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71回国会衆議院1973/07/20

建設委員会 第29号

発言数
69
登壇者
7
会派数
3
開催日
1973/07/20

会議録

服部安司自由民主党

○服部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、参議院送付、屋外広告物法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。

森井忠良日本社会党

○森井委員 私は、今回の屋外広告物法の一部を改正する法律案について非常に懸念をしておりますのは、すでに他の委員からも話がありましたように、憲法二十一条で保障されました言論なり集会なりあるいは結社なり表現なり、そういったものの自由、これは侵すことのできない基本的な国民の権利でありますが、それと屋外広告物法との関連において、権利が非常に侵害をされるというおそれを持たざるを得ないわけでありまして、まず、そういう角度からお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、御承知のように憲法二十一条には明確に表現、思想、そういったものの自由が認められております。今回の改正案によりますと、いままですら問題のありました屋外広告物法に対しまして、さらに強い制限を加えていくということであります。  そこで、まず憲法上の問題で法制局にお伺いをしたいわけでありますが、一体この表現の自由という問題と、それから屋外広告物法で具体的にはその自由を制約するわけでありますが、その根拠についてお伺いをしておきたいと思うのです。

林信一内閣法制局第二部長

○林(信一)政府委員 お答え申し上げます。  お話しのとおり、憲法第二十一条第一項におきまして「一切の表現の自由は、これを保障する。」という規定がございますので、憲法上、表現の自由というのは非常に重大な国民の権利であるということはまことにそのとおりであると存じます。しかしながら、表現の自由であっても、たとえば憲法十二条にございますように、憲法で保障された国民の権利というものは乱用してはならないということもございます。表現の自由が絶対無限のものであるかといいますと、そうではなくて、やはり公共の福祉上の制限は受けざるを得ないという、これが最高裁のいろいろな判例にもあらわれておる考え方でございまして、現行の屋外広告物法の沿革を考えましても、これが旧憲法時代には、屋外広告物を取り締まるというその目的の中に、公共の安寧を維持するとか、善良の風俗というようなことを取り上げて規制の対象にしておりましたけれども、いまの屋外広告物法はそれが規制対象に入っておりません。屋外広告物の、あるいは屋外広告物を掲出する物件の意匠とか、要するに形とか色とか場所とか、そういったようなものを制限をしておるのでございます。これを制限する趣旨は、これ自体にもございますが、要するに都市の美観風致を保護する、片方で危険を防止するこの二点にあるわけでございます。この二つが公共の福祉の内容になり得るということはこれは間違いないと存じます。が、問題は、その場合にしからば公共の福祉の中身であるところのそういう都市の美観風致あるいは危害の防止ということのために、表現の自由をどんなに制限をしてもいいかといいますと、これも必ずしもそうではないわけでございまして、やはり一定の制限、限度があるはずでございます。そこに比較考量ということが非常にむずかしい、これは立場によって非常に御意見が分かれるところであると存じますが、少なくとも現行制度はそれがバランスがとれるということを前提にいたしまして、その限度で規制するという制度になっておる、かように存じます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 具体的に、たとえば、これはこの前も問題になりました大阪の例でありますが、アメリカのベトナム侵略に反対をしよう、これは確かに一つの重大な問題でありまして、当然平和愛好家の皆さんがいろんな角度で表現をし、国民に訴える、これはあり得ることでありますが、そういった基本的な権利は、これは憲法二十一条で許されておるわけですね。しかしながら現実には、いま申し上げましたアメリカのベトナム侵略戦争に反対をするということを具体的に表現をしていこうとする場合に、庶民としてできることは、実際にはビラを張ったりあるいは立看板で国民に訴えたり、非常に有効な手段として私は認められると思うわけであります。たとえば、金のある人は新聞に広告を出したりあるいはテレビやラジオでそれぞれ番組を買い切って表現をしたりというふうなことができるわけでありますが、いま申し上げましたような表題で国民に訴えようとする場合に、いわゆる小市民はもうポスターとかビラとかそういったものにたよらざるを得ない、それ以外の手段を持たないというふうなことがあり得ると思うわけであります。ところが、従来でも屋外広告物法につきましては大ざっぱに申し上げまして判例が二つに分かれている。もちろん最高裁の判例はありますけれども、各地の下級裁判所での判例というのは、そのときどきでの裁判官の判断によりまして、白にも黒にもなっているというケースなんですね。今回はさらに御案内のような改正になりまして、従来以上にむずかしくなる。こういった場合に、憲法違反の疑いが非常に濃いのではないか、私はそういうふうに考えるわけでありますが、法制局としてその点のお考えを聞きたい。  なお、公共の福祉とは一体何なのか、これもこの際法制局の考え方を明らかにしていただきたいと思うのです。

林信一内閣法制局第二部長

○林(信一)政府委員 今回の法律改正案の審査にあたりまして、私どもが最も気にしたのもそういう点でございます。そこで今回御提案申し上げました第七条の第四項をごらんいただきますとわかりますように、いろいろな制限といいますか、条件を課しておるわけでございます。かようなきびしい条件のもとに初めて認め得るものであるということでございまして、おおよそ、そこら辺に立って形式的に違法と一見見られればすべて適用するというようなことは考えておりません。なお、お話しのような屋外広告物、特にビラ等によらなければ十分な表現の活動ができないではないかという問題は、私のかすかな記憶では屋外広告物法制定当時にも非常に議論されまして、特に、たとえば新聞紙に墨で書く、これはすぐに美観風致を害するものであるといったような論もあったように存じます。このようなことは、一つは表現のしかた、テクニックといいますか、そういったものが進歩ということもございますし、表現をされる方が、そういう一般の福祉を害しないような方法で表現をしなさいといったような心がまえといいますか、そういったことも当然前提としては必要である。あるいは一たん表現した表示物が雨風に打たれて非常に美観を害する、こういう状況になったときにそのあと片づけをしなさいというようなこともいえるわけでございまして、そういう点の配慮がされていないような場合に、これは都市の美観上放置できないという事態に立ち至った場合には、やむを得ず強制撤去いたしますというのが今回の法律の趣旨でございます。  なお、公共の福祉とは何だというお尋ねでございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、とても一口で申し上げられるようなものではないと存じます。個別に具体的な事案にあたりまして判断するほかない。先ほど申し上げましたような、都市の美観あるいは風致というようなものが、一体何が都市の美観であるか、これは非常にむずかしい、都市専門学者にでも尋ねてみなければ具体的にはきまらないような問題だと存じますけれども、文化国家、文化生活を国民に保障しようとするわが国の憲法のもとにおいて、都市の美観風致を維持するという、こういう屋外広告物法の趣旨はやはり公共の福祉のためのものであるというのは、この屋外広告物法に関しますところの昭和四十三年の最高裁の判決でも申しておるところでございまして、公共の福祉を一口で説明しろと言われましてもなかなか困難な問題でございますので、これは個別に判断せざるを得ないということになると存じます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 整理をしてみますと、憲法二十一条の表現の自由は、これは一応原則としては文字どおりそのとおりである、自由である。ところが公共の福祉に反する場合にはこれは制限ができる、一口に言ってこういった解釈だと思うのです。一般的にはそのとおりだと思うのです。  ところが今回の改正案で、これは今回の改正案だけじゃありません、法の目的そのものもそうですけれども、二つあるのですね。一つは、都市のは制限せざるを得ない、これが一つ。二つ目は、公衆に対する危害の防止ということが入っております。屋外広告物法そのものは、よく読んでみますと、あとのほうの公衆に対する危害の防止というのはどちらかというと影が薄れておりまして、都市の美観風致、これを守るのだということが私はやはり最大の公共の福祉を守るという形になっておると思うわけです。そうすると、表現の自由という問題あるいは言論の自由という問題と都市の美観とのかね合いの問題だと思うわけですね。  確かに、昨今、都市の美観あるいは公害防止、そういったことについては時の問題でありまして、これは国民の総力をあげて美観を確保しなければならぬと思うのです。しかしそうかといって、幾らきれいに整とんされた市街地であっても、そこに何ら表現をするところがない、つまり文明以前の世界に戻るような、そういうふうであってはならぬと思うわけです。なかんずく、都市の美観もさることながら、先ほど申し上げましたように、平和の問題であるとかあるいは国民生活を守る問題であるとかいった形でそれぞれ訴えていくということは、これは都市の美観を守る以上にきわめて重大な問題だというふうに思うわけです。  ですから、あなたは公共の福祉というのは一がいに言えないということでありますが、なんならとっくりといろいろな例をあげまして質問したいところであります。しかし時間の関係で省かしていただきますが、とにかく、要するにいまの法体系からいえば私が申し上げたような形で、これは法制局と私との間で争いはないと思う。そうすると問題は、言論の自由、表現の自由というのは憲法に保障されておるわけでありますから、どのようにして守っていくか、このことが非常に大事な問題だと思うのです。そうすると一体どういう手段があるかということなんです。先ほど言いましたように、新聞あるいはテレビ、ラジオ、そういったものを通じて発表する場合もあるでしょう。しかし、先ほど言いました少なくとも小市民の経済的な問題等もありますから、最大の方法というのは、町へポスターを張ったり立札を立てたり立看板を立てたり、そういったことに尽きると思うわけでございます。ですから基本的には、憲法の精神に従うなら少々無理があってもやはり努力をしてそういった手段を確立をしてやらなければならない、これが憲法解釈上私は当然の任務だと思うわけです。この点、方法についていかがですか。

林信一内閣法制局第二部長

○林(信一)政府委員 実はお尋ねの御趣旨がちょっとつかめない点もございますが、表現の自由の内容といたしましては、一つは表現の内容自体の自由ということもございましょう。それから片方で表現の方法の自由ということもあると思います。表現の内容については、これは法令で制限することが憲法上は非常に困難であろうと存じますが、表現の方法につきましては、これは外部に出ます場合に公共の福祉とかかわり合いを持つことが非常に多いと存じます。屋外広告物法の取り締まりもその一例であると存じますけれども、具体的な場合にいかなる表現の方法があるのだというお尋ねのようでございますけれども、これは法令の禁止しない、許された範囲内で少なくとも自由があるというふうにお答えするほかないのでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 具体的に申し上げますと、表現の自由というのは手段も含めて憲法上これは保障されておると思うわけです。公共の福祉に反するという場合だけ具体的にはそれが制限できる、こういう性質のものだと思うのです。そうすると、やはり立法にあたっては、いま申し上げました表現の自由は基本的に守るのだということで、もっとはっきりいえば制限というのはできるだけ少なくして法律をつくるべきである、こういうふうにいえると思うのです。  たとえば今度、標準条例というのがありまして、具体的に見せていただきますと、かなり無理があるわけですね。たとえば標準条例の第五条というのを見てまいりますと、知事の許可を必要とする、そういう場所に「港湾、空港、広場及びこれらの附近」となっておるわけですね。たとえていいますと、広場というのはいろいろ定義がありましょうけれども、一般的に考えまして、これは国民が集会を持つときに非常に便利のいいところである。これは何人も否定できないと思う。ところがそういった人が集まりやすい場所、広場だけならいいのですが、その「附近」ということばを使ってあります。これが標準条例でございますが、そういったところへいま申し上げました表現の自由の基づいていろいろなポスターなりビラを張っていく、ステッカーを張っていくという場合に、一々知事の許可を得なければできない、こういうような形になっておるわけであります。あるいはまた擁壁、石垣であるとか、そういったところへも張っちゃならぬ、これは禁止場所になっておるようです。  そういうふうに制限をする場所が必要以上に拡大をされておる。このことは私は非常に重視をしたいわけです。法制局にこれ以上お尋ねをすることはどうかと思いますが、立法の精神からすれば、できるだけ広場であるとか公園であるとか——公園はいろいろまた問題ありましょうけれども、広場であるとかその付近であるとかいったところは、むしろ、人の集まりやすいようなところは積極的にこれは認めていくべきだ、こういうふうに私は考えるわけです。したがって、一口で御答弁をいただきたいと思うわけでありますが、とにかく先ほど申し上げました言論の自由という観点からすれば制限は少ないほどいい。ですから、政府もできるだけ制限は小さくしたほうがいい、こういう見解を持つわけでありますが、その点についてだけもう一度お伺いしておきたいと思うのです。

林信一内閣法制局第二部長

○林(信一)政府委員 標準条例の案を実は手持ちいたしておりませんのでその点はお答えいたしかねますが、一般的に申しまして、表現の効果が十分あるようなところほどまた公共の福祉にかかわりのあることが多いんではなかろうかと存じます。いまお話しの広場も、おそらくいわゆる公共広場というようなものでありまして、これに近い公共の用に供される広場、こういっているのではないかと推量いたしますが、いずれにいたしましてもそこら辺がいわばもろ刃の剣でして、なかなか調和のむずかしいところと存じます。いま、広場を書くことが直ちに憲法違反だというところまでは申しかねるわけでございますが、表現の自由ができる限り保障されなければならぬものであるということは、憲法のもとにおきましてこれは当然のことであろうと存じます。問題は、これを制約するところの公共の福祉の内容をどう考えるか、これが先ほど申し述べましたように、人によって、立場によりまして多少考え方が違ってくるということがございますので、単純にイエス、ノーということをお答えいたしかねる次第であります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 それでは建設省にお伺いしたいと思うのですが、標準条例案の第五条に、先ほど申し上げました知事の許可を必要とする場所、この中に「広場及びこれらの附近」ということばを使ってありますね。これはどういう場所をさすのか、お伺いしたい。  それから、時間の関係もありますからついでにもう一つ言いますと、知事の許可が得られる場合と得られない場合、つまり、どういう場合に知事はこの許可をしなければならないのか。建設省の考え方を明らかにしてもらいたいと思うのです。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 まず、標準条例案の第五条の御指摘の条文は「港湾、空港、広場及びこれらの附近の地域で、知事が指定する区域」ということになっておりまして、すべてのそういった区域を許可区域とするという意味ではないわけでありまして、実際には、これを受けてその一部を知事が別途指定をしているということで運用されております。なお、「附近」と申しますのは、広場を取り巻く面する建物という意味でありまして、広場から見てそれを囲む地域、こういうような意味であります。  それから許可基準につきましては、この標準条例案では第十一条で「許可の基準は、規則で定める。」ということにいたしまして、規則に委任することを考えておりますが、各県でも許可の基準は、かなり具体的に形状とか寸法とか掲げる場所の位置、高さ、詳細にわたりますので、やはり許可基準は規則等に委任して詳細に規定しておる、こういう事例が多いわけであります。許可の基準といたしましては、いま申したような、できるだけ美観風致あるいは危害防止という点を確保するような意味で、そのような抽象的な概念を極力客観的な寸法とか大きさとかいうようなものに置きかえまして実施しているということであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 よくわからないのですが、説明していらっしゃる本人はおわかりかどうか。いいですか、まず「広場」というものの定義をぴしっと言ってください。たとえば法制局は先ほど、公共広場のことですね、こういうふうなことでした。一体広場とは何かということなんです。たとえば東京の明治公園の中に広場がありますが、これは広場なのか公園なのか。こういう場合、屋外広告物法としてはどういうふうに解釈するのか。  それから知事の許可の問題ですけれども、高さだとかその他話をしておられましたけれども、どうも納得ができないわけです。建設省としては標準条例をおつくりになったわけでありますから、こういう場合には許可をいたしませんということがびしっと言えるはずだと思うのです。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 「広場」というのは、都市計画にも「広場」という用語があります。これは都市計画決定をした広場ということで、非常に形式的にははっきりいたしますが、ここではいま申しましたように広場のすべてという意味ではなくて、広場の中でこの広場、この広場というふうに具体的にあげるか、この地域内の広場というふうに掲げるか、いずれにしても特定するようにいたしているわけでありまして、おっしゃるような公園の中の広場というのは、たいていの条例なり規則の中で「公園」ということも規定している例がありますから、その場合には公園全域ということで、その中の広場ということは特段——公園として含めれば含めて考えておるということであろうかと思います。しかし、公園の中の広場であっても、その広場だけに着目して、公園は何も規制しないけれども広場だけを規制するということは、これはあり得ると思います。  許可の基準は、先ほど一般的に申し上げましたのでおわかりにくかったかと思いますが、たとえば東京都の規則で申しますと、電柱を利用するものの許可基準は、その広告物の種類等によりまして、路面からの高さ、その設置する広告の一番下の端の高さとか、それからその寸法、縦かける横といった寸法とか、そういったことが規定されてありますし、色彩なども「色は四色以内とし、地色は黒、赤及び黄を使用しないこと。」こういうようなことになっております。そういったことが、広告塔、広告板、公衆電話ボックスを利用するもの、建物の壁面を利用するもの、建物から突出する形式のものというようなことで、詳細にわたり規定されているわけであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 いまあとのほうで言われたその制限は、理由は何ですか。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 理由は、一つには美観風致の維持ということからきておりますし、一つには危害防止という点からもきております。たとえば、電柱に突き出し看板というのがありますが、これなどは歩道の上は高さ二メートル五十以上とか、車道に万一飛び出す場合は四メートル五十以上なければならぬ。これは通行者の安全、そういうことを明らかに意識した、そこから出発したものでありますし、大きさ、形状等につきましては美観風致のほうからきたものが多いと思われますが、これとても風で吹き飛ばされないような取りつけ方をしろというようなこともありますし、また、その構造が弱い風で倒れるようでもいけないというような意味の免責的な要件というのも考えられますから、両者複合したものもあると、こういうわけであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 私が質問したのは、いま主として広場を言ったのですね。電柱とかその他ありましたが、それはその付近ということになれば電柱もあるかもしれませんが、具体的に例として明治公園の中の広場を先ほどちょっと申し上げたと思うわけであります。あれを想像してみた場合に、いまあなたがおっしゃったことが当てはまりますか。第一、広場というのは一体何のためにあるのですか。ちょっとこの点だけ見解を聞いておきたいと思います。広場は何のためにあるのか、あなたの言われた意味の広場は。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 広場は、いわゆる都市における空間といいますか、オープンスペースの一つの形態でありまして、その機能、目的は多岐にわたりますが、例示すれば、休息とか、人が集まるとか、多少の遊戯をするとか、そういったことだと思います。

森井忠良日本社会党

○森井委員 どうも意地の悪い質問をしたわけですけれども、はっきり申し上げますと、広場というのは、いまいみじくも言われましたが、やはり集会をする場所でもあるわけですね。それは遊戯をする場所でもあるでしょうが、現実にいままで戦後ずっとこの広場を通じて集会が持たれた。たとえばきのうも明治公園で自民党の強行採決反対の大集会が持たれたわけでありますが、そういう場合に、非常に要領よく「自民党の強行採決に抗議しよう」というふうな立看板がかけられておりました。今度はそういう場合に一々許可が要るわけですね。これはたいへんなことだと思うわけですよ。広場というのは、たまたまこれもあなたの答弁で出ましたが、やはりオープンスペースでもあるわけです。現実にそこでなければ何万人という人は集まれないのですよ。確かにいままですでに何十回となく、何百回となく広場を利用していろいろな集会が持たれてまいりました。ここはどちらかというと、ビラにしろあるいはたれ札にしろ立看板にしろ、大衆に訴えるかっこうの場所でもあるわけですね。それを今回の改正案では、従来フリーであったものを知事の許可を必要とする場所に指定をされた、こういう形になるわけですね。知事の許可、これは私は非常に重大なことだと思うわけです。一々これを許可制にしなくても——これは従来も許可制だったのか。どうも失礼しました。  いずれにしても、今度は一方的に除却ができる、ここまで改正案が進んでまいりました。私はいみじくも思うわけでありますが、広場だけでなくて、たとえば空港というのが入っております。今度あるかどうか知りませんが、たとえば首相の訪米反対——これは田中首相じゃありませんが、かつて歴代の総理が訪米をされる場合に、あの羽田空港を中心にいたしましてやはり具体的に一つの表現がなされてまいりました。私はやはりそういうふうに考えてきますと、今回の改正案はどうもねらいがその辺に置かれておるのではないかという気がしてならぬわけです。これはなるほどいままでもあったわけですが、問題は、今度は立てたらすぐ撤去できるという点が問題なんです。除去できるというのが問題なんです。じゃまになるやつはすぐのける。具体的には、権力者がこれはいやだと思ったら、のけようとすればのけられるわけですね。これと表現の自由との関係は私は相いれないものがある、こういうふうに思わざるを得ないわけですが、いかがですか。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 従来の規定におきましてもまず相手方が確知できない場合、これは直接、除却の規定がすべての広告物に及んでいたわけであります。そこで、今回の改正というのは、相手方が確知できる場合であっても、「相当の期間を経過し、かつ、管理されずに放置されていることが明らかなもの」、もちろん条例で定められた事項に明らかに違反していると認められるものという条件が付加されまして、そういったものに限って撤去できるというわけであります。これは従来はどうしておったかといいますと、相手方がわかっておりますので、その者に除却命令を発し、それでも聞き入れないときに、行政代執行の規定に乗り移って、戒告、代執行令書の執行、それから代執行という手続を踏んで行なわれたということでございます。数少ないものですとそういう手続を踏んでも、まあある程度の期間の手続が要りますがいずれは撤去できますけれども、非常に数が多いというような場合に一々それをやるということは非常に煩瑣に過ぎるし、もともと明らかに条例違反のものでありますから、相当の期間を経過し、かつ、管理されずに放置されているというようなものにつきましては、しかもその拡大しました範囲もはり札、立看板で、その構造等も法律に具体的に書いてあります軽易な構造で簡単に取りつけられているもの、こういうものに限っておるわけでありまして、おっしゃるように違反を見つけたらすぐさま撤去できるというわけではないわけであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 おっしゃったような第七条の規定は私も承知をした上で言っておるわけです。だからたとえば第七条の「表示されてから相当の期間を経過し、」云々、あるいは「管理されずに放置されていることが明らかなもの」その他あるわけですけれども、これらの判断ですね。「相当の期間」というのは、いままでの答弁の中でほぼ一カ月という理解をしたが、そのとおりなのか。それから「管理されずに放置されていることが明らかなもの」、この判断はしかたによってはどんなにでも受け取れるわけですね。だから、権力者がいやなものはいつでもはがせる、こういうわけでしょう。その点、私どもは非常に心配しておる。  いま大臣がお留守なんでとても聞きにくいわけでありますけれども、それよりも、広場とか空港とか、そういう非常に人が集まりやすい、また集まることがある意味で慣習化されているような場所についてこれが適用されてくると、言論なり表現の自由が非常に制限をされてくると思わざるを得ないわけですね。先般の委員会でわが党の中村委員から質問がありまして、結果的に大臣から電柱は除くということになりました。非常にいいことだと思うのです。最近は特に、今回の改正に入っておりますたれ札、はり札ですね、ある意味ではいままでのようにべたべた張りつけておるよりも、ベニヤ板を使って要領よく、しかも撤去も非常に安易、こういうものはむしろ奨励すべきではないかと思うのですよ。逆にこれを制限をされる、気に入らなければ除却できる、こういう形なんですね。  この際ちょっと明確にしておきたいと思うわけでありますが、最近は商品投機その他がありまして、ベニヤ板等の値段がずいぶん上がりました。これは一つの私有財産ですね。そうすると、知事もしくはその代理のものが、先ほど言われました七条の手続を経まして除却ができる、こういう形になるわけでありますが、そういたしますと、何回も使おう、最近高くなっておりますし、良質なものがふえてきておる。それを簡単な手続で除却ができる。私有財産権の侵害にならないかと思うわけであります。この点、いかがですか。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 最初の御質問である「相当の期間」とは一カ月と考えてよいかということでありますが、この種の広告物の許可期限が普通定められておりまして、通常一カ月程度になっておりますから、長ければそのくらいの期間と思います。しかしながら、表示内容等から見まして、すでにその期間を過ぎている、有効期間といいますか、表示の目的たる期間を過ぎておるようなものがあれば、それは張り出されてから一カ月もたっていなくても、広告の目的を達成しておりますから、そういうもの等は、個々に具体的に判断いたしまして、必ずしも一カ月でなくてもいい、こういう解釈であります。  次に、除却をしてしまって、財産権侵害にならないかということであります。確かにはり札、立看板ということになりますと、ベニヤ板とか、簡単な板あるいは木組みに張りつけている程度のものではありますが、はり紙なんかとは違いまして、やはり一つの財産物と見なければなるまい、こう考えます。これにつきましては、都道府県知事が除却しましたはり札、立看板は、まず一たん保管いたしまして、保管後、遅滞なく管理者に知らせ、受け取りに来てもらう。受け取る意思がないということであれば、通常のものはそこで処分してしまいますが、高価なものがもしあれば、これは警察に届けて、準遺失物として六カ月間保管するということになろうかと思います。通常は、通知いたしまして、没収するわけではありませんので、相手方の意向により処理する、こういうことになります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 いまの答弁のうち、二つ問題点が出てきたと思います。一つは、いわゆる「相当の期間」というのは一カ月になる場合もならない場合もある。それは具体的には期間が過ぎたものという表現がありました。つまりポスターあるいははり札の中身まで見て、そして除却するかどうかということをきめるわけですか。中身について吟味をするのか。これが第一です。  二つ目には、そうするといまあなたがおっしゃった説明は、ベニヤ板その他はほぼ遺失物と同じような扱いになるかと思うのですね。一たん集めて保管をしておいて、確認はしますよ。そうすると、たとえばベニヤ板を一たん集めて、そして管理者に通知をして、取りにこなければ遺失物と同じように警察へ届け出る、こういう形なんですか。これは再度明確にしてもらいたいと思います。いまあなたが言われたこと、二つともどこに書いてあるのか、これも教えていただきたいと思うのです。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 最初、通常、特段のことがなければ一カ月ぐらいという期間を考えていますが、広告物の有効期間が過ぎているようなものはそれ以前でもいいと考えておると申しましたが、これは、バーゲンセール何月何日までとか、そういうことが一目で目につくように書いてある場合が多いわけでありまして、その期間が過ぎても放置されている例も多いわけでありますので、そういう意味で申し上げたわけであります。その中身まで許可の審査の対象にするといった意味ではありません。  それからもう一つ、遺失物と同じか、こういう御質問でございます。遺失物法の十二条に「準遺失物」という規定がございまして、これは遺失物そのものではないのですけれども、他人の放置したる物件ということで遺失物に準じたような扱いがその法律に書いてありますが、この法律による場合には、警察に届け出て、警察が六カ月間保管するということであります。それで、先ほども申し上げましたが、このはり札、立看板を除却したあとの措置としては、はり紙のようにすぐ廃棄するというようなことはしないで、一たん保管してこれは相手方がわかっている場合でありますから相手方に連絡して、取りに来てもらう。取りに来てもらえると思いますが、もし、もう要らない、かってに処分してくれということであればそこで処分することになりますし、もう少し待って、その期間を少し延ばして取りに行くということであれば、その間待つということになるでしょう。いずれにしても高価なものは警察に届けて、いま申した遺失物法による準遺失物としての扱いになると思いますが、その他のものは、相手方の意思によりまして廃棄するなりお返しするなり、こういうことになると思います。以上の点は、この法律には直接規定がございませんで、解釈として考えておるわけであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 大臣がお見えになりましたが、もう一つだけ明確にしておきたいと思うのです。というのは、法律とそれから標準条例との関係です。これは前回の委員会でも問題になりました。たとえば屋外広告物法の第四条で具体的になっておるわけでありますが、それと標準条例を比べてみますと、当然標準条例というのはこまかくなることはわかりますけれども、無数にふえておるわけですね、大げさにいえば。この間も問題になりました電柱一つとってみてもずいぶんいろいろある。先ほど申し上げました空港であるとかあるいは広場であるとかその付近であるとか、こういったものも法にはないのですね。たしかなかったと思うのです。標準条例の第四条あるいは第五条を見ますと、もうずいぶん法にないところが無数にふえてきておるわけですね。それの根拠についても聞きました。これは第四条のあとのほうの「前各号に掲げるものの外、」云々ということで全部入れておられるということでありましたけれども、しかし、あまり拡大解釈をして標準条例に入れるということは私は問題だと思う。この点、再度明確にしていただきたいと思うのです。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 標準条例案はもちろん法律の範囲内で、いわば法律をさらに具体化しふえんする。法律が例示的に書いて、その他知事が、県が特に定める場所とか物とかいうことを受けて、はっきりとこれこれというふうに書き並べる性格のものであります。前回も御答弁申し上げましたように、標準条例案というものは何も法律の当初から私ども非常に積極的に都道府県の事務をリードしようということでつくったわけではなくて、法制定後相当期間経過し、各府県の条例もほぼ出そろっておった段階で、一方では条例によっていかに地方にまかせた規制とはいえ、この広域化社会の時代に、あるいは高速交通の発達している時代に、あるいは国際的な空港などのふえてきている時代に、あまりにも各県開きがあり過ぎるような規制でも困るのではないかという要請もまた一方にありまして、その辺を勘案しまして、ある程度標準的なものとして参考にお示しできれば、まあ文字どおり参考にしやすいのではないか。それを通じてあまり極端な開きというものがなくなることも徐々には期待できる、こういう意味で標準条例案をつくったわけであります。その場合に、すでにもう多くの条例が各府県等でできておるわけでございますので、これを広く見渡しまして、その多くの府県が採用したところを採用いたしまして、それと違う府県は必要に応じて参考にしてください、こういう形でつくり上げたのが基本的な考え方であります。したがいまして、御指摘のような非常にたくさんの項目も、現実に都道府県の条例においてすでに定められておったものが大部分であります。  なお、広場、空港なども法律にないということで、御指摘のとおりでありますが、たとえば広場につきましては、法律に「公園、緑地」等の例があがっておりまして、そういうものにかなり類する機能もあるではないかという考え方でありますし、空港なども、交通施設としての「道路、鉄道」等もありますことから、類似した機能の公共施設というようなことも考えられるというわけでありまして、しいて拡大解釈したものとは私ども考えていない次第であります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 都市局長とやりとりをいたしましてもどうも前に進みませんので、建設大臣にお伺いしたいと思うのですが、大臣、こういうことになると思うのです。  表現の自由からすれば、これは基本的に守られなければならないけれども、公共の福祉という観点から制限せざるを得ない、こういうことだと思うのです。具体的に私があなたがお見えになるまで聞いておりましたのは、法にはないわけでありますけれども、標準条例の中で広場であるとかあるいはその付近は知事の許可区域、許可場所とするということがあるわけですね。ところが、具体的に申し上げたわけでありますが、都市の中における広場というのは、都市局長も言いますように遊戯をしたりいろいろなこともありましょうけれども、重大な機能として集会の場所でもある。きのうの明治公園も同じことでありますけれども、広場がある。これは最も大衆の集まりやすい場所で、しかも、一つの思想を表現しようとすれば、ほんとうにかっこうの場所ということになるわけですね。   〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 その広場やあるいはその付近となっておるわけであります。これもどこまでが付近かということになりますと非常にむずかしゅうございますけれども、いずれにいたしましてもそういったところは許可区域としないほうがいいのじゃないか。むしろこういうところこそ表現の自由を確保するために国が努力すべきじゃないかというふうにすら考えられるわけです。これは実は法にはないわけなんです。いま答弁がありましたように、標準条例でもってわざわざ広場なりあるいは空港なり港湾なりというところを追加しておるわけです。したがって、私は少なくとも広場は標準条例からはずしたらどうか。この前電柱の問題では大臣から非常に前向きな答弁をいただいたわけでありますけれども、たとえば、具体的に申し上げたわけでありますが、東京の明治公園あるいは大阪の中之島公園といった集まりやすいところまで標準条例でもって制限をする。しかもこれは法にはない。いまの都市局長の答弁はかなり無理があるわけでありますけれども、私はせめてこういうところはむしろ積極的に表現の自由を認めていくべきではないかと思うわけです。この点で大臣のお考えを聞きたいと思うのです。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○金丸国務大臣 表現の自由ということが守られなければならぬことは当然でありますし、先ほど来からお話がありますが、美観という問題も維持しなければならない。そこに調和ある行政が行なわれなければならないと思うわけでございます。いま一、二を限ってのお話がありますので、そういう問題につきましては十分ひとつ検討さしていただきたいと思うわけでございますが、条例の関係でございますから十分検討してみたいと思います。

森井忠良日本社会党

○森井委員 法には公園は一応許可区域もしくは禁止区域になっているわけですね。ところが考えてみますと、先ほどもちょっと答弁がありましたが、公共広場というふうなものがあるわけですね。たとえばよく集会が持たれる県庁前広場でありますとか、こういったところもあるわけでありますが、いま都市の中で屋外で集会を持とうとすればそういう場所しかなくなっているわけですね。それだけどこの都市ももうすでに過密化しておると言ってもいいでしょう。東京のごときはなおさらその典型的な例でありますが、集会を持とうとすれば唯一の場所だと言えると思うのです。そうしますと、そういうところくらいはせめて表現の自由を認めなければ、一体どこへポスターやステッカーや、はり札を張ることができるのか。しかも先ほど言いましたように、テレビやラジオを通じ新聞を通じてするというふうな手段を持たない普通の国民でしたら、大衆はとにかく手っとり早くせいぜいベニヤ板でたれ札をつくったり立看板をつくったりするしかないわけです。しかも無数にという意味ではなくて、人のほんとうに集まりやすい場所だけは認めていいんじゃないか。現にいままで全国、あれだけ各地で集会が持たれておりますけれども、いままでは一向、どう言いますか不便を受けていない。今度はそこの知事がかってに——かってにという表現は悪うございますけれども、一定の制約はありますけれども、とにかく除却ができるような形にしてある。しかも、先ほど言いましたように、法では広場とかその付近とかいうことは書いてないわけです。都市局長は先ほどああいうふうなことばを使いましたけれども考えてみると、空港とか港湾とかあるいは広場とかいうのは、当然問題として法に入れてもいいような大きな場所なんです。それをぼかしておいてあえて標準条例で——これは私どもが要求したからあなた方お出しになったと思うのですよ、調べればわかることですけれども、こまかく空港とか広場とかあるいはその付近というふうな、非常にあいまいな解釈ができるような場所まで標準条例に入れてあるわけです。私ども率直にいって今回の改正案に強く抵抗を感じますが、何といいましても表現の自由が侵されるのではないか。都市の美観ということも確かに公共の福祉という面からは重大な問題ですけれども、それよりもなお大事な表現、思想、そういった自由というものを侵されるという点で私は非常に危惧しておるわけです。ぜひひとつ大臣の再考をお願いしたいのです。これは電柱と同じように、せめて広場だけははずすべきである。しかも、くどいようでありますけれども、法にはないのです。あえて標準条例でこういうふうな形で書かれておるというわけでありますから。再度大臣の御答弁をいただきたいと思います。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○金丸国務大臣 ただいまの先生のお話を承りまして、私も、この法律が言論、表現の自由を抑圧するということになっては困るということ、事務当局からこの法案を提出するにつきまして説明を受けながら、その考え方が一方にあったわけでございまして、考え方は先生と私は一つであります^そういう意味で、言論というもの、表現というものを抑圧しないという意味で、規制、規制ということで表現をすることがどこにもでき得ないようなことになってもこれもまことにあじけない世の中になるだろう。またそれで訴えなければならないという立場の人もおるということも、これも考えなくてはならぬ。十分検討いたします。

森井忠良日本社会党

○森井委員 今度は具体的なことで聞きたいと思うのですが、たとえば「物価値上げ反対」、こういうふうなたれ札があるといたします。これは現に町にたくさんはんらんしておるわけでありますが、第一種住宅地域——物価ということになりますと、何といいましても家庭の奥さんが訴える最大の目標になるわけであります。先ほど申し上げましたように住宅地域に張りたい、これが第一例です。それから第二例は、都議選の関係で申し上げたいと思うわけでありますが、「東京に青い空を」とか、いろいろありました。自民党さんの場合は「東京ふるさと計画」というのがありました。いろいろな形でポスターが、都議選が始まる相当前から町々にはんらん——はんらんということばは悪うございますが、要するに東京都を住みよくするための各党からのポスター、ステッカーの類が、もちろんこれは繁華街にもありましたけれども、閑静な、先ほど申し上げましたような第一種住宅地域のようなところにも張ってありました。これが第二例です。第三例は、わが党を引き合いで恐縮でありますが、「成田委員長来たる」、これはほかの党にもあったと思うのでありますが、特に立札として町々に張ってありました。これらは外見上は規則正しくと申しますか、私はそう見苦しくなかったろうと思うのです。もちろん数がふえましたからあれですけれども、また考え方によっては、都民はその程度の訴えは当然聞いて、最後に投票の判断をするという形で、そういう意味では大事な資料の提供でもあったようにも思うわけです。  いまこういった一、二、三の例をあげましたけれども、これは今回の屋外広告物法の改正案あるいは現行の改正をされない部分についても、適用をしていただいて一体どういう扱いになるのか。いけないのか、いいのか、具体的にお答えを願いたいと思います。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 いろいろな具体例をあげられまして、広告物と第一種住居専用地域との適用の関係の御質問と思います。標準条例案では、一種住専の地域は、その中で特に知事が指定する区域を除きましてすべての広告物を禁止することができる地域というふうにいたしております。禁止を除いた地区につきましては許可が要る地域というふうにいたしております。  これは、一種住専というのが、低層住宅にかかる良好な住居環境を保護するために特に定める都市計画の地域でありまして、そのために、個人の土地でありながら、建蔽率も最低十分の三までの範囲で一般の地域よりも低く制限することもできる、容積率なども他の地域よりも相当低く押える、それから高さも十メートルまでしかいけないというような、非常にきびしい、いわば財産権の制約を課しておる。そういうことによって低層住宅にかかる良好な住居環境を保持しようということで行なっている地域でありまして、広告物につきましてもそういった地域ではできるだけ表示されないということが望ましい。しかし、すべてを禁止というわけにもいかないので、個々の禁止地域の判断につきましては都道府県にゆだねる、こういうことになっております。

森井忠良日本社会党

○森井委員 大臣、お聞きのように、第一種住宅地域等には何も張れないんですね。先般の委員会でもどなたかから出ておりましたが、そうすると、われわれ国会議員をはじめとして、おそらく屋外広告物法に違反していない者はいないだろうという話がありました。しかし現実の問題としては張らなければならぬし、張られておるわけですよ。その意味では法の権威を失墜をしておるわけです。具体的な条例という形になりますけれども、非常に私は危険だと思う。先ほど都市局長の答弁、閑静な地域だからということですが、法では都市の美観風致、——危険はないですね、立札で要領のいいものでしたら。そういう意味で具体例を申し上げたわけですけれども、危険はないと思う。問題は美観風致の問題だと思うわけです。一切そこでは立札や立看板やはり札等はできないということなんですか。一言でいいですから答えてください。あなたは答弁が長過ぎるから、一言でいいです。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 知事が定めたことはできないし、それ以外のことは許可を得なければいけない、こういうことになっております。

森井忠良日本社会党

○森井委員 ちゃんとここに書いてあるわけです。「禁止し、又は制限することができる。」となっておるわけですね。先ほど申し上げましたように、第一種住宅地域とはっきり入っているわけです。おそらくこれは、制限ということはちょっと考えられませんから、禁止になるんでしょう。この場合、制限ですか、禁止ですか。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 法律で「制限」といっているのは、許可を要するという形の制限、こういうことを主としていっておるわけであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 いまの答弁はよくわからないけれども、とにかくいえることは、そこでは表現の自由が極度に制限をされておる。何とかバーゲンという話がちょっとありましたけれども、それといま、時の問題として、たとえば「物価値上げ反対」であるとか、あるいは先ほど例にあげました「アメリカのベトナム侵略戦争反対」であるとか、訴えることはたくさんあると思うわけであります。あるいは「東京ふるさと計画を実現しよう」であるとか、いろいろあると思いますけれども、これについて禁止もしくは制限をつけるということは、私はやはりこの法そのものが、冒頭に申し上げましたように、公共の福祉ということを強調し過ぎるあまり、行き過ぎであると思うわけです。この点、法制局の見解を聞きたいと思うのです。第一種住宅地域に限って、つまり閑静な場所でいま申し上げましたステッカーなりポスターなりを張った場合です。

林信一内閣法制局第二部長

○林(信一)政府委員 お答え申し上げます。  現行の屋外広告物法の第四条第一項の「禁止し、又は制限することができる。」こうございますのは、「禁止」はこの条文の上では絶対禁止であり、「制限」は許可制を予定したものであろうという点はただいまの都市局長のお答えのとおりであろうと存じます。これは森井委員十分御承知と存じますが、この法律は直接この法律で規制するというのではございませんで、条例にまかしてあるわけでございます。条例制定の際の基準といたしまして、全国あまりに不統一になってもいかがなものであろうかというので、昔の法律と違いまして、条例の基準法として制定されているのが現行法でございます。   〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、具体的に第一種住居専用地区においていかなる屋外広告物がいかなる規制を受けるかということは、すべてこれ条例にまかされておるわけでございますが、その条例はこの屋外広告物法の基準に従うべきものであるという仕組みになっております。  ところで、ある都道府県におきまして条例を制定するに際しまして、第一種住専におきましてある広告物を絶対に禁止するか、あるいは許可制にするかということは、これは条例の選択にまかされております。そこで、先ほどたびたび申し上げましたように、表現の自由と公共の福祉とのかね合いの問題でございます。これは表現する側の自由ということもございますし、あるいはその表現を受ける受け身の立場からの自由と申しますか、という問題もございましょう。また広告物の内容によって規制を分けるということも、これもいかがなものであろうか。かえって内容を審査しなければならぬ。たとえば、プロレスの広告はいけないけれども物価値上げ反対の広告はよろしいというふうに分けるわけにもまいりませんし、これらはすべて条例にまかされておりますが、法律の立場からは、少なくとも第一種住専地区におきまして屋外広告物が絶対禁止される条例を制定し得るという制度になっている、これは間違いございません。

森井忠良日本社会党

○森井委員 条例にまかされると言われますけれども、いま私が申し上げておるのは法律ですよ。ちゃんとこの法律で、具体的には第四条の中で制限もしくは禁止する区域として、第一種住宅地域、第二種住宅地域というのが入っているわけですね。先ほど申し上げましたとおり一律禁止もしくは制限、このことを書いているわけです。条例にまかす、まかさないではなくて。そういうふうに一律にそれはおそらく、具体的に申し上げますと「第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、」これだけもう全国一網にするような制限のしかたなんですね。法律では個々にこの場所という形ではない。とにかく先ほど申し上げましたような住宅地域については法律で——もちろんそれは「制限することができる。」という形にはしてありますけれども、法そのものに問題があるのじゃないか。時間の関係でこの点については法制局から……。  それからもう一つは、特に大臣にお伺いしたいわけでありますが、先ほど申し上げました、また住宅地域で申し上げますと、たとえば何とかバーゲンとかいうふうなもの、要するに完全な営利を目的とするものと、いまこの物価をどう下げていくかというふうな表現をするもの、つまり完全な思想性を持ってそれを訴えていくようなもの、逆にいえば営利を目的としない純然たる思想の表現等に当たるもの、これとを同列に、しかも具体例としては先ほど申し上げましたように住宅地域ということに限っていま質問をしておるわけですが、何もかも一緒に制限するということについては私はどうしても納得ができないわけであります。ですから、せめて大臣、先ほど申し上げました営利を目的とするものとそうでないものとだけ分けて、それで憲法に保障された思想、表現の自由等に当たるものについては認めていくべきではないかというふうに考えるわけです。この点の大臣のお考えを聞きたいと思うのです。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○金丸国務大臣 風致景観の維持という問題でこの法案を提案いたしておるわけでございまして、そういうことでございますから、営業的であるとか非営業的であるとかいう区別をするということもなかなか困難な面もあろうと思いますし、またいま先生のおっしゃるように判然としたものもあろうと思うわけでございますが、ただ私は、こういうことをこういう場で申し上げてどうかと思うのですが、愛国党が電信柱やどこへでもべたべた、全然はぐようなことができないものを張りつけて、それを期限がくればはげばいいのですが、はげなくて、雨に打たれて町にさらされておるというような姿を見て、はたしてこれが美観が維持されておるかということにつきましては非常に私は疑義を持つわけでございます。先生のおっしゃることもわからぬわけじゃない。言論、表現の自由という立場から、できることならばそういうこともしてやるべきだという感じはいたすのですが、その区別というところになかなか困難な問題点があるのじゃないかという感じが私はいたすわけでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 愛国党の例が出ましたけれども、私はこの法律はやはりもろ刃の剣だと思うのですよ。たとえば、気に入らね言い方でありますが、「田中内閣打倒」とあれは書いてありました。たまたま愛国党がやりましたけれども、革新陣営からもやはり「田中内閣打倒」というのはあり得るわけですね、これは当然主義主張が違うわけですから。もろ刃の剣であるという点を私は非常に危惧するわけです。  法制局、先ほどの答弁をいただくことと、最後ですが、軽犯罪法第四条では「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」こういう項目が入っておるわけですね。先ほど申し上げましたように、考えてみますと、表現、思想の自由というのは非常に重大な権利でありますから、できるだけ押えないほうがいいという観点からすれば、せめてこの軽犯罪法第四条の規定くらいは屋外広告物法にもやはり盛られてしかるべきだ、こういうように考えるが、法制局の考え方を聞きたいと思います。

林信一内閣法制局第二部長

○林(信一)政府委員 御指摘のような規定が軽犯罪法にございますことはそのとおりでございまして、これは昔の警察犯処罰令からいまの軽犯罪法になったわけでございますが、現行の軽犯罪法をつくるにあたりましては、とにかく非常に理解しやすいように、わかりやすいようにということで、用語その他につきましても従来の書き方と相当違った書き方をされております。これはこの当時の考え方として当然こういう規定が入ったのだと思いますが、屋外広告物法に同じ規定を入れていけないということはもちろんありませんけれども、たびたび申し上げましたように、表現の自由は憲法上非常に重要なものである、国民の権利であるということは何人も疑いのないところでございまして、それを規定しなければ乱用されるようでは実は困るわけでございます。法技術的にそれは書けないということはもちろんございません。書くのが適当かどうかというのは、私どもの判断よりも、これはむしろ政策的な判断であろうと存じます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 もう一つ、一律に住宅専用地域を制限もしくは禁止をするという項目についての見解を聞きたい。

林信一内閣法制局第二部長

○林(信一)政府委員 これは屋外広告物法の第四条第一項の柱書きのほうにございますように「都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、」これこれを「禁止し、又は制限することができる。」こうございますので、まずこれは都道府県の専管事項である。それが条例という形式で規制されるものである。さらに「美観風致を維持するために必要があると認めるときは、」こうございまして、その必要性の判断、これはまさに先ほどの公共の福祉上の要請と表現の自由とのかね合いをここで判断しなければならない、まあ議会にまかされている事項であるというふうに存じます。したがいまして、法律自体が必ずこうしなさいといっておるわけではございませんで、その点は法律の準則に従って地方議会が判断されることである、そういう意味で申し上げたわけでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 どうも私の見解とかなり違いますのでらちがあきませんから、次の質問に入りたいと思います。  今回の改正のもう一つの眼目、つまり屋外広告物業者の講習会の問題についてだけお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。  私が思い起こすのは、たとえば全国の理容師、美容師の業者にいわゆる管理理美容師を置かなければならないという法改正がございまして、全国的に大混乱を起こしたのを思い出すわけであります。今回の場合でも、講習会出席を義務づけるという形でありますけれども、しかもこれは各県がそれぞれ一定の受講料を取ってやるということでありますけれども、きちっとできるかどうか、私はたいへんな問題があると思うわけです。第一、屋外広告業を営む者は、建設省の調査でもおわかりのように、たとえば一人から五人くらいの従業員しか擁してない小さい業者が六一・七%ある。あるいは資本金について見ても、百万円以下の、言うなれば零細業者、これが全体の七四・九%になっているわけですね。これは建設省の資料です。一人親方もずいぶんあると思うのですよ。せいぜい奥さんが手伝いをするというふうな零細な業者もある。一律に講習会を義務づける、あるいはその店舗に講習会を修了した者をどうしても置かなければならないというような義務づけ、こうなってきますと、かなり無理があるのじゃないか。わずかに二日か三日ですといっても、やはり講習会といっても形式的にただ出席しておればいいということじゃないと思うし、もちろん勉強もしなければならぬでしょうし、十八時間なり二十時間という時間もあるわけですから、かなり出席にも無理があるし、何よりも職業選択の自由、憲法二十二条でしたか、職業選択の自由からも問題がある。講習会を終えておらなければ屋外広告を業とすることができない、こういう形になるわけです。しかも講習会というのは、あとで御説明いただきたいと思いますが、年に一回あるのか。たとえば年に一回だとすれば、今回の講習を受けなかったらもう来年まで、屋外広告業をしようとしてもできないわけでしょう。なぜなら、講習会修了の免状といいますか修了証書といいますか、それを持っておらなければ屋外広告業が営めないわけですから。そうしますと、これは職業選択の自由とも重大な関連があると思うわけです。この点、建設省並びに法制局、それぞれから御答弁をいただきたい。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 まず、この講習会修了者等の設置につきましても、他の条文と同様、都道府県の判断により条例で定めるということでありまして、その根拠を本法に置いたということであります。   〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 御指摘のように出席にも無理があるとおっしゃいますが、私ども、十八時間、三種類くらいの講義期間を置くということも考えておるわけでありまして、営業所ごとにだれか一人おればいいということでありますので、職業選択の自由というものを不当に侵すものとは考えません。  なお、年に一回くらいしかやらないのでは次の年まで営業できないのではないか、こういうことでありますが、これにつきましては、講習会修了者がおらなくても一応営業できるわけでありまして、その設置を義務づけた条例のある県におきましては、その場合に本法の九条第二項によりまして、「期間を定めて、講習会修了者を置くべきことを命ずることができる。」ということになり、この「期間」としては、当然次の講習会が終わって、その後手続に要する期間というものを含めまして設置を命ずるということになりますから、年に一回であっても支障がないと考えます。

林信一内閣法制局第二部長

○林(信一)政府委員 お答えいたします。  今回のこの第九条の改正が職業の自由にかかわりがあるではないかという点はまことにお尋ねのとおりでございまして、われわれも審査にあたってその点に十分配慮したつもりでございます。憲法の二十二条第一項は「何人も、公共の福祉に反しない限り、」と特にうたってございますように、公共の福祉上の要請があれば、やはりある程度の職業選択の自由が制限されてもこれはやむを得ないということでございます。  第九条は、地方の実情に応じて条例で定めるという形をとっております。   〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 従来の経緯、経験等にかんがみまして、建設省がこの程度の制限はやむを得ないとお考えになったその御判断、都市局長が申されました事柄につきまして、われわれもそれを理解いたしまして御提案申し上げたということでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 都市局長、ちょっとよくわからないのです。速記を見ればわかると思うが、講習会を修了しない者がいてもいいのですか、これは。条文を見ると、今回の改正案で、必ず講習会修了者を置かなければならないということを都道府県知事は条例できめることができる、こういうことになるのだろうと思うのですけれども、法律では明らかにこれは講習会の修了者を置かなければ営業ができない、こういうように私は理解をしておるわけです。あなたは、ちょっと答弁がわからなかったけれども、講習会を修了しなくても営業ができるというふうにちょっと聞き取れたので、その点明らかにしてもらいたいと思うのです。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 この届け出の規定、これは登録などと違いまして、そのもの自体では何らの資格要件なしに、ただ届け出ればいいわけであります。  それから講習会修了者設置義務の規定は、これは届け出とは直接関係なく、別個に条例で規定することができるという立て方になっておりまして、講習会の修了者がおらなくても、その法律上の是正措置としてはその二項にあります、「置くべきことを命ずる」わけでありまして、それについては、次の講習会が終わるまでの期間は当然置くということでありますから、その間は営業できるというわけであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 もう一ぺん確認をしておかなければこれはたいへんなことになると思うのですが、第九条では、前のほうは略しますが、「都道府県の行なう講習会の課程を修了した者(以下「講習会修了者」という。)が置かれていなければならないものとすることができる。」、「することができる。」というのは条例の問題があるからこう書いてあるわけでありまして、法では必ず置かなければならない、こういう形になっているわけですね。忙しくて講習会に出席できない、あるいはきょうから営業するけれども講習会は一年後だというふうな場合の措置についてはあとの項で書いてありますね。もし行かなかったらどうなるのですか。いまは講習会を修了していない、だから講習会を受けるように命ずることができる、こうなっておりますね。最終的には置かなければならないのでしょう。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、最終的には置かなければなりません。(「経過措置だけだ」と呼ぶ者あり)

森井忠良日本社会党

○森井委員 いま声がありましたが、経過措置があるだけで、私はきわめて問題だと思う。特に奥さんと御本人と二人ぐらいでやっておられる看板屋さんもあるわけですね。先ほど申し上げましたようなことで、資料から見てもほんとうに零細な人が多い。それが二日なり三日なり、しかもこれは、県単位で申し上げますとおそらくせいぜい県庁の所在地でやられるでしょう。何せ業者の数が少ないわけでありますから、県下で何会場というわけにいかないじゃないか、一般の場合は。そうすると端から端までというと、広い県ではやはり何日も仕事を休んで講習会に参加をしなければならぬ。私、ことばは悪いですけれども、講習の中身はよくわかりませんが、あなた方が企画をしておられる講習の中身というのは、率直に申しますとそうたいしたものにならないのじゃないか。また受ける側も、それだけ特に法的な知識その他が一般的にあるわけじゃありませんから、講習会の中身で考えてみますときに、どういうことを企図しておられるのか知りませんが、私はやはり講習会はやめるべきじゃないかと思うのです。また事実できないと思う。とにかく非常に無理があると思うので、よしんばやられるなら十八時間というような形でなくて、ほんとうに形式的にその日一日だけで済むようにする等、うんと簡便なものにされる必要があると思うのです。この点、最後に大臣から所見をお聞きをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○金丸国務大臣 一つの経過措置としてやるべきだ、こういうことですから、その経過措置としては、その講習会の内容というものもえらいむずかしい内容であってはならない。順次広告業界の内容も充実していくということですから、講習会の程度も順次上げていくというようなことを考えるべきですが、最初から、やってみるけれども内容がうまくわからぬというような講習会であってはならぬ。参加者がまことに、こういうことばを使っていいかどうかわからぬが、幼稚な人が多いということも考えなくちゃならぬ。そういう意味で経過措置としてやるということでございますが、いまの十八時間というような時間の問題につきましては検討さしていただきたいと思います。

服部安司自由民主党

○服部委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 まず最初に伺いますが、本日は何時まで質問さしていただけましょうか。その時間によっては、とても常識的に考えて質問を終わるわけにいきませんので、次回の機会を持っていただきたいと思います。

服部安司自由民主党

○服部委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕

服部安司自由民主党

○服部委員長 速記を始めて。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いま委員長の声をかすかに漏れ承ったのですが、十二時三十分までということだそうです。そうするとあと十分しかございません。したがってこれでは質問できないことは常識的に明らかでございます。したがって、時間ぎりぎりまではもちろんやりますが、資料がこれだけございますので、別の機会を設けていただきたい、これをお約束願えますか。

服部安司自由民主党

○服部委員長 十分考慮いたします。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 それでは建設大臣に伺います。  本件の屋外広告物法に関連する問題は、結局表現の自由にかかわることであります。それは、大臣の御承知のとおり、表現の自由は憲法二十一条で、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障する。何らの留保なく定めてあります。そこで屋外広告物法の第一条を見ますと、美観風致と公衆の危害を防止するという二点になっておりますが、その前段の美観風致についての憲法上の根拠について伺いたい。——ちょっと待った。そういう重大な問題は当然大臣が答えるべきです。こういう重大な根本的な問題について大臣が答えられないとは一体何だ。委員長、大臣に答弁させてください。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○金丸国務大臣 言論の自由、表現の自由、この問題と今回の提案いたしております屋外広告物の法案でございますが、美観風致という問題あるいは危害を国民に及ぼすことを除去するというようなこと、そういう意味で調和のとれたという考え方、もちろん言論の自由というものあるいは表現の自由というものは十分に認められなければならぬと思うのですが、その中でも節度あり、あるいは調和あるものがあってしかるべきだ、私はこう考えます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いまの金丸建設大臣のお答えは全く憲法上の答えになっておらない。二十一条の表現の自由というものは条文上は絶対的に制限されており、憲法の法学上、基本的人権相互間の矛盾がある場合に一定の範囲で制限されるということでありますから、その制限する他の基本的人権に該当する憲法上の根拠は何かと聞いておるのに、それが答えられないとは一体どういうわけか。美観風致が憲法上どの条文に基づいて基本的人権とされておるか、それを明確にお答え願いたい。

服部安司自由民主党

○服部委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

服部安司自由民主党

○服部委員長 速記を始めて。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 それでは、金丸建設大臣は大もの過ぎてちょっとお答えになれないようですから、局長がお答えになってもけっこうです。——しかし大臣、こんなことぐらい答えられないでこんな法律を出したらいかぬですよ。

吉田泰夫建設省都市局長

○吉田(泰)政府委員 個々の条文等と別に、憲法の第十二条とかいう規定がありまして、「公共の福祉」ということを書いてありますが、美観風致というものは、そのもの直接は憲法上規定がありませんけれども、判例等に徴しましても、国民の文化的な生活を目ざすというのが憲法の全体を通じて流れておることでありまして、その一つの例をあげれば、第二十五条の「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する。」というものがこれに当たるわけであります。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 やっと憲法二十五条を思い出されたようですが、しかしこれに該当するとしても、憲法二十五条は「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する。」こう書いてあって、いみじくも局長がおっしゃったように、十二条を苦労して引っぱり出さなければならないほど、美観風致については憲法上の明白な規定はありません。したがって、憲法上明白な規定のある、奪うことのできない権利を、憲法上明白な規定のないものによって制限するという場合には慎重の上にも慎重でなければならないことは明らかであります。二十五条の「健康で文化的な最低限度の生活を營む權利」をいま引用されましたが、それについて言うならば、現在わが国においては公害、スモッグ、そしてごみ問題、あるいはバキュームカーがそこら辺をうろうろしておる、道路を掘り起こしておる、建物を建てるときに騒音が一ぱいある、緑が全然ない、というようなことで、健康で文化的な生活は至るところで脅かされ魚を食べることができないという状態が起こっておる。そういうことをほうっておいて、憲法上非常に根拠がある表現の自由について軽々に制限する。しかも、これから時間があれば聞きますが、標準広告物条例で法にも規定していないことを制限しているということはもってのほかであるということをまず最初に申し上げておきます。  そこで次の質問に入りますが、私の手元に「武器なきたたかい 戦後日本の政治と憲法」という京大の助教授の川口さんの著書があります。その六六ぺ−ジ以下にこういうことが載っておる。  「一九六六年の暮も押しつまった一二月二三日、私の家に一通のハガキが舞い込みました。差出人は当時の法務大臣」——T氏であります。名前も載っておりますが、同僚でございますから申しません。——「文面は、恒例の「新年の茶会」を延期したいということで、次のようなものです。「二十三年間にわたり、元旦を卜し、自宅内の格窓庵で茶会を催してきましたが、このたびわたくしは、法務省につとめることになり、このお正月は宮中参内や本省の新年行事のため、どうしても東京をはなれることができませんので、私のひまのできますまで延期させて下さい。仕事に差支のない時をえて必ずかえり、茶室でおめにかかれる日を楽しみにしています。御家庭の皆々様、御身ご大切に東京にこられたら、ぜひお立寄り下さい。決してかたくるしい役所ではありません。おきらくにおいで下さい。」」  こういうはがきを当時京都において九万枚ばらまいた。それは翌年一月の総選挙の前をねらってこれは法務大臣みずからが選挙の事前運動をしたのではないかということで、大きく報道された問題であります。当時、はがきは七円でした。印刷費を入れると少なくとも七十万円、百万円近くがかかっております。金のある者はこういうように茶会の案内だといって——この法務大臣の家はどれほど広壮な豪邸か知らぬが、九万人入るわけにいかぬ。一日三百人ずつ入ったとして三百日、一年かかるようなものをばらまいて自分の考えを表現することができる。これは金を持っておるからにほかなりません。  そこで、法務省の下僚に聞いて申しわけないですけれども、俵谷公安課長がおられますが、当時の新聞で御存じなら、それが選挙の事前運動に当たるのではないかということが大いに騒がれたことも御存じだと思います。こういうことは一般に私なら私、服部委員長がやってもいいのかどうかそれについて答弁してください。

俵谷利幸法務省刑事局公安課長

○俵谷説明員 お答えいたします。  そのただいま御指摘の案件につきましては、私内容をよく承知しておりませんので、この問題についてとやかくお答えすることは差し控えたいと思っております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 この法務大臣は、名前は申しませんが、二度、三度法務大臣をしておられます。したがって、直属の上司でありますから課長がなかなか答えにくいということもわかりますが、もし事前運動に明白に当たらないというのであれば胸を張ってお答えになるはずであります。それがそういうように答えているというのは、内心、違反になるんだが、相手が大臣だからここで答弁してはあとがうるさい、こういう心境であることはありありあらわれております。そこで、金を持っている者はそういうぐあいに表現の自由があるが、金のない者はビラを張ったりポスターを張ったりする以外にしかたがない。それを制限しようとしているものだということを申し上げて、これはまだ相撲でいえば序の口にしかすぎません。これから十両、それから幕内というように出てまいりますから、時間を十分与えていただきたい。私は約束を守ります。きょうはこれで終わります。

服部安司自由民主党

○服部委員長 次回は、明二十一日土曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会

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