外務委員会 第31号
- 発言数
- 255 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/07/20
会議録
○藤井委員長 これより会議を開きます。 千九百六十一年の麻薬に関する単一条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、千九百七十二年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。 まず最初に、委員長より一言御報告申し上げます。 ただいま議題となりました国際ココア協定は、参議院より本院に送付されておりましたところ、小協定に関し、昨十九日の外務委員会理事会において、外務省より、一九七三年六月三十日までにての憲法上の手続に従ってこの協定を批准し、受諾し、または承認するように努力することを約束し、かっこの協定を暫定的に適用する旨を国連事務総長に通告することができるとの協定条文の規定に従って、国連事務総長に本協定を暫定的に適用する旨を六月末通報した結果、本協定はわが国についても暫定的に効力を生じた旨の説明がなされました。 この説明に対し、各党理事より、そのような通告を行なう際は、事前に外務委員会、少なくとも外務委員会理事会に対し報告を行ない、了承を得へきである。それにもかかわらず、当委員会に了解を求めることなく、協定の審議に入る直前になって釈明するのは、国会軽視もはなはだしいといわざるを得ない。その点、政府より明確な説明がなされなければ、審議には応じられないとの強い主張があったため、理事会は一たん休憩のまま流会となり、委員会も開会に至らなかったのであります。 以上、昨日の理事会の経過を御説明いたします。 政府より発言を求められておりますので、これを許します。西田経済局次長。
○西田説明員 ただいま委員長から御指摘のありました諸点につきまして事務当局として御説明し、かつおわびさせていただきたいと思います。 委員長から御発言のありましたように、政府は八月末に国際ココア協定の暫定適用に関する通告を国連事務総長に対して行なったわけでございますが、政府といたしましては、ココア生産国たる開発途上諸国が本協定の発効に非常に大きな期待を寄せていること、したがいまして、本協定がこれら諸国に対しきわめて重要な意義を有するものであることにかんがみ、わが国のみが措置をとらないために協定が発効しないこととなるのは好ましくないと考え、六月末に国連事務総長に対し暫定適用の通告を行なった次第でございます。 この間、以上の手続をとるにあたりまして、本協定の御審議をお願いしております外務委員会に対し、はなはだ不行き届きの点がありましたことにつきまして、事務当局としてここにおわびを申し上げますとともに、今後かかることを繰り返さないよう深く反省しておりますことを申し上げます。
○藤井委員長 この際、委員長より外務省に対して申し上げます。 ただいま説明のありました国際ココア協定につきましては、暫定的に効力を発生する旨の規定がありますが、この通告を国連事務総長にするにあたり、行政府はあらかじめ当外務委員会に報告しておくことが条約審議上望ましいように存じますが、この点に関する外務大臣の御所見を伺っておきたいと存じます。
○大平国務大臣 ただいま御審議を願っております国際ココア協定につきましては、各署名国が六月三十日までに批准または暫定適用を求められておりましたため、政府としては国会で御審議を願っておりました一方、暫定的に適用する旨を六月末に国連事務総長に通報した次第でございますが、この手続をとるにあたりまして、外務委員会に対しはなはだ不行き届きの点がありましたことはまことに遺憾に存じます。今後このようなことがないよう十分注意してまいりたいと思います。
○藤井委員長 次に、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森委員 ただいまココア協定の「暫定的適用の明示」という第六十六条に従いまして、政府がとった態度について外務大臣から釈明的な意思の開陳がございました。なるほど条約によればこのような措置をとることはもちろん可能でありましょう。しかし国会の承認を求めなければ条約の発効がないことは当然でありますので、したがって、そういう事態をもっと早く——もちろんこの協定は反対すべき何の理由もないのでありますから、参議院においてすでに先議で満場一致で通過した協定ではございますが、ただいま釈明があったようなことにならないようにこれからするとおっしゃいますけれども、なぜそういうふうな姿で行なわれたようになったのかということについて大臣からでももう一ぺん御説明を願っておきたい、こう思います。これからどういうふうにしてやっていくのかということについてももう少し具体的に御答弁を願いたいと思います。
○西田説明員 ただいま堂森先生から御質問のありました点について御説明いたしますが、まずこの協定の発効に関する規定について申し上げますと、ココア豆の収穫年度が始まります十月一日から、協定の実質的内容を実施に移す日から、協定におきましては最小限度の準備期間を勘案いたしまして六月三十日を効力発生のための期限として定めております。一方、各国がそれぞれの事情によりまして、期限内に批准、受諾等の手続を完了することができない場合に備えまして、第六十六条におきまして暫定適用ということを規定しておる次第でございます。六月末に至りまして、輸出国側におきましては暫定発効のために必要な要件が満たされましたけれども、輸入国側におきましてはわが国を除くすべての輸入国が批准、受諾または暫定適用の手続をとりましたので、協定が動き得るかどうかということはわが国の態度一つにかかるという状態になった次第でございます。 そのためこのココア協定をつくるための会議を主宰いたしましたUNCTAD事務局長及びココアの最大の生産国でありますガーナ等から再三にわたり政府に対しまして批准または暫定適用を行なうよう強い要請があったわけでございます。したがいまして、先ほど私から申し上げましたように、こういう事情を勘案いたしまして暫定適用を行なったという経緯がございます。
○堂森委員 ただいまのような経済局次長の答弁でありますが、外務委員会は少なくとも毎週二回開かれておるのであります。そのつど理事会も開かれておるのでございますから、もちろん条約にこのような暫定的適用の条項がございますから発効が可能であるといたしましても、早くから理事会等にその間の事情等を説明をいたしまして、そしてこの外務委員会に向かってももっと要請するような積極的な態度を今日ぎりぎりになるまでどうしてとらなかったか。そういう理由はどこにあるのでございましょうか。
○西田説明員 私どもといたしましてさきに申し上げました手続をとるにあたりまして、本協定の審議をお願いいたしております外務委員会に対して種々不行き届きがあった点は深くおわびを申し上げるとともに、この点反省しておる次第でございます。
○堂森委員 そうしますと、暫定的な適用の条項があるようなこういう協定等はもうずっと習慣としてそういうふうに従来からやってきておるのでありますか。私はわかりませんので、従来の慣例等も教えてもらいたい、こう思います。
○松永政府委員 従来各種の商品協定を締結いたしておりますが、これらの協定におきましてこの暫定適用の規定を定めております。これらの協定につきまして暫定適用の通告をいたしまして、暫定適用を実施いたしました例は十一件ございます。ただ国会審議中の条約について暫定適用の措置をとったという例はございません。
○堂森委員 ただいまの参事官の説明によりますと、従来は国会中でなかったのでやむを得ず暫定的な適用をしてきた。しかし今度は国会中でこういうことになった、そういう前例はない。率直に申しまして、外務省としては気がつかなかったんでしょうか。あるいはもっと早く国会に了解を求めて、正当な——正当なというとあれですが、ノルマルな審議の過程を経て承認を得て、そして批准をしていこうとする態度をどうしてとらなかったのか。その間よくわからぬのですが、どういう事情であったのでございますか。
○松永政府委員 私どもといたしまして当然、国会にすでに審議をお願い申しておりましたから、時間的に期限までに間に合うよう御審議をお願いいたしたいといってお願いすべき筋合いのものであったと思います。また、それがどうしても間に合わない場合は、暫定適用の措置をとらせていただくことについて御了承をお願いするという措置をとるべきであったと思っております。
○堂森委員 くどいようでありますが、私は外務委員として、理事として、休んだことは一回や二回はあるかもしれませんが、大体ほとんど出席しておるつもりです。そうすると、外務省としては、条約を審議する外務委員会に、そういうふうな国会の審議を尊重するという態度に欠けているからこういうふうなことになったんではないか、こう私は思うのです。やはり外務省という役所は、従来、戦前からそういうふうな慣習といいますか、体質といいますか、そういうものでずっとものごとを処理してきた、こういうところに原因があるのではないかと思いますが、大臣いかがでございましょうか。 私はこれは非常に遺憾だと思うのです。もう暫定的適用をしておいて、そうしてわれわれに、さあ早く審議せいというような態度、まことにこれは不可解なやり方だと思うのですが、大臣いかがでございましょうか。これからこういうことがあってはならぬと思うのですが、御答弁を願いたい、こう思います。これからはどうするか、どういう態度で外務省を統括していかれるのか伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 国会の審議権というものを最高度に尊重しなければならぬことは当然のことでございまして、外務省といたしまして、そういう御審議に支障があるようなことがかりそめにもあってはならないと思うのでございます。このことは国会の承認事項であるとかないとかいう形式の問題ではなくて、御審議にあたりましては、あらゆることを御承知おきいただいての充実した御審議を願っておるわけでございますので、それに対しまして十分の御審議に資する、事実の解明、資料の提出等について、遺漏なことがないようにつとめなければならないのがわれわれの第一義的な責任であると思っておりまして、今後もその基本の態度をあくまでも貫いて御審議の期待にこたえなければならぬと思っております。 ただいま御指摘のように、いま議題として御審議を願っておる案件につきまして、たいへん遺漏なことがございましたこと、重々私として反省し、こんなことのないように今後十分注意してまいる決意は、先ほど委員長の御要請にお答え申し上げたとおりでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○堂森委員 もうこれ以上私はこの問題について発言することは、時間もありませんから、いずれまた同じような問題等について論議をする時間もあると思いますから、これをもってこの問題についての質疑は終わっておきたい、こう思います。 そこで、きょうはココア協定と麻薬に関する単一条約を改正する議定書の二つが議題となっておりますが、ココア協定の案文をずっと読んでおりますと、この協定のうしろのほうに、ブルガリアとかイタリアとかルーマニア、ソビエト社会主義共和国連邦というような国々が宣言をつけておりますが、この宣言というのは条約に対してどういう効果があるのでありましょうか。あるいはその意味は——これは社会主義国家の宣言とイタリア国の宣言とは意味は違うと思いますけれども、この社会主義国家の宣言等に盛られておる意味は、私はある意味ではもっともだと思える点があるのであります。そこで、この条約、協定に対してどういう効果、効力を持つものでありますか、どういうことでありますか、事務当局でけっこうですが、御答弁を願いたいと思います。
○松永政府委員 署名に際しましていろいろな宣言を付することはときどき、ことに多数国間条約の場合にはございます。この宣言の法律的な効果は、その宣言の内容によるかと存じますが、たとえば留保の宣言をいたすことがございます。そういう場合は当然この留保の効果が生ずるわけでございますから、その留保された部分について署名国の権利義務が、その留保の適用を受けて制約を受けるということはございます。 ただ、本件の条約におきます宣言を見ますと、いずれもそれぞれの署名国の意向を表明したものだと存じます。したがいまして、これ自体が何らかの法律的な効果を持つということはないと解釈いたしております。
○堂森委員 この社会主義国家が付しておる宣言は、この協定の内容の中の字句をいろいろ熟読しておりますと、これは大国の植民地主義というものがかなり露骨に出ておる面がやはりあることは否定はできないと私は思うのです。 日本の政府がこの協定をつくるについて、たいへん長い間かかっておる——この作成の経過は長いのでございますが、日本政府はどういうふうに考えて、この協定作成に当たってこられたのでありますか、この点も聞いておきたい、こう思います。
○西田説明員 ただいま先生御指摘の、その反植民地主義という点でございますけれども、たとえば協定の中に、この加盟国が主としてその統治について責任を有しておる区域と一体となって参加する、加盟国となるというような規定がございます。 具体的に申し上げますと、たとえばオーストラリアの場合にパプア・ニューギニアと一緒になりまして一つの輸出国ということで加盟しておりますが、いわばこういった規定が、その植民地反対という立場からすると受け入れられないという点で、社会主義国の一部が宣言を行なったと考えられるわけでございます。 これにつきまして、わが国といたしましては、これは先ほど条約局の参事官からも申し上げましたように、いわば意図の宣言であるという考えでございますが、多数国間協定におきまして一種の標準と申しますか、こういう規定でございます。わが国といたしまして、もちろん国連総会その他の場におきまして植民地主義というものに反対の立場をとっておると了解いたしておりますが、特にこの条項についてわが国が何らかの意図を表明したということはなかったと記憶しております。
○堂森委員 そこで、この協定の説明書を読んでおりますと、この協定ができる経過を見ますと、誕生するのにずいぶん長い間かかってきた、年月を要してきておる、こういうふうなことがわかるわけですが、これはおそらく輸出国と輸入国との間の見解がなかなか一致しなかった、利害が一致しなかった、主張が一致しなかったということでなかろうかと思うのですが、どういう点で輸出国と輸入国との間に意見の相違があったのでありますか、この点も伺っておきたいと思います。
○西田説明員 ただいま先生御指摘のように、この協定の会議が始まりましてから昨年十月にこれが妥結いたしますまでに約十年の年限がかかっておるわけでございますが、一番この協定で意見がまとまらなかった点は、ココア協定の中に価格水準、安定価格というものがきめられて、最低と最高、これを幾らにきめるかという規定がございますが、この価格を幾らにするかということでいろいろ議論があったわけでございます。結局最終的に意見がまとまりまして、最低一ポンド当たり二十三セント、最高三十二セントということできまったわけでございます。 さらに補足して申し上げますと、時間がかかりましたのはこの価格についての対立があったのみならず、ココアの主要生産国でございますガーナあるいはナイジェリア、こういった国に内乱と申しますか政治的な不安というものが続いたこともございまして、生産国側の意見が調整できなかったという点もあったやに聞いておる次第でございます。これに対しましてわが国は、できるだけ妥当な価格で安定価格というものがきめらるべきであるという立場を引き続きとってきておったという経緯がございます。
○堂森委員 わが国は安定的な価格で輸入が持続できるような方向でこの会議に臨んできた、こういう御説明でありますが、この協定の主たる目的は生産国の輸出の増加、そして輸出による収入の安定、それから増加をはかるためにこの協定を結んできた、こう書いておるわけですが、主要生産国、発展途上国でありますが、ココアの生産国の主たる数カ国において、どの国がどれくらいの、その国の国家収入のどれくらいの部分を占めておるかおわかりだろうと思いますが、説明を願っておきたい、こう思います。
○西田説明員 先生御指摘のように非常に多くの西アフリカそれから南米諸国といったココアの主要生産国におきましては、このココアの輸出に依存して国家財政というものを維持している国が非常に多いわけでございますが、IMFの推定によりますと、輸出収入の五%以上をココアの輸出によって得ておる国というものは九カ国ございます。特に多いほうから若干申し上げますと、ガーナにつきましては七一%、ナイジェリアが一五%、象牙海岸二三%、カメルーンが三一%、エクアドルか二%というふうなことになっております。特にこれら諸国のうちで、ガーナ及び赤道ギニアといった国につきましては財政収入の三〇%以上をこのココアの輸出によって得ておる。それから直接、間接にココア産業によって雇用されておる人々は全人口の約三分の一、ガーナにつきましては約二百万人と推定されておりますが、このように非常に大きなウエートを占めておるということでございます。
○堂森委員 時間がありませんので後ほどまたあらためてもう少しいろいろお聞きしたいこともありますが、そこでこのカカオ豆というのは相場か非常に激しい変動があるものだといわれております。そうしてそれを安定させるために今度の条約ができたわけでございますが、現在一ポンドどれぐらいしておるのでございますが、これも承っておきたいと思います。
○西田説明員 先生御指摘のように、やはり投機の対象になるというような面がございまして、非常にココアの価格は上げ下げが激しいという事実かあるわけでございますが、現在約七十セントを上回っておるような状況でございます。この四月ころではこれが約三十五、六セントということでございましたので、あるいは国際流動性の過剰というようなこともあったかと思いますが、この数カ月の間に倍近く値段が上がっておるというのが現状でございます。
○堂森委員 ほとんど時間がありませんで後ほどまた質問申し上げますが、このココア機関の本部というのはどこに設けられる予定になっておりますか。これはもちろん理事会できまると思うのですが、やはり執行委員を出す国が八カ国というのでありますが、これも大体わかっておるのじゃないでしょうか、これもあわせて聞いておきたいと思います。
○西田説明員 現在ココア本部をどこへ置くかという点につきましては、ロンドンとハンブルク、それからアムステルダム、この三カ所が立候補しておりまして、実はまだどこにきまるかはっきりわかっておりませんが、この七月三十日からジュネーブにおきまして第一回のココア理事会が開かれますので、そこできめられるという運びとなると考えられます。 それからただいまの執行委員会のメンバーでありますが、輸出国、輸入国おのおの八カ国選ばれるわけでございますが、これにつきましてもその第一回のココア理事会できめられるということで、まだどこが選ばれるかということはきまっておりません。
○堂森委員 もう私の時間はこれだけでありますので、全くほんの一部しか質問ができませんので、あらためてまた午後でございますかあると思いますので、そのときにもう少し詳細にわたってまた麻薬の単一条約についても質問をいたしたい。これで一応終わります。
○藤井委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、ただいま議題となっております国際ココア協定並びに麻薬に関する協定、両協定を審議するにあたり、きのう、おとといからの経緯につき、当局の態度をただしたいと存じます。 問題は、一昨日の晩のことであります。私が当協定の勉強会をやっておりまして、その席上、外務省の係官が当協定の説明にお越しになりまして、いろいろお話を伺っておる最中、国際ココア協定に関しては暫定措置がとられた旨のお話がございました。私は、このような国会審議の最中であり、参議院において議決が行なわれ、衆議院において議決が行なわれない中間点において、暫定措置をとられた旨国会に報告をなされるのが当然だと考えました。 しかし、その翌日に至り、各党委員の様子を聞いて一驚したわけでありますが、社会党の同僚議員は、その日朝廊下の立ち話でこれを聞き、民社党の委員は、理事会の席上これを聞き、共産党の委員にはついに連絡が行なわれなかった旨伺いました。また、おそるべきことは、自民党の理事であり同僚議員である方に対しては、委員会の席上で初めて教えられたというような実情でありました。 そのときに、外務委員会において、外務委員長から、暫定措置をとることに関して十日ばかり前に外務省からお話があった旨御発言がありましたが、十日前といたしましても七月十日前後であり、暫定措置がとられた六月三十日から実に十日も過ぎてのことであります。しかも、私の伺ったところでは、省議で決定されたのが六月二十五日であり、閣議で決定されたのが六月二十八日である。こういうような形で暫定適用の問題が行なわれたということに関して、これでよいのかという感じを強く持つわけであります。先ほどから御弁明があったわけでありますが、こうしたやり方というものに対して、私はきわめて遺憾の念を持っているものであります。 日本国憲法の第四十一条、国会の、ことに立法権に関する規定は次のようにしるされております。「國會は、 國權の最高機關であって、國の唯一の立法機関である。」この規定は、明らかに国会が国権の最高機関であることを定めております。そして、行政府といえども、この国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会の審議に対して深い敬意を表さなければならぬことは、言をまたぬところであります。 また、日米原子力協定審議中、第七十三条、内閣の職務に関する項につき種々の討論があったわけでありますが、その項を読み上げてみますと、「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」「一 法律を誠實に執行し、國務を總理すること。」「二 外交關係を處理すること。」「三 條約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、國會の承認を經ることを必要とする。」と明示されているわけであります。 私が原則的なことを申しますのは、明らかにこの項に関し、条約を締結することに関し、交換公文の取り扱いが不適切だというので、日米原子力協定の審議中、この交換公文の取り扱いを、今後条約に類するものあるいは条約に類しないものとを分けて、明らかな将来の方途というものが定められなければならぬ旨、当委員会において論議が尽くされたところであります。しかしココア協定については、これは条約であり、明らかに内閣の職務に関していうならば七十三条の三号「條約を締結すること。」の範囲に入るわけであります。「但し、事前に、時宜によっては事後に、國會の承認を經ることを必要とする。」というのは、事前に行なうのが原則であり、「時宜によっては」というのは、どうしても時間的に見てあるいはその他のいろいろな事情で事後にやったほうが適切な場合には事後にという意味でありましょう。 そうしますと、本ココア協定の審議中に暫定適用をこうした形で行なわれたことに対し、少なくとも委員会に何らの報告も行なわず、当委員会の委員長、理事、理事会、委員会と、いずれに対してもまるでだまし討ちのごとき処置を行なったことに対して外務省はその責任を負わねばならぬと私は思うわけであります。 しかも不愉快なことは、当協定の審議にあたり、担当局である経済局長はこの席に在席せず、一回の説明も行なわなかったことはますます不当であります。しかも、日米原子力協定の審議中、交換公文の問題をめぐり問題が起こったにもかかわらず、また全く類似のと言いたいところでありますが、類似というよりもむしろこの問題を全く新たに引き起こし、何らの反省がないばかりか、さらにひどい同様ケースの事件を起こしたということは、私は単なる謝罪では済まぬ大きなきずではなかろうかと存ずる次第でございます。これは国会軽視といわれてもまことにやむを得ないのではないかと思うわけであります。しかも先ほどの御説明を拝聴いたしておりますと、私がとうてい納得しがたいことは、西田経済局次長は、開発途上国がこの条約に深い関心を持っており、かつ開発途上国には重要性があり、これをわが国が批准しないことによって本協定を破壊しないようにしたいという気持ちからやったのだという旨御発言がありましたけれども、それは明らかにこのような国会の審議権を侵した問題に対する単なる弁明であって、たとえて言うならば、刑事訴訟被告人が有罪なるを認めつつも情状酌量を求めるときの表現と全く同じものであります。したがいまして弁明にはならぬのであります。不行き届きということばで一括して言われましたけれども、何が不行き届きなのかもどうやらわかっていらっしゃらない旨がまことに濃厚でありまして、私は先ほどからの御弁明、御説明を伺えば伺うほどその疑いを濃くするものであります。したがって、私は深い遺憾の意を表しつつ、外務委員会理事会においてこの問題を提起いたしましたが、その外務委員会の理事会の席上藤井委員長が、これは明らかに外務省の瑕疵である、きずである、こういうきびしいことばをもって評されにことを記録にとどめておきたいと思うわけであります。そしてこのような失態というものを——失態というよりも条約自体の取り扱いに対してここまで妙なやり方をしたという点について一体どりお考えになっているか、もう一回経済局及び担当大臣の御発言を求める次第であります。
○西田説明員 ただいま渡部先生から種々御批判の御発言があったわけでありますが、私どもといたしましては、先生のただいま御指摘されました諸点につきまして種々手続を進める上におきまして不行き届きな点があった点深くおわび申し上げるとともに、今後とも対外務委員会との関係につきましては十分な反省を加えて事務を行なってまいりたいと思う次第でございます。
○大平国務大臣 この間の日米原子力協定の際におきましても、御審議上私どもの不行き届きから御支障を与えて恐縮でございましたが、重ねてココア協定に関連いたしまして御注意を受けたわけでございます。私ども毛頭国会を軽視するというような気持ちはないわけでございまして、私どもの一挙手一投足国会の監視のもとで行なわれておるわけでございまして、終始周到な注意を持ってやらなければならぬ立場におりまして、そのように注意をいたしておるつもりでございますが、こういった御指摘を受けましてたいへん恐縮をいたしておるわけでございまして、今後御審議にあたりまして事実の解明、経緯の解明、資料の御提出、政府のとりました措置の御報告等につきまして十分戒めまして御審議に支障のないようにいたしたいと思います。先ほど委員長の御注意に対しましてお答え申し上げたとおりでございます。
○渡部(一)委員 今度は政務次官にお伺いします。政務次官はあのとき理事会の審議の途中において、私も知ったのは三日前であると発言をされました。そして三日前であると発言されたということは十九日でありますから、その三日前というのは十六日のことだろうと思います。あるいは十七日かもしれません。ところがその閣議で行なわれたのはおそらく二十八日ごろだと思われます。閣議のことを御存じなかったのですかと伺いましたところが、政務次官はそのときに、閣議というのは、指で十センチくらいの厚さを示されまして、これくらいの書類があるので何が何だかよくわからないのだというようなお話をされました。政務次官というものは閣議に何がかかったかもわからないほど大量の書類を扱われるものであるか、また閣議において何が扱われるか関心を持たないほど別に多くの関心事があるのか、またそういったことは自分の所管であるのかないのか。少なくとも立法院から送り込まれた政務次官として、閣議の内容でどの協定がどんなことになったくらいはチェックなさるのが私は妥当ではないか、私はむしろそう思うわけであります。私はこれは単なるいやみを言っているのではなくて、政務次官の地位を重からしめんがために、そういう機構がもし外務省の外務政務次官というのはできていないんだとしたら、これは将来の禍根をますます惹起するのではないか、こういう暫定適用した責任者は一体だれなのかということがそのときもあったわけでありますが、ついにわからずに過ぎたわけであります。一体こういう暫定適用したことを政務次官は知っていたのか知っていないのですか。官房長がやったのであるかやったのでないか、もし官房長責任があるならば、私はここで伺わなければならない。もちろん局長が不在なことはもう明確です。だけれども、だれが一体やったのか、それで閣議に出すものについては最終的にだれが責任を持っておられるのか。その政務次官と事務次官と官房長とその外務大臣を輔弼している三名の方々はこの問題に対してどういう責任を持っておられるか明らかにしていただきたいと思います。
○水野政府委員 私の不明のようなことを雑談の途中に申し上げまして御指摘を受けましたが、このココア協定の暫定適用の問題は、決して省内の手続をいいかげんにやったということではないわけでありまして、省内一応の決裁をとりまして、事務次官会議にかけて、さらに閣議の了承を得て向こうに通告をしているわけであります。ですから、その手続について遺漏があったということではなくて、私が非常にたくさんの書類があるのでございますし、特に閣議の案件というのは事務次官会議のあと回ってまいりますが、非常にたくさんあって、それを読まないでしまった、こういうことを申し上げたわけであります。どうも私の個人的な不明を申し上げたようなことになったわけでありまして、いま渡部先生御指摘のように大いにしっかりやらなければいかぬということは、この事件を機会に私も反省をしておりますけれども、実際上の手続に不備な点があったということはございませんので、政府部内でございます。当委員会に御報告申し上げなかったという点については、外務省として反省をしておりますけれども、役所の中ではちゃんとした手続をとっておりますから、その点は誤解をいただかないようにしていただきたいと思います。
○渡部(一)委員 この協定と似た協定で、食品協定と称せられるものがございますが、いずれも内閣に対して、内閣の決定というものと国会の提出という問題に対してタイムリミットが設けられているので同様の取り扱いが行なわれた経緯がある旨先ほど御発言がございました。そしてその件数も十一件とのことでございました。私の調べたところでは十件でありますから、どこか私のほうが一件ずれているわけでありますが、その年次と協定の内容とをここで煩雑でありますが申し述べてみたいと存じます。 小麦協定のほうは一九五六年、閣議決定がすなわち昭和三十一年七月十三日であり、衆議院本会議を通過いたしましたのが三十一年十一月三十日、それから一九五九年、昭和三十四年、閣議決定が四月の二十一日、国会提出が三十四年十一月の二十日、衆議院本会議決定が三十四年十一月三十日であります。一九六二年、すなわち昭和三十七年五月の八日閣議決定、国会提出が三十九年の二月の二十六日、衆議院本会議決定が三十九年三月の十九日であります。これは閣議決定から実に二年後を経て国会へ提出されているわけであります。その次は七一年、昭和四十六年四月の二十七日閣議決定、国会提出が四十七年二月の十四日、衆議院が四十七年四月の十一日、参議院が四十七年四月二十四日。 砂糖協定に至りましては三回あるわけでありますが、昭和二十八年十二月九日閣議決定、国会提山が二十九年三月二十日、衆議院が二十九年四月の八日、参議院が二十九年四月の十二日であります。その次が昭和三十三年十二月二十三日閣議決定、国会提出が三十四年三月の二日、衆議院が三十四年三月十二日、参議院が三十四年三月十八日であります。次が昭和四十三年十二月二十日閣議決定、国会提出が四十四年四月三日、衆議院本会議が四十四年五月十三日、参議院本会議が四十四年六月六日であります。コーヒー協定は、二回でありまして、三十八年五月七日閣議決定、三十九年一月二十六日国会提出、衆議院の本会議が三十九年三月十三日、参議院本会議が三十九年二月二十六日、その次が、四十三年三月十九日閣議決定、国会提出が四十四年二月二十五日、衆議院本会議か四十四年四月二十三日、参議院本会議が四十四年五月十六日、第二次すず協定でありますが、これが閣議決定が三十六年六月二十三日、国会提出が三十六年九月二十六日、衆議院本会議が三十六年十月十七日、参議院本会議が三十六年十月三十一日であります。ここで何を私が申し述べようとしておるかと申しますと、閣議決定と国会提出あるいは衆参本会議における決定とが、いままで一括いたしましてあまりにも日付がずれているわけであります。中でもすさまじいのは、昭和三十七年の五月の小麦協定でありますが、これは実に二年後を経て国会へ提出されたわけであります。これはとうてい暫定適用の範囲を越えるものであります。このようなやり方で国会の審議にかけないとしたら、これはもう国会というものは要らない形でありまして、日本国憲法七十三条の三号「條約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、國會の承認を經ることを必要とする。」この項に明確に違反するのでありまして、二年たって、「時宜」である、タイムリーであるなどという発言は、まさかなさらないと私は思うわけであります。また、小麦協定の四十六年四月二十七日の分でありますが、これについては、私もいきさつを多少存じておりますが、この協定は、実に八カ月後に国会に提出されたわけであります。これを八カ月も待たなければならぬ理由がないわけでありますが、このときもまた当委員会に対しては、適切な報告その他が行なわれていなかったわけであります。これは当時の委員の各位からも伺ったところであります。そうしますと、この前後十数回にわたるこの審議の扱い方自体というものに、ここに反省を求めなければならぬ、いまこの時期に到達しているということが言えると思うわけであります。したがって、当委員会において委員長が先ほど指摘をされ、また各委員が質問をしている内容というものは、要するに暫定適用などという問題が行政権の不当な拡大であると私は考えるわけであります。 昨日外務省の経済局次長が理事会においてこれに対して、行政権の範囲内である旨の発言をされ、きょうは行政権の範囲内である旨の発言をされませんでした。外務省の担当局は、このような不当な、まさに国会審議権を侵すやり方について、いまだに行政権の範囲内であるとお考えであるかどうか、伺いたいと存じます。私は、二年間も暫定適用などという問題で問題を放置しながら、それが適法であるとか、憲法に合致しているとか、行政権の内容であるとかはまさか言えないと思うわけでありますが、先ほどからの御説明では、それは判然としないのであります。御答弁を求めます。
○松永政府委員 いまの御指摘がございました諸先例につきまして、その場合になぜ国会に提出が非常におくれたかということは、あるいはそのときそのときのそれぞれ特別な事情があったかとも思いますけれども、大原則といたしましては、署名をした条約をできる限りすみやかに国会に提出して御審議を仰ぐべきであるということは、私は当然のことだろうと思います。今後私どもが条約を締結してまいりますときには、その心がけを基本といたしまして事務を進めてまいりたいと存じております。 それからもう一つ、行政権の範囲内云々という点につきましては、これはこの種の暫定適用という仕組みがございまする場合に、国会の御承認をいただいておりませんから、政府が法令等のもとで認められておりますこと、それだけを処理するという意味で申し上げているわけでございます。行政権の範囲内であれば何でもよろしいというふうには私どもも解釈いたしておりませんで、それからなお、暫定適用でございますから当然、これは事柄の性質上、暫定的でなければいけないわけで、すみやかに本格的な効力発生へ移行する、あるいはそれができない場合は暫定適用を提出するということに処置すべきものであろうと考えております。
○渡部(一)委員 大臣、いまの御答弁を聞かれていてもおわかりのとおりでありますが、要するに私が問題としているのは、単なる手続やテクニックを申し上げているのではないわけであります。つまり、行政権の範囲というものがかくも恣意的に拡大した事実に対しまして、この辺でブレーキをかけなければ、もう国会の審議権というものは取り返しのつかない打撃を受けることは必定であります。先ほど不行き届きというまさに痛烈な反省をなさってはおられますけれども、私はこういう行政権の行使にあたっては、このように疑義の明らかに存在する暫定適用を行なうにあたりましては、よほどの慎重さがなければならぬし、今後においては国会の承認、批准を第一原則とし、承認、批准がどうしても時間的に行ない得ない事情があるときは、事前に当委員会に対する御説明あるいは御報告、黙示の承認等が必要であると思いますが、いかがでございますか。
○大平国務大臣 私は、立法権の最高機関として国会が活力のある機能、そして権威のある機能を果たされなければならぬと同様に、行政府といたしましても、国会から負託された権限の中におきまして、責任を持ちましてこれまた活力のある推進をはかり、実施を通じて国民の期待にこたえなければならぬ立場にあると思うのであります。両々相まちまして、政治の円滑な運営が期待されると思うのであります。ただ、私が先ほどから申し上げておりますのは、立法権の権限はこの範囲内である、これから先は行政権の権限の中の領域であるという形式論を申し上げておるのでは決してないのでありまして、立法府の立法権の行使にあたって、十分審議を遂げられなければならない。その審議にあたりましては、いろいろな経緯、事実というものについて十分御掌握の上、御審議をされなければならないわけでございまして、立法府は立法府としてそれをおとりになる道もおありでございますが、御審議を願っている行政府としては、御審議に支障のないように十分の用意をして御審議に資する用意がなければならぬわけでございまして、そういう点につきまして遺憾の点があったということでございまして、それに対して深甚な反省を表明いたしたわけでございます。今後遺漏のないように重々戒めてかかるつもりでございますので、国会におかれましても、われわれを叱咤されると同様に、また御鞭撻もいただきたいと思います。
○渡部(一)委員 大臣それでは最後に伺っておきますけれども、閣議にこういう外交案件に関する条約その他御報告なさる場合、大臣は御存じなのはわかりますし、大臣が不行き届きを弁明されたのはわかります、事務次官が知っていることも先ほどの御説明で了承しました。しかし政務次官と官房長はちゃんとそれくらいのことは心得ておられて、そして国会の問題等についても十分御配慮をされるよう御指導なさるのが適切ではないかと私思うのでございますが、いかがでございますか。
○大平国務大臣 仰せのとおりでございます。事務次官以下事務官僚につきまして、遺漏な点がないように周到な監督をしなければならぬことは私の責任でございます。同様に政務次官におかれましても、政府と国会との間の連絡調整を御任務とされておるわけでございますので、それに必要な事項につきまして事前にまたタイムリーに十分御承知おき願うように処置しなければならぬのが私の責任でございます。あげて大臣の第一義に気をつけなければならぬことであると私は承知いたしております。
○藤井委員長 永末英一君。
○永末委員 大平外務大臣は、先ほど来ココア協定事件に対しまして、外務委員会に対して不行き届きであった、国会の承認事項であるかいなか、あるいは行政権の範囲、立法権の範囲はいかがかという形式的な面にこだわることなく十分外務委員会、すなわち立法権側の審議には十分の資料を出すのがあたりまえだと思っておった、こういう旨のお考えを披瀝していただいておるわけでございます。しかし私は、あなたのお気持ちよくわかるのでございますが、もう少しそのお気持ちの中身を聞いておきたいと思います。 この協定は、われわれの持っております憲法に従って国会の承認事項であると思っております。ところが、国会の承認という憲法並びに日本国の法律体系による手続が結了していないときには、政府が対外的に暫定的に適用をするんだということで、暫定加盟の形をとるという条文なんでございまして、それをやられたわけでございます。やられたということは、対外的には暫定的な加盟と確定的な加盟と、実際の効力は実体的には変わらない、暫定的なのはあとでこれが批准されなければぱあになるという程度のものですが、そういう経過になっております。さて問題は、対外的には確定したことであれ、暫定的なことであれ、日本国の態度というものは発表せられ、そうしてある一定の国際的な法律効果を持っていく状態をつくられる、こういうものだと思うのですね。したがってなるほど、国会の批准というのは国会の中のプロセスがございますから、必ずしも対外的な約束を協定で盛られた時点に間に合わないかもしれません。しかし、対外的に暫定的にこれを承認をするとか通告をするとかいうことを約束されたことは、その時点においては国内における国会側の審議とは無関係のことでございます。 したがって、私は思うのでありますけれども、憲法で国際条約なり協定なりが事前、事後、いずれとも承認事項となっておるのは、日本国が外国へ向けてやる行動について重要なものはそういう形になるであろう。そのことはやはり国権の最高機関である国会の同意を得て初めて日本国の行為として成立するんだというそういう法意だと思うのですね。したがって、それまでに外務省がやっておられることは、いわばまだ完結していない行動をやっておられると思います。昔の大日本帝国時代は外交大権などといいまして、あまり国会は参与できなかったような法体系でございますが、日本国憲法下では、あなたが行政権と立法権というようにはなはだ形式的に取り上げられましたが、そうではなくて、日本国政府の大平さんが、外務大臣として外務省を指揮して国際行動をする場合の一つの基準として、対外的に条約ないし協定を結ばれるというのは、国会の承認がなければ発効しない、こういうものだ。 さて、問題は、そういうものであるのでありますけれども、対外的には暫定的であれ発効せしめる行為を通告でやられたわけでありまして、私は、対外的にそこまでやられるような効果を持つ行為、この場合は通告のようでございますけれども、こういうものはやはりはっきりと国会の承認事項じゃございませんよ。承認事項じゃございませんが、あなたが先ほどから述べておられるように、好意的に、つまり批准を求める案件の審議のために、外務省としては一切の資料、いきさつを発表すべきものであったということではなくて、当然その審議の衝に当たっている、国会でいえば外務委員会でございますが、外務委員会にはぴしゃっと報告をして、そうして事後に対外的な措置をとられるべきものだ、私はニュアンスが違うと思うのですが、いかがでしょう。
○大平国務大臣 その事後か事前かという問題でございますが、行政府が行政権の行使にあたりまして、はしの上げ下げまで国会に一々おはかりを申し上げて、それから発動するというような形は、私は本来立法府の期待されるところでもないと思うのでありまして、与えられた権限の中で先ほど申し上げましたように活力ある行政の展開をやれということが御趣旨であろうと私は思っておるわけでございます。しかし御審議にあたりまして御支障のないように配慮していかなければならぬのは、提案者といたしまして当然のことでございまして、そういう点に遺漏があったことは非常に残念だということを申し上げているわけでございまして、事前に御了承を得た上でアクションを起こすべきであるという御意見には、たいへん残念ながら、私は賛成はいたしかねます。
○永末委員 憲法で述べております事前事後というのは、要するに非常に重要な案件であって、そしてわがほうの政府が一案を持っておる、いろいろ折衝はございましょうが、最終の段階に来て国会は開会されておる——どっちでもいいのですが、要するに国会が開会されておる場合に、これから調印したいんだけれども、この案で臨むぞよということであらかじめの承認を得られるというのが事前の意味だろうと思います。事後という意味は、普通政府がやっておられる、政府が調印をされて、署名を完了されて承認を求める、こういう形でございまして、いまあなたはその二つ言われましたが、そんなことを言っておるのではございませんで、すでに調印は完了いたしておる、そしてそれに形式的に確定した効力を持たせる行為をとるのか、それともその条文に従って暫定的な効果を持つといわれる行為をとるのかという場合に、それはいずれもある意味では日本国を縛る行為をやられるわけでございますから、国会は開会しているのですから、その行政行動をやられることを、行為でやるというんではなくて、われわれ立法府のほうから見ますと、あなたも立法府の一員でもございましょうが、それこそ少なくとも事前にちゃんとやりますよということを言われるのがあたりまえだ。それでも事前はいやだと言われるのなら、やった即日に、やりましたということを報告されてこの行為に対して了承を求められる、それは私は当然だと思うのです。ところが、いまのこの話はそうじゃございませんでしょう。いまわれわれがココア協定を審議しているというのは、これの承認をあなた方は求めておられるのであって、六月三十日——期日はわかりません。六月末ということですが、六月末にやられた暫定的通告の行為に対する承認の件なんというのは求めておられませんよ。私は区別して考えてほしい。今後こういうような協定を結ばれるでしょう。法律的にいいますとがんじがらめみたいなものでございまして、承認もしていないものによってすでにある行為が行なわれているというような条文を一体立法府として認めるべきかいなかという、形式論ですがそういうジレンマも立法府にはございます。しかしいまの問題は、あなたはあくまでもこの協定案の承認を求めておいでだが、私が問題にしておりますのは、六月末に行なわれたあの行為の措置というのは、行為でやるのではなくて、はっきりとした行政府の責任において立法府との関係において位置、つけるべき問題だ、そのあなたのお考えを伺っておるわけであります。
○大平国務大臣 責任とか義務とかいう議論になりますとかたくなるわけでございますけれども、そういうことになりますと、これは行政府にゆだねられた範囲で私どもの責任でやらせていただくことでございますと言わざるを得ないのでございます。しかし国会は開会中である、そして本件のように、本協定が国会の承認にかかっておるというような事態におきまして、事前に国会に御報告することがベターであり適切であるという意味でございますならば、私は永末さんが言われたことに賛成です。
○永末委員 大臣、くどいようですが、ベターというのと適切というのと違うわけですね。ベターというのはよりよいという程度であって、そうしなくてもグッドという状態がある、こう解釈される。適切ならけっこうでございますが、あのくだりのところはどうでございましょうか。
○大平国務大臣 そのほうが適切であるというあなたの御見解に、私も同感でございます。
○永末委員 先ほど次長が似たようなことを言われましたが、ちょっとその点でお伺いしますが、協定六十七条「効力発生」のところの第一項でございますが、その三行目「附属書Dに掲げる輸入国で同附属書に掲げる総輸入量の七十パーセント以上を有するものを代表する政府が」云々と、こうなっておる。先ほど次長は、わが国を除くほかのすべての国が批准ないしは通告をいたしたのに、わが国だけがこの措置をとらないということではこの協定が発効しないと説明されたが、ほんとうですか。
○西田説明員 ただいま先生御指摘の点でございますが、付属書Dに掲げてございますのはココアの輸入量を国別にあげた表でございますが、実際ここに掲げてございます国は、ココア会議が行なわれましたときに出た国でございます。ところが、実際にその署名をいたしましたのは、たとえば大きな国で申しますとアメリカが入っておりません。アメリカの場合は、約二五%の輸入量を占めておるのでございます。したがいまして、署名をいたしました国を全部合わせまして約七〇%弱ということで、これが発効に必要なぎりぎりでございます。私が申し上げましたのは、署名をいたしました国が全部批准なりあるいは暫定適用の通告を行なわないと協定発効ができないというような趣旨で申し上げたのでありまして、日本を除くほかの国がすべてそういった趣旨の通告をした、こういう事実関係を申し上げた次第でございます。
○永末委員 アメリカはなぜやらぬのですか。
○西田説明員 このココア協定を審議いたしました昨年のジュネーブの会議におきまして、ココア協定の趣旨には賛成である、しかし自分のほうはいろいろな国内事情があって署名できないという趣旨を言っております。その主たる理由といたしましては、アメリカは、ケネディ大統領が提唱いたしました小麦とそれからもう一つ商品協定に入っておりますが、いろいろな国内的な理由からその商品協定には必ずしも賛成でないという態度をとっておりまして、そういった観点から署名しなかったという実情があったと聞いております。
○永末委員 付属D表に照らして見ますと、わが国の輸入量というのは四%ないわけですね。その四%ないものが、あなたの説明によりますと、何かわが国が大責任を持っているのだ、だから国会にも言わなくてともかく通告しなければならぬというような感じの説明だが、そんなにわれわれが責任を持たなければならぬものかどうか。それからいまのように、アメリカはアメリカの事由がございましょうが、世界で一番たくさんココアを輸入している国が知らぬ顔をしておるというのは、このココア協定というのは成立させなければわが国がそんなに不自由をこうむるものかどうか。わが国が不自由をこうむるなら、知らぬ顔しているアメリカはもっと不自由をこうむるだろうし、わが国の八倍から九倍の輸入をやっておるアメリカがもっと大きな不利益をこうむらねばならぬと思いますが、どうも先ほどの説明ではわが国だけの責任が残ったようで、ほかのところはみんな通告とかいろんな処置をやったがわが国がまだだったから、こういうような文句のようでございましたけれども、ちょっとそれはふに落ちないのですがね。
○西田説明員 確かに先生御指摘のようにわが国が輸入しておりますシェアは三・五%、したがいましてわが国がもし何らかの措置をとらない場合には、結局六十五、六%しか署名国のシェアが集まらないということで協定が発効しないという実情に立ち至ったこともございまして、国連のUNCTAD事務局長、それからガーナ、それからFAO、こういった国並びに国際機関から、日本にぜひ批准または暫定適用の措置をとってほしいという要請があったわけでございます。 それからアメリカの場合でございますが、アメリカは御指摘のように確かに世界最大の輸入国でございまして、私どももアメリカがこの協定に参加しないという事態は非常に残念だと思いますし、今後機会があればアメリカに参加するよう呼びかけていきたいと思っております。 この協定の趣旨は、価格変動の非常に激しいココアというものに安定価格を設け、かつ値段が非常に下がった場合に買い上げるための緩衝在庫というものをつくることによって安定させ、これによりまして生産国たる開発途上国の外貨収入あるいは財政上の裏づけを安定させ、かつこれによって経済開発あるいは社会開発のための資金を安定せしめるということのほかに、輸入国といたしましてココアの供給の安定をはかる、この二つの点を目的としてつくられたものでございます。 アメリカがこの協定に入らないことによる不利益といたしましては、たとえばココアの値段が非常に上がりましたとき、加盟輸入国はココアの供給につきまして入っていない輸入国よりも優先的な扱いを受ける、こういう点がございますので、加盟に伴うメリットというのはいろいろな点であるわけでございます。したがいまして、私どももアメリカに何とかして入っていただきたいと考えておるわけでございます。
○永末委員 アメリカは総輸入量の二五%くらい持っておって、この協定で総輸入量の七〇%以上有する国の署名がなければ発効しないというのはばかな話ですね。このサインをするとき、アメリカは入りそうでないということはわからなかったのですか。もしわかっておるならば、全部入れ、アメリカはやめだ、こういうことを認めたことになる、効果としては。そうすると、アメリカは不利益のようだけれども、げすの推測がもしれませんけれども、入らぬほうがアメリカにとっては利益だから入らぬのだ。われわれはなぜこういうところに入っておるのだということになります。急いでやるものだから、国会で外務省のやり方を疑われたりする。おかしいと思いませんか。アメリカが二五%も輸入量を持っておって、自分は知らぬ顔をしているが、そのアメリカを含めて七〇%だから、アメリカを除けばあとほとんど全部という計算になるでしょう。おかしな気がしますね。この内容はぼくはよく知りませんけれども、何か隠れておるものがあるのではないか、世界ココア市場におけるSF物語みたいな……。どうです。
○西田説明員 アメリカを除いた全部の国ということになりますと、七五%になるわけですが、署名いたしましたのが六九・、ちょっと端数は忘れましたが、ほとんど七〇に近い数に達する国がこれに署名したわけでございます。したがいまして、アメリカが大体入りそうもないという会議での雰囲気でございましたので、協定を早く発効させる趣旨から、少なくとも世界の輸入量の七〇%を占める署名国が何らかの批准あるいは暫定適用の措置をとらない限り発効しない、こういう規定になったわけであります。
○永末委員 あなた、声はお出しになったけれども、質問に答えていただいておらないと思う。おかしな気がするのです。あなたおかしいと思われませんか。 大平さん、いろいろな通商交渉もおやりになりますが、どう思われますか。アメリカを含めて一〇〇だ。そのうちの七〇がちゃんととってくればこの規定は発効するという規定で、そのアメリカは入らない。そうするといま話がございますように、アメリカを除けば七五%、五%といいましても少しのシェアしか持たない輸入国がございますから、ちょっと目立ったところは全部入れという協定なんですね、形としては。何かアメリカだけうまいことして、そうでないところはうまいことしていないというようなことで、われわれが急いで承認したという気がしますが、一体七〇%条項というのはどんな意味があるのか。
○羽澄説明員 先生の御質問に対しまして、交渉の経過中、アメリカからいろいろアメリカの意図を確認した経緯がございますので、その点ちょっと御披露させていただきたいと思います。 まずアメリカにおきましては、商品協定というものは一般的に価格を安定させる面はあるけれども、輸入国の立場から見ると、価格が妥当な線にきまっておればいいけれども、高くきめられた場合には不利であるということで、価格の面について非常に条件闘争するわけでございますけれども、片や自分のほうとしては、農業輸出国というような面もありまして、商品協定のようなどちらかといえば市場を組織するような動きにはあまり積極的でない。しかしながら、こういうココアのような後進国にとりまして非常に関心のある品目につきましては、やはり交渉には参加するし、署名の段階におきましては、まだアメリカの国内がまとまっておらないので署名できないけれども、これはこれで、ひとつできればほかの国で発効させてもらいたい。その間自分の国内においてはなおこれは後進国にとって重要な問題であるということなどを説得して、依然アメリカとしても政府としては加盟の方向に努力したいといっております。それで私どもも、これを署名するにあたりまして、第一回の理事会であらためて日本としては、アメリカが入らないと、これは非常に大きな国が入らないことになりますので、この協定の運用上好ましくないということで、またさらに入れということを言うように申し合わせております。また先ほど来のお話ですと、何か陰に隠れたものがあるのではないかということでございますけれども、アメリカといたしましてはそういった全般的ないろいろなことがございまして、商品協定に関しましては、後進国に利益のあるものは別だけれども、そのほかにつきましてはかなり慎重な態度をとるという原則がございまして、入らないことがたまたまあるわけでございます。ココアを例にとってみますと、この協定の中には輸出国の義務はたくさんきめられておるわけでございますが、その中の一つに、輸出国は、加盟していない輸入国に対しては、加盟している輸入国よりも有利な条件を与えてはいけない。むしろ加盟している輸入国に対して有利な条件を与えなければいけない。したがいまして、ただいまアメリカに対してガーナのような大きな国がたくさん輸出しているわけでございますけれども、日本に対して輸出する価格よりも安い価格で売ったとなれば条約違反になるわけでございます。したがいまして、アメリカはガーナが日本等の加盟国に対して販売する価格あるいはそれ以上の価格でなければ買えないという結果になるわけでございまして、どちらかといえば、これに入らないということ自体は、ココア輸入の大きな国としては若干の不利を全体としてはこうむっておるという結果にむしろなっておると思います。
○永末委員 アメリカの入るのを期待しておるという話ですが、入りそうなんですか、入らないのですか。
○羽澄説明員 これは交渉の席上アメリカの交渉担当官が努力するということを述べまして、見通しについてはまだ何もいえないという段階でございます。
○永末委員 私ども、こういう国際商品協定みたいなものの内容をつぶさに知っておるわけではございません。ただアメリカという国は、この前の大豆問題でも一方的に輸出禁止をぽんとやるような国でございまして、自国の利益のためにはきわめて敏感な国でございます。われわれもまた輸出輸入とも関係がございますが、特にこういう一次産品等につきましては、われわれは主として輸入国になっております。したがって、一次産品輸出国の利益というのは世界全体の経済の上に維持していかなければなりませんが、われわれだけが急ぐ必要はなかろう、こう思いまして、どう考えましても、アメリカがそんな状態がすでに交渉のときにあるのなら、七〇%条項というのはいかがかなという感じがいたしました。そういう点、この協定は利益だというお話でございますが、十分勘案をして国民に説明をして、取り急いでやっておるということでないような通商関係の外交を進めていただきたい。 終わります。
○藤井委員長 午後二時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時四十分休憩 ————◇————— 午後二時五十二分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。堂森芳夫君。
○堂森委員 先刻休憩前にココア協定について二、三聞きましたが、引き続いてあと数点をお尋ねしたい、こう思います。 カカオ豆の価格をきめておるのがこの協定の二十九条でございますが、先刻お尋ねしましたときに時価一ポンド七十セントくらいである、こういう答弁でございました。そうしますると、こういう最高、最低の値段をきめた条項が協定にありながら、値段というものは非常に動揺性の強いものだということでございますが、この協定でそういう値段というものはほんとうに安定させることができるでしょうか、どうなんでしょうか、もう一ぺん重ねて伺っておきたいと思います。
○西田説明員 ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、本来協定が発効いたしまして緩衝在庫、つまりバッファストックでございますが、こういうものができますれば、値段が上がったときにはその緩衝在庫から放出するということによりまして、その価格安定機能を果たすということができるはずでございますが、まだ六月三十日に発効いたしたばかりでございますし、実際上バッファストックもございませんので、本来協定に期待されておりますような価格安定の機能というのはまだ動いてないというのが実情でございます。 それから先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、昨年十月、協定ができました当時は、最低二十三セント、最高三十二セントというのが非常に妥当な価格と考えられたわけでございますが、この四月ごろにはすでにそれをオーバーいたしまして、ポンド当たり三十五セント、それからわずか二、三カ月後に七十セントというふうに上がっておりますが、これは非常に投機的な要素もございまして、上がり下がりが激しいという商品でございますので、これをなるべく避けるということから、安定価格と緩衝在庫という制度が考えられたわけでございます。もし非常に長期間にわたりまして価格が高騰を続けるという状況があらわれます場合には、やはりこれの価格安定に何らかの措置が必要になるというふうに考える次第でございます。
○堂森委員 昨年条約ができ上がる当時はそういう値段だった。そしてここに書かれるような最高、最低がきめられておる。こういうような値段にするについて科学的な根拠がなければいかぬと思うのですが、こういう基準はいろいろなファクターできめられると思うのですね。その根拠を少し説明を願います。
○羽澄説明員 お答え申し上げます。 交渉の当時におきましては、三十セント前後を上下しているような状態でございまして、あまり高くしないほうがいいということで現在の価格水準をきめたわけでございます。しかし当初西田次長が御説明申し上げましたとおり、実はこの価格帯についての輸出国と輸入国の合意が全然できなかったために、この協定自体十年くらい交渉経過があったような次第でございまして、これは最終の段階ではどの水準に現状があるかということもさることながら、まず輸出国間の意見調整がなかなかむずかしかったこと、それから輸出国間の意見調整ができましたあとで、低価格水準を希望する輸入国側の交渉が非常に手間どったということがございますが、最終的には輸出国と輸入国とのバーゲンによって価格帯がきまったということでございます。
○堂森委員 まだ発足したばかりであるから、緩衝在庫等の機能がまだ発揮されないからこんなことになっておるのだろう、こういう説明ですね。こういうことによってわが国は緩衝在庫に資金源として貯金をするわけでしょう。そうするとわが国は大体どれくらいの負担金がかかってくるのでありますか。これはおそらく試算されていると思うのであります。いかがでございますか。
○羽澄説明員 お答え申し上げます。 緩衝在庫の主たる資金といたしましては、取引が行なわれますときに一ポンド当たり一セントの拠金をするわけであります。これが輸出国側の負担になるのか輸入国側の負担になるのかというここは理論的には非常に議論されましたけれども、交渉におきまして結局結論を得ませんで、それは輸出国と輸入国側の実際の取引における力関係にもよることであろう、したがいまして、どちらが受け持つことになるか、これはわからない、ただそれが価格の一つの要素には組み入れられるだろうというようなことがいわれまして、結局輸出国側が払うのか輸入国側が払うのかということはいわなかったわけでございます。他の商品協定においては、たとえばすずにつきましてもこういったバッファストックがございまして、その資金は輸出国が各自分担して払うということをはっきりきめられておりますけれども、このココアの場合にはそういったきめ方ではなくて、取引の際、これはあとから動くときにはいいんですけれども、最初の取引の段階で一回だけ払う、一ポンドについて一セント払う、こういうことになっておるわけです。それで、日本が輸入する量から換算しまして、それが全部日本にかぶった場合、大体どのくらいになるだろうかという計算はございますが、それは大体七十七万ドルぐらいではなかろうかと推定しております。
○堂森委員 七十七万ドルだという推定だそうでありますが、そこでまたこの二十三条に、理事会は加盟国の分担金をきめる、これはさっきの拠金とは別でございましょうから、これは一体どのくらいになる予定でございますか。
○西田説明員 ココア理事会におきまして総予算かどの程度の額にきまるかということは、理事会か開かれませんとはっきりいたしませんが、日本の分担金は総予算の大体二千分の五十程度になるのではないかと推定されております。したがいまして、今年度の予算におきましては約三百八万円ほどの日本の分担金を計上しておる次第でございます。
○堂森委員 わかりました。 それから国際機関で投票権の数が非常にいろいろと問題になるわけですが、この投票権における票数、これはどのくらいになる見込みでございますか。
○西田説明員 日本の票数は大体四十八票程度になるものと推測されます。 ちょっと補足させていただきますと、輸出国、輸入国おのおの別個に千票ずつの票数を持つということになっております。基本割り当てによっていろいろ票数が分けられますが、日本はもちろん輸入国でございますので、輸入国千票のうちの四十八票ということでございます。
○堂森委員 もちろんこの票数は輸入額によってきまるのでございましょう。額に応じて票数がきまる、こういうことでございましょう。
○西田説明員 そのとおりでございます。
○堂森委員 そこで金と関係のあることですが、緩衝在庫というものをさっきもお尋ねしたのですけれども、拠金というものを出す。これは輸出国も輸入国も出す。この協定のようにやっていけば、緩衝在庫というものをまかなうための拠金は十分集まり得るか。もちろんそうだという答弁でありましょうが、ほんとうにそういうふうに考えていいんでございますか、あるいは非常に不安なものがあるのですか、どうなんですか。
○西田説明員 緩衝在庫はまだ発足しておりませんので、現在は基金はないわけでございますが、各国から輸出される場合に一ポンド一セントずつの拠金を出しますが、緩衝在庫が保有し得るココアの量は一応二十五万トンというふうに押えられております。この二十五万トンマキシマム緩衝在庫をかかえた際の金額といたしまして、一ポンド当たり一セント、つまり一トン当たりにいたしますと約二十二ドルになりますので、約三千三百万ドル程度、したがいまして、世界におけるココアの取引量と申しますか、輸出量は約百二十万トン程度でございますけれども、それの二割近い程度の在庫をかかえるということになりますが、さしあたりこの程度の三千三百万ドルの基金がございますと、値段が三十五セント程度といたしますと約十五万トン程度のココアが保有できるということになりますので、さしあたりの運営には差しつかえないのではないかというふうに考えられる次第でございます。
○堂森委員 もちろん緩衝在庫の制度がまだ発足しないのですから、予測はむずかしいでございましょうが、これが拠金が間に合わないということになってくる場合、これはまた加盟国に負担を分配して取るとかそういうことになるのでございますか、あるいはどこかから借り入れてやるとか、そういうことになるのですか。
○西田説明員 万一緩衝在庫の基金が不足するという場合にはIMFからの借り入れができるというふうに規定してございます。
○堂森委員 それから協定の中に定義だとかいろいろなものがあるのですが、五ページの終わりの行から「第七十条2の規定に従って通告が行なわれた領域若しくは領域の集団又は第四条に規定する政府間機関」こう書いてありますが、「領域の集団」というのはどういうことを言っているのでございますか。ちょっと説明を願いたいと思うのです。
○西田説明員 協定には「領域の集団」と書いてございますが、現実には「領域の集団」というのはございません。
○堂森委員 現実にはないのですか。
○西田説明員 そのとおりでございます。
○堂森委員 第三条(2)の「締約国及びその政府が国際関係について当分の間最終的責任を負う領域で」云々とあって「合同して一個の加盟国となることができる」となっていますが、これはどういうことを具体的にさしておるのですか。やはりないのですか、あるのですか。
○西田説明員 この例はございます。一例を申し上げますと、現在オーストラリアはパプア・ニューギニア——これはパプアのほうはオーストラリアの属領でございまして、ニューギニアのほうは国連の信託統治で、オーストラリアが信託統治国となっております。したがいまして、現在。ハプア・ニューギニアにつきましてはオーストラリアが最終的な行政の責任を負っておるわけでございますが、ココア協定上につきましてはこの両地域、オーストラリアとパプア・ニューギニアが一体となりまして、一つの加盟国ということでこの協定に署名した、こういうかっこうになっております。
○堂森委員 それから第四条(1)の二行目「特に商品協定の交渉、締結及び適用について責任を有する政府間機関を含む。」こう書いてありますね。「責任を有する政府間機関」というのは具体的にいいますとどんな機関でございますか。
○西田説明員 ここでいっております「責任を有する政府間機関」というのは、具体的にはEECのことがそれに該当いたすわけでございます。御承知のように、対外的な通商政策あるいは関税の問題、こういった問題につきましては、EEC加盟九カ国を代表するという形で、EEC委員会がその衝に当たっておるということになっておるわけでございます。
○堂森委員 そうしますとこの四条の(2)に規定しておる「(1)の政府間機関は、それ自体の票を有しないが」云々、こうあるが、EECとしてはないが、加盟国はそれぞれあると、こういう意味でございますか。
○西田説明員 そのとおりでございます。ただし各加盟国の委任を受けてEEC自体としてその権限内にある問題について投票を行なう場合には、各加盟国の票を合わせた票を行使する、こういうことになっております。
○堂森委員 時間があまりありませんので、これくらいでココア協定は終わりまして、麻薬に関する単一条約について質問をしたい、こう思います。 厚生省当局から来ておられますね。この議定書の提案理由の説明の際に「近年麻薬の濫用が世界的な社会問題となっている実情」云々とこう述べられておりますが、現在麻薬の乱用ということは世界的にこれはどのような状態になってきておるのか。特に私は、日本のことは後ほどお尋ねしますが、アメリカ及びヨーロッパについて具体的に数字をあげつつ御説明を願いたい、こう思うのであります。
○松下政府委員 ただいまお尋ねの麻薬の乱用の実態でございますが、まず麻薬の中で最も乱用され、被害の多いヘロインにつきまして、ヘロインの原料となっておりますアヘンの非合法生産がどこで行なわれておるかというのを見てみますと、二つのルートが考えられるわけでございまして、一つはトルコで生産された非合法アヘンがフランスを経由してヘロインとなって米国に至っておるもの、二番目はアフガニスタン、パキスタンの非合法アヘンがイランに流れて外国に流出しておるもの、それから三番目が東南アジア地方のビルマ、タイ、ラオスの国境の山岳地帯、いわゆるゴールデン・トライアングルといわれておる地帯でございますが、その地帯で生産されました非合法アヘンがバンコクとかシンガポール、香港等を経由してアヘンに加工されて、米国その他に流れておるというような三つのルートが大体指摘されております。合法的に生産されておりますアヘンの量が約千五百トン、それに対しまして非合法の生産量は約千二百トンと、合法アヘンにあまり劣らないだけのアヘンが出回っておるというふうに推定されておるわけでございます。違反の状況を見ますと、まずアメリカが最も手をやいておるようでございまして、一九七〇年のアメリカにおきます麻薬の押収量について見てみますと、ヘロインが四百七十キロ、それからコカインが四百十五キロ、大麻が十九万三千八百キロ。コカイン、大麻につきましては前年度から倍近いふえ方をいたしております。そのほかに広義の麻薬に類するものといたしましては、覚せい剤が二百五十七キロ、幻覚剤が二百五十六キロという量になっておりまして、司法省の麻薬危険薬品局の推定によりますと、同年の中毒者が大体六万八千人余り、約六万九千人といわれておりまして、そのうちほとんどがヘロインの中毒者で、六万六千人といわれております。薬物依存者全体といたしますと米国では約三百万、非常な数にのぼっておりまして、ヘロイン常用者が三十万から五十万、大麻乱用者は二千四百万、大麻常用者は八百三十万というような、非常な大きな数があげられておりまして、アメリカでは特に大きな政治問題になっておるというふうに聞いております。隣国のカナダにつきましても、アメリカほどではございませんが、ヘロイン中毒者が、これは少し近い時期の一九七二年に八千二百人。コカインの不正取引も上昇しており、大麻が一万をこしておるというふうにいわれております。ヨーロッパでございますが、西ドイツにおきましてはやはり一九七二年の調査で百万ないし百五十万の青少年が少なくとも一回は薬物乱用を経験したという報告がなされておりまして、一九七〇年の統計によりますと、大麻の違反で有罪となった件数が一万一千八百三十九件というふうになっております。押収量はアメリカよりもだいぶ少のうございまして、モルヒネが〇・五キロ、ヘロインが〇・五キロ、大麻が四千キロ余りというような数でございます。それからフランスにおきましては一九七二年に麻薬の使用で二千三百人近い人員が逮捕されておりまして、約二万人の薬物中毒者が推定されておるといわれております。七〇年の報告によりますと、押収量でモルヒネが二百四十八キロ、ヘロインが七十六キロ、大麻が六百四十六キロというようになっております。それから北欧に参りまして、スウェーデンにおきましては大麻、覚せい剤の乱用がこの国は非常に多いようでございまして、大麻の違反者が一九七〇年に二千二百五十四人、LSDが八千八百錠ほど押収されております。その他の欧州諸国について申しますと、大麻常用者はフィンランドが約一万人、ギリシアが六千人、ノルウェーが五千人、イギリスでは麻薬中毒者が約千百人、大麻によって有罪とされた者が八千八百件、そのようにいわれております。アジア地域につきましては、国によりまして統計がはっきりしない点もございますが、アヘン、ヘロインの常用者といたしましては、イランが約四十万、インドが約二十八万、タイが約十五万、香港が約十四万、ビルマが約十万、そのようにいわれておる実情でございます。
○堂森委員 ただいま詳しい御答弁をしてもらったのでありますが、アメリカへ入ってくる、あるいはヨーロッパへ入っていく麻薬の生産国、ルート等も詳細答弁をお聞きしたのでありますが、特にアメリカは、いまの答弁を聞いてもわかりますように、大麻の中毒者は二千二、三百万人あるという答弁でございます。こういうような状況であるアメリカは、そういうような麻薬類を生産して、それがいろいろなルートを伝わって入ってくる、そういうような国に対してどのような対策をアメリカ自身は講じておるのでありましょうか、この点御答弁を願いたいと、こう思います。
○松下政府委員 現在、米国において麻薬に対する対策を講じておりますのは、国内的には一九七一年の九月に国際的麻薬統制に関する閣僚委員会、これをアメリカで発足させております。また、ほとんどの在外公館に麻薬の担当官を置きまして、各国に駐在しておりますアメリカの大使が麻薬問題について任国における責任と問題処理に当たるというような対策をとっておる。司法省の中にいわゆるBNDDといわれておりますが、麻薬及び危険薬品局が置かれておりまして、これが米国内とそれから世界主要地に地域事務所を設けまして、強力に取り締まりを行なうというような活動を行なっておりまして、その人員は約千六百人というふうにいわれております。その他、税関の職員約五百人、それから海軍の捜査部、ONI百人、そういった者が麻薬犯罪の取り締まりを行なうというような活動をいたしておりまして、また国際的な協力体制といたしましても、米国外交の一つの政策目標というようなところにまで非常に政治的に大きな問題になっておるようでございまして、輸出入の統制というだけでなしに、代替作物の開発をする、あるいは人工合成麻薬の開発をするというようなことも含めまして、各国との交渉を進める、あるいは国際協力の一環としての各国の援助計画を強力に進める、あるいは取り締まり視察団を派遣する、担当官の地域会議、BNDDの海外活動、そういったようなかなり多方面な活動をいたしまして、麻薬の取り締まりに当たっておるという実情だと承知いたしております。これは、私ども、沖繩の麻薬の取り締まりにおきましても、沖繩に駐在しております米軍あるいはBNDDの担当官等の同地域におきます麻薬の取り締まりに関する非常な熱心な協力の状態からいたしましても、アメリカの政府における麻薬の取り締まりに対する熱意というものは非常に強いものがあるということを痛感しておる次第でございます。
○堂森委員 アメリカのいろいろな取り締まりの状況等についても御答弁がございましたが、後ほどさらにまたお尋ねしますが、国連局長、おられますね。 このような不正麻薬の乱用が世界的な大問題になってきておる。そして、国連ではもちろんいろいろな基金も一九七〇年にできましたし、国連としてどのような取り組み方で現在、この問題に対処をしておるのですか。それからまた、国連に今後どのような麻薬撲滅計画といいますか、そういうようなものがあるのか、これもあわせて説明をしてもらいたい、こう思うのであります。
○影井政府委員 麻薬問題に関する国連の活動でございますが、これは従来、国連の麻薬委員会、それから単一条約に基づきまして設立されました麻薬統制委員会の活動が行なわれている。このほかに、ごく最近の国連の本件に関する活動といたしまして、国連の麻薬基金というものが出てきております。これは、一昨年、一九七一年の三月に設立された基金でございまして、この基金のために特別に別途、事務局、わりあい小じんまりした事務局でございますが、この基金のための事務局を設け、また元ワシントンに駐在しておりましたスウェーデンの大使をその事務局長に任命するということで、新たな活躍を始めておる。この基金はまだ発足後間もございませんので、非常に顕著な活動が目立つという段階まで至っておりませんけれども、この基金の活動といたしましては、関係の国連機関の協力等を得ましていろいろな計画を立て、またその一部は実施しているという現状でございます。基金の目的といたしますところは、麻薬取り締まりの訓練センターを設立する、このセンターにおきまして、この取り締まりのための訓練の研修と申しますか、これの実施を行なう、それから麻楽の乱用に伴ういろいろな害悪に関するパンフレット類を作成、配布する、また、ユネスコに依頼いたしまして麻薬教育セミナーというものを行なう、それから、先ほど御説明がありましたが、麻薬対策のための使節団、ミッションを所要の国に派遣する、それからケシ、大麻等につきまして各種の研究活動を行なう、それから現実にすでにこれは動き始めている一つの活動でございますか、タイにおきまして麻薬対策五カ年計画というものが樹立されておりますが、これは麻薬基金の一つの大きな活動でございます。それからそのほかに、タイにならいまして、将来の計画といたしまして、アフガニスタン、レバノン、またさらにでき得ればビルマでも同じような活動をしたいという計画を持っております。ちなみに、この麻薬基金でございますが、目標といたしましては一年間に大体二千万ドルぐらいの金を使っていろいろの事業を行ないたいということでございますが、発足当初の二、三年ということでございますので、さしあたり年間に五百万ドル内外の基金を使うということで現在計画が立てられているようでございます。 この基金に対する拠出金でございますが、現在までに約六百万ドル近くの基金が現に集まっており、これには誓約額も含めておりますが、大体六百万ドル近い額が集まっております。アメリカはさらに近くこれに四百万ドルの追加をするというふうな申し出をしているというのが現状でございます。
○堂森委員 アメリカの拠金四百万ドルがさらに追加される、これは非常にけっこうなことですが、わが国の拠金額は説明がなかったようでございますが、どんなことでございますか。何年からきちんと納めておるのか、これからどうなっていくのか。
○影井政府委員 わが国もこの麻薬に関する国際協力に貢献するという意味におきまして、今年度予算におきまして二十万ドルを計上しておりまして、これはごく近いうちに払い込みが行なわれる。来年度以降につきましても、少なくとも二十万ドルあるいはこれをさらにふやしていきたいというふうに考えております。
○堂森委員 大体基金が発足したのは七〇年ですから、まだ十分な活動がされるということはいえない、十分とはいえない、こういう説明のようでありまして、いろいろな目的を持ってやる、こういうことでございまして、これは当然そうあらなければならぬと思うのでありますが、そこで、今度は逆の意味もまたあるのでございます。といいますことは、この麻薬というのは医学上また不可欠なものでありますね。そして麻薬なしにはいまの西洋医学の治療というものは、これはあり得ないわけでして、そこで麻薬、そういうような——これは薬務局長から答弁願いたいのですが、こういうふうな状況で、どんどん麻薬患者をなくさなければいかぬ、そしてこれを撲滅しよう、麻薬をつくっておる発展途上国に対していろいろな働きかけをやっていく、国連が中心になってやっていく、これは当然のことでありますが、一方ではまた医療上どうしても必要な麻薬というものは不可欠のものでありますから、そういうものが不足していくという状況が生まれてくることはないのでしょうか。あるいはまたわが国では麻薬の管理は厳重に行なっておりますし、薬務局長の権限下で全国的に当然やっておるのでありますが、医療上必要な麻薬の不足が来るというような事態はないのでしょうか。この点について伺っておきたい、こう思います。
○松下政府委員 ただいま堂森先生御指摘がございましたように、現在のところトルコが少なくとも合法的なアヘンの生産はやめておるわけでございまして、もうほとんどつくっていないというふうに聞いております。従来私ども厚生省でアヘンの購入及び払い下げはアヘン法によりまして国の専売事業として特別会計を設けて行なっているわけでございますけれども、従来はインドとトルコ両方から輸入しておったわけでございますが、去年からトルコが生産をとめてしまいましたために、インドだけにたよるというようなことになりまして、現在全世界のアヘン需要がインドに集中しておりまして、相当な売り手市場となっております。輸入価格もだんだん上がってきておるというような状況でございます。もちろんその価格のほうは、物さえ入りましたら、いま先生御指摘のように非常に有用なものでございますし、使用量もそう多くございませんから、現物さえ入れば、多少高いのはがまんしていただかざるを得ないかと思いますけれども、量といたしましては大体恒常的に五十トン程度輸入されておりましたならば、いわゆるコデイン系統のせきどめの使用も含めまして大体まかなえると考えておるわけでございますが、昭和四十七年度におきましては、インドから四十三トンの輸入ということで、現在はもちろん手持ちがございますので、ここ一両年で著しく医療に支障を来たすということはもちろんないわけでございますけれども、これからインド自身も人が足りないとかあるいは天候不順とかあるいは国際的なケシの栽培に対する圧力が強いというようなことがございまして、インド自身も減らすのではないかというような懸念もあるわけで、私どもといたしましてもいろいろな機会をとらえてインドに対してできるだけ医療に支障を来たさないような割り当てを考えてほしいということを申し入れて、確保に努力をいたしておるわけでございますが、今後の対策といたしましては、やはりある程度の国内生産とか、それから先ほどちょっと申し上げました合成麻薬の開発、特にせきどめに使いますこういったものにつきましては代替品の開発というようなことも含めまして、支障を来たさないような総合的なくふうをしてまいらなければならない、そのように考えておる次第でございます。
○堂森委員 薬務局長に重ねてお尋ねしますが、大体いまの御答弁でも年々の需要は五十トンぐらいだろう、ところがトルコでは、いまも御答弁になったように、栽培はアメリカとの約束でやめるようになった、そしてインドからこれが輸入されておる、備蓄があるからどうにかやってきた、こういうことであります。備蓄は大体どれくらいあるのでございますか。
○松下政府委員 現在約四十トンの備蓄を持っております。
○堂森委員 それから医療用上の麻薬、これも不可欠なものですが、特に近年家庭麻薬というものの需要が非常にふえておると思うのでありますが、その趨勢大体おわかりでしょうか、そしてまかなっておるのでしょうか。これも承っておきたいと思います。
○松下政府委員 先ほど申し上げました家庭用麻薬、これは燐酸コデインあるいは燐酸ジヒドロコデイン、そういったせきどめに使うかぜ薬等に入っておる麻薬でございますが、これに回ります分が毎年の実績平均いたしまして麻薬の使用量のうちの約七割でございます。医療機関におきまして鎮痛あるいは麻酔等に使われます麻薬の量が約三割、大体そういう振り合いになっております。
○堂森委員 そうすると、合わせて五十トンくらい、こういうことですね。家庭麻薬と医療麻薬と両方でですか。
○松下政府委員 御指摘のとおりでございます。なお五十トンと申しますのはある程度の余裕を見越しましての量でございます。
○堂森委員 私が調べたのでは五十七、八トンから六十トンくらいではないかというのですが、少しあなたの答弁は少ないのではないでしょうか。それでいいのですか。
○松下政府委員 これは見方によるわけでございまして、五十トンで余裕があると申し上げたのはあるいは多少言い過ぎの御答弁になったかと思います。これはおわびを申し上げなければいけませんが、これは国がアヘンを一手に専売いたしておりまして、業者の申請に基づきましてアヘンを一定の会社に払い下げ、そこでモルヒネなりコデインに精製いたしまして家庭麻薬の製造業者等におろすという形をとっておるわけでございまして、もし業者の申請いたしました量をそのまま全部まかなうということになりますと、先生がただいま御指摘になりましたような五十七、八トン、六十トン近い量になるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、せきどめ等に使われます量が七割、相当多くなっておりまして、そういったものも含めまして実際に最小限度必要な量ということで他のせきどめ等の出ぐあい等も考えますと大体五十トン程度というふうに見ておるわけでございます。
○堂森委員 このただいま議題となっておる麻薬に関する単一条約の改正案ですね。このもとの単一条約がたしか一九六一年にできて発効してから八年くらいたつと思うのであります。そして世界的に統一した麻薬撲滅のためのこういう単一条約ができて発効して十年近くたっても、世界的にはどんどん麻薬の乱用者がふえていく、中毒者がふえていく、こういうことは一体どういうところからきていると皆さんはお考えになるのか。これもあわせて聞いておきたい、こう思います。
○影井政府委員 単一条約が効力を発生いたしましたのが一九六四年十二月でございますが、この単一条約はそれなりの役割りは果たしたというふうに評価しております。他方ただいま御指摘のとおりに、この単一条約の存在にかかわらず麻薬の乱用による害悪というものが広がっていく。今回の議定書によります改正の目的といたしますところは、麻薬の国際的な取り締まりをもう一そう有効にする。そのためには麻薬統制委員会の権限を改めまして、そこで聴取いたしますいろいろな報告の種類を改める。特に今回の改正議定書の特徴といたしましては、従来の麻薬取り締まり条約が、主として需要面からこれを取り締まるということであったのに対して、さらに一歩を進めまして、生産面のほうについても、統制を加えるべきではないか。ただ、これにつきましては、生産面の取り締まり面ということを強調する一方、アヘンの生産国立の場も考えまして、取り締まり一方に偏することなく、それらの国のために、必要な技術援助あるいはさらに必要であれば財政援助もするということを通じまして、麻薬の国際的な取り締まり、これをもう一そう有効にしたい。これが今回の議定書の大きな趣旨でございます。
○堂森委員 単一条約ができながら、麻薬の乱用がどんどん——もちろんこれは元来使うべきものでないのでありますが、そういうものがふえていく。そこで、国連に加盟しておりながら、単一条約には加入しない国もあるわけですが、その理由は、国連局長一つ一つわからぬかもしれませんが、どういう理由でそういう国々は参加しないのか。わかる範囲、最大限でひとつ説明願いたいと思います。
○影井政府委員 確かに御指摘のように、国連加盟国であって、単一条約には加入していない国がございます。それぞれの国につきまして、いかなる事情があったかということは、私ども必ずしも正確に、つまびらかにいたしませんけれども、たとえばヨーロッパにおきまして、イタリアであるとかオーストリアというのが、その例であろうかと存じます。いずれにつきましても、それぞれの国の国内法制が単一条約を施行するために十分でない、未整備の面があるということが、理由であったかというふうに考えております。 なお、ただいま申し上げました二つの国のうち、イタリアは今回の改正議定書に署名しておりますので、これはおそらく近く改正議定書を批准することによりまして、この単一条約の系統の取り締まり体系に入ってくるものと考えております。
○堂森委員 今度の改正の議定書の作成につきまして、昨年の三月ですか、全権会議が開催されて、九十七の国の代表が集まって会議が行なわれた。その結果、九十七カ国のうちの七十一カ国が賛成をして、この議定書が採択された、こういうふうに記録されておりますね。あとの二十六カ国はどういう態度を表明したのか。なぜ全権会議に加わりながら、これに賛成をしていないのか。これもあわせて御答弁願いたい、こう思います。
○影井政府委員 まず昨年のこの議定書の採択にあたりまして、棄権した国が実は十二カ国ございます。これはソ連をはじめといたします社会主義諸国が多いのでございますが、なぜ賛成しなかったかという理由でございますけれども、今回の改正議定書におきまして、特に麻薬統制委員会の権限がかなり強化される。その結果として、関係国に生産規制を行なうという問題が生ずる。各国の内政に立ち入り過ぎると申しますか、そういうふうな見方がかなり強かったようでございます。したがいまして、この採択会議における審議の過程におきまして、麻薬統制委員会の一方的な措置という色彩をやわらげて、統制委員会と当該国との間の話し合いを尊重するというふうなたてまえにすることによりまして、これらの国の当初反対という態度を、とにかく棄権というところまで譲ってもらったと申しますか、そういうことができたという次第でございます。 その他の国につきましても、おそらくこの麻薬統制委員会の権限が強くなり過ぎるという点に懸念があったように、私ども了解しております。
○堂森委員 いま国連局長が答弁されましたように、今回の改正議定書の大きな特徴の柱の一つは、やはり統制委員会の機能、統制権限の強化、これが一つの大きな柱だ、私はこう思うのであります。今回の議定書を見ておりますと、従来のものは、関係国政府の同意を得たときはその見積もりを修正することができるとなっておったのが、今度は統制委員会の独自の権限で見積もりを作成することができる、こう改正されておる。これは非常に強いものであります。これは、いまも国連局長が答弁されたように、内政干渉になるのではないかという意見から賛成しなかった国も出たのであるというような答弁になったと思うのでありますが、しからば従来、この関係国の政府の同意を得られなかったようなことがたびたびあったのでしょうか、なかったのでしょうか。 それからもう一つ、独自の見積もりを統制委員会がつくるということは、それでほんとうに目的とするような効果をおさめることができるだろうかどうだろうか。やはりこういう疑問が私はあると思うのですが、どうでございますか。
○影井政府委員 第一点の、従来この関係国政府の同意を得られなかった実例があるのかという御質問でございますが、これは私ども承知しております範囲では、そのような例はなかったようでございます。 第二点、独自の見積もりを作成するということでございますが、これは先ほど御説明申し上げましたとおりに、審議の過程におきまして、統制委員会の権限があまり強くなることは不適当であるという趣旨に照らしまして、その関係国政府との話し合いが得られないままに統制委員会の独自の見積もりを強行することは、おそらくできるだけ避けられるということで運営されるだろうというふうに考えております。
○堂森委員 そうしますと、独自の見積もりができるということは、この改正になったことはなったが、そういう一つの内政干渉という判断も成り立つわけですから、実際にはそういうことはなかなかないだろう、こういうことでございますか。
○影井政府委員 私どもは仰せのとおりであろうというふうに考えております。
○堂森委員 それから今度は、九十七カ国の代表が集まって審議が行なわれて七十七の国しか賛成しなかった。あとは棄権等があった。こうしますると、結果的には改正条約ができて、これが発効する。そうすると、前の古い条約というものには今度賛成しなかった国も入っておるのでしょうか、二つの条約があるということになるのじゃないですか。この点はいかがですか。
○影井政府委員 改正議定書の批准ないしは受諾しない国につきましては、その国がもし単一条約に入っておりますと、その単一条約の体系で規制されるということでございます。ただ、この両者の関係は、先ほど申し上げましたとおりに、全然別立てということではございませんで、今回の改正議定書の性格は、単一条約を補足強化するという意味でございますので、これに入らない場合には、その補足された、強化された部分の適用がないという関係になるものというふうに考えております。
○堂森委員 国連局長、もう一ぺんちょっとお尋ねしますが、古い条約は生きておるわけでしょう。新しい条約は、これはもちろん発効する、こりいうことですか。
○影井政府委員 ただいま御指摘のとおりでございまして、新しい改正議定書に入った国、これは改正議定書によりまして強化された統制委員会の統制を受ける。入らない国は従前の単一条約に基づく規制を受ける、そういう形になるわけでございます。
○堂森委員 そうしますると、せっかくそういう麻薬の乱用をより効果的に防ごうとする単一条約を改正しながら、旧条約も生きておって二つ、そうなりますと麻薬の取り締まりの、麻薬撲滅のための実際の効果というものが出にくくなるのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○影井政府委員 御指摘のとおりに、単一条約の加盟国またその非加盟国も今回の改正議定書で改正されます条約に全部加入してくることが望ましいことはそのとおりでございます。ただ現実の問題といたしまして、一時にそれはなかなか実現できない。私どもは希望といたしまして、世界のなるべく多くの国がこの改正されました条約の体系に入ってきてほしいということを希望し、また機会があればそういう意思を表明していく必要があろうかというふうに考えております。
○堂森委員 そのような方向になるように最大の努力はもちろん政府もまた国連もしなければならぬ、こう思うのであります。 そこで、少しく質問の方向を変えまして、わが国の麻薬取り締まりにつきましては、昭和三十六、七年ごろまでのヘロイン横行時代というのがあったと思うのであります。その当時と比べて、やはりわが国の麻薬の取り締まりといいますか、そういう意味では私は世界的にも珍しいくらい、これは薬務局長の松下さんをほめるわけじゃないが、私は非常に効果があがっておる国だ、こう思うのであります。ところがヘロインのそういう事犯は非常に減ってきた、こう言われるが、しかし大麻の事犯が激増してきておる。これもさっきのあなたの答弁ではアメリカでは二千二、三百万の人がこれを使用しておる。もうアメリカではタバコみたいな気持ちで大麻の中毒者がどんどんふえておる。そうしてアメリカではこれをたばこみたいな考えでいいじゃないかというふうな風潮が出てきて、アメリカの退廃的な風潮がこの大麻の中毒患者の著しい激増にも私ははっきりあらわれておると思うのであります。わが国にもこういう事態とよく似た現象がだんだんと起きつつあるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、あなたは薬務局長、日本の最高の責任者ですから、その辺の分析をどういうふうにしておられますか、その辺の考え方等を承りたいと思います。
○松下政府委員 ただいまの先生の御質問、これはわが国における大麻の増加しておる状況及び理由、それからアメリカにおいてすでにもう大麻が無害ではないかという説がなされて、一部でそのようなことが言われておるけれども、日本ではそういう点がだいじょうぶであろうか、この二点のご質問だと拝聴いたしましてお答えいたしたいと思います。 一つは、マリファナの事犯が増加している背景、これは先ほど国連局長から国際的に麻薬の事犯が増加しておる理由の御説明がございましたのと無縁ではないと思いますが、わが国の大麻事犯は、もともと従来大麻の吸引の習慣は日本にはなかったわけであります。ただ、戦後アメリカ人が参りまして、そういった外国人の模倣というようなことから、まずアメリカ人その他の外国人と接触の多い芸能人関係者であるとかいわゆる水商売の婦人、ホステスといったような人たちが使用するという程度にとどまっておったわけでございますが、一つは、先ほど先生御指摘の世界的にいわゆるヒッピー等によりまして若い人たちの間でこういう大麻その他の一般的な薬物乱用の風習が非常に広まってきたということが根底にあろうかと存じますけれども、わが国でもそれが次第に広まってまいりまして、学生であるとかあるいは一般のサラリーマン等の間にも浸透してまいりまして数がふえてきておる。初めのうちは外国人が多かった違反者につきましても、日本人の割合が非情に増加しておるというようなまことに芳しくない実情にあるわけでございます。 なお大麻は、同時に麻の繊維をとりますためにも正規にも栽培いたしておりますし、また戦時中に繊維の不足を補いますために北海道等において栽培されておりましたものが種が残っておりまして、相当数北海道では、一億本というふうにいわれておりますが、野生の大麻がある。そういったところから、他の麻薬と違いまして、取ろうと思えば原料が比較的手近にあるというような地域的な事情も災いいたしたかというふうに存じておりまして、そういった面の対策もあわせて講じておるわけでございます。 この大麻が無害であるかどうかという問題でございますが、いま御指摘のように、アメリカあたりでは一部でそのような説がなされておるということは私どもも承知いたしておりますが、これはむしろ先生の医学的な御専門の立場で御理解いただいておることと思いますけれども、そういった無害であるという説は薬理学的、医学的には確実な根拠がないものでございまして、国際的にもそういう説は認められてないと承知をいたしております。薬理学的に見まして、大麻は麻酔あるいは有毒成分が中枢神経系統に作用する薬物でございまして、あるいは自制心を失わせる、あるいは陶酔感、幻覚を生ぜしめる、こういうことが直接あるいは間接の原因となって犯罪を惹起しておるということをいわれております。アメリカ、イギリス等におきましても、またわが国でもだんだんふえておるわけでございますが、こういった大麻の乱用ということが青少年の非行の原因になる、あるいは一般的に非常に無気力な青少年を多く発生せしめておるというようなことから、大きな社会問題になっておるわけでございます。 WHOにおきましても大麻の乱用が明らかに中毒の定義に当てはまるという見解を明らかにいたしております。また大麻の乱用がわりに気軽に行なわれるところから、だんだんとそれから深入りいたしまして、モルヒネあるいは最も危険なヘロインというような深い中毒のほうに移行していくという傾向があるということも指摘いたしております。国連で編集いたしました科学論文におきましても、大麻の有害性ということは明らかに指摘されておるところでございます。したがって、私どもといたしましては、大麻は当然有害なものであるという前提のもとに大麻取締法に基づいて厳重なる取り締まりを行なう、そのような考え方を持っております。
○堂森委員 大麻のアメリカにおける使用者が二千万をこえるという状況、そしてこれがわが国にも広がりつつあるという状況、これは私はたいへん憂慮すべきものだと思うのであります。厳重なる取り締まりということが絶対に必要である。こう思うのであります。 そこで、大麻の事犯がふえつつあるときに、先般の新聞報道で、小鳥のえさとして市販されておる大麻の種子に発芽能力があることが九州大学の薬学部の西岡教授の実験でわかったのだ、こう報告しておる。そうしますと、小鳥のえさが芽をふくわけで、幾らでも自家栽培でできるわけですね。そうすると、幾らこれで取り締まろうとしても、小鳥のえさとして売り出されておる種が芽を出して、大麻がどんどんできていくということになるのではないかと思うのです。厚生省はこのことに対してどのような対策を立てておられるのでありますか、あるいは将来法律等をもって取り締まろうとされるのでありますか、お尋ねしたい。
○松下政府委員 先日九州大学の先生によりまして御指摘のような事例が見られるという発表がなされたことは事実でございまして、私どももさっそく連絡をいたしまして、その内容につきましても拝承いたしております。小鳥のえさになります大麻の種そのものは、御案内のように大麻の有害成分は含んでおりませんので、大麻取締法による規制の対象ではございませんけれども、この種子が大麻に成長するというようなことになりますと、これは好ましくないということで、輸入貿易管理令によりましてこれを規制をいたしておりまして、輸入いたします際に、発芽不能の処理と熱処理をしないと通関させないという処置をとっておるわけでございます。いま御指摘のように、最近輸入いたしました大麻種子の中で、発芽するものがあったということが報道されております。こういうことになりますと、野生大麻とともに、あるいはそれ以上に大麻乱用を助長するというおそれがございますので、当分の間抜き取り試験を行ないまして、発芽不能であることが明らかになったものだけを通関を認めるというようなことにいたしますとともに、市販されております種につきましてもそういった不正栽培に使用されるということがないように、不正栽培の段階までになりますと当然大麻取締法の対象として罰則を受けるわけでございますので、そういったことも周知徹底させまして、あわせて取り締まりをして万全を期したい、そのように考えております。
○堂森委員 そういう対策は当然でありますが、私よくわからぬのだが、そういうものを食べた小鳥のふんとか尿とかいうものはだいじょうぶなんですか、どうなんですか。これは専門家おられませんか。
○松下政府委員 一部小鳥が食べまして、あれはまる飲みにいたしますので、そのふんが落ちたところから発芽する。これははっきり発芽したという実験例があるのかどうかつまびらかにいたしませんが、そのおそれがあるということは私どもも聞いております。もちろんえさを食べさせるのは大体において飼い鳥でございますから、そこらじゅう飛び歩くわけではないと存じますけれども、やはり外から来た鳥が食べるということもあるわけでございまして、そういう意味におきましても十分な熱処理をして、そのままこぼれても、あるいは小鳥の腹を通りましても発芽するようなことのないような対策を考えて指導いたしたいと思っております。
○堂森委員 時間がありませんので、まだずいぶん聞きたいのですが、大急ぎでやります。 この麻薬の条約の規制対象外として向精神剤があるのです。この向精神剤として有名なものに幻覚剤としてのLSDだとかあるいは覚せい剤であるヒロポン、最近はヒロポンなどは一般市民にも広がっているようでありますが、これらの向精神剤の取り締まり状況というものはどんなふうになっておるのでしょうか。これも御答弁願いたい。
○松下政府委員 向精神剤一般につきましては、これも先生御承知かと思いますが、向精神剤に関する一般条約がただいま進められておる段階でございまして、今後私どもといたしましてもその方針に従いまして準備を整えて、これができるだけ早く実施されるように努力をいたしたいということで外務省当局とも御相談をし、準備を進めておる段階でございます。ただ、ただいま御指摘になりましたうちで幻覚剤のLSDにつきましては、これは日本に入ってまいりました段階で直ちに政令をもって指定をいたしまして、麻薬取締法の適用対象として、いま御審議いただきましたヘロイン、モルヒネ等と同じような——ヘロインはちょっと規制がきついわけでございますが、一般の麻薬と同等の取り締まりの対象といたしております。それからヒロポン、一般にいわれております覚せい剤につきましては、これは別途覚せい剤取締法を制定していただいておりまして、この覚せい剤取締法によりまして麻薬に準ずるようなきびしい取り締まりをいたしております。なお昨年は、議員立法によりまして麻薬取締法の一部を改正いたしまして、麻薬取締官、麻薬取締員も覚せい剤に関する司法警察権を行使できるというような措置をしていただいておりますし、またことしにおきましても、現在当院の社会労働委員会におきまして、委員長提案をもって覚せい剤取締法の罰則をさらに強化するというような形の改正が進められておるというふうに拝承いたしております。それからなおよく薬物として乱用されておりますシンナーにつきましては、これも昨年の法律改正によりまして毒物劇物取締法の対象といたしまして、同法による吸引等の取り締まりをするというようなことで、個々の薬物の乱用につきましては、条約を待たずしてできるだけ実施できるように対策を講じておる、そういう状態でございます。
○堂森委員 LSDですね。これはベトナムから帰還してきた米兵が持ち込んでくるものである、こういわれておるのです。そうだと思うのです。もちろんLSDだけではなくて、大体麻薬犯罪というものは米軍と関係があるのです。これを持ち込む、沖繩に持ってくる。そして日本の本土のほうにも基地があるのですから、いまはベトナム戦争はこういう状態ですから、いまのところは従来のベトナム戦争が激しかったときとは違うでありましょうが、やはり米軍と深い関係があるのです。そこで、沖繩にまだ基地があるのですから、まだ前よりもふえておるのです。そして米軍によるLSDだけではない、麻薬類の持ち込みということに対してはわが国の政府は厳重な態度をもって取り締まりを行なわなければならぬと思いますが、これらの沖繩における取り締まりの状況について局長から御答弁を願いたいと思います。
○松下政府委員 先生おっしゃいましたとおり、沖繩におきましては復帰直後というような事情もあり、残念ながら他府県に比べまして麻薬に関する犯罪が多いことは否定できないところでございます。 そういった対策を講じますために、厚生省といたしましては、沖繩県の復帰と同時に沖繩県に九州の麻薬取締官事務所の支所という形で、これは支所という名称でございますが、通常の麻薬取締官事務所以上の十三名の人員を配置いたしまして、また県にも麻薬取締員三名を配置いたしまして、警察、検察庁その他の関係機関と相互協力いたしまして、麻薬禍の撲滅に格段の努力をいたしておる段階でございます。 沖繩におきましては、いま申し上げました麻薬取締官それから麻薬取締員のほかに、警察官といたしましては麻薬専従の人が二十四名、それから税関、海上保安官等がございますし、また先ほど申し上げましたように、米軍当局も陸、海、空、海兵隊、四軍の捜査機関が非常に強い協力を示してくれております。最近におきましても軍関係の相当大がかりな麻薬密輸ルートを一斉に検挙したというような成果をあげておるわけでございますが、なお御指摘のような点は沖繩の特殊性として今後も十分考え、対策を講じていかなければならない、そのような考え方で努力を続けるつもりでございます。
○堂森委員 重ねて薬務局長に要望しておきますが、沖繩におけるアメリカの駐留軍による麻薬の事犯がこれからのわが国における麻薬犯罪の発祥地になる、これはそうなんでありますから、厳重な今後の一そうの取り締まり等についてやってもらいたい、こういうことを要望しておきます。 それから次に、七一年の二月に向精神剤に関する条約というものが、もうすでに採択されておるわけですね。実際七一年ですよ。もう二年前です。二年以上前です。ところが、いまだにわが国はこの条約を批准するという態度に出ていない。これはやろうとしたって現在できないと思うのです。向精神剤がたくさんの薬に、売薬の中に、家庭薬の中にも一ぱい使われておるのですよ。だから、やろうとしたってできないのじゃないかと思うのですが、薬務局長、こんなことをほうっておいたら私はいかぬと思うのでありまして、条約を批准することも大事だが、わが国において市販されている薬の中に一ぱい使われているんですよ。この点について薬務局長はどういうふうにお考えでございますか、お聞きしておきたいと思います。
○松下政府委員 御指摘のように向精神剤の条約の対象になっております薬物は、医薬品に属するものも含めましてかなり広い範囲にわたっております。また規制の内容も四段階くらいに分かれておるわけでございまして、その中には医薬品として相当専門の精神科医がお使いになります場合には、かなりの医療効果をあげ得る医薬品も含まれておるわけでございます。したがって、この条約を適用するにあたりましては、一つは向精神剤に関する検査基準と申しますか定義を明らかにして、条約あるいはそれに基づいて制定いたします法令の適用の基準を明らかにしていくということと、それからもう一つは、日本で使われております向精神薬、広い意味での精神神経科系統の医薬品の実態をよく調査いたしまして、この条約の適用にあたっての留保と申しますか、日本の医療との調和をはかって適正な適用をするということが必要になってまいります。そういった準備をいたしますにあたりまして、ただいま先生御指摘のように、非常に範囲の広い薬物を含んでおりますために、現在予算も相当計上いたしまして鋭意努力をしておる段階でございますが、これが作業が終わりますまでに批准をするということになりますと、また反面医療上の支障を来たすということになりましても問題がございますので、もうしばらく時間をおかしいただきたい、そのように考えておる次第でございます。
○堂森委員 私は外務当局に要望しておきますが、国際条約の発効に協力して、そしてりっぱな多国間条約に署名をしてきて、それは目的がりっぱなものであることは当然でありますから、そういうものは一日も早く批准を求める、国会の承認を求める。そのためには、いまも松下薬務局長がおっしゃいましたように、国内のいろいろな準備が必要でありましょうが、もう二年たっておるのであります。二年以上たっておるのでありますから、自分たちが責任をもってつくることに参加し署名した条約というものは一日も早く国会の承認を得る、外交の衝に当たっておる皆さんはそういう正義感を持った態度で臨んでもらいたいということを要望するものであります。 私はまだ犯罪人の引き渡し等いろいろなことをお尋ねしたかったのですが、私が一人でしゃべって一時間半以上になりまして、他の委員諸君に御迷惑になりますので、これくらいにして終わっておきます。
○藤井委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 先ほど来同僚議員から質問がありました外務当局の本日の見解について、なお質問をしておきたいと思います。 一九七二年の国際ココア協定の六十六条において暫定的適用の規定が置いてあるわけですが、日本国憲法の上では、条約は国会の承認を得て確定的な効力を生ずるということになっておるわけです。この暫定的適用によって効力を生じさせられるということは、日本国憲法との関係ではどこに根拠があるか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○松永政府委員 この暫定的適用は通常よく条約の仮実施というふうにもいわれるものでございますが、条約が本格的に効力を発生いたします前段階でその内容を適用する必要があります場合に、政府が法令等の範囲内において実施できます限りにおいてその条約を適用するというものでございます。これはもう政府の外交関係の処理ということで処理いたしております。
○柴田(睦)委員 この暫定的適用というのは、国家に対する義務を課する、国民に対する義務を課する、こういうことにはまだならないわけですか。
○松永政府委員 ただいま申しましたように、法令の範囲内で実施されますものでございますから、暫定的適用というのは条約としての法律的な効果を持つものではございません。
○柴田(睦)委員 条約の場合に、場合によっては批准後に国会の承認を求めるということも憲法は予想しているわけですけれども、大体それは国会が開かれていないときだ。そういうときに批准する必要がある条約について事後の承認ということがいわれるわけですけれども、このココア協定によりますと六月三十日までに批准、承認の努力をするということを約束しているわけですから、当然そのための努力が国内的になされなければならないと思うのですけれども、外務省としてはこの六月三十日までに国会の承認を得るとか批准を終わるとか、そういう考え方があったかどうか、そしてまたそれに対してそれに応ずる努力をなさったかどうか、このことをお伺いします。
○松永政府委員 事務当局といたしましては、当然御指摘がございましたように六月三十日という期限がございますから、それまでに国会の御承認を得て協定を発効させるような努力をいたすべきであった、お願いいたすべきであったと存じます。またどうしてもそれができなかった場合には、いま現在この条約は国会で御審議をお願いしております関係上、この第六十六条の規定によりまして暫定的に適用するということにつきまして御了承を得べきであったと考えております。この点は私ども重々反省いたしておる次第でございます。
○柴田(睦)委員 条約によっては暫定的適用をして、それから批准までに相当の期間を要したものもありましたし、またあるいはそういうものもまだ現存するかもしれませんけれども、結局行政府と立法府との関係からいって、条約というものが国会の承認を得て国内的な効力を生じるという憲法上のたてまえからいった場合に、やはり国会に早急に承認を求める、また特に期限を必要とするものについてはその期限内に承認を求める、こういう努力が必要ですし、そういう手続が必要であると考えているわけであります。このペンディングな状態であれば、むしろ行政府と立法府との関係の憲法上の規定に反した状態が継続する、こういうような見方もできると思うわけです。先ほどの見解の中で、不都合があった、不行き届きがあった、こういうことが言われておりますけれども、私はこの不行き届きという中身の問題もあると思うのですけれども、これでは済まされない、国会の承認を早急に取りつけるということが何よりも必要でありますし、特に本件のような場合におきましては、その経過を委員会に知らせる、こういう事情でこうなっているのだということを早く知らせるということがなされれば、それ相応の対策も国会側においても立てられたのだと思いますし、あるいはその暫定的適用の面について、これも委員会において了解するということも当然あり得たことだ、こう思うわけです。ですから、単に不行き届きということではなくて、こういう問題についてはさっそくに委員会に報告し、そしてその了解を得る、こういうようにすべきだと思いますが、その点の見解を最後にお伺いします。
○西田説明員 私ども事務当局といたしましては、ただいま柴田先生から御指摘のございましたような点について種々不行き届きと申しますか、遺憾の点があったということを深く反省いたしますと同時に、この点をおわびさせていただきたい。今後の処理につきましては、こういった点十分気をつけてまいりたい、かように考える次第でございます。
○柴田(睦)委員 終わります。
○藤井委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 それでは、一九七二年の国際ココア協定につき引き続き御質問いたしたいと存じます。 先ほど大臣に対する御質問の途中で、まだ話が決着していない点が二、三点ございますので、その点をまず申し上げたいと存じます。 第一に、御説明の中で、七二年の国際ココア協定の中で、第六十六条に暫定適用の明示があるためにココア協定の暫定適用のサインをしたのであると御説明がございましたけれども、これは明らかにココア協定が発効した後においてはその暫定週用の部分に従うということは説明になり得ると存じます。しかし、協定がまだ国会で承認を得る以前に暫定適用の、六十六条にあるからといってこの部分を適用したということは、論理の逆転ではないか。卵と鶏の議論と同じくさかさの議論ではないかと思いますが、念のためにお伺いしておきます。
○松永政府委員 確かにいま先生御指摘がございましたごとく、この協定そのものが発効いたしておりませんから、この協定に基づいてこれこれの措置をとる、あるいはそれを行なう措置の権原の根拠をこの協定の規定に求めるということはできないと存じます。 ただ、従来、いろいろな国際条約におきまして、効力に関します最終規定の中におきまして、批准手続等の定めがあり、それに従って批准手続がとられるという場合が往々にしてございますが、そのことは、ただし、国内法上その規定に根拠があって、だからできるんだということにはならないこと、いま御指摘がありましたとおりだと存じます。
○渡部(一)委員 それでは、ただいまの御答弁で満足でございます。次に、ココア協定の、暫定適用それ自体の意味するものでありますが、この暫定というのは、はたしてどれくらいを暫定というのが妥当であるかという問題について、お答えをいただきたいと存するわけであります。 もうあまりめんどうなことを申し上げるつもりはございませんが、日本国憲法の第九十八条「最高法規、條約及び國際法規の遵守」一、「この憲法は、國の最高法規であって、その條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に關するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」二、「日本國が締結した條約及び確立された國際法規は、これを誠實に遵守することを必要とする。」と述べられております。すなわち、この憲法は国の最高法規でございますから、この憲法に違反する「法律、命令、詔勅及び國務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」ということは、暫定的適用の部分が日本国憲法の明示に違反するものではなかろうかという疑義を含むものであります。 前回問題になった憲法七十三条の「内閣の職務」において、二号に、内閣の職務として「外交關係を處理すること。」三号に「條約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、國會の承認を經ることを必要とする。」と述べられております。ということは、暫定適用などという形で、条約を締結したと同様の効果を発揮する行為をなすことは、明らかに憲法に規定されている七十三条の項を逸脱し、あるいはそのために九十八条の最高法規へ条約並びに国際法規の順守の項に違反する可能性があるのではないか。まず、そこまでお答え願いたい。
○松永政府委員 私どもは条約を署名いたす場合に、それをできる限りすみやかに批准その他の手続を進めまして、発効をさせるべき立場にあると存じます。したがいまして、暫定的適用という問題を考えます場合には、すみやかに手続が進められるその限度内と申しますか、すみやかに手続が進められる前提に立っての暫定的適用である、こう考えるのが至当ではないかと存じます。
○渡部(一)委員 ただいまの松永参事官のお答えでございますが、そうすると、そのすみやかにというのはどの程度をさしてすみやかにというものであるか、お答え願いたいと思います。
○松永政府委員 条約につきましては、国会に提出して御承認を仰ぐわけでございますから、国会の会期その他との関係もあるかと思います。したがいまして、物理的にどのくらいの期間と申し上げるわけにはいかないかと思いますけれども、そういう手続を進めることが可能な限りにおきましてすみやかにということではないだろうかと存じます。
○渡部(一)委員 その可能な限りすみやかにということは、国会において当外務委員会は、開会中は週二回ずつ審査されているわけでありますから、ここに報告することは可能でありますから、可能な限りすみやかにということは、一週間の半分、つまり三日半に一回は報告することが可能であり、これについて御相談をしあるいは委員会に取り上げることは可能であるという意味になると思います。また閉会中は、閉会中審査の項があり、当委員会に対して開会を求めて、あるいは委員長の手により開会を求めて、これを当委員会にはかることも可能であろうと思うわけであります。そうすると、可能な限りというのはおそらく、厳密にいえば一週間という時間を要しないし、多く見積もっても一月以内ぐらいで十分その手続が完了すると思いますけれども、いかがですか。
○松永政府委員 ただいま問題となっております暫定的適用の御報告なり御了承を求めるという手続をとるにあたりまして必要な日数ということからいえば、いま先生が御指摘になられたとおりではないかと存じます。
○渡部(一)委員 そうしますと、従来この同種の食品に関する小麦協定、砂糖協定、コーヒー協定、すず協定のようなたぐいにおいて、暫定適用から、閣議決定により暫定的適用を行なった後国会に提出するまで相当日数がかかり、あるものは二年などを経由しておる、通常半年近くの時間を経由しているという事態は、明らかに、すみやかにという意味ではないと思考されますが、いかがですか。
○松永政府委員 ただいまの御指摘のありましたのは、国会提出の手続との関係でございますれば、それは国会の会期その他との関係がございますので、通常の条約、法案の提出の手続に乗せまして提出させていただかざるを得ないのじゃないかと存じます。
○渡部(一)委員 そうすると、話がもう一回戻るのですけれども、だから、実際にこれを提出あるいは承認を求める決意を政府——実際上の所管省である外務省がその決意を持てば、一カ月ぐらいのうちに承認を求めることは可能であるのではないでしょうかと申し上げているわけです。
○松永政府委員 条約の提出手続の場合は、御承知のように法制局の審査でございますとか、関係国内法がもしあります場合にはそれとの関係でございますとか、いろいろな問題を検討しなければなりませんので、そのための所要の期間というものはおかないと提出できないという関係にございますので、御了承をお願いしたいと思います。
○渡部(一)委員 ただいま御説明のありましたような時間的余裕は確かに必要であろうかと存じます。しかしながら、私の言っているのは、すみやかにという、先ほど御答弁になりましたように、すみやかにというふうな態度で外務省がやるならば、こうした食品協定の実際的な審議にあたって、より早くこれを承認することができるように当委員会にはかることができるのではないかと伺っているわけであります。
○松永政府委員 その点は御指摘のありましたとおりでございます。
○渡部(一)委員 それではそういう問題につきましては今後十分の御反省を求めたいと存じます。この点は政務次官、ひとつお答えいただきたい。
○水野政府委員 ただいま渡部委員の御指摘のとおり、過去において各種の商品協定の国会批准の問題については、先生の御指摘のとおり、たとえば先ほども御指摘の、品物は何かちょっと忘れましたが、二年間も国会の批准を放置しておったというような例を発見されて御指摘がありましたけれども、こういう点は私は、先ほど大臣もおわび申し上げましたとおり非常に手落ちがあったというふうに感じております。今後はこういうことがないように、ともかく署名をいたしましたならば、所定の手続を経てなるべく早い時期に国会——国会が開会されておりませんと、半年くらいおくということも私はあろうかと思いますが、その国会、あるいはその国会に間に合いませんでも次の国会には必ず提出をする、そういうふうにいたしたいと思っております。
○渡部(一)委員 それではもう一つ、憲法上の問題でありますから確定した、かたい話をいただきたいのでありますが、ただいま問題に取り上げました九十八条と暫定適用を条約にきめるという行為との関連による法律的な、条約的な御解釈を承りたいと存じます。
○松永政府委員 この暫定適用に関する本件、ココア協定の規定は、国際的にこの種の商品協定においていわば国際慣例的に多く設けられておる規定でございます。したがいまして、私どもはその暫定的な適用の仕組みを持ちます協定、条約を締結いたしますことが憲法に違背するというふうには解釈いたしておりません。
○渡部(一)委員 この件については今後、まだ大きな課題を含みますので、討議をしてまいりたいと存じます。では次に、今国会に提出されましたILO三条約について見るならば、ILO憲章改正文書は第四条で、百十五号条約は第二十条で、また百十九号条約は第二十二条でそれぞれ国連憲章百二条による登録のためILO事務局長は国連事務総長に批准の明細を通知することになっております。ココア協定に同様な規定のないのは、この協定の批准書が国連事務総長に寄託されることになっていたためだと思いますが、政府は国連憲章百二条の規定によって、わが国が締結した二国間及び多数国間の条約についてどのような形で国連に登録しているか、実態を御報告願いたいと存じます。
○松永政府委員 政府が提出いたします二国間あるいは多数国間条約は、すべて国際連合に、いま御指摘のございました憲章百二条の規定に従いまして登録することを原則といたしております。ただし、ただいま御指摘がありましたように、多数国間条約の場合には通常、その条約の中でこういうふうにして国際連合に登録するという規定が多く設けられております。その場合には、通常はその国際条約によって設立されます国際機関自身が国連登録の手続をとります。また、今回のココア協定におきましては、先生からいま御指摘がありましたように事務総長が批准書の寄託先になっておりますので、国連の事務局自身においてその登録の手続をとられることになると存じます。 二国間条約の場合におきましては、相手国と協議をした上でいずれかが登録するという場合と、先ほど申しましたように原則としてすべて登録するというたてまえをとっておりますから、先方が登録の手続をとるかとらないか、はっきりわからない場合には全部わが国でその登録の手続をとっております。具体的には毎年国会が終わりましてから、その国会で御承認をいただいた条約を含めまして、効力発生いたしました条約を登録いたしております。
○渡部(一)委員 そうすると、この国会に提出された日米原子力協定改正議定書のようなものも登録するわけでございますか。こういう問題についての、外務省の条約登録の手続のやり方を多少御説明いただきたい。
○松永政府委員 憲章にもございますように効力発生した後ということになっておりますから、先般御承認いただきました日米原子力協定改正議定書、これも効力の発生されました後に登録の手続をとることとなると存じます。具体的な手続といたしましては、ニューヨークにございます国連代表部に条約の認証謄本を送付いたしまして登録の手続をとるわけでございます。
○渡部(一)委員 今度は各条で多少お伺いするのでありますが、第三十二条(5)「加盟輸出国が人道的目的その他の非商業的目的のためにココアを輸出したと理事会が認める場合には、そのココアは、当該加盟輸出国の輸出割当使用分に算入されない。」とありますが、「人道的目的その他の非商業的目的」とはどういうことをいうのでありますか。
○羽澄説明員 お答え申し上げます。 「人道的目的」と申しますのは、天災等のことがございましたときにそれに対して援助を与えることなどを申します。また、「非商業的目的のために」と申しますものも、経済的な援助とかいったことで普通の商業取引に用いられない通路によって援助が与えられたというようなときのことをいっておるのでございます。そして、そういうときにはこの輸出割当分の使用には算入されないということになっております。
○渡部(一)委員 第二十九条でカカオ豆の最低価格、最高価格は合衆国セントで表示されることになっております。一方、四十二条では、合衆国ドルの平価が変更された場合には事務局長及び緩衝在庫管理官は必要と認める暫定措置をとり、また理事会は必要な是正措置をとることができることになっておりますが、これらの暫定措置、是正措置の内容としてはどのようなことが考えられるか、御説明をいただきたいと存じます。
○西田説明員 ただいま御質問の点でございますけれども、具体的に平価切り下げその他の措置がとられましたときには、さしあたり緩衝在庫の機能停止という措置が考えられると思いますけれども、それ以外にどのような措置をとるかということは理事会でいろいろと是正措置を検討した上できめる、かように考えられると思います。
○渡部(一)委員 そのほか、あなたはもう予想ができないのですか。
○羽澄説明員 このココアの商品協定はもちろんまだ正式に発効しておりませんので、暫定適用でまだ理事会も開かれていない段階でございますので、実際上の問題ではございませんが、ほかの商品協定につきましてございました例からいたしますと、ドルの平価が変更された場合に非常に問題になりますのは、価格帯をどうするかということでございます。通貨の変動によりまして輸出国が得をする場合と輸入国が得をする場合とございまして、それぞれ非常に利害関係が対立するわけでございます。それで、そういった場合に、通貨の変動によって価格帯を自動的に修正をするかどうかということがこのココアの取りきめにつきましても論議されました点でございますけれども、その点につきましては、輸出国、輸入国とも利害が対立しておりますし、かつまたいずれの場合にいずれのほうが得をするかということも予測しがたいものですから、その点につきましては、そういった自動的な変動を認めずに、理事会において討議の上処置をきめるということにいたしたわけでございます。ただ、そのときに理事会で協議しまして必ずきめるというところまできめたわけではございませんので、その対処ぶりについても、そこで白紙の立場に立って変えるかどうかということを含めて討議が行なわれるだろう、こう思います。
○渡部(一)委員 本委員会のアフリカ協定の審議の際、ドル表示と国際計算単位との問題が問題になりまして、いろいろ問題になったのは御承知のとおりでありますが、本協定が採択されて約四カ月後、すなわち本年二月にアメリカはドルの一〇%切り下げを行なっておるわけであります。そうしますと、本協定は発効早々にも、二十九条の二項によりまして価格を修正しなければならないのではないかと思うのでありますが、この点はどうでありましょうか。特にこの協定の場合は、価格の問題が非常に大きな問題でありますし、上限下限をきめているわけですから、そしてそのことによって国際的に安定した需要供給の関係を結ぼうとしているわけでありますから、この価格の計算単位が狂ってしまったら、これは話のほかになると思われるわけです。ですから、価格を修正するのかしないのか、また本委員会に提出された条約文が、頭から修正部分を含んで出されたのかどうか、これはまた一つの問題であろうと思うわけです。その点御説明いただきたい。
○羽澄説明員 お答え申し上げます。 先生のおっしゃいますとおりで、特に今回ドルの平価が下がっておりますので、特に輸出国にとりましては非常に不利益になるわけでございまして、すでに輸出国のほうからは、いずれこの理事会が開かれ、実際の運用をきめるにあたりましては価格帯について考慮すべきであろうというような声は、これは輸出国全体ということでまとまって表明されたわけではございませんが、輸出国の中にはそういうことを言っておる国がございます。ただ、いずれにいたしましてもまだその理事会も開かれておりませんし、輸入国は輸入国で集まってこれまた協議をするわけですけれども、その機会もございませんので、まだそういった輸出国の一部にある要請がこれからどういうふうに発展していくかということは予測しがたい状況にございます。
○渡部(一)委員 そうしますと、この協定は、実際つくったといいながら、価格の問題については理事会でもう一回打ち合わせないと協定は発効しないという効果を持っているというふうに受け取れる御発言ですが、それでよろしいのですか、これは。そうすると、それは協定にならぬのであります、何もきまってないということになりますと。
○羽澄説明員 お答え申し上げます。協定の中にきめられております価格帯は、それはそれなりに、この六月三十日暫定的に発効いたしますに伴いまして暫定的に有効になるわけでございます。また、協定の中にそういった価格変動の場合に対する対処ぶりが織り込んでありますので、それに従って一度有効になったその価格帯の今度修正が行なわれる。したがいまして、修正した時点からその価格帯が有効になるのではなくて、現在ある価格帯がそれによって修正される、修正した場合には、でございまして、まだ修正することになるかどうか、理事会で検討しないとわからないのでございますが、そこでもし修正するということに輸入国と輸出国側の意見が一致しました場合には、そこで修正されるということになるわけでございます。
○渡部(一)委員 最近の新聞の報道するところによりますと、すずが史上最高価格を記録したということであります。すなわち、四十八年七月五日の朝日新聞によりますと、これは「AP・DJ共同」と書いてありますが、「四日のロンドン金属取引所のスズ相場は続騰し、現場が前日に比べトン当たり二十二ポンド高の千八百四十九ポンド、三カ月先物が二十一ポンド高の千八百五十四ポンドと史上最高値を記録した。」としるされております。このすず協定におきましても緩衝在庫制度が設けられているわけでありますから、こういう緩衝在庫制度が価格の鎮静に役に立たないのではないか。そうしますと、ココア協定の運用の前途もきわめて多難なものでありますが、これについてどういう見解をお持ちか。つまり、すずの場合、最近における商品投機は国際的な規模を持っておりますから、これらの協定でカバーでき切れなくなっている部分があるのではないか、今後においてはもっと別の形が、緩衝在庫制度をさらに補強するものが必要であるのではないか、そういう不安があるわけであります。その点はいかがでしょうか。
○羽澄説明員 お答え申し上げます。 緩衝在庫の有効性ということは先生もお述べになっていらっしゃいますとおりで、すでにいろいろ議論されておりますし、また、この緩衝在庫というものはあらゆる品目についてできることでもございません。品目によりましては、緩衝在庫ではなくて、まだいろいろ討議されている段階でこれという具体案はございませんけれども、ものによっては、たとえば腐敗しやすいものだとかいったようなものに関しましては、もっと別は手段を講じないことには安定的な価格を保証できないという事態もあろうかと思います。すずの現状は、先ほど先生から御指摘がございましたとおりで、非常に最近高騰しております。最近特に高騰が激しいのですが、マレーシアドルで現在その上限と下限をきめておりまして、上限が七百十八マレーシアドル、下限が五百八十三マレーシアドルということになっておりまして、最近は非常に上限に近いあるいは上限を飛び越すという事態になっておるわけでございます。これに対しまして、緩衝在庫は、ちょっとすずとココアとは違います。すずの場合には緩衝在庫というものの専門官がありまして、これが自分の持っております緩衝在庫を操作するということになっております。それでその操作にもやはり限度がございまして、その上昇を緩和することはできても完全にとめるというところまではなかなかいかない面もあるかと思いますが、現在すでに緩衝在庫の放出は行なわれているようでございます。実はようでと申しますのは、この緩衝在庫というのは非常に投機の対象になりまして、この条約におきましても一応緩衝在庫の専門官にその操作をまかせるということになっておりまして、そのやり方とか、どこからどこまで売ったか、あるいはどれだけ買い入れたかというようなことは公表しないたてまえになっておりますので、われわれもその点については詳しいことはわからないということでございます。ただ、いずれにいたしましても、現在のように高くなってきておりますので、緩衝在庫の放出はすでに行なわれておる。ただ、それについても、完全にとめるだけのことは、確かに先生のおっしゃるとおりございませんで、緩和するということかと存じます。
○渡部(一)委員 そうしますと、食品協定それ自体は、最近の圧倒的な商品投機相場に対して、それにブレーキをかける可能性というのは十分にある。しかしながら、完全にこの上限、下限のワク内の中に決定的に押え込んでしまうということについてはちょっとむずかしい、こういうふうに理解をしてよろしいわけですね。
○羽澄説明員 御指摘のとおりかと存じます。
○渡部(一)委員 そうしますと、いままでこういうふうに書かれている商品協定の文書それ自体について他の協定のような厳格なワクの設定を、価格について言うならば、ワクを設定した考え方でこれを見るのは当然間違いなんでありましょうけれども、今後においてはこの商品協定がよりもっと効果的に行なわれ得るように、何らかの方策というものを国際的に考えなければならないのではないかと思うわけなんです。それはわが国だけの任務ではなくて、国際的な任務でありましょうけれども、もう少し効果的な方法はないか、あるいは緩衝システムというものをもっと大型にすることによってそれを押えることができないのか、こうしたことは国連協力の外交を表面に出されておるわが国政府としても十分考えられていいことではないか、こう思うのですが、いかがでございますか。
○羽澄説明員 まことに先生御指摘のとおりかと思います。特に最近のごとく価格の変動が非常に激しくなってまいりますと、何か適切な手段がないと困るということはみんな痛感しておるところでございまして、たとえば農業産品につきましてはFAOというようなところでも検討されておりますし、いままである商品協定におきましてもいろいろ考えられておりまして、たとえば、各国に最少の備蓄量をたくわえさしておいて緩衝在庫のように一カ所に集めるのではなくて、各国に持たしておいて、それをいざというときには強制的に放出させるというようなことも行なわれておることもございますが、また、そういった場合、そういった最少的な供給量を保持しておくというような規定がございまして、実際上そこまできちんと保持されているかどうかということを、各国内にばらまいた場合にはなかなかチェックしがたくて、いざ出せといったときになかなか出しにくいというようないろいろな困難な点もございますが、そういう点も含めまして、いろいろ考えられております。この関係で特に御指摘しておきたいと思いますのは、先生御承知のとおり、いまガットの場で国際ラウンドということが行なわれておりまして、わが国なども積極的に参加しておるわけですが、その中で安定的な市場のもとにおける拡大というようなことが非常にいわれておりまして、その一環としてどういう方法があるかということはガットの、たとえば農業品に関しますと、農業委員会の中でも各国が集まっていろいろ検討しておる段階でございます。ただ、これであればいけるというような妙案がまだなかなか出ておりませんが、今後とも検討してまいりたいと考えております。
○渡部(一)委員 外務省を代表して政務次官にお答え願います。
○水野政府委員 先生の御趣旨が……。
○渡部(一)委員 ただいま国際価格協定の問題に関して、この協定では上限、下限と価格をきめてあるわけです。あるいは供給量なんかについてもきめられておるのですが、最近の国際的な騰貴でそういう協定が事実上守られない、守る体制にもないわけですね。したがって、それにかわる国際的なこういう取りきめをもう少し補強する何かの方法を考え出さなければならない、そういう段階になったわけでありまして、日本国だけでなく、国際的な協力、国連協力の実をあげなければならぬわけであります。ただいまその趣旨について御質問をしたところ、第一課長のほうから賛同の旨お返事がございましたけれども、これは外務省として研究をしていただかなければならぬ、対処していただかなければならぬ問題でございますから、政務次官に御答弁をしかと承りたい、こう申し上げているわけです。
○水野政府委員 ただいま渡部委員の御質問を拝聴しておりまして、この協定に及ばない点をいろいろと御指摘がありました。ごもっともな点だというふうに拝聴しておりました。これは外務省だけでは、もちろんこの補強の問題というのは、条約上の問題は外務省だけでございますけれども、そのほか関係各省、農林省、通産省あるいは大蔵省その他の官庁とも、この問題は絶えず連絡をとっていかなければならない問題だと思っております。最近の大豆の高騰の問題であるとかえさの高騰の問題であるとか、こういった問題は、この商品協定で直接縛られている問題ではございませんけれども、世界的な政治の課題として出てきた問題でございまして、もちろんこれまでも、たとえば先般行なわれた日米閣僚レベル会議でもこの問題が討議されましたけれども、二国間だけでなくて、多国間でこの問題を話し合うという世界的な情勢に入ってきているようでございますが、御指摘のとおり今後勉強、検討しまして、この協定でなお至らないところをどうするかという問題では努力をしてまいりたいと思っております。
○渡部(一)委員 それから一昨日の衆議院物価対策特別委員会において、脱脂粉乳の輸入が、ココアを脱脂粉乳の上に乗せ、ココア調製品というような名目で輸入が行なわれ、ごまかしている事実が与党議員の手によって報告され、審議の対象になったようでありますが、概要を簡単に御説明の上、これに対する——このココア協定とも多少関連があるように思いますので、御説明を賜わりたいと存じます。
○佐野説明員 お答えいたします。 衆議院の物価対策特別委員会で問題になりましたのは、現在畜産振興事業団の一元輸入品目になっております全脂粉乳とか脱脂粉乳に少量のココアが添加されまして、それがココア調製品ということで、畜産振興事業団の一元輸入制度のワク外に置かれて自由に輸入されておる。これがわが国の酪農に対して非常にダメージを与えておるのではないか、そういう御質問がございました。それでこの問題につきましては、農林省といたしましてもかねてから非常に関心を持っておった問題でございまして、チョコレートが自由化されてからこの種の商品の輸入がかなり顕著な増加を示してまいったわけでございますが、昨年、輸入数量が一万七千トンをこえるという水準に達しまして、私どももこれは放置しがたいというふうに判断をいたしまして、チョコレート、ココア関係の業界といろいろ協議いたしまして、四十七年の輸入水準でこの種の商品のチョコレート原料としての使用を自粛するという約束をしてもらいまして、それで現在その業界の自主規制の効果というのを見守っておる段階でございます。それで四十七年には一万七千トン強のココア調製品が輸入されたのでございますが、四十七年について脱脂粉乳なり全脂粉乳の市況を見てみますと、脱脂粉乳、全脂粉乳ともいずれも強含みぎみに推移いたしておりまして、一万七千トン程度の水準で、この種の商品の輸入が抑制されるのであれば、さして弊害もないのではないかということで、現在業界がその約束に従って自主規制をしてくれることを期待しつつ見守っておる状況でございます。
○渡部(一)委員 それはまた妙な話なんで、というのは、ココア調製品というものがココアなのかどうかという問題をもう少し明白にしていただかなければいかぬのですね。それは一体どれくらいのものであったのですか。
○佐野説明員 お答えいたします。 ココア調製品は、BTNの分類によりますと——大蔵省のほうからお答えいただいたほうがいいのかもしれませんが、ココアを認識し得る程度にココアが混入されておれば、ココアのパーセントが相当低くてもココア調製品として分類されて、粉乳としては取り扱われないということになっております。 それで、現在のところ、これは昔はそうでもなかったのでございますが、昨年あたりになりますと、ココア調製品の中のココアの混入割合というのは非常に下がってきているといわれておりまして、業界の常識では約一〇%程度はココアで、九〇%程度は粉乳類であるというふうにいわれております。
○渡部(一)委員 中にひどいのは、脱脂粉乳の上にココアが振りかけてあるというものが輸入されておったという話すら私は聞いておるものですから、こういうのを自主規制の措置をとるなどというのじゃなくて、これはもうそれこそ徹底的に取り締まるというのがあたりまえであると私は思うのです。こういうふうな業界にべっちゃりと癒着している態勢がこのココア協定の審議にも影響しているのじやないかと私は思わざるを得ない。というのは、ココア協定自体がこういうチョコレート、ココアに関する業界に大きな利益を与えることは確かであります。そうすると、、その業界というものがこういうふうにごまかしながら、政府の機構をごまかしごまかし法網をくぐりながら自分の利益をはかりつつあるということに対しては、行政はもう少し厳格でなければいかぬと思うのですね。これは課長さんお答えになる必要はなくて、政務次官に政府を代表する立場でお答えを願いたい。自主規制なんというのは、どろぼうに自主規制を命ずる警察庁があるだろうか、おまえのやり方は悪いから、あしたからかっぱらいなどというのはほどほどにせいなどということがあるだろうか、考えてもらいたい。私は、こういうふうな不愉快な業界の慣行を見ながらこのココア協定を審議することに、まことに耐えがたい感じを抱いておる。 きょうは同僚議員がほとんど引き上げられたあとであるから、これは同僚議員にお伺いするわけにいかぬですけれども、全くおそるべきひどい商取引の慣行ではないかと思うのですね。もしあれだったら、大蔵省のココア調製品に対する定義がいいかげんであるのであるならば、その定義のほうをきちっと直すべきである。行政の一つの責任はあくまでもほんとうの平等の精神というか、国民おのおのが満足のできる行政をすることにこそ意味があると私はそう思うわけなんですが、この辺で政務次官、政府を代表して、この協定を通すときにあたって、ひとつ何とかしっかりさせるのがあたりまえではないか。もし大蔵省の係官がおられるなら、大蔵省からもそういうものについての明確な明示をなすべきであり、基準についての明示をなすべきであるし、また警察庁はこの問題について検査をなすべきであり、また政務次官はこれについてこういう不公平な一業界だけを特に援護、擁護するような処置があるということに対して、これを是正するために格段の努力をさるべきだと思うのですけれども、いかがでございますか。
○大槻説明員 お答え申し上げます。 わが国の関税率表はBTN条約、すなわち関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約の付属書に基づいて作成しているわけでございまして、わが国はこのBTN条約に四十一年に加盟しているわけでございます。それでただいま御指摘のありましたココア調製食料品というのはBTNの第一八類ココア及びその調製品の注の2りところで「第一八・〇六号には、ココアを含有する砂糖菓子と、」「ココアを含有するその他の調製食料品とを含む。」というふうに規定になっているわけでございます。したがいましてBTNに基づきます関税率表においては、ココアを含有する調製食料品はいわば別格の取り扱いを受けているわけでございます。税関の実務上、ココアを含有するということは、先ほど農林省のほうからも御発言があったわけでございますが、認識し得る程度に含有されていることをいうわけでございますが、現在輸入されているココアと粉乳の調製品にはココアを五ないし三五%、大部分は一〇%程度含まれているということでございまして、したがってこれは先ほど申し上げました第一八類ココア及びその調製品の注2の規定からいいましても、ココア調製品として第一八・〇六号に分類せざるを得ないというふうに解しております。
○水野政府委員 渡部委員の御指摘の点はよくわかりまして、自民党の議員が物価対策特別委員会で取り上げましたのは、おそらく酪農振興を圧迫する、そういう意味で取り上げたのだろうと思いますが、そういう類似品についての問題はほかの商品にもまああることでございまして、行政上手落ちがないようにやっていきたいと思います。
○渡部(一)委員 それでは、麻薬に移ります。最初に外務省に伺います。昭和四十七年九月一日ハワイにおいて田中・ニクソン共同発表が行なわれました。その共同発表の第十項において総理大臣は次のようなお話を発表をいたしました。すなわちその第十項に「総理大臣と大統領は、世界の平和と繁栄及び日米両国民の福祉を維持増進するという共通の目的達成のため、ますます多岐にわたりつつある分野において、日米両国間の協力関係が一層緊密化の度を加えている状況に満足の意をもって留意した。両者は、麻薬その他の危険な薬品の不法取引きの規制についての、すでに両国間で行なわれている緊密な協力を一層強化拡充することに合意した。」とあるわけであります。総理と大統領は麻薬その他危険な薬品の不法取引の規制についてお話をしたわけであり、「すでに両国間で行なわれている緊密な協力」とここにしるされております。現在において日米間にどういう緊密な協力が行なわれているのであるか、また「一層強化拡充することに合意した。」というのは一体何を意味しているのであるか、私たちは寡聞にして存じないわけであります。 そこでこの問題について、なぜこの四十七年、昨年九月のハワイにおける田中・ニクソン共同発表において唐突なようにこの麻薬の問題が取り上げられてきたのか。そしてその背景はどうだったのか。現状認識はどうだったのか。それからどういうことを意図しようとしたのか、それをお伺いしたいと存じます。
○角谷説明員 ただいま先生より昨年九月一日のコミュニケの件につきまして御質問ございまして、お答え申し上げたいと存じますが、この麻薬の問題がなぜ唐突として入ったかという御質問でございますが、この麻薬の問題というものは、これはいわば特に近年非常に大きな問題になってまいりまして、特にアメリカにおきましては御承知のとおり非常に多くの、五十万とか六十万とかいうような数字の麻薬中毒患者もおるというようなことがいわれておりまして、アメリカにおきましては特に麻薬について関心がある。これを撲滅せねばならないという関心があるわけでございます。したがいましてアメリカの事情を若干申し上げますと、たとえばこの麻薬の問題ということが特に近年におきましてはアメリカの外交政策の一つの重要なアイテムとなってきつつあるということがいえると思うのでございます。 たとえば一九七一年の六月の十七日という日には大統領が議会あてメッセージを送っておりまして、この麻薬の問題は国内問題であるのみならず、さらに国際的な対策を含めることが必要と思うというようなことを申しておりまして、同年九月には政府の中で国務長官を委員長といたしまして、中の調整の委員会というようなものを内部的に持つに至っておるようなわけでございます。さらに在外の各大使館、公使館におきましても、アメリカ側といたしましては、麻薬の担当官というものを広く置いておるような実情でございます。ただいまアメリカ側のことを特に申し上げましたけれども、もちろんわが国におきましてもこの麻薬の問題は関心がはなはだ深いところでございまして、そのような事情から昨年の九月一日のコミュニケに、これは経過的に申し上げますればアメリカ側が特に希望いたしまして、日本の最高首脳もこれに価値を認められまして、ここの共同コミュニケというものの中に麻薬についての協力ということがうたわれておる次第でございます。
○渡部(一)委員 そうすると、これはアメリカ側の希望で入ったとおっしゃいますが、そうしますと、日米間で「緊密な協力」をいままでどういうふうに行なっていたのでしょうか。ここではまさに「緊密な協力」という文字であらわされておりますけれども、どういう協力が行なわれたのですか。
○角谷説明員 従来の緊密な協力、これは国際場裏あるいはバイラテラルの関係におきまして日米の間で緊密な連絡協議等がございましたと了解しております。この詳細につきましては厚生省なり御当局のほうから御説明いただいたほうがよろしいかと思いますが、このコミュニケをさらに踏まえまして、その後日米の間で、たとえば昨年のインドにおきますコロンボプランというような場がございましたけれども、こういうときにこの麻薬の話を進めるとか、その他国連の基金に拠金をする、このような問題は特に日米の協力というものだけではございませんで、これはもちろん日本側の考えというものでありますけれども、また他方広い意味におきまして日米の協力ということも言いい得るところであろう、こう考えるわけでござます。
○渡部(一)委員 こだわるようですけれども、ここに「緊密な協力」と書いてあるけれども、いま御自身でおっしゃったコロンボプランの件も国連基金の件も、何も緊密な例にあげる内容ではありませんですよね。ここの同じ項のところにはエネルギー及び鉱物資源に関する問題について「2国間及び多国間の一局の協力が必要である」という旨が併記されているのです。こっちのほうがよほど緊密なんですね。そちらには緊密も何も書いてない。これは単なるおせじで緊密と書いたのか、何なのか。私は日米両国間の文章がそれほどこんな形で書かれている例はないと思います。そんないいかげんなものではない。一体いままでどんな緊密なことをしたのか、ますますふしぎです。それとも麻薬に名をかりて、日米間で軍事戦略物資としてのLSDに関する協力などをあげているのであろうかとさえ勘ぐりたくなる。ということはベトナム戦争におけるあの枯れ葉剤という枯れ葉を落っことすための材料は日本側の学者が研究したものをアメリカ軍がそれを取り上げ大成したという事実があります。これはLSDなどと構造は非常に似ているものであります。また精神化学の面における戦略物資あるいは戦略兵器の開発に対し、日本の学者の一部が協力していることは事実であります。そういうことを「緊密な協力」としてうたって、これからもますます一そう緊密に協力するとまでいったのかとさえ疑いたくなる。「緊密な協力」の内容がわからないでこれを説明するなんということはもってのほかのことでありまして、そんないいかげんな答弁を私は求めているのではない。どうしてそんないいかげんな答弁をなさるのか。
○影井政府委員 現在まだ日米間で話し合い中でございますので、具体的な内容にわたって申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、不法麻薬の流れ、これにつきましての情報交換、それからさらにそれをとどめるためにどうしたらいいかというような話し合い、これがての後かなり密接に行なわれているのが現状でございます。
○松下政府委員 大筋につきましてはただいま外務省から御答弁がありましたとおりでございますが、直接担当しております私どもの承知しております範囲で補足させていただきたいと思います。 先ほど堂森先生にもお答えを申し上げましたか、日本におきましては各方面の御協力を得まして、麻薬の撲滅対策というものが諸外国、特にアメリカに比べまして非常に進んでおるということは、これは国際的に定評のあるところでございまして、したがっていまおあげにたりました会合の以前におきましても、アメリカの大使館に駐在しておりますBNDD、アメリカ司法省の麻薬危険薬品局の駐在官がわがほうと密接な連絡をとりまして、いま外務省からお話のございました情報交換、あるいは日本の経験に照らしての麻薬対策についてのいろいろな指導と申しては口幅ったいのですけれども、資料の提供、そういうようなことにつきましての非常に緊密な協力をいたしております。アメリカの麻薬担当官もしばしば日本に参りまして、私どもの担当者から取り締まりの経験の教示あるいは意見、情報の交換、それから中毒患者の治療方法につきましても日本は高く評価されておるようでございまして、そういった治療方法に対する情報の交換、取り締まり技術の指導、そういったようなものにつきまして、一週間なり十日に一ぺんくらいの頻度で来ておるのではないかと思われるくらいにしばしば連絡があるわけでございます。そういった担当行政当局間の連絡も含めて、そういう表現が用いられたものではなかろうかと推察いたしております。 なお、東南アジアの麻薬事情につきましても、アメリカは非常に関心を持っておるわけでございまして、東南アジアの麻薬対策については、警察庁の主催によりますセミナーが行なわれておりまして、こういったことにつきましても、アメリカも関心を持ち、間接的には大きな協力の一環というようなことも申せるかと思います。 それから、沖繩が復帰いたして以来、沖繩におりますBNDDの担当官あるいは軍の麻薬取り締まりの担当官、そういったものとわがほうの麻薬取締官事務所等との協力体制は非常に緊密でございまして、沖繩における麻薬対策において大きな効果をあげておるというような実情もあるわけでございます。
○渡部(一)委員 いまアメリカ局参事官が御答弁になりましたが、向こう側からの要望で、緊密な協力についてこれは書き込んだのだというふうに述べられました。そして、これを一そう強化することにつきましてもアメリカ側の要望がある旨言われたわけです。しかし、実際から言えば、麻薬については明らかに日本は被害者なのです。担当官がそんな調子じゃ困るのです。だから私は言っているのです。私は外務省のある方にさっき伺ったら、田中・ニクソン共同声明の中にこういうことがあること自体を知らなかった、それでは困りますよ。だから言っているのじゃないですか。まるでメンタルテストみたいなことを、失敬なことを言っているのだ。それは担当にまかせておけばいいのだ、外務省は知らなくていいのだという調子ではいかぬのですよ。私がなぜそんなことを言おうとしているかというと、沖繩で、一つニュースでいえば、コザ市内でヘロイン一キロというものがアメリカ軍の軍曹の家から発見された。ヘロイン一キログラムというと、末端価格で二億円ですね。こんなことは、日本ではいまだかつてなかったことです。これを厚生省の九州地区麻薬取締官事務所沖繩支所というのが調べたところによると、四月の末、中部の軍用地内で行き倒れになっておった日本人女性の内臓を解剖したことからこのことが明らかになり、アメリカ軍の海兵隊普天間基地の米兵を中心とした麻薬密売グループからヘロインを入手していることがわかり、その元締め役といわれたこのアメリカ軍の軍曹がつかまった、こういうわけですね。一体外務省はこの件について抗議か何かしたのですか。田中・ニクソンのあれがあるなら、それこそ厳重な抗議どころではない。こんなばかな話はないじゃありませんか。それをどう処理をされたのか外務省に聞きたいのです。どう処理されているのですか。
○角谷説明員 外務省といたしましては、麻薬の事件が起こりまして、二度にわたりましてアメリカ局長からシュー・スミス在京公使に厳重注意方申し入れてございます。
○渡部(一)委員 厳重注意って、一体どのくらいやったのですか、言っては悪いけれども。沖繩には、これはまた別の新聞の切り抜きですが、ことしの三月二十日、沖繩の麻薬中毒患者千人、押収したヘロインの額は二千六百五十六・二グラム。そして、この密売組織というものは、明らかにアメリカ軍の影響であり、そしてアメリカ軍の経路をたどったものがあり、香港、タイ、フィリピンの三ルートからも来ており、そして中には、けしからぬことにはアメリカの米軍の軍用郵便というのがありますね。軍用郵便を使って沖繩にそのヘロインが持ち込まれた、こういう事実がある。これは抗議しましたかしませんか。
○角谷説明員 先生ただいま御指摘の件は、われわれ具体的にはまだ承知しておりません。いつのことでございますか、新聞報道でございますか。六月二日に、これは先生先ほどお述べになった件だと思いますが、ウィリアム・コーセーというものが自宅でヘロインの現行犯で逢捕されております。それから六月三日、キー・イー・ファートというものがやはり逮捕されております。それからティモシーというもの、計三名逢捕されております。
○渡部(一)委員 抗議したのですか、しないのですか、それを聞いているんじゃないですか。
○角谷説明員 これは、先ほど申し上げましたとおり、この件、と申しますよりは、麻薬一般につきまして、これは常々厳重に注意しておるところでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、麻薬につきましては二度にわたりましてアメリカ局長より在京米大使に抗議をして、厳重注意を喚起しておるところでございまして、アメリカ側もこの麻薬という件につきましては非常に関心を持っておりまして、内部で一生懸命コントロールをやっておるというように承知いたしております。ただ、遺憾ながら、このような事件がときどき生起するということは、これまた事実でございまして、今後ともわれわれといたしまして、アメリカ側に十二分に注意を喚起するということを進めてまいりたい、このように思っております。
○渡部(一)委員 日米協議委員会というのがあるでしょう、米軍との関係で。毎度日米間の軍事的諸問題については話し合える場所があるはずなんですね。この間議事録を机の上に乗せて見せるというやり方で、議事録が公示されたけれども、麻薬のマの字もない。そうでしょう。だから何もやってないじゃないかと言っているのですよ。米軍のこの問題について、麻薬取締官事務所の白石省三という所長さんがいらっしゃるそうでありますが、これは厚生省の麻薬取締官事務所の沖繩支所長だそうでありますが、米軍の機構を利用したルートが圧倒的に多い、ベトナムやフィリピン帰りが持ち込むのだと公然と言っていますよ。なぜこれに抗議しないのですか。厚生省から通知がなければ言えないのですか。また、沖繩県警は、少年米兵六人を逮捕、この記事はことしの二月十七日の新聞でありますが、少年米兵六人が麻薬を使っており、「ヘロイン五十八包のほか大麻、短銃の実弾などを押収した。」と書いてあります。これは沖繩の県警本部であります。これについて抗議しましたか。沖繩にマフィアの影があるという記事がここに載っております。ことし一月十八日。これは「那覇空港保税倉庫に郵送されていた航空便からヘロイン七・六グラム(時価約千二百万円相当)を押収した。」と書かれております。これはジョン・アンソニー・スミノトという人だそうであります。これは、マフィアの影があるとおびえているという報道があります。また先ほど名前おっしゃったのはことしの六月十日の報道でありまして、米軍の病院で東南アジアから大量の麻薬を持ち込んでおった。そして沖繩の米陸軍病院の医師ウィリアム・L・コーセー、退役軍医少佐というのが逮捕されております。この米陸軍病院というのはベトナム戦争中にも活躍した病院でありまして、相当大きな病院であります。こんなところで麻薬を持ち込まれておる。飛行機で持ってくるとわからない。そしてそのまま患者もろとも運び込まれてくる。こういうのは日米協議委員会の問題として適当な問題ではないですか。何にも適切な手を打ってないと私が言うのはそれなんです。なぜこういう大問題を処理しようとなさらないのか。それで総理大臣と大統領が結ばれたこういう協定は、こんなことではむしろアメリカ側が自分のへまを隠すために申し入れたとさえ考えられる。こういうことを結んでおけば何かやったように見えるから日本側の文句を封殺するためにいわれたのかとさえ考えられる。こういう沖繩の問題はベトナム戦争に従事してすっかり士気の低下してしまった米軍というものの存在それ自体が問題で、米軍の即時撤退を求めるという立場で私は質問しているわけでありますけれども、少なくとも政府においてもこれほどの沖繩の麻薬天国というものに対して外務省がもっとしっかりしなければいけないじゃないでしょうか。厚生省の所管だ警察の所管だと言えるでしょうか。こんな闘志はなぜアメリカ側に対してはっきりしたものが言えないのか。それほどアメリカ局はアメリカのおべんちゃらをとらなければいけないのか。何をやったのかわからないほどの申し入れをかすかに二度すれば問題は済むと思っているのか。麻薬というものによってどれくらい人命が痛めつけられ何千億の金が奪われるかわからないのに、この問題を諸外国より調子がいいですなどといって済ましておられるのか。これは人道的問題として外務省にびりびりするほど感じてもらわなければいかぬから言っているのに、先ほどからのあなたの答弁は一体何です。どれほど努力したのですか、御答弁いただきたい。いままでのが不十分なら今後こうしたいと言ってもらいたい。それでなかったら答弁にならない。
○水野政府委員 渡部委員のただいまの御指摘につきまして私から、二、三申し上げたことございますが、実は私先般沖繩に参りましてメープルスという四軍の調整司令官兼陸軍司令官と基地の縮小問題、それから麻薬問題、そのほか先ほど御指摘ございませんでしたが、ベトナムその他から持ち込むものについてくる動植物の検疫の問題、こういった問題について話をしてまいりました。米軍の側のそのときの説明を聞いたわけでございますが、いま渡部委員の御指摘のように米軍としても麻薬の使用ということは非常に士気、戦力の低下につながることは申すまでもないわけでありまして、非常に懸命になってやっている、ただどうしてもその監督が完全に行き届かない面があるのでよく連絡をとってやりたい、こういうことでありました。そして同時に、沖繩の県警本部長とそれから検察庁の検事正等にもその際に会いまして、取り締まり方針その他についていろいろ実情を聞いてまいりましたが、先ほどお話がありましたように、本土に復帰する前はアメリカの憲兵あるいは沖繩政府の警察力の不備から野放しということまでは言えないですが、非常に取り締まりが不備であったが、本土復帰以来この問題には特に注意をしている。私の聞きましたのでは県警本部長あるいは検事正はこの麻薬関係事犯に関しては 一切保釈を認めないというくらいにしてやっております、こういうことでございました。先生の御指摘の先ほどの新聞記事の二、三の御指摘がありまして、その話もその当時聞いてまいりましたが、現実にはいままで手が打てなかったような事件がようやく沖繩の警察力も最近整備をされてきて、こういう点に手が回るようになってきたところであります、こういう説明を聞いてきたばかりでございます。アメリカ局でも今後ともこの問題については真剣に取り組んでまいりたいと思っておりますので、きょうのところはひとつ御了解をいただきたいと思います。
○渡部(一)委員 それでは、警察庁のほうにお伺いいたしますが、現在の麻薬犯罪の状況、取り締まり状況並びに特に沖繩における麻薬取り締まりの状況についてお伺いしたい。 並びに厚生省に対して、麻薬の中毒患者の実態について日本全本土及び沖繩の状況についてお伺いしたいと思います。
○相川説明員 お答え申し上げます。 最近の麻薬犯罪の実態とその取り締まりでございますが、昭和四十年以降麻薬犯罪というものは次第に減りつつあります。しかし、本年の上半期におきます検挙状況を見ますと全部で五百五十九件四百八十五人の検挙者ということになります。これを去年に比較してみますと、件数で百七十六件ほど伸びておりますし、人員では百六十一人ほど増加をいたしております。ではなぜこのように増加いたしたかと申しますと、これは先ほど来先生から御指摘もありましたが、沖繩県におきます検挙成績というものがぐんと上昇したということに基因するわけです。 ちなみに、昨年上半期と申しますと沖繩県の復帰が昨年の五月十五日ですけれども、昨年の六月まで、すなわち復帰前は六十七件、六十八人という検挙を見ておりました。これが沖繩県の復帰後の今年上半期になりますと、何と百九十八件、百六十八人というふうに大幅な検挙増となっております。本土でも若干の伸びがございまして、このように先ほどお話ししましたような伸びを見せているわけです。問題は、このような麻薬犯罪に暴力団が介入しているかどうかということにつきまして、私どももいつも注意しておりますが、幸いなことに、麻薬犯罪に対する暴力団の組織的な介入というものは最近は見られません。大体麻薬犯罪の約半数は大麻の事犯です。しかも外国人の船員等によります密輸入がございますし、それから国内産の大麻の乱用傾向が見られます。特に国内産大麻の乱用傾向は若年層、青少年の間に見られますので、これを私どももたいへん憂慮いたしておるわけです。沖繩におきます麻薬犯罪の問題につきましては、先ほど来先生からも御指摘がありましたが、大まかな数字を申し上げますと、昨年四十七年の一年間における検挙件数は二百九件で二百十名ございます。沖繩県を含む全国の四十七都道府県警察の総検挙件教のパーセンテージを申し上げますと、件数で約一七%、人員で約二〇%という割合になるわけです。このように沖繩県の麻薬犯罪の件数、検挙人員とも高い率を占めているわけですが、さらに特徴的なことは、沖繩県の麻薬犯罪というのはその六〇%が非常に毒性の高いヘロインの事犯であるということであります。したがいまして、警察といたしましては、先ほど政務次官から御答弁がありましたが、復帰後この沖繩の麻薬犯罪をどうして撲滅するかということに重点を置きまして、昨年の暮れ以来係官を沖繩に派遣いたしまして、その調査結果に基づきまして抜本的な強化対策をつくり上げたわけです。 内容を申し上げますと、何としても取り締まりに従事する体制が弱かったわけです。数を申し上げますと、沖繩県警察でわずかに八名の取り締まり専従警察官しかいなかったわけです。これを一挙に三倍にふやすことにいたしました。それから必要な装備資器材というもの、あるいは機動力の車両、こういうものを一挙に増強いたしまして、体制の強化をはかったわけですが、それにしても、捜査取り締まりという技術の向上をはかる必要がありますので、特に大阪と兵庫県から麻薬犯罪捜査の全国でも有数なベテランの警察官を二人、沖繩現地に派遣しまして、一月半にわたりまして全警察署、警察官に対して、麻薬犯罪の取り締まりあるいは捜査技術というものについてきめのこまかい教養を実施してきました。それらの成果がようやくあがりまして、ことしすでに、昨年一年間分の二百件に近い数字を検挙する成績を見せております。したがいまして、私ども警察としましては、沖繩の麻薬犯罪、それから、沖繩の麻薬犯罪が単に米軍にとどまっている間はいいですけれども、これが一般沖繩県民に感染する、伝播するおそれのないように、何としても芽のうちにこれをたたきつぶそうという気がまえと方針でこれに取り組んでいる次第でございます。
○松下政府委員 麻薬中毒者数の全国と沖繩の状況、それからその保護の状況というお尋ねでございますのでお答え申し上げます。昭和四十七年の麻薬中毒者は全国で六十六名でございます。そのうちで復帰後の沖繩分が三十六名ということで、半分以上が沖繩でございます。先ほどお読み上げになりましたように、この麻薬の常用者と見られます者は八百人とか千人とかいわれておりまして、相当な数にのぼっているようでございますが、麻薬取締法に基づいて届け出、通報のありました者の数はこれだけでございます。それに対しての治療あるいは保護の対策といたしましては、現在麻薬取締法に基づきまして、精神衛生法の措置入院と同じ体系によります国庫負担十分の八を補助いたします措置入院制度をとっておりまして、これが麻薬中毒者の専門医療施設あるいは国公立の精神病院あるいは精神衛生法の指定病院、そういった施設におきまして、いわば強制的に、本人の同意を得なくても入院させまして、公費をもって治療を行なうという措置をとっております。で、専門の医療施設は全国で六百五十床設置されております。沖繩におきましては、専門医療施設という形ではございませんが、いま申し上げました措置入院の対象になります医療施設といたしましては、沖繩の県立病院二カ所、それから精神衛生法による指定病院八カ所、国立病院一カ所、計十一カ所でございまして、そのベッド数は二千百九十八床でございます。四十七年度におきまして、措置入院の対象となりました患者の数は全国で二十一名、そのうちで沖繩の分は十三名ございます。なお措置入院の結果によりまして、軽快して退院した者につきましては、これは地区によりまして麻薬中毒者相談員制度をとりまして、退院後におきましても適切な相談、指導を加えるということによって、再発を防止するという対策もあわせて講じておるところでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、米軍犯罪としての麻薬という観点から少し伺うわけでありますが、地位協定の十七条の3項の(a)の(i)にありますこういう犯罪の件数は一体何件であるか、政府のほうで掌握されておりましたら、警察庁でもけっこうでありますし、法務省でもけっこうでありますから御答弁を願いたい。
○相川説明員 手元に米軍関係のすべての犯罪のデータがございませんので、麻薬事犯関係に限ってお答え申し上げますと、先ほどのお話し申し上げましたように、四十七年中に沖繩県警で検挙しました麻薬事犯の数は二百九件、二百十名であるわけでございますが、このうち米軍人、軍属によって行なわれました犯罪は約七割を占めております。数にしまして百六十二名ということになっております。このような状況でありますので、警察としましては、アメリカの各軍の捜査機関、海軍、空軍、それから陸軍、海兵隊、これらの捜査機関と密接な連絡をとりながら、麻薬事犯の撲滅に当たっておるという状況であります。
○渡部(一)委員 地位協定第九条第六項実施のため、昭和三十六年三月の日米合同委員会において合意された事項の一の(イ)の3の項「入国後、麻薬、大麻又はあへんの取締に関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、有罪の判決をうけた者。」これは送還することにきまって、本国へ帰してしまうことがきめられておるわけであります。この規定に該当した者はどれくらいあるか、それをお伺いしたい。——それでは担当官が来られていないようでありますから、後刻その辺に関する資料を提出していただきたいと思うのです。といいますのは、私が心配しておりますのは、これらのこういう問題の場合に、情報の提供または所要の調査を要請することができるし、アメリカ側の司令部はこれに協力し、回答しなければならぬことになっているはずであります。これが適切に運用されておるかどうか、多大の疑惑があります。つまり何にもしなかったのじゃないか、はっきり言うとそういうことであります。もしこれがはっきり行なわれておれば、沖繩における米軍犯罪は、もっと徹底的なやり方でこれを撲滅することが可能であったと思うわけであります。そうすると、このせっかくの取りきめや運用もだめなのではないかと思うのであります。したがって私は、地位協定に基づくこの項によるこの犯罪が、どういう件数であり、どういうようになっているかを麻薬に関して掌握されること、及びこの三十六年三月の合同委員会で決定された条項に基づき、この実際上の運用がどうなっており、どういう取り締まり効果、情報交換あるいは送り出し等に効果をあげているかどうか、その資料を提出していただくようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○水野政府委員 法務省と連絡いたしまして、先生の御要求の資料は来週にでも提出するようにいたします。
○渡部(一)委員 それから郵便物についてでありますが、アメリカの軍事郵便局が中にヘロインを積み込んで軍事郵便として投函された事件がございました。私、その日付その他いまちょっと資料としてここにそろえておりません。あまりにも著名な事件でありましたが、こういうことが起こりますと、これまたひとつ問題にしたほうがいいのではないかと思われます。 同じく三十六年三月の日米合同委員会において、郵便物の税関検査について日米間で合意が行なわれております。その一つは、「(1)公用以外の小包には内容及び価格の表示をすることとする。(2)開包する必要があると思われる公用以外の小包は開包して内容物の検査を行なう。(3)禁制品又は不当な数量の物品を発見した時は徴税等適当な処理を行なう。」とあります。したがって、この税関検査の項にひっかけて、米軍のこういう軍事郵便に関しては、特に沖繩に対してはこれは検査をする必要があるのではないか、こう思うのですが、いかがでございますか。
○大槻説明員 お答え申し上げます。 米軍の軍事郵便物につきましては、地位協定の十一条、及び地位協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律第九条によりまして、「合衆国軍事郵便線路上にある公用郵便物」については、税関の検査は免除となっておりますが、これ以外の、公用物以外のものについては、一般の郵便物と同様に取り扱っております。
○渡部(一)委員 先日の事件について御存じでいらっしゃれば、それはどちらのほうでそれを——その事件が起こったか御存じですか。
○大槻説明員 お答えいたします。 先生お尋ねの件につきましては、私了知いたしておりません。
○渡部(一)委員 それでは、御研究の上、いまのその項を適用して、公用物でないものについては検査できるとおっしゃっているのですから、徹底的にひとつ検査をお願いしたい。公用物について、もしこのアメリカ軍事郵便がこういう形でヘロインの密輸の道具とされているんだったら、これは厳重抗議をした上、軍事郵便に関しても公用物について検査をする、あるいは自分たちでも検査してこいというような、ある意味の強い意思表示をされることが妥当であり、そうお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
○角谷説明員 万一公用物件につきましてさようなことがございますれば、これはまことにその地位協定の目的にも反しますものでございますから、これにつきましては厳重抗議ということをいたしたいと思います。
○渡部(一)委員 日米協議委員会の席上あるいは日米合同委員会の席上等において、麻薬犯罪の問題、特に沖繩の麻薬犯罪の問題について、特段に米国政府あるいは米側当局者に対し、御注意あるいは勧告をしていただき、沖繩における麻薬撲滅の大きな厚生省のやっていらっしゃる活動に対し援護射撃を行なうべきである、こう思いますが、いかがですか。
○水野政府委員 先ほど来先生の御指摘のとおり、沖繩の返還が統計的には、日本における麻薬犯罪が非常に拡大した結果になったわけでありまして、警察庁の説明のとおり、日本側の捜査体制がようやく整備されたという段階でございます。それで、米軍ともよく連絡をとって、最近非常に検挙率もよくなってきておるようでございますけれども、なお先生のおっしゃったように、軍事郵便の中にまぎれ込んでいるということ、小包も入っておりますから、非常にそういう可能性が強い。これは実は私先般、沖繩に行きましたときに、向こう側とそういう話をしてまいりました。それから、ベトナムから、現在はもちろんベトナムから帰ってくる兵隊はおりませんが、ベトナムに残した物品その他が送還されてくる。その中にまじってくる可能性がある。あるいは先生の御指摘のように、公用物の送還の中にも、これは犯罪でありますから、表立ってあるわけじゃありませんので、入っている可能性もあるということで、いろいろ話し合いをしてまいりました。御指摘のように、日米協議委員会並びに合同委員会で、これからこの問題は積極的に取り組んでいきたい。向こう側にも厳重に抗議するなりあるいは日本側の捜査体制に協力をしてもらうように申してまいりたい、こういうふうに思っております。
○渡部(一)委員 だいぶくどくど申し上げてほんとうに申しわけないのでありますが、この問題は、ほんとうの沖繩県民の実質的に祖国に復帰したいという効果をあげたいために申し上げることでありますので、本気になってひとつ取り組んでいただきたい、重ねてお願いしたいと存じます。それから、先ほど薬務局長が、麻薬治療のための施設が、措置入院者の施設として県立病院二カ所をはじめ十一カ所、二千百九十八床あると申されましたけれども、これはいろいろな病院のいろいろな病気の人の病床を全部集めておっしゃったものでございまして、必ずしもこれは麻薬の分だけを仰せになったのではないと私は思います。それは二千何百床も麻薬用のベッドがあいているとしたら、これは沖繩はすばらしい、日本一の、世界一の療養天国になるが、そんなことはない。これはお話が口がすべったんだろうと思うのですが、事実的には麻薬治療のためのこういう専門の国立公立の施設というものは、日本の各地にはございますけれども、沖繩にはない。そうしてその沖繩にないために、この条約を締結いたしました際、三十八条という項がございますけれども、この三十八条で、こういう病人ですね、こうした犯罪人も措置する旨の種々の規定がございまして、この中毒者に対する措置というものがもう明らかにきめられているわけであります。すなわち、「締約国は、薬品の濫用防止に特別の考慮を払い、薬品の濫用の防止並びに濫用に陥った者の早期発見、治療、教育、」そしてアフターケアでしょうね、「後保護、更生及び社会復帰のため、あらゆる可能な措置をとり、また、相互に協力するものとする。」こうしたことが書かれておりますけれども、これは明らかに、沖繩では麻薬治療のためのこうした設備、あらゆる可能な措置がとられているまだ前段階であろうかと思われるわけであります。したがって、この条約を結んで、改正議定書をするのはけっこうでありますけれども、実質上これは国内措置を要するわけであります。そうすると、この条約を結んだだけではなくて、よほどの問題をしなければならぬわけでありまして、こうしたものについて国内措置を適当に行なうという旨の保証がなければならぬわけであります。したがって、これは薬務局長に伺っているというのでなくて、特に麻薬地帯である沖繩に国公立の専門施設をつくることが一つ、それからここにあるように、早期発見、治療、教育、後保護、更生及び社会復帰のための適当な予算措置並びに施設並びに陣容というのを確保する、これを来期予算に早急に組まなければならないと存じます。この点政府側を代表してどなたかにお答えをいただきたいと存じます。
○松下政府委員 まず初めに御指摘のありました沖繩における病床の数でございますが、確かに先生が御指摘になりましたように、いま申し上げました二千百九十八床という数は、もちろん麻薬中毒者専門の病床数ではございません。ただ麻薬取締法の規定によりまして都道府県知事が麻薬中毒者を措置入院させることのできる病院というのは同法施行規則に委任されておりまして、これは「国又は都道府県が設置した精神病院」それから「精神衛生法第五条第一項の規定により指定された精神病室を有する病院」そういうふうになっております。先ほど申し上げました数は、これに該当いたします精神病院の数でございまして、したがってこの病床は全部措置入院の正規の対象になる病床数でございます。全病床ではないのでございますが、ただ麻薬専門ではないという点は御指摘のとおりでございます。 それから、いまの御指摘になりましたこの単一条約の内容でございますが、「濫用に陥った者の早期発見、治療、教育、後保護、更生及び社会復帰のため、」云々という条文でございます。これは現在の制度といたしましては、この早期発見につきましては医師その他の者の中毒者の届け出義務あるいは通報義務というものを規定いたしまして、治療につきましては、先ほど申し上げました措置入院制度による治療を行なっております。それから教育、後保護、更生、社会復帰というような対策につきましては、これは麻薬中毒者相談員という制度を設けまして、退院した後、あるいは軽度の中毒者等につきましてはそういった相談員と緊密な連絡をとり、相談、指導を行なうことによりまして再びこういう道に踏み込まないように十分な指導を行なうということを中心といたします対策を講じますと同時に、また全体といたしましてさらにPRにつとめまして、麻薬がいかにおそろしいものであるかということを国民に周知徹底させることによって、本人もはたの人たちもそういった道におちいらないように努力をするということを考えてまいらなければならないと思っております。特に措置入院につきましては、先ほど申し上げた程度の数でございますので、現在の予算をもって十分でございますが、相談員等につきましては、今後この条約の趣旨も含めましてさらに拡充して対策を講じていかなければならぬ、そのように考えておる次第でございます。
○渡部(一)委員 それでは来年度における画期的な措置をひとつお願いしたいと、重ねて要望しておく次第であります。 次に、本協定の付表をごらんいただきたいのでありますが、これらの付表にありますさまざまな薬品は、日本の薬に関する法律あるいはその他の法律において販売を禁止されておりますか。一般の人がこういったものを購入することができるかどうか、その辺をお伺いします。
○松下政府委員 ただいまのお尋ねの単一条約の付表に掲げられておりますもののうちで医療用麻薬に該当いたしますものは、付表1の中のコカイン、モルヒネ、ペチジン、オキシコドン、レボルファノール、オキシモルフォン、それからフェンタニル、ドロテバノール、それから付表IIの中のコデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ、こういったものが麻薬に該当するものでございます。こういった麻薬につきましては、麻薬取締法によりまして麻薬小売業者の免許を受けた薬局におきまして、麻薬施用者といっておりますが、麻薬の処方せんを出す資格を付与されております医師の発行した麻薬処方せんによって調剤し、医療用に本人に交付する場合に限って交付することもできるし、また購入することもできる、そういう制約を受けるわけでございます。 それから付表IIIにおきましてはコデインとかそれからジヒドロコデイン、そういったものを製剤として燐酸コデインの百倍散、それから燐酸ジヒドロコデインの百倍散というものが含まれております。それらの百倍散は麻薬取締法におきましては家庭麻薬という範疇に入っております。また薬事法の規定によりましては劇薬であり、かつ指定医薬品という扱いになっておりまして、こういつたものの購入につきましても住所、氏名を明らかにした文書を徴するとかあるいは一定年齢以下の者に対しては交付してはならない、きびしい制約が課せられまして乱用を防止する施策をとっております。
○渡部(一)委員 医療用麻薬の御説明のとき、付表1の中で数点あげられましたが、その他のものについてはどうなっておるのでありますか。
○松下政府委員 いま申し上げたもの以外は医療用の麻薬としては使用されておらないものでございます。したがって、麻薬取締法の規定によりまして単に物として取り締まりの対象になるという性格のものでございまして、医療用には使用されておりません。
○渡部(一)委員 それは医療用に使用されてなくても、販売されていますか、いませんか。一般のしろうとが購入できますか、できませんか。あるいは海外から購入して買ってくることができますが、できませんか。
○松下政府委員 これは国内販売、輸入ともに禁じられております。
○渡部(一)委員 いまあなたが家庭麻薬の問題について仰せになりましたように、住所、氏名を明らかにして買い取るなどということはいまや厳格な規定にはならないのですね。住所、氏名は幾らでもインチキを言うて購入することが可能であります。したがっておたくのほうで、厚生省で出されている麻薬犯罪に関する幾つかの資料を拝見しましても、そういう家庭麻薬類を購入し、それを積み上げることによって麻薬のかわりに使ったとか、あるいは医療用の麻薬——医療用の麻薬については、医者をおどかしてこれを打たせたやくざの話なんかも出てきますし、また医者が自分に打っちゃってだめになった悲惨な話も出てまいります。これから先は教育の問題かもしれません。しかし少なくともこの麻薬の部分について住所、氏名をとれば責任が済むなどという厚生省の取り締まりの原則というのはちょっと問題ではないでしょうかね、明らかに。これは本協定の趣旨にも反するものではないかと私は思うのです。だから禁止していることにならない。だから私はこの点はもっと厳格にするべきではないだろうかと思うのです。いかがですか、その辺は。
○松下政府委員 いま先生が御指摘になった二点の問題のうちで、医療用の麻薬につきまして、ときとして医師を脅迫したりして中毒者が投与を受けるという例は残念ながらございます。この点につきましては、私どもも医務局のほうとも協力をいたし、麻薬取締官事務所あるいは警察等でもそういった点につきましては厳重な監視をいたしておりまして、医療用の麻薬の取り扱いについて非常に厳格な記載義務を課す等のことがございますので、調査すればほとんどがわかることでございますので、さらにこの監視はきびしくいたしたいと考えております。 それから先ほどの家庭麻薬の問題でございますけれども、これは申し上げましたようにせきどめに使います百倍散でございます。したがって燐酸コデインを百倍に乳糖等で薄めてあるものでございまして、あるいは一、二あったかもしれませんが、これを買い集めまして麻薬として使うということは相当困難なことであろうと私ども存じます。 なお、これは劇薬として指定されておるということで、劇薬の取り扱いについての薬事法の規定を適用して先ほど申し上げたような規制があるわけでございまして、これは家庭麻薬だけの問題ではございませんで、御指摘のような、このごろはこういった要指示薬品あるいは毒薬、劇薬の取り扱いにつきましては相当きびしい指導をいたしておりますし、薬局、薬店等におきましてもそういった誤りは少なくなっておると承知いたしておりますが、なおこういった点の取り締まりが不十分な点があれば、薬事監視員にも指示をいたしまして十分な取り締まりをいたしたいと考えます。
○渡部(一)委員 それは御指示なさるのは当然でしょうけれども、それではだめなんじゃないでしょうかね。つまり、要するに麻薬に関する単一条約で明らかにきめられているものを劇薬物扱いにして、わが国においてはこれに対する協定を守らなかったということになるわけですね。ですから、「各締約国は、その憲法上の制限に従うことを条件として、この条約の規定に違反する栽培並びに薬品の生産、製造、抽出、製剤、所持、提供、販売のための提供、分配、購入、販売、交付(名目のいかんを問わない。)、仲介、発送、通過発送、輸送、輸入、輸出その他この条約の規定に違反すると当該締約国が認めるいかなる行為も、それが故意に行なわれたときは処罰すべき犯罪となることを確保し、並びに重大な犯罪に対しては特に拘禁刑又はその他の自由を剥奪する刑による相当な処罰が行なわれることを確保する措置をとらなければならない。」三十六条の第一項の(a)であります。 そうすると、今度は外務省のほうに伺いますよ。厚生省がああいうふうになまぬるく劇薬扱いをしているなどということは、この協定に違反するではありませんか。いかがですか。だから私は、もし本協定にサインするならば、厚生省はもう少し、劇薬扱いじゃなくて麻薬扱い——麻薬は劇薬扱いするんじゃなくて、麻薬は麻薬扱いにするべきだ。少なくともいま細目にわたるものはこれにするべきではなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。これは御研究がちょっとできてないと私は思うのです。だから研究していただいたらどうでしょうか。明らかにこれは研究する値打ちのある項だと思うのです。そうでないと、こういう国際的な取りきめをするにあたって国内法との関連が明らかに問題になります。しかも国内の規定がゆるいわけです。これの逆の場合もありますが、ゆるいのですね。 私はこういう麻薬の問題については、ある一つの実際ケースを知っているわけですけれども、非常に濃度の薄い麻薬を買い集めまして、それを抽出精製しまして販売して、そしてそれによって一族を嘆かして、結局警察につかまったわけであります。数年前にそういう事件を自分で見たことがあります。 そういう例もあるものですから、こういう規定のゆるさのために犯罪者をふやすというのは法の精神に違反するのではないか、一つはそう思う。もう一つは国際法の規定の上からいってもまずい点が残っているのではないか、この両面にわたって思うわけです。したがって、国際法の規定のほうから推してくる考え方としては外務省に御協力を仰ぎたいし、御研究をいただきたいし、そしてこの規定した薬それ自体としての危険性を考えるためには厚生省のほうで御研究いただきたいと思うのですが、いかがですか。
○水野政府委員 渡部委員の御指摘のとおり、外務省と厚生省の間でよく連絡をいたしまして、実施上の諸問題についてさらに検討を加えていきたいと思います。
○渡部(一)委員 きのう私は自分の秘書を薬屋さんにやりまして、この項目の全項目について販売してくれるかどうか、薬の問屋さんに聞いてみました。そのときに実はわかったことなのであります。つまりこの中には麻薬でなく扱われているものがあるわけですね。そういう状況というのは決していい状況でない。したがって、この状況はすみやかに適切な処置を加えることが必要である、こう申し上げるわけであります。何なら現物を持ってきてきょうの委員会に提出したいと思ったんですけれども、きょうはそこまでやるのはやめたいと存じます。 今度は麻薬ではないものの話をしたいと思うわけであります。 一つはLSD、一つはヒロポン、一つはシンナー、セメダインのたぐいのことでありますが、これを事の関連上お伺いするわけであります。 向精神剤——どういう意味で向精神剤というのかよくわかりませんけれども、LSD、ヒロポンとかあるそうでありますが、こういうものを服用いたしますと、麻薬とほぼ同等の非常な打撃を与えることはすでに知られているとおりであります。LSD事犯におきましては、十代、二十代の占める割合が昭和四十六年度で九七・八%に達しているそうであり、またシンナー遊び、セメダイン遊びなどというものは、やはり十代に非常に多く、脳細胞を破壊するほどの力を持っているそうであります。こういうものを撲滅するために取り締まりを強化するのは当然である、と同時に取り締まりだけでなく、教育もしなければならぬと存じますが、どういう対策、どういう予算をもってどういうようにしようとされているのか、そしてまたどういう法律でどういうように処理されようとしておるか、それを伺いたい。LSD、ヒロポン、それからシンナー、セメダインのたぐいですね、お願いいたします。
○松下政府委員 LSDにつきましては、これは御承知のように麦角からとりますアルカロイドを原料といたします幻覚剤でございまして、これは多用いたしますと精神分裂症の症状を起こすというかなりおそろしい薬品でございます。ごく微量で、二十五から七十五マイクログラムくらいで幻覚作用とかめいてい感、それから多幸感というような変化を起こしまして、結局連用いたしますと、精神異常を起こす、あるいは染色体に異常を来たして胎児の奇形の原因になるというようなことも報告されております。そういう非常に危険なものでございますので、昭和四十五年にLSDが日本に入ってきたという情報を得まして直ちに政令をもちまして麻薬取締法の適用対象にこれを加えております。 いま御指摘のように、単一条約の中の付表には入ってないわけでございますけれども、日本におごましてはこれを厳重に取り締まりますために、麻薬取締法の適用対象として麻薬と同様な取り締まりを行なっておるというのが現状でございます。 それからヒロポンの俗称で呼ばれております覚せい剤につきましては、これは別途覚せい剤取締法が制定されておりまして、これも麻薬に準ずるような覚せい剤及び覚せい剤原料につきましての別制を国は設けまして、厳重な取り締まりを行はっておるところでございますが、特に最近におきまして覚せい剤の犯罪が激増しておる傾向がございます。これは、覚せい剤の害も麻薬に劣らないものがございまして、これも連用いたしますと精神分裂症の症状を残しまして治療が非常に困難だというような状態がございますので、本院の社会労働委員会におきまして委員長提案をもってさらに覚せい剤取締法の規制を強化いたしまして、覚せい剤原料についても個々の指定制度をとり、あるいは罰則を麻薬と同様に引き上げるというような改正の御検討を進められておると拝察いたしております。また、昨年の法律の改正によりまして、麻薬取締官、麻薬取締員も覚せい剤取締法の施行に関する司法警察権を付与されておりまして、麻薬と並んで一連のものとして警察とも緊密な連絡をとりながら取り締まりを行なっておる状況でございます。 それからシンナーとかボンドとかは、物といたしましては酢酸エチル、トリエンあるいははメタノールを含有いたしますシンナー及び接着剤ということになるわけでございますが、これも昨年の毒物及び劇物取締法の改正によりまして、この毒劇法の対象として指定いたしまして、みだりに摂取しあるいはは吸入する、あるいはこれらの目的で所持するということが禁止されまして、またこういう行為を行なった者、あるいは行なわれることを知りながら販売、授与した者に対しては罰則を適用するというような規定を設けました。ただ、これは青少年が多いわけでございますので、単に処罰をもって臨むという性格のものではございませんので、警察の青少年関係の部局あるいは総理府の青少年対策本部、厚生省の中では児童家庭局というようなところとも緊密な連絡をとりまして指導及び取り締まりを行なっておる、そういう実情でございます。
○渡部(一)委員 ただいまの問題について警察ではどういうような取り締まりをなさっておられますか。
○相川説明員 お答え申し上げます。 麻薬と並びまして覚せい剤につきましてもその害毒はおそるべきものがありますので、先ほど厚生省から御答弁がありましたように、覚せい剤事犯の取り締まりにつきましては、近く警察庁長官通達を各都道府県警察にも流しまして、強力な取り締まりを展開いたしたいと考えております。 覚せい剤の取り締まり状況でございますけれども、かつては、二十八、九年のころはいわゆるヒロポン全盛時代となりまして五万人近い検挙者を出していたわけですが、その後ずっと検挙者の数は少なくなりました。しかし最近になりましてこれまたたいへん復活したといいますか、ものすごい勢いで増大しておるわけです。四十七年の事犯の数を見ますと七千六百五十件になっております。検挙いたしました者の数は四千七百名ほどです。これを四十六年に比較いたしますと、件数、人員とも七割ぐらい一挙にふえているわけです。ことし上半期の検挙状況を最近まとめてみましたけれども、すでに半年で七千五百件近く、人員で四千三百人ほどになります。したがいまして、去年一年分をすでに半年で検挙しているというように、覚せい剤事犯の進展がうかがわれるわけです。 もう一つの問題は、覚せい剤事犯の検挙人員の中に暴力団というものが約六四%ほど含まれているわけです。人員で申し上げますと三千名ほどは暴力団員ということになります。これはことしの上半期でもやはり六一%というような高率を見せております。なぜ暴力団がこのように覚せい剤にかんでいるかと申しますと、これは御承知のように覚せい剤というものが暴力団の有力な資金源になっているということに基因するわけです。したがいまして暴力団の撲滅、あわせて覚せい剤事犯の検挙ということで対処いたしているようなわけです。 それから覚せい剤の中毒者ですけれども、これも検挙人員中の中毒者は昨年で約千五百名ほどになります。総検挙人員の三十五%近く、三人に一人くらいは中毒者というおそるべき状態がうかがわれます。このようなことで、覚せい剤の供給源がどこかということに着目いたしまして、従来からの韓国ルートによる密輸入、それから暴力団関係者による密造事犯、これらを中心に取り締まりを強化しておるわけですが、最近では香港ルートによる密輸入事犯あるいはフィリピンルートなども見受けられます。これらに対しても十分な取り締まりを行なっております。 それからもう一つは、暴力団の関係者以外の一般の市民層にこの覚せい剤が浸透する傾向もうかがわれるわけです。したがって、これらも厳戒いたしてまいりたいと思っております。 以上が覚せい剤でございますが、LSDにつきましても麻薬の新しい幻覚剤ということで、特に英国あるいはヨーロッパ諸国からの空輸による密輸入、あるいはヒッピー族などがヨーロッパ旅行をいたした際にわが国に持ち込むという事例があります。これはことしになりまして神奈川県で検挙した事例でございますけれども、やはりヒッピー族がヨーロッパ旅行いたしましてLSDを持ち込み、それを友だちに分かち与えて一緒にマージャンなどをやっていて、その間に幻覚症状を起こしましてマージャンぱいが手のひらくらいの大きさに見える。あるいはよく言われますように、色について音が聞こえてくる。だから絵を見ていると音が聞こえてくる。あるいは音楽を聞いていると、音楽の中に色が出てくるというような幻覚症状を起こすといわれております。そういうようなことで、若い者の層の間にこれが流行するきざしも見えるわけです。したがって、これの国内への持ち込み、特に密輸入について厳重な取り締まりを行なっているような状況です。 なお、シンナーなどにつきましても、青少年の間にこれをもてあそんで、酔っぱらったような状況を楽しむのでしょうけれども、過度の遊びにふけっていつの間にか若い命を死に至らしめるというような事例も枚挙にいとまありません。そういうようなことで、薬局その他学校関係者とも十分な連絡をとって、これの取り締まりといいますか補導、注意、指導に当たっているような次第でございます。
○渡部(一)委員 また少しめんどうなことを言わなければならないのですけれども、向精神剤に関する条約というものを厚生省薬務局の翻訳でいただきましたけれども、こういう向精神剤に関する条約というものをわが国はどういうふうにされたのですか。結ばれたのですか、何なんでしょうか。ここを見ますと、LSDだとか、いま問題になりましたものが幾つか入っておりますね。この麻薬に関する条約と表裏一体をなすような形のものであります。この条約はいつ交渉され、批准され、受諾されたのか。さっきからやっておりますが、どういうことになっておるか御説明を仰ぎたい。当委員会は存知しておりませんので……。
○松永政府委員 この条約は一九七一年の二月二十一日にウィーンにおいて採択されております。わが国は一九七一年十二月二十一日署名をいたしております。
○渡部(一)委員 署名されたのは昨年の十二月ですね。
○松永政府委員 一昨年になります。
○渡部(一)委員 これはわが国は批准したのですかしないのですか。
○松永政府委員 国内法の整備の問題と、それからこの条約は四十カ国の批准を待って発効することになっておりますが、現在まで十一カ国が批准いたしております。わが国はいま申しました国内法関係の検討を待ってから批准の手続を進めたいと考えておるものでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、いつごろ国会にこれを持ってこられる見込みですか。
○松下政府委員 いま外務省のほうからも御答弁がございましたように、向精神剤に関する条約を署名いたしまして以来、私どもといたしましては——御承知のようにこの内容は四つの部門に分かれておるわけでございますが、これを批准いたします前提としては、現在この中に含まれますものとして、先ほど御質問がありましたようなLSDであるとかあるいは覚せい剤あるいはいまの精神神経科用剤として使われておりますいろいろな系統の向精神薬、そういったものが相当含まれておるわけでございます。全体的に薬物乱用を規制するという目的のものでございまして、私ども保健衛生を担当しております省としても、できるだけこれは早く批准し、発効させていただかなければならない、そういう考え方でございます。ただ同時に、これを批准いたしますためには、その前提となります国内法の整備あるいはそれに伴います諸種の向精神薬に対する技術的な基準等の策定、標準品の策定、そういったものが必要でございまして、現在鋭意準備に取り組んでおる段階でございます。したがって、あと一両年の日時をかしていただきたい、そのように考えております。
○渡部(一)委員 また変な話になってきちゃうんですけれども、そうおっしゃるんだったらこういうことになっているわけです。ただいま審議中の麻薬に関する単一条約の付表の部分をぼくはわざわざ不問に付した言い方をいたしましてお話を打ち切ったわけでありますが、この単一条約の付表の部分は明らかに日本の法制と違うわけでしょう。そうすると、その麻薬に関しては、国際条約では麻薬ときめておいて国内では毒物及び劇物取締法か何かでごまかした部分がちゃんとある。御自分でもおっしゃった。しかもわが国の憲法の九十八条で「日本國が締結した條約及び確立された國際法規は、これを誠實に遵守することを必要とする。」とあるじゃありませんか。そうしたら、日本の国内法が付表と違うんだ。それじゃそういう式の向精神剤のやり方でいくならば、この付表に合うように厚生省薬務局は麻薬に対する定義を変え、劇物取締法の中に入っていた薬品を麻薬のほうに移さなければならなかったはずです。それからこれを出すべきじゃなかったのですか。そうでしょう。そうすると外務省はすごいエラーをやったわけです。国際法を守るつもりのない、守れない形のものをいま堂々とここへ出してきたわけです。付表を見なかったのでしょう、これは薬屋さんが見るのだろうと思って。条約局がまたこういうようなお粗未なものを出したのでしょう。こんないいかげんな条約をまた出した。どっちかあやまりなさい。
○松下政府委員 先ほど先生の御質問に対しまして政務次官から両省相談の上でさらに検討するということを申し上げたわけでございまして、私どももなお外務省当局とこの条約との関連におきまして国内法に万一不備がありましたならば、適当な整備をいたしますことにはやぶさかではございませんが、私ども現在に至りますまでに、この単一条約の条文に照らしまして、先ほど御指摘になりました家庭麻薬の取り扱いにつきましては、了解といたしまして、第三表に掲げております、私どもの言っておりますいわゆる家庭麻薬といった範疇に属します薬品につきましては、必ずしも日本国内法の麻薬取締法の規定でもって規制しなければならないということでなくて、単一条約の内容に含まれております具体的な規制の処置、たとえば数量の規制をする、数量を記録してそういったことがきちんと規制されるようなたてまえをとるというようなことが実行されるならば、しかもそういった規制措置が一連の薬事関係の法規によって行なわれるという保障がありますならば、それでこの条約の要求を満たすものであろうという前提のもとに御審議をお願いしておるわけでございます。一方で先ほど申し上げましたように、家庭麻薬に使っております燐酸コデインあるいはジヒドロコデインの百倍散は非常に有効なせきどめの薬でございまして、したがってこういったものの購入につきましては、国民の医療というサイドから考えますと、必要なときに必要な量をきちんと自分の用途なり住所、氏名を明らかにすることによって薬局、薬店で購入することができるということが医療上の要請でございます。そういった点を考え合わせますと、現在の薬事法の規定によりまして一応条約の規定に適合するものであるのではないか、かように考えておる次第でございます。
○渡部(一)委員 日本国憲法の規定は、その条約がいいとか悪いとか言っているのじゃなくて、「締結した條約及び確立された國際法規は、これを誠實に遵守することを必要とする。」といっているわけですね。というのは、戦前の日本が国際法規をしばしば国内法及び国内情勢を理由として踏みにじったことに対する深い反省から生まれたものですね。ですからいまみたいな言い方をしますと、結局満州国をつくり上げて世界じゅうとけんかするようなそういう論理に通じていくわけです。だからわざわざ「誠實に遵守する」とここに明記されているわけです。いま確かに燐酸コデインの百倍散について、それが薬として有用であるという御説明については私も同感です。また薬務局長がそうおっしゃるのですから、特にそれが重要な薬であろうとも私は思います。しかし国際法としてこれを守った際に、日本がこれをかぜ薬として重要なんだからといって、また別な形で取り締まれるのだからといって、この条約の部分にきわめて疑義のあるような取り締まり方法に転ずることは問題であるとしなければならないと思うのです。しかもこの条約はかなりきびしい条約ですね。先ほど申し上げたように、生産、製造、抽出、製剤、所持、提供、販売のための提供、分配、購入、販売、交付(名目のいかんを問わない。)、仲介、発送、通過発送、輸送、輸入、輸出」とまで言っておられるわけですね。だからこういう問題を扱う場合には、今後とも注意をなされなければならない。そうするともう一回協定をし直さなければ、協議をし直さなければ、とてもきょうは御返事は不可能だろうと私は思うのです。だから私は、この条約を阻止するために言っているんじゃなくて、この条約を通過させるとともに、国内法規についても完ぺきな対応策というものが必要であり、そのためには外務省のほうとされても、付表の問題までよく目を配られて、関係各省庁と打ち合わせをされて、それにふさわしい国内法を、暫定的にでなくて早急につくり上げられることが必要ではなかろうかと私申し上げておるわけです。だから私は、向精神剤に関する条約についてはもっとスピードアップしていただきたい、これはあらためて要望したいと存じます。そうでないと、この麻薬に関する単一条約で明らかに漏れるものもあるのでありますし、また向精神剤に関する問題は、日本国だけが取り締まったって、世界じゅうの国々で向精神剤がめったやたらに販売されておれば、結局被害を受けるのは日本でありますから、これも早く協定を結んでいただきたい、促進をしていただきたい、まだ批准した国が少ないそうでありますけれども、それもひとつあわせてお願いしたい、こう思っておるわけであります。私の質問は非常に多岐にわたりましたけれども、この問題はきわめて重要でありますので、きょうは徹底的に申し上げたわけであります。最後に、いままでの質問を通しまして政務次官にお答えを一言いただきたい。それは、この麻薬に関する、ただいま申し上げました関係各局の総合した打ち合わせをもって、この条約の精神と国内法が違反しないように、また実際的な措置が的確に行なわれ、取り締まり状況と相照らし合わせて行なわれるように、また青少年に対する教育も徹底的に行なわれて、麻薬、向精神剤の青少年に対する被害を最小限に食いとめられるように、また向精神剤に関する条約は、一刻も早く関係国内法規を整備されて当委員会に提出されますように、促進をされますように、そういった点を含めて私の希望を申し上げ、御答弁をいただきたいと思います。
○水野政府委員 ただいま渡部先生から麻薬及び向精神剤につきましていろいろと御指摘をいただきました。特に国際条約と国内法規との食い違いの問題点、あるいは今後実施上の諸問題についていろいろと御示唆をいただきましたが、この点につきましては外務省、厚生省あるいは警察庁、法務省などとよく打ち合わせいたしまして、実施に遺漏なきように、あるいは法規上不備な点は今後それを充実していくということに努力をいたしたいと思います。
○渡部(一)委員 以上をもって、私の質問を終了します。
○藤井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時五十三分散会