沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第9号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/06/22
会議録
○浅井委員長 これより会議を開きます。 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので順次これを許します。佐藤孝行君。
○佐藤(孝)委員 さっそく質問させていただきますが、けさほどの新聞報道によりますと、本年の十月初めに田中総理がソビエトを訪問されることが内定したような記事が出ておりますが、懸案の北方領土問題について、これから外務大臣並びに外務省当局の見解を承りたいと存じます。 最初に北方領土の基本的な事項についてでありますが、一九五六年の日ソ国交回復後十六年ぶりに、昨年のたしか十月だったろうと記憶しておりますが、大平外務大臣が訪ソされ、第一回の日ソ平和条約締結交渉が持たれ、私どもは長年硬直状態にあった北方領土問題が大きく前進するものと期待しておりました。しかしながら、ソビエト側の態度は依然としてかたく、合意に達することなく本年じゅうに第二回の交渉が継続されると聞いておりますが、ここで私が申し上げたいのは、ソ連側が従来まで北方領土問題は解決済みとしてきた強い姿勢を、一昨年ですか、受知外相が訪ソされたころから若干やわらぎ始め、一九七一年、昭和四十六年ですね、三月の第二十四回共産党大会中央委員会の報告によっても、あえてこれを指摘しないという態度に変わってきております。幾ぶんソ連の態度は軟化されているのではないかという点でありますが、たまたま、一昨年の十月、私は当時の赤城農林大臣と一緒に日ソ漁業交渉の事前折衝にソビエトへ参りました。ちょうど大和田さんがたしか公使で滞ソ中だったろうと記憶しておりますが、たまたま訪ソする直前の十月十日の共産党の機関紙である赤旗、ここに持ってまいりましたが、この赤旗に、対話方式による千島列島問題ということで、共産党の政策を要約した特集号が日本で発行されました。それを持ってソビエトへ参ったわけですが、要約すると、昭和三十六年、いまの委員長の宮本さん、当時書記長ですが、宮本書記長、さらには一九七一年ですから四十六年、西沢富夫常任幹部会委員が団長としてソビエトを訪問された。そこで、ソビエト側に対して国後、択捉、歯舞、色丹、いわゆる南千島を返還することをソビエトに要望した。ソビエトは、それに対して、南千島から米軍の基地が撤去され、日米安保条約が民主的な条約に変わった場合、前向きで話し合う用意がある。このような要約すると記事が出ておったわけです。そこで私は、ソ連外務省の要人と接触した際にその真意をただしたのでありますが、おおむね共産党の赤旗の記事と同様のニュアンスで受け取れるような答えが返ってまいりました。 また、最近の新聞報道によると、ことしの六月初め来日されましたソビエト共産党の機関紙プラウダのマエフスキー政治評議員の発言の中でも、解決済みという表現は、どの新聞社の方々と対談した対談の記事の中にも、極力これを避けるという態度が明らかでございます。西ドイツの話し合いに見られたごとく、現実的な政策によって領土問題は調整されるべきものであるというような趣旨の発言をされております。さらに同氏は、日中接近は日ソ関係に何ら障害にならないのだ、こういうこともあわせて言明されております。 こうして見ると、第二回の交渉を控えて、また田中首相の訪ソには重大な期待がかけられているわけでございますが、ソビエト政府がこのように態度が微妙に変化してきている、われわれ日本人の常識からいうと、ソビエトの自国民に解決済みという表現のしかたをいままでしてきたソビエト政府が、この態度の微妙な変化をどのように理解を求めるのか、それが一つのわれわれから見るとかぎでなかろうかと思います。 そこでお尋ねいたしますが、第一回の交渉、またその後の接触の過程において、ソ連が何か新しい動きをしているのかどうか、この辺どんな察知のしかたをされておられるのか。また、田中総理の訪ソに関連して困難な領土問題の成果を期待するには細心の準備が必要だろうと思います。私どもが承知している範囲では、ソ連との間に予備的な話し合いがあまり表面化していないのじゃないかと考えるのですが、日本流に言うと根回しといいますか、その辺の外務省の配慮が現在どの程度進行しているのか。もちろん事外交に関する問題ですから、明らかにできない問題も多かろうと存じますが、えてして日本人というのは、長い伝統として、何か総理が訪ソされる場合おみやげを期待する国民もなしとはいたしません。また、国民の理解と協力を得るためにも、この際、差しつかえない範囲内で、ソ連側との折衝の状況なり見通しをお知らせいただければ幸いでございます。御答弁願いたいと思います。
○大平国務大臣 いま佐藤委員、田中総理の訪ソの時期が十月の初めに内定したという意味の御発言がございましたが、まだ内定していないのでありまして、遠からずきめなければならぬと思っておりますけれども、まだ本ぎまりになっておりませんことをお断わり申し上げておきます。 それから北方領土問題につきまして、従来の経緯、佐藤委員の観察されておりまする経過、お話がございまして、興味深く拝聴いたしました。 御指摘のように、去年第一回の交渉をやりまして、ことし第二回の交渉をモスコーでやるということは合意いたしております。これは、平和条約の締結交渉をやるということでございます。平和条約と申しますと、当然のこととして領土条項を踏まえなければならぬわけでございます。したがって、北方領土問題というのは懸案になっておるわけでございますので、その問題についてソ連側においてもお考えを練られていることは、そのことから推察ができることと思うのであります。 しかしこれは、一体、日ソ共同宣言発出の時点において、歯舞、色丹を返すということで領土条項というものを締めくくっていくつもりなのか、それとも、わがほうが主張いたしておりますように、国後、択捉の問題も含めて弾力的に対処しようとするのか、そのあたりは判然といたしませんが、一九五六年の日ソ共同宣言発出の当時の態度につきまして、佐藤委員は、その後微妙な変化が見られるのではないかという御指摘でございますが、私ども、そういう、ソ連側が弾力的に対処しようという徴候というものを、まだ感じとることができない状態でおるわけでございます。したがって、この問題は、いまなお平行線をたどっておると見なければならぬと思うのでありますが、第二回の交渉に臨むにあたりまして、私どもは、わがほうの主張の正当性をしんぼう強く訴えてまいりまして、先方の理解を求めるよう最善の努力をしなければならぬと考えております。 それから第三に、田中総理の訪ソでございますが、田中総理の訪ソは、ソ連側からの丁重な御招待に応じて行なうことを考えておるわけでございます。 日ソの間は、申すまでもなく、永年の隣邦でございまするし、今日各般の分野にわたりまして交流も漸次拡大してきておりますので、こういう機会に、先方の御招待にこたえて、日本の最高首脳が訪ソいたしますことは、日ソ両国にとりまして非常に意味のある企てであろうと考えております。 仰せのように、この訪ソは、何も特定の目的をもって、特定の問題について特定の成果を予定して考えておるわけではないわけでございまして、今日の時点におきまして、日ソ両国が共通の関心になっておりまする諸問題につきまして、きわめてフランクにお話し合いを願いたいと思っておるわけでございまして、もちろん、その話し合いの問題の中には、いうところの北方領土問題は、当然のこととして含まれることになるだろうと私どもは考えております。
○佐藤(孝)委員 私の質問している微妙な変化というのは、かたくなに領土問題は解決済みと長い間主張されてきたわけですね、それが最近そういう表現じゃなく、とにかく話し合ってみようというような態度に変わってきている、表現のしかたでそのように変わってきているのですから、内容においても実態においても、多少の変化があるのじゃないだろうか、こういうことを申し上げているのです。まあ、あまり変化がないというようなお話ですが、時間の関係で次の問題に移らしていただきます。 最初に質問した問題と関連するわけですが、総理の訪ソに先立って、八月には、日ソ友好議員連盟の国会議員が十何人、訪ソが確定しているようでございます。この議員団は、御案内のとおり超党派で結成されております。北方領土問題に関する政府と野党間の主張には依然として食い違いがございます。外務大臣も御承知のとおりだろうと思います。 そこで、新聞報道による観測では、ソ連が田中総理の訪ソ前に、北方領土問題はじめ日ソ間の懸案問題について、日本の各政党の考え方をあらかじめ聞いておきたい、そういう意向があるやにマスコミは報道しております。そうすると、北方領土問題に対しては思想の統一ができておりません。政府は今日まで、自民党はじめ、他の野党の諸君とも北方領土問題について思想統一もしくは見解の統一について、どのような方法で今日まで話し合われてきたのか、将来とも話し合う、そしてお互いに最大多数の合意を得る努力をするおつもりがあるのかどうか、あったらお聞かせいただきたいと存じます。
○大平国務大臣 今日、いわゆる外交は、政府ばかりでなく、国会レベルにおきましても民間レベルにおきましても、多彩に展開されておるわけでございます。そしてそのことは、私はたいへん望ましいことであると考えておりまして、各レベルにおきまして活発な交流が行なわれ、理解が進んでまいりますことはけっこうなことと考えておるのであります。ソ連側の招待にこたえられて、国会側で超党派で訪ソミッションを結成されるということを承っておりますが、私どもはそれを歓迎いたしております。ただ問題は、政府とこのミッションとの間につきましては、ただいままでのところまだ接触はございませんで、具体的に訪ソ議員団が結成されて、参ります段階で政府と話し合いをしようじゃないかというお申し出は受けておりまして、私も喜んで、それはそうさせていただきたいということを申し入れてございますが、ただいまのところ、まだそういう機会は持っておりません。 それから、各党との間におきまして、北方領土問題につきまして政府と意見調整をするというようなことをやったかどうか、やる意思があるのかどうかということでございますが、ただいままでのところそういうことはやっておりませんし、いまの段階でそうしなければならないと私はまだ考えていないわけでございまして、今後の状況に応じまして、あるいはそういうことを考えなければいかぬ段階がくるかどうか、これは私予断はできませんけれども、ただいままでのところそういうことはいたしていないのでございます。
○佐藤(孝)委員 外務大臣、議員団が訪ソされる前に、これらの方々と外務大臣なり総理がいろいろ懇談される、それはそれなりに私は意義があると思います。しかし、議員団といえども、おのおの政党に所属しているのですから、政党がきめている北方領土に対する基本的な考え方があくまでも背景にあって、その立場でおのおのものを言われると思われます。私はやはり事領土問題ですから、民族にとっては永遠のものです。単なる委員会とか、あるいは何かの席でいろいろ活発な意見をお互い戦わしているということだけでは、私は思想統一ができないんじゃないか。あるいは私どもの期待するような完全な意見の一致を見ることはでき得ないかもしれませんけれども、およそ最大公約数の思想統一くらいはできるんじゃなかろうか。そういう努力を政府はするべきじゃないだろうか。これは単に外務省の高官のする仕事ではない、政治家のする仕事じゃないか、こういうことを私は外務大臣に申し上げているわけです。なぜそういうことを申し上げるかというと、外務大臣は、第七十一回国会、沖繩及び北方問題に関する特別委員会における大平外務大臣による外務省所管事項の説明の中で、こういうことを言われているわけです。平和条約の前に北方領土解決が前提だ、こう言われているわけですね。さらに「政府としては今後とも、北方領土問題に関する基本的立場を堅持しつつ、広く世論の支持を背景に、」ということを言っている。同時に「国民の総意に基づく北方領土の祖国復帰をはかるべく、ねばり強く」運動したい、こう言っているわけですね。世論の支持と国民の総意ということ、やはり具体的に国民の総意ということは、国民から選ばれたわれわれ国会議員がその代弁者だと理解していいと思います。 そうすると、国民の総意を得るためには、単なる一般の委員会のあり方のように、向かい合って条約論とかあるいはときにはあげ足とったりとられたりというような態度の、かみしもを着た話し合いでは、私はとても総意を得ることはできないのではないか。もっと虚心たんかいに、単なる条約事項の解釈というような問題と異なって、領土問題というのは、先ほど申し上げたように民族の悲願であり、またわれわれの子孫永遠に残る大切な日本の領土でございます。それを話をするのと、他の委員会等における質疑応答とは、私は一緒に扱うべき問題ではないのじゃないか、こういう考えを抱いているわけです。 私の考えが間違いなのかどうか。間違いなら間違いでけっこうですが、いま一度、与党の立場でたいへん恐縮ですが、外務大臣の考え方を簡単でけっこうですからお聞かせいただきたいと思います。
○大平国務大臣 佐藤委員の仰せられることよく理解できるわけでございまするし、事外交は国民世論の力強い背景がないと成果をあげ得ないということも、私もよくわかるわけでございます。 また、その仕事はいわゆるステーツマンの仕事であって、事務的な作業の問題ではないじゃないかという御指摘もごもっともでございます。 そういうことにわれわれは背を向けてやっているつもりは毛頭ないのでありまして、いまの段階、北方領土問題につきまして、日ソ間の討議を初めて交渉の場に乗せておるわけでございまして、この経過を政府の責任でやってまいりまして、いま仰せのようなことが必要であるというようなことに相なりますならば、われわれも考えてみるにやぶさかでないわけでございます。 いま、先方の意向をしんぼう強くただすと同時に、わがほうの立場についても理解を深める努力を精一ぱいこの段階やってみたいと考えております。
○佐藤(孝)委員 もう少しものを言いたいのですが、その話はそれではその程度にいたします。 次に、冒頭の質問にも関連しますが、あるいは過去に論議されたことかと存じますが、サンフランシスコ平和条約第二条の(C)項、放棄したいわゆる北方領土についての認識の問題でございます。このことについては、過去の国会において幾度か論議されていると思います。したがって細部の質疑はいたしません。 この条約に署名していない国は別として、アメリカなど条約締結当事国に対する理解の求め方、言いかえると、北方領土問題の解決に第三者のあっせんを求めるということであります。このことについては、第六十八回国会の当委員会において、当時の福田外務大臣はこう答弁されているのです。補助的というか、第二義的な問題として配慮している。何かちょっとわかったようなわからないような御答弁をされているわけですが、事態の進展に対応して、政府はなすべき最善の策を一体打っているのかどうか。御承知のとおり、ただいま現時点でブレジネフとニクソンが世紀の会談をされております。また過去において、一九五六年九月七日に日ソ交渉に関する米国の覚え書き、その中にはヤルタ協定は何ら拘束するものじゃないという、同時に、サンフランシスコ条約とは別途に国際的解決手段にまかすべき問題である、こういうことを言っているわけですね。もちろん歴史上、歯舞、色丹及び国後、択捉は日本古来の領土であるということは米国も承知している、こういうことを覚え書きにいわれているわけです。この国際的な解決手段ということばは、先ほど申し上げたような第三国のあっせんという部面を私はさしているのじゃないか、こう理解するわけですが、今日まで外務省は、第三国にこの北方領土の解決を依頼したとか、将来第三国との話し合いによって問題の解決をはかるとか、そういう考え方をお持ちかどうか、また、そういう経緯があるのかどうか、差しつかえなかったらこの機会に明らかにしていただきたいと存じます。
○大平国務大臣 北方問題は申すまでもなく日ソ間の問題でございまして、私どもはあくまでも日ソ二国間の問題として、日ソ間の交渉によって解決するということで、最善の努力を進めていかなければならぬと考えておりまして、国際的な協力を求めるということは当面考えておりません。
○佐藤(孝)委員 大臣、われわれの日常生活にお互いにかどが立って、話し合いがどうもうまくいかないという場合は、往々にして個々の個人生活においても第三者が、身近な人があっせんするという例が非常に多いわけですね。特に国会においては、当該委員会の当事者能力よりも、むしろ国会対策委ベース、あるいは書記長幹事長会談、ときには議長仲裁裁定というのがわれわれの国会では常にあり得るのですね。それが国際的にそういう、これは必ずしも私は日本人独特の考え方じゃないと思うのです。政府のそういう第三者に依頼せず、自分のことだからみずからがやるんだという気魄なり根性は買っていいと思いますが、必ずしも強気だけで問題が解決するとも思えません。非常に流動激しい国際情勢ですから、ときにおいてはやはり有力な理解ある第三者のあっせんなり助言なり、陰に陽に日本の立場を援助してくれる国の有形、無形の援助が私は必要じゃないか、こう考えるわけですが、外務大臣そう言い切ったのですから、答弁はけっこうでございます。 次に、これは真偽のほどは私はよくわからないのですが、もしそういう事実が全くないならばないと御否定していただいてけっこうですが、日本の新聞によると、六月十九日の毎日新聞ですが、いわゆるモスワク放送の十八日の放送です。題名は「アジア集団安保日本が検討言明」という見出しなんです。これはモスクワ放送でされたのですが、ソ連政府の機関紙であるイズベスチャの記事なんですが、「六月十二日、日本の大平外相はアジア集団安保体制創設についてのソ連の提案に触れ、日本が現実的な立場からこの問題を検討する意向であることを言明し、ソ連はアジアにおいても情勢安定化を欲していると述べた。」という内容の報道がされておりますが、そういう御記憶がありますか。なければこれ以上申し上げませんが、あれば多少お聞きしたい点がございます。
○大平国務大臣 それは国会におきまして御質問がございましたので、私が答えたことでございます。そういう事実はあります。
○佐藤(孝)委員 それではちょっと質問させていただきます。 ソ連の提唱しているアジア安保構想は、歴史的に見るとレーニンの平和共存の原則に基づいて打ち出されているものと私は思うわけです。具体的に言うと、武力行使の拒否、それから主権尊重と国境の不可侵、内政不干渉、完全な平等互恵に基づく経済協力、こういうものを基調にしたものだと思います。この辺のところを推察いたしますと、最近の中国とソ連との関係、あるいはこれから結ぼうとする日ソ平和条約との微妙な関係に私はからんでくるのじゃないかと思うわけです。外務省はどのような角度から検討に着手しておられるのか。特に、これから大平外務大臣は第二回の平和条約、領土問題交渉に行かれるわけでありますが、この日ソ平和条約との関連について、外務省の考え方を、簡単でけっこうですからお聞かせいただきたいと存じます。
○大平国務大臣 いまお尋ねのソ連のアジア安保構想というのは、一九六九年の六月の世界党大会におきまして、ブレジネフ書記長が提唱されたものだと承知しておるわけでありまして、その言うところは、私の記憶に間違いがなければ、アジアにおいて集団的な安全保障を考える時期が来たのではないかというようなものであったと思います。したがって、一体それは具体的にどういうことを言われておるのか、内容は示されておりませんので、コメントすることは私はたいへんむずかしいと思うのであります。 しかし、アジアの平和、アジアの安全ということは常にわれわれが念願しなければならない大きな道標でございますので、こういう問題に触れたあらゆる提唱、企てというようなものにつきましては、常にわれわれとしては検討を怠ってならないことは当然だと思うわけであります。そして、私の見るところ、ソ連もアジアに事を起こそうというようなお考えはないように受け取れまするし、アジアの平和と安定をこいねがっておられるに違いないということも、あわせて国会の答弁で申し上げたわけでございまして、それ以上この構想自体につきまして、具体的内容が示されていないわけでございますので、申し上げようもないというのがわれわれの立場でございます。
○佐藤(孝)委員 聞くほうもちょっと困るのですが、答えるほうはより以上にめんどうじゃないかと私は思う。いわゆるソビエトの提唱、中国はすでに中国敵視政策だというようなことを言っているわけですね。それだけに、中国とソビエトの関係、さらに日本と中国とソビエトのこの三国関係ですか、非常に微妙な問題じゃなかろうかと思います。十分腰を落ちつけてじっくり考えて、その上で対処していただきたいということを御要望申し上げておきたいと存じます。 ちょっと今度は話題を変えてみたいと思いますが、日ソ経済協力について質問いたしたいと思います。 ソ連がすでに西側、特に西ドイツですが、西側工業国との経済協力、技術協力に一段と力を入れているのは御承知のとおりでございます。また、いま行なわれているニクソン・ブンジネフ会談、これらにもきわめて積極的な姿勢を示しているように新聞報道はすでに報じております。わが国の財界も、シベリア開発協力プロジェクトを着々進めているやに最近の新聞は報道しておりますが、ややもすると、財界のコマーシャルベースが先行する危険性が多分にあるんじゃないかという気がしてならないのです。たとえば、過去において尖閣列島がいずれの国家に所属するかという問題について、経団連の堀越副会長は、尖閣列島は中国のものでも台湾のものでもかまわないんだ、要はあそこで石油資源を開発してくれればいいんだ、こういうような発言をしておられます。個人的な見解だということですが、私は最近の財界のものの考え方の一端を如実に示したものではないかと思うのです。それだけに、あまりにもコマーシャルベースを先行する危険性を感ずる私は一人でございます。 そこで、わが国がシベリア開発に積極的に協力することは、今後の日ソ関係をより親密にするために、好影響をもたらすことは私自身も承知しているし、そういう事実を否定するものではございません。先ほど申し上げたごとく、日ソ平和条約締結交渉の領土問題との関係、あるいは年々狭められてきている北洋漁業の権益、わが国のこれらに対する主張、これと経済問題とは根本的に私は性質が異なる問題じゃなかろうかと思います。したがって、財界が進めている経済協力についても、政府は基本的な態度を明らかにして、一つのワクをはめて、そのワク内で折衝を進められることが必要じゃないだろうか、こう考えるわけですが、外務大臣はいかがお考えですか。この機会にお聞かせいただきたいと存じます。
○大平国務大臣 日ソの間の経済協力はすでに実を結びまして、実行過程に入っているものも幾つかあるわけでございまして、貿易も漸次拡大されてまいりますし、人の交流もしげくなって、理解も深まっていきつつありますことを私どもたいへん歓迎いたしております。 政府としては、仰せのように、まず第一に、日ソ間に横たわっている政治問題と経済協力の案件とのからみ合いをどう考えるかということでございますが、北方領土の問題は、いわばわが国固有の領土を返していただきたいというきわめて端的、率直な要求でございまして、条件を伴う問題ではないと心得ておるわけでございまして、佐藤さんのおっしゃるように、対価を支払わなければならぬものとは私ども考えていないわけでございます。経済協力の案件は経済協力の案件といたしまして対処していくべきじゃないかと考えております。民間におかれまして日ソ経済合同委員会を軸といたしまして、いろいろの協力案件が検討されておることは、私ども承知いたしております。私どもといたしましては、こういったプロジェクトのフィージビリティーというものを民間側が専門家でよく御検討いただいて、それが固まってまいって、そして御相談をいただいた場合に、政府として可能なものか、そうでないものかという検討をさせていただかなければならぬと思っておるわけでございまして、いまそういうフィージビリティスタディーというものが専門家の間で行なわれている段階でございまして、その結果を十分承知した上で、政府として判断をいたしたいと考えております。
○佐藤(孝)委員 私に与えられた時間が五十分で、あと五分か六分よりないので一問より質問できませんが、領土問題必ずしもすなおに返還されるとは思いません。幾多の困難な問題があると思います。その間の暫定措置について多少聞きたいと思ったのですが、時間の関係であと一問だけにしぼってお尋ねいたします。あるいは大臣でなくてもけっこうです。 いま申し上げたシベリア開発協力プロジェクトの中のサハリン石油開発探鉱プロジェクト、サハリンですから日本流に言うと樺太ですね、すでに七二年第五回合同会議でソビエト側から提案されておりますが、モスクワで第一回の交渉が開始された、第二回は近く行なわれる、こういう経過になっております。このサハリンの大陸だな資源開発のことですが、御承知のとおり、日本は大陸だな条約に加盟していないわけです。明年開催の第三次国際海洋会議において一連の海洋法制度が論議されることになっております。私どもの考え方では、日本はおそらく従来と同じように大陸だな条約そのものに加盟しないし、承認しないという態度を打ち出していくのじゃないかと思いますが、日本の主張が通るか通らないかは別として、現在の情勢から言うと必ずしも日本の主張が間違いなく通るとは言いがたい情勢でございます。もしかりにこの日本の主張が通らないと仮定した場合、単にサハリンだけではなくて、北方海域における漁業資源というのは壊滅的な打撃を受けるわけです。そう考えたときに、われわれが批准していない大陸だな条約に関連する資源の開発について、日本とソ連が共同の形でその計画を進めているということは、大臣、理論的に矛盾を感じませんか。私はいささか矛盾を感じるのです。この辺の考え方について事務当局でけっこうですから、御説明をいただきたいと存じます。
○大和田政府委員 サハリンの北方海上の、つまり海底の開発ということについて、日本、ソ連の関係者がいわゆる石油開発について探鉱することについて協議中ということは承知しております。ただ現状といたしましては、いま先生がおっしゃいました以後、事実上中断されているという形になっていると承知しております。そのこと自身は、いまおっしゃる海洋法関係の問題あるいは国際法上の問題ということを離れた形で、わがほう民間と先方が話をしているというふうに了解しております。
○佐藤(孝)委員 時間がないからやめますが、先ほど私が申し上げた単なる財界のコマーシャルベースだけが先行していくというような問題が今後とも生じないとは言いがたいと思うのです。やはり大きなワクをはめて、外務省の大所高所からのソビエトに対する考え方というようなものもよく経済界、産業界に認識させた上でやらないと、必ずしもいまの大和田局長の答弁、私は実はさようでございますかとは受け取りがたいのです。時間の関係でやめますが、どうかそういう点を配慮をして、ソビエトとの経済関係を進めていただきたい。このことを御要望申し上げ、その他暫定措置についての問題は次の機会にまた質問させていただきます。 どうもありがとうございました。
○浅井委員長 次に、安井吉典君。
○安井委員 北方領土問題等を含む対ソ外交のあり方についてでありますが、領土交渉の内容等については、私どもの党の立場やあるいはまたこの間の予算委員会の分科会では、千島列島全体を非武装中立地帯にするということでの交渉はどうかという提案をしたりいろいろしておりますので、きょうは、むしろ対ソ交渉がどういうふうな方向で進められるかという、その情勢の問題を中心にひとつお伺いをいたしてまいりたいと思います。 ちょうどいま米ソ首脳会談がアメリカで行なわれており、けさの新聞報道でも、SALTの完成促進を目ざすことでも一致をしたと伝えられています。しかし、一方わが国のソ連との交渉のほうは、ソ連の側が初め田中総理に対して招待を一たんしておきながら、先方の都合が悪いということでの延期をさらに要請をしてくる。これは外交慣例からいっても異例なことではないかと思います。先ほどの佐藤委員との質問のやりとりの中で、次の田中訪ソの日程は正式にはまだきまっていないという御答弁でございましたが、新聞報道では、外交日程のやりくりから十月初旬ぐらいになるのではないかというふうに報ぜられております。アメリカのほうではブレジネフ書記長とニクソンとが抱き合っているのに、その写真がでかでかと出ているのに、一方何かこちらのほうは交渉時期を延ばされるというふうな、そういうふうな事態の中に、何かあまりコントラストが微妙なものですから、国民は田中訪ソによって平和条約の締結、とりわけ領土問題の解決あるいは資源開発その他の経済協力等の大きな期待があるわけでありますが、どうも何かちょっと心配だというふうな気がするわけでありますが、今日の段階におけるその情勢、特に延期という事態を中心にして、政府としてどういうふうに受けとめられておるのか、それからまずひとつ伺います。
○大平国務大臣 ソ連側から田中総理に対する招待がありましたことは事実でございます。それに基づきまして、両国の間で都合のいい時期を話し合っておるのがただいまの段階でございまして、安井さんの言われる延期ということばは正確ではないのであります。一たんきまったものを延ばすというものであったら事柄は重大でございますけれども、私どもはしかく考えていないのであります。 問題は、両方の意見、都合が合致いたしまして、同時に両国政府で発表いたしましてするのが普通の外交慣例でございますが、不幸にして本件は、その途中におきましての両国の間の事務的な打ち合わせというようなものが、何のはずみか外部に漏れて、御心配をいただいたことに対しましてはたいへん遺憾に存じておるわけでございます。遠からず本ぎめいたしまして、堂々と発表することにいたしたいと考えております。
○安井委員 その事情について深くは問いませんけれども、日本政府の対ソ外交のあり方について、ソ連側が何か重大な不満を持っているとかあるいは疑問を持っているとか、そういうふうな点は見とれませんか。
○大平国務大臣 先ほども申し上げましたように、日ソ間の国交再開後の日ソ関係というのはたいへん順調な足取りをもって進んでおるわけでございまして、正直に申しまして、私は満足をいたしておるのです。ソ連側におかれましても、そこに不信があるとか、不都合を感じられておるというようなことは万々ないことと私は考えております。
○安井委員 田中総理がいつの時期かわかりませんが向こうへ行かれるときは、大平外務大臣もおそらく同行されるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。 それから、またいわゆる日ソ外相レベルの日ソ定期協議ですか、それはその際に行なわれるというお見込みですか。
○大平国務大臣 ただいまの段階で申し上げられますことは、ことしじゅうに第二回の平和条約交渉を外相レベルでモスコーで開こうということに両国が合意いたしております。この合意にこたえて、日本の外務大臣は、本年中にモスコーに参らなければならぬと考えております。 一方、総理大臣の訪ソというのはまだ本ぎまりいたしていないわけでございますが、遠からずきまるだろうと思います。それとの抱き合わせをどう考えるかは、その総理訪ソ決定という事実を踏まえた上で段取りを考えさせていただきたいと思っております。
○安井委員 日ソ関係の局面がいろいろと変化をしているような気がするわけです。特に三月にブレジネフ・田中間の書簡の交換があり、当時は友好親善発展のきざしといいますか、非常な明るさが見えたというふうな印象を受けました。ところがその後、シベリア開発のいろいろなプロジェクトの話し合いが相当進んでいたのが何か停滞ぎみになってくる。そういう中で、今度の延期というふうな事態があらわれてきた。それが一連の関係があるかどうか、これはわかりませんけれども、そういうさまざまな変化の中において、日中間の接近だとかそういうような問題もあるのかもしれませんが、特に西独とソ連との話し合いができ上がったということ、あるいはソ連の対米交渉がいまのような形で進んでいるというふうなことも、日ソ間の外交のあり方に微妙な影響をもたらしているのではないかとも思うわけであります。特に領土問題についてソ連、西独間の話し合いは、一種のたな上げみたいな形で現実的なアプローチで結論が出たというふうなこともあって、それがうまく成功したものですから、そういう方向でそのまま対日交渉もというふうにソ連側が考えているのではないか。向こう側のことをかってに憶測してもなんですけれども、そういうふうなさまざまな影響がずっとあらわれてきているのではないかという気がするわけでありますが、その点についてどういうふうにお考えですか。
○大平国務大臣 ソ連とドイツの関係、ソ連と米国の関係をコメント申し上げる立場に私はございません。けれども、日ソ関係というものは、ソ連と第三国との関係に劣らない順調な拡大、進展を見ておると思うのであります。第三国とソ連との問にいろいろな経済協力のプロジェクトも一部実施中であるし、一部交渉中である。わが国においてもそうなんでございまして、別段われわれがそういう中にあって、たいへん困った立場におるとかいうようなことは、私は全然感じていないのであります。
○安井委員 短い時間ですから、いろいろ問題の数をふやす形でお尋ねをしてまいりたいと思うのですが、先ほども質疑応答がございましたが、経済交渉と領土交渉との問題、このかね合いの問題があると思います。今日の段階において、シベリア開発のプロジェクトもありますし、あるいは漁業の安全操業の問題もありますし、いろいろあります。ひっくるめて経済ということにして、それと領土問題の政治、これとのかね合いでありますが、これはいずれも積極的に進めていかなければならない問題であります。これをやはりワンパッケージにするというふうな考え方も一つございますし、それから現実に心配になって——まあワンパッケージ論はこれまた逆に問題が非常に大きいわけであります。しかし現実には、あとで触れますように、どうも経済交渉のほうは何かどんどん先行してしまうような感じがされる。しかし領土問題のほうはさっぱり進んでいない、そういうふうなままで今度訪ソされる。まだ時間がありますから少し早いかもしれませんが、そういうような形で訪ソされるということになって、今度の交渉の結果きまってきたのは経済問題だけで、領土問題は置き去りになったということになってもこれは困るわけですね。したがって、これらのかね合いの問題について、政府のお考えはどうなのかということをひとつ伺います。
○大平国務大臣 先ほど佐藤委員の御質疑にお答え申し上げましたように、領土問題と経済協力問題というのは論理的に関係がないわけなんでございまして、関係づけることはどう考えても関係がつかないわけなんでございます。ただ、日ソ間の問題であるという共通項を持っておるにすぎないわけでございます。情緒的にはいろいろこれはそれぞれの思いはあるのかもしれませんけれども、問題は、どうもそれと関連づけて云々というようなことは私は考えられないと思います。もし領土問題が片づかない間は、経済協力案件というものは、言いかえれば足踏みするのだというふうなことも、またたいへん実際的でない話になってくるのではないかと思うのでありまして、われわれといたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、経済協力案件は経済協力案件として、十分フィージビリティーを検討されまして、日本の国益を踏まえて対処していって差しつかえないし、またそうすべきじゃないかと思っておるのでございます。しかし、それだからといって、それじゃ、政治問題に対してわれわれが努力を怠っていいという理由には一つもならぬと思うのでありまして、仰せのように、これはそれぞれ精力的に、それ自体の問題に即して努力してまいらなければいけない案件であると考えております。
○安井委員 お答えをいただくとすれば、いまのようなことになるのかもしれませんけれども、経済問題をどんどんいまのうちから話し合いを進めていくことが、友好親善を深めていく状況をつくり出すということにはなるでしょう。しかし、領土問題は、これはあくまでさっき大臣もおっしゃったように、国民の純粋率直な感情といいますか、本質的な問題だと思います。日本という国としても、経済のことがどうあろうとなかろうと……。 そこで、いずれにいたしましても、今度の訪ソで経済だけはさまってきたが、領土のほうはどうもだめでしたというふうなお答えを聞かされたのでは、これもまた国民感情としてなかなか割り切れないものがあると思います。しかしこれは交渉ですから、相手もあることですから、あまりいまの段階でとやかく言うわけにはまいりませんけれども、しかし、重大な決意で臨んでいただかなければならぬということだけは一つ明確ではないかと思います。 八月二十七日から九月の六日まで、日ソ友好議員連盟の訪ソ招待が来て、これが行くわけでありますが、この点、先ほどの質問でも触れておられますけれども、この訪ソに対して、政府としてどのような期待をお持ちなのかということです。その点どうでしょうか。
○大平国務大臣 先ほども申し上げましたように、いまの外交は、非常に各分野にわたりまして多彩に展開されておるわけでございまして、とりおけ最高機関である国会の議員団が行かれるということは、日ソ外交にとりまして非常に重要なできごとであると評価いたしておるわけでございまして、このミッションの訪ソを通じまして両国の理解が進むこと、そしていま懸案になっておるいろいろな問題について、さらに彫りの深い理解が進んでまいりますことをわれわれは期待いたしております。
○安井委員 先ほどもこれはお触れになった点でありますが、政党間の意見の違いの問題が一つございましたが、最近における大きな外交上のできごととして、一つは日中の国交回復があります。それからもう一つは、沖繩の返還協定の締結ということを思い出すわけでありますが、この二つ考えてみますと、沖繩返還協定は各党、大きく分けて与野党の意見の対立が徹底的にあって、コンセンサスを得られないままに締結ということになった例であります。いろいろニュアンスはございますけれども、そういう形でありました。それから日中の国交回復のほうは、これはもう野党のほうがどんどんルートをつくっていった。自民党並びに政府は徹底的にその方向に反対をされた。もちろん自民党の中の一部の人は大体同一の方向にいっている。そういう形で最終段階、田中内閣になって国交回復へのコンセンサスが、これは完全に一致ができた、こういうケースであります。いろいろあるわけです。だから、今度の場合の各党の意見の不一致というものも、私はだからどうだということでなしに、今後のいろいろな推移を見ての対応というようなことになるのではないかと思うのであります。いずれにしても、今度超党派の議員連盟が行くわけでありますから、政府としてはいろいろな便宜供与とか、そういうふうなのは十分にやっていただいておくべきだと思うのですが、いかがですか。
○大平国務大臣 十分心得ていたすつもりでございます。
○安井委員 私は、領土問題についてさまざまなケースが起きた場合に、政府としてきちっとした対応を十分にしておくべきではないかというふうに思うので申し上げるわけでありますが、これは三月の二十二日、国後島のケラムイ崎沖の、ソ連が主張している十二海里ぎりぎりの海上で操業していた漁船に対して、ソ連のヘリコプターによる照明弾の打ち込みという事件があったおけであります。これはソ連のいう領海外の事件であります。しかし、こういうふうな事件が起きても人は無事だったわけでありますけれども、ソ連側が領海侵犯の注意を喚起した程度のことだと思うので、ソ連政府に抗議するつもりはないというふうなことで、外務省は片づけておられるわけであります。私は、こういうふうな、あるいはまた、これに似たようなケースはいままでもないわけではなかったのではないかと思うわけでありますが、やはりドライに、きちっとした抗議をする。そういうふうな手はずをやることが必要なのではないか。一方で北方領土権を主張しておきながら、問題があるようなケースが起きたらそれを放置をしておくというふうなことでは、逆に領土や領海を主張する根拠を失うことにもなるわけであります。友好親善ということと、外交上の問題のけじめをはっきりつけるということ、これは外交上の常識なんですから、もっとこういうケースにあたってはきちっとした対応をすべきではないか、こう思うのですが、この点いかがですか。
○大和田政府委員 まさに安井委員の御指摘のとおりでありまして、われわれといたしましても、そういうような事件の起こるたびに先方に注意喚起もしくは抗議をいたしております。 ただいまの三月二十二日の事件に対しましても、いわゆる照明弾を先方が注意を喚起する意味で投げたということを先方は述べておりますけれども、それは現実に一部船に当たっております。したがって、人命に損傷はありませんでしたけれども、船に損害が若干生じておるということについて、先方に口頭で申し入ればいたしております。
○安井委員 こういうケースは間々あるのですか。
○大和田政府委員 間々あるという回数の点でございますが、それほど多くはございません。ただ、実際に領海侵犯という問題が起きます場合に、わがほうの漁船がかなり小さい船なので、はたしてそれが先方のいう、島から何海里であるかというはっきりした線を確認しにくいという問題がありまして、わがほうとしては十二海里の外であるという主張をいたしましても、先方は十二海里の中であるというような主張の行き違いがかなりあるのは事実でございます。
○安井委員 そういう微妙な行き違いがたとえあってもいいと思うのですよ。そういう微妙な問題を、やはり主張するところはきちっと主張する。そういうことが非常に大切な問題で、そうでなければ領土主張の根拠そのものにゆらぎがくるということだけを申し上げて、明確な対応をそういうケースに応じてやっていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。 そこで、旧千島島民の墓参の問題でありますが、三十年来毎年実施しているのを、四十六年と四十七年はとうとうできないままになっております。この委員会でも、去年、決議という形だったかどうかわかりませんけれども、全体の意見一致で、委員長がソ連大使館と交渉したというふうな経過もございました。もっとも、社会党は樺太の墓参団を送ることをソ連と話し合いをつけて、これは毎年スムーズに実行をいたしております。ただ、千島の問題について政府の交渉が行き詰まっているということが現状であります。政府として、ことしの墓参の問題あるいは将来の問題について、どういうふうな交渉をされているのか。新聞報道によりますと、どこどこのという個所をきめて墓参要求をしておるとも報じられておりますが、その個所はどこということにきめてどのような交渉をされておるのか、それを伺います。
○大和田政府委員 いわゆる墓参の問題につきましては、これは日本人の古来の習慣であるということが一つと、それからもう一つは、人道上、つまり遺族にとっての人道上の考慮というものは当然払わるべきであるという趣旨から、毎年先方に要求しております。これは、外務省は総理府、厚生省その他と連絡をとって協議の上でいたしておりますが、内容は、本土、樺太、北方諸島というふうに地域的には分かれております。かつ、その場所につきましても指定して、ここにある日本人の旧墓地に参拝したいということでやっております。御指摘のように四十五年には実現しましたのですが、その後北方領土につきましては、先方は外国人立ち入り禁止区域である、よって日本人の上陸は認められないということで断わられております。 本年度の墓参につきましても去る五月十日、場所を明示しまして、その三地域につきまして申し入れをいたしております。それについて本年度はまだ先方からは回答は参っておらないという状況でございます。
○安井委員 その場所というのはどこどこですか。
○大屋敷説明員 総理府でお願いしております墓参個所は、歯舞群島は多柴島の古別または志発島の西浦泊のうち一カ所でございます。それから色丹島は斜古丹または能登呂のうちの一カ所、それから国後島は乳呑路または泊のうち一カ所、択捉島は紗那または留別のうちの一カ所、計四カ所でございます。
○安井委員 それで外務省の交渉のお見通しはどういうふうなことになっていますか。成功するかどうか。
○大和田政府委員 もちろん、現在回答待ちで予断を許しませんのですが、われわれとしては、何とか人道上の考慮をソ連側が払ってわがほうの申し入れを受け入れてもらいたいというふうに考えております。
○安井委員 大臣、これは、いままでやっていたことがやれなくなったということで、関係の住民も非常に不満を持っておりますし、今後の日ソ友好親善のためにも——私はこれがすべての問題だとは言いませんけれども、やはり大事な問題だと思うのですよ。どうでしょう。
○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、今後一そう努力をいたします。
○安井委員 それでは最後に、ひとつ経済協力のことを伺っておきたいと思います。 経済協力、特にシベリアの石油、天然ガスあるいは原料炭等の日ソ共同開発のプロジェクト、これは四大プロジェクトとかいわれているものでありますが、初めの見通しと違って、最近交渉のもたつきが懸念されるわけであります。その辺の事情を政府としてどうとらえておられますか。
○大和田政府委員 初めの見通しと違うという御説でございますが、われわれがいま承知しておりますのは、いわゆるもたつきということよりも、むしろ技術的な問題で、先方あるいはわがほうの詰めがまだ十分行なわれていない。そのために予定されていた、たとえばチュメニのプロジェクトについて申しますれば、日本側からの派遣団の出発がおくれているという事実はございますが、全体としては必ずしももたつきということではなくて、むしろより具体的になっているので時間がかかっているというふうにわれわれは了解しております。
○安井委員 ソ連側としては、政府が正面に出て問題を解決しようという積極的な活動をしないという点に不満を持っているというふうな報道も伝わっております。民間だけが経済ベースでどんどん話を進めようとしている。しかし、それを一体政府はどう考えているのかという点ではないかと思います。六月十五日のプラウダの論文でも、チュメニ開発のための日本の積極的協力の必要を強調している。これは日本側の決断を促したものではないかというふうに論評されているわけでありますが、どうなんですかね。政府としての立場というものをまず明確にして——その具体的な問題点はこれは商社に詰めさせても、いまの日本の経済体制の中ではあるいはいたし方ないかもしれませんけれども、初めにきちっと大ワクをきめてくるのが政府ではないか。ソ連側がそういっているそうでありますけれども、私どももどうもそんなような気がするのですがね。その点どうですか、大臣。
○大平国務大臣 政府が決断するにつきましては、それなりのデータを踏まえて準備する必要があるわけでございまして、そのために民間レベルで、いうところのフィージビリティースタディというものをお願いしているわけでございまして、やみくもに決断するわけにはまいらないのであります。私はそのことにつきましては、先方も御理解をいただいておるのではないかと思います。
○安井委員 私は、企業がどんどんやっているのをそのまま政府に早く追認をしろと、こう言っているわけではないのですよ。最初からの取り組みの姿勢そのものを問題にしているわけです。もたつきではないというふうに言われるかもしれませんが、そういう状況の中で、さっきもちょっと申し上げましたように、ヤクートの天然ガスの援助開発について、ソ連とアメリカとが早々と覚え書きを締結してしまった。これについては日本も参加することになっていたが、その覚え書きの中には、日本も参加していいというふうに書いてあるそうで、主導権はアメリカに移って、いわばこちらのいままでの交渉というものが出し抜かれた覚え書き交換というふうなことになったのではないか。私ども中身はよくわかりませんけれども、新聞の報道を読んでいる限りではそういうふうな印象もあるわけです。 そういう中で、けさの新聞では田中総理が、昨日帝国ホテルで開かれた日本記者クラブの昼食会でこの日ソ経済協力問題に関して、輸出入銀行融資の適用、それから引き取り保証等を実施してもいいということを明言されたというふうに伝えられています。おそらくその辺がいままでのもたつきといいますか、そういう原因ではなかったのか。それに対して田中総理が、きのうのそういう場を通して態度を明白にしたのではないかというふうに受け取られるわけでありますが、これは正式な政府の態度である、こう見てよろしいのですか。
○大平国務大臣 第一の問題は、先ほども申しましたようにソ連とドイツとか、ソ連とアメリカなんかの間で経済協力が進んでおる。私はそれを非常に歓迎しておるんです。出し抜かれたというような感じ方はしないんでございます。何となれば、いま問題になっている経済協力関係というのは何さまたいへん大規模なものでございまして、信用のスケールも非常に大きいもので、一国で背負い切れるようなものでは決してないわけでございまして、国際的規模で進められるということにつきまして、私は不自然な道行きとは考えておりません。 第二に、田中総理の御発言でございますが、これは当然のこととして、いま民間レベルで話し合いが行なわれておるわけでございまして、それがまとまるという前提で言われたものと私は承知いたしております。
○安井委員 これは田中総理の発言ですから、このとおり政府としても決定するものと考えてよろしいのかどうかということです。どうも田中総理はどんどん言って、あとでひっくり返る——総理が言うのだからそのとおりになるかと思っていたら、あべこべな結果が決定されるというふうな例がいままであまりに多いものですから、どうも田中政治の一つの特徴ではないかと思うのですが、そういうようなことがあるものですから、これは重厚でどっしりしている大平さんのほうから、ひとつ保証といいますか、明確な御意向を、田中総理ではなしに大平さんから政府代表の御答弁をいただくというのもちょっと妙かもしれませんが、いまの御答弁の、ちょっとあやふやなところがあるものですから、もう一度伺います。
○大平国務大臣 これは先ほど佐藤委員にもお答えいたしましたとおり、いま日ソ経済委員会の方々を中心に、民間レベルでフィージビリティースタディーというのをやっているということは御報告申し上げたのであります。そこで、いまバンクローンの問題でございますか、その条件、あるいは引き取り量その他いろいろ吟味されておるわけでございまして、そのことが満足すべき結果を生んで、政府に御相談をいただいた場合は、政府として積極的に取り組んでみようということを言われたものと私は信じているのです。人間のことばというのは、どうもえてして不十分である場合が多くて、しかもそれが新聞に伝えられますと、それがまた新聞にろ過されて出てくるわけでございまして、私はそれを拝見いたしまして、いうような趣旨のものであると考えております。
○安井委員 不十分なことばを吐くので田中さんという人は有名な人ですからね。しかし、これは新聞によって相当積極的な、歓迎した受けとめ方で、これで日ソの問題も大きく好転するであろうというような期待を込めた書き方をしている新聞もあるわけですよ。そこへもってきて、今度は何か外務大臣は非常に慎重な言い回しでお答えになったというのでは、どうもまた田中さんの放言かというふうなことになる。これはもう少しはっきりしなければいかぬと思うのですが、それじゃ、総理はこう言われたが、まだ政府の決定はないし、政府としては、いまの研究の結果が明確になってから決断をする、大平外務大臣のことばもいろいろ微妙なのかもしれませんけれども、そういうことですか。
○大平国務大臣 さようでございます。
○安井委員 それでは、どうも何か非常に歓迎をした書き方をした新聞は、結局ぬか喜びみたいなものなんですよ。やはりこの点は日ソ交渉の——領土に直接関係のある問題ではありませんけれども、すみやかに明確な結論を出すべきではないか。ここで押し問答してもしようがありませんから、私はそれだけひとつ要求しておきます。 なお、ここで、日ソ原子力協定についても田中さんは触れておられるわけであります。これはたしか六月十五日に帰国した日本原子力産業会議から派遣された視察団の帰朝報告の中にあった点を、これについても、原子力発電の燃料である濃縮ウランを日本に輸出しようとするソ連の提案は、日ソ経済協力の対象として考慮さるべきである、今度の交渉のときには、その協定を結んでもいいというくらいに受けとめられるような御発言をきのう田中総理はされているわけですね、これはどうなんですか。
○大平国務大臣 また水をかぶせるようなことを言って恐縮でございますけれども、その視察団の御報告なるものを私まだ伺っていないわけでございますが、よく伺った上で、ものになるかどうか、十分政府として検討しなければならぬと思います。少なくとも、濃縮ウランの問題について、いままでソ連側で商業ベースで他国に供給された実績はございません。これは安定した数量、安定した価格で保証されないと意味がないわけでございますので、そういった点は、十分視察団の御報告を詳細に伺わないとわからないわけでありますが、田中総理の言われたように、いまのこういう重要な資源、たいへん売り手市場になっておりまして、日本が今後これを確保してまいるというのは容易ならぬことでございますので、できるだけ広く供給源を分散してお願いするような方向は、行く行く当然考えなければならぬこととも思うのでございますが、そういう一般論は別といたしまして、具体的にソ連からの供給がどういう期間において、どれだけの分量を安定的に確保されるものであるかどうかというような点は、視察団のお話を伺ってみないと確認できないわけでございますので、よく私も承った上、検討させていただきたいというところで御了承をいただいておきたいと思います。
○安井委員 時間がなくなりましたから、これで終わりたいと思いますが、濃縮ウランの問題も、フランスとの委託加工の協定や、ことしの五月の西独との協定もあるわけで、ソ連もほかの国への委託加工の余力を持ったというか、そういう態度を見せている段階だし、全くアメリカ一辺倒という姿の是正にも役立つのではないかというふうな感じを受けます。 それから、先ほどのシベリア開発の問題にしても、この問題についても、私は思うのですけれども、エネルギー資源の問題は、日本の経済だけじゃなしに、将来にとっても非常に重大な問題に今日なってきた。ところがそのシベリア開発についても、この問題についても、みんな民間のペースで、それは資本の論理に従って、そうしたほうが自分の企業にとって利益だというのがまず第一番目に立ってこういうような話ができて、それを最後に政府があと追いをしているといういまのあり方には、私は根本的に問題があると思う。やはりエネルギーの基本的な考え方についてはどうかという総体的な政府の大きな計画がきちっとあって、その中に何をどう位置づけていくのかというのを、石油なら石油、原子力なら原子力というふうな位置づけを明確にして、それを民間ペースで、いまの体制の中では民間ペースで進めていくのも、これもやむを得ないかと思うのでありますが、どうもやり方があべこべだというのを、これははしなくも日ソ交渉のあり方をいろいろ調べております中で、私強く印象を受けるわけであります。その点だけ一つ申し上げておきたいと思います。 これで終わります。
○浅井委員長 次に、正森成二君。
○正森委員 田中総理が、期日は若干延期になりましたが、いずれはソ連に行かれる。いま御答弁を伺っておりますと、十二月には大平外務大臣もモスクワへ行って交渉されるということですが、たとえば読売の四月十一日の報道あるいはその後の各紙の報道を見ますと、北方領土未解決のまま平和条約は結ばないというように国会で答弁をされており、新聞紙上でも報道されております。 そこで、ソ連へ訪問されるのについて、北方領土の問題についてどういうような基本的なお考えのもとに交渉されるのか、いままでにいろいろ明らかになっておりますけれども、この機会にあらためて承りたい。
○大平国務大臣 北方領土問題に対するわがほうの主張は、内外を通じて誤りない主張であると考えておるわけでございまして、この旗をおろしてまで平和条約交渉を、平和条約締結をやるというようなことは考えておりません。
○正森委員 ちょっと最後のほうが聞き取りがたかったのですが、申しわけありません……。
○大平国務大臣 この問題を抜きにいたしまして平和条約の締結をやるという考えはありません。
○正森委員 いまの領土問題についての日本国政府の考えは、内外に明らかになっておって公正なものであるという意味のことが言われましたが、私が言いたいのは、領土問題についての政府の正確な中身の主張というのが伺いたいわけです。それはなぜそうかと言いますと、専門である大平外務大臣にちょうちょうするまでもございませんが、日本国との平和条約の第二条の(C)項で、「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」こうなっております。したがって、平和条約でこういう条項があるにもかかわらず、一定の島嶼について主張するには、それなりの国際法上の根拠が必要であり、そうでなければ相手方はもちろんのこと、世界の世論の支持を得ることができないというように思いますから、そういう平和条約があるにもかかわらず、なおかつソ連におもむいて領土条項を主張するについて、外務大臣の法律的根拠あるいは国際法上の根拠を伺っておきたいと思うわけです。
○高島政府委員 ただいま御指摘の平和条約第二条(C)項に列挙してございます千島列島と樺太に関する日本の権利放棄でございますが、ここにございます千島列島という内容につきまして、従来政府は国会を通じまして詳しく説明いたしておりまするけれども、歯舞、色丹、国後、択捉の四島は、ここにございます千島列島の範囲に入らない。したがって、日本が放棄した範囲のものではないという立場でございます。
○正森委員 そういうような主張で相手に主張できるのならできるかもしれないけれども、いやしくも一国を代表してソ連に交渉できると思いますか。一九五一年の十月十九日ですか、衆議院の平和条約及び日米安全保障条約特別委員会における西村外務省条約局長の答弁でも、「條約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えております。」と明確に答弁しておるし、一九五一年の十一月五日の参議院の同委員会で、草葉外務政務次官は、「千島というこの一つのクリル・アイランヅという立場から申上げますと、」これというのは国後、択捉ですが、「これだけを切離すことは却って無理なこじつけになって来るのではないか。」、「千島という言葉の中で指しております條約のクリル・アイランヅというのは千島全体についての表示だと、こう考えざるを得ないのであります。」こう答えております。そういうようなことは相手方も十分承知しておるものと見なければなりません。したがってそういうような根拠だけで領土問題について主張されるというのは、かえって大平外務大臣に非常に不利な根拠のもとに交渉していただくということになるのではありませんか。
○高島政府委員 先ほど申しました歯舞、色丹、国後、択捉、四島がいわゆる千島列島の範囲に含まれるものではないという根拠につきましては、これも、従来政府がソ連に対しても同様のことを交渉を通じまして再々明らかにしてまいっておりますけれども、まず第一番に大西洋憲章、これは戦争によって領土の拡大を求めるものではないという連合国の意思の宣言、それから歴史的に申しまして、日本とソ連との間の諸条約という関係において、いまだかつて歯舞、色丹、国後、択捉はソ連との間の条約の対象になったことがないということ、こういうことを踏まえまして、これは古来から、歴史的にもまた法律的にも日本の固有の領土であるという立場に基づいた主張でございます。
○正森委員 いまの条約局長のお答えは、全く異なったものを一つにして答弁しておるという、論理学の初歩をわきまえない答弁です。千島が日本の固有の領土であるということははっきりしておる。一八五五年の日魯通好条約によって明らかになっておるし、その後の一八七五年の樺太千島交換条約というものによっても明らかになっておって、日本が暴力によって奪取したものでないことはきわめて明白だ、そんなことをわれわれは聞こうとは思っておらない。しかし、固有の領土であるということと、平和条約第二条(C)項で放棄した千島列島の中に南千島は入っておらないというような強弁をするということは全く別問題です。私はここに、昔からの日本の教科書を全部、図書館から借りて持ってきた。日本教科書体系、二冊ある。小学校の教科書が全部載っておる。それの千島列島に関する部分を私は全部見たけれども、ここに紙がはさんであるけれども、どれ一つとして国後、択捉について——歯舞、色丹は別です。国後、択捉について、これが千島列島に入らないというようなことを説明している教科書はない。条約局長は賢明なのに、そういうことさえ知らないとすれば、そのうちの若干を読んでもよろしい。「第四期国定地理教科書」の「尋常小学地理書巻二」というのを見ると、「千島列島」というところにこう書いてある。「千島列島とは択捉島以下三十余の島々をいふ。その北東端の占守島は千島海峡を隔ててロシヤのカムチャッカ半島と相対してみる。」あるいは「第五期国定地理教科書」を見ると、とう書いてある。「千島列島は北海道本島とロシヤ領のカムチャッカ半島との間に連なり、択捉島その他、多数の島々から成立つてゐる。」明白にこう書いている。交渉をしたときに、貴国の教科書では昔からこうなっているではありませんかと——それをいまさら、平和条約第二条(C)項で放棄した千島列島には、南千島は入っておりませんというようなことを言えば、一体貴国の外務省というのはどういうような根拠に基づいて言うておるのか、精神状態がいささかおかしいのではないかというように言われてもしかたがないではありませんか。しかも国会では、平和条約の締結の前後の論議の中で、西村条約局長がいま私が指摘したようなことを言っている。そうだとすれば、固有の領土であるという主張から、直ちに返還さるべきだというようなことは毛頭出てこない。だから、その点をよく考えて御答弁しなさい。この教科書を指摘されたらどうするんだ。
○高島政府委員 私ども平和条約の国会審議におきます政府側の答弁の内容はよく承知しておりますけれども、その後いろいろ検討しました結果、対ソ平和条約交渉、つまりそれは結局日ソ共同宣言でもって終わったわけでございますが、その交渉の過程におきまして、ソ連側に対する態度としてまとめた政府の態度は、先ほどから私が申しておりますとおり、歯舞、色丹、国後、択捉はいまだかつて日ソ間の条約の対象になった領土ではなくて、そういう意味での固有の領土である。もちろん、千島列島が日本の固有の領土であったことも事実でございますけれども、この千島列島には国後、択捉は入らないという立場をその後一貫してとっているわけでございます。
○正森委員 局長ともあろうものが子供みたいなことを言いなさんな。一たん平和条約で千島列島全体を放棄しておいて、その後五年もたった日ソ共同宣言になってから、いやあのときは南千島も含むと言ったけれども、その後南千島を除くんだ、そういう立場で貴国と交渉するんだ、こう言っていったんでは、すでに占有している国が承知すると思いますか。そんなことはしないことは明らかだ。したがって、北方領土問題について、こちらが国際法上根拠のある主張をしようと思えば、もっと別の論拠を持ち出さなければならないということは明らかだ。私は日本民族の一人として、日本の固有領土については、たとえそれが社会主義国であろうと何であろうと、主張すべきものは堂々と主張すべきだと思っておる。しかし、そういう三百代言のような主張ではとても相手方を納得させることはできないし、世界の世論の支持を得ることはできない。したがって、外務大臣なり条約局長がもう少しまじめな論拠をここで説明されない限り、交渉の前途などというものはもうやらない前からわかっておるといってもいいくらいだ。もう少し知恵のある答弁をしなさい。それだけしか根拠はないのか。
○高島政府委員 再三申しておりますとおり、平和条約第二条(C)項にございます千島列島は、いわゆるクーリール・アイランズという名称で呼ばれておる島でございまして、わがほうが固有の領土として主張しております国後、択捉はこのクーリール・アイランズに入らないということを、歴史的また法律的な従来の経緯から証明し得るということで一貫しておるわけでございます。
○正森委員 幾ら聞いてもそういうわからぬことをおっしゃるが、それならば、なぜ平和条約の第二条の(C)項で、何らの留保なく千島列島を放棄したのか、そして国会の答弁で、これには全千島が入ると答弁したのか。そういうことをした政党あるいはそのときの内閣というのは、そうするとある意味では日本国民に対する反逆行為をやったことになるではありませんか。そんな答弁では決して外交交渉はうまくいきません。私は、国会で何も条約局長や外務大臣を苦しめるために質問しているのじゃなしに、少しでもよい成果をあげてもらいたいという立場からやっておるから、これから国際法上の根拠について、あなた方に私どもの見解を述べたい。そして答弁をしていただきたい。 ほんとうの国際法上の根拠は、大西洋憲章でもいわれ、そしてカイロ宣言でもいわれております。「同盟国ハ自国ノ為ニ何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ズ又領土拡張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ズ」こういうように明白にカイロ宣言できめておる。そして承知されておるように、ポツダム宣言というのは、これは無条件降伏ではなしに、連合国が一定の条件を示して、その条件のある宣言を日本が無条件で受諾をした、こういうことであります。そしてポツダム宣言の第八項では「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク」、こう書いてある。したがって、このカイロ宣言の条項に違反するような内容のものはポツダム宣言にも違反するものである、そしてわが国の固有の領土であるということは歴史上も条約上も明らかである、したがって、これについて貴国の考慮を願いたいということでなければ国際法上の筋は全く通らぬじゃないですか。いや、あのときには放棄したけれども、そのときの千島列島には南千島は入らなかったんだ、そんな子供みたいな論拠で相手を説得できると思いますか。それ以外にソ連に再考を求める法律上、国際法上の根拠はない。これは多くの国際法学者の認めているとおりではありませんか。そういう立場から論議を進めるというお考えはありませんか。外務大臣、局長、お答え願いたい。
○高島政府委員 繰り返しになりますけれども、私ども千島列島を分けて、北千島及び南千島というふうに観念したことはございません。あくまでも千島列島というのは国後、択捉を除いたウルップ島以北の島をさすという考え方でございます。しかも、平和条約第二条(C)項は、わがほうとしてはきわめて不満足でございますけれども、この条約によって放棄させられた。放棄させられたものをまた取り返すということはできないというふうに考えます。
○正森委員 何回も同じようなことを言っておるけれども、そうすると、あなた方は国会で西村条約局長やあるいは政務次官の言った答弁、そういうようなものは全然無視して、国後、択捉、そういうようなものは千島列島には入らないんだ、そしてこの平和条約というのは、いまのことばは若干あいまいであったが、無理やり押しつけられたものだからそれでしようがなかったんだ、こういうように言うつもりですか。
○高島政府委員 日本も署名しました平和条約の内容につきまして、この修正を求めるということはいたさないということを申しておるつもりであります。
○正森委員 修正を求めるということはいたさないというようなことを言ってみても、平和条約の第二条(C)項にこういうことが明瞭に書いてあれば、これは占有しておるのがソ連であるから、ソ連との間の話し合いに基づいて円満に解決すれば、そのことを各国政府に通告するなり何なりすることは国際法上当然ではありませんか。 そこで、条約局長ばかりがお答えになっておるから外務大臣に伺いたい。 昭和四十八年の二月二日の予算委員会で、わが党の不破書記局長が、大平外務大臣及び田中内閣総理大臣にいろいろ質問をしております。そこで、ポツダム宣言に関連することが出てきて論議をされたということは外務大臣も御承知のとおり。その点についての田中内閣総理大臣の速記を引用しますと、「過去に行なわれた日本の戦争、これは日清、日露、いろいろな問題もあります。しかもその上に大東亜戦争と銘打たれたものもございますが、それをいま私があなたの質問に答えて、侵略戦争であったかなかったかという端的なお答えは、後世史家が評価するものであるということ以外にはお答えできません。」こう答えて、ポツダム宣言の点を指摘されて、田中内閣総理大臣は「ポツダム宣言を受諾しなければならないような国情だったのです。またポツダム宣言を修正するような力はなかったのです。そういう事態においてポツダム宣言を受諾しておるという歴史的な事実、それを全部否定するものか、こういうような質問をされても、私がそれに的確なお答えができないということはおわかりになると思います。私が今度立場をかえて、別なものをあなたに質問してもお答えできない場合も私はあると思います。」こう答えておられる。つまり、ここでは「ポツダム宣言を受諾しなければならないような国情だったのです。またポツダム宣言を修正するような力はなかったのです。」こう言って、ポツダム宣言について日本国政府が非常に軽い立場をとっておる、こういうことが国会の中で出ております。私どもからすれば、このポツダム宣言こそ、その第八項こそ「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク」ということで、北方領土問題を解決する場合に最も有力な根拠であると思われるにもかかわらず、内閣総理大臣が予算委員会の総括質問でこういう答弁をしておられる。 そこで私は、田中内閣ができたときに、内政は田中がやる、外交は大平、君にまかせると言われたようなことが新聞に載っていたと聞きます。そこで外務大臣でもあり、田中内閣における外交について重大な責任を有する大平外務大臣は、一体こういうことでいいのかどうか、あなたはどうお考えになるのか、それについて伺いたい。
○大平国務大臣 ポツダム宣言を受諾いたしました内外の事情ということについて総理が御発言になりましたこと、私といたしましてもよく理解できます。戦後の内外の政治がそういう受諾を起点といたしまして展開されたわけでございまして、そういう一連の過程を胸に踏まえて、外交に慎重に当たらなければならぬと考えております。
○正森委員 いまの大臣のお答えを承っておりますと、非常に苦労してお答えになっておるようですけれども、私はその当時の新聞の論調を申し上げて、これが内外に重大な影響を与えておるということを申し上げたい。 一つは四十八年二月五日の読売新聞の朝刊ですが、近藤日出造氏の漫画が載っておる。これはよくごらんになったでしょう。「あれから四半世紀」二十五年たっておる。「あなたが“後世の史家”なのだ!」ということで、首相が国民から指をさしてしかられておる漫画が載っております。 そして同じく昭和四十八年の二月三日、つまり質問が行なわれた翌日の読売新聞の朝刊には、「軽率答弁目立つ首相」こういう見出しのもとに論評が載っておる。これはきわめて重大だ。その部分の要約を私が読みますと、「田中首相の単なる“勇み足”とはみすごせない“暴言”。 とくに、ポツダム宣言に関する発言は、機会あるごとに平和国家を強調しているわが国の最高責任者が、国会の場で述べただけに、きわめて重大である。ポツダム宣言は、太平洋戦争におけるわが国の侵略性を認め、これを受け入れたという事実は、広く異論のないところであろう。そして、ポツダム宣言をスタートにし、その反省のうえに立って、平和憲法をもつ民主主議国家に生まれ変わったことも、だれしも異論のないところであろう。 首相発言は、このような歴史的事実を無視するばかりでなく太平洋戦争を“聖戦”とした当時の軍部の思想に通じる危険を感ずる。 最近、わが国の経済進出とあいまって、東南アジア諸国では「日本軍国主義」の復活に対する警戒が強まっている。こんな状況のなかで、首相発言は、どんな影響をもたらすだろうか。「やはり、日本軍国主義は生きている」と、誤解を与えかねない。」こう書いている。これは赤旗の主張ではない、読売新聞の記事であります。 こういうようなことをやって、そしてそれが一国の首相であるということでソ連へ行って、やれ千島を返せというようなことを言ってみても、ポツダム宣言では、同じように第十項では「日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スルー切ノ障礎ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ」こう書いてある。そういうようなことが新しいわが国のスタートになっておることは、歴史的に認められたことであるにもかかわらず、あれについては修正する力がなかったとかなんとかかんとかいうようなことを国会で言う。この読売では、発言の取り消しを求める、あるいは審議をストップするということまでしてもよかったのではないか、こう書いてある。そういうようなことをもとにして、あるいはそういう立場で交渉されるということでは、私どもは日本民族の一人としてほんとうに解決するかどうかということははなはだ心もとない。 そこで、交渉をされる上は、ポツダム宣言についてあくまで日本国の厳正な態度を持して、そしてその第八項に「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク」こうなっおる。しかし平和条約の第二条(C)項では放棄せられたことになっておるけれども、これは歴史的事実から見ても、あるいはポツダム宣言、カイロ宣言から見ても、必ずしも妥当ではないから貴国の再考を促す、こういうことでなければこれはうまくいかないのじゃないですか。重ねてその点について伺い、かつ、ポツダム宣言についての首相の発言は理解できないことはないというような程度のものでなしに、もう少し外交に責任を持つ大臣としてのお考えを伺いたい。
○大平国務大臣 領土問題の交渉にあたりまして、政府が踏まえておる条約上の根拠についていろいろ御指摘がございました。またポツダム宣言自体、そういう角度からあらためて評価し直す必要が政府においてあるのではないかという御指摘でございました。正森さんの示唆はつつしんで拝聴いたして、なおよく検討をさせていただきたいと思います。
○正森委員 いま外務大臣からそういう答弁がございましたが、さらに問題を進めますと、一九五六年の日ソ共同宣言では、日ソ平和条約を直ちに締結して歯舞、色丹島の返還、こういうものを受けるという取りきめがございます。思いますのに、現在わが国は日米安全保障条約を結んでおる、アメリカに対して施設、区域を供与しなければならないということが義務づけられておる。したがって、千島列島の返還を受けた場合には、ソ連としては、カムチャッカ半島にきわめて近い、たとえば占守島にアメリカの軍事基地がつくられる可能性もある。そうなれば、幾ら緊張緩和したといっても、こういうむずかしい時代においそれと返さないことは明らかだ。したがって、日米安保条約をなくす、日本はいかなる国にも軍事基地を与えないというような立場を明らかにしなければ、平和条約を結び、そして千島列島の返還を受けるということはきわめて困難ではないかというのが率直な気持ちであります。国際情勢が大きく変わっておるときに、北方領土問題を解決するためにも、こういう安保条約の再検討についてなさるお考えはございませんか。そういう時期がすでに来ているというように思いますが、外務大臣の所見を承りたい。
○大平外務大臣 安保条約を維持してまいるということは、ただいま政府がとっておる基本的な姿勢でございます。この姿勢を貫いてまいります以上、この条約の及ぶ範囲は、条約論として全国土に及ぶことになるわけでございまして、その一部につきまして適用しないということになりますと、改定を必要とするわけでございまして、条約的な立場からはそういう措置を講ずるつもりはございません。ただ政治論といたしまして、どこに基地を置くか置かぬかという政治論と申しますか、行政上の措置として、安保条約の運営上どう考えるかということにつきましては、これはまた行政府において考えられる性質のものでございますので、条約論と行政論と両面を持っておる課題ではないかと私は思います。
○正森委員 それは日本の国内で、大阪府にどうするかとか、東京都にどうするかだったらそれはそれで通用するかもしれないけれども、いやしくもソ連を相手にしてお話しをする場合に、安保条約がございますので、これは占守島にも基地は置けるのでございます、しかし行政上の考慮としてそれはそうしないようにいたすつもりでございます、こう言ってみたところで、そんなことをソ連がはいそうでございますかと言って信用するわけがない。それならば、それを保障する条約の変更あるいは新たな条約の締結ということで、国と国との間の国際的な明白な取りきめを要求することは明らかです。また、それを要求されないでも済むだろうと考えられるならば、それは外務省としてはなはだユートピア的な考え方であると、ことばはきついが言わなければならない。したがって、二者択一、二兎を追う者は一兎をも得ずといいますけれども、安保条約を廃棄するか、あるいは大臣のいまおことばにあった、何らかの明白な条約上の措置をとって、千島列島には基地を置かないということにしない限り、千島問題についてソ連の譲歩を得ることはおそらく一〇〇%むずかしいであろう。そうだとすれば、日ソ共同宣言の確認に基づいて歯舞、色丹の返還を受ける、あるいはさっきの安井委員等の質問にもありましたが、十二海里と三海里という領海の双方の食い違いから、多数の漁船が拿捕されたりしておる。したがって、安全操業協定を結ぶというような問題をまず解決するということも、日本国民の利益のためにはきわめて肝要なことであるというように思われます。したがって、そういうような現在の問題と将来の展望の問題とを関連させながら、しかも区別して話をしてくるというようなお立場をおとりになるお考えはございませんか。
○大平国務大臣 安保条約との関連において、条約上のきちんとした取りきめが行なわれていなければ、ソ連の信頼を買うことはできないのではないかという御指摘は、御指摘として承っておきますが、問題は、やはり両国間の信頼の問題だろうと思うのでございます。その両国間の信頼の糸がなければ、いかなることをやりましても実らぬわけでございますので、第一のわれわれの努力の道標は、あくまでも両国間の信頼を深めてまいるように、あらゆる面にわたって努力してまいらなければならぬと考えております。 ただいまのところ、将来の展望と現状の処理を一応分けてやる意図があるかどうかということでございますが、政府はそこまでは踏み切っておりません。
○正森委員 それでは時間が参りましたので、私はこれで質問を終わらせていただきますが、特に条約局長に一言言っておきたい。 いまこの場で答弁したような、そういうずさんな子供じみた根拠で外務大臣を補佐して、ソ連との交渉に当たられるということであれば、天下の秀才を集めた日本の外務省が泣くとこう言わなければなりません。また、それほど他の国は甘いものではないということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○浅井委員長 次に渡部一郎君。
○渡部(一)委員 きょうも少し外務省に耳の痛いことをいささか申し上げなければならぬわけでありますが、北方領域の問題につきまして、ただいま共産党の正森委員が、政府の歯舞、色丹、国後、択捉島、この四島に対する態度は、当時の国会における発言と相違しておるではないかという指摘をされておりますが、それ以上あまりお話が進展していなかったようなので、私はその先を続けて質問申し上げたい。 それでは、昭和二十六年十月十九日、サンフランシスコ平和条約特別委員会で、当時の条約局長西村熊雄さんが、千島列島を放棄したということと、放棄した中に北千島と南千島が入るということを前提にしながら、ただし、両者は歴史的に事情が異なり、それはサンフランシスコ会議で吉田首席全権が説明したとおりであると説明をされたことであります。これは明らかに千島列島は放棄した、そして放棄した中には、北千島と南千島が入っていると当時説明をされたことであります。ところがその後、この同じ方が途中で方針を変更されたのか、この北千島と南千島というものは別のものであるという議論に論拠を展開されました。私はそこで、いままでの政府の立場が一貫していたととるべきなのか、全く別の手でいくというふうに変えてしまわれたのか、そこのところを明確にしていただきたいと思うわけであります。どっちの手をとるかで、私のこれから先の御質問は全然別のものについて議論したいと思います。
○高島政府委員 先ほど正森先生が御指摘になった、平和条約を審議しました国会における当時の西村条約局長の御答弁、それからその後の政府側の答弁に、表現上あるいは内容上の若干の相違があるのではないかという御指摘でございますが、その点は私も率直に、内容上あるいは表現上の相違があることは認めております。しかし、桑港におきます吉田全権の演説あるいは西村条約局長の国会における御説明においても申し上げておりますとおり、国後、択捉、この二つの島については、歴史的にも条約的にもほかの千島の部分とは違った地位にあるということは、再々繰り返し御説明しております。 そういう意味におきまして、確かに表現上の相違あるいは言い回しの違い等はございますけれども、一貫して私たち政府といたしましては、国後、択捉は日ソ間においていまだかつて交換の対象になった領土ではないし、全く完全に固有の領土であるという立場をとっておるというふうに申しておるわけでございます。
○渡部(一)委員 非常にわかりにくい答弁をなさったわけでありますが、内容上、表現上にその前後で差異があるということを明確にお述べになったのは、国会のいままでの論議の中で高島条約局長が初めてであります。したがいまして、これは歴史的発言だと私は思っております。 ところが、吉田全権が講和条約において述べられた御意見というものは、講和条約の内容そのものを説明するものではなくて、あの議論の際に、日本側の願望というか希望というか考え方というか、そういうものを意思表示したにすぎないのであって、認められたものではございません。また西村条約局長のその後における御答弁もその路線を踏んでいるものであって、日本政府の確たる方針でもないと私は思います。 したがって、私は正森さんと似た言い方をするわけでありますけれども、これは、外務省としては北方領土の問題について、もう一回論議を立て直す必要があるのではないかと思うわけであります。明らかに、外交上の問題は論理を積み重ねていくというだけでは複雑な国際情勢に対応できるものではありませんし、どういうふうにあるべきかということをもう一回再検討しなければならぬ面も当然あると思います。 そうすると、私は、しばしば当委員会において議論された北方領土問題、それに対する論旨の展開を見てみまして、率直な意見を申し上げますと、千島列島の範囲内について、政府が、歯舞、色丹、国後、択捉の四つの島について、明らかに日本固有の領土と主張し抜くには、いままでの日本の外交上の立場というものがきわめて不確実な論拠、あるいは向こう側に押し通らない論拠の上に立っておったということはお認めにならぬとまずかろうと思うわけであります。 したがって私は、その問題を詰める立場でなくて、きょうは外務大臣に率直に伺うのですが、こうなると政策判断として、政治判断として、北方領土の中の歯舞、色丹、国後、択捉の四つは絶対条件として交渉に臨まれるか。つまり、この返還を求めることを譲れない条件として交渉なさるおつもりなのか。これはある程度譲ってしまって、他の分野で譲らぬおつもりなのか。このどちらの道を歩もうとされるのか。少なくとも、その基本的な路線だけは明らかにされてもいいのではないか、こう思うわけであります。大臣にお伺いしたいわけであります。
○大平国務大臣 政府の立場といたしましては、あなたの言われる基本的な条件として踏まえて当たらなければならぬと考えておりますが、問題は交渉ごとでございますので、交渉の経過を踏んでみなければならぬと思いますし、また国内のいろいろ世論というようなものも十分踏まえてかからなければならぬことだと思いますが、われわれといたしましては、基本的な条件として踏まえて交渉に当たっておるということでございます。
○渡部(一)委員 確かにこういう問題については言いにくかろうと思いますけれども、そうしますと、外務大臣のいまの御意向としては、田中総理の訪ソするという今年にあたって、現在の感じとしては、歯舞、色丹、国後、択捉の四島の返還交渉のめどがつかなければ、平和条約の交渉をまとめる意思はない、こういう意味に解釈してよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 さようでございます。
○渡部(一)委員 これはすごい決断を伺ったわけでありまして、その御方針は、田中総理が今度訪ソされるにあたっても、同様の基本的な方針でいかれると見てよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 仰せのとおりでございます。
○渡部(一)委員 そうしますと、この交渉というのは、大体数々のソビエト側の意向で北方領土問題は解決済みであるとか、いろいろなことがあがっております。そして明らかにソ連側としては、日ソ経済委員会、日本側で民間の貿易、鉄鋼、金融、石油など大手企業で編成された委員会、財界首脳が支持している委員会において、ソ連側と交渉しているという現実に対して、その際、ソビエト側から、シベリア開発をめぐる経済協力への積極的な取り組みが要求されており、その中でもバンクローン供与に関する日本政府側の決断がソビエト側から求められているわけでありますが、これに対してはかなり日本政府側としては譲る形というか、そういうニュアンスを私たちは受けているわけであります。つまり、領土では断固がんばるが、日ソ経済協力問題、その中にはチュメニ油田等を含む、そうした問題については、バンクローンを供与する等の大幅の対ソ協力姿勢を打ち出すことによって日ソ関係を安定させていきたい、こういうお考えでございますか。
○大平国務大臣 経済協力問題につきましては譲る、譲らぬの問題ではないのでありまして、日ソが互恵平等の立場で、両方の利益のためにやるべきものはやる、やらないものはやらないわけでございます。これを日ソ関係、たとえば領土問題との関連において、これを譲るとか譲らぬとかいうことにはならないと考えております。
○渡部(一)委員 アメリカ政府の高官たちがよく言うことでありますが、日本では対中国交渉において、政治と経済を分離する政経分離方式というものをもってうまくやってきた、ところが、アメリカに対しても政経分離方式でいこうとする、安保のほうと貿易のほうと区分して、貿易のほうでは自分の好きなようにする、安保のほうではアメリカの兵隊を出させるようにするというような反撃が従来しばしばございました。このソビエトとの交渉の場合も、政経分離の考え方ときわめて似たニュアンスがあるわけでございます。領土交渉については衝突していく、そして経済交渉だけは進めていく、基礎的なパターンとしてこういうやり方でいくことで、世界情勢の中で安定し得ると思われているのかどうか、私はこの際に注意を喚起したいと思っておるわけであります。 その一つは、ソビエト側がアジア安保というような考え方を持ち出してこられ、あるいは大西洋憲章に対する考え方などを含めて持ち出してこられた場合に、日本側がどう対処するかという問題であります。こういう交渉の中でいままでクローズアップされておりますのは、領土と漁業交渉とチュメニ油田と三本立てしかわれわれの中に入っておりませんけれども、明らかに西ドイツとの交渉の際に最も大きくあがってきたテーマから想像いたしますと、アジア安保というものが大きなテーマとなって出てくることが想像されるのであります。これに対して基礎的にどういうお考えであるか、この際明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 世上日本の対外姿勢というのは政経分離だとよく俗にいわれるのですけれども、政治と経済は分離できるなんて考えるのは、少し私はどうかしているんじゃないかと思います。政治と経済なんか分離できません。中国の場合におきまして、国交はないけれども貿易はやるんだ、そういう政治的態度を俗に政経分離と呼んだんだろうと思うのでございまして、私ども政治と経済が分離できるなんていう子供じみた考えを持っているわけじゃ決してございませんことをまず第一にお断わりしておきます。 それから日ソ関係におきましても、渡部さんの御指摘のように、いろいろ政治の問題も出てくれば、経済の問題も文化の問題もそれぞれ出てくると思うわけでございます。それに対しまして真剣に一つ一つ取り組んでいかなければならぬわけでございまして、こちらはそこそこにしておいて、こちらはうまくやろうなんていう手ぎわいいことは私にはできないわけでございまして、すべての問題につきまして真剣に対処していくつもりです。
○渡部(一)委員 そうすると、アジア安保あるいは大西洋憲章等に対してのお考えはどういうふうに持っておられますか。それがもし言いにくいのでございますならば、西独とソビエトとの友好関係樹立、そういうものをどう評価され、それを日本にどう当てはめようとお考えなのか、その辺を明らかに述べていただきたいと思います。
○大平国務大臣 冒頭、佐藤委員からの御質疑がございましたときにもお答えをいたしたのでございますが、ソ連でいわれるアジア安保構想というものにつきまして私が承知しておる限りにおきましては、アジアにおいても、安全保障の構想を話し合うような時期がきたのではないかという提言が、世界党大会で一九六九年の六月に行なわれたということだけは承知しておるのでございますが、ソ連がアジアの安全につきまして、具体的にどういうことを考えられておるのか、その内容が分明でございませんので、コメントできないのだということを申し上げたわけでございまして、アジアはアジアといたしまして、たとえばいろんな既存の安全保障体制が曲がりなりにあるわけでございまして、そういう既存のものをまずどのように考えておるのか、そういうものを踏まえた上で、もっと次元の違ったことを考えられておるのか、そういうものをくずさないとうまくできないのか、そのあたり全然わからないのです、正直言って。でございますので、それは内容がわかりませんのでとやかくコメントできる立場ではございませんということをお断わり申し上げたわけでございますが、あなたに対しても同様なお答えをするよりほかないと思います。 ただ、ソ連は、ヨーロッパにおきましても現状を一応定着させていこうということが最近の対ヨーロッパ外交でも見られておるところでございますし、アジアにおいて事をかまえる意図を持っておるようにも私どもは考えない。アジアが安定し、平和であるということをソ連も考えられておるのではなかろうか。それで、そのことは私どもとして、ヨーロッパにおける動きからしても、世界の緊張緩和という角度から見ましても、十分評価できる措置でないかと考えておりますし、ヨーロッパの安全保障交渉がいろいろ行なわれておりますけれども、それが成功結実してまいりますことを私どもも期待いたしておるわけでございます。
○渡部(一)委員 そうしますと、今度はもう少しなまぐさい話におろしていきますが、日中関係について、ソビエトが最近どういうふうな評価のしかたをしているかは御承知のとおりであります。端的にいえば、ソビエトのほうから見れば、日本の最近の外交は中国ペースにはまっているのだという大きな不安があるだろうと思います。このときにあたってソビエトに行かれて——中国側は先日から北方領土に対する日本側の返還要求に対して数々のコメントをしております。たとえば、周恩来氏の話として伝えられるところでは、われわれは日本の北方領土返還交渉を全面的に支持する、その日本国民の意向を尊重する、それは毛沢東氏がさきに述べられた路線と変わらないというような方向で意思表示をされているわけであります。こういう問題が北方領土交渉の際に当然問題になってくると思わなければならない。そして特に、西欧諸国の中で、日本の北方領土交渉に対して非常な関心を持たれている諸国が幾つかあります。たとえばフィンランドであるとかユーゴスラビアであるとかチェコスロバキアであるとか、あるいはリトアニア、エストニア三国であるとか、こういう国々との間の国境線の問題は、これはある意味で国際法上の論理を立てていくならば、ソ連側に利のない議論であります。日本政府としてこういう状況を見て、これらの議論を利用して議論するしかたもある、どういう考え方と遮断して、日本は日本で交渉するやり方もあるだろう、いろいろなやり方があろうかと思いまして、どういうふうに中国政府のこういう意見に対して評価されておられるか、まずそれから伺いたいと思います。
○大平国務大臣 日本の外交が中国ペースじゃないかというような批判があるやに伝えられますけれども、ソ連との間には、すでに国交が十七年前に開かれて関係がだんだん進んでいるわけでございまして、中国との間にはその道がなかったわけでございまして、道を開いたわけでございます。要はそれだけのことをやったことなんでございまして、やるべきことはあたりまえのことをやったと私どもは考えております。それから、日中関係は日中関係として、日本と中国でやればいいことでございまして、日ソ関係は日ソ関係で、日本とソ連との間で鋭意話し合って解決してまいることにつとめなければならぬと思っておるのでございます。私ども、よそさまに応援を求めなければならぬものとは考えておりません。
○渡部(一)委員 そうおっしゃるだろうと思いましたので、その次の質問をいたしますが、そこで、国際政治の中において一つの交渉なり二つの交渉は、次の波紋を呼ぶものでありますけれども、その波紋も今度の場合は、中国とソ連が大きく対決状態にあるときには、一つの政治効果を両者の関係において発揮するわけであります。これはもう当然のことであります。いまの時点でソ連と交渉を行なうことは、中国に傾斜した日本外交をソ連傾斜にもう一回ゆり戻して、そして安定させるようなお気持ちなんでしょうか。また中国との関係はある程度犠牲にしてもいいと思われているのであろうか、またそういう気持ちが全くないのであろうか、また最近の日中間の航空協定というものを延ばしているのも、これはソ連との関係を回復しようというための日本政府の小さな配慮のあらわれなのであろうか、こういう問題点について、日本政府側の方針がひとつ筋が通っていなければいけないと私は思っておるわけです。つまり、非常に小細工が多過ぎて路線が明確でないところに問題があるだろう、こう思うわけであります。つまり、中国との関係の正常化については民間ベースにゆだねておいてそれほど進展さしておかないで、ソ連のごきげんをとるという意味の交渉であるとしたら、私は、どの国とも仲よくするというのじゃなくて、どの国とも仲よくならないというやり方の外交に落ち込むのじゃないか、こう思うわけです。したがって、日中交渉ももうちょっと進める、日ソの交渉も進めていくという両面の前進というものが必要ではないか、こう考えるのですが、いかがですか。
○大平国務大臣 気のきいたマキアベリズムなんというのは、大体私はやるべきでもないし、またわれわれ毛頭考えていないことなんでございまして、われわれはいずれとの国とも、国が大きくても小さくても、どういう体制、信条であろうとも、わが国との間の信頼と理解を深めるように努力していくべきでございまして、わが国が特定の国との間の関係を取り結ぶにあたりましても、第三国から見まして日本のやり口は理解できる、フェアなものである、当然のことをやっておるという理解に値するようなことをやってまいらなければならぬわけでございまして、よそさまを手玉にとるなんという手口はとても手に負えませんし、そんな気持ちは毛頭ございません。また、そういうことはやるべきでないと思うのでございます。
○渡部(一)委員 それでは、私もその点はそうあるべきだと思いますが、もう一つ伺っておきますと、日本外交がどうも諸国から見てフェアなものでないという印象を受けられる最大の理由の一つとして、それは何についても、具体的に相手がよくわからないからコメントしないとさつきアジア安保の問題について言われましたけれども、そういうやり方でコメントしないことにも一つあるだろうと思うのです。たとえば外務大臣は、外務委員会においてアメリカの外交教書に関して、これは重大問題だから十分慎重に答弁したい、向こうの意思もはっきりするまでとおっしゃいました。それからもう一カ月半たっております。長い長い時間がたっておって、外務大臣はまだそれについて意見を言われるニュアンスがありません。またアジア安保などについては、これはもう七、八年も前のことになるわけであります。その間、事情がわからないというのでコメントをしない。昔の宮廷外交みたいなものでしたら、コメントしないことが一つの政治的な意味を発揮します。しかし、いまのようなマスコミの発達している時代において、向こうのトップレベルが言っておることに対して、何にも言わないで黙ってにやにや笑って見ておられる。しかけられるのをじっと待つ。頭をぶんなぐられるまで待つ。なぐられてからもつそり少し動くというような外交のしかたでは、説得力は非常に欠くのではないかと私は思っているわけであります。現にそうだと思う。ですから、今度訪米されて訪ソされるというような方向自体に対しても、諸外国から見ていると、日本は何だかわからぬけれどもともかく会いに来る。それで、会うと何かもごもご言って帰る。何か約束を結んでいるようだけれども、結んでいないようだけれども、何となくにやにや笑っておるというような感じを抱かせるとしたら、アンフェアということばで言われましたけれども、明瞭でない、不明瞭外交である、私はそう思う。この不明瞭な外交をもう少し風通しのいい明瞭な外交にしなければ、まさにおかしなことになるのではないかと私は思います。大臣、どうお考えになりますか。そして、外交教書に対しては何年ぐらい先までに返事をなさるおつもりですか、お伺いします。
○大平国務大臣 外交は、私は日本の国益をどのようにして守るかということだと思うのでございまして、総理大臣や外務大臣がはでにふるまうことがいいことだとは必ずしも考えていないわけでございます。それから日本がものを言う場合に、やはりそのことがちゃんと実行的に裏づけされるだけのものでないと、へたに言っちゃいけないわけでございます。あれやこれや考えながら、もたもたしているように渡部先生には映るかもしれませんけれども、よくよく考えてやっているわけなんでございまして、日本の過去の歴史に見ましても、はでな外交を展開したときが日本の国運にとってよかったかというと、必ずしもそうでなかったわけでございまして、軟弱外交だ、追随外交だとたたかれたときが、後世から見るとやはりあのころはよかったということになった例もいろいろありますことは御案内のとおりでございますので、国益をどうして守るかという点を踏まえて、言うべきこと、言うべきでないこと、あらゆるふるまいをどうするかを考えさしていただきたいと思うのであります。 それから第二の、米国の外交教書でございますが、これはアメリカが世界に向かってみずからの見解を述べたものでございまして、とりわけパートナーに対しまして、成熟社会のことだからいろいろと違ったものがあってもいいので、皆さんいろいろ考えてみて、いろいろ意見を聞かしてくれないかという一つの呼びかけでございまして、あれ自体非常に具体的な提案ではないわけでございます。ああいう考え方に基づいて、具体的な提案があるいはヨーロッパに対して、あるいは日本に対して今後行なわれてくるだろうと思いますが、そういう場合に、日本がどう受けとめるかを考えておいたらいいわけでございまして、そういう意味で、われわれといたしましても注意深く勉強させていただいておると申し上げたわけでございます。 早い話が、近く日米首脳会談も行なわれることでもございますので、その会談には、一応こういうアメリカ側の考え方というものを十分こなして、わきまえ、踏まえた上で田中さんに応対していただかなければいけませんので、五年も八年も先のことではなくて、七月末の日米首脳会談というものを目途にいたしまして、一応わが国の受けとめ方というようなものは整理しておきたいと、いま鋭意やっておるところでございます。
○渡部(一)委員 時間がありませんから次にいきますが、この間外務大臣は外務委員会で、明らかに外交教書に対して返事を出す、あるいはその見解を表明すると言われました。ですから表明なさらなければ、それは食言になりますよ。あなた田中さんが行く前の家庭教師みたいなおつもりで、田中さんが行く前にちょこちょこ教えてあげるなんて、そんな調子で外交教書を扱ってもらっては困るのですよ。国民の目の前で意思表示をすると表明をなされたんですから、それに対する意見をはっきりしていただかないといけないと私は思うのです。 それからもう一つ私申し上げておきますけれども、北方領土問題のときの交渉のあり方でありますけれども、先ほどから申し述べましたように、論拠があまりいい論拠ではありませんね。ただ、これは日本側が、歯舞、色丹、国後、択捉は永久にどんなことがあってもがんばるときめられるならきめられるで、その論拠というものはあとから自然についてくる。しかし、いまの段階で国際法上一つずつあげてみる限りでは、あまりいい論拠でないことは明らかである。そして途中でアメリカ政府との間で歯舞、色丹、国後、択捉の問題について問い合わせをした時代があります。明らかにアメリカ政府側を巻き込みながら交渉をしようとした経緯があります。今回アメリカに行かれてそのあとソ連に行かれるのだったら、もう一回その問題を再確認するなり念押しをしなければなりません。そこで、きょうは時間がありませんので詰める余裕はありませんけれども、そういう問題も含めて御検討をいただきたいと思います。これをお願いをいたしまして質問を終わります。
○浅井委員長 以上で質疑は全部終了いたしました。 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十四分散会