外務委員会 第8号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/03/30
会議録
○藤井委員長 これより会議を開きます。 千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決議第二千八百四十七号(XX VI)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件、アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 このたびのアフリカ基金の審議にあたりまして、わが国の対外経済援助が従来東南アジアにほとんど傾斜いたしておったわけでありますけれども、今回アフリカ基金に参加するということになりますと、非常にドラスチックな一つの方針の転換だとも受け取られますので、アフリカ基金について御質問をしたいと思うのでありますが、それとともに、わが国の対外経済援助あるいは経済協力というものについて、ここで徹底的に反省すべき時期ではないかと思うのでございます。したがって、アフリカ基金のみならず、わが国の対外経済援助一般について少しく質問をさせていただきたいと思います。 まず最初にお伺いいたしたいと思いますのは、対外経済援助につきまして政府はどのように考えておられるか、政府の御所見を承りたいと思うのであります。 発展途上国に対する資本輸出、それに伴う企業の進出というものは必ずしも直ちにいわゆる新植民地主義につながるとは限らないわけでありまして、やり方いかんによってはむしろ相手国の雇用を拡大し、また技術あるいは経営のやり方などを伝える、そして発展途上国の現地産業の育成強化に役立つという可能性もあるわけでございますが、しかし、歴史的な経過から見まして、経験から見まして、どこの国でも経済援助に伴う悪い側面が出ていることは御承知のとおりだと思います。先進国の資本進出に伴って発展途上国の富を吸い上げるということになり、かえって相手の怒りを買う、また、南北の経済的な不平等をかえって拡大する、こういうふうになっておるわけであります。これが現在南北問題の一番中心課題だと思いますけれども、わが国だけがそうした傾向の例外たり得る自信があるかどうか、政府の対外経済援助に対する基本的なお考えをまず初めにお伺いしたいと思います。
○水野政府委員 河上先生の御指摘のとおり、日本の対外援助というものは、その出発においては輸銀の繰り延べ払いだとか、そういったような形で、非常に営利的な面がございましたけれども、日本の経済力が伸長するにつれてそういうものをなるべく——そういう輸銀の利用というようなことは、それはそのままにしまして、そういうことよりも、むしろひもつき援助をなくするとかあるいは無償援助をふやすとか、そういった形で政府の援助の方式がだんだんと改善されております。特にアフリカに対しましては、二国間のいろいろな援助というものが、相手側の希望するプロジェクトから出発しまして、いろいろな援助をやってまいりましたけれども、特にアフリカ開発基金につきましては、これはアフリカの域内国の発言権というものを非常に尊重する形で出発をしたわけでございまして、いままでの諸外国に対する援助方式とは基本的に違うということで、わが国でもこれに積極的に参加したわけでございます。過去において、河上先生御指摘のように、日本の援助方式が、たとえば借款にしましても、そのワク内で日本商品を買えというような、いわゆるひもつき援助が多くて、タイとかその他の国あたりでいろいろな摩擦を起こしてきたことも否定できませんけれども、この二、三年になってこの問題は非常に解決されてきている、こういうふうに思っております。
○河上委員 政府におきまして、いまそのような御発言がありましたけれども、御承知のとおり、昨年の十一月にはタイで日貨排斥運動が起こりまして、またことしの三月、ごく最近にはシンガポールの業界六団体ですかが、地元業者を圧迫しているということで、日本商社に対する非難の声明が出されて、日本の新聞にも報道されております。また、先般日本の新聞や週刊誌をにぎわせて国際的な問題にもなっております玉本事件とか、あるいはいわゆる東南アジアのホステスと日本人との間に起こるいろいろな事件とかそういうようなことで、去年からことしにかけまして、日本の経済進出に対する不満というのですか、反発というものが一挙に吹き出してきた感があるわけです。よく考えてみますと、経済進出というか対外援助というものを本腰を入れましてからかれこれ十年余りたつわけですけれども、その約十二、三年間の日本の努力といってはことばが適当かどうかわかりませんが、十二年間にわたる海外経済協力というか、経済援助の結果というものがこうした排日運動であった、こういう事実に対して政府はどのように考えておられるか。私は、このアフリカ基金に乗り出す前に、まずこうした点について、日本側として一つの反省というか、そういうものを明らかにすべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょう。
○水野政府委員 いま河上先生の御指摘のような社会的な事件がタイ国やシンガポールで起こっていることはよく存じておりますけれども、これは、私は、直接日本の援助という問題と関連があるというよりも、むしろ日本の海外の進出企業がそこで強大、国際的といいますか、その土地においては非常に大きな力を持っていて、その民間企業がいろいろな行動をとるというところにきているのではないかと私は思うのであります。もちろん、これまでの東南アジア諸国に対する援助方式その他において、たとえば借款の条件が、先ほど申し上げましたようにひもつき援助であるとか、そういったことも大きく作用しておりますけれども、私は海外援助そのものがそういう事件を起こしたのじゃなくて、その背景に、社会的な事件でございますから、海外に進出している企業の人たちのものの考え方とか、あるいは日本人的な利益追求を一生懸命にやるというような形から起こってきている事件ではないか、こういうふうに私は思っております。
○河上委員 経済援助というものが、たとえ初めは善意で出ても、一種の経済法則から、結果的には搾取という形になる、そういう側面があることを、私はもっと政府は深刻に考えるべきじゃないかと思うのであります。 そこで、ちょっとお伺いいたしますけれども、最近十年余りの対外経済援助を中心とした日本の経済進出というものの中で、現在いわば累積といいますか、投資残高というものがどのくらいになっておるか。技術的なことかもしれませんけれども、ちょっと伺いたいと思います。
○水野政府委員 たいへん恐縮でございますが、いま手元に数字がないので、すぐ電話で調べて持ってまいりますが、質問が終わるまでにお答えできるように準備いたします。
○河上委員 それでは、また資料が出てまいりますのを待ちますけれども、そろそろいままでの経済援助の返済という問題が起こってくるんじゃないかと思うのであります。返済が始まりますと、東南アジアを中心として、日本が援助したあるいは投資した、そうした投資の流れというものが逆に日本に流れてくる、逆流が起こる可能性というものがそろそろ出てくるんじゃないかと思うのであります。したがって、現在の投資残高というものと、それから返済との関係ですね、それもついでに教えていただきたいと思います。
○水野政府委員 御指摘のように、投資ないしは借款の返済の期間に入っておりまして、現にそういうものが入ってきております。しかし、国によりましては、たとえば支払いができないということで、その借款を再度繰り延べている国も相当数にのぼっております。
○河上委員 これは経済援助というものに伴う非常に基本的な大事な点でありますので、これからアフリカ基金というものに参加する場合、あるいは東南アジア諸国に対する経済援助をさらに進める場合に非常なポイントになると思いますので、ひとつ正確な数字を教えていただきたいと思います。 そこで、アフリカ基金に今回政府としては積極的に参加する、こう言っておられるわけでありますけれども、アフリカ基金に参加される意図というものをこの際明確にしていただきたいと思います。
○水野政府委員 先ほどの答弁で、ちょっとはっきり申し上げなかった点がございますが、いま返済期間に入っております金額その他について、これもいま数字を調べ出しまして、御質問の終わるまでに提示をしたいと思っております。 アフリカ開発基金に参加しました理由は、いま河上先生のこれまでの御質問に何カ所かございましたように、これまでの日本の海外援助の方式の中に、確かに経済的な摩擦を起こすような問題があったことも否定できないわけでございます。特にこのアフリカ開発基金が設定されるようになりまして、その機構その他からいいまして、アフリカ諸国の発言権というものが、この基金では非常に尊重されておりますし、この基金に積極的に参加することが、将来日本のアフリカ諸国における交流に対しまして非常に有効でもあり、あるいはアフリカの諸国は、御承知のように発展途上国の中でも後発途上国でございますので、これらの国に経済力をつけさせる意味においては、この方法が一番賢明であろうというようなことから進んで参加をしたわけでございます。
○河上委員 いまの御答弁を伺いましても、ちょっとうかがわれるわけですけれども、アフリカ基金に進んで参加する理由というものをもう少し明確にしてこの大きな事業に乗り出さないといけないんじゃないかという気が私はするわけであります。そしてまた、先ほど来私が申しておりますような東南アジア経済援助の失敗というものがどこからきたのかということをもう少しはっきりしていただくことが必要ではないかと思いますが、この問題は非常に重要ですので、またぼつぼつあとから御質問させていただきたいと思いますが、いまのアフリカ基金について従来とは違うんだ。ボートの発言権を割り振りするにつきましていままでとは違うんだという点を非常に強調されておるわけでありますが、東南アジア経済援助の一つの主軸になりましたアジア開発銀行と今回のアフリカ基金との違いというものはどこにあるか、伺いたいと思います。
○水野政府委員 河上先生御指摘の点でございますが、アジア開発銀行の場合は、まず第一に加盟国がエカフェの加盟国及びその準加盟国さらにエカフェの域内国及びその他域外で先進国、要するにアメリカとかヨーロッパ諸国などが参加できるという点に大きな違いがございます。またさらに投票権、融資を決定するとかプロジェクトを進めるというような投票権において出資が一万ドルについて一票というような計算で成り立っておりますから、どうしても金をよけいに出しました先進国に大きな発言権があるということになっております。この点、アフリカ開発基金のほうは、全体の投票権のうちの五〇%をアフリカ開発銀行が発言権を持っておる、投票権を持っておる、こういうふうになっておりまして、組織的にも開発基金の総裁はアフリカ開発銀行の総裁が兼務をしている、あるいは事務局も大体兼職をしているという形式になっております。そして五〇%の発言権を持っておりますアフリカ開銀というものは、完全にアフリカ諸国だけで結成されているわけでありまして、運営の総裁もアフリカ諸国の中で握っておりますし、いろいろなボートに際して決定権は五〇%がアフリカ諸国にある、こういう組織になっておりますので、私はアジア開銀の場合よりは非常にアフリカ域内国の発言を尊重した組織であろうと思います。こういうふうになった背景には、アフリカ諸国は独立後間もないわけでございまして、いわゆる旧植民地時代にあった旧宗主国とのいろいろな感情問題というものがあるためにアフリカ諸国に発言権を持たせたんだ、こういうふうに理解をしております。
○河上委員 少し実務的なことを伺いますけれども、アフリカ基金というのは、政府の御説明資料によりますと、アフリカ開発銀行というものがもとにあって、それだけでは資金量が十分ではないということで、今度は域外諸国の協力を仰ぐということでアフリカ基金というのができた。しかし依然としてアフリカ開発銀行が中心であるというお話でございます。 そこで一つ伺いますけれども、大体アフリカ開発銀行及び今度できるアフリカ基金の職員の規模というのは大体どのくらいのものですか。
○菊地説明員 お答え申し上げます。 アフリカ開発銀行の職員は大体二百名でございます。それで先ほど政務次官からも御説明申し上げましたとおり、今度できますアフリカ開発基金は総裁以下事務局職員はすべて開発銀行のほうからのスタッフにやっていただくという形態になっております。
○河上委員 日本はこれにもし参加する場合、こういう事務局にスタッフを送るつもりがあるのかどうか。また理事会の構成があるわけですけれども、これちょっとできるかどうかわからないのですけれども、もしできるならばこういう理事会に日本から人を送りたいというような気持ちがあるのかどうか。その点伺っておきます。
○水野政府委員 このアフリカ開発基金の理事は十二名でございまして、そのうちの六名は先ほど申し上げましたようにアフリカ開銀の理事が兼務することになっております。その形でアフリカ諸国の利益を代弁することになっております。残りの六名はアフリカ開発基金に出資する国が占めることになっておりますが、日本の出資比率の千五百万計算単位で計算をしますと投票権の比率が一八%弱ありますので、日本で単独で理事一名を出すことが可能性はあるということでございます。ただ現在は理事をだれにするとか出そうとかいうようなことはまだ考えておりません。 また、職員の問題でございますが、職員のほとんどは先ほど参事官が申し上げましたようにアフリカ開発銀行の職員に仕事をやらせるわけでございますけれども、日本人もこの開発基金の職員として活動する道は、総裁が要員雇用の拡大をすることができますので、決してふさがれているということではございませんし、将来そういうところにも日本人が進出していくことはけっこうなことではないかというふうに思っております。
○河上委員 それで大体いま政府がどうお考えになっておるかある程度わかったような気がいたしますが、アフリカ基金というのはいわゆる多国間援助というふうに言ってよいと思うのでありますけれども、いろいろいただいた資料を見ますと、アフリカに対してはフランスなどは非常に二国間方式を多用しているわけでありますし、また中国、ソ連なども大体二国間方式が非常に多いわけです。わが国ではアフリカというと非常に遠いというようなこともあろうかと思いますけれども、アフリカ基金による多国間援助にすべて乗っていくつもりなのか、それともすでに従来幾つか行なわれております二国間方式を今後も続けていくつもりなのか、あるいはまた両者を併用していくつもりなのか、その点を伺いたいと思います。
○水野政府委員 日本のアフリカ諸国に対する経済援助は、これまでこのアフリカ基金はまだ設立されていないわけでございますから、二国間の援助で、大体現実には相手側の政府がいろいろなプロジェクトを設定しまして、日本側に借款を申し込んできてそれをやる、何年計画でやるのかという形で進んでまいりまして、やっております。ここでアフリカ開発基金が設定されて日本も出資をするわけでございますけれども、今後は多国間で協調してやる問題はこのアフリカ開発基金でやっていく、またアフリカ開発基金だけでは御承知のようにまだ集まる金が非常に少ないわけでありますから、できないような問題あるいはアフリカ域内諸国でも必ず一つのプロジェクトについていろいろな競争とか離反する問題もありますから、これは二国間援助でやっていく、二つの方式でやっていきたい、こういうふうに思っております。
○河上委員 そうしますと、先方の要望に応じてそれぞれ多国間方式あるいは二国間方式というものを併用していくというふうに判断してよろしいかと思いますが、それでよろしいわけですね。
○水野政府委員 そのとおりでございます。
○河上委員 それではいままでアフリカ諸国に対してどういう国について二国間援助を行なってきたのか、またその援助内容というものはどういうようなものであるか、そういうことをちょっとお伺いしたい。
○水野政府委員 内容がかなりありますので、簡単に申し上げますと、ウガンダに約十億円、タンザニアに二十億円、ケニアに対しましては二十億円、ナイジェリアに対しましては百八億円、エチオピアに三十七億円、ザンビアに九十二億円、合計約三百九十億円の援助をしております。
○河上委員 東南アジア経済援助につきまして多くの国から出てまいりますのは、つまり先方の国、相手国あるいは国際的なレベルにおきまして非難といいますか、不満が漏らされておりますのは、日本の経済援助の金利あるいは返済期間、据え置き期間等、いわゆる条件においてどうも日本のほうはきびし過ぎるのじゃないか。高利貸し的に金を貸してはあまり余裕も置かずにどんどん持っていってしまう、そういう不満があるんでありますけれども、アフリカ諸国に対しまして、従来どういう程度のことをやってきたのか、条件ですね、それをちょっと伺いたい。
○水野政府委員 これは実は最初の昭和四十一年ごろは金利が五・七%、償還期限が十八年というような、これはウガンダに対してですが、融資条件、借款の条件になっておりますけれども、四十八年、ことしの一月に行なわれましたザンビアに対しましては四・七五%金利にしまして、返済期間は、七年据え置きの二十年というふうにだんだんと改善をされております。
○河上委員 すでに政府も昨年日中国交回復に踏み切られたわけでございます。したがってアジアを中心としていま起こっております世界情勢の流れというものは十分御存じかと思いますけれども、何といってもいまは中国との対話の時代といいますか、それに入ったというふうに言うことができると思います。そういう点から見まして、経済協力のあり方についても、中国の存在を無視できないと思うのであります。中国のタンザン鉄道に対する援助というものがありますが、中国の場合の援助の内容、これは大体一九六〇年以降は、原則として無利子、返済期間は二十年から二十五年、据え置き期間は十年というようなやり方が行なわれているわけでございます。この各国のいわゆる経済援助に対する条件というものから、日本政府は相当のインパクトを受けるのではないかと思うのでありますけれども、こういう援助の条件について、今後どういう方向で進めていきたいと考えておられるか、また進めなければならない、こうしたいけれどもできないというような問題もあるかもしれませんけれども、こういうふうにしていきたいというようなことを、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
○水野政府委員 先ほど申し上げましたように、日本の対外援助も年を追って金利の引き下げ、あるいは償還期限の延長というようなことは行なわれておりますけれども、さらに金利を引き下げていくあるいは償還方式をもっと繰り延べる、捉え置き期間を長くするというような条件に改善をしていきたいというふうに思って、関係省庁の間でいろいろ検討しております。
○河上委員 それはけっこうなことだと思いますが、いままで日本が経済援助をやった場合の最高の条件というのは、どこの国に対してどの程度であるか。ソ連の場合は御承知のとおり金利がだいぶ違いまして二・五%くらい、返済期間が十二年程度ですか。中国の場合は先ほど申し上げたような無利子というような原則があるわけです。日本の場合は大体平均がいまどのくらいで、若干ばらつきがあるようですけれども、最高の条件はどこの国に対してどのようにやっているかお聞かせいただきたいと思います。
○菊地説明員 お答え申し上げます。 現在日本政府のやっております政府開発援助で、特に借款で一番条件がよろしいのはインドネシア及びビルマに対します年利三%、償還期間二十五年というのが一番いい条件になっております。それから平均条件はどうかというお話でございますけれども、おととしの統計しかまだございませんけれども、おととしの統計によりますと、大体日本の借款の平均条件は三・五%、償還期間二十二年くらいになっております。
○河上委員 政務次官にちょっと伺いますけれども、たとえば中国のタンザン鉄道、タンザニアとザンビアを結ぶタンザン鉄道というものについてどういうふうな印象を持っておられますか。
○水野政府委員 タンザン鉄道の概要というのは、資料を取り寄せたものを申し上げますと、総額四億ドルになっておりまして、先ほど河上先生御指摘のように、中国は八原則というものでやっております。中国はタンザニアに対して、自国のイデオロギーや何かを前に出して援助に対する条件とするとかそういうことでは全くなくて、何といいますか、タンザニアに対する経済復興を援助するという形をとっておりますけれども、アフリカ全体において中国の経済的な力であるとか国力というものを認識させるために、特にここに力を入れて援助をしているんではないかというふうに私は感じております。
○河上委員 タンザン鉄道につきましては私もあまり詳しくは知りません。昨年でしたか、中央公論で紹介されたかなり詳しいレポートとその他若干の資料を読んでいるにすぎないのでありますけれども、しかし、あの二国は必ずしも中国に初めから結びつくつもりはなかったのでありまして、西欧側にも援助を求めた。しかし、西欧側は、いろいろ調査をした結果、これは経済性なしということで、援助を断わった。それに対して中国側が、その経済性というものはあるという一部の少数意見の報告も参照したんではないかと思いますけれども、何よりもアフリカの人民の要求するものに先進国として奉仕すべきであるという立場でこれに応じた結果、この二つの国は、必ずしも中国のそれはイデオロギー的な接近を意味するものでないということを何度も確認しながら中国と協定を結んでいるわけでございます。今後はおそらくアフリカ諸国は、東南アジアにおけるように、いわゆる自由主義諸国、あるいはそうでない国々というような、二つにさい然と分かれた形で相手国も対応するというのではなくて、あくまでもアフカリの自主性というものを前提としながら、自分たちの自主性に呼応してくれる、それを尊重してくれる、自分たちの開発にほんとうに協力してくれる国を選ぶ、そういうような選択で臨むんではないかと思うのであります。したがって、これからのアフリカ基金あるいはその他の形のアフリカに対する経済援助というものは、少なくとも東南アジア諸国に対して行なってきた態度とは全く違った態度が必要じゃないかと私は思うのであります。 先ほどアフリカ基金の機構につきまして私が伺いました限りにおきましては、アジア開銀などと違って、アフリカの域内諸国の意向というものがその開発基金の使い方にも当然大きく生かされるということであります。それならば非常によいことでありますけれども、しかし、こちら側の態度が単に東南アジアの次はアフリカだ、あるいは東南アジアの次は中東だというような形では非常に困るんではないかと思うのであります。そういう意味で、確かにタンザン鉄道に対する中国の協力というものがアフリカ諸国に非常な感銘を与えた。また、例の八原則は、周恩来首相がアフリカ諸国を歴訪されたときに発表されたものでありますけれども、それが非常な感銘を与えて、先般の中国の国連加盟の場合のアフリカ諸国の投票に相当な影響を与えたことは事実であります。しかし、その根本は、やはりアフリカの自主性をもっと尊重するということにあると私は思うのであります。その意味で、政府当局の責任者から、このアフリカ基金に臨むにあたっては、従来の東南アジア諸国に対するものとは違うということをもう一度明確にしていただきたい、私はこう思うのであります。
○水野政府委員 アフリカに対します開発援助というのは、河上先生の御指摘のようないろいろな問題点を含んでおりますけれども、日本がアフリカ諸国でヨーロッパの先進諸国よりも受け入れられて非常に喜ばれているということの一つは、日本はアフリカ諸国にかつて植民地を持ったこともございませんし、あるいはここで何か国際的な紛争を起こしたというような問題も持っておりません。それだけにまた非常に遠隔の地にあるということもありますので、アフリカ諸国としては日本に対して経済的な脅威というものもあまり感じていない。むしろ日本の最近の技術であるとか経済的な発展というものに対して、これを利用していきたい、日本の手持ち外貨が非常に多いということが国際的に云々されているだけに、逆にこれを利用していきたいということで、アフリカ諸国はいま、私が政務次官になりましてからも数カ国の方々が見えまして、いろいろな形で日本に借款その他経済援助の要望を持ってきておられます。これに対して、全部をお受けするというわけにはいかないのでありますが、しっかりした計画であるとかいうようなものについては進んでやっていきたい。その中で、先ほど申し上げましたように、借款の条件も、金利を引き下げていく、あるいは据え置き期間の延長並びに償還期限もだんだんと引き延ばしていくという形で二国間の開発援助というものは進めていきたいと思っております。 また、同時に、このアフリカ開発基金に進んで参加をいたしますのは、二国間だけで解決のつかない問題——といいますのは、やはりいろいろな形で外国の資本が入ってくることをいやがるような国もありますので、そういうところに対してはアフリカ開発基金、実際にはアフリカ開発銀行というものを通じてこのアフリカ開発基金は使われるわけでありますけれども、これを通じて融資の形でやっていく。そして国際的な協調の中でこの融資基準その他もこれからきめられるわけでありますけれども、非常に有利なものにしていきたい。そうすることによって相手国の立場を尊重していける、こういうふうに考えております。
○河上委員 非常に積極的な御答弁をいただいてけっこうだと思いますが、私は、アフリカにつきましては、あるいはいまおっしゃったようなことがあろうかと思うのでありますけれども、非常に心配いたしますのは、何といっても東南アジア諸国に対する経済援助で私どもは率直に言って非常に大きな問題を残しておる。失敗ということは政府としては言いにくいかもしれませんが、非常に大きな問題を残しておる。そしてまた中東地方に対しましては、最近資源確保というような意味から、中東の油田を持っております産油国に対します経済的な攻勢というのが非常に話題になっておるわけでございます。こういう点から考えまして、アフリカ基金に臨みます場合に先立って、やはり東南アジア諸国の失敗がどこにあったかということをこの機会にもう少しはっきりと反省し、また先ほど政務次官も答弁されましたような姿勢で臨むというならば、そのことを非常に効果的に、事実をもって、また言動をもって示すような機会をつかむほうがいいのじゃないかと私は思うのであります。 私どもが考えますのに、何といっても東南アジア諸国に対する経済援助で非常に問題があったと思いますのは二点あると思うのでありますが、その一つは、輸出第一主義でまいりまして、そして国内の国民の福祉を第二義的に考えた結果、外貨が非常にたまったというようなここ十数年の一つの事実があるわけでありまして、輸出第一主義ではなくもっと国内福祉優先に切りかえるべきであったのではないか。先ほどお話がありましたように、日本は外貨がたまっているからというお話でありましたが、そのたまっている原因は何であったかということをこの機会にもう一度反省すべきではないか。 それから第二点としては、東南アジア諸国の場合はいわゆる共産圏と自由主義諸国と分けて、実際には自由主義諸国にだけ経済援助を出す、つまり南北問題に東西問題の冷戦構造を持ち込んだというのが非常に大きな問題点だったと思うのであります。先ほど、日本で一番いい条件はインドネシアであるというようなお話でございましたけれども、そういう中にも若干そういうにおいを感ぜざるを得ない面もあるわけでございますが、こういう二点につきまして、この際、日本としてはもう一度よく考え直すということが必要ではないかと思いますが、政府はその点についてどうお考えになりますか。 それと、もう一つは、現在非常に大きな通貨不安に世界は脅かされているわけでございますけれども、世界的な通貨不安の中で経済援助というものが今後どういうふうになっていくだろうかというような見通しにつきましてもついでにお聞かせいただきたいと思います。
○水野政府委員 アジアのいままでの援助方式について反省をするということについては、反省をする点もございますけれども、私は大いに開発の役に立っている点もあろうと思います。たとえば先ほどのインドネシアやビルマに対する援助方式などは、私は大いに誇っていいものではないかと思っております。ただ、これまでの援助方式が輸出第一主義という御指摘がありましたように、ひも付き援助である。借款のワクを与えておいて、そのワクの金は日本から資材なり商品を買わなければいけないというような条件をつけておりました。しかし、これは最近、たとえば先ほど中曽根通産大臣がタイに行かれて通商交渉をせられた際にもひも付き援助を廃止するという約束をしてこられましたように、反省と同時に新しい方向へ向かっております。この点はひとつお認めをいただきたいと思います。 それから共産圏に対して、アジアの情勢というものは御承知のような、これまではベトナム戦争とか朝鮮の緊張とかいろいろな問題がありましたので、片寄っていた点もありますけれども、現実には社会主義圏にある国は日本としてはこれまであまり承認をしておりません。たとえば朝鮮民主主義共和国でございますか、それから北ベトナムにしましても承認をしておりません。こういう国家に対してはこれからの問題であろうと思います。特にベトナム援助についてはポスト・ベトナムの問題としていま出てきておりますが、政府は南ベトナムに対すると同様に北ベトナムに対しましても同じような態度でこの復興援助には望むという態度をきめております。 それから先生の御指摘の問題で、共産圏であるのと非共産圏であるのと区別があるということでありますが、たとえばシアヌーク政権下のカンボジアであるとか、あるいはビルマのような非同盟中立の国に対しましてもこれまで進んで経済援助をいろいろやっております。特にビルマに対しては、これまではビルマ政府自身があまり借款その他の問題を希望しなかったのでありますが、最近は非常に積極的にこういう期待を向こうから寄せてきておりますので、ビルマ政府に対してはいろいろと考えていくという姿勢でございます。 それから国際的な通貨不安によって日本の対外援助というものが混乱するのではないかというような御指摘がありましたが、御指摘の面の一つは、円建ての場合に相手国の通貨の変動によって支払い額が実質的にふえるというような問題が出てまいります。この点はあろうと思いますが、そのほかについてはそれほど差し迫った経済援助の混乱は、私はいまのところ生じていないということを申し上げる次第でございます。
○河上委員 第二の点につきましては、われわれのほうからということではなくて、後進国といいますか、開発途上国といいますか、経済援助、経済協力を受けるほうの側が世界的通貨不安の中でどうなのか、また、たとえばアフリカ基金そのものが将来どうなのかというような問題をちょっと伺いたかったわけでございます。その点をちょっと、専門家の方でけっこうですから……。
○水野政府委員 アフリカ開発基金の場合は、先生のお手元に差し上げました資料にありますようにドル建てではございませんで、計算単位になっておる。一計算単位というものは、私いま詳しい数字は覚えておりませんが、金に対する比率でございますからその点は変動がない。日本の出資比率は千五百万計算単位でございますが、ドルに直しますとたしか千六百数万ドルという形になろうかと思います。
○河上委員 時間がそろそろまいりますので、最後に、きょうの議題からちょっとはずれるわけではございませんが、いまその援助問題、援助精神ということについて論じておりますので伺いたいと思うのでありますけれども、日本政府のこのベトナム復興援助に対する姿勢の問題でございますが、復興援助をする根拠というのは一体どこにあるのか。実はこの前のパリ協定の、これは第八章になるのですか、第二十一条に、復興援助のことに言及されているわけでありますけれども、次のように述べておるわけです。「合衆国は、この協定がベトナム民主共和国及びインドシナ全人民との和解の時代を開くものであることを期待する。合衆国は、その伝統的な政策に従って、ベトナム民主共和国及びインドシナ全域の戦争の傷跡の回復並びに戦後の再建に寄与する。」こういうふうに述べております。ここに述べられておりますのはアメリカの場合でありますが、アメリカの場合の姿勢がここにはっきり述べられておるわけです。大平外務大臣はしばしば、パリ協定を尊重するという言い方をしておられますけれども、この復興援助に日本が参加する、まあ要望があればということでありましょうが、参加するという場合に、一体どういう根拠で臨むのかということが、これまでの御答弁の中ではあまりはっきりしておりません。何かお祭りがあるからおつき合いで金を出すような、そういうふうな言い方では非常に不謹慎でございますが、それに近いようなことでは、たいへん困ると思うのです。ベトナム戦争当事者であるアメリカの場合はこういう言い方がしてある。このアメリカの方針に協力するということを言明してこられた日本政府としてはどういう態度であるのか、そこをちょっと伺うことが、東南アジア経済援助の失敗というと非常にことばは言い過ぎかもしれませんが、それに対する日本政府の一つの反省のあかしにもなるんじゃないかと思うのであります。 私、このパリ協定を見ましたときにすぐ思い起こしましたのは、昨年の十月三十日付のニューズウイークに、ファン・バン・ドン首相とニューズウイークのボルシグラーべという特派員との独占インタビューが掲載されておりました。そしてその最後のほうに次のような質問があったのを思い起こしたわけであります。つまり、記者はファン・バン・ドン首相に対しまして、戦後の復興期におけるアメリカ合衆国の役割りをあなたはどう考えるかと質問したのに対して、ファン・バン・ドン首相は、二つある、第一は、アメリカはわれわれに加えられたすべての物質的な損害に対して責任を負っておる、第二に、アメリカはわれわれの破壊された経済の再建に寄与する絶対的な義務を負うている、こういうような言い方をしておるのでございます。私は、このファン・バン・ドン首相のことば、言い回しというのが、ほぼそのまま今度のパリ協定に載っているんじゃないかというような気がするわけでございます。したがって、パリ協定にあることばでありますが、合衆国は、その伝統的な政策に従って、ということばの中には、アメリカとしては罪滅ぼしということはなかなか言いにくいからこういう言い方をしたのだと思うのですけれども、やはりそこに、ことばのニュアンスとしては相応じているものがあるというふうに感じているわけでございます。戦争当事者であるアメリカはこういうふうな言い方をしている。じゃ日本はどういうつもりでこの復興援助に臨むのか、そのことを伺いたいと思います。
○水野政府委員 日本は、ベトナム戦争については御承知のように当事国では全くございません。ですから、日本が過去のベトナム政策について反省をするとか、そういったような意味で、将来北ベトナムに対して援助をする場合にも、そういうような考え方からしようというわけでは全くないことを申し上げておきます。ただ、パリ協定の精神を尊重するという外務大臣の発言は、ベトナムの和平協定の成立を見たこの事実というものを踏まえて南北両ベトナムの間の和平を定着さしていきたい、南北の平和共存を促進する、政治体制の相違を越えて民生安定のために援助が必要である、こういう見地から、自発的に南北両ベトナムに対する援助を実施していきたい、こういう考えでございます。先ほど先生が、何かお祭り騒ぎのような形でベトナムの復興援助に参加するのではないかというような御指摘がありましたけれども、政府の中には、そういう考え方は全くございません。ただ、ベトナム停戦後に、私なんかも感じた点でございますけれども、何かマスコミその他の扱い方がポストベトナムということに一斉に集中した感がありまして、そういう誤解をしておられるのではないかと思っております。
○河上委員 いま私が申しましたのは、いわゆるアジア諸国にいる人間としておつき合い的な意味でということでございまして、何かお祭り騒ぎというような意味ではないのであります。そういうことではなくて、もう少しベトナム戦争というものにいわば痛みを感じて復興援助というものに参加する姿勢が日本政府にあってほしい、そういうように私は考えたので、そのように御質問したわけでございます。 今回のアフリカ基金の問題は、日本にとりましては初めてのことでございますので、私ども、もう少し詳しくそれぞれの条文の意味合いというものを検討さしていただきたいと考えておりますけれども、きょうの政府の御答弁で、ある程度政府がこの問題に対してどのように臨まれようとしているかということがわかったように思うわけでありますが、なお何といっても非常に重大なことでありまして、今回の、額そのものはそれほど大きくございませんけれども、東南アジアに対する経済援助が、最初は小さいところから始まって、今日、プラスもあったでありましょうけれども、非常に多くの問題を残したことを考えますときに、まず第一歩が大事だと思います。その意味で、なおもう少し機会を与えられますならば検討さしていただきたいと考えております。 最後に、あらゆる、対外援助のみならず外交姿勢一般でありますけれども、日本の従来のやり方は、ともかく次々と起こってくる状況にうまく対応するのはたいへん能力はあるわけなんですけれども、やはりこれからは原則を持って臨むことが非常に大事だと思います。中国の対外経済援助八原則というものが、たしか一九六三年ですか、あるいは違っておりましたら失礼でありますが、周恩来首相がアフリカ諸国を歴訪されたときに発表されまして、それが今日のタンザン鉄道のあの大事業に結実しているわけであります。そういうことを考えますと、これからはやはり原則的な態度を常に明らかにすることを私は希望したいと思います。 以上、希望を述べまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
○菊地説明員 先ほど御要望のございました数字でございますが、民間の対外投資につきましては、その金額を示すものといたしまして許認可ベースの統計がございます。これによりますと、去年十二月末で累計六十二億五千五百万ドルでございます。それから、直接借款と申しまして、政府が出します政府ベースの直接借款の数字を申し上げますと、ことしの二月末で貸し出しの実行額の累計が七千七百五十三億五千六百万円、回収されたものが千六百五十一億二千二百万円、したがいまして、債権の残高は六千百二億三千四百万円でございます。
○河上委員 どうもありがとうございました。また後ほど資料をいただきたいと思います。きょうはこれで終わります。
○藤井委員長 金子満広君。
○金子(満)委員 アフリカ開発基金の問題について政府の考えていることを伺いたいと思います。 政府のいういわゆる海外援助、私は援助ということばはあまり好きなことばじゃありません。正確にいえば海外に対する経済協力というほうがよりベターだと思いますが、いままで海外に対する経済援助という中では、たとえばサイゴン政権に対してどうだとかあるいは韓国、南朝鮮あるいはまた台湾の蒋介石政権、こういうものに対していろいろやってきた経過があるわけです。こういう中で、その是非ということ、これももちろん明らかにしなければならない性質の問題でありますが、同時に、いま提起されているアフリカの開発基金の問題について言うならば、御承知のようにアフリカの大陸は、一九五〇年代の終わりから六〇年代の当初にかけて、よくいわれた暗黒の大陸といわれるあのアフリカで、それぞれの地域で列国の植民地支配のくびきを次々に断ち切って、多くの国々が独立をしました。これは確かに世界史的なできごとだったと私も思うわけでありますが、そういう中で政治的には独立を達成した。しかし、まだまだ経済の問題についてはそれぞれが開発途上国にある、こういう中で、アフリカに対する列国のいわゆる経済援助というものは、幾たびかトラブルを起こしているわけです。たとえばコンゴのカタンガの資源をめぐって、アメリカやイギリスやフランス、ベルギーがいわゆる争奪戦をやったということも記憶にあるわけですが、こういう中で日本政府が、このアフリカ開発基金について積極的な姿勢で臨むということでありますから、私は、一般的にいって、先ほども質問があったようでありますが、いわゆる海外援助について、日本政府の原則的な立場というものはどういうものなのか、その点をまず最初に明確に伺いたいと思うのです。
○水野政府委員 相手国の立場に立って、相手国の経済復興に協力をしていくということが大原則でございます。ただ、この場合に、先ほど河上委員の御質問に対するお答えの中にもございましたけれども、やはり融資基準とかいろいろな条件がありまして、全くその援助をしたものが死に金になってしまう、こういうようなものに対しては、現実としては行ないにくいという問題がございます。
○金子(満)委員 私は、一般的に、これは原則的なことでありますが、経済、技術の交流、協力というものは、平和、中立の原則、つまり社会体制がどのように違っていても、すべての国と平和五原則に基づいて行なうべきだ、これは平等互恵の立場でなければいかぬ。物質的に一定の水準にあるものが、物質的に一定の水準以下にあるところに対して、支配をするあるいは押えつける、ひもをつける、こういうことはあってはならない、これが一つの問題だと思うのです。もう一つは植民地主義、これにはもちろん反対しなければならぬ。同時に、日本の大企業が経済援助をしようとする相手国、その相手国の主権を侵してどんどん大企業が進出をする、経済的な侵略をする、こういうようなことはどのような名目にしろ押えていかなければならないことだ。相手側の自主性と同時に、こちら側も自主性を持つ、そういう立場で対等であり、平等でなければいかぬと思うのです。同時に、この経済、技術の交流、協力というものは、もちろん社会進歩を目ざすものであり、国際的な連帯を強化するという原則で行なっていくことは当然であります。全体として全人類の社会進歩のために積極的に貢献をする、こういうことでなければならないと思うわけです。金利がどうであるとか、貸したら取れなくなったとか、こういうことは二の次、三の次の問題であって、原則的なものはそうだろうと思うのです。サイゴン政権に対して、日本政府がこれまでとってきた立場というのは明白に誤りだ。これは、先ほど次官は参戦国ではないということを言われましたけれども、ベトナムに対して日本政府がこれまでとってきたことは、歴史の経過、そして現実に起きている事態に照らしてみて、正しくなかったことは明白だと思うのです。サイゴン政権が全ベトナムを代表し、支配するものであるという見地で、サイゴン政権との外交関係を結んだことは、隠れもない歴史的な事実であります。そしてその後の歴史的な変化の中で、大臣もよく言われることばでありますが、歴史的な重い荷物を現在背負っているということばの中には、私は表現は違うけれども、かつてのことは正しくなかったという一面が必ずあると思うのです。そうしていまやサイゴン政権がベトナム民主共和国に支配が及んでいないなどということは、これは世界周知の事実でありますし、日本政府もいまさらサイゴン政権の支配がここまで及んでいるとはもちろんいえない。ましてや南ベトナムにおいて二つの政権の存在も外務大臣は認めておるように、サイゴン政権の支配が南ベトナム全体に及んでいないということも事実として客観的にお認めになっている。こういうようなことの中で、私は経済援助についても、原則というものが非常に不明確であって、そのつど一定の条件が出てくると、そのすき間を縫っていわゆる海外進出をするということが、どうしてもいままでの政府の経済援助政策の中にあったし、だからこそ反発も受けているのだ、こういうふうに思うわけです。そういう中でこのアフリカ開発基金の問題について、具体的に若干の質問をしたいと思うのです。 それは、この協定の内容が非常にむずかしい日本語で書いてあるのですね。これは無理にわかりづらく書いたわけではないと思いますけれども、非常に難解な文章であるわけです。一つは第十五条の「融資の条件」のところでお聞きしたいと思うのです。「融資の条件」の中の十五条の4(a)というところですね。「その資金は、参加国又は構成国の領域内で生産される物品及びそれらの領域から提供される役務をそれらの領域内で調達するためにのみ使用される。」これはどういう意味かという問題であります。この点について伺いたいと思うのです。
○松永政府委員 この規定はほかの同種類の条約、協定にもある規定でございますけれども、この協定に従いまして融資されましたところの資金、それがその資金によって調達されます物品ないしはその役務の調達の範囲をこれらの国の領域内に限定するという趣旨だと思っております。
○金子(満)委員 そこで、私もそのように思うわけですよ。そうしますと、ここでこういう問題が出てくるのですね。融資された資金を相手国が使うにあたってどんなことになるだろう。融資をした国から調達をする、これはひもつきにならざるを得ない。もちろんアフリカ開発銀行そのものも調達先にはなっているわけですが、技術開発のおくれているアフリカの諸国は結局その技術をどこにたより求めるかということになれば、いやおうなしに世間でいわれるところの先進国に求めざるを得ない。融資を受けるアフリカの諸国というものは、自分の国の開発にとって有利な協力先というものをこの場合は自由に選べない、そういう結果になると思うのです。それからまた融資を行なう国にとってみれば、調達先として一定の地位を法的に獲得できる、認めさせる、こういう結果にならざるを得ない。こういうことになりますと、詰まるところは、この協定は経済とか技術とかの協力ということを望むアフリカの諸国に対して、経済社会開発の援助ということを名目にしてそれぞれの融資国、つまり基金を出している国の大企業がそこに進出をする道をあけるようになる、こういうことにならざるを得ないと思うのです。もちろんこの二十一条では政治問題に干渉してはならないという意味のことが書いてあります。これはもう当然のことでありますが、融資条件のほうの十五条ではそういう点でワクとひもとついている。これはお金ですから、当然一定の条件がつくのはあたりまえだという御意見だろうと思うけれども、この点はどのようにお考えになりますか。
○水野政府委員 ある意味では金子先生御指摘のとおりなんでありますけれども、私はこれは一つは考え方を変えていただければおわかりになると思うのであります。それはアフリカ諸国で期待をしている開発の協力というものは、アフリカの域内諸国だけではできない問題があるわけであります。これはたとえばダムの建設にしましても発電所の建設にしましても、アフリカ諸国だけではできないわけであります。そうすると、どうしても外国から金を借りなければならない。ただし、これは一カ国ではいろいろな拒絶反応があるから、多国間で集まって出した金から借りよう、こういう形式になっていることがこの基金の性格でございますけれども、その際に、やはりこれは現在十三カ国、近いうちに十五カ国の出資国が参加するわけでありますけれども、やはり出資してくれる国に対しましてその国からいろいろな技術なりたとえば発電所なら発電機というものを買ってやるという条件でなければ、私は先進諸国もなかなか参加してこないと思うのであります。これはしかもたとえばその場合にも、日本がたくさん金を出したから日本から買わなければならないという条件ではないわけです。日本を含む十何カ国から買っていいという条件であります。私は国際的に安くて非常に技術の高いものを選択をすればいいんではないだろうか。このぐらいのことはひとつ認めていただかないと、実際的な問題に遭遇した場合に、非常に後発開発国といわれているアフリカ諸国の発展ということは逆に望めないのじゃないかという気がするのでございますが、いかがでございましょうか。
○金子(満)委員 大体そういう答弁が出るだろうと私も思っていたんですがね。そこで、この四項の(a)というのがあるのです。つまりそこには、「参加国又は構成国」で関連をつけながら区分けをしているわけです。ですから、そういう点で、アフリカの域内でたとえば発電所であるとかあるいはダムであるとかというものをつくる場合に、アフリカの域外から協力を求めなければならぬ、これは仰せのとおりです。そういう場合の協力先というものがどこになるかというので、参加国又は構成国というように区分をしているわけで、ここで運営の点については、私はほかのことは、あまりまだ詳しくほかの協定は研究しておりませんけれども、このものに関する限りは、たとえば運営をどうするかという点では一定の民主的な方法というのがとられている。その限りにおいてはいいと思うのです。しかし最初に私が質問したその懸念というものは依然として残るし、いまの次官の説明でも、その点がなければ参加する国がなくなる。つまり一定の見返りがなければだめだということにことばをかえて言えばいえるのじゃないかと思うのです。特に注目しなければならないと私も思うのは、ここに参加国の名前があるわけですね。日本は確かにアフリカに植民地を持ったことはありません。しかしアフリカにかつて植民地を持った国が相当ここに入っていることも事実です。こういう中で、先進国といわれるものがすべて進歩的で民主的だというものにはならぬわけです。この辺を考えたときに、この十五条のいわゆる融資の条件、その中における四項の(a)、こういう点についてはわれわれは疑いを持たざるを得ないし、こういう点はやはり変えていかなければならぬということを特に考えるわけです。 そこで、もう一つは、アフリカに対して日本の政府が経済行為で全く白紙で手はよごれていない、ヨーロッパのかつての植民地を持っていた国とは違うのだということを先ほどの質問でも言われましたが、私はそういう面は確かに一面はあると思うのです。しかしたとえば南アフリカ共和国に対する日本の経済行為というのは国連の非難の対象になるわけですから、これも一度や二度ではないのです。私の記憶に間違いがなければ、たぶん一九六六年からだと思いますけれども、南アフリカ共和国に対する経済制裁という問題は国連の決議になっておる。日本の政府はこの決議を当時まだ国連に入っておってもそれほど力がなかったとかなんとかいろいろ理屈はつけようはあると思いますけれども、国連の決議に対して逆なことをやっておった、こういう点がいえると思うのです。その点はいかがですか。
○水野政府委員 南アフリカに対しましては、国連その他で日本に対する非難決議があったことは承知しておりますけれども、これは日本が南アフリカに対しましてはいままで、経済協力、経済援助、技術援助その他政府としては一切のそういう行為はとっておりません。これは先生も御承知だろうと思います。ただ、民間ベースで、私なんかも新聞で拝見しましたが、日本の自動車が非常に入っているというようなことが報ぜられておりますけれども、これは全く民間の私企業がやっていることであるというふうに御理解をいただきたいと思います。 それから、先ほどの私の答弁でちょっと不十分な点もありましたけれども、この十五カ国の出資国、署名国の中で、これはこの条文にもありますとおり、旧宗主国も名前を出しておりますけれども、おもなる出資国は、たとえばカナダの千五百万計算単位とか、日本の千五百万計算単位とか、あるいは予定されておりますアメリカの千五百万合衆国ドルであるとかという、旧宗主国でない国が主として出資をしておるということも、御理解をいただきたいわけであります。 それからさらにこれ以外の国であっても、たとえばソビエトや中国は援助方式が違いますけれども、さっきの河上委員にもお答えいたしましたいわゆる二国間方式で援助をしておりますけれども、ソビエトや中国がこれに参加するという道がふさがれているわけではございません。あらゆる国が入っております。御承知のように、この資料にもありますように、たとえば共産圏でもユーゴスラビアのような国も、現にここに二百万計算単位の出資をして参加をしているということを申し加えさせていただきます。
○金子(満)委員 もちろん社会主義国の経済協力の道をふさぐなんてことは、できるはずもないし、そういうことはないことははっきりしているわけですが、いずれにしても、ほんとうに平等で互恵で私の心のない協力だということになれば、アフリカの諸国がその資金を使ってどのような国から何をどのような形で協力を求めるか、援助を求めるかということは、本来全く自由なことなんですね。ところが、アフリカのそれぞれの国がこの基金を利用していろいろのものを調達する場合に、その選択の自由というのは確かに制限されるのです。次官の説明のとおり、制限を受けるのですよ。そのことが私は平和五原則に基づく経済協力の関係ということになると、やはりそれにそむくものになりはしないか、というより、なるというように考えざるを得ないのですね。もちろん、さっき違う答弁でございましたけれども、南アフリカ共和国に対して日本政府としてやったんじゃなくて、民間がやったんだというお答えです。それは私もそうだと思うのです。日本政府株式会社という名があるわけじゃないから、実際そういう行為をやるのは、民間がやるのは当然なんですね。しかし、よく政府が使われることばの中に、行政指導ということがずいぶん言われますよ。この行政指導でこういうものは幾らでも私はできるんだと思う。もうどこの国へ行こうが、船も資材も自由に政府に無関係に港から出ていけるか、そんなことはないわけですから、そういうものについてチェックをつける場所は何カ所も政府機関としてあるわけですね。それを見て見ぬふりをしたのか、もうやらせておけということでむしろ心の中では督励したとは言わないけれども、それを放任しておいたのか。そこで私は伺いたいのだけれども、アフリカ全域に対する日本の貿易の相手国がどのくらいあるか、資料がそこにあればちょっと知らせてほしいと思うのです。
○水野政府委員 アフリカ諸国に対しましては、現在のような日本の経済力でございますから、ほとんどの国との貿易がございます。いまここにある資料だけでも三十数カ国、ほとんどの国と交易をしております。
○金子(満)委員 そこで、私も何回かアフリカに行ってみると、行くたびに、日本の商品がウインドーに出ていることがよく目につくわけですね。ですから、そういう点で、アフリカに対する貿易が年々増加しているということもまた事実だと思うのです。こういう中で、先ほど申し上げましたが、原参加国の顔ぶれですね、これを見ますと、かつてアフリカに植民地を持っていた国がかなり入っている。同時に、これらが今度は共同して、アフリカの開発とか援助とかそういう名目のもとに集団的にひもをつけるということに私はなる、とにかく太いか細いかは別として、ひもをつけ、条件がつくということになると思いますが、この点はどうですか。
○水野政府委員 これは考え方の相違かと思いますが、私は社会主義体制をとっている国が、ユーゴスラビアは別でございますが、これに将来参加するかどうかは別として、これだけの参加国は、ほとんどの先進国を御承知のように網羅しております。旧宗主国であることもありますけれども、ヨーロッパの諸国というのは先進国のほとんどでございます。そうして日本と、北米においてはアメリカ合衆国とカナダが入っておりますから、ほとんどの先進国を網羅している。ですから、先ほどの発電機の議論じゃありませんが、私は自由主義諸国の中からアフリカ諸国が何か物を買う際に求めようとするなら、どうしてもこれだけの国の中から選ばざるを得ないのじゃないかという気がするわけであります。たとえばこの中には、スイスのような永世中立国も入っておりますし、フィンランドのように自由圏と社会主義圏のちょうど間にあるような国も入っているわけであります。私は現在考えられるこれ以上の条件というものはないんじゃないか。現実問題として、先ほども申し上げましたが、数カ国が集まって、ここの中から選べというならこれはかなりな強いひもをつけたということができますが、先進十五国にさらに将来アメリカも入れば私はこの範囲のものから選択するということはやむを得ぬじゃないかというふうに思っております。
○金子(満)委員 もちろんこれらの国も含め、また、ここに入っていない国々の中でもヨーロッパで進んだ科学技術水準を持った国も国際的にもあるわけで、したがって、ここだけから選べというワクというのは妥当でないということに私は考えますが、そこで若干端的にお聞きしたいと思いますが、この話はカナダから受けたということですか。日本政府は相談されたということですか。
○水野政府委員 この問題が最初に起こったのはOECDの理事国の中で起こった問題であって、その中で特にカナダが中心となって提唱してアフリカ開発基金の設立を進めてきた、こういうふうに聞いております。
○金子(満)委員 政府のほうはアフリカの、もちろん全部ではありませんけれども、それぞれ外交関係を持っている国々とこの問題について意見を交換した経過はございますか。あったらその内容をお聞かせ願いたいと思うのです。
○水野政府委員 OECDの理事会でこれが問題になったのでありますが、設立に際しましてはアフリカ開発銀行のラビディ総裁が日本に二度も参りまして、この設立に参加するような要請を受けて日本が参加した、こういう事情がございます。
○金子(満)委員 その他の国々とは接触はないというように理解していいですか。日本に大使館を持っている国もたくさんあるわけですけれども、この問題について話し合ったことはないというように理解していいですか。
○水野政府委員 すでにアフリカ開発銀行を代表して総裁が日本に来てこの問題を話し合っている、こういうことでございます。
○金子(満)委員 個々の国とは話し合った経過はないということですね。
○水野政府委員 そうでございます。
○金子(満)委員 これは私はそれがいいとか悪いとかということではもちろんありませんが、当然国交を持っている国々が日本に在外公館を持っているわけですから、その在外公館とこういう問題については、少なくとも日本がやるというんだったら、それぞれの国の事情も違うわけですね、したがって十分それは聞くべきであるという点は申し上げておきたいと思うのです。 もう一つは、カナダからお話があったときにそのお話の内容というのはどういうことですか。
○水野政府委員 カナダからの話の内容というものは、こういうものをつくろうという提唱でありまして、その内容は先ほども申し上げたように組織なりあるいはアフリカ開銀というものが主体になって、この開発基金を運営する、こういったような内容のものでございます。 それから先ほどの私のことばで足りなかった点がありますけれども、これはあくまでもアフリカ開銀の総裁の再度にわたる来日によって向こう側の強い要請によって、カナダからの話もありまして並行して日本政府が参加しよう、こういうことになったという経過でございます。
○金子(満)委員 それからここにはアメリカというのは出ておりませんけれども、アメリカも時期はいつか存じませんが、参加するという意思の表明があったかのように情報としては聞いているのですが、その点はいかがですか。
○菊地説明員 アメリカの態度につきましては一九七〇年の三月にロジャーズ国務長官が基金に参加する用意があるということをはっきり申しております。
○金子(満)委員 そうしますと、あとから参加するのはこれによって参加するわけですね。これを無条件に認めるという形になるわけですか。
○菊地説明員 若干の手続的なことはございますけれども、内容につきましてはこのとおりのもので受諾すると思います。
○金子(満)委員 もちろんアメリカがどのくらいの計算単位で出資されるかはわかりませんけれども、そういうような点についても何か情報はあるんですか。
○水野政府委員 千五百万計算単位の出資比率で参加する。日本やカナダと同じ比率で参加するというふうに聞いております。
○金子(満)委員 それからちょっと戻りますけれども、忘れないうちに確かめておきたいのですが、南アフリカ共和国の問題について、民間ベースでやっておったということですが、これに対して国連の決議にもあるとおりだし、それからまた人種差別を受けている人民の側からは日本政府がこういうことを起こさないように措置をしてくれということはたびたび公の場所で発言もされておるわけです。こういう点について民間ベースでやっていることについて政府はこれを中止させる、国連の決議の方向で中止させるということをいまここでとれるかどうか、この点について伺いたいと思うのです。
○水野政府委員 通常貿易のベースではなるべく押えるという意思表示はしております。ただ、通常貿易以上に、たとえば南アフリカ共和国の地域内において投資をするとか、融資をするとか、こういった点については強く政府としては規制をしております。
○金子(満)委員 通常貿易はなるべく押えるのですか。押える措置はどのようにとっているのですか、現在。
○水野政府委員 好ましくないという意思を表明しているわけであります。
○金子(満)委員 好ましくないという意思は国連も表明しておりますね。もっと国連はきついわけですよ。制裁を加えるというところまでいっておるわけです。国連では日本が名ざしでこの問題については非難をされるわけです。私は好ましくないということであれば、好ましくないのだ、やめるべきであるというのを政府の見解として公にすべきだ。そうしてそういうものを今度は好ましくないといわれたものをさらに破ってやるということについては、日本政府としてもやっぱりしかるべき処置をとらなければ、これは押えたことには実際にはならないと思うのです。こういう点について今後どのような措置をとるか、これをはっきりしないと、このアフリカ開発基金の中には南アフリカ共和国も入っているわけです。そうしてこの原参加国の中の幾つかのところはこの国と貿易をやっておると思うのです。そうしてまたここからいろいろの協力要請、援助要請が来れば、それにまたずるずる応じていくということになると思うのです。ですから、政府はよく国連の何々を尊重するということを口ぐせのように言うわけですけれども、この項に限っては尊重しませんということであるのかどうなのか、これははっきりしていかないと国際的な信用にもかかわる問題であるので、明確に御答弁願いたいと思うのです。
○水野政府委員 先生、南アフリカ共和国とローデシアもというお話でございましたが、南アフリカ共和国と……。
○金子(満)委員 ローデシアは言っていませんよ。
○水野政府委員 南アフリカはこの開発基金に加入することはできません。これはひとつ御記憶をいただきたいと思います。 それから先ほどの私の答弁で不十分な点かもしれませんが、南アフリカに対する貿易は、輸出はほかの国に比べて、政府の好ましくないという気持ちが反映していると、私は善意に解釈しているわけですが、あまり伸びないような数字を示しております。
○金子(満)委員 ほかに比べてということで……。
○影井政府委員 ただいまお話しの国連によります決議でございますが、南アフリカに対しましては、経済制裁の決議は採択されておりません。
○金子(満)委員 そうしますと、国連での決議というのはどういう性質のものですか。
○影井政府委員 国連といたしまして、南アとの貿易、これをなるべく伸長させないようにということでございまして、南アとの貿易を制裁といたしましてとめるという決議は行なっておりません。
○金子(満)委員 これは一九六五年ですね。それ以降ずっとやっているわけですが、南アフリカ共和国の主要貿易国に関するアパルトヘイト特別委員会の報告書という形で承認をされているわけですね。
○影井政府委員 国連憲章の第七章に、制裁に関する措置がございますが、その意味の制裁の決議は採択されてないという意味でございます。
○金子(満)委員 確かに国連憲章の七章で、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」の措置ということで、これはきまっているわけですね。ですから私は、広い意味でいえば、これは国連の一つの結論であり決定である。ですから、守らなくていいとか、これが間違いであるということなら別なんですね。しかし、こういうものが出されており、それだけではなくて多くの国々が、そしてまたアフリカの諸国が、このアパルトヘイトの問題、人種差別の問題については、これをいずれの形にしろ、経済貿易の関係でも資金の関係でも援助している国々に対しては、それを中止してほしいというのは、ここ二年や五年の間ではなくて、もう六五年以降といっても、これは八年になるわけですから、それ以前からの運動としてあるわけですね。ですから私は、貿易をすることは望ましくないということを政府が、行政指導か何か存じませんけれども、民間ベース、業者に対して、それをいままでやってきたんだ、ほかの貿易国に比べればまだ少ないし、現在伸びてはいない、大体水準を上げるようなことはないだろうということですが、これは、うんとやったって、ちょっとやったって、やった道理に変わりないわけですね。だから、それは合理化できないことであって、政府は当然これをやめる措置をとらせるべきだ。資本金を入れることは押えられるのだから、貿易することだって押えられないということはないし、政府にはその権限だってあるのだと思うのです。こういう点では、もちろん行政指導に弱い強い、いろいろあろうと思うけれども、とにかく結果としてこれができないようにやることは、アフリカということを考えた場合には、いま非常に重要な問題だというように思うのですが、どうですか。
○水野政府委員 先生の御指摘のように、南アフリカにおけるアパルトヘイトの問題というのは、アフリカ諸国の間で非常に重要な問題であることは、政府もよく承知しております。それだけに、先ほど申し上げましたように、投資とか融資というようなことについては全く許可をしないという方針でおりますが、私企業がここにものを売ることを厳重に禁止するということは、たとえば第三国を経由して輸出するというような方法を現実にとられれば、ここまで押えることもできないわけでありますし、ともかく増加させない、現在までの線で押えておくということで、政府としては最大限の努力をしているわけでありますし、この両三年には日本に対するこういう非難もアフリカ諸国から比較的下火になっております。ともかくこの辺で御了解をいただきたいと思うわけであります。
○金子(満)委員 了解するわけにはいきませんけれども、これ以上答弁に立っても現状をお話しされるだけだと私も思いますから、これらの問題はまた大臣がいるときに詰めた質問をしたいと思います。 その他の条文についてもたいへん疑問はあるのですが、時間もなにですから、この辺で私の質問は一時中断をして、次の機会に譲りたいと思います。
○藤井委員長 近江巳記夫君。
○近江委員 きょうは非常に限られた時間でもございますので、何点かお聞きしておきたいと思います。 このアフリカ開発基金の問題ですが、それに関連いたしましてまず初めにお聞きしたいと思うのですが、政府は、円の再切り上げなど海外からのわが国に対する風当たりをやわらげる、そういうねらいと思うのですが、わが国の外貨準備のうち数十億ドルの額を凍結して、その分を外貨準備からはずして国際協調のために活用する構想というものが報道されておるわけですが、外務省としては、この構想についてどういう考えをお持ちですか。また、この点につきまして大蔵当局とどういうようなことを話し合いましたか。
○水野政府委員 先生の御質問の問題は第二外為構想といわれるものだと思いますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。違いますか。
○近江委員 それじゃ答弁は局長でけっこうでございます。
○前田説明員 ただいまの御質問の意味は、今後の通貨制度の改革を行なうにあたりまして、現在各国の中央銀行が持っておりますところの多量のドルというものをそのままにしておくと、交換性の回復を実施するにあたって非常に問題があるのではないか。そのために、そういう点をどう解決するか、こういうような御趣旨だと思いますが、この点につきましては、大蔵大臣が出席いたしましたワシントンの会議におきましても、そういう点につきましての議論はほとんど行なわれないと私どもは聞いております。現段階におきましては、今後安定した調整可能な固定制度というものへ向かって通貨改革を進めていく。その段階におきまして、いまお話しのありましたような交換性を回復するということに関連いたしまして、お話しの凍結問題というものも当然議論にのぼってくると思いますが、現段階におきまして、その問題は蔵相会議におきましてはほとんど議論されなかった、こういうふうに聞いております。
○近江委員 これは蔵相会議で云々ということよりも、わが国として主体性を持ってこういう構想を発表されたと思うのです。だから、それに対して外務省なり大蔵省はどういう考えをもってこういう構想をぶち上げたか、それをお聞きしているわけです。ワシントン会議で話されたとか、そういうことを聞いているのじゃない。
○前田説明員 ただいまの御質問の点につきまして、もし私の理解がそういう、たとえば日本の持っているドルを非常によく活用していく、外貨の活用という観点でどうするかということであるといたしますれば、その点につきましては、なお今後やはり外務省ともよく連絡をとりまして、検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
○近江委員 外貨を活用するためにそうしろということで私は言っているのじゃない。政府がその構想を発表しておるわけですよ。これは新聞にも報道されているわけですよ。数十億ドルを凍結して、余剰外貨を国際協調にする、これは政府が言っている。私は何もこのことをやれと言っているのじゃないのです。わが国の黒字基調の解消のために、いわゆる円対策の一項目に経済協力の拡充というものがうたわれておるわけです。結局外貨がたまり過ぎたから開発途上国援助にそれを振り向ける。円の再切り上げを回避しようとする、そういう政策手段が露骨に出ておるように思えるわけです。政府としてはそういう考えじゃないかと私は思うのですが、そういう外圧に対して、それを回避するためにそういう手段を考えたと思うのですが、そういう行き方というものは、そうした海外協力あるいは援助という根本的な考え方でいいかどうかということなんですね。外貨がたまったから援助をするのだ、もっと基本的なものが私はあると思うのですよ。その辺のことを含めて、基本的にはどのように考えていますか。
○水野政府委員 わが国の対外援助というものは、御承知のように、南北問題に出発をしておりますし、決して国際収支が黒字であるから、その黒字部分の何分の一かを対外経済援助にしようということで発足したわけでないことは、日本の貿易収支が、まだ黒字が非常に少ない時代から十数年間やってきているという実績から見ても、私はおわかりいただけると思うのであります。 ただ結果として、この二、三年貿易収支の黒字が、いわゆる外貨の堆積が起こってきて、問題はやはり金でありますから、その金を経済協力に利用していこう、こういう方向に流れてきているということも否定できないわけであります。しかし、そもそもの考え方は、決してそういう発想ではないということを御理解いただきたいと思います。
○近江委員 そういう基本的な認識があればいいのですけれども、外貨がたまり過ぎたからやるのだ、そういうことがあまり露骨に出てきますと、やはり日本はエコノミックアニマルじゃないかという対日批判というものが私はますます高じてくるのじゃないかと思うのです。その点をぼくは心配して、いまお聞きしたわけです。 それから、わが国が世界に向かってわが国独自の経済協力をもって、世界の平和のために大きく寄与したい、このように主張されておるわけですが、アフリカのナイジェリア等での評価におきましては、日本の援助の独得なそういう点は、他の援助国に比べて援助条件がきびしい、最も渋い援助国である、このように言われておるわけです。このことにつきましては、ナイジェリアの重光大使自身も、これは雑誌にも載っておりましたけれども、そういう発言をしておられる。こういう評価を受けておるわが国が、今後アフリカ地域の経済協力というものをどのように進めていくか、こういう根本的なことが非常に大事になってくるのじゃないかと私は思う。その点につきましてどういうお考えでおられるか、お聞きしたいと思います。
○水野政府委員 日本の経済協力ないしは経済援助の条件が悪いということは、これは過去において日本の金融機関の金利その他貸し出し条件が非常に国内においてもきびしかった、私はこういうところに基因をしておると思います。しかしそれは先ほど河上委員にも申し上げたことでございますけれども、年々改善をされている。金利の引き下げあるいは償還期限の延長ということは年々改善されておりまして、最近では国際水準に非常に近い状態になっているということで、御理解をいただきたいと思います。 それからアフリカ諸国との経済協力並びに経済援助の問題は今後どうするのかということでございますが、私はこれは二国間の援助と、それからここに御審議をいただいておりますアフリカ開発基金を通じてアフリカ銀行から多国間で援助する、この二つの方式を併用していく。これが基本方針であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○近江委員 いま海外協力あるいは援助の点におきまして、おもに資金面の条件とかそういう点のみの御答弁であったと思うのですが、本来の経済協力というものは、ただそういう金を協力し援助すればいいということは、これはあくまで一部でありまして、技術協力であるとかいろいろなそういう中身というものがあるわけですよ。中身というか、もっと根本的にはそういうビジョンというものが私はなければいかぬと思うのです。ですからこういう協力、援助についてのビジョンというものを政府は持っておるかどうか。またもっと詳しく、こういうことを考えておる、そういう中身を一ぺんこの機会に、政務次官をはじめきょうは局長みな来ておられるわけですから、ひとつ政策を聞かせていただきたいと思う。政府はどう考えておるか。
○水野政府委員 私が先ほど申し上げたのは、具体的な融資条件というようなことから申し上げたわけでございますけれども、現在行なわれている二国間の援助についても、これは独立後間もないアフリカ諸国の、特に後発諸国の経済の自立ということを中心に考えて援助をしております。中には無償援助であるとか、私は申し上げませんでしたが技術協力という面も、日本の農業技術なりあるいは医療技術なりその他の技術について非常に評価をされておりまして、各方面でアフリカ諸国から非常に感謝をされて、日本の援助について理解を受けているというふうに私は理解をしております。
○近江委員 まあ非常に日本の援助というものが好評であったということをいまおっしゃっているわけですが、先ほども他の委員からタンザン鉄道の話もあったわけですけれども、中国なんかはその点非常に高い評価を受けておるわけですね。日本としてそんなに高い評価を受けたのは具体的にどういう例があるのですか。
○田中(秀)政府委員 アフリカに対する経済協力、これで好評を博したというようなものの例を申し上げますと、たとえばケニアにおける緑茶の開発、これはケニアにおける、あるいはわが国にとります開発輸入ということで、ケニアの対日貿易上の貿易のバランスを是正する上に非常に効果があるということで、非常に好評を博しております。 それからまだ具体的に緒についておりませんが、話のまとまりましたザイールに対するバナノ・マタディ間鉄道建設、これはザイール経済に対して非常に大きな貢献をするものと期待されております。
○近江委員 この二つ、しかもザイールのあれはこれからやろうとしておるところでしょう。これで非常に好評であり、いい評判であるということは、ちょっとオーバーじゃないかと思うのですね。えてして日本の協力援助というものは、私もまだ世界各国全部は知りませんけれども、大体耳にしておる範囲は、そうあまりいいことはないのですよ。だからその点ちょっとお考えを変えないと、自分だけいいんだ、そういう認識ではおくれると思いますね。ですから、他国が一つ一つの援助につきましてもあらゆる配慮をし、また深いビジョンも持ってそういう行動があるんだという、そういうところをやはり真剣に分析もし、わが国としての反省を常に加えつつ前進していかなければ、評判がいいんだというような反省のないそういう態度であれば、これはもう前進はないと思いますね。そういう反省というものはあまりないのですかね。好評であるという認識のほうが強いのですか。もう一度局長お伺いします。
○水野政府委員 いま中近東アフリカ局長が、例が二つしがなかったということでございますが、私もそれ以外にも、たとえばギニアにおける鉄道建設の測量で、日本人が非常に生活条件のきびしいところで測量をやったというような例は幾つか知っております。私はアフリカ諸国に対する経済協力では、先ほど河上委員からアジア諸国における経済協力におけるマイナス面を幾つか御指摘がありましたけれども、私はそのすべてをそうだと申し上げることではございませんけれども、アフリカ諸国においてはまだ経済協力といいましてもそうたくさんの。プロジェクトが終わっているわけでもございませんし、むしろ現在進行中の問題が非常に多いわけでございますし、今後いままでのアフリカ以外の地域における問題点を頭に入れて反省をしていけ、こういう御指摘だと思いますが、私はアフリカ諸国自身においてそれほど重大な過失をしたとかというようなことはまだ聞いてもおりませんし、先生の御指摘の点はむしろ今後にそういう点を注意しろということだろうというふうに理解をさしていただきたいと思います。
○近江委員 そういう点は確かにあると思うのですね。しかし、初めがやはり大事なんですね。前進しかけて、初めのほうからもうどうも中国とかそういう諸外国に比べると日本はがめついとか、あまり思いやりがないとか、どういう気持ちでこれをやっているんだろうとか、そういう変な気持ちで見られるような、そういう協力のしかたであってはならぬと思うのです。政務次官もおっしゃいましたが、いままで特にアジア等のそういう援助というものは、どうしてもすべてがひもつきになっておりまして、日本の評判というものを落としてきたわけですが、そういう轍を踏まないように、これからひとつ向こうの立場に立って、充実したそういう協力援助というものに十分ひとつ配慮をしていただきたい、このように思います。 それから先ほどこうした基金を基本にして、それからまた二国間方式によるこういう援助協力をしていくということをおっしゃったわけですが、それは基本的な考えと思うんですけれども、こういう二国間方式による経済協力を考えておられるとしますと、どういう地域に重点を置かれるか。アフリカはやはり広いわけですから、その点具体的にどのようにお考えですか。
○水野政府委員 このアフリカに対する援助について、どの地域に重点を置くかということについては、これはむしろどこか、たとえば東アフリカなり西アフリカに重点を置くということがあれば、私はむしろ援助方式が反省すべき問題じゃないかと思うのでございまして、現実にはたいへんその相手国には失礼ですが、後発国だけに非常に実現不可能なようなプロジェクトを持ってくる国もあるわけであります。具体的に名前を言うのは非常に向こうにも失礼ですが、話を聞いてわれわれの常識としては実現不可能と思うような案もありますが、そういう中で実現可能なもの、そして相手の国の経済復興といいますか経済発展に、ちゃんとしたてこ入れになるというようなものを選んで、やはりケース・バイ・ケースでということばがありますが、一つ一つ慎重にやっていくということが一番いい方法じゃないか、私はこう思っております。
○近江委員 それはアフリカが非常に広くて非常につかみにくいというような、そういうニュアンスも多分にあったと思うんです。たとえば大使の配置を見ましても、兼任、兼任というのが非常に多いわけですね。少なくともこれは国連に加盟しておる国でもありますし、どういう小さい国であっても、やはりそこには大使なりそれを置いて、今後のそういう友好関係というものを深めていく、またそれがとりもなおさず各国の充実した協力、援助体制というものができるんじゃないかと思う。ですからその辺の情勢の的確な把握という点におきましては、非常に薄いものしか得られないということ自体、わが国のこういう外交政策というものが、非常にアフリカに対する認識、手の打ち方というものがおそい。私はそういうことから出ておると思うんですよ。これが完ぺきに充実した上でのいまおっしゃった政務次官のそういう認識であるならば、これはまた別ですけれども、その点今後対アフリカの問題につきまして、どういう充実政策をとろうとなさっておるのか、基本的なそういう考えというものをまずお聞きしたいと思う。
○水野政府委員 アフリカ諸国に対する大公使館の御指摘がありましたが、四十二カ国のうちに現在実際に大使館を置いているのは、十八カ国の実館を置いております。このほかの国は、実際は今度も中央アフリカに四十八年度には実館を置くことになったわけでありますが、外務省としては予算がつけばどんどん実館を置いていきたいという気持ちは持っておりますけれども、年々公館の増設というのは大体二、三カ所に限られておりまして、この辺はぜひひとつ先生にも御支援をいただきたいと思っております。それから実館のないところで、一部では、日本との貿易がほとんどないアフリカの内陸にあるような国では、実際上日本人の往復も少ない、相手が独立した、こっちも兼轄で大使がときどき向こうに表敬訪問に行くとかいろいろな会合に出席をするということだけでいまのところは足りているというところもあるわけでございます。もちろん近江先生の御指摘のように、そういうところにも早く実館をつくって外交官をそこに置かなければいけないわけでありますけれども、現実にはアジアとかこれから国交回復する共産圏の諸国とか、こういったところにも置かなければならないので、なかなか手が回らない、こういう実情でございます。
○近江委員 これから日本は平和外交に徹して国際協調をするためのあらゆるそういう力を入れていくということは一番大事だと思うのですね。そして、金がないから要するに在外公館も設置できない、こういう認識じゃいけないのですね。四次防におきましてはあれだけの予算を組んでおるわけですよ。それを金がないなら削減して、もっとそういう国際協調に大きなプラスになる、そういうところに予算を回していけばいいのですよ。そういうことで、どこの問題につきましても金がないと言えばそれまでのことなんですね。それは確かに国家予算というものは限られておるわけですから、非常にむずかしい問題もあるのですけれども、あきらめムードの中で、まあ毎年二、三ふえていくから、その程度でしょうがないわ、こういう考えじゃよくない。その点、それはもうわれわれも力を入れていきたいと思いますし、まず何といいましてもやはり外務省自体がそれを大蔵省にもほんとうに認識をさせる、やはりそれだけの心がまえがなかったらいかぬと思うのですよ。きょうは大蔵省も来ているのですから、大蔵省はどういうように認識しておりますか。
○前田説明員 大蔵省と申しましても、主として事務当局としましては主計局の問題でございます。私たち国際金融局の者といたしましては全く同感でございます。
○近江委員 同感とおっしゃったのですから、ひとつ大蔵省、バックアップをして、そして充実したそういう対策をとってもらいたい、このように思うわけです。 それから、いま、二国間方式、もちろん基本的にはこのアフリカ基金というものが基本になると思うのですけれども、非常にそういう情報の点とか、やはり広大なアフリカの、また数多くの国のことでありますから、その点におきまして現在ある機構とかそういうものも大いに利用といえばなんですけれども、有効にそういうことも連携をとっていく必要があると私は思うのです。そういう点におきまして、国連のアフリカ経済開発委員会、こういう機構もあるわけですが、こういう点についてはどのように考えておりますか。またもう少し何か具体的な方法を考えておりますか。
○菊地説明員 いまの御質問の点は、国連のアフリカ経済委員会の、私たちECAと申しておりますものの活動状況だと存じますけれども、これは御案内のように国連のいわゆるエコソクの下にございまして、おもに経済開発、特に私たちのやるインフラストラクチュアと称している社会資本の面に関して活動しておるわけであります。ごく最近におきましては、いわゆるアフリカ横断ハイウエーのプロジェクトについて検討を行なっております。 それからこのアフリカ開発基金との関連におきましては、これが署名に至ります途中の段階におきましてアフリカ開発銀行はこのアフリカ経済委員会と密接な連絡をとってやってきたと承知しております。
○近江委員 そういうような機構も大いに利用してそういう不足の点をカバーしていく必要があると思うのです。 それからわが国として、ケニア、ナイジェリア、タンザニア、ウガンダ、このように四カ国にそれぞれ円借款の取りきめを結んでおるということを聞いておりますが、その各国別の金額と借款条件、どのようになっているかをお聞きしたいと思うのです。またこの四カ国との間に円借款を供与した政策意図というものは何であるかということをお聞きしたいと思うのです。
○水野政府委員 ただいまのウガンダ、タンザニア、ケニア、ナイジェリアの借款条件でございますが、ウガンダに対しましては総額十億円で金利は五・七五%、返済期間は五年据え置きの十八年というふうになっております。タンザニアに対しましては、これは四十一年に実施をしておりますが、約二十億円で、金利はウガンダと同じように五・七五%で、条件は五年据え置きの十八年と、同じ条件でございます。それからケニアは二回にわたってやっておりますが、最初の四十一年のときには、これもおよそ二十億円でタンザニアと同じ条件であります。それからナイジェリアに対しましても二回にわたってやっておりますが、第一回の昭和四十一年のときには百八億円で金利、返済期間は前の三国と同じでございます。その後、先ほど申し上げましたように、ナイジェリアは四十七年になっておりますが、このときには金利も約一%引き下げになっておりまして、また返済期間も十八年から二十年に延長、据え置き期間も七年というふうになっております。ケニアも第二次の借款に際しては四十億円でございますが、これも金利は四・七五%、返済期間は二十三年というふうに改善されております。
○近江委員 若干の改善はあるのですけれども、先ほども他の委員からも話がありましたが、条件もまだまだ非常にきびしいですね。しかもこの円借款をやっておる国というのはこのように非常に限られているわけですね。まだまだ希望しておる国がたくさんあるわけですよ。エチオピア、ナイジェリア、ケニア、タンザニア、東アフリカ三国共同体、マダガスカル、ザイール、ザンビア、ルワンダとか、マラウイとかオートボルタですか、コンゴ、そのように具体的にこういうことをやりたいからこれだけ金を貸してほしいときているわけですよね。そして実際にこのように借款しておるのは数が少ないわけですよ。だからこれは非常に何か意図的なものがあるように思うのですけれども、政府は、なぜこの四カ国だけに限って、ほかはこのように具体的にプロジェクトも金額も明示してきておるのに貸さないのですか。その辺についてお聞きしたいと思います。
○水野政府委員 意図的なものは全く持っておりませんが、大体先に申請があったもの、それからやはり経済協力でありましても、相手国に行きまして実情も見なければいけませんし、それから実現可能なもの、それから実現の効果の非常にあがるもの、こういったようなことを勘案して結論としてはこういう国になった、こういうことでございまして、現在いま御指摘のたとえば交渉中のものではマダガスカルとかザイールとかエジプト、こういった諸国に対しても現在交渉中で、政府としては相当積極的な考え方でこれを検討しております。
○近江委員 なかなかそういう意図というものについては表明なさることはむずかしい点もあろうかと思いますが、しかしこれは正直いってやはりちょっと不自然のように思うのですよ、非常に限られておるという点は。 それからもう時間がありませんのでまた次の機会に留保したいと思いますが、あと一点だけお聞きしておきたいのは、一九七一年の四月、鶴岡前国連大使を団長として約一カ月間アフリカ諸国を歴訪されたわけですが、この交渉団の目的は、アフリカ諸国のうちのガット三十五条による対日差別を撤廃するということにあったといわれておるということを聞いておるわけですが、政府としてはこの交渉団派遣によってその目的を達したのかどうか。現在アフリカ諸国のうちガット三十五条対日適用国がどのくらいあるのか、この点についてお聞きしたいと思うのです。
○田中(秀)政府委員 アフリカ大陸の諸国は四十二カ国でございますが、そのうちガット加盟国が二十七カ国。それから経緯を一言申しますと、ほとんどの国が独立の際に旧宗主国の法的地位を継承して、わが国に対して三十五条を援用した、こういうことになっております。このためただいま御指摘のようにわが国は機会をとらえて先方政府に援用撤回を申し入れた次第でございまして、鶴岡ミッションの派遣もその一環として行なわれたものでございます。その結果、一九六二年にガーナがまず撤回をいたしまして、これを最初といたしまして次々と撤回が実現いたしまして、二十七カ国のほとんどが援用しておりましたのが、現在援用中の国は十二カ国というふうに減少いたしております。今後とも引き続きこれらの諸国に対して援用撤回の交渉を行ないたいと考えております。
○近江委員 二十七のうちかなりの国が撤回をしてきた、それはまあ政府の努力も私はあると思うのですね。しかしまだまだアフリカは非常に遠いという、それに対する政府の努力というのは、やはりその壁をぶち破るためにはもう一歩必要だと思うのですね。アジアの経済大国日本が突然交渉団を派遣して国威にかかわるからガット三十五条の撤回を要請して歩いたとしても、結局その時点では非常に冷淡であったし、その後は結果も出てきてはおりますけれども、先ほど申し上げたようにアフリカの遠さということを政府としては味わったと思うのです。そうした意味におきまして、アフリカ諸国に対してアジア方式によるこういう経済協力を考えてみても私はなかなか受け入れられないと思うのです。ですから私の申し上げたいのは、各地の事情もいろいろあるわけですし、いつも申し上げておるのですが、政府にはやはりビジョンがないと思うんですね。何となしに援助だけすればいいんだという、何か心の通いというものが私は少ないように思うのです。ですからその点特に、今後はアフリカに対してはアジアのいままでのそういう失敗をしないようにやっていただきたいと思うのです。政務次官からそのお答えを聞きまして一応質問はきょうはこれで終わって次に保留しておきたいと思います。
○水野政府委員 近江先生の今後にあやまちをするなという御指摘でございますが、もちろんこのアフリカ諸国の経済協力は、先ほど申し上げましたように、国に対する、どこの国に対してというような差別待遇であるとかあるいは特別な恣意とか、こういったものをもってやっていないことは御理解をいただけると思います。また今後とも日本のほうのてまえがってな開発とかそういったことについてはきびしく政府内部でも常に検討していきたいと思います。 ただ御理解をいただきたいのは、ビジョンというお話もございましたけれども、これは結局経済外交の問題がございますが、あまり大きなビジョンだけを立てて実際中は空洞化しているということよりも、やはり相手国の立場になって相手国の要請を受けて着実に誠実にやってやるということのほうが長い目で見て喜ばれるんじゃないか。確かに中国なんかも経済援助の八原則というようなりっぱな構想を立てておられますけれども、日本の場合社会体制も違いますからなかなかああいう無利子というようなこともできないわけでありまして、こういう点はひとつ差し抜いても、ともかく誠実に相手の国の経済建設に役立ってやるという気持ちは私はいまも失わないと思いますし、現在進捗中のどのプロジェクトの中でも現実にはなかなか——アフリカ諸国につきましても現実を見ますと気候条件は悪いし、日本人自身が生活する条件も非常に悪い中でいろんな形で日本人というのもえらいものだと思うほど努力をしております。私は西欧人よりも日本人のほうが生活条件も低いところでよくがまんをしていろんな仕事をしていると思いますし、こういう態度は今後とも続けていけると思います。誠実にやっていくということがやはり今後の基本方針だということをお答え申し上げましてひとつ御理解をいただきたいと思います。
○近江委員 きょうはこれで終わります。
○藤井委員長 次回は、来たる四月四日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時七分散会