外務委員会 第25号
- 発言数
- 172 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/06/27
会議録
○藤井委員長 これより会議を開きます。 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
○石野委員 去る二十五日にサンクレメンテで米ソ共同声明が発表されましたが、これは非常に各般にわたってのことでございますけれども、いま本委員会で問題になっております日米原子力協定に関連する問題としては、「核戦争の防止と戦略兵器の制限」という条項がございますが、この条項に関連して世界のいろいろな憶測がありますし、われわれもやはりこれは核防条約の問題等を含めて非常に重要だと思っています。私たちの見解もそうだし、世界のいろいろな各地の情報を見ましても、この条約は実質的には超大国における核支配を米ソで都合のよいように、世界平和だと言いならしてやったものだ、こういう言い方をしております。私も大体そういうふうに感じるのですが、外務大臣はこの問題についてはどういうような所見でございましょうか。
○大平国務大臣 米ソ両国の間におきまして、核戦争防止協定というものが最高首脳の間で調印の運びになりましたことは、政治的に非常に大きな意味があると私は思います。もともと核戦争ばかりでなく、通常兵器による戦争もあってはならない、そしてそれを防止しなければならないことが国連憲章の道標であることは御案内のとおりでございます。このことはいわば当然の良識をうたったものでございますけれども、これを協定の形で誓い合ったということに、両国の信頼関係がここまで固まってきつつあることを、平和の観点から高く評価いたしたいと存じております。 さらに、そのことが今後SALT交渉等を通じまして、核兵器の相互削減ということに進んでまいりますことを期待いたしますと同時に、そのことが両国の首脳の決意として表明されておることにも、私どもは期待をつなぐわけでございます。 現実に核兵器というものがある以上、その制御ということが人類の命運にとりまして大きな課題であるわけでございますので、核二大国がそういうような段階にまでまいりましたことは、ともかくわれわれとしては歓迎し、そのラインで今後一そう核兵器の削減という方向に実のある成果があがってまいりますことを期待するものでございます。
○石野委員 外務大臣は、この共同声明の中で盛られた米ソの取りきめた問題が、核兵器の削減の方向に、非常にいい方向に向かうだろうということで歓迎する、そういう所見ですが、この緊密化の度合いというものは、世界において核超大国としての米ソの両国が、むしろそのことによって世界に対する制覇を一そう確実にしていくという意味合いを持っているという見方が強いわけです。ことにフランスなどでは、この二大国が世界を再編成しようとする以上、NATOの再検討も必要だということもいわれておるし、あるいは米ソがこういうようにして世界を取り仕切っていくなら、もう中小の諸国はどんなにいろいろなことを考えて協議してみても、それはもはや第二義的な意味しか持っていないのじゃないかというような見方もあります。私はそういう観点に対して、外務大臣はどのような考え方を持っておられるかということをこの際ひとつ聞かせてもらいたい。
○大平国務大臣 私は基本的にそういう考え方をとりません。何となれば、冷戦段階におきましてはこの二大超大国というものはそれぞれの陣営におきましてゆるぎない指導力を持ち、掌握力を発揮いたしておったかのように見えるわけでございますけれども、その後の情勢の進展は必ずしもそういう姿においてではなくて、両陣営の内部におきまして米ソ両国の指導力、掌握力というものには限界があるというようなことがだんだん実証されてまいりまして、世界は軍事的に確かに二大極を持っておることは変わりはございませんけれども、もっと精細に吟味すれば、もっと多極化しつつあるのではないかということ、それから軍事力というもの自体が絶対的な力ではなくて、軍事力をどのように評価するかというようなことがいまわれわれにとって大きな問題として投げかけられておるような時代になってきておると思うのでございまして、今日の段階は、石野委員が言われましたような方向に、二大超大国のゆるぎない支配がますます強固になって、中流国家、小国家は行動の選択を非常に狭められた状態になりつつあるのであるというように見るのは、いささか私はそういう考え方には、どうもそう思えないのでございます。
○石野委員 今度核戦争防止原則協定というのができて、それの四条には、この協定の締約国でない諸国間の関係が、米ソ両国間あるいは一方と他の国との間の核戦争の危険をはらむと見られるときには、米ソ両国がその協定の条項に従って直ちに相互の間で緊急協議に入る、危険回避に全力を尽くす、とこうあるのです。この米ソの両国が緊急会議をして事態を回避するということの意味は、非常に聞こえはいいのだけれども、一方では先ほど私が述べたように、米ソを除く諸国から見れば、むしろ米ソの核大国の恣意のままにいろんな問題が処理されてしまうだろうという、そういう懸念をやはり持たざるを得ない、こういうように私は思うわけです。先般核防条約ができて政府が調印をするときに、この条約の調印にあたって政府は必ずしもこれに対して無条件で賛成をしたとは思えません。当時の新聞情報によりますと、政府としてもこの核兵器不拡散条約署名にあたっては少なくとも二つの点でやはり問題があったと思うのです。その一つは、核大国と非核武装国との区別がもう固定化してしまうだろうということ。それからもう一つは、米ソの優越的地位の恒久化がもたらされるだろうという心配を外務省自身あるいは政府自身が持っておったと思うし、また現実そうだと思うのです。核戦争防止原則協定というもののいま読み上げた四条の規定というのは、まさにそういうようなことをやはり意味しておるのではないかというようにも私は思います。そういう点については外務大臣はどういうふうにお考えですか。
○大平国務大臣 わが国がNPTを署名いたしましたときに幾つかの留保をつけておりましたことは御案内のとおりでございまして、その第一は、核保有国の核軍縮が進んでいくということが一つであったと思うのでございます。その点につきましては今度の米ソの核戦争防止協定というようなものは、私はそういう角度から日本政府が当時考えました留保条件の一つに対しまして明るい光を投ずるものである。これによってその問題が完全にクリアされたわけではございませんけれども、核軍縮の方向を目ざしておるという限りにおきましてやはりマイナスではなく、プラスの作用を持って、おるものと私は思います。
○石野委員 核保有国に対する核軍縮の義務づけというものが十分なされてないのがいわゆるNPTの非常に重要なわれわれの懸念したところですが、それがいま大臣が言うように、核軍縮の方向へ向いているというふうに考えられる、その根拠は何か。特に核保有国というのは米ソだけではありませんから、ほかにも中国とかフランスがあるわけです。イギリスもあるわけです。そういう国々との間の話し合いというものを受け入れる体制というよりむしろ排除する体制のほうが強いのじゃないだろうか、私はそういうふうに思うのですが、そういう点について政府は何か保証されるような感触があるのですか。そうでないことを保証する……。
○大平国務大臣 米ソ両国がこういう協定の姿で核戦争を防止するばかりでなく、現に開かれておりまするSALT交渉をより一そう実のあるものにしようという決意を表明いたしておることは、それ自体たいへん歓迎すべきことでございまして、その他の核保有国と米ソの間にどういうやりとりがあったかというような点につきましては私どもも深くは存じません。存じませんけれども、二大核保有国がそういう方向に決意を新たにしてきたということは、どう見てもこれを低く評価する理由は一つもないと私は考えます。
○石野委員 大臣は、今度のサンクレメンテの共同声明が核軍縮に向かって、米ソの体制というものがいい方向に向いているということを高く評価されるということを言いましたが、日本の立場からしてこういう問題についていまはっきりした態度をとるべきだろうと思うのです。私どもはやはり日本は原爆の被害を受けている世界でもただ一つの国だし、かねてから核非武装ということを強く主張しているわけですが、今度のサンクレメンテの方向がもし大臣の言うような方向に、それがいいという評価をされるとするならば、むしろわが国の立場からすれば核武装あるいは核軍備というものについてもっと大胆にわが国独自の態度表明をこの際することが非常に大事なんじゃないだろうか、私はそう思うのですが、大臣はその点についてはどうですか。
○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、わが国は石野さんがおっしゃったようなラインで軍縮委員会等を通じまして精力的にそういう方向への行動を終始やっておるわけでございます。この努力は今後も一そう精力的に続けてまいる既定の方針に全然変わりはございません。
○石野委員 ということは、政府は非核武装についてのはっきりした態度表明、宣言というようなものをするだけの用意があるということの意味ですか。
○大平国務大臣 非核武装、非核三原則といわれる一連のわが国の核政策というものは、すでにもう政府が国会にたびたび声明いたしておるところでございますし、わが国の国内にもこれに反対の勢力はどこにもないわけでございまして、私は日本国のゆるぎない立場であると承知いたしております。
○石野委員 サンクレメンテの声明が、米ソ、核超大国としての二つの国が合意に達して、緊急会議などをやりながら世界に制覇をきわめていこうということに対する懸念は非核保有国のどの国も持っているし、それから核保有国である中国あるいはフランスも同じようにやはり持っているだろうと思うのです。私はサンクレメンテの共同声明というのは、中国だとかあるいはフランス、イギリスとかいうような核保有国のそれぞれの国がともどもにその協議の中に入らないで米ソだけがこういう形で持っているというごとのほうがかえって核戦争というものに対する危険性をはらんでくるだろうし、将来に対して懸念を非常に大きく持たせるものだ、こういうふうに思います。そういう意味で先ほど大臣が言ったような立場からすれば、中国とかあるいはフランス等をこの会議との関連性の中でどういうふうに考えるかということについての明確な態度を表明する必要があると思うし、またそういうことが十分かね合わされなければ、かえって米ソの共同声明というものは、むしろ各国間における懸念とあるいは不信任の態勢というものを強めていって、世界平和というものに対して逆に不安感を増大するような形になりはせぬか。それと同時に、また米ソが超大国だという虚勢をますます張っていくような、そういう非常に不自然な姿が出てくるんじゃないかというように私は懸念するのですが、そういう点では大臣はどういうふうに考えますか。
○大平国務大臣 そもそも今度の核戦争防止協定というのは、従来米ソ間にありましたホットラインというようなものを協定面にうたったというもので、実態的にはそういうものだと私は思うのでございまして、新しいものをそこで生み出したわけでなくて、すでにいま進んでおるそういう体制を協定という姿で確実なものにしようという、そういう性格を持っていると思うのでございます。このために他の国が米ソ両国に対してこの協定を締結したからというて特に目の色を変えるという必要は毛頭ないのじゃないかと考えます。しかしあなたが言われたように、その他の核保有国等と同一の歩調がとられるという保証が望ましいわけでございまして、そういう努力は軍縮委員会等を通じまして、先ほど申しましたようにわれわれといたしましては精力的に展開していく必要があると思うのでございます。事柄はたいへんむずかしゅうございますけれども、たんねんにやってまいらなければならぬ大事な仕事であると思います。
○石野委員 私はやはりいま大臣の所見のように米ソだけで核問題について押し切っていくということは、すでにまだ核保有国がその他にもありますし、そしてまた米ソの核保有二大国というものがほしいままに世界制覇の意図を、それはただ軍備だけじゃなくて政治、経済、外交すべての面でそういう威力を発揮しようという意図が明らかだと思いますから、そういう意味でも私はやはり大臣がいま言われたような点について積極的に対処されることが望ましい、こう思うのです。そういう点についてもう一度大臣の所見を聞いておきたいと思うのです。
○大平国務大臣 第一にわが国の核政策、非核三原則というものを踏まえて、そして核軍縮それから核兵器の絶滅という方向に軍縮委員会その他あらゆるフォーラムを通じまして、わが国といたしましては精力的に行動して世界の世論に訴えてまいらなければならぬと考えております。
○石野委員 議案の審議の問題に関連してですから、時間の関係もありますのでその点はまた他日にいたしますが、私は原子力の日米間におけるところの協定案を審議するにあたって、日本がウラン燃料確保のために原子力発電というものを積極的に進める、そういう観点から私もその点については別に反対でも何でもありません。ただ原子力というものを使って発電するにあたって、原子炉の安全性の問題とかあるいはその原子力発電所を設置する地域においてその周辺の地域住民との間における安全性の確保の観点、そういう点でこの協定を審議するにあたって日本の国内におけるところの体制固めなり心がまえというものが総観的に非常に重要な役割りを持っておる、こう思います。特に原子炉についての安全性問題はかねてからいろいろな点で問題が多うございます。先般本委員会において参考人に来ていただいたときにも私は申し述べましたが、ちょうど関西電力の美浜の発電炉で御承知のように蒸気発生器に事故があった。そして私たちの予想もしないような細管の盲栓工事というものをやっている。八千八百本のうち約千九百本も盲栓工事をやってそれでもなお三十四万キロワットの発電所は予定どおりの稼働ができるのだというようなことをうそぶいている。こういうかまえについて私は非常に不安を持っておる。先般田中参考人は、安全性はだいじょうぶなんということを言っておるけれども、実際問題として、これはだいじょうぶだなんということは言えるものじゃないと思うのです。 たまたまきょうの新聞を見てみますと福島に事故が起きております。福島の発電所の事故は、新聞の記事を見れば、非常に大きく出ているわけですよね。そして、ことにこの事故は操作の誤りだということなんですが、東電福島での今度の事故について、その概要をひとつ当局から聞かしていただきたい。
○成田政府委員 福島原子力発電所の放射性廃液の漏れの事故が六月二十五日の午後五時ごろ発生しております。 これは、一号炉、二号炉共用の、廃棄物のフィルタースラッジの地下貯蔵タンクの上澄み液のろ過作業を行なっておりましたところ、一階の床面にありますドレン配管の吸い込み口が詰まっておりまして、そのため廃液がドレンを伝わって正当に流れず、建物の一階の床にこぼれ、その一部が屋外に流出して、敷地内の土壌に浸透、汚染をしたということでございます。屋外への流出廃液量は〇・二立方メーター、浸透面積は約二十八平方メーター、深さは約五センチ、汚染密度は最大五・五×一〇のマイナス三乗マイクロキュリーセンチメーター平方であります。 この原因としましては、二つの作業上のミスがあったというふうに考えております。一つは、当然バルブを締めてこういう廃液が漏れないようになっておりますのが、バルブの閉じ方が不完全であったために、そのパイプから漏れたということ。それから、ドレン配管が詰まっていなければ、そのドレン配管を通しまして、屋外に漏れることなく流れるのでありますが、それが何かの原因で詰まっておったために床の上に広がり、そして屋外に漏れた。 それで、この廃棄物の処理は無人操作でありますが、その作業員のバルブの締め方が十分でなかったということと、ドレン配管の詰まっておるという状態が事前に予知できなかった、そういう二つの、作業上の非常に単純なミスでありますが、こういう大きな廃液の漏れという事態を起こしたことは、われわれとしても非常に遺憾に考え、会社でも、その汚染された土壌を全部ドラムかんに詰めて、ほかに影響のないように処理をした。それから幸いに無人施設でありますので、従業員等に対する汚染、被曝という問題はなかったということでございますが、福島事務所を通して、厳重な実態調査、保安教育の徹底その他、東電に対して十分な注意を促しているところでございます。
○石野委員 無人装置であったからとか、ドレン管が詰まっておるのがわからなかったからというにしても、この廃液は非常に濃度も高いわけですから、そう簡単に単純なミスでは済まされないと思うのです。特に、この漏れた量が二・九立方メーターですから、約三立方メーター、これはたいへんな量だと思うのです。そして、いま一つ大事なことは、それが屋外に流れ出ることが問題だと思うのですよ。やはり作業監督なりあるいは安全性審査の中でこういう問題が——いま局長は単純なミスだと言いましたけれども、これは非常に濃度も高いものですし、しかも屋外に出てきているわけですよね。こういうことからいうと、これは簡単に単純なミスでは済まされないと思うのです。いろいろな問題がこの中に含まれていると思うのです。無人操作をするようなところであるならば、その建屋施設というものは、どんな事故があっても外に漏れないようにしない限りは安全ではないはずですよ。こういう点からいうと、建築物の設計のとおりにやったから、それで建築確認ができたんだというようなことは許されなくなる。建築確認を知事がやるわけですけれどもね。知事が設計どおりやっておればいいんだというようなことでは許されない。だから、原子力施設については普通の建物と同じような感覚ではいけないんだということを私たちはしばしば言っている。普通の木造建屋だったら、風がすうすう通って、モルタルあるいはセメントの建物よりもかえって換気がよくて湿けがなくていいんだというようなことになるけれども、原子力の施設に関する限りはその建物の設計が完全無欠でない限りは安全性の保証はできないと思う。私は、建物について安全性を確認するということについては、設計上だけではいけないと思うのですよ。こういうような問題を含めて設計の建築確認というものが行なわれないと、これはもうたいへんな事故につながるだろうと思う。だから建築確認は、原子力に関しては普通の建物のようなことで知事が安易に確認をするということは許されないと思いますが、いかがでございましょうか。
○成田政府委員 今度の問題は決して単純な作業上のミスに終わる問題ではなくて、いろいろな問題を含んでおると思います。ただ、今度の問題に関連しまして、構造上の建築確認の問題であるのか、あるいは運転上の問題、保安教育等の問題であるのか、その点につきましては詳しく検討して問題点を詰めていきたいと考えております。先ほど言いましたように、作業員のバルブの締め方が十分でなかった。それからドレン配管が何かの原因で詰まっていることが事前に予知できなかった。これは、構造的に事前にそういうことがわかるシステムになっておれば一番いいのかもしれませんが、作業員の保安教育の徹底、その他チェック制度の確立とか、運転上の問題で解決すべきものも相当あるんじゃないか。これは構造上の建築確認等の問題によって解決すべき問題であるかどうか、もうちょっと慎重に検討してみたいと思っております。
○石野委員 もし局長の言うようなことであるならば、私は無人の操作をすべきでないと思うのです。無人操作をするときには、あらゆる角度から見て安全だということの保証があるから無人操作をやっているんだろうと思うのですよ。こういう事故が出てきておってもなお無人でやるということは、ただ資本の側が合理化を進めてコストを安くするということだけに観点があるといわれても、決してこれは言い過ぎじゃないと思うのです。こういうような事故が起きてきた以上は、ただこれを作業員のミスだということだけでおいてはいけないと思うのです。かりに作業員のミスがあったら、すぐそれが察知できるような構造の施設がなかったら、無人操作なんというのは許すべきじゃないのですよ。私は、この運営にあたって経営者の側が非常にやはり原子力の安全性に対して安易な考え方、そういうことに基因していると思うのです。私はこの安易な考え方をきわめて重大だと思っております。本協定を審議するにあたって一番大事なのは、この安易な考え方をすべての角度からやはり追及しなければならないことだと思っているのです。私は、少なくともやはりこの廃液漏れの問題については早急に、もしいま局長の言うようなことであるならば、これは無人操作をやめるべきですよ、こういうようなことが起きる以上は。局長どうですか。
○成田政府委員 この装置は無人操作になっておりますが、ただそういう操作をやる前に十分にやはり作業員によっていろんな重要な個所はチェックして、その上で安全性はだいじょうぶであるということを確認して無人運転に入るという形のものであったというふうに考えております。そのチェックが十分でなかったということでありますので、われわれこの確認に対しては徹底的に究明して、先生御指摘のように、単なる作業上のミスにとどまるべき問題ではない。いろいろ大きな問題も含んでおることと思いますので、あるいは構造上の問題、あるいは保安教育の問題、その他事前チェックの徹底、チェック制度が十分であるかどうか、十分原因を究明して、今後こういう事態がないように、保安規定の実施状況の監視等も含めまして、十分安全の徹底をはかりたいと考えております。
○石野委員 私は中レベルの廃液が管理区域外に漏れるということはきわめて重大なことだと思うのですよ。これは科学技術庁自身だってそういうように考えていると思います。ところが、そういうことに対して、経営の任に当たる者、管理の任に当たっている者が非常に安易な考え方でこれを処置しているわけですね。こういうようなことがやはり至るところで起きてきている。もう別に福島だけじゃないのですよ。東海村だってあるいは敦賀だって、どこだってみんなそういうような問題に関連していると私は思います。 そういうようなことから、私の感じるところでは、原子力についてのやはり政府なりあるいは施設者の側、電力会社等の側は、非常にこの施設を拡大強化することにのみ狂奔しておって、そしてそういうような配慮の面に対する反省が、おそらくほとんど行なわれていない。日本の原子力産業に携わっている者は、他の諸国よりも、もっともっとやはり、きびしい態勢で臨んでいるのだよということは常に言っておりますけれども、しかし、それよりもまだはるかに高度成長を要求しているのですよ。だからこういう事故が出てきていると私は思うのです。特に日本の場合は、先ほど核不拡散条約の問題でも触れたように、日本は被爆国としての唯一の国なんですよ。そうであるだけに、あなた方からすれば核アレルギーと言われるほどに神経質にみんなが心配しているわけでしょう。だのに、施設者の側はもうだいじょうぶだだいじょうぶだでものごとを進めていっている。先般参考人としておいでになった田中参考人が、関西電力のああいう事故を見ていながらでも、安全性はだいじょうぶだということをここで言っているのですよ。もしそういうように信じているとするならば、私はもう田中さんのやはり原子力に対するなにを疑います。承知の上で言っているのならば、この国会に対して偽証をしていることなんです。そうでしょう。田中さんは、ほんとうに技術屋として原子力の問題をよく知っているはずです。敦賀における美浜の原子炉におけるところのあの事故もだいじょうぶでございますと言うことなど、技術者として、経営者として言える義理じゃないわけだ。それにもかかわらず、ここでああいうことを言っているということは、委員会をばかにしている。私はこれは許せないと思っているんです、実際問題言って。もっと謙虚な立場がなければならないと思います。そういう態度だからこそ、こういう事故が次々起きてきている。そうしてその上に乗っかっていまこの原子力協定の六千万キロワットの燃料の要求が出てきているのでしょう。私はこういう点にもっと慎重でなければならない問題があると思っているんですよ。いたずらに炉を多く設置するだけが能じゃないですよ。事故がもし一たび炉の中でどこかで起きてごらんなさい。もしどこかの炉で水俣病のような事故が起きたら、全部の炉がだめになりますよ。そのことを科学技術庁の長官はよく知っているんですか。大臣はどうなんです。
○前田国務大臣 石野先生の御指摘は、原子力発電というものはエネルギーの確保という観点からその必要性は認める、しかしながら、日本国内においてはその安全性並びに地域との調和等の点について問題があるじゃないかという点に尽きると思うのでございますが、その例として美浜の問題あるいは福島の問題、福島の廃液たれ流しの問題等の御指摘をいただいたわけでございます。そのうちで福島の廃液たれ流しの問題につきましては、先刻来成田政府委員からも御答辞いたしましたが、構造上の問題である、あるいはまた保安教育の問題で少したるんであるのじゃないかという問題そういう問題を徹底的に究明をいたしたいというふうに考えております。ただ、その考え方が、無人操作をやるということにつきまして、それはコストの面から安上がりにするために無人操作をやっているんだという考え方に立っておるとすれば、全く先生の御指導のとおり、これはけしからぬ話でありまして、その点は厳重に私もよく検討してチェックしていきたいというふうに考えております。 放射能の高い管理区域で無人操作をするということがこれは必要でありますけれども、その異常を検出できる体制、何かおかしなものが——無人操作が全然悪いというふうにきめつけるわけにもいかないのでございまして、その点は決して企業側の立場を代表して私言っておるのではございませんけれども、無人操作も異常を検出できぬ体制ならば、こういうことは絶対やめるべきである。その点は厳重にチェックしつつ、まあ無人操作が全然いかぬというわけじゃございませんけれども、厳重にその点を、ただコストの点、コストの点というだけで安全性を安易に考えるという考え方は、これはけしからぬ話だと思っています。私はそういう考え方に立っておるとは思っておりませんけれども、安全性を確保するということは、とにかく原子力発電の第一の問題第二の問題、第三の問題、一番大事な問題でございますので、その点は、今後とも十分安全性の確保ということに全力を傾倒いたしまして原子力発電というものを推進——推進ということばがあるいは先生のかんにさわるかもしれませんが、進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○石野委員 ことばの上だけで長官は安全性の問題を考えると言っても、しかしたとえばこの協定でいえば、この協定の附表をごらんになればわかるように、この附表のここにずっと並べられた発電炉は、いわゆる所要の燃料として三十二万八千三百五十二キログラムのウラン二三五の総量を契約する内容なんですよ。それでこれに対する発電所は二十七だ。二十七をつくるわけでしょう。そしてそれのいわゆる炉のやはり熱量からいえば、これは二万六十九メガワットになるわけですよ。これだけ膨大なものの炉に対する燃料を確保するためのこれは協定なんですよ。それでこの二十七の炉の中であっちにもこっちにも事故が続出しているわけだ。そしてこの協定は、ほとんど軽水炉ですから、軽水炉はほとんどアメリカのものに限られておるし、燃料もまたそれにリンクしておりますから、アメリカの一手売り、日本はそれを買わされているという、こういう形になる。日本ではもう事故が次から次へ出ている。われわれはやはり原子力の安全性というものを確保するために、安全性の確保というのはただ炉がしっかりしていればいいというだけではないのですよ。燃料をつくるところから燃料を使用してその再処理をする段階に至るまで、廃棄物をどういうように処理するかというようなことまでも、ドラムかんの処理をどうするのだということまで含めて安全性をわれわれは考えなければいけない。その処理ができなければ、われわれはこういう計画を持っておったって実行できないわけですよ。 私は茨城の出身ですが、いま茨城県のほうから、たとえばこれは前田さんのところへ岩上知事から「核燃料の輸送体制の確立について」という要望が出ているはずです。この要望の中では「核燃料再処理工場に対する使用済燃料輸送のための専用港湾施設及び専用道路の整備を図ること。」などということできておる。あるいはまた「核燃料輸送に関する関係法規の整備を早急に図ること。」ということが、これは本年五月九日に出ているはずです。 それでこの要請を県はやっておりますが、ところが当面の問題になるいま日立港があります。その日立港を持っておるところの日立の市役所は、全国各地の原子力発電所から東海村の再処理工場へ輸送されてくる使用済み核燃料の搬入港として日立港が使用されることに対して、日立市当局は拒否する方針をきめましたと、こうあるのですよ。横浜でも飛鳥田さんが、いわゆる使用済み燃料の持ち込みは反対です、こう言っている。それから日立港はまた日立港でよそさまでできたものをここへ持ってきてもらっては困りますということを言っているわけだ。いま福島あるいは敦賀、至るところで原子力発電所ができるのですが、そこで使用済み燃料はもう山ほど出てきます。その再処理は、当面これは東海村に上がってくるのですけれども、東海村で今度は日立港が受け入れば反対だというのですよ。こういう体制もできないままに、こんな膨大な発電所をつくってどうするのですか。そういうことについてのどういうような策があるか。たとえば廃棄物の処理だとか何かについて、これに見合うような廃棄物の処理計画、あるいは再処理工場にしても何にしてもそうですが、そういうような計画があるならこれを明確に示してください。
○成田政府委員 原子力発電所が増加してまいりますと、使用済み燃料が当然発生して相当な量になるわけでございます。 それで現在動力炉・核燃料開発事業団が東海村でつくっておりますところのパーデー〇・七トンの能力の再処理工場、これができましても昭和五十三年ごろになりますと能力が一ぱいになる状態でございますから、したがいまして第二処理工場を民間で、これは原子力委員会が昨年六月につくりました長期計画においても第二工場を民間でつくることを原子力委員会としては希望している。まだその具体的な計画の段階には至っておりません。 それから現在アメリカあるいはヨーロッパ等の再処理工場の能力が相当ありますので、日本から積み出して、そして再処理してもらうという、日本の能力が足りない場合はそういう形で考えざるを得ないと考えております。 ただその場合は、最近横浜港で問題になったように、使用済み燃料の輸送の問題、横浜港からは使用済み燃料を今後は出さぬでくれという市長からの要請も出ております。これにつきましては、理由としては安全上の問題というよりも、横浜港が非常に港湾として錯綜している、それからその周辺の道路もまた相当混雑しているのでという理由が第一の理由にあがっております。安全の問題も若干はあるのでありますが、そういうことであります。われわれいままでの使用済み燃料の海外積み出しというのは、夜間道路の非常に込んでいないとき、あるいは港湾等もあまり込んでいないときを利用して使っておったのでありますが、今後もそういう形で、これは横浜市当局とも十分交渉して、海外へ積み出す場合には安全を十分考え、そして一般の道路運送なり港湾にあまり迷惑をかけない場合にやるかっこうで今後交渉したいと考えております。 それから茨城県知事からの要請も長官あてに六月の十五日に出てまいっておりまして、将来の専用港という問題も出ておりますので、この点も十分検討して、海外へ出す場合もあるいは日本の国内再処理工場へ出す場合も、当然発電所から陸送海送等のルートが必要でありますので、今後十分検討してまいりたいというふうに考えております。 ただ、いまのところは使用済み燃料を発電所に相当ためておいて、そして再処理工場が動く場合にそこで処理してもらう、そして第二工場なり海外の能力のある工場との連携ということも考えております。
○石野委員 そうしますと、いまこの協定で二十七の発電所がここにずらっと並んだわけですね。そしてそれによって発生する使用済み燃料の処置についての第二の再処理工場の設置を考えている、あるいは海外に対して再処理の要請をする、そういうようなことについての、大体発生量の配分等についての目安はついておるのですか。
○成田政府委員 たとえばいまの原子力委員会の計画によりますと、使用済み燃料は昭和五十年になりますと大体年間で百トンの再処理の需要量になります。昭和五十五年になりますと七百トンの再処理の需要量になります。それから昭和六十年になりますと年間で千六百トン。そこでいま東海村でつくっておりますのが年間で二百十トンという能力でありますので、昭和五十三年ごろまでの発生量しかまかなえないということでありまして、昭和五十三年度以降のためには、第二の再処理工場を最も安全な形で問題のないサイトに考えざるを得ない。そのための検討を原子力委員会なり関係業界でいま検討中でございます。 もしも第二再処理工場等の完成と発生量との時間的なズレがあった場合には、保管ということも考えますが、あまりにも大きい場合は、海外、ヨーロッパ等は相当能力等も余裕があるようでありますので、あるいはアメリカ等の再処理関係の会社からは一緒につくることを民間同士で検討も現在行なわれておりまして、そういう国内でつくることと海外の工場等の関係の問題等もいま非常に具体的な形で検討中でございます。
○堂森委員 石野議員の質問に関連しまして、基本的な問題について二、三承っておきたい、こう思うのであります。 先刻石野議員が東電の福島原発の事故について質問がありました。先般石野議員も私も一緒に敦賀の美浜原電の故障についての調査に参りました。そして約半日間かかって関電のいま専務でございますか、伊藤さんという人がおられます。これは敦賀美浜原電の建設当初のころからの所長で、電気屋さんでありまして、専門家でございます。この方がわれわれの質問にあたりまして詳細な答弁があったわけです。われわれが聞いておりまして、どうしても納得できるような答弁がなされぬわけですね。一つはウエスチングハウスから買ってきた軽水炉の故障についての正確な判断ができないんだ、こういう印象を強く受けるわけです。と申しますことは、どういうところに今度の故障の原因があるのか、こういうことについて、たとえば細管の材質が悪いからこうなったのかというと、そうではない、もういまの科学技術で考え得る最高の材質のものが使ってある、こう言うのです。何か曲げ方についての技術的な無理があってこういうようなことになったのではないかというような答弁もあるのです。まあ聞いておりますと、すべてウエスチングハウスから買ってきた品物であって、わが日本の国の技術陣ではわからぬのだという——そうは言いませんよ。そういう印象を受けるわけです。そして向こうの技術屋がたくさん来まして修理に当たっておる。そして日本の側の、会社側の技術者も何がしか加わっておるが、大部分はウエスチングハウスから来た専門家たちがこの調査、修理に当たっておる。したがってもう何もかもあなたまかせであって、日本側にはほとんどわかってないんだ、原因がわかってないというような意味の答弁しかないわけですよ。われわれと一緒に行った一行の中には専門の大学の教授たちもおりました。われわれよりもっと知識のある人たちですから、いろいろこまかい質問もしますけれども、われわれが納得できるような答弁がないわけですね。こういう姿で大量の濃縮ウランをどんどん買い込んで、日本に濃縮ウランを燃料とする軽水炉をどんどんいまの勢いでつくっていって、それではたして国民に、特に地域の住民たちに安心しろ、安全である、とこういった宣伝をされても納得できないというのが現状ではないでしょうか。いまも福島の東電の発電所においてそういう事故があった。まあ原則的にいうならば、いま使用済み燃料の点についての五十年度になるとこうなる、ああなるということがありますが、これは逆だと思うのですね。使った燃料は直ちに処理ができるんだ——敦賀や大飯あるいは高浜に行ってごらんなさい。使用済みのいろんなものを詰める、燃料だけじゃないですよ、汚染されたものを詰めるドラムかんがずっと山のようになっておるのですね。これはもう当分の間どんどん棟を建てていって、建て増しをしていって、貯蔵しておくのですよ。あの辺は使用済み燃料その他の汚染物質で山になってくるわけです。そういう状態で、この勢いで、われわれがもらった資料だけでもどんどん超大型の発電所ができていく、こういうことでいいのでしょうか。安心ですか。もっとよく、はっきりした御説明を願いたいと思います。あなたまかせのような原子力発電所政策でいいのかどうか。こんな状態で大量の濃縮ウランを買うような条約に野党も賛成せいといったって、そんなものできっこないじゃないですか。いかがですか。根本的な問題ですからお聞きしておきたい、こう思います。
○前田国務大臣 原子力発電の前提を忘れてどんどん発電を進めるんじゃないかというふうな、それがために濃縮ウランの確保日米原子力協定を結ぶのじゃないかという御質問だと思います。美浜の問題につきましても御指摘がございましたが、先般の科技特でも御質問がございまして、ほんとうに自主性がないのじゃないかというお尋ねもありました。自主性を持たなければいかぬ、原子力発電、いろいろな炉についても、燃料についてもすべて自主性を持ちたいというのが私どもの念願でございまして、その面に向かって一生懸命やっておりますけれども、これはやはり外国から購入した炉であるという関係上、どうも外国人が来ていろいろ故障の点を点検するということも聞いております。けれども、われわれのほうもこの問題については積極的に自主性を持つようにして今後進めていきたいと思って、これは通産省からお答えをしたと思いますが、そういう姿勢でいきたいと思っております。 次に、安全性の問題でございますが、使用済み燃料の問題は、いま堂森先生御指摘のように、私は、この問題は原子力発電における問題だと思います。これはわが国だけではなくて、世界的な問題でもあると思うのです。どの国でもこの問題につきましては一生懸命になって、これを早く解決しようといって一生懸命にいま研究しておるわけでございまして、ドラムかんも相当な本数が構内に保管されており、また将来もふえてくるであろうということも考えております。これは、この放射性の廃棄物につきましては長期計画によりまして陸地処分あるいは海洋処分というものも両方とも、具体的に詳しく政府委員から御説明いたしますけれども、検討いたしております。そしてわれわれの現在の計画では、五十年代の初めまでにその見通しをつけたいという考えでいま進んでおるわけでございます。
○成田政府委員 いま大臣からお話のありましたように、低レベルの廃棄物の問題、これは世界各国、国際機関等で海洋処分、陸地保管をどうやってやるか、各国非常に共同で研究をやっているところであります。現在世界で原子力発電は大体三千五百万キロワットぐらいすでに動いておりますが、これが各国、アメリカ、ソ連、フランス、イギリス共通の問題としていろいろ安全性の追究に非常に国際的な馬力をかけてやっておりまするので、原子力委員会は五十年代の初めごろまでにこの見通しを結論をつけるという計画でありますが、世界各国、世界の衆知を集めて技術的な検討をやっておりますので、そういう点で見通しはつけ得るのではないかというように、これは世界各国とも考えております。 それから美浜の問題、これはあの蒸気発生器の事故は、ウエスチングとの保証期間二年間の間に起きた事故で、これが向こうの責任ということもありまして、切断して向こうへ送ったり、原因の究明をアメリカに非常に依存しておるようなかっこうをとっておりますが、これは保証期間の問題それから日本でPWRの最初の炉であるということに起因しているのじゃないか。その後国産化率もどんどんふやしておりますので、その後の炉については相当自主的に解明できる状況になりつつあると考えております。それから美浜につきましても、ただウエスチングだけにたよるのではなくて、日本の原研とかあるいは金材研等のそういう日本の研究機関でむしろやらせるべきじゃないかという御指摘も先般ありまして、いま原研等といろいろ協議中でございます。
○堂森委員 それは大臣や成田さんのせっかくの答弁ですけれども違いますよ。私は外国から技術者が来ておるからいかぬ、何もそんなことを言っておるわけじゃないのですよ。関電の最高首脳部の技術屋さんで、あの建設に当たった責任者であった人が、事故の原因がよく説明できないということです。これはたいへんなことでございます。それはウエスチングハウスでつくった発電所であり、保証期間が二年ですか、何年間かある、その間の故障であるから向こうが来ていいと思うのです。しかし、わからぬのですよ。われわれに説明できないのです。私だけじゃない。行った人はみんなわからぬと言うのです、説明が。あなたまかせであって、向こうさんのしてくださるように、ただ日本の技術者が一緒になってやっておるというだけのことであって、そういう姿勢ではだめです、こう言っておるんです。向こうから買った、日本の技術がないものを向こうから買うのはやむを得ないでしょう。しかし原因が、日本の責任者の専門家の最高の人にもわれわれが納得できるような説明もできぬというような姿で、たくさんの濃縮ウランを買ってどんどん発電所をつくっていくような進め方に問題があるのではないですか、こう言っておるのです。使用済み燃料の問題も大きな問題であります。世界じゅうがやっておるといっても、日本というような国は国土が狭い。アメリカやソ連とは国土がまるで問題にならぬような人口の稠密な地域に、しかも大型の発電所をどんどんつくっていくんでしょう。それだけの配慮もなくちゃいかぬでありましょうし、いろいろな意味でいまの原子力発電所の進め方の政策には大きな問題があるのじゃないですか、こう聞いておるのであります。そうなら、いまあわててわれわれはこんなたくさんの濃縮ウランを買わなくてもいいじゃないかという議論にも発展せざるを得ないと私は言っておるのです。どうも私は、いまの大臣やせっかくの原子力局長の答弁ですけれども、そんなことでは納得できないと思うのです。いかがです。もう一ぺん、しつこいようですが承っておきたい。
○成田政府委員 昭和六十年度六千万というのは、昨年の原子力委員会のエネルギー需給から考えました一つの原子力発電、この規模になると、エネルギーの需給という点から望ましいという一つのマクロ的な計画でございます。この実施につきましては、今度の協定によりましてこれをすぐ買ってしまうということでもありませんで、今後の建設に従って具体的な購入契約をやっていくわけでありまして、安全の問題あるいはPWRの蒸気発生器の問題とか、東電の先ほどの廃棄物処理の水漏れの問題等、いろいろ安全問題は非常に大きな問題で、われわれは原子力予算でも一番重点を置いているのは安全性の追求、研究ということでございまして、これは日米あるいは日英その他各国との安全性のいろいろな会合、あるいは国際原子力機構等、国際機関における検討会等をしょっちゅう持っておりまして、そういう意味で、安全性を確保しながら原子力発電を進めていくということは可能なんじゃないかという考え方に立って原子力委員会の計画ができております。これはただ計画をつくってそのままでいいというんじゃなくて、絶えず安全性の研究あるいは運転上の安全の確保、これは最大限に力を入れて、そして地元住民の協力、理解を得るための努力を常時傾けていって初めてこの計画の達成も可能になってくるというふうに考えております。
○堂森委員 関連質問でありますから、もうこれ以上しませんが、政府はどう考えておられますか。ウエスチングハウスだけ取り上げましても、日本にずいぶん売り込んできている。おそらく、この会社は大会社でありますから、他の国、他の地域、アメリカをも含めていろいろなところにこの会社のプラントが売り込まれておると思うのです。たとえばあそこの蒸留装置の細管にああいう故障が出たようなことはよそでもあるんじゃないだろうか。それは日本だけに起きたものではない。私よくわからぬですが、学問というもの、技術というものには、特に原子力発電なんというものは、原子爆弾というものの進歩発展してきた副産物ですわね。したがって、私は、学問上の、技術者の未解決なわからない部分がたくさんあると思うのです。それだけに、世の中の原子力学者は、大型の発電所はあぶないという議論が起きるのは当然だと思うのであります。したがって、ウエスチングハウスが売り込んでおるプラントにおそらくそういう故障があるに違いないのです。そういう報告は、政府はキャッチしておられるのでありますか。わからぬですか。会社は営業上言いませんよ、なかなか。それはわかっておるのですか、いかがですか。もしわかったら、世界じゅうにどれくらいのプラントが輸出なりアメリカなりに売られておって、どれくらいそういうような事故があるのか、お知らせ願いたい。
○成田政府委員 蒸気発生の問題のありました美浜一号炉の蒸気発生器のメーカーは、ウエスチング系列の下請かと思いますが、コンバッションエンジニアリング、CEという会社のタイプのものでございます。第二号炉以降は、メーカーがウエスチングになっておりまして、CEタイプでないのでありますが、世界のこの種の事故も、アメリカ等でもありますが、大体CE型が多いというふうに聞いております。ただ、ウエスチング本社が直接やったのが十分であるかどうか、これも決して安心はできないので、この点も十分チェックしないといけませんが、世界的な例から見まして、美浜一号炉と同じCE社のタイプのものに、ヨーロッパとアメリカ等においても——そういう事故がアメリカにおいて一件ある、そういうことをいわれておるのでありまして、その点今後ウエスチングハウスのものについても十分厳重な注意をして、安全管理の徹底をはかりたいと考えております。
○堂森委員 いろいろお尋ねしたいのですけれども、これで……。
○石野委員 いまウエスチングハウス社の原子炉についての問題でお話があったが、これはウエスチングハウスだけじゃないのです。GEのものだってまた事故が出てこないとも限りません。そういう意味で、われわれは安全の上にも安全を期するような、やはり非常に重大な関心をこれに注がないといけない、こういうふうに思うわけです。燃料を必要とするのは炉があるからですからね。炉がなければ燃料は要らないわけですよ。もちろん、ほかにも研究用の炉もあったりしますけれども、炉を設置するにあたって、ここでいえば二十七の炉を、しかも非常に大きなものがありますね。 〔委員長退席、福永(一)委員長代理着席〕 百十万キロワットであるとか百十五万キロワットであるとか、膨大なものが来ておるわけです。そういうようなものに対する安全性の確認ということが非常に不安定である。一方では、またそこから出てくる汚染廃棄物というようなものについての処理について、まだ十分なそれの受け入れ体制も確立されていない。先ほどお話しになっております使用済み燃料の問題についても、五十年代の中期には、東海の再処理工場がこのまま進んでいっても満ぱいになってしまうという状態でしょう。先ほどのお話では、もし第二の再処理工場ができなかった場合には、どこかよその国にうまくやってもらうんだというようなことも言っておりましたけれども、しかしそれは気休めでしょう。実際には、どこもここもみんな廃棄物の処理で困っておるんですよ。そしておそらくこの年代になってくれば、いまかりにアメリカの再処理工場に若干の余裕があっても、おそらくここもまた満ぱいになってしまうと思いますよ。そういうことになれば、どうしたってやはりほかに依存するのではなくて、炉の技術について海外だけに依存するのではなくて、これはこの廃棄物の処理とか何かについても依存しないで自主的に処理するという体制ができなければ、全体としての原子力計画というものはスムーズにはいかないのですよ。そういう点で国家計画が、やはり産業界でつくり上げているこういうものとの見合いにおいて不備なものがある、私はそう思うのですよ。これは原子力局長もいまお話しのように、エネルギーの総合計画の中で原子力発電の持つ二五%のシェアですね、そういうものをどうしても確立しなくちゃいけないのだということから来ていることなんですけれども、しかし、その総合エネルギー自体についてもそういうような意味での検討がまたなされねばならぬものがたくさんあると思うのです。私はここで総合エネルギーの問題をあれこれ申しませんけれども、しかし、いずれにしましても、やはり原子力の二十七に及ぶところの炉について、もうすでに許認可を与えてきたと思いますけれども、あるいは計画中のものもあるのかと思いますが、——いや、まだ認可のおりてないものもあると思いますけれども、まだ計画中が七つほどありますね、こういうようになっておりますから、いずれにしましてもこれらのものはみな膨大なものですよ、率直に言って。浜岡なんかの場合になれば、浜岡二号炉というのは八百四十メガワットなんですね。これは何基になるのかわかりませんけれども、一基ですか、これはまあとにかくやはり百十万だとかなんとかというようなでっかいものが次から次へできてくるわけですから、だから福島の第二号が千百メガワット、東京八号が千百、中部三号が千百というふうにべらぼうに大きいものが次から次に出てくるわけですよ。私は、やはりこういう問題に対する再検討が十分行き届かない中で、この協定の問題をすなおにわれわれが論議していくということは非常に無理のような気がする。そういう意味で、いま堂森委員からもそういう話があったわけですが、私は、この種の問題を処理するにあたって、日米協定をつくる前にすでに日仏の間に、あるいは日豪の間に原子力協定が行なわれておりますが、この日仏あるいは日豪の協定が発効して以後、どういうようなふうに協定の実態は進んでおりましょうか。そういう点について御説明いただきたいと思います。
○成田政府委員 日豪、日仏原子力協定は去年の九月ごろ発効になっておりまして、これによって日仏、日豪の原子力協定による原子力の協力関係が非常に促進されていると言えると思います。 そこで日豪につきましては、協定の目的にありましたように、あそこは非常に天然ウラン鉱石の埋蔵量が多いところでありますので、豪州のウラン鉱石を日本で購入するという計画が相当、これは商社等を通しまして電力会社が長期契約、短期契約等の形で非常に最近ふえております。現在、昭和六十年まで必要な天然ウランが十万トンといわれておりますが、このうち九万トンくらいは、昭和六十年までの必要なものの大部分は電力会社が手当て済みであるという状況になっております。 それからそのほか豪州につきましては、日本の企業と豪州の鉱山会社が共同でウラン鉱を開発する計画も、プロジェクトも、まだ正式には成立しておりませんが、いろいろな形で交渉が行なわれているというふうに聞いております。そういう意味ではウラン鉱石を豪州の豊富な埋蔵量から買ってくるとか、あるいは鉱山の共同開発をやるということ、これは新協定が結ばれたことによってさらに積極的に行なわれつつあるというふうに考えております。 それからフランスとの関係におきましても、フランスからのウラン鉱石の購入も若干、まあ豪州ほどでありませんが、進んでおります。それから動燃事業団の建設中の再処理工場、これは協定前からフランスのサンゴバン社との技術協力、前からやっておりますが、それがいま協定に乗る形によって再処理の技術協力がサンゴバン社から生まれております。それから、これはアメリカ等と並行しまして、一昨年の秋ごろ、フランスと共同で濃縮工場を検討しないかという申し入れがありまして、これは去年あたりからワーキンググループをつくって六回ほど、すでに第一次のワーキンググループの検討が終わった形で、第二段階に入るかどうかというところに来ております。これはフランスの持っているガス拡散法の技術を使いまして、まあサイトはまだはっきりしないのでありますが、ヨーロッパあるいはその他の地域で日本とフランスが共同で国際濃縮工場をつくることについての可能性について、技術的、経済的な問題というものをお互いに詰めようじゃないかというので、専門家のワーキング・スタディング・グループをつくって検討を進めておるところでございます。 そういう意味におきましては、日仏、日豪原子力協定、去年成立さしていただきまして、それによってかなり原子力の協力が進められております。
○石野委員 フランスとの協定の具体的な実行、特に共同の濃縮工場を持つということについて、技術的、経済的な側面から見ますると大体いい方向に行っているということですが、具体的にそれが共同工場というようなものができるようなめどはいまのところどの時点に大体焦点を合わせられますか。
○成田政府委員 先ほど触れましたように、日仏の共同工場の検討の問題は、第一次の段階がやっと終わった程度でありまして、これから第二次に入るかどうかという点にあります。それで工場をフランスは、年間の能力六千トンないし九千トンぐらいの濃縮工場を、まあ電力の安いところでつくって、一九八〇年代、まあ八一年か二年ごろの完成を目途にやりたい、しかし建設期間八年もかかりますので、この共同でやるかどうかという決定、もしやるとしてもこれは今年中とか来年の初め段階ごろまでにきめるべき問題だと思います。この点は、日本がまだ第一次の研究段階を終わった程度で、全然コミットもしていない、これからむしろ慎重に具体的な検討に入るかどうかという状況でございます。
○石野委員 外務大臣が参議院のほうへ行かれるということですから、先にひとつお尋ねしますが、先般、経済団体が訪ソ原子力視察団という形でソ連へ行ってきました。そこでいろいろと濃縮ウラン等についてソ連から、日本に対して供給していいよというような話があったとか、そういう新聞報道が伝えられており、そして新聞の報ずるところによると、大平外務大臣は、近く訪ソ原子力視察団の詳しい報告を聞いた上で協定締結の具体的な準備に入るというようなことも伝えられておりますが、大臣はこの問題についてどういうような報告を受けておるのでしょうか。また協定締結等についてのかまえとしてどういうようにお考えになっておりますか。
○大平国務大臣 お話がありましたように、訪ソ・ミッションに対しまして、ソ連側から示唆があったということを承ったわけでございます。したがいまして、その視察団から詳細に一ぺん話を聞いてみたいと考えておりまするけれども、ただいまの段階までまだ承る機会を持っていないわけでございまして、近く聴取いたしたいと考えております。
○石野委員 まだお聞きになっていないとすれば、これは聞くこともできませんが、しかし、おそらく私の推測では、視察団のソ連に対する期待というのは非常に大きいようですし、また特に原子力燃料としての核燃料の確保について非常に積極的でもありますから、この問題はそう等閑視されているとも思いませんし、外務省に対して何がしかの情報は入っているものと私は思います。大臣が聞いていないというのなら、これはしかたがありませんけれども、この秋に田中総理が訪ソされるということになれば、当然この問題は重要な課題になるだろうと私は思うのです。その前にアメリカに総理が行く場合でも、やはりこの原子力についての燃料確保の問題は重要な課題になろうかと思いますが、そういう意味からも、外務省としては、この原子力視察団というものがもたらしておる情報を無関心でほっておくわけにいかないだろう、こう私は思っておるのですが、外務大臣はそういう点ではどういうふうにこの問題に対処しようとしておりますか。
○大平国務大臣 日本が安定的な資源をこれから先、長きにわたって確保しなければならない立場におりますことは、御案内のとおりであります。したがって、そういう供給先を考えてまいること、そしてそういう供給国との間に安定した、きちんとしたコミットメントをちゃんと固めてまいることは、われわれの大きな任務であろうと考えております。今後総理の訪米、訪ソばかりでなくて、われわれの外交活動全体にまとわる任務といたしまして、そういう問題意識を絶えず持って対処してまいるつもりでございます。
○石野委員 外務大臣は、ソ連に対する原子力の燃料問題については、早急に日ソ原子力協定というものなどをつくるような心がまえでおられるのでしょうか、どうでしょうか。
○大平国務大臣 必要な情報、資料というものを十分確かめた上で考えていかなければならぬ問題でございまして、まず第一段、視察団の方々から詳細な情報、資料をちょうだいするというところから始めたいと思っております。
○石野委員 視察団の情報を聞くということは、本協定を審議するにあたって、われわれにとっても関心のあることなんです。これは全然別個なことじゃございません。したがって、私はやはりこの次の機会までに、ひとつ大臣は視察団の情報を十分キャッチして、それに対処する方向というものを明確にして、御答弁をいただきたいのです。原子炉に対する燃料確保ということは、私どもとすれば、アメリカだけに依存するということはよくないということを、かねてから言っているわけです。多方面からそういうものの確保を確立するような対策にいくべきだということは、もう四十三年の段階からそのことを主張してきておりますし、いまでもそのことを主張するわけです。そういう意味で、外務省は日ソ原子力関係についての問題の処理をどういうふうにするかということについての明確な御答弁をいただきたい。もしいまなければ、次でもいいのです。いまわかっておればやってもらってもいいです。
○大平国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、できるだけ安定供給源というものを広く確保してまいることがわれわれのとるべき方策でなければならぬことは、御指摘のとおりでございまして、アメリカにだけ依存してまいるということが必ずしも最善の道であるというようには私ども考えておりません。ただ、いまの段階におきまして相当長期にわたりまして確実な安定供給を見込み得るという国はアメリカだけであるということは、遺憾ながら事実でございまして、その他の供給源につきましても、十分資料を吟味いたしまして、安定供給の道が開かれてまいりますことは、たいへん望ましいことでございますので、そういう方面の探求もわれわれとしては怠ってはならぬと考えております。 いまの訪ソ視察団の御報告でございますが、次回の委員会までに聴取の上、御報告をいたすことにします。
○石野委員 外務大臣はこの次の委員会でぜひひとつその状況を聞いて、あれしていただきたいと思います。 まだありますが、きょうは私はこれで質問を一応中断させていただきます。
○福永(一)委員長代理 午後三時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時八分休憩 ————◇————— 午後三時三十七分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 この改正議定書は、結局は濃縮ウランの日本への移転量のワクを拡大するものであり、またそれは当然アメリカからの軽水炉の大量導入を予測することができるわけです。 ところで、はたして軽水炉の安全性が証明されているのかということになると、私もやはりこれは大きな疑問であると考えるわけです。原子炉は事故を起こさなくても、その定常運転中に放射性物質を廃棄物として生じますし、冷却水、ガスなどが常に漏れてくるわけです。たとえ大きな事故に至らなくとも、パイプ、バルブ、モーター等の故障から放射能汚染を引き起こします。これは原子力研究所における研究部の運転実験から考えてもしばしば起こることであり、これが大きくなると事故につながる、こういわれております。 そこでたびたび問題になっておりますけれども、政府としては発電用軽水炉についてその安全性は確かめられている、証明されているという考えであるかどうか、まずこの点をお伺いします。
○成田政府委員 原子力発電所の安全性につきましては、これは原子力委員会としましても最高に、最も重点を置いて徹底的な安全審査をやっておるわけでございます。といいますのは、電力会社から申請が出ますと、原子力委員会は原子炉安全審査会、これは理学、工学、生物その他各界の日本の最高の学者の方三十人ぐらいで構成されておる安全審査会に、この原子炉の具体的な計画が十分安全であるかどうかという点を検討させるために諮問するわけでございます。安全審査会は、いろんな部会、いろんな担当に分かれまして現地調査等も行ない、大体短くて六カ月、長くて一年ぐらいの審議期間をかけまして厳重に審査をやって、その結果安全である場合に、これは安全面から許可してよろしいということを原子力委員会に出しておるわけであります。 具体的に軽水炉の放射能の安全につきましては、大まかにいいまして国際放射線防護委員会、ICRPという、これは国際的な機関でございますが、これが一九六二年と一九六五年に各国に対して勧告を出しておりまして、世界各国の原子力発電をやっておりますところの国は、このICRPの勧告をもとに安全性に関する法令の基準をつくっております。それで日本におきましても、これによって原子炉規制法あるいは放射線障害防止法等の基準をつくっておるのであります。 それでICRPによりますと、許容被曝量、これは従業者の場合が一年間で五レム、従業者でない一般の住民の場合がその十分の一、五百ミリレム、こういう基準になっておりまして、アメリカ等におきましても一般人の場合には五百ミリレムというのが法律的な基準になっています。しかし最近のいろいろの防護施設等の進歩によりまして、実際発電所で平常時の運転で起こるところの放射線は、五百ミリレムの法律上の許容線量に対して大体五ミリレム、百分の一か五十分の一くらい低い五ミリレム内外の非常に低い線量に押えて実際運転しておりまして、これはICRP、国際的な基準の大体百分の一あるいは五十分の一というそういう安全をとって運転をしております。これが平常時の運転の問題であります。 そのほかに事故解析を安全審査会でやりまして、そして安全審査会では重大事故と仮想事故という二つの概念、考え方を使っている。重大事故というのは技術的な見地から見て最悪の場合には起こるかもしれないという想定をしまして、そういう事故の場合にどのくらい放射能が出て、一般住民に対して安全であるかどうかという検討をやっております。 それから仮想事故、これは技術的には起こるとは考えられないような事故を仮定しまして、その場合でも一般住民に対して十分安全であるかどうかという事故解析をやって、これは事故時の解析でございますが、その場合でも一般人に対して放射線の障害を与えないということを確認しまして、そしてその他いろいろな問題がありますが、放射線障害に関しては平常時運転の場合の放射線のレベルがどのくらい低く押えられているか、事故時の場合には重大事故、仮想事故の場合でも周辺の一般人に対して障害を与えないと確認しまして、そしてそれにパスしたものだけが、それが確認されて初めて安全上問題ないという答申が出てそして許可をしておるわけであります。 ただ先ほども問題がありましたように、運転の際のいろいろな機械装置その他の運転上の厳重な注意ということは当然なことでありますが、安全審査においては非常に厳重な、しかも国際的な基準を使い、それよりもさらに厳重な内規によって安全性を確保して初めて許可をしているという状況でございます。
○柴田(睦)委員 いろいろ説明ありましたが、結論的に言うと、もうこの実用として使うものの安全性は確認されている、結論だけでいいのですが、そういうことでございますか。
○成田政府委員 規制法によって政府の許可を受けた発電炉につきましては、平常時事故時等安全性が確保されて許可されておるわけであります。
○柴田(睦)委員 そうなると、結局この安全性を確認する基準の内容というのが問題になってくると思いますけれども、その点はしばらくおいて、この現実の問題、午前中から石野委員からいろいろいわれておりましたけれども、ああいった問題だとえば一昨年本格的原発第一号の敦賀発電所で付近の貝類から放射性コバルト六〇が検出されたり、核燃料棒からヨード一三一が漏れるなどの事故が相次いでいるということ。またアメリカでも軽水炉の緊急冷却装置に欠陥があるという実験結果が報告されている。昨年は美浜の一号で蒸気発生器細管破断があって数カ月間炉を停止せざるを得なかった。そしてきょうの報道によりますと、これは取り扱いのミスという説明ですけれども、東電福島の事故、こうしたトラブルは今後もやはり起こると考えて対処しなければならないものであると考えます。人間の取り扱いのミスといっても、人間の注意力というものには限界もありますし、そうした取り扱いのミスがあってもやはりこういった事故が起こらないようなそういう措置がなされなければならない、それだけ原子力の取り扱いというものは重大でなければならない、こう考えるわけです。 こうした現実から見てみました場合に、軽水炉が実用に供し得る炉としての試練を経ていないということがいわれております。軽水炉は一基ごとに常に大幅な改良や変更が加えられますけれども、これは技術が進んで次の段階に行く、そういうやり方よりも、次々に改善すべき問題が出たり、コストの切り下げのために実験研究の余裕がなくなって、十分な実証データもなくこの改善、改良が行なわれてきた、こういわれます。また現場労働者の被曝も現実にはふえているということであります。現実にそうした事故があり、またこの実証的安全性が確かめられていないと考えられるもの、これを実用のものとして使用するのはこうした重大なものを扱う場合において早過ぎると私は考えるのですが、その点はいかがですか。
○成田政府委員 軽水炉が十分安全性が実証されていないのにいろいろどんどん原子力発電所がつくられていくという御指摘でありますが、われわれは軽水炉は最も歴史の古い炉であって、経験、安全性の実績等も一番進んでいる原子炉であるというふうに考えております。 ただ当初三十万キロ、最近は百万キロをこえる大型化の傾向になっておりますが、これも一挙に三十万から百万ではなくて、三十万から五十万、七十万、徐々にいろいろな技術的な経験を積んでそして百万以上になっておるのでございまして、決してコストを低くするために大型化していくという問題ではなくて、むしろ安全性が百万をこえても十分である。アメリカ等においても百万をこえる炉は二十基以上の許可がおりておる、運転実績も持つということになっておりまして、そういう面で決して実証されないうちにどんどんつくられているというようなものではない。むしろ技術の進歩によって確かにいろんな改善あるいは安全性のための防護装置等においても、過去においては十分活用できなかった装置も最近はどんどん活用できる。それで先ほど言いましたように、五百ミリレムという許容基準に対して最近はアメリカも日本も五ミリレム内外の放射能しか出していないということも、非常にいろいろな装置が発見、採用されておるからでありまして、そういう意味では安全性確保の面でも技術的な進歩が非常に高いというふうにわれわれは考えておるわけであります。だからといって決して安心して厳重な運用上の注意を怠っていいという意味ではもちろんないのでありますが、そういうふうに考えておるのであります。それから現在、世界的に見ましても大体原子力発電の三千五百万キロワットというのが世界各国トータルで動いておるのであります。それで、これは研究炉、商業炉を入れて百二十四基というのが三千五百万キロ、これは去年末現在の値でありますが、このうちの八割ぐらいはいま御指摘の軽水炉でありまして、そういう意味では安全性の研究、各国とも非常に最重点でやっておりますが、安全性あるいは運転実績等も最も原子力発電の形態としては進んでいる炉型であるというふうにわれわれは考えております。ただ、だからといって今後安全性の確保、安全追求を怠っていいということではなくて、いろいろな面においても、原子力予算においても安全性の追求、安全性の確保のための予算というのは最重点を置いていま追求しているわけでございます。
○柴田(睦)委員 御説明いただきましたが、結局日本においてもたびたび事故がある。そしてこの事故というのは、原子力を扱うということから、大きな事故になればたいへんなことになる。こういうことから考えた場合に、事故が頻発といいますか、決して少なくない状態のものを実用に使うということは、私はこれは早過ぎるんじゃないか、こういうことを申し上げているわけです。原子力を使わなければならないということには、日本の電力事情ということがいわれますけれども、日本の電力資源は近くなくなるというようなことをよくいわれますけれども、これは近くという期間の問題はあっても、そうすぐになくなってしまうというものではないと思うわけです。またほんとうの意味での平和五原則に基づく外交政策を進めるならば、海外からの電力資源の日本への移転というものも決して不可能ではないと考えております。国内資源の開発を中心に考えなければならない。相互的、合理的な開発を進めなければならないというのが私の考えの前提です。ですから無計画なやり方をすれば、これは日本だけでなくてどんなに富める国であっても資源はなくなってしまうわけです。それは地球の資源には限りがあるんだということもよくいわれます。そしてまた自分の国の資源の開発に合理的な最大の努力をしなければ、当然外国のほうもこれに協力をするということはしないと思うわけです。 ところで今回の協定においてアメリカは過去の協定の三倍に相当する濃縮ウランなどの必要燃料を提供するということになるわけです。すなわち原子力発電の燃料をアメリカから買う。発電炉もアメリカから買う。政府の見通しによりますと、昭和六十年には日本の発電量は原子力が約四分の一に達することになっております。火力発電に必要な石油も、日本はアメリカをはじめ海外から輸入しております。こういう中で、アメリカが濃縮ウランの日本への供給をストップする、そういう事態が起こった場合に、日本で使っております軽水炉発電所を動かす方法というのは考えることができるか。軽水型発電所をアメリカの濃縮ウランが入らない場合に動かすことができるかどうか、この点をお伺いします。
○成田政府委員 日本のエネルギー計画、発電計画によりますと、昭和六十年度六千万キロワットの原子力発電、これは全体二億四千万でありますので、その二五%、四分の一ということであります。火力は五二%、五割以上、その場合でも、いま七割ぐらい石油火力でございますが、そういう意味で、水力は御承知のように河川その他非常に資源的に日本では限度にきておるという状態、火力は、石油はOPEC等の動きその他資源的な制約、価格の引き上げ、生産制限等の動きがあって、いま七割以上くらい占めている石油原料というのは非常に安定供給上将来不安があるということ、そういう意味で電力資源から原子力に対する期待が非常に高まっておる。これは日本だけでなくて、アメリカにおきましてもあるいはソ連においてもそういう認識は共通だろうと思いますが、ただ日本のように資源のない国ほどその必要性が強いということで六千万というふうになっております。これに達成のためのウラン濃縮をアメリカから供給を期待せざるを得ないというのは、現在濃縮工場で商業的に供給できるような工場を持っておりますのはアメリカの三工場だけでありまして、そういう意味ではヨーロッパ諸国もみんなアメリカからの供給に依存しておりますが、アメリカの三工場に期待せざるを得ないという状況、これは安定供給という面からして供給源の多元化というのは非常に必要でありますが、現状におきましてはアメリカの三工場の能力、今後増強計画もありますが、これに期待せざるを得ない、これはいたし方ない現実だろうと思います。ただ将来、そういう多元化のためには日本も濃縮工場を国産技術によって持つべきであるという原子力委員会の考えで、今年度からこの問題と精力的に取り組んで研究、開発を進めております。それからアメリカ以外の国との濃縮工場の建設計画もフランスあるいは、工法は違いますが、ドイツ、英国、オランダの三国間で遠心分離法による別な技術による工場をつくる計画もありまして、これはまだ単なる調査段階でありますが、日本もその共同研究調査のグループに参加して、将来アメリカだけの工場に依存するのでなくて、国産化あるいはアメリカ以外の濃縮技術を持っている国との共同の工場建設、そういう構想についても検討しておりまして、なるべくすみやかにウラン濃縮の供給源の多角化ということははかる必要は当然あると思っております。
○柴田(睦)委員 ということは、昭和六十年までに日本の国内における濃縮工場で、実用濃縮ウランがつくられる、あるいは海外から濃縮ウランを買うことができる、そういう事態にならなければ、この原子力発電の日本の発電量の二五%に相当するものについては、これはもう理論的にいってアメリカからのウランの輸入がストップすれば発電できない、こういうことになるわけですね。
○成田政府委員 昭和六十年の六千万キロワットは、今度の改定協定によって、六千キロワットの発電規模の必要なウラン濃縮を確保するというための協定でありますので、このアメリカからの協定による供給に依存せざるを得ないと思います。それから、アメリカ以外の国との実現性等についてはまだスタディー段階でございますので、これがアメリカ以外の国との濃縮工場をつくるという話は、日本が正式に参加して共同でやりましても一九八二年、昭和五十七年度以降にやっと動き出すという段階でありますので、昭和六十年度六千万キロワットに間に合いましてもそれほど大きいものではないと思います。 それから、日本の動力炉核燃料事業団による国産化、国産技術による濃縮工場の建設、これは昭和六十年ごろに稼働するということを目途にしておりますので、実際は昭和六十二、三年ごろ、あるいは六十五年ころには、計画どおり技術開発が進みますと、かなりの期待ができますが、六十年にはすぐ間に合わない。六十年ごろに工場を動かしたいという見通しでありますので、六十年六千万キロワットという協定にも出ておりますので、大部分はアメリカの増強された三工場の能力に依存するという考え方に立っておるのが現状でございます。
○柴田(睦)委員 仮定の場合になるかと思いますが、アメリカの利益に反するというような場合に、原子力発電のスイッチともいうべき濃縮ウランを日本にアメリカが移転するということを、そのほかにほかの国から濃縮ウランを持ってくるとかあるいは国内で開発するということができない段階において、アメリカからの濃縮ウランがストップされるということになりますと、日本では結局アメリカとの価格あるいは条件などについての不満があってもやはり従わなければならない、こういう結果に、あるいはそういう立場に日本が立つことになるのではないですか。
○成田政府委員 アメリカに昭和六十年ころまでは全面的に依存することになるのでありますが、これはアメリカが、濃縮能力の範囲内でそういう工場能力があれば、契約申し込みの順に従って供給契約を締結するということをいっておりますので、日本だけ不利な扱いを受けるとか、そういうことはないと思います。それから価格その他の取引条件につきましても、価格等についても公平な原則で、日本だけ高くする、ヨーロッパ向けは安くするとか、そういうことはしない、外国と同じような条件で供給するということ、これがはっきりしておりますので、日本だけが何かの事情で能力があるにもかかわらず申し込みが切られるとか、あるいは不利な価格等の取引条件で購入せざるを得ない、そういう事態はこの協定の運用においてもないというように考えております。
○柴田(睦)委員 今度アメリカできめられました契約基準によりますと、八年前に契約に署名し、その三分の一が前払いさせられる、しなければならないということになっておりますが、このことと関連して、現在の時点における契約の実態、何年前に申し込んで、あるいは前金という制度があるのかどうか、この点をお伺いします。
○成田政府委員 アメリカの原子力委員会は、新しい濃縮役務契約の基準、ニュークライテリアをきめまして、五月から実施になっております。それで現在と違う点でありますが、現在初装荷用燃料濃縮ウラン、最初に装荷する濃縮ウランについて、新しいクライテリアによりますと、引き取り時期の八年前に契約をすることになるわけであります。現在は、大体引き取り時期の一年から三年前に契約すればよかったのでありますが、これが八年前ということ、これは従来はアメリカの濃縮三工場の能力が一ぱいありまして、稼働率が三割とか四割、低い稼働率になりますので、注文がくればいつでもつくれるという状況、今度はこの三工場の能力が一ぱいになって、増強計画を持っていくという、そういう八年前から注文をとって、そして設備の増強をはかるという立場から、こういうようになっておると思います。それから新しいクライテリアによりますと、代金の三分の一を前払いとして最初に払うということになっておりまして、前払い金制度が新しく創設されております。これは現在は前払い金制度がなかったのであります。 それから解約、契約を解除する場合、たとえば十年以上の予告期間において解除をした場合は、解約料を取らない。予告期間が五年未満の場合は、解約料は濃縮役務料金の七五%を解約料として取るということになっております。これも従来は、五年以上の解約をした場合は解約料は取らない、五年未満の場合は四〇%という、従来に比べて相当日本側から見るときつい条件に変わっております。これもいままでのように濃縮工場の能力が余っておる状態と、足りなくなってこれから合理化計画、増強計画を相当な九億ドルほどの金を投じてつくるという事態、そういう客観情勢の違いから、こういう制度の違いが出たという説明を受けております。
○柴田(睦)委員 買うほうにとって不利な契約基準になるわけです。で、その理由もいま説明されましたが、一つは、また濃縮ウランの値上げということがいろいろ取りざたされておりますが、この濃縮ウランの値上げの実態、またその理由について御説明していただきたいと思います。
○成田政府委員 濃縮ウラン料金につきましては、従来はアメリカの濃縮工場、これは軍需工場から転換した、しかも能力が余っているという意味でコスト的にはある意味では非常に安い料金で供給しておったのでありますが、先ほど言いましたように今後は能力も足りなくなって増強、増設をやらなければいかぬ。そういう意味で労賃それから資本費、建設費等のコストが当然上がってまいるので、そういう分は今後回収していくということをいっております。これはまあ事業として当然だと思います。それで、最近までキログラム三十二ドルだったのでありますが、今後たてまえとしてはそういうコスト計算を考えると三十八ドル五十になるということ、八月から新しい料金に移りたいということをいっております。ただ、先ほど言いました新しいクライテリアに、新しい役務基準に従って契約するものは、これより二ドル五十セント安く三十六ドルで供給するということもいっております。実際は従来三十二ドル、これはまあ過去ずいぶん上がってきて三十二ドルになっておりますが、三十二ドルが新しいクライテリアによって契約した場合に三十六ドルになる。しかし今後労賃あるいは資本費、建設費等々の高騰によってこの点は将来かなり上がってまいるんではないだろうか。これはまあ国際的な、フランスの計画あるいはその他の計画においてもいろいろコスト計算をやっておりますが、そういう労賃、資本費の高騰によって相当コストは上がっていかざるを得ないというのが一般的な考え方だと聞いております。
○柴田(睦)委員 原子力発電のほうが火力、水力発電によるものより電力を生産する価格が高くかかるということをいわれておりますけれども、濃縮ウランの価格の上昇ということもやはりこれから高くなる原因になるわけですか。
○成田政府委員 濃縮ウランの濃縮役務料金の上昇によって原子力発電のコストが高くなっていくことは当然だと思います。ただ、原子力発電原価のうちで燃料費が、建設費が高く資本費が非常に多いので、三分の一でございます。そのうちで濃縮料金はまた三分の一でありますので、全体ではコストの九分の一が先ほど言いましたように上がっていく影響としては出てまいるわけでございます。ただ火力発電の場合は三分の二ぐらいが石油代の燃料費でございまして、これはわれわれの所管外でありますが、石油は御承知のように毎年一〇%以上上がっていく、将来は二倍には必ずなるだろうというように、三分の二の燃料費、そして原油代が非常なスピードで上がっておりますので、そういう意味では相対的な問題として考えると、決して望ましいことではありませんが、原油代の値上がりに比べますと濃縮料金の値上がりというのは、発電コスト全体に占めるウエートは相対的には低いということはいえると思います。
○柴田(睦)委員 先ほどの契約基準の説明それから価格の説明などを聞いておりますと、まあそういう説明がされているわけですが、それはアメリカの説明である、アメリカがこう説明しているという趣旨であると思うのですけれども、日本においても独自にこういう場合はこうなるであろうという日本のほうでの判断も入っているわけですか、それともアメリカの説明に従うということであるわけですか。
○成田政府委員 新しいクライテリアをつくるにつきましてはアメリカの国会の公聴会に日本の業界代表も行きまして、非常にこの影響は甚大である、何か緩和できないかという要請もやっておりますが、大綱においては原案どおりできまっております。そういう意味では濃縮ウランの供給側であるアメリカの条件に日本としては従わざるを得ないのでありますが、ただ先ほど言いましたようにこれは改定では差別しない、日本もヨーロッパ諸国のお客さんも同じような条件、同じような価格、しかも能力ある限り先着順によって供給するというような形になっておりますので、不当に差別的な扱いを受けることはない。 それから具体的な条件につきましては、この協定が成立いたしますと、これによって電力会社がアメリカの原子力委員会と早急に交渉をやりましてそして具体的な契約の締結に入るわけでありまして、契約交渉によって具体的な内容はきまってくると思います。
○柴田(睦)委員 そうすると、日本からも公聴会に出て、アメリカのほうではいろいろ話を聞いたということですが、アメリカという国は石油の面においても、今度新しくこの原子力という面においても、世界の諸国に対してエネルギー面で相当の支配権を持っている、こう思われるわけです。日本の場合も石油をアメリカにだいぶ依存して、火力発電を結局はアメリカの燃料に依存する、そして今度また原子力でアメリカに依存する。こういうことは、先ほど質問で申し上げましたように結局アメリカがストップすれば日本の電気がとまる。説明によりますとそういうことはあり得ない関係であるという趣旨の説明にも聞こえるわけですけれども、理論的にはアメリカがストップすれば日本の電気も、エネルギーを依存しているのでとまるということになるわけですが、そういう面からまたいろんな契約の条件などについてアメリカの説明に従わざるを得ないということなどから考えてみた場合に、日本はアメリカにエネルギーの面でも従属化させられているのではないか、こう見られるわけですが、いかがですか。
○前田国務大臣 先刻来柴田先生と政府委員とのやりとりを実は聞いておりましたが、エネルギー資源をアメリカに依存するのは非常に心配じゃないかというふうな御質問だと私は受け取ります。確かに柴田先生御心配のように、エネルギー資源というものは自主性をもって自分のところが調達する、自分のところで処置するということが一番理想的だと思います。しかし残念なるかな、わが国にはエネルギー資源はほとんどございません。石油は九九%外国から輸入しております。また原子力もわが国にウランは八千トン程度しかないわけでございまして、濃縮ウランに至りましては外国から買わなければいけない、そういうことは先生も御承知のとおりでございます。現在濃縮ウランを提供する国は一体全体世界でもどこにあるかということになりますと、濃縮ウランを提供することができる国はアメリカ以外には現在までのところはございません。したがいまして、日米原子力協定というものを結びまして、これまでも日本の濃縮ウランをまかなってきておりますし、今度もこの協定の改定をお願いしておるわけでございます。しかしアメリカの供給能力も昭和五十五年ごろには自由主義世界の要望をまかない切れないというふうな情勢もございますので、国際濃縮計画というものをわれわれがフランスあるいはアメリカと考えておるということも御案内のとおりでございます。しかしそれではいけません。やはり自主的に濃縮ウランを確保しなければいかぬじゃないかという熱意をわれわれが持ちまして、本年度から五十二億の予算を計上いたしまして、動燃事業団を中心に遠心分離法による濃縮ウランの国産化ということに踏み切りまして、六十年代の中ごろにはわが国の需要の三分の一は日本の生産のほうで間に合わせるという意図で進んでおるわけでございます。 しかしわれわれはそれだけでは満足いたしません。さらに燃料効率をよくするために——軽水炉では燃料効率が悪いわけでございます。したがいまして、新型転換炉であるとかあるいは高速増殖炉であるとかいう燃料効率の高いものをいま開発しておるわけでございます。 なお、さらに先生にも御理解いただきたいのですが、われわれはそれだけでは満足しておりません。先生の御趣旨のように、エネルギー資源をどうしてもわれわれは確保したいという熱意から、地熱発電、いわゆる土地の熱でございます。土地の熱を利用いたしまして、地熱発電というものを岩手県あるいは熊本県等において現に開発いたしております。 さらに太陽発電というようなこともまた研究をいたしておりますし、そのほかに核融合という問題につきましても、これは無公害のエネルギーができるわけでございまして、核融合につきましては日本はソビエトあるいはアメリカに比べまして現在までの記録では一位を占めております。したがいまして、核融合ということに大いに取り組んでいきたい。これは先のことを言うようでございますが、そういう熱意に燃えて、何とかして自主的なエネルギーを開発したいという熱意で進んでおるという点を御理解いただきたいのでございます。当分の間は日米原子力協定によらなければしようがないわけでございまして、どうぞその点をおくみ取りいただきまして、ひとつ御賛同いただきたいと思うのでございます。
○柴田(睦)委員 いまの長官の答弁によりますと、石油資源は海外に依存せざるを得ない。九九%依存しているんだ、こういうことなんですが、私が言っておりますのは日本にあるエネルギーを総合的に、合理的に全面的に開発することにまず力を尽くす。それから海外からの輸入というものについては、アメリカばかりにたよらないで世界各国から平等互恵の貿易によって輸入を仰ぐ、それから原子力につきましては、これは危険度についての見解が違うかもしれませんけれども、まだ安全性の確認、実証がされていないものであるから、これについては日本において独自にもっと研究した段階で実用に移すべきものであって、まだこの段階では早過ぎるという見解を持っているわけです。そういうことについてはいかがですか。
○前田国務大臣 先刻来いろいろ先生から詳しく御質疑をいただきましたが、結局自主性を持った原子力発電の推進につとめなければいけません、そしてまた安全性を確保しなければいけません、この二点に尽きると思うのでございますが、私たちも先生からごらんになれば非常になまぬるい、腰が弱いというふうにお考えかと思いますけれども、われわれもいかにして自主性を発揮するか、また安全性を確保するかということについて一生懸命やっておるつもりでございますので、その点ひとつ御了解をいただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 昭和六十年までに六万メガワットSWU分の原子力発電設備を行なうということは、もうこれは八年前に金を払わなくちゃならないし、そうすると契約あるいは計画をきちんと立てるには十年くらい先を見通さなければならないということを意味するわけですが、十年先のことについて予測ができるのか。日本の内政関係などの十年計画、長期計画などについては、たいてい五年先についてはある程度科学的な見通しを立てるけれども、十年先になるとこれは予測である、いつもこういう説明があるわけですけれども、この十年先について相当確実な計画、見通しが立たなければならない。ところがこの十年間というのは一昔といわれますように、期間的には相当余裕があるわけですけれども、ここに世界的に科学の発展もあるし情勢の変化もあるということから考えた場合に、この十年間の間にはアメリカ以外の国からもっと有利な条件で濃縮ウランを買うことができるようになるとか、原子炉の効率的な新型がつくられるとか、あるいはまた原子力にたよらなくとも、たとえばシベリアの水力発電に使われていない河川もたくさんあるようでありますけれども、そういうところからちゃんと平和関係が確立されて電力が供給されるとか、こういう社会情勢の変化、そういうものがあるのではないか、こういうことも考えられていいと思うのです。そうすると、この八年先、十年先というような契約をしておきますと、その契約が実際上生かされない、前渡金は没収されることになるわけですけれども。そういうことからこの長期の先を見通した契約をしていた場合に、情勢の変化があっても、それに対応できず、事実上拘束されることになりはしないか、こういう疑問を持つわけですが、いかがでしょう。
○成田政府委員 御指摘のように、新しいクライテリアによりますと、引き取りの八年前といいますと、大体建設期間が五年くらいかかりますので、稼働の二年くらい前にむしろ引き取りをやることになりますと、建設に取りかかる五年くらい前に契約をして、そして前払い金三分の一を払わざるを得ない、そういうことになります。これは、どこの地点にどういう計画をつくるかということが確定しない、数年前にウラン濃縮の購入を契約をせざるを得ないということになる。これはアメリカの国会における公聴会にも日本の代表がるる実情を述べたのでありますが、そういう意味では、たとえある電力会社が契約をしても、その計画が反対とかあるいはいろいろな事情の変更によってできなくなったら、前払い金が没収になって非常に過酷な状態になるのではないかという心配も持っているのでありますが、これに対しましては、アメリカ側は会社の融通を認める。あるA社の計画で前払いを払って契約をしましてその計画が立ち消えになったとしても、B社にその権利を移譲して融通ができるという形になりますので、これは九電力会社、原電を入れますと十電力会社がありますが、この電力会社間の融通によって事情変更には十分応じ得るというたてまえが認められておりますので、建設に入る五年前から、計画が変わった場合の問題は、その融通性、日本全体で融通ができるということである程度カバーできると思います。 それから今後外国との共同事業とか、あるいはアメリカ以外の濃縮ウランの供給を受け得る事態になった場合、この契約によって将来三十年にわたって縛られるのは、非常に情勢変化に応じ得ないという弊害があるのではないかという御指摘も確かでございますが、ただ、これにつきましては、三十年をとるか、あるいは十年間になるか五年間になるかは事業者とアメリカ側とのコマーシャルベースの契約の問題で、将来アメリカ以外との確保の道を考えているところは、短期に契約をする場合も可能性があるわけでございます。ただ、フランスとかあるいは英、独、蘭の三国同盟とか、そういう計画による国際濃縮共同計画も一九八二年ごろ、したがって昭和五十七年ごろでないとでき上がらない。建設期間に八年以上もかかりますので、そういう事態を考えると、昭和六十年以降についてはいろいろそういうことが考えられますが、当面はやはりアメリカの増設計画を含めた三工場に依存するほうが、供給の安定の見地からはプラスなんじゃないか。そして一九八二年ころ以降になって初めて外国の、アメリカ以外の濃縮工場との共同参加あるいは昭和六十年ごろになると日本の国産の濃縮供給能力というものが出ますので、その辺の配慮は事業者が購入契約を結ぶ際に判断すべき問題だろうと思います。 それから一九六〇年ごろになりますと原子力発電の伸びが非常に大きいのでありまして、そういう伸びの大きさから考えましても、アメリカの能力ある限りアメリカから供給を受け、その後の伸び、新しく増加する分はアメリカ以外の計画とかあるいは日本の国産化の計画とかそれによって充当するほうが、全体の配分の問題でありますが、そのほうがベターではないかという考え方も成り立つわけでありまして、いま、アメリカと新しい契約基準で契約するのは将来の安定供給上望ましくないということも一がいにはいえないのではないかというふうに考えています。
○柴田(睦)委員 それからアメリカのほうからしますと、いま濃縮ウランを海外に商業的に移転できる国はアメリカしかない。また、アメリカは軽水炉をつくる炉のベテランでもあるわけです。それで濃縮の技術は軍事機密ということで明らかにされません。その他、いろいろなものが軍事機密ということにもつながって明らかにされないということがあります。そういう場合に、アメリカの独占的な立場、そういう有利な立場で日本をはじめ諸国に対して、アメリカの言い分を聞かなければならない、つまりアメリカにとって都合のいい協定を結ばせられるというような不安を感じるわけです。それは日本の独占資本についても生産価格と販売価格との差額の大きさというのが問題になりますけれども、独占的立場にある場合のアメリカがその有利な立場を利用して自分のほうに都合のいい協定を結ばせる、そういう点についてはいかがですか。
○成田政府委員 当面はアメリカがウラン濃縮の独占的な供給者になることは、現在の、三工場を持ち技術を持っているということからやむを得ないことだと思いますが、将来、昭和六十年ごろになりますと世界の原子力発電の需要が非常に大きな伸び率で伸びてまいりますので、むしろ一国の供給独占体制というのはかえってできがたい。むしろ分離作業量で九千トンとか一万トンくらいの工場単位を考えましても、二、三年に一つくらいずつ工場が世界のどっかに必要になっていくであろうというような情勢であります。いまはアメリカカのガス拡散法という技術、これは軍事利用から出た技術でアメリカが一番進んで一つの独占供給体制になっていますが、将来を考えますと、いまガス拡散法につきましても、フランスも相当自信のあるようなことをいっております。それからECの中でも、新しい別のやり方の方法につきましても英独蘭がいま相当な自信を持って工場建設のテストプラントをつくりつつある。それからドイツもまた新しいノズル法という方法の研究もやっておりまして、そういう意味では昭和六十年、一九八二年以降になりますと一国のウラン濃縮、供給独占体制というものは客観的に非常にできにくくなる事態になるのではないか。むしろ問題は一九八二年までの濃縮ウランをいかにして安定的に円滑に確保するかという点が、日本にとっても外国の消費国にとっても一番の大きな問題であろう。そういう意味から今度の協定の意味もわれわれはそこに意味があるというふうに考えているのであります。
○柴田(睦)委員 日本の原子力科学者の問題ですけれども、科学者は科学者の誇りをもって自分たちで自主的に研究を積み重ねたい、こう思うのは当然です。しかし、アメリカから濃縮ウランを買ったり、あるいは軽水炉を買ったほうが自分の国で開発していくよりも現実には金がかからない。たとえば原子力の研究というのが日本で問題になったときは、確かに自主開発ということも強調されましたし、科学者もそれに対して大きな情熱を持ったことだと思うわけです。ところがたとえば原子力船をつくるときに、原子炉は日本で開発する、こういう趣旨であったのですけれども、現実にはアメリカから原子力船の原子炉も買ってしまった。こういうことがあるわけですけれども、こうしたやり方では、日本の科学者もまじめに研究し、自主的な濃縮や原子炉の開発あるいは再処理の研究、こうした問題について、いまの説明によりますと、そういう面もいまは進められているということも言われましたが、私は、なおそういった問題について科学者の研究意欲をなくするような、自主的な研究が妨げられているというような意見を聞いておりますけれども、そういう面についてはいかがですか。
○成田政府委員 原子力基本法の三原則の一つとしましても自主開発というものが非常に大きくうたってありまして、わが国の原子力の開発というのは、極力日本の科学技術者の力によって自主的な開発によるのが本筋だと考えております。昭和四十八年度六百三十億の原子力予算になっておりますが、これも日本が、軽水炉はアメリカ等で先行しておりますので技術導入等によって国産化をはかっておりますが、それ以外に新型転換炉あるいは高速増殖炉あるいは核融合その他、遠心分離法による濃縮ウランの技術の開発等、六百三十億の予算というのは、まさに日本が自主開発をやるための国内における技術開発を行なうための目的で成り立っておるわけであります。ただ残念ながら軽水炉につきましては、アメリカ等の商業開発が非常に進んでおる。それから御指摘の船の問題も、原子力船第一船はアメリカの技術を導入しております。これは発電所よりも船の場合は、非常にフロートするといいますか、移動する非常にめんどうな技術でありまして、これはアメリカと——ドイツもこれはアメリカと組んでやっておりますが、これもアメリカの先行した技術に依存せざるを得ないというので、全面的にアメリカの技術を導入して原子力船「むつ」を建造したわけでございますが、第二船につきましては、まだこれは具体的な計画の段階には至っておりませんが、極力日本の技術を使ってやりたいというので、民間等にも拍車をかけてやっておる状況でございます。軽水炉、原子力船の舶用炉の技術、これは遺憾ながらアメリカ等の原子力技術の先進国から導入せざるを得なかったのでありますが、これから日本が研究開発して間に合う技術は、全面的に自主開発を原則としてやるべく、予算等も重点的に投入しておる状況でございます。
○柴田(睦)委員 改定議定書の第四条において従来のアメリカの保障措置から、国際原子力機関、IAEAによる保障措置を適用しないものだけがアメリカの保障措置にするということになったわけですが、過去において国際原子力機関の査察というものが日本においては行なわれたことがあるのか、あるとすれば具体的にどのようなことであったかということをお伺いしておきます。
○成田政府委員 日本は米国、カナダ、英国、フランス、豪州等と原子力協定を結んでおりまして、この二国間協定によって入った燃料等についてはIAEAの査察、保障措置を受けております。これは従来昭和四十年ごろからIAEAの査察を日本の原子力施設が受けておりまして、たとえば昭和四十七年、去年の回数は大体十二回ほど、そして査察を受けた施設としましては延べで百四十一施設。昭和四十六年につきましては九回でありまして、査察を受けた施設の延べ実数は百四十七というふうになっておりまして、外国から当然燃料が入ってまいりますのでIAEAの査察を日本は過去数年にわたって受けております。
○柴田(睦)委員 それらの査察について日本のほうとして不満がある、そういうやり方はまずいというような点はありますか。
○成田政府委員 過去におきましては、やはりIAEAの査察が向こうの都合によって、向こうの予定で来ましていろいろな地点に立ち入るというようなことで、仕事の円滑な遂行に非常にマイナスになるという事態もありまして、これは一昨年の秋に日本原子力発電会社の敦賀発電所におきましてちょっと問題がありまして、日本側は、日本政府もIAEAに対して原子力発電所の仕事に支障にならぬような形で査察を改善してくれないかという申し入れ書等をやっております。その後現在はIAEAと十分事前に協議して行なっておりますので、一昨年の秋以降については、去年一ぱい見ましても実際上査察についてIAEAと日本側あるいは事業者との間でトラブルが起きたというケースはないのでございます。
○柴田(睦)委員 そのIAEAが査察を始めたのは昭和四十年ごろからということでしたが、アメリカからの査察というのはそのころは並行して存在したわけですか。
○成田政府委員 アメリカとの原子力協定、三十年から締結してそれによって研究用の燃料その他入っておりますので、回数は非常に少ないのでありますが、そのころからIAEAの査察が来ておるのであります。当時は最初はアメリカの査察であったようであります。それがIAEAに対する移管協定によりましてアメリカ直接でなくて国際機関からの査察によって行なう方式に変わって、そしてそれがアメリカだけでなくイギリスその他個別協定のある国から入ったものについてはIAEAの国際機関による査察を受けておるわけであります。私、四十年と申しましたのは非常に回数が多くなった時点でありまして、その前から協定ができて研究用燃料等が入ってきた場合には、その国の査察を受けております。
○柴田(睦)委員 国際原子力機関というのは、査察以外に仕事の目的はいろいろ掲げておりますけれども、具体的な仕事は何かやっているのですか。
○成田政府委員 IAEAというのは、原子力国連機構の一環として、原子力の平和目的推進のためにできた機関でありまして、査察保障措置以外にいろんな政策問題、たとえば廃棄物の処理の研究をどうやるかとか、あるいは再処理等の問題をどう考えるか、いろんな政策問題を専門家が集まってやっております。それから平和利用に関するいろんな国際的な共通の問題あるいは大きな政策問題をやる機関になっております。それで、平和利用を進める意味で、IAEAが燃料を供給した国が、はたしてその燃料を十分協定どおり平和利用に使用しているかどうかという、平和利用推進という目的の一環として、そうした保障措置がIAEAの仕事になっておるわけでございます。これは査察外にも保障措置の形態としてはいろんな設計報告をとるとか、運転記録をとるとか、それから在庫報告書をとるとか、いろんな報告書、資料の提示を受けて、それと実際の査察員の立ち入り検査という、査察と一体になってIAEAの保障措置ということになっておりまして、IAEAの大きな仕事ではありますが、その保障措置関係がIAEAの仕事としましては大体二〇%くらい、残りの八〇%がいろんな平和利用推進のための政策的な問題そういう仕事の割り振りになっているようでございます。
○柴田(睦)委員 議定書は、今度は核兵器の不拡散に関する条約の査察を受け入れれば、このIAEAの保障措置の適用からはずされるという趣旨になるようでありますが、この核兵器の不拡散に関する条約による査察というのと、国際原子力機関による査察というのは何か違いがあるわけですか。
○成田政府委員 二国間の個別協定による査察と、NPTに入った場合のNPTの保障措置とはかなり内容的な違いがあります。基本的には、一つは、個別協定の場合は日米協定に基づいてアメリカから入った核物質の流れがどうなるかという点を主眼にしておりますが、NPTの場合はどこの国から入るか、あるいは国産を問わず核物質全体がどうなっているかという点を主眼にしております。 それから、手続その他につきましてもいろいろ合理化、簡素化がされており、一昨年の四月の理事会で承認されたモデル協定、NPTが入った場合の保障措置の基準になるモデル協定というのができておりますが、それを見ましてもいろいろな点で従来の措置とは違いがあるのでございます。 考え方としましては、NPT保障措置の場合にはその当該国の核物質の管理体制が十分行なわれて、その国が行なっている自国の保障管理体制が十分有効であるかどうか、それを検証する形でIAEAの査察が乗り出すということで、従来は直接IAEAがやりますが、今度の場合はその自国の自主管理の有効性を考え、その結果を検証するという形に考え方として改まっております。 それからNPTの保障措置のもとでは、査察員が施設に入る場合には、いわゆる従来はあらゆる必要な場合あらゆる場所に入れるのでありますが、NPTの場合は当該国と事前に合意された場所を限定して立ち入り得るという、そういう意味でもかなり合理化になっております。 それから査察の頻度といいますか回数につきましても、現行の二国間協定の査察の場合には、たてまえとしてはいつでも必要な場合は常時立ち入りというような形になっておりますが、NPTの場合は最大査察業務量というものがきまっておりまして、発電所の場合は何人の人が何回行くという最大査察量が、あるいは再処理の場合は幾らというふうに、そういう最大査察業務量というものがモデル協定によってきまっております。しかもその最大業務量の中で、相手国の自主的な管理体制が十分信用できるものであれば、その有効性に応じてIAFAの査察の量を減らしていく、そういう意味で従来の個別的な査察、これは二国間の流れではなくて、その国の核物質全体を対象とするというようなたてまえの違いということからもいえるのでありますが、そういう意味で非常に合理化簡素化された形に、モデル協定案を見ますと、そういう簡素化、合理化が働いておるということがいえると思います。
○柴田(睦)委員 質問を終わります。
○藤井委員長 午後六時再開することとし、これにて休憩いたします。 午後四時五十七分休憩 ————◇————— 午後六時一分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。渡部一郎君。
○渡部(一)委員 先日の御質問の際に、濃縮ウランの役務提供における米国原子力委員会の先着者順の基準があるなしについての問題につきまして、先ほど資料が配付されましたが、この問題について、科学技術庁の御説明をいただきたいと存じます。
○成田政府委員 濃縮ウランの役務提供におけるアメリカの原子力委員会の先着者順の基準についてお答え申し上げます。 アメリカの原子力委員会の定めておりますところの規則、運用基準等の中では、アメリカ原子力委員会が先着者順に濃縮役務を提供するということを規定しているものはないのでございます。しかし、アメリカの原子力委員会は、今回の日米原子力協定改定交渉中、濃縮役務供給を先着者順に行なうべき旨を述べておりまして、また改定議定書の承認を求めるためアメリカの原子力委員会が委員長から大統領にあてられました本年二月の二十七日付の文書におきまして、わが国の需要者が先着者順の原則によって契約締結を行なうことになる旨文書で明記されております。その明記されている部分を読みますと、「第一条Aは、委員会が発電用原子炉の燃料用に濃縮ウランを供給するための賃濃縮契約を締結することを認めるものである。日本の需要者は、一定量の契約を行なうとする場合には、原子力委員会の提供可能な濃縮能力を先着者順による役務提供ベースで利用することができる。」そういう文章でこの原子力委員長から大統領にあてました文書の中では、日本の需要者が先着者順の原則によって目的の契約を締結できるという明文がありますが、原子力委員会の内規規則でははっきりした文書になったものはございません。
○渡部(一)委員 先着者順についてのこの御説明はわかりましたが、先着者順というのは、契約当事者が契約を開始した時点が先着者順というのでありますか、それとも契約締結点が先着者順というのでございますか。その点が明確になりませんと、実際的な意味はないと思いますので、御返答をいただきたいと存じます。
○成田政府委員 先着者順の順序というのは、形としましては、申し込みをやって、向こうと交渉して、そして消費者の署名済み契約書の到着順、そういう契約書の到着順というふうに解されております。
○渡部(一)委員 そうすると、契約書ができ上がった時点の先着者順と、こういう意味ですね。
○成田政府委員 基準時点は申し込み時ではなくて、契約書のでき上がった時点の順序であるわけでございます。
○渡部(一)委員 そうしますと、私のおそれておりましたとおり、半分は先着者順の原理でわかるわけでありますが、交渉、契約を引き延ばすことによって、実際的にウラニウムを売らないという効果を米国原子力委員会が発揮することは可能である、こういうわけですね。
○成田政府委員 順序の基準時点は契約の到着順でありますが、これは申し込み順になりますとまた取引条件その他で話がつかない、最初に申し込みだけやっておけば優先順位が上がるということも不合理な点があるので、契約署名済み契約書の到着順になっていると思いますが、その申し込みから契約書を締結するまでは、これも公平の原則によって不合理な扱いはない。むしろいろいろな条件の交渉等に時間がかかるというふうに解しております。
○渡部(一)委員 この回答文における米国原子力委員会の委員長の大統領にあてられた文書は、大統領に対する回答でありますが、原子力委員会のわれわれに対する回答ではないわけであります。外務省で交渉なさったほうとしては、この問題について十分御説明は伺われたと思いますけれども、先方からどういうふうに回答されたのか伺いたい。
○影井政府委員 本件改定議定書の交渉過程におきまして、原子力委員会側から日本側に対しまして同じ説明が行なわれています。
○渡部(一)委員 何と同じ説明ですか。いま成田局長の言われたと同じ説明ですか。
○影井政府委員 そのとおりでございます。
○渡部(一)委員 そうすると先着者順の原則というものはきわめてばくたる点を含んでいて、必ずしも日本の国益を守っているものとは私は見られないと思います。日本国以外の国々に対しても先着者順の原則は当然適用されますか。
○影井政府委員 本件につきましては、わが国がアメリカと本件議定書を交渉するにあたりまして、アメリカがその前にユーラトムとの間の交渉においていかなる意向を表明していたかということを参考にしながら本件交渉を行ないましたので、御指摘の点同じようにアメリカ側の意向が表明されております。
○渡部(一)委員 そうするとこの交渉は諸外国が全部アメリカの原子力委員会に対して一斉に契約を申し出たといたします。そうしますと、その申し出た申し込みの順番でなくて、全部並列に一斉に交渉が開始されるという意味ですか。ということは、アメリカの濃縮役務供給の原子力委員会の提供可能な濃縮能力を先着者順による役務提供ベースで利用することができるとなっておりますから、提供可能な濃縮があるなしにかかわらず、最初にどっといろいろな国からアメリカに対して申し込まれたといたします、そうしますとアメリカ側としてはそのおのおのと交渉をしつつ、契約ができたところから先着順でずっとどの国ともやる、こういう意味と理解してよろしいですか。
○影井政府委員 現実問題といたしまして、アメリカの濃縮能力を越えるような申し込みが一斉に同時に行なわれるということは、予想できないのではないかというふうに考えます。それからわが国につきましては、今回の議定書に六千万キロワット分の上限を設けているということは、大体この範囲内のものには応じ得るという目安を示したものというふうに考えております。
○渡部(一)委員 そうすると、あげ足をとるようですけれども、国連局長、そんなに供給能力の余っているアメリカと何でこんなにあわててこの協定を結び、かつ審議しなければならないのですか。それならばゆっくりやろうじゃありませんか。あなたの言うとおりだったら、ウラニウムの濃縮能力がアメリカは余っているのですから、諸外国からそんなに申し込みがないのですから、それはアメリカの供給能力を上回ることはないわけです。だからゆっくりやればいいじゃないですか。なぜ外務省はこんなにあわてるのですか、しかもできのよくないこの協定を。
○影井政府委員 御承知のとおり、現行協定におきましては、上限を二千万キロワットに押えられ、他方、日本の需要といたしましては、一九八〇年くらいまでには六千万キロワット分を必要とするということから、本件改定議定書の御審議をお願いしている次第でございます。
○渡部(一)委員 国連局長は、一体各国の申し込みの予想は今後どうなっていくと思っているか。アメリカの能力はどうなっていると思っておられるのか。この三十五年間の分を言っていただきたい。あなたの言うとおり、十分能力があるなら能力があるので、この協定はあまりにも過酷ですよ。私が心配しているのはそれなんです。供給能力があるのだったら、何でこれを結ばなければならないのですか。ウラニウム濃縮役務提供のアメリカ側の能力と、各国の申し込みの予想量とをこの委員会に出してください。
○影井政府委員 先ほど御答弁申し上げましたことによりまして、いかにもアメリカの濃縮役務に非常に余裕があるというふうな印象を与えたといたしましたら、私の表現が不足であったかと思います。本件改定議定書の審議をお願いしております趣旨は、来年度以降わが国の着工分につきましての手当てを確保したいというのが、その趣旨でございます。
○渡部(一)委員 いまの国連局長の御答弁では私釈然といたしませんので、その予想される諸外国からの申し込み予想量に関するリストを提出していただくように、委員長から国連局長に言っていただくようお願いたします。
○成田政府委員 外国のどういう需要が出るか、確定した資料として出すことは非常に困難なんでありますが、ただ、いまアメリカの濃縮工場の能力が、三工場で一万七千トン、それが合理化計画、増強計画、これで三工場についてやりまして、これが二万八千トン——一万七千トンに増強分を入れますと二万八千トンということ、そういう能力に見合って今後引き取りの八年前から契約をとる。引き取りの八年前ですから、実際の稼働の十年前ということで、大体そのぐらいになります。したがって、これは日本も今後十年先までの稼働分というとかなりのものです。外国についても同じようなニュークライテリアが出ますので、ヨーロッパ諸国も相当な注文を来年六月までにアメリカと契約せざるを得ない情勢になると思います。そういう意味では、この五月から発効しまして、来年六月までの間に、世界各国、これはアメリカ以外に濃縮供給国がございませんですから、相当な発注量に達するのではないか。そしてこれは協定のワクの範囲内で、しかも能力は二万八千トンくらいの能力、これは今後八、九億ドルほどの金を投じて、能力増強をやるのでありまして、そういう分も含めまして、そういうために前払い金をもらって建設投資をやるということもねらいのようでございまして、われわれの見方では、日本だけでなくてヨーロッパの自由諸国の需要も考えると、かなりのものが新しいクライテリアによって契約交渉が集中するのではないかと考えております。その場合にやはり能力の範囲内で条件その他の具体的な話し合いがついて先着順方式で契約が結ばれていく、そういうふうに考えています。
○渡部(一)委員 ぜひ、国連局長からその予想数量を出すように言っていただけませんか。国連局長は能力があると言い、成田局長は能力がないという説明をなさる。これでは審議不能です。だから、どれくらいが予想されておるのか、濃縮ウランの供給能力はどのくらいか、アメリカ側の数字はよくわかりましたが、各国からどのくらいの申し込みがあるかわからないじゃないですか。そうでしょう。そうすれば、私としては資料を明確に要求するほかないのです。だから、予想される数量はどの程度になると思われるか、次回の委員会までに私は提出を求めます。
○成田政府委員 御指摘の資料でございますが、先生が言ったように正確なものは外国の消費需要に関連することで非常に出にくいと思いますが、一応の見通しとしての資料は作成して御提出したいと思います。
○渡部(一)委員 成田局長は、先日の御答弁の中で、濃縮契約は八年前にする。ただいまおっしゃいましたように、稼働のおよそ十年前というようなお話でありますが、そのときに、日本国内である程度融通することができる旨発言になったというように覚えております。すなわち、たとえば関西電力が契約したものを東京電力が使用することができるようになるだろうというような意味合いに私は受け取りました。これはほんとうにできるものですか。また、そういうお話し合いがあったのでしょうか。この議定書を拝見する限りにおきましては、そういうニュアンスは私はうかがえないものですから、お伺いするわけです。
○成田政府委員 これはアメリカといろいろこの問題で交渉している段階に、日本政府に対し、また電力会社が公聴会等にも参加し、いろいろこういう八年前というのは非常に非現実的ではないかという要望も出ておりますが、そういう交渉の段階でもはっきり向こう側が言っておりまして、これは具体的な購入契約の交渉段階でそれが非常にはっきりしてまいると思いますが、向こう側の責任者がそういう言明をしておりますので、われわれはそういう運用方式になると信じております。
○渡部(一)委員 そうすると、この融通の原則についてどなたがどこの場所で発言されたか明確にしていただかなければ、これはこの協定の審議にあたって重要問題ですよ。
○成田政府委員 AECのフリードマン国際部長が日本側の代表に対してはっきりその点は明言しております。
○渡部(一)委員 日本側はだれですか。
○成田政府委員 昨年の十二月の日米交渉の最終的な段階で日本のワシントン大使館の小杉参事官に対してAECのフリードマン国際部長が明言されております。
○渡部(一)委員 ECのフリードマン国際部長というのはアメリカの原子力委員会を代表する人ですか。
○成田政府委員 AECの国際部長でありまして、こういう協定あるいはその運用等については対外的に代表しております。
○渡部(一)委員 よくわからないのですけれども、ECの国際部長でしょう。それがどうしてアメリカの原子力委員会のメンバーなんですか。
○成田政府委員 AECというのはアメリカの原子力委員会のことでありまして、アメリカの原子力委員会の国際部長でありますので、この件に関しては代表している責任者であるというふうに考えております。
○渡部(一)委員 ECではなくてAECですね、よくわかりました。 ではこの問題はこの融通の原則が明確でありますならば原子力委員会との契約に関してはこの間から先着順の原則であるとか融通の原則であるとかいろいろなのが飛び出してくるわけですね。この融通の原則というのがもしあったとしますならば、二国間交渉の場合あるいは個々の契約の場合にどういう融通性を発揮するかによっては公平の原則は破られてしまうのじゃありませんか。たとえばアメリカとある国のAという電力会社が交渉したとします。それを隣の国のBという会社にその契約を譲り渡したとします。公平の原則じゃないですね。また日本側もそうですね。日本国内同士で考えてもAという電力会社に対して契約が行なわれた。それをBに渡した。そして実質的にCという電力会社に打撃を与えることは可能ですね。そうじゃありませんか。そうするともし先着順の原則によってA、B、C、D、E、F、Gという電力会社がおのおの申し込んだといたします。そうするとBの電力会社にAの電力会社がうんとそれをとってしまってBという電力会社を飛び越してCとかDとかいう電力会社にそれを融通の原則で譲り渡したとします。商社的な機能を発揮して融通のマージンをいただいたとします。そうすると公平の原則もへったくれもないじゃありませんか。先着順の原則もないじゃありませんか。あなたの言われた公平の原則も先着順の原則も融通の原則で全部飛んだわけじゃありませんか。だからとてもお話が理解しがたい。
○成田政府委員 Aという会社の経営計画がたとえば百万キロ何年度着工、稼動という計画が出てまいると思います。その炉について必要な燃料というものは計算できますので、これが三十年間の契約になるか十年間になるかはこれは個々の契約ベースの問題できまると思います。したがいまして、その計画が実行できなくなるような事情が出まして、他の会社へ融通するという場合も当然考えられるのでありまして、それは日本国の中で日本の電力会社間でそういう了解がついて、向こうの人と話してそれをもらえるというようなことができるというのが融通の原則であります。そういう意味で外国との関係の融通ではなくて、日本の電力会社間の融通だけを考えておるのであります。したがいまして、最初にAという会社が非現実的なほど大量にとって云々ということは、個々の審査においてもそういうことはあり得ないのではないか。百万キロ何年稼働という計画を申し込んで、それに類似した他社の計画に、A社の計画が実現できない場合は融通できる。そういう考え方であります。
○渡部(一)委員 それはますますうなずけなくなってきたわけですけれども、そうすると、この融通の原則は同一日本国内であるとあなたはいま言われましたね。そういうふうにあとからあとから新事実が公表されるのでは、この法案の審議ができにくい。AECのフリードマン国際部長が仰せになった話は、正規の約束になるかどうかも疑わしいでしょう。だからこういう条約案とか法案の審議の際は、これは外務省側がちゃんと教えるべきだと私は思うのですよ。向こうと約束した話は全部国会に報告しなければならない。融通の原則はこう、公平の原則はこう、先着順の原則はこう、これこれしかじかの原則でこういうふうになっておりますといってくれなければ、私たちはこの議定書を一枚持たされて、何もわからないじゃありませんか。それでいまお話を伺えば、どうも私の思っている融通の原則とは原則が違うようですし、先ほどからの御説明でも不明です。アメリカの融通の原則は、アメリカの国内法のどこに定めがあるのか。先着順の原則と同じように、どういうふうなお話を小杉参事官にされたのか。それは確定した議事録があるのかないのか、そういうのをきちっと外務省として提出をしていただきたいと思いますが、どうですか。
○松永政府委員 条約上の問題としてお答え申し上げますと、条約上はただいま御説明がありました融通に関する原則ないし了解という問題は、規定上はないと思います。これは私どもの解釈といたしましては、締結される契約の内容の問題になると思うのでございます。そしてその契約によってそういう融通を認めるとかというようなお話が出てくるだろう、こういうふうに考えております。
○渡部(一)委員 しかし、そのあなたの言い方は明らかに間違いですよ。公平の原則というものは条約の本文の中にあらわれています。そうでしょう。ところが、融通の原則というのがあれば、その公平の原則がアメリカとして日本の国内の大きな産業に対して関与する余地を残しております。Aの会社は融通してよろしい、Bの会社は融通して悪いということだって可能です。そうすると、そんないいかげんな協定を詰めないで結んできた責任があるじゃないですか。それじゃ話にならないから私は融通の原則というのはどの程度のものなのか、それを明確にすべきじゃないかといっているのです。単なる契約の問題だけだったらAECのフリードマンさんという人が、それは大きな問題だから交渉の途上で言われたんでしょう。交渉の途上で言われたものを明らかにする責任があるじゃありませんか。大臣どうお考えです。私が先ほどもこの条約はどうもできが悪いと申し上げましたけれども、この融通の原則を明確にしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○松永政府委員 公平の原則は確かに第七条Aの規定に出てまいるわけでございます。これは先ほど来御説明がありましたように、第三国、ほかの外国との間で不公平なことにならないようにということで本文の中に規定されているのだろうと思います。
○渡部(一)委員 そんなことを言うならば、あなたはアメリカの原子力委員会による内政不干渉の原則を認めぬことになるのですよ。そうでしょう。Aという電力会社からBという電力会社に譲り渡したのを認めて、BからCに渡すのは認めないというのをAECが契約の段階で言ったとしたら、内政干渉もはなはだしいじゃないですか。しかも国内の重大産業じゃないですか。そんないいかげんな交渉をしてきたとおっしゃるのですか。
○松永政府委員 先ほども申し上げましたように、それは契約を締結しますときの契約当事者間の話し合いによってきまるのだろうと思います。
○渡部(一)委員 あなた、だろうと思うとおっしゃったけれども、こんな問題のときにだろうとは何ですか。想像でものなんか言ってもらったら困りますよ。やめてくださいよ。だろうとは何ですか。私が言っているのは事実を求めているのじゃないですか。融通の原則はどの程度なのかと聞いているのじゃないですか。だから、ないならば資料を出せと言っている。出せばいいじゃないですか。そうでなかったら議論は進まない。これ以上もめさせるつもりなんですか。
○松永政府委員 だろうと申し上げたのは、私の表現が悪かったとすれば陳謝いたしますけれども、私が申しました趣旨は、それは条約上の問題としてここで取り上げてはいないということを申し上げたわけでございます。
○渡部(一)委員 私は融通の原則を出せと言っているのです。
○成田政府委員 新しい基準の運用の問題で、直接の条約の規定の問題ではありませんが、これは今後の濃縮ウラン確保の上で重大な問題でありますので、われわれはフリードマン国際部長の明言によってその点は十分確保されたというふうに解釈してきましたが、その点御指摘の点もございますので、大使館等とも至急相談して、向こうのAECや大使館にそのときの議事録的なものがあるかどうか、あるいはAECとさらに話し合ってみる必要があるかどうか、まだ当たってみないとその点はっきりいたしませんが、その点もワシントンの大使館と早急に連絡をとって、御疑問の点をはっきりさせたいと思っております。
○渡部(一)委員 成田局長、それはこの次あるいは予定されているこの法案の審議の日程の間でお返事いただけますか。
○成田政府委員 大使館には早急に連絡がとれますので、ただAECとの関係がどういうことになるか、大使館と相談してみますが、なるたけ早い機会にはっきりさせたいと思っております。
○渡部(一)委員 それではその問題は了解しました。 ではその次、第九条の付表の問題についてお伺いしたいと思います。 現行の協定第九条によって、米国から日本に供給されることになっている濃縮ウランの総量は、一体何トンになりますかお答えいただきたいと存じます。現行のやつです。
○成田政府委員 発電用が三百二十八トンでありまして、このほか研究用が七トンありまして、協定上のトータルとしては三百三十五トンというふうになっております。
○渡部(一)委員 その総量はどこに掲載されておりますか。
○成田政府委員 現行協定は昭和四十三年の七月にできておりますが、昨年の二月に増量交渉が行なわれまして、これは行政協定によって増量が交渉されまとまって、その結果、発電用の燃料が最終的には三百二十八トンになったわけでございます。その前は百五十四トンでありまして、研究用の七トンはこれは従来と同じように昨年の改定においても七トンでありますので、三百二十八トンプラス七トンで三百三十五トン、これは昨年二月二十五日に調印されました増量の行政協定によってきまったわけであります。
○渡部(一)委員 昨年の二月二十五日の文書はどういう名称のものでございますか。
○松永政府委員 これは交換公文でございますので名称はつけてございません。ただ便宜上、私のほうで原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定中の濃縮ウランの供給ワクの拡大及び同協定の付表の修正に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の交換公文というふうに称しております。
○渡部(一)委員 それは私が委員会でいただいたこれのことでございますか。原子力の非車事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書に関する交換公文、これですか。
○松永政府委員 いや違います。それは昨年行なわれました交換公文でございます。
○渡部(一)委員 あなたのおっしゃいましたその交換公文は、国会の承認を求めなくともよろしいものでしょうか。
○松永政府委員 これは現在の協定によりまして政府間の取りきめによって付表を修正するということが認められております。したがいまして政府にその権限を委任いたしておりますので、政府間の取りきめによってこの付表の修正を行なっております。
○渡部(一)委員 それは政府にその権限をいつ国会が委譲したのですか。
○松永政府委員 それは協定第九条のAに、両当事国政府の間で合意される量をこえてはならないということが書いてございます。
○渡部(一)委員 その部分をもう少し丁寧に読み上げてください。
○松永政府委員 「アメリカ合衆国から日本国に、第四条、第六条B若しくは第七条の規定に基づいてこの協定の期間中に移転され、又は旧協定に基づいて移転された同位元素U−二三五の濃縮ウラン中のU−二三五の調整された純量の合計は、十六万一千キログラム又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される量をこえてはならない。前記の各条又は旧協定に基づく前記の上限の範囲内における移転の量を計算するため、次の計算方法が使用される。」以下各項目が並んでおります。
○渡部(一)委員 そうすると「両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される量をこえてはならない。」とありますが、日本国において法律上、憲法上の手続はどういうふうにおやりになりましたか、大臣。
○松永政府委員 ただいま御指摘の点は、第九条の規定にございます「それぞれの法律上及び憲法上の手続に従って」という意味についての御質問であろうかと思いますが、これは、この規定に出てまいります上限量拡大の政府間の合意は当然それぞれの国内法上の手続に従って締結されるということであろうかと思います。 他方、この供給保証量というものは、わが国にとりましても、買い付けを約束するという意味におきまして、わが国を拘束するものではございませんので、したがいまして、その国内法上の手続に従って締結されるというものを、政府といたしましては、行政府限りで合意することができるものであるというふうに解釈しているわけでございます。
○渡部(一)委員 これはウラニウムの買い付けを約束するものだがら拘束しないというような御説明は、私はちょっと納得しがたいのです。日本の国会法において、そういう交換公文は政府の専決処分で行ない得るというような条項があるのですか。
○松永政府委員 買い付けを約束しているものではないわけでございます。そういうふうに私は申し上げたつもりでございます。
○渡部(一)委員 その買い付けの数量が何々をこえてはならないというふうにこれは明らかに書いてあります。あなたのおっしゃるとおりです。しかし、買い付けの制限量が前よりも大幅に変わって、大きくなったわけですね。それは前協定の内容と重大な部分において変わっているわけじゃないですか。それを当然内容とする交換公文だったら、なぜ議会の審議を経ないでそういうことをなさったのか。
○松永政府委員 この第九条の規定は、前の、現行協定でございますけれども、第七条Aのアメリカ側が日本国のすべての必要量を供給するという約束——これがいわゆる供給保証の規定でございます。これとあわせて実は生きてくるわけでございます。したがいまして、この第九条のA項の規定は、アメリカ側の供給保証に関する規定であって、日本政府がそれによって買い付けを約束する、あるいはそれの拘束を受けるという趣旨の規定ではないわけでございます。
○渡部(一)委員 そういうふうなおっしゃり方をなさるのでしたら、私は別の方向から議論しますけれども、交換公文でこれほどの重大な部分についての変更があったにもかかわらず、外務省は当委員会に対してこれを御説明なさいましたか。あるいは理事懇談会等において御説明をなさった事実はございますか。
○松永政府委員 事実関係は必ずしもつまびらかにいたしませんが、政府間の合意でこの付表を修正することができるというたてまえをとっております関係上、国会に御報告と申しますか、そういう正式の手続をとっていることはないと思います。
○渡部(一)委員 じゃ、話が、これはすさまじい、国民を代表する国会を無視した話でありますし、その交換公文の提出を求めます。当委員会に配付してください。それからでなかったら、こんな問題は審議不可能でありますから。 参考資料に出ていないじゃないですか。これほどのことをほったらかして、こんなやり方は当委員会をまさに侮辱したとしか思われない。途中で協定を実質的に変えておいて、当委員会に何にも言わないでいきなりこういうものが出てくる。これでは審議にも何にもならないじゃないですか。
○松永政府委員 その交換公文は、直ちに提出いたすことはお約束できます。ただし、今回差し上げてございます現行協定のテキストには、いま申し上げました交換公文によって修正されました付表が載っているわけでございます。
○渡部(一)委員 それなら、交換公文によって付表のところをかってに修正して、修正した理由もわからないでわれわれにいきなり審議しろというのですか。われわれは旧表の分しかわからないじゃないですか。あなたは、かってに交換公文の修正部分をつけ足して、ここへいきなり持ち込んできたんじゃないですか。そんな失敬な話がありますか。材料も出さずに審議しろというのでは、審議できないですよ。委員長、私はこれ以上もう質問できないですよ。そんないいかげんな外務省のやり方は、委当員会に対する侮辱ですよ。私は、交換公文がここへ正式に出されて、それで適当な御説明があるまで審議はできない。あまりにもひど過ぎる。 私は、理事会においてこれをお計らいいただくようお願いいたします。
○松永政府委員 いま私が修正された付表で提出していると申し上げましたのは、これは御審議の対象というよりは、御審議の参考ということで提出しているわけでございます。
○渡部(一)委員 委員長、緊急理事会の開催を求めます。
○藤井委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○藤井委員長 速記を始めて。 次回は、来たる二十九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時二分散会