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71回国会衆議院1973/02/27

社会労働委員会 第4号

発言数
340
登壇者
28
会派数
5
開催日
1973/02/27

会議録

田川誠一自由民主党

○田川委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  まず、おはかりいたします。  原子力研究所における労働問題について、日本原子力研究所副理事長村田浩君及び同理事村上昌俊君に本日参考人として御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田川誠一自由民主党

○田川委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 原子力研究所における労使問題について、最近ロックアウト事件等をめぐりまして、水戸地方裁判所の判決が出ておりますし、あるいはまた人事考課の問題をめぐって、茨城県労働委員会等で問題になっております。あるいは不当労働行為に類すると見られる事件等があるわけでありますが、そういった問題について若干お尋ねしたいのであります。  最初に、この原子力研究所の労使問題というものは科学技術庁とどういう関連が持たれているのか、言うならば、原子力研究所の労使の自主的な団体交渉あるいは交渉を通じて協定された事項、そういうものについては介入せず、尊重するという立場に立っておるのかどうかという点についてお尋ねします。

村田浩日本原子力研究所副理事長

○村田参考人 科学技術庁との労使問題についての関係の御質問のようでございますが、もとより日本原子力研究所は、日本原子力研究所法によりまして設立された特殊法人でございまして、この運営につきましては、国の定めた基本計画に基づきまして業務を行なっておりますけれども、労使の問題につきましては、原子力研究所の運営を預かっております理事会がこの責任をもって処置いたしておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 今回水戸地方裁判所から出ております判決ですね、この判決を控訴いたしておりますが、この控訴という問題についてはあくまでも原子力研究所の理事の判断と責任においてやられたことでございますか。

村田浩日本原子力研究所副理事長

○村田参考人 そのとおりでございます。理事会におきまして地裁の判決を慎重に検討いたしまして、控訴することにきめたわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 そうしますと、確認をしますけれども、こういう案件について控訴すること、あるいはかりに取り下げるとすれば取り下げること、こういうことは一切科学技術庁とは関係なしに原子力研究所の理事の判断と責任においてやれることですか。

村田浩日本原子力研究所副理事長

○村田参考人 この問題につきましてはそのとおりであると考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それじゃお尋ねしますが、このロックアウト事件が起こってまいりましたのは、五班の三交代制を四班の三交代制にするという労働条件の変更、この問題について、これは地方裁判所の判決の中に書かれているわけですが、その裁判所における、被告である研究所側の答弁書の中にこういうことが書いてあるわけです。「昭和四十二年六月監督庁である科学技術庁原子力局から四班三交替制について具体的に検討を進めるべきであるという指摘を受けている」。同時に「同年十月十九日、同じく原子力局長から五班三交替制について直勤務体制の改善を図るべきであるとの通告を受けている」。これは、労使に対する原子力局の介入、圧力といったようなものになるんじゃないですか。これは、科学技術庁のほうはどうですか。

大坂保男科学技術庁原子力局次長

○大坂説明員 ただいま御指摘の点につきましては、JPDRの運転開始当初は五班三交代の理由はございましたけれども、その後の経験にかんがみまして、ほかの一般の商業発電所の運転と同じような見解、すなわち四班三交代のほうが効率的、合理的ではないかというようなことにつきまして意見を述べたということでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 先ほど私は確認しまして、少なくとも労働条件等の問題については労使が主体的に、自主的にできるものである、その労使の立場というものを監督官庁は尊重する、こういうことを最初に確認したのですが、この指摘やら通告という問題については、明らかに労働条件に関する問題であります。したがって、科学技術庁が研究所に対してこういう指摘や通告をするということは、これは明らかに労働条件に対する、労使の立場に対する介入になると思うのだけれども、その点の理解はどうです。

村田浩日本原子力研究所副理事長

○村田参考人 科学技術庁は原子力研究所の業務全般について監督官庁としていろいろ監督、命令を出すことはできますけれども、この労使の問題につきまして直接に介入するということではなくて、全般的な、国全体の将来の原子力発電計画その他から関連してJPDRの運用のしかた、そういったものについて監督官庁としての見解、意見を述べられたものと考えます。このような原子力局の意見というものはもちろん理事会で慎重にこれを受けまして検討いたしますけれども、労使間における協議あるいはそれをどこできめるかということは、やはり理事会の責任においてなすべきことであると思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 最終的にきめることはそれは研究所の理事会できめることですね。しかし、指摘や通告というのはどの程度の影響を持つものかわかりませんけれども、少なくとも労使の労働条件問題に関して監督官庁が指摘をし通告をするということは、相当重大な影響力を持つ介入になるのではないかと私は思うのです。これは労働大臣、どうですか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 労働問題は賃金の問題であろうが、いかなる問題であろうが、労使が自主的に話し合ってきめることは当然と思うのですが、この問題はいろいろの従来の経過があり、いろいろな紛争をいたしておりますことに対しまして、労働省としては何とか早く解決をしてもらいたい、こういう趣旨においては村山委員の御趣旨のとおりであります。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 私はそんなことを聞いているのではなくて、先ほど来確認しておりますように、原子力研究所の労使問題については、それぞれ自主的な立場を尊重し合って、介入しない、こういうことが確認されたわけです。ところが現実に、労働条件の大きな変更について、監督官庁が指摘や通告をしておる。これは明らかに介入になるのではないかという具体的な事実について、労働省の見解を聞いているわけです。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 政府委員に答弁させます。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 原子力研究所等の特殊事情につきましては、監督官庁が監督権を持っておることは当然でございます。けれどもその行使にあたりましても、労使の自主的な話し合いということはできるだけ尊重する立場でやっていきたいと思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 科学技術庁はどういう根拠と理由に基づいてこういう指摘や通告をされるわけですか。

大坂保男科学技術庁原子力局次長

○大坂説明員 そのとおりでございまして、先ほど参考人のほうから申し述べましたように、原子力の研究開発の基本的な考え方からこういう勤務体系が望ましいというようなことを、事実を指摘いたしまして、それを踏まえまして、原研当局において労使間によってそれを協議していくという方向で考えているわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それでは次にお尋ねしますが、昭和三十二年九月二十日に衆議院の科学技術特別委員会で、労使双方を呼ばれて、いろいろ質疑をやっております。その最終結論として、当時の委員長がこういう要望をいたしておるわけです。原研の「本質にかんがみ、その運営の弾力性を保持せしむるよう監督官庁の善処を要望するとともに、今回の紛争を契機として、研究者たちが喜んで研究し得るよう、研究の施設、研究者その他職員の処遇、生活環境の改善等について、政府並びに理事者が誠意をもって善処されんことを望む。」こういう要望があることを承知していますか。

村田浩日本原子力研究所副理事長

○村田参考人 その当時直接担当しておりませんのでつまびらかにいたしておりませんが、そのようなことがあったと聞いております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それでは次に聞きますが、四十七年七月に大洗研究所の職員の健康調査をやっておるわけです。その研究調査の結果を見ますと、調査人員が二百二十八名、その中で腰の痛みを訴える者が三十九名、腰の病気と診断された者が十六名、治療など受けた者が十一名、こういう結果が出ているわけです。これは主としてヘルニアに関する調査をやったのだと思うのですが、この調査をやった事実を承知していますか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 そういう調査は、その当時組合の側もいたしておりますし、所は所の立場からもいたしております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 所が調査をした、その結果はどうですか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 本日ただいまその具体的な資料を手元に持っておりませんものですから、あとからその資料を先生のところへ持ってこさせたいと思います。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それではひとつその調査の結果の資料をあとから提供してもらいたいと思うのですが、との五班三交代制を四班三交代制にするということについて、労使の話し合いの中で組合のほうがこういう意見を出しているわけです。「これが単に労働条件の変更ということだけではなしに、原子炉の安全性や研究開発の方向づけに係る」重要な問題である、こういう立場から四つの柱を組み立てて、そして組合の要求として所のほうに提出してあると思うのですね。これは一つは「JPDR-1、JPDR-2がその任務を十分に発揮して、原子力の平和利用に貢献するには、どのような職場態様がより良いか」二つとして「安全に運転を継続するためには、どのような職場態様がより良いか。」さらに「運転員が将来優秀な技術員として育ってゆくためには、どのような職場態様がより良いか。」「運転員の健康維持のためには、どのような職場態様がより良いか。」こういう四つの提案をして、これを中心にして討議して、職場の勤務体制を考えていこうではないか、こういう意味の意見を出しているわけです。私はこの意見を見てしごくもっともな意見であるというふうに思うわけですけれども、いま申し上げました職場の実態等を踏まえて、この組合の意見に対して所のほうはどういう見解を持っておられるわけですか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 ただいまのような提案があったことはそのとおりだと思うわけでございますが、研究所といたしましては、JPDRそのものが日本で初めてつくられました動力試験炉である。そのあと引き続きまして国内にたくさんの動力炉が建設されることは予想されておりましたし、そういったようなことも考慮に入れて全体の勤務態様を考えなければならない。もう一つは、原研の東海研究所自体におきましても、JPDRそれだけでものを考えるわけにはいかないので、全体の体制として――いま言ったような組合の体制、安全体制にいたしましてもそのとおりでございますけれども、全体の立場から検討するという考え方が必要である、そういうように考えておるわけであります。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 こういう所のほうの考え方あるいは組合のほうの考え方等をめぐって、十分な交渉がなされているわけですか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 私は当時それの交渉の当事者ではございませんでしたので、詳細は存じておりませんが、相当時間をかけ、回数を重ね、交渉がいろいろ行なわれた、このように聞いております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 この地方裁判所の判決を見ますと、これは結果的には組合が完全勝利になっているわけですね。以前、五班三交代制という労働条件については協定を結んでいるわけです。その協定を一方的に破棄をして、そして就業規則を改正して、業務命令を出して一方的に実施しているわけです。こういうやり方はこれはもう明らかに労働組合法から見ても間違いであるということで判決が出されていると思うのですね。この内容を見ればきわめて明確である。むしろすなおにこの判決を受け入れて、労使正常化のために努力をするような誠意ある姿勢を示すということが何よりも大事ではないかと思うのですが、控訴した理由は一体何ですか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 昨年の秋に水戸地方裁判所におきまして、この訴訟問題に対する判決が出たわけでございますけれども、その判決の内容は、ただいま御指摘のございましたように、ほぼ全面的に労組側の主張が認められるというかっこうであったことは事実でございますが、その内容につきまして私ども役員会といたしまして詳細によく検討をいたしました結果では、やはり判決内容に承服しがたいところがいろいろある、自分たちとして意見が食い違うところがいろいろある、そうしたところから、どうしても控訴をして、さらに高裁において御審議願いたいといったような意味から控訴をしたわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それは具体的にはどういうことですか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 今回のこの訴訟問題につきましては、御承知のように、所のほうが提案をしましたJPDRの直勤務体制を不満としての労組の無期限部分ストライキというものに対抗して、所のほうがやむなく行ないましたロックアウト、これの正当性が争われたわけでございますけれども、結果は先ほど申し上げましたとおりでございます。  ただ、これにつきまして、所のほうといたしましては、内容的にいろいろよく検討をいたしましたところ、やはり直勤務体制の合理化を必要とする所の事情だとか、あるいは使用者が受忍すべき限界を越えた労組の争議行為の態様等につきましては、事実関係の認識だとかあるいはその評価などに関しまして、所の主張がほとんど反映されていない、この点はまことに遺憾に思うわけでございますし、特に、無期限部分ストライキといったようなことによりましてJPDRのほとんど全部の機能が全面的にとまるといったような事実につきましては、裁判所のほうも認めてくれておりましたわけですけれども、しかしやはり、本件のロックアウトが、ストライキに対抗する行為としては正当性の限界を越すというような御判断であったわけでございまして、これについては、私どもの感じでは、とうていこの判定に承服しがたい、そういったような判断から控訴に踏み切ったわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 いまお話しがあったような理由で控訴された。少なくとも、先ほど申し上げましたように、協定があったわけでしょう。協定があるにもかかわらず、それを一方的に無視をして、そして就業規則を改正して、その就業規則を足がかりにして業務命令を出してやった、このストライキに入るまでの経過が違法である、したがって、業務命令というものはもう意味をなさない、こういう前段でもう明らかになっているわけですね。いまあなたが主張されたような不服がある、したがってその点の解明をしてもらいたいというあなた方の言い分がかりに通ったとしても、ロックアウトの正当性というものは私は認められないと思う、そうしますと、これは結果はもう明らかではないかと私は思うのですね。なぜ、そういうことであるにかかわらず控訴をして、しかも、その控訴をすることが労使の関係にどのようなプラスをもたらし、原子力研究所の機能というものに対してどのようなプラスをもたらすと判断をするわけですか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 この控訴いたしました内容につきましてどのような御判断が高裁において下されますかは、これまたその時期を待たなければ、いまどうこう言うわけにはいかないかと思うわけでございますが、ただいまの村山先生の御指摘のございました最終の段階の問題といいますか、最後の部分と申し上げますか、労使関係にこの問題がどういう影響を及ぼすかということについてでございますけれども、訴訟というものが労使関係で継続しているといいますか、こういう問題は、労使関係の正常な状態であるとは思いませんし、そういうことが望ましくないということは私どもも思います。しかしながら、やはりその状況によりましては、そういったような内容を裁判所で十分両者が納得のいく御判断をいただいて、その上で協調し合うというほうが、ほんとうの意味の将来の労使関係の正常化というものには意味があるのではないか、そのように判断をしておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 民間会社であれば、それは私はこんなことを申し上げませんけれども、しかし、少なくとも政府機関ですね。しかも原子力の研究開発という国家的に重要な役割りを持った研究所なんです。その研究所の機能あるいは任務から考えて、こういう問題をいつまでもこじらせて労使の関係を根深くしていくということについては、やはり問題があるのではないか。むしろ地裁の判決が出れば、その判決を受け入れて、是は是、非は非としながら、これを機会に労使が正常化していく、こういう努力を研究所のほうがするということが当然の話ではないかと私は思うのです。控訴をして、そして時間をかけて、金を使って問題をこじらせるということは、研究所の機能、目的にどういうプラスになるのかということを考えた場合に、私はいまのあなたの回答では納得できないわけです。したがって、もう一ぺんその見解についてお尋ねをします。  同時に、こういう事態を考えて、これを機会にほんとうに労使が腹を割って話し合う場ができるなら、この際控訴を取り下げて常道の姿に戻そう、こういう決意はないか、その点お伺いします。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 現在高裁でこの問題が係争中でございますし、それが、私どもが控訴をしますにはそれだけの理由があるということで控訴をしておりますことは、先ほど申し上げたとおりでございますが、結果は将来それを見なければわからないわけでございます。しかしながら、私先ほど申し上げましたけれども、原研の労使関係の問題につきましては、相当長い間いろいろな問題がございました。それを、抜本的な解決ということのためには、やはり両者が納得のいく状態で、そういうような御判断をいただいて、そういうようなことを根底に持って今後の労使関係を進めるのでなければ、ただ単にその辺のところをあいまいにしたままで進めるといたようなかっこうのことは必ずしも得策ではない、私はそのように判断しております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これは見解の違いかもしれませんけれども、しかし地裁の判決を見れば明確なんですよ。したがって、さっきから何回も申し上げておりますが、研究所の持つ国家的な役割りというものを考えた場合に、いつまでも職場の中における労使関係がこういう混乱状態を続けていくことについてはやはり問題があるのじゃないか、むしろ地裁の判決が出ればその判決を受け入れて、これを機会に正常な姿に戻していくという努力をすることのほうが、もっと誠意があるのじゃないか、あたりまえの話じゃないかというように思うのです。この点については科学技術庁の見解も承りたいと思います。

大坂保男科学技術庁原子力局次長

○大坂説明員 先生御指摘のように、労使関係の正常化につきましては、私どもも深く念願している点でございます。しかしこのJPDRの裁判につきましては、先ほど村上参考人が申しましたように、研究所側にもただしたいものがあるということで控訴に及んだわけでございまして、政府といたしましては、原則としまして、特に妥当性を欠くということでない限り、労使関係に直接介入するということは適当ではないと考えておりまして、そういうふうに取り扱ってまいっておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 それじゃ労働省のほうにお尋ねしますが、労働大臣は所信表明のあいさつの中でこういうことを言っておるわけです。これは労働省のことしの重要な課題として、「合理的労使関係の形成」について「労使が広い視野から自主的に話し合うことによって、問題の合理的、平和的な解決をはかるよう期待するとともに、その基盤づくりを進める」、「なお、今日、公共部門の労使関係の安定をはかることは非常に重要な課題となっており、政府としてもこの問題に真剣に取り組んでいるところ」であるが、「労使関係者においても、各般の問題についてよく話し合って信頼関係を確立することが当面何よりも重要である」こういう所信表明をしているわけです。私は、労働省は専門ですから、この地裁の判決も十分熟知していると思うのですが、この地裁判決を見て、現状から判断をして、労働大臣の所信表明に照らして、労働省はどういう見解を持っておりますか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 いま村山議員から御指摘のとおり、労使間の問題は、先ほどちょっと触れましたが、そのような紛争の問題その他いろいろな問題がありますが、これはもう両者が国民的立場と、また広い視野から十分話し合って解決する、これがもう労働省の基本方針であることは御指摘のとおり、お話のとおりであります。しかしいろいろな労使関係の問題、公共企業体の問題が紛争に持ち込まれて控訴に及んでおるという事例も間々あります。かような見地から、これが控訴されたということは、控訴というのは使用者側がいろいろな立場によって、ひとつこれは納得せぬ、こういうので控訴したと思いますが、基本の方式については御指摘のとおりであります。この取り下げを労働省としてひとつ強制的にやれというような関係も、現在の労働省の行政の機構としてもなかなかむずかしいものでありますが、基本の方針についてはもう御指摘のとおりであります。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 労働大臣のいまの考え方、意見等も、私が言っていることと全く同一なんですね。少なくともやはり政府機関ですからね。ですから、地方裁判所の判決が出れば、その判決を受け入れて、そしてこれを機会に、何べんも申しますが、労使の正常化に努力していくということが当然とるべき姿ではないか。これを控訴して、かりに敗訴すれば、また最高裁までいくというようなことになれば、ますます労使関係をこじらせるだけだと思いますから、私は強くこの取り下げを要求して、この問題はこれで一応ピリオドを打ちます。――もう一ぺん聞きますが、取り下げる気はありませんか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 先ほど来申し上げておりますけれども、原研といたしましては、こういう労使関係で裁判所で係属するということは望ましいことではございませんけれども、しかしながら、原研の労使関係、特に御指摘のように原研が国の総合的な公共的なきわめて重要な機関である、それであればこそ労使関係を根本的に安定、正常化させたい、その信頼関係を取り戻したい。そのことのためには、やはり両者が納得のいくような判断を基盤にして、そういったような御裁定を基盤にして、その後協調をしていくということでなければ、ほんとうの解決は望めないのではないか。したがって、そういうような考え方から、現在の段階でこの控訴を取り下げるといったようなことは考えておりません。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 納得できることを前提にして、双方が納得できた、それじゃこれから十分話し合いをして正常化していこう、こういうところまで争おうというのですね。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 高裁の御裁定といいますか御判断を期待いたしまして、両者が納得できるような御判断をいただいて、それを基盤にいたしまして、ほんとうに信頼関係を確立するようにいたしたい、そう考えておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 地裁で判決があった。そしてその地裁の判決の中身は明確なんです。控訴する、控訴で判決が出る、また納得がいかない、最高裁までいく。最高裁で判決が出れば、これは最終審ですからね。しかし納得がいかないという戦いの中では、問題の労使関係をこじらすばかりじゃないですか。決して正常化にならぬと私は思う。だから、この地裁の判決が出れば、この判決を受け入れて、そして謙虚にやはり是は是、非は非としてお互いに認め合いながら、ひとつ腹蔵なく話し合いをして、ここで労使の安定に努力をしようじゃないか、こういうことをするのがあたりまえの話じゃないかと思うのです。これは民間会社なら言いませんよ。しかし政府機関ですから、全部金は税金を使うのですよ。そんなら、最終判決が出て、争うところまで争って、もし敗訴した場合には一体その責任はどうとりますか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 先ほど来繰り返して申し上げておるとおりでございまして、所といたしましては、原研のようなきわめて国家的に重要な機関であるからこそ、労使関係の正常な安定化、相互の信頼を確立するということを強く希望するわけでございます。したがって、できるだけ納得のいく御判断をいただくように労使が努力をして、その上でそれを基盤にして労使関係のほんとうの正常化を目ざして努力をしたい、そう考えておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 全く答弁は納得できないですよ。少なくともやはり政府機関であれば、地裁の判決を受け入れることが当然の話じゃないですか。それがまた労使関係を正常化する大きな機会になるんじゃないですか。それをせずに争って、納得できるところまでやるということが、客観的に労使関係を正常化するかどうかということは、判断すれば明確ですよ。私は、これ以上討論しませんけれども、取り下げを強く要求して、時間がないものですから次の問題に移ります。  次に、人事考課の問題についてお尋ねしたいのですが、この人事考課の問題に対する経過については、もう時間がないから省略します。ただ端的に聞きますが、これは団体交渉事項であると考えますか、ないと考えますか。

村田浩日本原子力研究所副理事長

○村田参考人 人事考課それ自体は、人事権に関することだと考えております。と申しますのは、人事考課の目的といたしまして、その職員個人個人の業績、能力あるいは適性というものを正しく評定する、それから始まるわけです。このことは、人事管理上ぜひとも必要なことだと考えております。私どものほうも、全体で二千二百人近い人を擁しておるわけでございますから、そのように十分に人事考課を行なって、もっと……(村山(富)委員「団体交渉事項であるかどうかということを伺っておるわけです」と呼ぶ)そのような協定ということは――当然行なう権利は持っておると思っておりますが、その結果を職員の処遇に反映させる必要が出てまいりますと、この点は労働条件の変更にかかわることでございますから、団体交渉の対象になると考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 この人事考課の扱いについて、団体交渉を十分にされておるのかどうか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 今回の人事考課、一昨年の十月の二十二日に所のほうが組合に提案をいたしました。この人事考課につきましては、先ほど村田副理事長の申し上げたとおりであります。人事権に関すると私どもは考えておりますが、しかしながら結果的に昇給昇格にはね返すという考えを持っておりましたこともございまして、当初から労働組合とその内容の説明あるいは協議、そういったようなものをしようということで、積極的に働きかけてまいりました。そして御承知のように三月の終わりには、労使双方が、労働条件にはね返すということのために、時間をかけてよく話し合った上で労働条件にはね返しをしようではないか、そういったようなことで覚え書きを交換をいたしまして、四月の昇給昇格も一時延伸をいたしまして話し合いをする、そういったようなことで四月以降も話し合いに入ったわけでございます。交渉、団交、折衝など、前後十数回に及んでその内容の交渉が持たれております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 団体交渉事項であるということは確認しますね。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 いま副理事長が御答弁なさったのと私のほうと全く同じでございますが、本来人事考課そのものは人事権に属するものと考えております。したがって、協定などを行なうのも人事権の範囲でやる。ただし、これを労働条件にはね返すということについては組合との関係が大いにあるわけでございますので、そこのところは十分に話し合う、そういう考え方で一貫をしておるわけでございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 その辺、話し合うということと団体交渉事項であるということは違うのですよ。この人事考課は結果的には職員の待遇に影響するわけですから、したがって、これは明らかに団体交渉事項であるということを確認するかどうかと聞いているわけです。それだけはっきり答えてください。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 考課の制度をどのようにつくってどのように評定するかは人事権の範囲であって、団体交渉を待つまでもないと考えておるわけでございます。ただしこれは、労働条件にはね返すということに関しましては十分団体交渉でも話し合うべきである、そう考えておるわけです。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 これは労働省の見解、どうですか。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 具体的な事案につきましては現在地労委にかかっておりますので、一般論で申し上げます。  公共企業体等に関しましては管理、運営事項は団体交渉の対象でない、労働条件は団体交渉の対象とするというふうに非常に明確に一線が引かれておるわけでございます。その場合もいろいろ争いがあることは御承知のとおりでございます。一応法律上は線が引かれておる。ところが労組法、労基法の適用を受ける政府関係の特殊法人を含む民間企業の場合には、そういった法律上これは団体交渉の対象にしてはいけないだとか、あるいはしなくちゃいけないだとかいうような明確な規定はございません。しかしながら、団体交渉を正当な理由がなくて拒否することは不当労働行為になるということは労組法で明らかになっております。そこで、人事考課につきましても、これが労働条件と密接な関係があるという場合に、その労働条件と人事考課の関連におきまして全体を団体交渉をしないということがございましたならば、それは不当労働行為に一般論としてなるものと考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 茨城県の地方労働委員会で審査委員長の見解が口頭で述べられておりますね。「私としてはこの事件は不当労働行為だと考えている。この見解は一応いままでの地方労働委員会の合議を反映したものである。」これはもう明確なんですよ。ですから、これはあくまでも団体交渉事項ということにしてやるべきである。私はそう思っておりますね。ただ、その具体的な問題についてお伺いしますが、昭和四十七年の一月二十九日から二月一日まで原発講師が熊野市で講演会と調査をやったわけですね。これは組合の決定に基づいて派遣をされたわけです。その講師の派遣に対して課室長は、もし行くと君の将来のためにならないぞ、こう言って圧力をかけた。同時に人事部長はわざわざ「原発講師に対して介入することは原研がその存在と権威を守るための自衛の措置であることを銘記されたい。」こういう文書を出しているわけです。同時に、わざわざ地元の新聞広告まで出しで「原発講師は原研とは何ら関係がない。」こんなことをなぜする必要があるのですか。同時に、部長の言う原研の存在と権威を守るとは、一体どういうことなんですか。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 労働組合が組合活動の一環といたしまして原発の問題で講師を派遣するということなどにつきましては、研究所の側といたしまして、それが組合活動の一環である以上とやかく言う考えは持っておりません。ただし最近はともかくといたしまして、しばらく前までの組合のそういう活動の中には、派遣しました講師が研究所の職員等の肩書きを使うとか、研究所から派遣されたものとまぎらわしいようなかっこうで講演が行なわれるなど、そういったようなことが間々ございました。したがってその点について組合に対しまして、再三にわたりまして組合のほうにその責任をはっきりして行なうように、所から派遣した職員とまぎらわしいような行動をとらないように、そういう注意を組合を通して何回も行なっております。組合活動の一環としてやることについてとやかく言う考えは持っておりません。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 私が聞いているのは、部長が通達を出して、原発講師に対して介入することは原研がその存在と権威を守るため自衛の措置である、この意味がわからぬわけです。

村田浩日本原子力研究所副理事長

○村田参考人 この点について私どもの考えを申し上げますと、御案内のとおり、原子力研究所はわが国における原子力研究のセンターでございます。したがって、原子力研究所の代表であるという形でもし意見が述べられるとしますと、それはとりもなおさず原子力研究所の意見であるというふうにとられる。そのことはわが国の今後の原子力の研究、開発、利用の促進等にいろいろな影響を及ぼすおそれがあるわけであります。ところが、先ほど村上理事も申しましたように、組合の活動の一環として組合員が出てまいりますのは、何ら差しとめておらない。したがって組合として意見を述べることは、これも何ら差しとめておらないわけでございますが、もし原子力研究所の意見のごとく述べられるとすれば、それは就業規則等にかかわる規定もございまして、一応所としてはこれを十分内容的にも見なければならない、こういうことになっているわけです。ただそれを行なっておらないわけでございますから、もしそこに非常に大きな食い違いが出てまいりますと、原子力研究所の権威あるいは原子力研究所の名誉ということに関連してくるおそれがある、こういう趣旨でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 私は時間がないから詳しくは申しませんけれども、原子力基本法の三原則に照らしてみても、もし原子力研究所の方針と違う、あるいは見解が違うといったようなことが述べられることが不安でこういう措置がとられたとするのなら、これは大原則に反するたいへんな問題である。同時に、憲法に保障されている学問の自由という憲法問題にまで発展する問題があるのではないかという疑念があるわけです。ただここで私が問題にしたいのは、組合が機関できめて、組合から派遣をされたというその組合活動に対して、休暇届を出している者に対して、この講師のうち四人が一号俸低く査定されておる。これは明らかに組合活動に介入した不利益処分である、不当労働行為であると言っておる。ですからこの人事考課というものは、あくまでも労働組合対策として使われているのではないか、こういう疑念が持たれてしょうがないのです。  時間がないから、私はこれはまだ問題の点がありますから保留をしますが、意見として申し上げたいのですけれども、結果的にこれだけ明確に不利益処分が出ているこういう人事考課については、団体交渉事項として組合と十分話し合いをして、一方的に協定を破棄して、就業規則を変更して権力をもって押しつけてやるというようなやり方が労使問題をこじらせる最大の原因ではないか。むしろこういう人事考課については、十分組合と話をして納得の上でやることがより多くの成果を生み出すのではないかというふうに考えますから、意見だけを申し上げてこの問題については保留しておきます。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 同じことを繰り返しませんので、そのつもりでしぼって話をしてほしいと思いますが、先ほどの質問の中で、例のJPDRロックアウトの裁判の中で明らかにされた問題として、科学技術庁の原子力局長がJPDR部の五班三交代制について直勤務体制の改善をはかるべきであるという通告をしたという内容が確認されております。それでこれが監督権の範囲に入るのか入らないのか、五班三交代制を四班三交代制にする、これは勤務のあり方の問題だと思うのです。この勤務のあり方を原子力局長が指示をする。原子力局長、これは労働条件、両者の間できめるべき性格ではないのか。監督権として介入すべきものなのか、これをはっきりしてください。

成田壽治科学技術庁原子力局長

○成田政府委員 原研に関していろいろ業務監査等を定例的にやっておりまして、その結果、JPDRの交代勤務制について改善の必要があるという通達は出ておるのであります。この実施につきましては労使間で十分話し合って適当な改善をはかるべきであるという、業務監査の結果としてそういう指摘をしております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私の聞いていることに答えなさい。これが監督権の範囲に入るのか。そうすると、今後一切あそこの労働条件の問題、そういう分野については全部あなたのところの通告のもとにやられるのだということになるのですよ、そういうふうに解釈すべき性格ですか。そうじゃございません、こういう問題は労使関係問題ですから、われわれがくちばしをいれるべきものではありませんというのか、それをはっきりしなさいと言っているのだ。それだけだよ。

成田壽治科学技術庁原子力局長

○成田政府委員 その問題は、原研の勤務状況等についてわれわれ監査して、政府機関としてのあり方として当然検討していく問題でありますので、われわれは監督権の範囲に入る問題だというふうに考えております。ただやり方等につきましては、労使協約その他いろいろなルールがあると思いますので、その点は十分手続をとってやるべきであるという考え方でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 労政局長、どうです。これは勤務の体系の問題でしょう。どういうふうに勤務をするのか、これは労使関係問題については介入しない、原則的にそういっている。ところが勤務の体系の問題についてああしなさい、こうしなさいと言い出したら、団体交渉権の範囲から、こっちが監督権で行使するということになったらはずさなければならなくなる。労政局長、どうです。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 原子力研究所に関する法令を私つまびらかにしておりません。法令上の監督権の範囲を正確に申し上げるわけにはまいりませんが、しかし原子力研究所という関係の機関につきましては、予算その他の制約があることは御承知のとおりでございます。その限りにおきまして労使関係、労働条件に関係のある事項につきましては、監督上の指示のあることもあり得ることであると存じますけれども、しかしその監督権の行使にあたりましては、労使関係のことはできる限り労使の話し合いというものを尊重するたてまえでされることが望ましいと考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 科学技術庁は、大臣も政務次官もきょうは来てないの。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 来てない。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そうすると、これは保留だね。監督権の逸脱だと思うのだよ。予算にかかわる問題は監督権はありますよ。予算上これこれのやつは組みにくいということはあっても、こういうふうな勤務体制に入ります、入りなさいということまでやり出したら、これは労使関係は成り立たないじゃないか。いま労政局長はっきり言った。予算にかかわるものは、承認がなければできないことは事実なんだよ。ああいう特殊法人はみんなそうだと思うのだ。これが一つの論争問題になっているのだよ。だけれども、あなた、こういうふうな勤務体制に入りないさいという問題まで、そこまでくちばしをいれてくるようになったら、これは明らかに労使関係は成り立たなくなるじゃありませんか。これは検討を要するというように局長思いませんか。あなたが局長のときと違う話だけれども、私はこれは重大な問題になると思うのだよ。労使関係が成り立たなくなる。もう一度回答を求めます。

成田壽治科学技術庁原子力局長

○成田政府委員 科学技術庁の原子力局長の通告は、昭和四十二年に出されたものでありますが、その当時の経緯を見ましても、これは人員の効率的運用あるいは予算の効率的運用等いろいろ政府機関としての制約がありますので、この問題も行政監督の一つとして通告がなされたというふうに解しております。したがって、そういう方針についてはわれわれとしてはいま、検討してもよろしいのでありますが、そういう方針には変更する必要はないというふうに考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 あなた、もっと正確に聞きなさいよ。こういう五班三交代制を四班三交代制にせよというのは、勤務の組みかえですよ。この勤務の組みかえまで監督権だといってそこで指示してこれでやれということは、労使関係からそういうものを奪ってしまう。そういう通達なんですか。そのことは違うでしょう。いっている意味は。法律、予算の範囲内において十分合理的にやってくださいよというものを、そこの組みかえまで入っていったら、これは明らかに監督権の範囲を乗り越えていっている内容じゃないか。それだったら、労使関係の話し合いは原子力局でやらなければならぬということになってしまう。自主的にやってもらいたいといってまかすと言ったって、まかさぬことになってしまうじゃないですか。あなたわかっているのかね、言っている問題。私は保留だね。これだったら進まないよ、あなたのところでそういうふうな労使関係問題を取り上げるのだったら。再検討しますか。

成田壽治科学技術庁原子力局長

○成田政府委員 いろいろ当時の背景を見ましても、業務監査の結果、運転員の育成とか原子炉の整備が終わった段階で、効率的でない現在の勤務交代制が適当であるかどうかということに問題がある、あるいは人員の効率的運用をはかる必要もある、これは政府機関として当然だと思います。それから労働条件等も他の勤務者との均衡を考える必要がある、そういう背景でこの措置がなされておりますので、私たちはこれは行政監督の体系の問題と判断しておるのであります。  さらに検討するかというお話でありますので、さらに検討をしたいと思いますが、ただこういう方針はわれわれが従来からとっている方針でありますので、検討はいたしますが、この方針については正しいという解釈をとっております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 話にならぬので、これは留保して、大臣に出席を求めて明らかにしていきたいと思います。  次に、四十七年の一月二十九日に、さきにも問題になりました原発講師の問題について人事部長通達を出していますね。さっきも話題になりましたから、これは確認できますね。それで、この原発通達が七二年の一月二十九日に出されて、そして話にあったように、その年の二月には査定の実施をされていますね。その前に、十二月には昇給昇格の覚え書き破棄という問題をやって、この通達が出て、そして査定の実施をやって、地労委提訴と、それから片方で査定の実施という問題が起こってくるのが七二年の一月をめぐる大体の経過措置だと思うのです。  そこで、この原発講師の問題について、さきにも問題になったわけですが、ちょっとだめを押したいと思うのですが、これはぼくは非常に重大な問題だと思うのです。これも原子力局に聞きたいと思う。研究所です。研究所の職員が、研究について、見解について自由にそれぞれのところで討論する自由があるのかないのか。これは学者は学問全部関係しますから、東京大学の先生だったら東京大学の先生が、どこかの学会で、どこかの集会で自由に自分の見解を述べることができるのかできないのか。あるいは、どこかの大学の中にも研究所があります、その研究所の人が自由に見解を述べることができるのかどうか。私は、それにかかわる問題だ。原子力研究所の人がいまの原子力の状態においてこういう問題がある、こういう問題があるという意見を自由に述べるということの保障はあるのかどうか、それについての見解を求めたい。

成田壽治科学技術庁原子力局長

○成田政府委員 原則としましては、そういうことは自由があると思いますが、原子力研究所も一つの法人格を持った特殊機関でありまして、そういう意味では所内の規律保持のために服務規律、業務規程等がありまして、その秩序のもとで行なわれることになっております。原子力基本法にも研究成果の自由という公表、公開の原則がありまして、その研究のあらゆる段階でそのつど発表することではなくて、一つのプロセスが終わりまして、まとまった成果になった段階、あるいは工業所有権をとる前の段階とが、そういう場合はいろいろ内部の規律として待ってもらうというような場合があるのでありまして、これは業務規則、服務規律等の内部の規律によって規制されているところであります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 研究というのはいつまでも続くものでしょう。自分の一つの到達点の見解がまたさらに発展していく、ディスカッションして発展していく。研究というものはそういうものでょう。あなた、わかるでしょう。それがわからぬじゃ話にならぬ。だからその過程過程で自分が到達した見解を学会へ行って述べようとどこへ行って述べようと、そのことを保障するのか保障しないのか、これは学問、研究の自由にかかわる重大問題だと私は思うのです。それを途中だからといってしゃべらしてはならないという見解をとるのですか、局長。

成田壽治科学技術庁原子力局長

○成田政府委員 研究は、それはインビジブルにいろいろ継続されるのでございますが、ただ成果の公表ということになっておりまして、一つの区切りがあるものと思います。段階があるだろうと思います。したがいまして、内部の手続としまして 就業規則によっていろいろ上司の了解を得るというようなたてまえがとられております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 ぼくは何回も言うけれども、そうすると、許可なしには研究の内容について発表してはならないのね。研究会に自由に行けないんだね。自由にものを言えないんだね。

成田壽治科学技術庁原子力局長

○成田政府委員 原研の就業規程の第七条によって、職員が業務に関して新聞、雑誌等に寄稿したり、出版、講演する場合等は理事長の許可を受けるたてまえになっております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 業務に関してということはどういうことですか。私は言うのですが、原子力の問題について自由に学術会議に行ったり学会に行って、研究の問題について、一々理事長の承認なしにしゃべってはならないというのですか、論文も全部検閲を受けて、そういう意味ですか。

成田壽治科学技術庁原子力局長

○成田政府委員 原子力研究所の業務は、原子力に関するいろいろな研究をやるのが業務でございまして、したがいまして、研究に関しても就業規程第七条が適用になると解しております。

村上昌俊日本原子力研究所理事

○村上参考人 先ほど来御質問の中で、大学の先生が外部で研究の成果を発表する場合と、原研での研究成果の発表などとの相違のように受け取るわけでございますけれども、その点につきまして私ども、大学の先生の場合には研究テーマは各先生がかってに選んで、学部長、学長といえどもどうこうとそれを指示することはできない、いわば根本的には真理の探究といったようなものが基本にあろうかと思うのでございますが、原子力研究所の場合には、御承知のように原子力基本法というのがもとになっておりまして、国のほうからお示しいただく事業計画の基本計画に基づきまして毎年研究を進めていくというかっこうになっております。そしてその全体を理事長が統轄をいたしましてより効率的にこれを進めるというかっこうになっておりまして、研究所の中では、そういったような意味で国の資金をいただいておるわけでございまして、これを国の方針に従って最大限に効率的に発揮するための努力をするということでございます。したがって、その企業体としての中のルールは当然あるわけでございますし、原研というものに対して与えられる事業計画なり使命というものがあるところは、大学とかなり違う。したがって、その事業体活動の中で経営秩序を維持するために就業規則そのほかいろいろございまて、外部への発表等につきましてもそういったようなルールがいろいろございます。そのルールの中で発表するということについては、いわゆる、先ほど局長もちょっと申しておられましたけれども、研究の秘密的な事項といいますのは、パテントのまだ申請する前のものであるとか、ノーハウだとか、そのほか人事上の秘密事項も当然ありましょうし、契約上のものもありましょうし、そういったようなものがこの発表に伴っていろいろ出て、所の不利益になるようなことがあってはまずい、そういったような観点からそういうような発表についてのルールがあることは事実でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 企業のためにとか、えらい言うておるけれども、原子力研究所の企業というのは何だ。原子力基本法で原子力研究所をつくるときに国会で論議になっている中で明確に――当時の提案者は中曽根さんですよ。中曽根さんは、電力会社の下請をしたり、そういうことをするところじゃございませんとはっきり言っておる。そうして自主、民主、公開という原則を確立したんだよ。ところが、内部の研究者が研究している――自主、民主、公開を明らかにしておきながら、内部の問題について、内部の職員がそのことについて発表する自由がありませんというようなことになってきたら、原子力研究所が、たとえばいま起こっている問題を、各地で電気会社の発電事業を行なっていく、それについて研究者の皆さん方が、安全性の問題についてどういう見解に到達してきているのかということについては、いろいろな角度から専門的にその分野で勉強しているから、そういう知識を求めたい、そういうときに、あなたのさっきの話だったら、理事長の承認なしにはそういう話はできないんじゃ、それは開発に重大な影響を与える。そうしたら、あの原子力研究所をつくるときの精神が狂ってくるじゃないか。自主、民主、公開とは何ぞや。私はあなたが提起している問題は非常に重大な問題だと思う。これについてもあなただけじゃ話にならないので、委員長、これも私、大臣を呼んではっきりしなければならないと思う。  しかも私がこの問題を出しているのは、科学技術特別委員会じゃないんだよ。出したいのは、そういう人事部長通達で、あなたが言わんとするような精神が人事の問題として出てきて、そしてこのあとに先ほど言われた査定が出てきているんだ。だから、ものは言わさぬぞという、そういう理事長権限に全部を持っていっている。曲解していってしまっていますよ、法律を。当時の制定の精神を全部踏みにじっている。そうして内部においてもこういう重大な問題が起こっている。だからそれは原子力の研究所のあり方の問題から、労使関係のあり方の問題から、基本的に日本の原子力のあり方について重大問題をもたらすものだから、あなただけではだめなんだ。私はこの質問は全部留保しますよ。大臣に出席してもらってもう一つ詰めていきたいと思いますので、委員長、これで私の質問は終わります。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大臣いる間にちょっと重大なことを伺っておきます。  先般の国会でも労働災害の点で、だいぶこれは重要視しておりまして、法改正さえしてこれに対処しております。それで頸肩腕症候群、こういうような病名が新たに出てきたのですが、大臣は頸肩腕症候群というのを知っておりますか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 どうも十日くらい前まで知らなかったのでありますが……。頸肩腕症候群を十日くらい前に知りました。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この頸肩腕症候群、これも新しい病気のように思いますが、実はこれは新しくないのであります。ここに罹病者の語った悲しいことばも、大臣、あるのであります。その手記がたくさんありますが、そのうちの二つ。「去年の夏から右手首が痛く、八カ月の子供をおんぶしようとしたとき右肩に激痛を感じ、畳に放りだしました。泣き叫ぶ子供をどうすることもできず、それ以来、子供は母を拒否します。子供の世話は夫がやり精神的にも危機にあります。指圧、マッサージで月一万円もかかります。家庭生活の破壊です。」こういうような手記があります。また別な罹病者の家族の訴えでも、「娘はいま家で何もしていません。運動とか家事手伝い等したらすこしは良くなると思い娘に言いますが、それができないと言うのです。私も仕事につかれ帰宅しますが毎晩肩もみをしているありさまで家中で困っています。」ある罹病者の母親の訴えです。そのほかこういうのがたくさんございます。とにかく知らないと思われているようなこの世界の、またそれも職場の片すみのほうで、それも婦人が頸肩腕症候群、こういうような名のもとに苦しんでいる。職業婦人です。そして救済が完全にいっているかどうか。労働災害に対処して法改正までした労働省ですから、こういうような点についてはちゃんと点検しているはずです。これらの救済は完全にいっていますかどうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 島本先生御指摘のように、相当期間前からキーパンチャー等を中心に頸肩腕症候群というような職業病が発生してまいっております。近ごろはさらにそれがキーパンチャーのみならず、類似のいろいろな、レジスターを取り扱う人であるとか、あるいは一部の電話交換手の方々等々、広くそういう症状が出ておるわけでございまして、これにつきましては労働省はかねてから学識経験者によります専門委員会に、キーパンチャー等につきましての作業の基準をつくってその予防の指導をするとか、あるいはそういう頸肩腕症候群にかかられる方の業務上疾病の認定の基準をつくりまして、そしてそういう方々の認定を迅速、公正に行なって適正な労災補償を行なう等々のために努力をしておるところであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 迅速、公正に行なっている。よくわかりました。大臣、これはもうどういうような状態であっても、こういうような労働災害に対しては法改正をし、まさに迅速にこれを救済するという立場をとったのですから、どの省の所管であろうと、これは大臣としてもその趣旨を徹底さしておかなければならないと思います。それはよろしゅうございますね。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 先ほど頸肩腕症候群という名前は十日前に聞いたと言ったのでありますが、島本議員も御承知のように、郵政関係で約十年やっておりましたから、現地でも御婦人の方の、ここが痛いんだ何だといういろいろな病状については現地で私見たのであります。ところがどうも名前が、新語でありますのでちょっと覚えにくかったので、十日前に聞いたと言いましたが、かような疾病の問題、特に産業界がこのごろいろいろ改革されて、電電公社も、現地を私は十数回見ましたが、いままでにないいろいろな疾病が生じた。これに対しましては、電電公社の問題ではなく、労働省としては万般の、これに対するいろいろな問題に対しまして対処することは局長から申し上げたとおりで、大臣といたしましてもこれに対して島本議員の御指摘のような方向に沿って善処いたしますことを確約いたしまして、実は十一時四十分から必ず予算委員会の一般質問に出るという約束をいたしておりますので、あとのことについてはひとつ局長から十分御説明いたしたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 よくわかりました。では、これは法のたてまえによって迅速に適確に救済する、こういうようなお考えですね。それだけははっきりして、あとは退席してもいいです。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 なかなかこれは各省との関係があって、労働省との関係があって、労働省がこうせいといったって郵政省のほうが私の意思どおりになかなか動かぬという場合があっても困るけれども、これは熱意をもって、御承知のような関係で、郵政省とも従来の関係がありますので、島本議員の御指摘のような方向に大いに善処して、その方向に沿うように努力をいたしますことを労働大臣といたしましても意見を申し上げておきます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 では、この業務上外の災害としての認定の関係はどうなっておりますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 電電公社につきましては、業務上の疾病、負傷につきます災害補償につきましては、電電公社がその規制に基づいてこれをやっておるわけでございますが、しかし労働基準法の適用という意味におきましては労働省の所管でございますので、労働省といたしましては、十分に電電公社に指導をいたしまして、そしてわれわれの認定基準等の公正な適用によりまして、適正な認定、補償がなされるように指導してまいっておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 答弁なっておらないです。一般もあるでしょうし、公務員もあるだろうし、公社員もあるだろう。あなたは公社員だけを言ったのです。一般はどうなっていますか。公務員はどうなっていますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 一般の民間につきましては、これはまさに労働省の所管でございまして、特に労災補償に加入しておる民間企業につきましては、業務上の疾病として頸肩腕症候群にかかっておるということであれば、労災保険の給付の対象になるかどうかということで、業務上外の認定を労働省がいたしまして、それに当たるということであれば労災から補償をいたしておるところでございます。国家公務員につきましては、これは総理府の人事局の所管でございまして、国家公務員災害補償法に基づいて処置がされるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 一般の場合には労働基準局、公務員の場合は人事局、電電公社の場合は企業主。もしそうだとすると、公平の原理に立って認定しなければならないということになっておりますけれども、企業主が認定する場合に公平を欠く、こういうようなことに対しての配慮がなされているかどうか。たとえば、みずからの責任にしたくないというのは人情ではありませんか。そうだった場合には不服審査の場合もあるじゃないか、こう言います。不服審査の場合は、内部で上部に上げているだけじゃありませんか。同じような決定をする。こういうような状態にしておいて、すみやかに、適確に救済するという法の精神にこれは沿っていないじゃありませんか。そうだとすると、決定は変わらないのですから、基準法の適用除外になっておるということがおかしくなってくる。この問題についてははっきりしておかなければだめだと思いますが、この方法その他について何か思い当たるところがありませんか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 電電公社の件についてお尋ねだと思うのでありますが、電電公社の職員に対しましては基準法の適用があるわけでございます。ただ労災保険には加入いたしておりません。したがいまして、使用者である電電公社が基準法に基づきまして業務上疾病に対する補償を行なう、こういうことになるわけでございますが、基準法の所管官庁として、労働省としてはそれが公正迅速に行なわれるように指導いたしておるわけございまして、その業務上外の認定につきましても、労災についてわれわれが定めております認定基準等々を適正な適用によって、正しい業務上外の認定及びそれに対する補償が行なわれるように今後ともつとめてまいるつもりにいたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 基準法七十五条、業務上の負傷、疾病については使用者が必要な療養を行ない、費用は負担しなければならない、これが精神ですね。その疾病及び療養の範囲は命令できめるわけですね。そしてそれが規則の三十五条に明定されておるわけですね。そしてその三十八号で「その他業務に起因することの明かな疾病」ということになって、医師によって業務外という反証ができない場合には、当然業務上として認定されることはあたりまえだと思うのですね。ところが現在の場合は、職場との因果関係が立証されなければこれはだめだということになって、全部業務外になっている。こういう事実を御存じですか。そして法の精神、こういうようなものに沿っていないような運営がなされるような通達を出しているのは労働省じゃありませんか。この三十八号で、これによってやって、いろいろその中に、業務量が膨大でなければならないとか、特に変わった状態でなければならないとか、多量の業務量でなければならないとか、あるべからざる要素を想定していて、それによってこれに当てはめることが困難になる。     〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 したがって、全部業務外と認定されてほうり出されてしまう。そしてここに暗いような、それも叫べないような女子の職場にこれが多いという実態。労働省自身これは法の精神を踏みはずしているとは思いませんか。こういうような状態です。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働省が認定基準を定めておりますのは、労災保険加入者に対しまして労災上の、業務上の認定をする場合の基準でございますけれども、基準法に基づいて使用者が業務上の疾病の認定をする場合には、当然この基準によることが妥当であるとわれわれ考えております。したがいまして、電電公社に対しましても、この労働省が定めております認定基準に従って業務上外の認定をしていただくよう連絡をいたしておるところでございます。ただ先生御指摘のように、その労働省の認定基準の中に幾つか項目がございますが、その中には業務との関連性という意味におきまして、その業務量が同種の他の労働者の業務量と比較して過重である場合、業務量が一定せず、一時的に業務量が大量に増加するなど、業務量に大きな波がある場合等々の例が掲げられております。したがいまして、この認定等につきまして必ずしも現場現場において認定が容易でない場合があるようでございます。これにつきましては、電電公社の職場と必ずしも全く同一のものが民間にあるかという点になりますと、非常に特殊な問題もございまして、電電公社においてもいまいろいろそういう面につきましての研究をし、そして新しい業務の管理の基準等もつくるべく努力しておられるというふうに聞いておりますので、私どもも電電公社と十分に連絡をとりまして、すみやかにそういうことによって適正な認定が行なわれるように指導してまいりたい、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これからやるではおそいですよ。なぜこれをもっと前にやらなかったのか。その間に大臣さえも読めなかったような頸肩腕症候群、こういうようなものの被害者がずっとふえておるのです。昭和四十三年に三十九人、四十七年に三百十六人、しかし認定はだれもない。増加するのにどうしてまだ認定ができないか。いまの通達、これが重大な一つの障害になっている。そうだとすれば、これを救済するために手を打つ、これは常日ごろからやっていなければならない問題です。基本的には疾病を起こさないということが第一なんです。ところが、もう罹病してしまっているんです。それでも適切にして妥当な救済がなされないんです。なおさら重大じゃありませんか。業務との因果関係がわからないだけで業務上扱いが認定できない、こうしたならば、救済の点で一番問題になる。ですから基発第七二三号、四十四年十月二十九日とありますね。この解説の3、これに不備があるんじゃないか。これはもう一回再検討を要するんじゃないか、このことなんです。だからこれを十分実施し、救済できるように――いまできないのが現状ですから、これから電電公社に聞いてみますが、そういうような通達を出しておいて、あとから、これから協議します、これでは労働省は――いま大臣はそんなことないように救済するんだと言っておりましたが、救済されないような通達を出しておいて、患者がふえて、これから協議します、これでは法の精神にもとる。法の精神とは、そもそも労働災害に対して改正までして対処した。それと同時に、適確にして迅速に救済する、あなたも大臣も言明した。それがいまだに三百十六人、一人も認定者がいない。そういうような人たちが悩んでいる。そうだとすると、これは重大な問題だ。この件は再検討を要するんじゃないかと思いますが、再検討しなくても現実にやってまいれますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この昭和四十四年の十月に出しました「キーパンチャー等手指作業にもとづく疾病の業務上外の認定基準について」とございますのは、当時一番問題であったのがキーパンチャー等の頸肩腕症候群の問題だったわけでございます。そこでキーパンチャー等を中心といたしまして認定基準をつくりました。キーパンチャーにつきましては作業管理基準というものを設けまして、一日にどのくらいの時間そういう作業に従事するのが作業管理として標準になるのか、あるいは一日何タッチくらいあれするのが作業の標準としては妥当なのか、そういうような標準もきめまして、先ほど先生が御指摘になりました業務量の認定等もそれを基準にできるようにして、キーパンチャー等についてはこの通達によりまして円滑な認定がなされておる、私かように思うわけでございます。その後先生御指摘のような電電公社のプッシュホン方式であるとか、そのほか類似の、キーとは違いますけれども、ボタンを押す式のいろいろな作業が技術の進歩に基づいて出てまいったわけでございます。新しいそういう技術につきましては私どももできる限りそれに対応するように研究をし、勉強をいたしておるところでございますが、新しくその後出てまいりました問題でございますので、電電公社におきましても専門医を中心といたしましてプロジェクトチームをつくって、そして医学的な研究を行なっておられるというふうに聞いておりますので、私どもその成果に期待をし、電電公社とも連絡をとりながらすみやかにそういう点についての一つの基準というものが明確になるようにいたしたい、かように存ずるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 のろい、のろい。そんなんじゃ。これから連絡してやるといったって、いままで苦労している人。何年苦労しているか。それに労働者に及ぼすところの不利益は重大です。たとえば業務上と認定する場合は、これは休業して一〇〇%の補償で療養できるのです、この三項の適用によって。業務外、こういうような認定になると休職になって、三年たてば最悪の場合は免職ですよ。そしてその間、一年半は八〇%の給与ですよ、そしてあと一年半は無給でしょう。こういうような状態では、認定するとしないとで労働者に及ぼす影響はきわめて重大なものがある。労働省はそういうような点を考えて法の措置をしたじゃありませんか。それがまだこういうように日の当たらない場所も残っていた。ですからこういうふうにしてみると、業務起因説、これを立証できなければアウトなんだ。したがって、これはもう業務上として認定することはできない、こうしたならば、認定されない人は同じ労働者としてはまことに困った状態にあるわけです。業務上として認める最善の手段を講じなければならないはずです。最善の手段をいままで講じていなかったじゃないですか。何で労働者の責任なんですか。その点は労働省として十分考えておいて指導しなければならないと思うのです。こういうような点は、私はまことに遺憾です。いまからでもおそくはない。これから十分これに対処しなければならない、こういうふうに思います。  それで、電電公社のほうでは、これはどうして頸肩腕症候群を業務上と認めて対処できなかったか。いままでのこれに対するいきさつをお伺いいたします。

小沢春雄日本電信電話公社厚生局長

○小沢説明員 お答えいたします。  私どもといたしましてはできるだけこの認定につきまして――先ほど来お話しのように、電電公社の場合は事業者側がこれを決定するということになっておりますので、これを公平に行なわなければいけないということで、他の二公社に先がけまして認定の審査委員会というものを設置いたしております。これは通信局段階と本社段階と二つございまして、公社側から四名、それから労働組合員側から四名ということで二段階の審査委員会をつくりまして、そこでいろいろな本人から申し立てがありましたデータを十分検討いたしまして、意見を聞くというような機会をつくって、できるだけ公平に行なうように実施しているところであります。  ただ、先ほど来お話しになっておりますように、この内容につきまして私どもといたしましては、労働省の基発第七二三号の中に、他の同種の労働者の業務量に比較して過重である場合というような一項がございますが、これをどのように調べるかという点が問題でございまして、電電公社の交換手というような場合には、他の業種にはなかなかこれだけ大量の通話をさばいているというようなところはございませんので、電電公社の中に現在いわゆる一〇〇番、これは記録通話でございますが、一〇四番、市内案内、一〇五番、市外案内というふうな交換台がございまして、これを扱っている局所が約五百五十局所ございます。これは郵便局に委託しておる委託局所を除きまして五百五十局所ございます。これに従事しております交換手が全国で七万人おります。これらの交換手の仕事は、大体全国的に同種同類の仕事を行なっておりますので、私どもといたしましては、この五百五十カ所の交換台の実情というものを横で比較いたしまして、これがある局所について、あるいはある交換手の扱い量について著しく過重であるかどうかということを取り扱い数量的に調べるわけでございますが、電電公社の場合には取り扱い数量というものが他の業務に比較しまして比較的わかりやすく数量をとらえられる業種でございますので、何十回扱ったかというようなことが数字的にもわかりますので、これを横で比較いたしまして、他の同種の労働者の業務量に比較して、その局所、その個人が過重であるかどうかというようなことの認定ができますので、そのような数字をもとにいたしまして、これを先ほど申し上げました審査委員会の席上などでもいろいろと論議いたしまして、最終的には本社の厚生局長が決定するというふうな仕組みをとってまいっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その仕組みはわかりました。厚生局長は新任のようでありますから、いまあなたが、何をやってきたかということを言うのは酷かもしれません。いままでの厚生局長が診断を下していた。一人もないというようなのはどういうわけですか。それも名古屋の市外電話局所属の十二名、業災認定を申請してきた。そして業務上と認めない理由を付して、これは戻されておる。この内容を見ますと、この十二名の人、一人だけは書痙ということで認定されておって、あとは全部アウトであります。その理由の中で重要なのは、中部労災病院の整形外科の小菅医師がはっきりこれに対して意見を加えているわけです。業務上扱いを妥当としておるわけです。しかし業務内容の因果関係については、公社の電話交換業務の内容が不明であるため、判断の対象外としておるわけです。お医者さんですから、これは業務上だというのは医者として認定できる。ただ、それが業務との因果関係ということになったら、医者は交換事務は特にしておりませんから、その認定は公社に一任する、こういうようなことは当然だと思います。ところが、専門の医師が診断をして業務上扱いを妥当として業務上として認定してきた。しかし公社のほうでは、業務上外の認定は公社が作業内容等を勘案して判断をすべきである、こういうふうな解釈からして、具体的な業務起因説を立証する事実はない、こういうようなことで業務外として扱ってきた。したがって、そうなったならば、かわいそうなのはこの被害者じゃありませんか。医者は認定しておる。ところが因果関係、これは医者は立証できません。それを公社のほうにやると、公社はそれは業務外だ、こういうふうに言って、いままでこれになった人の救済はどうなっておるか。いま言ったとおりなんです。これは早く救済しなければならないと思うのです。いままでの点はまだしも――公害は最近は一つの大きい社会的な課題になっているから、これは疑わしきは罰せずじゃなくて、疑わしきは救済するという態度に国の態度が変わったのです。そういうふうな状態になっておるのに、ここは依然として疑わしきはとらない。こういうふうなことでやるとするならば、もう一世紀おくれておると思うのです。こういうふうな点は労働省と十分相談の上で早く認定するような、そして救済するような手だてを試みなければならないはずだと思うのです。私は、もう大臣いませんから、政務次官、こういうふうな問題が隠されてあるのですが、これは労働省とよく相談の上で善処しなければなりません。この点については労働省当局としてはどうですか。

葉梨信行自由民主党労働政務次官

○葉梨政府委員 電電公社と十分に連絡をとりまして、適正な認定が行なえるようにいたしたいと思います。特に認定基準につきましては、そのときどきの最上の医学的な水準にのっとってつくられておるわけでございますが、いろいろな状況の変化、作業環境の変化等も加味し、また医学も進歩するわけでございますから、それらの進歩を勘案いたしまして、できるだけ現実に即するような認定基準をつくるように指導させたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そのためにはやはり基発第七百二十三号、昭和四十四年十月二十九日、この中で一、二はいいが第三の点は特に検討を要するのじゃないかと思います。この点は特に検討しておいてもらいたいのであるけれども、この点はどうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この3の適用につきましては、確かに先生御指摘のような点が文章上あるわけでございます。そこでこの通達を再検討するか、あるいは別個に作業管理基準のようなものを明確にして、それによってこの業務量の判断の基準を明確にするか、いずれかの方法を今後講じてまいりたい、かように考えるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いまの場合やはり認定の問題が一番大きい問題ですから、それを善処する必要があります。そのようにして早急にやってもらいたい。このままにして、いまの通達が改正されるか、あるいはまた別な基準をきめてそれによってやるか。そうでない限りにおいてはやはり不服な場合には業務災害審査委員会というようなものが、たとえば電電公社なら内部にあるわけであります。そして運営の問題でありますが、中央、地方ともに労使同数、四対四の割合でこれを判定する、いつでも可否同数なんです。そうだから、認定できないから上へ上げてやる。上に上げてやると、やるのは当然公社内の厚生局長になりますから、厚生局で同じ内部、下から上へ持っていっても同じ基準でやるわけですから、これはいつもアウトなんです。こういうような仕組みになっていますから、この点をよく考えて、今後こういうことのないように当然すべきだ。このことだけは強く要請しておきたいと思います。  次に、電電公社のほうではこの医療体制はどうなっていますか。

小沢春雄日本電信電話公社厚生局長

○小沢説明員 お答えいたします。  先ほどお話に出ましたように、関東逓信病院専門医のグループからなりますプロジェクトチームをつくりまして、これが調査研究を早急に進めております。  それから私どもといたしましては、御指摘のようにこの病気が最近ふえつつある形勢にございますので、まず入社のときに、これは四十八年度からでございますが、入社のときにこの病気にすでにかかっておるか、あるいはかかりやすい徴候を持っているかというような検査をするようなことをつけ加えました。それから一たん入社しました者に対しましては、職場で健康診断というものを毎年一回ないし二回行なっておりますが、従来はこの病気に対する診断項目がございませんでしたけれども、今度は新しくこれに対する項目をつけ加えまして、交換手さんその他の職員に対して、この病気に対する一定の検査を実施して、病者を早期に発見するというふうな措置をとっております。それからこの病気にかからないように予防するということもたいへん大事でございますので、これについては、たとえば職場体操というようなものを――左右の運動の不均衡ということが非常に悪いというようなことも出ておりますので、職場体操などをやらせる。あるいはマッサージ機などを職場に備えつけて、休憩時間にマッサージ機にかからせるようなこともいたしております。それから一たんかかりました者に対しましては、むろん重い者は入院、それから加療というようなことでございますが、これも従来の私傷病ですと休暇をとって病院に行くというふうになっておりますが、この病気に対しましては勤務時間の差し繰りとかいうようなことも考えまして、休暇をとらずに病院に通えるというような措置を講じておるところでございます。それから先ほどお話しの労災病院と指定病院の診断がありました者につきましては、勤務の軽減あるいは必要な場合は職務の転換、職転でございますが、これを行なうというふうな労使の約束もできあがっております。さらにこの病気の治療には、はりときゅうが非常にきくというようなことがいわれておりますが、従来はこのはり、きゅうは六カ月を限って共済組合から医療費を給付しておったのでありますが、これも労使の話し合いでさらに一年、したがって一年半かかれるようにいたしまして、一年分については電電公社が治療費の一部を負担するというふうな体制もつくっております。  それから重い方で、先ほど先生の言われました休職になるような者の場合は、この病気は私傷病でございますので、本来なら最初の一年間が八〇%の給与を受け取りましてあとは無給ということになると思いますが、休職の全期間について八〇%を給付する。現状の制度でいいますと、おおむね結核並みに扱うというような医療体制をつくりましていろいろと手当てを講じております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 労使協議の結果その辺までやっている、わかりました。しかしせっかく副総裁も出てきているのですから、はり、きゅう、こういうようなものを一年、これほどまで延ばしてやるとしたならば、なおるまで認めてやって、健康保険の対象外になっている被害者が苦しむようなことがないようにしてやるのが、私としては使用する者の当然のつとめじゃないかと思うのです。せっかく一年半、それほど認めてやるのであったならば、なおるまでこれをやってやる。これくらいは当然やってやっていいんじゃないか、こう思いますが、これは公社当局はいかがでございますか、副総裁。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 はり、きゅうというものに対して、治療の特別措置をすることにしたのでありますが、はり、きゅうという問題だけに関すればもう少し前向きな姿勢で検討してもよかろうと思っております。この制度もごく最近、この暮れに労使との間で団体交渉を持って諸般の約束をつくったばかりでございますので、私どもとしてもこの病気の数を少しでも少なくする――労務災害として、業務上の疾病として取り扱うかどうかということは非常に大きな影響もございますので、まず事前に病人を少なくする。それからそれの療養につきましても従来より一歩前進した措置をとる。それから認定も、先ほどおしかりを受けましたけれども、そう簡単に七百二十三号の通達にないからといってほうり出すわけではございませんで、ずいぶん審議の結果、どうしてもこういう原因が見当たらないということでやっておるわけでございますが、これも今後は災害補償の審議会が初めて運用されることでございますので、多少変わった結果も出てくるのではないかと存じます。いずれにしましても労働省とも十分また相談し、先ほど小沢局長が申し上げたような線も十分検討しながら、この病気の未発あるいは数の少ないことを期して努力したいと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もともとこれは被害者というか患者に罪はないのであって、そういうような病気にかかった場合は早く根絶させるところまで医療給付をしてやる、こういうようなことまでして、それでも病気になった人はからだの障害がなおらないのですから、最後まで残るのですから、そういうようなことを考えたならば、この通達そのものももっともっと意を尽くすように十分考えなければならないはずであったと思います。ただ、労働省の通達そのものも問題があるにしても、公社がその通達の解釈を狭めて運用しておったということ、こういうようなことについてはやはり今後の問題点としてこれを解決しなければなりません。せっかくここで両方協議して万全を期するという答弁もありました。また三項等につきましては十分そういうようなことによって障害にならないように別な方法も考え、基準も考える、こういうような答弁もありました。早くそれをやっておいてもらいたい。そしてこれは指定病院の診断書、これは労使双方の協約できめられた指定病院の診断書が提出されてもこれが認定されない。病院の先生の診断書、これをしろうとが認定しないということはおかしいのです。専門家の認定、これをしろうとがくつがえす、こういうようなことはどう考えてもおかしいのです。しかし、これはおかしいといっても覆水盆に返りませんから、今後運営の点について万全を期してもらいたいのです。双方とも、労働省はこういうような一つの通達自身が狭められて解釈されておったということだったならば、話し合いによって早くこういうような隘路を打開すべきです。公社自身も積極的にそういうような点では、その職場に働いて被害を受けた人ですから、罹災した人ですから、早くこれを救済するように、そして医療の万全を期してやる、これがやはり使用者としてのつとめだと思います。いままで、四十七年の十二月二十五日以降、通信局に上申があったもの、これが全部で七十四件現在まであるようであります。それも非認定、未認定。こういうふうにして見ますと、なかなかこういうような問題についてはやりたくはないだろうと思うのです。しかしこれはやらなければならない使用者の義務です。こういうようなことを考えて万全を期してもらいたい、こういうように思います。これはもう労使じゃありません。     〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 いろいろ資料はあるのですけれども、特に労働省としてはこの点は十分救済の実をあげてほしいのです。そうでなければ、これはとんでもないことになるおそれもありますから、この点について双方の代表者からはっきりした意見を伺いたい。

葉梨信行自由民主党労働政務次官

○葉梨政府委員 先ほど答弁申し上げましたように、最新の医学の成果を取り入れまして、できるだけ厳正な認定ができるように、電電公社と相談しながら進めてまいりたいと思います。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 島本先生の貴重な御意見をいただきまして、今後もまた労働省と十分相談の上、その趣旨に沿って努力したいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 早期にこれを解決するように、そしてこういうような人たちが職場の中で一人さびしく呻吟することがないように、この点を強く要請しておきます。  そして労働省には特に通達の不備な点、これをもう一回全部洗い直しをやってもらいたい。そして公社のほうでは、それを狭めて解釈していた事実があるかどうか、これをもう一回検討してもらいたい。そして労働省当局としては、こういうようなことは労働省は指導の義務がありますから、これが法の精神にかなって運用されているかどうか、十分点検しておいてもらいたい。このことを強く要請いたします。  そしてこの成果について、一週間後にどういうように措置したかということを、ひとつ私のほうに報告してもらいたい。これは事務的に報告してもらいたい。局長、一週間後に、どういうふうにしたか、これを私の手元に報告してもらいたい。これを委員長を通じて要請申し上げておきたいと思います。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 委員長から申し上げますが、先ほどの件につきまして、その結果を報告するということでよろしゅうございますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先ほど政務次官からも御答弁申し上げましたようなことで努力いたしますが、一週間以内に結論が出るかどうかわかりませんが、一週間後に状況を先生に御報告いたすようにいたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 終わります。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私が質問をいたしたい内容も、いま島本委員が御質問になりました頸肩腕症候群の問題でございます。  島本委員は主として電電公社の職場におけるその職業病についてお話があったわけですけれども、私がここで取り上げたいと思っておりますのはスーパー、われわれが日常生活で非常になじみのありますスーパーの、店の花ともいわれるレジ係、チェッカーといわれる女性、主として若い女性でございますが、その職場における職業病について御質問したいと思います。  いま島本委員から御質問がありまして、それに対して労働省あるいは電電公社の当局の方から御答弁がありましたので、その中にも出てまいりましたけれども、私どもがこの病気について非常に衝撃を受けましたのは、御承知のとおり昭和三十年代、事務機械の導入とともに証券会社などでキーパンチャーというもの、そういう仕事の領域が非常に広まってまいりまして、それが話題になっておりますうちに、やがてキーパンチャーの中に肩から指先にかけてしびれがくるということで、非常に絶望して、ある一人のキーパンチャーが自殺をするという事件が起こったのを記憶するわけでございます。その結果、キーパンチャーの職業病問題に対処するために、企業側もあるいは労働省も、その解決のために作業管理基準というものを設けたというふうに伺っているわけでございます。それがどういうふうな影響を持ったか私もよく存じませんけれども、その後キーパンチャーの職業病にからむ悲劇は跡を断っておるやに考えられるのであります。実際はその点どうであるかということは私もよくわかりませんが……。  ところが昭和四十年代、いわゆるスーパーが非常に発展するに伴いまして、最近になりますと、今度はスーパーのレジ係の間に同じような病気が起こっておる。それでいろいろその職場にある人たちの声を聞いてみますと、チェッカー、レジ係はキーパンチャーのような作業管理基準というものは全くないということでございます。先ほど島本委員は質問の冒頭に病気にかかった方々の手記を朗読されたのでありますけれども、それと同じようなことがチェッカー、レジ係の間にも起こっておるというふうに聞いております。これはたいへん重大な段階のように思われるのでありまして、スーパーの労働組合が自主的に調査し、あるいは専門家に依頼して調査したところによりますと、チェッカーの場合でも、従業員五百八十一名のあるスーパーで調査いたしまして、五百八名がアンケート方式で回答した、そのうち実に自覚症状で異常のある者は四十六名に達しておる、約一割がもう自覚症状がある、こういうふうなことでございます。非常に重大な段階に到達しているように思われますので、私はこの問題につきまして緊急に労働省で対処していただきたい、こういうふうに思うのであります。チェッカーの場合の作業管理基準を早急に設ける考えが労働省のほうにおありになるかどうか、その点について、これを要望する意味で御質問したいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 キーパンチャーにつきましては、先生ただいまお話がございましたように、昭和三十九年に作業管理基準を設けまして、このキーを打つ作業は一日三百分以内、それから連続してキーを打つ時間は六十分をこえない、あるいはその後十分ないし十五分の休憩を与える、あるいは一日の平均タッチ数は四万タッチをこえないようにするといったような基準を設けまして、これによりましてキーパンチをやるよう事業所の指導をいたしておるところでございまして、私どもその後の経過で見ますと、これが厳正に守れればキーパンチャーが頸肩腕症候群などに罹患することはまずまずないのではなかろうか、こういうふうに考えて、これを守らせるような指導をしておるところでございます。しかし、その後先生御指摘のようなスーパーなどで、セルフサービス方式等等によってレジが非常に忙しくなるといったような作業態様の変化等もございまして、これにつきましては、レジなどを打つ回数はキーパンチャーよりもはるかに少ないわけでございますが、ボタンを押す力がキーパンチの場合と違う等々の事由で、最近ではそういうレジスターの操作をしておる方にも頸肩腕症候群ではないかと思われるような状態が出ておるということを私ども承知をいたしたのでございますが、しかし、スーパーのレジ作業等は、作業態様が事業場によっても非常に異なりますし、企業によっても非常に異なりまして、きわめて複雑な条件にございます。必ずしも一様ではないのでございまして、繁忙時における作業等が健康障害の原因となる場合も考えられますが、必ずしもその実態が明確でございませんので、最近急いでその実態の調査に取りかかりますとともに、専門家等にもその研究を御委託いたしたりいたしておるところでございます。  そういうことで、現状どの程度の作業でどういう症状が出るかというようなことは実態的にも医学的にも必ずしもまだつかまえられておりませんので、すぐに作業管理基準をつくるというまでにはいかないかと思いますが、なるべくすみやかに指導基準のようなものをつくりまして、そういうような疾病の発生の予防をはかりますとともに、その実態調査あるいは医学的な研究の進展を見まして、できる限り早く、これらについてもでき得れば作業管理基準のようなものをつくって、そうしてこういう疾病の発生がないような指導をいたしたい、かように考えておるところでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまの局長さんのお話ですと、これから調査するというような、たいへんのんびりしたことを言っておられますけれども、去る二月の二十日の読売新聞にもたいへん詳しい資料が出ているわけです。これは、まあ一たびスーパーをごらんになればわかるわけですけれども、大体そんな程度のことしかまだ調べてないわけですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これからじゃなくて、すでに調査にかかっておるわけでございますが、キーパンチャーなどでございますと、大体一定のスピードで一定の作業を経常的にやるわけでございます。スーパーなどの場合ですと、一つの事業場によっても違いますし、あるいは日によっても違います。あるいは一日の中でも繁忙時間等々が非常にまちまちでございまして、どの程度の作業をどの程度の時間継続してやればそういう症状が出るのかというようなことは、やはり実態をよく調査してみませんと、直ちにはなかなか結論を出しがたいのではないか、かように考えて、いまその調査にかかっておるところでございます。なお、医者等の専門家にもその点についての調査研究をすでにお願いをいたしておりますので、できる限りすみやかにそういう調査の結果あるいは医学的な研究の結果を得まして、必要な作業管理基準等々の作成につとめるようにいたしたい、かように考えるわけでございます。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 いま局長が申しましたとおりでございますが、全国的調査はもうすでにかかっておりますが、すでにこの問題は一昨年あたりから問題になっておりまして問題が集中いたしますのは大都会中心でございますので、東京それから神奈川あるいは大阪、北海道というような大都市につきましては調査をすでにいたして、その実績についてある程度の把握をいたしております。たとえば一日の正味の作業時間でいいますと、四時間半をこえる者が六三%もある。あるいは食料品、衣料品、電気器具、いろいろスーパーの種類がございますけれども、タッチ数が一番多いのは食料品売り場関係で、平均しましてやはり一日二万タッチ近いような実態にあるとか、あるいは定期健康診断につきましても若干不備がある。休憩室等は、スーパーができまして以来からたいへん狭いところで休憩室をとっておるというような実態がございますので、それを踏まえましてさらに今回もう少し精密な調査をいたしまして、なるべく早い機会に局長の申しましたような作業管理の標準ないしはさらに進んで基準的なものを出したい、こう考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま部長も言われましたけれども、これはもうかなりあちこちで調査が進んでいると思うのです。新聞に出ておりますように、キーパンチャーの場合は一日の正味作業時間を五時間以下というふうにしておりますが、いまのチェッカーは大体平均七時間四十五分くらいやっておるというような調査も出ているわけです。実際にそうだろうと思うのですね。それから一つの連続の作業時間、これもキーパンチャーの場合は六十分以内に休むことになっていますけれども、チェッカーの場合は三時間をこえるような場合もかなりあるというふうに聞いております。これは私も実際にそこで働いている人から聞いたんです。休憩時間はキーパンチャーの場合は一斉に休むことになっております。午前中は六十分やって十分休むんですか、午後は十五分になるんですか、そういうようなことでありますけれども、スーパーの場合は、客が絶えず来るわけですから、交代で昼休みをする、また交代で休憩をするというようなのが現実のようでありまして、事実上ゆっくり休むことができない、非常に悪い条件の中でやっているようであります。いまいわゆるタッチ数だけで比較しますとキーパンチャーのほうが多いようでありますけれども、キーパンチャーの場合は一つの部屋で一斉に休憩がとれますけれども、スーパーの場合はそれができないということになってまいりますので、実際に休憩時間をとりにくいという面があるわけです。しかもスーパーの場合は、もうすでに御承知のとおり、百貨店法の規制にも入りませんし、そういうことで労働条件をチェックする手だてというものが非常に薄弱であるというようなことから、スーパーが発展するに伴って労働が非常に過重になっているということがいえるんじゃないですか。こういうようないろいろな点を考えまして、また、働く部屋も、キーパンチャーの場合はちゃんとした部屋でやっておりますけれども、スーパーの場合は、見てますと、大体入り口にレジがありまして、外からの外気が入ってくるし、非常に喧騒でもあるというようなことをいろいろ考えてみますると、どうもキーパンチャーよりももっときびしい水準の作業管理基準が必要じゃないか、私はこう考えるのでありますが、労働省ではそういう点についてどう考えるか、ちょっとその点を伺いたい

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 キーパンチャーとチェッカーとの対比は、一がいに必ずしもできないと思うのです。たとえばキーをたたく力と、それからレジを押す力等とも違いますので、タッチ数あるいは継続期間なども、これは医学的によほど研究をいたしませんと一がいに比較はできない、かように思うわけですが、確かに御指摘のように、スーパーマーケットといったような作業現場の状況、実態等からいたしまして、必ずしもキーパンチャーと全く同じにはいかない点もあるかと存じますが、それらの実態を十分踏まえまして、その上で先ほど申し上げました指導の標準なり、あるいは作業管理基準等をつくるには、実態に応じて、しかも十分にチェッカー等の健康の保護に欠けることがないような合理的な基準をつくりたい、かように考えるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 局長は十分実態を調べてからということでした。また先ほど、因果関係もある程度明らかにしてからというようなことばもあったわけですけれども、大体頸肩腕症候群というのは結局原因はあまりはっきりしないから、痛いところだけ名前をあげてつなぎ合わしたようなわけでして、この原因を明らかにしてからということでは事態は進まないと思うのです。キーパンチャーの作業基準というのも、必ずしも原因が明らかでないうちにともかく作業管理基準をつくったということが、キーパンチャーの相次ぐ自殺事件を食いとめるきっかけになったわけですね。そういう点から見たら、いまのような局長の答弁では、いまのチェッカーが当面している悩みは救えないと思うのです。ですから、もう二月もあと何日しかないわけですけれども、三月中には作業管理基準をともかく出す。ともかく出した上で、すでに起きている気の毒な人々の救済、治療にも当たるし、また原因結果を明らかにして、より安全な作業管理基準をつくっていくというこになると思うのですけれども、まず作業管理基準をつくるということがキーパンチャーの悲劇を救ったという一つの教訓から、まずここではスーパーのチェッカー、非常に若い少女が、働いているうちに突然腕の力、指の力が抜けて、持っている物も落としてしまうというような、こういう悲惨な事態をなくさなければいかぬと思うのですね。ですから、いま局長が言われたようなことではなくて、作業管理基準をまずつくる、そういう確約をしてください。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 作業管理基準をつくるにつきまして、たとえばキーパンチャーの場合ですと、一日三百分、四万タッチ以下ならばならないはずだといったようなことが、いろいろ調査なり医学的な研究の結果出てまいりまして、そういう基準が出たわけでございます。したがいまして、レジのような場合、一体どのくらいのタッチ数あるいはどのくらいの継続期間以上になると、そういう問題が、危険が生ずるのかというあたりを、やはり作業管理基準をつくりますには、ある程度実態なり医学的な研究が必要であるわけでございます。さっき先生おっしゃいましたように、すでにそういうようなことで悩んでおられる方が多数おられわけですから、すみやかにやはり必要な措置を講じていかなければならないという点は、われわれもさように感じておりますので、キーパンチャーの場合のような作業管理基準が三月末までに出せるかどうか、これはちょっとなかなかむずかしいかと存じますけれども、作業管理基準をキーパンチャーと同じような明確な基準で作成できます以前におきましても、何らかの指導的な処置なり標準なり、そういったようなものを示して、事前にでも必要な予防的な処置がとれるようにいたしました上で、なお厳密な意味の作業管理基準等については、先ほどから申し上げております調査の結果なり医学的な研究の結果等を見て、できるだけ早くそういう明確なものをつくりたい、かように考えるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 安全部長さん来ておられるので、いつも実態に接しておられると思うのですが、もう少しどうですか。キーパンチャーの場合が一応基準としてあるわけですから、それを土台にしてチェッカーの作業管理基準をつくることは、初めてつくる場合よりもはるかに早くできるのではないか。この場合幸か不幸かすでにそういう犠牲者、患者をたくさん出しております当の職場の人たちが、自分たちのいろいろな経験からこうしてほしいという一つの要求が出ているわけですね。そういうものと、すでにキーパンチャーで行なわれている作業基準等を勘案すれば、大体の線はすぐ出るのではないかと思うのです。それをやってみることがまず大事ではないか、こう私は思うのです。たとえばキーパンチャーの場合は五時間以下であったら、スーパーの場合は作業場の状態その他勘案して四時間以内とか、あるいは昼休み一斉に休みに入れないような状況を考えまして、チェッカーに二人制をなるべく取り入れるとか、そういうようなことをひとつ具体的に考えられないものですか、いかがですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 局長が答弁いたしましたように、レジスターそのものの種類その他いろいろの条件が違いますので、すぐにどうこうということは私も確約はいたせませんが、チェッカーとキーパンチャーと比べますと、作業条件はチェッカーのほうが悪いのではないか、私はそう思います。それからいまおっしゃいましたように前の集積もございますし、調査も一応整っておりますので、キーパンチャーと同じように何万タッチというような細部にわたっての基準はできないにいたしましても、先生のおっしゃるように年度内、三月末までには、たとえば事例によりますと、繁忙期五時間打ち続けというような実態もあるようでございますから、これにつきましては適当な時間を区切って交代制を導入をする、あるいはレジスター一台につき交代要員が全くないというようなものについては必ず交代要員を置いて交代制を導入する、そういうような点につきましては第一段階として指導の要領といいますか、標準といいますか、そういうものをぜひ出して、あと局長が申しますように医学的にコンセンサスが得られるものをなるべく早く求めまして、正確な最終の基準をさらに追加をしたい、こう思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 局長さん、いま部長さんからもお話がありました。なるべく早く作業管理基準を出していただくということが、かつてキーパンチャーの悲劇を救ったように、また今度のスーパーのレジのおとめたちの悲劇を救うことになる。それはできるだけ年度内に出すように努力してください、いかがですか、局長。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、作業管理基準とまでいかなくても、指導の標準であるとか、そういうようなものはできるだけ早く出すようにいたしたいというふうに申し上げましたので、これについては要すれば年度内に間に合いますよう、できるだけ急ぐように努力いたしたいと存じます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま大臣おいでになりましたので、大臣にも強く訴えたいのです。また政務次官にもお願いをしたいと思うのですが、先ほど来大臣も新しい名前だと言われた頸肩腕症候群の病気でございますが、先ほどは電電公社で起きているというような話でしたが、これはそれだけではなくて非常に広い範囲にわたって起きているわけで、たとえば保育所の保母さんなんかも、そういう病気に襲われている方がおるということを、この前テレビの番組で私は知りました。伺うところによりますと、子供を抱いておりますと急に手の力が抜けて、大事な子供を高い、一メートルくらいのところから床の上に落としてしまうというようなケースも間々あるそうでございます。そういうようなことをいろいろ考えますと、これは非常に大事なのでありますが、私がいま取り上げましたのはスーパーの、いわゆる買物をした客が品物を持って参ります、それを計算してキーを打ったり袋に入れたりする、ああいうチェッカーという仕事をやっている女の子でございますけれども、こういう人たちの間に同じような職業病が起こっているわけなんです。かつてキーパンチャーでもそういう事件が起きまして、特にあるキーパンチャーが絶望のあまり自殺をしたのが契機になって、作業管理基準が生まれたわけです。その作業管理基準が生まれたことが、キーパンチャーの悲劇をその後断っているわけです。スーパーのチェッカーに同じような病気がいま起きている、拡大しつつありますので、ここでまた自殺者が出てからあわてて緊急の省議を開く、閣議を開くというようなことで対応策を練るのじゃなくして、そういう事態になる前に、いますぐ作業管理基準をつくっていただきたい、私はそのことを強くお願いをしたいのです。五時間を四時間にするとか、六十分以上にわたらないとか、チェッカー二人組制というこまかいことはまたあとでさらに詰めますけれども、ひとつ大臣からそこのところをはっきり言っていただきたい。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 先ほど名前が覚えにくいような、島本さんからの話がありましたが、実態は電電公社の場合で知っておりますし、レジの問題はもう当然私もよく聞いております。私が来る前に、だいぶこっちの言うことまでも局長から話がありましたことを政府次官から承りましたから、なるべく御意見は、基準をつくれというほうは、ひとつそれまで調査する。これは調査もして最終の目的に持っていくのは、役所の局長としては当然のことでありますから、できるだけ調査を早く進めて御趣旨に沿うように、大臣といたしましてはできるだけ指導いたします。

河上民雄日本社会党

○河上委員 まあいまの大臣の御答弁を、ひとつ作業管理基準をつくるように努力する、そういう確約として私は承りたいと思いますが、よろしいですか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 確約というと、ちょっとなかなか……。まあ大きな問題でありませんから、特に確約と言わぬでももう、局長の答弁は聞かなかったのでありますが、政務次官から聞くとちょっと前提のような感じがしますから、その前提を飛び越えて御趣旨のようなほうに持っていくことをお約束いたします。

河上民雄日本社会党

○河上委員 政務次官、ひとつ大臣のことばの足らぬところをもう少し補足して言ってください。

葉梨信行自由民主党労働政務次官

○葉梨政府委員 先ほどから河上委員のおっしゃる御趣旨はよくわかります。さしあたりましては、早急に指導要領をつくりまして、引き続き基準の作成に努力したいと考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 以上をもって私の質問を終わりたいと思います。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後、直ちに再開をいたします。     午後零時五十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十二分開議

田川誠一自由民主党

○田川委員長 再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。田口一男君。     〔田川委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕

田口一男日本社会党

○田口委員 私は、まず一般論として労働大臣にお聞きをしたいのですが、今月の六日、本委員会で労働大臣の所信の表明があったのですが、そのくだりの中に、労働者の安全がなければ福祉がない、こういうことをきっぱり言ってみえます。私は全くそのとおりだと思うのです。  そこで、たしか昨年六月だったと思うのですが、毎年発表されます労働白書の中で、労働災害の問題に関してこういった言い方をしてみえるのですが、それは、昭和四十六年度中は言うならば景気が悪かった、景気が悪かったから災害の発生率も比較的少なかった、こういうような意味のことを労働白書の中で述べてみえるのですが、本年の予算編成方針の中にも間々見られますように、四十七年以降、景気が上向いてきた、こういうふうに経済見通しをいっておるのですが、端的に言った場合に、景気が悪い場合には災害が減少する。そうであれば去年、四十七年度やや景気が上向きになってきた状態の中で、それがどういう動きを見せておるのか、その辺ひとつ簡単に、そういう傾向だけまず示していただきたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 四十七年の労働災害の発生状況を見ますると、四十七年は、休業八日以上の死傷者数は十一月までの数字がいまわかっておりますが、二十七万九千五百人ということで、前年四十六年の一月から十一月までの同期が二十九万千三百人であったのに比べまして、四%減少をいたしておるわけでございます。死亡者数も四十五年までが六千人台を持続しておりましたのに比べまして、四十六年は先生いまおっしゃいましたような理由もございまして、約五百人減りまして五千五百人という非常な好成績だったわけでございますが、四十七年度もほほ四十六年並みの横ばいの状況を続けておるわけでございます。それから重大災害なども、四十六年には年間四百八件ほどございましたが、四十七年には三百四十件ということで、若干これも減少いたしておるわけでございます。  確かに、昨年の白書で申し述べましたように、労働災害は、従来は景気がいいときは産業活動も活発化するに伴いましてふえる。景気が悪くなると産業活動が停滞をして災害件数も減るという傾向があったわけでございますが、こういうことではいけないので、景気がよくて産業活動が活発化しようとも、やはり災害等は減少するように努力しなければならないとやれやれ考えておるところでございます。  そういうことで、昨年は安全衛生法なども御制定いただきまして、われわれ災害の減少に非常な努力を、民間にも呼びかけてつとめてまいったところでございます。昨年は、そういう意味におきまして景気は四十六年から見ると上向きであったことは御承知のとおりでございますが、それにもかかわらず災害はやはり四十六年の傾向を持続、むしろやや減少ぎみであるという結果が出ておりますことは、まことに喜ばしいことであると考えておるところでございまして、今後とも一そう災害の大幅な減少、ひいては絶滅を目ざして努力をいたしたいと考えておるところでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 いまお聞かせいただいたように、その限りにおいては確かに喜ばしいことであるし、そういう傾向を絶滅という方向に向かって努力をしていただきたい、そういう点で要望しておきたいのですが、いまお話がございましたように、確かに昨年、いろいろな従来のそういった実例をもとにして労働安全衛生法という法律を制定されまして、私どもそれに対していろいろと注文をつけましたけれども、それがほんとうに守られていくように、その実効をあげるようにということで側面的に協力をするにやぶさかでないのですが、残念ながらそういう画期的な法律ができたといわれておるにもかかわらず、とりようによっては、たいへん重大な問題が本年の一月三十日に発生をしておるわけです。それらのやりとりをこれからひとつ労働大臣お聞きになって、また基準局長や安全衛生部長あたりも十分お聞きをしていただいて、一体問題の本質は原因がどこにあるのかということを、きょうひとつこの委員会の場で、言うならば黒白をつけていただきたいと思うのです。  そういう意味から、次に郵政のほうに具体的な質問をしたいのですが、いま申し上げた、本年の一月三十日京都の中央郵便局において起きた、局舎外装工事中鉄材が落下して、その下を通っておった日逓京都支店の三木さんという労働者が不幸にもなくなった、こういう事故が発生をしておるのですが、その概要について、きょう郵政大臣、他の委員会でお見えないそうですが、人事局長、どのように報告を受けているのか、ひとつその内容を簡潔にここでまず報告をしていただきたいと思います。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 本件工事は局舎の外装の修繕工事でございまして、タイル張り補修、それからスチールサッシの塗装、各階のひさしの屋根、天井モルタルの補修と塗装工事、こういうことでございまして、昨年の十一月三日に契約をいたしまして、その後、在来のタイルのままの部分もあるわけでございますので、それと色調等を合わせるために、タイルの調製期間あるいは年末始の関係で足場の組み立て作業を開始しましたのは、本年の一月十九日でございます。  本件工事にあたりましたのは大林組でございまして、その報告によりますと、この組み立て作業は局舎の東西南北四面でございますので、南側につきましては一月十九日から二十四日まで、東側は一月の二十一日から二十四日までにそれぞれ完了をいたしました。その組み立ての方法といたしましては、足場の五段目までは手揚げにより行ない、六段目以上はレッカー車を設置いたしまして、各階のひさしに荷揚げをして、順次組み立てを実施するという方法をとった次第であります。  この東側及び南側は搬入資材の置き場がございません。搬入と同時に荷揚げを行なわなければならないために、レッカー車によります荷揚げ中は、バリケードで立ち入り禁止区域を設けると同時に、監視員を配置して安全を期した次第であります。  次に、北側につきましては、一月の二十日から二十七日までに組み立てを完了いたしました。この部分は局の構内でありまして、かつ西側に迂回路がございましたので、一応通行どめにして、西側の迂回路を通行させるということで作業を行ないました。  事故の発生いたしましたのは、局舎の西側の部分でございますが、この部分は郵便自動車の発着場でありまして、そのために材料を置く場所が全然ございません。また、短時間の通行どめもできないという状態の個所でありましたために、発着台上のひさしが奥行き約六メートルありましたので、このひさしを材料の仮置き場といたしまして、西南の一隅にレッカー車を設置いたしまして、一月二十八日から組み立て作業を開始し、三十日には完了する予定であったのでございます。  事故発生の三十日は、午前八時からレッカー車により、一階ひさしの上に仮に置いておりましたワク組み用の筋かいを三階のひさしに荷揚げするということをやっておりました。その中で午前十一時十分ごろ、発着台の中央付近のひさしの上の筋かい約四十本を二点づりとするために玉掛け者が一方の端にワイヤーをかけまして、合図者の合図によりまして約三十センチメートルそっちの端がつり上がりましたときに、玉掛け者がストップを命じ、合図者がレッカー車の運転手に対しましてその合図を送ったのでありますが、それがすぐに停止いたしませんで、そのまま片っ方の端が一メートルほど上がりましたために筋かいがずりまして、ひさしから下へすべり落ちた次第であります。  このとき、ちょうどこの場に通り合わせました日本郵便逓送京都支店職員の三木宗治氏の後頭部にこれが当たり、傷を負わせたものでありまして、直ちに救急車により病院へ移送し、手術をいたしましたけれども、まことに残念ながら二月二日午前一時四十五分に死亡されたものでございます。  なお、被害者の御遺族に対しましては、大林組が誠意を尽くして補償措置を講じており、また、工事も一時中止いたしまして、安全対策をさらに確認し、万全を期するよう措置しておる次第でございます。  以上でございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 いま人事局長から概要を説明してもらったのですが、大体その事故に至った事実経過というものについては、そのとおりだと思うのです。  そこで、基準局長にお尋ねをしたいのですけれども、私は、この事件の現場を見て、それからいろいろのやりとりを中郵の局長なり会計課長その他ともやりましたけれども、幾ら労働安全衛生法というりっぱな法律をつくっても、また当時のこの委員会におけるやりとりなんかをあとで見たのですけれども、いかにいい法律を制定をしても、結局むだなんじゃないかという気持ちを私は強く持つわけなんです。  というのは、この事故の性格は、いまお聞きのように、郵政が発注者であって、大林組が事業者、大林組がいま言った外装工事をやって足場を組んでおった。その東、南、北という三面については、私も現場を見ましたけれども、確かに法律また規則に従って安全対策をやられておるわけです。ところが、西側の郵政の職員が毎日出入りをして、一日二百台以上も逓送車が出入りをするところについて何ら安全対策というか事故防止対策というものがされていない。そして形式的に言うならば、一体この事件の原因と責任者というのは、だれになるのか。いまお聞きをした限りで基準局長はどのように考えられるか、それをまずお聞きをしたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働安全衛生につきましては、昨年制定、施行されました労働安全衛生法を根拠といたしまして、極力危害防止基準の順守について事業主に監督指導をいたしておるところでございますが、なかなかこれが完全になくならず、いろいろな死傷者が出ておりますことは、まことに残念なことでございます。  ただ、ただいまの京都の中央郵便局の事件を伺っておりますと、事故が起きました工事現場の下は郵便輸送の車が出入りするところだということでございまして、その工事に従事する労働者自身がおるところではない。むしろ第三者に対する危害防止の問題だと思うのでございます。で、第三者に対する危害防止の問題につきましては、これは建設省の建築基準法のほうにおきまして、工事現場の周辺における第三者危害防止に関する規定がございまして、いまのような場合でございますと、落下物が下にいる第三者に危害を及ぼさないように、防護だなであるとか、あるいは防網などを設置の措置をすべきことを規定しているように承知をいたしておるのでございますが、ただいまのお話でございますと、そういうような防護だなであるとか防網であるとかいうようなものが設置されていなかった。そのために上から落下してきたものが、たまたま下を通りかかった第三者である被害者の方を傷つけ、おなくなりになるというような事件を招いた、かように承ったのでありまして、そういうことでありますと、これはまさに施工者側が講ずべき措置をしていなかったということの責任になるのではなかろうかと存ずるのでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 確かに事件の起こったそのままを見れば、施工者といいますか、事業者といいますか、ここで特定の名前をあげれば、大林組があるいは責任者になるのか、それは確かに昨年四月十八日ですか、この委員会において労働安全衛生法案を審議をした際にも、いま局長が答えられたように、事業主そのものが災害防止については責任の帰属者であるということをはっきり言っておられます。ですから、私は、そういう観点では、大林組がその災害を起こした責任者であることは間違いがないと思うのです。確かに事故があった直後に大林組の出先責任者といろいろなやりとりをやった際に、施工主として全責任があり、深くおわびしますということをみんなの前で言っておるわけです。ですから、それは間違いないと思う。  ところが、私はそこで聞きたいのは、さっきも言いましたように、四角い建物ですから、東、南、北、これについては完全な防護体制をとっておる。一番人の出入りをするこの西側について、とっていない。さっき人事局長は、出たひさしが六メートルぐらいあるから、だいじょうぶだろう、そこに一たん荷物を置いてつり上げるのだから、いいだろうというような報告を受けているという説明があったのですけれども、確かに郵便局という局舎の性格からいって、正門は第三者、一般市民がたくさん出入りをする。それと同じような形で裏側も職員が仕事のために出入りをするにもかかわらず、なぜ防護策をとれなかったのか。  すでに今回始まった事故じゃないのです。一月三十日までに二度にわたって、そのつり上げた鉄材パイプが落ちておるのですよ、その現場に。その落ちたことをもって日逓の責任者も、それから大林組の現場責任者も、中郵の会計課長なり人事課長に対して、これじゃあぶないじゃないか、何とか防護策をとってもらいたいということを再三にわたって指摘をしておるにもかかわらず、それを聞き流しておるわけですね。そして不幸にも一月三十日、三木さんがなくなるというふうな事故が発生した。こうなってまいりますと、いま局長がおっしゃったように、また昨年四月十八日のこの法案審議の際の御答弁にもあるように、直接の責任者は、たとえばこの事故では大林組ということになるのでしょうけれども、初めてやったのではなくて、過去三十日まで二回もあって、危険防止について具申をしておるにもかかわらず、これを放置をした。そして最悪の事態を招いたということになると、ちょっと大林組だけが責任者だということにはなりかねるのではないか。  ですから、私は人事局長にまず聞きたいのは、そういう西側に一日二百台以上の逓送車が出入りをし、また郵政の職員が何回か出入りをするようなそういう場所について、東側と同じような、北側、南側と同じような、そういう防護策、災害防止策というものがなぜとれなかったのか。なぜとるように指示をしなかったのか。そういう点について、ここでその理由を説明をしていただきたいし、また人事局長のほうからひとつお答えをいただきたいのは、たてまえは確かに事業主に責任がありますけれども、そういう事実、経過があったとすれば、大林組だけに、おまえのところが悪いのだということになるのかどうか、この辺をひとつ事実に沿ってのお答えをいただきたいと思います。

武田礼仁郵政大臣官房建築部長

○武田説明員 多少技術的なことになりますので、私からお答えを申し上げます。  安全だなと申しますのは、足場から斜めに出ております鋼板を使いました通称あさがおなどと申しておりますけれども、そういうものでございまして、それをつけましても足場を含めてせいぜい四メートルほどのものでございまして、西側のひさしは、ひさしだけで五メートル五十ほどございますので、安全だなをつけるのと同じだけの落下物をひさしによって防ぎ得るという考え方で、当初は西側は安全だながなくてもいいだろうというふうに施工者としては判断しておったのだと思います。  以上でございます。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 災害防止につきましての第一次的責任は、先生おっしゃいますように事業主にあるわけでございます。労働安全衛生法におきましては、事業主に直接のいろいろな責任を負わせますと同時に、やはり関係者も災害防止にできるだけ協力し、事業主が災害防止責務を果たしやすいようないろいろな関連規定を設けておるわけでございまして、先生おそらく郵政当局のことを――責任問題を言っておられますのは、安全衛生法の第三条の三項の「建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。」といったような義務を発注者に課しておるようなこと等を前提のお話であろうと存ずるのでございます。まさに発注者のいろいろな発注条件その他が、工期を非常に短縮して無理をさせるために事故を発生させるとか、いろいろなそういう事業主の安全衛生対策に影響がありますことから、事業主の安全衛生の責務を完全に果たし得るように、発注者等についてもこういうような規定を安全衛生法で設けたわけでございます。  ただ、本件の場合についてみますると、これは同法の三条三項で言っているような工期あるいは施工方法などの条件が、安全を考えなかったために起きたといったような、そういう契約条件の問題でも必ずしもないように思いますし、それから発注者がここで安全衛生法で特に義務を課しておるのは、その工事に従事する労働者の安全についての配慮すべき責務でございますが、本件の場合でございますと、その工事の従事労働者ということでなしに、被災された方はむしろ第三者の問題であるわけでございますので、直接安全衛生法三条三項の義務違反とかという問題には該当しないのではなかろうか、こういうふうに感ずるわけでございます。  そういう意味で先ほども施工主がまず責任があるというふうに申し上げたのも、そういうわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 そうなってくると、労働省側もこの事故について責任の所在をどうも郵政のほうにおっかぶせたくない、こういうふうな言い方じゃないかと私は邪推をするのですけれども、三条三項の問題に触れる前に、いま郵政の建築部長ですか、技術的な立場から約六メートルひさしがあったから外さくなんか設ける必要もないじゃないかと言いますけれども、この工事に入る前に大林組、それから主として出入りをする日逓の業務課長、そういった責任者を呼んで工事に入る打ち合わせをやっておるのですね、工法などについても打ち合わせをやっておるのです。その際に大林組が西側の問題についても――これは二段がまえの作業ですが、一たん地面からたな上まで積んで、そこからレッカー車でまた積むのだ、そういうことだから当然出入りをする逓送車なり職員についても、おのおのの安全対策をする必要があるのではないか。これは一月十六日十五時半から京都中郵の第二会議室でその打ち合わせをやっておるわけです。ところが、京都中郵の会計課長が言っておるのには、そういうことはわかるけれども、天下の大林組がやるのだからいいじゃないか。業務の運行をとめないという前提でひとつやってもらいたいというくぎをさしておるわけです。さらに日逓のほうはさっきも言いましたけれども直接の自分の部下が出入りをするのですから、何とか安全対策を考えてもらいたいと言ったら、工事については日逓に対して迷惑をかけないから、これはまかしてもらいたい、このことをはっきり京都中郵の会計課長が言っておるわけです。  これは私、今月の十二月に、この会計課長に会いましたけれども、確かにそういうことを言いました、だから道義的に責任を感じますということを言っておるのですけれども、そういった工法について、一番知識のある大林組の現場責任者が申し出ておるのに、業務の運行をとめないことが前提である。また身に危険を感じておる日逓の業務課長が何とか考えてもらいたいと言っているのに、日逓には迷惑をかけぬといって、結局すべて却下をしたということですね、形式的に言えば。そうであると三条三項という問題にもかかわってまいりますけれども、発注者がみずから労働安全衛生法の、しかもそれに基づいての規則を無視をした。そして天下の大林組だから何とかやれるだろう。そして結果は人を一人殺した。こういう事態があると思うのです。  ですから、いま局長がおっしゃったように、いま聞いた限りでは、この発注者である郵政のほうにはどうも責任がそこまでいかぬのじゃないかというふうな御発言でありますけれども、そういう事実を追って見た場合に、工法に対してまで、発注者である郵政の課長が仕事をとめない、迷惑はかけないと言って、その災害防止策について却下をしたという事実があれば、これは責任は当然三条三項からいっても郵政の側にあるのじゃないか、私はこう思うのですが、まずその点どうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働安全衛生法は、労働安全衛生ということで、直接的には事業主が使用する労働者の安全衛生をはかる義務を事業主に課しておるわけでございます。そういう意味で、三条三項も、発注者が配慮すべきは、その工事に従事する労働者の安全衛生の面を安全衛生法は規定いたしておりますわけでございまして、もちろん工事施工者等は、その工事が従業員でなくとも第三者等についても安全をはかるべく配慮すべきことは社会的な責任等からいいましても、道義的な責任からいいましても当然であろうとは存じますけれども、労働安全衛生法は、労働者に対する使用者の災害防止責任、こういうことで規定いたしておりますので、直接的に三条三項がかぶりますのは、その工事に従事する労働者に対する安全の配慮を発注者がしなければならない義務であるわけでございます。  そういう意味で、本件の事故は第三者に対する事故でありましたという意味で、これは安全衛生法上の、法律解釈的に申しますと、それに当たらないのではないかということを申し上げましただけでございまして、労働法以外の面につきましてのいろいろな責任、あるいは道義的な責任なり等等が全くないかどうかということを申し上げているわけではございませんので、安全衛生法上の解釈としては、直接の工事に従事する労働者に対する安全の配慮ということを規定しておるんだということを申し上げたわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 確かに三条三項の精神からいえば、局長が言ったようなことも一つの理屈として成り立つでしょうけれども、もっと端的にいえば、さっきも言いましたように、大林組の現場責任者、日逓の京都支社の業務課長という、それぞれ責任の衝にある者が工事の始まるにあたって、郵政側、それから業者、日逓、三者で打ち合わせをした。それがさっき言ったように、これはあぶないから、こういうことをすべきじゃないですか、これはあぶないから何とか郵便局のほうでやってくださいということを両方から言っておるわけですね。それはくどいようですが、業務運行をとめないということを前提にしてやってくれ、天下の大林じゃないか、日逓のほうには迷惑をかけない、そういう言い方のためにやむなく事業に入った。そしてレッカー車でつり上げて、それが人を殺したのですが、いまの三条三項の精神とは別に、衛生規則の省令のほうで見た場合に、五百三十条と五百六十四条の規定があるわけでしょう。「事業者は、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所に関係労働者以外の労働者を立ち入らせてはならない。」それから五百六十四条は、「足場の組立て等の作業」について、「組立て、解体又は変更の作業を行なう区域内には、関係労働者以外の労働者の立入りを禁止すること。」はっきり規則で書いてあるわけですね。いまからレッカー車でつり上げますから、その下には立ち入らないでくださいということを、ほんとうは大林組が言いたいわけですよ。言いたいけれども、立ち入り禁止区域を設けたら、車はそこに入れません。車が入れないから、それは困る。天下の大林だから何とかしろというのは、郵政が言ったのでしょう。  そうすると、三条三項の問題から関連をして、規則の五百三十条、五百六十四条を無視しろと言ったのは――こういうことばは使ってないにしても、結果的には無視しろと言ったのは郵政の側じゃないか。そうでしょう。そして人が一人殺された。そして責任はやれ大林組にありますとか、私どもは道義的に責任を感じますけれども、私どもはそういう事業の責任がありませんからと言って逃げを打っておる。人が一人死んでおるのですよ。ですから一体郵政としては、この問題について、災害防止策ということを具申をしておきながら、安全衛生規則五百三十条なり五百六十四条に対する具体的な措置を講じようとしても、それを認めなかったということになれば、結果的に認めないのですから、業務の運行をとめないという限りにおいては、郵政の側に全面的な責任があるのじゃないですか。その責任を一体どうとるのだ、こう郵政のほうに聞きたいし、いま省令のほうで二つの条項を申し上げましたけれども、それを守らなかった。そういうことを無視せよと、結果的にそう言った郵政の責任というのはどうなるのか。これは労働省のいわゆる指導する立場からいって、はっきりしてください。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生ただいま御指摘になりました労働安全衛生規則の五百三十条、五百六十四条の第二項、いずれも先生御指摘のような規定がございますわけでございまして、これらにつきましては、事業主は自分の労働者でなくとも関係労働者以外の労働者に災害の危険を及ぼしめないように立ち入り禁止等の措置を講じなければならない旨を事業主に課しておるわけでございます。  そういう意味におきまして、この安全衛生規則違反は、やはり事業主たる施工者にあると存ずるのでございますが、先生御指摘のように、もし発注者側におきまして事業主の責任、安全衛生規則上の責任を果たすことが困難なようなことがあったといたしますならば、安全衛生規則上は第三者までにそういう責任追及をいたしておりませんけれども、これはやはり道義的に見まするならば、当然に施工主が規則が守りやすいように、むしろ協力しなければならないことは当然のことだと思うのでございまして、私どもこれは法律違反になるかならないかというようなことは別といたしまして、行政指導にあたりましては、今後ともそういう点につきましても十分発注者側に対して、広い意味で安全衛生についてできる限り協力する立場で、いろいろ施工主と協力するように指導してまいりたい、かように考える次第でございます。

武田礼仁郵政大臣官房建築部長

○武田説明員 初めにまず安全衛生規則などを無視せよと言ったのも同然ではないかという御質問でございましたが、さようなことを無視せよなどということは、もちろん申しておりません。  私どもの工事に対する考え方、京都中央郵便局の改修工事のように、業務が行なわれている建物で工事を行なう場合の大きな考え方といたしましては、業務をする人のすることのためには工事をストップをするのだ。要するに、工事のために業務が影響を受けるなどということはないので、どちらがよいかというときには、必ずその工事のほうをやめるのだ、そういう精神で工事を進めておるわけでございまして、この工事の場合には、郵便局の会計課長、それから近畿郵政局のこの工事の監督を行なっております者と、大林組の現場委員と三者で、この工事を行なうにあたりまして、どういうふうなやり方で安全を確保していこうかということをメモを交換しております。  そのメモには「施工個所には常時保安要員一名を配置し、車及び人の通行を監視する。」要するに、車及び人が通行してきたら工事は即座にやめるのだ、そういう精神で三者メモというのを取りかわしておりますので、無視せよなどというようなことは毛頭ございません。

田口一男日本社会党

○田口委員 今度労働省側がはっきりと規則の解釈を、道義的に云々ということがあったのですが、一応明快な態度を出しているのです。  そこで、私は問題を郵政にしぼって聞きたいのです。いま建築部長が、工事にかかる前に三者がそれぞれ話し合ってメモを交換した――確かにメモを交換しております。ところが、保安要員を配置をするというのは、一体何のために配置をするかということについて御承知じゃないでしょう。あの狭い局舎内、北側は道路に面しておる。そこへ逓送車が入ってくるのに、道路に人がおって、ひいてはならぬから、自動車の出入りについて、そこに旗振りを一人置きましょう、しかもそれは高校生です。高校生が能力がないとは言いませんが、高校生のアルバイトを雇って旗振りさせておるわけです。その旗振りについても不適格じゃないか。人が来るのに白旗を振ったり、人が通っていないのに赤旗を振ったり、そんなでたらめなことをするから、それは改めてもらいたいという日逓の側からの会計課長、調整課長に対する申し入れがあるのです。だから、事前にそういうふうな話し合い精神でやったのだというのは、まっかなうそです。  現に、近畿郵政局との話し合いの際にも、かりに保安要員が配置されていたとしても、三木さんの事故は防ぎ得たとは言い切れない。ただ危険区域が設定されておれば、三木さんの事故は防ぎ得たと思うということをはっきりと言っておるわけです。これは近畿の郵政局で責任ある立場の者が言っておるのです。保安要員がおっても事故があったかもしれない。事故を完全に防ぎ得るのは、労働安全衛生規則五百三十条なり五百六十四条の規定を守っておれば、三木さんは死ななかった、こう言っておるわけです。人が死んでおるのですから――死んでおるのじゃなしに、あなたのほうで殺したのですよ。そういう事実に対して、いまのような言い方では、それならむちゃ言いますけれども、死んだ三木さんをもう一ぺん生き返らせることが技術的にできますか。その辺のところの責任をはっきりとるべきですよ。どうです。

武田礼仁郵政大臣官房建築部長

○武田説明員 工事発注者といたしましては、被害者とその御遺族に対して深く哀悼の意を表したいと思います。申しおくれて申しわけございません。  発注主といたしましては、この事件が起きました直後、何らかの手抜かりがあったのではないかということで極力一生懸命に調査いたしました。で、わかりましたことは、手抜かりはなかった。しかし反省すれば、もう一言あるいはもう二言、あるいは三者メモをかわすときに、ほんとうに気をつけてやろうじゃないかという注意がもう少しあれば、あるいはもうちょっと熱意を込めて指導していれば、こういう事故は起こらなかったのじゃなかろうか。そういう意味で強く深く反省しております。そういう反省のもとに――いまのような保安要員が置かれたとしてもというふうな発言があったのだと私は思いますが、そのように反省をいたしまして、その上で今後はより一そう、いままで事故がなかったじゃないかという、そういう惰性などに流れることはもちろん避けて、より強く、より密度の濃い安全についての指導を今後は進めていかなければいけないという責任は自覚しております。  以上でございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 手抜かりはなかったけれども、二言、三言足りなかった。いつもは一言、二言多いくせに、人命に関することについては二言、三言足りなかった――白々しいことを言うのは、たいていにしてくださいよ。ほんとうに手抜かりがなかったのですか。いま言った五百三十条の問題にしたって、それを設ければ仕事がとまる、仕事がとまるんだから天下の大林組で何とかやってくれと言ったのは、おたくのほうでしょう。安全対策に手抜かりがあるじゃないですか。そういう白々しいことはやめて、道義的責任じゃなくて、郵政としては今度はほんとうに三木さんに対して相済まぬ、これについてどういう損害賠償をするということを、いままでの話し合いでは一言も言っていない。大林組にやりなさい、直接の雇用者は日逓だ、そういうことで郵政のほうでは、道義的に全く相済みません、ちょっと手抜かりでした、それで済むと思うのですか。  これは労働大臣にそういう考えをお聞きしたいのですが、先ほど基準局長が言われたように、四十六年災害と四十七年十一月の災害の動向を比較した場合に、幸いに事故は減ってきておる、これは認めます。しかし、いままで災害で年間六千人以上も死んだということは、この高度経済成長とかなんとかいわれるときになって、新しい機械がどんどんできてくる、新しい製品ができてくる。それに対して、こういう安全な方法をとらなければならぬということを知っておりながら、たとえば午前中頸肩腕何とかという新しい病気ができたと言ったったでしょう。そういうことも新技術の発達に伴ってできたわけでしょう。それを知りながら安全対策についておろそかであったということは、生産第一主義であり、人命を軽視するというところから、昭和四十六年までは事故が多かったと思うのです。それを反省して労働安全衛生法というものをつくって、やや景気が上向きになったけれども昨年と横ばいだという、たいへん喜ばしい状況なんですよ。同じ穴のムジナとは、ちょっとことばが過ぎますから私は言いませんけれども郵政のほうでは依然として業務第一主義、人命はあと回し、これが京都中郵の問題ではっきりしておるわけです。そうでしょう。そして責任を痛感していない。死んだ者は生き返らぬのです。  この際、責任の所在をあらためて私は追及したいのですが、郵政はほんとうに手抜かりはなかったのか。道義的ではなくて、人を死に至らしめたという責任は郵政に全くないかどうか。ひとつ人事を預かる局長のほうから、はっきりと表明してもらいたい。労働大臣は、そういう問題について大臣の所見としてどう考えているか、この際言っていただきたい。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 本件工事につきまして、業務を続ける中で工事をしてよろしいと言ったことは確かでございます。ただ、その場合に保安要員を置くとか、あるいはいろいろなことを考えまして、いろいろな配慮をするということを三者で協定いたしまして、これなら万全というつもりでやったわけでございますけれども、その中で、施工者側のワイヤーのつり上げのミスとか、あるいは保安要員がいなかったとかいうことが重なりまして、現実には落材による死亡というきわめて痛ましい事故が生じたわけでございまして、こういうことから考えますと、私どもといたしまして、先ほどの仰せにもございましたけれども、むろん私ども、何よりも人命尊重といいますか、人命は一番とうといことは申すまでもございません。したがいまして、そういった結果を発生したということにつきまして、人命尊重の立場から、安全対策に対して決してから念仏じゃなくて魂を入れたやり方をしなければならぬということにつきまして痛感をしておるところであります。  なお、今回の事件のおっしゃいますような原因等につきましては、現在それぞれ関係機関で調査中でもございますので、私どもといたしましては、そういったところで権威のある結果が出ましたならば、その結果を冷静に受けとめまして、その点について判断をしてみたい、かように考えておる次第であります。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 田口委員にお答えいたしますが、労働行政というのは、賃金とか福祉の問題とか時間短縮の問題、いろいろ案件がありますが、労働災害の問題、これは特に最近の労働行政の目玉的な施策であります。  そういう意味で昨年、御承知のように、先ほど局長から申し上げましたように労働安全衛生法をつくったのでありますが、この趣旨は、いまのような災害を未然に防止する――災害が起こったときの責任の所在をどうするかということよりも、災害をなくすることが第一であります。いま御質問の点を聞きまして、郵政省並びにいろいろの方面の御意見を聞くと、天下の大林組だから、大林組が何とかいろいろな問題を処理するのである。われわれのほうは、それに対するいろいろな責任だとか、そういう問題に対して、何だか隔靴掻痒という感がいたしますが、先ほど当該責任者から話があったように、調査して責任がある場合には、それは責任はのがれません、こういう御答弁がありますし、この災害の問題は、やはり労働者の立場と使用者の立場両点をわれわれのほうも監督いたしておりますので、この問題を一つの材料といたしまして、今後各方面にかようなことがないように十分注意さすとともに、この問題の所在、損害とか補償とかいろいろな問題がありましょう。これはいま当局に聞きますと、大体解決しそうだ。しかし、ただそれだけでは郵政当局が、おれは関係がないんだ、使用者の側のみだという点でも御指摘のように済まされないような感じがいたしますので、この点は、責任者がまだはっきり申しておらぬうちに、管轄外の労働大臣として、これに対して的確な、責任がある、こういうことも申し上げかねる点もありますので、労働省といたしましても、郵政当局とともに十分研究をいたしますことをお誓いいたしまして、御答弁にかえたいと思います。

田口一男日本社会党

○田口委員 じゃ、最後にだめを押しておきたいのですが、これはもう、一言でいいと思うのですけれども、今度の京都中郵の事故に限っていえば、よく天災、人災というのですが、労働大臣、天災ですか、人災ですか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 これは、天災になると責任がない、人災になると責任が伴う、こういうようなかなかデリケートな問題がありますが、これは私は、率直に申しまして、大臣の立場を離れても天災であるか人災であるかと申しますと、やはり後者のほうに近い感じがいたします。

田口一男日本社会党

○田口委員 後者に近いというのですから、ずばり言えば人災だと言いたいのでしょうが、確かにそうだと思うのです。先ほど建築部長、人事局長が、関係機関の調査の結果を待って責任云々ということを言われましたけれども、関係機関の調査結果いかんにかかわらず、事の重大性を銘記してというのが近畿郵政の最終というよりも、四回にわたる話し合いの中での四回目の見解なんです。関係機関の調査結果いかんにかかわらず事の重大性を銘記したい。といって、じゃ責任をとるのかというと、うだうだ、のらりくらりと官僚特有の答弁をするのですが、この事故は起こるべくして起こった人災であり、しかも郵政が――これはいままでの国会で何回も取り上げておりますように、労務政策ということが業務優先であり、人命軽視というところに端を発しておると私は断ぜざるを得ないわけです。  これは一月三十日の問題ですが、一月十五日にも私の地元の三重の場合、郵便局の職員同士が、十五日は休みですけれども、自宅にあって多少のいさかいがあった。そのいさかいがあったことをもって警察がそこに介入をして、二十日間も勾留されたのですけれども、二十日間勾留をして、こちら側が勾留理由開示を求めたら却下した。その理由に、本件事件は全郵政と全逓との勢力争いであるから単なる傷害じゃない、民事じゃない、公安だといって却下したのです。これはきょうの質問の趣旨じゃありませんから、それ以上言いませんけれども、そのうしろには各郵便局の官側が全郵政をあと押しをして、なかった傷をあったようにして告訴しておる。こういういままでの業務優先の労務政策というものが今度の京都中郵の三木さんの死亡事件につながっておる、このことをはっきり申し上げたいのです。  ですから、もうすでに日逓の場合でも進退伺いを出しております。大林組もはっきりしております。一つはっきりしていないのは郵政だけ、これは絶対見のがすことができぬ。ですから、この責任のとりようを私きょうここでとことんまで追及をしようと思いましたけれども、時間がないから、郵政当局でしかるべく責任の所在を明確にするのを待って、その中間的な機会をとらえて再度質問をする。そのことを保留いたしまして、私の質問を終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 石母田達君。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 私は労働大臣の所信表明に関連いたしまして二、三の質問をしたいと考えております。  その一つは賃金政策の問題、もう一つは鉛中毒患者の労災認定に関する問題、第三に長期疾病者の、いわゆる長期傷病補償給付扱いをすることによって出てくる解雇問題、こうした三つの問題を中心にいたしまして、大臣の所信表明に対して質疑を行ないたいと思います。  この間の所信表明におきまして、大臣は、「今日、労使関係の動向は、政治、経済、社会の各般に大きな影響を及ぼすようになっております。」こう述べております。当然のことであります。この最大の問題は何か、いわゆる賃金問題であります。  この賃金問題につきましては、去る二月二十日の予算委員会におきまして、共産党・革新共同の津川委員が総理に対しまして質問を行なっている。今日、賃金が安い、労働時間が長い、それに労働の密度が高い。そしてまた厚生年金、労災保険、失業保険など労働者の負担が高い。これが輸出能力を高めている最大の原因になっておる。そしてアメリカに比べて三分の一の日本の労働者賃金、こういう具体的な事実を述べながら、日本の低賃金について総理の見解を問いただしました。それに対して首相ははっきりと、低賃金であった事実は認める、こういう発言をしているのであります。こうした低賃金に対して、労働大臣として、いまもなおこの低賃金が続いているのか、あるいはこの低賃金に対してどうしようとしているのかを初めにお伺いしたいと思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 私、共産党の同僚の議員の方から総理に対して、ドルの切り下げ、その問題に対する原因の最たるものはあげて低賃金である、こういうふうな御質問が総理にありまして、総理も、そういう点はやや認めたような認めないような答弁でありましたが、そのあくる日、社会党のほうから同じ御質問がありまして、そのときには総理並びに私からお答えを申し上げたのでありますが、アメリカに比べますと三分の一強であることは、これはもう御指摘のとおりで、私も何も申しません。しかし、欧米各国の問題については、私も予算委員会で申し上げたのでありますが、まあ御指摘のように日本の低賃金が円の切り上げ、ドルの切り下げの最大の要素であるということばかりは、これはいろいろな観点、見方もありますので、現在の日本の賃金水準はイタリアよりは少しオーバーしておる、フランスと同等である、今度のドルの切り下げの場合にはイギリスに迫っていく、こういうような水準でありますので、総理、何と言うか統計の問題についても詳しくありませんから、何だかその間に、お聞きする方によっては、低賃金のもとに日本の円の切り上げ、ドルの切り下げが来た、こうとった方もありましたが、そのあくる日は必ずしもそうではない。しかし、決して労働省として賃金の問題に対して反対でありません。  やはり現在の日本の経済の成長に見合って賃金が上がってくることも、大臣といたしましても、これは必ずしも否定いたしません。やはり日本の経済的見地、国民的立場、あらゆる点から、それらの水準につれて毎年毎年上がっていく、これについては、かつて大臣として、御指摘のように日本が十年間に、これは上げ幅においては驚異的な上昇率を示しておることは現実の姿であります。  そういう意味で賃金の上がることに反対でありませんが、今後経済成長に見合って賃金の問題も改善すべきは当然であります。賃金の大幅な引き上げ、これは組合その他各方面から御要求はありますが――これはまた私も最初、本年のいろいろ賃上げ問題につきましても順調にいく、こういうようなやや私見を持っておったのでありますが、ドルの切り下げの問題で少し、円の切り上げをやった場合のようにひとつ慎重にやらなくちゃならぬという議論も最近は台頭いたしております。やはり現時の日本の経済に見合った賃金の問題に対しましては、決して反対ではありません。しかし、労働省が直接介入してこの賃上げ問題を指導する、こういうことは、現在の法律の過程においては、これはなかなか無理で、たびたび私が所信にも申し上げましたように、やはりこれは労使が自主的に話し合って、そして要は何と言ったって国民経済的な立場で、常識をもってこれを合理的に解決することが理想的な姿であり、私もそれを期待いたしております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 議事録をしっかり読んでもらえばいいと思いますけれども、田中首相は、認めた形の、認めない形の、そういうあいまいなものじゃないのです。はっきりと、このことは労働者に負うところが非常に大きいと考える、低賃金であった事実は認めるが、それだけが変動相場制を招いたものではない。つまりこれが一つの最大の原因だ、根本原因だ、そういうことについては見解を異にしておりますけれども、低賃金であった事実は認めておる。  それで私は、そういう問題についてさらにいまフランス、イタリアの話をしましたけれども、それでは西ドイツに対してはどうなのかということになりますと、これは日本が一〇〇とすれば一六四という、はるかに日本が低い。私はそういうデータで言っているのではなくて、日本の賃金は安いと認めているのかどうかということについて、はっきりお答え願いたいというふうに思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 いまの総理の説明でありますが、私もそのときよく聞かれて、私の顔を見て、ひとつ大臣出てこい、こういうのでありましたが、質問の方が、私が出ると、お前聞いておらぬ。こういうかっこうで総理からお答えしたんでありますが、総理の言っている趣旨は、まあ過去は相当安かった、それで労働者の御労苦に対しては感謝する、日本の経済の成長は、労働者がほんとうに御労苦、汗と水でお働きなさったためで感謝する、こういう意味で、総理の答弁は、従来の安かったことは、これは認めましたが、現時点における賃金に対しましては、私の感覚と聞いた人の感覚によっては違いますけれども、多少ニュアンスの違いがある、こういうような感じがいたしまして、しからば大臣として現時点で安いか、こう問われますと、まあ十数年の上昇率は、これはもう世界でも第一である。今後の情勢を見ましても、やはり現在の日本の経済、円の力の強さ、これに見合って賃上げはだんだんと合理的に労使の話し合いによって行なわれていくことは、これは間違いないと思いますので、そう御指摘のようにあらゆる問題が、円の力がついたことの全部が賃金であるともなかなかこれは申せない次元もありますので、この点は石母田議員の御質問に的確に、そうだと認められないのを遺憾と思いますが、まあ以上のとおりであります。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 円の最大の根源がどうのこうのというところまでは、まだ議論がいっておりません。私の低賃金の事実を認めるのかどうかという質問に対しまして、過去にはそうであったということについては総理と同じ見解だけれども、現在その低賃金が続いているかどうかということになるとニュアンスが違うし、上昇率が世界でも一番高いほうだから、まあそういうことはないだろうと、こういうことを言いたいんだろうと思います。  そこで、政府がきめている最低賃金法に基づくいわゆる最低賃金というものですね。これの標準、まあ中位数、中くらいの数ということばを使うそうですけれども、その金額と、それから今年の失対賃金ですね、また生活保護基準の標準を、関係者がいたらお答え願いたい。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 私よりは政府委員のほうが詳しいですから、政府委員からお答えいたします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 最近きまっております最低賃金の中位数をただいま持っております資料で申しますと、昭和四十七年中にきまりました産業別の最低賃金の中位数は千三百六十一円と相なっております。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 四十八年度の失対賃金は千四百五十円八十四銭でございまして、一三・二%のアップとなっております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 生活保護基準というのはわかりませんか。――じゃいいです。  いまあなたの日本の賃金に対する考え方が――政府がきめている、主として主導権を持って指導して決定している最低賃金法に基づくお金が、日額千三百六十一円、月額にしますと手取り大体三万三千円くらいです。それから失対労務者の賃金が一日千四百五十円何がしであります。こうした考え方が、あなたの日本の労働者に対する賃金政策の基本だというふうに考えていいですか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 失対賃金のきめ方につきましては、石母田委員御承知のとおり、失対賃金審議会におきまして、民間の同種の賃金水準を基準にしまして、賃金審議会できめるその答申によりまして政府が決定することになっておるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 私の言っておるのは、あなたのさっき言った、日本の賃金は、いま上昇率世界で一番上がっているから、あまり安い賃金じゃないと思っている、こういうことが具体的に数字で出ている。これは、あなたの賃金政策の基本ですかということを大臣に聞いているわけです。きめ方を言っているのではなくて、労働大臣に最低賃金法に出ているような、こういう賃金あるいは失対労務者の賃金については、政府が主導権を持ってきめるものですから、こういう具体的な数字でなければ、あなたの、政府の賃金政策というのはわからぬでしょう。そういうことについて質問しているわけです。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 事務的な点補足さしていただいて、後ほどまた大臣からお答えいただきますが、ただいまも申し上げましたとおり、政府がきめることではございますけれども、法律に基づきまして失対賃金審議会の意見を尊重してきめる、そして失対賃金審議会におきましては、民間の同種の賃金を基準にして検討の上大臣に答申を出すということで、それに基づきまして政府がきめるという仕組みになっておりますので、政府といたしましては、賃金審議会の意見を尊重してきめるということになっておることを重ねて御説明申し上げまして御了解いただきます。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 最低賃金につきましても先生御承知であると存じますけれども、最低賃金法に基づきまして労・使・公益三者構成の最低賃金審議会というものが設けられておりまして、そこで同種労働者の賃金あるいは生計費あるいは事業の支払い能力等々を勘案いたしまして決定することに相なっておりまして、その審議会の御意見としていただきましたものを行政機関が最低賃金として最終的に決定し公示する、かような仕組みになっております。現在までの最低賃金は、いずれも最低賃金審議会においてほとんど大部分が、労・使・公益三者の委員の意見の一致をもってきめられておるわけでございます。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 この問題は、大臣就任当時から失対の賃金問題に対しましては、これは私熱心にいろいろ大蔵省と折衝した関係上、いま道正局長から話があったように、大臣がすぐにこうせいと、こういう仕組みにもなかなかなっておりませんので、審議会の諸公の御意見を尊重して現時点においては、まあ妥当な賃金である、こう言わざるを得ないと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 これではっきりしたと思います。前の二人の方はきめ方ですから、私は関係ないと思うのです。そういうことを質問したのじゃないのです。  いま労働大臣が日本の労働者の賃金について、過去は低賃金であったことは認めるが、現在の賃金についてどう考えるかということが出された。政府が主導権を持ってきめる失対賃金や、あるいはまた最低賃金法に基づく賃金が妥当なものである。これが労働大臣の見解。そうだとすれば、これはゆゆしい問題だと思うのです。こういう問題であなたが所信表明で出されている労使問題を平和的に自主的に解決しよう、これはできるはずがないです。日本の労働者がこのような低賃金で、一体いまの物価高でどうやって暮らそうというのですか。そういうことを考えますと、私は、あなた自身が所信表明の冒頭において「あかるくゆたかで安心できるくらしの実現を目標」にしている。幾ら口でこういうことを言っても、労働者にとって最大の問題である賃金問題については落第である。これは実現できっこないということをはっきり言わざるを得ないと思うのであります。  第二の問題に私は移りたいと思います。  私は、鉛中毒患者の労災認定の問題に関連して、所信表明についてお伺いしたいと思います。あなたはこの所信表明の中で、重点施策の第三というところで、こういうふうに述べています。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕  働く人の安全と健康を守る総合的対策を推進することが第三の重点目標である。しかも、それにふえんして「働く人の安全と健康を守ることは、福祉の基本」である。まことに私はそのとおりだと思います。しかし、言うことはやすい。ことばには税金かからぬといわれます。しかし、その実態はどうであるかということについて、これから質問いたします。鉛中毒患者の労災認定について質問したいと思います。  御承知のように、いま車公害の中でも自動車の排気ガスなどで最近鉛公害ということが非常に強く叫ばれております。同時に、この鉛の中毒患者というものは印刷会社であるとか、新聞社であるとか、あるいは鉛を扱う工場に働く人々にとっては重大な職業病の一つであり、鉛中毒患者がどんどんふえておるのであります。  ところが、そこに二十年以上もつとめて――永川下セツルメントという、鉛病では全国でも何台としかない優秀な測定機を持っている、そういう病院で、はっきりと鉛中毒患者たることが認定されたが、それが労災に認定されないのです。そして現在不服審査をやっている。その方は古河電池という工場につとめている今泉さんという方であります。そしていま再審査をやって最終段階に来ておりまして、近く結審が出よう、こういうところにきております。この不服審査のもとになった、いわゆる基準局が認定をしないという問題から、こうした問題が起きてきたわけでありますけれども、私は、どうしてこういうはっきりした方が労災の認定を受けられないのか、こういう事件がどのくらい起きているのかということで、政府に対して質問をいたしました。つまり労災に、認定として鉛中毒患者の方がどのくらい一体申請しているのか、どのくらいその中で業務上として認定されているのか、そうでない方はどのくらいか。これはとうとうその数は不明ですというお答えです。きょう関係者も出ておると思いますけれども、そのことに間違いありませんね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労災の業務上の負傷、疾病といたしまして、労災の給付を年間に支給いたしておりますのは、新規だけで年間百五十万に及んでおるわけでございます。その中には災害もございますし、職業病にいたしましても、基準法の施行規則によりまして業務上の疾病とされておるものだけで三十八項目列挙されておりますわけでございます。百五十万について、一つ一つの疾病について業種別にまで統計を現在とっておりませんので、鉛の中毒によって補償を受けた方はおられますが、その方が年間何名であるというまでの数字を持っていないわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 時間がどんどんたってしまうので、事実だけ答えてください。あなたの答弁が長くなってしまうので、私が間違いありませんねと言ったら、そうですとだけ言ってくださればいいのです。その理由まで述べられますと、私のほうで時間を引いてもらわなければならぬのです。  では、政府がそういう状態で鉛中毒患者というものに対する関心が一つ示されたと思いますが、ここでは、鉛中毒患者会の方の調査があります。  それによりますと、昭和四十五年から昨年四十七年の十二月までの間に申請されたのが二百九十件、そのうちで業務上と認定されたものが百五件、三六・三%にすぎないのであります。そして業務外が九十三件、この時点で未決定が九十二件となっております。そしてこういう認定に対して、不服である、こういう審査を請求している件数が七十九件もあるのであります。こういうことを見ますと、この今泉さんの問題は決して偶然の問題ではない、個々の偶発的な問題ではないということがはっきりすると思うのであります。  そこで、この労災認定に関して今泉さんの場合と、それから一般的にいって、この認定をするときに一体どういう基準と根拠に基づいているのか、この鉛中毒患者についてお伺いしたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 鉛中毒の認定につきましては、医学的にもいろいろ問題があるように聞いておるわけでございます。そこで労働省といたしましては、そういう業務上外の認定が円滑、迅速にまいりますように、かねて専門家の御意見を聞きまして、鉛中毒の業務上外認定の基準というのを設けておるわけでございますが、最近におきます医学の進歩等を勘案いたしまして、従来設けおりました基準を四十六年七月に改正をいたしました。もちろんこの改正の際には、この問題の関係の専門家からなります、鉛その合金又は化合物による中毒の認定基準の検討及び業務上外の認定に関する専門家会議というものをつくりまして、その御意見に従いまして詳細な認定基準をつくりましたわけでございます。  したがいまして、それによりまして、申請がありました方々についてはその基準によって、それに該当するものは業務上の鉛中毒として取り扱い、それに該当しない場合には業務上の鉛中毒という認定をしておらないわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 そうしますと鉛中毒患者にとっては、あなたの言う、そういう基準の上で、しかも業務上に起因すると、二重、ダブルの条件ということになるのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この基準に該当すれば、業務上の鉛中毒と認定をしておるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 あなたは、その基準以下の者については、それは治療を要しないものであると、そしてこれは健康管理だけが必要なんだというような発言を前回の、六十八国会か、寺前議員の質問に対して答えたというような記憶はありますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 寺前委員の御質問があったことは記憶いたしておりますが、ちょっと詳細はいま記憶いたしておりませんが、業務上外の認定基準に該当しない方については、他の原因による場合もございましょうし、あるいはまだ疾病というに至らない、健康管理をもって足りる方もあられると思うのでございまして、それは個々の方々によって、それぞれの場合には一がいには言えないのではないか、かように存じます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 あなたは、この問題について寺前さんの質問に答えてこういうことを言っておられるのです。それは「業務上外の疾病としての認定基準と、昨年七月に出しましたこの考え方は、」先ほど言ったものですね、「その基準以上であれば治療を要する、それ以下である人については、健康管理は必要だろうけれども、治療を要しない、こういう考え方でございます。」とこう言っていることは、これはもう病人じゃないということでしょうか、その基準以下の者については。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 鉛中毒というには至らない、かように考えておるわけでございます。ほかの疾病等がおありになれば、これはそれについての治療等が必要なことは申すまでもないと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 そうしますと、いまここに氷川下セツルメントの山田信夫医師の、この今泉さんについての所見といいますか、そういうものがあるのです。この今泉さんは古河電池といういわゆる鉛関係の職場で二十何年間つとめてこられて、しかも充てんという作業ですから、あなたたちのいう、労働省令できめられたいわゆる鉛中毒予防規則に該当する工場であり、職場、作業であります。それに従事してこられた人でありますけれども、「発病原因 二十年に及ぶ鉛蓄電池製造作業により鉛及び酸化鉛粉を多量に吸入蓄積したことによる。障害程度(一年前) 葉書一枚分の文章が一日たってもまとまらない。視野の狭窄、欠損など、」これはあとで、もし必要ならば、本人の調べた図表がありますから……。また「中枢及び脳神経障害が示された。2、 上・下肢のシビレ、疾痛、脱力など強く、」あるいは末梢神経、筋肉の障害が見られた。」中には一年の治療全経過を通じて、常時誘発尿中鉛三〇〇ないし一〇〇〇マイクログラム・パーリットルを証明できるという異常事態が続いている。」正常人は一〇〇マイクログラムといいますから、十倍のこともあったのですね。「同民の最近の毛髪鉛、爪中鉛はそれぞれ七六PPM、一〇四PPMの高値異常が認められる。」正常人は数PPMだそうです。「頑固な、どうやっても治らない貧血が十年以上続いている。」こうしてこのような障害程度を見た上で、結論として、今泉氏の問題については業務上外に関する担当医の意見として、上記の諸事実を総合して考えるならば、明らかに同疾病は業務上と判断できる、こういう所見を出している。その中に本年三月十二日に――これは昭和四十六年ですけれども、採取した、今泉さんがつとめておられた職場のすみにあった堆積粉じん中に鉛三万九四〇〇PPMの驚異的汚染数字が示されたことをあわせて報告をしております。  こういうような本人の症状を見ても、私たちしろうと目で見ても、このような専門家の見解を見ても、明らかにこれは業務上と認定されるべき、疑いのない問題だというふうに私たちは確信しておる。ところが、認定にならぬし、しかも寺前議員に対して渡邊政府委員という人が答えている内容を見て、私は実はその人の顔を見たかったのです。どういう顔をしているのか。そしてきょう初めて、あなたという人がああいう発言をしているということを知ったわけでありますけれども、このような問題について、いま審査会で審査をされている。しかし、そのもとはといえば、認定しなかったという問題なんですけれども、この問題について一体どういうふうにいま考えられておられるのか、お考えを聞きたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、鉛中毒の認定については医学的にも専門家の間でもいろいろ御意見があるようでございますが、私どもは、先ほど申しましたように、四十六年に現在日本のその方面においては最高の権威といわれる方々の専門家会議を設けまして、そして非常に詳細な認定基準をつくったわけでございます。検査方法等についても、現在の医学ではこれが一番正確であるといわれる検査方法まで指定して、それによって出た数値がこれこれである場合というような認定の基準をつくったわけでございます。そしてその専門家の御意見に従った認定基準によって認定をいたしておるわけでございます。そういう現在の日本の医学の最高権威といわれる方々の定められました認定基準、これによって運営することが行政としては最も妥当なことではないか、かように考えるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 そういうことはみんな言うんだ。いまの公害病なんというのは、自分たちに都合のいいほうから見れば、あれはみんな病気ではないんだ、自分のほうに原因がないんだ――ところが、ああやって患者の人たちが十何年間かかって、そしてきつい判決が下されるでしょう。あれだって、みんなあなたたちの言う専門家なんですよ。都合のいい専門家なんです。しかし、ここに出しているものだってきちんとした専門家なんです。氷川下セツルメントというのはあなただって知っているでしょう。この鉛の中毒患者の問題については権威を持っておるところですよ。  そういうことについて私は、今度は労働大臣に聞きたい。  いまこのような所見や、あるいは本人に会っても症状を聞けばわかるかもしれないし、またこの鉛を扱う工場に二十何年間勤めてそこで出てきた病気について、当然これはだれだって、しろうとだって、そうじゃないかなと思うのがあたりまえ。ところが、基準だ、基準だ。この基準がいかにきびしいものであるか。この新基準が出てから、患者会の調べだと、三十二名がこの基準で業務外に認定されているのです。先ほどのあの申請のうちですよ。これはただごとではない。ところが、あの理屈でいえば、それは最高の権威で専門家だから、これは間違いない。これが役所仕事というもの、魂のないやり方だというのです。しかもこれから審査会に対する労働省の問題がありますけれども、その前に労働大臣として一言、私の先ほど質問した、こういう事実について、そういう基準によってがちゃがちゃみんな業務外に認定してしまう、こういう問題についてどういうふうに考えられますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 いま先生は、労働省が専門家会議の結果によってきめております基準が非常にきびしいものである、そのために認定されるべきものがされてないのだということをおっしゃったのでありますが、私どもがきめております基準というものは、他の諸外国できめておりますものに比べましても決してきびしいものではない、むしろ英国あるいは国際無機鉛会議などできめております基準よりは、ゆるやかなものだというふうに考えておるのでありまして、たとえて申しますと……。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 ちょっと発言。そんなことは書いてある。私の質問したところにそんなこと……。三十二名が却下されているということで事実を言っているでしょう。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 局長、続けてください。発言中だから、ちょっと聞いてください。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 それでは続けます。  その例を申し上げますと、血液一デシリットル中における血中鉛の量はわが国は六〇マイクログラムといたしておりますが、英国は八〇マイクログラム、国際無機鉛会議では七〇マイクログラムという基準をきめております。また尿一リットル中のデルタアミノレブリン酸の量につきましても、日本は六ミリグラムとしておりますが、英国は二 ○ミリグラム、国際無機鉛会議の基準は一〇ミリグラム、あるいは尿一リットル中のコプロポルフィリンの量にいたしましても、日本は一五〇マイクログラムといたしておりますが、英国は一五〇〇マイクログラム、国際無機鉛会議は三〇〇マイクログラムという基準をきめておりますし、誘発テストに基づく一日の最大許容量にいたしましても、日本は五〇〇マイクログラムといたしておりますが、諸外国は八〇〇ないし一〇〇〇マイクログラム以上排出する場合に初めて病的症状であるというふうに考えられているのでございまして、日本の基準が決して国際的に見てもきびしいものであるというふうには私ども考えていないのでございます。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 石母田委員から御指摘のように、この問題はなかなか、実際にこれを審査して具体的に実行する段階に至るとむずかしい問題がありますが、先ほどから政府委員から御説明して、大臣の言いたいことは、こっちから大体申し上げましたが、やはりかような職業病の問題は医学的な判断に基づいて認定基準をきめる、これはもういたし方ないと思います。  そういう意味からほんとうに最高の専門家会議をやるとかいろいろな対策は労働省といたしましても講じておりますけれども、一例が、労働省に直接――労働衛生研究所というのがあります。私、この間視察いたしましたが、なかなかこれは広範囲に研究いたしておりますが、かようなところで直接これを研究して、直接これに対して判断を下すようにしたらどうか。どうも専門家に頼みますと、いろいろな経路を経て御指摘のように的確に、これに対する対策の判断が基準内であるか、基準外であるかということの認定がしにくいので、御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 これは大臣でさえそう言っているでしょう。この問題について、十分検討しなければならない問題が出ているのです。  それで、こういう専門家がきめたから、もう金科玉条のようにして、結果としては気の毒な人をたくさんつくっている。そういう家族や患者の人たちがどんなに大きな苦しみをしておるかということを考えなきゃならぬのですよ。  さらに私、次に移りますけれども、いまこの審査会が第一回から第三回まで開かれております。それで、この四十七年一月から開かれている審査会の中で、審査長から、労働省が監督して基準監督署が行なった調査資料があるのです、現場の立ち入り調査。これの提出を求められていて、これが一年余にわたって提出されなかった。それは労働省に、それを出してはならないというような通達がある、こういうような説明がなされたようなことがあるのですけれども、事実についてお答え願いたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 保険審査会と申しますのは、先生も御承知のように、そういう業務上外の認定等に不服がある方が、その行政官庁の決定処分に対しまして不服の申し立てをし、国会の御承認を得て任命いたしました公正な委員よりなる保険審査会において、当事者の申し立ても聞き、あるいは処分をいたしました行政官庁の意見も聞いて、公正な立場から判断をされます不服の裁決庁でございます。  そこにおきましては、われわれは被申し立て人側といたしまして、この御審査に参画をいたすわけでございまして、もちろんその過程においては、私どもは私どもの立場のいろいろの主張をいたすわけでございますが、保険審査会が公正、迅速な御裁決をなされますよう、私どもは極力これに御協力を申し上げておるわけでございまして、もちろん、その審査の過程で官庁側の主張はいたしましたけれども、証拠資料等についても出せということで最終的にきまれば、それに基づいて必要な書類は提出をいたしておるわけでございます。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 労働大臣から補足発言があります。労働大臣。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 いま石母田さんの御発言の中で、当該当局長と大臣との意見が食い違って、大臣は石母田議員の御趣旨に沿ってやると、こうおっしゃいましたが、そこはちょっと違うのです。専門家を大いに動員して、もう少し統一的な見解、特に判断の困難な問題を、石母田議員からどうも手ぬるいと、こういうことに対しては善処するという意味を申し上げたので、全然、局長と私の意見が、局長はやらぬ、私は大いにやるというようにおとりになりますと、ちょっと立場が苦しいので、特に補足して御答弁いたしておきます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 そうしますと、第一回の審査会の中で、立原事務官、これは労働省の労災補償課の方ですね。この立原事務官に対して審査長から――この立原事務官から、何回かにわたって監督署が臨検監督した事実を述べて「四十六年九月、十月臨検監督されますと、その調査事項と調査結果というのは、監監署では書類として完備されるわけですね。」立原事務官「当然しております。」「それでは、四十六年の七月、九月、十月並びに四十六年十月二十五日付申告についての監督状況の調査の結果報告、それと、監督署がやりました監督指導内容というものを整理して、同審査会に提出するように。それから四十六年七月以前に、どういう臨検監督をされたか、されていないか、されているとするならば、その日付とその結果並びに監督指導の実績を同審査会に提出するように。」こういうふうに審査長から求められておりますけれども、これらの資料は全部出しましたか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 最終的に口頭で審査会に御報告を、必要な部分についていたしております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 それは、いつといつですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 二月八日でございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 二月八日というのは、ことしですね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 そうでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 ことしの二月八日。第一回目の審査会は四十七年の一月二十日ですよ。そうして、それから一年ちょっとたっているけれども、それを出すのに、どうしてそんなに手間どったのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 去年の一月以後、次の審査会は去年の十二月に開かれておりまして、その次は、ことしの二月八日でございまして、審査会の回数がその間非常に間隔がありましたために、おそくなっておるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 あなたがそう言うなら、私のほうから言いましょう。  審査会の数が少ないから出せない、これがおもな理由ですね、あなたの言うのは。ところが第二回の、あなたの言われた十二月二十一日の審査会で、立原事務官は、前回つまり第一回に求められた資料の提出については、監督課より――監督課というのは、労働省の監督課ですよ。そういうものは提出できないという通達が出されているから、提出できない。こういうような発言をしているのです。これは一体どういうことですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 臨検監督いたしました結果につきましては、いろいろな事業場についての問題が出ておりまして、当該鉛中毒の認定問題に関係のないような、いろいろな臨検結果も含まれておるわけでございます。したがいまして、そういう各般の企業内の問題、職務上知り得た秘密なども記載されておりますので、一般に、監督結果は外に出さないようになっておるのでございます。おそらく、その趣旨を申し述べたと思うのでございますが、しかし、保険審査会の審査に必要なものは御協力するという立場におきまして、次の二月八日の審査会におきまして、監督結果のうち、この当該事件の審査に必要と思われる監督結果について、口頭で御報告いたしたわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 そうしますと、その審査長が求めた文書あるいは資料というものは、この労働保険審査官及び労働保険審査会法の第四十六条第一項の、審査会は、審理を行なうため必要な限度において、職権で、保管者に対してその提出を命ずることができる、こういう内容からいいますと、あなたの言うのは、いま第三回目にごく一部出しているけれども、この一部だけが必要であって、あとは必要ではないのだ、こういう判断を、だれがしているのか、そういう判断に基づいて提出していないのか、ちょっと聞きたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 臨検検査等をいたしました結果のうち、この事件に関係あると思われるものを審査会に御報告したわけでございまして、そういう形で審査会の御要求に応じますことについて、最終的には審査会のほうからも御了承をいただいて、そういう形にしたわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 あなた、その必要のないようなということを言うけれども、今度の出したものでも内容を見ますと、これは重大なことをいっているのですよ。  FC工場のところについては、たとえば局所排気装置をつけろというようなことを。これは先ほど述べた予防規則の第六条や七条の二に明らかに違反している行為だからなんです。そういう改善命令が次々にいま出されている。そういう内容のものは、それは認定をしなかった、あなたたちには得なんです。しかし、そういう工場であるということは、そこに常に鉛中毒患者が起きる可能性が非常に強いということなんです。だからこそ、こういう改善命令を出している。そういう結果が書いてあるものを口頭で言ったか何であったか知らぬけれども、それはできないのだということで一年有余にもわたってとめているということは、審査会における公正な、何だか審査に期待するとか協力するとか言っているけれども、これはどういうことなんです。まるっきりあなた逆じゃないですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これは審査会というのは、先ほど申しましたような不服審査についての裁決庁といたしまして、当事者からそれぞれの主張を聞いて最終的に判断をされるわけでございまして、処分庁といたしまして審査には御協力いたしますけれども、処分をいたしました立場から、いろいろ主張をすることは当然許されることだと考えるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 私はあなたたちの立場の主張を言っているのじゃない。そういう監督署がやった資料の提拠が、第一回目に求められているときに、これが出てないでしょう全部。そういうことについて、あなたは必要のない内容があるからだと言っているけれども冗談じゃないですよ。これあなた見ましたか。見てないでしょう。  その中には、最近二月八日に出されたものだけ見ても、これだけ見ても、たとえばFC工場というのは、シリンダーのガラスの繊維のところに、まん中に鉛棒を入れて、その回りに鉛粉ですね、それを振動でこうやってやるところですよ。これに換気装置がついてない。そういうところで、しかも今泉君は二十何年だ、そのうちの大半が充てん作業だ。そういう鉛中毒患者になりそうな作業と職場で、そして役所がそういう改善命令を出さなければならないようなところにいたのです。  こういう問題について、あなたたちの主張に都合がいいからといって資料の提供を制限したり、そういうふうに延ばす、あるいは一時はあなたは拒否したのですよ。こういう通達が出ているかどうか知らぬけれども断わっているのですよ。こういうことは全く審査会に対して、労働省それ自体が自分たちの権力をふるって妨害している。しかも認定をはずさせるようにする。そして今泉君にとって有利な資料を出さない、制限する。とんでもない話だと思うのです。こういうことについて私は労働大臣にお答え願いたいのです。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

田川誠一自由民主党

○田川委員長 速記を始めて。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 石母田議員と政府委員との間で少し御質疑の食い違いがありますが、先ほど私から申し上げたように、もう少し進んで親切に具体的に対処することをお答えいたします。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 そうすると具体的に、そういう審査長が求めている資料はすべて審査会に提出する、あるいはそれを妨害するような通達なんというのは全然ない、こういうことで理解していいのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 審査会の御審査を妨害するようなことは毛頭いたしておりません。審査会がお求めになりました資料について、私ども主張として、たとえば関係がないと思うものについては関係がないと思う旨を申し述べることはございますが、最終的には審査会の御意向を妨害するようなことはいたしておりませんし、今後ともそういうことはいたさないつもりでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 ちゃんと求められている資料は、すべて審査会に提出するということはいいんですね。これは審査会が必要と認めたものですよ。それについての提出を求められたものは、提出するかということを聞いておるのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 審査会から最終的に決定として提出を求められたものは提出をいたします。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 今泉さんに対して会社から、もし審査会で認定外としたならば解雇するという通知が来ているのです。そうしますと、子供をいま二人かかえて、ほとんど収入が途切れていて、カンパによって暮らしており、また医療費においても相当病院に負担をかけておる、そういう実情にあって、またその上解雇される。これが今泉さんだけでなくて、最近むち打ち症とか、あるいは頸腕症候群とかCO中毒患者ということで長期で疾病になっている人を、御承知のように長期傷病補償制度、そっちのほうへ移す、そういう扱いにするということによってこの解雇制限がなくなって、事実上首を切られるという事態が起きてくるわけです。  こういう問題について最近、政府といっても労働省ですけれども、そういう方向のことをやるということを言っておりますけれども、こうした今泉さんはじめこういう――けさから論議されておるように、中には原因さえわからない、治療も十分じゃない、なかなか治療方法もはっきりしない、そしてましてや復帰、リハビリテーションの施設が政府も認めておるようにきわめて貧困な状況の中で、こういう人たちをそういう扱いをすることによって事実上の解雇が許される。雇い主はそれを解雇することができる。こういうようなことに労働省が積極的に手を貸す――必要に応じてということが明らかに書いてあるのだから、そういう意味におきまして、私は労働大臣や政府がそういうことを一方的に強行しない。そしてこの今泉君の問題についても十分公正な審査が得られるように、公正な結果が得られるように、政府としても協力してもらいたいということを労働大臣にお伺いしたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 今泉さんの問題でございますが、業務上の疾病にかかっておられるということになりますと、その業務上疾病にかかって療養中及びその後一カ月間は解雇制限というのは基準法の十九条であるわけでございます。しかし、業務上の疾病でないということになりますと、基準法の十九条の解雇制限というものの適用がないのでございまして、その方がどういう理由で解雇されるのかということは、私もそういう話が出ているのかどうか存じませんけれども、基準法の関係で申しますと、そういう十九条の適用を受けるか受けないかということになるわけでございます。  それからむち打ち症その他の方について、長期傷病補償に移られた方の問題でございますが、労働基準法では業務上疾病にかかられた方については、先ほど申しましたように、その療養期間中は解雇制限をかぶっておりますが、三年たってもなおらない場合には、打ち切り補償を支払うということになっておりまして、打ち切り補償を使用主が支払いますと、十九条の解雇制限が解除される、こういう法制になっておるわけでございます。  ただ、これに対しまして、労災保険におきましては、三年たってなおらないからということで打ち切り補償を支払って以後療養休業の処置をしないということは、労働者の保護の観点からまことにお気の毒ではないかということで、三十五年の改正で、三年たってもなおらない人の打ち切り補償という制度をやめまして、なおるまで見て差し上げる、療養と年金を差し上げるということで長期傷病補償というものを設けたわけでございます。  したがいまして、長期傷病補償というのは基準法上の打ち切り補償にかわるものでございます。したがって、基準法との関係で申しますと、三年たってなおらないために長期傷病補償の給付に移りますと、これは労災保険法の十九条の三という規定がございまして、打ち切り補償を支払ったものとみなされて、十九号の解雇制限の解除については打ち切り補償をとったと同じ法律的な関係になる、こういうことに相なっておるのでございまして、そういうことでございますので、打ち切り補償にかわるものとして設けられたという長期傷病補償の精神からいたしますと、三年たってなおらない、なお相当期間長期療養を要するという方は、やはり労災保険法の規定に従って長期傷病補償の給付の決定をし、なおなおるまでの療養と年金を差し上げるというたてまえになっておるわけでございます。  ただ、その場合にも私ども決してそれを三年たてば機械的、画一的に行なっておるわけではございませんで、三年たった時点で、なお若干の療養をすれば治癒される見込みがあるというような方方の場合には、しばらく経過観察をして、その間は長期傷病補償給付に移行しないといったような弾力的な処置もとっておるところでございまして、今後ともそういう労災保険法の規定のたてまえに従って適正な労災保険給付の決定をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 いま当該局長から判然といろいろな施策について詳細に説明がありましたので、大臣としては、ただそれを親切に迅速に実行するということをお約束いたします。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 敏速にやられていい部分と悪い部分があるのですよ。さっき言ったような一方的な打ち切りをどんどん迅速にやられたら――それを一方的にやってはいけないと私は言っているので、政府は、そうじゃないでしょう。それをあなた迅速に強行するというのなら、これは重大問題です。とにかく時間がなくなったので――これは私の責任よりも渡邊政府委員の責任がかなり多いと思うのです。  最後に私は――ことに最後の問題については質問を留保して、この次の機会に続けたいと思いますけれども、きょうは短い時間でありましたけれども、政府の賃金問題に対して、いまの最低賃金法できめられているようなあのような低賃金、あるいは失対労務者の賃金、こういうものが妥当であるということが労働大臣からはっきり言われた点、さらにいまの今泉さんを中心とする鉛中毒患者に対する扱い、そうして特に審査会に対する労働省の示した態度というような問題、最後にこうした労災補償から長期傷病補償制度の取り扱いにすることによって事実上雇い主に解雇させることを許すというようなことについて、われわれはほんとうに自民党政府として、いかに労働者に対して非人間的、非労働者的な政策を追求してきているかということが非常にはっきりしたと思っております。この問題については、今後とも追及していきたいということを発言して、私の質問を終わりたいと思います。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私は、炭鉱閉山に関連いたしまして、若干質問を申し上げますが、御承知と思いますけれども、福岡県の嘉穂都稲築にある山野鉱と漆生鉱が三月の末についに閉山ということにきまっております。山野鉱は稲築町の基幹産業でもあっただけに、その上住民に及ぼす影響というものはきわめて甚大でございまして、いま非常に暗い空気がただよっております。そういう立場から、地域住民の皆さまのいわゆる不安を取り除く意味からも、きょうはひとつ具体的な問題に入ってお尋ねしたいと思います。  まず、この山野鉱、漆生鉱の閉山に伴って発生するところの離職者、この見通しあるいは再就職の問題でございますけれども、まず最初に、離職者の人数あるいは年齢がどの程度になっているのか。平均年齢でけっこうでございますが、御報告願いたいと思います。

桑原敬一労働省職業安定局失業対策部長

○桑原政府委員 御承知の山野炭鉱と漆生炭鉱、それぞれ三月末に閉山の予定になっております。現在条件闘争に入ってまだ妥結に至っておりませんが、私どもの現在得ております情報によりますと、山野炭鉱におきましては従業員数二千百七十二人、これは常用、臨時、下請、すべて含んだ数字でございます。それから漆生炭鉱は従業員数五百四十三人でございます。これも先ほど申し上げました常用、臨時、下請、全部含んだ数字でございます。  それから年齢につきましては大体両鉱とも四十五歳が平均年齢になっておるようでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 そうしますと、二千百七十二、それから五百四十三とかなり多数の離職者が出るということでございます。同時に、平均年齢が四十五歳ということは、再就職はきわめて困難であるということが予想されます。そこで労働省としまして、これらの大量の離職者ないしは再就職に対してどのような対策を講じようとなさっておるのか、具体的にお聞かせ願いたいと思います。

桑原敬一労働省職業安定局失業対策部長

○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、現在労使でお話し合い中でございますので、具体的に山に入りまして直接まだ労働者の方とお話し合いをするわけにいかない状況でございます。それで現在、二月の初めからアンケートをとっておりまして、求職動向と申しますか、どういう職業をお求めになるのか、あるいは職業訓練を受ける御希望があるかということをやっております。これを取りまとめまして、ある段階で労使の話し合いがつきますれば、私どもとしては直接山に入りまして、会社、労働組合と十分お話し合いをして十分な対策を講じたいと思っております。お話しのように、四十五歳といいますと、大体いまの山の平均年齢が四十二歳でございますから、山の平均年齢より高いということがいえます。したがって、中高年齢層を中心にした離職者が多いということがいえると思います。家族をお持ちである、あるいは住居を持っておられてなかなか外へ出ていくということもむずかしいわけでございます。求人のほうも、年齢が高いので、どうしても若い人をというようなこともございますので、そういった中高年齢に中心を置いたこまかな対策を講じてまいりたいと思っております。したがって、私どもとしては、福岡県なり労働組合、会社とこれから十分相談をして、この解雇が大量でございますので、思い切って私どもとしてはいままでにない対策を講じて、大がかりな対策でこれを進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまお話によれば、まだ労働組合と会社側が条件闘争で争っている最中だから、先に手を入れられない、思い切った救済対策ができないというような答弁であったように思いますけれども、確かに賃金とか退職金だとかいう問題での条件闘争であろうと思います。つまりこの話し合いがまとまらない限りは閉山するとかしないとかいう問題でなくて、閉山することはもう確定的といっても言い過ぎでないと思うのです。したがいまして、離職者のひとしく思うことは、離職後の自分の再就職、これがどうなるのだろうかというのが最大の問題になるわけですから、条件闘争は条件闘争として、そうした再就職に対する手の打ち方というものはもっと具体的に入ってしかるべきではないか、入っていって決して悪い感じは持たないと思うのですね。いまのお話で、アンケート等は二月から一応とったというのは、こういう仕事に進みたい、こういう希望があるというようなことをおそらくとられたのではないかと思いますけれども、そういうこととあわせて、いわゆる相談員といいますかあるいはあっせん員といいますか、そういうのを大量に送り込んで対処しないと、手のつけられないようなかわいそうな姿になるのではないかと思うのですけれども、その点はどうですか。

桑原敬一労働省職業安定局失業対策部長

○桑原政府委員 私どももちろん手をこまねいているわけではございませんで、順次手順よく計画をつくってやってまいります。  それで、福岡県が中心になりますけれども、福岡県だけでは手が足りない面がありますから、東京とか大阪とか一応各県の職員の応援をまず求めたいと思います。それから、私ども山元協力員という制度を持っておりますので、これを重点的に配置いたしたい。それから福岡県に職業相談員という制度を持っておりますので、これをさらに福岡県に要請して増員をして、ほんとうに親身になって御相談できるような体制になるように万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これは大臣に一言確認の意味でお願いするのですけれども、いま局長さんのほうから、山野鉱あるいは漆生鉱の大量の離職者に対してそれ相当の体制をしいてそれに取り組んでいこうということを言われたわけでございますが、これは非常に人数が多いのと高年齢であるということで、きめのこまかい、そしてあたたかい手を打ってもらいたい。大臣の決意を聞かしていただきたい。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 山野炭鉱、漆生炭鉱の閉山に伴う離職者の再就職の問題でありますが、いまも大橋委員から御指摘のとおり、総数を聞きますとこれはもう大問題、両社合計いたしますと二千七百余名です。こういう意味で、これは労働省としても大がかりな応援隊も送り込むし、大がかりな規模のもとに再就職のいろいろな御援助、ごあっせんをする所存は、これは間違いありません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ほんとうに期待をいたしております。  そこで、相次ぐ炭鉱のこうした閉山による多数の離職者に対して、離職者の求職手帳の発給要件等の要件を大幅に緩和する必要があるのではないかと思うのでございますが、この点についてはどう考えられますか。

桑原敬一労働省職業安定局失業対策部長

○桑原政府委員 手帳の発給要件は現行法によりますと、過去一定時点に在職をしておりまして、それ以前に一年以上つとめていなければならぬ、こういうような要件になっております。新しい時点は四十三年の十二月三十一日現在に在職をして、過去一年間つとめておった、こういうことになっておりますので、それ以後新しく山に入ってこられた方は対象にならないということがございましたので、実は現在、今国会に御提案を申し上げております炭鉱離職者臨時措置法の一部改正をお願いしたわけでありますが、これはいま申しました過去の一定時点を押えませんで、在職一年以上あれば今後は手帳を出すということに改めたいという提案でございます。これが実現いたしますと、いままでございましたいろいろな求職要件のしぼりというものがなくなる、救えるのではないか、こういうふうに考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もう一回確認しますが、在職一年以上ということはどの時点をとらえて言うのですか。

桑原敬一労働省職業安定局失業対策部長

○桑原政府委員 四十六年の七月一日以降一年在職していればいい、こういうことに改めたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 四十六年七月一日以降とにかく一年間炭鉱で働いておる者はすべて手帳がもらえる、こう理解してよろしいですね。

桑原敬一労働省職業安定局失業対策部長

○桑原政府委員 そういうことでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 その法の改正の中身からいけばかなり救われていくことは見えるわけでございますが、このような再就職のための種々の手当てを加えたものの、なおかつ失業せざるを得ないという人も出てくるのではないか。つまり再就職の手に漏れるといいますか、そういう人もかなり出てくるのではないか。そういう人に対しては、これまで失業者の救済事業として失対事業とかあるいは緊就あるいは改修、特開、こういう事業にみな進んでいったわけでございますが、まず私がいま申し上げたような各事業所の単価の引き上げを当然行なうべきであるということと、それから就労ワクの拡大をはかる必要があるのではないか。この際、たとえば失対にしろ緊就にしろ、いままでの入れないという考えをもう一回改めてワクを広げる必要があるのではないか、こういう気もするのでございますが、その点はどうでしょう。

桑原敬一労働省職業安定局失業対策部長

○桑原政府委員 産炭地におきましては、いま御指摘のように失対事業、緊就事業あるいは産炭地改修事業というものが行なわれております。これらの事業費の単価につきましては、毎年引き上げに努力をいたしております。現在御審議いただいております予算の中に入っておりますような大幅な引き上げをはかっております。  ワクの問題でございますけれども、先生御承知のように、失対事業は一昨年の中高法の改正によりまして、今後は新しく入れないということになっておりますし、緊就事業につきましては昭和三十八年から、閣議決定で事業を存続して、今後新規を入れないということになっております。したがって、今後発生いたします失業者については、事業吸収方式ではなくて、先ほど申し上げました求職手帳を差し上げて、手当を支払いながら十分な職業指導、職業訓練をやって安定した職業についていただく、こういうたてまえになっております。したがって、そういうことでこの問題は私ども処理をいたしたいと考えております。  ただ御承知のように、一昨年から特別改修事業というものを設けまして、特に産炭地等で非常に失業者が出ておりまして就職できにくいところは、特別改修事業という制度を設けまして、五千のワクでそういった事業を興しております。したがって、もし万一どうしても失業して就職できない方につきましてはそういった手当てをやっていきたい、こういうふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねしますが、いま局長のお話では、ワクの問題は法律改正のためにできないが、緊就については閣議決定で予算措置がなされて、今日までかろうじて続いておるということです。しかし、来年の三月でこの緊就もまたまた時限が来るわけでございますが、いまのような事情もこれあり、当然これは再び閣議にかけられて延長されるものと私は思いますけれども、その点について大臣の所見をお伺いいたします。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 情勢の推移を見まして、十分考慮して検討いたします。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 要するに、地元ではたいへん大量の離職者をかかえている暗い状況でございまして、来年の三月で終わるというようなことではなくて、むしろこの際無期延期にひとしいくらいの予算措置といいますか方針をとっていただきたい、ここまで強い要請がございますので、いずれは閣議決定の運びになると思いますが、その際は大臣としてこの実情を十分理解された上で主張していただきたいと思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 この問題は閣議の材料としてまだ諸般の関係が整っておりませんが、通産大臣とも協議いたしまして、諸般の事情を――これはやはり閣議で問題になると思います。非鉄金属の問題とこの問題が離職者の大問題でありますから、いまの大橋委員の御趣旨を尊重して、これはもうじょうずなく、管轄の労働省としましては関係省と連絡をとりまして十分善処いたします。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは次の問題に移りますが、離職者の再就職促進について職業訓練がきわめて大きなウエートを占めております。また、大量の離職者の中からそうしたいわゆる職業訓練の希望者が多数起こってくると思うのですけれども、この点についてどのような考えで対処なさろうとしておるか。

遠藤政夫労働省職業訓練局長

○遠藤(政)政府委員 離職者の再就職につきましては、職業訓練が非常に重要な役割りを果たすものであろうことは御承知のとおりでございます。そこで山野、漆生の閉山に伴う離職者につきましては、その中から現地の安定所の就職相談に応じまして、その中の訓練希望者につきましては全面的に田川、飯塚、添田、この三訓練校に送りまして訓練を受けさせる予定にいたしております。ただ、先ほどから先生御指摘のとおり、非常に数が多うございますので、現在の既設の訓練校だけではまかない切れないものが出てくるかもしれませんけれども、そういう際に現地の山元でいろいろな教育、訓練を行ないますとか、臨時に訓練施設を増設いたしまして、そこで希望に応じた訓練を実施いたすように予定いたしております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 かなり多くの希望者がいるだろう。それについては田川、飯塚、添田、この職業訓練所に割り当てる予定だけれども、それでもまかない切れないことも予想される。そういう場合には現地に、委託訓練所ですか、こういうものも考えているということですが、私はこれはうっかり考えているとほんとうに希望を受け入れられないことになるのではないかという心配をするわけでございまして、この問題については一そう真剣に取り組んでいただきたいということです。  もう一つ、地域に行きまして皆さんの強い要望を受けることは、この飯塚方面の職業訓練――飯塚というか、筑豊方面ですね。職業訓練所の中身というものは非常に貧弱である。つまり総合職業訓練センターみたいな充実した施設を一日も早くつくってほしいというきわめて強い要請があるわけでございますが、こういう点について労働省としてはどう考えられているか。

遠藤政夫労働省職業訓練局長

○遠藤(政)政府委員 筑豊地区の訓練施設につきましては、御指摘のとおりでございます。そこで福岡県当局におきましても、この筑豊地区の三訓練校を統合いたしまして近代的な内容の充実した訓練校に再編成するというような計画があるように聞いております。私どももその線に沿って十分これに協力してりっぱなものにつくり上げていきたい、かように考えておる次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣に一言確認しておきたいと思いますが、いま局長のお話ではりっぱな職業訓練所、総合センターみたいなものをつくっていこうという方針であるということですから、これが早い時期に実現することを大臣にお願いしたいと思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 遺憾ながら四十八年度の予算にはこれは編入いたしておりません。しかし三十九年にはどうにかこれはまっ先に獲得して、これがいま局長からお話しになったように省内でも統一いたしておりますから、これはじょうずなくの答弁として大臣からも申し上げられると思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま大臣の発言の中で、三十九年ということは四十九年の間違いだと思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 四十九年です。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ぜひともそれを実現していただきたいと思います。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕  それから県外流出は地域を過疎化する最も決定的なものになっているわけでございますが、周辺の各市町村に再就職させるということが地域復興のために最も重要なことではないか、私はそう考えるわけです。  これは通産省の方にお尋ねしたいわけですけれども、来ていらっしゃいますね。企業誘致というのがきわめて重要なポイントになっているわけですが、この地域に対して企業誘致の具体的な話があるかどうかということ。四十八年度の企業誘致の問題、あるいは将来構想があれば、ここであかしていただきたい。

佐伯博蔵通商産業省鉱山石炭局石炭部長

○佐伯政府委員 産炭地振興につきましては、四十六年の十二月に産炭地域振興基本計画というのをつくっておりまして、それに基づきまして、その後の情勢を取り入れながら強力に推進してまいる予定でございますが、先ほどからお話がございましたように、不幸にして山野炭鉱、漆生炭鉱が閉山のやむなきに至りましたので、それにつきまして、稲築町に企業誘致をすべく、県、町、それから工業再配置・産炭地域振興公団と協力いたしまして、企業誘致につとめておる次第でございます。現在まだ正確にわかっておりませんけれども、いまのところ四社くらいが近く企業進出してくるというふうな運びになっております。それからもう一つは、稲築町ではございませんけれども、その近辺に飯塚団地、庄内団地、大きな工場団地が完成いたしまして、近く公募をいたすことになっております。そこには相当の企業が入ってくることになっております。そういたしますと、町内ではございませんけれども、十分通勤圏内に入りますので、そちらのほうにも就職はできるものというふうに期待いたしておる次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 疲弊した産炭地域の起死回生の道というのは、言うならばこの企業誘致にかかっているといっても過言ではございません。通産省の力強い御指導、御援助を願いたいと思います。  そこで、現在当地域に、稲築町ですが、十一社企業誘致がすでになされて動いておるわけでございますが、今回の離職とともにそこの炭鉱に働いている世帯主が県外に流出するような場合、その家族の方が――十一社で働いているわけですね。一緒によそに出ていくということになれば、あとへ残される企業の労働関係が非常に問題になってくるのじゃないかという心配もなされているのです。その点、これは労働省のほうですけれども……。

桑原敬一労働省職業安定局失業対策部長

○桑原政府委員 産炭地に誘致されました十一社の企業に働いていられる労働者の方が御主人と一緒に県外に行かれて、労働力が不足するのではないかという御指摘でありますけれども、もちろん今度閉山される離職者の方相当たくさんございますし、女性の方もたくさん含まれております。子弟の方も御一緒に私どもとしては相談に乗らなければなりませんので、もしそういって穴があいた場合は、十分御相談に乗って離職者の中から希望者をつのりますし、また現在安定所の窓口には、若い方も含めまして相当たくさんの離職者あるいは失業者が来ておられますけれども、十分御相談に乗って、そういった不測の事態が来ないように万全の措置を講じたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もう一回通産省の方にお尋ねしますが、炭鉱離職者とともに、地域の商店街の皆さんの困り方は想像以上でございます。非常に心配していらっしゃいます。たとえば商工会員が現在六百八十名おるわけでございますけれども、そのうちの四百四十八人が二つの炭鉱に依存して生きているといっても過言ではないのです。そういう方が今後どうなるのだろうかという非常に深刻な不安を抱いていらっしゃるわけでございますが、こういう方に対してどのような考えを持っているか。

佐伯博蔵通商産業省鉱山石炭局石炭部長

○佐伯政府委員 先生おっしゃいますように、これはきわめて大きな問題でございます。従来は産炭地域振興臨時交付金の中の一部を使いまして、そのような方に転廃業等の資金をお貸ししておったわけでございますが、これはきわめてわずかでございまして、それでは十分ではございませんので、私たちいま第五次石炭対策を推進いたしたいと思っておりますけれども、その中で新たに相当長期のお金を低利で、まあいまのところは五分くらい考えておりますが、お貸しする制度をつくりたいということで準備をいたしております。それは、道とか県のほうでそういう制度をおつくりになった場合に半額を国から支出をいたすという予定になっております。その予算といたしまして、いま国会のほうに二億円を出していただくように要求をいたしております。したがいまして、これが予算を通していただきましたら、福岡県とも十分連絡をとりながら前向きに進めていきたいというように存じております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまのお話では、零細商工業者はもちろんのことだけれども、炭鉱関連の下請企業、こういう人も当然あるいは転業等が考えられるわけですが、同じようなことが通用するわけですね。

佐伯博蔵通商産業省鉱山石炭局石炭部長

○佐伯政府委員 仰せのとおり下請も含めて対処していきたいと存じております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これは山野、漆生とは全然関係ないことでございますが、もう時間がございませんので最後にお尋ねしますけれども、足尾銅山のけい肺病患者について、地元がついに閉山したというような状態になったわけでございますが、それにもかかわらず、まだ国の認定も受けない患者が数多くいるということでございます。これらの患者に対して職業病認定の見通し及び対策についてどのようなお考えを持っておられるか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 じん肺につきましては、先生御承知のように、じん肺法によりまして、じん肺診査医の意見を聞いてその健康管理区分を決定することにいたしております。足尾銅山関係の労働者のじん肺の管理区分の決定につきましては、現在、ことしの一月と二月に申請が出まして、二十八名ございました。その方々が、まだ決定にならないわけでございますが、すでに地方じん肺診査医に審査を依頼中でございますので、近日中にその御決定をいただけるものと考えております。その結果、管理区分四と決定されましたならば、その方々に対しましてはすみやかに業務上の疾病といたしまして労災保険より必要な療養の給付その他の補償をいたすようにいたしたいと存じます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 くどいようでございますが、近日中ということでございましたけれども、大体どの程度でしょうか。わかりませんか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 おおむね今月中に決定ができる見込みでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣に最後に一言お尋ねしたいのですが、いまもお話がありましたように、二十八名が近日中に認定されるであろうということですが、このほかにもまだまだそういう病気にかかっている方がいるのではないかと思いますが、さらに調査を進めて、一人漏れなくそういう患者を救っていただきたい。とにかく認定されるかされないかということは、その家族の生活費といいますか、これにきわめて大きな影響があるわけでございまして、非常に心配をなさっております。そういう立場から、大臣の立場から一言御答弁をお願いしたいと思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 ただいま基準局長から御説明申し上げましたとおり、このじん肺の問題は私も相当聞いたことがありますが、これはあらゆる健康のもとになりますので、いま局長が言ったように、今月中といっておりますが、なるべくすみやかに御趣旨に沿うように――ただこの基準の問題は、判定の問題でありますが、判定の問題も、先ほどほかの問題で中毒症状についていろいろ御質問がありましたが、このごろいろいろ砒素、カドミウム、PCBとありますが、こちらは当然だと思うし、こちらは当然でないと思うしという認定の問題だけでありまして、それも労働省としてはできるだけ御趣旨の線に沿っていくように善処いたします。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは、私の質問はこれで終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 坂口力君。

坂口力公明党

○坂口委員 限られた時間でございますので、二点だけひとつお聞きしたいと思います。一つは、企業内の労働者の定期健康診断でございますし、もう一つは労災の問題でございます。  まず企業内の労働者の定期健康診断の問題でございますけれども、労働安全衛生規則の第六章の健康管理のところに定期健康診断の項がございます。そこに、たとえば既往症でございますとか業務歴の調査、自覚症状だとか他覚症状のあるなしの検査、それから身長、体重、視力、聴力ですね、そのほか胸部エックス線ですとか、ツベルクリン反応だとか、赤沈だとか、喀たん検査、こういったものが書いでございます。そのほか血圧の測定、尿の検査、こういったものがございますけれども、これは、労働安全衛生規則第四十四条第二項の規定に基づく労働大臣が定める基準を定める告示というのがございますね。これによりまして、既応歴あるいは業務歴の調査、自覚症状及び他覚症状のあるなしの検査、これに体重、視力、聴力、それに胸部のレントゲン写真さえ撮れば、いろいろ条件はございますけれども、ほかは省略してもいいような形になっております。こういうふうな現状でございますので、どういたしましても、省略してもいいということになりますと、省略しがちになります。  そこで、これは労働大臣にお聞きしたいわけでございますけれども、基本的な姿勢といたしまして、現在のこの企業内における定期健康診断というのは、その目的が企業の労働力確保に重きを置いたものなのか、それともその従業員の個々の一生涯の健康管理の中の一こまという意味での定期健康診断なのか、どちらに重きを置いたものなのかということについて、お考えをお聞きしたいと思います。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 私は答弁を避けるわけじゃありませんが、局長から――よく御質問なさって、最後に大臣として見解を申し上げたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 安全衛生法に基づきます健康診断は、これは労働者の健康確保という趣旨に基づきまして必要な健康診断をしていこう、こういう趣旨でございます。

坂口力公明党

○坂口委員 現在の定期健康診断のこの項目を見せていただきますと、以前の結核を中心にした健康診断のにおいが非常に強いわけでございます。最近も結核がなくなったわけではございませんで、あなどりがたい病気の一つには違いございませんけれども、現在の疾病構造から見ますと、結核も含めた感染性の病気から、いわゆる成人病を中心とした病気に変化をしつつあります。こういうふうな中でこの健康診断というものが現在のままでいいかどうかということ、この点について、いまもし労働省内で御検討いただいているようなことがございましたら、ひとつお教えをいただきたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 結核的な要素がかなり強いわけでございますが、昔非常に労働者の間に結核が蔓延いたしまして、職場の健康管理ということが、非常に結核を中心に重視されたということのなごりもあるわけでございますが、最近におきましては決して結核だけを重視しておるわけではございませんで、先生御指摘のような成人病の関係などにつきましても、やはり労働者の健康確保という見地から健康診断の項目に入れておるところでございまして、たとえて申しますと、血圧の検査であるとか尿の検査なども検診項目に入れておるところでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 大きい企業でございますと自発的に、血圧ですとか、中には心電図だとか尿の検査というようなものも大々的に取り入れてやっておりますけれども、中小企業になりますとなかなかそうはいきませんで、省略してもいいという形になりますと、ややもいたしますと省略しがちになるわけでございます。で、いまおっしゃったように尿の検査ですとか血圧の検査というようなものも入っておりますけれども、四十歳をこえれば一応やることになっておりまして、四十歳までは省略をしてもよろしい、そういう形になっておるわけでございます。御承知のように、成人病からいきますと、ほんとうは血圧の検診等も四十歳を過ぎてからではおそ過ぎると私は考えております。もう少し早くからそういう管理というものはしていかなければならないということもございますし、そういった面がございますので、私はこういうふうな四十歳からという一つのワクはどうであろうかという考え方を持つわけでございます。その点の御見解をひとつ承りたいます。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生の御意見まことにごもっともな点もあると思うわけでございますが、一般的に高血圧その他の成人病ということになりますと、四十歳前後ぐらいからこういう成人病にかかられる例が非常に多いわけでございます。基準法で義務として経営者に課しますものにつきましては、専門家等の意見も聞きまして、四十歳未満の方については省略することができるということに相なっておるわけでございます。もちろんこれを四十歳未満の方についても省略をしないで、すべて全部につきましての健康診断をやっていただければこれに越したことはない、より一そう望ましいわけでございます。でき得る限り行政指導はそういうようにいたしたい、かように思うわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 一応四十歳になりまして病気ができあがってしまいまして、症状がいろいろ出てまいりましてからではたいへんおそいわけでございますし、それから初めに申されましたとおり、現在の健康診断というものが、いわゆる企業の労働力確保という面ではなしに、個々人の生涯における健康管理の一こまという意味でもしこの定期健康診断がなされているならば、私はもう二十歳代から、就職早々からこういった定期健康診断の中に項目は加えられてしかるべきものではないか、こう考えますけれどもいかがでございますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生のおっしゃったように、病気になってからでは確かにおそいわけでございまして、そういうことになりませんようこの安全衛生規則の四十四条の二項におきましても、「労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる」ということになっておりまして、そういう必要があるかないかは医者が一応認定をいたしまして、省略してもいいという場合に省略を認めているわけでございます。したがいまして、そういう疾病にかかられる危険性と申しますか、可能性というものが非常に多いような労働者については、医者はその省略をお認めにならないだろう、その辺の医者の御判断を一応尊重する形にいたしておるわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 たいへんうまく逃げてあるわけですけれども、そういうふうな形になってしまいますと、正直なところ一つの企業の中で専門の医師がいるところはよろしゅうございますけれども、しかし少人数のところで、いわゆるふだんからの医師はいない、近所のどこかの開業医の先生にお願いをする、あるいはこれを専門でこういったことをやっておるところに頼むというようなことになりますと、はたしてそれはどれを省略していいのかということがほんとうのところ頼まれた医師のほうとしてもなかなか判断がつきにくいと思うわけでございます。より多くの検査をすればするほどよいということも言えないことはありませんけれども、しかしそれも一定の限度がありますし、基礎的なものだけはやはりその中に含めておくべきだ。そういう言い方をされますと、胸部のエックス線でも、あるいはまたその他の体重だとかいうようなものも省略してよいといえばこれは省略して別にどうこうというわけのものではないわけでございます。非常に基磯的なものだけは全部調べておくというのが筋合いではないかと思うのであります。  これは私自身が昭和四十六年に実地調査したものでございますけれども、中小企業の方五千六百八十名についてやっておる。その中で、いわゆる先ほどちょっと申しました省略をした形で異常者の発見率というのは一・三%でございます。ところがそのほかに尿の検査、血圧、それから血液の濃さ、この三つを加えて検査いたしました異常者の発見と申しますか、いわゆる精密検査を必要とするか治療を要する人、これは一〇・二%になるわけでございます。まあ検査項目をふやせばふやすほどふえてくるのは当然でございますけれども、しかしこの中には緊急に治療を要する人もかなり含まれていた。そういう人々がいわゆる最低限度の検査だけに終ってしまいますと見過ごされてしまう。そして非常に病気が重くなってからまた治療に長く要する。そしてまた、健保の問題でもよく問題になりますけれども、健康保険の赤字にもつながっていくというような形になってくるわけでございます。したがって、そういう意味からいたしますと、もう基礎的な検査は一応やる、少なくとも血圧と尿の検査ぐらいは定期健康診断の中に必ずやるという形で加えておく。これは非常に手間がかかるとか金がかかるとかいう問題ではないわけであります。その点を省略していいかどうかということは、これは医師が個々人について調べるわけじゃなしに、一つの企業として、まあここならばいいだろう、悪いだろうというような形でしなければならない。ですからそこまで医師に要求するのは私は無理かと思うわけであります。そういう意味でこれはひとつ条件をはずしていただいて、全体にその辺のところまでは検査をするような形になさるお気持はないか。まあこの辺でまとめたいと思いますので、労働大臣の、最後にということをおっしゃいましたので、ひとつ御見解をお願いしたいと思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 坂口委員はそのほうの専門家でございますので、専門家の言われることでございますから十分御趣旨に沿って検討していきたいと思います。

坂口力公明党

○坂口委員 ひとつ、この問題だけは真剣に前向きに御検討いただいて、ぜひこれは実現をしていただきたいというふうに思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 いま局長に聞きますと、予算はそう大きなものではない。ただ実行するとなると、中小企業の問題が御承知のようになかなか困難な点もございますので、まあ大規模のほうは現在やっておりますし、やりやすいですけれども、中小企業に対して御指摘のような点も――特に中小企業を御検査なさったという点から考えて、中小企業に重点を置いて御趣旨のような線に沿って、これはおじょうずでなしに前向きに善処いたします。

坂口力公明党

○坂口委員 お願いいたします。  それからもう一つの問題は、先ほども鉛の労災の問題が取り上げられましたけれども、たとえば養護施設でございますとか、あるいは保育所の保母さん方の健康の問題が最近やかましくいわれております。またその中に働く看護婦さんなんかも含まれておりますけれども、いわゆる過労も含めてだと思いますが、腰痛症、それからいわゆる頸肩腕症候群――首、肩腕にかけてのしびれ、痛み、こういったものがたいへん多く出ておりますけれども、一応御見解として、これを職業病であるという認識をお持ちかどうか、まずお伺いをしたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 腰痛症あるいは頸肩腕症候群、非常にたくさんそういうような事例があるわけでございます。しかしながら、腰痛症にいたしましてもいわゆる業務に起因するものもございますし、それから一般に、われわれもそうでございますが、四十ぐらいになりますと四十腰とか何とかいいまして、腰痛症的な症状を呈することが非常に多いわけでございまして、業務上かどうかという認定はなかなかむずかしいものがございます。そこで、先ほどもこれらの疾病については業務上外の認定基準を設けてそれによって認定しているということを申し上げましたが、腰痛症につきましても四十三年以来、業務上外の認定基準というのを専門家の御意見を聞いて定めまして、それに従って認定をし、業務上であるという方につきましてはこれは腰痛症も職業病として取り扱っておるわけでございます。したがいまして、例としてあげられました保母さんなどにつきましても、いろいろ子供を抱いたりなんか、重いものを持たれるといったような関係から、この業務上の認定基準に該当される方もあると存じまして、そういう場合には業務上の疾病として所要の補償なり何なりの処置を講ずることといたしておるわけでございます。  なお、頸肩腕症候群につきましては、従来は業務上でこういうようになる方はキーをたたくとか、あるいは先ほど御質問が出ておりましたレジスターあるいは電話交換のプッシュホンを押される、そういった指先を使われる方で、業務上でこういう頸肩腕症候群になられる方が非常に多いわけでございまして、そういう手指の使用に基づく頸肩腕症候群の認定基準については、認定基準をつくっておるわけでございます。しかし保母さんなどはその業務の性質からいいまして、そういった方のようにいわゆる手指を使う頸肩腕症候群というような場合は非常に少ないのではないか、かように考えますので、この手指を使う作業に基づく頸肩腕症候群の業務上外の認定基準、これは保母さんに該当する場合は非常に少ないのではないか。したがってもし保母さんでそういう頸肩腕症候群になられたというような場合でございますと、手指を使わない作業による頸肩腕症候群、こういうものについてはただいま認定基準をまだつくっておりませんので、個々の場合に専門医の意見を聞いて判定をすることに相なるわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 頸肩腕症候群といいます場合に、症候群ということばがついておりますから、これは原因は一つでないということだと思います。したがいまして、指先だけを使うのだけがその原因にはならない。だから子供さんを抱きおろしをする、おむつをかえる、あるいはいろいろなさるということ、とにかく指先にたいへん力を入れるということがこの症状を起こしているのではないかというふうにいわれておりますけれども、そういうふうな意味からいきますと、頸肩腕症候群の中にそういうふうな保母さんの肩から腕に至るしびれとか痛みだとかいうものも、これもやはり同じようにはめていただいてしかるべきじゃないかというふうに思うわけでございますが、そういたしますと、現在の段階ではそれはもう専門家のその調査のルートに乗っているわけでございますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 現在そういう意味で手指を多く使う業務についての頸肩腕症候群の認定基準はございません。そういう業務でない頸肩腕症候群については、これはあり得ることも考えられると思いますが、まだ非常に一般的でありませんので認定基準をつくっておりませんので、個々の場合に専門家の御意見を聞いて判断をする、こういうことになるわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、近い将来の問題といたしましては、この判定基準というものを、そういうふうなものが非常に多ければ、つくられることになりますね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 そういう事例が非常に多いということであれば、認定基準をつくることを検討してみたいと存じます。

坂口力公明党

○坂口委員 頸肩腕症候群の認定基準につきましては、昭和四十四年の十月に通達が出ております。それの内容を見せていただきますと、私はこの中にでも当てはまらないことはないという気がするわけでございますけれども、別途、保母さんなんかの場合にはあらためてそういうふうな基準をつくっていただくというならば、早急に私はこれをつくっていただきたい。確かに多く出ているわけであります。  それから腰痛なんかの場合、これはおっしゃるとおりいろいろの原因で起こってくると思いますが、いわゆる中腰でいろいろ仕事を続けてやるというようなことが中心になって慢性的に起こってくるものだと思います。いわゆる労基法の施行規則三十五条の三十八号にある「その他業務に起因することの明かな疾病」の中に入るのじゃないかと思います。  話が前後いたしますが、頸肩腕症候群の認定基準、これを見ましても「手指の過度の使用」により筋肉疲労が病的な症状になったもの、こう書いてあります。多少拡大解釈にはなりますけれども、この認定基準でも私は保母さんの場合にも当てはまるような気がいたしますけれども、どうでございましょうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 四十四年の認定基準は、先生御承知のように「キーパンチャー等手指作業にもとづく疾病の業務上外の認定基準」、こういうことになっておりまして、この認定基準は主としてキーパンチャーだとかレジスターあるいはプッシュホンを押すといったような手指作業を前提として考えておりますので、それ以外でも頸肩腕症候群ということはあり得ると思いますが、それまではこの認定基準はカバーいたしておりませんけれども、そういう手指作業以外の方についても非常に頸肩腕症候群が多いという状況だという判断をいたしますれば、それらについても認定基準をつくることを検討してみたいと存じます。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 それは、健康診断の問題についてはお答えいたしましたから、いまの頸肩腕症候群の問題と腰痛の問題、これは政府委員と少し食い違いがありますが、従来からいろいろな体験上、キーをたたくとか電話のボタンを押すとかいろいろな関係以外に、やはりいま坂口議員から御指摘のような、基準に該当するような感じを大臣としてはいたしますから、事務当局を督励いたしまして専門家にもう少し広範囲に研究さすように善処いたします。

坂口力公明党

○坂口委員 たいへんありがたいおことばではございますけれども、していただくのがどうしてもいつも長くなるものですから、もう少しが四年にもなりましたり五年にもなりましたりしていくことがあるものですから、大臣がそういういうふうにお考えいただくのであれば、早急にひとつ御検討をいただきたいと思うわけであります。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 申すまでもなく私の感じで、多少これ政府委員の答弁と私の答弁が食い違っておりますのは、私としては、坂口議員の御意見を聞いていろいろ、もうしまいには子供をおっぽり出したい――ここだ、どこだと、いろいろ御親切にする方に特によく発生しておりますので、私これはおじょうずなく、政府委員をして、これは何といったって専門家の基準制定をやらなくちゃならぬので、その趣旨に沿って、二年や三年でなく、さっそく検討させたいと思います。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、現在の段階では腰痛症につきましてはその対象になるというふうに考えてよろしゅうございますね。ところが、腰痛症というのはいろいろの原因があるということもございますけれども、申請をいたしましてもなかなか認定されないのが現状でございまして、また、されたといたしましても、たいへん日時がかかる。中にはやめたころになって初めて認められるというようなものも出てくるというのがございます。で、その医師の認定をしていただきます中の基準に、たとえば作業内容でございますとか、それから労働者の身体的条件ですね。もともとその人が持っていた条件、それから作業の従事期間、こういったものをチェックをして、これらが妥当であるならば、そして医学常識上業務に起因するものと納得し得るものであるならば認めるということになっております。これを見ていただきますと、なりそうなものなんですけれども、実際の場合、なかなかなりにくい場合が多うございます。  たいへんこまかなことをお聞きしたいのでございますけれども、この作業内容、労働条件、身体的条件、作業の従事期間というようなのがございますが、一応この作業の従事期間というような問題は、これはもしもわかっておりましたらでけっこうでございますが、たとえば保母さんなんかの場合、一体どれくらいな期間があればそれは該当するわけでございますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これは業務によっていろいろ違うわけでございまして、たとえば大工さんだとか土工さんだとか、そういうような重量物の方、あるいはそこまでに至らないいまの保母さんのような方、それぞれの業務によって違いますので、そこは医者の判断によるわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、これはもう医師の診断にまつということでございますか。この作業の従事期間というような問題は、医師の診断によってこれが認定されるということになれば、もうそれでいいわけでございますね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 はい、作業従事期間はそうでございます。ただ、同認定基準によりますと、その作業が重量物を取り扱う業務であって、腰部に過度の負担がかかる業務に従事する者であるとか、あるいはそういう方々で、他の椎間板ヘルニアだとか、そういった業務上でないという、災害性によることが明らかでない限り、業務上と認められない、原因がほかにあるというような方が除外されるとか、いろいろなほかの条件はございますけれども、業務の従事期間については、当該業務との関連で、このくらいのこの業務に従事すれば腰痛症ができ得るかどうかという判断は医者がされるわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 医師の診断が出ましても、なかなかこれがスムーズにいかぬのが実情でございますので、ひとつこういった問題、もう時間が参りましたのでやめますけれども、迅速にこういうものの処理に当たっていただきたい。先ほどの鉛の問題も、これは同じだと思います。それとひとつ、先ほど大臣のお話もございましたとおり、医学的な所見に従って認定をきめるという基本姿勢でひとつお願いをしたいと思います。  それから、先ほどお願いをしました首から手にかけましての症候群につきましては、これは早急にひとつ基準をおつくりいただいて、専門家の御意見をひとつ取り入れていただいて、この中に、範疇に入るべきものならば早急に入れていただきたいと思います。お願いをいたしまして終わります。ありがとうございました。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 きょうは、屋外で働く労働者の労働条件と生活環境の改善の問題について御質問を申し上げたいと思います。  初めに数の問題をお聞きしたいのですけれども、いま建設労働者は全体でどれくらいの数があると見当をつけておられますか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 調査がいろいろございますが、建設業の中の屋外ということに焦点を当てまして概算いたしますと、約二百二十万人というふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 その中で、出かせぎといわれる人はどれくらいになりますか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 これもいろいろ調査がございまして、出かせぎの定義等によりまして違っておるわけでございますが、私どもが府県を通じまして調査いたしましたところによりますと、約六十万人というふうに推定いたしております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 建設関係の屋外の労働者約二百二十万人、そのほかにたとえば国鉄あるいは私鉄の工事人夫あるいは波止場で働いている人あるいはその他、会社、事業場で働いている人を入れると三百万は優にこしている。それ以上のたくさんの人が屋外の労働に従事しておると見ていいわけだと思います。  そこで、私このごろ気のついたことで、これは早く対策をしなければならないなと思うことは、いまいろいろな労働法規が非常に完備してきて、あるいは福祉の政策も完備してきているんですけれども、事実上、このような屋外労働に従事しておる人、特にその典型的なものは出かせぎを臨時の仕事というふうな概念で、つもりで本人も、雇っている人も仕事させておるということに対して、案外行き届かないというよりは盲点みたいなものがたくさんあるんじゃないか、そういうふうな感じがしてならないわけでございます。この人たちは、この十数年間の日本の高度経済成長を実際上ささえてきた重要な柱であることは間違いない。確かにいろいろな問題がございます。あるいは直さなければならない、たとえば失業保険の問題等の問題になる点もあると思いますけれども、しかし日本の経済をここまでささえてきた重要な労働者であることは間違いない。またこれが、働いている本人も、あるいは雇っているほうも、いま申し上げたとおり臨時の、期間限りの仕事だという観念がいまだに残っておりますけれども、実態はもう常用に近い状態で仕事をしておるというふうになっていると思うのですね。こういうふうになってまいりますると、単に一時の仕事というふうな観念でこの人たちを扱うということは、これは人道的な問題からいっても、あるいはゆとりのある安定した生活を望んでおる政治の基本的課題からいっても、これは何とか改善しなければならない問題だというふうに思うわけでございまして、そういう立場から、きょうは時間もありませんので、これから継続してこの問題をいろいろと質疑してまいりたいと思いますけれども、三つ四つの問題をきょう質問してみたいと思います。  第一、労働大臣、いまの室内の労働者は、寒いときは暖房がある、あるいは暑くなれば冷房がある。そういうふうなものが大体普及してきていると思うのですね。これをやらないと、室内で働く人たちはそこへ働きに来ないという空気もあるので、しかし屋外になると、そういうものは全く考慮されていないというわけですね。そこで短兵急な一つの提案めいた話ですけれども、たとえば夏の酷暑の時期の三十度をこした状態ですね、あるいは冬の非常に寒いマイナス以下の状態、この状態で屋外労働をやる、あるいはやらす必要があるという場合には、たとえば一時間の労働を二時間に計算するとかいうような――これは一つの例ですよ。あるいはお金の問題になるかもわかりませんけれども、そのような考慮をする必要があるんじゃないか。これはとっさの提案ですから、それはよかろうとか、それは問題だということは言えないと思いますけれども、そういうふうなとらえ方、屋外の肉体労働者に対して、他の一般の労働者との平等の感覚から、そういうふうな施策が必要であるとお思いになりますかどうか、その辺お聞きしたい。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 これは和田議員から御指摘のとおり、いまの労働行政でいろいろな福祉施設、家屋、住居、環境、こういう点から数十年の間に相当近代化いたしたと思います。私もいま聞いて感心したのでありますが、屋外労働者の衛生問題、環境問題、時間の問題もさようでありますが、かような問題に対しましては少しくほかに比べて見劣りというと語弊がありますが、何だか足らない点もありますので、専門家の基準局長からなお一そうこれに対する対策につきましてお話しいたしまして、また私からもつけ加えたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生の御意見、まことに傾聴に値する御意見だとは存じますが、そういう場合に労働を制限するということまででありますといろいろ問題があるのではないか。私どもといたしましては安全衛生、健康管理等を十分にやりまして、労働者の健康に遺憾ないようにしたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま例であげたのですけれども、たとえば三十度以上の酷暑、零度以下の酷寒、この時期にしかも働いてもらわなければならないときには、一時間を、それは一時間半になるか二時間になるかわからぬ、それは検討しなければいけませんけれども、そういうふうな検討をすることが必要だと思うかどうかということ、その点どうです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ちょっといま御質問の趣旨がわからなかったのですが、一時間、二時間というのはどういう……。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それはつまり三十度以上の酷暑、零度以下の酷寒、ある一日のうちでそういう寒いことになったとする、そういう時間に屋外で働かなければならぬとする。そのときには、つまり一時間の労働の時間を二時間として計算するとかいうような考慮ができるかどうか、そういう考慮を必要と思うのかどうかということについての御答弁をいただきたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働時間につきまして基準法で最低限を定めておるわけでございまして、それ以上にさらに労働時間を短縮させる義務を課するかどうかという点は、一つ問題であろうと存じますが、そういう場合にやはり健康管理ということで、そういうところで働く労働者につきましても健康を害することがないようやはり行政指導によって処置していくのが妥当なのではないかと考えるわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そういうことを言っているのじゃないのです。私の質問は、つまりある一定の労働時間を越えて労働さすとかいうことじゃない。いまのような非常に暑い温度になった、非常に寒くなった、そのときの働く一時間の労働時間を二時間として計算をするというような考慮をすべきだと思うけれども、それに対してそちらのお考えはどうかということです。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 これはなかなかいい御意見です。いま大臣として、新米大臣がさっそくどうせいということはなかなかむずかしい点がありますが、事実これはいま政府委員に聞いたのでありますが、もう要らぬこと言うなといいますが、私、実は欧米を回ったときにその話を聞いたのであります。詳細に聞いておりませんから自信がありませんから――三十何度のときにはやめとか零度以下はやめとかいうことにいまの日本の現状はなっておりませんが、御趣旨を尊重して、ちょっと責任のがれのようなことを言っておりますが、これはやはり使用者の立場もありますし……。なかなか卓越した御意見で、これはさっそく検討したいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 私はソ連の捕虜で五年ほど働いたことがあるのですよ。やはりああいう国でもあるのですよ、ああいう国と言うと失礼だけれども。それは考えてみれば当然のことですよ。その人たちは短期の臨時の仕事じゃないのですから、大部分は常用化している人なのですから。これは出かせぎの労働者だけじゃないのですよ。たとえば鉄道工夫でもあるいは電気工事をやっておる者でも、ガス工事をやっておる人でも、一般の室内労働では冷暖房が完備しておるということですから、屋外に働く者だけがそういうものに対して配慮されないということはおかしなことで、それをどの程度配慮するかというのは問題ですよ。だけれども、いま労働大臣がおっしゃるように、その問題をひとつ至急に検討していただきたい。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 先ほど賛成いたしましたが、これはきょう初めてお聞きいたしまして、役所でもこれは専門家でありますからやや聞いたことはあると思うけれども、労使の関係でいまだ問題になっておりませんが、さっそく各方面の事例も取り寄せたり、やはり屋内はこのごろ冷房がなかったら困るとか、団体交渉で冷房せよ、こういうようなことがありますので、屋外の問題に対しましても労働省として考慮する、特にそれに対する研究を慎重に、迅速にやることは当然と思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この問題を例としてあげましたのは、つまり屋外で働いておる肉体労働者、これはますます今後重要になります。列島改造なんということを言い出すと、ますます大事なことになります。しかし案外この問題をお考えにならない点から、労働者はそういうところへいかないのです。単に働いてもらうために来てもらうという面も大事な面ですけれども、やはり普通の労働者として同じ労働条件で働いてもらうようにするということは必要なわけですね。そういう点から労働大臣、事務当局を督励していただいて、ぜひともそういうふうな肉体労働者を重視していくという一つの例としてその問題を検討していただきたい。これが第一点です。  そして第二点の問題は、その中でとりわけ出かせぎ労働者、これは先ほども申し上げたとおりいろいろ問題のある労働者です。しかしこれが最近の日本の高度経済成長をささえてきた原動力の一つであることは間違いない。しかしこの人たちに対する労働条件とか、あるいは生活環境とかいう面から見ると、いま私が申し上げたとおり、これはきわめて臨時の仕事だ、例外的な仕事だという観念があるために、すべての生活環境とか住宅とかその他の施設が臨時のものになっているという事実は否定できないと思うのです。たとえば住宅にしましても、飯場、これはみな企業企業にまかしておるという形、飯場ではみ出る人は、東京でいえば浅草にある山谷とか、あるいは釜ケ崎とか、それに準ずるようなところで集団をつくって生活をするという状態なんですね。つまりこのことがいろいろ社会問題になり、事件を引き起こす温床であるわけですね。このような人たちの大部分は常用的な人ですから、少なくとも月に一回や二回、国から家族を呼んで生活できるような生活条件、住宅条件というものは考えてあげなければいけない、そういう時期に来ていると思うのですけれども、そういうふうな考え方に立って、その人たちの住宅を雇われておる会社にまかせておくのではなくて、国がいろいろ融資するとか、あるいはその他のいろいろな配慮をするとかいうことで、もっと人間が恒常的に住めるような住宅条件、生活環境をつくり上げてあげる、これは努力すべきだと私は思うのです。その点どうでしょうか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 住宅一般につきましては、いわゆる従業員の寄宿舎の問題でございます。これは寄宿舎規程もございまするし、改善を要することは御指摘のとおりでございます。先生の御質問の中に、月に一ぺんくらい国元から家族が来てゆっくり泊まれるような施設をつくるべきではないか、こういうことでございましたけれども、実は四十七年度の予算におきまして、東京と大阪と名古屋にその種の施設をつくるということで現在都府県と相談をいたしております。少しおくれましてまことに申しわけございませんが、そのうちにできる。これができますならば、先生の御指摘のような家族団らんの場として大いに活用していただけるものというふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それは非常にいいことで、ぜひやってもらいたいと思いますけれども、数が少ないでしょう。東京で、たとえば今年度の予算でどれくらいつくりますか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 御指摘のとおりでございまして、六十万という出かせぎの労働者の皆さんに対する施設としては非常に少ないのでございますが、とりあえず国の予算としてはそれぞれ一億ずつ、四十八年度につきましては、北海道は札幌につくりますが、これも一億でございます。ただこれには地元の都道府県におきまして上のせをしていただいておりますので、全体の規模としては一億を上回りますけれども、いずれにいたしましても全員が月に一ぺんというわけにはなかなかほど遠いわけでございます。ただこういうものをつくりますことによりまして、その実績等を見まして、非常に評判がよくてもっとつくれということであれば、これは私ども拡充するというように努力をしたいというふうに思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 少し和田議員とこっちの答弁が食い違っておるので、和田議員は、いま局長が話したようにランデブー宿泊所というよりは、もう少し広範囲な恒久的なものをやれ。私は大臣就任当時から、この出かせぎの方が一番気の毒だ、私の郷里など相当あったのでありますが、このごろ工場が郷里の地方へ進出いたしましたから、過疎でなく、とまりました。ところが東北その他においてはやはり出かせぎの問題はほんとうにお気の毒で、環境、家庭生活、家庭のいろいろな悲劇もいろいろなことを惹起して、もう少し労働行政としては出かせぎの問題を少なくしたい。これは日本列島改造じゃありませんけれども、工場の再配置で出かせぎを少なくするという根本対策とこれに対する福祉対策――ランデブーといったって一億で、ちょっと宿泊する程度ではもう少し足らぬと思いますから、これは四十八年度の予算では私が提唱いたしたのでありますが、もう間に合わなかったのであります。いま局長から話があったように、もう少しあたたかい、実のある出かせぎに対するいろいろな対策を講ずる。いこいの村もけっこうだけれども、四十七万の方の家庭生活を破壊するようなものに対してあたたかい思いやりの施策を講じることは私は大賛成だ、こう言って、私の主張は、これはもううそ偽りなく、局長連中にも話したのでありますが、就任当時はもう大体予算の骨子がきまっておりましたが、四十九年度においては和田議員の御説のような方向に、私の所存としては、これは局長とは相談いたしておりませんが、その方向に強く持っていきたい、こういう所存であります。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 補足させていただきます。  国が直接やる施設としては先ほどお答えしたとおりでございますが、そのほかに、たとえば事業主が恒久的な住宅を建てたり、あるいは福祉施設をやるための融資制度、これは四十七年度におきましては二百二十三億、四十八年度におきましても二百億をこえる融資ワクを用意いたしております。そういうものの中で、やはり先生御指摘のように建設業というのは一番そういう施設はおくれておるわけでございますので、建設業界にも大いに活用していただきたいというように考えております。蛇足かもわかりませんが、補足説明をさせていただきます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そういう方向でもっと強化してもらうということをお認めいただいてありがたいと思います。いま一人の人が人間らしく住まえる最低の条件は、たとえば四畳半なら四畳半という部屋は自分の部屋だということになりますと、その部屋に月に一回なり二回なり奥さんを呼び子供を呼ぶということができるわけですよ。そういうふうな気がまえで、特に出かせぎの人は家がないわけですから、出かせぎの労働者をそういうふうな住宅に住まわせるように至急にやってもらいたい。そうしないと、いまの都市におけるいろいろな問題、あるいはその人自身の生活の破壊、家族の破壊、ばらばらになる、あるいは蒸発をする、つまり家庭の破壊の問題が起こってくる。都会にはそういう誘惑は一ぱいあります。ちゃんと家を持っておる人でもそういう人はたくさんおるのだから、しかも住むに家のないところでごろごろしておるという状態では、これは日がな一日まっ黒になって働いておる人なんですから当然のことですね、いろいろなところに出入りすることは。したがって一人の人にはやはり最低四畳半、六畳くらいの部屋を準備するようなことは、これはぜいたくな要求じゃないのです。そのことで奥さんとか子供さんをそこへ月に一回なり二回呼ぶ。呼ぶ場合のいろいろな費用の問題もありましょう。それを含めてもっと常用的な労働者として出かせぎ労働者を待遇するということは必要じゃないのか。  特に、これは政府が顧慮しなければならないのは、この人たちには強力な組合がないのです。組合があれば、たとえば海員のような場合は強力な組合がある。そうして半年くらい外洋で仕事をして港に着く。港に着いて、海員ホームというようなものがあって家族がみな来る。それは組合なり会社が出すということになっておりますけれども、この人たちにはそういうふうな生活をバックアップする組合がないのです。したがって政府は、これを会社につくらすために強い一つのワクをはめた融資のしかたも必要になってくる。炭鉱問題が重要なときに、炭鉱住宅が問題になりました。炭鉱住宅をつくるときにいろいろな政府の融資のワクというものがあったと思いますけれども、そういうふうな形でいまの建設労働者に対して生活条件を、とにかく人間らしい安定したものにしてあげるということを、これはこの経済社会基本計画にも書いてあるのですから。大きな見出しをつくって書いてある。ゆとりのある安定した生活をつくるということが書いてあるのですから、ぜひこれはやってもらいたいと思います。単にいまの福祉センターのようなもの、これはその上にできるものなんです。そういう条件の上にできるものなんです。それではいまの私の申し上げておるようなことの役には立たない。なぜならば数が少ないということで、地域も離れておる。どうせ東京に一カ所か二カ所。かりに十カ所つくったって、非常に離れたところになります。そういうことですから、その問題、特に生活の基盤の問題は考えていただきたい。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 これはもう私、お答えのためのお答えでありません。私就任したときに特に痛切に感じまして、この点を強調して、いまの御指摘のように、組合もなく発言もない。そうしてこれは家族の者から見ると、夫婦が何カ月も離れるということは、これは家庭生活の破壊に通ずることは、これはもう御想像のとおりであります。さような点から、かようなものに対して、政府はこれらの施策をやることは当然である。特に大臣というものはやはり役所の考える以上のことを、和田議員がいま御指摘のようなことを当該大臣が強力に推進すべきだ、こういうのが私の持説でありますから、四十九年度には御趣旨の線に沿ってがんばることを確約いたします。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 ぜひともお願いいたします。  もう一点お考え願いたい点がございますけれども、これも、いま言ったような臨時の仕事、臨時の働き手というふうな観念があるけれども、実態はもう常用だという観念に立って、労働者の教育、訓練という問題を組織的にあるいは総合的に考えていただきたい。この問題なんです。  たとえば各きまった大企業なりそういう企業の職場では、会社もいろいろの教育計画を立てております。あるいは組合もそういうことをやっております。しかし、この人たちにはそういうものが一切ない、組織的な教育のものが。これは労働省としてもいろいろな試みがあることは知っております。またやろうとしておることも知っておりますけれども、しかし、これは本格的なものじゃないですね。したがって、この人たちが仕事をしながら資格が取れるという制度をもっと拡充してもらいたい。いまある資格を取るためには、学校を出るとか、少なくともある時期に学校を出るとかいう制度があります。学校というのがあります。その学校というものは、こういう場合でも一月とかそういう仕上げのときは必要だと思いますけれども、働きながら上にのぼっていく階段をつくってもらうという考え方で、いろいろな資格の付与を考えていただきたい。いままできまっているようなちゃんとした規定のあるような階段とは別に、働きながらより高い資格が取れるような制度をぜひとも考えてあげなければならない人たちだと私は思います。また、この出かせぎの人たちに限定していいますれば、つまり仕事をしている間ではなくて、失業保険をもらって郷里へ帰る、この時間にそういう訓練の時期を設定して考えるということは、その人たちはぶらぶら遊んでいる人ばかりじゃないけれども、そういう人たちが往々おる。その人たちは人材の一つの浪費です。そういう意味で、家へ帰っているときに、そういう訓練の設備なり機関を集中して考えてみるとか、いろいろな方法があると思います。そういうふうな建設労働者、特に臨時と思われる人たち、出かせぎ的な人の教育という問題を、もっと総合的に考えていただきたい、こういうことなんですが……。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 政府委員をして答弁させます。

遠藤政夫労働省職業訓練局長

○遠藤(政)政府委員 和田先生御指摘のとおり、建設労働者、なかんずくこの中でも出かせぎ労働者といわれる人たちが、日本の経済の成長発展をささえた大きな原動力であることは、もう申すまでもないと思います。こういう人たちが確かに今後ともさらに重要な役割りを果たすであろうことは、自明の理でございます。昨年私どものほうで調査いたしました技能労働力不足状況によりますと、全体の技能労働者不足が百二十五万人といわれております。その中で建設関係の技能者の不足が約二十四万、非常に大きな割合を示しております。そこで私どもは職業訓練の面におきましても、こういった建設関係の技能者の養成に重点を置いて推進いたしてまいっておりますが、ただいま御指摘のような、主として出かせぎ労働者の人たちがいろいろな資格を取れるような方策を講じる。あるいは臨時的な職業というような考え方を捨てまして、本来的な建設関係に必要な技能者という観点から、こういう人たちの一そうの技能の向上といいますか、さらにそういった人たちにいろいろな資格を取得させる、こういう方向でいろいろな施策を講じてまいっておりますが、四十八年度におきましては現在あります全国三百数十校の県が設置しております職業訓練校あるいは事業団の職業訓練校におきまして、こういった出かせぎの、いま御指摘のようないなかへ帰って遊んでおられる時間を利用しまして、無料で訓練校に入って訓練を受けられる、あるいは出かせぎをして働いている時間中にも成人訓練で一週間程度の訓練を受けて、それによって一定の資格をとり得るような、こういう方向でそれぞれの技能者の地位の向上をはかるような施策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この問題を私もいろいろ考えてみたいと思います。この問題は単に出かせぎの問題だけでなくて、たとえば、これは私は厚生大臣にも三年ほど前にも申し上げたこともあるし、文部大臣にも申し上げたことがあるのですけれども、つまり働きながら資格の取れる階段というものは、看護婦さんの場合――医者なんというものは三、四年働いておるから全く人とは違った技術を持っているということを考えるのはあつかましいので、やはり医者でも医者に準じた資格というふうなものがあり得るだろうと思うのです。看護婦さんは十年、十五年もやってその範囲の仕事は医者がなくても処置できるような資格を与えたほうがいいと思う。第一、お医者さんの必要なところには彼らは行かないのですから、そういうようなところにはそういう人がおって、本務の人と連絡をとって処置することも必要だし、つまり働きながら相当の経験を持っている人が、医者を含めて、あるいは先生を含めて――先生でもそうですけれども、たとえば特殊学級なんかの教育を見たらよくわかる。特殊学級の教育を見ますと、ものを言っても黒板に書いてもわかる相手じゃないのです、知能の薄弱な人は。あの教育を見ていると、遊戯をさせて、たま遊びをする、ころんでいったたまを拾って持ってくるというのが先生の役目なんです。こういうふうな先生は、普通の資格のある先生でなくていいのです。十人要るものなら十人資格のある先生を集めなくても、三人の資格のある先生で、あとの七人はその教育の補助者としての地位を与えるというような教育制度をつくったらいいのです。その補助者の資格をつくるとか、そういうふうな考え方、これはいまの実際の労働をしている人の全般的な問題だと思うのです。特にいまの建築労働者、こういう人にはそういうことがなかなか与えにくい。これは特に政府が考慮してあげないと、なかなかやれないという問題がありますから、ぜひともそういうふうな、総合的に訓練をし、組織的に一つの階段をのぼらせてやるような制度をつくって、一つの励みあるいは希望を持たせていくという観念が必要だと思うのです。そういうふうな問題もぜひとも考えていただきたいと思うのです。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 声なき声というか、声なき民の要望というものはやはり政治家がよく考えなければならぬ。これは批判ではありませんけれども、実際に試験勉強までは一生懸命やるが、入ってみて何を学校でやっておるのか、こういうような問題は言いにくいのですが、御承知のとおりで、建築なら建築で働いておる、実際ここにおってその建築がいろいろな学問的な足らないところをやりたい、こういう方はだてやおろそかでそういう訓練なり学校に行くのでありません。そういう意味からいってもこれはほんとうに、先ほどの住宅対策と同じように、私は心から和田議員の御意見に同感でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 最後に、関連した問題なんですけれども、この人たちが仕事につくまでの労働紹介の問題は、これはその必要がある、あるいはそういうしきたりがあるという問題もありますけれども、これは安定局長、もっと政府として積極的にまともな紹介の路線に切りかえていくことが必要だと思うのですけれども、どうでしょうか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 おっしゃるとおりでございます。いわゆる出かせぎ労働対策の出発点は就労経路の正常化、要するに職業安定所を通していただくということであろうと思います。われわれといたしましては県あるいは市町村の協力を得まして、極力その方向でやっておりますが、県により、それから業種によりまして、かなりなアンバランスがございますので、就労経路の正常化というのにはほど遠いのが現状でございます。しかしながら、たとえば賃金不払いであるとか、あるいは災害のデータを見ましても、職業安定所を通して就職していただいた方は、やはり全体としては少ないのでございます。そういう意味で、私は出かせぎ労働者の皆さんの就労経路の正常化を一段と努力したいと思いますが、そのために、たとえば安定所を通すと税務署に所得が申告されて不利になるとかいう根も葉もないことが、案外ネックになっておったりいたしますので、徐々には高まってきておりますけれども、これを何とか飛躍的に、極論すれば全員が安定所を経由して就職していただくようなふうに、一日も早く持っていきたい。そのために四十八年度は四月から夏方の出かせぎの予算が出かけるわけでございますから、そういう時期にも間に合うように検討いたしたいというふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 ぜひともひとつお願いしたいと思います。そのためにも、いまの住宅の問題とか総合的な教育の問題とか、そういうことを完備して、そこを通じて来た人はそういうふうな条件が得られるというようなことになりますと、そういうことが実際に実ってくるわけですよ。そういうことをぜひ総合的に考えていただきたいと思います。  最後に、今度の、例の通勤途上の問題ですね、あれは日雇いの人たちには適用されますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 日雇いの人たちでございましても、労災保険に加入しております事業場の人たちには全部適用になるわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そういう問題で、いまの一般労働者が享受しているいろいろな福祉が日雇いの人たちにいろんな理由であたらない問題がたくさんあると思うのですね。そういう問題を含めて、必要があれば、屋外労働あるいは臨時の肉体労働者に対する特別の法律的な措置が必要であるかどうかわかりませんけれども、それなしにできるかどうかわかりませんが、そういう問題を含めてひとつ御検討をいただきたいと思うのです。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 建設労働法――出かせぎを中心といたしましてそういう法律をつくったらどうかという御意見は、各方面から実はございます。私どもも中央職業安定審議会で御検討をいただきまして、現在は、雇用審議会――これは建設行政とかいろいろほかの行政部門にもわたりますので、雇用審議会の場で検討するのがいいだろうということで、すでに雇用審議会におかれましても検討をお始めいただいております。そういう検討の結果を見まして、所要の措置を講じたいというふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これで終わりますけれども、最初に申し上げました。室内労働者とあまり区別がないような状態に近づけていかなければなりません。その場合に、たとえばどうしても屋外に働く場合には、冷暖房をつけるというわけにいきませんから、やはり一定の酷寒あるいは酷暑という条件のもとにおいての労働というものをどういうふうに扱うかという問題ですね。それと、いまの住宅あるいは生活環境の問題、これも普通の労働者と同じような、あるいは近づいたような条件をつくるという問題、そしてまた教育訓練を総合的、組織的にやっていくという問題、その他のいろいろな労働法規、福祉法規が他の労働者と同じように享受できるような問題、そういうふうな幾つかの問題があると思いますけれども、私どもいろいろ検討してみますけれども、ぜひともひとつ御検討をいただきたいと思います。また、同じ屋外労働者といっても、最初に申し上げたとおり、出かせぎを基盤とした労働もあれば、あるいはりっぱな企業に雇用されておる労働者もおります。国鉄とか私鉄の工事、線路工夫のような人はそういうものですね。あるいは電気工事、ガス工事の人もそういう人ですね。いろんな職場によって違った対策が必要だと思いますけれども、いずれにしましても、急いでやるべきことは、労働組合もない、いろいろな法的な援助も非常に少ない出かせぎの不安定な人たちに対しての援助というのは非常に急ぐことだと思いますから、ぜひともひとつ御検討をいただきたいと思います。

田川誠一自由民主党

○田川委員長 次回は三月一日木曜日、午前九時五十分理事会、十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時十七分散会

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