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71回国会衆議院1973/04/20

外務委員会 第14号

発言数
131
登壇者
14
会派数
2
開催日
1973/04/20

会議録

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 これより会議を開きます。  アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します、石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野委員 先般の委員会で時間がありませんでしたので、アフリカ基金に関する予算上の措置についての御答弁に対する質問をいたしませんでした。  この前の御答弁によりますと、四十八年度予算の中には、国債費の中に約五百万計算単位分の予算が組んであるということでありましたが、費目の中でいいますと、どういうふうになっておるのか、少し詳細な説明をお願いしたいと思います。

前田多良夫大蔵大臣官房審議官

○前田説明員 四十八年度におきましては、この御審議を願う加盟措置法第三条によりまして、国債により政府が出資するということにいたしております。そうして、その国債の償還費といたしましては国債整理基金特別会計の中に十五億四千万円を見積もってのせておるわけでございます。  国債整理基金特別会計の歳入の項におきましては、一般会計よりの受け入れ金額が七千四十五億一千八百万円とございます。それから歳出の項目に国債償還という項目がございますが、そこは八千五百二十二億一千三百万円と書いてあります。この双方、つまり歳入のほうと歳出のほうに十五億四百万円が含まれている、こういう状況でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は予算の中のいまの費目のことについてはもう少し勉強さしていただきますが、その中に十五億四千万円の予算が組み込まれておるということになりますると、この予算は、本年十二月三十一日までにわが国として全額の当初出資を入れるということでなく、第六条規定ですか、三カ年の年賦払いで納入する、全額の当初出資はしないという意図でありますか。

前田多良夫大蔵大臣官房審議官

○前田説明員 日本の出資額は千五百万計算単位でございますが、この払い込みは三回均等でやるわけでございます。したがいまして、四十八年度におきましてはその三分の一の五百万計算単位を見積もっておる、こういう次第でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 基金の資金運用の点については、その運用規定もいろいろございましょうし、あるいはこの六条規定による三分の一でまかない得るのであるかもしれません。しかし、ほんとうに、この第二条規定ですか、二条の目的を達成するという意味からいいまするならば、筆頭出資国であるところの日本ができ得る限り全額出資をすることのほうが、おそらく開発銀行に参加している構成国が諸般の仕事をやる上に有利であろうと私は思います。筆頭国がこういう形でいきますと、おそらくこの基金の運用について、資金繰りではたいへん苦しいものが出てくる可能性もあるのじゃないだろうか、こういうふうに私は考えておりますけれども、筆頭国である日本はその点についてはどのようにお考えになっておりますか。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 石野先生御指摘の御懸念は十分了解するところでございますが、第二条にも書いてございますとおり、アフリカの開発のために緩和された条件の資金を供与するというのがこの基金の目的でございますので、基金といたしましてもそういった開発の仕事のためにお金を使う。そうしますと、結局、毎年毎年実際に資金を出す部分につきましては、必ずしも初年度からみんな出るわけではございません。いわゆるコミットメントとディスバースメントに分けますと、コミットメントが行なえればいいということになるかと存じます。この三年に分けてという規定も、おそらくそういうことを考慮してつくられたものと思われますので、そういう点については十分支障なくやっていけるだろうというふうに期待しております。

石野久男日本社会党

○石野委員 そうしますと、十五億四千万円というこの金は、確実にアフリカ基金引き当ての金であるということの確認はできるわけですね。

前田多良夫大蔵大臣官房審議官

○前田説明員 先ほどの金額の中に積算根拠として見込んでおるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 見込んでおるということは、この十五億四千万円の中にはほかにもまた何か見込んでおる引き当ての費目、科目があるということですか。

前田多良夫大蔵大臣官房審議官

○前田説明員 先ほどの予算金額は、この十五億四千万円のほかのものにつきましては、やはりそれぞれの償還計画に従いまして見積もりを立て、合計約八千億程度のものが国債償還費として計上されているわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 その国債償還の引き当てになっている費目はどういうものであるかをあとでちょっと教えていただきたい。  それからもう一つは、この基金に参加する場合、本年度はあくまでも第六条規定によるところの三分の一の当初出資ということで、それで一応押えて、次年度からまたそのあとの三分の二をこの六条規定のような順序で払い込んでいく政府の意思であるかどうかも、この際聞かせていただきたい。

前田多良夫大蔵大臣官房審議官

○前田説明員 四十八年度の国債償還費の内訳について申し上げます。  第一は普通内国債、これが六千八百三十五億円、外債、三十七億円、交付国債三百八十五億円、出資国債四百九十七億円、この出資国債四百九十七億円のうち、第二世銀関係二百七億円、これは内訳でございますが、それからアジア開銀出資分百三十二億円、アジア開銀の特別基金に対する拠出分百四十三億円、ただいまのアフリカ開発基金関係、これが先ほど申しました十五億四千万円でございますが、十五億円といたしまして四百九十七億円、それからその他といたしまして、これは内訳ではございません、第五項目のその他でございますが、これが七百六十八億円、合計いたしまして八千五百二十二億円。それが先ほど申しました国債償還費の八千五百二十二億円の内訳でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 出資額の中のその他のところにアフリカ開発基金というものが組み込まれている、こういうふうに理解していいわけですね。

前田多良夫大蔵大臣官房審議官

○前田説明員 そうではございませんので、出資国債四百九十七億円の中に入っておるわけでございます。四百九十七億円の中に十五億四千万円というものが入っておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 それから、いま一つの質問であります。本年度末までに、年度末というか、本年十二月三十一日までの出資はやはり六条規定の三分の一で日本の政府としては一応とめおく、こういう考え方を持っておるわけですね。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 先生のお手元にもいっていると思いますが、このアフリカ開発基金を設立する協定の第六条の二項に、これでいいますと八ページでございますが、「自由交換可能通貨で払い込まれる。払込みは、次のとおり三回の均等年賦で行なう。」と、協定上も三回分割で払うように、こういうふうな約束になっているわけでございます。ですから、今年度は五百万計算単位の払い込みだけを行なう、こういうことでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 そこで、一応予算上の問題はわかりました。  ただ、いま一度、これはまた大蔵でもいろいろ論議されることかと思いますが、アフリカ開発基金を設立する協定の締結についてこの措置法が出ておる。措置法によりますと、やはり本邦通貨による出資をすることができる、本邦通貨にかえてその全額または一部を国債で出資することができる、こういうようにしておるのでありますが、六条の規定は、御承知のように交換可能通貨でもよろしい。でもいい、ではなくて、むしろそれで払い込まれるというふうなのが原則になっていると見ていいと思うのです。わが国がこの自由交換可能通貨を用いないで、むしろ本邦通貨とか通貨を国債にかえて出すというような考え方になった理由はどういうところにありますか。

前田多良夫大蔵大臣官房審議官

○前田説明員 ただいま御審議を願っております協定の第九条に、この出資の払い込みというところがございます。この規定によりまして、現金でなくても債務証書でよろしい、こういうことがあるわけでございます。つまり、アフリカ開発基金といたしましてはいますぐ全額の現金は必要がない、こういう場合において、出資国の立場も考えまして、現金でなくて債務証書でよろしい。それを受けまして、加盟措置法において御指摘のように第三条におきまして、わが国は全部または一部を国債で出資することができるという規定を置きまして、この規定によりまして国債で全額を出資する、こういうことでございます。  それで、ただいま御指摘のその交換可能通貨のことでございますが、円はりっぱな交換可能通貨でございますので、この規定には沿うものと存ずるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 確かに円は交換可能通貨ですからこの趣旨に沿うと思います。ただ、われわれが各国との経済協力を進めていくにあたって、やはり経済協力の本旨は相手国に対して利益を与えるとともに、自国もまた利益を伴うことのほうが望ましい。相手国に利益を与えて自分の国が損失が出る場合は、これは政治的な配慮からときにあり得ることです。ときにあり得ることだけれども、全体の世界経済の立場からすれば、双方に利益し合うものでないと長続きしないことは、これはもう国際的な協力の原則だと思います。  そこで、交換可能通貨が特にフロートの体制の中に入っている状態のもとにおいては、日本はできるだけやはり日本の利益のためにその変動通貨の場を利用することがあってしかるべきであろう、このように私は思うわけです。それを「思う」という理由は、あとで述べますこの条約の附属書Aの1があるからです。これがなければ、私はそんなことを考えません。しかし、この附属書Aの一項が現存すれば、これがもしこのままあるとするならば、私はやはり日本もまたそれを考えてしかるべきであると思うのです。だとしますならば、日本の国は円を使うよりもドルを使うほうがよほど国益に即すると私は思います。その点について政府はどういうふうに思いますか。

前田多良夫大蔵大臣官房審議官

○前田説明員 この協定によりますところの日本の出資額のみならず、この附属の御指摘の点を除きまして、加盟国の分担額は御承知のように全部計算単位できめておるわけでございまして、それはわが国といたしましてもその規定に従いまして千五百万計算単位を受け持つ、こういう次第でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 それは原文の規定なんですね。しかし附属書A1項は、もしこの国々、いま話のあった国々が、千五百万米国ドル以上の出資を一九七三年十二月三十一日以後に行なう場合においても、一九七四年十二月三十一日までにこの協定に署名しかつこれを批准をするときは、原参加国になり得る、こういうことになっておりますから、だからあなたのいまの説明はやはり本文の規定でいけばそのとおり。だけれども、附属書Aで理解すれば、あなたの言うことでなく、私の理屈はそのまま通るわけですよ。そうでありませんか。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 前々から申し上げておりますとおり、日本といたしましてはこのアフリカ開発基金に最初から積極的な態度で参加を目ざして行動してまいった次第でもございますし、日本といたしましてはこの協定の五十五条の規定によりまして、批准書を一九七三年十二月三十一日までに届けようということで現在努力をしておりまして、この附属書Aの1項の規定のような事態をなるべくつくらないように、御審議を目下お願いしておるということでございまして、そのためにこの計算単位というもので払い込んで、十二月三十一日までに批准書を寄託したいというふうに考えておる次第でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 そのために計算単位をということであるならば、その理屈はわからないじゃありませんが、しかし、附属書Aの「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」ということばがあれば、それを適用してもいいわけですね。来年一月に日本がそうやってもいいわけです。それではだめだということはこの規定では成り立たないのです。そうじゃありませんか。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 繰り返して申し上げておりますように、日本といたしましては、このアフリカ開発のためにできました基金に大いに積極的に協力をする、そういう考えを持ちまして、この協定の本文の規定によって行動したいというふうに考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 それはもう何べんも聞いているんだ。この前私はそれを言った。日本とカナダと、二カ国のどちらかが一方入っていれば、五十六条規定における効力の発生はできる、だけれども、カナダと日本とが、二カ国入らないと、この五十六条に規定される八つの署名国は成り立ちませんから、できないわけですよ。だから、カナダと日本とはどちらかは入らなければならぬ。しかし、お話によりますと、もうカナダは国内の手続も全部進めておる、しかもこの附属書のAについては何の疑義も持っていないようだ。だけれども、日本ではこの附属書Aに疑義を持っておりますから、だから、この疑義が解明されるまでの間、この附属書Aの1に該当する国として、日本が来年入っても差しつかえないわけなんです。それがいけないという理屈はどこにもありません。そしてまた五十六条の規定においても、日本が入らないからということでこの基金の出発ができないという理由もどこにもありません。そうじゃありませんか。

松永信雄外務省条約局外務参事官

○松永政府委員 条約解釈上の問題でございますので御説明申し上げますと、いま御指摘のとおり、一九七三年十二月末以後におきまして参加するという場合は、この附属書Aの規定を受けて、ここでいっております「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」の出資を行なえばいいということになります。ただそのことは、「千五百万合衆国ドル以上」ということでありますから、その際に千五百万計算単位以上出資を行なうことは一向差しつかえないということであろうと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 そこで私は、協定を結ぶにあたって、相手国についても利益を与え、わが国にも利益を得られるような協定が望ましいということを言うわけですよ。そうしますと、たとえばわれわれが千五百万計算単位に相当するものとして来年一月、かりに十日でもいいです、一日でもいいです、一月十日に千五百万アメリカ合衆国ドルを納めたとすれば、附属書Aの1によるところの参加国になり得るのです、日本が。そのときに、かりにアメリカのドル相場が、円との関係で現在のままであったとする。たとえば二百六十五円四十五銭の計算で一ドル計算をするといたします。そのときに日本の払い込み金額は、三百八円の計算のときには四十六億二千万円の金が要ります。しかし、もしこのとき全額の払い込みをかりにするとします。そのときの二百六十五円四十五銭の計算でいけば、三十九億八千百七十五万円で済むのです。その差額は、六億三千八百二十五万円の利益が生まれてきます、たった半年間待っただけで。来年一月一日にこの適用で、いまの相場で日本の円を払い込めば、六億数千万円の利益が出てくるのですよ。この計算は間違いないと思いますが、どうですか。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 石野先生御指摘のように、通貨の換算の上からいうと確かにそういうことになりますが、アフリカ開発のために日本としても応分の努力をいたす、そういう趣旨でこの基金に加入いたそうと思っているわけでございまして、そういう、はなはだ失礼な言い方かもしれませんが、お金の単位の計算の問題で利益があるとかどうとかいうようなことから私どもは考えておるのではなくて、一日も早く参加することによって、アフリカ諸国の熱烈な願望を満たしてやりたい、そういう主体的な考えから、この協定本文の規定に従って千五百万計算単位の払い込みを行なう。実際の払い込みは、もちろん規定によって三分の一、当初出すわけでございますが、そういうような形でぜひやっていきたいというふうに願望いたしておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 私も同様な考え方から質問しているのです。なぜなら、この附属書Aの1でいま私が言うような出資のしかたをすれば、明らかに基金は六億数千万円からの購買力を減退させます。損をするのです。日本は得するかわりに、向こうは損をするのです。そういうことを基金に与えてはいけないはずです。この法律をつくる最初からそういうことがわかっているのに、この法律をつくっちゃいけないから、私は言っているのですよ。アメリカドルで計算していくとそういう結果が出てくるのですよ。そうじゃありませんか。  あなたの言っているのは、金の計算でやっているんじゃないのだ、いわゆる開発銀行構成国の利益のためにやっているんだからということを言ったことは、裏返しにすれば、ドルの計算でいけばそういう損が出るから、ドルの計算をしてはいけないということを言っているでしょう。わかっているのになぜここへドルを入れるのです。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 まさに、この前から繰り返して御答弁申し上げておるとおりだと思いますが、日本国といたしましては、この附属書Aの規定でなしに、協定そのものの規定によって行動いたしたいと思っておりまして、そのために、確かにここにドルという数字があらわれているということは必ずしも適当でなかったかもしれないということは感じておる次第でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 適当ではなかったじゃなくて、これを入れてあることは基金にとって損失が生じてくるということを確認できるでしょう。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 仮定の問題といたしまして、もし日本国がそういうような行動をとれば基金に損を与えるということになるだろうと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 そのとおりです。仮定はどうであろうと、とにかく、この条文を読む以上は、「以上」ということばはどんなにでも理解できます。先般も言いましたように、「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」ということは、千五百万一ドル、これでも以上です。読み方はどうにでも読めるのです。この「以上」は、あってなきにひとしいものだ。  そこで、もしこの規定のとおり厳密に適用していきますならば、そして各国がいろいろな事情によって一九七三年十二月三十一日以後に出資をするという形態をとってまいりますと、このいわゆる出資金の計算単位であります。九千五十万計算単位というこの金額の少なくともアメリカのドルの値段の実勢相場の低下する範囲において基金は非常に購買力をなくします。それはもう自明の理です。その自明の理であることがわかっているのに、なぜ附属書Aに千五百万米国ドルを入れなければならないのか、これが私が疑義を持つところなんですよ。だから、われわれがこの条文をほんとうにアフリカの開発基金構成国の諸君の利益を考えてこの協定を通過させようとするならば、批准をしようとするならば、そういう不安を除かなければいけません。不安があったままでこの協定を成立させれば、この基金は本来の目的を達成することはできないのです。だから私はこの条項をそういう危惧のないような処置をしなければいけないということを主張しておるのです。それの最も的確な処置のしかたは附属書Aの1項を削除することです。この附属書Aの1は参加国のうちのどの国に対しても不必要な条項です。これはただアメリカを救済する規定なんですからこれは排除してよろしい。私はなぜそういうことを言うかというと、たびたび政府委員は参加国は決してことしの年度末以後に出資するようなことは考えていないのだということを言っているんですから、そうだとすれば、これはアメリカを救済する規定なんで、こんなものをやる必要はない。もしこのままで通過させようとするならば、私たちは条約の中に千五百万アメリカ合衆国ドルというものは千五百万計算単位と読むということを解釈留保すべきである。解釈留保を条約の中に書き入れるべきであるということを言っているんです。それができないというならばこれを完全に削除をしなさい、こういうように私は言っているのですから、そのいずれかの問題について政府はひとつ態度を明確にすべきだと思います。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 先生のアフリカ基金協定の条約上の附属書にある計算単位とアメリカドルとのずれの問題は、御承知のようにこの協定の交渉に入りましたのが数年前でございまして、妥結をしたのが昨年の秋でございます。今日ほどドル不安が非常に極端でない時期に入ったためにこういう文章を生じた、これはおわかりをいただけると思います。  ところで、現在この加盟国、批推をしている国はすべての国が計算単位で払い込むということを急いでくれております。ですからその点については問題がないと思います。またアメリカが原参加国としてこの基金に参加をしてもらう場合にも、計算単位で払い込んでもらえば先生の御指摘上の問題は実質的に解決をしていくのではないかと思うわけでございます。日本政府としましても、ドル不安の起こる前にできたこの国際協定の一つの欠陥の点はアメリカに対して計算単位でこの基金に払い込みをしてもらうように現在要望もしておりますし、そうしてもらえるというはずでございますので、実質的にはこのアフリカ基金に対して損害を与えないで済むのではないか、こういうことでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 いずれも仮定に立っての立論でございますから、そのように受けとめますけれども、第一の仮定であります参加国各国はやはり基金を安全に効果的に成立させるために計算単位で必ず出資するということの約束があるんだ、それは私もそのように理解したいと思います。そしてもう一つはアメリカでございますが、アメリカの場合も実質的に計算単位に相応するような出資をしてもらおうという願望を持っているということもわかります。それを申し入れをするということも理解いたします。しかし私は経済の動き、特にアメリカのドルの動きというものはそんなことでこの条約を成立させる条件にはならないと思うのです。それをもし成立させるならばやはり協定の中にそのことを明確に記載すべきであると思うのです。それは決してあやまちじゃないと思います。協定の中にその保障なくしていまのような答弁では何の役にもたたないのですよ。だから、どうしてもこれを削除することがいろいろなにがあるならば、この問題については、少なくとも日本国政府はこの千五百万アメリカ合衆国ドルというものは、いわゆる千五百万計算単位と理解するという解釈留保というものをこの中に入れるべきである。そうすれば協定上正確に、いま次官のおっしゃられるようなことが国際間の間においても成果をあげるわけですね。そしてこのことは先般来そういうことをやるのは非常にむずかしいということを言っておりますけれども、それは皆さんの非常にずるいものの逃げ方だと思います。ほんとうにあなた方がアフリカ開発基金というものを愛するならば、この開発基金が実効果をあらわすように協定の内容を充実させなければいけないと思うのです。不安を除かなければいけないと思います。不安を除くことになぜ日本がちゅうちょしなければいけないのか。もしそのちゅうちょをあえてしなければならないというならば、私はこういうような、少しひん曲がった考え方かもしれませんが、それはアメリカに対してぼろい投資をさせることをあなた方は保障しようとしていることになる。アメリカのぼろい投資を保障するためにこういう条項をなぜ許さなくちゃいけないのか。私はやはりあくまでもアメリカが千五百万計算単位を、この開発基金に参加する場合は出資するということの明確な協定上の約束ごとを取りつけなければいけない。それでなければ日本国国会としては、これを通過させることは国民に対しても私たちも責務を果たすことはできないと思うから、だからそのことをあえて言うのです。いかがですか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 先生の御指摘は決して曲がったお考えでなくごもっともな御指摘でございます。先ほどアメリカに対する単なる願望であるというようなお話がございましたけれども、これは経済的に非常に合理的な願望でありまして、アメリカ以外の国が計算単位で払い込み、日本ももちろんそういう行動をとる限りにおいて、アメリカが自分の国だけ価値の下がった米ドルで払い込んで為替差益を得るというような意思は、このアフリカ基金のそもそもの精神から持たないだろうというふうに私は確信をしております。  それからまた、この附属書を削除しろという御指摘でございますが、この附属書をもし削除することになりますと、このアフリカ基金の設立そのものが振り出しに戻るわけでございます。もちろん基本的な精神の合意があるわけでございますから、諸外国の間でもとに戻して、白紙に戻すということにはならないと思いますけれども、また協定書の作成のために国際会議を開いて、幾ばくかの会議の期間、その他招集その他の手数を経ましてやらなければならないわけでございまして、実質的には先生の先ほど来の御指摘のアフリカ後発開発諸国のためにこの基金を一日も早く発足をしてやらなくちゃいかぬ、そういう好意と心情をもってやらなければいかぬじゃないかという御精神にむしろいまの時点ではあと戻りをするのではないかというふうに考えるのでございますが、おわかりいただけますでしょうか。

石野久男日本社会党

○石野委員 第一のアメリカはそんなことでぼろもうけするはずがないとおっしゃるけれども、それはあなたの考え方なんですよ。しかし経済の実勢はそんなことにかかわりなく動いているということを認めなければいけないと思うのです。今日の日本の経済が何によってこんなに混乱が来ているのか。みんなドルじゃないですか。日本の経済はドルのためにいろいろな右往左往しているじゃないですか。それはニクソンの意図じゃないはずです。だけれどもそういうように動いております。私は、そういう願望は願望として持つことを別に否定はしません。だが、その願望がこの協定の中で具体的に保障される道がないわけじゃないんで、あるんですよ。だから、そういう道を開きなさいと言っている。  それから、第二の付属書を削除せよということは、私は付属書を全部取り除けとは言いませんよ。付属書Aの1はなくてもいいと言うのですよ。2があれば、これは十分出てくるじゃないですか。別に協定がなくなるわけでも何でもありませんよ。1の項をはずすだけでけっこう成立します。もし1の項をそのままどうしても残さなければならぬのだったら、解釈留保をつけたらいいじゃないかということを私は言っているのですよ。千五百万アメリカ合衆国ドルを千五百万計算単位と読むということを確実に協定の中へ入れなさいと言っているのですよ。そうすれば、何にもどなたにも迷惑をかけることはないでしょう、各国は全部そういうように考えているんだから。結局問題は、日本とアメリカだけの関係になるはずでしょう、皆さんの答弁から考えれば。それで、しかも、われわれ日本とアメリカとの関係なんだけれども、それは同時に、参加国十五カ国についても、利益になっても損にはなりません。アメリカ自身にとっても、利益になっても損にはならないのですよ。皆さんは非常にいい状況ばかり考えますけれども、このAの1がある限りにおいては、たとえばスペインだってドイツだって、来年一月にこの規定のような投資のしかたをしてもいいんですよ。悪いとはどこにも書いてないのですよ。そうなりますと、アメリカのドルが、いまの二百六十五円四十五銭ですか五十銭ですか、日本円の換算で、そういう計算のものが、ドイツのマルクに対して、あるいはスイスのフランに対して、どういう相場になるかもしれませんけれども、変動がいい方向に変動すればようございます。けれども、いまの見通しでは、アメリカのドルがそんなにいい方向に上がっていくという見通しはちょっとないと思うのですよ、悪い方向に進むことはあっても。そうすれば、ますます悪い条件に入るんじゃないですか。そのますます悪い条件に入らないような道をなぜ拒むのです。昔から、急かば回れということばがありますが、アフリカ基金を健全かつ適切に利用しようとするならば、やはりその道を得なければいけないのじゃないでしょうか。私は付属書Aの1を削除することがベターだということですけれども、私はそれはあえて言いませんよ。ただ、この「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」というのを、千五百万アメリカ合衆国ドルじゃなくて千五百万計算単位以上というふうに読みかえれば、この一の項目の趣旨がぴたっとこの協定の中へはまるのですよね。当初はそういう予定だったんだから、そのとおりにいったらいいじゃないですか。なぜいかないのです。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 先ほども申し上げましたように、アメリカドルの価値の低下という、こういう国際情勢の起こる前にできた条約であることば、おわかりいただけると思います。そこで、先生のおっしゃるような、付属書の中のごく一部分でありましても、その字句を変更すること自体が、これはアフリカ基金協定の国際会議の約束ごとにそむくわけでございます。ですから、これはもう一度諸外国が集まって話し合いをしなければできない。あるいは、国内の法律でございませんから、日本の国会だけで解釈規定をこれにつけましても、それは実質的には効果のないという結果になってしまうと私は思います。でございますから、ムしろ先ほど申し上げましたように、すでに批准国その他では計算単位で払い込む、日本もそういう当初の約束どおり計算単位で払い込む、こういうことを実施をしまして、アメリカにも——これは日本とアメリカとの二国間の条約じゃございませんし、多国間条約であることはおわかりになっていらっしゃると思いますので、多国間の実際の行動によって、アメリカにも実質的な計算単位で払い込んでもらうことを要請することが、アメリカの実行を迫るものだ、こう私は思っておりますし、それをむげに退けるような態度をアメリカがとることは考えられないことでございます。むしろここで一字一句訂正することによって、このアフリカ基金協定を振り出しに戻すことのほうが、私はアフリカ開発基金の精神を白紙に戻す方向でないかというふうに思っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 いまの次官の答弁は、私は非常にえてかってななにであり、非常にずるいものの言い方だと思うのです。そしてやはりほんとうにこの「千五百万アメリカ合衆国ドル」という文字の持っている意味を理解してないと思うのですよ。あなたはいま一言一句を変えることによってこの協定の前進をはばむと、こう言うけれども、そんなばかなことありませんよ。私が言っているのは、そんな一言一句を直すために、たとえば極端なことをいえば、アメリカに反対だからこういうことを言っているという理解のされ方をされては困る。そうじゃなく、ほんとうにアフリカ基金の実効果をあげさせるためにこれを考えなければいけないのじゃないかと言っているのですよ。経済と取り組む者だったら必ずそれは考えるでしょう。いまわずか一厘の公定歩合が上がり下がりしてもたいへんな騒ぎをする。今日のように三百八円のレートが実勢におきまして二百六十五円何がしというべらほうな下がり方をしている事実があるのに、なぜこの問題をそんなに安易な形で逃げようとするのですか。あなたもおっしゃるように、これを約束したのは四年前、五年前の話じゃないですか。世の中は流転していますよ。動いていますよ。その動いているのに即応するのが政治じゃないですか。あなた方は古典的な文献を持ってきてこれをいまの日本の実情に当てはめようというような、そういう古くさい考え方で自民党の政治を行なわれているのですか。そんなことはないんでしょう。現実をしっかりと見詰めて、現実に適応するように政治をしているからこそ、国民は信頼を与えるのですよ。この問題はもう四年前に書かれたんじゃないですか。もうすでにそのことはあらゆるところで問題はわかっておるのですよ。なぜこんなものにこだわらなくちゃいけないのですか。そうしてあなたは、多国間条約だから解釈留保をつけるということはむずかしい。確かにむずかしいですよ、二国間と違いますからね。それは当然のこととして、私がいま言っていることは、この協定の中に当てはめようとすれば、皆さんはやはりこの十五カ国に相談すべきです。して何が悪いのですか。そうして、することによってこの基金がおくれをとったり何かしますか。悪いことならば、そのことをやることによって基金が非常に不測の状態におちいるのならば、これは確かにそういう危険はあるかもしれません。しかし、私のいま言っていることは、十五カ国が共同して開発銀行と一緒になってやる場合に、より現実より前進する方向で建設的な意見を述べているのに、何がいけないのです。外務省は何を考えてそういうことを言うのですか、私は外務省の態度がわからない。いいことをするのになぜちゅうちょするのです。自由民主党の姿勢はそういうような考え方ですか。私は、いいということがわかっておったらやらなければいかぬじゃないですか。何がいけないんです。

松永信雄外務省条約局外務参事官

○松永政府委員 ただいま解釈留保のことを御指摘ございましたが、その千五百万アメリカ合衆国ドル、すなわち、千五百万計算単位であるという解釈は、成り立たないんじゃないかとも思います。何となれば、この協定解釈上の問題といたしまして、「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」とございますのは、当然のことながら、その出資の時点におけるアメリカ合衆国ドルということだろうと思います。そして、かりに現在の時点において千五百万アメリカ合衆国ドルが何計算単位になるかと申しますれば、それは、千五百万計算単位から約一割引いたものということにならざるを得ないと思います。したがいまして、この解釈上、千五百万アメリカ合衆国ドルが、すなわち、千五百万計算単位であるという解釈は無理ではないかと存じます。その意味におきまして、そういう趣旨の解釈留保を行なうということは、主張する合理的根拠に欠けるんじゃないかというふうに考えております。先ほど来申し上げましたように、解釈上は、「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」とございますので、その場合の出資が千五百万計算単位であることを妨げないという解釈であれば、これは当然の解釈として出てくるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 ぼくは、解釈留保をなにすることについて理解できないということの答弁を聞き漏らしましたが、そこのところをもう一度説明してください。

松永信雄外務省条約局外務参事官

○松永政府委員 附属書A第1項の後段に「これらの国については、千五百万アメリカ合衆国ドル以上の出資を」云々という規定がございます。この場合のアメリカ合衆国ドルというのは、この出資の時点におけるアメリカ合衆国ドルということが、協定上すなおな解釈ではないかと思います。そこで、かりに本日千五百万アメリカ合衆国ドルを出資するということにした場合、それが幾らの計算単位になるかと申しますれば、千五百万計算単位より約一割減った数の計算単位ということになるだろうと思います。すなわち、千五百万アメリカ合衆国ドルは即千五百万計算単位であるという解釈は成り立たないのじゃないかと存ずる次第  でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 それは違います。この協定は「千九百七十三年十二月三十一日後に行なう場合」と書いてあるのであって、現在のことを言っているんではないですよ。だから、現在は計算単位でいくわけですよね。計算単位の斤量でいくわけです。それでこの協定は、一九七三年十二月三十一日以後においてアメリカ合衆国ドルを、こういうことですから、あなたのいまの解釈は違いますよ。

松永信雄外務省条約局外務参事官

○松永政府委員 ただいまの、かりに本日と申し上げましたのは、確かに御指摘のようにこの規定が適用される場合ではございませんから、明年以降ということになると思います。ですから、かりに来年一月一日に千五百万アメリカ合衆国ドルの出資を行なうという場合にそれは幾らの計算単位になるかといえば、そのときの換算相場による計算単位が算出されるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 だから、そのときで米国ドルを出しますと、斤量が計算単位の分だけ出てこなくなるわけですよ。実質的な購買力が出てこなくなるわけでしょう。

松永信雄外務省条約局外務参事官

○松永政府委員 計算的にはそのとおりでございます。ただ、先ほど申しましたように、千五百万アメリカ合衆国ドル以上でございますから、その場合に、解釈上は千五百万計算単位相当のドルを出資することは何ら差しつかえないのじゃないかということと、また、これも先ほど来政府委員のほうから御説明しておりますけれども、実際にその出資がきまります場合にはそれは計算単位で表示される、したがいまして、協定適用上あるいは運用上何ら支障は起こらないということであると思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 いろいろ説明ありますが、たとえばドルの相場が非常によくなってくる場合は私はけっこうだと思います。しかし、不測の状態のもとでオンス二百八十五ドルになりました場合、どういう計算になりますか。もしこの1項を適用した場合、この基金はどういう形になりますか、あなた方計算したことはありますか。ちょっと計算してみてごらんなさい。金の値段が一オンス二百八十五ドルになったときにこの出資金はどういう斤量になるか、計算してごらんなさい。その計算をひとつ出してみてごらんなさい。そして、その計算が出て、もし附属書A1項がそのまま通ったとしますと、そして各国が大体ここに出されておる計算単位の斤量に相当するドルで出したとしました場合には、これは最高の千五百万ドルで、罰則金を出すところのスペインの二百万計算単位と大体同じになってしまうのですよ。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 いまの御指摘の計算とはちょっと離れるかもしれませんが、日本以外の各国が現在どういうふうにやっているかということを御説明申し上げることば、先ほど来の附属書Aを直すとかあるいはその他の措置をとるときに関係があると思いますので、若干補足的に御説明させていただきたいと思います。  まずカナダは、昨年の十一月二十九日にすでに国内手続を完了しております。したがいまして、今年末までに批准書を寄託することが可能でございます。  スイスは、昨年の十二月十九日にスイスの議会の上下両院でこの協定を通過させまして、スイスの国の制度の上から国民投票を必要とするということになっておりますが、これもすでに三月末に終わっておりまして、今月中にもその批准書を寄託する。したがいまして、この附属書Aの1項の規定は適用を受けないわけでございます。  それからスウェーデンにつきましても、三月初めにはスウェーデンの議会の外務委員会で審議をしておるという情報がございましたので、今月末には国会の承認も取りつけ得る。したがいまして、これもスイスと同じでございます。  オランダにつきましては、閣議決定、それから女王の御裁可、それから大蔵省のいろんな内部の手続を終わっておりまして、三月の初めから議会の審議を始めております。したがいまして、上下両院の承認につきましてはおそらく今月に終わって、批准書の手続の完了は五月の初めになるであろうというふうに見られております。したがいまして、これも前の諸国と同様でございます。  英国につきましては、国会の審議は始まっておりまして、四月のうちにも議会の賛成が得られるであろうということで、その上でこれもやはりことしのうちに批准できる。  ベルギーにつきましても、閣議の後に、ベルギーの制度であります行政裁判所というところの検討を経て国会に出すということになっておりまして、これは若干おくれますが、おそらく六月ごろには国会を通過するであろう。  イタリアにつきましても大体本年半ばであろう。  ドイツは、これも少しおくれまして八月ごろに批准が終わるであろうということで、これらの多くの国が大体今年じゅうに批准書を寄託するという手順になりますと、先生御指摘のこの附属書Aの1項の適用を受けるということは、こういった国については懸念はなくなるということでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 附属書Aの1項の問題で、いまあなたからいろいろお話があったようなことについては、私は疑念を持っていないのですよ。これは最悪の事態の話を言っているだけでありまして、この参加国の全部は計算単位で出すということを前提にしておることを、私もあらかじめ予想しながら質問をしておるのです。けれども、協定をつくるにあたりましては最悪の事態も考えなければならぬから、こういう不測の場合もあり得るだろうという仮定をしているだけです。しかしアメリカ合衆国の場合は現実にドル相場が違っているということでありますから、四年前の規定はこの中にはまらないということを、私は何べんも口をすっぱくして言っているわけです。その事実はあなた方も否定できないわけでしょう。そして政府の態度は、千五百万計算単位に相当するようなものを入れるでしょうという願望を持っておることもよくわかります。けれども、それでは協定自体のほんとうの安定感といいますか、協定についての確実性を確保することはできない。だから、その確実性を確保するために措置をしなさいと私は言っているのです。この提案を各国が拒否する理由はないと思います。皆さんは非常にむずかしいと言っているけれども、たとえば二百万計算単位くらいの国であれば発言権も弱いからどうにもならぬかもしれませんけれども、私が何べんも言っているように、十五カ国のうちでカナダと日本は最大の出資国なんです。どちらかといえば、むしろ日本のほうが最も強いイニシアチブをとる国柄になっているだろうと思います。だとするならば、日本がそういうことを各国に呼びかけて、実はこういうような不測の事態が出ている、だからこの問題については安全性を確保する上においてこういうようにしたらいいではないかと言ったときに、十五カ国のどの国が反対するだろうか。私が予測する限りにおいて、どの国も反対しないだろうと思います。あえて意見が出てくるとすればアメリカだろうと思います。これは十五カ国以外の国ですよ、そういうことだと私は思います。だから問題は、もしあなた方が何かそこでちゅうちょするものがあるとすれば、アメリカ合衆国に対するちゅうちょだろうと思うのです。もしそうでないとするならば、やはり皆さんの提案はしてしかるべきだし、それが理にかなった道だと思います。それをやるべきだと思うのですよ。それをやらないと、私は先ほど言ったように、皆さんは何のためにそういうことを頑強に拒否されるのかわからない。混乱も何も起きてこないはずなんだから。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 先ほど経済協力局長から申し上げましたように、アメリカを除く各国の議会における審議状況、批准状況は御承知いただけると思います。それで、日本を含めてこういう国が自主的に計算単位で払い込んで、また計算単位で払い込むように勧奨をするということはできますが、ただ附属書の条文を変えるということになりますと、これはアメリカ基金の会議を振り出しに戻す、私はこういうことを申し上げているわけであります。できれば参加国が、アメリカを除いてその他の参加国が実質的には計算単位で払い込んで、日本からだけではなくて——決してアメリカに遠慮をしているということで申し上げているのじゃないのです、日本を除く参加国が自主的にこういうアフリカ基金に損失を与えないような行動をとっている際に、アメリカにも同じ行動を要望するということは、今後アフリカ基金が発足いたしますれば、理事会とか総会とか、そういったものは会場においても要望することができると私は思うのでございます。そういう方法で早くこのアフリカ基金を発足させることが私は得策ではなかろうかということを申し上げたのでございまして、頑迷に先生のおっしゃっておられることを否定しているということではないのでございまして、実質的な方法としてこのほうがよかろうではないか、こう申し上げているわけです。

石野久男日本社会党

○石野委員 多国間条約と二国間条約との間に、手続上なり何なりの違いが出てくることはよくわかります。そして、その事務の遂行上困難を伴うこともよくわかります。しかし、それは一つのものをいい方向にまとめるためにする努力、だれでもやらなければいかぬことではないかと私は思うのです。たとえば一九五三年の四月二日に東京でやはり調印をしました日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約の第八条2についての留保に関する交換公文がロバート・マーフィーさんと岡崎外務大臣との間に行なわれているはずです。これはこの通商条約の中における自由職業に関する問題です。これは職業の中のごく少数のものについてのこういうふうな解釈留保の交換公文の交換が行なわれておるわけです。ところが、アフリカ基金におけるところのアメリカドルの規定は、単なる一部の職業や何かの問題じゃないのですよ。基軸通貨としてのアメリカドルの激変の中から出てくるところの、経済のすべてに及ぶ非常に大きな課題を含んでおります。そして、参加国十五カ国というものは、それぞれ計算単位で出資するであろうという願望も私はわかっておる。けれども、先ほど協力局長からのお話があった国の中に、まだ抜けている国もたくさんあります。まだ国内の審議も進んでいない国もたくさんあるわけです。この国々が全部本年末までに、三分の一を出資をするかどうかも必ずしも、それは私は見通しは確かだということも言えないだろうと思いますが、かりにそれが全部出資を満足にするとしましても、なおそれでもやはりこのアメリカ合衆国の分が残るわけですよ。ですからそういうものについて安定的な条約内容を充実させるということは、わが国会の果たさなければならぬ任務じゃないですか。国会の任務において私はこのことを言っておるんですよ。議員石野が個人で言っているのと違うんです。条約をつくったり協定をつくったりするときに、こんな不安定要素があらかじめ予測されるものをなぜ排除しようとしないか。次官が言うようにその話し合いはいたしましょう、話し合いをしてそれが効果をあらわすためには、条約の中に何か書き込まなければ何の役にも立たないじゃないか。実務上の約束は、それを規制することができないと思います。だから私はこの条約の中に何らかその項目が、そういう意思のことが入ることを望んでおるわけです。それはいまわれわれ考える限りにおいては、やはり解釈留保のようなものでなければならないだろう、それはわが国がそういう解釈をするということを、他の諸国においても理解を当然求めなければいけません。そのくらいの努力はなぜ外務省はやらないのですか、それをやるべきだと思う。これをやらなければ、私はこれは理解できませんよ。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 問題はおそらく二つの方向に分かれるかと思うんですが、一つは御指摘のように中を直すということでございます。ところが先ほど来御説明申し上げておりますように、多くの各国はすでに国内手続もとっておるという状況でございますし、現在この多数国間条約を直そうというようなことになりますと、先ほども御説明がありましたように、おそらく事態は新しくこの協定の審議をやり直すというのと変わらないような事態になるかと思いまして、そのことは結局この協定の規定にあります本年末までに参加国が批准書を寄託するということを逆におくらせる、そして先生の御懸念のような事態をかえって多くするというようなことにもなるかとも思われます。そこで各国が、かりにいま申し上げましたように、批准の手続も比較的スムーズにやってくれていると仮定いたしますならば、問題はアメリカ合衆国だけが残るということになりますれば、それにつきまして何らか先生のおっしゃられるような御趣旨を体して、適切な措置がとれないかどうか、目下鋭意検討しておるところでございますので、その検討を続けさせていただきたいというふうに存ずるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 政府は検討するというならそれは検討して、その検討の結果を待つことには別にやぶさかではありません。私は、やはり願いたいことは、よくわかったけれども協定はこのままだ、あとはとにかく話し合いでというようなことでは、協定の実質を確保することはできないと思います。これはしばしば私が申し上げておるとおりですから、不安定要素が残りますから、それは検討してください、検討を待ってもう一度ひとつ意見を申し述べさせていただきたいと思います。委員長、それはあとで政府がその答弁をなにするまで、私の質問を留保いたします。  きょうは、先般資料提出をお願いいたしました防衛庁からの資料の提出がありますが、これについて防衛庁の方からひとつ説明していただきたいと思います。

小田村四郎防衛庁経理局長

○小田村政府委員 お手元に提出いたしました四十八年度予算におきます輸入装備品につきまして、御説明申し上げます。  まず「四十八年度予算のうち、防衛庁が直接」——直接と申しますのは有償援助協定に基づきまして、米国から国が直接輸入するというのが直接の意味でございます。「又は商社を通じて輸入する装備品」の予算額でございますが、その金額を概要申し上げますと、沖繩に配備いたしますホーク、ナイキ等あるいは米国から輸入いたします空対空のミサイル、これらのものが武器車両等購入費として計上されておりますが、そのうちの輸入装備品は約九十六億円でございます。それから偵察機としてRF4Eという飛行機がございます。それから計器飛行の練習機、これも米国から輸入することにいたしておりますが、そういうもの、あるいは練習ヘリコプターの一部、こういうものを含めました航空機購入費の輸入予算額が八十一億円でございます。それから護衛艦に搭載いたします対空ミサイルとしてターターという装備品がございますが、これは有償援助で輸入いたすものでございますけれども、艦船建造費に計上されておりまして、その金額は約三十三億円でございます。以上合計して二百十億円になっております。  それから以上のほかに防衛庁装備品を国内生産でメーカーから調達するものがございます。そのメーカーで生産いたしますときに輸入部品を使用するもの、あるいは外国との技術援助契約によりましてロイアルティーを支払う、こういうものが外資支払いとして関連があるわけでございますけれども、実際上は契約の段階でどれだけの外貨支払いがあるかということが確定いたしますので、金額は計上してございません。  それからこういうような輸入装備品につきまして、変動相場のもとにおいて商社とかメーカーが不当な利益を得るのではないかという御疑問があると思いますけれども、新規の契約につきましては、変動相場になりまして以来、そのときどきの実勢レートに基づきまして契約をいたしております。契約の場合には為替相場の確定に関する特約という条項を付しまして、最終的に支払いましたときの為替相場でこれを生産することにいたしております。また、国産の装備品につきましては、ほとんど概算契約でやっておりますが、この概算契約の場合には、中途確定という条項をつけております。最終的に生産がどのようなレートで行なわれたかということを証票を徴しまして、それに基づいて最終的の生産をいたすことにいたしておりますので、既契約のものにつきましては、新規契約のものにつきましても為替レートが円高になるということによって、これらのものが不当な利益を得ることはないというのが現状でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 ちょっとお尋ねいたしますが、たとえば四十八年度予算中に、約二百十億の、率直に言って防衛庁が直接または商社を通じて輸入する装備品として計上できるものが、武器、航空機、艦船というようなもので二百十億円ある、これらのものが計算をされた単位は、ドル三百八円で換算されているわけですね。そういうふうに理解します。そうしますと、この場合、ここで現在の実勢、これはこの前大蔵等なんかでも出していただいたのでございますが、二百六十五円四十五銭で計算した場合にどのくらいの差額が日銀を通じて現在の時点で国へ納付される額になるか、ちょっと計算してください。  もう一つは、2と3の項に書いてあります原価に外貨払いとなるもの、外貨払いと関連のあるものとしては云々という国産品あるいは商社やメーカーが円高に伴って出てくる差益金、こういうようなものはその時点でなければなかなか計算はできないと思いますけれども、およそ防衛庁関係で購入されるべき品物で、この種のもの、米ドルと関係する額は2の項ではどのくらいになるだろうか、あるいは3の項ではどれくらいになるだろうかということをわかったら教えてください。

小田村四郎防衛庁経理局長

○小田村政府委員 三百八円の基準為替相場が現在実勢が二百六十五円、約一五%程度の切り上げになっておりますので、概算いたしますと三十億円程度は差額が出るだろうということでございますけれども、実はこの二百十億円のうちで、先ほど申し上げました有償援助協定に基づきまして国が直接輸入いたしますものは、日銀に三百八円の円貨を払い込むことにいたしております。したがってその額がおおむね百十億円程度と思うのでございますが、この分は予算上の余剰は出ないわけでございます。  それから商社を通じて輸入いたしますものは、既契約のものと新規に契約するものとがございます。新規に契約するものは実勢に応じて契約いたしますので、それだけの差額が予算上は不要として立つことになります。それから既契約のもの、つまり変動相場移行前に契約いたしましたものにつきましては、その為替の支払いの時点がいつになるか、いつであったかということによって差額が決定されますので、一がいに申し上げることができないわけでございます。いずれにいたしましても、3にございます円高に伴って商社またはメーカーがその為替差益を得るということはないような契約条項になっております。  それから国産品につきましての外貨支払い分でございますが、これは予算の積算基礎を全部洗ってみないと数字が出ませんし、また契約あるいは実施計画の時点におきましてその最終的なものが確定いたしますので、確定数字ということはなかなか計算が困難でございますけれども、御要望に基づきまして概算してどの程度になるかというおよその数字は検討してみたい、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 なかなか計算が困難であるかと思いますが、概算をひとつ出していただきたいと思います。大体防衛庁関係の問題は一応わかりました。  問題は、やはり先般来外務省あるいは大蔵省、それからいまの防衛庁、そのほかにも米ドルで払うようなものが予算上どのようなものがあるかまだはっきりはいたしておりませんが、私、この前からずっと外務省、大蔵省等のなにを通算してみましても、外務省関係で現在のドル相場で差益の出てくるもの、結局は国へ納付されるものでございますが、そういうものだけ見ましても約二十三億ドルくらいございますし、大蔵省関係でいきますと、いわゆる産投を含めていえば約七十億ドル近くになります。それからいま防衛庁関係でお話のありました三十億ドル、そのうちの十六億五千万ドルは日銀を通じて政府へ納められますから、これは予算上の余剰にはならないんですね。しかし結局において予算が国に返納される。外務省でいいますと、いわゆる不用額というものが出てくる。この不用額が決算の時期においていろいろまた処理されると思いますけれども、とにもかくにもそれらのものを含めて差額は三十億。そのほかに商社とかメーカー等で出てくるこれからの概算額がどのくらいあるかわかりませんが、そういうものを含めて、米ドル払いでいきますおおよその三百八円建て値と今日との間における額が、差額だけで約百二十億ドルぐらいになります、これら外務省、大蔵省、防衛庁、みんな入れますと。皆さんの答弁を概計いたしますと、こういうことになるわけです。この問題はあと大蔵省に少しお尋ねしなくちゃならない問題でございますが、こういう予算の立て方にひとつ問題があります。しかし、きょうは大蔵省おいでになっておりますか。——大蔵省は日銀から国に納付するということだから問題はありません、これは会計法上とにかく二十一条規定で処理するのだからいいじゃないかということであるけれども、予算の設定のたてまえからすると、税の関係から非常に問題のあるところです。先ほど留保された問題もございますし、この問題についてはいま一度、次の機会にひとつ大蔵省のほうから大臣でも来ていただいてちょっとお聞きしたい、こう思っておりますので、委員長からひとつこの次の機会にそういう取り計らいをお願いしたいと思います。一応私の質問はきょうはこれで終わって、留保させていただきます。      ————◇—————

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 本件についての審査はこの程度にとどめ、次に、国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件、電離放射線からの労働者の保護に関する条約(第百十五号)の締結について承認を求めるの件、機械の防護に関する条約(第百十九号)の締結について承認を求めるの件、右各件を議題とし、審査を進めます。  各件は、去る四日提案理由の説明を聴取いたしております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内黎一君。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 私は、ただいま議題となりましたILO関係三条約のうち、主として条約第百十五号、すなわち電離放射線からの労働者の保護に関する条約につきまして、若干の質問を行ないたいと思います。  本題に入る前に、まずILO条約一般につきまして政府の態度をお尋ねいたしたいと思うのであります。いまさら申し上げるまでもなく、わが国としてもILO条約というものはもっと積極的に批准すべきであろうと思うのでございます。今日のILO条約の批准状況については、私も事務当局から説明を受けましたので、ある程度は承知をしておるわけでございますが、たとえば今度提案になっております機械の防護に関する条約というものは、すでに一九六五年に発行しておる。あるいはこの百十五号条約というものも一九六二年に発効しておる。すでに十年ないし十年近い年月を経過した今日になって国会の承認を求めるような手続きになっておりますが、私は、今日海外諸国がわが国を見る目が非常にきびしい段階でもあり、こうした労働条件ないしは労働安全に関する国際的な基準やルールを示すところのILO関係の諸条約というものは、もっともっと積極的に取り組み、国会にもどんどんと承認案件として提出すべきであろうかと思いますが、まずこの点に関しまして、両政務次官から御見解を賜わりたいと思います。

葉梨信行自由民主党労働政務次官

○葉梨政府委員 ILO条約の批准につきましては、政府としましては、長期的な観点から、可能なものからできるだけ多く批准につとめるという積極的な姿勢で取り組んでいるところでございます。こうした見地から、今国会におきましては、電離放射線からの労働者の保護に関する第百十五号条約及び機械の防護に関する第百十九号条約の批准の承認をお願いしているところでございますが、さらに今後業務災害の場合における給付に関する第百二十一号条約及びただいま竹内先生のお触れになりました社会保障の最低基準に関する第百二号条約につきまして、関係各省と相談しながら、批准の方向で検討を進めてまいりたいと考えております。   〔委員長退席、福永(一)委員長代理着席〕

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 政府の一段の努力をこの機会に要望しておきますが、実は労働安全衛生関係のILO条約というものは、この百十五号あるいは百十九号のほかにも、まだまだあるわけでございます。一例を申し上げますと、十三号条約、三十二号条約あるいは六十二号条約等々、あるわけでございますが、こういう労働安全衛生関係の条約批准の見通しというものは一体どういうようになっておりますか。これは事務当局からでもけっこうですけれども、お答え願いたいと思います。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 お答えいたします。  昨年労働安全衛生法が成立をいたしまして、十月施行になりました。それを契機に、国内の安全衛生に関する省令あるいは政令の整備を行ないまして、今回御提案申し上げております百十五号、百十九号を批准することにいたしたわけでございますが、今後は、先生御指摘のように、まだ残っております安全衛生関係の未批准条約についても、積極的に批准の方向で努力をいたしたいと思います。ただ、その中の一部につきましては、労働関係だけでなくて、たとえば運輸省関係あるいは通産省関係との連絡調整等もございますので、そういうものの整備をはかりまして、なるべく早期に準備をいたすように努力をいたします。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 私はここでILO関係で、条約そのものではございませんが、この六月の総会で議題に予定されております有給教育休暇の問題について、若干お尋ねをいたしたいと思います。  一九六五年の第四十九回ILO総会における有給教育休暇に関する決議に基づきまして、ことしの大会、そして総会、来年の総会と、有給教育休暇が論議されるわけでございますが、本問題に対しては、政府は一体いかなる見解をお持ちであるかをまずお示しを願いたいと思います。

葉梨信行自由民主党労働政務次官

○葉梨政府委員 竹内先生御指摘のとおりに、ことしの六月にジュネーブで開かれますILO総会におきまして、有給教育休暇の問題が審議されるごとになっております。この有給教育休暇は、現代の社会で技術革新が非常に急速に進み、また、社会の状況が急激に変わっておりますが、こういう状況に労働者が適応していくために必要な一般教育や職業訓練を受けるチャンスを与える方法の一つといたしまして十分に検討に値するアイデアであろうと考えるのでございます。そして、御承知のように、政府でもすでに経済社会基本計画あるいは雇用対策基本計画で有給教育休暇を取り上げまして、すでに検討することにきめておるところでございます。政府といたしましては、今度のILO総会におきまして、この問題につきまして、各国の政労使代表と十分に協力して、国内における有給教育休暇を実現する場合の問題点等について検討をする場合の参考となるような適切なILOの勧告が出るように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 ただいまの政務次官の御答弁を承っておりますと、有給教育休暇に関する政府の態度は、いわゆるイエスの方向で関係の国内法の整備等々も考えてまいりたい、このように承ったわけですが、重ねてお尋ねをして恐縮でございますが、イエスかノーかどちらかと聞かれたら、政府の態度はイエスであると理解していいですか。

葉梨信行自由民主党労働政務次官

○葉梨政府委員 ILO当局が考えておりますのは、一般社会教育や職業訓練のほかに労働組合教育も含んでおるようでございますが、これを有給で行なうという問題につきましては、具体的にはわが国の労働組合法に触れる問題もございますので、個々の問題についてはいろいろ検討しなければならないと思います。  方向といたしましては、積極的にこれを取り上げていきたいということでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 それじゃ、ひとつ今度は事務当局にお尋ねをいたしたいと思います。  私も労働省のほうから資料をちょうだいしているわけでございますが、有給教育休暇の第一次討議のための予備報告書というのを私も拝見をいたしました。そうしますと、この予備報告書の中で、加盟国政府は一九七二年九月三十日までにジュネーブの事務当局に対してILOの質問に対して回答を寄せられたい、このようになっておるわけでございます。そのILO質問の第一点に、「貴国はILO総会が有給教育休暇に関する一つの国際文書を採択すべきであると考えるか。」こういう一つの質問書が出ております。この点に関連しまして、政府はいかなる返事をされたのでしょうか。

藤繩正勝労働大臣官房長

○藤繩政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、政府はILO事務局から有給休暇に関する質問書を受け取りましたので、労使関係団体の意見も聞きまして一応の回答をいたしておるわけでございまして、ただいま御指摘の、問題の国際文書の採択の可否につきましては、国際文書の採択には賛成である、そして、その形式は勧告が望ましいという回答をいたしておるわけでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 ただいまの官房長の答弁に関連してさらに二点伺いたいと思うのでありますが、まず第一点は、ILOに回答する前に最も代表的な労使団体と協議の上に回答されたいというのがILOの要請でございます。これに対して、じゃ、いかなる労使団体と協議の上でただいまの回答をなされたのか、これを明らかにしていただきたい。  それから第二点は、日本政府としては、まず文書採択としては勧告の形が望ましい、このような立場でございますが、なぜ一歩進んで条約とすることが望ましいとまで踏み込めないのか、この二点について御説明を賜りたい。

藤繩正勝労働大臣官房長

○藤繩政府委員 関係の団体といたしましては、使用者側につきましては日経連の意見を聞いております。それから組合側につきましては総評、同盟等、御承知の労働四団体から意見を聞いておるわけでございます。  それから御質問の第二点の、条約として採択できないかという点につきましては、私どももその点は検討いたしたわけでございますが、実はILO事務局自体もその点を指摘しているわけでございますけれども、この有給教育休暇の問題は比較的新しいものでございまして、実施している国もいまだ少ないわけでございまして、世界的に見た場合にまだ実は模索の段階にあるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、国際的経験がいまだ十分でないし、また各国のニーズも多様だと考えられますので、現段階では、私どもといたしましては、形式として法的拘束力のない勧告というような形でこれからの国内政策を展開する際のガイドラインとなるような持っていき方が適切ではないかと考えたわけでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 一応政府の考え方はわかったわけでございますが、そこでもう一点、日経連と御相談をなすった、こういうことでございますが、今回の有給教育休暇の中で、私ども考えましても、日本国の立場からいって一番論議を呼ぶだろうと思われるのは、労働組合教育のための休暇という部分であろうと思うのであります。その労働組合教育のための休暇、この部分に対しては、日経連はいかなる見解を示しておりましたか。

藤繩正勝労働大臣官房長

○藤繩政府委員 その点につきましては、日経連は反対の意思を示しております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 さらにILO質問書に関しまして、もう二点ほど伺いたいわけでございます。それは質問書のうちの財政に関する部分でございますが、その質問の第一点は、そういう有給教育休暇というものを制度化した場合のいわばコストの負担はだれがなすべきであろうかということを質問しております。その場合には労働組合からも拠出を求めていいであろうか、こういうぐあいにも尋ねておるわけでございますが、この点に関しましては政府はいかなる回答をなされましたか。

森川幹夫労働大臣官房国際労働課長

○森川説明員 お答えいたします。  財政問題につきましては、いろいろ教育休暇の問題につきましては、労使団体あるいは公共当局あるいは教育機関、いろいろな問題がございますけれども、わが国としましては、先ほど官房長から御答弁いたしましたように、この制度がまだ模索の段階でございますので、当面はやはり弾力的な形で国内の法令、制度、慣行等によってきめることが適当である、こういう考えを述べております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 そうしますと、ただいまのお答えをさらにふえんしてまいりますと、そのコスト負担の関係は各国ばらばらにやってもかまわないものだというぐあいに考えるという意味ですか。

森川幹夫労働大臣官房国際労働課長

○森川説明員 質問書にございますように、たとえば労働組合が負担してはどうであるかという質疑も出ておるわけでございます。したがいまして当時の質問書の内容といたしましてはいろいろな考え方があるであろう、こういう御質問でございますので、私どものほうは、いま申し上げましたように、国内の慣行、法令、制度によってしかるべきではないかというのをわが国の考え方といたしたわけでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 私は、ILOがことしの総会から有給教育休暇というものを議題として取り上げるということに非常に積極的な評価を与えるものでございます。その意味におきまして、私は政府がひとつ本制度というものをわが国においてもなるべく早い機会に実現することを心から希望しておるものでございますが、さらにいろいろと世界各国のこれらの問題に対する態度なども判明し次第、また当局の見解をただしたいと思います。  それで次の質問に移りたいと思いますが、この百十五号条約に関連する国内法令というのはどういうものがございますか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 百十五号条約関連の国内法令としましては、民間の大半のものにつきましては、先ほど申し上げました労働安全衛生法によってその規制を行なっております。ただ民間企業の中で船員関係につきましては、船員法によりましてこの点の手当てがされております。国家公務員につきましては、これは国家公務員法及びそれに基づく人事院規則、こういうものが適用になります。なお国家公務員、地方公務員のうち現業関係につきましては、安全衛生規則、安全衛生法の適用を受けることになっております。  以上がその概略でございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 医療関係のほうで何か関係法令はございませんか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 いま申し上げましたのは、労働者の保護という観点での保護法規を申し上げたのでございますが、御指摘のように違った意味で、たとえば公共の保安というような意味では電離放射線関係の防止規則の規制がございますし、それから医療関係では医療法の規制がございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 今回国会にこの百十五号の承認案件を提出するに至ったのは、一九六二年のICRPすなわち国際放射線防護委員会の改定の基準に安全衛生法なり電離放射線障害防止規則等を合わせたのでここに批准の道が開けた、このように承っておるわけでございますが、実はICRPが一九六五年にさらに追加の修正をやったというふうに伺っておるわけです。その点、国内法令、特に安全衛生法なり障害防止規則との関係はいかがなりますか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 いま御指摘のように、この条約では放射線の許容濃度等は具体的にきめておりませんで、百十四号勧告によりましてICRPの定める水準を考慮して許容濃度をきめる、こういうふうになっております。いま先生御指摘のようにわが国の放射線関係の法令、安全衛生法、それから先ほど申しました規則等々につきましては、一九六二年の勧告に基づいて線をそろえておるわけでございますけれども、そのあと一九六五年に同じ勧告が出ております。  これにつきましてはどこのところが問題であるかということを申し上げますと、いわゆる緊急被曝については、ものの考え方としまして、一九六二年の緊急被曝の内容は十二レムと限定して緊急被曝を認めるということでございましたけれども、一九六五年ではその緊急被曝の関係を特別計画被曝と緊急時被曝というふうに二つに分けまして、特別計画被曝につきましては年間限度量の二倍すなわち大体十レム、生涯はその五倍という被曝を認めておりますけれども、緊急被曝につきましてはそういう限度を設けずに被曝を認める、こういう内容のものでございます。  緊急時被曝のように限度を設けずに被曝を認めるという点につきましては、わが国の国内におきまして行政官庁あるいは学者先生方の意見の統一をまだ見ておりませんので、この点につきましてはなお関係省庁あるいは関係者間で検討中でございまして、その結論が出まして一九六五年の内容が適当であるということになりますれば、そういう方向で国内法令の改正が行なわれるものと考えております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 一九六五年の改定ば、俗にパブリケーションナインといわれるものをさしているのだと思うのでございますが、実は一九六九年に、きわめて小さい部分であるけれどもさらに修正があったというぐあいにも聞いておりますが、その点はいかがですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 そこの事項につきましては、今回定めております各許容濃度その他法令で定めておりますものと抵触する部分はないと考えております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 いや、私は、一九六九年にさらに小修正があったのか、あったとすればその内容いかんということをまずお尋ねしているわけです。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 そのあとにつきましては、そういう修正があったということを私たちは聞いておりません。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 実は私がそういう質問を持ち出したゆえんというものは、ここに「放射線の防護」という一冊の書物を持ってまいりました。その書物の中において専門の学者の方が、一九六九年に小修正が加えられたというふうな記述がしてあるものですからそのようにお尋ねをしたわけですが、それじゃ、これはひとつ御調査をお願いしたいと思います。  そこで電離放射線障害防止規則のほうに若干移りたいと思うのでございますが、その前に一点。  ただいま北川部長の答弁の中にも触れられたわけですが、この百十四号勧告と国内法制の関係をひとつ説明してください。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 女子の腹部の被曝につきまして勧告で定めておりますのと、その他最近の新しい放射線関係の内容について触れておるようでございますが、その点につきましては、今回の安全衛生法を契機としまして改正をいたしました電離放射線障害防止規則の中に十分盛り込まれておる、こう考えております。   〔福永(一)委員長代理退席、委員長着席〕

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 これを要するにICRPの一九六二年の勧告に基づいて考える限りは、労働安全衛生法並びに関係規則は十分その要請を満たしておるのだ、これが政府の態度だというふうに了解してよろしいわけですね。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 御指摘のとおりでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 それでは一、二点条約の中身に入りたいと思います。  まず第一条後段の部分、「権限のある機関は、使用者及び労働者の代表者と協議する。」このようにございますが、わが国の場合にはいかなる使用者団体あるいは労働組合と協議されたか、その実態を示してください。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 安全衛生法及びそれに基づく諸規則につきましては、中央労働基準審議会の議を経まして立案あるいは改正を行なっております。それで中央労働基準審議会は労使公三者の構成でありまして、組合は労働四団体からの推薦を受けて出ておりますし、それから経営者は日経連あるいは商工会議所、中小企業団体、そういうところの推薦を受けて出てきた委員でございますので、いま日本に存在しております労使のすべての団体と協議をした、そういうふうにわれわれは解釈をいたしております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 まあお話のとおりで、なるほど労使団体の主要なところとは御協議を願ったと思うのですが、私はこの際、それに関連して一つお尋ねいたしたいのは、実際にそういう業務に従事している方々、たとえば診療放射線技師関係の方々であるとか、いろいろなエックス線なりその他を用いて非破壊操作に従事する現場の方々、そういう方々の意見を聴取されたことがあるかどうかをひとつ説明してください。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 いま申し上げました労働基準審議会で審議の際には、それぞれの代表は、関係の組合、関係の企業、それと御協議の上での意見をいただいておる、こう思いますが、規則の制定の際に、これは常にというわけではございませんが、必要に応じまして、そういう労使の方の意見を参考として災防部会でお聞きをするということがございます。この電離放射線の改正の場合にはそういうことはいたしておりません。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 それでは次に移りまして、第三条、その3の(C)項に「この条約の適用を受ける労働者の種類を示す説明書」云々とあるわけですが、この「労働者の種類」とはいかなるものをさすわけですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 三項の(C)の「労働者の種類」は、私たちは、たとえば成年労働者、未成年労働者、女子につきましては、妊娠可能な者、それ以外の者、さらには放射線に直接従事する労働者、随時管理区域に立ち入る労働者、緊急被曝を受けるような可能性のある労働者、こういうものを「労働者の種類」と考えております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 そうすると、性別あるいは年齢によってその辺は区別があるということなんですが、いまお話しの女子のうちの妊娠の可能性のある者とない者という区分ですね、これは一体どういうところでやっておるんですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 これは医学的な平均年齢のほかに、本人の申し出、そういうものを勘案をして考えておる、こういうことでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 では、その医学的なスタンダードというのは、たとえば年齢でいくと幾歳とか、どういうことになっておりますか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 生理がとまる年齢というものが、人によって若干の差がございますけれども、やはり五十五歳前後、その辺を一応のめどにいたしております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 さらに進みまして、第六条にまた「各種類の労働者」という規定がございます。この「各種類の労働者」というのは、先ほど説明の「労働者」と同じものであると理解してよろしいですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 そのとおりでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 さらに第八条に「電離放射線又は放射性物質による被ばくのおそれのある場所にとどまり又はその場所を通過する労働者」、こういう規定がございまして、その労働者については、第六条の規定に従って適当な水準を定めなさい、こういっておるわけですが、この第八条にいうところの労働者というのは、先ほど御説明の随時立ち入りの労働者ということでございますか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 御指摘のように、随時立ち入り者でございまして、具体的に例を申し上げますと、病院におけるレントゲン技師に対する指揮監督の立場にある方あるいはそれをアシスタントする看護婦の方、そういう者がこの随時立ち入り者に該当する、こういうふうに考えております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 それから第十二条について一点お尋ねいたしたいのですが、「放射線作業に直接従事するすべての労働者は、就業前又は就業直後に適切な健康診断を受けるものとし、」このように規定してございます。たしか労働安全衛生法あるいはその施行令その他電離放射線障害防止規則においても健康診断の規定があるわけでございますが、一体この「就業直後」というのは、具体的にはどういう時期をとらまえて実行しているわけですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 他の職場から、たとえばエックス線の担当の技師のほうに配置がえをされた、そういう職務についたあと、こういうふうに考えております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 いや、その職務についたあとということは、なるほどそのとおりでしょうけれども、たとえば期間として一カ月でやっているのか、あるいは三カ月のタームをとっているのかということをお尋ねしているわけです。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 「直後」という表現でございますので、私たちとしましては、せいぜい二週間程度以内にというふうに解釈をいたしております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 せいぜい二週間程度以内というお話ですと、これはいわゆる定期健康診断と別ものであるという理解でいいわけですね。いわゆる「就業直後」というのは、その仕事についた、配置された、それから二週間というような単位で考えているというお話ですから、そうしますと、この「就業直後」というのは、いわゆる定期の健康診断とは別途のものである、こういうふうに理解してよろしいわけですね。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 御指摘のとおりでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 そこで、今度は関連の規則、電離放射線障害防止規則の関係、あるいは労働安全衛生法について若干お尋ねをいたしたいわけでございますが、その前に科学技術庁のほうでお越し願っているのでしょうか。——それではお尋ねをいたしますが、私はおたくのほうから「個人被ばく線量等の登録管理について」という「個人被ばく登録管理調査検討会報告書」というものをいただきまして、これを読んだわけです。私は、この中に指摘されていることはまことにごもっともなことだと理解するわけですが、科学技術庁としては、一体この報告書をどのように受けとめ、あるいはまたすでにどのような準備をされているかをこの機会に伺いたいと思います。

大坂保男科学技術庁原子力局次長

○大坂説明員 ただいま先生御指摘のこの報告書は、昨年の二月、原子力局長が委嘱いたしました検討会におきまして、一年間にわたる検討の結果出されたものでございます。この取り扱いにつきましては、私どもその趣旨を十分尊重いたしまして、今後どういうふうにこれを具体化していくか。そのために、必要あれば原子力委員会のもとで、どういう体制で、あるいは国の財政的な援助をどういうふうなやり方で、あるいはどの程度のやり方でこれを具体化していくかというようなことにつきまして、できれば今年から来年ぐらいにかけまして、関係省庁の御協力も得て検討し、できれば五十年あるいは五十一年程度から実現の見通しを得たいというふうに考えておるわけでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 まあこれから関係省庁とさらに御協議をされるというぐあいに承りましたが、その協議の方向というものは、その検討会報告書が示しておるように、中央管理機関を設置する、そういう作業目的でやるというぐあいに理解してよろしいのですか。

大坂保男科学技術庁原子力局次長

○大坂説明員 まだ結論を得たわけではございませんけれども、事務当局といたしましては、そのような方向で検討したいと思っております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 ぜひとも関係各省庁と十分御協議の上、そういう管理のための中央機関をすみやかに設置していただくように、私は心からお願いを申し上げておきたいと思います。  それで、次の質問に移るわけでございますが、ちょうどいま質問いたしました第十二条と関係いたすのでございますが、労働安全衛生法の第六十七条でございますか、そこに健康管理手帳の規定があるわけでございます。もっともその前の第六十六条に健康診断に関する規定があり、特に有害な業務に従事する労働者に対してはこれこれのことをしなければならない、かつ、その有害な業務とは何ぞやというのは政令で指定しておるわけであります。一方、健康管理手張のほうについても政令で指定をするわけですが、私の調べた限り、放射線作業の従事の労働者というものは、第六十六条によるところの健康診断は確かにかぶっているが、第六十七条の健康管理手帳の対象からははずれている。私はこのように理解いたすと同時に、はなはだ健康管理手帳から放射線従事労働者をはずしたことについて納得がいかないわけであります。ひとつこの点をまず御説明をいただきたいと思います。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 労働安全衛生法の六十七条に基づきます健康管理手帳の対象といたしましては、現在ベンジジン、ベータナフチルアミン等発ガン性の明確なもの、そういうものを扱った労働者それからじん肺作業に従事いたしまして離職の際に管理区分の三、それに該当するものということを限定いたしまして、いまのところ制度は発足をいたしております。ただ、安全衛生法を御審議の際に、国会でも、今後その対象は必要に応じて拡大していくべきではないか、こういう御指摘がございます。現在たとえばタール等について発ガン性があるならばそれを加えるべきかどうかというようなことも、あるいは砒素についても同様の検討をいたしておる次第でございます。  なお、いま御指摘の放射線業務労働者につきましても、一応われわれとしましては離職後、晩発性といいますか、あるいは遅発性といいますか、かなりの潜伏期間があって白血病その他の障害が起こることを承知をいたしております。ただその場合に、先ほどから御議論になりますように、集積線量の把握というものが大前提でございますので、それと一体としてこの手帳制度の対象にするかどうかというものの結論を早急に得たいと思っております。先ほど科学技術庁からお話のございますように、個人の被曝線量につきましての登録ということを政府としては踏み切ろうといたしておるわけでございまして、それと表裏一体の関係でこの手帳制度の活用というものの結論を得たい、こういう考えでございます、

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 お話しの趣旨はわからないでもないわけですが、被曝線量個人登録をやる、それと一体で考えたいということですが、健康管理手帳の支給対象に放射線作業の従事労働者を先にしてしまうことが、いまあげた個人の集積線量の把握、こういうものにかえって役立つだろう、こう考えておるわけですが、そうはいきませんか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 御指摘のような面は当然あろうかと思います。ただ、放射線従業者の保護の面でいいますと、雇用労働者に限定をいたしておりますのに対して、自営業者といいますか、一人親方的にそういう作業をやられる方、さらには将来の問題でございますけれども、医療被曝の問題をどう加味していくか、そういうような面もございますので、その辺は科学技術庁と、先ほど申しました登録制度との関連、それをあわせて検討するのが適切ではないか、こう考えておるのでありますが、先生の御指摘もございますので、なお再検討いたす考えでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 大体適切な答弁があったので、この点についてはこの程度にしたいと思いますが、私は放射線被曝というもののおそろしさについてはいささか理解があるつもりでございます。しかも、それがお話のありましたように、晩発性、遅発性ということで、そういうことも考えましても、個人モニタリングというものはどうしても徹底的にしっかりとやってもらわなければたいへんなおそろしいことを招来する、こう思いますので、私の指摘事項なども含めまして、ひとつ科学技術庁と協力して、労働省あるいは場合によっては厚生省も関係するかと思いますが、個人の被曝線量の登録管理と同時に健康管理手帳の支給、こういうことについては至急に結論を出して実施していただきたいと思います。  そこで、いまさら申し上げるまでもないわけでございますが、近年エックス線とか放射性物質の利用の範囲が非常に広がってまいりまして、医療面はもとより工業面、研究面においても急速に拡大をしておるわけでございます。したがって、従事する労働者も非常にふえてきているし、被曝の機会もふえておる、こういうことでございまして、そういったものの監督の関係あるいは管理の関係ということにはわれわれは神経を使い過ぎるほどに使ってまいらなければならぬと思うのでありますが、まずそういうことで、ひとつ放射線業務従事者の数は現在一体どのくらいあるのか、そしてまた、不幸にしてそういう放射線の障害はどれくらい発生しておるのか、御説明願いたいと思います。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 昭和四十六年末におきまして安全衛生法の適用を受けます放射線業務取り扱い事業所の数は約一万五千でございました。従事いたします労働者の数は四万六千人、こういうふうに把握をいたしております。なお安全衛生法適用以外の事業を含めますと、事業所数にしまして一万六千、労働者総数が五万、こういうふうに把握をいたしております。  なお、それに伴いますところの障害の発生状況でございますけれども、私たちが把握いたしております、過去五年におきます電離放射線で労働者が休む、そういう障害が起きたという者が二十二名出ています。そのおもな業種といたしましては、機械器具の製造業あるいは医療事業あるいは非破壊検査業務、そういうような関係であります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 先ほどちょっと質問を一つ飛ばしましたので、また逆戻りして恐縮でございますが、今日放射線業務に従事する労働者の健康管理は、一応使用者の責任という形をとりまして、そういった関係の記録も実は使用者が手元に保存をしておる、こういうことになっております。しかも、その保存期間は五年間、このように規定してあると思うのですが、実は先ほどもちょっと触れました電離放射線からの労働者の防護に関する勧告、第百十四号の項目二十六ですが、この二十六の中においては、「24に定める労働者が作業の過程において受けたすべての線量に関する完全な記録が保存されるべきである。」といって、この趣旨を演繹すれば、その対象労働者が死亡するまで彼に関係する文書というものは保存されるべきものだということをここでいっておると思うのであります。そういう意味におきまして、さっきの個人被曝の線量の登録の問題等にも当然関連するわけですが、この五年間の記録保存というのはもはや今日いささか無意味ではないか、私はこう端的に申し上げまして、永久保存、あるいは期間を限りましても、二十年ないし三十年というものは保存されてしかるべきものではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 電離放射線については安全衛生法あるいは基準法の諸届けあるいは記録、それに合わせまして五年ということになっておるわけでありますが、趣旨からいいますと永年保存ということが望ましい、こう考えております。したがいまして、これらの当該事業所に対しましては、行政指導といたしましては永久保存の扱いという行政指導をいたしております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 了解いたしました。  それではまた質問に戻りまして、ただいま従業者数だとかあるいは不幸にして発生した事故を伺ったわけですが、ひとつ厚生省のほうにお尋ねをいたしたいわけでございますが、厚生省においてはそういうような状況の把握はされておりますか。特にそういう被曝の事故の関係は……。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 厚生省におきましては、都道府県知事に休業に至る程度の者の届けばあろうと思いますけれども、中央のわれわれといたしましては、そのような資料はただいま各県からは御報告を受けておりませんのでございませんが、直轄の国立病院、療養所における公務災害の認定を受けた者につきましては、四十三年一件、四十四年二件、その後はゼロでございますけれども、一名は白血球の減少症、それから同一人がその後も引き続き再発というような関係で、延べで三名でございますが、もう一名は皮膚ガンということで公務災害の認定を受けている事例がございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 私はなぜこういうことを特にお尋ねいたしましたのかというと、先般新聞にも報道されておりますように、天下の東京大学におきましてその種の管理の関係が非常にずさんである、ある議員の質問にこたえて科学技術庁も実際その場をごらんになった、こういうぐあいに伺っているわけです。天下の東大がそうだから全部そうだろうなんということは私は申しませんけれども、医療関係の中で放射線業務に従事する関係の方の健康管理の問題については、相当シビアに考えていくべきものであろうとわれわれは思うのです。  そこで、さらに一点お伺いするのでありますが、私の地元でもよくそういう陳情が医師から出てまいりますが、普通のエックス線装置ではなくて、エックス線テレビをぜひ設けてもらいたい。これはもちろん診断の向上に役立つと同時に、不必要な被曝から自分を守るという意味もあって、ぜひエックス線テレビというものを設けてもらいたい。場合によってはそれが赴任の条件になるという実態もあるわけであります。私も、しろうとですけれども、なるほどエックス線テレビを設けたほうが医療従事者が不必要な被曝から避けられることができるのじゃないか、こういう気がいたすわけですが、私の調べた限りでは、エックス線テレビに関して国が特段に補助金を出しておるとか財政援助をしておるというのは、わずか国保関係に若干あったような気がいたすのですが、あるいはこれも間違っているかもしれませんので、そういった補助金関係はどうなっているか、並びにこれからの推進の方向としてエックス線テレビ普及のために厚生省のほうで何がお考えいただけるかどうか、ひとつ御見解を承りたいと思います。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 病院等につきましては、ガン対策等で補助対象と申しますか、そういう起債等の関係もございまして考慮いたしておりますが、一般的に診療所の場合には先生御指摘のような状態でございまして、ただ、医療金融公庫に、診療所開設の場合の機械設備としてわずかに三百万程度の限度額でございます。ところが、この程度のものではエックス線テレビという先生の御指摘の御趣旨に沿うにはまことに少額の金額でございまして、ただいま少なくとも一千数百万するこの器械の購入について、医療関係者の放射線防護という立場から、さらに機械器具の改善という方向ももちろん望ましいので、研究費の投入等もいたしたいのでございますけれども、御趣旨に沿うように、特に民間に関係ございます医療金融公庫等の融資額の問題については検討させていただきたいと思っております。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 それでは、お示しの時間も参りましたので、最後に一点労働省に伺いたいと思います。  それは、このような放射線装置を持っている事業所あるいは放射性物資を取り扱っている事業所に対する監督というものはきわめて重大であろうと思いますが、その現況は一体どういうことになっているか。また、今日までの監督を通じてどういう問題点を労働省としては把握されておるか、ひとつ御説明願いたい。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 安全衛生法関係の法律の順守につきましては、監督官による立ち入り検査をいたしておるわけでありますが、最近の立ち入り検査の結果、違反の事業所といたしましては四十六年の全産業で五百六事業所が違反しておりました。その内訳としましては、製造業の百四十二、建設の十一、医療業は先生御指摘のような成績としてはたいへん芳しくなく三百四十一、こういう違反が認められております。  なお、違反の内容といたしましては、一番多いのはやはり特殊健康診断が完全にやられていない、これがかなりの比率を占めております。それ以外には、被曝線量の測定というものが、規則に定めてあるにもかかわらず十分行なわれていない。さらには、管理区分の区域の明示、立ち入りの禁止、こういうものが十分担保されておらなかった。こういうような内容が、違反のおもなものでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 お示しの時間が参りましたので、これで質問を終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 次回は、来たる二十五日水曜日午後一時理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十五分散会

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