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71回国会衆議院1973/04/12

外務委員会 第11号

発言数
46
登壇者
7
会派数
3
開催日
1973/04/12

会議録

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 これより会議を開きます。  千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決議第二千八百四十七号(XX VI)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件、アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田睦夫君。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 私は、朝鮮民主主義人民共和国と国連などとの関係、これに対しての日本政府の態度についてお尋ねしたいと思います。  昨年の第二十七回国連総会において、日本政府は、いわゆる朝鮮問題の審議たな上げ、その方向で積極的な推進者となりました。一方、政府は、表向きは朝鮮における南北の平和的統一の実現、朝鮮の平和と安全の確立を心から望むとか、あるいは朝鮮問題に対する日本の重大な道義的責任ということを強調しております。  そこで、ことしの国連総会では、朝鮮問題についてどのような態度をもって臨むか、昨年までのような態度を改めなければならないと私は思うのですけれども、この点についての見解をまずお伺いしたいと思います。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 柴田先生の御質問にそのままかみ合わないかもしれませんが、国連におきます朝鮮問題に対する政府の基本方針というものについてまず申し上げて、それから御質問の向きに入っていきたいと思います。  国連では、これは昨年の総会でも議決をしておりますけれども、平和的手段によって朝鮮の統一と同地域における国際の平和と安全の完全回復をはかるということを目的として活動しており、かかる国連の目的は、従来総会において再確認されてきている、こういうワク内で、日本政府は、やはり朝鮮の平和的な統一と同地域の国際的な平和と安全の完全回復がわが国を含む極東の緊張緩和と平和の確保に資するものだと考えており、したがって、従来朝鮮における国連の目的と活動を支持してまいった次第ではございます。しかし、最近は、南北朝鮮の間で直接対話によって朝鮮の統一問題を自主的平和的に解決しようとする努力が進められておる事実は、先生も御承知のことだと思いますが、政府としましては、南北対話が一日も早く実を結ぶように、当面これをあたたかく見守っていきたいというのが日本政府の基本的な態度でございます。  そこで、ことしの国連総会でどういう態度をとるかということについては、これは、日本政府は、御承知のように、これまでも国連についての三つの決議案というものが毎年の国連総会に出ております。あるいは昨年は一括して出ておりますが、日本政府としては、これを主体的に動かすということではなくて、決議案が出るという際に、決議案もいろいろな形で出ておりますので、日本政府の態度をいま申し上げた基本的な態度のワク内できめていく、こういう進め方をしておるわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 態度の基本的なワク内できめるということですけれども、もっと端的に言えば、前回はたな上げ案に賛成する方向だったわけですけれども、ことしもそれと同じような方針をとるのか、その方針について新しい検討が加えられているのか、この点を率直にお聞きしたいのです。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 先生御承知のように、国連の決議案は内容的には三つあるわけでございます。国連朝鮮復興統一委員会の解体を是とするか非とするかという内容、あるいは国連軍の解体を目的とするもの、あるいは北朝鮮が侵略者であるという不法決議を否決するというこの三つの内容でございますが、ことしの国連総会でどれがどういう形で出てくるかということもまだ現在の段階でははっきりしておりません。ですから、これはその段階で日本政府はきめていかなければならない、まだ検討中だというふうに申し上げるのが一番正確であると思うわけであります。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 それでは角度を変えまして、朝鮮民主主義人民共和国は、国連の関係のある国際専門機関、たとえば万国郵便連合などに過去加盟申請を何回か出しているわけですが、これらの専門機関に対する加盟申請に対して日本の政府がとってきた態度、これをちょっと具体的に伺いたいと思うのです。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 従来北鮮から幾つかの専門機関への加盟申請が行なわれておりますが、その際日本政府といたしましては、専門機関への加盟ということがそのまま国連における政治問題その他との結びつきがあるという観点からいたしまして、従来これに反対の態度を表明してきております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 いま言いました万国郵便連合に二回、それから国際電気通信連合に一回、これに対しては日本は反対した。それから世界気象機構、これは何か秘密投票だったと聞いておりますけれども、このときもやはり反対であったのか、伺いたいと思います。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 従来専門機関に対しまする加盟申請、これは先ほど申し上げました理由によりまして、日本政府といたしましてはすべて反対の態度を表明しております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 国連と政治的な結びつきがあるから反対したということですが、その理由、あるいは反対理由として述べられたものでもいいのですけれども、反対理由をもう少し具体的に述べていただきたいと思います。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 従来国連におきまして、朝鮮問題をどのように扱うか、最近、昨年それから一昨年いずれも国連総会におきましてこの朝鮮の問題を総会において審議しない、来年まで延期するという議決が行なわれまして、日本もこれに賛成の態度を表明しております。  その理由でございますが、確かに、朝鮮問題につきましては国連が関与しております。他方、朝鮮半島におきましては、せっかくこの南北の間で直接に対話をしようという機運が生じてきておる。こういう際に、もし国連におきましてこの問題を取り上げますと、どういたしましても、その議論が非常に賛成、反対という激しい議論になりまして、その結論は、国連においてこれを審議するということは、せっかく南北が対話を始めようとしているその機運をそこなうものであろう、この際最も大事なことは、南北の対話が順調に進むということである、これに一番役に立つ国連としての措置、これは国連において激しい議論をしないことであるという立場、これが多数を制したわけでございまして、日本もそれに賛成の態度を表明してきた、こういう次第でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 結局、議論をしないようにするということから、加盟申請を日本のほうは反対するということになったということに、説明からいうとなると思うのですけれども、加盟申請があれば、当然そこでは、加盟を認めるか認めないかということでの専門機関での議論があるわけですけれども、結局、その専門機関において議論が当然行なわれる、その議論自体が南北直接交渉にとって害があるというような考えなんですか。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 専門機関、たとえば先ほどおあげになりました万国郵便連合、この郵便連合だけの観点から見ますれば、なるべく世界の多くの国がこれに加入することが望ましいということ、これは明らかでございます。しかしながら、他方、たとえば万国郵便連合のような専門機関に北鮮が一つの地位を獲得するということが、そのまま今度は南北間の政治問題にはね返ってまいります。  御承知のとおりに、南北の対話というものは、現状のバランスの上に立って行なわれ始めようとしているものである。このバランスに多少とも影響を与える、専門機関に北鮮が新たな地位を獲得するということは、政治的には非常に大きな意味を持ってまいる。これは南北の対話に相当な影響を与えて、せっかく始まりかかっているこの南北の対話というものを阻害することになるであろう、こういう意味におきまして各専門機関におきましては、北鮮の加盟申請という問題は大きな政治問題である、したがって、こういう大きな政治問題は、国連そのものにおいていかなる決定がなされるか、これを待って決定することにしようということで、各専門機関におきましては、いままでは北鮮の加盟というものに大多数の国が反対してきた、こういう事情でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 南の韓国のほうは大体専門機関に加入している。北のほうは加盟を認めない。きわめて不平等な扱いであると思うわけです。最初から片一方は加盟さして、片一方は加盟を拒否するという態度をとって、それで両者の直接の話し合いにまかす、それまでは加盟に反対するということは、非常に不平等であるし、差別的な扱いである、こう思うのですが、どうですか。

影井梅夫外務省国際連合局長

○影井政府委員 御承知のとおりに、この朝鮮半島の問題に国連が関与してまいりましたのは一九四七年以来でございまして、一九四八年に至りまして、国連が希望しているような合法的な政権というのは三十八度以南のいわゆる韓国の領域、これが国連の目から見まして合法的な政権であるという過去の経緯があったわけでございます。  こういったいろいろな過去の経緯を経まして、そして現状におきまして、南と北がそれぞれバランスをとった状態で、現在の時点においてはこのバランスをとった状態において南北の対話が始まろうとしている、このバランスを乱さない、くずさないというのが、現在の国連の多数の考え方でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 最近の報道によりますと、スウェーデンは韓国との国交関係を持ちながら朝鮮民主主義人民共和国を承認するということを決定した、そしてフィンランドは南と北の朝鮮を二つとも承認することをきめた、またデンマークも近い将来、北朝鮮と外交関係について交渉を開く、こう発表されています。  もちろん、政府はこれらの事実を確認していると思いますが、日本の政府はいままで、たとえば日韓特別国会などの審議でもいわれていることでありますけれども、韓国との外交条約を持っていながら朝鮮民主主義人民共和国と同時に外交関係を持つことができないのが外交上の慣例である、こういう説明がなされております。ところが、こういった政府の説明しておりました外交上の慣例という問題、これは現在の世界の趨勢といいますか、いまの北欧諸国のような態度から見てみますと、外交上の慣例として韓国を認めているから北のほう、共和国のほうを認められないというような言い方も、外交上の慣例というようには言えないのじゃないか、こう思うわけです。外交上の慣例という政府の論理が、現実の上でもうこわれていっているわけですけれども、この点から見た場合に、政府の方針、韓国を承認している立場にあるから朝鮮との外交関係を持つべきでないという、こういう考え方は、いまは改めなければならないのじゃないかと思うのですけれども、この点についてはどうでしょうか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 柴田先生が御承知のように、東西の緊張緩和で、ベトナムにおいて、南ベトナムの承認国が同時に北ベトナムを承認するという傾向があり、あるいはヨーロッパで東西両ドイツを承認するという傾向があることも事実でございます。また朝鮮でも、韓国の承認国が、先ほど御指摘のスウェーデンやフィンランドのような国が北朝鮮を承認するという事実も出てきていることも承知しております。ただ、日本の政府としては、現在韓国と国交が確立されておりまして、しかも経済的にも文化的にも、その他日常生活の上で非常に緊密な関係にあるわけでございまして、この関係はそこなうことはできないという基本方針は動かせないと私は思うのでございます。これを軸として北朝鮮との問題は考えて、これまでも、御承知のように、実際的な人間の交流あるいは経済交流その他文化的な交流、こういったことは阻害をしないようにしてきたわけでございますが、これからどういう行動に出るかということは、先ほど先生の御質問もありましたように、やはり国連総会を控えておりますので、国連全体の問題として同時に考えていかなきゃいけない。私は、いま早急に政府の態度を表明する時期ではないんじゃないかというふうに考えております。  ただ、ここで一つ申し上げることは、御承知のように、日本が二つの中国のどちらを選ぶかというときに、非常に苦悩をして中華人民共和国を承認したわけでございます。台湾の中華民国と北京の中華人民共和国の対象を取りかえたわけでございますけれども、朝鮮の問題については朝鮮の方々自身が——韓国政府はそういうふうに言っておられませんけれども、二つの朝鮮であってもいいような形の表現や行動を国際的にとっておられる傾向が非常に強い。これは非常に注目すべきことであるというふうには考えております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 それでは次に進みまして、今度第五十回の世界保健機構、WHOの総会が来月の七日から開かれることになっておりまして、このWHOに朝鮮民主主義人民共和国が加盟の申請をしたと報道されているわけです。このことはもちろん確認されていると思いますが、このWHOについては加盟の実現の可能性がきわめて高いということも報道されております。政府は、この加盟申請がWHOの総会において通るか通らないか、その見通しについて調査しておられると思いますけれども、それをお聞きしたいと思います。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 五月の七日の日にジュネーブでWHOの総会が開かれる。その席上、北朝鮮が加盟申請をしてこられるということは承知をしております。このWHOの加盟の可否は過半数の表決でございますので、現在のところ、情勢はこんとんとしておりまして、はっきりわかっておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、ここにおいても、すでに韓国は加盟をしているわけでございます。そこへ北朝鮮が加盟申請をするという事態になったわけで、ここにおいても北朝鮮の方々は二つの朝鮮であってもいいんだなということが現象として出てきて、先ほど申し上げたように、きわめて注目すべきことであるというふうにわれわれ理解しております。また、この加盟の可否については非常に国際的に流動しておりまして、先ほどのようにスウェーデンやフィンランドのような国が北朝鮮を承認しております。さらに、そういう国もヨーロッパでもあらわれてくるかもしれない、非常に流動的なだけに、まだ政府としてははっきりした見通しを持っておりません。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 見通しを持っていないということですけれども、実際はもう一カ月以内に開かれる、こういう時期なんですけれども、普通だったらもう政府の態度は、確定までいかなくとも、大体おおむねのところきまる、こう思うのですけれども、どの程度検討しておられるのか、もう少し具体的に聞きたいと思います。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 ジュネーブにおける出先公館とも連絡をとっておりますが、同時に、先ほど国連局長の御説明に申し上げましたように、これは国連における朝鮮問題全体にも影響することでございますので、そういう立場から検討をしていきたいということで、正直申し上げて、日本の政府としての、このWHOに臨みまして北朝鮮の加盟についてどういう態度に出るかということについては、まだ決定をしておりません。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 その態度につきましてはまた大臣にお伺いすることになると思いますが、世界保健機構は、その目的が、すべての人民が可能な最高の健康水準に到達することにある、すべての世界の人民の健康の問題を考えているわけなんです。この目的から考えてみますと、WHOの憲章に基づいて加盟の申請をするものを排除するというのは本来筋の通らない、人道上の問題からいっても筋の通らない問題だと思うわけです。そしてまた、政府が最近過去の朝鮮支配だとか、あるいは現在の分断状態を振り返って、その日本政府の重大な責任があるということもいつも強調されるようになっているわけですから、こういったことが単に宣伝だけに終わらせないためにも、この申請に対して反対するというのは、この世界人民の健康問題ということから考えてみても、反対する性質のものじゃないと考えるのですが、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 柴田先生の御指摘のとおり、WHOという国連の専門機関の性格はおっしゃるとおりのものでございます。日本政府としても、決してそういう立場で、北朝鮮の加盟問題をどうしようという考え方はいま持っておりませんけれども、先ほど国連局長が申し上げましたように、この国連の専門機関における一つ一つの問題が、先生の御指摘のような点と同時に、やはり国連総会における朝鮮問題の前哨戦としての象徴的なものでもあると私は思うのであります。それだけにこの問題は非常に慎重にやっていきたい。ことしの国連総会が去年までのような朝鮮問題の扱いになるかどうかということも、まだ未定ないまの段階でございますから、一つ一つ慎重に取り組んでいきたい。非常に消極的な申し上げ方をしたわけでございますけれども、御了承をいただきたいと思います。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 WHO加盟申請の見通しの問題で、非常に流動的でこんとんとしている、過半数で採決されるわけだからあるいは加盟が認められるということも十分考えなくちゃならない、こういう御見解だと思うのですけれども、この朝鮮民主主義人民共和国がWHOに加盟するということになると、北朝鮮が、国連の慣例上、国連においてはまず常駐オブザーバーになる、こう見られるのですが、その場合に、日本政府は常に外交関係については国連中心主義ということをいわれておりますし、この政府の論理からいっても日本政府の朝鮮民主主義人民共和国に対する従来の方針にやはり影響が出てくると思うわけです。WHOに加盟が認められて国連の常駐オブザーバーになった場合、日本の従来の方針には変化が出てくるかどうか、その点をお伺いいたします。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 いま先生の御質問でも御指摘のあったとおり、WHOの持っているそれ自体の使命については、日本の政府としてはあらゆる国が参加をしてもらいたいというふうに希望しておりますけれども、先生の御指摘のとおりWHOに加盟することが国連総会におけるオブザーバーとしての地位を固める一歩になるわけでありますから、日本政府としては、先ほど申し上げましたようにWHOの加盟問題について必ずしも否定的だということだけでなくて、慎重にやっていきたいということはいま申し上げたとおりでございます。その前提に立っております。国連にオブザーバーとして北朝鮮が参加をしましても、これは外交関係の設立というところまでさらに一歩を進めるということとはまた別の問題でございます。これまでもオブザーバーとして国連に出席しておる国と外交関係がなくても国連の舞台で接触は幾らでも保っている国はたくさんあるわけでございまして、その問題も含めて、政府は、ことしの秋の国連総会までの朝鮮問題についての諸問題についてはすべて慎重にいま検討しているということで御了承を得たいわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 日韓基本条約の第三条では、韓国政府が朝鮮にある唯一の合法的な政府であることを確認するとなっておりますし、日韓条約審議のときに政府は、南朝鮮の朴政権は国内の経済成長も順調であり、政局も安定して信頼に足る政権である。韓国はりっぱに自分の裁量で動いている独立国家である、こういう高い評価をしているわけです。  ところで「世界週報」の三月十三日号、ここにアメリカ上院外交委員会の報告が載っているわけです。このタイトルは「李承晩時代いらい最悪の独裁制」というタイトルになっております。その内容を一部紹介しますと、政治情勢につきまして、「われわれが訪問した時は戒厳令が布かれていたので、韓国の政治は凍結状態にあった。議会は解散されていたが、これは憲法上許されない措置だった。そして議事堂、各省、新聞社および大学の建物の前には戦車がいた。」国会のまわりを戦車が取り巻く、こういう状態は考えただけでもぞっとする状態です。さらに「熟練した外国の一観測筋はこのような情勢を総括して、市民の自由に対する抑圧は、李承晩時代以来のいかなる時期よりもなおはなはだしいと述べた。  戒厳令の布告以前でさえ、新聞は厳しく制限されていた。」さらに、「戒厳令の布告後は自主検閲は廃止され、各新聞は刷り上がりの現物を、市庁内の陸軍検閲局まで持ってくるよう要求された。見出しが変えられたあと、一部のジャーナリストは投獄され、なかにはなぐられた者も出たといわれる。」また、「議会の解散と憲法の停止は合法的ではなかった。これと同じく、新憲法起草の手続きも完全に合法性を越えていた。そして国民投票は、いかなる政治活動も、また官製の「説明」以外のいかなる新憲法に対する論議も禁止という規制の下に実施された。」そして「民衆は脅かされ、強制され、抵抗の基盤になりうるようなグループは全く見当たらない。」「国会は大統領の権力に挑戦することができないが、これは新憲法の下では、挑戦の手段が全くないからだ。そして朴大統領に反対の知識人もそれを叫ぶ方法がなかった。なぜなら、報道機関は彼らに対し扉を閉ざしており、そうした統制が緩和される兆候は全くないからだ。」こうしたことが述べられております。こんな状態にして政権が維持されておりますし、膨大な軍隊にささえられ、しかもアメリカの軍隊の存在がなければ政府の存立がおぼつかない、このように見る方もいるわけです。こうした韓国政府を、従来のように信頼に足る政府であるという評価を現在でも貫いていけるのか。北には安定した朝鮮民主主義人民共和国が存在していますし、日韓基本条約第三条の韓国は朝鮮にある唯一の合法的政府であるという考え方は現在でもやはり正しいという考えですか。その点をお伺いします。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 まず先生のいま「世界週報」でございますか、その内容を読んでおりませんが、そのレポート、アメリカ上院の外交委員会のレポートであるというお話でございましたが、外務省で承知をしておりますのは、これはアメリカ上院の外交委員会の調査員のレポートであるというふうに理解をしております、何かその記事にはそう書いてないそうでございますが。  いま先生の韓国の政情について「世界週報」の記事の御紹介がございました。私は外務省、日本国政府としては韓国と日本との国交関係にかんがみまして、現在韓国の国内の政情がどうであるとか、それについて日本政府がどう考えているかというようなことは、現在批判を差し控えたいと思います。これは韓国だけでなくて、日本と国交を結んでおりますその他たくさんの国がございますけれども、それぞれその国の政情というものはいつも安定して同じレベルに動いておるというだけではないのでありまして、あるときには非常に国内の情勢が緊張するということもあろうかと思います。そういうつど日本政府がその政体について、政権について批判をしたりあるいは拒否をしたりしておりましたのでは、外交関係というものは、善隣友好の関係を常に世界じゅうとやる日本の立場としましては維持をしていけないわけでございますから、批判は差し控えていきたい、かように思っております。  また日本と韓国との関係というものは、いま申し上げましたとおり、これまでどおり私は考えてよろしい。しかし先ほど申し上げましたように、北朝鮮との関係というものは、韓国との国交関係を阻害しない範囲において、これから貿易関係であるとか、あるいは人的な交流であるとか文化交流であるとか、その他いろいろな面で進んでいくであろうということも同時に期待をしているわけでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 この日韓基本条約第三条の、朝鮮にある唯一の合法的政府というのが非常に問題になるわけなんですけれども、これは三十八度線の以南にある政府、それから北には朝鮮民主主義人民共和国がある。このことは、いま日本の政府から見た場合に、二つの政府があるというように見ていいわけですか。

松永信雄外務省条約局外務参事官

○松永政府委員 お答え申し上げます。  日韓条約第三条におきましては、いま御指摘がございましたように、大韓民国政府は、国連決議百九十五号に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることを確認いたしております。  そこで、ここで引用しておりますところの国際連合決議百九十五号というものを見ますと、その中で臨時委員会——臨時委員会というのは国際連合臨時朝鮮委員会でございますが、「臨時委員会が観察し、かつ協議することができたところの、かつ朝鮮の人民の大多数が居住している朝鮮の部分に、有効な支配と管轄権を及ぼす合法な政府」、これがすなわち大韓民国政府でございますが、「が樹立されたこと、」そして「この政府が朝鮮における唯一のこの種の政府であることを宣言し、」ということが書いてございます。この部分と申しますのがいま先生が御指摘になられました南の部分ということでございます。したがいまして、日韓条約は、北の部分については何ら触れておらない、こういうことでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 そうしますと、法的にも朝鮮南部だけを代表している政府、これが韓国政府である、このように解釈していいわけですか。

松永信雄外務省条約局外務参事官

○松永政府委員 そのとおりでございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 今月の四日に朝鮮民主主義人民共和国の金首相は、最高人民会議において、もし米軍が南朝鮮から撤退すれば、わが軍隊を二十万またはそれ以下に縮小するであろう、こう述べたと報道されております。また同首相は、報告の中で南朝鮮駐とんの国連軍という看板を掲げた米軍の撤退、国連韓国統一委員会の解体を要求し、友好国家にこの提案を支持することを希望する、このように報告した、こう報ぜられております。  朝鮮の平和的、自主的統一のためには、全米軍の南朝鮮からの撤退はやはり何としても必要であると私は考えておりますが、政府はこれに対してどういう考えであるか、その点をお伺いします。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 このお答えは、先ほど来柴田先生の御質問の最初に戻るわけでございますが、ことしの秋の国連総会で——アメリカ軍の撤退というお話でございましたが、これは現在は朝鮮では、国連の立場からいえば国連軍でございます。国連軍の撤退をするかどうかということを含めて、この秋の国連総会の情勢を見なければ、日本政府としては発言ができない、こういう現在の状態でございます。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 日本の政府が積極的に国連で提案するということはないわけですか。聞いておりますと、国連での情勢を見てそれに対応するというようなことで、積極的に提案する、この対策を講じるという面が欠けているように思うのですが……。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 この秋の国連総会のことでございまして、まだ時間もあって、このことについては政府として方針を全くきめておりません。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 それから南北の会談があって、日本の政府も平和的統一を望むということをいわれておりますが、この平和的統一が実現するために日本の政府としてなすべきこと、このために双方に対して協力するとか、そういう問題については何か具体的な対策があるわけですか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 南北の対話というのは、これは両当事者の間で話し合いをされることに意義があるわけでございまして、日本政府がこれにアドバイスをするとか何か干渉するとかいうことは、むしろ差し控えることが正しい方向ではないか、こういうふうに考えております。

柴田睦夫日本共産党・革新共同

○柴田(睦)委員 以上で終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 永末英一君。

永末英一民社党

○永末委員 青年海外協力隊に関して資料を要求しておきましたところいただきました。その資料に基づいて質問いたしますが、過去に派遣された隊員中に退職した者公務員九十三名、民間五百十七名ということでありまして、全体に照らし合わせますと比率が非常に多いのでありますが、退職した者はこの二年の間の勤務かち帰ってきましたあと、どういうようにアフターケアをしておりますか伺いたい。

御巫清尚外務省経済協力局長

○御巫政府委員 お答え申し上げます。  隊員のうち帰国いたしましてから就職を希望する者につきましては、海外青年協力隊事務局というものがございまして、そこで就職のあっせんを行なっておりますが、大体において希望をかなえてやっておれるような状況にあるかと存じております。

永末英一民社党

○永末委員 いまの御答弁の語尾がはなはだ不明確ですがね。大体において希望をかなえてやったのではないかと思う。それじゃあまり責任とっている態度じゃありませんね。きちっと数字はわかっていないのですか。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 先生の御質問に対してちょっと違いますが、外務省で調べましたところでは、帰国隊員の数は現在約九百名でございます。これらの隊員のうち、帰国後就職を希望する人は約七割で、これらの者に対しましては協力隊事務局が就職のあっせんを行ない、全般的な求人増の影響もありまして、ほぼ希望に沿った就職が行なわれてきております。しかし、これらの就職の条件において、隊員の派遣前の職に比べまして多少不利に扱われているという面があることは否定できないわけであります。また隊員としまして活躍をしてきた人の就職先としては、職種が変わったりして必ずしも満足できないという面も否定できない事実がございます。今後ともこの面におきましては、積極的に改善をしていきたいと考えております。具体的には事務局の行なう就職あっせん活動をさらに活発にするとともに、本年度から実施の決定しました所属先補てん制度をフルに活用していくことにいたしたいと思っております。

永末英一民社党

○永末委員 この退職をして行くというのは、隊員にとってはきわめて決断の要ることであって、あとはどうなるかわからないが、ともかく退職してでも参加しよう、その志を考えれば、もっともっと親身になって世話をしなければならぬ案件だと思うのです。二年間だけやればいいというのではなくて、これはこの前も申し上げましたように、青年運動だということでとらえるならば、いわゆる官僚的事務の対象として考えてはならぬことだと思います。もし協力隊に応募して二年間退職をして行ったら、いま政務次官の話したように必ずしも退職前の勤務条件と比べてよくないところに就職せざるを得なかったということになりますと、ことばは悪いのでありますけれども、いい人は参加しない、こういうことになりますね。これではもともとこの計画をやった趣旨自体がそこなわれる、こうなります。これに対する対応策が私は二つある。それは、この前申し上げましたように、青年運動だということをはっきり位置づけること、そしてこれに参加する、参加し得る資格を与えられることは青年間においてこれはなかなか名誉なことである、つまりすぐれている資質を持ったと認定されたことである、こういう認識を一般に与えるように、あるいは持たれるように私は努力すべきであると思うのです。そうでなければいい人は来ないし、まさにそういう認識が一般にわかってくれば、たとえ退職をしておっても、勤務が終わったあとでその二年間の経験を生かしつつ再就職ができる道が開かれると思う。この前はなはだばく然としたような言い方を申し上げて、青年運動だと考えるかということを外務大臣に申し上げましたが、これはこの運動自体に魂を入れることである、そういうことを怠ってただ単なる就職あっせんだなんということを考えておったのではこの事業が発展しないし、それでは国費を使っている意味もなくなる。この辺を十分お考えを願って、もっと心を込めて隊員のアフターケアをやっていただきたいと思います。  質問を終わります。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 ただいまの永末先生の御指摘の点は非常にごもっともな点でございまして、政府としても先日の御質問その他から再検討しなければならぬというふうに考えております。しかもこのことばだけの答弁ではなくて、実際にこれは来年度予算からやろうと、御承知のようにすべてやはり予算でございますから、来年度予算からやって、少しアフターケアあるいはその他の問題について横の連絡とか、そういった問題について積極的な対策を組んでいこうじゃないかというふうに考えておりますので、ひとつ今後とも御指導いただきたいと思っております。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 本日は、これにて散会いたします。    午前十一時四分散会

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