社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 303 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/03/06
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 まず、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○田川委員長 提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣加藤常太郎君。
○加藤国務大臣 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。 駐留軍関係離職者につきましては、昭和三十三年五月駐留軍関係離職者等臨時措置法の制定以来、同法に基づき各般の援護措置を講ずることによって、その生活の安定につとめてきたところであります。 しかしながら、駐留軍関係離職者は、今後もなお相当数発生するものと予想され、これらの者の再就職を促進することが必要でありますので、再就職援護措置をさらに拡充するとともに、同法の有効期間を延長するため、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして概略御説明申し上げます。 第一は、駐留軍関係離職者に対して雇用促進事業団が行なう援護業務の拡充であります。雇用促進事業団は、従来の業務のほか、新たに、離職者の求職活動が円滑に行なわれるようにするため、公共職業安定所の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動を行なう離職者に対して、その求職活動に要する費用を支給することとするものであります。 第二は、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期間の延長であります。同法は本年五月十七日に失効することとなっておりますが、今後における駐留軍関係離職者の発生状況にかんがみ、有効期間をさらに五年間延長することとしております。 以上、この法律案の提案理由及びその概略につきまして御説明申し上げました。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ————◇—————
○田川委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 去る二日、最高裁は年次有給休暇の取り扱いに対する画期的な判決をいたしました。私ども戦後、年次有給休暇は労働者の当然の権利として自由にこれが取得されるものであるということを主張してまいったのでありますが、政府並びに経営者側はこれに対して、年次有給休暇はその請求の中身、請求の日時等によって制限できるというような一方的な解釈をとってまいったのであります。今回の判決によりましてそれらの説というものが全く労基法上許されないということが明白になったのでありまして、いままで古い観念にとらわれた、そういう措置をとってきた関係者にとっては大きな衝撃であったと思いますが、われわれとしては、われわれの主張が正しかったことを立証されたものとして評価をいたしておるのであります。特に政府がこの年次有給休暇に対していままでとってまいったきわめてあやふやな態度というものが、この判決の結果を見ますと、いかに事態を混迷にし、そしてまた労働者の権利を抑圧したかということがうかがい知られるわけでありまして、その意味から私は、政府のいままでのこのあいまいな態度というのは糾弾されてしかるべきものだと思っておるのでありますけれども、いままでその労基法の解釈をめぐって、いろいろなケース、ケースによって処理されてくる、こういう答弁をしてまいりました労働省としては、いままでとってきた態度というもの、これをもう一度ひとつ御説明いただきまして、そこから私は誤りを正してまいりたい、こういうように思うのです。
○渡邊(健)政府委員 最高裁の今回の判決は、労働基準法三十九条の解釈につきまして従来いろいろな学説が対立いたしておりましたのを明確にしたものでございまして、最高裁の判決でございますから、今後はその判決で示されたところに従って行政運営をはかってまいりたいと考えておるわけでございますが、どういう点が従来の取り扱いと問題になってくるかと申しますと、従来三十九条に基づきます労働者の年次有給休暇の権利の発生につきましては、請求権説あるいは形成権説あるいは時季指定権説といろいろな学説があったわけでございますが、学働省といたしましては大体請求権説をとってまいったわけでございます。この判決では時季指定権説といわれる学説を採用いたしておるわけでございます。ただ従来の請求権説におきましても、労働者から請求がありましたときに対しまして、使用者のほうは基準法三十九条の三項ただし書きに該当する事由がある場合に、時季変更権を行使して他の時季に与える場合のほかは、労働者の請求を承認しなければならない、かように解釈をいたしておりましたので、理論構成は違ってまいりますけれども、結果としては従来と違わないと私ども考えておるわけであります。 しかし、いずれにいたしましても、新しい判決が出されました以上は、今後はこの趣旨を十分に徹底いたしましてそれに従った運用をはかってまいりたいと考えておるわけでございます。
○田邊委員 実はそんな、あなたの言われるような考え方に立っていままで具体的な指導をしていないのですね。請求権説というけれども、いわば日時を指定をして請求をした、ところがそれは業務上支障がある場合には振りかえることができるといっているのですね。これを労働者と相談をして、あなた、この日はだめですよ、業務上支障があるからだめだけれども、いつおとりになりますか、この日はよろしゅうございますか、こういう具体的な相談を実は労働者にしていないのですよ。一方的にこの日はだめですよというだけですよ。これは請求権の行使をきわめて狭めた解釈のもとに実は運用している、こういう証左であって、いま基準局長が言ったような親切な意味における請求権の学説をとったにいたしましても、それを最大限労働者側に立ったところの立場でもってこれを認める、こういう状態というものが実はいままでなかった。これは現に係争として争われている幾多の事例がみなそれです。あなたのほうはたとえそういう学説をとったにいたしましても、なるべく広義の解釈に基づいて、労働者にとりやすいような形でもっていままで行政措置をとっていれば、いわばこの種の争い、係争というものはかなり少く済んだろう、私はこういうように思っておるわけでありまして、いまの局長の答弁は、いままでの長い間の事実関係とはかなり離れている、私はこういうように思っているのです。 それからもう一つの問題点は、何といってもこの利用目的は何かという形でありますけれども、これに対しても、いわば年次休暇の活用のしかた、これは労働者の固有の権利であり、内容に介入することは絶対に許されない。いままで根掘り葉掘り、あなたは何のためにこの休暇を利用しますか、一体どこに行くのですか、そういういわば基本的人権にかかわりあるような事態まで介入して、その請求権を狭めてきた。この第二番目の問題がやはり今度の判決の中にも重大な要素として含まれていることは、御案内のとおりです。この第二番目の問題に対しては、あなたは一体どういう態度をとってきましたか。これも労働省の指導というのは、ケース・バイ・ケースだといってきたけれども、きわめてあいまいもこであると同時に、労働者の権益を侵すような具体的な指導が行なわれてきたところに今日の問題を起こした重大な要因がある、こういうように思っているのですけれども、どうですか。
○渡邊(健)政府委員 第二番目の休暇の自由使用の問題につきましては、基準法の趣旨からいたしましても、私どもは、有給休暇をどのように使用するかは労働者の自由であって、経営者が介入すべき問題ではない、こういうことでおったわけでございます。ただ、有給休暇の請求でありましても、形式的にはそういう形をとっておりますが、実質的な休暇闘争というようなことで同盟罷業に使う場合については、これは有給休暇の権利の行使とは認められない、こういう点につきましては私どももそういう考えをとっておりましたが、今回の最高裁の判例でもその点は同じ結果になっておるわけでございます。ただその場合、同一企業内の他の事業所の同盟罷業の応援に行くというような場合につきましては、それまで同盟罷業と見るべきかあるいは有給休暇権の自由行使の範囲内と考えるか、こういう点につきましては、従来、先生御承知のように下級審、高裁同士におきましてもいろいろ全く相違った判例が出ておりましたので、この点については労働省といたしましては、判例が区々であるというようなことで必ずしも明確にいたしておらなかったわけでございますが、今回の判例で、当該事業場については、休暇闘争といったような場合は有給休暇権の行使と認められないけれども、他の事業場の応援に行くようなものは有給休暇権の自由行使の範囲内である、こういうことが明確になったわけでございます。したがいまして、これにつきましても今後は最高裁の判例の趣旨によりまして運営をしてまいりたい、かように考えておるところであります。
○田邊委員 争いを起こしているところの全林野白石営林署なり国労の郡山工場の事件にいたしましても、一番の争いのもとはこの請求のしかた、それから承認をするしないという問題、これもありますけれども、休暇の利用目的には一体何か、どこへ行ったか。国鉄の場合はそうでしょう、一たん承認をしながら他の争議に参加したということでもって、これは取り消しをされて賃金カットになった。これが一番の争いのもとだったのですよ。これに対してあなたのほうは、実は何らの解釈も手当ても講じない。これが戦後二十数年間この休暇問題でもって争ってきた最大の焦点なんですよ。いま最高裁の判例が出たから、あなたのほうはそういうことを言われるけれども。少なくとも、いわば自分の職場におけるところの全員が一斉にとったところの休暇についてはまだ争いが残っております。残っておりますけれども、それ以外についてはいかなるものであっても、その利用目的まで介入すべきものではない。そういういわば憲法の基本的人権のかかわり合いのあるところですね、これが実はこの判決の一番重要な意味を持っている、こういうふうに思っているわけでございまして、いままで労働省なり政府がとってきた態度というものがいかに労働者に不利益な、いかに労働者にこれに対するところの制限をするような、そういう状態であったかということを反省すべきだ、こういうふうに思っております。 大臣、どうでしょう、あなたはこの判決を見まして、あなたはいろんな意味でいわば一般的な常識の上に立って客観的にものを見られる立場にある人だから、あなたはいままで政府がとってきた態度、いま局長が言ったようにまさに時代おくれであり、まさに労働者の権利を守ろうとする立場に立たなかった政府の態度、これがいわば鉄槌を下された、こういう意味では重大な反省をすべきである、こういうふうに思っておりますけれども、この判決を読まれて、あなたはどういう感想をお持ちですか。
○加藤国務大臣 専門の政府委員からはいろいろ、こういう国会の席でございますので、なかなか明快なお答えができませんが、私としては、個々のいろいろ問題があったと思います。しかしこの判決で有給休暇の問題は明快になりまして、私は かえってそれを喜んでおるものの一人であります。一方、一斉休暇の問題も明快になり、その他の労働者の権利が、有給休暇に対しては判然といたしましたので、今後労働行政についても、労働省はもちろんでありますが、関係の省庁におきましても、最高裁の判決に従って過去の点を一掃いたしまして、今後この判決のとおり施行されることを特に私は望むものであります。 従来のことにつきましてはいろいろ御指摘のような点があったと思いますが、ちょっとその点については明快にどうだこうだと申し上げかねますが、やはりよいはよい、悪いことは悪い、これは今後私は、当局においても反省すべきものは反省しなくちゃならぬという感じはいたします。
○田邊委員 そこで個々の問題もありますけれども、政府全体としてはこの判決が出た以上とるべき措置がありますね。判決が出た以上、これはあなたのほうでもっていろいろ具体的にやらなければならないことがたくさんあると思うのです。もちろん労働省が直接省としてやれることは限られておりますけれどもね。しかしあなたはやはり労働行政の最高責任者として、あなたのイニシアによって政府全体がこれに対してとるべき措置があると私は思うのです。これはどういたしますか。これは直ちにとられますね。というのは、これは個々の国労、全林野の問題で賃金カットになったものは当然回復措置は早急にやらなければならない。もう私はやられたんじゃないかと思うのですけれども、それだけではないのです。私は精神的な面や労働運動全体に与えた影響というようなことにまで、きょうは言及しない。この種の年次休暇の争いが戦後の労働運動史上実はたいへんな要素になっておったことは、これは大臣もお聞きになっていると思うのです。これはそのことによっていかに労働者の権益が狭められ、運動が停滞をし、そして抑圧されてきたかということは御案内のとおりなんです。 しかし具体的にこの賃金カットなりの措置を受けてきたところの労働者に対して、一体あなたはどうするのですか。これは大臣、賃金カットだけではないのですよ。賃金カットだけだと思ったら大間違いです。年次有給休暇を請求した時季にとれなかった。労働者は当然の権利としてそれをとった。そして他の争議の応援に行った。オルグに行った。賃金カットだけじゃないのです。処分を受けておるのです。その処分を受けておる者に対して、一体どういう回復措置をとるのですか。これは過去の問題じゃない。これから先の将来にわたる重大な問題である。いわば一生にかかわる処分、特に日本の公務員法なり公労法なりあるいはその他のいわば罰則規定によるところの処分というのは、これは一生にかかわりのある状態でもってやられておるところに非常に陰険な、陰惨な状態であるということが言われておるわけでありますから、一体この処分に対して十分回復措置をとるのですか。どういう挽回措置をとろうとするのですか。この二つの問題に対してあなたは一体どうするのですか。そしてあなたの所管ばかりでなくて、きょうはひとつ政府全体を代表する意味で、各省庁に対してあなたは勇断を持った措置をとるように指導いたしますか。
○加藤国務大臣 いまの御質問でありますが、今後の問題に対しましては、これはもう当然判決の趣旨に従って、いろいろなカット問題以外の問題についてもこの趣旨を尊重して、政府全体がやることはもう当然であります。従来の問題についてこれをどう復元するとかこういう問題につきましては、ケース・バイ・ケースの問題もあろうかと思いますので、政府委員をして答弁させます。
○石黒政府委員 処分の問題について申し上げます。 有給休暇を請求して他の事業所の争議行為等の応援に行ったということで有給休暇を取り消されて、にもかかわらず休んで行ったという点につきましては、最高裁の判例ではっきりしておりまして、許可なく休んだといわれるその理由につきましては、処分の対象になるものではない。ただしそのことは、有給休暇を使って他の事業所に行って行為をしたことについて、もし違法の場合があれば、そちらについての処分というのは全く別問題であるというふうに考えております。
○田邊委員 私は、他の職場に行こうが、あるいは有給休暇でなくて時間外であろうが、これは他の処罰規定があって罰せられておることまで言及しているんじゃない。いま問題提起しているのは、年休を請求して、それが承認をされた、あるいは承認をされないで、しかし具体的にオルグや争議行為に参画した。これでもって処分を受けておる方のこれを一体どうするのか聞いておるのです。
○石黒政府委員 現実にどのような事件についてどのような処分が行なわれたかは、私まだ承知しておりませんけれども、しかし最高裁の判決の趣旨に反する処分というものはなすべきでないと考えております。
○田邊委員 それは、処分した者に対しては一体どうするのですか。
○石黒政府委員 処分をした管理者等の責任という御趣旨でございますか。——処分をした者に対する措置、これにつきましては私がお答えすべき立場にあるかどうかは存じませんけれども、こういう法律の解釈論が非常に分かれておって、そして高裁においても全く相反する判決がそれぞれ出ているというような点につきまして、一つの解釈をとったということによって、その処分をしたことが直ちにその管理者の重大な責任として措置せられるということに相なるかどうかにつきましては、にわかに断定しがたい問題であると考えております。
○田邊委員 私はきょうそこまで言及しようと思ってないんです。処分をした者の責任追及はもちろんあります、ありますけれども、私は、処分された者は一体どうなるのかということなんです。これが、ただ処分をされてもう消えているんじゃありませんよ。この処分をされたことによって、一体これから先未来永劫に、職場につとめている間損害をこうむることに対して、当然の回復措置をとらなければならぬ。したがって、処分は取り消さなければならぬ。ないしは今後減給や、その他昇給昇格に大きな影響を与えている日本の処分の形態からいって、当然、過去の処分だからといってこれはそのままに済まされる問題じゃない、将来に与える影響が大きいんですから。ですから、これに対して当然処分取り消し等の措置がとられなければならぬけれども、これは一体どうするんですか。
○加藤国務大臣 政府委員は、これはなかなか立場上、明快な答弁がしにくいと思いますので、私の常識に従ってはっきりと申し上げます。ケース・バイ・ケースと最初私申しましたが、ケース、ケースについて、法律の趣旨の違反の問題とその他に及ぶ問題といろいろなケース・バイ・ケースがあると思いますが、ただ単純な事案につきましては、いろいろな処分が回復することはこれは当然と思います。しかし、そのような問題は、なかなかいろいろな付帯的な要素も含んでおる問題がありますので、全体的に、大臣としてここで回復するということは、御質問のことには判然とお答えできませんが、趣旨に合致した単純なものは回復することが当然と考えます。
○田邊委員 あなたはそういうふうに指導されますね。したがって、この最高裁の判例の範囲でもって明確に解釈できる事案、これによって受けたところの賃金カットなり処分は当然回復する措置をとる、そうですね。
○加藤国務大臣 ほかのいろいろな問題が付随しない判然とした問題に対しましては、御質問のとおりで、私がいまお答えしたとおりであります。
○田邊委員 国鉄当局、この判例によって当然賃金カットは支払いをしなければならぬという形になってまいりますし、それに相当する処分等が行なわれておれば、それの回復措置をとらなければならぬが、やりましたか。
○加賀谷説明員 この件につきましては、十分に最高裁の判決の趣旨を尊重いたしまして、賃金カットその他の処理につきましては、いま直ちに弁護士等を通じまして話を始めておる次第でございます。また、処分の件につきましては、この種のものは——今度の件には処分が伴っておりませんが、処分の問題、一般的には実態が非常にむずかしいケースがたくさんあるわけでございましてケース、ケースに沿って実態を調査した上、また政府その他の御指導を得て検討してみたいと思っております。
○田邊委員 いつまでにおやりになりましょうか。こういうことは早くやってもらいたいですね。したがって、話し合いをするというけれども、あなたのほうは当然言わなくたってわかっていることなんです、判決が出たのだから。これは早急に、これに対するところの賃金支払い等はするわけですね。早急にしますね。
○加賀谷説明員 ただいま申し上げましたように、すでにもう話は始めておりまして、早急にいたします。
○田邊委員 林野庁はどうでしょう。あなたのほうはもう国鉄より先にされましたか。
○福田政府委員 林野庁におきましても、今度の最高裁の判決に基づきましてさっそく実態を調査中でございます。結果を至急取りまとめまして、関係の労働省とも連絡いたしまして御趣旨に沿うように措置してまいりたい、かように思っております。
○田邊委員 さっき国鉄の常務はいろいろなケースがあると言ったけれども、これはそんなに複雑なケースはないのです。労政局長が用心をして、他の事案にからめというようなことを言ったから、大臣もちょっとちゅうちょしたのですけれども、こんなものは実はケースとしてはあまりないんですよ。暴力事犯か何かは別ですよ。それ以外は、これはもうほとんどのケースが、いわば承認を得て、争議に参加したというので取り消しをされたのか、あるいは承認を受けずしてオルグ等に行って賃金カットをされたのか、これはそういう範疇に属するのです。ですから、そんなに複雑怪奇な事件じゃありません。したがって私は、いまそれぞれ国鉄、林野庁から話がありましたけれども、これは大臣すぐやらしてください。あなたの所管でないというけれども、私はきょう官房長官なりその他は呼んでおりませんけれども、これは労働大臣が指導すればできることです。こういうことに対する措置は直ちにやらせることが必要でございますから、これはひとつ直ちにやらせるようにあなたのほうでもって指導してください。いいですね。——うなずいただけではだめなんですよ、国会は。ちゃんとあなたが答弁席でもって言わなければ承知したことにならぬ。いいですか。
○加藤国務大臣 専門家の田邊さんでありますから十分御承知と思いますが、各省に対して労働省が指示する権利はありませんけれども、やはり連絡をいたしまして、なるべくすみやかに善処をするように対処いたしたいと思います。
○田邊委員 きょう全部人事担当官を呼んでくれば私はケースをいろいろ申し上げたいのですけれども、きょう呼んでありません。時間がないそうでありますから言いませんけれども、あるのです。私は手元には持っている。郵政だの電電だのみな持っている。それを一々言ったらたいへんなことですけれども、それらに対して労働省に、これはお願いですよ、お願いしておきます。いままでの過去の例について、労働組合等から要求があってからではおそいんですよ。このケースについてはやりましょうなんて言わないで、あなたのほうでもって各省庁の実態を調べて、それに対して措置をできるような、こういう指導はしてよろしいのではないかと思うのです。労政局長、やりますか。あなたはあまり用心深いことを言わないで、やるならやると言ってください。
○石黒政府委員 各省の具体的なケースを全部うちで調べ上げるということはむずかしゅうございます。しかしながら、各省に連絡をいたしまして、今回の最高裁の判決の趣旨が十分徹底するように各省に十分連絡をいたすつもりでございます。
○田邊委員 それで、労働省ができる具体的に労基法上の適用の事業所等にしては、一体どうしますか。これは具体的にどういう形でもってあなたのほうは指導するのですか。これは具体的な通達やその他できることはやりますね。どういう措置をとるのですか。
○渡邊(健)政府委員 今回の最高裁の判決は、さっそく地方の基準局に通達で知らせまして、今後この趣旨によって行政措置をするよう指導をいたしておるところでございます。
○田邊委員 その中身を教えてください。
○渡邊(健)政府委員 先般最高裁からあの判決が出たこと、判決の一番の問題点と要旨、それを知らせまして、これに従って今後は措置するようという中身の通達でございます。
○田邊委員 時間がないので、個々の問題についてはあらためて私はやりたいと思いまするが、ひとつ国鉄、林野庁についても、いつまでにこれをやられるのか、やられた結果は一体どうなるかということを、委員長を通じてひとつお知らせをいただきたいというように思います。そしてまた、各省庁ともどういう適切な徹底をはかられるのか。私は通達その他ばかりでなくて、人事担当官の会議等を通じてこの趣旨を徹底するということが必要だろうと思うのです。 それから大臣、最後に、私はさっき、局限された形でもって、処分をされた者に対する回復措置はすべきだというふうに言ってまいりましたけれども、こういったものは、いわば年次有給休暇だけではありません。超過勤務の問題にしても、あるいは休日、休暇の問題にしても、基準法にいうところのいろいろな発想について、この際これを一つのてこにして、これを一つの基準にして、私は発想の転換、考え方の前進をはからなければならぬときが来たと思うのですよ。そういう意味合いで、法律の解釈それから法そのものの改正、それから運用、それについて私はこれがきわめて画期的であり、いろいろな学説を全体的に見て前進をさしたものであるという観点から言いまするならば、私はこの際洗い直さなきゃならぬ時期に来ていると思うのですよ。そういう御用意はございますか。これは労働基準法ばかりではありません。公労法やあるいは公務員法の懲戒処分の規定などについても、私は洗い直さなきゃならぬというふうに思いまするけれども、とりあえずいま言った労働者の休暇請求の権利を主体として、それに片づけられたところのもろもろの労働者の権益についてひとつ再検討する、そういうような——学者を集めていただいて検討することも一つでしょう。とりあえずひとつ労働基準法を中心としてやる、そういう御用意がございましょうか。
○加藤国務大臣 いろいろ従来からも、御承知のように、研究の機関もありますし、その他の審議会もありますし、いま御指摘のように、専門家の学者なり、また公益の立場からの方々をお集めして研究する、こういうような問題に対しましては、御趣旨の線に沿って大いにこれを推進いたしたいと思います。この問題の判決が出たからといって、全体の方針をいまたちどころに転換する、こういうこともなかなかさっそくは困難でありますが、御趣旨に沿ってあらゆる問題も続いて研究することは、これはやぶさかではありません。
○田邊委員 ちょっと、最後の御答弁はきわめて不満足ですね。私は、こういう際にこそ、この法解釈を根底から考え方を変えなきゃならぬ、発想の転換をしなければならぬ、そういう時期に来ているのですから、したがって、早急にこれに対処できるような機構づくり等もしてもらいたい。私は資料を持っておるのですよ。これはできるでしょう。
○渡邊(健)政府委員 先生ただいまおっしゃいましたような基準法の運用の実情及びそれに関する問題点につきましては、かねてから労働基準法研究会というものを設けまして、学識経験者の方々にその御検討を願っておるところでございます。
○田邊委員 最後に一言、国鉄に。きのう私は、ちょうど前橋へ帰ってきましたけれども、行くと順法闘争とからみまして、たいへんな遅延がありました。どうでしょう、これはあなたのほうは、いつも問題が春闘で出てくるので、社労委員会にもあなたをときどきお招きしなければならぬわけですけれども、早急にひとつ話し合いをして解決をする決意とお考えがありますか。
○加賀谷説明員 きのうからの順法闘争には、主として動労が保安問題についていろいろ問題があるということでやられておるわけでございますが、保安問題につきましては、いまそういうことを言っておるだけではなくて、かねてから常にいろいろ話し合って、いろいろやっておる。それからその保安要員の配置とかなんとかにつきましても、すべて組合と話をつけて、それをやっておるというようなルールになっておりまして、突然にこれを順法闘争というような形で話をしようというようなことは、非常に私どもとしては残念なことなんでございますが、しかしこれまでもいろいろ話を続けてやっておりますので、なお一そうその動労の言わんとするところをよく聞いて、その話し合いを進めて、できるだけこういった事態を収拾したいと考えております。そういう話し合いはずっと続けておるわけでございます。
○田邊委員 その恨みつらみを言わないで、いずれにしても早急に解決をやってもらいたいということを私は強く要求しておきます。 それから大臣はひとつ、こういう判決が出たことを契機にして、労働行政全体に対してまた前進をはかるように、そういう強力なリーダーシップをとってもらいたいということを要求しておきます。
○田川委員長 川俣健二郎君。
○川俣委員 いま前者の田邊委員から、最後に、国鉄の安全闘争に対する当局の見解をちょっぴり聞かしてもらいました。私たち一般国民が見ると、これはやはり当局が怠慢でこういう結果になったのか、組合のほうがわからずやでむちゃくちゃにやっておるのかという——朝の通勤ラッシュ、学校通いの子供から年寄りに至るまでかなり迷惑千万であることは事実であるわけです。そこでもう少し具体的に伺う前に、いま幸い当局の見解がちょっぴりしゃべられたのを機会に、今回の闘争というのは、われわれ国民から見ると、このように理解していいのかどうか。もし完全に安全規則を守り、法律にのっとって機関車、電車を運転するとすればこのぐらいの体制にならざるを得ないのだ、こういうように解釈をしていいのか。それとも、そうではなくて、混乱していない日常の場合が順法運転であって、いまのはサボ的な、争議的な結果がこうなのか。これは国民から見ると、どっちが判断の材料になるのか。いま少しさっきの答弁に続いた第二のお答えを願いたいと思います。
○阪田説明員 私は安全を担当しております阪田でございます。ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、いわゆる列車を運行するもとのダイヤをつくるときから、当然もろもろの機関車の機能であるとかあるいは信号設備の機能であるとか、そういう原則的なものをすべて踏まえた上でダイヤをつくりまして、ダイヤにのっとって、走るべき車をそれに充当し、そして平生のダイヤを運行しておるために百年の国鉄が今日まで運行し続けてきたと考えております。したがいまして、たとえば組合側の順法ということばがございますが、五十キロ以内という表現の場合に、五キロも五十キロ以内であるし、三十キロも五十キロ以内であるし、あるいは四十五キロも五十キロ以内であるというようなことを意識して、五十キロ以内をかりに五キロ程度で走るといたしますと、なかなか平生やっておりますような列車じゃなくして、ただいまあらわれているような現象の形になるような場合が生ずるのではないか。私どもとしては、五十キロ以下という場合はせいぜい五キロぐらいの余裕をもちまして、いろいろなアローアンスをそれぞれに入れながらいろいろなことを考えておる。たとえばカーブが八十キロ制限の場合には、大体七十五キロというところで、五キロぐらいの安全を入れながらいろいろなことを考えておりますので、そういう点におきましては、平生の運行は正確な基準にのっとり、正確な車両運用あるいは車両の機能を踏まえた上で現在の平常な運行をやっておるような状態でございます。
○川俣委員 一般的な答弁を速度を例に出して答えられたんですが、そうしますと、規則としては五十キロ以内といううたい方なんで、したがって五キロでも十キロでも五十キロ以内だから順法には違いない、こういう考え方で走っておるんだ。これは非常に一般の人が——しろうとか運転するということはないんだろうが、法律の不備を逆手にとって、あなたがいま五十キロから五キロぐらいのアローアンスはとっておるのだが、したがって四十キロから五十キロ以内で走れという慣例を、五十キロ以内だという規則を取り立ててああいうのろのろ運転を必要以上にやっておるのだ、こういうことでいいわけですか。その辺はどうですか、もう少し聞かせてください。
○阪田説明員 私も組合の方々がどういう点でやっておるかというほんとうのところはよくわかりません。したがいまして、ただいま申し上げましたのは例を申し上げたんでございまして、かりに注意信号が出る場合には、注意信号というのは規定的には四十五キロ以下に落としなさいということになっておりますので、ただそういう例を申し上げたので、ほんとうのところというのは、申しわけないが私の立場としてはなはだわかりにくい面があるのですが……。
○川俣委員 はなはだわかりにくいと言ったって、実は組合の方々というような言い方で常務がおっしゃるところに問題がある。私は伺っておるのですからね。一般国民として組合にも当局にも問うておるのです。だから、これは五十キロから四十キロ以内で走れという規則をつくればこういうことがないのかということなのです。その辺はどうなんですか。
○阪田説明員 四十キロから五十キロで走れという限定のしかたというのは、たとえば前のセクションに車があるからその前はさらに気をつけなさいというようなときに、その気をつけるしかたというものはそのときの状況状況によって非常に異なる場合がございます。したがいまして、ここを通るときは三十五キロにプラスマイナスしなさい、ここを通るときは二十五キロにプラスマイナスしなさいという限定のしかたというのは非常にむずかしい。たとえばカーブでありましても、いろいろな天候によって、そのとき乗務員がこれはと思えば、かりに私どもがこのカーブは七十キロ以上出しちゃいけませんというふうにしましても、きょうは少し風も強いし五十キロで走ったほうがいいというような判断、あるものの自由裁量というものはどうしても乗務員が持っているわけでございますから、いまおっしゃるように、すべてどこもここも、ここは何キロ、ここは何キロという規定のしかたというのは、これだけの長い線路を持っておりますと非常にむずかしい。しかし最大限これ以上出しちゃなりませんというような限定のしかたしかできないことが多々ございます。いまおっしゃるように、こういうきめ方をしたらいいのかというお話に対しましては、たいへんむずかしいというお答えをするより……。
○川俣委員 私は意地悪く質問しているのじゃなくて、問題は事故が非常に多いわけでしょう。きのうの新幹線の朝までの立ち往生、それから新鶴見の事故、もう数えるとものすごいんですよ。私、実際の資料を持って伺っておるのだが、問題は機関士に自由裁量を許して、アローアンスを許しているという、どっちがむずかしいのだということをいま考えるのじゃなくて、一般国民から見ると、これは何が原因だろうかと思っておるわけです。特に一般の人方は、こういう安全闘争というような羽目にならないと、あるいは事故が起きないと、ああ国鉄というのはずいぶんあぶないんだなという感じにならない。非常にタイミングよく、きのうですかおとといですか、組合のほうで——これは動力車ですか、「危険な踏切・危険線区等調」というやつを出した。二三〇ページですか、これを出された。マスコミはこれを危険白書というように国民に訴えておるわけです。国民に訴えると同時に、いまのこの安全闘争と国民の迷惑という考え方にも訴えておるわけです。ということは、当局はどうなんだということを聞きたいわけです。というのは、こういうことですよ。この危険白書によれば、「昨年全国で発生した五件」、例の大事故ですね、動力車労組が「独自に安全総点検を行なった結果、今月二日の締め切りで集計してまとめられた。「危険な踏切・危険線区等調」と題し、二百三十ページにわたり、国鉄全線の中間危険個所を危険の種類、線名、区間、実態を状況別に指摘している。」これは非常に読ませたものだと思います。それによりますと、「国鉄沿線の運転危険個所は全国で三千三百三十二か所にのぼり、このうち、見通しの悪い無人踏切や、車や人の飛び出しが多い事故多発踏切などの“欠陥踏切”が一千三百六十一か所に達した。また落石や土砂崩壊の多発する危険個所が四百二十地点、冠水、流失、決壊など水禍に見舞われがちな危険線区が二百五十三か所、橋やずい道の老朽化が百九十三か所、路盤軟弱地帯が百八十三か所、信号の確認困難な見通し不良個所が百七十三か所あり、火災などが発生すると大惨事になりやすい延長二キロ以上の長いトンネル四十八か所」こういうように指摘しておる。「白書はさらに、動労組合員の発見で事故を未然に防いだ件数が昨年一年間で四千二百八十三件あり、事故寸前だったケースも一千件を超していると主張する。」こういうふうに書いてあるのであります。これは安全闘争というものを一方の労働組合のほうが正当化するためにでっち上げた件数であり、調べであるかと私は思った。ところが、この一年間の事故をずっと調べてみますと、これはなるほどそのものずばりなんです。したがって、これこれ危険なところを直せ、こういう踏切のところはとうていこわくて通れない、こういうトンネルはいつ土砂くずれがあるかわからないということを、それは常務も痛感するだろうが、一番知っておるのは運転しておる人だ。その人方が全国から集計したこの白書を発表された限りにおいては、一般の国民がこれはたいへんだと思うのは無理ないんだと思います。その辺までについて、常務の感想どうですか。
○阪田説明員 ちょっと初めに、国鉄の事故でございますが、非常に世間の皆さま方をお騒がせしてたいへんに申しわけなく存じております。しかし、実際の絶対件数につきましては、私どもお客さまや何かに死傷を及ぼすような事故のことを列車事故と申しまして、列車脱線とか列車衝突、こういう非常にあぶない事故の件数はずっと年々減ってまいりまして、昨年度、四十六年度は六十件で、ともかく百年の歴史の中では一番件数が少ない年になっております。一方輸送量は逆に毎年ふえておりますから、輸送量がふえている一方、件数そのものは実際面では減っている。にもかかわらず、非常に世間の皆さま方に御心配かけるようなことが起こりまして、たいへん恐縮に存じております。 確かにいろいろ出ておりますが、私ども、いままでの事故件数が減ってきたということは、決して放置していたわけではございませんで、毎年いろいろな投資をしておりまして、たとえば踏切につきましても国鉄側で百億円余り、道路者側でも一千億円余りの立体交差の処置をしております。防災関係にしましても、毎年いろいろ合わせまして二百億以上の投資をしておりますし、そういう過去の投資した処置の結果、このように一応件数の上でずっと毎年減ってきている結果が出ていると思います。昨年度一年間でございますが、六十件で、今年度は十二月末までで四十七件、このままでまいりますと昨年度より若干オーバーするかもしれませんが、件数としましては昨年度を除きまして、やはり戦前戦後を通じます最低の件数になっているような状態でございます。 それから一方、昨日動力車組合のほうから、いまおっしゃるような危険白書を私ども受け取りました。昨日受け取ったばかりで、細部まで一件一件当たってみるところまでは至っておりませんが、東京付近をずっと当たってみたところでは、一部には私どもの調べと間違っておるところもあり、一部にはもうすでに処置したものもございますし、また現在計画中のものもございます。私どもといたしましても、このような施設に対しましては平生その実態をよく調査しておりまして、処置すべきものは、先ほど申し上げましたような防災経費とかあるいは踏切対策経費によりまして年々その処置をしてまいってきております。 ただ、たとえば踏切につきましては、踏切というものが平面交差である以上、何かぶつかる危険というものが常につきまとっておるものでございますので、そのために、できるだけあぶなさというものが厚いものから私どもは手がけております。立体交差とか踏切保安設備とかいろいろやっておりまして、すでにこの十年間に立体交差も約千六百カ所、それから警報機をつけましたのが一万二千二百五十九カ所、そのうち遮断機をつけましたのが約五千カ所、その他そういう手を毎年打ってきておりまして、今度動力車組合の出された白書も、この一つ一つを見ながら、このうちでさらに処置すべきものはこの計画の中に入れつつ、また四十八年度は四十八年度で処置をしてまいりたいと考えております。
○川俣委員 昨年のような北陸トンネルの事故をはじめとして、ああいう事故を見せられて、件数か一番少ない年だったと言われると——いまの六十件というのはどういうものなんですか。踏切ですか。それから事故の規模、どういう傾向を示すのか、大規模的なのか。さらに踏切の場合の事故の内容ですね。踏切にはいろいろな種類があるのだろうから、そういう趨勢とか、そういったものをもう少し知らせてくれませんか。
○阪田説明員 御指摘のように、私どもがいま非常に意を使っておりますのは、件数が少なくなったからそれで安心しておるということでは決してございません。おっしゃるとおりその一件一件の内容そのものはむしろ悪くなっておる面がある。それに対してさらにその次、さらにその次の保安設備をどうすべきかということについていま非常に勉強しておる最中でございまして、その点は北陸の火災事故をはじめといたしまして、同じ件数でも、質的の面につきましては十分私どもは注意してまいらなければならないと考えております。 それから踏切事故も、昭和三十六年度に、年々自動車の増加とともに踏切事故がものすごい勢いで増加してまいりましたので、当時踏切保安室というものを設けまして、それを契機にしまして、年間先ほど申し上げましたような投資を行なってきた結果、現在踏切事故の件数そのものもずっと毎年減ってきております。ことしも、年度末までにはおそらく数十件、去年よりもさらに減るのではないかと思っておりますが、これもまた御指摘のように大型のダンプが出てきておりますし、事故件数は減ったけれども、事故そのものについてはさらにさらに注意しなければならぬという点は、十分深く考え、かつそのために今後は単に警報機をつけたというだけではなくて、さらに遮断機も半分の遮断機ではなくて、全部遮断をして、自動車側に注意を喚起するようなものに今後強化していくべく、もちろん立体交差というものが原則でございますが、これは何せ何万個所かある中で、毎年毎年二百個所もやってまいってもなかなか遅々たるものでございますので、自動車の通るようなところは全部チンチンのみならず、全遮断にして新しい事故を防止していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○川俣委員 私が思うには自動車の交通量が、踏切を通る量が多くなったという趨勢も一因あると思うのですが、踏切の事故をいま一々あげたらかなりなものですね。その踏切の事故のあれは十中八、九までは無人踏切なんですね。そうですね。九割九分、無人踏切です。それはいまチンチンをつけるとか遮断機をつけるとか言うけれども、ダンプで走るでしょう。聞こえないのですよ。だから国鉄が合理化ですか何ですか、やはり無人踏切をふやしたことによる事故じゃなかろうかと思うのですが、どうですか。
○阪田説明員 先ほど申し上げましたように、いろいろ施策して逆に事故がだんだんふえていくという傾向にかりにございますならば、私どもの施策が根本的に誤っているということに相なりますが、先ほど申し上げましたように、いろいろ自動車がふえたり、国鉄側も列車回数がふえたりしておりますが、事故の絶対件数そのものは逆に減っておりますので、いま私どものやっている対策というものは、そんなに間違っているとは考えておりません。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 ただ、いろいろな宅地造成とか人口の変化あるいはその造成するためにダンプカーがまたふえるとかいう、個々の踏切に常時変化が出てまいりますので、そういう点を十分注意して、新たに起こってくる、交通量が多くなったりなんかする踏切に対して、先手先手にできれば手を打っていきたいと考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、現在の保安設備のやり方で、あるカーブはたどっておりますが、それよりもさらに思い切ってカーブを落とすためには、ただおっしゃるとおりチンチンのみならず、遮断機で完全に遮断してしまって、自動車が入ろうと思っても入れないというような形のような保安設備にまでこれから持っていきたいというふうに考えている次第でございます。
○川俣委員 それは比率によるとどのくらい多いのですか。私から見ると、事故が起きてから後手後手に、チンチンをつけたり遮断機をつけたりして、見ているとあとになってやっていくのだが、住民運動もこれありだろうと思うのだが、踏切というのは一番理想なのは、交通量がなくても踏切手がずっといるのが一番理想です。これはだれしもわかる。これがなかなか許されぬから、せいぜいチンチンをつけたり、いよいよになったら無人だ、こういう比率は、踏切の数はどんなものですか。
○阪田説明員 現在踏切警手がおりますのが六百九十五カ所でございまして、全般的に、要するにチンチンとか、いろいろそういう、ともかく防護設備があるものが一万六千五百カ所ぐらい。それから、チンチンも何もなくて、いわゆる組合の白書にも書いてございますが、四種と称しまして何の設備もしてございませんのが一万五千三百カ所ございます。その中には、踏切の幅が狭くて、農道で農家の方々が出入りするようなもので、自動車が通ってはいけないといって規制しているようなものが大体九千カ所ございます。それで、何にも規制のない、ただ踏切、農道で通るとか、普通の方々が、人だけがそこを通るという踏切が約六千カ所、規制のあるのとないのと両方合わせまして、いわゆる四種と称します、チンチンとかバーがついてない——それはここに踏切かあるとか、くいは立っているのでございますが、要するにそういう規制、チンチンとかバーがない踏切が一万五千カ所でございます。合わせまして三万二千五百五十カ所ございます。
○川俣委員 いずれにしても、全然無防備と、何らかのあれがあるのと大体半々だと思うのです。私はそういうように思います。それで、人が通るか車が通るかは別として、一万五千三百九十カ所もあるわけで、そのうちの六千カ所は、くいなんか立って農道その他と、こうなっているのだが、ちょっと参考までに伺いますと、そこの住民とか農民から、ここに踏切をつけてほしいという陳情があってつくった個所はどのくらいあるのですか。
○阪田説明員 ただいまの、全国的に何件あるかはちょっとはっきりわかりませんが、そういうときは必ず協議をいたします。あるいは踏切を立体交差にするときも地元の方々と協議いたしますし、それからチンチンをつけたり何かするときも、すべて地元の方と協議しながら踏切につきましては処置しております。いま明確な件数はちょっとわかりません。
○川俣委員 それでは、時間がありませんからあとでこれを……。これは後日の質問で関連した質問が深まっていくものですから。 この踏切の問題ですが、ずっと事故を見ますと「鹿児島本線 特急が衝突脱線 ダンプ警報無視乗客ら五人が死傷」、これもチンチンはあるのだが、遮断機がない。一つずつ指摘しますが、これは全部指摘しますと、昨年の二月に「トラックの四人即死 踏切で貨車と衝突」、これは小山付近ですね。これは警報機がついているが、やはり無人。これはほとんど、こう言っては悪いけれども、このくらいのダンプが通る、車がこれだけの交通量があるので、どういう踏切でこういうのがあるかといったら、やはりこういうところの踏切にほんとうに事故の発生が集中しておるのだということを私らはつかんでいます。これは白書じゃなくて、一般の新聞からつかんでいるのですから。この点はどうですか。常務としては、やはりこれだけの交通量ならこれだけの遮断機——遮断機ばかりじゃなく、踏切手も必要なんだというように痛感しておるのか、それとも遮断機、チンチンだけでいいのか、あるいは片方、半分の遮断機、これだけでいい、こういうような考え方でいるのか。それとも、やはりこれだけの交通量になったんだから、金がかかるかもしれぬが、踏切には踏切手が必要だという方向で検討しているのか、どっちなんです。
○阪田説明員 踏切につきましては、先ほど申し上げましたように、現在のチンチンだけでありますと聴覚のウエートが高いので、さらにバーをつけまして全部遮断する。で、列車が近づけば機械的に交通を全部遮断するということで、いま国鉄側では二重系にして、そういう間違いがないように、列車が来たら必ず全部遮断するようにしておりますので、そういう遮断機にいたしますと、過去の実績からいたしましても、もう事故は半分以下に減る。片側だけの遮断じゃなくて全部遮断するような方式にいたしますと、件数そのものは半分に減るような実績になっておりますので、列車が来たならばチンチンが鳴ると同時に必ず遮断機がおりて、その手前で自動車の運転手のほうは必ずとまるというような形に持っていきたいと思っております。 人の問題につきましては、二重系、三重系というのは人よりももっと機械のほうが必ず間違いなくキャッチして運転手に警告を与えるということになりますので、先ほどから申し上げましたような遮断機を全遮断を通じた踏切に来年からさっそく手をつけたい。そうしますれば踏切事故はずっと減っていくものと考えております。
○川俣委員 いまのような答弁は前にずっとこの委員会であり、あるいは運輸委員会であり、先輩委員から追及されておるのだ。当局の返事はいまと同じ返事なんだ、来年からもっとやります……。ところが事故は待ってくれないわけだ。どんどんスピード化していくし、こういう態度であれば、まさにこれは安全闘争というか、何かやらざるを得ないんじゃないですか。そうでしょう、そうじゃないですか。 それから踏切のあれで、さらに民営鉄道、いわゆる地方鉄道法のあれでちょっと教えてもらいたいのですが、四十六年の十一月ですから一昨年ですか、越後交通で「乗客ら一〇六人重軽傷 トラックと衝突 警報なし 運転手死ぬ」こういう事故の場合に一体どういう措置をとったのか、どの程度の権限があるのか。あるいははたしてこれに対するどうも適切な措置——この越後交通というのは田中総理大臣が重役である。これはどのような措置をとってやったか、知っていますか。
○住田政府委員 越後交通の問題は、ちょっと私の所管でございませんので、後ほど調べて御連絡申し上げます。
○川俣委員 それ、全然わかりませんか、かなりの事故なんだけれども。調べなければわからぬほどの小さな事故じゃないはずだ。田中総理大臣が関係しておるというんだ。
○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、私、所管でございませんので、後ほど調べまして御報告申し上げます。
○川俣委員 それじゃ、その結果によってまた質問の時間をいただきますが、国鉄の機構の中で事故に対する対策、これは緊急本部その他でつくる場合があるのだろうが、普通の安全点検の場というのはどういう機構なんですか。総点検とか安全点検とかいうのを通常やられているわけでしょう。常務、どうですか、どういう機構ですか。
○阪田説明員 ちょっといまの御質問の趣旨がよくわかりませんでしたが、たとえば車両でございましたら工場、機関区、それから先ほどからお話が出ているような踏切とかあるいは災害とかいう問題につきましては保線区、そういう組織がございまして、そういう組織が常時踏切なら踏切の点検、災害なら、たとえば宅地造成とかいう環境変化に応ずる問題、あるいは橋梁なら橋梁の強度が長い間に経年変化してないかというようなチェック、そういうこと自体が日常の作業として処置をしておりまして、その上に、そのほか管理局とかあるいは本社とかいろいろございますが、これがまたときどきそれぞれのテーマについて現場に行ってまた処置をする。また、あるいは全国的に毎年一回か二回かは事故防止月間というものを設けて処置する。それから一番基本的な組織といたしましては、本社内に毎月一回、事故防止対策委員会というのがございまして、これにはもう総裁以下全員が必ず出て、一カ月の間に出た問題になる事故に対しまして今後どうすべきかということで、毎月毎月必ず検討会を開いております。
○川俣委員 運輸省来ておりますか。——この国鉄の機構を見ると、新幹線総合計画部とか新幹線建設局、それからコンピューター部、これもずいぶん大きくなった。それから職員局、まあ職員局はもちろん必要であろうと思うのだが、やはりこの安全総点検の場というものを常に置く機構が必要なんだろうと思うのですが、どうお思いですか。
○住田政府委員 国鉄の中の機構は、ただいま阪田常務理事がお話しいたしましたような機構で安全関係を見ておるわけでございますが、中心といたしましては安全担当の常務理事がおられて全部総括いたしておるわけでございます。また問題によりましては委員会をつくってそれぞれ問題を究明するという仕組みになっておりますので、現在の機構で十分ではないかというように考えております。
○川俣委員 十分じゃないんだ。なぜ十分じゃないかというと、常務の考え方が機構的に、機能的にできてないと思うんだ。やりたいと思う、来年はやりたいと思うという答弁が常に議事録に残っておる。あなたの足がないのだと思うんだ。常に常務の中に指示系列がないのだと思いますよ、そうだろう。 それからもう一つは、次の質問に入っていきますが、鶴見の事故、いわゆる競合脱線ですか、これは皆さん記憶がありますね。鶴見の競合脱線、この事故発生は何年でしたかね。
○阪田説明員 昭和三十八年です。
○川俣委員 これに対する調査報告書が出たのは何年でしたかね。
○阪田説明員 昭和四十七年三月でございます。
○川俣委員 四十七年三月、四十八年三月、どっちですか。
○阪田説明員 四十七年三月でございます。
○川俣委員 三十八年の十一月に事故が起きて、四十七年の三月に調査報告書が出た、十年ですね。どんなものですかね。これに対してどうです。
○阪田説明員 この競合ということばが示すように——線路か悪ければ線路か悪いということか非常にはっきりいたします。車両が悪ければ車両が悪いということがはっきりいたしますが、競合というのはどう見ても——どう見てもというか、平生の私どもの過去の経験からいったらば、どっちもいいにもかかわらず脱線しているというような状態でございますので、一体それがどういう原因であるかということがきわめてむずかしい問題だったわけです。したがいまして、単にこれは国鉄の部内の方に頭だけではなくして、部外のそういう道の専門家の方々にも一緒になっていただいて、一体こういうものに対して今後どう進めていけばいいかということのむずかしい原因、原因というよりむしろある状況——それてやむをえず、どうしても初めわかりませんので、北海道に実験線をつくりましていろいろな実験を三、四年かかってやって、その結果こういう対策を打てばいいのではなかろうかというところがようやく出て最終になったのが四十七年三月でございまして、その途中においてわかった事項というのは中間——これをやったら効果かあるというのは、四十七年三月の最終の結論を待たずして手は打ってきておるわけでございます。そういう点でこれは科学的に非常にむずかしい問題だったものですから時間がかかったわけでございます。
○川俣委員 部内だけの方に頭なんということをおっしゃっらなくたって——いいですか、国民は命を預けておるのだから。運輸省から言わせるといまの機構でいいんだ、こうおっしゃるから十年もかかるのですよ。そんなにむずかしいものかね。むずかしいかもしらぬけれども、事故発生以来十年もたってから結果が出るというのはどういうことになるのですか。それを言っておるのですよ、私は。これは一つの例だと思います。的確にすぐ出ないのだと思います。これはどうですか。労働省はどの程度これを監督しておるわけですか。どうですか、まず大臣から、そうしなければならないという意見がありましたら……。
○加藤国務大臣 国鉄の問題に対しましては、乗客はわれわれに関係ありませんが、従業員の安全の問題に対しましては安全衛生法、労働基準法、こういうような面から当然いろいろ監督することもできます。いままでたびたび行なったことはありませんが、ときによっては立ち入り検査、同乗して運転の状態を見る、かようないろいろな立場から今後とも従業員の安全に対しましては厳重な監督をいたします。ただ国鉄の現在でありますが、組合から出した白書、私十分見ました。その中で大いに参考とするところもあります。今後踏切の問題また保線の問題、かような問題は、他の職場よりは相当危険率もありますから、かような問題に対しましては今後とも国鉄と十分連絡をとって厳重な監督をいたしますことは、これはもちろんであります。
○川俣委員 局長もいるようですから、去年労働安全衛生法をみんなでつくりましたね。あれができ上がってから立ち入り検査、乗り入れ、その他やったことはありますか。
○渡邊(健)政府委員 立ち入り検査等はそれぞれの監督署で個々にやっておりますので、その後どのくらいやったかというようなことはつかんでおりませんけれども、従来からも国鉄に対しましても必要のつど立ち入り検査を行なっておるところでございます。
○川俣委員 あのときにボイラーの免許の問題で、蒸気機関車に対する免許の問題で、労働安全衛生法と抵触する項がありますか。
○渡邊(健)政府委員 その点についてはもう問題はないと思っております。
○川俣委員 問題がないというよりも、労働安全衛生法に抵触する機関士、機関助士というものが必要であるかどうかということを聞きたいのです。
○渡邊(健)政府委員 現在はすべてそういう仕事は資格のある人がやるようになっておりますので、現在そういう問題はないのではないかと思っております。
○川俣委員 一級のボイラーですね、これは国鉄の機関士に必要な規則がありますか。どうですか。
○渡邊(健)政府委員 ボイラー規則によりまして、一級の免許を持っていなければボイラーをいじってはならないという規則になっておるわけでございます。
○川俣委員 ですから、それと蒸気機関士との関係がありますかと言うのです。あるのだよ、的確に言うと。だから、乗り入れ調査してない証拠だよ、それは。
○渡邊(健)政府委員 蒸気機関の運転士は一級のボイラーの資格をみな持っておられます。
○川俣委員 国鉄さん、だいじょうぶですか。実態はどうですか。
○阪田説明員 蒸気機関車の一級ボイラーの免状につきましては、従来個人個人が一級免状の資格をとるようになっておりますが、たいへんあれですが、いまちょっと——調べます。
○川俣委員 やはりこれは総ぐるみで安全闘争をやらなければだめだよ、こういう考え方じゃ。そうでしょう。そういうことであれば、また次に聞きたいと思う。 そこで、危険白書で国民に非常に読ましたのは、危機一髪というのがかなりあったというんだ。これはほんとうに読ましたのですね。動労組合員の発見で事故を未然に防いだ件数が昨年一年間で四千二百八十三件、事故寸前だったケースも千件をこしている。国鉄一家は皆さん一緒だろうから、組合も当局もないわけだから、これはそういうものなんですが、どうです、これはいいことだと思いますよ、未然に防いだというのはいいことだと思いますけれども……。
○阪田説明員 その程度かあるいは場合によってはそれ以上か、おそらくそういう乗務員が発見したものというのはあったと思います。その点についてはもう正直に申し上げて、はっきり申し上げて非常に感謝します。
○川俣委員 そうなんだよ。だから、運輸省はいまの機構で総点検とか、あるいはいまの機構でいいんだというのだが、たとえばこういうのなんか見せられて——これは新聞ですからね、組合じゃありません。こういうことなんだ。「音の異常で発見 レール欠け、あわや脱線 国鉄OBのカン衰えず」こういう見出しだが、これはこういうことなんですよ。「国鉄東京駅で特急電車が乗客を一人も乗せずに発車する」という事故。次に、「宮城県仙台市の国鉄長町駅構内で東北線のレールが欠けているのを近くに住む国鉄OBが寝床の中で、いつもと音が違うと気づいて発見、事故を未然に防いだ。」「仙鉄局保線課で調べたところ、レールは長さ十六センチ、深さ七・五センチ、一番ひどいところで幅六・五センチもばっくりと割れていた。」こういうことなんです。この事実を認めますか。
○阪田説明員 その具体的な事実は、いま私自身そういう個々の問題になると、すべてのすべてを把握することができませんが、何しろ一日で全国で約二百万キロも列車が走っておりますから、その中で各国鉄職員が、もちろん自分の職務として当然でございますが、それ以外の方々の中にも、ときにはそういう音とか、あるいは目で見てこれはおかしいではないかというようなことを指摘される場合はあると思います。
○川俣委員 常務、役人さんは勇退、退官されて、よく天下りという問題があるのだが、こういう国鉄OBの勘なんというのは、これはコンピューターにも出なければ、宝だと思うのです。国鉄に長く奉職したこういう勘を、未然防止、安全点検、総点検に利用するという考え方が必要なような気がするのですが、どうです。高級官吏は、行き場所というか、天下りの場所があるのだが、こういうようなとうとい、コンピューターには出ない、仕事からきた、経験からきた勘なんですね。こういうものが大事なんだよ。どうです。
○阪田説明員 これは各管理局によって事情がいろいろございますが、管理局によっては、そういうOBの方々が一つの会としてわれわれの現役をバックアップしていただくような組織的な活動をしていただいている局もございます。ただ全国一本でいまどうこうという形にはなっておりませんが、それは地方地方の事情によりましてそういう組織をつくり、またきょうお話しのように、管理局のそれぞれの責任者に対しましてそういう考え方もひとつ考えてみろというようなことは、私としても相談してまいりたいと思います。
○川俣委員 常務、どうですか。自主的に各局がやっているなんというお答えもわかるのだが、あなたは安全点検では総大将だろうから、これをひとつ機構化するという考え方はどうです、ひとつ約束しませんか、これはたいへんいい案だと思いますが。
○阪田説明員 これは確かにアイデアとしてそのとおりだと思いますが、一つまたこういうときにたいへんむずかしいのは、国鉄はあいつの力をかりておれの力をかりないという、非常にいろいろな方がおられますので、なかなかそう組織化してというところまでにはいろいろな問題があると思いますが、少し考えさしていただきたいと思います。
○川俣委員 あいつをピックアップしてあそこへやったなんということであれば、高級官僚なんか、もっと言いたいですよ。同僚で、片一方は野に下って生まれたところへ帰ってしまう。片方は公団かどこかへ行く。これは幾らでもあるよ、そういう理屈だったら。そんなことよりも、やはり国鉄OBの勘というものは長年のもので、これは普通の人じゃできないと思うのだ。コンピューターではできないと思うのだ。そういうことで、それこそ国民総ぐるみでの安全闘争だって、私は考えるのだ、いまのこれを見せられると。そういうような観点に立てば、常務は口では、部内のかたい頭だ——かたい頭というのは謙遜されたのかどうか知らぬが、やはりそういうようなものを考えると、運輸省はだいじょうぶだというが、これはだいじょうぶだかどうか。この次、私はあらゆる例を出して言いますが、いまの機構じゃ、だいじょうぶじゃないのだ。だいじょうぶじゃないのだが、どういうふうにやったらいいかということをいま検討中なんだ。そうなんだろう。そういう意味で私はこれを取り上げたのでありますから、ぜひこれをやってもらいたいと思います。 それから最後に、事故のあれで、欠陥車、設計ミス。これもまた一つの例ですが、地下鉄の東西線、去年の春、四十七年の五月でしたが、これに乗り入れの国電の車軸のモーターのファンのカバーがはずれ、飛び散った鉄板が乗客の足にぐさり。これはいろいろと検討した結果、国鉄の本社がいうのには「メーカーによる製作・組立て、あるいは国鉄が分解検査したときの組立てで寸法に誤差が出たほか、初めから間隔をたっぷりとらなかった設計に至らぬ点があったといえる」こういう談話を発表しているのだが、これはそう古くないが、事実ですか。
○阪田説明員 たわみ板と継ぎ目の間隔が間違っていたということでございます。
○川俣委員 私が申し上げたのは、国鉄本社の談話を認めますかというのですよ。
○阪田説明員 その談話というのは、どこに出ていた談話ですか。私もちょっとわかりませんが……。
○川俣委員 時間があれだから、後日またこの問題をやりますが、この機会にこの問題と関係して伺うのですが、メーカーの責任はどうなるのですか。この場合はどういうように処置しているのですか。メーカーの責任とその設計ミスをした場合の国鉄側の責任。それからこの場合はどのように処分をしたのかということを聞きたいのですが……。
○阪田説明員 地下鉄のただいまの事件につきましては、その事後の処置について私ただいまわかっておりません。一般的には、ひどいものについては指名停止をするとかいろいろな処置をとっておりますが、その事件そのものについては私ちょっと把握しておりません。
○川俣委員 これ具体的に私質問したのだから、具体的に——おたくの発表も確かだと思います。私、資料を持っておりますから、それをあとでお見せしますが、それに対するメーカーの責任、どういうような賠償をさせたのか。それからこういう場合、こういうケースがあるという基準が国鉄にあるのかどうか。メーカーに弱いといううわさもあるから、国鉄は。それからこの場合、内部のほうはだれを、どの程度の人をどのように処分したのか、これを聞きたいと思います。 こういうように考えますと、やっぱりさっき言ったように、総点検が足りないと思いますよ。大体皆さん方、うしろにおられるようですけれども、常務を補佐するというか、バックデータほとんどないじゃないですか、きょうの質問に対して。どうなんです。そんな重箱のすみをほじくるような小さな質問をしているのではないのですよ。かなり大きな見出しの事故だけ持ってきたのだ。去年一年間ですよ。何をおっしゃいますか。それで運輸省は機構はだいじょうぶだといっておるが、そういうものですか、事故に対する責任というものは。冗談じゃないですよ。きょうはあちらのほうの委員会があるから総裁などがお見えになっていないようですけれども、これは不満だと思います。やっぱり国民あげて安全闘争だと思いますね。どうですか。これ、常務最後に言ってくださいよ。怠慢だよ。冗談じゃない。一年間の事故だよ。
○阪田説明員 先ほど申し上げましたように、総裁以下安全問題につきましては全力を尽くしてやっておるような状況でございまして、現在の組織においてできる限りの努力をしておるつもりでございます。ただ、ただいまの地下鉄の乗り入れのような個々の問題につきましては、あるいは資料不足の点があったかもわかりませんが、本日私がいろいろ申し上げておる点もすべて、バックアップのしからしめるものでございまして、全国鉄的立場において今後ともこの安全問題につきましては十分な手を打ってまいりたいと思います。
○川俣委員 資料不足じゃなくて、やっぱり事故に対する感覚というか、こういうように件数が多くなると、国民としては無理ない安全闘争だと思う。そうでしょう。それで社労委員会としては、やっぱり公務員に対するスト権の問題がからんで非常にこれがいま浮かび上がっておる課題であるから、労働大臣、どうですか。 最後に、さっきのボイラーの問題だって、これだけ感覚が違うだろう。ずれがあるだろう。労働安全衛生法はちゃんと一級ボイラ技士を乗せなければならないと書いてある。国鉄のほうはわからぬという考え方なんだ。ひとつ徹底的に国鉄に乗り入れて社労委員会で調査しようじゃないですか。安全調査、これどうです。
○加藤国務大臣 専門的なことでありますから、政府委員に答弁させます。
○川俣委員 そうじゃないのだ。専門的なあれじゃなくて、政府としていま安全闘争に対する態度をはっきりしてもらいたいのだよ。社労委員会で調査しようじゃないですか。
○加藤国務大臣 人命の安全、従業員のいろいろ災害の防止については、これは当然労働省としてこれを重要視することはもうもちろんであります。
○竹内(黎)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後一時八分開議
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。島本虎三君。
○島本委員 私の場合は、ことに職業病のうちでも、かつて四十年から四十一年、それが第一回目で、職業病としての認定問題で物議をかもした白ろう病の問題であります。第二回目はたぶん四十四年だと思ったのですが、治療その他の方法について、四十八年の現在になっておりましても、この白ろう病の対策が不十分ではないだろうか。私自身は先月の二十八日から三日間にわたりまして、北海道の北見のまたその奥の置戸という町の四十キロほど山の中へ入って、そのやまこと一緒に生活をしながら、この白ろう病の実態を調査してまいりました。まだ労働省、林野庁その他においても、この問題に対処しなければならない重大な問題点がありますので、今後それをあげて、その対処方について労働省、林野庁の意見を伺いたい、こういうように思う次第です。 まず認定患者の問題です。昭和四十四年には白ろう病の認定患者が千四十二名であります。四十七年の十二月現在で千二百六十九名であります。それ以後認定患者がふえておらないのでありますけれども、これは白ろう病の実態が十分に認識されて対処をされているせいでしょうか。その点についてひとつお伺いしたいと思うのであります。まず、林野庁にお伺いいたします。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
○福田政府委員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘ございましたように、認定されておりますところの人の累計が千二百六十九名、かようになっております。認定はされていませんけれども、異常を訴えている者は四千百三十九名、これを合わせますと五千四百八名、かような数になっているわけでございまして、まだ遺憾ながら治療の基準が確定しておりませんので、一ぺん認定されますと、それがなおったということで減ってないということがあるわけでございます。四十五年以降の分だけを拾い上げてみますと、四十五年度の認定者は百二十五名、四十六年度には六十五名、四十七年度は三十六名というぐあいに、認定患者は若干減少する傾向になっておるわけでございますけれども、これを絶滅するためには、さらに私たちも努力をしていかなければならぬ、かように考えているところでございます。
○島本委員 それで労働省、全治した人がありますか、ありませんか。
○渡邊(健)政府委員 軽度の人につきましては、療養を継続していた人が療養に来られなくなったというような事例はあるわけでございますが、正確には、どの程度の人がなおっておられるのかということはわからないわけでございます。
○島本委員 認定患者のほうを見ましても、四十四年度は千四十二名、四十七年十二月は千二百六十九名、この約四年間には二百二十名程度よりふえておらない。したがって、これはもう減っているのではないか、こういうように考えられるのでありますけれども、全治者は皆無である、こうなっておりますから、したがってこれは、認定された人でもなおっておらないから二百二十名だけ足して、結局だんだんふえているのが実情なんです。こういうようなことになっているわけです。 そうだとすると、労務の実態を見なければならないのです。私どもの調査では、国有林では二時間程度働かしておるようです。民有林では五時間以上チェーンソーによる操作をさせておるようであります。そうしなければ生活が成り立たないようになっておるわけであります。したがって、これは認定患者は状態が悪化しておる。そして四国の高松等においては、パーキンソン氏病、この廃疾者がもう出ているわけです。反射神経がおかされてしまっている。こういうような状態であります。林野庁のほうでは、このほかにまだそのおそれのある者もだいぶいるということでありますが、おそれのある者を入れると、私の調査の約二、三倍よけいのようであります。そうすると、この対策というものはほとんどなされておらないということと同じじゃないかと思うのです。 労働省のほうでは、民有林等について、民間ではいま十二万台のチェーンソーが出ておりますけれども、まだ依然として五時間以上操作しているのですが、これでいいのですか。こういうようなことについて指示しているのですか。それと同時に、林野庁のほうでは同じような、おそれのあるような患者に対して適確な措置をしておられるのですか。これも前提条件として大事でありますから、まずお伺いしておきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 民有林におきます白ろう病の予防につきましては、四十五年に「チェーンソー使用に伴う振動障害の予防についてという通達を出しまして、防振装置の取りつけられたチェーンソーを使うようにとか、あるいはチェーンソーの整備の問題あるいは操作のやり方の問題、それから先生いま御指摘の操作時間につきましても、「チェーンソーの操作時間を一日二時間以内に規制するとともに、作業の過程にチェーンソーを操作しない作業を組み入れ、チェーンソーの連続的操作を避ける」といったような作業についての指針を通知いたしまして、これによって作業させるよう極力指導をいたしておるところでございますが、先生指指摘のように、まだこの基準どおりの作業をいたしていないものがおりますことは、まことに残念なことでございまして、今後とも極力この指導基準に基づきます作業が行なわれますよう、強力に指導してまいりたいと考えるわけでございます。
○福田政府委員 国有林におきましては、ただいま御指摘のございましたように、認定されていない者であっても、なお苦痛を訴える者がございますので、そういったことができませんように、診断の基準というものを早期に確立する必要があると思っておりますが、現在のところでは、時間的に一日の使用時間あるいは一週間内における使用時間、あるいは月の中における使用時間とか、一回に使う時間の長さとかいうことを規定いたしまして、その中で、できるだけそういったことのないように措置しているわけでございます。また、作業の仕組みの関係であるとか機械の改良の問題等ということにつきましても、常時研究を怠りなくやってまいることにしておる次第でございます。
○島本委員 労働基準局のほうでは二時間という指針を通達として出しておられるが、さっぱり守られておらない。それが実態です。それから林野庁のほうでは、ことばはなかなかいいのでありますけれども、これまたそのとおりいっておらない。その実態はこれから一つ一つお伺いいたしますが、こういうような実態があるのです。 労働大臣は、この白ろう病というのは聞いたことございますか。いつ聞かれましたか。
○加藤国務大臣 この間、ちょうど衆議院の予算委員会で忙しかったときでなかなか出られなかったのでありますけれども、白ろう病の問題に対しまして私、知識が不足でありますので、繰り合わせまして、これは民間でなかったのでありますが、全林野の全国の代表から、短時間でありますが、相当広範囲にわたっていろいろな問題を聴取いたしまして、これは大問題だ、こういうように痛感いたしました。 いま島本議員の話によると、北海道にこの寒いときに御足労いただいて、ほんとうに私も感謝いたしますが、これは機械作業でありますから、時間の問題なりいろいろの問題が伏在しておると思いますので、まず白ろう病にかからない予防の問題が大事でありますし、かかった方の基準問題とか、これに対する労災保険をどう適用するとか、これは農林と水産は労働省の中でも特に特別な関係にありますので、いろいろな観点につきましては当局を指導いたしまして、これが対策に十分熱意をもって当たる所存であります。
○島本委員 これで、十年たった山のやまこが紫色になって痛む手をかかえてきて、お医者さんに見てもらった。なぜこれは痛むのか。そのお医者さんはそれに対して、腐ってきているのじゃないだろうか、こういうように言ったら、その患者はもうほんとうに驚いて、事の重大さにぼう然のていであった、こういうような報告も私どもは現地へ行って得ました。もうそれほど進んでいるんですね。この先どのように救済できるか、予防するか、大臣おっしゃったように、それが大事なんですね。したがって、さく岩機を使った人、チェーンソーを使った人なんかを追跡して把握しておく必要があるのではないだろうか。そうでなければ、いま大臣おっしゃったように、予防が大事であり、基準も、その適用も大事であり、今後当然救済の手が及ぶのでありますから、その際に、救済の手を伸ばしても実態を正確に把握できない、こういうようなことであっては、せっかくの対策も実施できないということになってしまうのじゃないかと思うのです。 したがって、今後はチェーンソーを使う人に対しては、はっきり登録をさしておいて、その実態を完全に掌握し、把握しておく必要があるのではないか、こういうように思いますが、この点等について労働省並びに林野庁のお考え、いかがでしょう。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、白ろう病は非常に重大な問題でございますが、まだ健康管理その他についてはいろいろ不明確な点があるわけでございます。そこで、現在労働省は災防法に基づきます林業労働災害防止協会に専門家よりなるところの振動障害検診委員会というものを設けまして、そこで白ろう病の健康管理問題、どういうふうにやったらいいかというふうなことの検討をしていただいております。先生の御意見の白ろう病患者の登録あるいは追跡調査等々につきましても、この委員会の健康管理につきましての検討の御意見を十分伺って考えてみたい、かように考えるわけでございます。
○福田政府委員 登録制度の問題でございますけれども、やはりこの白ろう病につきましては、そういう結果が出る前に予防するということが大事だと私は思いますので、労働省の関係ともよく連絡をとりまして検討してまいりたい、かように思います。
○島本委員 これはやはり、あとになってから、やめてしまったら社会保障の恩典やそういうような措置も受けられないままに、いずこかへ去ってしまう人が多いのです。したがって、その人たちの手は腐れ、あるいは内臓障害を起こしたりして、あたら山に働いていたがために、黙って死を待つばかりになっているというような、残酷なこういう状態にある人も多いのでございますから、予防するといっても、なった人に対しては予防の方法がないのです。したがって、ちゃんとこれを追跡調査をして、この実態を把握しておく必要がある。したがって、これは登録も必要だということなんです。双方でよく協議されて、登録は完全にしておかなければ、大臣が言ったように、あとから措置をしようと思っても、これはどこにいるのかつかみ得ない、こういうようなことになったら、たいへんなんでありますから、この点等は十分意を尽くしてもらいたい、こういうように思うわけなんです。 それで私が見た中で、もう一つこういうような点があるわけです。山で働いておる労務者の人たち、失業保険の問題とあわせて労務供給事業をさせる、そのことが結局は、失業保険法の特例を実施させるような制度がいまの場合はないのです。みんな、港湾であるならば手配師のようにして、林業もその場から雇い上げられていくわけです。したがって、ほんとうの日雇いもいいところだ、職安がどこにあるのか、こういうように思われるような実態です。したがって業者と山に働く労務者、この労務供給協約、こういうようなことを結べばいいのでありますけれども、やはり十分これを結ぶところまでいってないわけです。これは最もおくれた労務対策です。 したがって、今度これに対して、置戸という町ですけれども、そこでは町のほうで四十円から五十円まで拠出する。対象者になる人、これは本人は六十円から百円拠出する、雇った業者は六十円拠出する。これで二百五十日以下の者に一人五万円を町のほうから支給してやって生活のかてにしてやる、こういうような方法を町自身がとっているのであります。これはまさに、国に制度があっても、その適用をさせられてない面がある、まことに私はこの点は遺憾だと思うのです。したがって、この雇用状態が民間の場合は特にどうなっているのか、これが大事だと思うのです。 港湾労働者の場合には当然港湾労働法の改正によって、今度は共同雇用の制度化をはかろうとしているのですが、この山林労働者の場合にも、こういうような制度を当然考えてやっていいのじゃないか、こういうように思うわけなんです。この林業労働についても何らかの立法の制定、たとえば共同雇用の制度化、こういうような点も十分考えてしかるべきだと思いますが、労働省当局、いかがでございますか。
○道正政府委員 お答えいたします。 林業におきましては、港湾の場合と異なりまして、地域が非常に広範囲にわたっております。また、労働力の需給の調整を一元的に行なうということが必ずしも容易でないというような事情もあるかと思います。したがいまして、港湾のように登録制度をしきまして同じような制度をつくるということは、いろいろ困難な問題があって、にわかに実施できるかどうか、非常に疑問があるかと思います。 しかしながら、林業の雇用関係が、非常に季節性もございまして、一般の労働者に比べまして不安定であるということは、御指摘のとおりでございます。先生ただいまお話しになりましたような林業労働者の通年就労奨励事業というようなものも、農林省、林野庁が中心になって進めておられますので、そういう通年奨励事業と相まちまして、労働省といたしましても、農林省と緊密な連絡をとりまして、安定化にはつとめてまいりたいというふうに存じます。
○島本委員 そこをもう一歩進めて、労務供給協約を結ぶような状態をここに現出させて、そして、ただ単に手配師的な存在によって雇われる、何の協約もなしにただ雇われる、そしてそのまま捨て去られる、こういうようなことのないようにしてやる必要があるということなんです。そのためには、やはり一つの労働者の組織もありますから、共同雇用の制度化も当然考えてもいいものじゃないかということ、これは最低の要件でありませんか。他の方面では、場所が違うというけれども、山林労務者だってどこにでもいるわけじゃないのです。これは木を切る場所にしかおらないのです。港の労務者であっても、港のある場所にいる。片や木を切る場所にいる。要件同じじゃありませんか。しかしながら、その白ろう病という病気に追い回されている状態ですから、この点はやはり共同雇用の制度化くらいは十分考えてやって、そしてその中で、いま置き去られているところの労務供給の協約をせめてでも結んでやって、この恩典に浴させてやるくらいは、最低の要件だと思うのです。ほかのほうではやっていることも、ここではやっておらない。やらせるように指導し督励し、そして実現させるべきだと思うのです。 これは林業労働法の制定というと大きくなりますけれども、共同雇用の制度化やその面の行政指導をするということは当然です。これぐらいはもうやっていいと思います。この点については、やってもらいたいし、そうしなければだめだということです。やらないですか。
○道正政府委員 先生おっしゃる御趣旨は十分理解できるわけでございますが、たとえば共同雇用化となりますと、全国で約二千五百ぐらいの森林組合があることは御承知のとおりでございますが、しかも地域的に限定されているということは、ある程度事実でございますけれども、港と違いまして、その地域が非常に広範囲にわたるということで、登録制度をとりまして労務の需給をやることが、はたしてできるかどうか、いろいろむずかしい問題があることも事実かと思います。 したがいまして、林業労働者の雇用安定につきましては十二分に農林省、林野庁と連携を密にいたしまして検討はいたしておるわけでございますけれども、この段階で港湾労働法に準じたような登録制度を中心とする法制をつくるということについては、いろいろ検討しなければならない問題があるんじゃないかというふうに思います。
○島本委員 現にやっているところもあり、やっていないところもあり、それは業者と山に働く労務者との間に労務供給協約を結んで、そして他の恩典という、制度の利用に浴せさせればいいことなんですが、それさえやっていないから、せめてこれぐらい行政指導として、できるのだからやらないかというのですよ。どうもだめだな、そこ。
○道正政府委員 一部の県におきまして、先生御指摘のようなことをやっている県がございます。そういう経験を生かしまして、これをほかの県に拡大することにつきましては十分検討いたしたいと思います。
○島本委員 いや、そういうふうにして行政指導を直ちにやってもらいたい。大臣、それでいいですね。
○加藤国務大臣 島本議員も——これは局長から、どうも港湾と違って、やはり広範囲で、広い地域にわたるというような特殊の、港湾と違う関係を特に強調いたしておりますが、これはそのとおりでありますけれども、局長はいますぐ港湾労働法と同様なことをやるということは、なかなか困難なような答弁でありましたが、私としましては、この間も全林野と会いまして、やはり前向きでいろいろ検討して、いろいろ契約を結んでおるところもありますが、共同雇用にさっそく前進する、登録制もやる、こういうところまではさっそくは困難でありますが、よく趣旨はわかりますから、御趣旨を尊重して前向きな体制で善処いたします。
○島本委員 次に、林野庁の長官、時間にだいぶ制限があるようでありますので、林野庁に限って若干見てきたままに、その対策をひとつお伺いしてみたいと思います。 この出来高作業というようなのは、まだ依然としてあるようではありますが、この出来高作業によってやりますと当然、御存じのように、それを引き受ける、二時間でやったならば、それで十分という収入を得られない。そのために四時間も五時間も無理をして働いて白ろう病になる。そういうようなことをさせない。二時間の通牒を労働省は出してある、民間にも。しかしながら民間では、そういうようなのがあっても、通牒に従わない。従わなくても罰則がない。こういうようなことで、仏つくって魂を入れないような状態で行政が行なわれるわけです。 これは遺憾だと思うのです。これはどういうようなことになりますか。出来高作業、今後これは廃止すべきじゃないか。経理よりも何よりも人命が尊重されなければならない時代ですから、これは当然そういうような点、考えてしかるべきである。出来高作業を押しつける以上、依然として何といっても白ろう病はなくなりません。この実態に対してどのような対策をお持ちですか。
○福田政府委員 林業労働というのは先生御指摘のように、昔から非常に労働強度の強い危険な作業だとされておりますので、私どもはできるだけこの林業労働を安全に、しかも労働強度を低める方向で、従来から主として機械化を重点に近代化をはかってきたところでございます。昔と違いまして、単純な請負制度からある程度固定給が入ったような形へ最近の賃金の支払い形態は移り変わってきておるところでございますけれども、大体先生御指摘のようなそういう方向で私たちも、工場労働に近いような形で林業労働も完全なベルト作業に乗るということでございますれば、先生の御意見のような方向にでき得るかと思っておるわけでございます。現段階におきましては機械化を中心に近代化をできるだけ早く進めて、安全労働しかも労働強度の低い作業に持っていくという方向で検討してまいりたいと思っておるわけでございます。現在は先ほど申し上げましたように、いろいろと時間規制の中で考えておりますので、労働賃金の支払い形態につきましても、さほどの支障はないかと思っておりますが、しかし私はそれで完全だとは思っておりませんので、御指摘のような方向で今後とも検討を続けてまいりたい、かように思っております。
○島本委員 これは労働省と林野庁両方ですけれども、この白ろう病というのは、手が白ろうのようになる、いわゆるレイノー現象を起こすところから白ろう病といわれるわけです。ところが、チェーンソーを使うことによってその振動が脊髄に伝わります。その脊髄から脳にこれが伝わります。その騒音が直接耳を通じて脳に達します。そういうようなことから自律神経系統がおかされるのです。オートメーションの電気系統がおかされるのと同じなんです。そういうようになってきて結局は内分泌、こっちのほうに欠陥を生ずるわけです。その結果、じん臓や肝臓がおかされてしまうのです。 じん臓や肝臓がおかされている段階では、白ろう病だといわないのであります。血液が流れなくなる、血管が細くなる。寒いときには、はだが縮み込んで、そして血管が一そう細くなる。物を持っていても、そのままばったり落とす。細胞がいたんでくるから痛みを感じない。まして熱も感じなくなる。ふろへ入っても、何でもないと思って入ってしばらくすると、熱くて飛び上がる、こういうふうな現象さえ起こすことがあるわけですし、さわってもさっぱり感じない。こういうような状態からして、ほんとうにレイノー現象が起きて白ろう病だといわれる、認定されるときには、ソ連では重症患者になって、日本では初めて認定患者になるのです。日本の認定される人はソ連では重症患者なんです。ソ連のほうではこれはちゃんと初めから治療そのものじゃなく、そういう現象が起きた場合はもう離すのです。そして療養を専門にやらせるのです。 ところが日本では認定患者としてようやく白ろう病の認定をしてやり、それによってようやく病気をなおす、療養をするわけです。ところが彼我の違いで、ソ連では日本の認定患者は重症患者の指定です。こういうように、大臣、違っているのです。これはとんでもないことですから、こういうような点については早く手を打たなければならないはずです。こういうようなことについて、医学的な点は十分これを究明しておりますか。
○渡邊(健)政府委員 先生ただいま申されましたように、白ろう病につきましては単なる末梢神経の障害だけではなしに、自律神経障害とか、あるいはホルモンについての障害まで生ずるというようなことは聞いておりますが、私どももなお、この白ろう病のメカニズムその他につきましては、医学的にも日本ではまだまだ今後の研究にまたなければならない面が多いというふうに聞いておるわけでございまして、ただいま林業災防協会のほうで専門家よりなる検診委員会を設けまして、そういう健診のやり方の問題あるいは治療の問題等々につきまして、すみやかに検討をして結果を出していただくようお願いをいたし、専門家がいま検討を続けられておるところでございまして、私ども早急にそういう点についての研究結果が出ることを御期待申し上げておるところでございます。
○島本委員 したがって、林野庁等においても、全治するまでの間にはこれは徹底した治療を実施しなければならない。認定されても治療の方法もないのだ、こういうような状態ではほんとうに困るわけです。ですからこの点は、もう少し医療面でも関発する必要がある。それから全治するまでの間には、徹底した治療をあらゆる方面から実施してやる必要がある、こういうように思いますが、林野庁はこれをつとめておりますか。
○福田政府委員 治療の問題につきましては、各大学あるいは研究所とそれぞれ専門別に、たとえば循環器系統あるいは神経系統ということで研究を続けてまいっておりますが、最近それを総合化した形で治療の基準を得るように、早急にその結論を出したいということで総合研究を実施しておるところでございます。関係官庁とも連絡をとりまして、この基準を早期に確立いたしまして治療を進めてまいるようにいたしたいと考えておるところでございます。
○島本委員 同時に、これは休業及び転業者に対しての賃金保障、生活費の保障は十分つとめてやらなければいけないと思います。結局は栄養の不足、これあたりも付随的に作用しているのであります。ですから、休業しておる者また職転するような人、こういうような人に対しても一〇〇%の賃金保障は当然してやるべきだ。これは十分その点配慮しておりますか。
○福田政府委員 御指摘の点につきましては、休業者に対します保障は、関係官庁とも連携をとりまして、ただいまのところでは一〇〇%まではいっておりませんですけれども、休業の援護金制度、これも加えますというと、百分の百八十という段階になっておるわけでございます。これにつきましても今後もっと改善してまいりたい、かように思うわけでございます。また転職者につきましても、これは改善を進めてまいりたいと思っておるわけでございますけれども、これにつきましては団体交渉事項でもございますので、できるだけ改善をはかってまいりたい、こう思っております。
○島本委員 その点は組合とよく話して、一〇〇%やって療養の実をあげさせるようにしないとだめだ。この点だけは、強くこれは私から要請しておきます。 なお、この予防対策は大臣も初めからこの問題の重要性を指摘しておりました。治療の方法ははっきりしたものを確立されておりませんが、早く開発して、この確立が必要であります。当然この管理医についても労使で十分話し合って、この点は万全を期しておいたほうがいいのですが、管理医体制、これは万全ですか。万全ではないと思いますが、今後はこの万全を期するべきだと思います。林野庁長官、どうですか。
○福田政府委員 御指摘のとおりでございまして、この医師の問題につきましては慎重に配慮してまいりたいと思います。
○島本委員 どこへ行きましても人員の不足です。こういうようなことによって、かつては二人で持っていたチェーンソーを一人で持ってやらせる。そのやらせた時点において、短期間従事しているこういうような労務者においてレイノー現象、いわゆる白ろう現象がはっきりあらわれてきた。長くやっていた人はさほどでもない。短期間に一定の時期にこれをやった人に、爆発的によけいこの現象があらわれた。それはやはり合理化によって、二人でやっていたものを一人でやらせる、それで一定の成績をあげさせる、こういうような一つの合理化政策が実施されたときにレイノー現象がよけいあらわれているわけであります。やはりこの合理化の犠牲という立場からしても、この時間規制を完全に実施できる要員の確保、こういうようなことについても、これは管理事項ですか運用事項ですか、団体交渉事項でありますかどうかわかりませんが、これも十分配慮しなければならない。このことだけは強く感じてまいりましたが、この点は万全ですか。
○福田政府委員 御指摘の合理化の問題でございますけれども、私は、合理化につきましては、決して労働強度をしているというような立場から考えているものではございませんで、やはり先ほど申し上げましたように労働強度を軽減し、なお労働の安全性を高めるという意味で機械化その他近代化が必要だというのが、合理化の内容であると思っておるわけでございます。したがいまして、その中でいろいろと仕事の組み合わせの問題なり、あるいは流動化の問題なりいろいろ配慮しまして、労働強度なり、あるいは安全性がさらに高まる方向でそういったようなことを検討してまいりたい、かように思っているものでございます。
○島本委員 特に林野庁では各山並びにその所在地のほうには保養所的な建物が多いようであります。われわれも行って痛感したのは、林野庁につとめておられる労務者、また民間で雇用されている労務者、そういうような人でこのレイノー現象の起きている人たちに対する対策が十分でないのと同時に、これらの人の保養所的なものがないことなのであります。したがって、この林務に携わっている労務者、こういうような人の保養所的なもの、それに簡易医療施設さえ置いて、お医者さんというわけにいかないでしょうから簡易医療施設的なもの、こういうようなものを置いて、そして営林署で所管にかかる者を、いわゆる林務労務者としてこういうような被害を受けた人に開放してやって、冬の間でも十分そこで保養のできるように十分考えて措置してやる必要がある、こういうように思うのですが、今後これも十分考えるべき問題だと思います。林野庁長官、いかがですか。
○福田政府委員 療養の基準が早期に確立をいたしますれば、御指摘のように、国有林の中にはたとえば温泉なんかが非常に多いわけでございまして、そこに保養所も現にございます。そういったところで温泉療法をいたしますと効果がいいというような実は委託調査の結果も出ておりますが、どれぐらい温泉療法を時間的に、あるいはその方法をやったらいいかという、まだはっきりした基準もございません。それは早期に確立しまして、御指摘の方向で、そういったような保養の施設を利用させるような方向で考えてまいりたい、こう思っております。
○島本委員 患者に対しての冬季間入院加療の必要性なんですけれども、これはやはり、温泉療養関係はいまの意見を私伺って少しほのぼのとしたのでありますが、人事院ではこの温泉治療の方法はちゃんと認めておりますか。人事院来ておりますか。
○竹内(黎)委員長代理 参っておりません。
○島本委員 来てないのならやむを得ません。これは、きのう注文とりに来たその人に、ついでに、出てきてくれるように人づてに言っておいたのですが、林野庁はサボったようであります。これも来てないとすれば、やむを得ませんが、人事院では温泉療法は認めていないようです。しかし、長官はそういうふうな方面にも一つの隘路打開の方法を見出しているようであります。 ただ、やはりお医者さんの意見を聞いても、レイノー現象に対する救済策、治療方策として血管を広げる薬を飲ませるわけです。当然温泉に手を入れていると血管が広がるわけですから、これは内部的なものと外部的なものの違いがあっても作用は同じなんです。ですから、温泉療法は確かにいいとは思います。ただし、その薬の場合は副作用が胃に及ぼすので途中でみなやめてしまうのであります。こういうような状態でありますから、この冬季の入院療養を要するような人たちに対しては十分配慮してやる、このことだけは強く要請しておきたいと思います。 同時に、労働省のほうでは、先ほどの登録制の問題にかんがみて、振動機械を使用する全員に対して、年二回くらいの健康診断を実施させるように。通牒だけではだめであります。やりません。二時間に限定しても五時間以上やっておるのですから、そういう実態ですから、通牒だけではだめです。したがって、年二回ぐらいの健康診断の実施を使用者に義務づけるようにして、違反者に対しては厳重にこれを言い渡すようにしてやるべきじゃないか、こう思います。この点についてはどうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 健康診断につきましては、通牒によりまして年二回するように極力指導をいたしておりますが、実際に山の中でございますから、なかなか医療機関もないというようなことで、巡回診療班なども派遣して、そういうものを受けやすいようにいたしておるわけでございますが、義務づけまでいくかどうかにつきましては、今後十分検討さしていただきたいと存じます。
○島本委員 局長はどうも歯切れが悪い。これはそうしないと把握もできませんし、通牒だけではだめなんです。おそらくはもう雇用する場合には一人一機だけあるいは二機ぐらいのチェーンソーを持った人を雇うのです。十七万も二十万近くもかけて、振動があると思いながらも、通牒は何と出ていても、その古い型のものを使って白ろう病になっているのです。生活上そういうふうにされているのです。したがって、これはもう健康診断を使用者の義務とする、これくらいきちっとしてやりませんと、今後やはり白ろう病に対する予防対策にはなりませんから、大臣、その辺までいって一歩踏み方が足りないようですから、これは健康診断、この実施を使用者の義務とするくらいははっきりさして踏み切ったほうがいいのです。そうしないとだめです。局長はその辺までいきませんから、やはりここはひとつ大臣の出どころですから、大臣、にこやかに笑って、義務づけると言ってください。
○加藤国務大臣 どうも何だか腹がこそばゆくなるような感じがいたします。しかし、笑い話じゃなしに、年一回は義務づけがあるのであります。ところが、これを年二回、なかなか労働省だけでもいろいろ、さっそく局長からお答えができかねると思いますが、島本議員の御意見を尊重して、何とか農林省とも連携をとって、その点もひとつ本腰で大臣としてはやりますことを前向きでお約束いたします。
○島本委員 第二番目、この患者の生活を保障するためにも、何としても継続雇用を使用者の義務としておかないと、白ろう病にかかったならばすぐ雇わない、こういうような状態を継続するわけですから、そういうことのないように、やはり継続雇用を使用者の義務にしてやってしかるべきだと思うのです。この点では局長、どういうようになっていますか。
○渡邊(健)政府委員 基準法の十九条によりまして、業務上の疾病にかかった労働者が治療しておる期間及びその後三十日間は解雇制限があるわけであります。しかしながら三年たっても、なおらない人につきましては、基準法によりまして打ち切り補償を支払うか、あるいは労災保険法に基づきまして長期傷病者補償の給付が行なわれることになりますと、その解雇制限は解除されることに現行法では相なっておるわけでございます。 その三年をこえたあとの解雇制限の解除につきまして、これをどうするかという問題は、いろいろ長期の治療を要する疾病全般の問題でもございますので、現在この基準法の問題につきましては、基準法研究会というところで学識経験者の方にそういう基準法上の実情と問題点を御検討を願っておりますので、そういう御検討の結果を十分承りまして、慎重に検討してみたい、かように考えるわけでございます。
○島本委員 慎重に検討ということは、どうもいいことばです。善処するというのと似たようなことばでして、役人そればかり口にしていれば大過なく生活できるわけです。しかし、それではやはり実りのある答弁だとは受け取れないわけです。その点大臣はやはり政党出身であって、きちっとしたことを言わなければならないのが大臣ですから、大臣も十分その点は考えておいていただきたい、こういうように思います。 それと同時に、健康診断の問題で検診の方法なんかについても、労働省では一つの方針か何か出してありますか。この点等は、われわれは現地に参りまして、まことにまちまちでありまして、一致したような基準がないのであります。農村、医師のいないということもありましょうけれども、それがまちまちであって、あたら内臓のほうがおかされて、最後に第三期の症状になって認定される、これではほんとうに困るのでありまして、労災補償制度そのものも問題ですけれども、この判定の基準や健康管理の基準、こういうようなものもきちっとしておかないとだめなのじゃないか、こういうように思います。 この点とあわせてもう一つ、これほど経済も発展しているのですから、日本人のからだに合わした工具、チェーンソーなんかはひとつちゃんとつくってやれないものか。こういうような点も大きいことです。現在こういうようなものは業者が出したものをただ買ってきてやっているようですけれども、そうじゃなくて、ほんとうに日本人のからだに合ったような、こういうものも研究開発すべきである、こういうように思いますが、この二つ、一緒にひとつ労働省にお伺いしておきます。
○渡邊(健)政府委員 白ろう病の健康診断につきましては、通牒で、第一次健康診断、第二次健康診断に分けまして、検診項目等もきめまして通達をいたしているところでございますが、その検診のやり方、中身等につきましては、たとえば末梢循環機能検査とか、末梢神経検査とか、非常にむずかしい問題があるわけでございます。そこで現在、先ほど申しました検診委員会におきまして、専門家に、健診の具体的な細目のやり方等々につきまして、早急に具体的なものを出していただくようお願いをいたしておるところでございまして、この委員会に結論を早急に出していただいて、そうして末端におきます健康診断が十分有効にやれるように、早く具体的な中身を明確にするようにいたしたい、かように考えるわけでございます。 それから、確かに白ろう病の原因が振動の多いチェーンソーにありますことは、先生の御指摘のとおりでございまして、現在は防振装置などがいろいろつけられるように相なっておりまして、私どもそういう防振装置をつけたチェーンソーの使用等を指導いたしておりますが、もともと振動しないようなものができれば、それにこしたことはないわけでございまして、そういう無害な機械の開発をわれわれもこいねがっておるわけでございますが、林野庁等において、そういうような機械の開発等の御研究もされておるというように聞いておるところでございまして、私どもも早くそういうような無害な機械が開発されますことを期待しておるわけでございます。
○島本委員 大臣、重症患者二人に会ってみたのです。労働省のほうから通達も流れておるし、あなたも二時間くらいしかやってはならないということを知っておったのかと聞いたら、知っておったと言うのです。なぜ五時間も六時間も、時間外にまで働いてそういう病気になるようになったのだと聞いたところが、いまもう両方の肩まで痛い。そして肝臓とじん臓も痛む、そういうようなので、美唄の労災病院へ行ってようやくこれはわかった。娘を嫁にやらなければならない、そしてむすこが高校へ入学するのと二つ一緒になった、出来高でやっている、どうしても自分としては五時間以上やらなければ生活ができないし、嫁にも高校へもやることができないような状態で、私はもうなるなと思いながらもやりました。一人の患者はそういうように言っているのです。これを聞いて、しかる気にもなれないし、どう言う気にもなれない。それがいまの日本の状態だとつくづく思って残念だったわけですが、こういうような実態が行なわれているのです。 ですから、私どもとしては、白ろうといっても、現に内臓から出てきて、ほんとうの白ろうになったときには、それはソ連のほうでは重症患者に指定されるが、日本では認定患者なのだ。こういうような実態からして、今後やはり労災補償に対する今度の算定基準、休業補償になっても百分の六十くらいしかもらえない、こういうようなものとあわせて、十分この治療方法の開拓、この二つだけは完全にやらなければ、これはもう対策として対策らしいものが立ったということはいえないのではないか、こういうふうに思うのです。私は、そういうような患者のことばを聞いて、その人も賃金が安いものであるから、その安い賃金の百分の六十くらいしか出ない。物価は上がってきても、いつもそれだけであるから、どうにも生活ができないのだ、こういうようなことを聞いたときには、ほんとうに涙さえも出たわけです。したがって、こういうような点は常に考えてやらないといけないし、労災補償に対する算定基準の引き上げ、こういうようなことも当然考えてやらなければならない、つくづくこう思ってまいりました。 大臣、これはもう行政の問題ではなく、今後の一つの姿勢の問題だと思いますが、これは、なった本人の不注意には相違ない。しかし、生活上どうしてもこうやらざるを得なくなってやったという、こういうような必然性も考えた場合には、今後すべて生活だけは、治療だけは完全にしてやれるようにしてやらぬとだめじゃありませんか。私は、大臣のあたたかい措置を期待しているそういう患者もいるということで、ひとつ大臣に御答弁を賜わりたいと思うのです。
○加藤国務大臣 いまの島本委員のお説、もっともであります。この問題は数次にわたって改正もいたしましたし、日本の基準が六〇%というような現状になっておりますが、これを何とか向上させて、上昇させて、さような、いまお話しのようなお気の毒な方に対して、もう少し額を上げるような基準にしたい。これはもう先ほど言ったように、私の答弁はおざなりでなく、あと必ずこれに対していろいろ対策なり検討なり、そして実行なりをやらなければならぬのでありますから、かような問題も御趣旨に沿うように大いに検討させて、そしてこれが御趣旨に沿うような方向に向けたいという所存であります。
○島本委員 結論を急ぎますけれども、最後の一、二になりましたけれども、これは事務当局にもあわせてこの点だけは完全にチェックしておいてもらいたいと思うのです。 チェーンソーのメーカーがやはり自分の利潤をあげるためにチェーンソーをつくり、また改善しています。しかしながら、そのチェーンソーがこれなんかはひどい、こういうように改善した、改善したものを現在使う、こういうような基準等に対しては十分皆さんのほうで点検してやって、これは使用してもよろしい、いわゆるJISマークのようなものです。こういうようなものもつけて、これによって起こったものは労働省でも責任を負う。こういうようなところまでいまや敢然と踏み切ってもいいのじゃないかと、こういうように思いますが、このチェーンソーのメーカーが新しいものに変えて、その古いチェーンソーを安く売る。安く売った場合には、それを買って、振動が多いものだから結局はまた白ろう病を促進させるような結果を招来するわけですから、そういうようなものは完全に回収する、古い機械の回収を早急に行なわせるようにする。そしてそういうようなチェーンソーによる害を未然に防ぐようにする、こういうようなことが行政措置としても当然できるし、当然そうしなければならないのじゃないか。いままでそれをやらなかったのは、やはり一つ手抜かりでなかろうか、こういうように思うのです。 したがって、企業の責任としても業者の責任としても、古い機械を早急に回収させる、こういうような措置をとるべきである。いたずらに害を及ぼすものでも安く売ってやって、そして安いからといってそれを買ってまた罹病率を高める、こういうようなことがないようにすべきだと思いますが、こういうような措置は敢然ととるべきです。大臣、いかがですか。
○渡邊(健)政府委員 振動機器につきまして、何か適正な、無害な、JISマークみたいなものというお話でありますが、振動についてのいわゆる許容限度をどうするかということは、国際的にも非常に問題になっておりまして、四十五年以来、何回かそういうものをきめるための国際会議も開かれておるわけでございますが、現在のところ国際会議でもまだ一致した基準がつくられるに至っておらないわけでございます。 日本政府といたしましても、こういう国際会議にも参加しながら、すみやかにそういう無害な機械の基準等も明確にいたしまして、そういうものを使わせるようにいたしたい、かように考えておるところでございますが、現在まだそこまで至っておりませんので、早急に今後ともそういうように努力をしてまいりたい、かように考えております。
○島本委員 あなたは最後まで全部、努力だったね。それくらいしますというくらいの確信がほしいと思うのです。ただ、大臣もやはり努力するというのですから、その点等については、ひとつどういうふうに努力したか、今月の末まででいいですから、いままであなたが努力したというやつを調書にして私の手元へ出してもらいたい。その努力の結果を私は評定したい、こういうようにしたいと思いますので、これを出してもらいたいと思います。 最後に、これは委員長並びに大臣のほうに要請しておきたいと思います。それは、私自身も実際調査を行なってみて、レイノー現象というものが、手からの振動を通して脊髄に行き、それが脳に伝わる、そしてまた騒音によってそれが倍化される、それが自律神経をおかして内分秘系までおかすようになり、内臓関係では肝臓やじん臓までおかされるんだ、こういうような経路を初めて知ったわけであります。なおその方策や治療や、認定に対するいろいろな基準さえもまだはっきりしておらない、こういうような状態であります。まだ、この学者というようなものも少ないようであります。 したがって、私どもはこれに真摯に取り組んでいる学者並びに歩行できるような患者、こういうような若干の人をいつの日にかこの委員会に呼んで、こういうような問題に対して総合的に意見を聴取してみたい、こういうように思います。これを委員長に提案しておきますが、理事会の議題として、今後この問題を討議されますように、そうして一日も早くこの予防措置を徹底さして、そしてこういうような白ろう病というようなものを地球上から追放してしまう、こういうような日の早いことを心から期待する次第です。私もそれの一日も早いことをこいねがっております。委員長にこのことを提案して、いつの日にか理事会にかけてその点を十分おはかり願いたい。このことを要請して、私の質問を終わる次第です。長い間どうも御苦労さんでした。
○竹内(黎)委員長代理 委員長からお答え申し上げます。 ただいま島本委員提案の件につきましては、理事会に付議をいたしたいと思います。 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 性による差別定年制のことについて御質問いたします。 昨年の四月二十六日の参議院で小笠原議員が性による差別の定年制はいけないということで、労働省のほうでもこれはよくないということを確約なさったわけです。そして、さっそくに行政指導を強めるというふうなお話になったわけです。それから一年後どういうふうな行政指導をなさったかということを昨年労働省の婦人労働課長からお話を伺いました。その中で東海テレビとか東北放送とかフジテレビなどで一定の成果があがっているというふうなお話でした。いまお聞きしたいのは、これはやはりこのとおりであるかということと、そして昨年はっきりと通達でもいっていますように、性による差別の定年制はよろしくない。今後とも行政指導を強めるという、そういう姿勢は今後も変わりはないということでしょうか。
○高橋(展)政府委員 私からお答えさせていただきます。 ただいま先生の御指摘のとおり、昨年参議院の委員会におきまして、そのような趣旨の御要請がございました。私どもといたしましては、御指摘のような事業所につきまして、定年制の実態につきまして調査をさっそくいたしました。全国的にたくさんある事業所でございますので、相当時間がかかりましたけれども、各事業所の実態につきまして、あらましを把握するに至りました。またあわせまして、それらの実態に基づきましてそのような差別的な定年制を改めるよう改善方につきまして、御指導ということを民間放送の連合体である放送連盟に対して御要請申し上げてまいったわけでございます。その結果、ただいまも御指摘のような数社におきまして改善が見られている、このような実態であるように了解いたしているところでございます。 もちろん私どもといたしましては従来からこの差別定年制につきましては、これが男女の不当な差別ということにつながるものといたしまして、これを改めるという行政の姿勢を強くとってまいっておりますし、今後もとってまいるつもりでございます。
○田中(美)委員 それでは単刀直入に本題に入りたいと思います。 そういう姿勢であるならば、名古屋にあります名古屋放送での三十歳定年制ということが全くその以後も解決していないわけです。それは十分そちらのほうで御存じだと思いますけれども、簡単に申しますと、昭和四十二年の九月二十七日に佐藤葉子さんという方が三十歳になったということで首を切られております。それから四十四年四月三日に大木捷代さんがやはり首を切られております。大木さんはすぐ裁判にかけまして名古屋地裁で四十七年、去年の四月二十八日に勝利しております。それからまた四十七年三月二十八日、いつも誕生日に首を切っているわけですが、清水陸子さんという方がやはり切られました。そうして四十七年の、去年の六月九日にやはり名古屋地裁で勝っているわけですね。こういうことが、女性が三十になれば誕生日に次々と切られているということが続いているということ、これに対してどのような行政指導をしていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
○加藤国務大臣 この問題、判決も見たり、新聞も見まして、これはもう労働省の判然と統一見解でありまするが、性別で定年をどうするこうするとか、これはもう憲法の点からいっても、労働基準法からいっても、あらゆる点からいって、これはもう判然といたしております。 しかし、使用者は判決が出たにかかわらず、これに対してとやかく言っておることは、これは間違いであります。そういう意味で使用者に対しまして厳重な警告なり、またいろいろこれから監督を厳重にいたしまして、いろいろな問題の解決もできておらない点を聞いておりますが、かような問題に対しましても断固たる態度で臨む所存でありまして、決して性別で三十年が来ると、それをどうだ、裁判にも判然といたしておるのでありますから、その方向に従って指導監督いたす所存であります。
○田中(美)委員 それならば、勝利したのは昨年の四月と六月なわけです。ここで裁判で判然といたしている、労働省も判然といたしている。大臣もこれはけしからぬことだと言っていらっしゃるにもかかわらず、いまなお職場に復帰させていないということは、どういうことなんでしょうか。
○高橋(展)政府委員 このような差別定年制に対しましては、私どもが指導いたします際には、おおむねこのような方法でいたします。 一つには、一般的な啓発指導ということでございまして、男女の定年に差別を設けるというようなことは非常によろしくないということを広く周知させるための努力をいたします。 それから、さらにまた個別指導、特別な事案が起きました際には、個別指導をいたしております。これは相談を受けてそれに応じていたす場合と、それから私どもの出先である婦人少年室が事業所を調査して回る、そのようなときに発見した場合に、それを是正するというようなやり方で指導いたしているところでございます。 しかし、御存じのことと思いますが、このいわゆる若年定年制は、これは労働基準法等に直接違反するということではないということは、御存じのことかと思います。つまり基準法の中に、この若年定年制を違法とする直接的な規定はないわけでございます。しかし、私どもといたしましては、そのような直接の違反ではないといたしましても、このような若年の差別的な定年ということは、これは憲法あるいは基準法の精神に照らしましても好ましくないという態度を従来からとっておりますし、特に昨年勤労婦人福祉法が制定されまして、その中に基本理念といたしまして、女子が性別によって差別を受けてはならないという趣旨のことが規定されておりますので、私どもはそれをよりどころにいたしまして、一そうその事業主に対する指導ということを行なってまいっているところでございます。 で、ただいまお尋ねの案件につきましては、これは私どもの把握いたしておりますところでは、仮処分の判決が出されたように伺っております。まだその最終的な本訴の確定ということまでは至っていないように伺っております。 で、私どもといたしましては、いまのお尋ねの件につきましては、現在係争中でございますので、その成り行きを見ていくという態度をとっている、こういうことでございます。
○田中(美)委員 いま労働大臣は、このことは新聞でもよく知っているし、非常に間違っているというふうに言われているわけです。厳重にすると言われていますのに、政府委員のほうでは、これはまだ係争中だからというふうなことを言っていられるわけですね。これは時間がありませんので、簡潔に、するのか、しないのか、ということを、はっきり労働大臣からもう一度、係争中だからいまできないのか、それとも係争中でも、これは間違っているから厳重にするのか、簡単に答えてください。
○加藤国務大臣 これはもう勤労婦人福祉法でもはっきりいたしておりますし、係争中でも、これは労働省の見解は先ほど申したとおり、統一見解でございますが、しからば、問題が解決せぬ、そうなった場合に、いまもいろいろ聞いたのでありますが、労働省として、そういうふうにいろいろ指導するか、罰則とかいろいろなことでひとつ強硬にやれぬか、こういうような問題について、いま関係局長といろいろ話したのでありますが、この点、強権をもってどうするという点が、労働省に、基準法の中、福祉法の中、いろいろな中に判然としないという弱みがありますので……。 しかし、何とか行政指導で、御方針に沿うような方向に今後督励して、また、いろいろな当たり方もありますから、十分御趣旨を尊重して、これが回復なり、いろいろの問題に対して解決するように持っていきたい所存でおります。
○田中(美)委員 係争中であるからというふうに——そうじゃないですね。こういうことか通りますと、いつも企業側が控訴すれば、これがまたきまるまでは係争中、その間ずっと労働省も結果的にほうりっぱなしという形になるわけです。大下さんはもう四十四年から切られているわけですから、そういう意味で、係争中であっても、それは理由にしないということにいま労働大臣が言われたということは、一歩前進だというふうに思いますので、早急にこれを善処していただきたい。善処よりも、早急に厳重になさるとおっしゃったわけですから、これは厳重に至急やっていただきたいというふうに要請いたします。 そして、もう一つここに問題がありますのは、ことしの五月二十七日に、楢崎庸子さんという方が、三十歳ということで、いままた首を切られようとしているわけです。これはまだ裁判にはなっておりません。係争中でもないわけですね。これを絶対に首を切らせないということを労働大臣に強く行政指導をしていただきたいというふうに思いますが、その点についてお答えを願いたい。
○高橋(展)政府委員 私どもといたしましては、そのような事案が発生するもとになるところの若年定年制というその制度を改めるように、そのような啓発、指導をしてまいりたい、このように考えます。
○田中(美)委員 指導してまいりたいというふうに言われればそれで終わりですけれども、現に労働大臣も認めているように、これは誤りだというふうに言っている事件さえ、四十四年の事件がまだそのままになっているわけですね。そうすると、いままで四年間というものはその労働者は働く権利というものを奪われているわけなんです。これは日本じゅうまだあちこちでやられています。しかし、この同じ名古屋放送という、名古屋ではたいへん大きな放送局です、ここで毎年というくらいに女性が三十歳になれば首を切られている。もう四人目が出ようとしているわけです。ですから、これに対して、今後指導していきますとか、いままでと同じような指導では、やはりこういうことは同じ状態で続いていくというふうにわれわれは思えるわけです。 どうしてここで歯どめをするか、どうして今後そういうことが二度と起きないようにするか。いままで起きたものをまず解決しながら、今後絶対に起きないようにするということの証明をしていただかない限りは、今後努力しますということでは、同じことが繰り返されていくというふうに思うのです。その点、どういうふうに行政指導をして、どういうふうにするかということをお答え願いたいと思います。
○高橋(展)政府委員 先ほども申し上げましたが、この差別定年制は直接基準法に違反するということではございませんので、強権をもってこれを違反として強制的に取り締まるということはできないということは、御理解いただけるだろうかと思います。しかし、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますような趣旨で、これに対して強く行政指導、勧奨を行なってまいっているところでございます。現にいままでに幾つかの改善された例もあるわけでございまして、今後もそのような指導を続けていくということでございます。もちろん強権がなくては弱いではないかという御指摘であろうかと思いますが、現行の法制のもとでは、説得による行政指導、これが行政機関としての守備範囲でなし得るところでございます。
○田中(美)委員 それでは具体的に、行政を強めるとおっしゃるわけですけれども、いままでは放送連盟で要請した結果、通達を出しているとかというふうに言われているわけですけれども、いまここで緊急に起きている、五月二十七日にもう切られそうになっているのだというような問題で、たとえば具体的に名古屋放送の社長を呼んで説得するとか——私は何も強権を出す、そういう権利のないものをやれとは言っていないわけです。ですから名古屋放送の社長を呼んで、そういうことはいけないのだということを言うことをするのかどうか、そういう具体的なことを私は聞いているわけです。
○加藤国務大臣 これは基準法の罰則も見たのでありますが、賃金の問題はありますが、いまの性別の定年の問題は、どうも強権というところが、先ほど申し上げたように、これは行政指導といっても、使用者に対して罰則がなければ、労働省が直接乗り出すということもなかなか困難な点があります。しかし私は先ほど御答弁申し上げた中に、ひとつ手を尽くそう、これはいろいろな問題もありますので、この席で申し上げにくいのでありますが、放送会社なら放送会社の監督機関もありますから、当然いろいろな連携をとって御趣旨に沿うような方向に、私みずから行ないますことを——しからばどこでどうだ、こうなりますといろいろ関係もありますので申し上げかねますが、そういうふうに持っていく熱意であることは間違いありません。
○田中(美)委員 もう一度確認いたしますが、労働大臣みずから乗り出して、この解決に全力をあげるというふうに解釈してもよろしいわけですね。
○加藤国務大臣 いま言ったように、私が直接社長を呼ぶとか、そういうような権限とか、いろいろな関係もありますので、私みずから動きましていろいろな手を——間接である場合もあります。この点がなかなかこの場で申し上げかねるのでありますが、申し上げたとおりの処置をいたします。
○田中(美)委員 それでは至急に、大木さんと清水さんの問題を解決すると同時に、楢崎さんの首を絶対に切らないということを全力をあげて労働省でやっていただきたいというふうに思います。 それから、もう一つの問題ですけれども、昨年の十一月二十七日に、アメリカの「ニューズウイーク」という雑誌にこういうことが出ているわけです。名古屋放送の副社長の川手泰二さんという方でしょうか、この副社長が「ニューズウイーク」の記者に対して語っているわけです。これが世界に報道されているわけですね。大事なところだけを読んでみますと、よく聞いていただきたいと思いますけれども、名古屋放送の副社長である川手泰二氏は「三十を過ぎた女は能率が悪い」「どんな場合にも三十になってからもなお働きつづけたいという女がいいはずがない」「私は彼女たちがもはや美しくないから彼らの首を切りましたと彼は言っています。」それからまだあります。「川手氏は彼女達を再雇用することは会社の士気によくないことであり、間違っているのは法律であるとさえ説明しています。」これは翻訳を読み上げたわけですけれども、ここにコピーがあります。こういうことが世界に報道されているわけですね。 これについて私は郵政省にお聞きしたいわけですけれども、放送局の開設の根本的基準の第三条の四というところにこういうことが書いてあります。免許を与える場合に「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は、事実をまげないですること。」「(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」というようなことが書いてあるわけです。それから放送法の第一条の三のところに「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」というふうに書いてあります。こういうのを見ますと、放送局の開設の根本的基準、ここの三条の(4)、これは国民が非常に願っていることですし、こういうことがはたして名古屋放送で保障されるのかどうか。私は放送の中身を言っているのじゃないのです。そこの一社員のことばではなく、副社長がこういうことを世界に発表している。憲法十四条、二十五条、二十七条を否定したことを世界に発表しているわけです。 こういう人が放送をやっていて、そういう放送局に免許を与えるというところに国民は非常に疑問を持つわけです。これが法に触れるか触れないかは別としましてね。やはり放送局というのはパチンコ屋とは違うわけです。公共的なものがあり、社会教育に非常に大きな影響を与えるところ、そこの副社長が憲法を否定するような、はっきり否定していることを国内で言うだけではなくて、世界にそれが印刷として文字になって流れているわけですね。これに対して国民は非常に不安を覚えると思います。そういう点について郵政省、郵政大臣はどのようにお考えになるのかお聞きしたいと思います。
○高田説明員 ただいまのお尋ねの点は、一つは放送法第一条に違反しないか、あるいは放送局の開設の根本的基準の第三条第四号の(1)というのに……(田中(美)委員「(1)から(4)まで」と呼ぶ)(1)から(4)まででございますか、この条項に川手さんと申されますか、その方が発言なさったことは、その企業が、つまり名古屋放送が、これらの条項に違反しないか、こういうお尋ねではないかと存じますが……。
○田中(美)委員 そうではないです。私は法律に違反するかどうかというよりも、こういうことに対してはどう考えるかと聞いているわけです。
○高田説明員 失礼いたしました。 私ども郵政省におきましては放送局の免許、監督という仕事を扱っております。その場合には、免許は比較的技術的なことに傾いた審査、それと根本的基準に基づいた審査ということが義務づけられております。そのほか監督の諸条項がございますが、比較的技術的な事柄に重きが置かれておりまして、ただいまお示しのありましたような雇用関係というものは、私どもの権限の中に法律上入っておらない、このように理解いたしております。
○田中(美)委員 とんちんかんな答えをしないでいただきたいと思うのです。私の聞いたことに答えていただきたい。雇用関係のことをあなたには言っていません。こういうふうな憲法を否定するような副社長のいる会社に免許を与えるということに関しては、どういうふうに考えるかということを聞いているわけです。あなたのほうには監督のあれもあるわけですからね。
○高田説明員 私どもは、放送局の免許を与えます場合には、電波法という法律がございまして、その条項に従って与えることになっております。その場合に、放送局の副社長が憲法に違反した発言をなさったというだけで免許を拒否するというような扱いはいかがかと考えております。と申しますのは、放送局としての、無線局としての免許を扱っておりまして、その場合の社長の人格的審査というのは、欠格事由に該当する条項が電波法にございます。それだけでございます。
○田中(美)委員 私はいま免許を否定せよとか言っているのではなくて、監督の任があるならば、国民が、放送が公平に行なわれるかどうかということの疑問を持つような発言をするということに対しては、強い監督をする必要があるのではないかと言っているわけでございます。
○高田説明員 失礼いたしました。 御指摘のありました根本基準の条項、これに違反する事実があるといたしますれば、私どもの監督上の仕事に相なってまいります。
○田中(美)委員 それではさっそくにこの「ニューズウイーク」をお読みになりまして、これをよく検討なさいまして監督をするということをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。すぐに調査をするということ、そういう事実があるならばとおっしゃったわけですからね。私はあるという証拠品も持ってきておるわけです。しかし、これは見解の相違になるかもしれないわけですから、一応そちらでちゃんと調べて、そういう事実があるならば、どういうふうに監督をなさるのかということを聞きたいわけです。
○高田説明員 「ニューズウイーク」をまだ拝見いたしておりませんが、御指摘がありましたように拝見させていただきます。そういたしまして、繰り返すようでございますが、根本基準に違反する、こういう条項でございますれば、これは正確に申しますと再免許というのがございますから、その再免許の際の審査の対象になります。
○田中(美)委員 そうではさっそくにそれを調べまして、郵政省としてはそういう言動に対してどういうふうに考えるか、また問題があるならばどういうふうに監督をするのかというようなことを私のほうに知らしていただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。
○高田説明員 「ニューズウイーク」を拝見いたしました後のことにつきまして御報告申し上げます。
○田中(美)委員 この名古屋放送の楢崎さんは、出張所が銀座にありますので、いま毎日銀座でいろいろビラなどを道行く人に見ていただいているわけですけれども、日に日にこれに対する支援が大きくなってきているわけです。銀座にはたくさんの女性が働いておりますし、また男性もそれに対して非常に協力して、銀座の無法者を何とかしなければならないというようなことで非常に大きな怒りになっておるわけです。もしそういう状態をごらんになりたいならば、労働大臣、私は銀座までお供してお連れしたいというふうに思いますけれども、これに対しては非常に怒りを日本の全女性が抱いているわけです。何としてもこの名古屋放送の問題というのを解決しなければ、われわれ女性が安心して働けるということにはならないと思います。三十歳になったら女が美しくないというようなことを放送局の幅社長が堂々と言うなんということは、私は五十歳になってもこんなにきれいでおります。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことを考えまして、労働省全体として全力をあげて名古屋放送の解決に当たっていただきたい。そうして今後三十歳定年制とか、性による差別、幾つであろうとも性による差別の定年制というものを完全に日本からなくしてしまうように労働省が力を入れていただきたい。昨年、労働大臣がこういうことを議会で言っていらっしゃいます。労働省ができましたのは戦後でありまするが、それからの労働省は働く者の味方として労働行政を展開してまいったものと私は考えております。労働省は働く者の味方だということを労働大臣はちゃんと言っていらっしゃるわけですから、ほんとうの味方であるということを実績でもって示していただきたいと思います。 時間になりましたので最後に一つだけですけれども、昨年四月の二十六日の小笠原さんの問題からだと思いますけれども、七月の一日に労働事務次官で通達を出しているということを聞いているわけです。これをどういう行政指導をしているかということは、労働者が非常に疑問に思うわけですね、名古屋テレビのことがこんなになっているわけですから。労働省は行政指導してないんじゃないかというふうに疑問に思うものですから、婦人少年局に組合の方が行きまして、その行政指導する通達を見せてほしいというようなことを言っているわけです。それに対して、慣例がないから見せられないという答えをしていらっしゃるわけです。慣例がないといいましても、時代は刻々に動いているわけですし、労働省が働く者の味方ならば、せめて行政指導した、こういうふうな通達を出しているんだということを労働者に見せないということは、おかしいと思うわけです。 今後、こういう慣例というものはなくしていただいて、労働者が疑問を持って労働省に聞きに行ったときには、何も隠さずにきっちりと見せていただきたいと思いますけれども、この点についてお答え願いたいと思います。
○高橋(展)政府委員 私どもは、通達として公に出したものにつきましては、御要請があった場合に、お目にかけることはやぶさかではございませんが、特に今回の事案につきまして、放送事業の方々に対する行政指導の過程では、特に通達というものはお出ししておりません。こちらの考え方をお述べいたしまして、お話し合いで運んでいる、こういうことでございまして、公の文書というものは出しておりません。
○田中(美)委員 それではどういうものを——私のほうではいただいております。労働事務次官の要請文のようなものをいただいております。こういう行政指導をしているんだという中身をやはりもっと労働者に、慣例がないから中身は見せられないというような、そういう労働者の味方でないようなことばを使わないで、慣例であろうと何であろうと、そういうものは納得のいくように説明をするなり、そういうものを見せるなりということを今後していただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。
○高橋(展)政府委員 ただいま御指摘の点については、何か行き違いがあったように感じますが、公に出した通達につきましては、お目にかけることはやぶさかではございません。
○田中(美)委員 行き違いではありません。これは通達というものでないにしろ、私のほうではいただいているわけです。これの中身というものをやはりきっちりと話して、労働者が満足がいくように、こういう指導をしているんだ、こういうものを出して説明しているんだということをはっきり今後していただきたい。それを回答していただいて終わりにしたいと思います。
○高橋(展)政府委員 そのような方向で対処してまいりたいと思います。
○田川委員長 寺前巖君。
○寺前委員 今日、労働者の労働災害がずいぶんふえているのです。この間うちから予算の分科会なんかを見ておっても、労災の認定問題をめぐっていろいろ意見も出ているようです。そういうことで、私は幾つかの点について労災の認定上の諸問題について労働省当局の見解を聞きたいと思います。 第一番目の問題は、労働者が災害にあって、そして労災の認定をしてくれという申請を出す。出すにあたっては、自分の主治医の人の意見もつけて出すわけですが、出したところがなかなか認定してくれない、こういうことで困っている人がたくさんおるのですよ、労働大臣。何やかんや、いろいろの経過を経て労災の認定が出てくるわけですが、この出てきたときがおそいために、労災を出すときに、これこれのお金がかかりましたのでよろしくといって出すのだけれども、あとの指導が中断しておって、本人のほうも手続問題というのはやっかいな問題ですから、なかなか理解ができないということで、いよいよ認定がおくれて、出た段階になると、前に出したときの書類のやつは認定するからオーケーだ。しかし支給という段階になると、二年たつと時効だということになるのです。時効だということになると、途中、こういうところに金を出していますという手続をしていないと、認定がおりてから、あのときのお金を下さいと言ったって出ない。一番もよりの、認定がおりた次元のときのあれば、これは二年の以内だから支給の対象になるということが起こるのですね。 要するに、認定の時期が非常におくれるために、認定された前後の、その前の瞬間のやつは支給されるけれども、二年以前の前になると、それは支給されない。しかし、それより前になると、そのときには手続があったから、これは支給になる。だから、中断という事態が起こるのですよ。非常に不幸な事態が起こるので、私はこれは一体どういうふうに労働省として御指導になっているのか、ちょっと聞きたい。 具体的な例がございますので、あまり時間がないのであれですが、ちょっと話をしてみたいと思うのですが、岩手県共同募金会、岩手県社会福祉協議会におつとめの照井さんという方なんです。四十四年の六月六日に診療所でいわゆるむち打ちですか、あれの病気と診断されて、企業に職業病としての補償を要求したが、そのときに企業のほうは認めてくれない。逆に退職を強制されている。拒否したところ、四十六年の四月一日より無給の休職になってしまう。社会福祉協議会との間にそういう事態が起こっている。 四十六年の四月三十日に、それではというので労災の認定をしてくださいといって盛岡署に行くのですよ。本人と企業との従来の交渉過程で、企業は、うちは労災保険に加入していないと言明していたので、本人は労基法八十五条に基づく審査申し立て書を提出した。労基署の担当者は、この申し立て書ではだめだから、この用紙に必要事項を記入して提出しなさいと、療養費請求書を渡してきた。本人は診療所へ行って、あるいは東京へ出てきて、鉄砲洲診療所や東洋はり灸治療所などを回って、そして療養費の請求書を受け取って、四十六年五月四日に署長に提出して、受理された。その後一年半にわたって調査らしい調査がなく放置されていたので、たまたま東京へ出てきて、四十七年の九月に労働省へ行って、どうなっているんだということを申し出たというのです。ですから、その間長期にわたって指導がないのですね。労働省の労災補償課長補佐さんに会ったら、事実としたら申しわけない、直ちに早期認定を指示するという約束があって、その五日後の九月三十日に、照井さんの疾病を、労基法八十五条に基づく業務上疾病と認定して、認定書を送ってきた。 岩手県共同募金会というのは、四十三年五月以降、労災保険の強制加入事業場となっており、署長は、労基法八十五条に基づく業務上外の審査ではなく、労災保険法に基づく療養及び休業給付の支給もしくは不支給案件として審査すべき事件であったのです。この手続の誤りに気づいた署長は、あとから、四十七年十月三十日になって、盛岡署に出頭させて、さきに交付した認定書は手続上の誤りであったので返却してほしい。このことは他に言わないでくれと言って、認定書を取り上げるという事件が起こっているのです。そして、早急に療養費及び休業補償の給付申請書を提出するよう命じた。しかも、四十五年十月以前の療養費及び休業補償については、すでに時効の満二年を経過しているので支給できない。と発言した。 そこで照井さんは、四十六年四月三十日の当初申請時に療養費給付の請求書を提出してあること、その後何の指示もなく、いまになって時効だから満二年以前の給付は出せないというのは納得できないと主張した。十一月七日、署長さんは、照井さんの療養費の最初の請求分である、四十四年六月六日から九日の三千二百六十八円の支給をした。しかし、東京へやってきての鉄砲州の診療所、東洋はり灸治療所分については、移送費及びはり、きゅう治療費は支給できないことになっているといって、支給を保留した。その後、四十八年二月二日に至るまで、署長は、照井さんの療養費、休業補償を一銭も支給しなかった。この間、社会保険事務所から照井さんに、療養費の返還督促状が送付されてきた。四十八年二月二日、また労働省へ行ってこの話をしたら、申しわけない。直ちに盛岡署に指示するという約束があった。二月六日になって、署長さんが、休業補償五十万六千九百八十八円を支給した。しかし、療養費の請求額約五十万円については、いまだに支払われないままである。 これが事件の経過なんです。それで、私この手紙を受け取って、これは一体どんな指導になっているんだ。早い時期にちゃんと申請書を添えて、こういうふうにお願いしますといって——あなた、本人は病人ですよ。だから、あちらのところへ行き、こちらのところへ行って、ほんとうに求め歩いている。自分は労災のあれだと思っていた。そうして、いよいよ本省へ来て、初めて指示がされて、盛岡署で取り上げた。取り上げた次元になって、そこの事業所の性格も知らなかった。一体、事業所が強制適用事業所であるのか、何にも知らないまま、指導もされないまま、本人が、もう二年の時効がたっているからといって、途中の間はほかされる。私は、指導の問題とこの時効の問題について、これは一体どういうふうに考えているのか、疑問に思えてしかたがないです。 あくまでも労災というのは、本人の無責任さによって生まれるんじゃなくて、その事業所におけるところの仕事の面から被害を受けている労働者の問題です。とすれば、その被害を受けた労働者に対して全面的に補償するのは当然だと思うのです。それはこの労災補償法の立場から見ても、きわめて明確だというふうに私は思うのです。 そこで、この労災補償法のあれを見ると、第一条にはっきりと迅速性を強調していますよ。迅速にやらなければならぬということをいっている。そうすると、この人の場合に、四十六年の四月に出して四十七年の十月の認定まで、その間に労働省の上へ行って、初めて取り上げられたという事態を考えるときに、一体迅速というのはどれだけの期間にやることを迅速というのか。あまりにも無責任じゃないか。早くにこの認定が出されておったら、この人の問題の処理についても、時効という問題が生まれなかったであろう。だから、この間の問題においては、一つは迅速というのを一体どのように考えているのか。その間の指導上の責任は一体どのように感じているのかという問題が一つあると私は思う。 もう一つの問題は、時効になったということで一方的に支給をいまだにしないという実情の問題について、これをどのように指導しようと考えておられるのか。 私は、二点の問題についてはっきりと指導方向と見解について聞かしていただきたい。
○渡邊(健)政府委員 労災保険の給付につきましては、ただいま先生がお読みになりましたように、法律でも迅速な支給をたてまえといたしております。私どももそういうことで極力迅速に支給させるようつとめておるところでございますが、事案で業務上外の認定の非常にむずかしいようなものにつきましては、専門家の鑑定を求める等で時間がかかることがあるわけでございますが、そういう場合でも、極力早くするようにつとめておるわけでございます。 なお、そういうことで認定がおくれました場合に、初回の認定については申請を出されておる。ところが、認定がきまらない間のものについて請求が出されておらないというような場合、二年以上経過することはあまりないと思いますが、もし二年以上経過いたしますと、法律の四十二条におきまして、療養補償費、休業補償費は二年を経過したときには、これは時効によって消滅するというような規定が、法律上あるわけでございます。そこで私どもは、そういうことになりませんように、認定に時間がかかる場合には、その間の療養を受けられました療養補償あるいは休業補償については、その間も請求の手続をとっていただくよう行政指導につとめておるわけでございまして、そういうような、手続がおくれて時効のために受けられなくなるというようなことのないように、極力指導をいたしておるわけでございます。 なお、ただいま例をあげられました具体的事件につきましては、私詳細は報告を受けておりませんので、ただいまのところ承知いたしておりませんが、いま御指摘のような経過であったとすれば、事務的なミスがあったのではないか、かようにも考えますので、もしそういう事務的なミスがあったとすれば、まことに遺憾なことだと存ずるわけでございます。そういう場合に、事務的なミス等で時効にかかる云々というようなことがあるとすれば、これはこちら側のミスでございますので、よく実情を調べまして、労働者の方が不利なことになられませんよう善処いたしたいと考えるわけでございます。
○寺前委員 それで、事務上のミスということで、いまだに払っていない。それについては善処するようにやりたい。それはもう当然のことだ。責任は大きいと私は思うのですね。長期にわたって、労働省の本省まで来ないことには話にならぬというような、この実態が困ったものだと私は思うのです。しかし、それはひとつ局長さん、善処を至急やってください。これは個人の、ほんとうに重大な問題だと思うのです。 ところで、ちょっと聞きたいのですが、昭和四十一年の四月二十二日に、災害補償金の請求事件というて最高裁が判例を出しているのですね。最高裁の判例がある。それは、労基法第八十六条第一項の申し立てと災害補償請求権の消滅、時効の中断という最高裁判決というのが出ている。これはどういう判決かというと、いまの事案とはちょっと違うのですが、よく似ているのです。要するに時効問題なんです。要するに労働災害になった、申請を出した、出したけれども、認定が出た、途中で不服申請を出した、不服申請を出して、そのうちに二年たったから、審査中に時効になったから、その間の問題については取り上げられないということで、それを却下されるという事態が生まれたわけです。これに対して、そういうばかなことはあるかといって、最高裁判所に持ち込まれた。そこで最高裁判所はそれはそうだ、そんなことで時効にするというのはおかしいと、途中の不服で——大臣わかりますか、途中の不服申請でおくれているのだから、その時効は中断さして、そして当然のごとくに支払いをすべきだ。これは私はそういうふうに最高裁でも出ると思うのです。 ですから私は申請を出して、そしてその後の過程の中で、認定が出て、不服申請が出て、その審査途中で時効という問題が生まれた場合には、無条件に時効というのは消すところの制度的な方向を検討しなければならないんじゃないか。特殊な例か知らぬけれども、私は幾つかそういう問題が出てきたときには、これを明確にするところの体制を当局としては当然研究すべきだと思うのですが、一体どういうふうにこの最高裁の判例に対して研究してきたのか、いま研究しているのか、そのことについて説明をしていただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 御指摘の最高裁の判例というのは、これは労災保険の問題ではございませんで、労働基準法八十五条第五項の規定に基づきます申請にかかるものが、これが時効中断の効力があるという問題でございまして、労災の請求に直接この判例が及ぶ関係ではございません。
○寺前委員 私が言うておるのはそんなしゃくし定木なことを言うておるのじゃない。中断が起こるという事態の問題についての指摘だ、事案は違いますけれどもと、こう言っているのだよ。だから時効という中断問題が起こるのだから、そこで制度的に、そういうことが起こった場合にはこう処理するんだぞという、そういう準備をこの最高裁の判例は教えているのだから、それにふさわしい研究をやりなさいという問題提起なんです。そういう意味です。どうです。
○渡邊(健)政府委員 労災法には、ただいま問題になりました八十五条第五項の時効中断のような規定が現在のところないわけでございまして、四十二条によりまして時効の規定だけがあるわけでございます。それらについて時効中断の同様の規定を設けるかどうかという点の御質問だろうと思いますが、これにつきましては労災法全面についていま検討を労災保険審議会に御依頼をいたしております。全体的な検討をいまいたしておりますので、今後の改正問題として、その中で十分御検討をいただいて考えたいと存じます。
○寺前委員 そうしたら局長さん、それまでの間については十分、こういう事案が起こった場合には、ないように指導するということが一つ。それから、起こった場合については十分事務上のミスとして配慮して、具体的に処理していくというふうなお答えと解釈してよろしいですね。
○渡邊(健)政府委員 法律改正が行なわれるかどうかわかりませんけれども、当面の処置といたしましては、先ほどもお答えいたしましたように、当初の請求をしたあとの請求が怠られているような場合には、やはり請求の手続をとっていただくよう、労働者に指導いたしまして、時効中断等が起きないような指導をいたしたいと存じます。なお、具体的な問題について事案が現在もしありとすれば、よく事情を調査いたしまして、労働者の保護という観点を十分考慮して処置いたしたいと考えます。
○寺前委員 では、次に行きたいと思います。 ところが、この人がずいぶん時間がかかって、今度は去年の暮れになってくるわけですね。暮れになってきて、今度は業務上の決定を受けた直後の十一月の二十八日になって、当該の盛岡労基署の課長さんから精密検査をせよといって、東北労災病院の大平整形外科部へ受診命令を受けているわけです。その結果、十一月三十日に大平医師の診察とレントゲン写真の撮影をやっている。そして十二月六日に本人が行って眼科の受診もやっている。そして十二月七日に大平医師のレントゲン写真の判定と発汗反応テストを行なうという事態が生まれてくる。 初め、この受診命令を受ける段階にはどういうふうに言っているかというと、あなたのからだのためにというように、親切そうに、どういうぐあいだと言わんばかりの話で、実はもうこれでもって診査をやって打ち切りにしますぞというような、そういう意味の診査だとは思っていなかったのでしょう、一回いいところに行って見てもらったらどうですか、こういう意味の話として本人に指導があった。本人はそういう意味で実は喜んで行っている。ところが行ってみたら、どうも雰囲気が違うなということを感じた。そこで本人が十二月の十九日になって、私が日常見てもらっているところの主治医さんの意見を聞いてもらうようにしてくれませんかという話をした。それはどうも話が違うみたいなのを感じて、そういうことを言っているのです。 ところが、越して四十八年の一月二十二日に、盛岡署の課長さんから照井さんに対して電話で連絡があって、大平医師からの報告の結果、あなたの病状はこれ以上治療してもよくならないと判断されており、労災保険法上の治癒と認定されるので、四十八年一月末で給付を打ち切りたい、こういう連絡があったというわけなんです。そこで本人は、東北労災病院の大平医師をたずねて、これは一月二十七日ですが、一体私を見てもらっておったのはどういうことだったのだということで会いに行ったところが、その先生に会えなくて、ほかの人がそこで会ってくれて、そうして労災鑑定医という人が一月十九日付で盛岡署に提出したところの文書を読んでくれたというのです。その中で、症状が固定したとか、後遺障害十四級にするとか、そういうような話か出てきたというのです。 問題は、私がここで聞きたいのは、いよいよこの認定の疾病が今度は治癒の段階の判断を下すという段階に、めんどうを見てきた主治医の意見を本人からも求められているのに、その主治医の意見を抜きにして、一方的にどこかの病院を指定している、そこであれはもうやめじゃというような判断を下させるというやり方、これを指導としてやっているのか、それとも本人の主治医の意見、毎日日常的に見てこられた方の意見を尊重して、その上に立って、その意見との関連性でどこかの意見も求める、こういうような措置をされているのか。一体どういう指導をこの治癒の打ち切りの場合にはとっておられるのか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 もちろん療養を担当してこられた主治医の意見を十分に尊重するわけでございますが、その添付された診断書その他によっては行政官庁として判断が困難だと考えます場合には、法律の四十七条の二の規定に基づきまして、その問題に関する専門家等々の診断を御本人に受けていただくようにするというようなこともとるわけでございまして、必ず受診命令で他の医師の診断を受けるとは限っておりません。これはケース・バイ・ケースでございますけれども、そういう場合もあるわけでございます。
○寺前委員 念のために聞きますが、やはり主治医を尊重されるのでしょうね。私はそこが一番大事なところだと思うのです。責任をもってその人のからだを見てきたお医者さんの見解を尊重するのかしないのか、ここが非常に重要な指導上の問題になりますので、念のために私はその点をもう一度聞きたいと思うのです。主治医の意見というのを非常に重視するのかしないのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 主治医の意見も十分尊重いたします。
○寺前委員 主治医の意見も、というのはどういうことなんでしょうな。これははっきりしておいてもらいたいと思うのですよ。大臣、これは私が初めて国会に出てきたときに質問したのですよ。昭和四十五年の四月二十八日、社会労働委員会で質問をやったのです。私はそのときにいろいろ一ぱい言うておるけれども、議事録を見たらこう書いてある。本人が言うていることが一番基本なんだ、本人が求めた医者の言うことに基づいて認定を下していくというのを基本的考え方にすべきだ、それは自分のからだについては、歴史的に自分のからだはこうなってきているんだということで、これを一つの基本に据えてもらわなければいけないし、同時に、その本人のからだのめんどうを見てきたお医者さんの意見というのがすべての判断の上において非常に大切な位置を占めているんだ、だからそういう意味で、本人のめんどうを見てもらったお医者の意見を尊重してください、これを基本にしてくださいという問題を私は提起したのです。そのときに和田政府委員は、「基本論としては、私は先生の言われるとおりでけっこうだと思います。」とここでちゃんと答弁したんだ。医師の選定権という問題は非常に大事なんです。本人がどの医者にめんどうを見てもらうかというのは非常に大事なんです。 こういう立場が、同時にまたそのときの参議院の五月十三日の附帯決議の中にもはっきり書いてある。「労災法第二十二条の二に基づく委任命令又は第四十七条の二による受診命令の運用については、保険給付受給者の立場を考慮して慎重を期すること。」ということをその立場でわざわざ指摘したのです。本人の求めるところの医者の意見を尊重するんだ、これが基本でなければだめだ。 ところが、この盛岡の照井さんの事案に対して意見書が出てきたのはいつかというと、当局が本人に電話で連絡してきたあとの二十五日になって初めて、症状固定はない、継続して治療し治癒に近づけることが必要だと、本人のめんどうを見ているお医者さんのがあとからきている。本人のめんどうを見ているお医者さんの意見を重要な位置に置かぬでおいて、もう本人に連絡してしまったあとからその意見が出てくる。こういう取り扱いが許されるのだろうか。国会で労災の問題について審議したときに、本人の選ぶところのお医者さんを尊重するのだとここで政府当局は答弁をしているのです。議会の側もそのことを重視して決議を与えているのです。それにもかかわらず、現地においてなされているのは、本人がめんどうを見てもらっているお医者さんの意見というのはあとにしてしまっている。本人が求めたから、形式的にあとから出てきた。こういう指導が許されていいのだろうか。私は直ちに改善をしてもらわなければならないと思うのです。局長さん、どうでしょう。
○渡邊(健)政府委員 現在におきましても、当時和田政府委員が申し上げましたように、労働者が医師を選択する自由ということを基本にいたしておるわけでございまして、通常の場合は御本人が選ばれた医師の診断によって処置をしておるところではございますが、ただそれらの診断書等によっては行政官庁が判断が困難だと思う場合がございますので、法律でも四十七条で受診命令の規定があるわけでございます。そういうことで、受診命令ということにより主治医以外の方の診断を受けていただくことがあるわけでございますが、そういう場合におきましても主治医の方の意見は十分に尊重いたします。もちろん受診命令による専門家の意見もそういう場合にはやはり尊重するわけでございまして、両方をよく検討いたしまして最後の判定をするわけでございます。 御指摘のような場合、ただいまここで先生から初めて伺ったわけでございますが、どちらを先にした、どちらをあとにしたということによって、別に一方を重視し一方を軽んじておるとか、そういうようなことはないと存ずるわけでございます。
○寺前委員 もうすでに主治医の意見が出る前に本人に対して、あなたは治癒としたいということが出てきたのですよ。主治医の意見は入っていないのですよ。どっちが先とかあととかじゃないのです。だから、事は重大だ。だから、主治医の意見をどんと中心に据えて検討するというのを基本にしなければならない。いいですか。私ははっきりしてもらったらいいのだ。本人の主治医を大切にします、主治医の意見があとからくるようなことではだめだ、はっきりそういうように言ってもらったら、私はそれで納得できるのです。それでなかったら、ああやこうや言ったって、本人の選ぶところの主治医の意見を尊重しますと言ったって、事実と違ったら話にならない。そのことだけです。
○渡邊(健)政府委員 ただいまの事件、主治医の意見もあとから聴取いたしまして、主治医は治療継続を相当とするという御意見を出されておりますので、現在まだ療養を継続しておるわけでございまして、別に治癒として取り扱っておるわけではございません。
○寺前委員 それでは、当盛岡署の電話連絡というのは不届きな話だったということでしょう。現在も治療を続けさせている、本人の主治医が出してきたものも尊重してもう一度検討してみた、私はそれはいいと思うのですよ。けれども、主治医の意見も抜きにして事前に電話で、あなたはもうこれで終わりですということを通告してきた。その時期というのは、本人の主治医の意見を抜いての時期だった。だからそういう現実的な仕事のやり方、これが問違いだということは事実をもって明らかになっておると思う。そうでしょう。だから局長さんとしては、そういうようなことにならないように、念のために御指導をいただきたい、私はそのことを提起しているのです。どうですか。
○渡邊(健)政府委員 直接その連絡をした者に聞いてみないとわかりませんが、私はおそらく受診命令によって受診した結果がこうであったということを本人に御連絡しただけであって、療養を打ち切って治療するという決定を本人に言った趣旨では決してないと存じますが、その間の事情はよく調査いたしてみたいと存じます。
○寺前委員 病人を相手にして軽々しくそんなことを電話すべきじゃないということはおわかりでしょう。ここで打ち切られるか打ち切られないかということは、その労働災害にかかっている人にとってはほんとうにたいへんな問題ですよ。その気持ちがわからぬという問題と、この人に対して長期にわたって認定をしなかったという問題と、不可分の問題ですよ。労働者を災害からどうして守ってやるか、あるいは結果がひどいことになった人に対してその権利をどうして守ってやるかという立場から考えたら、起こり得ない話だと思う。労働省の本省に来たときに、本省の人が初めて心配して手を打ってくれた。この事実を見たときに、ほんとうに第一線で働く人たちみんなが考えた。私が言うわけじゃない。ここで起こった事案というのは明らかに——原則的に労働省の立場に立つならば軽々しく言うべきことじゃない。ほんとうに問題にすべきなのは、本人が毎日見てもらっているその人の意見はどうなんだろうか、当然そのことを常に念頭に置いた活動を労災の担当官というのは持ってもらわなければためだ、このことをはっきり御指導いただきたいということで私はこの問題を提起しているのです。本人の不利益にならないようにすることはもちろんのこと、指導の面においてもその点を貫いてほしいという気持ちです。大臣、どうでしょう。
○加藤国務大臣 御指摘のとおり、担当の主治医の意見を尊重することはもちろんでありますが、やはり臨床といいましてもいろいろな尊門的な立場もありますので、最初の主治医の意見だけを尊重して——専門的なほかの医者の意見もつけ加えて尊重する、こういうケース・バイ・ケースがありますが、本問題について私詳細知りませんので、担当の局長から話を申し上げたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 具体的な御指摘の事案につきましては十分調査いたしまして、お話しのごとく事務のミスがあった等々の問題があれば、今後そういうことがないように十分指導いたしたいと存じます。
○寺前委員 時間が来ましたので終わります。
○田川委員長 坂口力君。
○坂口委員 前回に企業内の定期健康診断の件につきましてお伺いをいたしました。前回お伺いいたしましたのは、現在の疾病構造というものが以前の結核中心の病気から成人病中心の形に変わってきている。だから現在の定期健康診断の内容というものも、やはり結核中心的なものではなしに、成人病中心型へ改革をしなければならないのではないかということを申し上げたわけでございます。 それに対しまして、健康診断の内容というのは、現在のところは、医師が必要と認めるときには、たとえば血圧だとか尿だとかいうことも調べるようになっていて、これは成人病型にもなるんだというような御答弁でございました。さらに、しかしながらこの問題は、疾病構造が変化をしているんだから前向きに今後検討していくというふうな御答弁だったと思うのであります。その点、そういうふうに理解させていただいてよろしゅうございましょうか。もう一ぺん念を押させていただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 お話しのとおりでございます。
○坂口委員 そこで、健康診断の場合にも大きな企業の場合には問題ないと言いますと語弊があるかもしれませんが、産業医がおりますし、いいわけでございますけれども、問題は中小企業にあるわけであります。現在中小企業の健康診断の状況というものが、皆さん方のほうで把握しておみえになる点からいってどういうふうになっているか、その点お伺いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 昨年制定いたしました安全衛生法に基づきまして、中小企業も含めまして雇い入れ時の健康診断あるいは定期の健康診断を義務づけておるわけでございまして、これにつきましては、それが順守されるよう十分監督、指導をいたしておるわけでございます。ただ実際問題としては、中小企業の場合には会社の医者もおりませんので健康診断の実施がなかなかむずかしい問題があるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、中小企業が健康診断を実際にやりやすいようにいたしますために巡回検診団体等を育成いたしまして、そういうところに頼めば中小企業であって すぐに医者を派遣して健康診断をしてあげられる、そういうような体制を早く確立したいということでこういう検診団体の育成等にもつとめておるところでございます。
○坂口委員 実際問題としまして中小企業の健康診断、どのくらいのパーセント受けておりますでしょうか。こまかい数字がありましたらお願いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 健康診断の実施率はいま直ちに出ませんので、至急調べまして後刻申し上げます。
○坂口委員 大きい企業と同じように提出されたりしておる場合があるものですから、ちょっとパーセントも私も出にくうございますのでお伺いしたわけでございます。 そこで、私お伺いしたいと思っておりましたことを局長から先に言われたわけでございますが、健康診断をしようと思いましても、中小企業特に小企業等におきましては、機会と申しますか、健康診断をしてもらう機会に恵まれない。その周囲の開業医の先生にお願いをしましてもなかなか忙しゅうございますし、そう時間をさいてもらえない、たいへんこれが大きな問題になっているわけであります。どうしましても中小企業のための検診グループというものを育成をしてもらわないといけないというふうに私常々考えてまいりました。現在のところ私の知っておる範囲内では、検診のときのたとえば検査のいろいろ設備の援助をするというような程度にとどまっておると思いますが、そのほかで何か育成面においてやっておみえになっております点がございましたら、ひとつ教えていただきたいと思います。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○渡邊(健)政府委員 検診団体が検診機器を整備するものにつきましては、四十七年度から予算で補助金をつけたわけでございますが、そのほかに安全衛生融資、これも検診団体の検診機器の整備につきまして融資対象にし得ることにいたしております。これらのことによりまして検診団体が設備も十分充実し、有効な検診が行なえるように育成してまいりたいと考えておるところであります。
○坂口委員 昨年でございましたか、新聞にも出ましたとおり、この検診グループの診断をする医者が資格のない人がやっていたとかいうようなことでたいへん騒がれたことがございます。ややもいたしますと、この健康診断というのが非常に軽んぜられる傾向がございます。安全衛生法で定めていただいて、そしてその結果を提出しなければならないということはたいへんいいと思うのですが、しかしそれを出さんがためにただ検診だけをする、申しわけ的にしたらいいのだというような風潮がどうしても起こってまいります。受けるほうにもそういう傾向がございますし、そしてそれを助長するかのように、検診グループの中にはそういうふうな考え方で一日に一人でも多く数をこなそう、そして少しでももうけを多くしようというような形の検診グループがあるわけでございます。そういうふうな点についていかなる指導をしてお見えになるか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 検診団体を育成しますについては、適正な検診が行なわれるような団体を育成する必要があるわけでございます。かなりたくさんの検診団体が現にございますけれども、私ども、そういう中で適正にやれると思うものについては法人格の認可を与える等々によりまして優良な検診団体を育成するようにつとめておるところでございますが、昨年、先生の御指摘のように、実はそういう団体の中に医者が非常に不足だ、それなのに検診の需要が多いというようなこともありまして、医者なしのための不適切な検診をしたことが警察の問題となったような事案もございまして、非常に遺憾に存じまして、さっそく法人格を認めております団体につきましては、全団体について監察を行ない、そして自後いやしくも不適切な検診を行なうことがないように厳に注意をいたしたところでございまして、その後につきましても、二度と昨年のような事態か起きませんよう、極力それら検診団体の適正な運用の指導につとめておるところでございます。
○坂口委員 その点ひとつ単なる設備等の助成だけでなしに、全体的にその検診グループが成長するように、特別の指導を今後も続けていただきたいと思うわけでございます。 一応、時間がございませんので、その問題そこにとどめたいと思いますが、この健康診断がそうして一応なされた。そのなされた結果が、今度は十分に従業員のその後の健康管理にはたして役立っているかどうかという問題があるわけでございます。その問題についてちょっとお伺いしたいわけでございます。私の知っておりますところでも、前年度にこの健康診断を受けて、そうしてその結果、非常に悪い人も何人か出たわけでございますけれども、それがその人たちに報告されていない。そのままになっていて、そして翌年の定期健康診断のときに、去年こういうふうな結果が出ているけれどもその後治療しましたかというような話を聞いて、いや全然そんな話をお伺いしませんでしたというようなことで終わっている場合もあるわけであります。この健康診断の結果をどういうふうに活用しているかというようなことについての調査あるいは報告等を求められておみえになるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 健康診断を行ないますのは、その結果を労働者の健康管理のために活用するのが目的でございます。したがいまして、安全衛生法の六十六条の六項におきましても、事業者は、「健康診断の結果、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な措置を講じなければならない。」と規定いたしておるところでございまして、結果について注意を要する者につきましては、当該本人に通知するのはもちろんのこと、就業上の問題についても適切な措置をとって、健康診断の結果を有効に活用するよう、極力事業場に指導をいたしておるところでございますが、今後とも一そうそういうことについては注意をいたしたい、かように存じます。
○坂口委員 その場合に、その事業所の管理医なりあるいは衛生管理者なり、あるいは中には保健婦さん等置いているところもありますけれども、そういった人の意見がどれだけ十分に取り入れられるかということがいつも大きな問題になるわけでございます。ただこの検診が申しわけ程度にやられて、その結果を事業主その他に報告をしましても、報告をしただけにとどまって、それがなかなかあと活用されないというような面が間々あるわけでございます。ひとつ、その点がたいへん大きな問題になりますので、これからはないようにくれぐれもひとつ御注意をいただきたい。この点、特に大臣にもお願いをしたいと思います。 もしもその場合に管理医の報告がそういうふうに取り上げられなかったら、きちっと報告をしたのにもかかわらず、それが取り上げられずにそのままに置かれた場合、これは一体どうなるのか。
○渡邊(健)政府委員 労働者の建健管理のためには産業医とかあるいは衛生管理者とか、そういう人たちの職務が十分に果たせるようにし、しかもその意見を十分に尊重するというのは使用者として当然のことであろうと存じますし、監督機関といたしましても労働者の健康保持のためにそういうような配慮をするように十分指導をいたしておるところでございます。 なお先生御承知のように、産業医等につきましては安全衛生法によりましても、その職務を遂行した結果に基づいて事業者に対し勧告権なども法律で規定をされておるわけでございますが、法律に規定されたこういう勧告権でございますから、当然事業主はそれを尊重すると思いますけれども、もしもそれが取り上げられないことがあり得るのではないかというような御懸念につきましては、事業場には安全衛生法に基づきまして衛生委員会というような、労使で構成するものもできることになっております。こういう衛生委員会などでは、そういう産業医や衛生管理者の活動や勧告などについても報告を受け、そしてその衛生管理のために必要なことを事業主に対して意見具申もできることになっております。そういう面からも、衛生管理者、産業医の活動に対してはバックアップもできるのではないか。安全衛生法は、そういうことでそういう意見が十分反映するように仕組みがされておるわけでございますが、これが十分生かされますように今後とも指導につとめてまいりたいと考えるわけでございます。
○坂口委員 その点、大臣からも一言御意見いただきたいと思います。
○加藤国務大臣 御指摘のとおり安全衛生法が施行されまして、ただいま局長から申し上げたように、助成金なり融資制度を設けて前進したことは間違いないと思います。しかしまだ御指摘のようにいろいろな、雇用主の連絡の問題その他具体的な、これが実施にあたって、研究ではなく、ほんとうに実効のある方法に持っていくという点については多少遺憾な点もありますので、御趣旨に沿うように前進するように努力いたします。
○坂口委員 初めにも申しましたように、この中小企業の定期健康診断がまだまだ全然やられていないところがかなりな率でございます。私ども以前に調査いたしましたときには、もう二年ほどたちますので若干数字が違っておると思いますけれども、三重県でやりましたときには、まだ六割方やっていなかったわけでございます。二百人以下のところ。まあ最近はもうかなりふえてきていると思いますけれども、そういうふうな点がございましたので、今後できるだけひとつ検診グループというものの育成にもつとめていただきたいと思います。三重県と申しましたけれども、三重県だけじゃございません。もう少しほかも入っております。 それからもう一つきょうお伺いしたいのは、やはりこの労災の問題がもう一つまだございます。これは職場の中でクロームを扱っている、取り扱いをしている人がございました。その取り扱いをしている人の中に、鼻中隔に穴があく、ひどいのは鼻中隔せん孔が起こる。そこまではいかなくても、非常にそこに障害が起こって、そうしてそのあとこれが一応なおる。そこまではいいんですが、そのなおったあとで、においが全然なくなっている、いわゆる臭覚がなくなる人がわりにあるわけです。これは労災の対象になるのでしょうか、どうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 業務上のクローム中毒につきましては、労働基準法施行規則三十五条の十七号の業務上の疾病ということに相なっておるわけでございます。したがいまして、そういう疾病に該当されまして、その結果、なおったあとも鼻中隔せん孔等があり、それによって嗅覚の欠損、減退を招いておられるというような場合には、労災保険法上の障害補償の対象になるわけでございまして、その程度によりましてそれぞれの該当する等級の障害補償を受けられるわけでございます。
○坂口委員 御存じのようにこの臭覚なるものは、程度というのはなかなかつけにくいものでございますけれども、先ほど寺前議員からもいろいろお話がありましたけれども、そういった場合に、取り上げられはしたけれども、程度がえらいことないというようなことですぐ切られてしまうというような場合もあると思うのですけれども、やはりかなりな程度、この程度がきめにくい。かなりな程度でないところは取り上げられないという意味でございますか。
○渡邊(健)政府委員 労災の障害補償の場合は、その程度によりまして九級、十二級、十四級等々ございますが、非常に軽微なものについてはそれらに該当しない場合もあり得るわけでございます。
○坂口委員 私の知っております例でも、それがなかなかならなかった例があるわけでございます。この労災の内容を見せてもらいましても鼻が外見上欠損をしましたりとか、そのために機能に著しい障害が起こったというような場合にはこれが適用範囲になる。ところが嗅覚の問題ははっきり書いてないものですから、なかなかこれがなりにくいんじゃないかというふうに思うわけでございます。外見上の場合は、これは鼻をもとに戻そうと思えばつくりかえることもできるわけです。もとのようにきれいな鼻ができるわけですけれども、臭覚というものは一ぺん失われますとなかなか戻りませんし、そういった人をやはり対象からはずすということになりますとたいへん大きな問題になると思うのであります。そういたしますと、これは中に入っているというふうに理解させていただいてよろしゅうございますね。
○渡邊(健)政府委員 ごく軽微なものを除きまして、別に外貌的な欠損がございませんでも、障害補償の対象に入れております。
○坂口委員 これはきょうはもうお聞きしないつもりでおったのですが、ちょっと時間がありますので、もう一点だけお聞きをしたいと思うのですが、疾病の固定化の問題でございますね、先ほどから出ておりますこの労災のときの。この基準というのはたいへんむずかしい問題でございますけれども、ひとつどういうふうな基準になっているのか、教えていただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 これはそれぞれの疾病あるいは負傷によりまして違うと思いますが、判定のむずかしいものにつきましては専門家の御意見に従ってその治癒の認定をしておるわけでございます。
○坂口委員 そういたしますと、たとえば三年たったからもう一応これを固定とみなすというようなことはないわけでございますね。念を押して、もう一度御答弁いただきたい。
○渡邊(健)政府委員 現在の労災法では三年たってもなおらない場合には長期障害者補償ということで療養の継続とそれから年金制度ができております。したがいまして三年たったからまだなおらないのに治癒にして療養を打ち切るというようなことはいたさないことになっておるわけでございます。
○坂口委員 どうもありがとうございました。
○伊東委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 午前中の質疑者の中からすでに質疑がなされておりましたけれども、私も年次有給休暇の問題を取り上げて若干お尋ねしたいと思います。 その前に労働大臣に注意を喚起しておきたいことがあります。これを申し上げまして本題に入りたいと思うのでございますが、いわゆる労働省の目玉商品ともいわれております週休二日制の問題でございますが、これは確かに時代の趨勢でありますし、大いに促進されてしかるべき問題だろうと思います。しかし、この週休二日制の声に隠れて、いわゆる広義の労働時間の短縮の問題が、狭義、つまり狭い意味の一日、あるいは一週の労働時間の短縮問題がなおざりにされていくという傾向がございます。 もしそうなれば、実質的には時間短縮の流れに逆行するおそれがあるということですね。つまり週休二日制の問題で非常に関心がそれに移って、肝心かなめの一日ないしは一週の中の労働時間短縮の問題がなおざりにされて、実質的な労働強化になるということです。現に時間管理の厳正化あるいは職員管理の厳正化、人減らし、こういうものが暗々のうちに強力に推し進められてきております。そういうことからまずこうした問題を十分踏まえられた上で週休二日制の問題は進めていただきたい。これが一つです。それから、この週休日の時間の問題とは別に、労働者にとりましてはきわめて重要な問題であります年次有給休暇のあり方について御質問に入りたいと思います。まず最初の問題についてお答え願います。
○加藤国務大臣 週休二日制は労働省の目玉商品というべきもので、大いに推進しておりますが、御指摘の問題は、そればかりを強調して時間短縮の問題が隠れておる、これはなかなか微妙な点がありますので、いろいろ中小企業の問題その他がありますので、労使の関係から決してこれをむだにするような気はありません。長時間の強制的な労働はもう排除しなくちゃならぬのは当然であります。週休二日制の前に時間短縮を強調せいという御意見もありますが、それはかえって実施がなかなか困難に——おくれる、こういう関係で、労働省の既定方針としては、週休二日制をまずやる、それが時間短縮にもつながる、こういうような観点から、決してその点も、時間短縮反対と、かような意味ではありません。長時間の労働に対しても是正したいという根本方針であります。
○大橋(敏)委員 さすがに労働大臣は問題点をしっかり把握なさっていると思います。そこでいまおっしゃったとおりに、つまり週休二日制のその声に隠れないように、実質的な労働時間の短縮になるよう強く要望しておきます。 そこで、去る三月二日に、注目を浴びておりました全林野の白石営林署と国労の郡山事件、この二つの賃金カットをめぐる法廷闘争、これの最高裁の判決がすでに出ました。中身を見ますと労働者側の全面勝訴という画期的な新判例が発表されたわけでございますけれども、この影響はきわめて大きいと私は思います。そこで、労働省といたしましても、この判決に基づいて、つまり労働基準法の解釈はあるいは変更の必要に迫られているのではないかと考えるのでありますが、この点についてはどうお考えになっているでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 去る三月二日に出ました最高裁の判例は、労働基準法の解釈につきまして従来いろいろ説が分かれておりましたものに対して非常に明確な結論を出されたわけでございます。従来の労働省の解釈との関係はどうかという御質問でございますが、三十九条の年次有給休暇の権利につきましては、従来から請求権説あるいは形成権説あるいは時季指定権説等々いろいろ議論がありまして、労働省は請求権説をとっておったわけでございますが、今回の最高裁の判例は時季指定権説の立場に立った判例であったというふうに解しております。しかしながら労働省の請求権説によりましても、有給休暇のためには労働者はその請求をいたしますが、それに対して使用者は、三十九条三項に規定いたしております事由がある場合にその三項に基づいて季節変更権を行使する場合を除いては、承認しなければならない、こういう解釈でございましたから、結果的に見ますると、最高裁の判決と結果は変わらない。ただ理論構成につきましては、これは変わってまいるわけでございますが、私どもはそういうふうに解しております。しかしいずれにいたしましても、最高裁から明確な判例が出たわけでございますから、今後につきましてはこの趣旨を十分に徹底し、この考え方に基づいて今後の行政運営をいたしてまいる所在でございます。
○大橋(敏)委員 時季指定権説と請求権説は裏表の関係にあって、結果的にはどうのこうのという問題ではないというような御答弁であったように拝しますが、私はここでひとつ問題点を提起いたします。 ILO五十二号条約に基づいて、これは一九四七年ですか、労働基準法並びに年体制度が規定されたわけですね。にもかかわらず、ILO五十二号と労働基準法のただいま申されました三十九条とでは重大な相違がある、私はこう見ているわけです。なぜならば、ILO五十二号では年休は最低六日として、分割付与は認めていないということです。ところが、労基法の三十九条では年休は無制限、いわゆる一日きざみの分割付与を認めている。ここに大きな相違があるわけですね。だから簡単に裏表の関係だなんて言われるようなことで済まされないと私は思うのですがね。この点はどうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 ILO五十二号との関係におきましては、先生御指摘のように、条約では最低六日で、あと勤務期間に応じて増加すべきということになっており、しかも最低の六日だけは分割付与してはいけない、こういうたてまえになっておりますが、労働基準法では最低六日、あと勤務年数に応じて増加するということは五十二号条約と同じでありますが、分割付与については基準法はこれを認めておるわけでございまして、この点について基準法と五十二号条約との間に違いがあることは御指摘のとおりでございます。ただ先ほど申しましたのは、この五十二号との関係でなく、最高裁判決との理論構成の問題を申し上げたわけでございます。
○大橋(敏)委員 そこで私は最高裁のこのような新判例が出た、その立場から見た場合、この三十九条の中身についても変更の必要がないか、こう聞いているわけです。
○渡邊(健)政府委員 最高裁の判決におきましても、ただいまの点については、有給休暇は一定の季節や相当の長さの期間をまとめてとることをこれは想定しているものだというふうにいっております。しかし、判例の中では、なお現行法が分割を認めていることも記載いたしておりますけれども、日本の実際の慣行におきましては、分割してとる、こういう慣行が非常に現在一般的であるわけでございまして、諸外国の例等の長期にまとめた有給休暇制度とは違っておることは承知いたしておりますが、日本の現実の慣行からして直ちに分割を一切認めないということはなかなか実際に適応しないだろうかという感じを持つわけでございます。しかしながら日本でもこれだけ経済も伸張してまいりましたので、諸外国のようにやはり長期の有給休暇をとって、ゆとりのある休暇を過ごすということは適切なことだと考えまして、労働省におきましても数年前から、夏などに一週間とかあるいは十日とか、まとめて有給休暇をとるような慣行をつくるように指導をいたしておるところでございます。
○大橋(敏)委員 いま局長さんは、最高裁の判決が出たからといって、直ちにいまの慣行を変える必要はないというような御答弁でありましたけれども、現在の慣行そのものが国際水準から見た場合非常におくれているわけですね。後進性を指摘されております。したがいまして私はこのような機会に早く国際水準並み、欧米等の年次有給休暇の水準にわが国も持っていくべきである、こう主張しているわけです。大臣はどうお考えになりますか。
○加藤国務大臣 いま局長からお話し申し上げましたとおり、従来の有給休暇の問題についてはもう判決の問題ははっきりいたしておりますから、今後、私としましても、労働省としても、この判決を尊重して有給休暇の問題は、これを趣旨に沿うようにやりますが、いまの、今後まとめて休暇をとる、これも週休二日制と同様でありまして、世界の趨勢でありますので、いまさっそく欧米諸国と同様な形態に持っていく、一気かせいに持っていくということは、なかなか困難な労使の関係もありますので、いま局長から話があったように、夏季とかいろいろなときに一週間とか十日とかまとめていくようには指導する方針であります。
○大橋(敏)委員 わが国の年次有給休暇が諸外国に比べておくれているという理由は、つまり週休日ですね、一週間のうちの休み、それに付加的に何か取りつけられているという感じなのですね。週休日とは多少別にして考えるべき問題でしょう。そこを言っているわけです。たとえばいま年休をとろうとすれば、使用者に対して非常に気がねしなければなりません。気がねをするという事実があるのです。それから仲間が、自分が休むことによって困らないだろうか、そういう確認のとれたときでなければとれない、あるいはそういうことを心配しない人ならばいざ知らず、そういう状況のもとにいわゆるこま切れ休暇というか、こういうことになってきているわけです。要するに年次有給休暇の本来の趣旨、それに向かないで、わが国の年次有給休暇というものはそういうものには歩いていかないで、いま言ったような姿できているというわけですよ。それが慣行化され、定着しているわけです。これじゃよくないというわけですよ。はっきりと今回の新判例に基づいて、言うならば最低六日を基礎として全労働者が、もちろん三十九条の一項、二項の条件を充足したものでなければ年休権は発生しませんけれども、その条件を満たした人ならば、当然自分の望むときにそして順番に労働者が年次有給休暇をとれる、このような慣行に改めるべきである。どうですか。
○加藤国務大臣 御趣旨と私の答弁も同様であったのでありますが、そこへ週休二日制という問題、定年延長などの話をつけ加えましたから、これと関連があるようでありますような御質問でありますが、これは決して関係はありません。ただ世界の趨勢として週休二日制もやらなくちゃならぬ、またこま切れでなく長期にわたる休暇もとらなくちゃならぬ、これが世界の趨勢であり、判例にも示されたので、御趣旨とあまり変わりません。
○大橋(敏)委員 労働基準法が制定された当時は、国情も、また労働者の賃金も極度に低賃金でありましたし、あるいは住宅なりレジャー施設の欠乏というような悪条件が重なっておりまして、むしろ労働者のほうから、そういう休暇が与えられてももてあましますというような、労働者側の要望の結果ともいえるわけですね。ところがもう現在、御承知のように、昭和三十年以降高度経済成長によってわが国は経済大国日本とまでいわれるようになりまして、つまり国情も国際情勢も非常に変わってきたわけです。御承知のようにILO五十二号条約出現のあと、第二次世界大戦後欧米等における年休制度の進展から、一九七〇年六月百三十二号の新条約が出現しております。この中身は先ほどおっしゃったような時季指定権説をとっていると私は思うのですけれども、これは確認の意味でちょっと聞きますが、どうですか、この百三十二号条約の中身は。
○渡邊(健)政府委員 理論構成まではこの条約は書いておりませんけれども、やはり労働者が望むときに与える趣旨に相なっておると存じます。
○大橋(敏)委員 このような国際、国内事情の変化に対応するためにも、私は三十九条の中身をこのまま放置していていいかどうかという疑問があるわけですね。この三十九条というものは一口に言うならば、一項、二項の要件が満たされれば、いわゆる年休権は当然発生するわけでございます。しかも使用者の年休付与義務というものは、労働者側から請求がなければ付与しなくてもよいという義務ではないと思うのであります。したがいまして、その要件充足によって発生する年休権というものは、年度内のいつか、あるいはある時期間に、六ないし二十日間の労働日の年休をとることができるという権利であろうと私は思うのであります。したがいましてこの年休期間の具体的な始期あるいは終期は特定していないということでありますが、こういういろいろなことを思いあわせまして、今回の新判例が出された立場からもう一歩掘り下げて、労働基準法のある意味の変更をする必要があろう、こう思うのですけれども、もう一回この点お尋ねをいたします。
○渡邊(健)政府委員 最高裁の判例につきましては、判例のとおり、今後は年休権というのは使用者の承認を待つまでもなく、労働者が時季を指定すれば当然に年休をとれる権利が発生するものだ、こういうことで運用をはかってまいりたい、かように考えるわけでございます。 なお先ほどから御指摘の、判例の中でも触れられております、休暇をまとめてとるのが本来の趣旨だという点、それから国際条約等御指摘になりましたが、諸外国から見て、休暇の日数等についても問題があるではないかというような点、それら基準法の改正の問題につきましては、現在学識経験者よりなる基準法研究会等でそういう問題点の御検討をいただいておりますので、その御意見等も伺いまして今後検討してまいりたい、かように考えるわけでございます。
○大橋(敏)委員 それでは大臣に確認の意味でお尋ねいたしますが、ただいまの局長の話では、年休の本来のあり方というものは、週休日とは別に年間何日かのまとまった休暇を労働者が順番にまとめてとるということ、これが先ほど申し上げましたILO百三十二号新条約とも合致する国際的水準である、わが国もその方向で今後進む、こういうふうに受け取って間違いないか、大臣から答弁願います。
○加藤国務大臣 大体御趣旨のとおりでありますが、よく内容は検討いたしまして御趣旨に沿うようにいたします。 ただここで申し上げますが、これはつけ加えたことでありますが、やはり実行に移す場合に、労働省だけですぐに実現するか、これはなかなか労使の関係がありますので、関係各省のほうとも十分この点を協議いたしまして、御趣旨のような点がうまくいけるように——やはり労使か対立するようなかっこうになって、最高裁判所の判例が出たんだからそうだと、こういうようにすぐに進行するかといえば、なかなかむずかしい点もありますので、関係省とも連絡をいたしまして、御趣旨のような方向に持っていく所存であります。
○大橋(敏)委員 先ほども申し上げましたように、年休をとろうとしても使用者に気がねをしたり、あるいは仲間の立場を考えたりということになるとなかなかとれなくて、年休連年取り残しという悪い慣行が残っております。年休連年取り残し、こま切れ利用という慣行と、公務員あるいは公共企業体労働者が、争議行為の禁止規定というものと関連しまして、これまでは随時、一斉休暇という争議戦術に出ていたわけでございますけれども、これは御承知のとおりだと思います。 しかし今回の新判例では、年休の利用目的については使用者の干渉は受けなくてよいということではっきりしたわけでございますけれども、一斉休暇闘争というものはストライキと同じだ、このようにいわれておりまして、賃金の請求権はないぞとはっきりしました。これまでは労働者にとっては合法的な争議行為の一手段としてこれがなされてきたわけでございますが、こうした新判例が出てから、こういう戦いもある意味では剥奪されるようなことになりますし、したがいまして、先ほど言った年休の問題は、いままでの悪い慣行から新しい姿に定着していくように、労働者を守るという立場といいますか、これは労働省の責務であろうと思います。これは私強く希望を申し上げておきます。先ほど大臣から、私の意見に極力従って対処していくというような御答弁がありましたので、この点はこの辺で終わります。 最後に一つ確認の意味でお尋ねいたします。年休の時季と請求でございますけれども、三十九条の年休の付与義務の問題でございますが、労働者の年休権というものは、いま言った三十九条の一項、二項の要件が満たされれば発生する、請求の有無にかかわりなく使用者側にはその義務が生ずるのである、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 おっしゃるとうりでございますが、実際にいつ休む権利が出るかということは、労働者が時季指定権によって指定をするわけでございます。それからその場合に、使用者のほうは三十九条三項に該当します事由がある場合には、時季変更権を行使することができます。時季変更権を使用者が行使しますと、したがいまして労働者は変更された時季にとらなければならなくなりますが、使用者がその時期変更権を行使しない限りは、労働者が指定した時季にとれることに相なるというふうに解します。
○大橋(敏)委員 ではもう一問最後に。 この年休権というのは、年度内のいつかある時季に、六ないし二十労働日の年休をとることができる権利である。これは基本的な考えですね。それから年休期間の始期それから終期というものを特定しているものではない。この特定というものは、労働者のいわゆる請求によって行なわれるものであって、請求というのは時季のみにかかわるのであって、請求のあるなしが使用者側の年休の付与義務ということやあるいは労働者の年休権が生じないというものではない、このように理解してよろしいですか。
○渡邊(健)政府委員 そのとおりでございます。
○大橋(敏)委員 時間が来ましたので、質問を終わります。
○伊東委員長代理 小宮武喜君。
○小宮委員 私はスト規制法の問題について若干質問します。 このスト規制法が昭和二十八年、第十六国会に提案されたときの提案理由の説明によりますと、昨年行なわれた電気事業及び石炭鉱業における長期かつ大規模なストライキの苦い経験を契機として、電気事業及び石炭鉱業の有する特殊性及び重要性並びに労使関係の実情にかんがみ、争議権と公益との調和をはかり、もって公共の福祉を擁護するためというふうに説明をされております。そして、この法律を三年の臨時立法としたのは、この間において労使の良識と健全な労働慣行の確立を期待すると説明しております。また、三十一年の第二十五国会でも同じような提案理由を繰り返すとともに、本法は、すでにその施行後三年の時間を経過したのであるが、電気事業及び石炭鉱業における労使関係の現状は、遺憾ながらいまだ健全な労働慣行が十分確立されていないので、この法律を恒久立法として存続させなければならないというふうに説明しておりますね。それからさらに政府は国会の答弁の中でもしばしば、一日も早く健全な労働慣行の確立によって本法が不要になることを期待するとか、よき労働慣行が確立したら廃止するとかいう答弁がなされております。したがいまして、政府がいうところの健全な労働慣行とはどういうことをさすのか、ひとつ労働大臣から御説明願いたい。
○加藤国務大臣 お答えいたします。 これは政府からよく常套語のようなことばで御説明いたしておりますが、国民的視野を考えたり、いろいろな労使の関係も考えて、相互信頼をもってよく話し合って、そして国家全体を見て労使間でいろいろ慣行も熟慮して労使関係を解決することが望ましい姿、こういう意味であります。
○小宮委員 大臣、この法律が恒久化されてからもう十七年間も経過しているわけです。それでは、今日の電気事業及び石炭鉱業において、いまだに健全な労働慣行が十分確立されていないと考えておられるのか。先ほど申し上げましたように、たとえば労使の相互信頼関係とかいろいろ言われますけれども、現在でも電気事業と石炭鉱業において政府がいうところの健全な労働慣行というのがまだ確立されておらぬというふうに大臣は考えておりますか。
○加藤国務大臣 電気の関係と石炭の関係は、いろいろ最近問題になっておるスト権の問題と違って順調に、そう悪い影響はない、良識ある労使の関係に対して敬意を表しておる次第であります。
○小宮委員 私も現在の電気事業における労使関係は、政府がいうところの健全な労働関係が確立されておるというふうに考えております。それに対して大臣のほうも、いまのお話では、何か非常に好ましい状態にあるとか、そのようなことを言っておりますが、そうであれば——大体この十七年間に参議院の予算委員会、衆議院の予算委員会あるいは社労あたりで質問するたびに、そこまでは大臣はいつも答弁しておるのです。それから先一歩も進んでおらぬ。そうであれば、このスト規制法の存続価値はないのじゃないですか。もう廃止していいのじゃないですか。 それと私は最も遺憾に思うのは、たとえば二十五国会でも、労働慣行がまだ十分確立されておらぬから恒久立法化するのだという説明をやっている、提案説明の中で。しかしそれにしても非常に疑問を感ずるのは、臨時立法で三年間やってきて、そしてその時点ではまだまだ十分でないというならば、何のために三年間の臨時立法にしたのか。また、それを三年延ばして三年の臨時立法とするなら話はわかる。筋は論理的にはわかる。二十八年から三十一年までの間に電気事業においても石炭鉱業においても、労使関係は三年間にぐっとよくなっておる。そういうふうな事態の中にも、なお臨時立法で三年間延ばすのなら話はわかるけれども、恒久立法化しなければならないという理由はどこにもない、その根拠はどうですか。
○石黒政府委員 お尋ねの第一点の電気事業におきまして、労働組合が非常に良識を持って行動するようになっておる、したがってすぐ廃止すべきではないかという点につきましては、その間のお気持ちというものはまことに私どもも理解できるのでありますけれども、同時に電気というものの重要性、国民生活への浸透度というものは十年前とは比べものにならないほど浸透いたしております。外国でも大停電なんかという例もございましたが、今日の社会において万一停電になりますと、これは非常に大きな問題を起こす。たいへんな混乱、損害を起すということで、国民としては何とかそういう心配のない安心感を持ちたいというような点もございますので、政府としても直ちにこれを廃止いたしますということにはなかなか踏み切れません。しかし、おっしゃいますこともたいへんよくわかりますので、これは真剣に検討いたしますということを申し上げている次第でございます。 それから第二点の臨時立法云々のお話でございますが、三十一年に三年の臨時立法が恒久立法に切りかえられましたときには、政府側といたしましては、三年間に労使関係は、若干変更はあるけれども、しかし十分国民が安心するという状態へはまだいっておりません。したがって、この際当初の二十八年立法の附則に従って、存続するかどうかという問題になりますと、一応存続をさせたい、存続させるについて期限を切るかどうかという問題については、当時の附則によれば、国会の議決によって存続するか廃止するかという二つに一つの選択しかないので、それで政府としては存続させるという選択をいたしたい、もし時限立法というような問題があるのであれば、さらに法律の手続が必要であるということを申し上げたと承知しております。
○小宮委員 ちょうどいま局長が答弁されたことは、六十八国会においても参議院の予算委員会で同じようなことを答弁しておるわけであります。一体万一の不安とか言うけれども、不安というのは具体的にはどこにありますか。不安の根拠はどこにありますか。いま国民で、停電でもしはせぬかという不安を持った人が一人でもおるでしょうか。むしろ国鉄がとまりはせぬかということのほうがよほど不安で、いま電気事業に対して停電ストが起こるというような不安を持った人は国民の中におりはしませんよ。おるとすれば、労働大臣と局長くらいのものじゃないですか。そうだったら、実際不安があるかどうか世論調査したらどうですか。いま国民には、電気が停電するといり不安を持った人はおそらく一人もおらぬ。一人でもおれば、それは労働省だけでしょう。そういう同じような答弁を昨年の六十八国会でもやっておる。一体不安というものは何を根拠の不安ですか。根拠がなければ、不安というものは起きてこないでしょう。私はガンになりはせぬかという不安がいつもあるけれども、電気に対する不安なんか全然ありませんよ。一体何を根拠に不安があるのか。その根拠がなくて、ただ不安だ、不安だということで流言飛語をするようなことじゃ困りますよ。何を根拠に不安がありますか。そこを具体的に教えてください。
○石黒政府委員 わが国におきましては、幸いにして電気関係の労働組合が、現在非常に常識を持った行動をしておられるということと、このスト規制法があるということで、停電ストという心配は具体的には国民はいまのところ持ってない。停電ストというのは十何年前にあったそうだけれども、もう日本にはないんだという安心感を持っているわけでございます。しかしながら、たとえば外国の例で、ニューヨークなんかの大停電というような事態になりますと、これはもう事人命にかかわるような大問題がございます。したがいまして、スト規制法というものを廃止するという問題が現実問題として出てまいった場合には、国民としては、ほんとうに停電ストの問題はだいじょうぶかしらという不安を持つということを申し上げている次第でございます。
○小宮委員 どうも自民党の政府の労働政策というものは、戦後これまで一歩も前へ進まぬですね。そういうような感覚だから、労使関係にかえって大きな、いたずらな紛争を起こしておる。特にスト規制法の問題については、このことが、電気事業の労使関係には、労使の信頼関係を深めていく中でかえって妨げになっておるという事実も指摘したいと思うのです。 それでは、このスト規制法の問題と労調法の関係について質問します。憲法二十八条で労働三権、つまり労働者の基本的な権利、いわゆる団結権、団体交渉権、罷業権ということを認めておるわけですけれども、しかしながら公益事業については、先ほどから申し上げておるように、国民経済、国民生活に及ぼす影響の重要性を配慮して、いわゆる政府がいうところの争議権と公益の調和をはかるということで労調法はつくられているわけです。どうでしょうか、局長。
○石黒政府委員 労調法の緊急調整の制度も、争議権と公共の福祉、国民生活といったものとの調和をはかる制度の一つであることは申すまでもございません。しかしながら、緊急調整というのは、長期、大規模なストライキが延々と続くような場合に、総理が一定の手続を経て緊急調整の発動をいたすものでございまして、電気のような、停電ストといったような場合は、そういう長期、大規模という問題に至らず、瞬時にして問題が起こってくるというような点で、緊急調整の発動を待つことのできないケースも多々あると考えられますので、スト規制法と緊急調整の制度とは、その目的を異にするものであるというふうに考えております。
○小宮委員 ちょうどいま局長が答弁されたことを、いままでもずっと言ってきておるわけです。緊急調整というのは、特定の争議が非常に大規模でかつ長期にわたり、国民経済全体を麻痺させるという場合に発動することを予定しているので、電気事業におけるスト規制法の規定というのは、必ずしも長期、大規模ということではなく、電気の特殊性から、瞬時にして国民生活に影響を与えるから立法措置をした、こういう説明をしているわけですね。ちょうどいまと同じようなことを言っておるわけです。そうなると、いまの説明からいけば、電気事業というのは、労調法にいう公益事業の中には入らぬわけですか。労調法の適用外ということになりますか。そのために、労調法の適用外だから特別立法措置をしなければいかぬのだ、こういうふうに聞こえるわけです。どうでしょうか。
○石黒政府委員 電気事業は、緊急調整制度が設けられる以前から労調法の公益事業に指定されております。このことはさらに——緊急調整制度とは申すまでもなく、公益事業に限った問題ではございません。スト規制法があるからその公益事業云々というものがはずれるというふうには考えておらない次第でございます。
○小宮委員 電気事業は公益事業に指定されておるのですよ。労調法三十五条の二の「その規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために、争議行為により」云々というような、この緊急調整ができるという条項がありますね。そうしますと、電気事業はこの特別の性質の事業に関するものだとわれわれは理解するわけです。この労調法にうたわれておる特別の性質の事業に関するものはどんなものがありますか、教えてください。
○石黒政府委員 緊急調整の対象は、事件が公益事業に関するものであるため、または特別の性質のものということでございまして、公益事業は緊急調整の対象に入りますので、電気事業が特別の性質の事業というよりは、電気事業に緊急調整をかけるケースがもしあるといたしますれば、これはむしろ「公益事業に関するものであるため」というほうにかかるものと考えております。 それから、ここにいう「特別の性質の事業に関するものであるため」の特別の性質というのは、そのときどきの状況によりまして、一がいにあらかじめこれとこれが特別の性質の事業だというふうには申せないわけでございますけれども、たとえば過去の経験に徴しますと、石炭産業などというものは、その当時におきまして公益事業ではございませんでした。しかし、これは特別の性質の事業の一例であったかと存じます。
○小宮委員 私は、労調法にうたわれておる特別の性質の事業というのは、何も石炭鉱業だけをさすのじゃなくて、いま言われたように瞬時にして国民生活に大きな影響を与えるというような電気事業というのも、当然特別の性質の事業にこれは含まれるんだ、こういうふうに理解しておるのです。それはそれでいいです。しかしながら、いま言いますように、要するに電気事業というのは、すでに公益事業に指定されているわけですね。公益事業に指定されておれば当然緊急調整もできるし、ストライキの予告期間も要るし、調整によっては冷却期間の五十日も要るわけですから、私は、そういったスト規制法という特別立法をつくらなくても、労調法の中で十分この問題は調整できる問題だというふうに考える。したがって、私から言わせれば、特別にスト規制法なんか必要ないんだ、労調法の中で十分労使の調整はやれるんだというふうに私は理解しておるから、むしろ特別立法は一刻も早く解消しなさいという立場に立っておるわけです。そういうような意味で、特にこの公益事業の問題については、労調法の中で十分やっていけるというふうに判断しておるわけですが、局長自身は、何もスト規制法をつくらなくても労調法で十分やっていけると大体腹の中で考えておるんでしょうが、ただ立場がそうだから、なかなか口では言えぬものだから、不安があるとか瞬時にしてどうだとかいうことを十年一日のように答弁しておるけれども、大体、大臣だって腹の中ではそう思っておるんでしょう。さっきからの答弁を聞くと、口では大臣なかなか言い出しかねるという問題があるようですけれども、そういうような問題で政府はいままでの答弁をずっと繰り返しておる。昭和二十八年からずっと繰り返しておる、同じような表現で。それじゃあまりにも進歩がないですな。もっともっと前向きで考えてもらわぬと——労働大臣、どうですか。いまのような質問に対すると、いつも、電気の国民生活に占める役割りの重要性から見て、何が起きるかわからぬ、不安があるということで、今日の段階では法律を改正する意思がないとか、そういうようなことをずっと言ってきておられるわけです。しかしながら、この問題も、これは皆さんあれでしょう、公務員の場合にも公制審なんかつくっていまやっているのでしょう。むしろこのままではほんとうに、皆さん方、もう心配することない、スト規制は廃止しても。ですから安心して早く、たとえば労働大臣あたりは、田中総理もことしの一月六日、同盟の組合幹部との懇談会の中で、このスト規制法については廃止する方向で検討しますと、これは約束しているわけです。だから、総理の諮問機関か労働大臣の諮問機関あたりつくって、それで、公務員のスト規制の問題についてさえ公制審で検討しているわけですから、少なくとも民間のスト規制についてはもっともっと前向きに取り組んでもらわらなければ困ると考えております。そういうようなことで、これはあとで大臣の明確な前向きの答弁を聞きますから……。しかし、それはそれとして、たとえば労組法の第一条の目的には、「労働者が使用者との交渉において対等。立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上」云々と書いてありますね。大体、労働者が使用者と対等の立場に立つというのはどういうようなことなんですか。ひとつ所見を承りたい。
○石黒政府委員 これは先生よく御存じのことでございまして、申し上げるまでもないと存じますが、一般に経営者は強い権力を持っております。それに対して、一人一人の労働者というものは弱い立場にございます。そこで、その弱い立場にある労働者が全体として団結をすることによって強い力を持つ、その裏づけとして争議権あるいは調整制度というようなものがあるというふうに考えております。
○小宮委員 やはり局長もよくわかっておるのです、団結と。ただ団結権だけじゃだめなんです。団結権と団体交渉権、罷業権、この三つがあるから、一人一人の労働者は弱くてもやはり使用者と対等の立場において交渉ができるわけです。ところが、この三権のうち一番重要な罷業権を奪っておいて、ただ団結権と団体交渉権だけで、労使対等の立場で云々と言うことは、結局労組法の目的からいっても、いまのスト規制法は私は労組法の違反だというように考えるのですが、その点どうですか。
○石黒政府委員 スト規制法は、御承知のごとく、電気事業に従事する労働者の一切の争議行為を禁止しているものではなく、停電ストという直接電気の供給に障害を与えるストだけを禁止している。当時の、二十八年の法制定当時の政府の説明では、停電ストというものをやらなくても事務部門等のストライキあるいは集金ストといったようなものによって十分経営者に対抗できる力があるはずである、したがって労使対等の立場をくずすものではないと説明していたと記憶しております。
○小宮委員 私は、このスト規制法というのは、少なくとも政府自身がこれは不当労働行為をやっているのだと言いたいのですよ。その労働三権を基本にして労使が対等の立場に立って話し合いなり交渉をやっていく中で、一番重大な罷業権を剥奪しておいて、そうして労使対等だというようなことは、私はナンセンスだと思うのです。たとえば賃金交渉をする場合に、公務員の場合は第三者機関があって、やはり人事院勧告なんかありますね。しかしながら、この電気事業労働者とか石炭鉱業労働者というのはスト権を剥奪してがんじがらめに手をうしろに縛っておいて、ただ団結権は認めておる。交渉権はある。あったにしても、手をうしろにしばっておいておってそれで対等の立場でやりなさいと言ったって、それはあなた、対等の立場と言えましょうか。たとえば賃金の決定にしてもいわゆる第三者機関があって、たとえば民間がこれだけ上がったとか、こうして人事院の勧告がある。しかし、この人たちは、手は縛られたまま向こうの使用者と話し合いをする以外にないでしょう。第三者機関のそういうような決定、その賃金安いじゃないかとか、もっと上げなさいとかいうような勧告機関も何もないでしょう。そうしておいて——そういうようなただスト権だけ縛っておいて、がんじがらめにとは申しませんが、そうしておいて対等の立場と言うのはおかしいんじゃないですか。 それから、いま局長はいみじくもまた同じようなことを言っている、スト権を全面的に剥奪してはおりませんということを。また、これは局長も何代かわったか知らぬけれども、同じようなことばかり。もう私もいままでの議事録全部見てきておるのです、昭和二十八年から以来のものを全部。みんなやはり同じようなことをいつも言っておる。しかしながら、それでは、政府は全面的にスト権を剥奪していないと言われるけれども、昭和二十八年八月十二日付の労働次官のスト規制法施行通達によれば、「スイッチオフ等の積極的行為は勿論のこと、作為たると不作為たるとを問わず、当該行為の性質上かゝる障害を生ぜしめる行為をいい、結果の発生について客観的具体的な可能性がある行為であれば必ずしも障害が現実に発生することを要しない。」こう言っておる。また、国会答弁においても、政府委員はこういうように答弁しておるのですよ。直接というのはスイッチオフであるが、事務ストでも長くなれば勢い第一線の電気供給の直接の業務に響いてくるので、これはスト規制法の第二条にかかってくるという答弁をしておるのですよ。逆に今度私は質問しますが、それでは全面的にスト規制をしておらないと言うならば、いまのこのスト規制法のことばを裏返してみますと、第二条を裏返してみますと、それが正常な供給を停止しない行為——停止する行為は禁じておるわけですから、停止しない行為または正常な供給に直接障害を生ぜしめない行為であれば争議行為を行なうことができるということになるわけですね、裏を返せば。それは具体的に、こういった行為がどのような事務ストもやってはいかぬ、スイッチオフはもちろんのこと事務ストもいかぬということをちゃんと政府委員も答弁しておるわけですから、それでは逆に言ってストライキがやれる行為というのは何をさすのか、どの範囲がやれるのか、ひとつ詳しく親切に答弁してください。
○石黒政府委員 事務ストの問題でございますが、御指摘のございましたように、二十八年の政府委員の答弁というのは、その部分だけを抜き出してごらんになりますと、事務ストもスト規制法二条にひっかかるというふうに読めるようでございますが、これは政府委員の表現がたいへんまずうございます。あとに続いているところをごらんいただきますと、念のため読みますと、事務ストによって間接に電気の供給に影響が出るという場合、これは緊急調整なんかで措置すべきものであって、この法律は、直接に障害を与える行為、であるから、間接的に与えるような事務ストは第二条違反にはならないんだ、という趣旨を答弁しております。 それから、先ほど御指摘のございました事務次官名の通達におきましても、先ほどお読みになりましたあとのところに続きまして「電気の供給に直接に障害を与えないことが、客観的に明かな場合には、本条に該当しない。」「例えば発変電所、給電指令所等における庶務、機械器具の定期の手入、点検等の如きは一般に本条に該当しない。又例えば所謂集金スト、検針スト、出納業務スト、調定スト、決算スト等の事務ストの如くそれ自体の行為によって直接電気の正常な供給に障害を与えないようなものは、本条に該当するものでない」というふうに申しておりますので、いわゆる事務ストは第二条違反にはならないというふうに考えております。
○小宮委員 最初、三十一年ころの国会答弁ではいま局長が言われたようなことを言っておるわけです。あとの質問の中では、先ほど私が申し上げたような、政府委員が——だれか何月何日答弁したかわかりますよ、かかってくると言っておるわけです。だからその点も考えてみれば、いま局長が言われたようなことが最初の答弁には出てまいります。その後の答弁がずっと変わってきますと、いま言う事務ストも長引けば二条に引っかかりますよということを答弁しておるのですよ。だから、したがって私がそれなら争議行為はどの範囲までできるかと言うと、局長がいま言われましたけれども、そんなことまで争議行為の対象にはならぬ。大体、もともと争議行為というのは労働者と使用者がほんとうにお互い対立して、対決してする場合に、やはり一番使用者に対して決定的な打撃を与えるところに罷業権というものの目的があるわけです。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 それを、決算とか手入れとかそういうようなことは問題にならぬです。局長、それではたとえば電気事業においてストライキの対象としてこれだけ、一〇〇%あるとしますね。実際一〇〇%のうちで九九%はストライキは禁止されておるのだというように私は理解しておるわけです。ただ政府が、いや全面的にストを禁止しておるのではありませんと言っておるけれども、一〇〇%のうちでわずか一%くらいです、こういうふうに私は考えておるのです。いま言われたような問題、これは枝葉末葉のところだけなんです。だからいまそういった意味で争議行為ができる範囲というのは、電気事業全体から見た場合に何%くらいになっておるのですか。
○石黒政府委員 何%になるかということは、従事する人数にもよりますけれども、人数だけじゃなくて、使用者がどのくらい困るかという事情にもよりますので、数学的に何%というふうに算出できるものではないと存じます。政府はスト規制法がありましても、昭和二十八年、三十一年当時には、これで労働組合は経営者に対抗できるという見解を持っておったわけでございますが、その後最近に至りまして、政府はこの法律の存廃の問題を含めて検討するということを申し上げております。その検討の際には、いま御指摘のような問題も当然検討の対象になるものと考えております。
○小宮委員 局長、いま検討するということばを使われましたが、このスト規制法の問題を再検討するという意味なのですか。ちょっと聞き漏らしたので、非常に大事な点でございますから……。
○石黒政府委員 私が申し上げましたのは、たびたびの国会において政府はスト規制法を廃止すべきじゃないかという御質問があったのに対しまして、いま直ちに廃止することはたいへん困難でありますけれども、その問題は検討いたしますということをたびたびお答え申し上げている、その意味の検討でございます。
○小宮委員 いま私が言わぬ先から答弁ありましたが、たびたび国会答弁の中で検討いたしますとかいろいろ再検討しますとか言っておるわけです。しかし、いま廃止する考え方はありませんけれども検討いたしますということは、もう何回となく言っておるわけです。検討したことありますか。
○石黒政府委員 私どもといたしましては、部内におきまして真剣に検討いたしております。
○小宮委員 労働省部内では検討しているわけですね。その結論はいつごろまでに出すつもりですか。たとえば公務員のスト権の問題にしても、公制審が四十一年から七年くらいかかっていますな。そういうようなことで局長、大臣もだけれども、国会答弁の場合、検討しますと言うても何年かかって検討するのか、その場限りの答弁ばかりしておるようなことじゃ困るのです。だから局長ばかり言っても困りますから、大臣いままで言われたように再検討します、再検討しますということはいつも言われてきておるし、それからまた田中総理自身もことしの正月六日の同盟幹部との会合の中でも再検討を約束しておるわけです。そのような意味で、たとえばいまいう公務員のスト権の問題については公制審をつくってやっておる。これはあまり長過ぎてどうもならぬけれども、しかし少なくとも民間労働者のスト規制法は、この法律というものはもう有害無益だ、このことによって電気事業における労使関係はかえって非常にマイナスになっておる。だからこういった有名無実となった存在価値のないこの法律は早急に廃止すべきだというのが私の主張なのです。また事実それを認めておればこそ、労働省内部でそのような検討をやっておるのだと思いますし、いままでの答弁でもそろそろいいのだという考え方が一貫して流れておると思います。 そこで、大臣、ひとつそのような意味で、このスト規制法というようないまは有名無実となっておるこの法律は早急に廃止をするということで、先ほど申し上げましたように総理大臣も検討すると言っておりますので、加藤労働大臣がこの際思い切ってふん切りをつけて、廃止をするという立場に立って再検討します——再検討するという場合に、ただ労働省内部でこそこそ検討しておるのかしてないのかよくわからぬけれども、第三者機関でもつくって、公務員の場合は公制審もあるわけだから、もっとこの問題について総理大臣の諮問機関かあるいは労働大臣の諮問機関くらいつくって、この問題を再検討するという意思はないかどうか、ここでひとつはっきり答弁願います。そうせぬと、また大臣おる間この問題で食らいついていきますから……。
○加藤国務大臣 小宮委員の御質問、なかなかこの場で明快な答弁は困難であります。一月の総理大臣の同盟との会見には、私当該大臣でありますから横で立ち会いましたが、総理のお答えも廃止を検討する、こういうのではなく、いま局長が言ったように、大いに検討する、こういう答弁であったことは、これはもう、はなはだことばを返すようで申しわけありませんが、そうであったのであります。 また、先ほど小宮委員から、大臣並びに局長の腹ももうここらでいいと思っておるのじゃないか、こういうようなお話がありましたが、なかなかそれは、小宮委員も御推測は御自由でありますが、近いとか遠いとかなかなか御答弁が判然とすっきりできないところも御推量のとおりであります。しかし公制審でスト権の問題いろいろやっております。この問題にもこれは多少の関連があることは事実であります。そして、公制審と同様な総理大臣の諮問機関かもしくは労働大臣の諮問機関か、これをつくれ、そして、いままでのようにごたごたと何か内輪で因循なような、こそくのようなことでなくやれという御趣旨は、これは十分わかります。そういう議論はやらなくちゃならぬかというような検討の時代にきておることも、これは間違いありませんが、しからば、さっそくもう弊害がないんだから、国民も心配しておらぬから、こういう見地からこれを廃止するように持っていけ、こう言われますと、なかなかこれは、推測いたしますと電気の重要性というのは、これはもう国鉄並びに電電、いろいろな公益的な機関がありますが、電気というものが一日でもとまったらこれはたいへんだというりつ然たるものがあるのであります。しかし、いままで労使の関係が、私が初頭に申し上げたように、ほんとうに私も感謝いたしております。 さような見地で、さようなことはないと思いますが、諸般の事情で、ここで判然と、すかっとお答えすることが困難な点だけひとつ御了察願いまして、先ほど言ったように、前向きに検討いたしますことは、これは御答弁できます。
○小宮委員 総理大臣との会談の中でも、廃止するということに対して総理が再検討するということは、当然それは要望に対して受けて立ったわけですから、結局再検討するということは、廃止を前提として、廃止の方向で検討するということになるわけです。その意味で、大臣もたぶんそう考えておられると思うけれども、しかし問題は、やはりこの問題についてはそろそろ、同じようなことを十何年も十年一日のようなことを繰り返さぬで、ひとつここで加藤労働大臣のときこの問題やったぞということになれば、みんなから大臣も非常に喜ばれるんです。そういうような意味で、ひとつこの問題については、単なるこの場における答弁のための答弁ということではなくて、これはいま大臣と局長が言われたことを私は信用しておりますから、ぜひこの問題については、ただ検討しますということではなくて、ほんとうに前向きでやはり検討をされんことをひとつ特に要望申し上げまして、私の質問を終わります。
○田川委員長 次回は、来たる三月八日木曜日、午前九時五十分理事会、十時より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十三分散会