社会労働委員会 第15号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/04/13
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 川俣健二郎君外九名提出の国有林労働者の雇用の安定に関する法律案を議題とし、その趣旨の説明を聴取いたします。川俣健二郎君。
○川俣議員 私は提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有林労働者の雇用の安定に関する法律案について、その提案理由と内容について、御説明申し上げます。 現在、二十万人に及ぶ山林労働者は、人里離れた山奥で家族と別れ、昔ながらの封建的身分差別と非近代的な労働条件に苦しみながら、森林資源の造成、木材生産に従事しているのであります。しかし歴代保守政府の進めてきた高度成長政策は、山林労働者をも一そうの貧困の谷間におとしいれ、近代文化の恩恵に浴することもなく、生活の近代化は望むべくもない状態に放置されているのであります。すなわち、これらの労働者の賃金は、依然として人間としての健康な生活を維持するにはほど遠い状態であり、労働条件を規定した労働基準法の中心的規定であります労働時間、休日休暇の規定は、その適用が除外されているのであります。したがって、これらの労働者は、低賃金構造との関連で、今日もなお長時間労働が強要されている状態であります。 わけても国有林労働者は、国有林に専業的に働き、その生計を国有林に依存し、二十年、三十年の勤続表彰を受けておりながらも、林野庁当局の「降雪、積雪を理由」とする休業のため、毎年首切りが行なわれているのであります。その結果、毎年三カ月から六カ月にわたって失業するという状態が繰り返され、国有林労働者の身分、生活を極度の不安におとしいれているのであります。 しかも、これらの国有林労働者は、定員内職員、常用作業員、定期作業員、臨時作業員という雇用区分によって、その労働条件に大きな格差が設けられているのであります。このような国有林労働者の差別支配を強行しているのが、国有林を管理運営する林野庁という名の政府機関の一部であることは、私のもっとも遺憾とするところであります。 しかも、国有林の経営、管理のための基幹的な作業は、いわゆる定員外の作業員によって担われているのが現状でありまして、いわば国の恒常的な業務が臨時的な雇用で処理されているわけであります。 ILO国家公務員専門家会議は「恒常的な職務を遂行するため必要とされる職員は、常勤として採用されなければならないし、その間といえども常勤と非常勤との間の法的身分の違いをもって、賃金や労働条件全体について差別の理由とすべきでない」という報告をしております。したがいまして現在、林野庁が行なっております労働政策は、このILOの見解にも全く反しているのであります。 このような国有林労働者の現状にかんがみまして、これらの労働者の雇用を継続させ、その雇用と生活の安定をはかる必要があると考えるのであります。これがこの法律案を提出する理由であります。 次に、この法律案の概要について説明申し上げます。 まず、国は、国有林労働者として前年度及び前々年度において、それぞれ継続して六カ月以上雇用された者、また前年度において継続して十二カ月雇用された者については、当該労働者が希望するときは、これらの労働者を常時雇用する国有林労働者として雇用しなければならないもの、といたしました。 第二に、国有林労働者が一年を通じて労働することができるようにするため、国はできる限り、国が直接実施する国有林野事業の事業量の増大及び作業量の平均化をはかる義務があることを明らかにいたしました。 第三には、国は、前年度において継続して六カ月以上国有林労働者として雇用された労働者で、常時雇用の国有林労働者の対象とならなかった者については、当該労働者が希望する限りは、次年度においても再雇用を保障する義務があることといたしました。 第四には、常時雇用される国有林労働者が、降雪または積雪のために休業せざるを得なくなった場合には、国は、労働基準法第二十六条の規定にかかわらず、特別休業手当として、平均賃金の六〇%以上の手当を休業期間を通じて支払わなければならないことといたしました。 以上が国有林労働者の雇用の安定に関する法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。 ————◇—————
○田川委員長 港湾労働法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 申し出がありますので、これを許します。田中覚君。
○田中(覚)委員 私は提案されております港湾労働法の一部改正について、若干の質疑をいたしたいと思います。 まず第一に、法案の内容に入ります前に、港湾労働に対する労働大臣の基本的なお考えといいますか、そういったものをひとつぜひ伺っておきたいと思います。と申しますことは、貿易の依存度、したがってまた海上輸送に依存することのはなはだ多い日本の経済にとりまして、港湾はきわめて重要な役割りを果たしておりますが、わけても港湾労働は海陸の輸送の接点として欠くことのできない重要な部門であります。しかるに、この港湾労働の実態はどうかといいますと、国際的に見ましても、また国内における他産業と比較をいたしましても、はなはだしく立ちおくれて近代化ができておらない、こういう点がきわめて顕著であります。ことに、最近の輸送革新の進展に伴いまして、埠頭のコンテナ化あるいは埠頭の専用化、あるいは作業の省力化、機械化、こういった事柄が急テンポに進展をいたしておりますが、これらは在来の肉体労働を中心にいたしました港湾荷役をいわゆるオペレーター的な熟練労働に変えさせるといいますか、そういった深刻な影響を及ぼしつつあるようでありますが、これに対応する新しい港湾労働の体制というものがこれまた立ちおくれておる。したがいまして、こういった情勢の中で今後港湾労働の近代化をどのように進めていかれようとしておるのか。わけても日雇い港湾労働者の将来というものは一体どうなるのか、この展望を含めまして、これまで港湾労働の近代化のおくれておる基本的な事情等についての大臣の御所見をまず伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 田中議員からのお説ごもっともであります。海陸の接点ということばはほんとうに適切でありまして、御承知のように海の関係では、相当大型船であり、相当これがスピードアップ、相当近代化が進展し、そしていろいろ輸送経路も御指摘のとおり近代化されております。陸上のほうもこれに相応いたしまして、高速道路、またいろいろな関係がこれまた時代に適応したように陸上輸送が転換いたしております。そのコネクションポイントである港湾荷役の重大性はもう御指摘のとおりであります。ところが接点すなわちこれがネックポイントとなる可能性もこれは大いにあるのであります。私は労働大臣をいたしておりますが、議員に出たときにも私自体が業者として多少この問題を担当した体験も持っておりますので、痛切に私、田中議員からの御指摘のような点を痛感いたしております。これが従来、古いときは運輸省管轄であったのでありますが、当然労働者でありますから、これは労働省の管轄で改善をはからなくちゃならぬ。要するに、どうもこの近代化がおくれておりますのは、基本的には御承知のように港湾荷役は波動性がある。そしていろいろ自然的、社会的関係の特殊性があります。これが一つの言いわけではありますけれども、かようなことではこれは理由になりません。また、事業主がいろいろなほかの面と比べまして脆弱である、こういうような点から考えまして、雇用の不安定並びに長時間労働、労働災害、この災害の点は、私も現実に衝に当たっておるときには十何人死亡した現実の姿も見ております。この改善もまだなされておりません。いわゆる作業の近代化に基づいて、やはり労働者の災害の問題だとか福祉の問題、住宅の問題かような問題を、労働省が担当したのでありますから、これを時代に即応したようなことを大いにやらなくちゃならぬと思います。特にいま申し上げましたような、労使の関係も前近代的であったことも間違いありません。これに対処いたしまして、労働省としては、昭和四十年に港湾労働法を制定いたしまして、これに基づいて港湾労働者の雇用の完全な安定並びに福祉の増進、そして作業の近代化、時代に即応したようなことをやらなくちゃならぬことは、もう当然であります。しかし、しからば、それがうまくいっておるかといわれますと、まだ——これは専門的というか、多少そのポイントのほうに入っていきますけれども、登録日雇い労働者の不就労の増大、並びにやみ雇用や擬装的な常用雇用の問題、並びに調整手当の赤字の問題等があります。また港湾荷役の雇用がうまく確保できておるかといえば、これもまだ完全の域に達しておらない。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 かようないろいろなネックがあり、いまのいままで放置することは、日本の経済にとって、貿易にとって国民生活にとって重大な関係がありますので、何とかこの際、労使関係並びに労働省も反省してこれに対する対策を講じなくちゃならぬという段階である、私はそう考えております。
○田中(覚)委員 労働大臣の基本的なお考えを伺ったわけでありますが、得に港湾労働の近代化がおくれておる一つの理由として、港湾労働の特殊性、いわゆる波動性を持っておるとか、あるいは災害が起こりやすいとか、あるいは長時間労働であるとか、そういうようなことが一つの原因になっておるということは、私もよく理解できるのであります。しかし、この港湾労働の近代化の立ちおくれは、そのような港湾労働の本質に根ざす問題ばかりでなく、港湾運送事業の非近代性といいますか、いわゆる零細業者の乱立、あるいは下請業者をかかえておる二重構造等々の、このような非近代的な経営のあり方というものが大きく原因をしておるのではないかというふうに思うのであります。したがいまして、港湾労働の近代化をはかるためには、いまお話しのような港湾労働法の制定等による措置をとることももちろん必要でありますが、それに関連をいたしまして、同時並行的に港湾運送事業の抜本的な改革を企図することが必要ではないか。そのために、要すれば、港湾運送事業法の改正なども当然検討されるべき問題ではなかろうか、かように考えるのでありますが、この点につきましては、運輸省から来ていただいておりますが、まず運輸省のお考えを伺いたいと思います。
○岡田説明員 わが国の港湾運送事業につきましては、これまで集約化の促進等やってまいりましたけれども、零細が多いのは事実でございまして、またその前近代性等についても、巷間いわれているものが多分に多いことは事実でございます。ただ、業界におきましても、かなりその体質というものは変わりつつございます。たとえば昨年以来初めて、労使間において中央交渉というものが行なわれておりますし、そしてたとえは労働時間の短縮でありますとか、そのような一部の問題につきましては先般意見の一致を見ておるような状況でございます。 わがほうといたしましても、たまたま昨年運輸政策審議会におきまして新しい港湾運送事業につきましてそのあり方が答申されたわけでありますが、その中におきましても やはり港湾労働の安定的確保、そのための港湾労働条件の抜本的な改善ということを強く訴えまして、そのための利用者の理解等を幅広く答申をいただいておるわけでございます。したがいまして、私どももこのような現在の労使交渉の成果等を注意深く見守りまして、その成果につきましてはできる限り実現をするよう努力いたしたいと思います。 一方、いま港湾におきまして大きな技術革新が進行していることは事実でございます。そのような客観条件の変化に対応いたしまして、港湾運送事業法につきましてもいろいろと改正を要する問題があることは事実でございまして、ただいま先生の御指摘のありました二重構造の問題でありますとか、あるいはその他いろいろ業種別区分の問題等幅広く今後改正する方向で目下検討を進めておるわけでございます。
○田中(覚)委員 港湾運送事業法の改正について、具体的な何かお見通しがあればお聞かせいただきたいと思います。
○岡田説明員 問題は非常に幅広く、波及するところが多い関係もございまして、ただいまのところまだ成案は得ておりません。
○田中(覚)委員 いずれ近くこの改正に踏み切られるわけだと思いますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○岡田説明員 客観的に見て、改正の必要性があることは事実でございます。ただし、それが近くというと、その近くの、いつということにつきましては、まだちょっと今後の作業の進行状況を見ないとはっきりとは申し上げられないと思います。
○田中(覚)委員 はっきりしたお答えがないようでありますが、何ゆえにそのようにちゅうちょしておられるのか、具体的な事情がよく私にはわかりませんけれども、将来やはり港湾運送事業法の改正については運輸省もひとつ真剣に取り組んで、できるだけ早くこの改正に踏み切って、港湾労働の近代化にもその面からぜひ寄与していただきたい。このことを強く要望しておきます。 それから次に、ただいま労働大臣からちょっとお答えをいただきましたが、そしてまた運輸省のほうからもお話がございましたけれども、この運送革新に伴うこれからの港湾労働のあり方といいますか、あるいは見通しに関連をいたしましてもうちょっと伺っておきたいと思います。 それはほかでもございませんが、これからの港湾労働というものは、だんだんと専門的あるいは熟練的な労働がそのウエートを増すのではないかというふうに思われますが、そういう情勢の中で、従来からの肩を使う肉体労働、これを中心にいたしました港湾荷役というものは一体どういうことになっていくのか。もっと端的に申しますと、従来の港湾荷役というものは減少の一途をたどっていくのか、あるいはなお増加の可能性があるのか。それに関連いたしまして、特に日雇い港湾労働者の将来の展望というものをどういうふうに持っておられるのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
○道正政府委員 御指摘のように、港湾におきまする近代化が私ども想像以上のスピードで進んでおります。それに伴いまして、当然のことながら労働力の面につきましても量、質両面にわたりましていろいろな影響を及ぼしております。 まず量的に見ますると、港湾の荷役の省力化によりまして、荷役量自体はかなりふえているにかかわらず、常用雇用は横ばいの趨勢にございます。 それから質的に見まして、荷役の機械化が進みました関係で、近代的な技術を必要とする労働力、いわば質の高い労働力の需要が増大いたしまして、反面いわゆる肩、かぎという在来の荷役部門の労働者に対する需要は減ってきております。全体といたしまして日雇い労働者は、法制定当初約 一万五千名おりましたけれども、現在は五千名を割っているのが現状でございます。 こういう非常に著しい港湾輸送の近代化の中にあって、そのまま放置いたしますならば、私だけでなく、労使はじめ関係者の御認識もそうでございまするけれども、港湾労働は、極論いたしますると壊滅するのではないかという危機感を関係者はお持ちになっているわけでございます。そういう意味でかなり時間をかけまして、港湾調整審議会その他関係の審議会で御審議をいただきまして、新しい時代に即応する港湾労働のあり方について建議もいただきまして、今般その建議の線に沿いまして所要の改正案を御提案申し上げているわけでございまして、この法律が幸いにしてお認めいただけますならば、今後の港湾労働にとって非常に大きな意味を持ってくるんじゃないかというふうに考える次第でございます。
○田中(覚)委員 ただいまお答えをいただいたような事情を背景にして港湾労働法が制定をされ、また今回その一部改正を企図されておるわけだと思いますが、港湾労働法が制定をされまして以来今日まで数年間の運営を通じまして、具体的に一体どのような成果をあげられたのか。ことに公共職業安定所の登録を通じて日雇い港湾労働者の雇用の安定をはかる、これを大きな目的にされたようでございますが、大臣も提案説明で述べられておりますように、せっかく登録した港湾日雇い労働者の就労状況は、むしろ逐年悪化をしておる。そのことはひいては港湾労働法の制定の目的である港湾労働者の雇用の安定につながっておらぬ、こういうことを率直に述べられまして、これが今度の法律改正の主要なる理由であるというふうに私どもは受け取ったわけでございますが、結果的にうまくいかなかった。そのいかなかった具体的な事情を、この改正法案の必要性なりあるいはその当否を判断する資料として、もう少し具体的にお述べいただきたいと思います。
○道正政府委員 昭和四十年に現行港湾労働法が制定されましてから、登録制度を中心に日雇い労働者の雇用の安定にそれなりの効果を与えてきているというふうには思います。たとえば常用化がかなり進展をするとか、あるいは住宅その他の施設の整備もはかられるとか、あるいは労使関係もそれなりに改善されるというような、かなりの改善は行なわれてきているというふうに考えますけれども、しかしながら現行の、職業安定所が登録をいたしまして、求人に応じて企業にあっせんを申し上げるという体制でございますと、どうしても雇うほうの企業側から見ますると、自分のところの労働者だという意識を持ちにくいわけでございます。求人は出したけれども、どういう労働者が来るのか来てみないとわからないというような不安がございます。そういうことが基本にございますことと、先ほど来御指摘の、機械化、省力化が進んでおりまして、需要量が減っているという面もございます。それからこれは全部とは申しませんけれども、やはりたとえば雨の日になると出頭が多くなる。要するに、雨になりますと需要が減るということを想定して、いわゆるあぶれ手当を受給することを目的とされる方も事実の問題として私はあろうと思います。いろいろな理由が相まちまして、現在は遺憾ながら非常にあぶれが高いのでございます。法制定当初は、平均いたしまして月の不就労日数は四・三日程度だったわけでございますけれども、逐年ふえまして、四十六年、四十七年にはこれが十日以上になっているという状況でございます。 あぶれ日数がふえますと、それに伴いまして不就労手当というのを出します。これは使用者側の負担が財源になっております。そういうことでいわゆる納付金というものもふえていくわけでございまして、四十七年度の実績で申し上げますると、日雇い労働者一人を雇うために、通常の賃金のほかに五百九十円の納付金を納めなければいかぬということになっておりまして、そういうことが悪循環になりまして、ますます安定所から紹介する登録日雇い労働者を雇いたくないということになってきておりまして、雇用調整手当の収支も大幅な赤字になっておるわけでございます。 私は、金の問題は何とかすればいいじゃないかというふうにも思いますけれども、とにかく現在の日本におきまして十日以上もあぶれ、不就労というような労働者が何千人もいる、しかもそれが政府の関与によってなおかつそういう状態であるということは、私は、労使の問題でもございまするけれども、政府としても放置できない問題ではないかというふうに思うわけでございます。先ほども申し上げましたけれども、この点についての御認識は労使はじめ関係者全く同じでございまして、このまま放置できないということで、今回関係審議会の御建議も得まして、その線に沿って改正を御提出申し上げた次第でございます。
○田中(覚)委員 今回法律政正をせざるを得ない具体的な事情をただいま承ったわけでございますが、一応質疑を前進をさせまして、港湾労働法の一部改正の内容についてお伺いをいたしたいと思います。 その中で、いろいろポイントがあるようでございますが、一つの大きなポイントは、今度の改正法で地区港湾労働協会というものの設立を企図しておられることがきわめてきわ立った特異な措置であるように思いますので、まずこの点についてひとつお伺いをいたしたいと思います。 この改正法律案によりますと、地区港湾労働協会というのは、政令で指定する港湾ごとに関係の事業主をもって構成をされる団体であるということが明らかになっておりますが、その行なら機能は、これ事公共職業安定所長が実施をいたしておりました日雇い港湾労働者の登録であるとか、あるいは紹介であるとか、あるいは労務の需給調整に関する事務を、公共職業安定所にかわって行なうものとして規定をされております。言うなれば、この地区港湾労働協会は、この法律によりまして、いわば行政機関的な性格といいますか、資格を付与されるというふうに理解をするわけであります。ところが、この地区港湾労働協会はあくまでも事業主の団体でありますから、一種の業者団体である、こういう業者団体に国の日雇い港湾労働者にかかわる事務の実施機関というような権能を与えるということは、従来労働行政その他の面におきまして一体前例があるのかどうか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○道正政府委員 一般的に申しまして、雇用形態といたしましては日雇い形態よりは常用のほうが望ましいわけでございます。港湾労働法の施行に伴いまして、いままで日雇いで働いておられた方々がかなり常用化された、これは事業主のもとに常用として雇用契約を結んで入っていくわけでございます。今回御提案申し上げておりまするのは、いわば現行の制度と完全な常用との中間的な形態でございまして、私どもといたしましては、日雇いよりは一歩常用のほうに近づいた雇用形態といいますか制度だというふうに考えるわけでございます。 なぜそういう中間的な制度を考えるかと申しますと、ほかの業界でございますならば、常用のほうがいいんだ、日雇いや臨時は困りますから、必要な労働力はどんどん常用化しろということを強力に指導助長できるわけでございますけれども、港湾労働につきましては、本質的に波動性があるということで、全部の労働者を常用化いろということはできないわけでございます。したがって、その中間的な共同雇用体制的な制度を今回考えたわけでございますが、これはむしろおそきに失しているわけでございまして、欧米先進諸国におきましては、通常こういう事業主団体による共同雇用体制がとられておるわけでございます。これは、港湾労働の本質から来るものとして、そういう形をとっている国が多いわけでございます。 十一月十七日に出ました建議におきましても明記されておりまして、港湾労働者の就労機会の確保と労働条件、労働環境の改善をはかるため、事業主団体による共同雇用体制を近代的労使関係を基礎として行なうべきであるということを明記されておるわけでございまして、その趣旨は先ほど来申し上げましたようなことが根底にあり、かつ欧米諸国におきまする立法例等も参考にしたわけでございます。 お尋ねのように行政事務を一部こういう形で事業主団体に移すという例は、たとえば技能検定協会が国の行なう事務の肩がわりをするというようなものが、労働法の中にもございます。また各省の立法例にもございますが、今回の改正が非常に大きな改正であるということは御指摘のとおりでございます。
○田中(覚)委員 外国にその例が相当あるというお話でございますし、技能検定協会などもそうだというお話がございましたが、ただこの場合は労働者の登録だとか、紹介だとか、需給の調整だとか、労働者の利害にかかわる問題だけに、こういう業者の団体にそういう性格を付与するというところに若干問題があるのじゃなかろうかというような感じがいたしましたので、お尋ねをいたしたわけでございます。 しかし、いまお話しのような事情でおつくりになられたわけでございますが、この協会の組織によって、この改正法案のねらっておる日雇い港湾労働者の雇用の確保だとか、あるいは生活の安定だとか、そういったことがはたして確保できるかどうか、ことにもうあぶれが十日以上にもなっているというような現状に対しまして、今回の改正措置によって具体的に、たとえばどの程度まで就労を保証できるか、具体的な計画なりお見通しがあれば伺いたいと思います。
○道正政府委員 御指摘のように、国が従来行なっておりました登録、紹介の事務を肩がわりさせるわけでございまするから、当然そこに規制がなければならないと存じております。 まず各港ごとにできまする地区協会におきましては、雇用調整規程というものを定める。これは関係の労働者の意見を開いて定めるわけでございますが、労働大臣の認可を必要とする。労働大臣が認可するにあたりましては、関係審議会の意見を聞く。関係審議会の中には、当然のことながら関係労働者の皆さんの御参加も得ているわけでございます。そういうことで、手放しで自由にやってよろしいというシステムにはいたしておりません。 この雇用調整規程の中に日数は明定されておりませんけれども、従来の雇用調整計画等の実積から申しますと、たとえば月十六日の就労を確保するということを私は明示してもらいまして、そういう前提で認可をするというふうに運用してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、いままでと違いまして、自分たちの責任で、自主的に共同の責任で運用するということになれば、私は十六日の就労確保は、いままでと違って、不可能ではないというふうに考えているわけでございます。
○田中(覚)委員 労働大臣の監督、あるいはまた監督にあたって関係審議会の意見を聞く、その関係審議会には労働者の代表も参加してもらっている。したがって一方的な運営にはならない、こういうお話でございましたが、百尺竿頭一歩を進めて、この協会にたとえば労働者の代表も参加をしてもらって、これで共同の責任をひとつ持ってもらうというようなことはできないものでございますか。
○道正政府委員 先ほど来申し上げておりますように、事業主の団体による共同雇用体制というのだたてまえでございまして、雇用関係に準じた扱いをしていこうという趣旨から申しまして、何らかの形で労働者代表の意見が運営に反映されることは必要であろうと思いまするので、先ほど来申し上げましたようないろいろな段階ごとに労働者の意向が反映されるようなシステムはとっておるつもりでございますけれども、事業主団体の中に労働者代表を入れるということになりますと、責任の所在が不明確になるというふうに考えますので、この改正におきましてはそういうシステムをとっていないわけでございます。
○田中(覚)委員 時間がございませんので終わりたいと思いますが、最後に一つだけ伺っておきたいのは、この改正案に対しまして全国港湾労働組合などは反対であるというふうなことを仄聞いたしておりますけれども、また一方におきまして、この改正案の原案になりました港湾調整審議会の答申、建議書、これについてはあまり反対がなかったというようなことも聞いております。にもかかわらず、これが反対であるということは、この改正案は、大臣の提案説明の中で、建議の趣旨を十分尊重してつくったといわれておりますけれども、何か大筋において取り入れられてないところがあるのじゃないのか。あるいはもっと労働組合の理解と納得を得るような努力をされるべきではなかったかというような感じがするわけでございますが、この点についてのひとつ大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○道正政府委員 従来の経過がございますのでちょっと御説明申し上げまして、後ほど大臣からお答え申し上げます。 繰り返しになりまして恐縮でございますが、港湾労働の現状を見まして、このまま放置できないという危機意識の点におきましては、労使、船主、荷主、私ども、運輸省をはじめ行政当局、全く同意見でございましたし、あえて言わしていただけますならば、一番問題だというふうに御指摘になったのは労働組合の代表の方々でございました。それで約一年近く港湾調整審議会の場で甲論乙駁やりまして、十一月に案がまとまったわけでございますが、それまでの間におきまして一番御意見を開陳になりましたのも組合の代表でありましたし、最初の段階でその建議の取りまとめに御努力いただいたのも実は組合であったわけでございます。 私どもは、そういうことででき上がった建議でございますので、これを忠実に法文化したつもりでございます。ただ、やはり労使関係は生きものでございますので、いろいろ事情変更等があるのはこれはやむを得ないと思います。したがって労使がそれぞれ現在においてはいろいろ御意見をお持ちになるということも、私はだから不当であるというふうには言うつもりはございません。私どもといたしましては、建議の線を十分尊重して法案を出したつもりでございますけれども、現在の段階において組合の皆さんの一部に御異論があることも承知いたしておりますので、関係の組合とも機会を得て問題点を詰めることは今後とも努力をいたしたいと思います。
○田中(覚)委員 まだ実はお尋ねしたいこともございましたけれども、時間がございませんのでこれで質問を終わりたいと思います。 最後に、重ねて、労働組合の理解と納得の得られるように御努力をいただいて、せっかくつくったこの改正法律案が円滑に実施され、成果があがるように、ひとつこれは御努力をいただくようお願いしておきたいと思います。
○加藤国務大臣 冒頭に私御答弁いたしたように、大臣でありますけれどもこのほうの専門家であった場合もあるのであります。そういうような関係で、労使の関係、これは十分よくわかっております。ところが、だいぶん関係したのが前でありますので、最近の港湾の情勢を見たいと思いまして、実はこの委員会が始まる前に調査したかったのでありますが、予算委員会の関係その他でおくれまして、十六日に横浜へ行って、最近の、私が担当しておったときよりいかに変革を来たしておるかということを実地に調査いたしまして、これは役所のほうで大体基本的に改正案を出しておるのでありますが、いろいろな点は労使の関係を私も大臣として十分考慮して、必ずしもこれがもう最善、こういうかたい信念もまだ固まっておりません。そういう意味で、やはり委員の方々の……(発言する者あり)これはもう話で、これはほんとうのことを申しますが、(発言する者あり)ちょっと待ってください。いろいろ最善の、なお最善のことがあれば、私はこれはいろいろ考慮する必要もこれはあってもいいと思いますが、大体この法案をいろいろ相談いたしましたときには、これはまあ大体これでよかろう、こういう確信を持って法案を出したのでありますが、いろいろなお改善することがありました場合には、これは行政的な面でいろいろ考慮する、こういう方針であります。
○田中(覚)委員 これで終わります。 ————◇—————
○竹内(黎)委員長代理 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 郵政省、運輸省、おいでですか。
○竹内(黎)委員長代理 郵政大臣は十二時前後に委員会出席の見込みです。他の政府委員はそろっております。
○田邊委員 ああそうですか。 郵政省が最近支給しております郵便配達あるいは貯金、保険の業務等で使用しているところの自動二輪、いわゆるバイクで最近非常に事故がひんぱんに起こっておるわけですが、その中でもバイクが逆にうしろへ進むという、逆進するという考えられないような事故が続発をいたしておるのでありますが、全国で発生をしているこの逆進事故の中で…… 〔発言する者あり〕
○竹内(黎)委員長代理 静粛に願います。
○田邊委員 郵政省が把握したものは一体どのくらいございましょうか。バイクの種別とそれから場所、その日をひとつお知らせいただきたいと思います。そしてまた過去に対してどのくらいの調査をいたしておるかも、あわせてこの際お聞きをしたいと思います。 なお、時間が非常に短いようですから、私がわかっている範囲のことについてはくどくどしく御説明いただかなくてもけっこうでございますから、ひとつ簡明に御答弁いただきたい。
○田所説明員 自動二輪車の後退事故の発生状況でございますが、まずスズキF七〇というものが全部で二十八両ございます。それからスズキF九〇が二十八両、それからスズキのF五〇、それからUの八〇、K一二五、この三車種につきまして二十二両、それからヤマハが五両、川崎が二両、これで七両でございますが、合わせまして八十五両につきましてその種の事故が発生いたしております。 発生の日時でございますが、最初にわかりましたのが四十七年の八月三十日に香川県の高松局で起こったものでございます。その後各地から報告がまいりまして、先ほどのような件数になったわけでございます。
○田邊委員 したがって、四十七年八月三十日から今年の四月二日までの間の事故の発生件数が八十五件、その大部分がスズキF七〇と九〇、こういう事態になっていることは承知いたしました。 四十七年八月三十日以前の事故がどのくらいあったかということについては、あなたのほうでは全国一斉の調査をいたしたことがございますか。
○田所説明員 八月三十日の事故後に全国の調査をいたしまして、その報告を集計したものが先はどの数字でございます。
○田邊委員 正確に答えていただきたい。したがって、昨年の八月以前は調査をしていないということだけれども、私は非常に重要だと思う。これまでも過去に、実は発見されざるところの事故まで含めますと、これは何百件に至る事故が起こっていることをわれわれは聞いておるわけでありまして、一斉調査をする用意はありますか。
○田所説明員 後進事故につきましては、先ほど申し上げたような次第でございます。その他の事故につきましても、これは当然毎年数字は集計しておるわけでございます。
○田邊委員 委員長から、私の質問に対して正確に、しかも簡明にひとつ答えてもらいたいということを注意してもらいたい。 四十七年八月以前の事故について、さかのぼって一斉調査する用意があるか。
○竹内(黎)委員長代理 答弁される方は、質問の要旨をよく把握して、正確にお答えを願います。
○田所説明員 四十七年八月以前の事故につきましても、全国の実態を調査したいと思います。
○田邊委員 調査の結果をひとつお知らせいただきたい。 そこで、このスズキF九〇はF七〇と同様に、たとえば香川県などにおいては以前からバックをした前科を持っているのですね。ところが、昨年の十二月にF七〇は欠陥バイクであると認定をして、部品交換、リコールをしている。ところがF九〇は同様の認定を行なわなかった。これは運輸省のほうでしょうか。どういうわけでこのF九〇はリコールからはずしたのですか。
○小林(正)政府委員 ただいま調べましたところによりますと、F七〇につきましては先生御指摘のとおり、昨年の十一月二十四日にリコールの届け出がなされております。それからただいまのF九〇につきましては、問題があるというような指摘が新聞に報道されたようでございまして、運輸省としては、その新聞報道を見まして、当該鈴木自動車に問題の至急調査を命じております。 現在までの報告によりますと、鈴木自動車からの報告によりますと、部品の交換、リコールをしないでも、整備によって問題が解決できるという報告を鈴木自動車から聞いております。
○田邊委員 実はたいへんな間違いですね。このF九〇も実際には欠陥車であることは、鈴木自動車も認めているから部品交換を行なっているのであります。ところが、この部品交換を自主的に行なったあとにおいて、その後郵政省の調べでは十二件、四月の二日までにすでに事故発生をしている。そこで鈴木は、この九〇の新車に対して九百六十八両、逆回転防止装置をつけているのですね。新車にストッパーをつけなければならぬということ自身が、このF九〇が欠陥車であるということの実は証明であると私は思うのです。しかもこの九〇は部品を交換した後において、たとえば三月六日に高松では、これが逆進をいたしまして、もう少しで少供をひきそうになった。本人は足首を二つ骨折をしている。こういう事故が起こっている。これは、欠陥バイクとして認めなかったということは私は重大な責任じゃないかと思うのですね、運輸省としては。あなたのほうはこれに対して一体どういう措置をとりますか。
○小林(正)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、三月二十日付で鈴木自動車株式会社から「郵政省へ納入のF九〇Tの点検整備について」ということで、当方に文書をもって調査結果が報告されております。それによりますと、点検整備ということで対処ができるということで、ただいま御指摘のような部品交換については聞いておりません。したがいましてそういったことについては今後、この報告を単に私どもはうのみにするわけではございませんで、至急に調査いたしたいと思います。
○田邊委員 郵政省はこれについては承知していますね。F九〇について部品交換を自主的に鈴木がやっている。そうですね。
○田所説明員 そのとおりでございます。
○田邊委員 その後において十二件の事故が起きている。運輸省、あなたがこのことを知らぬというのは一体どういうわけですか。自主的に部品交換を行なっているという事実がいま郵政省から明らかになった。しかもその後において逆進事故が起きている。これも事実であるということを認めている。その認識の上に立って、あなたのほうはこのF九〇についてどういう措置をおとりになるつもりですか。あなたの意思はどうですか。
○小林(正)政府委員 先ほど御説明いたしましたとおり、鈴木自動車会社からの報告が三月二十日付で来ております。これに対しまして、ただいま先生のおっしゃったとおり、その報告の内容では点検整備で足りるという報告になっておりますが、部品交換しておるという事実はただいま承知したわけでございます。したがってこの報告どおりであるかどうかについては、先生の御指摘については早急に調査をいたしたいと思います。
○田邊委員 そんなでたらめな話があるかね。郵政省のほうは部品交換をしておることを知っておって所轄官庁である運輸省が、点検整備だけでもって足りるというような報告を受けてのうのうとしているというのは、一体どういうわけですか。そんなことであなたのほうの監督がつとまるのですか。なぜ十一月二十四日の時点でもってF九〇についてリコールしなかったのですか。あなたに事故は絶対に起きないという自信があったのですか。
○小林(正)政府委員 F七〇の問題につきましては先ほど申し上げましたとおりでございますが、十一月の時点におきましてはF九〇の問題は承知していないわけでございます。ことしの三月七日にF九〇について問題があるということを新聞報道によって承知いたしましたので、私どもといたしましては鈴木自動車に対して調査を照会いたしたわけでございます。
○田邊委員 それは問題ですよ、あなた。F九〇はすでに二十八件、事故を昨年の八月から半年間に起こしている事実が郵政省から発表されているじゃないですか。あなたのほうはそれを認めていないというのは、一体運輸省は何をやっているのか。全くこれらの問題については関知しないのですか。欠陥車の問題については、私のほうもずいぶん調べたけれども、これはホンダ三六〇から始まって実はいろいろな事件が起きている。当然これに対してあなた方は、その管理について厳重なことをしなければならぬ行政的責任があると私は思うのですよ。何もやっていなかったというのですね、これに対しては。あなたは何も調べていなかったということですね。何も承知してなかったということですな。
○小林(正)政府委員 正確に申しますが、郵政省のバイクがどういった事故がいつ、どういう理由で起きたかというようなことについては、当方としては承知していないわけでございます。F九〇について承知いたしたのは、先ほど来申し上げましたとおり、三月七日付の新聞で承知したわけでございます。
○田邊委員 これは、あなた、大臣の責任が重大ですよ。これは大臣としては——労働大臣だけしかおいでにならぬけれども、あなたはどう考えますか。これだけの事故を起こしておって、監督官庁である運輸省は知らぬという。それで運輸省という仕事はつとまるのですか。これは運輸大臣がおいでになってからあらためてお聞きをいたしまするから、ひとつそういうふうに委員長のほうからお取り計らいをいただきたいと思う。郵政省のほうは、これは一体どうなっているのですか。これだけの事故を起こしておることに対して、郵政省は一体どういう責任を感じてこられたのですか。
○田所説明員 第一次と申しますか、F七〇の事故が続発をいたしました昨年の十月の時期に、東大の工学部の教授にその原因の究明と対策の考究をお願いしたわけでございます。その結果、構造上の問題点と、それから整備の問題について御指摘がありまして、その線に沿って部品の交換を行なったわけでございます。F九〇につきましても、先ほど私から申し上げましたように、部品の一部交換があったわけでございます。ところが、そういう対策をとったにもかかわらず、その後F九〇につきまして十二件も事故が出るという事態がございまして、三月六日にこういう事故が高松局で起こりましたので、私どもはF九〇の使用を中止いたさせた次第でございます。三月十一日のことでございます。そして愛媛大学の工学部にこの事故の原因の究明と対策の考究ということをお願いしておる段階でございまして、当面の措置といたしましては、逆転防止装置というものをF九〇に全部装着するということで、ただいま九六%その作業が終わっておるところでございます。
○田邊委員 運輸省、よく聞いておいてくださいよ。何も知らぬというのは、あなた、たいへんなんですよ、これでもってきょう委員会ですませておくわけにいきませんからね。そんなことでもって運輸省というのは監督官庁としてあるのがおかしいんだ。だめですよ。 それで、次に、郵政では千葉県でスズキのF五〇についても逆進事故がすでに三回あったということをわれわれは承知している。沼津ではスズキのK一二五の逆進事故もあったのですね。九〇と七〇ばかりじゃない。こういうことについても郵政省は一体どういう措置をとられたのか。あなたのほうはこれに対して、この使用を全面的に禁止をするという、こういうおつもりですか。四十八年度の予算の中において、あなたのほうはこのスズキのF九〇ないしはいま問題にいたしましはK一二五なりあるいは五〇なりということに対して、あなたはどういう考え方で臨むつもりですか。
○田所説明員 原因の究明を愛媛大学にお願いいたしておりますので、その結論を待たなければはっきりしたことが私どもにわかりかねるわけでございますが、当面これが出るまでの間は逆転防止装置を、問題のある、事故の発生の可能性のある車につきましては取り付けるようにメーカーに話をしたいと思っておるわけでございます。
○田邊委員 あなたのは、ストッパーを付けたから安全だということですか。この逆回転防止装置というものは、これは逆回転が起こることを前提として取り付けたのですね。起こったときにこれを停止してプラスの電源を切る、こういうことですから、このこと自身によって実は事故は絶対なくなるという保証はないわけですね。これはあくまでも第二次的な安全装置であるという形となってくれば、やはりこの車自身は逆回転をする、逆進をするというおそれのある車であるということは相も変わらないというふうに私は思うのです。そして、この二月以降の七〇については新車、それから九〇についてはセコも含めて、このストッパーを取り付けておる。そうするとU八〇、F五〇、K一二五、F七〇、この中古車についてはストッパーは付けていない。これらの車種はもう相変わらず事故が起こり得る状態である。これは一体どうするのですか。スズキの二千台余りの新車にはストッパーをつけた。けれども、いま私が言った中古車についてはストッパーは取り付けていない。相変わらず事故が起きる。この可能性は変わってないという状態ですね。これに対してあなたのほうは一体どういう措置をとるのですか。
○田所説明員 全車種にわたりまして同じ装置をつけるようにしたいと思います。
○田邊委員 あなたのほうでしたいというのですか。それはスズキが自主的にするのですか。スズキに命じてさせるのですか。それまではこの欠陥車については使用は一体どうなんですか。
○田所説明員 これはメーカーに命じて装置をつけさせるという意味でございます。
○田邊委員 その間、使用はどうするの。
○田所説明員 F九〇につきましては先ほど申し上げましたように全面使用中止をいたしましてつけたわけでございますが、今後の考え方といたしまして代賛車、こういうものを手配をして、危険のあるといいますか事故発生の可能性のある車の使用を規制したいと考えます。
○田邊委員 あなたが、規制をしたいといっても、現に毎日これは乗っているわけですよ。それがなければ仕事にならぬわけでしょう。一日おくれればおくれただけ事故の発生は防げない、こういう状態ですね。ですからあなたのほうの方針としては一体、この欠陥車については今後使用しない、したがってこれは欠陥車でないものに切りかえるという方針なのか。 それから現実に、いま愛媛大学に依頼しておるけれども、それまではF九〇は全部これは使用禁止されておるですか。そうでないでしょう。使用禁止してないでしょう。あなた、でたらめ言っては困りますよ。それでは何の予防措置も現実にはとってないという形じゃないですか。毎日毎日が危険の状態の中にさらされている。たまたま人身事故がなかったというだけで、本人はいかに優秀な技術を持っておったり道交法を守っておっても、これはもう防げない。人間のからだが前へ出るという考え方でいるわけですから、うしろへ下がるなんということはこれは予想もしないわけだ。そういう事態の中でもって最悪の事態が起こったらどうなるということを考えたときに、これに対してあなたのほうは一体どういう方針で臨もうとするのか。そして、現実にこの欠陥車に対して、毎日毎日の状態の中でもって一体どうしようとするのか。策はあるのかないのか。これをひとつ明らかにしてください。
○田所説明員 ただいまのところ逆転防止装置によりましてF九〇も使用を続けておるわけでございます。八田教授のレポートにもございましたが、構造上の問題点がございますとともに、整備の問題ということも強調しておられますので、定期点検というのが年に二回ございますが、それはもとよりのこと、毎日の出発前の仕業点検というのがございますが、こういうものを励行いたしまして、車をいつもよい状態で動かし得るように指導したいと考えておるわけでございます。
○田邊委員 いま八田教授の話が出ましたけれども、その報告を見ましても、たとえばプラグについても正規の〇・六から〇・七ミリメートルが〇・二から〇・三ミリメートル、非常に小さい。したがって点火栓が過熱しやすいという、事故が非常に起こりやすい車種ですね。そういった面を考えてくると、この逆転回転が発生することに対する抵抗力は非常に弱いわけですね。したがって、そういう車種であるということになれば、郵政省は特に仕事の性質上、いわゆるアイドリング回転も非常に時間が長い、多いという点から見て、これはもう郵政事業の特殊性からいっても、使用するところの自動二輪なりあるいは軽四輪なりについては、その事業に向くような完全なものをつくる必要がある、開発する必要があるというふうに思っているのですけれども、あなたのほうではそういう希望なり方針というものはないのですか。
○田所説明員 従来におきましては、市販車に対しまして、うしろの荷台を大きくするとか、前につけてない荷台をつけるとか、あるいはスタンドを強化するとかいう程度の改造と申しますか、モディフィケーションしか行なっておりませんが、この後におきましては、そういう問題ばかりでなく、重要な部分と申しますか、エンジンというようなことにつきまして、郵政業務の態様に応じた、あるいはアイドリングの時間が多いとかいったような実態に即応したようなエンジン、こういうものを特に郵政の車につきましてはつけるように、そういうものを開発をしてもらうように、メーカーに話していきたいと思うわけでございます。
○田邊委員 郵政大臣お見えですけれども、ちょっと聞いておっていただきたいのです。これは運輸省、さっきお聞きをしましたけれども、この事故が起きているのはもちろん郵政省ばかりじゃありませんね。郵政省でこれだけの事故が起きているということになれば、当然市販車全体については相当の事故があると思わなければならぬ。あなたも、新聞で見たということですが、運輸省がわれわれよりもあとから新聞でもって悟るなんということは、これは許さるべきことではない。この種のものを使っている、いわば自家用車もそうですけれども、神奈川県では新聞配達に使用したF七〇が、昨年の十一月と二月に二台バックしている、逆進している、こういう事実、あなたは御存じないのですか。一体これはどうするつもりですか。こういうものが市販をされておるという事態に対して、あなたのほうはいま調査するなんて言ったけれども、あなたのほうの方針としては、こういう事実に照らしてみて一体これからどういうふうにやるのですか。個人的な申し出がかなりあったからわかったというだけですけれども、これはほんの一部ですね。これはもちろん全国的な調査をする必要があるとわれわれは思いますけれども、そういうことをひとつ早急にやって、これに対する対策を講ずるというお考えはありますか。
○小林(正)政府委員 非常に簡潔に過ぎた答弁で不明確でございましたが、リコール対策につきましては、先生御承知のとおり、いわゆる自動車についてのリコール対策を省令で定めてあるわけでございます。本件のような原動機つき自転車につきましては、これに準じて事実上リコール対策をやっておるわけでございますが、その際のリコール対策におきましては、ユーザー、もちろんメーカーからの場合もございます、あるいは一般情報、この三つのソースから私どもはふぐあい等の欠陥車の問題をキャッチした場合に、直ちにメーカーに対してその問題についての調査を命じまして、リコールすべきものは当然至急にリコールをさせるということが、私どもの現在とっておる方針でございまして、本件については使用者である郵政省からも報告は受けておりませんし、そういった車種別の事故報告については全国的にもとっておらないわけでございまして、この点についての情報入手の問題としては、先生御指摘のとおり今後あろうかと思います。現在のリコール対策におきましては、使用者またはメーカーそれから一般情報というような三つの方面から私どもは情報を入手する。これを何とか的確に情報を入手しなければならぬということについては、先生御指摘のとおりでございまして、こういった点についてはひとつ今後検討していきたい。また具体的に本件については、先ほど来申し上げましたとおり三月八日付のいわゆる一般情報として当方はキャッチいたしましたので、直ちにスズキにこういった指示をいたしまして、現在聞いている報告では点検整備で対処しております。本日わかりました部品交換というようなことが、かりに報告と異なったことをやっておるとすれば、御指摘のとおり重大な問題でございますから、さっそく調査をいたしまして善処するようにいたしたいということでございまして、私どもはリコール対策については積極的に取り組んでいるつもりでございますので、その点については御了承を願いたいと思うわけでございます。
○田邊委員 大体郵政省がやっていることを、あなたのほうな、かりにそうだとすればなんて、かってに判断するようなことは、大臣、郵政省は全然信頼されていないでしょう。運輸省は知らぬという。郵政省はこのことについては一言も運輸省に連絡してないのですか。
○田所説明員 正式の文書で連絡をしてはおりませんが、事務的には連絡をいたしております。
○田邊委員 どうなっているのだ。それははっきりしてください。一方は聞いてないというし、一方は話したというし、どうなっているのだ。だめです。審議できない。どっちの言うことがほんとうなんだ。
○小林(正)政府委員 先ほど郵政省からの、正式に聞いてないということは申し上げたとおりでございますが、本件F九〇の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、一般情報として当方はこれを処理しておるということを申し上げたわけでございまして、情報の収集についての強化の問題としてユーザー側からの情報あるいはメーカーからの情報、これと一般情報、この三つの点がございまして、F九〇の点については三月八日付の新聞で承知いたしたということを申し上げておるわけでございまして、私どもは郵政省から正式にF九〇についての問題について調査というような連絡はない、こういうことでございます。
○田邊委員 だから、それはおかしいじゃないかと言っているのです。郵政省のほうは、文書であろうと口頭であろうと、連絡していると言っていて、あなたのほうは知らぬと言っているのですね。これはユーザーユニオンの事件もそうだったけれども、一体あなたのほうはそれをなるべく知らないようなつもりでおるわけですか。そうじゃないの。そうでないとすれば、メーカー自身ももちろんこれはたいへんな怠慢ですよ。これだけの事故を起こして郵政省から指摘をされ、七〇についてはリコール、九〇については部品交換を実質的には行なっておるにもかかわらず、あなたのほうへは点検整備だけでもっていいといって虚偽の報告をしている。重大なことですよ、あなた。郵政と運輸との間は一体どうなっているの。これは昔の逓信省、同根じゃないか。そんなに連絡の悪いはずはない。だめじゃないか。 いずれにしても、一方は連絡したと言い、一方は連絡しないと言う。そんなお役所仕事でもって、毎日毎日国民が危険な状態にさらされておって、あなたのほうは平気でいられるの。これは郵政大臣、どうですか。いままでのことは、私の質問は聞いてなかったけれども、大体おわかりだろうと思うのですけれども、まずあなたのほうで一体これに対してどういう責任をお感じになりますか。 それから、いま運輸省との間ですらもこれは的確な連絡がない。したがって、これは両省の間で早急に連絡をして、これの対策を講ずべきである。したがって、その間はこの使用については厳重な規制をすべきである、こういうように私は思いますけれども、大臣いかがですか。
○久野国務大臣 私おくれてまいりましたために、発生をいたした事故についての概要についてはお聞きいたしておりません。しかし大略報告は受けておるわけでございますので、承知はいたしておるわけでございます。 このような不幸な事故が起きたということは、私はたいへん遺憾に思いますし、残念に思う次第でございまして、人命尊重はもちろんのことでございますが、人間尊重をうたっておりまする今日の社会福祉国家建設の立場からいきましても、このような事故が二度と起きないようにする処置をすることが大切だと私は思います。さような意味から省内におきましても特に整備費を大幅に増額をする。それから仕業点検であるとか、それから定期点検等予備整備に重点を置きまして指導を徹底的に強化せよ、こういうことで関係事務当局に向かって指示をいたしておるような次第でございます。
○田邊委員 大臣、あなたの答弁はきわめて的確性を欠いておるのですが、ちょっと、前のことを聞いていないから……。いま部内の処置についてお話があったと思うのですが、それについてもお聞きします。お聞きしますが、その前に運輸省、このバイク、特に高松で起こった事故についてのバイクについて高松の陸運局に調査の依頼をしたのです、ところが自動二輪については検査ができない、こう言って断わられた。これは法的には道路運送車両法の五十八条によって、いわゆる新車の検査というのは自動二輪は加わってない。私はそもそもこういった事故が発生したのを見ると、この法自身も検討し直さなくちゃいかぬのじゃないか、こう思うのです。これはいわば自主的な点検だけである。いわゆる安全性を検査するところの公的な機関がない。この公的検査制度の確立ということが、これはやはり私はこういう事故が起こってみると緊急に必要じゃないかというように思うのです。しかし、それをあなたのほうへお聞きすると同時に、陸運行政というのはまことにそういった点では、私は国民のためになっていない。この検査を拒否する、そんなことでいいのですか。もっともあなたのほうは欠陥車について三月八日に初めてこれは新聞で知ったという程度だから、無理もないと思いますよ。全くこれは陸運行政なっていないわけだから。と思うけれども、ひとつこれは欠陥車らしいから検査してもらいたいと言ってきたものに対しても、それは法のたてまえからできませんよと言う、お断わりをします、これじゃ一体何をやっているのだ、あなたのほうは。これはどうですか。法改正の検討を、あなた、局長、ひとつ大臣おらないけれども、あなたの所管としていままで私の質問を聞いて感じた点から見て、この自動二輪もその対象に入れるべきである、そういう検討をすべきである。また、それができないうちにおいても、陸運局においてそういった国民の心配に対して当然何らかの行政的な指導をしてやるべきだ、こういうように思いますけれども、私の質問は間違いでしょうか。
○小林(正)政府委員 欠陥車問題の非常に重要な問題であるということは、当然運輸省としても承知しておるわけでございます。したがって現在、ただいま御指摘のような自動車についての検査制度というようなものはありまするが、軽自動車以下原付自転車につきましては検査制度がないたてまえであるわけでございます。 しかしながら、それは法律上のたてまえでございまして、先ほど来申し上げましたように、欠陥車問題の重要性にかんがみまして、自動車にとっておる欠陥車対策、リコール対策というようなものをいわば準用いたしまして、この制度を実際上運用いたしておるわけでございます。 したがって、今後こういった問題を自動車並みに原付自転車まで検査を及ぼすといったような問題には、一般論といたしましては、運輸省としては前向きにと申しますか、規制強化の方向で検討いたしておったわけでございまして、昨年の国会で御審議願いました車両法の改正によりまして、ことしの十月から軽自動車については検査制度を拡大することに相なったわけでございます。したがって、当然方向といたしましては検査を拡大するという方向に私は持っていくべきだ、こういうふうに考えておるわけでございます。将来の問題はそういうことでございますけれども、現行制度のもとにおきましても行政措置としてできるだけの欠陥車対策というようなものは強化すべきだということでございまして、先ほど来申し上げておりますとおり、自動車についてのリコール対策、これは省令の根拠規定があるわけでございますので、こういった原付自転車についてのリコール対策は、いわばそれに準じて事実上いたしておるわけでございまして、根拠はかりになくとも、私どもは欠陥車対策について自動車と同じように、準じてこれを強化していきたい、こう申し上げておるわけでございまして、その際の情報入手について強い指摘がございましたけれども、そういった先生のおっしゃる方向で情報入手、これは使用者といわず、メーカーといわず、こういった方面からの協力を得、また私どもはかりに届け出をされないものがありましても、一般情報というものをキャッチした場合には、的確な措置をとりたい、こういう決意を申し上げておるわけでございまして、先生の御指摘の点に一般的には賛成でございます。
○田邊委員 ひとつ郵政省、私はいまそういうやりとりを聞いておりまして、どちらが悪いというようなことを水かけ論で言ってもしょうがないけれども、何かスズキに限らないけれども、こういった使用している車について非常に甘いですね。考え方がまた単純だよ。これはもうこれだけの事故が起こっておれば、正式文書でもって運輸省に連絡するのは当然のことだ、それで、その使用については下部に対して的確に流すべきである。これは郵務局長、やっておりますか。この使用について、あなたのほうは下部にどういうような指導をやっていらっしゃるのですか。
○溝呂木政府委員 非常に遺憾な事故が起こりまして、私ども、郵便に携わる従業員を非常に不安におとしいれたということで、その事故を起こしましてさっそく資材のほうに、自動二輪車の性能なりそういったものを早急に確かめてほしいという連絡をすると同時に、スズキF九〇につきましては、一般的にこれはあぶないということで、これは三月十日付で私の名前で全部使用をストップせよ、そして、逆転防止装置が取りつけられるまでは全部ストップして、その間は外部から借り上げるなりその他の方法をもって処置せよということで通達を出したわけでございまして、その後いま、これは三月の末の予定で、九十何%取りかえ処置が終わっているということでございますので、一応F九〇につきましてはそういった措置をとったわけでございます。
○田邊委員 さっきから私が言っているように、ストッパー自身がこれは事故を発生させない装置ではないわけでありますから、起こったときに防止をするというものですから、これは完ぺきでない。いわゆる暫定措置ですよ。ですから、あなたのほうはもうこのストッパーがついたから安全だという考え方に立ったら間違いです。当然そのことをひとつ認識をされた上でもって、今後に対処されたいというふうに思うのです。 大臣、さっきとりあえずは部内措置としては点検整備をきちっとやる、点検はもちろんですけれども、いろいろ毎日のことをやると言ったけれども、これはまたたいへんなお粗末なんですね、この点検が。この整備工場、大臣、そこに書いてあるでしょう、一時間当たり六百五十円。あなた、一回あたりの点検料は五百二十円、それが今度は幾らか上がるというのです。だいぶ上がったようなことを言いますけれども、四十八年度から上げるというのですね。しかし、こんなことでもって一体ほんとうに整備点検ができているのでしょうか。実際にこれに携わっている業者というのは、いなかの自転車屋さんなんかがほとんどです。しかも五百二十円ばかりというものじゃとてもやれないということを嘆いている。採算がとれないと言っているのです。しかしまあ郵政省だから奉仕のつもりでやっていますよと言う。この中のたとえば高松の局でもってやっておる点検整備、この表を見ますると、この中の一番重要な実はブレーキの点検とかあるいはコンダクトポイントの点検とか、エンジンのかかりぐあいの点検、キャブレーターというような点検は、これをやっておったのじゃとても時間がかかってできないから、これは省いている。これは、このコンダクトポイントの点検だけで一時間以上かかるという状態だから、とてもじゃないけれども一回あたりの点検料五百二十円、今度は八百円に上げるというのですけれども、ということじゃどうにもならぬというのですね。したがって、ある業者はこれは欠陥については責任持ちませんよ、これを御承知の上でもってひとつやらしてください、こう言っている。そういう状態でもって整備点検が行なわれているということを大臣がお知りをいただきますると、四十八年度から若干値上げしたというだけじゃどうにもならぬ状態だ。しかも大臣、現場はその点検料ですらもなるべく節約しなさいよと言っているんですよ。これはその経費を節約して浮かせれば、何か成績が上がったようなつもりでいる。これが郵政省の実態です。そんなことないと言うやつがあるいはいるかもしれないが、実際はそうなんです。この体質に実は問題があるんですね。もっとかけてもいいじゃないですか。足りなければ本省へ要求する、そして完全なものに乗せて、安心して国民のための郵政事業に携わらせる、この考え方がなくて、一体ほんとうにいわば人的にたよっている郵政事業が私はやりおおせるかどうか、心配でたまらないんです。ですから、この点検整備については、予算は予算でしょうけれども、しかしそれについてはあなたのほうは十分ひとつ配慮すべきだというように私は思うんですけれども、いかがですか。
○久野国務大臣 御指摘の点につきましては、まことに私は同感であります、ごもっともだと思います。やはり二の事故防止対策ということは非常に大切なことでもございますし、ただいま御指摘のとおり、郵政省の職員多数の方たちに不安感を与えるようなことがごうまつもあってはならないと私は思うのであります。さような意味から、先ほど事務当局が御答弁申し上げますたように、逆転防止装置を取りつけて事故の再発の防止につとめる、こう申し上げましたが、しかしそのようなことに限らず、今後十分このような不幸な事故が二度と起きないように指導を強化していきたい、かように存ずる次第でございます。
○田邊委員 ところが、欠陥車をいわば承知しておる者は一体だれかといえば、これは乗る人です。この乗務をする者の発言権というものを抹殺しているということが、実は問題だと思うんですね。これは高松では、昨年の八月にF七〇のバックによって原田君というのが腰椎捻挫二カ月の重傷を負った。十月にはF九〇が二回にわたってバックするという事故が発生した。もうそれは職員は不安でたまらない、したがって自分の目で、からだでちゃんと確かめなければ乗れないという状態なんです。当然だろうと思うんですよ。ところが昨年の十二月に杉ノ内君というのが、ストップランプがつかないバイクに対して、これはとても私は不安だから乗れませんよと言った。ところが、これは業務命令だ、乗りなさい、乗れないというので、業務命令を拒否したというので注意処分を発令された。この高松局では十二月の十五日に業務命令を四件、十六日に一件、二十日に九件、二十一日に五件、業務命令を出した。たまたまこの杉ノ内君は不安だから乗れないと言って拒否した、これで処分した、どうなんでしょう。これは乗らなかったほうが、業務命令を拒否したほうが悪いのですか、こんなことに業務命令を頻発するほうが悪いのですか、これはどちらが正しいのでしょう。これは私は、いろいろなその状況判断はあると思うんですよ。あると思いますけれども、しかし事実はこの業務命令違反について処分をされておる。三月の五日に処分を発令しましたね。十二月の事件ですけれども、十二月の二十日業務命令、三月五日、ずいぶんだってからです。ごらんなさい、大臣、この処分を発令した翌日に、業務命令に従って乗ったところの木村君が、逆進によって複雑骨折の重傷を負っているんですよ。これは一体業務命令を拒否したほうが、ほんとうにあなた方のいわば命令を受けなかったほうが悪いのですか。この三月五日の処分発令と、三月六日のこの重傷を負っているという事実、これを見たときに、一体これはこの処置が正しかったとあなたのほうで言い切れますか、どうでしょう。
○北政府委員 三月五日になりまして、本人に対して口頭で注意処分をした事実がございます。しかし、その点につきましては私といたしましても、いささか問題があると思っております。実はその件を知りましたのが昨日でございますので、当時の具体的な状況につきまして調査をしておりますけれども、昨日聞きましたときに、これはいささか問題があるというふうに認識しておりますので、そういった認識のもとに当時の具体的なことを調査いたしまして、その上で適当な措置をとる必要があれば善処したい、かように考えております。
○田邊委員 国会で私がいっているのですからね。そんなにうそ偽りを言ってみても始まらぬ話ですよ。これは単純な事案ですね。山口第二集配課長が、整備ができているから乗車してください、絶対安全です。この課長が絶対安全ですなんてどうして言い切れますか。そうして身の危険を感じ、不安を感じている者に対して、業務命令だ。こういうことに業務命令を出すという感覚が私はわかりませんね。乗務をする者と十分話し合いをし、乗務する者自身が確かめて、なるほどこれならだいじょうぶです、こういって安心感を持ってはじめて乗務するのが当然のことだと私は思うんですね。それを業務命令です、拒否しました、処分です、そういうしろものですか。ここに、大臣、私がさっき言ったこととあわせて郵政の現在の、いわば現場における陰惨な状態があるのですよ。こんなことでは、これは毎日毎日の仕事が明朗に、しかも安心してやれるはずがないのですよ。ですから私は、大臣は何といっても、こういったことに対して当然これは何よりも人命を大切にする、そして第三者に対して危害を及ぼさせないという体制をつくるということを郵政大臣は鮮明にすべきだ、その上に立って十分な話し合いの中でこれらのことが日常の中で行なわれる、こういう体制をつくってもらいたい、これは国民の側からしてそう思うのですよ。どうですか。
○久野国務大臣 御指摘の件につきましては、ただいま事務当局から説明をいたさせたのでございます。十分事実を調査いたしまして善処いたしたいということでございますが、私もさっそくこの詳細について報告を受けまして、そうして今後の処置については十分留意をいたしたい、かように存じます。 それから先ほど来御意見の際にいろいろ出てまいりました欠陥車につきましては、これは運輸省との間に関連性もございますので、運輸省との間にも十分連絡をとりまして、そして今後このような欠陥車が出ないように、またそのような事故が起きないように留意をするように指導をしていきたい、かように存じます。
○田邊委員 しかもこの措置がまた非常に不十分ですね。この災害にあった職員に対して一体どういうようなものが与えられておるかといえば、高松と場合にはわずかに五千円の見舞い金が支給されておる。これでは省に対して信頼感を持てないですよ。いまや公害の裁判に見られるように、経営者がみずからは過失がないと思っても、当然その企業は被害者に対して十分な補償をすることは常識になっておるのです。国の機関がこういった状態の中で放置されておるとすれば、これはますます事故が起きるということは当然の成り行きだろうというように私は思うのです。これは郵政省は過去にさかのぼって、けがをした本人なり家族の損害に対して肉体的にも精神的にも十分な補償をされてしかるべきものである、こういうふうに思っております。そういったあたたかい手当ても当然講じてもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
○北政府委員 いずれの事故の場合でも、局側におきまして、当然のことでございますが直ちに病院に連絡する、そうして管理者が同行いたして病院に連れていく、あるいは入院後管理者がたびたび見舞いをするということはいたしております。 そのほかにと申しますか、それよりさらにおもなことでございますけれども、これらの件はいずれも公務上の災害でございますので、災害補償法によりまして所定の治療あるいは経費の負担をしております。 なおそのほかに、一般交通事故の例によりまして慰謝料というものを考えて、これを支払うように考えておる、こういう次第であります。
○田邊委員 いろいろと弁明はありますけれども、私がさっきから言っておるようにこれは事故をなくすること、そうしてまた不幸にして事故があった場合には、それに対してはあたたかい手だてを講じてもらいたいということ、こういったように事務的なことでないあたたかみというものが郵政の管理体制の中になければどうにもならぬ。業務命令だけ頻発すれば従業員がついてくるというような、そんな感覚でものをやられたのでは、これではとてもじゃないけれどもたまらない。たまたまこれは欠陥車という問題であるから、これは大臣もそういうように答弁せざるを得なかったけれども、それ以外の日常の業務についてもそれといわば同類のものがあるということについては私は非常に遺憾に思っておるわけですから、その点も十分承知をしていただきたいと思うのです。 警察庁おいでですね。——一言だけ。実はこれだけ欠陥があり、事故が発生をしておる。しかもこれはずっと続いてきておるわけですね。したがって、運輸省がいまのような全く無責任な体制という状態であって、いま自動車局長は盛んにこれからやるようなお話ですから、ひとつその報告をまたいただきたいと思っておりますけれども、しかしこれに対しては、警察としてはこれらの事故を起こしておる欠陥車のメーカーに対して、一体刑事責任をどういうように取り扱っておるのですか。これだけ世の中の指弾を受けておるものに対して、警察は告発等の手続をとるべき必要があるのではないかというように思いますけれども、あなたのほうはこれに対して厳正に対処するおつもりがありますか。
○加野説明員 御指摘の事故につきましては、警察といたしましては綿密な捜査をいたしまして、その真相を解明いたしたいと思っております。
○田邊委員 簡単な答弁だけれども、それではまたあらためてひとつ状況をお聞かせください。よろしゅうございますね。
○加野説明員 さようにいたします。
○山本(政)委員 関連で一つだけお伺いしたいのですけれども、八月二十八日に事故が起こり、八月三十日に事故が起こり、十二月十日に事故が起こり、そうして十二月二十日に杉ノ内という人に対する業務命令が出たという話を聞いております。そうして三月五日に処分が出て、また三月六日に事故が起こったということで、ユーザーもメーカーも一般からも欠陥バイクであるということが証明されたというお話があったのですね。それで杉ノ内という人が処分をされた。北さんのほうは、調査をしてから、こうおっしゃった。杉ノ内さんに対する問題は当然あると思いますけれども、調査の上の結果を待ちましょう。 しかし、同時に考えなければならぬことは、それを出した人に対する処分はどうするのですか。つまり組合は処分をされっぱなし、した方はそれでおとがめなしということでは、私はおかしいと思う。そうしたら、そういう欠陥バイクであるということが一般的にいわば常識的になっている場合に、それを知りつつあえてそういうことをさして、そして処分を受けない上司というものに対しては、私は問題が残るだろうと思うのです。その点だけ、要するに郵政当局としてはどういうようにお考えになりますか。
○北政府委員 先ほど申し上げましたように、昨日聞きますと、口頭で本人に注意をしたということであります。そして、調査といいましてもそう日にちはかからぬと思います。調査をいたしまして、口頭で注意をするようなものではないということにかりになりました場合には、そういう口頭注意をすること自体がおかしいということに当然論理上もなるわけであります。したがいまして、こういったケースについて口頭注意をした、こういうことが間違いである、よろしくないということは、注意をした人に当然言うことになります。やはり注意をすることになるだろう、こういうふうに考えます。
○田邊委員 時間がありませんから、もう一つだけ引き続いて、私は委員会で、この問題に対しては先ほどの運輸省なりあるいは郵政省なりの考え方、それからまた警察のとるべき態度についての報告等を受けたいと思いまするけれども、その間にも事実がわかりましたらばひとつ私の手元にお知らせをいただきたいと思います。 労働大臣、ずっとお聞きになってあなたもおわかりのとおり、郵政省には転倒、転落の交通事故というのは非常に多くなっている。四十六年度でも六千百四十六件の交通事故をはじめとして、全体で労働災害が八千七百七十九件に達しているという状態で、非常にこれは放置すべからざる状態です。これに対して労働省は当然、この労働災害全体に責任を持つ立場から指導をし、あるいは手当てを講ずべきであるというように思うのですね。このことに対して、一体あなたはどういう措置をおとりになりますか。郵政省も、もちろん安全衛生法に基づいて安全衛生委員会の設置がなされておりまするけれども、こういったものが十分活用されておるかどうか、あなたのほうでお調べになったことがありますか。これに対してまた指導、連絡を強化をするという必要が当然あると思いまするけれども、それに対する対応策が労働省におありでございますか。大臣の所見をひとつ、簡単でけっこうですから……。
○加藤国務大臣 御指摘の問題は、私が聞いておりますところでも、郵政省関係の交通災害は他の製造業に比べまして、統計を見ますと相当度数が多いのであります。さような関係で、いまいろいろ質疑応答を聞いておりますと、特に欠陥車、こういうようなことは、欠陥車でなくても災害が多いのに、欠陥車だということになりますと、これは大問題だと考えます。かような問題が多発するゆえに労働安全衛生法が制定されたのでございまして、その当時にも郵政事業を安全管理者を選任すべき事業として指定いたしまして、今後安全管理体制の整備を増進するように、同法に基づいて関係労働者、特に郵政省に対しましては大臣名で通達を出しておりますが、今回の問題も、いろいろ私のほうもこれはたいへんだというので、高松なり事故の発生した基準局を通じまして、かようなことはもう今後ないようにしてくれ、こういうことを厳重に注意いたしましておりますが、過去のことはいろいろな問題もありますが、今後欠陥車で事故が起こるということは皆無にしてもらいたい、こういう見地でなお一そう、現地はともかくも郵政大臣もここに出席されておりますのでよく協議いたしまして、安全衛生法の完全な実施に及ぶように、特に民間の場合ならともかくも、政府が直接担当しておる業種でありますから、かようなことがないように、これは善処するように、特に要請いたします。 後段の問題につきましては、担当政府委員から答弁させます。
○田邊委員 あとの人の時間がありますから、私はさっきからの答弁でまだ非常に不満な点もありまするし、解明できない点もありまするけれども、その点はまた後日にいたしますが、いずれにいたしましても労働省の監督、郵政省の的確な措置、それから運輸省のこれから先の対策、これをひとつ早急にとってもらうことを強く要望して、とりあえずきょうは終わります。
○竹内(黎)委員長代理 枝村要作君。
○枝村委員 山口県のの下関市に所在する下関タクシーと防府市に所在する防府タクシーと この二つの会社からそれぞれの該当労働組合に提案されましたいわゆる利益還元方式、この導入をめぐって現在紛争がきわめて深刻化しておるのでありまして、利用者に多大な迷惑をかけておるのです。ところがよく調べてみますと、これはリース制と申しますが、リース制が労働者の諸権利を守る諸法規に照らしてみてもそれに違反の疑いが持たれるという、いわゆる基本的な問題が多分にあるのでありまして、これが次第に明らかにされてまいりましたので、きょうはその問題について質問いたしたいと思います。しかし時間が非常に限られておりますので、詳細にわたっての質疑をかわすということがきょうはできませんので、それは後日に回すといたしまして、大まかな点についてだけお伺いしておきたいと思います。 最初に、まず前もって労働大臣に、このリース制について御存じであるかないか。これは知っていれば知っている、知らなければ知らない、そういう答弁だけでけっこうですから、ひとつお答えいただきたい。
○加藤国務大臣 はなはだ申しわけないのでありますが、きのうの午後聞きました程度であります。
○枝村委員 わかりました。このリース制は、山口県内にタクシー会社が百五十六社あるのですけれども、その中で今日まで五社が採用しておるのであります。それで、全国的にどれぐらいこういう制度を採用しておるかというと、これもはっきりはいたしておりませんが、大体百社ぐらいだろう、こういうふうに見られておるのであります。これはボーナス方式とかMKシステムとかあるいは成果配分方式、減価償却制度とか、いろいろな名前で用いられておるのでありますけれども、このリース制はつまるところ、運転者の労働条件を悪くして、長時間労働と下請的な制度によって会社の安定をはかる、そして私どもから言わせれば、労働者から搾取をはかろうとする以外の何ものでもない、こういうように思っておるわけであります。 具体的にこれを掘り下げていきますとそれが次第に明らかにされるわけでありますけれども、きょうはそこまでいきませんので、概括の、われわれの知っている範囲で説明いたしますと、会社は本年の三月十三日に二つの組合に対して、運収還元制度実施要領と称するものを提示してまいりました。その中には労働契約書と運収還元制乗務員賃金規則と同施行規則がつくられております。 それから内容については、時間があればまたあとから若干申し上げますけれども、一番問題なのは、労働者にとっては重要なる問題であるにもかかわらず、会社のそれに対する基本的な姿勢というものが重大だとまず思います。組合がこの提案を受け入れなければタクシーの免許を返上して会社を解散して、退職金も払わぬ、さらに現在働いている労賃も払わない、そういうふうに最初からまるっきり前時代的な脅迫をしてきておるのであります。会社と組合との話し合いはそれ以後四回も持たれたのでありますけれども、そういう会社の態度でありますし、しかもその内容について修正するとか変更するとかいうようなことには一切応じない。賛成か、反対か、二つに一つしかないんだ、こういうことですから一歩も前進するはずがないのであります。そして会社は予告どおりに四月二日に全員に解雇通告をして、四月九日に会社解散を宣言して事業廃止の申請の手続をそれぞれとっておる。こういうふうな今日までの経過になっておるのであります。 そこで労働大臣に伺いますが、いま申し上げただけではおわかりにならぬと思うのですけれども、会社の事業廃止の一つの理由は、いわゆる赤字があるからということで春闘の賃上げの要求に応ずることができない、だから利益還元方式というものを導入しようと思っておるけれども、労働組合がこれに反対するという理由で、結局誠意ある団体交渉にも応ぜずに一方的に首を切っていく、そして会社を解散する。こういうことは労働者の基本的権利を守る立場から見て、またそれを保護する労働省の立場からしてよいものであるか、よくないものであるか。こういう点についてはお答えができると思うのですが、ひとつお願いいたしたい。
○加藤国務大臣 タクシー問題は就任当初から全国的な組合とも数回会いましたが、いまお尋ねの問題は実は昨日当該局長から報告がありまして、私もいろいろ内容をお聞きいたしたのであります。いま地労委及び裁判所に申請書が出されて、県当局が中に入りましてこれが解決に鋭意善処いたしておるそうでありますので、この際県当局を督励して、労使の関係が、感情的にいろいろな問題もこんがらかっておりますので、やはりよく話し合って円満な解決をするように望んでおります。 私昨日聞いたところでありますので、詳細な点は当該局長からお話し申し上げたいと思います。
○枝村委員 時間のある限り触れてみたいのですけれども、今度提案されました会社の労働契約によりますと、現在の乗務員は一応全部退職させて、新しい規則や細則に服務する者を雇用するということになっておるのです。そういたしますと、いわゆる組合活動家など気に入らない者はこの際追放していこうという、不当労働行為に値する行為が当然のように行なわれている、そのねらいが十分にあるというふうにまず第一に考えられる。もう時間がありませんから答弁は要りません。 それからもう一つ言えるのは、賃金規則の中に賃金控除の条項がいろいろあるわけなんです。その中に積み立て金の差し引きがあります。これは、毎月運収還元金の一〇%を差し引くことになっておるのですけれども、これなどは明らかに強制貯蓄ではないかというように疑われ得るのであります。これは基準法の十八条の強制貯金にも抵触するというように私は見るわけなんであります。また事故負担金の差し引きも同時にこの中にはっきりうたわれております。これも賠償予定禁止の事項に違反すると思います。これは基準法の十六条ですね。そのほか労働省自身が出したいろいろな通達とか、労働基準法の二十四条の直接、通貨で全額を支払う義務の条項に違反するという項目がありますが、これにも違反するようないろいろな規則がこの還元方式の中には定められておるわけであります。 ですから、こういう問題を労働省としてはよく検討して、そうして皆さん方がつくった法あるいは諸規則、通達に違反するような事項のある点については、行政的な面で十分指導すると同時に、この国会を通じて私どもとして質疑をかわして、この方式が採用されることによって労働者の権利が剥奪されていかないようにすべきだというように考えておるのでありますが、それはひとつ労働大臣、約束をお願いいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○渡邊(健)政府委員 御指摘の事件そのものにつきましては、先ほど大臣も申されましたようにただいま紛争中でございますが、私どもそれらが、法律で定められております諸条項あるいは私どもが通達によって行政指導しておりますことに反することにならないよう、今後十分成り行きを見ながら指導をしてまいりたい、かように考えます。
○枝村委員 この際特に、もう一つ重大な問題を申し上げておきたいのは、この方式はいわゆる個人との契約関係になるわけなんですから、道路運送業の法律からいきましても、ハンドル貸しというものになっていけばこれは当然違反の疑いを持たれるものになってくるわけなんでありますが、それよりも、いま言いましたように、下請負的な制度に移行する、そういう方式に変わるように思います。ですから、賃金によるいわゆる労働者の雇用関係が形の上では一応結ばれておるようになっておりますけれども、そうではないということがいえるのであります。そうなりますと、ここにつとめておる労働者は基準法にいう賃金で雇われておる、正当な賃金を受ける資格のあるいわゆる労働者、基準法に保護される労働者であるかという身分の問題として、これは相当研究してみる必要がある問題がここに生まれてくるわけです。 もう時間がありませんから言いませんけれども、早く言えばこの還元方式によりますと、会社の必要な経費、たとえば基本経費というようなものを下関の場合では頭から九万五千円引いてしまう。そして走行経費という必要経費を四万引いてしまう。そして労働者の賃金というのは一日二千六百円と定めておりますが、これも引いてしまう。それを全体の会社の経費として差し引いて、あとの残りをおまえたちに還元するんだ、こういうやり方になっておるんです。ですからいままで九万円の給料をもらっておった人——これは月に大体二十万円の収入、いわゆる水揚げをした場合に、下関の場合いままで九万円の賃金があったのですけれども、実際には六万五千円ぐらいの賃金にしかならぬことになってくる。これが実施されると、いままでのいわゆる水揚げが二十万であった場合には三万円以上の減収になる。減収にならないために一生懸命長時間の労働をせなきゃならぬ、こういうことになっていくわけなんですから、それよりもいま言いましたように、そういう形ですべて会社が頭から優先的に水揚げから差し引いてしまって、あとのおまえたちのもうけた金を還元してやるからというやり方になるわけです。しかもその還元するお金は毎月支払うのでなくして、四カ月に一ぺんずついろいろなものを計算に入れて支払うという、そういうやり方なんですから、先ほど言いましたように、これもいわゆる通貨で、現金で直ちに労働者に支払うという、そういう条項にも違反してくるというような、いろいろな問題がここにあるわけです。と同時に、いま言いましたように、いわゆる賃金労働者としての身分を持つ労働者であるかどうかという点についてもきわめて疑われてくるのでありますから、特にこの点についても十分ひとつ検討していただきたいと思います。私の一方的な説明ばかりになって申しわけありませんけれども、時間がありませんので、そういうことで再度労働大臣に対してお願いしておきたいと思います。よろしゅうございますか。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のリース制につきましては、これも形がいろいろございまして、リース制につきましてもいろいろな形があるわけでございます。ですから、リース制が全部労働者たる性格を危うくするとか、あるいはそれが全部われわれのタクシーを指導しておりますいわゆる二・九通達に違反であるとか、そういうことは言えないわけでございますが、私どもはこれにつきましては、雇用関係が明確である限りは、リース制をとろうと二・九通達の規定は守らなければならない。したがって、そういう場合であっても最低保障給は設けなければならないし、時間が一定時間をオーバーすれば、やはり渡し切りではなしに、二割五分増しの割り増し賃金を払って時間外手当を支給しなければならない。その他基準法の諸条項をすべて適用され、それが守られなければならない、かように考えておるわけでございます。 ただ、このリース制は、運用のいかんによりましては、先生御指摘のように、確かにいわゆる道路運送法で禁止されております名義貸し的な色彩を持ってまいりますし、そうなりますと、労働者的色彩上も疑問も出てくる。そういう問題があるわけでございます。 そこで私どもは、四十七年にはこのリース制の運用につきまして、全国の乗用自動車連合会長についてもそれらの点に十分留意するよう要望をいたしておりますし、また運輸省当局に対しましても、その運用について、そういう問題がある点について配慮方をお願いしているところでございまして、今後とも労働者の保護につきまして遺憾のないように十分指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○枝村委員 その点については、今後いろいろ私のほうも資料を示して皆さんとひとつ質疑をかわしたいと思います。先ほど言いました山口県でも五社が実施しておるのですからね。そこの実態で調べていけば、どうなっているかわかるわけですから、そこでやめたいと思います。 次に、運輸省の自動車局長が来ていらっしゃいますので、ひとつお願いなり、それから、ちょっと伺っておきたいことがありますので申し上げますが、今度のこの問題で、これは会社側が事業廃止の申請をしております。そのときいろいろ、広島陸運局長との間でわれわれ側と、団体交渉ではありませんが、話し合いをしたり、それから新聞社が行っていろいろ局長の意見を聞いたりしたときに、局長が発言した中であまり感心しない点がありますので、その点をひとつ明らかにして善処してもらいたいと思います。 四月十日の中国新聞社の取材によりますと、局長はこういうことを言っているのです。タクシー経営の一形態であるいわゆる利益還元方式の導入をめぐって下関、防府両タクシー会社と労組の紛争について、第一には、両会社が組合側の導入反対を理由として提出してきた事業廃止申請は当分の間これは許可しない。二番目には、組合のストが長引いて利用者に迷惑が及ぶ事態になれば他のタクシー会社に増車してもらう、こういうことをはっきり言っておるのです。一番目のことは当然だと思うのですけれども、二番目の発言は、これはちょっと許しがたい発言だと思う。しかも今日の紛争が始まって深刻になろうとしておる時点においてストライキ破り的なものの言い方をするのは行政官庁、監督官庁にある者のものの言い方としては不穏当きわまる、不見識だというふうに私どもは見ておるのです。これは非常に会社側に味方し、労働者の当然与えられたストライキ権を否認して、そしてスト防止、スト破壊に通ずる思想をこの人は持っているのじゃないかと疑われてもしかたがないのですから、こういうものの言い方は断固やめさせなければならぬけれども、もしそういう思想を持っておるような人だったならば、そういう職からやめてもらわなければならぬということになるわけであります。その他いろんなことを言っておりますけれども、それはまあここで省きますけれども、その点について自動車局長としてどう考えるか、ひとつ……。
○小林(正)政府委員 ただいま先生御指摘の広島陸運局長の本件についての発言が報道されておるようでございますが、その点について確かめましたところ、ただいま御指摘のように、第一点で御了解願えるかと思いますが、本来道路運送法では廃止の許可申請が出た場合に利用者に影響がないというような場合にはこれを廃止を認めなければならないということでございまして、赤字とかそういった原因のいかんを問わず、道路運送法というのは利用者のためにタクシー事業を免許制にしておるわけでございますから、一般論としては免許しなければならぬわけです。しかし実際の運用といたしましては、現に労働争議中というような場合に、これに対して特別な影響が労使いずれの側に対してもあるというようなことについてはやはり差し控えるべきだ、こういう基本的な考え方をとっておりますので、廃止許可申請が出てきておりましても、ただいま御指摘のとおり当分許可しない、こういうような発言をしておるということについては、私もそれでそういった行政をすべきだ、こう思っておるわけです。こういったことからおわかりになりますとおり、道路運送法の運用におきましては利用者を第一義的に考えなければならぬわけでございますので、そういった点から、やはり廃止しなければならぬものでも、労使争議中はそういった特別の問題が起こっている具体的な状況に即応した運用をいたす。したがって後段の、一般利用者に影響が相当あるという場合に、輸送力対策としてあるいは増車をするというようなことが、これは一般論としてあろうかと私は思います。しかしあくまでも、それが先生御指摘のように争議に介入するというようなことになると、これは第一の許可処分についてと同様に、慎重の上にも慎重にしなければならぬ問題だと思います。したがいまして労働争議が極端に長期にわたり、しかも市内の全車両の相当部分がそのためにストップする、これがため地元の利用者に重大な影響がある。こういうように判断した場合に限って——ただいまのように陸運局長か発言したとすれば、そういう増車等の措置というものをやるべきであって、それを発動する場合は慎重にいたすべきである、こう考えております。
○枝村委員 まあ一と二とてんびんにかけてちょんちょんというような考え方でやったかもしれませんけれども、会社にも組合にもいい顔をする、あるいは会社にも組合にも悪い顔をするかという両方の考えのように受け取れるのですけれども、しかしあの時期でああいうことを言うことはよろしくないと思います。 ここで一つお願いですが、いま言いましたように、ひとつ事業廃止の申請が出されておるのを許可しないようにしてもらいたいと思うのです。それより、利用者に大きな迷惑を及ぼしておるんですから、むしろそれをさせないように積極的に業務確保の命令を出すようにしてもらいたいと思うのですが、その意思はありますかどうですか。
○小林(正)政府委員 廃止の申請の問題と同様に、そういった労働争議の結果輸送力が確保されていない場合に、当該会社に対して事業確保の命令をするというようなことも、これまた行政のあり方としていかがかと思うわけでございまして、やはりそういった際に確保命令を出すのがいいか、あるいは利用者に対して輸送力を確保するというような観点から他の会社に増車をすればいいか、こういったことは、先ほど来申し上げましたように、そういった時点に利用者の利便というものを第一義的に考えて措置を考えるべきものであろうかと思います。
○枝村委員 では時間がありませんので、本日はこれでひとつ留保しておきたいと思います。
○竹内(黎)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後一時二分休憩 ————◇————— 午後四時三十一分開議
○田川委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 休憩前の質疑を続けます。川俣健二郎君。
○川俣委員 基本施策について審議に入る前に、ちょっと労働大臣に政府答弁として問いただしておきたいのですが、この間の社労委員会において厚生大臣からの答弁をもらったのだが、予算委員会において総括的にいろいろとお答えした中で、たとえば医療問題なんかは労働大臣の諮問機関として懇談会をつくる、はたしてこれはその場のがれの発言であったのか。いま少し、援護法の問題にちなんで、附帯決議などだいぶやったわけです、これは労働省とは関係ないのだが。そういう場合に、附帯決議とか大臣の発言とか、場当たり的な発言はしないのだろうが、きょうから港湾労働法に入ったわけでして、大臣はどういう気持ちでああいうように発言したのか、私も理解に苦しむ。というのは、これから私が、きょうは人事院やあるいは農林省をわずらわして、一番恵まれない山林労働者、これなどを少し——いかに恵まれないか、そうして、その中で宿命的なチェーンソーを使うための白ろう病、これをひとつ取り上げて、ずっと過去の発言などを拾いながらやりたいのですが、ただ政府の態度がどうも、そのときの大臣が、法案を通しさえすればいい、何か請負的にあの手この手とテクニックを使って、法案さえ通せばまあいいだろうという考え方であれば、じゃ私どもでもあの手この手のテクニックで、あらゆる力を結集して——そういうことになったのでは結局、政治を望む国民が一番哀れなんで、やはり法案に対する責任は何も政府・与党にばかりあるのじゃなくて、特にこの委員会全体にあるわけですから、われわれ理事会でそういうようなことをやはり精神基調を確認の上でないと、これからいろいろと社労委員会で重要法案がかかることでございますから、その辺を少し労働大臣に聞かしてもらいたいのです。かいつまんで言うと、附帯決議とか、過去の会議録はその場限りの発言であって、それはどんどん忘れていっている。これは事務当局にも聞いてもらいたいのだけれども、大臣は、この間大原委員が厚生大臣に向かってあなたにいつまで大臣やっていますか、いつやめますかという質問をしていましたが、それは答弁の要はないと思うのだが、そういうことを言いたいぐらいに、過去の附帯決議とか大臣の発言とかがわりかた事務当局で施策されていない、予算化されていない。こういうところにわれわれ野党がなかなかそうかといって信じられないものがあるのですが、それをひとつ聞いてから白ろう病の問題に——それと非常に関連がある問題だから、過去、白ろう病というのは衆参両院の社労でかなり煮詰められておるということを知っているものですから、政府の法案に対する態度、大臣の発言、それから附帯決議の重要性、そういった面を少し聞かしてもらいたい。
○加藤国務大臣 御質問ごもっともでありまして、附帯決議並びに大臣の発言、いろいろな政府委員の答弁、それは法案を通すためのテクニックということばがありましたが、それは、さようなことはあり得べきことでなくて、あってはいけません。特に国会で附帯決議を全員で決議いたしたことに対しまして、それが実行できない、こういうような問題に対しましては、これは遺憾のきわみであります。ただ、いろいろな問題で、附帯決議をしたが、それが予算化する場合に決議の趣旨のままそれが完全に実施できない、少し差がある、こういう点はあるかもしれませんが、附帯決議は当然国会の総意において決定したことでありますから、これはもう当然尊重しなくちゃならぬし、また大臣の発言というのは、個人加藤、そういうものではなく、やはり全体の長でありますから、慎重に考えなくちゃならぬ問題で、大臣が発言したことは、今後役所全体もそれに従っていろいろな実施の段階に移していく、これは当然であります。また、この委員会、本会議などでも答弁したことは、それを実行に移していくべきことが議会主義の本筋でありますので、今後さような方向に向かっていくのは理の当然であります。それをテクニックだとか法案を通すための手段だとかいうような考えは、政府のほうには、これは労働省であろうがどこであろうが、ないと思います。ただ、予算化する場合に、多少これがその文句どおり——見方によってそれか少し削減とか、多少見解の相違はあるかもわかりませんが、今後さようなことがないように措置いたし、善処いたすのが当然と思います。
○川俣委員 慎重に発言しなければならぬということは、縮こまった、事務当局の発言のような、ものをそつなくやれという意味じゃありません。困難な代議士選挙に打って出てきたそれぞれ一騎当千の人方でもあるし、政治を志した人方でありますから、自分の考え方を述べなければならないと思います。あまりそつなく慎重になり過ぎて、さっぱり世の進展に施策の進展が伴わない。しかし、午前中のような発言はどうも慎重なのか本心なのか。加藤大臣は正直な方で名を売っておるのですが、正直にいえばああいうことなのか、それとも何かの勘違いをされたのか。ああいうことになるから、じゃ一切発言に慎重性を持ってしまって、さっぱり大臣の自主性を持たないということでは困るのであって、その辺をもう一点だけ聞いて内容に入ります。
○加藤国務大臣 午前中の答弁は、いろいろな関係から、参議院から帰ってきたという関係で、少し寸足らずというか舌足らずというか、途中が抜けたので、私の本心とだいぶ懸隔、開きがある感じで、これは心から陳謝いたしておりますから、いろいろまた理事会などで私釈明はいたしますし、ことによったら委員会などでいろいろなことに対して対処いたさなくてはならぬと思いますが、慎重ということは、いま言ったように、からに閉じこもるというような点もございますので、今後はできることはできる、できないことはできないと、率直に申し上げたい所存でございます。
○川俣委員 その問題は理事会その他でやっていかなければならぬと思うのだが、そういう考え方であれば、一応内容に入らしてもらいたい。 さっき申し上げましたように、白ろう病の問題、農業問題——きょう農林大臣はほかの委員会だそうですが、きょうは本会議で農業白書についてだいぶ浮き彫りにされました。林野庁も見えておるのですが、そのうち林業白書も出されるわけでしょう。社労委員会では雇用安定法案ということで、私早口で読ましてもらいましたが、やはり山林労働者の労働条件というのはもうほんとうにたいへんなものなんです。私も先々週ですか、青森の下北の突端に行って見てまいりましたが、ああいうように苦労して、いまどき人里離れたところで風雨にさらされながら働かなければ自然は保護されない、木材は供給できないということになるのは当然であります。 そこで、具体的に入る前に林野庁にちょっと聞いておきたいのですが、昨年の宮崎、高知、秋田などの風雨による大水害は、やはりかなり伐採、乱伐というものがたたっていると思います。そういうことを考えてずっと林業問題というものを追及されてきた場合に、歴代の大臣から、政府からやはり労働者が不足しておるのだ、こういう答弁が常に会議録に出ております。昔のように、冷たくなった握りめしをかみながら、わらじをはいて、みのかさで木こりの歌を歌いながらという風景は見当たらぬのだ、ああいう労働者はなかなかいないのだ、こういうことでなかなか人不足、労働者不足である。私の記憶に誤りがなければ、三十五、六年は五十万人くらい山林労働者がいたと思います。いまは何と十七万人くらいだと思います。私はそういう見方をしておるんだが、長官はどうです。これはそういうような見方でやむを得ないんだ。だとすれば、一体なぜ山の労働者がこのように地すべり的に減ってきたのだろう。どういうように見ているか、聞かしてもらいたいのです。
○福田政府委員 先生御指摘のように、山林労働者は最近数カ年間に大体半減しておりまして、四十六年の統計によりますと、十七万というふうに労働力調査では出てまいっております。その他のいろいろな労働力に関する調査を見ましても、全体的には山村地帯からの林業労働者の減少の傾向は御指摘のとおりでございます。一方、御指摘のように、昨年は特に集中豪雨等がございまして、各地の被害が頻発しました。非常な災害が出まして、また犠牲者も出ておるわけでございます。今後は山林経営につきましては、やはり優秀な労働力の確保ということは絶対必要だというふうに私も考えておるわけでございます。 ただ、なぜこのように減少していくかということになりますと、率直に申し上げまして、山で働く場合に、この労働の環境なりその他労働条件が都市のそれと比較して魅力がないということから、若い者が特に減っていくのではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、民有林、国有林を通じまして、今後の労働力の確保のためには、働く人たちのそういう環境をよくする、ある いはまたそういった労働条件をよくしていくということが基本的には必要であるというふうに私も考えているわけでございます。
○川俣委員 そうだと思いますね。何といったって若い人が魅力がない職場を敬遠されることは当然なので、環境をよくし、労働条件をよくしなければならない。ところがこの労働条件となれば、基準法はほとんどあるでなし、失業保険はさっぱりだ。 そこで労働省の事務当局に聞きたいのだが、いま民有林の労働者は、失業保険は任意適用のままで放置されておるわけです。しかも加入については一定の制限を設けられておる。これに間違いないだろう。 そこで、長い説明というかディスカッションをやる時間がないし、いままで委員会で何回もやつてきたことだから、前置きは抜いて結論だけでたたんでいきますけれども、これは当然適用にすべきだと私は思うのだが、どうです。
○道正政府委員 昭和四十四年末の失業保険法改正法の附則におきまして、林業をはじめといたしまして農林水産業を「当然適用事業とするための適切な方策について調査研究を行ない、その結果に基づいて、昭和五十一年一月三十一日までに、必要な措置を講ずる」ということがきめられております。しかしながら一方におきまして、農林水産業におきましては雇用関係あるいは賃金支払いの関係等が必ずしも明確でございません。また産業自体にいわゆる季節性がございます。そういうことで、失業保険の適用にあたりましてはいろいろ問題があることもまた事実かと存じます。こういう問題につきまして現在調査を進めておりますが、四十七年度においてまず林業から調査を開始いたしております。そういう結果を整理中でございますが、今後引き続き他の農業、水産業等につきましても雇用調査を行ないまして、そういう結果に基づきまして、法律で定めておりまする五十一年一月末までには当然適用とすることができるような所要の条件整備につとめたいというふうに考える次第であります。
○川俣委員 当然適用は五十一年一月、過去の確認を忘れておられないようだから、これはぜひやってもらいたい。いろいろの障害条件があると思います。しかしある程度力をもって、行政指導力をもって、あらゆる官庁の協力を得ながら、地元の市町村の協力を得ながらやっていかないと、林野庁の長官が言っておるように、山が荒れほうだい荒れていくばかりだと思うのです。なぜかというと、山の労働者がいなくなる。そこへブルドーザーをかけてくるものだから、山は荒れほうだいだ。そういうことを考えると政治の場で——何といったって政治家はそれぞれ良心をもって、山を緑にしようという合いことばであらゆる面からやっていかなければならぬと思うから、これは五十一年一月までにはもうほとんどが当然適用の労働条件になっておる、こういう状態を私はここで張く要求しておきます。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 それから二つ目ですが、本論の白ろう病です。国有林のほうはチェーンソーを大体一万四千人ぐらい使っておるようですが、民有林の場合は何とぞの二十倍ぐらい使われておるはずなんです。この辺の数字はいかがですか。それで国有林の場合は 一万四千人がチェーンソーを使用する。ところがチェーンソーというのは宿命的な機械ですから、無過失賠償責任じゃないのだ、ほんとうは。当然白ろう病になりますよということを前提に使わしておるわけだから、本来からいえばまさに無過失賠償でない、責任があるわけです。一万四千人のうち五千人は訴えておる。五千人が訴えておるのに認定してもらっているのは千三百人足らず。それから民有林のほうはその二十倍。二十倍ですが、白ろう病として認定されているのはわずかに百人。どういうわけだろうかと思うわけだ。まず林野庁のほうから、国有林のほうの数字的なものがいいかどうかということと、認定は五千人のうち千三百人。なぜこう少ないのだろうか。ましてや民有林の場合は、どうやったら白ろう病というのは世に顕在するのだろう、あらわれるのだろう、この二点をそれぞれ聞きたいのです。
○福田政府委員 国有林におきますところの白ろう病の訴え者は四十六年末トータルで三千九百四十四名、認定者は千二百三十二名、合計しまして五千百七十六名となっているのは御指摘のとおりでございます。この認定者はそれぞれ医師の診断に基づきまして、医師が認定するものでございますので、専門的な医師の診断にまつことが私たち妥当だと考えておるわけでございます。全体の数に対しまして訴え者が七六%、認定者が二四%という数字になるわけでございます。この約七割台、それから二割台というのが適正な数字であるかどうかということにつきましては、直ちに断定しかねるものでございますけれども、精密な診断によりまして、この白ろう病の認定者をできるだけ少なくしていく治療対策、あるいはまた診断基準というものを早期に確立していかなければならない、かように私たちは考えておるわけでございます。
○渡邊(健)政府委員 民有林につきましては、国有林等に比べまして白ろう病の認定を受けておる者が非常に少ないことは、先生御指摘のとおりでございます。これは一つには、認定を申請してくる労働者が非常に少ないわけでございますが、これにつきましては、民有林の労働者等の中に自分が白ろう病になっておるということをはっきりと理解していない者もかなりいるのではないかと思われるのでございまして、これについては健康診断をできるだけ確実に行ないまして、白ろう病にかかっている人に対しましては、医者から白ろう病であるということを知らしてやるということが必要だろうと思います。林業は山林地帯においてああいう形で行なわれておりますために、健康診断等の機会に恵まれにくいというような状況があるわけでございますが、安全衛生法によりまして雇い入れ時及び定期の健康診断が義務づけられておるわけでありますから、私どもといたしましては巡回健康診断の機関に委託いたしまして、巡回健康診断を山の中まで出して、その受診をさせるというようなこともいたしておるわけでございますが、今後とも検診の促進につとめてまいりたいと考えております。 もう一つは、林業労働者等の中には、林業については労災保険は全部強制適用されておるわけでございますが、必ずしもそのことを十分に知らない等のために、多少自分が白ろう病ではないかと思っても治療を受けないという人もあるのではないかと思います。そこで先般私ども通達を出しまして、林業労働者等についても労災保険が強制適用になっておるということを十分啓蒙普及いたしますとともに、療養を必要とする労働者に対しましては、すみやかに医師にかかって、その指示に従って適正な療養を行なうよう監督署に指導させるよう通達をいたしました。 また、労災保険の給付の請求がございましたときには、これはすみやかに業務上の認定を行ないまして、林業労働者、特に白ろう病にかかりました労働者の災害補償に遺憾のないように、今後一そう指導につとめるよう指示いたしたところでございます。
○川俣委員 労働省の答弁のように、やはり無自覚症状というか自覚してないのが多い、私もそう思いますね。それからもっとあれなのは、白ろう病というものは職業病として法制化しておるということを知らない人が、山林に行ったらものすごく多い。いまの論議の中からも、また通達を出されて普及啓蒙に当たっておる、こう言うのだが、これは局長から各県労働基準局に出してみたところで、啓蒙普及にならないと思うのです。それから末端が問題なんだ。特に過疎地帯、僻地地帯に山林労働者が点在しておるわけだから、普及宣伝というのはどういうようにやっているのですか。
○渡邊(健)政府委員 確かに、林業労働者が就業しておりますところは山間のなかなか行きにくいところに散在しておるわけでございますが、一つには、いま労災保険の加入促進というようなことをやっておりまして、ちょうどいまが労災保険の保険料の納入時期でございます。そういうようなことで、山奥の事業者までかなり監督署の職員が行く、あるいは林業指導員等によりましてそういう普及をはかっておりますので、そういう機会をとらえまして、白ろう病についての知識あるいは労災保険についての知識の普及をはかってまいりたい。 また、林業労働者につきまして、けがをいたしますと必ずその調べがあるわけでございますし、それについての労災の給付のための調査というものもございます。そういう機会等で現場まで監督署の署員等が行く場合には、あらゆる機会をとらえまして白ろう病についてのたとえばパンフレットとか、あるいは労災保険についての知識を与えるためのいろいろな資料等も配ってくるといったようなことで、その啓蒙普及につとめたいと考えておるところでございます。
○川俣委員 どうだろうか。チェーンソーを使っておる労働者は定期的に専門医の健康診断を受けなければならないという規定は、どうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 現在安全衛生法に基づきまして、雇い入れ時のほかに定期の健康診断があるわけでございます。しかし、白ろう病等につきましては、検診の内容等が必ずしも確立いたしておりませんので、現在林業災防協会に専門家の委員会を設けまして、その検診項目等の検討を願っております。これはごく最近のうちにその検討の結果をいただけることになっておりますので、それらによりまして専門家の検討の結果を参酌いたしまして、現在の検診のやり方等についても一そう効果的な方法を研究したい、かように考えております。
○川俣委員 専門家の委員会というのは、どういう構成ですか。
○渡邊(健)政府委員 林業災防協会に委託をいたしまして、振動障害検診委員会というものを各大学のその方面の専門の教授その他を委員に委嘱いたしまして、チェーンソー等の検診の方法、それから行く行くは検診についての結論が出ますと、治療方法等もこの委員会に御検討願いたい、こういう考えで設けておる専門家の会議でございます。
○川俣委員 それは国有林、民有林問わずなのか、それが一つ。もう一つは、いつごろ結論が出るつもりか。
○渡邊(健)政府委員 これは振動障害、すなわち白ろう病ということですから、これはいかなる雇用形態であろうと白ろう病についての検診、治療等を検討していただきたい、こういうことでございます。 それから第一回の検診についての結論は、五月には出るというふうに私ども大体伺っております。
○川俣委員 それでは、五月中に検診委員会から出たらさっそく報告してもらいたいと思います。それによってまたこの問題を審議してみたいと思いますが、このように、林野庁の長官、民有林の場合はかなりばく然としてなかなかつかみにくい。ところが国有林の場合は完全に把握できる体制、組織にあるわけですから、定期作業員でも臨時でも含めて把握できるわけです。ところがさっき長官の言うのは、認定者を少なくするために診断基準を改めるという発言をしたけれども、これはどういう意味ですか。逆じゃないか。
○福田政府委員 私発言したのが間違っておりましたので、訂正いたします。白ろう病にかかった者はなるべく早く少なくしていきたい。そのためにそういった診断の基準なり治癒の基準を早くほしい、こういうふうに申し上げたのでございます。訂正いたします。
○川俣委員 それで例の一日二時間、週五日、一カ月四十時間か、協定は。それで作動は十分おき。これは私も現地調査をして見ると、この時間規制をやってからはわりかた少ない。時間規制をやってからは、わりかた訴える人は少ない。ところが、時間規制というのは四十四年ごろなんだ。その前が非常に多い。無差別に外国から入ってきたときにだっと——重たい機械が悪いのかとうか知らぬが、その間にだっと出てきたやに聞いておる。ところが民有林の場合は平均五時間、六時間なのです。これはなかなか改まらない。なぜかというと、出来高だからだ。そういうところに問題があるから、この時間規制を民有林にもやるという腹づもりでいるかどうか。労働省の局長に聞いておきたいのですが……。
○渡邊(健)政府委員 四十五年に通達を出しましのは、もちろん国有林ばかりじゃなくて民有林も含めて、そういう作業管理によりまして予防したいということでございましたが、先生御指摘のようになかなかこれが改まっておらないわけでございますが、今後ともこの時間の指導等については、できる限り徹底をいたすように努力をしてみたい、かように考えております。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
○川俣委員 それで林野庁は治療方法の開発というか、なかなか治療方法というのは、医学界においてもこれというきめ手は見当たらないわけだろう。しかしこれは労使でもかなり煮詰めて話し合って、協定しているんだろうが、これは一体具体的にはやっているのか、どうなんです。
○福田政府委員 この問題につきましては、いろいろな大学あるいは研究所にそれぞれ専門的な、たとえば神経系統とかあるいは骨の関係であるとかいろいろの問題を取り上げて、それぞれ研究を委託しておるわけでございます。その中でまた一つの治療対策としましては、温泉治療がきくのではなかろうかというふうなこともございまして、福島の労災病院であるとか国立の長野病院というふうなところにこの研究を委託しておりまして、その結果によると、ある程度そういったものについては効果があるというような実は報告も受けておるわけでございます。 総括しまして申し上げますと、それぞれの専門分野について研究を委託しておりますが、治療対策につきましてはなかなかむずかしい問題でもございまして、いま申し上げたような具体的な例としましては、温泉の治療についてそういった若干の報告を受けておるものでございます。
○川俣委員 これは林野庁でいいのかな、人事院でいいのかな。きめ手がないんだが、入院治療それから温泉治療がいまのところは最高にいいというわけだ、患者も医者も。患者がいいというから医者もいいというのかもしれぬ、医学のことは知らぬけれども。だから治療方法開発の途中できめ手がないという前提か知らぬが、やはり奥地に行けば温泉であったまるのが一番いいというんだ。ところが入院治療、温泉治療を医者がやれというのに——これは認めてもいいのですな。入院治療や温泉治療を当局として認定できるのですな。
○中村(博)政府委員 入院治療につきましては、これは医師が入院を要するという場合には、私どもののほうの立場としては、その入院を制限するというようなことは現在はいたしておりません。 それから温泉治療につきましては、これは先生も御承知のように、いろんな医学的な意見があるわけでございまして、きまった定説というものはないわけでございますが、しかし医師が明白に温泉に入ることがこの療養上有効であり、かつ入っているときに医師の常に監視下にあるというような条件が整いますれば、そのことを温泉治療はだめだというふうには私どものほうとしては言っておりません。認めたいと思います。
○川俣委員 温泉治療を認めたいということであれば、そこで大臣、これは四十五年ですか、参議院の社労委員会において、時の労働大臣野原正勝君、営林署上がりで一番詳しい。この大臣の当時に、白ろう病の問題は「重大でございまして、現在は労働衛生研究所におきましてやっておりますけれども、将来はやはり産業医学全体の総合的な研究機関を設けたいと考えておるわけでございまして、」さらに説明員として東村金之助君、いまどこですか、「この問題は、医学的な観点からの検討が十分なされないとなかなかうまいぐあいに対策が前進しないというものでございます。私どもといたしましては、そういう観点からわがほうにございます労働衛生研究所、それから民間の専門家、さらには専門委員会等をつくって、いろいろそういう専門的な研究を進めているわけでございます。」こういうようにうたってある。四年になるが、どうですか、やっていますか。
○渡邊(健)政府委員 専門家の委員会をつくってと申し上げましたのは、先ほど振動障害検診委員会というものをつくってこの五月に結論を得ると申し上げましたのがそれでございます。
○川俣委員 その対策委員会ですか、これは林野庁にもあるのじゃないかな。
○福田政府委員 対策研究会というのがございます。
○川俣委員 名前はどうあろうといいが、これは提案したいんだが、労働大臣、どうです。白ろう病ですから、これからまだいろいろ出てくる。道路工事にも出てくるし、それから刈り払い機にも出てくるし、オートレースの乗り手はどうか知らぬが、とにかく振動病ですから……。これはいまわりかた林野庁と労働省ばらばらになっているから、ひとつこの対策委員会一本に労働大臣のところでやっていくということを検討願えますか。一本化、一元化だ。
○加藤国務大臣 林野庁とよく協議いたしまして、御趣旨のような方向に進むように、これは検討でなく具体化するように進めていきたいと思います。
○川俣委員 やはり林野庁、そう出し惜しみしないで、それぞれ研究したソースがあるだろうから、労働省にもある、おたくにもある。だからそれをひとつ提唱しますから、大臣もそのように検討していくというから、対策委員会の一元化、これを私からも提唱しておきます。
○福田政府委員 御趣旨に沿うように、私のほうからもひとつ労働省とよく連絡をとってお願いしたいと思います。
○川俣委員 それと、皆さん専門家ですから御案内のように、これはわりあいにソ連がだいぶ前から使っているわけですね。比較的に普及されておる。そこでソ連との交流を——やはり技術交流ですから、こっちから行って勉強してくるのもいいし、労働大臣がこちらにお招きしてもいいんだし、やはりこれは国際病だから、向こうから入ってきた機械によっての病気だから、こういったものもやはり局長くらいはさっとソ連の研究所に行ってやってくるくらいの熱意があるかどうか聞かしてもらいたい。
○渡邊(健)政府委員 白ろう病、振動障害の問題については各国で問題になっておりまして、実はこれを予防するための振動の許容限度等を検討する国際会議が数年前から時々開かれております。これらの会議におきましてソ連からも、いろいろな専門家から有意義な提案もされておるというように聞いておるわけでございます。本年もこの国際会議がまた開かれるというふうに聞いておりますので、私どもは専門家をこの国際会議に派遣することも現在検討しておるわけでございまして、ソ連だけということでなしに、そういう国際会議の場等で各国の専門家の研究結果等も十分に勉強して、日本がそれらの対策に、国際的に見てもおくれることがないように、他国の成果を十分に活用するようにしていきたいと思います。
○川俣委員 私はこれはもう絶対必要だと思います。いまや日本もソ連もないわけですから、やはり国際舞台へ出て、こういった問題は、日本にないものは首をたれて伺うし、向こうにないものはこっちで教えるという体制でいいわけだから、ぜひ白ろう病の治療方法については労働大臣が中心になって——振動病ですから、これからものすごくふえていくと思います。機械化によってあらゆるものにふえてくるわけだから、それをやはりいまのうちに労働省が完全に把握しておいてもらいたいと思います。 それから人事院のほうで、医者のほうでいいということであれば温泉治療を認めるという発言があったが、入院治療の場合、林野庁長官、制限を加えられてどうにもならない、こういう苦情が出ている。しかし、そんなことはないだろう、じゃ一ぺん確認しておこうと思ったが林野庁——これは人事院のほうはけっこうです。なぜかというと、入院治療の場合、特に労務管理の一環に入っている、職制に入っているものだから、おまえ、もうよろしい、入らぬでいい、こういう事件があった。これは時間がないから具体的に……。医者には白ろう病に認定してもらった。認定した医者が、入院しなさい、こう言った。入院したら、おまえ私病で欠勤だ、こういう扱われ方をした。これはつかんできておる。私は青森の大畑営林署でその事例を持っておる。これはいま具体的にいろいろのケースがあると思うのだが、ただ一言、長官として——医者かそのように認定した以上はやはり医者の手にまかせざるを得ないと思います、特にきめ手がないだけに。それ、どうですか。
○福田政府委員 御指摘のとおり、白ろう病の認定は専門のお医者さんに御診断願わなければなら、ぬと思います。ですから私どものほうの役人がそれがいいかどうかという判断ができないのはもちろんでありまして、医者がそのように認定された場合に、これは入院したほうがいいと言われれば、それは入院させるようにしたほうがいいと思います。それは手違いか何かあったのじゃないかと思いますが、御指摘のとおりだと思います。
○川俣委員 まことにあたりまえのことを質問したら、あたりまえの答弁があった。ところがあたりまえなことが行なわれないからこういう苦情がある。これは労務管理の範疇のはうに入る問題だから、職業病を通じてのあたりまえの問題が、労務管理の強制によるゆがみがここへ出てきておるのじゃないか。これはいま少し方々からケースをとった上でまたあれしますが、ただ長官はいま、医者が認定した以上は何らとやかく言うものじゃないという確認ですから、いいと思います。 そこで、専門医という話があなたから出ましたが、これはやはり専門医でないとわからないんだそうです。白ろう病という名前は、信州ですか、ちょっと見たら外見が白ろうのような症状になっていた、それで白ろう病という名前がついたのだろうが、白ろうにならない白ろう病というとおかしいが、振動病がかなりある。そういう問題とかいろいろとありまして、ほんとうにあらゆるところから調査しないと認定できないのだそうです。そういう認定の設備とか、あるいはお医者さんには言いにくいことだけれども、なかなか白ろう病と取り組む医者が少ない。なぜかというと、もうからないのが一つと、もう一つは日本における新しい病気なものだから、あまりない。医者の世界なんというのはわりあいに系統的に閥があるものだから、白ろう病の医者というのは非常にない。これはまた医療問題で厚生省と、職業病に取っ組む医療供給体制、これはまた別にやらなければならぬと思うのですが、ただ、これも林野庁に確認しておきたいのは、専門医というのはそう方々にあるわけじゃない。ところが、営林署というのは比較的山が近いところにある。そうすると、営林署が所在しているところというのは専門の医者がいるわけじゃない。まず管理医、産業医というのはそこの町の病院になる。いわゆる管理医、産業医なんだ。ところが、はっきり数字で申し上げますと、管理医の認定といわゆる専門医の認定というのは非常に食い違いがある。大畑の営林署で、一つの例ですから聞いてください。端数はちょっと忘れたけれども、訴えた者が二百八十人で、認定してもらったのは百三十人だ。ところが、百三十人の認定患者の中で、その町の一般病院に認定された者は一人だ。あとの九割九分は、遠く離れた弘前市ですか、青森市ですか、専門医に認定してもらった、こういうことなんです。それ一つから見ても、いかにこれは——非常に悪く解釈すると、産業医というのは認定したがらないということなのか、知識がないということなのか、その辺が非常にまだ不可解であるのが一つ。 それからもう一つは、長官ですが、産業医に行く場合は休んでも休暇をくれるし、賃金も払うし、旅費までくれる。ところが、専門医に行って見てもらうと、おまえ欠勤だ、自分の休暇だ、こういう措置をとっておる、こういうのだが、ほんとうですか。
○福田政府委員 私の理解しているところでは、認定はどこのお医者さんでもできるというふうにいたしておるはずでございます。管理医でございましょうが、あるいはほかのお医者さんであろうと、認定はできるはずでございます。ただ、管理医というのは、それぞれの営林署にあると思いますが、御指摘のように、ほんとうの専門家というのはあるいは少ないかもしれません。ですから、本人が不安な場合には、そのお医者さんの了解を得て、ほんとうの専門医の、特に私たちはその場合には国立病院とかあるいは公立病院のようなところを指定しているわけでございますが、そこに行ってまた診断を受けてもらうということはできるようにしているわけでございます。 なお、こまかい話でございますので、福利厚生課長に補足説明をさしていただきたいと思います。
○樋口説明員 お答えいたします。 現在の主体としましては、春秋の健康診断がございます。そのときに振動機械を使用しております者についてはさらに特別な項目をふやしまして、特殊健康診断を行なっておるわけでございます。特殊健康診断によりましてさらに症状が確認できないような場合、しかも本人が希望いたします場合には、私どものほうで指定しました専門の医療機関、先ほど長官が説明しました大学病院あるいは国公立病院等、こういうところでさらに精密検査を行なう、こういうかっこうになっておるわけでございます。
○川俣委員 やはり、医師の選定という問題が医療問題の審議の中によく出るのです。これは、医師の選定権は患者にあることはとうに確認されておることなんだが、ただ、いまおっしゃった答弁は、専門の医療機関と、こうおっしゃる。専門の医療機関はそばにはないのだ。営林署のそばにはない。そうあるものじゃない、日本には専門の医療機関というものは。だから営林署当局は手短に、安直なところに行って見てもらいなさい、こういう指示をするかもしれぬが、私も見てきましたが、いわゆる検査設備というのはかなりなものです。ああいうのはちょっとないです。そういうことなんです。それに対して、せっかくちょっと行くと、専門の医師がいるからあそこに行ってみたいということに対しての措置はどうだと聞いている。どうです。
○樋口説明員 ただいま申し上げました指定医療機関というものは、これは固定したものではございませんで、その地域の実態によっていろいろあるわけでございます。したがいまして、そのつどこちらが指定するというかっこうで、ある意味では流動的であるというかっこうになっております。
○川俣委員 流動的というのと指定するというのと、どうなんです。こちらが指定するというのは営林署側で指定するという意味ですか。
○樋口説明員 こちら側で指定するということになっております。
○川俣委員 せっかく厚生省の局長が見えておるから、その辺どうかな。これはどうせ健保でやらねばならぬが……。
○加倉井政府委員 私どもの疾病を認定いたします場合には、一応指定医あるいは指定医療機関というものを認定いたしまして、そこの専門医の認定を受ける、こういう制度をとっておりますので、ただいまのお話の場合は、農林省が御指定になりました指定医療機関で認定をされるというのが一応通常のやり方だというふうに理解をいたしております。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
○川俣委員 それでは課長、せっかくあなたと論議しているのだから、専門医として指定したのですな、そういうことですな。近いからという医療機関じゃなくて、あれは専門医として指定するということを労使できめるわけだろう。あれは専門医だ、白ろう病の権威だということを労使で協定してきめた医者のことを指定医、こういうのですね、いいですね。
○樋口説明員 これはあくまでもレイノーという一つの病気でございますので、それなりの設備なり知識を持った医師なり病院、そういうものを指定しておるということでございます。ただ先生御指摘の労使で協議して決定というものじゃございませんので、その段階では当然いま申しましたような設備なり医師の知識は必要でございますけれども、そういった中でより完全を期するという意味から組合等の意見を十分に尊重する、こういう形になっております。
○川俣委員 どうせなるのは、患者は労働者側だから、その組織体が組合だから、あなたはいま組合と言ったから、この指定方法ですが、意見を尊重して指定するというのですか、どうです。これは厚生省に相談してするとか、あるいはそれぞれの市町村自体に医療委員会みたいなものがあるのだから、そういうもののあれを仰いで指定するのか。その指定するという指定の方法はどうか。あそこにそろった設備があるそうだ、あの町医者が何か機械を買ったようだというぐらいではだめだ、かなりむずかしいというのだ。
○福田政府委員 確かに先生御指摘のとおりでございまして、目的はそういった白ろう病つまりレイノー氏病の患者を早期に発見して予防対策を講ずる、あるいは一ぺん出たものはなるべく早くなおしてやるということが大事でございます。私たちにしましても、あるいは組合のほうにしましても、そういった点についてはしろうとなはずでございます。したがいまして両方で協議とかいう問題ではなくて、ただいま先生御指摘のように、それを専門の、たとえば厚生省であるとかその他の官庁とも、そのやり方については十分よく相談してまいりたい、かように考えます。 ただいまのところでは、組合との話で厚生課長が御説明しましたように、組合の意見も聞いて営林署長がそれを指定するというふうになっておりますけれども、やはりそういう点につきましては十分検討していかなければならない、かように考えております。専門の機関、専門家であるかどうかということについての判断は、組合と両方で協議してきめるものであるかどうかということについては、御指摘のようにちょっと問題があると思いますので、専門の官署とよく相談するようにしたいと考えております。 目的は、いま申し上げたとおりでございます。
○川俣委員 私は、言わんとするのはわかると思うんだが、しろうととしろうとが何ぼ協議したって、いいものは出ないわけだから、そうじゃなくて、労務管理の一環としてずっと質疑応答してきたので、片方の営林署の当局側にだけ指定される——一番よく知っておるのは患者なわけだ。なるほどあの医者はいいというのを知っておるのは患者なんです。やはり一方的に指定医をきめるのじゃなく、そういうのもあわせながらやるべきだ。これは一体どうなんですか、厚生省。全国に一覧表があるのですか。
○加倉井政府委員 私のほうは、公衆衛生局の立場では白ろう病につきましては、指定医療機関の制度にタッチいたしておりませんので、ございませんが、ただ従来の、たとえば結核治療のための指定医療機関につきましては、医療機関から申請をさせまして、それが適格であれば指定をする、こういう制度をとっております。手続上はそういう手続をとりますが、白ろう病の場合にまだ制度が固まっておりませんので、今後とも労働省あるいは私どもといろいろの条件その他につきましてお話し合いの上、しかるべく医療機関を指定するのが適当じゃないかというふうに考えております。
○川俣委員 タッチしてません、こういう発言だけれども、タッチさせてくださいよ、専門の政府機関があるわけだから。制度がまだ固まってないということで局長は話しておるんだけれども、制度が固まってないかもしれぬけれども、患者が固まったので、それでどんどんふえていっているのです。これはもっと深めたいのだが、医療問題の本格論議のときに、保健所の活用その他を含めて、この職業病の取り組み方をやります。 それで、最後ですが、労働省どうでしょうか。制度は固まっていないが、チェーンソーが入ってから十数年、十五、六年になる。協定してからもかなりになる。そこでまあ私は鉱山のほうの例をとるわけじゃないんだが、よろけ病、けい肺病ですね。このチェーンソーも、いまは働いている人方が多い。というのは退職者が少ない。まだ歴史が浅いから。ところがこれは、退職すると世にほうり出される。世にほうり出されるときは——営林署なら営林署につとめている間は、労働組合という組織体もあるし、補償なり治療なりめんどうを見てもらえる。ところが退職してさよならすると、それっきりになる。そこでいろいろと考えたのは、けい肺はけい肺手帳を持っている。りっぱなやつを労働省がこの間つくった。そこでやっぱり、白ろう病になった人は生涯苦しめられることもあるから、白ろう病患者に手帳を持たせるということを前向きに検討してもらいたいのだが、どうですか。
○渡邊(健)政府委員 けい肺を含めますじん肺につきましては、御承知のように症状によりまして管理区分が一、二、三、四というふうに段階の判定がされておりまして、従来のあれで申しますと、けい肺は一ぺんなりますとなおらないでだんだん、場合によって増悪するということで、そういう管理のための手帳制度等もやっているわけでございます。白ろう病につきましては、まだまだ医学的にけい肺ほどはっきりしてない分野が多いわけでございますが、先ほども申し上げましたとおり、振動障害検診委員会等で検診の問題、あるいは診断の問題、将来は治療の問題等々も検討していただくことになっておりますので、そういう専門家の研究結果ともにらみ合わせまして、先生御指摘の長期間にわたる健康管理のための手帳制度その他も今後研究してみたいと存じます。
○川俣委員 終わります。
○竹内(黎)委員長代理 寺前巖君。
○寺前委員 お疲れのところおそれ入ります。きょうは私は、陸の王者日通というふうにいわれています日本通運株式会社——これは私はよく知りませんが、一般通運業者は四、五百あるようですね。それらの通運業者全体の取り扱い高の中では、この会社は七割余りからの独占的な状況にあるといわれているというふうに思うのです。こういう状態が続いているのは、八年来ずっと統計を見ていると独占状況というのが存在しているというように思うのですが、昭和四十二年の十二月、ちょうどもう五年になりますが、日通事件ということで世間の非難が集中して首脳陣が一新させられるという事態が起こっています。きょう私は、この日本通運株式会社の下請であるところの三和興業という会社が、日本通運株式会社との間で、昨年、下請契約を破棄するという事態で仕事を干されるという事件があったわけですが、その原因の一つになっているのに、下請の三和興業株式会社の労働者か労働組合をつくろうとした。その労働組合をつくろうとしたということに対して、その社長は、日通の東京の秋葉原支店の業務課長の方その他の人から呼びつけられて、そういう状況だったらおまえのところとの仕事の契約はせぬぞという、そういう圧力をかけられる中で、三和興業の社長が、労働組合をつくるのをやめておけという話をそこの、下請の三和興業の労働者にかけたという事件が、これが実は東京都労委に提訴されております。これは三和興業労働組合の執行委員長から三和興業の社長、それから日通の代表取締役の澤村、こういう人々を相手どって申し立てをやっているわけですが、この申し立ての事実を通じて、今日の日本の独占段階になってきている状況のもとでは、かなり下請というのが存在している。下請の企業というのは親元企業から圧力がかけられて、そして労働組合をつくるならばこうするぞといういろいろのおどしがかけられる。これはぼくは共通した問題を含んでいるというふうに思うので、三和興業の労働組合に対して行なっているというこの介入、これについて一体どういうふうに考えたらいいんだろう。この申し立てが実は東京都労委に出されているわけですが、これに対して当該の日通のほうから答弁書がまた同時に都労委に対して行なわれております。その答弁書を見ると、長々といろいろ書かれているわけですが、組合から出されたところの「申立書の記述によれば、申立人組合は、専ら三和興業の従業員をもって組織されたものであって、被申立人会社と、申立人組合の組合員との間に直接の労働契約関係が存在していなかったことは、申立人自身も認めているとおりであるが、上記の外、特に、申立人組合の組合員との関係で日通が労組法第七条の「使用者」と解しなければならない事実関係も法的根拠もないので、本件申立は結局その点において、被申立人を誤ったものと言うべきである。したがって、労働委員会規則第三十四条第一項五号に基づいて、その余の点を検討するまでもなく、当然却下せられるべきものである。」というふうに書かれている。私はさっきも言ったように、下請の企業の労働組合が、そこの社長からの圧力が、その裏にそういう大きな企業があって独占的な事業を持っている場合は行なわれるという可能性というものはある。そういう場合不当労働行為として——労働組合を結成することに対して、当該の三和興業の社長は、不当労働行為をやっているということを、私が聞いたら、そう言うのです。だけれども、私がやったのには実は裏がこうこうありますから、組合さんのほうから訴えられている事実についても、これは私は当然子会社が親会社からやられる場合には起こる問題であるというふうに思いますと言っておられるわけですね。だから、この関係について一体どういうふうに解釈されるのか。これは当事者の三和興業の社長とそこの労働組合との関係の不当労働行為というだけでいいのか。それも裏づけがあって、その圧力があればこそこういうふうになるんだということになれば、当然不当労働行為の対象として解すべきだと思うのだけれども、その点についての見解を聞きたいと思うのです。
○石黒政府委員 三和興業の事件につきましては、先生たいへんお詳しいようでございます。私のほうは実はゆうべからあわてて調べたということでございまして、詳細を存じておりません。しかしながら三和興業労働組合が都労委に申し立てをいたしていることは承知いたしています。その申し立ての対象が直接の雇用主である三和興業株式会社のほかに、日通株式会社及び全日通労働組合の分会というのを対象にしているという点で非常に異例な申し立てであるという感じを受けております。具体的な事件につきまして、都労委で現に審間中の問題につきまして、私どもはそれがどうこうという法律的判定を申し上げる立場にはございませんが、一般的な法解釈といたしましては、親会社なり取引先から圧力を受け強制されて、直接の使用者が不当労働行為をしたという事例は間々あるようでございます。その場合に不当労働行為が成立するかどうかということは、長くいろいろ下級審でまちまちな判決が出ておりましたが、先生御承知と思いますけれども、四十六年の山恵木材の最高裁の判決によりまして、取引先からの強制であっても当該使用者についての不当労働行為は成立するという判決が出たわけです。その点は一つの解決を見たと思います。その場合に、それじゃその取引先なり親会社なりが不当労働行為の命令の対象者になるかという点につきましては、私どもは、労働組合法では「使用者」と書いてございます。使用者というのは労働契約の一方の当事者でありまして、親会社とか取引先が不当労働行為を下請等に強制するということはなすべきことではございませんけれども、労働組合法上の不当労働行為の命令の対象とするということは困難ではなかろうかというふうに考えております。
○寺前委員 いまのお話によると、不当労働行為という対象にはなるけれども、使用者という範疇にならぬから命令のあれにはならないということですかな。もう一つよくわからないんだけれども、契約先の会社とか親元の会社がやるということはけしからぬということは一応の判例は出てきておる。不当労働行為だということは判例は出ておる、こういうことなんでしょう。 〔竹内(黎)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 だけれども、それは使用者としての命令権を執行することはできない。だけれども不当労働行為には違いないということになったら、どういうことになるのや。被害を受けたところは救われぬことになりますわな。だからどういうことになるのです。
○石黒政府委員 いま申し上げましたことは、最高裁の判決は、山恵木材という小さな木材会社の事件でございます。その山恵木材の取引先である新宿木材市場株式会社という会社が山恵木材の社長に、特定の組合活動家の首を切れと強制をしたという事件であります。そしてずいぶん抵抗したけれども、おまえと取引しないと言われちゃうと会社はつぶれちゃうということで、やむなくその人の首を切った。これは不当労働行為という使用者の自発的意思ではなくて、会社がつぶれるかどうかというせとぎわに追い詰められたためにやむを得ずとった措置だから、山恵木材については不当労働行為とはいえないのだというような主張もなされましたけれども、最高裁では、新宿木材市場が強制をしたとはいえ、直接やっておる山恵木材については不当労働行為が成立する、したがってその解雇は無効なんだ、こういう判決をしたということでございまして、直接の使用者につきましては、他からの働きかけがありましても不当労働行為は成立するというのが最高裁の判例でございます。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
○寺前委員 そうすると問題は、私が言っておるのは、不当労働行為であるとかなんとかいうのは労働者の権利を守るところから出発する話ですね、労働組合法とかなんとかいうのは。そこで、労働者が労働組合をつくった、そのために企業が元会社から契約を破棄されて仕事がなくなってしまったという事件が起こったわけですね。そうすると非常に大きな損害を受けたわけですよ。企業も損害を受けたけれども、労働者は実際上仕事を奪われてしまったわけですね。そうすると、その労働者の権利を守る立場からいうと、元会社に対する制裁はどうなるのだ、労働者のほうは一体どうなるのだ、その関係は一体どうなるのかということをちょっと聞いておるのですよ、いまの具体例として。
○石黒政府委員 そこで下請会社がかりに首を切ったといたしますと、その解雇は無効になる、あるいは復職の命令が地労委から出るということに相なります。しかし、親会社のほうがそれじゃおまえのところと取引しないぞと言うのをあくまで突っぱねた場合、これは下請のおやじさんというのは非常に気の毒な立場に立ってしまうわけです。親会社であれ何であれ、そういう他人に不当労働行為を強制さすという行為はもちろんたいへんけしからぬことであると存じます。しかしながら不当労働行為の場合にいう使用者というのは、そういう元請とか、親会社とかいうのじゃなくて、直接の使用者を使用者というのだというふうに解されておりますので、そういう不法なる圧力を加えたということによりまして他の、あるいは民事上の不法行為とかなんとかいう問題が出るかもしれませんけれども、労働組合法上の使用者に対する命令というのは直接の、すなわち下請に出るものであって、親請については不当労働行為の命令というのは、使用者に当たらないから出せないのじゃないかと考えております。
○寺前委員 だからぼくは言うのですよ。労働省は労働者の権利を守るために、権利を侵害する者に対する制裁措置と防衛措置と両面を考えなければいかぬわけでしょう。悪いことをする者に対する制裁と、被害を受けた者を救済する、そういう両面から今日の下請企業に対する、またそのもとにおける労働者の権利を守ろうとしたら、その措置を検討しなければいかぬのじゃないか。だから、いまおっしゃった民事上の訴訟によるところの云々という問題はこれは別個の問題として存在しますよ。しかし、労働者の権利を侵害させないという立場からの立法上の措置もあわせて研究することが、今日必要になっているのではないかということを私は問題提起している。私は明らかに問題があると思うのだけれども、これはすみやかに検討すべき段階に来ていると思うけれども、大臣、どう思いますか。
○石黒政府委員 率直にいって非常にむずかしい問題でございます。使用者というものは、これは労働契約の当事者として法律上も社会上もはっきりしております。使用者に不当労働行為を強制するというようなことは、これはけしからぬ行為であることは明らかでありますけれども、しかし第三者につきましては、一体どの範囲をどの程度縛るべきであるかという点につきましては非常にむずかしい問題でございます。親会社もあれば、取引先もあり、取引銀行もある、あるいはさらには市民運動とかなんとかというような問題もあるし、あるいは競争的立場に立つ労働組合とか、いろいろな問題がございまして、どの範囲をどれだけ規制することができるかという問題は、これは非常にむずかしい問題であるというふうに私ども考えております。しかし、問題のございますことは御指摘のとおりでございます。
○寺前委員 だから私は言うのです。問題があることはきわめて明らかになったし、判例的にもそこに問題があるということも明確になったら、労働者の権利を侵害させない、そのためには制裁を加えるということについて検討すべき事項ではないか、私はそう言っているのです。それがなければ、何ぼ判例が出たって、それは民事上の措置でやりなさいというだけでは労働者、労働組合の権利を守ることはできない。だから私は検討しなさいと問題を提起している。労働大臣、どうです。
○加藤国務大臣 なかなかこれは法的解釈がむずかしい。寺前議員の言うように、労働省として労働者の立場、団結権なり、不当労働行為のないようにいろいろ注意するのは当然でございますが、いま労政局長から話があったように、法的になかなかデリケートなところもありますので、よく検討して対処いたしたいと思います。
○寺前委員 よく検討してというのは、私の言っているその関連があなたわかって検討してくれるのだったらいいのですけれども、わからぬで検討しますじゃ困るから、言っている。要するに下請の労働者が権利を侵害される条件が、企業が独占的に市場を握っているわけでしょう、その下請でしょう、だから労働組合をつくるのだったらその仕事を奪ってしまうということをやるのだったら、直接的には不当労働行為を下請のおやじさんがやるか知らぬけれども、実際はそのおやじさんの裏にあるものが市場権を握っていて、契約破棄ということで圧力をかけてくるのだから、そうしたら労働者の権利を守れないじゃないか。だから労働者の権利を守ろうと思ったら、もう一つ親元までメスを入れていかなければだめじゃないかという問題です。これは労働安全衛生法の考え方も一緒です。下請企業があって、そこの労働者の安全を守ってやろうと思ったら、その大もとのところが労働安全に対する責任を持たなんだらあかぬじゃないかということで、この前法律改正までやったわけなんだ。同じように、労働者の権利の問題について、下請のところをなぶっているだけじゃ今日だめじゃないか、親元にメスを入れるということを制度的にも考えてみなければならぬじゃないか、私はそう言うている。だから、そういう立場に立って大臣は検討してくれるかどうかと言っているのですよ。
○石黒政府委員 労働組合法の改正というのはもちろん非常に大きな問題でございます。それからまた労働法というのは、法規の文言だけではなくて、労使のよき慣行というものが育成されて、それが法になって初めて労使の健全な関係ができるという点もございますので、いま御指摘のような問題につきまして、私ども労働教育あるいは行政指導という点につきましては今後一そう力を入れてまいりたいと思います。 それから先生は、それだけじゃだめだ、立法も検討せいという御趣旨であろうかと存じます。労働組合法改正という問題は非常に重大な問題でございまして、軽々に手をつけるべき問題ではないと私ども考えておりますが、御趣旨の点も含みまして、研究させていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 いま労政局長から答弁いたしましたとおり、その線と私も大体同感であります。その線に沿って検討いたします。
○寺前委員 その線というのは、私の言うている意味がわかってくれているのですか。
○加藤国務大臣 わかっています。
○寺前委員 私はこまかいことを言っているんじゃないのです。要するに下請の労働者の権利を守ろうと思ったら、不当労働行為であるということまでは、最高裁の判例まで明らかにしてきたんだ。制度的にもそれを保障するところの体制について検討してみる必要があるんじゃないかということを提起しているのですよ。だから、すなおに受け取ってもらったらいいのですよ。あしたやりなさいと言っているんじゃないんだから、すなおに検討してもらったらいい。それさえわかってくれたらいいんだよ。
○加藤国務大臣 なかなかむずかしい見解の問題もありますが、寺前委員の御趣旨のように、よくその点研究いたします。よくわかっております。
○寺前委員 わかってくれているんだったら、それで私は積極的にやってほしいということで、その点は一つ終わります。 私は、話はこれだけじゃない。この三和興業の会社の社長は、不当労働行為をやった。ところがこの三和興業株式会社自身がまた、話がおかしいんだな。何がおかしいかというたら、これは安定局長のほうの話に変わるんだ。それはどういうことかというと、これは調べてみたら職安法四十四条、四十五条に該当するところの労務提供業になっておるんだ。簡単にいうと、こういうことなんですよ。去年の当時でいうと、秋葉原の日通株式会社が持っているところの労働者というのは四百人ほどで、それ以外に三和興業、これが百二十人ほどおるとか、三社か四社そこにああいうような下請の会社が入っているんですよ。こういうことで、それらの下請の会社は全部日通が事実上管理は握っているんですよ。そして、その下請の会社に対して人を連れてこさせるわけですね。人が出て行って、そして日通の労働者の服装——服は日通の服装をするのです。それから車とか道具、これは全部日通の道具でやるのです。それで指揮官はだれかというと、日通の人が指揮官なんです。そして仕事をさせられる。行くときに労働者が——ここに伝票かありますが、作業証明書という小さい伝票を持って会社に行きます。そうすると、この会社に何時何分に出てきて、何時何分に帰ってきたというやつを書いて、サインしてもらう。これを持って帰って、三和興業に行って渡すわけですね。御苦労さん、おまえは何時から何時まで行ったな。それでずっとこの伝票を整理して、請求書にして、そしてこの仕事に何人の人を派遣して、何時から何時間働かした。したがって何ぼ何ぼ賃金を下さい。そして会社は、労働者が何時間働いた、その合計だけを出して金をもらって、その中から賃金分を払ったり、こういうことをやるわけですよ。そうすると、これは明らかに労務だけを提供する仕事になっているじゃないか。下請の三和の社長さん自身が、労務提供をやっている、まさにそのとおりですとおっしゃっている。そうすると、三和さんだけの問題じゃなくして、この仕組みを持っているというのは、日通自身がその仕組みを知ってそれをやっているということなんでしょう。それでなかったら、こんなことはできませんよ。一本の会社だけでなく、これは日通自身がそれをやっているということです。そうすると、私はこれはたいへんな問題だといわなければならない。不当労働行為で、労働組合をつくらすことを押えただけじゃなくして、実は押えるもう一つの面としては、こんな下請の企業は実際は安い賃金で労働者をかき集めているというやり方にすぎないじゃないか。私はこれは非常に大きな問題だと思うので、実はきのう安定局長さんに私が持っている資料を全部お渡しして、一体日通の通運業務というのはどうなっているのか調べてくれときのう言っておったところなんです。局長、これはどうです。
○道正政府委員 御指摘のとおり職業安定法第四十四条は、労働組合が労働大臣の許可を受けて行なう場合を除きまして、一般的に労務供給事業を禁止いたしております。一体何が労働者の供給事業になるかという定義につきましては、安定法の施行規則の四条に詳細な規定があるのは御承知のとおりでございます。先ほどお話がございましたように、昨日確かに資料をいただきました。したがいまして、私もいろいろ問題があると直観的に感じたわけでございますが、さっそく調査にかかっております。しかしながら、何ぶんにも関係者が多岐にわたっておりますし、いろいろ波及する問題も多いようでございます。したがいまして、調査に若干時間がかかることもお許しをいただきたいと思います。しかしながら、調査は早急にかつ詳細に行ないまして、適当な機会に御報告をさしていただきたいというふうに思うわけでございます。
○寺前委員 それで私は、これは経済企画庁の人からも資料を提出してもらったわけですが、たとえば経済企画庁が宿がえをする。これは昭和四十六年の九月二十八日から十月十三日ですか、宿がえの仕事を日通に出しているのですよ。そのとき日通との間に経済企画庁が契約を結んでいるのですが、その契約の中身を見ると、総額八百四十七万円、内訳は労務費が三百五十万円、コンテナ使用料が百五十万円、材料費が百五十万円、管理費が六十万円ですか、というような数字が出ているわけです。コンテナ使用料とか材料費、これは日通のはうの仕事だから、これは一応さておいて、管理費というのはおそらく日通の人自身が管理をするんだから、その管理費でしょう。だからこれも一応さておく。そうすると労務費というのは、全く下請の会社にやらしたのですから——下請の会社が労働者を派遣してやらしている。これは三百五十万円となっているけれども、実際に今度は下請させられて人を派遣したところから、三和興業から日通に請求を出している資料を見ると、その間の総額が百六十七万一千四百七十二円なんです。そうすると労賃を経済企画庁との間に三百五十万円という契約を結んでおいて、そして下請の企業をつくってあって、その下請の企業を通じて半分の百六十万で済ます。明らかに半分はピンはねじゃないか。そうすると日通というのは、契約をやるときに、ほんとうに低賃金労働者を持っている、そういう下請の契約企業を持っていることによって利益を追求していくという体制になっているじゃないか。その下請の会社が私が先ほど言ったようなああいう状態だとするならば、運送市場の中において非常に大きなシェアを持っているところの日通のこのやり方をこのまま認めておいていいのかどうか、私はたいへんな問題だと思うのです。 そこでもう一度局長さんに聞くけれども、さっき私が言うたようなああいうやり方は、ああいう体制は明らかに職安法違反でしょう。社長はまことにそのとおりでございましたと私にはっきり言うんだから、これは非常に明確だと思う。だから、これは明らかに四十四条違反だ。それでこの四十四条違反のこの会社は、労働組合をつくる云々の問題においてつぶされてしまったわけだ。これは去年のこと。だから、つぶされたことで一つは不当労働行為の面からもけしからぬ話だけれども、もう一つの側面というのはこんな仕組みをやっている日通のやり方自身、重大な問題だ。だから局長さんにもう一度聞きたいですよ。ああいうやり方が、一方の当事者はそのとおりですと認めているんだから、そのとおりだとするならば、これは明らかにけしからぬ、職安法四十四条違反の重大な仕組みとして持っているということ、そこの社長以上に日通のほうがけしからぬ仕組みを持っているということで、私は大問題だと思うんですよ。見解をお聞きしたいと思うんです。
○道正政府委員 実は本日さっそく日通の関係者を労働省に招致いたしまして、関係担当官が事情を聞き始めております。御指摘のように大企業が強大な経済力をバックにして下請企業に一種の経済的な圧力をかけ、そのことがひいては法律違反を招来するということは、私は大きな問題であろうと思います。また、本件につきましては、私も非常に労基法違反の疑い、こういうように思いますが、先ほど申し上げましたように、現在、調査を進めておりますので、断定的なことは若干の時間をおかしいただきまして、次の機会に御報告さしていただきたいというふうに思います。
○寺前委員 担当は、指導監督をやっておるのは運輸省でしょう。そこでちょっと聞きたいのですが、私、この間秋葉原へ見に行ってきたんですよ。なぜ行ったかというと、一つはいまのようなことが労働の面からも問題だけれども、同時に、この間朝日新聞に投書が載っていたんです。「声」の欄にね。これを見ると、こういうことが書いてあるんですね。いろいろとずっと国鉄一般のことが書いてあって、「今一つは、秋葉原貨物駅構内に各通運会社の大、中、小のトラックおよび乗用車がざっと五百台も無料駐車をしている。なぜ国鉄は認可した通運会社にだけ無料の特典を与えるのか。すぐ目先の収入源を見逃して。旅客、貨物運賃値上げの国民経済に及ぼす影響を考えたことがあるのか。高架下の適正価格賃貸料と駅構内の有料駐車措置を実行すべく、実情調査を急ぐべきである」云々、こういう投書が載っていたわけですね。それで、私もすぐあすこへ見に行ってみたんですよ。私は行ってみていまさらのごとく気がついたんですけれども、あの構内に日通の建物がありますね。いろいろな事務所がずっとあります。私は夜中に行ったんですよ。明らかに車が置いてあります。私は見ておったのだけれども、荷物の積みおろしというのは夜中にやってませんでした。じっと私はしばらくおったんだから。だからまさに、無料駐車といわれているのはそのとおりだということになる。無料駐車でなかったらいいけれども、あの建物の使用といい、あの駐車の状況といい、一体どういうことになっているんだろうか。ちょっと聞かしてくれませんか。
○中島説明員 私は自動車局の通運課長でございますが、いま先生の御質問は秋葉原駅構内におきます国鉄の用地の使用の問題でございますので、私、直接お答えする立場にはないかと存じますけれども、質問のお知らせがございましたので、国鉄のほうに尋ねまして聞いておりますことがございますので、それを申し上げたいと思います。 夜間、国鉄の貨物駅構内で自動車などを駐車をさせます場合は、積みおろし用の自動車、フォークリフトなどでございます、そういうもの、あるいは夜間作業、それから、夜間作業でございませんでも、翌日、早朝作業があるというような場合につきまして、そのための駐車を必要とする場合には、駅長が無料で駐車を認めるということをいたしておるということでございます。 建物につきましては、これは通運事業と申しますのは、鉄道の貨物輸送の端末を担当する事業でございます。したがいまして、鉄道の貨物輸送とよく唇歯輔車の関係ということがいわれるわけでございますが、その鉄道輸送のための通運事業でございますから、したがいまして、その通運の積みおろしとかそういう行為のための必要な建物というものは、従来から国鉄において無料で通運事業者に貸すということになっております。
○寺前委員 ふしぎでかなわないのですよ。国鉄が直接貨物輸送をやっておったときはそれでいいんですよ。明確に違う事業が仕事をやるということになったら、明確にしなければいかぬ。大体、鉄道用敷地の問題、建物の問題でも、鉄道は鉄道として地方自治体に納付金を納めなければいかぬのでしょう。ちゃんと税金を、われわれでいうたら固定資産税だな、ああいうのを納めなければならぬのでしょうが。一般の住民よりは安いけれども。ちゃんと納めていますよ、自治体に。そうでしょう。その敷地内にちゃんと事務所が設けられているわけですよ。それをあなたは無料で提供して、自動車は積みおろしの関係で置いておかなければならないということで、これは自由にばっと置かれているのだ。えらいサービスですよ。普通の事業をやる人だったら、この事務所を設ける、駐車場を設ける、これはたいへんな金がかかるのだ。これが全額保証されているのだ。それで一方で、国鉄は赤字で運賃を値上げしなければならぬということで、いま審議せい、こうやられている。片方でそういうことが行なわれているんですよ。そうして今度はそこで働くところの労働者に対しては、さっきも言ったような不当労働行為、明らかに問題になる事犯が行なわれている。あるいはまた、そこの仕組みの問題においてもそういう問題が起こっている。これはどうなんかね。監督機関である運輸省が、このような独占的な企業に対する取り扱いというのは許される話だろうか。 いつだったか、日通問題が前に問題になって、「日通の業務体制と運営の改善について」という、勧告書というのですか、あなたのところが出していました。これを見たら、「業務を社外に委託する場合は、委託の条件については貴社の経済力を過当に乱用しないよう配慮すること。」あるいは「系列会社については、その管理体制を整備するとともに系列会社を不当に利用しないこと。」ちゃんとあなたはいいことを言うておるのだ。いいことを言うておるけれども、やっておることは、不当に系列会社を利用しているわけだ。委託の条件については自分の経済力を過当に乱用するな。自分の経済力というのは、市場を握っておるということでしょう。市場を握っておって、その経済力を利用して、仕事を与えぬぞということで、ばっと押えるわけでしょう。労働省の皆さんは、それはそうやと言って、さっきからの御答弁のとおり、さっそく制度的にも考えなければならない。さっそくこれは調査をしなければあかぬ、これはたいへんな問題だ、労働省の局長さんたちはみなそういうふうに感じたでしょう。監督官庁であるところの運輸省は、日通が、この前に出されたときの問題に対して、一体このままで済ましていいと思っているのかどうか。日通のあり方について、あのときに業務体制と運営の改善について指摘をしたけれども、これはもう一度見直してみるという必要を感じませんか。監督官庁としてのあなたの見解を聞きたいと思います。
○中島説明員 ただいまおっしゃいました不当労働行為の事件につきましては、御指摘のとおりの事実だとすれば非常に遺憾だと存じます。これについては、先ほどもお話のございましたように、都労委という正式の場において現在審理されておりますので、その審理の結果を待ちまして、それに応じたしかるべき措置を講ずることにいたしたいと考えております。
○寺前委員 それだけじゃないんですよ。日通の体制が——労務提供業、職安法四十四条違反という事実が一カ所から出た。日通の下請企業というのはたくさんあるのでしょう。そういう機構になっているのでしょうが。これはあなたは、監督官庁だったら全体について総点検してみなければいかぬのと違いますか。 それから、私はさっきも言うたが、国鉄が事業に対して、独占的な地位を握っている日通にああいうことをやっているということはいいことかどうか。これは社会的に疑惑も生むし、いま運賃値上げが審議されている中で必ず問題になってきますよ。そうすると私は、日通の業務体制と運営について全面的にあなたのところ自身が考え直す必要があるのではないだろうか、監督官庁としての意見を聞いているのです。さっき経済企画庁の話を言ったでしょう。ああいう仕組みの利益のあげ方をしているのですよ。だから疑惑を持たれるのです。何も私は不当労働行為だけを言っておるのじゃないのですよ。日通の仕組みそのものについても、これは調査してみる必要があるのと違いますか。下請企業を一体どういうふうにしているのだろうか。職安法違反という一件あっただけでも、全面的に検討するに値するのです。なぜかといったら、そこの企業と相談といっても、隣は違うということは起こらないのです。日通が知った上でやったのだから事は重大な段階にきておるのですよ。だからそういう意味において、その問題も含め、国鉄が日通に対する問題も含めて、前に「業務体制と運営の改善について」という勧告書を出しておるのだから、この勧告書に基づいて現在起こっておる問題について再検討してみる必要があるのじゃないかという問題提起を私はやっておるのです。どうなんです。
○中島説明員 まず、その国鉄の用地を無料で使用している建物は日通がみずから建てました建物でありますけれども、土地を国鉄から無料で使用さしてもらっているということの是否につきましては、これはずっと以前から、鉄道が始まりましてからずっと今日までそういうことで推移しております。それは日本通運に対してだけではございませんで、ほかの通運会社に対しても同様の措置が講じられております。国鉄の貨物輸送のために使うわけでございますから、そういうことが適切でないということは言えないのじゃないかと私は考えております。特に国鉄の、たとえばコンテナ輸送なんかにつきましては、国鉄がドア・ツー・ドアの責任を持っておるわけでございまして、コンテナの積みおろし作業、集配作業はこれは通運事業者は国鉄の下請として行なっておるわけでございます。そういう点を考えますと、おかしい制度ではないというふうに考えます。 それから先生御指摘のように、当時の運輸大臣の勧告をもちまして、業務を社外に委託する場合の下払い料金につきましては、日通の経済力を過当に乱用しないようにしろということを勧告いたしまして、日通のほうもそのようにいたしますということを約束しておるわけでございます。それで通運事業につきましては、私どものほうでも監査等をやっております。そしてその下払い状況等もチェックしております。先生のいま御指摘になりました秋葉原駅の場合の三和興業の事例をとりますと、三和興業が行なっておりました業務は、いわゆる通運事業の部分というのは非常に少のうございます。通運事業として日通が行なう業務を下請しておりました部分は、主として秋葉原駅におきまして、小口混載貨物を積みおろしホームにおいて日通の手で仕分けされましたものを貨車に積み込むという部分がほとんどでございます。経済企画庁の引っ越しとかそのほかの会社の引っ越し作業にも相当三和興業が下請しておりますが、これらは通運事業ではございません。それで問題は、その通運事業の部分につきまして日通がどの程度荷主から料金を収受しまして、その中のどれぐらいを三和興業に下払いしていたかということが問題になるわけでございますけれども、日通と三和興業の契約書によりますと、その積み込みにつきましてはトン当たり二百二十円という契約になっております。片一方、その三和興業が担当しておりました積み込み業務、この部分について日通が顧客から収受しております金額は、一応私どものはうで試算したものを見ますと、二百円を切るというような状況でございますので、この件に関してはその下請に対して不当にいわゆる違反をしておるというようなことは認められません。 なお私どもの所管外でございますけれども、いまの経済企画庁の引っ越しの作業につきましては、そういううわさも聞きましたので、日通のほうに問いただしたわけでございますが、そうしますと、いまの先生の御指摘の中で三百何万かの作業員の人件費、これはすべて三和興業の作業員であるというお話でございましたけれども、そうではございませんで、日通のほうもかなりの作業員を出しております。管理費用と申しますのは、そういう契約行為とかいうようなことにつきましては、上部機関の支店とか、そういう関係の管理関係の経費でございまして、その作業員というものにつきましては日通のほうも出しておるわけでございます。そういう点を勘案して考えなければならないと思います。 しかしながら御指摘のいまの不当労働行為の件につきましては、それが事実としますと、これは先ほどからお話がありますように、非常にけしからぬことでございまして、都労委のほうといたしましても、そういうことが事実として認められるということになりましたら、これは日通として、会社としてやはり体質的に問題があるということになると思います。ですからそういう場合につきましては、われわれとしても、先生の御指摘のようなことで対処していきたいというふうに考えております。
○寺前委員 あなたはその不当労働行為といっておる問題について御理解がちょっと間違っておるかもしらぬのでつけ加えておきますが、不当労働行為は労働組合をつくるということの妨害の場合、もう一つは、あとで言っておる話は、職安法の四十四条違反というのは、労務提供業というのは許されてないのです。その仕組みの問題なんです。これが非常に大きな問題なのです。おそらくそのことを不当労働行為とおっしゃったのだろうと思いますけれども、だから日通の仕組みとしては非常に大きな問題でしょう。そういう意味において、前に出したこの勧告をもう一度再点検するという立場で——常に再点検しなければいかぬ。勧告を出しても出しっぱなしではだめなんだから、そういう意味で再検討しなさい。だから同じことは、昔から提供してあったからということで、国鉄の中の使用の問題でも——旅客のわれわれのほうはどうなります。昔からのやり方と変わって、新しい赤字の段階に立ってこういうようにやってもらいたいと提案して、そのつどいろいろやってくるでしょう。同じことですよ。すべて見直さなければいけないのじゃないか、社会的諸条件でいろいろ問題が出されておる以上は。そういう意味で再検討しなさいよという問題を提起しておるのですよ。いいですか。ですから私はこの日通の問題については、独占的な輸送関係の分野における地位があるだけに、ぜひとも再検討をお願いしたいという問題をもう一度確認しておきたいと思うのです。さっきのはおそらくお間違いだろうと思うから……。
○中島説明員 御指摘のように、労務提供事業をやっておって職安法違反だとすれば、日通としてそれは許さるべきことでございません。したがいましてその体質といいますか、体制にさかのぼって十分検討する必要があると考えます。
○寺前委員 その問題はそれで一応打ち切ります。大臣、ぜひとも——先ほどから言っておるように、輸送関係で独占的地位でしょう、日通というのは。そこの仕組みがこういう仕組みになっておったら——下請企業があって、下請はやはり安い労賃で利益をあげていく。その下請は実は下請企業じゃなくて、実際は労働者の労務を提供するだけの仕事だ、そういう仕組みになっておるということになったら、独占市場を握っておるのがそういう仕組みをつくったら、これはたいへんなことになるから、それだけに、日通がいまは輸送の問題で一番大きな地位を占めておるのだから、この問題については徹底的にメスを入れて、疑惑を持たれぬように、特に私は大臣に要望したい。特にということばをあえて言うのは、実はこの会社に対して、昭和四十四年だったかな、職安が調査に入っておるのですよ、労務提供業だという疑いでもって。形式的に足らなかったから、契約書だけつくってそれでごまかしておる。内容的には何にも変わっていない。前に監督に入って、その結果が同じことなんだ、形式を整えただけだ、実質は変わっていない。それが契約破棄されるという段階になってきて、調べてみたら、結局そうだったということがわかってきた。社長さん自身が認めておられるのだ。それだけに責任ある労働省は、今度はそういうことではなくして本格的に、これは独占的な市場を握っているだけに、事は重大だという決意を持って調査をして明らかにしていただきたいということを、大臣にもう一度お聞きしたいと思います。
○加藤国務大臣 職安法の四十四条は、これはもう根幹であります。「何人」ということばを使っておりますので、いま安定局長が組合がやれるといったが、組合も労働大臣の認可がなかったらやれない、なかなか規定もきびしいのでありますから、昨日からこの問題は労働省で、あなたの資料によっていま調査いたしておりますので、早急に調査なりこれに対する対処をやりたいと思うのですから、しばらくの間御猶予願いたいと思います。
○寺前委員 それでは、その件はこれで終わります。時間がなくなってきたので、要領よくひとつ私も質問したいと思います。 次に、新日鉄の八幡製鉄所というのですか、北九州市八幡に存在している有名な、昔からある、それこそりっぱな製鉄所ですね。昨年の六月にこの新日鉄の八幡コークス工場で、二名の肺ガンの患者が出てきた。コークス工場でこういうのが出てきたのは初めてなんで、これはたいへんなことだというお話で、局長さんはさっそくお調べになったというふうに私は思います。そこで、お調べになった結果どういうことがわかったか。それに基づいての対応策を、一体どういうことをお考えになったのかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、昨年、八幡製鉄所のコークス炉業務に従事しておった人の退職者の中から、肺ガンが二名出たわけでございます。当時それにつきまして内閣委員会でも論議がございまして、私初めてのことであるので、至急に調査する旨お答えを申し上げたのでありますが、その後私どもがとりました措置を申し上げますと、一つにはうちの労働衛生研究所におきまして人をやりまして、新日鉄のコークス炉業務の作業環境におけるコールタール濃度の測定を実施いたしたわけでございます。その結果は大部分は抑制濃度でございます〇・二ミリグラム立米以下でございました。一部には多少それを上回る個所もございましたけれども、全体としてみまして、直ちにこれからコークス炉の作業環境が肺ガン発生の原因であるということを断定できるまでの結果ではなかったわけでございます。 それからもう一つの調査は、私どものほうから指示をいたしまして、新日鉄におきましてコークス炉業務に従事していた労働者あるいは現に従事している労働者につきまして、疫学的な調査を実施させたわけでございます。その結果を申し上げますと、現に従事している労働者につきましては、肺ガンの有所見のあった者はなかったわあでございますが、むしろ新日鉄の同事業所でコークス炉以外の業務に従事している者につきましては、肺ガンの有所見者が出たのでございます。そういうことでコークス炉関係の在職者については何らそういう状況が見られなかったわけであります。 それから退職者について調べましたところによりますと、これにつきましては、昨年判明いたしましたのは退職者から二名出ておったのでありますが、その後の詳しい調査によりまして、六名の肺ガンにかかられた方があった、退職後にかかられた方があったということがわかったわけであります。しかしながら、同じ事業所でコークス炉業務関係以外の方について、これと比較するために調査いたしましたところによりますと、コークス炉以外の業務の退職者からは十八名の肺ガンの方が出ておるわけでありまして、両者を比較いたしますと、ややコークス炉業務以外に従事した方のほうが高いわけでございますが、専門的にその間にいわゆる有意の差というまでに至らないということが言える状況であるわけでございます。 それからもう一つの調査をいたしましたのは、全国に八幡製鉄以外におきましてもコークス炉はございますので、それが八幡製鉄を含めますとコークス炉業務十六事業場、八幡製鉄以外は十五事業場でございますが、これにつきましてはそれぞれの事業場に依頼いたしまして、あまり精密な結果ではございませんけれども、大まかな調査を実施いたしたわけでございます。この十六事業場の調査によりますと、在職者及び退職者の両方について調査をいたしたのでございますが、コークス炉関係の在職者からは二名、それからコークス炉関係以外の在職者からは四十七名の肺ガンが発生していることがわかったわけでございます。 それからなお退職者について申しますと、退職者につきましては八幡製鉄の二名を除きますと、それ以外の十五事業場につきましては退職者の中から一応肺ガンの発生を見つけておりません。しかしコークス炉以外の他の従業員のほうからは、退職者の中からも四名の肺ガン患者が発生していることがわかったという状況でございまして、八幡製鉄以外に見ましたコークス炉におきましても、コークス炉関係が特に肺ガンが多いという事実は、その面からも出なかったわけでございます。 以上が昨年以来今日まで私どもが調査しました結果でございますが、これらの結果からは、コークス炉の業務と退職者の肺ガンの発生との間には直ちに密接な関係があるというところまでは結論づけるに至っておらないわけでございます。ただ先ほども申しましたように、八幡製鉄のコークス炉関係の退職者の中からは六名出ておるという状況がございますので、これがどういうことで六名出たのだろうかということは、なお究明を要する問題だと考えております。 そこで私どもといたしましては、今後八幡製鉄以外のコークス炉関係の業務につきまして、いままでやりましたのは非常にラフな調査でございますので、さらに詳細な調査をしてみたいということと、それから八幡製鉄以外のコークス炉関係につきまして、やはり環境測定を実施いたしまして、他のコークス炉関係と八幡製鉄のコークス炉との間に、環境上の条件の違いがあるかどうか、それらの事情も今後調べてみたい、かように考えております。それらいろいろの調査のデータがそろいますのを相待ちまして、専門家の参集を求めまして、これらのデータを十分検討していただいて、コークス炉業務と肺ガンの発生の因果関係について今後究明してみたい、かように考えておるものでございます。
○寺前委員 答弁はひとつ簡単にしてください。 それで、私は端的に聞きたいのです。ぜひとも、調査された結果について、企業の工場別退職者と在職者が何人で、その結果がどういうことになっておったか、工場別にひとつ資料を提出していただきたいということが要望の一つです。 それからもう一つは、この調査が一体どういうふうにやられたか。労働省で、なくなった人の数は——そこの工場で働いている労働者の数はわかるわけでしょう。働いておった人のうち、現在おる人と退職している人もわかるわけでしょう。その中でどれだけの人がすでになくなったかもわかるわけでしょう。そしたら、そのなくなった原因について、一体どういうふうな調査をやったのか、みずから調査をしたのか、それとも企業の側の報告によって整理をしたのか、その点をちょっと聞かしてもらいたい。
○北川(俊)政府委員 いまの追跡調査につきましても、八幡製鉄につきましても、それから他の十五工場につきましても大体共通でございますが、労働省から各企業に、国の調査の一環として協力を願いたいという形で依頼文を出しまして、それで調査をいたしております。われわれ死亡確認につきましては、御承知のように、地方の法務局に出ております死亡診断書、それの分析によったものでございます。そういうものを企業からとりますにあたりましては、企業からといいましても、なかなかもらえませんので、労働省から公文書で関係の法務局に依頼を出しております。なお、参りましたものは、企業の分析をいたしておりますけれども、特に八幡につきましては、こちらで監督署がチェックをする、あるいは現に在籍しておられる方のカルテ等は、こちらの監督署から行きまして点検をしておる、こういうことでございます。ただ、実際の調査につきましては、企業の御協力によりましてやりました、そういうことでございます。
○寺前委員 さきの局長さんの話によると、因果関係は、いまのところこうこうこうでございますというお話でした。そうだろうと思います、このやり方だけだったら。それで、私は、コークス工場で一人でも発生したという事実を見たときに、これは非常にたいへんだ。それが二人、六人、こうなってきたわけですね。ところが、これらは全部企業が発表するのを待っておったら——要するに、企業の側で自分の工場の中身を、だれも私の工場はこんな悪い工場ですと言うあほうはおらぬのだから、ですから、こういう問題というのは、人の命にかかわる問題だから、積極的にみずから調査をするということが、非常に大切な政治姿勢でなければならないわけですね。大臣、そうでしょう。そうすると、実は個々の会社の問題、たとえば八幡製鉄所のコークス工場一つを見ても、なくなった人々の中で、どういう人たちがどういう疾病でなくなったかというのは、かなりもう従業員の中では言われているのですよ、ガンでなくなったと。あそこの人はガンでなくなったらしいよという話は広がっている。報道関係者もかなりいろいろ調べていますよ。むしろ知らないのは監督署やということになるのじゃないかと思う。私は、ちょっと一例を言いましょう。これはまだ全面的な話じゃないのですよ。なくなられた方で、ガンの関係だといって、ずっと出てくるのは、私が聞いただけのうわさで名前を言うだけでもたくさん出てきますよ。ともかく、皮膚ガンでなくなったという人の話が二人出てきます。皮膚ガンというのは、コークス工場て——あんなもの、路上ですから、検査に入るといったって、青空のもとの話ですからね。どんな状況にあったかというようなものは、その調査に入ったときの状況を聞いたら、青空だからころっと条件が変わってしまう状況の検査です。何も会社は、自分のところはこんなに悪いという宣伝をするあほうはおらぬのですから、だから実際どういうことをやっておるかというと、皮膚ガンは、直接コークス工場で蒸気をばっと浴びておるという条件の中であらわれるものですから、そういうことで死んだといわれている人たちが、これは九州歯科大学に入っている人たちで、皮膚ガンでなくなったといわれておる人たちが二人出ていますよ。それから私の手元にあるだけでも、肝硬変、胃ガン、それからじんガン、それから喉頭ガン——ガンの関係というのは、たくさんなくなっている。私の手元だけでも十一人出てきますよ。これはあそこの職場の人に聞いたら、六名といわれている人たちと違う名前ですよ、全部。そうすると、あそこでなくなられた方の中で、皮膚ガンという形であらわれておる、肺ガンという形であらわれておる、胃ガンその他の形であらわれてきておるかなりの数が出ておるということは、もううわさとして流れているのですから、そうなってくると、報告を待っているという姿勢では、国際的に見ても、コークス工場が肺ガンの原因になるという意見というのはかなり定説になって論議されているわけですから、日本の場合にまだ定説になっていないということは、これは中小企業じゃなくて、製鉄所というのは大企業だから、大企業は全部ちゃんと病院を持っておって、内部の医療体制の中で済んでいっているものですから、外にわからないままになっているという面がかなりあると思うのです。そういうことを考えたら、ここのコークス工場で発生している事態というのは、すでに二名から六名になった段階では済まぬ状態にあるから、積極的に——いま現に働いている人にすぐあらわれるかといえば、これは潜伏しているのだから、蓄積されているのだから、十五年、二十年ということで潜伏して、あらわれてくるのだから、ほとんどそれは退職者の中にあらわれてくるというのが当然のことなんだから、なくなった人も、実態はどうだったのかということを病院に行って直接調べる、家族の人々に会って直接調べる、そういう積極策に出ないことには、ほんとうの意味の対策は生まれてこないですよ、ということを私は思うのですけれども、そういうふうに対応していく必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 私どもも、先ほど申しましたように、法務局におきます死亡診断書等、客観的なものを調査対象といたしまして調査をいたしておるわけでございます。しかし、私どももいまの段階では、まだこれはいずれとも究明されていないと考えておりますので、これらの調査資料をもとにいたしまして、専門家にお集まりをいただきまして、そうしてその因果関係等をさらに積極的に究明したい、かように考えております。したがいまして、その過程で専門家の御意見を聞いて、さらにこういう点を調べる必要がある、こういう点を調査する必要があるということであれば、専門家の御意見も聞いて、十分な調査をいたしながらこの問題の究明に当たりたいと存じます。
○寺前委員 私の言うておることに答えてほしいと思うのです。専門家で、いま出ておるデータをもとにしていろいろ研究するのはけっこうですが、それだけじゃなくて、うわさとしてもかなりの範囲に——いまのところ話に出てきているだけでそれだけだから、うわさとしてはかなり出てきております。皮膚ガンで二人なくなったという話が出てきて、具体的に、私はいま名前をあげなかったけれども、あとでお教えしますよ、積極的に解決していくために。だから、そういう事態になってきているのだから、事はそう簡単に見ておられてはだめじゃないですか。退職者の方々の中でなくなっている方が明確に存在しているのだから、その人たちの実態について、直接御家族のところにも行き、病院にも行って、直接的な調査活動に転換をしないとだめなんじゃないですかという御意見を申し上げているのです。だから、ぜひ積極的に手を打ってほしいという意味なんです、どうでしょう。
○渡邊(健)政府委員 先ほど申しました数字は、肺ガンによる死亡の方の数字でございまして、私ども、うわさでなしに、肺ガン以外のガンで何人なくなられたとか、コークス炉関係で八幡の場合は十六名なくなっておられるということも承知をいたしております。ただ、胃ガン等の場合は、日本の場合には、別にコークス炉関係従業員でなくても、胃ガンなどはかなり一般に多いわけでございます。今回の場合には、私どもさっき比較を申し上げましたのは、肺ガン関係についての、コークス炉関係従事者とコークス炉以外の従事者とのものを申し上げました。私どもは一応客観的な死亡診断書等によって、正確な調査をいたしておると思っておるわけでございますが、さらに専門家等が見て、こういうことを突っ込んで調べる必要があるということであれば、それによって積極的な調査をするということを申し上げているわけでございます。
○寺前委員 ちょっともう少し突っ込んで聞きたいのですが、部長さんのほうがいいのじゃないかと思います。退職者の追跡調査結果という中で、三百九十九人定年退職された。そしてその中で、肺ガンでなくなられた方が六人ありました。上記以外の疾病で六十五人なくなっていますよ。死因不明が三人いますよ。いまおっしゃった十六名という数字は、上記以外の疾病ということなんでしょうか。 それと、それでは、私のほうがしっかり握っているとおっしゃるのだったら、どういうガンで十六名あったのかという数字を具体的にあげてほしいと思います。私はいま皮膚ガンの話をしましたけれども、具体的にちょっとあげてください。
○北川(俊)政府委員 きょうの朝、先生から皮膚ガンのお話がございまして、さっそく現地の監督署に連絡して調べてみました。ただ、いま局長がお答えしました範囲以外のガンの中に、皮膚ガンはなかったという一応の返事がまいりましたけれども、そこの点につきましてしっかりした調査をやったかどうか、私、実は自信がございません。したがいまして、先生の御趣旨のように、それ以外のガンにつきましても、これは積極的にそういううわさ等も把握をいたしまして、面接調査とかそういうことはいたしたいと思います。 なお、肺ガン以外のガンが十六名ある、こういうことでございます。これにつきましての内訳を、現地にきょう問い合わせて送るようには言っておりますが、まだ届いておりませんので、着きましたらこれも御報告いたします。
○寺前委員 それで局長さん、私は現地の監督署へ行って話もしたから言うのです。正直なところ、あの監督署の機構では、この大企業の労働者の監督は、ここだけと違うのだから、できませんと言うのです。企業の資料をもらうよりしようないのですと言っているのです。だから、けしからぬと言って監督署をおこってくるわけにまいりません、現に見てきたのだから。そういう意味で、いまの機構のままで特別に積極的にやろうといったって、正直なところ機構上の問題からも無理なんです。そのことも含めて、日本ではまだ因果関係が明確になっていないだけに、よけい人を配置してでも、いまおっしゃった調査のために、面接とかあるいは病院に行ったりとか積極的な策に打って出るということを、体制まで含めて決意してほしい。だから、大臣、きょうはここへ見えているのだから、はっきり言うて日本の歴史上の問題になるから言うのだが、ぜひ積極的にそういうふうに打って出てもらいたいということで、もう一度大臣に直接聞いておきたいと思います。
○加藤国務大臣 ガンの問題は、これは言いわけではありませんが、私たちの御近所で普通の方にも出ますから、業務と疾病の因果関係を十分調査しなくちゃならぬと思います。そういう意味で、いま寺前議員の話では、どうも人が足らなかった、そうかもしれません。いまここで相談したのでありますが、やはりそういう場合にはほかから応援隊をやって、いま御指摘のような問題に対しまして、これは相当の問題も胚胎いたしておりますので、御趣旨の線のような応援隊を派遣して調査をいたしたいと思います。
○寺前委員 それでわかっていただいたのだと思いますけれども、話がちょっとむずかしいから困ったなというふうにも思っているのかもしれません。さっき話してありますから、部長さんがよく御存じだと思いますのでそれはおいておきますが、コークス工場だけではないのです。これはまた話はむずかしいのですけれども、ガス発生炉というのがあったのですよ。これはいまは使っていないのです。むずかしい話だからわからぬかもしれないけれども、ガス発生炉というのがある。そこで何人かの人たちが労災の申請を出したわけです。その補償をしたり、いろいろあるのですね。処置はしてきた。処置をしてきた中で、業務上認定として認められなかった人がおるのですよ。 それで私はちょっと調べてみたら、十二年何カ月もそういう悪い条件のところでつとめていながら、その人がはずされている。これは何でだろうか。昔のことだったからといえば、その当時よくわからなかったんでそうなったのか。ぼくは、どう考えても再検討してみる必要があるのじゃないかというふうに思ったのですけれども、大体昔の人は、二十年以上そういう仕事に携わっていなかったならばちょっとその対象というわけにはいきませんという考え方があったようです。しかし歴史的に見て、今日世界各国のこの分野の調査の結果、日本の分野ではその因果関係をこれから考えようという段階だけれども、アメリカなんかでは、もっとずっと明確になって、コークス工場の炉の場合は五年以上のときには何人の人が出たとか、数字が一ぱい出てくる。それを見ると、五年以上とか十年以上とか、数字が一ぱい出てきているのですよ。そういうことを考えたら、十二年何カ月もそこにおって、これは労災認定でなかった、原因はそこじゃなかったという判定を下したということは、いまの時点に立って考えたら再検討すべきじゃないかということを感ずるのですがね。これは専門的な話だから、むしろ部長さんのほうがいいのじゃないかと思いますが、お答え願いたい。
○北川(俊)政府委員 先生御指摘のように、ガス発生炉につきましては、戦前を含めて三十三名出ております。戦後のものにつきましては業務上の認定をほとんどいたしておりますが、御指摘の二十九年になくなられた方につきましては業務外の認定をいたしております。これの理由につきましては、いま御指摘のように従事年限が十二年五カ月ということで、おそらく当時の学説の二十年に達しておらないというのが不認定の理由じゃないかと思います。ただ最近、職業ガンに関する医学的な考え方も非常に進んでまいりましたし、かつ当時のガス発生炉における環境が、いま考えられておる職場環境に比べてたいへん悪かったというような点もございますので、この点につきましては、専門家の意見も聞いて、私たちは謙虚に検討したいと思います。
○寺前委員 それで、あそこの病院に研究所があって、あるグループの職員たちが書いた「労働医学課研究年報」というのが英文で出ているのですが、それを見ると、その中にこういうことが書いてあるのですよ。「そのような肺ガンの増加は十五年以上のガス作業経験者のグループの中で観察される」ということが、この中に書いてあるのですよ。そうすると、あそこの病院の諸君たちは、もう五年、十年、ずっと系統的に研究資料を持っているのですよ。明確に十五年以上の場合には急速な増加があるということを書いているのです。ということになると、従来考えておった二十年以上という問題どころじゃない、もっと前からたいへんな事態が出ているぞということを、日本の八幡製鉄の、あそこの会社の中におる研究者自身がその点に到達しておるのですよ。だからいまから研究の段階じゃなくして、それがあるんですよ。問題はやはり会社の名誉にかかわることだから、おそらく企業の中で済んでいるんだと思うのです。それでは日本の科学の発展には役立たない問題です。人の命にかかわる問題だけによけい積極的に、恥を出してでもそれは協力すべきだというふうに思うのです。そういう意味もあるから、ガス発生炉のあのなくなった方々の条件についてもう一度全部調べ直してみてもらって、単に向こう側の報告を求めるというだけではなくして、不認定になったやつについても再検討していくという積極策を打ってもらいたいということに対する見解が一つ。 それからこの分野においても、この間私あそこの監督署に行ったときに、退職者の中で追跡調査はどうなっていますと聞いたら、ほんの一部の、二十一名かの人については異常はありませんでしたという報告を受けたのです。だから全体はまだまだその状況はつかめないままになっている。ところが、これも私は報道関係者から聞いたのですが、具体的になくなった方の名前も聞いたのです。かなりそれは確度の高い話を聞かしてもらいました。肺ガンでガス斑がからだじゅうに出て昭和四十二年の八月になくなっている人がある、こういう例を私は具体的に聞いたんです。ガス発生炉の場合でも追跡調査をやると言っておったけれども、結局会社まかせのままの中では出てきていないわけですね。異常は発見されなかったというままになっている。ですから私は、ガス発生炉のほうがいまのコークス工場よりももっと悪い条件のもとにあったと思うのです。それだけにこの追跡調査についても急いで、さかのぼってやる必要があると思うのです。そういう体制に入るかどうか、これについての見解も聞きたいと思うのです。
○北川(俊)政府委員 ガス発生炉の肺ガン患者につきましての見解は、先ほども申し上げましたように、過去に不認定になったものにつきましても、その決定にこだわらず前向きに検討をしたいと思います。 それからあとの追跡調査の点でございますが、これは御承知のように二十八年にガス発生炉を廃止をいたしております。そのときにガス発生炉に少なくとも従事したことがある者が五百四名ございました。それのうちいまだに八幡製鉄に在職しております者が二百十八名おりますので、これにつきましては会社のカルテその他を点検して、いまのところ異常はございません。ただ退職者が二百八十六名おりまして、そのうちで追跡、把握できたのが先生御指摘の二十一名にすぎない、こういう点でございまして、残りの二百六十数名につきましては現在も追跡中でございます。したがいまして、二十一名で事終われりということではございませんので、今後も先生の御指摘のような体制も整えながら、残りの者の追跡調査については一そうの努力をいたしたいと思います。
○寺前委員 それで、工場の中で発生するという問題はそこの工場だけで済まぬので、これは大気へ行きますから環境全体に影響するわけですよ。三・四ベンツピレンの環境濃度というのがどういう実態になっているのかというのが、実は資料があるのですね。これは一九六六年というのですから昭和四十一年です。八幡製鉄付属病院の研究スタッフによって「アーチ・エンバイレン・ヘルス」という専門誌に谷村寿重さんが、鉄鋼におけるベンツピレン、という題でもって発表した——これも英文で書いてあるのでこのまま読むわけにいかぬのですが、発表した論文があるのです。その論文を見ると、浮遊粉じん中におけるところの三・四ベンツピレンの環境濃度というのが冬と夏は数値が違うのですが、コークス炉周辺では百五十・六、夏のほうは三百十四・一、こういう数字が書いてある。これからコークス送骸近傍では四十八・五、夏のほうは五十五・一、高炉周辺は百七・三、夏は百五十四・六と非常に高い数値が出ているのです。圧延機周辺でも非常に高いのです。そういう数字がずうっと出ている。そうしてこれは北九州市工業地区全体を見ると、冬は七・七、夏は二・六、この数値自身が、これは九大の医学部の猿田さんの論文から見ると、三・四ベンツピレンの環境濃度が、福岡市のあの商業地域と比べると四倍からも多いのが北九州市の工業地域の浮遊粉じん状況だというのです。この三・四ベンツピレン環境濃度というのが問題なんですね。これがいまの問題の肺ガンのそこの問題なんですよ。それが北九州のところで、大体福岡の四倍ぐらいで七・七だというのです。ところがコークス炉周辺の数値を見たら百五十・六だ、夏になったら三百十四・一だ、べらぼうに高い数値なのです。これをもうもうとした状況の中で直接受けているのですから、これはたいへんな条件を生んでいる。これはもうたいへんだと思うのです。肺ガンの発生状況というのはまさにこの数値に比例して発生するということを言っているのです。これは外国の資料の中にそれがちゃんと書いてあるのです。そうなってくると、直接そこに働いている人たちの条件も悪いし、そういう製鉄所を持っているところの条件もたいへんな条件下にある。こういう問題を押えるのは、患者さんが発生した、あとを追ってそれを守る、これを言っておったっていかぬので、もともと発生させないようにしておかなければならないと思う。だから発生させないように押えるために現在どういうことになっておるか、そのためにこれを改善しなければならぬという点はないのかということを部長さんに聞きたいのです。
○北川(俊)政府委員 先生御指摘のように、安全衛生の本旨といいますのは、人が注意するのでなくて、機械設備が十分であってけがが起こらない、病気が発生しない状態に設備を改善するということが一番理想かと思います。そういう意味でコークス炉につきましてもなお改善すべき点が多々あろうかと思います。ただコークス炉の性格上非常に巨大な設備でございまして、石炭を投入しなければならない、あるいはできましたコークスを引き出さなければならないということで、本来密閉できれば一番いいのですけれども、全部密閉するということになりますと、可燃性ガスでございますから爆発の危険もあるということで、全く密閉ということはできません。ただ、出てきます三・四ベンツピレンを含むような有害ガスをなるべく吸収をするような装置をつけて、外に出るそういう有害ガスをなるべく少なくするというような点につきましては、当然いまの設備について改善をすべきだと思うのです。 そういうのの例として申し上げますと、たとえば車で石炭を入れますけれども、そういう際の装入車の着火燃焼方式集じん装置というものを設ける、あるいは消火塔、これはコークスを出してきますと火でどんどん燃えてきますけれども、水をかける。そのときにたいへんガスが出ますから、消火塔の除じん装置の設置、それからコークスのかま出しのときの除じん装置の設置、それから炉上あるいは中段等の休憩室の冷房装置、すなわち人がおりますところにガスが入ってこないというような装置、それから、それらの機械を運転する運転席にやはり冷房装置をして、窓をあけなくて済む、そういう空気が入ってこないような装置にするというような点の改善が必要かと思いますので、この点につきましては、朝日新聞でコークス炉のガンの発生という記事が出まして以来、現場の調査、それからそれに基づく測定等の結果を踏まえまして、指示をいたしたところでございます。
○寺前委員 それで問題は、ああいうコークス工場を法的に規制することになっていないのですね。そうでしょう。特化則でいうならば、それは屋内に対するところの規制が載っているだけでしょう。屋外の規制を云々するのには、現実は屋内にするわけにいかないのだから、規制的にも合わないわけですね。ですから、これは法的の整備も考えなければいかぬことになるわけですね。 環境庁、長いことお待たせしておって申しわけございません。いま大気汚染の問題で、亜硫酸ガスの問題もずいぶん問題になっております。しかし、肺ガン問題というのは製鉄工場のあるところはやっぱり大きな問題になります。アメリカでは、最近は公害防止協定というのが州で結ばれるというところが出てきているわけですね。これはいまアメリカにおける公害対策としては、亜硫酸ガスにプラスしてこの問題が大きな位置を占めてきておる。しかもアメリカの経験からいうならば、アメリカの実態では、全体のこの関係の大気汚染の状況のうちで、コークス工場によって発生しておるのが大体六分の一である。あるいは、焼却炉によるところのものが半分近くある。発電所の関係がまたそれに近い状況にある。だから自動車関係におけるところの影響なんかは部分だ。問題はこういう製鉄所とか発電所とか焼却炉における問題が将来の大気汚染の肺ガン問題としては非常に重要な位置を占めておるということがちゃんと論文にも出ておるし、協定の面にもあらわれてきておる。私は日本の研究は非常におくれておると思う。そういうことから考えるならば、いま労働省のほうからいうならば、労働者に対するところの直接の被害に対する規制の問題としては、現に屋内作業場でなければ規制がされないのだから、事実上ないのにひとしい。それから環境庁のほうからいうならば、大気汚染防止法によって一体どれだけのことが保証されているのか。そうしたら、大気汚染防止法の二条五項の「粉じん発生施設」ということで、取り締まるということになるのだろうけれども、ところがここでもやはり同じことは、室内じゃありませんから、排出基準というのが実はないでしょう。法的にも野放しなんです、ここの分野においても。ですから、これは労働省の側においても環境庁の側においても、法的に将来の問題として重大な段階に来ておると思うのです。だから、すみやかにこの問題について、タールガスをまず明確に有害物質に——大気汚染防止法に「有害物質」の規定がありますね。その第一条にもなければ第十条にもないのです。非常に重大な位置として位置づけられていない。だから、はっきり有害物質として重大な位置づけを大気汚染防止法の中にも明確にしていただいて、そうしてすみやかに排出基準もきめ、構造的にも制度的にも緊急に対策を生むという決意を持っておられるのかどうか。私の問題提起に誤りがあれば御批判をいただきたい、私はそういうふうに思うので、まず環境庁の方にお答えをいただきたいと思うのです。
○山形(操)政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、粉じんの問題に関しましては、環境庁のほうは、粉じんの発生施設の構造、使用及び管理に関する基準しか定まっておりません。それから、それ以外のコークス炉、焼却炉、ボイラー等につきましては、一応ばいじんに関する排出基準をつけてありますが、御指摘のような三・四ベンツピレンを含む有害物質としての考え方というものはまだ出ておりません。 その理由を少し申し述べますと、現在有害物質で大気汚染防止法に載っておりますのはカドミウムとか鉛とか塩素とか水素、弗素、窒素酸化物となっております。それから一般大気にどれだけあるかというような、非常に全国的なポピュラーになっておるもののうち、鉛に対してもまだ環境基準がきまってない段階でございます。そうして現在窒素酸化物について、これもまた胸部疾患としての問題がありますので、これの作業を進めておる最中でございます。御指摘の三・四ベンツピレンのような非常に発ガン性の問題を含む重要なものについては、これは早く有害物質としての取り扱いをしたいのでございますが、何せこれ全体の実態調査的なものもまだ実施されておりませんし、それから検査法の問題も、全国的にこれを微量計量するという問題も、これはなかなか技術の問題もあります。しかしまだ全般的には——砒素の問題、クロムの問題、硫化水素の問題、あるいはシアン、アスベスト、いろいろな紛じん中のものをこまかく手を入れて作業しております。三・四ベンツピレンの問題もその中には入っておりますが、これを直接排出規制をするというこまかい手段というものがまだなかなかむずかしいと思いますので、この点に関しましては労働省とも十分連絡をとりながら作業は進めてまいりますが、たちどころに現在、有害物質としてこれを入れてまず規制の手段を講ずるということは、ちょっと時間がかかるということを申し上げておきます。
○寺前委員 これは、時間をかけておったら、現実にもう過去の事態でも、私がさっきから言うように、ずっと広がっておるのですよ、皮膚ガン、肺ガンその他で。それが全部大企業でしょう。そんな、そこいらじゅうあるのじゃないのだから。局長さんのお話によると、三十八工場でしたか、しぼられている。しぼられているところが実は大気汚染でたいへんだ。その大気汚染も、亜硫酸ガスの面からはだめなんだ。いろいろ面がかかっている。その中に肺ガンという発ガン性物質の重要な位置がここに存在している以上は、この問題について緊急に検討してもらわなければだめだ。同時にそのことは、労働者の側においても健康管理の面において重大な位置に今日来ておる。しかもそれが規制が一つもない。野放しになっておるというのが実態だということになったら、緊急に労働省と環境庁に検討してもらって対策を出してもらうという決意をぜひとも持っていただきたい。だから、相当まだ時間がかかりますなんてのんびりしたことで国民に対する責務は果たせないと私は思う。労働省の考えはどうですか。
○北川(俊)政府委員 この点につきましては、先般東中先生の御指摘、それから八幡における事件の発生を契機にして、特化則で第二類物質ということでコールタールの指定をいたしました。それは御指摘のように、屋内を主眼としてやっております。しかし、屋内でやっても、健康診断の定期的実施の問題、防具着用の問題は適用されますけれども、一番肝心の許容濃度の問題は適用がございません。先ほど局長お話し申し上げましたように、測定の結果が大体屋内の許容濃度以下になっておりますけれども、コークスを取り出すような場合に濃厚なガスが出ることは十分あり得ることでございます。そういう点に関連しましては、労働者保護の観点から特化則の結果について専門家の意見も聞いて検討いたします。ただ環境との関係もございますので、その点は十分環境庁と連絡をとりながらやっていきたいと思います。
○寺前委員 労働者がそういう状態になっておるのは、この地区の汚染の状況がただごとでなくなっておる。労働省の労働衛生研究所の松下さんが川崎の問題で、これは具体的な問題で新聞報道で流れておりますよ。川崎の場合、環境が三・四ベンツピレンとかで非常に悪くなっておる。あそこの鋼管の労働者が四人肺ガンでなくなっていますよ。そういう非常に重要な問題にいま直面しているから、ほんとうにその発生源そのものを押えるという意味において、労働省の側からも環境庁の側からも一緒になって、すみやかに検討してもらって対策を組んでもらう。環境庁、よろしいですか。
○山形(操)政府委員 私は、直ちにいろいろな具体策がとれないという点で申し上げたのでございますが、御指摘のようにこの問題は重要でございますので、労働省と十分連絡をとりながら研究をさしていただきます。
○寺前委員 最後に、私は局長さんに御意見というかお願いをしたいのですけれども、こういう状態で、規制を何ら受けないままに労働者たちはこの作業に携わっておったわけですね。そしてその労働者たちの実態がいまになってずっと、いろいろわかってきたわけですね。というのは、この人たち自身が長年にわたって被曝を受けておった結果が蓄積されておって、後に出てくるという性格の病気です。こういう病気に対して労働安全衛生法で健康管理手帳を出して、定期的に計画的にその人たちの健康を見ながら、その保障もしていこうという法律をこの前につくったと思うのですね。私は明らかに野放しの状況のもとにおった労働者の姿だったと思うのです。したがって、この労働者たちに対して健康管理手帳を出して、系統的に管理をしていく、保障をしていくという体制をすみやかに検討してもらう必要があると思うのです。そのことは同時に、直接の責務であるというだけではなくして、実際にこれらの労働者たちが、いままでの調査の面から見ても、直接的に政府機関が握られない状態にあるわけですね。全部企業の側で握っておる。だから、企業の報告を求めない限りわからぬという状想にあったわけです。もしも労働省が積極的に健康管理手帳を出してやり出したら、国の責務においてその人たちを保護するというだけではなくして、系統的な研究にも多くの人々の協力を集中的に受けることができるという両面から考えて、この仕事というのは私は非常に重要なものだと思うのです。そういう意味で、ひとつぜひともすぐに健康管理手帳の問題を御検討いただきたいと思うのですが、御見解いかがでしょう。
○渡邊(健)政府委員 昨年安全衛生法で健康管理手帳制度を設けましたのは、職場を離れました後長期間たって、それが原因で発病するような病気に対する健康管理のためでございます。したがいまして、先ほどから御意見がございますコークス炉関係の業務と発ガンとの間の因果関係、先ほど私も早急に専門家を委嘱して因果関係を検討すると申し上げましたが、その検討の結果によりまして因果関係がある程度明瞭になりますならば、健康管理手帳については早急に検討いたしたい、かように考えます。
○寺前委員 委員長はじめ各委員の皆さんや政府関係の皆さんに、えらいおそくまで長時間御迷惑をかけました。ほんとうに大企業の経営の中のことがなかなかよくわからない状況下にもあっただけに、手おくれになっている面もかなりあるかと思いますので、ぜひとも大臣は先頭に立ってこの問題について積極的に手を打っていただくことを私は要望したいと思うのです。最後に大臣の決意を聞いて終わりたいと思います。
○加藤国務大臣 いま局長から御答弁いたしたとおり、その趣旨に沿って大いに勉強いたしまして、大いに検討し、そして対処いたしたいと思います。
○寺前委員 どうもありがとうございました。
○田川委員長 次回は、来たる十七日火曜日、午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時二十五分散会