交通安全対策特別委員会 第19号
- 発言数
- 49 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/07/18
会議録
○久保委員長 これより会議を開きます。 船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。足立篤郎君。
○足立委員 この問題につきましては、予算委員会の第五分科会で質問をさしていただきまして、内容は全く重複いたしますが、きょうは委員会が違いますので、なるべくまとめまして要約して御質問いたしたいと思いますので、お許しをいただきます。 私がこの船舶職員法につきまして関心を持ち、また疑問と意見を持つに至りました動機についてまず申し上げてみたいと思いますが、ちょうど一年前、いまごろでございましたが、たまたま私、農林大臣を拝命いたしましたときに、私の地元の漁民の代表、それに釣りの会の代表の諸君から、政府は一体何を考えているんだ、実態を知らな過ぎるじゃないか、われわれをいじめるのかというような口ぎたない突き上げを実は受けました。その苦情をるる聞いてみますと、なるほどと思われる点もございました。その言い分は、要約いたしますと二点になったわけであります。 第一点は、舶船職員法が改正になりまして、いろいろな方面からPRがあって、これから五トン未満の船舶、ことに動力をつけてそれを操縦する場合には、免許をとらないと罰金を食うぞということでおどかされた。やむを得ず講習会に通って試験を受けようと思って努力をしてみた。それが何と二週間かかる。零細な漁民は二週間も仕事ができなくてはめしの食いあげになってしまう。それも必要欠くべからざる、どうしても必要なことを講習を受け、試験を受けるというならやむを得ないが、実際に講習に通ってみると、自分たちとは全く無縁のことばかり教わって、しかも七、八百円でしたか、テキストブックなんかも買わされて、延々と講義を聞いてみると、全く意味のないことだ、自分たちは、全くそういうことに関係のない、いわば高速のレジャー用モーターボートに関する知識について延々と講義を聞かなければならぬ、ばかばかしいからやめてしまったというのもおりました。実態についてあまりにどうも政府は認識不足じゃないか、自分たちは、和船にせいぜい四馬力か六馬力の動力をつけて、毎日まるでげたでもはくようにノリやカキの養殖や、あるいは平水区域における定置網漁業などをやっておるので、操縦についてはだれにも劣らぬ自信を持っておる、そして一応の海の規則といいますか、そういうものも承知はしておる。高速モーターボートなんかやろうと思ってないんだから、そういうものを延々と二週間も講習を受けて試験を受けても、全く無意味じゃないか、全く意味のないことをしいられておる、こういう言い分です。 それからもう一つは、現行法では、旅客運送の用に供する場合にはどうしても資格が必要である。したがって、自分一人で、あるいは旅客運送の用に供しなければ、別に資格は要らないということになっておるので、自分たちは実はいいと思っておったんだ。ところが、その筋からのPRによると、たとえ夫婦であっても親子であっても、いわばノリやカキの養殖あるいは定置網漁業をやるためのいわゆるアシスタントですね、それも旅客とみなすという解釈である。また釣りの会の人たちからは、仲間が一緒に連れ立って釣りに行く、船を借りて釣る、自分の船で釣る、それも旅客とみなされる、あるいは親子で釣りを楽しんでも、あるいは貝をとりに行っても、動力をつけて走ると、旅客であるということで取り締まりの対象になっておる。これはどうも社会通念からして、その法律解釈はおかしいじゃないか、こういう言い分なんですね。 それで、私は実は水産庁長官を呼びまして、どうも漁民の言い分というのは筋が通っておるように思うので、ひとつ運輸省へ行って話をしてみてくれぬかという指示をいたしました。当時の長官の太田君、さっそく運輸省へ伺ったようですが、数日たって私に報告して申しますのには、これはどうも現行法が五トン未満の船舶ということで、その形状や性能などは全くおかまいなしに、動力をつければどんな小さな動力でも全部十ぱ一からげに律せられておる、いわば投網をかけたような形になっておるので、行政措置として、いま申し上げたような陳情に対して何らかの救済手段をとるということは不可能であります、結局法律改正を待つ以外にございません、こういう復命があったわけであります。 そこで、私は、これはいずれ法律を改めて実情に合うようにしないと、いま申し上げましたとおり、全く無縁の講義を延々二週間も聞かされて、それは漁民にとってはたいへんな迷惑で、必要な知識は得なければならぬと思いますが、全く関係のないものまで詰め込まれて、そしてむずかしい試験を受けなければ、いままで何十年も平和のうちに家業を営んできて、それができなくなるということではたいへんな問題だ、こういうふうに実は思っておったわけでありまして、今回政府からこの船舶職員法の改正案が提出されましたので、私は楽しみにして内容を調べてみますると、一部漁民の、既得権と言えるかどうか知りませんが、漁民の技能を尊重した附則第四条の経過規定は設けられましたけれども、根本的な問題についてはやはり同じような扱いになっておる。「旅客運送の用に供する」という問題は今度ははずれまして、全部操縦する者は資格をとらなければならぬ。むしろ私は、これははっきりすると思っておりますので、このこと自体には反対ではないのでありますが、根本的な問題が全然解決されていない、こういうことで、実はきょうまた再びここに質問に立たなければならないということになってしまったのであります。 そこで、だんだんに御質問申し上げますが、いま苦情のあった二点のうち、後者のほう、現行法における「旅客運送の用に供する」云々の問題ですが、これは現在、法律が実施されているわけであります。この改正案の通るまではすっきりしないわけでありますけれども、これは社会常識からしますとたとえばカキやノリの事業を営む漁民は、これは一人ではできませんから、どうしても船の先のほうにおって手伝う人間がいないとできないのであります。したがって、大体は夫婦で出るわけでありますが、たまにはアシスタントを雇う場合もありますし、親子で出る場合もあるし、きょうだいで出る場合もあるということでありますが、そういう場合に、これは旅客であるときめつけるのはいかにも社会常識に反するように思うのであります。 この点ひとつ運輸大臣に伺いたいのでありますが、どういうわけでそういう無理な解釈をなすっていらっしゃるのか、国民はやはり法律を読んで知るわけですから、社会常識からとてもそんな判断のできないようなことを無理に押しつけますと、何だか運輸省がいわばすべて有権的に、国民から見ればまるで暴君的な法律解釈といような印象を受けるわけで、私どももそういう苦情を受けますと非常に苦しい立場に立つわけです。したがって、きょうはひとつ明快な御答弁をいただきたいと思います。
○新谷国務大臣 非常に具体的なこまかな問題でございますから、的確でない部分は政府委員から補足をさせたいと思いますが、私の知っておる範囲では、今度の改正案によりますと、非常に程度の低い免状でもとにかく持っておればいいということでありますから、問題はすべて解決するだろうと思いますけれども、それまでの暫定期間どうするかということになると思います。 この点については、御承知のように、ある部分同じような、いまお示しのような点について訴訟にかかったような問題もあるようであります。これについてはあとで船員局長から説明させますけれども、とにかく取り締まりの上からいってたとえば夫婦であるとかあるいは子供であるとかそういったものが乗り組みました場合に、おそらくこれは一方では漁業そのものあるいは操縦そのもの、これはなかなか区別ができないと思いますが、そういったものについてのいわゆるお手伝いをする場合が多かろうと思うのです。その場合にこれをどう見るか。結局、船員法の観念からいきますと、船員としての仕事をしているのだということも言えないことはないと思いますけれども、取り締まり官庁からいいますと、それが実際上どういうふうな仕事をしているのか。それから船員と見るべきかあるいは船員外、つまり船員以外の者は旅客でありますから、旅客として見るべきかというようなことで、取り締まり上非常に官庁が苦労したらしいです。それで取り締まりの上からいって区別がなかなかできないものですから、いまおっしゃったように訴訟事件にもなって、そういう結果を踏まえて旅客として扱わざるを得ないというのが今日の実情のようでございます。 これはおっしゃるように場合によりまして非常に実態に合わないような面も出てくるだろうと思いますが、これは別に法律で解釈をきめておるわけじゃない。いま申し上げたように、取り締まり上の必要からそういう解釈をとらないと航行の安全上困るというようなことで、いまおっしゃったような解釈をとり、旅客として扱っているということのようでございます。 これは暫定的な経過期間をどうするかという問題でございますが、この点は取り締まり官庁とも協議して、なるべく実態に合うようにさらに検討をさせるようにしたいと思います。 とにかく、いまここで全部それを船員であるというふうに認定するのにはちょっとまだ距離があるような気がします。この点両方の面から取り締まり官庁とも協議をした上で扱いをきめるようにしたい、こう思います。
○足立委員 いま大臣がお答えになった、取り締まり上の必要からそういう解釈に踏み切らざるを得なかったという事情は、私も聞いておりますが、法律というものはやはり立法精神というものを尊重しなければならぬと思うのです。それに紙に書いたものですから、国民はそれによって知るわけですが、国民は社会常識というか社会通念で解釈します。そうすると、その社会通念でいかに取り締まり上の必要があるからといって役所の解釈とが全く食い違っている。一般国民から見れば非常識きわまる解釈である。これはやはり法を運用する上においてとるべき処置ではないと私は思います、独裁国家ならいざ知らず。 これであまり時間とりたくないのですが、船員局長、立法のときの経過、速記録などをお調べになったのですか。何かこういう質問なども行なわれて、いやそれはたとえ夫婦でも親子でも、他人が乗っていれば旅客と見なさざるを得ませんというような答弁でも当時して、それで制定された法律であるかどうか。 私も二十何年国会に出ておりますが、立法府の人間の常識としては、「旅客運送の用に供する」といえば、これは不特定なお客さん、その人たちの生命を守らなければならぬ、安全を守らなければいかぬという重大な責任がありますから、その場合に限って免許を必要とするというふうにしたのだというふうに解釈するのが一番すなおな解釈だと思うのです。取り締まりの必要上困るのだというなら法律を改正すべきです。法律を改正せずに民間から見ればきわめて非常識きわまるような解釈を押しつけておいて、さあ取り締まるぞ、罰金取るぞでは訴訟が起こるのはあたりまえのことである。 だから、そういう無理なことをしたのでは政府の威信にも関係すると思われるので、何か立法のときの経過等を御承知ならば事務当局から伺いたいと思います。
○丸居政府委員 たいへん不勉強で立法のときのことまでは私ども読んでおりませんが、これをそういうことにしましたのは、四十六年八月二十七日に通達を地方へ出したことがあるのであります。それはただいま大臣が申し上げましたとおり、旅客につきまして、当時運用については先生御指摘のようなとおりに運用しておったわけであります。そうしますと、だんだんだんだん旅客でなしに運航要員だとかいろいろなことをいって旅客を運ぶというようなケースが出てきたものですから、取り締まるほうで取り締まれない。だから、旅客の定義を明確にしてくれというふうな要望が非常に強くなりまして、そこでやむを得ず「「旅客」とは、船舶を運航するため当該船舶に乗り組むことを必要とする最少限の者(以下「最少運航要員」という。)以外の者をいう。」ということで統一解釈を出したわけでございます。そのときに「例えば、」という例をあげまして、操舵及び機関の操作が同一場所で可能な船舶(モーターボート等)については通常一名、」それから「操舵及び機関の操作が同一場所で不可能な船舶については通常二名、」ということで、統一解釈を実は出したわけでございます。 そこで、先生のおっしゃっておる漁民の場合でございますけれども、これは大体モーターボートを対象にして出した通達でございますので、漁民の場合には、こういう通達がそのまま適用されておるのではないという解釈でもって、かなりゆるやかに、これは作業に従事する人だとかなんとかということで、取り締まり官庁とは打ち合わせができておるというふうに聞いておるのでございます。 ただ、モーターボートについては、その解釈を厳に適用して、一人で操作できるものに二人乗っておれば、それがかりに友だちであっても、それはおまえ免許が要るのだ、こういうふうに取り締まっておるというふうに聞いております。
○足立委員 いまの局長の答弁で、モーターボートについては私も了解します。私が言うのは零細な漁民でして、大体カキとかノリとか作業するには、一人はどうしても補助者が要るわけです。だから、これは運航上の補助者と必ずしも言えないかもしれない。いま大臣もおっしゃったが、微妙な点があるのですが、大体和船ですから、だからこれはそういう解釈をなさるのならば、和船については温情的に大目に見て見のがしてやるというのではなくて、もっと常識的に割り切れるように、その通達の中にはっきりすべきです。そしてこれは運航と合わせて、作業上どうしても必要な要員なんですから、だからそうせぬと、何だか解釈はそういうように厳格にしたのだが、温情的に見のがしてやるというような態度はおかしい。 それから、私はさっき立法の精神ということを申し上げたんだが、立法府の意思を無視して、政府が通達を出せば何でもできるというんなら、これからわれわれも立法についてもっと厳格にこまかな点まで全部縛っておかないと、何をやり出すかわからぬという心配が出てくるわけですね。これは答弁は要りませんけれども、もう少し親切にやってやってください。 常識的に割り切れるようにしてもらわぬと混乱が起きるし、ただ今度のこういう法律改正ができて、免許をとらせるためにおどしの材料に使って、親子でもだめだ、夫婦でもだめだというようなことは、感情を刺激するだけで、私どもこんなことは言いたくはないが、われわれいままで自民党を支持してきたが、政府一与党である自民党がこんなものを大目に見ているんじゃわれわれも考えなければいけませんなんといっておどかされるので、非常に不愉決になるわけです。常識的に考えてそうじゃないですか。 だから、そういう通達をお出しになるんなら、もっと親切に和船なら和船でそういう作業に必要な要員は、これは運航上にも前方注視の役目も果たしますし、これは大目に見るというのではなくて、当然の乗り組み員としてみるというふうにしていただきたいと思います。 今度の改正案が通ればこれはもう雲散霧消するわけですが、それまでの間いままでのような誤ったやり方では私は納得できないということだけ申し上げておきます。 それから、さっき私がちょっと触れた漁民の反対を緩和華、いうと語弊がありますが、御考慮になって、今度の改正案の附則の第四条に経過規定が出ておりますが、これは私が読んでみましても、具体的にどういう取り扱いをしようとしているのかよくわかりませんので、実際にこの改正案が通った場合に運輸省はどういう取り扱いをしようとしているのか、具体的にひとつおっしゃっていただきたいと思います。
○丸居政府委員 四条でございますが、これはさっき先生が御指摘になりましたように、たとえば養殖漁業等に現在通っておる人が、漁民等であるわけでございますね。この新しい法律ができますと、五トン未満が適用になりますので、そういう方は少なくとも最低の四級の免許をとらなければならないということになるわけでございますけれども、しかしその四級の免許をとるのに、やはり先生御指摘のとおり、ある程度の日数もかかりますし、それから、そういう方々があまり勉強もなさっていない方であったり、老人の方であったりしますと、やはりなかなか免許もとりにくいんじゃないかということも心配されるわけでございます。かりに免許をとる能力がおありになる方でも、ある程度の時間がかかります。しかし、この方たちは毎日毎日そこへ通って生活をしておられるわけです。 そこで、そういう生活権擁護のために、法律の経過措置といたしまして、他の法律でも、こういう法律を施行する場合には、そういった方の既得権を認めるというのが通例でございますので、そういう方に対しましては、その人たちが現在運航しておる船の形態に応じて、たとえば養殖漁業の四角いとらえ方では四級でいいわけでございます、大部分四級だと思いますけれども、その四級の資格を無試験で差し上げていこう、そういう趣旨でございます。 ただそれを、いやおれもやっているんだ、おれもやっているんだといって無制限に来られては困る。そこで、それをチェックすることだけは必要じゃないか。ほんとうにそれを生業としてやっておられるかどうか、そのチェックの機関といたしまして、ちょっと適当でないかもしれませんが、海運局長の認定ということにしたわけでございます。海運局長が認定する場合に、海運局長はなかなか漁民のことまでわかりませんので、その辺は漁協等と十分連絡をいたしまして、この方は船長としてそういう仕事に従事しておったということをつかみまして、そして海運局長の認定を得てそういう資格を差し上げる、こういう趣旨でございます。
○足立委員 その場合に、どれくらいな経験があればそれを尊重するというのか。これは運輸省令で定めるところによるというのですが、運輸省令でどういうことをきめようとしておるのか。 それから、いま漁協とよく協議してとおっしゃるが、その所属する漁業協同組合等で推薦をするような形をとるのかどうか。そういう具体的な点をもう少し明らかにしていただきたいと思います。
○丸居政府委員 この法律の施行の際までに、業として船長の職務を行なっていると客観的に判断される場合という考え方でございますが、その期間は、いまのところ原則として大体一年以上そういう仕事に従事しておるというようにしたいと思っております。 それから漁協との連絡でございますけれども、これは大体、漁協へ行って証明をもらって海運局長のところへ来てもらえば認定するというふうにして、あまり疑ってかかるというふうな態度では臨みたくないと考えております。
○足立委員 漁民のこうした既得権というか技能を尊重して、無試験で免許を与えようという措置は、私は経過措置として適当だと思っておりますが、今度の場合、五トン未満は大体四級小型船舶操縦士という資格をもらうことになると思うのですが、同じ漁協でも、相当遠方に出るというものもありますし、あるいは一級、二級というのもあるかもしれませんが、四級の場合に限定して申し上げますと、私が逆に心配するのは、いままで長年漁船をあやつっておったといいながら、全部和船ですね。それから、船内機か船外機かは別として、動力も大体十馬力以下。漁民はそんなむやみなスピードを要求しませんから、さっき申し上げたように、まるでげたでもはくように気楽に乗っかって作業するわけですから、そういう経験は十分持っておるが、四級小型船舶操縦士の資格を与えられますと、とたんに時速六十キロ、八十キロという猛烈なスピードですっとぶレジャー用高速モーターボートの資格も同時に得るわけですね、四級の中に別に色分けはないでしょうから。そうなりますと、全然無知の、経験のない者まで既得権だからといって尊重されて、権利を得るといいますか、資格を与えられるということになると、これは運輸省としても無責任のそしりを免れないのじゃないかというような感じがするのですが、局長はその辺どういうお考えですか。
○丸居政府委員 そういう心配はもちろんあるのでございますが、われわれ、四級にもせよそういう免許を差し上げるのは、さっき御説明申し上げましたとおりの趣旨で、生活権を擁護するという意味で差し上げるわけでございます。 ただ、それが先生御指摘のように、高速でも運転できるからあぶないじゃないかという御心配はもちろんあるかと思いますけれども、ほかの例がそうだからそれでいいということではないかもしれませんが、われわれ小型自動車の免許をもらいましたが、法が改正になりますと、やはり自然に普通免許になってくる、小型トラックで免許をもらいましたけれども、やはり高速の自動車も運転できるというので、スピード個々についての制限がないのと同じように、やはりスピードについての制限をつけるということは、乗りものについては非常にむずかしいことのように私思います。 それからもう一つは、それじゃそういうものを野放しにしたらあぶないじゃないかという話でございます。これはいずれ今後の検討課題だと思いますが、そういう非常にスピードの速い船につきましては、やはりスピードの速い船に乗る人たちの団体か何かをつくらせまして、そういう者には特別に訓練をするとかなんとかいうふうな方法を考えていかなければ、ほんとうの安全というものは四級小型船舶操縦士だけでは期せられないのじゃないだろうかというようにただいま思っております。 四級小型船舶操縦士はもう最小限のきわめて簡単な勉強でもって免許のとれるものでございますので、われわれとしては、先ほど来先生の御指摘がありましたように、前には非常に長くかかっておった、それが学科時間にして半分以下、いままで四十時間でございましたのを十五時間ということで、半分以下にしておるわけでございます。したがって、われわれとしますと、四級小型船舶操縦士というのはきわめて簡単なものでございますので、ただ、かりにその免許をとったからといって、それを野放図に放任しておいてもいいというものじゃない。だからどうしてもやはり、高速モーターボートに乗るような方については、そういった団体をつくりまして、そこで再教育をして高速モーターボートに適した訓練というものをもう一ぺんやらなければならないのじゃないか、そういうふうにいま考えておるわけでございます。
○足立委員 ちょっと局長の御答弁、聞いておっておかしいと思うのですよ。私の言うのは、今度この改正案で四級小型船舶操縦士という資格を得れば、五トン未満であればどんなに高性能な動力をつけても操縦できるわけでしまう。ところがいまここで、附則第四条で尊重される漁民というのは、生まれて今日までそんなものに一ぺんも乗ったこともないという人がもうほとんど全部ですね。そうして、ふだん乗っているのは、和船に動力をつけてとことこ、とことこ陸上を人間が歩くくらいなスピードしか出来ませんわ。和船でやるならば、そういうものは熟達しておる、一応航行の規則その他も承知しておる。しかし、高速モーターボートというのは非常に危険で、船舶職員法がやかましくなったのもここに原因しておるわけですからね。それは既得権を尊重するということは、私は大賛成ですが、四級小型船舶操縦士とい十ぱ一からげの、一番最低の資格だとおっしゃるが、これは非常に危険がある。一番危険がある部類なんです。それが無条件に資格を得るということは、親切があだになるじゃないか。 私はここまで誘導質問してきたわけです。というのは、四級小型船舶操縦士というのは五トン未満十ぱ一からげのところに根本的に無理があるわけです。だから、これは漁民に資格を与えるのはけっこうだが、与えるとするならば、一定の船の形状とか動力とかあるいは区域、平水区域であるとかというような条件をつけて限定免許を与えるのなら納得できますよ。これは、突っ走る高速モーターボートの操縦はできませんよ、しかしあなた方がいままで何十年も家業としてきた船の操縦は無試験で免許を与えますというなら納得できます。また、漁民はそれ以上望まないでしょう。望まないと思います。だから五トン未満は、船の形とか性能なりというものについて一切かかわりなく、十ぱ一からげに四級小型船舶操縦士ということで締めくくっていこうというものの考え方に、実態を知らない問題点があるということを私は指摘したいわけですね。 私も実は釣りが好きで、しょっちゅう和船に三馬力くらいの船外機をつけて釣りを楽しんでいますが、正直申しますと、高速モーターボートの出現によりまして、われわれは被害者なんです。きのう私は地元の新聞を見ますと、静岡県では浜名湖あたりのモーターボートについては厳重に規制をして、いまマリーナというのがずいぶんたくさんできてきているけれども、漁民やわれわれ遊漁する者が迷惑をこうむらないように厳重にやる。これは県の条例としてはいまだかつてない、法律にかわるようなことをやっているわけですね。だから、ほんとうは法律でこういうものを運輸省あたりがどんどんやらなければならぬのに、運輸省がこういうのんきな考え方で、四級小型船舶操縦士ということで十ぱ一からげにものを律しているから、そういうところに私は、口ぎたないようですが、根本の認識不足があるんで、県がたまりかねて法律に先立ってそういう処置をとらざるを得なくなってきたんじゃないかというふうに思うのですね。 私が言いたいのは、いま申し上げたような、和船に小馬力のエンジンをつけて家業を営んでいるとか、あるいは私どもが小さな船に小さな馬力の船外機をつけて釣りを楽しむというのは、いままで何十年も——ときには、たまに道路を歩いておっても交通事故にあうのと同じような意味の事故は起こるかもしれませんが、昨今やかましいのは、何といっても傍若無人に走り回る高速モーターボートですね。いま局長から、何か特別な措置を考えて、団体でもつくらせて再教育するということを言っておりましたが、それは法律上の問題ではなくて、法律は四級小型船舶操縦士ということで全部できるわけなんで、そういう今後の御配慮は必要だけれども、やはりここに無理があるんで、私は本音を申し上げれば、この四級の下に五級という制度を設けまして、そして動力を制限する、あるいは場所を制限する、あるいは船の形状を制限する。そういうことで簡易な免許、陸上でいえば原付免許のような——原付免許というのは大体農協があっせんをして、試験官が講習に来まして、その地域の奥さんたちを集めて、一日講習してテストをやると、それで試験が合格になるわけですね。だから、そういうふうな簡易な免許をお考えになるべきじゃないか。 同時に、いま局長自身も言っておられるように、高速モーターボートについては厳格に取り締まってもらうし、資格、条件も厳格にして十分教育をして——特にマナーの点ですよ。ほんとうに傍若無人と言う以外にありませんね。湖沼などで釣りをやっていますと、わざわざ近くまですっ飛んできて、われわれに迷惑をかけて喜んでいるわけですね。それはもうしゃくにさわるんですよ。しゃくにさわるだけじゃなくてこれは非常に危険です。だから、そういう点を十分徹底的に教育をしてもらって免許を与えるということが必要だと思います。 それで、実は今度の改正案に私は非常に期待しておったんだが、残念ながら主トン未満というものは、さっき申し上げたように、船の形や性能には全くかかわりなく十ぱ一からげなもんですから、これはぜひ修正をしていただきたいと思っておる。 これはこれから委員長や理事の方にお願いをするわけでございますが、運輸省としてもいま私の申し上げた点をよく御理解いただきまして、まあ方法はこれから協議いたしますが、私は本来ならばやはり五級という制度を設けて、それに船が航行する場所の限定や、船の形やあるいは動力を限定して、陸上の原付と同じ考え方で、簡易免許というような制度を考えていただくべきだと思っておりますが、場合によれば、こまかい点がありますから、省令におまかせするような修正をしてこれを実現したら、こういうふうに実は思っておるのです。 これはほんとうに漁民の怨嗟の的になっておりますので、ただここで経過規定で救済するというだけでなくて、やはり根本的に実態に合ったものの考え方をしていただくということでなければならないというふうに思っておりますが、運輸大臣いかがですか。
○新谷国務大臣 いまお話しになりました質問の内容については私も理解ができるのでございますが、原案を提案しております運輸省としましては、いろいろの行政措置も含めまして指導を十分にすることによりまして、いまお話しのような点はできないことはないと考えますが、修正の問題になりますと、これは政府の問題よりも、各党間のお話し合いできまる問題だと思いますので、修正案が出ました場合には、それに対しましてまた意見を述べさしていただきたいと思っております。
○足立委員 まあ非常にぶっきらぼうな答弁でちょっと納得できません、それはあたりまえのことなんだから。これは行政措置でできないんですよ、幾らやってみても。ですから、ごく軽微な修正で、省令におまかせするというような形で運輸大臣にむしろげたを預けて、私どもの意見をひとつ十分尊重してやっていただく以外にないと思います。 運輸大臣にいま修正の問題について答弁を求めるのは私も無理だと思いますから、これ以上申し上げませんが、ひとつぜひ実態に合った措置をとっていただく。同時に高速モーターボートについては、これはいま静岡県がやったようなああいう法律にかわるようなことを各県がそれぞれこれから無理してやらなくてもいいように、根本的に政府としてお考え願って、この前附帯決議なんかもつけましたね。ですから十分な措置をとっていただきたいとお願い申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。 ありがとうございました。
○久保委員長 左藤君。
○左藤委員 基本的な問題につきましては、すでに各委員から御質問もございましたし、いま足立先生からまた漁民の問題について詳細な御質問がございました。私も免許の取得の問題に関連しまして、実際に免許をとる段階におきましての手続的なことについて、若干補足的に御質問を申し上げたいと思います。 現在モーターボートを運転しております者は、小型船舶操縦士以上の免許を要するわけでありますが、モーターボートに乗りたいという人が免許を取得するために、財団法人日本モーターボート協会では、すでに昭和四十六年の八月から全国各地で小型船舶操縦士第一種養成施設というものが開設されまして、一万二千名ですか、修了者を出しておるということを聞いておるわけです。 この養成施設は運輸省が直接一施設ごとに認可をしておられるのか、あるいは財団法人日本モーターボート協会という形で認めておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○丸居政府委員 これは養成施設の指定基準がございますので、一施設ごとに認可をいたしております。
○左藤委員 そうしますと、このモーターボート協会が小型船舶操縦士養成に関する業務規則というものを出しておりますが、こういったものは運輸省はその内容を承知し、指導しておられるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○丸居政府委員 業務規則でございますが、これはモータボート協会が自分の養成事業をするために、みずからが基準を示すために業務規則というものをつくっております。したがいまして、日本モーターボート協会の業務規則は日本モーターボート協会にだけ通用する業務規則でございますけれども、しかし、指定をしますときの基準というものが一応ございますので、大体において業務規則にこういうことを書かなければならぬというものがございます。現在指定を受けております公益法人、五つあるわけでございますけれども、この五つがそれぞれ業務規則をつくっておるわけでございまして、大体共通点が多いというのが実情でございます。
○左藤委員 そういった基準は何か省令とかいうものできめておられるのか、そういうきめ方について。 それから次に講習の時間割りの編成というふうなものについて、運輸省としていろいろな意見を言っておられるかどうか、この辺はいかがですか。
○丸居政府委員 業務規則につきましては、省令によって大体の基準的なものをきめております。 それから、時間割りの編成につきましても、それぞれの養成施設を指定いたします場合に、教習の内容とかそれから時間割りといったものは指定基準の中に入ってまいりますので、十分チェックをいたしております。
○左藤委員 受講料というものは四万二千円ということになっておるそうであります。自動車の場合は五十教程ということで数万円を要するわけでありますけれども、この場合は実質的に個人的な実技というものが大部分の時間を占めておると思うのです。モーターボートの場合、先ほど足立先生からのお話の中にもありましたが、学科というかそういったものが非常に多くて、実技は十二時間というようなことで、そういった時間割り編成になっておるようであります。 これに関連いたしまして、この受講料というものは運輸省としては高いと考えておられるのか、安いと考えておられるのか。
○丸居政府委員 受講料でございますけれども、確かに十五時間の学科と十二時間の実技とを予定しておるわけでございます。実技の時間が確かに自動車より少ないわけでございますけれども、ただ、モーターボートは非常に燃料をたくさん食いまして、原価計算上は必ずしも十二時間でも安くないのでございまして、現在の四万二千円の受講料というものは最小限必要だというふうに一応考えております。
○左藤委員 教習日程なんかを見てみますと、学科の時間がやたらと長い。そしていま十五時間というのが最低の時間だと思いますが、実質的には相当たくさんやっておるというふうにも思うのです。 そこで、教習所の教員というのは一体どういう立場にあるわけでありますか。たとえば自動車教習所と同じものであると理解していいのか。そして教員の報酬というのはどういうふうになっておるのか。この辺についてもお伺いしたいと思います。
○丸居政府委員 教員は自動車の教習所の教員と変わるところはございません。それから教員の報酬は一日五千円から七千円程度になっております。旅費がこれに加わる場合もございます。
○左藤委員 そうしますと、そういう教員というのは、たとえば電波の技術養成の機関には、よく国家公務員が出ているということもあるのですが、運輸省の人たちが行くというふうなケースがあるのかないのか。この辺についてはいかがでしょう。
○丸居政府委員 運輸省の職員が現在教員をしておるのは一人もございません。ただ過去におきまして、うちの航海訓練所というのがございます。そういうところの職員が夜間臨時に雇われて教官になっていたという例はございますけれども、そういうことが大体わかりましたので、これはやはり運輸省の職員がそういうことを、夜間のアルバイトにせよやってはまずいというので、現在はやらしておりません。
○左藤委員 そういうお考えは私は非常にいいと思うのですが、この職員法、船舶安全法の改正によりまして、また現在のレジャーブームというふうなものがますます拡大をしていくというようなことから考えますと、免許を受ける者が非常に急増するという問題がある。すでに自動車の教習所の場合でもいろいろ問題があるようでありますけれども、そういった場合、将来とも現在の五つのモーターボートの協会だけにこういった教育をやらせておって、そういった問題を十分円滑にやることができるかどうか、こういう点について心配を持っておるわけであります。そういう点についての運輸省のお考えを承りたい。
○丸居政府委員 先生御指摘のとおり、モーターボートの教習の希望者がふえてまいりますので、現在の教習所だけにそれを限ることはできないのじゃないかと思います。したがいまして、新しい希望者が出てくれば、これを新しく指定して教習所とするわけでございます。 ただ、もうけ主義のところがいろいろ出てくるということだけは十分押えて、りっぱな教習が行なわれるようにしなければならぬ。そのためにはかなりしっかりした一つの基準を設けまして——現在も基準はできてありますが、その基準を十分に励行していただけるような教習所について指定をしていきたいというふうに考えております。
○左藤委員 もう一点だけ。 いま足立先生の御質問の中にもありましたが、モーターボートで、高速レジャーということで走り回るというところに、傍若無人といいますか、マナーというようなものが全然なっていないような人たちが今後もますますふえてくるという心配があるわけです。それにはやはり免許を与えるとき、そういったものを十分指導していくという必要があるわけでありますが、免許なしに乗れるのじゃないかと安易に考えておる者もかなりあろうと思います。 問題は、現在そういったモーターボートを買うとかいうときには、モーターボートの業者がPRの資料でいろいろなものを出しておりますが、そうしたことでなくて、人のモーターボートを借りて乗るとかいうような人たちに、免許をとらなければ乗れないんだ、そうしてどういう免許をとっていかなければならないんだというPRをしなければならぬ。それは、たとえば運輸省は観光協会とかいうものを通じてPRされるのか、それとも何か独自にお考えになっているのか、この辺についてはいかがですか。
○丸居政府委員 免許取得のPRでございますけれども、ただいまはモーターボート業者に一任しておるわけではございませんで、われわれのほうでやっていただいております相手方は、地方海運局、それから海上保安庁、警察庁、都道府県、それからさっき申し上げました養成施設の五団体、こういうところとか、日本舟艇工業会、日本ヨット協会、それ以外にメーカー、デーラー、そういうところでPRをしておるわけでございます。
○左藤委員 今後ともそういった問題について、予算の点についてもPRのことについても努力をしていただきたいということをお願い申しあげまして、私の質問を終わりたいと思います。
○久保委員長 斉藤正男君。
○斉藤(正)委員 船舶職員法の一部改正にあたってお尋ねいたします。 レジャーボートの発展に伴いいろいろな関係がございますけれども、この際、法一部改正という形で提案されてまいりました。おそきに失した感もありますけれども、十分審議した上で、将来を展望し、しかも現状にマッチしたものをぜひ成案を得たいと願って、私どもは若干の疑問もございますのでお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、少なくともレジャーボートについてはわが国は後進国であります。これから先進国の仲間入りをするわけでありますけれども、先進国という国々で免許制度をとっている国が一体どの程度あるのか、あるいは免許制度は全くとっていない国もあるのか。私はあまりよく知らないのでありますけれども、どこの国でもいずれも免許制度をとっているのかどうなのか、まずその点を伺いたいと思います。
○丸居政府委員 外国でモーターボート、ヨット等の操縦につきまして免許を必要とする国は、わがほうの調査によれば、フランス、西ドイツ、スペイン、イタリア等でございまして、免許を必要としない国は、アメリカ、イギリス、ノルウェー等でございます。しかし、こういった免許を必要としない国でも、免許制度が必要でないかということで検討されておる国が多いというふうに聞いております。
○斉藤(正)委員 最も普及をし、かつ大型化し、関連諸施設を含めて先進国と思われるアメリカが免許制をとっていない。それにはそれなりの理由があると思うのです。すなわち、海洋レジャーに対する国民の認識の程度あるいは社会通念あるいは社会道徳、特に海洋マナーといったものに対する認識が違っている。歴史的な発生の過程も当然あろうかと思いますけれども、そういう意味では、やはり免許のあるなしにかかわらず、すべての点について行き渡った習慣、伝統というようなものがあってそういう経過になっているんじゃないかというように思うわけであります。 そうすると、この免許の問題につきましても、たとえば免許を与える国の代行機関について国民が非常に利用しやすい、受けやすい。いつ、だれでも、どこでも免許が受けられるという形がなければきわめて不公平だ。一方では免許をとれとれ、無免許は乗せないぞといっておきながら、さて免許をとりたいということになると、どこへ行ったらいいんだ。たいへん遠いところへ長い時間かけて行かなければ施設がないというようなことでは片手落ちだ、こういうように思うわけです。 そこで、そういう意味から伺いたいわけでありますけれども、特定機関に権限を与えて教習所の開設を認めているわけであります。きわめて限られている。この開設を認められている特定機関は一種の権益団体化して、免許希望者の立場は無視されるおそれがないとはいえない。すなわち船舶職員養成協会、日本モーターボート協会あるいは瀬戸内、九州などにある若干の機関というようなものが、この特定機関にいまのところ指定をされるようでありますけれども、私は、自動車教習所が全国各地にむしろ乱立だ、過当競争だと言われるほどにまで普及した現実を踏まえたときに、この免許にあたっても、いま言ったような機関だけでいいのかどうなのか。そしてまた、その機関が全国に、それでいいというならどの程度の試験場なり講習所を設置しようとしておるのか。そしてまた、国でも財政的な援助を考えておるようでありますけれども、その程度のことで事足りるのかどうなのか。当座はしかじかかようだけれども将来展望としてこのようなことも考えられますというようなことなのかどうなのか。伺いたい。
○丸居政府委員 先生御指摘のとおり、この法律が通りますと、受験をしてその免許を取られる希望者が非常に多いと思います。したがいまして、現在の公益法人のみでは処理し切れないのじゃないか、またそれで処理し切ろうとすれば、先生のおっしゃったような、新たな免許を取りたい人に御不便をかけるのじゃないかというふうに考えておりますので、私たちもその教習所をこれからの公益法人だけのものに限らないようにしていきたい。 ただ、ちょっと先ほども触れましたのですが、新しく教習所を開いたところが非常にもうけ主義におちいって、そして教習生からたくさんの金をとってやっていくということであればぐあいが悪いわけでございますので、そういうことのないように、十分その指定基準に合致したところに免許をしていきたいというふうに考えております。 ただ、これはモーターボートについての話でござますが、漁船等の職業船員を対象とする教習所というものは、従来どおりの五つの公益法人で十分需要に応じられるように思いますので、これはそのほうでやっていきたいというふうに考えております。
○斉藤(正)委員 先ほど足立委員からお尋ねがございまして、いろいろな立場から、やはりこれが完全だというものはなかなかやりにくいと思うのですよ。しかし、よりよいものをということは政治の望むところでなければならぬというように思うわけでありますけれども、たとえば、内示されております教習内容、教習時間等も拝見をいたしましたけれども、現在の教習内容では、いわゆる小型船舶全体が対象になっている。漁民の立場からいえば、漁民の立場からいけば、先ほど足立先生が要求をされたような切実な要求も出てくる。しかし、われわれはレジャー専門なんだ、モーターボートだけなんだ、ヨットだけなんだという利用者にとりましては、こんなことまでやる必要があるのかどうなのかということも出てくると思うのです。この辺を合理化し、必要な項目を加えるものは加え、削除するものは削除するというような内容の整備も当然必要でなかろうかと思う。 もう一つは、教習制度のレベルアップをはかるためにテキストが重要である。私はこの間、行っていただいてきた。しかし、このテキスト、ずいぶんいろいろ書いてございまして、発行所も限定をされております。一つは財団法人日本船舶職員養成協会、一つは財団法人日本モーターボート協会。船舶職員養成協会で使うテキストはこれだ、モ協で使うのはこれだということで、これも専売特許ですね。今後受講者テキストで勉強したいという場合はこの二冊しかないのですよ。ほかのものはないわけだ。しかも、これはどのテキストもそうでありますけれども、複写複製を禁ずるということはもう明記してございます。しかも片一方は六百五十円という定価がついている。片一方は定価も何もついていないのですね。講習のときにテキスト代を幾らと取るわけだ。若干調べてあるから私は知っておりますけれども、これも高いです。まあ本を出してもうけるのもけっこうですよ。けっこうだけれども、何か日本モーターボート協会と船舶職員養成協会が独占している、独占企業だ。テキストの発行一つを見てもそんな気がしてならぬわけです。 局長から、将来適正な規模なり適正な企画が整うならば他の機関にもという話がございましたので、これは了といたしますけれども、もう少し一般国民に普及をする、だれがどこでもテキストが買える、だれがどこでも受講できるというような門戸開放のためにも、このテキスト等についても再検討を要すると思う。まさか運輸省発行というわけにもいかぬでしょうけれども、監修ならいいでしょう。そして講談社から出したって、文芸春秋社から出したっていいでしょう。こういう点が私は少しひっかかるのですけれども、どのようにお考えですか。
○丸居政府委員 最初の教習を漁船とレジャー関係のほうと分けてやったらどうかという御質問でございますが、これは確かに先生のおっしゃるとおり、いままでの教習は、そういう点が一緒に行なわれている場合もありまして、非常に皆さんに御迷惑をかけているというふうに思いますので、私は改正後はレジャー関係者を対象とする第一種養成施設と、それから漁船等業務用の船関係者を対象とする第二種養成施設を明確に区別いたしまして、そして第一種養成施設においては、モーターボートを中心に教育をするようにする方法をとりまして、レジャーボートのユーザーに理解されやすい方法で教育していくようにしたい。もちろん両方共通する部分があるわけでございますけれども、これは両方教えるけれども、選択科目的なものがやはりあるわけでございますから、両方おのおの振り分けて教育していくのが受講者に親切じゃないかというふうに考えます。 それから、テキストの点でございますけれども、現在は運輸省が指導をいたしまして、学識経験者、民間団体有識者等をメンバーとする教科書の編さん委員会を編成いたしまして、テキストの作成作業を実は進めております。 私は、実はその養成協会から来ておるテキストを自分で二回ほど読んでみまして、そしてどうも要らぬこともちょっと書いてあるような気もいたしますし、それからわかりにくい点が少しあるように思いますので、やはり勉強する人のためにもっとわかりやすい、しかもあまりかた苦しいのではなしに、漫画でも入った読みやすいような教科書に変えるべきだというふうに思いまして、そういう注文を出しましてこういう編さん委員会をつくっていま編さんしているところでございます。 まあどこでもりっぱなやつをひとつつくりたいと考えておりますけれども、なおそれよりもりっぱなものができ、しかも、履修科目が網羅されておれば、私はどこの教科書にこだわるということはしたくないというふうに考えております。
○斉藤(正)委員 お読みになったと言いましたからね。ちょっと私も読んでどっちがほんとうなのか、どっちも正しいのか、これ、局長わからなければ、吉田君がいますから、吉田さんは免許も取ったようでございますから答えてください。「救助作業」というのがあるのです。このモーターボート協会の出している「実技教習教本」の中には、「救助作業」というところで、落水者ですね、水へ落ちた人を救助する場合、「エンジンを前進にし、落水者の風下に船を持って行き、着岸の要領で接近します。この場合、少しでも早く救助するためには、危険のない範囲内で、でき得る限り速力をあげて近づくことが必要です。大型の船の場合、船を落水者の風上側になるよう近づけることは、落水者を風波から護ることになりますが、小型船では、風上から近づくと保針が困難となり、また場合によっては、船自体が波浪のため、落水者に打ちつけることもあって、かえって危険をともなうので、風波に船首を向けて、風下の方向から接近する方がよいでしょう。」小型船の場合は、落水者に対し風下から接近せよと。これは、わりあいわかりやすく書いてある。ところが、日本船舶職員養成協会が出しているテキストでは、「人が落ちたのを発見した者は、大声で「人が落ちた」とさけんで船内に知らせる。救命浮環を投げ入れる。かじを人の落ちた側にとる。機関を停止する。高い所に見張りを立て、落ちた者を見失わないようにする。」問題は次です。「落ちたところに船を近づけ、落ちた者が船の風下側になるようにして救いあげる。」これは同じことを言っているのか、逆なことを言っているのか、どっちなんですか。
○丸居政府委員 確かにそれを二つちょうどあわせて読みますと、逆のことが書いてあるようでございますけれども、その小型船舶操縦士の養成協会で出したほうのものは、おそらくもう少し大きな船のことを想定して書いたものじゃないかというふうに、私はそのとき理解したのでございます。ところが、モーターボート協会のほうで出しておるものは、小さい船の場合をいっておるのではないか、そこで教え方が逆になってしまったのではないかというふうに考えております。 そこで、確かにその両方の教科書を読み合わしてみますと、一体どっちがほんとうなんだろうかということで、読んでおる人は迷うわけでございます。もう少しやはり親切な書き方というものが必要ではないかというふうに私たちも考えておりますので、新しく編さんします場合につきましは、そういう点も十分わかるように、どういう船はどうするのだ、どういう船はどうするのだというふうなやはり書き方が必要じゃないかというふうに考えております。
○斉藤(正)委員 先ほど冒頭に申し上げましたように、要するにレジャーボート用の教本じゃないのですね。やはり船舶職員法そのものからくる大型を含めた、四級とか三級じゃなくて、かなり高度の船舶職員法の教本だというように思うのです。いま足立先生から私に御指示がございましたけれども、エンジンをとめて落水者にどうして近づくのだ……。予備のかいがあるとか、さおがあるからとか、それで行けということでしょうけれども、ほんとうにこれをまじめに勉強して、この中から試験問題が出ると思ってくそ暗記していくとえらいことになっちゃうのですよ。ですから、ぜひそういう点は、先ほどお答えがありましたけれども、編集委員会をつくって、わかりやすい、適したものをおつくりになるということですから、そのようにしていただきたいと思う。 もう一つは、講師の問題です。私、二年ばかり前から船舶職員養成協会の講師の数を聞いた、どの程度いるか。そうしたら百二、三十だと、こういうことなんです。それがどこにどのようにいるかと言ったら、全部ここにばらまかれているわけですね。それから日本モーターボート協会だって、いわゆる有資格者というのは、かつて船員であって下船をされて、たまたまそういう仕事に携わっているという方々が大部分であって、この法のたてまえからいきますれば、資格基準に乙二の免許を必要とされております。乙二が最低限である。これをさがそうと思っても、なかなかないですよ。 今日船舶はふえる一方。聞くところによれば、もう引く手あまたで、特に高級船員などは六十になっても、七十になっても民間で引っぱりだこだ。反面、乗船希望者の若者は減ってきているというようなことも聞いているわけであります。しかもこういう人たちはレジャーボート専門じゃないわけです。何万トン、何十万トンというような船に乗っていた経験があって、乙二以上の資格を持っている。こういう人たちがレジャーボートの試験の講師になったり試験官になったりする。若干やはり現状にそぐわない。レジャーボートに乗って、経験年数何年、しかも、ある試験をやって、講習をやって、合格だという人は、これはレジャーボート専門ですから、むしろ三十万トンのタンカーに乗ったという高級船員よりも、事ボートに関してはすべての点に知悉していると思います。そういう形での講師の養成といったようなものが、たいへん将来展望のあるこの種の試験官あるいは講師といったようなものには望ましいことではないかと思うのです。いかがでございましょうか。
○丸居政府委員 小型船舶操縦士の講師でございますけれども、これは先生御指摘のとおりに、いまは乙二以上の資格者を充てておるわけでございます。しかし、法改正されますと、小型船舶操縦士の資質の向上も相当はかられてくるわけでありますからして、小型船舶操縦士の教育は、原則として一級小型船舶操縦士でさらに一定の経験を積むといたしまして、小型船舶の実態についた者の中から選ぶことが適当であろうというふうに思いますので、それはそういうふうに変えてまいりたいと思います。 ただ、学科によりましては、小型船舶操縦士以外の資格者を充てることが適当な場合もあると思いますが、原則としてはそういうふうにやっていきたいと考えます。
○斉藤(正)委員 最後に、本委員会で安全法の審議の際からもたいへん問題になっておりましたけれども、いわゆるレクリェーションボートの横暴あるいは事故、暴走。それは海水浴客あるいは釣りを楽しむ皆さん、あるいは養殖漁場への進入等々、残念ながら悪評まことに高いわけであります。先ほどの足立先生のお尋ねではありませんけれども、五トン未満の和船で、三馬力か五馬力の船外機を積んで、ことこと行って釣りを楽しむ。しかし四級をとれば、四十マイル、六十マイルで走るボートでも乗れるのだというようなこととの関連においても、逆に今度は、免許をとったからどこをどう走ったってかまわないのだという問題もあるわけでありまして、むしろレジャーボートの今日並びに今後に一番大きな課題として残るものは、免許取得者のアフターケアだと思うのです。 先ほど局長は、足立先生の質問に答えて若干触れられました。ちょうど自動車の免許を取得した皆さんのために交通安全協会というようなものもあるし、いろいろなアフターケアの団体、施設がございます。私は当然このモーターボートについても、免許をくれてしまったからあとはオーナーのかってだ、死のうと生きようと、どんな被害を他に与えようとそれは運輸省の責任ではない、というのでは、片手落ちだと思うわけであります。何かしら全国的に、このような免許取得者に対するたゆまない指導、連絡あるいは整調、場合によっては自主管理を含めた団体をつくるべきだ、このように思います。 先ほどの部長の答弁でほぼ明らかになりましたけれども、何かそういう点についてお考えございますか。
○新谷国務大臣 この問題は、船舶安全法のときにも御指摘があったのでございます。船舶職員法は御承知のように、これは船舶を操縦する上において必要な最小限度の技能を持っておるという意味でそういう基準を要求しておるのでございまして、いまお話しになりましたように、これはどんどんふえてまいりますし、それから、ともすればマナーの点で遺憾な問題があっちこっちに起こっておりますことは、全くそのとおりでございます。 陸上交通のほうと比較いたしますと、よい例が自動車でございますが、これは長い歴史を持っておりますものですから、これでも足りませんけれども、まだ道交法その他関係の条例等を総合して考えますと、海に対するよりも陸上交通のほうがなお整備されておるということは言えるだろうと思います。先般来御質問に応じてお答えいたしておりましたし、また、関係の警察庁のほうでも、各府県に条例をつくるようにということを指導してもらっておりますが、この条例の基準といいますか、そういったものについてなおさらにわれわれのほうもお打ち合わせをした上で、そういう事態が回避されますように、やはり取り締まる方面でも何か考えなければならないということをいま研究をしておる最中でございます。 これも何とか早く結論を得まして、各府県の水域におきまして、無謀な他人に迷惑をかけるような操縦というものがないように努力をしなければならぬと思っておりますが、いま御指摘になりました船舶操縦者に対する海上における操縦のマナーといいますか、そういったものは、これは当然のことでございますから、陸上の自動者運転手に対していろいろ施設があり、そこで訓練をしたりあるいは講習をしたりいたしまして、交通のマナーを体得させるようにしております。これをやはり十分考えまして、近い将来に法律の改正と並行いたしまして、こういう実際上秩序を守らせるために必要な措置というものは、役所といたしましても、これはどうしても考えなければならぬ問題だと思っております。 できれば来年度予算の編成にあたりまして、そういった問題について積極的に取り組むように、関係の予算の要求もしなければならぬと考えておる次第でございます。
○斉藤(正)委員 大臣から総括的なお答えをいただきましたので終わりたいと思いますけれども、私は足立先生と同じ選考区でございまして、静岡県漁業協同組合はマリーナの進出を全面的に拒否する。これはもう、実は国の計画した榛原港などもあるわけでありますけれども、一切だめだというような決議をあげて、水産庁を通じ、農林省にも来ているはずですよ。無理もない点もあるのですよ。事実たいへんなボート族の暴走があるわけです。 これは海の上でございますので、海上保安庁にも取り締まりの限度がある。水上警察なんというものもきわめて微弱だ。これ見よがしに暴走をするわけであります。しかも網は破る、養殖場へは侵入する、海水浴客の混雑している中へ乗り上げるというようなことが、過去残念ながら幾つもあった。私はしかし、だからといって、だめだ、だめだといっていたんじゃこれは解決にならぬと思う。どうしても調整し、この水域は、この航法ならばという形のものをとらなければならぬと思う。 ここに各都道府県における条例化の問題等も当然出てくる。しかしこれも条例をつくったらもう条例が万能なんだと。条例をつくる過程においてやはりこのレクリェーションボートの今日並びに将来を展望したものを入れていかなければ、これはまたトラブルの原因にもなってくる。あるいは釣りをする皆さん方が全く迷惑であって、おちおち釣りもできぬというような状態などは、これにマナーさえ整っていればいいわけでありますけれども、幾らマナーが整ったって、走る水域がないとなったら一体どうするのですか。おかへ上がったかっぱみたいだということばがありますけれども、かっぱはおかへ上がっても多少は……ボートはおかに上がったら全く意味がない。部屋へ飾っておく模型ならいざ知らず、高い金を出して艇体を買い、エンジンを買い、走るところがないといったら一体どういうことになるのですか。この辺は水産庁、農林省、あるいは総理府等とも十分な御協議をいただき、特に建設省等とも十分な御協議をいただく中で、やはり総合的に政策として出していただきたい。 今日漁民の諸君が公害等でたいへんな心理状態になっている気持ちはわかります。しかし、だからといって漁民のいうことばかり聞いていいか。私は総合行政というものはそういうものではないというように思うわけであります。ぜひそういう点について関係各省庁との連絡調整を、事ボートに関しては運輸省が主導権をとってやるべきだと思うのでありますけれども、最後に一言大臣から見解を伺いたいと思います。
○新谷国務大臣 全く同感でございまして、そういうことを考えながら、実際関係各省とも相談をいたしまして、いまのような事態、さらにこれからもっとひどくなるかもしれませんから、そういう事態に対処しなければならぬ。 また、必要な予算は、これは要求を各省ともしたほうがいいと思うのです。非常な無秩序な状態になってから手をつけるんじゃおそうございますから、いまはもう大体ここ五年先のことは予見できるような気がいたしますので、そういう意味で少し先を見まして予算的にもこれは配慮をしていきたいと思っております。
○斉藤(正)委員 終わります。
○久保委員長 次回は明十九日木曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四分散会