外務委員会 第36号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/09/19
会議録
○藤井委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 この際、大平外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
○大平国務大臣 政府はベトナム民主共和国政府とパリにおきまして両国間に外交関係を設定するための交渉を行なってまいりましたことは、御高承のとおりでございますが、このほど、双方の間で実質的合意が見られた旨、先ほど私に対して御報告がありました。その結果、明後二十一日にも合意文書に署名を行なう予定でございます。 なお、合意の具体的な内容等につきましては、先方との申し合わせもございまして、同日正式に発表するまで公表しないことで御了承をいただきたいと思うのであります。 なお、本件が一部の新聞におきまして観測記事として掲載されましたこと、事重要な外交案件に関することでございまして、私どもといたしましてたいへん遺憾に存じております。本件ばかりでなく、外交関係の処理にあたりまして十分戒めてかからなければならぬと存じております。
○藤井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田春夫君。
○岡田(春)委員 時間の制約もありますので、きょうは、金大中問題とそれに関連をいたしまして韓国に対する経済援助の問題を中心に御質問をいたしたいと思います。 まず、きょう山本警備局長お見えですから伺っておきたいのですが、十七日付で韓国の捜査報告が来ているわけです。これを見ると、金東雲なる男は嫌疑がない、犯行に加担した嫌疑がないということがはっきり書いてある。しかし、それの物証といいますかあるいはアリバイといいますか、こういう点については全然触れておらないし、あれだけの、たった一行の文章では、これは日本の国民としても全く納得ができないと思うのです。こういう点についてどういう感想を持っておられるのか、そして具体的に物証を要求するとかそういう手続を当然これはとるべきだと思うのですが、こういうことについての見解をまず伺っておきたいと思います。
○山本(鎮)政府委員 韓国の中間報告、この内容はただいま岡田先生からお話があったとおりであります。金東雲一等書記官についてはその犯行に加担した嫌疑がない、そういう判断を下しておるわけであります。その判断に至ったプロセスといいますかその内容、こういうものについては何ら発表されておりません。したがってわれわれとしては、その点についてやはりどういう内容であるか、そういう点を知りたいわけであります。これまで金東雲一等書記官の任意出頭を求めてきておるわけでございますので、そういうふうに嫌疑がないといわれるならば、やはり日本当局に出頭してその内容を説明してほしい、こういうふうに思っております。韓国政府がその嫌疑がないということを発表した過程についても、もし説明ができるなら説明をしてもらいたい、こういうことを外交ルートを通じて要請したい、こういうふうに考えております。
○岡田(春)委員 そういう手続は早急におとりになるお考えですか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。 そのようにしたいというふうに考えております。
○岡田(春)委員 新聞報道等によると、国連総会が近い。そうするとアメリカと韓国の間でこの問題を一時凍結をする。こういうふうになってまいりますと、いままでの日本政府のとった態度でまいります限りにおいては一時凍結という方向に流されざるを得ない結果になってくる。ここでやはり外交措置としては思い切った措置をとらないことには肝心の金大中問題というのは解明されないであいまいに終わってしまう、こういう危険性が非常に出てきていると私は考えるのですが、外務大臣、どうお考えですか。
○大平国務大臣 この不幸な刑事事件でございますが、これを解明いたしまして、それを踏まえて公正な解決をはかるということは政府の責任でございます。したがって、政府はこれをあいまいにしていいという立場にないわけでございまして、われわれといたしましては既定の方針に従いまして引き続き精力的にその解明と解決に当たっていくつもりでございます。 それから、本件は日韓間にまたがった事件でございますので、日韓の間で公正な解決をはかるということでなければならぬと考えておるわけでございまして、日米韓三者で協議いたしまして政治的解決をはかるというような筋合いのものではないと私は考えております。
○岡田(春)委員 しかし今日の問題としては、韓国がイエスといわない限りは話にならないわけですよ。ところがいままでの方針どおりできた限りにおいてはイエスとはいっておらないし、ほとんど、向こうからの捜査報告などを見ても満足のいく報告なんて一つもない、これは断定してもいいと思うのですが、そういう事態において一体、既定方針どおりに従ってなどとおっしゃったって解決できないことはわかっているじゃありませんか。もしこの問題解決ができなかったら責任は日本政府がはっきり負わなければならないのだということはここで銘記しておいていただきたい。そういう点ではいままでの方針どおりでは話にならないということをはっきり申し上げたいと思うのだが、こういうことについて特に御見解があれば伺っておきたい。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、日韓間に生起いたしました不幸な事件でございまして、日韓両国の協力によりましてこれを解明して公正な解決をはからなければいかぬという性質のものであろうと思うのであります。したがって、本件の解決には仰せのように日韓両国政府の協力が十分とられてまいることが基本的に大事なことと思うのでございますが、ただいままでの韓国側から寄せられました報告、資料等におきましてわれわれ満足すべきものとは決して考えていないのであります。しかしわれわれは、今後その協力がこれ以上得られないとは考えていないのでありまして、何となれば本件の解決はわが国にとりましても大事な問題でございますが、韓国にとりましても大事な問題であるに違いないと思うのでございまして、鋭意先方の御協力を引き続き求めてまいりまして、解明と解決に努力してまいる希望を捨てていないわけでございまして、得られない場合にどうするかということでございますが、そういう場合はいま私は考えていないのでございまして、精一ぱい協力を求めまして解明と解決に努力するのがわれわれの任務であると心得ております。
○岡田(春)委員 得られないとは思っていないと言っても、いままでに得られておらないという実例を考えたらわかるので、これはここではっきり外務大臣と二人でお話をしておきたいのですが、解決できなかったらあなたの責任ですよ。こんなに国民がいっておるのに、あなたはあいまいな態度をいままでとっていたと国民は見ている。こういう点をあなたばかみしめて、最後は断固たる措置をとるぐらいの決意がないとこれは問題解決しないと思うのです。簡単に、もし決意のほどがおありになるならば、最後には断固たる態度をとるのだ、解決するためには断固たる措置もとるのだということをひとつ言明いただけるかどうか、この点を伺って次に入っていきたいと思うのです。
○大平国務大臣 岡田さんのおっしゃる解決というものをどういうようにお考えになっておるのか、私には十分のみ込めないのでありますが、私どもたびたび申し上げておりますように、この事件の事実を解明して、それを踏まえて公正な解決をするということを考えておるわけでございます。決意を表明することもやさしいことでございまして、断固たる態度をとるということを申し上げることもいとやさしいことでございますけれども、問題は事を解決せなければならぬわけでございますので、その解決のためにいまわれわれは鋭意努力をしておる過程なんでございますので、われわれがやっておりますことに対しましてしばらく時間的余裕をもって見守っていただき、御協力を賜わりたいものと思います。
○岡田(春)委員 山本局長にもう一点だけ伺って、局長あと予定があるそうですからけっこうですが、そういう実情で、今日の段階では金大中の問題というのは、私の考えをもってすれば壁にぶつかっている。今後どうするかという問題、もちろんわれわれ金大中氏を日本に連れてきて事実として金大中氏の問題を解決する方向をつくる、これは一番いいことですけれども、場合によっては、きょうの報道等を見ると捜査官の交換などというような問題も出ている。こういう問題が向こうから提案があった場合に、これに対してはどうされますか。
○山本(鎮)政府委員 そういう問題がもし提案されるということになれば、その時点で十分外務当局とも話し合いをいたしまして、その時点であらためて検討をしたい、こういうふうに考えております。
○岡田(春)委員 その時点で検討をされるということですが、あらゆる方法をおとりになることを私は希望をしたい。しかし韓国のほうのベースにはまっている今日の状態で、やはり日本側の態度を明確にすることが必要なんで、われわれ国会も間もなく終わるわけです。韓国の国会が今度始まるわけですが、そういう場合においてわれわれ国会でいろいろ質問をして国民の聞きたいことを明らかにする、こういう機会もだんだんなくなってまいりますので、ひとつここで断固たる態度をもって進んでいただくことを強く希望いたしておきます。もしそれについて何か御意見があれば伺っておきたいと思います。
○山本(鎮)政府委員 捜査の方針としてはいまお話がありましたように、金大中さんそのほかの参考人の方の出頭の要求といいますか、こちらへ来ていただいて話しを願いたい、これは一貫して変わらない立場でございます。それから金東雲一等書記官の任意出頭も同様でございます。しかし捜査といたしましてはまだ基本的な捜査が終わっておらないわけです。どういう形で拉致され、どういう経路で出国していったか、そういう問題を具体的に基礎捜査として着実に一つ一つ積み重ねて目的に到達するという捜査はきちっと一方においてやりながら、いま最初に申し上げた点を外交ルートでお願いをしていく、こういう姿勢で困難が増せば増すほど捜査意欲を燃やして事件の解明につとめていきたい、こういうふうに考えております。
○岡田(春)委員 それじゃ局長、けっこうですから……。 実はこの金大中問題の、われわれから考えました場合に基礎になっている経済協力、こういう点について少し時間をかけて伺ってまいりたいと思います。 この前の私の質問の中でも、こういう金大中の事件が起こったその背景というものはやはり朴軍事政権、独裁政権、これと日本の政府の特殊な結びつきがある、そういう結託のもとにこういう問題が起こってきているんだというように私は質問をいたしました。そういう点をきょう具体的な話でひとつ伺ってまいりたいと思います。 第一点は、国会に提出されました経済協力に関する資料、これを見てみますと、この五ページに「緊急商品援助」というのが出ておりまして、百五十四億の緊急援助というものが出されていますが、これは第六回、昨年の日韓定期閣僚会議で韓国側が緊急商品援助というものを要請してきた。その理由は一体どういうことを韓国側はいっているのか、この点を伺いたいと思います。
○御巫政府委員 お答え申し上げます。 およそ一昨年の秋ぐらいからと存じますが、韓国の国際収支のバランスが非常にマイナスになりまして、現在でもまだマイナスを続けている状態ではございますが、昨年の正月に丁一権元総理が来日せられまして、こういう状況では韓国の経済がまあいわば非常に危険な状態におちいることに相なる、そこで何とかこの状態を救ってほしいという御要請がございまして、その一つの方法としてはこの商品援助というものを与えまして、日本から緊急に商品を援助によって韓国に輸入する、緊急に必要とする資材でございますが、それを援助でもって輸入することによって国際収支のアンバランスを防ぐ。さらにその輸入いたしました商品をもちまして、それを民間に売却することによって生じました現地通貨、ウォン貨でございますが、これを利用して経済開発に役立てる、二重の効果をあげたい、こういう御要請がございましたので、昨年の七月一日に第一回目の緊急商品援助というものを正式の約束をいたしました。それがこの資料の五ページに載っております百五十四億円というものでございます。岡田先生御指摘になりました昨年の第六回の日韓閣僚会議において約束されました百五十四億円はそれに続きまして第二次の緊急商品援助、まだ昨年の閣僚会議の時点では韓国の国際収支のバランスはそれほど改善されておりませんでしたので、第二回目のこの百五十四億円の約束をいたしましたが、これにつきましてはまだ正式の交換公文を行なうには至っておりません。そういう状況でございます。
○岡田(春)委員 いま国際収支の問題の御説明があったわけですが、国際収支の問題だけではないと思う。韓国の国内事情、経済情勢の問題も一つ大きな理由として説明があったはずです。特にいまお話しの第六回の閣僚会議の問題については、実は外務省で発行した「経済と外交」という資料、この中にはっきり書いてある。これは国内事情においても原因がある。特に昨年の八月二日に出された徳政令の発布によって国内企業の大混乱が起こる、こういう問題についても、そういう事情であるためにぜひともこれは緊急援助をしてもらいたい、こういうことをいっておるはずだ。こういう点についてはどうですか、局長。
○御巫政府委員 御指摘の「経済と外交」の記述につきましては私どもただいま資料を持っておりませんのですが、昨年の閣僚会議のコミュニケの中にいまの私の申し上げました点が触れてございまして、この十九項目でございますけれども、「韓国側は、一九七一年中の国際経済情勢の変化によって生じた韓国の輸出の伸び悩み及びウオン貨の為替レート引下げを予想して行なわれた輸入の急増等を原因とする経常収支の赤字に対処することを目的として一九七二年七月に日本側から供与された円借款一五四億円に引き続き、日本側の資金協力を要請した。」こういうふうにコミュニケに書いてございますとおり、この二つの理由、すなわち当時の世界の通貨情勢の不安定、まあそれが主とした理由でございますが、それによって韓国の輸出が伸び悩んだ、それと同時にまたウオン貨がもし引き下げになるかもしれないというようなやや投機的な要素によって行なわれた輸入の急増、こういうことからこの国際収支の悪化が見られましたというのがこの緊急商品援助の持つ理由でございます。
○岡田(春)委員 私が質問しているのは国内的な事情は関係ないのか、こう言っている。国内的な事情には関係あるのですかないのですか。「経済と外交」の一九七二年十月号にこう書いている。「更に韓国側は緊急商品援助を要請する理由として、先にあげた国際収支の困難のほかに、去る八月に断行した私債市場閉鎖より生ずる国内資金の調達の必要もあげて来ました。」「そこで政府は、八月二日に大勇断をもって」——政府というのは韓国政府ですが、「私債の棚上げ、いわゆる「徳政令」を発布したのです。従来私債市場にまわされていた資金は、今後はそっくり低利で銀行へまわされることが一応期待されますが、現実にはそうもゆきませんし、どうしても企業は資金難になって来ます。緊急商品援助要請は、かかる事情をも背景としています。」はっきりいっている。しかもこの金利問題については、資金量が乏しいから多くの企業は、大企業も中小企業も年利四〇ないし六〇%という高い資金を使っておった。これを停止したわけです。これによっていままで不実企業なるものが繁栄しておった。こういう不実企業なるものが繁栄しておったところに日韓の経済協力の根本的な問題がある。こういう不実企業を、日本の政府が商品経済援助という形で守るという結果をもたらしている。こういうことが書いてある。あなたはこの事実をお認めになりますか。
○御巫政府委員 そこに書かれました記述につきましてではございませんで、私が申し上げましたのは、先ほど二重の効果ということを申し上げましたように、この緊急に輸入されました商品を民間に売却することによって得られました現地通貨ウォン貨、これを韓国政府が一つの基金といったようなかっこうにまとめまして、これを必要なプロジェクト等のために使用する。そういう意味におきましては、国内におけるウォン貨の不足を補足するという効果を生じましたので、その効果をねらったということも含まれておることば確かでございます。
○岡田(春)委員 あなたそう言ったって、これは外務省のアジア局の北東アジア課で正式に書いている。現実にそうした不実企業を守るために日本の金が使われているという意味のことが書いてある。不実企業の問題は提出資料に出ておりますが、今日問題になっている不実企業の名前を全部あげてください。ここに出ているが、これはやはり速記録に残しておきましょう。韓国の不実企業とはどういうものをいうか。あなたのほうで出した資料だよ。
○御巫政府委員 韓国におきます不実企業の定義というのは、いまさら申し上げるまでもないことですが……。
○岡田(春)委員 説明はいい。時間があまりないのですから、名前をあげてください。
○御巫政府委員 ここに掲げられましたものは約四十ございますが、これはいわば日本に関連すると見られているところの不実企業でございます。企業の名前を申し上げますと、韓国鉄鋼、仁川製鉄、韓永工業、韓国肥料、興韓化せん、韓国アルミ、大韓造船、新進自動車、韓国電気冶金、大鮮造船、韓国麻紡、東立産業、三栄ハード・ボード、大韓光学、興和工作所、和一産業、三成製鋼、大元製紙、大成木材、三洋航海、都南毛紡、三安産業、大林水産、内外紡積、泰興産業、豊韓産業、大体これがここに掲げてございますいわゆる韓国の不実産業ですが、これが先ほど日本に関係すると申し上げましたが、必ずしも日本に関係ないものも含まれておるということでございます。
○岡田(春)委員 いまお述べになったとおり、四十近い不実産業は、ほとんどさっき言ったいわゆる高金利によるところの金利、これが徳政令によって停止された。それによって自転車操業で何とかやっている企業、これに対してカンフル注射を日本が与えた。日本の経済援助という形は、客観的に見てこういう形で不実産業を守る役割りを果たしている。こういう点に問題の疑惑があるのです。 〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕 この問題については私ここであまり長く触れません。というのは午後の決算委員会で、それぞれ社会党その他の党が触れるはずですから、これ以上私は触れませんけれども、ここに疑惑があるのだということを外務大臣ひとつお忘れにならないようにお願いをしておきたい。 続けてその次の問題に入りますが、これは若干時間の関係もありますので、問題をはしょってまいります。 まず第一に条約局長の松永さんに伺ってまいりたいのですが、六月の二十九日この委員会において渡部委員の質問に答えて——渡部委員の質問は「この国際的な約束、交換公文等を含むこれらの取りきめに関し、あるものは国会、当委員会に提出され、あるものは提出されない、その基準がございますか。」これは交換公文の問題で質問しているわけですね。これに対して松永条約局長は答えている。「一般的な基準、考え方といたしまして、その締結によりましてわが国が新しい法律的な義務を負うもの、あるいは財政負担を負いますもの、さらに相手国との関係におきまして非常に政治的な重要な意義が認められるもの、こういったものはすべて国会に提出いたしまして、御承認をいただくということにいたしております。」この三つの条件といいますか基準といいますか、これに該当するものは国会の承認をとる。こういうことを御答弁されておりますが、これは間違いございませんか。
○松永政府委員 それはそのとおりでございます。そのとき御説明申し上げましたのは、従来、これは新憲法下でございますけれども、政府が国会に締結について承認を求める、お願いする条約の慣行が、いまおあげになりましたような三つの範疇に分けて考えられるということを申し上げたわけでございます。
○岡田(春)委員 ではこういうものに該当するものは三つの範疇に分けて国会の承認を求めている。そこでこの三つの基準といいますか、これに該当する場合、その中でたとえば一つだけ該当するというような場合にも当然国会の承認を必要とするのだ、こういうことになろうと思いますが、いかですか。
○松永政府委員 大体そのとおりだと存じます。
○岡田(春)委員 そこでもう一度念を押しておきますが、大体ということばを使われたから、予算の支出を伴う条約の場合、当然国会の承認を求める必要があると思うが、どうですか。
○松永政府委員 その点は、その条約の締結によりまして新しい財政負担を約束するという場合でございます。したがいまして、すでに予算が成立しておりまして、これこれの支出を政府が権限として与えられているというものについては別個のものであろう、こう考えております。
○岡田(春)委員 予算の承認を得てそれによって行なった場合は別途だ、こういう意味ですか。そうすると、それは予算の承認の中で、金額の多少にかかわらずそういうような必要があった場合には、それは国会で別に条約上の相手国との関係——いまの予算の承認というのは日本の国内の問題ですから、条約上の関係はとる必要がない、こういうお話ですか。その点はどうですか。
○松永政府委員 財政負担を約束いたしますことについて、予算が成立していることによって政府がその権限を認められております場合、そのためにその条約について国会の御承認を求める必要はない、こう考えておるわけでございます。
○岡田(春)委員 しかしそれは国内法上の、財政法上の措置ですわね。国際関係、相手国との関係の条約上の措置は別な問題でしょう。そうじゃありませんか。
○松永政府委員 これは仮定の問題でございますけれども、しかしその場合はその財政負担の権限を越えて約束するわけではございませんので、その範囲内において当然約束いたすわけでございます。
○岡田(春)委員 これはあとでまた聞きますが、私の言っているのは、国内法上の措置として、財政法上の措置として、あなたの言われる予算を承認する。しかし外交関係の問題は国内法の問題とまた別な問題ですね。こういう問題は別途に承認をとる必要があるのじゃないか、こういうことを言っているのです。これはあとでまたやりましょう。 それで具体的な問題で伺ってまいりますが、同じこの資料を見ると、対韓無償経済援助、これは御承知のように日韓の基本条約のときに無償援助を三億ドル、これを出していますね。これは御承知のように交換公文もつくっている。いいですか。ところが、この資料を見ると、この中に金烏工業高等学校に対する援助というのがある。これはどういうことなんですか。ここら辺、もう少し詳しく伺っておきたい。二ページにありますが、金烏工業高校、第一次、第二次、計として五億二千四百万、これが設立——いわゆる無償援助というのは贈与することですからね。お金をただで上げることですからね。どういうわけで、こういうただでこの学校をつくるのにお金を上げることになったのか、ここら辺の経過を伺っておきたい。
○御巫政府委員 金烏の工業高校につきましては、そこに無償供与を提供するということに至りました経過は——金烏というのは山の名前でございまして、金の鳥の山という山がある、そのそばにできます工業団地の、場所の名前からいいますと亀尾といいますが、そこの場所に工業団地ができまして、そこの工業団地で使われるような、いわゆる工業専門学校程度の人たちを養成するための学校がほしいという要請かございまして、それに基づきまして、日本から無償の援助をもちまして、その校舎、教育に必要な器材等を供与するという約束をしましたのが、第一次、第二次とここに書いてありますものでございます。これらはいずれも外務省予算の中におきましてこの項目を掲げまして、御承認をいただいておるものでございます。
○岡田(春)委員 山の名前まで御説明があったんだが、もう一つ説明したほうがよかったのじゃないですか。これは朴正煕の出身地であるということを説明したほうがよかったのじゃないの。そこに問題があるんだということをひとつ局長、あとで御答弁をいただきますが、これはどういう経過になっているのですか、国際関係では。四十五年の日韓閣僚会議で調査をすることにきまっているのですね、二十二項で。その調査をすることになっておったのが、その翌年に突然これが出てきたわけですが、ここら辺の真相はどうなんですか。
○御巫政府委員 岡田先生御指摘のように、昭和四十五年の閣僚会議の共同コミュニケの第二十二項に、「技術高等学校設立に関する問題に対し、両国閣僚は、できるだけ早く調査団を派遣し、その具体的な方法を検討することに合意した。」ということが書いてございまして、その結果調査団が派遣されまして、いま申し上げましたように、工業高等学校をつくるというのが適当であるという結論に達しましたので、その次の予算の要求書の中に、この第一次の項目を入れまして、国会の御承認を得ましたので、設立に取りかかった、こういうことでございます。
○岡田(春)委員 それは計画としては三カ年計画ですね。国会の承認は、第一次、第二次は、これは出ている。ことしの数字はまだ出ておりませんね。
○御巫政府委員 そのとおりでございます。
○岡田(春)委員 これは調査団の行かれたときは四十五年の十一月ですね。そのときの総額というのは二百六十万ドル。外資二百六十万ドルないしは約百万ドルになっておったはずなんです。ところが、突然この二百六十万ドルという日本からの外資供与、贈与、これが調査の結果三百十万ドルにはね上がっておりますね。これは一体どういう経過なんですか。特にそれに前後して大統領選挙が行なわれましたね。朴正煕の出身地にこういうものがしかもできる。ここら辺には非常に問題があるように私は感じるのだが、そういう関係等についても、ひとつすっきり御答弁をいただきたい。初めは、調査団が行ったときには二百六十万ドルのはずだった。それがいつの間にか三百十万ドルになっている。こういう経過なども詳しく御答弁をいただきたい。
○御巫政府委員 第三次の分がここに載っておりませんのは、第三次につきましてはまだいわゆる先ほど御説明のありました交換公文ができ上がっておらないからでございます。 それから、御指摘の調査団の報告に載りました数字がその後ふえてまいりましたのは、前にも申し上げましたような韓国の国内の物価の値上がりとか、いろいろなそういうお金をふやす必要が出てきて、調査団の出しました数字が、その後に双方の合意によって変更されてこういうふうになったということでございまして、特段の理由はないものと承知しております。
○岡田(春)委員 物価の問題などは、そのころだってわかり切っていることだし、初めからそういうことは計画としてあるはずなんです。しかもこれは、伺っておきたいのは、三億ドルの無償援助、贈与の中でどうしてこれを処理されなかったのですか。三億ドル以外にこれをつくられたという理由が私にはわからない。
○御巫政府委員 三億ドルの無償供与につきましては、岡田先生すでに御承知と思いますが、毎年毎年、年次計画というのをつくりまして、その中でいろいろな事業をきめて実施してまいります。それで、無償供与につきましては、主として農水産業の分野にこれを使うというような韓国側の方針がございまして、初めのうちそういう方向に使ってまいりました。途中で若干その内容に変更のあったことも事実でございますが、この金烏の工業高等学校を無償でつくりましょうということになりましたのは、これは一つばわが国の経済協力の一般的な方針と関連する問題でございまして、御承知のように、わが国の経済協力は非常に条件がかたいということで世界的にいろいろ批判をこうむっております。そこで、この条件のかたいのを何とかして有利な条件にするための方法は、幾つかあるはずでございますが、中でも無償協力というものをふやしていくということが必要になる。そこで外務省といたしましては、数年来努力いたしました結果、無償協力のための予算の獲得にいろいろと大蔵省その他の御協力を得て、国会の御承知も得てまいるということになって、そういう方面から発してまいりましたいわば協定による無償協力は、一つの日韓国交回復と申しますか、正常化に伴う一つの経済協力であったわけでございますが、それと、別の新たな次元における経済協力、無償供与というものを、これは韓国のみならず他の国で、たとえば南ベトナムであるとかタイであるとか、そういう国でも同じように実施をしておりますが、やっておりますところの新しい意味での無償協力をここに実施したというのが事実でございまして、協定による無償協力とは関係をつけなかったわけでございます。
○岡田(春)委員 あなた、予算に出ている——予算に出ていないじゃないですか。これは国会に配付した資料です。外務省の所管の中に「経済協力費」、その中の「経済開発等の援助に必要な経費」というのがそうらしいのだが、項目とし七は、項が「経済協力費」、目で見ると「経済開発援助施設費」、この中に南ベトナムチョウライ病院の改築のための援助、海外における災害等に対処して行なう緊急援助、これしか書いてない。国会に説明などしていない。どうやって説明したのですか。あなたさっきからそう言っているから私も黙って聞いていたのだが書いてない。これはあなたも持って見ているのでしょう。どこにあるのです。
○御巫政府委員 いま先生御指摘の分は本年度の予算でございますが、申し上げましたのは、金鳥につきましては昨年度の予算が先方のいろいろな都合がございまして、これは御承知のように、いわゆる明許繰り越しという費目になっておりまして、本年度に繰り越されて、これから交換公文を結んで使う、こういうようなかっこうになっております。
○岡田(春)委員 それじゃ、本年度の予算にはないのですね。——ちょっと待ってください。予算にはない。私の知っている限りでは、本年度の予算には五億六千万円というものはあるはずなんです。あなた、ないとおっしゃるのですか。
○御巫政府委員 私の記憶に誤りがなければ、昨年度の予算の繰り越し分が金烏の工業高校につきましては残っておりますだけでございます。
○岡田(春)委員 それは幾らなんですか。
○御巫政府委員 その金額は、ちょっと私資料をさがしてまた後ほど御答弁幾たします。
○岡田(春)委員 そんなことないでしょう。あなたの説明では、第一次分は四十六年一億三千万、第二次分三億九千万、第三次分、この中に入っているはずですよ。入ってないのですか。入ってないなら入ってないでいいですよ。五億六千万というのはあるはずです。五億六千万円という数字は御存じありますかどうですか。
○御巫政府委員 その数字そのものには確かに記憶はございませんが、第三次分というものをいま考えて交換公文を結ぶ直前の段階までなってきておったことは確かでございます。
○岡田(春)委員 それじゃ伺っていきますが、それじゃ第三次分についての数字は交換公文が結ばれても、予算の承認とってないから、これはあなたの解釈でいうと、これは発効しませんね。
○御巫政府委員 申し上げましたように、これは本年度の予算ではございませんで、昨年度、前年度の予算から繰り越されてきておるものでございます。
○岡田(春)委員 ではその数字を——しかし、あなた、前年度はこの数字間違いないんですか、ここに書いてある三億九千万。五億六千万という数字は、あなた、御存じないんですか。
○御巫政府委員 つまり、お答え申し上げますと、この第一次、第二次と書いてありますのは交換公文の度数のことでございまして、第一回目の交換公文におきまして一億三千万円、第二回目の交換公文におきまして三億九千万円、その次第三次の交換公文におきまして何億円か約束をしようというようなふうになっておったわけでございまして、必ずしもわが国の会計年度と密接に関連しているわけではないと存じます。
○岡田(春)委員 それじゃ総額は幾らなんですか。総額もわからないの。
○御巫政府委員 私いま手元に的確な資料を持っておりませんが、約十億円というふうに承知しております。
○岡田(春)委員 そうしたら、十億円の中で一億三千万、三億九千万、残り五億残っているわけですね。そういうことになりますね。
○御巫政府委員 大体そのとおりでございます。
○岡田(春)委員 それじゃ、それはすでに国会の承認をとってある、こういうことですか。
○御巫政府委員 すべてこの無償経済協力、いま申し上げました新しい次元におきます無償経済協力は国会の御承認を得てやっております。
○岡田(春)委員 そこでこれは外務大臣も聞いてもらいたい。こういうようにわけのわからない、当事者自身が金額もわからない、こういう形で国会の承認をとってある。これは財政法上の措置としてはとってある。この予算書の中にも出てない。繰り越しなら繰り越しとして出ているはずだ。それも出ていない。わけのわからないうちにこれは国会の承認をとったという。ところがそれは国内法の措置なんだ。国内においてわれわれが贈与するとお金を上げることですよ。われわれの税金を上げることです。その税金を上げることについて、いま言ったようなあいまいな経過である。ところが、交換公文は結ばれているけれども、さっき条約局長に聞いたように、財政措置を伴うものについてはこれは当然国会の承認を得るべき案件である。こういう問題については承認をとらなければならない。その証拠に、どうですか、日韓基本条約のときに、無償供与に対する贈与、これに対しては国会の承認をとっているじゃないか。この部分に対しては国会の承認をとっている、三億ドルに対しては。名前をあげておきましょう。「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」、これで三億ドルの承認をとっている。金烏の場合については、この交換公文は承認をとっておらないということはこれはおかしいですよ。なぜこれはおとりにならない。何か疑惑があるからでしょう。朴正煕の選挙の前の事件で、しかも朴正煕の出身地にこれをつくって、しかも当初は二百六十万ドルだったものがいつの間にか三百十万ドルになって、これを日本の国から寄付をするという形で上げて、財政上の措置はとったといいながらも、実際は交換公文の手続をとっておらない。これは明らかに問題ですよ。こういう交換公文の扱い方については私たちは賛成するわけにはいかない。なぜならば、国民の税金ですもの。相手の国へ上げるという数字だって、さっきから何を言っているのだかわからないじゃないですか。今年度について一体どうするのだということも出てないじゃ、ないですか。こういう点、ここにいわゆる経済協力の疑惑がある。こういう点、はたして外務大臣、これで一体いいんですか。私はこういう交換公文をおつくりになっているなら、この交換公文は国会の承認を求めるべきだ。財政措置は財政措置だ。これは国内法だ。国際的な財政措置を伴うところの権利義務の問題はあらためて承認をとるべきだ。外務大臣、どうお考えになりますか。
○大平国務大臣 国会と政府との関係の問題だと思うのでございます。つまり、政府は、国会から与えられた権限の中で、国会から御承認を得た予算の範囲内におきまして、外国との間で無償援助の仕事をやるという場合に、交換公文の形をとっておるのでありますが、個々のそういうケースについてたくさんの交換公文を取りかわしておるわけでございますが、それを一々国会に御承認を求めるという必要はないのではないかという見解で今日来ておるように承知しておるわけでございます。 〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕 岡田さんの御意見は、それは国会に承認を求めるべきじゃないかという御意見でございますが、そういう御意見について、わからないわけではございませんけれども、いま政府のとっておる措置が許せない、許されないという御見解には、私、同調いたしかねます。
○岡田(春)委員 だけれどもあなた、さっき私が言ったように、三億ドル無償援助は国会の承認をとっている。金烏の問題は承認をとってない。前のも交換公文、今度も交換公文、なぜ承認をとらないのですか。おかしいじゃありませんか。その点について、前の場合には承認が必要である、あとの場合には承認がないという、そういう話をあなたはどう思いますか。まず大臣、その見解を伺いたい。
○松永政府委員 さっき申し上げましたように、交換公文その他の国際約束を締結いたしますことによって、新たに日本が財政的な負担を約束するというものにつきましては、当然国会の承認をお願いするために国会に提出すべきものであると私ども心得ておるわけでございます。ただ、すでに予算が成立いたしまして、その予算に基づいて当該金額、項目につきまして支出の権限が認められておりますもの、これにつきましては、新たにそのためにという理由で国会の承認を求めるという手続上の必要はない、こう考えておるわけでございます。
○岡田(春)委員 それでは私は了解しませんよ。さっきから何度も言っているでしょう。国内措置の問題は国内措置で財政法上予算委員会にかけてやるのだ、国際的な関係において、二つの交換公文を出しておいて、片っぽうは承認をとって、片っぽうは承認をとってない。これについて外務大臣、これは納得できないじゃありませんか。しかも明許繰り越しに基づいております、どこに書いてあるのか。全然書いてないじゃないか。金額も何にもわからないじゃないか。あなた自身も金額がわからないじゃないか。どうなっているのだ、これは。予算上の措置も何にもないじゃないか。これでは国民を愚弄するのも全くはなはだしいですよ。これでは国会だって何が何だかわからないじゃないですか。経済協力費のどこへ入っているのです。明許繰り越しだとはっきりおっしゃるなら、数字はどうなって、どこに入っておりますと、あなたはっきり答弁しなさいよ。全然わからないじゃないか。
○御巫政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、さっそく調べて御返事いたしますが、第三次に予定しておりました金額につきましては、先ほど御質問のとおり五億六千三百万円、これを交換公文をつくるべく準備をしておるという状況でございます。
○岡田(春)委員 あなた、交換公文をつくるべくではない。あなた方の外務省の見解からいうと、予算に出ているから、だから承認をとったというのでしょう。それなら、予算のどこにどうなっているのだということをはっきりしない限りは、国会の承認をとっているということにならないですよ。その点が一点。大臣、いいですか、その点が一点。これはもう局長じゃわからないから、大臣はっきり答弁してもらいたい。 もう一つの点は、私の解釈でいえば、国の予算を、たとえば承認をとっておったにしても、事国際関係の権利義務を設定するものであるから、この交換公文の承認は必要である。なぜならば、国内法の関係と国際関係とは別な問題であるから。その証拠に三億ドルについては交換公文の承認をとっているではないか、金烏工業高校という、朴正煕のこの問題に関しては承認をとっておらぬじゃないか、これは違法じゃないか、こう言っている。そういうことがなぜ行なわれたのか、だから疑惑があるではないか、こう言っている。大臣どうですか、二つの点はっきり答弁してください。
○大平国務大臣 少し岡田さんの見解と違うのです。つまり、国会と政府との関係におきまして、われわれは国会から与えられた権能の範囲内で政府は仕事をしてまいるわけでございますので、それから逸脱するというのでございましたら大問題でございますけれども、国会から予算という形式を通じまして御承認を得て、政府の手にその執行がゆだねられた範囲内におきまして、いまあなたが御指摘の案件ばかりでなく、これは数多くの案件が交換公文の形で行なわれておるわけでございまして、そのことは政府として違法であるということにつきましては私ども承服できません。ただ、岡田さんのおっしゃる三億ドルの無償供与、そういう重要な、日韓条約とうらはらになります案件につきまして、事重大でございますので、それを国会にかけなければならぬのは、私は当然の政府の責任だと考えております。
○岡田(春)委員 いまの答弁では、時間が来たけれども、私納得できないのです。いいですか、さっきから何度も言っているように、しかも交換公文の問題についてはあなたこの間あやまっているじゃないですか、六月二十九日にこの委員会で。もう一度読んでみましょうか。「本件交換公文に関する政府の措置が適切でなかったことは遺憾でございまして、今後この種の交換公文その他国際約束を締結するにあたりましては、この点に十分留意して、かかることの起こらないよう処理してまいりたいと存じております。」この間やったじゃないですか。やってないですか、首を振られたけれども、やっているでしょう。ここまではっきりしているのに、さっきから私何度も言っているじゃないか。お金を上げるのですよ。お金を上げるのについて、三億ドルについては国会の承認をとった、今度朴正煕のところに学校をつくるのについて、十億円のお金を上げるんだ、これについては交換公文の承認をとってない、これは何としてもおかしいですよ。そればかりではない、さっきから明許繰り越しによりますというが、予算上何も説明できてないじゃないか。これについても外務大臣どう思いますか。予算に説明もないならば、これは承認をとったとはいわれませんよ。一体どうなんですか。たとえばこれは三年で終わりになるのですか、このあともやるのですか、こういうことだってわれわれぜんぜんわからないじゃないか。局長よりも大臣から伺いましょう、われわれ納得できないのだから。
○大平国務大臣 この前の外務委員会における私の釈明でございますが、それは、政府が違法の措置をとっておるから、それに対しまして私が発言をいたしたわけではないわけでありまして、適切でなかったという意味は、外務委員会におきましての御審議を通じまして、十分の御審議をいただかなければならない、その場合に、国会に御承認を求める案件でなくても、外務委員会の御審議の御参考に事欠くようなことのないように十分の配慮をしなければならぬ立場に政府があるわけでございますが、そういう面において行き届かないときがありましたことに対して、適切でない、今後十分注意いたしますと答えたわけでございまして、これは、あなたが言われるように違法なことをやったから私はあやまったということではないということは、重々岡田さんも御理解いただいておると思っております。 それから第二の点でございますけれども、予算に計上されていない、あるいは予算によって、予算の形式によって政府に与えられていない財源を、われわれがむやみに使うということは厘毫たりとも許されないと思うのでございまして、いま予算書の精細な説明ができていないようでございますが、私はそんなことは万々ないと思いますので、それは十分検討いたしまして御報告いたします。
○岡田(春)委員 時間もこえてきたのであれですが、まず金烏工業高等学校、これの全貌をもう少しはっきりしておいてくれませんか。私は、あなたのさっきの答弁では納得できないんです。金額は何ぼで、何カ年計画で、どういう形で日本から金を上げて、どういう形でどうなっているんだ、こういう点を、まず予算上の措置としてはどうなっている、こういう点を詳しくしていただいて——私はこの問題についてはまだまだこれは納得できません、時間の制限もありますからこれは留保せざるを得ないと思いますが。 それからもう一つは、さっきから何度も言っておるように、一方においては交換公文でお金を上げる問題については承認をとっているんでしょう。もう一方においては、承認をとらないで平気できておるんでしょう。国際関係からいって、一方においては、三億ドルの承認をとった。今度は承認をとっていない。これはいかにしてもおかしい。国民は納得しませんよ。しかも予算の措置の中で、どこでどうなっているのかわからないじゃないですか。金額だって、いいですか、経済開発協力費か援助費、これは四十五億になっておる。四十五億だけ出ておって、新年度、四十八年度ですよ、金烏の分というのは何ぼになってどうなっているなんていうことは、国会に提出した予算の中にはないですよ。説明も何にもありません。こんなことでは、国民はだまされて、これでは納得するわけにはいかない。しかも、国民の税金ですからね。それでいいんですなんていうことを、外務大臣、白々しく言わないでもらいたい。国民の税金を上げるんですよ。私は、これはたいへん問題があると思う。もう一度、金烏高校のはっきりした経過を、全体を御説明いただきたい。
○藤井委員長 簡単に……。
○御巫政府委員 金烏高等工業学校の設立援助予算は、全体でもって十億八千七百万円でございます。第一次、第二次、第三次と分かれておりまして、最初の年が一億三千万円、第二次が三億九千四百万円、第三次が、先ほど申し上げました五億六千三百万円、この三次の計画をもちまして、機械工作科、以下十二の項目にわたりまして援助を行なうということになっておりまして、それでこの五億六千三百万円が、交換公文が結ばれますと、全部援助は終了するという予定になっております。現在、すでに第一学年の学生が募集をされて、完成した部分の校舎を使って就学しておりますという状況でございますので、今後この最後の機材の搬入が終わりますれば、もうすでに援助は終わるということでございます。
○岡田(春)委員 私は、これらの問題を留保いたしますが、これは何としても納得できません。しかも、本年度の分については一体どうなっているかということについても、数字上明らかになっておらない。予算書の中にはそういうことは書いてない。こういう点からいっても、私は、予算の承認をとっているんだから、もし交換公文を結ぶならばそれでもいいんですということは了解ができません。しかもその交換公文が、贈与の分の三億ドルは承認をとっているけれども、この分について承認をとっておらない、第一回も第二回も。今度第三回目も承認をとらないという考えでしょう。そう考えざるを得ないじゃないですか。私は、この問題についてはなかなか了解ができませんが、第三回目については一体どうされるのか。承認をとらないのでしょう、おそらく。こういう点、政治的に見てもこれはたいへんおかしいと思う。憲法においては事前、事後において条約を国会に提案をする、こういうことの規定があるのですから、第一次、第二次の分も事後においての承認行為として手続をされることも一つの方法だ。しかし、いまの答弁ではわれわれは絶対了解できません。数字上の点も明らかになっておらないし、こういう点は今後の問題に私は留保をいたしておきまして、全くこういう形で疑惑のこもった経済援助が行なわれている。こういうところに朴正煕軍事政権と日本の政府との特殊な結びつきがある。ここに金大中事件の発生の根源がある。この点をはっきり私は言って、この問題は留保して終わっておきます。
○藤井委員長 石井一君。
○石井委員 ガットの閣僚会議の問題について質疑通告をいたしておりましたが、先ほど御表明のありましたベトナム民主共和国の承認の問題について、非常に重要な問題ですから、数点お伺いをいたします。 これはいわゆる国家を承認されたのか、あるいは政府を承認されたのか。政府を承認されたものと解釈いたしますが、いかがですか。
○松永政府委員 それは国、国家の承認でございます。
○石井委員 それでは、二つの国というものを認めた、こういう行為になるわけでございますか、二つのベトナムを。
○松永政府委員 はい、そのとおりでございます。
○石井委員 承認形式でございますが、いわゆる条約形式などをとられるのか、あるいは交換公文のそういう形式なのか、いかなる形式でこの署名を二十一日になさろうとしているんですか。
○松永政府委員 その点につきましては、先ほど外務大臣から御説明をいたしましたように、まだ交渉が最終的に妥結をいたしておりません。先方との話し合いによりまして、具体的な内容は説明をしないという了解になっておりますので、具体的な御説明は御了承を願いたいと思います。
○石井委員 それは形式の問題ですから、内容じゃないと思うのですが、まあこれは行政府の権限でお進めになる、そういう形式の問題なのか、国家を承認するという重大な問題なんですが、それともあるいは国会の承認を求められようとされておるのか、この点はいかがですか。
○松永政府委員 従前よりそれは行政府の責任において処理すべき事項として処理されてきております。
○石井委員 二つのベトナムを認めるということでございますが、わが国は南ベトナムと長年の国交を持っておったわけでございますけれども、この承認に関して南ベトナムとの話し合いをなされたのかどうか、この点はいかがですか。
○中江説明員 わが国がこの際、北ベトナムと外交関係を設定するという方針をとりましたことにつきましては、南ベトナム政府が一応了承しております。
○石井委員 南北ベトナムの国連加盟という問題になりますと、二つの国を認めた日本は、両国の国連加盟を支持する、今度はこういう立場になるわけでございますか、この点はいかがですか。
○中江説明員 現在、南北両ベトナムとも国連加盟の申請をしておりませんので何とも申し上げられませんけれども、双方がもし加盟を希望いたしますならば、わが国として反対する理由はない、むしろ歓迎するべきことだ、こう思います。
○石井委員 内容についてはそういう協定があるようですから、一々お伺いいたしませんが、ただ問題になりますのは、戦後のベトナムの復興ということを考えまして、わが国は相当あたたかい気持ちで経済協力というふうなことをやっていかなければいかぬ。その場合に南に対する賠償は終わっておるわけでございますが、北に対する賠償という問題も当然、二つの国を認める場合には考えなければいけないのか。それとも経済協力を推進するという、これは内容に触れていただかなくてもけっこうですから、基本的な考え方として、外務大臣、北ベトナムに対するどういう今後の関係を進めていかれようとされておるのか。この点はいかがでございますか。
○大平国務大臣 わが国といたしましては、国会を通じまして全ベトナムに対する賠償という形における関係は終了いたしておるわけでございます。したがって、今度の北越との間の国交樹立にあたりましても、そういうことがからんでまいりますとたいへんむずかしい問題になるわけでございますけれども、先方からそういう提起もございませんし、先ほど御報告申し上げましたように、国交樹立しようという合意ができましたことを私ども喜んでおります。
○石井委員 いまの答弁で、ベトナムに対する賠償を終わっておる。ところがその賠償は全然北へは行っていない。ここに新しい事態ができて二つのベトナムを日本政府は認めた、こういうことになりますと、そこは非常に賠償問題微妙だと思うのでございますけれども、私はやはり南北のバランスのとれた援助というものを配慮しなければいかぬ段階にきておるんじゃないか、こういう感じがいたしてなりません。最近南に五千万ドルの援助などというものもきめられたわけですけれども、やはりそうすると賠償は終わっておるから経済協力を強力に北に対しては推進していく、基本的にはそういう考え方でございますか。
○大平国務大臣 基本的には、たびたび国会でも政府が申し上げておりますように、全ベトナムを対象として経済協力を考えていきたいということでございまして、それから第二は、いま石井さんが指摘されましたように、南ベトナムに対する援助、北に対する援助、そういった点につきまして適当な配慮をしていかなければいかぬことは当然と考えておりますが、賠償にからめて考えておるわけじゃございません。
○石井委員 最後に、パリで合意に達したという御報告を外務大臣はいつお聞きになったわけですか。
○大平国務大臣 今朝そういう報告に接しました。
○石井委員 ほかにいろいろの問題を持っておりますが、だいぶ時間が経過したようでございますので、与党が席を譲らなければいかぬ、こういうことでございますから、これで終わらしていただきます。
○藤井委員長 瀬長亀次郎君。
○瀬長委員 最初に、ベトナム民主共和国との国交樹立の問題について、大臣は、内容は同時発表をするので発表しないといったようなことを言われましたが、ただ基本方針として四つの点、一括して、時間の関係がありますから、お聞きしたいと思います。 最初に賠償について、日本政府の基本姿勢、すなわちサイゴン政権との取りきめで全ベトナムに賠償問題が解決したので、賠償問題については触れないという基本姿勢で臨まれるのか。さらに二番目に、援助についてでありますが、サイゴン政権についてはたしか五千万ドルの援助が予定されておるというのだが、ベトナム民主共和国に対する経済援助、これはいかほど予定し、さらにその計画を進めておるのか。三番目に、南ベトナム臨時革命政府の承認と国交樹立の問題この点についてどのようにお考えになり、どういう計画で現在進めておるか。最後に、今度の国交樹立、調印をされるわけですが、交換公文あるいは共同声明方式でやっていくのかどうか、この四つの点について一括して御答弁をお願いしたいと思います。
○大平国務大臣 第一の点でございますが、わが国といたしましてベトナムに対する賠償は法的には終了しておるという立場を政府は堅持いたしております。またなお、本件につきまして北越側から問題の提起はございませんでした。 第二の点でございますが、南越に対しまして本会計年度につきまして六千百万ドルの経済援助の要請がありました。調査団を派遣いたしまして事情を調査してまいったわけでございますが、われわれといたしまして五千万ドル程度を考えたいという内意を持っております。北につきましては、国交か開かれまして外交関係が設定されたあと、先方から御要請がどういう形で出てまいりますか。そういう先方の御要請がございましたならば、それを検討さしていただきたいと思っております。したがって、具体的に幾ら幾らというようなことをいま申し上げる段階ではございません。 第三の、南ベトナムの臨時革命政府の取り扱いをどうするかということでございますが、政府といたしましては臨時革命政府を承認するということは全然考えておりません。 それから第四の、国交樹立の形式の問題でございますが、この問題につきまして、先方との打ち合わせで意見調整が行なわれまして、一つの交換公文——わが国といたしましては普通こういうものを交換公文でやっておるのが外交的な慣例といたしておるのでございます。先方におきましては共同声明の姿でやりたいという希望を持たれておるようでございまして、そういう点、両大使の間でいろいろ協議が行なわれて合意に達したということでございますので、具体的にどういう姿になりますか。ともかく合意が行なわれたということは私承知いたしたのでございますけれども、どれによって国交が樹立されることになったのか、そのあたり詳細に承知いたしておりませんが、二十一日中には発表になると考えておりますので、すぐ明らかになることと思うのでございます。この形式につきましても両者において完全に合意をしたということだけは御報告申し上げられると思います。
○瀬長委員 ベトナム民主共和国との国交樹立の問題については、内容が明らかになった上でまた御質問することにして次に移ります。 今回の国際連合総会における朝鮮問題についてでありますが、政府はすでに韓国支持派の共同提案国に名を連ねておる。いま国内では金大中事件がまだ解決されるどころか解決のめども立たないでいる。国民世論でも日本と韓国の関係、特に日本の対韓政策の全面的再検討が求められている。こういう日本が共同提案国になっている決議案の内容についても絶対賛成できませんが、これはあとで触れることにして、とりわけ金大中事件をめぐるこういう状態の中で公然と共同提案国になることについて国民世論の上からも納得できない。政府は共同提案国になることを取りやめるべきだと私は思うのですが、この点についての御意見を承りたいと思います。
○大平国務大臣 金大中事件と国連における朝鮮政策との問題は次元を異にする問題であると私は考えております。 この不幸な事件につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、いち早く事態を解明いたしまして、公正な解決をはかっていかなければならぬ、その過程にあるわけでございます。この問題が解決にならぬから国連における朝鮮政策の討議につきまして日本は何ももの申さないなどということがむしろ不自然なことと考えておるわけでございます。朝鮮半島の平和と統一という問題をわれわれは願うものでございまして、そういう立場から国連としてこの問題にどう対処していくかということは、国連のメンバーといたしまして長期的な視野に立って日本政府が見解を持つということは当然なことでございまして、この際それを宣明しないなどということは私は非常に不見識なことと考えておるわけでございます。
○瀬長委員 この点については遺憾と思います。次元は絶対異にしておりません。 さらに内容面に触れてこれを指摘しますと、共同提案国になる点について、いま申し上げましたように、きわめて遺憾でありますが、すでに決議案の内容が発表されている。きのうこれは外務省から取り寄せたことでありますが、その第四番目の内容で、国連軍の撤退について触れられておりません。この意味は、国連軍の実態は国連軍という名の米軍です。これは沖繩においてすでにわかっております。本土においてもわかっております。その国連軍がそのまま駐留を存続するという意味なのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
○鈴木(文)政府委員 ただいま御指摘の共同決議案の第四項でございますが、第四項には直接国連軍ということばはございませんが、この決議案を作成しました際の四項についての考え方は、朝鮮半島におきます現在の平和維持の体制の根本をなします休戦協定、これは安全保障理事会の決議に基づいてできておりますので、この安全保障理事会の責任に属する事項は安全保障理事会が考慮するのが適当であるという観点から、この書き方も総会として本件について安全保障理事会が直接当事者と協議しつつ考慮を与えるよう希望を表明するという書き方になっております。いま御指摘の国連軍そのものの文字がここに触れておりませんのは、そういう背景でございますが、この四項の基本的な考え方は、いまちょっと触れましたように、安全保障理事会が朝鮮問題の中でその責任に属する部分、すなわち国連軍の処理について休戦協定の堅持及び朝鮮半島における平和と安全の維持を確保するとの見地に立って検討する。これがつまり最初に申し上げましたように、朝鮮半島における平和の維持の基本をなす休戦体制、休戦協定に基づく平和維持の体制を堅持する、そういう背景のもとにできているわけでございます。
○瀬長委員 そうしますと、次の疑問が起こってきます。実際は国連軍の旗を掲げておる米軍の駐留、これは朝鮮に対する主権侵害だ、朝鮮の自主的平和的統一を妨げるものだということは、これは当然でありまして、日本にとっても吉田・アチソン交換公文によって日本が国連軍の基地にもなっておる。とりわけ沖繩の基地にも復帰と同時に嘉手納、さらに普天間、ホワイトビーチなど国連旗が堂々と立っております。この問題につきましては機会をあらためて質問することにしますが、こういう日本にも直接関係のある国連軍について永久に朝鮮半島に居すわることを主張するということか。いま安保理事会の問題だということで逃げておられますが、この点について明らかにしてもらわないといかぬと思います。その点、大臣どうお考えですか。
○大平国務大臣 われわれが共同提案国といたしまして責任を分かっておりまする決議案の趣旨は、朝鮮半島における平和と平和的かつ自主的な統一の達成という究極の目標に達する道程におきまして、国連が配慮すべきことはこういうことでなかろうかという願いに立って立案されたものでございます。平和といい、統一といい、非常な難事業でございまして、一朝一夕に達成できる道標ではないわけでございます。これを手がたく現実を踏まえながら一歩一歩その道標に近づいていくために国連がこの段階でどういう措置をすべきかということで貫いておるわけでございますので、さように御了承いただきたいと思います。
○瀬長委員 いま大臣は、平和的、自主的統一の問題と言われましたが、実際は、日本政府が賛成して支持しておるこれには、自主的はないです。これはともかくとして、自主的は非常に重要な——文句ではなくて、平和的、自主的朝鮮の統一の問題、これはアルジェリア等二十二カ国の案にははっきり自主的が書いてあります。いずれにいたしましても、それでは日本政府は、国連軍が撤退できるという条件、どういう条件になれば国連軍は撤退できるのか、この点を明らかにしてほしいと思います。
○鈴木(文)政府委員 現在朝鮮問題がまだ最終的に解決しておりません。ということは、同地域の平和が完全に回復されておらないという現在の状況におきましては、国連の朝鮮半島地域における平和維持のための活動は依然重要である。したがって、国連軍の扱いは慎重を要するというのが基本的な考え方でございます。 先ほど申しましたように、朝鮮における国連軍は安全保障理事会の決議によって設立されておりますので、その取り扱いは当然安全保障理事会の責任に属する問題であると思います。したがいまして、総会の決議がどうなるかによりますけれども、安全保障理事会がそれを受けまして、自分の責任に属する国連軍の取り扱いについて最終的にきめることになろうかと思います。いまの段階で、国連軍撤退のための条件をどうするこうする、これは安全保障理事会か討議する問題でありますので、その点について申し上げることはできません。
○瀬長委員 この四項は非常に巧妙に、はっきりいえばずる賢いやり方なんです。いわゆる安保理事会、これは全会一致でなければいけませんから、そういったような安保理事会でなければということと、平和とか緊張緩和、これはアメリカがそう思わない限り国連軍は撤退できないということを実に巧妙にうたっているのがこの四項であります。したがって、これに対して日本政府も賛成しておられる。こういうことでは、国連軍の撤退とか平和、自主的あるいは統一の問題なども、実際は頭の中にないということがはっきり言えると思いますが、いずれにいたしましても、国連軍の撤退は、日本における沖繩基地を含めて国連軍の問題とも法的に関係しますので、後ほど質問することにして、次は南北朝鮮の同時加盟の問題であります。 南北朝鮮の同時加盟を提案した六・二三、六月二十三日の朴声明、これに対して日本が説得して出させたものだと水野政務次官は新聞紙上に発表しておる。これはどういうことなんですか。これ自体内政干渉であると私は考えるのですが、どういうことになりますか。
○中江説明員 私どもといたしましては、六月二十三日の朴大統領声明が日本の政府の当事者による説得によって出されたものというふうには考えておりませんし、そういう事実は承知しておりません。
○瀬長委員 これは事実新聞にも出ていて非常に明らかになっておるのです。 ところで、あと時間がありませんので、最後に質問申し上げますが、いま申し上げました六・二三朴声明と同じ日に、朝鮮民主主義人民共和国の金日成主席は、南北朝鮮同時加盟は南北分断を固定化し二つの朝鮮を目ざしたものだと、まっこうから反対の意思を表明し、いわゆる単一国号による国連加盟を主張しております。これは御承知だと思います。日本政府が南北同時加盟を希望する決議案の提案国になったということは、日本政府としては一つの朝鮮による国連加盟に反対するという態度、つまり朝鮮統一に反対と理解してよろしいのか、いわゆる自主的話し合い、平和的統一の達成という事業、これは朝鮮問題で一番基本をなす問題であります。たとえ、これには希望する、ホープというふうに述べておりますが、希望するということであっても、その朝鮮民主主義人民共和国自身がこういったものには反対だということを言っているだけに、国連の決議を押しつける意味で、これは事実上内政干渉であるというふうに私は考えるのです。この点について大臣のお考えを述べてほしいと思います。
○大平国務大臣 日本政府が朝鮮半島の統一に反対するというようなことは、どこから割り出したことか私はわかりませんけれども、その決議案全体をよくお読み取りいただきたいと思うのでございます。そういう究極の道標に達する道程といたしまして、現在の段階におきまして国連は、朝鮮半島の平和達成のために、統一達成のために、こういうあり方が望ましいのではないかということを、国連のメンバーといたしまして日本が見解を述べるということ、私は内政干渉であるなどという論理には全く理解ができません。
○瀬長委員 時間があとわずかしか残っておりませんが、総括しますと、いまことばづかいを誤られたどうかわかりませんが、自主的の問題をあなた言われた。これは正しいと思います。アルジェリア等二十二カ国提出の朝鮮の自主的平和的再統一を促進するための公的な条件の醸成という題になりまして、いま私が申し上げましたのは、いま言いましたように、朝鮮民主主義人民共和国は、そういったような両方の朝鮮が入ることは現状の固定化であるから、いわゆる同じ国号による統一の達成と同時に、国連軍の帽子をかぶっている旗、これをおろす。さらに国連軍の司令部、これを解体し、一切の外国軍隊の撤去を要求しておる。これが朝鮮民主主義人民共和国の考え方であります。それに対して、日本が共同提案国になっているこの決議案は希望するといっても、向こうはこんなのは希望しないわけなんです。希望するのはこれだとはっきり出ている。そういった点についてもう一ぺんあらためて大臣の御意見を承りまして、質問を終わります。
○大平国務大臣 南北朝鮮も、それから世界も、朝鮮半島の平和的、自主的な統一を願わないものは一つもないと思うのでありまして、問題は、それに達する過程におきまして、どういう段階を踏み、どういう手順を踏んでいくのが実効的かという問題につきまして見解が分かれておることは、あなたの御指摘のとおりでございます。北側におきまして反対しておるから日本は希望を表明するのを差し控えるなんということは、私は日本としてとるべき姿ではないと思うのであります。真に朝鮮半島の平和的、自主的統一を達成するためには、鋭意私どもといたしましてもこれをまずじゃまをしないこと、そしてそれをできれば力になっていくように今後もやってまいるのが、国連加盟国といたしましても、隣国といたしましても、当然の責任であろうと思うのであります。
○藤井委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 時間が、大臣は非常に切迫されている模様でございますから簡明にお伺いします。 一つは、先ほどベトナムの問題につきましてお話がございました。北ベトナムとの国交が正常化いたしますことはきわめて喜ぶべきことであると思うわけでありますが、これは先ほどはっきり御明言がなかったように思いますのでお伺いするわけでありますが、これは正式の調印その他についてはこれからどういうような進行状態になるのでございますか。
○松永政府委員 先ほど外務大臣が御説明になりましたように、現在のほとんどの交渉は、実は実質的に妥結しているわけでございますが、来たる二十一日にもその妥結が行なわれまして発表されるという手順を私どもとしては想定いたしております。
○渡部(一)委員 調印その他はそれからですか。
○松永政府委員 いえ、同時と考えております。
○渡部(一)委員 そうすると、二十一日に調印される、そう考えてよろしいわけですか。
○松永政府委員 大体、そのとおりに考えております。
○渡部(一)委員 賠償の問題については、南ベトナム側とすでに終わっておるというたてまえを政府がとり続けられたことは伺っておるわけでありますが、その南側の賠償協力とほほひとしい経済協力について考慮する、あるいはそれ以上の金額を考慮する、こう考えてよろしいわけですか。
○大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、国交が樹立されましたあと、先方からどういう御要請がございますか、それを受けましてこちらとして検討させていただきたいと考えております。いままで国会で明らかにいたしましたように、援助はベトナム全域を対象として政府は考えていくんだということを申し上げておるわけでございます。それを具体的にどう進めるかは、先方の御要請をまず受けないと、どの程度ということをただいま断言できる立場じゃございません。
○渡部(一)委員 今後のお話も残っておるでありましょうから、いまとりたてて内容について申し上げることは控えますが、経済協力については北ベトナムの大きな惨禍にかんがみ、またこのベトナム戦争の中間において日本が果たしてきた役割りを考えますときに、しかるべきものがなければならない、むしろ手厚いものがなければ平和日本としての立場はそこなわれる、こう思うわけでありまして、特段の御配慮をいただきたいと思うわけであります。 また聞くところによれば、アメリカ軍に対する協力という形で、日本からの爆弾の積み出しに対して、北ベトナム政府が強く要求をされているようでありますが、これに対してもベトナム戦争の終結と同時に、徐々にこうした問題はなくなるというような方針ではなく、この際日本の平和的姿勢を明らかにするために、アメリカ軍に対する軍事援助というものに対しては、一刻も早く明瞭な日本政府の意思というのを表示していただいて、日本の平和的姿勢を明確にしていただきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
○大平国務大臣 その問題につきましては、かねがね申し上げておるように、インドシナ政策というのは、せっかくでき上がりましたパリ協定をベースにいたしまして、それを順守して平和が定着するということを希求しながら、私どもは対処していきたいと思います。日本の安保条約を通じての協力でございますが、ただいままでの国交樹立交渉の中でそういう問題は、問題になっておりません。
○渡部(一)委員 ちょっとそれでは金大中事件に関してでございますが、私のほうでお伺いしたところでは、ちょっと妙な話でありますが、金山政英前駐韓大使が国際関係共同研究所長としていま訪韓中であると承っております。ところが昨日より同氏は、宿舎であるホテルにあらわれず、また宿舎には自分のバッグあるいは身回り品等が置きぱなしになっており、現在時点でもなおかつ同氏は行くえが不明である。朝鮮日報の報ずるところによれば、同氏は緊急で日本に引き上げたという記事が載っているそうでありますが、飛行機の中には同氏らしき人の氏名はなく、また同氏らしき人も見当たらないということであります。現在お調べをいただいているんでありましょうが、同氏が個人的な資格で訪韓されたことになっているようでありますけれども、十七日、同氏が宿舎のソウル半島ホテルで記者会見をし、韓国政府首脳は、条件が整いさえすれば金大中氏の渡日を認める方針であることを言明しておる旨、記者会見で発表をされておられますし、当然同氏が前大使としての立場で、こうしたことが、こういう使命をになうなり、あるいは自発的にこういう使命をになわれたか存じませんけれども、行かれたには違いなかろうと私は思っているわけでありますが、同氏のその後の消息その他について聞いていらっしゃる点かあったら、明らかにしていただきたいと思います。
○中江説明員 ただいまの御質問の金山前駐韓大使の韓国における動静につきましては、公電ベースでは何も入っておりません。
○渡部(一)委員 少なくとも前大使といわれる方の動静については、当然外務省はそれについて重大な関心をお持ちであろうと思いますが、いかがですか。
○大平国務大臣 金山前大使、すぐれた方としてわれわれは敬慕をいたしておりまするし、また韓国朝野の方々と親交があるということもよく承知いたしております。それからまた今日の事態に対してたいへん憂慮をされておるということも承知いたしております。で、金山さんが金山さんのお立場におきましていろいろ御心配になっておられることと拝察するのであります。 ただ政府といたしましては、重大な関心は持っておりますが、政府が特使としてお願いをして、ある案件を御携行いただいて御交渉を願うというお立場ではないわけでございます。そういうことをするまだ時期でないように私は思うのでございまして、そういうアクションをまたとっていないわけでございます。仰せのように重大な関心を持っておるかといったら、重大な関心を持っておる、しかし政府の正式のミッションではないと御承知願いたいと思います。
○渡部(一)委員 少なくとも韓国を訪れた重大な日本政府の元要人がこうした形で数日間も行くえ不明になるというのは異常事態だと思うのですね。したがって、当然その安危を気づかうはもちろん、無事に帰っておられれば何でもないことでありますけれども、それを気づかっていただくのは当然ではないか。特に同国の法律は、先委員会でも申し上げたとおり、また御承知のとおり反政府的運動あるいは政府の方針に反するいろいろな動きに対してはきわめてきびしい法律を持っている国家でもありますし、いわんや政府の正式のメッセージを持って行かれた方でないとするならば、御当人に対する安否というものはきわめて気づかわれるわけであります。こういう微妙なときでありますがゆえに、よけいまずい事態がこれでは出現するかもしれないと私は憂慮いたしております。その点十分御配慮いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○大平国務大臣 金山さんという人は些事にこだわらないおおらかな性格の人で、あるいはみんなが心配しておるけれども本人は案外心配していないのかもしれないと思いますけれども、なお渡部さんの言われた金山さんの安否という点につきましては、私どもといたしましてもひとつ聞き合わせてみたいと思います。
○渡部(一)委員 外務大臣のいまのおことばがお葬式の弔辞のように聞こえますので、私はよけいいやな感じがいたしておるわけであります。 きょうはたいへんお忙しいようなものでございますから、御質問をきちっと伺うことができませんので、最後に御要望を申し上げておきたいと思うわけであります。 一つは、外務大臣はこれから二十三日、間もなく御出発になり、そうしてキッシンジャーアメリカ大統領補佐官、次期国務長官とまずお会いになるそうでございます。そのお話の内容は、当然新大西洋憲章に関して一番先にお話が出てくるものと思うわけでありますし、この大平・キッシンジャー会談が日本のこれからの外交姿勢の基本中の基本を決定するものになるであろうことは私は言を待たないところであると思うわけであります。遺憾ながら当委員会の審議時間その他の都合で十分これについてお伺いができない。まことに残念をきわめているわけでありまして、またこれに関してはほんとうは党首会談等を開くほどの大きな問題であろうと私は思っているわけであります。ここで一括して申し上げるわけでありますが、願わくはこうした問題について国民合意の形成のもとにお話が進まれますよう十分の御配慮を今後いただきたい。少なくとも一回の交渉で全部まとまるものではないと存じますので、行かれたあとも十分の御配慮をいただきたい。それがまず第一であります。 第二は、わが国において日米安保に対する評価は各党によって大きく異なり、特に与野党において多く差異しているところでありますけれども、この方向が戦後の日本を決定づけたことはまた事実であり、そのワク組みというものはとうていこわすことのできない力をもって今日まで日本外交をワクづけたということは言えると存じます。ところが、いま新大西洋憲章が同じく日本外交に対するこれから大きなワク組みになると私は思うわけであります。そうしますと、この問題に対しては慎重であると同時に長い目の外交政策の基本の樹立が必要であると思うわけでありまして、その構想について十分の御見解を表明していただきたい。今後そう思うわけであります。それは日本国民を納得させることなくそういうものを強行することがどれだけ大きな犠牲を払うことになるか、それは私は日米安保の取りきめそれ自体がもたらしたその後の騒動を見ていただければおわかりであると思うわけであります。 第三番目に私がぜひお願いしたいことは、わが国の外交方針というのは、いろいろな考え方がありますけれども、アメリカと大方にコミットすることがほんとうの意味で日本の安全と東洋の安全を確保する上にいいものであるかどうか、私は大いに疑っておる一人であります。そういう意見もあることを十分お含みをいただきたいと思うわけであります。 第四番目に私は、日米欧という組み合わせが、それと同時にオーストラリアをはじめとする太平洋国家群に対し、またフィリピンとかインドネシアとか東南アジアの諸国に対しどれほど大きな政治的な圧力になるか。つまり日米欧による世界支配というような形での反発があるのではないか。また中国、ソ連のような国々は、この日米欧の三グループの提携というものがソ連、中国の対立の中でどういう意味合いを持つか、きわめて微妙なバランスをとりながら検討中であると私は思うわけであります。それをどう評価されておられるのか、そしてまたそれをどう評価しなければいけないのかという問題を当然議論しなければならぬわけであります。それも十分おはかりの上、米欧日のこの三つのグループを意識するのあまり、まかり間違ってもこれらの日本周辺の諸国に脅威を与えたり、深い反感の根を残すようなことをなすべきではない。私は深く日本国民の相当部分を代表して申し上げておきたい、こう思っているわけであります。 これらについてるる全部お述べになることもできませんでございましょうけれども、そういうことを十分反映なさいまして、今回の訪米に関しては少なくとも全魂を傾けての御慎重な御配慮をぜひともお願いをしたい、こう思っているわけであります。
○大平国務大臣 いまわが国の当面している外交問題の核心に触れての御提言を加えての御要請でございました。御指摘になりました点、十分踏まえて慎重に対処してまいりたいと思います。
○渡部(一)委員 じゃ終わります。
○藤井委員長 永末英一君。
○永末委員 外交というのは未来を築くものでございますが、同時にまたわが国の信用が外国において高まってくるということがなければ未来もちゃんと築けない。その意味ではやはり過去のことも整理をしておいていただかなくちゃならぬ、こう思うわけでございまして、そこで過般の外務委員会で、戦争中に沈没をいたしましたわが国所属の艦船が他国の領海内にある問題がもし外交問題になった場合の措置について伺ったことがございました。その中で、特にパプア・ニューギニア地域、これはニューギニアの東半分とニューブリテン、ニューアイルランド、ブーゲンビルの地域でございますが、その辺について、この大部分は国連の信託統治地域でございまして、国連の信託統治地域の領海内におけるわが国にかつて所属いたしました艦船の問題があと問題になった場合どうなるかということについて外務当局と質疑をいたしたことがございました。私はその実情をちょっと見たいと思いまして、この地域へ行ってまいってラバウルの湾内なりまたラエという港に接岸をしたまま沈んでおる船の実情を見てまいりました。 さて、きょう伺いたいのは、このパプア・ニューギニアの地域はことしの十二月に完全自治を許され、そうして来年じゅうには独立をされるコースにあるということでございまして、現地ではどういう形の独立が可能であるかということをめぐっていろいろと論議がかわされております。この地域は第二次世界大戦後オーストラリアの施政権の及んでいる区域でございまして、したがってわが国の経済協力というものもまた、オーストラリアの施政権下にあるために、パプア・ニューギニア地域がいわゆる開発途上の地域であるには違いございませんが、ストレートにこの地域にわが国の経済協力、技術協力等が及んではいないのでございまして、田中内閣はことしの通常国会で太平洋経済圏なんというようなことを申しましたが、その内容はまだつまびらかではございません。私はこの地域へ参りまして非常に痛感いたしましたのは、三十年前の戦争でこの地域で日本の青年が二十万人も戦死をいたし、そしてあの地域に埋もれておるということでございました。しかも、いまこの地域におりますここで生まれた方々三百万人近くの人々は、その時代には日本派とオーストラリア派とに分かれて、お互いにもし両方がいなければ起こらなかったであろう相克の渦の中に巻き込まれる、あるいはまた両国、両側が投下いたしましたいろいろな爆弾、弾薬等のために死傷された経験を持っておりました。したがって、もしこの地域が将来近いうちに独立をいたしてくるとするならば、アフリカの開発途上国に対するわれわれの姿勢とは違った形で、わが日本国はこの地域に臨むべき責任があるのではないかということを私は痛感をいたしてまいりました。申すまでもなく現在はオーストラリアの施政権下にございますが、大平大臣はこれらの動きを勘案しつつ、これらの地域が独立をいたしてくる、あるいは独立をするまでオーストラリア政府と交渉しつつ、この地で生まれた人々がよりよい生活水準にのぼっていくような方向を目ざしつつ、わが国のなし得るいろいろな経済協力、そういうことをやられる御用意があるかどうかを伺っておきたい。
○大平国務大臣 御指摘のように、われわれは未来を築かなければなりませんけれども、同時に過去を背負っておるわけでございまして、過去を捨象して未来を考えるということは、思弁の上で可能かもしれませんけれども、それでは実のある歴史をつくるということにはならないのじゃないかと私は思います。したがいまして、いま御指摘の地域につきましても、われわれはそういう事実、過去を十分踏まえた上で何をなすべきであるか、何をなすべきでないかを十分考えていかなければいかぬと思います。しかし、この地域は御指摘のようにいまオーストラリア政府の管轄権のもとにあるわけでございます。よしこれが独立いたしましても、直ちにわが国が援助を押し売りするというようなマナーはわれわれは慎まなければいかぬのじゃないかと思うのわけです。旧宗主国にならんとするオーストラリアその他とよく——現地の方々はもとよりでございますけれども、十分連携をとりながら、日本として何ができるか、何ができないか、そういう点を十分わきまえた上で、十分マナーを心得た上で対処していかなければならぬのじゃないかと考えております。幸いに先方の指導者たちもわが国に対して期待も持っておりますし、理解も持ってくれておることは非常に幸いだと思っておるわけでございます。われわれはそれに甘えることなく、仰せのような趣旨を踏まえて今後対処していきたいと思います。
○永末委員 これは近い将来の問題でございますが、ぜひひとつ十分に御配慮を願いたいと思います。 さて、外交の基本は安全保障だということをかってあなたに申し上げました。これからヨーロッパ、ソ連等の首脳部とお会いいたされるのでございますが、長沼判決がございましたね。これは外国人から見ておりますと、われわれ日本人が十五年間も持ってきた自衛隊が憲法違反である、こういうことでございますから、一体日本の国は自分で自分の国を守る責任を持とうとしないのかということになりますと、わが国の外交の基本の一つの柱がきわめて脆弱なものに映る。 そこでひとつあなたが外交をお進めになるについて長沼判決をどう受けとめておられるか、伺いたい。
○大平国務大臣 外交の重要な任務は安全を保障するということであることは全く御同感でございまして、それはひとり軍事的な力ばかりでなく、経済的な力ばかりでなく、有形無形いろいろな力をはかって、その行使を通じましていかにかして安全を保障するということであろうと思うのでありまして、そういうことは本判決があろうとなかろうと、私どもの変わらない信念でございます。この判決につきましての見解はすでに政府から宣明されておりますので、私が繰り返すまでもございません。政府全体の見解を踏まえて私どもは安全保障のために全力投球しなければならぬと考えております。
○永末委員 特にこの長沼判決の中で外務大臣に関係のある個所がございまして、それはこの判決のいうところは、憲法九条の第一段、一項では、自衛戦争、制裁戦争を放棄しているとは見られない。ところが第二項ではそういうものを放棄しておるんだ。そこで宣戦、講和という戦争行為に関する一切の規定が置いてないからという逆の解釈をいたしまして、そういうものはない。しかし日本の外交を進める上について平和であることにこしたことはございませんが、この判決文におきましては、宣戦、講和に関する一切の立法あるいは行政行為の指針となるものが明示されてないから、すなわちそれはそういう行為を外交として日本国は行なってはならぬ、こういうことであるからそういうものはないという裏解釈ですね、そういう解釈をしておるのでございますが、あなたは日本国の外務大臣として、明示の規定がないから一切してはならぬとお考えでしょうか。
○松永政府委員 憲法上の解釈の問題につきましては、あるいは法制局のほうからお答え申し上げるのが至当であろうかと存じますけれども、先ほど外務大臣からお述べになられましたように、憲法九条の解釈といたしましては、政府は、この憲法の規定が必要最小限度の自衛のための実力を保持するということを否定しておるものではない、防衛を主たる任務といたします自衛隊は憲法に違反するものではないという解釈をとっておるわけでございます。 ただいま御指摘になられました講和その他の問題につきましても、私どもといたしましては、国際法に従いまして日本の国が国際法上の主体といたしましての講和その他についての外国との関係を処理する権能というものは否定されていない、こう考えておるわけでございます。
○永末委員 大平大臣、いま条約局長が申しましたが、わが国の憲法をはじめとする法体系に明示されていなくても、一般通念として日本国は独立国として、外交上いやなことであっても戦争関係に関する行為をすることはやり得るはずだ、こう大平大臣も考えておられると解釈してよろしいか。
○大平国務大臣 わが国といたしましては、専守防衛の基本国策に沿って処置していかなければならぬと思っております。
○永末委員 過般の委員会で、ピカソが最後にまとめました版画集三四七、通称エロチカといわれる上下二冊の版画集がございましたが、これの輸入に関して質問いたしました。ところで、それは結局のところことしの春輸入が認められたわけでございます。 さて、その認められましたのに基づきまして、今回さらに三百部の輸入の申請をいたしましたところ、ただいま税関でとまっておるというのでございまして、前回、一応輸入がいけないということで、その決定がございました。禁制品に該当するという通知があって、その通知を取り消す決定書が出ましたのが三月二十七日でございますが、その中で、普通なら風俗を害すべき問題を生ずるおそれが懸念されるからだめだけれども、この書籍は芸術書として編集されたものであること、頒布価格が高価なものであることを考慮すれば、閲覧者が限定せられるということなら「一般多数への影響はないものと認められる。」ということで、これが輸入が認められております。しかしそれに対しては、公開陣列は行なわないとか、保管管理は申し出人がやるとか、それからあとこれを輸入する場合には税関の審査がそのつど行なわれる、こういうことが書いてありまして、その第三項に基づいていま税関の審査があるのだと思いますが、いま申しましたように、「頒布価格が高価なものであることを考慮すれば、」というのはすでに同版のものの輸入申請があるということを前提にしていうておることだと思うのです。 そこで、同じものの輸入申請が行なわれた場合に、違った理由でその輸入申請を却下するといいますか、やめさせることができるのかどうか。すでに行政措置としては一応禁制品に該当するという通知が行なわれて、それに対して異議申し立てが行なわれている段階でございまして、その辺の、この前に許した理由とこれからやられようとしておることをひとつ並べて御答弁お願いします。
○旦説明員 先生のただいまの御質問ございました件は、おっしゃるとおりことしの三月に東京税関長からある書籍会社に対しましてそういう決定の通知をいたしております。本件につきましては、いまおっしゃいましたように、税関といたしましては、客観的に見ますと、関税定率法二十一条の一項三号に該当するということで、さきに該当の通知を差し上げたわけでございます。同じく二十一条の規定によりまして、これに異議がございます場合には税関長に対しましてその異議の申し出があることになっておりまして、それに従いまして異議の申し立てがございましたので、税関長が輸入映画等審議会に諮問をいたしまして、その答申に基づきまして、本件につきましては一冊だけであり、しかも美術愛好家等に、希望者が限定されております方々にその紹介をいたすということで、限られた範囲で閲覧がされるものということでございましたので、輸入の許可の決定がなされた次第でございます。 ただいまおっしゃいました最近ある会社が三百部輸入するということ、これも同様のものでございますので、そのもの自体といたしましてはやはり二十一条の一項三号に該当するということで、該当通知を差し上げまして、いまおっしゃいましたとおり現在輸入映画等審議会におはかりしておるところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、その御答申をいただきました後に、その御答申を十分尊重いたしまして決定いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○永末委員 これを外務委員会で取り上げておりますのは、わが国の国際的なキャラクター、品位とでも申しますか、つまりこれが現物の下巻、その下巻の中に含まれておる二十点が日本の審議会では関税定率法違反に該当するというのでございますけれども、これはアメリカの出版社が印刷したものでございますが、よその国でこれが堂々と輸入されておる。日本の国だけがいかぬ。しかもその中の身を精査してみますと、二十点の中で九点と十一点とは違った構図でございまして、十一点のほうの構図と別途九点とは全く違った構図、それを同一の風俗を害するということで律している理由というものを私は聞きたいと思いますけれども、それより先に、そういうことを理由によその国で輸入が認められているものをわが国が——しかもこれはいわゆる営利目的でつくられた一般のいわゆるポルノ雑誌等とは違って、もう死んでしまいましたからあとつくることはできませんが、芸術家が芸術品として世に問うた画集の一部分であるというものを一体それほどけちをつけることによって外国との差異を明らかにすることがわが国の国際的な地位を判断させる上に一体有利なのかどうかと思いますと、きわめて問題が深いと思うのですが、いかがですか。
○旦説明員 外国で同種のピカソの版画等がどういうような扱いになっておるかということにつきましては、私どもまだ十分調査をいたしておりませんのが実情でございます。ただ、関税のこれらの輸入あるいは品目分類等のきわめて技術的な問題につきましては、ブラッセルに本拠を置いております関税協力理事会という国際機関がございまして、わが国もその有力な一メンバーでございますが、最近世界的にポルノ等が非常な隆盛をきわめておりますためにいろいろな国で問題が起こっておりまして、カナダが最近各国のこれらの図画等についての扱いはどうなっておるかということをこの国際機関を通じまして調査を要請したことがございます。全加盟国からはまだ集っておりませんが、主要国から集まっております報告がございますので、それを見てまいりますと、これは文言上のことでございまして、なかなか具体的にどれがどうかということはわかりかねるのでございますが、少なくとも先進国間におきましてもかなりの扱いの差があるというふうに認められるのでございます。ただ冒頭申し上げましたように、ピカソについてどうなっておるかということについては、非常に残念でございますが、われわれはまだ調査が行き届いていないのが実情でございます。おっしゃいますように、日本の国際的な地位から見まして、日本が非常に奇異な扱いをするということは好ましくないと考えられますが、それぞれの国におきましては非常に歴史的に精神的風土も違いますものですから、一がいに他国がどうであるから日本もそのとおりというふうには直ちにはまいらないのではないかというふうに考えるわけでございます。私どもといたしましては、役人がこれらの芸術家等の作品につきまして最終的な決定をいたしますのは非常に問題がございますので、先ほど申し上げましたようなことで、異議がございますれば民間の学識経験者から組織されます輸入映画等審議会におはかりいたしまして、その結論に従って決定をいたすという体制にいたしておるわけでございます。
○永末委員 これが最終的に公安を害する、風俗を害するということになれば、日本国民の権利義務に関する問題ですから、現在下張り何とかというのが裁判にかかっておりますけれども、そのように日本の裁判が刑法に従って処置すべきものである。ただ単にそれを輸入するかどうかということで大蔵省としてはそういう審議会をつくっておられるのですけれども、私ども外務委員会で問題といたしておるのは、わが国はわが国の事情があると思います。しかし、その事情を表面に打ち出すことによって、国際的な芸術品として扱われているものの一部に紙を張ってみたり、あるいはまたそれを消してみたりするような日本人の行為というものが疑われているのでございますから、私は条約局長が外務省代表かどうか知らぬけれども、これはいままでは税関の話ということで大蔵省のほうが所管をしてやっていることですが、外務省知らねとは言われない。国内の話には関係ありませんよ。ただしかし、よその国で扱っていること、ピカソのこの三四七の版画条件いかんというものがどう取り扱われているかということは十分に外務省としても調査をして、そうして審議会の委員にその国際的な取り扱いの事実を十分示して、笑われぬような決定をしてもらいませんと、日本人というのは奇妙な集団だなということになりかねない。これは関税のほうの所管ではないと思いますが、どう思いますか。
○松永政府委員 私どもこれは通念的な問題としてお答え申し上げたいと存じますけれども、やはりそれぞれの国においては社会的な環境あるいはその条件が違うと存じますし、また道徳的な水準でありますとか風俗、習慣もそれぞれ違っておりますから、その国の国情に即していろいろな決定がなされるということは当然であろうかと存じます。ただ、他方国際的な水準あるいはその標準というもの、ほかの国でどういうふうに取り扱われているかということにつきましては、日本は国際社会の一員であります、そして国際的な協力にできる限りの努力を払うという基本的な姿勢から見ましても、国際的な水準あるいは各国、多数の国における取り扱いということも当然考慮に入れるべき問題であろうかと存じます。したがいまして、関係当局におかれてはやはり両面から十分考慮されまして御決定になられるということが一番妥当ではないかというふうに考えております。
○永末委員 審議会で審議をされている過程であると承ります。ぜひぜひひとついまのような観点、すなわち全体としての日本人が美術あるいは芸術に対してどう考えておるかということをいわば国際的に測定される、これは事件になっておると思うのです。しかも一点ならば輸入を許可したという事実がございます。したがって、その取り扱いについて、われわれがわれわれ自体を不信の念を持って取り扱うということになったのでは、国際的にはああ日本人はこういうものだなというふうに見られないとも限らないという懸念を国会の外務委員会で表明している者があるということを十分ひとつ審議会の委員の方々にも反映さしていただいて、良識のあるお取り扱いを願いたいと存じます。 終わります。
○藤井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。午後二時三分散会