建設委員会 第28号
- 発言数
- 162 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/07/18
会議録
○服部委員長 これより会議を開きます。 この際、請願取り下げの件についておはかりいたします。 本委員会に付託されております請願中、第九六三号、久留米市梅林寺前の道路拡張計画変更に関する請願について、七月十四日付をもって、紹介議員稲富稜人君から取り下げ願いが提出されております。 これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○服部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○服部委員長 次に、内閣提出、参議院送付、屋外広告物法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
○中村(茂)委員 それでは屋外広告物法のこの目的についてお聞きしますが、屋外広告物の表示されたその内容について規制されるものではない、こういうふうに理解するわけですけれども、そういう理解でいいのですか。
○吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、広告物の表示の内容そのものについては審査の対象にしない、そういう法律でございます。
○中村(茂)委員 そうすると、この五条の、途中からですけれども、「広告物及びこれを掲出する物件の形状、面積、色彩、意匠その他」というふうにあります。この「意匠」というのは、広告物そのものの中身の意匠というふうにこの法文ではとれますけれども、そうすると内容についても一応の規制をする、こういうふうになりますが、その五条の「意匠」というのはどういうふうに理解していいのですか。
○吉田(泰)政府委員 「意匠」というのは、広告物の外形上のデザインというものも入りますが、やはりその表示そのもののいわゆるデザインという範囲のものは入ると思います。 〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 これは、その限りでは内容にも入っているじゃないかということでございますが、先ほど私、内容に入らない法律であると申し上げましたのは、中における文章表現であるとか図画の表現であるとか、そういう意思の伝達という、広告のその本来的な内容、そういう意味で申し上げたわけでございまして、五条に書いている限りにおいて、その県の判断によって、ある一定のデザインのものは困るというような余地は残り得ることになっております。
○中村(茂)委員 最近の広告は、文字よりも意匠、デザイン、こういう内容が多く、一般の公衆に広告物としてのアピールができる、こういう傾向にあるわけです。しかも、こういうものの中身の表現、これを、文字であろうと、意匠、デザインであろうと、この広告物の法律の性格からして、制限をするということは、これは大きく言えば憲法二十一条の言論、表現の自由、こういう関連からして、特にこの広告物の掲示の問題については重視しなければならない内容を持っていると思うわけであります。したがって、第一条の目的である、内容についてはこの法律は触れるものではないのだ、この大原則からいけば、この五条の「意匠」の解釈について、いま言われたような解釈では私は納得できません。
○吉田(泰)政府委員 表現の自由の中核は、その意思表示の内容そのものであります。それで、この法律は、そういうものはあえて触れずに、設置する場所とか、あるいは設置する物件であるとか、あるいは外形的な形状とか寸法とか色彩とか、そういうものを禁止あるいは許可の対象にするということによりまして美観風致の維持という公共目的を達成しようとするものであります。意匠というものは、確かにおっしゃるように、厳密に言えば広告物そのものの形態という場合ももちろん含みますし、それ以外の、若干内容に当たる面もあるかもしれませんが、この法律に書いてありますものは、その意匠そのものが一般の公衆に対してどういった内容の意思であるかということ、そういう観点で考えるのではなくして、意匠のあり方によって美観風致という観点からはなはだ好ましくないというものもあり得るのではないか。もちろんそれは各県で判断されるわけですが、そういう意味でありまして、それによってその表示する表示者の意思そのものが制約されるとは考えておらない次第でございます。
○中村(茂)委員 苦しい答弁ですけれども、いずれにしてもこれは条例を定めて、条例でやるわけでありますし、それを皆さんが指導するわけであります。これは、一条の精神というのは、あくまでも内容については制限を加えておるものでもないし、中身について取り扱っておる法律ではないわけであります。あくまでも、どういう地域に、どういう場所に、何に表示することができるか、できないか、こういう法律の内容でありますから、その中身についてここのところで明らかに——意匠という問題については特に最近の広告の内容からして触れてくる問題であります。その上に色彩という問題があるわけです。だからあくまでも、ここで見ていくとこの意匠というのは中身にどうしても入らざるを得ない内容になっているわけですよ。だから、これからの条例のあり方ですね、それを運用するしかたとして、やはり法の一条の精神をこの五条の「意匠」によって曲げられないように十分指導していただきたい、こういうふうに思いますが、その点いかがですか。
○吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおりでありまして、この条文を拡大的に解釈して内容にわたるような規制をするというようなことは法律は全く考えていないわけでありますから、念を入れて十分指導をしたいと考えます。
○中村(茂)委員 この一条に関連してもう一つお聞きしますが、この法律は「条例の基準を定める」、こういうふうになっているわけでありますが、ここでいう基準というもの、それから皆さんのほうで標準条例案というのを出して指導しているという話を聞きますけれども、その中身についてひとつ明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
○吉田(泰)政府委員 この法律は、戦前の広告物行政のあり方が非常に中央集権的であり、地域地域に即した美観風致という点でむしろそぐわない点が多いのではないかというような反省の上に立ち、また風紀の維持とかなんとかという、広告物の内容そのものをも規制の対象としていた点を、新憲法の精神に照らし不適切なものと考えまして、戦後の昭和二十四年にすっかり様相を改めて新たに制定されたものでありまして、そういう意味で、法律では基本となる項目を掲げ、具体的な規制は、それを受けて、法律の規定の範囲内で条例で定める、こういう仕組みになっております。その場合、表現の自由と直接にからむきわめて重要な問題でありますので、各条例にゆだねることが基本的には必要だとしても、その限度というものを法律で明らかにして、その限度内で各県が必要と認める範囲のものを取り上げて具体的に規制するという必要があるだろう、こういう意味で、広告物法にはそのいわば最高限度ともいうべきことを書いてあるわけであります。つまり、どういった場所でという、場所的な制限がまずできるというようなこと、それから設置する物件についての制限ができるということ、それらについても例を掲げ、その限界をおおむね示している。そのほかに、先ほど言われた第五条で、広告そのものの規格、形状的なもの、こういったものも制限できる。それから今度は、違反に対する措置としてはこういうことができますというようなことを掲げてあるわけでありまして、その範囲内において各県が条例を制定しているという実情であります。 標準条例案というものは、制定当初はつくっておりませんで、個々の通達等によって意のあるところを伝える程度でありましたが、各県の規制内容があまりにもちぐはぐということもいかがなものであろうかという声もございましたし、特に、次第に社会生活が広域化される、あるいは新幹線とか高速道路等の、県にまたがるようなスピードのある交通機関が発達する、あるいは国際空港のようなものも出てくるというわけで、各県が法律の範囲内で定めるにしましても、おおむねこの辺のところがモデルになるのではないかという意味で、拘束力はない形でございますが、モデルとして示すという性格のものでございまして、昭和三十九年に、これをモデルとして必要ならば参考にされたいという形で通達したわけでございます。 その内容は、法律の個々の条文を受けまして、禁止地域とか、禁止物件とか、許可の対象になる地域であるとか、それからそういった各種規制の適用除外であるとか、それから広告物設置後の維持管理のあり方であるとか、許可の期間であるとか、許可内容の変更であるとか、許可基準であるとか、期限後除却する義務であるとか、一定の場合の許可の取り消し、除却命令、それから、これは法律にございませんが、慎重を期する意味で、いろいろな禁止場所とか許可基準というようなものをきめる際に、県に屋外広告物の審議会を設けて、そこに学識経験者等を入れた多人数の構成員によるその審議を尽くした結果を採用するようにという意味を兼ねまして、審議会の設置であるとか、手数料、罰則、こういった規定を網羅して書いているつもりでございます。
○中村(茂)委員 それじゃ一つ例をとって申し上げますが、電柱、これは常識的には二いろあります。電電公社の電話を通す電柱、それから電気を通す電柱、これは民間、一口に電柱というと二いろあると思いますけれども、その電柱について、皆さんのほうでいま言われた標準条例案においてはどういう取り扱い方になっているのですか。それと、この法律で一応基準としてどこのところにその電柱を該当させているのですか。ひとつ電柱を例にとって明らかにしてください。
○吉田(泰)政府委員 電柱につきましては、標準条例案では「禁止物件」、第四条というところに規定しておりまして、まず一般の広告物全体につきまして「電柱・街灯柱その他電柱の類で知事が指定するもの」、そこには広告物を掲出することを禁止することができるということで、この場合には電柱すべてではなくて、その中でも知事が指定するものということになっております。(中村(茂)委員「電柱はすべてではなくて、何ですか」と呼ぶ)まず一般的に広告物全体に対する条文として第四条第一項というのがありまして、そこでは「電柱、街灯柱その他電柱の類で知事が指定するもの」とありますから、知事が指定する電柱だけが禁止物件になるということでありますが、第二項でもって「電柱、街灯柱その他電柱の類には、」これはすべてのものについて、「はり紙、はり札又は立看板を表示してはならない。」こういうふうにしております。つまり、広告にはいろいろの種類がありますが、そのうちでもはり紙、はり札、立看板という種類の広告物は電柱には一切禁止することができる、こういう趣旨であります。 法律のほうは、これに対応する規定としては第四条第二項に「都道府県は、条例で定めるところにより、」「左の各号に掲げる物件に広告物を表示し、」云々の「ことを禁止し、又は制限することができる。」とありまして、ここで例示してありますものは「橋りよう」「街路樹、路傍樹」「銅像及び記念碑」とありまして、その次に「前各号に掲げるものの外、当該都道府県が特に指定する物件」こうあります。標準条例案による内容のものは、この法律の第四条二項第四号「前各号に掲げるものの外、特に指定する物件」というモデルとして書いてある、こういうわけであります。
○中村(茂)委員 先ほど、標準条例案というのは歴史的な経過からして当初は出さなかったけれども、それぞれの府県であまりにも凹凸があり、ばらばらになっては困るということが一つと、それからこれはあくまでも一つの限界を示したものだ、こういう二つの話がありました。このような標準条例案を皆さんが三十九年に出したときには、いま言われましたように、明らかにこの該当条文四条二項の一、二、三号の「橋りよう」以下の中には電柱ということは全然ないわけですね。四号の「当該都道府県が特に指定する物件」これに皆さんのほうで標準条例案などといって該当させて、これが標準ですよといって、知事のほうで、県で特に指定する物件としてあえて電柱というものを入れたということについては、これは行き過ぎじゃないか。条例案の行き過ぎではないか。例示にはっきりと一、二、三というふうにあるわけですよ。ここに電柱なんか全然ないわけですよ。それをこの条例案に入れている。しかも四号は知事がきめることでしょう。県がきめることでしょう。だから、これこれこういうものもあるけれども、この面については知事がきめなさいという条例案ならいい。そうじゃなくて、一号、二号、三号と同じような羅列になっていて、しかも、先ほどのお話ではポスター、はり札、立看板、こういうふうに張るものまで禁止しているということについては、皆さんのほうで出した標準条例案の行き過ぎではないか。法を忠実に守った条例の一つの案だと言うことは行き過ぎだ、こういうふうに私は理解するのですが、その辺のところについてもう少し解明していただきたい、こういうふうに思います。
○吉田(泰)政府委員 標準条例案は、先ほど申したように施行後かなりたちましてから、各県の実情その他運用上の実際を見まして、一つにはあまりにもばらばらではいかぬというようなことからつくったものでございます。そういう意味で、もとよりこれによるべしというような拘束的な指示は何らしておらないわけであります。それにしても、電柱等法律に明示されてないものを標準条例案にあえて記載した理由とかあるいはいきさつ、並びにどう考えても行き過ぎではないか、こういう御指摘でございますのでお答えしますが、標準条例案は、当時の各県の条例を広く見渡しまして、その中でも数多くの県がほぼ採用しているような内容のものを、各県の多数が採用していて建設省から見てもあえておかしいとも思わないような内容のものを拾いまして、それを基礎につくり上げたわけでございまして、全く白紙の状態で条例ができたのではない。当初の段階から建設省が積極的に標準条例案を出して指示したということではございません。そういうことで、簡単に申し上げれば、各県で電柱等を禁止物件にしておった例が多かったということが一つございます。 ところで、ではどうしてそんなことになったのか。電柱というものは、この法律に例示してあるような銅像、記念碑とか橋梁、街路樹、路傍樹といったようなものとは、禁止物件とするにはかなり感じが違う物件ではないかということでございます。確かに、電柱そのものを考えましたときに、銅像、記念碑のような、それ自体が美的観念、美的価値のあるものとはほど遠いわけでございますが、実際に広告物行政をやっております立場もあわせ考えますと、道路の両側に電柱が立っているということが非常に多いわけで、そういう意味で町を通る人の人目に非常につきやすい。しかも数多く列をなして立てられているわけでありますから、そこに広告物が表示されるということは、一面、見る人の数が非常に多いという意味で広告の効果が大きいのでありますが、他面、美観風致を害するという程度も、数の多さ、人目のつきやすさというところから格段に大きいわけでありまして、そういう点をいろいろ考慮して、各県においても電柱というものは美観風致の維持のための非常に重要な物件である、こういう判断からその種の規定が多かったのでございます。標準条例案に法律に書いたとおりのことを書くのでは、これはモデル条例の意味をなしません。法律でその他云々と書きましたことをより具体的にふえんするということが実際の条例には必要なわけでありますから、そういうものの主たる傾向をとらえまして、法律に書いてない——書いてないというのは、一般的に抽象的にしか書いてないものを具体化していくということは標準条例案としても必要なことではないか、こう考えておる次第でございます。
○中村(茂)委員 法律に書いてないことを書いておく、幅を広げていくのが標準条例案だという言い方については私は絶対納得できませんよ。何のために法律があるのです。法律の条項で一から三まできちっときまっているでしょう。四号は県がきめるんでしょう。都道府県がきめるんでしょう。都道府県がきめるものは自主的にきめればいいのですよ。それを、法律できまっている三号まであわせて、電柱まで幅を広げて法律の解釈をして、それで標準条例だということで出すということについては、これは行き過ぎだというふうにいわざるを得ません。法律の幅を解釈してどんどん広げていくのが標準条例だという言い方については私は絶対に納得できません。しかも、その条例については、どこの県がこういうふうになっているとか、こういう参考ならいいですよ。そういう場合なら私はあると思うのです。しかし、法律できまっている三号とあわせて四号の参考にさせるということについては、これは標準条例なんというものじゃなくて、あなたのほうのかってな、一方的な押しつけですよ。 その結果、どういう結果が出ているかといえば、具体的な例で申し上げますと、大阪の場合には、皆さんの標準条例に基づいて大阪府の屋外広告物条例の二条の三項に「ポスター、はり紙及び立看板を表示し、または掲出することができない。」それは「電柱およびこれに類するもの」、あと二、三とありますが、今度東京都の屋外広告物条例を見ると、電柱の問題については、法の五条の先ほど申し上げた位置とか、形状とか、色彩、こういうものについて、電柱である場合にはどういうふうにしなければならないかという規制であって、電柱にポスター、立看板等を張ってはならないという、大阪の条例の中にある条項は一つもありません。東京の条例が私はまさにこの法律に基づく精神をよくくみ取った条例になっているというふうに思うわけです。大阪のほうは皆さんのほうで出したその電柱も加えてなっている。 それから、先ほど言われましたが、電柱というのはずっと立っていますから、宣伝をし、広告物として張り出すには一番効果があるわけです。風致の面からいけばこれはまたいろいろ問題があるでしょう。しかし、きちっと張っておけばこれはそれほど問題じゃないでしょう。宣伝をするほうからいけば一番効果があるわけですよ。それを建設省の標準条例ということで、これは何といっても標準で出せば一律になりますからね。その県なりの自主性に基づいて、自分のところの条例で定めている、こういうことならそれは都道府県の自主性ですからあれですけれども、これを皆さんのほうの条例案に入れて、それで例を見ると、いま一つの例をあげたわけですけれども、大阪の場合には具体的に禁止条項になっている。東京都の場合にはなっていない。同じ法律に基づいて行なわれていく問題が、特に宣伝力の大きい電柱等について全国がこういうふうにばらばらになっているということについては、法のもとに平等であるべき姿というものが、特に宣伝力の大きい電柱についてこういう姿になっているということについては、これはもとをただせば、先ほど言いましたように、あなたのほうでこういう法律にないものを、都道府県が自主的にきめればいいものを標準条例の中に入れてしまったというところに一番の問題点があるのではないか、こういうふうに思うわけです。だからその標準条例をまず撤回して、本来の標準条例にしていただきたいと思うわけであります。
○吉田(泰)政府委員 標準条例案に法律に明らかに書いたことだけを書けばいいという御指摘かと思いますが、法律は、具体的な例示を掲げ、その他これに類するものとして知事が定めるものとか、そういった一般的な規定を置いておりますので、それの内容として、各県において実際には法律に例示したもの以外にも幾つかのものを掲げておるわけでございます。先ほど私申し上げたのは、標準条例案をつくりました時期において各県の条例の実態を見ましたところ、いまの大阪府をはじめ、電柱を禁止物件にしているという例が多いし、いろいろ経過を聞いてみましても、電柱にビラ、ポスターが非常に多数に張られ、しかも、許可されたものあるいは無許可のものを問わず、用済み後もなかなか撤去をされないで貼付されたままになっている。その結果は、破損したり、ちぎれて吹き飛びそうになったり、いろいろな弊害を生じているという、そういった経緯にかんがみまして、各県においても研究勘案の末、やはり電柱というものはわが県においては禁止をしよう、こういう結果が出ているものと思います。確かに東京におきましてはその種の規定がございませんので、電柱が禁止物件というふうに一がいに扱われていないという点は大阪府などとは違います。標準条例案とも違うわけでありますが、これはそもそも、最初に申し上げましたように、各県の判断において法律の範囲内でそれをどう具体化していくかということは、本来都道府県の固有事務として条例事項にまかせられているわけでありますから、そういった差が出るということもやむを得ないのではないか、こう考えます。 標準条例案は、こういったものは一切なく、法律の規定に従って各県でほんとうに自由に判断してもらいたいということもあったわけですが、やはり法施行後何年もたって、あまりにも違うということもいかがかという声も出まして、普通の国の事務を、こうあってもらいたいという規制力、拘束力を持った形で指導通達等はできないわけでありますが、モデルの条例案としてつくることにより各県で多くのところが採用しておるものを掲げるということを行ないまして、参考にしてもらえばけっこうだという趣旨であります。これが拘束的な意味を持つものでは決してないということは十分周知しているところであります。この機会に、御指摘のありました点につきましては再度よく検討さしていただきたいと思いますが、国の意思によって各県の自主性にまかせられるべきことをあえて強力に引っぱっていこうという、そういうような他意はないということだけは申し上げたいと存じます。
○中村(茂)委員 いまも言われているのですけれども、標準条例というのはあくまでも標準であって、それを、経過してきたら、ばらばらであった、そのばらばらのもの、電柱を入れているものを標準条例で入れるということは——何も法令には具体的にはないわけですから、それを標準条例に入れるということは、これはあくまでも全国に標準としてやれということでしょう。それはあなたのほうであくまでも参考、参考と言うけれども、受けるほうは、いままでばらばらであったら、ばらばらでいけないから、法文にもないから、電柱はやめるようにするということで入れなければ……。これは入れないほうが標準になるわけですよ。ところが、ばらばらで、入っているのを入れればそれが標準になるわけでしょう。そういう標準条例のつくり方は私はないと言うのです、法文からして。だから、きちっと標準条例を示すなら、これは「橋りよう」から始まって三号までははっきりと法文できまっていますね。「橋りよう」というのを電柱と見るのはだれもいないですね。四号に都道府県がきめるということになっているのだから、都道府県できめられるものについてはこれこれこうだ、これは全く皆さんの御判断ですということなら、これはそれに対してきめこまかく指導したということになるでしょう。しかし、そういうばらばらなものを三号までの「橋りよう」以下のものと合わせて——電柱というものが入れてあるところ、ないところがある。それを電柱だけ取り上げてそこに入れてきたということになれば、これはどう考えたってその標準条例のつくり方は標準じゃありませんよ。皆さんのほうの意図があったというふうに理解せざるを得ません。だから、この条例案についてはよく検討してみるということですけれども、そういう間違ったものについては撤回してもらう。明らかにしてください。
○吉田(泰)政府委員 この標準条例案を通達いたしました文章にも明示してあるわけでありますが「今回「屋外広告物標準条例案」を作成したので、屋外広告物行政の参考とされたい。なお、本条例案は、都道府県の実情を調査するとともに、屋外広告物の規制に関する今後の動向を考慮に加え、一般的標準試案として作成したものである。従って、各地方の特殊性、個別的情勢に応じ本条例案と異った規制を図ることは何ら差支えのないところである」こう明示してあります。そういう意味で先ほども御答弁申し上げたわけでありますが、それにしましても、法律に明示されてないことは文字どおり各県にまかせればいいじゃないかという御指摘でございます。法律に書いてないことで、各県の条例に詳細に事項を掲げ、ふえんしている項目はたくさんあるわけでございますので、その全体を見渡しまして、その詳しさ等から見ても、大体そのまま条例になる程度の詳しさのものを考えて標準条例案を作成したわけでありますが、中でもいまの電柱を一切、ビラ等につきまして禁止物件にしているという点が非常に問題じゃないかという御指摘でありますので、これを採用している県が数としては多いのでございますが、重ねての御指摘でありますので十分検討さしていただきたいと思います。
○中村(茂)委員 この条例違反をめぐってすでに裁判にかかっている問題が幾つかあります。それで裁判の結果判決が出た事件も幾つかありますが、無罪になったのがありますね。これは昭和四十一年二月二十日午前二時四十分ごろ、電柱にビラを張り出した事件で、昭和四十三年十月八日に牧方簡易裁判所の取り扱った事件ですけれども、この無罪判決は、いろいろ長くありますけれども、一番の無罪になった大きな理由というのは、先ほどもちょっと意見が出ていましたけれども、電柱というのは非常に宣伝力もあるし、そこへポスター等、ビラを張るということは、宣伝的にも、経費の面からしても安上がりで、非常に宣伝的な効果がある。これは憲法二十一条の、言論と表現の自由を基本的に認めている、この表言の自由という面からして、非常に効果的な基本的な問題だ。それを条例等によって一方的に禁止しているということになれば、その反面、十分表現の自由を確保できるような措置を公の場でするという代償がない限り、こういう一方的な、表現の自由を拘束するような、電柱へのビラ張りというものを一方的に制限するということについては間違いだ。憲法違反だ。だから無罪だ。一口に言えばそういう趣旨の無罪判決になっているわけであります。また一方、有罪の判決が出ているのもあります。 そこで、私は特にこの判例を引用したのは、やはり憲法二十一条でいっている言論、表現の自由というものは、こういうものを規制していく場合に十分考えなければいけない。それが特に電柱という問題に集中的にあらわれてきているとすれば、先ほどから言っておりますように、条文にもない、それぞれの県が自主的にきめる、それを皆さんのほうで、一律にするという意味ではない、参考だというふうに言いますけれども、一応条例の案にそういう重要な問題を載せて、これが標準条例案だぞ、参考にしてくれと出す行政のあり方、これは非常に問題があるのではないか、そういう意味でこれを引用しているわけであります。 それから、このビラ張りに関連してもう一つ問題になるというふうに思いますのは、軽犯罪法一条三十三号に、やはりこの条例について関連してくるビラ張りの問題が一応規制となっている条項があります。しかしこれは一応条件がこの条項にはあるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。それは別に長々と読みませんけれども、みだりにやってはいけない、これは一応の規制というか、そういう部類に入る。しかもこの三十三号は一番先に、みだりに無断で張るということはいけないよ。それからこの軽犯罪法の四条にはやはり基本的な問題として、こういう種の問題については先ほどから言っておりますように表現の自由とかそのほか基本的な問題が多く制限されていく事項だから、取り扱い等については慎重にしなければいけない、こういう一応の精神的な規制があります。 ところがこの広告物のほうは、禁止するというふうになったら条例でぴしゃっと禁止ですよね。しかも先ほどから言っておりますように、これが制限の違反だということで裁判になった。その裁判の中でも表現の自由という面から、先ほど言ったように十分考えなければいけない問題だ。こういう扱い方になっているとすれば、この電柱の問題については、ただ電柱だから、こういうことではなしに、先ほどから言っておるように、十分検討する、検討するということではなしに、こういうものについては参考であろうと何であろうと、皆さんは一方的に標準条例の中で流すということではなしに、あくまでも法できまっているとおり府県に一任する、おまかせします、こういう態度を明確にひとつしていただきたいと思うわけであります。
○吉田(泰)政府委員 軽犯罪法の規定のしかた等にお触れになりましたが、これについての答弁を求められているのではないと思いますので、先ほど来の問題の電柱の問題かと存じます。御趣旨の点も私としてもよくわかりますので——標準条例案に電柱項目を入れたことは他意がなかった、この他意がないというのは、標準条例案以前にそういう条例を制定されていた県が多くて、その経緯等を見ればその必要性もわかるということから標準条例案に入れたわけでございますけれども、電柱をめぐる問題が非常に多いということも事実であろうかと思います。そういう点で、ここではっきりと即答もいたしかねる次第でありますが、十分意のあるところを私どもとしても考えまして、十分に検討さしていただきたいと思います。
○中村(茂)委員 大臣の考え方をお聞きします。
○金丸国務大臣 ただいま先生と局長のお話を聞いておったわけでございますが、私も他意がないと思うわけでございますが、他意がないといいましても、法律で出る以上は他意がないとは言っておられない。しかし、事ここまで来ておる現時点におきまして、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。行政の指導等を徹底的にいたしまして、通達等によりまして先生のお考えの趣旨を徹底さしていきたい、こう考えております。
○中村(茂)委員 法では別に電柱ときまっていないんですからね。法ではきまっていないのです。あとただ都道府県がそれをどういうふうに判断するかというだけのことですから、その法の趣旨をすなおに指導してもらえばいいのです。それを条例案の中に入れて、条例案の前文には参考なんだと書いたところで、やはり条例案の中へ、しかも電柱のところに掲示できないものとしてポスターとか立看板とか、そういう広告物の種類まで明らかにして、電柱にはいけない。しかもこれは参考ですといってみたところで、こんなのは法にはどこにもないんでしょう。都道府県ではっきりと判断することなんですから、だからその法の趣旨というものはやはりきちっと都道府県に行政指導の中で指導してもらう。ここまで来てしまったからどうだのというものではなくて、もう少し大臣、別にむずかしいことを言っているわけではないのです、明らかにしてもらいたいと思います。
○吉田(泰)政府委員 標準条例案は、何度も申したように参考にすぎないわけであります。現在規定がありますものをこの場で削るということが、ちょっと即座に判断しかねているために先ほどのような答弁になっているわけでございますが、そのような他意は初めからないわけでありますから、この標準条例案の第四条に、「電柱、街灯柱その他電柱の類には、はり紙、はり札又は立看板を表示してはならない。」と、あえて一般広告物の中でも張られやすいと思われるこういった三種類の看板に限りまして一切禁止物件と定義できることを例示したこの標準条例案の条文の作成につきまして、前向きに検討の上善処したいと思います。
○金丸国務大臣 削るというような問題につきましては、事務当局とすればこれ以上の答弁はできないと私は思うわけでありまして、それ以上の問題につきましては委員会におまかせいたしますから、しかるべく……。
○渡辺(栄)委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○渡辺(栄)委員長代理 速記を始めて。
○吉田(泰)政府委員 先ほど来のことにつきましては、先ほど私から問題をことさらに起こすというような意味の他意はなくて、各県の大勢を見た上でのことであると申し上げましたが、そういうことで歯切れの悪い御答弁を申し上げておりましたけれども、この際、標準条例案の問題の項目、先ほど申し上げたことにつきましては、削除いたすようにいたします。
○中村(茂)委員 削除して——いままでずっと私はその削除する趣旨について法の精神からしていろいろ言ってきたわけですけれども、そういうことを含めて、法の四条二項四号では都道府県の全く自主的な判断でやればいいわけですから、削除して、その趣旨を各県に指導していただきたいと思いますが、それについてひとつ明確な答弁をしてください。
○金丸国務大臣 削除いたしまして、各府県に指導を徹底的にいたします。
○中村(茂)委員 ではそのようにお願いしたいというふうに思います。 特に、そういうふうにしていただくわけでありますけれども、私はこの電柱という問題は、公職選挙法の面からしても非常にむずかしい内容が含まれているというふうに思うのですよ。公職選挙法でそれぞれ許されたポスター、看板、それから公職選挙法の中において許されている政治活動のポスター、こういうものについて、私の知る限りでは、確かに国とか地方公共団体、国鉄、専売、電電公社——電電公社の電柱、これらはいけませんけれども、先ほど言っている橋梁——これは広告物法のほうではっきりしてしていますけれども、橋梁、それから民間の電気を伝わらせる電柱、これらについては、電気会社のほうのそこへ掲示させるには料金を幾ら取るか、そういう制限はありますが、しかし、そこは公職選挙法なら公職選挙法のもとに、張ってはいけないという制限の中では、いま申し上げた後段のほうの橋梁、電気を伝わらせる民間の電柱、これについては許される、こういうふうに理解していますが、そういう公職選挙法のほうの関係とこの広告物法のほうの関係は、当然選挙法が優先する、こういうふうに理解するのですが、そういうふうに理解していいですか。
○吉田(泰)政府委員 公職選挙のためのビラ、ポスターの類の掲示につきましては、公職選挙法によりまして掲示個所その他の規制がなされているわけでありますので、この屋外広告物法ではこれにタッチしないというたてまえであります。
○中村(茂)委員 自治省、来ているでしょう。
○山本(悟)政府委員 ただいま御指摘のとおり、公職選挙法におきまして一定の、国でありますとか地方公共団体所有でございますとかいうものにつきましては、ポスターの掲示も禁止いたしております。「但し、橋りょう、電柱、公営住宅その他命令で定めるもの」等につきましては「この限りでない。」という規定を置いておりますことは御指摘のとおりでございます。そして、それが可能なものにつきましては、所有者、管理者等の承諾が要る、こういう法制でありますことも御指摘のとおりでございます。ただいまの広告物法との関係でございますが、私どもといたしましては、公選法といたしましては選挙に関するほうの立場から公選法として規定をいたしておるわけでございまして、他の目的から法で規制されているもの、これにつきましては当然そちらのほうの規制にも従われる、かように存じていままで処理をいたしてきているわけでございます。したがいまして、公選法で書いておりますのはこれだけの範囲、広告物としてそれぞれの立場から規制がされているものはその規制に当然従われる。ダブってこういう関係のものは従ってくるのではなかろうか、こういうように存じていままで対処してきております。
○中村(茂)委員 そうすると、選挙期間中張るものについては、なるほど公職選挙法でこまかくきまっていますから、法ですし、当然そういうことになると思いますが、告示、それから投票日と、選挙期間が過ぎてしまったものについては、公職選挙法ではすみやかに撤去しなければならないということがありますけれども、それ以上撤去しないものについて罰則とか、別にそういうものはないと思うのです。そういうふうに一応公職選挙法のワク内で行なわれ、しかも投票日が過ぎて、その法の範囲からはずれた、今度の改正にも関係してくると思うのですけれども、看板なら看板が出されておる。なるほど選挙期間中は公職選挙法に基づいて掲示されておる。選挙が過ぎてしまった。法の上では直ちに撤去するという法がありますけれども、そのままあった。ポスターも同じですが、その場合には、選挙が過ぎてしまうとどうなるのですか。
○吉田(泰)政府委員 選挙期間が過ぎますと、これは屋外広告物法の規定が適用になります。各県の条例でも公職選挙法による選挙のための広告物を適用除外にしておるという条例になっているわけで、それ以外の期間につきましては、屋外広告物法はやはり美観風致の維持という目的に立ち戻りまして、そういったものも対象になり得る、こういうわけであります。
○中村(茂)委員 電柱の問題をさっきからやったわけですけれども、先ほどのように、電柱、橋梁、公営住宅、これはその限りではないというのですから、その法で定まっている選挙については張ることができる。選挙が終わって、橋梁は広告物法にもはっきり禁止の条項に載っておりますから、そのままあったら、張った人間がはっきりしていれば、つかまって罰金ですか。
○吉田(泰)政府委員 屋外広告物法は、条例によって「罰金のみを科する規定を設けることができる。」という条文を入れまして、条例の定め方によりますが、自治法の規定等も根拠にいたしまして、現在、違反の態様により罰金の規定が置かれております。これは違反広告物に直罰の規定もあるわけであります。実際の運用として、いきなり適用するかどうか、これはその判断があるところでありますが、一番重い例は、知事が撤去命令をしたにもかかわらず撤去しないというようなものは、大体各県ともに重い罰金、十万円とか五万円という規定がありまして、それに次いでその他の違反、つまり直罰的な規定の違反というものが五万円とか三万円というようなことで規定されているわけであります。
○中村(茂)委員 条例で罰金を定めることになっているわけですが、各県が十万円以下ですよ。十万円以下ならかってですけれども、大体どういう程度の罰金をきめてあるのか。その内容について概括でけっこうですから明らかにしてもらいたい、こういうように思います。
○吉田(泰)政府委員 先ほど申しました除却命令に違反した場合、これは違反広告物に対して特に除却命令を出す、それでも従わなかったという一番重い場合でありますが、これにつきましては二十二の都道府県または指定市が十万円以下としております。それから二十六の都道府県、指定市が五万円以下としております。三万円としているところが二つというわけであります。次に、この許可を要する地域とか禁止地域等に違反して広告物を表示したものとか、それから期間が満了したときに遅滞なく除却しなければならない、そういう義務違反であるとか、汚損、破損、落下のおそれのあるようなものに対して、知事が除却も含めた措置命令を発した場合に、それを聞かなかった、こういうものが次のグループになっておりまして、これにつきましては五万円以下と書いてあるのが二十九、あと三万円以下というような例がございます。あと、虚偽の申請等も五万円とか二万円とか一万円という各段階で規定されているわけであります。
○中村(茂)委員 条例にそれぞれまかしてあるからいいわけですけれども、いま聞くと上は十万円、下は三万円ですね。これは三万円の県は少ないわけですけれども、十万円と三万円では、同じ法律のもとに同じ行為をして罰金か——これは当然、罰金ですからいろいろその行為、中身によって定まってくる問題でありますけれども、同じ法律のもとで十万から三万というのはあまりにも大きい開きがあり過ぎるのじゃないですか。その点についてどういうふうにお考えになりますか。
○吉田(泰)政府委員 この法律の性格は、最初に申し上げましたように、戦前、中央集権的な規定の立て方で、国の事務として強力に地方を指導し規制しておったということの反省、もう一つはその広告物の内容にわたるということの反省、その二つから新しく読み直しをさせまして、これは地方公共団体の固有事務だ。しかしながら限界を定める必要があるだろうというような意味で、基本になることだけを法律に書いた。したがって罰則につきましても、罰則を定めることができるという根拠だけを置き、それは罰金だけである、それ以上のものはいけないのだという限度を定め、あとはそれを受けた条例で規定しなさい、こういうことを法律でいっておるわけでありまして、その範囲内で、いまのように金額的に十万円、五万円円、三万円というのは少ないのですけれども、一番低いのは三万円。非常に開いているようでありますが、全罰則体系の中から見れば、罰金に限られ、十万円以下に限られているということから見ても、この法律が地方自治体の条例による判断というものをあくまで基礎的に置いて、その上限をきめるというに徹したという点から見てやむを得ないのではないかと考えております。
○中村(茂)委員 私は、法の趣旨からきまっている、内容からいけば十万円以下ですから当然やむを得ないというように思うわけです。しかし、同じ法律の適用の中であまり大きな開きがあるというのはどうか、こういう質問をしたわけですが、それはそれで打ち切ります。ただ軽犯罪法との関係で、軽犯罪法の場合には、これは名のとおり軽い法律ですね。片方いま論議されている分はあくまでも条例。軽犯罪は拘留、科料。はり札、むやみにやってはいけない。片方はそれぞれの禁止場所、物件がある。同じものが今度刑のほうへいくと罰金、片方は拘留、科料。どう考えてみてもそこら辺のところがどうもはっきりしてこないし、そういうものから関連していくと、十万円以下というふうにいっているけれども、その十万というのは法からば違反じゃないけれども、全体的なものから総合してみるとやはりちょっと罰が強過ぎるのじゃないか、こういう感じがするものですから一応お聞きしたわけであります。ですが、これは都道府県でかってにきめればいいわけですから、自主的な精神からいけばいいと思いますから、この点についてはこれで打ち切ります。 そこで最後に、大臣からひとつお答え願いたいと思うわけですけれども、この法律は、先ほどから言っておりますように、どうしても憲法の二十一条という、言論、表現の自由の問題とぶつかってくる問題が非常に随所に出てきますし、それから同じ問題でも軽犯罪法にこの条例で抵触したり、それから公職選挙法の中の張る物件についていろいろ該当してくる。いわば多方面にわたっていると思うのです。ですから、こういう多方面にわたっている法律についてはやはり、私は先ほどの条例案のところで申し上げましたように、拡大解釈したり、それから標準条例案の中で、一応直してもらったわけですけれども、いままでこうだったからそれを一律にするということで禁止のほうを基準のほうへ入れたり、これは全然ないところもあるわけですからないほうを基準にすれば私はいいと思うのだけれども、あるほうに入れる。一口にいえばこれは運用が非常にむずかしいと思うのです。したがって、この種の基本的な問題にわたる法律の運用については慎重を期していただきたいということを心からお願いして、私の質問を終わりといたします。
○金丸国務大臣 この法律の運用にあたりましては、先生の御指摘のとおり慎重に対処してまいる所存でございます。
○渡辺(栄)委員長代理 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後雰時二十分休憩 ————◇————— 午後一時四十七分開議
○服部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。浦井洋君。
○浦井委員 私は、屋外広告物法並びにその一部改正案について質問をしたいと思うのであります。 まず最初に建設省にお尋ねをしたい。この法律のそもそもの目的というのは一体何なのかということをお聞きしたいと思うのです。
○吉田(泰)政府委員 屋外広告物法の目的は第一条に書いてありますが、「美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止する」ということでありまして、その目的のために「広告物の表示の場所」とか「方法」、「広告物を掲出する物件の設置及び維持について、必要な規制の基準を定める」ということがこの法律の目的になっております。
○浦井委員 そうすると、「美観風致」というのは一体具体的にどういうことをさすわけですか。
○吉田(泰)政府委員 「美観風致」というのは、大多数の国民なり市民なり、住民の目から見まして美しいと見られること、あるいは風致と申しますのは、自然的な景観等を主体としまして、それが各人に受け取られるような感覚というものも含めました概念であろうかと思いますが、おっしゃるとおり美観風致ということ自体は非常に抽象的に聞こえるわけでありまして、この法律ではそれを目的としておりますが、それを実際に担保するための制度としては、先ほど申しましたような広告物の設置する場所とか、設置する物件とか、それから広告物自体の形状、大きさといったようなものにこれを置きかえまして、そういった客観的な標準により、極力その美観風致という一般的な概念を明確化した上での基準によって、条例で具体的な規制力を持つ、こういうふうな仕組みにいたしておるわけでございます。
○浦井委員 どうもわかったようなわからぬような話です。そうしたらさらに引き続いて、「公衆に対する危害」の防止というのは具体的にどういうことなんですか。
○吉田(泰)政府委員 これは広告物が表示されている状態、それが歩行者なり通行に危険でないようにとか、それから特に、最初はきちっと取りつけてありましても、時日の経過とともに、維持、保全がおろそかでありますとその取りつけがゆるんで倒壊するとか、落下するとか、吹雪飛んでいくとか、そういったことでございます。
○浦井委員 そうすると、二番目の「公衆に対する危害」というのは物理的な危害ということをさすというふうに理解していいわけですね。
○吉田(泰)政府委員 そのとおりでございます。
○浦井委員 それはそれで一つわかったわけですが、わからぬのは美観、風致という問題です。何か代数のような、置換をするとかなんとかという話が出まして、結局わからぬわけですが、ついでに警察庁にお尋ねしたいのですけれども、この屋外広告物法を母法にして、それぞれの相当多数の都道府県なりあるいは指定市で屋外広告物条例がつくられておるわけですが、試みに聞くわけですけれども、警察庁でつかんでおられるいままでこの法なり条例なりに違反をして検挙をされた件数、それから検挙された人数、過去十年間くらいわかりますか。
○相川説明員 お答えいたします。 お尋ねの屋外広告物法あるいは屋外広告物条例違反で検挙された過去の件数でございますが、過去十年のものは手元にございませんで、四十二年以降四十七年までの数字が手元にありますので申し上げますと、四十二年が八十二件送致いたしております。そして送致人員が百十七名。四十三年が九十八件、百六十二名。四十四年が百十一件、百六十六名。四十五年が九十六件、百十七名。四十六年が百四十五件、二百四十五名。四十七年が七十五件、百三十三名。このような数字になっております。
○浦井委員 そこで警察庁に引き続いてお尋ねをするわけですけれども、この中でいろんな対象物があると思うのですが、ビラとポスターに限って、同じ数字、分類してありますか。
○相川説明員 先ほど申し上げました数字のうち、特にビラとポスターというような分け方については、分析したものを把握しておりません。
○浦井委員 そうするとどういう尋ね方をしたらよいのですかね。営業的、商業的な違反検挙件数、これがこのうちにはどれくらいあるのですか。
○相川説明員 商業広告物とその他の宣伝活動といいますか、そういうものを分けたものについて実は十分統計をとっておりませんので、その内訳についていまここでお答えいたしかねるわけでございますが、御了承いただきたいと思います。
○浦井委員 その程度のことは、この屋外広告物法の一部改正が国会で審議をされるということであれば当然尋ねられるということで準備をしておかなければいかぬじゃないですか。警察庁どうですか。
○相川説明員 御指摘のように、しっかり検討しておくべきだったと思いますが、私、ちょっとうかつでございまして、目下のところ十分分析をいたしておりませんような状態です。
○浦井委員 これは答えにも何にもならぬわけですけれども、そうすると調べればわかるわけですか。
○相川説明員 犯罪統計の数字はいまコンピューターでとっておるわけですが、その統計のとり方に、いま先生が御指摘のような分け方で実は統計をとっていないわけです。したがいまして、この中身といいますか内訳を明らかにするためには、各県警察に、特別調査というと大げさですけれども、特に命じまして調査をすれば明らかになります。
○浦井委員 どれぐらいの日数で明らかになりますか。
○相川説明員 各管区警察を通じまして大至急にやりますれば三日ぐらいでは集まると思います。
○浦井委員 国会は二十四日に終わるということになっておる。それまでの委員会審議に間に合いますか。
○相川説明員 きょうは十八日でございますので、大至急調査をいたしますならば……(井上(普)委員「あさってまでに間に合うのか、どうだ」と呼ぶ)間に合わせたいと思いますけれども、極力努力いたします。
○浦井委員 私は何度も言うようですけれども、この屋外広告物法の一番大事な点は、あとから詳しく述べますけれども、憲法第二十一条の言論、表現、こういう自由に対する保障を制限しようとしている、こういうところにあるわけで、そういうことになってきますと、私がいま尋ねておる数字というのは一番基礎にならなければいかぬ数字なんです。それを警察庁はここで用意しておらないというのは全く怠慢であると私は思うわけです。だからこれは、あさってが定例日で、そこでもう一度この法案の審議が行なわれるわけですから、それまでにひとつ委員長、資料を整えるように手配をお願いしたいと思うのです。
○服部委員長 ちょっと速明をとめて。 〔速記中止〕
○服部委員長 速記を始めて。
○浦井委員 そうしたら、その点はひとつ保留にしておきたいと思うのです。 その次の問題は、今度は分類を変えまして、先ほど建設省のほうから、この法律の目的は美観風致、それから公衆に対する危害の防止というふうに言われたわけですけれども、公衆に対する危害を防止するという目的に反したために検挙をされた嘉例というのは一体どれくらいあるわけですか。
○相川説明員 たいへん申しわけありませんが、いま係の者に先ほどの件を指示いたしておりまして、先生の御質問を十分聞き取ることができませんでしたので、もう一度お願いします。失礼いたしました。
○浦井委員 よく聞いておってくださいよ。 先ほど建設省に尋ねたのですけれども、この法律の目的の一つは「公衆に対する危害を防止するため」ということになっておる。よろしいですか。その目的に反するために検挙された件数なり人数なり、歴年、たとえば先ほど言われた四十二年から四十七年でもよろしいですが、この数字はわかりますか。
○相川説明員 先ほど建設省からお答えがございましたように、屋外広告物条例違反には二つの形態があるわけでございます。美観風致を害するもの、あるいは公衆に危険を生ずるというようなもの。ではこの内訳をしっかり押えているかというお尋ねかと思いますが、これまた、たいへん申しわけないことですけれども、先ほどの商業広告とその他の広告宣伝、態様別に分けて統計をとっておらないと同じように、この二つの違反態様につきましても実は分けてとってございません。そこでこれもまた、先ほどお答え申し上げましたように特別調査をして明らかにする必要があると存じます。
○浦井委員 建設大臣にお尋ねをしたいのです。私と警察庁の問答を聞いていただいておっておわかりになったと思うのですけれども、この法律の目的、たとえばビラ、ポスターでいいますならば、公衆に危害を加えるというような点でありますけれども、公衆に危害を加えるというのは、先ほどの建設省の御答弁のように物理的な危害を加えるということになりますと、これは大体張ってあるビラやポスターが公衆に危害を加えるということはなかろうと私は思うのですけれども、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思うのです。
○金丸国務大臣 先生御指摘のとおりだと、私も同感であります。
○浦井委員 とすると、この法律が実際にいままで運用されてきたのは、これは二から一を引くと一が残るわけで、美観風致という項に違反をしておるというようなことにならざるを得ぬのではないかと私は思うわけですが、この点では建設大臣どうでしょうか。
○吉田(泰)政府委員 屋外広告物にはいろいろな種類がありまして、大きなものは広告塔のようなものから、広告板とか、通常看板とか、置き看板と、いろいろあるわけでございます。御指摘のようなビラ、ポスターのたぐいは、そのことが物理的に危害を与えるということは考えられませんが、一面、道路交通の支障になるような形で、標識の表示とまぎらわしいものとか、これを見にくくするとかいうような意味の危害は考えられると思います。それからはり札、立看板ということになりますと、ワク組みがあって、物理的にも、それの取りつけが悪いという場合に、大きな広告塔などの転落というほどのことはないにしても、やはりかなりの危害という可能性はあるのではないか。まあビラについては御指摘のようなことだと思います。
○浦井委員 まあきわめて——きわめてははずしていいですが、まれにそういうビラで危害を加えるというケースも私はあえて否定はしませんけれども、ほとんどはそういうことはないということになると思うわけです。 で、序論はそれぐらいにいたしまして、憲法第二十一条に言論、表現の自由が保障されておる、こういうことで、これは言うまでもなく民主主義の基本であるわけです。だから、単にこれが憲法でうたわれておるだけでなしに、この屋外広告物法を含めたいろいろな法律において、あるいは条例において、具体的にしかも実質的にこの憲法の条項というのは保障されなければならぬと思うもけです。さらに言うならば、古来から——古来といいますか、特に明治維新後そうでありますが、ビラ、ポスターのたぐいというのは、あまり金を持たない庶民、一般大衆が自分の言いたいことを最大限に訴える非常に大きな手段になってきておるわけです。これは一般大衆はもちろん、労働組合であるとか、あるいは政党にしてもそうであるわけです。ところが、こういう日本のいままでの行き方というものを踏んまえて、この屋外広告物条例というものの実行状態をいま見てみますと、都市の美観を維持するというような名のもとに、言論、表現の自由の保障が不当に踏みにじられていっている事例が私はあまりにも多いというふうに思うわけですけれども、まず大臣、どのように思われますか。
○金丸国務大臣 先生御指摘のように、この法は美観風致の維持、あるいは公衆に対する危害防止というようなことに限定されておるわけでありまして、私もこの法案を提出するにつきましてはいろいろな意味でこの法案を検討いたしてみました。私は政治家であります。選挙もやらねばならぬということですから、この法案が選挙に影響するというようなことがあったらどうなるだろうかということも検討し、それも差しさわりない、あくまでもただいま申し上げたところに限定されておるということでございますから——ただ、いままでそういう面でいろいろ取り締まりが不法に行なわれたということも私耳にいたしておるわけでございますが、この法はあくまでも町の風致、景観、美観あるいは危害防止というようなことについて限定されておるわけでございますから、先生のおっしゃられるような、これによって言論、表現の自由を抑圧するというようなことは全然私は考えておりません。
○浦井委員 現実には、大臣まだお聞きになっておらないのかもしれませんけれども、言論、表現の自由がやはり客観的には侵害をされておる。その方法、手段の法律としてこれが利用をされておる、悪用されておるということは、これはあとで申し上げたいと思うのですが、厳としてあるわけなんです。私は選挙のことだけを言っているわけではない。先ほども申し上げましたように、日本の民衆が、金も地位もない、そういう中で多くの人たちに訴える手段としてビラ、ポスターなどが有効に使われてきた、こういう歴史的な事実の上に立って申し上げておるわけなんです。警察庁、この点についてどうですか、私の先ほどの質問。
○相川説明員 先ほどお答え申し上げましたように、過去数年間の屋外広告物条例違反の件数を見ましても、年間それ相応の検挙件数があるわけでございます。しかし、これらの検挙ないしは取り締まりにあたりましては、私ども常に公正中立の立場を堅持することを第一線の警察官にもよく指導いたしておりますし、決して憲法に保障された言論の自由というものを侵害するというようなことはないように十分留意させております。したがいまして、過去の検挙事例につきましても、憲法の表現の自由とのかね合いをよく勘案といいますか、尊重して、適正な取り締まりということを指導いたしておりますので、それほど行き過ぎた例というものはないと確信いたしております。
○浦井委員 白々しくもそういう答えをされたものだと私あきれるわけですけれども、先ほど私申し上げたように、検挙件数、検挙人数の内訳さえもわからぬ。単に末端の警察官をそういう形で指導しておるから大体公正にいっておるのではないかというようなことでは、私は全く信用ができないというふうに思うわけです。 そこで二、三具体的な事例を出してみたいと思います。これは昭和四十年に松山市で起こった事件でありますけれども、松山市の丸善石油の松山精油所と、漁民を主体とした付近の住民が公害問題について交渉中、いろいろなところにビラを張りあるいは立看板を立てたというようなことで、屋外広告物条例、これは県条例だろうと思いますけれども、これに違反する、それから軽犯罪法の違反だということで検挙された事例であります。この中で、これは松山の簡易裁判所の判決が出ておるわけですが、少し長いのではしょって読んでいきますと、こういうことなんです。 「住民達が公害対策について——活動を開始した——頃、——所轄警察署である松山西警察署においては、右活動に関する情報を収集していたようであるが、——住民達は、警察官は公平な第三者なりとして、進んで警察官に来訪を求め、その結果来訪した某巡査に対し、公害の実情ならびに会社側の態度等を詳細に説明し、住民達の活動につき、警察官の理解を求めたのである」 「住民達が——会社の門前において、座り込みを行った——その際住民達は所期の目的を貫徹するため、何時までも座り込みを継続する旨、決意していたようである。——このことを察知した某巡査らは、住民達に対し」ここが大事なんです。「「老人や子供も居ることだし、この寒いのに座り込みをするよりか、会社の前に旗を立てたり、看板でも出した方が、より効果的ではないか」旨暗に——勧告したことにより、——住民達の大漁旗ならびに立看板の掲出となったものである——」 こういうふうに書かれておるわけです。これでは全く検挙をするために住民をペテンにかけたというふうにしか私は言えないと思うわけです。だからこの判決は、そのあとで引き続いて、 「住民達の大半は純朴な漁師であり、警察官の意見を尊重して行動するにおいては、絶対に間違のないものと信頼した——前示立看板等の掲出についても、警察官の言葉を信ずるのあまり、公然許された合法的行為と思っていたことはあきらかである」 こういうことなんです。これは大臣、私は明らかにペテンにかけておると思うわけですが、一体どう思われますか。建設大臣にお伺いしたい。
○金丸国務大臣 その問題につきまして、まあ先生のおっしゃられるところだけ聞いておれば、私もペテンというか、そこに何かそごがあったという感じがいたします。まあ、その警察官がそういうことを知らなくてそういうことを言い、また取り締まる別の警官が来てこれを別に取り締まったというようなケースになったのではないか、こう私は思うのですが、いろいろその辺の事情を私はつかんでおりませんからわかりませんが、先生のおっしゃられる範囲におきましては、そういうようなことはあってはならぬ、こう私は思います。
○浦井委員 いまの大臣の意見というのは、非常に警察官に思いやりのある御意見だと私は思うわけですが、これは簡易裁判所の判決文なんですよ。さらに続けてこういうことが書いてある。「松山市内における屋外広告物の現況を見るに、電柱、街路樹あるいは各種工作物に対し、本件に類似する映画、演芸——等に無数の広告が掲出されていることは——顕著な事実であるが、これらの広告物がいずれも前記条例所定の手続を経たものでなく、また——同条例違反として、一度も摘発した事例のないことは——明らかである。これらの広告物が——軽犯罪法に抵触するもののあることは容易に推認し得るのであるが——いずれも不問に付されている今日、前示認定のような事情のもとに掲出され——た本件の所為についてのみ同法を適用し、これを問責することは、国民の法の下に平等であるとの原則よりするも、同法第四条に抵触する疑が十分あるといわなければならない」 同法というのは、この場合屋外広告物条例と軽犯罪法、両方で検挙されておりますから、この軽犯罪法第四条のことをさしておるわけなんです。 警察庁、こういう事実、これは昭和四十年の話ですからもちろん承知しておられるし、これに対してどのように考え、どのようにその後指導されたのか、ひとつ御意見を聞かしていただきたい。
○相川説明員 ただいま先生御指摘の昭和四十年の松山でございますか、における事件につきまして、私たいへん不勉強で申しわけありませんけれども、十分検討をいたしておりません。しかし、判決でそのような判示があったとすれば、やはり当時警察官に、取り締まり時に多少の問題があったことは十分うなずけます。そういうようなことのないように日ごろよく指導はいたしておるつもりでございます。大体屋外広告物の取り締まりにつきましては、その判決の中にも指摘されていたと思いますけれども、一般広告物と商業上の広告物ですか、それと、憲法に保障された表現の自由、特に政治活動に類するものなどにつきまして、同じ広告物条例で取り締まるわけですから、法のもとに同じ基準、同じような見解のもとに取り締まる必要があるわけです。この辺、実は美観、風致を害するということでやるわけですけれども、警察が独自でやるというよりも、屋外広告物条例の違反というものはそれぞれ自治体の長が責任者になっておるわけですから、県や市とよく連絡をとって、屋外広告物の適切な取り締まりというふうに配意をいたしております。おびただしい違反の広告物も御指摘のようにあるかと思います。これを全部取り締まるということは、わが警察の体制からいってもときに不十分な面がございます。そこでこの取り締まりにつきましては、目に余るものについてどうしても取り締まるというような方向で第一線では取り締まりなり捜査をいたしておると思いますが、いずれにしましても公正中立な立場で、目に余る違法な物件、これを取り締まっていくということで十分指導をいたしてまいりたいと存じます。
○浦井委員 この件に対する答えには一向になっておらないわけなんです。いたずらに公正中立というようなことばを繰り返しておられるだけにすぎないというふうに私は思います。この件については、明らかに警官が、いえば教唆扇動してやった、そして違反になった、検挙をされた。しかも後段の件では、映画や演劇のポスターには一度もそういう違反というような形でのこのらく印は押しておらないのに、こういう形での住民の立看板やポスターの掲出については直ちに警察官が出動するというようなことが、私は一つ例をあげただけですけれども、これがいまの実態の典型をあらわしておると私は思うわけです。大臣、どうですか。
○金丸国務大臣 言論、表現の自由というものは国民ひとしく平等に守られるべきものであると私は思います。先生のおっしゃられるようなことがあるとするならば片手落ちだと私は思います。
○浦井委員 時間もあまり余裕がないので、いろいろな例を申し上げたいわけですけれども、典型的なものだけを一つ申し上げたいと思う。これは大阪の例であります。 「昭和四十四年九月三日午後二時半頃、大阪・大淀区内でビラはり中の関西共同印刷の青年労働者にたいし、大淀署の警官がピストルを抜いて「逃げると射つぞ」といって追いかけるという事件が起きました。 仲間や市民は、「まったくそら恐しい」「こんなひどいやり方はけしからん」と、この事実をさっそくビラにして街々に配布し、大淀署に抗議を集中しました。 これは朝日新聞等にも大きく報道され、この警官は転勤処分を受けました。 このほか大阪では、港・水上署の警官が、ビラはり活動中の女性の手を自分の自転車にロープでしばりつけ、約一・五キロも街中を引きまわし連行した事件や、また、ある女性を交番に連れこみ、「はっていたビラをどこにかくした」と、スカートをめくるなどの破廉恥きわまる取調べを行なった事件など、ビラはり弾圧にかかわる警察の人権無視はあとをたちません。」 あとを断たないというふうに書いてあるわけですが、警察庁どうですか、これでもあなたは末端の警察官に対し公正中立な立場で指導をしておると胸を張って言い切ることができますか。どうです。
○相川説明員 ただいま先生御指摘のような取り締まりの行き過ぎ事例あるいは不当事例がございましたが、私そのすべてについては承知はしておりませんが、先生がいま御指摘になったようなことがほんとうの事実関係としてあったとは私は思いたくありません。十分承知していないで、そういう答弁をすることはいささか的はずれになるかもしれませんけれども、なお私、そのような事実関係について十分関係者からも事情を聞いて私自身も確かめたいと思います。いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、警察官に、屋外広告物のあるいはビラ張りなり札張り行為に対して不当な行き過ぎた取り締まりというものがないように十分指導はしてまいりましたし、今後もしてまいるつもりでおります。
○浦井委員 思いたくないというような、こういうところで主観的な架空の答弁をしてもらっては困るわけなんです。私は事実に基づいてきちんと質問をしようと考えておるわけなんです。思いたくない。一方では私は厳正中立な態度を貫くように指導しておる。現実には末端ではこういう事例が続発しておる。あなたが一番初めに読まれたような、そういう数字、しかもその分類がない、こういうずさんな分析で一体どうしてそういう事例がないというようなことを言い切ることができるわけですか。 もう一つ事例をあげてみましょう。今度は関東地方、埼玉県。 「小選挙区制反対運動が、埼玉県内の各地で活発にくりひろげられる中で五月十二日夜、飯能市内で「小選挙区制反対」のビラを電柱にはっていたとして、飯能署員は三名の労働者をパトカーに連れこみ飯能署に連行。しかし、これは急を聞いてかけつけた仲間が抗議し、すぐ釈放。 翌十三日、同じビラ一枚を電柱にはったとして一名が与野駅前交番に連行されましたが、これも抗議の末、完全黙秘のまま約一時間半後に釈放。 さらに十四日夜、川越駅前で「小選挙区制反対」のつり看板を掲示していた女性が、警官に「県屋外広告物条例違反の疑いがある」として交番に連行されました。間もなく釈放しましたが、抗議団の追及にたいし警察は「つり看板は違反ではない」ことは認めながらも、「警察官がそうだと思料すれば、質問もできるし連行もできるのだ」等の暴言を吐き、」こういうやり方、「政策が警察官一人一人の思想として徹底させられておることが、はしなくもバクロされました。」 あなたはいま、末端警察官に公正中立の立場で臨むように指導されておると言った。この事例などから考えると、確かに一人一人の末端にまで思想は貫徹されておると思うわけです。しかし、貫徹されておる考え方というのはこういうことなんです。あなたの言う、いわゆる公正中立というようなことはとうてい考えられぬと思うのですが、どうですか、警察庁。
○相川説明員 ただいま先生御指摘の事実関係、これまた私、逐一詳細に把握いたしておりませんけれども、現場の警察官としては、それぞれの違反事実がありまして、それに対して警察官としてとるべき措置をとったものと存じます。したがって、その事実関係について私は十分に検討いたしておりませんので、その点は不十分でございますけれども、必ずしも先生が御指摘のように全部行き過ぎであり、不当な取り締まりであったということではないと思います。
○浦井委員 事実を知らぬわけですから、これは私も列挙しておきたいと思うのです。さっそくこの私が読み上げた大阪あるいは埼玉県の事例について、ひとつそういう事実があったのか調査をして、そしてその後どのようになっているのか。私はこういう事実があったというふうに思います。これに対して、あなたの言うような、カッコづきではありますけれども、公正中立に、こういうことが今後起こらぬような指導を私は強く要求をしておきたいと思うわけです。 それからもう一つ例をあげてみたい。これも最近の事例でありますけれども、日弁連、日本弁護士連合会の人権擁護委員会から四十七年の十月五日にこういう書類が警察に警告書として送られておるわけなんです。これはそちらのほうにも連絡をしておいたから十分御承知だろうと私は思うわけですけれども、こういうことなんです。 この事件のあらましを申し上げてみますと、豊島区池袋にある共同保育「子供の家」に保母として勤務をする二人の女性が警察官に、この場合は軽犯罪法の違反で不当な逮捕並びに不当な、明らかに人権侵害だと思われるような身体検査を受けておるわけであります。この「子供の家」というのはいわゆる無認可保育所であるために、国や区からの補助はなく、わずかに都から園児一人につき月額千五百円の援助があるにとどまり、その経営は苦しく、そのために年二回バザーを開いて、その利益を経費の一部に充てておった。そうするうちに、昭和四十五年七月四日午後五時半ごろ、この日弁連の人権擁護委員会に申し立てた申し立て人が、翌日開くバザーを知らせるためにわら半紙大のビラを張り終わって池袋の路上に来たところ、かねてより顔見知りの池袋警察署員が、「ビラを張ることは軽犯罪法違反になる、住所、名前を言え」と質問をされ、「これまで当然のこととしてやってきた」、「交番まで来い」ということで押し問答が始まったわけです。そうこうするうちに、同じ保育園の同僚の保母や付近の人たちが集まってきた。そこへ連絡を受けた池袋署のパトカー三台が十名ぐらいの警察官を乗せて到着して、申し立て人等二人を数人がかりで別々のパトカーに押し込んで、パトカーからは、スピーカーで「緊急逮捕」と連呼して、二人を池袋警察署に連行をした。こういう事実があるわけなんです。 一体こういうような逮捕のしかたがあるのかどうか。念のために警察庁にお伺いをしておきたいと思うのです。
○相川説明員 御指摘のような事実につきましては、四十五年の七月、警視庁管下池袋署において現実にございます。なぜこの二人の女性を逮捕いたしたかと申しますと、先生の御指摘にもございましたが、電柱にビラを張っていた。それに対して警察官が、無断で電柱にビラを張ることは軽犯罪法違反になるではないかということで職務質問をかけようとしたわけです。そうしたらさっさとそこを立ち去ろうとしましたので、あとを追いかけると言うとなんですが、あとを追いまして、百五十メートルほど行きまして、「待ってください」ということで質問をするわけです。(「「こら待て」と言ったんじゃないのか」と呼ぶ者あり)女性ですから、「待ってください」と警察官は申したと私は存じます。ところがこの二人の女性は、その警察官の待ってほしいという呼びとめを無視いたしまして立ち去ろうとしたわけです。そしてビラを張っておりましたが、一体そのビラを張るには管理者なり設置者の許諾の有無があったのか、有無について尋ねたわけです。そうしたら二人ともそれに対して答える必要はないといって、一切答弁を拒否したわけです。したがいまして、この二人の女性は軽犯罪法違反の現行犯ということで、住所も氏名も明らかでありませんでしたので、また逃走のおそれもあるというふうに判断をいたしまして、警察官はこの二人の女性を逮捕するということになったものであります。
○浦井委員 これはもう全く言いのがれにすぎないと私は思うのであります。すなわち、この日弁連の人権擁護委員会がこの件をいろいろ客観的に調査をした判断が出ておるわけですけれども、これによりますと、大体警察は一切この日弁連の人権擁護委員会の調査に協力をしておらなかったわけですけれども、 「七月七日付朝日新聞によれば、池袋警察署次長は、「住所、氏名を黙秘し、逃亡の恐れもあったので逮捕した」という。」 こう書かれてある。しかし、いまあなたが言われた軽犯罪法違反ということについてですけれども、日弁連人権擁護委員会の判断は、 「単に「住所、氏名を黙秘し、逃亡の恐れがあった」というのみでは、適法な逮捕とはいえない、申立人等の容疑は、軽犯罪法違反であって、同法違反の法定刑は拘留又は科料であるから、逮捕状による逮捕の場合ですら「被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく……出頭の求めに応じない場合」に限られるのである。然るに申立人等は定まった住居を有し、しかも警察官は、申立人等と顔見知りであるばかりでなく、勤務先まで知っていたのである。申立人等の身柄を拘束した警察官は外に向かって「緊急逮捕、緊急逮捕」と叫んだようであるが、本件が刑事訴訟法第二一〇条に規定するその要件にもあてはまらないことはいうまでもない。」 こういう判断を日弁連の人権擁護委員会は下しておるわけであります。 さらに逮捕の件について言うならば、 「池袋警察署においては、申立人らの身体の拘束を現行犯逮捕手続によって処理しているものと推測されるが、申立人らに対する容疑が軽犯罪法違反で、その刑が拘留または科料にすぎないものであるから、たとえ現行犯逮捕であっても職権濫用の違法の疑いを免れず、少くとも不当のそしりを免れないというべきである」 こういう判断を日弁連の人権擁護委員会は下しておるわけであります。これは一体どう思われますか。あなたのそういう言いわけでこれは済みますか。
○相川説明員 電柱などに無断でビラを張る行為そのものは軽犯罪法の一条の三十三号違反になるということにつきましては最高裁の判決もあるようですし、この違反事実は明らかであると存じます。 また同法違反の現行犯について逮捕することができるかどうかという御指摘でございますけれども、日弁連の御意見は御意見として承りますが、犯人の住居もしくは氏名が明らかでない場合につきましては、あるいは逃走のおそれも考えられるという場合におきましては、軽犯罪法違反といえどもこれを現行犯逮捕して差しつかえないもの、逮捕する場合もあり得るものと私は考えております。
○浦井委員 これは全くすりかえでありますけれども、時間がございませんから……。このあとが非常に問題であります。こういうことで、 「同日午後八時半すぎごろ、看護婦の某さんが取調室に入り、取り調べにあたった警官が身体検査をする旨告げ、椅子を入口にずらして座った。 申立人木村は室の入口から左隅の部分に、右警察官を右方にみる形で立ったところ、看護婦は同女の前にきて、ブラウスの前あきボタンを全部はずした。警察官に全部脱ぐのだといわれて困惑した木村は、看護婦に「あなたも女性としてどう思いますか」など助けを求め抵抗していたが、そのとき二人の警官が入口からのぞき込み、「かまわないから、やれ、やれ」と看護婦をけしかけ、室にいた警察官も、「みんなやることなんだから、やれ、やれ」と命じた。 木村は身をよじって抵抗したが、看護婦が近寄り、脇からブラウスの下に手を入れ胸と背をさぐり、ブラウスの前を開いて中を見、更に向きをかえさせて、スカートのファスナーを開き、内に手を入れて探った」 「申し立人新妻八重子も、池袋署に連行されて後直ちに取調室に入れられ、ここではじめて逮捕の理由を告げられた。申立人新妻が黙秘していると取調べにあたった警察官から「警察に来たら最後だ。自分の娘と同じ位の年だからやさしくしてやればいい気になりやがって」などとおどかされ、力いっぱい手をおさえられて指紋をとられ、写真撮影をされたので、ますます心細くなっていった。 本件身体検査をすると告げられ、看護婦が入ってきたので新妻は、二人の警察官から見えるところで自ら上着である黄色のシャツに手をかけたが、看護婦が全部脱ぎなさいというので、指紋採取や写真撮影のように抵抗しても力づくで脱がされるのではないかとおそれて自ら脱ぎ、続いてGパンのズボンを脱ぎ、警察官に背を向けるようにしてブラジャーをはずし、これを看護婦に手渡した。 新妻がそのまま立っていると、看護婦はさらにパンティに手をかけこれを太もものあたりまで上げ、再び元の位置に戻し、上の方を開いて中をみた。この間約五分の時間経過した。その後木村と同様に新宿警察署に護送され、婦人警官から上衣とGパンを脱がされて身体検査をうけた。」 こういうことであります。 〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕 これはもうあなたは専門家だからよく御存じのように、刑事訴訟法の二百十八条の第二項によって身体の拘束を受けておる疑被者であるから、これはここにも書いてあるように、指紋とか足型をとったり、あるいは身長または体重をはかったり、あるいは写真撮影をする、こういうことは必要な場合があるかもわからぬ。しかし、こういうことに限られておるわけであって、それを裸にするというようなことは全く必要ないわけであります。これは明らかに人権侵害、私はこういうふうに思わざるを得ないのでありますけれども、警察庁、見解はどうですか。
○相川説明員 逮捕した被疑者に対する身体捜検のことにつきまして御質問があったわけでございますが、被疑者を逮捕した場合に、ただいま先生御指摘がございましたように、刑事訴訟法の第二百十八条の第一項によりまして、身体の形状または特徴を検証するための身体検査、あるいは身体について証拠物の発見、押収をするための捜索、差し押え等の規定はございます。しかし、先生が御指摘になりましたいまの事件につきましては、これは刑訴法の第二百十八条第一項に基づく身体捜検ではなくて、被疑者の女性二人を留置場に留置するための必要な身体検査を行なったものでありまして、二百十八条にいうものとは若干性質を異にするわけです。 それじゃ、なぜ被疑者を留置する場合に身体捜検をするかといいますと、これは御承知のように、被疑者を留置する場合に、万一危検なものを持っているとか、あるいは自殺をされるおそれがあるようなひもあるいは器具、そういうものについては一切持ち込ませないということをしているわけです。なぜそういう厳重な措置をするかといいますと、これはもし万一その被疑者が留置場内でみずから自殺あるいは自害行為をしたりすることを未然に防止するためのものです。したがってこの場合、いろいろ御指摘はございましたけれども、身体捜検をすること自体について基本的人権のじゅうりんがあったということは当たらないと存じます。 ただ、そのやり方でございますけれども、やり方については、先生いろいろ御指摘がございましたが、私どもが詳細に聞いておるところとは若干事実関係が異なるようでございます。当時、婦人警察官がすでに退庁して、おりませんでしたので、近所のいつも警察でいろいろな関係をお願いいたします病院の看護婦さんにおいでいただきまして、看護婦さんに立会をしてもらって女性に対する必要な身体捜検をやったということでございます。女性に対する身体捜検の場合に、警察官が直接やるということをしませんでして、女性または医師を立ち会わせるということにつきましては刑訴法にも明文がございますので、そのとおり、人権あるいはその女性の名誉を十分尊重して適切な措置をとったものと考えております。
○浦井委員 あなたの言われることはもうすりかえもはなはだしいし、また不必要なところがきわめてオーバーであります。この件に関してその後、日弁連の人権擁護委員会でこういうふうにいっておる。 「本件は、既に明らかなとおり、単なる軽犯罪法違反容疑であるから、犯罪の性質上凶器を衣服の内部に秘匿するなどということは到底考えられず、申立人等を逮捕した時点ですでに、ビラを所持していないことも判明していたものとみられるから、通常の指紋採取、写真撮影などのほかに敢えて衣服をあらためてその内部を検査する必要性はないものというべきである。」 こういうふうにはっきりと日弁連の委員会は断定をしておるわけであります。 もう一つ問題点をあげると、この日弁連の人権擁護委員会のいろいろな調査に対して、警察当局がきわめて非協力的であったということをあえてこの委員会は指摘をしておるわけであります。こういうふうに書いておる。 「然るに、従来の例にみられる如く、本件においても亦、警察当局の協力が全く得られなかったことは極めて遺憾としなければならない。」 こういう結論をつけて、それに警告書を付して、警視庁の警視総監とそれから池袋の警察署長に持っていったそうであります。ところが警視総監のほうからはいまだに何の連絡もないそうでありますけれども、池袋署のほうはこの警告書を持っていった弁護士そのほかの人たちにこれを突き返して受け取らない。そういうことで、しかたがないので置いてきたところが、御念の入ったことには、この警告書を返送してきて現在に至っておるという経過であります。 これは私、全くけしからぬと思うわけです。まとめてひとつ警察庁から、こういう事例を踏んまえて、一体末端の警察官にほんとうに公正中立な指導をやっておるのかということは疑わしいと思うわけでありますけれども、あらためてひとつ所見を問いたいと思うわけです。
○相川説明員 お答えいたします。 日弁連からの警告書につきましては、私の聞く限りでは、警視庁におきましてもその意向はよくわかりましたが、警視庁自体の措置は行き過ぎなり不法ではなかった、適法であったという見解のもとにこれを一応お返し申し上げたというふうに承っております。 なお、総括的な先生の御指摘でございますけれども、幾つかの具体例をあげて私に対して御質問があったわけでございます。私も、御指摘の事実関係全部詳細に検討いたしておりませんので十分な答弁を申し上げることができなかったわけですが、いずれにしましても、第一線の警察官が、憲法に定める表現の自由と、それから屋外広告物条例あるいは軽犯罪法とのバランスというものをよく考えて、行き過ぎや不当な取り締まりが絶対にないように十分留意して日夜の活動に当たるように今後とも十分指導をしてまいりたいと思います。 それから、屋外広告物条例そのものの取り締まりにつきましては、やはり違法行為を放置しておくということは許されません。しかし、常に取り締まりのバランスというものは考えて対処してまいるようにいたしたいと思います。そういう方針で臨みたいと考えておりますので、御了承いただきます。
○浦井委員 事実的な問題に問題をすりかえて、反省がない全く開き直った答弁だと私は思うわけです。バランス、バランスと言うが、バランスということを言っても、大阪では屋外広告物条例がきびしいのでこれを活用しておる。東京ではこの条例が比較的ゆるやかなので、やれないので、軽犯罪法を使っておるということにすぎないわけで、バランス論というものは全くナンセンスであると私は思うわけです。 そこで、時間も迫ってきておりますから事例はこれくらいにいたしまして、最後に総括的にひとつ建設大臣にお伺いをしたいわけですが、いま私がごくわずかな事例をあげただけでも、この法律、同時に軽犯罪法というものが国民の貴重な言論、表現の自由をきわめて圧迫しておるということがはっきりしてきたわけであります。ところの建設大臣、しかもこの法律は公園緑地課が所管だということで、きわめて欺瞞的といいますか、建設省の側から見るとのんきな形になっておるわけでございますが、こんなのんびりしておれぬような事態が、この法律が今度改悪されるとますます広がっていくという危険を感ずるわけです。御所見はどうですか。
○金丸国務大臣 ただいま警察庁とのやりとりのお話もいろいろ承っておりまして、法というものは、昔から人間を見て法を説けということばもありますので、罪にすることが法のたてまえではないと私も思います。先ほどバザーの問題で、国からの補助金がないために、年二回の金集めのためのバザーだという趣旨は一つの共感を持てるものだと私は思います。それで、黙秘権を使ったというような問題点があるわけですが、警察関係の問題につきましては私はいろいろお話、批判を申し上げる余裕はないわけでございます。しかし、そういうゆとりのある判断の上に立って法の運用というものは慎重を期してやってもらわなければならぬ。この法律を改定するにあたりましても、この法律は先ほど来から申し上げましたように、美観風致の問題あるいは国民大衆のための危害防止ということに限定しておるわけでございますが、国民の言論、表現の自由を抑圧しないように、今後この法律の処理にあたっては慎重に指導もいたし、また警察庁とも十分連絡をとりながら、あやまちのないような方法をとってまいりたい。心を新たにいたすわけでございます。
○浦井委員 大臣、行政指導その他を含めて法の運用を慎重にしたいというお話ですけれども、これは私から言うまでもなく、法というものはでき上がればひとり歩きするものなんです。しかも今度は立看板、つり看板、こういうところまで拡大しようということになれば、法ができるときにぴしっとした規制を加えておくということが大事だと思う。今後、これを成立させてください、運用の上でひとつ熟慮して慎重にやりたい、行政指導もきつくやりたいというようなことでは済まされぬ。これは憲法第二十一条の表現、言論の自由の保障の問題にかかるわけですよ。そういう点でもう一度大臣にお答えを願いたい。
○金丸国務大臣 言論の自由、表現の自由、これは当然保護されてしかるべきものであります。法律の上においてつくられればあとはどうにもならぬじゃないか、こういうことでございますが、しかし、先ほど来から申し上げましたように、この法律は限定されておるわけでございますから、これが乱用されて国民に迷惑をかけるようなことがあってはならない。そういう意味で私は私の考え方を申し上げたわけでありまして、先生の御指摘の点等につきましては十分意を用いまして、今後の行政指導その他各官庁との連絡等をいたしてまいりたい、あるいは各県との連絡等いたしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○浦井委員 それでは全く前と同じで進歩がないわけであります。 時間がもうないので、最後に私のほうから、せめてこういうような修正といいますか、改正、こういうことをすべきだということを、二、三提案をして、それに対する建設省、警察庁の見解をお聞きして終わりたいと思うのです。 軽犯罪法では先ほど私が読み上げたように第四条に、「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」こういう項をたとえば屋外広告物法にも入れるべきではないか、こういうように私は思うわけです。これは提案です。これが第一点。 それから第二点では、この法律で一番根本の問題は、一番初めの私の質問に関連があるように、営利的なものと非営利的なものとが一様に、内容のいかんにかかわらずこの中にごったにされておるというところにあるわけですから、この法律はさしあたって商業的あるいは営利的広告を内容とするものにはっきりと限定すべきではないか、こういうような意見を私は持っておるものであるわけです。それにさらにつけ加えるならば、先ほど参議院の建設委員会、本委員会でもいろいろ問題になりました例の適用除外の規定の問題、これも非営利的なはり札、立看板、こういうものには適用しないというような除外例をはっきりと少なくとも設けるべきではないか、こういうように私は思うわけです。 それから第三点としては、軽犯罪法では科料、それから屋外広告物法では罰金という形で刑罰を科することになっておるわけですけれども、やはりいまの現状からいって、非営利的なはり紙、はり札、こういうものに対して刑罰を設けないというような方向で改めるべきではないかというように私は思うわけです。 以上三点について、第二点はダッシュがついておりますけれども、ひとつまず建設省、それから警察庁、最後にまとめて大臣からお答えを願って私の質問を終わりたいと思うわけであります。
○吉田(泰)政府委員 この法律は軽犯罪法と違いまして、はっきりと目的も美観風致の維持、公衆に対する危害防止ということに限っておりまして、この制限のあり方につきましても法律で明示した上、それを受けました各地方公共団体が条例の法形式のもとに許可基準等を明らかに定めてやっているわけであります。そういうことでありまして、軽犯罪法が目的の規定もなく、いきなり罪という条文を置きまして、三十何号にわたる該当項目を列記している。さらに広告物関係につきましても、「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、」云々というような表現なども入っていることを考え合わせますと、この広告物法におきまして、軽犯罪法のような、ことさらに乱用禁止というような条文を法律で書くということはないのではないか。もちろん運用について乱用を禁止すべきことは当然でありますし、すべての法律にもまして言論の問題は重要でありますから、その点は従来もやってきたつもりでありますが、今後ともさらに一そうその乱用の戒めということを徹底したいと考えます。 次に商業的、営利的な内容の広告物に法適用を限定すべきではないかということでありますが、この法律の目的、美観風致の維持とか危害防止という観点から見ますと、広告物の内容という点には関連がないわけでありまして、それをあえて営利的なもの、営利以外のもと分けることに合理的な区分の根拠がなかなか見出せません。のみならず、営利的か非営利的かということの判断自体、まぎらわしい場合もありましょうし、いよいよもって内容に立ち入るということになりますとこれは非常な別途の問題を生じますので、そういう意味からも、法律としてはそのような区別なしに全般について適用するほかないのではないかと思います。 それから適用除外の関係で、特にはり札、立看板のようなものは非営利的なものの適用除外をすべきではないかということであります。電柱に対してことさらに、はり札、はり紙、立看板の類を一切禁止物件とするような内容の標準条例を出しておりましたが、これにつきましては、先ほどの御質問にお答えして、標準条例としてそのように参考に供することは適切ではないと考え、これを削除することとしましたが、その点を除けば、やはり先ほど申し上げましたとおり、非営利的なものとその他ということに分けることは問題であろうと考えております。 最後に、刑罰を設けないということでありますが、本法の目的を達成するために最小限度の罰則というものが必要だろうと思います。その限度は法律によって罰金のみである、条例で定めなさいということでありまして、一方その罰金の額も、地方自治法の規定によって、現在のところ最高十万円ということになっておりますから、非常に限られた範囲の罰則になりますが、その程度の罰則というものは、これだけの法目的を実現する手段として、どうしても置いておかなければならないのではないか、こう考えます。
○相川説明員 警察といたしましては、法律の中身につきましては建設省で十分御検討いただいた線に従いたいと思います。警察に課せられた使命と申しますと、どうしても、先ほどお答えがありましたように、罰則がありますれば、この罰則の適用について私どもがこれに当たるということになるわけです。しかし、先ほど来先生の数々の御指摘もございましたが、やはり憲法の保障する言論なり表現の自由、これを尊重するというたてまえは貫かなければならない大命題です。したがいまして、違法行為の取り締まりにあたりましても、慎重かつ適正な取り締まりを進めてまいりたい、このように考えております。
○金丸国務大臣 いま浦井先生から御提案ありました三点につきましては、局長からお話がありましたとおり、私どももそのように考えておるわけでございますが、本法及びこれに基づく条例の運用にあたりましては、今後とも国民の権利の保護に遺憾のないようにやってまいりたい、こう考えておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
○天野(光)委員長代理 新井彬之君。
○新井委員 私は、屋外広告物法の一部を改正する法律案につきまして質問さしていただきます。 先ほどからいろいろと議論がありましたので、それを踏まえて質問したいと思いますが、この改正案の作成にあたって、美観の維持と表現の自由、これが調和されなければならないということがさっきから非常に問題になっているわけです。一面では憲法二十一条によるところの表現の自由ということが非常に大事でございますし、この法律では要するに美観を中心としてそういうものを取り締まらなければいけない、こういうことでございます。したがって、今回のこの改正にあたって、その両面の調整といいますか、調和といいますか、そういうところをどのように苦心をされたのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
○吉田(泰)政府委員 まず、今回の改正は二点ございまして、一つは、届け出制に関する業者関係の規定であります。それから、もう一つが、従来、直接撤去できる広告物の種類がはり紙に限られておりましたものを、はり札と立看板の中で軽易な構造、軽易な取りつけ方をしたものに限って拡大しようというものであります。いずれも規制そのもののあり方の部分については特に改正はなかったわけですが、現行法のあり方も、先ほど来申し上げておりますように、美観風致の維持あるいは危害防止というようなことを、設置する場所とか物件とか構造、寸法のたぐいの客観化されたものによって定めるということによってこれを明確化するということを一つとっておりまして、今回の改正で、たとえば業者の実情を把握し、十分指導、助言をして、屋外広告業者を通じての実際の広告物のあり方というものの適正化をはかりたいというような趣旨につきましても、そういう観点からいえば登録制とか許可制とか、強く規制するほうが徹底することは間違いありませんが、やはり表現の自由に直接からむ営業種目でありますだけに、ほかの業種のように簡単にそのようなところまでは踏み込めないので、届け出という制度によりまして、その面でははなはだ手ぬるいようでありますが、実態の把握と実情の指導という面に期待するというところにとどめたというところにも、表現の自由との関連を十分配慮したつもりであります。
○新井委員 さっきも問題になりましたが営利を目的とするものと非営利目的、そういうことで考えるならば、確かに業者の届け出制ということについては、片方の面についてはそういうことは言えるかもしれません。しかし、この二十一条でうたっている自由というものは、ほんとうに自分の意思というものを何らかの形で自由にあらわしたいというときにビラを張ったりいろいろするわけでございますけれども、いまのそういう面からいえば局長の答弁は的を射ていない。 そこで「違反広告物処理状況調べ」というのが調査室から出ていますけれども、はり紙、はり札、立看板その他ということで、合計で違反件数が五百四十九万二千五百三十六件あるわけですが、この中で営利目的に該当するのは何件ですか。
○吉田(泰)政府委員 この法律につきましては、先ほど来申しているように、営利、非営利ということを区分しておりませんので、そういうこともありましてその件数の内訳については調査いたしておりません。
○新井委員 では、これだけの膨大な違反件数があるということの原因というのは何ですか。
○吉田(泰)政府委員 営利、非営利を問わず、最も簡便な方法でできるだけたくさんの人に自己の意思を伝達したいという希望が非常に高いのだと思います。条例によりましていろいろな規制のしかたがありますが、一々許可をとることのわずらわしさ、その目的とするところがわりあい短期間に実現されてしまうというようなこともありまして、長期間広告をしなければならないようなものについては比較的違反は少ないと思いますけれども、短期間の広告で足りるというようなものについて、手間を払いあるいは手数料を払って許可を受けて張るということが励行されにくいのではなかろうか。こういった問題は、法律による規制、取り締まりということも重要でありますが、何といいましてもその町、その場所というものの美観風致を維持したいという多数の人の感じ方というものも非常に重要なウエートを占めておるわけでありまして、そういう点も、従来他の面に目が奪われて、比較的それほど重要に感ぜられなかったというようなこともあるのではないかと思います。
○新井委員 これは四十六年の資料しか出ていませんけれども、要するに法律を改正をして、罰則をきびしくしてどんどん撤去する、こういうことになれば、それはなくなるという可能性もあるわけですけれども、たとえていうなら、私なら私が自分の意思で何かを書いて張ってみんなに知らせたいという場合に、そういうような表現の自由というものは結局締められてくる。それをやろうとすればするほど締められてくると思うのです。そういうことで、たとえていいますと、さっき局長の説明になりました標準条例、この標準条例で見ますと、あそこもいけない、ここもいけない、ずっと書いてあるわけですね。そうすると、一般の家にお願いをしてへいにでも張らしてもらうということ以外に、どこか張るところ、あるのですか。
○吉田(泰)政府委員 標準条例は、禁止地域と、もう一つは禁止物件ということで、禁止区域、禁止する場所を定めておりますほかに、許可を受けなさいという許可地域等の規定を置いてあります。これはいずれも法律にその柱を出しておる条項でありまして、具体的に書いているものですから条文の号数としては相当ありますが、法律で概略書いたものを明確化したために条文の分量としてはふえておるという面もあるわけでございます。具体的に張る場所といえば、ここに書いてない、禁止地域でも禁止物件でもない場所なり物件ということになりますが、電柱などでも、特に知事が指定する一定の場所以外は許可を受ければ張れるということにすれば、これは全面禁止という場所は著しく縮まると思いますし、その他もちろん了解を得て民家に立てるということもありましょうが、いろいろな場所が考えられると思います。
○新井委員 実際問題、これは具体的にいろいろ載っております。もちろん建築基準法であるとかあるいはまた文化財保護法であるとか都市計画法とか、いろいろありますけれども、道路それから鉄道あるいはまた電信柱、それから信号機だとか消火せん、火災報知機、それから郵便ポスト、電話ボックス、とにかく考えられるものは全部出ているのですよ、個人の家以外は。だから、要するにある地域において——何も日本全国やるんだったらテレビで流せばいいことでございまして、ある地域において何か集会なら集会というものを知らせたいというときに、ビラを張るということをやりますね。ところがそういうことがほとんどできない。要するに憲法二十一条を侵害するほど規制区域が多過ぎるんじゃないか。したがって、そういうところの調整ということを初め私が聞きましたけれども、実際問題としては張るところないと思うのです。局長もいま、それを除いたもの以外あります。確かにそうなんですよ。だからそれを除いたら何が残るかということを私は聞いたわけなんですけれども、あとで局長から、それを除いたところにこういうものがありますということを考えてひとつ出していただきたい、このように思うわけです。 そういうことで、私はこの一つの違反物件にいたしましても、さっき営利目的あるいは営利目的でないものとの区別はつかないということを言っておりますからわかりかねるのですけれども、とにかく一つビラを張るにいたしましても、当然ここならいいだろうということで、法律も何も知らないで張った場合、そういうような場合はどうなんですか。もちろんその法律に従っていろいろありますけれども、そういうことに対する罰則の適用というのはどういうようになっておりますか。
○吉田(泰)政府委員 法律や条例の内容は一般に告示されておりまして、これを知らぬということにはならないはずなのでありますが、しかし実際上の運用としては、多くの都道府県では、軽易な——軽易というのは、ビラを禁止した場所に張るというその枚数がそう多くないとか、一回きりとかいうようなときには、たまたま見つけた場合には注意をしますけれども、いきなり罰則の適用ということまでは普通やっておらないと思います。しかし、たび重なるなり、たとえ一回であっても非常にたくさんのビラをやっている事実があるというようなときには、これはそういう直罰ということもあり得ると思います。罰則の立て方も、先ほどもお答えいたしましたが、両罰の規定よりも、違反に対して除却命令を出して、それに従わないという場合を最も強く規定しているところであります。
○新井委員 今回改正案を出すようになったんですけれども、いままでのそれを出すに至ったいろいろの御意見を聞いていると思うのです、そういう取り上げ方、あるいはまた都道府県知事がこの条例を制定するに際しましてきめる、そういうような意見というものがちょっと反映されていないということがあるように思うのですけれども、そういうことはどうですか。
○吉田(泰)政府委員 この標準条例は、私ども建設者として積極的に、いわば白紙の状態の県に対してこう指導しようというような意味で制定したものではございませんで、このようなあり方というものは法律制定後しばらく見守っていたわけでありますが、各県の条例もかなり出そろってきて、結果的には、いろいろ新しい、県にまたがるような高速交通体系なども出現するというようなこともあり、やはり各県別に自主的にきめるとは言え、ほぼ目安となるような標準条例案というものがあれば、個々の事案について照会されて、建設省はこう思いますよというふうに回答するというようなことの繰り返しよりは、体系立って、実務的にも便利ではないかという態度の考え方でやっておったわけでございます。その際最も基礎といたしましたのは、各府県における条例の現実の定め方、それの多数を占めるような内容のものをモデルにするということが適切だろうと考えた次第でありまして、そういう意味で各府県の考え方というものは標準条例案に反映していると私は考えております。
○新井委員 さっきもちょっとお話が出たかもわかりませんが、大阪府の屋外広告物条例について、まずこれが四十三年十月九日の判決で、電柱等へのビラ張りを禁止した大阪府屋外広告物条例二条三項一号が憲法二十一条に違反するかということで、これは違憲だという判決が出ておるわけですね。その後これがまた高裁に上がりまして、高裁におきましてはこれは合憲である、こういうことになっておるわけです。いま最高裁のほうでこの問題がいろいろと争われておると思います。こういうような問題がある中で、今回のこの法律を改正して強化しようというようなことはちょっとおかしいのじゃないかと思うのですけれども、こういう問題についてはどのように思いますか。
○吉田(泰)政府委員 仰せのとおり、この法律制定直後はあまり判例も、判決までいくものが少なかったわけですが、その後、施行年数も経過いたしまして、最近では幾つかの訴訟係属中の案件が各地にあるわけでありまして、それも簡易裁判所、地裁あるいは高裁、最高裁と年数を経て上がってまいりますので、一件だけでも結審するまでに相当時間がかかる、そのうちには次の事件も同時に起こっておるというようなことで、この種の判決の結論というものはそういう意味で切れ目があるとも思えないわけでございますが、一方、最高裁は一貫して屋外広告物法自体及びこれに基づく条例は憲法に適合するという判決を下しておりますし、御指摘の事案につきましても大阪高裁はそのような見解を示しているわけであります。もっとも今回の改正は、違反の対象を拡大するとか罰則を強化するというようなものではありませんで、従来の法律あるいは条例の中で違反しているもののいわば直接撤去の道を開いたというわけでありますので、訴訟の結論というものとの直接の関係は少ないのではないか、こうも考えておるわけであります。
○新井委員 選挙法との関係についてちょっとお伺いしておきたいのですが、選挙法と今回のこの法律との関係です。公職選挙法に基づくはり札、立看板等の関係ですね。それから公職選挙法に違反するはり札、立看板の除却手続については、本法によるものと公選法第百四十七条によるものとが競合することになっておるけれども、その調整はどのように考えているかということです。
○吉田(泰)政府委員 公職選挙のためのポスター等は公職選挙法によることといたしまして、本法の適用を除外するよう各県の条例でもすべて規定しております。ただ、選挙期間をはずれますと本法の適用があるということになりまして、御指摘のように除却の方法等につきましても関係がしてまいります。公職選挙法に照らした手続によって一定期間内に撤去されるというようなものは別といたしまして、公職選挙法にも違反する、屋外広告物法にも違反するというものにつきましては、二つの撤去のしかたがあるというわけでありまして、そのいずれかに一本化するというような意味の調整規定は置いておりません。
○新井委員 不当な簡易除却措置、たとえば形式的には条例に違反しているが、周囲の美観風致をそこねていないようなはり札、立看板の除却等というのがありますが、これに対しての救済措置はあるか。それから行政不服審査法の対象となるか。この件はいかがですか。 〔天野(光)委員長代理退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕
○吉田(泰)政府委員 今回の改正で、直接除却の対象ははり札、立看板にまで及ぶことになりますが、現行法でもはり紙についてはすでに規定がありましたし、それから今回新たに対象としたというはり札、立看板なども含めまして、広告物一般について相手方が確知できないときの直接除却規定はすでに現行法にもあるところであります。以上を通じまして御指摘のような事態が考えられるわけでありまして、これは違法なものを除却してしまう。一回限りでやってしまう行為でありまして、行政不服審査で救済するというわけにもまいらない。そういう意味では本来の意味の救済措置はないわけでありますから、そのような誤認のないよう、現行法のはり紙につきましても条例違反等が明らかな場合に限っておりますし、今回追加しようとするはり札、立看板につきましては、その違反が明らかであるという要件のほかに、相当期間長期にわたり管理されずに放置されていることが明らかだという要件をもさらに付加いたしまして、そのような誤認によって除去してしまった、救いようもないという事態のないように配慮いたしておるところでございます。その前提としては何が違反かということが条例にも明らかになっておらなければなりませんので、前にはり紙について直接除却規定を置いた際に、条例の基準を明確にして誤りなきを期するよう指導してきたところでございます。今後におきましてもさらにこれを徹底いたしたいと考えております。
○新井委員 答弁は簡単でけっこうでございます。 ちょっとことばの定義を確認しておきたいのですが、第七条の四項の中に「違反に係るはり札又は立看板をみずから除却し、又はその命じた者若しくは委任した者に除却させることができる」こういう条文ですが、「委任した者」というのはだれのことをいっているのか。 それから「相当の期間を経過し、」というその「相当の期間」というのはどのくらい経過するのか。 それから「管理されずに放置されて」といわれておりますけれども、これは具体的にどういう状態かということです。 それから九条の「屋外広告業を営む者に対し、期間を定めて」といっておりますけれども、この「期間」というのはいつごろか、まずそれだけ聞くきたいと思います。
○吉田(泰)政府委員 七条四項の「委任した者」というのは、知事が特に委任した第三者のことでありまして、考えられるのは関係市町村とか、あるいは道路上のものにつきまして道路管理者等を考えております。 それから「相当の期間」と申しますのは、通常各都道府県のはり札、立看板の許可期限が一カ月程度ということになっておりますので、一カ月ぐらいが限度であろう、そのぐらいあれば相当の期間といえる。ただし、広告物自体の表示の内容から見てすでにその意図するところが達成されているというようなものにつきましては、それが過ぎたならばもう相当期間ということが言えるのではないか、こう思います。 それから「管理されずに放置されている」というのは、補修とかその他必要な管理をしておらない、そのために良好な状態に保持されていないというようなもの、あるいは行政庁が違反を発見しまして除却せよとか何らかの警告をいたしましたにもかかわらず、たとえば五日とか一週間程度たってもなおかつ除却しない、そのくらいの期間があれば除却することができるはずのもの、これはもう放置してしまっているのではないかという認定もできると考えております。 それから講習会修了者を置く「期間を定めて」の規定は、この講習会は年に一回くらいかと思いますので、次の講習会が終わり、それからあらためて手続を経て、講習会修了者を置くというのに要する期間を加えたもの、こういうことになります。
○新井委員 十条に「美観風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために必要な指導、助言及び勧告を行なうことができる」こういわれておりますが、美観風致の維持ということばが非常に抽象的なんですけれども、そういう基準はどうなっておりますか。
○吉田(泰)政府委員 美観風致の維持というのは確かに広い一般的な概念でありますが、これをこの屋外広告物法で規制の基準として用いる場合には、その美観風致というものを頭に置きまして、広告物を設置すべき場所といいますか、設置してはならない場所とか、設置していいかを個別に審査して許可しなければならない場所とか、あるいは設置してはならない物件であるとか、そういった客観的な、だれの目にもわかるような区域を限る、あるいはその形状、寸法等についても条例あるいはそれに基づく規則等によって明確に寸法をきめるというようなことによって、それを守ってもらえば、法律の企図する美観風致が実現する、こういうふうに屋外で実施しているわけであります。 なお、十条の指導助言、勧告という場合には、これはいまの規制等のような直接的なものではありませんが、したがいまして、いま申しましたような厳密な意味で必ずしも客観化しないでも、文字どおり美観風致という観点から、法律に許されておる限度であっても、より美観を向上させるというような意味の指導なども含めてされておるのではないかと考えております。
○新井委員 屋外広告業の届け出ということになっておりますが、これについては登録制という意見がありますね。そういう意見についてはどうですか。
○吉田(泰)政府委員 登録制ということも一応は考えてみたわけでありますが、登録制というものは一定の資格要件を持っていなければならないという資格要件の定めがあること、及び無登録営業は禁止され、登録を受けなければ営業できない、そういう内容を伴ったものが普通登録制といわれておるわけでありまして、届け出制はこれに反し、別段要件を定めず、届け出があれば、受理しなければならないということで、かなり制約の程度が違うわけであります。屋外広告業につきましては従来何らの規制もなかったわけでありますので、届け出でもって実情を把握し、行政指導の便に資するということが当面妥当ではないか。禁止の解除という意味で許可に近いような登録というものは、言論に非常に関連する営業種目としての屋外広告業に適用するということは、少なくとも現在のところ問題ではないか、こう考えておる次第であります。
○新井委員 第九条では都道府県が講習会を行なうことを定めておるわけですが、その内容は、屋外広告物に関する法令が六時間、それから屋外広告物の表示の方法に関する事項が四時間、それから屋外広告物の施工に関する事項が八時間、合計十八時間ということになっています。これだけの課程を修了すれば修了証明書が渡されるわけですけれども、はたしてどんな効果があるかということは非常に疑問になっているわけです。登録制にしてその中に盛り込んだほうがいいのではないか、こういう意見があります。わずかの十八時間の講習を受けなければ営業所を開設することができない、こういうぐあいになっているのですけれども、ここら辺、たったそれだけのことでそんなに大事なものなのかどうかということをお聞かせ願いたいと思います。
○吉田(泰)政府委員 確かに、私ども考えております講習会の内容はいま申された程度のものでありまして、はなはだ簡易といわれればそのとおりでありますが、しかしそれにしましても、広告物法とか条例とか施行規則というようなものによってその県の実際に規制される具体的な内容というものは講習いたしますし、その他これを取り巻く都市計画法とか建築基準法とかあるいは道路の占用ということも多いでしょうし、道路法というような法令知識も一通り講習する、それから法律に違反しないというばかりではなくて、都市の美観あるいは危害防止という意味での表示の方法、より積極的な美観の向上というようなことについての心がまえ、基礎的な考え方というようなものも説明できますし、また構造とか材料とか施工というような面で、とりわけて危害の防止、十分な取りつけとあとの維持、補修というようなことの考え方の骨組みは十分説明できると思います。もちろんこれで十分というわけではないし、広告業の業態によりましてはさらに徹底した別途の資格等も要るわけでありますが、一応全般の広告業を通ずる最低限度の知識としては、こういうもので多くを望むわけにもいかないし、この程度のものでかなりの効果があるのです。現時点は何もないわけでございますので、こういうことで実施してまいりたい。もっともこの義務づけ自体が条例にゆだねられておりますから、全部の県が直ちに講習会修了者を義務づけるということにもならないかと思いますけれども、その意義を認めるには足りるのではないかと考えております。登録制とからむという問題は、先ほどの言論関係の事業である、営業であるという観点から、この際は少なくとも避けたほうがいい、こういうふうに考えておるわけであります。
○新井委員 屋外広告物標準条例改正要綱案の中を見ますと、第三に講習会修了者の特例が載っておるわけです。雑誌「新都市」の中にはこの法律案の説明が書かれておるわけですが、その中には、講習会修了者の設置義務が説明されていながら特例は説明されておらないわけですけれども、これはどういうことですか。
○吉田(泰)政府委員 いまのような比較的簡易な講習会を考えておりますから、それと同等以上というものも幾つか考えられるわけでありまして、現在は職業訓練法に基づく指導員の免許保持者、その他全面的に免除できるもの、あるいは科目によって免除できるもの、いろいろ考えられるわけであります。御指摘の雑誌に触れていなかった点は、執筆者が気がつかなかったのか、気がついていてもその記事を書くほどに意を配らなかったのかわかりませんが、私どもとしてはお配りいたしましたような内容で、明確に条例で定めてもらうよう考えております。
○新井委員 その中で「講習会修了者と同等以上の知識を有するものと認定した者」について、講習会の課程の全部または一部を免除することができる、こういうぐあいにいわれておりますが、その基準はどのようなことで認定するのか。今日まで広告業を営んできた人たちにはどのように当てはめるのか。この件について、お答え願います。
○吉田(泰)政府委員 非常に内容が似通っております代表的なものとして、先ほど申し上げました「職業訓練指導員免許所持者、技能検定合格者及び職業訓練修了者であって、広告美術仕上げ」という課程を経た者、これがあります。それから、「他の都道府県の講習会修了者」というものも、他の府県の条例は必ずしもその県の条例と一致するとは限りませんが、まあ実際にはそう大差がない組み立て方でありますから、これは講習を受けなくても、自分で勉強してもらえば、その新しい県における法令、条例の規制内容は理解してもらえるという意味で、この二つのものははっきりと全部免除していいのではないかと考えます。そのほか電気工事士とか建築士とか、非常に高度な試験なども必要とするものでありますが、残念ながら屋外広告物という関係について法令その他の知識という点の内容は含んでおらぬというものにつきましては、その持っておられる科目、たとえば構造関係の科目であるとか、そういうものは当然除外していいのではないか、こう考えております。
○新井委員 ひとつもう一ぺん確認ですけれどもも、いままで広告業をやっておって、長年たった人はいいわけですね——。 広告業自体は都市に非常に集中しておるわけですけれども、各都道府県単位で講習会が行なわれるならば、その内容は非常にまちまちになるのじゃないかと思います。そういうような不都合をどのように是正するかということ。 それから、講習を受けた県だけ通用するのか。たとえていいますと、東京都で講習を受けたら東京都だけに通用するのか。それから仕事をする場合に、東京都のそういう講習の免状を持っておるけれども、神奈川県なら神奈川県の仕事もできるのかということです。
○吉田(泰)政府委員 県ごとに講習会をやると、その程度、内容等ばらつきはしないかということでありまして、この法律そのものの仕組みもそうですが、この講習会をやるかやらないか、講習会修了者を義務づけるかどうかということ自体が条例にゆだねられておりますから、ある県では新しい改正法に基づく規定を置き、ある県ではなお様子を見て置くというようなちぐはぐがあり得ると考えております。それもやむを得ないと思います。そういうことでありますから、講習会の内容自体もある程度ばらつくことは予想されますが、私どもとしましては、講習会修了者を義務づける以上は、たとえば半日くらいで終わるような、あるいは非常に片寄った科目しかやらないようでは義務づけるということ自体がおかしいではないか。そういう観点から最低限というものは考えられる必要がある。またあまりにも重いものを課することは、これは講習会を修了すればいいとしても、その間に拘束される、講習会出席のための犠牲もありますし、広範な範囲を一律に考えておる現状におきましてはそう高きを望むことは過大ではないか。こういう意味で上限も考えられるというわけであります。そういうことで、先ほど御指摘のありましたような科目、標準的な講義時間数を想定して、大体そのくらいのところを前後にして考えてもらうのが合理的だと思います、ということを指導したいと思います。 それから、一県だけしか通用しないかということでございますが、先ほど申しましたように、その条例に他県の講習会修了者も免除するということに規定してもらいたい、これも考えておりますので、そのような規定がなされれば、一県だけではなくて他の県にも通用するということであります。なお、屋外広告業者が実際に屋外広告物を表示する場所の、その県の条例が適用になるということであります。
○新井委員 その辺はよく詰めていただきたいと思うのです。 それからもう一つは講習料なんですけれども、講習料を取らない、これはきょうは時間があれですから長々と説明しませんけれども、そういう方向でひとつ検討をしなければならないということです。 それからもう一つは、先ほどから私が言っていますように規制措置が非常に多いわけですね。何でも規制措置、そういうことできておるわけでございまして、かえってどれがいい広告なのかということがさっぱりわからないわけですね。したががって、優良広告物については表彰するとか、あるいはまた模範広告物の設置をするとか、そういうようなことはやらなければならぬと思いますけれども、これについては大臣、お答え願いたいと思います。
○吉田(泰)政府委員 ちょっと私から先にお答えさしていただきます。 講習会は、やはりそれだけの条例の定めがある以上、一つの資格を与えるわけでありますから、その人にほかの人と違った地位を与えるという意味もありますし、実費としても若干のものがかかると思います。講習会場の借り上げ料とか講師の謝礼とか、それからテキストブックなどもおそらく配付してあとあと役立つようにするでしょうから、そういった実費を考えますと、私ども標準的な受講者を想定して計算すると、約二千円くらいで落ちつくのではないかと思います。その程度のものは県によって取りたいと思えば取れるように、もちろん取らないで済むという県があればそれにこしたことはありませんが、まあその程度のことは許されるのではないか、こういうふうに思います。 それから第二番目の点の、規制ばかりではだめなので、むしろ積極的にいい広告物を表彰したりすべきであるという点は、まことに御指摘のとおりであります。こういうものは法律の条文としては出ておりませんが、実際には最も重要なことだと考えております。現在も相当数の都道府県で優良広告物のコンクールとか、優良広告物の表示者に対する表彰などを行なっておるようでありますが、さらにこの点を徹底して、規制というばかりではなくて、むしろ前向きに、よりよくするという面に大いに力を注ぎたいと考えます。
○金丸国務大臣 講習会の料金の問題につきましては、ただいま局長から述べたとおりあまり高く取るということではないので、できるだけ安い経費でやれるような指導をしてまいりたいと思いますし、また、規制ばかりではいけないということでございますが、確かに御指摘のとおりであります。私も、都道府県でやっておるというような面もあるわけでございますが、建設省自体も、ひとつ国として考えてみてもいいのじゃないか、こんなことも考えて、非常にいい提案をいただきましてありがとうございました。
○新井委員 最後にお伺いしたいのですが、さっきの講習料の問題等につきましては、非常に零細業者が多いわけですね。したがって仕事の関係とかそういういろいろのことがありまして、そういうことで配慮してひとつお願いしたいということです。 結局、この広告物法の改正については、私は一番初めに言いましたように、実際問題違反があった場合に、やはり罰則規定もございまして、先ほど他の委員からも指摘ありましたように過酷なまでに警察のほうでは取り締まる。しかしながら、この憲法二十一条の表現の自由というのは非常にわれわれの大事な部面を占めておるわけでございます。したがいまして、悪質なものもあるし、あるいは何も知らないで張ってしまったという人もいるだろうし、いろいろの状況はあると思います。営業的なものもあるし非営業的なものもあると思いますけれども、そういう中で、ほんとうにこの言論の自由というものを保障しながら美観を保っていくということに心を砕かないと、一ぺん法律が通りますとそれが実際にはただ取り締まるだけで終わってしまう、こういう傾向があると思います。これだけ違反がたくさん出ているということは、逆に言えばそれだけの必要があってやっているので、だれも好きこのんでむだにそういうことをやっているとは思いません。したがって、今後ともそれを全部違反だということで押えるということは、逆に言えば二十一条の表現の自由を押えるということになるわけですから、そういう点についてどうか運用をはっきりさせていただきたい。さっきもいろいろこまかい点をお伺いしたのですけれども、どうも答弁はそういうこまかいきちっとしたものはできにくいという感じもあるわけです。そういうことで、その件について最後に答弁を承って質問を終わりたいと思います。
○金丸国務大臣 法は罪人をつくるということであってはならぬと思いますし、その前に指導ということがあってしかるべきだと私は思います。そういう意味で、この法を施行するにあたりましては十分その辺に遺憾なきを期してまいりますし、またその内容におきましても、情状酌量するような問題の事柄もあろうと私は思います。そういうことも十分取り締まり当局と連携をとりながら全きを期してまいりたいと考えております。
○新井委員 どうもありがとうございました。
○渡辺(栄)委員長代理 渡辺武三君。
○渡辺(武)委員 この屋外広告物法の持っておる目的といいますか、つまり美観風致の維持あるいは危害の予防、こういうことのためにこの法律ができておるということでございますが、その目的は実は私も大賛成であるわけです。しかしながら、この法律そのものの持っておる内容でこの目的が達成できるであろうかと考えていきますと、問題があまりにも多過ぎるといわざるを得ないわけでございまして、今回改正しようとしております内容だけでも、決して私はこの目的が達成できるとは考えられないわけでございます。 そこで最初にお伺いしておきたいのは、屋外広告物行政というもの、このものの基本的な考え方と今後の方針についてお聞かせを願いたい。
○吉田(泰)政府委員 屋外広告物行政の基本的な考え方といたしましては、目的にあります美観風致の維持と公衆に対する危害防止、この二点を目標として、これを片一方では、直接的な条例の規定による規制ということを行ない、一方では、それを取りまとめて実際上のあり方、それに関与するものとしては、地方公共団体自体もありますし、住民の方々の意識もありますが、なかんずく実際の広告物の表示作業に従事される屋外広告業者というものの心がまえ、あり方というものが非常に大きな力を持っておると考えます。これにつきましては、登録制というような許可制に近いところまではいかずに、まず実態を把握するということから始めまして、あとは事実上の行為として助言とか勧告とか指導というようなことによってやっていきたいと思います。このような規制と指導ということが二つの行き方でありまして、私どもとしては、従来ともすれば手抜かりの多かった指導とか積極的な推進の面にさらにさらに力を入れなければならない、こう考えておる次第でございます。
○渡辺(武)委員 実はこの法律をわれわれ審議をしておるわけですが、私自身非常にうしろめたい気持ちでこの法律の審議に参加をしておる。なぜかといえば、国会議員、みなえらそうなこと言いますが、ほとんどの人跡この屋外広告物法には違反しておる。その条例を定める県会議員の諸君もまた大部分がその条例に違反して実は今日あると思うのです。そういう立場で、さらに規制を強めようという法規制をやろうとすることはきわめてうしろめたいのです。なぜそうなるのであろうか。私は、根本的な考え方が間違っておるのではないだろうか、こう考えるのです。屋外広告物による公衆の危害を守るという立場から、屋外広告業者の教育をし直したりいろいろなことをやるということは当然必要でございましょう。しかしこれにも抜け道がそのまま残っておる。というのは、つまり広告をつける広告業といいますか、それを営業の目的としておられる方々にはそういう義務が課せられてまいりますけれども、たとえば営業の目的としないすし屋のおやじさんが、看板だけ書いてきてもらって、自分でつけるという場合は、これはどうなるのでございましょうか。別に講習を受けなくてもつけられるわけでございましょう。つまり営業を目的としておる人たちに対してそういう規制がかけられておる、こういうことですから、やはり公衆に危害を及ぼすおそれがある。たとえば看板が落ちてくるというようなことがあれば、当然それらの教育は徹底してやらなければいかぬし、それは単なる届け出だけでいいであろうかという危惧が実はあるわけです。むしろ許可制にして、ほんとうにそういう技術を身につけたかどうかのチェックが必要じゃないであろうか、そういうふうに考えるわけでありますが、先ほどはそこまでは考えていないという御答弁のようでございました。しかしながら現実の面としてほんとうに公衆に危害を及ぼすおそれがあるとするならば、私はある程度そういう方向に進むべきではないであろうか、こう考えるわけでございます。 さらに、先ほど来問題になっておった、いわゆる営利を目的とするもの、営利を目的としないもの、これらが同一に取り扱われておりますから、つまりは美観風致を維持し、公衆の危害を防除する、こういう美名に隠れた取り締まり、その結果が民主的運動をも弾圧をするという結果に相なってしまう、こういうことですから、この法律そのものも相当まだまだ不備があるのではないだろうか。ために、大きな声で討論を続けておりましても、私ども自身が現実にはその法律に違反し、条例に違反をしておる。残念なことだけれども現実はそうなんです。だから、そういうことがほんとうに正しいのであろうかといわざるを得ないわけですね。どうしたならばその矛盾が解決できるであろうか、これを私は真剣に考えなければならないと思うのです。この辺のところ、局長いかがでしょうか、どのようなお考え方を持っていらっしゃいますか。
○吉田(泰)政府委員 この規定の目的とするところから見まして、営利、非営利という区別はできないし、またそれをすること自体が一方では広告物の内容に関与してしまうという問題がございます。そういうことで現行法では一切の広告物を平等にとらえて規制の対象にいたしておりますが、実際の運用といたしましては、先ほど来のいろいろな御指摘もございますし、同じく形式的に違反すると申しましても、一時的な一回限りというようなものにどれほど直接に罰則を適用すべきかということをよく考えなければならないわけでありまして、表現の自由、言論の自由の問題ともからみまして、法律上その区別はなかなか困難でありますけれども、運用のあり方としては、長期間継続的に掲出される広告物と必ずしも同じように機械的に運用すべきものでもない、このように考える次第であります。
○渡辺(武)委員 運用の面で分けていけばいいのだとおっしゃる。現実に法律の内容は、先ほど来の討論にもありましたように、たとえば選挙運動の期間のうちは公職選挙法によってそれが優先をしていく、こうおっしゃるわけですが、現実はやはりものごとを行なうためには準備運動が必要でございまして、準備の期間というのは相当ある。たとえば、つい先日も、勤労者が企業に通う場合、準備活動として通勤という行為が必要なのだ。したがって、会社に通うあるいは家に帰るという行動そのものも業務上災害として認定をしよう、こういうことになっているわけですから、つまりはものごとには準備期間が必要だ。そうしますと、公示から投票日まではいいけれども、それ以外のものはすべてこの広告物法が適用されるのだ、こういうお返事だったわけでしょう。適用されながらも運用の面では除外をしていくと、どこに書いてあるのですか。どういうことですか、局長。
○吉田(泰)政府委員 公職選挙法の立て方の問題考えますと、あの期間をもって選挙活動をするのだということで定められておりまして、それを私どもは援用して、その期間は適用除外するということを考えているわけであります。準備あるいは事後ということも、選挙期間に近い時期であれば十分考えられるわけでありますが、どこまでを限っていいかということもありますので、なかなか条例などで明確には定めがたいことではないか、こう思っている次第でありまして、やはり、現在も実際に行なわれているような各府県における行政の運用ということにゆだねるということが最も適切な解決のしかたではないかと考えておるわけであります
○渡辺(武)委員 それは局長自身の主観による適切な処置であって、私は決して適切だとは思わないのです。たとえば、われわれ自身が国民に対して国政の報告をしようとする、あるいは県会議員が県政の報告をしようとする、そういう場合は不特定多数の方々にそれらのことを知らしめていかなければいかぬ、こういう場合も往々にして起こってまいるわけですね。それらはすべてこの広告物法によって規制をされていくということですから、実際はこれは非常に大きな問題があると思うのです。 そこで、局長も御存じのように、「ネコを追うよりさらを引け」ということばがあるんですよ。先ほど来電柱の問題がございまして、電柱に張ってはいかぬとかいいとかいろいろ論議をされましたが、美観上、風致上の見地から見るならば、私は電柱そのものは、電線そのものを地下に埋設すべきだ、こう考えるほうが適切であると思うんですよ。そのかわり、国民の皆さま方に知らしていかなければならないことがたくさんあるわけですから、当然公営の広告塔というものが設けられてこなければいかぬ。西ドイツ等に行けば町に広告塔が立っておって、ビラがみなそれに張られておる。これはそんなに美観を害しない。かってにべたべたと軒先に張ったり電柱に張ったりしないで、統一的にそういうことがなされていけば私は考えられると思うのです。従来の法律をよく見ていきますと、ほとんどが、してはならない、やってはならないというような規制が主体になっておるわけですが、むしろこうしなさいというふうに転換をせしめていくべきではないであろうか。特にこの広告行政というような問題は、従来からいろいろ言われてまいりましたけれども、憲法との関係もあり、実際はそう簡単に取り締まりはできないということです。だから今度改正をされようとしておる法案の内容を見ましても、いろいろな面で不十分だろう。しかも一方には、そのために正当な言論が抑圧をされていくというおそれすらある。規制を一緒にして強化すればするほどそういう危惧の面が出てくるわけです。したがって、一方では公衆の危害を防除するために、確かにそういう広告、看板等を取りつける技術その他等の講習なりあるいは規制を厳格にしていかなければいけないということはわかる。ところが他方、そういう言論抑圧に通じないような方向が同時に考えられていかなければいけないのではないか、こう考えるわけですが、いかがですか。
○金丸国務大臣 言論、表現の自由を抑圧してはならない、保護していかなければならぬことは当然であります。 〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕 いま先生からお話がありましたように、公営の掲示板を考えるということは——規制、規制ということで、実際問題、先般の都会議員の選挙を見ましても、あの宣伝ビラを張るのに非常に苦心しておるという状況は、建物の構造からいろいろ変わってきておりますし、なかなかむずかしくなってきておる。それに電信柱にもいかぬということになる。また実際に電信柱にははり紙ができないような装置をするというような計画もいましてあるわけでありますから、だんだん締め出しを食っていくようなことになるということを考えてみますと、先生の御提案の、何か公営の掲示板みたいなものをして、いわゆる表現の自由というような場所をつくるべきだということも私は一つの大きな提案だと思います。ことしということには間に合いませんが、来年度等につきましてひとつ十分に検討さしていただきたいと思います。
○渡辺(武)委員 そういう面で、私は規制を強化する必要も認めますが、一方規制を強化することによっていま申し上げているような憲法上の問題、基本的人権の問題等々が出てまいりますから、一方ではそれを救済する具体策というものがあわせて考えられていかなければいかぬ。大臣も早急にそういう検討をするとおっしゃっておるわけですから、その検討にまちます。まちますが、とりあえず、こういう規制を強化する問題はややもするとそういう問題が起こるので、ここで何らかの方法がやはり必要ではないであろうか。つまり、そういう面に対する配慮がなされていないと、論議がされておりましたような、いたずらな摘発といいますか、検挙が行なわれてしまう、こういう事態があるわけですから、その辺は相当慎重に取り扱っていただきたい、私はかように考えるわけでございます。 したがって、私は実は法案の内容そのものをあまり云々したくないのです。というのは法そのものにこのままであれば私は賛成しがたいわけですから。ほんとうは規制を強化すると同時にそういう措置がとられるということが必要なわけですけれども、そうではありません。したがって、法案そのものの詳細な検討には入りませんが、基本的な考え方として、いまも申し上げておりますように、一方で公衆の危害を防除しあるいは美観を維持するために規制が必要だ、その必要性は十分に認めております。ところが他面、そういうために国民が受けてくる制約が基本的人権にまで及ぶ、あるいは言論の抑圧ということに通ずることがあってはなりませんので、この点だけは十分慎重に再検討していただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○服部委員長 次回は、来たる二十日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十二分散会