予算委員会 第5号
- 発言数
- 300 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1972/11/13
会議録
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十七年度一般会計補正予算 昭和四十七年度特別会計補正予算 昭和四十七年度政府関係機関補正予算 以上三案を一括して議題といたします。 内閣法制局長官より発言を求められております。これを許します。内閣法制局長官吉國一郎君。
○政府委員(吉國一郎君) 戦力について、政府の見解を申し上げます。 戦力とは、広く考えますと、文字どおり、戦う力ということでございます。そのようなことばの意味だけから申せば、一切の実力組織が戦力に当たるといってよいでございましょうが、憲法第九条第二項が保持を禁じている戦力は、右のようなことばの意味どおりの戦力のうちでも、自衛のための必要最小限度を越えるものでございます。それ以下の実力の保持は、同条項によって禁じられてはいないということでございまして、この見解は、年来政府のとっているところでございます。 先般、十一月十日の本委員会において上田委員が御指摘になりました、戦力とは近代戦争遂行に役立つ程度の装備編制を備えるものという定義の問題について申し上げます。 先日も申し上げましたように、吉田内閣当時における国会答弁では、戦力の定義といたしまして、近代戦争遂行能力あるいは近代戦争を遂行するに足りる装備編制を備えるものという趣旨のことばを使って説明をいたしておりますが、これは、近代戦争あるいは近代戦と申しますか、そういうようなものは、現代における戦争の攻守両面にわたりまして最新の兵器及びあらゆる手段方法を用いまして遂行される戦争、そういうものを指称するものであると解しました上で、近代戦争遂行能力とは右のような戦争を独自で遂行することができる総体としての実力をいうものと解したものと考えられます。近代戦争遂行能力という趣旨の答弁は、第十二回国会において初めて行なわれて以来第四次吉田内閣まで、言い回しやことばづかいは多少異なっておりますけれども、同じような趣旨で行なわれております。 ところで、政府は、昭和二十九年十二月以来は、憲法第九条第二項の戦力の定義といたしまして、自衛のため必要な最小限度を越えるものという先ほどの趣旨の答弁を申し上げて、近代戦争遂行能力という言い方をやめております。それは次のような理由によるものでございます。 第一には、およそ憲法の解釈の方法といたしまして、戦力についても、それがわが国が保持を禁じられている実力をさすものであるという意味合いを踏まえて定義するほうが、よりよいのではないでしょうか。このような観点からいたしますれば、近代戦争遂行能力という定義のしかたは、戦力ということばを単に言いかえたのにすぎないのではないかといわれるような面もございまして、必ずしも妥当とは言いがたいのではないか。むしろ、右に申したような憲法上の実質的な意味合いを定義の上で表現したほうがよいと考えたことでございます。 第二には、近代戦争遂行能力という表現が具体的な実力の程度をあらわすものでございまするならば、それも一つの言い方であろうと思いますけれども、結局は抽象的表現にとどまるものでございます。 第三には、右のようでございまするならば、憲法第九条第一項で自衛権は否定されておりません。その否定されていない自衛権の行使の裏づけといたしまして、自衛のため必要最小限度の実力を備えることは許されるものと解されまするので、その最小限度を越えるものが憲法第九条第二項の戦力であると解することが論理的ではないだろうか。 このような考え方で定義をしてまいったわけでございますが、それでは、現時点において、戦力とは近代戦争遂行能力であると定義することは間違いなのかどうかということに相なりますと、政府といたしましては、先ほども申し上げましたように、昭和二十九年十二月以来、戦力の定義といたしましてそのようなことばを用いておりませんので、それが今日どういう意味で用いられるかということを、まず定めなければ、その是非を判定する立場にはございません。しかし、近代戦争遂行能力ということばについて申し上げれば、戦力の字義から言えば、文字の意味だけから申すならば、近代戦争を遂行する能力というのも戦力の一つの定義ではあると思います。結局、先ほど政府は昭和二十九年十二月より前に近代戦争遂行能力ということばを用いました意味を申し上げたわけでございますが、そのような意味でありますならば、言い回し方は違うといたしましても、一がいに間違いであるということはないと存じます。 以上、先般の保留いたしました点を申し上げたつもりでございます。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) これより質疑を行ないます。上田哲君。
○上田哲君 ただいまの政府見解は、憲法解釈、四次防につきまして、国民の合意を求める姿勢をみずから放棄することを宣言したものと言わなければなりません。第一に、その論理は最も初歩的な同義反復にすぎませんし、第二に、具体的な設問に答えず、政府の言う抽象とは具体性を回避するものにほかなりません。第三に、四次防の実体をおおい隠すもの以外の何ものでもありません。 この際、総理、合意に向かっての明確な態度を示されるという総理に、時間も制限されておりますから、ごく国民的な常識のレベルで、ぜひお考えを伺いたいと思います。 いま統一見解にいう戦力とは、素朴に言って戦う力だと、こういうことばがありましたが、しからば、専守防衛には戦う力がなければなりませんね。
○国務大臣(田中角榮君) そのとおりです。
○上田哲君 十一月七日の衆議院予算委員会で、総理大臣は、技術の進歩は防衛を変えるという発言をされています。これは、いまの御発言と同じように、戦力保持を意味しているというふうに考えてよろしいでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 自衛のため、防衛のため必要な力というものは、相手側が非常に高速になってくれば、こちらも高速にならざるを得ない。ただ、これは攻撃というのではなく、あくまでも自衛のため、防衛のため、受け身のものではございますが、いずれにしても、質が、相手の質がよくなれば、防衛力というものそのまま——これは相対的なものでございますから、相手が強くなればこちらも強くならなければいかぬということでございまして、質の面では相対して強くならなければならないということは、そのとおりだと思います。
○上田哲君 十一月二日の衆議院で、総理は、法の解釈は状況の変化によって変わるとおっしゃっておりますが、それは、憲法解釈そのものがやはり二十年を経ると変わっていかなければならないという直感をあらわしたものとして受け取ってよろしいですか。
○国務大臣(田中角榮君) そうではありません。憲法解釈というものは、もう全く、それはうしろのほうでずっと答弁しておると思いますが、憲法の条章は全く不変なものであると、こう考えます。
○上田哲君 統一見解にも述べられておりますように、防衛庁長官、一般に国際通念としては、戦力とは近代戦遂行能力でよろしいですね。
○国務大臣(増原恵吉君) 何といいますか、文字の意義といいますか、広い意味と申しまするか、そういう意味で戦力を解釈しますると、やはり、おっしゃるように、戦う力、近代戦遂行能力という意味を持っておる、これはいま法制局長官も申しましたように、そういうふうに解釈をしていいと考えます。
○上田哲君 そうなりますと、五二年二月の、木村国務大臣が、戦力とは近代戦を有効に遂行する力と、こういうふうに発言されていることと一致することになりますが……。
○国務大臣(増原恵吉君) 木村防衛庁長官時代にそういう御答弁を申し上げた趣旨、経過、及び現在憲法九条二項にいう戦力は、自衛、防衛のための備え、自衛力というものを否定するものではないという意味は、先ほど法制局長官が御説明を申し上げた趣旨でございます。
○上田哲君 長官に伺うが、総理がよく比較される先進各国の軍備、西ドイツ、イギリス、フランスの軍備は、戦力ではありませんか。
○国務大臣(増原恵吉君) 日本憲法九条に関連する問題を別にしての御論議と思いまするが、そういう意味で普通の字義の解釈としての戦力というものから申しまするならば、西独の持っておるものは私は戦力であろうと、こういうふうに考えます。
○上田哲君 そうしますと、総理、それと同じ力を持っていると、これまでの論議で明らかになっておりますし、戦う力を持たねばならぬと言われている、こういう立場から、それらの各国が持っている力が戦力であれば、それと同じ力を持っている日本の自衛力というのは戦力ではありませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 西独やいろいろなものは、憲法上、外国——国際紛争を自力で解決できるという戦力でございますが、日本の戦う力——戦力とは戦う力、戦う力といえば、日本の持っておるものも戦力ではある。これはしかし、防衛の戦力であります。防衛に対して、防衛専門の戦う力であるということで、憲法九条でいう制限の内のものであって、外の戦力ではないと、このように私は理解いたします。
○上田哲君 先進各国は近代戦遂行能力。そうすると、わが国も近代戦遂行能力ではありますね。
○国務大臣(田中角榮君) 近代戦遂行の能力というと、これは純軍事的な考えでありまして、これはもう攻撃、侵略、一切のものを含んだ在来のものでございまして、制限のないものでございますが、しかし、日本の防衛力というものは、やはり防衛をするにも、相手の装備が近代化されればこれに対応する近代化が必要である、これはもう当然のことだと思いますが、日本の持つ戦力というものはあくまでも専守防衛であって、他の一般的な戦力というものではない。憲法九条の限定、非常に強い制約というものの中にあるというものでございます。
○上田哲君 これまでの御答弁及びきょうの統一見解で、一がいに近代戦遂行能力は間違っていないということが明らかになりました。そして、先進各国とわが国の実力とは、近代戦遂行能力ということでは同レベルにあるということも明らかになりました。総理の御発言の中でいえば、つまり、いまや自衛隊は戦力は持った、しかしそれは専守防衛に限る、こういう解釈が憲法九条のあり方であるということになりますね。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げましたように、戦力という定義は何かと言うから、広く言えば戦う力でございます、と。これはすなおにそうだと思うんです。お互いの話し合いの中でも、戦力培養というようなことをよく言うわけでございます。だから、まあ、そういう戦力というものの定義をと言えば、広く言えば戦う力だと思います。これは、やりを持っておってもこれは戦力でございますし、これはまあ、いろんなところで戦力という、もう千差万別、違うわけでございます。ですから、わが自衛隊の持つ——まあ戦力と言いたくないんです、ほんとうは。戦う力、防衛の力、自衛の力ということを申し上げたいんですが、どうもあなたが、戦力とは戦う力か、では戦う力を持っている防衛庁の力は——防衛庁は戦力を持っていると、まあそれはそうなると思うんです。ですけど、逆説で、こうも言われればそうなるんですが、あくまでも日本の持っておる力というものは、憲法九条の制約、厳たる制約の内であって、外に出る戦力では絶対にないということだけは間違いのないことでございます。
○上田哲君 各国と異なるところは、専守防衛であるという区分ですね。
○国務大臣(田中角榮君) いかなる場合であっても、攻撃的であってはならない。これは全く防衛のため、受け身のものである。相手国が攻めてこない場合は、いかなる場合でもこの力は使われないものである。使ってはならないものだし、使われないものである。こういうことです。
○上田哲君 明らかになりました。そうしますと、整理します。 第一に、国際通念として、列国と同じような近代戦遂行能力としての実力は持った。そして、それが戦力でないという言い方は、われわれの国は専守防衛のためにこれを用いるということが唯一の区分である。第三に、これが憲法九条の解釈であると、こういうことですね。
○国務大臣(田中角榮君) あなたは逆説的にずっと言っておられますが、私もまた逆に言わざるを得ないわけでございます。日本は、憲法九条の厳たる制限があります。ですから、日本の防衛というものは専守防衛でございます。防衛庁の持つ力は、あくまでも防衛のみに使えるものでございまして、攻撃的なもの、すなわち、憲法のワクをはずしては一切無価値のものであり、使ってはならない、使えないものである、こういうことであります。
○上田哲君 近代戦遂行能力との関係はどうですか、唯一の基準はそれだけですね。
○国務大臣(田中角榮君) 戦争遂行能力というところにも、また、ちょっとめんどうな表現をお使いになっておりますが、すなおに言いますと、防衛をするんですから、防衛の実をあげるためには、相手が攻めてきた場合には、その攻めてきた力に対応できる力を持たなければ防衛力が発揮できないわけでございますから、そうすると、相手が、やりの場合は、こっちも、やりでいいと思うんです。しかし、鉄砲を持ってくれば鉄砲でなけりゃいかぬということで、そういうふうな考え方を……(「わかったわかった」「核で来たら核でいくと」と呼ぶ者あり)、結局、相手が(「相手次第だ」と呼ぶ者あり)技術的にも科学的にも進歩をしてくれば、これをやっぱり防ぎ得る力というものを持たなければ、防衛の実をあげられなくなるわけであります。(「そうしたら何を持ってもいい」「専守防衛かな」と呼ぶ者あり)そういうことであります。ですから、全く専守防衛であって、(「だけでしょう、基準は」と呼ぶ者あり)いや、専守防衛だけじゃなく、まだ第二、第三の制約があります。相手に侵略をするような脅威を与えないということもありますし、衆議院でもっていろいろ御論議がございました質の問題もございます。これは足の問題とか、これはもう日本を基地として、どう考えても帰ってこれないというものなら、これは攻撃的ではないと思うんです。十分帰ってこれるということになると、これは脅威を与えますし、だから、そういう意味でいろいろな制約は当然ございます。
○上田哲君 問題は、自衛隊の実力だけになります、そうなりますと、 久保局長、お尋ねするが、四次防は自主的な防衛、そこに向かって走り出したということでよろしいですね。
○国務大臣(増原恵吉君) 自主的な防衛に踏み出したと……。
○上田哲君 久保さんでなければわからないでしょう。防衛局長、この前言ったことをもう一ぺんはっきりと言ってもらえばいいですから。
○国務大臣(増原恵吉君) 防衛局長でないといけないですか。
○上田哲君 防衛局長でないとわからぬでしょう。(笑声)
○国務大臣(田中角榮君) ちょっと、さっきのを補足させていただけませんか、委員長。 ちょっと、私も気にしておったわけでございますが、相手が大きくなったらだんだん大きくなっていいのか、核を持ったら核を、ということでございますが、それはそうではなく、過常兵器による局地戦以下の侵略に対して最も有効に対応し得る効率的なものという限界がございまして、これ以上のものになれば日米安全保障条約が働くと、こういうことでございますので、相当な制約があるということを御理解いただきます。
○政府委員(久保卓也君) ただいまの御質問については、この前、総理も御答弁になりましたように、三次防も四次防も同様に自主防衛の努力をするものである、この点は変わっておりません。ただ、実態的に申し上げてみますると、三次防当時におきましては、いわゆるニクソン・ドクトリンというものはなかった。米側は、言うならば何でも応援ができた。しかし、今回はニクソン・ドクトリンによって、特に昨年のレアード報告書の中に、米国はどういう場合にどういう支援ができるかということを、抽象的にではありますけれども、述べております。そういう点から言いますると、客観的な情勢としては、より自主防衛の努力を進めなければならないという条件はできていると思います。 しかし、それが、それでは四次防に反映しているかと申しますと、昨年春の四次防原案のときには、そういうことを背景に踏まえまして、自主防衛の努力を相当積極的に進めようといたしましたけれども、今回の場合には、諸条件に従いまして、一応三次防と同様な自主防衛努力をするということで、主体的な内容の問題と客観的な情勢——客観的に言えば、自主防衛の努力を要請すべき条件はあるというふうに申せようかと思います。
○上田哲君 つまり、総理、四次防は単なる三次防の延長ではないということをお認めになりますね、いまの答弁を認めて言うならば。四次防は単なる三次防の延長ではないということはお認めになりますね。
○国務大臣(田中角榮君) 自主防衛という、自分の国は自分で守らなければならないという精神的な気持ち、これはよく理解できますが、これが急激に変わって、アメリカがいなくても日本だけで守るのだというようなものに転化はいたしておりません。これは全く精神的なものであるという感じの上では、四次防は三次防の延長であると、このように私は理解しております。
○上田哲君 防衛局長見解を否定しますか。
○国務大臣(田中角榮君) 久保君が考えたことと同じことだそうでございます。
○上田哲君 いや、否定されるのならいいですがね、これは違うのですよ。客観的にと言っているのです。客観的には、これは三次防と四次防は違う、自主防衛努力に向かっていると。
○政府委員(久保卓也君) この点は、御理解いただきたいのですけれども、繰り返しますと、三次防のときには、ニクソン・ドクトリンというのはありません。したがって、米側はおそらく何でも協力してくれるであろうという前提ができました。四次防のときには、ニクソン・ドクトリンがあります。いま申し上げたように、レアード報告書の中に書いてあります。そうすると、米側はどういう場合にどういう援助をしてくれるであろうということが予想できます。四次防をつくるときには、そういう背景が違っております。そこで、四次防原案のときには、私どもはそういう背景をある程度生かそうと試みたわけでありますが、しかし、それでは相当大きな増強と言いますか、強化にもなりまするので、その方針はやめたわけであります。したがって、背景は違っておるけれども、四次防そのものとしては、いまでき上がりました四次防そのものとしては、三次防と同じような自主防衛努力をしておると、こういうことであります。
○上田哲君 アメリカに依存するものは、実体としては抑止力しかないということですね。その傾向が強まっているということですね。
○政府委員(久保卓也君) いま言われる抑止力というのは、防衛の、あるいは日本に対する侵略を未然に防止するという意味合いと、もし万一侵略があった場合には、米側がある範囲内においての応援をするであろうということを含めて抑止力ということであれば、そのとおりであります。
○上田哲君 政府答弁がこのように乱れるというのは、二十年前の解釈では不可能になってきているところが多いからです。どうしてもそれは憲法から、ずれてくるということになると思います。それはいかがですか、実感として。
○国務大臣(田中角榮君) 憲法九条というものが不変のものであり、われわれはその憲法九条を守るという厳然たる大前提があるのでございますから、防衛に対する考え方は変わっておりません。
○杉原一雄君 きょうの答弁の中でも、総理が繰り返し憲法を守るんだと、こう言っているわけです。ただ、統一見解の中で、ただし、専守防衛、必要最小限度、これが一つの政府側のいわゆる戦力の限界になっているわけですね。しかしながら、われわれは憲法を正しく理解し、今日まで守り抜いてまいった立場からすれば、いま政府が言っている専守防衛、あるいは必要最小限度以下は戦力でないという解釈には同じがたいのであります。 そこで、政府はそうしたことを想定をしながら逐次憲法改正の作業を進めていることについて、本会議で私は質問いたしました。しかしながら、これは簡単に総理答弁の形で逃げておりますが、きのうの国会討論会における二階堂長官の発言の中にも、政府は憲法を守るんだと、憲法の規定があるから国民は信頼しているんだと、このように憲法に大きくウエートをかけて——当然の義務です、かけておいでになることを、きょうまた私は確認いたしました。 しかしながら、ここであらためて伺いたいのは、自民党内における憲法調査会、ことしの六月十六日に、憲法改正の大綱草案を天下に明らかにされたわけです。この中で力説されていること、とりわけ、それ以前に、その最高責任者である稻葉会長が、去年の五月の十四日の時点で、憲法改正稻葉私案なるものがすでに発表されております。この稻葉私案の中身は、新聞記者の取り方、文章表現等にもよりますが、第九条の面では、いわゆる国際連合に協力することなど等も含めて海外派兵もあり得るというように理解され、われわれもまたそうだと思っております。そういう表現になっておると思います。なおかつ、六月十六日に、これは公式に天下に明らかにされた自民党の憲法改正大綱草案によりますと——ほかの条項は申し上げません。第九条については、これは前文の基本方針のところにもすでに明らかにされているわけでありますが、その第二のところで、「世界平和への寄与とわが国の安全保障の確立」、「日本国は孤立しては存立し、繁栄しえないことにかんがみ、地球上から戦争を絶滅し、世界の恒久平和を確保することが、わが国最高の使命である。」とうたいながら、その終わりの段で、「これに到達するまでの間は、自衛力の保持と集団安全保障によることを明らかにする。」、だから、第二の改正の方向、それぞれの各条にわたって、なかんずく、第二章戦争放棄の第二項について、「現行憲法は、国の固有の権利である自衛権を否認していないが、これを行使する自衛力の保有について種々の議論がある。日本国の安全保障は、究極には国連の普遍的集団安全保障機構に依存することを理想とするが、これに到達するまでの間は自衛力の保持と集団安全保障機構によることを明らかにする。」「自衛力の保持については、文民統制(シビリアン・コントロール)による趣旨を規定する。」などと、積極的に憲法改正、つまり、自衛力の保持の正当性を憲法にうたわなければならないような見解の表明が行なわれているわけです。でありますから、これはほんとうは総理にお聞きしたいのでありますが、事実上筆を入れられた稻葉文相がおいでになりますから、この辺の事情をひとつ明らかにしていただきたいと思います。 次に、きのうの国会討論会で、二階堂官房長官が、中立などということはまさに空想であるという表現を実はしておいでになります。それは、速記録をぼくは持って言っているわけではありません。私は、聞きながらメモいたしました。そうしますと、この改正大綱草案の基本方針の第四項にうたわれている「人種平等、民族の自主性尊重にもとづく世界連邦の建設」、「人類社会の真の平等と幸福は、究極において人種平等と民族の自主性尊重にもとづく世界連邦の建設によって完成さるべきものである」と、このように大綱がうたっているわけでありますが、この世界連邦への道行き、経過の中に、中立というものの意義づけというものについて、長官は政治的思考をめぐらしておいでになったことがあるのかどうか。これもまた夢物語だと否定されるなら、これはきわめて、あなたのきのうの論理ときょうの論理とは一致することになります。その辺のところを明らかにしていただきたい。 最後に、先ほどの論争過程の中で、いわゆる専守防衛というのは一体だれが判断し、これをきめるか。国民だとおっしゃるでしょう。だが、必要最小限度ということが、上田君の一貫して明らかに究明しているところでありますが、近代装備等を含めながら、一体、必要最小限というのはどなたがおきめになるのですか、われわれに判断をさせていただくチャンスがあるわけですか。えてして、これは、いままでの経過等から考えると、制服組が提起して、それに対してあなた方が国防会議等で御決定になる手順は必要だとしますが、しかしながら、やはり、ぎりぎりの判断は、時間的、空間的条件によって制服組がこれを判断されるようなことに、いままでの経過等から、考えられますけれども、その点はどうか、明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 私が自由民主党憲法調査会長時代に、私案として世に問うたものをお読みになりましたが、お読みになっておわかりのように、私どもは世界の恒久平和をどうやって探究するかということを、政党が学問的に、政策的に研究することは有意義だと私は思いますし、いまでも思っております。そこにもありますように、あなたは、海外派兵もあり得るというようなことを抽出して強調されたようですけれども、私は、世界連邦ができて、世界警察軍というものがあったときに、日本は全然これに協力しないということでは、一つの国家にならないと思いますね。やはりそういう点で、あり得るという表現を用いましたことが誤解を生じたようですけれども、そういう点は、どうかよく全文をお読みくだすって、それからまた、民主憲法制定国民会議における私の二十五分くらいの短い演説要綱は世に発表されておりますから、それをお読みいただきたいと思いますが、われわれは憲法九条にいう世界平和への道をどうやってやるのか、しかも、自衛のための処置をどうやってとるのか、自衛のためにとる処置について、こう与野党が常に全く反対の解釈で対立しておったんでは、ついに議会制民主主義、政権の与野党における交代をも非常に困難にしておるという現状にかんがみ、憲法のほんとうの精神はやっぱり議会制民主主義の確立ということにもあるんだと、こういう点からああいうことを申し上げておるんであります。要するに、政党は、いかにして世界の恒久平和を探求するかということの研究は差しつかえないものと——憲法九十六条にも、やっぱり、いい憲法にするための努力、そういうことに公認を与えておる、肯定しておるということでございますから、そういう探求をすることは一向に差しつかえないことでありますが、もとより現行憲法が有効なものとして厳存する以上は、閣僚としても、また議員としても、その他公務員として、憲法の条章に従って政治を行ない、行政を行なうことは当然でございまして、憲法違反の行動をとろうなどという考えは毛頭ございませんです。
○国務大臣(二階堂進君) きのう放送討論会でお聞きになったことについてのお尋ねでございますが、自衛力の問題についていろいろ各党から意見が出ましたので、私は、自民党の自衛力というものは憲法という制約が大前提になっております、それをはみ出すものではございませんと、こういうことを申し上げました。いろいろ議論がありましたので、各党——社会党、民社党、公明党、共産党がおられます、私どもの考えておる防衛、安保というものに対していろいろ意見が述べられましたが、私はその際、特に社会党の方々の従来一貫した主張は非武装中立ではないか——私は空論だとか、空想だとか、そういうことを申した覚えはございませんが、そのおのおの政党の考えておる立場をもう少し明確にして、私どもが考えておることについて御批判をいただけたら、なおさらわかりやすいのではないかという趣旨のことを申し上げたわけであります。非武装中立、それが単なる空想にすぎないとかいうようなことを私は言ったような記憶はございません。趣旨はそういうことでございます。
○西村関一君 関連。 一昨日から今朝にかけての防衛論争を聞いておりまして、そしてまた、いま吉國長官から出されました答弁、政府の見解というものを聞きながら、どうもまだはっきりしてないという点を感ぜずにはおられないんであります。それは、総理以下は、あくまで現行憲法を厳守する、守り抜いていく、毛頭これを変える、あるいはこれに抵触するような政治はやらぬと、こういうことを言明しておられるんでありますが、実際におきまして、いま発足しようとしているところの四次防の内容、これは、これからも、次の国会において論議される点でありましょうけれども、三次防から四次防に移行いたしまする過程におきまして、それは三次防と変わってないんだということではありますけれども、しかし、五兆円をこえるような大きな予算を組まれようとしているし、そしてまた、その装備の内容につきましても非常な変化がきておる。これがはたして憲法九条の第二項に定められておりまするところの、禁止されておるところの戦力であるかないか——ただ概念的な問題じゃなくて、これは専守防衛だからいいとか悪いとかいうことじゃなくて、実感として、また、世界各国の防衛力と、あるいは軍事力と対比いたしながら、これが憲法九条二項にきめられておるところの、禁止されておるところの戦力でないということがどういうところで言えるかという点について、実感としてどうしても国民が納得がいかないと私は思うんであります。つまり、どこに歯どめがあるか。九条第二項は、これは歯どめでございます。防衛力の歯どめでございます。その歯どめがどこで行なわれるのかということにつきまして、素朴な国民感情から申しまして、とことんまで、どこまでも、とめどなく進められていくんじゃないかという疑問を持つ。これはただ私どもだけじゃない、国民の大多数がそういうことを感ずると私は思うんであります。 近代戦遂行の能力、それがはたして戦力であるかないかということにつきましても、戦力ではあるが、わが国は近代戦遂行の能力を持つところの軍隊をつくろうということは考えてないんだというような御答弁でありますが、そのこと自体も、どうも論理のすりかえがあるように思われてならないんであります。憲法九条第二項で保持を禁じられているところの戦力というものは一体どういうものであるか、どういうところで歯どめをするものであるか、こういうことが明確にならない限り、上田委員の提起いたしましたところの問題は、やはり解消しないと思うんでございます。時間がありませんから、ここでこの点について論議を重ねるということは無理かもわかりませんが、こういうことで問題が、うやむやと言っては語弊があるかもわかりませんけれども、明確を欠く状態でこの論議を終わらせるということは私はできないと思うんでございます。この点につきまして、まだ一分の時間、上田委員が質問をいたしますけれども、関連でありますから私はこれ以上のことを申しませんけれども、この点が、素朴な国民感情から申しまして、これだけの、戦力とは何であるかという点についての論議、三次防から四次防に移りまするときにニクソン・ドクトリンというものが出た、レアード国防長官の見解も出た、そういう中で、三次防とは違ったもの、これらのものを踏まえた計画をというのが防衛庁の考えであったが、それはやめた、やめたと言うけれども、その希望は捨ててない。つまり、自主防衛ということに対する考え方は捨ててないという久保局長の答弁もありました。それらの点が、まだ総理の答弁との中で明確に一致してないというふうにも感ぜられます。これは時間がありませんから、これを深めることはむずかしいかもわかりませんが、私はこの点について幾多の疑問がある。幾多の問題性がある。どこで歯どめをするのかということにつきまして、政府のこの見解では、これはもう全くすりかえの議論であるとしか受け取られないのでありまして、この点につきまして総理の御見解をもう一度伺っておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 憲法九条が厳として存在するのでございますし、それを不変の条項としてわれわれは守っていこうと考えておるのでございますから、この範囲内がどうであるかという議論を活発にすることは望ましいことであり、必要なことだと私は考えております。非常に議論をし、十分配慮をしなければならない重要な事項だということを考えております。考えておりますが、政府が間々申し上げておりますとおり、これは局地戦というもので、通常兵器による局地的な事態が起こった場合、日本人が日本を守ろうという限界内の装備をやり、自衛隊を持っておるんですと。そうすれば、もっと大きな侵略その他に対して、国家の安危にかかわるような場合はどうするんだと、それは日米安全保障条約にたよる以外はありませんと。これですから、理路整然としているわけでございます。そうすると、自衛隊の装備が攻撃的なものになるのか、それから全く防御的なものかということでございまして、これは防御的なものでございますと。それには、足の問題とか、とにかく相手に脅威を与えないようなもので、しかも通常兵器による攻撃には耐えられるような装備改良の努力をしておりますが、あくまでも憲法の制限の中にあるものでございますと、こう言っておるんです。問題はですな、国防会議を拡充して文民統制の実をあげるとか、いろんなことをやっておりますが、防衛に関する予算も人員も全部、法律、予算として国会の審議を得るわけでございます。ですから、国会の審議というもの、国会が、この限界というものを押える最終的な力になる。国会はすなわち国民でございますからそれはもう当然そうだと思います。第一、その憲法九条の制限を上回るようなものを持ったり、それを使うようなことが現にできるのかどうか。これはもう絶対にできません。憲法論もございましたが、憲法の改正条文は確かに憲法にあります。しかし、衆参両院において三分の二以上の多数の発議により、しかも国民の直接投票を経なければならないという、がんとしたワクがはまっておるのであって、とても自民党が、どんな状態においても三分の二以上、いま参議院に持てるような状態じゃないじゃありませんか。ですから、そういう意味から言ったら憲法九条の改正はできない、また自民党もやる意思はない、こう言っておるんですから、非常に明確なはずでございます。あなた方が健在である限り絶対にだめなんであります。できないんです。できないんです。しかも、このいまの装備が憲法九条の制限を越しているんじゃないかどうかといえば、絶対にないし、いまそんなことがどんな内閣ができてもやれるはずはない。こういう、やっぱり戦後二十七年間もたったですな、こういう国民的自信ということで、とにかく皆さんは自信を持って、われわれが健在な限り政府などには変なことは断じてやらせないと、こういうことでですな、そういうととがほんとうの私は原則だと思うんです。ですから、四次防が防御の域を越えておる、憲法の制限に抵触するんじゃないかというような考えは、政府としては持っておらぬわけです。だれにでも御質問に答えて申し述べておるわけでありますから、これはまあ、とにかく絶えず国民の中でそういう問題は厳密に議論すべきである私ということは、私たちもその重要性、必要性は十分承知をいたしておりますし、皆さまの御質問も、それは非常に重要なものとして評価をいたしております。しかし、やっぱり日本のその防衛力、自衛隊の力というのでございますから、これはお互いが理解できるのではないかと、私はそう思うんですが、政府がるる申し上げておること、過去からのずうっとの問題、こういう事態をひとつ比較御検討の上、政府の言うことを御信用あらんことを切に願います。(「委員長、答弁漏れがあるよ。限界、限界」と呼ぶ者あり)限界を認定するというのは、これは国会でございます。国会はイコール国民でございます。きれは、法律も、それから人員の拡大も、みな法律でお願いしております。予算は、いまこうして審議をいただいておるわけであります。こうして御質問、審議をいただいておるということが限界をきめるわけでございます。
○上田哲君 これまでの御答弁で、総理は、戦う力は持たなければならないと、また統一見解で、一般的に戦力とは近代戦遂行能力をいうのだということも認められたわけであります。そこで、私は御答弁をつなぎ合わせて、三点に整理いたします。 政府見解は、第一に、わが国は有数の近代国家と同列の近代戦遂行能力としての戦力を持つに至った、第二に、自衛隊はこの四次防をもって客観的にも自主軍備充実体制に入っている、そして第三に、今日戦力を持つこと自体はいまや合憲であって、政府の合憲の基準はまさに専守防衛のみをポイントとすると、こういう見解にたどりつくと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(吉國一郎君) 先ほど来の質疑応答で政府側の申し上げておりますことは、基本においては、私が冒頭において申し上げましたごとく、憲法第九条第二項において保持を禁止されている戦力は、自衛のため必要な最小限度を越えるものである、自衛隊の保持し得る防衛力は自衛のため必要な最小限度の範囲内のものである、で、現在の四次防は、この自衛のため必要な最小限度の範囲内のものである、ということを申し上げたつもりでございます。
○国務大臣(田中角榮君) 上田さんね、私が答弁して、その中で、あなたが、こう、いいところだけずっと続けられるということではね−私が答えていることすべてを前提にしてお考えいただきたいんです。すべてを前提にしてお考え、御理解を賜わらなきゃならないんです。ですから、いま法制局長官が述べましたとおり、これは全く憲法九条を守りますと、これは絶対不変のものでありますと、しかも日本の持つ防衛力というものは、これはもうほんとうに専守防衛のものでなければなりませんと、こういうことでございまして、私がずうっと答弁しているわけですから、この答弁全部を……。
○上田哲君 近代戦遂行能力としての実力を持っている。
○国務大臣(田中角榮君) だから、何もまくらがなくて近代戦遂行と言われると、そこで一つの定義がまた生まれるのです。そうじゃなく……。
○上田哲君 世界有数の実力は持っておる。
○国務大臣(田中角榮君) 有数なんかじゃないです、これは。それは原則的にですな、相手が能力が上がってくれば、これを要撃しなければならない、防衛をしなければならないこちらの水準も上がってまいりますと。
○上田哲君 そこまで来た。
○国務大臣(田中角榮君) というけれども、いや、相手は原水爆を持っているのに、こっちは何も持たないで、そんなことはやれるわけはないんです、実際。それはもう日本の装備がですな。だから、先ほども何回も言っているようにですね……。
○上田哲君 イギリス、フランス、ドイツですよ、言っているのは。
○国務大臣(田中角榮君) イギリス、フランス、ドイツのほうが日本よりも、そりゃよほど大きいものを持っています。
○上田哲君 ほぼそこへ来たというのは、数字ですよ、あなたの。
○国務大臣(田中角榮君) いやいや、そんなことはないんです。そんなことはありません。
○上田哲君 あなた自身お話しになったじゃないですか、そこまでは来た。
○国務大臣(田中角榮君) そんなことはありません。それは、イギリスやフランスや西ドイツの国民総生産に対する比率などは申し上げましたが、いま西ドイツやイギリスやフランスに比肩すべきものであるかないかは、これはもう、お比べになればすぐおわかりになるじゃありませんか。
○上田哲君 ファントムはずっと多いじゃないですか。
○国務大臣(田中角榮君) いや、だから、その部分だけを見てはどうにもなりません。それは、ほんとうに日本の自衛力というものは、イギリスや西ドイツやフランスに比肩できるもんじゃありませんよ、これは全く。そんなものじゃありません。これは明確に申し上げておきます。
○上田哲君 かなりなところに来たということを前提にしてですね……。
○委員長(大竹平八郎君) 上田君。上田君。
○国務大臣(田中角榮君) それは、ほんとうに私がずっとお答えしていること全部で答弁としていただきたい。
○上田哲君 三点言ったわけですよ。この三点の見解はどうなんですかね。
○委員長(大竹平八郎君) もう時間がきましたからね、もう一点だけですよ。
○上田哲君 政府見解が非常に乱れておりまして、合意を求めるということは一体何でありますか。明確な態度とは一体何であるかを、たいへん私たちは疑わざるを得ない。これでは、この膨大な五兆円に達する四次防について国民は納得はいたしません。これは一次防、二次防当時の、国際的に比べても実力が低いときには、憲法解釈の明確度はあった。実力が向上してきたときには憲法解釈がたいへんあいまいさを持ってきたというのが今日の問題であって、四次防はまさにそのことをここに明らかにしていると思うんです。つまり、きょう御提出になった政府統一見解は、それ自体において、二十年前の統一見解ではもはや通用しないのだということは、これは明らかだと思うんです。総理、この点は、ひとつ、明確に御見解を明らかにしていただきたい。 もう一つ、しきりに近代戦遂行能力云々ということをおっしゃっているんでありますが、ここで自衛隊あるいは四次防に合意を求めるのであるならば、せめて、私は、平行線をたどらずに共通の議論をしたい。これは国民に対する国会の責任だと思うんですが、共通の場を求めるのであるならば、少なくとも、いま問題になった戦力とは、あるいは近代戦遂行能力とは何かということを、四次防そのものの実体を見据えて討議を巻き起こさなければならないと思う。そのことに関しては、政府の姿勢ははなはだ明確を欠き、国民の合意、納得を求め得ないものであると私は思います。それについてどのような反省をお持ちになるか。 以上、二点について御意見を承りたいと思います。
○委員長(大竹平八郎君) 上田君、二分超過しましたから。
○国務大臣(田中角榮君) 自衛力、防衛力、日本が持ち得るもの、それは憲法の規定を十分守って、その範囲内でなければならないということは、これはもう二十年、三十年、五十年たとうが変わりません。憲法九条の規定は、これは変わらない。これを守らなければならないということも変わりませんし、その範囲内のものでなければならないという自衛力も絶対変わりません。ずっと変わらないことである。だから、いつまでたっても同じ答弁を申し上げます。 第二の問題は、これは重要な問題でございますから、これはやっぱり国会で——だから、いつでも申し上げておるのは、毎日でも、政府委員、専門委員がおるわけでございますから、これはやっぱり国会でもって御検討いただく。だから、安全保障常任委員会でもつくっていただきたいということは長い懸案であります。これは法律が出たときだけではなく、毎日でも開けるわけです。それで、私がやっぱり答弁するよりも、装備に関しては装備局長が答弁したほうがいいし、もっともっと専門的なものをやらなければならぬわけです。これは、周辺の国がどんなものを持っているのか、世界の技術水準がどんなになっているのか、何マッハとかなんとか言われたって、わからぬです、私もよく、実際において。ですから、三次防のものがどういうものであって、四次防のものがどういうものである、その間に、日本もこうなっておるが、相手国はもっと大きなものになっておるということが全部わからなきゃならぬと思うんです、私は。そういうことを国会で議論をしていただくということは、もうこれは必要なことだと思いますし……。
○上田哲君 そのためには、明確でなかったと思うのですよ。
○国務大臣(田中角榮君) いや、これは、だからそういう意味で、毎日でもやれるような特別委員会をつくってくださいというのは、それを言っているんですよ。毎日おやりになってもいいじゃありませんか、そこで。お互いだけがわからなくても、もっと国会でもって専門家を置いて、スタッフを置いてやってもいいんでしょう。それを、ここだけですべてのものが明らかにできるということを言っても、それは無理ですよ。
○上田哲君 いまの答弁も、これまでの答弁も不明確ですよ。
○国務大臣(田中角榮君) そんなことはありません。とにかく、それは誠意をもって答えられる一ぱいを答えているのですから、それはひとつ御理解いただきたい。
○委員長(大竹平八郎君) これにて上田君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) 横川正市君。
○横川正市君 私と総理との出会いというのは、すでに数十年、長い関係に立っておりますけれども、こういうかっこうで出会ったのは初めてではないかと思います。 私は、今度の予算委員会をずっと期間中聞いておりまして、非常に何か残念な印象を受けるんです。その印象というのは、答弁にだいぶふまじめさがあるんじゃないか。そのふまじめさというのを、これは官房長官は、四畳半的なかっこうで答弁されてもらっては困るというたしなめもされたようでありますけれども、このふまじめさというものは、これは前例がないような気がいたします。それから、この影響力というのは、もうすでにきょうは解散が日程に上がっておるわけですから、そのことが原因になっているのかどうか、私どもは勘ぐることもありますけれども、要は、内閣の体質の問題に関連するとこれは非常に重要だと思うのです。この予算委員会を通じて非常にふまじめだ、官房長官が指摘をするほどに感じられるその問題について、総理大臣の所信をまずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 国会は唯一の立法府でございますし、国権の最高機関でございます。国会はすなわち国民であると、こういうことでございますから、国会の審議がまじめであり、全力投球を続けなければならぬことは言うをまちません。もし、御指摘のような事態がありとせば、これはもう、以後気をつけます。これはもう、内閣として、いやしくもいまの御発言を受けるようなことのないようにいたします。
○横川正市君 そこで、いまの上田質問にちょっと関連をしてお聞きいたしますけれども、シビリアン・コントロールという機能が合意に達しておらないということでは、そのもの自体が機能しないんじゃないか。これは、国民的合意というのは、国会の場の論議を通じて、少なくとも意思の疎通がつく程度までは当然論議すべきではないか。単に、与党とそれから自衛隊との間に合意が達したからということで、これが国民的合意だということにはならぬと思うのです。さらに、国民的合意を求めるということになりますと、実は、この論議は平行線なんですね。平行線であるということは、これは決して好ましいことでありませんし、非常に重要なことでありますので、その国民的な合意を得るための少なくとも努力、こういうことが必要であろう。その努力の内容としては、憲法論議その他いろいろありますけれども、その解釈その他について非常に無理があるんではないか。 たとえば、一つは、憲法改正についての発議をする人たちが自由民主党の中におりますし、もう一つは、自衛隊の合憲、違憲の問題について裁判所の判決をいただきたいということを願っているという意見もあるわけです。そういう点で、私は、合意を得るための内容の問題、こういうようなことが今日必要になってきている段階なんでありますが、この時期では、これは少なくとも災害出動その他に出動する自衛隊の人たちを受け入れる地域の人たちの考え方ということになれば、これはある意味では一〇〇%合意をしている点があろうと思うんです。そういう問題を含めまして、きょうのこの論議の締めくくりというのは、結果田には、自由民主党という多数が考えたこと、決定したことを押しつけた結果になるんではないか、こういうふうに思いますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 非常に重要なことでございますから、国会でもって十分審議をされることが望ましい、しかも合意に達することが望ましいんです。ほんとにそう思います。そのためには、これから特に政府も、多数を擁する与党は、謙虚に、しかも完ぺきな議論が行なわれるように労力を続けてまいりたい、こう思います。ただ、率直に申し上げまして、日本の戦後の一つの問題だと思うんですが、戦前は、社会党というような、党が変わっても保守党との間に合意がなされたんです、戦争中などは。しかし、戦後というものは、一番大きな国の基本的な問題、特に外交、防衛、文教、こういう問題になると全くかむ合わないということ、これは非常に問題だと私は思うんです。まあしかし、私は、お互いに戦後のずっと議員生活を顧みますと、だんだんと交差するようになってはきております。初めはもう、警察予備隊も違憲である、自衛隊もだめだと、こりいうことだったのが、だんだんだんだんとやりまして、国土防衛隊という任務がはっきりすればいいんだと、四次防はいかぬけれども、三次防はまあまあよくわかるというふうに、これは理解はされてきました。(「失言じゃないか、それは」と呼ぶ者あり)いや、私は、そういうように理解はだんだんとされてきましたような気がいたしますか、どうも最終的に、私は、国防とか外交とか教官とかいうものは民族の一番大事な問題だと思ううです。ですから、イデオロギーとか、そういう立場を離れまして、ほんとうに議論されるべきだと思います。私たちも、前に未熟な代議士のときには全くひどい演説もしましたことを私ども覚えています。とにかく、東の国もみんな持っているじゃないかと、社会主義国が一番よけい持っているじゃないかと、なぜ一体言っているんだというようなことを演説したこともありましたが、そういうような中ではほんとうにいい議論の結論が出ない。やっぱり国会で、まじめに専門的に詰めてもらうということが一番望ましいと思うんです。いま上田さん言われましたけれども、ほんとうに四次防と三次防との比較などというのは、こういうところでもっていろいろやっておっても、時間も足らないし、私たち自体もほんとうに専門家じゃありませんから、理解も万全だとは思わないんです。ですから、これがやはり両院でもって、そういう機関があって専門的にやられるとするなら、秘密会もどんどん行なわれるということであるなら、これはもっともっと私は理解ができると思うんです。全く要らないことを自民党政府はやっているんだという感じ、それに対しては、結局短い時間で答えると、こんなにきらわれ、こんなにいじめられて、要らないものなら自民党政府はやりませんと、こういうのがもう最後の答えになってしまうんです。それでは解決にならない。まあ、国民に無条件に受け入れられることだけをやっていればいいんですが、なぜきらわれるように、なぜ野党の皆さんに総攻撃を受けるようなことをやらなきゃいけぬのか、それは、責任ある立場にあって、真にやむを得ないからやっているんですと、こういうことでは、どうもいつまでもこういうことが続くというのは……。私は、基本政策に対しては、やっぱり政党、政派というものを越えて、日本人の一人として、過去も現在も将来も見ながら真摯な態度で検討を続けられるべきであろう、政府も改めるものがあれば改めます。国会の御審議に協力するために何でもいたしたいと思いますから、どうぞひとつ、もう幾らやっても交差をしないんだということで議論が始まっておっては、これはもう交差しないんです。これはもう平行線である。平行線ではなく、交差をさせるためにはどうするかということ、それはほんとうにそのために政府が資料を提供したり、御説明をしたり、いろんなことが政府の不手ぎわや政府の努力が足らないために御理解が得られないとしたならば、いかなる努力も続けてまいりたいと、こう思います。
○横川正市君 三次防ならいいが四次防は困るという意見は、野党側の意見の中にはありません。ただ、私どもは、合意の得られる点はどこかというと、少なくともシビリアン・コントロールされた自衛隊のいわば機能している時点、これは必要だと思うから、そういう意見ならば、これは合意を得られると思うんです。それから災害出動等の問題等では、たとえば自衛隊を改組して国土建設隊にしたらどうかという話ならば、これは合意を得られる問題だと思うんです。しかし、それは出発点でありますから、その出発点がかみ合わないまま今日は非常に大きな開きをつけてしまった。そこに論議のかみ合わない原因が私はあろうと思うんです。 そこで、私はもう一度聞きますけれども、きょうの論議の時点では、総理は、いわば議院の多数をもって——合意に達しないが、多数をもって、多数の意見を、いわば押し通した、こういうふうにとってよろしゅうございますか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、多数の意見ということよりも——多数ということは、国民が多数を支持をしているわけです。支持というよりも、これは民主政治の基本にかかる問題であるし、投票制度の基本でございますから、まあそういう意味では、議論は慎重にやっていただく。しかし、あるところでやはり多数決の原理で結論は出していただく。出していただくけれども、そのためには選挙という制度があるわけでありますから、その事実を前提として、国民、主権者である国民の判断を仰ぐということを繰り返し繰り返しやっていくことによって真の理想的な民主政治体制を完成してまいりたいと、こう思います。
○横川正市君 次に、列島改造論問題に関連しながら、まあこの問題にも関係いたしますので、質疑を次に移したいと思います。 総理の私どもへ贈呈をいただきました列島改造論を読んでみました。二三ページ、「私はこう考える」の項、「「平和」と「福祉」に徹しよう」——時間がありませんから、内容は読むのをやめます。それから、二六ページから五七ページまでの「明治百年は国土維新」の分析、こういったことは、池田内閣のいわば責任ある地位にありました総理が、今日の政策上の失点というものを、これを十分とらえて、そうして反省の上に立ってこれからの政治をやろうと、こういうたてまえかどうかですね。また、この列島改造論というのは、これは自由民主党の政策との関係はどうか。いわば国民との公約にまで位置づけられたものかどうか。その点をお伺いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 列島改造論という本は、私の個人的書物でございますが、これは自由民主党が五年ばかり前に都市政策大綱の名において国土の総合開発政策の大綱をきめたわけであります。過密の東京や大阪や名古屋や各県庁の所在地のようなところにはいろいろな問題がある、これはもう公害も指摘しております。まだ牛込の柳町問題が出ておらないときに、柳町と大原町の交差点を指摘してございます。そのときには、マスコミでは全然この問題はまだ議論になっておらなかったんです。それから一年たってから柳町の問題が出たと思います。半年か一年たって出たと思います。しかし、そういうような状態で、ある都市を、これが理想的な、これからも長く、何十年も何百年ももつようにするにはどうするかと、それは、都市をただ立体化するだけでは片づかないんだと、地下鉄だけをつくるのでは片づかないんだと、水も必要であろう、空気も一定限度以上にきれいなものを保持しなきゃならないし、というような状態で、狭い国土全体を総合的に改造しなければならないと、こういうものをつくったわけであります。それが、御承知のとおりの新産業都市建設法になり、農村地域工業導入促進法になり、北海道・東北開発法とか四国・九州地方開発促進法とか、いろんなものができましたし、山村振興法になり、離島振興法になり、いろんなものができたわけです。しかし、そういうものだけではなく、これからは日本全体を対象にして、俯瞰的、鳥瞰的にと書いてございますが、そういうような立場で、日本列島を上から見ながら、ここに水がある、ここにも港湾がある、ここには平野がある、ここには一次産業の高い土地がある、ここには優良な質のいい労働力があるというようなことを考えながら全国的調整を行なう必要があると、こういうことを私述べたわけでございまして、自由民主党の政策を背景にしておることは事実でございます。 いままでの政策は失敗なのか、その反省に立っているかというと、いままでの政策は、間々申し上げておるように、まず国民所得を上げようということで、国民所得は西欧に比肩するようになったわけですが、しかし、その中にいろんなひずみが出てまいりましたので、このひずみと取り組まなければならない、そのひずみと取り組む処方せんは何か、それは日本列島改造というのが一つの処方せんであろう、こういうことであって、国民の皆さんにたたき台として提案をしたわけでございますので、その意味で、ひとつ十分御理解を賜わりたいと思います。
○横川正市君 最近発刊されました「自民党改造案」があるわけですが、その「自民党改造案」の総理の序文ですね、序文の中に、官僚の手による政治、財界にまるがかえされた政党——まあこれは私がちょっと粉飾いたしましたけれども、その結果、政治とそれから官僚と財界が一体化されて、そういった体質に異質のものというふうに思われるものはできるだけ実行が延びていくとか、あるいは排除するとか、あるいは視外に置かれるとか、そういうような冷遇をされて、あと回しになった傾向というものが多々あるんではないかと、これが実は裏返しにいうと、それが今日の自民党をささえている力だと。この体質が、実は今日になってみますと、たとえばアメリカのニクソンが中国を訪問をするという露払いがあって初めて日中国交への足がかりが出てくる。あるいは、財界が最近の過剰ドルをかかえて貿易が非常にスムーズにいき始めますと、それの対策として福祉の問題がとられてくる。そうするとこれに政治が乗っかっていく。このいまの自民党政治と官僚と、それから財界の癒着した、そういう中から、今日まで視外に置かれていた問題、これを解決しようというのが、私はこの列島改造論の一部じゃないかと、こういうふうに思うんでありますが、総理の考え方を聞きたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 経済界も大切なものでございますし、また、行政を行なう機構というものも百年間重要な地位を占めてまいりました。また将来も必要なものでございます。自民党と官僚と経済界が癒着していると、こういうふうに言う。まあ、それは言われても、私たちもよく言うことでありますから——これは私はよく言いませんけれども、労働組合と社会党は一体だと、こういうようなことを。しかし、そういう言い方よりも、私はやはり戦後二十数年間、二十七年間をずっと見てまいりますと、自民党としては相当な政策と取り組んだなあというところがあるんじゃありませんか。第一、相当なことを言われた新憲法というもの、これはとにかくいろんなことを言われてはおりますが、憲法をはじめ、今日まで相当な政策、かつての日本、戦前の日本では考えられなかったようなものも取り上げてきている。これはもう教育問題などは教育二法などでもって国会で混乱もいたしましたが、しかし、いまになって見ても、まだ世界に類例のないような教育制度、自由を追求し自由を守るためには、そして、戦前の考え方を払拭して新しい日本の教育を行なうためには、ということで教育制度を採用している。ほかの国には全く考えられないような制度も採用しておりまして、これはまあ理想に向かって前進をしなければならぬとは思いますが、自由民主党内閣は、また保守党内閣はそれなりの努力を続けておる。それは自由民主党内閣だけの力ではなく、皆さんから、いわば側面からいろいろな協力を仰ぎ、警告を受け、いろいろな御協力を仰いでおることも事実でございますが、しかし、まあ精一ぱい努力はやってきた、しかし、それは全く完ぺきなものであって、ほめられるものであるかどうかわかりませんが、しかし、社会保障制度も西欧並みになった。今度は中身だ、中身と取り組もう、こう言っておるわけでございますから、ここらはひとつ御理解願えるんじゃないかと思います。
○横川正市君 この改造論の中に、教育に思い切った投資をしなければならない——これは内容は省きます。それから国鉄その他の整備に対する構想もあります。あるいは電話等の長距離通話料については漸進的にこれを安くする、こういうような提案もあるわけであります。私は、これができるのならば、私どもは私どもの立場に立って、改造論というのは評価していいんではないかと、こういうふうに思います。ただ、その中で、先ほど言いましたように、いままで体質的なものがあって、それから視外に置かれておったもの、いわゆる自分の視野の外に置かれておったもの、そういったものについて一体どこまで反省をしているかということは、改造論のいわば魂になると思うんです。 そこで、これは突然ですけれども、三木さんにお出ましをいただきたいんですが、三木さんの自民党総裁選挙の「立候補の声明」とか「私の重点施策について」という本の中に、教育についての提言が載せられておるわけです。大体私はいまの文部行政というのは信を問われているのではないかという立場に立ちます。そのことは、今日の大学紛争とか、あるいは子弟教育に欠けているところの幾多の問題があがっておるわけですが、これに対して改造論では思い切った投資をしよう、こういうことなんですけれども、この改造論の欠陥というのは、人間形成についてどういう哲学と理想を持つかという点が、やや欠けているということよりか、全くないんじゃないかという気がいたします。そういう点から、三木さんのいわば教育問題に対する提案は、私は、非常に個条的な項目でありますけれども、一度伺っておきたい、こう思っておりましたから、ひとつ三木さんの御発言をいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 総裁選挙のときに私が申しましたのは、教育を政治的中立の場にすると、青少年を政治の争いの場に巻き込むことは静かなる教育の環境をつくらない、そういう点で、教育を政治的中立の場に置くような、教育界の紛糾を一新しなければならぬということを強調したのが、横川さんのお目にとまったのでございましょう。私は、いまでもそのように考えております。
○横川正市君 私は、時間がありませんから先に急ぎますけれども、第一番に総理の福祉の問題についての考え方、福祉をどうとらえておるかという問題について、まずお伺いをいたしたいと思うんであります。 この福祉というのが国民から期待をされている問題だということは、これはもう論をまちません。それが、総理の言う、成長があって、そしてその上に福祉というものが成り立つんだという考え方ですね。これは、発想からいたしますと、いままでの池田内閣、佐藤内閣の発想を踏襲しているんではないかという、こういう懸念を持つわけですが、やはりそういう路線に従ってやる福祉の結果というものは、決していま国民の期待する福祉ではないというふうに考えますが、総理のいわゆる福祉に対しての定義といいますか、発想の内容がどうなのか、まず、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 福祉というのは、年金とか、また病気や、いろんな方々に対する収容施設とか、いろんなものがございます。老人に対する対策とか、そういうものと、もう一つは、生活環境、生活環境の整備ということが大きな福祉の中身でございます。でございますから、そういう意味で、まず福祉政策、福祉の制度というものが西欧並みになって、その中身を拡大をし、充実をするだけでもって福祉というものが完ぺきなものになるわけはないのであります。ですから、生活第一主義、まず月給を倍増することが主だったということから、月給は倍増もでき、三倍増もできたので、さあこれからほんとうにこの世の中に生まれ育ったことがよかったというような、すばらしい環境をつくらなきゃならないということをいま考えておって、それが施策の新しい焦点にならなきゃならぬだろう、こう言っているわけです。 ただ、福祉施策を続けていきましても、いろんなことを考えて、各国の例を見ますと、年金は確かに高い、しかし、負担率を見ますと、イギリスなどは非常に高いわけです。イギリスというのはどういうことかというと、大都市中心を是認して、ずっとやってきたわけです。これは、海外に対する植民地がたくさんでございましたから、いわゆる管理機構というものが都市にみんなあったということで、イギリスは、日本が勉強するのにいい一つの例としては、都市にすべてが集中しております。ところが、イギリスだけで見ますと、そのためには、やっぱりその中で福祉政策を進めていこうということになると、めんどうな問題も起こってくるわけであります。一つには、財政負担の率が非常に大きくなってくる。もう一つは、これはあとから、悪けりゃ取り消してもいいですが、福祉というものと惰民政策というものとの限界がはっきりしなくなってくるというようないろんな学問的な問題、現実的な問題も論議されておるわけであります。それで、その結果どうなってきたかというと、ポンドの不安が起こってまいったわけであります。もう十年来行ったり来たりしておるわけであります。将来に対しての見通し、これは、拡大ECに一月の一日から入って、いつどうなるのかという重大な問題がございます。 そういう意味で、これから福祉政策の中身を充実さしていくときに、いままでの長い歴史的な事実というようなものを是認し、そのまま幾らでも集中を是認しながら福祉政策の内容を充実するのか。しかし、生活環境というものを整備をしたり、東京のまん中でもって老人ホーム一つつくるということよりも、これはちょっとしたところへつくれば、栃木県でも群馬県でもいくということになれば、それは十倍、二十倍のものができるわけでありますから、そういう意味で、内容的に見てどうも列島改造が必要だ。まあカリフォルニア州にも満たないような小さなところですから、これが合理的なものにならないはずはない。それで、まあ空気がよく、空気がうまく、水がきれいで、土地もあって、緑があって、ということになると、どうしてもコンクリートの中で、鉄板の中では住めないんですということが端的に言われますが、ちょっとした知恵を出せば、そういう環境がちゃんと整備されるじゃないかと、そういうことを前提にしながら福祉政策の実を、内容をひとつ盛っていきたい、こういうことです。しかし、それは全く東北でも北海道でも、人をうんとふやして定着させるわけにいきません。それにはそれなりの働く場所、家族が働けるような場所が望ましい。それは日本の潜在成長力はまだありますと、こう述べているのでして、成長というものを大前提にして生産第一主義を貫いていくのだという考えでは全くないということを、ひとつ理解をしていただきたいと思います。
○横川正市君 その考え方ですね。たとえば福祉優先の視点を貫こうとすれば、成長への貢献とか利殖の見通しとかは関係なく、具体的には福祉の視点の計画を先取りしてやらなければいけないのじゃないか、こういうことも、これは一応指摘をされているところです。そこで、副次的に福祉が増高する、こういう考え方を総理の考え方の基本に置いておられるのか、それとも、福祉を先取りしてこの問題の解決に当たろう、こういうことなのかという、いわばその立て方ですね、立て方にやはりまだ不明確な点があるんじゃないか、こういうふうに思われます。
○国務大臣(田中角榮君) 福祉にウエートを置いて進めなければいかぬ、こう思います。
○横川正市君 そういたしますと、これは補正予算の段階ですから、やがてこれは本予算のときに政府は相当政策を練りまして出されるものであろう、こういうふうに思いますが、総理の考え方としては、たとえば、あなたのほうの出しております五万円年金というようなものは、具体的にどういう構想で、どういう内容を持ったものを、これを具体的にされようとされておるのか。これは一部では、もうきょう解散をするわけでありまして、皆さんそれぞれ五万円年金を私どもはやりますということを訴えていくのだろうと思うのですけれども、その場合に、一般の国民の幻想だけをあおって、あと実施ができない、こういうことになれば、非常にこれは政治不信を買うことになるわけです。具体的に、五万円年金というのは、総理の考え方の中に、次年度においてどういう形で出てきて、どういうふうにこれを実現するつもりなのか、この際、はっきりひとつ、していただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 各党の案も出ております。来年度は年金の年にしたいということを私も述べておるわけでございますから、皆さんの党の公にしておる数字までいくかどうか、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、しかし、来年を年金の年にしたいということだけは、もう考えております。
○横川正市君 実は、これは私と総理との間で、いまの国家公務員共済組合法案が国会で成立されたときに、それぞれ意見のやりとりをやった経験があるわけです。そのときは、すでに総理をやめられました佐藤さんが大蔵大臣で、当時幾つかの約束事がありまして、十一項目の附帯決議がついておったわけであります。その附帯決議はほとんど一項も、いまもって実現をされておらないわけであります。ですが、今度の年金の年にしたいということは、もうすでに十数年前に約束されたようなことが確実に実現をすると、こういうふうに期待していいかどうかという問題があるわけですね。その点はどうでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘のとき、私もいささか微力をいたしたつもりでございます。そして、私は議員でございましたが、表彰を受けたわけでございまして、そういうことをいま思い出しても、来年は絶対に年金の年にしたい、こういうことでございます。ただ、積み立て方式を賦課方式に切りかえるというようなことをしなくても、現在の積み立て方式の中で一体どういうものがやれるのかというようなものも検討いたしております。そういう意味で、とにかく年金のスタートということをしたいと思います。 その中に、もう一つは、老人年金でございますが、これは、二千三百円から三千三百円にこの間千円上げたばかりでございますが、これを一万円にしたい。一万円にすると五千億以上の財源を必要といたします。しかし、一万円にしたいということは、これはもう、一つの目標でございますから、一万円にするということを前提にして、来年度は幾らにするのかという問題もあります。これは、いかになんでも半分の五千円は確保しなければいかぬという議論もございます。五千円確保するのに二千億余の財源が必要だと思います。そういう意味で、とにかく具体的に——慎重に検討いたしておりますということじゃないんです。来年度はとにかく皆さんにほめられるような、拍手をもって迎えられるようなことはできないにしても、いずれにしても年金の年としてスタートをしたいということを明確に申し上げておきます。
○横川正市君 積み立て方式か賦課方式かというやつを実質的に見てみますと、少なくとも十年前の積み立て方式の貨幣価値で今日換算をした給付率というのを計算いたしますと、これはもう賦課方式である程度やったと同じ結果が出てきている、こういう推移があるわけです。 そこで、私は、ここはちょっとあとにしようと思ったのですが、この際ですからお聞きいたしますけれども、私どものいま使用している通貨ですね、円、これは国際レートではきわめて高いレートを記録いたしておりまして、再切り上げの問題等が心配されておるわけです。しかし、国内での通貨の円というのは、そういう意味では、物価政策の失敗からどんどん円価格というものは下落しているわけです。実は、きょう総理に、まず一円という日本の通貨の単位を——これはおそらく、しばらく総理は手にしたことがないんじゃないかと思うのですが、一円という通貨の単位というのは、これは円への信用度合いからいってみて、現状のままでいいかどうか。この問題は、単に円価値を評価すると同時に、実は年金というものの根本に円の価値というものがあると思うのでありますけれども、いまのままで国民の円に対する価値観というものをこのまま放置しておいていいかどうかという点についてお伺いいたしたいと思うのです。
○国務大臣(田中角榮君) 私は、厘——何厘というのはよく知らない、五厘銭というのは知っていますが。まあ私たちは銭・円という時代に少年時代を送りましたから、これは感じはあります。まあ、いまの千円とか一万円とかというようなものに、やっとなれてきたというような感じでございます。しかし、まあ二円対一ドル、二円五十銭対一ドル、三円対一ドル、四円対一ドルと、こう戦前ずっとやってきた当時のことも承知をいたしております。しかし、いま呼称単位を変えて、まあデノミネーションをやるということの影響するところを考えてみると、私は、いまはやっぱり時期じゃないと思っているのです。これは、ドルとの価値が三百円だなどといっているのは先進工業国じゃ日本だけじゃないか、日本とイタリーだけだというようなことをいいますけれども、しかし、それはいまの状態、あなたがいみじくも指摘されたように、物価が幾ばくかずつ上がっているというようなときデノミネーションの議論をすることは、あまり私はプラスじゃないと思うのです。これはデバリュエーションと違うことであっても、どうもやっぱりよくない。私は、そういう意味で、一貫してこの十年間、デノミネーションは行ないませんと、こう言っているわけです。ですから、どうも、いま当分はないということでございまして、いろいろな経済雑誌や、そういうもののテーマとして取り上げられておりますが、いま早急に行なうべき問題ではない、やっぱり勉強の問題であって、いまこれをどうするという問題ではない、と思います。私は特に避けてきているんです。どうもそういうことをやりますと、そういうことが起こりやすいというと、すぐ株や土地にいってしまうというように、日本もなかなか早いですから、そういう意味では、どうもデノミネーション論議というものに対しては、私は非常に慎重です。
○横川正市君 このデノミネーションのやり方としては、フランスが最近やりまして、旧貨と新貨とを併用しながら、実際切りかえをしたあとに弊害があるかということを調べてみますと、あまり弊害がなく切りかえをされたという実例もあります。しかし、いまこの問題に関しては、円の切り上げと同じように、何百回うそをいってもいいものだと、こういう何か国際的通り相場があるそうですから、このことによって悪影響が生まれるということならば、これは差し控えなければいけません。しかし、もしそれが差しつかえるとするならば、たとえば年金の場合のスライド制の問題について、これならば言ってもいいことですが、総理としては約束ができますか、スライド制です。
○国務大臣(田中角榮君) デノミネーションの場合は、いまあなたが述べられたとおり、これは新旧併用するわけでありますから、これは黙っておって、ぽんとやるような問題じゃないのです。第一、これは新円貨幣をつくるにも、うんと時間がかかりますから、これは相当いい時期があれば、国民の中に十分浸透するような状態で馴致をするために、具体的なことも必要なわけですから、そういう意味じゃ、そんなに、公定歩合の引き下げとか引き上げとか、円平価の調整とかという問題とは違うというふうに考えておりますが、ただ、この間、円とドルの交換をやった沖繩であのような混乱を起こしましたから、いろんなことを勉強すべきだと思います。 それから、いまの年金のスライド制の問題、これは物価にスライドするのか、いろいろな問題がありますが、やはりスライドを加味しなければならぬだろうということは、私もそう考えております。
○横川正市君 この年金問題あるいは社会福祉の問題では、時間がありませんので、詰めて論議することはできませんが、この場所では、来年は年金の年だと、しかも、相当問題が提起されている、その解決については大きな意欲を持って当たられると私どものほうでは理解をしたいと思うのです。 そこで、物価の動向の問題について政府の考えをお聞かせいただきたいと思うのですが、たとえば、いまの卸売り物価の値上がりの現象について、政府としてはどうお考えになっておりましょうか。
○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、本年になりましてから、日本の景気は相当堅調な回復を続けております。卸売り物価も、景気の上昇につれまして比較的堅実な歩みといいますか、横ばい的の、多少の上昇で来ておったのですけれども、この八月、九月ですね、急に値上がりしてきました。暴騰してきました。八月は前月に比べまして〇・七%、九月は〇・九%、こういう非常な上がり方をしました。そこで、われわれとしましても、その原因をいろいろ追求して検討しておるんでございますが、大体におきましては、景気がよくなってくる、それで大きな需要がふえたんだということが根底の要因でありますが、その卸売り物価の上がったのは三つの大きなものがあるのですね。それは、木材、一つは繊維、一つは鉄鋼と、その三つが卸売り物価上昇の七〇%まで占めておるのです。この三つが非常に大きい。 この三つについて調べますと、まず木材でございますが、木材は、集中豪雨がありまして、相当木材の需要もふえてきた。ところが、内地の木材の搬出が非常に減った。また同時に、海員ストの影響を受けまして、外材の輸入がとどまった。そういうところからあの暴騰が来たんじゃないか。しかし、依然として木材の値上がりは続いておる現状であります。それから、次の繊維の問題ですね。これは国際的に非常に需要が多くなりまして、そして羊毛が、いわゆる原毛が比較的供給が少なかった。こういう立場から来ておる国際的の市場の関係から上がってきておると思います。鉄鋼は、さきの景気がよくなったということが基本的なものであります。ことに住宅建設が非常に進んだことが大きな原因でありますが、一方において、いわゆる不況カルテルというものがあったわけです。それが値のささえになっておる。そういうような鉄鋼のようなものは、これはいずれ近くカルテルを解除しまして平静に戻る、かように思っております。 そこで、十月の状況がまだはっきりしておりませんが、十月の上旬の状況を見ますと、上旬は〇・五%、ちょっと鈍化しております。それから中旬は〇・二%になっておる、卸売り物価全体が。で、下旬は落ちついてくるだろう、こういう見通しでございますが、卸売り物価の値上がりは消費者物価に影響を及ぼすおそれがありますから、われわれは非常な注意を払いながら見守っておると、こういう状態でございます。
○横川正市君 大体二、三%は消費者物価で大体一〇%程度の値上がりに関連するわけですが、いままで池田さんのときも佐藤さんのときも、消費者物価が上がっても、わが国の場合には欧米と異なって卸売り物価が安定しているんだから、インフレの心配はないというのが一貫した答弁であったわけです。いま卸売り物価の上昇を目前にしながら、一体これは政府の答弁としては修正をする必要があると思うんですけれども、どうですか。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほど申しましたような状態でございますが、いろいろと将来の見通しを考えますと、少なくとも本年度は卸売り物価は二%程度の上昇になるんじゃなかろうか、こういう見通しを持っております。幸いにしまして、私たち国民生活に一番関係の深いのは消費者物価でございますが、消費者物価は比較的落ちついておりまして、この上半期の状態は四・五%、年初——ことしの初めにいろんなことを想定したんですが、実質成長率は予想よりも相当ふえまして九・五%強というような見通しでございますが、消費者物価は年初の予想のとおり五・三%に落ちつくであろう、こういう見通しを持っております。もちろん、これはまた天災地変あるいは豪雪とかなんとか、いろんなことも含めて多少変更もあるかと思っておりますが、今日の状況からいえば、五・三%——いま四・五%でございますから、五・三%に落ちつくであろう、こういう見通しを持っておりまして、これは、世界各国とも物価問題には非常に悩んでおります。ことに最近、ヨーロッパにおきましても、アメリカにおきましても、景気が相当よくなっておりますから、非常に悩んで、いろんな手を打っておりますが、日本は、経済の成長率の割合に比べまして、ことに国民生活に関係の深い消費者物価が落ちついておるということでございますが、しかし、われわれも十分注意を払って進んでおりますけれども、いまのような状悪で五・三%程度に落ちつけばまずまずということじゃなかろうかと、かように考えております。
○横川正市君 こまかなことはおきまして、一点だけ、取り組みの姿勢についてお伺いしたいのでありますけれども、たとえば、小売り値とそれから生産者との手取りの差というのを二つぐらい、国光というリンゴと、それから日常必要なキャベツとを調べてみますと、小売りの利ざやというのは、国光の場合には三五・三%、それからキャベツの場合は六二%というふうに非常に高い中間マージンというのが記録されているわけです。その中に、たとえば荷づくり費一二・二%、運賃八・五%、手数料七・四%、こういう状態で、生産者の手取りというのは一七・一%程度の手取りにしかなっておらない、こういう現状です。この物価の値上がりということは、これはもうあらゆるものに関係をすることですから、本来取り組まにゃならないものがずっと今日まで放置をされて、いわば打つ手なしという感じがするわけですけれども、これにどういう取り組み方をされようとしているのか、お伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、物価の大半といいますか、約半分は流通費が占めておる。したがいまして、流通機構の改善ということに非常に注意を払っておるんですが、われわれとしましては、まず生鮮食料品につきましては、流通機構の中心となる卸売り市場の施設の整備と取引の改善、合理化を促進いたしますと同時に、一方、集配送センターの設置などをやりまして、極力流通施設の整備をはかっておると、こういう状態であります。また、小売り段階の共同購入とか共同配送の促進など、いわゆる小売り商の近代化、組織化を進めるとともに、公設小売り市場の育成にも力を注いでおると、こういう状態であります。
○横川正市君 先ほど、質疑のやりとりの中で、一回行なったことは二度行なわないということのほうが非常に実質的だと思うんです。いまの答弁は、もう毎回聞かされたことで、本格的に抜本的にこれは改善する意思があるかどうか、いわゆる決断を持ってやれるかどうかということが問題なんですが、総理は、この問題、物価問題、どう取り組む姿勢ですか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、流通段階の整備、特に大都会の流通機構というものの整備や市場の整備ということが必要なわけでございますが、まあ、大量にとれたときには安いものが台所に配給される、供給されるということであればいいのですが、安いときには腐らしてしまうということにもなります。そういう意味で、この生鮮食料品の対策ということは、これはもう焦眉の急でございます。直売所とか、スーパーの問題とか、いろいろなことが考えられておるわけでありますが、結局、計画生産を行なう、主産地をつくる、流通機構を整備するというような問題、いろんな問題がございますが、大体いままでは最終価格の半分、半分が流通経費ということになっているわけです。そういう意味で、流通機構の整備という問題に対してメスを入れ、特段のひとつ努力をしてみたいと、こう思います。
○横川正市君 福祉重点の年を迎えるわけですけれども、事実上こういう物価の値上がりが放置されておって、そしていかに対策を立ててみても、恩恵というものはほとんど受けないという、イタチごっこになるわけです。それから、このことは、私どもは、やはりこの物価問題への取り組み方として、もっと真剣なものがあってしかるべきじゃないかと思います。これは、私どもこのやりとりで結論をつけるもんじゃありませんから、これはまた政府に期待をして、次の質問に移りたいと思いますが、さきの竹田君の質問、あるいはわが党の足鹿さんの質問、それから小林さんの質問を通じて総理が明らかにいたしました点で、円の再切り上げというものは、これはもう絶対にやらないんだと、こういう考えを明らかにされましたけれども、それはいまもって同じでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 円の切り上げ等が行なわれないように万全の政策を進めてまいりたいと、こう思います。引き上げが行なわれないためには、やれることは何でもやろうと、こういう気持ちになっているわけであります。これは公定歩合の引き上げと同じことでございまして、引き下げる場合はいいんですが、これを引き上げるというような場合、これはもう避けるためにはほんとうにいろんなことを考えなきゃならぬということでございますし、特に、円平価の調整を行なったばかりで、その影響はこれから出るんだということでありますし、いま平価の再調整には日本の経済はもたない。日本の中小企業や日本の零細企業対策もございまして、これは避けるべく全力をあげたいと、こう思います。
○横川正市君 私のほうで、円切り上げが大体やられるとすればどういうことが原因になるだろうかということをちょっと調べてみました。それによると、本年二月から三月ころが黒字の幅が七十一億五千万ドル、こういうふうに見込んでおったものが、最近は八十二億ドルというふうに改定され、それがまあ現在は九十億ドルというふうに増高されておるわけです。これはいわば必至だという立場で一つの要因なんですけれども、総理の言うあらゆる対策を立てるということから見て、この動向はどういうふうに判断されますか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、来年の三月三十一日というのは今年度の会計でございますから、年度末にはもっとバランスすることが望ましいということを考えておりますが、なかなかこれ、右から左というふうには解決できない問題でありますので、日米会談では両三年以内にGNPの一%以内に経常収支の黒字幅を押えたいということでございますし、日米間のバランスも長くそういう目標の中で合理的なものにすべく全力を傾けたいと、こう言っておるわけであります。
○横川正市君 次は外貨の累積額ですが、十月末までに約百七十七億九千六百万ドルに達するだろうと。これからの要因としては、まあ、輸出月になっておるということから、さらにこれは加えられるだろう。それからもう一つは、非常に敏感な動きとして、投機的なドル売りの問題があがっている。こういう問題。そういうこともありますほかに、切り上げを見越して輸出はどんどん急いでやろう。それから輸入のほうはちょっと手控えておこうと、こういう動きがまあ顕著になってきていると判断をされているわけです。大蔵省の外貨減らし策とか、領託金だとか、輸出金の貸し出しとか、それから輸出入銀行への先払いであるとか、こういうようなものを入れますと、累積額というのは二百四十二億ドル、大体これは西独並みの、肩を並べるだろう、こういう判断をされておりますけれども、これに対してはどうお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) いま外貨が積み増されるというと、あまり望ましいことではございません。まあ、しかし、前にも国際金融局長からも申し述べたのでございますが、このごろはだんだんと輸出が減り、輸入がふえておるということでございます。ただ、急激にバランスがどうなるということではありませんが、まあ、だんだん円平価の調整の効果等が出てきておるということでございます。ドル売りそのものも、いままで、御指摘のように、幾らかありましたが、まあ、下火傾向でございます。まあ、いずれにしても、貿易収支のバランスをとるためにいよいよ貿管令の発動も行なおうと。もうすでに小部分のものに対しては行なっておりますし、そういうことで貿易収支をできるだけ正常なものにしたいと、こう考えております。
○横川正市君 私は、要因としては、そのほかに幾つかの要因があるわけです。これは時間がありませんからお聞きすることはやめますが、そういう要因の中に抜本策として掲げられているもの、これはいわゆる総理の言う対策としては万全なのかどうか、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) なかなかこれ、めんどうな問題なんです。私が去年通商産業大臣になりましたときに、五十億ドルぐらいの外貨残でございましたが、これは九月になると百億ドルになるかもしらぬと、こう言いましたら、百二十億ドルになったわけです。ことしの初めに、ことしは二百億ドルになるかもしらぬので、これは国際収支対策を急速にやらなければいかぬということでございましたが、まあ、いま御指摘のような状態でございます。まあ、去年から三回目の円対策をやっておるわけです。いま予算を御審議いただいているのもそのとおりでございまして、この予算の影響するところ、四十七年、四十八年度で最低でも十億ドルから十五億ドル国際収支に影響するだろうと、こういうことを述べておるわけでございまして、これからでも貿管令の発動をする。それでもどうにもならない場合には、これは課徴金も考えなければいかぬというように、あらゆる角度からですな、この問題と取り組んでおるわけでございますので、これで万全なのかと言われれば、万全な体制をしくべく全力をあげております、こう申し上げる以外にないわけです。御理解いただきたいと思います。
○横川正市君 これは、いまの中で再切り上げに対する楽観論なきにしもあらずなんですね。その楽観論はどこから出てきているかというと、こうやって時間をかせいでいる間に手当てをしてしまって、再切り上げされてもそのことによって支障を来たさないような体制がそろそろできかかっているのではないか、こういう意見があるわけですが、それについてはどうですか、総理の考え方は。
○国務大臣(田中角榮君) そういう心配はないと思います。それはもう、そういうことを前提にしてやっておるということになれば、輸出を伸ばして輸入をふやすということしかないのです。輸出を伸ばして、輸出はどんどんといまのうちにかけ込み輸出をやってしまう。輸入はなるべく先に延ばすということしかないわけです。しかし、それにも限界があります。 もう一つは、切り上げられた場合はどうするかということで、ドルを借りてきて日本に売るかということですが、それには限界があります。それは限界があることは言うまでもないことでございますし、この間大蔵省は外国人の日本の証券投資に対して規制を行なっておりますし、もう入ってくることを禁じておるわけでありますから、そういうことで、そういう心配はないと思います。
○横川正市君 これは外圧があるかないか、これはいろいろ検討する素材だと思うのでありますけれども、ワシントンからの十日の特派員の報告を見ますと、外圧があれば再切り上げやむを得ないということに踏み切れるが、もしその点が顕著に出てこないとすれば、内圧が再切り上げを誘発するような、そういうこともつくらなければいけないんではないかということを考えているようだという外電があるわけですが、これは総理、ごらんになったでしょうか。十一月十一日の朝日の記事ですけれども、これはどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 見ておりません。おりませんが、景気も浮揚しておりますし、輸入もふえておるということでありますので、いまの状態では政府が企図しておるような方向に進んでおると、こう見ていいと思います。
○横川正市君 そうすると、それでもう一点残るのは、もしも、万全な対策を立てたが、選挙の終わったあとに再切り上げをせざるを得なくなったという時点では、これは相当な責任を感じておられるということですが、相当な責任ではなしに、そのことによって起こる不測な問題に対しての対応策といいますか、この点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 切り上げられないように全力をあげているんです、いま。ですから、いま切り上げられたらどうするかなんといったら切り上げにずらずらといってしまうという、そういう御質問に答えられないんです、それは。ですから、そんなことをやるつもりはないんです。ですから、いろんなことをいわれながら、大きな予算だといわれておりながら、予算審議をお願いしているわけでして、それでも切り上げられたらどうするのかという話は、切り上げられないように、切り上げをしないで済むように全力をあげておるんですということですから、ひとつ皆さんのほうでもぜひ御協力のほどをお願いします。
○横川正市君 それでは、次の問題に移りたいと思いますが、議員定数の問題です。いま、これは私のほうで自治省を通じて簡単な計数をやってもらったのがありますから、これをひとつ見ていただきたい。このあれからいきますと、議員の不均衡というのは非常に激しいんですね。たとえば、例を千葉一区にとりますと、千葉一区は二百五万で四名です。それから千葉の三区は七十四万で五名なんですね。こういう定数をこのままいま選挙に入ろうとしているわけですよ。で、一部で、公選法の別表の一のただし書きからいってみても、もしも選挙の結果こういう不均衡について行なわれた選挙は無効であるという訴えが出たら、これは無効と出るのではないかというふうに考えられている向きがあるわけです。こういうことをほとんど手をつけずにやるということは、これはちょっと、私ども参議院ですから、衆議院のことでというわけにはいかないわけでして、こういう不均衡をそのまま選挙をやるという総理の考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 議員定数にアンバランスがあることは、私も承知いたしております。ずいぶん長いこと問題になっておることも承知しておりますが、これはもう、選挙制度そのもの、総定員の問題その他とつながりがある問題でございまして、これだけ切り離してやるということはなかなかむずかしいようでございます。いままでもずっと検討をしてきた問題でございますし、また、幾らかの区にはこれを二つに割ったりしたこともございます。そういう意味で、できるだけ早い機会に答申をいただくように選挙制度審議会に御審議を願っておるわけでございますので、この答申を待って何とかやりたいと思います。それをやるまで選挙をやってはいかぬというお話もございますが、私も選挙をやりたくないという感じは間々申し上げておるわけでございます。定数の問題だけは、これはなかなか単純に定数だけというわけにはまいらないのでありまして、これは各国にも例がある問題で、長い間議論をされておる問題でありますので、できるだけ早く結論が出ることを望んでおります。
○横川正市君 まあ、これは、結果ですね、そういう問題が出たときにどうするかということで一応注意を喚起いたしておきたいと思います。 もう一つは、政治資金規正法の問題ですけれども、これはいまの政治資金規正法の改正を望む声が、いわば、それが実現できないために政治の無関心層を増大させているというような非常に悪影響を及ぼしている点もあるわけですが、この点については、小骨一本抜かないと言いながら、実は何にも手をつけませんでした、前内閣は。新しい田中内閣では、この取り扱い方についてはどういうお考えを持っておられるでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 政治資金規正法の問題につきましては、民主政治の基本に触れる問題でございます。そういう意味で、この政治資金規正法そのものが制定された当時から長いこと議論になっている問題でございます。これも何回か、もう答申をもらって国会に提案をされたわけです。されたんですが、議決に至らないということで今日に至っております。選挙制度審議会でこの問題も定数の問題とあわせて御検討をいただいておりますので、これが答申をもって考えてまいりたいと思います。これもなかなかめんどうな問題であることは、長いこと議論をし、一つの答申をもらって出してみる、なかなか各党間の意見が一致しない、こういう問題で今日にきておるわけでありますが、やはりある時期には結論を出してしまわなければならぬ問題だと思っております。
○横川正市君 これは、この次の通常国会では政府は改正法案を出しますか。
○国務大臣(田中角榮君) 答申がいただげれば出さなければならぬと、こう思います。
○横川正市君 選挙制度審議会は、すでにもう六次までですか、その中で一応この問題に触れて具体的な答申を出しているわけですよ。あとは、実施がされるかどうかという問題にかかっているわけなんです。答申を得ればじゃないわけなんです。
○国務大臣(福田一君) 政治資金規正法の問題は、もうすでに御案内のように、答申が前に出されております。ただいま選挙制度審議会にかかっておりますのは、選挙の制度をどうするか、衆参両院の問題、両面を含めましていかがしたらよろしいかという意味で答申をお願いをいたしておると、こういうことでございます。
○横川正市君 昭和四十年の十一月の組織調査会答申というのが、これはたしか三木委員会というかっこうで出されたわけですね。その中に政治資金問題というのがありまして、これはもう具体的に実にはっきりとした方向というのがあるわけですよ、あなたのほうの政党の中に。ですから、私は、次の国会で当然改正案が出されると、その内容は、答申ないしはこの組織調査会の答申、これに基づいたものであるべきだと思いますが、もう一度お答え願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 政治資金規正法の問題は御指摘のとおりでございますが、これはただ単行法として出しても通らなかったわけであります。なぜ通らなかったか。これは、金のかからない選挙、政党本位の選挙、選挙区制、選挙法そのものとの問題がうらはらである、これは全く一つの問題である、そうでないと角をためて牛を殺すおそれがある、こういうことだったわけです。そういうことでもって、魚の半身だけはだめだということで、いま選挙制度そのものや、金のかからない政党本位の政治はどうあるべきかを、答申を求めておるわけでございますから、そういうものとあわせて成案を得なければならないというのが事実であります。
○横川正市君 私は、一つは、角をためて牛を殺んのじゃなくて、このことが出て自由民主党さんがたいへん困る。だから、自由民主党さんがほんとうに困るということは、実は、自由民主党さん自身が体質改善の中に——これは総理もここへ序文を書かれて出された、ヤングパワーといいますか、この人たちの意見の中にも、実にわれわれが賛成していい内容として出されているわけですよ。ですから、困るからやらない、ゲリマンダーだからだめだ、いろんな不都合がありまして自分の党のことだけ考えっておっては、民主政治の土台であるりっぱな選挙が行なわれるということはないわけですよ。これはやっぱり理想を掲げてやらなきゃいかぬと思うのです。もう一度、ひとつ総理から、次の国会には改正案を出すかどうか、はっきりさしていただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) いま申し上げましたように、選挙制度全体の問題ともにらみ合わせて考究してまいりたいと思います。これは私たちが損だから出さないということじゃないんです。これは私たちが得だからといって出さないものもあるんです。小選挙区制をやろうということが答申があっても、そういうものはお互い話がつかなければ強行すべきではない、こういうことでございまして、選挙制度というものは一党の考えだけでもってやれるものじゃないのです。そういう意味で、やはり民主政治の根幹に触れる問題である。だから、多数を持っておる自民党でも、小選挙区をやったほうがいい、小選挙区をやることが政党本位の政治になるんだと、こういうことであっても、それはお互いの意見が一致をせざる限り行なうべきでないと、こういうことでございますから、これはやっぱりお互いに民主政治全体の問題としてどういうふうに政治資金規正法を考えるか。これはこの法律は、ある意味ではモデルケースの法律でございまして、初めは日本の制度としてはなじまなかったわけでございますが、だんだんとこの制度ができてからはなじんでまいったわけです。われわれもよく立案過程の事情も知っておりますが、要は、公開をするということがこの法律の限度だと、そして最終判断はすべて有権者が行なうべきであって、法律でこまかく規制すべきではないと、こういう立法時代の大精神もあるわけでございまして、全く知らないで言っているわけじゃないんです。やっぱり長い歴史があって今日まで来ているんだということを考えて対処しなきゃならぬと思います。
○横川正市君 民の声を聞いて果敢に実行するという田中内閣の方針なんですから、右顧左べんすることなしに、一つの大道を歩くように期待します。 次の問題ですが、これは最近の事実行為としてあらわれました、労働団体とそれから政府の代表者が参加をしておりますILOの事務当局へ、日本の労使関係の問題、公務員あるいは公共企業体の労使関係の問題で提訴をされたわけです。そのときに、ILOの事務総長から三者に対して一つの指示があったわけですが、新聞の報道するところによりますと、その指示の内容は、何かやはり御都合的にとっているように受け取れるわけですけれども、政府は、何といいますか、要望といいますか、指示といいますか、これをどのように受けとめておられるか、まずその点をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) いわゆるジェンクス提案というものは、来年の二月の理事会まではこの提訴を一応凍結しておいて、そうして一ぺん国内でもう一回よくハイレベルで定期的に話し合ったらどうかと、こういう提案と私は受け取っております。でありますから、先般来総評とも接触を始めたと、こういうわけでございます。
○横川正市君 総理ね、公務員制度審議会とか、選挙制度審議会とか、大学紛争改革準備調査室とかというものが、内閣あるいは内閣の補佐というような意味でつくられるわけですけれども、これがもう一向に進捗をしない、内容が明確にならない。これは原因は何だと思いますか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、制度に基因するものもあるとは思います。制度に基因するところもあると思います。これは利害関係者が両方で委員に出ておってなかなか意味がまとまらぬということもあるでしょう。しかし、そういう問題ではなく、いまの問題などは、これはやっぱり議題になっていること自体がむずかしい問題である、高度の問題であるということに基因するのじゃありませんか。これは早急に答申をするということよりも、やっぱり制度がだんだんだんだんと完成の域に達しておって、そしてこれから新しく答申を必要とするようなもの自体はいずれにしてもめんどうな問題であるということに基因をしているのではないかと思います。私は端的にそう思っておるのです。いままで新しい制度ができてから二十年、二十五年、二十七年たったものもありますが、そういうものが、いま審議会の答申を求めるというもの、特に答申がなかなか得られないというものは、非常に専門的であり、むずかしく、非常に微妙な問題も含んでおると、時間がかかるものだというふうに私は理解しております。
○横川正市君 ILOは先進的な労働基準の条約をつくるところで、それが官公労組と政府当局の紛争が持ち込まれているところだというふうに印象がすっかり変ったという、そういう印象を持っておるようです。ですから、むずかしい要因という要因は、実はこれは政府の姿勢の中にあるのじゃないでしょうか、むずかしい要因というのは。国内の問題を国際の場所に持ち込んでいって、そこから指示をもらわなければ動きがとれない。しかも、指示をもらっても、非常に都合のいいように解釈して国内的になかなか解決がつかない、こういう繰り言で、この問題をただむずかしいむずかしいということで度外視するわけにはいかぬと思うのですけれども、この点のお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 国内の問題を国際機関に持ち出すということは、よほど慎重にしなければならぬと思います。まあ親子兄弟の問題を裁判所に届けるということがございますが、しかし、まあなるべく当事者間で円満に片づけるということが望ましいと思うのです。まあ、そういう意味で、ある時期に結論を出してしまう。お互いに非常にむずかしい問題なんで、結論を出さないということもあるのかもしれません。それは、反対論があっても、出すときにははっきり出す、そうしてまとめられるときにはちゃんとまとめる。だから、そのときに結論が出ると、また外国の国際機関に持ち出すということになると、また悪循環が続くわけです。ですから、そういうところを、審議会というのは、当事者の意見がなるべく入らないで、第三者的な公正な意見の答申を求めたいというのが審議会や調査会を置く理由でございますから、ただ政府が何でも案を出してしまって、そしてこのとおり答申してくださいということでは、審議会や調査会というのは隠れみのに使われるということになるわけです。そこらの調和がむずかしいわけでありますが、いつまでも答申が得られないということになれば、審議会や調査会を置く理由そのものにも関係するわけでありますから、政府部内としては、できるだけ議論が尽くされ、結論が得られるように努力してまいりたいと思います。
○横川正市君 これは、総理府総務長官に……。さきにドライヤー勧告というのがあるわけですが、政府は、官公労とか公共企業体の労働基本権の問題について、いままでどういう検討経過を得ているのでしょうか。
○国務大臣(本名武君) 公制審につきましては、総理からもその答申がおくれているお話がございましたが、昭和四十年から公務員並びに公共企業体の職員の労働関係の基本に関する点について御諾問申し上げておいて、まだ結論に至らないということで、まことにこれは複雑な、しかも、重要な案件であるためにおくれておると思いますが、私ども、その答申が、今日の時勢を踏まえまして一日も早く御答申いただけることを期待いたしておるわけでございます。なお、公制審の構成につきましても、私は、やはりこういう重要な問題を、中立側あるいは労働側、使用者側、三者が厳正な、しかも権威ある方々のお集まりによって論議が進められておりますので、この御答申に心から期待をいたしているところでございます。同時にまた、たいへんおくれているからといって、私どものほうから、その運営であるとか、あるいは期限を切って御答申をいただきたいというようなことは申し上げるべきではないので、あくまでも審議会のこの運営に御期待をいたしているということでございます。ただ、今日のいろいろな情勢からいたしまして、私といたしましては、つとめて、すみやかな時期に御答申をいただきたいという希望は、公制審のほうに申し入れをいたしております。
○小柳勇君 関連。 総理に質問いたします。去る昭和三十九年の九月に臨時行政調査会が内閣に勧告いたしております。その勧告の内容は、これは国鉄と電電公社に対する取り扱いについての内閣に対する勧告ですね。こういうふうに書いてあります。審議会を設置し、「労働基本権の拡大を争議権を与える方向で検討し、特に、公社側の当事者能力の確立をはかること。」、これが当時の臨時行政調査会の内閣総理大臣に対する勧告でございます。この勧告は昭和三十九年に出ております。今日まで佐藤内閣がこれをサボリまして、この審議会も設けておりません。このことを先日、運輸委員会で質問いたしましたが、問題が大きいもんですから、総理でないと答弁ができないということで、ついに結論を得ておりません。したがって、いまの横川君の質問に関連いたしまして、さっきから総理は、審議会の経過などについての御意見がありましたから、これだけのはっきりした勧告が出ておるにもかかわらず、今日まで審議会の設置すらサボっておる、この点についてどういうふうにお考えであるか、これが第一点です。 第二点は、いまの本名総務長官の答弁にも関連いたしますが、去る九月の二十一日の運輸委員会で、公企体職員のスト権に対する政府の統一見解が出されました。その統一見解は、いまの総務長官の答弁よりももっと前向きの統一見解でございました。たまたま総理は、そのときおられなかったのでありますから、そのときの統一見解を読みますから、これに対して総理は今後どういうふうに処置されようとされるか、見解をお聞きいたします。これが第二の質問です。いま読みます。「公労法制定以来、二十年余を経過し、内外情勢も、公労法制定当時から大きく変化しておる。したがって、今日の実情に即して、公共企業体労使関係の基本はいかにあるべきかについて、公務員制度審議会に諮問しているところである。特に、今日、国鉄労使関係間の正常化をはじめ、公共企業体等の労使関係の安定をはかることは焦眉の課題となっておる。このため、公務員制度審議会において今日の実情に即して、すみやかなる結論が出されることを政府は期待する。」、こういうように政府の統一見解が発表されました。したがって、この扱いについて、いまの総務長官の答弁よりも、もっと、この統一見解における説き方は前向きでありますから、今後どういうふうにしてこの国鉄労使関係なり、あるいは公企体労使関係の混乱状態を正常化させようとされるか、総理の御見解をお聞きいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 第一の問題は、突然の問題でございますので、いまの御発言をもととして勉強いたします。 第二の問題は、政府見解として述べたとおりでございまして、公務員制度審議会の御意見を聞いて決定をしなきゃならぬ問題だと思います。
○横川正市君 この問題に関連して、二階堂官房長官、最近ICFTU、PTTIの代表とお会いになっているわけですね。そのときに、それぞれ訴られた問題について、長官としてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(二階堂進君) お会いいたしまして、いろいろ実情の調査をされたことを踏まえて御意見を承りましたが、全逓に関する限り、労使間の関係が非常に悪いと、そしてまた、その組合活動に対して破壊活動的なことを政府は意図しているというような御意見でございましたが、これはまあ、郵政大臣がそれに対して、そうではないんだということを答弁をいたしておりましたが、しかし、もとより労使関係は円満に話し合いをして仕事を進めるということがたてまえでなければならぬと思っております。
○横川正市君 いまの件で、郵政大臣はどうでしょうか。
○国務大臣(三池信君) お答えいたします。 八日の日に調査団の一行と会いましたときに、まず第一番に私が率直に感じましたことは、郵政省における労使関係は、わが国でも一番きびしいんだというような話を聞いて、実は意外に感じたのでありまするから、そのことは率直に申し上げたんであります。具体的な事項がいろいろありまして、差別の問題、あるいは処罰が非常にきびしいと。しかも、それを手直しをしないということや、あるいは団体交渉の場合のレベルの問題等、いろいろ具体的にありましたけれども、聞いていまして感ずることは、だいぶ事実の認識や見解に相違があるというようなことを感じまして、おのおのに対しては私の見解を申し述べておいて、それは必ずしも調査団の方が言われるような事実はないんだということで、答弁をいたしておきました。
○横川正市君 郵政大臣ね、ILO条約の八十七号、九十八号というのは、それぞれこれは日本政府が批准をしているものです。その批准された内容は、たとえばドライヤー勧告の中に、その運用について具体的な指示があるんです。これは時間がありませんから読み上げませんが、そのドライヤー勧告と、いま、あなたの言われる郵政省の今日とっている労使関係の険悪な度合いというものは、どちらに非があると判断をされておりますか。
○国務大臣(三池信君) ドライヤー勧告についての郵政省の労使関係に対する部分につきましては、私は現在の郵政省における労使関係というものは、それぞれの確認事項に基づいて十分な話し合いをする態勢ができているというふうに感じております。また、処分の問題などは、これは郵政省の職員は、ほかの公企体の職員の方と違って、国家公務員であるというような立場から、おのずからその取り扱いが違う面も出てきているんではないかと思います。
○横川正市君 ある勧告の中に、犯罪と同一視するような処分は、これは行なってはいけないと、そういうことでなしに、もっと人間味ある配慮をもって運営しなければいけないという、こういう趣旨があるわけですけれども、それと同時に指摘された内容は、たとえばイギリスの場合には、産業革命が終わりましてから数年たった、まあ日本のいまの現状からいえば六十年くらい前、昔にあったが、いまはないと、こういうことがいま郵政省の労使関係に現存しているということが指摘されておるわけですけれども、この勧告の趣旨と、そういう、まあ言ってみれば、指摘された内容ということよりか、説明された内容と比べてみて、あなたのほうでは現行を妥当だとお考えでしょうか。
○国務大臣(三池信君) 犯罪と処罰は同一であってはいけないということは、私は、犯罪と処罰は不均衡であってはいけないというふうに解釈しておりまして、いま省が行なっております不当労働行為に対する処罰というものは、厳正な調査の上に公正な取り扱いをしているというふうに確信いたしております。ほかのいろいろの省の労使関係においての現状はたいへんに英国に比べるとおくれているというようなことについて、あの調査団がその後記者会見をされたときにあげられた具体的な事実は、私は、たいへんな一方的な誤解に基づいている点が非常に多いと思いますので、私自身は、わが国の郵政省における労使関係が六十年もおくれているなんというふうには考えておりません。
○横川正市君 労働大臣、このジェンクス提案のダイレクト・ディスカッションの構成については、大体どういう考え方でしょうか。
○国務大臣(田村元君) ジェンクス氏の提案は、なるべくハイ・レベルで定期的に会談をせよということでありますが、そのことで先般、つい最近でありますが、総評側と私並びに本名総務長官とお目にかかったわけです。そうして総評側の考えも率直に聞いてみました。総評側の考え方としては、まあ、なるべく少数でいこうということでございました。まあ、私と総務長官が幹事役をすることはこれは当然のこととして、双方が話し合った。それからあとどうするかということにつきましては、なおも総評側と話し合おうと。率直なことを申し上げまして、ジェンクス提案が、まあ仲よく国内で一ぺん話し合えということでございますから、構成問題につきましても総評側と忌憚なき意見を交換し合って相談をいたしたいと、なるべく早くその結論を得たいと、このように思っております。
○横川正市君 官房長官は、このハイ・レベルの中に総理大臣を含めるという考え方を持っておりますか。
○国務大臣(二階堂進君) 私は、そういう考え方はいま持っておりません。
○横川正市君 ILOのバルチコス国際労働基準局長に、大体このハイ・レベルというのはどの辺かという質問を——まあ向こうからの指示ですから、質問いたしましたところが、具体的には氏名は言わないけれども、紛争解決の責任者、その意味は総理大臣というふうに——が妥当だろうという非公式な意向があったというわけですが、その点は考慮されますか。
○国務大臣(田村元君) ジュネーブから私のほうにまいりました電報によりますと、ちょっと意味が違いまして、彼はハイ・レベルということについて、特にポジションをいうものではないと、こういうことだそうでございまして、そういうわけで総評側と話し合っておるところでございますが、総評側の話によりましても、必ずしも正規のスタッフに総理大臣を加えろというようなことばは、いままでのところ、ございませんでした。いずれにしても、そういうことを含めまして、よく話し合いたいと思っております。
○横川正市君 この定期会談には、これは当然、総理府総務長官とか、官房長官は加わるものと思いますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(二階堂進君) 労働大臣がいま報告されましたとおり、ハイ・レベルというものの中に官房長官も入るか入らないかというようなことでございますが、私は、いまのところ、入らなくても済むのではないかと。市川議長も、お帰りになってから私のところに見えまして、ぜひひとつ入ってもらいたいという要請は受けました。しかし、その構成をどうするかということについては、担当労働大臣とか、総務長官がおられますから、よくひとつ話を聞いていただきたいと、そのときには、私は入る意思はないということを申し上げておきました。
○横川正市君 また、労組法、公労法の適用問題と関連してお聞きをいたしますけれども、いまの労使関係は、いわば対等で話のできないような制約が非常にたくさんあるわけです。その第一は、いわば最高裁判所の判決によりますと、国民生活に重大な影響のないものについては、公労法十七条、十八条についての解雇その他の過酷な処分をする必要はない、あるいは刑事犯として取り扱うことはないというふうに解釈のとれる判決が出ておりますけれども、いまのところ、刑事罰が免訴されても行政罰はそのまま加えられるという関係があります。それから、組織に対して不当な介入をした不当労働行為についてはどうかといいますと、これは注意だけで、ほとんど具体的な処分その他による対抗処置をいたしておりません。さらに、一度処分を受けますと、この救済は、ほかの省、たとえば公共企業体であれば国鉄その他にはありますけれども、郵政省のようなところには、戦後一回も救済措置がとられておらない。こういう、労組法適用、あるいは公労法の問題で改善すべき点が幾多あるわけですが、この点について前向きで検討して改正する意思があるかどうか、この際、お聞きいたしておきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) おっしゃいました御趣旨、ちょっと私が理解いたしましたのと違うかもしれませんが、それはお許しを願いとうございます。もしなんでしたら、後ほど答弁いたします。 使用者側の不当労働行為についての問題じゃないかというふうに承りました。で、現行の不当労働行為制度は、労働委員会が不当労働行為を行なった使用者に対して原状回復を命ずることにいたしております。いわゆる原状回復主義でございます。このような制度が労使関係の性格に照らして妥当なものじゃないかというふうに私ども考えております。で、実は、御承知のように、二十四年の、改正前の労働組合法の運用の経験に照らしましても、刑罰等を加えることによって、各地の労働委員会で、その審理あるいは量刑判断等について非常にやっかいな事例がございました。そうして、労働委員会に提訴されました案件のきわめて少数だけが、結果論としては取り上げられたというようなことがございました。でございますので、刑罰を科するということより、今日の原状回復ということのほうがむしろ妥当ではないかと、このように考えておる次第でございます。 なお、このことにつきまして、先ほどの御質問、私先ほど申し上げましたように、こういう意味の御質問だろうというふうに受け取ったのでございますが、なお欠けておる点がございましたら、再度御答弁申し上げたいと思います。
○横川正市君 原状回復は、いまのところ、やり得ということになっているのですよ。そこで、不当労働行為について罰則を加えるという方向がなければ、いまの労使関係についての信、不信の回復が不可能だろうと思われるくらい問題が出ているわけなんです。だから、不当労働行為については、当然、使用者側、あるいはそれを行なった局長その他、そういった立場の人に罰則を加えるという法改正が必要ではないかと、こういう趣旨なんです。
○国務大臣(田村元君) 労働委員会が使用者側に対して原状回復を命じて、なおそれを聞かない場合においては処罰を受けることになっておりますから、その点の歯どめはあるものと思っております。
○横川正市君 まあ、時間がなくて、あと最後に、総理に一問だけお伺いいたしますけれども、いま役所の関係で一番険悪な労使関係というのは郵政省なんです。その発足はどこから出たかというと、三役の首切りを行なったという、総理大臣が郵政大臣当時の事件がそのまま原点になりまして、それから十何年こじれるだけこじれてきたという、そういう発足があるのです。総理になられたのですから、この際、この解決に勉強されて衝に当たられる、こういう決意があるかどうか、お伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(田中角榮君) 私は、御承知のとおり、私の在職中ではない事案に対して私の名で処分しなければならないという立場でございましたが、私はその後、組合の諸君とも個人的なつながりがございますし、うまくいっておると思っておりました。郵政省だけはうまくいっているのだなと思っておりましたら、御指摘のような事態があるとすれば、どこで一体そうこじれたのか、勉強いたしてみたいと思います。私は、年末の問題などに対しては十二月の初めにきまりをつけるとか、いままででも個人的にはいろいろな親しい間柄であったのですが、日本の官公労の中で郵政省が一番ということになると、これは公社ではなく五現業でございますから、そういうことは私もいま初めて聞きましたので、勉強いたします。
○委員長(大竹平八郎君) これにて横川正市君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) 喜屋武眞榮君。
○喜屋武眞榮君 総理に初めにお伺いいたします。 沖繩の復帰後における田中総理の基本姿勢について承りたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 沖繩は、戦後長いことたいへんな御苦労をいただいてきた地域が、ようやく祖国復帰してまいったわけでございますから、沖繩振興開発特別措置法に基づいて沖繩の開発を進めたり、また海洋博覧会の実施等によって、戦後の本土とのアンバランスの是正にできるだけ資したい、こう考えております。 〔委員長退席、理事米田正文君着席〕
○喜屋武眞榮君 まあ、基本姿勢の一端は承りましたが、田中総理の所信表明の中に、沖繩問題について一言も触れられておらぬのはどういうわけでありましょう。
○国務大臣(田中角榮君) これは、所信に関する問題は、補正予算を中心にして私の考え方を述べたわけでございますので、通常国会の本予算のときになれば、当然、沖繩問題に対しても基本的な考え方を述べたい、こう存じますし、また、御質問をいただいて、同じように国会で御説明いたしたいと思います。
○喜屋武眞榮君 総理は、所信表明の中で、わが国が今後とも平和と安全を維持していくため米国との安全保障体制を堅持すると述べられております。そのことは、当然、沖繩も含めた平和と安全でなければいけないと思っておりますが、どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) そのとおりでございます。
○喜屋武眞榮君 それではお聞きしますが、五月十五日以降における沖繩において、どのようなことが起っているか、総理は御存じでしょうか。
○国務大臣(本名武君) 待望の復帰が実現したわけでございますけれども、やはり二十七年余にわたるアメリカの施政権下にありましたという現実は、かなり本土とはかけ離れた実態で復帰の姿を見たわけであります。したがいまして、それらのことをよく理解しつつ、今後において沖繩開発の実をあげる必要があろうと思うわけであります。その間にありまして、円・ドルの切りかえをはじめとして、物価あるいはその他基地問題等々について、県民の方々の従来の、いわゆる復帰前と復帰後における極端な、一気に切りかえ解決ができないもの、あるいは切りかえによるいろいろな理解の不徹底、あるいはまた施策の十分な御理解のないというような点も現実にあらわれた、そういうようなことのために非常にむずかしい状態に立ち向かったことは認めておりますけれども、それがあるからこそ、私は、やはり沖繩がほんとうに健全に、一日も早く平和な豊かな姿を取り戻して、本土と実質的に何も変わらない生活環境並びに調和のとれた生産と豊かな県づくりに努力をしなければならぬと考えております。
○喜屋武眞榮君 復帰後における沖繩のさまざまな事件は、枚挙にいとまがありません、時間がありませんので述べませんが。このことが、国益という名のもとに、あるいは日米安保の堅持という名のもとに、そのしわ寄せが沖繩に来ている。県民は、少なくとも憲法の保障する生命、財産、人権は最小限守り抜かれるものと思っておった。当然だと思う。ところが、現実はそうではない。そのことに対して、総理はどう思っておられますか。
○国務大臣(田中角榮君) 本土と違って、沖繩が非常に長いこと戦後も引き続き異民族支配のもとにおられたということに対しては、たいへんお気の毒でもございますし、ほんとうに沖繩は大きな犠牲を払われたということはよく理解しております。で、まあその後、復帰が第一の目標でございましたが、沖繩には大きな米軍の基地がございますので、基地問題等に対してまだ不満が存在をすることも承知をいたしておりますし、日本政府に切りかえられたその過程において、水道の問題、その他感情的な問題、現実的な問題で沖繩県民の希望が確実に実現をされておるとは考えておりません。これからも、基地の縮小、合理化、その他県民が要望することを一つずつ解決をしていくことによって沖繩県民の理解を得たいと、こう考えます。
○喜屋武眞榮君 平和で明るい豊かな沖繩づくりは、県民本位のもとにつくられていきます沖繩振興開発計画を尊重していくところから始まると思いますが、総理、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) もちろん、そのとおりでございます。
○喜屋武眞榮君 それでは、外務大臣にお聞きしますが、沖繩の基地の縮小、撤廃なくして、ただいま総理が述べられた振興開発計画の実現も困難である、絵にかいたもちにしかすぎないと、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、沖繩振興開発計画の実施にあたりまして、基地の整理縮小ということが重大な関連を持っていることはよく承知いたしております。
○喜屋武眞榮君 それでは、重ねてお聞きしますが、沖繩の基地の縮小、撤廃は復帰後具体化する、進めていくというのが六十七国会における公約でありましたが、どのように縮小計画を持っておられるか。
○国務大臣(増原恵吉君) 安保条約に基づきまする基地につきましては、全国的に必要の限度に整理縮小をしなければならぬという要請があるわけでございます。そういう観点に立って努力をしているわけですが、特に、御指摘になりました沖繩については、比例割合においてたいへん大きい面積を持っておりまするので、この整理縮小については、本土以上に特別の努力、留意をしなければならぬと考えておるわけであります。そうして、いまその縮小については、防衛庁に設置をいたしました基地総合調整本部の手で、具体的な基地の検討、どういうようにしまするかを行ないまして、この整理縮小の案を立て、この要請をしてまいるようにいたしたい、かように考えておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 その縮小計画がどのように交渉が進められておるか、お伺いしたい。
○政府委員(高松敬治君) 沖繩復帰後返還になりましたものは、ハーバービュー・ホテル一件だけでございます。それで、現在私どものほうでは、いまほど防衛庁長官から御答弁のありましたような基地の整理縮小についての本部を設けて、沖繩の個々の基地の一つ一つについて検討を開始している。それから米軍のほうでもいろいろ現在検討が進んでいるような話も聞いております。両方で具体的に煮詰めてまいりまして、そうして基地の整理統合というふうな問題について今後本格的にこれが検討が行なわれていくと、現在こういう段階にあると思います。
○喜屋武眞榮君 その計画が交渉に移される過程においても、まことに沖繩県民の立場からしますというと、もどかしさを感じますが、その過程において、もろもろの事件が起こっておることについて総理にお尋ねいたします。 先ほど総理から沖繩への配慮、基本姿勢を示してもらったが、現実は、政府の役人の方々の沖繩に対する態度が必ずしもそうではないという、このことを一、二申し上げたいと思います。 まず、B52の飛来に関連して沖繩では臨時議会を招集して、与野党全会一致で決議して、その陳情に来た。その陳情に来たことに対して、外務省の役人が平良団長一行に対して、けんもほろろの高姿勢で接してきていることについて、総理は存じておられますかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 外務省は私が責任を持っておるわけでございまして、私は、知事並びに関係者の御上京された方々に対しましてお目にかかりまして、十分御意思を承ったわけでございまして、私の部下に多少なりとも不愉快な感じを与えた者がありとすれば、それは私がおわびいたしますが、責任は私が持っておりますので、私がお目にかかってお話を聞いたわけでございます。
○喜屋武眞榮君 その某高官が、日米のつながりにおいて安保を守る道義はあるが——というのは、B52は人道上拒否できないという、たいへんな発言をしておられる。そうすると、アメリカに対する安保を守る道義はあるが、沖繩県民の生命の不安を守る道義はないとおっしゃるんですか。それから、沖繩基地がベトナムへの出撃基地だということは、これはもう公然のことである。そうすると、ベトナムの人民を殺すことに対しては道義を感ぜぬというのであるか、そのことに対して総理はどうお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) そういうやりとりがありましたことは、私まだ御報告を承っておりません。よく聞いてみます。
○喜屋武眞榮君 いまのことは、はっきり確かめていただきたい。たくさん問題がありますので、問題提起にとどめることをたいへん遺憾に思います。 次に、自衛隊の沖繩配備に関連して、そうして、自衛隊がどういうことを沖繩で最近やったか、総理はおわかりですか。
○国務大臣(増原恵吉君) どういうことをやってきたかという、たいへん包括的なお尋ねで、お答えがしにくいわけでございまするが、御指摘をいただきますればお答えをいたしたいと思います。
○喜屋武眞榮君 沖繩県民にとってまことにショッキングな事件であるだけに、どういうことをやったかと、そのことでぴんと感じなさると私は期待しておったんです。それは、自衛隊のあの暴行事件、おわかりでしょう。暴行事件があったこと、おわかりでしょう。おわかりではありませんか。
○国務大臣(増原恵吉君) 暴行事件、まことに申しわけのない遺憾な暴行事件がありましたこと、承知をいたしております。この点につきましては、現在警察当局のほうでお調べを願っておるわけでございまするが、私のほうでわかりました事情の範囲内で、まことに重大、遺憾しごくの事件でございまするので、当人は懲戒免官にいたしまして、関係上司をそれぞれ懲戒にいたし、かようなことが将来絶対に起こりませんように関係者を強く戒めておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 さらに、あなたの部下が、沖繩の婦人団体である婦団協の代表がそのことに対してやむにやまれず行ったら、また高姿勢で、断じてがまんならない姿勢で追い返しておりますが、御存じですか。
○政府委員(高松敬治君) いま御指摘の話は、那覇防衛施設局の職員が暴言を吐いたと、こういう問題であろうかと思います。本日も那覇防衛施設局の総務部長が私のところに参りまして、その点についていろいろ事情を説明をいたしておりましたが、まあ、巷間伝えられているところと、実際本人がそのようなことばを言ったわけではないというふうなことで、多少理解に行き違いがあったようでございます。しかし、そういうふうな誤解を受けるようなことばを少なくとも言うべきでありませんし、その点については、私のほうからも厳重に注意をいたしました次第でございます。
○喜屋武眞榮君 いろいろ話を進めてまいりたいのですが、時間がありませんので、私が言いたいことは、自衛隊という名のもとに、かつて満州で軍国主義のにない手として活躍した、あのような感覚で沖繩に乗り込んでおるということが心胆を寒からしめる思いがするということと、さらに、沖繩という土地をいかにも植民地であるかごとくに胸を張っておるというこの自衛隊の暴言に対して、また行動に対して許せないということなんです。総理はどうお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) いま御指摘ありましたような暴行事件等、真に遺憾でございまして、これからは徹底的に戒めなければならないと思います。自衛隊が過去の満州——外地に出ておったときのような気持ちで勤務をしているような者はないと思いますし、そんなようなことのないように自衛隊幹部は十分努力をしなければならぬことは言うをまちません。沖繩が長いこと異民族統治のもとにあったということで、国民全体が沖繩の皆さんにたいへん御苦労をお願いしたという感謝の気持ちはございますが、植民地に行くようなつもり、そんなつもりは、それはもう本土の人たちも絶対に持っておりません。私たちも持っておりませんし、ここにおられるどなたも持っておらぬと思います。だから、自衛隊の沖繩配備に対して、いま初めてのことでございますから、御発言のようなことのないように、これからも戒心してまいらなければならないと思います。
○喜屋武眞榮君 次に、外務大臣にまとめて申し上げます。 先ほど、沖繩の基地の縮小、撤廃なくして沖繩の開発はないということを申し上げましたが、それに関連した那覇空港のP3、それから国道三百三十一号線、それから海洋万博に関連した高速道路、それから復帰国体道路、このもろもろの問題に対する折衝はどうなっておりますか。
○政府委員(大河原良雄君) 先ほど外務大臣並びに施設庁長官から沖繩の基地の整理縮小の問題について御答弁がございましたけれども、かねて米側とは、沖繩にあります基地、施設・区域の縮小整理という問題について折衝をずっと続けております。したがいまして、一般的にはこの観点から米側との折衝を引き続いて鋭意進めてまいるつもりでございますけれども、いま具体的に御指摘のございました国道三百三十一号の問題につきましては、先般、米側から安全設備等の建設に関しまする具体案が合同委員会を通じまして提示されましたので、これを受けまして、目下関係各省庁間で検討中でございます。同時に、合同委員会の施設分科委員会を通じまして米側と具体的な協議をいたしております。 それからP3の問題につきましては、沖繩返還にあたりまして、P3の那覇空港からの移転につきまして原則的な合意ができておりますけれども、その後、移転先をめぐるいろいろな問題等にからみまして、現在その移転計画が具体的に進んでおりません。しかしながら、政府といたしましては、P3の問題につきましても至急これの解決をはかるべく鋭意検討を進めている状況でございます。 それから、沖繩におきまする高速道路の問題等につきましては、わがほうの具体案を詰めまして、それをもとに米側と折衝するということで、建設省を中心といたしまして現に具体的な検討が行なわれておると、こういう状況でございます。
○喜屋武眞榮君 いまの報告を聞きましても、復帰国体にしても海洋万博にしても、もうめどがきまっておる。ところが、そのめどへの完成をねらって、その過程における交渉、折衝の段階が、相手があることだからということはわからぬわけではありませんけれども、あるからこそ、その相手をどう動かし、どう説得するかということがここの立場でなければいけない、こういう点から、非常にもどかしさを感ずるわけです。この点、ひとつ一日も早くその結果を示してもらいたい。 次に、核、毒ガスの問題が前国会から論争になっておりますが、核、毒ガスが沖繩にあると思っておられるのか、ないと思っておられるか。
○国務大臣(大平正芳君) ないと確信いたしております。
○喜屋武眞榮君 ところが、あるという、また疑惑もいなめない。それでは、ないと確信する、あるとまた疑惑を持つ、それを確かめる方法は何だと思いますか。
○国務大臣(大平正芳君) まあ、あるかないかは、立ち入って、この目で見なければならぬというお考えの方もあろうかと思います。しかし、政府といたしましては、日米間の友好信頼の関係というものは、そういうものであってはならないと思うのでありまして、私ども、どこまでアメリカの公式の声明、証言を信じるか信じないか、そういう信頼の問題であろうと思っておるわけでございまして、私どもといたしましては、アメリカが世界に対して約束をいたしましたことを、たがうようなアメリカであれば、アメリカがその名誉を失墜するわけでございまして、まあ、そういうことはあり得ないことと確信をいたしております。
○喜屋武眞榮君 信ずる信じないということも、それは、ものにより、時によりけり、わからぬわけではありませんが、沖繩に関する限り、アメリカの言うことを信ずる以外にないという、そのことは、裏を返せば、沖繩の犠牲もやむを得ぬということにつながると、われわれはそう受けとめておるのですが、それでいいですか。
○国務大臣(大平正芳君) もっとも、いまのたてまえのもとにおきましても、先方の同意を得まして立ち入りの調査をした例もあるわけでございまして、沖繩復帰をしても、そういうことが行なわれたことはあなたも御承知のとおりでございまして、あくまで問題は、基本は、しかしながら信頼をくずすということになりますと、たいへんでございますので、その信頼の字句だけは私どもはあくまでも確保していきたいと思います。で、そういう信頼の上に立って初めて、沖繩の復帰も、そして沖繩の今後の自後の処理も可能になってくるわけでございまして、信頼が失われるというようなことになりますと、決して沖繩のしあわせに私はつながらないと思っております。
○喜屋武眞榮君 いろいろ論議はあるでしょうが、結論は、そういう両輪あった場合には立ち入り調査をする以外にない。その立ち入り調査に対して、県民世論は、県議会において、あるいは大衆運動、あるいは屋良政府と、もうあらゆる、いわゆる島ぐるみで立ち入り調査を要望しておりますが、それに対してどうお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私どもの判断といたしまして、立ち入り調査をお願いするということが必要だということでございますならば、アメリカ当局と折衝するにやぶさかではございませんけれども、いまあなたが提起された核の問題、毒ガスの問題等につきましては、沖繩にそういうものが万存在しないということを私どもは確信いたしております。
○喜屋武眞榮君 いや、確信しておられても、県民の側からすると、それを信じるわけにはいかないというのがいまの現状なんです。だから、立ち入り調査をするという交渉をしてもらえますか、もらえませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 個々のケースによりまして、交渉をすべきであるという判断が立てば、交渉をするにやぶさかでございませんけれども、アメリカ政府もみずからも言い、国会でも証言しており、日本政府もまた公の揚でこう申し上げておることを信頼できないということであれば、私は全く非常に不幸なことだと思っております。
○喜屋武眞榮君 それじゃ、事実毒ガスの問題に対しても、復帰後二回、六月二十六日と、七月七日、二回ガス漏れがあるということは御存じですか。
○政府委員(大河原良雄君) ガスの問題につきまして、復帰後二度そういう問題が起きたという御指摘でございましたけれども、これはおそらくCS剤のことを言っておられるのかと思います。御承知のとおりに、昨年の九月に米国政府は、沖繩から致死性のガスは——化学兵器、すなわち致死性の毒ガスは一切完全に撤去したということを明らかにいたしておりますし、当時、九月七日、琉球政府の屋良主席、日本政府を代表します高瀬代表、それから沖繩のランパート高等弁務官、この三者が知花弾薬庫に立ち入って現場を検査いたしました結果、五十一の弾薬庫から毒ガス兵器は完全に撤去されたということを確認し、九月の二十日には、ランパート高等弁務官から当時の屋良主席に対しまして、文書で、沖繩から致死性の毒ガス兵器は完全に撤去されたということを確認いたしております。したがいまして、政府といたしましては、沖繩から致死性の毒ガス兵器が完全に撤去されているということを確信している次第でございまして、先ほど来の外務大臣の御答弁も、まさにこの事実に立っての御発言であるわけでございます。それで、御指摘のCSガスの事件につきましては、これは非致死性の催涙ガスと、こういうふうなものでございまして、これは全く致死性毒ガスとは別のものでございます。 それから核抜きの問題につきましても、先ほど来、現地では非常に不安がある、心配がある、疑念があると、こういうことでございますけれども、沖繩の核抜き返還につきましては、一九六九年の佐藤総理とニクソン大統領との共同声明の中でもはっきり核抜きの点について確約されておりますし、その実質については何の疑いの余地のないところであったわけでございますけれども、返還交渉におきましては、この点をさらに明確にするために、協定第七条におきまして、核に関するわがほうの政策に背馳しないということを条約文として明記してあるわけでございます。 一方、米国におきましても、昨年の沖繩返還協定の批准の審議の過程におきまして、上院外交委員会の聴聞会におきまして、ロジャーズ国務長官並びにパッカード国防次官は、復帰の日には沖繩には核兵器は存在しなくなっているということを確約するということを公式に証言をいたしておりますし、政府といたしましては、さらに念には念を入れという考えから、本年一月のサンクレメンテの会談の際にも、佐藤総理はニクソン大統領との間にこれを確認いたしております。さらにまた、沖繩復帰の日であります本年五月十五日には、米国政府は、ロジャーズ国務長官から当時の福田外務大臣あての書簡をもって、沖繩の核抜き返還に関する米国政府の確約が完全に履行されたということを通報いたしますと同時に、米国政府は、事前協議の対象となる事項については、日本国政府の意思に反して行動する意図はないということを確認いたしております。 こういうふうな事実の上に立ちまして、政府としては復帰後の沖繩に核が全く存在しないということを確信している次第でございます。
○喜屋武眞榮君 いまの報告では、なお疑問は解けません。はっきり日本政府の責任者、そしてこの合意の上にこれが確認されて初めて納得がいくのでありまして、文書上どう表明されようが、なお疑問が残るという、ここに問題がなお残る、このことをひとつ受けとめてもらわなければいけないということを申し入れまして、次、開発庁、沖繩の国家公務員給与に対してお尋ねいたします。 復帰後、復帰処理がいろんな面で起こっておりますが、特にいま問題になっております国家公務員の給与について、例の、内容はおわかりと思いますが、いわゆる五月十五日に復帰した、四月一日からのその差額をどうするかということについて、どう考えておるのか、どう進めておるのか、承りたい。
○国務大臣(本名武君) 先般、人事院の勧告によりまして給与の改定を行なうことになりましたが、沖繩はたまたま五月十五日復帰でございまして、先般参議院委員会でも御採決いただきましたあの給与法の改定でまいりますと、四月一日から五月十五日の間、四十五日間はこれに該当しない、すなわち、沖繩の四月一日から五月十五日までの間は現在の法律制度によりまして全く運用することができないという実態にあることが明確なわけでございます。 〔理事米田正文君退席、委員長着席〕 しかしながら、やはり同じ机を並べている引き継いだ公務員も、あるいは在来の国家公務員も、同じ職場にありながらその差がつくということは、どうも気持ちの上で、心情においてまことに忍びがたいものがある、何とか方法はないものかということで、関係省庁ともいろいろ打ち合わせをしてみたのでございますが、全くその方法が見当たらないという現況にあるわけでございます。 しかし、いま申し上げますように、その心情の上からお察しいたしまして、何かほかに、制度上以外のことでもいいが、処置のとれることはないかということで、いま、さらに各省庁と連絡をとりながら検討いたしております。しかし、これはなかなか、非常にむずかしいことであって、私も非常に頭を痛めているところでありますが、現況はそのようなことになっております。
○喜屋武眞榮君 この問題は、内閣委員会でも長官から御答弁があったことを承っております。前向きで検討されつつあるということを承っておりますが、その後どのように具体的に進めておられるか、そのことについて、なおはっきりお聞きしたいと思います。
○国務大臣(本名武君) 琉球政府から引き継ぎました職員の数が、たしか六千四百余名であると思います。しかも、その中身は、郵政省をはじめといたしまして、法務省、文部省等々ほとんど各省にまたがっております。したがって、各省間における給与の実態等についていろいろ検討いたしてみますと、たとえば、いろいろな案として一部から御提示もありました。いろいろな手当等について、これに運用できないかどうかというような具体的なお話まであったわけでございますが、それらにつきましては、先ほども申し上げましたように、現行制度の上においては全く不可能であるという実態がわかったのであります。そこで、まあ各省関係それぞれ仕事の性格や、あるいは仕事の実態は違いますけれども、給与という面からするならば、やはり、できるならば何とか各省事情は違っても画一のとれる方法はないものかというようなことで、いろいろ接触をしているわけでございますが、まあ、各省関係それぞれの御事情もあり、また、それらをいろいろお聞きしてみますと無理からぬところもありますが、そこを越えて、ひとつ何かさらに、ことばは悪いのでありますが、政治的判断に立って、方法はないものかというようなことを、いませっかく検討しているところでございます。
○喜屋武眞榮君 いまの問題も含めてですが、沖繩の問題処理は、法をたてにとった場合に、かみ合わない面があるということは御承知だと思います。どうか、法を越えてという、いまお話がありましたが、沖繩が置かれた事態が、これは不自然でありましてね、その不自然なものを法に照らしてどうだこうだという、それ自体が大体根本的に間違っておる。高度の政治的配慮ということをおっしゃいましたが、どうかそういう立場から、ぜひこれを実現してほしい、強く要望いたします。 次に、前国会から問題にしました旧日本軍による久米島住民の虐殺事件に対する調査、その対策を承りたい。
○国務大臣(本名武君) 戦争という非常な重大な衝撃の中において、同じ日本人同士がああいうような事件を起こしたということは、まことに遺憾のきわみでございます。あらためて、ここで心から遺憾の意を表したいと思うのでございますが、事件の内容が明確になりました家族に対しましては、遺家族援護法によりまして、給与金であるとか、弔慰金、見舞い金等の処置をとってまいったのでございますが、二十人の被害者の中で遺家族が判明いたしておりますのが八人でございます。この八人については、いま申し上げたような処理をいたしております。残りの十二人につきましては、いまだ——お申し出はもちろんでございますが、いろいろ調査をいたしますが、なかなかその実態がつかめないという現況でございます。したがいまして、八人以外の残りの十二人の方について、その真相が判明いたしましたならば、それぞれ従来の処置をとって、つとめて援護の処置を講じたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 相当の時日を要しておりますが、十二名のこの判明しない理由はどこにありますか。
○国務大臣(本名武君) まず、現地に遺族がおられないということ、あるいは国籍が異なっているというようなことのために、引き続き調査はいたしているのでありますが、なかなか捕捉しがたいというような現況に置かれているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 このことは、相当の時日を経ておりますので、一日も早く処理していただきたい。同時に、これは久米島だけの問題じゃなくして、沖繩全県にわたっておるケースであるということを、これは御存じだと思いますが、ここにその資料も前の国会であげてありますが、こういったことをお読みになればですね、ごらんになれば、はっきりその糸口もつかめると思いますので、なお必要であれば協力をいたしますから、ぜひひとつ一日も早く処理していただきたい。 次に、建設大臣に尋ねます。沖繩永遠の発展は結局空と海に、わけても海の整備なくしては沖繩永遠の発展はないと、こう思っておりますが、いかがお考えですか。
○国務大臣(木村武雄君) 海の問題ですか。
○喜屋武眞榮君 港湾の整備は……。
○国務大臣(木村武雄君) 港湾の整備は運輸省ですよ。運輸省です。
○委員長(大竹平八郎君) 佐々木運輸大臣、港湾の整備に対して。
○国務大臣(佐々木秀世君) 伊江島の港湾の整備は、極力これを進めております。
○喜屋武眞榮君 私は、それをお尋ねしましたのは、港湾の整備の中で最も大事な条件が沖繩に一つある、それは避難港の問題だと、こう思いますが、いかがお考えですか。
○国務大臣(佐々木秀世君) いまの整備と申し上げたのは、避難港を含めてでございます。
○喜屋武眞榮君 沖繩に、どこが適当な避難港だと御調査になっておりますか。
○国務大臣(佐々木秀世君) 沖繩はたくさんの島がございますもんですから、その現状に即して、ただいま調査中でございます。
○喜屋武眞榮君 私が思いまするのに、島が多いということはそのとおりでありますが、多い中で一カ所、どうしても沖繩永遠の発展の上からここでなければいけないという避難港が、あの運天港に関連して、屋我地湾ですね、その屋我地湾であると見ておりますが、どうですか。
○国務大臣(佐々木秀世君) せっかくの御趣旨でありますから、それを含めて十分調査を進めます。
○喜屋武眞榮君 ところが、その屋我地湾が、聞くところによると、海上自衛隊——自衛隊がそこをねらっておるといううわさがありますが、どうですか。
○国務大臣(佐々木秀世君) そのうわさは、私は聞いておりません。
○喜屋武眞榮君 うわさにとどまれば幸いですが、ぜひこれは沖繩永遠の発展の上に、この避難港なくしては、台風との関係、離島との関係、必ずこれは予想される条件でありまするので、ここをひとつ確保し、そして早くこれを実現してほしい、こう要望しておきますが、いかがですか、大臣。
○国務大臣(佐々木秀世君) 承知いたしました。
○喜屋武眞榮君 次に、農林大臣に尋ねます。 沖繩の農業振興上、問題点はたくさんありますが、サトウキビ、砂糖、これを抜きにしては沖繩の農業問題は考えられないといってもいい大きなウエートを持つと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(足立篤郎君) 沖繩は、わが国における唯一の亜熱帯地域の農業でございまして、御指摘のとおり、サトウキビが重要な農産物であると考えております。
○喜屋武眞榮君 その糖業の育成に対して、沖繩関係団体、そして知事をはじめ、いま当面の問題として、非常に大事な問題として陳情している中で、このサトウキビの値段、それから砂糖の値段、これに対して要望がありますが、これについて御存じでしょうね。
○国務大臣(足立篤郎君) 最近、御陳情をたびたび伺っておりますので、問題点はよく承知をいたしておりますが、私のほうの考えを申し上げましょうか。——甘味資源特別措置法によりまして、サトウキビの生産振興地域に沖繩をすでに指定いたしております。御承知のとおり、干ばつ常襲地帯でございますので、それに対する対応策として、畑作振興のためのかんがい用水の確保や、あるいは土地改良等、いろいろ行なっておりますし、また、買い入れ価格も、最近きめなければなりませんので、いま鋭意検討いたしております。
○喜屋武眞榮君 その価格に対して、一つは、サトウキビの価格は、所得補償方式を採用して、七千六百七十円以上にしてもらいたいという強い要望、それから砂糖の買い入れについては、複数価格制を、鹿児島も含めて、ぜひ実現してほしいという、このことに対してどういう態度をいま持っておられますか。
○国務大臣(足立篤郎君) 去年に引き続き、ことしもたいへん干ばつの被害を受けたわけでありまして、私も心から御同情申し上げておりますが、それは、先ほど申し上げたように、根本的に、まず水源の確保をしなければなりませんし、土地改良等、基盤整備を進めてまいりませんと、このひでりの被害を完全に防ぐことはできません。おっしゃるとおり、買い入れ価格につきましては、従来は、沖繩産糖の糖価安定事業団による買い入れ等に関する特別措置法によって買い入れをし、価格を保障してまいったんでありますが、復帰後は、つまり四十七砂糖年度からは、国内産糖として、砂糖の価格安定法によって処理をいたすわけでございます。その法律に基づく買い入れ価格のきめ方は、パリティ指数で算出をしました価格を基準といたしまして、物価その他の経済事情を参酌して、再生産を確保し得る価格をきめると、こういうことになっておりますので、その線に沿って目下鋭意検討いたしておりますし、なお農協中央会、あるいは日本分蜜糖工業会等の意見も十分聞きまして、決定をいたすべく目下検討中でございます。
○喜屋武眞榮君 現地の農民や関係者は非常にあせりを感じておりますので、一日も早く結論を出していただきたいと思います。 次に、通産大臣に、海洋万博工事は順調に運んでおりますかどうか、伺います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 各省協調いたしまして鋭意努力をしております。会場計画委員会は、去る十月初めに第一次会場基本計画、いわゆるマスタープランを取りまとめました。マスタープランの内容は、主として海との触れ合い及び自然の植生を生かした公園とするということ、それから永久施設として、今後の開発のモデル地区になるように配慮すること、こういうことでございます。それから、今後のスケジュールとしましては、来年三月二日に起工式を行なう予定で準備を進めていく方針でございます。 なお、会場計画の主要を占める政府出展としましては、次の四項目について検討中でございます。第一は、海洋博のシンボル・モニュメントとして会場に海上施設をつくる。第二に、海洋歴史民族館、第三に、魚の公園、第四に、海浜公園——海浜部に亜熱帯植物をベースに「水と花」をテーマにした公園をつくる。とういう方針で目下のところ進んでおります。 なお、会場用地の取得につきましては、沖繩県で非常に努力してくださいまして、ほぼ会場用地の取得については、めどがついたとの報告を得て喜んでおる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 このことも期限はきまっております。それで非常にあせりを感じておるようであります。特に土地の買収については非常に難渋をしておるということを聞いておりますが、いかがでありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのとおりでございまして、大体地主数が三百八十一名、契約済みが二百七十五名、未契約が百六名、立ちのき三十四件、こういうことになっております。しかし、立ちのき者につきましては今月一ぱいでめどがつく見通しでございます。残りの七十二は、立ちのき世帯と血縁関係にあるため、立ちのき問題が解決すれば自動的に契約に応ずる見込みであるという報告でございます。
○喜屋武眞榮君 次に、工業基地の建設について、特に、通産省でCTSの計画がなされておるようですが、それと公害対策との関係について、どういう考えを持っておるか、承りたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 金武湾は、湾が広く、かつ水深が深く、CTS地点としては最も恵まれた条件を有していると言えます。 なお、当地区では、すでに沖繩ターミナルが百二十万キロリットルのCTSを保有しており、さらに、CTS規模の拡張計画をしている由であります。また、三菱石油と丸善石油は共同してCTSを建設すべく、現在、当地区で埋め立て工事を行なっており、その他、アラビア石油も当地区にCTSを建設する計画を有しておる由であります。通産省としましては、本年度、財団法人日本工業立地センターに沖繩県CTS調査を委託しておりますが、同センターでは、地元の学識経験者を含む委員会を組織し、安全性が高く、公害防止対策の完全な合理的な相模のCTSについて、現在水理模型実験等を含めた調査を開始しており、来年三月末までにその調査結果を通産省に提出することになっております。今後はその調査をもとに、沖繩県当局とも十分協議しまして、公害・保安対策に万全を期したCTS計画の建設を指導してまいる所存でございます。
○喜屋武眞榮君 沖繩における自然保護の問題。もう海もよごれ始めておることは御存じだと思いますが、沖繩の自然をよごしては、もう元も子もなくなるわけです。それだけに、公害問題は世界的な、あるいは日本的な問題になっておるわけですが、特に、沖繩においてそのことを十分ひとつ配慮してもらわなければいけないということを強く要望しておきます。 次に、文部大臣に、沖繩における私学について、どうお考えですか。
○国務大臣(稻葉修君) 沖繩におきましては、復帰当時沖繩大学、国際大学という私立大学がございました。復帰前でありますから、日本の学校教育法にいう学校法人立ということになっておりませんので、との復帰後の取り扱いにつきましては、昨年三月、琉球政府との合意の上に決定された第二次沖繩復帰対策要綱によりまして、この沖繩大学、国際大学の両大学が統合した上で、学校教育法による大学となるものとされたわけであります。復帰時には、この方針に沿って政令を出しました。沖繩の復帰に伴う文部省関係法令の適用の特別措置に関する政令がこれであります。この政令におきまして、統合により新設された沖繩国際大学は、学校法人法による大学となるものといたしまして、沖繩大学、国際大学の両大学は、復帰のとき以降、学校教育法による大学ではないということに相なりました次第です。しかし、両校には新大学に移籍しない学生がおりますので、これらの学生が在学している間に限って、大学とみなして、在学生の保護をはかることにいたしたわけでございます。両大学とも、このように正規の大学とはなっていないのでありますから、沖繩大学が大学としてなお引き続き存続したいとの希望も持っておられることを承知しておりますけれども、同政令においても規定されているように、正規の大学として新たな学生募集を行なうようなことはできないところでございます。 これが現状でございます。
○喜屋武眞榮君 そうしますと、大臣とされては、沖繩に私学がもっと必要であると思っておられますか、もうこれ以上必要はないと思っておられるか、どっちでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) 将来はともかく、現在においては、この措置によって沖繩国際大学が学校法人法にいう法人立の大学として十分設備をし、教授陣を整えられるわけでございますから、両大学に現存する学生の収容にはこと足りておるというふうに理解しております。将来なお学生数等、希望者が非常に増加してくるという段階においては、そのときにおいて新たな私立大学ができ得るものと、これを認可するかは、そのときにおいて決定をいたしますと、こういうわけでございます。
○喜屋武眞榮君 将来の問題じゃなくして、現在、沖繩国際大学がまあ復帰後設立されたことは、これはけっこうなことだ。ところが、なお単科大学としての必要性があるという、これは知事はじめ県議会、それから教育関係団体すべてがいま署名運動を展開して陳情要請をしておる沖繩単科大学を設置すると、こういう要望があることは御存じですか。
○国務大臣(稻葉修君) この問題につきまして、屋良沖繩県知事と私がお会いした際には、一カ月半ばかり前かと思いますが、そのときには、単科の大学を一つほしいのだという御要望は沖繩県知事からは承っておりません。この沖繩国際大学の設備を十分にやってもらって、そういうことを整備すればそのほかに一つ大学が要るという御希望は、そのときは承っておりませんでした。
○喜屋武眞榮君 その一カ月半の動きの中で、非常に熱烈な要望が署名運動としていま盛り上がりつつあります。そうして、来年四月から学生募集できるようにと、こういう強い要望がありますが、どうお考えですか。
○国務大臣(稻葉修君) この問題は屋良知事、それから現存の両大学の学長、それから沖繩国際大学という新しい大学の学長、さらには援護会長の大浜さんとか、そういう方から御要望があった時点において検討したいと、こう考えます。
○喜屋武眞榮君 手続をとれば、ぜひひとつ前向きで認可してほしい。それで、四月から募集ができるような、そういう方向に検討してほしい、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 具体的にそういう御要望、いまだ承っておりませんので、承った階段において検討させていただきます。
○喜屋武眞榮君 ぜひ前向きで検討していただきたい。そして実現さしてくださるように御検討願います。 次に、海外における日本人学校の問題についてお尋ねいたします。海外における日本人学校、日本の子弟に対しては、憲法二十六条が適用しますか、しませんか。
○国務大臣(稻葉修君) 当然に適用されます。憲法二十六条等、日本人の教育権に関する規定は当然に適用されます。
○喜屋武眞榮君 その二十六条を適用して、本土おけるその義務教育対象の子供たち、海外における子供たち、同じ条件ですべて裏づけられておりますか。
○国務大臣(稻葉修君) お答えいたしますが、現状では、日本における日本人と諸外国における日本人子弟の周では、同一水準の完全な学校はすべてに行き渡っておるという状態ではありません。
○喜屋武眞榮君 それでお尋ねしますが、具体的に差別なく、平等に国内も国外もやっているという、この事実を示してもらいたい。
○国務大臣(稻葉修君) 海外の日本人学校については、現在、在外日本人学校は、最近の経済界等の海外進出に伴いまして、特に、東南アジア諸国においては、現地の教育事情及びことばの問題から、その必要性が非常に強くなりまして、昭和二十八年ごろから、現地の日本人会を中心に、徐々に学校が設立されまして、現在三十校、生徒数二千九百六十七人、本年六月現在の数字でございますが、になっております。国といたしましても、昭和三十七年ごろから各種の援助を行なってきております。近年、先進国においても同じような事情が生じまして、昭和四十二年モスクワに、四十四年シドニーに、四十六年デュッセルドルフに、それぞれ学校が設立されました。今後もなお、一年に三、四校ずつ増加する見込みがありまして、文部省といたしましても、教員派遣、教材の送付などを通じて積極的にこれを支援していく考えであります。
○喜屋武眞榮君 この外国における日本人学校の行政管理は、外務省ですか、文部省ですか。
○国務大臣(稻葉修君) 文部省と外務省と共管のような形になっておりまして、たとえば、教科書の配付のごときは文部省の所管、教科書以外の教材整備、教職員の選考、研修、これは文化庁の所管としてやっておりますし、教職員の派遣や、在外手当の支給であるとか、外国における学校の施設整備であるとか、そういうことの確保は外務省にお願いを申し上げておるという状態でございます。
○喜屋武眞榮君 いまおっしゃるその法的根拠はどこにあるんですか。
○政府委員(清水成之君) ただいま大臣が最初に、憲法二十六条の直接適用の関係をお答えいたしましたが、日本人学校につきましては、日本人の子弟の問題でございますので、憲法二十六条の趣旨に沿って日本人学校を運営をしておると、こういうことでございます。 で、お尋ねの、直接これを規定する法律が何にあるかということにつきましては、明定された法律はございません。
○喜屋武眞榮君 そうしますと、いま外務省と文部省とのそれぞれの立場からの協力というのは、何を根拠にしてやっておられるんですか。
○政府委員(清水成之君) 何を根拠ということでございますが、日本人の子弟でございますので、憲法、学校教育法の規定の趣旨に沿って外国において教えておるということでございます。 なお、この設置の経緯等にも、からもうかと思いますが、二十八年ごろから、現地に勤務しております日本人の団体でございます日本人会を中心にしてこの議が起こってまいりまして、その後、外務省、文部省がこれに援助をする、まだ、しなきゃならぬということで、協議の上進めてまいりまして、日本人海外子弟の教育、福祉の増進につとめてまいる、こういう趣旨でございます。
○喜屋武眞榮君 その実情ですね、これは文部省と外務省との話し合いでやっておられるのかどうか知りませんが、そこにはっきりした明確な根拠のもとに、これが責任のある協力、指導がなされておるかどうかということに非常に疑問を持たざるを得ません。何か片手間にやっておられるんじゃないかという、こういう印象を強く受けるわけです。 それでは具体的に聞きますが、この在外日本人学校の敷地、建物、施設、その取得についてはどのようになっておるか、ひとつ承りたい。
○政府委員(清水成之君) これにつきましては、分担から申しまして外務省からお答えいただくのが適当かと思いますが、時間の関係上私からお答えさしていただきたいと存じます。 建物、敷地等につきましては、主として日本人会が中心になって設立をするわけでございますが、分担に応じまして、分担というのは外務省と文部省の事務分担をきめておりまして、外務省のほうでできるだけのそれに対します補助金というかっこうで援助をしておっていただきます。
○喜屋武眞榮君 外国における同胞は、日本人教育をするために、日本国民教育をするために、非常に過重な負担をして、七千円から九千円月謝も払って一生懸命にやっておる実情も私見て、また、強い要望もされまして、これではいかぬと、こういうことでいろいろお尋ねするわけですが、教科書、教具、教材のことについて、実情はどうなっておりますか。
○委員長(大竹平八郎君) 喜屋武君、時間が参りましたから……。
○政府委員(清水成之君) 教科書につきましては、文部省のほうから教科書無償給与の法律の趣旨に即しまして、教科書は文部省から送付をしております。それから教科書以外の教材、たとえば図書室に置くものとか、あるいは理科教材等につきまして、あるいはまた教師用の指導書等の教材につきましては、文化庁のほうで、外務省を通じ、外務省にお願いして、在外公館から日本人学校のほうへ配付をいたしております。これも年々増額をいただいておるわけでございます。
○委員長(大竹平八郎君) 時間ですから簡単にひとつ……。
○喜屋武眞榮君 はい。いろいろこの問題、なおお尋ねしたいんですが、そして実情を詳しく煮詰めていきたいんですが、時間がありませんのでこれで終わりますが、実は、このように詳しい、ほんとうに涙が出るような訴えも寄せられておるわけなんです。これをあとで文部大臣にぜひ読んでいただきたいんですが……。こういうことで一ぱい要望事項も、私、学校別に聞いてまいっておりますが、これを前向きでぜひ育てていただきたいことを強く要望いたし、時間がありませんで非常にあせりを感ずるわけですが、なお、幾つかの問題は質問主意書で要請してありますので、関係省はぜひひとつ適切な御回答をお願いします。 さらに、総理大臣と外務大臣に、日本人を、あるいは日本の国の発展をどう外国の人たちが見ておるかということについて、私非公式のアンケートを私なりにやってきて、ここにまとめてございます。これは今後の施策に参考になると、こう私思いますので、御多忙な総理でありますが、ぜひひとつ読んでいただきたい。 以上をもって終わります。
○委員長(大竹平八郎君) これにて喜屋武君の質疑は終了いたしました。 質疑通告者の発言は全部終了いたしました。これにて補正予算三案の質疑は終局いたしました。 十五分間休憩をいたします。 午後二時十八分休憩 —————・————— 午後二時三十九分開会
○委員長(大竹平八郎君) 休憩前に引き続き、予算委員会を再開いたします。 これより補正予算三案の討論に入ります。 順次発言を許します。発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います杉原一雄君。
○杉原一雄君 私は、日本社会党を代表して、補正予算三案に対し、反対の意見を表明いたします。 今回の補正予算は、一般会計の補正規模は六千五百十三億、財政投融資の追加規模は五千三十億でありますが、その追加額の七割は公共投資の追加のための経費であり、残りの三割が給与改善、米対策その他の義務的経費の追加のための経費であります。また、補正の財源は、約半分近い額を公債の増発によってまかない、残余を既定経費の節減と租税等の自然増収によりまかなっているのであります。 景気は、すでに本年一月から回復過程に入っており、卸売り物価や日銀券発行高は、これまでの景気回復期には見られない異常な高さをさえ示しているのである。このような状況から、大蔵省も、当初景気をこれ以上刺激するのは適当でないとして、補正予算の規模を二ないし三千億円にとどむべきことを主張していたはずではありませんか。しかるに政府は、解散、総選挙を意識した自民党の圧力に屈し、補正の規模を大幅にふくれ上がらせたのであります。しかも、大幅に追加した公共事業の内訳を見ると、その六割が道路、港湾等の産業基盤の整備に充てられ、住宅、下水道等の生活環境整備に充てられる経費は、わずかに二割にとどまっているのはきわめて遺憾であります。これは、田中内閣の経済政策の一枚看板である日本列島改造論を先取りしようとしたものである。このような補正予算は、景気を一そう刺激してインフレを促進し、国民生活を一そう苦しめるものであることは明らかであり、日本社会党としては賛成できないのであります。 次に、この補正予算に反対する第二点は、公共投資をこのように大幅に計上したのに対し、社会保障関係費は、義務的な経費の精算分以外は何ら計上していないのであります。「福祉なくして成長なし」の大切な看板をどこに置き忘れてきたのですか、納得できない。日本の社会保障の現状は、年金等の所得保障等の立ちおくれ、身体障害者等の福祉施設の不足、老人対策の不備等が大きな問題となっており、これこそ、取り急ぎ補正予算に計上すべき最大の緊急案件であり、寒い冬、貧しい年末を迎える国民に対する最大のプレゼントではないか。しかるに、今回の補正予算は、これらの点をほとんど無視した内容となっているのであります。 反対の第三点は、この補正予算には物価に対する配慮は全く見られないということであります。自民党内閣の高度成長政策、GNP第一主義により国民が一番困っている問題は、物価のとめどない上昇である。今日、緊急に解決を要する地価対策、流通機構等の改善について、何ら有効な手は打たれていないのみか、卸売り物価の急上昇が消費者物価に大きく波及しつつあることはきわめて重大なことである。物価の安定のないところに国民の福祉はなく、社会不安を取り除く政治の力が激減せざるを得ないのであります。だから、物価対策への配慮のない今回の補正予算は、国民を忘れ、福祉軽視のインフレ予算と言わざるを得ません。 反対の第四点は、年内減税が全然行なわれていないことであります。とりわけ、勤労市民の期待を完全に裏切るものであります。今年度は景気の急速な回復により、租税収入は、法人税を中心に最低四ないし五千億円の自然増が見込まれると思うのであります。社会保障費も十分でなく、物価対策にも見るべきものがないとすれば、せめて国民のためになし得るものは、取り過ぎた税を国民に返す減税でありましょう。また、減税は、欧米諸国に比べおくれている個人消費支出の水準を引き上げる上からきわめて重要であります。これをすらも行なっていない今回の補正予算には、賛成することができません。 以上のように、今回の補正予算は、産業基盤の整備を主とする公共投資に重点を置いたもので、当面最も緊急を要する社会保障や、生活環境の整備、物価、減税率に対する対策を欠いたものであり、財政法第二十九条の趣旨に沿ったものとは言いがたく、日本社会党は反対せざるを得ないのであります。 すでに野党三党は、補正予算の衆議院通過にあたり、老齢年金の引き上げ、老人福祉関係費の増額、難病対策費及び社会福祉施設費の充実、産業基盤関係の公共事業費の追加分からの削除などを内容とする組みかえ動議を提出しておりますが、これは公債を新規に増発することなく、国際緊張の緩和を背景とした防衛関係費のうちの装備費の一部削減を含む既定経費の節減と租税収入だけでまかなうこととしておりますので、補正の規模は、政府案よりも三千六百億円を縮小した二千九百十二億円にとどまっております。これは景気を刺激することなく、当面緊急を要する案件に対処している点で、少なくとも政府案よりまさっていることは明らかであります。否決されたことはきわめて遺憾であります。 最後に、田中内閣の経済政策について一言いたします。 日本経済の現状は、長期にわたる佐藤内閣の内政、外交の失敗により、外貨だけは累増したものの、公害、物価、社会保障の立ちおくれ等、ひずみが山積しており、経済政策は国民福祉の充実へと根本的な転換を迫られているのであります。しかるに、補正予算の審議を通じて明らかになったことは、田中内閣の経済政策は、これまでの生産第一主義の政策を国民福祉重点の政策に切りかえるのではなく、福祉より成長を優先させる高度成長政策をとろうとしていることが明らかになりました。田中総理は、日本列島改造により、公害も物価も社会保障も、あらゆる問題を解決し得る万能薬のように述べておりますが、日本列島改造論は、産業基盤関係の公共投資の増大を通じ、資本財産業の市場を拡大させることはあるとしても、国民福祉の充実に結びつけることは無理であり、公害を全国にまき散らし、地価上昇をあおる以外の何ものでもないことは、これまでの経過から見てきわめて明らかであります。 日本社会党は、人間優先の理念に立ち、工場の都市集中や農業の使命の確立、農業構造の再構築をはかりつつ、社会保障の画期的な充実を実現させる社会改造計画を立てておりますが、このようにしてこそ、初めて真の福祉国家の建設ができるものと考えます。 以上の理由により、補正予算三案に反対いたすものでございます。(拍手)
○委員長(大竹平八郎君) 西村尚治君。
○西村尚治君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました補正予算三案につきまして、賛成の討論を行ないたいと思います。 最近、わが国の国内経済は、これまでの財政、金融両面における積極的な施策によって回復基調に転じましたが、民間主導型の経済成長の過程において立ちおくれを来たした社会資本の整備に対する国民の要請はきわめて強いものがあります。 他方、国際収支は、昨年末の円の大幅切り上げ以後も、依然として黒字が続いて、新たな経済緊張を生じております。 今回の補正予算は、このような経済事情を背景に、公務員の給与の改善、社会資本の整備をはかるとともに、当面の緊急課題となっている国際収支の均衡回復に資するため、公共投資の追加を行なうこととしたものであります。 この補正のうち、まず、人事院勧告に基づく公務員給与の改善費一千百三十三億円、法人税の自然増収に伴う地方交付税交付金の追加六百五十六億円、米の生産調整費百九十三億円、また、災害復旧のための事業費五千六百億円等の計上は当然の措置でありますが、補正の中心となっている公共事業費の中では、福祉につながる生活環境整備費が、年度当初に比し四四%の増となり、特に立ちおくれている下水道、公園整備に重点配分をするとともに、社会福祉施設、医療施設等の整備についても、それぞれ追加補正を行なうなど、きめのこまかい配慮をなされたことは、福祉政策の前進を具体的に示したものといってよいと思います。 同時にまた、当面の緊急課題となっている円対策につきましては、資源の大半を海外に求め、国際経済への依存度の大きいわが国が、世界の批判と注視の中にあって、対外収支の黒字を累積させていくことは、国際的孤立を招くおそれなしとしないのでありますが、政府は、今回これらに対処するため、この補正によって、内需を喚起するとともに、輸入の拡大をはじめとする一連の措置を講ずることとしております。これは輸出第一主義の財政金融政策からの転換であり、経済の流れを変えるための時宜に適した措置であると考えられます。 以上、今回の補正予算は、当然必要となるべき経費を計上するとともに、当面の経済情勢に即応する適切な措置を盛り込んだ予算であると考え、賛意を表するものであります。 これをもって、昭和四十七年度補正予算三案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
○委員長(大竹平八郎君) 鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十七年度補正予算三案に対して、反対の討論を行なわんとするものであります。 田中内閣が発足してより四カ月余り、国民は、流れを変えようという総理に大きな期待を持っていたわけであります。しかしながら、国内では土地価格の急騰、卸売り物価の上昇にあらわされているように、インフレのおそれを招き、他方で円の再切り上げ必至ということは、不況の中の物価高を招くおそれありと思わざるを得ないのであります。外にはベトナム停戦が近づいているにもかかわらず、国内法を曲げても米軍のベトナム攻撃に協力しているのであり、さらに、日中後のアジア外交についても、明快な羅針盤は示されておりません。第三次防衛計画の倍という第四次防衛計画を立て、朝鮮半島の統一ができる方向に動いているという、緊張緩和の世界の動きを無視しているのが現実であります。兵器の国産化の推進は、産軍複合体制を強化させるもので、全く国民の平和への願望とは相いれないものがあります。このような基本的見地に立っての大型補正予算は、賛成でき得ないのであります。 第二の反対理由は、国民生活を無視した補正予算であるという点であります。六千五百億円にのぼる補正予算に対して、政府は、社会資本の充実、あるいは国際収支の改善のために組んだと言っておりますが、昭和四十七年度当初予算における公共投資が、いまだ消化が十分されていない段階で、さらに追加をすることは大いに疑問があるのであります。まして、公共投資の中において、道路、港湾関係費は二千二百億円、それに対して、国民の望んでいる生活環境整備としての公共投資である住宅費は百五十億円、下水道、公園などは六百十六億円にしかすぎないのであります。これでは、国民福祉無視と言わざるを得ません。 第三の反対の理由として、年内減税を見送ったということであります。政府は、今回の補正予算の財源として、自然増収二千八百二十億円を見ておりますが、この見積もりは、法人及び相続税の増収だけであり、おそらくこの倍の増収はあると見られております。したがって、今回の補正で減税を当然するべきであったはずであります。まして、本年の所得税減税は、昨年の年内減税実施を理由に見送られております。その上、その後の物価の上昇は激しく、国民生活を圧迫しているのであります。田中総理が総理に就任された際にも、大幅減税を国民に約束していることから見ても、国民を大きく欺くものと言わざるを得ません。 第四の理由として、国債の増発であります。本年度予算での国債発行額は一兆九千五百億円、それに今回の三千六百億円を合わせますと、実に二兆三千億円という額になります。国債依存率も、平時ではあり得ない一九%へと急上昇し、さらに来年度より具体化されるであろう日本列島改造計画においては、より巨額の国債が発行されると言われることを考えますと、今後の国債政策を示さない田中内閣に不信の念をいだかざるを得ません。今日でさえ、国債の市中消化の原則はくずれ去っており、この補正予算においても、国債の財源により予算を大型化し、財政インフレによる物価の上昇、あるいは景気の過熱を招くに違いないのであります。 最後の反対の理由は、政府の円切り上げ対策についてであります。政府の第三次円対策、また補正予算の大型化により、円の再切り上げは防止できるという政府の考えに納得しかねるからであります。いままでも、何回となく円の再切り上げ対策を行なったにもかかわらず、わが国の国際収支の黒字額は増加するばかりであります。しかるに、今回の第三次円対策を見ましても、さほどの効果を期待できるものがないことは明らかであります。また、今回の補正予算の大型化による公共投資の増大によって、国内需要の増加と輸入拡大は大いに疑問とされるものがあり、こじつけの感を免れないのであります。 以上、今回の補正予算は、国民の生活を、また国民の福祉を無視したものであるという点から、反対をするものであります。 以上、討論を終わります。(拍手)
○委員長(大竹平八郎君) 木島則夫君。
○木島則夫君 私は、民社党を代表して、ただいま議題の昭和四十七年度補正予算三案に対し、反対の意向を明らかにするものであります。 第一の反対理由は、大企業、大資本の経済活動を一そう促進するための産業基盤整備を目的とした大土木事業に重点を置き、一般公共事業関係費を突如として三千八百二十億円も計上してはおりますが、緊急を問われている福祉関係費は、わずかに千百三十四億円しか計上をしていないという、予算編成態度に示されていることであります。しかも、景気浮揚を目標とした当初予算が未消化のとき、さらに三千六百億円ものばく大な追加公債を財源とした補正予算は、景気の回復が進んでいる今日、全くその意味を失ったにもかかわらず、依然として景気回復を主張する田中内閣の意図は、より多くの財政資金を土建業、不動産業をはじめとする企業側に提供する以外の何ものでもないと考えます。したがって、このような国民の意思にそむいた政府補正予算案を認めることは断じてできないわけであります。 私が、政府補正予算案に反対する第二の理由でありますが、ただいま申し上げましたように、当初予算に組まれた公共事業費が未消化の状況でありますから、むしろ、行政の側から予算の執行を強要する事態が各所で見られ、このために工事単価が急速に増高するなど、財政がインフレを促進する役割りさえ果たしていることからして、政府補正予算案を認めたとしたならば、資金のだぶつきを一そう大きくし、一般物価を激しく上昇をさせる結果になると思います。すでに卸売り物価が戦後最高の上昇率を示しているのも、田中内閣のこうした財政乱費傾向を見越した作動でありまして、一方、田中内閣には、この作動に呼応して車の両輪関係をつくり出そうと政治的な意図をひそめていると言わなければなりません。まさに物価上昇、インフレを促進し、国民をさらに苦しめるものであります。 第三の反対理由でありますが、六千五百十二億円の政府補正予算のうち、約六〇%もの膨大な一般公共事業関係費をもって、子供にあめ玉を見せびらかすように、総選挙を意識した、おおばんぶるまい予算ということにあります。およそ景気のよい話は、景気の悪い話よりも大受けするのは当然でありますけれども、しかし、これは世事、俗事に通用するものでしかないと思います。国民生活の安定、福祉の向上に大きな責任を持たなければならない政治に、このような思考論理を取り入れ、厳正たるべき予算案の中に、それを具体化するがごときは、断じて許されないと思います。田中内閣の初仕事ともいうべき今回の政府補正予算案は、まさに国民の貴重な税金を、無責任にも、おおばんぶるまいに使い、退勢傾向の強い政府与党の挽回をはからんとするねらいが明らかだと言わなければなりません。政府は、口に福祉重点を唱えてはおりますけれど、その実は、これまで私が申し上げてまいりましたように、決して、政治の軌道を国民生活に向けていないことは明白であります。 ここに私は、あらためて、政府補正予算案に強く反対をするものであります。(拍手)
○委員長(大竹平八郎君) 渡辺武君。
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、この補正予算三案に反対いたします。 反対の理由の第一は、本案が三千六百億円にものぼる建設公債という名の赤字公債の増発を予定していることであります。公債発行は、当初予算を合わせて総額二兆三千百億円となり、一般会計の国債依存率は実に一九%、戦前にも例を見ないほどのものとなるのであります。現在、物価の激しい値上がりが国民生活を苦しめる最大の問題となっておりますが、円対策に藉口したこの無謀な赤字公債の乱発は、インフレと高物価をさらに激化させ、国民生活を一そう破壊することは必至であり、かつ、将来にわたる公債の増発と、その償還のための重税を不可避のものとするものであって、われわれの断じて許せぬものであります。 第二に、六千五百十三億円というばく大な補正予算のうち、実にその三八%までが、主として大企業奉仕の産業道路、港湾、空港、工業用水等の施設を目ざす、いわゆる公共投資に充てられ、しかも、それに千六百三十三億円という債務負担行為まで計上されているにもかかわらず、国民が緊急に要求している公害、物価、社会保障対策などが軽視されていることであります。本来、補正予算は、財政法に明らかなように、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」を行なうべきものであります。また今日、政府の消費者米価、その他公共料金の大幅引き上げ、公害の深刻化、社会保障の極端な立ちおくれによる、老人や身体障害者をめぐる悲惨な事件の続出などにかんがみ、国民生活を守る支出こそ緊急に求められているところであります。しかるに、政府が、この財政法の規定と国民生活の実情を無視してばく大な公共事業費を組んだのは、田中総理の、いわゆる日本列島改造計画を早くも強行するためのものであり、総選挙目当ての大企業への、おおばんぶるまいにほかなりません。 第三には、この予算が、地方財政の逼迫をさらに激しくするということであります。すなわち、今回の大幅な公共投資の拡大は、地方自治体に対し、実に二千九百五十四億円にのぼるばく大な地方債の発行を余儀なくさせております。これは地方財政をますます窮地におとしいれるものであり、断じて容認できないものであります。 第四に、政府の円対策についてであります。本来、円問題の根本的解決は、ドル危機の根源であるアメリカのベトナム侵略戦争をやめさせ、また、ドルと金との交換性を回復させることであります。同時に、国内においては、大企業の高度成長と輸出第一主義を抑制し、経済政策を国民福祉優先に切りかえることであります。しかるに、政府は、ベトナム侵略の即時停止などをアメリカに要求するどころか、逆にアメリカの要求に従って、今回の第三次円対策を決定し、農産物の輸入、関税大幅引き下げなど、農民、中小企業などの犠牲によって、ドル防衛政策に協力しようとしております。同時に、国内の大企業には、円対策を口実として、この大型補正予算で依然として高度成長を続けさせようとしているのであります。 わが党は、赤字公債の発行をやめ、大企業から法人税等を厳正に取り立て、これによって物価安定、社会保障の充実、大衆減税の断行、中小零細企業への低利の年末融資の拡大など、国民生活擁護の緊急支出を断行することを要求するとともに、財政投融資計画を国会の議決事項とし、その運営を民主化することを強く要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(大竹平八郎君) これにて討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、補正予算三案の討論は終局したものと認めます。 これより採決を行ないます。 昭和四十七年度一般会計補正予算、昭和四十七年度特別会計補正予算、昭和四十七年度政府関係機関補正予算、以上三案を問題に供します。三案に賛成の方の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(大竹平八郎君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) 派遣委員の報告に関する件についておはかりいたします。 前国会閉会中、本委員会が行ないました予算の執行状況に関する調査のための委員派遣については、各班から、それぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。 予算の執行状況に関する調査につきましては、閉会の場合においてもなお調査の継続をすることとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成及び提出の時期につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時九分散会 —————・—————