建設委員会 第30号
- 発言数
- 182 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/08/29
会議録
○服部委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、参議院送付、屋外広告物法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正森成二君。
○正森委員 この前の七月の二十日に私が質問しましたが、残念ながら、自由民主党が緊急代議士総会を開かれましたので、十分間しか質問できませんでした。そこでそのときの続きをお伺いするわけですが、私の質問で、広告物法の一部改正案が憲法二十一条の表現の自由に関する法案であるということは建設大臣もお認めになったと思いますが、復習の意味で、そうお伺いしてもよろしいですか。
○金丸国務大臣 憲法二十一条によりまして表現の自由は当然基本的人権である、こういうことでございます。
○正森委員 いまの御答弁は必ずしも意を尽くしたものでないと思いますが、私のほうで整理しますと、この法案が表現の自由に関係したものであるということをお認めになった趣旨と解釈してよろしいですか。そうですね。
○吉田(泰)政府委員 この法案が表現の自由に関係した法案であるということの確認の御質問かと思いますが、確かに屋外広告物法による規制というものは表現の自由に関連した問題を含んでおります。
○正森委員 それでは次に入りますが、政府は今度屋外広告物標準条例改正要綱案というものをおつくりになって、私どももいただいております。しかし前には、昭和三十九年三月二十七日都市総務課長通達の屋外広告物標準条例というものがございます。これは、今度新しく出されました広告業を営もうとする者等に関する改正要綱案以外の点については、依然として昭和三十九年三月二十七日の標準条例が生きておると見てよろしゅうございますか。
○吉田(泰)政府委員 先般の御質問で、たとえば電柱につきまして、はり紙、はり札、立看板の類は一切禁止物件にすることができるという規定が現在の標準条例案に置いてありますが、これにつきましては、明確に御答弁申し上げましたように、この際削除することにいたしたいということを申し上げてあります。その他につきましてはいまのところこの標準条例案は、いまのもこれから削除するということで、現時点ではまだ削除しておりませんが、いずれ削除するということをお約束したわけでございまして、その点につきましては一応標準条例案の条文をそのまま現在生かしておるというわけでございます。
○正森委員 それでは伺いますが、この三十九年三月二十七日の広告物標準条例では、第三条で「禁止地域等」ということで総計十五項目並べてあります。そこでほんとうは大臣にお伺いしたいのですが、こまかいことですから政府委員でもよろしゅうございます。一体この十五項目の中に含まれないようなものが本法にあるのかどうか、それを伺いたい。これを見ますと、たとえば十項を見ますと「河川、湖沼、渓谷、海浜、高原、山岳及びこれらの附近の地域で、知事が指定する区域」というように書いてありますし、十一項では「港湾」が入っておる。十五項目では法定せずに「○○○○○……」と入っておるということになると、およそ日本国の領土で知事が禁止区域に指定できないところはない。あっさり一行そう書いたほうがいいように見えるけれども、何か除外されるような地域がありますか。
○吉田(泰)政府委員 これも従前の御質問に再三お答えしたところでございますが、まずこの標準条例案の性格というのは、昭和三十九年以前に現に制定されておりました各府県の実際の条例を見渡しまして、その多数がとっておるような制度を、そのまま条例になるというくらいのきびしさでふえんいたしたものですから、項目もふえておるというわけであります。それから、これに必ずできるだけよってもらいたいというような拘束力を持ったものではなくて、各府県の実情に応じこの標準条例案と異なる規定をすることは特に困るというような指導はしていないわけでありまして、あくまでも必要とあれば参考にしてもらいたい、こういうことでございます。 そこで、御質問の標準条例案の三条に十五号までを列記してあって、これ以外のところというのは考えられるかということでございますが、十五号というのはただ「〇〇〇〇〇……」と書いただけで、その他知事が法の範囲内で禁止区域を指定できるという意味を書いただけの、直接に何らの意味を持たない表現でありますが、それ以前の十四号までを見ますと、住居専用地区であるとか、風致地区であるとか、保安林であるとか、道路などの沿線であるとか、都市公園の区域であるとか、河川、湖沼等の区域であるとか、こういったものが例示されてあるわけでありまして、しかも、標準条例案としては特にそのすべてを禁止するのではなくて、特にその中で知事が定めた区域だけを禁止地域にする、あるいは知事が特に定めたところは禁止地域から除外するようにするというようなことが表現されておるわけであります。もちろん、それによって具体的に各県がどの程度の除外例を設けたり、あるいは例示されている中で特に禁止地域として拾い上げるところを指定したりするところまでは標準条例案ではいっておりませんけれども、少なくとも全面的にやるのではないという感じは出しておるつもりでありまして、また一般の住居地域などは例示からははずれておりますし、商業地域等はもとよりであります。そういうことでありますので、第三条各号に除かれている区域はずいぶんあるわけでございます。
○正森委員 いまの御発言ですが、私は少しも納得できません。もし標準条例がそれほど権威のないものであるならば、なぜ各市あるいは各県で実施されておる条例がこれにきわめて近似したものになっておるのか。もちろん各県、各市で若干の差異はありますけれども、なぜそういうようになっておるのか、これがわからないわけです。しかも、あなた方はいままでの質問の中で、第四条の第二項「電柱、街灯柱その他電柱の類には、はり紙、はり札又は立看板を表示してはならない。」というのを削除することにしております——まだ削除しておりませんが、こういうふうに言ったのは、この標準条例が一定の影響力を持っておるからこそそういうことをしなければならないし、する必要がある、こういうぐあいにお考えになったことではありませんか。そういうように見てみますと、この第三条で「禁止地域等」というところは、なるほど知事が指定する区域は除外できるようになっておりますけれども、およそ知事は指定しようと思えばどこでも指定することができる。湖やら沼やら高原やら山岳やら、そんなものでも全部指定することができるというようになっているではありませんか。住居専用地域でも二号を見ますと「建築基準法第五十条第一項の規定により指定された住居専用地区又は同法第六十八条第一項の規定により指定された美観地区」ということで、建築基準法に基づく住居専用地区は全部禁止地域に入っており、たまたま知事が指定する地区を除くことができるだけになっております。そうするとこの規定のしかたは、およそ日本国憲法の主権の及ぶ範囲内においては、広告物もしくは広告物を掲示する物件は一切掲示してはならない、こういう規定を置いて、その次の条項で若干これを解除するということと同じではありませんか。一体、憲法二十一条の表現の自由という憲法上の権利が問題になっておることについて、こういうような広範なきめ方を標準条例として出す、それを許すような母法である広告物法というのは、全く表現の自由について配慮がなされていないといっても過言でないと思いますが、その点についてはどう考えますか。
○吉田(泰)政府委員 この標準条例案を出しましたいきさつは、これも以前にお答えしたことがございますが、重ねて申し上げますと、昭和二十四年、戦前の屋外広告物取締法を全面的に撤廃して、新しい憲法下における広告物の規制のあり方ということで現行法ができ上がったわけでありますが、その新しい思想、新しい条文に基づきまして、各県で逐次その条例が制定されたということでありまして、当初からこの標準条例案をもって指導するということは考えておりませんでした。しかしながら、その後の社会情勢の変化が、非常に社会、経済活動の広域化をもたらし、あるいは、新幹線とか国際空港といった超高速の交通機関、あるいは国際的な施設もでき上がっていくということで、各県間のバランスがあまりにも違うということもいかがなものであろうか。もちろん法の範囲内で各県が条例の形で制定するわけですから、そこに独自性のあることはもとより、法律が当初から予定しておるところでありますが、それにしても隣合った県であまりにも違うというようなことでも国民の側も混乱するであろうというような意味から、当時の各県の実際の制定状況を見渡しまして、その大多数のところが採用しているような規制の内容というものをほぼ取りまとめて標準条例案に仕立て上げた、こういうことでございます。したがいまして、現在、広告物の標準条例にそのままぴったり合っている府県が多いというのはまさにそのとおりであります。それは標準条例の拘束力というよりも、むしろ各県の大多数のものをモデルとして標準条例をつくったといういきさつから主として来ているものと考えております。 〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕 先ほどお答えいたしました標準条例案の電柱にはり紙等を禁止できるとした条文を削除するという答弁をしたこと自体、標準条例案が実際の各県の条例の内容に及ぼす影響が強いことをみずから認めているからではないかということでありますが、あのときの御質問の趣旨は、標準条例案で指導するという、標準条例案という形でもってビラのたぐいは電柱すべて禁止してよろしいというようなことをわざわざ示すというのは行き過ぎである、各県の条例においてその判断できめられるということでなければならない、こういうことでありまして、標準条例の影響力というよりも、標準条例という形の中にそれを取り込むということがいかにも行き過ぎではないかという御指摘でありましたから、私も再三押し問答はいたしましたが、結局のところ、おっしゃる意味もわかるということで削除すると申し上げたわけであります。
○正森委員 ただいまの答弁は、むしろ各県あるいは各市で行なわれる条例があまりばらばらであっては困る、それでこれをつくったという意味のことをおっしゃったわけですけれども、私の意見を申し上げますと、それほどばらばらで困っておる、そして表現の自由に関することであるならば、法律をもって規定して、そして罰則を設けるなら設けるというようにするのが当然であって、法律の規制に入らないモデル条例のようなものをつくって、そして各県に実際上はそうするように指導する、あるいは参考にするというようなことは、国民の基本的人権の上からいっても厳に慎むべきであるというように思いますし、いまの答弁を聞いても、この標準条例が一定の、拘束力とは言わないまでも、影響力を十分に持っているということは否定することができないと思います。しかし、時間が限られておりますので、特に委員長にお願いしたいのですが、答弁者側の時間も私の時間の中に入っておりますので、答弁も簡にして要を得たようにしていただきたい。先ほどの答弁は非常に冗長であるというように思いますから、あらかじめお願いしておきたいと思います。 そこで、標準条例の第六条に「適用除外」が設けられておりますが、これは「国又は地方公共団体が公共的目的をもって表示する広告物又はこれを掲出する物件」とか「公職選挙法による選挙運動のために使用するポスター、立札等又はこれらを掲出する物件」というようになっておりまして、一定の公共目的のためにするものは、たとえそれが一定の美観風致をそこなう可能性があってもなおかつこれを許容しなければならない憲法上の要請があるからこそ、これをわざわざ適用除外にしたものであるというように解されますが、そう解釈してよろしいか。
○天野(光)委員長代理 答弁は簡単に。
○吉田(泰)政府委員 標準条例案にこれを書きましたのは、実際の実務上のこと等も考えまして、標準条例案という意味ではこういった適用除外例を設けることが両者の均衡を保持するゆえんではないか、こう考えたわけでありまして、必ずしも憲法上の云々というような意味ではございません。
○正森委員 いまの答弁は何ですか。憲法上の要請ではないとはどういうことですか。表現の自由が憲法で認められているからこそ、最小限これだけのものは、特に公職選挙法に関するようなことは広告物条例や広告物法で取り締まっては選挙運動もできないということだから、これをわざわざ除外しているんじゃありませんか。それはもちろん憲法上の要請ではありませんか。それが憲法上の要請ではない、そういうことを国会で言ってもいいのか。もう一度答弁しなさい。
○吉田(泰)政府委員 国または地方公共団体が設置するものと公職選挙法と一緒に御質問がありまして、簡潔にということで一緒に御答弁申し上げましたから誤解を招きまして恐縮でございますが、公職選挙のためには特別に公職選挙法がございまして、この法の秩序でいくのが当然でございますから、そういう意味で広告物法は除外しておるということでございます。
○正森委員 それが憲法上の要請ではないかと聞いておるのに、公職選挙法で選挙運動のために使用するポスターは除外だ、公職選挙法で何かそういうのがあるからというのでは答えになっていないじゃないですか。公職選挙法のどこに、これは屋外広告物法または広告物条例に優先するというようなことが書いてありますか。そんなことは書いてないでしょう。そうすると、ここにわざわざ標準条例で設けたのは、やはりこれが表現の自由あるいは議会制民主主義の根本にかかわる、そういう要請に基づくものだと思うからこそ除外しているのではありませんか。
○吉田(泰)政府委員 確かに憲法で保障されておる公職の選挙という、これを別の法体系のほうで許される範囲で全く自由に行使してもらう必要がある、こう考えたから屋外広告物の標準条例案ではこれを適用除外にしているわけでございます。
○正森委員 だから結局それは憲法上の要請にこたえたものであるということになるのは、日本語の解釈として当然ではありませんか。 そこで警察庁に伺いたいと思いますけれども、大阪等の広告物法施行条例でもこれと同種の規定が設けられていることは御存じのとおりだと思います。ところが、これは五月八日に参議院での本件の質疑において一部聞かれたことでございますけれども、たとえばこれは大阪の都島警察署でありますが、「可愛い子 一人で出すな遊ばすな—都島警察署」というような大きな立看板を出しております。これはおそらく「国又は地方公共団体が公共的目的をもつて表示する広告物又はこれを掲出する物件」というのに当たると思うのですが、そういうぐあいに解釈してよろしいか。
○相川説明員 都島警察署でそのような立看板が出ておるということについて、私、直接存知いたしておりませんけれども、先生ただいま御指摘のとおり、公共用といいますか、いまの標準条例の六条の第一項に盛られております公共性ということで出しておるものと思います。
○正森委員 そういう答弁がありましたが、あとでこの写真を示すからよく見てもらったらいいのですが、立看板の下半分には「アルバイトサロン女神 ホステス募集 日給一四〇〇−三五〇〇指名払戻一律七〇〇 皆勤賞一〇〇〇〇 努力賞日給アップ 追加指名もスライド点数に加ります 服装自由 只今受付中 毎日七時−八時迄TEL(三五二)四五三八−九」、一体となって掲示されておる。これはちゃんと昭和四十年五月にどこに掲示されておったかということまで証拠をとって、写真を写しておる。一体何事ですか。一方では公共の目的のためだといってこういうことをやる、下にはアルバイトサロンがホステス募集という広告を抱き合わせてやっておる、こういうことがこの中でまかり通っておる。「指名払戻一律七〇〇」というのはどこで公共目的に一致するんだ。そういうことを許すようなことを条例でやり、そして一方では金のない庶民の言論の自由は認めないというようなことはもってのほかじゃないですか。警察はこういう条例や広告物法を悪用するんでなしに、もっとえりを正して自分自身もやらなければならないし、そして取り締まりの点についても公共的な目的を考えなければならない。自分がこんなことをやっておってどうして取り締まれますか。何ならこの写真を見てごらんなさい。間違いないですよ。一体となって出されておる。何か答えることがありますか。
○相川説明員 先ほどお答えしましたように、私、事実関係について存知いたしておりませんでしたが、先生のただいま御指摘になった写真でございますか、これは私も事実関係を調査してみたいと思います。そして、御指摘のように、もしも公共性ということと営業宣伝というものが一体になって掲示されているというようなことがあるとすれば、関係方面に適切な注意を与えたいと思います。
○正森委員 屋外広告物法の一条によれば、本法の目的は、「美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するため」と明示されております。このことはすでに政府委員はよく御承知のことだと思いますが、かつて戦前には、明治四十四年に広告物取締法、大阪では広告物取締法令というものがございました。そこでは美観風致の保存、危険の防止のほかに安寧秩序の維持、善良の風俗の保存というものを、その保護法益としておりました。しかしこれではかつて治安維持法がありましたようないろいろな弊害があるということで、安寧秩序の維持と善良の風俗の保存とを削除して、広告物の取り締まりについては純粋に、内容によるものではなしに、美観風致もしくは危険の防止という外形的なものだけによるものであるということになったものと承知しておりますが、そう承知してもよろしいか。また政府当局としては、それ以外にこの目的を、法律においても条例においても、またその下位に立ついかなるものによっても、制約する気持ちはないというように言えますか。お答えください。
○吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、表現の内容そのもの、つまり意思表示そのものに関与するということは考えておりませんで、主として設置する場所とか物件とか、その外形、寸法のたぐいを考えた法律にいたしております。ただし、法律にもありますように、意匠、色彩等、若干その内容に全く触れないではないものもありますが、まあそれは内容といいましてもその限りにおける内容でありまして、戦前の法律のような内容そのもの、安寧秩序の維持とか風俗の保持といったものでないことは、御理解いただけると思います。
○正森委員 私も風俗が全く関係ないとは申していないので、かりにわいせつ物を表示するということになれば、刑法のわいせつ物罪ということで取り締まれることは当然でございましょうが、広告物法としてはそういうようなことは考えておらない。特に安寧秩序とか法秩序とかあるいは政治活動というものを特別に差別するということではないというように考えてよろしゅうございますか。簡単にもう一言お答えください。
○吉田(泰)政府委員 そのとおり、安寧とか風俗ということには本法は関係しておりません。
○正森委員 そこで次の質問に入りたいと思いますが、この広告物標準条例、あるいはそれを受けて大阪は大阪、東京、その他いろいろ行なわれております。たとえば大阪府の屋外広告物法施行条例というのを見ますと、ものによって非常な差異があります。それを営利性と非営利性というものに分けても分けられるかと思いますが、必ずしもそう一がいに言い切れない点もございます。だがしかし、大阪府の条例の第二条の第三項を見ますと、「前二項各号に掲げるものの外、次の各号に掲げる物件には、ポスター、はり紙及び立看板を表示し、又は掲出することができない。」こうなっており、その一に「電柱及びこれに類するもの」ということで、ポスター、はり紙及び立看板、つまり庶民の最も必要とするものについては、電柱及びこれに類するものについては無条件で禁止されております。ところが第三条を見ますと、「左の各号に掲げる広告物又はこれを掲出する物件の形状、面積、色彩、意匠その他表示の方法については、知事が定めるところによらなければならない。」「一 電柱を利用するもの」こうなっておりまして、ポスター、はり紙及び立看板と、一般のそれ以外の広告物では明瞭に差を設けております。つまり、一方は絶対にいけない、一方は知事が定めるところによれば許されるというようになっております。これはその表現の手段、方法によって、一定の目的のために明白に差を設けておるというように理解できると思いますが、そう理解してよろしいか。
○吉田(泰)政府委員 御指摘の条文が先ほど申し上げました標準条例としては今回削除すると言った条文でございますが、確かにビラ、ポスターのたぐいにつきまして、その他の広告物と差別をしておるというわけであります。
○正森委員 さらにそれだけでなしに、大阪府屋外広告物法の施行条例を見ますと、前者のポスター、はり紙及び立看板の場合には、これを掲示した場合には十七条で直ちに五万円以下の罰金に処せられることになっております。ところがそれ以外の広告物については十四条で、まず知事が管理者に対して移転とか除却とか必要な措置を命じて、その命令に従わない場合にだけ、同じように罰則が科せられることになっております。そうすると、これはビラだとかポスターというような、庶民にとって最も関係のあるものについては全面的に禁止し、かつ張ろうとすれば直ちに五万円以下の罰金に処せられる、犯罪として逮捕することができる。しかしそれ以外の広告物、比較的広告業者が使うものについては、これは張っただけでは直ちに犯罪にはならない。知事が許可することができる。そして知事が除却命令を出してもそれに従わない場合だけが十七条によって犯罪になる、こういう明らかな構成になっております。これは二重の意味で不公平であり、不均衡である、そういうようにいえると思いますが、そう解釈してよろしいか。
○吉田(泰)政府委員 これは大阪府の条例で直罰がかかっておりますのは、広告物の種類のいかんを問わず一切禁止される場所、あるいは許可を要することにされている場所で許可を受けないで設置したような場合には、すべて直罰の対象になっていると思います。ただし、御指摘のようにポスター、はり紙のたぐいが電柱及びこれに類するものにつきましては一切禁止になっているということから、条文の立て方に別に差異はないのでございますけれども、先ほど来の電柱についての禁止広告物の種類としてポスター等だけが別扱いになっているというところからくることだと思います。 なお、先生御指摘の条例第三条に違反するというのは、そういう禁止場所じゃなくて、許される、禁止されている場合でない場合も、一定の形状とか意匠とか寸法でなければならぬという条文がありまして、これが第三条であります。その違反については、おっしゃるとおり直罰ではなくて、まず是正命令を出す、それから罰則命令を出す、こういうことになっておるということであります。
○正森委員 いまるる説明がありましたけれども、しかし、私が屋外広告物法施行条例違反の事件について弁護人をしておったこともありましたから、裁判官の見解や検察官の見解も知っておりますけれども、検察官も、その二条の三項と三条が明らかに差異を設けたものであり、一方のビラやポスターについては電柱について一律全面的に禁止しておる、しかし他方においては、知事の許可を得た広告物についてはこれは一定の条件のもとに許されておるという差異、これは検察官といえども反対尋問の中で認めざるを得なかったわけです。あなたはそのことを認めますか。いまのお答えでは認めたようでもあり、認めてないようでもありますが、その点に限って簡潔に答えてください。
○吉田(泰)政府委員 これは法律の立て方自体に差別はないのでございますが、おっしゃるとおりに、電柱についてはポスター、はり紙、立看板は一切いけない。ほかのものは一切いけないとはいっておらぬ。したがって、いい場合もあるし、あるいは許可を得ればいい場合もある、そういう条文がもとにありまして、そこから発生した結果ということになります。
○正森委員 そこで伺いますが、電柱というものは普通どこに立てられておりますか。これは土地の上に立てられておるといえば笑い話にもなりませんけれども、関西電力にしろ東京電力にしろあるいは電電公社にしろ、自分の所有する土地に立てておるという場合はきわめて例外であります。多くの場合には国道だとか県道だとか市道だとか、そういうところに立っておるということは御承知のとおりだと思います。だからこそ道路占有使用料というものを取られておる。この事実については局長は御存じですか。
○吉田(泰)政府委員 電柱が主として道路に立っておるということは事実でございます。
○正森委員 そこで、道路というのは公衆がそこを天下の公道として闊歩するためにつくられております。ところがそれを電電公社だとかあるいは電力会社というのは自己の営業の目的のために占有することを認められております。それは明らかに特権であるといわなければなりません。私は何もそれを全部否定しようと思うのではない。電気の供給とかあるいは電話ということもまた一定の公共的な目的を持っておるからであります。しかし、自分の土地の上に立っておるのではなく、一般の公共財産、つまり、考えれば国民のものの上に立っておる場合には、それ相応の受忍義務があるのは当然のことであるといわなければなりません。第一、外国には電柱というようなものはないのです。みなそういうものは地下に埋没されておるということになっており、電柱の存在自体、この道路が非常に狭くなり、運転が不便になっておる状況のもとでは、公衆に対する危害を招くこともあり、その電柱自体が、外国の感覚からすれば美観風致を害しておるということにもなるということは、都市局長御存じですか。
○吉田(泰)政府委員 道路に電柱が立っています場合に、えてして交通上支障があったり、あるいは歩行者のじゃまになったり、また美観に悪影響を及ぼすということは間々あることであります。
○正森委員 外国で電柱がないことを知っておるかどうかについてはお答えがありませんでしたが、私がかわってお答えいたしますと、大阪府屋外広告物法施行条例違反事件について、大阪府の土木部計画課管理係長の三田和弘という人が法廷において証言しております。その証言記録を見ますと、こう書いてあります。「外国ではどうなっていますか。」「外国には電柱はないと聞いております。」ということで、関係者が、外国には電柱がない。原則としてですよ、国によっていろいろあるけれども、そういうことを認めております。米軍の基地へ行ってごらんなさい。米軍の基地には電柱などはありません。それから見ても、電柱の存在自体が、わが国のある点での特殊事情に基づいて、公共の財産、道路の上に認められておる特権であるというようにいえることは間違いないことだと思いますが、それについてどう思いますか。
○吉田(泰)政府委員 外国に電柱がない、あるいは非常に少ないという話はよく聞きますが、ちょっと私、はっきりはよくわかりませんのでお答えいたしかねますが、いずれにしても道路という本来の目的に沿う利用のしかたではなくて、市街地等でやむを得ずそういう場所に設置を認めなければならないというところから占用が特に認められている、こういう考え方だと思います。
○正森委員 そこで私は伺いたいのですが、そういうように電力会社あるいは電電公社は道路の占有を認められている、道路占有の使用料も払っているということは明らかなことであります。 そこで私は、本件の審理に関係するものとして、本年の六月十四日付で当建設委員会の委員部を通じて幾つかの質問と、資料取り寄せ要求をいたしました。それは電柱の数とか、あるいは広告物とか、管理を委託している場合にはその代表者の氏名、あるいは電力会社等と管理者との基本契約の写し、電柱使用料、広告物主が管理者に支払う金額、道路占有使用料等々の事実でございます。それについて回答を得たものもございます。しかし残念ながらそれについては回答を得られなかったものもございました。それについて私のほうが、回答がございませんので、東京電力会社に直接電話をし、あるいは私の秘書が出かけてその事実について問い合わせたことがございます。そうしますと当該の東京電力の方は、お見せしてもよろしいけれども、ルートを通していただきたいということでありましたので、電話をいたしましたところ、通産省の施設課、その責任者は大森課長だそうでございますが、一定のものについて出してはならないということを電話で指示し、そのために私がその資料を入手することができなかったという事実がございます。その事実をあなたは御存じですか。それについてどう思われますか。
○岸田政府委員 ただいまのお尋ねは、先生から私どもの公益事業部の施設課のほうへお尋ねがございました。施設課は、所管事務が公益事業の施設の安全問題を担当しておりますが、お答えが不十分であったかと思っております。その後、私どももお尋ねの点について電力会社等に照会をいたしまして、若干事実の調査につとめております。もし必要がございますれば報告さしていただきます。
○正森委員 それではあなたがお調べになったものを出していただいてもよろしいが、その前に私が言うておくことがあります。それは東京電力会社でさえ——さえなんと言うといけませんが、国会議員の国政調査権に基づいて、もちろん理事会の決定により議院としての調査ではございませんけれども、正式に委員部にも申して、国会議員が審査のために必要だといっていたことについて、東京電力でさえ出してもいいというものを、七月十九日の時点で通産省の役人がそれを出すなと言ったのは何ゆえか。それについてあなた方の釈明を伺いたい。事は、国権の最高機関としての国会を何と考えておるか、その審議を何と考えておるかという重大な問題だ。一広告物法の審議の問題ではない。私の秘書をそこの傍聴席に来さしておるけれども、それに対して電話で、そういうものを答える必要はないと——秘書に直接言ったのじゃありません、そのときに東京電力会社の営業部営業管理課副長小木曽という人、もしくはその直属部下に答えたようでありますが、現場に私の秘書もおりました。なぜそういうことをやったのか、それについてここで釈明しなさい。
○岸田政府委員 お尋ねの件を私耳にいたしまして、さっそく担当の者に照会をいたしましたが、そのようなお答えのしかたをした覚えはないというふうに申しておりました。おそらくはことばの行き違い等で誤解を生じたのではないかと思っておりますが、私どもも今後十分戒心をし、このようなことのないように指導いたしたいと思っております。
○正森委員 そんな答弁があるか。そんな答弁がありますか、あなた。現に私の秘書が七月十九日その現場へ行って聞いておる。そうすると、東京電力のほうでは、お答えしてもけっこうですけれども、ルートを通ずるために一応通産省に電話する、こう言って電話したところ、出すなという指示でございましたからお出しすることはできません、そう答えておる。その現場にあの秘書が行っておるのだ。それをごまかして、事実があるかどうか、そういうことは言い方が悪かったからどうやこうやと言ってごまかす。まず第一に、そういう事実を下僚がやったことがあるかどうか、それを明らかにすることが先じゃないか。はっきり答えなさい。国権の最高機関としての国会の権威に関することだ。行政官庁が何だ。一民間会社が、やってもいいということを、最も国会の審議に協力しなければならない官庁がとめるとは何事だ。それについて事実をはっきりしろ。大資本べったりというけれども、大資本よりももっと悪いじゃないか。
○岸田政府委員 事実はさらに調査をいたします。事実を調査した上で、もし仰せのとおりでございますれば、十分私どもも善処いたしたいと思います。
○正森委員 私は七月十九日に調査した。二十日に質問をしますから、待ち切れなくなって秘書に行ってもらって。質問をやろうと思いましたが、十分間だけでそれ以上続行することができませんでした。私は電話がありましたときに、東京電力に関することについて通産省の扱いについて問題があるから、公益事業関係の人に来てもらうということを通知してあります。それから一カ月たって、しかもなお調査するとかなんとか言っておるのは一体何事か。七月十九日に起こったことを二十日に聞いておるのではない。二十日にすでにそういうことがあったということをにおわして、善処を期待して一カ月間待っておった。しかし、それ以後何らの回答もなく、現在のその答弁は何ですか。これから下僚を調べるとは何ですか。 委員長、私はこの問題は一事業部長の答弁で済まされるものではないと思います。東京電力が出してもよろしいというものを、国会に対して行政官庁がわざわざとめた、こういう重大な事実であります。それは憲法にいう唯一の立法府である、国権の最高機関である国会の権威にかかわることであります。したがって、すみやかに調査をし、その事実に基づいて、通産省の最高責任者である中曽根通産大臣から釈明を受けることを要求いたします。当然のことだ。
○天野(光)委員長代理 それは理事会にはかって後刻相談いたします。
○正森委員 理事会にはかっていただくということですが、しかしその問題を明らかにしなければここでの質問は明らかになりません。そうではないですか。私は何も審議拒否をしようと思っておるのではない。審議を尽くすためにわざわざそういうことを調べようとした。しかもその理由は……。
○天野(光)委員長代理 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○天野(光)委員長代理 速記を始めて。 正森君。
○正森委員 いま質問とは直接関係がないということでございますし、また委員長から発言の指名がありましたから、当委員会の委員長の権威を尊重して話を進めますけれども、しかし、私はただいまの御裁定については一定の意見を持っております。それはなぜかといえば、私がなぜそういう資料を求めたかということは、この前段で、私が言いましたように、モデル条例に基づいて制定されておると思われる、本法の母法である広告物法に密接な関係のある、しかも大都会である大阪府の広告物法施行条例二条、三条及び十四条、十七条で明確な差別を設けておる、しかも優遇されておると思われるのは営業に関することである。したがって、その営業に関することがどういうようなことで電力会社や電電公社と取引をされておるのか。その契約あるいは広告料というようなものを明らかにしなければ、国民の基本的人権にかかわることについて何ゆえ営利会社がそれだけ優遇されておるのか。営利会社が優遇されるなら、金も何もない国民も同様であってよいではないかということを一億の国民にかわって聞いておるのです。したがって、それが審議に関係あることはきわめて明らかであります。だから直ちに理事会を開くことを要求します。
○天野(光)委員長代理 正森君、質問を続行してください。委員長が参りますから、委員長が参りましたら並行して理事会を開きますから……。
○正森委員 それでは委員長が来られてから御相談なさるそうですから、委員長の御指示に基づいて私は質問を続行します。 〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 それでは、あなた方のけしからぬ態度についてはいま理事が相談していただいておるようです。国権の最高機関である国会の権威を守るしかるべき結論が出されることを期待しますが、あなたはその後態度を改めて、調査をしたというようにおっしゃいました。それでは私の質問項目についてどういう調査をしたか、調査結果について答弁してください。しかもそれは、事は数字に関することですから、耳で聞いただけではわかりません。もちろん紙に書いた資料をお持ちでしょうね。それを私に提出し、かつことばで答えなさい。
○岸田政府委員 お尋ねは、まず電柱本数についてでございました。昭和四十七年度末で電力会社の持っております電柱本数は全国で千二百七十一万本でございます。それから広告の数でございますが、私ども、東京電力管下、関西電力管下で調べましたところ、東京電力管下では約五十万個、関西電力管下で約八万個と報告されております。それから管理委託先につきましては、東京電力関係では東電広告株式会社、関西電力関係では関電産業株式会社がこれに当たっております。それから電柱使用料につきましては、電力会社収益分としまして、東電関係では三億七千三百万円余、関電関係では二千七百万円余というものが計上されております。それから電柱一本当たりの一カ月の使用料につきましては、電柱一本に広告一個という前提で推算をいたしますと、東電関係で六十三円、関電関係で二十八円というふうに推定をされております。さらに広告代金についてのお尋ねがございました。総収入といたしましては、東電関係で二十六億円余、関電関係で約三億円というふうに報告されております。それから広告料金でございますが、これはケース・バイ・ケースでございまして非常に幅がございますが、平均いたしますと、一カ月大体四百七十円程度ではないかというふうに思っております。それから道路占用料につきましては、東電関係で約五億円の支払い、それから関電関係で約二億五千万円の支払い、これは一カ年間でございます。電柱一本当たりにつきましては、道路の区分によってかなり幅がございます。 以上でございます。
○正森委員 私は文書で出すことを希望しましたけれども、いま口頭だけでしたので、私はメモしましたけれども、これからの質問の中でこまかい数字、あるいは東電と関電と二つ要求して続けておっしゃいましたので、取り違える可能性があるかもしれません。それは私はそれほど頭がよくありませんから当然のことですから、そのつど訂正していただきたいというように思います。 そこで、私は二つの点を指摘したい。一つは、いまいろいろおっしゃいましたけれども、もう一度念のために確かめますが、東京電力なら東京電力に例をとりますと、東京電力は道路の所有者に対して道路占有の使用料、占用料を払っていますね。それからたとえば委託会社である東電広告、これは東電広告から……。 何ならちょっとやめましょうか。——服部委員長、よろしゅうございますか。いまちょうどそのことを、資料がないけれども私が調べた資料に基づいて簡単に質問しようと思いましたけれども、肝心の人が相談だといって奥に行かれましたので、質問を続行しようにも当該の答弁者がいないわけです。だからやはりここで一応休憩していただくのが当然じゃないでしょうか。そうでなければ、この問題はあとでそれに続いてずっと議論が発展するのですから……。
○服部委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○服部委員長 速記を始めて。 それではこの際、資源エネルギー庁岸田公益事業部長から発言を求められておりますので、これを許します。岸田公益事業部長。
○岸田政府委員 お尋ねの御調査がたまたま技術担当の課へ参りましたために、お答えについて不行き届きがあったことをまことに遺憾なことに存じます。今後、国政の調査に関しましては極力お手助けするように厳重に部下に申しつける所存でございます。
○正森委員 いま岸田公益事業部長からお話があったわけで、それはそれとしてけっこうですが、私は念のために二点申し上げておきたいと思います。 いまの岸田公益事業部長の答弁というのは、これは岸田さんはどんな偉い人か知りませんが、公益事業部の長でございます。私は必ずしも公益事業部だけに質問するとは限っておりません。したがって、それは通産省全体を代表して言うことの権限を受けておるのかどうか、それを明確に答弁していただきたい。それが第一点。 それから第二点に、いまの答弁では、いろいろ不行き届きがあったと思いますが、これからは協力したいということですが、結果において私のところに七月十九日ないし二十日の時点で資料が来なかった。きょうも十分な資料は手元に届かないで、その一部を口頭で受けたということは事実であります。その原因は、たまたま施設課というようなところへかかったので、その担当官が出さなくてよろしいということになったのか、それとも、それは自分の権限ではないから、東京電力の自由にということを言って、そこで東京電力の責任において資料を出さないことになったのか。それをあなたの責任においてわかっていることを答えてください。
○服部委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○服部委員長 速記を始めて。 岸田公益事業部長。
○岸田政府委員 ただいまの私の発言は政府委員としての発言であるというふうに御理解をいただきたいと思います。 お尋ねの内容につきましてなお補足させていただきますと、御質問が技術担当課へ参りまして、技術担当課でわかる範囲内につきましてはその席でお答えをいたしましたが、まだ不十分でございました。それらの点につきましては、その後調査して補足しました結果を先ほど御報告いたしましたが、お尋ねの中で、通産省の責任で云々と、通産省が出すことを取りやめるように言われたという点につきましては、私どもの調べた範囲内では、私どもの所管ではないというふうにお答えをしました。その辺の行き違いが原因ではなかったかと思っております。
○正森委員 私が先ほど申しましたのは、重大な問題について公式の記録に残したいと思ったから発言したことでございます。先ほどの、岸田公益事業部長が政府委員としての発言でございますというのは、資料提供については通産省全体を代表して申しておりますという趣旨に承りますが、それでよろしゅうございますね。もしそれでいけないというのなら、あらためて一言、言ってください。——よろしいか。
○服部委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○服部委員長 速記を始めて。 正森君。
○正森委員 私は、そういうような御理解なら全く私の理解に反します。もちろんあなたが通産省を全体として代表できる立場にないことは明らかです。全般についてできるならあなたはとっくに通産大臣になっているわけだから。それがそうでなくて、残念ながらまだ、努力はしたけれども部長にまでしかなっておらないということだから、それは私もよく知っております。しかし、いま理事会でもお話がありましたとおり、資料提供について委員部にまでいった国会議員の要求を断わったか、あるいは出せなくなったということについては、立法府に対する行政府の非常な怠慢であるということで、今後そういうことのないようにするというのだけれども、少なくとも資料提出についてそういうことはしないということは通産省全体の意向であるということでなければ、ある場合には公益事業部へ行って断わられ、今後気をつけますといったけれども、今度は別の何やら課へ行ったならば、そんな約束はしていないからと断わられるということならば、これはあなた方の部のある数全部断わられて回らなければ通産省全体が協力するということにならないということになる。そんなふざけたことで質問が続行できますか。あたりまえでしょう、建設大臣。
○岸田政府委員 いろいろ御心配をかけましたが、本日の経過につきましては通産大臣にもよく報告させていただきます。
○正森委員 私はその答弁ではだめだと思います。よく報告をさせていただきますということは、報告した結果、中曽根通産大臣が何と言うかわからぬことになる。そんなふざけたことを言われてそのまま質問が続行できますか。味もそっけもない返事じゃないか。悪かったなんて全然思っていないじゃないか、そんな答弁では。少なくとも通産大臣に電話をして、それはもっともだとでも言うのならともかく。本来通産大臣が来なければならないのを、理事会のあれで一応了承しているのだから……。
○服部委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○服部委員長 速記を始めて。 正森君。
○正森委員 ただいま服部委員長から、委員長権限で資料提供について協力する、今後正森委員に関して起こったようなことのないようにということを通産大臣に申し入れるというおことばがございました。私はそのおことばは非常にありがたいことだ、こう思っております。そこで私はお願いしたいのですが、そういう要望をされると同時に、それについての通産大臣の答弁をいただいて、本委員にまで御通知くださることをあわせて要求します。そうでないならば実効のないことになります。それが了承されるならば、通産大臣がお見えにならなくても私は了承してもよろしい。
○服部委員長 確かに了承いたしました。
○正森委員 それでは私、質問を続行いたします。 岸田公益事業部長、私が資料要求をしたうち、広告料についてはあなたがお答えになりました。それについて口頭でおっしゃいましたので、私が数字を覚えていない点があるかもしれませんが、メモしましたので申し上げますので、間違っていたら言ってください。こまかい数字はけっこうです。 関西電力については、道路の占有料といいますか、それは二億円ですか、関電に対して払わしておるのは二千七百万円、そして関電産業といいますか、それが受けておる利益というのは三億余り、四億円足らずというように理解してよろしいか。東電の点はまたあとで聞きます。
○岸田政府委員 関電の関係にしぼりますと、道路占有料の支払いは約二億五千万円、それから広告代金収入が二億八千五百万円と報告されております。
○正森委員 それで文書で出してくれと言ったのですけれども、三つあるのですよ。つまり、関西電力なり東京電力が道路の所有者に対して払うお金と、それから東電広告なり関電産業が東京電力や関西電力に払うお金と、それから東電広告や関電産業が自分のところに広告を頼んできた人から受け取る金と、この三つあるのですね。それによって各社の利益あるいは損失というのが出てくるわけなんです。したがってそれがごっちゃになりますので、最後の部分は広告料、それから関電産業が関西電力に払うのは使用料、それから道路の所有者である地方自治体や国に払うものは占有料というように、占有料、使用料、広告料、こういうぐあいに分けて答えてみてください。
○岸田政府委員 いま、占有料二億五千万円、それから電柱使用料二千七百二十万円、広告代金二億八千五百万円でございます。
○正森委員 それは関西電力ですか。
○岸田政府委員 さようでございます。
○正森委員 では同じ要領で東京電力関係を答えてください。
○岸田政府委員 東電関係では占有料約五億円、それから電柱使用料が三億七千三百万円、それから代金収入が二十六億二千五百万円、以上でございます。
○正森委員 それである程度わかりましたが、そうしますと、東京電力に例をとりますと、結局東京電力は占有料として約五億払っておる。それを、ある意味では自分の子会社である東電広告にはそれより下回る三億七千万円くらいで使用さしておる。そしてその東電広告というのはそれによって二十六億円、約七倍の利益を得ておる、こういうことになりますね。そう理解してよろしいか。
○岸田政府委員 広告料収入の中には制作費、それから電柱使用料、撤去費、各種の経費が含まれておりまして、先ほど申し上げました数字は売り上げの数字でございますから、利益の数字ではございません。
○正森委員 私の質問のしかたが簡単過ぎましたが、もちろんそれが粗収入であり、経常費を引かなければならないということは承知しております。しかしそれにしても、東京電力の場合に使用料に比べて広告代が約七倍であり、どれだけ経常費、人件費が要るかもしれないけれども、相当な利益を受けているということは明らかだと思うのですね。そうすると、結局屋外広告物法ないしはこれに基づく広告物条例で、わざわざポスターやらあるいはビラというようなものと区別して、広告物というものは知事の許可があればできるということで、それは事実上所有者である関西電力なり電電公社というものが、これを自分の契約なりあるいは子会社との関係によって自由にすることができるということになっていることは否定できないと思うのです。そこで私はその関係をさらに明らかにするために、資料要求の中に、東京電力なら東京電力、関西電力なら関西電力と、それぞれの専属の広告会社との間の基本契約について提出してほしいという要求もあわせて出しておりました。ところがそれについては提出されておりません。その理由はいかなるものでございますか。
○岸田政府委員 お尋ねの件につきましては調査をいたしましたが、契約書の内容についてはまだ入手することができませんでした。
○正森委員 入手していないから聞いているのです。それはなぜかという質問に対して、入手しておりませんでは答えになっていない。なぜ入手できないのか。それは企業の秘密だからと言う。東京電力が拒否しておるのか、あるいはその他の事情があるのか、そこが聞きたいことであるというぐらいはあなたは御存じでしょう。その点を答えなさい。
○岸田政府委員 お尋ねの件は、電力会社と広告会社との間のいわば私契約にわたるものでございまして、私契約の内容を明らかにするということができないわけでございます。(正森委員「ちょっと答えが小さくて聞こえなかったのです」と呼ぶ)お尋ねの件は、電力会社と広告会社との間のいわば私契約でございまして、企業秘密にわたることと存じまして、入手することができませんでした。
○正森委員 そうすると企業秘密ということで、通産省が出すなといったのでなく、出すことができなかったということになれば、これは国会も国家機関、裁判所も国家機関、行政府も国家機関ということになりますが、三権のいずれに対しても、これは私契約であるから、関電なり東電は出さない、これは当然のことになると思いますが、そう承ってよろしいか。
○岸田政府委員 企業秘密にわたる事項につきましては、私どもの調査はおのずから限界がございます。
○正森委員 サザエがからの中に閉じこもっておるように、えらいちょっとしか答えないけれども、私が聞いておるのは、理事会の中のことを持ち出したらいかぬけれども、企業秘密で答えられないなら答えられないと、はっきり答えるということだから聞いておるのだ。私どもの調査の限界がございますとかなんとかというような、隔靴掻痒の答弁じゃなしに、ずばりと答えれば、それからあとは、ここで質問を打ち切るなり、さらに発展させるなり、質問ができるけれども、そういうような態度では国会で質問が続行できないですよ。あなたもう少しはっきり答えなさい。当然でしょう、委員長。
○岸田政府委員 お尋ねの件は企業秘密でございますので、お答えはすることはできません。
○正森委員 あなたは急に焦点の人になったから、この建設委員会ではおろおろしているかもしれないけれども、あなたは通産省の役人であって、東京電力や関西電力でないのだから……。東京電力や関西電力のような答えをいましたけれども、そうじゃなしに、企業の秘密でございますから、東京電力やあるいは関西電力は提出することができないというように監督官庁としては承知しておりますという意味ですか。
○岸田政府委員 お尋ねのとおりでございます。
○正森委員 電信電話公社遠藤総務理事来ておられますか。——あなたのほうについても基本契約があることと思いますが、それについても同じような答えですか。一応答えてください。それとも出してもいいのですか。
○遠藤説明員 お答えいたします。私どものほうは直ちに提出をいたします。
○正森委員 そういうように、同じことについても差がある。しかも私はここに資料を持っております。昭和四十五年に吹田簡易裁判所で広告物条例違反事件について裁判がありました。そのときに弁護人が同じものの資料の提出要求をいたしました。それについて関西電力では関営発第百十号、こういうことで、昭和四十五年八月三十一日、基本契約も含めて全部正確に裁判所に提出し、報告しております。同じように電電公社ではそのことの基本契約をちゃんと提出しております。だから電電公社は首尾一貫しておる。しかし東京電力は一体何事だ。だから私が、国会だけでなしに国家機関である裁判所に対しても同じか、こう言うて聞いているのに対して、それは企業秘密だから出せないと言っているじゃないか。ところがどうです、私はここにちゃんと持っている。持っているからこそ資料要求をし、聞いたのです。これは昭和四十五年までのものだから、四十七年までの新しいものがほしいと思って、詳細に聞きたいと思って、万が一この基本契約が変わっておったらいかぬと思って要求したんだ。何ですか、あなたはもっともらしいことを言って、裁判所の要求、弁護人がしたのに対してちゃんと出しておるじゃないか。電電公社はだからいつでも出すと言っているじゃないか。二重に国会を侮辱するのか。そんなことで質問が続行できるか。早く出しなさい。これは写しを持っておるから、委員長やあなたに上げるから見てごらんなさい。 〔発言する者あり〕
○服部委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○服部委員長 速記を始めて。
○正森委員 私は審議を尽くすために聞いておりますけれども、不規則発言で先ほどしつこいというようにおっしゃったが、実はそのことを聞きたかったからわざわざ公益事業部長に発言の正確を期したのです。そうして国会だけでなしに裁判所に対しても、やはり企業秘密ということで出せないのですねというように聞いているのです。私がそういうことをるる聞いたのに対して、明白に、企業秘密だからだめなんだというような意味のことを言ったじゃないですか。それは監督官庁としてそういうように承知しており、東京電力なりそういうものがそういうようにやっておるという認識のもとに答えておるのにきまっておるじゃないですか。だから私は聞いたのです。そうして念のために電電公社はどうですかと言ったら、電電公社は出すと言っている。私はだから、昭和四十五年の裁判所に出されておるこの事実に基づいて、電電公社は首尾一貫しておるけれども、電力会社と通産省は首尾一貫しておらないということを言っているのです。当然じゃないですか。それを何か私が筋の通らないことを言っているかのように言われるというのは断じて納得できません。二回重なっているのですよ。最初に私が要求したことに対して施設管理関係の知らない者だったから申しわけなかったといってあやまり、他方のことについては企業秘密だからといってごまかした。ところがそれは企業秘密じゃなしに裁判所にちゃんと提出されておるということになれば、二重に国会が侮辱されているということになるじゃありませんか。それを問いただすのは国会議員として、代議士として当然じゃありませんか。しかも電電公社は同じようなものについて出すと言っているじゃありませんか。しかもそれは、私はこの資料を出す出さぬだけを一つの論争の具にしようとしているのじゃないのです。この中にこれから問いたださなければならない重大なことが書いてあるから、それを許しておるようなものが広告物法の中にあるから、だからそれを聞いておるのです。それについて十分によく相談してください。
○服部委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○服部委員長 速記を始めて。 では質疑を続行いたします。 その前に、ただいまの正森君の資料提出要求について、先ほど委員長職権で通産大臣に国会審議に必要な資料の提出には全面的に協力するべきであるという要望をすることを発言いたしましたが、加えて、東電並びにその子会社の広告会社、ちょっと私は名はつまびらかでありませんが、この契約書ですかの内容の資料要求もあわせて提出するように強力に要請いたします。 正森君。
○正森委員 ただいま委員長からそういう御配慮のあるおことばをいただきましたので、委員長の御指示どおり質問を続行いたしたいと思います。 そこで、電電公社は、これは資料を出してもよろしいということでございましたが、いま手元にお持ちでございますか。それともお持ちでございませんでしたら、私のところに、昭和四十年の八月二十五日に電営第四十九号というものでできておりますところの基本契約が日本電信電話公社営業局長の千代健、財団法人電気通信共済会会長山本英也という二人の間で結ばれておりますが、これは現在も変更されておりませんか。もし変更されていないということであれば、電電公社についてはこれはお出しいただかなくとも、私の手元にあるものと合致するということになるわけでございます。
○遠藤説明員 お答えいたします。 いま先生お尋ねの資料につきましては、一昨年だったかと思いますが、改正になっておりますので、その点で新しいものを直ちにお届けいたします。
○正森委員 いま遠藤総務理事からそういうようなお答えがありましたので、私も手元に一応は持っておりますけれども、最新のもので質問しなければ質問自体が正確でない、こう思って聞いているわけでございます。しかし遠藤さん、いまお出しになるといっても、いま持っておられないわけでしょう。持っておられれば見せてください。もしとりに行かなければならないようでしたら時間があれですから、私のこの手元ので質問して、違う点だけ違うとおっしゃっていただけば時間の節約になりますから。 それからなお関西電力については、私、弁護人の手元へ届いたものを持っております。これは昭和四十四年四月一日に作成のものでございますけれども、きょうの間に合いませんので、一応これに基づいて質問したいと思います。 そこで通産省に申し上げたいわけですが、私は委員長の御指示に基づいて、不十分ながらもこの資料に基づいて質問を続行いたしますので、もし実際に現在あるものがこれと違えば質問自体が若干食い違って多少スカタンのことになるかもしれませんけれども、それはあとで私のところに新しいものが届けられれば届けてもらって、なお審議を正確にするように協力してほしいというように思います。 なお、いままでやりとりがございましたが、委員長、私は建設大臣に、この審議についてこういうことを必要だということで質問しているわけですけれども、建設大臣から、国会の審議とそれから行政官庁との協力の問題について簡単に御所見を承りたいと思います。
○金丸国務大臣 国会は最高の権威であります。国民の代表でもあります。そういう意味で、いろいろいままでのやりとりを聞いておりまして、先生のおっしゃられることは私はもっともだ、こう思っております。
○遠藤説明員 先ほどの資料、いま手元にございますので——。
○正森委員 これは私が手元に持っております昭和四十年のものに比べて新しく変わっており、若干条文がずれたりしておりますね。そこで、いまお出しいただきました最新のものの条文に基づいて申し上げます。 これを見ていただきますと、第六条に「広告物の内容」ということが書いてございます。第六条の「広告物の内容」を見ますと、第二号に「公の秩序または善良の風俗に反するもの。」と、こう書いてあり、六号に「政党その他の政治団体の宣伝または選挙運動と認められるもの。」と、こういうぐあいに書かれております。もしこれが事実だとすれば——お出しになったのだから事実だと思いますが、私が質問の冒頭で伺った屋外広告物法の第一条では、その取り締まりの目的というのは、明治四十四年の法律とは変わって、内容には触れないのであって、美観と公衆の危害という二点だけであるという問題が大きくくずれて、ここでは明治四十四年のときと同じように政党活動を一定の限度で取り締まる、あるいは公の秩序または善良の風俗ということで取り締まる。それについて電電公社がまたその内容で、人殺しをけしかける政党の宣伝物であるとか、たとえば刑法関係のいろいろな法律がございますね、そんなのでなしに、一律にどんな内容のものであれ「政党その他の政治団体の宣伝または選挙運動と認められるもの」こういうものを出してはならないということにしているのは、屋外広告物法、つまり条例の母法から考えて非常に行き過ぎたことではないか。しかもそれを許すような法体系に現在の法体系がなっておるということはきわめて重大な問題であると思います。それについて電電公社はどのように考えておるか。また、この契約書については、私契約ではございますけれども、私契約自身も憲法体系あるいは一定の法秩序に従わなければならないと思いますが、それについていかがお考えですか、承りたいと思います。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。 私どもの電柱というのは、電柱広告につきましては相当長い歴史がございますが、いまおっしゃいましたように、前からそういうぐあいになっております。私はちょっと違うのではないかと思いますのは、公社の建物でございますので、たとえば電話局にいたしましても政治的な中立性ということをやかましく言っております。そういう意味で、電柱広告につきましてもいまのような条文を入れておる、こういうぐあいに理解しております。
○正森委員 政治的中立ということをおっしゃいましたけれども、また、これはなるほど広義の意味では建造物でございますけれども、電電公社の庁舎、そういうものではございません。国民の目から見れば電柱というのはみな同じものであって、われわれに電気を供給したり、いろいろなことをやっておるものだ、こう考えておるわけです。その中にはいろいろ、いま写真も示しましたけれども、アルバイトサロンがどうだこうだというようなことも広告されておる。というようなことになれば、ある政党だけは掲げていいけれどもある政党はいけないということになれば、なるほど政治的中立性を害するかもしれませんけれども、すべて憲法のもとに許された公党について、あるいは一定の政治団体について平等に機会を与えるというのであれば、一向に政治的中立性についての侵害も起こらない。少なくとも電柱についてはそうだというように思いますけれども、そういう点についていかがお考えでしょうか。
○遠藤説明員 確かに、一般の方からごらんになりますと電柱として形は同じでございますが、公社の持っております電柱につきましては、御存じのように補償料も払っておりません。つまり公的な建造物といたしまして、大きく申しますと、国有財産になっておるわけでございます。そういうわけでございますので、私どものほうとしては、先ほど申し上げたような意味で、確かに全部に認めるかあるいは全部に認めないかという問題はあるかと思いますが、政治的中立性という意味から従来そういう方針をとっている、こうお答えせざるを得ないと思うのです。
○正森委員 いま電電公社からそういう答弁がございましたけれども、しかし私は、公の道路等を占有している電柱について、非常に風紀上もいかがわしいものについては広告を許しながら、一方ではこういう規定を置いておるというようなことは、これは許されないのじゃないかというように思います。しかし、それは具体的な事実をいろいろ調べてみなければ断言はできませんけれども……。 そこで私はやむを得ず、昭和四十四年に提出されておる関西電力や電電公社等の契約について質問をしたいと思います。これを見ますとやはりこういうことが書いてある。第九条に、「公益又は風俗を害するおそれがあるもの。」というように書いてありまして、やはり美観風致だけでなしに、内容にわたるものを私企業が契約して、そしてそういうものを広告させないようになっておる。ところが実際上は、この規定はアルサロその他については許しておるのに、事実上、政党については許さない、あるいは労働組合については許さないということのために使われております。こういう点について、今度は、あまり公益事業部長ばかりに質問しても気の毒ですから、建設省は、こういうように事実上なっておる、広告物法施行条例の除外規定に基づいて電電公社なり電力会社が私企業と契約しておる、その契約書の内容の中に、広告物法第一条の取り締まりの目的よりもはるかに広い範囲のことをきめて事実上取り締まっておる、その規制のもとに一般国民はある、こういうようなことで法体系としていいかどうか、その点について、できれば建設大臣、あるいは建設大臣がお答えになれなければ局長がお答えください。
○吉田(泰)政府委員 いろいろ伺っておりますと、個々の電電公社なり電力会社なりの基本契約と称するものの中で、内容にわたるような制約があるように承りました。屋外広告物法とそれに基づく条例は、先ほど申し上げましたとおり戦前の広告物取締法のあり方を根本的に是正しまして、主として外形、設置場所等についてのみ関心を持ち、それを通じて美観風致の維持等をはかろうという仕組みでございますから、この広告物法の趣旨から見れば、個々の基本契約でそれ以上の、この内容にわたるようなことを書いてあることは、広告物法の意図するところとは合わないということは申せると思います。ただし、広告物法は別に自己の管理する財産をどうするという、そういうところから発した規定ではなくて、広く一般にわたりまして広告物のあり方というものを規制しているわけですから、その限りにおいては内容にわたるべきではないという反省のもとに現行法になった、こういうことでありまして、電柱というものの管理者あるいは所有者としての立場からいわれることにつきましては、必ずしも広告物法のあり方ずばりというわけにはいかないのではないか、こういう気もいたします。
○正森委員 いま局長のほうからそういう答弁がございましたけれども、私はこの広告物法あるいはそれに基づく条例というのは、繰り返しますが、表現の自由にかかわる問題であるというように考えております。そうして表現の自由というのは思想の自由に密接に関係のあるものであることは御存じのとおりです。幾ら思想の自由があるということをいいましても、心の中で思っているだけで、それを外部に表現することができなければ、それは思想の自由があるということにはならないであろうと思います。それは何人といえども否定することのできないことです。 私は当委員会にアメリカの判例について申し上げて御注意を喚起したいと思います。私どもはアメリカの裁判あるいは判例というものをすべて悪いとは思っておりません。その中にはきわめて敬服すべき内容のものもございます。たとえば、一九二九年に有名な裁判官であるホームス判事が判決をされております。それは有名なシュヴィンマー事件という事件でございます。これは一外国婦人の帰化に関する事件でございます。シュヴィンマーというハンガリー生まれの五十歳の婦人がアメリカに帰化することを希望したけれども、思想的には断固たる平和主義者、クエーカー教徒だったと聞いておりますが、そのために、一九〇六年の帰化法に基づく宣誓のうち、戦時には武器をとって戦うという条項にだけは同意できない、ほかは全部守るということを言ったわけでございます。ところがアメリカの行政官庁はこれを拒みましたために、裁判になり、そして連邦巡回控訴裁判所はこれを認めたわけでございますが、最高裁判所がこれを拒否した。そのときにホームス判事が少数意見を述べております。そのとき言われた有名なことばであります。どう言っているか。「憲法のなかに於て、いかなる他の条項より重しとすべき原則があるとするならば、それは思想自由の原則である。思想の自由とは、われわれの同意する思想の自由ではなくて、われわれの憎悪する思想の自由である。余はこの原則を確守しようとする限り、彼女を国内に入れ、生活を共にすることは許容さるべきであると考える。」これは学問的にきわめてかおりの高い判決でございます。つまり思想の自由というのは時の権力者が許容する思想の自由ではない。そんなものは奴隷制の時代にもあったのだ。現代の社会においては権力者が憎悪する思想、それを認めてこそ思想の自由といえるのだということをこの裁判はいみじくも喝破しておるというように私は思うのです。 そうして、同じようにホームス判事は別の事件でこう言っております。これはそれよりさらに前の一九一九年の事件でございますが、ギトロー事件と申します。このギトロー事件というのは、「左翼宣言」と呼ぶ文書を起草して、その末尾に「コンミュニスト・インターナショナルは、全世界のプロレタリアートに対し、最後の闘争を呼びかける」と書いたことが犯罪行為になるかどうかということが争われた事件でございます。これについてホームス判事はこう言っております。「ブランダイス判事と私とは、この判決がくつがえさるべきものだという意見である。……このいわゆる宣言は、単なる理論でなく、扇動であると称された。しかしすべての思想は扇動である。思想は必ず扇動を伴う。ある思想の正しさを信ずる者は、他の思想によって考え直させられるか、気力が十分でないために行動をその誕生前に押し殺すかしない限り、必ず扇動に移るものである。意見の表現と狭義の扇動との差異は、発言者が結果に対して持っている熱意の差異だけである。雄弁は理性に火をつけるかもしれない。しかし法廷に提出されたおびただしい文書をどう見ても、それは現在大火事を起こす機会を持つものではない。長い目で見た場合、プロレタリア独裁という観念の中で示された信仰が、社会の有力な部分に受け入れられる運命を持っているにせよ、言論の自由を信ずる者は、それにその機会を与え、その道の開かれることを認めねばならない。」こう言っております。これはつまり、思想の自由というのは心の中で思っているだけではだめなんだ、思想の自由というのは、勇気があり、そして気力を失わない限りはそれを外部に表現することにならざるを得ないのだ、それを保障するものこそ民主主義であるということを言っていることばだと思います。 私は、あとでこまかい点は聞きたいと思いますが、まずこの原則について金丸建設大臣、いまから五十年以上も前のアメリカのすぐれた裁判官の見解に対して、あなたはどう思われるか、伺いたいと思います。
○金丸国務大臣 表現の自由、またそれは思想にもつながる。そうして心の中で思っているということでなくて、それを思っていることを自由に表現するという、これが広告物にも当たると思うわけでございますが、私はただいまのお話を承りまして、それは民主主義の基本であろうと考えております。
○正森委員 私は、一般論としては、金丸建設大臣がお認めいただいたことを、ともに議会制民主主義を擁護して国民の福祉のために尽くしたいと思っている者にとっては非常にうれしいことだと思います。しかしながら、遺憾ながら大臣が御提出になっております本広告物法の一部改正案というのは、そのように大切な思想の自由、それを表現する自由について、一般的に国民からその権利を奪うことに事実上なっております。私はこの前の七月二十日の質問でも申しましたけれども、金を持っておる者は九万枚もはがきをまくということもできます。あるいは関電産業や東電広告の件について、私が資料がないために不十分にしか申し上げることができませんでしたけれども、広告料を払って、広告物条例の例外規定に基づいて自分の意向あるいは自分の集会等についてこれを宣伝することができます。しかし大多数の国民にとっては、数十万円、数百万円かけてそういうことはできません。そういう国民にとって、どうすれば自分の意向を人々に訴えることができるか。その著作をあらわすという方法もあるでしょう、あるいは街頭で演説するという方法もあるでしょうが、国民にとって長い間一番親しまれてきましたのは、はり札ということばもございますように、ポスターとかあるいはビラとか、このごろではさらに美観の点を考慮いたしまして、そういう人たちも巻き看板にするとかあるいはベニヤ板に書くとかいうことで美観について注意しております。そういう点を配慮しなければ民主主義国家として十分に国民に対する権利を擁護したことにならないと思います。 しかるに本法の改正の部分を見ますと、ただにビラやポスターだけでなしに、それ以上に広範囲の広告物について、いままではそういうことではなかったのに、本人の同意がなくても知事が自分の独断で除却することができるようになっております。これは表現の自由が、いまの広告物法、広告物条例でさえ憲法の基本的原則から見て著しく不十分である、あるいは行き過ぎであると思われるのに、それをさらに拡大することにならざるを得ないというように私は思いますが、それについて大臣はどう考えられ、それを基本的人権を守る上からいかなる歯どめをかけようとしておられるのか、その点を伺いたい。
○金丸国務大臣 この法律が全き法律であるとは考えておりません。しかし、これをつくるときの精神、考え方というものは、あくまでもその内容に触れないという考え方でおるわけでございますが、相当な制限があるということで、実は来年度予算には、いわゆる掲示板というようなものをつくって、一般大衆の広告ができるようなことを考えようというようなことで足らざるを補いたい、こうも考えておるわけでございます。
○正森委員 時間がだいぶ経過してまいりまして、理事のある方から耳打ちもいただいておりますので、私はほんとうは、参考文献を持ってきましたから、これからまただいぶ聞かなければいけないのですけれども——法務省来ておられますね。警察庁にも事前に申し上げておきましたので、ほんとうは判例等に基づいて、だいぶ時間がかかるのですけれども、一言……。 条例で罰則をきめておりますが、憲法の条項によりまするならば、これは罪刑法定主義というのがありまして、法律によらなければ生命、身体の自由というのを奪われないのが一応の原則になっております。憲法上その例外を規定しておる条文ももちろん七十三条の第六号等にはございますけれども、条例において広範囲に刑罰を科することができる根拠、それについて私は簡単に御答弁を承りたいと思います。警察庁あるいは法務省、いずれでもけっこうです。
○俵谷説明員 地方公共団体が制定いたします条例におきまして罰則を置くことができるかどうか、こういうお尋ねでございますが、これにつきましては、憲法の九十四条に地方公共団体は条例制定権がある、こういう規定がございまして、なおかつ地方自治法によりますと、第二条の所管の事務につきまして地方公共団体は条例を制定して、かつその第五項におきましては、二年以下の懲役または禁錮あるいは十万円以下の罰金の刑を科することができる、こういう一般的な規定がございます。これによりましておそらく地方公共団体ではそれぞれ所要の条例を制定して、必要なものにつきましては罰則を設けておるの、だろうと思います。この憲法三十一条との関係におきまして、法律の手続によらなければ刑罰を科されない、こういう規定があることは御指摘のとおりでございますが、条例につきましては、中には、これは法律と同じように、地方議員の方々が参加してきめるものであるから法律と同じような効力を持つ、こういう解釈もございます。また判例等の中には、法律で定めるのと同じような状態になっておれば、それは法律によって定めたものと変わらない、そういう意味で憲法三十一条に違反しない、こういう最高裁大法廷の判決もございます。かような次第でございますので、条例におきまして罰則を設けるという点につきましては、憲法あるいはその解釈、最高裁判例等の立場によりまして認められることである、こういうふうに考えております。
○正森委員 警察庁は大体似たような御趣旨だと承ってよろしいか。
○相川説明員 ただいまの御質問の点、法務省と全く同見解でございます。
○正森委員 法務省と警察庁とがそういうお答えでございましたし、俵谷公安課長が相当詳しく御説明になりました。私は十分に勉強したわけではございませんが、俵谷公安課長が言っている最高裁の大法廷判決といいますのは、おそらく昭和三十七年五月三十日、大阪市条例第六十八号違反被告事件について、まつ正面から地方自治法十四条五項というようなものが合憲であるかどうかということについて触れた判例を考慮に置きながらお答えになったことであるというように私は思っております。間違ったら申しわけありませんが、そういう前提でこれから私は申し上げたいと思います。 その判例については、多数説と、それから補足意見というのを何人かの裁判官がつけておるということは御承知のとおりであろうと思います。しかしながら、これらの意見を読んでおりましても、その中には微妙な差異があります。多数説というのは、地方自治法十四条の五項、これは憲法九十四条に基づくものだけれども、それだけで合憲と言えるかどうかといえば若干問題がある。しかしながら、地方自治法の二条二項で相当こまかく、地方自治体ができることがきめてある。だからそういう点を考慮すれば、これはやはり構成要件の点からいうてもある程度認められるのだというような、非常に非法律的な表現ですけれども、そういうようなことになっておる。全体としては合憲であるということになっておると思います。 しかしながら学者の中には、条例にこれほど大きな委任をするというのは、憲法の七十三条の第六号との関係や、あるいは罪刑法定主義から見ても問題があるという学者もあります。たとえば、私の恩師である団藤教授は、罪刑法定主義の見地から地方自治法第十四条五項は違憲であるということを論ぜられました。これは新法学講座刑法、法律新報七百四十五巻の二七ページであります。その後、団藤教授はその説を若干緩和されまして、地方議会の議決を経ておるものであるからという理由で違憲の疑いが全くないわけではないというように、前には違憲であると言っておられたのを若干修正されております。 しかし、そういうような点を考えますと、これが違憲であるかどうかは別として、少なくとも法律でないことは明らかであります。地方自治体は住民の代表であるといいましても、人口三万の都市からあるいは東京都のようなところから、いろいろございます。少なくとも全国民の英知を集め、そして行政府の英知を集めた国会ではない。国民の自由あるいは身体について一定の拘束を加えようとするのは、国会の立法権に基づいてするというのが憲法の大原則であり、例外が若干認められるだけである。かりに合憲説をとっても、そういうことは明らかであると思います。そうだとすると、たとえば売春防止法というように、これも前は条例でございましたが、いろいろ問題がありますから法律に統一されましたけれども、表現の自由が問題になっている本件のようなことについては、幾ら法律で委任しても——その具体的な処罰される構成要件というのは全面的に条例にほぼ委任されておる。それについて、国会を通過しない標準条例において事実上これに対して重大な影響を与えておるということは、少なくとも憲法の精神から見てきわめて問題であるというように私はいわなければならない、こう思います。その点について、私は本法のような表現の自由の制限は許さるべきでないと思いますけれども、万が一許されるとしても、それは国会の場で標準条例ごときものを十分に審議して、そして全国統一的に、美観風致あるいは公衆の危害の点から制限すべきものは制限し、そして表現の自由を侵さないように、認めるべきものは認める。しかもそれは事前抑制でなしに事後抑制でやるとか、あるいはまず第一に除却命令を出して、聞かなければそれに対して罰則を加えるとかいうような、基本的人権に対する配慮がきわめて重要であると思います。だがしかしその点については、いま理事の方からもう何分と言われた時間がちょうど参りました。残念ですけれども、私は、先ほど理事会あるいは理事懇の席で服部委員長から仰せになりましたように、建設委員会の委員長の指示に従いたいと思いますので、参考書を持ってまいりましたけれどもこれでやめます。そういう点を御配慮になって、この法律について修正すべきは修正し、あるいは附帯決議をつけるべきはつけ、あるいは運営について配慮すべきは配慮するということがなければならないと思います。それについて最後に建設大臣の御答弁をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○金丸国務大臣 ただいま有益なお話を承りまして、この法を執行するにあたりましても十分な注意を払わなければならぬと思いますし、また附帯決議や修正等につきましては、十分にそれに従いまして施行してまいりたい、こう考えております。
○服部委員長 松浦利尚君。
○松浦(利)委員 私は最後になりましたから、各委員の方がそれぞれの立場で御質問されましたので簡単に質問するつもりです。端的にお答えいただきたいと思います。 その一つは、具体的にお聞きしたほうが一番いいと思うのです。たとえば知事が指定する風致地区あるいは住居専用地域、そこに突然高速道路を通すという話が出てきた。そこで住民の人たちが寄り寄り集まってそれぞれ検討して、ポスターをつくって、「高速道路反対」というポスターを張った。そういう場合に、それは直ちに本法に抵触しますか。どうですか。
○吉田(泰)政府委員 条例に基づきまして知事が定めたいわゆる禁止区域というところであれば、その条例に違反することになります。
○松浦(利)委員 そうするとそこに住む人々は、高速道路反対という意思表示をポスターその他の言論表現をもって行なうことはその地域では制限される、こういうことになるわけですね。 〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
○吉田(泰)政府委員 条例の規定上制限されることになります。
○松浦(利)委員 その場合に憲法に保障された表現の自由とこの広告物法による取り締まり——住民の人たちが、憲法を優先させろ、おれたちには表現の自由があるのだということを主張してそこに張った場合、どういうことになりますか。
○吉田(泰)政府委員 表現の自由はこれを最大限尊重しなければならないことは当然でありまして、そういうものを前提に置きながらも、なおかつ一定の地域についてあえて禁止地域にまでしなければならないという判断によって条例に基づく禁止区域が定められているわけでございますから、そこにおきましては美観風致の維持といった広告物法による目的というものがその限りにおいて、調整をとった上で優先されておる、こういうことでございまして、表現の手段そのものもその区域内で広告物を張るというばかりでもないかと思いますし、広告物を張るというような方法による表現ということは制約されるということになっているのだと思います。
○松浦(利)委員 そうすると、そこに住んでおる人たちは高速道路が通るということに対して、極端にいうとそれは公害だということで反対しておる。その反対の意思表示をする、憲法二十一条の中で保障された表現の自由というものはすでに侵されておるということにあなたも理解をしますでしょう。結果的にそういうふうに理解せざるを得ないでしょう。
○吉田(泰)政府委員 禁止地域として定められた具体的な場所についての、非常に制約された場でのお話だと思いますので、おっしゃるとおりに、屋外広告物という手段による表現というものは制約されている、こういうことになっております。
○松浦(利)委員 そこで私はさらにお尋ねしたいのですが、この法律は一体行政法なのか取り締まり法なのか。法の体系としてはどちらですか。
○吉田(泰)政府委員 行政法規であることは当然でございますが、取り締まり法という意味が取り締まり中心の法律であるかということでございましたならば、それはそうではございません。戦前の法律は広告物取締法という、名前からそういう表現がありますが、その反省に立ちまして、広告物の内容には触れない、あるいは地域地域の個別的な事情に極力適合できるよう法律ではその基準を定めるにとどめまして、具体的な規制力を持つ規定としては条例という形式で定める、こういうことにいたしておりまして、ただその担保措置といたしまして罰金のみを科することを条例で定めることができるというふうにいっておりますから、その罰則の関係で取り締まりということは実、際はあり得るわけでございますが、いわゆる取り締まりに主眼を置いた法律ではないと考えております。
○松浦(利)委員 これが行政法であって取り締まり法中心でないということは、憲法二十一条に保障されておる言論、表現の自由を最大限認めた上で、行政的な措置によって狭義に美観風致その他のところで一部表現の自由を押える場合が出てくる。たとえば先ほど言った高速道路が通る。反対するポスターが張れない地域がある。それは狭義に解釈をして、そういうものはほんとうに部分的なものだ。だからこれはあくまでも憲法に保障された表現の自由を侵さない行政的な法律である、こういう理解をせざるを得ないのですよ。ですから、これは拡大解釈をされて結果的に表現の自由を侵すような法律になってはならぬ、あくまでもそれは狭義である、そう理解すべきでしょう、これは行政法なんだから。私の言っておることに間違いがありますか。その点ひとつ局長から答えてください。
○吉田(泰)政府委員 表現の自由に関係する制度でございますから、その運用にあたっては当然乱用というようなことは戒むべきでありまして、そういう意味でも取り締まり中心の法律ではないと申し上げたわけでございますが、法律に基づく条例によってそれは明確化されて、具体的に規定されておるわけでありますので、それを拡大して解釈して運用するというようなことはあってはならない、こう考えます。
○松浦(利)委員 それでは、この法律の主管省として、狭義でなければならない行政法を本法とする地方条例によって逮捕者が出る、そういうことはあってならぬでしょう。一方は表現の自由のために行動しておった。しかも本法は行政法である。取り締まり法ではないのだ。そういう本法が中心でできておる各地域条例によって逮捕者が出るということについては、これは明らかに行き過ぎじゃないですか。そういう事例があったとすれば、それは当然だと思いますか。それはあくまでも行き過ぎだとあなたは主管省として考えられますか。その点どうです。
○吉田(泰)政府委員 先ほど来取り締まり中心の法律ではないと考えると申しましたが、最初に申しましたように、この条例の目的に沿った具体的な規制がなされておるわけでありまして、それを担保する意味で罰則の規定が設けられております。その罰則に触れるという意味で場合によっては逮捕者が出るということは、これはどうしてもあり得ることでありまして、取り締まり中心の法律ではないからといって、一切逮捕者が出るような法律ではないとは申せないわけであります。
○松浦(利)委員 さっきから、これは行政法であって、しかも憲法に保障された二十一条を侵さない、できるだけ自由は守るのだという前提に立っておるから狭義に制限を加えておるのだ。ですから、あくまでも表現の自由が優先しておるわけでしょう。そこで、条例の拡大解釈によって逮捕者が出るということについて、あなたはいまやむを得ない、こう言ったけれども、やむを得ないのじゃなくて、逮捕者が出ないように法の運用をすればいいでしょう。そういう指導をすればいいでしょう。表現の自由が逮捕ということによって最大限に侵されるわけだから、しかも本法は行政法でしょう。あなたがさっきからくどくど言うけれども、私もくどくど質問するけれども、そういうもので逮捕者が出るということについて、現にそういうことが各地で起こっておるわけだから、そうなってくれば本法を改めて、逮捕者が出ないようにする。公安関係は、いや、それは表現の自由を侵したのじゃなくて、条例に違反したから逮捕したのだ、内容には関係ないのだ、こういうように言うだろうけれども、結果的に自由が侵されているのだから、だとすると、そういうことにならぬように法律を改正するのが行政官庁であり行政法でなければならぬと私は思うのですが、私の言っていることは間違ってますか。間違っておるなら指摘してください。あなたの理論ではどこが間違っておるか、明確に答えてください。
○吉田(泰)政府委員 この法律は言論の自由に関係しますからとりわけ重要でございますが、それにいたしましても、いろいろな法律で規制のための制度を設け、これに違反する場合に一定の場合に罰則を設けて、それをもってその適切な励行を担保するという措置が一般にとられているわけでありまして、その意味ではもちろん逮捕者を出すとか取り締まるということに法の主眼はないわけでありますから、平素より広告物条例の内容というものを十分周知徹底し、またそういう気がまえ、美観風致を維持しなければならないという心組みというものも広く住民の方に理解していただくというような、そういう指導、周知の面というものが非常に大事だと思います。そういうことを通じて、結果的に逮捕といったことのないことが最も望ましいことは御指摘のとおりでございますが、ただ法律の制度としてはやはり罰則を持って、それでも違反された場合に罰則をもってこれを担保するという仕組み自体はやむを得ないのじゃないか。その結果、実際の運用として、その罰則の関係ある規定の運用として逮捕ということが間々あるということもやむを得ないのじゃないか。それは取り締まり中心の法律ではございませんが、必要最小限度のことであろうと考えます。
○松浦(利)委員 あなたはそれはやむを得ない、こう言ったけれども、先ほどから言うように、これは表現の自由を侵さないように狭義に行政的に指導していくのだ、取り締まり法でないのだということをさっきから言っておられる。ところが、これが各地方に行くと拡大解釈されて、結果的に表現の自由を侵す行為、特に逮捕という形で出てきておるわけでしょう。あなたはやむを得ないと簡単に片づけてしまうけれども、国民の権利である表現の自由を一方的に逮捕という形で身柄を拘束される。これは国民はたまったものじゃないでしょう。たまたま高速道路が走るから、こういうことは知らずに、高速道路の建設に反対しましょう、私たちは反対ですと、部落ではみんな紙に書いて自分のところのへいにずっと張った。ところがけしからぬといって逮捕者が出た、けしからぬといって罰金を払わされた。それじゃ国民はたまったものじゃないでしょう。先ほど言ったのは、そういうところは全く狭義なんだ、小さい場所なんだ、全体的にはそういうことは守られておるのだという解釈に立たなければだめでしょう。あなたはしかたがない、しかたがない。そんなことを言ってしまえば、こんなのはあなたの主管から法務委員会かどこかに回すべきですよ。あなたがそんなことを言うなら、こんな広告物法というものは建設委員会の主管じゃなくて法務委員会に回したらどうですか。あくまでも行政法であるがゆえに、建設委員会主管でしょう。逮捕者が出ないようにするということは言えないでしょうか、一人でも三人でも表現の自由が侵されてはいかぬのだから。あなたは周知徹底すると逃げておるけれども、そんなことは無理でしょう。自分に関心のないときには表現の自由は使わないわけだから。たまたま高速道路が走るからとかなんとか、自分の身に振りかかってきたときに、何も知らない人が張ったら、何だ、けしからぬといってやられる。これじゃたまったものじゃないでしょう。だから、そういう逮捕とかなんとかという、取り締まりという形で周知させていくのではなくて、それを行政的な措置で周知していくということのほうがこの法のたてまえでしょう。 そういうふうにこの法律を改めたらどうですか、しかたがないじゃなくて。あなたがしかたがないと言うのだったら、これは法務委員会に主管を移すべきです。取り締まり法に変えるべきですよ。しかたがないというのは失言、だと思うのですがね。もう一ぺん答えてください。
○吉田(泰)政府委員 御指摘のとおり、この広告物法の運用にあたりまして、違反あるいは逮捕というようなところまでいかないように十分指導していくということが主眼であるべきだと思います。そういう意味で私先ほどお答え申し上げたわけでございますが、しかしながら一方、罰則を伴った法律はたくさんございまして、これもその一つでありますが、それは表現の自由という重大性を十分考えながらも、なおかつ罰金に限っては条例で罰則を設けられるという規定を置きまして、その規定を受けまして、事実個々の条例で罰則が定められております。そういう罰則を伴った制度という意味におきまして、逮捕者が一切出ないということは最も望ましいことではありますが、しかし制度としてはあり得ることである、こういうことで申し上げた次第でございまして、よろしく御了解いただきたいと思います。
○松浦(利)委員 それじゃ一つの例ですが、この前の不規則発言で皆さんから笑われましたが、知事が「金丸建設大臣来たる」というポスターを「何々県」ということでばっと張った。これは公に周知するということだからいいわけですね。これは認められるのでしょう。その点、どうです。
○吉田(泰)政府委員 規定上は、禁止区域であればそういうのも違反になるわけであります。ただ、これはいまの御設例の場合に限らず、一般的に申せるかと思いますが、それは決して罪人をつくるためにつくった法律ではなくて、あくまでも美観風致の維持とか公衆に対する危害防止ということだけを目的とした制度でありますし、そのために必要なこととして罰則を設けて担保しているという仕組みでありますから、罰則があるからといってやたらに違反を軽微なものまで一々あげつらうべきかどうか、逮捕まですべきかどうかということは、やはり個々の事案に即して慎重に考えなければならない問題だと思います。
○松浦(利)委員 それで、これは大臣にちょっとお尋ねをしておきたいのですが、この法の仕組みを変えたらどうかと思うのです。これを、全く罰則規定を取り除きまして完全な行政法にする。そうして、逆に言うと、表現の自由を最大限に認めた上でその行なった行為について指導する。国民の基本的権利である表現の自由を最大限に認めて、もう全部オープンに認めて、そうして行なった行為に対してこの法律によって指導する。一つの例ですが、あなたの張ったビラはまことに風致美観上こうだからひとつ直してくれ、あるいは撤去してくれ。表現の自由に対してあとからそれに対して指導を加える。そういう法律にすれば、あなたが先ほどからいう表現の自由というのは最大限に守られるわけですよ。そういう法律に仕組みを直したらどうですか。そうしたら逮捕者もおらぬし、国民だって表現の自由をきちっと自分自身で主張してやって、そうしてそのことについて、あなたのやったのは少し美観を妨げるから撤去してください、あるいはこういうふうに変更してくれぬでしょうか、こういうふうに結果について指導する。そういうふうにこの法体系の仕組みを変えたらどうでしょうかね。そうすれば私は問題ないと思う。大臣、どうです。そういうふうに直したらどうでしょう。政治的なものですから大臣に聞きましょう。
○金丸国務大臣 先生のお話を承って私ももっともだと思うのですが、またこの法律は罪人をつくるということが目的でないことも局長から申し上げたとおりでありまして、そういう中で、いまの先生のようなお考え方でいくと、その間隙を利用するというのか、善意を悪意に使うというような面もなくはないじゃないかという心配も私はある。そういう意味で、あくまでも罰することが目的でなくて、徹底的な行政指導によって先生のおっしゃられるような精神を生かすような方向に持っていくことが適当ではないか、こう私は考えます。
○松浦(利)委員 いま大臣がたまたま言われた善意、悪意——善意を悪意に利用するのがおるということですが、ですから、その悪意のある者についてのみ問題にしておるわけです。それが狭義でなければならぬのが広義に解釈されて、善良な者が一網打尽に、こうなるわけですね。 そこで、これは一つの提案ですが、広告というのには私は二つの種類があると思うのですよ。一つは、その広告を媒介することによって営利を目的とする広告。その広告を行なうことによって営利を得る、そういう広告。もう一つの場合は、憲法に保障された表現の自由、自分自身の表現をあらわす広告。この二種類あると思うのですよ。これはそのこと自体もたいへん問題だと思いますが、一応非営利のものについては除外をして、これは先ほど言ったように結果に対して行政指導する。営利を目的とする広告については、そういうことをしなければならぬというのはたいへん残念だと思いますが、それはしかし一応悪意というものを前提にして広告物法の対象にして事前チェックする。そういう二つの考え方があってしかるべきだと私は思うのです。それが少なくとも行政のたてまえでなければならぬと思うのですよ、善意を悪意に利用されないようにするために。何も私は営利を目的とする広告が悪意であると言っているつもりではないのですが、しかし、広告を二つに区分して、営利を目的とするものについては事前チェック、それ以外のものについては事後チェック、こういう二つの考え方があってしかるべきだと思うのです。そういうふうに法体系を改めたらどうでしょうか。大臣、どうでしょう。
○金丸国務大臣 この法律では、その内容の中には全然触れないということをたてまえにいたしておるわけでありまして、そういうことになりますと、非営業あるいは営業用、こういうことをどこで見きわめるかという点が非常にむずかしいというところに、この法律をつくる上に頭を悩ましたというところもあったと私は思います。しかし先生のおっしゃることもわからぬわけではない。いろいろ研究したわけでございますがこうせざるを得なかったということを御理解いただきたい、こう思うわけでございます。
○松浦(利)委員 局長、そのことはそんなに作業がむずかしいですか。いま大臣から御答弁いただいたように、事務当局はそれを仕分けるのに非常に苦しんだ、こういうお話ですが、そんなに仕分けることがむずかしいですか。地方自治体はそんなにそのことに繁雑さを感じますか。私はそう思わないのですが、局長、どうです。
○吉田(泰)政府委員 営利、非営利ということになりますとおのずから、ちょっと見ただけでも区別がつくものもありますが、必ずしもそうともいきませんので、やはり内容に立ち入って審査せざるを得ない。そういう意味で、現行の広告物法は、戦前の内容に立ち入って非常に弊害をもたらした旧法の精神を入れかえまして、設置する場所とか物件とか構造、規格のような外形的なものを対象として、それを基準とした規制の法規にしたということでございます。 〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことですから、第一、法律の目的たる美観風致の維持とか危害防止という目的から見ても、営利、非営利を区分する合理的な根拠が見出しにくいわけであります。ほかに、おっしゃるとおり内容にまで立ち入らないと区別がはっきりできないという意味におきましても、そのような区別はできないと私ども考えたわけでございます。
○松浦(利)委員 簡単にそう言うけれども、内容に立ち入らなくたってわかるでしょう。さっきの電柱に立ててあったアルバイトサロンの「女神」のホステス募集なんか、これは明らかに営利でしょう。そういう簡単なことは内容に立ち入らなくたってわかるわけですよ。それがどっちだかわからないときには、疑わしきは罰せずで、そういうものは範疇からはずして事後チェックに直せばいい。はっきりわかるものについてだけ事前チェックすればいいのですよ。せっかく広告業者も指定をして教育するというのだから……。そういう点をやろうとしないところにいまのこの法律の矛盾が出てくるのですよ。あなた方は、ほんとうに内容に立ち入らずに、美観風致その他である程度の規制を加えていくのだ、狭義にしていくのだ、こう言われているけれども、結果的には網を広げて大きくなってしまっているのですよ。全く個人の持っている表現の自由すら侵されつつあるのです。逮捕者が出たり、意識するとしないとにかかわらず戦前に戻りつつあるのです。ですから、そういう点の仕分けというものは、せっかく標準条例とか何かをあなた方はつくっておられるわけだから、官僚の頭をもってすればそんなことは簡単にできるのじゃないですか。やろうとしないところに問題があるのじゃないですか。私はそう思いますね。やろうと思えばできるでしょう。内容に立ち入らなくたって営利を目的としておるのかどうかくらいの判断はすぐつくでしょう。それはできませんか。そうしないとこれはたいへんなことになる。いつの間にか取り締まり法に変わるのですよ、行政法がぱっと。それが心配なのです。この法律はどこにも歯どめがないのです。その点をもう一ぺん答弁してください。
○吉田(泰)政府委員 相当数の広告については明らかに営利か非営利かということの、区分もつくかと思いますが、その区分のつきにくいものもありますし、こういうものを区分けしていくということが制度としてはどうしても必要になりますので、そういう意味で内容に立ち入らざるを得ないと申し上げましたが、そのほかに、この広告物法の目的である美観風致の維持、公衆に対する危害の防止という点から見ましても、これは必ずしも営利的なものだけがそういう結果を来たすというわけではありませんで、営利、非営利を問わず広告物全体が美観風致を害する、あるいは危害を与えるおそれが生ずるということでございまして、法律の目的から見ましても、その内容を区分するということはその根拠が出てこないのではないか、こう考えている次第でございます。
○松浦(利)委員 全くいいかげんな答弁で非常に危険を感ずるんですよ。大体都市美観なんといったって、都市美観というものは広告だけじゃないですからね。都市計画そのものが美観を阻害しておるじゃないですか。そういう根本の問題を触れずに、ただ部分的なところだけ手直しするから問題が起こるんですよ。しかもやろうと思えばできることをあなた方は努力をしないんだ。結果が起こったときに、ああしまった、あのときにああいうふうにしておけばよかったと思ったって、もうおそいんですよ。ですから、本法に対して各地方条例をつくっていく場合に、あなたのほうでもっと的確な指導をそういうふうにぴしぴしとしておけば、地方条例によって表現の自由が最大限に侵されるとかあるいは逮捕者が出るということはなくなるんですよ。そういう努力をせぬでしょう。この標準条例を見たって、かえって標準条例のほうが表現の自由を侵すように侵すように持っていくような内容になっていますね。もっとこの法律が狭義に使われるように地方に対して指導を加え、拡大解釈されないように指導する、それが本法を担当する建設省の仕事だと私は思うんですよ。いまこの法律を修正せよなんてなかなかむずかしいと思いますけれども、そういうことはやろうと思えばできるでしょう。これからそういうことをやりますか。
○吉田(泰)政府委員 法律なり条例の仕組みとしては先ほど来お答えしたとおりでございます。しかしながらあくまでも取り締まりを主眼とした法律でないことも事実でございますので、そういう趣旨を踏まえまして、御指摘のような乱用というようなことがいやしくもあり得ないよう、十分な上にも十分指導さしていただきたいと思います。
○松浦(利)委員 いま局長が答弁したことについて建設大臣、取り締まり担当の国家公安委員長等に、この法律のたてまえはこうだから、間違って下部でそういったことが行なわれないように行政的に歯どめをかけるということは行ないますですね。
○金丸国務大臣 私も国民から選ばれた代議士であります。国民のために考えなくちゃならぬ。当然、ただいま局長からも答弁がありましたが、公安委員長に強くこの話は申し入れたいと思っております。
○松浦(利)委員 もう時間がなくなりましたからやめますけれども、もう一つ、これはほんとうに笑い話にもならぬのですが、こんな法律でいったら表札も規制を受けるんですよ、自分の名前も。金丸建設大臣はそんなことはないと思うのですが、ある人は自分のうちのへい一ぱいに自分自身の名前を書いているのです。なるほどこれは表札です。それはみんなにわかるように大きく表札をつくっておるだけですね。ひどい人になると屋根にまで表札を書いている。これでいくとそういうものまで取り締まられるのです。自分の名前を表示する、その表示すらへたをするとこの法律によって規制を受けるということになりかねないんですよ。だからこれは非常に抜け穴の多い法律で、しかも運用のしかたによってはたいへん問題を起こす。建設省のほうは表現の自由を侵さないように、しかも制限を狭義に加える場合があり得るかもしれない。たとえば知事が指定した風致地区とか住宅専用地区とかいうところは狭義にするかもしれない。しかし逆にそれがわあっと広がって大きくなる場合だってあり得るんですよ、へたをするとこの条例によって。ですから、もう時間が来ましたから私はこれ以上ここで申し上げませんが、ほかの委員がこの問題で一生懸命議論したのは私はそこに基本があると思う。行政法であるべきこの広告物法によって表現の自由が取り締まられる、侵される。しかも現実にそういう姿が地方に出てきておる。そういうことに対する危機感からわれわれがいま一生懸命こういう質問をしておるところですから、もしかりそめにもいま私が申し上げたように表現の自由がこのことによって侵されてくるというような事態が起こってきた場合には、さらにその広告物法はそういうことのないように当然改正をするのだ、そういうお気持ちがあるのかどうかということを最後にお聞きして、私の質問を終わります。
○金丸国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては十分に留意してまいらなければなりませんし、また、この法を施行していろいろ問題点があるとするならば、これを改正するにやぶさかでないということを申し上げたいと思います。
○松浦(利)委員 それでは私の質問を終わりますが、関連質問が同僚議員にありますのでお許しいただきたいと思います。
○服部委員長 中村茂君。
○中村(茂)委員 屋外広告物法というのが非常に問題になっていますけれども、この最大の問題点というのは、営業用の広告と政治活動またはそこから出てくる表現の自由、これを一緒にして、性格の違うものを一つの法律にして規制した、ここに最大の問題点があるのじゃないか、こういうふうに思うのであります。先日、七月の十八日の日に、本委員会で私は特に表現の自由、政治活動の自由、これをこの法律で制限されている面、規制されている面について幾つかの問題点を提起して検討していただくようにお願いしてまいりました。その中で、その当日、電柱へのビラ張りについては、標準条例の四条二項を削除する、こういうお約束を願いましたからその点はそれでけっこうですけれども、その当日、検討していただくように幾つかお願いした点について、三つだけ、相当検討が進んでいるというふうに思いますのでお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。 その一つは、先ほどからいろいろ論議になっておりますように、基本的な人権を制限している。しかも罰則があるために何人か検挙され、裁判の問題になっている案件等幾つかある。これは罰則があるためにどうしても乱用されがちだ、こういう点があるわけであります。そのために基本的な人権の幾つかの問題が制限される結果になっている。そこで、先ほどから論議されておりますように、われわれの基本的な人権に対して、罰則があるからといってこの法律を乱用することのないように、具体的な措置をどのように考えているか、これについてお聞かせ願いたいというふうに考えます。 それから二点目には、政治活動の自由が、ビラ張りとか看板を掲出することに対して幾つか制限が出てきているわけでありますけれども、特に条例の中で許可手数料を取る、こういう条例が幾つか出てきております。したがって、安易なビラ張りとか、看板を出すとか、はり札を出すというような政治活動の、または表現の自由の基本になるような問題について、手数料を取るというような条例についてはやはり考えていかなければならないのではないか。先ほど同僚の松浦委員も言われておりましたように、営業用と非営業用というものについての法の適用というものについてやはり相当考えていく必要があるだろう、こういう立場から政治活動の面についての許可手数料について免除できるのかできないのか、その点について明らかにしていただきたいというふうに思うわけであります。 それから三点目には、この法律では相当な地域と物件についてそれぞれ区分けして禁止条項、制限の条項ができております。特に公園等の相当広範な地域が全然はり札、ポスター張りができない禁止地域になっている。これは先ほどから言われておりますように、憲法二十一条の表現の自由という面から見れば、広範な地域が全然張ることができないということは問題ではないか、こういうふうに思うわけであります。そういう地域については国の金で無料の公共用の掲示板等を多量に出す必要があるのではないかというふうに思うわけであります。 以上三点について検討をお願いしてまいりましたので、大臣からひとつ御回答願いたいというふうに思います。
○金丸国務大臣 乱用禁止の問題、政治活動のためのビラ、ポスター等の問題及び公共掲示板の設置の三点について御指摘があったわけでございますが、審議の過程の御趣旨を十分尊重し、標準条例案に次のような規定を追加してその実施がはかられるよう十分指導するとともに、政治活動にかかるビラ、ポスター等の取り扱いについては慎重に行なうよう指導いたします。 標準条例案に追加する項目としては、まず第一に、適用上の注意として条例の目的を逸脱した乱用の禁止の規定を設けるとともに、第二に、政治資金規正法第六条の届け出を経た政党その他の政治団体については、その表示するはり紙、はり札または立看板について、許可手数料を徴収しない旨の規定を設けることといたします。 また公共掲示板については、できるだけその設置を進めることが望ましいと考えており、特に広範な地域にわたって屋外広告物の禁止区域を定めているところについては、区域内の適切な場所または近接する場所に公共掲示板を設置して、広告物の掲示を認めるよう検討する所存であります。
○中村(茂)委員 いま検討の結果の回答があったわけですけれども、政治資金規正法の第六条ということになると、これは政治資金ですから、政治活動全般のいろいろな問題をいっていないわけであります。政治活動全般ということになれば、六条の届け出以外の団体、個人を含めて政治活動は自由であります。どこで区別するかということは非常にむずかしい問題だというふうに思いますけれども、将来の問題として、この政治資金規正法六条の届け出た者にのみ手数料を取らないようにするということではなしに、やはり政治活動そのものについて手数料等は取らないようにするという前向きの姿勢で今後ひとつ検討していただきたい、こういうふうに思います。 それから二点目に、広範な禁止地域について無料の掲示板等検討するということでありますが、とかく政府の答弁は、検討する、検討した結果だめだ、こういうふうになりがちでありますので、いままで検討してどういう中身になっているか。検討がそれ以上進んでいなければそれでけっこうでありますけれども、現在その検討の中身がどの程度まできているかということについて、進んでいたら明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
○金丸国務大臣 政治資金規正法のきめられた政党以外の問題につきましては、今後十分検討してまいりたいと思います。 また掲示板の問題につきましては、来年度の予算に事業量四千万の請求をいたしまして、国費二千万、八十カ所ばかりひとまずモデルケースとしてつくってみたい、このようなことで大蔵省へ請求いたしておるわけでございます。
○中村(茂)委員 全国八十カ所では……(「モデルケースでだよ」と呼ぶ者あり)モデルケースにしても、一つの県に八十カ所なら……。まあ初めてでありますから、これをモデルケースにしてりっぱなものを、そういう自由が制限されているところについて相当広範囲にできるように、これを土台にして努力していただきたいということを最後にお願いして終わりたいと思います。
○服部委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○服部委員長 この際、天野光晴君から、屋外広告物法の一部を改正する法律案に対し、修正案が提出されております。
○服部委員長 提出者天野光晴君から趣旨の説明を求めます。天野光晴君。
○天野(光)委員 ただいま議題となりました屋外広告物法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党を代表してその趣旨を御説明申し上げます。 案文は、お手元に配付してあります。 本修正案は、屋外広告物法に新たに一条を設け、この法律及びこの法律の規定に基づく条例の適用にあたっては、国民の政治活動の自由その他国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意すべき旨を規定し、適用上の注意義務を明示しようとするものであります。 委員各位の御賛同をお願いいたします。以上。
○服部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 本修正案について別に発言の申し出もありません。 —————————————
○服部委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。村田敬次郎君。
○村田委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました屋外広告物法の一部を改正する法律案の原案及び天野光晴君提出の修正案に賛成の意を表するものであります。 すなわち、本法律案は、違反の事実が明らかなはり札または立看板の除却措置の簡素化、屋外広告業の届け出制度の創設、講習会修了者の設置義務等について、所要の規定を整備しようとするもので、屋外広告物に対する規制の現状から見て妥当なものと考えるのであります。 また、本改正規定を含め、屋外広告物法及びこれに基づく条例の適用にあたっては、憲法に保障された国民の基本的人権との調和、均衡を考慮して慎重に措置されるべきことは言をまたないところであり、かかる観点から、同法に新たに、「適用上の注意」として、国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意すべき旨の規定を設けようとする修正案は、当を得たものと考えるのであります。 以上で賛成の討論を終わります。(拍手)
○服部委員長 中村茂君。
○中村(茂)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました屋外広告物法の一部を改正する法律案について反対し、修正案、「適用上の注意」については賛成の立場で討論をいたしたいと思います。 まず、屋外広告物法については非常に多くの問題点がありますが、最大の問題点は、営業用の広告と政治活動のための周知、宣伝が、それぞれ性格が違うにもかかわらず一本の法律に規定されて、美観風致、災害安全という立場から制限が加えられていることだというふうに思うのであります。 二番目の問題点は、すでに本委員会に資料として提出されておりますように、屋外広告物条例違反の検挙状況は、四十六年百四十五件、四十七年七十五件、いずれもこの内容ははり紙、看板類の掲出にかかる検挙事件であります。このように、慎重に取り扱わなければならないこの法律が、罰則があるために乱用され、現実に選挙活動のためのビラまたは宣伝について、憲法二十一条で保障されている表現の自由について、このような実質的な制限または検挙が起きていることはゆゆしき問題だというふうに思うわけであります。 第三番目に、議題になっております改正案の中身につきましても、このはり札、立看板の除却について簡素化するという名目で提案されておるわけでありますが、この内容は、特に先ほど申し上げました政治活動、表現の自由を一番表明できるはり札、立看板について、より拡大していこうという内容になっている点であります。 以上申し上げましたように、基本的な人権にかかる問題が商業用の広告と同一な法律のもとに制限されている点について幾つかの問題があり、それがなおこの改正案によって拡大していくというところに、この改正案についてどうしても賛成できない一番多くの反対の理由を持つものであります。 しかし、先ほどからいろいろと論議されてまいりましたように、修正案は、満足ではありませんけれども、基本的な人権についてこの法律の乱用を何とか食いとめていこう、この趣旨が法意の中にあらわれているという意味で、修正案については賛成するものであります。 よって、この法律の一部改正については反対し、修正案については賛成することを申し上げて、討論を終わりといたします。(拍手)
○服部委員長 浦井洋君。
○浦井委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出、屋外広告物法改正案及び自由民主党提出の同法修正案に対し、反対の討論を行ないます。 政府原案に反対する第一の理由は、従来、はり紙だけに限定されていた行政庁の除却権限をはり札、立看板にまで拡大する点であります。このことにより表現の自由が侵害され、政治活動、大衆運動に対する不当な干渉、弾圧の可能性をさらに強化するものであるからであります。 法律の目的では、「美観風致を維持し」「公衆に対する危害を防止するため」に屋外広告物に必要な規制を加えることとしております。わが党はもとより、美観を害したり公衆に危害を与えるような広告物が野放しにされることを認めるものではありません。しかし、この種の規制は、住民の自治によってみずから行なわれるべき性格のものであります。 この法律で問題なのは、本委員会における審議によって明らかにされたごとく、美観風致や危害の防止を名目にしながら、その実は政治活動、労働運動をはじめとする大衆運動における言論、表現の自由を著しく侵害し、これに不当な干渉、弾圧を加える根拠法となっていることであります。 ビラ、ポスター、立看板等は、政党、労働組合、民主団体や一般市民にとって、自己の政治的、社会的意見を表明するのに欠かすことのできない重要な手段であります。従来のビラのみか、はり札、立看板にまで規制を強化することは断じて認められないところであります。 改正すべきは、少なくとも政党、労働組合などが貼付もしくは掲示するはり紙、はり札、看板、立看板等はこの法律の適用除外とすることであります。このことを強く主張するものであります。 反対する第二の理由は、第八条から第十条に屋外広告物業者についての規定を設け、業者の届け出制の義務づけ、知事または市長の助言、指導、勧告など監督を強化している点であります。 一般的にいって、商業的広告物を取り扱う業者について、合理性ある必要最小限の規制は認められるものであります。しかしながら、改正案の内容は、運用のいかんによっては、業者に対する権力的な規制を強化し、職業の自由を脅かすばかりでなく、広告内容の事前チェック、表現内容の官僚統制を可能にしかねないものであります。 業者に対する規制は、現在の都道府県の屋外広告物審議会を民主的に改革し、その意見に基づいて営利的な屋外広告物のあり方を検討、規制する方法をとるべきであります。 以上の理由により、政府提出の屋外広告物法の一部を改正する法律案に対し、わが党は強く反対せざるを得ません。 また、自由民主党提出の修正案は、法律の適用上の注意を規定しようとするものでありますが、この修正は、屋外広告物法の治安法的な本質をいささかも変えるものでなく、この修正によって屋外広告物法による表現の自由侵害を防止する効果的な保障とはならないと考えられますので、わが党はこれにも反対を表明する次第であります。 以上で反対討論を終わります。
○服部委員長 北側義一君。
○北側委員 私は、公明党を代表して、屋外広告物法の一部を改正する法律案及び天野光晴君提出の修正案に反対の討論を行ないます。 今回の改正案については、新たにはり札、立看板にも行政府がその除却権限を拡大するように改正されておるのであります。 本法案の目的は、なるほど町の美観維持とか人命の危険防止をうたっておりますが、私どもも当然、美観維持のためや人命尊重の上から、そのような物件の取り締まり規制には反対するものではありませんが、本法案の内容だけでは、その行政権限を持った行政府の運営のいかんによっては、国民の基本的権利である表現の自由や営業の自由等が侵害されるおそれが多分にあるのであります。 ゆえに、本改正案及び修正案に反対の討論をするものであります。
○服部委員長 以上で討論は終局いたしました。 これより採決いたします。 まず、天野光晴君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○服部委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○服部委員長 起立多数。よって、屋外広告物法の一部を改正する法律案は、天野光晴君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。 この際、建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。金丸建設大臣。
○金丸国務大臣 本法案の審議にあたりまして、御熱心な御審議をいただき、ただいま議決をいただきましてまことに感激にたえません。 なお、委員会におきまして先生方からいろいろ御指摘をいただきました点につきましては、十分留意いたしまして本法の運用をしてまいりたいと思います。 きょうは委員長はじめ各委員の皆さん方に厚くお礼を申し上げまして、お礼のあいさつにかえます。ありがとうございました。
○服部委員長 なお、おはかりいたします。 ただいま修正議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○服部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○服部委員長 次回は、来たる三十一日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時十四分散会