公害対策並びに環境保全特別委員会 第31号
- 発言数
- 177 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/06/26
会議録
○佐野委員長 これより会議を開きます。 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。 この際、魚介類の水銀暫定許容基準の設定について説明を聴取いたします。浦田厚生省環境衛生局長。
○浦田政府委員 魚介類の水銀の暫定基準について御説明申し上げます。 お手元にすでに資料としてお配りしてあると思いますが、簡単にその内容について御説明申し上げます。 まず、この許容基準の考え方でございますが、魚介類の摂取につきまして、第一点といたしまして、健康が絶対に確保できる週間摂取許容量を定めるということでございます。第二点は、これを確立するために、汚染度が一定量以上の汚染魚につきましては市場から排除するということでございます。 第一点の週間許容量について御説明いたします。 週間許容量は、メチル水銀〇・一七ミリグラムといたしております。これを定めた根拠といたしまして、水俣病からの最近の研究の結果、国立衛生試験所におけるサルの実験及びWHO、FAOの専門委員会の報告などを参考とし、考えられる限りの十分な安全率を見込んだものでございます。 魚介類そのものの規制値は、総水銀として〇・四PPM、これをこえるときは、参考としてメチル水銀をはかることといたしておりますが、その基準は〇・二PPMでございます。これは、国民のうち、魚介類を最大量食べる方々の平均量を基礎として定めてあります。 なお、スウェーデン、アメリカ、カナダのいずれの基準よりもきびしいものでございます。 この二つの基準がありますれば、国民のほとんどの方がいままでどおりの魚介類の摂取をいたしまして、健康をそこなわないと確信されるものでございます。 なお、意見書の中では、注といたしまして、妊婦、乳幼児及び魚介類を平均最大摂取量以上に摂取するいわゆる多食者の方については、その特性を考慮いたしまして、別途に指導することが必要であるとしております。 また、規制値の運用にあたりましては、「内水面水域の河川についてはこれを適用しないもの」といたしておりますが、「これらの河川水域で水銀による汚染がある場合においては、適時食生活指導を行なうことが望ましい。」とされております。また、マグロ類の水銀につきましては、「その摂取の態様からみて、この規制値の適用は行なわない。」とされております。 以上、簡単でございますが、魚介類の水銀に関する専門家会議の意見を御説明申し上げました。 厚生省といたしましては、流通市場におきます魚介類についての監視を一そう強化するほか、直ちに東京中央卸売市場及び問題の九水域の産地市場における検査を行ないまして、その結果をすみやかに公表することといたしております。 お手元にお配りいたしてあります資料がほかにもございますので、簡単に御説明させていただきます。 「水銀汚染から健康を守るために」ということで、白い紙の四、五枚とじの資料がございます。この別表といたしまして「標準献立における魚介類の水銀含有量」という表がございます。これについてごく簡単に御紹介申し上げたいと思います。 まずお断わりしておきたいのは、「水銀汚染から健康を守るために 厚生省」と書いてございますが、これは記者クラブで発表いたしました際にも未定稿ですというふうにお断わりしてありまして、まことに恐縮でございますが、未定稿ということで御承知願いたいと思います。できるだけ国民の皆さま方にわかりやすくしていただくために、この資料では暫定基準を定めるに至った理由、その内容などをできるだけ具体的な例を引きましてお示ししているわけでございます。さらにこれは専門家の意見も聞きまして、よりよいものに変えていきたいということで、ただいま作業中でございます。本日お配りいたしましたのはほんの参考にしていただきたいということでありますので、定まったものではございませんので、御了承願いたいと思います。 別表といたしまして、栄養士会などの標準献立をもとといたしまして、実際にその中に含まれておるであろう水銀量を測定いたしております。そういたしますと、一審最後の七枚目の表で、一番最後のところに、一週間の合計〇・一五九ミリグラムという数字になっております。その下に説明といたしまして、「標準献立による一週間の食事中に含まれるメチル水銀の総量は〇・一五九mgとなり、したがって、暫定的な週間許容摂取量〇・一七mg以下となります。」しかし、このメチル水銀量の計算は、すべての魚介類が規制値のぎりぎり〇・三PPMまで汚染されたと仮定してのことでございまして、実際考えてみますと、すべての魚類が〇・三PPMによごれているということはあり得ませんので、そのようなものだけ選んで食べるということは事実上ございませんので、ここに書いてあります数値よりもさらにはるかに下回る数値になるものと思います。 以上、簡単でございますけれども、御説明にかえさせていただきます。
○佐野委員長 この際、三木環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。三木環境庁長官。
○三木国務大臣 ただいま厚生省から御報告のありましたように、水銀の暫定安全基準というものが発表されましたので、それに伴って水銀等汚染対策推進会議を昨日開催をいたしまして、一つにはこういう基準をきめたけれども、この監視の体制を強化する。魚市場などに対する監視体制の強化、ことに産地市場については常時の厳重な検査を行なって、そのつどこれを公表する。またもしも基準以上の汚染があるときには漁場とか魚種に対して制限を加えることにしよう。また先般来当委員会においても申し上げておりますように、この際全国的な環境調査を行なう。それには問題の水域から先にやる。水俣とか有明海とか徳山とかこういう問題のところから先にやっていこう。問題の水域の水銀関係の工場、この点検は通産省でやっておるわけですが、しかしこれを、来年度の九月までにクローズドシステムで循環させて外に出さぬようにするといっておったわけですが、こいつを問題の水域を早める。ことし中にこれは転換をはかるようにする。それから河川とか一般海域における汚染、ことにヘドロの処理ということについては、近いうちにこの基準を発表いたしますから、今年度中に計画を立てて、全国的に日本列島の浄化の事業を推進することにしたい。それから公害問題というものは、いろいろ技術的にもあるいは学問的にも未解決の問題が多いわけですから非常な不安もあるわけで、できるだけ一般国民に対して正しい理解を求めるために広報活動というものを積極的にやろう、さきの環境調査とあわせて汚染源についてもこれを究明をして統一見解を出したい、こういうことをきめたわけでございます。 ————◇—————
○佐野委員長 次に、内閣提出の自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。
○岡本委員 ただいま議題となっております自然公園あるいは自然環境保全につきまして、幾らこの法律をつくりましても、きちっと自然公園、大事な公園が残されていかなければならない、また、大切な公園が保全されていかなければならない、こういう意味から、実は先日の当委員会で私は一つの例として、十和田国立公園の十和田湖の問題につきまして質疑いたしました。少し残っておりますので、続いてお尋ねをいたします。 そこで、この間も申し上げましたように、十和田湖が非常に最近よごれておる。その一つの原因は東北電力の逆送水によるんだ。これについては長官から、シックナーか、あるいはまた浄化装置をつけるというように指導しますというように答弁がありましたが、もう一つ、この十和田の汚染に大きな影響がありますのが、この湖畔にありますホテルあるいは旅館、売店、あるいはまたそこに働く従業員、これは約千人ですね。それから観光客です。これが一年間に約十万以上を突破しておる。御承知のようにあそこはちょうど観光シーズンになりますと銀座よりも雑踏しているというような状態でありますので、この下水道、要するにここから排出される汚水ですね、これにつきまして、各旅館あるいはまたホテルも簡易浄化施設をしておりますけれども、御承知のように寒いところでありますから、バクテリアが冬は死んでしまう。そういうわけで、この簡易浄化設備が使えないというような状態でありまして、試験をいたしますと、CODが青森県では一PPMでありますが、もうすでに休屋あたりでは六ないし七PPMというようににごってきております。したがって、これについて自然公園あるいは十和田湖を守るためにはどういうようにやるのか、ひとつ御答弁をいただきたいのです。
○首尾木政府委員 十和田湖畔の旅館、ホテル等からの雑排水の問題でございますが、これにつきましては、各旅館あるいはホテル等に対しましてそういう浄化設備を、浄化槽をつけさせるということで指導をいたしていっておるわけでございまして、その浄化槽の浄化機能というものにつきまして、その維持を十分にやらせるというのが一つの方法でありますが、しかし御指摘のように、気候的な条件から申しまして、なかなか現在のところでは十分に浄化施設が作用しないというような問題があるわけであります。したがいまして、この問題を解決するためには、やはり下水道を設けまして終末処理をやるということが必要なわけでございますが、こういったような山間の湖水の場合にはどこへそれを最終的に流すかといったような問題につきまして、技術的に非常にむずかしい問題があるわけでございます。したがいまして、私どもことし、とりあえず北海道の阿寒、支笏それから十和田湖、尾瀬沼につきまして調査対象にいたしまして、これにつきましては、そういったようなところの下水をやるにしましても、どういうプランでやるかというマスタープランをつくるということになっております。それによりまして、そのマスタープランに従いまして、明年度以降こういったようなところの水の浄化、いま先生の御指摘になりましたような問題に対する対策を実行していきたい、かように考えておる次第でございます。
○岡本委員 長官、ちょっとお聞きしますが、いま十和田湖はちょうど水たまりみたいになっておりまして、周囲の水が全部そこに入ってくるわけですが、そこで、先ほど申しましたように、ホテルとか湖畔の旅館あるいはまた観光客、こういう人たちの汚水処理に非常に困っておる。いまお聞きしますと、マスタープランをつくって、そして浄化するようにいたしますということでありますが、おそらく現在の旅館あるいはまたホテルは二十五軒であります、民宿合わせまして。ところがこの湖畔に民有地があります。それは宇樽部という、ちょうど私その付近を通ったわけでありますけれども、約二百ヘクタール、これが宇樽部の国道百二号線と湖水の間にある。ここを大手の不動産業者やあるいは観光業者が全部買い占めた。ここに何を建てるかわからない、何か開発しておった。またここにその下水処理ということになりますと、御承知のように、いま私説明しましたように、また事務当局から話がありましたようにここは寒いところでありまして、冬はバクテリアが死んでしまって完全な汚水処理ができないというところであります。ですからこれから新しくどんどんできますと、マスタープランがどんどん変わっていきますというのでは、いつまでたっても解決しないということですね。先日も私こういった自然公園の中にある民有地は全部買い上げたらどうだ、それに対して長官は賛成だということでありましたが、この点についてはいかがお考えになりますか。
○三木国務大臣 私もこれから国立公園などの民有地はできるだけ買い上げたらいいと思うんですよ。そういうことで、今年度の予算もなかなか消化されてないんですね。それは地価が急激に上がっていくものだから、なかなか値段が折り合わないわけですね。もう少し、買い上げるときの値段をきめる場合に、役所仕事でなしに多少の弾力性を持たせて話をきめるようにできないかということで、今後新しくくふうを加えてみたい。いまのは一割ぐらいが使っておる……(岡本委員「一割も使ってないです。六十億の一億」と呼ぶ)六十億の中で一億ですから、問題にならぬわけです。これは新しくくふうを加えて、できるだけやはりそういう民有地は買い上げたほうが好ましいと、岡本委員の考え方私もそのように考えるわけでございます。
○岡本委員 いろいろな答弁があったり、またいろいろな法律をつくりましても、一つ一つやはりかちつかちっとしていかなければ、そうしてそれを各、たとえば富士山の横の山中湖にしましても、ひとつテストをつくってそれに合わせてどんどんやっていくというような、どれもこれもいいかげんなことで答弁だけあってあとはできていないということでは、私は自然保護も何もできないと思うのです。特に要求しておきます。 それからもう一つ、この十和田湖の汚染の原因になっておりますのが、あそこに流れ込んでおります大川岳にあるところの鉛山鉱業所ですね、ここの排水口で検査しますと、銅が九・四PPM、亜鉛が六六・五PPM、カドミが〇・三PPM、こういうものが流れております。これは小鉱山ですけれども、月産約一千トンの粗鉱からこういうものが流れてきておるわけですが、これに対する規制、これはいかがなさいますか、これもお聞きしたいと思います。
○首尾木政府委員 公園管理事務所のほうでその件については調査をいたしまして、水産庁と協議をしましてその対策について考えておるわけでございます。
○岡本委員 大臣ちょっと集中して。水産庁とも関係ないですよ、この鉱山は。あなたはこの水がヒメマスなんかに影響するということを相談するのだろうと思いますが、通産省のほうに相談しなければ……。
○首尾木政府委員 ちょっと間違えました。廃鉱の問題でございますので、私ただいまうっかり水産庁と申し上げたんですが、通産省でございます。通産省と協議をいたして、通産省のほうでその問題を指導していくということでございます。
○岡本委員 それからいま一点、最後の点は、この自然公園の中にありますところのモミジだとかあるいはまたこういった植物の管理はどこでやるのですか。樹木の管理はどこが主管になっておるのですか。これをひとつお聞きしたい。
○首尾木政府委員 樹木そのものの管理につきましては、これは国有林である場合には林野庁でございます。それから特に高山植物とか、そういったような特定の指定をされた植物につきましての管理といいますか、そういう問題についての規制とか採取の禁止といったようなことにつきましては、環境庁が直接にやっておるわけでございます。
○岡本委員 十和田湖畔にありますところのイタヤカエデ、これが最近イタヤハムシというものにやられまして、どんどん被害を受けておる。こういった害虫の駆除とか、その管理というものはどこでやるようになっているんですか。
○松形説明員 お答え申し上げます。 この地域は大かたが国有林でございますので、林野庁で防除その他の対策を立てることになっておるわけでございます。
○岡本委員 あなたも御承知かもわかりませんけれども、毎年三千本近いイタヤカエデから、ドリルで十二ミリの穴をあけてカエデ糖をとっておったわけです。これはいまはやめておるようでありますけれども、そのために樹木が非常に弱ってしまう。そこへ今度イタヤハムシが発生しておりまして、どんどん被害を受けていく。このままいきますと観光は、要するにあの景観はなくなってしまうわけですが、これの対策はどういうふうに考えておるのですか、ひとつお聞きしたい。
○松形説明員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘ございましたようにイタヤハムシの発生がございます。特に四十七年と今年度でございますが、春に発生をいたしております。したがって、私ども昨年にはこれが防除のための試験区三カ所等を設けまして、いろいろな実験をやったわけでございまして、この五月にはスミチオンという薬でございますけれども、これの薫煙剤等を使いまして、奥入瀬の渓流沿いにつきまして、三百ヘクタール程度防除をいたしました。ただ、この成虫は、八月の中、下旬に発生することになっておりますので、この発生の状況を見ましてさらにまた防除をいたしたいと思っておるわけでございます。 なお、この羽虫につきましては、天敵と見られておりますのがハチとかハエ等でございまして、その大発生等も出ております関係から、そういう薫煙剤と同時にこのような天敵利用というようなことも考えられるわけでございます。なお、カエデ類の羽虫でございますけれども、カエデ類が全山で約一〇%程度、樹木の中に混淆いたしておりますので、この羽虫によって枯れるというような被害にはならないというのが一般的でございます。 以上でございます。
○岡本委員 あなた、このほうの調査はしてないと思うのですがね。 そこで長官、最後に。前々回の質問のときに七月に一ぺん大々的な調査をするということでしたが、イタヤハムシというのは体長が六から七ミリぐらいらしいですね。そういうような虫が無数に出まして、五万五百ヘクタールの中ですでに三万七千ヘクタールが被害を受けているんです。たいへんなことになっているんです。私も行って見てみました。一番観光に大事なカエデですからね。モミジです。これがどんどん食い荒らされておるんです。樹木に関係ございませんといういまの答弁だったですが、そういうような考え方ではもう解決しないと私は思うのです。ですから、この国立公園の一番の管理者である環境庁がもっとしっかりしてもらわなければ困る。これは林野庁の仕事だ、これは通産省の仕事だと、こういうようなことでは困る。全体をよく把握をして、そしてきちっと対策を立てていくということでなければ、十和田湖はもう数年を出ずしてだめになってしまうのではないかというきびしい状態を私は視察してきたわけです。七月に大々的な調査をするということでありますから了としますけれども、その点、もうちょっと積極的にやってもらいたいと思うのです。これをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
○三木国務大臣 カエデの木が枯れてしまうということになれば、これはやっぱり環境全体に影響をしますもんですから、樹木は林野庁であってもやはり環境庁として、権限があるなしにかかわらず全体の環境の保全という点から、それに対しては十分な注意をいたすことにいたします。
○岡本委員 阿部委員が来るまでの時間でございまして、お約束ですからこれで終わりますが、くれぐれも環境庁は、一つ一つの地帯について注意をして、そして所管事項であるところの自然公園あるいは自然環境をほんとうに守っていこうというきびしい姿勢を打ち出してもらわないといけないと思うのです。向こうの環境庁の管理事務所の定員が二人ですか、そんなことではなかなか解決はしないと私思うのですね。ひとつ七月にはこの前の答弁のように徹底的な調査をして、そして抜本的な対策を立てていく、こういうように要求をいたしまして、終わります。
○佐野委員長 阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 長官、この自然公園法及び自然環境保全法の一部改正の法律について私もいろいろ勉強さしてもらいましたが、もし私の認識に誤りがあるといけませんので、次のように理解をしていいかどうか。 まずこの改正の内容ですけれども、提案理由の説明の中でも明らかなように、国立公園、国定公園の普通地域を対象として届け出を要する行為を追加するのだ。その追加をする内容の一つは土地の形状を変更する場合、その二つは海面以外の水面を埋め立て、または干拓をする場合、その三つは陸域において鉱物を掘採し、または土石を採取する場合、これが一つの柱である。もう一つの柱は着手制限の期間を設けること。それは届け出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ行為に着手してはならない。また、同じように自然環境保全法の普通地域の着手も制限をする。これが法の一部改正の内容であるというふうに理解をして間違いございませんか。
○首尾木政府委員 そのとおりでございます。
○阿部(未)委員 いま、国立公園といえばゴルフ場かといわれるような状態になりつつあるときに、この程度の法改正で自然環境の保護なり自然公園の保護ができるというふうに長官はお考えでしょうか。どうでしょうか。
○三木国務大臣 私は、環境の保全というものは国民的な協力が要ると思いますが、ことに自然環境の保全というものは国民的な協力が非常に必要なように思うんですね。ですから、これを何でも押えられるような立法というよりかは、これも御指摘のようにざる法みたいな感じをお受けだろうと思いますが、それを、やはり自然環境を守ろうという意識は国民の間に高まっていますから、そういうことで、国民のそういう意識の高まりがいろいろな不備な点を補って、自然環境保全のために、この立法が一歩でも前進であることを期待をしておるわけでございます。
○阿部(未)委員 長官のおっしゃるように、自然環境を保護していきたいという国民的な願望がある。これは理解ができますけれども、しかし、一方でそういう願望を無視して無謀な開発が行なわれているという実態も、これは認めざるを得ないのじゃないだろうか。だからこそ、法律によってやっぱり規制をしなければならない、そういう立場にあるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○三木国務大臣 まあそういうことで届け出という制度を設けて、三十日の猶予期間を置いて、その間にこういう開発はよろしくないということになれば、さらにそれを十分な調査ができるまで行為を延ばすこともできるわけでありますから、何ぶんにも全部国立公園とか国定公園——土地がみな国有地であれば非常に簡単なんですよ。しかし、民有地がたくさん含まれておるところに、法律の規制というものにも一応の限界があると思うのですね。だから、こういう届け出という、どちらかといえばやわらかい規制を加えたわけですが、しかし、いま言ったような、その期間内に開発に対してチェックができますからね。まあこういうところから出発して、どうしてもこれでは手ぬるいということになれば、また、その場合には改正を願うこともあるかもしれませんが、いまはまあこれでひとつやってみたらどうかということで、御提案をいたしたわけでございます。
○阿部(未)委員 長官のおことばの裏には、いわゆる私権の制限というような問題についてもいろいろな配慮が払われていると思うのですけれども、たまたま先般、この委員会に参考人の先生方が御出席いただきまして、私どもも意見を聞かしていただきました。もちろん、私、全部聞く時間はなかったのですけれども、たしかあれは宮脇先生だったと思いますけれども、この宮脇先生の御意見の中に、国立公園は全部これは特別地域にしてしまったらいいではないか、その中で遠慮をしながら国立公園の一部を利用するのだと、そういう状態にならなければ、国立公園は守られないのではないか、そういう御意見があったのです。私どもも、やるならば、国立公園についてはその程度のことをやらなければ、いまの程度の法改正ではどうにもならないのじゃないか、こういうように考えますが、どうでしょうか、この点は。
○首尾木政府委員 これはいろいろ考え方があると思いますが、日本の国立公園の場合には、これはいわゆる地域制公園ということでございまして、非常に国土が少ない、民有地も非常にたくさんある、こういう状況の中で国立公園を指定をしておるわけでございまして、そのような意味で、それを比較的広くとろうということになりますと、どうしても普通地域のような形でとらなければその地域がとれないと、こういう現実がございまして、現在の国立公園の地域がきまっておるわけでございます。ですから、かりに狭くとってこれを全部特別地域の形にやる、非常に強い規制にやるか、それとも、そういう地域も含みますが、同時に、それよりは若干規制のゆるい地域も自然公園地域として把握をいたしまして、これについて、調和のとれた形で自然の保護をはかっていくという考え方にするか、まあいろいろ考え方があるわけでございますけれども、従来の国立公園の指定の考え方におきましては、比較的広い地域を、できるだけ広い地域をとっていこうというようなことから、こういう普通地域というものを残しておるというか、置いておるわけでございます。 まあそういう経緯でございますので、現在、そういうことで指定をいたしました地域を全部特別地域にするということは、これは元来そういう地域を指定しましたときの経緯から考えましても、なかなか困難な問題だろうというふうに考えておるわけでございます。
○阿部(未)委員 首尾木局長さん、私はやはり宮脇先生のことばをもう一つ引用させてもらいますが、自然環境とは何かという提起をなさいましたね。自然環境とは、人も含めた生物集団の持続的な生存の環境を守ること、これが自然環境を守るという原則にならなければならない。したがって、この国立公園の場合も、単に景色がいいからそこを残すというのではなくて、それをささえる周囲のすべてのものが含まれなければ意味がないのだ、こういう御意見がありました。私は、これはすべて国民の意見を代表しているとは思いませんが、こういう意見について、いまのあなたのお考えとあわせてどう判断されますか。
○首尾木政府委員 自然公園法には、なるほど風景地の保護というようなことが法律の目的として掲げられてあるわけでございます。自然の風景地を保護し、かつその利用の増進をはかるということが法律の目的として書かれてあるわけでございますが、そこに書いてありますのは、やはり自然の風景地でございますので、自然によってつくられた風景地でございますから、当然その前提として、そこの自然というものは守るという考え方が含まれているものと、こう考えておるわけでございます。その自然というのは、この間の参考人の御意見のように、人間を含めましたそういう生体系の保全というか、そういう問題、それを発想のもとにいたしておるわけでございまして、したがって、その点で自然公園法というものと自然環境保全法というものでとらえております自然環境ということは、基本において異なってはおらない。ただ、自然公園の場合は、それにさらにわが国を代表する風景地である、そういう風景保全というようなものが加わってくる。それからそこの利用というものが加わってくる、そういうことが自然公園法の目的であろうというふうに考えておるわけでございます。
○阿部(未)委員 少し法案の内容に入りながら、いまの点をもう少し議論させてもらいたいと思いますが、この自然公園法によりますと、保護及び利用の対象の区分というような考え方で、特別地域、これは十七条だったと思いますけれども、それから特別保護地区、これは第十八条でございますか、それから海中公園、十八条の二ですね。それから普通地域、これが第二十条、こういうふうに四つになりますか、区分をして、それぞれ行為の制限というものが行なわれるようになっているようですけれども、そのうちの十七条、十八条、十八条の二については、制限されておる行為を行なおうとするには、それぞれ環境庁の長官または公園の区分に従って都道府県知事に届け出て許可を得る、こうなっているわけです。ところが、この普通地域については、環境庁長官の許可ではなく都道府県知事に届け出る、こういうふうになっております。なぜ普通地域についても環境庁の長官に届け出——私は許可まで入れるべきたと思うのですが、届け出だけで終わるのか。その立法の基本的な考え方を聞かしてもらいたいと思います。
○首尾木政府委員 この立法といたしましては、普通地域は、先ほども申し上げましたが、公園地域というものを広く風景という点から、一帯として広くとらえていくということで、その際に、集落地域でありますとかあるいは農耕地帯でありますとか、そういうものも含めまして、そういうところを普通地域にしておるというのが主たるものでございます。もちろん自然公園でございますから、先ほど申し上げましたように、自然を保護していくということが基本にあるわけでございますが、こういう農耕地とかあるいは集落地といったようなところ、これは都会に比べましてはるかに自然性の高いところでありますけれども、しかしやはり人手の加わっておるところでありまして、古くから農業という形で自然というものと人為というものが調和をされた、そういうところで特殊のそういう生態系というものが保全されておるところであるわけでございます。そういう角度から申しますと、十七条、十八条のように特に許可をするということまでは必要としない。むしろそういうところについては従来からやっておりますような、人手の加わっているというようなものはそのまま行なわれても差しつかえはないというような考え方に基本的に立っておるわけでございます。 したがって、これを自然環境の保全という意味から申しますと、十七条、十八条のところは本来的な禁止の地域、普通地域につきましては、本来的な禁止の地域ではなくして、それに著しい自然の変壊が加わるとか、そういうことによってその公園の自然が破壊されるといったような事態をつかまえまして、それを常に監視をして、これに対して必要な手を加えるべき地域というふうに把握をしておるわけでございます。そういう意味におきまして一般的な禁止事項でございませんので、そういうものについて届け出にいたしておるわけでございます。 それから、それを全部環境庁長官に届けたらどうか、そういうふうな御意見でございましたけれども、やはり迅速に処理をいたしますためにはまず都道府県知事がこれを把握いたしまして、都道府県知事がこれについて当然必要な措置命令なりあるいは禁止命令なりというものを機動的にとれるという形をとったほうがより迅速にそのことを処理できるというふうな観点から都道府県知事ということにいたしておるわけでございます。 ただし、これにつきましては、都道府県から重要な問題につきましては私ども事実上の連絡を受けておりますから、これに基づきまして環境庁長官が必要な措置命令を発することができるように法律ではなっておるわけでございます。
○阿部(未)委員 そこで長官にお伺いしたいわけですけれども、いま首尾木局長のお話があったとおり、普通地域については都道府県知事に届け出ることがいわゆる原則です。非常に重要な問題については環境庁長官の指示があるとなっておるようですけれども、原則としては都道府県知事に届け出る。その趣旨は、首尾木局長の言によりますと迅速な処置を要するからだ、こういうお話です。今日問題になっておるのは、この普通地域が一番問題になっておるわけです。そうして食い荒らされているのも普通地域なんです。 ところで、ながめてみますと、東京とか大阪というところにはあまり法の適用を受けておる国立公園というようなものはなくて、むしろ過疎地域にこういう自然公園なりが多いわけでございます。そういうような過疎地域については、都道府県の知事の考えは千差万別であると申し上げても私は過言ではないと思います。非常に開発を急ぎ、何とかして自分の地域の過疎を食いとめたいということからいろいろな企業の進出を期待をする。あるいはゴルフ場なんというのが来るといったら、砂糖にアリがたかるように、地方自治体の責任者がそこに行って陳情に及ぶというのが今日過疎地域における地方自治体の実態です。そういう状態にある地方自治体にこの届け出をさせて、そこで判断をさせるということになると、せっかく一部改正を行なおうとしても、届け出を受け付ける機関が都道府県の知事であるとすれば、むしろ無謀な開発が促進をされるおそれがある。せっかくの機会ですから、この際に、拙速でいいじゃありませんか、すべて環境庁長官が一ぺんは目を通す。そうして地方自治体のやっていることが悪いならば、そこで一つ歯どめをかけるような改正のほうが必要であろうと考えますが、都道府県のいわゆる行政の姿勢、特に自然を守るというようなことの行政について、長官はどういうふうにお考えになっておるのか、ちょっとお伺いいたしたい。
○三木国務大臣 地方の自治体の状態が、御指摘のように開発が重点であったような時代がありますが、このごろは自然環境の保全ということは地方でもなかなかやかましい問題になって、道路一つ山岳地帯につけようというようなことにもやはり地域の反対というものは非常に強いものがあって、従来の考え方で開発優先ということにはいけなくなりつつある。したがって、やはり環境の保全ということが県民の大きな関心になってくるとすると、知事も公選知事としてそういう住民の意識の変化ということは無視することはできませんから、知事に——一番実情を知っておるのは知事ですからね。私は環境行政の面では地方自治体の権限をいろいろ強化したらいいと思っているのですよ。そういうことで責任を持ってもらって自治体がやったほうが非常に実際に即する場合がある。中央のほうは財政とか全国的な計画とか、こういうものをして、そういう行政面は将来はできるだけ自治体がやっていくというふうにしたらいいと思いますので、意識の変化等もにらみ合わせて、阿部さんの言われるような弊害は次第次第になくなりつつある、こう考えておるものでございます。
○阿部(未)委員 長官のお考えは筋としてそのとおりだし、私もやはり地方自治体がそういう権限を強化して自然を守る姿勢をとるべきだと思う。しかし筋はそうであったとしても、それでは一体現在の地方自治体の姿勢がどうだろうかとなりますと、長官も御案内のように——横道にそれて恐縮ですけれども、大分でも海を埋め立てるという問題であれほど大きい問題を起こしておるし、しかもまだいまいわゆる公害についての認識さえ、地方住民の間には、公害をこうむっておるところの住民とそうでないところの住民の間にはこんなに差があります。そしてまだ現に公害の起こってないところでは、そういう産業の進出等を期待をする声が非常に強い。いま国民がやっとわかってきたのは、公害に対する認識がある程度わかったという程度であって、自然を守るということと、そこに何らかの企業が進出してきて過疎を食いとめるということをてんびんにかけた場合には、まだ過疎対策、何とかしなければならないという感情のほうが私は非常に強いと思うのです。 私の郷里は別府ですが、別府からずっと北に国東半島という半島がございます。この半島のほとんどの地域が大資本によって買い占められようとしておる。ミカンをつくっているところまで買い占められようとしておる。私はずっと調査して歩きましたところが、買い占める名目は全部ゴルフ場です。私は日本じゅう全部ゴルフ場になるなと思ったのです。それで、それを推進しておるのは各市町村です。市町村にそういう開発の対策部を設けて、何々観光さんおいでください、ここのところをひとつゴルフ場に買ってください——帰ってみたらいなかの山の上まで買いに来た。何するのかと言ったらゴルフ場というようなことで、国東半島全部ゴルフ場になる、たろうと思う。おそらく大分県には百をこすゴルフ場が計画からいけばできるのじゃないか、実際はどうなるかわかりませんが。それが今日の地方自治体の実態であり、地方地域住民の考え方である。 とするならば、この時点ではなおかつ私はもっと強力な自然を守るための国の施策というものが必要ではないか。長官の期待される方向は私もよく理解できます。しかしいまそういうことでいいものならば、こういう法律をあえてつくる必要さえないのじゃないか。いまこういう法律をつくらなければならぬという実態を踏まえた場合に、長官のおっしゃるような状態でないと思うのですが、いかがですか。
○三木国務大臣 そういう面はいまだにございますけれども、もうそういう考え方は急速に変わりつつある。工場誘致などには、昔工場誘致したものの工事が続いているような面もありますが、これから新規ということになってくると、やはり環境の保全、公害の防止ということを頭に入れないでやれませんからね。そういう急速な変化も起こりつつあるので、全部権限を中央に持ってきて、知事の権限をなにするということは——そういう知事というものに責任を持たして、できるだけ権限を渡していくというような方向を私はとりたいと思うのです。
○阿部(未)委員 長官のお考えがわかるだけに、理論的に反論するのがむずかしいのですけれども、しかし私が申し上げた実態というものを少し理解をいただいて、たとえば現行法の中でもそれはできないわけはないわけですから、極力当分の間は、やはり環境庁というものがせっかくできて、環境を守ろうというわけですから、法の運用について十分配慮していただいて、長い展望で見れば別として、当面はそういう措置をとるようにひとつ要望をしておきます。 それから、次にお伺いしたいのですけれども、この特別地域の中に一種、二種、三種という区分を行なって、そして行政措置の対象とされておるようでございますけれども、特別地域の中を一種、二種、三種に分けるということは法律事項じゃないようですね。どうもこの本には載っていない。私の不勉強かもしれませんが、これはどういう趣旨で一種、二種、三種に分けて行政措置の対象とされておるのか。これは事務当局の方でけっこうです。
○首尾木政府委員 法律上、公園をつくりました際には公園計画を立てるようになっております。その公園計画の中には保護に関する計画と利用に関する計画がございまして、保護に関する計画のほうで、その計画の中で特別地域を大きく一種、二種、三種に分けるというような形で計画をつくっておるわけでございます。 第一種の地域は、特別保護地区に近いような強い規制をやるところでございまして、たとえて申しますと、この地域の木の伐採につきましても禁伐ないしは択伐程度のものしか認めないというようなやり方をやっておるわけでございます。それから二種のほうは、これに次ぎます強い規制になっておりまして、三種は、その意味においては一般的な活動と調和をとりながら自然を保全するという形での規制を加えておる。そういう保護に関する計画といたしましての地種区分であります。
○阿部(未)委員 大まかに分けて、一番保護を加えるのが特別保護地区、それからその次がいまおっしゃった特別地域ですね、それから普通地域、大きくこの三つに分けておる。したがって、いまあなたがおうしゃるように、一種、二種、三種の分け方が必要ならば、たとえば一種については特別保護地区に入れて、それから二種は特別地域になって、三種は普通地域になる。法の体系の上では、そういうことのほうが妥当であって、三つに分けておきながら、さらにその中の特別地域についてはまた一種、二種、三種というような分け方をしていく。これはある程度私権を制限をすることになってくるわけですから、そういう区分のしかたというのが、法律の事項で三つに分けた上にさらに必要なものかどうか。それならば特別保護地区に近いようなものは最初から特別保護地区に入れればいい。普通地域に近いようなものは普通地域に最初から区分をすればいいのであって、特別地域の中でさらにそういう分け方をするということは、法体系上ちょっと理解できないのです。
○首尾木政府委員 法律の体系といたしましては、特別保護地区とそれから特別地域につきましては、これは許可制になっておりますが、特別保護地区と申しますのは、たとえばその中における落枝落葉の採取といったようなものあるいは特別の高山植物の採取といったようなもの、そういう規制項目が特別地域よりも別種に非常にこまかいものまで入れておるような地域でございます。それで特別地域というのは、これは一律にそこにありまして、たとえば工作物の設置でありますとか、あるいは土石の採取でありますとか、それぞれ許可項目がございますが、それらの地域はそれらの項目について一律にやはり許可を要するという点においては同じでございます。しかしながら、国立公園のそういう特別地域内でありましてもやはりそれは特別地域内一律に全部同じような基準でもってこれを保護するということをいたしますと、そのやり方というのは場所によっては非常にルーズなものになるということもありますので、弱いものになるということもありますので、したがいまして、運用上大きく分けまして、同じ規制をするにしても、たとえば工作物にいたしましても、その地域によっては同じ工作物であっても認められないものもあり、あるいは特別地域内であっても、同じような工作物であっても、一種地域でないようなところについてはこれは認めてもそれほど自然を破壊することはないというようなところもあるわけでございます。そういう意味におきまして、まあ特別地域の一般的な許可をする際の目安といたしまして、一種、二種、三種というようなものを設けておるというわけでございます。
○阿部(未)委員 一種、二種、三種というのは、首尾木局長おっしゃるように、許可をする場合の一つの目安としてつくられたものだ、そう理解をいたします。 そして、私はその点はあまり詳しく勉強してないのですけれども、やはりこの前の参考人の宮脇先生の意見で、特別地域の中の二種、三種というようなものは、これはもう全く普通地域と変わらない状態で、ここから開発のサイドでは、許可さえやれば何でもやれる、こういうことになっておるではないかという指摘があったのですが、その辺はどう理解になりますか。
○首尾木政府委員 従来のやり方において、そういう許可をした行為、許可のやり方というものが多少甘かったというような地域がないというふうには断言できないと思うわけでございますが、私どもは今後の問題といたしまして、そういう許可にあたりましてはやはり適正にその処理をやっていきたい、かように考えておりまして、いま一種、二種、三種というような大まかな分け方になっておりますが、さらに各行為別のこういう許可についての基準というようなものを一応つくりまして、今後そういうような点についての適正な実施ということにつとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
○阿部(未)委員 少し質問を進めます。ちょっと皮肉な質問ですけれども、今度の法改正の一つのあれになっております土地形状の変更、これは届け出をしなければならなくなりますが、土地形状の変更とは具体的にはどういうものをさすのか、お答え願いたいと思います。
○首尾木政府委員 土地形状の変更と申しますと、これは土地の形状を変更することでございまして、したがいまして、たとえばゴルフ場をつくる、山を削ってそういう場所をつくるとか、あるいはがけを削ってそこに住宅地をつくるとか、具体的に申しますとそういうようなものがあるわけでございます。
○阿部(未)委員 それではたとえば畑を水田にする、これは土地形状の変更に入るか入らないか。畑を少し拡張する、これが土地形状の変更に入るか入らないか。あるいはゴルフ場をつくるときにその一部が国立公園にかかると仮定をする。そのゴルフ場の一部が国立公園の中に入ってくる。その場合に、上の芝だけはがしてゴルフのできる芝に植えかえる。これは土地の形状の変更にはならないのじゃないかと私は思うのですが、そういうことはどうなります。
○首尾木政府委員 先生の御指摘になりました点は、いずれも土地の形状の変更ということに考えております。 ただ農耕地の問題につきましては、これは普通地域がそういう農作地帯でありますとか、そういうようなことでございますので、これは届け出の対象といたさないということに考えております。
○阿部(未)委員 首尾木局長がそういうふうに判断をされることはそれは自由です。しかし法的に、土地形状の変更をする場合に届け出を要するという法律になるわけですから、それでは一体上にある野っ原の芝生をはがしてその下にやわらかい芝生を植えたのは土地形状の変更であるということを法的に争うことが可能でしょうか。
○首尾木政府委員 法律の条文解釈といたしましてそういう限界的な問題ということにつきましてはいろいろ論議があるところだと考えますが、先生の御指摘になりましたような、ゴルフ場が一部かかっておるといったような場合には、おそらく実際問題としてそこに明らかに土地形状の変更行為というものが加わってくることがほとんどであろうというふうに考えております。したがいまして、もし土地の形状が完全に変更しないものであるならば、これは私どもはこれに対して規制をする必要もないというようなことにもなろうかと考えておるわけでございます。 それから農地の問題につきましては、やはり除外規定ということがあるわけでございまして、そういう中で一般的な農耕地のごく小さな拡張でありますとかそういう問題につきましては、これはやはり普通地域でありまして農作地帯であるというようなところについては、除外規定によって政令でそれを定めるということに考えておるわけでございます。
○阿部(未)委員 農耕地の関係については除外規定でお定めになる、それは私けっこうだと思います。しかし前のゴルフ場のような場合、あなたのお考えは私はわからないわけではありませんけれども、実際の問題として先般来ここの委員会でも議論になっていますように、そこまで十分目が届くだろうか。そうすると相手の側はこれは土地形状の変更ではないのだという認識に立って公園内にゴルフ場の用地の一部を買い占めてそこを草をはがしてゴルフ場にするのに必要な芝生を植えかえていく。その場合には初めから問題がないというお考えならばけっこうですが、いまのあなたのお話では、そういう場合も土地形状の変更に入るだろうし、もっと大きい変更があるのではないかと思われる、想定されるという理論の上に立ってこの法律が成り立とうとしておるわけです。しかしもし削って争いが起こった、争いが起こったという場合に一体どうなるのか。これは土地形状の変更ではないかとおっしゃる、相手の開発の側はそうではありません、変更ではなくて芝を植えかえただけでございます。そのときには土を削ったかどうかは上に芝が植わってなかなかわからない状態になっておる。私はそういうことが案外これから起こり得るのではないかという気がするのですが、土地形状の変更ということについてもっと明確な考え方を打ち出しておかなければならぬと思うのですが……。
○首尾木政府委員 おことばを返すようでございますけれども、芝をはがしてという場合には当然その下の土も一緒にとられることになるわけでございます。したがいまして、それは土地の形状の変更ということで、そういう問題については私どもは必要であれば、委員会でもそういうような御疑問があったということでございますればこれを十分地方のほうも指導をいたしまして、そういうものは土地形状変更として把握をしこれを規制していくという考え方に立ちたいと考えております。
○阿部(未)委員 長官、いささか皮肉ですからもうあまり長く議論を続けるつもりはありませんけれども、土地形状の変更ということを法的に争う場合に、いま私が申し上げたように自然公園の一部がゴルフ場にかかる、そしてそこに野芝がはえておる、その野芝をはがして新しいゴルフ場の芝を植えたということが、これは土地形状の変更だというふうに法律で争えるかどうか。首尾木局長は、それは当然土地形状の変更というふうに認むるし、そういう行政指導をしていくのだといういまのお話でございますけれども、私は法的にこれを争うような事態が起こった場合にはかなりむずかしい問題じゃないかという気がするのですが、どうでしょうか。
○三木国務大臣 実際問題としてなかなか微妙な問題もあると思いますけれども、これはわれわれの解釈、このことでわれわれ貫きたいと思っております。
○阿部(未)委員 それじゃ争いが起こったときはがんばってもらうことにいたしまして、次に進みましょう。 次に、この法改正によりますと、従来の「あらかじめ」、云々となっておったところを「総理府令で定めるところにより、」云々と、こう変更になるわけでございますが、その総理府令の内容というのはどういうものになるわけでございますか。
○首尾木政府委員 これは行為の内容につきまして、その目的でありますとか、あるいはまたその規模でありますとかいったような事項でありまして、要するに届け出行為というものを特定し得るようなそういう内容を総理府令において規定をいたしたいと考えております。
○阿部(未)委員 実はいつも法律を審議するときに問題になるのですが、そういう総理府令の内容がわからずに法律の上で「総理府令で定めるところ」こうなるわけです。普通規則というのは、法律ができたあとからできてきて、規則の内容がわからないまま法律をつくっていく場合が多いんですね。実際の運用では規則なり何々令というもののほうが意義を持ってくるわけなんで、総理府令というものもお考えになっておるならば、それを大体一緒に知らしていただくような手続を踏んでもらいたい。わかりますれば内容をちょっと知らしてください。
○首尾木政府委員 たとえば施設のどういうものをつくるか、その位置あるいは付近の状況でありますとか、その地図、写真その他の図面でありますとか、それから施設の規模、構造でありますとか、あるいはそういうことについての各種のどういう自然変改行為を行なっていくか、木竹の伐採を伴うものかあるいはそのためにまた必要な植栽だとかそういったようなことに関してどういうことをやろうとしているのかといったような行為の内容を特定し得るもの、それから一般的に、もちろんその行為をしようとするものの、たとえば会社でありますれば定款でありますとか寄付行為でありますとかそういったようなものをとるとか、そういうことによってその会社の内容についても会社自体を特定し得るようなもの、そういうものを考えておるわけでございます。
○阿部(未)委員 お考えはわかりました。ただ私ども法律の上で知り得ることは、ここで「総理府令で定めるところにより、行為の種類、場所、施行方法及び着手予定日」、これまでが法律の上で明らかなんです。「その他総理府令で定める事項」こうなるわけですが、私がお伺いしたのは「その他総理府令で定める事項」とは一体どういうものかということなんです。お考えはわかりましたが、これからこういう法律を審議をするときに、そういうものについてもあらかじめその内容を一緒に示していただかなければ、届け出行為の場合に一体何が必要なのかという点について私ども理解ができないわけでございますので、これは要望としてつけ加えておきます。 その次ですけれども、自然公園法の第一条だったですか、ここにたしか「風景地」ということばがあります。次に自然公園法の十七条だったですか、これには「風致」ということばがあります。それから十八条か何かに「景観」ということばがあります。一体風景、風致、景観ということばはどういうふうに使い分けになるのか、解釈を示してもらいたいのです。
○首尾木政府委員 この十八条に「景観」とございますのは、やや客観的なそういう自然の状況といいますかそういうものを含めましたもの、これを景観というようなことばで使っております。それから「風致」という十七条のことばでございますが、これにつきましては自然の風景でございますとか、そういうやや主観的な面も含めましたものを風致としてとらえておるということでございます。それから、「風景地」というものでございますが、それは全体としましてそのような自然の風致に富んだ地域、風景のいいというところを「風景地」というようなことばであらわしておるわけでございます。特に十八条においてわざわざ「景観」ということばを使いましたのは、特別に、自然の生態系も含めまして、客観的な自然の状態、すぐれた自然の状態というものを景観というようなことばで呼んでおるわけでございます。
○阿部(未)委員 どうもわかったようなわからぬような……。そうすると、「景観」というのはやや客観的なもので、「風致」という場合には主観的なものが入ってくるというようないまのお話ですが、ものをながめるのに、主観的、客観的ということで「風致」ということばや「景観」ということばが分かれてくるものでしょうかね。もう少し確固たる根拠があって、この「風景地」、「風致」、「景観」ということばの使い分けがあるのじゃないのですか。
○首尾木政府委員 これは、自然公園法を従来立法いたしまして、それから特別保護地区というのがその後において法律改正になったわけでございますけれども、特別保護地区というものを保全していくという考え方の中に、学問的なそういうものも含めまして、客観的にそこに存在する自然というものをあらわすために、従来の一般の特別地域の単なる風致を越えて、そういう客観的な自然を守るものであるというような意味から、この十八条に特に「景観」ということばを使われた、私ども従来の立法の経過においてこういうふうに説明を受けておるわけでございます。
○阿部(未)委員 私はこれを読みながらこういうふうに思ったのですよ。風致というのは、だれが見ても、客観的に景色がいいところだ、その中でさらに景色のすぐれておるものが景観だ、こういうふうに考えると、景観というもののほうがむしろ主観的になって、風致というもののほうが客観的ではないか、そういう考え方をしたのですけれども、いまの首尾木局長の解釈ですと、むしろ逆のようでございます。これはなかなかわかりにくいことばで、議論をしてもしかたがないと思うのですが、私はこれを読みながら、どういう違いが一体あるんだろうかという疑問を持ったのです。あなたが立法されたわけでもないと思いますが、何か特に教えてもらうことがあれば教えておいていただいてけっこうです。どうでしょう。
○首尾木政府委員 景観といい、風致といい、日本語の一般的な用語としていろいろ使われているようでございますけれども、この立法いたしました際の趣旨といたしましては、わざわざ景観ということばを使ったのは、普通見ただけでは目に見えない、たとえば動物の状況でありますとか虫の状況でありますとか、そういったようなものも含めまして、そういうものを守るという意味から特別に景観ということばを使ったというふうにいわれておるわけでございます。私は非常に専門的なそのことばの使い方については熟知いたしておりませんが、景観ということばで学問的に使われていることばとしましては、そういう客観的なものを基礎にしたものが景観であるというふうに使われているようでございます。
○阿部(未)委員 たいへん勉強になりました。風景と風致につきましても、これはなかなかむずかしい使い分けだと思うのです。風景と風致がどう違うのかということもありますが、時間もなくなりますから、あとの問題に入ります。 この法律の施行の際に届け出を要しないものはもう問題がない、ずっとやっていけるということになりますね。もう一つ、すでに届け出を終わっているものについても、この法律は遡及して効力を持たないから、着工しておるのはそのままやれることになる。ところが、この法律ができるまでに届け出を要しなかった事項については、いわゆるゴルフ場等の問題についてはずっとやれる、こういうことになってくると思うのですが、これが遡及をしないということについて、せっかくの改正が効力を半減するのではないかと思いますが、いかがでしょう。
○首尾木政府委員 私どもは、この法律の改正をいたしまして、今後こういう事項につきまして十分規制をやっていきたいという考え方でございます。既往のものにつきましても確かに問題のあるものがございますが、これはいわば平穏かつ公然にいままで行なわれてきたものでございます。したがいまして、法律の改正としては、既往のものについてはさかのぼらないというのが法律上の原則ということでございまして、そういうことでこれは対象といたさないということにいたしておるわけでございます。もちろん私ども、そういう問題につきまして、行政指導の問題としましてそういうところに対していろいろ要請をするということはできるわけでございますが、法的にさかのぼりましてこれに中止命令等を出すということは、法律上の原則としてできないという考え方でございます。
○阿部(未)委員 従来法律をつくる場合、そういう考え方に立っておったと私も思います。しかし、実際問題としては、くどいようですけれども、届け出を要しない事項ですでに着手をしておったものあるいは届け出を終了したものについてはこの法律の効果が及ばない。これは間違いのない事実です。ところが、いまおっしゃったように法が遡及をしないということになりますと、これはもう当然やっていかれる、それが法律の趣旨だという御説明ですけれども、最近のような社会情勢になってきますと、場合によってはいろいろな問題で法が遡及をする場合も起こり得る。 たしか土曜日に連合審査をした公有水面埋立法の一部を改正する法律案、この十三条ノ二に「都道府県知事正当ノ事由アリト認ムルトキハ免許ヲ為シタル埋立ニ関シ埋立区域ノ縮小、埋立地ノ用途若ハ設計ノ概要ノ変更又ハ前条ノ期間ノ伸長ヲ許可スルコトヲ得」とあります。これは何しろ大正十年にできた法律の改正ですから、たいへんむずかしいことばを使っておりますけれども、こういうふうに建設省のほうで出した。これは見直しという意味が非常に含まれておるんだというふうに私は理解しておりますが、建設省たしかお見えになっておると思いますので、この趣旨をちょっと御説明願えれば幸いだと思います。
○伊藤説明員 御指摘の公有水面埋立法の一部改正におきまして、第十三条ノ二でただいま先生が読み上げられましたような条文を入れております趣旨は、これは一たん埋め立て人が埋め立ての免許を申請いたしまして免許されました後、竣功認可に至るまでの間、埋め立ての設計その他を変更いたします際の手続でございまして、従来この種の規定はございませんで、いわゆる地方長官の免許を得なければならないという中で変更を読み込んでおったわけであります。ところが、埋め立てといいますのは、御承知のとおり相当長期かつ大規模にわたるものでございまして、今度の一部改正によりますと、たとえばそれを公告するとか、縦覧に供するとか、関係地域住民は意見書の提出ができるとか、市議会の議決を経るとかいうようなことになりますので、この埋め立ての免許事項を変更するのをあまり安易な手続でやられますと最初の免許のときの思想が生きない。したがって、ものによっては、たとえば埋め立て地の用途の変更といったようなものにつきましては、先ほど読み上げられました条文のあとに、この法律の第三条、第四条一項、二項等を準用するという規定がございますが、こういうふうに新しい免許の場合と同じような手続をやり直せということでございます。その意味では、どちらかといいますとこれは遡及適用ということではございませんで、免許した出願事項の変更手続だというふうに理解をいたしております。したがいまして、この条文も、都道府県知事がこれこれすることを得と書いてございますけれども、この規定の趣旨そのものは、埋め立て人の申請に基づいてこういう手続を許可するという仕組みになるものでございます。
○阿部(未)委員 どうもあまりいまの御説明で私は十分わからないのですが、遡及効果を持つものではないという趣旨だということですけれども、たとえば中を読んでみますと、埋め立てに関して、埋め立て区域の縮小というのがありますが、拡張というのはここではないわけですね。私はそういう意味から解釈をして、一度免許したものでも新しい法律が今度でき上がれば地域住民の意見等が出される場合もある。その場合に、正当な事由があれば知事がこれをやれるというふうに解釈しておったのですが、そういうわけではないのでしょうか。
○首尾木政府委員 これは十三条ノ二に、縮小だとか用途の変更だとかあるいは前条の期間の伸長を許可することを得、こう書いてございますので、これは申請によって本人がそうしたいというときに都道府県知事がそれを許可をする、こういう規定のように考えております。ですから、これは先生の仰せになりましたのは、私どものほうの規制とかなんとかというものは一方的にやるものでございますから、したがってそれはちょっと意味が違うのではなかろうかというふうに考えております。
○阿部(未)委員 そうすると、首尾木局長のいまの解釈はいわゆる遡及ではなくて、しかも届け出人の希望によってのみ行なわるるものであるという解釈になるわけですか。私はこの条文をそのまま読めば、知事が正当の理由ありと認むるときには免許した埋め立て区域の縮小もできるのだ。届け出がなければできないのだ。最後に許可云々があるから、許可ということばが使われておる限り届け出人の希望がなければできない、こういう解釈ですか。
○首尾木政府委員 そのように伺っております。
○阿部(未)委員 それじゃ、せっかく建設省来ていただきましたが、たいした意味のある法律の改正ではないわけなんで、実は失望をしました。最近の世界情勢に応じて建設省としては画期的な法律の改正を行なうと思って喜んだのですけれども、届け出人の希望によってのみこれが行なわるるものであって、許可をした都道府県知事の判断によって行なわるるものでないとするならば、これは全く失望にしかすぎない法の改正ですから、取り上げないことにいたします。 それで、その次にいきますが、いまの問題にからんでもう一つ、この法律の公布の日から一カ月たって効力を発する、こういうことになります。したがって効力発生の日からこの法の適用を受けるわけですから、この一カ月間というのは従来と変わらない、こういう解釈でいいのですか。−もっと詳しく言いましょうか。もう少し補足しましょう。法改正の附則の一によると「この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。」となって、そして第二項に云々となっておりますから、したがってこの法律がかりに成立をしても効力を発するのは一カ月後ですから、この一カ月間というものは従来どおりであるというふうに、法の遡及がないとすれば解釈すべきである。間違いないかどうか。
○首尾木政府委員 そのとおりでございます。
○阿部(未)委員 そうなりますと、これはもし開発をする企業のサイドでやろうとすれば、この一カ月間に何でもできる、極端に言えば。私は都道府県知事を疑うわけではありませんが、この期間に都道府県知事に届け出を出して許可をとってしまえば、あるいは届け出を要しないものはこの期間に着手さえしておけば、あとは何でもできる、こうなりませんか。
○首尾木政府委員 非常に悪質な場合にはそういうふうなことも考えられるところだと思いますが、要するにこれは法律を早く実施をいたしまして、こういったようなことに対処する以外に方法はないというふうに考えております。
○阿部(未)委員 長官にしても首尾木局長にしても非常に人柄がいいものですから、善意をもって国民の皆さんを見ておりまして、これは国民の皆さんを善意をもって見るのはいいと思いますが、企業までそういう善意に満ちた目で見守り得るならば、こういう法律をつくって規制をせんならぬ必要はないと思うのですよ。私はこの一カ月は非常に大きい意味を持つと思うのです。何かやろうとしておる企業は一あるいは都道府県知事が地域の過疎対策やみがたく、開発をしたいと思っている。これができたらやれないぞ。現に高層建築の問題を見てごらんなさい。高層建築の制限がきまったら、その前に東京都内でもかけ込み届け出が山積しておるのでしょう。あれと同じように、これは届け出も要らないから、この一カ月の期間中にどんどん着手していく、どんどん許可を求めていく、これは必ず起こってくると思うのです。それは一体どう規制するつもりですか。
○首尾木政府委員 その点は、各都道府県に対しまして強く行政指導をし、都道府県から行政指導をするという方向で対処する以外にないと思います。
○阿部(未)委員 長官 これは非常に重要なところなんですが、あなたからひとつお考えを聞きたいのですが、いま申し上げておりますように、この法律が成立をしてから発効の日まで一カ月間の期間があるわけです。この一カ月間の期間は従来の法が適用されますから、届け出を要しないものについてはこの期間に着工してしまう。これは届け出が要らないわけであります。届け出の必要なものについては、この期間に都道府県知事に届け出て許可をとってしまう。そうなりますと、この一カ月間で必要なものはほとんどもうこの法の適用をのがるることができると思うのですよ。こういう抜け穴があってこの法律をつくってみても、一向意味のないものになってしまう。現に開発のサイドはみなそうやっているじゃありませんか。ここのところをどうお考えになりますか。
○三木国務大臣 悪質な者がおればどうも阿部さんの言われるようなことが起こると思いますね。そうなってきたら、この法律を早く通してもらってここで歯どめをすることが、せめてもやれることだと思います。
○阿部(未)委員 首尾木局長、行政指導をやる、これは、あなたの行政指導をやりたいという気持ちはわかります。しかし、行政指導はあくまで行政指導でありまして、さっき申し上げた高層建築の制限の場合でも同じような現象があらわれております。おそらくこの法律が成立したとしたら、開発のサイドでは、ゴルフ場ならすぐ着工してしまう。着工してしまえばどうしようもないわけです。それから、都道府県知事の中にも開発したいという希望を持っておる者があれば、この期間に許可してしまう。許可してしまえばどうしようもない。これは、この法律ができてから一カ月の間に相当の数起こってくる現実の問題だと思います。これをどう取り締まろうとするのか、どうこの法律の精神を生かしていこうとするのか。単なる行政指導で片のつく問題ではないと思います。
○首尾木政府委員 これは法律を新たに改正をしていただくわけでありますから、法律の施行を早くやるということによって対処するよりほかしかたがない問題でございますが、三十日間の期間を置いたということは、これは通常のやり方として三十日間の期間を置いたわけでございまして、非常に悪質な者、こういうふうに先ほど私申し上げましたが、それは法の裏をかいてやろうというような者が中にないとも私保証はできないわけでございますけれども、それらに対しましては、非常に悪質な者である場合には、すでに着手をいたしましたものに対しても措置命令あるいは禁止命令というものは、これは法律によってできるようになっておりますので、どうしても非常に悪質であるといったようなものに対してはそういうこともあり得るということを事前にやはり十分警告をいたしておきたい、かように考えております。
○阿部(未)委員 これは結局ことばのあやであって、悪質なものであるかないかという判断だってたいへんむずかしいものがあるのですよ。しかも、現実の問題としては、さっきから申し上げておるように、高層建築を制限するといえば、すぐ届け出が来る、着手しますよ。やりたいと思っているものはこの一カ月問に着手しておきさえすれば、ゴルフ場なんかどんどんできるのですよ。文句なしにできるのですよ。しかも、都道府県知事に何とかうまいこと言って許可をとっておけば、どんどんあとからできるようになっているのです。そういうことになってくる。だから、この法律を生かすためには、せめて最後に、遡及をして効力を発効させるような措置をとる以外にないのじゃないか。だから、私は、法の遡及についてさっきから議論をしておるわけです。これは長官の英断をもって、この法律の施行については遡及するという——いつに遡及するのがいいか、これはいろいろ意見があると思うのですが、このことをひとつ長官、英断をもって考えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○三木国務大臣 最初に阿部さんにも私申したように、これはやはり地域の住民も非常に、乱開発に対する一つの反抗というような機運もありますから、そういうことで、やはり自然環境の保全というものは、阿部さんの言うように全部法律の規制でやろうということには、私はなかなか無理があろうと思いますよ。だから、みなの協力を得て、あまり目に余るようなことは、そういう一つの地域社会がこういう開発に対して、知事に対してもいろいろな権限を付するとか、そういうことが起こる場合が今日では多いと私は思う。われわれとしても、権限というものではないにしても、自然環境の保全というものに対しては環境庁としても大きな関心を持っておるわけでありますから、権限ということでなしに、あまりむちゃくちゃな利潤追求というような形で開発が行なわれるときには県に対してそういう注意を与えることも可能だと私は思いますし、いろいろ法制上不備な点はそういうことで補っていきたいと考えております。
○阿部(未)委員 首尾木さん、あなたが、法のたてまえからこれは遡及させるということは困難だ、私も、それはわからないわけではありません。しかし、だからいつも後手後手に回って、環境の保全ができない、あるいは公害の対策ができない。公害対策にしても、いつも後手後手で追っかけておる。環境保全にしても、いつも後手後手で追っかけておる。その一つには、せっかく法律をつくりながら、それがそのときには間に合わなくて事前にやられておるという場合が非常に多いわけです。私は、法のたてまえ上、あなたのおっしゃることはわからないわけじゃありませんが、この辺でひとつ踏み切って、もう一ぺん検討して、せっかくつくる法律ならば、それが最大限自然を守るために役に立つ法律にされるように、大臣を含めて、ひとつ検討をお願いして、質問を終わります。
○佐野委員長 島本虎三君。
○島本委員 いま、ここに具体的に、自然公園法や自然環境保全法の改正法案についての抜け道というか、しり抜けになっている、そういうような可能性を阿部君が質問したわけですが、私の場合は、これがきわめて具体的になっている点を指摘して、今後環境庁としてもこれに重大な決意を持ってもらいたい点があるわけです。 前の、参考人として意見を聞いた際にも、第一種の特別保護地区だけはこれは買い上げはよろしい。第二種、普通地域はこれはだめだということになってしまっているところに問題があるわけです。 北海道開発庁、おりますか。——じゃ、行政管理庁、おりますか。
○佐野委員長 午後の本会議後の質問ということだから、連絡が十分にいっていないらしいのです。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○佐野委員長 速記を始めて。島本虎三君。
○島本委員 この問題は、関係者がそろっていませんので、さっぱりらちがあきません。 まず、これで区切りをつけますが、駒ケ岳はどういう公園になっていますか。
○首尾木政府委員 大沼国定公園の中に入っております。
○島本委員 これはもう、そうなっておるとすると、なおさら困る。国定公園の周辺地帯に国が国営農業事業を年次計画でここで八カ年間計画して、もう予算の裏づけをしたわけです、三十九億二千万円。それを着工する段階になったら、全部それは本州業者に買い占められている、こういう事態があるわけです。農地も入っているので、監察の手も入っている。こういうような管理行政なんかありません。行管から管理体制が悪いといって、この三月にちゃんと指摘されている。こういう問題があるのです。したがって、これは午後もう一回具体的な事実を指摘してやるよりしようがありません。こういうようなきわめて重大な提起がありながら、ほとんど、やり方がいままでめちゃくちゃであります。 じゃ、この具体的な事実を午後指摘して、長官も本会議答弁を終わって、安らかな気持ちで答弁してもらいたい、こういうように思いますから、そういうような問題があるということを提起して、私は午後のほうの質問にこれを回すことにして、午前中は残念ながらこれで終わることにいたします。
○佐野委員長 この際暫時休憩いたします。本会議散会後、直ちに再開いたします。 午後零時三十分休憩 ————◇————— 午後四時五分開議
○佐野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。島本虎三君。
○島本委員 午前中に自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案について阿部委員からもいろいろ質疑がなされ、皆さんの意見も十分伺わしてもらったわけでありますが、一カ月の猶予期間、この間に完全に規制できるのかどうか、これが議論の焦点であったわけであります。その点については、一カ月とこれを設定しても、その内容によっては任意なものもあり、そうでないものの規制はなかなかでき得ない点があって、これは不安を感じたわけであります。しかし参考人の意見を先般徴した際にも、特別地域の買い上げ等については特別保護地区と第一種保護地域、ここに限られておって、第二種及び普通地域、これはまかりならぬ、こういうことであったようであります。ところが実際は、せっかく法の改正を行なって、その間に、一カ月間に完全に規制し得るといういわば上のせの規制であるならばこれはいいのじゃないか、こう思っておるのでありますけれども、その点も私どもの認識が違っては困るのであります。これは午前中言ったように上のせの規制にはならないのですか、なるのですか、まずこの点をはっきりさせておいてもらいたいと思います。
○首尾木政府委員 これの規制は各種の法律でそれぞれ、たとえば公有水面埋め立てでございますとそういったようなところでの許可が必要となりますが、私どものほうは、それは自然環境保全という見地からのものでございますので、先生の仰せられました点からいえば上のせということと考えております。
○島本委員 実際は上のせである、こういうようなことになっておりましても、この上のせそのものも——きょうはもう環境庁長官もゆっくりした気分でお答え願えるでしょうから、これもお伺いするのですが、「自然保護に関する行政監察結果に基づく勧告」というのがこの三月に出されております。この三ページの中にはっきり指摘している問題があります。それは「開発行為等に対する規制の適正化について」「(1)公園計画の見直しと策定について」こういうようなことであります。これには「最近、国立・国定公園、都道府県立自然公園等の指定区域内で、宅地造成、採石、森林の伐採、道路・林道の建設等各種の開発行為が急速に進行しており、その結果、原生林の伐採・枯死、捨て土によるけい谷の埋没、採石跡地や道路のり面等における山膚の露出など自然景観の破壊、損傷がもたらされている事例が数多くみられ、また各種開発事業の計画と自然保護との調整が難行しているなどの事例も多い。」こういうふうに言ってあるのであります。そして環境庁に対しては、「したがって、環境庁は、都道府県立自然公園の公園計画の策定が進んでいない都道府県に対し、自然公園の保護を適切に行なうため、公園計画の策定を促進するよう指導する必要がある。」こういうふうに言っておるのであります。もちろんこれはそのとおりであって、これに対して何ら言う必要もありません。ただ、こういうふうにいわれているにもかかわらず、先ほど申しましたように国立公園または国定公園または都道府県立自然公園、こういう方面のいわば第二種とそれから普通地域、この方面に属する地域に対しての環境破壊が容赦なく行なわれている、このことなんであります。そうすると、規制しようとする場所は、黙っておいても保護になるようなところを買い上げようとしておるし、ほんとうに買い上げなければならないようなところに対しては買い上げができないようになっている。こういうようなものだったらまさに画竜点睛を欠くのじゃないか、こういうようなことであります。この点等について私が言ったことは杞憂でしょうか、それともそれがはっきり当たるのでしょうか。私はこの点は法制定のミスになるのじゃないか、こう思うのでありますが、ひとつ当局の見解を承ります。
○首尾木政府委員 当然に保護がはかられるべき地域、現在、特別保護地区それから一種地域を買い上げの対象にいたしております。こういうところにつきましては、先生のおことばでございますが、これはほうっておいてもはかられるような地域というわけではございませんで、そういったようなところのたとえば森林の伐採でございますとかあるいは開発とか、そういったようなことにつきましても、最近そういうものについての許可を求めるという者があるわけでございます。そういうものを対象にいたしまして、私ども非常に重要なところでございますからまず優先的に買い上げをやっていこうというのが現在の制度でございます。 なお、先生のおっしゃいましたその他の地域の問題でございますけれども、これにつきまして、私どももやはりこれは強く守ってまいりたい、かように考えておるわけでございますが、どういう場合にそれを買い上げの基準にするか。これら地域は一切の権利制限というものをやっておる地域では必ずしもございません。先ほど言いました特別保護地区でありますとか一種地域ということになりますと、ほとんど何もやらせないということでございますから、一切の土地の所有権の制限を伴うということで特に買い上げの必要性というものが強くなってくるわけでございますが、その他の地域は、そういうことでございますので、どういう場合に買い上げるかというようなことにつきましてさらに検討いたしまして、これにつきましての必要なものについては今後の問題として積極的にそういう方途を考えていくということを検討さしていただきたいと考えておるわけでございます。
○島本委員 検討さしてもらいたい、けっこうです。それでは現行法では可能なんですか。法の改正を要するのですか。
○首尾木政府委員 現在の土地買い上げの制度は、これは予算上のものでございますので、法律的にはそういう縛りはございません。法律に基づいてやっておるものではございませんで、予算上の措置といたしましてそういうものをやっておるわけでございますから、法改正は特に必要としないわけでございます。
○島本委員 石破二朗鳥取県知事が、この特別地域の相当面積を県で買い上げできるのは特別保護地区と第ー種の特別地域に限られておって、そのほかのやつは承認がないからできないんだとはっきり言っていたでしょう。あなたはできると言う、県知事はできないと言う、一体どっちがほんとなんでしょうか。
○首尾木政府委員 補助金の現在やっておりますものは、先ほど申し上げましたように法律に基づいてやっているものではございませんで、予算上の措置としてやっておる問題でございますから、したがってこれは都道府県が買い上げまして、それに対する補助金を国で出しておるわけでございます。その補助要項におきまして特別地域とそれから一種地域に限るということで現在の予算を執行している、こういうことを石破知事のほうとしては感心しない、こういうふうに言われたわけでございます。
○島本委員 法の規制なしで、では予算だけで何でもかってにやっていいのですか。
○首尾木政府委員 これは土地買い上げでございますから、一般的な私的契約といいますか、一般の売買契約によって買っておるということでございますから、特別に法律の根拠を必要としないと考えております。
○島本委員 県のほうで二種または普通地域が必要な場合に買ったならば、買ったことに対して環境庁のほうとしては六十億の範囲内で補助できるわけですね。
○首尾木政府委員 ただいまのところは、予算の項目といたしまして特別地域及び一種地域を対象にしておりまして土地の買い上げの予算を組んでおりますから、この予算の執行にあたりましては現在の本年度予算におきましては、それは特別保護地区及び一種地域に限られるということでございます。
○島本委員 そうしたら二種及び普通地域の買い上げについて幾ら予算を組んでいるのですか。
○首尾木政府委員 現在は予算を講じておりません。
○島本委員 必要だと思われる特別地域と一種地域に六十億も組んで一億しか使っていない。五十九億もそのまま残しておく。計画はでたらめじゃありませんか。現在必要だと思われるところの二種と普通地域、これはそのまま野ざらしにして荒廃を認めている。こんなばかなやり方がありますか。どうしてこういうようなところまでやらないのですか。特別保護地区と第一種の特別地域、これだけはやって、六十億も出して一億しか使っていない。使えない。それなのに必要な第二種地域と普通地域、これはもう荒廃にまかしておく、こういうようなばかな環境行政の番人がおりますか。あなたのほうでは二種と普通地域は買い上げの必要がないという考えですか。
○首尾木政府委員 昨年度六十億の予算で一億の買い上げしかできなかったということにつきましては、私どもその点につきましては先般もお答え申し上げましたが、土地あるいは木材価格の異常な暴騰というようなことで、買い上げの措置というものが一般の売買契約によって買うということでございますので、そういう点で価格が折り合わなかったというようなことが主たる点で執行が一億にとどまった。そのことはたいへん遺憾なことだと考えておるわけでございますが、昨年はそういう制度が始まりました最初の年でもございましたし、土地関係のいろいろな権利関係とかそういうことについての十分な調査ができておらなかったという点あるいは事務的なふなれといったようなこともございまして、これが全部消化できなかったというようなこともあるわけでございまして、本年度はその六十億につきまして、これは特別地域、一種地域というものにつきまして重要なところで問題になっておるところがございますので、そういうものを優先的に買い上げていこうというふうに考えておるわけでございます。 なお残りの問題でございますが、これも私ども今後検討の対象として、そういう買い上げができれば、必要なところについてそういうものも拡大をしていくということで、そういう必要性も考えておりますので、これにつきましては先ほども申し上げましたようにどういうところを買うかそういう基準についてはさらにもう少し検討させていただきまして今後前向きに対処いたしたい、かように考えておるわけでございます。
○島本委員 こういうふうにして、特別保護地区であるとか第一種の特別地域、こういうようなところだけはまず予算を組んでも、それをまた十分使いこなせないくらいの予算を組んであっぷあっぷしておる。必要なところにはまだ予算を組んでおらない。この間に環境の破壊が急速度で行なわれているのです。これは一体どういうわけですか。 国定公園、北海道の南のほうに駒ケ岳というところがあります。風光明媚なところ。開発庁、来ておりますから、これはもう知っているはずです。この山ろくの民有地、これを八カ年計画で穀倉地帯に育てるために開発庁の函館開発建設部では、国費四十億を投じて国営総合かんがい排水事業、これを進めておるはずです。そして、このためにはかんがい工事事業として四十年度から四十四年度まで調査をして、四十五年度から基本計画を策定を終わり、これは付近の森町というところ九百四十五ヘクタール、砂原というところ七百三十一ヘクタール、合計千六百七十六ヘクタール、これを四十六年度から五十三年度まで八カ年間で三十九億二千万円を投入して大型ダムを建設しよう、そして付近一帯に水を引いて、そして野菜それから果樹の栽培のための農地にこれをやろうとする計画が進んでいるはずです。そしてもうすでに四十五年秋までに対象農家五百四十戸全員の事業同意書を取りつけているはずです。四十六年度に事業に着手しているはずです。いままでにこれはもう五億を投入して、未開墾地の農地の造成をしてきているはずです。しかし最近この土地が、計画地内の土地が本州の大手メーカー、不動産業者に買い占められている。そしてこのために、事業の遂行が困難になってくる。約百ヘクタール別荘地として分譲されているということがわかったそうじゃありませんか。事業の重大な障害になるのは申すまでもありませんが、一帯そばが道南の国定公園です。国定公園を売りものにして、せっかく国が巨大なる予算を投下してやろうとしたそれも国定公園であるその景勝の地帯を売りものにして別荘地帯として売り出している。開発庁、これは一体どういうことなんですか。この事情についてひとつ報告してください。
○山田(嘉)政府委員 お答え申し上げます。 駒ケ岳周辺の国営畑地帯総合土地改良パイロット事業計画につきましては、大体ただいま島本先生御説明いただきましたとおりでございまして、昭和四十六年から八カ年計画で現在事業が行なわれているのでございますが、この受益地域、御指摘ございましたように森町、砂原町合わせまして千六百七十六ヘクタールでございますが、この地域は駒ケ岳の山ろくではございますが大沼国定公園の区域外でございます。国定公園の区域の中ではございません。 しかし先生御指摘のように、最近この受益地の中に約百ヘクタールに及ぶ面積の所有権の移動がなされているような実情にございます。私どものほうの出先が地元の森町、砂原町等に照会いたしまして調べましたところによりますと、完全に所有権の移動が行なわれました面積が七十三・八ヘクタール、それからまだ完全な所有権の移動はございませんが、仮登記をしておるものが二十六・二ヘクタール、合計約百ヘクタールというような実情にある次第でございます。それで、これは土地改良法に基づきますところの事業実施地区の中でございますので、これが御指摘ございましたように、約五百四十戸の農家がそれぞれその所有地を持ち寄りましてここに優良な畑地帯を造成しようという計画でございますから、これがみだりに現在の土地ブーム等によりまして不動産業者の手に渡るということはきわめて好ましくない事態でございます。そういうことでございますので、これの事業の実施の所管は実は農林省でございますけれども、この計画を計画いたしました開発庁といたしましても、この土地改良事業の実施地区につきましてはいわゆる農振地域の農用地域としての指定を促進いたしまして、市町村長等の勧告などの措置によりまして農用地としての利用の確保をはかるというたてまえにしておるわけでございますが、まず第一に、既耕地につきましては登記簿上の地目のいかんにかかわらず農地法の適用により農地の転用の規制を厳正に行なうこととしておりますので、これはたとえ不動産業者等が入りましても、これを別荘地その他に地目の転用を行なうということはこれは厳に規制されるということを当然期待しておるわけでございます。 それから現在まだ山林、原野になっておりますところの造成計画地につきましては、これはいまの段階では農地法上の規制がしにくいという問題点がございます。ございますけれども、これは土地改良法上その利用に関して一定の拘束を受けるものでございますから、その事業参加者である農家の方がこれを不動産業者等に売り払って一方的に事業参加を撤回することはできないたてまえになっております。あえてそういうことをいたしましても、これまた将来農振地域等の関係におきましてこれが造成されまして畑地になりました暁には、これが別荘地等への転用はもちろん軽々にはできないというたてまえになることになっております。 こういう規制につきまして、その周知徹底ということが非常に大事なわけでございますけれども、その周知徹底がどうも不十分なために、こういうような問題が、駒ケ岳だけではなく、他の地域においてもあるようでございまして、まことに遺憾に存じておるわけでございますが、私どものほうの出先の開発局といたしましても、地元の森町及び砂原町に対して、こういうことにつきまして、五百四十戸の関係農家に十分周知徹底して地区外の方、たとえば不動産業者等に土地を売ること等のないように十分指導方をお願いしているところでございます。
○島本委員 やはり景勝の地であるならば、そういうような計画がある場所でも別荘地としてこれを売り渡そうとする、そのために売買契約、このようなものもその上に立って行なっていく、景勝地を売りものにしてせっかくの国の計画もぶちこわそうとすることが平気で行なわれるということです。これに対して行政監察局が手を入れているようであります。これに対して函館行政監察局では調べておるようであります。行政の欠陥ですか、法の不備ですか、それともこれは悪徳業者のばっこによるいたしかたない所産なのですか。行政監察当局の御意見をひとつ伺います。
○田畑説明員 お答えいたします。 ただいまの御質問でございますけれども、私のほうの函館の監察局でもってただいま調査を実施中でございまして、その結果があがってこないことにはちょっと詳細がわかりませんもので、それから御説明したいと思います。
○島本委員 私どものほうの調査によると、これは開発庁自身の行政に欠陥があるんじゃないか。国が行なっておる北海道開発庁自身の行政に欠陥があるんじゃないかということで調査を始めている、こういうようなことになっております。少なくともこれは前からやるということなんですから、函館行政監察局がやっておることですから、電話一本でこの内容はわかることではありませんか。全然この内容はおわかりになりませんか。
○田畑説明員 お答えいたします。 御承知のように、私どもの管区及び地方局は、管内における行政の実態を把握するため常に資料の収集をしております。特に最近は、農外者による農地とか山林の大規模の取得というものが行政上の重要な問題になっておるという観点から、駒ケ岳地区の国営総合かんがい排水事業の受益地における農業に関係のない地域外居住者による土地の買収の状況について調査を行なったという状況でございます。それの経過は、五月の二十日から二十三日に関係登記所の調査をし、三十日、三十一日に函館開発建設部を調査、同じく六月の八日、九日に建設部調査、それでただいまは現地調査をやっている段階で、最終的には二十一日にもう一回現地調査をする予定になっております。これらの実態をはっきりつかまえて結論を出したいというふうなことになっております。
○島本委員 したがって、これは開発行政に欠陥があるのか、それとも自然環境保全の方法にミスがあるのか、そういうような点について私どもは知りたいわけです。したがってこれは開発庁の行政に欠陥があるとすれば、これは行政上のミスでしょうし、自然環境保全は現在は重大な一つの政府の守らなければならぬ命題ですから、そういうふうな方面が法的な不備またはその他の原因によって荒廃し、そのままにどうも手の打ちようがないというのならば新たに立法化しなければならないのでありまして、皆さんが手を入れたという点は私は重要視している。ただ形式的に入れただけで結果がわからないとだめだ、こういうようなことなら、それはもうだれでも言えることであります。もう少し、何のために入れたのか、その結果はどうなのか、このくらいのことはおわかりにならぬのですか、もしならぬの、だったら、これはあとから調べた上でひとつ私のほうに資料として提出してもらいたい。
○田畑説明員 お答えいたします。 私のほうとしては、農業に関係のない者に事業対象地の流出が続きますと、いわゆる駒ケ岳地区国営総合開発かんがい排水事業が所期の目的を達成するのに非常に支障を生ずるのじゃなかろうかというような一つの仮説の設定から一応見ているというような状況でございまして、結果がわかるのは先になりますから、わかり次第またお答えするようにいたしたいと思います。
○島本委員 わかり次第それを、これは公表をはばからないと思いますから、資料としてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○田畑説明員 結果が出ましたら一応資料を提出いたします。
○島本委員 その中には農地があるということで、農地法違反の疑いで、もう北海道警察がすでに手を入れているという話ですが、これはどういうふうになっておりますか。
○綾田政府委員 ただいま先生のお話のとおり、先ほども開発庁からお話がありましたが、相当数の土地が完全移転登記あるいは仮登記がされておるようでございますが、その中には農地、畑がありまして、これはたとえば無許可で売買したときは農地法の違反になります。そういう農地法違反の疑いがございますので、ただいま北海道警察において鋭意捜査中でございます。
○島本委員 これは未開墾地の山林がこの計画で農地へかえるという一つの計画の実施、それだけに排水施設の完成、こういうふうなものは重要な問題であります。せっかくこれをやっても恩恵にあずかる農地がなくなってしまった、こういうようなばかなことがあっては、国のほうで何をやっているかわからない。この原因は何だと思いますか。いわゆる副総理としての三木長官もこの辺は十分考えてもらわないといけないのです。これは大沼国定公園をえさにして、国定公園のいい場所に別荘地帯をつくるために大手メーカー、十社をこえる本州のメーカーが進出していって、自由に国のほうの計画の土地を買い占めているのです。この欠陥は何か。国営の事業の範囲内にあっても先買いの禁止は法的に不可能である、こういうようなことが一つの問題になっている。あたりまえであるといえばあたりまえですが、みな買いあさるわけです。農地まで買っているわけです。司直の手が入っている、こういうような状態です。環境を保全する場合にはこういうようなことのないようにしておかなければならないはずであって、国がいま普通地域、この地域に対して一つの大きい計画を実施しようとしても、かってに大手業者が入って別荘地にする。この目的は国定公園地内であっていい土地であり、別荘地帯として高く売れる、これじゃありませんか。これではせっかく国のほうで立てた計画もおじゃんになってしまう、こういうようなことになってしまうのです。したがってこの辺は重大な、今後の法的な規制も要することじゃなかろうか、こう思うわけであります。そういうような点からしても、監督の立場にある北海道開発庁にしても、あまりにも無策すぎる。それとも不動産業者が砂糖に群がるアリのように、いいと思えば法の不備を利用してすぐそれに群がりつく。せっかく七年も八年も長期の計画をしても、四十億もの金をつぎ込みながら、その実施ができないような状態にまで荒らされてしまう、これが環境破壊でなくて何ですか。こういうようなものが国定公園に行なわれているのです。なぜこれを、いわゆる国営事業の範囲内にあっても先買いの禁止は法的に不可能であるというようなこと、この現実、これは打開できないのですか。私どもはこういうような点については、今後の法の実施上重大な関心を持っているわけです。いずれにしてもこれだけじゃないのであります。ほんとうにいま警察あたりの意見を聞いてみますと、わりあいにはっきりしている。農地法違反、こういうようなことになっている。どんどんと本州の業者が金にあかして買いあさっている。これは自然破壊です。こういうような状態、こういうようなものは副総理として三木長官はどう思いますか。とんでもないことです。
○三木国務大臣 これは北海道庁が農地の転用を認めないということをいえば、事前に開発の阻止というようなことはできたんでないでしょうかね。農地の転用ができるものだと思って買いあさるのでしょう。農地転用をする意思はない、こう言えば、これはなかなか買いあさるようなことにはならぬと思いますから、私はやはりこういう場合には地方の自治体が適切な指導をする必要がある、島本委員の御熱心な御質問を聞きながら、そういう感じがいたしました。
○島本委員 感じがしただけじゃ自然保護にならぬじゃありませんか。本会議答弁で疲れたのですか。 しかし、それだけじゃないのです。おそらく一つの投機ですよ。国定公園地帯または普通地域が投機の対象になる。したがって、自然破壊につながるから、このことに対しても十分考えて、法的な規制も当然あってしかるべきじゃないかということなんです。問題ははっきりしているのです。おそらくは草地改良と同じようなことです。草地改良された農地が原野として売り出された、こういうようなことで、その辺がいろいろともんちゃくがあるようです。森町の農業委員会は、農地と薄々知っておりながら原野の証明を出しているのです。そのミスが発端なんです。したがって、不動産業者は、これは原野ですから、あくまでも合法的な商取引ということになってしまって、分譲済みの別荘地ですから、いまさら原状復帰せよといったって、これはできないでしょう。これはほんとうに重大な問題なんです。農業委員会自身がかってにやることに対して、農林省は一体どういう指導をしていなさるのですか。
○関根説明員 お答えいたします。 農業委員会は、農地法の規定に基づきまして、都道府県知事の諮問に応じまして許可をするということになっております。そういう関係で、直接の指導は都道府県ということに相なっておるわけでございます。
○島本委員 すると、直接の指導は都道府県になっておって、都道府県では都道府県の農業委員会にげたを預ける、こういうようなことになっておるわけです。そうですね。したがって、結論はどう出るか、いまだにわからないという段階で、地方でもわからない。下部にまかせてある。下部は、いま言ったようにして、これは農地だということをわかっていながら、原野にして売り渡してしまう、こういうことが平気で行なわれる。司直の手が入るのは当然だ。私はこういうような点が行政のミスだと言うのです。そのうちに国定公園さえも荒らされてしまうじゃありませんか。環境庁長官も、副総理として全体を考えて、もう少し規制をしないといけません。こういうようなことをやっているから、最後は環境が破壊されてしまうのです。 それだけじゃないですよ。私の手元にまだあるのですよ。逆にこれを大いに売り出しの対象にしているところがあるじゃありませんか。十月十二日の朝日にちゃんと広告が出ているのですよ。「蓼科高原別荘地」「八ケ岳中信高原国定公園、用途地域無指定、建ぺい率二割」そして、あと値段を番いて、これを大いに売り出しているのです。三菱信託銀行です。こういうようなものを大御所がやっているのです。また、アルプス連峰の八ケ岳周辺でも、蓼科ビレッジといって盛んにこれを売り出している。「茅野市長管理の恒久的借地権分譲」「譲渡自由です」「国定公園につき建ぺい率二割」こういうふうにしてじゃんじゃん売り出している。国立公園であるとか国定公園であるとかいうことをうたい文句にして、その周辺全部売り出しているわけですよ。こういうようなものに対しては、環境破壊につながると思わないのですか。
○首尾木政府委員 国定公園の地域内におきまして投機の対象として土地を買い占めたり、あるいはまた大きな分譲といったようなことのために土地の買い占めが行なわれておりますことは、私どもとしては、国定公園あるいは国立公園を守っていく上におきましてまことに好ましくない、全般的に申しますと好ましくないことと考えております。ただ、土地の買い占めとか売買につきましては法律上の規制というものがかかっておりませんので、その売買自体を強制的に押えるということは現在の法律の上ではできないわけでございます。しかし、私どもは、こういったような大規模な買い占めが行なわれまして、その結果が直ちにそこの開発に通ずるということでございますと非常な問題が生じてまいると思いますので、、そういったような土地における分譲でございますとかそういうものにつきましては、これは法律上規制の対象になっておりますので、買い占め自体ではなくしてその行為が問題になりましたときは十分に規制を強化していきたいと考えておるところでございます。そういう規制が非常に強くなってくるということによりまして、逆にこういったような土地の買占めという傾向がなくなってくることを期待いたしておるわけでございまして、現に、最近におきましては、大手等におきましても、国定公園内の地域の事情について事前に照会等もいたしまして、そういうところの土地を買うということが一部においては手控えられておるというような状況になってきておると考えております。今後とも基本的に、自然公園法上、別荘開発等そういう大型の開発に対しましては、規制を強化していくことによりましてこういったような弊害を除去していきたいというふうに考えておるところでございます。
○島本委員 規制を強化する方法を聞きます。
○首尾木政府委員 特別地域につきましては、土地の形状変更、あるいは工作物の設置等につきまして許可の対象となっておりますので、一件一件につきまして、自然の状況についても十分調査をし、これについて厳正な態度で処理をしていきたいというふうに考えております。 また、普通地域につきましても、今度の法律の改正をお認めいただけますれば事前にそういう審査の期間がございますので、そういうものを押えるということができる法律上の根拠が確立されることになると考えております。またこれは一方におきまして、特別地域等につきましては、過疎地域等におきまして、やはり土地を売りたいというような面もございまして、そういうものから、一方で土地が非常に値上がりをいたしますと、その土地を売りたいといったようなところもあるわけでございますが、そういう問題につきましては、先ほど申し上げましたように、特にそんなような土地を買いましても十分期待するような開発はできないということを了承させる一方、また必要によりまして、今後の問題といたしましては先ほど先生が御提起になりましたような土地買い上げ制度というものを弾力的に動かしていくということを、今後の問題として検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○島本委員 これはやはり先般の横浜国立大学の宮脇昭教授がはっきりこの問題に対して、少しことばが過ぎるかもしれないがということを前提にして、もしそういうふうにして、過疎地帯であり、どうしても売らなければならないという自治体やそういうような大型の土地がある場合には、国の行政自体がチャンスだと思ってその土地を売りたいものは積極的に買ったらどうだ、そして適正な値段で買い取って、過密地域の人々に緑と身体の健康を与えるようにしたらどうだという参考意見としての開陳があったわけです。まさにそういうようなこともこれから必要じゃないかということです。したがってもっともっと考えてもらって、行政の面で手を抜くと、いまのようにして自然環境のいいところは全部特定の人によって買い占められる。そして国のほうの事業さえできなくなってしまう。四十億もの金をただ単に投げてしまったような結果になってしまうおそれもある。こういうことです。私、そういうふうな点からして、環境保全という点と合わせて、現在のような土地の売買をそのまま認めておって何でもかんでも売れる、買える、こういうようなことに対しては十分な規制もこの景勝地帯においては必要だ、したがって国のほうでももっともっと考えなさい、こういうことを言っておきたいのです。これは長官も聞いておるでしょうから、あえて長官には答弁を求めませんが、いまのように三菱信託をはじめとして、国定公園内のこういうような普通地域に対して買っては売りに出ている。そして別荘地帯としてじゃんじゃんこれを建てさせようとしている、こういうようなことであります。売買の対象、そしてその裏づけに国定公園がなっている、こういうことに対しては、国定公園、国立公園、自然公園は特定の業者のためのものじゃありません。国民のためのものなんですから、少なくともこの大企業といわれるこういう企業がかってにそういうようなことをやることに対して、厳重に今後私は注意させるようにしてもらいたい、こう思うのであります。これに対して、いろいろあるでしょうけれども、行政管理庁あたりの意見もちょっと伺っておきたいわけです。
○石黒説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおりでございまして、われわれも、環境庁その他自然保護に関係のある行政機関がその実をあげることを期待しておるところでございます。
○島本委員 ことに、いま言ったようにして、北海道開発庁自身の事業が三十九億二千万円を投入して大型ダムを建設しようとするこの意図がくずれるわけでありますから、国の行政の重大な欠陥である、こういうようなことになるわけです。こういうようなことがないようにするためには、開発庁としては今後どういうふうにして指導しようと考えておりますか。
○山田(嘉)政府委員 先生御指摘のように、まことに遺憾な事態でございまして、私どもとしても十分反省をしなければならぬというふうに考えております。 まず第一に、こういう土地の部外者による買い取りと申しますか、そういう事実が進行しておったという状況を私どものほうが承知したという時間が非常におくれておるということは、これはまことに遺憾なことでございまして、まず第一に、こういうことについてもっと早く的確に情報をとれるようにする必要があるんじゃないか、これは確かに先生御指摘のように行政の欠陥といえば欠陥ではないかというように反省をしているわけでございます。たとえば今度政府のほうで御提案申し上げております新しい国土総合開発法がもし成立いたしますれば、今後は一定面積以上の土地の売買はすべて都道府県知事に届け出をしなくてはならぬ、望ましくない方向の土地売買につきましては都道府県知事はそれに対して勧告をすることができるというような制度ができるようになるわけでございますが、たとえばそういうような方向でもっと早く、ある一定規模以上の土地の売買は行政当局が的確に把握するという方向を実現してまいりたいということが一点でございます。 それから第二点は、先ほども申し上げましたが、これは国営事業でございますけれども、農業関係の事業でございますので、地元の五百四十戸の農家の方の共同で御相談になって、北海道庁を通じて国に申請しておる事業でございます。その方たちが、あるいはその不動産業者等からの札びらの誘惑に負けてそういうようなことになったんじゃないかと思いますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、これは非常に重要な、農業振興地域の中心となるべき地域でございまして、農地の転用等はそう簡単に許可されるものではないというような事実等につきまして、これはもっと関係者に周知徹底しておく必要があるのではないかというような点につきまして、私どもは十分反省をいたしているところでございます。
○島本委員 そういうようなことからして、私どもは自然公園法や自然環境保全法、こういうようなものを十分活用して、そして環境だけは十分に守るようにしてやりたい。しかし今回出たこの程度のものでは、二階から目薬を落としてやるようなもので、効力は若干あっても、所期の目的を達することにはほど遠いんじゃないか。今後抜本的に自然環境保全法は直さなければなりません。直すところが多過ぎて、いま出たのは氷山の一角にすぎないです。このくらいは一カ月延ばして——これだって一カ月居眠りしていたら何にもならないです。そういうようなことからして、延ばしたのは少しはいいけれども、これをもっていばれるほどのよさじゃないんです。三木長官になったんだから、もっともっとすばらしい改正法案を出さないとだめなんです。こんなのは、ほんとに何にもなりません。出さないよりはいいけれども、いいとほめるほどもよくないです、これくらいのものは。全く、こんなのをどうしていいかわからない。否決してもいいけれども、否決するのもしなくてもいいようなものです。ほんとにこれは何と言っていいかわからない。それより先行して、現行法の中で自然環境を破壊するような行為が平然と行なわれていることはいま言ったとおりなんですから、これだけは十分考えて直さないといけない。これだけは私からはっきり言っておきたいと思うのです。そして参考になるのが一つあるのです。これは、今度は長官ですよ。ドイツ連邦共和国、西ドイツです、そのウィルヘルム・G・グレーべ駐日大使が去る十六日に北海道へ行ったのです。これはそのときの新聞なんです。札幌と苫小牧とアイヌのいるあの白老、この方面を視察しているのです。これは「昨年八月に札幌とミュンヘンが姉妹都市となったことに対するあいさつを兼ねて来道した」こういうふうにいわれておるわけです。そしてその離道に際して語っていることばが新聞に載っているわけです。それには「最後に本道の印象、道民への意見を聞きたい。」という問いに対して、「苫小牧の大規模な臨海工業基地に強い印象を受けた。本州に比べ北海道には経済的に大きな可能性をもった未来がある。道民のみなさんには、開発や経済成長を急ぐあまり、環境破壊など本州でのような失敗を繰り返さないことを望みたい。」こういうふうに言って帰っているわけです。もうすでに北海道で、日本で残されたこの良好な環境地帯、これにさえも、いま言ったようにしてもうすでに悪の手が入っている、環境破壊の手が入っている。それを、人為的に積極的にこの苫小牧東部工業基地をまた進めようとすることに対して、西ドイツの大使がこのように言っていることを参考に申し上げておきたい、こういうふうに思うわけです。 予定の時間も来たようでありますから、これを最後に長官に申し上げて、ほんとうに、あなたにこのことばを生かすようにしてもらいたい、このことを要請して私の質問を終わるわけであります。
○佐野委員長 中島武敏君。
○中島委員 長官に最初に伺いたいのであります。 各種の開発によって自然環境が非常に破壊をされております。それだけに自然環境の保全ということは非常に重要な問題だと思うのです。どういうふうにしてこの破壊を防止するか、この点についての基本的な長官の考え方、これを最初に伺いたいと思います。
○三木国務大臣 中島委員も御承知のように、いま自然環境保全地図というものをつくる。これは地方の大学、専門家等の参加を求めて一年間に日本の自然環境というものをいろんな角度からひとつ調査してみる。そしてこの自然環境というものは、どうしてもそのままの形で維持しなければならぬところであるとか、自然環境に対する度合い、保全するための重要度の度合いというものを調べ上げてみたい、それを今後の開発のときの、一つの大きな判断する資料にしたいと考えておるのです。そうでないと、そういうものがないと、一々問題が起こってきたときの政治的判断みたいなものにまかされていますから、そういう点でこれをぜひともつくり上げたい。そうすれば、一つの科学的といいますか、いまのような状態でいろいろ判断するよりも、もう少し裏づけがある判断になりますから、そういうことを考えておるのです。
○中島委員 自然環境保全法の第二条には「基本理念」というのが載っております。「自然環境の保全は、自然環境が人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、広く国民がその恵沢を享受するとともに、将来の国民に自然環境を継承することができるよう適正に行なわれなければならない。」こういうふうに述べております。 また第四条には「国の責務」が述べられておりますが、「国は、自然環境を適正に保全するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」 さらに自然公園法の第一条の「目的」ですが、「この法律は、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、もって国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする。」 さらに第二条の二で「国等の責務」「国、地方公共団体、事業者及び自然公園の利用者は、」すぐれた自然環境が現代及び次代における国民の健康で文化的な生活の享受のために欠くことのできないものであることを認識し、「すぐれた自然の風景地の保護とその適正な利用が図られるように、それぞれの立場において努めなければならない。」こういうふうに述べられております。 さて、東京都の奥多摩町に天祖山という山があります。ここは秩父多摩国立公園であります。この天祖山を中心とする日原川上流域、この地域はどういうところかといいますと、原生林が非常に繁茂しておる幽寂な地域であります。特別天然記念物であるニホンカモシカも三十頭ぐらいいるといわれている。それから、天然記念物のニホンザル、これも八十頭もいるというふうにいわれております。そのほか、シカやイノシシやクマなどの大型野生動物もおりますし、また、タカ、キジ、ワシ、トビなどの野鳥もおりますし、チチブヤナギなど百三十一科六百八十一種の植物がはえておりまして、学術的にもたいへん貴重な地域だとされているわけであります。また同時に、自然を求める都民や首都圏の人たちにとりましては、かけがえのない自然環境として広く親しまれているところであります。 ところが、この日原川の上流域に奥多摩工業によって石灰石の採掘が行なわれ、このために非常に美しい自然が破壊されている。 ところがさらに、いま、日原川上流域の核心部である天祖山が大規模に採掘をされようとしているわけであります。日原の孫惣谷付近八十七万六千百八十三平方メートルを、石灰石採掘のために、これは昭和四十六年三月でありますけれども、土地の借用の申請がなされているわけであります。土地は都有地なんです。この地域は本来自然公園法の特別地域、つまり鉱物の採掘等に強い規制を受ける。そういう特別地域であるわけなんですが、地下資源開発上特に重要であるという理由で、厚生省と通産省との間で協議の結果、昭和三十年二月二十八日付をもって特別地域除外が決定された。つまり、都道府県知事へ届け出れば鉱物または土砂を採掘できる普通地域というふうにされたわけであります。 私は、こういうことをしていけば、結局自然公園法あるいは自然環境保全法が幾らりっぱなことをうたっても実際上有名無実になってしまうというふうに思うのです。この点では非常に無力じゃないかというように思うのですね。どういうふうにお考えになりますか。
○首尾木政府委員 ただいま先生の御指摘になりました点でございますが、事実関係につきまして、ちょっと私のほうから申し上げますと、その地区につきましては東京都の都有地でありまして、水道局の所管でございまして、貸し付け申請面積が八十七・六一八三ヘクタールでございまして、八十七万ではございません。それから貸し付け面積は二十六・〇五六ヘクタールということでございます。これは御指摘によりますと、本来特別地域であるところを昭和三十年に除外した、こういうふうなお話でございますが、事実関係はそうでございませんで、最初ここに鉱業権がございます関係から、特別地域についての協議が整いませんで、普通地域になっておるということでございまして、あとから除外したというものではございません。しかし、この全体につきましてこういう点についての鉱業権等との調整が自然公園法等におきまして非常にむずかしい問題であるということは御指摘のとおりでございます。
○中島委員 いま答弁がありましたが、天祖山には一億トンにのぼる鉱床があるといわれているわけであります。そこで奥多摩工業が東京都に対して地代さえ払えば、ただで石灰石を掘り出してもうけることができるわけであります。これはなぜかといえば、言うまでもありませんが、いまも話がありましたが、鉱業権が設定されているからであります。都民の共有の財産を守ることと、企業の鉱業権を守ることと、一体どちらが大事なのか、どう考えられるか。この点について、最初環境庁のほうに伺いましょうか。
○首尾木政府委員 たびたび私申し上げておりますが、わが国の国立公園、国定公園、そういったような自然公園はいわゆる地域制の公園でございまして、地域制の公園にしませんと十分な広さというものがとれないということが一方においてあるわけでございまして、地域制をかけまして行為制限という形で各種の開発行為を規制をいたしておるということでございます。したがいまして、すべての行為を禁止するということは現実的でないわけでございまして、したがいまして、十分自然の保護ということをはかりながら、場合によっては許可をするというようなことを行なっておるということでございます。したがいまして、一律にどうかということにつきましては、これはそれぞれの地域についての重要性ということから考えまして判断すべき問題であると思いますが、私どもももちろん自然公園を保全し、自然環境を保全する立場に立っておりますので、そういう面からこの法律につきましてはそういう立場に立ちましてこの法律を執行をいたしておるところでございます。特に一会社のためにこういったようなものが荒らされるというようなことにつきましては、これは私どもそういうことは好ましくないというふうに考えておるところでございます。
○中島委員 長官、現実問題としていま答弁がありましたのですけれども、実際には鉱業権が設定されている、あるいは開発がされているということで、どうもやはり法律がありましても、現実的には、いまの場合で言いますと、都民の共有財産と申しましょうか、そういうものが失われるというのは現実の姿なんですね。私は、これは原則的な立場から言えば、やはり都民の共有財産を守る、国民の共有財産を守っていくということが優先するのでなければいけないと思うのですね。現実にはそうだと思うのです。ところが実際にはそうなっていないという、まさにここに一番大きな問題があると思うのです。この辺の問題、長官どういうふうに考えられますか。
○三木国務大臣 原則的に見れば中島委員の言うように、やはり公共の一つの用に供するということが優先すべきでしょう。ただしかし個々のケースになってくると、たとえば自然公園に指定をされても、その前に鉱業権がある、先に鉱業権があって指定を受けたというような場合に、その鉱業権という財産と自然公園に指定されたその地域の性格との間はやはり個々の場合にこれを処理していくよりほかにない。原則的には言われるとおりだと思う。しかし一がいにそれですべてというわけにもいかない。なぜかといえばやはり先に持っておる。私どもは一つの財産権というものを尊重する立場に政府は立っておるわけでございますから、中島委員と見解が違う点があるのかもしれませんけれども、そういう点でやはり個々のケースで解決をしていくというよりほかにないと思います。
○中島委員 いまのケースの場合でも、私はなるほど非常にむずかしい問題をはらんでいると思うのです。それはなぜかといいますと、奥多摩工業の石灰石の採掘に、奥多摩町の二百世帯七百六十人の人たちが依存して生活をしているという実態があるわけです。これは日原地区だけに限っていえば、居住者の八割がこの奥多摩工業に依存をして生活をしているということなんです。このために町のほうは東京都に対しては、一日も早く許可をすべきである、こういう圧力をどんどんかけている。しかし先ほど申し上げましたように、この地域というのは実際はどうかということになりますと、もう東京都では最後の、ただ一つといってもいいでしょう、残された原生林地帯なんですね。実際はそうなんですよ。それでこれは非常にむずかしいと申しますのは、これを自然を求める都民の奥庭として、たとえば健全な観光事業を開発をするというような場合には、その基盤が十分あると考えてもいいと思うのです。それで実際にはこの奥多摩町は過疎化しつつあるわけであります。私はほんとうに自然を守っていくということを考えますと、こういう過疎化の問題を正しく解決していくのでなければ、やはり自然破壊を防ぐことはできないという、非常に大きな問題に突き当たっていると思うのです。私は何も原則論を展開して——原則ははっきりさしておかなければいかぬと思うのです。自然を守っていくそのためには開発を防ぐというこの原則はきわめてはっきりさせておく必要があると思うのです。しかし原則だけ振りかざしておればこの問題は解決つくのかということになると、現実はそのようにたやすいものではない。やはりそれは過疎化を防がなければならないというような、そういう問題と密接不可分にからまっているというふうに私は思うのです。そういう点では、自然保護法であるとか、自然公園法というのがどんなにりっぱなことをいいましても、やはりへたしているとうたい文句に終わってしまうというふうに思うのですね。 そこで、重ねて長官、私は、こういう問題の場合には、やはり公害がない、そしてまた住民が安心して働けるような民主的な開発というものをこの地域に興していくというようなことが、実はこの自然をきっちり守っていくことができるようにさせるのではないかと考えるのですね。この点、長官の考え方をお尋ねしたいと思います。
○三木国務大臣 自然公園法、自然環境保全法にも地域住民の生活、地場産業の擁護といいますか、そういう規定もあります。だから立法の精神もそういうものとの調整を求めてあるのですね。だから、いま言われたように原生林として非常に貴重なものである、それは一つの大きな価値だと思います。一方、石灰石というものは、いずれセメントの材料にするわけでしょうから、それもまた、それは要らぬものだとは言えぬのですね。今後国民の求めておるいろいろな開発をやる場合においてもセメントというものは必要になってまいる。両方とも必要な価値を持っておるわけですから、それをどのように判断するかということは、やはり個々の場合のその価値というものを比較対照して判断するということと、もう一つは、そこが直ちに規制の——これがどういう経緯のもとにあったかということも無視できないのですね。だから、中島委員の言われることは私はよくわかるのですよ。しかし現実の問題とすれば原則論だけで割り切れない問題を含んでいる。そういう石灰石のような場合は、ほかにもこれを開発している地域があるでしょう。しかし原生林とか、ものによればほかでは求められない、かえられないような場合もありますからね。だから今後は、自然環境の保全ということを相当意識しながら判断をすることは必要ですけれども、しかし過去のいろいろな経緯もありますから、中島委員の言われるような原則論だけで割り切って処理することは現実的ではない、こういうふうに思うのであります。
○中島委員 やはり自然は守っていかなければならない。特にいま私が申し上げたのは、東京都の中でも数少ない、もう最後と申していいでしょう、そういうところであるわけですね。やはりそれを守るという立場に立って、その上でどのようにして守っていくか——生活がどうなってもいい、片一方で依存している、そういうことを私は申し上げようというのじゃないのです。そうじゃなくて、むしろ守っていくという上に立って自然を保全するということを優先させ、その上でどう解決していったらいいのかというふうに問題は立てられるべきではないだろうかというように私は思うのです。
○首尾木政府委員 御指摘のございました点が、現在、自然公園法あるいは自然環境保全法を運用していく上におきまして非常に大きな問題だろう、根本的な問題だろうというふうに考えております。で、そういったような過疎地域の問題につきましては、私どもは、御意見のように残された自然環境というものは非常に貴重なものでございますから、それをできるだけ守っていこうという基本的な姿勢をもって進めてまいりたい、かように考えております。従来そういったような事情をあまり安易に考えまして、そういうような点で開発につきましても、悪いことばで言えばいわばこれと妥協したといったような面がなかったということはないと考えております。 ただ、過疎地域の問題というのはこれまた非常にむずかしい問題でございまして、ただいま先生が御指摘になりましたが、そういう破壊のない形での開発というものを考えたらどうか、たとえばそういうところをレクリエーションのための開発といったようなことをやったらどうか、こういうような御意見も多々あるところでございます。私どもも、そういうふうなことが適当な地域につきましてはそういうことも一つの方法だろうというふうに考えておりますが、しかしそれが度を過ぎますと観光開発ということで、今度は地域の所得に結びつけて考えてまいりますと、それがまた非常に過度な観光乱開発になるおそれがある。そういうことでございますから、やはりそれは基本的にはその地域住民の選択の問題ということが非常に重要な問題だろうというふうに考えておるわけでございまして、こういう点は、ものごとを処理するにあたりまして地域住民の考え方というものを十分尊重いたしまして、それを一方に考えながら、そしてその中で自然の開発、自然というものがいかに残されていくかという限度を見きわめながらそれぞれ処理をしていくということ以外になかろう、こういうふうに当面考えておるわけでございます。
○中島委員 買い上げ制度の問題について伺いたいと思うのですが、私は買い上げ制度というのは貴重な自然を守る上で非常に重要な仕事だと思うのです。しかし私が聞いている範囲では、なかなかうまくいかない、こういうことでありますが、実際にはどうなのか。そしてまた、もっと具体的に言えば何件交渉されて、金額の上においてもどれだけまとまったのか。そしてまた、おもな問題点は一体どこにあるのかということについて伺いたいと思うのです。
○首尾木政府委員 この買い上げ制度を始めましたのは四十七年度でございます。ところが、この委員会でもすでに何回か御説明を申し上げましたが、四十七年におきましてはそれが十分に行なわれず、総額として予定をいたしておりました六十億の起債のワクを一億程度しか消化できなかったわけでございます。 この具体的な件数といたしましては、最初は十数件を候補地といたしましたが、それぞれ折衝の段階で実行がむずかしいといったようなものも出まして、買い上げましたものは熊本と東京の二カ所でございますが、それ以外に昨年度兵庫県、奈良県、鳥取県等につきまして約千百六十ヘクタールぐらいのものを一応対象にいたしまして、最終的にこれを詰めてまいったわけでございます。 しかしこれらにつきまして一番問題となりましたのは、やはり昨年は最初のことでもございましたし、土地の値上がりというもの、また売るほうの側もさらに値上がりを期待しておるというようなことでございますとか、さらにその土地の上にあります、山林の上にあります立木の木材価格が非常に高騰したというような問題が加わりまして、これについての買うほうの側との価格がかなり開きまして、これについて話し合いが成立をしなかったということでございます。 これは先ほど言いましたが、一つは四十七年に初めて実施をしました点で、価格問題ということにつきまして、これは県で買い上げまして、それに対して国が十分の十ないし十分の八の補助金を出すわけでございますが、県のほうで、公正な価格ということにつきまして十分なれておらないというふうな点もございまして、この点での弾力性というものが十分でなかったというようなことも一つの原因だというふうに考えておりますので、先ほども長官からお話がございましたけれども、それらの点をよく反省をいたしまして、今年度はこの問題についてできるだけワク一ぱいのものを消化しようというふうに考えておるわけでございます。現在ことしにおきまして、すでに対象地域について早い時期からそれぞれ調査あるいは交渉を開始をいたしておるところでございます。
○中島委員 これは、いまもお話にありました中に、大台ケ原の交渉の問題も含まれていると思うのですが、これは私は新聞報道で見た限りですのでちょっと確かめておきたいと思うのですけれども、一昨年の夏本州製紙が買い上げてほしいというふうに申し入れてきたときには言い値で十一億円だった、ところがことしは二十五億円以上だというふうにいわれて、結局まとまらなかった、こういうことが報道されているわけです。これは事実ですか。
○首尾木政府委員 一昨年の段階におきましてはいまだそういう制度はできておらなかったわけでございまして、その当時に言い値で十一億円というその価格につきましては、これは確実にそういうことで売るというようなお話があったというわけではございませんで、大体その辺の価格かといったようなことについて、これははっきりそういうふうに言ったという証拠とかそういうものはないわけでございますけれども、いろいろお話をしている段階でそういったような金額が話されたことはある、こういうようなことでございます。 なお価格問題でございますけれども、これは昨年、四十七年度の経過を申し上げますと、特に価格の問題につきましては、この制度の最初の発足の時期でございますので、最初から適正の価格でこれを買っていくということでなければ、かえってこういうような土地の価格の騰貴ということにこの制度が影響するというようなことがあってもいけないということで、特に価格問題につきましては厳正にやっていただきたいということを都道府県のほうに指示をいたしておりまして、そういうふうな点もあってなかなか価格が折り合わなかったという点もあろうかと考えております。しかし土地の売買でございますから、そういうふうな点についてはやはり双方で適正な価格をめぐりまして話し合いをつけて、これによって土地の買い上げを成功させるということがやはり一つの目的でございますから、そういうふうに運用してまいりたいと考えているところでございます。
○中島委員 長官にぜひ聞いておいてもらいたいと思うのですけれども、いま自然保護局長からの答弁で、問題点がどこにあるかということでありますが、これはもう答弁があったように、やはり木材の値上がりとかそれから土地の値上がりとかいうようなことですね。開発期待といいますかあるいは何といいましょうか、そういうことですね。これが一つの大きな問題点になって事が進行しないということは明らかなことだと思うのです。もっとことばをはっきり言えば、列島改造論を発表した、それでどんどんいろいろな土地の値上がりが行なわれる、あるいはまた大商社の買占めによって木材の値上がりがやられていく。私はそういう点では、こういう問題でもやはり大商社であるとか大企業の横暴、あるいは現在の田中内閣がとっておられる政策そのものがやはりこういう土地の高騰をもたらしてくるという、まさにそのことによって自然を守ることがまたできないという、こういう関係になってくる。ここのところはやっぱり相当な反省をぜひする必要があるのじゃないか。自然環境はほんとうに守る、買い上げ制度をほんとうに活用していくということの隘路をぶち破るためには、このことが必要だということをやはり申し上げたいと思うのですね。これは答弁をいただこうというわけではありません。 同時にもう一つこの問題に関して伺っておきたいのですが、国立公園がいま対象にされておられるでしょう、買い上げの問題は。これをもっと広く活用して国定公園というようなところまで広げる意思を持っていらっしゃるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
○首尾木政府委員 国立公園の場合は環境庁において、国が直接にこれの管理をやっておるところでございまして、その重要地域についてまずこのような制度を発足をさせたわけでございまして、これについては国は十分の十ないし十分の八の補助金を出すというような形でやっておるわけでございます。 国定公園につきましても、これはそういったような重要地域について土地を公有化するということは望ましいわけでございまして、これはそういう意味において今後検討されるべき問題であろうと思いますが、その際にやはりこれは国の財政的な問題もございますし、全体としてそれをどうするかという問題につきましては、今後十分検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
○中島委員 長官いかがですか。検討というふうに局長は言っておられますが、やはり大いにこれは広げていこうじゃないですか。どうですか。
○三木国務大臣 国立公園でことしは六十億で一億円しか使えない、こういう状態ですから、国立公園の中で、できればやはり買い上げの必要度の多いところがあると思いますから、いままず最初に国立公園という中で、どうしてもこれは買い上げたほうがいいというようなところを手がけて、将来は広げたらいいと思いますよ。だけれども、国立公園の中でも六十億で一億しか使っていないというような状態ですから、あまり広げるばかりが能でないので、やはり国立公園の中でひとつこの資金を活用して、なかなか土地の買い上げというのは役人の手ではむずかしいところがありますね。そうだけれども、ずいぶん今年度の経験というものがあるわけですから、こういうところは考えなければいかぬといういろいろな反省といいますかそういうものがあったでしょうから、国立公園でひとつやってみる。予算を全部使えるぐらいの、それだけの能力を発揮しなければ、せっかくこんな予算を持ってもったいない、こう考えておる次第でございます。
○中島委員 別の問題ですが、過日私は富士スバルラインを通ったことがあります。確かにこれはおそるべきことに、スバルラインの両側の立ち木はちょうど白骨のように立ち枯れているわけですね。実に無ざんな荒涼たるながめというふうに申して差しつかえないと思うのです。これは自然破壊もきわまれりというところでありまして、音には聞いておりましたが、私も実際に見て驚きました。驚いたというよりは、むしろ怒りを感じたと申し上げたほうが私の気持ちにぴったりであります。自然公園法があって、富士スバルラインが許された。これは一体どういうことなのか、一体なぜなのか。ずいぶん論じ尽くされてきた問題のようですけれども、やっぱり私はこれはひっかかります。
○首尾木政府委員 自然公園におきまして、これはわが国自然公園法ができまして今日まで、その自然公園法の体系のもとで自然を保護しながら自然の利用をはかるということで、促進をするということでこの法律を運用をしてまいったわけでございますが、理想的な形におきまして、やはり多くの人に自然に接してもらうというような考え方から、一時期におきましてこういう公園のかなりの奥地までそういう道路を通じまして、それによって接近をしやすくしていくような考え方がとられた時代というものがあるわけでございます。公園計画の上におきまして、まあ当時の事情から考えますと、今日のように非常に何と申しますか、車のラッシュといいますか、そういったようなことが必ずしも予想されなかった時期において、公園計画等において、そういうアクセスのための道路あるいは通過観光というような形での道路というものが企画された時代があったわけでございます。そういうことで、この高速道路といいますか、スカイラインといいますか、そういうようなものがいろいろできてまいったわけでございまして、スバルラインがそれの一つの代表的な例として考えられるわけでございます。私どもやはり、そういうようなことにつきましては今日非常に反省をいたしておるわけでございまして、最近におきましては、特にそういったような亜高山地帯以上の地域にそういう大きな道路をつくりますと、場所によりましてはそういう非常に大きな自然破壊というものを導くことになりますので、そういう点については今日最近の段階においては、そういったような道路というものについては非常にきびしい態度で臨んでおるところでございます。
○中島委員 ところが、いま利用ということ、また自然への接近ということ、そういうことのお話があったのですが、私も登っていってみたのですよ。そうしますと、一番上の五合目ですか、あそこへ着きますと実に騒々しいことおびただしいのですよ。これは自然に接しに行ったんじゃないのですね。どなたもあれでは自然に接しないですよ、実に騒々しいのですから。やっていることは何か、県と富士急と富士観光のいろんなあれでしょう。しかも一生懸命呼び込みをやっているのですよ。神社に呼び込んでいるのです。そうして、呼び込んで、早く入りなさい、ごりやくがありますからねと、でっかいスピーカーでわあわあ言っているのですね。こんな自然の利用のしかたでは、自然への接近ということはまるきりないと言っても私は差しつかえないと思うのです。そこまで行くところの道路の両側は、先ほど申し上げたとおりもう立ち木は全部立ち枯れて、むざんなもですよ。上がっていってみたところが、自然に接近したのではなくて、銀座のまん中よりももっと騒々しいような、そういうところに接近するわけです。これは一体どういうことであるかということでありますが、私はこれはもう二、三合目あたりでストップする、そして道路をやめてしまう。あとは歩けというのです。歩けばいいのです。それくらいやらなければ、自然を利用できるどころではなくて、破壊もいいところですよ。論じ尽くされている問題かもしれませんけれども、言われているだけなんですね。思い切ってそのくらいの措置をあそこにとられたらいかがですか。どうでしょう。
○首尾木政府委員 国立公園全体の今日の利用のしかたにつきまして、やはり、御指摘がございましたように、場所によりまして非常に俗悪な観光といいますか、俗悪な利用のされ方というものがありますことは、私どもも、本来の自然公園のあり方としてはやはり好ましくないというふうに考えておるところでございます。 具体的に、それではスバルラインを直ちにストップするか、こう言われますと、いろいろ関連する問題も出てまいりますので、今後そういったようなことについてはいろいろな角度から検討をいたしていかなければならないと考えておりますが、全体としまして、私ども今後、国立公園内の利用ということにつきましては、もう少しやはり、本来の自然公園としての利用のしかたというものを全体として進めていきたいということを考えておるわけでございまして、それぞれの地域につきまして具体的にどうするかということを現地においても検討させ、また私どものほうとしましても、具体的にやはり考えていくということで措置をしてまいりたいというふうに存じております。
○中島委員 富士スバルラインはまさに自然破壊の典型である。そして同時に、自然をほんとうに守っていこうというのであれば、やはり思い切った措置をやってみて、あんなんではだめだ、これはもうストップというくらいのことをやりますと、私はほかの自然を守る上においても大いに効果的なんじゃないかと思うのですよ。それくらいの思い切った措置をとらなかったら、結局いろいろ何だ、かんだ言っては押し切られたり何かしていってしまう。もうこの辺で腹をきめてそのくらいのことをやってのける、断固としてこれからは自然を守っていくのだというくらいのことをおやりになりませんか。
○首尾木政府委員 環境庁が発足をいたしました際に、例の尾瀬の道路の問題がございまして、これはすでに尾瀬については計画がございましたが、そこはまだ道はついておらなかったわけでございますけれども、すでにその計画がありましたものを、尾瀬については道路をストップさしたというようなことまであるわけでございます。これは非常に異例な措置といたしまして、今後そういうふうな道路の問題については非常に厳正な態度で臨むということの姿勢を示したものでございまして、その後道路問題につきましてはいろいろ具体的にやはり検討をいたし、厳正な態度でやってきております。 ただ、いまスバルラインの問題につきまして具体的な御提案でございます、まあストップしたらどうだというような具体的な御指示でございますので、もしそういうふうなことをやればまたいろいろほかに、どういうことをやらなければいけないのかというようなこともいろいろ考えてまいりませんと、なかなかそういう、ただそれだけで事が済むということにもまいりませんので、そういう問題につきましては、少し時間をかしていただきまして、今後検討させていただきたい、かように考えております。
○中島委員 自然公園法の十七条の三項ですね、特別地域の中にこの三項の一号から九号までのものを設けるという場合には許可を受けなければならない、国立公園にあっては環境庁長官、国定公園にあっては都道府県知事の許可、こうなっております。この許可という場合に、許可の基準というものはきまっておるものですか、どうでしょう。
○首尾木政府委員 許可の基準としまして、きわめて具体的な基準というものは現在のところまだできておらないという現状でございます。ただし、特別地域に第一種地域、第二種地域、第三種地域といったような保護の区分を設けまして、それに基づいて、たとえば第一種地域については、非常にほとんど、伐採について考えてみますと、これは禁伐ないし択伐、ごく少ない択伐というようなものしか許さないとか、そういったような木の伐採の基準でございますとか、あるいはまた、先ほどから問題になっておりましたような宅地造成といったようなものにつきまして、あるいはまた、今後の問題といたしまして、道路等につきましても、早急にやはり基準というものをつくりたいというふうに考えておるわけでございまして、個々の具体的な行為につきましても、できればやはり基準というものをつくっていくことが望ましいわけでございますので、それを鋭意努力したいと考えておるところでございます。 ただ、国立公園の自然公園の場合には、これはどうしてもやはり具体的な場所につきまして、いわゆる自然環境の保護と同時に、その一部でもございますが、景観とかあるいは風致といいますか、そういう問題もございまして、具体的な判断を要するというような問題はやはり依然として残るわけでございます。しかし、全体としてやはり基準というものをより具体化していくという方向で今後鋭意検討したいと考えておるところでございます。
○中島委員 基準をつくられるというのですが、いつごろまでにつくられるというようなめどを持っていらっしゃるのですか。
○首尾木政府委員 これは一斉に全部の行為につきまして、それをとめおいて、つくるといったような問題でございませんので、現にすでに道路の基準等につきましては、これは新しくできました自然環境保全審議会等にもおはかりをいたしまして、こういう問題は早急につくってまいりたい。それから、土石の採取あるいはその他の問題につきましても、これは今後できるだけ早くそういう基準というものを確立していきたいというふうに考えております。
○中島委員 私は過日、これまた第三水俣病の発生に伴って、ちょうどそのとき大分に行っていたものですから、大分から熊本のほうに党の調査団の一員として加わるために、豊肥線に乗って熊本に向かったわけです。ところが、阿蘇の外輪山ですが、実にみごとなものでありまして、私のような自然に親しむ機会を奪われている者にとっては、天下の絶景のように思えたのです。ところが、非常に残念なことに、この外輪山からの出口のほうですけれども、二カ所ばかり実に無残にこれまた山が削り取られておるわけです。非常に私はもうがっかりしちゃった、あの様子を見て。一体あれは何の地域になっておりますか。
○首尾木政府委員 先生御指摘の場所は、現在普通地域になっております。
○中島委員 今度の自然公園法の改正によってこれは規制できますか。
○首尾木政府委員 いわゆる既着手の範囲に属するものにつきましては、これは規制ができませんが、そういう既着手をこえて新しくやるというものにつきましては、規制の対象に入ります。
○中島委員 この点でも無力なんですね。そういう意味では、確かに改正をしてもこれは防ぐことはできないという点では、これはちょっと別の問題ですけれども、自然公園法の無力さというものをこれは示しているのじゃないかと私は思うのです。 それから、この問題に関連して先ほどからも議論があったようですが、三十日間の着手制限期間ですね、これで、いままではこの着手制限期間はなかったわけですから、一体どんなふうにやっておられたのか。そうしてまた、あわせてお尋ねしますが、着手制限期間三十日間を設ければこれで十分だというふうに考えていらっしゃるのか。三つ目は、もっといえば、やはりこれは思い切って許可制にされたほうがいいのではないか、私はそう思うのですけれども、以上三点についてお尋ねしたいと思います。
○首尾木政府委員 三十日の期間でございますが、これは、私ども三十日の期間を着手制限とする法律改正を通していただければ、この三十日間に重要な問題につきましてこれを十分審査して、押えるべきものは押えるということをやりたいと考えております。 従来これについてどうやっておったか、こういうふうなお尋ねでございますが、従来は実は法律上届け出の規定がございますけれども、これについては、届け出と同時に、これは着工制限がございませんので、着工をされておったというような現実でございまして、こういう届け出すればすぐ着工していいというようなことになっておりますために、現地に行ってみればもうすでに着工されているということで、これについて、その行為を排除するということが事実上の問題として非常にむずかしいというような実態もございまして、いわば届け出地域、それに対する届け出した行為についてのいろいろな措置命令とかそういうものが非常にルーズなといいますか、十分機能を果たしておられなかったというのが現実であったわけでございます。 第三点の許可行為にしたらどうかというお尋ねでございますけれども、これは自然公園の中に許可地域と届け出の地域というものを設けましたのは、やはりわが国の公園を相当規模の広さにとりたいということ、そうしてそれがわが国の現実では地域性の公園という形でやらざるを得ないというふうなこともございまして、やはり特別地域はこれは原則禁止地域というふうに観念いたし、普通地域はこれは原則禁止ではないが、自然破壊が著しい場合にはこれを押えていくというような地域として観念をいたしておりますので、やはり原則といたしまして、ここについては現在の段階では届け出地域にしておくことが妥当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○中島委員 三十日間で十分調べて、それで規制できるのですか。
○首尾木政府委員 今度改正によりまして、届け出地域につきましても十分そういったような行為について規制がされるということを一般に私どもそれを周知徹底をさせたいと思っております。いままでの届け出地域というのは、何かそういう届け出地域についての規制というものはそれほど十分に行なわれないのだというような誤った認識というものがあったのではないかというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、施工者のほうもこれについては十分慎重になると思いますし、私どもは一カ月の期間において、ぜひこの重要な問題につきましては、これを把握をして、これについての厳重な規制というものが行なわれるように管理体制も充実をし、対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○中島委員 いま最後に管理体制の強化ということも言われましたけれども、もうきょうは時間もあれですから終わりますけれども、管理体制もほんとうにみすぼらしいのですね。あえてここで質問もいたしませんが、もっとその体制も強化をするということをやりませんと、何をきめたってさっぱり現実は防げないという結果になると思うのですね。その点では、たった六十人やそこらぐらいの人数で実際には何ができるかというような問題もあるわけですよ。ですから、こういう体制についてはぜひひとつ強化してもらいたいと思いますし、それからまた、いまの三十日という問題につきましても、いま答弁いただきましたが、これではたしてほんとうにできるのか、むしろ、私にしてみれば、この際思い切って強化しようというふうに話を持っていったほうがいいのではないかということを考えます。そういうことを申し上げて、きょうは質問を終わりたいと思います。
○佐野委員長 一応委員長から自然保護局長に資料の要求をしておきたいと思いますけれども、けさ方、阿部委員それから島本委員、そしてまたいま中島委員から出た中で、特別地域の中に第一種、第二種、第三種、こういう地域——地区じゃなくて地域を設けておられる、これは法定じゃなくて、行政あるいはまた通達によってやっておられる、非常に理解しにくい点が質疑の中で感じられたので、一体どういう意味で——第一種、第二種、第三種、この種類の内容ですね、このことを資料として出していただきたいと思います。でなかったら、起債の場合、買い上げの場合でも第一種ならいい、第二種、第三種はだめだというような、これも行政通達なんですけれども、中身はほとんど理解されてないのではないかということをちょっと感じましたので、資料として内容を提出していただきたいと思います。——わかりましたね。 次回は、明二十七日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四分散会