そこから自費診療あるいは売薬というものを除いた部分の公費または保険の一部負担の割合が大体一六から一八%程度になっておる。こういうことは一つは医療支出の公共化を大体示しておる傾向だろうと私は思うのであります。それだけ保険収支というものは苦しくなってまいるわけでありますが、もう一つ、日本の医療費というものを他の先進諸国と比較してみた場合に、昭和三十八年の国民所得に対する社会保障制度における医療費の給付分が大体二・八%、トップのフランスが大体四・六%、その伸びというものを見てみると、昭和三十二年を一〇〇として、三十六年に国民皆保険制度が実施された直後の三十八年の指数は三二七で、非常に伸びを示しております。その伸び率からいえば、その年はフランスが二番目で二八二、四十五年の対国民所得に対する社会保障制度における医療費の給付が一躍三・四%に向上いたしております。一人当たりの国民所得は日本は大体十四位から十五位くらいということでありますが、医療給付の水準は、これで見ると大体欧米各国の水準に近くなってきております。今回の改正から見て、どの程度まで進んでおりますか。

北川力夫厚生省保険局長

○北川(力)政府委員 ただいま仰せのとおり、わが国の総医療費の推移は、皆保険後、国民所得に対しましておおむね三・七、八%から四・三%程度で推移をいたしております。それから特に最近数年間は、医療内容の向上等もございまして、四十五年の実績で申しましても、国民所得に対しまして二兆五千億で約四・三%、こういうことで全体に占める医療費の割合というものはほぼ平準化されてきておる、このように考えております。今回の改正によりますと、家族につきましては五割給付が六割になりますし、また高額療養費の支給という問題もございますので、全体的にこの割合というものは、さらに相当に向上いたしてまいるんではないか、このように考えております。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 いま高額療養費というおことばがありましたが、私は今回の改正の中で一番改善であると思われるのは、高額療養費だと思うのです。そういう意味で、家族の中に重病あるいは難病、こういうものが発生したときに一番心配なのは、やはり医療費の問題であります。そのために家計の危機におちいって、家庭が一転して暗い、精神的にも不安な、しかも悲惨な結果を招くというような事例はたくさんあるわけであります。病状を苦にして生命を断ったりするその原因は、やはり経済的な理由によって多く起こっているということも事実のようであります。また、近年の医療の進歩とともに、高額療養費を必要とする病気も数がふえてきておるということも聞いております。  このような現状を見ると、このたびの高額医療給付というものは一大福音というべきものである、私はかように思います。本来、保険というものはこういう事態のために備えてあるべきものであります。二日酔いであるとか、すり傷程度のものには十分に治療が成り立って、重病の場合にはたいへんな自己負担があってやりきれない、こういうような状態は、保険制度の本質から見ても本末転倒であります。そういう意味で、今回の改正の中のこの高額医療費というものはたいへん評価され、世間でも歓迎されております。  そういう意味で、高額医療費が含まれたということはたいへんけっこうなことでありますが、この負担の中で、足切りが三万円程度であるというようにいわれております。しかし、この三万円というのも、政管健保の中で治療を受けようとする方々にとってはたいへん大きな負担になるものであります。そして、これが大体一カ月ということでありますが、その一カ月というのはどういうような基準で、たとえば暦月でいって一カ月なのか、あるいは入院したときから一カ月なのか、この算定のしかたによって、高額医療制度というものがたいへんよくもなり、場合によっては、あまりよくないというようなことにもなりますから、これらのことはどういうふうにお考えになっておるのでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 高額療養費の問題は、御指摘のように、今度の改正の中で非常に高く評価されております。御承知のように、家族の方々がガンや心臓病におかされると、ほんとうにたいへんな自己負担になるわけでございます。それが今度は最終的には月三万円で自己負担は済む、こういうわけになるわけでございまして、その月三万円はどこを起点とするか、こういうお尋ねでございますが、それはもう入院したときから一カ月の間に三万円というわけでございます。すなわち、一カ月以上も長くかかるような場合で三万円以上ということでございますから、入院したときから一カ月、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 さらにこの制度を国民健康保険にも適用する。それは昭和五十年十月より実施するということになっておりますが、これが発足したら、すぐ十月から行なわれるわけですから、五十年というのは、たいへんおくれた出発になるわけであります。これはどうなるか。  それから、国民健康保険の場合には市町村が保険者ですから、この制度が適用されて、財政負担の上に圧迫を受けるというようなことがないのか。これらについて具体的な御見解をお伺いいたしたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先ほど高額医療費で、入院したときから一カ月ということを申し上げましたが、誤解があるといけませんから、入院したときから一カ月、一件一カ月、こういうふうに正確に申し上げておきたいと思います。  それから、いまの国保の問題でございますが、実は国保についてもこの高額医療の制度を一緒に行なうことにいたしておるわけでございます。しかし、御承知のように、国保の経営というのは市町村ごとにやっているわけでございまして、市町村は完全なる自治体でございますから、国が命令して一律に全部やれ、こういうわけにはまいりません。やはり相当の保険料の負担もふえるわけでございます。そこで、一応三カ年計画で高額医療の制度を全部の国保組合に行なっていただくようにしようということで、どんなにおくれた場合でも五十年十月一日までには全部完成しましょう、こういうことでございます。  しかし、これは三年かけてやるという性質のものではありません。その自治体において、私の町では早くやりたい、私の町はことしはやれない、来年やりますということがあるわけですから、自治体の意向を尊重しながら、何ぼおくれても五十年の十月一日までには、この制度は完成させよう、こういう仕組みで動かしてまいりたいと考えております。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 先ほど大臣は料率の改定について触れられまして、保険料率〇・三%ということをおっしゃいましたが、ボーナスからも一%特別保険料として徴収するということになっております。毎月の給与でも、中小企業につとめている人は、給与水準も低いし、年寄りであるとか婦女子であるとか、こういうような方々でありますから、いろいろな意味で負担になるわけでありますが、特にボーナスから一%徴収するということであります。私たちも、このボーナスから徴収するということには異存はありません。財源が困難であり、また給付が大幅に改善されるという中においては特にそれに対して異存はないのであります。わが国では、ボーナスというものが賃金の一部になって、たとえば各種の保険であるとか月賦販売であるとか、こういう分割で負担するものがいろいろありますけれども、そういう中で毎月の支払いよりもボーナスにウエートを置いている。これが一つの慣例になっております。ですから、毎月の給料から差し引くよりも、ボーナスのほうから引くというほうが合理性があるように私は思うのであります。ただ、保険料を徴収する場合に、そういうような非常に給与水準の低い人たちから取るのでありますから、十分慎重な考慮が必要であると思います。  そういう意味で、料率改定の段階において、あるいはボーナスからの徴収という段階において、十分な配慮のもとに行なわれたこととは思いますけれども、どのような観点でこういう制度に踏み切られたのか、お伺いしたいと思います。

北川力夫厚生省保険局長

○北川(力)政府委員 ボーナスの保険料すなわち特別保険料の制度につきましては、要するに今回の給付改善をまかないまするには相当の財源が必要なわけでございます。したがいまして、かりに特別保険料を取らないで、すべて本来の保険料率一本でまかないますと、かなりな負担になりますので、そういった意味合いで、べたに被保険者一般にかかりますことを避けるために、少しでも軽減しようとする趣旨で今回この制度を設けたものでございます。したがいまして、これはあくまでも保険財政の安定という見地から考えたものでございますので、財政の安定するまでの間の暫定的な措置でございますから、ただいま先生がおっしゃいましたような見地で、別な観点からこの問題を将来処理するというふうなところのことまでは考えておりません。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 時間も迫ってきたようでありますが、財政問題についてお伺いをいたしたいと思います。  元来、保険制度そのものは自由経済社会の産物でありますから、社会主義体制下の発想でこれを見ると、いろいろな無理があると思うのであります。そこで、国民の健康を保全するための国家的制度であるということから、当然国の責任ということが大きく出てまいりますが、だからといって受益者負担の原則というものが否定されるものではないと思うのであります。ただ、そこには政府の社会保障的立場が第一義的に出てくることは当然ではないか。そういう意味で、定額国庫補助を改めて、一〇%定率の補助を行なわれたものであろうと思います。  同時に、負担の公平ということも一つの原則として貫かれなければなりません。公平ということは、私が言うのは算術的な公平ばかりではないのでありますが、政管健保は、先ほど申しましたように、零細なところで働く人たちが対象になっておりますから、体質的にも財政の基盤が脆弱であり、賃金水準も低く、また労働条件も劣悪で年齢的にも中高年齢層が多い、また女子労働者の占める割合も多い、そのため保険料収入は低い、医療費はよけいかかり、赤字になりやすいという体質を持っておるわけであります。  そこで大幅な赤字の累積が起こったのだと思いますが、今回の改正が従来のごとく財政対策だけではなくして、給付改善にもきわめて積極的に一面取り入れられておるということは、私は政府がみずから責任体制を打ち出したというふうに見るわけであります。従来、政府はこの財政基盤の脆弱な体質に対して積極的な援助といいますか、助成というものがなされていなかった。そういう意味では、この赤字財政、累積赤字が出たという段階において、やはり政府として、ある点の反省すべき面があると思います。今回の積極対策をとられた大臣の御意見をひとつお伺いしたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 まことに御指摘のとおり、政管健保は中小企業を対象とし、そこに働く労働者の健康保険制度でございます。そういうふうなことで、中小企業に働いておられる方々でございますから、大企業に比べれば、賃金も比較的安い、また疾病率も高い、こういうふうなこともありましたので、私どもはこの政管健保については、何としてでも国が一部の責任を持つというふうな財政対策を立てるべきである、こういう考えに立ったわけでございます。  特に、福祉政策の一環として今回考えるにあたりましては、いままで三十六年以来手をつけなかった給付改善をやる。同時に、それを全部保険料だけでまかなうのは、どうも好ましいことではない、そういうふうな考え方から、中小企業の労働者を対象としておるということにかんがみ、したがって財政も非常に脆弱である、こういうふうなことから、御承知のように国においては、昨年までは定額のたった二百二十五億の補助金でございましたが、今度は医療給付総額の一割、すなわち八千八百億が総医療費ということになりますれば、その一割、八百八十億を予算に計上しましょう、将来、医療給付費が一兆になれば一千億になる、こういうふうなことで、定率の一割ということに思い切っていたしたわけでございます。政府としては、今日まで二百二十五億きり出さなかったが、ことしは八百八十億、こういうふうなことで、定率の補助ということでいたそうというわけでございます。  さらにまた、今日までの赤字は全部たな上げしましょう、こういうことを思い切っていたしました。そういうことで、今後は中小企業の方々の医療保険制度というものを安定させていきましょう、こういうことにいたしたわけでございます。しかも安定させるにあたっては、今後は、将来いろいろ診療報酬改定等によって保険料率を、短期保険でございますから、ある程度上げていただかなければならぬ場合がありましょう。それについては上限を設けて、すなわち弾力条項ということをいたしておりますが、その際でも国が負担をしよう、こういうことに変わってきたわけでございます。言うなれば、健康保険制度の負担というものは、以前は労使、保険料だけということでありました。それが今度の改正によって国が一割出しましょう、そしてまたその上に、保険料率を〇・一%上げるときには給付費について〇・四%出しましょう、すなわち、今後の保険料の増額の際には三者三泣き、すなわち、一%という保険料率はどのくらいいくかというと百十億ですから、労使が五十五億、その五十五億負担をしていただいたときには、国は大体四十億ぐらいの負担を出しましょうということで、制度的にも非常に画期的なものである、かように私は考えておる次第でございます。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 たいへん時間もたってまいりまして、私はさらに標準報酬の公平の原則、あるいは予防医学的な観点に立って少しでも財政を明るくするためにいろいろ申し上げたかったのでありますが、大臣がいまお触れになった財政に対する政府の責任体制、一つは弾力条項と世間でいうものでありますが、それに踏み切られたということは、私はこれは運用のいかんによっては、たいへん問題が起こると思います。これは各方面からもその問題がいろいろと出ておりますが、政府が責任体制に出た以上は、その設定について責任ある態度をこれからとっていかなければならないと思うのです。  これはいつごろでしたか、最近ありましたが、中医協のほうで診療報酬のスライド制の導入というものを議題にしたということを新聞で私は拝見いたしましたが、こういうようなものが当然これからの財政負担の中にはね返ってくるわけであります。そういうことも含めて、そういう場合に弾力条項というものを発動されるのか。そうすれば当然この弾力条項というものが、上下限になっているけれども、上のほうに向いていきはせぬかという意味で、安易に弾力条項を発動して、そろばんを合わせるというような状態になれば、政府が出した責任体制というものは、そこで何らかのはっきりしたものを出さなければならない。そういう意味からするならば、弾力条項というものは、一つは何らかの歯どめというか、責任というものをはっきりしておかなければならないように私は思うのであります。大臣の御所見をお伺いします。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 弾力条項は、上げる場合、下げる場合、上限、下限の限界を置いて運用することになるわけでありますが、これを発動いたしまする場合には、診療報酬の改定が中医協において決定されて、そして現在の財政ではまかなうことができないと保険庁長官が判断をいたした場合に、厚生大臣にそれを申し出て、そこでワンクッション置いて、厚生大臣がそういう必要があるかどうかを判断して、さらに社会保険審議会の意見を聞くということにするわけであります。この社会保険審議会は、御承知と思いますが、労使それぞれの代表が選んだ委員が出ておるわけでございます。その歯どめのもとに行なっていくわけでございます。  なお、こういうふうな弾力条項については、私は健康保険制度については非常な歯どめがあると思うのです。よその短期保険は全部こういうのを持っておるのです。失業保険、労災、公務員の共済組合、全部あります。しかしこれは上限も下限もありません。ところが私どものほうは、そういう御意見もおありになると思いましたので、慎重の上にも慎重にしなければならぬということで、上限、下限を設け、しかも保険庁長官だけの判断ではだめだ、厚生大臣がもう一回判断をする、そして社会保険審議会の意見を聞く、こういうわけで、慎重の上にも慎重な配慮を加えた規定であることを十分御理解いただきたいのでございます。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員 いろいろ聞きたい点があるのですけれども、時間もだいぶ経過いたしましたので、私はここで結論に入りたいと思いますが、本案が提案されてから、いろいろと時間が経過されております。しかし、いろいろな意味で先ほど来御説明がありましたとおり、いろいろ問題がありますが、いい面もあるわけであります。この法律の施行が四月一日になっておりますが、このままいくとだいぶ時間も経過するように思うのでありますが、今度の改正でいろいろ患者側が受けるべき思典というものは、当然早く通ればそれだけ早く受けられるわけであります。一カ月おくれれば、それだけいろいろな意味でいい条件が受けられない。実は入院患者からもいろいろと早く通してくれという陳情もあるわけであります。もちろん反対という意見もあります。  そこで私は、最近の新聞論調でも、そういう意味で党利党略にこだわることなく早くやれというようなことも論説として出ております。また、この間、四月二日でしたか、東京で開かれました医療国際会議の中で、わが国の医療問題がたいへんむずかしい状態にあるということを参加者もいろいろと驚いておられたわけでありますが、その人たちが驚いたのは、ただ問題の解決がむずかしいという意味で驚いたのでなくして、解決の方向が比較的明瞭になっていながら、何か理論ばかり先ばしって、実際に何らの手が打たれていない、こういうふうな意味で驚いておられるわけであります。  私は、先ほど申しましたように、この保険制度そのものがやはり自由経済社会の一つの産物でありますから、社会主義的な理論でこれを割り切ろうとすると、なかなか割り切れないのです。ですから、ひとつここで足し算と引き算をやって、プラス面が出たならば早く実行するという姿勢を示すべきである、私はそれが多数の国民が望んでおる点ではないかと思います。そういう意味から、ひとつわれわれも審議に精を出しますので、十分にがんばって——ひとつ激励をしておきます。そして、これを早くりっぱに改正して、国民の皆さんの幸福のために一日も早く成立することを願う次第であります。      ————◇—————

田川誠一自由民主党

○田川委員長 内閣提出の厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、八木一男君外十六名提出の国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、及び国民年金等の積立金の運用に関する法律案の各案を議題とし、質疑を行ないます。  申し出がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 政府はさきに、経済計画を改めまして経済社会基本計画を二月十三日に発表された。この計画に基づくと、社会保障の給付の国民所得における割合はどの程度になるか、これをまず経済企画庁からお答え願いたい。

橋口隆自由民主党経済企画政務次官

○橋口(隆)政府委員 経済社会基本計画におきましては、昭和四十七年度の振替所得は大体六%でございます。今後五年の間にこれを伸ばしまして、四十七年度は四兆五千億円でございますが、八兆円ふやしまして五十二年度には大体十二兆三千億円程度になります。そうしますと、大体国民所得に対する比率は八・八%というふうに想定をいたしております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 厚生大臣は、さきの本院の委員会における田邊議員の質問に対して、五年後、十年後という見通しを述べられたと思いますが、それをお聞かせ願いたい。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 経済企画庁の策定いたしました経済社会基本計画によりますと、振替所得の国民所得に対する比率が六%から八・八%ということに上がるわけでございます。そうなりますと、それが国民所得に対して社会保障給付費がどうなるかということをはじいてみますと、大体一〇%になるわけでございます。社会保障給付費が国民所得に対する比率が一〇%になります。そこで、一応の機械的な数字で計算しますと一〇%になりますが、私どもは一日も早く西欧先進諸国並みに持っていきたいということを考えて、一一%に持っていくように努力をいたしました。こういうことを考えておるわけでございます。  算術計算でいきますと、間違いなく一〇%になります。その一〇%で、もうそれでけっこうだということをやっておったのでは、いつまでたっても日本の社会保障は進まない。そこで、社会保障給付費が国民所得に対して一一%になるように努力いたしましょう。そうして十年後には一五%に引き上げるようにいたしましょう。この率で、これは経済企画庁のほうの数字になりますが、五年後の経済計画というものはまあないわけでございますが、しかし、このような式で進んでいけば大体一五%以上になることは確かであろう、こういうふうに見ておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 十年後の一人当たりの国民所得は幾らになるわけですか。これはドル計算で、いま不安定ですけれども、普通相場で一ドル二百六十五円ぐらいの換算にしてどのぐらいになるか、あるいは日本の円でもいい。それから五年後はどのぐらいと見ておりますか。

橋口隆自由民主党経済企画政務次官

○橋口(隆)政府委員 昭和五十二年度におきましては、一人当たりの国民所得はドルにいたしまして四千ドル、前の為替レートにいたしますと百二十四万円という一応の計算をいたしております。  また、十年後のこの想定はまだ確実ではございませんけれども、一応これを六千ドルと想定をいたしております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 今日、四十八年度は幾らですか。

橋口隆自由民主党経済企画政務次官

○橋口(隆)政府委員 大体二千ドルと推定しております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 経済企画庁が従来振替所得について、常に計画をつくられる場合に提示をされる。しかし、一回も合ったことがないです、率直に言うと。池田内閣が最初登場したときに出した国民所得倍増計画、この点においては、基準年度が三十一年から三十三年で四・八%である。そうして四十五年六・一%という十カ年計画を出したわけです。これは経済の基盤がくずれましたから問題にならない。そこで四十年の一月の二十二日、中期経済計画を出した。三十八年度に振替所得が五・三%、四十三年度は七・〇と出したんです。これが実行されてない。次に四十二年の三月の十三日に、経済社会発展計画を出した。これは四十二年度から四十六年度。すなわち四十六年度においては、四十年度が振替所得が五・五として、それぞれ二%程度上昇することになる、こういうきわめてあいまいな表現をしたけれども、二%という基準を示した。続いて四十五年の新経済社会発展計画では、四十四年度の実績を五・二と見て、五十年度にはそれぞれ二%程度上昇となる、こう書いたが、四十五年度の実績は五・三%にすぎなかった。四十七年度の見込みが六・〇、こうおっしゃるわけですけれども、ことごとく違っておるのですね。一回だって実行されたことがない。  しかもあなたのほうは、将来の国民生活像として二十年後のビジョンというのを出している。これは経済企画庁が、役人が実際作業したのですから、なるほど国民生活審議会が内閣総理大臣に出した答申とはいえ、かなり内容的にタッチしておる。これを見ると全然前進していないことが明らかである。すなわち一人の国民所得が千五百ドル段階にくると大体基礎的な保障分、国民所得における社会保障費用が九・〇、それから所得を比例すると一三・二、さらに多く加えると一六・六という数字が出ておる。しかし、いま日本経済は、一人当たり国民所得は千五百ドルをこえておるでしょう。先ほど二千ドルとおっしゃった。でありますから、その国民にこういうような生活像、イメージを与えたけれども、実際一人当たりの国民所得——私はGNPを言っているのじゃないですよ。トータルを言っているのじゃないですよ。日本は一億国民がおりますから、GNPのトータルでは言っていない。  しかしながら一人当たりの国民所得で言えばイギリスを追い越そうとしている。実際には今度のドル換算をすれば、明らかにイギリスを追い越しておる。そして二千五百ドルに近づこうとしている。これはなかなか計算がむずかしいのです。あなたのほうが、まだ四十八年度のを出しておられませんから計算しにくいのですが、GNPは大体百兆と出ている。そうすると国民所得は大体八十兆と踏んで、そう間違いがない。そうすると、それを一人当たりに直してみると、一億国民で割ってみれば、もとの三百八円のレートで大体二千五百ドル、二百六十五円で計算すると三千ドルになる。これが実際そこまでいくのかどうかはっきりしませんけれども、まあそういう計算になる。  ところが二千五百ドルのときに、一体その当時どういう想定をしたかといいますと、基礎保障分が九・八%、それから所得比例を入れると一四・一、さらに上のせをすると一七・九。ここで二千五百ドルのところで、欧州各国の部分と大体歩調を合わせていくわけですね。ところが現実はどうか、二千五百ドルにならんとしておるのに、現実はきわめて低い率ですね。私は一人当たりを言っておるのですよ。そのトータルのGNPを言えば、人口がよその欧州よりも多いじゃないかという議論があるから、これは別にして、一人当たりの国民所得を比べてみても、社会保障給付費が非常に低い。  この点、経済企画庁は作業ばかりしておるけれども、一体どういうように各省にそのワク組みなり指示をしておるのか。大体八・八というのは下積みの計算ですか。どういう計算をして八・八になったのですか。また厚生大臣の一一%というのは、基礎計算はどういうようにして一一%になるのですか。これをお聞かせ願いたい。

橋口隆自由民主党経済企画政務次官

○橋口(隆)政府委員 八・八%の計算につきましては、厚生省その他各省と相談をいたしまして積み上げ計算をやりました。そしてこの数字を出したわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 積み上げ計算をしたのにまた一%ふえたのですか。

岸野駿太厚生大臣官房企画室長

○岸野説明員 いま先生の御指摘いただきました八・八%を最終的にセットいたしますまでには、事務的にいろんなやりとりがあったわけであります。しかし、従来の傾向をかなり一般的に伸ばした場合、それからさらに五年間におきまして幾つかの政策的な改定をする場合、最終的に五年間に何を政策改定をするかということが、将来のことでございますので、かなり疑問がございます。そういう意味では従来の傾向数値を伸ばしました数字に若干の政策改定が見込まれる数字を加算いたしまして、およそ八・八%ということにいたしたわけであります。厳密な意味で完全な積み上げをしたというわけではございません。

橋口隆自由民主党経済企画政務次官

○橋口(隆)政府委員 企画庁で申し上げましたのも、詳細に厚生省と打ち合わせまして、そして、いま厚生省からも話がありましたように、従来の趨勢を伸ばした線に政策的な配慮を加えた数字であることは当然であります。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 そこで振替所得の六%から八・八%、この分については事務当局においても積み上げ方式でこまかく積み上げてつくったものでございます。それをもとにして、社会保障給付費が国民所得に対してどのくらいになるか、それは大体一〇%でございます。そこで、一〇%でいいだろうか、厚生大臣としては、もう少し上げるくふうはないかということを努力しておるわけでございまして、私はどういう点をねらっているかということになりますと、わが国で社会保障給付費が六%であった時代がございます。一九六六年のILOの統計がそれなんですが……。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 いまでもそうです。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 それが一番おくれておるのは年金なんです。そこで、いまの年金の制度で、こう積み上げていったときに、五年後に、そういうものも何もかもひっくるめて一〇%になるというわけですから、それだけでは済まぬじゃないか、年金を何年か先にもう少し政策改定をするくらいの努力をしなければ一一%にはならないわけでございます。そこでひとつ、そういうことを野心的に努力をしようではないかということで、私は努力目標として一一%にするように……。(発言する者あり)お静かにお聞き取りいただきたい。一一%にするように努力をいたしますということを申し上げているわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そういたしますと、一%というのは国民所得に対する一%ですから、きわめて大きいですね。そうすると、いま出されておる厚生年金は非常に修正の余地ありということですね、一%の財源を大臣はくれたわけですから。そうでしょう。少なくとも厚生年金の改正が発表されてから、この数字が積み上げられたわけでしょう。それは結局一〇%になるのだという。しかし、それではいけないから、年金の給付額が少ないからというので、大臣は一一%ということを目標にいま作業をさせておる。  言うならば、この委員会は大臣から一%もらったことになるのだから、厚生年金中心で、国民年金も当然改正してもいいのでしょう。大臣、五十二年度というのは、あなたの言う五年計画の以前ですよ。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 そういうふうにひねった話ではないのでありまして、要するに現在のものを積み上げていくと、社会保障給付費は一〇%になります、しかしもっと多くするような努力ができないであろうか、その一つのものとして年金の問題もありましょう。それから児童手当の問題もありましょう。それから医療給付費の問題もありましょう。それから社会保障給付費というのはすでに御承知のように厚生省所管の分だけじゃございません。すなわち失業保険の問題もあります。それから労災保険の問題もあります。そういう問題をみんなひっくるめて一〇%で安住しないで、何とか一一%まで持っていけるような努力をしようではないか、こういうことを申し上げているにすぎないのでございまして、いま直ちに厚生年金についてどうのこうのというようなことを夢にも考えておらないことを明らかにしておきます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ここは国会の審議をしているのですよ。そして、私は、大臣が一〇%ということに——振替所得の面から八・八%、類推すると一〇%だと、こうおっしゃるけれども、それならばこの一%という意欲的な大臣の政策はどこにあるのかと聞いたら、それは一番おくれているのは年金です、ですから年金をひとつ上積みしたい、こういう発言をされた。そこで、一体どういうようにされるのですか、こう聞いたら、今度は失業保険まで含めて全体の話をする。大臣は、役人ではないのですよ。代議士であって、大臣ですよ。ですから、いいかげんな答弁をしたら困りますよ。  この一%というのは非常に重大です。というのは、この一%がここ十年間一つも上がってないのですから。国民所得に対する社会保障がここ十年間上がってないのですよ。ですから、一%というのはきわめて大きな財源であるといわなければならぬ。それを大臣は、一%を上げて一一%にされるというのですから、しかもそれは年金が一番おくれておるから、年金について、こうおっしゃるのですよ。われわれとしては、年金についてひとつ考えざるを得ない。ところが、あとから答弁で、夢にも考えない、そんなことを言えますか、いいかげんな答弁をしたらだめですよ。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 私は、はっきり言っておるのは、一〇%になるわけでございますが、一一%に目標を置いて努力をいたします、こういうことを予算委員会、この前の社労の委員会でもお答えしておるわけでございます。一一%にするにはどういう点がねらいか、それは年金が中心であることは、私は間違いないと思います。それをいまの段階でやるか、五年後の中でやるか、それは別の問題じゃございませんか。私は、五年後において一〇%になる、この数字からいくと、確かに一〇%になります。その一〇%になるのをその五カ年の間に政策改定をすることによって、年金などは一つの大きな課題でございますから、私それが中心になると思います。しかし、それをいまの段階で一%ふやす、そういうことを言っているのじゃない。五カ年間の計画の、五年後の目標として私言っているのです。それは十分御理解いただけると思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 五十二年度というのは、四十八年度のいま厚生年金のいわば改正が行なわれておる、あなた方が言われる五年の区切りをつけて見直しをするという五年というのは、五十二年度が五年の未満の中に入ってくるでしょう。五年後に見直しをするということは、五十三年から発足するでしょう。はっきりしてください。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 提案をいたしております法律は、五年以内ということを明らかにいたしております。したがって、社会情勢、経済情勢の推移に応じて、この五カ年の間に政策改定は私はあり得ると考えております。この五カ年の間に、四十八年から五十二年までの間に、五年以内と法律には書いてあるはずでございます。そこで、この中に政策改定をやることによって、これは一つの手段としてそうすることによって、何とか一一%になるように努力をしようではありませんか、こういうことを申し上げておるところでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 最初はきわめて明快だったのですけれども、だんだん質問をしておると、虚像ですよ。あなたの一%というのはまぼろし。しかしその前に、この一〇%というのは大体確かなんですか。いまの制度で全部積み上げていけば一〇%になるのですか。

岸野駿太厚生大臣官房企画室長

○岸野説明員 振替所得と社会保障給付費、この社会保障給付費は、従来ILOに提出しております資料は、積み上げました資料を各国から数字を出しているわけであります。各国比較では社会保障給付費でございますので、これを換算いたしますと、従来の傾向では、振替所得と社会保障給付費の間は大体一割くらいございます。これは過去の数字からいいまして一割増が社会保障給付費であります。これで大体一〇%ぐらいに社会保障給付費がなる、こういうぐあいに考えます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 振替所得の少ないことはよく知っている、組合健保あたりは個人間の問題ですから、これは政府からの移転の所得に入りませんから、これは十分承知しておる。しかしだいぶん間違いがある。ILOの社会保障給付基準と厚生省の社会保障給付基準とは発表が違うのです。国民所得における取り方が違う。同じじゃないのです。これは時間がかかるし、事務的な話だから言いません。しかし、知っておって間違ったのか、うっかりして間違ったのか、私は聞きもしなかったけれども、ILOの社会保障給付費の割合をとらえてみますと、そうでないのです。  厚生省がとる社会保障給付費と国民所得の割合の場合のとり方と、ILOが諮問してとる場合の社会保障給付費の割合はちょっと違うのです。いうならば日本の国内のほうがちょっと低いのですよ。ですから、私はそんな質問をしておると時間が足りませんから言いませんが、これは注意してもらいたい。われわれは非常に関心を持っているのですよ。ですから、その点はひとつ注意をして発言をしてもらいたい、かように思います。  そこで、いまの制度で延ばしていったら制度改革をしないで一〇%、あなたのほうはもう一〇%ということは言いませんが、八・八%に振替所得になるのですか。

岸野駿太厚生大臣官房企画室長

○岸野説明員 五年後におきます、一応今度の基本計画におきます八・八%で、大ワクといたしまして年金部門と医療部門とその他部門、こういうような、社会保障あるいは振替所得の大ワクの中で一応三つの部門がございます。その中で一応従来の傾向値を延ばす、あるいはさらに五年後におきまして福祉年金をどのくらいにする、あるいは厚生年金の水準をどのくらいにする、あるいは生活保護の基準をどのくらいにするか、従来の傾向値を延ばしました数字だけでは八・八%に当然ならないわけでございます。それに、五年間に先ほど大臣もおっしゃいましたように幾つかの政策改定は行なわれるであろう、こういうぐあいにしたいというようなことも、いろいろやりとりの中でございまして、一応八・八%ぐらいでありますと、従来の傾向値にさらに上積みといたしまして、幾つかの選択の範囲がございますけれども、かなりの政策的な増ができるであろうというぐあいに判断いたしまして、いろいろなことを考えまして企画庁と話し合いをいたしまして、八・八というぐあいに全体としてしたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は企画庁、厚生省の従来の計画というものを信用しない。こんなに前科を犯したのです。過去に一回だって、そのとおりになったことはない、全然上がらないのですから。しかし私はあくまでも期待をしたいとは思う。  そこで、政策をさらに積み上げておるということですが、しからば当然社会保障計画が出るはずですね。この五カ年の社会保障計画はいつ出されるのですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 御承知のように、四十九年度の概算要求を八月末に出すわけでございます。そこで、それまでに五カ年間の年次別の計画、すなわち年金それから医療、社会福祉施設、この三部門に分けまして、年次別の一応の大綱をつくって、その大綱の中で、では四十九年度はこれを概算として要求しよう、こういう手順になるわけでございますので、ラフな大綱的な草案を八月の中ごろまでにはつくりたいと考えております。  それをつくるために、厚生省に、大臣の私的懇談会でございますが、懇談会をいま人選中でございますので、近く発足をいたしまして、それによって五カ年間の振替所得八・八、そういうようなものに基づいた三部門にわたっての年次計画をつくるようにしたい、こういうように考えております。しかし、それは五カ年間の、かちっとした計画にはならぬと思います。ラフな、大綱的な計画をつくる、その中で四十九年度はその分はこれだけだ、こういうふうにして出したいと考えておる次第でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私はやはり実効ある計画をつくる必要がある。というのは、住宅なんか見てごらんなさいよ。法律の中に、何年度は何年度はと住宅計画が書いてあるでしょう、日本でも。最近日本でもそういう方向にきた。フランスやイタリアは政局は不安定だけれども、そういう年次計画というのはぴしっと法律でできておるわけです。ですから、法律が先行して、あとは役所が予算をつける。日本でも住宅については法律の中にぴしっと出ておる。ましてや社会保障はラフなものなんかつくったらだめですよ。ぴしっとしたものを——防衛なんかでも、ぴしっとしたものができておるでしょう。ぴしっとしたものをつくるべきですよ。社会保障はラフであって、防衛計画のほうはぴしっとしたものをつくる。そういった大臣の腰がまえであるから、社会福祉が前進しないのです。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 私は、ラフな、こう申しましかけれども、どういう計画を最終的にきめるのか、それは懇談会に御判断を願うわけでございますが、私としては、できるだけかちっとしたものをつくりたいと思います。しかし、五カ年後のことまで、はっきりかちっとしたもので……(多賀谷委員「防衛ならできるのか」と呼ぶ)いや、つくれるかどうかそれはわかりませんから、私は謙遜して控え目に言うておるのです。  しかし、四十九年度だけはきめねばいかぬでしょう。そこで、年次計画というものを八月の二十日ごろまでにはつくりたい、こういう考え方でございます。近く人選をいたしまして、連休明けに発足いたしたいと考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 まあ鉄道の新幹線の計画もあるいは住宅、防衛、もうほとんどかなり五年ないし十年の計画ができておるのですよ。国民の社会保障の計画がなぜできないのですか。私は率直にいうと、そこに自民党政府の大きな弱点があると思うのです。いまは苦しくても、五年後にはこうなるんだということをはっきり実効ある計画がなぜできないか。全く計画にならないじゃないですか。目標にもならない。数字の羅列だけですよ。ほんとうに大臣しっかりしてくださいよ。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 ラフと言うたことばは取り消しますが、五カ年計画というものを一つの目標としてつくろうということでございます。この点については、私は非常な意欲的なものを持っておりますから、ラフということばは取り消しますが、その目標的なものは、りっぱに八月の二十日ごろまでにつくります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 経済企画庁、けっこうです。  では続いて、私は現実の実態に即応して、ひとつ質問したいと思います。  厚生大臣は老人ホームを見られたことがありますか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 選挙区は見たことがございますが、大臣就任以来、まだ選挙区外には行っておりません。見ておりません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 いまこの老人ホームに、御存じのように一般の養護老人ホーム、寝たきり老人の特別養護老人ホーム、さらに軽費老人ホーム、さらに有料の老人ホーム、大体四つの類型がある。そこでこの四つの類型をずっと回ってみますると、おのおの非常に違った印象を受けるわけです。  とにかく一般の養護老人ホームに行かれると、実にやはりわびしいですね。そして、いまのことですから、まあわりあいに整とんもし、きれいに掃除も行き届いておりますけれども、しかし、何といっても、厚生省基準で一人に大体二畳でしょう。ですから、雑居であるし、六畳には三名、八畳には四名雑居しておるのですね。そういう状態である。しかも面会者がほとんどないのですね。私はなるべくそういう施設を勉強したいと思って、ずいぶん回ってみたのですけれども、寮母さんがこぼしておるのは、ほとんど面会者がないということです。  いなかですから、大体老人ホームはその周辺の町村の関係者ばかり預かっておるわけです。それに六カ月に一回くらい来る人は四割ぐらいしかない。あとの六割は六カ月に一回も来ないのです。これは幼稚園の児童とか、あるいはどこどこの母の会とかが来るのは別ですよ。身内が来ない。しかも、私はふしぎなことを聞きましたが、手紙が来ますね。これは手紙が来るときに、何々老人ホームと書いてないです。それは番地が書いてあって、そうして名前が書いてありますから、いなかの郵便局ですから、ああこれは老人ホームの人だというのがわかりますから届きますよ。届きますけれども、何々老人ホーム内何のたれがしと書いてないですね。故意に書いていないとしかうかがわれない点がある。これは一体どこに原因があるのだろうかと私は非常に疑問に思いました。  ところが同じ老人ホームでも、軽費老人ホームに行くと全然空気が違うです。御承知のように軽費老人ホームというのは、これはみずからまたは扶養者が一部を負担するのですね。しかも、施設は最近の施設ですから、わりあいによろしい。四畳半に一人ずつという個室があります。北九州でいいますと、四十七年度が事務費が一万六千八百円、生活費が一万二千三百円、ですから二万九千百円かかるわけです。これに対して負担費が、事務費で千四百円、それから生活費はそのままですから一万二千三百円で、一万三千七百円大体平均納めておる。問題はなぜ明るさが違うかというと、やっぱり自分が金を出しているという点です。私は問題はそこにあるのだろうと思う。  ですから、あなたは貧しいから、身寄りがないから、ただで置いてあげますよというのは、政策としては親切なようであるけれども、きわめて冷酷です。要するに自分は部屋代も払い、食事代の一部も払っておるのだという気持ちですね。この気持ちを与えるとということが、私は非常に必要ではないかと思うのです。     〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕  そこで私は、今度の年金問題を通じて、まず第一の問題は、いま皆さんは、国民年金や厚生年金の改正が出ておるけれども、いまの年寄りというのは国民年金や厚生年金の適用を受けない年寄りが多いということですね。これに対して政府は報いなければならぬですよ。ところが幾ら国民年金や厚生年金を上げられても、いまの少なくともあなたの政策では、六十七歳以上の人は全然恩恵にあずからぬということですよ、いまの制度が続く以上、永遠に。軽費老人ホームにも入れぬということです。これに対して、一体厚生大臣はどう対処するつもりであるか。  とにかく、いまあなた方が公約した公約は、全くいまの年寄りには適用のない公約をしたということです。一体それについてどう考えるかお聞かせ願いたい。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 国民年金で申し上げますれば、いまから十二年前国民年金制度をつくったときには、一応二十五年加入ということを前提としていたしましたために、現在のところ、まだ五万円年金というものをいたしましても、いただける者はいないわけでございます。それはもうそのとおりでございます。制度がそういう制度として発足した、その制度からくる一つの弱点だと私は思います。そのかわり、私はそれを率直に認め、そしてまた、そういうことではありますけれども、七十歳以上の方々については御承知の老齢福祉年金というものを差し上げることにしておるわけでございますが、これについては保険という制度でなしに全額国費ということでありますために、わずかな金額にとどまる、その実態は私は率直に認めざるを得ないと思います。  私どもはよく公約で、こうおっしゃられるのですが、たびたび本会議等において、おまえは選挙のとき五万円年金という公約をしたじゃないか、まぼろしだとか、いろいろなことをいわれますけれども、こういう制度で五万円年金あるいは二万円年金というときには、一定の水準をもとにしての年金であるということは、私は御理解いただきたかったのです。けれども、そういうことを一々言わなかったために、国民に何かいまのはすぐ五万円になるかのごとき錯覚を与えたということは私は遺憾だったと思います。しかし年金というものは、由来そういう水準を基本にしての議論である、これはもう多賀谷先生のような専門家の方にはおわかりになっていただけると思うのでございます。  そこで、確かにおっしゃるとおり、国民年金からいえば、いわゆる五万円年金というものがいただけるのはだいぶ先である、これは私は率直にそう申し上げております。しかしながら、入っておる十年年金のものだけは、それは保険料を納めてこられた方ですから、そこで御承知のように今度は私どもで二万五千円にしよう、こういう努力をしたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 国民年金が発足をしたのは昭和三十六年ですが、三十四年の国会にかけた。このときは二十五年納めた人は月二千円の給付を与える、十年年金の人は千円、しかし年をとられて、どうしても掛け金をかけても資格がないから、これはむだだという人が七十歳以上千円、ですから十年年金と福祉年金は同額で出発したのですよ。それになぜ今日そんな差をつけておるのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 その問題につきましては、先生御指摘のとおり発足当時は十年年金と福祉年金が同額であったわけでございます。その後福祉年金は御承知のように百円ですとか二百円ですとか非常に少ない上昇をたどってまいりましたが、今回はそういったことではならないということで、昨年度御承知のように三千三百円と千円の値上げをいたしまして、今回また引き続いて千七百円の値上げをする、そういうようなことにいたしたわけでございます。  十年年金のほうにつきましては、その際従来から福祉年金と同じような金額でというふうな推移をたどらせるのがいいかどうかという議論は、御議論としては十分あり得るところでございますけれども、やはり十年年金というものは拠出年金でございますし、それからまた現実に国民年金の拠出年金として現に給付されておるものは、その十年年金だけでございます。したがいまして、拠出系統の年金というものは、できるだけ拠出の体系の中で生活保障的なものに近づける必要があるというようなことから、今回御承知のように五千円を一万二千五百円と二倍半の引き上げをする。  つまり従来は、発足はお説のとおりでございますけれども、それからのいろいろな推移を前提といたしまして、とにかく拠出の体系のほうは、できるだけ拠出の体系のほうとして十分なものに近づけていくという考え方、それから福祉年金につきましては、従来の百円、二百円というパターンを千円、引き続いて千七百円、それからまた政治ベースの問題といたしましては、かねがね厚生大臣、総理大臣がお答えのように、来年はさらに二千五百円、引き続いてさらに二千五百円を引き上げる、そういうふうな決定をいたしておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ともかくあなたは年配者だからもうかけないで、そのかわり七十になったら十年年金と同額を与えましょう、こういうことでしょう。十年年金は六十五歳から支給されるわけです。あなた方の福祉年金は七十歳からですよ。当然同じではないわけです。ですから福祉年金は十年年金と同額やっても政策的にその矛盾はないわけです。しかも三十四年は千円というのは——時の予算は一兆四千億です。今日十四兆でしょう。予算の伸びだけを平均して伸ばして見ても一万円ですよ。いまの大臣だけを責めるわけではないのだけれども、これは政府だけでなくて、いまの若い、働いておる層が全体としていまのお年寄りに対して親不幸をしておる姿ですよ。少なくとも年金額を急速に上げるべきですよ。法律の制定のときは十年年金と同じであるということで出発したのですよ。そしてこれの中には——これは小山君が書いた。当時の年金局長ですから、責任者が書いておる。そうして積み立てということについても、終戦前百年間の統計をアメリカとイギリスでとってみたら、卸売り物価はほとんど百年間上がってないから、一時的なインフレが終息したら、大体物価上昇というのはないだろうという想定でできておる。ただし、経済は伸びるから、生活水準の上昇があるだろう。だから年金を積み立てて産業に投資をして、経済が伸びたら、そのお返しをもらうのだということが積み立て方式の趣旨なんですよ。経済は伸びて国の予算は三十四年から四十八年までに十倍になったけれども、福祉年金はそれすらもいかなかったということは、どういうわけですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 確かに私も思い出しましたが、国民年金法のときには福祉年金と十年年金の額は同じで出発した。確かに私もそのように理解をいたしております。そこで、私どももできることならばたくさん出したいという考えもあります。しかし一面これは全額国費だということも考えておかなければならぬ。それからもう一つの問題は、十年年金は、いまも年金局長がお答えいたしましたように、拠出でできておるということであれば、やはり拠出のほうもできるだけ上げるようにしなければならぬということで開きが出たということを私は率直に認めます。その意味においては確かに老齢福祉年金を上げることについて、おまえの努力は足りなかったという御叱正は甘んじて受けますが、やはり国全体の財政ということを考えてみれば、全額国費でいく老齢福祉年金でございますから、そう思うように上げることはできなかったという事情があると思います。そこで、それはそれとして、拠出制の十年年金はできるだけ上げるようにしよう、こういうことにして二万五千円ということにしたことを御理解いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 二十五年かけた人に対して十年かけた人は半分だというのは当時からの原則です。二十五年かけたら二千円、十年かけたら千円というのは原則です。しかし福祉年金も同額だというのも一つの原則の柱になっておるわけですよ。その柱をなぜくずすのだと言っておる。一体十年年金をかけた人の掛け金は幾らですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 二万五千円でございます。  それからもう一つ、ただいまの御指摘でございますが、十年年金が二十五年年金に比べて半分であるというそのリンク関係でございますが、十年年金につきましては高齢者優遇の立場から、かさ上げをしておりますので、それでその辺のリンク関係はくずれるということでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それはよく存じております。ですから、二十五年の人が二千円、十年の人が千円、普通積み立てだけのことを考えれば、バランスを失しておるではないかということになる。しかし現実に、その人は二十五年かけたくてもかけられないのでしょう。だから十年で半分もらうのだということです。全部経過措置です。ですから福祉年金では、かけたくても全然加入できない仕組みになっておるから同額だということになっておるのですよ。これも積み立ての年金原理からいうと、これは矛盾しておるかもしれない。しかし政策は、経過的にそういうことを認めたわけです。だから大臣、二万五千円しか掛け金を出してないのでしょう。  問題の差は、福祉年金と十年年金の人は二万五千円なんですよ。しかも、いまの福祉年金をもらっておる人がかってに入らなかったのじゃなくて入れなかったのですよ。ですから、私はこの程度の積み立てをしたかしないかによって、それだけ差をつけて、一万二千五百円と五千円の差をつけるべきでない、これはもう同額にしたらどうですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 福祉年金と十年年金の給付の差と、それからどのくらい保険料を納めたかどうかということのつり合い関係というだけではございませんで、やはりこの福祉年金につきましては、従来発足当初の千円というものが、いかなる性格のものであったかということは相当議論があったところだと思います。ただしかし、どのように考えましても、その千円自体がそれでもって生活を保障する年金額だということではなかったわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、そうは言っても、やはり福祉年金しかもらえない方がいらっしゃるというようなことから、逐次生活保障的なものに近づけていかなければならない、そういった経過をたどってきておるわけでございます。  そうなってまいりますと、今回御提案申し上げております五千円、それから七千五百円、一万円というふうなことになってまいりますと、そのほかのいろいろな公的扶助とのかかわり合いの問題等も当然出てまいるわけでございます。したがいまして、福祉年金の金額をどのように引き上げるかという、いわば福祉年金の論理と申しますか、そういったものは、できるだけ生活保障的な金額にいたしていく。ただその場合に、制度的に割り切らなければならない問題をいろいろ割り切っていかなければならない時期に来た、こういうことだろうと思います。  それから拠出のほうは、当初は先生御指摘のように、十年年金と福祉年金が同額で出発いたしたわけでございますけれども、やはり拠出年金というものは、拠出年金のそういった論理の中で、できるだけ高齢者に対する優遇措置を厚くするというふうな観点から改善をはかるべきである、そういうことでございますので、現時点及び将来にわたっての福祉年金なり十年年金系統の高齢者優遇の経過年金の展開を考えますと、やはり片や生活保障的なものとしていろいろな公的扶助との関係を解決し、片や拠出制年金のワク内において、高齢者に対する特例的な年金をどのように優遇するかというふうなことになりますので、当初のリンク関係というものは、その意味では薄れたか、あるいはなくなったかというふうな感じで、私どもは現在この制度を仕組んでいただきたいと思っておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 十年年金と福祉年金のリンク関係がなくなったか、薄れたかということでしたけれども、私はやはり法制定ということをおっしゃいましたから、法制定の趣旨に基づいてやってもらいたい、こういうように要求します。  まあ大臣、軽費老人ホームに入れるくらいの年金をやったらどうですか。少なくとも軽費老人ホームに入れるくらい。とにかく最低二万円は要りますよ。それで二万円の中から、やはり小づかいを取らなければならない。この老人ホームというのは、ちり紙と新聞と浴場の石けんくらいしか共通のものはない、あとは個人に身につけるものはない。ですから、下着類とか、それからいろいろな日用品も要るでしょう。やはり七、八千円くらい要るのですよ。そうすると、一万三千円なら一万三千円か四千円納めて、七、八千円取って、やはり二万円はどうしても要る、軽費老人ホームに入るにしても。  ですから、軽費老人ホームに入れるという最小限度のものに、やはり福祉年金はすべきである。そして家庭におる人は家庭におってよろしいわけですけれども、そしてあとの足りない部分は、いままでどおり国や自治体が見ればいいわけですね。少なくとも福祉国家と銘打ったら、その程度はすべきですよ。大臣、どうですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 これは私もいろいろなことを、昔のことを思い出してきているわけですが、この制度を初めてつくったときには、なるほど額は十年年金千円、福祉年金千円と同じになっておりますが、その当時の福祉年金というものの考え方は、いまのような考え方でなかったと私は思うのです。あの時代は、実際老齢福祉年金というのは、そうじゃなかったのです。それは、年金というものは保険制度であって、拠出制を原則とする。そこで二十五年で何千円というふうにきめてきました。ところが保険制度に七十歳以上の者は入れない。そこでこういう人たちについて何にもやらぬというのはどうであろうかということで老齢福祉年金、こういうことばで、年金ということばをつけたので、そういうふうにお考えになるが……     〔「年金の中に入っている、冗談じゃない」と呼び、その他発言する者多し〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 御静粛に願います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 けれども、あの当時から老人の全生活保障をするというたてまえで、できておったと思うのであります……     〔発言する者多し〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 御静粛に願います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 私は、その点で相当問題であったと思うのですが、おそらくあの当時の説明は、老人生活におけるゆとりを……     〔発言する者多し〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 御静粛に願います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 老人の生活を補足するとか、ゆとりを与えるようにするとか……(「でたらめだ」と呼ぶ者あり)でたらめでも何でもありません。そういう観念でおったわけでございます。それがだんだん多くなってまいりまして、来年七千五百円、一万円、そこで初めて老齢福祉年金を生活保障的なものに持っていったらいいのかどうか本格的な検討をしなければならぬ、こういう段階に来ているのじゃございませんか。私は、そうだと思うのです。そこが一つの問題であると思います。     〔発言する者多し〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 御静粛に願います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そのことを言うならば、当時の二十五年かけまして二千円しかもらえない、一般の国民年金も同じじゃないですか。そうでしょう。金額から見てごらんなさい。二十五年かけて、そして二千円しかもらえないのでしょう、当時の法律は。それならそのこと全体が同じじゃないか、国民年金自体が。ですから、あなたは福祉年金だけ別個の概念に入れようとするから間違いがある。これは概念の中で一種の経過規定として置いてある。(「経過年金だ」と呼ぶ者あり)ですから、経過年金だからこれに書いてある、言うならば人生の過去勤務債務なんですよ、この人たちは。ですから、同じように、全体として把握すべきですよ。拠出年金のほうは生活を保障する方向にいく。福祉年金はただゆとりを持たすようなことじゃないのです、一緒に書いてあるのだから。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 それはなるほど法律の中に一緒に書いてございます。しかし国民年金が発足いたしましたときは、拠出制を原則として、それは老後の生活の保障という方向で持っていきましょう。ところが七十歳以上の方には拠出制をしようとしても、することはできない。そこでこれについては、生活保障という概念で、この法律概念を律したほうがいいのか、あるいはそこでいろいろ議論があったところでございます。あの当時、私も記憶しております。  そこでこれは全額国費でありますので、何にも年金体系の中に入らぬというのもおかしいじゃないか。そこで御承知のように、皆さん方の御協力もいただいて、老人生活のゆとりとか、そういう説明をずっとしておったはずでございます。(「そんなことは法律に書いていない」と呼ぶ者あり)そういうことが議論の上で——私もあの当時国会へ出て、初めてやった法律でございますから、よく記憶しております。ゆとりということでいたしておったはずでございますが、その本にはどう書いてあるか知りませんが、老後の生活を全部見るという拠出制年金と同じ性格であるとは言ってないはずでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 だから私は、この賦課方式という問題は、やはり制度が発足をしたときに、この制度に乗らない経過の人々をどうするかというのが、一つは賦課方式にするか積み立て方式にするかの大きな論点でなければならぬ。でありますから、私はそういうような過去に、要するに人生で尽くした人、この人たちは残念ながら制度に乗らない。そういう場合には、やはり制度に乗るようにすべきじゃないですか。私は理屈にならぬと思うのですよ。なぜいまの六十七歳以上の人を不公平に扱うのですか。この人たちがいま一番大事なんじゃないですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 おっしゃるとおりでございます。ところが年金制度というものから申しますれば、二十五年以上ということできておれば、二十五年たたなければ、その老後の生活保障をする年金は支給を受けない。そこで、そういう人たちには、あの当時五十歳から五十五歳の方でございますね。五十歳から五十五歳の方は任意加入で十年年金、それから五十五歳以上の方については、七十歳になったときに老後の生活のゆとりを何とか考えなければならないというので、したわけでございます。制度はそのとおりでございます。しかし、多賀谷先生おっしゃるように、そういう方は一番苦労しておる方ではないか、こういう人こそ考えるべきじゃないか、こういうことについては私も同感でございます。  そういう意味合いにおいて、私どもは、老齢福祉年金についてはできるだけの増額をしましょう、三千三百円をことしは五千円、来年は七千五百円、五十年度まできめておるわけでございます。そこで、一万円になったあとどういうふうに持っていくかということは、老齢福祉年金とその他の公的年金との比較において、その性格を十分検討して持っていこうじゃないか、その方向としては、先ほども年金局長の言うた老後の生活の保障という方向で——そのゆとり面ではなしに老後の生活保障という方向で持っていこうじゃないか、これがいまの率直な気持ちでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 社会福祉というのは、現実に生きている人々をどうするかという問題で、ゆっくりゆっくり進んだんじゃだめなんですよ。日本のように現在はドルが余っておる、そうして二回にもわたって円切り上げが要請される、この時期にやらないでいつやるのですか。しかも、それらの人はやがて人生を終わりますよ。間に合いませんよ。  でありますから、これは大臣、あなたは職を賭してやるべきですよ。私はいい提案をしておるので、それに食いついて、やりますと言ったら、いいじゃないですか。私は根拠を与えておるのですよ、あなたに。私の意見を幾ら否定したってだめなんですよ。国民は喜ばない。十年年金と同額で出発したから、十年年金と福祉年金と同額にするように大臣つとめればいいじゃないですか。しかも六十七歳から六十九歳、いまだに解決しない。いつ出すのですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、ほんとうに現実に困っておる、困っておるというか、年金の必要性を痛感しておられる方々は、やはりそういう方々だけである、そういう方々が一番痛感しておられる、この点について、私は同感でございます。けれども、それについては、いわゆる全額国費でやるということで、(「いいじゃないか」と呼ぶ者あり)いいとおっしゃる。言うほうはそれでけっこうですが、全額国費でやるということで、よその公的扶助との関係等もあって、そう簡単にはまいらない。  しかしながら、できるだけ前向きに努力しておることは、お認めいただけると思うのです。三千三百円からことしは五千円、七千五百円、一万円、(「その次は」と呼ぶ者あり)その次については、今回の五カ年計画できめるわけでございます。  そういうことで、いまの考え方は、ゆとり的な考え方できた福祉年金を、老後生活保障ということに持っていこう、こういう考えに変わりつつあることは率直にお認めいただきたい。  そこで、六十七歳、八歳、九歳、この方々はまだ七十歳になっておりませんので、老齢福祉年金はもらえません。しかしながら、これは何とかしようじゃないか。皆さま方からも強い御叱正をいただいてまいりました。予算委員会等においても、きびしい叱正をいただいてまいりましたので、何とかこの方々については、法案審議のこの過程で話し合いをしていただいて、この問題は解決していただきたいと考えておる次第でございます。六十七歳、八歳、九歳、法案審議の過程においてお話し合いをして、話し合いで解決していただきたいとお願いをしたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大臣は、六十七歳から六十九歳までの人については、ひとつこの法案の審議の過程で話し合いをしてもらいたいという話ですから、これはもう政府はこの委員会に一任をした、こう見て、これはあとから委員長にひとり骨を折ってもらわなければならない課題である、こういうふうに思います。     〔「委員長、確認してもらいたい」と呼ぶ者あり〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 静粛に願います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そこで私は続いて質問いたしたいと思います。時間がありませんので、ポイントだけ質問いたしたいと思います。  いま申しましたように、年金問題につきましては、現在のお年寄りをどうするかというのが一つの問題であると同時に、いま年金の掛け金を納めておる人々は、自分が年寄りになったときには、そのときの生活水準の何割程度が保障していただけるかという不安がある。残念ながら今度の厚生年金を見ましても、それがさっぱりわからない。いま掛け金を納めておるけれども、自分が年寄りになった場合には、一体政府は、毎年どの程度の生活水準の保障をしてくれるのだというのがあらわれてない。これをひとつお聞かせ願いたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 年金の水準でございますが、基本にいたしておりますのは、御承知のように厚岸年金の年金水準でございます。国民年金のほうは、これにリンクをするというふうな形になっておりますが、これにつきましては平均標準報酬の六割、つまり大まかに申しますと、現役の勤労者であった時代の六割程度の水準を年金として保障する、そういうことを基本に考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 法律のどこに書いてありますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 この点につきましては、法律の中では御承知のように定額部分、報酬比例部分というふうな考え方をいたしておりますので、そういったものを組み合わせて計算をいたしました際に、標準的な年金の水準というものが、その程度になるというふうな仕組みになっております。したがって、その法律の明文でもって、どの程度保障するという書き方はいたしておりませんけれども、今回改正の内容で御計算いただきますと、このような水準の年金の実現の法律であると存じます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 計算をしたら六割になるのだということでは保障じゃないです。大臣はこの法律の提案の説明において「最近の被保険者の平均標準報酬の六〇%程度を確保することを目途に、」云々と言われておる。しかしルールがないでしょう。要するに、私がいま質問をしておるのは、いま掛け金を納めている人が、自分が年とったときにはそのときの生活水準の何割くらいくれるのだろうかということがわからないと不安がっているのに、そのことには何ら答えていないじゃないですか。     〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕  なぜ、それだけでも——はっきりしたことをおっしゃるなら、法律にはっきり明記をすべきではないですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 この問題につきましては、実は立案の過程におきまして私どももいろいろ考慮いたしたわけでございますが、このようなしかけにいたしますと六割が保障されるというふうな、そういう内容のものであるということは、おそらく提案理由の説明なり御審議の過程において明らかになることで、法律の明文を要しないというふうな判断をいたしたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これは社会保険ですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 社会保険の方式をもって運営をしております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 保険であるのに、保険に加入する場合、一体老後には幾らもらえるかわからぬような保険契約がありますか。これは国だから強制的に入っておるけれども、これが私企業の契約だったら、一体自分が年をとったら幾らくれるのだ、それがはっきりしないのだ、そのつどきめるのだということでは、契約は成り立ちませんよ。あなたたちが保険だ保険だと言うならば、こんな無茶な契約はないでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 保険契約ということばが当たりますかどうですか、その辺は問題だと思いますけれども、まず掛け金がどういうものであり、そして給付される内容がどのようなしかけで、どのように計算されるかということがはっきりいたしておるわけでございますから、そういった意味で、保険といたしまして、出すものももらうものも、そのつり合いの関係というものははっきりいたしておると思います。  それからもう一つは、年金の仕組みのつくり方、御承知のようにいろいろあるわけでありますが、一番はっきりいたしておりますのは定額制の年金でございます。それから厚生年金につきましては、定額制の年金制度をとっておりませんので、定額と報酬比例の組み合わせをとっておるというようなことから、その意味で定額制の年金におけるように何万円というような金額の明示は法律の体系から申しまして、いささかむずかしいということがございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 厚生年金が発足しましたとき、さらに労働者年金から厚生年金に移りました昭和十九年の改正では、きわめてはっきり書いてある。要するに、全期間の平均報酬月額の四カ月分である。そして二十年を一年増すごとに四日分を加算する。きわめて明快ですよ、残念ながらこれはインフレによってついえたわけですけれども。  それから昭和二十九年の改正で定額と標準比例報酬とが出て、これからわからなくなった。加入者にはさっぱり計算の方式がわからない。そうして、このたび初めて平均標準報酬月額の六〇%とおっしゃった。これはいいですよ。こういうふうに明確に出すべきである。明快ならば、法律のどこかに書いてあるかと思ったら、全然ない。そのときの思いつきですよ。五年後なら五年後にはまた改定して六〇にするだとか、あるいは何年後にはこうするんだということが、はっきりしたものが一つも出ていない、法律の中に。いま財政に少しゆとりがあるから、じゃ、六〇やろう、しかしその後は保証しませんよというのが今度の改正案ですよ。大原則ですよ。平均標準報酬額の六割というのが大原則だ。一番大きな原則です。厚生年金のどの条文を見ても——二十年たったら何割やるというのが一番大きい原則ですよ。その原則のない法律というのはありますか。  それは公務員でも、あるいは公企体の諸君でも、御存じのように明快に書いてある。要するに、やめるときの、最終時の賃金の四〇%からさらに加算する、これは公企体ですね。公務員の場合は、過去三カ年の平均賃金の四〇%に加算する。きわめて明快ですよ。ところが、厚生年金はこれだけ長期の給付であるのに大事な点が抜けておる。これは画竜点睛を欠くという比じゃないですよ。基本の柱がないわけですよ。そして役人がなかなかいい頭をもって、ああ五万円と政府が言えば、一生懸命作業をして五万円に合わす。そうして、日本には有能な役人がおりますから、それで合わしてこういう数字が出ました、こう言う。それでは掛け金を納めている労働者はわからないのです。ですから、原則を書くべきです。なぜこれを抜かしたのか。大臣答弁です。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 おっしゃること、私も非常に理解できます。そういう原則を書いて、しかる後こういう算定方式を書くべきだ、こういう御意見はわかります。しかし、また私どものように、年金局長が説明いたしましたように、定額部分と報酬比例部分を二本立てで組み合わせでできておるという制度でございますから、金額を六割、五割というふうになかなか書きにくいのでございます。  そこで、一応平均の標準報酬の方々が八万四千円だとするならば、大体二十七年加入のものはそうなっておりますので、そういう方々については大体六割になるという計算のたてまえの上に立った年金額を支給します、こういうことになるわけでございまして、おたくのような書き方もあると思いますが、厚生年金は非常に入り組んでおるのです。定額部分と報酬比例部分と入り組んでおるわけでございますから、そういうふうになっておることを十分御理解いただきたいと思うわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 各国の老齢年金制度を見ても、やはりはっきり書いてあるのですね。二十年たったら幾らだ、それに対して、それをこえるごとにこういうように加算する。どこでもその方程式が書いてあるのですよ。日本の定額部分と、いわば比例部分というのが非常にわかりにくいのです。これはわかりにくいということを言っておるのですよ。それと将来の保障がないということです。  私は、あなたがせっかく答申を得られて、そして六〇%という答申を得られたなら、六〇%をすなおに書いたらどうですかと言っておる。なぜ、その大事な点をわざわざ抜かすのですか。これなら自由自在に変えることができるでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 法律技術的な問題が非常に多うございますので私から申し上げたいと思いますが、実は社会保険審議会等におきましても、この定額部分と報酬比例部分と大体フィフティーフィフティーぐらいで組み合わせるというやり方について今後いかにすべきであるかという点、それから報酬比例部分につきまして乗率である千分の十をどのようにするかというような問題、こういった点についてはいろいろな御議論もいただいたわけでございます。  それで、先ほど先生御指摘のように、定額部分と報酬比例部分とを組み合わせて厚生年金を組み立てるというやり方は昭和二十九年の大改正の際やりました。つまり二十九年改正が現在の体系の原型をなすものでございますが、この定額の部分の存在理由につきましては、これは御説明申し上げるまでもないことでございますが、ある意味で年金額につきましての最低保障というファンクションを果たしておるという関係がございます点等を考えまして、今回の改正を相当大幅にやる場合であっても、この構成はくずすべきではない。それから定額部分と報酬比例部分の比率につきましても、大体現在のやり方を踏襲するのがよかろう、こういうふうな結論になっております。  それから、もう一つは公務員共済でございますとか、それから公共企業体の共済のように、最終給与あるいは退職前三カ年の平均給与をとったらどうかという点につきましても、いろいろな御議論があったわけでございますが、これをそのようにいたしませんで、全雇用期間を通じましての平均の標準報酬制度というものを維持いたしましたのは、大企業、中小企業等によりまして賃金の年齢によるカーブが非常に変わっております。大まかに申しますと、大企業におきましては大体におきまして年功序列型でおやめになる時期が非常に高い。しかし、それ以外の企業の場合は、平均的に申しますと、四十歳の後半が一番高くて、おやめになるころは非常にダウンする傾向にある、そういったこと等がございます。  そういったことでございますので、最終給与なり、あるいは退職前三カ年の給与をとりますと、企業格差等によりまして、あるいは場合によっては業種、職種によって非常な不公平が起こる、こういうふうなことがございましたので、従来からとっておりました全雇用期間の平均標準方式をとった。ただここで問題になるのは、全雇用期間といいますと、相当以前のものはその後のいろいろな物価上昇等によりまして、実質価値が下がっておるという問題がございます。したがって、子の点をカバーいたします手法といたしまして、昭和四十七年度の平均標準報酬をものさしにいたしまして、従来の標準報酬をそれぞれ読みかえをするということによって、時間のズレによるそういった減価部分が、年金額の計算にマイナス作用を来たさないような、そういったしかけにいたしたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私、必ずしも退職時の給与をベースにするということを言っておるのではないのです。これは民間の場合は、おっしゃるように必ずしも最終年次が高いとは限らない。ことに最近は、定年後に再就職をした場合、約六割五分くらいに落ちているわけです。  私は、そういうことを言っておるのではない。あなたのほうが勉強しておるから、知っておると思って言わなかったのですけれども、ドイツなんかの方式はどうなんですか。あのポイント方式、要するに生涯を通じての個人の標準報酬額を点数であらわしていく。すなわち自分が入社したときはそのときの全国労働者の何割である、そして年々賃金が全国労働者に比べてだんだん上がっていく、ある時点からはずっと下がっていく。そうすると生涯を通じて、そのときの労働者の平均の何割というのが出る。すなわち百とすると百二十点という点が出る。それを今度受給時のその労働者の賃金をベースに置いて、自分の点数をかけて、そうしてそのときの労働者の平均基礎というのは、一年を除いて、過去三年の全労働者の平均賃金の統計でとっていくという方式ですね。  ですから、結局、毎年労働者の賃金が上がれば年金も上がっていくという方式です。こういう方式だって幾らもあるのですよ。あなたがるる説明されたけれども、私はそのことはよく存じておる。民間の場合にはそういうとり方はむずかしいということも知っている。ことにいまからは、なおむずかしいということも知っている。しかし、各国は非常に苦心をしてそういういろいろな方式も編み出しておる。  ですから、問題は、受給時の給付がそのときの生活水準の何割を常に保つのだというその保障が必要であるということを私は言っているのですよ。それは定額もこの定率の場合も、私は必ずしも否定しません。しかし、いまのような方式ですと、政府が特別にしょっちゅう法律を改正して、上げてくれなければ上がりませんよ。そうでなくて、私はルールというものを確立すべきで、原則、方程式をつくるべきだと言っているのですよ。そしてそれは毎年生活水準が上がれば、その年金給付も上がっていくという仕組みが必要である、このことを言っているわけです。  今度の厚生年金や国民年金を大改正と言うならば、そのルールをはっきりすべきじゃないですか。大臣、どういうようにお考えですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 でございますから、そういうことも私は立法論としては、あり得ると思います。しかし、現実問題として……(「理事会でやろう」と呼ぶ者あり)これは理事会の問題ではございません。これは私どものほうの考え方として、二十九年のときの改正以来、定額部分とそれから比例方式——報酬比例部分と、その組み合わせでやろうという方式が定着して、今日まで来ておるわけでございまして、立法論としては、そういうことも私はあり得るということは理解いたしますが、私は現在の制度のままでけっこうではないか、かように考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 その問題は、野党案のように賃金スライドをしていくと、いまの年金給付が、いまの労働者の平均標準報酬月額の何割ということになってきますから、賃金スライドをしていけば、それが保てるのですよ。ところが、あなたのほうは物価スライドでしょう。物価スライドなら結局は保障はないということです。  それは定額部分と比例部分をつくられたときの気持ちはわかります。低額所得者には厚くという気持ちもあったことも知っています。しかし、物価スライドでは意味がないでしょう。いまのように物価と賃金の問題が差がついておる。たいへんな差がつくと、また差がつかなきゃならぬわけでしょう、日本経済はこれだけ隆々としておるから。  そうすると物価スライドの場合は、お年寄りだけは前の生活を維持しなさい、お年寄りだけは経済の繁栄の恩恵にあずからぬということですよ、物価スライドということは。昔のままの生活をしなさい。これは私はひどいと思うのですよ。せっかくおっしゃるなら、なぜ賃金スライドと言わないのですか。あなたは定額と、いまの標準比例制という方式でいきたいというなら、それならそれで一応認めるとして、それならば、その賃金スライドでいくと、こういうふうになぜ書かないのですか。すぐくずれていくでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 御提案申し上げております内容の物価スライドについて多少御説明を申し上げますが、この御提案申し上げております物価スライドと申しますのは、前年度の消費者物価指数が五%以上上がりました際に自動的に物価スライドをいたす、こういうことでございます。したがって、物価スライドを導入したということではございませんで、自動的物価スライドを導入した。したがって、先ほど先生御指摘の賃金の上昇でございますとか、あるいは生活水準の上昇でございますとか、そういったことによって、ただ単に物価値上げ分の埋め合わせをしただけではどうにもいたし方がないではないかという点につきましては、言うなれば政策スライドを行なう、こういうことでございます。  今回御提案の中での政策スライドの最たるものは、この過去の標準報酬の再評価である、こういうことでございます。したがいまして、先ほど先生御紹介くださいました西ドイツのポイントシステムというものと比べてみました場合に、このような今回の政策スライドの手法をもし繰り返し実施するといたしますと、西ドイツのポイントシステムに非常に近いかっこうになります。  それからもう一つ、多少手前みそになりますが、今回のこの再評価というものと西ドイツのポイントシステムとを比べました場合に、この再転価は、先ほど申しましたように昭和四十七年度の標準報酬をものさしにして、四十八年十一月からの年金額の計算をいたしておりますので、西ドイツ等と比べますと、とのとりました手法自体のタイムラグはずっと短くなっておるというメリットもございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この再評価をしたという点については、ぼくも評価するわけです、こういうシステムをとったということは。しかし、この再評価のしかたが、ぼくはどうも納得できない。一体あなたのほうは、昭和四十六年の十一月から四十八年の三月を一〇〇としたデータを出されたことがある。それは三十三年三月までを五・五倍という数字を出されておる。それがなぜ三・八七になったのか。これは私は、今後非常に影響があると思いますので、ひとつこの際、明確にしておきたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 この点は、標準報酬同士をなまに比べました場合の指数は、ただいま先生御指摘のとおりでございます。それをなぜ三十三年三月以前については三・八七、それから一番近いところでは一・一五というふうに低目に修正をしたか、その修正の問題でございますが、この修正の要素は三つございます。  それで一つは、三十三年以前の報酬というものは、前回、昭和四十四年の改正の際にこれを切り捨てております。したがいまして、原則といたしましては、それ以前の標準報酬というものを持たない計算になるわけでございます。  非常に端的な言い方を申しますと、たとえば昭和十七年に会社にお入りになって、まあかけ出しの社員であったわけでございますが、その方が三十三年になりますと、おそらく、十六年たっておりますから課長さんかその辺まで御昇進なさっておられることだろうと思います。そういった意味合いで、三十三年以前の標準報酬を持っておる場合と、それを持たない場合とを比べますと、三十三年以降は、課長さんになられてから部長さんでおやめになる、その間の標準報酬である、こういうことがございます。したがいまして、その三十三年以前を切り捨てておるということによって、まあどちらかといえば、ある程度高級な報酬を取られるようになられた時期以降の標準報酬ということで、これを修正いたしております。  それからもう一つは、どの時点をとってもよろしいわけでございますが、三十三年と四十八年と、こういうものを比べますと、厚生年金の保険自体が年齢的にも成長してまいっておりますから、被保険者集団としてとらえました場合に、平均年齢がだいぶ違ってきております。平均年齢が何歳違うことによってどの程度報酬に差があるかということを比率の上で出しまして、この読みかえ表にございますようなくくりの期間それぞれにつきまして、その被保険者集団としての平均年齢の上昇ぐあいを見て、それによって修正をいたしております。  それから第三番目の修正の要素といたしましては、賃金そのものを比べておるわけではございませんで、標準報酬自体を比べておるわけでございます。そうなってまいりますと、今回御提案申し上げた点でもおわかりいただけますように、現実には十三万四千円という上限をこえておる方がいっぱいおられる。それをいまのところはまだ十三万四千円であったわけでございまして、できるだけ実勢を反映するようにアッパーリミットを二十万円にする。こういうふうな改正をいたすわけでございますが、この標準報酬の改正が給与の実態に即応いたしまして常時そのように改正されておりますと、大体賃金それ自体の比較と標準報酬の平均を比べた場合と同じような指数になる道理でございますが、必ずしもそのようにスムーズに上限の改定が行なわれておりません。したがって標準報酬の上限の改定が行なわれておらなかった場合には、その期間における平均標準報酬というものは額の上で低く出るわけでございます。それを比率を修正いたしませんで、なまのままその期間の標準報酬を読み直しますと、これまた高く出過ぎるということがございます。  したがって、この三つの補正係数と申しますか修正係数と申しますか、そういったものを加味することによりまして、御提案申し上げておるような三・八七から一・一五に至るそれぞれの期間のくくりによっての再評価のポイントが出てきておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ですから、頭打ちの標準報酬がここに出ておるわけでしょう。私、どうもその点が合点いかぬわけですよ。それをたとえば三十五年五月から三十六年三月とすると、それで四・一となっておるのに、その要素を入れれば、これはまた下がるにきまっておるのですよ。もうすでにこちらは下がっておるのです。その下がったものと比べてみて四・一という数字が出ておるわけでしょう。もうすでにあなたのおっしゃる上限が頭打ちで、かなりあった。その数字が出ておるのが被保険者の標準報酬というものでしょう。それにまた、もう一度それを下げる修正をするというのは、理由がないじゃないですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 その点につきましてはこういうことでございます。アッパーリミットにランクされておられる方については、先生御指摘のような問題がないわけではございません。アッパーリミット以上のランクにランクづけせられている方につきましては、私の申し上げたようなことでございます。ですから、その意味では一〇〇%数学的に正しいかどうかという点については、率直に申しまして多少の問題はございます。  ただもう一つの問題は、過去においてどのようなランクづけで保険料を拠出したか、そういったことも考えあわせますと、アッパーリミットに属する方についての、いま御指摘の程度の不合理というものは、これは無視せざるを得ない、そう考えたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 いや、その標準報酬月額と、それから実際上の賃金との差、すなわち平均賃金をここに導入しろといえばそういう議論になるのだけれども、ともに平均標準報酬を対比するその対比が、先ほど申し上げましたように五・五倍から始まっておる。それがあなたのほうは三・八倍になっておる。ですから、その点は修正する余地はないんじゃないか、こう思うのですよ。それをあなたのほうはかなり大きなウエートで修正をされておる。すなわち〇・七というようなウエートを示した。どうもその点は要素に入らないんじゃないか、こういうように思うのですが、大臣、あなたの五万円に合わしたのじゃないですか。日本の有能な厚生省の役人が逆算したんじゃないですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 御指摘の問題は率直に申し上げたわけでございますが、ただちょうど現在時点における十三万四千円というたまりぐあいというものと、それからここにございます過去の上限たまりぐあいというものは、たまりぐあいは過去においてはそれほど上限は多くない、こういったことが一つございます。それをひとつ何らかの方法で検証してみようということで、私のほうでは、平均賃金の伸びでやった場合と、このようなやり方をやった場合にどう違うかということをやってみたわけでございます。昭和三十三年についてはここにございますように、いま申しました三つの修正係数を使いまして三・八七でございますが、平均賃金でやりました場合には四倍ということで、あまり違わないというようなこともございまして、いま申しましたような平均の標準報酬自体を比べて、三つの修正係数を使うことは、それほど問題はないであろう、絶対に問題はないとは申しませんが、それほど問題はないであろうというふうなことで、このようにいたしたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この点はきわめて重要な問題ですが、また技術的にはきわめてこまかい問題で、ここで時間をかけて一問一答しておってもなにですから、委員会でやはり小委員会でもつくって、この問題は十分ひとつ納得のいくように説明を願い、また意見を述べてやるべきじゃないか、こういうように私は委員長にお願いをしておきたいと思います。これは将来ずっと尾を引く重要な問題ですよ。この問題をまた何年か後にさかのぼって修正するというのは非常にむずかしい。この際、この再評価率が出たときに、これは議会としては基本的に十分納得できるように検討をすべきものである、こういうように考えますので、そういう御配慮をお願いいたしたいというように思います。  続いて大臣、平均標準報酬月額というのと、ILO等でいっておる所定の従前の所得というのは同じなんですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 従前所得あるいは未熟練労働者の賃金という言い方をしておりますが、この従前所得というものの考え方は、ILO条約にできるだけ多数の国が批准をしてもらったほうがいいというような観点から、それぞれの国の法令なり何なりでもってきまった、そういったとり方をしてもよろしい、大体そういう解釈と承っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 では欧州のドイツとかフランスとかというような国の場合の所得と、日本の場合の所得とはどう違うのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 おそらく数字の問題と、それから体系の問題だと思いますけれども、体系の問題について一番大きく違うのは、ボーナスのあるなしとか、そういった点が一番多いと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ボーナス、期末手当、これは大きなウエートを占めておる。ですからILOが、たとえば百二号条約であると四〇%という数字を出している。あるいはまた百二十八号条約によると四五%、さらに勧告では一〇%アップということをいっておる。ですから、結局日本の六〇というのは、どのくらいに当たるのですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 ボーナスの点を入れて考えますと大体四五%。ですから、百二号よりは高くて、百二十八号水準だと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この点さらに所得保障という問題について、これは単に年金だけでなくて、長期給付の場合には十分考えなければならぬ問題だと私は思います。たとえば労災の給付の場合です。労災の給付の場合も期末手当というボーナスは入ってない。日本の所得、要するにきまって支払われる金額の大きなウエートを占めておる期末手当というものを入れていない。長期給付の場合は私はここに問題があると思うのです。あなたのほうは、短期の健康保険にボーナスのほうから取り上げるという。しかも給付のほうは知らぬという。そんなむちゃくちゃなことを厚生省はおやりになっておる。給付のほうをやらないで、取るほうだけ、しかも短期給付の場合にやっている。こういう主客転倒したことは、おやめになったほうがいい。これは健康保険でありませんから、これ以上追及いたしませんが、長期給付の場合は全体的に考えなければならぬ問題だ、こういうように思います。  実はまだずいぶんあるのですけれども、きょうは十巻のうちの一巻程度で終わっておきたいと思います。  ただ一つ、私どもの筑豊炭田のように、すでに年金受給者の多い地域で困っておりますのは、とにかく六十歳から権利があっても、働きに行ったら厚生年金はもらえないということである。日本の年金は六十歳というけれども、言うならば六十五歳ですよ。厚生年金は六十五歳年金ですよ。六十から資格があるといっても、六十歳から年金だけでは食えぬわけですから、どうしても働きに行って、働きに行ったら、五万円未満は別として、当然厚生年金の加入者になる。そうすると、在職年金ということでごくわずかしかもらえない。いままではほとんどもらえなかった。これはやはり踏み切るべきですよ。大臣、どうですか。これは続いて質問があると思いますから……。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 私はいま踏み切る意思はございません。諸外国の老齢年金もみんな六十五歳なんです。よその国の例、もし必要があれば申し上げますが、六十五歳なんです。そこで日本は老齢年金の受給年齢は平均しますと、六十二、三歳でございます。ということでございまして、諸外国の例を申しますと、西ドイツから始まりましてスウェーデンは六十七歳、イギリス六十五歳、アメリカ六十五歳ということでございまして、私はいいところではないかと考えておりまして、六十歳に全部下げるという考えは持っておりません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 都合のいいことだけお話しになって……。  もう一つ聞いておきたいのは、五万円の根拠ですね。これをひとつお聞かせ願いたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 簡単に申しますと、四十八年十一月に実施いたします場合に、そのとき年金を受けられるであろう方、その中で二十年以上の被保険者期間を持つ方、それが標準的な方でございます。そういった方の平均的な被保険者期間は何年であるかということを実際に年金保険部の業務課のテープから抜き出しまして計算いたしますと、二十七年になります。その二十七年、平均的な被保険者期間を持っておられる方の過去の標準報酬というものを、これもなまのかっこうで先ほど御説明申し上げました再評価率で再評価をいたしましたら、その平均は八万四千六百円でございます。それに妻の加給、現在千円でございますが、それを公務員の扶養手当のベースアップに準じまして二千四百円、そういうことで八万四千六百円につきまして、二十七年の被保険者期間を持っておられる方の年金額、定額部分につきましては、これは先ほど申し上げておりませんでしたが、九百二十円。それから報酬比例分につきましては、八万四千六百かける千分の十かける二十七プラス二千四百円、これが五万八十二円でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 あなたはわりあいに順調にすっといかれたホワイトカラーの年功序列の賃金になっている方のモデルをとられた。現実を見てごらんなさい。われわれが組合にたのんで現実点をとったところが、そうなってないのです。たとえば四十三年で五十五歳になって退職する。そのときまでは五万四千円の標準報酬だった。退職をして系列会社に入ったら六五%の賃金になった。そして六十一歳になって標準報酬が六万円になった。そして読みかえ規定を全部適用してもらって初めて七万一千円になった。この人が二十年とすると、二千四百円の妻の加給を加えても三万五千円しかならぬ。二十七年にすると四万六千四百十円。  もう一人、いまのはブルーカラーの人ですけれども、ホワイトカラーの人を見ましたら、やはり五十五歳で七万円、四十二年です。それから今度別の会社へ行きましたら当然ダウンする、四十七年六十一歳、三万六千円、読みかえ規定を入れましてこれは九万五千円の人、この人が二十年で三万九千円、二十七年で五万二千円。ですから途中で——いま六十歳というのは六十歳までずっと会社に行ける人は、これは非常に恵まれた人なんですよ。ほとんど定年で退職して、今度は六五%くらいの賃金から出発しなければならぬ。  こういう実態を考えると、どうもあなたのほうはきわめて順調に行ったホワイトカラー、途中でダウンなんかしなかった人の統計をとっておるでしょう。そうでないというなら、どうしてそうでないのですか。そういうようなものをとって五万円年金というけれども、もう少し実態に即応したものをとってごらんなさい。あなた方がとっておるのは、会社を退職したこともなくて、ずっと最後までつとめて、そして年金の資格がついた人でしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 八万四千六百円の計算につきましては、先ほど申し上げましたように、二十年以上の平均が二十七年。二十七年の被保険者期間を持っておられる方を、数理上大体この程度の抽出をすれば、おおよそ正しいであろうという程度の数字の抽出をいたしておりまして、その間会社を転々としたとかしなかったとか、そういう要素は一切加味いたしておりません。そういうふうにやって現実に吟味をいたしましたのが、いま申しました金額でございます。私ども実はいろいろな御依頼がございまして、たとえば○○さんについては大体どうであろうかというようないろいろな計算をしてみましたら、これはいま先生御指摘のように、たいへんバラエティーがございます。ただ、八万四千六百円につきましては、このような作為は一切加えておらない次第でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 作為は加えてなくても、現実には必ずしも合っていないということだけを申し上げておきたい。  最後に、私は浪人中に高利貸しのところへ行きましたら、厚生年金証書が山積みになっておる。これは私が金を借りに行ったわけではありませんけれども、偶然に参りましたら厚生年金証書、カーキ色のこの程度の大きさのものです、これが山積みになっておるわけです。そして私ははっと胸を実は打たれたわけです。厚生年金は御存じのように「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」と書いてある。ただし、国税滞納処分者は別だ、税金は別だと書いてある。ところが現実に高利貸しの家に山積みになっておるわけですよ。  そこで私は、これはおかしいと思ったのです。というのは、恩給でもそうです、共済もそうです、これらのものは国民金融公庫へ行けば金を貸してくれる。それは給付の三カ年分、いまは五十万円までで頭打ちですが、金を貸してくれる。厚生年金や国民年金には、いわばそういう戦前の規定がある。戦前は天皇の恩給でしたから、みな恩給法にも書いてある。各種年金は、あるいは共済は、みんなそれを適用したわけですよ。ところが昭和二十九年になって、恩給受給者が非常に生活に困った、あるいは不時の金が要る場合もある。そこで担保がありませんから、恩給やあるいは共済の証書を持っていって金を借りる方法はないかというので、単独立法で国民金融公庫から金を借りる法律ができたのです。  それなのに、なぜ厚生年金をその後入れないか。昭和二十九年というのは、まだ受給者がいないから、そのときはやむを得なかったと言いのがれをするかもしれないけれども、その後次から次へできた年金はみんな追加をされておりますよ、国民年金や厚生年金を除いては。なぜかように不平等に扱うのか、これをひとつ大臣から御答弁願いたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○横田政府委員 ただいま御指摘の年金権につきましての譲渡、担保、差し押えの禁止、これは御指摘のように戦前からの考え方でございまして、こういった受給権というものが他人の手に渡ることによって本来の機能を果たさなくなっては困る、そういうことでございます。  実はこの点につきまして、私どものほうでは社会保険審議会で十カ月程度いろいろ御議論をいたしました際に、大きい問題、小さい問題、すべてお出しをいただいたのですが、この問題については、こういう事情があるから、この点は他の年金と同じように改正すべきであるという御意見を実はいただけなかったわけでございます。したがいまして、そういったことで、いまおっしゃられてみますと、そういうことがあったなら全く不明のいたすところという感じもいたしておりますので、この点につきましては一体どのような事情になっておりますか、十分調査をさせていただきたいと思います。  それからまた行政実務上も、たとえば県の年金課長ですとか保険課長ですとか、こういった点について非常に不便があるので、この点は法律改正されたいという意見も実はいままで聞いておりませんでしたので、まことに申しわけございませんが、その辺の実情を十分調査さしていただきまして、しかるべき時期に解決をはかりたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実は率直にいいますと、私も知らなかったのですよ。気がつかなかったのです。ですから、昭和二十九年に国民金融公庫から金を借りるという法律ができたときにも気がつかなかった。というのは、厚生年金は受給者がないから、やがて受給者ができたら入れてくれるものだろうと期待しておった。ところが、受給者がどんどん発生してもさっぱり入れない。しかも、その後新しく年金の立法ができたのを入れているのですよ。昭和二十九年以来何回となく改正しているのですよ。  たとえば農林年金とか、全部入れている。ところが国民年金と——国民年金はずっとあとですけれども、厚生年金は入れていない。これは何を言っても手落ちではないか。また、それを金を借りるような層の人は声として出ないのですよ。ただとにかく、郵便局の人やあるいは国鉄につとめておる人は国民金融公庫から金を借りられるそうだが、どうしてわれわれは金が借りられないか、こう言う。しかも膨大な資金が毎年投融資で行っておるわけでしょう。私は最初、ここの年金は国民金融公庫に直接金を融資しているから、そういう特権があるのかと思ったら、ところが恩給は全然そういうことはないし、そういうことでもない。しからば一体どうして区別をしておるのか。  基本的にはそれは問題がありますよ。わずかしかない恩給とか年金をわざわざ担保に入れることは、ほんとうに困る、かえって苦しむのではないかという基本論はあります。それなら、恩給とか他の年金は入れなくてもいいのですよ。共済とか恩給は入れて、国民年金とそれから厚年は入れていないということが私はふしぎだ。私は福祉年金のように全部が国庫の負担になるものを言っているのではないのです。拠出年金について言っておるわけです。これはひとつ早急に私は改正してもらいたい。どうですか、大臣。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 実情は十分調査いたしまして、必要な措置を考えたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 本日は、この程度で終わります。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 次回は来たる五月八日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十七分散会      ————◇—————

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