P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
71回国会衆議院1973/06/13

外務委員会 第21号

発言数
283
登壇者
24
会派数
5
開催日
1973/06/13

会議録

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 大平外務大臣に二、三の点を私に許された範囲の時間でお尋ねをしたいと思います。具体的にまた御答弁を願いたいと思います。  先般の委員会でお尋ねしようと思っておったのですが、時間がございませんのでお尋ねすることができませんでした。第一の点は、ASPACというのはアジア太平洋地域における反共の機構であって、こんなものには賛成できないという立場をわれわれは主張してきました。最近の国際情勢によりましていわば自然消滅のようなかっこうになってきた、こう言って私は過言ではなかろう、こう思うのでありますが、新聞報道等を見てみますと、外務省はASPACにかわる何らかの新しい国際機関を創設しようとしておると報道をしておるものもある。何かそういう構想を外務大臣あるいは内閣は持っておるのでありますか、まずお伺いをしたい、こう思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 結論から申しますと、そういう計画をただいま政府は持っておりません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そういうようなアジア太平洋地域の何か国際機構といいますか、そういうものは何も構想がない、こういうことでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 現にアジアにおきましては既存の地域協力機構、国連参加のものもございますれば、そうでないASEANと称する仕組みもあるわけでございまして、そういうそれぞれの既存の協力機構が堅実な、建設的な役割りをアジアにおいて果たすことをわれわれは期待いたしております。  同時に、日本といたしましてもそれに対して日本なりの貢献をしなければならぬと考えております。既存のそういうものと別個に、アジア全体を網羅いたしまして広範なアジアの平和と安定を目ざした仕組みを考えるべきじゃないかという議論は確かにあるわけでございまするし、総理大臣もそういうものの可能性というようなものも検討してみたらどうかという御指示は確かにあったわけでございます。われわれは、もしそういうものが可能な条件が熟してまいりますならば、そういうことを考えるにやぶさかでございませんけれども、ただいまのところまだ手がかりがないわけでございまして、先ほど申しましたように、政府としてただいま構想を持っておるという段階ではありません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 特別国会の再開劈頭におきまして、田中総理は、施政演説の中でも、アジア太平洋諸国の国際会議を持とうという構想を持っておるのだという意味の演説を——こまかい字句等は私覚えておりませんが、そういう意味の構想を施政演説でもやっておられるわけです。ただそれは言いっぱなしであって、思いつきで言ったのか。そんな無責任なものであってはならぬと私は思うのでありますが、何も構想がない、考え方がないということでは、外務大臣としてあまりに不親切な答弁ではないかと思います。もう少し大きな、アジアにおける——大国主義というようなことばはお互いに好まないことばでありますが、わが日本としてはそういう考え方があって当然ではないかと私は思うくらいであります。その内容については問題はたくさんありますけれども、田中総理大臣がどういう意味のことを言われたのかと思われるのですが、この点お伺いしておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 あの当時、ちょうどベトナムの平和が手の中に入ってきた。ポストベトナムの状況におきまして、インドシナ半島ばかりでなくアジア全体の状況を見まして、ベトナムにおきましては国際会議というようなものがちらほら国際政治の舞台で言われておった段階でございましたし、ベトナムばかりでなくアジア全体で、こういう新しい情勢を踏まえてアジアの平和構想、平和開発というような問題につきまして、国際会議をもっと広範なベースで持つというようなことも、当然それは考えられてしかるべきことであったわけでございまして、田中総理はそういうことの可能性を検討してみたいということを提唱されたわけでございまするし、私も先ほど申しましたように、そういう御指示は確かにあったわけでございます。その後の状況を見ておりますと、ベトナムの和平はなりましたけれども、まだインドシナ半島全体が流動的な状況でございまして、まずあそこを固めてまいらなければならぬという当面の仕事がございますし、ベトナムに対する援助問題につきましての当事者はもとよりでございますが、関係国の考えもまだ十分まとまった状態にはなっていないわけでございまして、全体の大きな平和開発への国際会議というようなものを構想するにはまだ熟しない状況でございますので、われわれといたしましてはまだ手がかりをつかみ得ずにいまおるというのが打ち明けたところの実情でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 私は、どうもあまりにも何か思いつきみたいな、それでは私は、大きなアジアの地域の国として、ベトナムのああした問題はたいへん重大な問題であった、それが和平の方向に向かいつつある、あるいはいろいろと問題はまだ前途にはある、こういう状況でありますが、せっかく総理が施政演説にそういうことを言ったが、そういう可能性を探るという心境で言っただけであって、わが国がそういうことを積極的に構想を実現していくようにしようとする努力もしないというふうなことは、私はわが国の政府としてはあまりにも消極的な態度であると思うのでありまして、そうでないでしょうか。たとえばASEANという組織がある。これをもっと拡大した組織になるような努力をしていって、しかもそれはあくまでも反共というような立場のものであってはならぬ。あるいはまた、太平洋アジア地域のいろいろな国を網羅したようなアジア太平洋地域のそういうふうな国際的な連帯感を持つような、そういう組織をつくっていこうという努力、あるいは困難であってもそういうような機構をつくっていこうとする気概というものを、わが国の政府はあるいは外務大臣は、そういう勇気を持った態度をもって臨むべきである。それは当然だと思う。しかも総理大臣は、施政演説でもそういう構想を述べておるのですから責任もあると思うのでありますが、そんなに大事ばかりとらぬと、外務大臣もう少し親切な答弁を、正直な答弁をひとつしてもらいたいと思うのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たいへん正直な答弁をしておるのです。田中総理はそういう可能性を検討せよ、してみたいというのが施政方針演説にうたわれてある考え方でございまして、事柄を考える場合に、まずその可能性の有無を問わずやみくもにやってみるというばかなことはないのでありまして、可能性を検討してみたいということでございますから、きわめてすなおだと思うのでございます。そしていまその可能性については、私どもまだ手がかりをつかみ得ずにおる。しかしその検討は長期的な課題として私どもが追求していかなければならないと考えております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そういう構想を持ったということ、それからそういうことを長期的に展望を持ってしていかねばならぬと思っておる、こういうことだけでは弱いと思うんです。政府は特に外務大臣はその責任者ですから、実際にそういうふうなアジア地域、太平洋地域における国際的な、われわれが望んでおり、また外交、政治の最終の目的である平和的な友好関係が結ばれるような志向について、しかもこれを実現するために熱意を持った努力をこれからほんとうに具体的にしていこうとしておられるのか、ただ成り行きを待っておって都合がよくなればやろうというようなことでございますか、もう一ぺんしつこいようでございますが、お尋ねしておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アジア問題というのは、たいへん規模も大きいし深さも深い問題でございまして、私どもといたしましてはひとりアジア各国だけでなくて、世界全体の協力と理解と祝福がないと成果をあげ得ない課題であるわけでございます。したがって、アジア問題というのは世界的な問題であるということでございますから、そのような平和を論じ開発を考えてまいるというのは、たいへん規模の大きなことになるわけでございます。したがって、その可能性を探ってみるということは容易ならぬ大事業だと思うのであります。  しかしアジアに置かれた日本といたしまして、そういう可能性を探求してみるという努力は怠ってはならぬことと考えております。しかし問題が大きなだけに、いま即座に軽率なことは言えないわけでございます。堂森さんの激励の意味を込めての御質問に対しましては敬意を表し、感銘も受けるわけでございますけれども、そのことが政府がこういうことをやるということに直ちにならないほどの問題であるということも、また堂森さん、よく御理解いただけるんじゃないかと考えるのであります。長期的な道標といたしまして、絶えざる追求を重ねていかなければならない課題と心得ておるということで、ひとまず御理解をいただきたいと思います。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 まあ、この間うちからたびたびの委員会等で、すでに北ベトナムとの話し合いもパリでおやりになる。新聞にもそう報道されております。大臣はパリかどうかわからないという最後までの答弁ですが、新聞ではパリだと書いてある。なかなか委員会ではほんとうのことをおっしゃらぬものだから、そこでまたきょうは午後は韓国の総理が来て、あなたはお話しになる、こういうことですね。そうするとこれは総理と会う前に、きょうはこういう話をするということは、それは言えないといったってあなたなかなか言えぬとは思いますが、南北朝鮮の韓国と朝鮮人民共和国との話し合いの機運が高まってきて、それが何がしか緒についてきておる状況について、このASPACの組織が崩壊の状態になって、新しいアジアの国際的な連帯感を持った会議をつくっていこうとしていかれる立場から韓国の総理にもそういうような意味でのいろんな話し合いをされるのでしょうか。こんな話をするということをいまここで言えったって、それは私は幾ら野党議員でもそんな無理は申しませんけれども、そういうような意味でのいろんな意見も言われるつもりでしょうか。答えられる範囲で答えていただきたい、こう思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いきさつからお話し申し上げますと、田中内閣ができまして金総理としてなるべく早く表敬訪問をしたいという希望を持たれておったことでございますけれども、いろいろな都合でそれが延びておったわけでございます。今度ヨーロッパ旅行をされた帰りに立ち寄られて非公式ながら田中総理と私のところへ表敬訪問されるということだけをいま聞いておるわけでございます。話題をどういう話題にするかなんていう話は全然ないわけでございますが、しかしいまおっしゃっるような状況でございますので、私といたしましては韓国の指導者の御意見というようなものも可能であれば伺ってみたいと考えております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 いや、あなたは何をおっしゃるとは言わぬ、ずるいと思うのです。向こうの意見を聞きたいということでありますが……。  そこで、きょうでしたか、決算委員会等であなたが答弁しておられた、秋の国際連合の総会の討議には朝鮮問題の討議をたな上げにはできないんだ、こういう意向であるというふうに新聞には報道されておりますが、そういう意向もお伝えになるのでしょうか。これも答弁できませんか。しかし新聞にはそういう報道がされております。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私がきのう決算委員会で、ことしの秋の日本の国連対策というものをどうするのだということを聞かれ、同時に審議のたな上げ案というようなものをまた提案していくつもりかという意味のことを聞かれたわけでございます。そこで、私といたしましては、秋までに時間もあることでございまするし、朝鮮半島における両当事者の考え方、それから世界の関係国の考え方等を十分われわれとしても承知しなければならぬことでありますということを一点申し上げたことと、ことしの国連総会での朝鮮問題につきましては少なくとも今日どうなるかということは予言者でないから言えません、言えぬけれども去年の状況とは相当変わった状況になってきたということだけは言えるということだけ申し上げたのです。あとのことは新聞のほうで書かれたことで私の責任ではございません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 いろいろ聞きますけれども、なかなか外務大臣口がかたいものですからおっしゃいませんが、新聞報道によりますと、わが日本の在外公館、アジア地域、太平洋地域の各地で何か会議を盛んにこれからお持ちになるスケジュールがあって、いろいろ今後のアジア太平洋地域の外交的なあり方等についての検討があるんだと新聞には報道されておりますが、大臣はもちろんその責任はないでありましょうが、そういう意味で大いにいま外務省としては全力投球的なかっこうで——アジア太平洋地域の今後の外交的なあり方について再検討といいますか何か一つの活動が特に顕著に始まりつつあるように新聞等では書いておるのでありますが、私がいままで申しましたようにASPACというようなあんなかっこうではなしに、あなたそうでしょう、総理大臣が施設演説で約束したことでございますよ。思いつきをおっしゃっておらぬ。そんな簡単なことじゃないと思うんです。実現するかどうかわからぬ、ただ着想をちょっとしゃべったくらいな簡単なことに外務大臣は解釈されては困ると思うのでありまして、警告的な意味において、そういう方向にエネルギーを傾倒してもらうように要望して、私はこの問題は終わりたいと思います。  そこで次の問題でありますが、チュメニ油田の開発問題についてのソ連とわが国との関係等について近ごろ何か非常に情勢が変わってきておるんじゃないかというふうに新聞等でいろいろと報道されております。これは新聞の表現ですが、何か西側のジャーナリストがソ連書記長ブレジネフのことを赤いセールスマンといっている。たいへん目ざましい経済的な活躍を西側と始めた、こういう意味で赤いセールスマンというような表現を使ったと思うのでありますが、五月十八日に西独のボンを訪問しまして、ブラント西独首相と会い、そして会うと同時に、まず経済問題からお互いに話をしよう、こういうことを声明して、そして会見二日後にはもうすでにブレジネフとブラントとの間には独ソ経済・工業技術・協定に調印するというまことに電光石火的な早わざの調印が行なわれた、こう新聞には報道しておる。そしてこれがもし実現しますと、私らの知っておる範囲でも、モスコーあるいはソ連全体の市民たちのあこがれの一つはマイカー族になることだという。これは私自身がソ連の労働者としゃべったときに聞いたのですが、何が望みか、何が希望かといえば、わしはやっぱりマイカー族になりたいんだという話をしておりました。おそらくこの独ソの間の経済協力、経済開発計画等の協定が実現してくるとモスコーにはフォルクスワーゲンがどんどんと流れ込んでくる、そしてミュンヘンのビールが入ってきて、ドライブしたあとみんなミュンヘンのビールで一ぱいやるというようなことも実現するんじゃないか、こういうふうにも思うのです。それから今度はまたソ連の各地で発電される原子力発電による電気がどんどん西独に送られていって、あるいはまた天然ガス等も送り込まれて、ドイツの電気不足を補うというようなことも実現して、必ずや大きな経済的な発展というものがくるのではなかろうか。いろいろな報道機関もそう発表しておる。  今度は、十八日にはブレジネフはさらにワシントンを訪問しましてニクソンと会談をやる、おそらくこれも経済的な提携ということに大きな重点を置いておるということは、国際的にもう判明しておることである、それは言えると思うのです。  ところが一方、八月にソ連を訪問することがあたかも既定の事実といわれておったわが国の田中総理は、向こうの都合によって、九月以降ですか、この間の外務大臣の答弁では、九月以降でないかというお話でしたけれども、そういうふうな申し入れがあった。これは、おそらくブレジネフは、ドイツに行き、アメリカに行き、そしていろいろなことをやって、よく解釈して、あまりにも八面六臂の働きをしたので疲れたから休暇をゆっくりとって、そして構想を練って、体力を回復さして、日本の総理田中角榮氏を迎えようというふうにとればとれますけれども、私はそうじゃなかろうと思うのです。  たとえば、つい最近あそこのヤクートの天然ガスの開発についての協定がソ連とアメリカの間に結ばれた。日本もこれに入って、日米ソの三国によってヤクートの天然ガスの開発をやるのではないかというような報道もされておりました。それから、チュメニ油田の開発について、日本の経済委員会の代表が向こうに行くことになっておったのも、何か向こうの都合で延期が申し入れられてきたわけです。そういうふうに私は聞いておるのですがね。そして、それもいつ行くかわからない。ところが、新聞報道等を見ておりますと、チュメニ油田の開発も近く米ソの間で協定が実現するであろう。昨年ニクソンがモスコーを訪問して、ブレジネフとの間で、世界最大の自動車工場ですかトラクター工場ですか、これがシベリアにできるようになった、たいへん大きな経済的な交流の協定を結んできた、今度はおそらくチュメニの開発等の協定もできるのではないかというふうにもいわれておる。そして、ヤクートの天然ガスのパイプラインはずっとウラジオストックまでも引っぱられるというふうなことがヤクート協定できまっておる。チュメニもそういう計画になっておる。こういうことでありますが、われわれ見ておって、このチュメニの油田あるいはヤクートの天然ガスの開発等について、どうもわが国がもうそでにされて、除外あるいは後塵を拝していくようなかっこうになっていくのではないかというような印象を受けるのです。そして、総理の八月中における訪ソは、向こうから一方的に延ばされる。こういうようなことでありますが、田中総理の訪ソが延びたわけを向こうがどう言ったか、それはともかくとして、外務大臣はどういうわけだとお考えになっておるか。この前、たしか自民党のどなたかが御質問になったのに対して、その理由等についてはあまり見解を述べられませんでしたが、どういうことでそうなったのか、それから、チュメニ油田の開発等についてはどういう見解を持っておられるのか、これをまず承っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 田中総理の訪ソ日程が延びたというのは間違いです。いついつ訪ソするということがきまっておって、それがいついつに延びるというなら、延期ということで正確なんでございますが、きまっていないんですから、私のほうでこういう時期はいかがでしょうかと、先方の都合を聞いておったら、先方はこういう時期がいいという返事なんですから、延期という表現は間違いなんでございます。本来、両方でそういういろいろなやりとりがありまして、最終的にきまって、新聞その他に御発表申し上げるのが手ぎわがいいんでございますけれども、日本ではまあそういうことになりませんで、交渉の途中からいろいろ御報道がいただけますので、あたかも延期になったように思れますが、そうでないわけでございますので、まずそれは誤解しないように。こういうことはよくあることでございますから、別段私はソ連が非礼であるとも思っておりませんし、こういう手順を踏んで最終的にきめていくべきものと思っておるわけで、それだけにすぎないと思っております。  第二点のチュメニ問題でございますが、わが国の業界におきましてソ連の関係者とチュメニ油田の開発に伴うパイプラインの問題について御相談をしておることは事実でございます。政府としては、本来わが国は資源のない国でございますから、ソ連ばかりでなく、大きくいえば地球全体に安定した供給源を確保していかなければならぬことは当然の道行きなんでございます。そういう話し合いがあっても別にふしぎはないわけでございます。問題は、専門家の間でこのプロジェクトなるもののフィージビリティーと申しますかそういうものをよくお確かめいただいて、それから政府に御相談があれば、それをよく確かめた上で、日ソ間で互恵平等の基礎に立って話ができるものであれば実施に移すし、むずかしいものであったら控えなければならぬという性質のものでございますので、そういうようにわれわれは心得ておるわけでございます。承りますと、当事者同士の間で基本契約交渉というようなものをやろうということが若干延びたようには聞いておるわけでございますけれども、どういう事情で延びたのか、そうでないのか、そのあたりは、私は事情を十分つまびらかにはいたしていないのであります。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 通産省から来ておられますね。——チュメニ油田開発の交渉についてのきょうまでの事情を、外務大臣はよくわからぬとおっしゃいますので、通産省が担当しておられるでしょうから、御説明願いたいと思います。

山田勝久通商産業省通商局市場第三課長

○山田(勝)説明員 ただいま大平外務大臣からお答えがあったとおりでございます。チュメニ交渉につきましては、民間である日ソ経済委員会の石油委員会が窓口になりまして、コマーシャルベースを基礎に、そのフィージビリティーの条件を探っているわけでございますが、本格的な交渉につきましては日取りがまだきまっておりません。先ほど大平外務大臣お答えのように、相互に連絡をし合っておりますが、まだ日取りはきまっておりません。私どもの伺って触るところによりますと、大体七月中には何か行われるんではないだろうかということが日ソ間の両当事者間で話し合いが行なわれておりますけれども、具体的な日取りはきまっておりません。  大体以上のような現在までの経過でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 外務大臣にお尋ねしますが、ソ連の国家計画委員会の貿易部長のスパンダリヤンという人が、これは私報道で読んだのですが、ソ連と協力する資本主義国家は日本だけではないんだ——これはまあそうでしょう、そのまま文章を読めばそうですが、チュメニ油田の開発計画についても、あたかも日本の経済界では日本だけが唯一の協力国であるというふうな錯覚をもって、そしてわりあい安易に考えてきたのではないだろうか。しかし、これはなかなか向こうとしても、たとえば日本政府の協力のしかたもいろいろと、例によってスローモーションで、ゆっくりゆっくりやっておるというような事情等もあったり、あるいは日本の経済界が主たる交渉の相手になっておって、政府がどうもうしろのほうに引っ込んでおって何か消極的であるというような印象を与えておったというふうな意見も、私いろいろな方面から聞くものですから、日本政府の態度が消極的であったということが今日急激に——今度は十八日にはブレジネフがアメリカに行くのですから、そういうときに、チュメニ油田の開発等についての米ソの協力関係の、そういう協定等も結ばれてしまうのではないか。だから田中総理の訪ソ等もそのあとのほうがというようなことに考えられておるのではないかという想定等も私はするわけですが、通産省いかがですか、そういう点。日本の経済界及び政府のやり方が手ぬるいからこういうふうになったのではないかということです。

山田勝久通商産業省通商局市場第三課長

○山田(勝)説明員 先生の後段の御質問だけ私からお答え申し上げます。  チュメニ交渉が田中総理の訪ソ以降になって初めて具体的な交渉が行なわれるのではないかということにつきましては、むしろそれよりも前に第一回の交渉が持たれるように、日ソ間の両当事者間で現在その方向で話し合いが行なわれておりますので、その点だけ私から申し上げておきます。

山田淳治外務省欧亜局外務参事官

○山田(淳)説明員 先生の御言及になりましたスパンダリヤンの論文でございますが、これは五月八日付のプラウダでございまして、読者の質問に答えまして、日ソ間の経済協力について述べているわけでございますが、その中で、日ソ間の従来の経済協力及びこれから行なわれようとしているチュメニあるいはヤクート天然ガス等の見通しに触れまして、その中で、こういった経済協力の相手は日本だけではなくて、そのほかの資本主義国ともやっているんであるということをいっております。ただし、この論文の主要点は、やはり日本との経済協力をこうやっているんだという点に主眼がございまして、別に日本との交渉がうまくいかなければほかの国とやるぞというおどかしをやったものではないと理解しております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 時間がないので、もうほとんど聞くことができませんが、最後に外務大臣に一点だけ聞いておきたいと思います。  田中総理が訪ソされる目的は、主たる目的は経済問題ですか、あるいは講和条約というようなものを——あなたも一緒に行かれると前から言っておられますから、講和条約等の下準備ということが主たる目的でございますか。どちらですか。あるいは両方ですか。いかがでございますか。これだけ伺っておきたいと思います。  それからチュメニ問題は、そんな甘いことじゃないと私は思うのです。これは経過を見ればわかるでしょうから、日本の政府の大きな責任がある、こう私は思うのでありますが、きょうはもう時間がありませんから質問はやめたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日ソ両国は永遠の隣国なんでございますから、両首脳が相知って、隔意のない意見の交換を遂げられるということ自体がたいへん大事なことだと思います。ここで取り上げられる問題をきめておるわけじゃございませんけれども、当然、両国が共通の関心を持つ問題につきまして会談が持たれると思うのでありまして、平和条約締結の問題も経済協力の問題も当然話題になるものと思っておりますが、いずれが主でいずれが従であるというような性質のものではないと思います。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 一般的な国際情勢について二、三お尋ねをしたいと思います。  先日新聞で拝見いたしましたが、日本と中国との間に文化協定、特に留学生の交換に関する協定が近くできるというような報道があるのでございますけれども、この問題は実際にどのように進んでおるのか、またそれは、協定ができるとすればいつごろをめどにいま作業が進んでおるのか、また、内容などについて、これはまあ直接の政治問題ではございませんけれども、日本と中国との真の友好関係をつくるために非常に大事な問題だと思いますので、お伺いいたしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日中間の文化協定の問題でございますが、目下の段階は、その可能性を検討中でございまして、従来わが国は諸外国と文化協定をたくさん結んでおるわけでございますが、中国と結ぶといたしましても、大体内容的には同様な内容のものになるのではないかという展望を持っております。  さしあたっての問題は留学生の交換でございまして、国交正常化後文化交流の一環といたしまして、中国側の意向を踏まえつつ、その早期の実現を目ざして前向きに取り組んでまいりたい考えを持っております。目下受け入れ、派遣体制を検討中でございますが、最近中国側から日本語の修得を目的とする研修生の日本への派遣の要望もございます。とりあえず、日本語及び中国語の修得を目的とする研修生の交換という問題について、中国側と協議いたしておるところでございまして、それに関連したいろいろな資料を収集いたしておる段階でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いつかだいぶ前、廖承志さんの訪日団の派遣の発表がある少し前でございましたけれども、私は、当委員会で留学生の交換協定をつくるべきではないかということを大臣に申し上げまして、大臣も、前向きに取り組みたいというような非常に積極的な御発言があったように記憶いたします。これは非常に大事なことでございますので、ぜひ実現していただきたいと思います。現在、中国側の対日外交担当者であります廖承志さん、あるいはその上の周恩来さんざんあるいは喬冠華さん、そういう方々は全部日本へ若き日に留学しておられるように聞いておりますので、国家百年の大計といわぬまでも、二十年、三十年後に非常に重要な意味を持ってくると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。いまのお話では、まだコンクリートにきまってないようなお話でございますけれども、もう少し詳しく、大臣でなく実務担当者の方でもけっこうでございますが、たとえばそういう場合の受け入れ体制について二、三伺いたいと思います。  いま、日本語の修得あるいは中国語の修得というようなことでございましたが、その場合の経費などは相互に相手国でもってくれるのか、あるいはお互いの政府がまず学費を与えてやるおつもりなのか、また、人員なども大体どのくらいの規模を想定しておられるのか、受け入れの学校、語学修得機関あるいはもっと専門的な学問の場合の受け入れ学校などについてどういうような構想を持っておられるのか、特に、官公立でやるのか、あるいは私立大学にも依頼をするお考えなのか、そういうような点についてお伺いしたいと思います。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 ただいま御指摘の点、すべての技術的な問題に関しまして、外務省のほうでは担当の情報文化局と、私のほうの政策を担当するアジア局といろいろ検討をしておる段階でございまして、まだはっきりこれといった具体的な構想もございません。先方からもまだはっきりした構想、そういったものはない、初期の段階に入っておる、今後そういうことを詰めていかなければならない、かように考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それにしても大体何名くらいを想定しておられるのか。日本から中国語の修得に行く人、あるいは向こうから日本語の修得に来る人、どのくらいの規模を考えておられるのか、その点くらいは大体煮詰めていく前提としてあると思うのですが、いかがでございますか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 先方の受け入れ体制、どの程度の留学生を受け入れてくれるかという点もまだはっきりいたしませんし、私たちのほうも、何名くらい希望者があるのか、こういう点も潜在的にはかなりあるかと思いますが、いろいろな問題とのかね合いで具体化してくる問題でございますので、そういった点、はっきりした数字はいまの段階では何も出ておらないというのが実情でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういう場合、文部省の留学生という形をとるのか、それとも何か一般に募集をして送るというような考え方ですか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 これも勉強される人の希望によりまして、国費留学生にしたいという場合には文部省所管の国費留学生、また私費でもこういうところでこういう勉強をしたいということ、これは各国の場合もすべてそういう形で現在行なわれておりますが、まだ文部省ともはっきりしたそういった数字の打ち合わせをいたしておりません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 すべて今後の問題のようですけれども、将来本格的な留学生交換になりました場合に、自然科学を主体にするのか人文科学を含めるのか、そういうような構想は、こうあるべきだというようなことを含めて、いかがでございましょうか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 これは日本政府として、自然科学で何名くらい、文科で何名くらいというふうにきめるべき筋合いのものではないので、やはり日中間の関係から見て、文科方面を勉強したいという方もおいででしょうし、また、先方と日本の実情によって、科学技術、自然科学の面でそれぞれ特色のある面がございますから、そういった面を勉強したいという希望者の方等を中心に考えていかなければなりませんので、政府のほうから、国費留学生何名、私費何名、自然科学何名、文科何名ということは、もう少しいろいろな希望なり状況が固まってまいりませんと、どういう数になるか、非常に重要な問題でございますから鋭意検討は続けていきますが、はっきりしたそういう数字的なもので申し上げる段階にはまだない、かような次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 大体今回の留学生交換協定についての態度というか、臨む態度の片りんを伺うことができたのですが、大体これはいつごろまでにまとめるようなおつもりですか、希望を含めてですが。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 これは早いほうがいいとは思いますけれども、それぞれの学校の始まる時期とか、あるいはまたその学校に入る前に語学の障害を勉強しておかなければいかぬ、それぞれそういった事前の期間があったりそういった問題もからんでおりますので、いつごろまでにこの協定ができるか、これは先方もまだ具体的な案を持っておるようでもございませんので、いつまでにつくらなければならないということでもないし、見通しもちょっと申し上げかねる状況でございますが、考え方としては、両方で合意できる、満足できる姿のものができれば、早くそういうものはつくっておいたほうがいいのかもしれないということでいま検討しておる段階でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、大臣に重ねてお願いをいたしますけれども、こういう問題は一見迂遠のようでいて外交の基本である、相互信頼、相互尊敬の基礎になると思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思うのであります。  そこで、大臣にお伺いをしたいと思うのですが、最近、けさの新聞でもそうでございますが、東京で、朝鮮の高等学校の学生と日本の国士舘の大学あるいは高校生との間に、新宿駅を中心に乱闘事件といいますか、ある種の衝突が起こっておるわけでございますが、こういうことは、実は今度初めてではなくて、何回か繰り返されておるので、単に偶発的な事件というだけではなく、そこに一つの背景があるように思うのです。これは日本と朝鮮とのこれまでの外交関係あるいは国家関係というものが必ずしも正常でないことの一つの反映ではないかとさえ思われるわけです。こういう問題はいまのところ国内問題でございますけれども、あるいはここでその事件そのものを取り上げることはどうかと思いますけれども、外務大臣としてこういう問題が発生しないような関係をつくる責任はあるんじゃないかと思うのですが、外務大臣はこういう問題についてどういうふうにお考  えになっておられますか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 技術的な面もございますので私から最初にお答えいたしますが、日本に在留しておる外国人の管理のそういう事件とかこまかい問題は、法務省のほうで一応外人管理という面から具体的な検討なりいろいろ対策を検討しておられるわけでございます。外務省といたしましては、この問題には確かにいろいろな外交的な要素も微妙な屈折した影は投げかけておるんだろうと思いますけれども、本質的にはやはり日本における社会の中でいろいろな人が接触しておるときにどういう感情を持ち合っておるかということで、まことにこういうことは遺憾な事態で、そういうことのないようになることを希望いたしますが、はたして外務省のほうから具体的にどういうふうにこの問題をとらえるかというのはなかなかむずかしいという姿になっておりまして、一応法務省とか治安当局とかそういったところで一義的には御検討いただいておる、こういう状況でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 外務大臣に重ねていまの問題ですが、こういうような事件を考えますときに、やはり政治というのは、現実の政治というのは教育的効果というのは一番あるんじゃないかと思うのでありまして、そういうことを考えますときに、歴史的ないろいろな問題もありますけれども、少なくとも戦後においても現に朝鮮民主主義人民共和国とは国交が開かれていないというような状況があるわけですね。そういうような問題を考えますときに、こういう問題は外交のあり方というものと全く無縁ではないと思うのであります。今後こういう問題が再び発生しないように、そういう素地をなくす意味で、こういう日本と朝鮮という問題をどうお考えになるか、この機会に大臣の御所見を承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 この問題は世界の各国に起こっておりまする単なる学生問題だけで割り切れない問題であろうと思うのでありまして、争いが民族の間の問題であるという性格を持っておりますし、したがってまた外交的な側面が全然ないとはいえない性質のものであろうと思います。私どもといたしましては、まず事態を十分究明して、なぜ起こったのか、どういう経過をたどっておるのか、そういうことについては勉強をしなければならぬと考えております。  それから第二の朝鮮と日本の問題でございますが、これはかねがね申し上げておりますように朝鮮半島、朝鮮民族の問題はわが国にとりましてきわめて重大な、重要な問題であると思っております。とりわけ日本の外交にとりまして最重要な問題の一つであると心得ておるわけでございまして、平等な立場に立ちましていかにして平和互恵の生活が共存的状態においてできるかということを探究してまいらなければならぬわけであります。かりそめにもわれわれが大国意識を持つというようなことがありますれば、これは重大なことだと思うのでありまして、あくまでも平等互恵の立場に立って平和共存の道を固めてまいるということを軸にいたしましてしんぼう強く対処していかなければならぬことだと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 大平外務大臣は非常に教養、本をお読みになるのがお好きだと思いますので、すでにあるいはお読みになっていると思いますが、大平外務大臣の先輩であります石橋湛山先生の書かれた石橋湛山全集というのがありますけれども、それによりますと、石橋湛山氏は大正十二年にもう日支親善を、あのころはシナといっておりましたが、日支親善を実現するためにはまずシナを尊敬せよということを非常に強く言っておられるのです。そういう点からいいますと、私どもはほんとうの意味で日本と朝鮮との関係をよくし、また国内における在日朝鮮人と日本との関係をよくするためには、まず朝鮮を尊敬せよ、朝鮮人を尊敬せよということから出発しなければうそだと思うのであります。しかし日本で先ほど中国との文化協定あるいは留学生交換協定の話が出まして、まず日本語と中国語の習得から始めるというような段取りが、構想が示されましたが、今日、日本で朝鮮語を知っている人というのは非常に少ない。これはやはりまず朝鮮を尊敬する第一前提として朝鮮語を重く見るということは大事だと思うのです。大臣御存じかどうか知りませんが、日本の東京外国語大学というのは、日本における外国語習得のメッカというべきところだと思うのですけれども、いまだに朝鮮語科が存在しないのです。モンゴル語科はありますけれども、朝鮮語科は存在しない。長い間は天理大だけにしかなかったのです。最近では大阪外大にようやっとできましたけれども、東京外大に全然ない。こういう状態は決して朝鮮を尊敬しているとはいえないのじゃないかと思うのです。私はこれは外務委員会でやることかどうか、あるいは所管が違うというようなことになるかもしれませんけれども、しかし基本的な心がまえとして先ほど大臣が非常にいいことを言われまして、私も感銘深く伺ったわけですけれども、まずこういう点を早急に改めるべきじゃないか、私はそう思うのです。むしろこういうことを気がつかずに今日まで二十何年間、朝鮮が独立してから二十数年たっていまだに放置せられておるというそれ自体が非常に問題だと思うのです。大臣、こういう点いかがお考えになりますか、文部大臣でないから所管が違うかもしれませんけれども、ひとつ外務大臣として高い見地から御所見を承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私、先般ヨーロッパを旅行いたしましてベルギーに参ったのでございますが、ベルギーでは言語であの小さい国がまつ二つに割れておる現実を見まして、非常に深刻なショックを受けたのであります。日本のように、単一民族が単一の国語を使って何不自由なくやってまいりましたわれわれにとりまして、言語と民族との関係なんがにつきましてはたいへんぞんざいに考えておるんじゃないか。言語というものはわれわれの生存にとりましても致命的にいかに大事なものであるか、自分の国語は大事にしていかなければならないということをしみじみ考えさせられたわけでございます。  フランスでポンピドー大統領にお目にかかったら、日本でフランス語をもっと普及さしていただきたいということが第一発の注文でございまして、フランス語は英語に次ぎまして第二外国語といたしましては相当のポピュラリティーを持っておりますし、また必要から申しましてもたいへんな必要の度合いを増してきておるので、最近ますますフランス語を修得する者が多くなっておりますので、あなたが御心配するまでもございませんよと申し上げたわけでございますが、同時に、フランスとしては日本語を思い切って普及する措置を講じたいということをあわせて言われました。  つまり、言語政策というものを大統領御自身が第一発に言われるということは、言語というものに対する評価、愛着、民族の誇りに通ずる非常に大きな課題であると思うのでありまして、いま河上先生が御指摘された問題は確かに問題のコアを突いた問題であると思うのでありまして、外務省ではそういう意味で朝鮮語を専門的に御研修願っておるグループもございます、ございますけれども、これは外交の便宜上の必要からということでございまして、文化、生活の奥深く根ざしたものでないことは申すまでもないことでございます。日本政府として朝鮮語の研修、修得ということにつきましてもっと深い理解がなければならぬことは御指摘のとおりだと思うのでありまして、御指摘のような線に沿いまして、政府の関係機関には御趣旨を体しまして善処を願うように私も努力したいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま外務大臣からたいへんけっこうな御意見を承りまして、私も、これは私の持論ではあったのですけれども、非常にうれしく思うわけでございます。  今回の一連の事件というものの根ざしている、むしろ日本人の中における一種の心理的な原因といいますか、そういうものを考えてみますると、これは政治的な、日本の戦前からの歴代政府がとってきた誤まった政策の一つの後遺症というべきものであると思うのですけれども、同時に戦後の日本の政府がそれを改めるために少なくとも倍の努力をしなければならなかったのに、今日まで放置してきた責任があると思うので、いまおっしゃいましたように、政府といいますか日本の政治全体としてこの問題を取り上げていくということは、一見迂遠なようでいて、実は今回のようなああいう不幸な事件を起こさなくて済む一つの土壌をつくっていくんじゃないかと私は思うのであります。そういうことで、いまおっしゃいましたことをぜひ早い時期に実現していただくようにお願いいたしたいと思います。  ちょっと話題を変えますけれども、先日田中総理が、いま行なわれております参議院補欠選挙の応援で各地を遊説されておりましたが、その遊説先の談話の中に、日中航空協定は早く成立させなければいけない、こういうような発言を特にしておられるのでございますけれども、これは先般来この委員会でいろいろ議論されているところの問題でありますが、双方の意見、交渉がかなり煮詰まって、いろいろいままであった問題点が克服されて、協定の成立が近いことを示唆したものと受け取ってよいものでしょうか、いかがでございましょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日中間の正常化ができまして九カ月たったのでございますが、なお依然として直通航空路が開けないために香港経由というような変則的な状態にありますことは、たいへん残念なことでございます。国交上一番大事なことは、やはり人間の交流が多くなりまして理解が深まって信頼が深まるということが第一の要諦でございますので、田中総理が言われた趣旨も、早くこれを仕上げなければならぬ、そういう意思を表明されたものと思います。しかしながら現実の航空協定の締結作業というものは私のところでやっておるわけでございまして、まだ総理に御報告を申し上げるまでに至っていないわけでございます。私どものほうと運輸省の間で寄り集まりまして作業をいたしておる段階でございますから、田中さんはそれを踏まえてそうおっしゃったというようには受け取れないわけでございまして、まだ御報告を申し上げる段階にまで至っていないわけでございますが、談話の趣旨にありましたように、できるだけ早くやらなければならぬと焦慮を私自身が持っていることは事実でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは実際に交渉はかなり煮詰まっておるわけでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 一口に申しますと、日中航空協定自体はもうほとんど問題はないわけでございます。技術的なワーディングの問題になってきているわけでございます。日中航空協定に載らない問題で、しかしこれと関連して処置しておかなければならぬ日台路線をどういう姿で維持してまいるかということを、あらゆる角度から検討するので手間どっておるということが実態でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういう場合に日台ルートを羽田からはずすというようなことも論議されておるわけでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま報道が一部ちらちら出ておるわけでございますけれども、まだそういうように政府が具体的にこうするのだというようなことを、腹をきめたわけでは決してないわけでございます。空港には物理的あるいは行政的にいろいろな条件があるわけでございまして、そういった点をいろいろ検討しておるというのがいまのわれわれの仕事でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまアメリカの航空会社のルートがアメリカから羽田に来て、それがさらに台湾へ行くということはあり得るような、そういういわゆる一種の以遠権みたいな問題でございますけれども、羽田から以遠の路線について、日本政府は承認をしておると思うのですが、その場合、台湾へ行くルートは承認しているのでしょうか。また今後もずっと承認していくつもりでおられるのか。その点をちょっと伺います。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 米国と台湾の間には、それぞれの取りきめで、日本を通って以遠権で台湾から申しますと、東京を経由いたしまして、週七便アメリカに飛んでおる。アメリカのほうの飛行機もそれに見合って台湾のほうに日本を経由して飛んでおるという状態が続いておるわけでございます。これは第三国同士が航空協定できめ七またもちろん日本もその間に介在して、いろいろな計算をした結果、バランスのとれたところで、通常こういうポイントとか以遠権という問題がきまるわけでございます。そういう意味で日本政府は関与しておるわけでございます。  それから、日台間の問題に関しましては、これは単なる事実上の関係、協定に基づかない事実上の関係で現在運営されておる、こういう姿になっております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そうしますと、アメリカの航空会社の東京というか羽田以遠で台湾に行くルートにつきましては、日本政府の責任でといいますか、基本的にはアメリカと台湾でやっておることですけれども、日本もそれにいわゆる関与している、こういうふうに理解してよろしいわけでございますか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 日本のポイントを通って以遠権が認められておるということで、もちろん日本とアメリカとの話であり、日本もまたアメリカを通ってどうするかという以遠権の問題が介入してくる、こういうことでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それは日本としては拒否できないというふうになるわけでございますか。日本としては、そういう場合に、アメリカと台湾との間に話し合いがある以上拒否できないという意味でございますか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 米国と日本との航空協定によりますと、「合衆国から北太平洋を経て東京及び大阪へ、並びに以遠」という表現で日本は合意しておるわけでございまして、その行き先が香港であるのか、台北であるのか、マニラであるのか、そこら辺にはわれわれと介入しない。その意味では介入していない。ただ日本のポイントを通って以遠権を、日米間で航空協定で認めておる。そこが問題になる、かように申し上げておるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、もしそれが、以遠権が今度は将来上海とか北京ということになります場合、あるいは日中航空協定ができない前に、外国が中国との間にある種の話し合いができた場合、日本政府が羽田から以遠権につきまして認めている限り、それが台北ではなくて上海であり、あるいは北京である場合には、もちろん承知をされるわけですか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 これは日米間の問題でございますと、日米間でその時点において協議いたしまして、その以遠権は、実態についていろいろな相互の納得できる姿にいつもおさめるわけでございまして、これは各国とも同様でございます。ただ一方的に以遠権があるから行使するのだということにはならないわけであります。

河上民雄日本社会党

○河上委員 実は、ちょっと聞いております報道によりますと、カナダ航空が、カナダから羽田、上海へのルートを申請したけれども、日本政府が拒否したというような報道もあるわけですけれども、これは事実でございますか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 そういう技術的な、正確な問題は運輸省のほうで実はやっておられるので、私どものほうで討議したわけではございませんが、第三国同士で、ある以遠権で問題ができましても、今度は技術的に、たとえば日本と上海の間に固定通信網とかいろいろな問題が完備いたしませんと、大体飛行機を定期的に飛ばすということについては問題があるとか、いろいろなそういった点がございまして、現在の段階では運輸省のほうで技術的に検討しておられる、こういうふうに了解いたしております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 もう時間があまりないのであれですが、それは拒否したという報道をちょっと聞いておるのですけれども、そうではなくて、いま検討中だということですか。ひとつ正確に伺いたい。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 カナダとの問題は、実はアジア局のほうで詳細にその問題に正式の回答を与えたとか協議したということは実はございませんので、もう一度事実を確認いたしまして、あるいはアメリカ局なりあるいは関連のところと、どういう経緯であるか調べましてから、正確なお答えを申し上げたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 まあそれではこの質問は留保させていただきますが、以遠権の問題で、国交のないところに対して以遠権を自動的に認めて、国交のある国に対してはいろいろ、たとえ技術的にという表現にせよ、ある種のチェックを加えるというのは話が逆になると思いますので、カナダ航空の件では、もし事実とすれば、今後の日中間の友好関係を深めていく上で非常に問題があるような気がいたしますので、その問題を一つ留保させていただきます。  その辺のことを、いわゆる以遠権の問題点一つとりましても、どうも日中航空協定がいわゆる行き詰まっているのは主としてどこに障害があるかということが、全体として浮き彫りになってくるような気がするのですが、これはどうも日中共同声明の精神からいってあまりふさわしくないのではないかと思うのでございますけれども、もちろん外務大臣としては四方八方気を配っているということであろうと思いますけれども、しかしやはりウエートの置き方が逆になるということは非常に問題があると思うのです。その点万々間違いないと思いますけれども、大平外務大臣にもう一度、日中航空協定成立へ向けての熱意を重ねて披瀝していただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのように、正常化をいたしました筋道を踏まえて、それにたがわないようにやらなければならぬことは、当然と思っております。  日台航路につきましては、事実上の問題といたしましてできるだけ維持したいという希望を持ちまして、その筋道を損ねない範囲内において、どういう態様が可能か、そういう点を検討いたしておるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 もうこれで時間が参りましたので終わりますが、日中航空協定につきまして、これは非常に実務的な協定でありますけれども、しかしいまの以遠権の問題一つ取り上げましても、何かまだウエートの置き方がわれわれから見ますとちょっと納得のいきかねる点もあるので、ひとつ最後に大臣が言われたように筋を間違えないようにしていただかないと、何か基本が狂ってくるおそれがあると思いますので、ぜひその点間違わないようにしていただきたいと私は思うのであります。  ちょっとカナダ航空の件は実際の関係がよくわからぬようでございますので、この次もう一度伺わさせていただきたいと思います。  では、私の質問はきょうはこれで終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 午後一時から再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後一時十三分開議

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  物品の一時輸入のため通関手帳に関する通関条約(ATA条約)の締結について承認を求めるの件、職業用具の一時輸入に関する通関条約の締結について承認を求めるの件、展覧会、見本市、会議その他それらに類する催しにおいて展示され又は使用される物品の輸入に対する便益に関する通関条約の締結について承認を求めるの件、右各件を議題とし審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 ただいま提案されておりますATA条約外二つの条約に関連しまして、二、三の質問を行ないたいと思うものであります。  今回提案されておりますこれらの条約は、関税協力理事会におきまして採択されたものでありますが、この関税協力理事会の目的及び任務について簡単に御説明を願いたい、こう思います。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 お答えいたします。  関税協力理事会と申しますのは、一九五〇年に作成されました関税協力理事会設立に関する条約というものによりまして、ブラッセルにおいて設立されました国際機関でございますが、各加盟国の関税制度の統一及び調和というものをはかることを目的とした機関でございます。  それから任務といたしましては、同じく関税協力理事会で、関税率表における物品の品目表に関する条約、それから税関における評価に関する条約、こういった条約がございますが、この条約に関する解釈、それからこの実施を確保すると同時に、各国の関税法制の改善及び発展、こういったものを任務とする機関でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 ただいま説明になりましたように、一九五〇年にブラッセルで採択された関税協力理事会を設立する条約、これが批准されて、そしてほかに二つの基本条約があって、この三つがあなたのおっしゃるように理事会を規定しておるものだ、こう思うのでありますが、そこでわが国のCCCで、どのような活動を具体的にしておられるのか。たとえば、私はよくわからないのですが、だれかが常時この理事会に行って仕事をしておるのか。あるいはこれは私の想像ですが、おそらくブラッセルの大使が理事になって、そして随時理事会に出るとか、具体的な活動はどんなふうにされておるのか御答弁を願いたい、こう思います。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 わが国がCCCの場においてどのような活動をやっているか、こういうお尋ねでございますが、CCCには理事会の下に各種の委員会がございます。たとえば常設技術委員会、品目表委員会、関税行政を実施する上において、世界的に各国が集まって討議をしコンセンサスを得た上で実務を実行する上に必要な問題を討議する場でございます。さような委員会に、開催されるたびごとに、わが国といたしましては担当官をこの委員会に出席せしめて、積極的にわが国の立場、考え方を披露しているわけでございます。  なお、関税協力理事会に日本国代表は大蔵省関税局長が相なっております。  さらに分担金があるわけでございます。現在加盟国が七十カ国ございますが、その分担金はアメリカに次いで第二位という大きな分担金を分担しているわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうすると、この関税協力理事会のわが国の理事は関税局長がなっておって、理事会の開かれるときに行く、随時いろいろな委員会が開かれるときには、またわが国のほうから関係の公務員の人が行く、こういうことですか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 理事会は年に一回総会の際に開かれるわけでございます。現に本年の五月に京都におきましてCCCの総会が開かれたわけであります。その際には、日本国の代表である関税局長が理事会に出席いたしまして、しかも開催国であるという立場から名誉議長になって総会が行なわれたわけでございます。ことほどさように、過去におきましても理事会は年一回開かれる。その際には関税局長が出席いたしておるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうすると、各種委員会はどれぐらいの頻度で開かれておりますか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 三つの委員会かございますが、大体年によって、その頻度が一定はいたしておりませんが、過去の例から申しまして、年に二回ないし三回委員会か開かれております。その委員会には、わが国の実務の担当者が出席いたしておることは先ほど申し上げたとおりでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうすると、ブラッセルに本部があって、ブラッセルにある在外公館の人たちはあまり直接この機関にはタッチはしてないのですか。どういうことですか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 ブラッセルにおけるわが国のCCCを主として担当している在外公館の人間がおります。彼はさような委員会には必ず日本国から参りました担当者と一緒に席を同じくして出席をいたしております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうすると、いまの答弁のように、ブラッセルにあるわが公館のCCC担当の人は絶えず密接な連絡がある、こういうことですね。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 CCCだけではございませんが、さようなことでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それでは、次のことを聞きますが、関税協力理事会は、設置条約が一九五〇年の十二月にできて、発効が五二年ですね。五二年ですからもう二十年以上たっておるわけですね。その間にいろいろの条約や勧告等が出されておるが、今回提案されておるこの種の通商条約は、今日まで幾つ作成されて、そのうちわが国は何件に批准して加入しておるということになるのですか、その点も御説明願いたい、こう思います。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 お答えいたします。  現在まで関税協力理事会が作成いたしました一時輸入条約には六つございますが、まず最初に、一九六〇年に作成されましてまだわが国は入っておりませんが、梱包材料の一時輸入に関する通関条約、それから実は今回審議をお願いいたしております職業用具の一時輸入に関する通関条約、それから三番目に、これも今回御審議をお願いしております展覧会、見本市、会議又はこれらに類似する催しにおいて展示され又は使用される物品の輸入に対する便益に関する通関条約、それから四番目に船員の厚生用物品に関する通関条約、これは一九六四年にできておりまして、わが国は一九六八年に加盟いたしております。それから五番目に科学的機具の一時輸入に関する通関条約、これは六八年に作成されましたが、わが国は入っておりません。それから六番目に教育訓練用資材の一時輸入に関する通関条約、これは一九七〇年にできておりますが、わが国は入っておりません。  それから、ただいまわが国が加入しておる条約にはどういうものがあるかという御質問でございましたが、全部で八つございまして、税関手続の簡易化に関する国際条約、これが昭和二十七年に入っております。それから二番目が商品見本及び広告資料の輸入を容易にするための国際条約、昭和三十年に入っております。それから三番目が観光旅行のための通関上の便宜供与に関する国際条約、昭和三十二年に入っております。それから四番目が観光旅行のための通関上の便宜供与に関する通関条約に追加された観光旅行宣伝用の資料の輸入に関する議定書、三十一年でございます。それから五番目が自家用自動車の一時輸入に関する通関条約、これが三十九年に入っております。それから六番目か船員の厚生用物品に関する通関条約、四十三年に入っております。それから七番目が教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定、昭和四十五年でございます。それから八番目にコンテナーに関する通関条約で、加盟いたしましたのが四十六年でございます。  以上でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 関税協力理事会か作成した通関条約というのは、いまの御説明、少し違うんじゃないでしょうか。そうでないですか。私が調べたところでは、協力理事会がつくった通関条約というのは、今度の三条約を加えて九つでないのか、こういうふうに私は調べたのですよ。そうして批准しておるのは、船員の厚生用物品に関する通関条約だけが批准されておって、さっき説明されたものは違うんじゃないですか。何か思い違いじゃないでしょうか、ちょっともう一ぺん御答弁願いたい。

松永信雄外務省条約局外務参事官

○松永政府委員 いま御説明申し上げましたのは、いわゆる一時輸入に関する条約でございまして、そのほかに三件ございます。合わせまして九件になるわけでございますが、その三つは、第一番目に商品見本のためのECSカルネに関する通関条約、それから二番目に物品の一次輸入のための通関手帳に関する通関条約、それから第三は貨物の国際運送に関する通関条約、この三件がございまして、いずれもわが国は未加入でございます。このうち、第二番目の物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約を今回御審議をお願いしているものでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 だから、二十年前に協力理事会ができて、そうして二十年間に九つのそういう条約が発効しておる。そしてさっきの御説明では、協力理事会には熱心に代表も送り、そしてもちろん理事としては関税局長がなっておって、必ず出ておる。そしてこの作成され発効した条約が九つもあって、一つしか批准はしてない。そうすると、そこは矛盾していないでしょうか。ほんとうに協力しておるならばもっと批准されていいのではないか、こう思うのですが、その点いかがでございますか。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 ただいまの御質問に対しまして、実はわが国が関税協力理事会のメンバーになりましたのは一九六四年でございます。それまではオブザーバーということで適宜出ておったわけでございますが、この一時通関輸入条約に加盟する以前に、まず関税協力理事会に入ることが先決であり、かつ、先ほど申し上げました関税率表における分類に関する条約あるいは関税の評価に関する条約、この三つに入ることが先決であるというふうに考えたわけでございます。それから当時は、当時と申しますのは六四年、その前後はまだ一時輸入に関する要請がそれほど多くなかったということもございまして、いままで入らなかったという経緯がございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうすると、私も思い違いをしておりました。六四年に理事国になった。そうすると十年ちょっとですね。十年ちょっとではありますが、今回批准を求められておる条約三つを見ましても、いままで批准しなくても実際的にさして不便はなかったということですか。また私の知っておるところでは何か関税定率法とかいう国内法があって、それでやっておったからいいんだというようなことも聞いたことがあるのですが、外国から、あるいは国内からもいろいろな要望もなかったんですか、どうなんですか。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 ただいま先生御指摘のように、わが国の関税定率法及び関税法上一時免税輸入というものが認められておりましたし、まあこれでいままで運営されてきたわけでございますが、ただ何と申しましても、日本の国際経済に占めます地位というものがだんだん上がってまいりましたということのほかに、各国から、主としてヨーロッパあるいはアメリカ、こういった国からやはり関税の手続の簡易化あるいは統一化というものについて日本は強力な姿勢を示す意味で入るべきではないかという趣旨の要請もございましたし、それから国内の一部、つまり報道関係あるいはそういった見本市、こった関係者からこれに入ってほしいという要望もございました。それから、かつ、やはりわが国といたしましては、今度の九月から始まりますガットのニューラウンド、この会議におきましては非関税障壁の撤廃というものが大きな問題になっておりますが、この協定に入らないこと自体が非関税障壁を維持するということにはならないとは思いますけれども、やはり国際的にこういった輸出、輸入の手続を簡易化するということが要請されております。こういった関係から、今回御審議をお願いした上で入りたい、こういうことでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 私はどうもよく納得できないのです。六四年に協力理事会に入って理事国になった。そうしてわが国の関税等については国際的にはいろいろ議論、批判があるわけでしょう。そして、なるほどあなたがおっしゃるように、この三つの条約は実際的にはさして関税障壁ということにはならないかもしれないが、やはり諸外国に与える精神的な影響というものが私はあると思うのですね。相変わらず日本という国は何か関税障壁というものをはずそうとしないという、何か基本的なそういう体質を持っている国であるというような印象を与えることはいなめないと思うのですね。実際にわが国の産業等にさしたる影響もないし、早く認めるということこそ大事じゃないでしょうか。いかがでございますか。いままでほっておいたということには、私はやはり日本政府に責任があると思うのです。怠慢だと思うのですよ。やはりそういうところに、いやなことばですが、エコノミックアニマルだといわれるような原因も出てくるんじゃないでしょうか。関係なかったらもっと早くどんどんとやったらいいじゃないか、どうして政府はそういうことをしないのか、いかがなものです。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 ただいま先生から御指摘があった点につきましては、先ほど申しましたように、六四年に入りまして、まず基本の三つの条約に入りまして、整備した上でこの一時輸入の条約に入るというふうに考えておったわけでございます。ただ、これだけ国際交流なりあるいは経済交流というものが盛んになりまして、やはり輸入、輸出に関連いたしました通関手続を簡素化する。かつ、その担保、この場合には必要としないというような手続になっておりますし、これに入ることが国際協力の姿勢を示すという意味から、今回加入をしたいというふうになった次第でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 じゃちょっとさかのぼってもう一ぺんお尋ねしますが、関税協力に関する基本の三条約、税関における物品の評価に関する条約、前二つとこの三番目のいま申しました条約は、七二年に批准しておりますね。これができたのは一九五〇年でしょう。そして発効が五三年、私が調べたのではそうなっておる。それが六四年に関税協力理事国になって、七二年までほってあった。たとえば関税協力理事会設立条約、これは六四年に批准し、それからその翌々年に関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約、これは六六年に批准をしておる。そして五〇年にできて五三年に発効した税関における物品の評価に関する条約、これは七二年である。ずっとおくれてきたこの理由はどこにあるのですか。国内の何か産業上の問題ですか。

片山充大蔵省関税局輸入課長

○片山説明員 関税の評価条約が関係いたしますのは、関税の中で価格を課税標準といたします、いわゆる従価税とわれわれ言っておりますけれども、従価税についてでございまして、その評価事務自体は、申し上げるならば、明治以来ずっと昔からやっておりましたのですが、本格的にわが国において評価の事務が軌道に乗りましたのは、昭和四十一年に関税で申告納税制度を採用いたしました、それからでございます。一、二年の準備期間を置きまして、本格的に軌道に乗ってまいりましたのは、大体四十六、七年ごろからでございます。そういった準備をいたしまして、その上で加盟いたしませんと、条約上の義務が遂行できなかったという関係がございまして、それでやや加盟に手間どったわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 どうもそういう点が私はやはりわが日本の政府の——それは国内の事情かあったんでしょうが、私はやはり大きな問題点があると思いますね。そういうことはやはり急いで、そしてせっかく理事会に入って、理事国になって、世界的な協力体制に入っていくという場合に、七二年までこれをほうっておいたということは大きな責任があると思うのです。これはいまになって申しても何ですが、そういうことを言っておきたい、こう思うのです。そして、いままで船員のこの条約一つしか批准しなかった。今度は三つやる。これからもいろいろな条約を、他に九つあるのですが、そういうものも急いで批准していくのでございますか。他の残余の諸条約等はいかがなさいますか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 先ほど来外務省のほうから申し述べておりますように、実は入りましたのが約十年ぐらい前でございます。その前にできておる条約もあるわけでございます。率直に申し上げまして、たとえばいま御審議を願っておりますATAカルネの条約につきましても、CCCの加盟国は七十一国あるわけでございますが、この条約に入っておるのは三十数カ国ということでございまして、加盟メンバーが全部入っておるというわけではない。その理由は、私どもいろいろ検討してみますと、グローバルなベースで具体的にその個々の条約を見た場合に、それぞれの国の制度あるいは地理的な条件、産業構造、そこら辺を考えますときに、そのまますぐ一〇〇%入れるというようなものではないものもあるわけでございます。したがいまして、さような点につきましては日本の立場もあって、具体的にその条約に入った場合にいかなる問題が出てくるか、あるいはいかなるメリットがあるかという点を総合的に判断いたしまして入るべきものと存じておるわけでございます。ただし精神的には、先ほど来申し上げておりますように、CCCの中におけるわが国の立場から申しまして、しかも最近におけるわが国経済の国際化という点を踏まえまして、大筋としては積極的にそれを推進していくという態度に変わりはないわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それではちょっと方向を変えてお尋ねしますが、ATAカルネ条約に入っておる主要諸外国における発給件数ですか、そういうものは一体どれくらいになっておるのでしょうか。おわかりでしたらそれをちょっと聞いておきたいと思います。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 全部は申せませんが、現段階におきまして一九七一年をベースにとってみますと、西ドイツが三万四千二百五十八件ということで、これが最も多くカルネを発給しておる国でございます。次いでフランスが一万六千三百二十四件、さらにスイスが八千六百七件、アメリカはわりあい少のうございまして六百二十八件ということに相なっております。いま申し上げたように、ヨーロッパというのは陸続きの国が多うございまして、したがいまして交易の上からいってカルネの発給される件数が非常に多いというふうに推測いたしておるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 ヨーロッパが多くてアメリカが少ないという理由も理解できないわけではないのです。  そこで、この説明書を読んでみますと、近時わが国に一時輸入される品目は増加の傾向をたどっておる、こう説明書に書かれておるのですが、わかりましたら、どんなような経過をとって増加しつつあるか、大体でいいですが御説明願いたいと思います。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 いま先生が御指摘になりました一時免税輸入の件数でございますが、一時免税輸入は現在関税定率法に規定されておるわけでございます。その規定に基づきまして入りました件数を申し上げますと、便宜五年前の四十二年度をとってみますと、件数が八百八十一件でございまして、免税額が六億六千四百万でございました。それが五年たちました四十七年度を見ますと、件数で千百二件、免税額で十四億六千二百万円というふうに非常に多くなっておるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そういう意味で今度の条約の批准を求めるという大きな根拠にしておる、よくわかったわけです。  さっきも説明がありましたように、五月十六日から二十三日まで京都で関税協力理事会の年次総会が開かれた、そしてそのときに税関手続の簡素化及び統一化に関する国際条約が採択された、こう新聞にも報道されておりますが、そのおもな内容と、またどういう問題点があるだろうかということを御説明願っておきたいと思います。時間があまりありませんので、できるだけ簡略に……。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 この条約は、関税行政の各分野にわたる制度の国際的な調和並びに各国税関手続の簡素化をはかることによって、国際貿易その他の国際交流の発展に寄与することを目的とした条約でございます。  条約は本文と附属書からなっておりますが、附属書は税関手続の簡素化及び調和化のために各国が従うべき標準規定及び勧告規定を掲げておる、こういうことでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうすると、これは問題とされてきた非関税障壁撤廃の一つの突破口になってくるのじゃないか、こう評価されておると思うのですが、政府はいま審議しておる条約を十年もほってあったのですから、今度の条約はわりあい早く批准を求めていくという意向ですか、どうなんですか。その点もきまっていないのですか、あるいはこれもほっておくという意味ですか、どういうことですか。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 わが国は、この条約の審議過程におきまして積極的に参加してまいりましたし、これが国際協調を推進していくという観点から京都の会議におきましてこの採択に賛成した経緯もございますし、できるだけ早く加盟したい、かように考えておるわけであります。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 あと五分しかありませんのであわてますが、直接今度の三条約と関係はないのですが、条約局長おられますね。日米安保条約に基づく地位協定の第十一条に関税及び税関検査の免除という条項がありますね。そして第十一条関係の関税等の臨時措置法というものがあるわけですね。この臨時措置法の六条を読みますと、「関税の免除」ずっといろいろ書かれておりますが、これを見ますると、駐留軍の軍人それから軍属あるいは家族等が持って入るものは、全部とは申しませんが、ほとんど関税がない。なるほど地位協定の第十一条に「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、この協定中に規定がある場合を除くほか、日本国の税関当局が執行する法令に服さなければならない。」こう規定をしているのですが、これは除く場合のほうが多いのですよ。「規定がある場合を除く」、除くほうが多いわけですね。そして関税法の規定を受けることはほとんどないのです。そういうわけですが、これでいいのですか。私は非常に不合理だと思うのです。地位協定のときば強行採決で、当時ほとんど審議されておりませんので、いろいろとこれは議論のあったところなんですが、私きょうまた聞いておきたいと思います。条約局長もアメリカ局長もおられますが、どちらからでも答弁を。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 一般に軍隊の地位につきましては国際慣習法がございまして、外交官ほどではございませんけれども、外交官に準ずる一般的な特権か含まれております。いま先生御指摘の関税免除、それから税関検査の免除につきましても、地位協定を新しく制定するにあたりましてNATOでとられております一般的な慣行をそのまま採択いたしまして、要するに国際慣行なりということを言っております。先生御指摘の米国軍人、軍属、家族が非常に優遇されておるのではないかということでございますけれども、これは日本に最初に入ってくる際に携行しますいわゆる引っ越し荷物、これについては免除する、しかしそれ以外にその後取り寄せる物については免除しないというのがたてまえでございまして、この点につきましては外交官と全く違いまして、外交官は何回いたしましても全部免税というのが原則になっております。それから税関検査の免除につきましても、米国軍人、軍属、家族につきましては検査されるのがむしろ原則でございまして、特別の場合に検査されないということでございますけれども、外交官の場合は全部免除される、いかなる場合でも検査を受けないという特権がございます。そういうふうに外交官に準ずる点はございますけれども、外交官よりはかなり低い特権免除を一般に与えられておりまして、特に関税につきましてはそういう取り扱いになっております。最初に申しましたように、この内容は全くNATOの場合と同じ取り扱いということで御理解いただきたいと思います。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 外交官にそういう特権があることは当然でありますが、駐留軍の家族等は私はやはり問題があると思うのです。時間がありませんし、きょうはこのことで質問するのではないのでありますから、関連して聞いておるのですが、これは将来の一つの問題点として、このような理屈に合わぬ協定については政府は変えていくような努力をしてもらいたいということを強調いたしまして、与えられた時間がございませんので、これで質問を終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 柴田睦夫君。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 まず最初に、提案されております三つの通関条約に関係して若干質問いたします。その一つは、物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約の前文ですが、その前文の終わりのほうに「締約国の関税制度の一層高度の調和及び統一を確保することとなると確信して、」こうありますけれども、この条約が予想しております関税制度の調和と統一の確保ということは、提案審議の過程などから考えてどういう方向を志向しているのか、まずそのことをお伺いしたいと思うのです。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 関税制度の調和及び統一という点に関する御質問でございましたが、たとえばここに規定してございますように、通関手帳を使うことによってこれを適法な通関書類と認めるということのほかに、普通、一時輸入の際に求められる担保の提出にかわる、ものとしてこの通関手帳を認める、たとえばこういった手続を加盟国がとることによって調和をはかっていこう、かつ、輸出及び輸入に関連いたしました手続を簡素化していこう、具体的にはこういったことが考えられておるということでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 いま、貿易の自由化とかあるいは非関税障壁の撤廃だとかいうことを言われておりまして、私たちは自主、平等、相互不干渉。互恵が原則であって、これを侵害するような自由化についてはもちろん疑問を持っておるわけですけれども、いま言いました前文でいっていることは、貿易の自由化あるいは非関税障壁の撤廃、こういう方向との関係はあるのですか、ないのですか。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 一九六七年にケネディラウンドということで、ジュネーブにおきまして関税引き下げ交渉がいろいろと行なわれたわけでございます。その結果関税が下がったわけでございますが、このケネディラウンドが実施されまして以降、いわば輸出補助金であるとかあるいは数量制限であるとか、あるいはライセンス制度といった問題、つまり貿易障害を起こしがちなそういったいろいろな措置につきましてこれを撤廃していこうということで、この非関税障壁の撤廃がこの九月から始まります新しい国際ラウンドで非常に大きな問題として取り上げられるという機運にあるわけでございます。今回審議をお願いいたしました一時輸入あるいは免税に関連いたします条約は、この貿易手続の簡素化あるいは簡易化ということをはかることによりまして、国際的な交流、貿易並びに経済、そのほか文化交流といったものを促進していこうということを意図したものでございますが、ガットの規定にもこういった手続を簡素化していくということがうたわれておりますし、私どもこれに入ることによって輸出入手続を簡素化することが新しいラウンドの精神に合致する、あるいはNTBの軽減に寄与するというふうに考えておる次第でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 この条約は一時輸入のために通関手帳を作成し、それを利用するということが中心になっていると思いますけれども、この手帳の発給団体は具体的に何という団体がなっているか、また保証団体というのがありますけれども、この保証団体というのは日本ではどこがなるのか、あるいはなると予想されるかという問題です。そして、発給団体になったりあるいは保証団体になったりするその理由、なぜそれが選ばれるのかということをお聞きしたいと思います。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 お答えいたします。  条約の上では、いかなる者が保証団体あるいは発給団体になるのかということを直接うたっておりません。ただし、この条約と並行いたしまして、民間ベースで、パリにおける国際商工会議所というのがございますが、ここが中心になりまして、民間ベースでのATAカルネをどこが発給するか、あるいはどこが保証するかという点につきまして、各国がいろいろ協議いたしまして取りきめた議定書があるわけでございます。その議定書によりますと、各国はATAカルネの保証団体並びに発給団体は各国の商工会議所にするという民間ベースでの取りきめがございます。これに基づきまして、わが国といたしましては、国際商工会議所に加盟しておりますところの日本商工会議所を発給団体並びに保証団体として大蔵大臣が認可いたしたいと考えておる次第でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 日本商工会議所の構成についてはどう理解しておられるか、お伺いします。日本商工会議所の構成内容です。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 いま申し上げましたように、まだこの条約は御審議願っておりまして、御承認いただいてない段階でございますので、先ほど申し上げたように、目下のところ、日本商工会議所を保証団体並びに発給団体として予定いたしておると考えておるまだ段階でございまして、その日本商工会議所のどこがまたこの事務を担当するか、あるいはいかなる組織になっておりますかということにつきましては、大蔵省、商工会議所に対しましては直接の関係がございませんので、この席で御答弁できないことをお許し願いたいと思います。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 では、通関手続の発給や保証団体の保証について申し出があった場合に、これに対して裁量権があるかどうか、すなわち、拒否したり制限をつけたり条件をつけたり、こういうことができる仕組みになっているかどうか、お伺いします。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 先ほど申し上げましたとおりに、国際的にそういう議定書がございまして、各国の保証団体並びに発給団体は、国際商工会議所の議定書に調印いたしております各国の商工会議所をその団体として指定する、こういうことになっておりまして、かような国際取りきめに政府といたしても乗っかりまして、わが国における発給団体並びに保証団体としては商工会議所を指定するのが最も妥当である、またこの保証業務をやる以上は、当然、その団体といたしましては、保証するにふさわしい資力、信用あるいは組織、かようなものが具備されていることが必要であろうと思うわけでございますが、日本商工会議所につきましては、いま申し上げたような条件が充足されている団体である、かように考えているわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 ちょっと答弁の内容が質問と違っているのですけれども、一時輸入のために保証を求めるという場合に、自分は保証するのはいやだということを保証団体がいえるかどうか、そういうことでございます。いえるとすればどういう場合にいえるか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 それは議定書の内容を見ますと、それに加盟いたしまして、保証団体として各国の政府から認可されました保証団体は拒否ができないことになっております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 次に、関税の問題に関して先ほど堂森委員から、地位協定の十一条のことについてお話がありましたけれども、地位協定の第十一条で読めばわかるとおりに、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族について、第一項では、その原則は、日本の税関当局の執行する法令に服さなければならないといって、すぐ第二項で、関税免除の規定を置いて、その範囲が無制限といわれるくらいに広げられているわけですけれども、実際の場合に、日本の法令に従う部分、どういう場合に関税がかけられるのか、具体的なお話を伺いたいと思います。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 地位協定十一条に関税並びに税関検査の免除に関する規定がございますが、十一条二項には、合衆国軍隊それから公認調達機関、十五条機関等が公用のために輸入する場合の免税、第三項は、合衆国軍隊の構成員、軍属、それらの家族に仕向けられた私用品に対する課税その他の課徴金の賦課という原則が定められておりますが、御指摘のとおりに、たとえば私用品につきましては、先ほど条約局長が答弁いたしましたような免税の規定はございます。  具体的に申しますと、まず米軍の公用品につきましては……。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 免税でなくて——いつも話か違っておりますが、免税のほうでなくて、税金がかけられるほう、どういう場合にかけられるか、それをお聞きします。端的に答えてください。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 第十一条の三項をごらんいただきますと、「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に仕向けられ、かつ、これらの者の私用に供される財産には、関税その他の課徴金を課する。」というのが原則でございますから、原則に例外のもの以外には課徴金、関税が課せられます。  例外は何かといいますと、(a)(b)(c)の三項ございますが、要するに、構成員もしくは家族が持ち込む引っ越し荷物、身の回り品、それから(b)項によります私用のための自動車及びその部品、それから(c)項におきまして規定されておりますように、軍事郵便局を通じて通常日常の使用に供せられる合理的な数量の衣類なり家庭用品……。(柴田(睦)委員「どういう場合にかけるか」と呼ぶ)それ以外のものは全部かけられる、こういうことになるわけであります。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 それ以外のものにはどういうものがあるかと聞いておるのです。免除されるものは、ここに書いてあるわけですけれども、これが全面的な免除になっていると考えるわけで、実際に関税をかけるという問題がどういう場合にあるか、抽象的ではなくて、それを具体的に答えてもらいたい、こう質問しているのです。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 十一条三項(a)(b)(c)と記載されておりますもの以外につきましては、関税を課せられるわけでございます。それでは、それは何だということについては、大蔵省当局から御答弁願いたいと思います。

片山充大蔵省関税局輸入課長

○片山説明員 先ほど来御説明がありましたようなことでございますが、そこに列挙してあります具体的なもの以外は、通常の在日の外人あるいは通常のわれわれと同じように、輸入いたしますものについて関税がかかるわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 ここに書いてあることはもうわかっているわけです。ですからそれ以外のものにかけられないということも書いてあるわけです。それ以外のものにかけるというように読めることもわかっているわけですけれども、その内容を聞きたいんですけれども、それがなかなか出てこないということですから、ここで時間制限がありますので、これは別な機会にしてやめますが、この軍事郵便局を利用する場合は、関税がかけられないということになっておりますが、その場合に、アメリカ軍関係者が税金のかからない軍事郵便局を利用するというのは当然だろうと思うわけです。そうすれば、全面的に私用の場合においても関税がかけられないし、関税検査もない、こういうことになるわけで、実際上はもう日本の法令に服す部分がなくなるんではないか、こういうことを私は言っているわけです。そして先ほどNATOの例をとったんだということを言われましたけれども、第二十一条の軍事郵便局または軍事郵便局の利用という問題についても、やはりNATOと同じ内容になっているわけですか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 NATO協定ではやはり軍事郵便所の設置を認めておりますし、またそれを受けたいわゆるボン協定におきましては、軍事郵便所を通じる軍事郵便物の輸入あるいは軍隊の構成員、軍属及び家族が物品その他を免税で輸入できるという規程を持っております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 軍事郵便局に関して若干お尋ねしますが、日本にはまずアメリカの軍事郵便局は幾つあるわけですか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 四カ所あります。横浜と沖繩二カ所、羽田の四カ所でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 羽田に軍事郵便局がつくられた経過を簡単に答えてください。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 地位協定第二十一条に軍事郵便所の設置に関する規定がございまして、これに基づきまして、この規定を受けまして、羽田に地位協定二条一項に基づく施設、区域として提供した軍事郵便取り扱い所を設けておるわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 先月の報道によりますと、成田につくる新東京国際空港に軍事郵便局をつくるといった話が出ているそうです。そういう報道があったわけですけれども、これは事実でしょうか、もし事実とすればいつその話が出たか。またその交渉経過の要点についてお尋ねいたします。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 成田空港の中に米軍の専用郵便局を設置する問題については、これまでも運輸委員会その他で議論されておりますけれども、その経過を申し上げますと、新東京国際空港を建設することになりまして、現在羽田にある米軍の郵便物取り扱い業務のうちの国際線関係業務は、成田に移転せざるを得ないという物理的な問題が起きてくるわけであります。このために、アメリカ側は昭和四十五年以来、成田空港開港時には同空港に郵便取り扱い所を設置したいという要請を行なってきております。米軍の航空郵便は、御承知だと思いますが、軍用機ではなくて、米軍の民間定期航空便によって郵便物が運ばれてくる制度になっております。国際線の民間航空機の発着が羽田から成田に移れば、その移行とともに何らかの形でこれらの郵便物を取り扱う業務を成田において認める必要もまた生じてくるわけであります。一方成田空港の建設は、柴田先生も御承知のとおり、これは純然たる民間空港として運営するという政府の方針のもとに、軍事的な行動は行なわしめないという考えでいま政府はやっておりますが、米軍郵便物は、前に申し上げましたように、民間航空便で運ばれてくるものでございますし、その取り扱い業務は必ずしも普通の意味の軍事的な活動とは別であろうかというふうに思われるものであります。しかし具体的には、実はどのような形でこの業務を行なわせるかという点では、地元の軍事空港は拒否するという事情もこれありますので、政府の内部でもまだ結論が出ておりません、なお検討中の段階でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 いま政務次官が言われましたように、成田の空港については純粋の民間空港であるという説明が一慣してなされてまいりまして、その中で軍事利用は一切しないのだということを地元の人たちにも約束されているわけです。運輸省の航空局長の成田市長その他市会議長に対する質問に対する回答においても、米軍施設に関し、郵便物取り扱い所を含めて軍用施設の設置は考慮していないので了承願いたいという回答がありますし、また今井公団総裁も同様趣旨の回答をしております。国会においてもその旨の答弁が運輸省当局によってなされているわけです。政務次官はいま検討中である、こう言われましたけれども、アメリカの申し出に対していままで地元との約束、言明してきたことから考えれば、当然軍事郵便局を国際空港に置くということについては拒否されなければならないと思うのですけれども、現在の態度について、運輸省のほうの御意見、それから外務省のほうも、このことについてなお意見があればお聞きしたいと思います。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 いま柴田先生のお話ございましたが、これは地位協定の二十一条は、お読みいただければおわかりになるとおり、日本側としてアメリカ側から要求があった場合は——現在羽田は国際空港だからあるわけです。羽田が成田に国際空港が移りますと、これは何らかの形で本来設置しなければならない日本政府側の義務があるわけです。御承知のように、さっき申し上げましたように、民間の飛行機が郵便物を運んでくるわけでありまして、来たものをだれかが受けてくれないと、郵便物を放置するわけにはいかないわけであります。普通郵便局ではこれを仕分けをするとか、ほかの米軍の基地へ転送するとかいうようなことはできないわけです。ですからそこに何らか政府部内で考えまして、実質的にはこれは、軍事基地といっても兵器を貯蔵するとか、そういう意味の軍事基地では全くないわけでありますので、アメリカから送られてくる郵便物をそのまま放置するわけにいかないという一つの問題が起こってきますから、これをどういうふうに扱うかということで、いま政府の内部でいろいろ研究をしておる、こういうことでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 運輸省のほうは……。

寺井久美運輸省航空局次長

○寺井政府委員 運輸省といたしましては、ただいま外務政務次官から御説明がありましたように、この軍事郵便局自体が直接軍事目的につながるものではないというふうに考えておりますが、そしてまたこれが民間機によって郵便物が現実に運ばれてまいります。したがいまして、新しい国際空港において何らかの手当てをしなければならないということも事実でございます。ただ実態はともかくといたしまして、純粋に民間航空のために使うという飛行場に地位協定に基づきます区域、施設等が提供されるということは好ましくないと考えておりますので、運輸省といたしましては、この考え方で政府部内でまた相談をしてきめていきたいというふうに考えております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 政務次官は地位協定の二十一条などということをいわれましたけれども、この地元との約束では、これは三里塚平和塔奉賛会会長の佐藤行通氏と運輸大臣それから公団総裁の取りきめ書になっておりますけれども、この中で「新東京国際空港は純然たる民間空港であり、安保条約およびこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めない。」こういう約束になっているわけです。そしてその上で、運輸省では軍事郵便局の設置はしない、こういう約束をされているわけです。そういうことから考えれば当然軍事郵便局を新東京国際空港に置くことは許されない、このように考えるのですが、いかがですか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 いま、三里塚奉賛会長と公団総裁、運輸大臣の取りきめというのがございましたが、私のほうはその話はよく存じておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、しかし現実に民間飛行機が軍事郵便物を持ってくるわけであります。この軍事郵便物の内容は、もう十分御承知だと思いますが、決して兵器とかそういったものではないわけでありまして、これをどういうふうに扱うか、郵便は郵便としての、平常業務として必要なものが、やらなければならない仕事があろうと思います。それをどこでやらせるかとか、成田がだめならばどうするかというような問題については、これはアメリカ軍人やその家族の、日常生活上やってあげなければならないことでありますから、それをどうするかということでいま政府部内で検討している、こういうことであります。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 そうしますと、新国際空港に軍事郵便局を設置すると地位協定上いわれれば設置しなければならないというところまでには至っていないわけですね。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 設置しなければならないというのがこの地位協定の二十一条であります。しかし簡単な問題ではないということを頭に入れて政府の中で検討しておると、こういうことなのでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 アメリカに、困るから軍事郵便局はやめてくれ、こういう気持ちはあるわけですか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 将来、あるいはそういうお答えになるかもしれませんけれども、この地位協定二十一条というのは、きょう御審議いただいている条約や何かと同じような問題でありまして、国際間の一つの約束でございますから、困るから簡単にお断わりするというような事象的な問題よりも、それならば地位協定の改定をしていかなければならない、そういう問題にむしろ発展すると思います。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 アメリカは軍事郵便局を新国際空港に移すことを求めているというようにお聞きしましたが、その場合に羽田のほうはなくなるわけですか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 国際空港の機能が羽田から成田へ移れば、当然外国から来る郵便物は羽田で扱うことができないわけですから——羽田のほうも国内の郵便物の仕分けその他が残るので、羽田は羽田でそのまま残すということになっております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 その二つとも残すというのは、それは残ることになると、こういうことですけれども、在日米軍のための軍事郵便局からさらにはアジア全体の米軍の軍事郵便局としてのキーストーンの役割りをなさしめるということにつながっていくのではないですか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 現在羽田にあります米軍の軍事郵便取り扱い所は、先ほど来政務次官が御答弁申し上げておりますように、米本国から参ります民間定期航空便によって運ばれてまいります軍事郵便の受けとめ場所であると同時に、また、羽田を中継所あるいは起点といたしまして、さらに周辺諸国に駐留いたしております米軍との間の軍事郵便物も取り扱っておるわけでございます。ただ国際線が羽田から成田へ移りました段階におきまして、成田の空港に米軍の軍事郵便所を置くかどうかについては政府内でまだ検討中の問題でございますが、いずれにいたしましても、羽田へその場合残りまする軍事郵便所は、国内線のターミナルとしての羽田の機能を受けた軍事郵便物の取り扱い所になる、こういうかっこうになっているわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 軍事郵便局の取り扱い郵便物については、これは税関検査が免除されるわけですから、これを利用したのだと思うのですけれども、たとえば沖繩での麻薬の問題報道によりますと、軍事郵便にヘロインを入れて多数の米兵に輸送し、それをかき集めてヘロインの密売をするケースがふえているということが出ておりましたし、また、横須賀においてもマリファナ五百五十錠を軍事小包郵便物で入手し、これを日本人に売りさばいていたということが報ぜられておりました。これは結局、軍事郵便局がアメリカの特権的地位を保護するということで、それを利用して麻薬を日本国内に広げる、こういうことにも利用されているわけです。これは、こういった麻薬が日本に広がるということは、日本の亡国につながっていくことになるわけですけれども、これらの麻薬などの郵便物輸送に対してどういう対策を立てておられるのか、そのことをお伺いします。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 ただいまの御質問で、税関検査が行なわれていないということの御発言でございましたけれども、税関検査は一般的には行なわれているわけでございまして、地位協定の第十一条一項及び第五項の規定に従って、日本国へ入国する米軍人等につきましては軍人の部隊行動のような場合を除いては一般的な税関検査として携帯品の検査が現に行なわれているわけでございます。特に麻薬につきましては厳重な検査が行なわれているわけでございます。野放しあるいは無検査というふうな事実はないわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 軍事郵便物で送られるものについて検査されておりますか。

片山充大蔵省関税局輸入課長

○片山説明員 郵便物につきましては、地位協定に伴う特例法上は九条に規定がございまして、その四号で、合衆国軍事郵便路線上にある公用郵便物だけが検査免除ということになっております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 そうしますと、新聞で報道されております軍事郵便物で麻薬を送った、マリファナを送ったというようなことは検査で摘発することができるわけですか。

片山充大蔵省関税局輸入課長

○片山説明員 先ほど申し上げましたように、公用郵便物以外は検査の対象になるわけでございまして、われわれのほうも検査はやっておるわけでございます。ただ、一般的に申し上げますと、麻薬のたぐいというのは非常に検査で発見いたしますのはむずかしい性格のものでございまして、あるいはそういう形での漏ればあるかもしれないというのが実情であろうかと思います。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 成田の新東京国際空港に軍事郵便局を設置するということになれば、これは一つは住民との約束、住民無視のことになってしまいますし、もともとこの成田空港に対する反対運動が、この空港が軍事利用の危険性があるということからずっと詰めていって、軍事利用しないという約束になったわけですけれども、ここで軍事郵便局を設置するということになれば、それはこの約束をくずすことになりますし、さらには軍事郵便物を運んでくる輸送機の発着、これを既成の事実としてMACのチャーター機の離着陸の既成事実がつくり上げられていく。そうして軍事利用への道にエスカレートするということを私たちは常に警告しているわけです。ですから、純粋の民間空港であるという線を貫いて、このような軍事郵便局の設置の要求には応じないという態度を貫いていかれるよう要望して、終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約の締結について承認を求めるの件の御説明の中にもございますが、ガットの規定を拝見いたしまして、まずこのATA条約それ自体を拝見する前に、アメリカ政府が最近に至りガットの規定それ自体に対する挑戦をニクソン・ショックという形でしばしば試みられていることは御承知のとおりであります。そういう時点において、このATA条約の審議ということはまことに重大なことはわかるわけでありますが、ガット協定に違反していると私は感ずるわけでありますが、さまざまな金融、貿易面におけるニクソン政府のやり方、アメリカ政府のやり方というものに対してどう考えておられるか、   〔委員長退席、福永(一)委員長代理着席〕 また、ガット協定それ自体を日本政府としては今後堅持していく方向に行かれるのかどうか、その辺の大筋のところからまず伺いたいと思います。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 ただいまアメリカがガットに違反しておるんじゃないかという点の御質問があったわけでございますが、何ぶんにもガットの規定そのものができましてからすでに相当年数がたっておるということがございますので、たとえばガットの規定の中で実情に合わない点、こういった点につきましては修正していこうじゃないかというような形での提案なりあるいは通商法案の中にそれに関連したような点もございます。日本といたしましては、やはり各国の合意に従ってガットを守っていくということにすべきであるという点をおりに触れて申しておりますし、今度のニューラウンドの中でもこういった点についての討議が種々行なわれておる、かように理解しておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると、もう少し明確にしていただきますと、ガットの規定が実情に合っておらぬ、だからわが国政府としては、アメリカが相当野蛮なことを言ったとしても、その程度のことは許されるべきだというふうに解しておられるわけですか。

西田誠哉外務省経済局次長

○西田説明員 たとえば具体的な例で申し上げますと、現在、先生御承知のセーフガードという緊急輸入の措置がございますが、こういったガットの規定は自由、無差別というのが原則でございます。ただ、いままでの経験から、たとえば無差別ということではセーフガードの発動が縛られて実際上非常に運営しにくい、こういった意見も一部にはあるわけでございます。そこで、こういったセーフガードの問題を今度のニューラウンドの中で具体的にそれじゃどういう仕組みにしていくか、こういう議論が種々行なわれる、こういうことになるかと思う次第でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それを伺っているのではなくて、この前のニクソン・ショック当時のアメリカ政府のやり方については、ガット規定に照らしてそれは正当であったと思われているのか、思われていないのか、そこを基本的にちょっと述べていただきたい。

羽澄光彦外務省経済局国際機関第一課長

○羽澄説明員 ニクソン・ショックが行なわれましたときに問題になりましたアメリカの措置は、輸人課徴金でございます。それで、ガットの十二条によりますと、国際収支上の理由があった場合は数量制限を無差別に課することができる、こういう規定になっておりまして、数量制限以外の措置がとれるのか、とれないのかという点については規定がございません。それで日本の立場といたしましては、そういうときには数量制限に限るべきであるということを考えておりましたので、ニクソン・ショックが行なわれました直後のガットの臨時総会におきましても、日本は、アメリカの措置は不当である、したがって即刻やめるべきであるということを要求いたしました。  ただ各国におきましては、そういった十二条の解釈につきましてはあまり厳密な前例がございませんで、数量制限よりは輸入課徴金のほうが貿易阻害効果が少ないということで、アメリカ以外の国は、どちらかといえば輸入課徴金のほうをとっておったわけでございますけれども、それらの国もアメリカに対しましては、大国であるだけに厳密にもっとガットのことを考えたほうがいいんじゃないかということで、多くの国が輸入課徴金の賦課に対して慎重であるように要求したという経緯がございます。  ただし、このときアメリカは輸入課徴金をしましたけれども、ガットのもう一つの原則でございます無差別という点につきましてはそれを守りまして、輸入課徴金は各国に平等にかけられたわけでございます。しかしながら、その後、各国からも輸入課徴金というのは、特にアメリカのように貿易の面におきまして大きな比重を占める国において行なわれることは各国に対する影響も大きいということで相当強くその撤回が要望されまして、アメリカも間もなく輸入課徴金は撤回した、こういう経緯でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 きょうはガットの問題を論議するつもりはございませんから、問題を深追いするのはやめたいと思うのですけれども、米国政府のやることに対しては比較的に何でもかんでもイエスと言う。東を向いてイエスと言う分には安全だという調子で外交をやられるのはどうかと私は思う。というのは、これは輸入課徴金の問題と無差別の問題が扱われたけれども、たとえば自主規制なんて問題をあげれば、アメリカ政府の通商貿易、金融に対する日本政府との外交のやり方というのは、不当の一語に尽きるわけです。そういう問題を修正しようとしないで問題提起を非常に小さな形でやっておいて、ガット協定の中のATA条約などというものを、喜び勇んで支持するというやり方でやる。それは非常にバランスがとれない感じがするということを私は申し上げたいのです。  つまり、ガット協定の主体がゆらいでいるときにこういうこまかい、さまつの協定を本院に持ち出して議論する、これはどういう意味なのか。これは外務政務次官に答えていただこうと私は思っているわけですけれども、アメリカ政府の横暴によって本体がぐらぐらしているときに、なぜATA条約などに熱中しておられるか。しかもこの三本とも諸外国においては一九六一年、二年、三年という時点においてサインされているわけで、そのほかの諸国はこれを見送っている形になっているわけですね。それをなぜいまごろそんなに急がれるのか。ガット協定の主体をたたき直すための基本的な方針を樹立されないままこういうものに手をつけられるというのは、これだけは文句がないというのでやられているのか、非常に理解に苦しむわけであります。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 渡部先生のお話はお話として、私どもは御意見を参考にしていきたいと思いますけれども、ガット体制がゆらいでいるということも事実でございますし、これに日本の外交が正面からぶつかっていかなきゃいけないということも事実でございますけれども、いま御審議いただいている三条約というのは非常に技術的な問題で、特に報道関係のカメラであるとか映画会社、テレビ会社のカメラを持ち込みまた国外に持ち出すというようなケースあるいは展覧会用の品物をある国へ持ち込んで持ち出すというような場合の課税の問題とか、あるいは商品見本とか、これは私はガット体制とは別に——ガット体制に対して、いま世界じゅうで起こっている大問題に対して正面から挑戦していくのはそれとしまして、この技術的な協定については、これは日本の義務として当然やっていくべきじゃないか。別にこれをやることに全精力を投入してガット体制のゆらぎに対する国際的な問題に対する挑戦をサボっているということでもないわけでございますから、両方やっていくしかない。こっちは非常に技術的といっては御審議いただいているのに恐縮でございますけれども、現実にいま、展覧会の主催者であるとか商品見本を持ち込み持ち出す人たちとかあるいは新聞報道関係の方々が不便をしておられるわけであります。これは便宜を計らってさしあげるということが私どもの義務ではないか、かように思うわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうしたら政務次官にもう一つお伺いするのですが、じゃ外務省としてはこれからどういう方針でガット体制に対して臨んでいかれるか、その基本的なプリンシプルを、当然もうきめておられるでしょうから幾つか述べていただけますか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 ガット体制のゆらぎに対して日本がどういう立場で臨んでいるかということを基本的な点で申し上げますと、まず諸国間の関税は自由であるあるいは無差別である、それから互恵の精神を忘れないということ、同時にまた各国が多角的にこれを考えていかなきゃならぬ、この四つの精神に基づいてやっていかなきゃいかぬ、こう思っております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 じゃきょうはこの辺でその問題はやめておきますから、いまみたいな御答弁だともう少し質問するとすごいことになりそうですから、この次はガットの問題、経済外交の基礎的な問題についてかっちりお伺いしたいと思いますから、ひとつもう少し御研究のほどをお願いしたい、こう思うわけであります。  といいますのは、いま東西冷戦構造の時代を過ぎて、次の時代というものは経済問題を含む多角的な競争外交になりつつあると私は思っておるのであります。そのときに、軍事外交についてはかなりの視点が本委員会でも明確にされておりますが、経済問題についてはとかく外交問題と関係させての議論というものが少ないやに思われます。したがいまして、私どもの現実に直面する日本経済のさまざまの問題点というのは、その問題をもう少し掘り下げておいたほうがよろしいんじゃないかと思うので、問題提起をしておきたいと思います。  その次に、物品の一時輸入のための通関手帳そのものの問題、そこに通関手帳お持ちであろうと思うので引っ張り出していただきますが、この条約の本文それ自体が英語、フランス語のものを正文とすることになっております。それで「ATAカルネは、英語又はフランス語で印刷するものとし、これに加えて他の言語でも印刷することができる。」となっておりますが、日本語でも印刷できると最後に書かれてあります。これは日本側が発給するときに出すものであるか、それとも向こう側の国がこういうもので発給されるものであるか、これは英語で発給されるものを日本政府も使うものであるか、その辺はどうなっているのでしょうか。私の質問の要点は、要するにこういう国際的な書類様式というものをつくりました場合に、わが国のそういう関係者の方々がそれを書こうとすることに非常に努力を要したり、ある場合には書けない、飛行機で入国の際の入国ビザであるとか上陸の申請であるとか、ああいうものでさえもたいへんな困難を要する点から考えて、「英語又はフランス語」、「これに加えて他の言語でも印刷する」、これはどういうふうに解しておられるのか、実際的なことをひとつ聞かせていただきたい。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 確かにいま御指摘の点は、このカルネを利用する方々の立場から申しますと非常に問題になっておると思います。現在私どもが考えております方向は、パリの国際商工会議所で作成いたしました、国際的に通用する一定の型があります。その型に準じまして、日本で利用する方の立場を考慮いたしまして、重要な部分については日本語並びに英語の両方で印刷して発給いたしたい、こう考えておるものでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それは併記しているものを日本側で出す、こういう意味でございますか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 併記するかっこうで作成いたしたい、こう思っております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 書き込むところは日本語で書けば通用するのですか。英語、日本語、フランス語というように何通りにか書き分けて書くのでしょうか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 まだ綿密なところまで実は詰めておりません。本委員会のいま御指摘のような御意見をもよく私ども考慮に入れまして作成する、その過程におきましては、いま先生の御意見をはじめ、各方面の意見をよくお聞きいたしまして、円滑にこのカルネが利用されるように、かつまた国際的にもそれが通用するように両方の必要性を備えたものになるように検討いたしたい、こう思っておる次第でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 これは非常に実際的な話ですけれども、実際に申し込みのこのカルネのほうそれ自体が英語と日本語あるいはフランス語と日本語で書いたとしますね。それで書き込むほうが英語だけとかフランス語だけというのにも問題がありましょうから、書き込むほうも私の考えでは、日本語とフランス語、日本語と英語というような書き方がいいのではないかと思いますが、こういったことは自由にでき得る範囲内の問題でしょうか。それとも、いま研究されると言われましたけれども、自由にこちら側で書式等はかなりやり得るものでしょうか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 基本的な書式を日本的な特殊の状況によりましてそれを変えるということは、これはこのカルネの性格から許されないと思います。ただし、書き込む場合にはこれは日本語でけっこうである、ただし必要によっては翻訳を要求されることがあるべしと、かように私どもは聞いておるわけでございます。したがいまして、これを利用して日本からカルネを発給してもらって、ヨーロッパへたとえば物を持っていくというような場合には日本語で書いていただいてけっこうである、こういうふうに考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 恐縮ですが、そこにカルネの本物がございますね、お持ちですね。ちょっと貸していただけませんか。——そうすると、この間私はこれをちらっと見せていただいたのですが、書き込むところが非常に小さいのですよ。日本語の字というのは意外にでかいわけですね。特にこういうものを書き込むような日本側のえらい人というのは、めがねをかけて見なければ見えないような人が多い。このこまかいところへ日本語で書いたら書き込めるか、まず書けないと私は思います。そうすると、これは非常にこまかい字のタイプライティングでなければたたき込めないだろうと思います。ここに日本語で書くつもりなのか、それともこれに翻訳帳をもう一通ずつつけるおつもりなのか、はなはだ私は、実務的な協定であるにもかかわらず寸法が実務的でないと思うのですね。たとえばこれはアラビアの諸国であるとか、あとでまた中国などが入ってくると思いますが、そうすると中国なんかはよけい字が大きくなると思いますね、こんなところには入らないのじゃないでしょうか。まさに細字で書かなければならない。しかもこれは通関手帳の寸法が書いてありますね。大きさが「縦三百九十六ミリメートル、横二百十ミリメートル」というような指定の寸法がここに書かれております。これは英語とフランス語のところばかり注意しておられて、おそらく実務的なことを考えないで、皆さんうんと言ってこられたのじゃないかと私は疑っておるわけです。日本の目の悪い商売人たちがこんなものを書き込めるかどうか、これは御自分で書き込んでいただいたらわかると思いますが、まことにひどいものである。おそるべき書類様式である。日本語ではこんな細いところには書けないですよ。試みに委員長、これをちょっと見ていただけませんか。まさにこれはすごいですから、この書式、様式をちょっと見でいただきたい。——委員長だってめがねをかけ直さなければ見えないような書式です。そういうすごいものを平気で条約にしてしまって、具体的な部分についてまできめてはちょっとまずいのじゃないですか。今後こういう協定をやりますときにはもう少し、あれの倍ぐらいのサイズがあれば何でもないのですね。ポケットに入れる必要もないのですから、大型サイズにして、相当大きな字で書いても書けるようにしないと、国際的な手帳とはなり得ない、インターナショナルなものではない。あれはやはりATAという名前が示すように、イギリスとフランスでねちゃねちゃやった、ねちゃねちゃと言っては何ですけれども、両国で仲よくやった条約にすぎないのであって、日本が割り込むこと自体が無理な書式になっている。その点実務的に非常に不十分ではないかと思います。これは今後注意していただきた、少なくともこれからはこの点は大いに厳格にやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 渡部先生のいまの御指摘は、私ども伺ってもっともだと思います。今後こういう種類の条約、協定を結ぶときには、そういう具体的な問題をあわせてもっと考慮していきたいと思っております。

片山充大蔵省関税局輸入課長

○片山説明員 若干補足させていただきますと、先生問題になさいましたのは、おそらく物品表のところの品目表のところだと思うのでございますが、そこのところは何枚つけてもいいことになっておりますので、品目の数にもよりますけれども、大きな字で書くあるいは日本語とたとえば英語で書くということも可能であろうと思います。  それから、これも先生もすでに御案内かと思いますけれども、貿易関係のいろいろな書式、これは税関の申告書なんかも含めまして、品名その他はたいていは英語あるいはフランス語でタイプするというのが慣行のようになっているというふうに承知いたしております。もちろん日本語で書いて、それに要求された場合に英語なりフランス語なりにすればいいわけですけれども、そういう慣行もできておるように承知しております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 私、その慣行が問題だと思っておるのですね。というのは、この条約は、条約本文については英仏両文を正文とすると明示されておりますが、カルネの本文は英仏両語を用いよとは書いてない。そうでありましょう。ただ、カルネの文章を印刷するときに英語及びフランス語及びその他の国のことばで書いてもいいと書いてある。カルネに書き込む場合は何語で書けとは書いてない。そうすると、その分については全く抜けているわけですね。ですから、何語で書こうとけっこうである。したがって、私は、それを単なる慣用にたよってそういう不合理な条件を日本国側の一般的な商売人の人々に引き受けさせたというのはマイナスじゃないか、こう言っているのです。

片山充大蔵省関税局輸入課長

○片山説明員 先ほど私申し落としたわけでございますけれども、もちろん自国語で書いていいわけでございます。それは、たしかカルネの用式の備考のようなところにそういう趣旨が書いてございまして、もちろん自国語で書いていいわけでございますが、必要な場合には翻訳を要求されることがあるということになっています。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 じゃ、ただいまの御答弁は確定したものと伺ってよろしゅうございますね。——じゃ、展覧会のほうへ移りたいと思います。  展覧会の物品輸入通関条約の提案の中に、「この条約の締約国となりますことは、これらの催しの開催を一そう容易にし、ひいては経済、文化等の分野における国際交流を促進する上で望ましい」としるされておりますが、国際交流が望ましいというのはけっこうでありますが、後の職業用具の一時輸入に関する通関条約もあわせまして、ちょっとぐあいの悪いことがあるのではなかろうかと私は思うわけでございます。というのは、これはお金に関する通関の問題で条約ができているわけですが、そういうものを今度受け入れる際の問題点が起こったときに、どう片づけるかという中身がありませんと、経済的には問題が起こるんじゃないかと思うのであります。たとえば、南ベトナムにおいて日本人悪役の活劇映画というのが、ものすごくたいへん出ているそうです。確かに悪役なのかもしれません。しかし、サイゴンでは、香港製、台湾製の活劇があって、そして悪役で卑劣、残酷、ずるがしこく、そして弱虫の日本人が、これでもかこれでもかと悪い役を行ない、最後には中国人の正義漢にばったばったと切り倒されて終わりになるという映画が大量に出ており、少なくとも日本人のイメージダウンには非常に強い影響を与えている。また、これは逆に、日活映画の「陽は沈み陽は昇る」という映画が、アフガニスタンという地域のドキュメンタリーということでつくられたわけでありますけれども、その部分で、女性が遊牧民の水を盗んで、おこった彼らから暴行されたところが映っているそうでありますが、それは全くのドキュメンタリーではないし、そんなことはあり得ないことだというので、在日大使から強く抗議があったということがここに載っております。こういう事件を見ますと、関税の問題について前向きの姿勢を示すというだけでなくて、これは、その問題については、こういう映画だとか文化的な交流だとかいう問題について、今後内容的な衝突が起こるのじゃないか。そしてその内容的な衝突が、職業用具の一時輸入に関する通関条約や展覧会のほうの通関条約、この両方を実際運用するにあたって、あそこの映画会社はけしからぬからおれはもう入れたくないとか、この一時的な便益を与えないとかいうような紛争というものの種になりはしないかと私は思っております。したがって、こうした問題に対する実際的な処理のしかた、それをどう扱うか、そういう基本方針はどういうふうに扱うのか。まず、こっちが悪口を言われた場合に外務省は、それをどこの局が扱ってどういうふうに片づけようとなさるのか、そんなことは放任していくのか、また、向こうから抗議を受けたときに、日本側はどこの部局でどういうふうに反応するか、その辺のことがきまっていませんとどうにもなりません。この問題をどうお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。

堀新助外務省情報文化局文化事業部長

○堀政府委員 ただいま御指摘になりました南越での日本人が悪役になっておる映画がはんらんしておるという新聞記事は私も拝見いたしました。また、第二の御指摘の日活の「陽は沈み陽は昇る」という映画について問題になったということ、先生のおっしゃったとおりでございます。そこで先生の御質問の要点は、こういう問題が起こってきたときに外務省としてはどういう部局でどういう応対をするのかという質問かと存じますが、外務省の部局といたしましては、たとえば南越の問題でございますと、これはアジア局になるわけでございます。しかしその対象が映画でございますので、私のほうの文化事業部が関係いたします。そこで、アジア局と文化事業部が相談をいたしまして、これは主として映画の問題であるから文化事業部でやろうじゃないかということで、たとえば日活の「陽は沈み陽は昇る」これは文化事業部のほうであっせんをいたしまして、アフガニスタン大使と日活の間で円満な解決を見ております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 政務次官、事実はそうなんでしょう。私が伺っているのはそんな問題じゃない。具体的な問題の処理のしかたではなくて、こういう問題の片づける方式をもう少し相談して確立されておかないと、問題が起こるたびに外務省はそのつどろうばいして、あっちへ飛んだりこっちにあれしなければならない。ある面でいえば、外務省それ自体がやるのはまずいだろうと私は思うわけですね。一々マスコミの問題が全般にかかってくる。外国でマスコミがしくじったからといって、一々外務省が行って、おまえのところはけしからぬぞ、あすこのテープは切れ、あの映画のシーンはまずいぞということ自体が日本側としてまずいと思う。それから今度は外国に対してもそういうことができる部局を置いておかなければどうしようもない。だから、これはひとつ考え直していただかなければならぬのじゃないかと思っております。もうお答えがないのはわかっています。もう外務省が何もしていないのもよくわかっておりますし、私はそれをもう一回恥をかかせるつもりはない。しかし悲しい気持ちで質問していることだけはわかっていてもらわなければ困る。つまり文化事業部関係の予算というものは、アメリカから比べれば何十分の一だし、アメリカにあるような各種財団というような強力な財団が日本側にはありませんし、またヨーロッパにあるというか、イギリスにあるブリティッシュカウンシルであるとか、ドイツのゲーテソサエティーであるとかいうような巨大なものは何もないですから、まる裸みたいなものだし、日本のジャパンソサエティーの持っているお金なんていうのは非常にわずかなもので、事実申し込まれてとたんにお金がなくなったような状況だし、そういう状況にある文化事業というものをかかえていると、単なる文化事業じゃなくて、実際にこういう展覧会条約をはじめとするこういった関係でどっとばかり文化交流が起こり始めると、逆に困るのじゃないか、問題が続発するのじゃないかと思っているわけです。だから、これをひとつ根本的に考え直していただいて、そういう部面の外交問題の立ちおくれというか、外務省の組織機構の不適合ですね、明らかに時代からおくれてまるきり適合しなくなってぼろ隠し程度でやっているいまの程度をラインに乗せて、きちっとした形にするために、英断をふるわれる必要があると思う。したがって、その問題については私は宿題にしておいて回答を求めたいと思いますが、いかがですか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 いま渡部先生から二つの例をとってお話がありまして、ごもっともな御指摘でございますが、外国でつくった映画について抗議を申し込むというのは、こちらにきめ手がないわけであります。ですからもちろんそういう際には、相手国に駐在するこちらの大使を通じて抗議を申し込むとかあるいは東京に駐在する相手国の大使に、こういう映画をつくってもらっては困る、日本人に対するイメージを著しく傷つけるじゃないか——先ほど日活映画のお話がありましたが、あれはアフガニスタンの大使のほうから抗議があったわけでありますけれども、そういう行動をしんぼう強くとっていくしかないと思います。ただいろいろ関係で、その国との、たとえば南ベトナムでしたら、ほかのいろいろな経済協力関係がございますので、そういうものにからみ合わせて相手政府を説得していく以外にないと思います。ただ、いま先生御指摘のように、そういう映画をつくられる背景となるような日本人に対する一般的なものの考え方が東南アジアにあれば、これをまた除いていく以外になかろうと思います。たとえば、第二次大戦のあとにアメリカのつくった映画のかたき役というのはナチスドイツと日本の軍人であったわけですけれども、やはり時間がたてばだんだんこういうものも減って、なくなってきているような現実もあります。これも私は日本の国力がしっかりして増大をしてきたからだと思います。それから先ほどの逆な場合、日本の映画会社がどこかの国を侮辱するようなあるいは誤解をさせるような映画をつくった場合、これも日本ではへたにやりますと、言論、表現の自由を侵すというようなことでさかねじを食うわけでありますけれども、この間の日活の映画の「陽は沈み陽は昇る」ですか、その映画の問題のときには、そういうことを取り消さない限り外務省として今後日活が海外に一切の便宜供与をしないということで、日活に対して説得をしました。現実にはアフガニスタン大使に、最終的な映画の試写まで見てもらって了解をしていただいて納得してもらった、こういう結果でございます。そういう中心は、いま堀文化事業部長の申し上げたように、やはりこれは文化事業部が中心になって——ただ相手に接触するのは地域局、要するにアジア局である場合もありましょうし、アメリカ局の場合もありましょうし、いろいろの地域局が折衝する場合もある。あるいは在外公館が折衝する場合もある。中枢となって考えていくのは文化事業部でございまして、これを今後一そう強化して、こういうものに適切に反応していくということはこれまでも実はやっておるのでございます。先生おっしゃるように、さらに強化をしていきたい、こう思っております。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 永末英一君。

永末英一民社党

○永末委員 大蔵省から人がお見えでございますので伺います。通関の話でございますが、ピカソという芸術家が最近死にました。ピカソの版画の輸入につきまして問題がございますので伺うのでございますが、ピカソの描いたものの中でわいせつなものがございますか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 いまのお尋ねの点でございますが、たしか今週の初めの朝日新聞紙上において報道されて御承知だろうと思います。ピカソはなかなかりっぱな芸術家でございますが、中には現在の日本の社会的な道徳水準から見まして、わいせつと結論づけられるようなものがないとは言えません。ございます。

永末英一民社党

○永末委員 税関を通じて入ってくるもの、いろいろなものがございます。ポルノ映画と称するもの、ポルノ雑誌と称するもの、そういうものについて、あなたいまおっしゃったように日本の現在の道徳水準ですか、社会水準ですか、どういうことばを言われたかいまぼやっと聞いておりましたが、そういうものが輸入されている現在、ピカソの絵のそれぞれについて、どの絵ならよくてどの絵なら悪いという仕分ける基準をあなたのほうではどういう点で持っておられるのですか。その基準をお知らせ願いたい。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 実は私どもの第一線の現場で、具体的に申しますといま御指摘がありましたようなものは羽田空港を通じて入ってきているケースが非常に多うございます。さようなものに対してどういう基準でそれを取り締まっておるか、こういうことであろうと思いますが、実は関税定率法第二十一条という規定がございます。その二十一条に「左の各号に掲げる貨物は、輸入してはならない。」ということが書いてございまして、その中で第三号に「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」こういうことがうたわれておるわけでございます。いま御指摘のあったようなものは、私どもの実務を実施する上においては、これは輸入禁制品でございますから、これは輸入して困りますということを申し上げておるわけでございます。  さような行政当局の申し入れに対して不服の人がおりました場合には、二十一条の第四項に、税関からあなたが輸入したこの物品は二十一条の第三号に該当いたしますよという通知を出すわけでございます。それに対しまして不満な方は不服の理由を記載して税関長に異議を申し出ることができる、こういうことになっているわけでございます。その異議の申し出があった場合は、二十一条の二に「税関長の諮問に応じ、異議の申出について調査審議するため、輸入映画等審議会を置く。」ということになっておりまして、輸入映画等審議会にはかりまして、何月何日にかような人がこういうものを持ってきて、二十一条に該当すると通知をいたしたが、委員諸公の意見はいかがでしょうということを諮問いたしまして、その輸入映画等審議会におきまして確かに二十一条に該当するという結論が出た場合には、本人に通知をいたしましてその輸入を許可しないということでございます。

永末英一民社党

○永末委員 いま私が問題にいたしておりますのは、「ピカソ347」と呼ばれている銅版画集でございますが、これはワンセットになって、現物は五十点印刷、翻刻と申しますか、されまして、そのうち一つが日本に入ってくる。そのカタログ輸入についてすでに問題になっている。ところですでに一九七一年に東京国立近代美術館ですか、そこでその中の二百六十七点については展示されているわけであります。そのうちにあるものについてはこういうぐあいに絵はがきに仕立てて販売もされておるわけであります。知りたいのは、三百四十七点のうちで今回二十点がいまのような手続過程で輸入が望ましくないとみなされたのでございまして、一度四十七年の一月二十日、あなたのほうの羽田支署では全部これは輸入させない、こういう通知をしたところ、今回もう一度、いまのような手続をとられたかどうか知りませんが、結局本年三月二十七日、これの決定通知番号第二号というので、昨年の第二の五十四号という通知を取り消した。しかしそれに条件がございますが、その中で決定の理由として、「本件書籍に収録されている一部の版画には、性交行為を描写したものであり、これが含まれている限り、現段階におけるわが国の諸状況からみて、一般的には、なお、関税定率法第二十一条第一項第三号に該当するものと考えられる。」と書いてある。つまり、あなたのほうは現段階におけるわが国の諸状況を非常に御判断なさるのですが、ちまたを見ますと、ポルノ映画の看板、題名、性交行為を描写していると推測されるのは山ほどある。ところがこれを決定される税関審議会、そういう人々はピカソのその絵についてはそれを推測し、ちまたにあふれておるそういうものについては推測をしないのかどうか、きわめてその方々の常識を私は一ぺん聞いてみたくなる。  現物来ておりますから一つ伺いますが、この前国立美術館で展示された二百五十六点は全部今度もパスになっておりますか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 私、先ほどお話がございましたので、実はしさいにその間の事情その他については承知はいたしておりませんので、責任を持った答弁を現在できないのが非常に残念でございますが、従来のピカソの絵画につきましては非常に芸術的な気品か——気品かあるなしはこれは非常に主観的なものでございますが、非常に価値のあるものが多い。たしか昨年だったと思いますが、輸入映画等審議会に諮問いたしました結果それを輸入する方がたとえば美術館を経営しておられる方とかあるいは非常に美術について造詣が深い方であるとかあるいは世界各国の美術品の比較研究をされているとか、いわば興味本位ではなくて学術的あるいは非常に芸術的な観点からそれを輸入されるというような場合には、それは第三者にはそれを売却するとかあるいは公衆の面前でそれを堂々と公開するとか、さようなことをしないという条件で輸入映画等審議会で許可したケースがあるわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 私は時間がございませんので、責任ない答弁ならこの次に留保したいわけです。委員長、責任ある答弁ができぬと言うているのですから、それだったら聞いたってしようがない。これは責任ある答弁が聞きたい。どうですか。  つまり三百四十七点のうちで二十点のみをなぜ除外したかということが聞きたいし、すでにあなたのほうで認められて引用され、一般公開された二百五十六点に含まれているか含まれていないかも聞きたいし、それから一体この輸入映画等審議会というのはピカソの芸術的な批判をなし得るような人々がおるのかどうか、これは簡単ですが、それも聞きたいし、どういう審議過程で問題になったかも聞きたいし、そして最後にはここにも二百五十六点ございますよ、このうちこれがパスしてだめだった二十点はなぜだめなのか、それをやはり本委員会に提示してもらわない限り、あなた方のこの処置に対してさらっと認めるわけにはまいらないと私は思うのでして、その点について責任ある御答弁ができなければ本日は質問をすることができませんから、委員長、よろしくお取り扱いを願います。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 非常に誤解を招くような表現でお答えいたしましたことを陳謝いたします。  そのいま御指摘のありました二十点につきましては、東京税関から報告を受けたところによりますと、その二十点につきましては非常に露骨な男女の性交行為がかかれているということでございまして、さようなものについては、これはいろいろ御批判、御意見があろうかと思いますが、これはまずいのじゃないかということで、二十点につきましては、ピカソの作品でございますからそれはそれとして、それを大ぜいの人が見るようなところで展示はしない、それを輸入者が自分で保蔵するという条件で輸入許可をした、こういうふうに聞いております。

永末英一民社党

○永末委員 要するに、当初、私が申しましたように、この三百四十七点がワンセットになったものの輸入を認めているわけですね。あなたのほうでやられたことは、その中身をずっと点検をして、そのうち断続的か連続的かわかりませんが、二十点については望ましくないといいましたが、その点を含めてもいまのような留保づきで全部をワンセットしたもので輸入してよろしい、こういう決定をされたのですか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 その二十点につきましては輸入許可いたしたわけでございますから、先ほど申し上げたように本来それが輸入をしてはならないものであるならば積み戻しを命ずることができるわけでございます。それをしなかったわけでございますから、ワンセットとして輸入を許可いたしたことになっております。ただしその二十点については、先ほど申し上げたようにいろいろ問題があるということで、公衆の面前でそれを陳列したりあるいは人に大っぴらに見せるようなことはしないでくれ、さような条件であるならば輸入されてけっこうです、こういうことで輸入許可をした、こういうことでございます。

永末英一民社党

○永末委員 いま問題になっておりますのは、その版画を輸入する者が申請をして輸入が許可されたかどうかを言っているわけです。いま御答弁は、それを一般に公開、陳列をしたり閲覧させたりというようなことについての条件をつけているようなことがこの決定書に書いてある。それはしかしそれから買った者が複製して、著作権の問題はございましょうとも、公開、陳列したり閲覧させたりすることがある場合には、税関の手を離れていますね、それは警察の問題でしょう。それからあなたのほうの決定書には条件の一つとして「紹介、閲覧に際しては、「本件書籍に収録されている一部の絵画について、一般的にはなお風俗を害すべき物品と認められるものがあるために、今後同版のものを輸入するとしても、税関の審査はその都度行なわれる。」」——これはこういうことか少しもわからぬ——「旨の注意喚起を必らず行なう」というようなことが書いてございます。同版、版が同じなら内容が変わらぬ。一ぺんよろしいとしたものをもう一ぺんなぜそのつど審査を行なうのですか。これは二つ聞いていますよ。あとから答えてください。最初の点はすでに税関の、大蔵省の範囲を離れたもの、そのことがもし風俗を害するというのだったら、それは一般の警察の取り締まり対象になるべきものである。その辺は一体大蔵省と警察とどういう話をしているのか。あなたのほうは取り締まる能力がないと私は思うのだけれども、やると言うのだったら、一ぺんどういう根拠でやるのかお知らせ願いたい。それからいまのこの決定に対する留保条件というのは、なぜ、一ぺん認めておいて今後同じ版が輸入される場合に一ぺんずつ審査するということを言わなければならぬのか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 まずお尋ねの第一点でございますが、本件につきましてはもう輸入許可いたしたわけでございますから、輸入許可をいたしたということは、それはいろいろ条件がございますが、税関の立場からして関税定率法を運用する役所でございますから、二十一条には該当しないということで国内へ入れたわけでございます。  あとは、定率法と一般刑法の取り締まりとの問題は、これはまた観点が違っておりまして、率直に申し上げまして、私どもと警察との間でときたまポルノ雑誌その他について意見が食い違うことがございます。さような問題につきましては、私どもは確かに国内の取り締まり官庁の警察の意向を全く無視してそれを二十一条を運用するというのはこれは輸入者の立場かちして、税関で許可されたものをなぜ取り締まるのだ、こういうような非常に不信の念をお持ちになるのはしご愚当然でございまして、さようなことがないように、機会あるごとに警察当局と意見の交換はいたしておりますが、独自の判断で輸入の許可をいたしておるわけでございます。  あとの、国内へ入ったものの取り締まりについては、これは先生御指摘のように警察当局の判断によってなされるべきもである、かように考えておるわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 輸入しました。出版社の人にこれを売ります。買うたものがここの留保条件に反するように認められるような行為をした。つまりこの留保条件は、何か高価であるからそっと貯蔵してひそかに芸術的鑑賞だけしているようなことが期待されるように書いてある。しかしながら世の中はそうは限らぬのでありまして、その場合には出版社には責任ございませんね。ところがあなたのほうでおやりになるのは通関だけのところだから、あれだけ留保条件をつけたにかかわらずそのうちの一部が、あるいは版権の問題で、こういう絵はがきにして売るとか、あるいはまた雑誌にして一部をまた複製。これは出版集——私出版社ですからやり方知っていますから、一部を売ることがあるかもしれませんね。そういう点にもとの出版社、これはもとのやつでございますから、これがこれにかかるというと、何か第三者のやっている責任をこっちが負うことになりまして、はなはだ不均衡なことになる。したがってこの決定は、第三者には関係がない、第三者のやっていることはこの出版社に関係がない、こう読んでいいのですか。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 さようでございます。

永末英一民社党

○永末委員 それでは、先ほど申し上げました輸入映画等の審議官の名前ですね。それから、名前だけではわかりませんから、もう時間ございませんからあとで書類で経歴等をお知らせを願えれば……。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 いま答えられますので……。

永末英一民社党

○永末委員 ではお答え願います。

森谷要大蔵大臣官房審議官

○森谷説明員 池田弥三郎さん、慶応大学の教授でございます。それから稲村隆正さん、写真家でございます。それから江上フジさん、東郷女子学生会館の館長さんでございます。それから大庭秀雄さん、これはもと松竹映画の監督をされていた方でございます。それから岡田譲さん、東京国立近代美術館の館長でございます。嘉門安雄さん、ブリジストン美術館の総務。河盛好蔵さん、共立女子大学の教授。五代利矢子さん、生活評論家。斎藤病院長の斎藤茂太さん。聖心女子大学の教授でいらっしゃる島田一男さん。映画評論家の津村秀夫さん。それから元法制局長官の林修三さん。成城大学の宗教学の教授でいらっしゃる堀一郎さん。作家の三宅艶子さん。毎日新聞の東京本社の論説委員でいらっしゃる牧内さん、以上でございます。

永末英一民社党

○永末委員 承りました。  これで質問を終わりますが、大平外務大臣、わが国は戦後三十年やってきましたが、外国から見ますといろいろなところで日本人とは何かということを、いろいろわれわれの期待外の眼でながめられることが多うございますね。ちょうどあなたおられなかったのですが、質問の主題となりましたのは、ピカソの銅版画の輸入通関に関する問題であります。つまり外国ではそれが市販に供せられているものを、わが国は関税定率法の中で風俗を害すると認められて、ある部分の輸入禁止が問題になりました。やっといまそれが禁止が解かれたという話でございますが、しかしそれには留保条件がついておる。たとえばなるほどピカソの画風が——なくなりましたが、初めの画風と晩年の画風とは非常に異なりましたし、特に銅版画になりましてから非常に特異な絵が多いことは御承知のとおりでございますが、そういう点につきましても、わが国がもし外国人と同じレベルでやっておる、同じやはり心理構造を持っていることを彼らにわからせることが日本外交の一つのやはり重要な点だとするならば、こういう点につきましても、ひとつ外務大臣としましても御配慮をいただくのが至当ではないか。あなたは幸い大蔵省出身でありますから……。そういう気持ちで質問を申し上げておりました。  質問を終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 各件に対する質疑はこれにて終了いたしました。      ————◇—————

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 午前の国際情勢に関する件に引き続き調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石井一君。   〔「大臣もえらいな」と呼ぶ者あり〕

石井一自由民主党

○石井委員 いま、大臣もえらいなという声が聞こえたんですが、われわれも午前に国際情勢をやりまして、その後委員会を継続して条約の審議をいたしておったわけでございます。その間外務大臣は、韓国から金首相が来ておられるのに表敬を受けられて、いろいろと政治的な問題をお話しになった、こういうことでございますが、特に当委員会にまず御報告、御発表をいただける問題がございましたら、その話の内容のおもな点、また両者の合意に達した点あるいは合意に達しなかった点、こういう点について簡潔にお話しをいただけたら幸いだと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 本日十二時半ごろから二時間余り食事をともにしながら、韓国の金総理と会談をいたしました。  問題は二つありまし、一つはアジア情勢につきましての相互の意見の交換を行なったのであります。  第二点につきましては、いま両国の間で問題になっておりまする経済協力案件についてあらためての御要請があり、当方も検討を約したということでございます。

石井一自由民主党

○石井委員 南北統一の歩み寄りといいますか、話し合いの問題について、アジア情勢という最初のおことばがございましたが、この問題について韓国側はどういう意見を持っておられるか、お話しになりましたか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま申し上げましたように、意見の交換を行ったわけでございます。で、先方がどのように申されたか、私のほうでどのように申し上げたかというようなことは、儀礼上差し控えさしていただきたいと思います。

石井一自由民主党

○石井委員 朝鮮半島をめぐる情勢というものが刻々動いておるという感じがいたすわけでございまして、当然金首相もそういう問題に関する認識というものも十分持っておられる。そういうことを踏まえてのお話し合いがあっただろう、こういうふうに思っておるわけでございますが、いまの御答弁で深追いをするつもりはないのでございますけれども、やはりわが国の外交方針として一つの大きな問題になってくるのは、この秋の国連総会における南北朝鮮の取り扱い、こういうことなんでございますか、この間外務大臣の御判断によってWHOではあのような結果になっておるわけでございますけれども、国連総会に臨む日本政府としての立場、これをきょうの会見を離れてもけっこうでございますが、現時点で外務大臣としてはどういう方針で臨まれようとなされておるのか、この点はいかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 今秋予定されておりまする国連総会におきまして朝鮮問題がどういう形で取り上げられるのか、ただいまの段階では判然といたさないのであります。しかしながら、われわれといたしましては、朝鮮半島、韓国並びに北鮮が今後この問題についてどういう考えを固めてまいるのかということにまず注目せなければいかぬことだと思います。それから、その他自余の国の、この問題に関心を持っておる国々の動向というようなものも十分見定めなければいかぬと思います。  わが国がしかく慎重を期するゆえんのものは、わが国の朝鮮政策というものは世界が注目いたしておるところでございますだけに、慎重の上にも慎重にやってまいらなければならぬと考えておるわけでございまして、これから先、国連が開かれるまでの間、諸般の状況を十分に見きわめながら、わが国のとるべき態度をきめるべきものと考えておるのでありまして、正直のところまだどういうようにするかというような点につきまして結論を得ているわけではございません。

石井一自由民主党

○石井委員 いまの御答弁で、私直観的に感じますことは、政府当局としては朝鮮情勢というものに対して新しい角度から見ていこう、そういう気概がうかがえるような気持ちがいたします。そうしてさらに、従来政府の立場は、今回のWHOのようなそういう結果になったわけでございますが、そういうことに対する一つの反省といいますと問題があるかもわかりませんが、そういう経験というものをも踏まえて、今度国連ではもう少し他の国の動き方、あるいは承認国の数というふうなものをも考えて、その政策上前進しようという意欲というふうなものが何かうかがえるのじゃないか、そういうふうに私は拝聴いたしたわけでございますが、そこまでいっておらないのか、その点はちょっとくどいようでございますが、いかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 北鮮のWHO加盟問題の処理につきまして、私どもがとった態度につきまして批判があることはよく承知いたしておるのでありますけれども、これが日本のとった態度として間違っておったと、深刻な反省をせなければならぬというようには私は考えていないのであります。一つ一つの案件にあたりましては、真剣に取り組んでまいらなければならぬわけでございまして、どのケースにあたりましても全力投球をしていかなければならぬと思っておるわけでございます。  それから第二点として、先ほど申しましたように、今秋の国連対策というものもまだきめていないわけでございまして、それまでの貴重な時間を、われわれの十分な検討、考慮の余裕として与えていただきますようにお願いをしたいと思います。

石井一自由民主党

○石井委員 従来の政府の態度である韓国への義理立て、そしてまた、先ほどおっしゃいましたように、いろいろのペンディングの経済問題に対する経済協力、私これはどんどん推し進めていったらいいと思うのでありますが、ただその形のままで北を敵視するということ、そういう形の中で南北統一した朝鮮を指向するという考え方は、私は世界の動きから見れば現実に合わなくなってきているという感じがしてなりません。与党の一人としてでございますけれども、両方とも同じ舞台に上げてくることによって対話の場をつくる、私はそういう姿勢がこれからの大平外交、日本外交にあっていいという感じがしてなりませんので、今後数カ月後に控えておる問題でございますが、そういう声も与党内にあるということをお含みの上お進めいただきたいことを要望として申し上げておきます。これまでやってきたことに対して非難がましいことを申し上げる意図はございませんが、その点をつけ加えまして、次の問題に移らしていただきたいと思います。  国連大学を日本に誘致する問題でございます。これは最近調査団がやってきたり何かいたしまして、日本側も積極的にこの誘致に踏み切ろうとしておるし、昨日の新聞あたりでは一億ドルの拠出金を出そう、こういうことでございますが、外務大臣はこの大学を誘致するということにどういう意義を感じられておるのか、またこの大学というものがどういう形で運営されるのか、これはまだこれから詰める問題だろうと思うのでありますけれども、たとえばいわゆる国連学という特殊なものになるのか、あるいはもう少し一般の大学とは基盤の違ったものなのか、これがわが国の教育なりわが国全般に与える意義というものがどういうところにあるのか、まず原則的な問題でございますが、お伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま石井さんの御質問の中で、国連大学本部誘致についてわが国が一億ドルの拠出をきめたというような意味のお話がございましたけれども、きのう文部大臣、大蔵大臣と私と相談をいたしましたことは、正確に申しますとこういうことでございます。  四月の中旬に国連の国連大学調査団が来日いたしまして、その団長から、国連大学の安定した財政基盤を確保するために国連大学基金をつくりたいということを国連が考えておる。同基金に対し一億ドル程度日本が拠出をしてほしいという要望があった、これは間違いないことなんです。  第二に、日本といたしまして、国連大学本部を日本に設置することを希望いたしておるわけでございまして、それが確保されるにおきましては、国連側で主張しておる、基金一億ドルの拠出を期待しておるということを念頭に置いて真剣に検討しましょう、そういう返事を出そうじゃないかということにきめたわけでございまして、まだそれを政府として決定したわけでなくて、国連に対するこの段階における返事といたしまして、あなたが言ってきた一億ドルという要請を受けたことを念頭に置いてひとつ検討いたします、という返事をいたすことにきめたわけでございます。  それから第二点で、国連大学誘致の意義でございますけれども、国連大学は、私の理解する限りにおきましては、一つのキャンパスに研究施設が集まりまして、いわゆるわれわれの普通概念しておる東京大学とか京都大学とかいうものではなくて、国連大学本部というものがありまして、全体の研究計画を総括する本部があるわけでございまして、十カ所ないし十数カ所に研究施設というものを、その国連大学の基金でサポートする研究施設を各国の適当なところに置こうというわけでございます。わが国もその研究施設の一つはほしいと思っておるわけでございますが、あわせて日本に国連大学本部を置いていただくということは無意味であるまいと考えておるわけでございます。国連が国連大学を考えたのは、人類の生存、発展、福祉に関する問題に対処するための行動に結びついた研究を国際間の協力によって行なうという点に特色があるわけでございます。わが国がこのような国連の文化的なプロジェクト、教育的なプロジェクトに協力するということは、わが国の声価を高める上から申しましても、わが国の学問的水準を高める上から申しましても、あるいは国際協力思想を普及してまいる上から申しましても、意味のあることではないかと考えるわけでございます。

石井一自由民主党

○石井委員 いまの御答弁だと、調査研究を主体にした一つのヘッドクォーターを誘致する、そういうことによって国際親善、国際協力、わが国の国連中心主義というものを推進し、平和外交に寄与する。これは非常に大きな意義かあるわけでございますが、今後の成り行きを注視いたしますとともに、もう一つ私がお伺いしたいのは、この大学でそういう調査研究という以外のもう少し実務的な、たとえば国際公務員を養成するとか、それに対するトレーニングを与えるとか、そういう構想は全然ないわけでございますか。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 現在、国連大学のための憲章作成の委員会がございまして、そこで国連大学の理念について研究しているわけでございますが、ただいまのところ、御指摘のような国際公務員を養成するということは考えられていないようでございます。またこの大学の理念といたしまして、いわゆる発展途上国に対する経済協力という要素もなるべく薄めたいということで、先ほど大臣からお話がありましたような人類の生存とか発展とか福祉に関連する問題というふうに、かなり高度の問題に取り組む大学としたいというのが現在考えられておる理念でございます。

石井一自由民主党

○石井委員 大学の趣旨はよく理解いたしましたが、大臣も御承知のように、わが国の国際社会における、たとえば国際機構に対する拠出金なんというものは、大体GNPベースでやっておりますためにたいへん大きなものになってきております。おそらく世界で第二位、三位を争っておるような状態になっておるわけでございますけれども、その反面、国際機関の中で働く日本人なり、国際機関を実質的に動かすという、そういう人的確保というものはわが国ほどおくれているものはないというふうに言われております。おそらく語学のハンディだとか、そのほか日本社会の封建制、終身雇用制、その他いろいろな問題も加味されると思うのでございますけれども、今日のような状態になっておるにかかわらず、まことに国際機関におけるウエートというものはお粗末なものである。こうして外務省の局長さんもたくさんおられますけれども、外務省あたりでも外務省官僚としては大いに有能な方がおられるけれども、なかなか国際機関には出ていかないという現実ではなかろうか。そういうことを考えますと、これは国連大学とは関係がないわけでございますけれども、この辺で名実ともに国際社会に貢献するという意味で、基本的な人材というものをもっとやはり外交政策の中心として転換させなければならぬ、こう思うのでございますが、御所見をお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 国連並びに国連の専門機関を支える財政負担というものは、わが国のGNPの成長に比例してだんだんとシェアが大きくなってきておることは事実でございます。これは国民の大事な税金でまかなうものでございまするから、私どもとしてはおろそかにしてはならぬと考えております。たとえば一億ドルの拠出をきめたと書かれますと、あとで政府がいろいろ検討いたしまして、金額をきめて一億まで達しなかったら、もうその金は死んでしまうわけなんです。私どもも実は非常に注意深くやっておるつもりでございますが、お金を取り扱う場合は非常に信用の問題にかかわるわけでございますので、お互いに日本の国益を守る上から申しまして慎重に取り扱って国際的な拠出金を生かしていかなければならぬと考えております。  その拠出の割合につきまして、いま石井さんが御指摘のように国連その他の国際機関に日本人要員の進出というのが比較的少ないということは、あなたの御指摘のとおりでございます。これは日本のシェアにふさわしい人数とそして地位を確保してまいらなければならぬことは国民に対するわれわれの責任であろうと思っておるわけでございまして、機会あるごとに国連本部並びに専門機関の首脳との接触におきましてはそのことを精力的に繰り返し訴えておるわけでございます。最近だんだん理解が進みまして、日本人要員の雇用も漸次拡大いたしておる傾向にあるわけでございますが、あなたが御指摘のように言語の障害その他のハンディキャップがございまして、なかなかそれにふさわしい要員を確保するということが事実上非常にむずかしいわけでございます。しかしそういう泣きごとを言っておるばかりではいけないわけでございますので、私は外務省に勤務していただいている方々で、国際機関に出向して、時期が来たらまた帰ってもらうというような仕組みででもくふうして、それでできるだけ充員をはかって、そして相当な日本にふさわしい地位を確保していくように努力中なんでございます。せっかく御声援をお願いをしたいと思います。

石井一自由民主党

○石井委員 大臣の前向きな御答弁がございましたので、これはあえて申し上げるわけじゃありませんが、やはり最近の若い世代などを考えてみますと、私は、国際社会に貢献できる人材というものはだんだんふえてきておる。ところが、これまでの官僚機構というか、日本社会と申しますか、どこかそういうところへ行けば何か都落ちしたような、こういう取り扱いが官民ともに厳然としてある。こんなことでは、金だけ出して、巨大なGNPから出てくるもの、何もそこから政治的、経済的な発言というものは出ていないということで、これはもう外交の一つの基本として、せっかく前向きの御答弁がありましたから、具体的な方法というものをこれまで以上にひとつ意欲的に取り上げていただきたい、こういう感じがいたしてなりません。  そこで、いま金の問題に関しては非常に微妙で、一億ドルやるのでもそれより減るとどうだということでございましたが、最近、大臣も御承知だと思いますが、西アフリカでたいへんな餓死者が出て、一千万人にものぼるというので、六月八日の毎日新聞に「冷たい経済大国日本」、「飢える西アフリカに援助ゼロ」という、こういう大きな記事が出ておる。これは外務委員長とともに驚いた。こんな話は聞いておらぬ。日本の外交の方針としてこれは重大なことだ。だれがきめるのか。しかも、ここに書いてあることだったら、外務省は申し込んだけれども、大蔵省にそっぽを向かれた、こう書いてある。これはまあ事実に反するようでありますが、昨日の新聞にたったこれだけの、これの二、三十分の一の記事で「二億六千万円を救援きょ出」、西アフリカへやると、こういうふうになっておる。ここで国民に与える印象というのはどういうことになるかということを考えましたときに、この二億六千万という国民の血税が全くどういうふうに——これは、同じ出すなら、こんなまずい出し方というのはないと私は思うのであります。大体経過は私も想像はつきますが、こういうふうに出たあとで、一週間してこれだけのことが決定された、こういうことになった。責任は一体どこにあるのか。これはくどくどした説明は要りませんが、どこのどういう制度によってこういう決定がなされたのか、まずこれをちょっと説明をしていただきたいと思うのでございます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 サハラ周辺六ヵ国の干ばつに対する救援資金は、サハラ信託基金というものを千五百万ドルの基金をつくって、種子の確保をしたり、家畜の飼料を確保したり、あるいは井戸を掘さくする機械を提供したり、そういうような趣旨で基金をつくって、日本に要請があったのでございまして、わが国といたしましては、まず実情を調査しなければいきませんので、セネガル大使館、象牙海岸大使館、この両大使館が兼務いたしておる地域でございますので、その大使館に資料を求めて、あわせて国連のFAOに対して補足資料を求めまして、干ばつ実態をまず知らなければいかぬということで努力いたしたわけでございます。と同時に、ほかの各国の拠出の状況というものも情報をとっておるわけでございまして、それできのうの閣議で正式に御決定をいただいて二億六千万円、約百万ドルでございますが、ドイツが百六万ドル、イギリスが七十五万ドル、その他と比べまして遜色のない金額でございまして、私は政府の御決定に対しまして感謝いたしておるのでございます。これは大蔵省の圧力に外務省が屈してゼロになっておったとか、外務省はもっと大きな金額を要求したけれども大蔵省が削ったとかいうことでは決してないのでございます。やるべき準備をやって政府部内で意見の調整をいたしまして、正式にきのうの閣議できめたわけでございます。新聞にどう書いてあるかは、私は新聞にまで責任は持てないのであります。

石井一自由民主党

○石井委員 ただ私は、援助額自体の決定なりやり方という面で、今回の問題でも何か二、三の問題提起があったような気がしてなりません。たとえばこの新聞あたりは、新聞が主観的に書いているのではなしに、大蔵省の外務省担当の主査のことばとして、あまり関係のない国だから必要ないのじゃないかということまで、これははっきり明記しているわけですから、こういう発言がおそらくあったんじゃなかろうかと思います。新聞についてはこれ以上こだわりませんが、調査にも必要だし、いろいろありますけれども、緊急融資として何か十億ドルか何かの資金が外務省にあり、それに対しては自由に使えるというような仕組みになっておる。やはりこういう場合に同じ二億六千万円お出しになるのなら、四週間という期限がついておるその期限が終わったころに、しかも新聞からゼロと出た後に御決定をなさるよりも、もう少し自主的に経済大国日本としての姿を私は西アフリカの国に示し得たのではないか。外務大臣だけが悪いとは私は申しません。しかし、その組織の中にただ幾ら金をやるということでなしに、最も重要な外交政策の決定だと思うのです。そうして他の国が百六万ドルだからわが国は百万ドルでいいという考え方も、私は今後わが国の自主性ということを考えた場合に、そういうバランスもあることもわかりますけれども、場合によっては考え直していってもいい問題ではなかろうか。外務省は外務省として正式な立場で御決定になったかもわかりませんけれども、私はもう少しタイムリーな決断というものがこの援助の決定というものにはあっていい。いまの場合、どうも私は大蔵省とか外務省を非難する気持ちはありませんが、あまりにもセクション、セクションの一部でこういうものが事務的にきまり過ぎる。もう少し私はその辺の方針というものに反省なりあるいは今回のことを基礎にもう少し建設的な方途がとられてもいいのじゃないか、こういう感じがいたします。大臣、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ことさらおくらしたつもりは毛頭ないのでございます。先ほど申しましたように、現地の実情をまず——税金を使うわけでございますからぞんざいな使い方をしたらいかぬわけで、一応干ばつの実態というものを究明しておかなければいかぬわけでございまして、そのために、現地の大使館はもとより、FAOからも資料を送付していただきまして、検討して結論に達した金額でございますので、私ども決しておそいとは思っておりません。これが世界で六番目の拠出国でございますから、決してこれはおそいほうじゃないわけで、新聞からおほめをいただいてちっとも私はばちが当たらぬと思うのでございますけれども、たまたま一新聞にそういう記事が出たからといって、一々政府が反省したりあわて回っておったのではたいへんだと思うのでありまして、われわれはやるべきことはやる、やっちゃならぬことばやらない、そういうことで、これこそ自主的にやらなければいけないのじゃないかと私は考えております。

石井一自由民主党

○石井委員 私、ここに持っておる切り抜きで西アフリカ、西アフリカというのは何枚もありますが、やはりこれだけ大きな世界的な問題だったように思います。ただ単に一つの新聞がどうのこうのということではなしに、私は基本的にそういう資金を有効に使いたい、税金であるから有効に使いたい。また果敢に、巨額を使うというわけではありませんけれども、そういう処置をとられたい、そういうことを御指摘しているわけでございます。  いろいろ問題があるのでございますが、時間が来たようでございますので、先般の外務委員会でモンゴル共和国に日本大使館が六月中旬に開設されるという御回答を得たわけでございますが、これは予定どおりスムーズにいっておるのかどうかということが一点。  それから第二点は、問題が違いますが、中国の文化革命のころにスパイ容疑として逮捕されておる人々がたくさんこの間うちから帰国を許されたわけですが、その中にただ一人だけ、中島正さんという人がまだ向こうに拘留されておる。この人の釈放その他に対して、政府はいかなる措置をその後とられておるのか。この二点をお伺いいたしまして、私、きょうの質問を終わりたいと思います。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 最初のモンゴル人民共和国との関係でございますが、六月十五日にわがほうの大使館をウランバートルに開設する予定になって、現地にすでに要員も派遣済みでございます。昨年の二月二十四日にモンゴルとわが国との国交を樹立いたしましてから今日に至るまで、ソ連の大使館がそれを兼任しておった次第でございますが、このたびようやく独立のわがほうの公館を持ち、今後外交関係をさらに活発にやっていけるという事態になったという状況でございます。  第二の御質問の、文化革命時代に中国側に逮捕されておりました人々に対しましては、大部分の方はすでに帰国されたわけでございますが、御指摘の一人の方は、まだ現在上海で服役中ということでございまして、私たちも早くこの方にも帰国していただけるようにということを非常に希望し、また中国政府に対しましても、この希望を表明いたしております。すでに北京にあります大使館のほうを通じまして、日本におられるこの方の家族の方々のお手紙が当人に届けられるようにするとか、また家族名の嘆願書を中国側の関係機関のほうに届けるというような手配もいたしたわけでございます。さらに今後、御当人からのいろいろの希望事項等も直接伺って、健康状態その他具体的な状況を知るために、わがほうの北京大使館の館員がこの人に面会できるように、中国政府に対して現在交渉、要請中でございます。

石井一自由民主党

○石井委員 終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 金子満広君。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 私は、きょうは、懸案になっているベトナム民主共和国及び南ベトナムの臨時革命政府の統治下にある社会団体の代表の日本への入国問題について質問をしたいと思います。特にきょうは主管大臣である田中法務大臣の出席を願っておりますので、この問題についてだけ質問をいたします。  すでに田中法務大臣御存じのように、日本にあるベトナム人民支援日本委員会と日本ベトナム友好協会が、ベトナム民主共和国と南ベトナム臨時革命政府統治下の社会団体の代表各二名を日本に招待をしました。そして、六月三日から三週間の予定で日本訪問をしたい、こういうことで、五月の半ばに法務省に申請を出しておりますが、今日まだ最終的に入国の承認がされていないわけであります。入国の申請は、まずその入国目的については、ベトナム復興支援の緊急協議と友好促進のためにということになっております。それからまた、申請をしている氏名は、そして役職は次のとおりになっています。ベトナム民主共和国、これはグエン・チャン、ベトナム日本友好協会の常任理事で技師であります。もう一人はブイ・ウァン・タイン、この人もベトナム日本友好協会の会員であり、通訳であります。それから南ベトナム臨時革命政府統治下の社会団体からはハー・タイン・ラム氏です。南ベトナム平和委員会の代表であり、教授である。もう一人はホン・ハーという方であり、南ベトナムの平和委員会の代表で、外国語の教授、このようになっております。申請してから一カ月近くなるわけでありますが、政府はこれまでもしばしばパリ協定、つまりベトナムに関するパリ協定以後、この協定を歓迎し、尊重するという立場を繰り返して表明してきております。また政府は、ベトナム民主共和国との国交樹立を望むという立場で接触も始めております。  こうした中で田中法務大臣は、三月の参議院予算委員会で、南ベトナム臨時革命政府の要人についても極力入国できるように処置したい、受け入れの用意があるという非常に積極的な答弁をされました。ところが、これまで南ベトナム臨時革命政府の問題、その統治下の入国の問題については、いろいろの意見が巷間伝えられており、推測やら憶測やら、たいへんあるわけですが、きょうは田中法務大臣に、私はこまかいいままでの経過というようなものは聞こうとも思いませんし、ここではそういうものは抜きにして、主管大臣としてパリ協定を尊重するという立場は、日本政府はいままで何回も主張されておるわけですから、そういう中で入国ができないということは、大きな外交問題にもなり、また国際問題にもなるだろう、こういう見地から当然この申請というものはそのまま承認されるだろうし、入国を認める、こういう  ことにならなければならないと思うのですが、端的に、明確に主管大臣としての田中さんからお答えを願いたいと思うのです。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 熱心な御質問でございますが、ありのままに申し上げますと、何ぶん初めての入国で、オーケーをするとすると、初めてのケース。初めてのケースをやります場合には隣国その他に対する外交上の配慮も必要といたします。それからどういう用件で、どういう経歴の人物がどれくらいな期間、どんな形の身分でお入りになってくるかということ、これらは簡単にはいきません。慎重なる手続を踏んでその真相を確かめなければならない。これはその確かめる責任がございます。そういう点から申しますと、パリ協定尊重のたてまえから当然ではないかというふうに仰せになりますけれども、なかなかそう簡単にいかない。パリ協定も尊重しなければならぬ。それからもっと尊重しなければならぬのは、おいでになる目的が戦災復興のための援助ということが主要目的となっておる。戦災復興といいますと、橋や道路をなおすということもございましょうけれども、もっと緊急の大事な問題は、おとうさんおかあさんをなくしてかよわい子供が路頭に迷っておるといったような、いわゆる孤児をどう扱うかなどというような重大な問題もある。戦災復興というと、人道上以上の人道問題ですね。私の考えは少し行き過ぎておるのかもしれませんが、私の考えは、戦災復興、人道問題以上の人道問題のケースというようなことでおいでになる場合は、これは特別に御入国を願うように扱ってしかるべきものだという気持ちが心底にあるわけです。手続はしかく簡単にはいかない、いかないが、心底にこれがあるわけです。そこで、私はお尋ねに対する答えといたしまして申し上げるのでありますが、何とか、この大事な目的のためにおいでになる、ほかの目的ではない、この人道上以上の人道問題でおいでになる、そういう目的である場合においては何とかせねばなるまい、これを積極的な態度と言っておるのであります。そういう積極的な態度で事務当局に命じまして、許可するかせないかという問題を検討さしておる。私のほうの役所だけではいけませんので、ここに大平先生いらっしゃるわけでありますが、外務省は協議庁として私のほうで決意をいたします前に御協議を申し上げて、外務大臣の御意見を聞かねばならぬ。ここに反対の意向があると簡単にこれはやれませんという事情でございますので、目下、外務当局と事務的の折衝、協議をさせ、調査すべきものは十分に調査するために時間がかかっておる。前回御予定になっておったときよりはおくれましたが、おくれたことは関係二団体の御了解も得ましてやむを得ずおくれておる。遠からず、いつということは申し上げられませんが、たいへん近い将来、遠からず近い機会に結論か出るものと——私の気持ちは積極的姿勢で検討せよ、こういうふうに事務に命じております。その結果が遠からず出てくる、ごく近い将来にこれが出てくる、こう考えておるのでございます。人道ケースは何とか考えなければならないという立場に立っておる、これだけ申し上げると御理解いただけると存じます。結果がわからなければ結果はわからないのです。その検討した結果を私のところへ報告をさせまして、それに判断を加えるということで初めて結論が出るわけでございます。事前にこれを申し上げるという筋のものではございません。そういう考え方で目下検討しておる最中である。結論が近い、こういうふうにお聞き取りいただきたいと思います。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 結論が近い、そして人道上さらに人道上の問題で積極的に対処したいということでありますから、結論を出すというのはもちろん入国を認めるという結論に私はなる、このように理解していいですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 先ほどからくどく申し上げましたように、私の主管ではございますが、協議庁でおられる外務省に相談をして最終的結論が出るわけで、その御相談をせない前に委員会に出てきて、近くこういう結論が出ますということを申し上げることは、いささか私の行き過ぎということになる。万一いけないということになったときには食言問題を起こす。このごろ流行でございます。そういうことがございますから、まあその辺で御判断をいただいてはいかがなものでございましょうか。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 田中大臣に質問する前に、前回大平外務大臣にも質問をいたしました。外務大臣は、外務省の腹はきまっておるし、法務省のほうにもお伝えしてあるということでありましたし、また先月の二十八日でしたか、報道されている記事についても否定はなさりませんでした。やはり私は主管大臣である田中さん、そしてまた、これまでもこの種の問題については非常に積極的な姿勢をおとりになられた、さらにまたいろいろ問題はあったけれども、法務大臣としてその立場を貫いてこられた、こういう点で、いま協議庁の首長ですか、大平さんとの相談もありますということでありますが、すでに意向は伝えておるという前回のことばでもありますから、これは私は簡単な問題であるけれども、取り扱い方によっては複雑になるということだと思うのです。そうして、いろいろ大臣も内外の情勢その他を考慮に入れながら、どうしようかという部分もあると思いますけれども、やはり決定をするのは日本の政府であるし、特に主管の田中さん御自身がこういう方向でいこうということが明確になれば、これは私は、この前の外務委員会の席上における大平外務大臣の答弁からしても問題はなかろう。  実は、私は今月の二日から九日までベトナム民主共和国を訪問いたしましたが、日本を訪問する予定の代表にも会いました。待機をしておるわけですから、そういう点で一日も早くこれは結論を出す。近い将来というのは、これはもうすでに申請の日は切れておるわけですから、きょう、あす、あさって、一両日中には結論が出るだろうと私どもは期待もするし、またそういう方向で入国は承認する、そのような意向である、少なくとも主管大臣としての田中さんはそのような意向であるというように私は理解したいし、そのように理解してもいいと思うのですが、どうですか、人道上の立場からこの点をひとつ、しつこいようだけれども、たびたび田中さんにお会いしてお話をする機会もありませんから、ここで会ったが百年目というわけではありませんけれども、この際ひとつ聞いておきたいと思うのです。そのように理解してよろしいですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 大平先生ここにいらっしゃることであり、積極的な所見は法務省に述べてあるということでもあり、また私も先般の官房長官の談話、この談話は否定しない、私も否定しない、そうして戦災復興ということで御相談があるということである以上は、人道上以上の人道問題のケースとして扱わねばなるまい、ある意味において国境は越えてよかろう、こういうふうに私は考えておりまして、あまり遠からざる近い将来に結論が出るのですから、大体御想像をつけていただくことができる。ただ、妙にかたい話をするようでありますけれども、責任がある大臣、責任がある外務省をお相手にして御相談を申し上げて結論が出るべきものでございます。その結論が出るまでに、事務当局を無視して、ここでこういう結論が出ますということを事前に申し上げることはあまりにも軽薄である、こう考えるので、この程度申し上げるだけで御了承をいただきたいと思います。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 いまのお答えで客観的には答えが出た、まあ真意も入れるということについて否定はもちろんなさらないし、官房長官の先般の記者会見で入国を認めるということについても否定はなさりませんから、その点で私は、きわめて近いということを言われるわけですから、そのごく近い将来に入国をさせるという結論が、またそういう意向が大臣から言われたというように理解をしたいと思います。もちろんこれはベトナム民主共和国の代表については入国は問題ないと思いますが、その点は異議ございませんか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 御説のように考えております。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 それから関連してもう一つ、これは蛇足になることですけれども、お伺いしておきたいと思います。  一時期若干の報道で出されていたことでありますが、南ベトナムの臨時革命政府の関係者の入国については、いろいろ条件をつけるというようなことが言われておりました。何か差別をするようなことが言われておりましたが、もちろんこれは大臣がそういうように言ったということでもないし、それからまた報道もどこそこがこう言ったということでもございません。もちろん法務大臣としてそのようなことはないだろうし、考えていないと私は思いますよ。もし何か条件をつけるようなことをやりますと、差別をつけるようなことをやったら、これはもう国際的にも私は日本政府がもの笑いになるだろうし、それからまたそれだけではなく、パリ協定を尊重するという、その協定の精神からもはずれてくる、そういう点を考えて、南ベトナム臨時革命政府統治下の代表の入国についても他の外国人の場合と同じように差別しない、当然そういうことだと思っているわけです。これは外交上の常識ですから確認をするまでもないですが、その点はよろしいですね。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 これは分けて申し上げておかなければ誤解を招きます。それで申し上げておきますが、ケース・バイ・ケースという便利なことばを政府はよく使うわけですね。これはケース・バイ・ケースで判断する以外にない。先生仰せのように特に区別をして、差別の考え方で取り扱うなどということ、そういうことはあるべきものではございませんが、やはりおいで願うというには、どういう目的で、どういう身分で、どこの国籍の人間としてお越しをいただくのか、どれくらい御滞在になるのか、表の目的はこういう目的だと仰せになるのだけれども、どこをお歩きになるのか、何がために歩くのか、何をなさるのだということ、これを詳細に検討をいたしませんと——それがケース・ハイ・ケースでございます。それでよかろうということになるときによいということになるので、それによかろうということになるので、しかし、南ベトナム臨時革命政府関係者だからいけないなどというのが差別というもので、そういうことはしない。しかし、検討すべきは十分に検討いたしまして、政府が大きな声ではっきり言うておりますように、ケース・バイ・ケースでやる、いけない場合もあればいける場合もあるのだ、こういうふうにお考えをいただきませんと、何でもこの後は臨時革命政府から来る者については右へならえをしていくのだということに誤解を招きますとたいへんなことだと思いますので、ケース・バイ・ケースで慎重に親切に考えていく、ことに人道問題以上の問題については積極的姿勢で考えていくように努力をしたい、こういうふうにお聞き取り願いたいと思います。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 最後ですが、国交未回復の国から入国していたこれまでのたくさんのケースがございますね、かつての中国がそうであったわけですから。そういうものと同じような取り扱いを今後の場合もする、差別は特別に臨時革命政府だということでしない、こういうことで理解をしていいわけですね。——わかりました。では、私の質問はこれで終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 私は大臣に、ただいま韓国より金首相がおいでになっておりますので、その問題につきまして、先ほど同僚議員が簡単にお話を聞いておられましたので、この問題はわが国の外交問題の中では慎重を要し、かつ重要な問題だと理解いたしております。もちろん交渉中の問題でありますから、すべてについて御説明をいただくことがむずかしいことも了解しておりますが、先ほど御説明になりましたアジア情勢についての相互意見の交換と仰せられました。もう一つは、両国間の経済協力案件に関する韓国側からの要請と、それに対する検討を約したというふうにおっしゃいました。それでその両点につきまして、もう少し御説明いただければと思うわけでございます。  まずアジア情勢についてでありますが、韓国の金外務大臣が五月二十五日韓国の国会においてこう発言いたしました。国連総会で朝鮮問題を取り上げるかどうかの問題については検討中であるが、加盟国の大多数が朝鮮問題を審議をすべきだとすれば、韓国政府としてはその用意がある旨を述べたと報ぜられております。また韓国政府がインドネシアと国交を正常化する旨これは報じられておりますが、明らかに北朝鮮政府と国交を持っておりますインドネシア政府に対して並立する形で韓国政府が国交の正常化を申し入れ、大使館の設置を申し入れたということは、少なくとも韓国政府の態度が従前とは大幅に変わったのではなかろうか、少なくとも先日条約局長が外務委員会で御答弁になりました日韓条約第三条における韓国の朝鮮半島の唯一合法政府という規定、これ自体が北側の政府と交渉する場合において問題にはならないという御発言がございましたが、この方向をさらに一歩推し進める状況が韓国側から生じてきたのではないか、こう思われるわけであります。また、これは新聞報道でありますから正確ではありませんが、ただいま訪問している金首相が福岡において会見の際、国際舞台において北朝鮮政府と同席することも多くなろう、現実はきびしいが、平和統一のため忍耐強く努力していかなければならないと発言されたと伺っております。この三つのお話を述べましたのは、韓国政府側が相当明瞭に方向を転換した、こう思われるわけであります。これについてどういう感触を得られたか、また、日本側としてもこれに対応する決意をお定めになるときが来たのではなかろうかと私は思っておるわけでありまして、それについてお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのように、アジア情勢と申しますけれども、朝鮮半島をめぐる情勢につきましてどのような御判断を持たれておるか、そういうこと、双方意見の交換をいたしたわけでございます。意見の交換のあと、双方で約束をいたしましたのは、アジア情勢について意見の交換をしたという発表にしようということでございますので、たいへん恐縮でございますけれども、信義上そういう御報告でこの段階におきましてはお許しをいただきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 ただいまの外務大臣の御発言で、中身がすだれを通してのようにちょっとわかったような気がいたしますが、それでは条約局長は、先日条約局長が御答弁になりました法的な状況というものと、ただいま私が三つあげました韓国側の情勢というものは明らかに適合しているとお考えになるかどうか、その辺の判断を聞かせていただきたいと思います。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 私、条約局長といたしまして条約の解釈については御説明する権限がございますけれども、この条約の解釈と政治情勢との関連を申し上げることにつきましては、私個人の意見はともかくといたしまして、こういう公開の場で説明するという立場にございませんのでかんべんさせていただきたいと思いますけれども、その前段の日韓基本関係条約第三条におきます国連総会決議第百九十五号と申しますのは、再々申しておりますとおり、朝鮮の南半分における国連との関係において韓国が合法的な政府であるという認識を総会で下したものでございまして、そういう関係において北半分との関係は依然として白紙である、したがって、将来日本と北半分との間において何らかの法的関係を設定することについて何ら障害にならないということを申したつもりでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうしますと、きょうはたいへん口がかたくていらっしゃいますから、国連局長はおいででございますね。国連局長に先日御答弁をいただきました際に、仮定の形ではありますけれども、六月のILO、九月のITUにおけるオブザーバーとしての北朝鮮代表の出席に対して、仮定の形で伺ったわけでありますが、それはたな上げ、WHOで政府がとったと同じような方式で臨む旨発言されました。しかしその方向は、同時に御答弁になった条約局長の答弁とは明らかに別の形のニュアンスを持って私は受け取りました。もちろん一方は法的解釈でありまして、一方は政治的判断ですから、それについて同一の次元で並べるわけにはいかないとは存じます。しかし、私がいま申し上げましたように、韓国の外務大臣がこういうニュアンスを持ち、韓国総理の話もこういう形になってきた段階において、きょうの総理と外務大臣との話は別にして、私がさっき述べたような三つの条件からすると、そういう点を踏まえますと、明らかに先日の御答弁でILOとITU、また別にIAEAという国際原子力機関などの問題も当然この間に出てくるわけでありますが、国連総会までの間の国連各機関に対する北朝鮮代表の出席問題については、仮の形ですがたな上げ方式でいくとおっしゃったのは、もう一回再検討なさるという方向がよいのではなかろうかと私は思うわけでありますが、いかがでございますか。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 先般答弁申し上げましたときにことばが足りなかったかと思いますけれども、WHOの問題の直後に答弁申し上げた次第でございまして、もしあのときの条件下においてその後の状況が変わっていなければということを実は私申し上げるべきだったと思いますし、またこれはあくまでも仮定の問題でございますので、その後の状況の変化ということは当然起こり得ることである。したがいまして、先般私が答弁申し上げました趣旨は、あの時点においてその後の諸種の状況に変化がなければという意味でございまして、その点をひとつ追加させていただきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると、こんなことをあまりぎゅうぎゅう伺うとやりにくいかもしれませんけれども、その後変化はあったわけですね。明らかにいろいろな意味で現状、変化があったとお認めになるかどうか。どうですか。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 これはなおいろいろな要素があると思いますので、なお、慎重に検討させていただきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 少なくともあのときと同じ答弁を繰り返すつもりは、きょうはなくなったという意味ですね。はっきり言ってください。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 実は先般の御質問に対して、あれはもうあくまで仮定の問題であるという前提でございまして、その後実際の問題といたしましては、こういう国際関係でございますからいろんな状況の変化ということは起こり得るかと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると先日の御答弁は、ITU及びILOに対する加盟問題はWHO型でやると言ったことは、その言われた発言も含めて再検討する、こういう意味に理解してよろしいですね。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 どうも仮定の問題でございますので明確なお答えはなかなかできないかと思いますけれども、この前仮定の問題として私の念頭に置きました前提が実はかなり非現実的である。つまり、あの時点以後いろいろな状況に変化が全くないという、非常に非現実的な仮定を念頭に置きながら答弁申し上げたという点では不適当であったかと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 変化が全くないという非現実的状況を踏まえた答弁をされたというおっしゃりようは、つまり先日の御答弁が不適当であったという意味に私は率直に理解いたします。  そうすると、この間のITU、ILOに対するWHO型のやり方というものはもう一回再検討する、要するにそういう意味だと私は解釈するわけでありますが、それでよろしゅうございますね。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 それぞれの時点におきまして、WHO以後にどのような変化があったかなかったか、もしあったとすればそれをすべて念頭に置きまして、そういうことも踏まえて考え直す必要があるということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 これ以上結めるのはどうも残酷みたいですけれども、国連局長そんなにがんばらなくてもだいじょうぶですよ。むしろこの間の答弁がきわめて不的確な予想でありましたから、それを明瞭に取り消されるだけで私はけっこうだと思います。  ですからこの問題については、国連局長の御答弁は、前回は仮定の形でありますがILO、ITUもWHO型でいくと言ったのは取り消した、つまりこの急速な情勢のあれに基づいて、もう一回朝鮮政策全般を見直すときがきたというふうに解釈していいと私は思うのですけれども、もう局長にこれ以上突っ込んでもちょっとだめになってきましたから、大臣いかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま御質問になるような動きはいままでのところないわけでございますから、いまの段階でお答えするのは適当でないと思います。ただ、万一そういう事態になった場合はどうするかということでございますならば、これからの情勢展開を見きわめながら日本としてベストな道を考えたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 大臣のその御答弁でよろしいわけです。この間はWHO型でいくと明確に述べられているわけですから、その点についてはもう一回慎重に直え直すと言われた大臣の答弁をいただければ、私はそれで満足なんです。  ではそのことは片づきましたので次にいきまして、この韓国をめぐる状況の中で南北の対立の問題、そして休戦ラインをめぐって両者でまた宣伝戦が始まったりパンフレットの応酬が始まったりしておりますが、大臣はこういう南北対立の問題をどうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たいへん不幸な事態だと考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうしますと、いま、朝鮮が、明らかに存在する二つの政府において、朝鮮を代表する唯一合法政府という主張が前にありました。そしていま、両方の政府が、先ほどのWHOの国連における審議の途中で、あれ以来両方ともに、お互いの政府と同等の立場を国際機関で並行的に占めようというふうに方角が変わっております。つまり唯一合法というものは、朝鮮民族全体として唯一合法の存在をつくっていこうという方向になりつつあるように見えるわけでありまして、北側だけが唯一合法とか、南側だけが唯一合法とか、それがなくなってきたように見えるわけでありますが、こういう表面的な見方に対して、外務大臣はどういうお考えで見ておられますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 南北の対話は、たびたび申し上げておりますように、南北がテーブルにつきまして、平和的、自主的な統一の道を探っていこうというように承知いたしておるわけでございまして、その道標は失われてはならぬ道標だと思うのでございます。ただ、それに達する道程におきまして、いまあなたのお話を伺っておりますと、それぞれがどういう姿勢をとりながらやってまいるか、その過程における姿勢のとり方というような問題が、国連問題等を中心に考えられておるのではないかというように受け取られるのでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 では今度は、日本と南朝鮮との経済協力の問題について、きょうお話が出た部分について、ここで御披露していただける部分がありましたらお話しをいただきたいと思います。特に私が関心を持っておりますのは、先日から、韓国政府から経済、農業問題について、あるいは工業問題等についていろいろお話が出ているようでありまして、あえて今回だけではないようでございます。また一部報道によれば、ここ十年間、五百億ドルに達する重化学工業開発計画を韓国政府は樹立しており、それに対する日本側の、政府ではないようでありますが、政府、民間あわせて、大きな、わが国の経済開発協力計画についての援助を求めておるようであります。このような大型の問題に対しては、明らかに国民の周知するべき問題だとも思いますので、でき得れば、現状における両国のお話し合いについてお話しをいただきたい、こう思うわけであります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 五百億ドル計画なんというのは全然承知いたしておりませんし、話題にものぼっておりません。  それから、韓国は韓国といたしましてみずからの経済計画をお持ちになっておるし、また将来もお持ちになることがあって当然だと思うのでございますが、日本とのかかわり合いにおきましては、いま進行中の第三次五カ年計画というものにつきまして、原則として日本も応分の協力をいたしましょう、そういう合意があるわけでございます。それに沿いまして、年々、具体的なプロジェクトをそういうラインに沿って日本の協力能力をはかりながら、また先方の御計画を吟味しながら、どの程度、どういう方法でおつき合いするかということをきめておるわけでございます。韓国といたしましては、この第三次五カ年計画の終了いたします時点におきまして経済を自立の状態に持っていきたいということでございます。年々、国際収支、貿易収支等も改善の方向をたどっておるわけでございますが、私どもといたしましては、第三次五カ年計画をもちまして、かの国が自立計画を達成されることはたいへん望ましいことであろうと思っておるわけでございます。  いま、そういうフレームの中でどういう具体的な案件が問題になっておるかと申しますと、一つは、いま建設中の浦項の製鉄所計画というものでございます。これは粗鋼生産百二十万トンまでの分につきましては、一応話はついておるわけでございますが、さらに第二次計画として二百六十万トン計画にしたいという計画がございますが、これについては、われわれのほうは検討中でございまして、コミットをいたしておりません。  それから第二点は、セマウル計画と申しまして、農村の振興運動があるわけでございますが、これはいわば一つの精神運動であると同時に、一つの経済復興運動でもあるわけでございまして、私ども、方向といたしまして韓国が農業基盤を固めてまいるという方向はけっこうだと思っております。そしてその中に、第三次五カ年計画の中で考えられ得るプロジェクトで、農業生産の基盤確立に役立つようなものにつきましては御相談をいたしまして、日本としてできる協力はいたしたいと考えておるわけでございます。いま、ことしの協力につきまして具体的な検討をやっておるわけでございまして、結論を出しておるわけではございません。  話題になっておる第三の問題はセメントでございます。日本はいまセメントが不足しておりますし、韓国からの緊急輸入を仰いだ場合も御案内のようにあるわけでございます。で、韓国といたしましては、豊富な石灰石鉱山がある地点に、現にあるセメント工場の増設を考えその積み出しの港の整備を考えておるのでございます。そういう問題が最近出てきておるわけでございます。そういう問題を第三次五カ年計画のワク内でどのように処理したらいいか、そういった問題につきましていま検討をいたしておるわけでございまして、この間副総理と会い、きょう総理と会いましたわけでございますけれども、そういった問題についてなお引き続き具体的な検討をしてみようということをお約束を申し上げておるだけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、もう時間がちょっとなくなってまいりましたので……。  こういう動きが起こってくる場合に、明らかに朝鮮問題をいま片づけるチャンスが来つつあると思うわけであります。その時期に、両国の平和的な統一、それを妨げることのないような慎重な配慮というものが、外交の基礎的な方針として必要であろう、こう思うわけでありまして、まさに慎重でなければならないと私も思うわけであります。ところが韓国のほうに対してこういう大きなプロジェクトを与えていくということ自体についても、したがってもう再考慮するべき時期が来ているのではないかと思います。従来の行きがかり上として韓国側にこういうふうに押していくのはわかりますけれども、それと同時に国交のない北側の政府との間においても経済的な実質的な協力関係をつくりあげることも考慮しないと、日本政府の方角というものはあまりにも一方的な、そして平和統一を妨害する方向になるのではないか、こう思うわけでありまして、その辺も十分御配慮いただきたいと思いますが、さしあたっての計画等おありだったらお伺いしたいし、また基礎的な考えをきょうは承るにとどめたいと思っております。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 対韓経済協力も、韓国の経済の自立というものについて隣国としてお役に立つ協力で日本として可能なものをやろうということでございまして、いつまでもだらだらこれをやるというわけでは決してないのでありまして、一つのめどを持って先方もおるわけでございまして、私どももその計画が達成されますように祈念いたしておるわけでございます。  それから、北鮮との間におきましては、すでに御案内のように経済、文化、学術、スポーツその他の分野におきまして漸次交流を拡大いたしておるわけでございまして、経済の分野におきましても貿易もだんだんと拡大してきておりますが、経済協力案件というようなものが具体的な問題となってまいりましたならば、先ほどのお話じゃございませんけれども、ケース・バイ・ケース、慎重に検討いたしまして考えていきたいと思っておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、いまのお話、対韓協力にいつまでもだらだらやるのではなく、めどを持つとおっしゃったのは、時期がある、こういう意味でございますか。  それから、もう一つ、北朝鮮のほうはケース・バイ・ケースで経済協力案件も考慮するとおっしゃいましたのは、たとえば輸銀の使用であるとか政府関係資金の導入であるとか借款であるとか、そういったことも考慮し得るという御発言に受け取ってよろしゅうございますか。  この二つを念を押しておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど申し上げましたように第三次五カ年計画の終了までには何とかして自立を達成したいという念願をもって韓国はやっておるわけでございまして、私どもそれが達成されるように念願をいたしておるわけでございます。北鮮に対する場合、具体的な経済協力プロジェクトというようなものが提示されてまいりますならば、それを検討するにやぶさかじゃないわけでございまして、やるともやらぬとも申し上げてないわけなんでございまして、問題はケース・バイ・ケースで判断していかなければならぬものと思っております。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 永末英一君。

永末英一民社党

○永末委員 三カ月前ぐらいでございましたか、大平外務大臣に、ソ連特にフルシチョフ書記長が言っておりますアジア集団安全保障体制について存じておられるところを伺いましたところ、まだ聞いていないという旨の御答弁がございました。二週間ほど前にわが国にソ連のこの点に関する専門家といわれている方々、その中には、ただ単に外交問題だけじゃなく、経済問題等も含めましてやってまいって、そうしてわが国の外交防衛の専門的な学者と目せられる人々と時間をかけて討議をいたしました。その討議の一つの大きなテーマがアジア集団安全保障体制であったと承っております。だといたしますと、大平外務大臣も、ソ連が一体何を考えておるかということについてすでに御研究が及んでおると思いますので、この問題についてどういう御感覚をお持ちか伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ソ連のアジア安保構想というようなものにつきましては、具体的内容を承知していないのであります。けれども、ソ連は、アジアにおいて事を起こして、アジアが不安定になるということは願っておられないと思います。ヨーロッパにおいて現状を固定して、安全保障とか兵力の削減とかいうような困難な仕事に手をそめておることを考えた場合、アジアにおいて同様に平和と安定を望んでおられるものと私は考えております。こいねがわくは具体的なアジア安保構想というようなものが相当の現実性をもって討議ができるようなアジアに早くなりたいものだと考えております。

永末英一民社党

○永末委員 内容を承知していないという御答弁をいただきましたが、それは日本国の外務大臣として相手方から、アジア安保構想というのはこういう構想なんだということをはっきりと提示をして内容を知らされていない、こういう意味でございましょうね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう通報を受けたことはないわけでございますが、しかし新聞等で伝えられておることは承知いたしております。

永末英一民社党

○永末委員 いまヨーロッパのことを引き合いに出されましたが、最近のソ連のヨーロッパ外交というものは、少し前の状態と比べますときわめて変わっておる点が目につくのでありまして、それはすなわち現状の固定——冷戦時代を振り返りますと、ワルシャワ条約機構とNATOとが対決状態にあるということを前提の上にソ連外交が行なわれておったように思いますが、一昨年来特に昨年来の西ドイツとソ連との外交問題を見ますと、最近フルシチョフ書記長がボンを訪問をいたしまして、これまたソ連建国以来画期的なことでございましたが、西ドイツとの間に二つの協定を結びました。明らかにされたものは二つでございますが、これは最近行なわれました一連のソ連と西ドイツ側との新しい外交関係にいわば積み上げたものだと思うのです。その思想を私なりにそんたくいたしますと、冷戦時代に築かれた軍事的な同盟関係を変化する、それを破棄するとかいろいろございましょうが、変化せしめることなく、それはそのままに認めておいた、その上にあるかさ、新しい状態のかさをかぶせ得る、こういう判断のもとにソ連の対西欧外交、すなわちその西欧の中軸と目される西ドイツ外交が行なわれた、こう見ておるのでございますが、大臣はどう考えますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ほぼあなたが言われたような感じを持っております。

永末英一民社党

○永末委員 そういうソ連の外交方針をアジアに引き比べました場合には、アジアはヨーロッパ方面とは違いまして非常に外交関係が錯雑いたしております。しかし時の経過から見ますと、冷戦時代につくられた軍事同盟関係、あるいはごときもの、そういうものが織りなされておるわけでございまして、もしもソ連がアジア集団安保というものを提案してくるとしますと、現存するいまのようないわば軍事同盟並びにそういう関係による対決の状態というものが冷戦時代にございましたが、それはそれとして、その上にかぶせる網のごときものを考えているのではあるまいか。具体的に申せば日米安保条約とか、あるいは中ソ同盟条約とか、あるいはソ・北朝鮮同盟条約とかいうものがありますけれども、その何かをやめるということではなく、それはそのままにしておいてその上に網をかぶせようというようなのが、ヨーロッパのことを類推いたしますとそういうことが真意ではあるまいかと私は推測いたすのですが、外務大臣はいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 新聞で承知している限りにおきましてそういうことがはっきりしないのです。既存の条約のワク組みというものをソ連が安保構想の中でどのように取り扱おうとしておるのかということを知りたいのですけれども、あのあらわれた限りにおいてははっきりいたしません。

永末英一民社党

○永末委員 私も知りたいので私なりにいろいろさぐっておるのでございます。しかしこれからこの国会が終わりますと大平外務大臣は訪ソをされますし、田中総理大臣の訪ソは時期的にまだごたごたとしておるようでございますが、したがってソ連におでかけになるまでにはやはりソ連が何を考えているのか、これは日中関係をこれから進めるにつきましても重要な要件だと私は思うのでございまして、外務大臣といたされましてはやはりソ連のアジア安保構想を何らかの方法で知る必要があるとお考えになり、知る努力をなされるつもりがあるかどうか伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 勉強せなければならぬ課題だと思っております。

永末英一民社党

○永末委員 もしヨーロッパで行なわれたような形でソ連がアジア集団安保を考えている、こういたしました場合に、安保条約というものの持つ意味は、もしそういうものができましたら変わってくると思うのですね。できましても変わらないとお考えですか、変わるだろうと思われますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 第一その根っこになる構想自体をもっとしっかりと、その構図がはっきりしないとそういう大事な問題については軽率に答えられぬと思うのであります。   〔委員長退席、福永(一)委員長代理着席〕

永末英一民社党

○永末委員 私は日中友好関係が深まっていくにつれて同時にまたわが国としてはソ連外交というものの位置づけをはっきりさせなくちゃならぬと思います。そこで、三カ月前にあなたに伺いましたところ、そのときはまだ白紙のごとき状態、きょうは少しお答え願えましたが、まだまだ色が、大平色はつきましたがほかの色はまだついてないと思うのであります。しかしきわめて重大だと思うんですね。一体どういうことを考えているのか。私は、この前来られた四名の方々は言うなればある意味ではわれわれの感覚を打診しに来られたのではなかろうかと思うわけでございまして、その意味合いではある程度のことを個人の意見として申し述べながらわれわれ日本側の反応を見たのではなかろうかと思うわけでございます。したがってわりかた具体的に彼らの構想というものはあなたの外務省の情報網に入っていると思うんですね。したがってそのことを踏まえてこれからの対ソ外交に当たられるわけでございますから、一番重要なことは、現時点における日本の外交問題のガンは、私から言わせれば安保体制かいなかということをやっているのですが、違う要素がソ連側から出されておるということになりますと、これは日本の政治問題、国内的政治問題としてもはなはだ重要な問題である、そういう気流があるかないかというお見きわめは、やはりいち早く外務大臣としてはつかんでいただきたいという感じがいたします。こういう問題のつかまえ方につきましては、外務大臣はどうお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 すべてのことの根底にはやっぱり信頼というものがなければならぬわけでございまして、集団安全保障構想を持つことは、それは紙に書いたらできるわけでございますけれども、それがワークする状態というのはやはり全体として信頼が回復してこなければいかぬわけでございまして、   〔福永(一)委員長代理退席、委員長着席〕 アジアにおきましては、いまの段階の問題は、まずアジアの平和とか安定とかさらには発展とかいうような問題を考える一番基点になる信頼をどのようにつないでいくか、どのようにつちかっていくか。そういう大きな構想を語る前に、まず前の段階の仕事が山ほどあるんじゃないかという思いがするわけでございまして、そういう構想に無関心であるわけでは決してございませんけれども、問題の力点はどうもやはりじみちな日々の外交活動の中でつちかっていかなければならない信頼じゃないかという感じを持っております。

永末英一民社党

○永末委員 私はこの前、日中間の新しい平和友好条約それからまだペンディングに残されておりますソ連との間の平和条約、これらをわが国が締結をいたすときにその条約中に軍事条項等を入れるつもりかということをただしましたところ、軍事条項という意味がよくわからぬという御答弁をいただいたように記憶をいたしております。しかし巷間、たとえば中国との間の平和友好条約を結びます場合には不可侵条項というものは入れるのかということは具体的な話になっているわけでありまして、それはすでにあなたが行かれましたときの日中共同声明の中にその趣旨はうたわれているわけでございますね。それを条約面でもう一ぺん確認するかどうかという問題は残されておりますが、同様にソ連との間の平和条約を結ぶ場合にもそういう意味合いのものがうたわれるかうたわれないかということは現実の課題になると私は思うのです。  なるといたしますと、その背景をなすいまのようなソ連側が提唱しているアジア集団安保構想というものもやはりわれわれが知っておかなければならぬ問題ではなかろうか。なるほど目の前には対ソ外交では経済問題がございましょう。しかし同時にまた経済問題も、アメリカのこのごろの出方を見ますと、全体の外交問題のうちの一部分として考えておるのでございまして、経済問題が先で全体構想はあとだということではなくて、ある構想があってその一つのこまとして経済問題の解決、外交問題の組み方、こういうことが各国がとつている構想ではないかと私は思うわけです。  そこで大平さん、ひとつお伺いしたいのは、今度行かれましたときに、あなたは率直にソ連に対して、あなた方はよくあちこちで言っておられるが、アジア集団安保とはどういうものかとお聞きになる御意思はございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日中共同声明にも不可侵というおごそかな誓いがあるわけでありまして、われわれはすでに、争いではなくて、平和裏に共存していこうという誓いをお互いに持っておるわけでございます。で、現在の状態をさらに、さしあたっての問題は、まずあなたの言われる条約的なベースを持たせるかどうかという点がさしあたっての問題なんでございまして、われわれはじみちに、そういう問題をやること自身もたいへんな問題なんでございますけれども、そういう問題へ取り組んでおるわけなんでございます。  それからアジア安保構想について十分聞きただすつもりかどうか。必要あればそういたしてもちっとも差しつかえないと思いますけれども、一番の問題は、既存の条約というものをどう評価しておるのか、これが一番基本になるのではないかと思いまして、そういう基本がきまれば、あとそれではどういう、いま平和条約交渉あるいは平和友好条約というような問題も、いわばそのベースメントの上で一つの地形石を積むことなんでございますので、すでにそういうことを予定しているともいえることなんでございまして、なお明確にするためにそれを聞けといえば聞いてもようございますけれども、まあ私といたしましては、当面任務に邁進せなければならぬのじゃないか、それに関連いたしまして必要あれば言及することにいたしたいと思います。

永末英一民社党

○永末委員 せっかくの御努力をお願いいたします。      ————◇—————

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣大平正芳君。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ただいま議題となりました原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国とアメリカ合衆国との間には、昭和四十三年二月二十六日に署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための協定が締結されていますが、日米両国における原子力の開発及び利用の進展に対処しつつ濃縮ウラン等の核燃料供給に関する両国の協力を維持、拡大するため、政府は、この協定を改正する議定書の締結について昨年八月以来米側と交渉を行ないました結果、その内容について合意を見るに至りました。よって、昭和四十八年三月二十八日にワシントンにおいて、わがほう牛場駐米大使と米側グリーン国務次官補及びレイ原子力委員会委員長との間で、この議定書の署名を行なった次第であります。  この議定書は、本文七カ条からなっており、そのおもな内容は、(イ)米国からわが国に移転される濃縮ウランの供給限度量を大幅に引き上げたこと、(ロ)濃縮ウランの供給は、契約の条件等を含め、すべて当事者間で合意されるところにより行なわれることとなること及び(ハ)移転される資材等の非軍事的利用を確保するための保障措置については、国際原子力機関による適用をたてまえとすること等であります。  この議定書は、わが国が必要とする核燃料の長期にわたる供給を可能にすることにより、今後におけるわが国の原子力の平和的利用の一そうの促進、特に原子力発電の発展に資するものと考える次第であります。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきましてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本件に関する質疑は後日行なうことといたします。  次回は、来たる十五日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗