社会労働委員会 第16号
- 発言数
- 126 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/04/17
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 村山富市君外九名提出の最低賃金法案を議題とし、その趣旨の説明を聴取いたします。村山富市君。 —————————————
○村山(富)議員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました最低賃金法案につきまして、提案理由並びに内容について御説明申し上げます。 申すまでもなく最低賃金制は、制度ができた初めのころは、欧米資本主義諸国で、極度に窮乏化した一部の極貧層の労働者救済のための社会政策として、また資本家の側からは、産業平和や社会緊張緩和のための手段として採用されてきたのであります。しかし第二次大戦後においては、最低賃金制は労働者の最低生活保障のための統一要求として掲げられるようになったのであります。 本来、最低賃金制の目的は、労働者の最低生活水準を保障することであります。現在、労働者の最低生活費はほぼ全国同水準となっております。また学卒労働者の初任給水準も、労働市場の需給状況を反映して格差は縮小しつつあります。 また、最低賃金水準については産業別、規模別の格差も縮小しつつあり、このような現状のもとでは原則的には全国全産業一律の最低賃金が設定されなければなりません。 今日わが国の経済情勢を見ますとき、工業生産は躍進し、社会主義諸国を別として、国民総生産は実に世界第二位を占めるに至っています。 しかるに、わが国の労働者一人当たりの所得は、世界の中で依然として低位であります。すなわち、今日なお月三万円以下の低賃金労働者が膨大に存在し、このほか低い工賃のまま放置されている家内労働者は二百万世帯にも及んでいるのであります。 こうした著しい生産と所得の不均衡を是正し、健康で文化的な労働者の生活を維持するに足る賃金を法的に保障することこそ最低賃金法の使命でなければなりません。 すでに現行法実施以来十年余になりますが、現在、中小企業労働者千三百万人のうち、六〇%は日額千円以下、月額に換算すると三万円以下という賃金なのであります。しかもこの膨大な低賃金労働者の存在が、他の労働者の賃金にも悪影響を与え、今日のわが国労働者の生活を常に不安におとしいれているのみならず、法的最低賃金は、さらに米価の生産費に含まれる労働力の費用の基礎ともなり、農民の所得水準をも規制しているのであります。さらに生活保護基準、失業保険の最低額、失対賃金、国民年金とも関連、低い国民生活水準のおもしとなっているのであります。まさに国民総生産世界第二位を誇るわが国の見せかけの繁栄を物語っていると申せましょう。現行最賃法では最低賃金制度本来の役割りを十分果たし得ないのは、ここに明らかであろうかと思います。 今日、円・ドル問題の最大の原因は、日本の労働者の低賃金にあるといわれております。いまや低賃金によって国際競争に立ち向かう時代は過ぎ去りました。 今後のわが国経済は、先進国の名にふさわしい高度の技術によってその発展を期すべきであり、それは労働者の最低生活水準を保障することによってのみ可能であります。 円の再切り上げという重大な局面を迎え、いまこそ真の最低賃金制を確立することは国家の急務であります。 以下、法案の内容について御説明申し上げます。 まず第一に、最低賃金の適用方式は全国一律制にいたしたいのであります。このことは、特にわが国のように産業別、業種別、地域別の賃金格差がはなはだしく、低賃金労働者が多数存在する状態のもとでは、それぞれの最低賃金を定めることは最低賃金制度の効果を半減せしめ、賃上げの足を引っぱることにさえなるからであります。 なお、全国一律の最低賃金制の上に、労使の団体協約に基づいた産業別あるいは地域別に拘束力を持つ最低賃金の拡張適用の制度も積み上げることといたしました。 第二は、最低賃金の決定については、労働者の生計費(原則的には標準家族の必要生計費)と一般賃金水準等を考慮してきめることといたしました。 第三に、最低賃金の決定及び改正は、行政委員会の性格を持つ最低賃金委員会に権限を持たせることとし、同委員会は、労使同数の委員とその三分の一の公益委員をもって構成することといたしました。 第四に、最低賃金委員会は、六カ月に一回必要生計費及び一般賃金水準に関する調査を行ない、その結果を公表し、必要生計費が三%以上増減したときには最低賃金の改正を決定することといたしました。 以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明を申し上げました。 今日までのにせ最低賃金法に対する汚名をそそぐために、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたしまして提案説明を終わります。(拍手) ————◇—————
○田川委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 春闘がいよいよ山場に差しかかってまいりましたが、きょうは当面する緊急の問題についてのみ質問をいたしたいと思います。 最初に、郵政大臣にお伺いいたしますが、去る十四日に、郵政省は全逓の組合に対して六千三百二十六名に及ぶ処分を発表いたしました。これは昨年の年末における一斉休暇闘争に対する処分のようでありますが、実は四十六年に郵政省が処分をいたしました八千五百人以来の大量の処分であります。私は、この処分の持つ性格、現在の時点における意味するもの、将来に与える影響を勘案をいたしまして、大臣の明快な見解を承りたいと思っておるのであります。 まず第一には、今回の処分の中身というものが昨年の闘争に対する処分である。この闘争というものは何かといいますると、実は通例の生活要求とか、あるいはまた職場の要求とかということ以前に、郵政省と全逓労組との間における長年の労使関係、この問題をとらえ、特に郵政省が組合に対して数多くの不当労働行為等を行なってきた、いわゆる敵視政策、労務政策を正常にしたいというのが第一。 第二は、あとで申し上げまするけれども、もう世界的な大流となってまいりました処分、実力行使、処分、こういう繰り返しはやるべきでない。したがって、従前の処分は撤回をすべきであるという労働者の要求。これを掲げて行なったところに実は大きな意味があると思う。したがって、そういう労務政策なり、そこからくるところの労働者の反発に対して、省がやってまいったところのいろいろな処分をこの際、一挙に解決したいという熱願があったわけでありますが、これをとらえて処分を出してきたということは、私は二重の意味において、郵政当局の考え方は実は大きな誤りをおかしていると思うのです。 いま言ったような問題の性格からいって、この処分はきわめて不適当な不穏当な不当なものであるというふうにわれわれは感じ取っておるわけですが、大臣はいかなる見解を持ってこの処分をなさったのか、まずお伺いをしたいと思います。
○久野国務大臣 ただいま御指摘のように、郵政省といたしましては、労使間の円満な協調体制を築き上げたいという考え方に立って行政が進められておるわけでございます。私自身も就任以来、そのことを強く皆さんに訴えておった次第でございます。御承知のとおりだと思うのであります。 このたびの処分につきましては、ただいま御指摘のような重要な点がいろいろあるわけでございますが、これは四十七年の十一月十七日から二十六日までの間に行なわれた争議行為に対しまして処分が行なわれたわけでございますが、その第一に、皆さんが闘争目標にされましたのは、反合理化と労働時間の短縮、第二番目が労務政策の変更、第三番目が年末手当等諸手当と減額措置、第四点がスト権奪還と処分撤回等の諸要求を出されて、今回それについてこのような処分を、休暇戦術に参加した一般組合員に対して、そのような責任を問うために処分をいたしたわけでございます。 この春闘を前にして突如としてこのような処分をすることは不当ではないか、ただいまの御質問の中にございましたが、私自身就任以来、この問題については法令の定むるところによって処置をされるべきものであるという考え方に立って、この中身について事務当局にも検討を命じましたし、私自身もいろいろと各方面の意向を参酌しながら検討を進めてきたのでございます。 それで、でき得べくんば、労使間の円満協調というたてまえからいって、この措置については時期をもう少し延ばすか、あるいはまた中身に何らかのくふうがあるか、そういうことについても、私は検討いたしておうたのでございますが、ようやくにしてこの結論がごく最近出ました。出た以上は、これはやはりこの処置は当然やるべきものであるという考え方に立ちまして、実は御指摘のとおり四月十四日、この処分を決定をいたしました。六千三百二十六名についての処分を行なったような次第でございます。そのような内容であることを、ひとつまずもって御理解いただきたいと思う次第であります。
○田邊委員 いま大臣の言われたことは、一つ一つ実は大きな誤りが含まれておると思うのですね。これをひとつ、私は解明いたします。 あなたは、法令の定めるところによると言っておられました。法令というのは何も国内の法令ばかりを意味しているものでは、もちろんないと思うのであります。私は、さっき世界の大流ということを言ったわけですけれども、郵政当局は当然御存じだろうと思いますけれども、ILOでもって日本の公務員あるいは公企体、公共部門、こういったものに対するところのこの種のいわば闘争なり闘争体系なり、あるいはまた当局の行なったところの処分などに対して、いままでいろいろな形における勧告なりあるいは報告なりを行なっておるのですね。 もちろん大臣、これは御承知でしょうが、ILO結社の自由委員会において第百二十三次の報告がなされております。これは総評、国労、動労に対して行なったところの処分に関係をすることでありますけれども、その一番末尾に、この懲戒処分に対する申し立てば「制裁の適用における非弾力的な態度は労使関係の調和的発展に資するものではなく、とくにこのような状態は、労働者間に永久的な賃金格差をもたらすような懲戒処分の結果、生じ得ることを再度指摘する」こういうふうに書いてあるのですね。そして「公共部門において行なわれている懲戒処分の硬直性と厳しさを緩和するための諸手だてをとってはどうかと、前に政府に対して行なわれた示唆を想起する」となっておるのですね。 この処分というものが国際的に見て非常にきびしいものである、いわゆる半永久的に賃金の格差や身分の格差を生むという過酷なものである。これに対しては緩和の措置をとってはどうかという、こういうことを日本政府に対して示唆をしておりますけれども、これが行なわれてない。こういう状態であるということを政府ははっきりと理解をすべきだろうと思うのです。 これは何も国労、動労に対するところの報告、勧告でないのでありまして、いわば公労協全体の組合なり労働者に対するところの、政府並びに公社等の行なっておる処分に対して、ILOがきびしく鉄槌を加えた報告である、私はこういうように思っておるわけです。そういった点から見て、あなたの言われるところの法令に定めるという、こういう見解というものが、いまやILOの舞台においてもきわめて不当なものである、行き過ぎたものである、こういう見解を表明していることを、大臣はお気づきでございますか。 これに対してあなたのほうは一体どういう見解のもとにこの処分を出されたのでありますか。この法令に定めるところによるというあなたの見解というものを、ひとつ国際的な感覚の上に立って、郵政大臣の見解を私は求めたいと思います。あなたも近く諸外国へ行かれる話を私ども聞いておりますので、念のためにひとつ国際的な立場で、この問題に対してどういうとらえ方をするのかということをお聞かせいただきたいと思います。
○久野国務大臣 ILO八十七号条約及び九十八号条約の労使団体の自主運営及び相互不介入という、ただいま御指摘の点については、私は承知をいたしております。承知はいたしてはおりますが、しかし国内法におきまして公労協並びに公務員に対するスト権は禁止をしておるわけでございます。で、この国内法の法令の定むるところに従って私は処置をした、こういうことでございます。
○田邊委員 私の質問の意味をあなた理解をしてないから……。組合に対する不介入の問題を言っているのではないのでありまして、結社の自由委員会における百三十三次報告というのは、いま、行なってきたところの処分はきびし過ぎる、きわめて硬直性のある処分である、これは当然緩和の手だてを講ずべきであるということを日本政府に対して見解を表明してきたけれども、これが行なわれてない、当然行なわるべきである、こういうことに対して、今度のこの大量処分は、これはまさにILOにおける見解と相反するのではないか。これを日本政府は何ら守っていないじゃないか、順守してないじゃないか——労働大臣、聞いておいてもらいたい、尊守じゃないですから、順守ですから。順守してないじゃないかということに対して、郵政大臣、一体どういうふうに見解を持っておるか、こういうことを聞いておる。
○久野国務大臣 公共企業体等の職員の争議行為を禁止し、その違反者に対して解雇または懲戒処分の制裁を科することとしておりまする現行の規定が、憲法に違反するものでないことは、最高裁判所の確立した判例であります。しかして、再三にわたる当局の警告にもかかわらず、あえて法律による禁止に違反して争議行為を行なった者に対して、任命権者が法律の定むるところにより解雇または相応の処置を、懲戒処分を行なうことは、やむを得ないことであると私は考えておる次第でございます。 その処分がきびし過ぎないかどうかという点でございますが、その事案については、私といたしましては、適正を期する意味で今日までいろいろ努力をしてきたような次第でございます。
○田邊委員 郵政大臣は御承知なんでしょうか。この懲戒処分というのが、諸外国のいろいろな形における処分と違いまして、つとめている間全部、生涯といってもいいほど、賃金あるいは身分、そしてまた退職金、年金、これに影響を及ぼすということ、これは類例を見ないことである。特に今回の郵政省の行なった処分というのは、私は国内的に見ても他に比較して、これはきわめて過酷なものである。その数においても全く類例を見ないほどの大量のものである。これはいま言った諸外国のそういった例と比較をし、ILOの見解と比べてみて、これは決してあなた方が強調するように妥当なものとは言いがたい、こういうことを私は言っておるのでありまして、こういった不利益がずっとついて回るということに対して、あなたは一体どういう御見解ですか。これは当然なことだとあなたはお考えですか。
○北政府委員 処分につきまして、先生御指摘のように、処分自体の運用と申しますか、処分自体がきびしいかいなかという問題、これにつきましては先ほど大臣がお答え申されたとおりであります。 それから、ただいま御指摘の問題は、この処分というものと給与制度の連関から生じてまいるものがその中心であるというふうに考えるわけでありまして、この点につききましては、私ども、現行のそういった処分と給与制度との関連の中で、一たん処分を受けますと給与上の不利益がずっとつきまとう、このことにつきましては確かに問題がある、かように考えておるわけでございます。したがいまして、それを救い得る最も適正な方法を考えます一つの昇給制度というものを組合に提案を申しておる次第であります。これが実現すればそういった点の不利益は救われる、こういうことになるものというふうに考えておるわけであります。 その他給与問題以外につきましても、処分の効果というものが、広い意味での人事関係のいろいろな問題について若干あるわけでございますが、これはやはり一定の限度内と申しますか、あるいは統一した一つの尺度の中にとどめるべきだというふうに考えまして、去年の十一月でございますが、私どもそういう一つの、たとえば表彰でありますとかいろいろな問題につきまして、一つの考え方をはっきり統一をいたしまして、当時関係の組合にも説明をした、こういうわけでございます、
○田邊委員 いろいろ不利益になって、これがつとめている間ずっとつきまとうということにつきましては、問題があるという人事局長の指摘です。当局が問題があると指摘しているのですから、なぜそれをやらないのですか。世界的に見て、そんな処分はいまないのですよ。ですから公社関係において、私は例を言いませんけれども、それに対するところの回復措置というのをとった例があるのです。これはいまからかなり前の話です。その後こういうILOの見解等が続々として出ているという状態であれば、もうこれは当然改むべき時期に来ていることは言をまたないのです。なぜそれをやらないのですか。やってから、それからまた処分問題を考えないのですか。 しかもいま人事局長が言われたのは、おそらく私は、全逓案に対する政府が最終的な回答をせんとしたときに、加藤労働大臣等が提案をいたしましたところの特別昇給制度等の考え方でないかと思う。これは実は労働者が納得するものじゃないのですね。一見それによって回復措置がとられるやに見受けられるけれども、またこれは、この特別昇給制度というものが生むところの大きな差別、いわばそれをえさにして飛びつこうとする、そういう労働者間の意識の差というもの、こういうものを生む一つの大きな要因になっているのですね。ですから、いま言った総評等をこれによって説得することができなかったという経緯ですね。中身について問題があります。 問題がありますと同時に、やはりその種のものが当局でもって提案するとすれば、それは話し合いの糸口であるとすれば、私はその中身についての検討は別といたしまして、当然これについては話し合いが行なわれることが、まず先行しなければならぬと思うのです。国鉄においても電電においても、その他の三公社五現業等において、しばしばこのことは言われてきたことなんですね。また一部では、すでにそういった措置が行なわれてきたという実例もあるのです。 したがって郵政の場合、なぜそういったことについて真剣な討議が行われて、合意が見られた時点というものを考えなかったのか。いま人事局長が国会の場所において初めて発言されたことについては、重要な意味があると私は思って受け取っております。したがって、それはそれなりに、その意味するところは非常に大きいわけであります。したがって、これに対するところの話し合いというものが十分行なわれ、新しい差別を生むようなことのない形における回復措置というものが、とられなければならないというふうに思っておったのですが、それがとられないうちに、この処分の発表ということは、まさにこれは本末転倒の形であり、いま言ったILOのたびたびの報告、勧告に対する日本政府の重大な誤りをおかしたことになるだろう、私はこういうふうに思って話をしてまいったのです。郵政大臣、私の言っていることはおわかりでしょうね。どうでございますか。
○久野国務大臣 ILO当局から数回、ジェンクス事務局長の示唆あるいはその他の示唆があったことは、私はよく承知をいたしておるところでございます。 そこで、やはり国内で問題は解決に努力すべしという趣旨のものと私は理解をいたしておるわけでございます。そこで政府といたしましては、このような考え方に立ちまして、この示唆に基づき組合側と協議を行なってきたところでございますが、残念ながら合意に達しなかったと私は聞き及んでおるような次第でございます。
○田邊委員 これは一体どうしますか、大臣。そういったことに対して、あなたのほうは精力的な話し合い、交渉を行なって、こういった日本の特別な例としての過酷な条件を緩和するための措置について、不利益の回復の措置について、これはひとつ精力的に合意に達するようなそういう努力をするという、あなたお考えでございますか。
○北政府委員 先ほども申し上げましたように、処分そのものは適正な配慮のもとにしたわけでございますから、またしておるわけでございますから、したがって処分そのものを撤回するとか、あるいは経蔵するとか回復するとかというたぐいのものではないと信じております。 ただ、先ほど申し上げましたように、それが給与制度との連関においてずっと不利益を生ずる、こういったことは救済するというに値する問題だというふうに思っておりますので、そういった意味での規定案のこの特別昇給制度、これはジェンクス提案以後に提案したものではございませんので、私どもは関係組合には、もうそれぞれ数年前に提案しておる次第であります。こういった制度というものの実現ということにつきましては、お示しのように精力的に話し合っていきたい、かように考えております。
○田邊委員 あなたは何かこの処分の中身について、たいへん温情的なことをやったようなお話をするけれども、とんでもない話です。これは私はもちろん知っていますよ。中身についても知っています。またその基準の組み方についても知っています。これは従前との比較の問題についても知っています。しかし、停職二百十人を含むところのこの処分というものが意味するものは、私は変わりないと思うのですよ。たまたまこれは馘首なんかと——大かたそれは首切られているのだから、そういったことで私はこれは問題にならないというふうに思っておるわけです。 特に大臣、あなたさっきいろいろと時期の問題とか内容の問題について検討を命じたと言われましたね。そして、まあそれが大体きまったから、これは発表せざるを得ないということだった。最も悪い時期にあなたはこの処分を発表されたと思いませんか。いま労働者の賃金引き上げの要求というものが、この春闘の中でもっていよいよ山場に差しかかってきた、こういう状態、そしてILOの舞台においても、ジェンクス提案に対しては日本政府は、明確にこれに対処をできなかったという事態でありまするけれども、さらにこれらの問題を含めた、いわばいろいろと協議が行なわれつつある、こういう事態の中でこの処分が発表された。まさにこれは、労働者の現在の春闘に対する挑戦であるというように受け取られても、これは弁解のしようがない時期だと私は思うのです。 あなたは、いろいろな時期を選んできた、内容をいろいろ検討してきた——何で一番悪い時期にこれを発表しなければならぬのですか。私は、もしあなたの、郵政大臣の意図というものが——そのためにあなたの気持ちをあらわした答弁であるとすれば、現実はそれと逆の、一番最悪の事態、他の企業がこの時期に処分を発表してないという時期、そう言うと、また人事局長へいやほかのところは先にやっていますと言うでしょう。しかし、いずれにしても、この時期において処分を発表するということは全く適当でないということは、あなたも認識をされたというように思うのでありまして、あえてこの時期にこの処分を発表されたということの真意は一体どこにあるのですか。
○久野国務大臣 処分の時期が適切であったかどうかということは、これは国民はもとよりのことでございますが、皆さんの御批判にまちたいと私は存じております。私自身といたしましては、やはり郵政相という行政職につとめまして以来、多くの郵政業務に携わっておいでになる方たちと何らかの形で融和をはかりたいということを日夜苦慮いたしておるわけでございます。 そういう考え方に立って、この処分等につきましても、先ほど私が申し上げましたように、この時期をずらすことが適切なのか、あるいはまたはこの内容について何らかのくふうはでき得ないものか、そういうことについて、就任以来事務当局にいろいろと指示をいたしまして検討を命じてきたのでございます。その検討の結果が出たので今日、四月の十四日にこの処分の内容を発表いたしたような次第でございまして、ただいまお話の中にありましたような、春闘を前にして挑戦しようなどというような考え方は私は毛頭ございません。そういう考え方はございませんことを明らかにしておきたいと思うのであります。
○田邊委員 大臣、あなたはたしか十三日に総評の大木事務局長にお会いになった。一体郵政省は処分をするのか、こういうことに対して、まだ事務当局から報告を受けていない、こういう実は話をされたというふうに私は聞いております。まあ総評という日本の労働団体の最大の団体の責任者があなたに会見を求めて、処分の問題を、明日の事態の中でもって処分を出されるんじゃないかという質問に対して、あなたは知らないと言われた。私はこれは重大だと思うのですよ。もしほんとうに知らなかったとすれば、私は官僚独善もきわまれりと思うのです。大臣への報告なしにそういったことを進行したとすれば、これは私は郵政官僚の重大な独善性だろうというように思うのですね。もしあなたが知っておって、知らないということをおっしゃったとすれば、私は政治家久野郵政大臣の誠意というものは、まことに疑わなければならぬというように思っておるわけです。 いずれにいたしましても、こういった会見を通じて処分について、あなたは口を閉ざして語らなかった。それが十四日の、翌日の発表となってあらわれた。この一連の経過を見ましても、今度の処分について、これは労働者を納得させるものではない。これはやはり労働者に対する挑戦以外の何ものでもないというふうに受け取るのは、私は理の当然じゃないかと思うのです、大臣。私はそういった意味合いで、実は郵政大臣のこの処分に対する、処分を含むところのいわば労使関係に対して、あなたは一体どういう心境をお持ちなのか。 きょうは年金を中心としたいろいろな諸要求のストライキが行なわれておる。一部の組合は午前中にストライキを解除したような組合もある。しかし全逓は二十四時間のストライキを打ち抜くといっている。しかもこの処分の問題あるいは賃金の問題等が解決をしなければ、郵政当局の誠意ある回答がなければ、さらに二十四日に二十四時間、二十六日から二十八日まで七十二時間のストライキを打って抗議をする、こういっている。いわばあなたの言われる労使関係の正常化とは逆の方向へ進もうという事態にある。これは私は悲しむべきことだろうと思うのです。 私どもも、これはストライキを打つことに対して何も無条件に賛成しいるわけじゃない。闘争があることに対して、何でもかんでも、われわれはそれにくみするものじゃない。そのない状態の中で労使間の正常化がはかられ、労働者の要求が満たされれば、それにこしたことはないわけです。しかし事実はそれと相反した形でもって、いわゆる距離の幅がだんだんと広がりつつあるという悲しむべき状態にある。この際あなたが大臣であるから、この事態に、あなたのいま言われたこと、労使間の正常化をはかるということに対するあなたの熱意を私は疑うものではない。それだけにこの処分というものはきわめて悲しむべき事態である、私はこういうように受け取っておるのです。 立場は違っても、私は郵政における労使間の正常化を願う者の一人として、この事態というものは大いに弾劾しなければならぬという立場に立っておるのは、あなたも御承知いただけると思う。どうですか大臣、あなたがそういった熱意をお持ちであるとするなら、労使間の正常化のため、そしてこれから先のいろいろな春闘の状態を踏まえて、郵政当局は、そして郵政大臣は、これに対して誠意をもって解決のために当たる決意と、その方策はありやなしやということをひとつこの際、明確に承っておきたいと思います。
○久野国務大臣 労使間における正常な慣行を打ち立てたいというただいま御指摘の点については、私は全く異論はないのでございまして、今日までこの実現のためにいろいろ苦慮してきたというのはその点でございます。でありますから、先ほどから繰り返し繰り返し申し上げておりますように、この処分の内容と時期等につきまして、事務当局に再三にわたって私自身が指示をいたしまして今日に及んできたというこの事実をもっても、ひとつ御理解をいただきたいと思います。 そこで、先ほど前日に某氏と会ったというお話がございましたが、その件につきましては、私の同僚議員でございますある方がぜひお会いしたいと言って会見を申し込んでこられました。そこでお会いをいたしましたら、たまたまそのときに同伴しておいでになった方がいたわけでございます。そのことを申し上げることは今日適切ではないと思いますので、私は申し上げませんが、いろいろの御意見の開陳がございました。それからそこで私が最終的に申し上げましたことは、御意見の点につきましては今後じっくり検討させていただきますが、しかし私自身といたしましては、いまのお話を十分承っておきます、これだけを申し上げて実はお別れをしたような次第でございます。 どうか私の真意が那辺にあるかということをひとつ十分御理解いただきまして、今後とも労使間の正常な運営のためにお互いに協力し合っていけるような素地をつくっていただきますように心からお願いを申し上げて、私の真意をひとつ御理解いただきたい、かように存ずる次第でございます。
○田邊委員 大臣、ひとつ事実をもってあなたの誠意を示してもらいたいと思うのです。これはやはり精神的な問題じゃありませんからね、具体的な事実の積み重ねの上に立ってあなたの真意というものが推しはかれるのですから。これは私はきわめて現代的なことで言いますけれども、やはりそのことなしにはあなたの真意というものはない。 それからもう一つは、やはりあなた、官僚側の言い分だけを聞いておってはだめですよ。あなたの自由な裁量という形でもって近代的な労使関係をつくる、こういう気がえがなければ、私はものごとはならないというふうに思うのです。そういう点に対しても、これを契機にぜひひとつ一歩二歩前進をはかってもらいたいというふうに思っているのです。 それから時間がありませんから、労働大臣に、さっきも時期の問題と言いましたけれども、あなたはどう思いますか。この十四日の時点でもって郵政から大量の処分が出たということに対して、春闘の山場に差しかかっている現在の事態では適当だと思いますか。
○加藤国務大臣 久野大臣は特に温厚な方でございまして、ただいま郵政大臣からおっしゃったのは真意と思いますが、やはりこれはジェンクスの提案、国鉄に対するドライヤー勧告その他いろいろな点で、諸外国の情勢その他から勘案いたしまして、組合当局なり従業員の御意見も十分わかりますが、国内法ではっきりと禁止いたしておる争議行為の処分を法律の定めるところによって万やむを得ず春闘の前に、私はこれを押してこれが行なわれたと思うのでありますが、これに対しまして労働大臣は関係がありますけれども、関係当局がいろいろの諸般の事情を勘案してこれを実行したものでありまして、私からこれに対して、これが適当であるとかないとかいうとかくの批判は避けたいのであります。 ただ私は、先ほど郵政大臣が言ったように、春闘を控えて攻撃的に処分をして弾圧的な方向に持っていくというような気持ちはなかったと信ずるのでありまして、従来各方面の関係の処分が行なわれましたが、郵政関係の全逓の関係が残ったので、やむを得ずこれをいたしたものと私も拝察するのでありますが、この点については田邊委員から見ると、御意見の点もよくわかりますけれども、労働大臣としてはこれに対してこれが適当であったとかないとかいう批判は、ここで言いにくい点がありますので、どうかひとつ御了察を願いたいと思います。
○田邊委員 郵政大臣、参議院の逓信委員会があるそうですからひとついままでの私の意見も踏まえて、この不当処分に処して、あなた方は一体これからどういう処置をとられるのか、それから今後の春闘や組合要求に対して誠意ある態度をもって臨まれるということを私は強くひとつ要請しておきます。どうぞお帰りください。 そこで労働大臣最後に、いよいよ春闘が山場に差しかかってまいりました。今度の春闘は賃金引き上げと並んで、スト権の回復、週休二日あるいは週四十時間の確立、全国一律最賃制の確立、いろいろな要求が掲げられております。十四日に三閣僚と春闘共闘委員会との間における会見がなされましたが、あなたも出られたのだが、これは不調に終わった。政府の誠意ある具体的な回答がないという形でもって、これが推移したということを新聞報道等で私は見ておるのであります。 いわば労働者要求に対して、十分な回答を与えていないところが本日の年金を中心としたストライキになり、これから先の春闘の戦いの推移になるという形になっておると思うのです。どうしてもこの春闘における解決をはかるためには、政府がいままでのようなありきたった態度でなくて、ほんとうに問題の解決、そして労働者の要求にこたえる姿勢と具体的な対策というものがはかられなければならないというように私は思っておりますけれども、この十四日の三閣僚会談の不調であったことを踏まえて、政府のとるべき態度に対して、あなたは全体に対して、推しはかられる立場にある労働大臣ですから、一体どういうようにお考えですか。
○加藤国務大臣 御指摘のように私と総務長官、年金の問題がありますので厚生大臣、三者が会談いたしまして、全然不誠意で並行線をたどったのではありません、中には相当厚生大臣も、年金問題に対しましては本年初めて年金問題をやったのだ。必ずしもこれが満足とは思わぬけれども、今後相当誠意をもって、この次の国会——来年もすぐ予算がこれから始まるのでありますから、皆さんの趣旨については、御要求の趣旨は十分わかりますから、できるだけその線に沿って善処いたします。 わりかた私、あの日の回答は、こちら側としては十分踏み込んだ答弁を年金問題でもいたしました。特に週休二日制の問題、これも私はもうはっきり申したのであります。従来からこれが時間短縮につながっておらぬ、いや、これは時間短縮と表裏一体のもので、今後は週休二日制が労働者にかえって過重な問題を惹起してもいかぬから、やはり時間短縮にもつながるように極力持っていく。二十日にはこれに対する関係閣僚懇談会も開いて関係各省と協議して、公務員なり銀行の問題に対しましても、できるだけ労働大臣としては対処いたします。 ただ、問題の点が平行した点は、これは賃金の問題でありますが、この点は御承知のように当事者間の能力の問題も従来は御不満の点がありましたが、政府としては、これに対処いたしまして、できるだけ従来と改めて、十分当事者の能力を発揮するように関係各省と協議して誠意をもって当たります、こういうような関係で相当誠意を尽くしたのでありますが、組合の御意見も、違う意見は十分尊重はいたします。こういうふうにその日の会談はそうけんか別れというのでなく、多少要求の点で差異がありましたが、相当前向きの姿勢は示したのでありますが、遺憾ながらこの十七日のストに突入したというのが現状でありまして、今後ともこれが——本日の問題は、ある組合においては合理化問題などで解決した組合もありますが、この次の、いろいろ計画もありましょうけれども、労働大臣としては熱意をもってこれに対処するかたい決意を持っておりますので、この際申し上げておきたいと思います。
○田邊委員 十四日のことについて、あなたは、いろいろ話がありましたけれども、やはり時短にしても、最賃にしても、あるいはスト権、処分問題、きわめて消極的な態度だったことは、これはうかがい知れるのですね。特に労働大臣が最も消極的であったというふうに新聞が報道しておるわけです。これはひとつよく胸に置いて、さらに積極的な推進をしてもらわなければならぬというように思うのです。 そこで、大臣、春闘においては、一つは当事者能力の問題もありまするけれども、やはり全体を見たときには、何といっても政治的に解決しなければならない部分が非常に多い。という形を見れば、ある時期においては労働組合と政府のトップにおけるところの会談も私は必要になってくるのじゃないかと思う。ところが、総理とのトップ会談といいましょうか、については実は政府はまだ諾否の態度を明らかにしていないのですね。この際に、私は問題の解決をはかるためには、やはり総理みずからが出てくる必要があると思うのです。 こういう場面は当然予想されるのですから、総理大臣と総評等の、たとえば総評、同盟、中立、新産別、そういったいわば組合とのトップ会談をやることに対して、労働大臣、あなた自身が総理に進言をして、ひとつそれの実現に努力をする。こういうことは私は労働大臣としてやっていいことではないか、またやるべきことではないかというふうに思うのですけれども、どうでしょう。加藤さん、ひとつあなたの真意を承っておきたい。
○加藤国務大臣 この問題は新聞などではトップ会談がもうさっそく協議実行の段階に入っているように報道いたしておりますが、これは組合から官房長官もしくは私の手元に申し入れがあると思いますが、まだ正式な申し入れがありません。私もよく各方面から聞かれるのでありますが、正式な申し入れがまだない。いろいろな、太田・池田会談というようなことも書いてありますが、これはやはり労働大臣が出ようが、また官房長官が出ようが、総理が出ようが、もうほんとうに表裏一体でありまして、時によれば総理大臣も出て、これが効果がある場合は、総理大臣が出ても私はやぶさかでないと考えます。しかし、いろいろな問題がやはり解決せぬのに、出ていろいろ妙なことになっても困りますし、いろいろなこれに対する意見もありますので、いま田邊議員からおっしゃったような御意見は大いに尊重いたしまして、できるだけ私も善処はいたしたいと思いますが、いま総理とも——、きょうも閣議で会ったのでありますけれども、まだ正式に組合側からも何ら申し入れがありませんので、この点は御趣旨はよく尊重いたしまして、聞きまして、ことによったら労使関係の根本的解決になるのであったら、これは私がその労をとるのは当然な窓口だと思いますので、総理に直接会われても私に御相談もあることと思いますので、田邊議員の御意見はよくわかっておりますから尊重いたしたいと思います。
○田邊委員 それでは尊重するというお話がありましたから、正式の申し入れがありましたら、最も適切な時期等を選んでこのトップ会談が実現できるような、そういう御努力をひとつ労働大臣に強く要求して、私の質問を終わります。
○田川委員長 金子みつ君。
○金子(み)委員 私は、数年前から問題になっておりまして、最近表面化してまいりましたものに腰痛症という病気があることにつきまして、特にこれが重度の心身障害の子供たち、あるいは筋ジストロフィーとか、あるいは筋萎縮症とか、あるいは老人とか、そういう方たちを収容して、そしてお世話している施設の中における医療労働者でございますか、そういう人たちの間に非常に発生しているということについてお尋ねをしてみたいのでございますが、労働大臣は重度心身障害の子供をごらんになったこと、おありになるでしょうか、実際の子供を。そういう御経験、ございますでしょうか。
○加藤国務大臣 お会いしたことは、私、数十人お会いしたことはありますし、家族にも一人ありますので、十分わかっております。
○金子(み)委員 それでは、最近、東京都内の二つのデパートで写真展がございましたり、あるいは新聞で連載でルポルタージュの記事が写真と一緒に載っておりました、読売新聞でございましたが。そういうものをお目をお通しになりましたでしょうか。最近のことでございます。
○加藤国務大臣 いまここに新聞がありますが、国会が忙しいものですから見ておりませんので、どうも相済みません。
○金子(み)委員 お忙しいから、なかなかそんな時間はおありにならないと思いますけれども、そこで私は、最近の事情につきましておわかりいただけるように御説明申し上げながら、お考えを聞かせていただきたい、そのように考えます。 現在どのような状態になっているかということにつきまして、幾つかの施設で調べてみました。重度の心身障害の子供と申しますけれども、実際に収容されております子供たちは零歳から三十一歳まであるわけです。子供でなくて、こどなだろうと思うのです。子供とおとなの中間のような感じになります。しかし、りっぱにもうおとなの人たちでございます。この子供とおとなの両方が収容されているわけでございますけれども、その施設の中でどのような実情で仕事が行なわれているのかということを御理解いただきたいと思います。 たとえば、国立の結核療養所がございますが、この国立結核療養所が、最近あいてまいりますベッドを筋ジストロフィーとか、あるいは筋萎縮症の子供たちのために開放いたしております。ここでどのような実態があるかと申しますと、たとえばこれは職員の健康調査でございますが、昭和四十二年には腰痛症が一二・六%でございましたものが、四十五年になりましたら三一・五%にふえ、それが四十六年になりましたら、さらに五三・七%とふえてきている実情にございます。 それからまた民間の施設でも、有名な施設でございますから名前は御存じだと思いますが、島田療育園でありますとか、あるいは第一、第二びわこ学園というのがございます。これは代表的な施設でございますが、この施設の実態を見ますと、島田の場合に、現在八〇%が腰痛症を持っております。それから第二びわこ学園では四十五年に四四%でございましたものが、いま八三%にふえてしまいました。それから整肢療護園というのが東京にもございますけれども、ここは六七%というように、働いている人たちの七・八〇%にものぼるような数が腰痛症を持っているという実態があるわけでございます。そしてこの腰痛症を持っているのはどういう人たちかと申しますと、一番多いのは看護婦さんの五九%、それから、その次に多いのが看護婦さんの仕事を助けている看護助手という人たち、それから保母さん、こういう人たちが一二・六%、そのあとは保清婦、お掃除をする人、あるいは給食の係をする人というふうにだんだんと数字は下がってまいりますけれども、結局一番多いのは、直接子供に接触している人、これはもう当然のことではございますけれども、その事実が数字でもって示されているということでございます。 それから、もう一つ実情としてぜひ聞いていただきたいことは、その障害の度合いなんでございますけれども、入院して治療をしなければならないといわれながら働いている人が八・五%あります。それから手術が必要だといわれながら仕事をしている人が三%ございます。さらに、コルセットを着用しながら働いている人が一七%もあるわけなんです。 ここで私がお尋ねしたいと思っておりますことは、ことばをかえて申しますと、腰痛症というのは一つの病気でございます。その診断を受けた者が、コルセットを着用しながら、あるいは入院治療が必要だといわれながら就業しているという事実でございますね。 このことについてお尋ねしたいのでございますが、労働安全衛生規則の六十一条でございますね、ここに病人を就労させてはならないという規定がございますね。病気の人は就労を禁止しなければ、ならないという規定が六十一条にございます。そして六十一条の四号に——一、二、三というのはどういう病気かという病気の名前が例であがっているわけでございますが、第四号には「前各号に準ずる疾病で労働大臣が定めるものにがかった者」こういうのがございますね。四つ目に書いてあるものは病気の名前があがっていないわけです。そして一、二、三にあげてある病気に準ずるもので労働大臣が定める病気になった者、こういうふうに規定されておるわけでございますが、この腰痛症を「労働大臣が定めるもの」として定めていただけないかどうかということをお尋ねしたいのですが、大臣いかがお考えでございましょうか。
○渡邊(健)政府委員 安全衛生規則の六十一条には、先生御指摘のように「病者の就業禁止」の規定がございますが、これは一応すべての病気ということではございませんで、伝染性の疾病者とか、あるいは精神障害のために自己あるいは他人に害を及ぼすおそれのある者だとか、心臓、じん臓、肺等の疾病で病勢が増悪するおそれのある者だとか、そういった方のことでございまして、労働大臣が、それに準ずる疾病については就業制限の者として定めることに相なっておるわけでございます。もちろん、病気の方が病気が悪くなるような無理をするような就業をされるということは好ましくないことでございますが、ただ、病気あるいは負傷といいましても、いろいろ程度がございまして、軽い方ですと、通院をしながらお医者さんのほうでも働いていいというような場合もあるわけでございますので、病名によって、特に伝染性であるとかあるいは精神障害のために他人を傷つけるおそれがあるとかいうような者を除きますと、一律にはなかなかきめがたいわけでございます。 しかしながら、これは労働者の健康管理といたしまして、当然に使用者として、法律に禁止されているいないにかかわらず、やはり労働者の健康管理をしていくという立場で、その医者の診断、就業させていいか悪いか、そういうようなことを尊重しながら使用者が適当な処置をとっていくということ、これは使用者として当然のことであると考えるわけでございます。
○金子(み)委員 腰痛症というのは、たいへんにむずかしい病気だといわれております。いま申し上げました数字に関しましては、それぞれの施設の主治医が証明しているわけでございます。そうしてこの腰痛症がどうしてこんなにふえていってしまったかというのは、やはり病気がありながら働かされているという実態があるわけでございますね。それで、医師の忠告によりますと、初期の間に必要な休養をとれば、そんなに悪く進行しないで済むのだ、しかしそれをさせていないものだから、こういうことになるのだというふうな証言があるわけでございます。 そこで私はわかっていただきたいと思いますことは、この人たちがどんな仕事の態様であるか、労働内容でございますね。その内容を、ごらんになっていらっしゃらないかもしれませんので、御想像をしていただくことになりますけれども、わかっていただけるかどうかと思いますが、実はこの人たちの仕事というのは、歩けない、動けない子供たち、この子供たちが施設の中で全体の半数以上を占めるわけでございます。この子供たちの世話をするのには、ひんぱんにからだを屈伸する、曲げるわけですね。そうしてからだを曲げるということは、腰に緊張がかかります、ストレスが起こりますから、腰をまず痛めるわけです。ひどく刺激するわけでございます。この人たちの仕事はそれの連続でございます。子供たちをベッドから抱き上げる、上げるだけでなくて、それをほかの場所へ連れていく、日の当たるところへ連れていく、食事をするところへ連れていく、あるいはおふろ場へ連れていく、そうしておふろ場へ連れていって、おふろへ入れるとなると、自分が一緒におふろに入るというわけではありません。外から手を伸べて浴槽の中にいる子供に世話をしてあげる、そういうことがあるわけでございます。それの連続なわけです。 それでは運ぶのが非常にたいへんなら、機械を使ったらいいだろう、車いすもあるだろう、担架もあるじゃないかということになりますが、御承知のように重度心身障害なんです。心のほうも障害がある子供たちですから、こういう子供たちはしっかり抱いてあげないと、こわがってだめなんです。ですから、どうしても人間の手で抱かなければだめなんです。一人ないし二人で抱かなければならないのです。 たいへんなことは、もう一つあります。半数以上の子供が失禁しているわけです。七一・六%失禁している子供たちです。お手洗いに連れていくことができるのは一〇%になりません。ベッドの中で介助するというのは一三・四%。ですから、ベッドの中の介助もたいへんですけれども、失禁している子供たちのおむつを交換するということ、赤ちゃんのおむつの交換なら、かわいくていいでしょう。とてもかわいらしいし、非常に気持ちがいいと思いますけれども、二十七歳、三十一歳の男性のおむつを交換するわけです、看護婦さんがあるいはその助手の人が、保母さんに手伝ってもらいながら。重たくて一人じゃ足が上がらない。二人でしようと思っても、なかなか人数も足りない。やっとの思いで取りかえる。それを四時間置きに一日六回やらなければいけないのです。昼も夜もこういう作業があるということですね。そしてわかりませんから、からだじゅうにこね回してしまうという事実もあるわけです。それが日常の作業なんです。そういう仕事をしている人なんです。 先ほど局長が御説明くださいました伝染性の疾患のある方とか、あるいは精神異常があって、ほかの人に危害を加えるおそれがあるというような者は、当然これは看護する人間としては欠格条件ですから、免許はもらえないはずです。ですから、そんな人はいるはずがないのです。そういう者はあるはずがないので、そういうことは私は考えておりませんけれども、相対的欠格条件だと思いますけれども、それが実際問題としては取り扱われていないというところが、私は最近大きな問題になっているんじゃないかと思うのです。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 一日一人が四十二・一回子供を動かしています。あっちへ連れていったり、こっちへ連れていったりというのをやります。しかも重量が平均二十キロから六十キロまでの人たちなんです。ここら辺で私はぜひ考えていただきたいと思うわけです。たいへんに特殊な仕事でございますし、一般病院で働く看護婦さんたちとはまた違った労働をしているわけなんです。これをやはり労働大臣が指定する病気として取り扱っていただきたいと思うのですけれども、どうしてもむずかしいかどうか、ぜひ御検討いただきたい。
○渡邊(健)政府委員 先生おっしゃるような労働の実態にあるということは、私ども十分わかっておるわけでございます。ただ腰痛症の方々にもいろいろ軽い方、重い方ございますし、いろいろな作業の実態もございますので、腰痛症すべて直ちに労働大臣の指定で禁止ということが妥当かどうか、そういう点については今後十分検討してみたい、かように思うわけでございますが、腰痛症が保母さんや看護婦さんに非常に多いということについては、幾つかの問題があると思うのです。 たとえて申しますと、私どももそういうところの労働条件を重点的に監督いたしておりますけれども、非常に長時間労働が多い、そういう意味の基準法違反などがかなり発見されておるわけでございます。したがいまして、普通の時間の中であれば、お疲れになっても、また休養によって疲れを回復される余地もあると考えられるのに、長時間労働が毎日続くために、そういうものが重なって病勢が悪化する、こういう問題もあろうと思います。 それからまた、いまおっしゃいましたような、人を抱くというような、重いものを持ち上げたりする仕事が多い。これにつきましては先生も御承知のように、基準法で女子については重量の業務についての制限もあるわけでございまして、断続的な業務については三十キロということでございますから、非常に体重の重い方であれば一人ではなくて、これは二人なり三人なりで仕事をしていただくというようなことが当然基準法上も期待されておるわけですが、なかなかその点が行なわれていないようであります。 これにつきましては、われわれも監督、指導によって基準法のそういうような諸規定が守られるように、今後とも十分に監督、指導に努力いたしてまいりたいと思いますが、さらに考えますのに、そういう長時間の労働が多い、あるいは二人、三人でやるべきところを一人でやらざるを得ないという点については、それらの施設の人員の不足等が私ども非常に大きな原因をなしておると思うわけでございまして、そういう労働条件の改善につきまして、やはりそれらの施設の人員の問題、さらにその人員の問題につきましては施設の財政力の問題等々も関連があると思うわけでございます。 そこで、私ども労働条件についての監督、指導を強めますとともに、それらの根本的な是正について、そういう基本的な問題があることを非常に痛感いたしておりますので、これまでもしばしば厚生省に対しまして、これらの施設について労働条件改善のために財政上の措置その他について、あるいは看護婦さんの、人の確保、そういう点について配慮していただきたい旨をお願いをいたしておるところでございまして、昨年の暮れにも、労働省の私と婦人少年局長連名で担当の厚生省の局長に文書でお願いするということもいたしておるわけでございまして、厚生当局のそれらの経営面あるいは人手の、資格ある人の確保の問題、それらとあわせまして、こういうような過重な労働あるいはそれに伴うところのいろいろな腰痛その他の看護婦さん、保母さんについての問題、そういう問題がすみやかに解決の方向に向かうように今後とも努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○金子(み)委員 人員の問題に関しましては別途、国立の場合は厚生省に私どもまたお話をしたいと思っておりますし、それからそれぞれ必要なところに話を持ち込まなければならないというふうには思っているわけでございますけれども、その人員をふやすためにも基準が必要なわけです。現在ございます医療法の施行規則の基準では全然話にならない。これは厚生省でもお認めになっていらっしゃる。ですから、それ以上の基準というものは必ず考えられなければならないわけなんです。 いま重度心身障害の子供たちの施設では、子供たち一・五人に一人という一応の基準が出ておりますけれども、一人半の子供に一人の介助者ではとても仕事はできないわけで、その基準は改めなければならないということは、別途私どもは考えて要求するということにいたしておりますけれども、私はここで労働大臣にお願いしたいことは、いま局長がおっしゃいました女子の重量物の問題でございます。三十キロとおっしゃいましたが、三十キロは重過ぎると思うのです。働いております成人した女子の平均した体重というのは大体五十キロ前後から六十キロ前後だと思うのでございますけれども、そういう人たちが扱い得る重さというのは、総評の安全衛生センターが調査研究いたしました結果出てまいりましたのは、自分の目方の四〇%が限度だということでございます。 ですから五十キロないし六十キロの女子でございますならば、四〇%とすれば二十ないし二十四キロ、せいぜい二十五キロぐらいまでなら一人で処理するということもできるわけでございますが、大体六十キロもあるような人をどうやって持ち上げるか。それをやっているわけなんです。奇跡的にもやっているわけでございます。それが一回や二回ではなくて、先ほど申し上げたように一日四十二回も持ち上げなければならないというようなことでございますので、非常にその労働条件が違うということをよくわかっていただいて基準を改めていただく、あるいは一人で仕事ができる範囲の基準にきめていただくというふうなことを、ぜひお願いしたいと思うのでございますが、それはさらに御検討いただけますでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 女子の重量物作業の制限につきましては、基準法の六十三条に基づきまして現在女子年少者労働基準規則できめられておるわけですが、現在のこの女子年少者労働基準規則のきめ方は、継続作業の場合には、満十八歳以上の女子で二十キロ、断続作業の場合には三十キロ、かように相なっておるわけでございます。この三十キロ、二十キロというのが重過ぎるではないか、もっと軽減したらどうかという御意見等につきましては、いままでも私どもそういうような御意見を組合その他から承っていることもございます。 そこで現在、御承知と思いますが、労働基準法の実施の状況と問題点を労働基準法研究会で学識経験者の方に検討していただいておりますが、その中で、昨年来女子年少者の保護の問題がそこの分科会で取り上げられておるわけでございまして、最近専門委員なども委嘱して、それらの点も含めていま検討に着手されておりますので、そういう中で、この女子年少者労働基準規制の三十キロ、二十キロというのをさらに変える必要があるかどうか、これも十分に御検討いただくようにお願いしたいと存じます。
○金子(み)委員 そのことは続けて御研究いただきたいと思うわけでございますけれども、いまのお話でもわかりますが、この人たちは断続じゃないんです。継続であるということをお忘れにならないでいただきたいのです。一日四十二回でございますから、これは絶えずそういう仕事をしている。決して断続の勤務ではないということをわかっていただいて、研究していただきたいと思います。 それで、いまそういうような状態にある人たちでございますから、いま一つの考え方として御考慮願えるかどうかということを考えていただきたいのですが、それは労働時間の短縮の問題でございます。 先ほど局長は、この人たちはたいへん長い時間働いているということをおっしゃっていらっしゃる。よくおわかりだなと思って私伺っておりましたが、実は国立では週十時間、年三百二十時間超過勤務があるわけです。それから島田では月十二時間以上、年百五十時間から百七十時間、びわこでは毎日一時間以上、年三百ないし三百七十時間、これが超過勤務になっているわけでございます。超過勤務のことは、労働基準法ですでにきめられておりまして、一日二時間、週六時間、年百五十時間、それが大体倍近い労働時間の超過でございます。 さらに夜勤の問題でございますが、それは人数が少ないからやむを得ないだろうとおっしゃるかもしれませんが、国立では月十回から十三回、島田では十二回から十三回、びわこでは十三回から十六回夜勤をしているわけでございます。これは看護婦さんだけでなくて、こういう特殊施設は特別な措置をしておりまして、看護婦さん以外の看護助手の人も保母さんも夜勤をしてもらっているわけです。そうでなかったら、看護婦さんだけに夜勤をさせたら、二十回になってしまうというわけです。話のほかなんでございますね。ですから、そういう措置をとっているわけでございます。 これは御承知のように、昭和四十年に出ました人事院の判定では、夜勤問題、例の二・八問題でございますが、月八日以内、そして複数勤務でございます。月八日というのは夢のような話になってしまいます。 そこで、このような劣悪な労働条件の結果、疲労の蓄積、疲労が回復しないうちに、また次の日の疲労が重なるということで、いまのような腰にストレスを起こすような状態を続けなければならない勤務状態でございますから、腰痛症の人たちがこんなにたくさんあるということですが、これが放置されているというふうにしか私どもには思えないわけなんです。 労働時間の長さ、これは労働基準法違反ということになると思います。時間だけの長さではなくて、重いものを持つ問題にいたしましても何にいたしましても、基準法に照らし合わせてごらんになって、これは決して基準法の範囲内ではないということをお認めになりますでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 社会福祉施設の労働時間は、先生も御案内のように、基準法四十条の規定に基づきまして、一日九時間、週五十四時間と定められております。それをこえる超過勤務をする場合には、基準法三十六条の規定に基づく手続によりまして行なうわけでございますが、その場合にも女子の場合は一日二時間、週に六時間、年間百五十時間というのが限度でなければならない、かように相なっておるわけでございます。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 国立の病院その他の施設の場合には、これは労働省の所管でございませんので、私ども明確に把握いたしておりませんし、申し上げる対象外になるわけでございますが、民間の場合われわれが監督いたしましたところによりますと、労働時間関係は監督いたしたものの約五六%ぐらいの違反が出ておるわけでございます。もちろん現在の一日九時間、週五十四時間という規定が長過ぎるのではないかという御意見もあるわけでございます。実際に調べますと、大体八四%は四十八時間以内であるが、一六%はやはり基準法で認められた限度一ぱいの四十八時間以上、五十四時間というのもあるわけでございます。さらにそれをオーバーする超過勤務などについて違反がある、こういう状況でございます。 そこで、私どもとしては、当面はまず現行の基準法をこえるような長時間労働をすみやかに是正させることが第一である、かように考えておりまして、重度心身障害者施設その他の社会福祉施設、これを監督の最重点の一つといたしまして、毎年重点的に監督をいたして、見つけ次第これを是正させるようにいたしておるわけでございまして、今後とも厚生省と連絡をとりながら、まず基準法の限度を守らせるという監督をしたい。それからさらに、基準法には適合しておっても、私ども、一般の労働者の四十八時間をこえる人たち、五十四時間まで認められておりますが、こういう労働時間の人たちはでき得れば一般の労働者並みの四十八時間以内に短縮させるように行政指導したい、かように考えておるわけでございまして、先ほど申しました厚生省に対する財政措置あるいは増員措置の要求等も、こういう長時間労働を是正させるためには、そういう面からの厚生省側の御協力もいただかなければならぬということで、両方協力をいたしまして、当面、まずいま申しましたような方向から、できるだけそれらの人たちの長時間労働を是正してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○金子(み)委員 毎年御調査していらっしゃるそうですけれども、一向によくならないわけでございますね。毎年どの程度の御調査をなさっておるのかはわからないわけでございますけれども、これがこのままに、もしいままでと同じような調査のしかたをなさるのでございましたならば、私は病人はますますふえるばかりだと思います。病人で済んでいればいいのですけれども、その先の問題も不安でございます。ですから、御調査をなさるのでしたら、そのことが実現できるような御調査をしていただきたいということを強く要望いたします。 次に、お願い申し上げたいと思いますことは、この施設の設備の改善の問題でございます。 これは子供たちが休んでおりますベッドあるいは浴場あるいはおふろの浴槽の問題でございますが、やはり働く人たちに腰痛症を起こす原因となるような実態があるわけでございます。それらにつきましては、改善することがやはり御指導でおできになるのじゃないかと思います。安全衛生規則の五百七十六条で改善命令をお出しになることができると私は思いますが、そういうことはなさっていただいたのでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 それらのおふろその他の施設は、労働者の側にいたしますと、労働者の労働条件であると同時に、収容されておられる心身障害者にとっても、やはり重要な問題であると考えております。そこで、私ども、これらにつきましては、やはり厚生省と相協力して、そういう施設が、収容されておられる方のためにも、それから働いておられる保母さん、看護婦さんその他の労働者のためにもよくなるような施設にいたしたい、特にそれら施設に対する財政面のいろいろな補助その他のバックアップがやはり必要である、かように考えまして、そういう点について厚生省の関係当局と連絡をとって強力につとめておるわけでございます。
○金子(み)委員 おっしゃるとおり、施設を直すについては確かに財源が必要でございまして、その点については厚生省の所管だということはよくわかります。しかし厚生省がそのことを実現するためにも、労働省の側からそのことを強くおっしゃっていただかなければなりませんし、基準をはっきりとお示しいただいて、こうでないから違反になるということを、きちんとした基準がございますれば、それに基づいて指導をしてもらうこともできましょうし、厚生省に要望することもできると思います。それらがはっきりいたしませんので、非常にやりにくい現状のようなことになっているのじゃないかと思います。 それから、予鈴が鳴りましたので急ぎますけれども、いま一つ最後の問題として考えていただきたいと思いますことは、病気になりましてから後の問題なんですけれども、たとえば公務災害の承認をいただいて治療をすることができる人が非常にわずかなんでございます。この承認の基準をこういう施設の人たちのためには、もう少し勘案していただけないかということが一つと、治療をして帰ってきた人たちが、ほんとうに治療をして帰ってきたのかどうかわからないくらい非常に予後が悪くて、たとえば一つの例でございますが、九名治療して帰ってきたうちの二人が残って、七名は仕事につけないということでやめてしまうわけです。その残った二人のうちの一人が週三日、半日勤務というような状態です。それからもう一人は事務に転職、とても医療業務にはつけない、こういうような例が幾つも幾つも出てきております。 時間がございませんから申し上げませんけれども、このように予後が非常に悪いということは徹底して治療が行なわれていない証拠だと思うのです。徹底して治療を行なうためには、やはり労災の認定をいただかなければできない、自己負担でやっているなんということでは、とてもじゃないけれども、病気はなおせないと思います。そうでなくても医療関係者は給与も安うございますし、そういう点は非常に負担が大きいと思います。 ですから、労災の認定の基準を、先ほど来基準の話も出ましたけれども、いままでのようなお考え方ではなくて、この実態をよくごらんになっていただいて、必要だったら、施設へおいでになっていただきたいと思います。どんな仕事をしているかということを見ていただいた上で、その労災の基準を改めていただくことを強くお願いしたいのでございますが、大臣、いかがでございましょう。
○渡邊(健)政府委員 腰痛症の業務上外の認定の問題につきましては、いろいろむずかしい問題があるわけでございますが、先生おっしゃいましたように、近ごろふえているということもございまして、昭和四十三年にその関係の専門家の方々にお集まりいただきまして、専門家会議を開きまして御審議を経まして、その御答申どおりの「腰痛の業務上外の取扱いについて」という認定基準を設けました。それでこれによりまして業務上外の認定をいたしておるわけであります。その認定基準に当たります場合には、業務上の腰痛症といたしまして、労災で必要な期間十分な療養をしていただくようにしているわけでございます。 私どもこれらの専門家の御意見、当時としては最高の水準から御判断をいただいたと思っておりますけれども、その後数年たっておることでございますので、さらに検討いたしまして、必要と認めます場合には、再度専門家の方にもう一度検討していただくというようなことも考えてみたいと思っておるのでございます。
○加藤国務大臣 いま御指摘のような長時間労働とか重量のある病人の問題、並びに腰痛等の基準の認定の問題、また人員の足らない問題、いろいろ身体障害者のことに当たられる労働者に対しましては、まことに時間も長く、そして手間のかかる、ほんとうにお気の毒な方でございますので、今後これらの労働条件の改善、またその他の問題は、厚生省ともいろいろ相談いたしまして、よく御趣旨を尊重いたしまして、私といたしましても善処をいたします。 もう一つ、私希望いたしておるのでありますが、この国会が順調に済みましたら、一度、御指摘のように御案内願って、十分見たいと思いますので、よくその点も十分腹の中に理解できるようにつとめたいという気持ちでございますので、どうかよろしくお願いいたします。
○金子(み)委員 大臣お出かけのときは、御案内させていただきます。御一緒に見に行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後に、一つでございますが、認定を受けて療養をすることができるようになった人の場合に、その人の生活も保障していただかなければならないと思いますから、この点が不十分でございますので、ですから、生活面につきましても、一〇〇%保障していただくことができることをお願いしたいと思っております。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時五十六分休憩 ————◇————— 午後三時四十六分開議
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 休憩前の質疑を続けます。石母田達君。
○石母田委員 私は、きょう、いま全国的に行なわれておりますいわゆる年金統一ストライキに関して質問したいと思います。 御承知のように、きょう、全国五十三単産、約三百五十万人の労働者によって統一のストライキが決行されております。そして、このために国民生活その他の問題について重大な影響を及ぼしていることは御承知のとおりだと思います。そういう重大な問題、事態を引き起こしていることについて、政府として、特に当事者としての労働大臣並びに各関係当局に対して、その責任をどのように痛感しておられるか。去る十四日に三閣僚と春闘共闘委員会の代表が交渉の場を持たれて、その結果によってはあるいは回避されるかもしれない、こういう点での期待がありました。ところが、結果としてこのような事態になった。その中で、先ほどの答弁で労働大臣は、多少の意見の相違があったけれども、こういう事態になるとは思わなかったというような意味の発言をしておられたと思いますけれども、そのような認識で今日の春闘に臨んでおられるのか、また、先ごろ行なわれたそうした春闘共闘委の代表との交渉の場における労働大臣としての態度、責任というものをどう感じておられるか、その点について初めにお答え願いたいと思います。
○加藤国務大臣 先ほど田邊委員に御答弁申し上げましたのは、少しいまのお尋ねのことと食い違っております。全然両方に誠意がない、こう言われましたので、三大臣の交渉、総評、その他の組合との会合については、できるだけ政府は年金問題のストという関係もあって、厚生大臣も年金については本年初めて福祉年金の問題、あらゆる問題、年金の年だというように熱意を持って対処いたしております。今後改善すべきものは大いに改善いたす所存であります。 ところが、その他私の所管の問題の賃金の問題に対しましては、これは民間並びに三公社、その他の問題も、当事者同士で話はするけれども、いま労働大臣からそれに対して大幅とか中幅とかいうような示唆めいたことは申し上げることはできない。そして当事者能力の問題につきましても、これは大いに遺憾の点がないように相談いたしまして対処します。ただ、誠意がなくもの別れになったという意味ではないという意味で申し上げましたので、この点は誤解のないように、特に御質問の中に当事者としてと——広く解釈いたしますと当事者ということにもなりますけれども、やはり労使間の、いろいろな春闘の問題にも当事者は労使関係でありますので、私は当事者でもないことは御承知のとおりでありますが、関係は十分ありますので政府としては大いに誠意をもってやるが、意見の食い違いでそのままもの別れになった、こういうような関係で、いまの御質問と多少ニュアンスというか、食い違いのある点があると思いますが、この点は私がいま申し上げたとおりでありますので、御了承願いたいと思います。
○石母田委員 その、あなたたちが代表と話し合いをされた、それいかんによっては、政府の態度いかんによっては、四・一七ストが回避されたのではないか。それがされなかったという原因ですね、責任というものについて——あなたの言うとおり多少の意見の相違でけんか別れになったんじゃないんだ。そうすれば、労働者は、そういうあなたたちとの交渉に関係なくストライキをやったのか。やはりそうでなくて、労働者としても、政府の代表との会見を求めたというのは、そこにあったと思います。その点について、今日の事態になっておることについてのあなたの責任、原因についてどう考えておられるかということです。
○加藤国務大臣 その点は、政府の責任で本日のストに突入したという見方も、これは見方によったらありましょうが、われわれ三大臣もできるだけ善処したが、それはこのストを防止することはできなかった、こういうような見方もまたありますので、政府としてはできるだけやったつもりであるが、不幸にして本日のストが回避できなかったことはまことに残念と思っておる次第でありまして、その責任が政府にあるか、また組合にあるか、これはどうしても、労使話し合いの関係はそれぞれの意見がありまして、食い違いが生ずることも従来の例でありまして、本日のストが解決できなかったということが、全部政府の責任とも思いませんし、組合が悪いとかいうような批判も、これはこの際申し上げることもできないと思います。先ほどからいろいろ御質問聞きまして、石母田議員に対する的確な御答弁ができないのは遺憾といたしますけれども、事実がそうでありますので、これを申し上げます。
○石母田委員 当日の会議の議事録は手に入りませんでしたけれども、労働省から提出されたメモによりますと、あなたが答弁している内容というものの要旨があります。公企体の大幅の賃上げについては、ただ、それは当事者間で決定することになっている、十分話し合いをしてくれ、だめな場合は公労委の調整によって解決してくれ。これはその場で答えなくたって、あたりまえのことです。何の進展もないです。労働者の要求に答えていないんだ。 また、国鉄の有額回答にとっては、国鉄の財政事情は非常に深刻です、お気持ちはわかるが、いまはどうするという約束はできません。 週休二日制、労働時間短縮。週休二日制について、労働時間短縮と結びつけたい、だけれども労働基準法の改正はむずかしい。三十二条に手をつけないで、労働時間の短縮を前提にした二日制というのは、どういうことなのかわかりません。 また、それだけじゃなくして、もう一つ、全国一律最賃制については、関係審議会でも否定的であるので賛成できない。 こうやって一つ一つ言っていけば、これは一体どこに誠意というものがあるのか。こういう重大な事態が引き起こされるかもしれないという問題を前にした、国民の期待も含められているその会議における労働大臣の答弁、これでは私は絶対に解決できない。 私は、その問題の一番端的な問題として、賃金問題に対する基本的な考え方があると思います。その点については、二月二十七日の社会労働委員会で、私はあなたに質問いたしました。日本の労働者に対する賃金についてどう思うか。過去においては低賃金であった。しかしいまはそう思わない。いま政府が主導権を持ってきめている、最低賃金法に基づく最低賃金の中くらいの数字が千三百六十一円、また失対労務者の賃金、これは労働大臣が決定する、もちろん審議会の意見を聞きますけれども、この賃金が千四百五十円、これでは一体食っていけるのか。こういうものに対してあなたは、それは妥当な賃金である、妥当と考えている、こういうことを言ったので、そんな考えでは絶対に、あなたが言っている労使が平和的にとか、賃金問題を解決することにはならない、それはますます紛争を大きくするだけの基本的な考え方であると私ははっきりと申し上げました。事態はそのとおりだと思うのです。私は、そうした点で、労働大臣がこのような失対労務者の賃金あるいは最低賃金法に基づく最低賃金、こういうことをいまでも妥当な賃金だという考え方でそうした会議に臨んでおられるのか、いまでもそう思っているのか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
○石黒政府委員 私も十四日の三大臣と総評の会見に立ち会っておりましたので、私の所管について申し上げます。 公企体の賃金につきましては、これはかねて公社に当事者能力を付与せよ、増強せよという御議論が強くありますように、労使が決定するというのが大原則でございます。労使が決定することについて政府はできるだけ介入しないということが、これは労政の基本方針でございますので、これは労使が話し合いをする。話し合いがつかない場合には公労委という第三者機関の調整の場で合理的な解決をはかる、これは労政の大原則を申し上げましたので、これが誠意がないというふうな御批判は、むしろ当事者能力を否定して政府が干渉したほうがよろしいというようなことにもなりかねないかと存じますので、この点につきましては、政府としてはこういった自主交渉及び公労委の場という解決を切望しているという次第でございます。 それから国鉄の有額回答につきまして、これが容易な問題であるならば、とっくの昔に解決している問題でございます。数年にわたってもう非常に、すったもんだ、すったもんだやってきた問題であることは、よく御承知のとおりでございまして、非常にむずかしい問題であることは、石母田議員も御承知であろうと存じます。私どもといたしましては、それを少しでも前向きに改善したいといって努力をしておるところでございますけれども、しかし、これはまだそんなに簡単に結論の出るような問題ではないので、非常にむずかしい問題である、しかしお気持ちはよくわかるということで、労働大臣としては、現在可能な、誠意の限りを尽くしたものというふうに、私どもそばで承っておって感じた次第でございます。 その他の、週休二日制等につきましては、基準局から申し上げます。
○渡邊(健)政府委員 週休二日、時間短縮等につきましては、大臣がそういう趣旨でお答えになりましたことは事実でございます。これにつきましては、当委員会でもこれまでそういうような御方針を申し上げておるところでございます。 なお、最低賃金の額についてもお話がございましたが、この前の二月の委員会で申し上げました千三百六十円という数字は、昨年の一年間にきまりました産業別最賃の中位数を申し上げたわけでございまして、最低賃金というのは、一度きめましても一般の賃金水準が上昇いたしますれば、それに応じまして随時改定等をいたしておるわけでございます。二月のこの委員会以後も幾つもの最低賃金の改定や新規の最低賃金の決定がなされておるわけでございまして、逐次一般水準上昇に応じて金額も上昇しつつあるわけでございますが、いずれにいたしましても、これらの最低賃金は法律に基づきます各県の最低賃金審議会におきまして、三者構成で御審議いただいておるわけでございますが、ほとんどの場合、いままできまっておりますのは三者一致の御意見によりましてそのとおり決定をいたしておるわけでございます。そういう意味で、私ども日本のそれぞれの地域、業種における賃金の実勢から見て、三者が大部分一致されたということは、現状から見てそれだけの妥当性を持ったものと見られておるというふうに考えておるわけでございます。
○石母田委員 私は労働大臣に聞いているのですけれども、労働大臣がそういう過程できめられた、あるいは緊急失対法でいえば、労働大臣が定めるところによって失対労務者の賃金もきまる、最低賃金法に基づく最低賃金という問題で、その金額についてあなたが妥当な賃金と思うということを答えているのですよ。これは議事録にあるとおりです。その妥当な賃金であるというものといま組合が要求している最低賃金との間には、一体どの程度の開きがあるのか知っていますか。多少の違いだと言っていますけれども、では、いま組合が要求している最低賃金の金額はどの程度だと思いますか。
○加藤国務大臣 組合のほうから四万円の要求がありますが、あの当時は審議会のほうからもこれが妥当だという賃金を出しましたので、それを申し上げたことかと思いますが、それがいろいろ御不満の点があるかもわかりませんけれども、この点は御了承を願いたいと思うのです。
○石母田委員 全く不満なんですけれども、最低賃金の要求はあなたは金額はわからなかったのですか。今度の春闘共闘委員会というのは何も公労協だけじゃないんですよ。そして、大幅賃上げ、全国一律最低賃金制も要求しているのですよ。そういう中で賃金問題に対して労働大臣なり政府がどのような基本的な方向で臨むのか、いまの賃金の水準を安い賃金だと思っているのか、あるいはさっき出されたような、あなたたちがきめられた賃金が妥当なものなのか、これを大幅に引き上げていくのかという姿勢が、全体の労使問題の個々の問題を解決する上においても決定的な役割りを示すでしょう。そうした場合に私は労働大臣が多少の違いというような感覚で臨んだとすれば、これは次から次へとこの問題は紛糾しますよ、解決しない、そういう点についてあなたはどう考えているんだということを聞いておるんであって、他の関係当局がいろいろいって雑音が入るのですけれども、私は労働大臣に聞きたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 春闘共闘委が最低賃金につきましても全国一律四万円の最低賃金を要求されておることは、私どももよく承知をいたしております。しかしながら、まず、全国一律の最低賃金が妥当かどうかという点につきましては、総評等はもう昭和三十年代からずっとこの要求をされておるのでございまして、それにつきましては法律に基づきます中央最低賃金審議会に昭和四十年諮問がされまして、四十五年まで、実に五年間かかりまして、あらゆる角度から審議会で三者構成のもとに議論をされ、ヨーロッパ視察等も行われまして、その結果、四十五年に出されました中央最低賃金審議会の御意見では、日本の現状から見て全国一律制というのは妥当性がないのだという御意見で、当面最低賃金法の現行法に基づく仕組みによりまして、そして適用労働者を逐次拡大していくべきである、こういう御意見をいただいておるわけでございます。そこで四十六年以来、現行法に基づきまして全労働者に最低賃金制を及ぼすべく、五カ年計画を立てて現在最低賃金の設定を進めておるわけでございまして、ことしの一月までで約二千二百万くらいに最低賃金の適用労働者が及んでおり、全労働者の約七割くらいに到達いたしております。これは四十六年にできました五カ年計画の計画よりスピードが出ておるわけでございまして、そういう意味では全労働者に適用を及ぼすべく現在努力しているわけでございます。金額につきましては、全国一律でないといたしましても、どのくらいがいいかということはそれぞれの地域、業種別にきめるのでございますから、それぞれの最賃審議会が三者構成で、その地域の当該業種の水準を見合わせながら決定をしておる、しかもほとんどがその三者構成の審議会で一致した御意見で御答申いただいて、それに従って最低賃金がいま決定、公示されておるということであるわけでございます。
○加藤国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、審議会でも、この程度は妥当だ、こういうので、私もその審議会の線に沿って最低賃金を申し上げたので、昨年より本年のほうが若干の値上がりであった、いわゆる経済の水準に見合って毎年毎年これが改善されるのも当然のことでありまして、妥当で、これからも上げたらいかぬという意味で申し上げたのではありませんので、どうもその点が御意見と食い違っておりますが、何も他意があって特に低くきめたいというような気持ちは毛頭ありません。
○石母田委員 いま労働大臣が言うように、たとえば失対労務者の賃金にしましても、緊急失対法の第十条の二で、審議会の意見は聞きますけれども、「労働大臣が定めるところによる。」と書いてある。失対労務者の賃金が月三万二、三千円あるいは最低賃金法できめられた最低賃金の中くらいの数字も大体同じ程度、こういうものでいま労働者が食っていけるかどうかの問題について、私は妥当だと思うという、こういう感覚と認識では、とうてい日本の賃金の問題は解決できないのだ、こういうことを再三申し上げ、いまの答弁を聞いてなおさらその感を強くしまわけであります。私はそういう労働大臣の姿勢では、われわれが解決しようとしているこの労使の問題は絶対に解決しないというふうに見ております。 また、特に厚生大臣がその場へ出席して、これは報道でありますけれども、「年金は今年、大改正してあり、闘争目標になるのは意外だ」こう言っております。いま全国民の注視の中で労働者が年金のストライキをやっているということは、いまの年金制度あるいは政府の出した案に対して、これでは不満だ、大幅に改善されなければならぬ、特に保険料を引き上げるということについて大きな不満がある、そうした問題について闘争目標になるのは意外だ、こういうことでありますれば、この年金ストライキをやっている労働者の要求、国民的な要求に対して一体どういう感覚で臨んだのか。この点について、きょう厚生大臣を呼びましたけれども、参議院の関係で来られないので、かわって政府委員に答弁していただきたいと思います。
○横田政府委員 ただいま先生御指摘の、当日の会談におきまして厚生大臣がそのような感想を述べられたことは事実でございます。そのあと組合側から御提示なさった幾つかの問題につきまして、具体的に御意見を述べておられます。 それで、参考にそれを申し上げますと、まず第一点は、年金の水準の引き上げの問題でございますが、この年金の水準の問題につきましては、現在御提案申し上げております政府案というものは、十分いろいろな問題を考慮した水準であって、妥当なものと考える。 次に第二番目には、スライド制の問題でございますが、このスライド制の問題につきましては、賃金スライドにすべきであるという御意見を組合からは出されたわけでございますが、これに対しましては、自動スライドの指標として物価をとった。しかし、財政再計算期が来るごとに、生活水準や賃金の上昇等を総合的に勘案して年金水準を改定するという、このたてまえは今後も変わらないので、何年かにわたって賃金等が大幅に上昇する場合には、再計算期においてそういったことを勘案しての政策改定というものは当然あることだと答えております。 それから第三番目には、財政方式の問題でございますが、賦課方式を即刻採用すべきであるという御意見に対しましては、いま直ちに賦課方式を採用するということは、年金財政の設計上むずかしい。年金制度が何年かたって成熟した以降においては、二、三年分程度の積み立て金を保有するというかっこうでの年金財政方式に移行することは考えられるので、その場合は、おそらく賦課方式とあまり異ならないような方式になることも考えられる、こういうふうな答えをしております。 第四番目は、積み立て金の管理運用の問題でございますが、この点につきましては、大企業優先に使われているのではないかという点と、積み立て金の管理運用に対して、労使の意見の反映のしかたが十分でない、この二点の指摘があったわけでございますが、これに対しましては、年金の積み立て金は大企業優先には使われておりません。それから管理運用について、なお労使の意見をよりよく反映させる方向につきましては、今後とも検討いたしましょう、こういうふうなお答えをしております。 それから最後に、五番目に、国庫負担の引き上げとか労使の負担割合、この点につきましては特段の回答をなさいませんでしたが、これは実は何回か組合の代表とも会っておられまして、労使の負担割合の変更とか国庫負担の引き上げということは考えておりませんということを従来とも表明しておられるので、その関係で、この会談では別段答えられなかったものと考えております。
○石母田委員 きょう厚生大臣いませんから、あとで厚生大臣来たらこの問題について聞きたいと思って質問は保留しますけれども、とにかくいまわれわれは改革案を出し、また四党でも共同提案が正式に国会で提案されている、そういう案と政府案との間に生活保障の原則に基づいて年金をやるのか、また国と資本家の負担ということを原則にしてやるのか、財政方式を一体積み立て方式でやるのか、賦課方式の方向でやるのか、こういう点でも明確な違いがあるわけです。こうした問題がいまから審議されよう、あるいはそういうものが提案されている現在において、あたかも、こうした案を含めて改正してあるから闘争目標になること自体が意外だ、こういう発言はまことに不謹慎な、挑発的な言辞だと私は思っています。この点については、きょう厚生大臣がいませんからあとで追及したい、こういうふうに思います。 最後に私は、先ほど社会党の委員の方も質問しておりましたけれども、全逓の六千数百名にわたる処分をこの時期に行なったということは、春闘に対する政府のきわめて挑戦的な態度をあらわすものだ。この問題については、政府としてはそういうことは考えてなかったんだ、こういうことでありますけれども、語るに落ちるで、先ほどの答弁の中で、時期を延ばすかどうかをずいぶん検討した、こういうことを郵政大臣が言っております。時期を延ばすかどうか、つまり春闘の時期にやるかやらないかということだと思います。そうした春闘に大きな影響を与えることを前提にして、そうしてこういう処分を行なうということは、労働者に対する威嚇であると思う。現に自治大臣が談話を発表し、文部省の通達において、今度の問題について厳正な措置をとるというような談話なり通達を出しておりますけれども、関係当局に私は、厳正な措置というものは一体どういう内容であるのかをお聞きしたいと思います。
○植弘政府委員 お答えいたします。 地公法の三十七条一項に規定いたします違法なる争議行為が行なわれました場合には、その争議行為の態様によりまして、任命権者である首長が適切なる措置をとる、こういう意味でございます。
○鈴木説明員 ただいま自治省のほうからお答えしたような、地方公務員である教員については、同じような内容のものと考えております。
○石母田委員 いま、いずれもそうした法的なものに基づいての処分ということを考えておられるのですけれども、とんでもない。こういうことによって、大量の処分の繰り返しによって、一体どういう事態が引き起こされているかということについて、政府としても、関係当局としても、十分考えてもらいたいと思うのです。 この問題については、去る二月二十七日の問題で私はここで述べておきましたから重複を避けます。しかし、これらの、あなたたちが根拠にしている法律そのものが、すべてマッカーサー司令官の書簡並びにその中のマッカーサー指令部の直接の指導と援助によってできたものであって、このことは、この中で明らかにされております。しかも、先ほど郵政大臣は、憲法に違反しないことが最高裁でもきまっているとかなんとか言っておりましたけれども、いわゆる四十四年四月二日の都教組の判決の問題あるいは全逓中郵の判決の中で、ちょうどあなたたちが通達で出しているようなもので解釈することは憲法違反の疑いがあるんだ、こういうことまで判決の中に書いてある。こういうことがいま最高裁の中でさえ問題になっているという状況のもとで、この占領法規の遺物にしがみついて、そしてあくまでも大量処分——労働者が自分の職を賭し、あるいはあなたたちからそういう弾圧を受けてもやろうというのには、好きこのんでやるんじゃないのです。やらざるを得ないそうした大きな原因というものがあるのです。それが賃金問題であり、あるいはまた自分たちの民主的な権利である。あるいは年金の問題である。老後の生活の保障問題そうした問題についてどうするかということについは、先ほどの答弁にあるように、きわめて不十分、何の対策なしにそういう会議に臨んでおる。そうしたことをたなに上げて、その占領法規によって、ただあるからといってばっさばっさ労働者に対する処分を行なう、こういう態度は全く反動的な態度と私はいわざるを得ない。こういう点で、いまこの国会の外で何十万、何百万の人々が国民的な理解、支持を受けながら、大きな闘争に今後発展していくだろうと私は思うのです。そういう問題を十分解決するためには、はっきりと政府としてのこれまでの態度を改める必要があるという、私はその点を強調いたしまして、この年金統一ストライキの中であなたたちが示された反動性というものの実態をはっきりと国民の中に、労働者の中に暴露して、同時に私たちは、この国民的な要求である年金あるいはまた大幅賃上げ、最低賃金制、そうした諸要求実現のために奮闘したいと思います。 これで質問を終わります。
○田川委員長 坂口力君。
○坂口委員 きょうは労働安全衛生法のいろいろな部門についてお尋ねをいたしたいと思います。 労働安全衛生法が成立しましてから一年ばかり経過したわけでございますけれども、その第十八条にいわゆる衛生委員会を設けなければならないという項がございます。また第十九条には安全委員会あるいは衛生委員会というものじゃなしに、それを安全衛生委員会という形で設置することにもなっております。こういうふうに衛生委員会なりあるいは安全衛生委員会というものを設置しなければならないことになっておりますが、現在各事業所においてどれくらいの委員会ができていますか。小さな事業所は別としまして千名以上ぐらいの事業所等でけっこうでございます。その点について資料がございましたらお示しをいただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 安全衛生法は先生お話のように制定されましてから一年近く日がたっておりますが、施行されましたのは昨年の十月でございまして、ちょうど半年ほどたったところでございます。私ども法の施行当初はその趣旨の周知徹底につとめてまいったところでございます。 それで、全体的な安全衛生委員会の設置状況につきましては、施行後の状態は、まだ半年ほどでございますので、調査したものはございませんけれども、われわれ承知いたしましたところでは、先生がおっしゃった千名以上といったような大きなところは、ほとんど安全衛生法に基づきます委員会ができておるものと考えております。 〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 なお、少し古いのでございますが、昭和四十六年に、新法制定前でございますが、基準法当時その設置状況を調べたことがございます。それによりますと三百人以上は一〇〇%、調べた限りでは設置されておりまして、ただ三百人以下といったような中小規模になりますと若干設置率が下がっていくというふうな状況を、当時としては把握いたしております。したがいまして、今日これ以下になっているとは考えられませんので、千人以上といったような大きなところでは、ほとんど全部設置されているというふうに考えております。
○坂口委員 私お聞きしましたのは、労働安全衛生法に基づくところの衛生委員会または安全衛生委員会のことを言っているのです。そういう意味でございますね、いまお答えいただきましたのは。
○渡邊(健)政府委員 私が申し上げましたのはその意味でございまして、旧法の時代には一〇〇%であったので、新法に基づくものも千人以上のような大規模なところではほとんどできているものと考えているというふうに申し上げたわけでございます。
○坂口委員 ただし資料はない、こういうわけでございますね。資料はないけれども、できているものと思われる、こういう御意見であろうと思います。正直申しまして、私も資料がありません。ただし当たれるだけ当たってみましたが、かなりできていないわけです。私の当たりました範囲内では、どちらかと申しますとできていないところのほうが多いわけでございます。この新しいのにつきましては、比較的大きいところでもなおかつできていないところがあるわけです。なぜできないのかということにつきまして皆さん方の意見を聞いてみますと、どうしましても、今度の委員会は労使同数ずつという形でつくる。これに対して使用者側があまり積極性を示さない、こういう意見がかなり返ってくるわけです。その点につきまして何か資料等がありましたら、ひとつお示しをいただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 新法に基づきます安全衛生委員会を設けました趣旨は、安全衛生といったような問題につきましては労働者の代表の方にも積極的に参加していただきまして、こういう問題は労使が協力して災害防止の実をあげたい、こういう趣旨でございまして、この点については私ども各企業にも十分その趣旨を徹底するよう施行後つとめておるところでございまして、私、労働者が同数であるから設置を渋っておる、そういうような傾向が多数の企業にあるというふうには考えておらないわけでございます。ただ先ほど申しましたとおり、施行後まだ半年でございまして、したがってまだ施行後の調査まで至っておりませんけれども、できるだけ早く施行後の実施状況を調査してみたい、かように考えます。
○坂口委員 この法律ができました意味につきましてはいまおっしゃったとおりであろうと思います。また皆さん方がそういうお考えであるということはよくわかりますが、しかし事業所等におきましてはそういう考えは必ずしもないということを私申し上げたわけでございます。そこで半年だということを強調されますので、私もあえて申しませんが、現在までの間に、統計的なものはとられていないけれどもどういうふうになっているか、あるいはこういうふうにしろという一応の行政指導というようなものはかなりやられているのかどうか、その点はいかがでございますか。
○渡邊(健)政府委員 昨年施行にあたりましては、施行の前から法律の趣旨、法律の内容の周知、こういうものを労使に徹底するようにつとめまして、特に施行されましてからしばらくの間は極力その新法の周知徹底につとめたわけでございまして、私も去年のそのころは若干地方の基準局を回りまして、そういう新法の施行の周知徹底の状況を見てまいりました。ある県のごときは、県内で七十数カ所において労使を集めまして説明会、趣旨の普及のための会合をやる計画等も進めておったということでございまして、私が見てまいりましたところでも、そういうところに労使の方がかなり多数積極的に参加しておられましたわけでございまして、そういうことで、私どもといたしましては新しい法の趣旨を十分労使に理解させる、それからその規定を十分に周知させて、それをすみやかに実施させますよう今日まで行政指導につとめておるわけでございます。
○坂口委員 私もきょうデータがちょっとそろわなかったのでまことに残念だったのですが、間に合いませんでした。私のほうも近いうちにまとめたいと思います。私の現在まで当たりましたところに関しましては、かなりできていないところがございます。そういうふうな意味で、これが一日も早くできて、そうしてこの法の精神がより一日も早く労働者の皆さんに行き渡るようにしていただきたいと思うわけでございます。 話を進めさせていただきますが、同じく労働安全衛生規則の第十三条に出ておりますような特殊職場の問題がございます。この健康診断の問題は前回にも私やらせていただきましたが、そのときに少し抜かしたところがありますので、きょうお願いしたいわけでございます。 特殊の職場の健康診断等につきましては、いわゆる年二回と申しますか六カ月ごとに健康診断を行なわなければならなくなっております。またこれについてのやり方によっているかどうかの点でございますが、これもなかなか実はやられていないところが多いわけでございます。これにつきましての皆さん方のデータがありましたら、ひとつお示しをいただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 御指摘のように、定期健康診断は一般的には年一回でございますが、一定の職場につきましては年二回行なうことに相なっておるわけでございます。これも新法施行後の状況につきましては、まだ調査した資料がございませんけれども、やはり新法制定前の四十六年に行ないましたところの職場の安全管理及び衛生管理に関する総合実態調査によりますと、三十人以上の規模の製造業等におきましては九九%程度健康診断は行なわれておりましたし、また道路貨物運送あるいは採石業等におきましてはそれよりは若干下がりますが、やはり九五%以上の健康診断が行なわれておるところでございます。ただ私どもも業種あるいは規模、特に三十人以下といったような零細規模になりますと、定期健康診断等につきましても未実施の事業場が見られるということは承知いたしておるわけでございまして、監督いたしておりまして、定期健康診断に関する違反がある事業場を約八%私ども見つけておるわけでございます。今後につきましては、新法の趣旨を一そう徹底いたしまして、健康診断が確実に実施されますよう監督指導につとめたいと考えるわけでございます。
○坂口委員 いまおっしゃいましたのは年二回必ず行なっているという意味でございますか。年一回は、これは多くの事業所で行なわれておりますが、年二回というのがこれだけ行なわれているかどうかということが一つ。 それから皆さん方の数字はたいへん高うございましてびっくりするような数字でございます。もしその数字が事実であるしたらたいへんこれはけっこうなことだと思いますが、そこでもなおかつ漏れているところがある。その漏れているところがなぜかということがたいへん重要であると思います。この点について、漏れておりますのは一体どういうふうな理由で漏れているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 ただいま申し上げましたのは、一回、二回を含めまして、法律に定められました健康診断をそのとおり実施しているかどうかということで申し上げました数字でございますから、二回のものだけではございません。一回のものも含めましてのことでございます。 それからなお、その実施が守られていない事業場があるとすればいかなる理由によるかというお尋ねでございます。これについては二つあると思います。一つは、零細企業などによりますと特定の診療所も持っていないというようなことで、健康診断等もそういうことで依頼すべき先などもあまりないので、めんどうくさいままに実施しないといったようなことがあると存じます。これにつきましては私どもやはり、中小企業は中小企業として定期健康診断をやりやすい方法で指導する必要があると考えまして、そういうために巡回健康診断機関というようなものの育成をはかっております。昨年からも巡回健康診断に対して補助金を出す、あるいは安全衛生融資で機器の整備に対して融資の対象にするといったようなことで、こういう巡回健康診断機関の育成をはかっておるところでございまして、そういうことによりまして巡回健康診断など中小企業の依頼を受けて、手軽に中小企業の人たちも定期検診が受けられるような体制をすみやかに整備していかなければならない、かように考えております。 それからもう一つ、特殊健康診断等になりますと、それが非常にむずかしい健康診断がございまして、一般の医師だけではなかなか引き受けていただけない面がある。そういうために実施されないまま放置されているというような場合も少なくないと思います。そこで私どもは、やはり特殊健康診断につきましては、そういう特殊健康診断をやり得るような、それだけの専門的な検診をする機関が必要ではないか、かように考えまして、そういうものの一環といたしまして労災病院に検診センター等を逐次設置して、普通の一般病院でやれないような検診はそういうところが依頼を受けてやる、こういう制度をつくっていきたいと考えておるところでございます。昨年もそのために二カ所の検診センターを設けておりますし、四十八年度もさらに二カ所設置するということで、予算もついてその準備を進めておるところでございまして、逐次こういうような検診センターを主要な、労災病院に設置いたしまして、一般の医療機関ではなかなかやれないような健康診断を積極的にそういうところがやっていく、こういう体制をつくりたいと考えております。
○坂口委員 その問題は前回も少しお聞かせをいただきましたので重複いたしますが、前段の年二回というのが非常に行なわれていない。一回は皆さんがおっしゃるとおり九〇何%、これは行なわれていると思いますが、年二回やらなければならないところが一回割愛されているところが非常に多い、こういうことでございます。これについて私は積極的な行政指導をしていただきたいと思うわけでございます。 それから後半の問題につきましては、これは産業医の問題とからんでくるだろうと思います。全体に医師が非常に不足している現在でございますので、この産業医というものを確保することは非常にむずかしいということは私もよく知っております。しかし千人なり二千人なり、あるいは大きいところになりますと、四、五千人もの労働者がおるようになった。そこに一人の産業医もいないということは決して好ましいことではない。これだけの労働者が働いております限り、その人たちの健康管理のためにどうしても産業医というものは必要になるわけであります。この産業医の現状につきましてどういうふうにお考えになっているか。特にこれはあとで大臣に現状につきましての見解というものをお聞かせをいただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 産業医につきましては、確かに先生おっしゃるとおりきわめて不足しているわけでございまして、千人以上は専属の産業医を置くことに安全衛生規則でなっております。三千人以上につきましては二人置くことに相なっておるわけでございますが、大規模の事業場におきましても専属の産業医を委嘱しようと思うとなかなか人がいないということを私ども聞いておるわけでございます。これにつきましては、従来の医学教育におきまして一般の臨床医の育成は行なわれたのでありますが、産業医等につきましては非常に少なく、産業医学という講座も医科大学でなかった。そして公衆衛生の講座の中でそれが行なわれておったというふうにも聞いておるわけでございまして、そういう意味で産業医学に造詣の深い方が少ないというのが現状だと思います。 そこで産業医の養成を今後いろいろ考えていくわけでございますが、当面の処置といたしましてはそれまでの間日本医師会等にお願いをいたしまして、一般のすでに医者になっておられる方に講習会等をやっていただきまして、産業医学に対するある程度の知識を持たれる医者をつくっていただくようお願いをいたしておるところでございます。
○坂口委員 大臣、少し今後の計画等について重ねてお願いいたします。
○加藤国務大臣 いま局長から申し上げたとおり、これは日本の最近の経済の成長、いろいろ科学的になって、粉じんとかいろいろな問題が工場において従来の形と変わった状態でありますので、産業医の問題はこれは大問題になっております。その関係上、今年新たに調査費を取りまして、産業医の養成の医科大学を、まだ場所はきまっておりませんが大体本年候補地を決定して、来年何とか予算化してこれが設置をしたい。本年は調査費でありますから少額でありますけれども大体五百万、将来は二百億程度のものをまず全国に一カ所つくりたい。いまその設置の候補地を調査物色中でありますが、これ以外に——臨床医また産業医の関係はおのずから違いますので、そういう計画でこれが実施に移っております。
○坂口委員 せっかくの機会でございますので、その産業医科大学の構想のもう少し詳細をお聞きしたいわけでございますが、この産業医科大学の御構想は、ここでは臨床医はつくらない、特に産業衛生活動をする医師を養成をする大学である、そういうものでございますか。
○加藤国務大臣 これは臨床医が目的でありませんけれども、やはり臨床医学も必要でありますし、その上にいまの産業医という関係と、両面と私は思っております。
○坂口委員 そういうふうな大学をおつくりいただくのは、私けっこうなことだと思うのですが、結局は、そこを出ました医者がはたして産業医になってくれるかどうかだと思うのです。現在の体制では、こういうふうな大学をつくっても、ここを卒業した人でもなおかつ私はなかなかなってくれないのじゃないか。産業医が働ける場というものをもっとつくっていかなければならない、それが私どもの健康管理にも結びついていくことでありますから、それがなされていないところにも産業医が非常に少ない原因があるわけであります。だからもう少し魅力のある職場をつくっていく、それなりの給与体系等も整えいてく、あるいは働く場の条件というものを整えていく、そういう努力がなされて初めてこういう大学ができて生きるのでありまして、現在の環境の中でこの大学をつくられても非常に意味がない、こう思いますが、その点いかがでございますか。
○渡邊(健)政府委員 確かにおっしゃるとおり、産業医を養成いたしましても、そこを出た方がはたして産業医として御勤務をいただけるかどうかという点、われわれが一番心配するところでございます。これにつきましは、その産業医科大学をいま設置を計画いたしております一環といたしましては、大学在学中、奨学資金みたいなものを支給いたしまして、大学卒業後、一定期間、産業医として御勤務いただいた場合には、その返還を免除するといったような奨励策も考えたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても一番の重要なことは、その方々が喜んで企業その他の産業医として活躍される場で働いていただけるようになる、こういうことだと思います。これにつきましては、産業界で現在労働衛生あるいは公害等に対する問題等もございまして、そういう産業専門医の要望が非常に強いわけでございまして、昨年も全国の安全衛生大会で満場一致で、すみやかにそういう養成機関をつくってくれるようにという決議もございました。したがいまして、私どもは産業界もそういうものを望んでおられるとすれば、やはり産業医になられる方にはそれ相当の優遇を企業の中でしていただく、こういうことを産業界にも要請をいたしておるところでございまして、安全衛生法でも産業医には、いろいろ衛生管理の問題、それに基づきまして事業主に勧告する権限等も明記をいたして、その責務の重要なことを明記いたしておるわけでございますが、企業におかれてその重要性を認識されまして、それに応じた待遇をそれぞれ与えていただくように、そういうことを産業界に今後積極的にお願いしてまいりたい、かように考えております。
○坂口委員 その問題ですね、大学をつくっていただくのとあわせまして、周辺の整備をひとつお願いをしたいと思うわけでございます。 この産業医の問題とからみまして、産業保健婦さんの問題がございます。看護婦の問題につきましては社労委員会におきましても私以前取り上げさせていただきましたし、金子先生からも前回出ました。保健婦の問題も前回出ておりましたが、特に産業の中で働きます産業保健婦というものが、現在のように産業医が足りない現状におきましては、非常に大事な役目を果たしてくると思うわけでございます。この保健衛生業務ということにつきましては、医師と同等または私たちは医師よりも以上の知識と経験を持っている人であるというふうに思うわけでございます。この保健婦を、労働安全法ができますときにも専門衛生管理者として位置づけてほしいというようなかなりな運動があったことを私も知っております。ところが、それについては受け入れられなかったわけでございますが、私は静かに考えてみまして、これだけ産業医が足りない、いまから大学をつくって、そうして周辺を整備をしていくということでございますから、少なくともいまから十年ぐらいたたないと、もしその大学ができたとしても実際に間に合ってこないというのが現状だろうと思うのです。だから結局それだけにたよっていてはいけないのでありまして、やはり産業保健婦の皆さんの活躍にまたなければならないことが私は非常に多いと思うわけであります。この位置づけの問題、これについてひとつお考えをお伺いしたいと思うのです。
○渡邊(健)政府委員 職場におきます健康管理を推進いたします上で、保健婦による保健指導が効果的である面が少なくないことは御指摘のとおりと存じます。そこで、安全衛生法でも産業医の下に衛生管理者というものを法律上置くことに相なっております。この衛生管理に当たります衛生管理者につきましては、保健婦の資格を持たれる方は無試験でその衛生管理者の資格を与えることと規則によっていたしておるところでございます。そういうことによりまして、保健婦の方が職場におきます衛生管理者として職場の衛生管理に積極的に御参加いただくことを御期待申し上げておるわけでございますし、なお施行後の通牒などにおきましても、私どもそういう面で保健婦の方を十分に活用されるよう指導をいたしておるところでございます。
○坂口委員 いまおっしゃった衛生管理者の資格を保健婦に与えるということで、非常に何か特別な資格を与えたようなおことばでございましたけれども、衛生管理者は御存じのように大体四、五日の講習で、試験を受けてパスしたら衛生管理者なんです。私もその講義に何度か行ったことがあるので、よく知っております。あれくらいの知識で衛生管理者になっていくわけです。それと同等の資格を与えたからといったって、それがこの保健婦に大きなものを与えたことにはならない。むしろ非常に程度の低いものを与えた。たとえば医師は検査技師の試験をとらなくてもよろしい、それは届け出たらよろしい。薬剤師は検査技師の試験を受けなくても、届け出れば資格を与えます。これはそれと同じことで、保健婦さんが届ければ——むしろその試験を受けなければならぬということ自体がもうおかしいので、届け出さえすれば当然私はそれはもらえる資格だと思うのですよ。なおかつそれに試験を受けなければならないのです。そうですね。それは別にしまして、衛生管理者の資格を与えてやるから産業保健婦を正当に位置づけておるというのは、私はどうしてもいただけない。この労働安全衛生法ができますときにもこれが位置づけられなかった。たいへん古い話を蒸し返すようでございますけれども、いわゆる保健婦さん方が言っておみえになります専門衛生管理者として位置づけられなかった理由はどこにあったのか、やはりその点をはっきりしないと私は次の議論が進まないわけでございますので、その辺もう一度お願いしたいと思うのです。
○渡邊(健)政府委員 安全衛生法で、衛生管理の体制につきましては、一定の規模以上のところに産業医を置く、それからさらにその下には衛生管理者、安全管理者、これを置きまして、技術面から衛生管理、安全管理に当たっていただく、こういう法律の体制に安全衛法ではなっておるわけでございます。したがいまして、医者である産業医の方以外に、衛生管理の責任を担当されるのは法律の体制では衛生管理者、これに当たっていただく。これも一定の規模に応じて、二百人以下のところに一人、あるいは二百人以上五百人以下のところに二人というように、人数に応じて衛生管理者を置くことがきめられておるわけでございますが、医者でない方でこの能力を活用して衛生管理に当たっていただくとすると、法律の体系としては衛生管理者として御活躍いただく、こういう体系になっておるわけでございます。そこで、衛生管理者たる保健医、保健婦、こういうことで御活躍いただくのが、この安全衛生法の体系に従った形になりますので、そこで保健婦の方は——確かにほかの免許なんていったってもっと低いじゃないかという御意見があるかもしれませんけれども、衛生管理者の試験は法令でも明確になっておりますので、衛生管理者の方はそれだけ高い知識、技能、こういうものを発揮されまして、衛生管理者としての十分な御活躍を期待できるということで、無試験で衛生管理者として御活躍いただける、こういうことで、安全衛生法上の御活躍の場というものが明らかになっておるのではないか、かように考えたわけでございます。
○坂口委員 私がいまお聞きいたしておりますのは、安全衛生法ができますときに専門衛生管理者として位置づけられなかった、その理由は何かということをお聞きしたわけでございますが、いま説明されました意味は、私もよく理解できました。しかしながら、いまおっしゃった中に、やはり保健婦というものの知識、技術、経験、そういったものを現在のわれわれの健康管理の中で生かす以外に道がないという、そういう意味が含まれていないと思うのです。産業医は非常に少ない、それにかわるべき人は何かということを静かに考えますと、そこへいかざるを得ない。どうしても保健婦さんの力をかりなければならない。それ以外に現在の働く人たちの健康管理は成り立っていかないと思う。そこをどうお考えになるのか。 それから、ついででございますので、もう一言言っておきますけれども、先ほど医師の場合にも申しましたが、産業保健婦ですね、この人たちの、たとえば給与の問題にしましても、先ほどポジションの問題を申し上げたわけでございますが、給与の問題にいたしましてもそうなんです。いわゆる高校卒の方と同じ給与体系になってしまう。それ以上にならない。だから、それで迎えようとい ったってちょっとこれは無理だと思うのです。やはりそれだけの技術、知識、経験を持った人ですから、それなりの待遇というものはあってしかるべきですし、またそれがないことには労働者の健康というものは維持できない。今後これに対してどういうふうに変えていかれるおつもりか、その辺をお聞きしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 保健婦の方が保健指導につきましては非常に専門的な知識、技術を持っておられまして、職場における保健指導に当たっていただくとすれば非常に効果的だという点は、私ども全く同意見でございます。そういう意味におきまして、今後保健婦の方がそういう機能を十分に発揮されますよう、私ども今後とも指導につきまして、保健婦の方を専任的な衛生管理者にそれぞれの企業が委任をされ、活用されますよう一そう指導してまいりたい、かように考えるわけでございます。 なお、それにつきまして、それに見合った待遇が必要ではないか、この点は私ども全く同意見でございまして、職場の安全衛生管理を十分にやるためには、それに当たられる方に十分意欲を持ってやっていただけるような待遇が、それぞれの職場で与えられることが必要だ、かように考えます。御趣旨の線に沿いまして、各企業に対しまして、保健婦さんはその専門的知識、技術に見合った待遇をそれぞれの職場において与えられますよう指導してまいりたいと考えます。
○坂口委員 これは大臣にもちょっとお聞きをしておきたいと思うのですが、いま申しましたとおり、給与体系というものも高校卒というような段階にとどまっておりまして、たいへん低い形になっております。これも一つのネックになっておることは事実でございます。いま政府委員の方から少し前進的なお話をいただいたわけでございますが、これは積極的に前進の話をいただいて、そして、これは年限からいきますと大学卒と同じですね、ですから大学卒と同じ程度の待遇をされてしかるべきだと私は思うのです。特にたとえば医師と同じにしろとかなんとか言うわけでは決してないわけでございまして、それ相当の待遇にしてしかるべきだ。ところが、かなり前からこれはいわれておるのですけれども、実際問題としましては、いつまでたちましても高校卒の段階から進んでこないわけなんです。これは労働大臣、責任を持ってひとつ処置をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○加藤国務大臣 いま御質問に対して二人で相談したのでございますが、これはあなたの御意見、なかなかごもっともで、いま産業医といったって数が不足なんでございまして、衛生法を施行する場合にも一つのネックになっておりますから、やはり御趣旨のような点について、これは大臣名とか次官名で通達を出して、御趣旨のような線で善処いたしますことをここにお約束いたします。
○坂口委員 ありがとうございます。たいへん前向きな意見をいただきましたところで、終わりにさせていただきます。 〔橋本(龍)委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 ————◇—————
○竹内(黎)委員長代理 次に、港湾労働法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。枝村要作君。
○枝村委員 私は、港湾労働法を改正するほんとうのねらいは一体どこにあるかという点について、ひとつ大臣に対して率直にお伺いいたしたいと思うのです。 私がなぜこのような質問を冒頭においてするかといいますと、大臣の提案理由の説明の中では、近年ますます港湾労働者の雇用の安定にとって好ましくない事態を招いているので、この際、昨年十一月に港湾調整審議会からの建議もあって、これを尊重して、港湾労働対策を一そう強化するためこの法案を提案したいということになっているのであります。ところが、事務当局が出しました「港湾労働法の改正について」という印刷物があるわけなんでありますが、これを見ると、中で示されている改正についての理由の一つ、というよりも最大の理由としてあげられているのは、「登録労働者のアブレ時に支給する雇用調整手当に大きな赤字(四十六年度末で四億円、年間支給額の五割程度)を生じている。」その原因は、として、次にいろいろな問題点を掲げているのであります。そうして、今日提案されているとおりに法改正することによってこれらの問題は解消する、こういっておるのであります。 そうすると、法改正の目的は、まず第一に、雇用調整手当財政の赤字対策のためではないかという疑いが当然のように出てくるわけであります。ですから、この点について包み隠さずに、大臣がこの前、十三日に言われたように、率直に、すなおに、正直に、ひとつ答えてもらいたいと思うわけであります。
○加藤国務大臣 お答えいたします。 いまの調整手当の赤字は、これはもう既定の事実でありますが、しかしこの法案提出の根本の趣旨は、これだけが目的ではありません。その他不就労の増大とか、三、四件の重大問題があります。 要は、港湾労働者の完全雇用、これが大きな眼目でありまして、いまの御質問に対しましては、これだけが真の目的でないということだけを、この際お答えいたします。
○枝村委員 そうお答えになると思いますけれども、このプリントしたものは知っていますか。——これには明らかにそういう配列で書いてある。ということは、これが先だからあとだからという意味にも解せますが、しかし主要な精神、流れというものはこれによって明らかにされておるということを物語っておるのです。少なくとも、あなた方が責任をもって出された法改正の趣旨、目的、真のねらいは、いま私が言いましたように、どの角度から見ても明らかに赤字解消を目的とするために法改正をするのだというように思われても、これはあなた方弁明の余地はないほどはっきりしておると思うのです。どうですか、大臣。
○道正政府委員 私から申し上げまして、後ほど大臣からお答えいたします。 赤字問題も一つの問題ではございます。説明の便宜上そういう構成をとったのでございまして、赤字対策のために今回の改正を企図したものではございません。ここに書きましたのは、月間の不就労が非常に増加している、それに伴って赤字もふえる、それに伴って一人一日当たりにつき事業主が払わなければならない納付金もふえている、そういうことが悪循環になって不就労がまたふえているという実情を説明する便宜上の順序でございまして、私は先日も、田中委員の御質問に対しまして、赤字だけであればむしろ二義的な問題でもございましょう、問題は制度、法律に基づく、しかも政府が介入する制度をつくっておいて、月のうち十日以上もあぶれるこの現状は何としても放置できない、そこに最大のねらいがあるということをるる申し上げたつもりでございます。
○枝村委員 しつこいように聞くのですけれども、あとからいろいろ疑問やら質問を出していきますので、あなた方が提案理由の趣旨の説明やこの前の委員会で言われたような方向でないということが、時間がたつに従って明らかにされてくるだけに、ますますあなた方の真のねらいというものは赤字解消にあって、さらにこんなやっかいなものは手を打ってしまえという逃げの一手の法改正だというふうに見られてしょうがないから、言っているのです。そうなりますと、港運業者の「共同の責任において登録労働者の就労を保障するため、」といっているのは、繰り返して言うのですけれども、二義的だというふうに見られるのですよ。それはこの中にも、これこれこういうふうなことをすれば赤字が解消されるというふうに書いてあるのですね。条文的に読むならば、赤字問題など「解決し、秩序ある港湾労働の実現を期するとともに、港に必要な優秀な登録労働者を確保できるよう制度を改正することが緊要である。」となっていることは、あなた方がいかに弁明しても、まず第一に赤字問題を解決することによってそうなるんだということを明らかにここでいっていることです。ですから逆にいえば、赤字が生じなかったならば、労働者の雇用の安定とか生活の保障とかいうようなものについては二義的な問題として考える、だからもう少し極端にいうならば、赤字が出なかったらこの法改正なんかはしなかったということになっていくのではないかと思うのです。それで、まあある人から聞いたわけなんですけれども、労働省のどのくらいの偉いところか知りませんが、役人が、いま私が言ったとおりのことを方々で言っているか、あるところで言ったかわかりませんけれども、言っているということを私は聞いておるのですよ。それが本音だろうと思うのです。どうですか。あなたより労働大臣はきわめて正直ですから、大臣にひとつ答えてもらいたい。
○道正政府委員 繰り返しになりましてまことに恐縮に存じますけれども、赤字も一つの問題であることは御指摘のとおりでございますが、私ども赤字問題がたいへんだから今回の法律改正を企図したということは全くございません。問題のポイントは不就労の増大、しかも一カ月のうち三分の一も不就労、こういう実態は放置できない。それが数字の上で反映いたしまして、赤字にもなり、納付金の増加にもなっている、こういうことで関連はございます。しかしながら、不就労の増大は放置できない、これが今回の改正のほんとうのねらいでございます。
○枝村委員 それでは、各港ごとに赤字の総額はわかっているのですか。六大港ごとの赤字の実態がわかりますか。明らかにしてください。
○道正政府委員 港によりまして若干赤字の状況が違いますけれども、プール制をとっておりますので、全体で四億円ということで計算いたしますが、論理上の数字としては港ごとに集めることは可能でございます。これは現在手元にございませんが、御要請がただいまございましたので、資料として後刻提出させていただきます。
○枝村委員 正式な数字はいまわからぬでもいいのですが、大体の感じとして、たとえば神戸港、関門港はどうだ、東京は赤字だ、そういうことはわかるでしょう。
○道正政府委員 港によってかなりの差がございますが、四十七年の四月から四十八年の一月までの数字で申し上げますと、東京港につきましては月平均の不就労が四・二日でございます。それに対しまして、横浜港は九・三日になっております。それから名古屋が九・六日、大阪が八・九日、神戸港が八・四日、下関港が十三・七日、門司港が十二・八日、洞海港が十八・六日になっております。したがいまして、そういうあぶれの状況を港湾労働の会計面でも反映しているものと思いますが、詳細な数字は後ほど提出させていただきます。
○枝村委員 私の聞いた範囲では、たとえば大阪あたり、四十七年では定数をきめる場合に赤字が出たから三百名減らせる、こういう理由で提案されてきたようであります。ところが労働組合といろいろ協議して、むしろ労働組合が積極的に、二月十日ごろに老人や病気である人を六十九名、いわゆる首切りに応じたといったらおかしいですけれども、やめてもらうことになった。その結果、ここでは結局赤字はなく、むしろ黒字が出たというようなことを聞いておるのですよ。それは大阪の一つの例でありますが、他にもやはりそういうことがあるかもしれませんし、そう見てまいりますと、結局赤字も確かに全体としてはあるかもしれないけれども、個々には赤字でない港もあるわけなのであります。しかもこの赤字の原因には、あぶれだけではなく、たとえば最近のドル・ショックによって、輸出、輸入の貨物の減少ということによって荷役作業が少なくなるということも影響しておると思うのです。そこでお伺いするのですけれども、これははっきりした数字は出ないかもしれませんが、ドル・ショックによってどれくらいの影響が各港においてあらわれてきたというのがわかりませんか。
○道正政府委員 ドル・ショックだけの影響ということは御指摘のようにはっきりいたしませんが、毎年の港湾の貨物量はかなりの勢いでふえております。ただしそれに伴いましての荷役量は、近代化あるいは省力化が進みまして、ふえ方はそれほどではございません。しかしながら最近の経済は、今後どうなるかという問題はございますけれども、現在までのところは、雇用情勢一般として、前回のドル・ショックの影響が顕著に出ているということは、私ども極端に言いますと、非常に注視いたしておりまして情報をとっておりますけれども、あらわれておりません。港につきましてもドル・ショックのための雇用面に及ぼす大きな影響というものは、前回のドル・ショックに関する限りはなかったものと判断して大きく間違うことはないと思っております。
○枝村委員 数字的な統計があらわれてきませんからわかりませんが、現場の労働者は、ドル・ショックで相当な影響が出てくる、それが赤字の一つの理由にもなってくるとするならば、これに対して政府、労働省が客観的な世界情勢の中におけるそういう影響を全く無視して、単にそれがあぶれである、あるいは手当財政の問題だけだとしてとらえて赤字を云々するのはおかしい。ドル・ショックによってたいへんな損害を受けた大きな企業に対しては政府は補償をしておる、にもかかわらずわれわれにはそれに対して何らかの補償の意図すらないことはおかしいという率直な意見が出てくるわけです。それは別にいたしましても、そういういろいろな問題を含めて赤字を解消することによって、あなた方がいま一番悩んでおる問題をこの法改正によって手っとり早くのがれていこう、こういうふうに思っておる気持ちは、あなたがどのようにいま答弁されようとも消し去ることができないということなんです。それはあとから、ほかに目的があるという共同雇用の問題についてもいろいろ質問していく中で明らかにされていくのでありますけれども、問題はそういうことで、冒頭にそういう質問をしたわけであります。 もう少し言わせてもらうならば、そういうことからしてこの法の運営と執行をむしろ政府、労働省が放棄して、本来この法によって規制されるはずの港湾業者に、この権限を白紙委任するようなことをやっている。そうすれば雇用安定とか保障問題というものはどうしても二の次になっていくのだ、こういうふうに結論づけていくわけでありますから、そういう意味で大臣に答弁を求めたのですけれども、局長のほうが出しゃばって、あなたものを言っているのですけれども、それをやめて、答えてもらいたいと思うのです。
○道正政府委員 後ほどまた大臣からお答えいただきますが、実は共同雇用体制を確立すべきであるという意見は、四十五年に港調審ですでに出ております。当時はなるほど八日程度の不就労でございまして、現在ほどではなかったのでございますけれども、このまま放置するわけにいかぬ、やはり共同雇用の理念に立って措置すべきであるという御意見が出まして、それを受けまして港湾調整審議会の場ではかなり毎回活発な御意見の開陳があり、むしろ私どもはなぜそういう法律改正をやらないのだということできついおしかりを受けてきた経緯がございますが、特に昨年来、もうこのままではとても港湾労働は放置できない、極論いたしますならば、港湾労働は崩壊するであろうという危機意識、労使の皆さまあるいは船主、荷主等の利用者あるいは関係の学識者等を含めましての港湾調整審議会の場での共通の御認識でございました。そういうことで関係者がほんとうに熱心な御討議を続けられまして、昨年の十一月十七日に満場一致で建議が出たわけでございます。それを受けまして中央職業安定審議会におきましても、満場一致でこの一月の十二日に建議が出ております。私どもといたしましては、そういう経過があり、そういう御熱心な御討議を経て、しかも満場一致でまとまった建議でございますので、極力忠実に建議の趣旨を法文化するということで作業を進めたつもりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、いままで関係者の間でいろいろ問題があった共同雇用の法制化ということは、関係の皆さまの御趣旨に沿い、建議の趣旨に沿っている措置というふうに心から考えている次第でございます。
○枝村委員 あなた、もし心からそう考えておるのならひとつお聞きしますけれども、現行法でも示されておりますように「港湾運送に必要な労働力を確保するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他港湾労働者の福祉を増進させるため、港湾労働者の雇用の調整を行ない、もって国民経済の発展に寄与する」とある目的を遂行する上でいろいろ困難な問題にぶつかっております。おるとするならば、この法律の欠陥を単にちょこちょこ補うということでなく、抜本的に改めることがまず大切ではないかと思うのです。ところが、建議でもそういうことに触れて、そうしなさいというたてまえ、精神になっておるのですけれども、建議を法文化したといっておりますけれども、実はされておらないように思えますし、労働大臣もこの前の答弁の中では、そうなっておらないようなことも暗に示唆していらっしゃいますから、だからそういうことをしないでおって、そして先ほど言いましたように、赤字が大きくなったからこれをなくするために現行法の欠陥部分を補給するというようなやり方は、本末転倒だといわれてもしかたがないのではないかというふうに思うのですよ。 そこで労働大臣、今度はお答え願いたいのですよ。この前の十三日の委員会で、あなたは、いま私が言いましたような観点に立って、そして田中覚委員の質問に対してお答えになったと思うのです。それで、雇用安定に寄与するために労働省はいままでのいろいろないきさつなど反省してこれから対処するということを冒頭にお述べになりました。そして、この法案そのものについては最善のものという気持ちにいま私は固まっていない、だからそのためにはいろいろ各港あたりを調査などして、そして自分の意思を固めるというところまでおっしゃいませんでしたが、そういう方向で進めるということだと思うのです。しかもいまの法改正が、いま言いましたように、最善のものと思えませんが、なぜ出したかという理由については、大体よかろうと思って法案提出をした、こういうことをおっしゃいました。これは私の言ったことが正確であるかどうか議事録と照らし合わせてみぬとわかりませんけれども、大体その趣旨に間違いないと思います。だとするならば、私がいま質問したような内容がこの法改正の中にある。そしてまた、建議に沿ったいわゆる法改正であるかないかという点について、若干労働大臣もしゃんとした気持ちになれないことがあるんじゃないかというように考えて、そしてそういう全く正直な、まじめな御答弁をなされたのだというふうに私は考えておるのですけれども、その点について再度お伺いしておきたいと思います。
○加藤国務大臣 お答えいたします。 田中委員からの最初の御質問は、これは的確な表現であったと思いますが、最後の締めくくりのときに、ちょっと急ぎ過ぎたものでありますから、まん中ちょっと飛ばしたもので、十三日の本委員会における田中委員の質疑に対する私の発言につきましては、不適当な表現を用いて、法案を提出する政府としてはどうも姿勢に疑念を持たれるような結果になったことは、心からもう遺憾にたえなく、この点はおわび申し上げます。 ただ、もうそれでいいのでありますけれども、実は、港湾のいろいろな行政の点について、ちょっとそのときも触れましたが、私その専門家であったのでありまして、どうもいろいろ機械化いたしましたけれども、多少旧態依然のところがありますので、行政的にいろいろ調査したい。これははたからすすめられたのでありません。国会におりましたものでありますから、もう一度見たいというので、行政面の点についてなお一そう研究したい。法案そのものはもう労働省が出して、大臣が出したのでありますから、それが固まってないなんということは、これは不穏当きわまるので、私はこれは重ねておわびいたしますが、いろいろこれは現在の接点である労働行政の問題が、先ほど局長からお話があったように、あのときの御質問では納付金の問題、調整手当の問題が赤字だ、赤字だけでこの法案が出たということは、これはもう私は最初からその気持ちではなく、やはり要は港湾を、相当ばく大な経費を使って公共事業なりまたは個人が——スピードアップを船舶はする、その接点が現在のような状態では困る、こういうのでこの法案が提出されたことは、これは間違いないのでありまして、ただ今後これに対しまして、この法案が通りますと、これをもとにいたしまして、あらゆるものが、これはまああのときはちょっとひらめいたのでありますが、完全であるけれども、完全無欠というものは、これはなかなかないのであります。そういう意味でちょっと、ちらっと出たのでありまして、それがはなはだ不穏当な点になりまして、皆さんに申しわけないことをいたしましたが、今後、いま言ったように、やはり不就労の増大ということも、これはあり得べきことでないのでありますが、また事業主のほうは納付金を払うのがどうだこうだというので、いろいろな常套的な、言いにくいことばでありますが、正常に進んでおらぬ、こういういろいろな点がありますので、やはり雇用主側にも責任を持たすし、また労働者も自覚を持って、それに続いて労働者の福祉の問題、その他いろいろなこともこれを拡大強化したいということに特に私は熱意を持っておる関係上、ちょっと寸足らずというか舌足らずという点があった点をおわびいたしますが、いま枝村委員のおっしゃるように、今後法が通りましても、いろいろ行政的には、私はなお一そうの改善をはかるように邁進したい所存であります。前回の申しわけない発言に対しましては、あらためて陳謝をしておきます。
○枝村委員 あなたは、申しわけない発言とか不適当な表現を用いたとか、政府の姿勢を疑われるような発言をしたとかいって、そうしておわびをするというようなことを言っておりますが、私は、それは受け取るわけにはいかないわけなんです。まあ一口で言うならば、あなたの本心を偽るような釈明を認めるわけにはいかないと思っておるわけであります。これは、十三日の答弁は、あなたは加藤汽船の社長をやられたのでしょう。それから港運業者として長い経験の中から、その反省の上に立って労働者の雇用関係とか生活保障をするとか、近代的な労使関係の樹立のためにこの法改正がほんとうに役立つものかどうかという、こういう判断をした結果、それからもう一つは、労働大臣という職務上の観点からしても、決して最善のものではないという本心を言われたのだと私は思うのですよ。そうでしょう。あなた、はいと言われたから、そうだと思うのです。しかるに、いまおっしゃいますような釈明をするに至ったというのは、一体どういうことかということです。きわめて私は判断に苦しむのですよ。これはあなたの本心とは別個に、他からのいろいろな働きかけがあってのこととしか思われない。いまでもあなた、長いことしゃべると隣から道正局長がつついたり手を振ったりしておるとおりです。労働官僚にあなた、してやられておるのじゃないですか。まずそれを答えてください。
○加藤国務大臣 枝村さんの御意見でありますが、それは労働官僚にいろいろせられても、私は確たる信念を持っておって、その信念のあらわれが前回冒頭に申し上げたとおりでありまして、最後の点については、これはいま私が陳謝いたしますと、それは君、本心じゃないんで陳謝したと言われますと、これはほんとうにもう腹の底から、あとのほうは、急ぐもんで途中ちょっと抜けたようなかっこうになっておりますが、決してさような意味でしんから申したのでありません。私は現在は関係ありませんし、いろいろなことはタッチいたしておりませんけれども、やはり雇用主も責任を持つが、労働者の方もやはり自覚して、それでこん然一体となって日本の港湾行政を理想的な姿に持っていきたい、こういう点を特に私が念願いたしておりますので、まあ多少普通の立場と違った、大臣と違った意味から多少行政面でも今後またいろいろ気をつけなければならぬ、こういう意味で申し上げたので、決して先ほど申し上げたのが、横のほうからどうのというふうなことはありませんので、この点はまあひとつすらっと流してもらって、今後いろいろな御意見も尊重して、法案の審議は審議で進められて、また行政面でいろいろ解決することは——これは私、行政面の悪い点は認めるが、法案そのものに対する異論を差しはさむような気持ちは持っておりません。この点だけはひとつ……。私はこういう性格でありますので、思ったことはまあ言いたいほうでありますが、前回は少し途中が、ちょっと急いだもんでありますから抜けましたことを、心からおわびをいたします。この点は枝村さんがいろいろ御推察をせられる気持ち、わかりますけれども、しんから悪かったと思っておるのでありますから、この点どうか御賢察というか、御了承を特にお願いいたします。
○枝村委員 いや、私は、あなたがこの釈明せられぬのなら、これはすらっとまともに受けて、正直に受けて、あげ足とったり何なりをするつもりじゃなかったんです。たとえば政府の姿勢は、これはなっちょらぬとか、あるいは労働大臣はあんなことを言ったからこういう法律は撤回しろなんということは、それは言いませんよ、あげ足をとって。むしろ撤回を迫る場合には正々堂々と、この内容がよろしくないからと言って、そういう形で撤回を迫ります。ところがあなたがこれを釈明するとなると、これはあげ足をとったり下げ足をとったりして徹底的に追及をしなければならぬと思う。なりませんか。むしろ、先ほど言いました、あなたの本心を偽っての釈明であるというようにわれわれはとるのです。そうでなかったら、あなたが今度は開き直ってものを言うなら——あとから冗談半分でものを言ったのですか。ごまかしでものを言ったんですか。あれはそうではないでしょう。まじめに言ったと言ったでしょう。だとすれば、まじめな意思は、あなたが前段に述べられた、それこそいいことばではないけれども、労使一体となってこの問題と取り組まなければならぬ、その立場に立ってものを見たらまだ不十分である、しゃんとしないという気持ちは、それこそ私は一致しておると思うのですよ。だから、そのためにはいろいろ調査したり、あるいは証人を呼んでいろいろここで討議をしてみたり、徹底的に論議をしてみようということになっていくと思うのですよ。そういうあなたの態度を、実はいま釈明によって否定されるようなことに通ずるとするならば、これはたいへんなことだと思う。だから私はやかましく言うのですよ。あげ足をとるという意味じゃないけれども、やかましく言わなくてはならぬ。しかも労働大臣が、国務大臣としての権威を持つ人が、へりからちょろちょろつつかれたり、注意されて、それで変わるようなことはいけない。いまあなたが言われたように、単刀直入に、竹を割ったような男であるとするならば、あくまでそれを通してやりなさい。それであなたが罷免されたら、ほかの人は、歴史に残るいい大臣だとほめますよ。なぜそれをやりませんか。なぜ釈明するのですか。私が誘導尋問したようなことになりましたけれども、あなた方それを用意しておったでしょう。そういうことではいけませんよ。だから私どもはやはり、あなたがそういう釈明をしたことは認められないと同時に、あなたが何ぼそれを否定しても、あなたの言った本心は生きておるというふうに思っております。生きておりますよ、これは。法案の審議を通じて、生きておることを十分生かしていかなくてはならぬ。そして、あなたが言うように、りっぱな法改正に結びつけていかなくてはならぬ。こういうふうに思っておるところであります。 そういう意味で、一ぺん言うた釈明を撤回せいというのも無理かもしれませんが、あなたの本心、十三日に田中覚委員の質問に答えた内容についての精神は変わらないということについて、もう一ぺんはっきり答弁していただきたいと思います。
○加藤国務大臣 これはまあ、そう言われますと私も困るのでありますが、あのときの答弁は、実際私も心からしまったと思っておるし、本心でないのに、ことばのあとの続きをちょっと急いで飛ばしたのでありまして、法案がどうも悪いとか、そういうようなことは言っておりません。港湾行政が画期的な問題であるから、これは私も完全と思っておりませんが、世の中に完全無欠というものはありませんのですから、そういう意味でよりベターなものにしたい、こういう意味でなお一そう研究して、行政的に改善指導するべきものがあれば、実地を何十年か見ておりませんから、よく現実の姿と昔の姿を一これは見なくても大体想像はつきますけれども、なお一そう現場も十分見たい。ことによっては個人的な立場で、ひまがあれば一、二カ所は見て、事業主も大事でありますが、労働者の立場もわかりますので、行政指導の面でこれをなお一そうよくしたい、こういう面からの発言でありまして、この点いろいろ言われますと——いま言っておるのがほんとうの気持ちでありますし、あの当時もこの気持ちで言ったのであります。ちょっとことばの足らぬところがありました点をおわびいたしますが、こういう意味でありまして、私、今後法案そのものだけでこれがよくいくとは思いません。やはり法案を生かすのには行政面の指導も大事でありますので、この点、各方面のいろいろな御意見を聞いて、なお一そう完全なものにしたい。こういう意味で申し上げたので、この点は、御不満な点がありましょうが、どうかひとつ御了解を賜わらんことを特にお願いいたします。
○枝村委員 最後に一言言っておくのですが、先ほど言いましたように、やはりあなたの本心はどこまでいっても生きておるとわれわれは解するのです。あなたは、ことばが足らなかった、舌足らずで誤解を招いたから陳謝するということを言われておるのですけれども、その態度はやはり、受け取り方によっては、ここで冗談半分にそういうものの言い方をしたというふうに受け取られてもしようがない。そうだとするならば、労働大臣としてきわめて軽率な、むしろ重大な失態だというように言われてもしかたがないのではないかと思うのです。それで、きょう訂正されることによって責任が済んだなんて思っておられたらたいへんなことでありまして、もう少しきついことばでいえば、本委員会を軽々しく考えておる、こういうふうに言われてもしかたがないと思っておるのです。ですから、あなたは、そういう意味で重大なる責任を感じて、これからの法案審議に対しても、自分の本心を偽らないように、そしてりっぱなものにしていくために最善の力を尽くされるように特に要望して、この項の質問を終わりたいと思いますが、何か返答がありますか。
○加藤国務大臣 なかなか含みのある御発言を承って、心から感激いたしました。港湾行政の問題につきましても、御趣旨の点をよく体して、なお一そう懸命な努力をいたしますということを申し上げておきます。
○枝村委員 まだ少し時間があるようですから、本題の一部に入っていこうと思うのですが、共同雇用体制という概念と実際的方法について、労使の意見の相違が非常に目立ってきておるように思っておりますし、われわれも、この港湾労働法の改正についていろいろ調査してまいりまして、まさにその意見のすれ違いが明確にされておることを知ることができました。 そこで、今回の法改正提案に至るまでの経緯について明らかにしてもらいたいのでありますが、政府は、この法改正準備段階で港湾労働者代表は賛成していたのに、四十八年二月三日の中央職業安定審議会の審議段階から反対するようになったのは理解しにくいというようなことをいっております。一方労働者側は、これを謀略的宣伝として反撃しているのでありますが、この間の事情をひとつ説明していただきたいと思います。
○道正政府委員 今回の法案作成にあたりましては、昨年十一月に出されました港湾調整審議会、港調審の建議を極力といいますか、われわれとしては可能な限り尊重して作業をしたつもりでございます。建議の冒頭にも「事業主団体による共同雇用体制と近代的労使関係を基盤として」ということが明記されておりますが、その趣旨に沿って立法作業をしたつもりでございます。 確かに、共同雇用の理念はいいといたしまして、どういう形でそれを具体化するかにつきましてはいろいろ意見がございましょう。それから国によっても立法例も違っております。これはそのとおりでございますが、少なくとも十一月十七日の港調審の建議、それを聞いての一月十二日の中央職業安定審議会の建議、これはいずれも満場一致でございましたし、この点について異論はなかったわけでございます。ただ、その後法案を最終的に中央職業安定審議会に諮問いたしました段階で、御指摘のような労働側からの反対の御意見があったことも事実でございます。私ども、理由がわからないというふうに先生おっしゃいましたけれども、そういうふうに考えませんで、労使関係というのは生きものでございますので、いろいろ時代の推移に応じて変化があるのも当然かと思います。したがいまして、私どもといたしましては、関係の組合の皆さんの御意向、これは十分承りたいと思っておりますけれども、この建議に関する限りは労働者を含めての審議会の御意見、これを十二分に尊重したつもりでございます。
○枝村委員 きわめて簡単な説明ですが、しかしあなた方のいろいろな、労働者側から言わせれば謀略的宣伝というものは、そういう簡単なものじゃございませんですよ。これは労働者側のほうがまるっきり変節もいいところだというような言い方をされておるわけなんです。だとすれば、やはりよほどの何か根拠があってのそういう宣伝だと思うのです。まあ、あなた方からすれば、腹に据えかねたことだからそういう宣伝をされるのだというふうに理解されるが、腹に据えかねたほど、労働者側がその建議の段階まで協力しておりながら、いわゆる中央職業安定審議会から変わってきたということについては、やはりいまだけの説明ではあまりはっきりしませんですな。むしろこの際ありったけのことを、やはり包み隠さずに、労働大臣のように、言われたほうがいいのではないですか。じょうずのことを言うよりもはっきり言って、そして意見のすれ違いがどこにあったかという点を明らかにしたほうが、この法改正がされるかされぬかは別にして、本来の港湾労働法の将来の目的のためにもたいへん役立つのではないかというように考えております。まあいずれわれわれもこの審議を通じて明らかにしていきますけれども、あなた方もそういう気持ちで臨んでもらいたいと思にますから言っているわけなんですけれども、もう少し答えられるものは答えてもらいたい。
○道正政府委員 御指摘のように、また十一月十七日の建議でも言っておりますように、事業主団体による共同雇用体制と近代的労使関係を基礎としてということが骨子でございます。すなわち、この法律改正によりまして事業主の団体ができたといたしましても、それをささえるのは何といいましても労使関係でございます。その片一方の当事者である組合の皆さんに、現実の問題としていろいろ御意見があるということは不幸なことであると同時に、法律を改正いたしましても運用上いろいろ問題が出てくることも、これはもう十二分にあり得ることだと思います。ほんとうの趣旨を生かした運用ができるかどうか、私は疑問だと思います。そういう意味ではわれわれも懸命に努力をいたしまして、組合の皆さんとお話し合いをして問題の解決につとめる用意はございますが、いずれにいたしましても、組合の皆さんの御主張は十二分に承りまして、私どもの足らないところがあるならば、これは反省もいたしたいと思っております。
○枝村委員 逐次そういう問題についても意見のすれ違い、相違を明らかにしていきますけれども、時間の許す限りちょっと言わせてもらいますと、労働者側は率直に言って次のようにとらえているのですよ。四十五年の十一月における総理府の共同雇用の理念の答申、そして四十六年の全港湾と日本港運協会との中央交渉における就労保障体制をめぐる団交までは、政府の態度が登録日雇い港湾労働者に対する不安定就労を克服し一定の就労確保をはかるかに見えた事実をそれなりに評価しておるのです。それから四十七年十一月の港湾調整審議会における共同雇用体制の確立という問題提起も、一定の価値あるものとして見てきておるのです。労働者側のほうは決して初めから大きな意見の相違、対立点があったとは一つも言ってないのです。それこそ正直に言っているんですね。こういうふうに労働者は言っているし思ってもおったんです。ところが実際にその中でいろいろ労働者側の意見もかわされたというのは具体的にありますが、それが全部受け入れられたこともないということも、われわれはこちらにちゃんと資料がありますけれども、それはそれとして、今回提案された改正案は労働者の期待を、まあ労働者側から言わせれば、こっぱみじんに打ちくだかれた、こう言っておるのです。だからどうしても認めるわけにはいかない。そうして幾つかの問題点を含んでおるんだ、こういうふうに言っているんです。ですから、いま答弁されたようにさらさらと行って、ぱっとどこかで意見が分かれたという、意見が分かれたというよりは、むしろ突然態度が変わったというしろものではないわけなんです。ですから、この事実はやはりあなた方も認めねばならぬと思うんですね。まだここでは、あと時間がありませんから言いませんけれども、道正局長がどういう発言をしたかということも明らかにされるでしょうし、それから建議の中でいろいろ討議する中でたいへんいいことも言われたし、建議そのものもやはり、あの文章なんか見れば、たいへんいいことが書いてあるのです。欧米諸国にやはり学ばねばならぬと言っております。こういうことが、ではこの法改正の中にあらわれてきておるかといったら、私は必ずしもあらわれてきていない。共同雇用体制というものも、必ずしも取り入れられてはおらない。欧米に取り入れられたものがそのままこれに適用されておるかといったら、そうでもない。改正法文そのものの中にも共同雇用なんという法文章なんかも一つもないでしょう。共同の責任というのが一カ所あるだけですよ。そういうのをいろいろ見てまいりますと、労働者がいまの審議過程の中でいろいろ要求してきた、希望してきた、期待してきたことは、一つもこの法改正の中に入れられずに、こっぱみじんにそれこそ打ちくだかれたと思ってもしかたがない事実だというようにわれわれは見るわけです。どうですか、その点について。
○道正政府委員 共同雇用の理念で考えるべきである、共同雇用の理念の上に立って考えるべきであるということについては、関係者の間に異論がございませんでした。現在でも私はないと思います。ただし、共同雇用の理念に立ってそれを具体化する場合に、いろいろなやり方があるであろう。外国の例等も論議をされました。外国の例につきましてはいろいろニュアンスの差がございます。しかしながら、結論といたしまして建議で書いておりますることは、先ほど来申し上げておりますように、事業主団体による共同雇用体制を確立するのがよかろうと、こういう建議になっております。現行法のたてまえでは、非常に大きな広い意味では共同雇用的な理念が根っこにあると思いますけれども、やはり安定所は雇用には介入しないであっせんをする、それを雇うか雇わないかは事業主と労働者との間の問題だ、こういう仕組みになっております。それを共同雇用の理念をさらに突き詰めて常用化を促進したほうが手っとり早いじゃないかという議論もございますが、これは港湾労働の特殊性からいって、やはりどうも一挙にできないだろうということになりますと、現行のたてまえと完全な常用雇用との中間的な考え方として、今回御提案申し上げました事業主団体による共同雇用的な体制、これが望ましいというのが建議の骨子になっているというふうに私は考えまして、その建議にわれわれとしては忠実に従って立法をしたつもりでございますので、この点について、基本的に建議の趣旨からはずれているというおしかりは私はどうも当たらないのじゃないかというふうに実は考えております。
○枝村委員 共同雇用の概念とか実際的な方法については、次回からひとつゆっくり審議をするようにいたしたいと思います、きょうはやめますけれども。いずれにしても、ここに大きな意見の相違なんかがありますので、先ほども言いましたように、これを明らかにする必要があろうかと思います。明らかにすることによって港湾労働者の雇用の安定と福祉の増進、生活権の保障を目的とするいわゆる港湾労働法が、今後どのような形になろうとも生かされていくということになるからでありますが、いまも言いましたように、それに時間をかけて十分その障害を取り除いていかなければならぬ、それがいわゆる政治であるし、同時に近代における正常な労使関係の樹立につながるものだ、このように考えております。 そこで委員長、私のきょうの持ち時間はこれで大体終わったのですが、それできょうはこれで留保して、あらためて次回から質問をやり直していくということにしたいと思いますが、いいですか。
○竹内(黎)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時四分散会