公害対策並びに環境保全特別委員会 第22号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/06/01
会議録
○佐野委員長 これより会議を開きます。 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
○林(義)委員 本日は延長国会になりまして最初の当委員会の開催であります。私は、延長国会になりましてからがたがた問題がありましたけれども、できるだけ早くこの委員会を開くべきであったろう、こう思うのであります。いろいろと問題がたくさん出てきている。特にこの間におきまして一番大きな問題になっておりますのは、いわゆる第三水俣病といわれる問題であります。有明海におきまして水俣病と同じような症状を呈する病気の方々がおられるというふうな報告がありましたが、これにつきましては政府も調査団を派遣されたし、またその後いろいろな対策を進めておられるように聞いておりますが、私はこの際、この点につきまして質問をいたしたいと思います。 まず第一に委員長にお願いをしたいのですが、今回出ました武内さんを中心とするところの報告書であります。「十年後の水俣病に関する疫学的、臨床医学的ならびに病理学的研究」というのがありますが、この調査報告は非常に重大な調査報告でありますので、当委員会に政府のほうで配付をしていただきたい。それから同時に調査報告書、これは熊本大学医学部の十年後の水俣病研究班から熊本県知事に出されたのだと思いますが、当委員会におきましても配付していただくと同時に、議事録に残すか何かという形をとっていただきたい、これはひとつ理事会で御検討いただきたいと思います。
○佐野委員長 ただいまの林委員の申し出の件、後刻理事会において検討したいと思います。
○林(義)委員 で、この問題の展開するにあたりまして、私は第一に、そもそも一体水俣病というのはどういう病気なのかということであります。そもそも水俣病というのはどういう病気であるか。水俣病、水俣病と言いますけれども、水俣にある病気が水俣病ではないのであります。有機水銀の中毒症によってできたものでありますから、これは一体どういうふうな症状を呈して、またどういうふうな原因で出てきたというのが水俣病なのか、この辺について医学的な見解と、もう一つは行的政な取り扱いの見解と私は二つあると思いますが、この二つについて明確な説明をいただきたい。
○山本説明員 お答えさせていただきます。 水俣病の問題でございますが、水俣病の原因物質は有機水銀でございまして、そのメチル水銀化合物の排出によって魚介類が汚染され、その魚介類を地域住民が長期、大量に摂取したということによって発症されたもの、こういうぐあいにされておりまして、水俣病の典型的な症状といたしまして、いわゆるハンター・ラッセル症候群と呼ばれるものでございまして、求心性の視野狭窄、運動失調、たとえば言語障害であるとか歩行障害及び難聴というような知覚障害、こういったものが主要症状、こういったぐあいにされているわけであります。そういったような判断で水俣病というものがいままで診断されているわけでございます。
○林(義)委員 病状の判断ということになりますと、ハンター・ラッセル障害というようなお話がありました。私は、そういった症状といったものは、有機水銀中毒症以外にも別に考えられる問題があるのではないか、こう思いますが、この辺につきましてどういうふうに考えているか。有機水銀が必ず入っているから出てくる。そのものであったならばほかの症状は起こらないというのか。しかも有機水銀の摂取によって起こるのかという問題、この問題についてお答えをいただきたいと思います。
○山本説明員 私も特に専門でございませんが、いままで知っておりますところによりまと、また今回の報告書によりましても、水俣病の特徴である視野狭窄という症状を起こさせる化学的な物質につきましては三十種類以上あるということもいわれておりますし、また知覚障害、こういったものを起こす物質については枚挙にいとまがないということでございまして、したがいまして水俣病の診断というものは、これらの特徴的な症状の組み合わせということによって診断される、かように聞いております。
○林(義)委員 そういたしますと、私は今回の問題で非常に大きな問題になりますのは、症状が出てきている、それがすぐに有機水銀に結びつけられないというところに問題があるのだろうと思うのです。この調査報告を読みますと、「問題となったのは、有明地区で、定型的水俣病と全く区別できない患者が五人あり、一応水俣病と同様とみられるものが三人、さらに水俣病の疑いと同じようにみられるものが二人あって、保留されたものが九人ある。現在の魚類メチル水銀含有量からの発症は考えにくいが、疫学的調査から有明地区の患者を有機水銀中毒症と見うるとすれば、過去の発症と見るとしても、これは第二の、新潟水俣病に次いで、第三の水俣病ということになり、その意義は重大であるので、今後この問題は解決されねばならない。」ということであります。まさに医学的な問題の研究をこれから進めていかなければならない。ここに書いてありますのは、「見うるとすれば」とかあるいは「過去の発症と見るとしても」と、こういうふうな前提をつけておられます。こういった点につきまして医学的な解明というものをさらに進めていかなければならない、こう思いますけれども、特に症状把握の新しい方法の開発がされなければならないということをこの熊本大学の報告の中で言っております。こういった点につきましていまどういうふうな形で研究体制を進めておられるのか、この辺についてお尋ねをいたします。
○山本説明員 先生のおっしゃるとおり、この報告書の中で新しい診断方法についての示唆があるわけでございます。従来も熊本大学及び新潟大学等水俣病の専門家の間におきまして一定の診断の目安、診断方法というようなことにつきましての見解を受けまして現在の救済法の認定制度をやっているということでございますが、こういった問題の提示によりまして今後さらに診断の方法を向上するという意味での研究方法はとってまいりたい、かように考えております。
○林(義)委員 課長さんからお話がありましたように、原因物質は単に水銀にとどまらない、一説には三十もあるという話でもある。いろいろな問題がありますが、しかしながら、いろいろな症状を呈する、ハンター・ラッセル障害というようなものを呈するということになりますと、困るのは一般住民であります。やはりこれに対して徹底的な医学的な究明をしていかなければならないし、また、医学的な治療の問題についても対策を早急に立てていくことが必要だろうと思います。この辺につきましては医学界、その他のあらゆる学界を動員してやっていただくことを私は心から期待するのであります。 次は問題を移しまして、こういった報告が発表されましたから有明海の魚は食品として食ってもらっては困る、こういう話が出てきました。何か神戸や大阪のほうでは値段がめちゃくちゃに下がったというような話も聞いております。そういたしますと、困るのは漁民であります。一体有明海の魚介類というのは食品として安全なのかどうか。安全基準をつくるのは厚生省のほうだと思いますが、一体安全基準をつくるのはどういうことになっておるのか、また、いろいろと慢性毒性の実験をやっておられるというふうに話を聞いておりますが、これが早くできるのか、できないのか、その辺は一体どうやっているのかということを私は聞きたいのであります。 何か話を聞きますと動物実験をやらなければならない、人体実験をやるわけにいかないので、動物実験をやらなければならない、動物実験をやるということになりますと、サルを使ってやってもサルもなかなか食べないのだ、こういうふうな話もあります。なかなか進まないというような話まであるそうであります。やはり安全基準をつくるときには相当慎重にやっていただかなければならないことは当然でありますが、同時に暫定的な基準でも早くつくって、現実の漁民の救済というものを、住民の不安というものを解消することが必要だと思いますから、その辺一体どうなっておるのか、厚生省のほうから御説明いただきたいと思います。
○浦田政府委員 食品を介して人体に摂取される水銀の摂取許容量の考え方でございますが、今回の有明湾の問題を考えました場合に、この際二つの事柄に分けて考えたほうがよろしいかと思います。一つは食品衛生全般の問題として、いわゆる摂取許容量をどういうふうに考えていくかということでございます。これは一般公衆衛生、一般食品衛生の問題であります。もう一つはこの特殊な地区におられる、ことにおそらくは魚介類を多食する機会の多い漁民の方々を中心としたこの地区の住民の方々の健康を考えた場合に、いわゆる水俣病との関連において、どのように魚介類の摂取ということを考えてまいったらよろしいかという問題、二つに分けて考えられると思います。 第一の点につきましては、林先生が御指摘のように、現在国立衛生試験所でWHOのほうからの委託を受けまして、サルを使いましてすでに慢性毒性の試験を続行中でございます。これは世界でおそらく初めてと申してもいい実験でございまして、たとえばサルにメチル水銀を含めたえさを――えづけをするのに非常に苦心するとかいろいろな新しいむずかしい問題もあったようでございますが、現在すでに約二年間の飼育観察期間を経ております。しかしながら、少なくとも飼育期間をもう一年くらいほしい、今年度一ぱいくらいはほしいというふうに、担当の池田部長からもこのような報告を受けております。残念ながら正確な摂取許容量の作定に関しましては、いましばらく時間をいただかなくてはならないと思います。しかしながら、それまでの間どうするかという問題、特に今回の有明湾の問題に関連いたしまして、このようにゆうちょうなことがいっておられるかという問題がございます。私どもはこのような立場から、先週水銀中毒に関します専門の先生方に急遽お集まりいただきまして、その第一の問題並びに第二の問題、両方含めまして至急に何とか方針を立てることはできないかというふうにお願い申し上げております。これは環境庁のほうで全般的に魚介類の摂取等々、今回の有明湾の問題に関連いたしましての総合的な対策の中の一環として、私どもは食品衛生の立場からこの問題を進めていくということでございますが、お集まりいただきましたところ、先生方は暫定的ないわゆるガイドラインと申しますか、そういったものについて当面緊急につくる必要があるという大かたの御意見でございます。さらにまた、御参加の先生方はもう少し専門の先生方をふやして、できるだけ早い機会に暫定的なガイドラインというものを設置するという方向で、次回は六月四日の午後にお集まり願うといったような段階でございます。このガイドラインをとりあえず設定いたしまして、さらに国立衛生試験所で行なっております水銀中毒の慢性毒性の動物実験、この結果を持ちまして、私どもといたしましては水銀によるいろいろな健康障害について根本的な手を打ちたいというふうに考えております。
○林(義)委員 根本的な対策は一年以上かかると思います。暫定的な措置は六月の四日の日に開いて大体おきめになるのですか、それとももう一ぺんか二へんくらいお集まりになっておやりになるのですか。
○浦田政府委員 先週お集まり願いました方は実は熊本大学の藤木先生あるいは新潟大学の椿先生以下六名の方々でございました。その際に、さらに専門の先生方を広げて十分に議論する必要があるということでございますので、次回六月四日の開催の中身を見ないとわかりませんが、私どもとしてはできればあと二、三回くらいで一応の結論を出していただけないかというふうにお願いをしております。
○林(義)委員 私も、できるだけ早く暫定的な基準をつくって、漁民も安心して仕事ができるような形に持っていっていただきたい、これを厚生省当局にお願いをしておきます。 ところで、現実の問題として有明海のこういった報告が出ておりましてたいへんな問題になっておりますし、当委員会におきましても調査団を派遣していろいろ現地の話を聞かなければならないだろう、こう思います。 そこで、政府のほうでは熊本大医学部のこの調査のほかに、有明海の全体の環境調査を早急に行なってもらいたい、これは当然のことであります。さらに、周辺の住民についての健康調査というようなものをやってもらいたい、こう思います。それでその環境調査なり健康調査、こういったものがいまどういうふうな計画になって、どういうふうな形で手をつけておられるのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
○三木国務大臣 五月の二十二日でしたか、熊本大学の武内教授を班長とする研究の報告書が提出をされております。そして、きわめて重大な事柄でありますので、直ちに環境庁から公害の課長を派遣しまして、そのときに、関係のある厚生、通産、水産庁などの係官も同行を願って、直接武内教授から話を聞くばかりでなく、関係の四県の係官の集合を求めて、いろいろ善後策を相談をしたわけであります。 その中で、林委員御指摘のように、有明海、八代海、これは今年やる予定になっておったわけでありますが、事態は急を要しますので、今月の下旬ごろには環境調査に取りかかることにいたしております。そうして、水質とか底質とか魚介類などの調査もいたすつもりでございます。 また、健康の調査については、有明海沿岸の漁民を中心とした健康調査、これは早急にやる必要がありますので、関係四県の係官を五月三十日に東京に集合を求めて、そして、どの範囲にどういう方法でやるかということも検討いたしたわけでございます。大体熊本県とか鹿児島県等の前例等も参考にして、これもやはり早急に健康調査、広範な健康調査に着手をすることになっております。
○林(義)委員 公害対策として一番考えなければならないのは、健康の問題であります。これは、私からくどくど申し上げるまでもないことでありますが、この健康調査について早急にやっていただきたい。 ところが、いろいろとお話を聞いておりますと、健康調査をやるところのお医者さんの数がなかなか少ないという話であります。三木大臣からかあるいは厚生大臣からか、ひとつ甘木医師会に働きかけて、医師会に協力を求めて、私は、できるだけ早くこの健康調査をやっていただくということをされることはどうかと思うのでございます。この辺につきまして、各県の事情もございますでしょう、各県の医師会のいろいろな御事情もあるでしょう。しかし一番大切な問題でありますから、医師会に呼びかけて私はやるべきだと思いますが、長官のお考えをお尋ねいたします。
○三木国務大臣 林委員の言われるように、早急にやるためにはお医者さん――単に熊本大学だけでなくして、関係の四県もありますから、そこには医科大学があるわけですから、そういう地方の大学、あるいはお医者さん、必要があれば日本医師会にも協力を求めることにやぶさかではありません。まず関係の四県の大学とかお医者さんの協力を得て、迅速にこの健康調査が進められていくようにいたしたいと思います。
○林(義)委員 アセトアルデヒド製造会社であるところのチッソでこの前から問題になっておりますような大問題がある。私は、水銀をいろいろ使っているのは、単にアセトアルデヒド製造会社だけではないと思うのであります。塩化ビニールの製造工場もしかりであります。また、苛性ソーダの製造におきましても水銀を使っているということは事実であります。私は、今回のような有明海の問題を契機にいたしまして、やはり化学工業界におきまして絶対に水銀を出さない、現在の水質基準では水銀を検出されないということになっておりますが、検出されないではなくて、水銀を使わないという方向に行政指導をすべきであろう、こう思うのであります。アセトアルデヒド製造につきましてはすでに製造を中止しております。しかしながら、そのほかにおきましてはまだ使っているところもある。もちろん検出されないというような水質基準にはなっておるようでありますけれども、やはりこれからの問題として、少なくとも水銀を使わないような製法にすべきである、こう思います。 この問題につきまして私申し上げたいのですけれども、クローズドシステム方法によりまして、いま試験研究をやっている苛性ソーダをつくる場合におきまして、水銀を使わないで隔膜法をやっている。これにつきましては政府のほうも予算をつけて三年間で新しい方式を開発するという方法でやっておりますが、そういったものをできるだけ早く、私は金を使ってでもいいから早くやることが必要であるし、また苛性ソーダなんかになりますと水銀法でやったほうが値段も安い、それから品質もよろしいということであります。私は若干品質が落ちても、また少々値段が高くても、水銀を使わないという方向に政府は行政指導すべきである、こう思うのであります。予算を取ったりあるいは税制上についてもそういった新しい方式についてのいろいろな特別償却制度をつくっております。それだけではなく、ほんとうに政府が真剣になってこの問題に取り組んでいかなければならない、こう思いますが、どうお考えになりますか。
○三木国務大臣 第三水俣病の発生と言われたあの有明湾の事件の起こった日は、ちょうど閣議の日であったのであります。中曽根通産大臣に私が要請をしたことは、水銀を使用しておる工場の全国的点検をしてもらいたい。アセトアルデヒドは製造は禁止になっておるけれども、ある期間使った工場があるので、この水銀というものの管理はどういうふうになっておるか、厳重な一斉調査、点検をしてもらいたいということを要請して、直ちに通産省は全国に向かって、その水銀を使用する工場の点検を行なったようでありますので、齋藤化学工業局長も来ておりますから、その模様は化学工業局長から説明をしてもらいたいと思います。 また工場工程において水銀を使用しないような一つのクローズドシステム等の研究、これはやはり当然、これだけの被害を水銀は与えるわけでありますから、そういう研究開発という、これも進めていかなければならぬ課題であると思う次第でございます。われわれとしてもそういう方向に、いろいろな点で企業自体もそういう方向に向かって技術開発を促進するような、そういうことを促進を奨励するような立場を、政府は施策の上においてもとりたいと考えております。
○齋藤(太)政府委員 今回の問題の重要性にかんがみまして、アセチレン法によりまして過去にアセトアルデヒドを製造しておりました七社八工場につきまして、直ちに現地に通産省の担当官を派遣をいたしまして、これは工場は、生産は昭和四十年ころにやめておりますけれども、過去の水銀廃棄物、水銀を処理しました廃棄物の堆積状況、保管状況につきまして、今月の上旬中に現地調査を終わりたいというふうに考えております。 それから同時に、同様の似たような製法でアセチレン法によります塩化ビニールモノマーを過去に製造しておりました十五社十九工場につきましても、同様の調査をいたします。 またこの塩化ビニールにつきましては、このうち四社四工場は現在も塩化第二水銀を使いまして触媒といたしまして製造を続けておりますけれども、もちろんこれの排水処理につきましては完ぺきを期しておりまして、法律が要求しております排水基準の水銀を検出せずという条件を満たして操業が行なわれておりますが、できればこの触媒を水銀を使わない触媒に転換させたいと考えまして現在研究開発中でございます。 それから現在一番水銀を年間で使っておりますのは苛性ソーダ工場の電解工場でありますけれども、これにつきましても過去の水銀廃棄物の保管状況等につきまして、同じく今月の上旬中に三十六社四十九工場につきまして現地調査をいたすことにいたしております。この苛性ソーダの水銀法によります製法を水銀を使わない隔膜法に転換する問題でございますけれども、通産省としましては産業構造審議会のソーダ工業分科会におきまして今年二月に、今後は原則として苛性ソーダ製造のための設備の新増設につきましては水銀法は新増設はやらない、今後の新増設はすべて隔膜法で行なう、こういうことの答申を受けまして、今後の増設あるいは新設はすべて隔膜法で行なう、こういう方向で現在業界のほうを指導をいたしておるところでございます。現在の設備は九五%が水銀法でございまして五%が隔膜法でございます。なぜわが国でこういうふうに水銀法が発展をいたしまして隔膜法の設備があまり使われておらないかという点でございますけれども、一つは隔膜法のほうがコストが高いという問題がございます。それからもう一つは、隔膜法のほうは塩分が製品の中に入ってまいりますために水銀法の製品に比べまして品質がやや劣るという面もございまして、特に塩分をきらいます化繊工業界におきましては水銀法による電解ソーダでなければ原料として使えない、こういうような面もございまして、いままで隔膜法があまり使われておらなかったのでございますけれども、水銀法がこういうふうな問題になりまして、極力水銀を使わないほうが望ましいということでございますので、コストが少々割り高でございましても、また品質の劣化の問題につきましては需要業界の了解を得まして、なるべく早く隔膜法に転換を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。 なお、水銀法の設備につきましては、現在排水は水質汚濁防止法によりまして水銀は検出せずという規制がかかっておりまして、現実にその違反はないように承知をいたしておりますが、なお工程内におきます気化の問題等につきましても完全密閉化の方向に向かいまして、設備の改善指導を進めてまいりたい、かように考えております。
○林(義)委員 設備の完全密閉化という形でやるのは当然であります。と同時に、やはり企業でありますからどうしても利益を追求する、需要家にとっていいものであるならば、また安いものであるならば、それをつくるというのは当然だと思いますが、やはりそこのプライスメカニズムを少し変えていく必要がある。その水銀法、隔膜法というのは、やはり水銀法でやるものは非常に高くするような、また隔膜法でやるようなものは安くなるような価格調整機能というものを業界の中でやる。隔膜法のほうに水銀法の会社から金をずっと渡すようなかっこうで私は臨機にやってもいいのではないか。そのくらいのことを業界でおやりになって進めていただくことを私は提案しておきます。なかなかむずかしい話でしょうから提案しておきますけれども、これは慎重にひとつ御検討いただきたい、こう思います。 農林省にお尋ねしますが、実は今回の問題でたいへん魚の問題が出てきた。それからもしも水銀でいかぬというような形になると、そこは漁獲禁止をしなければならない、こういうことになると思います。そういったときにやはりこういった問題はかつてのPCBにおいてもありましたが、現在はやはりそういったときに対する漁業権の補償という問題が私はないと思うのであります。漁獲はできない、漁業権はある、そういったときの漁民に対する救済の問題はやはり新しい問題として取り上げていかなければならない問題だろうと思うのであります。こういった漁民は別に魚を自分でつくっているわけじゃないわけです。たまたま泳いでいる魚、ほかの人の影響によって漁業ができなくなるということについての救済措置というものは当然に考えていかなければならない問題だろうと思います。この辺につきまして大臣は、あるいは水産庁のほうですか、どちらでもけっこうでございますが、御見解があればお漏らしいただきたいと思います。
○三木国務大臣 公害の場合に生業に対していろいろな損害を与えるということから近く国会に提出をしようとしておる損害賠償保障制度の中においても、出発は健康被害でありますが、将来においては生業に対しての補償の問題も研究をするということを私は予算委員会等においても申し上げておるわけであります。当面のこの有明海の問題、水俣もやはり同じでありますが、これは水産庁に対しても何らかの救済的な処置というものは研究をしてもらいたいということを要請しておるわけであります。水産庁から現時点の問題については答弁を願うことが適当と考えます。
○安福政府委員 お答えいたします。 ただいま長官から本質的な問題について御答弁があった、それに尽きていると思いますけれども、現在重金属なりPCBなりそういったものに関します公害の問題、結局魚介類を通じまして国民の健康に関連する問題となって、結果といたしまして、そういった問題地域でとれました魚介類が売れないと申しますか価格が下落する。その結果漁業の規制をせざるを得ない。自主規制という名においてそれがされるわけでございます。操業が停止される、こういう事態でございます。これに対する現行法は、御指摘のとおり漁業法は漁業の取り締まりなり、資源なり、漁業調整なり、そういった観点で漁業を規制する法律でございますので、そういった観点の規制ができる法体系になってないわけであります。 したがってそこに問題が二つあるわけでございまして、一つは厚生、いわゆる食品衛生の問題でございます。これは厚生省で御検討願う、こういうことでございます。これは関係省十分な協議を重ねる必要があろうかと思うのであります。 事漁獲の問題でございますけれども、これにつきましては漁民から非常に強い制度化の要請もございます。これは現在の法制のたてまえといたしまして御承知のとおりいわゆる原因者負担というたてまえ、これは将来とも当然であろう、こういうふうに考えます。ただ、原因者負担と申しましても原因者が必ずしも明確に究明できないという問題がございます。究明までにかなりの期間がかかる、その期間漁民は生業が困るということから生活不安が起こる。これは現在有明海その他におきますいわゆる公害に伴います漁業者の非常に深刻な問題でございまして、農林省といたしましては、そういった問題について、現段階におきましてはつなぎの問題あるいは融資なり、生活資金なり、経営資金なり、こういった問題につきましては現行法の現在の制度のワク内におきまして、できるだけのことをいたしてまいりたいということを考えております。 ただ将来の問題といたしまして、かなりの期間漁民が非常に生活不安に襲われるという問題がございますので、そういった問題につきましては、先ほど長官からも御提案のございましたような、根本的な一つの制度の検討はやはり関係各省と十分連絡をとりながら検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○林(義)委員 私は、根本的な問題もありますが、同時に長官のおっしゃったように、当面やはり対策を立てていかなければならない問題だと思うのです。この辺につきましては水産庁当局また厚生省当局で早急に相談されて漁民の不満を解消するように漁民の要望にこたえるようにやっていただくことを要望しておきます。 最後にお尋ねいたしますが、日本合成が排水している緑川につきましては、緑川は特に問題はないという通達をしたという話がありますが、これは一体事実なのかどうかということでございます。 それから北海道の無加川というのですか、あの水銀の山のあるところですが、直ちに環境改善をする必要があると判断することはできないけれども、今後も観察を続け、汚染状況や影響を監視せよと指示をしたというふうに聞いておりますが、これは事実なのかどうかということでございます。この問題は事実の問題でございますからお尋ねいたします。 もう一つ、長官にぜひ聞いてもらいたいのは、この前出ました環境白書であります。環境白書の中には、「魚介類の水銀による汚染調査はすでに約百水域で行なっているが、現在までの調査結果では水俣病発生の心配はないが、比較的水銀濃度が高く検出されたのは福井県日野川、徳山水域、阿賀野川の三水域があり、いずれもこれら水域での魚介類の連日大量の摂食習慣をやめるよう警告するとともに、なお引き続き調査を進めている。」と書いてある。環境庁の調査ではそう書いてあったのですが、まさにそれが現実化してきたわけであります。こういった点につきまして、ほんとうにこれからどうしてやっていくのか。私も実は第三の水俣病が出たときには非常におそれたのであります。こういった問題でありますから、こういった問題についてこれからどういうふうな形でやっていくのか、この辺につきまして、長官の御答弁をいただきたいと思います。
○船後政府委員 まず初めの御質問でございますが、環境庁では、全国の水系で水銀の濃度が比較的高いと思われます個所につきましては、継続的な環境汚染、生物汚染を中心とした調査をいたしております。四十七年度に実施いたしました調査結果がこのほどまとまりましたので、五月の初め、全国の都道府県に対しまして、執務の参考書類として送付いたしたわけでございます。この資料では、まず緑川河口沖につきましては、魚種が異なるために直ちに他の地点の魚類の水銀と比較することはできないが、緑川河口沖のエビナは、牛深、富岡等のボラよりも高い値を示したというような説明をいたしておるわけでございまして、御指摘のような通達は行なっておりません。 それから北海道の無加川につきましても、やはりこの調査報告で述べておるのでございますが、この川は上流に水銀鉱床がございますので、かねてから水銀汚染地帯と目されていたものでございます。四十五年度にもこの調査をいたしたのでございますが、出時の水銀平均値〇・六八PPMと比較いたしまして、四十七年度は〇・四七PPMと低い値が得られたのでございますが、採取地点も少なく、魚も小さい魚を検体にいたしておりますと、条件が四十五年と四十七年ではひとしくございませんので、直ちに環境改善と判断することはできない、今後とも観察を続ける必要があるということを述べております。こういうことで、いずれも四十七年度の調査結果を各都道府県に参考までに送付したのでございます。問題河川につきましては、今後とも引き続き調査、観察を続けてまいる所存でございます。 それから次に、御指摘の環境白書でございますが、御指摘のとおり水銀汚染の問題につきましては、現在までの調査結果では水俣病発生の心配はないが、なお引き続き調査を進めるということを述べております。これは四十七年度の「公害の状況に関する年次報告」でございまして、当時におきます調査結果と科学的知見を基礎といたしまして、このような記述をいたしたわけでございます。 有明海で今回問題となりましたものにつきましても、熊本大学では対象地区として選んだという地域から、水俣病類似症状の患者が八名発見されたというようなことでございますが、私どもは熊大の報告に接しまして、過去の水銀汚染の影響が疑われるわけでございますので、専門家の意見を聞きまして、かつまた、こういった水銀汚染の調査の指導指針といたしておりますいわゆる水銀汚染暫定対策要領、この点につきましても、脳の中における水銀の半減期の問題と基本的な問題がございますから、早急に専門家を集めまして検討いたしたい、かように考えております。
○三木国務大臣 現在までの調査の結果では、水俣病発生の心配はない、引き続き調査をするというような文句が白書にございますが、白書が何もかもわかるというわけにはいきません。その時点においての見解を述べたのですが、とにかくまだ解明されていない問題がたくさんありますから、まあ断定するのはこれから用心深く言わなければいかぬという、反省でございます。
○林(義)委員 ありがとうございました。
○浦田政府委員 林委員に、先ほど専門家会議の開催期日を先週と申しましたが、今週の水曜日の間違いでございまして、訂正させていただきます。月がわりになりましたので、つい週と月と取り違えて申し上げまして、どうも失礼いたしました。
○佐野委員長 小林信一君。
○小林(信)委員 その前に、三木環境庁長官はこれから相当時間、質問に応じてくださるそうで、その間昼食をとらなければならぬという話も聞きましたが、ちょうど私の時間は一番最後に一言長官から聞けばいいのですから、どうぞひとつ昼食をおとりになっていただきたい。 実は本日の委員会は、第三水俣病について集中的に論議を進めようという理事会の意向だったので、それ以外の質問は遠慮しろ、こういうお話でございましたが、私の質問は非常に緊急な問題であるから、しかも環境保全の問題に関係のあることだからというわけで、特に許されたわけであります。大体この質問をしようと予想しましたのは、増原長官に質問をするつもりだったのです。これは私は質問をしまして御了解を得るには非常に困難な問題があろうと思ったのですが、幸いあなたに防衛庁長官がかわりまして、ものわかりのいい山中長官であるから話は簡単に済むんではないか、こういう期待を持って私はあなたにこれから質問をするわけであります。 実は二十七日北富士演習場で、あすこに三千五百人くらいの観光客が入ったのです。これはそういうように従来からはかられておるわけでありますが、たまたまその行楽客の中に、不発弾を見つけたためにその不発弾が爆発して二人が死傷したという問題が出ました。最近富士山につきましては、世界の富士山だとか日本の誇るべき自然だとかいうことはいわれながらも、まことにその自然保護ということは行政上怠っておる。いろいろな指定地がたくさんあるのです。自然を保護する、あるいは特別記念物というようなもので指定をするというふうなものがあるのですが、指定はしておってもまことに責任を果たさない指定のしかたであって、まさにもう森林が枯れるとかあるいは自然が破壊されるとかいう状態、あるいは観光客が殺到いたしまして二つの湖等もまさに死滅をするというふうな状態であります。環境行政の問題から大きに関心を持ってもらわなければならない問題でありますが、それが最近、何とかしなければならぬじゃないかということで三木環境庁長官も相当考慮をされておるようでありますが、しかしそういう問題を考える場合に、何といってもわれわれが矛盾を感ずるものは、あそこに演習場があるということなんです。ほんとうに富士を保全をするならば、演習場をなくなすということが大事である。この経緯については、昨年民法六百四条適用をわれわれが強要いたしまして、政府もこれが納得できて、まず第一番に山梨県の所有地というものは山梨県に返すのだ。返ってしまえばおのずから演習場は使用できない状態になるわけで、ほんとうに完全な富士の保全というものができるやにわれわれ思ったのですが、また政府のほうが地元知事を説得して、ただ米軍が使用するだけでなく、自衛隊の使用にまで話を進めてまいりまして、これでは一体完全な富士保全というものはできるかどうかわれわれが心配しておったやさきであります。このことにつきまして三木長官それから福田行政管理庁長官等にこの委員会の中でも意見を聞いたことがありますが、御両者とも演習場のあることは好ましくない、こういう御意見が出ました。私も当然だと思います。しかし一方、どうしても富士山を守らなければならぬ。この場合に最も好ましからざる存在としての自衛隊の統率者になったあなたとしては、ただ演習が可能であればいいのではなくて、この現状をどういうふうに考慮し、今後の演習場使用についてお考えをお持ちになるか。なったばっかりでどうも申しわけありませんが、しかしそういう点についてはなかなか先見の明のあるあなただから、われわれの期待する答えが出るのではないかと、まずその点をお聞きいたします。
○山中国務大臣 この問題は確かに、富士の環境保全、しかもこれが立法によって国家の意思として保全をしたいというたてまえの法律がいま審議されている現状から考えれば、理論的にも現実的にもそこに結果的においてどうしても若干の自然破壊を伴わなければ済まない実弾射撃場の存在すること、このことはおっしゃるとおり私も原則論として相両立しないものであると思います。しかしながら、この演習場の設定の経緯並びに、これは立場は違いますが、私どもとしては安保条約、行政協定等によってやはり実弾射撃の場というものを機能維持のために提供をしなければならないし、自衛隊としてもそれを必要といたしておりますから、そのかわり管理権は自衛隊のほうに移してもらいたい、こういうことが、私ども当事者ではありませんが、取りきめの前提になっていると考えます。でありますから、これを直ちに廃止するというような意見を申し上げておるわけではありませんが、少なくとも日本側がこれを管理するようになった以上は、自衛隊といえども富士の環境保全というものがわが国民全体にとって、場合によっては外国の人から見ても日本の象徴にまず富士を数えるということを念頭に置きながら、この演習場の維持、管理、ましてや冒頭に御指摘になった、日本人たる者が演習場の存在したことによって死傷を受けたというようなことの今後絶対に起こらないような万全の措置を講ずるつもりであります。 具体的な問題については、逐次お答えをいたしてまいります。
○小林(信)委員 そこで、あらかじめ私はこういう点をあなたに申し上げて、もちろん考慮されておると思いますが、これからも御答弁を願いたいと思うのは、何か政府は環境行政を行なう――あなたもそれに責任を持ったときもあるわけですが、環境行政というのは、たとえば富士山の問題ならば富士山を守ればいい、私はそれだけでは環境行政の万全を期した問題とは言われないと思うのです。やはり自然を愛好する人たちにいかにその自然を提供するかということが加味されなければ意味がないと思うのです。どうかすると、何でもいいから人間を人れないようにし、あるいは地元に危害を加えないというようなことだけをモットーにしておるようでございますが、ほかの自然もそうでございますが、特に富士というものは大ぜいの人たちが来てあの自然の中にとけ込む、それを私は大きに期待していると思うのです。そういうような環境行政を、自然保護を私どもは念願をしていまお願いをするわけであります。と申しますのは、いま長官のお答えは私の期待するようなお答えであって非常にうれしく思いますが、一歩前進して、あの演習場というものは全くわれわれが意見を差しはさむことができない状態の中でまず占領下に演習場に指定された、そしてそれが協定によって米軍の使用になったわけでありますが、その間、代々の政府当局が、はたして演習場をこのまま置いていいのか、富士山を保全をすることを第一義に考えなければならぬじゃないかというようなことを、いささかもわれわれはその形勢をうかがっておらない。何でもいいから米軍の希望を満足させればいいということで専念してきたような感がしてならないのです。 いま大臣から、簡単ではございますすが、あなたの北富士演習場と富士山に対するところのお考えを伺って、そこから私は富士保全のもっと本質的なものを政府当局が考慮していただけるような気がするのです。それはあくまでもただ守るのでなくて、あれを国民あるいは外国から来た人たちにも親しまれるようなものに提供する気持ちというものは私はなくなしてはいけない、こう思って申し上げるものでありますが、余談をしておりますと時間がございませんから、単刀直入に申し上げますが、ところが、このお二人の死傷者が出たということが大きな問題になりまして、一昨日私どもが現地を視察した中では、そのよってくる原因をきわめるとか、そういうものを除去する方法を講ずるということよりも、まず地元の市町村長さんたちを集めて、その人たちの意向に従うということを言っておりますけれども、われわれが関知するところでは、演習場を閉鎖して一般人にはもう提供しない、そういう方向をとろうとするような形勢を私はうかがったわけなんです。われわれの視察に対して応持するよりも、そういう善後策を講じて、この際一挙にあの中に一般人は入らせないというような方向をとろうとするような形勢をうかがったわけであります。これも少し深く入り、あなたに御理解を願わなければならぬ点がありますが、簡単に申し上げれば、あの周辺を取り巻く市町村の中には利害関係の相反したものがあるために、市町村の間でもって相当対立している状況があります。そして、悪感情を持っておるのを――悪感情ということはないのですが、対立している意見を自衛隊が利用して、この際一切閉鎖してしまえ。そして関係する市町村の人たちには立ち入りを許す。これは民主的に意向を聞いて管理方法をきめるようでありますが、先ほど申しましたように、世界の富士山です。国民の富士山です。あの周辺の市町村の方たちだけの問題と考えることは非常に視野の狭い考え方であります。これをさらに一般人を入れないというふうな決定になるとするならば、富士山を守るということは、先ほど申しましたようにきわめて観念的な自然保護であって、国民大衆がどういうふうに富士山をながめておるかという心情を理解しない措置になると思うのです。先ほどの長官のお話しの点を中心として、この問題をどういうふうに防衛庁としてはお考えになっていただけるか。私のこい願うものは、従来どおり、もちろん不発弾等の処理を完全にして、できるだけ一般大衆に公開をするというたてまえをとることがほんとうの富士保全になるのじゃないか、こう思う点から申し上げるのです。私はきのうも長官に直接お会いをしまして、私の簡単な図面でございますが、お見せしました。富士山というきれいな山がある。これは一カ所から見た場合富士山の秀麗の姿がある。そしてその手前に山中湖がある。だがその中間の七千町歩の大きな原野というものは自衛隊に使用されておって、その中には不発弾が散在しておる。この姿を見れば全く何でこんなところに演習場を置くかという疑問を持たざるを得ないわけなのですが、そういうような存在の形からしても、いま自衛隊のほうがそういう話を進めようとしておりますが、長官としては、もちろんここで結論をお聞きすることは無理かもしれませんが、できたら私はあなたの基本的な態度をお聞きしておきたいと思うのです。閉鎖するかあるいはできるだけ公開して自然に親しまぜるかということをひとつお伺いしたいと思うのです。
○山中国務大臣 一つだけ前置きを言わしてもらいたいのですが、富士の環境保全という問題に対する私の姿勢、これはたまたま私自民党の政策審議委員をいたしておりましたので、政府の原案は今回の法律の内容で最後に提出されたものと違ったものが一カ所ありました。それは他人に著しく不快の念を与えるような手段でもってちりその他の汚物を捨ててはならない。こういう訓示規定に終わった条項がありました。私はしかしそれではいけないということで、捨てることそのことを禁止し、禁止する以上は捨てた者については罰則を適用するという、その修正を提案して、法制局も再検討した後に原案提出になった経過がございます。これは私のそういう事実を申し上げているだけであって、保全する以上はそのようにあくまでも一人一人がみな富士の環境を保全するのが国民の立場として当然だという気持ちを持っているからであります。 そこで第二点、日曜、祭日等においては、米軍がもっぱら使用し管理していたときでも一般に開放していたものを、自衛隊の管理に移ってから、死傷という不幸な事故があったにしても、閉鎖するような空気があるということでありますが、そのことは私のほうでさせません。ということは米軍自体ですらもオープンにしていたものを、日本人たる自衛隊が管理するようになって日本人の立ち入りを禁止することは、原則として姿勢に逆行がある。そう思いますから、問題点はありますので、あとの御質問で答えますが、それらの点を処理しながら、その問題点をきれいにして、そして一般の人がいままでどおり日曜、祭日等の射撃が行なわれない日に限ってその立ち入りはオープンにするということで、はっきりここで御答弁で明確にいたしておきたいと思います。
○小林(信)委員 私は現地の自衛隊の諸君の思い過ごしの処置に非常に怒りを感じておったのですが、いま大臣の御答弁を聞いて、それをあなたの気持ちだけでなく自衛隊全体がよく心するように御配慮をお願いしたいと思います。 たいへん私は嬉しく思いますが、そうするならば、さらにつけ加えて申し上げるものは、いままでの米軍の使用の当時は、これはブルドーザーを持ってきてどんどんあの原野を掘り起こす、そして演習に都合のいいというだけに処理をしてきたような気がいたします。これは以前でありますが、中学生が二人やはり不発弾の犠牲者になっております。その場合は、あの原野を毎年一回ずつ焼くのです。これは病虫害の問題もありますし、草木の繁殖そういうふうなものをいたすためにやる行事なんですが、その中から起きた問題であります。そういうような点を考えれば、ただ演習本位でなくあの原野というものをもっと育成をするというふうな方向に考慮しながら演習をすべきではないか、こう思います。あるいは火炎放射器を持ってきてそして原野を焼き払うというふうなことまでいたしますが、これは演習等にも相当考慮していただきたいと思います。 そこで大事な点は、これはこの委員会でもって取り上げる問題ではないのですが、いまのようなものを可能にするためには、何か自衛隊というのはわれわれが思うような社会通念では想像できないような命令系統あるいは職務分担というふうなものがなされておることは、非常に不愉快に思うのですが、あれでは形式的な管理になりがちな気がいたします。私どもが先日防衛庁に参りましていろいろ事情を聞いたときには、現地に行けば一切わかるような気がいたしましたが、現地に参りまして自衛隊の係の人たちに聞きましたところ、それは私どもの責任でないとか、私たちは命令に従ってやっただけのことでありますとか、まことに無責任な形であります。したがって大事な点は、今後米軍も一緒にあすこを使用することになるわけですが、確かに自衛隊のほうでは職務命令がありますから、たまを撃った場合には何発撃った、その爆発状況というものも監視するでしょう。したがって処理も完全にするでしょうが、いままでの米軍の使用というものは、私に言わせればきわめてでたらめな管理だといっていいと思うのです。とにかくおとついですか、不発弾の清掃――処理することを清掃といいますが、その場合のわれわれに見せたものは、全くこんなにたくさん砲弾の種類もあるかと思うほど、二十何種類をずっと展示をして、このとおり不発弾があります、そういうような状況でありますが、ただ自衛隊だけの管理でなくて、米軍に対してもっと日本の立場で率直にものをいって、そういう危険性のないようにしなければならぬと思うのですが、いままでの米軍に対する日本側の立場から、今後自衛隊が管理権を持った以上、米軍に対しても私は強くこういう点を要請するということをお願いしたいと思うのですが、この際、長官のお考えを願いたいと思います。
○山中国務大臣 ただいまの問題には問題点が二つあるかと思います。一つは米軍の管理使用にゆだねられていた長い期間において、不発弾のまま放置されていたものがあるのではないか。この点は全面的な演習区域内の清掃と申しますか、検査をしなければならぬと思います。わがほうに管理権が移りましてからすでに三回やりましたが、きょうとあす、二千名を動員いたしまして、単に着弾地域並びにその周辺地域のみでなく、全演習地域にわたって徹底的に不発弾の捜索をすることにいたしました。これによって前に起こりました二少年の悲劇の二度とないように処理いたしたいと思います。これはまた一回限りでなく、機会を見てやるつもりでおりますが、その点が第一であります。 第二点は、米軍の射撃について日本側がどの程度関与できていたかという問題であります。なるほどわがほうとしては自衛隊が使います場合は砲座のところと、それから両側において三角観測をいたしまして、この何発撃った中のどこの地点に撃ち込まれたものは不発であったということで直ちに処理作業にかかることにしておりますが、米軍についてはその着弾地の観測をいままでは許されていない、という表現はおかしいのですが、行なっていなかったのが現実であります。私は昨日米側にそのことを申し入れをいたしました。それで、私自身は日本側の人に管理が移った以上、しかもその管理権のもとで日本人がいろいろ理由はありましょうが死んだりけがをしたという事実がある以上は、今後米軍の撃った射撃においてもわがほうが積極的に日本側の管理権として着弾地域について二点以上の着弾観測を行なう、そして米側に対してその旨を直ちに連絡して、米側が砲兵隊として処理でき得る範囲のものはこれは処理して帰ってもらう、しかしそれは不可能であるというものについては即日もしくはその翌日、一両日の間にわがほうの施設班が処理できるように、その間は危険表示の赤い標識等をいま打ち合わせておりますが立てて、そしてわがほうにおいて処理をするというような措置を行なう旨を、要請と申しますより通告に近い形でいたしました。本日午前に在日米軍司令部より、確かにその申し入れは承った、承知した、そのとおり自衛隊の側においてわがほうの演習を観測し、そのような措置をきれてもけっこうである、具体的な現地の取りきめについてはどのような処理方法とかあるいは旗をどういうふうにするとかいう問題はありましょうから、現地において打ち合わせをさせるからよろしくということでありますので、その問題は少なくとも今後演習が行なわれます限りにおいて、米軍が射撃いたしました結果においても、日本側が必ず関与をしてその不発であった状態、その処理というものを責任を持って行ないますので、ただいまお話のありましたことは現地においてきょうの午前に解決を見たというふうにお受け取りになってけっこうでございます。
○小林(信)委員 そういうふうにてきぱきと処理をしていただく、私はひとつ敬意を表します。そういうような日本側の立場というものを明確にしたいままでの対米軍の態度というものがなかったために、過日の二人を死傷した爆弾もアメリカの爆弾であります。それからその前の二人の学生がやられたのも米軍の爆弾であります。砲弾であります。そういうものがまさに散在しておる状態でありますが、当初長官が言われたなるべく国民の行楽にあの広い原野を提供するという精神があなたにある以上は、やはりこれは徹底していただかなければ、また不祥事が起きてこれは何とか考えなければならぬかというふうなことで、あなたのそのお考えも無になるような気がいたします。おととい参りましたときには、七百名を動員して二回目の清掃でありますか行なっておりました。その結果等お持ちになっていたらお答えしてもらいたいと思いますが、さらにいま二千名を動員をして本日清掃される、これは着弾地というものは一応規定されておるようでありますが、地元の人たちの意見を聞きますと、そういう規定はされておっても米軍の実弾射撃というものはきわめてでたらめである。だから着弾地だけでなくて、相当な広い範囲に砲弾というものが散在しているではないかということを言われておりましたが、一昨日の清掃の結果、おわかりになりましたら御答弁願いたいと思います。
○長坂政府委員 お答え申し上げたいと思います。 五月三十日は、第一特科連隊、第一戦車大隊、第三十四普通科連隊等で編成しました約七百五十名によりまして午前の八時から十六時までの間、弾着地及びその周辺について、隊員を帯状に並ばせまして移動しながら目視によって発見するという方法によって捜索をいたしました。その結果四十九発の不発弾を発見いたしまして、昨日第一特科連隊の手で爆破処理をいたしております。 以上でございます。
○小林(信)委員 四月十四日自衛隊に移管をされたということから、おそらくそれは命令があってこの清掃をなさると思うのですが、そのときには四十発ぐらい発見をされたそうですが、またあらためてこうやって清掃すればいまのような数字が出てくる。やはり長官が言われる二千名を動員して全地域にわたって不発弾の処理をするというようなことをしなければ、いままでのアメリカ軍の使用というものがいかにずさんであったかということはそれで証明されるわけであります。 そこで、現地に参りまして聞いた話でありますが、棒を持ってさぐっていく以外にないというから、探知器を使ったらどうかといったら、破片が一ぱいでございますから、探知器を使えばその反応は至るところから出てまいります、だから探知器は使いません。私はその方法はともかくとして、日本のすぐれた科学というものをもう少し自衛隊が導入して、そういうものを、砲弾だけを探知するようなそういう機械化が進んでいないのか、あるいはそれは全然不可能であるのか、これも一つの技術としてその際お考え願いたいと思う。もしそれに対して御答弁があるならお伺いして次へ進みたいと思います。
○長坂政府委員 御質問の御趣旨は、目で見る捜査というものではあまりにも非科学的ではないか、もっと探知器等を使ってやったらどうか、こういう御指摘と思いますが、現地の普通科連隊及び特科大隊におきましても、地雷探知器というものは実は使ってございます。普通科連隊において七基の地雷探知器、特科大隊において十三の探知器だったと思いますが、使ってはおりますが、深くもぐっております不発弾につきましては、約一メートル以上といっておりますが、一メートル以上もぐっているものについては、現在地雷探知器では有効ではないということでございますので、御指摘の点は十分今後研究してまいりたいと思いますが、現在持っております器具はやはり使いまして、できるだけのことはいたしておりますという状況である点をお答えを申し上げたいと思います。
○小林(信)委員 時間がありませんから申し上げませんが、とにかく私は決して自衛隊の云々ということでなくて、あの自然を開放する、自然を保護するという立場からその万全に期していただきたくいま意見を申し上げたのです。 さて最後にお聞きしたいのは、先日なくなった人の問題であります。これは自衛隊に使用転換が、移管がなされた以上、たとえそれが米軍のやった仕事であっても、そこに人間を入れるからには、そのような事件が起きてはならないという責任が私は自衛隊にあるのではないかと思います。何かいまのところ警察のほうの取り調べを待って、その人間が爆弾を拾ってはならないというものを拾ったとか、あるいはその処理のしかたがどうであったとかということに問題があるようでございますが、私がいまお聞きしたいのは、入れる以上は危険のない状態で入れなければならない。自衛隊に私はある責任はあるではないか。ある以上は、この人の補償というものも何らかの形でもって自衛隊はしなければならぬではないか、こう思いますが、この点についてどうお考えになりますか。
○山中国務大臣 先ほど御答弁いたしましたのは、わが国として管理するようになった以上はこういうことが起こらないようにしたい、そのためのことをいろいろと、着弾観測あるいは徹底的な全面積の不発弾調査ということをやっておるということで申し上げたわけであります。今後起こらないようにしなければならないことが私どもの義務だと思います。ただ、前回の高村兄弟、少年お二人の悲劇については、これは米軍が支払い、そして日本側がそれに対して見舞い金を積んで支給しておりますことは、御承知のとおりであります。今回もそのようなケースに当たるのかどうかという問題については、事実関係を明確にしなければ、目下私のところではっきりと答弁はできないのでありますが、今後は、不幸にして賠償を払うような事態が生じたら、日本側がその支払いの責めにまず任ずるということで、米軍側によほど客観的に見て過怠がない限り、日本側の支払いである、このことをはっきりいたしておきますが、今回の事件については、これはなかなか微妙な点があるようで、これは結論ではありませんが、私どもが調べますとまたいろいろと勘ぐられるといけませんので、法務省のほうで調べてもらっております。現時点におけるその見解を申し上げます。 本件事故は、被害者が不発弾を運び出してトラックに載せたことにより生じた事故であるが、「演習場には、1不発弾、危険物には絶対にさわらぬよう発見の際は速みやかに届出られたい旨の表示があること。2着弾地のまわりには、着弾区域の表示がなされており、かつ着弾地にはポール及び鉄線で囲み表示がされていたこと。3地元民から危険だからそこへ置いて行きなさいとの制止を受けていることから危険物と知りつつあえて行なわれた行為と考えられる。」また、演習揚管理者等に無断で小型トラックに運び出しており、さらに本件の行為は、爆発物取締罰則、警察に届け出る義務並びに火薬類取締法の所持禁止に違反する行為である等、これまでの調査事実によれば、現段階では、被害者の自損行為と考えられ、御遺族及び受傷された方々にはまことにお気の毒であるが、国には損害賠償の責めはないと考えられる。なお今後調査の進展に伴い、新しい事実が判明すれば、さらに検討して判断したいというふうな、現時点における客観的な調査事実であります。 これについて私どもはまだ結論を出しておるわけではございません。さらに検討いたします。
○小林(信)委員 その点は、私どもいまの御答弁の中にも議論をする点があると思います。いろいろ万全を期しておるような答弁になっておりますが、表札が立っておるわけでなし、警告が徹底するような状況にもなかったという点を考えれば、立ち入らせる以上は、あくまで危険というものはなくさなければならない責任が自衛隊にあることは、私は免れないことだと思います。そういう行楽の人間だけでなくて、自衛隊があそこで日々行動をとるについても、いまの問題は完全な除去作業というものがなされなければならぬ、こう思います。 時間もございませんので、三木長官に一言お伺いいたしますが、私が心配しておりましたように、この事件からしてすでに、現地へ参りますというと、自衛隊の思い過ごしでしょう、至るところの道路にみんなもう鉄さくをつくり、木さくをつくって、道路を自動車で通行不可能にしています。もうすでにこれは一般人の立ち入りを禁止する前提のように承われるわけですが、私は現地で極論をいたしました。あなた方は故意にここへ三千五百人入れて、その中から死傷者を出して、死傷者が出るほど危険でございますから一切今後一般人は入れませんというような、一般人を立ち入らせないようにするためにやったとも考えられるじゃないか。従来どおり自然を愛好する人たちが――いま富士山の中では、それは湖もあるでしょうあるいは山に登ることもあるでしょう。しかし、あの広い原野の中に自然を楽しむという人たちが最も多いわけなんだ。この人たちを、これを理由にして阻止するようなことがあったら、富士保全の意味がなくなるじゃなか。こういう点から、従来どおりになるべく自然をそのままにして開放するように私は長官に希望を申し上げたら、長官も、その意思である、こういうふうに明確に御答弁を願ったわけでありますが、長官も、それをただ志向していくんじゃなく、あの原野を破壊されないように――六千町歩であります――自然が一般人に愛好ができるようになるべく開放し、しかもその自然の姿をなるべく破壊をされないようにするということを、私は長官としてもき然として堅持をしていただきたいと思うのですが、すでに防衛庁長官から御答弁を承ったわけで、同じ閣僚として意見が同じだと思いますが、なお環境庁の立場としてひとつ御言明を願いたいと思います。
○三木国務大臣 不測の事態が起こらないように万全の措置を講じなければなりませんが、そのために閉鎖をするということは、これはよろしくないことでありまして、山中長官の言われるように、従来どおりにすることが適当であると私も思います。
○小林(信)委員 どうもありがとうございました。
○佐野委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
○岡本委員 小林先生の時間内で……。 長官、私もこの演習場に調査に行ったわけですが、あなたはいま不快なものを捨ててはいけないというような御意見があったわけですが、これは爆弾の破裂した破片ですよ。これがもう至るところに入っております。だから、そこへワラビをとりに行ったりいろいろな人が行きますと、けがをするのはあたりまえですね。ですから、こういうものも私は除去しなければならぬということをつくづく現地へ行って見てきたわけですが、あなたは現場をごらんになったことがありますか。これはちょっとさわってみなさい、すぐけがをする。だから、不発弾処理も必要だと思うのです。しかし、こういうものは無数にあるのですよ。これについてひつと聞いておきたいのですが……。
○山中国務大臣 私の申したのは、富士環境保全法の中の一般の行楽客、そういうものの問題について罰則をかけた、こういうことを申し上げたので、演習地の中におけるそのようなもの、それはいわば危険な鋭利な鉄片、そういうものについてまであの法律をかぶせておるつもりはありませんが、しかし、いまおっしゃるような現実は確かにそのとおりだと思いますから、私どもの事務当局より答弁をいたさせます。
○長坂政府委員 現在の使用協定、使用条件の中におきまして、それを守っていくために自衛隊のほうで部隊に清掃させている対象は、不発弾ということで指定をしてやっております。したがいまして、現在の特に着弾地内におけるそういう破片につきまして清掃を義務づけてはおりませんが、御趣旨の点は今後十分研究して対処してまいりたいと思っております。
○岡本委員 大臣、今度防衛庁の長官になったわけですが、一ぺん現地を視察してください。そうして一般の方に開放しているわけですね、その人たちが入ってほんとうに危険ではないのか、そういうところをあなたが現地を見て、そうしてきめてあげないと、いまの事務当局では、やはりどうしても不発弾だけ、これでは私は非常に不十分だと思う。ちょっとさわるとすぐ切れるのですよ。これは非常に危険です。この点ひとつあなたの考え方。
○山中国務大臣 それはおっしゃるとおり確かに危険であると思いますが、それらの点についてどのような清掃手段をとるのか、これは積極的に人命を殺傷するようなものではありませんが、うっかりするとけがをするというようなものでありましょうから、よく研究します。私は検討して善処しますということばはきらいです。ですけれども、なったばかりであるし、行ったことがあるかと言われても、さきおとといの晩になったばかりでありますから、もちろん行っておりませんし、目下のところ猛勉強中でありまして、いつになるかお約束はできませんが、そのことは別にして、その問題の処理については検討をいたします。
○岡本委員 それで入り会い権というものがありますね。要するにこの地域の人たちはいままで演習場の中で山を利用して生活をしておった。この入り会い権の問題で、非常に現地の人たちが何と言いますか、入り会い権を主張しているわけです。特におじいさん、おばあさん。この問題について防衛庁としてはどういうように考えておるのか。
○山中国務大臣 これは入り会いの慣行ということで話し合いが大体定着して、そのもとに恩賜林組合の組合員とかそういうような方々が、関係者がきちんとまた組織も持っておられます。したがって、入り会い権というものが確定しているという状況ではないと思います。
○高松政府委員 この問題につきましては本年の四月十七日に政府の統一見解を参議院内閣委員会に提出いたしました。それの結論だけ申し上げますと、政府としてはこの地における入り会い権はないと考える。しかし、従来からの入り会いの慣行は十分に尊重してまいるという従来の態度は変わっておりません。
○岡本委員 関連だけですから、これはもう一度私の時間のときにはっきりさせたいと思います。 どうもありがとうございました。
○佐野委員長 島本虎三君。
○島本委員 五月二十二日の午後熊本大学の第二次水俣病研究班武内忠男班長の報告によつて、ここに第三水俣病というのが明らかになったわけであります。 そこで私は環境庁長官並びに通産省の責任ある皆さんにはっきりここで伺っておきたいのであります。それは、この対策は直ちに政府も五月二十三日から現地に調査班を向けまして、各省それぞれ打ち合わせの上で対策を樹立したはずであります。それと同時に私どもは五月二十三日から二十四日にかけて、また他のそれぞれの政党も調査をしここに政府に要請をしてあるはずであります。これらの問題をすべて対策の中に入れてもう具体化を急がなければならない段階じゃないかと思うのでありますが、その対策は十分進めておりますか。その件についてまず環境庁、通産省当局の意向を伺って次の質問に入ります。
○三木国務大臣 先ほど林委員の御質問にも答えましたように広範な環境調査をやる。これで準備を進めて今月中に環境調査に取りかかる段取りでございます。 もう一つは、沿岸の主として漁民を中心とした健康調査を行なう。これは各関係の四県でありますが、これで具体的に段取りを進めておる次第であります。さしあたりやる問題はそういうことであります。 武内教授の指摘された、たとえば人体に対する水銀の蓄積に対しての半減期なども七十日といわれておったのが、脳に対しては二百三十日というような新しい学説もできておりますので、こういう根本的問題には研究委員会を国のレベルにおいて組織して、本件はさらに究明をいたしたい。研究するための委員会をつくる予定でございます。
○齋藤(太)政府委員 問題の重安性にかんがみまして水銀関係の工場につきまして至急に現地調査をいたすことにいたしまして、アセチレン法によってアセトアルデヒドを過去に製造いたしておりました七社八工場、それから同じくアセチレン法によりまして塩化ビニールモノマーを過去に製造いたしておりました十五社十九工場並びに水銀法電解ソーダ製造工場三十六社四十九工場につきまして、通産省の担当官を現地に派遣をいたしまして、排水処理の状況、さらに工場内にございます従来水銀を含みます排水処理をいたしました廃棄物の保管状況等につきまして、今月の上旬中に現地調査を実施いたしたいというふうに考えております。
○島本委員 それぞれ事件が起きてから、長官、調査に入っているわけです。私はこれはいままでの公害並びに環境対策に根本的にメスを入れなければならない重大な問題である。このことの意識がここに完全にいままでと転換させないとだめだ。このことについてはっきり伺いたいのです。 メチル水銀の水銀たれ流しによる第三の水俣、有明湾では日本合成、これがまずやり玉に上がっているわけです。現地に行って見てまいりました。それによると、メチル水銀のたれ流し工場群といわれる全国各地の合成化学工場周辺地、これはすべて危険だということなんです。調査報告にそれが載っているわけです。いま通産省では現地のほうだけをやっている。全国が危険だという赤信号が出ておる。これに対しても的確な指導がなければならないはずなんです。長官、きょうは通産大臣を要求してここで根本的な対策の樹立をお願いしたかったのですが、最近は何か外交関係で忙しいようであります。副総理の役をつとめているようであります。私としてはそれは皆さん方自身が今後発想の転換をして、重大だという危機意識とともに対策に当たってもらいたいのだ、このことなんです。第一水俣ができたのは昭和三十四年、監督官庁は通産省、これはもうその時点において全国の水銀の使用工場のリストを握っておったはずです。ひそかに排水処理に注意をするように通達したはずです。その後の水銀の使用工場のデータはどうなっておりますか。これをはっきり答弁してもらいたい。それと、第二の水俣ができた、昭和四十年新潟の水俣病、全国的な住民の健康診断、当然その時期において厚生省を通じてもこれをすべきであったのであります。ところが腰を上げない。そして四十三年九月、熊本と新潟の水俣病で国が公害病と認定した、この時点で水銀使用工場の総点検をし、住民の一斉検診をすべきであったのであります。しかしそれをなぜやらなかったのか、これもすべて要請されておったはずであります。いま、通産省に聞きますが、これらの工場群に対するデータはありますか。同時に、この水銀使用工場の点検とともに、住民の一斉検診、なぜこの時点において注意されてもやらなかったのですか。この答弁を伺います。
○齋藤(太)政府委員 水銀を使用しておりました工場は、一つはアセトアルデヒドをアセチレン法でつくりますときに、触媒として硫酸水銀を使用しておった工場群がございます。七社八工場でございますが、ただこれらの工場は、なるべく水銀を使わない方向に製法を転換させることが望ましいというふうに通産省としては考えまして、昭和四十年ごろまでに大体石油化学法によります水銀を使わない製法に転換をいたしておりまして、現在は製造をいたしておりません。 ところで、水銀に関します国の規制が法律に基づきまして実施になりましたのが昭和四十三年の秋ごろからでございまして、それ以前におきましては、排水処理等につきまして、いろいろ通産省としまして指導はいたしてまいりましたけれども、法律的な規制がございませんでしたし、そういう関係もございまして、水銀の排出量、使用量等につきましての正確なる資料をとっておりません。そのために今回各社から詳細にヒヤリングをいたしまして、一応の使用量につきましての各社からの報告は受けておりますが、過去に製造中にそういった数字を通産省がとりまして現在あるというような資料はございません。
○船後政府委員 当時、公害にかかわる健康被害は厚生省で所管いたしておったわけでございますが、四十三年に、先生も御承知の水銀に関する暫定対策要領、これができまして、これに基づきまして水銀汚染の疑いがあるというところの調査の手順を定めたわけであります。他方、四十五年度にいわゆる一斉点検ということでもって、通産省のほうの工場の調査、同時に水系における水銀汚染調査などの調査、これをやったのでありますが、当時の調査によりますと、暫定対策要領に該当して、そしてさらに精密な健康診断等を進めるべきような汚染状況の水系がなかった、一般的な住民検診はやっていなかった、このように承知いたしております。
○島本委員 長官、当然その時点時点でやるべきことをやらないで、第一、第二そして第三水俣病まで進展してきているのです。まして、この資料というものは焼却を命じているのではありませんか。そういう事実はありませんか。日本合成の工場長から、五年ごとにこれを焼却しているというような答弁があったのです。それを許しているのですか。そして、現在はどれほど水銀を使い、どれほどたれ流したか、それは推定によって五トンはたれ流した。推定によるものであって実質上はわからない。データは焼いてしまった。通産省はこういう指導をしておるのですか。
○齋藤(太)政府委員 会社側の資料につきましては、会社の書類、文書の保存規定等によりまして処理しておろうかと推定いたしますが、通産省のほうからそういう書類を焼却するようにといったようなことを、口頭にしろ文書にしろ指示したことは一切ございません。
○島本委員 三井神岡鉱山はイタイイタイ病でこれまた有名になった工場でありますが、ここでもその資料が保存されておらない、こういうようなことがわかったのです。そして、この資料が五年ごとに焼却されている。すべてこれから対策を行なおうとすると、これは推定なんです。これで第四、第五の水俣が起きないということの保証になりますか。私ども、これでは行政の重大な怠慢である、こういわざるを得ないのです。もしかってにやることを許していたならば一体どうなりますか。このあと完全なデータによって対策を立てなければならない際に、そのデータはだれが出せるのですか。今後の対策の基礎データはどうして出すのですか、水銀関係で。
○齋藤(太)政府委員 水銀の規制が法律的に実施されるようになりました昭和四十四年以降につきましては、統計的な資料等も会社のほうから徴取をしておりますが、それ以前のものにつきましては、資料が現存いたしておりません。
○島本委員 通産省、それだけじゃないんです。これは環境庁も同様に現地調査をしてきておりますから、報告があったことだと思うのです。合成化学では、カーバイド残渣を山のように玄関に積んであるだけでしょう。小山をつくっているでしょう。その中にどれだけの水銀があるのか、それが雨によってどれほど流れるのか、また天気がよくて、それが粉末と化してどれだけ飛んでいくのか、こういうようなものの指導と調査はやっているのですか。また第一水俣といわれるところのあのチッソ工場、ここではわざわざ臨海地帯に堤防を出して、その中に残渣を埋めているのです。こういうようなものがそのままになっている。大雨または水害によって海へたれ流しのようにして出ていかない、このようなことを完全に把握して指導しておるのですか。おそらく、あの近所には工場は出さないと言う。出しても微量だと言う。しかしながら患者が続々と出てくる。現地調査に行ってその現状を見てあ然とするばかりではありませんか。こういう調査、こういう指導、第四、第五の水俣病はこれまた当然出るべくして出るだろうという危険性を私は感ずるのです。それで長官、こういうような行政の姿勢じゃだめなんです。あなたは幸いにして副総理ですから今度はいままでのような態度じゃなくて、きちっと行政自身の態度を今後改めさせないとだめだと思います。ここに来ていかに名答弁を繰り返しても行政の姿勢そのものはまだ工場優先ですよ。また資料そのものからしても不十分なままにしてこれを実施させていますよ。それが現在このような悲惨な状態の惹起じゃありませんか。今回はそういうような点からして根本的な発想を転換させないとだめだと思います。企業を守るよりも国民を守るような通産省にならぬとだめなんです。今度皆さん方のほうは通産省の中で飢えてもいい、国民を守るのは通産省だけだということにならぬとだめです。厚生省も同様。まだ依然として企業本位のやり方、これじゃ私は承服しかねるのです。長官の意見を伺います。
○三木国務大臣 これからの企業の姿勢としては経済の効率的な面、これは当然追求しなければなりませんが、一方において公害を防止して人間の生命、健康を守るということがやはり企業の大きな一個の柱である。これに対して行政の態度としても、いろいろな新しい化学物質等も出てきますから、用心深く国民の健康や生命を守るために行政自身も油断をすれば深刻な事態が起こるんだということを念頭に置いて、従来の行政の姿勢についても大きな転換を必要とすることはお説のとおりだと考えております。そのように政府も決意を固めて今後の行政に当たるべきであると考えます。
○島本委員 では通産省、このチッソ水俣工場の埋め立てそれから日本合成のカーバイドの山と積まれておる、この状態、並びにすでに埋め立ててコンクリートで密閉してしまったこの状態、そういう情勢についてまた水銀の有無について十分調査されたのか、現状に対してどのように指導したのか伺います。
○齋藤(太)政府委員 チッソあるいは日本合成等におきましては、排水からの廃触媒の流出分を回収する方法といたしまして、従来カーバイドかすで中和をいたしまして沈でん池で下に沈降させる。そして上澄み水をさらにため池に引きましてもう一辺沈降させる、初期のほうでございますけれども、こういったやり方をとって廃水銀の回収、回収と申しますか工場外に出ないように、そういった廃棄物処理をいたしておったのでございます。したがいまして、カーバイドかすによってむしろ水銀が外に出ないように、回収と申しますかそこで捕捉して沈降させてカーバイドかすの池の底のほうにそれをためる。こういうやり方で水銀を捕捉してそれを工場内に堆積いたしておったわけでございますけれども、これの流出等の危険防止につきましては、たとえばカーバイドかすの横に側溝を掘りまして、雨水等であふれるような場合にはその側溝で受けまして、さらに側溝の水を別のピットに引きまして上澄み分を流す、こういった処理等を行なっておりまして、従来においてはこれが工場外に流れ出るような危険はなかったんじゃないかというふうに私どもは考えております。 ただ、チッソのいわゆる八幡プールにおきますカーバイドかすの現状で見ますと、一部護岸がこわれておりますので、護岸の補修が必要かと考えております。それからカーバイドかすの上をできれば一部アスファルト等でおおうようにしてなるべく流れ出ないようにしたらどうかといったようなことも考えられますので、ただいまチッソにつきましては現地調査もすでに過去にやりまして、そのカーバイドかすの処理方法につきましてはさらに各省間で検討いたしておるところでございまして、近く結論が出る予定になっております。 なお、カーバイドかすの中の水銀分がさらに深く地中をもぐりまして海のほうへ流れ出るかどうかにつきましては、まだ学問的にはっきりしておりません。大学の先生にでもお願いをいたしまして少し詳細な調査をいたしたい、こういうふうに考えておるところであります。 それから日本合成の熊本工場のカーバイドかすにつきましては、今度の今月上旬に派遣します現地調査の結果によりまして、至急さらにそれが豪雨等によって外へ流れ出ないような対策につきまして、どういう処置を施せばいいかという調査団の報告をまちまして対策を検討して日本合成のほうに実施するように指導いたしたい、かように考えております。
○島本委員 長官、まだこういう状態なんですね。行政はまだ後手後手ですね。そうしてこれはほんとうに失礼ですけれども、チッソの場合には公共水域に隣接していることからこれは環境汚染を来たす、この憂慮からすでに熊本県のほうから皆さんのほうへこれは要請されているじゃありませんか。そうでしょう。まして今度日本合成の場合には、その場へ行って調査されてきているじゃありませんか。行ってきたでしょう。あの山と積まれたあの中からもうすでに摘出していかに含有されているか、これは調査に入っているはずじゃありませんか。結果を知っているはずじゃありませんか。まだなんですか。山本君が調査に行ってきていますから、そっちのほうでお願いします。
○山本説明員 私工場の視察に参りました。私実は工場の内部のことにつきまして専門家でありませんですが、県のほうでこのカーバイドかすについての水銀の含有量を調べるということで、そのデータをほしいということを申し上げておきましたが、まだ私は存じておりません。
○島本委員 せっかく皆さんが各官庁網羅して行ったのですから、せめて患者側の実態も調査して参考にでもすればいいのに、患者のほうも見ないで見舞いもしないで帰ってきてしまったのですね。これはもういまさらしようがないことですが、それはまことに残念だと私は思っています。そして水俣湾の漁業の禁止、それと知事がいろいろ行政措置をしたようであります。そうすると漁業補償や湾内から湾外への転換、それと今度禁止した監視体制、こういうようなものはすべて今後の問題になります。漁民に対してもこれは重大な問題なんです。瀬戸内海がすでに死の海になり、そして有明湾もこのとおりになる。そして不知火もすでに同断である。あとどこへ行って漁業をやればいいのか、こういうような点について、水産庁あたりでももっと漁民と水産業のために積極的になるべきじゃありませんか。何回来ても皆さんの場合は、立ちおくれた行政の中であと補償をもらってやめればいいのだという補償官庁みたいな状態になってしまったじゃありませんか。漁民と漁業のために皆さんの場合にはほんとうにもう考えていただかなければならぬと思うのです。今回もまた後手ですね。今後水産庁としてはどういうふうに指導するのですか。
○安福政府委員 お答えいたします。 水産庁といたしましては、沿岸漁業について、現在第二次の構造改善事業を実施中でございます。これは全国的に百八の地区を指定することになりますけれども、現在まだ全部の指定は終わっておりません。当海区の問題といたしましても、こういった観点から地区の指定、その内容の充実といったものを積極的にはかってまいりたいと考えております。 現在沿岸漁業の問題は、過去十年の漁獲統計からいたしますと停滞的に推移しておりますけれども、養殖魚の適地と申しますか、そういったところを積極的に漁場開発することによりまして、沿津漁民の漁家所得というものは相当伸びている現実があるわけであります。そういう観点から積極的な政策を今後一そう強く押し進めたい。この地区についてはことにこういった問題もございます。そういったものを踏まえまして積極的な前向きの生産対策を組んでまいりたい、このように考えております。
○島本委員 答弁はいつも前向きの姿勢のはずなんですが、行政はいつもあと追いになってしまっている。このメカニズムをひとつ解明してください。答弁はいつも前向き、行政はいつもあと追い、いつでもこういうような態度ではほんとうに困るのであります。今度はそんなことのないように画期的な要求をしなさい。画期的な資料をつくりなさいよ。水産庁はもうそういうふうにしてもいい段階です。副総理の三木長官もおるのですから水産庁も遠慮しないで、漁民と漁業を守るために画期的な施策をすべきです。 それと今度は、今回の調査報告で、これまでの水銀中毒の概念、これが行政の安全基準を根底からゆすぶるような二つの大きい問題の提起があったわけです。水銀が脳に入って排せつが異常に長引くこと、これは長官、さっきおっしゃったとおりなんです。これも武内報告なんかにあるのです。そしてこれはもう蓄積されて脳細胞をおかしていくという傾向をはっきり示しておるのです。したがって、長期の水銀の微量汚染による慢性中毒の存在、これが裏づけられたのです。水俣地方で、いまなお発生が続いているというなぞもこれで解けたわけであります。したがって今後はどれほどになるか、進展していく行き先がわからぬほどです。対策を急がなければならない、画期的でなければならないというのはここにあるのです。 もう一つの重要な点です。これは水銀汚染のないと思われておったところの有明海沿岸の比較対象地区から今度は十何人もの水銀中毒患者が検出されたということなんです。これはもう熊本県の実施では、緑川のアサリから〇・〇八一PPMのメチル水銀が検出されているのです。これは水俣に比べて高くない数値なんです。そうすると低汚染地域で患者が出たというこの事実から、ごく微量の水銀汚染でも、長期間続ければ慢性中毒を起こす、こういうようなことの一つの提起があったわけです。そうなると汚染度の低いと思われるところ、すなわち有明海並みのところは全国の内海も危険だということがいみじくもこれで立証されることになるのです。したがって、もうこういうようなことに対して基本的な調査をすべきだと思いますが、この海、川、湖、こういうような方面の全国の工場群のある水底の調査、こういうようなことに対してはどのように考えておられますか。
○岡安政府委員 全国の水銀汚染の実態調査につきましては、私ども現在検討いたしております。特に水銀を扱っておった工場、または現に水銀を扱っている工場からの排水、またはそれから流れ出る公共用水域並びに海域等につきましては、水質のみならず底質等につきまして全国一斉の点検を至急やりたいというふうに考えて、現在その計画を策定している最中でございます。
○島本委員 これもまたちょっとおそいようですね。これは全国の工場群のある海、川、湖、こういうようなものの水底の調査あるいは湖底になるかもしれませんが、水底の調査です。これをやらないと対策になりません。長官、これを急いでやるように、水産庁その他も十分心して企業群を十分指導するようにつとめてください。時間の関係上、これは答弁要りません。 なおそういうふうにして全国的にこういうような問題が起きているのですが、たぶん四月二十五日の水曜日だと思いましたが、私はこの委員会で、新産都市の大分地区の開発計画、大分市の乙津川の下流の住友化学の排出溝付近で重金属による汚染、こういうような問題があるということを指摘しておいた。そしてその川そのものが排水溝になっており、このような川をかってに排水溝に使っておるような状態、これのあることも指摘しておいたんです。この状態は有機水銀が検出されたというように報道その他によって知りましたけれども、これはどのように現在指導なさっているのですか。
○齋藤(太)政府委員 住友化学の大分製造所は、水銀を使います工程といたしましては水銀電解法によります苛性ソーダの製造を行なっております。ただその排水処理につきましては四十四年までは沈降法でございましたが、四十四年から四十六年まで活性炭によって排水の中の水銀を回収する、あるいは鉄くずのダライ粉を使いまして回収する、こういう排水処理を実施いたし、さらに四十六年十二月からはキレート樹脂という合成樹脂を使いまして排水中の水銀の流出分を吸着させまして、その残りのきれいな水を外に出すというような工程をとっておりまして、水質汚濁防止法が適用になりましてからは水銀は検出せずという基準になっておりますので、県のほうで取り締まりが行なわれておりますが、私どもが聞いておりますところでは、現在の排水については水銀は入っていないということでございます。
○島本委員 現在はなくても、それが海底または川の底の中に蓄積されておったというようなことのための被害、これをいっているわけなんです。現在それをやっていないからいい、過去のものは責任がないんだ、こういうような考え方が通産省のすべてですね。水銀は検出せず、すべていい、そこから病人が出てくる。出たならば前向きに検討する、この態度をやめなさいというのです。したがって有機水銀を過去に排出したならば、それを十分点検して善処しておきなさいということなんです。これは何回も皆さんに申し上げたはずです。これも当然裁判になるのじゃありませんか。
○齋藤(太)政府委員 水銀に関します排出基準が適用になりましたのは昭和四十四年の二月でございますが、それ以前におきましても、もちろんこの苛性ソーダの排水処理につきましては、通産省としましても、水銀が流出することのないよういろいろ行政指導をいたしまして、各種の、たとえば硫化ソーダでございますとかそういうものを使って、あるいは活性炭を使いまして、極力排水中の水銀を捕捉いたしまして、排水の中に出さないように指導はいたしておったのでございますけれども、何ぶん法律実施前はその排出の基準もございませんし、現在から見ますと若干行政指導面におきまして足りなかった点はあるかと思います。
○島本委員 私も、そういうような点からして、第三水俣が起きたと同じような情勢で起きる可能性は、そういうような工場群のある個所、そこにも可能性がある。したがってそれを総点検しなさい。そして水だけじゃなく湖底も調べなさい、こういうような提案なんです。これはやると言いますからいいのです。ただこれは、私はいろいろ心配な点があるのですけれども、先ほど林委員からもちょっと質問があったのですが、環境庁による四十七年の水銀によるところの環境汚染の調査、これは本年の五月二十四日に北海道の網走管内の無加川から、これは熊本県の水俣や阿賀野川などの調査対象になった十水域の中でも最高の総水銀量、メチル水銀量が検出された。この報告があったのです。その答弁も承りました。しかし検出総水銀量が最高が〇・六八、最低が〇・三六平均が〇・四七PPM、メチル水銀量が〇・五〇PPM、〇・二〇PPM、平均が〇・三〇PPM、これは阿賀野川の二倍の最高値である、こういうようなことであります。したがって、これは下流、海域水質の底質の調査、水産物への調査、北見市の水道源としてこれを利用しておるけれども、それに対する調査、上流は野村鉱業のイトムカ鉱業所であるけれども、そのイトムカ鉱業所に対するはっきりした指導、もうすでに金属鉱業等鉱害対策特別措置法、これが通産省のほうから出されてもう通ったでしょう。そして金属鉱物探鉱促進事業団法の一部改正法案、これも通っているでしょう。おそらくそういうような事態からして、上流の野村鉱業イトムカ鉱業所、これに対する指導は的確に行なっているはずであります。下流の留辺蘂町では背曲がりのウグイが釣れているのです。こういうような点についても十分調べてあるのですか。
○青木政府委員 イトムカ鉱山は現在操業しておりますので、鉱山保安法によりまして監督を現在いたしておる次第でございます。イトムカ鉱山の排水の状況でございますが、現在製錬排水と坑内排水及び堆積場の浸透水と三つの種類の水が出ておるわけでございますが、製錬排水及び鉱滓堆積場からの浸透水につきましては、消石灰で中和をいたしまして、沈でん池で沈降処理をした後上澄み液を排出しているという状況でございます。坑内水につきましては沈でん池におきまして浮遊物を自然沈降した後、その上澄みの水を活性炭でろ過していくという処理をしておるわけでございます。こういう状況でございます。鉱山保安法に基づきます排水の検査の結果では、四十五年、四十六年、四十七年と毛利水点、排水点いずれも水銀は不検出という結果になっております。ただ、こういう事態でございますので、環境庁のほうの環境調査と相まちまして私どももなお一そうの精密調査をいたしたいというふうに考えております。
○島本委員 環境庁のほうの御答弁を伺います。
○岡安政府委員 いまお話しの、北海道の無加川でございますが、下流で北見市の水道用水を取水しておりますので、それを北海道庁と通産省は継続的に、鉱山の排水のみならず、河川水につきまして監視、測定を行なってきたわけでございますが、これまで水銀が検出されたという報告は受けておりません。しかし、いまお話のございましたとおり、私どもは、近く全国の水銀を使っていた工場等の調査とあわせまして水銀関係の鉱山、これは稼働中のもの並びに休廃止鉱山を含めまして環境調査をいたすつもりでございます。したがいまして、この無加川の汚染状況につきましても、水質、底質等につきまして詳細な調査をいたし、必要ならば対策を講じたい、かように考えております。
○島本委員 こういうふうに、これから起きる可能性のあるところは点検して、再び起こさないように先に手を打つことです。 それと同時に、これは首尾木自然保護局長はおりますか。御存じのように、これまた鹿島臨海工業地帯の三倍、東京の山の手線の内部の一・五倍という北海道の苫小牧の東部大規模工業基地の計画が進められているようですが、これが、鉄鋼は年産二千万トン、石油精製は日産百万バーレル、石油化学が年産百六十万トン、アルミが年産百万トン、電力が四百五十万キロワット、こういうような大工業群を張りつけようとしておるわけです。そういう計画を進めているようです。これは、このままでもし推移するならば、鹿島、水島の二の舞いにならないように気をつけなければならないし、その可能性もあるわけです。この周辺にアオサギコロニー、これは谷地でありますから、これがあるんです。そして住民もこれを残そうということで努力しているんです。東部開発が進められ、現在の臨海工業地帯が進められてから、この湿原地帯がだんだんとなくなってきて、そしてウトナイ湖の水位が五十センチも下がってきて、いまやアオサギが全然来なくなったという、こういうような状態に対して調査してありましたならば、この際はっきり対策とともに示してもらいたい。
○首尾木政府委員 御指摘のアオサギのコロニーでございますが、それはウトナイ湖から約二キロ近く離れたところに、現在アオサギの集団営巣地がございまして、そこに約三十五羽が営巣しておるということでございます。この周辺地域は、四十六年ごろに民間業者によりまして湿地の埋め立てが行なわれたところでございまして、そのときにアオサギのこの集団営巣地域に当時は百羽程度が営巣しておったそうでございますが、その保護のために二ヘクタールの地域をさくで囲いまして保存措置は講ぜられたものでございます。しかし先ほど申し上げましたように、その埋め立ての影響によりまして、その以前に比べましてアオサギの数が三十五羽、約三分の一程度に減少しておるというのが実情でございます。それで今後の問題でございますが、この現在のコロニー自体、これに三十五羽営巣しておるものでございますけれども、先ほど申し上げましたように、この付近の湿地帯が埋め立てられまして、えさ等の関係、あるいはアオサギの生態から見まして、今後ともこのコロニー自体に営巣を継続していくということを期待することはなかなか困難ではないかというふうに考えております。しかし現在ウトナイ湖自体につきましてはまだ自然が保全をされておりますので、これは今後苫小牧東部地域について、先生のおっしゃいましたような工業立地計画というものがございますが、この計画の中でウトナイ湖周辺につきましては、できるだけ保存地区ということで残すように北海道を指導をいたしておるところでございます。なお、私ども今後そういう点につきまして、必要があれば調査もいたしたいというふうに考えます。
○島本委員 先のほうを急ぎますが、大体有機水銀の工場群に対する対策、それから鉱山に対する対策、最後に残るのは農薬に対する対策、まさに三大汚染源でありますから、農薬に対する対策は、これは完全に整ってございますか。環境庁では現在、稲の種の消毒用に使われている有機水銀剤、これは米に残留した水銀の害が問題で、このために水田への散布は四十二年、土壌殺菌用には四十五年三月に禁止されているはずです。残留性の高い農薬、これは問題が当然ありますけれども、種子の消毒用に使われているのも依然としてまだ残しておるようでありますが、今後はやはりこの農薬水銀も十分考えなければならない問題点の一つだと思います。この対策は十全ですか。
○岡安政府委員 水銀関係の農薬でございますが、いまお話しのとおり、現在、散布用の農薬というものは一切使っておりません。残っておりますのは種子消毒用でございます。この種子消毒用農薬につきましての問題点があるとするならば、私ども考えておりますのは、これは水銀農薬の溶液をつくりまして、その中に種子をひたしましてそれを取り上げてまくということでございますので、種子等に付着する農薬そのものにつきましては、きわめて微量でございますし、問題はないわけでございますけれども、あるとするならば、やはり消毒用に使われました農薬の廃液といいますか、使用後の液の処分等につきまして問題があるというふうに考えております。 そこで、私どもはなるべく近い将来、水銀を使いました種子消毒用農薬は使用をやめるというような方向で処置をいたしたい、かように考えております。
○島本委員 そういうようなことでここにほんとうに工場、鉱山、農薬、三大汚染源に対する対策、これはもう完全に考えて実施してやってもらいたい。このことは最後に強く要請しておきたい、こう思うのです。 あとの問題は、これはもう長官の問題です。第二水俣病の昭電、これもすでに四十八年五月二十三日、ちょうど第三水俣病発表の翌日にすべて解決いたしました。そうすると、第三水俣をまた今後起こさないための対策、それはこれからです。残っているのは第一水俣の患者。いろいろな困難点はあります。私どももこの解決のためには、当委員会をはじめ、委員長を中心にしてでも、また行政機関は環境庁長官を中心にしてでも、早くこれを終止符を打たせなければならない。第二水俣が解決した。しかし、まだ若干のいろいろな不一致点があるにしても、第一水俣、昭和三十年代のものがまだ解決されていない。それだけに根が深いのであります。それだけに困難なのであります。しかしながら、やらなければこれはもう対策が進まない。こういうような見地からわれわれも決意します。現在なおチッソの総会等においてはいろんなトラブル――右翼を導入して、患者側に属する株主でしょうか、そういうようなものの排除さえ行なったということが報道によって知らされているわけです。まだこういうようなやり方には敵意を持ってやっている。これは遺憾であります。なぜ根の深い、みぞの深い第一水俣、これが残らなければならないのか。今後どのようなことがあってもこれは解決させなければならない。私どももそう思っております。長官もこの際もう一ふんばり、当然がんばるべきだ、こういうふうに思います。若干のトラブルがあっても、それはもう金で済むことは大事件ではないのですから。もうすでに植物的生存を余儀なくされておるような、こういう被害者を見るような場合には、おそらく若干の金で済むようなのは大事件とは言えないじゃありませんか、それに比べたら、それくらいは可能なはずです。長官もひとつ、第一水俣の被害者の紛争の解決のためにも、これは決意をしてもう一はだ脱いでもらいたい。当然われわれもこれは援助しなければならない、こう思っております。決意を伺います。
○三木国務大臣 島本委員から水俣病の患者の問題をめぐる諸問題について解決に野党の立場からも協力してよろしいという発言があったわけですが、私はやはり公害問題というものは、与野党いろいろイデオロギーも違うし、主張も違いますが、その違いというものをあまりこだわっておると問題の解決というものはなかなか遠のく面もありますので、やはり与野党を問わず公害問題というものは総ぐるみになって解決すべき問題でもある、党派を越えた問題でもあるというふうに考えるわけでございます。そういう点で野党の立場からもこの解決に協力しようという態度に対して、私は非常にありがたく思うのであります。したがって、われわれとしても、まだ未解決のグループが残っているわけでありますから、最後の未解決のグループに対してできるだけこれが迅速に解決策を見出されるように努力したいと思っておりますから、島本委員においても御協力を願いたいと思うのでございます。
○島本委員 時間が超過してしまいました。これ以上やるのは他の人に被害を与えますから、私、これでやめます。やめる前に二つだけははっきりさしておいてもらいたい。 一つは、過去の閣議によってきめられた水質汚濁にかかわる環境基準関係の閣議決定集、これに対して再考する余地があるのではないか。現在の水質の状態を見、そしていままでと違った発想で今後は臨まなければならない状態、こうなるならば、これを強化してこそ、いままでと同じような態度では困る、このことであります。 もう一つは、公害損害賠償法。長官は当然予算委員会で、生業被害もこれに加えるようにして、そして早くこの賠償法を通したいのだということで努力されておったようですが、きょう伺いましたところが、まだ出されておらない。そして、公害健康被害補償法、こういうふうな名前に変わった、こういうようなことを聞いて、私はもう――だれが反対しているのですか。だれがこれを困難にしているのですか。いま第三水俣が始まって、そしてこれからもこういうふうにしてやっていかなければならない。PPPの原則さえも総理大臣が確認しておるのに、どの省がこれに反対しておるのですか。副総理はこれを出させる、それくらいの実力、ないのですか。 私、この二つだけははっきりとした決意を伺いたい。
○三木国務大臣 水質汚濁防止法のいろいろな基準については再検討をいたします。 それから法案については、できるだけ、そう長い期間ではないと思いますが、最後の法文化をいま法制局とも相談をしてやっているときでありますから、そう遠くない時期に国会に提出をする予定でございます。
○島本委員 終わります。
○佐野委員長 中島武敏君。
○中島委員 有明海沿岸の有明町に第三水俣病の患者が発見されましたが、これは関係住民はもとより、全国民に対してきわめて大きな衝撃を与えたわけであります。 熊本に第一水俣病が発生し、引き続いて新潟に第二水俣病が発生しました。それにもかかわらず、全国の水銀使用工場あるいは水銀排出による環境汚染被害の調査というようなことについて、総点検と対策を政府は行なっておられなかった。そして今日第三水俣病の発見に至ったわけであります。私は率直に申し上げますが、これは政府の責任はきわめて重大であると思うのです。長官の所信をまずお伺いしたいと思います。
○三木国務大臣 公害問題に対してはいろいろ解明されていない面もありますから、結果的に見ればいろいろ試行錯誤をおかすような部面も私はあると思うのです。しかしこういう事態が起こりますと、一般国民に対して非常な不安な気持ちを与えますから、今後公害防止ということに対しては、従来の惰性を断ち切って、一段とこれに対しては周到な政府の態度で対処していく必要があるという反省をいたした次第でございます。
○中島委員 行政があと追いにならないために、やらなければならないことはきわめて大きいと思うのです。ぜひこれを単なる決意に終わらせることなく、実行していただきたいと思います。 続いて、有明海のこの第三水俣病が有明町に発生をした。一体この汚染源はどこであるというふうに考えておられるかお伺いしたいと思います。
○船後政府委員 有明町の今回の熊大研究班による報告につきましては、私ども現地に係官を派遣いたしまして、直接先生からもお話を伺ったのでございますが、現在のところ公表されております報告文以上のものは承知いたしておりません。この熊大の報告によりますと、一つは今回対象地区として選びました有明地区におきまして、定型的水俣病と全く区別できない患者が五名、一応水俣病と同様と見られる者が三名、(中島委員「それは私も読んでいます。」と呼ぶ)こういうような報告がございまして、なおこれにつきましては疫学的な調査というものが必要でございます。この点につきまして、この熊大の報告では別個の汚染源というものが考えられるのではないか、こう申しておるわけでございます。これは従来から有明海及び不知火海の海流の状態等の知識をもとにいたしますと、そのような推定がきわめて有力になってくるわけでございます。この別個の汚染源が何であるかということにつきましては、私ども急ぎ環境調査というものを実施する。他方また有明海沿岸に立地いたしております工場の中で水銀を使用いたしましたものにつきましては、過去のデータ等も十分に調べるというような調査をいたしたい、かように考えております。
○中島委員 そうしますと、現在まだ調査中であって、その結論を出す段階には至っていないということのようでありますね。そういうことでしょうか。
○船後政府委員 現在はその汚染源等を究明することも含めまして、環境調査を実施するという計画を練っております。先ほども申し上げたと思いますが、この六月の下旬までにそういう環境調査を有明海一帯について実施いたす予定でございます。
○中島委員 この問題では、有明海沿岸にどのような水銀使用工場があるか、これはもう特定されているわけであります。時間があれば一つ一つお伺いしますけれども、本日時間のないもとでの話でありますから、私のほうから申し上げたいと思うのですけれども、ほとんどチッソと同じようにアセチレン水和法によりましてアセトアルデヒドを製造いたしておりましたのは日本合成化学である、これは非常にはっきりしているのです。 それからもう一つは、大量に水銀を使用している三井東圧、この三井東圧をどういうふうに考えるかという問題です。私もこの間直接調査に参りまして、ここの所長以下の人たちにも会っていろいろな意見を聞きました。それによりますと、昭和三十五年以降水銀法を採用してからどれだけの水銀を使っているか、どれだけの水銀が失われているか。これは会社の報告によりますと、工場の受け入れ水銀量が百五十九トン、工場の現在の保有量が百千トン、つまり四十九トンが損失しているということであります。そこで四十九トンの行くえがどうなっているか。この四十九トンの行くえは、二トン六百が排水の中に入って流れてしまった。それからもう二トンは四十四年に盗難によって盗まれてしまった。たいへんこれはずさんな話であります。それからそのほかはスラッジとして山へ持っていって積んである。これは大まかにいっての結論なんです。 そこで、これは会社側のいっていることでありますし、そしてまたこういう数値をどういうふうにして出してきたのかということを尋ねましたら、これは推計なんですね。つまり排水の中にどれだけの水銀が含まれているかということを会社自体が調査をしている。それによりますと、〇・〇二PPM以下であるから、したがって掛け算をしてこれだけは流れているに違いない、残ったのは山へいっている、あるいは盗まれたのはこれだけだ、こういうやり方なんです。ですからこれは十分に信用することはできませんけれども、そこの所長自身が無機水銀が有機化しているかもしれない、これを非常におそれるということを発言をしているわけであります。 また久留米大の山口教授の場合には、食塩電解槽からメチル水銀を検出したということを実験に基づいてすでに発表しているわけであります。こうなってきますと、やはり三井東圧がメチル水銀を排出している疑いというものはきわめて濃厚なわけであります。 また、日本合成化学はチッソと同様な製法でありますから、これがメチル水銀を排出したことも確実であります。そういう点では、私はもっと徹底した原因者を確定するための調査ということを急がなければならないと思うのです。そういう点についてどういうふうな調査をやろうとしておられるのか、先ほど調査されるということのお話がありましたけれども、もう一度その点を伺いたいと思います。
○岡安政府委員 私ども考えておりますのは、有明海並びに八代海につきまして、まず水銀等を扱っておりました工場等につきまして、現在の排水を調べると同時に、工場の直下の底質等をとりまして、どれだけ水銀を含有しているかということを調査をいたします。さらにその工場排水が流下しまして川へ入る海に入る過程等につきましても、底質等の調査をいたします。さらに有明海それから八代海につきましては、相当こまかいメッシュを引きまして、水質並びに底質の調査をする。それからさらには魚介類等につきまして水銀等の含有量を調べるというようなことをいたします。さらには海の流れその他につきましても、交流調査その他の調査をいたしまして、できれば有害物質等がどういうふろに移動するかということも、わかればわかるように調査いたしたいというふうに考えております。
○中島委員 精密な調査をほんとうにやる必要があります。この問題に関連して、私はここで、時間のないもとですからあまりくどく申しませんけれども、やはり通産省に伺っておきたいと思うのですけれども、過去において水銀排出工場についての調査という点ではどの程度の調査をおやりになったのか、そしてまたこれからはどういうふうな態度で臨もうとされているのか、この問題は先ほども問題になっておりましたけれども、私は非常に重大な問題だと思うのです。まずここのところの姿勢を根本的に改めない限り、いま第三水俣病が発生しておりますが、第四、第五がすでに発生しているかもしれない。そのことを発生していないと言うことはできないと思うのですね。これは非常に重大なことだと思うのです。そういう点で通産省の見解をいまひとつはっきりさせておきたいと思いますので、お尋ねします。
○齋藤(太)政府委員 昭和三十四年七月、当時熊本大学から水俣病の原因といたしまして有機水銀説が出たわけでございますけれども、そのときに、三十四年十一月でございますけれども、チッソに対しましては排水処理施設を完備するようにという通達をいたしました。また同時に他のアセチレン法によりますアセトアルデヒド工場及び塩化ビニールモノマー工場に対しましても同様な通達を出しますと同時に、水銀の処理状況等について報告を求めたのでございますが、遺憾ながらこの報告が現存いたしておりません。倉庫をずいぶんさがしましたけれども、どうしても見つかりませんで、おそらく役所の文書処理規程によりますと、二年処分とか五年処分とかいろいろありまして、昭和三十四年の報告でございますので、十四年ばかり経過いたしておりますから、文書処理規程に従って処分したのではなかろうかというふうに考えられるわけでございます。ただ、この通達後、当時、従来は水銀の排出につきましてはカーバイドかすで中和をいたしたりしまして水銀を捕捉しまして、あと上ずみ液を自然沈降というような、わりに原始的な処理方法をやっておりましたけれども、この通達後は水銀凝集剤を使いますとか、そういった強制沈でん装置も各社設けまして排水処理につきましては非常に改善を見たというふうに私ども考えております。 昭和四十三年に一応処理状況の調査をいたしまして、また四十五年にも処理状況の調査をいたしておりますが、その四十三年から四十五年の推移を見ますと、たとえば排水を外へ出しませんで循環使用するという工場が、四十三年のときには調査した四十五工場のうち四工場しかございませんでしたけれども、四十五年にはそれが十三工場にふえておるというように、逐次排水処理につきましては、特に法制が整備されました四十三年以後につきましては非常に改善を見ておるように存じます。 今後の対策といたしましては、すでにやめておりますアセトアルデヒド及び塩化ビニールにつきましては、いま残っておりますカーバイドかすの中の水銀量の調査並びにこのカーバイドかすの中の水銀が流れ出さないための適切な対策というものを講ずるべく現在現地調査をやることにいたしております。それから現在稼働中の苛性ソーダの電解工場につきましては、基本的な対策としまして今後の苛性ソーダの新増設はすべて水銀を使わない製法でやらせるという方針にいたしております。さらに残存します水銀法工場につきましては、排水につきましては、すでに法律の規制によりまして排水中から水銀を検出しないというのが基準になっておりますので、そのような処理が行なわれておりますが、あと電解槽からの――密閉はいたしておりますけれども、若干気化するようなおそれがないこともございませんので、完全密閉化の問題、それから塩水、不純物が五%くらいまじっておりますので、これがマッドという形で、残滓として電解槽の底にたまります。これの中にも水銀がまざり込んでまいりますけれども、それを極力まざり込まないようにする方法の開発、さらにマッドの処理といたしまして、現在は工場内にコンクリートでふちを固めましたプールをつくりまして保存をいたしておりますが、これをさらに焼却をして完全に処理をするとか、あるいはコンクリートで固めまして深海に捨てるとか、こういった方法を検討いたしまして、いずれにしましても苛性ソーダ工場から水銀が外に漏れないように、完全クローズド化を指導してまいりたい、かように考えております。
○中島委員 三十四年の調査結果が現存しないということはきわめて遺憾ですね。これはあの第一水俣病が発生して、すでに水銀が原因であるということがわかっており、何もチッソだけではなくて、たくさんの同じような工場が全国にあるということがわかっていながら、なおかつ資料が現存しない、これはなかなか納得しがたい答弁なんですね。ほんとうに現存しないのかということを疑いを持たざるを得ないくらい私にはふしぎに思えるのです。あれだけの事件になり、そして原因もはっきりしておる、そして全国に多くの工場がある、それでいてなおかつ資料が現存しない、これは重大な問題だと私は思います。 同時に、いまもう一つのお話を聞きますと、四十三年、四十五年に処理状況の調査をやっておるというお話であります。しかし同時に、水銀をどういうふうに使用し、どれだけのものがどのようになっているかということについての調査はそのときにはやってはおられないのですか。
○齋藤(太)政府委員 三十四年の調査につきましては、むしろ今後の行政指導あるいは今度の汚染源の解明といったような意味からも、ぜひ私どもとしてはほしい資料でありまして、ずいぶんさがしましたけれども、どうしても見つからなかったのでございます。 それから四十三年、四十五年には処理状況の改善のための調査をやりましたけれども、水銀の使用量、消費量等々の調査はございません。
○中島委員 いまになって、第三水俣病が発生しても資料がない、これから調査をしなければならない、四十三年、四十五年に調査はしたけれども、それは処理状況だけであって、水銀の使用量もわからない、これでは実際に政府としてほんとうに対策を立てて公害を防いでいくということを幾ら口で言ってもだめだと思うのですね。これは根本的に姿勢を改めるという以外に私はないと思うのです。それで水銀の総量をつかむということは非常に重要な問題だと思うのです。そういう点からいいますと、物質収支といいますか、有害物質ですね、これは水銀に限らず、一体どれだけ使用して、どれだけなくなったのかということを明らかにしておく必要があるのではないかと思います。このことは法律によってきちんと工場にそういう報告を提出させるということを義務づける必要もあると思うのです。政府のほうもサボっており、企業のほうもサボっております。事件が持ち上がりました、どうしていいかわからない、これから調査いたします、これではしようがないと思うのです。だから、私はこの際はっきり申し上げますけれども、水質に関しては七物質、あの有害物質と規定されているカドミ、シアン、有機燐、鉛、六価クロム、砒素、水銀、それからまた大気に関しては五物質、カドミ、塩素、弗素、鉛、硫黄、こういうものの物質収支をきちんと報告させるということを義務づける必要があると思うのですね。そうでないと全部後手に回ります。事件が起きてから、調べるから、調べるからとなりますよ。私はこのことはぜひそういうふうにしなければいけないのではないかと思うのです。長官、どうでしょうか。いままでのこの経過を考えてみ、そしてまた、これから行政がもっとほんとうに公害防止を先取りしていくという姿勢に立つならば、これくらいのことは、水銀はもちろんのことですけれども、有害物質についてきちんと義務づけていくということが必要だと私は思うのです。長官の考えをお聞きしたいと思います。
○三木国務大臣 水銀をはじめ、有害物質に対して企業から報告を求め、実情を常に通産省が把握しておく必要がある、これは研究をいたします。
○中島委員 有明海の調査の問題に関してお伺いします。 水銀による環境汚染暫定対策要領に基づく調査の問題でありますが、四十六年度は発表されておりませんが、これはいかなる理由で発表されておられないのか、お伺いしたいと思います。四十五年度は発表されました。四十七年度も発表されました。四十六年度はなぜ発表されていないのか。
○船後政府委員 水銀等による環境汚染の調査は、継続して実施いたしておるものでございますが、四十六年度はちょうど環境庁が移った年でございまして、調査結果は取りまとめてガリ版程度のものとして残っております。したがいまして、今後これにつきましても早急にとり、整備いたしまして発表いたしたい、かように考えております。
○中島委員 これは、有明海でこういう患者が発生しているということが現実の問題になってしまったにもかかわらず、その大切な調査結果が四十六年度が抜けてしまったということは、何か事務的な理由があったというようなことでは私はいかぬと思います。至急、いまおっしゃったように発表していただきたいと思います。 同時に、四十七年度の調査結果について伺いますが、有明海は調査対象からはずされておりますが、これはどういう理由によるものでしょうか。
○船後政府委員 四十七年度は、水俣湾周辺の調査といたしまして、分析は神戸大学の喜田村先生と熊本大学の藤本先生に御依頼申し上げておりますが、熊大のほうの分析では、水俣湾だけではなくて、有明海につきましても、湯島沖、緑川河口等につきましての分析結果を告示いたしております。
○中島委員 四十七年度、ありますか。――では続けて伺います。前にも御質問申し上げたのですけれども、安全基準の問題ですけれども、これは四十八年度中にきめるという御答弁がありましたが、現在はこれを早められるというふうに考えておられますか。
○福田説明員 ただいまお尋ねの食品中に含まれます水銀の許容基準の問題であります。先回、先生にやはり私お答え申し上げたと思うのでございますけれども、四十八年度中に、慢性毒性試験の結果を――現在国立衛試で試験を四十五年度から実施しておりますけれども、予備試験を含めまして、どうしても二年以上かかりませんと、サル等を用いました精密な実験をしているものですから、四十八年度中にはこの試験を終わりまして、すみやかに基準を設定いたしたいと思うわけでございます。しかしながら、今回の問題等も考えまして、暫定的な許容量と申しますか摂取量につきましては、現在専門家にお集まり願いまして、直ちにきめてまいりたいということで実施しておりますので、それをとりあえず暫定できめまして、一年後には正式な許容量をきめてまいりたいというふうに考えております。
○中島委員 健康調査の問題についてお伺いいたします。 熊本県が従来やってきました健康調査、一斉検診といわれておりますが、これは非常にずさんなものであって、これではだめだということは、第二次熊大研究班の研究報告書にも指摘のあったところであります。したがって、これから行なう健康調査は精密なものでなければならないというように考えるわけでありまして、いつから、どんなふうにしてやられようとしているかということについてお伺いいたします。
○船後政府委員 有明海の調査といたしましては、先ほど申し上げました環境調査と健康調査二つを実施するわけでございます。健康調査につきましては、有明海は全域を一応カバーいたしたい、かように考えておりますが、他方、水俣につきましても、現に認定申請しております者の審査を急がねばならない。また水俣湾、不知火海一帯の補完調査もしなければならない。そして、この関係に携っている専門家の方というものも現在のところは制限されておるというような状態で有明海の調査を急がねばならないと思いますが、一応現在の計画、これは一昨日関係四県の方々にお集まり願いまして相談いたしたのでございますが、各県で分担いたしまして、調査方法につきましても、今回の熊大の調査というものは十分参考にいたしまして、調査方法を統一し、主として漁民を対象といたしまして結論を早く急がねばなりません。悉皆調査というわけにはまいらないと思いますが、調査は一応ある程度のサンプリングということをいたしまして、この七月早々にでも実施にこぎつけたいということで、ただいま具体案を関係県が持ち帰って策定しておるところでございます。
○中島委員 これは長官にぜひ聞いていただきたいのですけれども、私は第二次研究班の立津教授にもお会いをして、この健康調査の問題について詳しく教授の意見を伺いましたが、なかなかたいへんな問題ですね。といいますのは、一人の患者さんに実際にかかる時間は、診察をする時間ですね、もう二時間も三時間も、あるいは四時間も五時間も一人についてかかるのです。そう容易なものではないわけですね。そしてまた診断ができるというようになるためには、これはほんとうに年数がかかる。基礎訓練一年間、それから本格的な訓練二年ないし三年を要する、そのあとでなければ水俣病の診断ということはできないというわけであります。これは実際にやっておられる教授が言うんですから、私はそのとおりだと思います。 そうしますと、いま七月から実施というようなお話がありましたけれども、私はこの体制というのは本格的な体制をとりませんと、これは不可能じゃないかというように思うのです。関係の四県の医師、大学の先生たちだけでは私はとても無理だと思います。そういう点では全国的な体制をとるということが必要ではないかというように思うわけです。 それからまた、この水俣病の診察や診断や治療ができるような専門家を本格的にやはり養成しなければならないという問題も出てくると思うのです。 それからまた、実際に話を聞いてみてたいへん私は驚いたのですけれども、あの第二次研究班に対してどれだけの研究費が組まれているか。これは県から第一年度に三百六十万円ですよ。たったこっきり三百六十万円。そして第二年度、第三年度それぞれ五百万円。これを合わせて今回一千万円使った。しかし、実察にはこんなことでできるものではないわけです。それでほんとうのところ、話を伺ってみますと、一年度にどんなに少なく見積もっても三千万円はかかっているというのです。過去にすでにかかっているというのです。全部自腹切ってやられているのですよ。 このことを考えますと、やはりこの健康診断の体制というものも全国的にしなければなりませんけれども、専門家もつくらなければならないし、また同時に国が相当な、やっぱり国や県が大きな予算を組まなければならないということが私は明瞭だと思います。そして国はこれに対して、一体政府のほうからどれだけの補助をしてこられたのか。お寒い限りでしょう。私はその点について、もっと長官のはっきりした方向というようなものを、決意を伺いたいと思うのです。向こうへ行かれて、長官、また熊本でもいろいろおっしゃっておられますけれども、これは単なる決意では事はとても実行できるようなものではないのだということですね。向こうへも行ってこられて、相当よくつかんでいらっしゃると思いますけれども、この点具体的にどうされようとしておられるのかということについてお伺いしたいと思うわけです。
○三木国務大臣 研究費の問題は、総じて水俣に限らず日本の場合の研究費というものは、まあ金額も非常にちょびちょびと、広い範囲であっても徹底した研究をするのには十分でない予算しか盛っていないと私は思います。ことに水俣の場合は今後もやはり解明をせなければならぬ問題がたくさんあるわけですから、研究体制というものは強化せなければならぬと思うので、予算については予算の編成の場合において特に私はこの研究費の増額ということには力を入れて、必ず実現をいたしたい、研究費を思い切って増額するということを実現をしたい。 また健康診断は御指摘のとおりですが、なかなか水俣病というものは普通のお医者さんが、経験のないお医者さんがすぐにその診断をするということもやはり困難でありますから、また、養成したらどうか、これもまた時間のかかる問題でありますから、現在のこの有明海の沿岸の漁民を中心とした健康診断は早急にやらなければなりませんから、まあ各県等における大学などもあるわけですから、できるだけ熊本大学というだけでなしに各大学等の協力を得て、現在の条件のものでできるだけこの健康診断を迅速に行なえるような方法を関係県と相談をいたしたいと考えております。
○中島委員 ほんとうにこれはもう全国的な体制をとりませんととても無理だということを重ねて申し上げ、そしてそのようにぜひひとつ体制をとっていただきたいと思います。 なお、これに関連して認定審査会の問題ですけれども、現在もうすでに認定審査会に申請されている患者の数は八百名をこえているというのですね。ところが実際には、二カ月に一回二日間認定の事務をやりまして、八十名です、こなせるのは。そうすると現在の八百名も出ているというものだけでも二十カ月かかる。またいま、どんどん診察してほしいという希望者が激増しているんですね。きわめて激増している。ところが、もう町のお医者さんは診断書一本書いてくれないのです。しかし希望者はどんどん出てくる。自分はおかしいんじゃないか。これは抜本的な体制をとりませんと、それはもう地域に、いま長官の言われた問題等は同時にこの地域における医療の体制ですね、そのことを含めて抜本的な体制をとりませんと、この問題というのはほんとうに解決をつけることのできない問題だと思います。認定の方法についてはやっぱり改善する必要があるんじゃないでしょうか。この辺もはっきり検討されなければならない重大な問題だと私は思います。 同時に、有明町の患者の発生については県のほうが独自で何か救済を考えておられるようですけれども、政府としても、この問題も健康被害救済法の適用を直ちに行なわなければならない性質の問題ではないかと思います。それらの問題についてお考えをちょっと伺いたいと思います。
○三木国務大臣 審査会の問題は、私も、時間が非常にかかりますから何とかこれをもっと迅速にできないかということを熊本に行った場合にも相談をいたしたわけでありますが、しかしこれは重要な人間の生命、健康に関係することですからいいかげんの診察でいいという性質のものではないですから、やはり十分な精密な検査を必要とするが、もう少し速度を速めるようなくふうを熊本の知事にも研究をしてもらいたいということを要望しておいたわけでございます。 また地域の問題は、当然に健康被害に関する特別措置法の適用は、いま水俣病の患者と思われる人たち、これに対する十分な診察の結果も待って、これは当然にそういう場合には特別措置法の適用を受けることは当然でございます。
○中島委員 漁獲の問題について長官の考え方を伺いたいと思います。 私は、熊大研究班の報告によりましても、水俣湾及びその周辺における魚は危険であるということを指摘されているわけであります。またこの間の調査で直接漁民の方々や鮮魚商の方にもたくさんお会いをいたしました。そこで鮮魚商の人や漁民の人たちが一番望んでいることは何か。現実には魚はとっても売れない。またとった魚を売ること自身がどうなんだろうということを考えている。そして一番望んでいることは、安心して漁ができる、また安心して販売をすることができる、そういう日が一日も早く来ること、そのためには二年なら二年、三年なら三年、商売を休んでもいい、漁獲を休んでもいいというくらいまではっきり言う方々が非常に多かったのです。ほとんど一致して言っておられると申し上げても私は差しつかえないと思うのです。そういう点では、やはり十分な生業補償、生活補償ということをはっきりと行なって、漁獲やあるいは販売をやめるということが私は必要じゃないかと思うのです。この点についてどういうふうに考えられるか。 もう一つ、それに関連をしてお尋ねいたしますが、国民の生命や健康、安全を守るという立場に立って考えるならば、私はあの水俣湾の湾口はやはり閉じるべきじゃないかと思います。恋路島から北のほうは五百メートルぐらいであります。それから南のほうは千八百メートルといわれております。一番深いところでも三十メートルというふうにいわれているのです。技術的に何も困難な問題はありません。そういう点ではあの湾口をはっきり閉じるということをやってもらいたい。漁民やあるいは鮮魚商の人たちが望んでいるようなことをやる必要がある。そうでないと、汚染された魚や汚染された海流がやはり相変わらずよそを汚染していくということになるわけであります。そういう緊急な措置をとる必要があるのではないか。そしてまたその対策についての補償をどうするのかという問題でありますけれども、私は、この問題はやはり原因者がはっきり負担をする、つまりこれはチッソが負担をするということが原則であると思います。しかしチッソが原因者であるから、その負担をするということがはっきり成り立つまでは現状のまま過ぎていくということになれば、これはやはり非常に重大なことが先へ先へと延ばされていくということになるわけでありますから、その場合は必要に応じて、政府が、国が、一時的に立てかえ払いを行なうことが必要だと私は思うのです。私は私なりに、一体どれぐらいのものが補償として必要であるかということについても県の資料や水産庁からいただいた資料で調べてみましたけれども、これはやってできないなどというようなものでは決してないと思います。その点でこの問題について長官の見解を伺いたいと思います。
○三木国務大臣 漁民の生活の補償の問題ということが大きな問題になってくることは当然であります。根本的な解決をするためにはヘドロの処置をしなければいけない。これは専門家の意見も聞く必要がありますし、専門家にゆだねなければならぬわけでありますから、運輸省の港湾局長が中心になって、どのようにしてこれの埋め立てをし、どのような範囲を埋め立てるかという工法についても、いま検討を進めておるということはしばしば申し上げておるとおりであります。 また、魚介類については、厚生省に対しても、安全の基準というものを明らかにして、漁民ばかりでなしに地域住民に対しての不安を除去しなければならぬ、こういうことで、国立衛生研究所で、中毒症状に対して安全基準というものに対しては各方面から検討しなければならぬ。それでまだ多少の時間がかかるということでありますから、それならば暫定的な基準、ガイドラインというようなものをできるだけ早急につくって――非常な不安ですからね。やはりそういうふうな暫定的な基準というものをつくってもらいたいということで、厚生省においても専門家を集められて、いま作業を進めておる次第であります。 また漁業の生業補償といいますか、漁民の生業補償という問題については、原則は、それはもう汚染者が負担をするという原則、これはやはり貫かなければなりませんが、その解決に至るまでの間、つなぎ的ないろいろな救済の措置も要るでありましょうから、私は熊本から帰ってくると直ちに水産庁長官ともいろいろとこの問題について話し合ったわけであります。水産庁としても現行法規の許される範囲内でできるだけ漁業組合等に対しても便宜をはかろうということで、これは県を通じて漁業組合側ともいろいろ話し合っておる次第であります。
○中島委員 時間が過ぎましたからこれで終わりますけれども、一言。 私は、問題は慎重にやらなければいけませんけれども、瞬時に急いでやらなければいけないということだと思います。そういう点では現在もっと急ぐという措置、このことが必要じゃないかというととを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
○佐野委員長 岡本富夫君。
○岡本委員 先ほどから審議されておりますが、第三水俣病が起こったというので、さっそく私どもも向こうに調査に参りまして一番強く感じましたこと、また先ほど長官は原因が明らかでないので、非常にこういった病気は対策がむずかしい、こういうお話であります。私どもはやかましく言いまして四十三年に水俣病の公害の認定をやっとしてもらったわけでありますが、振り返りまして、この政府の姿勢――三木長官もかつては通産大臣をやっていらっしゃったのですが、いまこうして第三あるいはまた次に第四ができてくるかもわからないということを考えますと、私はいままでの政府の姿勢がなかったのではないか。要するに原因がはっきりしてないということは、はっきりさせなかったのじゃないかということをつくづく感ずるわけです。このままでいけばまた同じことが起こってくると思うのです。 そこで一点二点指摘をいたしますが、昭和三十五年一月経済企画庁を中心にした水俣病総合調査研究連絡協議会が発足、この協議会のメンバーの一人となった都立大の半谷教授が水俣湾のどろ、海水を数回にわたり採取、含有水銀を分析した。この分析結果は、チッソの工場の排水口に近くなるに従って水銀の含有量が非常に多くなった。しかも工場付近には会社側の否定する有機水銀も多量に含まれていた事実を突きとめた。当時熊大の医学部が有機水銀説を主張しており、それに対して工場で使っているのは無機水銀であり、水俣病の原因である有機水銀ではない、こういうようにチッソは反論したのでありますが、そういうことから考えますと、その当時の半谷教授の試験結果というものは非常に重大なものである。ところが、この結果を経済企画庁に報告した。そうすると経企庁は、委託した研究費、これは経企庁から出ておるのだから、かってに公表してもらっては困る。こういうわけで九年間も貴重な資料が日の目を見なかった。こういうような姿勢でこの水俣病あるいはまた今後起こってくる公害病に取り組むならば、私はいつまでたってもどうしようもないのじゃないか、こういうように考えるのですが、長官の御意見をひとつ……。
○三木国務大臣 水俣病というものがあれだけの被害というものを起こした。こういう現実を前にして、私はやはり政府も事態の深刻さに対する配慮が足りなかったと思います。いま経済企画庁で九年間ですか、こういう問題が連絡協議会でいろいろ議論はされたでしょうけれども、これはたいへんな問題を引き起こすという事態の深刻さ、その認識の足りなかったことは私はやはり反省しなければならぬことだと思います。むろん企業は、いろいろな経過を見ればチッソの責任というものは第一義的にありますが、政府だけは何にも責任はないのだとは私は思っていません。政府もやはりそういう点も今後の行政の上に大いに反省しなければならぬと考えております。
○岡本委員 通産省にはこういうこともある。ぼくはきょうは通産大臣に出てもらいたいと思ったのだが、それは昭和四十一年の四月の八日付で発表されておるわけでありますが、新潟水俣病の原因究明に携わった学者諸兄が学会に原因は昭和電工の排水に含まれていた有機水銀であったと報告した。ところが通産省は、政府の予算九百六十万円を使って実施した行政調査だから、みだりに学会や世間に公表してもらっては困る、こういうように籍口令をしいているわけですね。ですから、せっかくこうして政府から、政府といったところでこれは国民の税金でありますが、それによって調査をしましても、今度は通産省からそれを発表しちゃ困る、こういうような、金がこっちから出ておるのだからということでは、こんな姿勢では今後またいろいろなものが出てくるかわからないが、それは解決しないと私は思うのです。これについて通産省の、これは政治姿勢ですから通産大臣に聞かなければならぬのですが、局長の確たる答弁をひとついただきたい。
○齋藤(太)政府委員 ただいまの先生の御指摘の件につきましては、私どもつまびらかにいたしませんが、いずれにいたしましても従来水銀問題につきまして政府の法律の規制以前につきましては、こういった問題につきましての科学的な知見が不十分な点もございまして、適切な行政措置を実施に移すという面でおくれた面があったことを率直に認める次第でございます。通産省としましては、企業が公害防止に万全を期しますことが企業が社会的に存立を認められます大前提でもございますし、こういった公害防止のためにあらゆる施策を一そう強化をいたしまして、今後このようなことが二度と起こらないように努力してまいりたい、かように思います。
○岡本委員 次に厚生省、局長来ていますね。昭和三十四年一月、厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会が水俣病の原因究明に関する答申書をまとめたとき、当時、部会長として熊本大学を中心とする研究陣の総指揮に当たっていた鰐淵熊本大学学長、当時ですね、それが厚生省から圧力を受けた。これは四十五年の七月の十日にこういうことが証言されて、発表されているわけです。要するに、国民の健康を守らなければならぬ、その立場であるところの厚生省が、せっかく出てきたところのほんとうの調査あるいはまたほんとうのデータというものを、それに対してゆがめるような圧力をかけた、そして解散さしているわけです。これははっきりしておる。そういう姿勢では、今後ほんとうの公害病あるいはまた住民の健康調査をやるにしてもだめじゃないか。全部企業寄りでしょう。この点ひとつ……。
○浦田政府委員 昭和三十四年当時のことにつきまして、率直に申しまして私承知しておりませんでしたけれども、そういったようなことであったとすれば、私はやはり遺憾なことであると思います。しかしながら、やはり厚生省としては当時の情勢からいろいろとそれなりに勉強もいたしまして、すでに先生も御了承いただけると思いますけれども、昭和四十三年におきましては、水俣病を、おくればせながらも公害病としての認定を出時の厚生省でいたしたわけでございますし、また少なくとも厚生省の現在の食品衛生の問題あるいは環境汚染の問題あるいはその他国民の保健に関係する問題につきましてのいろいろな調査研究におきましては、むしろ積極的に問題を提起し、またデータ等の公表にもつとめてきておるつもりでございます。私どもは今後ともやはり国民の健康というものを第一義に考えまして、このような調査あるいは資料の取り扱いに当たってまいりたいと考えております。
○岡本委員 あなたは厚生省のいままでの姿勢というものを、もう一度そっちのほうを調査しなさい、私はそう言いたい。大臣にもそれをはっきりしてもらいたいと思うのです。 こういうこともあるのです。これは四十四年の十二月十日、有機水銀事件、要するにチッソの問題についての法廷における証書でありますけれども、これは神戸大学の喜田村教授が証人になっておるわけです。熊本ではわりに早くから設置していた。というのは診定委員会のことですね。「新潟にはまだそれがないというお話だったんで、できるだけ早く設置されたらいかがですかということを私が申し上げました。それからデーターの発表はまかりならんというようなことを厚生省のほうが申しますので、われわれが学術的研究をやったデーターの発表を禁止する権利がなぜ厚生省にあるんだといって、私、少し食いついたことはあります。」それに対して「調査データーを発表しちゃいかんということはだれがおっしゃったんでしょうか。」こういう質問に対して「当時厚生省の食品衛生課におりました佐藤技官です。」こういうようにはっきり答えているわけですね。 それからもう一つ、「厚生省の特別研究班の結論が、原因について「工場廃液であると診断する」という文章がつけられておりますが、その言葉を使うについて議論はなかったのでしょうか。」これに対して喜田村教授は「ありました。これは初め疫学班の中では「断定する」という文句を使うということだったんです。」それが厚生省から断定というのは強過ぎると、だから診断、断がついておるんだから診断にしてくれ、こういうようなことを言っているとはっきり証言しているわけです。ですから、政府の姿勢というものは、これは長官、一つ一ついままでのを見ましたら、このまま同じ姿勢でいくならば、私はおそらく第三、第四、今後起こってくるものは解決をしないんじゃないか、こういうように考えるわけです。だから政府の姿勢というものを強くここで転換する必要がある。同時にこれを反省して、今度は国民の健康という立場から強く調査をし、あるいはまた予算もよけいつけて、そしていままでこうして被害を受けた国民に対して報いるのが現代の行政のあり方ではないか、こういうように私は感ずるのですが、その点についてもう一度……。
○三木国務大臣 いままでの経過、いろいろ法廷の証言等例にとって申されたんですが、やはりいまは一つの大きな価値観の転換の時代ですね。いままでは生産ということが大きな工場でも一つの価値であったわけです。いまはそれだけではだめなんです。その生産によって人間の生命や健康を害するような公害を出さないというのもこれは大きな、そうでなければ生産だけでは目的を達成できぬというのが今日の価値観でしょう。自動車でも早いだけではだめなんだ。その自動車が排気ガスを出して公害をまき散らさないということがやはり要求されてきておるわけですから、こういう大きなものの考え方に対する転換、この時代をわれわれは生きておるわけでありますから、いわゆる過去においては、いろいろ御指摘になれば、いかぬ点も私はあったと思います。しかし、やはりこういう時代の大きな転換の中に即応して、行政の姿勢というものをしかるべく改められなければならぬということを強く感ずるものでございます。
○岡本委員 そこで対策についてお聞きしたいのですが、まず、有明の問題ですが、私どもが有明調査をいたしまして、その発生源の一つと目されるところの三井東圧化労に行きました。そこでこのほうの調査を私は通産省がしたのかどうかということをお聞きしたいんです。それは廃水の処理施設は四十二年の三月、それまでは流しっぱなしだったというのですが、四十二年の三月で、これで完全でないのでいままたさらに処理施設をつくるんだ、こう言っておりましたがね。 〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕 この廃水の沈でん槽ですか、先ほどあなたの話に出たが、その沈でん槽の上水を流しておるのですが、スラッジですよ、これは月に一トンから二トン出るというのです、これは向こうの説明ですが。大体その中に六万PPMから七万PPMの水銀が入っている。これを専門の業者に渡しているというのですが、どこへ持っていっておるかわからないんですよ。私はおそらくこの業者は中小企業だと思うのですが、こういった先までやはり大企業は責任を持つ必要があると思うのです。個々の追跡調査と、それからあの横に流れておる大牟田川を一ぺんごらんなさい、しょうゆみたいですよ。あれは何が入っているかわからぬですよ。こういうところへ流れているわけです。だからそこへ通産省が追跡調査もして対策を立てるようにしているかどうか、通産省からひとつお聞きしたい。
○齋藤(太)政府委員 三井東圧化学の大牟田工場では水銀を使用しております工程が二つございまして、一つは染料を合成しますときに触媒として水銀を使用いたしております。この水銀の廃水の処理でございますけれども、四十三年七月以後この専門の廃液処理施設が稼動をいたしておりまして、これは硫化ソーダで処理をいたしまして水銀を吸着をする、さらにその残りの廃水を活生炭に吸着させる、こういうことによりまして現在水銀は廃水からは検出をされておりません。こういうことで吸着をさせました硫化ソーダの残滓と申しますか、硫化ソーダにつきましては、工場の中の廃棄物処理場として早鐘地区というところがございまして、その谷間に三重の堰堤をつくりまして大牟田工場の廃棄物を堆積させておる場所でございまして、戦争中の火薬庫のあとでございますが、ここに現在ずっと堆積をいたしております。また活性炭で吸着処理をいたしました分につきましては、この活性炭を四国の高松市にございます増田化学工業というところに渡しまして再生処理をいたさせております。それからもう一つの水銀を使っておりますのは、苛性ソーダのほうでございますけれども、苛性ソーダにつきましても、廃水につきましては活性炭による処理をいたしておりまして、その始末は染料の触媒の廃水の始末と同様なやり方をやっております。 それからもう一つ苛性ソーダの場合には、御承知のように原料であります塩の中の不純分がマッドという形で工程の中に沈んでたまります。これが相当水銀を含んでおりますけれども、この塩水マッドにつきましては現在すべて早鐘地区に埋め立て処分をいたしております。なお、この早鐘地区の地下の坑内水を分析いたしました。これは会社でやったのですが、水銀は検出されなかったという報告を受けております。
○岡本委員 あなた、すべて会社の調査から出てきた分であって、通産省としては何にもやっていないでしょう。たとえば先ほどあなたから話があった塩水マッド、これも山のところを見ると一ぱい置いてあります。いまはブロックをつくっているんですよ。このブロックをつくり出したのが四十七年以降、そのブロックどこに使うのか知らないけれども、その中にやはり一〇〇〇PPMから、少ないときには一〇〇PPM、このくらいの水銀が入っているだろう。これは会社側の意見でしたが、それからもう一つ、廃水の処理水、この中にはもう水銀は検出されておりません、こう言っておるけれども、会社でも〇・〇二PPMは出ておりますと、全然検出されないということはないんですよ。要するに、企業が犯人といったら悪いのですけれども、出している。そこから聞いたことをそのまま真に受けて、ああそうですか、それならだいじょうぶですね、これでは通産省として、指導官庁としてこんな問題が起こっておるのに、あなたは平気な顔をしておったのでは、私はお話にならないと思うのです。公害保安局長来ていますか。
○青木政府委員 現地の調査につきましては、環境庁の調査団に私どもの局と化学局から一人ずつ参加して参りましたが、その後化学局のほうで、会社からのヒアリングを実施いたしますとともに、現在通産局からも人を派遣して調査をしているというふうに聞いております。
○岡本委員 公害の問題は公害保安局の局長さんの責任だろう。この間環境庁から山本さんなんかが団長で行きましたけれども、あそこをすっと見ただけですよ。聞いただけですよ。何も調査あるいはここまで確かめて、そうして今後起こさないようにする、あるいは対策はどうするというような、そこまであなたのほうでやっていないのですよ。私はこんな怠慢なことでは話にならないと思うのです。だから公害保安局長さんはこれに対してどうしますか、いかがですか。
○青木政府委員 ただいままでの調査は、先ほど申し上げたとおり会社からのヒアリングを中心とした調査でございますが、現在化学工業局のほうと相談いたしまして、通産局の担当者を現地へ出しまして、現地におきましていろいろな処理の状況等を調査しているところでございますので、その調査の結果を待ちまして今後の相談はいたしてまいりたいと思います。
○岡本委員 もっと強力にやってください。通産局からだれかが行ったというのではこれは話にならないですよ。 そこで時間があまりありませんから、長官に。知事さんや皆さんとお話しして、いろいろ考えついたことは、これは健康調査につきましてもなかなか県だけで、熊大の力もありますけれども、先ほどあなたがほかの大学もなさったという話でありますけれども、これだけの大がかりになりますと、やはり国が主体になってやってあげる。そういう健康調査も必要でしょうし、それからまたこの治療方法、こういうことも必要でしょう。それから各工場の調査も必要でしょう。またヘドロの中のいろいろなものも必要でしょう。魚介類のいろいろな汚染状態も必要でしょう。ですから私はそういったプロジェクトチームをつくって、そういうセンターをやはり熊本県でも置いて、そして徹底的な対策を立てなければならぬということをつくづく感じて帰ってきたのですが、そういう考え方についていかがですか。
○三木国務大臣 これはいろいろ専門専門に分かれますから、したがってヘドロならヘドロの処理は、運輸省の港湾局がプロジェクトチームといえばいえる、一つの専門家を集めて、これをいろいろと第二次汚染なども起こさないような埋め立て工法をいま検討しておる。しかもこれは四十八年度には着工したいというわけですから、非常な限られた期間にそういう工法を結論を出さなければならない。 また治療とかあるいはまたリハビリテーションみたいなものは、これは別にそれをひっくるめたセンターのようなものをつくりたいということでいま進めておるわけであります。いろいろな専門家の意見も聞いてやっておる。また健康診断のような場合は、これはどこの医者でもというわけにはいかぬですからね。やはり水俣病に経験のある人でないと、いま中島委員のお話にも、基礎的なものは一年かかって、その上に二、三年の実際の実地の診療の経験が要るというのですから、どうしてもやはり熊本大学あるいは九州大学、その他鹿児島大学もそうですが、こういうものに対して経験を持っておる人を中心にして、できるだけ速度を速められるようなくふうをするよりほかにない。全国といっても、水俣病の経験のない人を集めるだけでは目的が達成できぬのですから、全体をひっくるめてプロジェクトチームというのはそれは無理ですが、問題問題に、あたかもプロジェクトチームのような一つの仕組みで問題を処理していきたいという考えでございます。
○岡本委員 私は武内教授にも直接会いまして、約二時間ばかりいろいろと懇談しました。その中で、まず健康調査、これなんかはやり方を私たちが教えれば、保健所のちょっと経験のある人でもできるのだ、こういう話もありました。ですから専門家といいましても、実はまたそういった手がないのですよ、熊本県だけでは。だから私はそういったあらゆるもの、いまあなたがおっしゃった水俣湾の話ではなくて、私は有明の問題を話しているわけですけれども、今後二次、三次の汚染がされないようにという中で、特に向こうの知事さんとも話をしておりまして、そういった強力な国の施策、あるいはここにひとつそういう中心センターをつくってもらえないだろうか、そして一つ一つ手を打っていかなければ、これはどうしようもないのです、というのが現地の話でありました。ですから、もう一ぺんひとつ認識を改めていただいて、まず有明湾の問題をきちんとひとつ処理することを考えたら、私はそこから全国的なことも考えていけると思うのです。 それはそれとして、次に水俣病の治療方法ですね。この解明がまだはっきりしていないんじゃないか。この解明について、国が主体となってひとつ早くやっていただきたい、こういうことですが、その点いかがですか。
○三木国務大臣 水俣病の問題は、知覚神経なんかおかされた場合に、神経をおかされた場合、それをもとへ戻すということは、現在の医療からしてなかなかやはり困難、困難というよりか不可能に近いといわれておるのですが、患者等の話を聞いてみてもあるいはお医者さんなどの話を聞いてみても、病状が悪化することを食いとめるような効果というものは治療によってある。あるいはまた日常の生活の不便なような面が、非常に訓練をすることによって、日常の生活は自分でやれるような、そういうふうなこともあるということであります。そういうので、しかしこれはもう治療の方法がないんだということでは患者に救いもないわけでありますから、いまの医療の水準では、不可能といわれることも、それはまた不可能を可能にするということは可能でありますから、これもやはり根本的に何かその治療の方法はないかという研究もしなければならぬ。あるいはまたその他病状を食いとめるような治療の方法というものを考えなければなりませんから、何かやはり治療というもの、あるいは研究治療というものをする一つのセンターのようなものをつくりたいと考えておるわけです。だから、これはただしろうとだけの考えではいけないですから、専門家の一つのグループをつくって、センターをつくる場合にはできるだけ有効なセンターをつくりたいということで、いまそういう人々と、どういうグループがいいかということも検討を加えているところでございます。そういうので、いま御指摘のような研究治療のセンター的なものを私のほうにおいても考えておるということでございます。
○岡本委員 もう一つは、健康調査について、相当むずかしかろうと思うのですが、もと水俣地区、要するに有明湾の付近にいた人は他県に転出しているんですね。やはりこの人たちの健康診断と救済もしなければいけない。この点もひとつ要望をいたしておきます。 そこで、この水銀中毒が問題になってきて、全国の総点検をやってもらいたい、これは私どもたしか四十三年ころに要望したことがあるのです。ところがそのままになっていたわけです。 瀬戸内海沿岸の水銀を排出している工場があるわけです。ここの調査を、これは通産省でやっているんですね。瀬戸内海沿岸の関係の七工場、ここでも百七十六トンの水銀が行くえ不明になっているということで、通産省が四十四年に年一回実施した、こういうことになっておりますが、そのときはジチゾン比色法でやったわけですから、非常に不正確。いま日本工業規格でも、原子吸光法というものを用いて水銀の分析検査をやるわけですね。ですから、非常に不十分な調査に終わっておるわけです。この点について広島の通産局では、本省のほうからそういった指示がないからあとはやらないでいるんだとい下ような返事があったという報道なんです。したがって、いままでのようなジチゾン比色法という分析じゃなくして、やはり原子吸光法、専門家はこれを使っているのですけれども、そういったところまでも注意をして調査しなければならぬのではないか、私はこういうように考えるのですが、この点について通産省はいかがですか。
○青木政府委員 ただいま先生御指摘の調査、私どものいま手元にある資料でございますとどれに当たるかちょっとはっきりしないわけでございますが、四十五年度に微量重金属使用工場の排水の総合調査というのは一ぺんやっております。これは対象工場が全部で八百七十二工場でございますが、そのうち水銀対象工場は七十三工場あるという調査を一ぺんやっております。その後は、こういう総合的な水銀を含みます一斉調査はやっておりませんが、今回のことを踏まえまして、水銀使用工場全体に対しまして全国的な調査をやることになりますれば、これは環境庁のほうで一応取りまとめていただきまして、通産省だけでは手に負えない部面もございます。たとえば健康調査あるいは魚介類の調査等が含まれますので、総合的な調査ということになれば、私どものほうとしましては、その工場の排水なり工場内の程度なり、いろいろ打ち合わせまして、協力して調査してまいりたいというふうに考えております。
○岡本委員 まず四十四年に年一回全国調査をしたわけですよ。そのときに、先ほど私も申しましたように、非常に不正確な調査に終わって、そして水銀は検出されずというようなところで終わっているのです。これがもとになって出てないということになっているわけです。ところが事実は、先ほど私が指摘しましたように、瀬戸内海沿岸の関係の七工場だけでも百七十六トンの行くえ不明が出ているわけです。ですから私は、何か通産省は協力するということですが、あなたのほうが指導しなければいかぬのです。主体は環境庁にあろうかと思うのですが、そういった正確な調査もやはり必要だと思うのです。全国の総点検をおやりになるということでありますが、こういった正確なデータを出し、そして正確な対策を立てられるような考え方をしていただきたい、こういうように感ずるのですが、長官、いかがですか。
○三木国務大臣 先ほどもお答えしたように、水銀や有毒物質を使っておる工場の実情というものを通産省はやはり正確に把握する必要がある。それから瀬戸内海の水銀の調査については、こういう第三水俣病なども出ておる実情にかんがみて、通産省の協力も得て正確な調査を実施いたします。
○岡本委員 次に、海上保安庁見えていますね。有明海の第三水俣病が発見されたということで、海上保安庁の第五管区は何か瀬戸内海の方面をやりたいというようなことを言っておるそうですが、こういう計画はいかがになっておるのですか、ちょっとお聞きしたい。
○船谷説明員 海上保安庁といたしましては、従来から海洋汚染についてはうちの精力の許す限り一生懸命に最重点業務としてやっておりますが、このたびまた第三水俣病の発生というようなことになりましたので、すべての水銀を扱う工場であって、臨海工場につきまして、全国一斉に排水の分析、点検をするようにという指示をいたしました。その一環として五管区で瀬戸内関係のことをやっておるわけでございます。
○岡本委員 いつからどういうようにやるのか、計画をちょっと聞かしてほしい。
○船谷説明員 この通達は五月二十五日に発しまして、それで管区ごとに、ほかの業務もございますけれども、できるだけほかの業務に差しつかえない範囲で集中的にやるようにという指示をいたしましたので、各管区ごとの、いつ、どの工場に行ってというところまでまだ把握しておりません。
○岡本委員 それは排水とどろとヘドロとそういったもの全部やるわけですか。
○船谷説明員 私のほうで担当しておりますのは、警備救難部として担当しておりますのは、主として排水、水質汚濁防止法に基づく排水のほうを海上保安庁として担当しておりまして、採泥のほうとか、海水、流れております全般的な海水の調査につきましては、主としては水路部で担当しております。 なお、今回指示をいたしましたのは、臨海工場の排水口から出ておる排水を、できるだけ試料を採取して、そしてうちの研究機関で分析をするのだ、そういうことの指示をいたした次第です。
○岡本委員 そうすると、あなたのほうでは、まあ通産省から発表された全国の水銀を使用しておる工場、そこの臨海工場の排水だけをサンプリングして検査するだけ。どろまで検査するのじゃないの。簡単なことだね。
○船谷説明員 うちの分野としてそれをまず指示いたしましたが、環境庁で主宰されまして、これ全体についてどのようにやるかという相談がありまして、採泥その他については水路部でやるとか、あるいはこれはここでやるのだというような計画が立てられておるように聞いております。
○岡本委員 どうも海上保安庁のやり方も、ちょっと聞いてみると、海上保安庁で調査いたしましたというだけに終わってしまうのじゃないか。もう少し綿密な指示を与えないと、ただ海上保安庁も調査をやりましたということになってしまうのじゃないか。 〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕 その点がせっかく国の税金を使ってやるのですから、やはりもう少し綿密な指示を与えないと、何といいますか、各管区で考えてどうでもやれというように聞こえるわけです。私、その点をもう少しはっきりしてもらいたい。同時に、できたら公表をするということが――はっきりしなければならないと私は思います。これが一点。 もう一つ、時間ですから、労働省おいでになっていますね。私のほうの調査団が参りまして、これは岡山県の水島ですが、ここの関東電化工業、菱日水島第一工場、この両工場に総点検の中の一つとして行きました。そうしますと、そこにつとめておる従業員の尿の検査、この尿中から約五十から百ガンマの水銀が出ておるということが明らかになったわけです。大体日本人の平均の五倍から十倍に相当する。水銀を使っておる工場、ここの従業員にこういうものが出ておるということになりますと、将来これも早く手を打たなければならぬのじゃないか。これについて労働省はどういうふうにお考えになっておりますか。
○渡邊(健)政府委員 労働省といたしましては、昨年特定化学物質等障害予防規則という規則を制定いたしまして、これでいろいろな化学物質等についての健康管理、予防等の処置を進めておるわけでございますが、水銀はその中の第二類物質として規制の対象にいたしておるわけでございます。 先生御指摘の、関東電化水島工場及び菱日水島第一工場も、電解工場を持っておるということで、この特定化学物質等障害予防規則を適用いたしておりますが、これらの水銀を取り扱う業務につきましては、年に二度健康診断をすることが、同規則によって義務づけられております。 昨年二度、それぞれの工場、健康診断を実施いたしておるわけでございますが、それらの結果によりますと、第一次健康診断をして異常がなければ第二次健康診断まではしないとなっておりまして、尿中の水銀量の測定は、第二次健康診断の診断項目になっておりますので、関東電化につきましては第一次健康診断の結果異常者が者がなかったということで、規則に基づく尿中水銀量の測定は実施しなかったのでございます。 菱日水島工場におきましては、やはり第一次健康診断の結果では特に異常者がなかったのでありますが、念のために尿中水銀量の測定をいたしましたところ、私どもが報告を受けておりますのでは、一リットル中一・九マイクログラムないし一番多いので百六十七・八マイクログラムの水銀が出たということを聞いております。 ただ、この特に多いほうの数字は、日本人の平均の尿中水銀量よりは高いことは、先生御指摘のとおりでございますが、治療を必要とされるという基準になっております一リットル中三百マイクログラムという点から申しますと、まだそこまで達しておりませんし、当該労働者につきまして、その診断をした医者が、特に健康障害を認めておらないというふうに聞いておるわけでございますが、今後とも労働者のこれら健康管理については一そう努力してまいりたいと考えております。
○岡本委員 これは基準につきましても、まだ職員のほうの基準もはっきりしていないわけだ。この基準について私はこれからいろいろとあれしようと思ったのです。ということは、喜田村教授の基準の立て方と、要するに体内から排出する基準、七十何日か、それが今度は武内教授は一年半かかると言う、三百何日。こういうふうに、そこらのところで基準をもう一ぺん調査もしなければ、認定し直しもしなければならぬのではないかということで、私はそこまで話をしようと思ったのですが――ですから基準がこれでだいじょうぶか、こういうことが非常に心配。たとえばWHOですか、アメリカやスウェーデンや、外国の基準がありますけれども、これらは魚をあまり食べない人たちの基準なんですね。日本は非常に魚をよく食べる。そこらからも考えて、その基準の見直しも私は必要であると思うのです。ですから私が言うのは、第三、第四、第五、こういう病人が出て、患者が出てからであっては処置がないのではないかということで、この点も含めてひとつ環境庁から労働省にも各省にもひとつ通達を出して、きちっとした手を打っていただかなければならぬということであります。これを要望しておきます。 そこで水産庁は、いまの法制では、融資といいますか、今度の漁業者の皆さんの生活ですね、この融資につきまして、そういった――融資というのはおかしいのですが、補償について、はっきりした法制化がされてない。ですから制度融資ぐらいなものだというようなお話が先ほどもありましたが、これはたとえば有明湾の付近では朝アサリをとって毎日行商して食べている人がずいぶんいるのですね。これは漁業者のうちに入るのか入らないのかちょっとわかりにくいのですけれども、ずいぶんいる。これも陳情がありましたが、こういうものを含めて私は何らかの法的な措置をとれるような検討が必要ではないかと思うのです。この漁業者の生活についてただ融資だけでなくて、天災融資法がありますが、天災融資法にするわけにはいかない。ですから新たにそういう法制度を検討する用意があるのかどうか、それだけひとつお聞かせいただきたい。
○安福政府委員 お答えいたします。 今回のこういった事態で漁業ができない、そういう結果、当然漁業に従事している漁民の生活の問題がございます。それに関連いたしますいろいろな他の職業の方の問題が出てくると思います。ただ、漁業の問題、漁民の問題にいたしましても、現在の制度のもとでは公庫融資に本年度からそういう十億くらいのワクでありますが、このワクはまた適宜措置できると思うのでございますが、それによりまして五億でございますが、二十年償還の三年据え置き、そういう形の生活の資金なり経営資金、そういったものを手配する、こういう制度にいたしております。そのほかに漁民自体が現在借り入れ金をしている、それによって漁業をやっている。そういう場合に借り入れ金の返済を猶予すると申しますかそれを緩和する、そういう措置の必要が出てくると思います。さらに資金的には系統資金を低利で手当てする。これには県の財政的な裏打ちも県とも十分連絡をしながらそういういろいろな金融措置を、現時点におきます漁民の生活その他については手当てしてまいりたい。さらにそういう融資制度の充実を今後においても検討してまいる必要があるだろう、こういうふうに考えております。 それに関連いたしますその他の分野――その他の分野というと語弊がありますけれども。その他の関係者のそれを漁業の分野で救済できるかどうかという問題がございます。もちろんこれは県の行政あるいはさらに末端の市町村の行政、そういったものも別に漁業に関係しないということはないわけでございますから、そういう点を含めまして関係省庁ともよく連絡してどこで救っていけるか、こういう検討が必要だろう、このように考えます。
○岡本委員 時間が参りましたからこれで終わりますが、長官、この問題につきましては相当いろいろな分野にきめのこまかい手を打たなければなりません。各省と連絡をとり、一つ一つ実効のあがる施策をとっていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○佐野委員長 次回は、来たる六月五日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十四分散会