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71回国会衆議院1973/02/23

外務委員会 第2号

発言数
265
登壇者
14
会派数
5
開催日
1973/02/23

会議録

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 これより会議を開きます。  この際、大平外務大臣及び水野政務次官より発言の申し出がありますので、これを許します。外務大臣大平正芳君。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 旧臘行なわれました総選挙の結果、第二次田中内閣が成立いたしまして、私が引き続き外務大臣として外交の責任を負うことになりました。  日ごろ皆さまから格段の御指導と御鞭撻をいただいておりますが、今後引き続き一そうの御指導と御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 外務政務次官水野清君。

水野清自由民主党外務政務次官

○水野政府委員 昨年末の内閣改造で大平外務大臣のもとで政務次官をやることになりました。  御承知のように浅学非才でございますが、諸先生の御指導をいただきたいと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。      ————◇—————

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 国際情勢に関する件について調査に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。鯨岡兵輔君。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員 外務大臣、きょうは久しぶりの外務委員会でございます。外務委員会、ずっと席を連ねておるのですが、この国際情勢の審議というのは非常に私は大事な時間だと思っているのです。ところがいろいろな問題できょうまで延び延びになってこう変転目まぐるしい国際情勢の中でその審議のできなかったこと、まことに残念に思うのです。  いろいろな御質問をいまから四十五分間与えられた時間申し上げる前に、変なことを聞くようですが、いま外務大臣のお話にも、過般の総選挙の結果というお話が冒頭にありましたが、あの総選挙のときに、こんなに国際関係がわが国の政治に非常に密接な関係があるのにかかわらず、どうも外交問題をあまり言っても国民が乗ってこない、外交問題をやっていると選挙はうまくない。まあ選挙はどうでもいいですけれども、どうしてそんなに外交問題というのは国民は関心を持たないのだろうか。関心を持たないのだろうかどうなんだろうか。もしそうだとすればこれはたいへんな問題だと思うので、これから国際的な感覚を身につけなければ政治はもちろんのこと、国民だってやっていけないと思うのですが、この点について外務大臣、どうお考えになりますか。  変なことを言うようですが、各委員会別にしますと、外務委員会にいた者が一番よけい、各政党問わず一番よけい落選をしている人が多いのです。それで、それはいいのですよ、それはたまたまのことかもしれませんがね。新聞なんかにも書いてありますよ。外交問題を盛んにやった人はみんなだめだ。どうしてだろう。私は、何か選挙に当選するとか当選しないとかでなしに、もし日本国民が外交という問題に全然関心がないとすれば、よその国と交わってからわずかに百年しかないからしかたがないかもしれないけれども、これから先、いろいろな面にいろいろな支障を来たすと思うのですが、外務大臣、そのことについてどんなふうにお考えになっておられるか。えらい唐突な質問で恐縮ですが、まずそこから入りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 わが国は領土が狭いし、資源に乏しいし、しかも、非常に人口が過密でございます。したがって、この狭い国土で多数の人口を養って自立してまいる上におきましては、外国から原料、材料、燃料等を豊富に確保いたしまして、国民の技術と労働を加えて、これを海外に広く買っていただくという、いわば貿易立国主義をとらざるを得ない国だと思うわけでございまして、しかも、それはこのように経済の規模が大きくなってまいりますと、すそ野はひとりアジアだけでなくて、また、太平洋圏だけでなくて、いわばグローバルに踏まえた上で初めてわが国の自立と生存、繁栄と名誉が確保されると思うわけでございます。したがって、外交問題は政治外交、経済外交ばかりでなく、政治外交、文化外交その他におきまして、わが国におきまして最大の問題にならなければならぬ性質のものであろうと思うのでございます。したがって、毎日のマスコミの表情を見ておりましても、決して諸外国に劣らないだけの紙面を割愛されてこれを報道していただいておるわけでございまするし、日本国民も決して外交論議を忌避していないばかりか、外交論議に対しては相当の興味と熱意を持っておるように思うのであります。そのことはたいへんけっこうなことだと思うのでありますが、いま鯨岡さんが御指摘のように、しからばそれがほんとうに国民の生活の中に、国民の心情の中にあるべき度合いにおいて定着をしておるかということになりますと、必ずしもそうとはいえないわけでございます。これは私どもの努力が足らない点も反省せにゃならぬと思うのでありますが、私は漸次この理解が進み、深まってまいりまして、わが国としては外交問題という問題をちょうどその必要性の度合いにおいて受けとめるだけの国になり得ると思いますし、またそうしなければならぬと思うのであります。外交に携わる者が選挙に弱いというのではなくて、外交に携わる者はこれから選挙に強くなる、そういう時代を迎えつつあるように思いますし、またそうしなければならぬと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員 おっしゃられるとおりですがね。こんなふうに考える人がいますが、そういう考え方に対しては外務大臣、どうお考えになりますか。  戦争前は、日本の外交いうても、前面に大砲や軍艦が出ていってそれでやっていた外交だし、戦後は、やむを得ないことかもしれませんが、やはりアメリカというものに先だってもらって、そのあとからついていくというようなこと。やむを得ない状態であったから日本にはいわゆる外交らしいものがないんだというようなことを言う人がいますが、そういう批判に対する外務大臣の考え。  それから、やはり国民的な背景がなければほんとうの外交はできないという観点からいえば、私は、今度は私の考えですが、外交というのは特別の才能を持った人が専門的にやることで、国民はあまり知らぬでもいいんだというような感じが日本の外交の中にないだろうか。もしそれがあるとすれば、それじゃいつまでたっても国民がみんなで外交問題に大きな関心を払うことにはならないのではないだろうか、こんなふうに考えること。  それから、いま外務大臣のお話で外務大臣の御意思はわかったのですが、外務委員会なんかで条約や法案の審議は言うまでもなく仕事ですが、この外務委員会での国際情勢の審議、討議というような問題は、一週間に幾日とかというようなことでなしに、私どもがそれは考えることですが、外務大臣はこれからできるだけひとつ出ていただいてわれわれと話をしていただく、そういう積極的な御意思があるかないか。もちろんおありだろうと思いますが、ひとつあらためてお伺いしておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本の外交がアメリカ追随と申しますか、自主性を欠いておるということについて、絶えざる批判がございます。けれども、戦前、明治、大正、昭和を回顧いたしますと、日本というのは自分の持てる力、日本の近代化をはかる上において非常に果敢な外交をやったし、そうして近代化がほぼ緒についてきて、みずからの力を軍事的にも経済的にも相当持ってまいりました段階におきまして、その力をどう行使するかということにつきまして自主性が過剰でございまして、大きな誤りを犯したわけでございます。日本が常に自主性を欠いておったというわけじゃ決してないのであります。けれども、戦後アメリカを主体とする占領下に入りまして、とりあえず日本としてはまず食うことが第一である、着ることが第二である、次は住まいだ、いわば経済の自立を達成するためになりふりかまわず働かなければならぬ。国際政治の問題なんというのはあまり深いかかわりを持たないほうが、持つ力もないし、また持つ場面も与えられないし、したがって専心、経済の自立に精進するよりほかにしかたがないんじゃないかということで、正直に言ってこの二十年間ぐらいやってきたと私は思うのです。そのことは、決して日本がばかでそうしたわけじゃないんで、私は日本人は相当賢明であったと思うのです。力もないのに国際政治の場ではでな動きをするということはあまり日本人の性に合わないんじゃないかと思うので、別にそんなまねはしなくてもよかったと思うのでございますが、しかし、ようやく経済大国といわれるような経済力を身につけてきた今日、わが国といたしましては、いままでのような姿でいいかというと、それではいけないというのが国民全体の自覚であり、反省であろうと思うのであります。そういう意味で、これからわれわれの持っておる力をどう行使していくか、この選択の問題、これがわれわれに課された一番大きな課題になってきておると思うのでございます。ところが、われわれがそういう選択を考える場合、世界の局面はたいへんむずかしい局面になってきておるわけでございますので、全くとほうにくれるほどのむずかしい課題であろうと思うのでございますけれども、私は回避できない問題であろうと思うのでございまして、衆知を集めて、日本の力にふさわしい自主的な外交の歩武を、用心深く、手がたく進めていかなければならぬと考えております。  それから、国際情勢の検討というのは絶えず怠ってはならぬことでございまして、私ども、情報の収集、整理、評価、そういうことを精力的にみずからやるばかりでなく、外務委員会をはじめといたしまして、国内各層にお考えいただくような便宜をあらゆる機会に提供し、また御注文に応じまして、いろいろ配慮してまいらなければならぬと思うわけでございます。そのことにつきましては、今後乱そう努力をしてまいりたいと思います。  ただ、いまはいわば非常に情報過多の時代でございまして、非常にモザイクに入ってくるこの情報の整理に皆さん方も実際お困りじゃないかと私は思うのです。それで、一応それの軽重の判断を、評価も若干加えながら整理しまして、わずかの時間の中で、一応ずっとお目通しいただいて、御判断をいただくようなぐあいにいかぬものかということで、去年からいろいろくふうをしてみておるわけでございまして、御注文に応じまして、またいろいろ改善の道を講じてまいりたいと思っております。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員 われわれ、いろいろそういう便宜を与えてくださることもありがたいので、ぜひしていただきたいですが、同時に、この外務委員会の国際情勢の討議には、特に、外務大臣お忙しいでしょうが、時間をちょっとでもよけい、これから出ていただけるように、この際お願いしておきます。  それから、具体的な当面の問題に入る前にもう少し、たまっておりますので、外務大臣の御意見を承りたいと思います。  この間うち、ドルの問題で国会は空転をしたようなことですが、要するにお金の勘定の基礎がくずれたんだから予算を組みかえなきゃとかいうような問題やこういうことに対する政治責任はどうかという問題、それから中小企業なんかに特に大きなしわ寄せがないか、これに対する対策をどうするかという問題、いずれも重大な問題でございますが、主として、総理大臣はもちろんですが、大蔵大臣のお答えになる場面が非常に多かった。これはやはり、アメリカのほうが金に対するドルの価値を下げたこと、IMF体制とかスミソニアソ体制の崩壊とかいうようなことでこうなってきたとすれば、どうしてこうなったんだろうか、これから先ばどうなんだろうか、世界の通貨というものは、これだけ貿易が各国盛んになってくれば、  一体どう考えたらいいんだろうかということ、で外務大臣の出番が非常に多くなければならぬと思うのですが、それがわりあいに少なかったように思うのです。だから、先ほどは、国民がものごとを国際的に考える習性もないということを言いましたが、政治家の中にもやはりないんじゃないか、わりあい少ないんじゃないか。問題になりました政治上の責任であるとか、あるいは予算を組みかえなければならぬであろうとか、中小企業、内政の問題に及ぼす影響とか、これも重大な問題であることは言うまでもないのですが、そのもとの国際的問題について外務大臣のお考えを問うようなことがわりあいに少なかったんではないか、新聞なんかを見ても。外務大臣どう思いますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 通貨問題は、通貨当局の責任でやられていることでございますし、また通貨外交も、日本ばかりでなく、先進国おしなべて大蔵大臣が中心になってやられておるわけでございまして、外務大臣がわき役におるということは決して不自然ではないわけでございます。しかし、外務省と大蔵省が、現地、内地を通じまして緊密な連絡をとることには解怠するところがあってはならないわけでございまして、われわれも精一ぱい協調してまいったつもりでございますけれども、今後一そう協調してまいりたいと思います。  いま、国際問題としての通貨問題についての私の考えを述べろということでございますが、戦後、どういうことか、これは歴史のもたらした非常に大きな事実であったと思いますが、ドルという通貨が非常に強い通貨であり、安定した価値を誇り、世界のどこへ行っても通用する力を持っておったわけでございます。そのドルに日本が世界のいずれの国よりも深く七、コミットした国になってきたわけで、日本の通貨準備の九〇%以上がドルである、あるいは日本の貿易取引は大部分ドル建てであるというようなことでやってきたことは、ドルが非常に強くて安定しておった段階におきましては、万事が順調に進んだわけでございまして、そういう選択が誤りであったか賢明であったかという判断はいろいろあると思いますけれども、その限りにおきまして、戦後の日米協調の歴史というのは決して拙劣であったとは私は思わないわけでございます。しかし、このドルも、数年前から疲労の色を見せまして、部分的に兌換停止になってまいりました。ずっと貿易収支の大幅な黒字を誇っておったアメリカが、貿易収支においてさえ赤字になるというような事態を招いたわけでございます。これはおそらく強大なアメリカの力の限界を示すものでありまして、アメリカが政治的にも軍事的にも経済的にもみずからのコミットメントを整理していく方向をとらざるを得ない状況になってきておることは、当然われわれが、アメリカの犠牲者であっても考えることであろうと思うのであります。その後、いよいよ一昨年の八月十五日に完全な兌換停止が行なわれたわけでございますし、一昨年の十二月にスミソニアンの合意が行なわれたわけでございますけれども、スミソニアンの合意というのは、大体、既往におけるアメリカのドルの債務の整理をどうするかということには触れておりませんし、今後ドルの国際収支の均衡を保障する手だてもついてないままの合意であったわけでございますから、この合意自体も、非常に根拠が安定したものでなかったと思うのでございます。二、三年はこれでもつんじゃないかといわれておったものが、一年二カ月にしてすでに破綻を示すということになってきたわけでございまして、そういういわばドルの衰退というところにすべての問題の根本があるように思うわけでございまして、したがって政府としては、深くドルにコミットした国といたしまして、ドルの防衛、そして円とドルとの平価の安定ということが望ましいわけで、そういうことにいろいろな努力をしてまいったのでございますけれども、それが思うような成果をおさめないで混迷を続けてきたというのが今日までの歴史であったと思うのであります。  ただ、ここで私が非常に遺憾に思いますのは、私ども、スミソニアンの合意ができて、二、三年はもつだろう、その間に対米貿易収支の均衡をはじめといたしましてもろもろのことをやり、円対策を推進していくことに応じてより健全な方向が出るであろう、そういう段階で次の通貨調整が行なわれるのではないか、行なわれるべきでないかというように判断しておったのでありますけれども、突如として今度アメリカが自発的に一〇%のドルの切り下げをやるという非常にドラスティックな挙に出たということが前もって読めなかったということは、私は国民に対してわれわれの不明をおわびしなければならぬと思うのであります。  しかし、アメリカがそういう大きな決心をしたということは、アメリカとしては相当な勇断であったと思いまするし、その結果第二次の通貨調整というものが緒についてきたわけでございますから、アメリカがドルの切り下げに踏み切ったということは、私はやはり英断であったと思うのであります。そして、それと同時に日本政府が変動制に切りかえていったという措置もまた適切な措置であったと思うのであります。  しかし、そういうことをやりましても、結局、世界にゆるぎない安定通貨、基軸通貨があってその機能がそこなわれていないという状態ではないわけでございますから、非常な神経を集中いたしましてみんなが努力して、協力して、それで、世界経済が縮小の方向に向かわぬようにみんながやっていかなければいかぬ課題をになっておるわけでございますので、いわばハイウェーの上で安全運転がきいておった時代は終わって、泥津の道の中に入ったんだから、世界各国が非常な緊張をもってハンドルを握らなければいかぬ、そういう時代を迎えておると思うのでありまして、したがって、一段の真剣さと緊張さをもってこの通貨問題には対処していかないといけない、そういうことをしみじみ感じておるわけであります。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員 ドル問題についての詳しい御意見を承ろうとして質問したわけではなかったのですが、御意見をお述べいただいてありがたく思います。なお、その問題については私はいずれの機会かに、今後どうなるのだろうかというような問題も、外務大臣、お聞きしたいと思います。  ただ、私が言いたいのは、日本が外国とつき合ってそんなに長くないからしかたがないのかもしれないけれども、外国の事情を踏まえてそしてものを考えるというくせが日本人にはないのではないか。だからこれから先もやはり自分だけが幾ら力んでみても、もうやっていけないのだ。先ほど外務大臣の言われたように、日本の実情がことさら、外交というものを経済的にも政治的にも重視をしていかなければいけないのだ、だから相手側の国の事情も十分理解していかなければならぬという、そういう国民にしていくために、やはり外務省としてはどう活躍したらいいか。たとえば学校教育なんかについても文部省あたりと何か話し合いがあるか、それから出先の商社、この間のタイの日貨排斥運動なんかでもそうですが、ほうっておかないで、これは通産省にまかしておかないで、外務省がそういう商社の人に協力を求めるよう、理解を求めるような運動があってしかるべきだ、こんなふうに思います。きょう、いろいろ申し上げたいのですが、それに対してお答えをいただいていると時間がなくなりますから、ぜひひとつ質問の趣旨をおくみ取りいただいてお考えを願いたいと思うのです。  きのうは、米中共同声明の発表がありました。この間キッシンジャーさん、中国の帰りに日本に寄って、外務大臣も総理大臣もお会いになったようです。ベトナムが終わって、ラオスが終わって、ここ半月ぐらい非常に目まぐるしい進展をしているわけです。そこで、この米中共同声明というものが出て、外務省はどう考えておられるか。ベトナム、ラオスが終わったというこの時点で、去年の二月ですか上海共同声明があって以来、特段事態の進展がないように見えていた中で急にこういうふうになったということの意味。あとでもう少し重大な問題もありますので、きわめて簡単にひとつお答えを願いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 きょうの午前一時に発表されました米中共同声明、これは去年の二月の上海コミュニケを踏まえて、その米中間の関係改善の着実な前進であると評価しております。そして日本政府としては、これを歓迎いたしております。と申しますのは、日米関係は友好親善の関係にございまするし、日中関係も正常化されまして、国交の基礎を手がたく固めてまいらなければならぬ状況になっておる日本といたしまして、米中の間に理解が深まり、信頼が固まってまいっておるということに対して、私どもといたしましては全幅の歓迎をいたしております。  それから第二点は、あの共同声明に見る限り、アメリカも中国も、事態に対して非常に用心深く対処しているという態度が読み取れるわけでございまして、せっかく芽ばえかけました緊張緩和というものを定着させていく上におきまして、これにどう対処するかについて、米中両国とも非常に用心深い、非常に手がたいと申しますか、そういう態度が読み取れるわけでございまして、またそういうことのほうが緊張緩和を固めてまいる上において賢明であるという判断に立っておると思われるわけでございまして、これは従来私ども政府が考えておることと軌を一にした方向に展開しておるように思うわけでございまして、日本政府としては、もとよりこれは評価もし、歓迎もいたしておるわけでございます。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員 どうも時間がありませんからしり切れトンボになりますが、これから経済援助なんかを、平和が来たベトナム、ラオス、その他インドシナをはじめとしてこのアジア全般に対して相当積極的な経済援助をなさるおつもりであることはよくわかっていますが、これは日本はベトナムのほうとは別に従来関係がなかった、だから南ベトナムとは関係があったからというようなことで、安易にやるとたいへんなことになると思うので、これは何か国連みたいな機構を通じて、よその国とも話し合いながら、自分だけでやるのじゃなしに、機構の中でやっていくというようなお考えがありますか、ないですか。そのあるかないかだけ、ひとつ……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 国会でもお答え申し上げますとおり、私どもはこれから全ベトナムを対象として、援助問題を考える場合に考えてまいらなければならぬと考えております。  それから、二国間でやるケースと、国際的な仕組みができて、それを通じてやるケースと二つ考えられると思うでありまして、国際的なインドシナの復興問題なんというのは、相当大きな規模のものでございまするし、できればこれは国際的なワク組みができて世界各国の協力と祝福のもとにやられることが望ましいことでございまするし、国連がそこで正当な役割りを果たすことも十分考えられることと思うのでございまして、そういう場合には、日本としてこれに応分の協力をしていくことにやぶさかではございません。しかし、そういうこと、ができるまでの間、それじゃ手をこまねいておっていいかというと、そうでなくて、現地からいろいろ人道的な緊急な援助要請があった場合には、これに対しまして可能なものは早急に応じてまいるだけの用意はしておかなければならぬと思いまして、四十八年度予算にも所要の予算措置をお願いいたしておるわけでございます。私どもは決して援助の押し売りなんかやるつもりはないのでありまして、当事国のほうからの御要請があった場合に、日本といたしまして、応分の協力は積極的に惜しまずやらなければならぬと考えております。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員 私は、そういうふうな機運になってきたならばそれがいいだろうというのではなしに、やはりそういう機運に持っていくための努力を日本は払うべきだというふうに考えます。この問題も重要な問題ですから、またいずれ近いうちにその問題だけで御質問申し上げたいと思います。  最後に外務大臣、日本は国連中心主義の外交を今後もおとりになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 今日までもそうしてまいりましたし、今後もそういたしていきたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員 国連中心主義の外交をおとりになることをいままでやってきたし、今後も続けていくということであれば、私は国連というものの権威というものをもっと高めるためにもっと積極的でなければならないと思うのです。それに対して積極的でなくて、ただ国連を中心としてというようなことを言うのは、ちょっと私はおかしいと思っているのです。  具体的にいえば、常任理事国がありますが、核兵器を持っている国だけが選挙で選ばれない理事国、それで核兵器を持っていないのは選挙でときどき選ばれて、日本もいまそれになろうとしているわけです。こういうことはおかしいじゃないでしょうか。核兵器を持っていない国でもって、選挙によらざる常任理事国というものはない。アメリカ、イギリス、ソ連、中国、フランス、それだけです。あとどこもない。だから核兵器を持つような国ができれば、またそれが選挙で選ばれない常任理事国になるかもしれない。そういうことは正義でないですよ、それで拒否権を持っているのですから。そういうことを直そうということをそろそろ言い出したらいかがなものでしょうか。  それから、日本やドイツに対して敵国条項というものがあります。しばしばこの外務委員会でも問題になったことですが、それをそのままにしておいて、もうそろそろ西ドイツはもちろん、東ドイツも入ってくるという段階にそれをほうっておいて、それで国連中心主義、国連中心主義と言うのは、私は、国連の中で活躍しようというならば、国連というものをもっと平和的な、もっと民主的な、もっと正義的な、そういうものにするために努力をしながら国連中心主義と言うなら話はわかりますが、ほうっておいて——これは外務大臣じゃなくてもいいですよ、条約局長でもいいですが、これはいかがなものでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、国連ができまして四分の一世紀たっておるわけでございますし、当時五十カ国でございましたかでできた国連が、いま百三十何カ国になって、世界最大の国際機関に成長してきたわけございます。その間の世界の情勢というものを十分に反映した状態にあるとは思わぬわけでございまして、国連がほんとうに世界の平和維持機関として機能してまいる上におきましては、国連のワク組み自体がそれにふさわしいものにならなければならぬわけでございまして、常任理事国の拡充問題はその最たるものであろうと思うのでありまして、日本もいま鯨岡さんがおっしゃったようなラインで、国連はもとよりでございますけれども、五大理事国をはじめ、各国にそういう働きかけをいたしておるわけでございます。しかし、これは敵国条項とともに国連憲章の改正問題につながることでございまして、私どもまず各国の理解を求めなければならぬわけでございますので、あらゆる機会、あらゆるルートを通じまして、いま精力的にやっておる次第でございます。敵国条項はもとより国連憲章の改正でございますが、現在、解釈といたしまして、この条項に何ら抵触を感じないということは、日本もドイツもそういう立場をとっておるわけでございますが、完全に憲章の上から消してまいる上におきましては、やはり憲章改正の問題はあるわけでございまして、そういうことをなし遂げる上におきましては、いま申しましたように五大国をはじめ関係国に非常に精力的に働きかけて理解を深めてまいらなければならぬし、そのような方向でいま懸命に努力をいたしております。

鯨岡兵輔自由民主党

○鯨岡委員 それはあまり賢明だとは私は思っていないんですがね。賢明だとは思っておりませんけれども、そうでなければなりませんよ。そうでなければ、国連中心主義の外交というわけにはまいりません。国連中心主義の外交というのはいいと思います。それだけにやはり国連というものの権威を高めるためにあらゆる努力をしなければならないと思います。  石井委員に、質問があるそうですから譲ります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 石井一君。

石井一自由民主党

○石井委員 時間がなくなってしまいましたので、私は、ほんとうに簡潔に端的にお答えいただきたいのでございますが、米中共同声明によりまして、新しい事態がまた国際緊張緩和の上に生まれたということなのですが、これは事前通報というのが米国側からあったかなかったかということはどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ございました。

石井一自由民主党

○石井委員 もし差しつかえなければ、いつどういう方法でという点をお答えをいただけますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いつ、どういう方法でということは、両国の間の信頼関係から申し上げにくいのでございますが、事前に通報がございましたことは事実でございます。

石井一自由民主党

○石井委員 貿易事務所設置以上に進展した関係だというふうに私感ずるわけでありますけれども、これは事実上の承認というふうに政府は見ておられるかどうか、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 リエゾン・オフィスというのは、大使館とまではいきませんけれども、通商代表部よりはずっと高度なものでございますけれども、国際法上の承認というものではないと思います。

石井一自由民主党

○石井委員 そういたしますと、今後さらに関係が改善されたといたしましたら、米国がいつ中国を正式に承認に踏み切るか。このことに対して政府はどういう見解を持っておられますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは、私どもよく承知いたしておりませんけれども、そんなに早い時期に正式の承認があるようには予想いたしておりません。

石井一自由民主党

○石井委員 これは中国の外交政策という観点からどのようにとらえたらいいのか。たとえば、ベトナムの和平というふうな事態と関連があるのかどうか。この点いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中国の外交政策が現実的な柔軟性を加えてきたという感じはいたしますが、これが中国の国内問題とどのように関連しておるか、関連していないか、そういう点は私にはさだかでございません。

石井一自由民主党

○石井委員 今度の共同声明には、台湾問題について何も触れておられないようでございますが、私はかなりの大きな影響があると思いますが、この点について何か御見解がありましたら、お答えいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは、去年の二月の上海コミュニケに、すでに台湾問題について触れておるわけでありまして、それ以上の新たな展開はないということを示しておると思うのでございまして、台湾問題につきましては、去年の二月の上海声明にうたわれてある両者の合意によって今後処理されていくと理解しております。

石井一自由民主党

○石井委員 キッシンジャー補佐官にもお会いになりまして、これらの問題についていろいろお話しになったと思うのでございますが、たとえば台湾における米軍の撤去の問題、その他こういう問題についてお話し合いになられたかどうか。これはやはり米中の関係の場合にどうしても避けられない一つの問題だと思いますので、問題がなければもう少し明快にお答えをいただきたいと思うのでございます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 キッシンジャー氏との会談について発表する自由を私は持っておりませんけれども、台湾問題につきましては、先ほど申しましたように、去年の二月の上海コミュニケのラインで考えられておると理解をいたしております。

石井一自由民主党

○石井委員 それでは、時間が参りましたから切り上げますが、米中間の経済、貿易、その他文化、これは非常に進展していくと思いますけれども、これによって日中間の貿易なり経済なり、その他にどういう影響が考えられるか、この点をお答えいただきまして、私、質問を終わりたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 米中の間に人事の交流、貿易が進展してまいることはたいへんけっこうなことでございまして、日中間の貿易等にどういう影響があるか、これは今後の進展を見なければわかりませんけれども、私はそんなに甚大な影響があるようには判断しておりません。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 堂森芳夫君。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 大平外務大臣にまず私は、ベトナムの主として復興援助の問題についての政府の見解等を中心とした質問をしたい、こう思うのであります。  きょうの朝日新聞にも書いておりますが、キッシンジャー氏がアメリカへ帰りまして記者会見をしておるのです。その席で記者の質問に答えて、二十六日から開かれるパリにおけるインドシナの平和を保障する国際会議に日本が出席しない問題について質問したところ、キッシンジャー氏は、日本はアジアの大国として——そういうことばはないのですが、大国としてと思うのですが、出席されるのがいいと思うが、実は関係国の中で合意が得られなかったので、それで出席しないことになったんだ、これは新聞記事でございますが、そういうことが書かれておりました。私は、今度のインドシナにおける長い間の戦争から立ち上がる復興について日本がどういう態度をとっていくかということは、日本のこれからの特に東南アジアにおける外交の正念場になる、こう思うのであります。  そこで、この会議に日本が出席しないということについて、どう外務大臣はお考えになるか。それは当事国でないから出席しなくてもいいんだ、こういうお考えかどうか、まずこの点を承りたい、こう思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 二十六日からパリで開かれる国際会議、これは和平取りきめの一環でございますが、問題は、この会議が、堂森さんが御指摘のように、将来のインドシナ半島の開発復興というような問題にまで手を広げた会議であるということでございますならば、そしてそれに日本が参加していないということでございますならば、あなたが仰せのとおり、これからのインドシナ問題に対する日本の姿勢というものに甚大な影響があるだろうと私は判断しておりますけれども、私ども承知しておる範囲におきましては、この国際会議というのは、きめられた和平取りきめを、十三人集まりましていわば裏書きをするという性質のものと承知しておるわけでございまして、将来のインドシナの復興開発計画というようなものを議題にするというようには承知していないわけでございますので、結論から申しますと、この会議に参加する、参加しないという問題につきましては、将来の日本の援助計画を左右するほどの大きな問題とは考えておりません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それは外務大臣の答弁、私は非常に役人くさい答弁だと思います。なるほどこの会議は、将来のインドシナの経済復興のことについて具体的に相談する、そういう会議でないことぐらいわかっておるはずです。インドシナにほんとうに平和が来るということを、協定は当事国間でできておるわけですが、これを保障するような意味での重要な会議である。これは今後の復興とつながっていく関係があることは当然であると思います。私は、キッシンジャー氏が、われわれは反対でなかったが、合意を得られない国々があったから日本は出席しなくなったのだという談話発表をしておるところにやはり問題があると思うのです。そうでないでしょうか。  わが国がこう歴史的に、私は歴史家ではないからよくわからぬですが、インドシナと日本の関係というものを見ますると、徳川期の初期にあったと思うのです。これは鎖国政策でなくなっていった。それから次は大東亜戦争になっていろいろな民族運動を、これは日本の軍部が別に民族運動を支持するということが目的でなしに、他の目的を持って民族運動を援助してきたりして、結局これはフランスのインドシナ支配を側面的に援助するようなことをやってきたという時代があったと思うのです。今度は六〇年代から今日までのアメリカのインドシナ政策に協力をしてきた。そして、これもやっぱり西欧のインドシナ支配を援助するという政策を続けてきたということは、これは否定し得ないことではないでしょうか。そういう意味で、わが国の従来の外交政策というものに対するいろいろな国々のやはり信頼を得てないという、そういうことが言えるのではないかと思うの  ですが、外務大臣いかがでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 国際会議は、当事国をはじめ関係国でどういう構成にするかという御相談があったのでございましょう。それで日本は招集されなかったわけでございます。これがなぜ招集されなかったかということは、関係国全体の同意が得られなかったのだろうと思うのでございます。しかし、それだからといって日本と東南アジア各国、インドシナ半島各国との濃密な関係がなくなったわけではないわけでございまして、日本は東南アジア各国におきましては第一の貿易国でございまするし、東南アジアの経済というのは日本に大きく依存しておることは隠れもない事実でございます。したがって、インドシナの将来の復興開発計画というようなものにつきましては、日本も関心を持ちますけれども、その関係各国は日本の参加ということに対して大きな関心を持っておるに違いないと思うのであります。そういう問題に日本が参画しないということになりますと非常に大問題でございましょうけれども、国際会議の問題は、先ほど私が申しましたように、和平取りきめで軍事問題、政治問題がきめられて、ブループリントがあそこでできておるわけでございますが、それをひとつ裏書きをするという、四日か五日か行なわれる会議のように承知いたしておるわけでございますので、それ以上にその場で復興開発計画を討議するというように私は考えていないわけでございまして、したがって、この会議に参加する、しないの問題はさして日本にとって重要な問題ではないと考えております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 私はあなたと全く違う見解を持っていますけれども、それは議論になりますからいいです。それでは、ここに岡田委員がおられますが、かつて南ベトナム、ゴ・ジン・ジェム政府に賠償を支払いましたね。岸内閣の当時だったと思います。私、当時のあの審議の状況も覚えておるのです。ニワトリ三羽に何百億の金をなぜ払うのだ、ニワトリ三羽ぐらいしか被害がないのにという、あの当時標語みたいになった審議の状況があったと思うのです。当時の外務大臣は藤山さんでした。藤山さんは、北ベトナムのハノイ政府をどう考えるか、こういう質問に対して、南のサイゴン政府の権力の及ばない地方団体があるということは聞いておるが、これは何も賠償の対象になるものではないというふうな答弁をしておるのです。これは速記録で私、ゆうべ読んだのですから間違いない。で、将来、賠償の請求が北の政府からないのか、そのときには払わなければならないのじゃないか、こういう議論が盛んに各委員からもなされておるのですが、今後——もちろんあとから私は聞いていきますが、北ベトナム政府、ハノイの政府と接触をはかっておる、そしてはかっていくのでしょう。そうすると賠償問題はどうなるとお思いですか、外務大臣からもう一ぺん。請求がないか、あっても払わぬのか、ないと思っておるのかどうか、この点ひとつ……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本の立場は、南ベトナム政府を全ベトナムを代表する合法政府という立場で、全ベトナムを対象にして賠償協定を結んだという立場をとっておるわけでございます。まあ法律的に申しますと、賠償問題については一応の決着がついておるわけでございますけれども、しかし堂森さんも御指摘のように北に権威があるわけでありまして、政治的に問題が残っていないとは私は考えておりません。そこで、われわれといたしましては、北ベトナムとの間に接触を持ちたいと考えまして、いま先方の意向を打診しておる最中でございまして、遠からずわれわれのほうと北ベトナム当局との接触をやってみたいと考えております。その場合は、一応いままでのベトナムと日本との関係を洗いざらい話し合ってみまして、北越と日本との間の取り組み方を今後考えていくにあたりまして、先方のまず意向をよく確かめなければいかぬから、そういうことから始めてみようと思っておるわけでございまして、先方がどういう意向をお示しになるか、それは話してみなければわかりません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうしますと、大平外務大臣はよく話し合ってみて、向こうが賠償を請求する——なくなったホー・チ・ミン氏は賠償の請求権は留保しておると、こう言っておるのですよ。これはもうちゃんと向うは言っておるのです。一貫しておる方針なんです。その場合には、向こうが、そう言ったら賠償は払うのですか。場合によっては払うのですか。いや、どんなことがあっても払わぬというのですか。はっきりしていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま私の申し上げておりますのは、北ベトナム当局と接触を持って、先方の意向を十分聞きただしてみたいということを言っているだけでございまして、どういうことが出てくるのかわかりません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それを聞いておるのですから、それじゃ答弁にならぬと思うのですが……。外務大臣、それは幾ら聞いても答弁しないようですが、条約局長、何か入れ知恵しておられるようですからもう一ぺん答弁してもらいましょう。やっぱりそうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま堂森さんはちょっと御無理な御質問でして、向こうと話してみなければわからぬじゃないですか。向こうがどうおっしゃるか、まずそれをひとつ聞きただしていきたいということでございますので、しばらく時間をかしていただかなければわからぬわけです。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 近く三宅課長ですか、向こうへ派遣されるというふうに新聞にはそう書いてあります。この人は前に行った人でありますから、そうだと思うのです。これは私聞いておる話ですが、外務大臣はそうだとおっしゃらぬかもしれませんが、三宅課長が去年でございますか、行くときも、アメリカ方面からは何か非常に妨害というとどらですか、何か非常に行くことを歓迎しないというふうなことがあったというふうに、これは私は確かな方面から聞いておるのです。今度もまたキッシンジャーがまず行ってやってきて、それから今度はゆっくりわが日本政府は課長をやって、そして接触をはかる。一歩や二歩じゃない、外交は全くおくれてしまっておると思うのですが、そんなのんきなことでいいのでございますか。いつでもアメリカの後塵を拝してやってきたのが日本の外交だと思うのです。私はそう思えてならぬのですが、いかがでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そう無理なことをおっしゃってもいけないので、こっちが派遣したいということで、向こうにいつごろ受け入れを願えるか、先方といま相談しておるわけでございまして、先方との話もきまらぬのにこっちが飛び込むわけに私はいかぬと思うのでございまして、日本の判断でやっておるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それはあなたに、日本の政府に積極性がないということは私はいえると思うのです。  そこで、もう少しお聞きしたいのですが、インドシナの経済援助といいますか、復興援助といいますか、そういう問題は、この二週間くらいの間いろいろな人が日本へも来ておる。たとえば国連事務総長が来ておる。あるいはキッシンジャー氏が来た。それからいろいろな人が東南アジアヘも行く。それからあなたの主宰している会議として東南アジアの日本の大使の会議をやる。法眼次官が行ってサイゴンへ回って向こうの政府当局とも会談をしておる。いろいろなことがめまぐるしくあるわけです。そこで、ベトナム和平協定の第一の重要な点は、これはインドシナの独立と自主と統一だということをうたっておるのです。統一ですよ。アメリカがやってきたインドシナ戦争政策のあの分割の現状を固定するために和平協定が結ばれるんじゃないという、これが私は重要だと思うのです。統一をするんだということです。そこで日本政府は、インドシナの、近くパリで行なわれる国際会議に行くハノイの政府、それからサイゴンの政府、グェン・バン・チュー、それからもう一つは臨時革命政府があると思うのです。この政府との接触、アプローチはどういうふうにしてされるのか、あるいはされないのか、どういう意向でありますか。外務大臣の御意見をお聞きしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 サイゴン政府とは現に外交関係を持っておるわけでございます。北越の政権との間におきましては接触をいまから持とうといたしておるわけでございます。臨時革命政府との間に接触を持つつもりはありません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうしますと的確な、インドシナ全体に対する和平協定の精神である、ほんとうに日本がアジアの経済大国として、そしてアジアの緊張を緩和していく、そういう大きな要因となるインドシナの和平、経済復興、そういうようなことに臨時革命政府とは何ももう接触を保っていかないんだと、そういう態度でいいんでしょうか、どうでしょうか。そんな態度でほんとうにインドシナの復興というものは協力できるでしょうか。いかがでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもは、この間成立いたしましたパリ協定というものを尊重し、それが定着してあそこの平和が回復してまいることを希求しておるわけでございまして、その精神、その条項を尊重してインドシナ対策をやってまいらなければいかぬと思っております。  臨時革命政府の問題でございますが、それは南ベトナムの問題でございまして、サイゴン政府を認めて外交関係を結んでおりまする立場といたしまして、臨時革命政府と接触を持つという考えはありません。世界のどこの国にも、なるほど臨時革命政府を承認しておる国もあります。サイゴン政府を承認しておる国もございますが、両方とも外交関係を持っておるなんていう国はどこにもありませんで、いずれか一つと外交関係を持つというのが常態でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 何らかの形のアプローチもしていかぬという意味ですか。どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 臨時革命政府とはいかなる形の関係も持ってまいるつもりはありません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そんな態度はおかしいんじゃないでしょうか。たとえば、一歩下がって、パリならパリに臨時革命政府の代表が行っておるんでしょう。そこで日本の外交官が、あなたが派遣しておる外交官が、いろいろな問題について、アジアの国同士、厳然として存在しておる臨時革命政府との、どの代表とも何ら接触もしていかぬというのは、どうしてそんな態度が必要なんでしょうか。私は理解できないんですが、もう一度御答弁願いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 あの協定から見ましても、南ベトナムの領域の中に臨時革命政権というものがあるということは明らかでございますが、だから、そういう存在がないなんてことを私は言っておるわけじゃないのでありますが、日本が接触を持つのはどうするつもりかというお尋ねでございますから、それは南ベトナムを代表する政府としてサイゴン政府を認めておるのでございますから、サイゴン政府とのおつき合いはいたします。臨時革命政府とはおつき合いいたしません。臨時革命政府とサイゴン政府との関係はサイゴン政府が処理することだと私は思うのであります。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それは、アメリカでもサイゴン政府を唯一の政府といっておるんですよ。そしてやはり臨時革命政府というものも相手にし、そうしなければインドシナ和平交渉なんて成り立たぬじゃないですか。それは論理が合わぬじゃないでしょうか。そういうことをあなたがおっしゃると、今度のインドシナへの、ベトナムへの復興援助計画なんというものは、やっぱりそうかと、北のほうとアメリカとの関係が、真にハノイ‐アメリカ時代が来たとこう新聞にも書いておるんです。そして膨大な援助計画も、もうすでに経済合同委員会というものができて、計画もだんだんと実現化していくというふうになっている。今度はインフレと難民といろいろな問題が山積しておるサイゴン、南ベトナム政府に対して日本が肩がわりするんだ、アメリカの肩がわりをするんだと、こういう批判すら国民の間からも出つつある。そういうことをいわれております。そうわれわれは疑わざるを得ないじゃないですか。どうなんでしょうか、そういう態度でいかれるということになるとそうなるんです。そういうふうに思われてもやむを得ない日本政府の態度ということが言えるのじゃないでしょうか、いかがでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 サイゴン政府を承認している国がたしか六十九あったと思います。それから臨時革命政府を承認している国が三十あったと思います。両方ともやっておる国はどこもありません。私どもといたしましては、あの協定の精神からいきますと、南ベトナムの民族の自決権を尊重するということでございまして、南ベトナムを代表する政府としてサイゴン政府と外交関係を結んでおるわけでございまして、臨時革命政府との間の、いろいろな問題があるのでございましょうが、それはサイゴン政府がおやりになるということでいくよりほかにしかたがないわけでございまして、両方とも関係を持つということは私はできないと思います。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それはもちろん、ベトナム内においては、サイゴン政府と臨時革命政府は、もうパリではもちろんだし、それからまた実際にサイゴンでもいろいろ話し合う、こういうことが現実には行なわれていますね。日本の外務省が頑強に、接触しないものが幾らそう言っても、現実はそうなっておると思います。そこで、これ以上私が幾ら言っても、あなたは、しないのだ、 こうおっしゃるのでありますから、そこで一体、さっきも鯨岡さんが質問されました。経済復興の援助について、日本の外交にとって非常に大切な大問題であるが、どういう態度で臨むのか、こういう御質問がありました。あなたはそれに対して、これからいろいろな会議もあるだろうし、国際的な流れも出てくるだろうし、そういうものを見て、ただ一つの考え方に固定したものでなしに、国際的なインターナショナルなレベルで何かしていくとか、そうでないものもあるのじゃないか、そういうように私はとったのですが、もう一ぺんお尋ねしておきますが、やはり日本の政府としてこうやるんだという構想がなければいかぬですよ。それをはっきりともう少し——いつもの大平流でなしに、明確にひとつ御答弁を願いたいと思います。わからぬような答弁でなしに、わかるようにひとつお願いいたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 長い間の戦火にさいなまれて荒廃しておる地域の復興でございますので、相当大きな規模において、できるだけ多くの国から協力を受けて進めてまいらなければできないほどの大事業であろうと思うのでございます。そのためには当事国を中心といたしまして、今後国際的な仕組みというものが考えられると思います。そういう場合には、日本も応分の協力をしなければならぬと思います。  この間、国連の総長が参りまして、国連といたしましても、内々いろいろ検討はいたしておる、しかし、一体当事国が国連の介入というものを受け入れられるかどうか、それはまだわからぬ段階でございますが、一応の勉強はしております。私どもも、国連は全世界の平和愛好国をまとめた機関でございますから、国連がお乗り出しになるというのは正当でもあるし望ましいことでもあるし、もしそういう事態が起これば、それは国連に対して協力を惜しむものではないというように言っておいたわけでございます。しかしながら、それは今後大きな意味の復興開発計画というようなものを議する場合のことでございますが、今日ただいま一応の停戦協定はできたものの、まだ陣取り合戦が続いておるような状況で、まだこんとんといたしておるわけでございまして、多くの方々が非常に難渋な生活をされておるわけでございまして、橋がこわれておるのもございますれば、屋根が吹っ飛んでおるのもあるし、食糧、医薬の足らぬところもあるでしょうし、そういったところにつきましてはすでに国際赤十字社等からも切なる協力の要請も来ておるわけでございますので、私どもはそういう緊急の人道的な援助につきましては、先方からの要求、要請がございますれば、それ相当の応分の寄与をしなければならぬと思いまして、先ほども鯨岡さんにお答えいたしましたように、一応の予算的な用意もいたしておるわけでございます。しかし、いま御審議いただいております四十八年度予算に組んでありますけれども、四十七年度中にもそういうことが起こる場合には、予備費の支出をお願いしなければならぬということにおきましては財政当局の了解も得ておるわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 私は、新聞を通じて知っておることでありますが、ハノイ政府は、どちらかというと国連とかあるいはエカフェとかいうものを通じたような国際的な機関での援助は、なるほどひもつきとかそういう意味の弊害をなくする意味ではよいことであるが、ほんとうはやはり二国間の話し合い、協定というようなもので復興援助してもらうことを非常に強く希望しておる、こういうふうに書かれておるのであります。それはあなたが先ほどの答弁で、国際的ないろいろな機関等を通じたものもたくさんあるだろうし、そうでないものもあるだろうという意味の答弁をしておられたように思うのですが、何かハノイ政府としてはそういう強い要望を持っておる、こういうふうに、これは私新聞を通じて知る以外は知ることはできないのですが、そういうふうなことではないのですか。外務大臣、どういうふうに認識しておられますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私ども、それに類した情報もあります。ありますけれども、とりあえずハノイ当局と接触を持って御意向をよく確かめてみることが必要だと思います。よくそれを伺った上で私どもの態度をきめていかなければならぬと思っております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 私、具体な的な提案として一つの人道的な立場から、これはぜひとも外務大臣やってもらいたいと思うのですが、サイゴンに、日本の資金で向こうに提供されて、そしていつも日本人が行ってやる病院があるのです。これは無料の施療病院ですね。ものすごい人気があるのですよ。日本の非常によい医者が行っておられる。外科医ですね。そこには戦争によるけが人、それから脳の外傷、内臓の外傷患者もこれは当然出る、爆撃等いろいろなことでたくさん出るのですね。そういう患者の人が殺到するのですよ、日本の病院に。他の国の病院にはあまり行かないのです。日本人のつくった病院に殺到するのですね。これはやはり日本の医師がたまたま行っておる。私名前もみな知っておりますけれども、非常な信用を博しておるのですね。ただ、残念なのは、病院が予算が少ないために貧弱なんですね、建物が。もうちょっと、たとえば具体的に言いますと病院の廊下でも狭いのですよ。それからいろいろな検査室とかそんなところを見ても貧弱なんですね。どうしてもっと、せっかく金を出して病院を提供するのにあんなようなものをしておるんだろう、こう思うほどものすごく日本の医師は人気があるのですね。それで感謝されておるのです。そういうようなことでありますから、外務大臣は、これはたいへんよいことだと思うのです。そして脳外科の技術のりっぱな人、これから戦争はないのですからそういうけが人はなくなるでしょうが、とにかく日本の医師というものが非常に感謝されておるのですね。そういうことも今後の援助の一つ大きな題目として考えておいてもらいたい、こういうことであります。  それから今度は質問になりますが、五千万ドルのお金を援助に使うんだということ、これは新聞しか知りませんわね、書かれていますが、総理大臣は国連総長に約束したとかキッシンジャー氏にいろいろ話をしたとか、これは新聞に書かれておることでありますが、どれくらいの金までは出るのかどうか、そういうことも何かおきめになっているのでしょうか。それはそうでない、まだまだわからぬのだということでありましょうか、これも伺っておきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 緊急人道援助につきましてはとりあえず明年度の予算で十億円計上いたしてありまして、それが足らない場合には予備費の支出も考慮しようという段取りになっております。それから大きな復興開発援助につきましては国際的な規模で、国際的な仕組みでおそらく行なわれることになるであろう。国連がやるかまた別な機関が当たるか、そのあたりはまだわかりません。しかしそういう場合には応分の寄与をいたしましょうということは申し上げているわけでございますけれども、具体的な金額をコミットしたことではございません。ただ世界各国で、スウェーデンが幾ら出した、ドイツが幾ら出す用意があるということをいろいろ伝えられておりますので、日本もそういうものと比較して恥ずかしくない金でなければならぬのじゃないかというようなことで、幾ら幾らが適当かなというようなことはみんな胸の中では持っておりますけれども、まだ公にコミットするという段階ではございません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 せんだっての国連事務総長が来ましたときにも新聞に報道されております。あるいは施政演説でも総理大臣がアジア太平洋圏の国際会議、これはまあインドシナの復興平和に関連してだと思うのでありますが、そういう会議をやるのだというようなことを施政演説にも触れておったのであります。あるいはキッシンジャー氏が来たときもそういうことに触れたというふうにも書かれておりますが、どのような構想を持っておられるか、またそういうものを開いて、はたしてこの会議に政府が予期しておるようなそういう参加国が得られるというような見通しをいまお持ちなんでしょうか。どういう構想なんでしょうか。これは重大な問題だと思うので、お聞きしておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アジアの地域協力機構といたしましていろいろなものがございますけれども、いずれも帯に短したすきに長しでございまして、アジア太平洋地域を網羅いたしまして、しかも米英ソ三大国も入って実のある協議ができるような仕組みができればたいへんしあわせだと思うわけでございますが、総理の構想といたしましては、そういうものの可能性をひとつ検討しようじゃないかという域を出ないわけでございます。いま堂森さんが仰せのとおり、会議を開くといっても、みんなの同意が得られなければなりませんし、また日本側がスポンサーになって適当な場合もあるし、適当でない場合もございましょうから、そういうものも含めてそういう可能性をひとつ考えてずっと検討していこうじやないかという意思を表明したものでございまして、具体的な構想があって各国に呼びかけていくというものではないわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 じゃ、まだ海のものとも山のものともわからぬということですね。それじゃ、私は初めから賛成しなかった会議の一つにASPACというものがありますね。これはどうなってくるのでしょうか。政府はどういう見通しを持っておられるのでしょうか、ASPACの将来。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 あれはメンバー各国が自発的につくった地域協力機構でございまして、日本がどうこうするというわけにいかないので、みんなでこれをどうやっていくかという合意が得られなければこの問題についてのお答えはできないわけでございますが、ただ少なくとも今日の段階でいえますことは、いまこれを脱退するというつもりはいまのところありません。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 まあしかしなかなかとぼけたような答弁をされますが、これはおそらく立ち消えになると思うのです、幽霊のごとく。存在価値はないのですよ、じゃないかと思うのであります。  もう時間が来まして質問できませんので、私はあとの問題について質問したい。  沖繩の那覇空港の返還について、地位協定と関連して、時間が十分もないものですから聞いておきたいと思うのです。それを半分ぐらいやるつもりで一生懸命調べたのですが、施設部長来ておりますね。  そこで、沖繩返還協定の審議のとき、いまの大蔵大臣の愛知君は、この沖繩返還協定の目玉商品は那覇空港がすぐ返ることだ、こう言って、私は何べん聞いたでしょう、あの人のその演説を。一体那覇空港はいつ返るのですか。完全にいつ復帰になるのですかお聞きしたい。外務大臣からお願いします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 明後年の三月、沖繩海洋博が始まるわけでございますが、その時点をめどといたしまして、その間にあそこにあるP3その他の施設を移していくという仕事を全部終えようというもくろみで鋭意折衝いたしておるという状態でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 それは外務大臣はそういう御答弁になるけれども、私は不可能だと思うのです。いろいろなことを調べておるのに、不可能だ。それから予算委員会で楢崎君が質問したり、それからぼくのところの上原君ですか質問しておられるのですが、私も傍聴はしておったのですけれども、ほんとうにできますか。海洋博までにできますか、もう一ぺん私は聞いておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 一月二十三日の日米協議委員会におきましてはそういう方針をきめたわけでございまして、これを急いで実行に移してまいらなければいかぬわけでございまして、いまごろからだめだとおっしゃらずに、ぜひそれが完了できますように御協力をお願いしたいと思います。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 施設部長に聞きますが、返還協定の当時吉野アメリカ局長ですかの答弁、あるいは施設庁あたりもそういう答弁をしておるのですが、那覇空港のアメリカ海軍の施設は地位協定の二条4項の(a)にあたるものである、それから滑走路や誘導路は二条の4項の(b)にあたるものである、こう言っておるのですが、そういう当時からの説明はいまも適用すると思いますか、いかがでございますか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 私から御答弁させていただきます。  那覇空港の米軍の飛行機を駐留させておりますのは地位協定第二条に基づく提供施設として使わしておるわけでございまして、二条4項(a)の問題ではございません。また、滑走路、誘導路、こういうものにつきましては地位協定二条4項(b)に基づきまして、日本側が管理権を持ちつつ一時的に米側に共同使用を認めている、こういう状況でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 では局長に聞きますが、一時的に使っておるのですか。何年前でしたか、内閣委員会で当時の防衛庁長官の中曽根氏は、一時的ということは少なくとも一年の半分くらい使うかどうかというくらいの程度であってと当時言っていますよ。そうでしょう。昨年五月に沖繩が返っている。もう二月ですよ。何カ月たちますか。半年ですか。少なくとも半年までくらいならともかく、一時というのは、八カ月もずっと使うのは一時ですか。それでいいのですか。ごまかしておるのじゃないですか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 地位協定二条に基づきまして提供いたしております施設そのものが所要の代替施設が建設されるまでの間ということで使わしておりますけれども、二条4項(b)に基づきまして使わしております暫定的な使用につきましても、一定の期間を限る、こういうことで、地位協定二条4項(b)の規定に基づいて共同使用を許しておる、こういう状況でございまして、昭和四十六年の二月二十七日に、二条4項(b)の解釈につきましては政府側から見解を正式に国会のほうへ提出いたしております。その見解に基づきましてこの使用を認めているわけでございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 あなたといま議論してもしかたないのですが、当時の政府の答弁と現在の那覇空港の状況とは違いますよ。沖繩が返ってからきょうまで何カ月たちますか。もう三月になるんでしょう。一時使用だなんという解釈は成り立ちませんよ。それは強弁ですよ。ごまかしですよ。いろいろな問題をこれは含んでおる。それは各種委員会で議論されておりますから、時間もありませんし、これ以上触れることはできませんけれども、沖繩海洋博を控えて、那覇空港は完全に海洋博までには返るとおっしゃるけれども、大平外務大臣、那覇空港を完全に民間飛行場として使うためにはいまの滑走路等は大修理をしなければいかぬそうですよ。そんなもの間に合わないのではないか、もうすでに間に合わないということは、沖繩ではみんなそう言っておる。そういうふうな事情でございますので、政府に重ねて那覇空港の完全復帰、目玉商品だなんていって大宣伝をした沖繩協定の、これはいわば食言ですよ、政府の。私は強く警告をしまして、もう時間がありませんので、これで質問を終わります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 岡田春夫君。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いろいろお伺いしたいことがあるのですが、時間がたいへん制約されておりますので、外務大臣に簡潔明快にひとつ御答弁をいただきたい。  まず第一点は、日本の外交方針の基本の問題ですが、これについてはこの国会の始まります劈頭、外交演説がありまして、こういう点を伺っておりますと、外務大臣の御趣旨は、いまや平和のために対決から対話の方向に進みつつある、そういう方向のために積極的な外交を進めたい、これが基本の考え方である。そこで、まず第一点として伺いたいのは、確かに国際的には対話の方向に進みつつあるわけでございますから、いままで敵対関係にあった国あるいは政府、こういう諸国あるいは政府間においてお互いに対話を進める、あるいはまた一堂に会して話し合おう、こういう方向に進めていきたいというのが日本政府の基本の考え方であろうと思いますけれども、この点はいかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 世界に敵対関係があって、世界が亀裂があるというような状態はたいへん不幸でございまして、できるだけ一つの世界を目ざして諸国民の間に公正な関係が樹立されることを目標に前進してまいるのが外交上の当然の責任であると考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 先ほど堂森委員の御質問に対して、この間施政方針演説の中で、アジア太平洋地域の国際会議を田中総理は提案されておる、こういう国際会議を注目すべき問題だとしてわれわれは見ておるのですが、具体的にどういう構想かというと、いや、構想はないのだ、こういうお話でございます。しかし国際会議をやるということならば、参加国などについての若干の考え方がなければならないと思うのです。特に具体的にいって、この会議にはベトナム民主共和国が参加されることが非常に重要な問題だと思うのですが、政府としてはベトナム民主共和国が参加することを希望されておりますかどうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アジア太平洋地域の平和復興会議というようなものを一つの道標として、その可能性をひとつ検討してみようじゃないかということでございまして、具体的にどういう国々を招集したらいいかというようなところまでまだ考えが及んでいないわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 しかしパリ協定にもありますように、ベトナム民主共和国というものが今度の当事者であるということは言うまでもないことで、アジアにおける平和という問題になってまいりますと、この国が参加するかしないかというのは非常に大きな問題になってくると思うのですが、政府としてのお考えはいかがなんですか、もう一度念のために伺っておきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのとおり、北越政府というものの存在、そしてその影響力というものがアジアの平和にとりまして大きな課題であるという認識は、あなたと私と共通でございます。ただ、これはアジア太平洋会議というようなものとの関連においての問題の提起でございますので、受け皿のほうにつきましては、そういうことの可能性についてぼつぼつ検討してみようじゃないかということを言うておるわけでございまして、具体的にどういうメンバーを御加入いただいて、どういうアジェンダでやってみるかというところまで問題の検討が進んでおりませんので、国会の御答弁といたしまして、そういうことに言及するのは早いと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 まあアドバルーンだけ上げたのだ、こういうお話なんでしょうけれども、そこら辺は続いて進めてまいりますが、先ほどから御答弁を伺っておりますと、外務省からだれが行かれるかわかりませんけれども、ベトナム民主共和国に派遣するという形でいま努力をしておる。派遣されることはどういう意味を持って派遣されるのですか。たとえば、国交関係を正常化するために派遣をするのか、こういう点を含んでいるのか。すでにキッシンジャーは、北ベトナムとアメリカとの間の共同声明の中で正常化を課題にしてはっきりと二国間の約束を取りつけているわけです。日本としてもそこまで踏み込んだ形の努力が、やはり派遣される限りはそこまで考えておられるのだろうと思いますが、こういう点についてはどのようになっておりますか。  それからもう一点。それは派遣される場合には、日本の政府の外交代表といいますか、あるいは外交使節といいますか、そういう資格を持って派遣されるのであるかどうか、この二つの点を伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 最初の点につきましては、まず北越政府との間で意思の疎通をはかってみたいということでございますから、何らのコミットメントを伴わないで、政治、経済、あらゆる問題を一ぺんざっくばらんに話し合うということでございまして、岡田さんの言われるように、国交を今後どのようにして考えるかというような問題を考えるにつきましても、一応この段階で接触を持って、先方の意思もよく伺ってみる機会を持つことが必要だと思いますので、そういう前段階の仕事だと御承知願いたい、こう思います。  それから、第二点の資格の問題につきましては、外務省の係官でございますから、私人の資格ではございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いまの答弁を伺っておると、事ベトナム民主共和国に関する限りにおいては、アメリカと北ベトナムとの関係よりも日本と北ベトナムとの関係のほうが非常におくれている。また外交当局としてもきわめて消極的である、こう見ざるを得ないわけです。  というのは、キッシンジャーがあの共同声明を結んだことによっても明らかになっておると思いますが、続いて伺ってまいりますけれども、パリ協定を見ますと、ここに持っておりますが、南ベトナムの当事者の合意に基づいて総選挙が行なわれる。そうして、新しい政府が樹立されることになっておる。そして、この新しい政府の対外関係と政策というものは、協定十四条に明示されておりますが、外交政策や基本方針がすっかり新政府によって一定の方向が出されることになっておる。  こうなってまいりますと、この新しい政府というのは、パリ協定に基づく新しい政府、この政府は、新たに日本の政府としては、政府の承認を必要とする事項に該当すると思うのですが、この点はいかがですか。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 お答えいたします。  ベトナムに将来できます政権の実体がどういうものであるかということは、パリ平和協定によっては直ちに判断できませんので、現在の段階でその政府をあらためて承認する必要があるかどうか、明確なお答えはできかねる次第でございます。  ただ現在の政府、つまりベトナム共和国を承継する政府がそのままできる場合は、当然問題になりません。しかし、そうでなくて、これが全然別途の政府として、別途の国としてでき上がる場合、これは当然国際法上の新たな承認を要するということになるかと思いますけれども、現在の段階で和平協定そのものから将来どういう国ができ、どういう政府がそこに成立するかということについては、われわれ判断いたしかねます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いまのところ、答弁の聞きようによってはたいへん問題がある点なんですが、現在のサイゴン政府を継承するものならば承認は必要としない、これはそういうことだろうと思うのだが、二つの当事者の間で総選挙を行なって新しい政府をつくって、そしてパリ協定で外交方針が十四条によって明定されている。そういう場合の問題です。ですからこうなってまいりますと、南ベトナム臨時革命政府の要求、そういうものも当然一〇〇%入るわけではないけれども、そういうものも含めてそういう方向になっていくわけですが、現在のサイゴン政府でない場合、それが主体でない場合、たとえば革命政府のほうが主体になった新政府ができたという場合には、新政府の承認を必要とする、こういう解釈に、いまの御答弁からいうとなると思いますが、いかがですか。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 先ほどの答弁を繰り返すことになって恐縮でございまするけれども、この和平協定の文字そのものから直ちに、日本政府といたしまして新しくできます政府ないし国についてどういう態度をとるかということを、はっきり判断いたしかねます。いずれにいたしましても、将来和平協定に基づきまして新しい政府ができました際に、政府として考えざるを得ない、こういうふうに思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いやもちろん将来のことだからわからないけれども、あなたのさっきの答弁では、現在のサイゴン政府がそのままの形で行なわれる場合には、これは承認行為が必要でないということになると、その反対に、そうでない場合は承認を必要とするではないか、それなら革命政府というものが非常に大きなウエートを占めた新政府ができた場合には、承認行為が必要ではありませんかとこう聞いているわけですよ。あなたの御答弁からむしろ逆に伺っているわけです。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 仮定の問題でございますので、私の答弁がいろいろ政治的にとられますと非常に問題があるかと思いますけれども、理論上の問題といたしまして、現在日本はベトナム共和国との間に外交関係を持っております。したがいましてこれと全く違う政府ができました場合に、当然これは政府の承認という問題が起きてくると思います。承認のしかたについてはいろいろ問題があると思いますけれども、法律上の問題といたしましては、現在の政府を承継したものでない政府ができました場合には、当然理論上の問題といたしまして承認という問題ができてくる、こう考えます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そういう意味ならばわかるわけですが、それから先ほど途中で進めちまったのですけれども、ベトナム民主共和国を大平外務大臣は北越政府と言うのだけれども、北越政府と略称していいでしょう。これに対して承認問題というのは、日本の政府としてあり得るわけですか、外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう問題も念頭に置きながら、北越政府がどういう意向を持っているか、また、いままで日本と南越との間に結ばれたいろいろな関係がございますが、こういった関係をどのように評価しているか、そういった点もよく意思の疎通をはかってみたいと思っております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 もう一度伺いますが、承認問題は政府は考えてないのですか。承認をするということは考えておらないのですか。日本の政府の立場としてどちらなんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 北越側の意向もよく聞いたり、諸般の事情を考えながら、承認に踏み切るべきと判断される場合には承認を考えることにやぶさかではございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 どうもますますわからなくなって議論にならないみたいですが、承認の場合もあるのですか。あまりこれにこだわりたくないのですが、承認の場合はあり得るのですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いろいろ政府として承認に踏み切るべきという条件が熟しましたら、そういうことはあり得ると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 承認の時期が来たら承認したいと、そこでその承認というのは政府の承認ですか、国の承認ですか。あるいはその他、何の承認なんでございますか。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 これも理論上の問題でございまするけれども、将来もしベトナム民主共和国を承認するということになりました場合には、これは国としての承認でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そうすると、いまの条約局長の答弁を伺うと、パリ協定と全く反するということですね。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 パリ協定と反するという趣旨が私、よくわかりませんけれども、いま私ども政府といたしましては、ベトナム共和国は南ベトナムにおける国家、つまりベトナム共和国政府は南ベトナムにおきます正統政府であるというふうに考えております。したがいまして、北のほうにつきましては、現在法律的に申しますと、日本との関係においては法律上実体は存在しないわけでございますので、将来これとの間に法律関係を結ぶといたしますれば、当然こことの間には国家としての関係が生ずるというふうに考えます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これはたいへん問題なんですが、こればかりやっているとほかに触れるわけにいかなくなるので、若干、一点だけ伺ってまいりますが、しかしあなたもお調べになっていると思うが、ベトナム民主共和国並びにサイゴン政府と私の言うベトナム共和国、どちらも憲法上、全ベトナムをみずからの領域としています。それからパリ協定は統一の問題が明確に規定されています。パリ協定の基礎になっているジュネーブ協定も統一の問題が明確になっています。そうしますと、日本が承認する場合には、いまの御答弁を伺っていると、そこに国境を設けて、そして二つの国の誕生というものを想定しているということに考えざるを得ないわけです。特にパリ協定の中でわざわざうたっている北緯十七度線は軍事境界線である、ここまで明確になっているのにこれを政府は無視して国家としての承認をおやりになろうと、こういうことなんでございますか。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 先生御指摘のとおり、ベトナム民主共和国も、またベトナム共和国も、ともに憲法上、全ベトナムをその領域とするということになっております。しかし、最近における両国政府の実行を見ますと、必ずしも憲法の文言どおりでなくて、それぞれ別個の独立の国家といたしまして、各国との間に外交関係を結んでおります。そういう例がございます。最近でも、たとえばオーストラリアはベトナム民主共和国との間に新しく国交関係を結び、同時にまたベトナム共和国との間にもそのまま外交関係を維持しているという実態が展開しておりますので、この実態をとらえまして、私ども、同じ民族の中に二つの国家ができるということにつきましてはいろいろ政治的に問題がありますし、また先生御指摘のとおり、将来再統一ということは、われわれ当然希望しておるわけでございますけれども、それぞれの間におきまして暫定的な姿においてそういう国交関係を続けていくということは、いわゆる分裂国家の場合に政治の実態に即応した外交関係をつくるということは、ある程度やむを得ない問題かと思います。そういう意味で私申しましたのであって、決して十七度線を境にいたしまして両国の国境を日本が設定するというようなことばとうていあり得ないことでございます。これはあくまでも暫定的な軍事的境界線でございまして、これが政治的な領域の区画になるという問題では全然ないと考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いまの御答弁それ自体にも矛盾したことが出ているわけです。国家として承認しながら国家としての領域の確定がないんだ、こういう御答弁だったわけで、このこと自体、条約論としてもたいへん問題ですが、このベトナム問題はきょうは堂森さんがおやりになるんで、私は日中問題をやることになっておったもんですからあまり長く触れられないのは残念でございますが、これは質問を留保しておきます。適当な機会にもう少し具体的に伺ってまいりたいと思います。  それでは続いて伺いますが、けさの発表によります米中共同声明で、先ほど鯨岡委員や皆さんが御質問になったわけですが、今度の共同声明の問題では二つ大きな意味があると思う。一つは、外交特権を持ったリエゾン・オフィスというものが相互に設定される、それによって事実上の外交関係が樹立される、こういう関係が生まれたのが第一点だと思います。第二点は、これは石井委員もやられましたが、台湾から、条約体制はそのままにしながら事実上米軍が撤退をしていくという、これは上海コミュニケの中にもはっきりうたっているのですが、いわゆる空洞化とでも申しますか、そういうことを通じてアメリカが台湾から離脱をするという関係が具体的になってきた。この二つの点が非常に重要な意味だと私は考えておりますが、先ほど伺うと、デ・ファクトの承認でもないと大平外務大臣はおっしゃったのですが、事実上の外交関係は設定されたことになるじゃありませんか。第一点、この点から外務大臣に伺いたい。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 米中コミュニケにつきましてのキッシンジャー特別補佐官の新聞記者会見で、この新しいリエゾン・オフィスの設定につきましての説明をいたしておりますけれども、その中でキッシンジャー特別補佐官は、われわれとしてはもちろん引き続き台湾との外交関係を維持していくのであるということを言っている反面で、このリエゾン・オフィスの性格につきまして、貿易問題はじめその他両国関係のいろいろな問題を処理するけれども、その中で特に厳密な意味での外交関係についてはこれを除外するということをはっきり明示しておりまして、そういう観点から申しまして、さらにこのリエゾン・オフィスは、いわゆる形式的な意味でのディプロマチック・オフィスではないということをはっきり申しておりますので、私たち米国政府のつまり解釈に基づきまして、そういう解釈から判断いたしますと、やはりこのリエゾン・オフィスはそういう外交上の活動をするのでなくて、両国間の接触のための一つの手段であるというふうに考えますので、アメリカの意思といたしまして、承認とは直接関係はない。もちろん承認への一つのステップであろうと思いますけれども、これ自身が承認のステップであるというふうには考えられないというふうに思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 承認へのステップであるということの御答弁があったわけです。それでは、承認は大体いつごろであろうということの質問が先ほどもあったのですが、外務大臣、あまり明確な御答弁がなかったのですけれども、私は案外早いと思うのです。これは外務大臣とかけをする必要もないわけですが、早いと思うのです。この点、あまり早くないんだとおっしゃるその根拠はどういうところにあるのですか、外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これはまあ予想をやりますと、たいへん危険なことでございまして、私の判断は、米中の関係改善が非常に用心深く、漸進的に展開されておるようにうかがえますので、早急に承認に踏み切るというようなところまでなかなか行くまいという判断をしておるわけです。(岡田(春)委員「根拠をお話し願いたい」と呼ぶ)いままでの手口から判断して、そう判断しておるということを申し上げたまででございます。もっともこれは日本政府が判断することではなくて、米中両国の問題でございますから、これ以上はごかんべんいただきます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これはお互いに判断の問題ですから、もっとやりたいのですが……。このことは言えるんじゃありませんか。今度の共同声明を通じても、アメリカの、力によるアジアの平和といいますか、一つの力をもって、それに基づいての均衡の関係、そういうことから、力をどんどん下げていくことによって平和の方向に進む。したがって、いままでのアジアにおける力の政策は破算したと私は思っているのです。そしていまそのワク組みが具体的にくずれてきている、そういうことになってまいりますと、これは中国関係、あるいはベトナムとの関係、その他アジアの諸国との関係を同時にそういう方向でアメリカは進めていくと思いますし、日本との関係においても、安保条約、安保体制を再検討すべき段階に来ているんだと私は思う。こういう点について、日本の政府のお考えはどうでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そこは、たいへん残念ながら岡田さんと私は見解が違うのです。力の関係というのは、力それ自体の存在とそれから力の行使の態様と分けて考えて、力のむやみな行使というものが必ずしも実りある結果を生むものではないという点におきましては、私はあなたと同じ判断を持つものでございますけれども、力の存在自体の問題、そういうものを否定するということはたいへん危険なことではないか、そのように思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 この点も非常に重要な問題なので、もっと触れてまいりたいのですけれども、残念ながら、あと三十分ぐらいしかないので、次にまいります。  日中共同声明について若干伺ってまいります。  共同声明が発表された直後、大平さんが北京で記者会見を行なわれて、そのときに、この共同声明の発表で日中の国交正常化が行なわれた結果、日本と台湾との条約の意義を失って、終了した、こういうように明確にお話しになりましたね。しかもこの場合に、私の伺いたいのは、日台条約が終了したということになりました場合に、それ以外の台湾との間に結ばれたもの、たとえば条約、協定あるいは取りきめ、これも一切効力を失った、そのように理解してもよろしいわけでございましょうか、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 当然そういうふうに理解しています。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは条約局長に伺いましょう。そういうような条約、協定、取りきめというものは幾つぐらいございますか。どういうものがありますか。御存じのだけでもひとつここで並べていただきたい。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 いま手元に資料がございませんで、たいへん失礼いたしますけれども、すべて政府間の取りきめでございまして、国会の御承認をいただいた条約はございません。私、いま覚えておりますのは、たとえば民間航空の相互乗り入れの取りきめ、それから円借款の協定、そういったものでございまして、すべて政府間のいわゆる行政取りきめでございます。これは先ほど大臣からお話がありましたとおり、平和条約と同時に全部失効したという態度でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そういう関係が日本と台湾との関係としてはっきりしたわけですが、そこで平和友好条約の締結の問題ですね。これはこの間の国会でも、条約の締結をすみやかに行なうということがきめられております。この平和友好条約の交渉はいつから行なわれるのか、そしてその内容はどういうものですか、外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日中両国の了解といたしまして、平和友好条約を締結しようじゃないかということに合意をいたしております。しかし、その締結交渉をいつから始めるかという問題、そしてその中にどういう内容を盛り込むべきかという問題につきましての話し合いはまだいたしておりません。これは今後の外交ルートを通じて折衝いたすべき問題と心得ております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それはいつからおやりになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 近く新大使もかの地におもむくことでございましょうし、当面私どもとしては、実務協定の急ぐものから早く片づけていきたいと思っております。その交渉の道程におきまして、先方政府と大使がいろいろ接触を持たれると思いますが、その間にそういった問題につきましてもだんだんと煮詰まった了解ができてくると期待をいたしております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 北京の記者会見で大平さんはこのように答えられているのですが、両国間の暗い過去の清算は、このコミュニケで終了いたしました。これからは第六項と今後の両国で考える友好条約を基本として親善友好関係を発展さしていく考えです。だから、平和友好条約というものはむしろ、今後の友好条約を基本としてと言っておりますから、今後の問題を条約の内容とする、そしていままでの問題は、この共同声明で全部清算された、こういう理解でございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのとおりです。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そうすると、日中共同声明というのは、過去の関係の清算という意味での法的拘束力を持つ、そういうことに理解してもよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもの理解は、そして両国が合意を見ているところは、この共同声明をもって一切の過去の清算を終わったという政治的な了解でございます。そしてそれは政府の外交の権能の範囲内においてやり得る仕事であると心得ております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 念のために再度伺っておきます。それでは、そういう問題については日中共同声明が両国間の国際法的な効力を持っているのだ、こういうことになりますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 少なくとも日中両国の間の過去の一切の問題がこれで解決した、これからはこれを起点として前向きにやってまいるということでございますので、仰せのような効果を私は持つものと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 たとえば、具体的にいいますと、平和友好条約の性格や今後の友好関係の問題、それから共同声明によって一切のものが済んだ。そこで、それでもなおかつ残るものがあるのですよ。たとえば国籍の問題なんかはどうしますか。あるいは両国間の権利義務の問題がありますね。具体的には言いませんが、そういう問題がある。両国国民の権利義務の問題があります。これらは平和友好条約と別個に何らかの取りきめが行なわれなければならないのだと思うが、外務大臣、その点はどうですか。

高島益郎外務省条約局長

○高島政府委員 いろいろこれから日中両国間の国交関係を発展さしていく過程におきまして諸種の法律問題が出てくると思います。また、先生はどういうことをお考えか私よく存じませんけれども、過去の問題につきまして、たとえば賠償の問題とかあるいは相互の請求権の問題とか、そういった問題につきましては、これはすべていままでのサンフランシスコ平和条約及び今回の共同声明によりまして全部処理が済んでいるというふうに考えますので、今後の、将来の両国間の、両国民間のいろいろな権利義務関係は平和友好条約のみならず、それ以外の必要な条約によって処理していくということになろうかと思います。これはこれからの国交の発展過程におきまして処理しなければならない問題かと存じております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 具体的に私が言いましたね、国籍の問題とかこういう問題はどうなるのですかと。これはやはり平和友好条約の中に入れられるか、あるいは別途のものが必要になるのではないか、こういうお伺いをしているわけですね。これについては先ほどの御答弁では何かどうもたいへんあいまいですが、これはもっと進めてまいりますけれども、この共同声明によって日中の国交の正常化が行なわれた。これは外務大臣に伺いたいのですが、そういう今日の時点において政府は台湾というものは中華人民共和国の領土の一部であるということはもちろん確認されるのだと思うが、大臣、それは間違いないのでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 共同声明に書いてあるとおりに理解いたしております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 中華人民共和国の領域の一部である、そういう意味ですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 共同声明の三項にちゃんと書いてあるとおりに理解しております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あれでは明確になっていないから、私は具体的に中華人民共和国の領域の一部であると——そういう理解ではないのですか、それでは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たびたび申し上げるようですが、第三項に書いてあるとおりに理解しております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは、関税局長、お見えですか。  ちょっと関税局長に伺いたいのですが、昨年の十月四日の政令三百七十二号で便益関税の適用に関する政令の一部改正を公布されましたが、これは実質的には従来日本と台湾の間で条約に基づいて最恵国待遇をとっておった、しかしこの条約がなくなったものですから事実上これを継続するための措置である、こういうことでございますか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 先生御指摘のとおり外交関係が台湾との間で断絶をいたしまして、したがいまして、当時まだ中華民国という国を対象として最恵国待遇を供与いたしておったわけでありますが、台湾というものが中国の一部ということになりまして、しかしながら国交関係は台湾との間で断絶はいたしましたけれども、依然として今後も人的あるいは物的な台湾との交流は日本として引き続き継続をしていく、こういう政府の方針に基づきまして、今日まで台湾に対しまして供与しておりました特恵を継続し供与し得ることができるように、あらためて政令によって台湾地域というものを特恵地域対象に指定をいたしたわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いま関税局長が非常にはっきり、大平さんよりはっきり言いましたよ。台湾は中国の一部であるということでございますからと、こういう答弁をされましたし、もう一つはっきり答弁されたのは、国交関係が断絶をしたあとでも最恵国待遇はそのまま続ける、そういう意味で政令の改正をやったのだ——最恵国待遇というのは国家間の権利義務だと思うのですが、その国家間の権利義務を、もはや国交関係が消滅してしまった、それとどういう形であなたは最恵国待遇をそのまま続けるのですか。最恵国待遇というものはお互いの相互関係だと思うのですが、そういう点についてはどういうことになっているのですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいま私が最恵国待遇ということばを使ったかもしれませんが、私、政令によってあれしまして便益関税を台湾地域に対しまして供与し得るという政令をという意味でございます。あらためて訂正させていただきます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 同じことなんです、局長。それは最恵国待遇をそのまま続けるということなんでしょう、実質的には。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 実質的には最恵国待遇と同様の待遇を続けるということでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 政令を拝見しますと、わざわざ「台湾」を入れるためにだいぶん改正をされております。政令の文書をここに持っておりますが、「第一条中「国は」を「国(その一部である地域を含む)は」」云々というのですが、いままで便益関税を適用している地域は国以外にはなかったはずです。ところが今度の場合わざわざここまで改正をされて「台湾」ということばを使われたのですが、これはどういうことですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、今日までの関税定率法の第五条、便益関税の条項に「関税についての条約の特別の規定による便益を受けない国(その一部である地域を含む。」とあります。わざわざ改正をいたしたわけではございませんで、今日までの関税定率法の第五条に、国の中の一部の地域を含むということが規定されております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 関税局長、「その」というのは何ですか。国でしょう。国の一部でしょう。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 御指摘のとおりでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そうすると、ここに列挙してある点では、関税局長、これはどうして「中華人民共和国(台湾)」となさらないのですか。わざわざ「台湾」とした意味がわれわれにはわからないのです。こういう器用なつくり方をされるということは、これは主権に関する問題ですから、私はたいへん根掘り葉掘り聞いているのです。外務大臣、こういうことをやると共同声明の趣旨に反すると思うのです。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 台湾という地域に便益関税を供与するということを明らかにいたしますために、台湾地域と固定をいたしたわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そういう例がありますか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 定率法でその地域に対して便益関税を供与した例は、過去にはございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 「コンゴー(ブラザヴィル」こういうように書いていますね。ほかのところは。これは地域を指定していることですね。台湾の場合は、「中華人民共和国(台湾)」となさるのなら、これは共同声明の基本に従ってそういうこともあり得るかもしれないけれども、台湾ということをこういう形で指摘されたということは、蒋介石政権の主権の行使なり、そういうものを事実上認めていく、もっと進めて言うならば、二つの中国論の観点に立っているということが明らかではありませんか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 関税定率法五条に基づきます便益関税の場合には台湾地域の場合が初めてでございますけれども、特恵税率の適用に関しましては、関税暫定措置法の第八条の二第二項に基づく地域の指定ということを過去においてやりましたことは数カ所ございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それは答弁が全然違うのです。私は特恵関税のことは聞いておりません。  それじゃもっと伺いますが、台湾にだけ便益関税を適用するということを——日中の国交回復によって、中国の主権者は中華人民共和国政府ですね。これに対して何らかの合意をされておりますか、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私が言い得ることは、北京政府におかれては理解をしておられると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 理解をしておられるというのは、その後に何も言ってこないからとか——私の聞いているのは、それを話し合って合意されたのかということです。そういうことをお話しになった事実はございますか、外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 かりに話し合いをいたしましても、イエス、ノーと明確にやりとりができる性質のものではございませんので、したがって、私は理解はされておるものと推察をいたしております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 しかし、便益関税をとることについては、台湾の側と話し合いをして進められたのではありませんか、関税局長。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本政府の方針といたしまして外交関係を維持できなくなってきた、しかしながら日台の間におきましては非常に濃密な実務上の関係がある。また三千九百人の方が現地におられるし、非常にたくさんの貿易も行なわれ、たくさんの人の渡航も行なわれているというような事態を踏まえまして、新しい日中関係の維持に支障のない限りにおきまして現在の実務関係を維持していくという方針を、希望を持ちましてその後鋭意措置してまいるその一環でありまして、あくまでも日本政府の自主的な措置でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 しかし便益関税というのは、条約上最恵国待遇を明文化しない場合でも相手国も最恵国待遇と同じような措置をとる。そういう状況にあるからこそこちらも便益関税を行なうのだ。こういうのが根本の趣旨だと思うのですよね。そうするならば、台湾との間で何らか話し合いをなさった上でこれをおやりになったんではありませんかと質問したら、外務大臣はわざわざ関税局長の答弁をさえぎられて、わかったようなわからないような答弁をいまされたのですが、政令をつくる場合、そういう話し合いをされたのですか。関税局長いかがですか。

大蔵公雄大蔵省関税局長

○大蔵政府委員 はっきり申し上げまして、便益関税の供与に関しましては、台湾政府と話し合いをしたということはございません。これは日本の姿勢といたしまして、台湾側も国交が断絶をいたしましたことによりまして、日本からの貨物の輸入に関しまして今日までと同様の、最恵国待遇と同様の関税率の適用を日本に対して行なっておりまして、何ら変更をいたしておりませんので、日本側といたしましても、日本側の自主的な判断といたしまして、それまでと同様の便益関税を台湾に適用し得るように政令を改正いたしたわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 しかし相手のほうは、最恵国待遇と同様の措置をやめるかもしれませんよね。  そこで私伺いたいのは、これは外務大臣よく聞いておいていただきたいのですが、今日の状態としては、中華人民共和国という、この中の台湾という一部地域にだけ便益関税を適用して、それ以外の中国大陸ですね、主権を行使している中国全体に対しては、台湾を除いては便益関税を適用してないのですよ。これはおかしいことではありませんか。不平等ではありませんか。国交回復をやって政府も承認をして、その上で便益関税も適用しないで、従来の台湾にだけ便益関税をやっているというのは、これは共同声明の趣旨にさか立ちすることになるじゃありませんか。この点はいかがなんですか。大平外務大臣の率直な見解を伺いたい。少なくとも、国交回復をやったんなら全域にわたってそのような措置をとるのがあたりまえだと思いますが、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 御指摘のように、現在まで日中両国とも、日本は中国に対して、中国は日本に対しまして最恵国待遇を与えるという措置をとっていないわけでございまして、両政府ともよく承知いたしておりまして、この問題につきましては、来たるべき貿易交渉において相談の上きめようということになっております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そういう言い方をされるだろうと思っていたのです。しかし、貿易協定というのはこれから交渉するのですから、だいぶあとのことですよね。そうすると、その間における貿易についての関税問題というのは、依然としてそのまま残るわけです。だから、ここでその措置としての便益関税をやったらどうなんだと伺っているわけです。これは昨年の十二月十九日の、西ドイツの場合においての、中国訪問貿易代表団のヘルメスという団長が記者会見をした例がありますが、西ドイツの場合には、国交回復をしない以前から最恵国待遇と同じような措置をとっておったわけです。これもできたわけですね。日本の場合どうしてそういうことをおとりにならないのか。貿易交渉をやる前からでもいまならできるはずですが、貿易交渉と切り離して、まずとりあえず関税問題についてのそのような優遇措置を外務省としておとりになる考えがあるのかどうか、この点外務大臣に伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 この前に東郷審議官を団長とする、ミッションを派遣いたしまして、双方で洗いざらいいろいろな問題点を洗い直したわけでございまして、問題の所在は両方ともよくわかっておるわけでございまして、両国政府の間で、来たるべき貿易交渉でこの問題は片づけましょうということで合意をしておるわけでございます。私は、日中両国の信頼関係から申しまして、別段支障はないと考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 関税問題については、外務省だけが反対しているらしいですよ。大蔵省も通産省も、便益関税を設けることは実態としてはむしろやるべきである、外務省としては、経済関係の当局がこれについては賛成をしておらない、こういうように伺っているわけです。しがも、いまお話を聞いていると、貿易協定のときに云々という意味らしいのでありますが、貿易協定以前にやろうと思えばやれる問題ですから、この点はひとつすみやかにやっていただきたいと思います。  予鈴が鳴りましたので、もう一点伺って終わりますが、東京に旧台湾の大使館がありますね。この旧台湾の大使館の所有権はどこになりますか。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 国際法上の通念といたしまして現時点では中華人民共和国の財産だと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 その点は間違いないですね。非常にあいまいなようですが、その点ははっきりしていただきたい。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 ただいま申し上げたとおりであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 北京には日本の大使館が、なかなかりっぱなのが近くできるということなども報道されておりますが、東京における中国の大使館は一体どうなっておるのですか。何かホテルの仮住まいという形のままで、日本政府は一体いいと思っているのですか。どういう形になっておりますか、これを具体的に伺いたいと思います。

吉田健三外務省アジア局長

○吉田(健)政府委員 東京の住宅事情が御承知のような非常にむずかしい点がございまして、私たちも、共同声明にも相互に必要な措置をとろうということになっておりまして、先方の要望に沿うように、先方の大使館の規模とか仕事のぐあいとかいろいろな要望がございますので、それに見合うように鋭意努力中で、できるだけ早くホテルから引き払われるような状態にするために全力をあげておる、こういう状態でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 もうこれで終わりますが、大使はいよいよ三月の末に交換する、それまでに大使館がないというこの点は、外務大臣、どういう御感想ですか。あなたは北京に参られてずいぶん御努力になったのですが、これはいかにも、住宅事情があるかどうかは知りませんけれども、日本側の努力が足りないという感じがたいへんするわけです。外務大臣としてひとつ責任ある、いつごろまでにはっきりする、大使の交換以前にこれは解決します。こういう御言明をいただくように期待しながら質問いたしますが、そういう点はいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 われわれ関係者、昼夜を分かたずたいへん努力いたしておるわけでございまして、先方の御要望に沿うようにできるだけすみやかに確保いたしたいと考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 まだ質問がありますけれども、五十五分になりましたので、やめます。  あとは留保いたしておきます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十六分休憩      ————◇—————    午後三時二分開議

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国際情勢に関する件について質疑を続行いたします。瀬長亀次郎君。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 ベトナム停戦協定に引き続きラオス停戦協定が結ばれて、インドシナ半島における戦争は一応終結するかのような様相を示しております。ところで、この協定を成功させた力は、もちろん耐えがたい長年の年月を耐えて英雄的に抗米救国の戦いを進めたベトナム、ラオス人民の英雄的な戦いによる成果であり、さらに国際反帝民主勢力の力によるものであることは言うまでもありません。ところが、ニクソン政権の新植民地主義、力の政策は変わっておりません。変わっていないどころか、いよいよますます力の政策をアジアにおいて進めようとしている。  そこで、私は、こういった力の政策に協力、加担してきた佐藤内閣からさらに田中内閣に至るまでの外交政策、特に安保条約に基づく政策について、非常に危険な基地があらわれつつある、また現にあらわれておる、安保条約ですら許されないような状態が現実にあるという面について、水域における演習その他について質問いたしますが、時間の関係で、きょうは特に安保条約と基地との関係、アメリカ軍との関係などについて質問をしたいと考えます。  質問する前に、最初に確認いたしたいことは、安保条約第六条は、言うまでもなく、アメリカ合衆国はその陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許されるという規定であり、この規定の解釈として、去った国会におきまして、福田国務大臣は松本善明委員に対する答弁、すなわち「FBISに対しては安保条約に基づいて基地の提供をされるのですか。」ということに対する答弁で、「これがもし軍の機関でなく政府の機関であるということであれば、基地は提供いたしませんです。」とはっきり明確に答えております。さらに「本土に、軍以外のものを安保条約によって基地提供しておるところがありますか。」ということに対して、吉野政府委員は「そういうものはございません。」と明確にしております。  すなわち、アメリカの陸海空軍のほかには施設、区域は提供しないという安保条約のこの解釈は、福田国務大臣もそう言っておりますが、いまでもそういう解釈に基づいて進めているかどうか。この点で大平外務大臣の御意見を承ってから、確かめたあとで質問の本論に入ります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのとおりに私も理解してお  ります。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 アメリカのAID、この機関はアメリカ政府のどの省に属しており、どういう機能を果たしているか、政府のほうで知っただけでいいからごく簡単に説明してください。軍であるのか政府機関であるのか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 AIDは、国務省に所属いたします対外援助事務を担当いたす機関でございます。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 当然のことでありますが、そうなりますと、AIDは沖繩を含む本土の施設、区域の中にないと解釈していいんですか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 AIDの出先機関が日本において米軍施設、区域を使用しているということはないと承知しております。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 もしありましたら撤去を要求しますか。大臣にお答えをお願いします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いまお答えいたしましたとおり、そういう事実はないと思います。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 皆さんが提供された基地のリストの中にもありません。これは「在日米軍基地の実態」という、ことしの二月六日防衛施設庁から出されておるものでありますが、この中にAIDなるものの存在はもちろんありません。ところが現実にあります。この前行きまして全部調査いたしましたが、これに書かれているキャンプ桑江、アメリカはクーエといっております。その中には、大体百十三万一千平方メートルの中に宿舎、事務所、病院があり、陸軍沖繩基地コマンド、陸軍在沖医療センターというものがあるのであって、AIDはないということになっております。また、政府答弁でもそうなっております。ところが、この桑江の基地にALDが実にごう然とかまえております。これがその写真であります。これはもちろんはっきりU・S・デプト・オブ・ステートと書いて、 工−ジェンシー・フォー・インターナショナル・デベロプメントと書いて、しかも、最近この名前が、アメリカ国務省国際開発局極東地域補給事務所と明確に書かれています。しかも、この第二番目の写真は、ベトナムにおいてAIDが使ったその車両を持ってきて修理してまた持っていくという車両の中にも、AID二三三八、一〇〇一、これは車両についております。委員長、これ大臣に証拠に見せてください。   〔瀬長委員、写真を示す〕 これは、どこからでも写真を写せるようなところに控えております。場所は、詳しく申し上げますと、キャンプ桑江というところがあり、さらに道路はいわゆる国道五十八号線の中のアメリカ軍基地の中にさらに鉄条網を張って、その中にAID事務所がある。電話番号もちゃんと軍電話番号の中にあります。司令官の電話番号はどこどこということも明確に書かれております。この事実は、いままでそういったような機関がないと言われたその政府の責任——現にあるんですから、私、この目で見ております、検証しに行ったんだから。あの写真はそこの写真なんです。これについて責任がある外務大臣としての答弁をしてもらわなくちゃいけません。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 従来私どもが承知いたしておりましたところでは、米側は、軍以外のものが施設、区域を使用していることはないというふうに申しておったのでございますけれども、御指摘の点がございますので、さっそく事実関係を調べてみたいと思います。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 これを、調べてみたいと思いますで答弁になると思ったら大間違いなんです。あなた方は、すでに前の国会から、そういうCIAとかCSGとか、そういったような米陸海空軍のほかにはあってはいけないし、ある場合には、BOAなどというものの取り扱いでもわかりますように、特別な協定を結ぶかなんかして残しているような実情であって、防衛施設庁から出されたこの資料の中にもない。ところが、厳然としてこれがある。ですから、これは政府として、現在の安保条約六条、それに基づく地位協定でも許されていないいわゆる軍関係のほかのアメリカの国務省の機関なんです。これが現にあるというこの事実は、一体どうするか。これは当然のことながら、撤去を要求しなければならない性格のものではないんですか。これ、大臣、ひとつ答えてください。現にある。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 瀬長さんから伺いましたので、アメリカ側について事実を調査をしてみます。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 私は、確かな証拠としていま写真をお見せしましたが、これは偽造した写真ではありません、現にそこへ行って写したのだから。これがもし政府が確認されたならば——当然これはきのうきょうあったのじゃないのです。もう何カ年か前にあったやつが今度は堂々と看板をかけかえてやってきておるわけです。しかもこれがもしわかったら、次の質問です。当然のことながら、現在の安保条約、地位協定でもこれは許されぬわけなんです。だからそのときは撤去を要求するということになりましょうな、これは大臣ひとり……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まず事実関係を——あなたのおっしゃることに私は疑いをはさむものではございませんけれども、米側に実態をよく調べて確認した上で日本政府の態度をきめたいと思います。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 この問題は、田中内閣が佐藤内閣に引き続き同じ政策、すなわち、安保条約を堅持する政策というものがいかに危険なものであるかということを証明しております。したがって、これが確認されれば、もちろん撤去要求を直ちにやらなければならぬ性格のものでありますが、もう一度お伺いしたいのは、AIDなるものの主とした任務、機能は何であるか、これを政府機関ははっきり握っているかどうか、まず、大臣でなくともいいから、説明してください。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、 AIDは、 エージェンシー・フォー・インターナショナル・デベロプメントの略語でございまして、国務省に属するアメリカの対外援助事務を担当する機関でございます。  なお、先ほどの事実関係の調査に関連いたしますけれども、この現場を確認されたという時期はいつごろでございましょうか、伺いたいと存じますが……。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 一週間しかなりません。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 ああそうでございますか、わかりました。  一つ考えられるケースは、前からのサインをそのまま使っているものがあるいはあるかとも思いますけれども、いずれにしましても、復帰以後におきましては、地位協定に基づきまして、正当な施設、区域の使用を認められるもの以外は施設、区域を使っておらないというふうに政府としては了解いたしておりましたので、事実関係を至急調べてみたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 あなた方は、アメリカのたとえば大統領あるいは大臣が、核はありません、毒ガスは撤去されましたと言うときには、あれは大臣が言った、大統領が言ったからそれを信用すると言う。ところが、また別に、日本の施設、区域の中にあるアメリカ軍隊は日本の安全を守るんじゃないんだというふうな証言をサイミントン報告でやっている場合には、それは信じられぬとかいったような意味のことを言うんです。私は、それは追求しようとは思いませんが、国民はすでに現実、基地がどのようになっているか、安保条約はどんなに危険なものであるかということはわかるわけなんです。このAIDなるものの機関は、主たる任務はもちろん御存じでしょう。これはもちろん古いものでありますが、このアメリカ合衆国政府の年鑑、これによっても明らかなように、実に危険な仕事をやってきたし、またやろうとしておる、これはたいへんな機関なんです。特に、このAIDの予算面で見た場合、彼らはいわゆる公安の仕事もやっておる。この公安の仕事の中に、南ベトナムの警官をアメリカで特殊訓練をする仕事、南ベトナムにおける十五歳以上の再登録のための費用——予算ですから費用を出すわけです。獄舎の建設費用、もちろん南ベトナムです。さらに対南ベトナム公安関係者への費用、村落に派遣する警官増員のための費用などということが、一九七一年度の予算の分析の中にあらわれておる。これはたいへんな仕事をやっておる、またやってきた機関なんです。しかも、ベトナム協定が結ばれてからのUPI電は、この戦争は一応終わるかもしれないか、はたして終わるのかどうか、この任務か軍隊からAIDに移っていくということまで書かれております。これが日本にあって、しかも政府が知らない。これは一体どういうことになるのか。もし、調査した結果、これを知ったとすれば一体どうなるのか。これまで、安全条約でも許されていない、もちろん地位協定でも許されていないようなアメリカの、しかも危険なもの——あのベトナム停戦協定、引き続きラオスの停戦協定が結ばれた。ところが、いま冒頭で申し上げましたように、ニクソンの力の政策は決してやめておらぬ。そして、新植民地主義もやめておらない。予算の面でもあらわれておる。そういうふうな機関を動員して、事実上アメリカの兵隊は去っていったが、そのかわりに、まずサイゴン政権にすべて引き継ぐだけではなくて、こういう民間機関、さらにアメリカの航空会社などにもその任務を移しながら、依然としてベトナム侵略、インドシナ諸国の人民に対する戦争政策をやめようとしない現段階で、日本の国土にこういうような機関があることを知らないということ、これは国民に対してどう申しわけされますか。こういうふうな機関が置かれていて、事実またベトナムに対してそういった工作をやっている機関である。  私は、御参考のために申し上げますが、向こうで働いている米人に会いましたが、「ここは米国務省管轄下のAID沖繩事務所である。この事務所は軍のPDO(プロパティー・ディスポーザル・オフィス)から陸海空三軍の中古車両その他すべての種類の品物の払い下げを受け、これを再生して開発途上国に安く売るのが任務だ。この事務所が関係を持っている開発途上国は、フィリピン、ラオス、カンボジア、タイ、南ベトナムなどだ。」と言い、復帰後何が変わったかと質問いたしましたら、「全く同じだ。ここはワシントンとの関係で仕事をしているので、沖繩の日本復帰で何も困ったことは起きていない。」こう答えております。ここはキャンプ桑江の一部かと言ったら、「そうだ。ここはキャンプ桑江の一部だ。」と兵隊はそれに答えておる。しかも、この電話番号も全部軍の電話番号簿に堂々と載っているのですよ。この地図も全部書いてきました。さくの中にまた金網を張って、そこに厳としているわけなんです。  その実情は次のとおりです。施設の状況はこうなっております。SI二五五〇の建物近く、その建物はそういった名称で表示されているのですが、その建物近くの駐車場には、黄ナンバーや「OV‐30」などのナンバーの乗用車六、七台がいつも駐車しておる。これから見て、この建物内に勤務している米人はまず十人前後と推定される。女性もおる。施設内には、ベトナムなどで破損したと見られる各種の破損車両が山のように積まれております。これらの破損車両には、アメリカの白い星と同時に「U・S・ARMY」と表示されながら、その下のほうに白ペンキで「AID」と、実にだれにでも夜でもわかるように書かれております。破損車両のほとんどはジープな一どで引っぱる荷物積載用の小型の車なんです。そのほかには、フォークリフトや大型トラックなどが若干あることはもちろんであります。ベトナムなどで、AIDの援助物資の運搬に使われていたということは想定にかたくありません。そして、この破損車両には全部おのおの番号がついて、AIDの表示があります。あの二番目の写真は、その車両につけられた表示なんです。  したがいまして、私はなお聞きますが、いまニクソンの力の政策を過小評価する場合に日本国民はどんなことになるかという、この危険な事態が、現実に日本の国土である沖繩の基地に、安保条約にすら違反したものがあるが、田中政府は知らない。これはとっても危険なんです。知っているがだますためにやっておるとも違うのだな。現実に知らない。だからこそ沖繩県民をはじめ日本国民が、この安保条約によって提供された基地は危険だ、毒ガスがどこに隠されているかわからぬ、撤去されたといいながら核もあるかもわからぬから、基地の立ち入り調査を要求するのはそこにある。にもかかわらず、立ち入り調査どころか、国道五十八号線から堂々と見えるところに、AIDいわゆる地位協定にすら許されないような政府機関があるということさえ知らない。政府は、久保・カーチス協定などできめられた以上に自衛隊を派遣する計画、四次防など、基地強化には非常に一生懸命らしいのだが、この基地がどんな状態であり、どんなに危険であり、そして現在の安保条約にすら違反している許されないものがあるということを知らないようでは、一体国民に対してどう返事されるつもりですか。大臣、一言しゃべってください。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まず、念のために事実関係を調査いたします。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 再び聞きますが、事実関係は、写真にとってあるようにこれはもう事実であって、私まさかこんな外務委員会あたりにうそをつくために写真を持ってきたわけじゃないわけなんです。これが事実であれば、一言でいいから、このような安保条約六条にも違反している、六条に基づく地位協定で許されないこういったものは、直ちに撤去を要求するということが、普通考えますと外務大臣の腹でないかと思うのですが、そう理解していいのですかどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 十分正確に事実関係を調べた上で、責任ある措置をとらなければなりません。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 私が申し上げましたのは、事実は事実なんで、事実関係は私は事実として知っておる。大平外務大臣は知らない。だから、一応大平外務大臣も行かれて——行かれるかどうか別ですが、わかったら、一体全体最初なぜ確認したかというと、安保条約六条は米陸海空軍以外には施設、区域を使用することを許されていませんね。それでまた福田国務大臣もそう言ったと、これはあなたも確認されたわけだ。そうなると、このAIDなるものは政府委員の説明でも、陸海空軍じゃないということはわかっているわけなんですよ。ちゃんと国務省の機関である。一九六一年につくられた機関なんだ。そういうことがはっきりしております。だから現実にAIDがあるとわかったら、当然のことながらこれはアメリカに対して外務大臣の権限ですぐ撤去しなさいということを言える性格なものなのです、条約違反なんだから。これは事前協議などとは関係ありません。いわゆる忍者部隊、もぐってきている。しかも、もぐり方も公然とやってきているのです。何ももぐってきて顔を隠しているのじゃありません。ちゃんと、ここにありますよと、はっきり墨痕あざやかに書かれている。だから、これがわかったらどうされますか。責任ある措置をとるということは、当然のことながら安保条約、地位協定の趣旨に従ってこのAIDの撤去を要求される、これがアジアの平和、日本の安全、このためにも正しい措置であり、また日本国民の求めている線もその線であります。したがって、この責任ある措置をとるということは、もちろんこういうのは許されぬから出ていきなさいというふうに言われるつもりか、そう理解していいでしょうな。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まず念のために事実関係を明らかにしたいと思います。  それから地位協定は、私どもといたしまして厳正に守っていくことは当然だと考えております。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 一時間が迫ってきておりますので、これ以上もっと、水域の問題もあとに回しますが、同じことが行なわれております。調査される、事実関係を調べられると言いますね。これも一応確かめておかないと、あなた方信用できないのですよ。どういうことで事実関係を確認されるつもりであるか、それをちょっと発表してください。なぜかというと、あなた方もう信用できないんだ、現にあるのをわからないのだから。しかも危険だ。防衛施設庁もわかっておるはずなんです。こんなことまでありますよ。ここはアメリカの海兵隊の財産につき出入りを禁ずるなんという、まだ看板が書かれておるのですよ。復帰後——復帰前でも、アメリカの海兵隊の財産は日本にないはずなんですよ。これが堂々とちゃんと書かれていまでもある、六万件あるそうだ、防衛施設局に行ったら。なぜ撤去しないのか、屈辱を感じないのかといっても感じないんだな、屈辱は。そんな意味で、あなた方は一体どういう形で調べて向こうに行けば写真すぐとれますよ。その調査、事実関係を確かめる方法どうするか、これをはっきりさせてください。そうすれば一応私のほうも、その答弁によってまず事実関係があらわれるまで保留して待っていますから。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 瀬長さんにお願いしたいのでございますけれども、政府を信用できないというのであれば、やりとりがむだになるわけでありますけれども、あなたはそういうところまではお考えでないと思います。私は、あなたの御説明はよく拝聴したわけでございますから、政府の手で事実関係を確認いたしまして、地位協定は厳正に守るということを申し上げておるわけでございまして、どういう手順でどのようにして事実関係を確認していくかというとは、政府におまかせをいただきたいと思います。

瀬長亀次郎無所属

○瀬長委員 もう時間、大体切れましたので終わりますが、それと同時に次に質問しますが、恩納村万座毛というところがありますよ。それを扇のかなめとして、あの水域をかってにアメリカがとって強行演習した事実がある。二月一日です。これも安保条約に違反する行為をアメリカ軍がやっておる。しかも政府が知っておるかどうか、これはわかりませんが、それまで含めて調査して、次の委員会ではっきりお答えができるようにしてもらいたいことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 きょうは外務委員会として最初でありますので、政府の外交方針に関して基本的なことについて少し伺いたいと思います。  まず、これまでの日本政府の外交方針は、共産圏に対する外交に対しては冷戦外交の継続として、共産圏との間には外交がなかったといっていいんではないかと思います。おおまかな言い方でありますが、共産圏との間では、要するに話し合いをすることも交渉することもない、自由主義諸国家との間の交渉はあるというような状況であったように思います。  ところが、最近における国際的な諸情勢の急変は、日本外交をそのような形に置いておくことができず、日本はいまや急速にいろいろな国々とおつき合いしなければならぬように見えるわけであります。  そこで、私は率直に言おうとしておるのは、外交政策がいままでのような次元と違って、一挙に外交不在の日本の外交というものが、外交しなければならない相手が一ぺんにふえた状況になっておるのではないか、こう思うのであります。  そこで、いままでおつき合いが実質上行なわれていなかった東ドイツであるとか、あるいは北越であるとか、あるいは北朝鮮であるとか、あるいは中国であるとか、そのあるものについては大きな外交上の前進が行なわれておるわけでありますが、そういういわゆる共産圏外交に関して大平外務大臣は意欲的に取り組まれようとする御姿勢が見えるのではないか、私は政府を追及するよりもきょうは激励をしてやらせようという立場からお伺いをしたいわけであります。  そこで、大平外務大臣としては私の質問をいいチャンスとして、いかに政府が意欲的であるかということをまず最初から述べていただきたい。で、総体的な外交姿勢と、それから個々の問題点等について述べていただきたい、こう思いますが、よろしくお願いします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 戦後わが国が独立を回復いたしましたときは、いわばサンフランシスコ体制のワク内においてようやく国際関係に復帰してまいったわけでございます。しかしその後一九五六年にはソ連との間にサンフランシスコ体制とかかわりなく国交が回復いたしましたことは御承知のとおりでございます。その後東欧共産圏との国交も漸次回復してまいったわけでございます。決してからの中に入っておったわけではないわけでございまして、仰せのとおりより広く対話の糸を広げてまいらなければならない、すべての国と友好関係を深めてまいらなければならぬということは政府の外交の基本に置いてある方針でございます。  個々の、しからばどういう手順でやってまいるかということにつきましては、具体的な条件がいろいろございまして、なかなか思うにまかせませんけれども、漸次打開の方途を講じてきましたし、今後も一そう精力的に講じていかなければならぬと考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 いままでのやり方についての御反省はあまりなかったみたいに思いますが、これから先広く対話の輪を広げたいとおっしゃったことに重点を置いて、それではまず東ドイツに対して今回政府はどういう方針で臨まれようとされているか、これについてお述べをいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本といたしましては、東独との外交関係設定交渉を来たる三月七日からモスクワで開始することで東独側と合意を見ております。交渉当事者は、日本側は新関駐ソ大使、東独側はビットナー駐ソ大使が当たることになっております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 東独との国交正常化の問題に対しては、中国との問題のような賠償の問題であるとか、あるいは戦争状態の終結の問題であるとか、そういうおもなものはほとんどない。したがって、問題となるのは、東西両ドイツの関係が安定しさえすれば直ちにこれは国交正常化交渉をでき得るものであるし、おそらく大平外務大臣の主要な業績の一つともなるであろうと私は思っておるのですが、どうですか、その辺は。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 東独の外交関係は漸次広まってまいりまして、現在七十二カ国がすでに回復いたして外交関係を設定いたしておるわけでございまして、仰せのように日本と国交を持つ場合におきまして特に重大な支障は私はないものと考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 じゃ、それは大いに期待をすることにいたしまして、今度は日中両国の関係の問題でありますが、政府の考え方について一つ思いますのは、日ソ交渉と日中交渉をてんびんにかけているのではないか、率直に言うとそういう疑いというか、そういう疑問を私はひどく持っておるわけであります。といいますのは、一方にチュメニ油田をひっかけ、一方では中国大陸の油田の開発に色気を示すというやり方で、商売人の意向というものが外交にも強く、色濃くあらわれております。そしてその商売人の意向が優先するというやり方で政治家があとからうろうろくっついていくという最もあしき形の自民党外交のやり方というのが出てくるんじゃないかと町でいわれております。つまり政治資金の都合があるから右を向いたり左を向いたりするんだろうなどというやじをいわれておるわけであります。だから政府の方針というものについて、日中外交と日ソ外交というものをてんびんにかけて、両方、早く妥協するほうとうまくやっていこうではないか、ソ連と中国と両方を手玉にとってこの小さな日本が両方を手玉にとってうまくいけるなどと考えること自体が非常に私は冒険であろうと思う。そのような点をしっかり考えておかなければ日本外交としてはとんでもない方向に行ってしまうんじゃないかと私は思っておるわけであります。つまりアメリカとソ連と中国という三国の巨大な、それこそメッテルニヒ外交以来といわれるようなかけ引き、そしてその時代とは考えようもないところの軍事的、経済的な膨大な圧力等を避けながらいま外交をしなければならぬわけであります。そうすると、それに対して、日本は中国の問題とソ連の問題二つ持っておるわけでありますが、両方とも平和条約を結ばなければなりませんが、その両方をふわふわやっていて、うまくいきそうなほうからこういうふうにふっとふところに入れようというおつもりなのか、それとも日中問題解決する、日ソ問題解決するという、ここのところをやるんだという決断をもって臨まれておるのか、その辺のお気持ちはどうなんでありましょうか。私はその辺が非常に、いままでの新聞紙上あるいは報道、あるいは大臣が答弁された中では、両国外交を関連、づけてどういうお気持ちでいらっしゃるかが不明確でありますのでお伺いするわけであります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中ソ両国を手玉にとるほどの能力はございません。またそういうことをやろうなんというふらちな考えはみじんも持っていません。最も私がおそれておるところで、そんなふうに見られることはたいへんなことなんでございまして、渡部さんがわれわれの外交をそのようにごらんになっておられるのでございましたならば、きょうを境といたしましてそういうことをお改めいただきたいと思うのでございます。日中関係は日中関係、日ソ関係は日ソ関係でございまして、真剣に日本の国益を踏まえながら慎重に自主的に展開してまいることと考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 私はきょうの御発言は後の証拠のために伺っておくことにしまして話をどんどん進めます。  じゃ、今度は中国との交易、中国との間にいま実務協定を政府は結ぼうとされております。その実務協定であげられる諸問題はたくさんあるわけですけれども、実務協定を、時間がありませんから一つずつ申し上げるのもなんですから、私の質問しようとしていることを先に申し上げてしまいます。その実務協定を何を結ぶかということがまず一つでありますが、その実務協定を引っぱり目に交渉するのか、急ぎ目に交渉するのか、だいぶテクニックが違うわけであります。もっと露骨に言うと、毛沢東、周恩来、こういう中国の現在の首脳陣が非常にお年を召していますから、これが死んでしまったあとに交渉したほうがいいんじゃないかという考え方があるんじゃないかというふうな予想が一部にございます。また現在の中ソ論争の規模が、紛争の規模が、非常に鎮静化した方向とは必ずしもいえない。したがって中ソのやり方がもう少しどのくらいひどくなるかを見守ってから交渉しようという疑いを日本外交としては持たれているのではないか、そういう二つの問題があるわけであります。そうすると日本政府としては最近に至って実務協定というものの交渉を比較的うしろへうしろへ、何かとうしろへ延ばすスタイルでやっているのではなかろうかという疑いに対してどう答えられるか。たとえば航空協定にしても当初の見込みよりだいぶおくれそうな気配がある。そうすると政府はその辺あまり熱心でなくて、うしろに延ばそうとしてそして時間をかせいでいるのではないかという疑いがあるとしたら、それは政府としては、この辺はそう疑われてもやむを得ない部分もあるのではないかと私は思うわけであります。これに対してどうお答えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは完全な誤解でございます。政府といたしましてはできるだけ早く実務協定を取り結んでいきたいと考えております。これを取り結ぶにあたりましては、双方の考え方、制度、慣行、たいへん違っておりますので、十分双方がこなれた理解を持たなければいけませんので、そういう努力を重ねつつ準備を急いでおるわけでございまして、中国側も同様の考えで進んでおられると思うのでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 今度の中国の大使になって派遣されるお方が、新聞の報道で私は拝見したのですから明確ではありませんけれども、御自分の任期中には実務協定をことごとく終えて平和友好条約を結ぶようにしたいというような御意思を表明されたかのごとく私は報道紙上で伺っておるわけであります。しかし、それはその方のニュアンスもありましたでしょうし、書かれた人のニュアンスのぐあいもあるだろうと私は思うわけであります。そこで外務大臣、あらためてその実務協定の締結を終えて平和友好条約を結んでいく、それをどの辺までにしたいというおつもりか、それをお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 十分な理解の上に立ちまして、よく実効をあげ得る協定が、できるだけ早い機会にできることを望んでおるわけでございまして、いつごろまでにこれを終えてという的確なスケジュールをいま私は持っていないのであります。早ければ早いほどいいということにかわりはございません。  それからまた平和友好条約に、全部の実務協定の締結を終えないとかかれないものかというと、これも大使が赴任いたしまして実務協定の相談をしながらいつごろこの仕事にかかるか、双方の意見調整を私は期待いたしておるわけでございまして、故意におくらすなんということはみじんも考えておりません。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると、おくらすなんということはみじんも考えておられないというおことばは、もう少しわかりよくいいますと二、三年以内に平和条約までに到達したいとお考えか、五、六年あるいはそれ以降だとお考えか、その辺大体分けてお答え願えないでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま申しましたように具体的な日取りを二年以内、三年以内、五年以内とかいうような、そういうようには考えていないわけでございまして、できるだけ早くやりたいという気持ちでございます。数字というのはこわいものでして、そのとおりいかなかったらまたおまえどうしたということになるわけでございますから、できるだけ早く、急いでおるんだというように御承知願います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 沖繩返還交渉でア・ヒュー・イヤーズというすばらしい名文句でついにあそこまでこぎつかれた外務省でありますから、当然その辺慎重にされるのはわかるのでありますが、できるだけ早くというのは少なくとも十年とか二十年でないことは確かですね。それはうなずいておられる。そうすると五年から向こうでもないですか。それくらいは御返事ができるだろうと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう長い時間帯を私は考えていないんで、もっと早くやりたいと考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると大臣のお考えは五年以下である、こういう意味ですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう気がまえで急ぎたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると、それ以上詰めるとまた何か問題が起こりそうでありますからそれはそのくらいにきょうはしておきまして、この次はもう少し詳しく伺います。  それでは今度は、先ほど岡田議員から北越の承認の問題について非常に微妙な問題が詰められ、私は、あれは確かに法律上の問題で、北越を承認するとこれは承認するということでまた法律上の問題が起こるし、南越の解放戦線を承認しないといえば承認しないでまた問題が起こる。まさにそれこそ法律で押せば穴ぼこにはまる質問であろうかと思います。あれにあえて挑戦をして返事をされた外交当局に敬意を表しますけれども、私はそういうパズル的な興味を持っているのではなくて、要するに問題はそれくらいめんどうくさくこじれたのだという理解から出発しなければならぬと思います。これから新しいルールをつくらなければいかぬという点では、私は大臣の意見も私の意見も同じことになるだろうと思います。そこで、その立場から北越との正規の関係を結ぶために外務省では課長を近々派遣したいというような話も述べられておるわけでありますけれども、こういう瀬踏みをするのに、一課長を派遣してそろそろ接触しているというような段階を一歩進んで、課長で役不足とは言いませんけれども、少なくとも先ほどそこにすわっておられた政務次官であるとか——前旨日本外交の方針が変わらぬときには南ベトナムに政務次官が行かれたことがあるのですから、北ベトナムのほうにせめて政務次官を派遣するとか、それでなければしかるべき自民党の議員を派遣するとかあるいは野党の議員に頼むとか、あるいは大臣みずからがよければお出かけになるとか、もっと積極的なスタイルをこの際おとりにならなければいかぬのじゃないか。私はなぜそんなことを言うかというと、予算委員会で大臣に私が伺いましたときに、日米安保があるためにベトナム戦争に対してあのように批判もしないで、そうしてあの戦争を見ていなければならない状態であって、それは遺憾だったと外務大臣はたしか言われた。そういう姿勢がおありになるということは日本外交にとってはたいへんな前進なんですね。私は大平外交を非常に高く高く評価したいと希望しているわけです。したいとは思っているけれども、できるかどうかは疑問です。きょうはだから私は聞いているのです。そんなに前向きの姿勢を出そうとするなら、なぜ北越のほうにもう一ぺん前進の一手をお打ちになろうとしないのか。私はその辺で外交的、政治的な決断と意思とその実行の気魂とを伺いたい、こういう立場からお伺いするわけであります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま派遣をしようと心組んでおる方は、かつて北ベトナムを訪問した経験を持っておる人間でございまして、まずさしあたってこの人物を派遣して、隔意のない意見の交換を遂げてこさした上で次の手順を考えていきたいというのが私の考え方でございまして、そのことをもって足れりとしておるわけでは決してないのでございます。さしあたってとりあえずそういう措置をとりたいということで先方といま接触を持っておるところでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 外務大臣、それでは明らかに前の外交のやり方と同じです。前のあのような、われわれのほうから見て非常に反動的、保守的かつ帝国主義的な日本の外交の時代と同じやり方なんで、大平外務大臣がこの間、予算委員会で言われたような新しい外交姿勢はここから出てこない、そういうやり方では。  そこで、前のあのようなときでさえ、佐藤さんが総理大臣のときでさえ、あの課長さんはベトナムに入られたのですから、前と同じことでなくて、今度はもう少し強い手をお打ちになったらどうですかと私は申し上げているのです。もっと新しい手を、もっと強力な和平のための手を。少なくともベトナム戦争に対して心が痛んでいた外務大臣としては、次の手はこう打つというところが出ないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま申し上げましたように、まずそういうことをやるわけでございまして、それでもって足れりとしないと私は申し上げているわけでございまして、それを伺った上で次のステップを考えてみたいと思っています。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そういう姿勢を見ていると、もう時間がなくなってきたので、あまり悪口も言いにくいけれども、キッシンジャーが北京に飛び、ハノイに飛び、そしてモスクワに飛び、パリに飛んでやっているのを見ると、日本外交というのはキッシンジャー的部分がほんとうにゼロにひとしいと私は思うのです。霞ケ関のそこの外務省の建物の中で、安楽いすにじっと座っているのだけが、大好きな大好きな者ばかり集めて、そして何もしない。そして行かすときだけは、おびえきってからに、大臣は局長に命令し、局長は課長に命令して、行ってこいとかなんとか言って、課長あたりが生命保険をたくさんかけて出かけていくというようなやり方では、私はまねしろとは言わぬけれども、少なくとももう少し馬力を出したらどうなのですか。もう、いくじがないというか、おびえているというか、中国に行くのでもずいぶん手間どって、私たちは田中さんや大平さんがお行きになるお手伝いをしたわけでありますけれども、あのときはかなり大胆不敵にお行きになった。私はたいした勇気だったとその勇気に敬意を表しているわけですけれども、また昔の癖に逆戻りして課長か何か行かしておる。そういう課長あたりが、こういう大幅な外交問題の大変革のときには課長に行ってこい、偵察に小さな兵隊みたいな者を行かしておいて、将校はうしろで昼寝をしている、こんなことで外交はできないと思うのです。私は法律論争をやろうと思ってきょう来ているのではない。外交に対する姿勢がそんな状態でいいのですかと私は伺っているのです。どうでしょうか、外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本の力、日本の立場にふさわしい外交をやらしていただきたいと思っておるのでございまして、非常に世間の耳目を引くようなはでなふるまいが必ずしも日本のためになるとは私は考えていないわけでございます。しょっちゅう舞台の上で舞を舞っていなければならないとは私考えていないわけでございまして、私ども精一ぱい考えておるつもりでございます。お気に召さぬかもしれませんけれども、私が外交演説に申しましたとおり、「静かな勇気を持って」やらしていただきたい。御鞭撻をお願いいたします。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 「静かな勇気」とおっしゃるのですから、どういうことかお手並みを拝見さしていただきますが、笑って見ているわけにいかない国際情勢のスピードアップをわれわれは感じているわけです。そこで、こういう受け手に回る日本外交でいいのか。世の中、世間さまがこう変わったから、あとから世間さまのなりを見ながらゆっくり変わる。東ドイツの承認だって、この経済大国の日本が、七十二カ国も承認してから、七十二もやったから安全だろうといってやっと変わる、こういうのも「静かな外交」というのかとなると、私はたいへんな疑問を生ずる。東ドイツの場合はそれでもいいでしょう、日本としてそんなに問題にならぬですから。  ところが北朝鮮の問題の場合とか北越の問題の場合だったら、そういうふうにおくれにおくれて世間が全部変わってから変わるというやり方では、日本外交はどうしようもなくなってしまうと私は思います。ですから、十分検討するとか、あるいは慎重に情勢を判断するとか、あるいは何か聞くとかいうことばの一つ一つが、立ちおくれと、そしてアメリカ外交に対する単なる隷属と、そして単なるそれに対するおべんちゃらとから始まるのではないかという不満を抱かせる。  私はその意味で、日本の外交というのはこれからもっと強力かつ斬新に、創造的、積極的に平和外交を追求しなければいけないと思うのです。積極的ということばをなぜ私は言うか。それは積極的な平和外交の推進は大平さん御自身の外交演説の中に堂々と書いてある。私はあの積極的という文字を見たときにどんなに感激したことでしょうか。日本外交始まって以来、積極的なんて言われたのはあなたが初めてなんだ。ところが、いまのお話を聞いていると、静かな消極的な外交をやろうという気配が濃厚じゃないですか。私はきょうはほんとうに時間がありませんからやむを得ないので、まずそういう基本的な命題を明らかにしておいて、経済外交の問題、文化外交の問題、それからこういう東南アジアの問題、それから共産圏各国との外交の問題は、今後の委員会で一回ずつ詰めていきたい、こう思っているのです。だけれども外務大臣、初めからそれじゃだめですよ。私はきょうは何もはめ手を用意しないでお話ししましたから、ただ伺っているだけですが、この次そんなみっともない答弁をされたら私はきゅうきゅう言わさざるを得ない。それは覚悟しておいていただかなければならぬ。  ひとつ外務大臣、最後に、その積極的外交と御自分でおっしゃったのですから、その積極的外交と静かな外交の境目はどこにあるのか、ちゃんと言っていただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本の歴史を見てみますと、あなたの言う非常に積極的な外交を展開したときというのは失敗しておったんです。外交が優柔不断で一向煮え切らぬじゃないかというようなときが意外に日本の国力が伸びておったのでありまして、したがって外交というのははでなばかりが芸じゃないわけなんでございます。したがって、これは日本としてこのように踏み切っていいと決断すれば積極的に勇気を持ってやるわけでございますが、いつもながらから元気を出して舞を舞うというようなことは私はあまりほめたことではないんじゃないか。渡部さんのおっしゃる意味もそういう意味ではないと私は思うのでございまして、これは勇気を持って積極果敢に打開すべきだと決心がついたら、おまえは狐疑逡巡しないでやれと、こういう激励のおことばとして私も拝聴いたしたわけでございます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 永末英一君。

永末英一民社党

○永末委員 一月十九日に大平外務大臣はインガソル駐日米大使と会談されて安保条約運用協議会というものを設置されまして、二十三日の安全保障協議委員会で、これは設置を歓迎されたということになっていますが、この安保運用協議会というものと安全保障協議委員会との関係はどうなっているのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 安保条約に基づきまして日米間の協議のやり方につきましてはいろいろやり方があるわけでございますが、安保協議委員会というのは御承知のように太平洋軍司令官、アメリカの東京駐在大使、防衛庁長官と私とで構成しておる協議委員会でございます。安保運用協議会というのは安保条約の四条にいうところの随時協議の一つの形態でございまして、それをつくらなければならぬという性質のものでもございませんけれども、私は安保条約の運用という問題、地位協定の運用というような問題が、日米間でしょっちゅう緊張を呼んだ問題になってきておりますし、その実態を吟味してみますと、軍の末端までやっぱり理解が行き届いていなければならぬ。たとえば去年の四月一日に、道路法関係の政令が変わったことが末端まで行き届いていないというような不都合が起こったために、ああいう摩擦が起こったわけでございますので、私といたしましては、もっとこれを実のある協議をするためには、制服も加えてもっと充実した協議機関を設けるというようにすべきじゃないかという考え方が一つと。それから永末さんも御承知のように、いま日本政府といたしましては、米軍の基地というものを可能な限り整理縮小をしていこうという方向で、米側との協議を精力的にやっていこうということを考えておるわけでございまして、この政策を効果的に推進していく上におきまして、随時協議ということでやれないことはありませんけれども、より効果的にやるためには、こういう機関をつくったほうがいいという私の主張で、アメリカ側に話して同意を得た上でございまして、それ以上のものでもない、以下のものでもないと思います。

永末英一民社党

○永末委員 四条も六条も含めて、あなたがいま最初に言われた安全保障協議委員会でやるということが一九六〇年にきめられて、十四回もやられたと思うのです。ところで、この運用協議会というものはその下部機関なのですか。それだけで何事かを決定し得る機関なのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 一応協議委員会とは別個の機関でございまして、随時協議の一つの姿だというように御理解いただきたいと思います。

永末英一民社党

○永末委員 そうしますと、地位協定で書かれておるところの合同委員会とは全く無関係のもの、こういうことですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それとは別なものでございます。

永末英一民社党

○永末委員 そうしますと、安全保障協議委員会とも合同委員会とも違う別個のものである。その別個のものにわがほうからは初めて制服である統幕議長が出ておる。相手方のほうは司令官及び参謀長が出ておる。つまり統幕議長とか参謀長というのは、軍の、昔のことばで言いますと、軍令関係ですね、軍の運用、軍事力の運用に関する仕事をやる、言うならば、戦略や戦術ばかり練っているのが役割りのはずでございます。だといたしますと、いままでのやつは、安保条約に関して日米間が協議をするための委員会であり、その中で特に第六条にかかる地域並びに施設についての地位協定にかかわって合同委員会をつくる、こういうことになっておりました。今度は随時別個の形でやる協議機関だ、こういうことになってそこへいまの制服が入ってくるということになりますと、非常に軍事的な相談がここで行なわれるとわれわれは考えるのですが、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういうつもりはないんでございまして、先ほど申しましたような趣旨をより効果的に実現していく上におきまして、制服組にも十分の理解を持ってもらって、その協力を得なければならないという趣旨で考えたものでございます。

永末英一民社党

○永末委員 ベトナム戦が終わりまして、安保条約は一九六〇年時代に考えられた形と環境は変わったのですから、その役割りもまた変わったと私は思うのです。しかしあなたのほうは役割りが変わったようには国会の審議、答弁を通じても言われてこなかった。しかしいまこのような運用協議会ができて、そこへ新しいメンバーが入っておるというところから考えますと、やはり一番の問題は、随時協議には違いございませんが、アメリカ側からすれば極東の平和のためにしょっちゅう軍隊を動かすのだということが前提になってき、われわれがそれに必ずコミットいたしますということが前提になって初めてここへ両方の軍事力運用の責任者が入ってきておる、こういうぐあいに考えられても、それは違うんだと打ち消す材料がないのではなかろうか。したがって安保の内容というものは変わってきたと考えざるを得ませんが、いかがでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私のほうから提議したもので、アメリカ側から提案があったものではないので、私のほうから提案して先方の同意を得てつくった機関でございます。それは、基地問題につきましていろいろな問題が出てまいりましたので、これをできるだけ効果的に早く片づけなければいかぬし、また制服組を含めて末端までよく理解を徹底させていただかなければならぬという趣旨で私のほうから提案したものでございまして、アメリカ軍の作戦というようなこととは関係ございません。

永末英一民社党

○永末委員 合同委員会は言うならば作戦に関係がなくて、施設、区域に関してのいろいろな問題についてはこの合同委員会がやるということで地位協定で定められておるわけでございますが、そうしますと、それとこれとは仕事は同じになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たとえばこの間、関東平野とかあるいは那覇空港の民間空港化とかいうようなこと、そういう方針をきめて、そしてそれが地位協定にかかわるものは合同委員会にかけてきまることになるわけでございまして、この安保運用協議会というのは、そういう基地問題について常時双方の理解を深めてまいって、われわれが考えておりまする基地の整理という問題を効果的にやっていきたいという趣旨でつくったものでございまして、それが作業して方向が出てまいりますと、当然合同委員会で地位協定上の吟味を経まして双方が合意しなければならぬという手順になるわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 そうしますと地位協定の二十五条の、この合同委員会の補助機関とみなされるものですか。それではございませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、補助機関ではないのでございまして、随時協議の一つのやり方をそういう形のものにしたにすぎないわけでございまして、あとの手続は従前どおりでございます。

永末英一民社党

○永末委員 大臣、あなたのほうの御提案であるけれども、アメリカが同意をしてやった。そこへ私どもの目から見ますと、統幕議長や参謀長が入っていることになると、単なる行政的な事務ではなくて、作戦に関することも相談されるのではないかという疑いを持たれるわけです。  さて、あなたのほうから提案されましたが、アメリカは同意するについてはこの運用協議会の議題となすべきアイテム、そういうものはきちっときめられましたか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まず随時協議の一つの形態としてそういう仕組みをつくったわけでございまして、これをいまから会合をもちまして漸次固めていきたいと思っておりますので、どういう議題をというようにいま固まったものを持っておるわけではございません。

永末英一民社党

○永末委員 これはあとあとまた響きますので、あらためて伺いますが、作戦に関することはここではやらないんだ、それからいまのところ固まった議題はない。なるほど、このことを議しましょうねというのはその日の議題でございますが、先ほどから聞いておりますと、これはほんとうに新しい機関なんですね。そうしますと、第一これこれ、第二これこれ、第三これこれ、こういうことはここでやりましょうということが出てこなければ、なぜ一体統幕議長や参謀長が入ってくるか、外部からはわからない。そういう意味での討議する内容、アイテムはきめられましたか。いかがですか。もう一ぺんお伺いします。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 安保条約の運用に関します問題を、随時協議の形と申しますか、随時協議いたしまして意思の疎通をはかっておこうということでございまして、毎回何についてという具体的な議題をきめて会うということではございませんで、そのときどきの問題について必要のつど会合するということをきめているわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 あなた方がこれを動かしていかれる上について、またよく監視をしておりますから、いまの二点だけを承っておきます。  さて、この一月二十三日の安保協議委員会で、両方が協議の内容を発表されました中で、安保条約のもとにおける米国の義務を遂行する能力は国内におけるアメリカの基地を統合することによっても影響を受けるものではない、こうアメリカ側が言うたという話ですね。あなたは影響を受けておらぬと思われますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それはアメリカ側の判断といたしまして、全体として基地は縮小されるけれども、全体としての機能は減退をしておるものとは思わぬという理解を先方が持っておることを発表したわけでございまして、また事実そうでないと先方もなかなかわれわれの要求に同意を——非常に支障がある場合はなかなか同意しないと思うのでございまして、全体として大きな支障はないんだというアメリカ側の判断を受けて発表いたしたわけであります。

永末英一民社党

○永末委員 日本政府側は、国内におけるアメリカ基地が縮小したと言うわけですね。しかし、アメリカ側が日本政府とともに相談をして発表した文章の中でいっていることは、統合したとはいっていますけれども、縮小したとはいわない。なぜいわないかといえばいまのところと関係するのであって、縮小したというのなら機能も小さくなるだろうという推測を受けますね。しかし公式の文章は統合というのであって、縮小ということはないわけです。大臣、これで基地が縮小したというぐあいにお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 縮小をやってまいりますためには特定の地点に施設を統合するということが起こり得るわけで、また起こらなければなかなか縮小ができないわけでございますから、縮小と統合ということを二つに分けて考えるわけにはいかぬと私は思うのでございます。現に建物も、それから土地の面積も減ってきておるわけでございますので、そういう意味で、縮小ということについてうそ偽りはございません。

永末英一民社党

○永末委員 具体的にある面積が返還されたということが縮小になるのか、それとも全体的にアメリカがわが国で軍事基地を持つことによって発揮しようとする機能について縮小という文字が当たるのかどうか、これは問題だと思うのです。  まあ時間の関係はやむを得ませんから、少し問題点だけを指摘しておきますが、もし機能に変化がないとするのなら、昨年以来のアメリカのアジアにおける外交上の変化、すなわちアメリカと中国との国交回復なりその着手なり、あるいはアメリカとソ連との間の交渉なりを通じて、一年前と、これにアメリカが手を染める前と現在と、アメリカがわが国内で持っている軍事基地についてこれをどう使おうとしているか、それを使って果たそうとしている機能が変わったか変わらないか。これはどう判断されますか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 協議委員会のあとで、全般としての基地の機能に関しては変更はないということを発表してございますけれども、情勢の変化によりまして個々の施設、区域が果たす役割りというものには当然変化があると思ますけれども、そういうものを全般としてとらえました場合に、現時点においては機能の変化はないということを協議委員会の発表文はうたっているわけでございます。

永末英一民社党

○永末委員 基地の機能がそれぞれ少しでも変化をすれば全般的には変化があるんでしょうね。その変化も、変化にはそれぞれプラス、マイナスがあって全体的に同じだというようなことは詭弁だと思いますが、あと三分しかありませんからひとつ簡単にお答え願いたいのですが、日米交渉もいろいろなことがございました。キッシンジャー補佐官が来たり、あるいはあなたが大統領に会われたり、いろいろなことがありましたが、アメリカはニクソン・ドクトリンをあなたに十分説明したと思うのです。それを踏んまえながらあなたはソ連から——ソ連がいっているアジア集団安全保障について説明を受けましたか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう説明を受けておりません。

永末英一民社党

○永末委員 先ほど日中平和友好条約の話が出ましたけれども、この友好条約なるものの内容として、軍事条項が含まれることが往々にしてあるわけですね。まだまだ着手していないという御答弁が先ほどございましたが、軍事条項は含む御意思はございませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 永末さんが軍事条項というのはどういうことを含意されているのか私にはわからないのでありますが、先ほどの御答弁にもありましたように日中平和友好条約につきましては、これから先日中間の友好親善関係を深めていく上において順守すべき原則を条約の形で固めていこうじゃないか。過去の始末は共同声明で済んだということ、そしてこれは締結を目ざして交渉しようということに合意をしておりますけれども、どういう内容のものにするかということは——これから先の日中間の友好親善関係を安定した基礎の上に置こうということにおいて合意しておるにすぎないわけでございまして、具体的にこういう事項をこの条約の中に盛り込むというような点につきましての話し合いはまだいたしておりません。

永末英一民社党

○永末委員 あと一分でございますから簡単にお答え願いたいのですが、大臣はソ連から、彼らがアジア集団安全保障についてどういう考えを持っているか聞きたいという御意思はございませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いままでもアジア集団安全保障ということのことばは聞いたわけでございますけれども、中身を伺ったことはないのでございまして、伺う機会があればけっこうだと思っています。

永末英一民社党

○永末委員 私どもの国は憲法のもと、自衛力の問題にもいろいろ問題がございまして、したがって、外交はわれわれの持つ防衛力と無関係に運ばれるがごとき考え方がございます。われわれはそうは考えません。やはりわれわれの持つ防衛力を基礎に置いてわが国の外交を考えざるを得ない。外交の任務は安全保障だと思います。  さて、そういう目でわれわれの周辺を見ました場合には、アメリカの極東軍事戦略の変化をどうとらえるか、これはもう安保条約にまつわる基地問題であり、いろんな問題がこれにからんでおります。  第二の問題は、日中国交正常化をやる場合に、いま私は、軍事条項をどういつでいるのかわからぬとおっしゃったが、まさに安全保障のために日中友好の将来を築いていくわけでございますから、その安全保障の点で、一体どういう取りきめをするのか、きわめて重要な問題だと思います。  第三には、この間ソ連はソ連として極東外交を展開しつつあるのでございますから、ぜひとも政府としては、彼らの考えておるアジア集団安保というものは一体何であるのか、われわれは一体どうそれに対処するのか、内容がわからなければ対処の方法もわかりませんが、それらとからみ合わせつつ考えていかなければならぬ重大な問題だ。だから、片一方はやはりわれわれの持ついろんな力がございますから、その中で安全保障プロパーの防衛力を片方に見つつ外交を進めていかなければならぬと私は思いますが、その点だけひとつお答え願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 外交の中心題目は、仰せのとおり、安全をどうして保障するかという問題から自由でないことは、もう仰せのとおりと思っております。

永末英一民社党

○永末委員 終わります。      ————◇—————

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 外務大臣大平正芳君。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ただいま議題となりました沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  昭和五十年に沖繩で開催される予定の沖繩国際海洋博覧会につきましては、国際博覧会に関する条約第十五条の規定により、開催国は、政府を代表する政府代表を指名することとなっておりますので、その任務の重要性にかんがみまして、今回提案の法律案のごとく、外務省に、特別職の国家公務員たる沖繩国際海洋博覧会政府代表一人を置き、条約及び条約第八条の規定に基づく一般規則の定めるところにより、沖繩国際海洋博覧会に関して日本国政府を代表し、その約束の履行を保障せしめることといたしております。この政府代表の任務に関し必要な国内的措置につきましては、それぞれの関係各省庁の長が、これを処理することが適当でありますので、法案中にその旨を規定することとした次第であります。  また、本法案においては、政府代表の俸給月額、代表の任免手続等について定めております。また本法律案中には博覧会が終了した後、一年の期間を経過しますと失効する旨の規定を設けております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日行なうことといたします。  次回は、来たる二十八日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十四分散会

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