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71回国会衆議院1973/07/18

公害対策並びに環境保全特別委員会 第40号

発言数
238
登壇者
12
会派数
4
開催日
1973/07/18

会議録

佐野憲治日本社会党

○佐野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の公害健康被害補償法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂口力君。

坂口力公明党

○坂口委員 指定地域の問題につきましては、先般来多くの方からいろいろと御意見が出ておりますが、たいへん重要な問題でございますので、重ねてお聞きをしたいと思います。  まず最初にお聞きをしたいと思いますのは、この指定地域、それから続きます指定疾病についても同じでございますが、この指定地域もしくは指定疾病についての考え方というのは、いわゆる現行の救済法の場合と一応同じというふうに考えていいのか、それとも違うのか、この辺からひとつお聞きをしたいと思います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 新しい法案における指定地域と指定疾病は、考え方といたしましては、現行特別措置法の考え方と同じでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、このほうはあくまでも健康被害の救済ということが中心でございますし、今回のこの補償法案のほうは、健康被害にかかわる損害をてん補するということにあるわけでございます。この内容からいきましても、同じというのではなしに、やはりその考え方には多少の相違と申しますか、新しい角度からの取り組みというものがあってしかるべきだという感じがいたしますが、その点いかがですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 指定地域と指定疾病の考え方は、第一種地域、大気汚染にかかわる健康被害としての疾病につきましての、制度的な因果関係を推定するための仕組みでございます。したがいまして、特別措置法におきましても、救済の対象となる大気汚染の影響による疾病というものが特別措置法では問題であり、本法案におきましては、民事責任を踏まえた制度ではございますけれども、やはり大気汚染の影響による疾病という因果関係の問題でございますから、両者の考え方は同一にならざるを得ない、かように考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 具体的な問題からそれでは入らせていただきますが、第二条に、「この法律において「第一種地域」とは、事業活動その他の人の活動に伴って相当範囲にわたる著しい大気の汚染が生じ、その影響による疾病が多発している地域として政令で定める地域をいう。」こうなっております。この最後の「多発している地域として政令で定める地域をいう。」多発しているというのは、いわゆる現在多発しているものでなければならないのか、過去に多発したことがあったものもその中に含まれるのか、その点ひとつお聞きしたいと思います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 この法案におきます対象となる損害は、法施行の際に現に存在する損害でございまして、その被害がいつの時期に発生したかどうかということは問題としないわけでございますから、かりに法施行の際には大気の汚染状況が非常に改善されておる、したがって、新患の発生はあまりなくなっておるというような地域にいたしましても、現にこの大気汚染の影響によりまして疾病が多発しておるというような地域につきましては、これは指定の対象と、こう考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、いままでの現行法と申しますか、健康被害の救済に関する特別措置法のほうでは、いわゆる有症率、先日もお話が出ておりましたが、それからいわゆる汚染濃度というものの双方から推して、その範囲を、指定地域をきめるということが言われておりましたし、事実そうであったと思います。それと同じ考え方ではないというふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 指定地域の指定の基準といたしましては、ただいま先生御指摘のような、客観的な大気の汚染状況と有症率というものが主たるものさしになるわけでございますが、現行の特別措置法におきましても、このようなものさしにさらに地域の実情を種々加味いたしまして、地元の御意見も聞きつつ、具体的な地域指定をしておるわけでございます。新しい制度におきましても、おおむね同じようなやり方を踏襲してまいりたいと考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 同じような考え方でいきますと、以前に高濃度で、そして疾病が起こる、そして現在はその濃度が下がっている地域というのは、いままでの考え方からいきますと入らないわけですね、皆さんの考え方でありますと。そしてやはりいまお答えになったように、現在はそこまで下がっているけれども、以前に高濃度であった、そしてその時期に疾病が発生しているというのを拾い上げるという意味ならば、ある程度私もわかるわけであります。その点、もう一度確認をさせていただきます。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 いまの御質問でございますが、先ほど局長がお答えしたところと同じでございますが、もう少しこまかく具体的に申し上げますと、つまり多発ということばは、新しく発生するということではないかという点が先生御指摘のところだろうと思います。ところが、指定地域をいたします場合に、ある一定の期間に新しい患者がどれくらい出てくるかということを捕捉する調査は、実は非常に時間がかかります。それを全部確認するのを待って指定をするといたしますと、これは数年を要するというようなことが実際上の問題でございます。そういうことで、この汚染の動向と、そこにおける有症——有症率と申しますのは、ある一定の時期の断面でございますが、そこで患者が多いかどうかという断面をもってこの指定地域とするという立場を、これは私どもはとっております。これは当然もと多発しておった、あるいはいま多発しておるかもしれない、いま多発していないという証拠はないわけでございます。そういうわけで、していないという証拠が別にあるかという問題でございますが、実はこれは純粋に科学的な問題でございまして、これはさておきまして、私どもは汚染の事実と有症率ということをもって判断をいたしたいということを考えております。  ただ、この問題が将来の問題になってきますと、今度のこの制度によりまして、患者はずっと経年的に、継続的に観察をいたすことができます有期認定になっておりますから、そうい5点も、従来よりはるかに正確に把握することができますので、今後は、何年かを追いますと、多発しているかいないか、あるいは多発がやんできたかどうかということが確認できるということになりますので、本来、このような第一種の地域は、汚染が解消されて患者さんが多発しなくなるのがこの公害防止行政の基本でございますから、将来においてこの地域指定を廃止していくというような場合には、先生の御指摘のような、多発がやんだかどうかということを尺度にすることになるというぐあいに考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 確かにいま御説明いただいたとおりだと思うのですが、私が、お聞きしましたのは、先日、公述人の方あるいは参考人の方に来ていただきまして、いろいろお話が出ましたときにも問題になったことでございますが、将来のことよりも、いままでの過去の問題として多くの公害患者が多発していると思われる地域がございます。しかしながら、いままでの現行法でいきますと、現在の大気汚染の濃度からいくとひっかからない。以前はそうであったかもしれないけれども、現在はひっかからない、そういうふうな意味で、いわゆる線引きからはずれている地域がかなりあったわけでございます。そういたしますと、現在はこの汚染濃度というものはかなり下がっていても、以前にはっきりと汚染濃度がかなり高かったという事実が存在し、なおかつ、そこに一般の地域よりも優位に患者さんが多いという事実があれば、そこは一応対象になり得る、こう判断させていただいてよろしいでしょうか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 地域指定におきましては、大気の汚染度と有症率というのが一番主要なものさしになるわけでございます。現在の汚染状況と現在の疾病というものとが密接にリンクしておるというわけではないわけでございまして、この制度におきましても暴露要件を取り入れておりますのは、ある一定の期間、そういう汚染に暴露されているからこそこのような疾病が発生するという医学的な所見に基づいているわけでございます。したがいまして、過去に非常に高濃度の汚染があって、その影響によって疾病が生じた、現在もその影響が患者側におきましては続いておる。しかし、急速に大気の汚染状況はよくなったというような地域があるといたしますと、やはり過去のデータの存在が問題でございますけれども、極力それを調査いたしました上、そのような地域につきましても、地域指定の対象になるというふうに考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 指定疾病、特に非特異疾患の場合には、たとえばぜんそくの場合等は、これは言うまでもなくいろいろの原因で起こってまいりますし、一つの地域の疾病の多い少ないということも、これもいわゆる公害以外の原因によって高くなるということも、これは当然考え得るわけでございますから、ただ一つの地域における疾病の数が多いというだけで公害認定にならないということ、これは私どもよく理解できるわけでございますが、それと、いわゆる暴露要件と申しますか、暴露量というものとの関連を見まするときに、過去のデータのあるなし云々もございますが、それらがはっきりとした形で残っているところはいいわけでございますけれども、ところが、それがはっきりとした形で、科学的なデータというものがあまり多く残っていないような地域もあると思うわけでございます。そこで問題になりますのは、いつも暴露要件、暴露量というものがどれだけであったかということにあまりにもウエートが置かれ過ぎて、そしてそこから発生する患者さんがどれだけあるかということが低く見られる傾向があるというふうに私は思うわけでございます。  いずれにいたしましても、ある地域に工場群ができて、そしてそこから多くのばい煙、あるいはもっとこまかくいえば、亜硫酸ガスなり何なりが出るというようなことが起こった、しかる後にその地域に他の地域に比べて多くの患者さんが発生をするということが起こりました場合には、やはりそこに因果関係を求めざるを得ないと思うわけであります。ところが、暴露要件というものに重きを置いて考えますと、そして他との比較において暴露の強さというものに重きを置いて考え過ぎますと、あまり暴露量が多くないじゃないか、だから、ある程度患者さんは多いかもしれないけれども、ここは救うわけにいかないという議論になってしまうわけでございます。  私どもは、何といってもそこに患者さん方の多発しているということがあれば、地域よりもその患者さんの多発ということに力点を置いて、そこに重点を置いて考えていただきたいと思うし、またそうするのが当然だというふうに思うわけでございます。こまかな言い方をいたしますが、たとえば亜硫酸ガスならば亜硫酸ガスの濃度というものが問題になってくると思いますが、平均をいたしますとたとえば〇・〇三ぐらいであったといたします。ところが、非常にばらつきが大きくて、風の向きだとかなんとかということによっては非常に高濃度のものが入り込んでくる、しかし、長い期間の平均をすると〇・〇三ぐらいになる、非常にばらつきが大きいというような場合もあろうかと思います。そういうふうな場所で、私の知る限りにおきましては、存外に患者さんが出ているケースがございます。これはいわゆる断続的な暴露と申しますか、ときに非常にきつくて、そしてふだんはわりに少ない、こういうふうな暴露のところにも患者さんが多発しているということであれば、平均値としてはその値が小さくても、やはり指定地域にすべきではないか、こう思いますが、その点はどうでしょうか。いままでからもそういうふうになっているのか、今後はそういうふうなのが取り入れられるのか、その点ひとつお伺いしたいと思います。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 いま先生のおっしゃいましたのは、硫黄酸化物の年間の平均濃度が一般的に一番よく用いられておりますので、その数字だけで判断をしては狂うのではないかという御指摘でございますが、私どもも全くさように考えております。前の硫黄酸化物の環境基準の中で、年平均〇・〇五PPMというのが最悪の条件の端のところに引いておりましたので、そこの数字が最も広く用いられているということでございます。そういう点から考えてみまして、専門家たちは、大都市型の汚染と四日市の磯津あるいはその周辺におけるような非常に吹きつけ型の特異な場合の汚染と、それから臨海地帯の非常に特殊な、コンビナートで起こる汚染と、大体そういうふうな形がございますので、私どもは、先生のおっしゃいますような汚染のパターンを十分頭に入れて判断すべきだということを今後の地域指定の判断条件の中には考慮してまいりたい、そういうふうに思っております。

坂口力公明党

○坂口委員 先日公述人としてここにも出られました、そしてまた、以前に私、ここでお聞きしたことがございます、たとえば四日市、それからその周辺の楠町の問題にしましても、いままで〇・〇三何がし、〇・〇三五くらいであったかというふうに記憶しておりますが、平均いたしますと、あの場合もそれくらいにしかならないわけであります。ところが、非常にばらつきが大きくて、ときには非常にきびしい条件に置かれる、いわゆるいまおっしゃったような吹きつけ型の形になろうかと思いますが、そういうふうな条件下にあったわけでございますけれども、そういう場合には、いままでの現行法ではなかなかそれが取り入れられなかった。もし今度の法律ができまして、これは指定地域の考え方がいままでの現行法と同じような方向でいかれるとしたら、りっぱな法律ができましても、その人たちはやはり救えないという現実になるわけであります。何としても私はいままでの考え方を改めていただきたいと思いますし、ただ平均値だけでものを言うという考え方はひとつ捨てていただきたい。特に暴露要件というものを中心にしての考え方よりも、やはりそこに患者さんが多発しているという現実のほうに重きを置いた考え方をしていただかないことには、この法というもりは死んでしまうというふうに思うわけでございます。  それから、その地域における患者さんの数が多いか少ないかということも、これも非常にむずかしい問題だと思います、医学的に見ましても。特異的な疾患であればわかりますけれども、非特異的な疾患であれば、さらにこれはむずかしい問題になると思いますが、一応これは統計的な処理の上で、統計的に有意差があれば一応それは多いというように認められるのか、その辺の多い少ないの考え方というのをもう少し具体的にお教えいただけませんでしょうか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 有症率について、統計的に調べてみて有意差があるかないかということがどういう判断の上での重点を持つかという御質問でありますが、有意差があるということは非常に必要な条件でございますが、有意差があるということだけではこれをきめるわけにはいかないというぐあいに私ども考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 おっしゃるとおり、必要条件であって十分条件ではないと思います。それ以外に、そういたしますと、暴露要件はひとつ別にしまして、多発ということを考えます場合に、いわゆる統計学上有意にその地域がその疾病が多いということのほかに、そういう一つの必要条件、それからそのほかの必要条件というものはどんなものがあるでしょうか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 非常にむずかしい御質問でございまして、私どもまだ計量的にその状態は明らかにはいたしておりません。現在まで、昭和四十五年以来指定地域にいたしてきた実績がございます。そこの実績をよく洗いまして、そこの中で、不合理な不均衡のないような状態をどのように客観的に整理をするかということを頭に置いて判断をしていくのが、次の段階ではないかと考えております。中央公害対策審議会に、現在までの指定地域の条件というのを詳しく洗い直しまして、それによって公正な判断を答申していただくことをお願いいたしたいというふうに思っております。

坂口力公明党

○坂口委員 私もほかにどういうふうな必要条件というものがあるかということを考えてみるのですけれども、やはり非特異的疾患であるがゆえに、統計的な処理以外の問題というのはなかなか出てこないわけでございます。いずれを考えましてもたいへんにむずかしい要素が非常にからんでまいります。そういたしますと、やはり何といいましてもそこに暴露要件があるということと、そして統計的な処理以外にはないのではないかという気がするわけでございます。その統計的な処理も、その地域のとり方によってかなり変わってまいります。たとえば行政区域の中での処理をいたしますと、そこが非常に多発している地域、それからそうでない地域というものを含んでいる場合には、平均値あるいは標準偏差として出しますと、非常に下がってまいります。これまたばらつきが大きくなってまいります。だからその辺のとり方によって、操作のしかたによっては、どうにでもなるというと語弊がございますけれども、どうにでもなる可能性がございます。今後そういうふうな一つの、たとえば市なら市の中のある一定地域に非常に多発しているような地域があったといたしますと、その場合にいわゆる行政区割りと申しますか、市なら市全体の中での発生率というような形で見られるのか。それとももっとこまかく、多発している地域に限って、その地域と他の地域というような形でごらんになるのか。それによってずいぶん変わってまいりますので、私の希望としましては、かなり幅のあるとり方をしてほしい。いつも市とか一つの区とかいう、行政区割りだけでの考え方からいくと、たいへん誤差が大きくなってくることもありますので、もう少し幅のある考え方をしてほしいという気がするわけですが、その点いかがでございましょう。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 いまご指摘のポイントは、私どもも非常に問題点だと思っております。行政区画の市全体の人口を単位として率を算出いたしますと、いろいろな地域が入ってきまして、非常に希釈されてしまいますので、私どもは従来でも行政区画全体を調査してやるというところまでには至っておりません。  そういう意味で、線引きをしなければなりませんので、どういう単位までこまかくブレークダウンできるかということと、どういう単位まで利用し得る基礎人口のとれる統計があるかということが具体的な問題となってきております。  そういう意味で、昨年の秋以来私どもが検討しておりますやり方は、一体、汚染測定点のどれだけの範囲内を汚染測定点で代表させるかという円を引きまして、そこの中で、校区の単位でものを整理していくということでやりますと、かなり小さな単位までつかまえられてくると考えております。  そういうことで、まだ最終的に技術的なマニュアルとして書くわけにはまいりませんが、汚染ステーションの有効範囲内、そこの中での人口集団としてのとり方で、できるだけ特性の出せるような人口集団のとらえ方をやることによって、現在先生の御指摘のございました一番現地の実情を反映させるようなやり方ということになるかと思います。ただ、この点でむずかしいのは、それでは線をどこに引くかということになってまいりますので、その点につきましては、やはり今後、現地に即して相当検討してみないと、なかなか一律には申せないということがいえるかと存じます。

坂口力公明党

○坂口委員 この指定地域の問題は非常に大事な問題でございますので、長官のおことばもいただいておきたいと思いますが、先日も参考人としてお見えいただきました白木先生が、やはり法律というものは人間中心主義でなければならない。何のための法律かわからなくなってはどうにもならない。だから、患者が多発しているという事実があり、因果関係がどうしても常識上そう思わざるを得ないという状況であれば、でき得る限りその地域を拾い上げるという方向性がなければならないというようなお話がございました。私どももその考え方に同感なわけでございますが、いままでややもいたしますと、条件がきびし過ぎてと申しますか、いろいろな条件のために、その地域が明らかに公害によるということがわかっておりましても、なかなか拾い上げられないケースがありました。新しいこの法律ができます以上、そういう点はどうしても改善をしてほしいと思いますので、長官の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 これを制度として考える以上は、汚染の状態とか有症率とか多発性とか、ある一定の基準がなければならぬわけであります。しかし、この法律は、公害病患者をできるだけ救済しようという目的があるわけですから、地域指定の問題に対しては、なるべく立法の精神に合うような地域指定はどういうふうにすべきかということを中公審ともよく相談をしてみたいと思います。しかし一定の基準があるものですから、患者を個々に拾い上げるということは制度としてむずかしい。どこかで線を切らなければならぬわけであります。

坂口力公明党

○坂口委員 どこかに線を引かなければならぬということは私どももよくわかりますし、それは法律であります以上やむを得ないことだと思います。個々のばらばらと点在する人を救うということはたいへんむずかしいわけでございますが、しかし、一定の地域に他の地域に比べて多発しているという現実があれば、やはりそれは救うべきである。それがこの今回出された法の基本でもあると思うわけであります。いままで、ややもいたしますと、その基本がどこかにいきまして、そういう事実があるにもかかわらず、それが救われなかったという現実がありますので、いままでと同じような考え方においてこの法がもしもでき、そして運用されるということになりますと、また大きな問題を引き起こしてまいりますので、いままでの考え方の基本を修正していただきたいということをお願いするわけでございます。  指定地域の問題はそれくらいにさせていただきまして、指定疾病の問題でございますが、これは先日もあるいは御議論があったかと思いますが、この第四条に「区域内に住所を有しており、」というところがございます。たとえばぜんそくなんかの患者さんの場合に、病気がひどくなってどうしてもそこにいられない。そして市だとか県で市営あるいは県営の住宅等をつくって、そこに移ってほしいということで移っているような人も各地域であると思います。そういう転地がありますと、その区域内にはいないわけでございますが、そういう人はこの中からはずれるのかどうか、この点ひとつお聞きをしたいと思います。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 指定地域内の認定患者が区域外に転出した場合にどうなるかということでございますが、認定された患者が区域外に参りましても、御本人について、認定時に認められた有効期間というものは継続いたします。そういう意味で、地域外に出ましても医療を受けられます。また、その有効期間が切れましたときに、まだなおる見込みがないという場合には、さらにその医療は継続されるということになります。有効期間が継続し、また病気が続いておれば、医療は継続されるということになります。

坂口力公明党

○坂口委員 続いてお聞きしたいと思います。  もしもこの法案ができ上がって、これが運用されるようになってからあと、その地域から出ていって、どこかへ転居するという場合ではなしに、いままでもしある市の中にいて、そこが非常に公害がひどくて、そこでぜんそくならぜんそくになった。その人が、公害の少ないところ、郊外の県営になり市営のところに移っていったと仮定いたします。そこに行ったけれども、依然としてぜんそくはある程度ある。しかし、旧住所のところ、すなわち公害のひどいところにおるよりも、その新しいところにおるほうが楽であるというようなケースが非常に多いと思うのです。なおり切らないけれども、以前の公害のひどいところにおると、さらにひどい発作が起こるけれども、そういう発作は起こらないが、移っているところでは非常に楽だけれども、ある、現にそういうケースがあると思います。この法律ができて運用される場合に、そのすでに移っている人は対象になるのかならないのか。これは先ほどの線引きの問題ともやや似たケースになると思うのですが、その点いかがでしょう。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 全部のケースについて詳しく条件が、現在頭が整理されておりませんが、その患者さんが現行の特別措置法の認定患者であって、そして指定地域外に出たときには、現行の救済法では三年間有効ということになっておりますので、三年間は現行救済法で治療を受けられる形になっております。この法律がその救済法を引き継ぎますので、そういう意味で、次にこの法律がすぐ一年後に出るという形になりますと、この法律に引き継がれるということになりますので、そこの段階で、その患者につきましては有効期間というものは、この法律の有効期間のルールによって扱われるべきものではないかというように考えておりますが、この点につきましてはもう一度詳しく検討いたしてからお答えしたいと思います。

坂口力公明党

○坂口委員 それじゃ、その点ひとつまたあとででもお教えをいただきたいと思います。  この第四条の一に、「指定時間以上の時間を当該第一種地域の区域内で過ごすことが常態であった期間」云々のことばがございます。たとえばぜんそくになってしまって、さっきの申しました場合とよく似ておりますが、ぜんそくになってしまったがために、その地域での職をやめて転職をしたというような場合、しかし、ぜんそくはその後もなおかつ起こる、こういう場合があると思うのです。子供の場合ですと、ある程度転地をしたり何かしますとなおるというケースも多いようですが、やはり成人あるいは老年というような人たちは、一ぺんなってしまいますとその地域から離れてもなおかつなおらない、こういう人があるわけですが、やはり転職をしている人がかなりあると思いますが、それでもなおかつ病気がなおらずに持っている人は、この範囲に入るのか、入らないのか、その点いかがでしょう。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 御本人が認定患者であれば、その病気がなおるまでの期間この制度で見るということでございます。ただ、その間有効期間が法律によって適用されますので、一定の有効期間後はまた病気がなおっていなければ診査を受けて、また次の一定の有効期間の間、その患者の病気のめんどうを見られるという形になります。それから先ほど申し上げました点は、この制度によって引き継いで、有効でございます。

坂口力公明党

○坂口委員 私ちょっと不勉強なものですからよくわかっていないのですが、現行法におきましては、他の地域から公害地域に働きに来ていて、そしてそこで公害疾患になった人というのは、いま認定の対象になっているのですか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 現行法におきましても、一定の時間そこに通勤をいたしておって、住居はその地域にはないという人が、五年以上そこに通勤をしておった場合に、これは認定患者となっております。

坂口力公明党

○坂口委員 もう一つ、この指定疾病のことでお聞きをしておきますが、今回の場合に大気汚染あるいは水質汚濁、空気と水が中心になっておりますが、それ以外の問題は、ここにはずれておるわけですけれども、この問題につきましては先日来いろいろ御議論がございました。たとえば騒音の問題なんか非常に公害としての中に占めるウェートも大きゅうございますし、大きな問題になると思うのですが、ただ騒音の場合には、はっきりとした一つの疾病像を呈してこないということがありますので、これは今回も取り上げにくかったのではないかというふうに思いますが、この騒音の場合なんかは、非常に障害を受けます場合に、生理的に中枢的な部分に作用するということがいわれております。特に脳神経でも中枢神経、特に間脳あたりの自律神経の中枢あたりに影響が大きいといわれております。そういうふうなことがもし事実であるとしますと、やはりその人によりまして、出る症状なるものは非常にばらつきが大きいと思います。より末梢的なところで障害がありますと、症状というものは非常に固定化と申しますか、非常にティピカルですけれども、中枢のほうに行けば行くほど、やはり症状というものはばらついてくるというふうに思うわけです。そういたしますと、一つの疾病像としては、非常にとらえにくい形になっていくだろうと思うんです。ですから、ありふれた、非常にいらいらするとか、あるいは睡眠不足だとか、あるいは目まいがするとか、いわゆる自律神経失調症的な病像になったり、あるいはぜんそくだとか胃かいようだとか、あるいは胆のう炎だとかいうような病気になったり、これはばらばらの症状としてあらわれてくるのではないかと思うんです。そういうふうな、騒音なんかの場合には一つの疾病としてはとらえにくいわけですけれども、しかし、たとえば八十ホンなら八十ホン以上のような非常にやかましい環境の中で生活を毎日余儀なくされるというようなところの人には、やはり何らかのそこに症候群と考え合わせて、今後対策を立てなければならないのではないかと私は思いますが、その点と、それから騒音の場合に、いわゆる非常にはっきりとしたものでは難聴がございますけれども、これは労働衛生のほうでは原因、結果がはっきりしておりますので、職業性難聴だということで労災等の適用にもなっておりますが、非常にやかましい場所で住まわなければならなくて難聴がくる人があるかどうか、これはちょっとわかりませんけれども、職場等でも八十ホン以上だと難聴というのは起こり得るということになっております。その点、もしもそういうケースがあったとしたら、あるいはそういうケースが多く出てきたとしたら、これはこの法律等で今後は拾い上げられていかれるものなのかどうか、その点はたいへんお答えにくい問題かもしれませんけれども、ひとつお考え方でもありましたらお示しいただきたいと思います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 騒音による障害を疾病として把握できるかどうかという非常にむずかしい問題があるわけでございまして、専門的にはさらに橋本審議官から補足して説明いたしますが、私どもやはり騒音につきましては、そのように疾病に至るという問題の以前に、睡眠不足あるいは日常会話あるいは電話の通話が不可能、あるいはテレビがよく見えないといったような、生活妨害という事実が明らかにあるわけでございまして、これも騒音による被害であることには間違いがないわけでございます。したがいまして、その中から特に疾病という要素を抜き出して、一つの救済体系をつくるか、あるいはこのような生活妨害、これに財産的な被害も加わると思いますが、そういったものを一体としてとらえて一つの救済体系をつくるのがいいのか、この辺は非常にむずかしい問題でございます。かつまた、問題となるような騒音の発生源といたしましては、やはり空港でございますとかあるいは新幹線というふうに発生源が特定いたしております。でございますので、現在私どもの考え方では、空港につきましては、特別会計におきまして本年度は移転補償のみならず、民家の防音工事というような措置も講じておるわけでございまして、やはり、このほうの体系でもって、騒音の防止からある受忍限度と目される範囲内における生活妨害といったものに至るまでの一つの被害を、一体的にとらえて対策を多角的に講ずるのが適当ではなかろうかということで検討しておるところでございます。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 騒音について健康被害があるかと、こう言われますと、確かに健康被害がないということは言い切れないということだと思いますが、その健康被害が、先生のおっしゃいましたように、非常にいろいろなあらわれ方をするというところにむずかしさがあるというぐあいに考えております。  現在、労働衛生の分野では、先生いま御指摘のような難聴の問題というものが取り上げられ、あるいは脳の神経生理のほうでいろいろな議論がされておりますが、まだまだやはり純学術的な議論の段階ということで、私どもはこれを制度のほうに持っていくには非常にむずかしいところがあると考えております。そういう点におきまして、大気局のほうで騒音の影響調査ということを従来もいたしておりますが、今年度もさらに強化をしてやるということをいたしておりますので、その結果をまた医学的にいろいろ私どもの制度との関連、この制度に取り込むということではなしに、むしろ健康被害としての制度として考えるかいなかということの検討事項になるかというぐあいに考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 第二十二条ですか「診療方針及び診療報酬」とありまして、「環境庁長官が中央公害対策審議会の意見をきいて定める」ということになっております。これはどんなワクがはめられるのか、これがはっきりしないわけでありますが、これは主治医のいわゆる方針というものが最優先されるのか、主治医の診断の結果、その方針というものが参考にされるけれども、中央公害対策審議会のかなりきびしいワクができるのか、その辺はどうでございましょうか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 第二十二条の「診療方針及び診療報酬」のところで、主治医の方針を重んずるかあるいは治療指針のような特殊なワクを設けてものを考えるのかという御指摘でございますが、私は、主治医の治療方針を重んずるということを一番大事な原則として考えるべきであるというぐあいに考えておりまして、非常に特殊な治療方針を設けようという考え方は、いまのところ私たちは全く持っておりません。

坂口力公明党

○坂口委員 これはやはり主治医にまかせていただくべきだというふうに思いますし、先日来公述人でお見えいただいた方々の意見の中に、いろいろ意見の違い等もございました。いろいろ御意見も出ましたが、川崎からお見えになりました河野公述人がおっしゃいましたように、やはり医療従事者というのは、いわゆる社会全般的なことというのはわりに考えにくくて、その疾病のことのみしか考えにくいような傾向があるので、そう一般の方が御心配になるようなことはないんだというような御意見がございましたけれども、わからないものをそれを全部公害患者だというふうにしてしまうということはないと思いますし、やはりそれだけの社会的責任を持ってやるであろうと思います。これは当然主治医の方針に従うというのが妥当である。中央公害対策審議会の意見を聞いて環境庁長官がこれを定めるというのは、何かそこにゆがめられはしないかというかえって変な誤解を招くのではないか。この点長官どうでございましょうか、ひとつ長官の御意見も賜わっておきたいと思います。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 ちょっと長官の御答弁の前に、事務的なところだけを一言申し上げておきます。  診療方針と診療報酬を中央公害対策審議会の意見を聞いてきめるというところは、これは従来の健康保険の例によらないということを法律上明らかにしておるというぐあいに解していただきたいというように存じております。従来の救済法は健康保険の例によっております。そういう意味で、診療報酬、診療方針は全く健康保険のワクの中でしかできないというのが従来の救済法医療でございましたが、この医療制度は社会保障医療ではない、損害を補償するための医療であるということで、そういう意味での公的医療でございますから、そういう点では労災補償医療と類を同じくするものであるということでございます。それを自動車損害賠償の場合のように、何も取りきめもしないで全く野放しにするということは、これは公的医療としては適切ではないということでございますので、労災のような形を頭に置きまして、中央で一つの診療方針、診療報酬を設けるということは、この点につきましては日本医師会とも基本的な原則において合意をしておるところでございます。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 これは、その治療をどういうふうに経済的に評価するかというのは大事な問題ですから、医師会との間にも十分この点で御相談をしたいと思います。やはりこれは何らかのルールがないといけませんから、そういう点では医師会と十分御相談をしたいと思っております。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、いままでのいわゆる保険における診療方針あるいは診療報酬、そういうふうなワクを越えて、新しい角度からこの公害病の場合には対処をしていこうという趣旨のもとに、これはこういう結果になっているというふうに理解をさしていただいてよろしいのでしょうか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 基本的な考え方は、先生の御指摘のようなところにあるということでございます。ただ公的医療でございますので、一定のルールがあるということでございますので、労災等との関連性というのは、やはり公的医療の性格として当然考慮に入れるべきであろうというぐあいに考えております。  また一例を申し上げますと、空気清浄化病棟を設けましても、現在の健康保険医療ではこれを全く扱っておりません。そういうことで、当然こういうものは取り入れるべきではないかという考え方も一つの腹案としては考えております。また水俣病、イタイイタイ病というのは、従来の医学ではあまり念頭に置いてなかった病気でございまして、その点に対して、現在の健康保険医療ではどの程度までできるかという点につきましては、私どもまだよく了知いたしておりませんので、これは医師会に研究委託費を出しまして、現地で実際治療をしておられるお医者さんから、現在健康保険医療で治療できないところはどこなのかということをよくお聞きをして、その資料を中心とし、また一方、現在の社会保険医療による医療の実態を社会医療調査ということで調査いたしまして、その両者をあわせて新しい医療制度を一年の間にできる範囲内で組みたい、こういうことでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 この公害の患者さんにとってどういう治療が最もいいのか、そしてその人たちの治療をしていく上で必要なことは何かという点からこのワクができ、そして、少しでもその人たちの治療の妨げにならないような範囲のものであれば私どももこれはいいと思うのですが、ややともいたしますと、そういうつもりでつくったワクといたしましても、新しいワクができますと、何か全体の財政的なワクの締めつけのために、少しでも金がかからなくて済むようなことというようなことでこのワクが縮められたりいたしますと、かえってなかったほうがよかったというようなことにもなりかねないと思います。これはつくるならば、あくまでも患者さんの健康をどうすればよりよく守っていけるかという観点からのワクにしていただきたいと思いますし、むしろ私は、そういう治療方針なるものは一つ示していただくのはけっこうかと思いますが、しかし、それは方針を示していただければそれで済むことで、そしてそれを一々中央公害対策審議会の意見を聞いて、長官が定めるというようなところまではしなくてもいいのではないかという気がするわけでございます。それを一つ御検討していただきたいと思います。  それからもう一つは「診療内容及び診療報酬を審査して、」とありますが、これはいわゆる保険の審査とは全く別個に、患者さんの場合に行なうわけでございますか、保険のほうにも回るわけでございますか、その点お聞きしたいと思います。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 まず第一の問題点でございますが、財政上の理由によって診療報酬なり診療方針のワクを設けるという考えはございません。あくまでも医学的な観点からということを中心として、現在の医学の良識と社会的常識ということから考えて、適切な制度としての公的医療ということを考えております。  それから第二点は、審査は別であるかということでございますが、本制度は社会保険医療ではございませんので、社会保険基金の審査を使うことはできません。そういう意味におきまして本制度の審査は別体系になります。審査の体系は、指定地域を持っている都道府県あるいは政令市がみずからやる場合は、これは公務興が直接やるのではございませんで、労災医療の場合の形を——これは現在非常にスムーズにいっているというふうに伺っておりますので、この労災医療の場合には、基準局単位に保険指導委員会というものが専門家の方々によって構成されておって、そこで診療報酬につきまして、この点は少し詳しく聞いてみなければならないという点を聞いたり何かするということはあるそうでございますが、そのような専門家のもとでその審査を行なうというような体系を一つの参考にいたしたいと思っております。また適切な団体があれば、これを政令で指定をして、そこに審査を委託することもできるというような考え方も持っております。そういう意味で健康保険とは別体系である。それから労災におきましても、やはり診療報酬、診療方針は労災の体系で別途に法律に基づいてきめておるということでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 この診療の問題につきましては、現在老人医療でございますとかあるいはゼロ歳児の問題等でも起こっておりますように、一般の診察する医師の事務量が非常に問題になっておりまして、そのために、各地域で老人医療の無料化だとかあるいはゼロ歳児の無料化を受け入れないというようなことが起こりまして、非常に混乱をしているような地域もございますので、ひとつこの公害の場合にも、あまり事務量が増大をするというような形ではなしに、スムーズな方法というものをお考えをいただきたいということをお願いいたしておきます。  もう一問くらいありますが、時間が参りましたので、これで終わらしてもらいます。ありがとうございました。

佐野憲治日本社会党

○佐野委員長 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 質問が断続的になり、これで三回目でありまして、まとまってやるといいのですが、ある程度前後したりするため、前回のとぶつかる点もあろうかと思いますが、そのような点はよろしく御配慮願いたいと思います。  まず条文一つ一つでやっていきたいと思うのですが、きのうも条文をやりましたけれども、結局その考え方の問題はどうなのかということに最後のところはぶつかりました。それは、全部労働者の平均賃金の八割を単位にしている考え方では、これは不十分だ、上のせするどころか二割の収奪だ、こういうような考え方についになってしまったのであります。しかし、何としてもこの政令の委任事項が多いということについては、法律の性格そのものももっと十分われわれとしてはこの祭吟味しておかなければならないんだ、こういうようなことに相なろうかと思うのです。委任事項は全部で五十四のようでありますけれども、これでは何かしらいっても、あまりにも政令委任事項が多過ぎる。その点がまず大きい問題だということで指摘しておいて、この内容を少し具体的にしないといけないと思うのです。  一つとして、地域だとか、疾病の指定であるとか、認定の要件であるとか、給付の内容であるとか、賦課金の徴収であるとか、重要なこういう問題であります。そのほかの制度の核心となる重要事項はすべて政令に委任されているといって過言ではないほどであります。それはもう長官もすでに自認なさっておられるところであります。同時に、これは参考人や公述人すべての指摘になったとおりであります。そういたしまして、障害補償標準給付基礎月額、これは労働者の賃金水準その他の事情を考慮してこれを行なう、こうなっておる。それもすべて政令に委任されておる。そうなりますと、手厚い、かつてないような立法であって世界に冠たるものである、こういうようなことになってふれ込まれます、われわれもそれを信じます。しかし給付レベルが労災の八〇%給付というのも、そのような政令をつくる予定であるということにすぎないのじゃないか。これでは政令に委任されたあと、すべて平均の八〇%の線に置いてある。すでに四大裁判では、四日市なんか一〇〇%の線にある。ところがこれは八〇%の線にある。こういうようなことでは、少なくとも法案審議の際に政令の具体的内容が固まっているのでなければ、われわれのほうとしては重要な法の運命が行政ペースで秘められ、ゆだねられる、こういうようなことになってしまうのであります。私ども、一〇〇%でも少ない。もうすでに判例に出ている程度である。一二〇%ではどうだ。これが世界に冠たるゆえんである。しかしながら、給付レベルそのものも八〇%の給付というようなものであるならば、そのような政令をつくる予定であるというようなこともまた当然推定されるわけであります。そうすると、われわれのわからないうちにこれがそのようにつくられると、世界に冠たるものである、こう思いつつも、政令ができたときには思いも寄らなかった、こういうようなことになり得る可能性もあるのであります。その点については十分、これは重要な問題ですから、長官ももう肝に銘じてあることだと思います。私自身もあらためてそれが心配な点になってきたわけであります。どうですか。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 いまの給付の点でも、制度としてやりますから、そういう八〇%ということに考えておるわけでございますが、これが、給付がそれを非常に下回るということはありません。そういうことが政令の段階で、ここで島本委員といろいろ質疑応答をいたしましたことが非常に後退をするということはない、これは保証をいたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まず後退したことはないという、そのことばで、三木さんはうそを言わない人でありますから、それをやはり私は念頭に置いてこれはいろいろと詰めなければならないと思うのです。  まずその場合には、慰謝料に対する考慮、これはいろいろな人からも言われ、私は何回かこれを取り上げた。しかし、もう四日市の場合でも全労働者の平均賃金の一〇〇%を補償費の算出の基礎とした。本法は労災保険の六〇%給付を基礎にした上でそれを労働者平均賃金の八〇%まで引き上げるための一つの理由にした。そうすると問題点は、労災を基礎にしたこと、一〇〇%給付を削ったこと、慰謝料の要素を考慮したということ、考慮したと言いながらも、労災を基礎にして一〇〇%給付を削ったということになれば、これは少なくなるのじゃないかということは、だれしも考えられることであります。したがって、私がいま言ったのは、そういうようなことがあってはならないし、なる可能性がこの中にあるから、これを長官に言っているわけです。同時に慰謝料は、これは通常の民事訴訟にゆだねられることになってしまって、結局裁判のほうに行きなさい、そして慰謝料除外は最大の欠点であるということがそこにはっきりしたときに、これまた再びびっくりしてし願う、こういうことであってはならないのであります。私は、そういうようなことからしてもこの点はやはり問題があるな、こう思っているのであります。慰謝料は従来の通念よりもこれは大きくふくらまさなければならないし、増額してやらなければならないのがその使命であります。それを慰謝料部分を切り捨ててしまっている。公害の被害者には、いままでの判決内容からして権利の剥奪と思われるようなこの制度になっているということに対しては、やはりもう十分考えなければならないのじゃないかと思うのです。もちろん、被害者の簡易、迅速な救済、これは重要なことであります。被害者の完全な救済を犠牲にした上でこれが成り立つものだとするならば、これは許されません。当然、慰謝料の除外、患者補償費を平均賃金の八〇%に置いた、この上に立ってこの法律案は被害者の権利を安く値切ろうとするものであって、結局加害者擁護になってはならないし、被害者が四大裁判で獲得したこういうような権利が無視されてはならない。これは大きい問題じゃありませんか。そういうような点からして、いまの政令への委任五十四は多過ぎる。それと同時に、給付レベルが八〇%の線に置かれているというような点、これをもって慰謝料その他を含めて八〇%というなら、まさに木によって魚を求めるようなものじゃなかろうか。この点は参考人、公述人すべての指摘にあるところでありますから、重ねてこれを言っておきますが、こういうようなことが、私が言うのは危惧であってほしいのです。そういうような状態を現出しては絶対なりませんので、この点だけは、いまのような理由によって可能性は十分ありますから、長官は十分この点は念頭に置いておいてもらいたい。政令事項に対して、これをゆだねる際にこういうようなことがごうまつもないように、これは気をつけておいてもらわなければならない。これは立法の過程で考えられたのじゃないかと思うのですが、この点はほんの危惧にすぎないものでしょうかどうか。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 国権の最高機関で政府委員が答弁をしたことを後退さすようなことは私はいたさせませんから、どうぞそういうことで審議をお進め願いたい。

島本虎三日本社会党

○島本委員 長官の決意はわかりました。しかし長官だって、これでもって生業補償はできるように言っていながら、別な法律でやらなければならないときのう言ったばかりです。ですから、そういうような点からして、これはやるに越したことはありません、できるに越したことはありません。必ずしもそれに固執いたしませんけれども、手段、方法において、やっぱり違う点はあったわけです。それでは、絶対後退することはないということですね。  それから、費用負担の問題も聞いておいてみたいと思っているのです。公害健康被害補償法案、これに対しては、費用の負担をどうするか。これは制度の大きい目玉でありますけれども、この点について、移動発生源からの費用の徴収については、これは別個の法律で定められることになっているわけですね。そうすると、その具体的内容いかんによっては、この法律の定める内容にもはね返ることがあり得るということであります。したがって、車の両輪に当たるこの両方の法律を一括して審議するのが国会審議の筋道じゃないか。常道じゃないか、法律ですから。それが一方ができてしまったと仮定する、一方はこれからの一つの作業に入る、その別個の法律ということになっておりますから、この移動発生源からの徴収いかんによっては、政令の内容にはね返ることがあり得るのか、ないのか。当然これは法律案ですから、一括して審議するのが国会の常道でありませんか。筋道じゃありませんか。この一つの法律案だけで、あとの法律はゆっくり考えますというと、政令事項が五十四もあれば、当然その中にはね返ることもあり得るのだ、こういうことになりますか、なりませんか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 費用の関係につきまして別に定める法律に譲っております部分は、先般もお答え申し上げましたように、この制度は汚染原因者から汚染の負荷量に応じて費用を分担させるというのを基本的な考え方といたしておりますが、そのうち移動発生源あるいは零細な固定発生源というものからどういう手段で費用を負担させるかということにつきまして、現段階で詰め切れませんでしたので、税制その他との関連もございますから、四十九年度予算編成時に結論を得ることといたしておるのでございます。したがいまして、この別法の定まり方いかんによりましては、もちろん協会の事務の執行だとか、そういったものに影響があり得るわけでございまして、徴収関係の政令には若干影響があるかもしれません。しかし、給付に関する政令につきましては全く関係はございません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 じゃ、別個の法律で、いかなる状態になろうとも給付の内容に変わりない。給付の内容そのものは、やはり高額給付、かつての給付より決して低いことはあり得ないのだ、政府委員として答弁した以上、これは全責任をもつというのでありますから、これもはっきりとどめておかなければならないと思います。  それと、いつでも問題になるのは、時間がないとか手間どるということなんでありますが、きょうは小澤委員がいませんから困るのでありますが、小澤委員が環境庁政務次官のころに、先般出されたのが自然環境保全法、この新立法、たった三日の審議期間しかないのに出している。公聴会とかそれから参考人の意見というようなことを聞く、こういうような時間さえ正規に全然とれない。かろうじて参考人の意見を、午前中にきめて午後に出てもらって、これを聞いた。ていさいだけの参考人の意見だけを聞いて通したことがあった。今回の場合は、佐野委員長の場合は、その先を見通して、参考人といい、正規の公聴会を法によって開いて、そうして公述人を呼んだ。このやり方というのはまことに賞揚すべきであります。りっぱであります。それにも増して、政府の出してきた法律案、突けば突くほど心配な点が出てくる。公述人の意見、あれをなぜ皆さん出てきて聞かなかったのですか。長官なんかたぶんひまもあったはずです。局長なんかたった一日しか来ていない。その一日も若干時間である。最後までいたのは橋本課長一人である、こういうようなことであります。最もいい意見、じゃんじゃん出たのです。したがって、この生業補償の問題、これはもうよくわかりました。本法によらなくとも別法にしたほうがいいと思う。これはつくれればいいのですから、それにこだわらない。水銀でも、PCB汚染による漁業被害の多発している現状、これはもう長官ちゃんと知っておられて、水俣に対してはみごとなお手柄でございます。これもまた大いに賞揚するにやぶさかでない。しかし、それをやってもなお残りがある。この生業補償がある。次の課題とされておる財産被害に対する補償、これをはっきり盛ることによって巨額の財源を必要とするということであります。したがって、その補償のしかたにはいろいろ問題は当然あるわけであります。それは長官も御存じのとおりであります。これは私だけが言うことじゃありません。ジュリストの五百三十二号の高原賢治、東京教育大学助教授、明確にこれを指摘しているのであります。そして、健康被害も財産被害もともに公害被害に含まれるのである以上、一方に厚く、一方に薄くということになってはならない。これはもちろんであるけれども、せめて生業補償の基本構想が明らかになった段階においてふつり合いがないように調整した上でこれを確定されなければならないのだ、これも十分述べているわけであります。ところが、その構想やばく然として幽霊のようなものである。希望的なものにすぎないのである。しかし、一方被害者の健康被害補償法だけはでき上がっている。本来ならば、これが合わせて一本になるものが半分に削って片一方だけやる。片方が高くて片方が低いということはあり得ないはずであります。ふつり合いがないように調整した上で確定するのがこれが筋なんです。巨額の財源を必要とするということで、今度は一方をはずしてあとに回したということは、これは巨額であればあるだけに、この公害健康被害補償法によって健康被害のほうが軽くなっては困るわけです。同時に、財産被害、生業補償のほうも軽くなっては困るわけです。この辺のつり合い等については十分考えておられますか、この点基本的な問題です。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 当然に考えて、これが健康の被害というものは非常に迅速を要しますから最初にこの健康被害を取り上げたわけですが、生業補償ということになれば、やはりいろいろなつり合いは当然に考えるべきでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 したがって、不均衡にならないようにこれは調整して確定すべきなんです。不均衡、ふつり合いにはならない、不均衡な状態にはしない、これは当然ですね。当然のことを聞くんですから、当然だと言うよりしようがないですね。しかしながら、そうならない可能性のほうが多いから聞くのですよ。ですから、当然だから当然だという答弁だけじゃ、どうも私割り切れない。これはなぜこれを一緒にして確定するような方策を講じられなかったのか、事務当局はどうなんですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 いわゆる生業被害につきましても制度的に迅速な救済をするという必要性につきましては、私どもこれは十分認めておるところでございます。しかし、健康被害につきましてはさらに社会的な緊要性がありますことと、またこれは法律技術的に申しまして一応現行特別措置法というものがあり、かつまた類似の制度といたしましては労災保険等がございまして、制度的に定型的、類型的に給付をするという仕組みは比較的早くめどがついたのでございますが、しかし生業被害の分野になりますと、たとえば漁業問題一つを取り上げましても、重油によるノリ被害というように、原因物質が比較的明らかだ、しかしその重油の排出者が不特定多数という場合があり得るというような被害形態もございますし、あるいは赤潮のように、被害は現に起こっておりますけれども、その被害を引き起こした赤潮の発生メカニズムという点につきましてはなお科学的に定説がない。したがいまして、原因者としてだれに費用負担を求めるかにつきましてはなお検討を要するという問題もございます。さらにまた、最近の水銀汚染魚の問題のように、ある一定の食品安全基準をこえた魚というものに対する被害もございますと同時に、心理的な要因も加わりまして、客観的な水銀の汚染度というものとはあまり関係なく魚価が暴落するという経済的な損失というものもあるわけでございまして、こういう経済的な損失を対象としてどの範囲までとるか、またその経済的な損失をどのように評価するか、さらに原因者としてだれからいかなる手段で費用をとるかということにつきましては、健康被害と違ったやり方が必要になってくるのではないかと考えておりまして、現在その点の詰めを急いでおるのでございます。ただ、長官がかねて申しておりますように、この公害による被害をともかく迅速に制度的に救済するということは必要でございますので、ともかくこの健康被害についてこれを発足させ、軌道に乗せるという実績を踏まえまして、さらに生業被害の問題につきましても制度化を急ぎたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 環境庁が発足したのは何年でございました。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 二年前の昭和四十六年七月でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 初代の長官はどなたでしたか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 現在防衛庁長官でいらっしゃいます山中長官でございました。

島本虎三日本社会党

○島本委員 二代目は。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 大石長官でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大石長官が就任されたのは大体何日ごろでしたか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 どうも正確な日付は忘れましたが、七月の非常に早い時期であったと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 満二年ですよ、いつでもこれは日にちがないとかなんとかいっている。二年間じっくり——長官はそのとき財産被害に対してもこれは当然考慮しなければならないとこの席で言明しているのです。そのときあなたもちゃんとおったのですよ。あなたもおったからその日にちを聞いているのです。しかし依然としていま出されたのは巨額の財源を必要とする財産被害に対してのこの補償措置だけは、これは一方的にずらしてしまっている。そして健康被害に対しては世論の上に立ってこれはどうしてもやらなければならなくなり、これは財産被害をそのままにしてまず公害の健康被害のほうを先に出した、こういうような状態でしょう。したがってこれは一方に厚く一方に薄くという、こういうようなことがあってはならないのが原則ですよ。二年間は調査できない期間でしょうか。二年ですよ。長官がこの席で言明したのですよ。そうしたならば、当然あなたのほうでも二年間一生懸命になってその問題に対しての方策を考えるのは当然じゃないでしょうか。まだこれから考えるから、準備しなければならないからおそくなる、こういうのじゃ確かにおそくなる。二年前に長官が初めてこの委員会へ出てきて言明された。それから考えてみたら二年じゃありませんか。二年の間黙って居眠りしていたのですか。長官も取り上げなければならない。早い機会にこれを実現する、こういうように言うならば、やはり二年の間に準備しなければならないのじゃありませんか。それを依然として生業被害を含むところの財産被害に対する補償はあと回しになっている。しかしこれは巨額の財源を必要とする、こういうようなものであります。私はやはりその基本構想というものを明らかにしないでやっていたらもっともっと延びてくる。それが心配なんです。もう時間がないということは言われません。そのときの議事録をちゃんと取り寄せてありますから、二年以上あるのですから、時間がないのじゃない。そうなると準備ができないか、準備できないわけじゃない。これはもうしようと思えば準備もできているわけです。そうなると、やはり健康被害のほうを低く押えて、それに右へならえさしたような方式で財産被害のほうも低く押えようとする企業サイドの考え方に近いような、こういうような発想があるのじゃないかということをおそれるのであります。そういうようなことがあってはなりません。どうですか、これは。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 財産被害の問題につきましては、そもそも給付サイドでこの健康被害のように制度的に定型化することが可能かどうかという大きな問題がございます。これにつきましては現在類似の制度といたしましては、漁業あるいは農業の共済制度があるわけでございまして、このような制度との関連におきまして農林省において詰めておるところでございます。また私どもも法律的なワク組みといたしまして、費用の徴収と給付というものをどのような仕組みで関連づけていくかということにつきまして、法律的な見地からの検討をいたしておるのでございますが、でき上がる姿といたしましては、健康被害を補償する制度と考え方においては同じといたしましても、仕組みはかなり違ったものにならざるを得ないのではないか、このような予想が現在あるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その場合、言ったのは低く押えるような発想の上に立ってはいけないということを言ったのですが、この肝心の点に触れないようでありますが、これはいかがでしょうかね。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 給付のレベルをどのように考えるかという点につきましては、補償の方法といたしまして実損というものをどういうふうに判断していくか、その実損に対しましてどの程度のレベルで考えるかということだろうと思いますけれども、定型的な給付方法が不可能といたしますと、個々のケースごとに一応実損を把握していくことになると思いますが、しかしまた実損の把握というものも非常にむずかしいことでありまして、やはりその場合には農業共済とか漁業共済のような一つのあり方、評価のしかたというものも参考になるのではないかと思いますが、これらの点につきましてはやはり専門的に検討いたしております農林省において十分なお詰めを願いたい、かように考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やはりそういうようなことになるとこれまたばらばらになってしまうおそれのほうがまた出てきた。これは両輪のように一つの考え方で、一つが高くて一つは低いというのではだめなんだ。両方とも同じレベルで考えなければいけないのだ、こういうような考え方なんです。ところがもう完全に一つのほうの簡単な健康のほうだけはとった。巨額の支出を要する生業被害のほうは、第一次産業の被害が多いということで、農林省のほうにこれをゆだねてしまった、こういうようなことになるかと思うのですが、その点もなお基本的な私の心配が残るわけであります。  補償法案の問題点はいままでずっとやってきました。きょうこれからまた個々の問題に入っていくわけであります。この内容等についても相当問題があるということがもうわかってまいりましたが、しかし日本列島のことを公害列島、こうさえいまやいわれているわけであります。そのくらい汚染がひどいということは長官も御存じのとおりであります。瀬戸内海は死の海、いますでにおそきに過ぎた。生かす方法はただ一つ、立法措置しかない。それがいままで政府としてやれなかった。ついにそれでも挙党一致でこの問題だけは解決しなければならないという段階にいまや追い込められた。ですからこれは解決できて私はほっとするのであります。しかしながら参議院で強行採決なんていまの状態ではまだわからない。あれは三木長官、あなたやらせたのですか。あんなことをやってせっかくうまくいくものをまたストップかけようとする、一体皆さんの政党の性格はどういう性格なんですか。副総理である三木長官がいろいろな点でりっぱなことは私は認め、尊敬するのであります。公害の問題に関しての努力もこれは私は高く評価するのでありますけれども、なおかつそれでもできないのを与野党一致してやろうとすると、またその障害をつくっているのは自民党政府である。参議院の強行採決、一体これはどういうことですか。マッチポンプということばもあった。瀬戸内海に対してあなたたちがやっていることはマッチポンプみたいなことだ。つくれつくれといって今度はこわせこわせ、火をつけて今度はポンプだ、こんなことをやっている。そんなことではもうだめです。その間に公害問題はだんだん深刻になっていく、これだったら何というのですか、あまり微温的な解決だけじゃもうだめな段階になったから、もうすでにこれは一歩、二歩前進してやっておいてちょうどそれにマッチするのです。ところがいまあとぬぐい程度の、一〇〇%程度にしないで八〇%だ、一二〇%にすればびっくりしてぎょうてんしている、こういうようなことであります。まさにこれは微温的な解決に甘んじてよいかどうか、これは疑問なんですが、依然としてこの法律案は微温的なものである。二歩前進一歩後退、これならばと思いますが、あるいは一歩前進二歩後退、こういうふうにさえ思われる生業補償とこの健康被害の関係であります。私はそういうような点からして、これ以上いろいろな点で公害の問題に対しては解決のためには遠慮なすっちゃいけない。どういうようなことがあっても責任を持ってでもこれはやるんだ、こういうふうにしないと、もうできませんよ。ようやく最近通産省あたりがそれに目ざめてきていまでも公害対策の対策をやっているのです。環境庁が弱いからなんですから、そういうようなことをさせないようにこれからがっしりひとつこれを契機にしてやろうじゃありませんか。この際、参議院の強行採決を含めて法案いよいよ困難な実態を迎えて、ひとつ三木長官のこれに対する的確な御所見を伺います。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 昨日は島本委員も御質問になりましたように、われわれは健康被害に関する損害賠償補償法の審議をいたしておるそのさなかに参議院でああいう事件が起こった。参議院の国会運営については、良識のある、ほんとうに参議院は良識の府と言われておるのですから、良識のある解決を期待をいたしておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 よそごとみたいなことを言って、あなたの党の幹事長が行って直接現場指導したんだ。三木長官は何党の所属ですか、そういうよそごとでいいのですか、この重大な問題を控えて。モラルの問題ですよ、これは。長官にしてまだそういうような考え方じゃ、ほんとうにぬいぐるみのパンダみたいなものだ。見た目にはいいけれどもみんな人まかせである、これじゃいけません。こういう重大な問題を控えて、何が何でもこの問題だけはというような答弁が私はほしかったのです。ですけれども何かそうじゃない。  じゃ具体的な問題にこれから入りましょう。どっちに入ってもみんなこれはおかしいんだ。第二十条、今度は官僚さんのほうです。第二十条の「公害医療機関」、この名称についていろいろ意見が出たようでありますが、これは最後までこの問題については橋本課長おったようですが、この名称についてこれは妥当でないという意見もあったようですが、何かお考えございますか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 私は参考人の方々の御意見を伺っておりまして、あのような受け取り方をされる場合もあるのかという感じをいたしました。実は初めてあの御意見を伺いまして、なるほどそういう形でいえば御議論があるかもしれないが、この法律条項全体をお読み願うと、決してあのようなものを意味するものではないということはおわかり願えると思いますので、あの方の御意見は御意見として伺いますが、やはりそれに従うということは適切なものではないと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 じゃ、公害医療機関という名称について妥当であるという点をここでひとつはっきりさしてください。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 私どもは、この公害医療機関というのは、どのように読みましても公害の医療機関あるいは公害医療の機関という読み方になるわけでございまして、これを医療公害機関と読むためには、どうしても返り点が要るわけでござい示す。日本語のすなおな読み方といたしましては、やはり公害の医療を取り扱う病院であるということでございまして、この点につきましては医師会にも原案段階で御相談いたしましたときに、特に御異議のなかった点でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 なるほどそうですか。公害医療機関という名称は、公害企業という呼び名を持っていて、医療担当者としては不愉快な名称であります。公害病取り扱い医療機関のごとき名称に変えていただきたいと思います。こういうように言っているわけですが、公害医療機関に対してこれは全然知らない人が言うわけではございませんで、これはもう医療担当者が言うことばですから、これを全然頭からはねちまうというそのセンスよまことに強行採決的センスでありまして、これはもっと慎重に考えてやって、悪ければこれはあとから考えてもよろしいぐらいにしておいたらどうですか。——それはあまりこだわりません。  二十条の公害医療機関、「療養の給付を取り扱う者は、次に掲げるものとする。」といって、「一 健康保険法第四十三条第三項第一号に規定する保険医療機関及び保険薬局」と、こうあります。「保険薬局」というのはこれは全国に何カ所ありますか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 非常に恐縮でございますが、保険医療を担当している病院と診療所の数字は私ども持ち合わせておりますが、現在保険薬局の数字を持ち合わせておりません。あとで調べてお答えいたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 公害医療機関として大事な分類の第一に入っているこの数を把握していないなんて、ちょっと困るんじゃないですか。そういう課長、係長、そっちのほう……。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 健康保険法四十三条第三項第一号の保険医療機関のうち、病院診療所の数は約七万五千でございますが、保険薬局の数につきましてはただいま厚生省の所掌部局へ問い合わせておりますから、すぐにお返事申し上げます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、せっかくこれまたそのために公害医療機関としてやって、ここに第一項に載せてある保険薬局の数さえつかんでおらない。この保険薬局と一般の薬局とはどっちのほうが多いですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 ただいま厚生省の担当部局に、全国の薬局の数と、そのうち健康保険法によりまして保険薬局に指定されているものの数につきましては問い合わせ中でございます。わかり次第、御報告申し上げます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは、やはり便利なような状態、それをいつでも考えておいてやらないといけないのじゃないかと思うのです。医薬分業がいま問題になって、そして可及的すみやかに都市関係からこれを解決していこう、こういうような基本方針はきまったわけでしょう。健保改正案の際にも、この中身をはっきり言っているでしょう。方針なんですよ。そうなった場合には、保険薬局として、これはもう病院に付属するものだけにしたらいいか、一般の薬局まで指定を伸ばしたらいいか、この点についての考えはいかがですか。それは官房長に答えてもらったらいい。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 厚生省のほうともやはりこの点はよく話し合いをしなければならない問題でございますが、私どもとしては、一番基本的なことは、患者の便宜であるということでございますので、病院であれ一般の薬局であれ、もしも処方せんを出すお医者さんがいた場合に、またそのお薬ももらいやすくなるというようなことも、一つの重要な要件ではないかと思いますので、そのような方針でこれは処理すべきものではないかと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 では、せっかくですから、全国の保険薬局の数、それから一般の薬局、これはどれくらいあるか、厚生省のほうへ十分官房長を通じてこれは調査の上で、いずれゆっくり資料として出してください。いいですね。  これは、一条、一条見てもまたいろいろの問題がある。今度は、飛んで七条。この七条の一項、二項ありますが、これをひとつ局長、これは認定の期間の問題に対してどういうような問題がありますか、ちょっとここで解明してみてください。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 第七条の規定は「認定の有効期間」でございますが、これはやはり疾病の種類に応じまして、医学的な見地から、それが通常どの程度でなおるかなおらないかという問題があるわけでございますから、そういうことを基準といたしまして、医学的に御検討願った上、疾病の種類ごとに定めたい、かように考えております。  なお、疾病によりましては、やはりいわゆる症状が固定してしまうというようなものもあるわけでございますから、そういうものにつきましては、期間の定めをしないという道も考えておるわけであります。  なお、専門的な問題でございますので、橋本審議官から御答弁させていただきます。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 御質問の第七条の第一項と第二項について説明せよということでございますが、第一項の基本については、ただいま局長が御説明申し上げましたが、特に後段の「ただし、政令で定める指定疾病に係る認定については、この限りでない。」というところにつきましては、ある種類の疾病は回復の見込みがない、あるいは症状が固定してしまって、障害が固定してしまっておるという疾病があるわけでございます。たとえば現在の救済法では、非常に数が少なうございますが、肺気腫という患者さんは、肺の組織がこれはなおらない程度に破壊されてきておるということでございますので、このような患者さんは当然、この無期の認定ということがあり得るわけでございます。あるいはイタイイタイ病あるいは水俣病というような患者さんで、症状が固定をして、しかもその固定した障害状態がなおる見込みがないというような場合がございますので、そのようなものにつきましては、これは無期という場合が起こるわけでございます。この無期といいますのは、症状固定ということを一つの条件といたしますので、一つの水俣病、イタイイタイ病がすべて無期であるかどうかということとは必ずしも同じではございませんで、症状が固定して、この人はなおらないという場合に無期になるというぐあいに御理解をお願いいたしたいと思います。  それから、第二項の点でございますが、これは「都道府県知事は、認定にあたり、有効期間が定められた指定疾病に係る被認定者の当該指定疾病が有効期間の満了前になおる見込みが少ないと認めるときは、公害健康被害認定審査会の意見をきいて、前項の規定にかかわらず、別に当該認定の有効期間を定めることができる。」ということでございます。それはケース・バイ・ケースの話でございまして、病気について有効期間といいますものは、第一項で定めるわけでございます。ただ、ある一人のAという患者さんの症状を見てみますと、無期になるものではないが、その有効期間ではこの患者さんはとうていなおらないと認められる患者さんがあった場合には、その患者さんについて、ここにございますように「認定審査会の意見をきいて、前項の規定にかかわらず、別に当該認定の有効期間を定めることができる。」ということをいたしておりますもので、個別の患者についての特別の有効期間の定めということができる措置を第二項に認めているわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 御苦労さんでした。  そうすると、いまのような状態で今度この認定の更新をする場合は、これはもうやはり申請をしなければならないわけですね。認定の更新を申請しなければ更新されない。この辺少し官僚的ではありませんか。被害者は一定期間——第二十八条がありますね。二十八条の審査があるんだから、この審査をやってやった場合は、これは自動的な更新ということは患者のためにいいじゃありませんか。一回一回患者が申請しなければ更新されない。近代立法において、これはまことに患者無視の発想じゃありませんか。そういうふうにちょっと受け取られるのでありますけれども、この点等に対しては、はっきり便宜措置があるならばこの際はっきりしておいてもらいたい。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、この「認定の更新」というのは第八条にございますが、第七条にきめておりますように、一応そのおのおのの病気の種類について有効期間がきまり、またその病気の種類によっては無期の認定というものも政令できまり、また、個別の患者につきましては、この政令で定める有効期間と違う有効期間をその病状においてはきめることができるという、それだけの措置を設けておりますので、この認定期間というのは、そのような制度的に非常に無理な、短い——どう言いますか、非常に無理に画一的に官僚的にきめるというものではございませんので、これは医学的におのおのの疾病について専門家がきめるものでございます。そのような意味におきまして、この認定期間の更新の場合には、また新たにこの更新の申請をしてもらってやるということは、決して過重のワクを患者に課するものではないということと私どもは考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、二十八条では「障害補償費の支給を受けている者は、当該指定疾病による障害の程度につき、指定疾病の種類に応じて政令で定める期間ごとに、」これは一定期間ごとにですね。「都道府県知事の診査を受けなければならない。都道府県知事が、障害補償費の支給に関し特に必要があると認めて診査を受けるべき旨を命じたときも、同様とする。」ここで一回一回診査を受けているじゃありませんか。診査を受けていたならば、一回一回本人が出ていって更新なんかしなくても、その段階で医者がいるんでしょうから、それでわかるじゃありませんか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 第二十八条の規定は障害補償費の額の改定のために一定の期間ごとに診査を受けるという規定でございまして、これは症状が増悪いたしましたためにより上の等級に該当するという場合もございますし、なおりましたためにより下の等級に該当するという場合もございますが、このように障害補償費の額は原則として一年ごとに変わっていくわけでございますから一定の期間ごとに見直していくという規定でございます。また、病気であるという旨の認定を受けましても、たとえば現在の特別措置法の実効を見ましても、ほとんどお医者さんにもかからないという程度の軽度の方もいらっしゃるわけでございまして、認定を受けた者がイコール障害補償費の支給を受けるというわけのものでもございません。ただ制度のたてまえといたしましては、認定それ自体が本人の申請に基づくことになっておりますので、これを更新いたします場合も本人の申請に基づくことにいたしておりますが、先生御指摘のように、二十八条による規定もあるわけでございますから、本人が法律に対する無知から認定の再申請すべきところをこれを怠るというようなことがないように行政上厳重に指導してまいりたいと思っております。  なお、先ほどの御質問の保険薬局の数でございますが、ただいま厚生省に問い合わせましたところ、まず全国の薬局数でございますが、これは調査時点が四十七年十二月末でございますが、二万五千二百五十七、これに対しまして保険薬局数でございますが、このほうは調査時点が半年前でございまして、四十七年六月一日でありますが、二万百三十五、薬局のほぼ八割程度が保険薬局の指定を受けております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、全国の薬局数が二万五千二百五十七になっているのですね。保険薬局が二万百三十五というわけですね。五千百二十程度がまだまだ差があるということですね。そうなりますね。やはりこれは患者の便利なように、同時に時代は動いているのであって、都市から順番に医薬分業を実施するという既定方針によって動いておりますから、この辺この動きに対して決して患者に不利にならないような、こういうような点だけは十分考えてみてもらわないといかぬ、この点で何か修正はありますか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 第二十条の規定はもちろん患者の便宜を考えた指定でございますので、健保に指定されております保険薬局は全部だ、こうありますほかに、なお第四号で「総理府令で定める病院、診療所及び薬局」というものも追加する仕組みになっております。医薬分業の進展等をにらみ合わせまして患者が便利なように指定を考えてまいりたいと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ようやく一つだけ皆さんの誠意がわかった。この点においてはほめておいてもいいと思うのですが……。公聴会といろいろな参考人の意見を聴取する、このことは行なわれましたけれども、この中で、この件については前にちょっと言ったが、患者から聞きましたが、当を得ません。したがって、お伺いいたしますが、これも公述人河野和夫医師からの公述であります。その中で居住歴の要件ということについての公述がありました。それは「現行の特別措置法では、三歳未満では六カ月以上、三歳以上は三年以上となっておりますが、抵抗力の弱い六歳未満の幼児については、居住歴が短期間でも対象とされることを望みます。また気管支ぜんそくでは指定地域に居住してから発病した患者については、同様に短期間の居住歴でも対象とされることを望みます。」こういうようにはっきり言ってきたのであります。というのは、三歳未満と以上、これが若干のズレであっても六カ月という期間からはずれた三歳以上の人が重症であった、そして六カ月以上という三歳未満のほうはよろしかったが、以上の人はこれによって指定も受けられなかった、こういうような公述人からの発表があったわけです。そっちのほうが重症だというのです。ほんの年齢の若干の違い、六カ月と三年、こういうようなズレがあったために、ほんとうにこういうような悲運に見舞われなければならなかったというのです。現行法ではこういうようなものに対してでも何ら手がつけられないものなんですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 現行特別措置法におきましても暴露要件としての居住要件の差もあるわけでございまして、これは告示によりまして閉塞性呼吸器疾患につきましては原則として三年、幼児につきましては六カ月ということを定めております。これは当時の医学的な知見に基づきましてこのように定めたのでありますが、なお、先生御指摘のように、三歳という線でもって六カ月と三年と区切っておりますために、四歳とかあるいは五歳とか、比較的抵抗力の弱い児童幼児につきましては確かに問題があるわけでございますが、こういう点につきましては専門的な検討を早急に行ないまして、新しい制度では合理的な基準というものを設定いたしたいと思っておりますが、なおその作業との関連におきまして現行特別措置法につきましても検討いたしたいと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それでいいと思います。指定疾病、これについてでありますが、「現行救済法では、閉塞性肺疾患四病及びその合併症を対象としておりますが、どこまでを合併症とみなすかが実際上、困難なケースがかなりあります。  また認定患者は全身的に抵抗力が弱まっているため、各種の合併症を伴いやすいので、合併症と限ることなく、原爆被災者の医療と同様に併存症まで含めていただきたいと思います。」まことにこれはわれわれとしては専門家でない以上、ほんとうにこの辺の判定はできないのでありますけれども、これは十分考慮してやらなければならないと思うのです。この点では専門の医師である立場の人から、もう一つ大学の教授である人の立場からこの点がはっきり指摘されたわけでありますが、この点はあえてもう一度明らかにしたほうがいいと思いますので、ひとつ御高見を賜わりたいと思います。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 参考人からの御意見また公聴会のときの御意見でそのような御意見があったことは私も承りました。実際医療を担当しておられる方あるいは患者さん御自身にしてはそのような要望も持たれることは私は理解できますが、全くもっともなお考えだと思いますが、本制度は損害を補てんをするという制度でございまして、やはり合併症、特に合併症の中でも続発症と申しますか、指定疾病がもとになって、それに引き続いて起こった疾患という範囲内をどういうぐあいに取り入れるかというところをやはり一番注目したい、一番これが基本でございますので、よく問題のないように整理すべきであるということでございますが、すべての疾病を取り入れる、全然関係のない疾病もすべて取り入れるということは、これは制度のたてまえの上からは残念ながらとり得ないというところでございます。そういう意味で、どの範囲を続発症とするかという点につきましては、公害病患者さんの医療を担当しておられる主治医の方々とも現在も話し合いをいたしておりますが、医学的な合理性というものと、もう一つは医療担当者の方が別々に診療報酬請求を出すということもこれまた非常に問題がございますので、その両者の観点からできるだけ問題のないように整理をいたしたいというように考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 だいぶ時間が来ているようでありますが、なお大事なところでありますから、これはあわせて「閉塞性肺疾患以外にも、慢性咽喉頭炎のごとく、大気汚染と関連の深い、耳鼻咽喉科疾患、眼科疾患についても疫学的に究明し、大気汚染との関連が認められる場合は、指定疾病に加えるようにして頂きたいと思います。また光化学スモッグ被害に対しても対象に加えて頂きたいと思います。」こういうような公述人の意見がありましたが、この点についてはいかがですか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 非特異性の現在指定しております四つの疾患以外に、いま先生の御指摘になりましたような疾病を、これを対象として入れよという御意見でございますが、この点につきましては中央公害対策審議会の医療の専門家の方々の御意見に従って最終的に検討いたしたい、こう思っておりますが、従来までの専門家の御意見ではこれを入れるということにはいままだ問題があるというような御意見でございます。  ただ一点、この間のお医者さんの方々がおっしゃいましたように、公害病患者になっておる、そして非常にからだが弱っておる、その人が続発症としてこのような病気にかかった場合にはどうするかというようなそういう点は当然見るべきではないかという御意見は、続発症としての考え方がこれは成り立つのてはないかというようにも思いますので、その点は専門家の先生方の御審議を願うときに私どももそのような方向のことを述べまして、できるだけ善処できるような方向をとりたいと思っております。ただしこのことは、非認定患者さんがいま申し上げたそのような病気になったということで、直ちに公害病として扱うということを意味するものではございません。  光化学スモッグにつきましては、これは重要な問題として検討していきたいということを考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この医療の給付についての問題も指摘がありました。看護料の問題がちょっとあげられましたが、基準看護の指定をされていない医療機関で派出看護婦をつけた場合に健康保険では現金給付がされておるけれども、実際に支払われる料金と健康保険できめられた金額との間にかなりの差があり、これが患者にかなりの負担をしいておる現状である。また基準看護の医療機関でも重症者のために付添婦をつける場合があり、この場合は支給が受けられず、全く患者の負担となっておる。これらの看護料については実際に必要とした場合には全額を支給するようにすべきである、こういうようなことであります。  それと同時に、夜間発作を起こす場合が多いので、この診療の機関にあるものほど、健康保険では時間外の加算は診察料がたった三十円まさるのみだ。処置料については全く加算されておらないけれども、公害の場合には空気清浄室の入院料等についても当然採算のとれる額にすべきである、こういうようなことであります。この辺については、公害の場合はやはり特殊性があるのじゃないか、こういうように思うわけです。この点は十分配慮されておるのじゃないかと思うのですが、これは念のためにお伺いいたします。どうですか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 まず第一に看護の問題でございますが、私どもはこの間参考人の先生のおっしゃった御意見を非常に重要な問題点だと思いますので、できるだけそのようなことを本制度の診療報酬という問題の中で処理をするという方向で検討を進めたいと思っています。  また夜間の特別の診療あるいは特別の診療の加算というような問題につきましては、これは現に医療を担当しておられる方々と、特に日本医師会等を通じていろいろ相談をしながら、実情に即するようなことができるような方向の検討をいたしたいと考えております。特に空気清浄化病棟が現在の健康保険制度には入っておらないということで、このことが原因になりまして差額ベッドというような問題があるやに承っておりましたが、そのような問題は当然に本制度の特性のある医療として取り入れるべきことであるということを私ども現在考えているところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 長官居眠りをしておるようでありますが……。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 心眼はあいています。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この制度そのものの対象の問題です。この法案では対象となる被害、これは大気の汚染と水質汚濁によって生じた人の健康被害に限られておる。先ほどからこれはずっと言ったとおりなんです。大体それはわかりました。  しかしながら、この大気汚染と水質の汚濁以外の公害による被害に対しての救済方法はあえて考えるつもりなのか、考えないつもりなのか、これは長官の意見でなければだめなんじゃありませんかね。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 問題になるのは騒音だと思いますが……。

島本虎三日本社会党

○島本委員 悪臭もある。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 悪臭もありましょうね。騒音、悪臭というものが……。

島本虎三日本社会党

○島本委員 振動もある。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 それは悪臭、振動、騒音、これを一つの部類としてとらえるということには非常なむずかしい点があります。賢明な島本委員お考えになっても、それを一つの病気としてとらえるというのは非常にむずかしい。またこの発生源も空港、新幹線、高速道路、こういう発生源というものもいろいろ明確ですからね。こういうものの解決というのは国鉄などにおいてもいわゆる補償までやっていますからね。国鉄の場合、防音装置もやっている。空港はいろいろ空港法案まで提出をしておるわけですから、御指摘になった騒音とか、その他の公害についてはそういう健康被害の損害補償法案というよりも、別の形で、この問題は一つの生活の何といいますか、生活破壊というか、こういうものを全体としてとらえることが実際的ではないかというふうに考えておるので、せっかくの御指摘でありますが、早急に取り組んでいくという考えはいまのところ持っておりません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 騒音防止法という法律があるわけでありますが、騒音防止法には航空機による騒音と新幹線による騒音が除外されております。なぜこれは除外したのですか、この理由をお伺いいたします。これは官房長だ。

城戸謙次環境庁長官官房長

○城戸政府委員 騒音規制法は、先生御承知のように、審議されました段階でただいま御指摘のような二つのものにつきましては、この中で処理するということにつきまして、必ずしもうまくいきませんので、別個に対策を立てるということではずれているわけでございます。いま公害賠償をいかに敢行していくかという問題につきましても、したがってそういう二つの問題についてはそれぞれ別法で包括的な対策を立てる。その一環として考えていくほうがより合理的じゃないかと思っています。

島本虎三日本社会党

○島本委員 当然、騒音、振動、悪臭等の救済もまた別に考えなければならないんだ。騒音の中でも、また今度は新幹線騒音、航空機騒音は別法によって処理しなければならない。こういうようにだんだん複雑にしてきている。この内容そのものも企業擁護というか、一本になって考えられなければならないのが、過去の一つの欠陥が残っているわけです。前の騒音防止法を出したときに、官房長、なぜ、除けということに屈して除いてしまったのですか。

城戸謙次環境庁長官官房長

○城戸政府委員 公害の実態でございますが、非常に実態が千差万別でございまして、対処する法律も、いろいろな形で、それぞれその特色を生かしながら取り上げていくほうが適当ではないかと思っております。  いま、健康被害に関連して補償するような場合におきましても、航空機騒音のようなものは健康被害と密接な関連がある分野でございますから、現在研究も進められております。しかし、そうでなくて一般の騒音の場合に、直ちに健康被害ということに結びつく度合いはまた非常に違っておると思います。私どもは、現在この体系が別々になっておるということは、補償ということを考えました場合には必ずしも適当ではないと思っております。なおまた規制の面は、それぞれの面におきまして十分厳格にやっていく、また対策も厳格にやっていく、こういうことでなければいかぬと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 きのうは予定時間より五分前に終わって、きょうは予定時間を十五分超過したようでありますから、まだまだあるのでありますけれども、とりあえずきょうは、同僚の諸君に迷惑をかけるのをおそれて、これでやめさせてもらいます。  まだあるのですから、次に残して、これをもって終わります。

佐野憲治日本社会党

○佐野委員長 この際、午後二時十分まで休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後二時三十五分開議

佐野憲治日本社会党

○佐野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 一つ一つおもなことをお伺いしたいと思うのですが、最初に指定地域の問題に対してなのですが、現在環境庁のほうでは新しく地域を指定しようとして、検討されていらっしゃると思いますが、八つ検討されていらっしゃるわけですね。これはどこどこでございますか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 四十八年度の予算でそのような積算をいたしておりますが、具体的には、東京、大阪というような地域をどうとるかということに一番重点が入るのではないかと思われております。まだ詳細な地域の設定をいたしておりません。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 東京、大阪をどうするかという問題、そのほかにもつと地域の指定をやろうという、そういう御検討はされていらっしゃるのではないのですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 現行特別措置法による地域指定につきましては、四十七年度も六地域、四十八年度も六地域を予定いたしておるわけでございます。四十七年度につきましては、実は四十七年度中に指定いたしましたのは四地域でございます。あとの二地域は四十八年度に作業がずれ込んでおります。これは、現在具体的には堺、大牟田という二地域を対象に調査を進めておるところでございます。四十八年度に新規に予算計上されました六地域につきましては、ただいま審議官が申し述べましたように、東京、大阪という大都会を対象に考えたいと思っておりまして、これをどうするかにつきましては、東京及び大阪の地元とも現在打ち合わせしておるところでございますが、やはり従来とってまいりましたような汚染度なり有症率なりの調査というものの結果を見まして、具体的に考えてまいりたいと思っております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 東京、大阪以外にもお考えになっていらっしゃいますか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 四十八年度の六地域をすべて東京、大阪のみに限るという、そういう考え方もないわけでございまして、東京、大阪をどうするかと関連いたしまして、従来からかなり汚染の程度が高く、有症率もあると思われておりますような地域につきましても、東京、大阪等の動向を勘案しながら考えてまいりたいと思っております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 東京、大阪以外はどこどこでしょうか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 東京、大阪という地域を抜きにいたしますと、やはり東京湾沿岸では川崎の対岸になる千葉といったあたりがかなり問題があるのではないかというふうに考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 政府が指定するというのではなくて、県や市が独自に指定をしているというところがけっこうあるわけですが、これはどういうところが現在すでに指定をいたしておりましょうか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 四十八年四月現在で、国の指定地域になっていないところで、地方自治体が独自にやっているところは、全国で十八ございます。このうち堺市はいま局長の申しましたように、新しい救済法の指定地域のほうの予定のところで考えられているところでございますが、その十八の地域の中で、例を申しますと、千葉とか東京、川崎の指定地域以外、横浜あるいは富士市の指定地域以外、四日市の指定地域以外、東海市、堺市、倉敷市、山口県の新南陽、三重県の楠町、富山県の富山、高岡、魚津、大門、新潟県の頸城村、上越市、愛知県の知多市、大体これだけのところが地方自治体独自でやっております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 今度新しい公害健康被害補償制度が発足する場合に、これらの地方自治体が独自に指定をしている地域は引き継がれる意思を持っていらっしゃるかどうかについてお尋ねします。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 地方公共団体が現在独自に条例等によりまして地域を指定して公害病を認定しておりますものにつきましては、この制度ができますと自動的に引き継ぐということにはならないのでございまして、やはり本法に基づくところの一つの指定の基準のようなものを中公審の御意見も聞きまして定め、それに基づきまして具体的に調査検討の上地域を指定することになるのでありますが、ただ、現在地方で実施しておられますのは、やはりそれだけの理由があるわけでございまして、私どもといたしましては、新制度に基づく地域指定にあたりましては、これらの地域につきましては、これを早く取り入れまして、検討を急ぎたいと考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 新しい制度が発足するにあたって、引き継ぐのに不適当だという理由があるでしょうか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 地方独自の制度におきましては、いろいろな根拠のもとに地域指定をしていらっしゃるようでございまして、必ずしも国が考えておりますような地域指定の基準とは一致しないわけでございます。一番極端な例は東京都でございますが、これは十八歳未満の児童を対象といたしまして、都下全域にわたって制度を実施するというようなことをとっておりますし、さらにまた、地方によりますと、かなり汚染の商い中核的な部分のほかに、市域全体、行政区域としての市の全域を取り込んでおりますので、やはり山間部の比較的汚染の低いというようなものも入っておるようでございます。そういった地域につきましては、当然新しい制度に基づく一つのものさしでもって調査検討して、地域をしぼっていかなければなりません。そのような検討作業を急ぎたいと考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 それぞれの地方自治体が地域指定を行なって救済をしているというのには、やはりそれなりの非常に切実な患者の要求というものがあるわけでありますが、いまお話によりますと、政府が指定をしないで、地方自治体独自にやっているものが現在十八ある。私どもが思いますには、やはり早く政府のほうの制度としても、現行の制度においても地方自治体が独自に行なっているところを政府が地域指定をするべきじゃないかというふうに考えるわけです。  それで、この点でなぜ地方自治体がやっているものを政府がおやりにならないのかということの理由をちょっと聞かしていただきたいと思うのです。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 どういう理由でやらないのかという御質問でございますが、経緯としてどのようなことがあったかということの御説明をさせていただきます。  現在十八ございますが、はっきり文書をもって指定をしてくれという要望を出しておりますところは、そのうちの四つでございます。これは千葉と川崎と楠町と新潟の上越というところは文書をもって地域指定をしてくれということでございます。  あとは、口頭でこの地域指定の問題が、東京都との話もございます。よごれておるところをしてはどうか、ほかのひどい問題があるということ等の口頭のお話は、そこでございますが、なお、公述人がお見えになったときに、この席上で高岡の話もあるいは富山の話も承ったわけでございます。  地方が独自でやっておるところを全部国のほうに移してはどうかというお話でございますが、これは地方自治体としては、必ずしも国の地域指定をしてもらいたいのかどうかということが問題のところも実は中にはございます。十分な調査があるものも中にはあるかもわかりませんが、資料として出されてきているところと、まだ資料としては十分了知していないというところも中にございます。実態上行なわれているところだけを出したわけでございます。  そういうわけでございまして、個々の指定地域として地方自治体が独自でやっているものがすべて理屈に合ったものであるかどうかということは、これは住民の要求があったからやったということは事実だと思いますが、客観的要件そのものとしては、私どもはすべてはっきり把握していないポイントもあるということでございます。  そういう意味で、国がしなかった理由は何かという点は、一つは自治体そのものの中でも国の制度まで持ち込むことが是か非かという論議があるということも事実でございますし、また国のほうとしても、言われた場合に従来の要件ということもあって指定に至らなかったというようなことが、いままでの経緯でございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 新しい環境基準がすでに告示されておりますが、この新しい環境基準が告示されたという条件のもとで、指定地域を拡大するという意思はおありでしょうかどうか、この点を伺います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 地域指定の一つのものさしとなる大気の汚染状況は、環境基準そのものとは理論的には関係がございません。あくまでも医学上の観点からある一定の汚染濃度というものを考えてまいるわけでございます。従来とても環境基準を満たしているかいないかということは決定的な一つのものさしではなかったのでございまして、新環境基準がきびしくなったからといって、その点は変わりはございません。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 この間も、ここに公述人として出てこられていた楠町の助役の人が、三年前から申請をしているけれどもなかなか取り上げてもらえない、何とか早く取り上げてほしいという意見を述べておりました。これは一つの例でありますが、私も楠町に行って実情を見てきたことがありますけれども、患者さんの人たちに会っていろいろ話を聞きますと、やはり非常に苦しんでいるのです。楠町に引っ越しをしてきてとたんに、おとなの方ですけれども、ぜんそくにかかって、それから満足に働けないという何年間をも過ごして、非常に苦しんでいる。しかも、この間の助役の話によりますと、三年間これで申請をし続けてきたというお話なんですね。そういう点からいいますと、政府の方針としてはむしろ積極的に調べてこの指定を行なっていくという方向で努力をされるのが私は至当だと思うのです。そういう点では、さらにそういうふうにやっていこうという意思をお持ちなのかどうか、重ねてお伺いをいたします。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 三重県の楠町につきましては、隣接しております四日市が早くから指定地域になっております関係上、従来から地元で指定地域とする要望が強かったのでございます。ただ従来は、その他にかなり汚染の高いところで有症率の高いという地域がございましたので、これらの指定を急いでおりました関係上、楠町の場合には優先順位が落ちておったのでございますが、しかしこの地域指定の考え方はいままでも私、いろいろな先生方の御質問にお答えしておりますように、現在における汚染状況というものと現在の疾病というものとは必ずしも比例するわけではないのでございまして、特に慢性の呼吸器疾患になりますと、長年の暴露要件というのが大きな問題になってまいりますので、やはり過去によごされて、過去においてその汚染の影響によって疾病が多発しておる、それがいまだに続いておるというふうなケースにつきましても、なかなか調査の問題といたしましては、過去のデータがどの程度そろっておるかというむずかしい問題はございますけれども、いま御指摘の楠町は大体そのようなケースではないかと思われますので、この制度の趣旨にのっとりまして検討を進めたいと考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 楠町なんかの場合には、いま御答弁ありましたように、やはり優先順位といいますか、もっとほかにひどいところがあるからということがおもな理由だったわけでございますね。もしそうだとすれば、積極的にこれをどんどん広げていくということが必要だと思うのですが、そういう上で、何が広げる上で障害になった問題でしょうか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 専門的なことは橋本審議官から補足的に説明していただきますが、やはり楠町の場合には、現在あるいは最近における大気の汚染状況がかなり改善を見ておるわけでございます。そこで、その汚染度を測定しております測定点のカバレッジとしてどのように考えていくかというふうな問題、それから過去の楠町における汚染度がどうであったかというデータの問題、そういったことに問題があるのではないかと思いますが、いずれにせよ四日市の磯津地区に特に隣接しております地域といたしまして、楠町の問題は検討いたしたいと考えております。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 いま楠町の例につきまして、局長のほうから御説明いたしましたが、楠町の場合には四十二年以降のデータははっきり出ております。四十二年以降のデータは濃度としては非常に問題にならないような濃度が硫黄酸化物の場合も浮遊粉じんの場合も出ております。ただ、四日市の非常にひどかったのは三十七年から大体四十一、二年ごろまでが磯津も最も問題があったということでございまして、そこの過去のデータがどの程度得られるか、あるいは過去のデータがどの程度合理的に類推し得るかというところの問題につきまして、これは地元のほうにもそのようなことを申したこともございますが、まだ過去のものについての提出がないというところもございます。  それからもう一点の、これはきわめて具体的な問題でございますが、都道府県とそれから市町村という問題になりますが、大体尺度としまして二十万以上の市は政令で定める市ということに扱っておりますので、四日市は二十万以上になります。楠町になりますとそれに満たない町になってくる。そうすると全体の体系の変化というものもこの議論の材料になってくる。これは行政実務的な問題でございますが、そういうところの問題も若干影響があるのではないかというように考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 私は、この前のこの委員会におきましても、地域指定を拡大する問題について長官や環境庁にお尋ねをしたことがあります。それはことしの二月二十七日ですが、私は積極的に地域指定を拡大するべきではないかという意見を申し上げた。それに対して長官は、今度新しく損害賠償保障制度が発足するが、これを機会にもっと拡大をしていきたいというそういう御発言をなされた。それに対して橋本室長のほうから、新しい制度が発足するときびしくするんだという趣旨の発言がありました。引用してもよろしいんですけれども、長いですから引用は省略いたします。  それで私は伺いたいのですけれども、一体どういうところを現行法よりもきびしくしていこうというふうに考えておられるのかということについて伺いたいと思うのです。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 前に御質問がございましてお答えをいたしましたのは、現在施行しております特別措置法のほうは、損害賠償というようなことを全然念頭に置いておりません。まあ社会保障の補完的な制度としてやっておる。今度の新法におきましては、損害賠償ということの立場からこれをやっていくということになるわけでございます。  そういう意味で、制度的に損害賠償というものにどういうものがなじむかという理念的な問題でいくと、この制度のほうがむしろきびしくなるのではないかという原則的な考え方を申し上げたわけでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 現在行なわれている救済、そして今度新しく制度ができる、そうしたほうが非常にきびしくなってくるというふうに理解をしてよろしいかどうか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 いま申し上げましたのは、理論的にはそうなるのではないかということを申し上げたわけでございます。行政を実際いたします場合に、理論だけではないという問題が当然に起こるわけでございまして、従来、四十五年から四十七年に至るまで地域指定してきたところの中でいろいろ議論があるわけでございます。そこの中で、この補償制度では権利に深く関連をしてきた問題でございますので、不合理な不均衡はあるべきではないということの問題も、当然念頭に置くべきだろうということを考えているわけでございます。  そういうわけで具体的にはどのような基準になるかという点につきましては、従来の御審議のときのお答えで申し上げましたように、従来指定地域になるところの基準の中にいろいろのばらつきがございますので、そこの中で権利の上で不均衡の起こらない形でこの調整をしていくということを指定地域の基準として、新たに洗い直して考えるべきではないかということを申し上げたわけであります。そういたしましたときに、結果的には地域的に広まるということが起こり得ることは十分考えられるということを申し上げましたが、今度基準を非常に甘くして、広い地域を入れるというような考え方はとるべきではないというように考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 そうすると、どうでしょうか、理論的にはということは一応理屈としては私はわからないわけではないのです、一応の理屈としては。つまり、社会保障的なものから損害賠償的なものになるんだから、だからもっと厳密性を要するんだというそういう限りにおいて狭くなるだろうという御意見だと思うのです。そうすると、それは一応わからないわけではありませんけれども、じゃ現在行なわれている——患者にとりましては現在行なわれていることが問題なわけなんですが、現在行なわれているものよりも実態的には一体どうなるのか。これはやはり広がらないのか広がるのかということですね。またそこの適用における政府の考え方、これはまたいまも御答弁も若干ありましたけれども、政府がどういう姿勢でどう対処していくかということによって、理屈だけではない、広げよう、いろいろなものをとることができるわけでありますけれども、その点で私は政府の姿勢——まず、やはりそういう点では長官の考え方を伺うのが本筋かと思いますけれども、どうでしょう。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 いまの問題はやはり理論と実際とのギャップがあるわけでございまして、理論的に申しますと、橋本審議官がお答えいたしましたように、新しい制度は民事責任を踏まえておりますので、そういった意味では社会保障的な制度よりは運営はきびしくなる。ところが、現行の特別措置法におきましては、これは先生実情よく御承知のとおり、毎年度毎年度の予算の制約もございまして、一応年度当初に予定いたしました地域の数というものの範囲内で優先順位を考えつつ指定してまいったというのが実情でございます・しかし新しい制度におきましてはそういった財源的な制約というものは考える必要がないわけでございまして、客観的に大気の汚染により疾病が多発しておって、したがって迅速なる救済を要するという地域につきましては、これはすべて同一に扱って指定していくという扱いになるわけでございますから、実際の運営といたしましては、現在の特別地域よりももっと広がった地域でもって指定するということになろうかと私どもは考えております。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 いま政府委員からも答えましたように、これは損害を補償しようという制度でありますから、指定基準というものは厳格に考えるべきでしょう。しかし厳格に考えるということで、いまの特別措置法よりも非常に適用の幅も狭いものということになれば、こういう一つの制度が生まれてきた要請にこたえないわけでありますから、できるだけ基準はきびしくしかもできるだけ範囲は拡大できるような運用をすることがこの立法の精神だと私は考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 長官は、基準はきびしく範囲は広くという御答弁でございますが、実際にはそれはできることでしょうか。つまりもっと私がこの問題を納得するためには、指定地域の基準というのを、一体現在はどの辺を基準に、何を基準にしてどういうふうになっている、しかし今度の基準はこういうふうにするんだ。だからものの考え方としては、社会保障的なものよりは損害賠償的なものは理屈の上からいえば狭くなるということは一応は成り立つにしても、しかし実際にはそういう運用のしかたをするんじゃないんだ。もっと基準をこういうふうにするから拡大をすることができるんだという、こういうお話ならば私は納得できるのです。その辺は一体具体的にどういうふうに考えていらっしゃるのか。これは全部政府ですね。政府の判断でやれるということになっているわけです。だからこれはいまここではっきりさしておいていただきませんと、全くうやむやな問題になってしまうわけです。明快な答弁をいただきたいと思います。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 いま大臣から御答弁されました基準はきびしく範囲は拡大するという問題は矛盾するのではないかという先生の御質問かと思いますが、一点申し上げたいのは、前回先生からの御質問がありまして私がお答えいたしましたときは、救済法の指定地域と患者をすべて引き継ぐかいなかということは未決定の段階でございました。そういうことで、原則としてはこのような状態であるということを申し上げたわけであります。この法案を提出いたしました現在の段階におきましては、救済法の指定地域と救済法の患者を引き継ぐというところに、前お答えしたときと今回お答えしたときとは非常な本質的な相違がございます。そういう意味で、救済法で指定した地域の中に幾らかのばらつきがあるということを申し上げたわけでありますが、これから先の問題は、いま長官が御答弁されましたように、基準を客観的に明らかにして、それを的確に運用していくということが長官のおっしゃった、基準をきびしくという問題であろうかと思われます。その場合に、現在救われた、これに引き継がれます救済法の指定地域の中の基準で、ある程度の幅がある。そうすると、均衡をとるということになりますと、現在までの指定地域の中に不均衡の起こらないようにみんなをするということになりますと、当然に指定地域の範囲は結果としては広がってくるということでございます。また現在、東京、大阪というようなきわめて問題のある地域におきましては、これは東京はまだ指定されておらず、大阪はきわめてひどい西淀川の一地区だけであるという状態になっておりますので、当然にその範囲は拡大されるというぐあいに私どもは解しているわけでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 わかりにくい説明ですね。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 わかりにくいですか。そうは思わないけれどもね。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 わかりにくいですよ。もうちょっと言いますと、現在の基準はどういうふうになっている、これからの基準はどうするつもりだ、こうなれば私たちはわかるわけなんです。しかしその具体的なことは全然出てこないで、それでいや拡大するんですと結果だけ言われても、拡大するという保証はどこにあるのだろうということに疑問を持つわけですね。その点でもう少しはっきりさせていただくことはできませんか。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 いまの指定するものは引き継ぐでしょう。一万人ぐらいある。これはもっと広がっていくわけですからね。指定の地域も対象の人員もこんな一万人といういまのような状態でないですからね。方向としてはこの制度の中で非常に拡大されていきますよ。この制度の適用を受ける公害病の患者というのはこんな一万人というようなことはないですからね。それは対象も地域も拡大していくから、そういう結果になるわけですから、どこがということは申し上げられないけれども、その基準はこういう損害を補償しようというのですからね。それだからそんなにルーズというわけにはいかない。きびしくあっても、いまのままでいくというのでなくして、相当な人数に私はなると思う。それは地域も対象も拡大していく方向である。こういうことを申し上げたことは、答弁として、方向として誤まってはいないと私は思う。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 現在の特別措置法による指定でございますが、これは現実問題といたしましては、予算上ある年は三地域だ、ある年は六地域だというふうにして指定をしてまいりました関係上、おのずから優先順位がございまして、非常に汚染が高くてかつ多発しておるというような場所から指定してまいったわけでございます。でございますので、四十七年度までに指定いたしました地域はどうかといいますと、たとえば大気の汚染状況から申しますと、過去三カ年いずれも年平均値におきまして環境基準を満たしている。この年平均値といいますのは、橋本審議官も申しておりますように、古い環境基準の中でも最も甘い基準でございます。ですからかなり汚染の高いというような状況、またBMRCによる有症率にいたしましても七%をこえるというような地域を指定してまいったような現状でございます。しかしこのような過去の実績というようなものを基準に置きまして新しい制度の指定地域の基準を考えているわけではございません。過去の実効は実効でございまして、これも一つの参考とし、かつまた地方公共団体で独自にやっておられますところの条件も参考とし、中公審で専門的に御審議を願いまして、この制度に基づくところの大気の汚染状況なりあるいは有症率というもののものさしを専門的に御検討いただいて、その基準というものを用いまして新しい地域指定というものを考えてまいる。したがいまして、おそらく結果的には現在の地域指定の範囲というものは拡大になる、このように考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 つまり現行法は予算の制約があった。同時に基準ということなしにきめてきたわけではないけれども、基準は設けてきたけれども、予算の制約があった。これからは基準を明確にして、何の制約もなしにやるのであるから、結果としては拡大するに違いない、こういうふうに理解してよろしいですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 予算の制約というのが正直に申しまして現行特別措置法の指定におきましては一つの条件であったわけでございます。しかし新しい制度におきましても財源的な制約が皆無とは申しませんけれども、あくまでも民事責任を踏まえまして、そして客観的、医学的な判断のもとに救済を要するという地域につきましては、これは本法に規定しておりますいろいろな給付を行なうというのが立法の趣旨でございますから、財源的な問題は二の次にいたしまして、私どもは救済すべき指定地域というものを客観的、科学的に指定してまいりたい、かように考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 それじゃ、もう一つ関連してお伺いします。  この新しい制度が発足するときには、現行の指定されている地域、ここから出発をされる予定でございますか、それともさらにこれから一年先、したがっていろいろな調査する期間がありますけれども、もっとこれを調査を進めて、この制度が発足するときには現行よりも実際にはもっと拡大されて出発をされるというお考えなのか、ここはどうでしょう。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 本制度が発足時の問題としてはっきりときまっておりますことは、経過措置で特別措置法が廃止されますので、廃止に伴いまして特別措置法に基づく認定患者を引き継ぐことになっております。認定患者を引き継ぐわけでございますから、その地域につきましては、これは本法に基づく指定ということになりますから、自動的にそれもまた引き継ぐ、これは結果的でございますが、ということになるわけでございます。これが最小限はっきりいたしておることでございます。  しかし、本制度の施行までには公布の日から一年の猶予期間をお願いしておるわけでございますから、私どもといたしましては、この一年間の猶予期間の間にできるだけ調査を急ぎまして地域指定の範囲というものを考えてまいりたいと思っております。(中島委員「ちょっと結論が聞こえにくかった」と呼ぶ)できるだけこの一年の間に地域指定にかかわる調査を急ぎまして、その結論が出ますれば新たに地域指定を追加するということも当然あり得るわけでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 ぜひその調査を急いで、制度が発足するときには現行の救済法のやつを引き継いだままで出ていくという姿じゃなくて、やはり最小限じゃなくて最大限の努力を払って、そして出発したときには相当広く入っていた、なるほどこれでこそ新しい制度だ、こういうふうになるようにする必要があろうと思います。  同時にもう一つ関連して伺いますが、今度新しい制度が、出発するわけですけれども、現在の場合には、先ほどからいろいろお話がありましたように、政府が指定している地域とそれから地方自治体が独自に指定している地域がある。これは考え方ですが、地方自治体が患者の皆さんの要求をやはり非常に切実に反映して独自にやっている。この際思い切ってこの地域指定というようなことについては地方自治体にまかせるというようなお考えはないかどうか。この出されている法律につきましていえばそんなことは書いてないのですよ。それはわかっているのですけれども、この祭ほんとうに患者のためになるということのためにはそのほうがよりいいのではないかというような考え方がないかどうかということです。私は公害健康被害補償法の第一条の目的ですね、ここに「健康被害に係る被害者の迅速かつ公正な保護を図ることを目的とする。」というふうに「迅速かつ公正な保護」、非常に早くほんとうに救われなければいけないということがうたわれているわけです。そういう法の精神に照らしてみて、その辺の考え方について伺いたいと思います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 この制度は全国一本の制度といたしておりますのは、やはり給付と費用とは関連しておるわけでございまして、制度がより財政的にも安定いたしますように全国的に費用の負担を求め、そして給付をするという仕組みになっているわけでございます。したがいまして、給付の基礎になる指定地域にいたしましてもやはり一定の基準というもののもとに国においてこれを指定していく体系はとっておるわけでございますが、しかし新しい制度におきましてはその地域指定にあたりましては中公審の意見を聞き、さらに地元の都道府県等の意見も聞くということが明記されておるわけでございまして、私どもは十分地元の実情ということも加味しながら地域指定を進めてまいるつもりでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 次の問題に移ります。  第二条の中に、第二種地域の指定の問題に関してですが、「事業活動その他の人の活動に伴って相当範囲にわたる著しい大気の汚染又は水質の汚濁が生じ、その影響により、当該大気の汚染又は水質の汚濁の原因である物質との関係が一般的に明らかであり、かつ、当該物質によらなければかかることがない疾病が多発している地域として」云々、こうあります。「原因である物質との関係が一般的に明らかであり、かつ、当該物質によらなければかかることがない疾病」、これはどういう意味でしょうか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 第二条のこの点でございますが、例をとればイタイイタイ病というのが最もこれにはまるものではないかと思います。イタイイタイ病とカドミウムとの関係は一般的には明らかであるが、学術的には完全にきわめられたものではございません。しかしながら、このイタイイタイ丙というのはカドミウムがなければ起こらなかったものであるということを考えておりますので、イタイイタイ病のようなカテゴリーのものもこの中に入るということでこのような表現をいたしたわけでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 ちょっと読むとこれはなかなかきびしくなったんじゃないかという印象も受けるのです。いまの御説明の限りでは私もわかりますが、「一般的に明らかであり、かつ、当該物質によらなければかかることがない疾病」、この「かつ」以下ですね。ここは従来の考え方との間に差異があるのでしょうかないのでしょうか。何かちょっと読みますと相当きびしくしたなという感じを受けるのです。いや、そうじゃないのだ、これは。文章はこうだけれども、そうじゃないのだ、こういうことなのか。私が聞きたいのはそこなんですがね。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 本法におきまして第一種地域と第二種地域の二種類に分けましたのは、主として費用負担の関係において分けておるわけでございます。  そこで第二種地域の疾病というのはいわゆる特異的疾患といわれるものでございまして、先ほど審議官が申し上げましたようなイタイイタイ病のほか水俣病のようなものがこれに該当するわけでございます。そこで、法文上は要するにこの第二条二項の疾病でないものはすべて第二条一項の疾病になるわけでございますが、およそ大気の汚染、水質の汚濁という著しいそういった環境汚染によって、その影響によって起こった疾病はすべて拾い上げる。そのうち第二条二項でないものは第二条一項である、こういう分類をいたしておるわけでございまして、その分類をいたしておりました主たる理由は費用負担方法が違うということだけでございますから、患者そのものの認定方法ももちろん違ってまいりますけれども、認定されました以上の給付という点につきましては何ら変わりがないわけでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 現在行なっておることとの間に差異はないというふうに理解をしてよろしいですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 現在の特別措置法ではこのように第一種、第二種というふうに明記はいたしておりませんけれども、しかし実効上の問題といたしましては、たとえば大気系につきましては指定地域内の居住要件ということが厳重であるのに対しまして、水俣病等につきましてはこれは指定地域の定めはございますけれども、しかし管轄外のものにつきましてもこれを個別的に認定するという道を開いておるわけでございますから、その限りにおきましては現行の制度と変わりはございません。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 じゃ次の問題について伺います。  補償給付の問題ですが、この補償給付の種類は七つあります。なぜこの中に慰謝料が含まれていないのかということについて御説明いただきたいと思います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 通常、裁判、特に公害裁判におきましては被害者は慰謝料という形で損害賠償を求めるケースが多いのでございますが、しかしこの慰謝料の中にはいわゆる精神的な苦痛あるいは家庭生活の破壊、社会的な犠牲といったような要素のほかに、あるいは加害者に対する一つの制裁的な意味というような問題が含まれておりまして、なかなかこれの算出方法というものはむずかしく、かつ定型化することはほぼ不可能に近いと考えております。ところがこの制度におきましてはこれはあくまでも一定の要件に該当いたします被害者に対して迅速に定型的な給付を行なうことを目的といたしておりますので、そういう意味におきましてはそのような慰謝料というものを独立の給付項目として掲げることは不適当である、かように考え、中公審の答申でも申しておりますようにやはり公害問題の特殊性というものは十分加味してそういった慰謝料的な要素というものを全体の中で生かしていく方向で考えるということにいたしたわけでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 独立項目ではないが全体の中に入っているという考え方でございますか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 やはりこの制度の給付項目を考える場合、あるいは給付額を算定する根拠を考える場合、あるいは給付レベルを考える場合、先ほども申しましたような公害問題の特殊性、そして慰謝料的な要素というものは十分考えてまいりたいと思っております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 それでは、どうもはっきりしないのですが、どこにその慰謝料が入っているのでしょうか。じゃ額は一体どれだけ入っているのだ。額で答えられなければパーセントでもいいのですけれども、これはわからないんですね。これをもうちょっとはっきりさしてください。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 たとえば障害補償費でございますが、この障害補償費をどのようなレベルにし、どのような算定方法をとるかという問題があるわけでございます。これを逸失利益を中心とするものでございますればあくまでも被害者個々の実際の損失というものが一つの基準にはなろうかと思います。しかし公害による被害者は、これは無職の方もあればあるいは高額所得者もあるというふうに所得条件は千差万別でございます。こういった方々に対する逸失利益的なものを考えます場合にはどうしてもこれを労働能力の喪失という観点からとらえまして、そして給付の額の根拠といたしましては四日市裁判でも述べておりますような全労働者の平均賃金というものを男女別、年齢、階層別に考えていくというような手法をとり、かつまたその給付レベルといたしましては、やはり制度的な給付でございますから労災保険その他の社会保険の給付レベル、いわゆる六〇%レベルでございますが、こういったレベルを一方に考え、他方におきましてはやはり公害判例にあらわれておりますような一つのレベル、これはもちろん一〇〇%でございますが、そういったものとの中間程度においてこの給付レベルを考えていくというとり方をいたしておるわけでございます。これは障害補償費について申し上げたのでございますが、このように本制度におきます給付の組み立て方、算定方法あるいはレベルというものにつきましては、そのような公害の特殊性というものは十分に考えておるつもりでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 御説明いただいたのですが、わからない。それじゃ逸失利益——労働者の平均賃金と労災の六〇%、その中間であるからしたがってその中に慰謝料を含めているのだという考え方ですか、そこのところがわからないんですよ。どうなんですか、そこは。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 六〇%が当然だという前提に立てば六〇%をこえる部分は慰謝料的な部分であるというような説明のしかたも可能かもしれません。しかし私どもといたしましてはやはりこの公害被害の特殊性というものを全体として踏まえまして慰謝料的な要素も生かしつつ全体の給付レベルというものを考えておるわけでございます。大体慰謝料というものはどのようにしてどこできまったかということは、これはもう裁判の判決例を見ましても非常にむずかしい問題でございます。たとえば公害四大裁判といわれておりますものの中で慰謝料と逸失利益を別立てにいたしておりますのは四日市裁判だけでございまして、他の事例におきましてはいずれも慰謝料一本でございます。しかし阿賀野川あるいは水俣の判決におきましてもやはり判決の中には、原告は慰謝料ということで要求しておるけれども、いわゆる逸失利益についてはこれを現在及び将来にわたって請求する意思がないことは明らかだから、したがって、裁判所はそのような本人の逸失利益的なものも含めて慰謝料というものをはじいたのだ、こういう説明をしておられますけれども、出てきた結論はやはり一律に千八百万あるいは一千万円ということでございまして、一体どの部分が慰謝料でありどれが逸失利益であるかということは非常にむずかしいわけでございます。他方また四日市裁判におきましては慰謝料と逸失利益の二本立てでございますので合計いたしますれば一千万円前後ということになるのでございますが、この場合には逸失利益が五、六百万程度ならば慰謝料は四、五百万程度ということになっておるわけでございまして、慰謝料のみから考えますと四日市とその他の裁判にはアンバラがあるということにはなりますけれども、全体としての損害のてん補ということになりますればやはり四日市裁判とその他の裁判の判決例というものは一応バランスがとれておる、かように考えておるわけでございまして、それほど裁判におきましても慰謝料というものの算定根拠は明らかでないわけでございます。したがいましてこういう定型的な給付をする制度におきましては慰謝料というものはこれを取り入れがたいのでございまして、従来のいろいろな制度におきましても慰謝料は取り上げておりません。もちろん私ども公害事犯におきましては、このようないわゆる通常損害のほかに加害者対被害者という関係におきまして特殊な問題は残ると思います。そういった問題は慰謝料という形であるにせよあるいは逸失利益という形であるにせよ、それはもし問題が残るならば当然民事の解決にゆだねるべきものである、かように考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 私はどうも理解しにくいんですね。この制度は労災ではないということは、これはいまおっしゃっているとおりなんだと思うのです、中間的なものだ。その中間的な何らかのものが出たその中に慰謝料が含まれているということですか。だとするならば、逸失利益をどう見ておられて、慰謝料をどういうふうに見ていらっしゃるのかということについてもう一つ説明をいただかないとはっきりしないんですね。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 たとえばこれは平均賃金を基準にして障害補償費の額をはじきますが、その平均賃金に対する六割部分が労災とのバランス上逸失利益である、それをこえるものは慰謝料であるというふうに理解いたしますれば、六〇をこえる部分は慰謝料だという説明も可能かもしれません。しかし私どもはそのようにも考えていないわけでございまして、やはり全体としてのこの制度による給付というものは公害の規制というものを十分加味した給付レベルとして考えた場合、かように考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 これはわかりませんね。——ではもう一つ関連して伺います。  慰謝料は四日市裁判程度でよろしいというふうにお考えでしょうか。一般的に伺っているわけではありません。この制度の中に慰謝料を盛り込んでいらっしゃるということなんですけれども、それもよくわかりませんけれども、しかしそういうふうに説明していらっしゃる。そうすると四日市の判決で出された慰謝料額、これは適当だというふうに考えていらっしゃるのかどうかという質問なんです。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 四日市の裁判は、やはり磯津地区という非常に高濃度に汚染された地区におきまして被害を受けた患者さん方に、具体的に裁判所が慰謝料の額というものをはじいたわけでございますから、これは四日市裁判にのみ妥当なる慰謝料であって、およそ慰謝料というものは一般的に何であるかということはなかなかむずかしい問題であると考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 これはますますわからなくなってきたな。そうすると、今度の制度の中では慰謝料というのは額に直せば一体どれくらいを考えて入れていらっしゃるのか、そっちから伺います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 逸失利益プラス慰謝料というように構成いたしまして、慰謝料部分は幾らだという考え方はとっておりません。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 それではあらためて伺いますが、逸失利益に慰謝料を加えたものとして考えておられないというお話でした。そうすると一体どういうふうな形で慰謝料どいうものを考え、この制度の中に盛り込んでいらっしゃるのか。こういうふうな考えだということをいままでの答弁の上に立って、もっと明快にさしていただきたいと思うのですね。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 私、先ほど裁判例を引用いたしましたけれども、水俣裁判におきましても阿賀野川裁判におきましても、慰謝料の中に逸失利益は加味されておりますけれども、しかしどの部分が慰謝料であり、また逸失利益の額は幾らであるかということは明らかでございません。それほどこの慰謝料といいますものは非常に算定方法が明白でないわけでございます。したがいまして、慰謝料というものを一つの給付項目にはできないということがまず一つございまして、しかし公害事犯につきましてはその特殊性というものにかんがみまして、慰謝料的な要素というものを、全体として給付項目の中で給付レベル等を考えるにあたってできるだけこれを生かすという方向で考えておるわけでございます。したがいまして、私、先ほど来申しておりますように、逸失利益というものはおよそ制度的に六〇%である、もしこのように理解いたしますれば六〇%をこえる部分は慰謝料だという説明も可能になるのかもしれません。しかし私どもはそういう考え方のみに基づいてしているわけではございませんで、中公審の答申でいっておりますように、この公害事犯の特殊性というものを加味して、労災よりも高く、一般の判決例よりも低く、その中間あたりが妥当であろうという考え方に従っておるわけでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 どうもよくわかりませんが、これ以上やってもわかりそうもないので、関連する部分だけ伺って、私、時間ですからやめますけれども、児童補償手当というものの性格、これはどういうふうに理解したらよろしいでしょう。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 障害補償費はやはり逸失利益的な考え方が中心になっておるわけでございまして、もちろん無職の方もいらっしゃるわけでございますけれども、これを労働能力の喪失という点からとらえまして、平均賃金ではじくということにいたしておるわけでございます。ところが児童につきましては、これは所得がございませんから、そういう意味におきましては逸失利益というものは成り立たないわけでございます。しかし児童につきましても、児童本人にとりましては病気になったことによって成長がおくれたり学業がおくれたりといったような事情もございますし、他方親にいたしますれば、養育に手間がかかるといったような面もあるわけでございますから、そういった面を踏まえましてこれを定型化し、一定の手当として給付しようというのが児童補償手当の性格でございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 そうすると、いまのあれでは児童ですから当然逸失利益というふうには考えられないわけですから、慰謝料的なものというふうに理解してよろしいですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 慰謝料的なものという、その慰謝料をどのように考えるか。精神的、肉体的な苦痛とか社会的な犠牲とかいったように考えますならば、児童につきましては明らかに逸失利益というものはない。これは平均的な意味におきましてないわけでございますから、それになおかつ手当を支給するというのは慰謝料的な意味がある、このように申せるかとも思います。なお、児童につきましても実費弁償的なもの、これは医療費はすべて給付いたしますし、かつまた医療に伴う療養手当、これらにつきましては大人と同じように扱うことになっておるわけでございます。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 この児童の障害手当についてのランクは一体幾つに分けられるつもりですか。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 現在のところ二ないし三ランクに分けてやっていきたいと考えておりますが、今年の調査研究費で調べるときに最終的に案を出したいと思います。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 最低は幾らというふうにきめようと考えておられますか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 児童補償手当のランク分けは、ただいま橋本審議官が申しましたように、二あるいは三程度。あまり細分化いたしますと、実際の適用が困難でございますので、実情に合うように考えてまいりたいと思いますが、そのランクごとにそれぞれ毎年度一定額でもって定めたいと考えております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 定額はわかっておるのですが、最低は幾らというふうに考えておられますか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 具体的な金額につきましては現在実態調査もやっておるところでございますから、中公審の御意見を聞きまして定めたいと思っております。

中島武敏日本共産党・革新共同

○中島委員 これは額が出てこないと話がはっきりしないのですよ。この児童補償手当の性格をはっきりさしていく上からいっても、額の問題が出ないとよくわからないという面があります。ところがその額の問題は中公審に答申を求める、諮問するというお話なんですね。そうするとこの問題は、はっきりした額が出ないと、やはりわからないということになるわけです。私、ちょっと、これは序論をやっておる間にもう時間がないのですね。また明日にでもやらしていただきます。

佐野憲治日本社会党

○佐野委員長 岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本委員 ただいま議題になっております。法案について質問いたしますけれども、その前に、この間尼崎から公述人が来ましたですね。それから私たちが実地調査をいたしましても、公害病に認定される患者が続々ふえてくるわけですね。もう三千人をこした。まだあと潜在患者が出てくるかわからぬ。ところが、公害病に認定されてそして治療を受けて、完全になおった人が何人いるのか。これを考えますと、一ぺんちょっと、この点についてお聞きいたしますけれども、いままで、水俣病も治療法がないわけですね。それから大気汚染のほうも、その地域にやはり住んでおるわけですが、治療を受けてもまた病気になる、また治療を受ける、これで一生いくわけですよね。ですから、もう一ぺん抜本的に考えなければならぬと思うのですが、まず最初に、一つの例をとって、尼崎で、治療を受けて何人なおったのか。四十五年に指定を受けましてから、私はなおった人を聞いたことがないのですがね。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 大気系疾患の場合には、特に児童につきましては、なおるというケースがお医者さまから報告がございますけれども、現在の制度では、認定が有期ではございませんので、制度的にその状況は明らかではございません。ただ尼崎の場合には、先生御指摘のように、現在五月末では約二千八百人に達しておりますが、制度発足以来、医療手帳を本人が自発的に、治癒したとして返還してまいったものが七名ございます。しかしこれは本人が手帳を返還してまいったものの数でございまして、このものは治癒されたものだと考えてよいと思いますが、それ以外に、治癒されておってそのままお医者さんにもかからないというものは、あると思いますけれども、その数は把握いたしておりません。

岡本富夫公明党

○岡本委員 私の調査によりますと、この手帳を返還したのは、その地域から出ていった人なんです。なくなった人は五十三人おります。しかし、公害病の認定を受けて、そして現行法で救済をしていただいて、そしてよくなった、完全にもう健康になりました、原状復帰のなった人は、もうほとんどいない。全部調べてありませんけれども、そういうことになりますと、この公害健康被害補償法をつくりましても、これはお金が要るばかりで、一向にそういったものは減らないということになりますれば、これはいつまでたってもどろ沼みたいな状態になってしまうのじゃないか。長官はこの問題について、抜本的にどうすればいいのだろうかということをお考えになったことがありますか。また、対策が何かございますか。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 岡本委員の言われるように、これは抜本策を講じなければならぬ。だから、水俣のような水銀汚染などは、ヘドロの処理を全国的にやろうと思いますよ。それが海域の汚染につながるし、それが魚介類の汚染につながりますからね。だからそういう汚染原因を除去する。工場に対しては排出基準というものを一そうきびしくして、たとえば化学工業なんかはクローズドシステム化して、有害物質を外に出さないようにする。それから、いま現にかかっておる患者の人たちに対しては、研究、治療といいますか、やっぱり根本的な研究も要りますから、そういう研究、治療体制というものを一段と強化する必要がある。これは水俣につくりたいということを私は申しておるわけでございますが、水俣に限らず、その他の公害病に対しても、そういう研究、治療の体制の強化が要るし、保健所などももっと整備せねばいかぬでしょうし、そういう点で、いま御指摘のように、公害病に対する従来の取り組み方というものは、いろいろな面で一段と体制を強化していかなければならぬと私自身も考えておる次第でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そこで長官、大気汚染の場合でいえば、企業がどんどん排煙を出す、そしてそこには被害が続々できる。その場合、その地域の住民の健康のほうが私は大切だと思うのですが、企業が優先か、健康が優先か、この基本方針をひとつ長官からまず承っておきたい。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 私は、ものの考え方として、そういうふうには考えないのです、私がものを考える場合に。これか、これか、どちらかとれ、そういうものではないのですね。やはりこれはオール・オア・ナッシングじゃないですから、そういうものを何とかして——やっぱり産業というものは必要です。われわれの生活を維持していかなければならない、向上していかなければならぬ。物質的な生活というものは無視できない。だからといって健康を犠牲にしてもいいのだという理屈は成り立たないですから、お互いにこうやって政治に志しておる者は、そういう産業の開発、人間の健康の維持というものを何とか両立させていこうというところに、科学技術の研究開発もあるでしょうし、また、政治が持っておる、何というのですか、瀬戸内海の環境保全法案という知恵も、そういうことを両立させていこうという発想から出た知恵ですからね。そういうことで、こちらかこちらかということになってくると、公明党の言われる中道政治理論というものは、やはり何か二者択一でないんじゃないでしょうか。やはり両方を両立さそうというところに政治の中道がある、私はそういう考えの持ち主でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 長官、いまわが党に対して、中道革新に対しての考え方を、あなた、はからずもおっしゃいましたが、われわれ中道というのは人間ということをいっているのです。人間主義が一番大事だ、これを中道というのですよね。だから、あなたがいまおっしゃったのは、もとの公害基本法の、産業の健全な発展との調和をはかりつつという考え方がやはりまだ少し入っているんじゃないかと思う。あれは、それをせっかくのいたのですね。  私、このことでお互いにあれしてもしかたがないんで、じゃ、企業が企業活動——これはしなければいけませんよ、これは全部やめてしまうわけにいかない。そうすると、私は、あなたがはからずもおっしゃったクローズドシステムですか、出さない、これを強力にやらなければいかぬと思うのです。  そこで、ひとつその前にお聞きしたいことは——通産省の公益事業局長来ておりますね。この間もここに公述においでになった方が訴えておりましたけれども、尼崎の大気汚染の大体八〇%が関西電力の二つの発電所から出ているわけです。そうして市長も市民もやかましく言って協定を結んだわけです。そしてやっと少し少なくなった。ああこれでよくなったと思ったら、今度は電気が足らないというわけで、いまフル操業をやっている。全部がフル操業ということは言いませんけれども、そのためにますます大気汚染がきびしくなってきている。だから私は、いまこうしてこの健康被害補償法をつくりまして、環境庁で一生懸命補償していこう、ところが片っ方ではどんどん出していくわけですね。こういった問題はどういうふうに解決するのか、ひとつこれについてあなたのほうからお答え願いたいのです。

井上保通商産業省公益事業局長

○井上政府委員 先生御指摘の尼崎第一発電所、第二発電所の問題でございますが、これは現在われわれの了解いたしておりますところでは、ずっと過去から稼働率を下げてまいりまして、現在は大体年間稼働率、尼一につきましては四%以下、それから尼二につきましては一〇%以下——これは協定ではございませんで、そういうようなことで一応両方で納得しておるわけでございます。四%以下稼働する、年間でございますね。それから尼二は一〇%以下。それから使用燃料のほうは、その場合、往復文書等がございまして、ファイナルには〇・一%をたくということになっております。それで、実はこれはピーク時のあれではございませんで、年間を通じましてそういう稼働率で押えようということになっております。  現在、七月十六日までに稼働いたしておりますのを調べてみましたところが、尼一では一・〇七%運転いたしております。それから尼二では三・八二%運転いたしております。七、八月につきましては、これは七、八月はいま非常に電気が足りませんで、大口電力あるいはピーク電力あるいは業務用電力等を、今日約四十六万キロワットほどカットいたしておりますが、そういう状況でございますので、こういうときには全般的に、非常に短期間でございますけれども、一応稼働率が上がるというかっこうでございまして、現在の稼働率は、ここしばらくの稼働率は、大体一時から三時ぐらいの間は、尼一では九〇%、尼二では一〇〇%程度の稼働をいたしておると思います、非常に短期間でございますけれども。しかしその間の使用燃料は、大体〇・〇三%程度の燃料を使用いたしておるということでございまして、現在のところ、非常に短期間、短時間でございますが、稼働率が上がっておることは事実でございます。ただ、サルファの非常に少ない燃料を使用しておるということでございまして、協定との関係では、私の理解いたしておりますところでは、年間稼働率という関係で、まあ全然動かさないときもずいぶんございますし、いまピークでございますので、かたがたその融通電力をもらいながら四十六万キロワットもカットしているという状況でございますので、やむを得ず稼働率が高くなっている、こういうことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 私これは特に大臣のほうにお願いして、また要求したいことがある。  それは、こういった公害病の患者の方がもうたくさんいる。しかも、指定地域ということはもう多発しているところだ、というところに対しては、そういった企業が徹底的なその排煙脱硫装置あるいは粉じん除去装置、こういうものを完全につけなければ操業させないというようなあなたの強い姿勢がなければ、これはもうどうにもなりませんよ。  一ぺんこれをあとでごらんくださってよろしいけれども、これは新潟の柏崎のごみ処理場の排煙をとりまして、金魚を入れてみたのですね。こういう調査があるわけですが、これを見ますと、おそろしいですよ。  ですから私、しかももう一つ申し上げたいことは、たとえば排煙脱硫装置をいま研究しております。しかもこれは工業技術院では完成したんです、通産省では。ところがこれを今度は関電とかあるいは東電とか中部電力とか、そういうところにお金を出して研究させているわけです。そういうところでは、それをつけることになりますと、どうしてもいまの火力発電所と同じだけの場所が要るわけです。しかも電力が高くなるというようなところから、なるべく、悪くいえば研究をおくらしている。研究をおくらしているというとおかしいのですけれども、そこらの叱咤激励が環境庁長官としてなければ、これは私はいつまでたっても解決しないと思うのです。だから、こういうメーカーもまた新しい、いいのをつくっておるところもあるのですけれども、聞いてみますと、中小メーカー、小さいメーカーでは、こういうのを持っていきましても、大企業であれば取り上げる、中小企業であれば取り上げない。いいものであれば報償金も出して環境庁からもっと奨励もしていくというようなことをしていかなければ、私は全然解決しないのじゃないかと思うのです。廃油処理——何というか、石油を精製しておるところあたりもスラッジが相当たまるのですね。そういうのは下請企業に渡すわけですが、それをどこへ持っていっておるかというと、全然わからないというのですよ。こういうのはもっときめこまかいやり方をしなければ、私は解決しないのじゃないかと思うのです。  そして、この健康被害のこのお金は企業から取りますけれども、事務費やいろいろなものは公費負担でしょう。PPPの原則になっていない。したがって私は、いつまでたってもこれは解決しないと思うのです。  そこで、通産省の公害保安局長来ていますか。——参事官ですね。あなたのほうでこういった問題をどうするのか、どういうように解決するのか、ひとつ……。

田中芳秋通商産業省公害保安局参事官

○田中(芳)政府委員 私どもといたしましては、大気汚染等の問題について申し上げますれば、政府といたしましてすでにSO2につきましてはきわめてきびしい環境基準を設定し、それからまた、窒素酸化物につきましても新しく環境基準を設定したところでございます。いま御指摘の過密地帯につきましてはできるだけきれいなエネルギー、クリーンエネルギーの確保あるいは窒素酸化物の除去のための技術開発というような問題もございまして、若干の時間をいただかなければならないと思いますけれども、しかしこうした環境基準をできるだけ早期に達成をさせますために、毎年年を追うて排出基準を強化していくという形で、いわば直接規制の形を強化いたしまして、こうした事態に対応さしていくというかっこうを今後とも推進してまいりたい、このように考えておるわけでございます。したがいまして公害健康被害補償法が成立いたしましたといたしましても、金を払えば公害を出していい、そういうことは毛頭あってはならない。規制は規制で環境基準を達成する。そしてきれいな空気をそこにつくり上げていくことによって新たな患者をつくらない。あるいは現在患者になっておられる方の治癒あるいは病状の進行をとめていく、そういうことが何よりも必要ではないか、このように考えております。  産業廃棄物の問題の御指摘もございましたが、この面で私どもあるいは府県との連携体制、産業との体制等につきましてなお一そう体制の整備をはかって遺憾のないように期してまいりたい、このように考えておるところでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そこで公益事業局長、何とか過密地帯でないところの発電所から電気を送るようにして——そしていまも、先ほど私説明したように続々ふえつつあるのです。ですからここのところへ来て何とかうまく手を打っていただきたい、これについていかがですか。あなた向こうから書いてきたのをそれを読むだけでは話にならぬですよ。

井上保通商産業省公益事業局長

○井上政府委員 現在、どういいますか過疎地帯と申しますか、過密でないいなかのほうでいろいろと発電所をつくりたいということで従来から検討いたしておったのでございますが、これは問題点か二つございまして——いま融通の関係は、たとえば関西につきましてもいろいろと、たとえば東北あるいは九州、中国等から極力融通をいたしております。融通をいたしておりますが、なおかつどういいますか、特約のピークカットであるとかあるいは大口——一般大口あるいは業務用のカットをしなければ需給が償えないというかっこうでございまして、そういう関係で発電所は相当協定に違反しない限りにおいて、現在はピークに近い運転をしておるという状況でございます。もちろん融通は前提といたしまして、今日現在でも関西ですと、おそらく二十万以上の融通はやっていると思います。まあそういうことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 局長、おとつい、さきおとついでしたか、ここへ来ました公害病の認定患者も悲痛な叫びをしているわけですよ。委員長も聞いていました。だからいまのところ少しでもカットして、そしてまあ電気は全然要らないということはありませんけれども、何とかここでたとえ少しでも手を打って、こんな公害賠償補償制度にかからぬでもいいようにしてもらいたいというのがぼくの要求なんです。いいですか。それは特に要求しておきますよ。  次に、水産庁来ていますね。いままでの漁業補償ですね、私は公害被害賠償法というような制度を考えておったのですが、結局健康被害だけである。そうすると漁民の皆さんはいま何にもないわけですよ。天災融資法なんというのは、あれは企業責任じゃないじゃないですか、そうでしょう。そうするといまは瀬戸内海の環境保全法もつくりたいというようないろいろな説は出ておるわけですけれども、全国的に今度のPCB問題やあるいは水銀問題あるいはいろいろなヘドロ問題で被害を受けておるわけです。これに対する救済と申しますか、環境庁長官は四十九年には生業被害も考えるとおっしゃっているけれども、これはやはり何といっても農林省——水産庁だけではなく農林省の考え方というものが主柱になってこようと思うのです。まず基本を農林省でつくらなければならないと思う。それについてあなたのほうではどういう構想を立てておるのか。これはまだそんなこと考えていませんとは言わせませんよ。水俣の問題、有明湾、ずいぶん困っているわけですからね。それについての構想をひとつお聞かせ願いたいと思います。

松下友成水産庁研究開発部長

○松下説明員 ただいま先生御指摘の漁業者等に対します生業補償の件でございますが、この問題史は非常にいろいろむずかしい点を含んでおるわけでございます。たとえばいわゆる対象といたします漁業の種類にいたしましても、あるいは取り扱われる魚の種類にいたしましても非常に多種多様でございます。またその漁獲されたものの流通段階におきましても、漁獲されてから消費者の口にわたるまで非常に複雑な段階を通るわけであります。しかしそうは申しますものの、先生御指摘のとおり漁業のいわゆる生業被害というものは最近非常に深刻になっておりますので、水産庁といたしましてもこの問題にどのように取り組んでいくか、現在鋭意検討しているところでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 検討しておるだけでは話にならないのですよね。この問題につきましては水産庁長官にも当委員会に来てもらって、そして早くひとつやってもらいたいということも各委員からも要求があった。ところがまだ検討最中でございますというようなことでは、被害はあれですよ、来年、再来年とこれはまだまだ深刻になってくるのではないかと思うのですね。仲買人あるいは小売人の皆さんにしても漁業者の皆さんにしても、はたしてこれで私たちの生活が成り立っていくのだろうか、日本の国民のたん白供給源がどうなるのだろうかというように非常に心配している。これをただ鋭意研究中でありますぐらいでは、とても私はしんぼうできないと思いますよ。大体の原則、骨子みたいなものはあなたのほうで大体検討しておるのじゃないですか、それをひとつお知らせ願いたい。

松下友成水産庁研究開発部長

○松下説明員 ただいまも申し上げましたとおりこの問題は非常にいろいろむずかしい問題を含んでおりますので、そこら辺を考慮しながら、また関係省庁ともいろいろ御相談申し上げながら、いま現在進めておる段階でございまして、まだ現在その骨子を申し上げる段階には至っておりませんことをおわび申し上げたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 各省庁といったって通産省だけですよ、あなた。ほかは何も気がねすることは要らない。どの省だっていまの漁業者の皆さんの、あるいは将来の国民の健康のことを考えたら、一日も早くやらなければならないということも、私は反対しないと思う。ですから、あなたがいまここで発表するのはお許し願いたいということだから、これ以上言うわけにいきませんけれども、要はひとつ早急に——私のほうからは、新聞でごらんになったと思いますが、ちゃんと対案を出しておるわけです。そういった面の考え方を持って早急にひとつまとめてもらいたい、これだけを要求しておきます。  その次は、まず船後さんにお聞きしますけれども、協会から金が出るわけですが、この協会の性格と申しますか、条文でいくと八十九条、九十条というところでありますが、この協会が環境庁長官及び通産大臣の認可を得る。いろいろ業務をやるのは、環境庁がやるのじゃないのですか。環境庁の認可だけがあればいいんじゃないですか。なぜ通産大臣の認可が必要になってくるのですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 この公害健康被害補償協会の主務大臣は、環境庁長官と通商産業大臣にいたしておるわけでございます。その理由は、この協会は汚染負荷量賦課金の徴収義務が中心になるわけでございますが、汚染負荷量賦課金は、いずれも有害物質であるSOあるいはNOの排出量に応じて賦課するわけでございまして、こういう排出関係を取り締まっておりますのは一般的に環境庁長官でございますけれども、電気、ガス、鉱山等につきましては通産大臣が所管大臣でございますから、その関係で両者が主務大臣になっておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、電気事業、これも早く環境庁の所管に入れなければならぬと私も思うのです。鉱山もそうですが、その電気事業と鉱山のほうと、通産大臣がいま所管しておる分だけの汚染負荷量の賦課あるいはまた特定職裸金の決定に際して、ほかの面には通産大臣は口入れしない、こういうことになっておるのですか、いかがですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 賦課金を算定いたします場合には、やはり全体としての所要額を押えまして、これをそれぞれ各事業者ごとの排出量に応じて割り当てていくということになりますので、作業といたしましては、全体の作業を分解するわけにはまいりません。そういう意味におきまして、汚染負荷量賦課金の算定全体につきましては通産大臣も環境庁長官と同様に主務大臣になるということになるわけでございまして、このように全体の中で分離しがたいという事情のあることを御了承願いたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、通産省のほうから、あそこへはそんなに出してもらっては困る、あそこはこんなにやってもらったら困るというような、いろいろと異議が出たら、結局できなくなるじゃないですか。ほんとうに少ない額になってしまう。そうなりますと、今後認定もし、あるいはまた地域も拡大をしていくことでありましょうが、ほんとうの少ないものだけになって、結局公害健康被害補償法ができただけということになってしまうのじゃないか。私はその点を非常におそれるわけでありますが、その点はだいじょうぶですか、いかがですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 協会が徴収いたします汚染負荷量賦課金は、いずれも全体といたしましての費用の総額というものを押えまして、この総額をそれぞれの事業者の排出量に応じて割り当てるということになるわけでございますから、取りはずれるということもないわけでございますし、一定の算出方法は法律及び政令に基づきまして明定されるわけでございまして、その基準に従って掛け算、足し算をいたしまして個々の事業者の賦課金がきまるわけでございますから、決して取り足りないといった事態は起きるはずもございませんし、また通産省といたしましても、個々の事業者の利害代表でもございませんから、全体といたしましてこの事業が円滑に運営されますように環境庁とともに協力していくのは当然のことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 総額を押える、総額を押えると申しますが、この総額の押え方なんですが、現在の指定地域あるいはまた現在の公害病認定患者にプラスアルファくらいで、そういうわずかなものでありますと、私は結局現行法にちょっと毛がはえたくらいじゃ話にならないと思うのですよ。だから、その総額をきめる考え方をまずひとつ聞かしていただきたい。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 費用の総額は、一方におきましては、汚染地域としての指定地域をどのように定めるか、したがって、指定地域の中の認定者の数がどの程度にのぼるかというのが一つの予測でございます。他方におきましては、療養の給付以下、特に障害補償費以下の金銭給付のレベルがどのように定まるか、この両方の要素によりましてある年度の所要経費の見込み額というものが算出されるわけでございますから、この見込み額をそれぞれの事業者に排出量に応じて賦課金として割り当てるということになるわけでございます。  なお、もちろんこれは年度当初に見込み額を立てるわけでございますから、あるいは実行上の食い違いというものも生ずることはあり得るわけでございますが、そういった場合には協会には借り入れ金の制度がございますから、さしあたりの資金上の手当ては借り入れ金で措置し、後日賦課金の増徴というかっこうでもって処理し得るものでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 指定地域あるいはまた認定条件というものについては現行法を踏襲するのか。せっかく政令事項説明資料を出していただいたわけですが、これには、まず第二条の第一項の政令、これも現行の特別措置法の場合と全く同様である、また第二条の第二項の政令、これも現行法と全く同様であるというように、この域から少しも出ないという考えを持っておるのですか。これでは私はいかぬと思うのですよ。たとえば、私先般この総折の質問のときにも話をしましたように、例をとりますと、大阪の西淀川と尼崎、その間にはさまっているところで受けてないところもある。こういうようなのは全部取り入れていくという考え方なのか、ひとつお聞きしたい。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 本法の第二条で指定地域を指定する場合の考え方は、現行特別措置法と大きく変わるところはないのでございますが、ただ具体的に申し上げますと、先ほども私中島先生の御質問にお答えしておったのでございますが、現行特別措置法におきましては、やはり予算の制約がございまして、かなり汚染の高い、有症率の高いというところから逐次指定してまいったという関係上、なお問題が残っておることは私承知しておるところでございます。で、新しい制度におきましてはこの地域指定の基準となる大気の汚染度あるいは有症率等につきまして中公審で一つの基準をつくっていただき、これをものさしといたしまして地域を指定していくということになるわけでございます。  そこで、本法施行のさしあたりの問題といたしましては、この附則によりまして現在の認定患者はそのまま引き継がれることになりますので、指定地域もまた自動的に引き継がれるということになるのでございます。しかし、本法の施行までにはなお公布以後一年の期間がございますので、私どもといたしましてはできるだけこの期間に地域指定につきましても調査を進めまして、該当する場所につきましては新制度に基づく地域、こういうことにいたしまして業務の円滑なる遂行をはかりたいと考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 その指定地域——私はまあ指定地域はないほうがいいという考え方ですが、指定地域あるいはまた認定権限、こういうものを一応あなたのほうで線を引かれておると思いますが、ところが環境庁が一つ一つ、手足は市町村ですわね、各地方自治体でありますが、そうしますと、地方自治体のほうでここはひとつ指定地域にしてもらいたい、こういうのはひとつ認定してもらいたい、こういうようなことがおそらく出てくると思います。この間も当委員会におきまして富山県の市長さんでしたか、もう市独自でやっているんだ、こういうようなことがありましたが、あるいはまた尼崎の北部、要するに西北部、道をひとつ開いてあれしているというようなことに対しても、相当地方自治体の意見をいれて、そして考慮する、こういうように解してよろしいですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 本制度による地域指定にあたりましては、具体的に中公審の意見を聞くほか地元の知事及び市町村長の意見も聞くことにいたしております。それからまた現在地方公共団体が条例その他で独自にいたしておる制度につきましても、本制度に自動的に吸収するというわけにはまいりませんけれども、しかし、地方自治団体が独自にそういう制度をとられたにつきましては、それ相応の理由があるわけでございますから、本法に基づく地域指定をいたすに際しましては、これらの地域を優先的に取り上げまして調査を進め、その結果に基づきまして地域指定の是非というものを早急に結論を出したいと考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 これはできるだけ地方自治体の意見もいれ、実際にもうすでに施行されているようなところはどんどん取り入れていくという、ひとつそういう行政の運用のしかたをやっていただきたい。  次に公害医療機関・いままでは、こういう公害医療機関なんて言わんどいてくれというきのうの話がありましたが、そういった機関にいままでは患者さんが行って、そして健康保険あるいはまたいろんな保険証を出してその不足だけを出してもらっていた、ほんのわずかですけれども。ところが、今度は健康保険業務からもう一つできるわけだ、今度は各そういった医療機関は。今度は、協会に対して請求することは地方自治体の知事のほうの委任になっているでしょうが、もう一つそっちのほうに請求するわけですわね。そうしますと、非常に医療機関というのは業務が繁雑になると思うのですよ。保険の請求というのがあれが一番各機関で困っておるわけですよ。そうしますと、つい公害病の方はお断わりというような式になりはしないか。それに対する歯どめはあなたのほうでどういうように考えていらっしゃるか、これをひとつお聞きしたい。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 現行の特別措置法によりますと、医療費は保険で給付いたしました残り、いわゆる自己負担分、これを特別措置法で支給いたしておるわけでございます。したがいまして、医療機関のほうにいたしましては、保険としての請求書とそれから特別措置法に基づく請求書と二枚のレセプトを作成する必要があったのでございますが、新しい制度におきましては保険との関係は完全に断ち切っておりまして、療養費の全額につきまして一本のレセプトで請求するということになりますから、その点につきましては、私は事務簡素化になると考えております。  なお、現在の現物給付としての医療制度をとる以上、このような請求書を医師が作成いたしまして、これを集中決済機関でもって審査の上支払うという制度はやむを得ない方法ではございますけれども、医師のほうの事務的な負担ができるだけかからないように今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 実際に現在の治療は医療機関、予防は行政機関というようなことになっておりまして、大体患者側から見れば、まず痛みをとめてもらう、治療してもらう。しかし、その原因は何だろうか、この病気の原因、これを抜本的に治すにはどうしたらいいか、そうならない前に、今度は予防はどうしたらいいかというようなこと、この三つが大体普通の私たちが医者にかかるときの要件でありますが、本法律で予防についてはどういうふうに考えておるのか、ただ診察室で治療してもらうというだけでは、どうも治療も痛みだけとめてもらうというのがありますね。痛みがとまっておるためにどんどん病気が進行していく場合もあるのですよ。ですから、そういった面の、これはむずかしい話ですけれども、この法律で予防についてどういうような考え方を持っていらっしゃるのか、ひとつこれをお聞きしておきたい。

橋本道夫環境庁長官官房審議官

○橋本説明員 いま先生から御指摘のありましたように、治療と予防ということはこの制度においてどういうぐあいに考えているかというところは非常に大事なところでございまして、治療の面につきましては診療方針及び診療報酬というところでこの治療の面がカバーされまして、それを担当いたしますのが、この第二十条の公害医療機関というところでやっていただくわけでございますが、予防に関連しましては第四十六条の公害保健福祉事業というところでこの予防のものをやろうということでございまして、四十六条の前段のところは、これは指定疾病にかかった認定患者自身に関して健康の回復、健康の保持、それから増進ということでございますが、この後段のところにおきましては「第一種地域又は第二種地域における当該地域に係る指定疾病による被害を予防するために必要な政令で定める公害保健福祉事業を行なう」ということになっておりまして、この後段のほうはこの第一種または第二種の指定地域内で、これは患者さんのみならず、患者さん以外の人もこの対象として含まれるということを考えておりまして、その中で被害を予防するために必要な事業を行ないたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、「予防するために必要な政令で定める公害保健福祉事業を行なうことができる。」となっておりますね。これはこの第一条の目的からしますと、第一条の目的には「被害者の福祉に必要な事業を行なうことにより、健康被害に係る被害者の迅速かつ公正な保護を図ることを目的とする。」、こういうことになりますと、そういった病気にならないようにしなければならない、予防。こういったものはやらなければならない、こういうふうに規定したほうがいいのじゃないか。そうでないと、ただ、できる、だけではやらなくてもいい。こういう法律の書き方をこれは変えたほうがいいと思うのですが、その点についていかがですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 第四十六条の規定は、都道府県知事あるいは政令市の長が、四十六条に掲げておりますような目的を持った公害福祉事業を行なうことができるという能力規定でございます。これを受けまして、さらに第四章の費用のところでは、このような事業を行なうにつきましての財源的な担保をいたしておるわけでございますから、第一条の目的に照らしまして、必要な事業について、かつ財源的な手当の行なわれたものは、都道府県知事がこれを行なうことになるわけであります。なお、この保健福祉事業はかなり幅広い事業を考えておりまして、たとえば治療施設、リハビリテーション施設というような直接の健康回復といったものに関連あるものから、さらに被害の予防という、いずれかと言えば、地方公共団体が本来行なうべき保健事業に類するような事業まで含む幅広い事業を考えておりますから、内容につきましては、やはり地域の実情に即して都道府県なり市町村でもって立案すべきものかと思っております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 この公害の指定地域というのは公害病の皆さんがいらっしゃるところでしょう。いないところだったら指定地域じゃないのだから。そうすると、いままで都道府県、地方自治体がやっておったというのは、それはもう公害の被害地域でなくとも、全般的に保健業務といいますか、こういった予防業務はやっているわけですが、特に指定地域になりますと、これはどうしてもこういった事業はやらなければならぬのではないですか。ですから都道府県知事あるいは地方自治体でこういうことをやらない人がいたとします。そういう人がいたとすると、これはできなくなる。だからやはりこういう公害保健事業を行なうことができる、だけでなくて、やるべし、というような、その費用は出してあげるというようにしたほうがいいのじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、この点についてもう一度。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 公害保健福祉事業の具体的な内容は政令に譲っておるわけでございまして、政令に譲りました理由は、先ほど申しましたように、地域の実情に即しまして計画を立てねばならぬということでございますから。たとえば、病院はもうすでに十分完備しておって、これ以上要らないというような地域につきましては、また別個の事業ということになりましょうし、あるいは病院がさしあたり最も必要なところは病院からつくるということになるわけでございますから、このような、具体的にはいろいろな形態になる福祉事業というものは、やはりしなければならないというような規定のしかたは無理でございまして、ここにございますような能力規定にいたしまして、これを担保するために費用の裏づけをするということでもって、私どもは十分目的を達し得る、かように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうすると、やらなかった場合はどういうことになるのですか。行なうことができるわけですから、行なわなかった場合はどういうことになるのですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 もちろん都道府県知事が行なわねばならないとしようが、行なうことができるとしようが、どのような種類の事業をどの程度までやるかというのが具体的な問題になるわけであります。したがいまして、私どもは当然予算という手段を用いまして、都道府県がこれを実施するように慫慂することもできますけれども、やはりこういった問題は地元において必要に応じてやるというのが筋でございますから、当然地元にニーズがあるというものは都道府県知事においてこれを取り上げる責務がある。取り上げましたものにつきましては、この制度によりまして費用の裏づけをするということで、十分目的は達し得ると思っておる次第でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 ほんとうはもっとこまかく私はやりたいのですけれども、お約束の時間がだいぶ過ぎましたので、後日に譲ります、大事なことですからね、これは。  そこでもう一つ大事なのは生活保障ですが、先ほどお話がありましたが、長官、これまあ普通の労災あるいはそういうところでは六〇%を今度は八〇%にしたのだから、それだけ慰謝料、とは言わないが、まあふやしていいんだという話ですがね、実際に各公害患者の皆さんや、そういった人たちの医者に、私は直接当たってみたのですよ。そうしますとね、あまり食べるものを食べてないというのですね。生活に困る。そのために病気がなおらない。ですから生活保障を押えますと、結局考えてみると医者に払う金ばかりふえて事実はなおらない。しかも長くかかる。それから私はやはりこういった、お互いそうですが、病気になりますと、病気をなおすためにはうんと栄養をとるわけでしょう。そうして自分の力で——医者はあれはなおすのじゃありませんからね、あれは何といいますか菌がふえないように押えるだけですから。あとは全部自分の力でなおすのですよ、病気というのは。病は気からと言いますけれども。そのときに生活費がなかったらなおらないのです。なおらないものですから、幾らでもこの協会から金が出る。ところが患者はなおらない。こういうようなことで、悪循環がずっと起こってしまう。そういうことを考えますと、私はもう生活保障というものは一〇〇%以上出してあげて、そして早くなおすということになれば、この協会のほうも助かる。だから何か頭隠してしり隠さずというような感じが私はするのです、実際に当たってみますとね。  だからもう一度、これは長官のほうで、制度はいろいろな前の制度がありますけれども、今度の補償法というのは一日も早く健康にして原状回復する、最初私が質問しましたときにも原状回復、これが趣旨なんだということでありますれば、そういったところに手を加えて、早く病気をなおすようにしてあげたい。だれだって好んで幾らでも病気に長くなっているはずはないのですから、この点についての御配慮、特別の考え方を、これは政治的に考えねばいたし方ないと思うのですよ。いかがですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 現行の特別措置法におきましては、公害病と認定されましても、医療の給付を受けますほかは、現金給付といたしまして医療手当が、入院の場合の最高でも六千円、これは十月から七千円になるのでございますが、現在は六千円、また介護手当を、最高といたしましても一万円、合わせて一万六千円というのが最高の額でございます。しかし新しい制度になりますと、その点につきましては基本的に民事責任を踏まえた給付というものを考えておるわけでございまして、たとえば四十歳の男子について、一応四十七年度の平均賃金というベースで試算してみますと、障害補償費の額が、かりに症状等級の一番重い方というものを考えますと、六〇%の給付水準でもこれは約六万五千円程度になるわけでございます。これに介護加算が加わるわけでございますから、現行の制度に考えますと、新しい制度は、これは六〇%水準ではないということを私申し上げておるわけでございます。飛躍的にそういった意味の充実は可能であり、かつ患者の方も、生活のことにつきましては、ある程度いままでよりは安心して療養に専念できるのではないか、かように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、一番重い人で六万何ぼでしたね、八万何ぼだったかな、もう一ぺんちょっとその点……。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 四十七年度の調べによりますと、四十歳あたりの男子の平均賃金は十万九千六百円でございますから、かりに六〇%という給付水準を考えましても六万五千円程度の障害補償費になるということを申し上げたわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうすると八〇%ですと八万円になる。これは家族は何人で生活なさる考え方をしているのですか。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後政府委員 これは全国平均の労働者の平均賃金というものを基礎に置きまして、その六割なり八割ということを考えておるわけでございますから、したがいまして、家族構成といたしましても、おのずから平均的な家族構成ということになると思っております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 これは全国の平均でしょう。ということは、ひるがえっていうと所得制限みたいになるのですよ、これは。それより多い人は八万円で、あなた四人家族だったらとても食べていけませんよ。そうして、入院しておるのでしょう。いろいろな費用が要る。私は、ここらあたり、やはりこれは一〇〇%見てあげなくては……。私この前、四日市に行きましたときも、何人か首つっておるのでしょう。結局それも家族の生活の苦しいのに耐えかねて、それでとうとういやになって首つってなくなったのですよ。  そういうことを考えますと、これは長官、事務サイドではちょっと無理なんですよ。現行法は、これは救済特別措置法でして、しかも企業からは寄付金です。それに対して国から半分出しているというようなところで、ほんとうの特別措置で早くやらなければならぬという救済だけだった。今度は、少なくとも、被害の救済でなくして、補償ですからね。補償に対してそんな制限はいけないと思いますよ。その点はひとつ政治的な配慮をここで一ぺん検討してもらう、一年間あるのですからね。先ほどから聞いていると、ぐあい悪い、きまってないのは一年間検討しますというのです。そうして支払いして、実際にそういった気の毒な方を救うために、大体これできまっていますというのじゃちょっと片手落ちだと私は思うのです。いままでのようなお気の毒行政ではあかぬと思うのです。いままでの日本の国の社会保障あるいはいろいろなもの全部お気の毒行政なんです。これは補償なんですから、少なくともこの法案の表題のような制度に私はひとつ検討をしていただきたい。その点についてはまだまだ聞いて確かめておかなければいかぬことがたくさんあるのですが、きょうはお約束の時間でございますから、あとにします。  もう一つだけ長官に申し上げておきたいことは、油による海水の汚濁の問題がありますが、タンカーから油を出したあるいはいろいろなタンカーの爆発事故があった、こういう場合に海水に相当油が流れるのですが、それに対して浄化剤といいますか、油を押えるものをまくのですが、これが二次公害を起こすのです。二次公害を起こさないりっぱなものができたらしいのです。そういうのは海上保安庁あたりでも証明はするけれども、なかなか使わない。どこに使わない原因があるかというと——大きな企業だったら使うのです。私のところにずいぶんいろいろなことを言ってきています。品物はりっぱだというのです。ところがそれを使わない。こういった行政の考え方を、副総理ですから、ほんとうに公害行政に対する真剣な取り組み方をあなたに要求をしたいと思うのですが、いかがですか。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 前段の給付水準は、中央公害対策審議会等もいろいろ検討を加えるわけですから、これは十分に検討をいたします。  それから油の汚染に対しての散布剤といいますか、二次公害というものは非常に問題を起こしておったから、そういうことのないように十分な注意を払っておると私は承知しておりましたが、いま御指摘のようなそういうふうな第二次汚染の例もあるということでございますから、これは海上保安庁とも連絡をして、値段が高いからといって、そういう二次公害を起こしやすいようなそういう処理剤を使うということは言語道断ですから、その点については私自身も調べてみます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 お約束の時間が過ぎましたので、あとの分は残しまして、きょうはこれで終わりたいと思います。

佐野憲治日本社会党

○佐野委員長 次回は、明十九日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会

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