外務委員会 第7号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/03/28
会議録
○藤井委員長 これより会議を開きます。 この際、外務省当局に御忠告を申し上げます。 衆議院の外務委員会は、本日定例で、しかも前の理事会ですでに予定をはっきり決定いたしておったわけでございますし、特に本席は、外務大臣出席の時間も委員会において、また理事会においてこれが確認をしておったわけでございまして、しかるに特殊な事情があったのかもしれませんけれども、衆議院の外務委員会への出席が非常に遅延したことは、委員長として今後の委員会運営にたいへん支障を来たすことを心配いたしておりますので、当局側に厳に今後こういったことのないように、ひとつよく衆議院の外務委員会の委員部と密接な連絡をとっていただくように特にお願いしておきます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
○石野委員 私は、きょうの新聞を見ますと、昨日までたいへん問題になった法眼次官の発言について、大臣はいろいろと取りつくろったようですが、きょうの新聞はどの新聞を見ても、これは問題をぼかして切り抜けたやり方だ、あるいはまた法眼次官の発言を暗に肯定して、受け入れば空洞化たというような、こういう新聞の記事です。これはまさに外務大臣の発言なりあるいはいろいろな行動が全く信頼が置けないものだ、ことばの裏と表とでは全く違うものだということを各社が解説をしております。国会の権威はまさに地に落ちたといってもいいのではないか、政府の態度は全く国会を無視しておる、ばかにしておる、こういうような扱いだと思います。いままた委員長から大臣に対して、外務省に対して要請がありましたが、外務省はあるいはまた大臣は、この国会に対して誠意を持った態度で臨んでおるのかどうかということを、私は非常に疑問に思います。昨日来のこの問題、あるいはまたきょうの委員会に対する委員長の要請等について大臣はどのように感じておるか。この点非常に重大です。委員会運営について、私たちは大臣の考え方に対してやはり対処しなければならぬと思います。大臣の所見を承りたい。
○大平国務大臣 先ほどは外務委員長から、ただいまは石野委員から御注意がございました。国会の外交審議につきまして、私はじめ外務省といたしまして万全の備えをもって処置してまいらなければならぬことは当然の義務であると心得ておるわけでございます。私どももそういう決意で当たっておるわけでございますが、力足らず、そういうことが十分できてないことにつきましては十分私も反省し、今後そういうことのないように努力してまいるつもりでございますので、御了承をいただきたいと思います。 それから第二に、国会において申し上げたことにつきましては、一〇〇%責任をもってお答えを申し上げておるわけでございまして、何ら留保がないわけでございまして、それだけの心得は私も持ってやっておるつもりでございます。そのことが新聞その他で十分理解されていないことはたいへん残念だと思うのでございますけれども、厳粛な責任を持って御答弁申し上げておりますことにつきまして御理解をいただきたいと思います。
○石野委員 大臣はやはり議会に対して誠意を持って対処されるように要望します。 私は、きょうは時間があまりありませんので、問題を朝鮮問題にしぼってお尋ねしたいと思いますが、その前に中国問題について一つだけお聞きしておきたいのです。 昨日は戦後の日本の外交、特に日中問題について非常に画期的な、歴史的な日だったと思います。中国の陳楚大使が着任しました。これは非常におめでたいことで、私は敬意を表しますし、喜びたいと思っております。ところが、陳楚大使が着任して、五星紅旗のひるがえっておる大使館に入ったわけですが、その大使館はホテルの一角、仮住まいです。私は大使の着任、同時にまた小川大使も一両日中に赴任するということは非常にうれしいことだと思いますし、これは日中共同声明の第四項の、いわゆる「できるだけすみやかに大使を交換することを決定した。」ことが具体的になったので、うれしいことだと思いますが、しかし四項の前段には「両政府は、国際法及び国際慣行に従い、それぞれの首都における他方の大使館の設置及びその任務遂行のために必要なすべての措置をとり、」、この「大使館の設置及びその任務遂行」について、中国側はすでにわが国に対して二カ国の大使館に相当する広大な地域と非常に整った大使館を設置し、貸与しております。ところが日本の側は、いわゆる仮住まいの大使館で受け入れざるを得なかったということは、これは非常に外務省としても、政府としても、中国に対して肩身の狭いことだろうと思います。同時にまた私ども社会党の一員としても、国民の一人としても、実にやはり面目次第もないことのように感じておるところです。 私はこの問題について、大使の交換によって今後両国大使が活発に日中友好のために活動されることを心から期待しますが、大使赴任にあたってこのような状態にあることについて、非常にざんきにたえません。この際私は大臣に、共同声明の実行にあたって善意と誠意を欠くと思われるようなこういう処置をどのようにして早く克服するかということについての所信を承りたい。 この際お尋ねしますが、外務大臣は中国側の要望している地域に大使館を設置して、陳大使以下の大使館員をいつごろその大使館に入れる所存でおられますか、大臣の見解をこの際ひとつはっきりと表明しておいていただきたいと思います。
○大平国務大臣 いま御指摘のように、共同声明四項の精神に従いまして、中国側におきましてはわが国の北京大使館の設置につきまして非常に行き届いた配慮をしていただいて、無事開設を見、小川大使が明日赴任する運びになりましたこと、私といたしましても日本政府といたしましてもたいへん感謝いたしております。またその第四項の精神にのっとりまして、わが国といたしましても中国側の在京大使館の整備につきまして善意と誠意を持って御協力をいたさなければならないと存じ、去年の秋以来中国側と非常に密接な連絡をとりながら、大使館の事務所と大使の公邸と館員の住宅を全部収容できるような施設の物色につきまして、あとう限りの御協力を申し上げてきたわけでございます。ただ東京都内の土地、住宅事情がこのように緊張を見ておる今日でございまして、十数カ所について現物についていろいろ点検をいたしたわけでございますけれども、その中国側が要望されるスペース、施設に完全にマッチしたものを見出し得なかったわけでございます。私ども、いつでも先方の御要望に沿ったものの物色につきまして御協力をしなければならぬ立場にいまなおおるわけでございまして、その私どもの善意と誠意は中国政府もよく理解をしていただいておるものと思うわけでございますので、陳大使もきのう着任をされたようでございまして、陳大使とよく御協議を申し上げまして、できるだけ早く先方の要望に沿って館務に支障がない姿において施設が整備されることを私も一日も早くいたしたいと念願し、日夜中国側と協議を進めておるわけでございますので、石野委員が御心配されるように、わがほうに善意と誠意が欠けて先方との間の信頼関係に何か影響がありはしないかという御心配は万々ないと思いまするし、そういうことがあってはならないわけでございますので、今後もそういうことのないように周到な配慮を続けてまいってできるだけ早く整備をいたしたいと考えておりますので、その点は御安心をいただきたいと思います。
○石野委員 私はあまりこまかい説明は聞かなくてもいいのです。共同声明の第四項でははっきり「国際法及び国際慣行に従い、」ということばを使って、お互いの善意と誠意というものを見せ合おうじゃないかというふうに話し合われていると思うのです。大臣が言うように、仮住まいが本物になるまでの間の時間が若干あってもそれが両国の間に大きな支障は来たさないだろうということは、私も中国の寛容な外交姿勢というものからよく理解します。しかし、それは日本の外交姿勢の問題としてそれでいいということじゃないと思うのです。特に日本は自由主義諸国においては大国だといわれておるし、また自分たちもそういうふうに自認しているだろうと思うのです。それに対して、このように共同声明にうたったことを実行できないということについて、やはり恥と感じなくちゃいかぬと思うのですよ。おそらくこれは政府、自民党の間における政治路線の上あるいは外交方針の上における諸問題がこのような形になってきているんだろうと私は思いますけれども、しかしそれは国民の立場からして、日本という国の立場からして、こういうように不信の行為をしてはいけないと思う。 私の聞きたいことはこまかいことじゃないのです。すでにもう中国側では大使館が設置されて、貸与されておる、日本でいつそれをやるかということなんです。その誠意を私は大臣に示してもらいたいということを聞いているのですから、見通しがつかなければつかないでいいのです。もうあまり時間がないですから、見通しがつかないならつかないで、いつごろまでにやるつもりだという大臣のすっきりした考え方、決意だけをひとつ聞かせていただきたい。
○大平国務大臣 事態は善意と誠意の問題ではなくて、全く物理的な事情なんでございまして、その点は御懸念いただくに及ぶまいというように私は考えておるわけでございます。そして物理的な物件の整備問題というものにつきましては、先方の御要望、御希望を伺いながら十全の御協力を申し上げておるわけでございまして、新大使の着任と相まちましていろいろ協議をいたしましてできるだけ早く整備にこぎつけたいと思っておりますので、そう遠くないと思います。いつまでということをよく国会で御質問を受けるわけでございますが、その日が若干でもおくれるということになりますと国会に対して非常に非礼になりますので、私はできるだけ早くやりますということで御了承賜わればしあわせだと思います。
○石野委員 この問題はやはり政府内部において、特に台湾問題を含んで混乱している面が非常に大きいと私は思っております。いずれにしましても、非礼にならないようにすることが非常に大切です。同時にやはり田中内閣が決断と実行などということを言っていても、実際には何一つそういう決断と実行ができないのだという具体的な一つのあらわれであり、しかも国際的な恥さらしの問題だと私は思うので、実に残念にたえません。大臣は一日も早くこの大使館設置の問題の解決をするように要望しておきます。 朝鮮半島では、昨年の七月四日の南北共同声明以来、平和的統一のために南北調整委員会が正式に発足いたしました。また五回目の赤十字の会談もつい先日終わったようです。大平外務大臣は、これら一連の自主的平和統一の行動についてどのように評価されているか、ひとつこの際聞かしていただきたい。
○大平国務大臣 去年の七月四日に開始されました南北の対話というもの、朝鮮半島の平和的な統一、しかも自主的な統一を道標として対話が開始されたことは、朝鮮半島自体にとりましてたいへん祝福すべきことであると存じますばかりでなく、隣国である日本といたしましても、このことを歓迎し、その成功を期待いたしておるわけでございまして、これに対しまして評価を聞かれますならば、わが国の立場からもこれは高く評価いたしておりますとお答え申し上げたいと思います。
○石野委員 一連の朝鮮におけるところの平和的統一の問題についての行動に高い評価を与えておるというお話、非常にけっこうだと思うのです。私はやはり外務大臣が外交演説の中で、南北の間に自主的な統一を目ざして真剣な対話を進められているということも言い、そしてまた南北間の関係が平和的統一に向かって改善されていくことを希望するということを述べておることも承知いたしておりますが、高く評価するというお考えがあればあるほどに、私は政府が従来とってきた朝鮮民主主義人民共和国に対するいわゆる敵視政策というものに対する反省をしなければいけないんじゃないか、私はこの際そのことをひとつ、これは敵視政策というわれわれの見方と政府の間に、いろいろ考え方に違いがあるかはわかりませんが、明らかに敵視政策をとってきたその反省をこの際ぜひすべきだと思うし、同時にその上に立っていわゆる朝鮮民主主義人民共和国に対する政府の基本的な姿勢をどういうふうにとっておられるかということも、この際ひとつ大臣に聞いておきたい。その点についての御所見をお伺いをいたします。
○大平国務大臣 北鮮に対して敵視政策をとっておるというように私どもは考えていないわけでございまして、それはお考え方の違いだろうと思います。私ども北鮮の問題につきましては、たびたび国会を通じて申し上げておりますように、この南北の対話を通じまして、朝鮮民族の手で自主的な、かつ平和的な統一が第三勢力の介入なく行なわれることを、朝鮮民族のためにも、それからアジアのためにも希求いたしておるわけでございまして、そういう意味でそういう対話の進展ということにつきまして、わがほうから少なくともじゃまになるようなことはやってはいけない、そういう対話の空気がだんだん定着して、平和統一に向かっての前進を見るように望んでおるわけでございます。それが基本でございまして、世間では南北に対して等距離の政策をとればいいじゃないかという考え方もありますし、それはそれなりに理解はできると思うのでございます。そういうお気持ちは理解できるわけでございますが、政府といたしましては、南北の対話が、現在置かれた条件の上で始まっておるわけでございます。したがって、この現在の基礎的な条件というものに大きな異変を加えるということがあれば、それは南北の対話の健全な進展というものに対して、決していい影響は与えないのではないかという意味におきまして、対北鮮政策というものをたいへん用心深く進めておるわけでございます。その点は石野さんと若干見解の相違があろうかと思いますけれども、したがって、用心深くやるということは、前進的な関係、接触の拡大ということを当面進めていくべきではないかということでございます。そして、現に年々歳々そういった人的交流、文化交流、スポーツの交流、学術の交流、貿易高等も漸次前進的拡大を見ておるわけでございまして、私どもとしては当面そういう政策をやってまいることが、いま一番賢明でなかろうかと考えておるわけでございます。これは決して一方の側に肩入れをして、一方を敵視するなどという、そんな考えでは毛頭ないわけでございまして、朝鮮半島の平和的、自主的統一ということは非常にとうとい道標でございますので、それについて、いささかもわれわれが暗い影を投げかけるようなことがあってはならぬというような配慮からやっておるのでございまして、御理解をいただきたいと思います。
○石野委員 前進的な拡大を、平和的統一の進められている中で、慎重にやっておるということについて、私は理解をします。それであればあるほどに、やはり人的交流あるいは経済的、文化的交流について、政府は積極的であるべきだろう、こういうふうに私は思っております。そのように対処してもらわなければいけない、こういうふうに思いますが、通産省は、七月ごろをめどに、民間の貿易団体に、共和国の実態を掌握するための一人ないし三人くらいの常駐者を置く考えであるというふうに伝えられておる。これは、事態を進展させるために双方にとって非常にいいことだと思います。外務大臣は、こういうような事態が出ます場合に、それに支持を与えるかどうか、それが第一点。 それから、つい最近日朝貿易会の相川理事が、このほど共和国へ行って帰りました。それで、記者会見の際、政府が承認する民間貿易団体の事務所を日朝双方に早急に設置することで、朝鮮国際貿易促進委員会と基本的合意に達した、こういうふうに言っております。外務大臣は、この問題に積極的に協力する用意があるかどうかをひとつ聞かしていただきたい。同時にまた、この問題に関連して、先ほど貿易の拡大等のこともございましたが、貿易拡大の問題については、いわゆる輸銀の延べ払い輸出などというものについて、大臣は大蔵畑出身でもあるし、こういう問題には理解があると思いますが、積極的に大臣の立場で主張してしかるべきでないか、いまのお話から見てそういうふうに思います。それらの点についてひとつ所見を承りたい。 時間がありませんのではしょってお尋ねしましたが、以上の点、再質問をしなくてもいいような答弁をお願いします。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、北鮮との交流はあらゆる分野において前進的拡大を見ております。それは石野さんも評価されておることと思います。 それで、通産省の事務所問題でございますが、四十八年度予算の要求の際に、通産省が幾つかの事務所の設置につきまして、一応の予算要求をいたしておるということを承知いたしておるわけでございます。それをどういう国に、いつ置くことにするのかというような点につきましては、まだ外務省のほうに御相談をちょうだいしておりませんので、この問題につきましては、いずれ通産省から御協議がございました段階で、外務省として先ほど申しましたようなラインに沿いまして、判断をしなければならぬ課題であると考えております。 それから、輸銀資金を対北鮮貿易に使用するかどうかという問題でございますが、これはたびたび国会を通じて政府もお答え申し上げておるわけでございまして、ケース・バイ・ケースで考えてまいりますということを申し上げておるわけです。現に貿易も一億ドルのオーダーをこえてまいったわけでございますので、技術者の入国その他につきましては、今日までも便宜を与えなければならぬということで、配慮してまいったわけでございまして、プロジェクトの内容によりまして、輸銀資金を供与してしかるべしというものがございますれば、これは与えるにやぶさかでないと思うのでございますが、問題は、微妙な南北の対話が進展しておる、それからアジア全体が申すまでもなく緊張緩和の方向に向かっておりますので、そういう光に照らして、案件の実態を精細に吟味させていただかないと、軽率なことはできないと思うのでありまして、一言で言えといえば、ケース・バイ・ケースで考慮していく所存でございますとお答えするよりほかに道はないと思います。
○石野委員 相川日朝貿易会理事が、朝鮮の国際貿易促進委員会との間に合意に達したといわれている、この民間貿易団体の事務所の問題です。これは通産省とはまた別ですが、民間団体の問題ですけれども、そのことについての所見を大臣に伺いたい。
○大平国務大臣 いま国交がないわけでございますので、民間レベルの事実上の接触という姿でやっておりますことは御案内のとおりでございまして、民間のレベルにおいてお話し合いができますならば、政府が接触する部面はそういう方々の入国問題あるいは再入国問題というような姿で出てくると思うのでございまして、私ども現実に民間方面からそういう案件としてまだ御相談を受けていないわけでございますので、そういう御提案がございますならば、先ほど私が申し上げましたような基本的なラインで吟味すべき問題だと思います。
○石野委員 これで終わります。
○藤井委員長 勝間田清一君。
○勝間田委員 時間が三十分でありますので、若干疑問に思っております点を御質問したいと思うのでありますが、主としてアジア外交の今後の問題について大臣の所見をひとつお伺いしたいと思っております。 先ほどもお話がございましたように、昨日、陳大使が着任をせられて、やがて小川大使も北京に赴任せられることになったのでありますが、まことに画期的なできごとで、私どもほんとうに心から慶賀にたえないと思っておるわけであります。これからいよいよ外交ルートを通じて日中間の懸案事項がいろいろ解決をされていくわけでありますが、共同声明にも明らかになっておりますとおりに、永久な友好関係を確立するという意味で、これからは日中外交というものは非常な慎重さと深い配慮がなされていかなければならぬということを私どもつくづく感ずるのでありまして、これも長い隣国との歴史をずっとひもといてみると、現時点に立っているわれわれの大きな責任という感じもするわけであります。したがって、これから、こうした外交ルートが開かれてまいったわけでございますので、おそらく航空協定であるとか、あるいは漁業協定であるとかいうような問題も出されてまいるのであろうと思いますが、同時に、平和友好条約の締結なども当然今後考えられていくものと実は考えられるのでありまして、これらの段取りや計画などについて大平外務大臣はどのようにいま考えておられるのであろうか、その点をまずひとつお伺いをしておきたいと思うのであります。
○大平国務大臣 仰せのように、長きにわたり日中間の友好親善関係を極度の慎重さをもって固めてまいらなければならぬという御趣旨には、私も全く賛成でございます。 それから第二の、平和友好条約締結問題でございますが、これは本委員会を通じましても、たびたび御報告も申し上げてありますとおり、九月の田中訪中の際の約束といたしまして、平和友好条約をつくろう、締結交渉をしようじゃないかということの合意を見まして、共同声明にもその趣旨が盛り込まれたわけでございます。そして、それじゃ平和友好条約というのはどういう内容のものかということにつきましては、一点、過去の日中間の清算は日中共同声明をもって終わった、一切がっさい、きれいさっぱり済んだということで、双方は合意いたしております。問題は、これから先の日中関係というものを安定した基礎の上に置こうじゃないか、そのことのためにやるものであるという意味で、平和友好条約というのは、これから先の日中関係を律するベースにしようということにおいて合意を見ております。ただ、その場合に、それではどういう内容を盛り込むかということにつきましては、わずか六日間の滞在でございましたので、両政府の間でこういう内容のものにしようというところまでの話はいたしていないわけでございまして、幸いに大使の交換も旬日にして済むわけでございますので、今後両国の間で交渉していくべき問題と心得ております。 私どもの心がまえといたしましては、まず、とりあえず急いでおる航空協定をはじめといたしまして実務協定を急がなければならぬと考えております。その点につきましては、中国側も全く同じ意見であると私は承知いたしております。しかし、これが全部済んで、それからその次に平和友好条約の締結交渉にかかるのだというようにしゃくし定木には考えていないわけでございまして、今後、大使が先方と話し合いの中でいつごろから交渉に入るか、どういう骨組みのものにするか、そういったことについては外交ルートを通じまして、ぼつぼつ双方の意見調整をやってまいるべきものと考えておるわけでございます。
○勝間田委員 私ども、社会党の使節団として五回ほど中国を訪問をいたして共同声明を実は出したのでありますが、その際にやはり一番重要視いたしてまいった問題は、不可侵協定を締結する用意があるかどうかという問題でありまして、この問題については共同声明に明らかなとおりに、中国側も、安保条約の存在にもかかわらず不可侵条約を締結する用意があるという態度を明白にせられまして、私どもはその点で合意に達して今日までずっと一貫して実はまいったわけであります。なお、この態度は、ソ連との共同声明との中においても同様な合意を実は見ておるところであります。また最近、御案内のとおり西ドイツとソ連との間における協定におきましても、不戦協定というものが締結せられておると聞いておるわけであります。最近、周総理の発言などを、各通信を見ておりましても、もし日本が希望するならば、不可侵協定あるいは不戦協定というような性格のものを締結する用意はあるということが明確にしばしば述べられておるところであります。また今度の共同声明の中で私どもが注目をすべき問題として考えておかなければならぬ問題は、平和五原則をお互いに確認をしておるというところが一つ重要な点ではないだろうかと実は思うのであります。もし今後、平和友好条約を締結していくという場合に、サンフランシスコ条約とも違い、また先ほど私が申し上げました日中間の平和友好を、永久的な安定された基礎の上に築き上げていこうとするならば、私どもはここで不可侵あるいは不戦、そういった協定も同時に締結をしていくべきではないだろうか。あるいはまた平和条約の締結の性格も条約の内容もそういう性格のものにしていくべきではないだろうか、こういうように実は思われるので、この点についての外務大臣の所見をひとつお伺いをいたしたいと思うのであります。
○大平国務大臣 すでに御案内のように、日中共同声明には相互不可侵ということが厳粛にうたわれているわけでございます。両国が厳粛に誓い合ったことでございますので、考え方によりましてはこれで必要で十分でないかということも私は言い得るかと思うのでありますが、より条約という形式を持ったものにすることによってさらにそれを再確認してまいって、長きにわたるであろう関係を安定的な基礎の上に置こうじゃないかということは、そういう趣旨、御意見、これは私よく理解できるわけでございます。したがって、平和条約締結交渉の具体的な内容についてはいままで日中間ではどういう内容にしようかということは、先ほど申しましたようにまだ話し合いはしていないわけでございますが、この問題をどういう姿で取り上げてまいるかということは、確かに問題になると思うわけでございます。勝間田さんのおっしゃる御趣旨は私もよくわかるわけでございまして、平和条約締結にあたっての一つの重要な問題点として今後政府も鋭意検討さしていただきたいと思います。
○勝間田委員 これは十分にひとつ検討して実現をするようにお願いをいたしたいと思うのであります。 もう一つ、重要な問題だと実は思いますのは、日本はアメリカの核兵器のかさの下に入るという態度をとって今日までその態度を表明いたしておったことは御案内のとおりでありまして、また日本は核兵器を持ち込まず、製造せず、何々せずという態度を政策上堅持いたしてきたこともまた半面において事実でもありましょう。しかし、安保条約を結び、アメリカの核のかさの中に入っているという政策を一面とって、太平洋地域においてはアメリカ艦隊は核武装された武力を持って一つの大きな威力を発揮しているという状況に今日存在をいたしておることは言うまでもございません。こういう状況が日本の側に一面存在をする、他面において中国が核兵器の実験を行なっていくという状況が今日見られる。こういう状況の中で、いかにしてアジア太平洋地域における核脅威をなくしていくかという課題は、平和憲法を持っている日本としては当然課題にしていかなければならぬ外交上の課題であると私は考えておるのであります。現在のような、アメリカの核のかさの中に入り、そのために安保体制を強化していくという考え方でいく限り、こうした状況も解決がつかないし、また中国との話し合いも今日一歩も前進していないという状況では、今後はこの問題の解決は及びもないことだと私は思うのであります。 私ども中国に参りまして、率直にこうした意見の交換をいたしました。御案内のように中国は先に引き金は引きません、核兵器のあらゆる首脳世界会議を開きたい、実験禁止から核武装の全面禁止までやりたいということまでもいわれている。そういう中で、アジア太平洋地域の核脅威をなくしてしまおう。非核武装地帯を設定していこうという話も私たちしてまいりました。 私は、今日のアメリカの核のかさの中に入っておるという日本の状況と、アメリカが核武装していよいよ強大さを誇っているという状況の中で安保体制を日本が結んでいくという状況が一面に進められる。他面に中国は核実験を行なうというこの関係、この関係から生まれてくる核脅威というものについて積極的に解決をしていく道というものを探求すべきではないだろうか、その探求すべき私は絶好の機会が今日訪れているのではないだろうか、こう実は思いますので、今日までの均衡論だとか、脅威論だとか、阻止論だとか、抑制論だとか、そういう抽象論ではなくて、アジアの現実の中からいかにして核脅威を全アジア太平洋地域の民族が取り除くべきかという課題について真剣に取り組む必要があるのではないだろうか、その絶好の機会が今日あるのだと思うし、その主唱をする責任は私は日本にあるのではないだろうか、こう実は思いますが、大平外務大臣はこの問題についてどのようにお考えになっておるか、お考えをお聞かせ願いたい。
○大平国務大臣 核問題というのは私は実はたいへんしろうとでございまして、見解を述べるほどの用意はございませんが、核が出現したということは歴史を変えたと思いますし、戦争というものの概念も、戦争を根底から変えた大きなできごとであったと思うのでございます。 で、核時代に入りまして、政治の最大の任務は核をどう抑止するかということであろうと思うのでありまして、これを全人類がいろいろ模索しておるのがいまの世界の姿ではないかと思います。 これに対して核を抑止していく有効な手だては何かということは、確信がある道を発見されておるとは思わないのであります。わが国はわが国なりにポリシーとして非核三原則というものを堅持いたしておるわけでございます。 で、私はまず第一にこういう状況を前提にして考えますと、まずあらゆる国と信頼を深め、理解を深め、友好親善関係を堅持するというまず平和外交が第一任務としてなければならぬと思うわけでございます。すべてのことの初めに各国の間にそういった理解と信頼が芽ばえてこないと話にならぬと思うのであります。したがって、そういう意味で最大限の外交努力をいたすのがまずわれわれに要請されておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。現在の日本の核政策、それから安全保障政策というもの、これは決して完全なものではなく、いろいろな批判もあるし、いろいろな評価もあるわけでございますが、そういったものを云々する前に、そういう平和外交がまず推進されなければならぬと考えております。 それから第二に、この地域においてそれじゃ核を抑止する非核地域設定というようなことが頭に浮かぶわけでございますが、そういった問題は事柄がたいへん大きな問題でございまして、とっさに私もどう答えていいのか当惑するわけでございますが、現在の政策を一応踏まえながら、いま御指摘のような問題につきまして、どのように今後考えていったらいいのかということについては、なお究明さしていただかなければならぬと思うのでありまして、こういうこともやってみたい、ああいうこともやってみたいということを思いつきで申し上げることは、私はたいへん危険なことだと思いますので、まず間違いのないことだけをひとつきょうは答弁させていただきたいと思います。
○勝間田委員 一番重要な問題についてもっと真剣にひとつ考えていただきたいと実は思うのでありまして、この点ひとつ強く要望しておきたいと思うのであります。 それからもう一つお尋ねをしたいと思うのでありますが、先ほど外務大臣も答弁の中に言われておったのですが、アジアは確かに緊張緩和の方向にあるということをいわれております。私も、緊張緩和の方向にあることはまことに歴史的なできごとのように思われるのであります。しかしこのことをしっかり認識して、外務省があるいは外務大臣が外交政策を行なっていくということであれば、私も信頼をしていいのでありますが、しかしすぐその後に出てくる理論というものは、抑止論というものが必ず出てくるのであります。この抑止論というものを見ておりましてもおわかりのとおりに、かつてのドミノ理論あるいはかつての中国封じ込め政策等々と同じように、アメリカの政策としてそれを裏づける合理化の理論として受け取ってこられた非常に都合のいい議論でありまして、私は緊張緩和の認識と抑止論とは矛盾する概念だと考えております。今日、これを使い分けているところに日本の外交の混迷というものがあるのではないだろうかと実は思われてなりません。したがって、抑止論についてはまた機会を見て、ひとつ外務大臣に反駁する機会を得たいと思っておりますが、きょうは時間もございませんので省略をいたしますけれども、ほんとうに、あなたが先ほど言われるように、緊張緩和というアジア情勢でありますならば、幾多改善をすべき課題がアジアにあるのではないだろうかというように思われるのであります。 たとえて言うならば、ASPACはもう直ちに解消すべきでありまして、マレーシアもすでに脱退をいたしました。ちゅうちょなくこれは解体をすべきだと私は思うのでありまして、単なる凍結とか単なるサボタージュという問題でごまかすべき問題ではないように実は私は思われてなりません。またその反面に、アジア太平洋地域の国際会議を開きたいという提案をもし持っていらっしゃるならば、それを具体的に進むべきでありまして、それも思想、信条、政治のいかんを問わず、諸国家を網羅した全地域にそれを行なうべきでありまして、この点についても明確な態度を示していただきたいと私は思うのであります。 さらに、ここ数日来のあなたたちの二階堂さんや法眼さんやその他の取り消しや再認識など、いろいろ行きがかりを見ておりましても、私に見られる事柄は、サイゴン政府を唯一の政府として認めてきた従来の行きがかりにとらわれていくか、そうではなくて、パリ会談や現に進められつつある南北の今日の平和的な交渉の現実に目を向けて、前向きで日本の外交を進めていくかというところに、どっちに重点を置いて日本の外交を進めていくかというところに、私は分かれ道があるのではないだろうかと実は思うのであります。これはちょうど中国問題を認めた場合における台湾の処置をどうするかという問題によく似ておるのではないだろうかと私は思われてなりません。援助を全地域にやりたい、サイゴン政府は全地域に及んでいない、革命政府は言うまでもなく、今度の協定においても対等な政府としてこれを認められているという状況の中で、日本が公平な援助を全地域に及ぼしていくという考え方を持ち、また平和的な民族統一を促進されていくという考え方を日本が積極的に持っていくならば、私はああいう混迷は実はなかったと思うのであります。現在の外務省の考え方をもってするならば、たとえば法眼氏の考え方をもってするならば、これはサイゴン政府に肩入れをしていこうという考え以外の何ものでもない。そういう態度をやめるべきだと私は思うのであります。これも重要な問題の一つではないでしょうか。私は、そういう意味で、緊張緩和に処する現政府の態度について所見をひとつ伺いたい。 それからもう一つ、これも同時に、外務大臣として重要視すべき問題だと私は思いますが、ソ連と中国との対立を利用し、それに便乗するかのごとき外交がもし日本にあるとすれば、それは大きな間違いといわなければなりません。私は、その意味において、日本が今日正しい外交姿勢というものをとっていただきたいと実は思われるのであります。でありますので、これからの中国外交、これからのソ連外交について慎重であっていただきたいということをひとつ希望として申し上げておきたいと実は思うのであります。 なお、時間もございませんので、もう一つ質問を追加させていただきます。 いまブレジネフとの間に首相が文書を交換をいたしておるようでありますが、ソ連との国交回復の関係については今後どのように進められていくのであるか。総理大臣のソ連訪問という計画とあわせて、政府の方針をひとつ伺わせていただきたい。このことをあわせ、私の質問を終わることにいたします。
○大平国務大臣 緊張緩和の徴候が確かに見えることも事実でございますけれども、まだ至るところに不安定要因が伏在いたしておりますことも歴史的な現実であろうと思うわけでございます。私どもの任務は、せっかく芽ばえかけました緊張緩和の徴候というものをできるだけ定着させて、平和な姿に定着させてまいるということのために日本はなすべきことをなし、なすべからざることをなさないということでありたいと思っております。 それで、ただ勝間田先生のお話を聞いていてちょっと感じますのですけれども、緊張緩和の徴候が見えたからそういう方向に大胆に外交政策の歩武を進めてまいるような方向に、あなたのお話のアクセントがあるわけでございます。ところが政府の立場は過去を背負っておるわけでございまして、重い荷物を背負っておりまして、この荷物をあなたはかかえていないけれども、私はかかえているわけでございます。ですから、このテンポがあなたが御期待されるようなテンポになかなかいかないわけでございますことは、勝間田先生も含めてひとつ御理解をいただかなければならぬと思います。非常に隔靴掻痒の感があって、非常にもの足りないということは私もよくわかるわけでありますけれども、それを理解していないというわけではないのでございますけれども、現実の外交政策の展開にあたりましては、先輩各位がいままで営々として仕組んでまいりましたいろいろな過去を背負いながら、あなたの言われる方向にどうして一歩を踏み出せるかというぎりぎりのことを毎日考えているわけでございますので、政府の立場につきましても、そういう意味で御理解をちょうだいいたしたいものと思うのであります。 ASPACにいたしましても、せっかく何カ国かが集まりましてこういう仕組みをつくったということでありまして、これはすでにそういう約束をいたしました国々との間に何とかコンセンサスが得られて、それでこの荷物の処理というものについて見当をつけたいと考えておるわけでございますので、そういう意味でひとつわれわれの緊張緩和に対処する外交につきまして、御不満な点がありましょうけれども、政府の立場につきましても御理解をいただきたいものと思うのでございます。 第二の、中ソ関係の間に立って、この対立を利用して云々なんというような根性は毛頭持ちません。そういう大それた考えは毛頭持たないわけでございます。そんな力はございませんし、そんなことをすべきでもございません。あくまでも日本の国益を踏まえた上で、中国に対しては中国、ソ連に対してはソ連に対してやるべきことをやる、やらないことはやらぬという立場は何としても堅持していかなければいけないと思っております。この点につきまして、あなたに私が御忠告をいただきましたように極力慎重にやれということでありまして、仰せのとおりひとつそういうつもりでやってまいりたいと思います。 それからソ連首脳との間の書簡の交換でございますが、去年の秋、福田外務委員長に託した書簡を契機といたしまして、日ソ最高首脳の間で書簡の交換が行なわれる運びになりましたこと、これはまあ首脳外交の時代でございますので、間断ない意思の疎通を最高首脳の間でやっていただくということは、私は外交にとってはかりしれない効果をもたらすものであると評価をいたしておるわけでございまして、今後もそういうことについて精力的にやってまいりたいと思っております。本日も、先般当方の田中総理から送られました書簡に対しましての返信が、きょう十時半にブレジネフ氏から田中総理に対する返書が届いているはずでございます。こういうことは、私は非常にありがたいことだと思っております。そして、すでに田中総理に対する訪ソの要請は前々から、福田さんが行かれた当時からあったわけでございまして、総理に対する訪ソの招待はずっとスタンディングというか、そういう招待を受けたままの状態にいまなおあるわけでございまして、おそらくは、きょう手交されます書簡の中にもそういうことが再確認されるのではないかと私は思っております。したがって、私の立場から申しまするならば、首脳外交時代でございまするし、日ソの間にはこういういろいろ重大な二国間の関係を持っておりますので、総理に訪ソしていただいて、さらに直接接触を最高首脳の間で持たれることを私は希望いたしております。したがって、そのようなことを総理にお願いしようと存じておりますけれども、目下国会開会中でございますので、国会が終わりました段階で、総理の全体のことしの政治スケジュールの中でこの問題に特別な配慮をちょうだいしたいものと、いま思っておる次第でございます。 それから日ソ関係の今後の進め方でございますが、ブレジネフ書記長も申されておるとおり、二国間の懸案を解決して安定した基礎の上に両国の関係を置きたいということを、先般の革命記念日にも言われておりまするし、田中総理も同じように希望をされているわけでございます。そのためには平和条約を締結しようということにつきましても、両国は一致しているわけでございます。したがって、去年の一月のグロムイコ外相の訪日からそういう話が出てまいりまして、去年の十月に私が訪ソいたしまして第一回の交渉を行なったわけでございます。第二回の交渉をことしはまたモスクワでやろうということまで合意をいたしておるわけでございます。この平和条約の締結交渉につきましては、仰せのように、もう万々御承知のように双方にとりまして解けがたい懸案をかかえておるわけでございますので、これには相当精力的な交渉がこれから要ると思うのでございますけれども、すでに最高首脳同士の間で平和条約締結交渉はやろうじゃないか。で、こういう平和条約の締結を通じて日ソ関係を将来の長きにわたって安定的な基礎の上に置こうじゃないかということで合意を見ておるわけでございますから、それを唯一の頼みといたしまして、むずかしい懸案事項につきましては、しんぼう強い交渉を通じまして何とか打開の糸口を発見したいものと思っておるわけでございまして、いま私に成算があるかというとございませんけれども、一生懸命に対処しなければならないという決意でおることだけを御報告申し上げさしていただきたいと思います。
○藤井委員長 石井一君。
○石井委員 一九七〇年代の国際経済の当面する問題として、私は二つの危機があるのではないかという感じを持っておるわけでございます。 その一つは、いわゆる国際通貨の危機であり、それからもう一つはエネルギー資源の危機だというふうに考えております。 様相は両方とも非常に違っておりますが、私はその原因というものは非常に共通した面がある。すなわち国際通貨の危機の場合には、いわゆる基軸通貨としてのドルの低下、そういうことから今回の危機というものが起こっておりますし、それからエネルギー資源の危機というのも、軍事力なり経済力の背景であったアメリカの力の威信というものが下がっておるという関係から、従来のアメリカ中心のメージャー主導型というものから、いわゆるOPECを中心とした主導型に変わってきたということがこの危機の原因だ、私はこういうふうに感じておるわけでございますが、まずこの点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 最近、とみに資源問題が世界の緊張を呼ぶ課題になってきたと思うわけでございます。そのきっかけは、豊富な資源を持っておるアメリカが、今後の資源の需要の展望を見た場合に、海外から多くの資源、とりわけ石油資源を仰がなければならぬという展望を踏まえて、アメリカが資源問題について非常な関心の度合いを深めてきたということが一つあると思います。 それから、仰せのように石油産油国側の勢力が強くなり、相対的にOPECの力が弱まってきたという間隙にこの資源問題の緊張が生まれてきたと思うのでありまして、これが今後世界の経済、世界の政治にとりまして最重要課題の一つになるということ。したがって資源外交というものは、今後われわれにとりましては最も緊切な案件になってきたのではないかという御指摘につきましては、私も全く同感に思っております。
○石井委員 この深刻なエネルギー危機というものをアメリカは反映いたしまして、大統領教書を出そうという動きもあるわけでございますが、アメリカ自体、最近いわゆる輸入制限をしておりましたものを撤廃いたしましたり、それからまたいろいろな資料などを調べていますと、アメリカの上院のジャクソン内務委員長が、石油の海外依存度というものが現在は二二%ということでございますが、八〇年ごろには四〇%から六〇%になる、そしてその大部分をやはり中近東から求めるというふうなことを発言いたしております。そういうことを考えますと、特に中近東の資源に依存しておるわが国にとっては、アメリカの供給というものがこの地域から非常に多くなってくるというふうなこともあって、これは対岸の火事だというふうに傍観しておれない非常に深刻な情勢が日本にも押し寄せてきているのではないか、こういうことを私は感じるわけでございますが、大臣は三月七日にピーターソンアメリカ大統領特使ともこの問題についていろいろとお話し合いになっておるわけでございますけれども、こういう情勢の中で、さらに相互協力が明るい方向で展開されるというふうな心証をそういう会談を通じてお感じになっておるのか。アメリカのエネルギー危機の正体というふうなものも考えて、この問題をどういうふうに受けとめられておるのか、この点について御意見を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 仰せのように、アメリカが今後の資源需要の展望に立ちまして、とりわけ石油問題につきまして非常に緊張を呼ぶ課題として受けとめておるということは仰せのとおりであります。 それでアメリカといたしまして、まず日本、EC等と相はかりまして、石油消費国側の国際協力というものが考えられないかということについて、ピーターソン氏も非常な関心を示されたことも事実でございます。しかし問題は、消費国間の国際協調ということも大事でございますけれども、産油国が力を持っておるわけでございますので、私は産油国側と消費国側が先鋭に対立するような事態においては、なかなかこの問題の解決はむずかしいのじゃなかろうか。したがって産油国も含めまして石油問題についての国際的な協調というような道がないものかということについては、お互いに勉強しようじゃないかという趣旨のことを申し上げたわけであります。いま各国ともこういう問題につきまして、まだ確たる方針が立っていないわけでございまして、これから国の内外を通じまして検討もし、施策もしなければならぬ課題であると私は思っております。
○石井委員 一九六〇年代の終わりころから七〇年にかけて、いわゆるOPECの諸国からの原油値上げの攻勢が来たときに、日本はすでに非常にきわめて不安定な立場に追い込まれたことがあります。当時の愛知外務大臣は、OPEC問題では外務省の収集した情報が必ずしも十分に活用されていなかったということで、情報整備の体制その他いろいろと指示をされたわけでございますが、その後の成果が十分にあがっておらない状態で、今日のさらに大きな危機が来ておるという感じがしてなりません。特に従来の考え方というのは、これだけ大きな死活問題にあるにかかわらず、金さえ出せば自由に買えるんだというふうな楽天的な考え方、そして惰性的な経済の成長というものを繰り返してきて、現在アメリカその他の危機に当面して非常に戸惑っておるというふうな感触が私にはしてならないわけでございますけれども、一体外務大臣としては大もの大臣として、今後の供給の確保のためにどういうところに重点を置いて、どういうふうなものを中核に資源外交を展開しようとされておるのか。いま多少ピーターソン氏との会見にも触れられて御意見を言われましたが、資源外交というものをどういう機軸でこれからこのきびしい時期に推進されようとするのか、この点をお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 仰せのように商業的手段で、石油が期待された時期に、期待された相場で、期待された量を確保できるなんというのは、もう昔の夢になったと思うのです。したがってこの安定確保をはかるにつきましては、仰せのようにあらん限りの手だてを用意していかなければいかぬと思うのでございまして、資源政策がこういう状況になった段階におきまして、政府がいまりっぱな答案を持っておるかというと、正直のところ通産省に資源エネルギー庁をつくってこれから続くものという姿勢でございまして、自信のある政策が打ち立てられておるわけでは決してございません。 ただ、せっかくの御質問でございますので、外務省としてどういうことを気をつけなければならぬかということを申し上げますとするならば、まず産油国とわが国との間の理解と友好をさらに進めてまいらなければいかぬと思います。産油国と申しましても、イランのように原油の売却収入というものが非常に多い国でありながら、しかも日本その他に経済協力を求めてきて、非常に大規模に経済社会の発展計画を推進している国もございます。けれども、せっかくの売却収入を持っておりながら、まだそれを十分活用する手だてが発見されていない国もあるようでございます。したがって、これからはそういう国々との経済協力につきましても、先方はずいぶん資本があるわけでございますから、日本の技術と先方の資本の組み合わせという姿で、いまからやるべき仕事が相当あるのではないか、そういう方面で産油国とわが国との間のいろいろな面の協力を進めてまいって、お互いの理解と友好を進めてまいる、供給を確保するということが一つだろうと思うのでございます。 それから第二はアメリカ、何と言いましてもイメージは衰えたりといえども、相当世界に対する石油供給につきましての力を持っておるわけでございますので、このEC、アメリカ、日本、そういった主要消費国との間の協調、これはピーターソンさんもおっしゃるように、お互いに協調の実をあげるように、これは資源外交の一局面として考えていかなければいかぬと思うのでございます。しかし、その場合、先ほど申しましたように、産油国と対立するような姿においては私は持っていきたくないと思っておるわけでございます。 それから、第三の在外公館の情報収集力、その分析力、そういった点でございますが、それは確かに石井先生御指摘のとおり十分と言えないわけでございまして、このように資源問題がやっかいになるというようなことを頭に置いてできていないわけでございますので、これは産油国、消費国、その他のポイント、ポイントには相当すぐれた要員とすぐれた機構で対処すべき問題でございまして、これは私の仕事としてその整備にひとつ努力したいと考えております。
○石井委員 ただいまの御答弁をお伺いしておりまして、まず産油国との友好の推進ということで、過去どれだけのことをわが国はやってきたかということを調べてみますと、これはまことにまだまだ道遠きの感がある。経済協力、技術協力といいましても、何をしていいかわからぬというような受け入れ体制も問題があるわけでございますけれども、そういう状態でありますが、たとえばアメリカあたりは非常に積極的に、コナリー前財務長官なども派遣いたしまして、何といいますかトップ会談をやっておる。日本にはこれまでたびたびそういう非公式な要請があったにもかかわらず、外務大臣、通産大臣がお出かけになったというふうなことも聞いたことがない。私はやはりこのアラブ・中近東外交というものを、もうひとついまここで見直さなければいかぬのじゃないか、こういう感じがまず第一にいたします。 それから第二に、いま言われましたアメリカが力衰えたりともという点でございますが、これは消費国連合というアイデアでございますが、これはしかし慎重に対処しなければいかぬ問題だと私は考えております。 第三に、情報の収集能力ということ以外に、産油国と消費国とをともに同じテーブルにつけるという、いわゆる国際協力体制というものをこの際つくりあげていくために、日本は貢献をしなければいかぬのじゃないか、こういうことも感ずるわけでございますが、この点についての御所見がありましたらひとつお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 先ほどの資源政策の中で、一つ開発輸入のことを私は申しおくれておりましたから、そういった点はすでに小規模ながら各地で始めておりますけれども、今後さらに網を拡大いたしまして、開発輸入を進めてまいるということもあわせて御答弁申し上げておきます。 それから中近東等を中心にいたしましての外交の展開でございますが、たいへん消極的で微温的で、しかも経済協力等におきましても見るべきものはないじゃないかという御指摘でございまして、この点につきましては今後特段の配慮をしていかなければならぬものだと思います。 それから産油国と消費国との間の協調体制をつくることに一役買わなければならぬじゃないかという、お説のとおりだと思うのです。まあ日本は幸いに幸か不幸か手のよごれがないわけでございますので、産油国側と消費国側との間で日本がいろいろあっせんの労をとるということはできない相談でもないと私は思いますので、そういうことについては今後十分気をつけていきたいと思います。
○石井委員 まだこれから本論といいますか結論に入るところでございますが、採決のための大臣もおそろいになったようでございますので、私はきょう一番最後にその点だけ、ひとつ野党の皆さんのお許しをいただいて、あと十分ほどやらしていただくという御了承をいただいて、ここで私、一時質問を中断さしていただきたいと思います。 ————◇—————
○藤井委員長 国際情勢に関する件についての調査は一時中断し、この際、沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案を議題といたします。 本案に対する質疑は去る七日終了いたしております。 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○藤井委員長 この際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五常共同提案により岡田春夫君外四名から本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。岡田春夫君。
○岡田(春)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の五党を代表して、ただいま議題となりました法案に対する附帯決議案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 案文はお手元に配付をいたしておりますので、朗読は省略をさしていただきます。 さきに琉球政府立法院は、国際海洋博覧会の沖繩開催実現についての要請決議を行ないました。政府はこれを受けて昭和四十六年十月二十二日の閣議において、昭和五十年に沖繩で国際海洋博覧会を開くことを決定いたしております。私たちは、この国際海洋博覧会が復帰後間もない沖繩県において開催されることに意義を感ずるものであります。したがって、この法案に基づいて設置をされる海洋博政府代表が十分にその任務を果たし得るように政府は万全の措置をとることを希望するものであります。 また、博覧会の趣旨にかんがみ、当然に体制のいかんにかかわらず、できるだけ多数の国家及び国際機関が参加することが望ましいことでございますが、この点についても政府は最善の努力を払うよう強く要請するものであります。 さて現在、沖繩においては博覧会の開催にあたって、本土の独占資本をはじめとして、大手商社が土地の買い占めなどを行ない、地価をはじめ建設資材等を含む諸物価の急激な高騰により、沖繩県民の生活及び地元産業に重大なる脅威を与えているのが現状であります。したがって政府は、土地などの買い占めに対する規制や物価騰貴に対する抑制策をはじめとして、海洋博覧会関係経費の地元負担を極力軽減するとともに、沖繩の美しい自然環境の保全には万全を期していただきたいのであります。 また農業、中小企業等地元産業に対する保護及び県民の生活安定に対しても十分な配慮をしていただきたいのであります。 さらに今後、沖繩海洋博の円滑なる運営のために、那覇空港の早期完全返還と国道三百三十一号線のすみやかな開放をはじめ、嘉手納飛行場への民間航空機の乗り入れなど、海洋博の成功のために万全の措置を講ずるとともに、米軍基地の最大限の縮小整理の措置をとるように強く要望したいのであります。 何とぞ本附帯決議案に対し、委員各位の御賛同を切にお願い申し上げて、提案の趣旨の説明を終わらしていただきます。 ————————————— 沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行にあたり、次の事項につき適切な対策を講ずべきである。 一 政府代表が十分にその任務を果たすため万全の措置をとること。 二 海洋博覧会の趣旨にかんがみ、体制のいかんにかかわらず多数の国及び国際機関が参加するよう最善の努力を払うこと。 三 沖繩国際海洋博覧会の開催にあたり、沖繩における地価及び建設資材等の高騰が県民生活並びに地元産業に与えている影響にかんがみ、次の諸点について特段の留意を払うこと。 1 沖繩の経済開発を円滑に促進するため、土地等の買占め、地価及び物価の高騰に対し、効果的な抑制策をとる。 2 関係自治体の地元負担を極力軽減し、そのため適切な財政措置をとる。 3 自然環境の保全に万全の措置をとる。 4 農業、中小企業等地元産業に対する保護及び一般県民の生活安定に関し、十分配慮する。 四 那覇空港の早期完全返還と国道三三一号のすみやかな開放をはじめ、米軍基地のできる限りの縮小整理の措置をとるよう努力すること。 —————————————
○藤井委員長 本動議について別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。 岡田春夫君外四名の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。大平外務大臣。
○大平国務大臣 ただいま御議決をいただきました法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を体しまして万遺憾なきを期する所存であります。
○藤井委員長 中曽根通商産業大臣。
○中曽根国務大臣 附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、万遺憾なきを期します。
○藤井委員長 稲嶺沖繩開発政務次官。
○稲嶺政府委員 ただいま議決をいただきました法律案につきましては、この附帯決議につきまして沖繩開発庁といたしまして、この趣旨を体しまして万遺憾なきを期したい所存でございます。
○藤井委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○藤井委員長 午後二時に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ————◇————— 午後二時二分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を続行いたします。瀬長亀次郎君。
○瀬長委員 前回に引き続きAIDの問題について外務大臣にお聞きしたいと思いますが、その前に一応確認しておきたいのは、大平外務大臣、常に外交の基調は国益を基調にし、国際信義の問題をたびあるごとに強調されておりますが、私もその点については同じ意見を持っております。ところで、特に対米外交については、アメリカが国際信義にもとるようなことがあったら、大臣としては、大臣の性格上きついことは言えないにしても、国民の利益を代表する信義に反することをやられた場合には、アメリカに少しきついおことばを言うことができますか。その点について最初にお聞きしたいと思います。
○大平国務大臣 信義を守ることの第一は、何と申しましても約束を守ることでございます。日米間には非常に広範かつ濃密な関係がございますが、これを律する取りきめがあるわけでございまして、日米両国が合意し約束をいたした以上、誠実にこれが履行されなければならぬと考えております。したがって、友好関係があるということと、取りきめに違背があった場合に遠慮するという、友好関係にあるからといって、違反事実があったのにそれを遠慮するというようなことはあってはならないと私は考えておるわけでございます。約束は約束として、厳正に履行されなければならぬ、それを保証しなければならぬと考えております。
○瀬長委員 それを聞いて安心しました。 さて、具体的な問題に入りますが、アメリカは約束を破って、国務省機関であるAIDなるものを沖繩基地に持ち込み、そしてこれが安保条約にも地位協定にも違反し、許されない行為であり、さらに沖繩国会において政府は沖繩基地の実態を全部調査の上、基地協定などに違反するようなものはないと確信の上沖繩協定を結ばれたわけでありますが、AIDは、こっちが指摘しない前まではずっと居続けてきた。もし指摘しなければいつまでも、安保条約でも許されないような国務省機関が居すわり続けたであろうということは、過去の委員会の質疑応答の中でも明らかになっておると思います。 それで私二十日に沖繩に帰りまして、キャンプ桑江の基地を見、そうしましたら、AIDの看板は取りはずされ、そうして器材もどんどん運ばれつつあるということを確認してきております。このAID問題については実態をさらに調査の上、外務省としては適切な措置をとるということで、いままで答弁は保留されておりますが、これについての大臣の現在の考え方を簡潔に述べてほしいと思います。
○大平国務大臣 AIDの実態は本委員会でも中間で御報告申し上げましたとおり、国務省に属する機関でございまして、米軍と深い関係の仕事をいたしておりますけれども、機関自体は国務省の機関であるし、そこに雇われておる職員は国務省の職員であるということでございますので、そういうものが日本の区域、施設を利用するということは明らかに地位協定上許されないことであると思うわけでございます。したがってアメリカといたしましてその事実を認められて適切な処置がとられることを期待いたしておるわけでございます。
○瀬長委員 適切な措置についてアメリカはAIDをどうしたのか、実態はまだ突きとめておられないのか。きのうからきょうにかけまして外務省と直接連絡をとりましたら、すでに移転は開始しておる、口上書を取りかわすのだとかいうことがありましたが、これについては大臣おわかりにならないのですか。
○大河原(良)政府委員 キャンプ桑江の中に事務所を持っておりましたAIDの極東地域事務所並びに沖繩地区事務所につきましては、先般来国会における御論議をも通じまして、地位協定上あるいは安保条約との関連上、問題がありということにつきまして米側と話は進めてまいったわけでございますけれども、三月の十五日に米側のほうからキャンプ桑江内にありまするAIDの事務所を近く施設、区域外に移転することにしましたという通報があったわけでありますけれども、その際の通報によりますと、キャンプ桑江の中に置かれておりましたAIDの極東地域補給事務所とAIDの沖繩地区事務所の移転先は北谷村の浜川の国務省住宅地区内である、こういうことでありましたので、AIDというアメリカの政府機関が日本の国内におきまして事務所を設ける場合には当然成規の手続が必要であるわけでございますから、その成規の手続を踏まれたいということを米側に申しまして、米側のほうから成規の手続を踏んでまいりまして、昨日に至りその成規の手続が終わりましたので、キャンプ桑江から北谷村の浜川内にありまする米側の国務省の地区にこの事務所を新たに移転するということについて日本政府が同意をしたわけであります。
○瀬長委員 これは国務省機関であるVOAのいわゆる居住地区だと思いますが、だからそこに移るのであれば地位協定にも触れない、さらに沖繩協定にも触れないという見解ですか。
○大河原(良)政府委員 AIDの当該機関の移転先でありまする北谷村の浜川は、国務省が現在賃借によって使用している地域でございまして、地位協定との関連はもちろん出てまいりません。それから沖繩返還協定に関連いたしまするVOAの施設そのものの措置とも直接の関連はございません。しかしながら、AIDというアメリカ政府の正式の機関が日本の国内に事務所を設けるということにつきましては、日本政府としては当然成規の手続を踏ませるべきものである、こういう立場に立っていたわけでございます。
○瀬長委員 所定の手続というのは書簡の交換であるのか、さらにこの書簡の中に将来AIDは現在VOAが現に居住しておる浜川地区に移転するんだといったような書簡の交換が行なわれたわけでありますか。
○大河原(良)政府委員 米側との合意の確認の方法といたしまして、書簡もございましょうけれども、今回の場合には口上書という公文の形をとっております。米側から公文書、口上書によりまして日本側の同意を求めてまいり、日本側がこれに対して同意を与えたという手続を踏んだわけであります。
○瀬長委員 口上書の内容はどういう内容でありますか。
○大河原(良)政府委員 米側から申してまいりました口上書の内容は次のとおりでございます。 まず第一に、沖繩の嘉手納付近にありまする米国国際開発局、すなわちAIDの極東地域補給事務所の設置に関し外務省の同意を要請する、これが第一点。 第二点といたしまして、この事務所は主としてAIDによる経済援助計画用の供給物資を米軍側から調達することによりましてAID諸機関を補助するものであり、少数の米国人職員と現地採用の日本人職員によって構成される、これが米側の口上書の内容であります。 これに対しまして、日本側は同じ公文の形をもちまして、この補給事務所の設置に同意した、こういう内容でございます。
○瀬長委員 その期限は何年ですか。
○大河原(良)政府委員 期限は口上書そのものの中には触れてございませんけれども、米側といたしましては、沖繩返還協定に基づきましてVOAが沖繩に暫定的な使用を許される期間は最大五年であるということは十分承知いたしております。
○瀬長委員 さて、この事実が明らかになりましたので、特に大平外務大臣の御答弁をお願いしたいのでありますが、同じ国務省機関でありましても、VOAとAID、これは別の機関であるということは常識だと思います。さらにVOAにつきましては、沖繩返還協定の八条にちゃんと規定されております。それを受けまして、さらにヴォイス・オヴ・アメリカ中継局の運営の継続に関する交換公文、これが行なわれており、そしてその中にはヴォイス・オヴ・アメリカ中継局、これの施設、送信局はどこに置き、受信局はどこに置き、さらに住宅、業務用施設はどこに置くということを明らかにしただけではなく、中継局の送信活動の範囲その他七項目にわたる交換公文の内容があります。それだけではありません。合意議事録の一番最後にも、すなわち沖繩協定「第八条に関し、ヴォイス・オヴ・アメリカの日本国外への移転の場合において、」云々ということで、VOAに関する限り協定で規定し、それに基づく交換公文があり、さらに合意議事録ということで、特に国務省機関であるVOAは限定的にそこに置かれるということになっておる。にもかかわらず、VOAとは別個の組織であるAIDを、国務省機関の一つであるからということで、単にキャンプ桑江基地内から移転したいのだ、引き続き業務は米軍の資材の関係を処理する業務を続けるのだ、置かしてくれということだけでよろしいということを外務省自体が示す態度をとったということは、この沖繩協定に違反し、さらに限定的であるVOAの交換公文、合意議事録に違反している。この問題をどう処理されるのか。単に行政措置のみでAIDを引き続き沖繩に存置する問題についての基本を大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
○大河原(良)政府委員 事実関係につきまして、まず私から御答弁させていただきます。 ただいま御指摘ございましたように、沖繩返還協定第八条並びに交換公文、それから付属議定書、これをもちましてVOAの沖繩の暫定的な運営に関する合意が規定されているわけでございますけれども、この合意に基づきまして、アメリカの国務省は北谷村の浜川地区に私契約をもちまして土地の借り入れの契約をいたしてきておりますけれども、その中のVOAの職員用の宿舎として予定されておりました九戸のうちの一戸がたまたまあいておるということで、この一戸をただいま御指摘ございまするAIDの事務所に充てたい、こういうことを言ってきているわけでございます。御指摘のございました交換公文の1の趣旨は、VOAの中継局が使用し得る施設の範囲をきめたものでありまして、その一部がたまたま他の用途に使用されることがあるといって、交換公文そのものを修正する必要があるものとは考えておらないわけでございます。
○瀬長委員 私冒頭で大臣に質問をしたのはこれと関連をします。アメリカは約束を破ったわけなんです。信義にもとります。あの沖繩協定を結び得る時点、発効する時点で、もうこれ以外ないということをアメリカは日本政府に証言したのです。まさかVOAと同じような国務省機関のAIDが沖繩にあるなどということはいっていないはずである。もしいっていないとすれば明らかに約束を破ったものであり、さらに日本政府は知っていなかったことになる。結局だまされたということになって、信義にもとる行為を現実にやっているわけなんです。それに対して、たまたまVOAの住宅地域の浜川に一室があいているので仮住まいみたいなかっこうでAIDを住まわせるということは、これは個人の引っ越しと違うんです。違うからこそ問題になるわけなんです。友だちの建物があいておる。たまたまそこに全部引っ越したいがどうも引っ越せない状況である。ところがある一定の時期がたつとあき家になったのでそこに引っ越すなどといったような関係とは違うということは、外務省自体でよくおわかりだと思うのです。そういうAIDを——これは沖繩協定にも規定し、その規定に基づいて交換公文や合意議事録の中にも規定されて限定されております。AIDだけだ。ほかのものを住まわしてもいいということは一言も書いてないはずです。AID、その他これに類するようなものを住まわしてもいいということは書かれていないのです。いまになって一応基地内から退去しなければならぬという羽目におちいった。しかしアメリカは沖繩から引き揚げるわけにいかぬと彼らは考えた。考えたから、たまたまVOAなる国務省の機関がそこにあるので引っ越そうじゃないか、またあいている。こういった措置がいわゆる国対国の外交で、さらに条約上の手前もあり協定の手前もあるのに、そういったことがあるにもかかわらずただ個人の引っ越しみたいに考える場合に、国民は、一体日本の外交はどこに行くかという不安にかられます。この点についてはぜひ大臣の自信のあるお答えがほしいのです。
○大平国務大臣 AIDが施設、区域を利用しておったという事実は、瀬長さんの御指摘によりまして明らかになりました。このことは、日本政府が沖繩返還にあたりまして全部そういう非がないということを申し上げてありましたこと、にもかかわらずそういう事実が露見したこと、これは明らかに日本政府の手落ちでございます。まあ、あの施設はアメリカといたしまして別に悪意でそうやっておったわけではなくて、軍と密接な下取りの仕事をしている関係でございますから、あそこに置いて差しつかえないじゃないかと考えられておったものと認めます。アメリカの軍、政府、なかなか膨大な機構でございまして、そういうところまで気がつかなかったのじゃないか。日米両国政府がそういう小さいところまで気がつかなかったことに対しては、私は申しわけないと思います。しかしそのことは、あやまちがあれば直ちに改めなければならぬわけでございまして、これは地位協定という両国の取りきめの線に沿いまして改めたわけでございますので、その点は御了承をいただきたいと思います。 それから第二に、今度移転先がVOAの中継局の敷地内にあるじゃないか、そのことについて、これは約束違反じゃないか、交換公文違反じゃないかという御指摘でございますが、政府はそう考えないということでございます。交換公文1につきましては、これをほかにVOA以外の施設に——いま政府委員がお答え申し上げましたように範囲を交換公文できめておるだけでございまして、あなたが言うように、その施設はVOAの機関だけしか使っちゃならぬぞという積極的な規定はございませんけれども、しかしその一部を他のものに使用してならないという排除規定もないわけでございます。したがってわれわれといたしましては、交換公文1の解釈といたしまして米国のとった措置は間違っていないと考えておるわけでございまして、それが間違っておればあなたの言う約束違反ということになるわけでございますけれども、政府はそう考えていないということでございます。
○瀬長委員 時間があとわずかしかございませんので、沖繩協定にすら違反している問題、条約上の問題については質疑を保留します。 さらに現在、ベトナム協定、ラオス協定発効以後、現実にAIDがいわゆるアメリカの情報局なども全部その傘下におさめて、軍人が民間人にかわって行って、サイゴン政権を維持しようということについての露骨なあらわれが現に起こっております。 それと関連いたしまして、AIDなるものを外務省はどういうふうに考えておられるか知りませんが、あのケネディ大統領が一九六一年五月に出した対外援助教書、これに基づきまして国際開発法というものができた。この国際開発法に基づいてつくられた機関がAIDであり、しかも経済援助を管理する任務は、現在では国際開発局、AIDの手に一任されている戦後沖繩でもよう悩まされましたいわゆるエロア資金、ガリオア資金、マーシャルプラン、こういったような幾つかの措置がありましたが、ケネディ時代にそれを総括いたしまして、このAID機関を通して計画の集中化、指令の統合、責任の明確化が試みられた。「AIDは従前の国際協力局(ICA)の機能を引き継いだほか、いまや開発借款基金、平和のための食糧計画、輸出入銀行の現地通貨による貸出しに責任を負う。AIDは国務省に属し、その首長は国務次官級で、国務長官と大統領に報告を行なう。AIDはワシントンの本部に三人の幹部がいるほか、三つの計画担当局、四つの管理担当局があり、極東、近東および南アジア、アフリカならびにヨーロッパ、中南米の四つの地域局がある。これらの地域局はそれぞれ一人宛、計四人の地域担当次官が管掌し、各地域ごとのアメリカ援助計画の作成と実施についての主たる責任を負う。国際平和と安全保障法の下に、軍事援助計画の活動上の責任は国防総省にあるが、」ここなんです「あるが、国務長官が全般的指令と監督に当たる。」これはAIDの規定に対するアメリカのその面における有数な学者の総括的なAID関係の文書なんです。こういったものが単に国務省機関であるVOAの中に何らの条約上の規定もなしに、基礎もなしにもぐり込ますということは、現在沖繩県民もその地域の解放については非常に要求しております。この点につきましては次の委員会で追及することにいたしまして、いまの国際法上の問題、沖繩協定などの問題につきましては次期の委員会でやることにして、次の件は保留して私の質問を終わります。
○藤井委員長 小川新一郎君。
○小川(新)委員 私は時間がございませんので端的に質問いたしてまいりますので、大臣よろしくお願いいたします。 今後の政治外交スケジュールについてお尋ねいたします。ニクソン大統領は、三月十五日の午前十一時記者会見いたしまして、一九七三年中の大統領の外遊計画に触れております。その中で、今年中二回にわたって海外訪問する考えを示唆しましたが、その先にわが国が含まれておりますことはもう御存じのとおりでございますが、こういった外務省に事前の打診もなくこのような発表を行なわれたことを政府はどう受けとめておられるのか、そして政府はその後アメリカから何らかの連絡を受けているのかどうか。またニクソン大統領の訪日はどのような意味を持っているのかという点で不明確な点がございますので、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○大平国務大臣 日本政府といたしましては、ニクソン大統領が訪日の機会をつくられて、それが実現するような事態になることを希望いたしておるわけでございます。申すまでもなく政府首脳、最高首脳がいま世界外交におきまして至大の重要な任務を帯びておられるわけでございますので、最高首脳自体が訪日されてわが国の朝野と理解を深められることはたいへん歓迎すべきものと思っております。このことにつきましては、かねがね非公式にそういう話し合いはあったわけでございますけれども、公式に外交ルートに乗せていくまでにまだ至っていないわけでございます。まだ非公式の段階を出ていないわけでございますけれども、日米間にはそういう話し合いは以前から続いておるということで御承知をいただきたいと思います。
○小川(新)委員 そうすると、まだ正式な要請とかそういったものはアメリカ政府から受けてない。来るということに対しても関知してない。
○大平国務大臣 いろいろ先方の感触等は承っておりますけれども、まだ公式に外交ルートを通じて固めるというところまではいっていないわけでございます。
○小川(新)委員 ニクソン大統領のわが国訪問と天皇陛下の御訪米、また田中首相の訪米問題、こういうものは一体どういう順序になってまいるのか、その辺のところは外務省としてはどう調整なさっていらっしゃるのかちょっとお尋ねします。
○大平国務大臣 それぞれいまあげられました三つの事案それぞれ別個の事案でございまして、それぞれが意味があることだと考えております。ただ、外務省といたしましては、相互のつき合いは何ごとによらず、またいずれの国とのおつき合いにおきましても相互にそれぞれ訪問を考えるとかということが望ましいわけでございます。それが時期的にうまくミートするかしないかということは、それぞれの国に都合があることでございますけれども、全体として日米相互の間は、他の国との間においてもそうでございますけれども、それぞれの相互訪問というようなことが間断なく行なわれて理解が深まっていくということは望ましいことでございまして、さように考えております。
○小川(新)委員 この問題もう少し詰めたいのでございますが、時間がございませんから、大体お考えだけをきょうお聞きしたわけでございます。 中国問題の中で二、三お尋ねしておきます。 大使の交換もまあ実施いたしまして、いよいよ日中国交が名実ともに正常化の運びになりましたが、そこで私は、日中間の経済、文化、国際政治の面での交流をより緊密にするための人の交流が大事だと思います。そこでその一つとしての観光交流を深める、これは大いに意義あると思うのでございますが、日中観光事業の展望についてどういう構想を持っておられるのか、また中国から観光客を受け入れるにはわが国は十分の用意があるのか、また中国においてはわが国からの観光を受け入れることについてどういうふうになっているのか、こういった問題、観光交流についての日中間についてあらためて、大事な問題でございますが、交渉する考えがございますでしょうか。これが一点であります。 二番目は、太平洋戦争において二百数十万の私たちの先輩また父や兄が戦った中国においてはさまざまな問題が残されておりますが、特に数十万の私たち同胞がかの地で戦死をしたり傷ついたりしております。いま私どもの手元に来ます一番の素朴なる質問は、一体いつになったら墓参ができるのだろうか、こういうためにひとつ力を入れてもらいたいという声がございますが、中国側はこういった墓参のための訪中についての受け入れの用意があるのか、また政府はこのことについて中国側と交渉する用意があるか。この二点についてお願いいたします。
○大平国務大臣 お説のように日中間に人的交流が活発になることは歓迎すべきことであると私も考えております。中国側が観光客をどのようにして受けとめられるか、先方には先方の方針があられることと思うのでありまして、ホテルの問題でございますとか交通機関の問題等収容上の問題があるように私も思います。そういう問題につきまして、将来日中間で話し合ってまいることが望ましいと考えておりますが、いままだそういう問題について具体的な話し合いをしたことはございません。それから日本側でございますが、先方に観光に参る、また先方の方々がこちらへ参る場合の仕事を日本側の観光業者が共同してやりたいというような企てもあるようでございますが、そういうことは政府として促進してまいりたいと考えております。 それから墓参問題でございますが、今後とも中国側とはこの問題について十分交渉を続けて、実現をするように持っていきたいものと考えております。
○小川(新)委員 観光よりも、特に墓参ということは中国全土にわたっておりますから、そういった問題は非常に大事な問題でございます。私たちの先輩方が犯したことについての論議は別として、人道的な問題としてのその家族の心情というものを思い合わせて、この点について、大臣、重ねてお尋ねしておきますが、ひとつよろしくお願いしたいのですが……。
○大平国務大臣 かしこまりました。御趣旨を体して努力したいと思います。
○小川(新)委員 日中航空協定の交渉のために外務省が係官を訪中させましたが、その経過はどうであったか、交渉経過でどの問題が未解決として残されたか、特に直接訪中されて交渉に当たった中江アジア局参事官からこの事情をちょっとお聞きしたいと思います。
○吉田(健)政府委員 中江参事官が都合が悪くて参っておりませんので、私からかわってお答え申し上げますが、政府間の航空協定に関する交渉が初めて行なわれたわけでございまして、非常に意義のある成果をあげたようでございます。ことに航空協定の協定文の技術的な詰めというものが相当進んだ。ただ今後問題になりますのは、路線、以遠権の問題、これがある意味で航空協定の非常に重要な内容になってくるわけでございますが、こういうものは高度の政策的要素でございますので、さらに問題点を詰めながら、今後に残っておる課題でございます。これは直接関連はございませんが、日台路線の問題なんかは関連して今後決定を要する、かような状態で成果は一応あがって、中江ミッションは第一回の予備折衝を終えて帰ってきた、こういう経緯でございます。
○小川(新)委員 大臣、この日台間の問題は非常に重大な問題なんですが、この点はどうお考えになるのでございましょうか。
○大平国務大臣 これに対する取り組み方は、この前の委員会でも申し上げましたように、日中航空協定上の問題ではないことは小川委員も御案内のとおりでございまして、民間と民間との間の実務上の関係の一つでございますから、政府と政府との間の協定上書き入れるべき問題ではないと承知いたしております。しかしながら、民間と民間との実務関係の維持が無制限に行なわれていいはずのものではないわけでございまして、日中国交正常化の精神を踏まえて節度あるものでなければならぬことは当然でございますし、さらにもっといえば、そういう実務関係の維持の方法と程度が中国側にとっても理解のできるものでなければならぬと思うのであります。そういう考え方をもちまして、どういう姿でこれを維持してまいるかということについていろいろ技術的に詰めなければならぬいろいろな問題がございますので、目下運輸省と外務省の間でせっかく検討いたしておるところでございます。
○小川(新)委員 運輸省と外務省の詰めが本ぎまりになって終了するのは大体どの時点でございますか。
○大平国務大臣 これも最近スタートしたばかりでございまして、いつごろまでにでき上がるかという時間的なめどを正確に申し上げる展望をいま持っておりませんけれども、私どもとしてはできるだけ早く詰めていただきたいと思っております。そしてその上で政治判断をしなければいかぬわけでございますので、私どもが判断するにつきまして、必要にして十分の材料をきちんと正確に整えてもらいたいということで、両省の担当者にはそのようにいまお願いをしておるところでございまして、できるだけ早くいたしたいという希望を持って督促をしておるという状況です。
○小川(新)委員 すみやかにひとつよろしくお願いしたいと思います。 その次に、在日中国人の国籍の問題についてお尋ねいたしますが、私の聞きたいのは、在日中国人の在留資格とか居住権の問題ではありません。国籍の問題であります。在日中国人は原則として中華人民共和国の国籍を取得すべきであると思いますが、中華人民共和国政府の発給する。パスポートを持参すべきであると私は思っております。中国政府からこのことについて何らかの申し入れがございましたでしょうか。
○吉岡政府委員 ただいまの時点まで何らの申し入れもございません。
○小川(新)委員 そうすると、大臣、この問題はどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
○吉田(健)政府委員 日本に在留している外国人の法律的な国籍その他の問題は法務大臣の所管の問題でございますので、法務省のほうから詳細に答えていただきたい、かように考えております。
○吉岡政府委員 法務省の入国管理局の関係といたしましては、外人登録法の関係で国籍の問題がかかわってくる次第でございますが、外人登録法におきましては、国籍という欄は中国ということの表示にいたしておりまして、現在のところ三つのカテゴリーに属する中国系の方々がこの中に入っておりまして、第一番は、中華人民共和国に所属する方、それから第二番目は、台湾の中華民国に所属する方、第三番目は、香港に在留する中国系の人で、香港政庁がいわゆるブリティシュパスポートを発行しなくて、単なる身分証明書的なアフィダビットを出しておる中国系の人、この三者をひっくるめまして外国人登録法上は中国国籍の表示をいたしております。
○小川(新)委員 そういたしますと、中華人民共和国の国籍を取得しない中国人は、私は無国籍者というように思うのです。外国人登録法の上で、いままでのように中国という不明確なステータスはあり得ないと思うのでありますが、これに対して大平大臣は、お答えはできませんでしょうな。これはどなたがお答えしていただけますか。
○吉岡政府委員 御案内のとおり、中華人民共和国も中華民国も、中国は一つであるという主張をいたしておりますので、現在の時点におきましては、中国という国籍表示でさしたる支障はないかと思いますし、また、長年の過去のいろいろのいきさつがございますのに、それを日本側が割り切るということによっていろいろな波乱を起こすということもいかがかと考えておりますので、われわれといたしましては、中国という表示でいずれの両者にも問題がないということであれば、一応この状況を続け、国際情勢の変化に伴っておのずからこれが解決することを期待しておる次第でございます。
○小川(新)委員 国際情勢の変化というのは、日本と中国が大使交換を行なって正常な事務手続が開始される、そして国交が正式に交流される、その時点では中華人民共和国の国籍を名のらせる、こう理解していいのですか。これは、大平大臣、大事な問題ですが、入国管理局長さんのお答えでは、私ちょっと満足できないのですが、大臣としてはどうお考えですか、所見を承りたいのです。
○大平国務大臣 まずアジア局長から……。
○吉田(健)政府委員 技術的な面を私から最初に申し上げますが、国籍というものは、本人の希望によって取得もできますし、場合によっては放棄もできるということでございまして、日本と中華人民共和国との国交関係とは別の次元において、国籍の問題というものがその当人にかかわってくるということだと思います。ただ、そういう形で、先生いま御指摘のような無国籍的な状態になるのではないか、これをどういうふうに日本における在留管理上取り扱っていくのかということは、これは法務省の在留管理の問題として事実面を解決していく。北京政府、中華人民共和国と日本との関係において、この点は特に問題はない、かように私は考えるわけでございます。
○大平国務大臣 先ほど入管局長もちょっとお触れになったようでございますけれども、中国の現在の状況はいま御案内のとおりの状況でございまして、中国の中に別な政府、政権があるという現状は否定できないと思うのでございます。こういう事態は第二次大戦が生んだ一つの奇形的な事態でございまして、分裂国家の実情に即して、しかしながら毎日外交関係その他の実務関係は取り結んでまいらなければならぬ現実との間に、埋めがたい間隙をつくっておると思うのでございます。 で、われわれといたしましては、世界は一つになり、交流が非常に公明に行なわれるようになること、そしてそういった問題がなくなるような方向に国際情勢が展開してまいるようにつとめなければならぬし、そのように期待しなければならぬと思うのでございますが、現実の事態は遺憾ながら、小川先生おっしゃるように、非常に潔癖にきちんとした処理ができるというしろものではございませんので、暫定的には、経過的には、入管局長が申されたような処理をいましばらく続けさせていただくよりほかに道はないのではないか。このことにつきましては、入管局長も言われたとおり、いま日中間に格別そのために信頼をそこねるというようなことはないものと私は確信しております。
○小川(新)委員 時間が参りましたので、あとの質問は、また後日機会がありましたときにさせていただきます。たいへんありがとうございました。
○藤井委員長 永末英一君。
○永末委員 ワシントンにおります愛知大蔵大臣がニクソン大統領と会われたようでございますが、そのときに田中総理に対して、ニクソン大統領から訪米の招請がございましたか。
○大平国務大臣 そういう電報を愛知ロジャーズ会談、愛知・キッシンジャー会談等の公電に接しておりますが、その中でそういう問題を触れられておるようでございます。
○永末委員 これは正式に、アメリカ政府から日本政府に対して、わがほうの田中総理に対する招聘要請だと受け取ってよろしいですね。
○大平国務大臣 これは去年のハワイ会談のときも、間断ない対話を続けていこうじゃないかということで、田中さんになるべく早く来てくれぬかという意味の話し合いは絶えずあったわけでございますから、私としては特に新しい意思表明があったというようには受け取っていないわけでございます。ただ、愛知大臣の御訪米の機会に、それが向こうからそういう姿で再確認されたというように受け取っておるわけでございます。
○永末委員 時期のことはそのときに触れられましたか。
○大平国務大臣 時期のことも一応触れておるようでございますが、ただ、これは政府のいろいろなスケジュールの都合もございまして、先方のいろいろな御都合も踏まえて、こちらで決意しなければいかぬ問題なんで、国会の状況を見た上で、ある時点では、全体の政治スケジュールの中でどのように位づけていくかということを考えなければいかぬと思っております。
○永末委員 片一方の国が片一方の国の責任者を招聘すれば、国際儀礼上、受けたほうがまた相手方の責任者を招聘するということは通常ある姿でございますね。そうしますと愛知大蔵大臣は、一応そういう形で時期が明示をされて自分のほうの田中総理が米国に招請を受けたということになりますと、今度はニクソン大統領に日本に来てくれろということを同様な姿で申されましたか。
○大平国務大臣 愛知大臣はそういう立場でないのでございまして、先方からの意向表明を田中総理に伝えるという任務だけと承知されておるようでございます。
○永末委員 しかし、このたびは田中総理の訪米というものを日本政府が決定する機会には、同時にニクソン大統領に対して先ほどから間断なく連絡はしているという話でしたが、きちっとやはりニクソン大統領の訪日招請をしたいという心組みですか。
○大平国務大臣 ニクソン大統領の訪日を希望し、そして日米両国のためにたいへんそれは画期的なことであるとして、日本は期待いたしておるわけでございまして、いずれ遠からず外交ルートを通じまして、そういう話を持ち出す時期があろうかと存じますけれども、いまはまだ非公式に双方の感触をとり合っている段階でございまして、公式にまだ申し上げるような段階ではございません。
○永末委員 きょう十時半にブレジネフ・ソ連共産党書記長から田中総理に対する書簡が来たようでございますが、外務大臣はこの内容について、この委員会で御発表いただける分はひとつ御発表いただきたいと思います。
○大平国務大臣 ソ連側との間で内容を明らかにしない確約がございますので、まあそういう礼儀だろうと思いますので、詳しい内容は申し上げかねますけれども、骨子といたしましては、次のような点があると承知いたしております。 一つは、田中総理のブレジネフ書記長にあてた親書におきまして述べられた日ソ関係全般についての日本政府の基本的な姿勢に対しまして、ソ連政府の基本姿勢というものが表明されておるはずだと思います。 それから第二は、特に平和条約締結交渉は、ソ連側からも本年中に第二回の交渉を行なう用意がある。その時期はまた外交チャンネルを通じて定められるという意味が確認されておるはずだと思います。 それから第三点、日ソ関係の発展は、第三国に対して害を与えるものでない旨が指摘されておると思います。 それから第四点は、シベリアの天然資源開発につきましては、日本政府の基本的な考え方を田中親書には述べてあるわけでございますが、それに対しまして、ソ連側もそれを発展させる用意がある旨に触れられておると承っております。
○永末委員 きのう新しい中国大使がわが国に着任をされ、きょうソ連の第一人者でございますブレジネフ書記長の親書が田中総理に手渡される。きわめて国際情勢が流動しておりますが、ソ連が、田中総理の親書があっちへ到着しましてからきわめて短時日の間に返書ともおぼしきもの、しかもいまのような時間、つまり中国新大使が着任したまさにその時点に送ってきたということについて、外務大臣はどういう所感をお持ちですか。
○大平国務大臣 ブレジネフ親書が届けられたということは、先般の田中親書に対する返事の意味もありましてのことでございますので、田中親書に対する反応でございまして、それ自体が一つの完結体になっておると思うのでございまして、これは世界の国際情勢全体をにらんで、この時期にかまえてやったという性質のものではないと私は思います。
○永末委員 私は外務大臣がさように言われたのと反対に、やはり時期というものをきわめて計算しつつやられた外交行為だと思います。 さて、平和条約の締結をソ連側とやるについては、いろいろの懸案がございましょうが、大体外交というのはそれぞれの国がたてまえを持っておりますが、実際問題で、ある結着点に達するためには、妥協しなければならぬということがございます。 ちょっと話が違いますが、キッシンジャーアメリカ大統領補佐官が北京に再び行きまして、そうして米中両国はお互いにそれぞれの相手方に連絡事務所をつくるということをきめました。そしてワシントンに中国の在米連絡事務所をつくるための先遣隊が、四月、来月には行くんだということを周恩来首相が発表されたようでございますが、その場合に大平さん、ワシントンには中華民国の旗もひるがえっておりますね。
○大平国務大臣 そう承知しております。
○永末委員 そのことは、アメリカのそういう措置を中国側は二つの中国をつくる陰謀だとはもう考えていないという証明だとわれわれ日本人は受け取ってよろしいか。
○大平国務大臣 私は、中国側におきましてそういう大原則を修正するというようなことは、毛頭考えられていないと思います。アメリカであろうと日本であろうとどこであろうと、その大原則はちゃんと堅持されておるし、堅持されていくに違いないと思っております。
○永末委員 私の伺っておりますのは、大原則は、二つの中国をつくるような陰謀をする政府とは国交は開かないわけでございます。にもかかわらず、四月には明らかに二つの旗がワシントンにひるがえるわけなんですね。これを積極的に北京政府が認めておるかどうかは別としまして、客観的にはそういう事象があらわれるという角度からながめますと、アメリカ政府の側が積極的に中華民国の旗をおろさないで、そして北京政府の旗を掲げる連絡事務所を置くということを認める、そういうことになると思うんですね。だからその意味合いでは、中国側の原則は自分は曲げないけれども、外の者から見れば結果的に少しゆがんだ形で実存するんだということは目に見えるということになると思いますが、その辺はどうでしょうかね。
○大平国務大臣 通商代表部でもない、しかし、といって大使館でもないわけでございまして、二つの大使館があるわけではないわけでございまして、ぎりぎり一ぱいの現実的な措置であるとしか解釈し得ないと思います。
○永末委員 私はそういう中国側の措置を見ていますと、きわめてその点では原則には忠実であるけれども、現実の適応は柔軟性を大いに持っておると思うんですね。先ほど航空協定の話がございましたが、大平外務大臣は日台航空路の問題は民間であって政府の関与しないところだと、こう問題を分けて言っておられますが、アメリカのワシントンにおける来月からの事象に中国政府がタッチしておる姿勢を見ますと、中国との間の航空協定に関して日台航空路の問題はそんなに重要な問題でないんだ、現実の問題解決には柔軟性を帯びた問題として解決されるべきものだ、こう解釈してよろしいか。
○大平国務大臣 米中関係がどうであるかということについて詳しいことを知りませんし、またそれをコメントする立場に私はないわけでございます。私の任務は日中関係という関係を踏まえて考えた場合に、現在までとってまいっておりまするかまえしか道がないんじゃないかと考えておるのでありまして、今度の航空協定の場合におきましても、航空協定上日台路線を云々するという立場に私はないと思います。
○永末委員 さて、わが国を中心にものを考えますと、アメリカなりソ連なり中国なりそれぞれが現実的な接近をしてきていると思うのですね。いわゆるポストベトナムでわれわれの外交にも新局面が目の前に開かれた。これを乗り切らざるを得ない。ここでひとつ大平さんは中ソ関係というものをどう見ておられますか、伺いたい。
○大平国務大臣 まあ世界情勢の中で最大の重みを持った関係の一つだと考えております。
○永末委員 世界もいいのですが、先ほど大平さんは他の国が何ともあれ、日本の国益を守るチャンピオン、おれは一刀両断でやっているがごとく言われたので、中ソ関係というのは日本と中国とソ連と関係を持ってそしていまやいろいろな姿で接近が行なわれてきている。これはあなたは受けとめざるを得ない。そのときにわが国の外交にとって非常に重みのある中ソがお互いにどういう関係にあるのかということの判断はせざるを得ない。相手方の評価ではなくて日本が中国とソ連とを受けとめる場合に、相手方がどうだということをある一定の評価をしておかなければ、これはなかなかむずかしい、かじ取りを間違えるもとになると思います。その意味合いで重みということではなくて、それはたとえば新婚旅行のごとき蜜月のようなことにあるのか、それとも結婚後十年、十五年なりで冷戦状態にあるのか、それとも家庭裁判所に持ち込まなければならないような状態にあるのか、どうだと思いますか。
○大平国務大臣 中ソの間にはいろいろな問題があるということ、そしてその間柄は必ずしも平たんなものでないということはわきまえているつもりでございますけれども、中ソ関係がどうあれ、こういう関係をわれわれが日ソ外交においてあるいは日中外交において利用するとかというようなことは厳に慎まなければいかぬと心得ております。
○永末委員 あなたは重荷を背負っておられますので、なかなか口も重くなるのは当然だと思います。その口を開いていただこうというつもりはございませんが、結局われわれの国はこれから中国との間に平和友好条約を結ばねばならない。ソ連との間も、先ほどもブレジネフ書記長の書簡の内容のごときものをお漏らしいただいたのですが、本格的に平和条約の締結に入る。日本と中国、日本とソ連とは、それぞれ中ソとの間から見れば別個のことのようでございますが、われわれが中国に対するかかわり合いのあり方、ソ連に対する連絡のし方、まとめ上げ方、これによってそれぞれ相互に影響を及ぼしますから、これは考えざるを得ない。そこへ持ってきていままでの長いつき合いであるアメリカが背後におる、こういうことでございますので、委員会の席上で日本の外務大臣が自分の国と直接の関係のない中ソ間だけのことについての評価はなかなかできぬといえばそうかもしれませんが、いずれかの機会に一体日本政府はどういう評価をしているのだ。これは切り離し得ない問題だと思うのです。 そこで最後に、時間もありませんが、切り離して考えられる問題、それはやはりちゃんとにらみつつ外交を進めていくのだ——内容は別ですよ。中ソ関係というものを見詰めつつ外交は進めざるを得ない、こうお考えか、その点だけを伺いたい。
○大平国務大臣 それは中ソ関係ばかりではなく、米ソ関係も米中関係もあらゆる関係を見ながら外交の切り盛りをしてまいらなければならぬのは当然だと思います。
○永末委員 きょうは概論で終わりました。あとまたぼつぼつ各論に入りますから、終わります。
○藤井委員長 石井一君。
○石井委員 けさの議論に引き続きましてほんの少しだけ質問を続行させていただきたいと思いますが、私申しておりましたように、新しい中近東に対する政策がエネルギー資源ということを考えた場合に非常に必要な時期にきているのじゃないか。何か最近特使でもお出しになるような計画はございませんか。
○大平国務大臣 資源問題の勉強のためにアメリカ、カナダのほうには近藤晋一前カナダ大使をヘッドにしたミッションを出すつもりにしておりますけれども、中近東のほうに対しまして特別のミッションをいま編成いたしておる事実はございません。
○石井委員 原油の依存度が非常にOPECに強いということでございますけれども、今後供給源の地域的な分散化、多角化ということが一つのやはり課題だと思うのでありますが、さしあたり中近東以外にどういう地域を供給の地域として考えておられるのか、この点はいかがですか。
○宮崎(弘)政府委員 御案内のとおり中近東地域以外のいろいろな地域におきまして、たとえば石油開発公団その他、あるいは民間の場合もありますけれども、石油資源を確保すべく努力しているわけでございます。その中にはたとえばペルーであるとかインドネシアであるとかもありますし、それからまたシベリアの資源開発の構想もその一環ということもいえるかと思います。ただ、中近東地域もまた非常に重要でございますので、この地域におきましても新しい開発その他努力を継続するということでございます。
○石井委員 一つはアメリカその他の国のようにもう少し国策的な会社を、いわゆる官営と申しますかそういう形で設立するというような、そういう御意図はないのかどうかということ。 それから第二点は、いわゆるOPECのような国でなくても原油を持ってきて、それを精油するという場所をたとえば東南アジアその他の地域につくるということによってコストダウンをはかり、あるいはまたいわゆる公害除去というふうな問題、こういういまの二点について簡単でけっこうですから、そういう計画があればお話を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 前段のほうの問題は通産省のプロパーの所管だと思うのでございまして、外務省から御答弁申し上げるのは僭越だと思います。 第二の問題につきましては、十分考えなければならぬことでございますし、また考え得ることであると考えております。
○石井委員 何か具体的に開発途上国との交渉の過程において、アジアの産業の振興というふうなこととからみ合わせて、こういう調査なりあるいは下調べ、こういうことをおやりになった事実がございますか。
○大平国務大臣 まだそういう事実はございませんけれども、今後考えなければならぬ問題だと思います。
○石井委員 次に、先ほどの質問にもございましたシベリアの開発、これは当面非常に重要な問題だと思いますが、かなり話も進展しておりますので、そういう内容については時間の関係で省略をいたしますが、一つは十億ドルのバンクローンの方針が大体固まってきておりますが、その後の円の切り上げその他の問題で、ソ連側はもう少しバンクローンに対する増額の要請をしてきておるということを聞いておりますが、どの程度の幅を認められようとしておるのか、この点について所見があればお伺いしたい。 それからもう一点は、このチュメニの開発計画にアメリカのガルフその他の会社が参画を計画しておる。これに対して外務大臣は歓迎されておるのか、あるいはこれに対する御所見をお伺いしたい。
○大平国務大臣 前段のいわゆるバンクローン増額の件云々ということにつきましては、私まだ聞いておりません。 それからシベリア開発について、特定のプロジェクトに対して、アメリカ資本の参加をどう考えるかということでございますが、私は、プロジェクト自体もたいへん大きいし、相当巨額の資本、相当高度の技術も要るわけでございますので、私はアメリカが参加するということは原則的にこれは歓迎すべきことであると思います。
○石井委員 技術的な問題だけですか。それともやはり安全保障的あるいは政治的、そういう配慮もお考えの上のことでございますか。
○大平国務大臣 今後、シベリアの資源ばかりではございませんで、先ほど経済局長も言われましたように、各地域で開発輸入が進むというようなことに関連いたしまして、日米間の協力というような仕組みは、どの地域につきましても望ましい方向であり、すでに日米間で非公式にそういう話はいたしておりますけれども、アメリカ側は、民間でそういうことをやる場合に特に奨励もしないけれどもそれをディスカリッジするようなことはしないというのがいままでのアメリカ政府の反応でございます。私といたしましては、さらにもっとアメリカが積極的な姿勢で乗り出していただくことが望ましいんじゃないか。それはいろいろな意味におきまして、とりわけ大きな仕事をやる場合に国の内外にわたってやはり信用がなければなりませんし、またたくさんの資本を要するプロジェクトでございまするし、そういった観点から見てどうもそういう方向が望ましいと思っております。
○石井委員 これで最後にいたしたいと思いますが、田中書簡の中でチュメニ油田の開発に関しては日本政府としても前向きに協力をするというようなことがうたわれているはずだと私は了解をいたしております。先ほども、第四項の中にもそれを歓迎するということですから、いよいよこのプロジェクトも最終的な詰めの段階に入っておる、こういうふうに理解をいたすわけでございますが、もともとソ連の国家体制からソ連側は政府が表に出てきております。日本側は現時点までは民間が中心で進めておる、こういうことでございますけれども、プロジェクト自体が非常に規模が大きい。さらにいろいろの問題、たとえば安全保障上の問題だとかその他いろいろの他の国との影響というふうなこともございますが、あくまでもいまのようなベースでやられるのか。それとも詰めの段階においては政府が表に出てこられて、そして政府間の交換公文のような形でこのプロジェクトをまとめ上げられようとしておるのか。私はそのほうが望ましいのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、この点について御意見がございましたらお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○大平国務大臣 あくまでも基本は民間とソ連の担当部局との間の基本契約というものが基本になるわけでございまして、政府が契約の当事者になるわけではございません。日本の経済協力すべてがそういう仕組みになっておるわけでございまして、この際これが大きなプロジェクトであるからといってその方式を変える必要は私はないと思っております。ただ政府はそれかといって拱手傍観しているわけではないのでありまして、これの調査段階からずっと係官を派遣、民間の調査団に参加させまして終始問題をトレースしていっているわけでございます。のみならず民間側におきましては、最終的にはどうしても政府資金の供与を受けないととても実行できる問題ではございませんので、仰せのように最終的には政府の決断にかかると思っております。いまの段階におきましては基本契約の当事者である双方がいま鋭意問題を詰めておるという段階と承知しております。
○藤井委員長 次回は、来たる三十日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十八分散会