社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 181 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/02/06
会議録
○田川委員長 これより会議を開きます。 まず、理事の補欠選任についておはかりいたします。 さきに理事村上弘君が委員を辞任されましたのに伴い、理事が一名欠員になっております。その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田川委員長 御異議なしと認め、理事に寺前巖君を指名いたします。 ――――◇―――――
○田川委員長 厚生関係の基本施策に関する件について厚生大臣から発言の申し出があります。これを許します。厚生大臣齋藤邦吉君。
○齋藤国務大臣 私は、先般はからずも厚生大臣に就任いたしました齋藤邦吉であります。 第七十一回国会の社会労働委員会の御審議に先立ち、就任のごあいさつを兼ねて厚生行政について所信の一端を申し述べたいと存じます。 福祉優先の考え方が国民の各層に定着し、社会福祉施策の充実を求める声はかつてないほど高まってきております。いまや福祉国家の建設は大きな時代の流れとなってきつつあると思われます。 このような国民の要望の高まり、あるいは考え方の転換のさなかにあって、福祉行政を進展すべき責めにある厚生行政を担当することになりました私といたしましては、その責任の重大さをあらためて痛感する次第であります。 皆さまの御支援を得つつ、全力をあげて厚生行政と取り組んでいく覚悟でありますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 明年度予算の編成につきましては、福祉の向上を求める国民的な支援のもとに、厚生省予算は前年度に比し三一%増、二兆九百億円余に達する額を確保できる見通しであります。 以下、当面の主要課題について申し上げます。 第一に、年金制度の改善であります。 急激な人口の老齢化に直面しているわが国において、老後保障の中核となる年金制度の改善充実は最も重要な課題であり、昭和四十八年度においては年金制度の改善を最重点の事項として取り上げたところであります。 まず、年金制度の中核をなす厚生年金及び国民年金について年金額の大幅な引き上げと多年の懸案であった年金額の実質価値の維持のためのスライド制の導入をはかり、安心して老後を託することのできる年金の実現を目ざすことといたしております。 また、福祉年金についても、老齢福祉年金を月額五千円に引き上げるとともに、扶養義務者の所得制限につき大幅緩和をはかることとしており、これらを内容とした改正法案を今国会に提出し、御審議願うことといたしております。 年金積み立て金の管理運用についても、還元融資ワクを従来の新規預託金増加額の四分の一相当額から三分の一相当額に大幅に拡大するとともに、新たに老人のための大規模年金保養基地の設置、被保険者住宅資金貸し付け制度の実施をはかるなどの措置を予定いたしております。 第二に、老人対策の充実であります。 老人の方々に日々の生きがいを持って健康で安定した生活をしていただくことは最も大切なことでありますが、年金制度の改善にあわせて明年度においては、老人医療費の支給を六十五歳以上の寝たきり老人にまで拡大するほか、寝たきり老人やひとり暮らし老人について、きめのこまかい施策を講ずることを考えております。 第三に、難病対策の推進であります。 難病に苦しむ方々とその家族の方々に対し、積極的な難病対策の推進をはかることとし、調査研究の充実、医療費の自己負担の解消、医療施設の整備を三本の柱とし、総合的な対策を講ずることといたしております。 第四に医療保険の改善でありますが、この問題につきましては、国民の合意を得つつ、段階的に実現可能なものから着実に実施に移していく必要があるものと考え、今回の健康保険の改正にあたっては、国民的要請の最も強い家族給付の改善に着手することとし、三十年来据え置かれたままになっている給付率を当面六割に引き上げるとともに、高額な医療費を要する病気にかかった際の負担の軽減をはかるため、高額療養費の支給制度を創設するほか、配偶者分べん費等についても大幅な額の引き上げをはかる措置を予定いたしております。 同時に、これにあわせて、政府管掌健康保険の健全な制度運営のため、新たに定率一〇%の国庫補助を導入するとともに、累積収支不足額のたな上げ等所要の措置を講ずることといたしております。 なお、保険料負担については、標準報酬を改定して、著しい不均衡を生じている現状を改めるとともに、給付改善に見合って、応分の負担をお願いいたすことといたしております。 また、日雇労働者健康保険につきましても、関係審議会の答申に即して所要の改善を行なう考えであり、これら医療保険制度の改正法案について御審議願うことといたしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。 第五に、社会福祉施設の整備などの問題であります。 福祉対策の基盤となる社会福祉施設の整備については、その需給の状況にかんがみ、特に緊急を要する寝たきり老人や重症心身障害児者のための施設及び保育所を中心に計画的整備を促進するとともに、職員を確保し、入所者及び職員の処遇の一そうの向上をはかるため、措置費の大幅な改善、施設職員の退職手当の改善を行なうことといたしております。 また、在宅の心身障害児者に対する施策も拡充をはかってまいります。 第六に、生活環境の整備と消費者の安全対策であります。 まず、廃棄物の増大や水需要の増大等に対処して生活環境施設の整備には特に力を入れる必要があります。このための予算は明年度大幅な伸びを見ることができましたが、これにより、廃棄物処理施設の計画的整備をはかるとともに、水道の供給体制の確立と水道事業の基盤整備としての広域化を推進する考えであります。 なお、機構面においても、これら生活環境施設の整備を強力に行なうため、環境衛生局に水道環境部を設置し、対処することといたしております。 また、消費者の安全確保対策については、食品の安全性の確保、医薬品の安全性有効性の確保などの施策に一そう努力を払うとともに、近年問題となっております家庭用品の安全確保についても積極的に取り組んでいくことといたしております。 以上のほか、厚生行政の分野には、戦傷病者戦没者遺族等に対する援護の問題、原子爆弾被爆者に対する施策等多くの問題がありますが、いずれをとりましても、国民一人一人の毎日の生活にかかわりのあることでありますので、それぞれ真剣に対処し、迅速かつ確実に処理していく所存であります。 各位の御指導、御鞭撻を重ねてお願いいたす次第であります。(拍手) ―――――――――――――
○田川委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について労働大臣から発言の申し出があります。これを許します。労働大臣加藤常太郎君。
○加藤国務大臣 このたび労働行政を担当することになりました加藤でございます。第七十一回特別国会にあたり、当面の労働行政について、一言所信を申し上げ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。 私は、今後の労働行政を進めるにあたっては、福祉優先を基本とし、すべての労働者とその家族の「あかるくゆたかで安心できるくらし」の実現を目標として、実効のある対策を勇断をもって推進いたしたいと考えております。 当面の重点対策としては、次の五つを考えております。 まず第一は、週休二日制の普及促進と余暇対策など勤労者福祉対策の推進であります。 週休二日制については、そのすみやかな普及をはかるため、関係者に積極的に働きかけるとともに、業種、地域等の実情に即した方法で、計画的、段階的に指導援助を進めていきたいと考えております。 また、週休二日制の普及等によって増加する余暇が有効に活用されるよう、環境を整備することが要請されています。このため、政府全体として、各種の必要な施設の設置につとめているところでありますが、労働省としても、勤労者が、家族連れで自然に親しみつつ手軽に週末等の余暇を過ごせるような「勤労者いこいの村」等を設置したいと考えております。 特に、勤労婦人や勤労青少年の福祉対策としては、従来の勤労青少年ホームや働く婦人の家を増設するとともに、新たに、勤労青少年フレンドシップセンター及び勤労婦人センターを新設いたします。 第二は、定年延長の促進を中心とする高齢者対策の確立であります。 労働者を含め国民全体の高齢化が進む中で、高齢者が生きがいのある安定した生活を送ることができるようにするためには、老後の社会保障を充実するとともに、高齢者の職業生活を不安のないようにすることが必要であります。 労働省としては、当面六十歳を目途として定年延長を促進することとし、定年延長を実施した企業に対しては、定年延長奨励金を支給いたしたいと考えております。 また、高齢者が能力と希望に応じて再就職することができるよう、退職前の職業訓練、職業講習などを行ない、その雇用の促進につとめます。 第三は、働く人の安全と健康を守る総合的対策の推進であります。 働く人の安全と健康を守ることは、福祉の基本であります。昨年制定された労働安全衛生法を中心に労働災害防止対策を推進するため、新たに、昭和四十八年度を初年度とする労働災害防止計画を策定いたします。この計画に基づいて、職場環境の改善、健康管理対策、安全衛生教育等を進めます。また、今特別国会において、労働安全衛生に関するILO条約の批准について、承認をいただくことにしておりますので、よろしくお願いいたします。 また、通勤途上の事故について、一般の労働災害と同様の補償を行なうため、今特別国会に所要の法案を提出することといたしております。よろしく御審議くださるようお願いいたします。 第四は、生きがいのある職業生活を目ざす雇用対策の展開であります。 今後の雇用対策は、新しく策定された雇用対策基本計画に基づいて、次の四つを柱に強力なる施策を推進する考えであります。 一つは、労働者の職業生活の各段階に対応した施策の推進であります。新規学校卒業者の職業選択の適正化、青壮年期における能力の開発向上につとめるとともに、高齢者の職業安定対策を進めます。 二つは、国土の総合開発に対応した地域雇用対策の推進であります。 工業再配置等国土の総合開発を通じて、大都市に集中している就職の場を地方へ分散し、所得の地域格差の縮小や出かせぎの解消につとめます。 なお、高齢者の職業安定対策等を推進するため、所要の法案を提出することといたしておりますので、よろしく御審議くださるようお願いいたします。 三つは、産業構造の変化に対応する雇用対策の推進であります。特に、輸送革新の影響が著しい港湾労働者の雇用安定策及び炭鉱離職者、駐留軍離職者関係の対策の拡充については、それぞれ所要の法案を今特別国会に提出することといたしておりますので、よろしくお願いいたします。 最後は、手厚い援護を必要とする人々に対する雇用対策の推進であります。特に、心身障害者や同和地域住民の援護対策を強化し、心身障害者を多数雇用する事業主に対する特別の融資制度や税制上の優遇措置の創設、同和地域住民を雇用する事業主に対する雇用奨励金制度の新設等を行なうことといたしております。 なお新たに、地域における民間の職業訓練のセンターとして、「人材開発センター」を設置するとともに、職業訓練推進員制度を設けて、事業主等に対する指導援助を強化し、民間の職業訓練の振興をはかります。 最後に、合理的労使関係の形成について申し上げます。 今日、労使関係の動向は、政治、経済、社会の各般に大きな影響を及ぼすようになっております。労使が広い視野から自主的に話し合うことによって、問題の合理的、平和的な解決をはかるよう期待するとともに、その基盤づくりを進めてまいります。 先ごろの予算編成時に、総理と労働団体代表との第二回目のトップ会談が行なわれましたが、今後ともこのような意見交換の場を持つとともに、産業、地域、企業等各レベルにおける労使のコミュニケーションを促進して、合理的な労使関係の形成に資してまいります。 なお、今日、公共部門の労使関係の安定をはかることは非常に重要な課題となっており、政府としてもこの問題に真剣に取り組んでいるところでありますが、労使関係者においても、各般の問題についてよく話し合って信頼関係を確立することが当面何よりも重要であると考えております。 以上、当面する労働行政の重要事項について、私の所信を申し上げました。各位の御鞭撻と御協力をお願いする次第であります。(拍手)
○田川委員長 厚生政務次官及び労働政務次官から発言の申し出がありますので、これを許します。厚生政務次官山口敏夫君。
○山口(敏)政府委員 このたび厚生政務次官に就任いたしました山口敏夫でございます。 七十一国会社会労働委員会の審議にあたりまして、一言ごあいさつ申し上げたいと存じます。 ただいま厚生大臣の齋藤さんから所信表明もございましたが、今日における福祉国家実現への国民の皆さま方の声は一段と大きいものと確信をいたします。恵まれない子供たちの問題、安心できる老後あるいはたよりになる年金、そうした国民福祉の充実、向上のために、今日まで多大なる御努力とその政治的情熱をつぎ込んでまいりました社会労働委員会の先生方に心から敬意を表しますとともに、私、この分野における経験、たいへん乏しゅうございます。ひとつよろしく御鞭撻、御指導いただきまして、福祉行政の仕事が円滑にできますよう、よろしくお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)
○田川委員長 労働政務次官葉梨信行君。
○葉梨政府委員 このたび労働政務次官に就任いたしました葉梨信行でございます。 新しい転換期を迎えます労働行政に参加することができまして、たいへん光栄に存じております。全力投球を行なって一生懸命やっていくつもりでございますので、委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、簡単でございますが、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手) ―――――――――――――
○田川委員長 次に、厚生大臣の発言に関連し、昭和四十八年度予算の概要について厚生省会計課長から説明を聴取することにいたします。厚生省木暮会計課長。
○木暮政府委員 お手元の資料に基づきまして、昭和四十八年度厚生省所管予算案の概要につきまして御説明いたします。 昭和四十八年度の予算額は総額で二兆九百三十億円でございます。これは本年度の予算額一兆五千九百七十四億円に対しまして、四千九百五十五億円の増でございます。伸び率にいたしまして三一%の増になっております。 次に、一枚めくっていただきまして、ここでは厚生省所管予算案を主要経費別に掲げてございます。主要経費の一般会計予算全体に占める比率もあわせて計上してあるわけでございますが、一番下の欄でごらんいただきますと、厚生省所管予算合計は、ただいま申し上げましたように二兆九百三十億円でございますが、これは一般会計予算の一四・七%に当たるわけでございます。 次に、二ページ以降、各事項別の予算につきまして御説明を申し上げます。 生活保護費でございますが、来年度は三千五百五十五億ということでございます。この中で生活扶助基準につきましては一四%の引き上げを予定いたしておるわけでございますが、標準四人世帯で一級地の場合、月額現行四万四千三百六十四円が五万五百七十五円となるわけでございます。その他入学準備金、教育扶助基準、出産扶助基準等につきましても改善を予定いたしております。 それから社会福祉施設整備費でございますが、本年度の百二十億に対しまして百八十六億円を計上いたしております。 さらに、その運営費でございますが、千八百六十二億円を計上いたしておりますが、この中で施設職員、それから入所者の処遇改善を昨年に引き続きはかっておりますが、その詳細は三ページから五ページにかけて記載をいたしております。 ただ一つ、五ページをごらんいただきたいと思いますが、五ページの一番上にマル新特別育成費というのがございます。これは児童福祉施設におります子供、ただいまのところは義務教育の中学校まで進学を認めてきておるわけでございますが、来年からは高校進学をはかることを予定いたしまして、一億六百万円を計上いたしておる次第でございます。 六ページをごらんいただきたいと思います。老人福祉対策でございますが、第一番が老人医療対策でございますが、七百八十九億五千万円を計上いたしておりますが、これは本年一月一日から実施されておりまする老人医療のいわゆる無料化の四十八年度分と、寝たきり老人につきまして六十五歳まで年齢を引き下げ、さらに扶養義務者の所得制限を六人世帯で六百万まで引き上げる措置に要する経費でございます。 それから七ページをごらんいただきますと、寝たきり老人対策といたしまして十二億円計上してございますが、家庭奉仕員の人員の増加、手当月額の引き上げを予定いたしておるわけでございます。 それからひとり暮らし老人対策でございますが、実は電話相談センターを前年二カ所に対して五カ所設置するとともに、介護人派遣事業の充実をはかっておるわけでございます。 それから生きがい対策費でございますが、十一億五千六百万円計上してございます。老人就労あっせん事業の個所数の増、老人クラブ助成の対象数及び月額の引き上げをはかっております。 それから八ページをごらんいただきますと、まん中辺に、八番ということで老齢福祉年金千七百九十億円を計上してございますが、これは先ほど大臣から申し上げました年金額の引き上げ、ただいまの三千三百円を五千円にいたしますのと、扶養義務者の所得制限の緩和に要する経費でございます。 九ページから心身障害児者対策でございますが、まず一といたしまして、重症心身障害児(者)対策費百二十四億円を計上いたしてございます。これは右のアにございます国立療養所を整備いたしまして、重症心身障害児の収容をさらに拡大する等の改善をいたしておるわけでございます。 一〇ページをごらんいただきますと、まん中辺(8)特別児童扶養手当につきましても、月額四千三百円を六千五百円に引き上げるほか、所得制限の緩和をはかり、かつ公的年金との併給を予定いたしております。 それから一〇ページの下のほうに参りまして、2の身体障害児対策費でございますが、備考のほうの(2)にございます重度障害児に対しまする日常生活用具の給付につきまして、一一ページの上になりますが、電動タイプライター、特殊マット等を加える予定をいたしております。その他各般の施策の充実をはかっておる次第でございます。 それから一三ページをごらんいただきたいと思いますが、一三ページには精神薄弱児(者)対策費といたしまして、二百六十四億四千二百万円を計上いたしておるわけでございます。 一五ページをごらんいただきますと、新しいものといたしまして、上から二番目になりますが、新規(7)精神薄弱者療育手帳交付費九百万円を計上いたしてございます。これは精神薄弱者の方に療育手帳を配付いたしまして、療育指導の充実をはかりたいという趣旨のものでございます。 それからそのページのまん中になりますが、身体障害者対策費といたしまして、百億六千万円を計上いたしております。 新しいものといたしまして、一六ページをごらんいただきたいと思います。備考の上のほうでございますが、ウ 身体障害者福祉モデル都市設置費といたしまして、六千万円計上いたしてございます。身体障害者の方が車いすや、あるいは盲人づえを使いまして安全に出歩ける町づくりをする。そのほか公的機関につきまして、車いす等のまま利用できるような設備をはかりたいというようなことで、三市にモデル都市として助成をしてまいりたいというものでございます。 それからその下のほうにまいりまして、アの重度障害者介護員派遣費でございますが、これは新規でございまして、重度障害者の方が病気になりましたときの身の回りの世話をする介護員を派遣することを、新しく行ないたいというものでございます。 それから一八ページをごらんいただきますと、これも新規でございますが、まん中からちょっと下のほうに5といたしまして、国立リハビリテーションセンター設置調査費というのがございますが、所沢の米軍基地の返還あとに、総合的な国立リハビリテーションセンターをつくりたいということで、来年度は基本設計費を計上いたしたものでございます。 一九ページをごらんいただきますと、障害福祉年金につきましても、老齢福祉年金等に合わせまして、五千円の月額を七千五百円にすることを予定いたしております。 それから二〇ページをごらんいただきたいと思いますが、民間社会福祉事業育成費ということで、四十二億八千二百万円を計上いたしてございます。まん中辺に奉仕銀行助成費というものがございますが、これは新規事業といたしまして、家庭婦人や老人あるいは学生の有志の方々に社会奉仕をしていただく事業を助成しようとするものでございます。 それから二一ページをごらんいただきますと、まん中辺に(7)社会福祉施設職員退職手当共済事業費四億三千万円が計上されておりますが、これは民間社会福祉事業に従事いたしております職員の方の退職金を支給する事業でございます。下のほうにございますように、ただいま三万七千円までの四段階の計算基礎でございますのを十万円にいたしまして、ほぼ国家公務員に準ずる退職金を支給する予定にいたしておるわけでございます。 二二ページをごらんいただきますと、同和対策費でございますが、本年に比較して五〇%増の九十四億五千七百万円を計上いたしまして、備考にございますような諸事業を推進してまいりたいというものでございます。 それから二三ページでございますが、母子等福祉対策費として百十八億六千七百万円を計上いたしております。おもな内容は、(3)にございます児童扶養手当につきましても手当額の引き上げを予定いたしておるわけでございます。一番下でございますが、母子・準母子福祉年金につきましても月額四千三百円を六千五百円に引き上げる予定をいたしております。 それから二四ページでございますが、保育対策費として八百二十八億三千三百万円を計上いたしております。 二五ページをごらんいただきたいと存じますが、家庭児童育成対策費として三百五十五億円を計上いたしております。新しい事業といたしましては、このページの下のほうになりますが、エの母親クラブ活動費でございまして、千二百の母親クラブに対しまして活動費を助成することを予定いたしております。 それから二六ページでございますが、母子保健対策費として二十一億七千四百万円を計上いたしております。おもな改善内容といたしましては、備考の(4)にまいりまして母子栄養強化費につきましては、ただいま市町村民税の所得割り非課税世帯二十二万に対して牛乳の無料配付を行なっておりますが、これを所得税非課税世帯三十二万に対象を拡大する予定にいたしております。それから(5)の妊婦乳児健康診査費につきましても、ただいま所得税年額四千八百円以下の世帯を対象にしておりましたのを、この所得制限を撤廃いたしまして、全階層を対象として行ないたいという予定をいたしております。 二八ページをごらんいただきたいと思います。 医療保険対策でございますが、まず一番目に政府管掌健康保険に対する一般会計繰り入れとして八百十一億三千四百万円を計上いたしております。これは家族療養費の給付率の引き上げ等に関連をいたしまして、二九ページの上から二番目(8)の定率国庫補助の新設一〇%相当分でございます。 2の日雇労働者健康保険につきましても、療養給付期限の延長等の改善を予定いたしておりますが、その運営に要する経費といたしまして百三十一億二千三百万円の一般会計繰り入れを計上いたしておる次第でございます。 三〇ページにまいりまして下のほうでございますが、船員保険の疾病部門につきましても、政府管掌健康保険と並んで改善が予定されておりますが、これに見合いまして六億円の一般会計繰り入れを計上いたしております。 三一ページにまいりまして下のほうになりますが、児童手当につきましては、来年度、支給対象年齢が五歳から十歳まで引き上げられるわけでございます。それに対応いたしまして対象人員も百九十四万七千人になるわけでございますが、この財源といたしまして三百四十八億五百万円を計上いたしておるわけでございます。 三二ページをごらんいただきますと、国民健康保険助成ということで五千六百七十六億円を計上いたしております。療養給付費補助金、財政調整交付金、それから組合の臨時調整補助金のほか、ことし一月一日から実施されます老人医療の無料化に対応いたしまして、三十四億円の臨時調整補助金を計上いたしましたほか、国民健康保険につきましても、家族の高額医療費制度を導入いたす予定にいたしておりますので、これに関連いたしまして、療養給付改善特別補助金といたしまして七億三千三百万円を計上いたしております。 それから三二ページの下になりますが、年金制度の改善でございます。 厚生年金につきましては五百二十六億七千四百万円を計上いたしまして、次のページにございますように、年金額の引き上げ、スライド制の導入等を予定いたしておるわけでございます。 三三ページの一番下になりますが、拠出制国民年金につきましては九百六億四千九百万円を計上いたしております。 次のページをごらんいただきますと、二十五年年金につきましては、ただいま八千円でございますのを二万円にすることを予定いたしておるわけでございます。十年年金につきましては、五千円でございますのを一万二千五百円、夫婦二万五千円にすることを予定いたしておるわけでございます。五年年金につきましては八千円に引き上げまして、夫婦一万六千円にする予定をいたしておるわけでございます。その他スライド制の導入、それから経過年金のかさ上げに対します国庫負担率の引き上げ、それから高齢任意加入の再開等を予定いたしておるわけでございます。 三番目の福祉年金につきましては、先ほど老齢者対策のところで申し上げましたので省略をさせていただきます。 三五ページに参りまして、これも下のほうでございますが、船員保険につきまして二十五億五千三百万円の一般会計繰り入れを予定いたしております。これは船員保険につきまして、厚生年金見合いの改正を行なうことを予定といたしたものでございます。 三六ページに参りまして、保健所費につきましては百十七億五千三百万円を計上いたしております。 次のページをごらんいただきまして、新しいものといたしましては三十保健所にガスクロマトグラフ、あるいは赤外分光光度計等、新しい保健所の機能に見合う機械の装備を始めることといたしております。 三八ページをごらんいただきますと、原爆被爆者対策費といたしまして百三十三億二千四百万円を計上いたしております。これは本年に引き続きまして諸手当等の引き上げを行なうことを予定いたしました財源措置でございます。 四〇ページをごらんいただきますと、難病対策でございますが、来年度は調査研究、医療費対策、それから医療機関整備の三本柱で難病対策を進めていきたいというふうに考えておりますが、調査研究といたしましては九億三千万円を計上いたしまして、新しく二十疾患を対象にいたしまして検査をいたしますと同時に、児童の心身障害児が発生することを予防する研究費といたしまして四億円を計上いたしている次第でございます。 四〇ページの一番下になりますが、医療費対策といたしまして百十八億八千三百万円を計上いたしております。特定疾患治療費の疾病の数、それから対象を広げる等の措置をはかっておるわけでございます。 四三ページに難病奇病対策の第三の柱に、医療機関の整備と要員の確保といたしまして五十四億二千万円を計上いたしております。難病奇病は、主として国立病院、療養所が担当すべきものであるという考え方に立ちまして、年次計画で国立病院、療養所の整備を考えておりますが、初年度といたしましては、東京第一国立病院に医療センター研究所を整備することをはじめといたしまして、備考にございますような整備を計画いたしておるわけでございます。 四五ページをごらんいただきますと、結核対策費として五百六十五億円計上いたしております。 それから下のほうに精神衛生対策費といたしまして五百三十二億七千万円を計上いたしておりますが、いずれも従来の施策を充実してまいりたいというものでございます。 四七ページをごらんいただきますと、伝染病対策費として十三億九千九百万円を計上いたしております。 四八ページに、らい予防対策費といたしまして九十億三千六百万円を計上いたしておりますが、四九ページをごらんいただきますと、患者給与金、ただいま月額一万一千円でございますのを二万三千円に引き上げることを予定いたしておりますほか、大きなウにありますように、国立らい療養所施設を、七億円をもちまして整備を進める予定にいたしております。 それからこのページのまん中でございますが、成人病対策費といたしまして九十五億五千八百万円を計上いたしております。 新しいものといたしまして、五〇ページ下のほうをごらんいただきたいと思いますが、備考の下のほうのマル新、循環器疾患等健康診断費二億九千百万円でございますが、これは結核の検診にあわせまして、四十歳以上の方につきまして尿とか血圧の検査その他成人病の検査とあわせていたしたいというものでございます。 それから五一ページをごらんいただきたいと思いますが、上のほう、マル新の国立循環器センター整備費でございますが、大阪に国立循環器センターをつくりたいということで、三年間の年次計画の初年度分でございます。 それから、さらに五番目のマル新といたしまして、国立療養所にメディカルリハビリテーションを中心といたします老人病床を確保する経費といたしまして五億四百万円を計上いたしておるわけでございます。 それからこのページのまん中になりますが、健康増進対策費といたしまして二億三千五百万円を計上してございますが、これは四十七年度で発足をいたしました健康増進モデルセンターを新しく五カ所整備いたしたいということを中心といたしまして、各般の施策を進めたいというものでございます。 五二ページをごらんいただきたいと思いますが、農村保健対策費といたしまして二億八千三百万円を計上いたしております。来年度モデル的に四カ所取り上げまして、中心になります病院に健康診断の設備を整備いたしまして、そこに患者移送車を配備いたしまして、精密検査を必要とする農民の方をそのセンターにお連れしまして健康診断の万全を期したい、こういうものでございます。 五三ページをごらんいただきたいと思いますが、救急医療対策費として六億六千五百万円、僻地医療対策費といたしまして六億三千二百万円を計上いたしておりますが、いずれも従来の施策を推進してまいりたいというものでございます。 それから五七ページをごらんいただきたいと思いますが、看護婦確保対策費といたしまして百十二億二千二百万円を計上いたしております。各般の施策の充実をはかるほか、五八ページをごらんいただきたいと思いますが、上のほうにマル新、国立看護教育研究センター設置準備費四百万円とございますが、医療の広範多岐にわたりますのに準じまして看護の内容も変わってまいります。看護のあり方を研究いたしまして、看護婦の養成、それから看護婦の現任訓練等に役立てたいということでセンターをつくることといたしておりますが、来年度はその準備費を計上したものであります。 それから五九ページをごらんいただきたいと思いますが、一番上の公的病院財政再建対策費、これは新規でございますが、日赤、済生会等四団体の病院、国立あるいは公立の病院とあわせまして地域医療の確保の一端をになっていただいておるわけでございますが、赤字のこれらの団体の病院に対しまして、僻地とか救急とか看護、・特殊部門の運営費を助成しようというものでございます。 それから六〇ページをごらんいただきますと、下のほうになりますが、戦傷病者戦没者遺族等援護費といたしまして、四百十二億六千万円を計上いたしております。これは六一ページをごらんいただきたいと思いますが、一番上になりますが、恩給にあわせまして援護法の障害年金、遺族年金を二三・四%増額することを中心といたしまして、六二ページになりますが、上から三行目、戦没者遺骨収集等諸費といたしまして二億三千六百万円計上いたしております。終戦三十周年も間近でございますので、昭和四十八年度と四十九年度、二年をかけまして徹底的な遺骨収集をいたしたいというものでございます。 それから六二ページの下から六三ページにわたりますが、ただいま戦没者の妻の方、それから戦没者の父母の方に特別給付金が支給されておりますが、いずれも国債として支給されており、償還期限が参っております。これをそれぞれ妻の場合には六十万円、父母の場合には三十万円に増額をいたしまして、継続支給をしようというものでございます。 次に、六五ページをごらんいただきたいと思いますが、生活環境施設整備費といたしまして、今年度二百二十六億円に対しまして三百八十九億円と大幅な増をはかっております。 中身は水道、屎尿処理あるいは廃棄物の処理の経費でございますが、六七ページをごらんいただきたいと思いますが、六七ページの一番下に産業廃棄物処理対策費として二千万円計上されております。産業廃棄物につきましては、企業がその責任において処理すべきものでございますが、将来の産業廃棄物の規模あるいはその処理のシステム、技術開発等につきましては、国が指導的な役割りを果たさなければなりませんので、その調査費として計上されたものでございます。 それから六八ページに環境衛生営業対策費といたしまして十九億七千三百万円計上されておるわけでございます。 おもなものといたしましては、環境衛生金融公庫におきまして一千八十億円の原資で貸し付けを行なうわけでございますが、備考の下のほうにございますように、そのうち四十五億円を充てまして、小規模企業の経営改善のために、無担保、無保証で貸し付けを行なうことを予定いたしております。 それから六九ページに参りまして、一番上にございます医療情報システム開発費一億一千万円でございますが、これはコンピューターその他のMEの発展に応じまして、これらの機器を用いまして救急医療、僻地医療あるいは住民の健康管理に新しい局面を開きたいということで、厚生省といたしまして研究をしてまいりたいというものでございます。 それから、麻薬・覚せい剤対策として六億七千七百万円を計上いたしておりますほか、七〇ページをごらんいただきますと、血液対策費といたしましては十七億一千二百万円を計上いたしております。 それから七〇ページの下に参りまして、消費者行政関係費といたしまして三億五千八百万円を計上いたしております。中身は食品安全対策、家庭用品安全対策、医薬品安全対策、PCB汚染対策というふうになっておるわけでございます。 それから最後に七四ページでございますが、七四ページの一番下に社会保障長期計画懇談会費というのがございます。これは本省の事務費ではございますが、社会保障の長期計画の策定に要する費用といたしまして、新しく認められたものでございます。 なお、あとに四つの公庫、事業団、五つの特別会計につきまして総括表を付してございますので、御参照いただきたいと存じます。 以上であります。 ―――――――――――――
○田川委員長 続いて、労働大臣の発言に関連し、昭和四十八年度予算の概要について労働省会計課長から説明を聴取することといたします。労働省大坪会計課長。
○大坪政府委員 労働省の会計課長の大坪でございます。お手元の資料に従いまして御説明させていただきます。 まず予算の規模でございますが、労働省の予算の規模は、一番最初に書かれてございます所管総計でごらんになっていただきますように一兆八百二十七億一千六百万円でございまして、前年度に比較いたしますと、一七%の増となっております。 その内訳でございますが、まず一般会計は一千六百八十八億一千八百万円でございまして、前年度に比較いたしますと、・二%の増となっております。 それから、昨年の四月一日に労働保険特別会計法が施行になりまして、労働保険料の徴収の一元化が行なわれることとなりまして、従来の失業保険、労災保険は労働保険特別会計で一括して処理されるということになったわけでございます。 労働保険特別会計の中は勘定が三つに分かれておりまして、まず労働者災害補償保険を扱います労災勘定、これが四千二百七十七億九千二百万円でございまして、前年度比一八・八%増でございます。 次は失業保険に関連いたします失業勘定でございまして、四千七百五十一億五千九百万円、対前年度一七・八%の増でございます。 それから保険料の徴収をつかさどります徴収勘定は重複計算になっておりますが、六千六百十一億三千三百万円でございまして、一八・六%の増でございます。 なお、そのほかに石炭及び石油対策特別会計から炭鉱離職者の対策用といたしまして百九億四千七百万円が計上されることになります。対前年度比一〇・一%の増でございます。 以上の会計を合計いたしましたのが先ほど御説明いたしました所管総計でございまして、一兆八百二十七億何がしとなっておるわけでございます。 次に、労働大臣がお話しになりました重点対策に基づきまして主要事項を御説明させていただきます。 重点対策の第一番目に取り上げられましたものが、主要事項の一番目にあげられております週休二日制の普及促進と余暇対策など勤労者福祉対策の推進でございます。これは週休二日制の普及促進のための事務費あるいは団体補助でございます。 次のページに参りまして、新しく設けられましたものといたしましては勤労者いこいの村、これはかつて別荘村と称しまして新聞等で発表されたものでございますが、これに十三億六千万円計上されております。これはここにございますように、勤労者いこいの村といたしまして一カ所八億円、野外趣味活動施設といたしまして一カ所一億円、それが十カ所、いこいの村のほうは八億円が六カ所、合計十六カ所でございまして、総額は五十八億でございます。ただ、初年度でございますので、土地の選定その他で着工が若干おくれることとなると思われますので、一応予算は十三億六千万円を計上いたしまして、総額五十八億は債務負担行為で行なうということに予定させていただいております。 次は勤労婦人・青少年福祉対策でございます。これは勤労青少年ホーム、働く婦人の家、前年度同様五十五カ所、補助単価は五百五十万でございます。これはすでに四十七年度末で二百六十九カ所ほど、各市町村におかれまして設置をされておるわけでございます。 それから新規のものといたしまして勤労婦人センター、これは補助単価一千万円でございまして、従来の働く婦人の家に加えまして御婦人の宿泊施設等が併設されるといった少し規模の大きなものでございます。これを五カ所。 それから三番目は勤労青少年フレンドシップセンター、これは勤労青少年ホームにおきまする勤労青少年の指導者の養成でございますとか、あるいはグループ活動の相互交流でございますとか、そういった青少年活動の拠点といたしまして一カ所設置をいたしたい、雇用促進事業団が五千万の予算をもって設置をするという予定でございます。 四番目は勤労青少年センター、これは建設の調査費でございます。一カ所百万円の調査費が二カ所、これは現在中野に勤労青少年会館と申します非常に大きな施設を約百億円でつくっておりますが、これに類似したものを大都市につくろうという趣旨のものでございます。 次の五番目から次ページの十一番目までは婦人少年局におきます婦人並びに青少年対策の事務的諸経費が中心でございます。 それから三ページの(4)の勤労者財産形成事業、これは前年に引き続きまして勤労者財産形成事業を雇用促進事業団において行なうわけでございますが、勤労者の財産形成が、個々の企業で勤労者の給与から差し引きまして預金が行なわれるわけでございますが、その預金の総額の相当割合を雇用促進事業団が事業団債を発行いたしまして吸収をいたします。それを勤労者に利子補給をしながら勤労者に役立つ住宅に使おうというものでございます。百億の事業団債を予定いたしております。 次は、大臣が重点におあげになりました第二の点でございまして、定年延長の促進を中心とする高齢者対策の確立でございます。昨年に比べますと、十二億円ほどの増額になっております。 まず第一番目は、定年延長の積極的な推進といたしまして事務費を計上いたしますほか、定年延長奨励金制度というものを新たに設けまして、中小企業に限りますが、五十五歳定年を五十五歳以上に延長いたしました場合に、その延長に該当いたします定年到達者に対しまして、一人年額二万五千円を事業に対して補助するというものでございます。 それから、次は高齢者の雇用対策の推進でございまして、定年にかかります高齢者につきましては、あらかじめ退職予定者を調査いたしまして、退職前の職業講習、職業訓練をいたします。それと同時に、御本人がみずから積極的に訓練校に通う、あるいは各種学校に通う、あるいは通信講座を受けるという場合は受講奨励金を支給するという制度を新しく行なおうというものでございます。 次のページに移らしていただきまして、まん中辺に書いてございます、3の働く人の安全と健康を守る総合的対策の推進、いわゆる安全衛生の対策でございます。これは重点の第三でございます。昨年安全衛生法を御制定いただきまして、安全衛生に関する施策は飛躍的に前進いたしておりまするが、来年度は、産業におきまする安全衛生をつかさどるお医者さんといたしまして、安全衛生法の十三条に産業医という規定がございますが、この産業医を養成する産業医科大学をつくらしていただきたい。これのための調査費を五百万円計上いたしております。 二番目は、同じく安全衛生法によりまして産業安全に関する問題、特に産業の疾病を予防いたします、あるいはリハビリテーションの対策を立てるということで一貫した研究が必要でございますので、産業医学総合研究所を三カ年計画、約三十億をかけてつくるという計画になっておりますが、それの第二年度目といたしまして八億五千万円を計上させていただいております。 三番目が通勤途上災害に関する保護制度の創設等労災保険制度の充実でございます。これは百二十四億四千四百万円増になっておりまして、総額で百三十六億四千万円となっております。 まず第一番目は、通勤途上災害保護制度を労災保険の制度に新しく付置いたします。これは、法案を御提出申し上げることになっております。予算といたしまして百十三億ほど予定をいたしております。労災保険料の従来の保険料に加えまして、各企業一率に千分の一の保険料を増徴いたしまして、給付人員は約十六万人を予定いたしております。なお、これに関連いたしまして、関係職員の増員を百三十一名ほど予定をいたしております。 次は、労災関係の制度の抜本的改善が必要ではないかというような御意見もございますので、労災基本問題懇談会におきまする検討をさせていただく。あるいは、職業性の疾病が非常にふえてまいっておりますので、その業務上外の認定の困難を克服するために各種の機関を設置いたしますとか研究を拡大してまいりますとか、あるいは労災病院を新しく設けますというような費用が次にずっと掲げてございます。大体前年度の予算を踏襲したものでございます。 それから、五ページに参りまして、四番目の労働衛生検査センターの創設、安全衛生融資の増ワク等安全衛生対策の推進でございます。これは昨年安全衛生法が制定になりまして、関連の予算として大幅な増額を見たものを、なお明年度も続けて増額をさせていただきたいという趣旨のものでございます。労働安全衛生法に規定いたしました諸施策がここにあげられております。 新しいものといたしましては、マルじるしの上から四番目安全器具の検定施設の新設というのがございます。これは安全衛生法の四十四条によりまして防爆型の電気機械器具でございますとか、アセチレンの発生器などは事前に国の検定が必要となっております。そこで、全体計画を約一億一千万ほど予定いたしまして施設をつくり、ここで検定いたそうというものでございます。 それから、次の職業病の予防あるいは職場の健康管理体制の確立のための施策、これは安全衛生法に基づきまして、昨年に引き続き行なうというものでございます。 次のページに入りまして、労働衛生検査センターというのがございます。これは安全衛生法の五十八条によりまして、事業主が有害物の調査を十分いたしてこれを使わなければいかぬということになっております。その有害物を中心に検査をいたすセンターを全体計画二億五千万円で二カ年にわたりましてつくろうというものでございます。 それから、その次の健康診断センターというのは労災病院に付置をいたしまする健康診断センターの増設が中心でございます。 それから、安全衛生関係の規定がいろいろ設けられまして、企業では安全衛生対策を積極的にしていただくことになっておりますが、関係の費用を融資する制度が昨年新しく設けられましたが、この制度を五十億円に拡大いたすというのが4でございます。 それから五番目では、労働基準監督官が四十名、安全・衛生専門官が三十名の増員という予定になっております。 六番目は、中央労働災害防止協会及び五つの非常に災害の多い産業に労働災害防止協会が設けられておりますが、それに対する補助金の増額でございます。 次は七ページでございまして、大臣のお話しになりました重点の第四番目でございます。生きがいある職業生活を目ざす総合的雇用対策でございます。 その最初は、職業対策を学校を卒業しました時期に行なうものと、中間的に職業転換を労働者の方々が行なう場合に援助するものと、それから高齢者となった場合の職業対策の三つに分けまして行なうというものでございます。 ①、②等はそういう趣旨のものでございますが、②の職業紹介即時処理方式の実施、地域の拡大と申しますのは、電算機を利用いたしました即時的な職業紹介の情報伝達方式を、現在次のページにございますように百四十五カ所の安定所でやっておりますが、これをなお二十一カ所ほどに拡大をさしていただきたいというものでございます。 八ページに参りまして、二番目の職業能力の発揮向上と再開発の推進、これは産業の転換に伴いますいろいろな事務的な措置でございます。 それから、三番目の定年延長の促進を中心とする高齢者対策は、先ほど出てまいりましたので重複でございます。 九ページに入りまして、国土総合開発に対応いたしました地域雇用対策が要請されておりますので、工業再配置促進法によります工業の地方転出に伴う移転従業員の円滑な移転の推進のための対策、あるいは移転が困難で離職せざるを得ないという従業員の方々に対する援助対策、あるいは工場が移ってまいります地域に労働者の住宅を融資をもって建てる、あるいは現在労働省が行なっております移転就職者用宿舎を新しく制度改正をいたしまして、これに充てる等の措置をとりたいというものが一番でございます。 それから二番目は、農村地域工業導入促進法に基づきまして、農村地域に導入企業が参りまして、その地域におきまする中高年の農業離職者を雇用するという場合の援助措置等でございます。なお関連いたしまして、農村に農村教養文化体育施設を昨年より二カ所ほどふやしまして七カ所、一カ所に三千万円で建設をいたすという内容のものが含まれております。 次は一〇ページであります。一〇ページは産業構造の変化に対応いたしました雇用対策でございます。 知識産業が非常に発達をいたしてまいります、あるいは経済が国際化を進められまして、いろいろ経済変動が起こります。こういったものに対応する雇用対策といたしまして、職業訓練を地域の産業構造に対応して新しくつくり直そうというものと、労働者が職を移る場合に転換給付金を給付いたしておりますが、これを引き上げまして積極的な援護対策をいたそうというのが、おもな内容でございます。 それから、大量の離職者が発生することが予測されるような場合には、雇用対策法によりまして離職者の再就職援助措置を行なうということになっておりますが、受講奨励金の支給でございますとか、離職前訓練の実施等を行ないまして、この対策を強化いたそうというのが、この趣旨でございます。 それから二番目の中小企業雇用対策は、下のほうに掲げてございます雇用促進住宅一万戸、勤労総合福祉センター建設を四カ所、調査を五カ所、それから勤労青少年体育施設、これは前年度十カ所のものを二十八カ所、共同福祉施設、これは前年度六カ所のものを十一カ所等、福祉施設を積極的に拡大をいたす予算を計上させていただいております。なお雇用促進融資は二百一億を予定いたしております。 四番目は職業能力開発のための施策でございまして、職業訓練の関係でございます。二十六億八千万円ほどの増額になっております。 まず、地域産業の実態に対応いたしまして職業訓練校を再編成いたしたいということで、新設をなるたけ手控えまして、そのかわりに従来ございました職業訓練校の訓練科目を増設をいたしたい。それから内容を地域の実情に見合って再編成いたしたいという二つの趣旨でございます。 次のページに参りますと、事業内訓練の拡大振興という項目がございます。これは対象人員を十万五千人ほど見込みまして、中小企業が共同して行ないます事業内訓練に対しまして補助金を二五%増額をいたしたい。それから中小企業が共同して行ないます訓練施設の施設補助をいたしておりますが、この単価を一カ所三百万円から四百万円に引き上げまして、二十七カ所ほど実施をさせていただく。 それから三番目の人材開発センターでございますが、これは地域の職業訓練センターとでも申すべきものでございまして、成人訓練の実施でございますとか、企業の行ないます教育訓練への施設の貸与あるいは設備の提供等をいたそうとするものでございます。都道府県に設けられております職業訓練の専修校に付設をいたすという予定でおります。十カ所新規でございます。補助単価は二千万円でございます。 なお、その開発センターに働きまする職業訓練推進員を一カ所二名、合計二十名新規にお願いをいたしてございます。 それから生涯訓練体制の積極的展開といたしまして、従来からやっております新規学校卒業者に対する訓練でございますとか、企業からの受託訓練の実施でございますとか、成人訓練の実施を、従来にも増して積極的に行なわせていただきたいというものでございます。 それから六番目は、訓練校で働きます訓練の指導員を養成確保しようというものでございまして、職業訓練大学校に関するものでございます。四十八年度に約二十数億かけました訓練大学校が相模原に新しく開設されまするが、その最後の段階で、施設に関して三億程度、機械について八億程度予算をお願いするというものでございます。 それから次は、左の五番目の、輸送革新に伴う港湾労働者対策、これは大臣の申されました重点事項の第四番目の三つ目の問題でございます。これは、港湾労働の波動性に対応いたしまして、港湾の日雇い労働者の雇用の安定をはかることを目的といたしまして、西欧諸国がやっておりますような、事業主団体の組織化による共同雇用体制の推進と雇用調整手当の改善が主たる内容でございます。 共同雇用体制といたしましては、六大港にそれぞれ事業主団体によります地方港湾労働協会をつくるということと、中央に、全体を指導し、統轄する中央協会をつくるということがおもなる趣旨でございます。 それから余剰はしけ、ラッシュ船でございますとか、最近の技術革新に伴います港湾労働態様の変化がございますので、余剰はしけが出てまいっております。その余剰はしけを整理するという政策が運輸省で行なわれようといたしておりますので、その場合に余剰のはしけが、あるいは余剰のはしけに関する引き船が廃止されます場合には、そこに働いております労働者の皆さん方を繊維離職者対策に準じた離職者対策で救済をいたそうという趣旨のものでございます。 それから炭鉱離職者、駐留軍関係離職者等の対策は、前年に応じまして同じような形の対策をとらせていただく。ただ炭鉱離職者及び駐留軍関係離職者対策臨時措置法はそれぞれ法定の期限が、時限立法で期限が参っておりますので、法案の改正と相まちまして、内容の充実をはかりたいという趣旨のものでございます。 それから繊維関係、沖繩関係の離職者対策も、昨年に引き続きまして積極的に行なうというものでございます。 失業保険事業は三千五百四十四億七千四百万円をお願いしてございます。一般の失業保険につきましては、受給者実人員を五十五万一千人と推定いたしております。それから日雇いにつきましては、受給者実人員は前年並みの十三万八千人を予定いたしております。 失業対策事業につきましては、吸収人員は十万二千名、前年度に比べまして自然減耗等で三千名が減ることになっております。労力費単価は一三・二%増の千四百五十円八十四銭でございます。 特定地域開発就労事業につきましては、吸収人員は前年並み、単価は四百円アップの三千九百円を予定してございます。 次は一五ページでございまして、重点の第四の四番目に申し上げました心身障害者対策等の、特別に手厚い援護を必要とする方々に対する対策でございます。 心身障害者の雇用促進対策といたしましては、従来のごとき心身障害者職業センターの拡充でございますとかその他の諸施設のほかに、新たに心身障害者を多数雇用されます中小企業の場合に、このモデル工場に対しまして特別の融資を工場全体に行なおうという新しい制度を設けさせていただきたいというものでございます。融資ワクは一カ所の貸し付け限度二億でございます。 それから盲人対策あるいはろうあ者対策の予算もお願いしてございます。 職業訓練は、昨年に引き続きまして重度心身障害者のための職業訓練校をつくる、それから内容を整備させていただきたいということでございます。 一六ページに参りますと、季節移動労働者対策の推進をしよう。出かせぎ労働者といわれております季節移動労働者の方々の援護対策でございまして、昨年度、四十七年度初めて予算にお認めいただいたものでございます。それを三十一億四千万ほどお願いを申し上げたい。四億八千万ほどの増額でございます。これは出かせぎ労働者と申されております季節移動労働者の方々が出てまいります対象県二十二県に対しまして、出かせぎ労働者のためのいろいろな施策の事務費援助をする、あるいは受け入れ地の受け入れ事業におきまする関係事業等の啓蒙を含めた受け入れ協議会等の設置を行なおうというものでございます。 それから、福祉センターといたしまして前年度三カ所設けられましたが、一カ所お願いを申し上げております。 次は一七ページでございます。 一七ページの(3)は同和地域の住民援護対策でございます。同和地域の住民援護対策といたしましては、新たに二番目にございます雇用奨励金制度を設けるというものでございます。月額八千円になっております。それから職業相談員の増員は倍ほどに増員されます。それから就職資金も、従来単身者が三万円でありましたものを三万五千円程度に引き上げる、世帯につきましても四万五千円程度に引き上げるというものでございます。 それから職業訓練の推進は、既設十四科目ございますが、なお二科目増設をいたしたい。それから受講奨励金等も充実をいたしたいということでございます。 それから六番目は、重点事項の第五でございまして、総理と労使のトップ会談を頂点といたします労使コミュニケーションの推進でございまして、産労懇の充実等の事務的諸経費が中心でございます。 最後のページに参りまして、労働外交と申しまする諸外国との労働関係者の交流促進の措置等でございます。まず東南アジア諸地域でいろいろ問題が最近起こっておりますので、東南アジア諸地域の労働事情を克明に把握いたしまして、労働事情、労働慣行あるいは労働組合の状況等を国内の関連企業に十分インフォメーションいたすというために、新たに通産省予算に二千七百万円を計上いたしまして、通産省所管のジェトロに労働省から職員を派遣いたしまして、国際労働インフォメーション事業を行なおうというものでございます。 それから労働組合の幹部の皆さんが国際交流のために東南アジアに出かけられる場合、あるいは東南アジアの労働組合の幹部の皆さんが日本においでになる場合の諸経費を補助するというもので、八百万円の国際交流促進費が大蔵省との折衝で新たに認められまして、御提案申し上げておるところでございます。 それから職業訓練を通じます国際協力といたしましては、ILO協会が行なっております国際技能開発計画を倍に拡大をする。それからアジア人的能力開発基礎調査をいたしたい。それから青年技能労働者の国際交流を従来どおり行なうほか、技能五輪の参加等を行なってまいりたいというものでございます。 それから最後は、新しい行政展開のための体制の整備でございまして、労働情報関係の積極的な事務開発、あるいは職業紹介の即時方式の拡大、あるいは失業保険の事務を電算機を介しまして一そう簡潔に行なおうという種類の事務費のお願いでございます。 以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時五十五分休憩 ――――◇――――― 午後五時十三分開議
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 労使関係に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 政府を代表する立場で官房長官の御出席を求めておったのですけれども、お見えでありませんけれども、それぞれ所管の労働大臣なり総務長官お見えでございますので、労働基本権の問題について若干質問いたしたいと思います。 日本の労働者に与えられているところのいわゆる労働三権、これが公務員労働者なり、あるいは公企体労働者に大きな制約があることは御存じのとおりでございます。このために起こる紛争が、戦後いろんな形でもって繰り返されてきていることも御案内だろうと思うのですが、特に公労協傘下の組合に対して、不当労働行為なり、あるいはこれに類するところのいろいろな抑圧が数多くなされてまいりました。これに対して当該労働組合労働者が、国際的に見ても、かかることは断じて許すことはできないという立場から、ILOに対してしばしばこれを持ち出して、その公正な判断を求めてまいりました。昨年もILOに対してこれが提訴をするということがあったことは、御承知のとおりだと思うのです。 この内容とするものは、きわめて今後の労働基本権の問題にかかわり合いのある事柄でございます。その中でも、いわゆるマル生と称する国鉄当局によるところの労働者に対する抑圧、それからストライキをやったということに対して大量の過酷な処分が繰り返し行なわれている。こういった事実に対してILOが一つの判断をしてもらいたいということで、このILO提訴がありました背景、歴史的に見て、なぜ日本の労働組合がILOに持ち出さなければならなかったか。これに対して政府はどういうような見解をお持ちでございますか。どなたがこれは御答弁されるのでしょうか。ひとつ統一をいたしまして、代表する立場で御答弁いただきたいと思います。
○加藤国務大臣 ILOに対して日本の労働組合が提訴いたしますのは、これは労働組合の権利でございますけれども、でき得べくんば国内で労使が協議して解決する、これが好ましい姿と思います。今回もILOから御示唆があり、それに基づいて政府並びに組合が協議いたしております現状については、政府としては誠意をもって両者の協議を行なうつもりであります。
○田邊委員 大臣、ひとつ質問に対して正確にお答えをいただきたいのでありまして、それなら私はもう少しさかのぼってお聞きしたいのですけれども、今回のいわゆる提訴の前提になるものが実はございます。その一つに、一九六五年のドライヤー勧告というのがあったことは大臣御承知だろうと思うのですが、このドライヤー勧告に対して、政府は一体今日までどのような態度をもってこれが実施に当たってこられたか、これをひとつ大臣御承知でしたならばお答えいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 ドライヤー勧告はILOの一つの御示唆でありますから、必ずしも日本の政府がそれに従わなくちゃならぬ、こういう意味ではありませんが、政府としては公制審にこの問題について目下諮問中でありますので、公制審の答申を待ってこれに対して態度を決定する、こういう状況であります。
○田邊委員 ドライヤー勧告の中身自身について大臣あるいは御承知ないかもしれませんので、おことばがたいへん実は的がはずれておりまして残念でありますが、われわれとしては、この団結権なり団体交渉権の保障を、国際的に見て、これはまずもって政府が前向きに取り組まなければならぬことは御案内のとおりであります。八十七号条約にいたしましても、九十八号条約にしましても、日本政府によってこれがほんとうに守られてこなかった、いなむしろこれに対する侵害が数多くの事実としてあったということに対して、ひとつ大臣ももう一度歴史をひもとき、その事実を御認識をいただきたいと思うわけであります。このドライヤー勧告に基づき政府の実施をすべき、また実施をされなければならないこの基本権問題に対して今日まで放置されていることに実は日本の労働者が大きな不満を持っていることは、これは疑いのない事実であります。これが第一番目の前提であることをひとつ御承知をいただきたいと思います。 そしていま私が申し上げたように、今回のILOに対する総評の提訴というもの、これはその後に行なわれたところのいろいろな不当労働行為、そしてまたそれをいさぎよしとしない労働者が当然の権利として自分を守るために行なったところのいろいろな実行行為、ストライキ、これに対してまた非常に過酷な懲戒処分が行なわれてきた。刑事罰からの解放はこれはすでに事実としてなされつつあるのでありますけれども、残る行政罰からの解放をも求める労働者の声は熾烈であります。これに対して、いま申し上げましたような不当な処分が繰り返されている。このことをいわば一つの前提、背景として今度のILOに対するところの提訴があったということを大臣は御認識をいただきたいと思うのですけれども、いかがです。
○加藤国務大臣 政府としても、八十七号並びに九十八号の条約は遵守いたしております。いまのドライヤー勧告並びにILOの提訴の問題については十分熟知いたしておりますので、今後の公制審の答申の結果、政府としてはできるだけ早く善処をいたす、こういう所存でございます。
○田邊委員 いま労働者が要求しているものに対して、大臣は正しくこたえてもらわなければならない立場にあると思うのですね。一つは、いま申し上げたように、マル生的不当労働行為は直ちにこれはやめること、そしてまた、これをやっている事業体に対して、政府みずからの責任でこれをやめさせるような行政的な指導をする、これが第一ですね。第二には、それを予防できるようないわゆる制度的なもの、政策的なもの、これに対して政府が明確な態度を表明するということも必要であります。そしてこの不当労働行為が行なわれた場合における救済制度というものも、政府の手によってこれが確立されなければならない。こういうことがまず日本の組織労働者の全体的な要求となっていることは、大臣御存じですか。
○加藤国務大臣 マル生運動は昨年いろいろ問題が起きておりましたが、最近は不当労働行為もないと聞いておりますので、今後御趣旨に従うような方針で善処いたしたいと思います。
○田邊委員 そういうことに対する最も迅速な、最も適切な、厳正な政府の態度がなかったからこそ、今日までいわゆるILO等の国際的な立場でもって日本の政府、日本の使用主、日本の事業体は糾弾されてきたのですね。ですから、そのことの認識なしには今後に正確に対処することは断じてできないわけなんです。いまの現状についてあなたは御存じですか。絶対に不当労働行為あるいは過酷な処分が行なわれてないという認識ですか。
○加藤国務大臣 当該局長から御説明いたさせます。
○石黒政府委員 国鉄のマル生問題につきましては、御承知のとおり一昨年にたいへん問題が起きまして、労働大臣も関与し、公労委からも命令が出たのであります。その後労使が話し合いまして、不当労働行為の防止措置をつくりまして、ILOに対してもその報告をし、ILOの昨年十一月の百三十三次報告におきましては、マル生問題は実質上済んだと認定されたわけでございます。今後の問題といたしまして、不当労働行為をやらないということはもう政府の大方針でございまして、あらゆる機会にその徹底をはかりたいと考えております。
○田邊委員 事実問題は国鉄ばかりでなくて随所にこれは山積をいたしておるわけでありまして、これに対するところの解明をする時間はきょうはございませんけれども、われわれとしてはしばしばこの委員会でもって取り上げてきたのでおわかりのとおりであります。これに対する政府の深刻な反省の上に立った明確な態度がなかったので、残念ながらILOにおいてそういった勧告が出される、こういう状態であったことは、いわば国際的な恥辱であります。したがって労働基本権なり不当労働行為あるいは懲戒処分の問題でILOに対して労働者が提訴をしているということは、言うなれば過去における政府の労働行政あるいは基本権問題に対する態度、これに対するいわば日本の労働者階級の大きな不信感の上にこれがなされているということをあなた方は認めなければならぬ。この不信感をどうやって回復するのか。これが政府に課せられた最大の任務である。したがってこの際政府は、この基本権問題に対してき然たる態度で明確なものを打ち出すべき時期に来ておる。われわれはこういう認識に立つわけであります。再びILOでもって何らかの勧告があり、それに追い込まれて政府が態度を表明をするような、そういうおくれた労働行政はとるべきでない、こういうふうに私は考えておるのですけれども、その基本的なことに対して、具体的なことはいいから基本的な態度に対して、労働大臣いかがですか。
○加藤国務大臣 スト権の問題、その他労働基本権の問題については、政府においては公制審に諮問いたしまして、公制審で目下審議中であります。それと並行して、ジェンクスの勧告、示唆に基づいて、政府並びに組合が目下鋭意協議中であります。その場で政府としては、誠意をもっていま御指摘の問題に対処していく所存であります。具体的な問題はあすも協議いたしますが、最終的な具体的な問題は、なかなか困難な問題、複雑な問題、いろいろな問題がありますから、ここで具体的な問題についてさっそく示せといっても、ちょっと無理と思います。しかし誠意をもって大いにやります。
○田邊委員 あなたは具体的な問題についてと言われましたが、それならば、政府の誠意ある態度というものが示せるところの具体的な事例がありますよ。それに対してあなた方は一体どうしているのかということを聞きましょう。現にドライヤー勧告に基づくいろいろな事象というものがいままであったけれども、これに対して有効な手を打たなかった。今度のジェンクスの提案に対して、あなた方は一体どういう有効適切な誠意ある態度を示しているのかということになりますると、何ら具体的な進展がないですね。ないのみか、この中でもって一番大きな問題になっておるいわば不当労働行為といわゆる懲戒処分、これは現に行なわれておるじゃありませんか。現にこの話し合いが始まったそのさなかにおいて、全電通と全農林に対して懲戒処分が行なわれておる。まさに労働者側が言っておる、いわば停戦協定が始まろうとするときに北爆再開というような、このアメリカの態度と全く同じような挑戦的な報復的な態度でこれが行なわれておる。これでは、政府がこの問題に対してほんとうに誠意をもって対処するというようなことはだれも考えられない、だれもそれを信用しない、こういう立場に私は立たざるを得ないと思うのです。 きょうはそれぞれの当局の人事担当官もお見えであります。お聞きをいたしまするけれども、これに対して、あなたのほうは一体どういうふうに考えるのですか。これは、もちろん昨年の春闘なりあるいは合理化に対するところの反対闘争、これで行なったところのストライキに対する処分であります。しかし現にこの過酷な処分、しかもこれが一たび行なわれますならば、大臣、御承知でしょうか、この処分が行なわれますると、その後におけるところの昇給あるいは昇格あるいは退職手当、その他万般にこれが影響してくる、こういう事実をあなたは御承知でしょうか。そういった処分が現に、しかも内容的に見まするならば、以前にも増してこれが厳重な、過酷な姿でもって発令されておる。これは挑戦でしょう。これはまさに話し合いを成立させるような態度ではない。なぜあなた方はそれに対して、この発令をさせないような、そういう手当てを講じなかったのですか。誠意をもってすれば、当然そういったことは講じられてしかるべきであります。こういうふうにわれわれは考えるのですけれども、いかがですか。
○加藤国務大臣 この問題に対しましては、ちょうど協議の途中でありますので、労働大臣としてもいろいろ、一度調査をする必要という見地から、局長からも各方面の御意見を聴取をして、最終的には万やむを得ない、こういうような結論を下しましたが、それについては石黒労政局長からその経過その他について御説明を申し上げます。
○石黒政府委員 農林省、電電公社の処分の問題につきましては、大臣からただいま申し上げましたように、二十三日の協議の席で総評側から指摘がございまして、政府といたしましては、違法行為があった場合に処分を行なうこと自体はやむを得ないことだ、しかし具体的実情はよく知らないから調査しようというお答えをいたしました。 そこで、大臣の御指示をいただきまして、私が農林省の担当者並びに電電公社の担当者から数回にわたりまして事情をいろいろ聞いたわけでございます。もちろん労働省といたしまして、処分についてこれを認可するとかなんとかというような権限があるわけではございません。事情をよく聞きましたところ、この処分を行なうのはやむを得ないという事情にあるというふうに認識されましたので、その旨大臣に御報告申し上げたのでございます。
○田邊委員 それじゃ、あなた、何もやってないことじゃないですか。現に提訴があったあとで、ジェンクス提案について私は見解を聞きましたけれども、提訴があった、その中には、いわゆるストライキ-処分-ストライキ-処分、こういう悪循環はどこかで断ち切らなければ正常な労使関係は生まれない。そして日本の労働者に対するところのいわゆる労働三権の確立についての、政府の前向きないわば態度表明にならない。こういう世論がある中でもって、この全電通と全農林に対する懲戒処分が行なわれた。なぜ待てないのですか。なぜ延期できないのですか。なぜ内容について再検討できないのですか。それじゃ、あなた、三回定期会談をやったあとで、総務長官なり官房副長官来ていますけれども、何の意味でやったのですか。現に三回目のこのいわゆる定期協議、一月二十三日に行なわれた中で、近く予想される二つの組合に対する処分の問題に対して、政府の態度を聞きたいということに対して、これはひとつ、基本権、スト権問題については公制審、公制審とあなたは言っていますけれども、これは重大な問題です。ばかの一つ覚えじゃないから公制審ばかり言っちゃいかぬ。しかし、それだけじゃなくて、どの懲戒処分の全面的な撤回について、これはその全部は応じられないけれども、こまかい中身については次回に協議したい、それからこの二つの組合に対する問題についてもいろいろ実情を調査してみたいというように言っているでしょう。それではあなた方の、いわば政府の前向きな姿勢なんというものはいささかも示されてない、こういうことになるじゃありませんか。 簡単でいいですから、電電公社、ひとつこの、あなたのほうで行なった懲戒処分ですね、合計一万三千八百六十一名、停職六百七十五名を含むこの大量処分は、一体どういうわけで行なわれたのですか。これはひとつまとめてあなたのほうでお答えいただきたいのですけれども、これはストライキをやったということで処分したの。あるいはまた、電電事業に対してこれはたいへんな支障があった、業務の支障があったということで行なわれたの。あるいはまた、公労法違反であるという事実の上に立って行なわれたの。いずれですか。 そしてこの定期協議が行なわれているさなかに、この進行中に行なったというのは意味があるのですか。この意味は何ですか。行なった意味は何ですか。ひとつこの四つについて答えていただきたい。
○中林説明員 昨年の春闘の処分につきましては、企業内のいろいろな事情もございまして、他の公社等に比べまして非常に処分がおくれておったわけでございます。昨年の秋闘の段階でさらにまた重ねてストライキが行なわれましたので、その二つのものを合わせてこの際処分をいたした次第でございます。ジェンクス提案に基づく政府・総評間の協議につきましては、公社としてもそれなりに注目はしておるわけでございますが、また、公社としましても全電通労組との間に当事者協議というものを行なっておる次第でございますが、昨年の春闘の処分がおくれておったという時期的な関係から、今回の処分ということになったものであります。違法なストライキに対しまして相応の処分を行なうという公社の従来からの考え方に基づいて今回行なったものでありまして、特に政府と総評の協議を妨げる等の他意があってやったものではございません。
○田邊委員 きょうは時間がないから、ひとつ正確に答えてもらいたいのだよ。これは何で処分したの。
○中林説明員 日本電信電話公社法に基づいて処分したのです。
○田邊委員 そういうふうな人をばかにしたような答弁をしては困る。私が言ったのは、ストライキをやったという事実の上に立ってやったの。あなた方の業務に支障ありということでやったの。これは公労法の解釈なり今後の労働基本権にかかわりのあることなんだよ。判例やその他のことも含めて言っているわけですよ。これは公労法違反だからやったの。そして、この協議が進行中にやった意味は一体何か。この四つ質問したじゃないですか。正確に言ってもらいたい。これは一般的な委員会じゃないのだから、労働権の問題に対してかなり専門的に取り扱っている委員会だから、ひとつ中身について正確にお答えいただきたい。
○中林説明員 違法のストライキをなされたということに対しまして処分をいたしております。 それから時期につきましては、先ほど申しましたとおり、昨年春闘の処分等が他と比べて非常におくれておりましたから、今回やむなく行なったということでございます。
○田邊委員 ちょっとこれは問題だけれども、農林省はどう。
○三善政府委員 農林省につきましては、実は昨年の五月十九日、これは賃金引き上げを目的とした一つの闘争でございます。それからもう一つは、六月二十八日、これは勤務評定反対の闘争、この二つの闘争に対して処分を行なったわけでございますが、国家公務員法の九十八条の違反ということで処分をいたしたわけでございますが、時期の問題につきましては、実はこの処分の発令をいたしますにつきましては、いろいろとその準備の行為がございますし、事実確認、そういったものについておくれておりましたので、その準備が整いましたから、この違法行為に対して処分の発令をいたしたわけでございます。
○田邊委員 大臣、野放しですね、これは。あなたのほうでもって労働基本権、特にいわゆる処分問題、これはもう何もやろうという熱意も定見もないのですね、あなたのほうは。そうですが。どうですか、いまのあれは。これは従前の処分をした態度と何ら変わらない。その時期設定についても何らの考慮が払われていない。政府の威令が行なわれていないということは、最近の幾多の事例でもって私も知っているけれども、ここまでこれらの問題に対して政府の威令が行なわれてないとすれば、政府自身のこの問題に対する態度は全くうしろ向きである、何もしてない、こういわれてもやむを得ませんね。やる意思がおありなんですか。いろいろと協議をして結論、成果を得よう、こういう熱意がおありなんですか。全く野放しじゃありませんか、これは。いまの二つの処分について、どうなんですか。
○加藤国務大臣 電電公社並びに農林当局の説明が寸足らずというか、もう少し――われわれも解釈に苦しむような言い方でありますが、われわれとしては、決してこの問題に対して不誠意であるというような気持ちはありません。大いに誠意をもって善処する、それが意味で、二十三日、あすもこの問題で誠意をもって大いに話し合う、そして大所高所から、あまりストの問題を繰り返して国民に迷惑をかけ、また労働者に対しても御迷惑をかけるようなことがないように、大いに何とか解決したい、こういうふうに政府は思っております。
○田邊委員 政府は、それではこの処分問題についてはどうお考えですか。加藤さん、あなたは一体どうお考えですか。当然、過去のそういった処分に対して、あなたは別の観点からの見解をお持ちだろうと思うのです、話し合いをする以上。
○加藤国務大臣 当局をして聞かした範囲内においては、処分も決定しておることであるし、万やむを得ず、適正な行為であった、こう判断せざるを得ない状況であったと思います。今後のことについてはいろいろありましょうが、この問題は万やむを得ないからもういたし方ない、こういうので承諾をいたした次第でございます。
○田邊委員 専売やその他にいろいろな判例が出ていますね。こういった処分の繰り返しがいかに労使の正常化を妨げるかということについては、これはいろいろな面における実例が出ておるのですね。しかも、あなたはさきのドライヤー勧告を知っているようなことを言ったけれども、この処分というものが一体どれほど過酷で、労使間のこの問題に対してどれほどこれが大きな影響を与えるかということについて、これは国際的に注目をされ注意を喚起されてきたんですね。これは今度ですよ、改めるのは。いい機会じゃありませんか、これは。なぜ電電公社、農林省に対してこういった問題に対して再検討するということをあなたは言えないのですか。言えるでしょう。いま言いなさいよ。加藤労働大臣がそう言ったことに対して、これは国際的に評価されるようないまちょうどタイミングである。あなた言いなさい。どうですか。
○加藤国務大臣 二十三日の段階では、言う状況でなかったと思います。今後のことは、よく十分各般の事情を聴取して、事によれば事によると、こういう決意を持っています。
○田邊委員 禅問答じゃないから……。労使関係というのは法律だけでもってすべてを律するものではない。生きたいわゆる政府の実行する態度というもの、この実行力というものがいわば非常に必要なんです。それらが積み重なって、法律というのは新しく生まれてくるのですよ。労働法というものはそういうものでしょう。だから、あなたのいわば野人労働大臣としての感覚は私は非常に大切だと思っているので、あなたに対して親切にいろいろと見解を聞いておるんです。 山下さん、あなたのほうはどうですか。政府の懲戒処分、これは――もうだんだんと行政罰の解放というのは一つの傾向として、裁判を待つまでもなく、そういう世論になってきていますね。そういうときであるだけに、この全電通、全農林に対する処分、これは国鉄にしてもいいですが、電電公社にしても、処分に対してもいろいろと検討した過去の実例があるのですから――あるでしょうが、これは。そういうことをもってすれば、あなたのほうがこれに対して前向きの態度を示せば、これはさらにいろいろと話し合いの機会は十分あるとわれわれは思っておるわけなんです。どうですか。
○山下(元)政府委員 二十三日の定例協議の席上、組合側から電電公社、農林省の処分の話がありまして、その事情について労働大臣もさっそくにいろいろとお調べになったことは、先ほども御答弁のとおりでございます。労働大臣としても、ちょうど定例協議の行なわれている段階において処分が行なわれることの当否については非常にお考えになったことでございますけれども、先ほど申されたとおりに、それぞれの官公庁におきまして十分検討の上、この際は処分としてはやむを得ないという結論に立たれたものと思うのでございます。 ただ政府といたしましては、この協議の場は誠意をもって当たるということは一貫して変わらない方針でございます。今後とも、この処分についてはやむを得なかったと思いますけれども、いろいろの問題につきまして誠意をもって事に当たるということは、はっきり申し上げられると思うわけでございます。
○田邊委員 官房副長官、これは事実を示さなければいけないのです。あなたはいかに誠意を持っても、ことばじゃだめなんです。われわれは不当処分、懲戒処分は撤回すべきである、当然。そして、話し合いの場所、土俵にのぼらなければ、横っつら張り飛ばしておいて、あなた話し合いしましょうなんて、そんなわけにあなたいけますか。私は当然この懲戒処分について、これから先の事態を進展するために政府の誠意ある態度を示すために、これに対する再考をすべきである。どうです。
○山下(元)政府委員 提示されております議題のうち、処分の撤回につきましては、政府側からはこの処分の撤回はできないというふうな答えは申し上げておるのでございます。ただ、その処分せられた方々の諸問題について、さらにいろいろと協議したいというふうなお話がございますので、明日また協議の場が持たれるわけでございます。十分誠意をもってこれに当たりたいと思うわけでございまして、処分の撤回をするということは、やはり現行法制上、まことに遺憾でございますけれども、やむを得ない、それをすることはできませんが、いろんな問題については誠意をもって事に当たりたい、このように考えておるわけでございます。
○田邊委員 いろいろな問題という中に、私はこの処分問題も当然あるだろうと思っているのですよ。あなたがすぐここでもって撤回はできないという発言をされても、しかし事実の進行の中で、いままで行なわれた処分、特にこの協議が進行しているときに行なわれたこの懲戒処分、これらを含めて話し合いの場所に乗せなければ、これは具体的な話にならぬでしょう。ジェンクスが言っているのも当然そのことですよ。そのことを意味して提案がなされているさなかに、これは横っつらを張り飛ばすようなそういう態度は戒むべきじゃないか。私の考え方じゃない、別の第三者の立場からいっても、時期の選定については誤ったんじゃないか。これは、思うのは当然でしょう。ですからあなた方はこれを含めて、電電公社なりあるいは農林省に対して十分な話し合いをさせる、このくらいはできますな。組合と十分な話し合いをさせる、そういう指示はできましょう。どうですか、労働大臣、それはできますな。答弁なさいよ。
○加藤国務大臣 二十三日の協議の場合にも、これはいろいろ田邊さんの話とちょっと食い違っても言いにくい点があるのでありますが、総評の御要求も、電電、農林、この問題に対して撤回せい、こういうところまでなかった。時期を考えよ、こういう妥協的な話があって、私としても御趣旨に沿いたい、こういう意味で善処したことは間違いありません。そういう意味で、もう時期が二十何日でありますし、おそきに失したという感じで、個人というわけではありませんが、労働大臣としてはもう何とかという、こういう気持ちはあったことは間違いありません。しかし、そういうようなことをこの際になってとやかく公式に申し上げる余地もありませんので、万やむを得なかったと先ほど申し上げたのであります。
○田邊委員 私はあなたの言外にあるところの気持ちをひとつ察していきたいと思うのです。これは問題の解決をするために、私がいま言ったことがいかに重要なことか御認識をいただきたいと思うのです。既定事実を一つ一つ積み重ねていっておって、何で話し合いができますか。何で解決ができますか。やはり糸をほぐすような、いままで行なったことに対する反省の上に立って、それに対して十分な配慮ができるような状態というものをつくっていかなければ、政府の前向きの態度なんということは言えないのです。これはおわかりいただけると思うのですね。そういう前提に立って、政府は労働基本権について、公務員労働者なりあるいは公企体労働者に対して一体どういう考え方ですか。世界の大勢として労働基本権を与えるというこの状態に対して、政府みずからは一体どういう考え方に立たれようとしているのですか。これはあとで総務長官にもお聞きしますけれども、総務長官が公制審のことを言うのは、担当だから、私はある程度百歩下がってお聞きしますけれども、労働大臣、あなたは公制審のことを言わなくてもいいのです。政府はあるいは労働大臣は労働者を保護する立場に立つのですね。所管大臣として当然労働基本権は、労働三権は公務員労働者を含めて与える方向に、政府は前向きに対処するということばが私のところへはね返ってくると思いますが、そうですね。そうでしょう、どうですか。
○加藤国務大臣 おかしい。ちょっと最後のところ、大事なところだから……。
○田邊委員 あなたの見解を聞けばいい。あなたが私のいま話をしたことに全く一致する答弁をされれば、この委員会もあまり長くやる必要がないのでありまして、加藤さん、あなたは一体この官公労働者なり公企体の労働者に対して基本的には労働三権を与えるべきであるとお考えでしょう、こういうように私はお聞きをしておる。
○加藤国務大臣 それに対してイエスと、こう答えたいけれども、そうはちょっとまだいまの段階では――労働大臣も政府の一員であり、政府内部の不統一というようなことになっても困りますし、労働大臣としても現在においては公制審の答申を待って、国民的視野、国民生活、そして日本の特殊な事情、いろいろな関係から、このスト権を与えるべきだというところまで労働大臣も行っておりません。労働者の立場その他は大いに同情する。けれども、大臣としてはまだそこまで行っておりません。
○川俣委員 五分間ばかり、関連質問で恐縮でございますけれども、大臣が、国民は非常に迷惑でもあるし、この争議を何とか解決しなければならないという考え方、そこに労働基本権の問題で公労法の改正の問題をちょっぴり聞いておきたいと思います。 というのは、私は協議中に突如ああいうような大量処分をするということは、ものをまとめようという考え方じゃなくて、むしろ挑戦的な態度だと思うのですよ。というのは、皆さんは選挙が終わって内閣の顔ぶれが変わったんだが、いまの処分は昨年の争議に対する処分だと、こう言うのだが、昨年の九月十四日の運輸大臣の発言、これは皆さん御存じですね。このように処分と闘争の繰り返しではどうにもならないので、この辺で公労法の検討をすべきだという発言は、いまあの当時からの官房長官がおられないで非常に残念なんだが、あの発言をめぐって、どのように労働大臣が、あるいは総務長官が受け継いでおるのか。それから、ちょっと、局長がそこにおりますから、一体あれがどういうものだったのか、真相だったのか、どうだったのか。あとになってみたら、ああいう発言をしたことがないということだし、せっかく労使、総評と政府と話し合って一応解決のムードが出てきたということで国民が非常に喜んだやさきに、おれは言った覚えはないと言ったところへ、さらに大量処分と出たから、われわれはどのように政府の態度を理解すればいいのかわからないのですよ。この辺をひとつ説明を願いたいと思います。
○石黒政府委員 事実関係につきまして、私の承知しているところを申し上げます。 昨年の九月に当時の佐々木運輸大臣が公労法の問題につきまして、新聞の報ずるところでは、ストと処分の悪循環を繰り返しておるのでは非常に困るから、この辺で公労法を改正するように労働大臣と相談したいというふうに話されたという報道が一部新聞で流れました。私、当時も労政局長でございまして、当時の田村労働大臣とともに佐々木運輸大臣にお目にかかったわけでございますが、佐々木運輸大臣は、そういうような言い方ではない、ストと処分の悪循環は自分も頭を痛めているということは言った、そして何か考えなければいかぬだろうというような趣旨のことは言ったけれども、公労法改正とかなんとかいうようなことは言いません、それで、公労法の問題も考えるかというような記者の質問があったから、それに対しては、それは労働大臣の所管だから相談するわという程度におっしゃったんだというようなお答えでございました。それがその後九月二十一日の参議院運輸委員会で問題になりまして、そして当時の労働大臣、総務長官、山下官房副長官お立ち会いでいろいろ御答弁になりました。その際に、政府の統一見解というものを山下副長官から国会に述べられたものでございます。それは、要するに、内外の情勢も非常に変わってきておる。公企体の労使関係の安定をはかるのは焦眉の問題だ。このため、公制審において、今日の実情に即してすみやかなる結論が出されることを期待する。こういう統一見解が出まして、一応ケリがついたというふうに承知いたしております。
○川俣委員 これは関連質問だから、時間がないから後日に譲りますけれども、ケリがついたという言い方はどういう意味ですか。ケリがついたというのをもう一ぺん答弁してください。
○石黒政府委員 ケリがついたという表現は適切でございませんので、取り消します。この問題についての質疑応答の一連の動きは、この統一見解の発表をもって一応ピリオドが打たれたということでございます。
○川俣委員 違うんですよ。いろいろとあるんですよ。官房長官が総評とそういうメモなどを交換したこともないという発言をめぐる問題なんか、あらゆる証人をここへ呼んで追及していけばかなり時間がかかるんだが、ただ、大臣、田邊委員の質問に対して、私も政府の一員であって、私の考え方はあるんだが、一がいに発言できないというような云々の発言をさっきしたんだけれども、事問題は労働基本権の問題なんですよ。私はやはり労働大臣がこういうような考え方を持っているんだということをある程度示してもらわないと、私はこの関連質問を終わりますが、この質疑応答は展開していかないと思います。一体、大臣はこれからどうするのか。佐々木運輸大臣ははっきりあのように言ったことはないと局長は言うんだが、やはり検討してみなければならぬということだけは少なくとも言っているんでしょう。改正しなければならぬとは言ったかどうかは別として、検討しなければならぬということだけは少なくとも言っているんです、運輸大臣が。それを労働大臣が受けて、そしてあなたが引き継いだわけですから、そういう一連の政府の態度、やはり労働基本権の問題であるだけに、最後に私の質問としてあなたの考え方を率直に聞かしてもらって関連質問を終わります。
○加藤国務大臣 この問題は、責任者の山下官房副長官がおりますから、山下副長官の統一見解のとおり私も考えております。
○田邊委員 政府がこの問題に対してうしろ向きであることは、われわれとしては非常に残念なんです。いま、十日に、この労働基本権の問題に対して、日本の労働者は、みずからの力でもってこれを前進させたいという意図に基づいたストライキが行なわれようとしている。事態は実はもう深刻なところへ来ているんですよ。しかも、この提訴に基づくジェンクスの提案は、ILOの理事会までの間に、何とかひとつハイレベルにおける定期協議をやってもらいたいという希望を出しておる。政府は二月が期限でないとかいろいろなことを言っておるけれども、そんなものではない。そのうちに正規の提訴がまた行なわれ、勧告が行なわれ、いやおうなしに袋小路に日本政府が追い込まれるというのは、これは世界的な視野に立てば当然な成り行きです。そうなってから、いや政府もそういったことについては十分考えていましたなんて言っても、時すでにおそいのです。日本の労働者の、いわば労働力が安く売られ、いかに諸外国からこれに対するところのいろいろな批判が浴びせかけられているかということは御案内のとおりなんです。ですから、これはわれわれは、今日までの政府の態度が十分でなかった。定期協議も三回やったって一体どのくらい進捗しておりますか。そればかりではなくて、過去におけるストライキをひとつ緩和するということに対する政府の十分な検討がない。それから懲戒処分に対する――これはいま言った全農林や全電通に対する処分が、この協議が行なわれているさなかに、白昼堂片と行なわれている。しかも量的にも質的にもこれが過酷になっておる、こういう実情。それできょうは国鉄にいろいろと聞きたいのだけれども、時間がないからあるいは省くかもしれないけれども、これはまだまだ実は労使間の状態というものが正常なところに来ているとはい、えない。組織の弱体化をねらっているようなところが随所にあらわれている。こういう状態の中で、あなた方はただひたすらに公制審に逃げ口を求めて、公制審の結論が――一体公制審が第一次から第三次まで何をやっていたのですか。口を開けば公制審。総務長官、公制審の結論を待ってなんというあなた方の答弁は、今日もう百万べん聞いてもそれで了解するところに至りません。公制審に対して一体あなた方はどういう態度をもって臨むのですか。公制審の結論を一体いつまでにあなた方はもらおうと考えているのですか。もう任期切れも近い。まさか任期切れをねらって、これでもって公制審の任務は終わりました、何も結論は出ません、政府の態度もむにゃむにゃです、そんなわけではございませんでしょうね。公制審は第三者機関だから、これの結論を静かに見守っているなんということは許しませんよ。政府としては許されません。どうですか。いろいろな法律を出すときに、予算関係法案については、二月の中旬までに出してくれなんと言って、いろいろな諮問委員会にその期限を切って出しているではありませんか、健保法なんという悪法については。便々として公制審の結論を待っているようなことは、私は許されないところまで来ていると思うのです。この審議を促進する、そしてそれに対するところの政府の態度を明らかにして公制審の審議に支障があるはずがない。結論を出すように促進をする材料にはなるが、決して障害になるものではないというふうに思っているけれども、担当の総務長官はどうですか。
○坪川国務大臣 先ほどから田邊委員の本問題に対する見解、また意見を交えての御議論、十分私も傾聴いたしておったわけでございます。しかし、この問題につきましては私はほんとうに重要な問題であろうと皆さんとともに憂いをともにしておる一員でございます。しかし政府といたしましては、これに対しまして公正妥当なるところの答申を求めました以上、私どもがこれに対しましての私見を交えての意見をいま公的な立場で申し上げましたり、あるいはその審議の状況に対しまして私どもがそれぞれ申し上げたり、あるいはリミットを要求いたしましたりするというようなことは、私は公正な審議の結論を得るにおいては、私はとるべき道でないと考えておるような次第であります。御承知のごとく、昨年の九月発足以来、当審議会においても委員の各位には真剣に討議をしておられるさなかであり、しかも懇談会形式等を含めまして、ほんとうに討議を重ねられつつあります時点におきまして、私は公制審の公正妥当な答申を待つということが私ども政府のとるべき態度である、こう考えておりますので、田邊議員の御要求には、また御期待には沿い得ないかもわかりませんが、ひとつあなたの御議論もまたお立場も私も十分理解はいたしますけれども、こうした厳正な姿をとる私どもの心中もお察し願いたい、こう考えます。
○田邊委員 これは、私どもの立場がどうこうじゃないのです。ジェンクス提案は一体どうして出されたのですか。まさに日本政府に対する不信感でしょう。日本のいわば官公労働者なり公労傘下の労働者に対するところの労使間の不正常、しかも日本政府のこれに対するところの不熱意、これがジェンクス提案の最も重要な部分じゃありませんか。それに基づいてあなた方は一体何をしようとするのか、何をしてきたのか、そしてこの労働基本権に対して早急にこれが解決を、結論を出すような、あなた方は立場にあるのか、熱意があるのか、これを私どもは聞いておるのでありまして、そのことを見れば、さっき私は労働大臣にも聞いたけれども、あなた方はジェンクス提案というものを正確に踏まえてないとすれば重大ですよ。事態は刻々として進展をしている。十日のストライキの問題ばかりじゃない。ILOはその次にどういう態度をとるかは、これはいままでの経験をもって照らしてみればもう明らかなとおりなんです。日本政府が追い込まれるのですよ。坪川さん、私の立場を理解するなんということじゃない。あなた方の立場をわれわれが理解すれば、政府は袋小路に追い込まれるということをわれわれは承知するからこそ、この際決断をすべきだと言っておるのです。それらの問題を含めて一体どういうふうに政府全体は対処しようとするのです。ことばの上じゃありませんよ。ほんとうにこの問題に対して前向きの態度をとるのか、どうですか。
○加藤国務大臣 公制審の問題、これはさっそく十二日とか、理事会に間に合うような答申は、率直に申し上げまして得られないと思います。これについて、ジェンクス提案の政府との協議の問題はあすも組合とやり、でき得べくんば、続いて十日でも十一日でも大いにやりまして、ジェンクス問題に対するいろいろな内容の問題、いまの公制審のスト権の問題の、これを解決するという問題以外の問題はできるだけ誠意をもって善処する所存であります。
○島本委員 関連。そういうようなことじゃない。これを一つだけはっきりさしていただきたい。ジェンクス提案によって、正規の話し合いの最中にこういうような処分をしなければならないという理由はどこなんだ。そうすると結局はもう提案した人を侮辱したことになる。もう一つは、現在話し合いに入っていた人の顔をさかなでするようなことになる。こういうようなことをしなければならない理由はどこにあるのかということを聞いておる。これをはっきりさしていただきたい。両大臣、そこです。
○加藤国務大臣 この問題は先ほどもうはっきりと御説明をいたしました。
○島本委員 はっきりしてない。何のために出したのだ。
○加藤国務大臣 万やむを得ず処分をいたしたのです。
○島本委員 何のために万やむを得なかったのか。
○加藤国務大臣 それは政府の見解でございます。
○島本委員 どういう見解なんです。万やむを得なかった見解……。
○加藤国務大臣 処分も決定いたしたことで万やむを得ないということであります。
○島本委員 話し合いの最中に、万やむを得ないという、そんな理由はおかしいじゃないか。それだったら支離滅裂です。だめです、全然認められない。
○田邊委員 これは、いま言った懲戒処分の問題にしても、あるいは不当労働行為の問題にしても、スト権を含む労働基本権の問題にしても、政府の態度に対しては、これは何らの誠意ある立場に立たないと感ぜざるを得ない。これは重大ですよ。こういうような態度の中でもって政府が何か労働者に対して正常な労使関係を打ち立てます、労働者のいろいろな面における政策を実行します、法律案を出しますといっても、労働行政というのは一つの法律が通ればこれでもって労働者が救われるのではありません。断わっておきますけれども、これに対するところの政府の一歩、二歩前進の態度が示されなければ、今国会においてあなた方の提案するような法律に対しても容易にわれわれはこれを受け入れるわけにはいきませんよ。これはわれわれとしては、きょうすべての問題が論議が尽くされない。しかし必ずそうせざるを得ないところにくる、こういう前提に立って私は話を進めておるわけですから、ひとつこのジェンクス提案なりそれを含む労働基本権の確立について、政府は一刻も早く前向きの姿勢を進められることを、私は強く要求しておきます。またいずれ機会を見てあらためていたします。
○田川委員長 石母田達君。
○石母田委員 きょうは会議の性質上きわめて限られた時間ですので、私も労働基本権の問題と大量処分の問題につきまして二、三の質問を単刀直入にいたしますので、お答えのほうも簡潔にお願いしたいと思います。 まず最初に政府当局から、昭和二十八年から昨年四十七年度までの、公務員並びに三公社五現業の職員を争議の理由で処分した数を求めておきました。それによりますと、公務員関係が五千八百五十三名。これは訓告が入っておりませんので非常に少ないかと思っております。公共企業体関係は八十万四百三十七名。これに間違いありませんね。
○皆川政府委員 国家公務員の点については間違いございません。
○石黒政府委員 三公社五現業の処分につきましては、法律上の懲戒処分でない訓告、注意等も含めて御指摘の数でございます。
○石母田委員 このような二十八年来、あるいは公務員関係は三十一年以来、八十万名以上の大量の、直接政府の職員あるいは政府が監督すべき公共企業体の職員をみずからの手で処分をしておる。そして最近の農林省のある公平審理の内容を見ますと、そこでは争議行為による支障がないというふうにいわれているにもかかわらず、その職員は何と三カ月の昇給延伸、戒告。そしてまた遺族年金にも影響いたしますから、ほんとうに一生の間こういう処分がつきまとうわけです。こういう大量処分によって官公の労働者の争議権を全面的にいまなぜ禁止しなければならないか。その根本的な理由について政府の統一した責任ある見解をお尋ねしたいと思います、山下副長官。――政府を代表しての答弁をしてくださいよ。
○加藤国務大臣 国民生活全体の利益を保障した公共の福祉を擁護するためであると理解しております。詳細につきましては、政府委員から補足説明いたさせます。
○石母田委員 自分が処分して、政府委員からその理由――あなたが責任者でしょう。責任者の責任ある答弁をお願いいたします。
○加藤国務大臣 補足説明を政府委員から……。 〔石母田委員「補足と言ったが、それだけですか……」〕
○田川委員長 委員長の許可を求めて発言してください。
○山下(元)政府委員 労使関係の安定をはかりますことは政府の願いでございます。その線で、私どもぜひよろしくお願い申し上げたいのでありますが、ただこの法の定めるところに従いまして、違法な行為が行なわれました場合に、それに対する処分をすることは、十分諸般の事情を検討した上で、それが適切なものである場合には、その処分をすることはやむを得ない、かように考えておる次第でございます。
○石母田委員 そうではなくて、いま公務員や公共企業体関係労働者に、憲法二十八条にある勤労者の中で、特に争議行為を全面的に禁止しなければならぬ、こういう理由について述べていただきたいと思います。
○石黒政府委員 公務員、公共企業体等の職員も、憲法二十八条にいう勤労者の中に含まれておることは事実であります。しかしながら、同時に憲法二十八条に規定する労働基本権も、他のもろもろの基本的人権と同様に、無制限のものではない。いろいろな人権というものの調和をはからなければならない。その全体の調和といったようなものが、いわゆる公共の福祉というふうに考えられるのじゃないか。そういう見地から、公共企業体等につきまして争議行為を禁止した公労法十七条、十八条の規定は、これは刑事罰については別でございますが、民事責任については憲法に適合するというふうに、御承知の全逓中郵事件の最高裁判決もありまして、私どもはそれに従ったわけでございます。
○石母田委員 いまの見解は、政府の統一見解と見ていいですか、副長官。
○山下(元)政府委員 けっこうでございます。
○石母田委員 非常に理由にならない理由だと思いますけれども、私は、こういういま述べられた国家公務員法の、いわゆる昭和二十三年の争議行為を全面的に禁止する改正、あるいはまた公労法の制定、これが当時マッカーサー書簡に基づくもの、こういうふうに理解しておりますけれども、この問題について内閣官房副長官の答弁を願います。
○山下(元)政府委員 当時の情勢からして、いろんな情勢があったとは思いますが、私どもは、憲法並びに諸法規の定めるところに従いまして現行法制ができ上がっておることでございますが、その趣旨につきましては、先ほど政府委員が答弁したとおりであると考えております。
○石母田委員 副長官、あなたは、これはいつ制定されたか知っていますか。これは占領当時ですよ。憲法の上に占領軍の権力が支配しておる、日本国民が憲法による活動、あるいは政府でさえも憲法による発言権がなかった時代ですよ。こうした時代にどうして憲法でやれるのですか。
○山下(元)政府委員 その点につきましては、政府委員から御答弁させます。 〔石母田委員「だめですよ、あなた個人で言うと。副長官だから、きょう代理で来ているのだから、政府を代表する者として……」〕
○田川委員長 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○田川委員長 速記を始めて。
○山下(元)政府委員 労政局長から答弁することを伺っておいていただいて、その上で御答弁申し上げます。
○石黒政府委員 マッカーサー司令部の命令による直接の立法は、御承知のように、昭和二十三年政令二百一号でございますが、それ以後、公共企業体等労働関係法、それから改正国家公務員法、それから地方公務員法というようなのが逐次制定をせられまして――政令二百一号はもちろんポツダム政令でございます。以後は国内法の形をとっております。しかし、当初の立法におきましては、司令部のアドバイスというものがかなり強力であったように私ども記憶しております。その後、こういった情勢をより国内情勢に適合せしめるために、私どもの所管しております公労法について申しますれば、占領終結直後の昭和二十七年、公労法の範囲を大幅に拡大する改正をいたし、それから三十一年には仲裁裁定の完全実施を確保するような改正をいたし、それから昭和四十年には、いわゆる四条三項を削除するというような改正をいたし、逐次、そのときどきの国内の情勢に適合せしめるように国会において立法で御努力いただいていると承知しております。
○石母田委員 副長官、どうですか、これもけっこうでございますということですか。
○山下(元)政府委員 いまの政府委員の説明のとおりであります。
○石母田委員 副長官にお尋ねいたします。 あなたは、この二十三年の公務員の争議行為を全面的に禁止した改正案の趣旨並びに公労法が提案されたときの趣旨を知っていますか。
○山下(元)政府委員 大体承知をしております。
○石母田委員 副長官、答えてください。
○山下(元)政府委員 ただいまの問題につきましても、政府委員からまず答弁をしていただきます。
○石母田委員 さっきから政府委員、政府委員と言っていますが、あなたが知っているというのですから、知っていることだけは答えてください。
○山下(元)政府委員 私も私なりに勉強いたしておりますが、この国会の場におきます重要な発言でございますので、正確を期する意味から、政府委員から答弁いたさせます。
○石黒政府委員 政令二百一号のもとになりましたマッカーサー書簡の趣旨は、公務員というのは国民全体の奉仕者である、真の使用者は国民なんだから、それに向かってストライキをするとか、対等の立場で拘束的な協約を含む団体交渉をするようなことは理論上あり得ないのだというような趣旨の書簡でございます。政令二百一号はそのような趣旨に基づいたものと考えております。 自後の公労法、国家公務員法等は、もちろん日本の国内法でございますから、国内法に適合する形において立法せられたものでございます。
○石母田委員 それでは事実を申し上げます。 国家公務員法の一部を改正する法律案の提案理由として、その当時、十一月十日、吉田国務大臣は、こう述べております。「國家公務員法は、新憲法の精神にのつとつて、新たな基盤の上に國家公務員制度を打立てるために、昨秋第一回國会において制定され、また去る七月一日から施行を見たのでありまするが、その後七月二十二日附をもつて、國家公務員制度改革に関するマッカーサー元帥の書簡に接しましたことは御承知の通りであります。この書簡に示されたる政府における職員関係と、私企業における労働関係の区別を明らかにいたしまするとともに、人事委員会を人事院に改めて、権限の強化をはかり、その書簡にいわゆる純司法的機関としての性格を明確にいたしまして、もつて國家公務員制度を同書簡の趣旨に即應するようにいたすために、本日ここに本案を提出」いたしました。 さらに公労法の提案趣旨を申し上げます。これは同じ年の十二月八日、衆議院労働委員会で政府はこう言っております。「まず提案理由の第一といたしましては、七月二十二日付をもつて、マッカーサ元帥より当時の芦田内閣総理大臣に対して、國家公務員法の改正に関する書簡の参りましたことは、すでに御承知の通りでありますが、この書簡におきまして、現在特別会計によって行なわれている鉄道事業及び專賣事業については、公共企業体への組織がえが示唆され、第三臨時國会におきまして、日本國有鉄道法及び日本專賣公社法が成立いたしたのであります。」こう言って、さらにこの提案趣旨の中で、「マッカーサー元帥の書簡にありますように職員の責任」云々ということでこの提案の趣旨が出されているわけです。そして二百一号の中においても、司令部の援助によってこの本件が「余が」余というのはマッカーサー元帥です。「国家公務員法を全面的に改正してここに論議された考え方の体制に適合せしめることが時を移さず、着手さるべきであると考え、」「本件に関し、貴下を」貴下というのは総理大臣です。「援助するべく、本司令部は従前通り助言と相談に応ずるであろう。」こういうふうに述べているのであります。これが事実でありますので、先ほどのようなサゼスチョンとかそういうものではなくて、その当時の連合国最高司令官、占領軍の司令官による直接の指示と援助によってこれらの法案が提案されていることは明らかであります。この問題について副長官答えてください。
○山下(元)政府委員 その当時の情勢は御指摘のような情勢でございましたが、少なくとも国内法的にはこの国会の審議を経てきめられていった、このように考えております。
○多賀谷委員 議事進行。 先ほどからの質疑応答を聞いておりますと、石黒政府委員というのは労働省の局長です。ですから政府の代表ではない。それが、所管が違うのです。公務員法は総務長官所管。それなのに労働省の政府委員がそれを含めて答えるということはあり得ない。やはりそれならば総務長官の関係の政府委員が答える。おのおの所管が別々なのを一人で答えるなんて考えられない。しかも官房副長官といっても、これは事務を処理するわけです。それが両大臣がいて官房副長官が政府の全部の代表なんという応答はあり得ない。これは私はむしろ委員長に御注意を申し上げたいと思う。
○田川委員長 質問者が特に官房副長官を指名して質問をされておりましたから質問を許しましたけれども、質問者も質問の相手をひとつ適切にやっていただきたいと思います。
○石母田委員 それでは次に、政府は全面的な争議行為の禁止ということを論拠にしておりますが、そういう論拠と、最近の最高裁判決の関係で、特に中郵事件さらに都教組の事件の最高裁の判決について政府はどのように考えておられるか。
○石黒政府委員 公労法の関係につきまして御答弁申し上げます。 全逓中郵事件は、公労法違反の争議行為に関する刑事事件の最高裁判決でございまして、それで御承知のごとく公共企業体等の争議行為であっても、特定のものを除いては、通常の場合は刑事上の免責は受けられる。しかし民事上の責任を問われることはこれは当然あるべきで、公労法十七条はその意味で違憲ではないというふうな判決が全逓中郵事件の趣旨であるというように了解いたしております。
○石母田委員 政府の労働大臣それから総理府の長官、並びに副長官にお尋ねしたいと思いますけれども、この中郵事件や都教組の事件の判決の中で、これまで争議権の全面禁止の論拠になっていた政府の見解と矛盾するものが出ておると思いますけれども、そういう点についてどう考えるか、いまの順序でお答え願いたいと思います。
○石黒政府委員 公労法に関連する部分につきまして申し上げます。
○石母田委員 ちょっと、さっきから――やはり指名した人にやっていただきたい。
○加藤国務大臣 いまの問題は政府委員より答弁させます。
○石黒政府委員 公労法に関連する問題について申し上げます。 全逓中郵判決は昭和四十一年十月に出た判決でございます。その前は政府は、公労法十七条に反する争議行為は民事上の免責がないのみならず、刑事上の免責もない。したがって郵便法とかあるいは国鉄なら鉄道営業法、そういった他の刑罰法令に触れる場合には当然罰則を受けるのだという解釈をとっておりましたが、この全逓中郵によりまして刑事上の免責があるということで、政府は従来の刑事罰に関する見解を変更した次第でございます。
○坪川国務大臣 いまのお尋ねの問題について、細部にわたる問題は政府委員である皆川人事局長をして答弁させます。
○皆川政府委員 東京のいわゆる中郵事件に続きまして都教組に対する最高裁の判決が出たわけであります。これは一般の地方公務員法でございますが、この判決につきましての考え方は、全逓中郵事件の考え方と同じように、従来刑事事件についても責任があると考えられておりました点につきまして、この考え方を改めた、そういうことでございます。
○山下(元)政府委員 所管外のことでございますので……。
○石母田委員 政府は公制審の第一次の会議におきまして、争議権について使用者側委員意見として、憲法十五条を援用しまして、公務員等は全体の奉仕者であるから、対等関係にある民間労使間において認められている争議行為は、本質的に許されない、こういうふうに述べております。ところが、先ほど申し述べました中郵事件並びに都教組の最高裁判決におきましては、「この労働基本権の保障の狙いは、憲法二五条に定めるいわゆる生存権の保障を基本理念とし、勤労者に対して人間に値する生存を保障すべきものとする見地に立ち、」ということを明らかにして「「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことが許されない」こう述べております。さらに地公法の第三十七条や六十一条四号の規定につきましても「これらの規定が、文字どおりに、すべての地方公務員の一切の争議行為を禁止し、これらの争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、あおる等の行為をすべて処罰する趣旨と解すべきものとすれば、」「これらの規定は、いずれも、違憲の疑を免れないであろう。」こう述べております。 御承知のように最高裁判所は、憲法第八十一条にも明記しているように「一切の法律、命令、規則又は處分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所」であります。こうした最高裁判所の判決の中に、明確に政府の全面禁止を理由としたこの根拠が最高裁判決によって否定されておる、こういう問題について政府当局はどのように考えているかお聞きしたいと思います。
○皆川政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、この事件は刑事事件として審理をされ、判決をされた問題でございまして、お話しのように文句の中にそういった部分もございますけれども、全体的に見ると、やはり刑事事件に対する判決、したがって私たちは民事事件について明確な判断が出たというふうにはまだ考えておらないわけでございます。
○石母田委員 いまの見解について、さらにお尋ねします。そのような見解であるならば、最高裁のこのような判決は尊重する必要がない、考慮する必要がないということですか。
○皆川政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、刑事事件についてははっきりと判決が出、したがってこれが判例となるわけでございます。民事事件につきましては判例という性質のものではないだろう。ただ、そこの中に述べられておりますことについては十分に検討してまいらなければならない、さように考えております。
○石母田委員 質問に答えてないのです。私が言っているのは、先ほど言ったように政府がこれまで使用者側委員として公制審やその他で述べていた見解、つまり憲法第十五条を援用して、国民全体の奉仕者であるから争議行為は禁止するということは、そういうことを根拠として全面禁止をすることは許されない、こういう内容については、どうかということをお尋ねしているわけです。
○皆川政府委員 この点は先ほども申し上げましたように、この事件は刑事事件にすべきかどうかということが最終的な事案でございまして、それに対する結論の過程でいろいろな考え方が出ておるわけでございます。したがいまして、私たちは刑事事件としての最高裁の判決、かように考えておるわけでございます。
○寺前委員 関連して。総務長官、さっきから話を聞いておって、あなたどう思うのか。 一つは、いま八十万からの人が処分されてきているこの歴史的な経過は、マッカーサー書簡に基づくところの行為から出発してきている。占領下のああいう事態の中で、この法案が出てきておるということは非常に不当だということを石母田委員はさっきから質問している。そしてその後の過程の中で最高裁の判決が出てきた。この最高裁の判決というのは、違憲の疑いがあるという問題にまで発展をしてきておる内容だ。とすると、これは十分に検討しなければならない段階に来ておるのではないか。総務長官、これは明らかに検討しなければならないと思うのか思わないのか、はっきりしてもらいたい。
○坪川国務大臣 先ほども御指摘になりました問題は、いわゆる憲法上適法であるという基礎の上に立って私たちは解釈をいたしており、また皆川人事局長も申しましたとおりに、この判決につきましては、いわゆる民事的な立場から考えますと、公務員等の争議権について、これを認める旨の判断としては私は解釈してないという方向であります。
○石母田委員 私はきょうの政府、また関係当局の責任者の答弁はきわめて不十分だと思う。責任者として答えられない。このような八十万人以上の人々を処分しておきながら、その理由さえも明確でない。またこれらの処分している法律あるいは諸規定は、占領下の時代にマッカーサー元帥の直接の指示と援助でつくられた。そういうものに二十何年問いまだにしがみついて、しかもこれに憲法という新しい衣を着せて、その解釈自体があれこれの違憲だ。とんでもない。法治国家といわれる中で、最高裁判所の見解、判決について、この憲法に対する解釈、その法律が違憲であるかどうかというのは、最高の権威を持っておるのは、憲法で保障されている最高裁判所の権限であることは先ほども申し上げたとおりであります。そうした政府によっていま不当に処分されている大量の公務員並びに公共企業体労働者に対する不当な処分を即時撤回して、占領制度の遺物である人事院勧告制度あるいは争議権の全面禁止のこのスト権回復を要求いたしまして、私の質問を終わります。
○田川委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 先ほどから、同僚議員から真剣な質疑がなされておるわけでございますが、私も同じ問題に対しまして若干質問申し上げます。 ところが時間が非常に制約されておりますので、答弁はひとつ要領よくお願いしたいと思いますが、このスト権奪還闘争というのは、もう私が申し上げるまでもなく、いわゆる長い歴史の上に成り立っておりまして、それこそ気休めというようなことでは済まされない問題です。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 先ほどから答弁を聞いておりますと、真剣に考え、そして答弁されているんであろうかと疑わしい気持ちになることが再々ございました。要するに、公務員いわゆる官公労の組合員の方、あるいは公共企業体の組合員の方も、これは一労働組合員であります。つまり労働組合員であるということは、憲法が保障しておりますいわゆる憲法に基づく労働基本権の要求、これは当然でございます。政府もこれを認めるということは当然の帰結であろうと私は思います。 先ほどからいろいろとお話があっておりましたが、私も一、二調べてまいりましたところ、全専売の山形判決を見ましても、憲法第二十八条の労働基本権の保障は公共企業体職員あるいは公務員にも適用され、そして公労法第十七条は法文どおり解釈するならば、違憲のそしりを免れないとしまして、公企体等職員にも争議権ありと認めているわけであります。こういう姿から察しますときに、わが国のこうした公務員のスト権奪還闘争というのは大きな流れになり、いわゆる潮として押し寄せてきている。政府もこの段階に入りますと、いままでのようにのらりくらりとした態度では済まされない時期に追い込まれてきているんだ、私はそのように思うのですけれども、つまりもうぎりぎりまで追い込まれてきているんだ。労働者の立場に立って強力な、前向きな姿でものを言わなければならない時期が来ているのだ。私はこう思うのでございますが、政府としてはどのような考えをお持ちか、まずお伺いいたします。
○坪川国務大臣 ただいま御指摘になりましたごとく、本問題につきましては非常に重要な問題であるだけに、政府といたしましても、これに対しましては、公制審の審議を十分公正にお願いいたしまして、その結論をいただくことを期待しておるということで、御理解願いたいと思います。
○大橋(敏)委員 私は、いま答申云々というよりも、政府として責任を持ってものを言わなければならないときがもう迫っている、もう余裕がないのだ、そう感ずるのだが、どうかと聞いているのです。
○坪川国務大臣 非常に重要である。しかし、その問題について政府は白紙の立場において、公制審に御審議を願っておるという段階でございますので、それに対するところの公制審の運営あるいはその結論へのリミット、あるいはそれらに対するところのいろいろの論評を、みずからお願いした立場の政府として、これをとやかく申し上げることは、軽率のそしりを受ける。私はこう考えております。
○大橋(敏)委員 私はあなたの立場は理解できるのです。理解はできますが、人間として、一人権を認め合うお互いとして、その時期が迫っていることはお感じになるだろう、こう言っているわけです。
○坪川国務大臣 先ほど申しましたように、人間坪川というよりか、やはり政府を代表する責任者の立場から私はいま申し上げておるので、こうした重要な問題を個々の人間的な感情から、これをとやかく申し上げることは避けたいと思います。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
○大橋(敏)委員 感情で申し上げるとは言っておりません。このスト権奪還問題については、いままで長い間論争されてきたわけです。しかし、これまで何だかんだと言って政府は言いのがれて、今日まで来た。しかしながら、国際情勢から見ましても、いまのような姿では、日本としては恥ずかしいのではないか。世論はこのようになっておりますし、国際情勢もこのような姿で押し迫っているのだ。しかも、ジェンクスILO事務局長の示唆に基づくお話し合いも現に開かれております。こういうことから見たときに、いままでのような、のらりくらりとした態度では済まされないだろう。ただ公制審にお願いしているから、公制審がものを言うまでは何も言えないのだというのではなくて、それは急がねばならぬ気持ちはあるだろうと言っているわけです。
○坪川国務大臣 公制審の委員の各位も、いま大橋委員がおっしゃったような気持で真剣に論議を尽くされておる。私はそれを期待いたしておるのでございます。
○大橋(敏)委員 とにかく政府としましては、この団交権を認めるならば、賃金の上昇の心配があるとか、あるいはスト権を認めれば庶民が苦しむであろうというか、いわゆる俗説といいますか、こういうものが案外気持ちの底にあって、こわごわとしているのではないか。もしそういうものが少しでもあるならば、思い過ごしだ、筋違いである、私はこう思うのであります。 なぜならば、労働組合も戦後今日までものすごい成長を遂げました。そしてまた良識もあるわけでございます。与えるものを与えないから、むしろこれまでいろいろ心配されたような事柄が起こってきたのでありまして、労使ともに対等の立場に立つならば、そこにはおのずから良識が先行してスムーズにいくものだろうと私は思うのであります。しょせん、スト権を与えてみても、それを行使するかしないかというのは労組のほうの判断であり、そこには当然社会的責任がとられてくるものと思います。そういうことから、ちゅうちょすることも何もない。いま公制審、公制審という話ではございますが、公制審は公制審として、政府は政府として、いま組合代表の方々とのお話があっているのですから、これも並行して話を進めていくべきである、こう思うのですけれども、この点はどうでしょう。
○坪川国務大臣 ただいま御指摘になりましたような憶測を持って私は期待はいたしておりません。それよりもほんとうに重要な問題であるだけに、厳粛な明鏡止水の気持ちを持って期待をしておる。これで御理解願いたいと思います。
○大橋(敏)委員 とにかく今日まで官公労の労働関係が、あるいは陰湿であるとか、あるいはいびつであるとかいうような悪評を残してきたりしましたけれども、私はこれは終局的には政府の責任である、こう思っております。それこそ感情的な立場で想像以上の対立をしていることも、私はこの目でも見てきました。 実は、先ほども話があっておりましたのですけれども、このスト権が剥奪された経緯から見ていきますと、これはいきさつからいっても、やはり非常に不自然でございます。一九四八年のマッカーサー書簡と政令二百一号及びこれをもとにしたところの国家公務員法の改正ということで、もともと認められていたスト権が剥奪されてしまった。それと引きかえに人事院が成立した。このような経緯というものは、それ自体に不自然さがある、私はこう思っております。となれば、戦後もう二十八年、また剥奪されてから二十三年ですか、占領政策、弾圧政策といわれたこれが四半世紀も続いているわけでありますけれども、この官公労の労働問題、労働行政については、いまも戦後は終わっていない、私はこういうふうに残念に思うのであります。労働大臣、これはどうお考えになりますか。
○加藤国務大臣 なかなかこの問題は微妙でありますので、公制審の問題並びに政府と組合との協議の問題その他で、できるだけ善処いたしまして、おことばに沿うようにいたします。
○坪川国務大臣 大事な問題でありますから、お答えいたしたいと思いますが、いま御指摘になりましたような解釈は、私はいたしていないのでございます。先ほども申し上げましたように、憲法並びに関係法律にそれぞれ適応するものとして、私は解釈いたしておることを申し上げておきたいと思います。
○大橋(敏)委員 総務長官はそのような御解釈でありましょうが、いま世間に、いろいろな識者、学者の皆さんがいろいろと問題を批評し、あるいは批判している記事がたくさん出ておりますが、そういうものにもすなおに目を通してもらいたい、そして考えを改めなければならないところがあれば、すなおに改めてもらいたい。これは私の要望として言っておきます。 そこで、一九七二年のILO理事会において官公部門における労働組合権問題を七四年のILO総会の議題に取り上げることを強く反対したというようなことを聞くわけでございますが、この理由は一体何だ、ということですが……。
○加藤国務大臣 労政局長から答弁させます。
○石黒政府委員 昨年十一月のILO理事会のいきさつであるかと存じます。 一九七五年のILO総会の議題候補として、労働環境その他五項目の候補があげられまして、このうち二ないし三を選ぶということで審議が行なわれましたのですが、わが国といたしましては、環境問題や開発途上国における職業訓練問題の必要性というような問題に、より優先順位を与えるべきであるというふうな態度で対処いたしましたが、大体そのような考え方が理事会の大勢を占めまして、公務員関係の議題というものはこの二ないし三の選択の中からドロップしたわけでございます。
○大橋(敏)委員 もう一度繰り返して聞きますが、いまの御答弁の中に公害と環境問題ですか、ちょっと……。
○石黒政府委員 私ちょっと訂正いたしますが、七五年のILO総会と申し上げましたが、七四年、来年でございます。 議題候補といたしましては、労働環境、それから公務における結社の自由及び雇用状態、それから人的資源の開発(職業指導及び職業訓練)それから四番目に移民労働者、五番目に経済社会開発における農村労働者の組織と役割り、この五つが議題候補としてあがったわけでございます。で、全体の投票の結果、優先順位がきまったということでございます。
○大橋(敏)委員 じゃ日本側としては優先順位の投票をしたときに、その労働組合の問題についての順位は何番に入れたのですか。
○藤繩政府委員 日本政府としては、ただいま労政局長からお答えいたしましたように、労働環境とそれから人的資源開発、つまり職業指導及び職業訓練、これを議題とすべきであるという態度をとったわけでございます。
○大橋(敏)委員 先ほどから言っておりますように、このスト権奪還問題等はもう長い間の闘争です。これを軽視しているのではないか。というのは、公労協がILOに提訴したことに対しまして、国内問題を、いわゆる大国日本と言われる日本の労働組合が、ことさら外国の援助を求めるというのはおかしいじゃないか、政府のある要人がこのような批判をしたということまで報道されていたのを見たとき、私は政府そのものにこの問題を軽視する傾向があるのではないか、こう思ったから、いまお尋ねしたわけです。その点はどうなんですか。
○石黒政府委員 ILOの議題として何が緊急であるかという問題と、公務員問題を軽視するという問題とは全然別の問題でございまして、私がお答えするとしかられるかもしれませんが、労働省といたしましても、公務員問題というものは非常に大きな国内問題であると考えております。
○大橋(敏)委員 総務長官にお尋ねしますが、労働基本権を与え、認めることは、先ほど言いましたように世界の常識といいますか、欧米先進国のほとんどは認めておりますね。西ドイツあるいはスウェーデンなどは、その一部においては警察あるいは軍隊にまで団結権を認め、あるいはスト権までも認めておるところがある、こういうことでございます。世界のいわゆる良識といいますか、それはこのようないまの日本の立ちおくれた姿、これに対して日本は労働行政については後進国ではないのか、このような批判もしているわけでございます。また先ほどからも申し上げましたように提訴されているわけですが、いよいよ国際舞台にこういう問題がどんどん出ていくわけでございますが、わが国としてこういう姿を恥ずかしいとは思われないのかどうか。
○坪川国務大臣 いま御指摘になりましたように、諸外国におけるところのこの問題に対する取り組んでいる事実、またその内容等も私もいささか勉強はいたしておりますけれども、いまお話しのごとく公務員のスト権に対して各国が全面的にこれを許しておる、また理解を与えているという事実はまた違っておることも、私は反論じゃございませんが、御理解の中に入れておいていただきたい、こういうようなことを考えております。しかし、われわれとしての立場から、憲法、諸法律に順応いたしました立場から、いまこの問題に取り組んでおりますので、これが恥ずかしいとか、あるいはこれが残念だとかというようなことは、お互い政治家として申し上げることは私は避けたいと思います。
○大橋(敏)委員 これは重要問題でございます。しかし、時間も限られておりますので次に移っていきますけれども、たとえば組合員の方で処分にあう、あおうとしておる、こういう問題はそれこそ一家についても、一身上についても、きわめて重要な問題であります。そういうのがなおざりに、あるいは延々と時間を延ばされていくということは、これこそたいへんなことでございます。それだけにきょうの同僚議員の質問も真剣であったわけですよ。また私もそのような気持ちでいま言っておるわけでございますが、全逓提訴についてもILOの事務局から再々にわたって回答を求められているはずでございますが、これは回答はなさいましたでしょうか。
○石黒政府委員 ILO事務局からは、再々にわたってというお話でございましたが、そうじゃなくて、ごく通常の形式で政府の意見の送付を要請されております。政府としては、政府の基本的立場を明らかにしつつ事実に関する経緯等につきましては、すでにできるものから発送しております。
○大橋(敏)委員 実はいま私の手元にある労働省の労政局から出ております「総評並びに公労協傘下各組合及び自治労、日教組、国公共闘の申立てに対するジェンクスILO事務局長の示唆に基づく政府と組合の協議について」という資料でございますが、この中をずっと見てまいりますと、労働組合の代表の方と政府側が三回会議を持っておりますね。ところが、その中の私が一番ふしぎに思うことは、こうした協議がなされているにもかかわらず、処分のほうは処分のほうでどんどんやっていくのだ、この態度は変えない、こういうふうにきわめて硬直な態度をとられているわけでございますが、私はおとなげないのじゃないかと思うのですがね。こうしてせっかくいままでにない姿で政府側と労働代表者側がお話し合いのテーブルに着いた。こんなすばらしいことはないと思うのですよ。そういう中にあって、処分は処分としてやっていくのだというかたくなな態度をとっていくこと自体が、私は問題ではないかと思うのですけれども、この点についてお答え願いたいと思います。
○石黒政府委員 先ほど来たびたび労働大臣その他の方々から御答弁申し上げておりますように、この点につきましては事情を詳細に調べましたけれども、違法行為があった以上、処分をすることはやむを得ないという政府の基本方針もございまして、この際、これを撤回、変更するというようなことは無理であるという認識に到達した次第でございます。
○大橋(敏)委員 最後に一言。 そういうのをそのまま違法行為をやったから処分するなんという――それは道理の上からいけば、そうであるかもしれませんけれども、せっかく話し合いの場があるのですから、その処分の時期を延ばすというぐらいの配慮が必要だ、こういうことを強く主張して、私の質問を終わります。
○田川委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 先ほどから総務長官の答弁を中心にしまして、公務員制度審議会の答申を待っておる、早く出してもらいたいと思っておるという趣旨の答弁だったと思いますけれども、間違いないですか。
○坪川国務大臣 そのとおりでございます。
○和田(耕)委員 いまおっしゃるとおり、公務員制度審議会では公益委員を含めまして一生懸命審議しているようですけれども、これは仮定の問題ですが、答申に、公務員にスト権を回復しろ――いろいろ条件はつくでしょうが、回復しろという答申が出たとしますと、政府はのみますか。
○坪川国務大臣 仮定の上に立って、この重要な問題を私が答えることは、ひとつお許し願いたいと思います。
○和田(耕)委員 それでは聞きますけれども、政府が白紙で審議会に答申を求めるという態度は、どういう態度ですか。
○坪川国務大臣 申し上げるまでもなく、この問題は非常に重要な、国民生活の上においても、わが国の諸般の問題においても重要な問題でもありますので、政府といたしましては、これに対して一方的な判断をもって、それを資料にして答申を求めるというようなことは排除いたしまして、公正妥当なるところの結論をいただくという立場に立って、これをお願いしたという政府の気持ちをひとつお察し願いたいと思います。
○和田(耕)委員 政府は、昭和四十年十一月一日に公制審を発足された。その同じ日に、佐藤前総理大臣の名前で諮問を発した。これは、つまり政府の案も出してなければ、そしていろいろな条件もつけないで貴会の意見を聞きたいんだという趣旨の諮問ですね。つまり、この意味からしますと、政府は公務員制度審議会というものを、労働基本権の問題についての一番権威のある機関として、その審議会の意見を求めておる。その出てきた意見は、政府は、とにかく忠実にこれを守るという当然の一つの義務づけがある。そういう状態のもとで、あなたは先ほども一日も早く答申を待っているんだということをおっしゃっておられるわけです。そこで私はそういう質問をしているわけです。 いろいろな答申があるでしょう。スト権の回復をしろ、しかしそのためには、こうこうこういう条件があるぞというような答申があるかもわからない。あるいは無条件に回復しろという答申になるかもわからない。あるいはスト権の回復はまだ早いというような答申になるかもわからない。その三つくらいの大分けした答申は当然予測できることでしょう。それを予測した上の政府の諮問じゃないのですか。その点をお伺いしたい。
○坪川国務大臣 反問するんじゃございませんが、予測してという、その予測の内容についてはどんなのでございますか。
○和田(耕)委員 だから、いま言った三つをあげたでしょう。三つの私の予測、大きく分けて三つしかない、答申というものは。私はわかりませんなんということは、権威のある機関が言うはずはない。だから、この審議会の答申としては、無条件にスト権を認めるということにはならないでしょう。スト権は回復しなきゃならないけれども、こうこうこういう条件が必要ですぞというようなものになるか、あるいはまたスト権を認めることは、こうこうこういう事情で時期尚早であるということになるか。
○坪川国務大臣 御案内のように、第三次審議会が一昨年の九月に発足いたしまして以来、公益委員、労使三者の非常に真剣な討議が続けられておることには私は深く敬意を表しております。しかも、最近になりましては懇談会の形式の立場において、公益委員のほうからいわゆる労使に対して質問書等もかわされているということも私は知悉いたしておるような次第でございます。そうした非常に創意とくふうをこらされながら積極的に前向きに、いま公制審においては討議を重ねておられますので、先ほども申しましたように、政府といたしましては、答申が公正な判断のもとにおいて出されるということをわれわれは期待しておりますので、いま予想、仮定の上に立って三つのうち二つが、あるいはAの、Bのということは、われわれとしては申し上げることも絶対でき得ないと思います。ただ、私が申し上げることは、公制審の答申が出ました上に立って、政府はこの答申を尊重してまいりたい、こういう考えであります。
○和田(耕)委員 私に与えられた時間は十五分しかないのです。したがって簡単にお答え願いたいと思いますけれども、かりに――かりにということが、この際私は必要だと思うのは、あなた方は無条件に諮問をしているからです。いいですか、無条件に公制審に諮問をしているのです。政府が案を示して、この案に対してどういうふうに思いますか、という普通の諮問の形じゃないのです。しかも、この諮問を出した、公制審ができたのは、ドライヤー勧告という、はっきりはしてないけれども、一つの考え方、方向を持った考え方があって、これを政府は認めて、そうして公制審というものをつくって、これに対して諮問をする形をとっている。そうですね。この意味は、普通に見れば、つまり公制審の答申というものがどういう答申であっても、その趣旨は――それは完全にそのものを認めるということは申しませんよ。しかし、その趣旨を認めるという気持ちがないと、このような諮問をしなかったはずでしょう。これはどうです。
○皆川政府委員 御承知のように、公制審はドライヤー勧告に基づきまして、当時いろいろな議論があったわけでございますが、いわゆるILO関係の条約を批准するに際しまして、国内法上どういう措置を講じたらいいだろうかということが、国会でたいへん議論になったわけであります。そういう過程においてこの重要な問題を第三者機関、特に公労使三者の構成による審議会によって検討することが一番よかろう、こういう国会の御判断もあったわけであります。そういう過程をたどってできましたものですから、その点、政府として一つの案を示して、その可否を御検討いただくということでなく、白紙の立場から、ひとつあらゆる角度から御検討いただきたいということで、広く諮問をいたしたわけであります。もちろん答申がありました際には、それを尊重してまいるということは当然のことであります。
○和田(耕)委員 総務長官も労働大臣も、いまの御答弁に異議はないですね。――頭を下げてもらえばいいのです。 そこで、私が特に公制審の問題についての政府の取り扱いをいま質問しておりますのは、このスト権を中心とした労働基本法の問題は、国会あるいはそういうふうな正規の場以外でこれをきめるようなことがあってはこれは筋違いになる。なるけれども、昭和四十年の十一月一日から現在までもう七年と四カ月。この間に、政府は一つの重要な構成メンバーを送っておるにもかかわらず、意見をまとめられるような具体的な提案をほとんどやってないですね。そういうところから、政府はできるだけこの答申を早く期待しておるということばにもかかわらず、答申をおくらそうという態度をとっておるというふうに私は思うからです。したがって、総務長官がおっしゃるように――先ほど予算委員会の審議を私は聞いておりました。総理も、一日も早く公制審の答申を待っているのだというのを聞いておりましたけれども、待っておるという態度は、いまもお答えがあったように、答申があれば誠実にこれを受けとめて実行していくのだ、これくらいのことは、この段階で政府の責任者としてははっきり言うべきではないか、そうでしょう。そのことをもう一ぺん総務長官あるいは労働大臣から御答弁をいただきたい。
○坪川国務大臣 私ども政府といたしましては、公制審のそれらに対して故意におくらそうとか、あるいはおくれたほうがいいとかというような考え方はみじんもございません。いま和田委員おっしゃったとおりな考えは、私ども持っておらないことははっきり申し上げておきたい。しかし、公制審がいまほんとうに真剣に論議をかわしておられる、しかも非常に前向きな姿勢で運営もやっておられる、そういうようなさなかでございますので、政府といたしましては、そうした審議の最中であることを踏まえまして、私どもがそれに対しての論評を下すとか、政府の考えの所信を申し上げるということをぜひ避けることは、和田委員も御理解いただけるのではないか、こう思っております。
○和田(耕)委員 いや、内容についてあれこれと言うことは、それはいまの立場としては言えないことは理解できます。できますけれども、私、端的に聞いておるのは、答申が出た場合に、その答申を誠実に実行するかせぬかということを最初に聞いたわけです。いままでの七年あまりの経過から見て、政府はいかにも答申が出ることを――おそれてはいないだろうけれども、何か積極的に出るような態度をとっていない、このことを思うからです。やはり公務員も特殊な場面で働く労働者であることには間違いないのですが、労働者としてスト権を中心とした労働基本法というものを回復することは当然のことである。しかも、それも大体時期が熟してきておる、私どもはこういうふうに考えているわけです。そして長官、いま御意見を聞いておるわけじゃないのですが、私が申し上げる意見をどういうふうに長官個人として感ずることができるか、ちょっとそのことをお伺いしたいのです。 かりに、公務員は労働者として基本的なスト権を中心とした労働権を認めるべきだ。しかし、その場合に、これは重要な仕事をなさっている方だから、国の行政、国民の生活にとって重大な支障があると思うときには、総理大臣がその問題に対してチェックする一つの条件を持つとか、あるいはある一定の冷却期間を持たすとかいうふうな条件をつけてこの問題を認めるというような考え方もあり得ると思うのですけれども、そういう考え方はあり得ないと思いますか。労働大臣、ひとつお答え願いたい。
○加藤国務大臣 公制審の答申が最初に出た、当然政府は諮問いたしたのでありますから、その意見も大いに尊重することは、これは当然と思います。しかし、いろいろな過程で出てくるそれに対するいろいろな条件とか、いろいろな問題がありますから、いま率直にそれを大いに尊重してやりましょうと言いたい気持ちはありますけれども、まだ過程の段階でありますから、当然諮問してその意見を無視するというようなことはあり得ないけれども、必ずその意見どおり、いまさっそくわれわれはそれを実行いたします、こういうような立場でいま労働大臣なり総務長官としてもここでお答えすることは、ちょっと早いような感じがします。 以上のような考えであります。
○和田(耕)委員 私はいま言ったように十五分しかないのですから、時間を正確に守りますけれども、私どもの立場から見て――これはきわめて良識的で定評があるのです、民社党は非常に良識があるということは。 われわれの立場から見ても、いま申し上げたとおり、公務員に対してもう一刻も早くスト権の回復を中心とした労働基本法を認めるような措置をとるべきだ。そのような意味で、とるについては現実に合ったいろいろな方法もあるでしょう。条件も必要でしょう。その条件については十分いろいろ話し合いもする必要もありましょう。これは公制審でやっておるでしょう。そういうふうな問題を含めて、政府はそのような態度をとらなければならない。そういう態度をとれば、先ほどから御議論になっておった処分の問題。これは法律に違反したのを処分するのはあたりまえだという議論はできます。できますけれども、単にそういうふうな議論だけでは済まされない大量の処分がここに出てきておる。悪循環になっておる。このような問題を断ち切る一番大きな要素は、もう機が熟したこの段階で、政府として、いま私が申し上げたような基本的な態度をはっきりとるべきだ。そうすれば、それは日本の労働運動、何十年の経験を持っておる労働運動は、それを理解するのにやぶさかでないと私は思います。 そういうふうな態度をとらないで、とにかくまだ政府自身がはっきり態度をきめないで、ただ口先だけで、答申を待っておる、早くしてもらいたいと言うだけで、実際の議論をはずそうとしておるという態度しか見えない。これはいけませんよ。やはりもうこの段階で諸外国と同じように基本的な権利を認めるという立場に立って、そうして現状との調整をしなければならない幾つかの問題を考えていく、こういう態度をとるべきだと思うのです。このことを特に最後に要請をいたしまして、私の質問を終わります。
○田川委員長 田邊誠君。
○田邊委員 各委員から質問がありましたけれども、政府の答弁は全くなっていない。特に労働基本権に関する認識が欠けておる。第二には、事態の深刻なことに対して、これを受けとめていない。十日のストライキに対しても何ら政府はこれに対する態度、対処する積極的な姿勢が見えない。ILOの舞台についてもしかり。そういうような状態の中では、われわれとしては、今後重大な実は決意を持たざるを得ない、こういうように思っておるので、ひとつそれぞれきょうお見えの労働大臣、総務長官、それから官房長官代理の副長官、われわれの質問の中身というものが、そういう深刻な重大なものを持っておるということをもう一度認識をされて、早急にひとつこれに対する政府の前向きな態度を相談をされるように、私どもは強く要求する。 そうしてその上に立って、きょうは時間が約束ですから短かったけれども、またあらためてひとつ徹底的に委員会において論戦を展開したい、こういうふうに思っております。そのことを通告しておきます。
○田川委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時二十九分散会