科学技術振興対策特別委員会 第8号
- 発言数
- 149 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/04/12
会議録
○石野委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
○井上(普)委員 いままでは高度成長政策あるいはまた経済第一主義が幅をきかせまして、すべて高度成長政策が善であるというような考え方を、一般にあるいは政府は持たれてまいったのでありますが、しかし現在におきましては、この高度成長政策あるいは生産第一主義それ自体に対しましても、産業界あるいはまた政府自身、内心においては非常な反省をしておるように見受けられるのであります。当然、こういう考え方に立つならば、いままでの日本における科学技術の振興政策も、すべて高度成長政策に合致した政策をとってこられたことは御承知のとおりであります。したがいまして、この内心あるいは反省に立った上での今後の科学技術のあり方について、大臣の御所見を承りたいと存ずるのであります。
○前田国務大臣 ただいま井上先生御指摘のとおりでございまして、日本が戦争に敗れまして以来、日本の経済を復興する、とにもかくにも食べるもの、着るもの、住むもの、すべて生産をふやさなければいけないという生産第一主義、経済成長第一主義で来たことは事実でございます。したがいまして、科学技術もまた、経済の発展に寄与するということが非常に大きな目標として進んできたことも事実でございます。
○井上(普)委員 その上に立って現在の科学技術の進め方をいかに御反省になっておるか、その点を伺いたいのです。
○前田国務大臣 現在までの科学技術のあり方はさようでございましたが、今後これをどういうふうに転換すべきであるかという問題でございますが、その点につきましては、科学技術会議五号答申という答申がございまして、「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について」という答申がございますが、この答申の線に沿いまして、今後の科学技術行政というものを、生産指向型から福祉指向型と申しましょうか、こういう表現はあまり簡単過ぎるかもしれませんけれども、大体そういうふうに重点を置いて進めてまいりたい、さように考えております。
○井上(普)委員 その科学技術会議なるものは総理の諮問機関でしょう。その答申がどうこう言われたって、われわれ知ったことじゃないです。したがって、その内容について御説明願わぬことにはわからないのです。
○前田国務大臣 科学技術会議は、井上先生御承知のとおり、総理府におきまして総理の諮問機関に相なっておりまして、議長が内閣総理大臣、そのメンバーが十人でございます。うち学識経験者が五人でありまして、私もまた科学技術会議に入っております。そうして、科学技術会議の主たる仕事と申しますのは、科学技術一般に対しまする基本的かつ総合的な政策の樹立ということが一番大きな仕事になっております。この基本的な総合的な政策に従いまして科学技術行政というものを進めていくのがわれわれの任務ではなかろうかというふうに考えております。 しからばどういうふうなことを進めていくべきであるかということにつきましては、とにかく、科学技術を真に人間福祉のために役に立てること、それからまた、目的指向的な研究開発の進め方を大幅に取り入れること、それから、異なった科学技術分野間で協力を推進すること、それから、ライフサイエンスであるとか、環境科学技術というものを振興すること、というふうなことに重点を置くべきであるということでございまして、それから、科学技術の国際協力を推進するということも大きな目標にいたしております。
○井上(普)委員 自民党自体におきましても、人間尊重であるとか言い出しましてもうかれこれ十年になります。しかし、その間において、日本の科学技術のあり方は、依然として生産第一主義に見合った科学技術の振興を政府はとられてまいったのであります。ここで人間福祉政策に転換するということにつきましては、おそまきではございますけれども、当然、科学のあり方といたしまして、そうあらなければならないと思うのであります。私はその点につきまして、これからお伺いいたしたいと思うのであります。 先般も産業計画懇談会なるものが日本の「産業構造の改革」という提言をされております。この提言に参加せられておる方々を見ますというと、島秀雄さんをはじめといたしまして、かなり科学技術庁との関係の深い方々が多いようであります。そこで、この改革の提言の内容を見ますと、財界一流の非常なエゴイズムも出ておる点もございます。はなはだえてかってな言い方をしておるなというところもございます。しかし、この中にわれわれといたしまして、当然科学技術の進み方あるいは産業界の進み方がかくなければならない点も指摘されておるのであります。 そこで私は、この点についてお伺いいたしたいのでありますが、特にこの提言の一つの側面といたしましては、公害問題あるいは資源問題から見た日本の産業構造の改革のあり方を提示いたしておるのであります。特に公害問題につきましては、いままで金もうけ第一主義の財界人の諸君においても、このままいけば日本列島それ自体が非常な破壊に導かれるであろう、人間の生活それ自体も破壊されるであろうということを、ある点認識しながら書かれておるように見受けられるのであります。 そこで、あなたも田中内閣の閣僚であります。とするならば、そういう側面から見た場合の日本列島改造論なるものは、全くこれでは否定されるのであります、公害問題におきまして。したがって、日本の科学技術のあり方といたしましては、どういたしましても、公害問題という面からだけ見ました場合に、日本列島改造論なるものは机上の空論に終わる可能性があるように思われてならないのであります。科学技術庁の長官といたしまして、あの日本列島改造論の中に盛り込まれております鉄鋼の生産、石油の消費量、これによって昭和六十年にはいかなる公害が日本をおおうか、この点の予測について、あなた御自身のお考え方を私は承りたいのであります。したがって、そこからいたしますならば、当然今後の科学技術のあり方というものも、田中内閣の科学技術庁を預かるあなたといたしましては、そこから出発いたしますと、科学技術のあり方というものも一大転換をしなければならないという結論になるし、また、その方向づけがあらわれてくるのではないかと思われますので、この点をお伺いいたします。
○前田国務大臣 井上先生御指摘の、産業計画会議の提言なるもの、私も一読をいたしました。いろんなメンバーが入っておりますが、私は非常に示唆に富む提言であると思って受けとめた次第でございます。ことに、地球の資源は有限である、この有限である資源をとにかく使い捨てるというふうな思想で、やれ生産だ生産だといってやることに対する強い反省というものが織り込まれておるように思います。資源もそのうちに枯渇するであろうということも注意されておる。と同時に、この資源を使うことによってわれわれ非常に便利になったけれども、それと同時に、公害が発生したということ、あるいは大気汚染、水質汚濁、騒音、地盤沈下、そういうようなものが出てまいりましたということを提言されまして、ひいては産業構造まで変えるべきじゃないかという提言もなされておることも、御指摘のとおりでございます。 それとの関連において、田中総理の日本列島改造論との関係いかんという御指摘でございますが、日本列島改造論は日本列島改造論としての価値はやはりあると私は見ております。といいますのは、とにかく田中総理の言を引用するわけではございませんけれども、わずか三%の日本列島の土地のうちに約三千万程度の人口がそこに集中している、あるいは工場とかあるいは会社とかいろんなものが集中してくる、そこに大きな公害の原因があるんだということでありまして、これはいろいろ御批判はあろうと思いますけれども、あながち捨てるべき考えじゃない。相当私は価値のある提言だというふうに思っております。 その行き方の点において、あまり性急にこれを改造してもいけないという点もございましょう。しかし、都市へ都市へと集中する太平洋ベルト地帯に集結していく人口とかあるいは工場というものを、ある程度地方に分散するということが必要じゃないか、都市と地方の格差というものを是正していく必要があるのじゃないかという考え方については、私は間違っていないというふうに考えております。人口あるいは工場が集中するのを分散していくという考え方はいいのじゃないか。しかし、日本列島に公害をまき散らすのじゃないかというふうな反対論もあるわけでありまして、まき散らすようなことがあってはいけない。したがって、これを守るのは科学技術のつとめであるというふうに私は考えまして、何としても科学技術が、公害防止ということに尽くすようなそういう科学技術でなくちゃならぬというわけで、その方面に科学技術行政の方向を持っていくべく一生懸命に努力しておる次第でございます。
○井上(普)委員 大臣のいまのお話を承っておりますと、すべて資源問題からの発想でこの提言を読まれておるようであります。しかも列島改造論は是なりという御判断から進まれておりますが、列島改造論の中に鉄鋼の生産は幾ら考えていますか、石油の消費量は幾ら考えていますか、ちょっと言っていただきたいのです。
○前田国務大臣 ちょっと私、いまここでその数字をつまびらかにいたしません。
○井上(普)委員 田中総理の列島改造論の中心になるものは、鉄鋼は幾ら生産する、石油は幾ら消費する、したがって日本列島はかくあらねばならぬという発想であります。すなわち、生産第一主義の考え方から列島改造論というのは出てきておる。したがってこの考え方には、やはり科学技術会議が言っておる人間福祉というものを中心にした考え方、すなわち公害問題をいかにするかということを中心にしてものごとを考えておるわけじゃございません。あなたはただいま、示唆に富む提言ということでお読みになったそうですから、この点について私、ひとつ考え方をただしていきたい。 これも書き方は、まず第一番に書いておりますのは、産業界の方々でも、公害問題をまず第一番に書き、続いて資源の問題を書かなければならないほど現在の日本列島の汚染は進み、日本列島に人間が存在し得なくなるおそれすらある、こういう考え、内心の反省からでございましょう、書かれておるのであります。したがいまして、私どもはどういたしましても、産業界の方々でさえもこういうような、表面には書いてございませんが、この紙の裏にはそのことが書かれておると私は認識せざるを得ない。したがって、公害問題といかにして対処するか、このことが今後の科学技術の中心課題でなければならないと私は思うのであります。 そこで私は、あなたにお伺いしたいのですが、一例をあげるならば、石油公害によりまして大気汚染が非常に進んでおる。亜硫酸ガスによってよごされてきておる。それじゃその亜硫酸ガスを少なくするには脱硫装置をいままでの産業界あるいは政府というものは考えてきた。しかし、その考えてきた原油からの脱硫装置なるものも一体それじゃどうするんだ。空気の中に煙突を高くしてほうり出す、あるいは直接法、間接法によって脱硫するその硫黄分はどうするんだ。現在でも、いまの石油消費量からいたしましても、純粋の硫黄分というものは非常に多くなって、これの使途に困っておるではありませんか。この原油消費量が、あの列島改造論によると、さらに現在の五倍、六倍でしょう。そうなりましたときに、その脱硫した硫黄は一体どうするんです。この点だけをもっていたしましても、列島改造論は公害をまき散らすことに相なるのであります。したがって、そういうふうな観点に立つならば、あなた方列島改造論をともかく信奉する大臣としたら、当然この公害防除装置の開発に大いに力を入れなければならないと私は思うのであります。いまの公害防止技術として、現在あなたの考えられておる、あるいはまた予算化しておる技術開発はどういうものがありますか、ひとつお示し願いたいのであります。
○前田国務大臣 まず、その公害防止につきましては、私はまず公害が起こらぬように環境保全をする技術が必要じゃないか。環境を守る技術を先に確立しなければいけない。リモートセンシングと申しまして、赤外線を使いまして、たとえば東京の上を、関東地方を写しますと、大気汚染のない地域は、赤外線写真に写りました樹木——松とか杉とかヒノキとか、それが非常に鮮明に写るのです。たとえば京浜工業地帯であるとか、そういう地区は非常に黒ずんで写っております。その技術を研究させることにより、それを確立することによりまして、公害の防除、工場配置の適正規模というものが測定できるように、そういうリモートセンシングの技術というものをまず進めていきたいというふうに考えております。 この点につきましてはあとで局長から御説明いたしますけれども、これにつきましては、いまアメリカの資源技術衛星というものが飛んでおります。このERTS衛星を使いまして、またこの五月から運行いたしまする宇宙ラボといいましょうか、これを使いまして日本列島の上を赤外線によって撮影することによりまして、とにかく環境を守っていく技術——赤外線あるいはその他の光線を使いまして精密調査をいたしまして、工場の適正配置、過密にならぬように適正な配置はどの程度であるかという方面を科学的に検討いたしたい、それが一つでございます。 それから、公害防止技術につきましてはどういうふうな技術があるかという、脱硫技術はどうするか、あるいは廃棄物をどうするかという問題につきましては、当庁の研究調整方針という方針がございますが、その方針におきましてその点を大きく打ち出しまして、科学技術庁みずからがやるわけじゃございませんから、通産省あるいは環境庁あるいは農林省、そういう各省に対しまして、そういう研究調整の研究のあり方についてわれわれのほうが指示をいたしまして、そうして通産省においては脱硫装置あるいは排煙ガスをどうするか、そういう問題について具体的な研究をいたしております。その具体的な点につきましては局長から御答弁をいたしたいと思います。
○井上(普)委員 リモートセンシングというのはわかっておりますので、ここであなたに講義を聞かなくてもよろしゅうございます。 私がお伺いしておるのは、一例をあげるのですが、脱硫装置で出したその硫黄を一体どうするんだ。これを市販すれば——もうすでに片一方では露天掘りをしておった硫黄鉱山が廃山になり、そして海外市場も、硫黄についてはもうストップしておる、輸出できない、こういう状況の中で硫黄の脱硫装置をしなければならないことはわかりきっている。わかり切っているけれども、現在でも硫黄は、国内においても、あるいは国際的にも余っておる、その硫黄を一体どうするんだという技術も開発しなければならぬでしょう。その技術が一体どういうふうに進んでいるのですか。こういうような点について、基本的な問題がともかく次から次へ出されておるように思われるのであります。どうなんです。
○前田国務大臣 公害防除によりまして発生いたしました廃棄物というか、硫黄も廃棄物でありますが、その廃棄物を有効に利用しなければいけない、そういう方向で進んでおりますが、具体的に硫黄をどうしておるかという問題につきましては政府委員から答弁をさせていただきます。
○千葉政府委員 いま硫黄の例を御指摘になりましたが、硫黄が過剰生産になっておる、これは通商産業省の問題でございますが、現実にはそういう状態になっております。これは、私は聞いておりますけれども、やはり通産省の——たとえば硫黄の問題といたしますと、これは硫黄メーカーの今後の育成政策と申しますか、そういった産業に対する考え方を明確にいたしまして、それで通産政策の一環として取り上げるべき問題だと思います。 それで、当庁から見れば、技術的にそれじゃそういったものを、たとえば硫黄なり何なりをさらに処理をしてそれを有効に使うかどうか、そういった点につきましては、当庁といたしましても、当然いろいろな科学技術政策の一環として、それを各省庁がやられますのを総合的に見てこれを推進していくというようないま仕組みになっておるわけでございます。
○井上(普)委員 いま一例を、私は硫黄だけ申したのです。科学技術の開発について、生産過剰になっておる硫黄を一体どうするかということについて何らの技術開発をやってない。しかも石油の消費量は昭和六十年には六倍になる。現在でも重油専焼によるところの公害というものは至るところにまき散らされておる。産業界なんというものは、金もうけするものでなければやりませんよ。廃棄物といって海に捨てたら、これまた問題が起こるでしょう。一つの事柄について、列島改造論、この列島改造論は公害をまき散らさぬというなら脱硫装置をやらなければならぬが、その一つをもってしても、それじゃその硫黄を一体どうするのだというとお手あげになるのであります。とするならば、列島改造論は日本列島全体に公害をまき散らす、薄くしてまき散らしていく政策であるといわなければならないのであります。そういう面から、硫黄だけ言いましょう。硫黄分をまき散らす政策といわなければならない。ならば、公害を全列島にまき散らす結果に相なるのであります。ここには人間福祉の考え方もほとんどないと言っても過言じゃございません。それで、科学技術が真に人間福祉に、あるいは公害防除をするということを中心に考えるならば、現在一番問題になっておるこの硫黄分を一体どうするのだという技術の開発を中心に考えるのが、田中内閣の科学技術のあり方じゃありませんでしょうか、どうでございますか。
○前田国務大臣 確かに先生御指摘のとおりだと思います。私はいつも、科学技術についてはしろうとのようなものでありますが、私は科学技術の仕事を勉強しまして思うのです。物質不滅の原則といいますか、とにかく石油をたくといろいろ硫黄が出る、あるいはガスが出る。どこかでこれを消してしまうわけにいかないわけでありますから、廃棄物はいかなる場合も出るわけです。その廃棄物をできるだけ出ないようにするということ、そして、それを有効に使うというふうな考え方でいく以外に手はないと思うのであります。確かに硫黄を一例をあげておっしゃいましたけれども、私、全くそうだと思います。硫黄を薄くまき散らすのが日本列島改造論じゃないか、まあほんとうに、現在のままでいけばまき散らすことになるかもしれません。したがいまして、われわれとしては、それはまあ先生からごらんになれば、何を科学技術庁、ぼんやりするな、というふうなお考えだろうと思います。私もそういうふうなあせりを持ちまして、確かに大きい声で叱吃激励をしておるのでありますが、残念なるかな、私ども脱硫技術とはいかなるものか技術的にあまり知りません。けれども、この間私もこんな分厚い本を読んでいろいろ自分なりに勉強した。しかしどうも、われわれは別にその技術のことを研究するのじゃないのですけれども、そういう科学技術の政治というか行政の方向をそういうふうに向けなければいかぬというわけで、私はその担当の部課長を呼びまして、こういうふうに向けようじゃないかと言うて、いまもう盛んにそのほうで進めておりますが、確かに日本列島改造論が硫黄まき散らし論にならないようにする、それをやるのが科学技術行政だと思いますので、一生懸命に努力をいたしたいということを申し上げたいと思います。
○井上(普)委員 努力すると言ったって、目的がないのでしょうが。いま一例を、私は単に硫黄だけのことを取り上げました。あなたはこれから硫黄を科学技術によっていかに処理していくか、ともかくいままでみたいに大気の中へ——煙突を高くしたくらいではこれは解決にならないということも、産業界自身の提言の中に痛感されておる事例であります。それじゃ一体どうするのだ。言うならば、もう脱硫装置以外にないでしょう。その脱硫装置の完成を一刻も早くやらなければならない。それじゃ、余ってきた硫黄をいかに処理するか、これは科学技術の問題になりませんか。そうするならば、科学技術のあり方というものは、硫黄を一体どうするのだ。あなたが列島改造論の信奉者のように考えられるならば、しかも人間福祉の科学を考えるならば、当然硫黄をいかに処理するかということを考えるべきじゃないか、それを、産業政策あるいは通商政策の一つだなんと言ってしれしれしておって、一体人間福祉の科学とはどこにあるのです。どうでございます。
○前田国務大臣 井上先生御指摘のとおりであります。これは通産省の仕事であります、そんなことを言うべきときじゃないと私は考えております。科学技術のあり方として、硫黄も含めまして、そういう廃棄物の有効活用ということに取り組んで、公害を防除し、そうしてそれを活用していくということに科学技術行政の重点を置くべきである、その線でいま一生懸命にやっておる最中でございます。
○井上(普)委員 いまあなたは思いつきで言われるのじゃないのですか。一生懸命やられておるなら、やられておる業績をひとつ、いままでの研究結果並びに討論の内容なんかを御披露願いたいと思うのです。
○前田国務大臣 その点につきましては、私のほうは結局、科学技術の総合推進というのが仕事でありまして、科学技術行政をどういうふうに持っていくべきであるかということで、予算的には研究の見積もり方針というものを出しております。そうして見積もり方針によって科学技術の方向といいましょうか、通産省あるいはどの省はどういう方向にいきなさいということを、われわれは指示するわけでもありませんけれども、そういう方向をわれわれで方向づけるというのが私たちの仕事でございます。したがいまして、その点につきまして見積もり方針といいましょうか、その方針をわれわれが出して、それに対してどういう対応をしたかということを、具体的に御説明をいたしたいと思います。
○千葉政府委員 いま大臣が申し上げましたとおりでございまして、実は四十八年度の科学技術の予算に対しましての見積もり方針を関係各省に明示いたしまして、いわゆる豊かな国民の生活を目ざして、それで環境の改善に対する科学技術を振興させるようにということが一番初めにうたってございます。それで、それにつきまして、関係各省にそういった点に重点指向して出してくれ。そういったような環境面の改善の一環として、その廃棄物の処理につきましても、各国立試験研究機関に研究をしていただくということにいたしました。それで、その具体的な例はいまたくさんございますので、それを具体的にいま……。
○井上(普)委員 私は、一例として硫黄だけを言っているんです。だから、あなたがさっき、私の言うとおりだとおっしゃるんだから、しかも、いかにもやっておるようにおっしゃるんだから、硫黄だけについて、一体どういうような方針で科学技術の各省を指導しておるのか、それだけ承りたいのです。
○千葉政府委員 私、いま一般論で申し上げましたけれども、硫黄につきましては、いますぐ調べましてお答えしたいと思います。
○井上(普)委員 局長も硫黄についてはどういうような方法をやっておるか知らぬ。大臣はまして知らぬ。それで一体、廃棄物についてやっておるのでございます、硫黄について考えておるのでございます、一体どこがほんとうなんです。考えておりゃせぬのじゃありませんか。いま思いつきで言っているんでしょうが、その言うことは。思いつきなら思いつきでけっこうですよ。大臣、どうです。
○千葉政府委員 いまの点でございますけれども、実はその点につきましては、環境庁が中心になりまして、いわゆる石油の精製時の廃棄物、こういったものについては、もう御案内のとおり、その発生者が処理するようにというような方針で処理させるという方向でこれを指導する、そういったことでいま政府としては対処しております。それで……。
○井上(普)委員 冗談言っちゃ困る。あなた方、ここでつじつま合わそうというだけの御答弁としか私は受け取れない、そういうことでは。一体、これから出てくる硫黄をどうするのだという方針ぐらいは、したがって科学技術庁としては、硫黄の処理についてどういう研究をさせましたということぐらいの重点的な指示をしておかなければならないのであります。それが、田中内閣の日本列島改造論を信奉する科学術技庁の長官のあり方でしょう。何もやってないんですよ。これじゃ、公害列島に硫黄をまき散らす政策であると言われてもしかたないでしょうが。反論の余地ありますか。ともかくこの田中内閣の列島改造論は、この提言からいたしましても、産業界の諸君からも、列島改造論のあの生産目標というのは大きな間違いであるということを書かれておるのです。あなたもこれを示唆に富む提言なんということをいまおっしゃいましたけれども、私、ゆうべこれを読みながら、なるほど産業界の諸君も、表面にはよう言わぬけれども、紙の裏を読んでみると、内心、いままでの列島改造論に強い批判を持っておるのだなという感を深くしております。もちろんこの中にも、列島改造論は誤りであるということははっきり書いてあるんですね。 それはまあともかくといたしまして、科学技術の今後のあり方というものは、やはり政策的に考えるならば、私が一例にあげた、硫黄をいかに処理するかということが公害防除のためでしょう。私はこういう考え方を持っておるんです。日本の科学技術をもってするならば、あの脱硫装置なんというのはわけなしにできる。ただ産業界があの硫黄の処理に困って、これを売るわけにはいかないというので、産業界がこの脱硫装置の研究開発をサボっておるのではないかという感じを私は持っておるんです。しかし、あなたの言うこの科学技術が人間福祉のために重点を置くならば、国が指導的立場に立って、この処理についての科学技術を開発する方向にあなたが各省庁に命令し、企業に命令する権限を持っておられるようであります。まあ企業には持っておられぬでございましょうけれども、そういう態度で臨まなければならないのではありませんか。特に私が硫黄を持ち出しましたのは、いま石油科学が産業界をともかく押えておる。現在の人間の文明は石油文明によるところが多いといわれております。しかし、そこから出てくるものは公害である。一番困るのはやはり硫黄じゃなかろうかと思うので私はお伺いしたのです。ともかく科学技術庁が硫黄処理について何らお考えを持っておらないことがはっきりいたしました。私は非常に残念に思うのであります。この点、いろいろとこれから大臣にお考えになっていただきまして、人間福祉の科学技術をほんとうに指向されるならば、想を新たにして——もう一度私はこの問題について発言の機会を得たいと思いますから、それまでにあなたのお考え方をまとめていただきたいと存ずるのであります。 きょうは、硫黄の問題につきましてはこの辺でやめますけれども、まだまだほかの産業廃棄物につきましてこれから一例ずつお伺いしていきますので、そのつもりで御勉強になっていただきたいと思います。この辺で私は終えまして、引き続いて山縣さんにお伺いいたしたいのであります。 日本の宇宙開発技術というものは、アメリカあるいはソ連の何年くらいに相当するんでございましょうか、ちょっとお伺いいたします。あるいはロケット開発技術、あるいは衛星本体それ自体の研究開発の段階をひとつお知らせいただきたいと思うのであります。
○山縣説明員 ただいまの御質問でございますけれども、何年おくれているという具体的のことは申し上げにくいと思います。
○井上(普)委員 私は何年おくれておるかということを聞いておるのじゃない。アメリカの何年当時の状態かということを聞いておるのです。ソ連の何年の状態の科学技術が宇宙に関してはあるんだ、こう申しておるのです。おくれているというようなおこがましいことは申しておりません。
○山縣説明員 アメリカは、御承知のとおり一九六〇年にケネディが教書を出しまして、あれを私ども外からながめておりますと、戦争中のマンハッタン計画と同じようなやり方で、いわゆる平時においてあらゆる人間、お金を動員しまして月に人を送るということを始めたわけでございます。したがいまして、あの時点からアメリカは非常に進んだわけでございます。現にアメリカの予算を見ますと、ピークのときには年間宇宙開発予算が二兆円になっております。それから、ついででございますが、ソ連は必ずしもはっきりしておりませんけれども、やはり一兆五千億くらいの予算でございます。したがいまして、私ども、いまわれわれ日本におきます水準をどの程度であるかと申しますと、少なくとも一九六〇年のケネディの教書、あの以前でございます。あれによりましてアメリカは非常に進歩している、こういうふうに私どもは考えております。
○井上(普)委員 宇宙開発について、六〇年以前といいましても、これは六〇年と申しましても、第二次大戦が終わってから何年たっているのです。そして、大体その間にもうすでにアメリカは人工衛星を打ち上げておるのでしょう。ですから、一体どれくらいのところにおるんだ、私はこれは国民の率直なる疑問だろうと思うのです。これは、いろいろ産業界あるいはまた関係者に対しまして思惑があるだろうと思います。しかし私は、真実を伝えて、それについて国民に知らす義務がほんとうの科学技術のあり方だと思うのです。同僚あるいは研究しておる各位に対しましては言いにくいでありましょうが、客観的な事実として、一体何年くらいのアメリカの状態、何年くらいのソ連の状態、そのことをやはり言っていただかなければ、ほんとうの宇宙開発に対する国民の啓発なんということをお考えになっておられるなら、そういうことは率直におっしゃっていただくほうが私はいいのじゃないかと思うのです。
○山縣説明員 非常にむずかしい御質問でございますが、一般論といたしまして、御承知のようにアメリカは、戦後、ドイツのフォン・ブラウンを連れてまいりまして、ドイツのあのV2というロケットの技術をそのまま入れているわけでございます。それを土台にして開発している。そこで日本でございますけれども、日本におきましては、 ロケット技術というものは全然なかったわけでございます。したがいまして、いま御質問で何年と言われても私、お答えに困るのですが、そういう最初の、もう一番最初からわれわれはやらざるを得ない、いわゆる義務教育からやらざるを得ないというのが日本の実情でございまして、いま申し上げましたように、アメリカなんかはフォン・ブラウンをドイツから連れてまいりまして、ドイツの戦争中開発いたしましたロケット技術を土台にしてやっておりますから、おそらく、何と申しましてもV2というのは、あれだけのものをイギリスに打ち込んだわけでありますから、相当進んだものではございます。したがいまして、いま申し上げましたような歴史的事実と申しますか、前提が非常に違いますので、何年ということを私、申し上げかねるのですけれども、われわれといたしましては、いわゆる教育でいえば義務教育という程度のものと考えております。
○井上(普)委員 私は、山縣さん、これは率直におっしゃったほうがいいと思うのです。そして、昭和五十一年に気象衛星を打ち上げる。打ち上げなければいかぬけれども、これは国際的にも打ち上げなければならぬのでしょう。そうするならば、その中に一体日本の技術は何%ぐらい占めておって、アメリカの技術が何%ぐらい占めるのだというようなことも率直におっしゃって、いまの日本の宇宙開発の技術というのは大体どれくらいの水準なんだ。それは、日本がロケットを持たずに最初から始めたことも、国民の各位には知っていただいておると思う。また、兵器から発達したこの宇宙技術ということも、これまた外国においては知っておると思います。そういうような関係からするならば、一体どこにあるのだということをほんとうに国民に率直に知らす必要があるんじゃないだろうか。あの何回も何回もともかく宇宙発射に失敗してきた事実からいたしまして、国民は、一体日本の科学技術はどうなっているんだ、金のむだ使いじゃないかということすら言われておるのであります。したがって、日本の宇宙開発の技術の水準をはっきりと、アメリカに比べれば、アメリカの一九五二、三年ぐらいの技術でございますでけっこうじゃないですか。おっしゃっていただきたいと私は思うのです。 それで、ロケット開発のほうは、ロケット発射の技術はどれくらい、本体はどれくらいのところにあるかお伺いしたいのです。といいますのは、私は何も恥ずかしいことはないと思うし、国民の諸君も理解していただいていると思うのです。といいますのは、この宇宙開発計画というものを、四十七年度決定を見ておりますと、至るところに、アメリカの技術を導入しなければならぬということが書いてあるのです。しかもそれはまことに、静止気象衛星、五十一年にやられるでしょうが、これについても、なお本衛星の打ち上げについてはアメリカのロケットを活用することを考慮する、ということを一番最後に書いてますね。これは結論であると思う、最後に書くのは昔から結論なんだから。でありますので、一体日本のこの技術というものはどれくらいにおるのか。私らどうもここで承ると、Mロケットが、あるいはミューロケットがなんということをおっしゃいます。おっしゃいますけれども、やはりそういうことを率直に国民に知らす義務があると私は思うのです、これだけの国の金を使っているのだから。どうでございます。
○山縣説明員 御承知のように、日本のロケットから申し上げますというと、ロケットにつきましては、東京大学であくまで国産の技術でやる、こういうたてまえでスタートいたしております。その間いろいろ失敗もございましたが、そういういわゆる自主開発という線でスタートしておったわけでございます。 ところが、事業団ができまして、科学衛星と違いまして実用衛星となりますと、軌道を正確にねらって軌道に正確に乗せなければならぬ。いわゆる誘導制御が非常にやかましくなってまいります。そういたしますと、最初のように、東京大学の技術を踏まえて将来実用衛星、しかもそのペイロードと申しますか、相当大きな衛星を正しい軌道の上に乗せるということは非常に困難である。そこで昭和四十五年に計画を改定いたしまして——こればかりが原因ではないかもしれませんけれども、主たる原因がそれでございまして、将来ある程度大型のものを打ち上げる能力を持つロケットを日本で開発しなければならぬ。しかし、これをすべて、東京大学がおやりになりましたように、自主開発でやるということは、時間的にも経費的にも非常に損と申しますか、時間はかかり、経費はかかるという観点からある程度、いままでの東京大学の技術の延長として考えずに、アメリカの技術を、これはむろんすべてアメリカの技術にたよるわけではございませんけれども、ある程度のものは導入するというので、計画を変えまして、御承知のように、従来のロケット、東大のロケットは固体ロケットでございますけれども、それを液体ロケットに改定いたしまして、将来の比較的大型の衛星を打ち上げるロケットにつながるものに考え方を変えていったわけでございます。 一方、いま申し上げましたような、必ず近い将来に実用衛星の御要望が各省庁からおありになる、こういうことも考えられますので、アメリカと交換公文をやりまして、ある程度の技術は導入し得ると、一九六九年でございますが、取りきめをいたしました。現在はその線で進んでおります。 で、たまたまいまお話がございましたように、気象衛星とか、そういったものが利用官庁のほうから出てまいります。そうなりますというと、これはまだ確定いたしておりません。実は、御承知のように宇宙開発計画は毎年見直しをすることになっておりまして、おそらく今年度、四十八年度の見直しのときに、気象衛星をどうやって打ち上げるかというようなことがはっきりするだろうと思います。いまのところは、先般もアメリカその他へ視察団を出しまして、それでいろいろ調べてきてもらったわけでございます。それから、各方面のいろいろなお知恵も拝借いたしまして、この夏の末か秋の初めごろまでには少なくとも計画の骨子をきめたい。 そこで、ただいまお話がございました気象衛星などをどうやって打ち上げるか、おそらく見通しといたしましては、いまお話がございましたように、現在事業団でやっておりますが、計画では五十一年にあれだけのペイロードで二百五十キロのものを打ち上げるということは非常に困難でございますから、見通しといたしましては、アメリカに打ち上げてもらうというふうになるのではなかろうかと思います。 それから一方、衛星関係でございますが、衛星関係におきましては、東京大学はすでに第一号科学衛星、第二科学衛星を打ち上げております。いろいろなトラブルはございましたが、ある程度の目的は達したと考えております。この衛星につきましては、御承知のようにエレクトロニクス、電子工学のかたまりみたいなものでございまして、日本におきまする電子工学の水準というものは相当高いわけでございます。しかし、非常にシビアな宇宙環境に耐えるというようなことは経験がございません。したがいまして、環境実験をやる装置を筑波につくった、またメーカーも小型なものをつくりまして、日本の従来から持っておりまするエレクトロニクスを駆使いたしまして、そういった環境条件にも合うような技術を開発いたしまして衛星をつくり上げる、こういうわけでございます。 そこで、いま気象衛星の件でございますが、何ぶんにもこれは国際協力、GARPというものに参加いたしますと、やはり五十一年には打ち上げませんと、アメリカなりヨーロッパなり、それから先般ソ連も参加したいと言っておりますが、全体的にそういう国々が分担をいたしまして衛星を上げる。日本がおくれますというとほかに迷惑をかけるわけでございますので、したがいまして、そういった点から、従来やっております計画を先へ持っていくわけにいかないというのが実情でございます。おそらく今後出てまいります通信放送衛星などにつきましても、その点については十分われわれとしても同じようなディスカッションが必要だろうと思います。
○井上(普)委員 それじゃ、どうも言いにくそうなんで、私の質問の趣旨と違ったことをおっしゃられておるのでお伺いしたいのです。 五十一年に二百五十キロの衛星を打ち上げなければならないのですが、この打ち上げ技術につきましても、ロケット自体につきましても、アメリカの技術は入るわけでございますね。そう考えてよろしゅうございますね。
○山縣説明員 はい。
○井上(普)委員 それじゃ、アメリカが二百五十キロの衛星を打ち上げたのは何年でございますか。
○千葉政府委員 いまちょっと調べましてあれいたします。 実は、ここにあがったデータがたくさんあるのでございますけれども、この中でいつ上げたか、いまちょっと調べましてからお答えしたいと思います。
○山縣説明員 調べませんとはっきりいたしませんけれども、二百五十キロの静止衛星を上げたというのは比較的近うございます。一九七〇年、それまでは静止衛星は百キロ台でございます。一九七一年には二百四十三キロの静止衛星を上げておりますが、その前にはありません。大体そんなところであります。
○井上(普)委員 私は山縣さんに特にお願いしておきたいのです。いままで国産第一号のロケットを打ち上げたんだ、衛星を打ち上げたんだ、こう盛んにおととしですか申されました。しかし、この技術の中にもかなり大きくアメリカの技術が導入されておることは、私どもは皆さん方からの御説明で知っておる。しかし、国民の中に変なナショナリズムをここで持たれやしないかと私どもはおそれるのであります。同時に、日本の科学技術の水準、宇宙開発の技術の水準というのが、ロケット開発の技術はアメリカから十五年、衛星関係においては、本体においては大体十年おくれておるということをなぜおっしゃらないのです。このことをおっしゃることによって、国民に対する理解が深まると私は思う。なるほどそれぐらいの水準でしかないのかということがわかると思うのです。なぜそれがおっしゃれないのか、私どもには納得いかないのであります。 でありますので、現在日本の科学水準はおくれておるとか申しませんから、ひとつアメリカの大体何年ごろの——アメリカには軍事科学の発達というものがあったことはわれわれ十分知っております。国民も知っております。その上に立って、いまのロケットの技術は一体どれぐらいか、アメリカの何年ぐらいに相当するか、あるいはまた、衛星本体についはて大体どれぐらいに相当するか、こういう総合的なことがわからなければ、何の技術を輸入するにいたしましてもわからないじゃありませんか。どうでございます。こういうことをはっきり国民に知らすことこそ、ほんとうに国民とともに歩む科学技術ができるゆえんだと私は思う。いかがでございます。
○山縣説明員 先ほど申し上げましたように、昭和五十一年、五十二年、その時分になりますと、事業団でやっております計画が、現在のM計画が終わりまして、このあと御承知のように百数十キロの重量の静止衛星を打ち上げる技術が確立するわけでございます。しかし、これは先ほど申し上げましたように、事業団におきましてはある程度アメリカの技術も導入しております。したがいまして、百数十キロの静止衛星を打ち上げるという段階がアメリカにおいていってあったかといいますと、おそらく一九六〇年代だろうと思いますが、しかしこれは、一方におきまして月へ人を送るという別途の大きな計画がございますから、何年おくれておるかという比較はちょっとできないのです。アメリカといたしましては、並行してそういったいろいろな静止衛星を打ち上げると同時に、月へ人を送り込む大きなプロジェクトをやっておりますので、いま日本の状況がアメリカのいつごろであるかということは非常にむずかしいと思います。 それから、東京大学におきますロケットは全然外国の技術を入れておりません。たしかジャイロだけをアメリカから買ってきた。ブラックボックスで買ってきたと思いますが、そのほかは全部国産でございます。と同時に、あのやり方は世界で例のないやり方でございまして、これは別にほめるわけではないのですが、御承知のように、誘導をしておりませんので、したがいましてなかなかねらった軌道の上には乗らない。ああいうやり方は実用衛星には不向きでございます。実用衛星、科学衛星につきましては、軌道をある程度はずれても科学観測には支障はそうございませんので、あれはあれなりの意義があるんだろうと私は思います。しかも非常に安い経費でもって打ち上げられますので、あれはあれで非常に高く評価していいだろうと思います。ただし、先ほども申し上げましたように、あのやり方でございますと、いま申し上げました実用衛星には困るということと、それから、あの程度の大きさのものならばよろしいのでございますが、さらに実用衛星のようにある程度重量がふえますと、あの方法ではなかなかむずかしいだろうと思います。したがいまして、いろいろ各国の事情はございますので、いま日本の現状がかりに五十一年なら五十一年が外国においてどういう位置にあるかという、これはわかれば申し上げられるのですけれども、どうもいろいろ事情が違いますので、たとえば科学衛星についてはどうかとか、こういうことならいいのですが、一般論としてはなかなかむずかしいのじゃないかという気がしております。
○井上(普)委員 これは、アメリカだって打ち上げ技術というものは年々進歩してきているのですよ。あるいはまた、本体だって進歩してきているのです。そのときに、いまの日本の技術が一体どの時期にあるのか、これくらいは申されてもあやまちじゃないのじゃないか。何をあなたは遠慮されておるのか。私どもは、どうもしろうとなりに考えまして理解に苦しむのでありますが、おっしゃられますか。おっしゃられるならお伺いします。
○山縣説明員 こういう御返事をしたらいいんじゃないかと思いますが、一九六九年の日米交換協定がございます。この場合にある程度アメリカが技術を輸出してやろう、これはいろいろな条件がございますが、その場合に、アメリカがやっておりますロケットの技術水準と申しますか、それは当時のソー・デルタの技術の水準まではアンクラシファイドされたものについては考えましょう、こういうことでございます。 それで国内の技術の開発、それにいまの日米交換公文のあれによりまして技術を入れまして、それによってNロケットをつくっておるわけですが、Nロケットによって実験用通信衛星、これは静止衛星でございますが、それが打ち上がるのが昭和五十二年でございます。そういたしますと、一九六九年の日米協定でいっているソー・デルタの技術までは五十二年には日本で持ち得る、こういうことはいえると思います。
○井上(普)委員 そうであればソー・デルタはアメリカでいつやったのですか。
○山縣説明員 一九六九年の協定のあの一、二年前にでき上がっておるわけです。それから、ソー・デルタというものは一九六九年以後どんどん改良されております。現状におきましては、ソー・デルタの二九一四というのでございますが、それで二百五十キロの静止衛星が上げ得られるわけです。
○井上(普)委員 私は、将来近々に見通しがせられる「宇宙開発計画」を見てみまして、「わが国の宇宙開発の方向」というところで「着実な前進を示しているが、世界のすう勢にはやや立ち遅れた状況にある。」こう書かれております。やや立ちおくれている。それからまたあとで、「わが国の自主性を堅持しつつ自主技術の育成を図ることを主眼とするが、諸外国との技術格差の是正も早急に図るため、わが国の技術がある程度の段階に達するまでは、技術導入の手段も活用し、効率的に宇宙開発を進めるものとする。」と書かれておる。 率直に申してまことにそのとおりだろうと私は思うのです。しかし何をいいましても、花火を打ち上げるのじゃないのですから、金もかなりかかるし、国費もかなり入れるのでございます。税金ですよ。でございますので、この宇宙開発の技術が日本においてはどの段階にあるか、これはやはり国民にPRする必要があると思います。「開けゆく宇宙」なんという、こんなパンフレットを科学技術庁でたくさんつくられています。これを見てみると、そんなこと一つも書いてないのです。全然書いてない。宇宙開発をすればこんなところが便利になるとか、こんな効果がありますよなんということばかり書いている。 実際の科学技術庁のあり方というものは、あらゆる面において、日本の科学技術の水準は一体どの付近なんだ、しかも人間福祉の方向へ進んでいくのには、どういう方向でなければならないということを決定するのが科学技術庁のつとめじゃありませんでしょうか。そういう面から私はあえて、一体アメリカの何年ぐらいの水準にロケット技術があるんだ、本体があるんだ。直接それを開発せられておる山縣さんにお伺いするのは酷かもしれませんけれども、ほんとうの話、やはり国民の理解を深める、同時に、国民とともに将来の科学技術のあり方というものを考えるならば、私は率直に示していくのがほんとうじゃないかと思うのでございます。大臣いかがでございます。
○前田国務大臣 井上先生から、いろいろ宇宙開発に関連いたしまして、どの程度の水準にあるかという御質疑でございますが、これは山縣委員のお答えいたしましたとおり、どの程度の水準ということはなかなかむずかしいことだろうとは思います。しかし、御案内のように、スプートニクというあの方式が打ち上げられたのが三十二年の十月だと思います。十七年くらいたっております。それからアポロの月征服が四十四年の七月でございますから、これもやはり四年くらいたっております。ところが、わが国の宇宙開発が本格的に着手いたしましたのは、昭和四十三年宇宙開発委員会というのが発足いたしまして、それまでもやっておりましたけれども、それから四十四年に事業団ができまして、四十五年に宇宙開発ができました。(井上(普)委員「言いわけはけっこうです。」と呼ぶ)言いわけじゃありませんけれども、ちょっといきさつだけ、前置きですから……。 そういう状況で、それがためにしょっちゅう毎年見直しをしておるという段階でございまして、確かにそれは技術格差というのは相当ございます。その点を別に隠しておるわけではございませんけれども、とにかく科学技術の現在の水準というものはどういう状況にあるんだということは、ただみなに「開けゆく宇宙」のパンフレットばかり配るだけではいけませんから、どの程度のものであるかということもよく認識をいただいて、そうしてほんとうに国民の理解と協力を得る。そうして福祉中心の科学技術行政というものを推進するということに、先生の御注意のとおりに進めていきたいというふうに考えます。
○井上(普)委員 私はこれでやめますけれども、そこのところは、国民の間では、線香花火みたいなものを打ち上げて一体何になるんだ、毎回毎回失敗している、こう申す声もたくさんあるのです。その中であえて国費を多大に投入しながらやっておる。それが打ち上げたらこんな利益がありますよというのは、このパンフレットをたくさん出していますね、毎月二、三冊出しているんじゃないですか。しかし、一体日本の科学技術の水準がどのくらいにあるんだということにつきましては、どうも国民にPRされておらないのであります。ただいま大臣のお考え方を示していただきましたので、その点をまた質問する機会を早急に私は持ちたいと思いますので、そのときには発表していただきたい、このように思います。終わります。
○石野委員長 次に、山原健二郎君。
○山原委員 私の質問は三つです。一つは四国電力の愛媛県伊方町原発の計画変更について。二つ目はラジオアイソトープの取り扱いについて。時間がありましたら瀬戸内海の赤潮対策について聞きたいと思います。 最初に、四国電力の愛媛県伊方町に設置する原子力発電所の問題ですが、御承知のように本年の三月に、四国電力側から内閣総理大臣に対しまして、原子炉設置変更許可申請書が出ております。その中身を見ますと、私がしばしば本委員会におきましても、また予算委員会におきましても指摘をしてまいりました水の問題なんです、当夜の年請書は、「保内町に河口をもつ喜木川および宮内川の下流平野に深井戸を設けて地下水を取水する」ということであったわけです。これに対する住民の意向、あるいは水が実際にあるのかないのか、そういうことができるのか、ということについて私はいままで質問をしてまいりましたが、科学技術庁のほうでは、それはできるんだということで一貫した答弁がなされておったわけです。 ところが、突如この三月二十八日にこの申請が出てまいりまして、この取水方法を変更しまして、「今回愛媛県の要請ならびに長期的観点からこの取水計画を変更し、海水淡水化により淡水を確保することとし、海水淡水化装置を設置するため」変更するんだ、こういうことになってきたわけですね。これはいままで科学技術庁が私たちに答弁をしてきた確信とは全く違った申請書が出てきておるのでありますが、これについてどういう見解を持っておられるか、最初に伺っておきたいのです。
○前田国務大臣 この伊方発電所の取水計画につきましては、山原先生たびたび御指摘のことは私もよく存じております。取水計画につきましては、原子炉の設置許可申請者がいろんな条件を勘案して決定するのでございまして、地元の取水問題は、本来は当該申請者と地元関係者の間で解決すべきものだと思うのでございますが、原子炉設置許可にあたりましては、地元の利水状況等に影響を及ぼすこともあり得るので、細心の注意を払っておるわけでございます。これは一般論でございます。 したがいまして、伊方発電所の当初の取水計画につきましても、地元の県及び町当局から、当該地区の包蔵水量及び需要水量について説明を受けまして、その妥当性につきましても十分配慮したつもりでございます。今回、四国電力のほうから、当初の取水計画を変更を行ないたいという変更許可申請がなされました。これは当初の取水計画の実行が依然として可能でございます。それは間違いないのでありますが、地元の情勢等から四国電力が変更に踏み切ったものであるというふうに私のほうでは了解をいたしておる次第でございます。
○山原委員 この水の問題はきわめて重要であり、しかも保内町というところは水の少ないところですね。そして、ここは御承知のように愛媛県の有数なナツカン地帯であるというような点から考えて、地元住民の要請に対しては、これをつぶさに検討して、そしてそれに対する対処をしなければならないということを、何べんも言ってきたわけですよ。過去のことは申し上げたくありませんけれども。だから、この安全審査あるいは申請に対する許可を与えるときには、そういう地元住民の見解とかあるいは気持ちとかいうものを配慮すべきであるということを言ってきたにもかかわらず、昨年年末のあの十二月の段階で、前にも指摘をしましたように、急転直下これを認可をしていくという態度をとられてきたわけです。そしてしばらくたちまして、今回突然変わるということですね。ここらあたりの、この原子力発電所設置にあたっての政府側の態度というものは、やはり問題になるのではなかろうか。なぜそういうことを十分お聞きにならないのか。これは、国会においても、私どもがそれを心配して何べんもこのことについて——だいじょうぶかとは言いませんけれども、こういう問題があるのだと言ってきておる。しかも、それを指摘しておるにもかかわらず、それに対しては、全くだいじょうぶだという答弁だけで、そしていざとなってみると、三月二十六日に四国電力は、新聞その他に発表しまして、三月二十八日に申請がなされて、三月二十九日には政府はこれを受理しておるという、これまたほんとうにその辺の状況とかいうようなものをはたして調査をしたのであろうか。こういうやり方について、私は大いなる疑問を持つわけです。だから、原発の問題で各地においていろいろな紛争が起こり、また反対運動が起こるのは、これは当然のことであって、その責任がこういうところに象徴的にあらわれておるような、当局側あるいは企業側の住民無視の態度の中に問題があるのではなかろうか。これは厳重にいま反省をすべき一つの事例として出てきたわけですから、ここらの皆さん方の反省の気持ちを私はぜひ伺っておきたいのです。
○前田国務大臣 原子力発電の立地にあたりましては、地元住民の意向を無視するというふうな、そんな安易な態度ではいけないということは先生御指摘のとおりでございます。私、その当時の委員長ではございませんけれども、その当時のいきさつをいろいろ聞いてみましたけれども、先ほども申しましたように、この取水計画については、いろいろその当時から問題があったということを、中曽根前長官からも実は聞いております。その当時、そういう問題があったので、県並びに地元の町当局からいろいろ説明を聞いて、その結果、その妥当性ということについては十分配慮いたしましたということを私は聞いたわけでございます。今度変更許可の申請があったというときにあたりましても、私は、それでは前の審査といいましようか、取水計画についての判断というか、それがずさんであったのではないか、それがためにこんなものを出したのではないかということをすぐ疑いまして、それを追及いたしました。しかし、そういうことはございませんと言ってるる説明をし、私もそうかということでこの点は納得した次第でございます。詳しいことは局長から答弁いたさせます。
○山原委員 取水できるという確信は、企業側は持っているでしょうね。しかし、実際に地元住民の声というようなものは無視した取水計画——水を取ろうとすれば取れるわけですから、かってに人の家へいって何か取るような計画を立てて、取れるのだという確信を持っているということと、その住民の方たちがいやだという感情とは、これは別の問題ですね。取れるのだ、科学的に取れるのだといったところで、住民の方たちの、これから先の地域の発展のためには水が要るのだとか、あるいはここの水は少ないのだとかいう感情というものを無視してきたわけですよ。少なくとも四国電力は無視してきた。ここに問題があるわけです。それを無視してきたものは、地元住民がわあわあ反対したりなんかしておるのを当局は無視して四国電力の立場に立ってきた。それが今回突如こういう変更という問題になってあらわれてきたのではなかろうかと思うのです。成田局長、その点どうなんですか。
○成田政府委員 四国電力の伊方発電所の用水問題につきましては、喜木川、宮内川の地下水を取るという、これは需給上十年に一ぺんの渇水の場合の需給状況、それから需要の今後の増加見込み等も織り込みまして需給計画を組み、パー・デー千トンないし千五百トンという水は、第一号炉につきまして十分取れるという、これは県あるいは町あるいは水に関するいろいろなデータを集めて、そういう結論で、安全審査の用水を確保できるという結論になったわけでございます。その点は現在も変わりないのでありますが、三月七日愛媛県知事が県議会において説明しましたように、水の問題は喜木川、宮内川から取れるのでありますが、ただ地元の一部に不安感がある、そういう地元の不安感の解消、それから一号炉は十分でありますが、長期的な観点から考えまして、この際喜木川、宮内川の地下水を取る以外の方法を考えたらどうかということを、十二月に四国電力にそういう意向を伝えたようでありまして、これを受けて四国電力が知事の意向を十分体して取水計画を検討しまして、そして関西電力の大飯発電所で採用しようとしておりますところの海水淡水化に踏み切ったほうが、地元の不安感の解消、あるいは長期的観点からの水の問題の解決という点から望ましいのではないかという県知事の意向を、検討の結果採用しまして、そして淡水化に踏み切ったわけでございます。 したがいまして、当初の安全審査会の伊方発電所の取水計画、これは十分確保できるのでありますが、そういう現地の事情、それから長期的観点からの配慮、そういう面から、この際むしろ淡水化に踏み切ったほうがベターであるというふうに、慎重に検討した結果踏み切ったのでありまして、決して安全審査がずさんであった、そのための変更申請であるというふうには解しておらないのであります。
○山原委員 安全審査の書類の問題についても、水の問題で私もずいぶん指摘をしてきたわけですが、こういう形で許可申請の変更が行なわれるということになりますと、これは当初の申請が瑕疵があったのではなかろうか、あるいは見通しが甘かったのではなかろうか、あるいはこういう問題で大騒ぎをさせておいて、そして突然淡水化という形で逃げる。問題は、こういうやり方ですね。だから私は、四国電力の今回のやり方については全く信用しておりません。だから地元住民のこういう三点にわたる疑問が出てくるのも当然だと思うのです。しかし、この問題については、機会をあらためてまた質問をいたしたいと考えております。 それで、突然出てまいりました淡水化の問題ですが、淡水化というのははたして採算ベースに合うのかどうか、これをお聞きしたいのです。昨日科学技術庁からいただきました「日本で製作された主な海水脱塩装置」という資料で現在すでに幾つか完成したものを見てみますと、その中で四つは外国で完成しておるものですね。それから三つはテストプラントです。テスト用ですね。それから研究所でつくっておるもの、たとえば工業技術院の茅ケ崎臨海研究所でやっておるのが三カ所、そして企業がやっておるのは、松島炭鉱の池島鉱業所の日量二千六百五十トン、それから関電の姫路第二発電所千二百トン、それから、あえて言えば日立造船の因島工場五百トン、これぐらいの経験しかないわけですね。ほとんどがテスト、研究所でやっておる程度の問題です。四国電力の今回の淡水化計画というのは一千トンの二つのものをつくる。その工事施設費は四億六千七百万円。そうすると、この水の単価がどれくらいになるかというと、一トン当たり百五十円ということになるわけです。こうなってまいりますと、長期的展望と言うけれども、長期的展望から見ましても、また現実に必要とする施設費から考えましても、これは採算上の問題はどうなるのか。はたしてそういうものが採算上妥当なものであるか。あまりにも経験が少ないわけですから、こういう疑問も出てくるわけです。この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
○成田政府委員 海水の淡水化の技術は、日本は世界的に非常にすぐれているということ、ことに日本のメーカーがつくった淡水装置というのは、中近東等の飲料水を取るための設備がずいぶん出ております。ただ国内で使用しておりますのは、先生御指摘のように松島炭鉱、関西電力の姫路第二、それから工技院が大型プロジェクトでやっておりますところの茅ケ崎臨海研究所の研究、それから関西電力が去年許可になりました大飯発電所において多段フラッシュ型の淡水装置を取り入れることになっております。 それでコスト的には、先ほど言いましたように建設費が四億六千万ぐらい、それからコストはトン当たり百五十円ないし百六十円ということでありまして、保内町から取る場合も、パイプとかいろいろなことで相当なコストがかかる計算になっておりまして、百五十円ないし百六十円のトン当たりコストというのは、全体に対してそれほど大きな影響は与えないというふうに考えております。
○山原委員 保有町から地下水を取る場合の計算は私にもよくわかりません。しかし淡水化にした場合、こういう四億六千七百万円もの施設をつくり、耐用年数が二十年といたしますと。これはかなり長期の観点で、商業的な考え方からするならば相当経費を必要とするわけですね。だから、こういうことが今度の計画変更によって、またいま起こっておりますところの電気料金の値上げという問題と関係してくるのではなかろうか、私はこういう心配もしているわけなんです。 それで、これは通産省のほうにお伺いしたのですが、いま四国電力は電気料金の値上げを計画をいたしております。そして、この前にも申しましたように、これを引き金として関西電力あるいは九電力全部が電気料金値上げを申請する可能性を含んでおる。公共料金値上げとからんでいま非常に重要な時期を迎えておるわけですが、その中でなぜ四国電力が電気料金の値上げをしなければならないかという問題について聞いてみたいのです。 たとえば坂出にできております火力発電所、これは四国電力側の資料を見ましても日本最大の規模なんですね。第一号機から四号機までがつくられますと、合計百三十七万五千キロワットという膨大な電力を発生する。しかもこの三十五万キロワットの第二号機、四十五万キロワットの第三号機というのは、超臨界圧方式を採用するわが国最初のものであるということを書いておるわけでございます。 ところが、ここにできる火力発電所は、電力側の出しておるこの資料を見ましても、香川県坂出の番の州工場地帯にある三菱化成のアルミ、コークス工場ですね、ここに送るのがほとんどだ、こういうふうに思うわけですが、この売電料金ですね、これは四十六年、四十七年、四十八年、一体どれくらいの売電契約になっておるか伺っておきたいのです。
○田中説明員 ただいま資料を手元に持ってまいっておりませんで、料金がどれくらいになるかお答えできませんので、後ほどお答えしたいと思います。
○山原委員 この間予算委員会で、大体原価は四国で平均をしまして二円九十銭、こういうふうに通産省から答弁がなされたわけです。ところが、これは昭和四十六年のことでございまして、四十七年の単価は幾らになっておるか。それから、四国電力から三菱化成に対しては三円三十銭という売電契約で売られているわけです。これも四十六年でございまして、四十七年の売電単価は私の調査では三円四銭というふうに下がっているわけです。いま資料がなければこれを確認するわけにはまいりませんが、その辺おわかりになりませんか。
○田中説明員 実は資料を全然持ってまいっておりませんので、後ほど御説明に参りたいと思います。
○山原委員 私はこれが赤字の原因になっていると思うのです。火力発電所ができて、そのそばに三菱化成のアルミ、コークス工場がありますから、全くすぐそばに工場があるわけですから、売電をするといったって、いろいろな施設も必要でありませんし、きわめて簡単なものなんですね。ところがその後、もう発電所の出口で赤字が出ておる。しかも四国管内におけるところの電気の需要量というのはものすごい伸び率を示しておりますが、その伸びの大半が電力なんですね。電灯の伸びというのはたいしたことはありません。ここにも図面が出ておりますけれども、昭和五十年には百八十九億キロワット時という数字が出てくるわけです。そしてその大半が電力に供給されるわけですね。現在供給されておるものを見ますと電灯が十八億キロワット時であります。それから電力が六十一億キロワット時であります。こういうふうに電力の需要はほとんど大きな企業に対して流されていくわけなんです。しかも、この番の州における三菱化成に対する供給が最近ものすごく伸びているわけです。そして三円四銭というような原価を割るような売電契約がなされる。そこで赤字が生じてくる。だから、その赤字を解消するために、電気料金の値上げという仕組みになっているんではなかろうかということを私は考えているわけです。これについて一度お尋ねをしたことがありますけれども、通産としてどんなお考えを持っていますか。
○田中説明員 電気料金は、御存じのように原価主義に基づいて作定されておりまして、私どもは、いま先生御指摘の工場につきましても、原価に相応の料金が設定されているというふうに考えております。いま手元に資料がございませんので、原価と料金の水準についてお答えすることができませんが、原則といたしましては以上申し上げたとおりでございます。
○山原委員 四国全体の一般家庭用の電気も含めて原価が二円九十銭です。だから大口の工場に送るところのものは、原価はおそらく火力発電所は高くなっていると思うのですが、その数字がちょっとわかりません。この数字はあとで出していただけますか。特に、三菱化成との関係につきましてお聞きをしておきたいのです。 それで私は、そういう心配を持っておりますし、そういう大企業への供給の中で生じてくる赤字のために全住民に影響する、また特に中小企業にとっては重大な影響を与える電力料金の値上げについては、これは絶対に認めがたいという気持ちを持っております。これは通産大臣が申請が出た場合には慎重に審議をしますと言っておりますけれども、そういう大企業のための犠牲を住民に押しつけるなどということは絶対にしてはならないと思いますし、また、その点については今後の動きを見てみたいと思うのです。 そこで、淡水化の問題でありますけれども、この淡水化の問題と関係をしまして建設省にお伺いしますが、現在愛媛県の肱川上流に野村ダムを建設する計画がありまして、この野村ダムは大体八十億円のダム建設経費、関連事業を入れまして約五百億の計画が立てられております。しかもそこにはもうすでに調査も行なわれ、補償関係の測量もほぼ完了しておるというふうに聞くわけでありますけれども、この野村ダムの計画を見ますと、八幡浜あるいは宇和島に対する都市用水あるいは農業用水の供給であるということをいわれているわけですが、この野村ダムは、四国の中部を流れておりますところの四万十川、建設省は渡川といっておりますが、渡川の松原ダム、梼原ダムと呼ばれておりますが、このダムと関係があると思っております。これはどうなっていますか。
○伊藤説明員 御指摘のとおり、野村ダムにつきましては、四十六、七年度に実施設計調査を終えまして、本年度から着工を予定いたしておるものでございまして、用途等も御指摘のとおりでございますが、当該野村ダムの予定しております集水面積は上流の百六十八平方キロを考えておりまして、御指摘のような四万十川または渡川との分水の計画は、その内容といたしたものではございません。
○山原委員 では、渡川の分水なくしても、野村ダムはその目的あるいは貯水量の維持はできるという計算になっているわけですか。
○伊藤説明員 御指摘のとおりでございます。
○山原委員 この野村ダムには梼原ダムより毎秒一トンの取水をする計画があるのじゃないのですか。
○伊藤説明員 野村ダムの建設基本計画はこれから作成するものでございますが、現在までの実施設計調査の段階でわれわれがまとめております計画の中には、梼原ダムからの分水は予定いたしておりません。
○山原委員 それは今後もないということですか。
○伊藤説明員 そのとおりでございます。
○山原委員 野村ダムから、先ほど私が申し上げました保内町、すなわち四国電力が地下水取水を計画しておりました最初の申請案にありますところの保内町に対して、日量四千二百トンの水を送るということがいわれておるわけでありますが、これは事実ですか。
○伊藤説明員 野村ダムの利水の目的の一つといたしまして、南予水道事業団——八幡浜市、宇和島市等を中心につくりました事業団でございますが、日量四万二千トンばかりの水道用水を予定いたしておりますが、その内訳の配分につきましては私ども承知いたしておりません。
○山原委員 それは知らないということですか。
○伊藤説明員 ダム利用を主管する局としてその内訳は知らないということでございます。
○山原委員 この野村ダムの全計画について資料を提出をしていただきたいのです。よろしいですか。
○伊藤説明員 わかりました。
○山原委員 いろいろ申し上げたいことがありますが、伊方の問題については問題点だけを指摘をしておきます。 次に、いわゆるラジオアイソトープの取り扱いについて質問をいたしますが、科学技術庁は「放射線障害防止法の施行状況について」というのを出されておりまして、これは見せていただき、また説明もしていただいたのでありますけれども、ラジオアイソトープの取り扱い、特にこれを実際に取り扱う人に対する注意事項といいますか、そういうものはこの防止法に基づいてどういうふうになっておるのでしょうか。
○成田政府委員 アイソトープの使用事業所は現在二千五百ほどありますが、これは障害防止法によって設置、使用の許可をとることになって、これは厳重に安全の審査をやって、その上で許可をやっております。そして、許可を受けて実際の使用につきましては、放射線取扱主任者を各事業所において少なくとも一人以上選任しないといかぬことになっておりまして、放射線取扱主任者というのは、国家試験によって一種、二種の区別がありますが、国家試験によって厳重な試験を受けて合格した者が当たることになっております。これが保安安全の責任者として事業を運営しているわけであります。 それから、障害防止法によって政府において検査官制度がありまして、これが当初使用許可をとった最初の年には必ず立ち入り検査をやらしておりまして、その他の事業所についても、定例検査、一定立ち入り検査を励行して、そして法律の基準あるいは取扱主任者の監督が十分なされておるかどうか、そういう実地の検査をやって、そして安全上問題のないように障害防止法の厳重な励行を期しておるたてまえになっております。
○山原委員 それに基づきまして、それを取り扱っておる研究所あるいは病院では、それぞれそれなりの規定とかあるいは取り扱い注意事項とかいうものをつくっているわけですか。それは皆さんのほうで点検をしておられるわけですか。
○成田政府委員 各事業所におきましては、そういう保安安全の規定をつくって、それによって実際の運営をやって、そしてそれを取扱主任者が内部的には守らせておるし、また政府としても、検査官が立ち入り検査の際には、それが十分励行されておるか、実地について調査をしておるのであります。
○山原委員 そして、その取り扱われたアイソトープの終末的な処理ですね、使用したもの、あるいはそれはどういうふうに処理されるのですか。
○成田政府委員 密封されておりますところの放射性同位元素につきましては、各事業所で廃棄を自分で行なうことになっておる。すべて、廃棄業者も許可制度になって、厳重な規則を受けておりますが、廃棄業者に引き取らせて廃棄しておるのであります。 それから、密封されておらないRIを使用しておる事業所は、現在全国で五百十三ぐらいありますが、全体の二〇%ですが、これについては固体の廃棄物とか、それから濃度の高いものは保管廃棄設備に保管させて、最終的には廃棄業者に引き渡して廃棄させておるのであります。それから、非常に濃度の低いものあるいは微量の気体状の廃棄物については、基準をきめて、それ以下にして、問題のないような形にして自分で処理させるものもありますが、それは非常に濃度の低いもの、微量の気体状のもの等に限られておるのであります。
○山原委員 時間の関係がありますから、具体的に、いま言われましたような防止法に基づくところの実際上の施行の問題でありますけれども、先日私どもは、東京大学のいろいろな状態を見せていただいたわけです。これは、ここにお見えになっております嶋崎先生、近江先生など国会議員が十名近く参加をしまして、各分野に別れて、東大病院あるいは農学部あるいは宇宙研究所、生産研などを見せていただきました。その中で、非常にいろいろな問題を感じたわけですが、アイソトープの取り扱いについて全くたれ流しの状態なんです。この実情はあとで申し上げますけれども、これは文部省のほうに、齋藤課長がお見えになっておりますから、他の大学、研究所にあるかもしれませんけれども、特に東大の場合に限って、しかも東京大学は御承知のように、日本の大学の中でも最も典型的なものを持っているわけですから、東大でさえこういうこともあるということも出てくるかもしれませんが、東京大学におけるこのような取り扱い、特に研究補助員の問題ですけれども、研究補助員、俗称ですね、これが大体東大病院に何人ぐらいおられるか、つかんでおいでになりますか。
○齋藤説明員 東大病院には、定員もおりますけれども、そのほかに非常勤職員が百八十五人おるわけでございます。これには研究補助員その他のものも一部含まれておるわけです。
○山原委員 この方たちが、東大病院あるいは東京大学病院の研究所をささえる力になっているわけです口しかも、きわめて重要な仕事みんなしているわけですね。私の聞きましたところでは、二百名をこしているわけですが、その方たちというのは、身分的には全く何らの保障もないわけですね。健康保険もありませんし、あるいは旅費もありませんし、もちろん期末、勤勉手当などというものもありませんし、危険手当などというものもありません。しかも、数年間、日々雇用あるいは一年契約で雇用された形で、身分的にも何ら保障されていない。しかも、仕事そのものの量は非常に多いわけです。これは実際に私たち見てまいりましたけれども、御飯を早く食べて、とにかく廊下を走るというようなものでなければ、ここの仕事はもたないと皆さんが言っておるような状態です。しかも給料は、月額大体二万五千円程度で打ち切りだというような、まさに非人間的な取り扱いを受けている。しかも、その方々が、このアイソトープその他の操作をやらされている、こういう状態なんですね。 時間の関係もありますから、ちょっと実例を申し上げてみたいのですけれども、東京大学の東大病院の場合ですが、第三内科の場合二十七人、こういう研究補助員、俗称ですね、名前のついてない人たちがおるわけですけれども、そのうち直接外来に出て仕事をしておる人は十六人、約六割、第二内科の場合は二十人のうち八人、四割、こういう状態でございます。しかも、されておる仕事というのは非常に重要な仕事をしているわけです。その中でアイソトープを取り扱っておる方たちが相当数おいでになりますけれども、このアイソトープを取り扱うにあたって、「安全取り扱い一般注意」というのがあるわけです。それと実際の現実とを調べてみますと、RIすなわちラジオアイソトープですね、この「取扱い上の知識・操作の技術を十分身につけておく。」ということが注意事項にあるわけです。これは当然のことです。また、これは法の精神からいっても、いま成田局長が言われたとおり、重要なことです。ところが、ほとんど理科系以外の、しかも女性の方が作業をされていまして、指導も教育も全くなされていないという状態です。それから、これを操作する前の注意事項として、「実験衣、ゴム手袋、フィルムバッジ、線量計、サーベイメーター、鉛ブロック、遠隔操作用具等の必要な防護用具をそろえる。」ということがありますけれども、現実は、白衣と手袋、フィルムバッジ、鉛ブロックがあるだけで、しかもその鉛ブロックは絶対数が足りないという状態です。それから「血液検査を含む健康診断を行い、個人の正常値を知っておく。」ということが注意事項にありますけれども、これも健康診断はなされたことがありません。個人の正常値というものは全くわかりません。こういう状態です。それから「事故時の処置、連絡方法を計画しておく。」これは全くありません。それから「ねずみや虫類によって汚染が広がるおそれがあるので、これらが出入りできないような構造とする事。」これも全くありません。ゴキブリが走り回っているのです。それから「必ず実験衣を着用し前ボタンをかけてRIを扱う。RI使用時に用いる実験衣とそうでないものとを区別し、保管場所も別にする。」これが注意事項です。ところが、「白衣が支給されているが、RI専用ではないし、保管場所も区別されていない。」「サーベイメーターを身近かにおく。」サーベイメーターとは何ですか、全然知らないという状態です。それから「決してピペットを口で吸ってはならない。RI管理区域内では混同のおそれがあるから、全てのピペットについて、口での操作は禁じる。特殊なピペットや注射器などを用いる事。」これに対して「ピペットを口で吸ってRIを口に含んだ人もいる。RI用その他の用途のピペットの区別はない。特殊なピペットはないし、注射器は使ったことがない。」。それから「可能な限りゴム手袋をつけて実験する。特に手に外傷のある時は、手袋なしで操作してはならない。」ところが「手袋を使用するよう指導・教育されたことがない。」。「手や衣服の汚染の有無を操作の途中でもしばしば検査する。」これは「検査用具がないから、当然検査を行なえない。」。さらに「汚染したものや、廃液の処理は十分注意し、一般環境の汚染を生じないようにする。」これに対して「普通の流しに捨てている。故に環境汚染は全く考慮されていない。」。実際にお茶わんを洗ったり湯のみを洗ったりしておる流しへそのまま捨てておるという状態なんですね。また「実験に用いた諸器具は、汚染を広げないためRI以外には使用しない。」これは「混用している。」「机や床などの汚染を調べ発見したら除去する。」「調べない、調べられない、計器がない。」「体内汚染を生じたおそれがあれば、尿検査などによって調べる。」これも「調べていない。」、こういう状態なんですね。これではいま局長が言われましたところの、この放射線障害防止法についてのことが、しかも東京大学において全く行なわれていない。これは、もちろんここで働いておられる方が悪いのではありませんし、そういう体制もなければ そういう諸器具も備えられていないという、こういう状態。しかも、たとえば糖尿病の検査その他の大量のアイソトープをまかされて、それをもう一日じゅう必死になって処理していかなければならぬという労働強化のもとに置かれておる。こういう実態でございますけれども、科学技術庁は立ち入り検査をされると言われたわけでありますが、この実態はつかんでおられますか。また文部省は、そういう実態をお聞きになったことがありますか。
○成田政府委員 東京大学に対する立ち入り検査はいつやったかというのは、いまちょっとデータがないのでありますが、大体三年に一ぺん定期的にやるというたてまえをとっておりまして、いま御指摘の点は、放射線障害予防規定という、これは事業所が必ず持っておりますところの規定にも非常に違反しておりますし、それから三カ月に少なくとも一回の健康診断を行なって、被曝線量とか診断の結果をよく調べるたてまえにもなっておる。また、作業場の放射線測定器で漏洩線量とか汚染があるかないか、そういう検査を行なうたてまえも当然とられておりますが、障害予防規定の実施においても、いろいろな点で非常に問題が多いと思いますので、早急に文部省と相談をしまして、実地の検査をやって、そして早急な改善をはかりたいというふうに考えております。
○齋藤説明員 規定の上からいいますと、東京大学にも放射線防害管理規定を定めておりまして、いま先生が、すべきであると言われたことは、いろいろ規定されておるわけでございますけれども、実態につきましては、私ども最近個々に検査したわけではございませんし、ただ一般的にいえますことは、東京大学付属病院の場合には、中央の研究室に廃棄の保管施設を設置しておりまして、RIの廃棄物はここで処理するということになっておるわけでございます。それは、年間ドラム管で二百本近く、RI協会の指定のドラム管へ入れて年に二回従来回収しておる、こういう状況があるわけでございます。 なお、これとは別に希釈場を持っておりまして、ここでいろいろなものは希釈をしておるという措置をとっておるわけでございまして、実態につきましては、この放射線障害防止の問題につきましては、非常に重要な問題でございますので、私どもとしては、再三大学にその点遺漏のないように注意しておるわけでございます。一部、非常に微量なもの、これは通常放射性の許容量以下のものである、そういうようなことであるいはそういう事例があったりしたかもしれませんけれども、こまかい点についていま述べられて恐縮でございますが、十分注意したい、このように考えております。
○山原委員 あったりしたのではなくて、ここに一緒に行かれた方がおいでになりますので、幾らでも事実を申し上げることはできるわけです。これが実態なんですね。だから私は、ここで働いておられる主任の方たちをもちろん責めているのではありませんし、しかもこういうふうな一般の流しに捨てられるという場合の終末処理ですね、これは御承知のようにこの規定によって、たとえば先ほど局長も言われましたけれども、処理場における末端での濃度の検査などが行なわれるということが出ているわけです。それが、これでは全くたれ流しになっているわけで、それに対してはそれなりの施設あるいはこれに携わる方々に対する防護上の諸問題の解決、それから一番大事なことはやはり定員の問題だと思うのです。こういう非人間的な状態に研究補助員を置きまして、研究補助員のことをラボランチンと皆さんが呼んでいるわけですが、それが約二百名。そういう方々の中で、これは数字は正確ではありませんが、約二〇%の方たちがいわゆるRIの操作に従事をしているのではなかろうか。そうするとかなりの人数になるわけですね。その方たちが全く無防備な状態に置かれておる。しかも東京大学の研究、そして医療制度が、こういう身分不安定な方たちによってささえられておるということ、これはたいへんなことだと思います。 だからこれは、総定員法のあの法律が出ましたときに、各党一致で附帯決議もつけられているわけですね。必要なものについては確保していかなければならぬ、これはほぼ十年前に決議された附帯決議でありますけれども、こういう必要なものすら定員化されていないというところに問題がある。そして、この方たちの給料はどこから出ておるかといいますと、普通の定員外の職員の場合は研究費から出ておるわけですね。だから、ある大学を調べますと、定員外の教職員の方たちのために約六割近い研究費がその人件費として使われておる。だから研究費が非常に狭められていくというような状態もあるわけですね。ところが、この方たちの場合は定員外とも呼べない。全く日々雇用の方たちでございまして、どこから給料は出ておるのですかといってよく調べてみますと、これは物件費の中から出ているという状態なんですね。大学ではどういう操作をされておるか知りませんが、私のお聞きしたところでは物件費です。だから危険手当もございませんし、身分上もたいへん不安定な状態、これを改善しなければ、大学の教育も医療の充実もあったものではないわけです。 ここに一番問題があるわけでして、これは東京大学に限りません。すべての研究機関あるいは医療制度におきましても、ここは科学技術特別委員会ですが、特に研究所あるいは研究員の場合のこういう身分上の保全あるいは定員の確保ということが絶対に日本の科学水準を高めていくためにも必要になってきておると私は思うのです。この点が抜けたら、これは山原がこんなところで取り上げて、その累が現場で働いておる人に及ぶようなことになってはたいへんなことでございますし、国がいままで怠ってきたところの定員の確保あるいは従業員に対する身分の保全、これは私は絶対やるべきだと思うのですが、この点について長官の御意見をぜひ伺っておきたいのです。
○前田国務大臣 ただいま山原先生御指摘のRIたれ流しの問題でありますが、私は、ただいま詳細に先生からお話を聞きまして、これは非常に重大な問題だということを深く感じた次第でございます。それがためには放射線防止法というのがあるのですから、この放射線防止法というものを十分活用いたしまして、あるいは立ち入り検査をもっときびしくやるという姿勢でいかなければいかぬと思います。また行ないます。そして検査官の増員等についても、先生から激励を受けましたが、ほんとうに定員法のへったくれのということではなく、これは法律で縛るべき問題ではない。必要なものはどんどん増員せねばいかぬ。これもその姿勢でいきたいと思います。 それから、補助員その他処遇の問題でありますが、これは大学に関連いたしましてあるいは文部省の所管にもなるかもしれません。しかしながら、科学技術全般にわたりまして科学技術というものを振興、発展さすためにも、やはり人でございますから、その処遇という点について今後十分配意していきたいということを申し上げてお答えにいたしたいと思います。
○山原委員 原子炉その他の安全性の問題が論議をされておりますけれども、こういうところで底抜けになってしまっては何にもなりませんし、せっかく法の趣旨があるならば、それを実行でき得る体制、設備、器具の整備ということをぜひやっていただきたいと思いますし、ただいまの長官の御発言で私は大きく前進するものと期待をいたします。 最後に、もうわずかですが、瀬戸内海の赤潮問題です。これもこの場所で取り上げたことがありますが、本年はまた例年に比べて一段と早く赤潮が発生をし始めまして、昨年度、播磨灘のハマチ養殖などは全滅をいたしました。今度はこの瀬戸内海一帯の汚染の状態から見まして、またしても多大の損害が生まれ、瀬戸内海における漁業は皆滅に瀕するのではないかというような問題が出ております。これに対しまして、一言でお聞きするわけですが、環境庁お見えになっておりますから、環境庁のほうでも昭和三十五年の状態に返すのだということを発表されておるそうですが、この赤潮対策について現在どういう具体的な案を持っておるか、伺いたいのであります。
○太田説明員 お答えいたします。 赤潮対策でございますが、ただいまお話がございました三十五年の水質に戻すようにという長官からの指示がございまして、年次計画的にその浄化対策をただいま検討中でございます。また、それ以前に、昭和四十六年十月でございますが、瀬戸内海汚染対策推進会議という会議を設けまして、そこで瀬戸内海浄化対策のマスタープラン、それから赤潮対策、水質汚濁並びに自然保護というふうな四分科会を設けまして、その対策を目下検討中でございます。 いずれにいたしましても、そのマスタープランをつくるためにはだいぶ時間がかかるわけでございますから、先ほど申し上げました、長官の指示にあります早急に三十五年の水質に戻せという線にのっとりまして、現在その対策を検討中でございます。
○山原委員 これは今後さらに重大化してくると思います。きょうは水産庁の方をお呼びしておりませんので、これ以上ここではお聞きしませんけれども、この問題はさらに深刻な問題に発展する可能性を持っておりますので、これは委員長にもぜひあらためて委員会でお取り扱い願いますようにお願いしまして、私の質問を終わります。
○石野委員長 次に、近江巳記夫君。
○近江委員 きょうは時間も限られておりますので、何点かその範囲内でお聞きしたいと思います。 まず最初にお聞きしたいのは、有毒食用油の不安が非常に広がっております。現在のところ千四百トンに混入の疑いがある。こういうことで、全国的に、青森から西日本にかけまして二十一都道府県にこの有毒食用油が送られておるわけであります。 まず、この経過につきまして、簡潔に要点をひとつお願いしたいと思うわけです。
○浦田政府委員 お答えいたします。 食用油に熱媒体が混入した事故につきまして、その概要について御報告申し上げます。 まず、四月九日に千葉県衛生部は、千葉所在の千葉ニッコー株式会社が製造しております食用油に不良品があるとの情報を得まして実情調査いたしました結果、熱媒体が混入した食用油が販売されていることが判明いたしました。この件について、千葉県より四月十日に厚生省のほうに報告がございました。 会社がその事故に気づいたのは三月十五日でございまして、熱媒体のコイルに径一ミリの穴があいて製造中の食用油に混入したものでございます。 熱媒体が混入したと思われまする食用油の量は約三十トン、これは三月十五日製造分の量約三十トンが中心でございまして、これに約十五キログラムの熱媒体が混入したと推定されております。 熱媒体が混入したと思われまする食用油について検査いたしましたところ、ダウサムAの濃度が九PPM検出されております。検査先は倉敷市の日本興油株式会社でございます。 この熱媒体の組成でございますが、ダウサムAが六〇%、KSKと称しますものが四〇%の混合物でございまして、食品工業用の熱媒体でございます。御案内のように昭和四十三年にカネミ油症事件を起こしましたPCBの代替品といたしまして使用されている物質でございますが、塩素を含んでいないということなどもございまして、その毒性はPCBよりはかなり弱いけれども、人体に全く無害とはいえないものでございます。 会社で製造されました食用油は、同社の卸売り先が一都一府十九県に及んでおりまして販売されておる模様でございます。 これに対しまして厚生省は、国民の健康被害の発生予防といろ見地から次の措置を講じました。 千葉県に対しまして、三月十一日早朝に、まず当該食用油の販売の停止、移動の禁止、製品の回収。この対象といたしましたものは、まず二月二十日から三月二十日までの間に製造された食用油約五百二十トン。これにプラスいたしまして、倉敷にあります日本興油株式会社のほうで製造された約九百トンの油、これが実は千葉ニッコー株式会社のほうに送られまして、それでビン詰め等を行ないまして出荷されておるという事実が判明いたしておりますので、この約九百トンを含めまして千四百余トンでございます。 さらに、三月二十一日以降四月十日までのものにつきましても、予防的見地から、疑わしいものは禁止するという見地から同様措置を追加指示いたしました。たまたま二月二十日の日に定期検査をやっておりまして、そのときにはこの工程についての異状が発見されておりませんので、二月二十日以降四月十日まで——四月十日には措置をとりましたので、そのものについて対象といたしたわけでございます。 それから、当該食用油について分析を実施すること。それから、製造業者——千葉ニッコー株式会社でございますが、これに対する営業停止処分、これは十一日の午後三時に営業禁止の命令をしております。 なお、出先が一都一府十九県というふうに出回っておる関係から、これらの関係都府県に対しまして、同様に当該食用油の販売停止、移動の禁止、製品の回収、それから当該食用油の分析等を実施するように指示いたしますとともに、何と申しましても消費者に対する不安の解消ということが最大重点でございますので、消費者に対する当該食用油を摂取しないような広報並びに消費世帯に対しては摂取状況及び健康状態の調査を指示いたしてございます。 なお、厚生省自身といたしまして、当該食用油について国立衛生試験所において分析を実施し、毒性試験、ことに慢性毒性試験について着手するように手配済みでございます。また、事件発生後直ちに現地に担当技官を派遣いたしまして、実情の調査に当たったところでございます。それから、現在、出荷量の調査は、流通先の末端に至るまでの調査を実施いたして、できるだけ全品回収につとめるように全国的に指示をいたしております。 以上が概略でございます。
○近江委員 これはカネミの油症事件以来の大型の事件であると思います。こういうことは二度と繰り返してはならない問題でありますがj不幸にしてまたこういうことになってしまいました。これはほんとうに手抜かりであったと思うのですが、その辺の反省等もあとで大臣にお聞きしたいと思います。 それで、この毒性の問題ですけれども、急性毒性については若干やっておると思うのですが、こうした慢性毒性なりあるいは相乗作用ですね、こういうことにつきまして、科学技術庁に対して各種のそうしたものについて研究を進めるようにいつも言っておったわけですが、これについては特調費等のそういう緊急の体制をとっているのですか。
○千葉政府委員 現在までいろいろな化学物質につきまして、先生のたいへん有益な御指摘がございまして、研究を進めるようにといういろいろ御指示もございました。実は、特調費を中心としまして、この種の研究につきましては、PCBで御案内のとおり、総合的に積極的に進めているという状況に相なっております。こういったものにつきましては、今後とも積極的に対処する用意があるわけでございます。
○近江委員 そうすると厚生省のほうは、科学技術庁のほうとその辺の話し合いはできているのですか。どのぐらいの予算でやるのですか。
○浦田政府委員 まだこちらのほうから希望は申し上げておりませんが、現在、国立衛生試験所を中心として、どのような体制でやるかということについて、その中身並びにそれに要する費用等について相談中でございますので、これができ上がり次第、科学技術庁のほうに特にこの点についてもお願いをいたしたいと考えております。
○近江委員 いま千葉さんも、これについてはできる限りのことをするということをおっしゃっておりますし、これだけ国民の不安もあるわけでありますので、科学技術庁としても全力をあげて取り組んでいただきたいと思います。長官はどうですか。
○前田国務大臣 この事件に関連いたしまして先生のただいまの御指摘、私も全く同感でございまして、当庁といたしまして積極的に取り組みたいと思います。
○近江委員 それで、熱媒体であるとかこういう化学物質の混入、これは特に食品関係に重大な影響を与えるわけです。これは農林省が工場のそういう所管をしておりますし、厚生省もそれに対する検査等もやっておるわけですし、また、媒体については通産省関係があるわけですが、いずれにしてもこういう事件があとを断たないということは、私非常にまずいと思うのです。この事件だけではなく、特に食品関係のこういう媒体物質を使っておるところにつきまして、一斉調査をやる必要があるのと違いますか。これについては厚生省なり農林省はどう考えていますか。
○浦田政府委員 厚生省といたしましては、食品衛生法上の立場から、これらの当該施設に一斉検査をするように現在手配中でございます。それから、これは関係各省庁とも十分に連絡しなくちゃなりませんが、これから先、これらの施設につきまして定期的に検査をするといったような体制を至急に考えるべきではないかということで、私どもはいま検討をいたしております。
○近江委員 代表で局長お答えになったと思うのですが、農林省もその点は反省してやっていますか。
○籾山説明員 十日に厚生省のほうで御調査なさったようでございます。私どもも昨十一日に内容がわかったような次第でございますけれども、油脂関係の搾油メーカーの団体でありますところの日本油脂協会というのがございますが、日本油脂協会と当該ニッコー関係の方に来ていただきまして、事情を聴取いたしますと同時に、直ちに熱媒体関係の施設についての総点検をする必要があるんではないかということを、口頭ではございますけれども指示いたしまして、自主的にそれをやっていただきたいというふうに申し上げているのが今日までの段階でございます。
○近江委員 まあ、農林省もこういう件についてほんとに重大な反省をして、二度と起こさないように、厳重な立ち入り検査等もやってもらいたいと思うのですね。 それで、こういう有害な化学物質というものは無数にあるわけです。通産省も薪法を出して、参議院先議でいまやっておりまして、やがて衆議院のほうでもやりますけれども、主として新製品のそういう検査ということについては意を払うと思いますが、既存の無数にあるものについて全部やるんですか。
○小幡説明員 いま先生御指摘のとおり、通産省におきまして、厚生省ともども、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案というのをただいま国会に提出いたしまして、これから御審議を願うことにしておるわけでございます。この法律案は、昨年六月衆議院の本会議におきまして、PCB類似の工業原料についても、同種の被害を未然に防止するために、法制化等万全の措置を講ずること、という決議がなされまして、それを踏まえて立案したものでございます。 被害を未然に防止するという点につきまして、新規の化学物質につきましては製造、輸入の前にその化学物質の性質を審査する、審査をした結果安全であるということにならなければ製造、輸入はさせない、こういうたてまえをとっておりますが、ただいま御指摘の既存物質につきましても早急に試験を実施するという方針でおりまして、そのために四十八年度、約一億四千万円の試験費用を予算に計上いたしまして、これによって試験を行なってまいりたいというように考えております。 ただ、既存物質の数は非常にたくさんございます。これについて全部やるのか、こういう御質問でございますが、非常にたくさんある物質のうちで、いわゆるPCBのように環境を汚染して、それが生物に蓄積され、そして人体に意図せずに摂取される、こういうパターンの被害を防止することがねらいでございますので、ある程度数量の多いものから審査をしていくのが一番いいやり方ではないか、このように考えております。したがいまして、短期間に数量の比較的多いものをできるだけ全部やってまいりたい、このように考えて、来年度以降も必要な予算措置を講じてまいりたいというように考えております。
○近江委員 そういう環境汚染からいろいろ及ぼしていく物質である、特にこういう食品に関係のある熱媒体であるとか、特に人体に影響がある、そういうところは考えていけばチェックできると思うのですね。ですから、そういう点につきましては各省総力をあげてやるべきですよ。どこの所管か、厚生省だ、通産省だと、そんなことを言っているから抜け穴になってくるわけですよ。これについて、長官としては、要するに一切を統括するような立場におられるわけですね。これについてはほんとうに重大視されていますか。今後どういう決意で臨まれますか。
○前田国務大臣 今回の食用油のような、事件が起こったつどどろなわ式にやるのではなくて、事前点検といいますか、その姿勢は近江先生御指摘のとおりでございまして、実はきのうも中性洗剤でございますが、鈴木一弘先生から参議院の予算委員会で御指摘がございました。これも同じ問題でありまして、実はそのあとも、総理がわれわれ関係閣僚に、こういう問題は至急に検討しなければいかぬ、検討じゃありません、ほんとうに取り締まれとおっしゃったわけです。しかも、そういう各省、各庁ということに関係なくやらなければならぬということを、あのあとわれわれに強い指示がございまして、これは当然でございますけれども、化学物質の問題については、近江先生従前から御指摘されておるということは、実は委員会の記録を読んでみてもよくわかっておりまして、先生の御趣旨に沿いますように、先生の御趣旨は国民の意思だというふうに私考えておりますので、積極的に、各省庁ということにとらわれることなく、さればといって科学技術庁で全部やるというわけにまいりません。しかし、総合的に、あるいは研調費を利用するとか、いろいろな方法でできるだけわがほうでもやり、各省庁にもその方針を指示したいというふうに考えております。
○近江委員 この点は、特に各省庁力を合わせてどうか対策をとっていただきたいと思います。特に要望しておきます。 それから、この前、科学技術庁の資源調査所が「高密度地域における資源利用と環境保全の調和に関する勧告;関東南部における下層大気の質と表層生物の保全を中心として」というのを発表されたわけです。これは非常に重大な警告ともなりましたし、非常に意義があったと私は思うのですが、関東だけに限らず、関西圏におきましても、こうした高密度地域というものがあるわけです。全国的にもあるわけですが、規模におきましては、関東と関西というのは目玉じゃないかと私は思うわけです。特に関西、大阪を中心として大気汚染もどんどん進んでおりますし、特に生駒山系あるいは北摂山系では大気汚染でどんどん立ち枯れも出てきておるような現状であります。 こういう点が一つと、さらに関西一千万の飲み水といわれる琵琶湖、さらに淀川水系、こういうところの汚染が非常に進んでおるわけです。それで琵琶湖総合開発法もできまして、進みかけておるわけでありますが、実際にそういう水質保全という立場におきましてどれだけの効果があるか、むしろ汚染を進めるのではないかという心配もあるわけです。 それで、御承知のように琵琶湖におきましては、こういう都市排水あるいは工場廃液、農薬、それから周辺の砂利採取、こういうことでどんどんと汚染が進んでおります。さらに水位の低下ということもありますし、よけい汚染も進んでくる。特に工場廃液の問題につきましては、湖南、湖東地方に続々と工業団地が生まれているわけです。それが順調に進みますと、数百の企業が動き出すことになります。そうすると、工場廃液がどっと琵琶湖に流れ込んでくる。それで流域下水道の青写真等を見てみますと、完成するのが大体二十年先である。こういうような状態ではたしていいのかということですね。 こういう点からいきますと、こういう水系におけるそういうような調査も急いでやらなければならぬと思うのです。こういう点、きょうは酒井所長も来られておりますし、関西のように集中したところは全国的にもまれではないかと思うのですね。一千万の人が水を飲んでいる、あるいはその密度におきましては関東を上回るような大阪の状態でもあります。こういう調査につきましてどう考えておられるか、お伺いしたいと思うわけです。
○酒井説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生から御指摘のように、昨年五月三十日に勧告二十六号というのを出しまして、関東南部を例にしてやったわけでありますが、これは、私のほうといたしましては、関東南部地域というのは例示でございまして、新しい技術も使っておりますそれの技術の適用の考え方、また手法をどういうふうに当てはめていくかということをその中で指摘して、こういうことが非常にやり方が有効であるから至急やってほしいということを勧告したわけでございます。その後、勧告が出まして約一年たっておりますが、関係省庁、または地方自治体で、続々この手法で取り上げてやっていただいておりますが、私の手元にありますところでは、関西地域では瀬戸内、琵琶湖の問題、それから和歌山市がそういう緑地調査をやっておる。一部海上保安庁が、熱赤外を使いまして水質汚濁の調査をやっておるという状態でございます。 先生が御指摘の、勧告によりますと——一応この勧告書では大気をやりまして、水質汚濁についてはあまり触れておりませんが、リモートセンシングの技術を使ってやりますと、いわゆる水質のダイナミックなとらえ方ができる。どこにどういう汚染が出たからすぐ手当てをしなければいけないということ、また、一雨来て流れてしまったら痕跡がなくなるということのないような方法もできますので、さらに資源調査会とタイアップいたしまして、今年度から水質の、これは多目的でございます有効利用、水を二回も三回も再利用するということと、高次処理を組み合わせたシステムを開発しようという調査も行なっております。そのケーススタディーといたしましては、いま淀川をとって作業中でございます。
○近江委員 それで環境庁とも非常に関係があるわけですけれども、環境庁としてもそうした大気汚染、あるいは世界的にも類のない、一千万の人が水を飲んでおる、こういう水系につきまして特別な調査をしていくという準備をなさっておりますか。
○山形(操)政府委員 お答えいたします。 環境庁のほうでは、大気汚染防止法に基づきまして、環境基準を維持達成すべく汚染物質の規制を強化する作業をしておりますが、先生御指摘のこういう総合的な調査、研究の面におきましては、特に力を入れております。 全国的に測定局を設けて測定して、そのデータをキャッチしておりますけれども、例の光化学問題が非常に起きてまいりましてから、約二千メートルくらいの低層大気の動きが非常に問題になってまいりましたので、東京湾を中心といたしまして、一昨年、昨年と東京湾上に航空機を飛ばして、科学技術庁の手法と少し異なりますが、コリレーションスペクトルメーターというもののやり方で、空中から汚染物質の濃度をはかり、地上の測定とあわせて解析をしていくという作業を進めておりまして、硫黄酸化物あるいは窒素酸化物の低層大気の移動というものをつまびらかにしつつございます。四十八年度は、これをさらに大阪湾のほうに実地に移そうということで、大気汚染の発生条件と、さらに重篤な健康被害ももたらしますので、それらについて突っ込んだ総合調査をやるべく準備中でございます。 東京湾と大阪湾の結果をもとに、光化学反応の防止につとめるという作業を目下つとめておりますが、これ以外に、最近環境容量をもとにした総量規制方式の導入ということも問題になっておりますので、これを目下岡山県の水島地区においてコンピューターシミュレーションの手法を取り入れて、実施検討を続けております。 いずれにいたしましても、科学技術庁のこういう成績も大いに参考にいたしまして、大気汚染物質の移動あるいはその変わっていく姿等を、空陸一体に調査していく準備を進めておる最中でございます。
○近江委員 それでは、科学技術庁としましても、こういう関東南部の非常に効果的な勧告をなさったわけでありますし、ぜひとも関西におきましても、また淀川、琵琶湖水系におきましても、いままで水質等もあまりやっていないわけですから、大いに力を入れるべきだと思うのです。この点、ひとつ局長と大臣から、決意と具体的な答えをいただきたいと思います。
○千葉政府委員 実は、当庁の立場でございますが、環境庁のほうはいま環境庁側から御説明申し上げましたとおりで、この種の環境の問題につきましては環境庁が中心になってお調べになるということになっております。当庁といたしましては、もう御案内のとおり、こういったようないわゆる新しい手法につきまして、これを先ほど御指摘のとおり、非常に効果的に、たとえば樹木の問題、それから水の問題、それから環境総量の問題、こういったような問題を、的確に観測していろいろな調査が可能になるように、そういったいろいろなシステムの手法を、これは現状はまだいろいろ流動的でございますので、こういったものを早急に開発して、的確な測定ができるような技術開発を進めていきたいといま考えております。 それには二種類ございまして、いわゆるリモートセンシングのような機器の利用の開発研究、それから、これは御案内のとおり、いろいろなカメラですとかマイクロ波の放射計ですとか、そういったようなむずかしい機器を精度よくしなければいかぬ、そういったような開発をする必要があるわけでございます。 第二点が、そういった技術の実際の利用のシステムの開発計画、これは先生が先般御指摘になられたように、いわゆる資源調査所でやっておりますような、飛行機を使う、それから地上で写真をとる、こういったようなミクロ的なことだけではなしに、それプラス、衛星からとる、アーツ衛星を利用して、マクロ的にも詰めていくというようなことが、先般発表いたしました研究成果からできるということが明確になりましたので、こういったものを組み合わせて、いかに高度な利用を行なっていくかという、その利用システムの開発が非常に重要だ、こういったものを進めていくわけでございます。この特調費も、総合研究としてこれを取り上げて、総合的に進めていこうということで、その一環として、マクロ的に、特に衛星を中心にいたしまして日本列島全体を調べて、その中に、関西というのは当然これは重点的に調べることになるかと思います。そういった点を重点的に推進していきたい、かように考えております。
○近江委員 それで、私が関西だから関西のことを言うておるのと違うのですよ。あれだけの密集地域であるわけですから、やはり気流状態が全然違うわけですよ、南関東とは。そういう点で私は言っているわけです。だから、特にいま全国的に調査もなさるとおっしゃったのですから、やはりそういう人口密集地域というものは、何よりもまず手がけるべきだと私は思うのですよ。水系につきましてもやってないわけですから、いま所長がやるということをおっしゃったのでそれでいいと思いますが、いずれにしても力を入れて、そういう重点地域から着手をし、また全国的にも早くその調査を進めていただきたいと思います。こういうことに力を入れるのと違いますか、長官、これどう思いますか。
○前田国務大臣 大気汚染、水質汚濁、そういう公害の防止というのは、やはり科学的根拠に基づいてやらなくちゃいかぬということを私も痛感しておりまして、その意味におきましてリモートセンシングというのは、これはほんとうにわれわれは利用すべき技術じゃないか、その技術を確立しなければいかぬと思いまして、当庁はリモートセンシングの技術の確立に全力をあげておるわけでございます。 その意味におきまして、先般関東地域にそういうリモートセンシングの技術によって調査した結果を勧告をしたというわけでございますが、関東地区だけにやるというのは私も気に食わぬのでありまして、関西地区もぜひやってほしい。私も関西出身でありまして、非常にこれはおかしい。むしろ関西も淀川水系とか琵琶湖とか、人口が非常に密集しております。これを抜きにしてどうするんだという気持ちを私も持っております。また、関西だけでもいけません、北九州とか日本列島全般にわたりましてやらなければいけません。私も、アーツ衛星並びにスカイラブも近く通るわけでありまして、これも利用して、御指摘の点に十分沿いまするように、関東だけじゃなくて、関西もまたその他の地区もあわせて、そういう公害防止に取り組めますような体制を早くつくりたいというふうに考えております。
○近江委員 いま長官、アーツ衛星ということもおっしゃったわけですが、これは資料もどんどん来ておりますけれども、科学技術庁は資料をどんどん公開しますか。何か取り込んでしまって、なかなか出さぬというようなことも聞いておるわけですよ。それはアメリカ、の約束はどうなっておるのですか。秘密主義というのはよくないですね。
○千葉政府委員 実は、その点につきましては、米側とあれを利用させてもらうにつきまして、一体どういった研究に利用するんだ、その研究がよければ自分のところのデータを無償で提供してやろう、こういったような申し出が国連を通じてございまして、その国連を通じてきたのに、要するに米側の了解なしにはこの研究以外のものに公開しないでほしい、こういうことも言っておりますので、いま取り扱いはそういった取り扱いにしております。
○近江委員 有効にそういうデータを使うわけですから、ただ向こうが言っているからということだけで、そういう四角定木なことじゃいかぬと思うんですよね。こちらから積極的に、こういうことについて使わしてもらいたい、こういう点については公開したい、もっと意見を言って、多角利用をはかってもらわなければいかぬと思うのですね。いまも長官もおっしゃったわけですから、特にその点強く要望しておきます。
○千葉政府委員 実は、その精神にのっとりましていろいろな研究者を広範囲に入れまして、ほかのほうにもどういうふうに利用できるかということは、各方面の研究者の方にあれをお見せはしております。ただし、これにつきましては、米側にもそういったようなやり方をしているんだということは了解はとっております。大いに先生のおっしゃるような方向で有効利用をしていきたい、かように考えております。
○近江委員 今度はちょっとまた変りまして、時間の関係で端的にずっとお聞きしていきたいと思いますが、原子力発電所もどんどん日本各地において建設されております。運転中のもの、建設中あるいは審査中といろいろあるわけですが、先ほども環境の問題も出たわけでありますけれども、国立公園とか国定公園内にどんどんとまた建設されているものがあるわけです。関西の美浜発電所、高浜発電所、大飯発電所、これは若狭湾国定公園になっていますね。日本原発の敦賀発電所これも若狭湾国定公園になっている。あるいは動燃の敦賀建設事務所、これも若狭湾国定公園になっている。こういう国立公園あるいは国定公園の中にどんどん今後も建設していくということについては、環境庁としても非常に問題があると思うのですね。この点環境庁としてはどう考えていますか。
○首尾木政府委員 先生の御指摘のように、若狭湾につきまして、現在国定公園でございますが、原子力発電所ができておりますが、私どもは原子力発電所の設置の問題につきましては、やはりこれが国立公園としての景観の保全というような点から問題があります場合には、これを十分に審査をいたしまして、そのような景観破壊といったようなことのないように、厳重に今後考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。 現にいま計画中ということで和歌山県の勝浦地区、それから瀬戸内海、これは岡山県の鹿久居島でございますが、これにつきましては計画中でございますけれども、この問題につきましても、これは地元におきまして、国立公園の地域内ということで、これを建設することについて合意が得られないというような状況でございますので、私どもはそういったような現地の状況も十分考えながら、また特に自然公園の景観の保全という点では厳格にこれを審査して対処していこうというふうに考えておるわけでございます。
○近江委員 それで計画がされて、それから電源開発審議会のほうにくるわけですね。それから具体的に科学技術庁のほうへくる。そうすると、環境庁としては電源開発審議会のその段階からもうタッチされるわけですね。
○首尾木政府委員 むしろ電源開発審議会の以前に、国立公園の地域につきましては、国立公園の中でそれをやるかどうかということについての審査といいますか、それが先だって、その後に、そこで支障がないということになりましてから電源開発調整審議会のほうにかかっていくというような手続になっておるわけでございます。
○近江委員 こういう環境というものは、景観の問題も一つの問題でありまして、大事なことはやはり密集地域を離れるとか、そういういろいろな問題があると思うのですが、環境全般に対して、局長または大臣はどういう配慮を払っているのですか。
○成田政府委員 原子力発電所の環境との関係につきまして、自然公園等の景観との関係につきましては、いま環境庁のほうからお答えがありましたように、電調審の前の段階、設置地点予定地の事前調査の段階、ボーリングをやるとか木竹の伐採をやるとか、そういう段階から環境庁の許可あるいは県知事の許可等によって景観との調整が十分とれるかどうかということを、ケース・バイ・ケースで見ていただいて、その上で許可になるなり、また景観との調整がとれるようなかっこうで発電所の設置というふうに進む段取りになっております。 それから、電調審におきましても、環境庁長官は強力な一員としてそういう配慮の見地から十分検討を行なうことになっております。その他温排水につきまして、発電所から出るところの温排水は、水産物あるいはその周辺の環境に対する影響についてこれも最近非常に大きな問題になっておりますので、この点も原子力委員会あるいは環境庁、通産省等々と十分話し合って、そして原子力委員会としても地元の理解と協力を得るためには、温排水を中心とした環境問題、これにも取り組むことになっておりまして、いまどういう形でやるかいろいろ検討して、さらに強力にやるための方法を検討中でございます。
○前田国務大臣 原子力発電の立地につきましては、先生御承知のとおり、まず安全性の確保ということが大前提でございます。また、環境との調和ということもこれまた大条件でございます。環境問題につきましては、環境庁長官という専任の長官がおりまして、環境庁へ、別に責任を向こうにまかすわけではございませんが、環境庁長官の意見を聴し、環境庁長官の許可等も必要でしょうし、また、環境庁長官が電調審のメンバーになっておるという関係で、環境問題にはそういう面で取り組んでいきたい。それから、ただ景観をそこねるからとかそこねぬからというだけの問題ではございません。やはり安全性というか、そういう点もよく加味しまして、総合的見地に立って原子力委員会においては検討いたしたい、そういうふうに考えます。
○近江委員 それから、きょうは工業技術院長も来ておりますので、大型プロジェクトの問題についてちょっとお聞きしたいと思います。時間の関係がありますので、簡潔に御答弁願いたいと思います。 この大型プロジェクト制度の趣旨、目的等につきまして簡潔にまずお伺いしたいと思うのです。
○太田(暢)政府委員 大型工業技術研究開発制度、これは国民経済上、研究開発を行なうことが緊急かつ先導的でありまして、しかも非常に大型である、そういった工業技術に関しまして、国が必要な経費の全額を負担して産民学の密接な共同体系のもとに研究を計画的、効率的に行なおうとするものでございます。
○近江委員 それで、いままで研究が終了したものにつきまして、評価分科会等で評価がされておるわけですが、どういうプロジェクトが終わったのですか。
○太田(暢)政府委員 現在までに完了いたしましたものは三つございまして、一つは超高性能の電算機、これは四十一年から始めまして四十六年度で完了いたしております。それから脱硫技術の開発研究でございまして、これが四十一年から四十六年度にわたりまして完了いたしました。それからオレフィン等の新製造法、これは完了ではございませんが、四十二年から始めましたけれども、諸般の事情によりまして四十七年の五月に一応中止を決定いたしております。
○近江委員 これについてはどれだけの費用を投じたのですか。
○太田(暢)政府委員 超高性能の電子計算機につきましては、実績ベースでは約百億でございます。それから脱硫技術のほうは二十五億九千万、それからオレフィン等の新製造法につきましては、約八億九千万でございます。
○近江委員 それで院長として、三つ一応終わったということになっているわけですが、どのように評価されておるのですか。
○太田(暢)政府委員 おのおのの終了いたしましたプロジェクトに関しましては、工業技術院の諮問機関でございます工業技術協議会の中に評価部会を置きまして、ここで学識経験者の方々にいろいろ評価をお願いしておるわけでございますが、その結果に基づきまして結論を御報告いたしますと、まず超高性能の電子計算機、これは四十一年から始めておりますが、当時日本と外国、特に米国との間に非常に大きなコンピューターにおける技術格差があったわけでございます。今後コンピューターが国の経済あるいは国民生活にとって非常に重要な技術になるということで、この格差を何とか縮めていきたいということでスタートしたわけでございますが、幸いにしまして大体予想の成果をおさめまして完了いたしております。この成果は各部分的ではございますが、すでにいろいろな方面に使われ始めております。 それから、脱硫技術でございますが、これは内容が大きく分けまして二つに分かれまして、第一番目は排煙脱硫の問題でございます。それから二番目が直接脱硫でございまして、排煙脱硫のほうは四十一年から四十四年までかかって行ないまして、これがさらに二つのサブテーマに分かれております。第一番目が活性炭法でございます。もう一つが活性酸化マンガン法でございますが、このいずれも、現在活性炭法につきましては、東京電力の鹿島の工場でほぼ実用規模の試験装置をつくりまして、現在順調に試運転が進行いたしております。それから活性マンガン法、これは四日市で関西電力が同じく実用規模の試作機をつくりまして、これの試験運転を目下進行いたしておるところでございます。 それから、直接脱硫のほうは、四十二年から四十六年まで行なったわけでございますが、最終段階におきまして行ないましたものは、処理能力で五百バーレル・パー・デーの処理能力のテストプラントで行ないまして、これは懸濁床方式といいまして、独自の方法を開発したものでございますが、この方法も大体順調に行ないまして、現在その委託先でありました民間会社で一万バーレルの実装置に近いものをつくりまして、これの開発研究をさらに進めていくという計画になっておりますので、これも一応所期の成果をあげておるというぐあいに解釈いたしております。 それから、三番目のオレフィン等の新製造法でございますが、これは四十二年の立案当時におきましての見通しでございますが、今後国民の生活に非常に重要なエチレンとかプロピレンといった低級オレフィンを製造する技術、これは現在はすべてナフサに依存しておるわけでございますけれども、ナフサの需給状況が今後非常にタイトになるだろう。日本の中に見ましても、また世界的に見ましても、需給のバランスが、非常にナフサの入手が困難になるであろうという見通しのもとで、より入手の容易であります原油を原料にしてオレフィンを直接製造しようという画期的なアイデアに基づいた方法を伸ばすべく取り上げたわけでございます。ところが、これにつきましては、四十六年、四十七年ごろ、特に四十六年ごろまでに大体の小型のテストプラントの実験がある程度、いろいろな技術的なむずかしい問題はございましたが、大体一応の成果をおさめておったわけでございますけれども、経済的な情勢その他が非常に大きく変化いたしまして、この問題は遠い将来を考えますと依然として重要な技術として考えざるを得ないと思いますが、さしあたって緊急性という面で、この方法をさらに続けていくということは一応見合わせたほうがいいんじゃないかということで中断いたしたわけでございます。つまり、この研究の中間過程において中断したわけでございますが、技術的には一応の成果を得て、次の段階には相当大きな金額の研究費をさらに導入しなきゃならないというところで、少し経済状態その他の様子を見まして、より緊急性が出た段階で再びこれを再開するかどうかということを考えていきたいというぐあいに考えて中断したものでございます。
○近江委員 その直接の責任者として評価されておる、やはりそういう立場はわかるんですけれども、しかし脱硫につきましても、直接、排煙とも、結果的にはコストの上で非常に目標値を上回ってしまった、こういうことで、工業技術院の開発したものは使えないという声が非常にあるわけですよ。現実にいまどんどんとそういう脱硫装置もできておりますけれども、先ほどおっしゃった一万バーレルというものだけですよね、ほかは全部アメリカ等から入ってきておる技術でやっておるわけです。これだけの国費を投じながら、使われない技術を開発していく、それは確かに研究なさっていくということについてはむずかしいことは私わかるわけですけれども、そういう点、やはりやる以上は、大きくまたそれが効果あるものにしていただかないと、やはりこれは国民の税金をつぎ込んでおるわけですからね、その点についてはどう思いますか。
○太田(暢)政府委員 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、この大型プロジェクトの研究は、究極的にはこの成果が国民の上に還元されなければならない、これはもう申すまでもないわけでございます。ただこの、いま例としておあげいただきました重油の直接脱硫に関しましては、御承知のようにほとんど、世界全体的に見ましてアメリカの技術で、これはアメリカの技術だけが採用されているわけでございます。 それで、かなりむずかしい技術であるわけでございますが、幸いにしましてこの大型プロジェクトは、先ほど申し上げましたように、一応の成果をおさめまして、近々一万バーレルのさらに大きなテストプラントが動いて、研究をさらに継続されるということになっておるわけでございますので、それらの成果もできるだけ早く実用化に結びつくように私どもとしてはいろいろ考えていきたい、こういうぐあいに考えております。
○近江委員 それから、特にオレフィン等の新製造法につきまして約九億近い金を入れて中止してしまっておる。いますっとその事情もおっしゃったわけですけれども、これは最初の見通しといいますか、当時の経済情勢、政府のそういう政策といいますか、それに乗っかって決定されたとは思うのですけれども、もちろんその技術は決して使い捨てにはならないと思いますけれども、やはり目標をきめてやっていって、途中で、これだけ金を入れながらも中止だ、政府のそういう方針決定というものは、私は見通しを誤っておるんじゃないがと思うのですよ。こういうことについて科学技術庁は研究調整でやっているわけでしょう。こういうのをなぜ中止したのですか。今度は科学技術庁に一ぺん聞きますか、局長に。
○太田(暢)政府委員 この大型プロジェクトは、具体的には通産省の責任において行なっているものでございまして、いまの一連の問題、中断につきましては見通し云々の御意見をいただいたわけでございますけれども、確かにそういう点も、その当時としましては、大体いけるということで、非常にむずかしい技術ではあるけれども、これができれば非常に画期的な技術であるということで、ぜひこういうものを伸ばしたいということでやってまいったわけでございますが、一応技術的にはある程度の成果、予期の成果を得られたわけでございますので、経済状態その他のところで最初に予期できなかった大きな変動がありまして、ちょっと中断をしなければならないというようなことになっておるわけでございますが、今後ともこれにつきましては、さらにこれをどういうぐあいに伸ばしていくか、これは技術としては決してすたれるものでもございませんし、今後どういうぐあいにこれを実用の技術につなげていくかということについても、十分検討していきたいと思っております。
○千葉政府委員 通産省の行なっております大型プロジェクトの点につきましていろいろ御指摘がいまございましたが、実は科学技術庁といたしましては、この科学技術会議の五号答申におきまして、いわゆるこの種の大型プロジェクトが非常に重要である、推進をするようにというふうに述べられておるわけでございまして、当庁といたしましても、通産省が十分成果をあげるようなやり方で研究を遂行するように、見積もり方針の調整によりまして、まあ最重点の研究項目として推進をしてきたわけでございます。残念でございますが、この種の研究につきましては、非常に成果をあげるもの、また、せっかく成果を見込んでやりましたけれども、どうも思わしくいかないという点がございまして、通産省からこれを中止せざるを得ないというような意向を伺いまして、まことに残念でございますが、そうせざるを得なかったろうというような認識をしたわけでございます。
○近江委員 大型プロジェクトとしてMHD発電、それから海水淡水化と副産物の利用、大深度遠隔操作海底石油掘さく装置、電気自動車、パターン情報処理システム、航空機用ジェットエンジン、原子力製鉄、自動車総合管制技術、こういうものがいただいたデータにも出ておるわけですが、これだけ国費を投じてやるプロジェクトですから、こういう点につきまして科学技術庁としても真剣に取り組むべきじゃないですか。工業技術院だから通産省にまかしておくのだ、こういうことこそほんとうに国民に密着した、生活優先の立場からやっていくべきことと違いますか。これはいままでのような生産、産業技術、こういうプロパーのものが非常に多いわけですね。やはり私は、こういう点から人間優先といいますか、人間のためという視点に立ってこういうものを設定すべきじゃないですか。やりかけて途中でやめてしまう、これは確かに研究員の待遇とか、そういう点を当委員会においても取り上げて若干のプラスにはなったわけですけれども、そういう点はもう大いに政府としても考えてもらわなければいかぬわけです。働く人がほんとうに希望を持って打ち込めるような、そういう体制を早くつくってあげなければいかぬわけですね。別に、研究のすべてが成功するとは言いませんけれども、しかし、少なくとも目標を立てた以上は、途中で変更するとか、あるいは考え方が、いま私が申し上げたように産業技術優先という考え方があるわけですね。この点はもっと真剣に、科学技術庁が中心になって考えてもらうべきですよ。違いますか。その点ひとつ局長と大臣にお伺いしたいと思うのです。
○前田国務大臣 ほんとうに近江先生、御指摘のとおりだと私思います。大型プロジェクトの問題は工業技術院の問題だから、科学技術庁はこれは人のことであるというような考え方は毛頭持っておりませんで、現在見積もり方針の調整によって必要な意見を述べてしておるわけでありますが、指導するというふうなことは、あるいはおこがましいかもしれないけれども、もっと深く科学技術庁が関与すべきである、私はそういうふうに考えております。別に科学技術庁の権限を強化しようという認識じゃありませんけれども、私は先生の御意見とその点は同じでございます。 ただ、人の問題あるいは機構の問題等によりまして、はたしてどれだけその能率をあげることができるものかどうか、私も少し危惧する面もございます。しかし、科学技術庁がほんとうに人間福祉のための科学技術行政というものを打ち立てるためには、そういう問題に真剣に取り組んでいかなければならない。これは人の問題であります、産業技術の問題は向こうでやってくださいというような調子で、そんな安易な気持ちは持っておりませんけれども、真剣に、先生の御指摘の気持ちを体して取り組んでいきたいということを申し上げて、お答えにかえます。
○千葉政府委員 いま大臣が御指摘の問題についての姿勢の問題をお答えしましたが、私ちょっと内容を申し上げたいと思うのでございます。 実は、もう御指摘のとおりではございますが、通産省で行なっております大型研究、これにつきましても、よく見ますと、要するに科学技術の振興は、当然国民生活の向上でございます。一面、先行的な研究、さらに基盤的な研究が必要でございます。それで、そういったような角度から見ますと、たとえば海水の淡水化の問題、こういった問題は、これは国民の福祉の向上に非常に役に立つようなものだと思うわけでございます。たとえばまた電気自動車の問題、これができますれば、都市公害の大気汚染の問題も、これはもう相当部分が片づくのではないかという期待もあるわけでございます。そういった点につきましても大型研究を進めておるわけでございまして、全部が全部いわゆる産業優先ということではないと思いますし、通産省としてはまあ精一ぱいやっているかと思います。御指摘のとおりでございますが、大臣のいま申し述べました点もございますので、今後見積もり方針の調整にあたりましては、十分に留意いたしまして進めていきたい、かように思います。
○太田(暢)政府委員 千葉局長から私どものほうのテーマにつきましての御説明がございましたが、私どものほうとしましても、決して産業優先というようなことは考えておりませんで、究極的には、人間尊重とかあるいは社会開発のために今後国として重要な技術を開発したいということでやってまいりましたし、また、今後とも一そうそういう方向でテーマの選定あるいは研究の推進に努力いたしたいと思っております。 それから、ちょっとつけ加えさせていただきますと、先ほどのオレフィンの中断の問題でございますが、これは今後経済状態その他の状況変化がございましたら、次の段階、これは大体百二十トン・パー・デーくらいの規模のもの、そういったものが研究段階にあるわけでございますが、そういう方向に結びつけて、これを何とか実用化に結びつけたいというぐあいに考えております。
○近江委員 じゃ、もう時間がありませんから終わりますが、いずれにしても、こういう限られた中で研究なさっておるその御苦労もよくわかるわけです。ですからわれわれとしても、何とかして皆さん方の成果があがるような充実した体制もつくらなければいかぬということで、われわれ委員会でもそのことをいつも言っているわけです。しかし、そういう限られた中で国費を投じてやるわけですから、最大の効果を出してもらわなければいけないし、またそれがほんとうに国民に直結したものでなければいかぬと思うのです。ですから、大きく時代も変わってきておるわけでありますし、今後は、長官もおっしゃったように、ほんとうに人間優先の立場に立って、テーマの設定あるいはまた進め方等につきまして、科学技術庁が責任をもって、また通産省、各省ともよく話し合いをやって、効果のあるようにやっていただきたいと思うのです。 これを特に要望しておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○石野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十分散会