法務委員会 第1号
- 発言数
- 164 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/11/07
会議録
○谷川委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政等の適正を期するため、本会期中、裁判所の司法行政に関する事項、法務行政及び検察行政に関する事項並びに国内治安及び人権擁護に関する事項につきまして、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、国政調査を行なうため、議長に対し承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○谷川委員長 おはかりいたします。 本日、最高裁判所吉田事務総長、長井総務局長及び矢口人事局長より出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○谷川委員長 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。郡法務大臣。
○郡国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。 政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたことは、御承知のとおりであります。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することといたしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給を増額することとしております。 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。 これらの改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和四十七年四月一日にさかのぼって適用することといたしております。 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
○谷川委員長 これにて両案の提案理由の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○谷川委員長 引き続き両案に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 ただいまの提案理由の説明にもございましたように、「一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、」云々、こうなっておるわけでありますが、たしか一般政府職員の俸給の平均引き上げ率は一〇・何%ということになっておるかと思うのでありますが、一般裁判官、検察官の平均引き上げ率はどうなっておるか、それらについて具体的にひとつ御説明をいただきたいと思います。
○味村政府委員 御説明申し上げます。 一般の政府職員の俸給の平均引き上げ率は、ただいま御指摘のとおり、諸手当を含めまして一〇・六八%のアップとなっておりますが、そのうち俸給のアップ分は九・三五%でございます。それに対しまして、認証官を除きます裁判官及び検察官の報酬及び俸給月額は、今回の改定によりまして、裁判官につきましては平均八・二八%、検察官につきましては平均八・四四%となっております。
○大竹委員 そういたしますと、「準じて、」ということになっているにしては少し差があり過ぎるように思うのですが、具体的に説明をしていただきたいと思います。
○味村政府委員 確かに御指摘のように、一般職の職員の俸給表の改善率は九・三五%でございまして、裁判官のほうは八・二八%、検察官が八・四四%ということで約一%ばかりの開きがあるわけです。しかしこれは今回の給与改定が一般職のうちで、ことに中位等級以下の、まあ下級の職員の給与改善に重点を置いているということに原因があるわけでございまして、一般職でありましても指定職の俸給表の適用を受ける職員の俸給の増額率は、これはその他の職員の増額率を下回っております。裁判官とか検察官の報酬、俸給は大体一般職の上位等級表の者の俸給に大体対応しております。ことにその額では一般職の中の指定職俸給表の俸給月額に対応している号俸にいらっしゃる方が多いということになっておりますので、したがいまして、若干アップ率が低くなっているということになっております。
○大竹委員 それならお聞きしたいのでありますが、いま一般職においては諸手当を除いて九・三五、裁判官は八・二八ということで、一%そこそこでありますが、この手当を入れて一〇・六八%ということを言われましたけれども、それなら裁判官の初任給の調整手当はいわゆる八・二八%の中に入っているのですか、入っていないのですか。
○味村政府委員 ただいま申し上げましたのは俸給表だけのアップ率でございますので、初任給調整手当を含まない数字になっております。
○大竹委員 それでは今度のアップに際して調整手当はアップするのですか、しないのですか。
○味村政府委員 初任給調整手当は昭和四十六年から施行になったわけでございますが、今回はアップしないという予定でございます。
○大竹委員 それではお聞きしたいのでありますが、あの調整手当をつけたときには、いわゆる一般職と裁判官あるいは検察官の職務内容からいって、一口に言えば、あれだけの差をつけるべきだということで調整手当ができたものだと思いますが、今度その点だけを上げないということになると、最初の差をつけた趣旨からいいましても、どうも差が縮まったような気がするわけですけれども、その点はどうお考えになりますか。
○味村政府委員 私どもといたしましても、初任給調整手当の増額ということは絶えず考えておるわけでございます。これはいまさら申すまでもないことでございますが、判事、検事になり手が少ない原因の一つとしまして、弁護士になる方が多い。弁護士の収入が多いために弁護士になる方が多いために、判検事になる方が少ないということでございますので、この点について改善をしていただいたのが初任給調整手当でございます。したがいまして、初任給調整手当の基本的な考え方は、やはり弁護士の報酬とのギャップということ、それを埋めるということからきているかと思うのでございますが、実は今回も資料によりますと、初任給調整手当をつけました当時におきまして、弁護士さんの報酬というのはなかなか把握しにくいのでございますけれども、大体月収十万から十二万というところだろうということであったのでございますが、その後調べましても、やはり現在のところ平均月収十万ないし十二万ということで、それ以上の数字を示しておりませんので、今回は見送らせていただいたということでございます。
○大竹委員 それなら、それに関連してお聞きするのでありますが、たしか一般政府職員の中でも医師とか歯科医師にも調整手当というものがついております。これも特別な専門職でありますから、そういうものをつけるのも当然かと思うのでありますけれども、今度の改正では医師、歯科医師の初任給の調整手当は多少増額になっているように思うのであります。その点差異があるように思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
○味村政府委員 おっしゃるとおりでございます。今回、医療職俸給表(一)の適用を受ける医師及び歯科医師につきましては、支給月額の限度を十万円というふうに上げております。しかもその支給期間の限度を三十五年というふうに長くいたしております。
○大竹委員 それはわかっているのですが、そういう趣旨から言うと、裁判官、検察官の手当も改正していいのじゃないかと思うのですけれども、どうして遠慮されたのですかということをお聞きしたいのです。
○味村政府委員 これはただいまも申し上げましたように、裁判官、検察官の初任給調整手当の趣旨は、司法修習生から初めて弁護士になった方の月収との調和をはかるというところからきたわけでございます。ところが、いま申し上げましたように、その後の調査によりましても、弁護士の月収が極端に著しく増加したという資料がございません。との初任給調整手当がつきましてから、その後二回、今回を含めましてかりに二回のベースアップを加えますというと、初任者の給与は大体月十万程度になろうかと思うのでございますが、現在のところでは司法修習生から弁護士になった方のいわゆる初任給というものも大体十万ないし十二万というふうになっております。したがいまして、今回は初任給調整手当の増額は考えないということになったわけでございます。
○大竹委員 次に、この問題に関連してこの際ちょっとお聞きしておきたいのですが、先ほど申し上げましたように、裁判官、検察官の初任給調整手当をつけた趣旨は、司法修習生の多くの人が一みんな弁護士のほうになってしまって裁判官、検察官になってくれる人が少ないということでこれをつけたというわけでありますが、まだ日にちも浅いわけでありますけれども、ことしもたしかそれぞれ志望がきまったと思うのでありますが、その後の傾向、またことしあたり司法試験を受けた人の数、その他どう変化しておりますか。
○味村政府委員 まず数について申し上げます。初任給調整手当を実施いたしません直前の昭和四十五年度におきます判検事の任官者の数は百二人でございまして、当時の司法修習の修了者の数は五百十二人でございました。五百十二人のうち百二人が判検事に任官いたしました。昭和四十六年度にこの初任給調整手当が実施されたわけでございますが、その際の司法修習の修了者数は五百六人でありました。判検事に任官いたしましたのは百十二名となっております。本年度におきましては、司法修習を修了いたしました者が四百九十五名でございまして、そのうちで判検事に任官いたしましたのが百十七人となっております。これを見ますと、司法修習を終えた者の数は若干減少いたしておりますが、判検事に任官いたした者の数は若干の増加を示しているわけでございまして、これから見ますと、判検事に任官する数は必ずしも給与の影響によるものだけとは限りませんけれども、やはり初任給調整手当が判検事の増加に好影響を及ぼしているということがいえるのじゃなかろうかと思っております。
○大竹委員 この司法試験の受験者の数はどうなっておりますか。いまの年度について……。
○味村政府委員 まことに申しわけありませんが、ちょっと正確な数字を用意してまいりませんでした。本年は大体二万三千人程度と存じます。
○大竹委員 それからいまの四十五年、四十六年はどうですか。
○味村政府委員 大体逐年増加しておると思いますが……。
○高橋(英)委員 ちょっと関連して。答弁は要らぬのだから意見をちょっと。 弁護士の初任給十万円とか十二万という話があったようだが、これは実情を知らぬもはなはだしいもので、三十万円、五十万円以下の月額の収入を持っておる弁護士はないのじゃないかと思うのですね。これを見ていると、十万以下の判検事さんがたくさんおるのだが、少なくとも十万円以上というふうなことにしてあげなきゃいかぬのじゃないですか。四十八年度の予算審議についてわれわれも大いにこの点について研究しますから頼みますよ。弁護士の実情把握がたいへんどうも違うようなことを……。
○味村政府委員 私のことばが足りませんで申しわけございません。私が先ほど十万円と申し上げましたのは、司法修習生から弁護士になりまして、どなたか既存の弁護士事務所に入ってそこで給料をもらう、そういう……。(「個人の事件がたくさん入るから、月給なんか、手当なんか目当てにしているのは一人もいないよ」「大体三、四十万だよ、十万というのは無能だぞ」と呼ぶ)一応私どもの数といたしましてはそういうふうになっておりますので……。 なお、それから先ほどの大竹委員の御質問に対しまして、四十五年の司法試験の出願者数は二万百六十人でございます。それから四十六年は二万二千三百三十六人ということになっております。四十七年の数字は、申しわけありませんがちょっと用意してございませんが、大体二万三千、大体千人くらいふえたというように記憶しております。
○大竹委員 次に、特別職の報酬が今度は上がったわけでありますが、そこでちょっと矛盾が出ているのでお聞きしたいのでありますけれども、御承知のように現行では東京高裁長官を除くその他の高裁長官及び東京高検の検事長の報酬額は政務次官と同額、四十二万円ということになっているわけでありますが、今度の改正案によりますと四十八万円、政務次官は四十五万円ということで、そこで三万円の差額ができるということになろうかと思うのでありますが、その点どうお考えになりますか。
○味村政府委員 御指摘のとおり現在では東京高裁長官以外の高裁長官と東京の高検の検事長の報酬俸給額は政務次官と同額になっております。それで今回の改定案によりますと、政務次官の俸給額より三万円多くなるということになっているわけでございます。これは司法部内におきます給与の均衡、報酬、俸給の均衡ということを考えてこのような結果になったわけでございます。 と申しますと、大体最高裁判所裁判官は国務大臣と同じ俸給ということになっておりまして、今回それが六十五万円に増加される。一方、判事の一号は一般職の給料と対応いたしておりまして、今回一般職の俸給に準じて、それに対応して改定いたしますと四十三万円になるわけでございます。そういたしますと最高裁判事の六十五万円の報酬と判事の一号の四十三万円との間に、東京高裁長官、その他の高裁長官、東京高検の検事長、次長検事、そういった方々の報酬、俸給を格付けするということになるわけでございまして、その間の格付けをいたしました結果、東京高裁長官を除きます高裁長官、東京高検検事長の俸給、報酬月額が四十八万円ということになったわけでございます。これは司法部内での職務の職責によります俸給の均衡を考えてこのようになったわけでございます。 なお、申し上げておきますが、政務次官と東京高裁長官以外の高裁長官及び検事長とがたまたま従前は同額でございましたけれども、これは三十九年の九月以来同額でございまして、それ以前は東京高裁以外の高裁長官のほうが検事長より上でございました。
○大竹委員 終わります。
○谷川委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 私は、矯正局と入管、この法務省関係と裁判所の問題に関しまして御質問したいと思います。 先に法務省関係の御質問をさせていただきます。問題点はまた大臣の時間がとれましたときにお伺いしたいとは思いますが、きのうもハイジャックのあったことでもございますし、現在から将来に向かってエアバスも使うような交通事情の変化が相当あるわけです。そういうものを考えながら、間もなく成田に国際飛行場が移るということ、それから中国の関係も発展していく、こういうものを対象にして、現在の入管のほうのいわゆる審査体制、こういうものは十分体制がとれて人員がいらっしゃるのかどうか、そういう点についてまずお伺いしたいと思います。
○吉岡政府委員 ただいまの御質問は、特に羽田から成田に移った際ということが最も端的な問題になるかと存じますが、現在羽田の入国管理事務所は定員百九十名でございますが、成田に移りました以降は、それに対しまして七十九名の増員をわれわれとしては考えております。その中で六十一名が入国審査官でございまして、十八名が入国警備官でございます。この七十九名の増員が得られますならば、成田がただいまのところ来年三月供用開始を予定されておりますが、この百九十名プラス七十九名で一応審査も滞りなくやれるのではないかとわれわれは考えております。
○沖本委員 いま、聞くところによりますと、羽田のほうは国内にしぼる、こういうことが主体だったわけですけれども、どうもそれだけではできないので、まだ羽田も一部は使うのじゃないかというような話もあるわけです。 それとあわせまして、この前にもお伺いはいたしましたけれども、東京の都内からずっと離れた成田のほうへ行った場合に、こういうところにつとめられる人たちの家族の待遇あるいは学校の問題ということで、この前は中学までの問題は解決したけれども、高校でだいぶ東京都内とは違うのじゃないかということで実際に行く方々が渋っていらっしゃる、そういう面もあるわけなんですが、そういう点は解決するようになったのでしょうか、どうでしょう。
○吉岡政府委員 われわれ入管行政に携わる者といたしましては、入管行政についてあたたかい御理解をいただいた御質問と思いまして、たいへん感激する次第でございますが、現在羽田の定員百九十名が現在のところそっくり成田に移る予定でございまして、この百九十名の者をつきましては宿舎等は一応手配済みでございますが、ただいま高等学校に入学する子弟を持つ者が転勤を好まないのではないかというような御指摘でございますが、この点につきましては、一々羽田から成田に転勤いたします者につきまして具体的にケースを調べまして、確かに成田のほうに参りますと、高等学校に学ぶ子弟を持つという人にとっては多少の不便があるかと存じますが、その点は、たとえば子弟を東京に残して成田に移るとか、あるいは東京から成田に通勤するとかいった個々に解決を考えておりまして、いまのところ特別の支障はなるべくないように措置したいと存じております。
○沖本委員 実際に行ってお会いしてみますと、審査官の御年配はちょうど高校生をお持ちになるような御年配になるのですね。いまでもそうですが、一ぺんに入国が重なってくると、全員が、班を分けていらっしゃるけれども、全力をあげてやっても行列ができて全然むずかしい、こういうふうな状態がすでに羽田で起きておるわけです。ですからトイレにも行けない、こういうことで、どなたも自分で持病のようなものを持っていらっしゃる、そういうものを押してやっていらっしゃる。こういうことになると労働過重というものが起きてきますし、羽田の場合でも入国と出国とが別々になったために勤務の状態が全然違ってきた、こういうことで、考えもしなかったことが起こっておるのが現状です。そういうふうな状態がまた成田へ行って起きてくるということになると、結局そういうものが全部に影響して勤務の成績にも影響してくる、こういうことになると思うのです。そういう点をもっとよく考えていただいて、十分仕事を果たしていただくためにはやはり最初に心配のないような対策を立てることが大切ではないか、こういうふうに考えるわけです。これはあとで御質問する矯正局にも関係する問題だと思いますけれども、いわゆる綱紀を粛正するとかあるいは精神的なささえ的な訓練をやっていくとか言っても、豊かな生活ができるかできないかということにかかってくると思うのです。特に子弟の教育や家庭を重点に考えなければならない時代でもあるし、それが当然でもあるわけですから、そういう点が十分配慮されるような対策を立てていただかなければならない。予算が少ない多いということとはこれは別問題だと思うのです。ですから、同じように羽田に勤務して、飛行機の発着に関して別々ですけれども仕事に携わる人は、民間とこういうふうな官庁関係の方とが一緒にやるわけですけれども、そこに生活なりあるいは身分なりいろいろなもので待遇が違っておったり、極端な食い違いがあったり、あるいは税関のほうは優遇されているけれども、入管のほうは案外冷たいとか、各省がばらばらに出てきているというような内容があるわけです。そういうものはやはり一つにまとまって同じような待遇を受けながらやっていくことが大事ではないか、こう考えられるわけなんですが、そういう点については局長のほうで御意見はございますか。
○吉岡政府委員 ただいま御指摘いただきました点は、われわれが常日ごろ十分な配慮を払っていきたいと考えておる点でございます。実は本年三月人事異動をやりまして、本年当初におきましては、成田の供用開始は本年の六月というようなことでございましたから、羽田に現在勤務いたしております百九十名の者につきましても、これがかりに六月に成田が供用開始になった場合でも、即座に成田に移って差しつかえのない、家庭的な事情からいってもなるべく差しつかえのないという者を一応予定して、人事異動を行なった次第でございます。しかしながら、残念ながら成田の供用開始の時期がおくれてまいりまして、現在のところ来年三月ぐらいということでございますから、また来年三月の成田空港の供用開始の際には、あらためまして先生御指摘のような要因を考慮に入れまして再配置――おそらく大部分の者は支障ないと思いますが、またその間に子供さんがあるいは中学から高校に入るといったような人が出てくるかと存じます、そういったことも十分考慮に入れまして、人事配置をやっていきたいと存じます。それから勤務場所と申しますか、羽田の入出国の体制と、それから成田の入出国の体制が多少異なりますので、それが事務能率の上においてどういうふうに影響するかということは、一応の予測はできますが、実際どうなるかということにつきましては、まだわれわれといたしましても具体的な把握ができておりませんが、これは供用開始以後勤務体制を見ながら、それに即応した実務体制に持っていく。なるべく新しい成田の空港で勤務いたします者が、いわば楽しく喜んで執務できるような体制に持っていきたいと考えております。
○沖本委員 入管の問題は給与に関する問題ですから、その程度で御質問は終わりたいと思いますが、あと矯正局のほうにお伺いいたします。 これは中谷先生も御質問なさるとおっしゃっておられたのですが、新聞によりますと、大阪の刑務所で敬礼を怠ったということで処分になった。戒告、昇給も停止だ。こういう処分になったということで、その処分にあった御当人が憲法違反だと無効の訴えを起こしていらっしゃる。こういうことでございます新聞によりますと、大阪刑務所の総務部長の話だと、「二千二百人にのぼる受刑者をピシピシ取りしきっていくには、職員間に乱れがあってはならない。敬礼ひとつにしても、指の位置まではっきり決っている。普通の役所とくらべて、まったく違った規則や慣習があるのは当り前だ。刑務所の特殊事情をわかってほしい。最近は、ほとんど欠礼はなくなっており、井上看守の場合は、欠礼にからみ、上役に強く反抗したのがひびいて処分となったわけだ。」こういうふうな記事が出ておりますけれども、この実情について御説明願いたいと思います。
○羽山政府委員 問題の看守は井上登浩という看守でございますが、本年三月十五日付で戒告処分を受けたのでございます。その中に敬礼をしなかったということに言及してあることはただいま御指摘のとおりでございます。そして新聞の見出しによりますると、あたかも敬礼をしなかったということだけの理由で処分をされたように読めるのでございますが、新聞記事の内容自体にもこまかく書いてございますように、それだけで処分があったわけではないのでございまして、本人は平素いろいろな対人関係がうまくいかないような性格の持ち主でございまして、敬礼をしなかったということに関連をいたしまして、いろいろ反抗的な言動に及んだのみならず、所長室にまでどなり込んでいくというようなことがございましたので、平素の勤務成績その他を勘案いたしまして、戒告という処分になったわけでございまして、単に敬礼をしなかったというだけで処分をいたしたわけではないのでございます。
○沖本委員 この大阪刑務所は不正入試事件で問題になり、中の看守の方が事故を起こしたということで種々問題が出てきておるわけです。それでよく私は申し上げるのですが、結局一つところに社会から切り離されて、そして一つの仕事に携わってずっといるということで、社会との交流も非常に少ない、こういうことが続いていくと、むしろ受刑者よりもその人たちのほうが刑を受けているのじゃないか、こういうふうな環境が生ずるのではないか、こういうふうにも考えられるわけです。そういうものを補うのが十分な待遇であり、処遇であるということになってくるのじゃないかと思うのですね。そういうものが整えられてこそ初めて規則も守っていき、あるいは規律も守っていく、習慣にも応じていく、こういうことになるのじゃないか。日ごろのいろいろな待遇とか、こういうものに対して不満があるから、それが何かのときに爆発してくる、これは人間の常ではないか、こう思うわけなんですけれども、こういう関係で現在勤務について過重になっておるとか、あるいは人員が少ないぼ――この前、矯正局長さんとやりとりしましたときに、結局足りないから監視もできない。監視等にも人がいないから、それではテレビの監視をやるか照明をつけるかというような問題も考える、こういうお話もあったわけです。そういうところからも人が足りないということははっきり出ているわけですけれども、それでは一体全体的にどれくらい足りないのか。またこういう、これに類するようなことはもうここのところだけが特殊であって、ほかではもうこれに似たようなことはないということがいえるのか。これは金嬉老の問題でも静岡のほうで問題が出ておるわけですから、こういうふうな隔絶されたところの上官と、下級の、それに従う人たちの間柄、こういう問題がいろいろ出てきておるわけです。これが同じような形をとっておっても、警察関係のほうとか自衛隊のほうでも同じように規律はやかましくいわれるわけですけれども、そこにおのずから違ったものがあるわけですね。そういう点について何か反社会的なものがこの中にあるのじゃないだろうか、こういうふうに推測したくなってくるわけです。そういう点について実情はどうなんでしょうか。
○羽山政府委員 御指摘のように閉鎖されております施設の中で四六時中勤務しております職員が、いろいろな面で視野が狭くなるということはあり得ることでございまして、私どもも平素職員の研修その他につきましては、十分この点に留意をし、努力をいたしておるつもりでございます。また、ただいま御指摘の給与の問題が、いろいろな不満を解消するということも大いにあるわけでございまして、給与の改善の点につきましても、いろいろな角度から努力をいたしておるのでございます。たとえば、最近関係当局と折衝いたしております大きな問題を一つ申し上げますと、刑務所の保安職員と申しますのは、週の拘束時間が五十一時間でございまして、通常われわれの四十四時間というのに比べますと、七時間多いものであります。それに加えまして、夜勤というような勤務形態もございますので、ゆっくり落ちついて本を読むひまもないというのが現状でございますので、いまこの勤務時間を一挙に五十一時間から四十四時間に減らすということはなかなか困難でございますが、せめて明年四月以降は、三時間短くいたしまして、四十八時間にいたしたいというようなことを目下折衝いたしておる段階でございます。ただ、それらのこととこのたびの事件、実はこの事件につきましては、人事院の公平審査が、本日から四日間にわたりまして、大阪で公開の審査が行なわれておりますので、井上看守の不満がどういうことにあるのかというようなことは、必ずしも私どももつまびらかにいたしませんし、正確なことは、公平審査の結果を見てお答え申し上げたほうが的確であろうかと思いますので、その点をお含みおき、御了承いただきたいのでございますが、そういう事情でございまして、私どもの現に了解いたしておりますところでは、給与とか平素の勤務の過重がこのたびの不満というような、敬礼をしないとか、あるいは敬礼をしなかったことを正当化するような、人事院提訴というようなものとは必ずしも直接は関係がないのではないかというふうに理解をいたしておるのでございます。
○沖本委員 新聞に出ておりますが、刑務官礼式「一条この訓令は、制服を着用した際の刑務官の礼式を統一してその秩序を維持し、相互の敬愛をはかることを目的とする。」「二条上司には敬礼を行い、上司はこれに答礼し、同級者は相互に敬礼を行うものとする。」こういうふうにあるわけで、十条のほうに、指を帽子の前ひさしの右側に当てる、こういうようなきちっとしたことまで出ているわけです。しかし、結局敬礼することによって尊敬の念を高めていくのではなくて、尊敬の念からはっきり敬礼という形ができてくるんじゃないか、こういうふうに考えられるわけですね。不平不満があった場合には、幾ら敬礼さしたって、これは形式的なものであって、ただ罰則があるから敬礼をやる。軍隊なんかですと、敬礼しなかったら罰則があるわけですから、それで敬礼しているということになるわけです。礼というものは、結局心から出てくるものであって、尊敬の念がなければ、これは形だけのもので無意味なものである、こういうふうに考えられるわけですけれども、そういうものの中に現代的でない、非民主的というのですか、そういうふうなにおいをちらちら私、感ずるわけですが、こういう方々の勤務上の問題とか、あるいは生活上の問題あるいはいろいろな上官に対しての問題について、不平とか不満を持っていく場所はあるのですか。
○羽山政府委員 お尋ねの点は、私どもの人事管理の上で一番重要視いたしておる点でございます。もし下の者が不満なり苦情なりを率直に上司に話すような雰囲気ができていないといたしますと、これは先般の金嬉老のような事件が起きる背景をなすわけでございまして、私どもは、平素機会あるごとに施設長その他の幹部に対しましては、下の者の気持ちをしっかり掌握しろ、掌握するということは、単に上からいろいろ命ずるとか、あるいは指図するとかいうのではなくて、下の者が上の者に対して、自分の悩みなり不満なり苦情なりを自由に言える、自由に聞いてもらえるというような職場の空気をつくることが大事だぞということを指導をいたしておるのでございまして、まあ幹部も大ぜいおりますので、ときにはあまり理想的にいかない面もあろうかと思いますけれども、そのような下の意思、上の意思が十分に疎通をするというような職場の空気を醸成することが大事だということを、指導いたしておるわけでございます。
○沖本委員 その辺が矯正局長の言いわけめいたことのように感ずるわけです。くさいものにはふたをするように、自分の持っているところから問題が出れば困る、こういうところからこういうものにふたをされてしまっているのじゃないかという点が一つあるわけです。そういう問題が、直接矯正局長に手紙で訴えを起こすなり、訴えたことが何らかの形で取り上げてもらったとか、いやこれは将来こういうふうにしてやるとか、よく了解できたとか、あなたの問題は聞いたとか、いろいろな形でそういう問題を吸い上げていって、不平とか不満とかを取り上げながらやっておる制度が矯正局にありますか。その点どうですか。
○羽山政府委員 法律的な制度としてはございませんが、現に私のところにときどき投書なり陳情なりがまいるわけでございます。私は、私あての文書、あるいはときには大臣あて、あるいは事務次官あてというような書面がまいりますと、すべて私が開きまして、私が読みまして、私がその処理を指示をいたしまして、すべて十分に投書なり陳情なりの趣旨に沿うように処理をいたしておるつもりでございます。
○沖本委員 その辺をひとつ矯正局内で、各刑務所の中で公になるように、自由に訴えができて、建設的な意見は取り上げてもらえるし、不平とか不満については、ある程度述べていけば解消されていくようなものもなければ、そういうところから問題も出てくると思うのです。それで、人が足りないというのは、この前のときに局長さんも足らぬということははっきりおっしゃっていたわけで、それを何か機械力によって何とか補っていきたい、こういうお答えもいろいろあったわけです。そういうところから人員が足りないということはいえるわけですけれども、一省一局削減というような公のことにこだわらないで、どうしても現在の社会情勢上必要だというところには人もふやしてもらうし、力も入れてもらうような方向に持っていってもらわなければならない、こういう点を私、大臣にお伺いしたい、こう思っておったわけです。でなければ金嬉老的な事件も出てきますし、目につかないような不正事件がしょっちゅう起きている、こういうことになるのじゃないかとも思います。 それから、この前も申し上げましたとおりに、何かそれにかわるものがなかったらいけないと思うのです。一つところに閉じ込められたような状態でおるわけですから、家族と慰安旅行ができるとか、つとめておる中に、何か報われるものが出てこなければ張り合いが出てこない、こういうことにもなってまいります。特に最近は刑務所の移転問題があっちこっちから要求されておるわけです。私だけでも三つも四つも伺っております。代替地がないからということでなかなかやってもらえないというようなお話し合いはしておるわけですけれども、そういうものも一緒にからんできているのではないか。刑務所が町のどまん中にあって、周囲はいろいろ近代化された生活や社会情勢の中にあるのに、ひとり刑務官の方が閉ざされた中で勤務してきて、そして官舎の中で生活しているということになると、そのこと自体がまるで受刑者と同じような状態に置かれるということになりますから、この点はもうどうしても改善していただかなければならないのじゃないか、こう思います。そういう点、ひとつ御配慮いただきたいと思います。 十分に勉強が足りないので、もっと検討を加えるべきものはあると思いますが、中谷先生から関連の御質問があるそうでありますから、このことは中谷先生にお譲りしたいと思います。
○谷川委員長 関連質問を許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 「「敬礼怠った」と処分」「時代錯誤もいいとこ」というふうに京都大学の平場教授が新聞の報道によりますとコメントしておりますが、沖本委員の質問に関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。 刑務官礼式、すなわち「昭和三二年八月二三日法務大臣訓令矯正甲第八〇一号」、これは一体法律上の根拠は何でございますか。
○羽山政府委員 国家行政組織法におきまして大臣が訓令、通告を出し得ることになっておりますが、それに基づいて出されたものでございます。
○中谷委員 この訓令の国家公務員法上の服務に関連しての根拠は一体刑務官礼式のどの項と関連をするわけでございましょう。要するに、刑務官礼式を定めたことについては、服務に関連があるという前提に立っているだろうと思うのです。一体国家公務員法のどの服務条項に、条文に根拠を持つものでございますか。
○羽山政府委員 訓令自体は、職務上の命令として国家行政組織法に基づいて出たものだと思いますので、服務と申される点について私必ずしもつまびらかにいたさないのでございますが、国家公務員法に、これに違反いたしますれば、国家公務員法の九十八条の一項のなにになるというふうに考えます。
○中谷委員 組織法によって訓令が出せるということはもちろん承知をいたしております。しかし、そういうふうな訓令を出すことの合理的な根拠は国家公務員法のどの条文にお求めになるのですかということをお尋ねしたいのです。お答えいただきたい。
○羽山政府委員 刑務官の職務というものは、国家公務員法よりも、監獄法あるいは法務省設置法というような関係法令からきまってくるものだと思います。その職務内容を、職務上の義務を訓令いたしたわけでございまして、直接的には国家公務員法には――国家公務員法というのはすべての公務員に通ずる法律でございますので、刑務官の職務内容自体は、国家公務員法以外の法規に根拠があるのではないかと考えます。
○中谷委員 刑務官礼式が憲法、国家公務員法そうして監獄法、そのどの条文との関係においてこの礼式が合理的根拠を持つのかというふうに――じゃあお尋ねいたしましょうか。監獄法のどの条文にこの根拠を持つわけでしょうか。
○羽山政府委員 御承知のように監獄法には、監獄官吏はこういうことができるとか、監獄官吏はこういうことをしなければならないという規定が……
○中谷委員 条文で言ってください。
○羽山政府委員 たとえば監獄法で申しますと、第四章に「戒護」という規定がございまして、「在監者逃走、暴行若クハ自殺ノ虞アルトキ又ハ監外ニ在ルトキハ戒具ヲ使用スルコトヲ得」というような規定があるわけでございます。この二十条には、「法令ニ依リ監獄官吏ノ携帯スル」云々というような条文があるわけでございまして、その他ところどころに監獄官吏ということばが出てまいりまして、被収容者につきまして収容を確保するというようなことが監獄官吏の業務になっておるわけでございます。
○中谷委員 人事委員会におけるところの公平審理でちょっと勝訴の見込みがなさそうじゃございませんか。監獄法の十九条は戒具の使用に関する条文、同じく監獄法の二十条は剣銃の使用に関する条文でございますね。これは局長、そんなことを私から申し上げるまでもなくわかり切ったこと。そのことと一体刑務官礼式の訓令の合理的な根拠というのがどういうふうに条文上結びつくのでしょうか。私は少なくとも理解に苦しみますし、この質問を聞いておられます同僚委員の方も、私はちょっと局長の御答弁には理解しがたいものがあるだろうと思うのです。戒具の使用、銃剣の使用がなぜ礼式に結びつくのですか。
○羽山政府委員 従来の法規について、礼式そのものを法律上の義務として定めたものはないと思います。しかしながらこれは明治以来の沿革に基づく訓令でございまして、これは何も日本だけがこういうことをやっておるのではございませんで、私が申し上げますのは、私が収容確保と申しましたのはこういうことでございます。すなわち拘置所、刑務所等の行刑施設と申しますのは、いろいろ暴動とか逃走とかいうような非常事態が起きるわけでありまして、そのときにある程度一般の公務員とは違った指揮系統によって仕事をいたしまして、緊急事態を鎮圧するという必要があるわけでございます。したがいまして、平素からその指揮系統を明確ならしめるということと、そういう指揮系統を平素日常の間において明らかならしめて非常事態に備えるという意味におきまして階級制というものがございまして、階級章などをつけた制服を着用いたしまして、そして敬礼をするというようなことによってその指揮系統を明らかならしめるということと、その維持をはかるということを考えておるわけでございます。その一環といたしましてこの訓令があるわけでございまして、したがいましてこの礼式自体は法律に明文の根拠はございませんけれども、これは当然のこととして考えておるわけでございます。
○中谷委員 局長が当然のこととしてお考えになっていることがはたして世間で当然のこととして通用するのかどうかに問題の争点があろうかと思われるわけであります。 念のためにお尋ねいたしますが、昭和三十二年刑務官礼式の以前の礼式は一体どういう経過をたどっておりますか、お尋ねをいたしたい。
○羽山政府委員 ただいま手元に持ってまいりませんので、正確なことは申しかねますが、最初は内務省のたしか監獄局長通達で出まして、昭和二十二年だと思いますが、その一部改正が行なわれまして、そして昭和三十二年に現行の形に直った、こういうふうに記憶いたしております。
○中谷委員 監獄法の改正というのはきわめて重大な問題であり、しかもその作業は進んでおります。要するに監獄のあり方、刑務所のあり方というものについて、法務省は全力をあげてこれに取り組んでおられると私は聞いているわけです。そこでお尋ねをいたしたいのですけれども、刑務官礼式は昭和三十二年八月二十三日、すなわち本件のこの欠礼問題の根拠となっているこの礼式と、以前の礼式とは同一のものでしょうか。それとも改正された部分があるのでしょうか、いわゆる民主化された部分というものがあるのでしょうか。近代化された部分があるのでしょうか。逆に言うと、時代に対応した刑務所としての、礼式としてのものが、この訓令の中には前の通達とは違う点はこの点だという点があるかどうか。要するに明治以来の旧態依然としたものが、ただ単に通達が訓令と名前が変わっただけのものなのかどうか、この点をお聞きいたしたい。
○羽山政府委員 ちょっといま正確にお答えする準備をいたしておりませんので、あとでまた調べてからお答えいたしたいと思います。
○中谷委員 私は敬礼というもののあり方について、沖本委員のほうからも質問がありましたけれども、はなはだ疑問を感じますが、念のために、この朝日の新聞記事を局長、ごらんください。これは一体どういうことなんでしょうか。とにかく敬礼というふうな、刑務官礼式などというものをきめてあること自身、私はなはだ時代錯誤的なものに思いますが、その写真に出ておる敬礼というのは、刑務官礼式に合致しておる敬礼ですかどうか。
○羽山政府委員 合致していると思います。
○中谷委員 第八条には室内の分が出ておるわけですね。それから室外の分については、「挙手の礼一は、正対して姿勢を正し、注目した後、右手をあげ、指をそろえてのばし、男子はひとさし指となか指を帽の前ひさしの右端にあて、」「たなごころをやや外方に向け、ひじを肩の方向に水平にあげて行うものとする。」そうなっていますね。写真はそれでよろしいですね。手が離れているじゃないの。
○羽山政府委員 この左側のほうの人物のことを御指摘だと思いますが、手が多少離れているようでございます。
○中谷委員 だから大体欠礼をしたの、敬礼をしたのというようなことをいうのは私やぼだと思うんですよ。大体麗々しく第十条に、正対をして姿勢を正せとか、注目をしろとか、右手をあげろとか、指をそろえて伸ばせとか、中指を帽の前ひさしの右端に当てよとか、こんなことを書いてあること自体がとにかくおかしい。こんなことは守られっこないわけですよ。そうでございましょう。そんなことが一々処分の対象になっていたらたまったものじゃない。そんなことが一体処分の対象になるなら、その写真に出されている人だって処分の対象になりかねませんよ。十条違反だというようなことで、気に要らないから処分をしようということだってできることです。 そこでお尋ねいたしたいと思いますけれども、処分理由通知書をすでに本人に送致されていると思いますが、処分理由通知書をこの機会に明確に御答弁をいただきたい。
○羽山政府委員 処分理由通知書は要旨が四点ございます。 第一は、本年の二月十八日に、構内でございますが、構内で第二医務課長とすれ違いましたときに欠礼をした。そしてその注意を受けたときに反抗的態度を示して暴言を吐いたということが一点でございます。 それから第二点は、その点について保安課長が本人に対して管理部長室及び保安課の事務室におきましてその非をさとしたところが、それにまた反抗的な態度で暴言を吐いたということが一点でございます。 その次は、保安課長が、もしどうしてもそういう自分の言っていることが正しいというならば、弁明書でも何でも出せということを申したのにそれを拒否したということでございます。 それから、同じ日の午後の四時ごろ、いろいろこのような経緯があったからだとは思いますが、所長室に入ってまいりまして、所長にいきなり暴言を吐いた。それで所長から退室を命ぜられたのに暴言を吐き続けまして、結局他の職員によって外に連れ出されたという、この四点でございます。
○中谷委員 関連質問ですから簡単にいたしたいと思いますが、処分理由が四つあるということですが、暴言、暴言、暴言とお話が続くわけですが、一番最初の暴言というのは一体どういうことなんですか。
○羽山政府委員 先ほど申し上げましたように、きょう実は人事院の公開審査をいたしておるわけでございます。そこで大阪法務局の職員が代理人になっておりまして、いろいろ主張、立証を行なっておるわけでございまして、私どもは最近の状況を承知いたしておりません。したがいまして、いままで約一週間ばかり前に報告になりました点に基づいてその暴言の内容を申し上げますので、多少食い違いがあるかもしれませんことを御了承いただきます。 それは「なに言うとるんや。あんた医務の人やろ、なんでわしがあんたに敬礼せないかんのや」と言った。それから保安課に参りますと「こんなところへ連れてきて、一体どないするつもりや」そうしてふんぞり返ってたばこを吸いながら「わしゃ、あんたという人を見損ったぜ。あんたもわしの(悪い)評判を聞きよって、ようし、一発とっちめてやれと思って文句つけたんやろ。」と言ったというのが第一点でございます。 それから第二の保安課の状況でございますが、まず敬礼をしなければいかぬということを言われまして、ところが官服のボタンをはずしておったので、ボタンをはめたらどうだと申しましたら「そんながたがた言わんでもいいがな。釦は、はめたらよろしんやろ。」なんて言った。 それから弁明書を書くようにと言うと「書く必要はないわい。」というようなことで、大声でどなったというようなことでございます。 それから最後に、所長室に参りましたときに、大声で「敬礼をどう思うか。」というようなことから、「所長がそんなことだから、入試問題のような不正事件が起きるんだ。」というようなことを言った。 こういうことになっております。
○中谷委員 それが暴言なんでございますか。じゃ、私は六年間国会議員をやってきてだいぶ声が大きかったけれども、どうも大きな声を出したというのが暴言になりそうだ。六年間私はずいぶん暴言を吐いてきたということにこれはなりかねない。いまの話は、言っているのはまさに関西弁ですよ。そのことについて、新聞にも書いてあるとおり「あんた医務の人やろ、わしがあんたになぜ敬礼せにゃいかぬのや」とか「いかぬのか」とかいうのは、私はあえて暴言だとは思いません。それからいま一つ「釦をはめたらいいんやろ」これもそれほど暴言だとは思えません。ただ、ここに上司、職員同士の間の感情の疎隔、そういうふうなものがあったことをむしろ私はおそれる。そのことが憂慮されるわけであります。 ですから、局長、いまおっしゃったようなことは局長としては暴言だというふうにおっしゃるわけなんですか。要するに、処分理由通知書には暴言と書いてある、局長自身そういうことは暴言だというふうに思われますか。また「そんなことだから入試事件があったんでしょう」これは世間の人はみんな言っているわけですよ。大阪刑務所、どうも職員の意思の疎通がうまくいってない、だから大阪不正入試――私は大阪不正入試の弁護人だけれども、記録は、一件を全部読んでおりますけれども、どうも刑務所の管理体制、職員の士気、それらに問題があった。そんなこまかいことを言うからこんな問題が起こったんじゃないかというのも当然の一つの意思表示、意見の開陳ではないのでしょうか。いまのような報告で局長はやはり暴言と思われますか。暴言というのと穏当を欠くことば、あるいは若干感情に走ったことばというのとはだいぶ意味が違うと思いますけれども、暴言というのはいかがでございましょうか。この点、どのように思われますか。暴言じゃないんですと、こう言ってしまえば人事院で負けてしまいますからがんばらなくちゃいけないということでなしに、ここは法務委員会ですから率直に局長の御答弁を承りたいと思います。
○羽山政府委員 率直に申し上げると、私は事実はよくわからないのであります、私の現在の心境といたしましては。これはその当時の状況をもっと詳しくいろいろ人から聞いて調べてみなければわからぬと思います。報告にこうありますので申し上げただけでございます。
○中谷委員 報告を読んだ限りにおいて政務次官にお尋ねいたしたいと思いまするけれども、いまの程度のことで暴言というふうな表現は、私はむしろやや感情の対立、疎隔、意思の疎通等を欠いておったということはあると思いますけれども、私はこういうものをもって暴言というふうに見るのは、むしろ何かそこにアブノーマル、異常なものがあるというように思いますが、政務次官、これはひとつ政治家としてといいますか何といいますか、われわれの常識のワク内での御所見を承りたいと思います。
○古屋政府委員 いままで先生と局長との質疑応答を聞いておりまして、多分にこれは感情上の問題とか平素の信頼関係というものが――具体的な事実を知りませんので、私も一般的にしか申し上げられませんが、ただ暴言ということばが、これも感情的になったときにそれを暴言と解するか、冷静な人がこれは暴言ではないと言うような場合もありますので、私も先生と同じように弁護士の仕事をさしていただいておりますけれども、どうもこうはっきりと暴言だとか暴言らしいということを申し上げますよりも、多分に感情の問題があったんじゃないだろうか。さればこそ先ほどの沖本先生のお話のように、そういう問題は人事管理の問題として、常に上司と部下とがあたたかくあれしておればこんなことはなかったんじゃないだろうかということを感ずるわけでございまして、直接御答弁にはなりませんけれども、暴言か暴言でないかということは、やはり具体的にその場で――さっきも局長は書面ではそうなっておるというふうに申しましたが、私もそんな感じでございまして、公平審理が行なわれるということでございますので、いずれにしましても、今後はこういう問題につきまして上司と部下との感情の疎隔がないように十分注意すべき問題である。特に閉鎖された組織体につきましてはそういう必要があるということを痛感しておるわけでございます。
○中谷委員 敬礼の是非はともかくとして、敬礼の目的が「相互の敬愛をはかることをもって目的とする。」とある。まさに欠礼をしたことによって相互の敬愛が失われた。それがエスカレートしていったということでは、私はむしろ、欠礼をした人よりも、とにかくそういうふうな雰囲気を醸成した上司の諸君にもかなり問題があるんじゃないか、こういうふうなことをあえて申し上げたい気持ちです。このことを私は申し上げたいと思う。 それと、弁明書を書かなかったということを処分理由の第三におあげになりましたけれども、弁明書を書くということは、一体書けといわれ、書かなければならない法律上の根拠は何ですか。
○羽山政府委員 これも内部の通達でございますが、手続書というものがございまして、自分が何らかの義務違反の容疑を受けた場合に、それに対して申し開きをする余地があるならばそれを書いて出すということになっておるのでございます。
○中谷委員 申し開きをしたければ書くのが弁明書であって、私は弁明書を別に書く必要がありませんということが、どうして処分の理由になったのですか。そのわけをお聞きいたしたい。そうすると、申し開きをするというから権利ですね。その権利を行使しなかったことが、なぜ一体戒告の対象になるのですか。四つを合わせてわざあり、一本で戒告になったのだろうと思うのです。私は、なぜそういう権利を行使しなかったことが戒告の対象になったのか理解ができないのですが、弁明書を書かなければならぬというのは、一体法律上の根拠でもあるのか、これを私は聞きたいと思います。ここは公平委員会じゃございませんから、明朗な刑務所をつくるという観点からひとつお答えいただきたい。
○羽山政府委員 弁明書を書かなければどういうわけで欠礼が行なわれたかというようなこともわからないわけでございまして、結局、事態がうやむやになるというだけのことでございます。弁明書を書くということはそれほどむずかしいことでも何でもないと思いますので、多くの諸君がこういう場合に書いていると私は理解をいたしております。それは決して、何も自分が悪いということを認めるというのではないのでありまして、自分はこれでいいと思うなら思うということを書けばいいのであります。それを出してくれなければいろいろな事柄がよくわからない、こういうことになるわけでございます。
○中谷委員 そうじゃないのです。弁明書を書かなければならない根拠は一体何ですかとお聞きしているのです。弁明書を書くということは、自分が悪いことをしましたということ、あるいは悪いことをしておりませんということ、どんなことにしてもとにかく弁明書を書かなければならない法律上の根拠というのは一体あるのですか。私は弁明書を書かないということを言うことは、刑務官には許されないのですか。私はそのことが、どうも刑務所というところはおかしなところだという感じがするのです。弁明書というものは書かなければならないものなんですか、書かなければならないものなら、その弁明書の根拠を教えてくださいということを申し上げているのです。書くのはむずかしいことではありませんとか、時間がかかりませんとか、みんな書いているじゃないかというようなことは、局長、高名の法律家として、そんなことはとにかく答弁になってないことはあなたのほうで自覚しておられると思うのですよ。一体その根拠は何ですかということをお聞きしているのです。
○羽山政府委員 それは、通達によって出すように義務づけられていると解釈いたしております。
○中谷委員 通達を読み上げてください。
○羽山政府委員 ただいまその通達を持ってまいっておりませんので読み上げるわけにはまいりませんが。あとで……。
○中谷委員 あとであとでと言って、国会は解散してしまうよ。通達はきょう持ってきておられないわけですね。
○羽山政府委員 いまは持ってきておりません。
○中谷委員 関連質問ですから、最後に二点だけお尋ねをいたしておきますけれども、敬礼を怠った処分というこの問題を通じて、矯正局長としては、刑務所のあり方、人事管理のあり方等についての反省、あるいはまた今後の新しい刑務所のあり方についての意欲、そういうようなものをこの一つの教訓としてお持ちいただきたいと私は思うのですが、そういうような点について、ひとつお答えをいただきたいと思います。 なお、沖本委員がお持ちになっておられた新聞記事をお手元にお渡しいたしましたが、刑法学者の平場教授の「“星ひとつ”上の者になら、だれにでも敬礼せねばならないなんて、時代錯誤というほかない。刑務所には秩序が大事だろうが、職員間のこうしたふん囲気が、職員と受刑者間にも広がって、きびしさだけで維持しようとしてしまう。もっと合理化、民主化が必要で「閉ざされた社会」でなく「開かれた社会」に適応できることを目ざした受刑者教育に改めていくべきだ。刑務所内の実情は、全体にいまの憲法からずれている面が多い。」という発言について、平場さんの言っていることはとにかく全く不本意だとおっしゃるのか、それとも、この部分はなるほどわれわれとしては認めるということなのか、このあたりをひとつお答えいただきたいということが一点。 それから、この新しい時代に対応した自衛隊あるいは警察官の礼式礼法を本日用意して持ってまいっておりますが、もうこの程度にいたしておきますけれども、これはひとつ政務次官から御答弁いただきたいと思うのですが、刑務官礼式をこの機会に御検討になるということであってしかるべきだと私は思うのです。まずその点について、刑務官礼式もひとつ監獄法改正という重大な作業の一環として検討してみるということを私は希望いたします。この点について、ひとつ政務次官から先に御答弁をいただきたいと思うのです。
○古屋政府委員 中谷先生のお話でございますが、実は私も率直に申しまして刑務官礼式というものをまだよく読んでおりません。でございますが、いままでの両先生の御質疑の状況からかんがみまして、昭和三十二年ですかのものでございますので、世の中は移り変わっている。秩序は維持しなければならない。特に閉鎖社会のそういう勤務しておる者の状況ということを考えますと、やはり法務省全体としてこういうものも検討と申しますか、そのできたときと現在と比べてみてもう一度これでいいかどうかという意味におきましてできるだけ早い機会に読み直してみる、そして必要ならば率直に改めるものは改めるというようにいたしたい、このように私は考えております。
○羽山政府委員 私は刑務官礼式というものが、旧軍隊の礼式ほど厳重でやかましくなっているとは思わないのでございます。したがいまして、平場先生のおっしゃるところの「時代錯誤もいいとこ」というお考えは、私は必ずしも全面的に承服いたしかねるのでございますが、御指摘の感情問題とかあるいは平素の職場の空気というようなものをどう改善すればこういう問題が起きないかということについては、十分検討させていただきたいと思っております。
○中谷委員 質問を終わりますが、旧軍隊とおっしゃいましたが、海軍、陸軍のどの典範令の例をお引きになっておっしゃったのか、例を正確に引けますか。陸軍のことについては私は詳しいですよ。それほど厳重でないのだなんておっしゃるけれども、どの令のどの条文とこの礼式とは違うのだというふうなことについて私があした調べてきて、違っておりませんよ、旧軍隊とそっくりですよというようなことになったら、局長たいへんですよ。感じでものを言ってもらっては困りますよ。大体旧軍隊の何という名前の典範令か、局長御存じですか。感じでいまものを言われたような感じがするから、最後に一点だけ念のためにお聞きしておきたい。
○羽山政府委員 私も実は陸軍におりまして、陸軍礼式令というものの訓練を受けたわけでございます。御承知のとおり、軍人は常に制服を着用しているのが原則でございまして、盛り場であろうと何であろうと、とにかく欠礼をすればその場でどやし上げられるというようなことであったわけでございますが、私どものほうは、これは「着用した際」となっておりますが、あまり私生活の面では制服を着ることはないのでございまして、少なくとも運用におきましては昔の軍隊ほどやかましくはなっていないというふうに私は理解をいたしておるものでございます。
○中谷委員 感じとしておっしゃったわけですね。感じとしておっしゃったというならばわかりますけれども、お帰りになってもう一度旧陸軍と旧海軍の典範令をひとつごらんをいただきたい。それほど変わっておりませんよ、典範令とは。その点で、あすあらためてお尋ねするかもしれませんから、御準備をいただきたいと思います。関連質問ですから、この程度で終わります。
○谷川委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 きょうの質問は大阪刑務所が主体になるのではなかったのですけれども、だんだんと延長しまして、肝心の質問が延びてしまったわけですが、結局結論的に申し上げたいことは、形式の上からものごとをはかっていくという考え方と、この人たちはわずかな人で大ぜいの人の規律を守って、その人の人命なり人権なりを守っていかなければならない立場の人たちなんですね。その人たちがこういうふうなことにこだわって、そういうふうな影響自体が勤務なり何なりに影響していくということは、ひいては受刑者の人権なり何なりに影響していくわけです。その点を私おもんぱかっているわけです。ですから、その点をよくお考えになっていただいて、施設があり、職員がおり、それが管理されているということは、中にある人たちのためにあるわけですから、それが十分行なわれるようでなければ、何の意味かわけがわからなくなってくるわけです。その点をよくお考えになっていただきたいし、またこれは一例であり、氷山の一角である。たまたまここでこういう問題が出た。しかし根を調べてみると、全国的にこういう傾向があるという内容であったらたいへんだと思うのです。アメリカでいま盛んに刑務所の暴動が起きているわけです。ただ、刑務所の中の内容が日本とアメリカと同じであるとはいえないと思いますし、いろいろなものが違うとは思いますけれども、もしそういうものにつながるものがありとすれば、やはりそういうことを起こす一因にもなっていく、こういうことですから、そういう点をよく考えていただいて、足りないところを補っていただいて、十分業績が全うされるように計らっていただきたいわけです。この御質問はその程度で一応保留さしていただきます。 それでは、裁判所のほうへ御質問を返りたいと思います。 今年度裁判官の志望者が検察官に比べて少なかったことについて、報酬だけの問題でなくて、他に決定的な理由があるのではないか。たとえば裁判官そのものに魅力がなくなっているということがいえるのじゃないだろうか。そういうわけで、ここ数年間の裁判官の志望者、これは前にも御質問があったと思いますけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 結局裁判官として採用いたしました人数を過去五年について申し上げますと、本年は五十八名でございます。四十六年、昨年でございますが、六十五名、四十五年は六十四名、四十四年は八十四名、四十三年八十五名ということに相なっております。
○沖本委員 それに比べますと、検察官のほうは四十七年が五十九名、四十六年四十七名、四十五年三十八名、四十四年五十三名、四十六年度より十二名増、こういう数字が出ているわけです。同時に志望者が少ないという一つの理由は、最近司法の独立問題、いろいろなことから社会、世間にもいろいろな問題点が浮き彫りにされたわけですけれども、この二、三年、急速に裁判所の中からも批判が起こっておる。たとえばこの前の委員会でも問題になりました一人制審理の特例、それから以前の宮本判事補、阪口修習生問題あるいは石田長官の御発言、こういうことがだんだんとマスコミに取り上げられ、世間でもいろいろ批判を受ける、こういうふうになっておること自体が、結局裁判官志望者が魅力を失っていく一つの原因ではないか、こういうふうに私は考えるわけですけれども、その裁判所のほうとして、減っていっているというのは、ただ現象面にすぎないのだというふうにおとらえになっていらっしゃるのか、または何かの理由があるという、理由についてお調べになっていらっしゃるのかどうか、その点いかがでございますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 過去五年につきましては、いま数字を申し上げたわけでございますが、終戦後の数字を見てまいりますと、たとえば昭和三十九年は五十九名という数字でございますし、さらにその十年前の昭和二十九年は四十五名というような数字でございます。その間、もちろん一定はいたしておりませんけれども、これを平均的に見てまいりますと、大体七十名前後という数字は確保してきておるのではないだろうかというふうに考えております。 御承知のように裁判官の仕事そのものは、いま非常に重要な困難な仕事でございまして、司法の独立の問題等、近時いろいろ皆さんの御理解を得てきておりますけれども、そういうものを御理解いただけばいただくほど、やはり仕事そのものの重要性ということについての新たな御認識というものもいただくわけでございまして、私どもそのときの状況等によりまして多少の増減というものはこれはやむを得ない、ただ現在のところ、必ずしもどういう特殊の理由があって、そのために人員が減少の方向に進んでおるといったようなことはないのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
○沖本委員 そこで、裁判官で定年でやめる以外に、退官なさる方はどれくらいいらっしゃるわけでしょうか。またこれらの退職者の退職の理由、さらに裁判官の転任、こういうようなものの大きな理由がありますれば、お答えいただきたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官が退職いたします人数でございますが、大体毎年百二十名前後というふうに御了解をいただければいいのではなかろうかと考えております。四十六年、これは昨年でございますが、最近の例をとりまして、全体で百二十四名というものが退官をいたしております。 その退官の理由でございますが、一番多いのはやはり定年による退官でございまして、これが大体六十名近く退官をいたしております。それからその次に多いのは、いわゆる依願免でございます。この依願免の人数は大体四十名前後という数字、昨年は三十七名ということに相なっております。また、御承知のように十年の任期がございますが、任期終了の際にこのまま退官しようという方がございます。昨年は六名という数字でございます。そのほかに、死亡による方が八名、その他、たとえば公害等調整委員会に出られますとか、内閣法制局の参事官等に出られますとか、あるいは法務省の関係の部局に出られますとかといったような方が十数名ということで、先ほど申し上げた数字に相なるわけでございます。定年退官でございますとか死亡その他は理由がそのまま出ているわけでございますが、いわゆる依願免ということの中身を少し申し上げてみますと、それは大体公証人になられる方とそれから弁護士をなさる方と、判事の場合は半々ぐらいでございます。判事補になりますと公証人ということはございません、大体弁護士をなさる。中には大学等に行かれるという方もまれにはございますけれども、大体弁護士をなさるというような数字に相なっているわけでございます。
○沖本委員 裁判所法の第四十八条には、「その意思に反して、免官、転官、転所、職務の停止又は報酬の減額をされることはない。」こういうように、転任について規定があり、その意に反して転任させられないということになっておりますが、実際についてはどういうふうな内容でしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、全国に簡易裁判所を入れますと一千近い裁判所があるわけでございます。この一千近い裁判所の裁判官というものを固定いたしますと、小さいところでは、一般的にその土地に住んでおられる方々との個人的な結びつきというものが強くなりますし、お仕事をなさりにくいという面も出てまいります。また国民の側から申しましても、全国に平均的な裁判官というものが常におっていただくということが必要なわけでございまして、そういう面からもある程度人間の適正な配置ということが必要になってまいります。裁判官の面から見て一番大きい問題は、やはり御本人たちの希望の任地が大都市に集中するということでございます。御承知のように、東京、大阪等の大都市に非常に集中いたしますので、どうしても一人の方をあまり大都市に長く勤務させておきますと、御希望の方がいつまでも大きな都会に勤務できないというような問題も生じてまいります。以上のようなことから、定期的な裁判官の全国的な異動ということをやっておるわけでございます。私それにはそれなりの理由があってやむを得ないものと考えておるわけでございます。しかし、そういった定期的な異動ということをやってまいりますと、やはり子弟の教育の問題でございますとかいろいろな点で不自由なものが生じてくることはこれはいなめないところでございます。そういった問題が在野法曹等で一カ所に定着されまして自由にお仕事をなさるということと比べた場合に、裁判官の魅力を減殺する一つの要因になっておるのではないかということは、私どももそのように考えております。 なお、年間の裁判官の異動件数は大体五百から六百というところでございます。昨年度は六百を少しこえましたけれども、そういう点で異動をいたしております。しかし、この異動は先ほど御指摘の裁判所法の規定から、当然御本人の完全なる承諾のもとに行なわれるものでございまして、前に当委員会等でも申し上げたかと思いますが、大体大きいところ、中くらいのととろ、小さいところということを勘案いたしまして、三年くらいを一つの周期といたしまして異動をいたしておる。そういう点につきましては、全裁判官がそういったシステムに完全に協力するということで、不自由を忍んで大都会で勤務された方は次には比較的僻地で勤務するというようなことで異動をしていただいておるというのが現状でございます。
○沖本委員 しかし、いろいろ御事情なり理由なりがあるわけですけれども、裁判所法ではその意に反してというちゃんとした条文があるわけですね。そうすると、そういうものについて本人が自分の希望を述べれば、そのとおりになるということがやはり裁判官を志望していく一つの根拠になっていくのじゃないか。そういうものが全然違って天下り的にきめられてしまって、どこへ行かされるかわからない、こういうことも意欲をそぐ一つの原因にもなっている、こういうことになるのじゃないかと思います。 それにつきまして、大都会へお越しになれば、それをチャンスにして退官して弁護士を開業なさるとか、先ほどお話しになったような、それを機会にそういう問題が出てくる、こういうことにもなるわけです。その理由というのは、そういうところへ出たついでに子弟の教育をしていこう、こういうことにもなっていくわけなんですけれども、この間九州のほうをずっと視察させていただいたわけですけれども、そういうときにも、いろいろ御懇談したときにお話が出てきまして、お嫁入りの問題なり社会から閉鎖されても困るのだ、こういうお話も出ておるわけです。これは余談になるわけですけれども、いまでも裁判官だというと象牙の塔におこもりになってしまって、全然社会と隔絶してしまう。そのためにむしろ社会の事情にうといために結局審理の中にもそういう影響が出てくる。裁判官というのは全くもの知らずというふうなことが起きるのではないかということも考えられるわけですね。新聞に出てくる物価の変動であるとか野菜がどうなったとかお魚がどうなったということもありますし、その地域的なところでいろいろな社会的な会合に御出席になって、それで一応ちゃんと社会勉強していただいた上でいろいろな審理に携わっていただくということのほうが深みができていく、ものの判断に十分な内容が整ってくる。これは非常に卑近な例でたいへん失礼とは思うわけですけれども、前に事件がありまして、ある人が選挙の買収のためにキャバレーで一万円のチップを切ったということについて、裁判官の方が全然わからなかった。おしまいに実地検証しよう、そういうことまで出たわけです。無理に裁判官の方にバーやキャバレーに行ってくださいというわけではありませんけれども、そういうことも社会通念上、これはこうなんだ、ああなんだということもおわかりになっていただかなければならないわけですね。それにはやはり本人が希望するところに行けるようになって、そういう内容が充実されていってこそ明るいものが出てくる、こういうことになっていくのじゃないか、こう私は考えるわけです。 基準についてはいまいろいろお話しになりましたけれども、そういうことに関連いたしまして四国の例がありますけれども、夫婦で裁判官をつとめる、こういうことになると、内容の違いによっては全然別のところということが考えられるわけですね。そういうようなことで配属とか転勤とかそういうことについてどういう御配慮がされておるのか、あるいはやはり考えてはならないことでもありますし、あってはならないことでもありますけれども、どこそこのだれそれと同じ学校だとか後輩だとかいろいろな学閥のつながりとかあるいは修習生当時のつながりであるとか、そういうふうな関係からまたいろいろと違ってくる、そういうふうなことがありますと、その辺からも公正が欠かれていく、こういうことになるわけですけれども、そういう点についてはどんな御配慮がされておるわけでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 人事の適正配置ということは非常に大切なことでございまして、これが適正にまいりませんと裁判官全体の士気にも直ちに影響してくるという問題でございます。御指摘の、たとえば夫婦で裁判官をつとめておられるというような方についても、どのようなふうに配置をしていくことが御本人たちの満足もいただけるし、また役所の側からも不都合がない、国民の側からも不都合がないということになるのかということで非常に苦心をいたしておるわけでございます。場合によりましては短期間の別居を余儀なくしていただくというようなこともございますけれども、原則として一緒のところに住まれて、しかも勤務されるところは別々のところに勤務ができるような、そういったような任地を非常に努力してきめておるような次第でございます。 一般論といたしましては、毎年秋になりますと、御本人たちからの希望を聴取いたしまして、その御本人の希望には本人のそれを希望する理由等も出てまいりますし、また家庭の状況、健康状態、いろんなものが出てまいるわけでございます。そういったものを現地の裁判所、高等裁判所で十分検討なさいまして、それぞれの御意見をつけていただいて私どものほうにそういった資料が参ります。私どものほうでは全国的な観点からできるだけ本人の御希望にも沿うように、また本人の能力、識見その他にも適合するように、しかもそれが裁判所全体としては平均的な配置になるように、非常にむずかしいことでございますが、そういうふうな観点から原案を策定し、それにつきまして裁判官会議の御決定をいただいて、任地の決定、転勤、異動計画といったものをおきめいただいておるというのが現状でございます。
○沖本委員 それにつきましては、おっしゃるようなことだとは思いますけれども、蒸し返すようなことになりますが、昭和四十四年に広島地裁の長谷川判事の問題があるわけで、これは参議院のほうでもお答えになったような事情がありますけれども、こういうふうに再任の問題とからんでいきますと、まあそちらからおっしゃるならば誤解だということになるけれども、理由が明らかにされない以上はその誤解から誤解を生んでいき、あるいはそうじゃないだろうか、こういうふうにもなってくるわけでありますから、その辺についてもう一度、再任についての問題は別個であるとか、あるいはもう再任についてはこういうことを含まないんだとか、何か公開ということはないにしても、人事に関してはこの間から盛んにお答えできない、お答えできないで突っぱってこられたわけですけれども、ある程度公にされていかないと、ただ信頼して信じてもらいたい、こういうふうになってきてもこれは信じられないということになってきます。その辺はあれから一歩も前進してないのでしょうか。その辺いかがでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 当時お尋ねがございまして、しばしばお答えを申し上げたところでございますが、人事というものは万人の納得するような方法で行なわれるべきであるという御指摘につきましては、私どももそのようにありたいということを念願いたしておるわけでございますが、ただ具体的な人事になってまいりました場合に、それがどうしてそうなったのかというお尋ねということになってまいりますと、やはり事の性質上非常に申し上げにくいということでございまして、また同じお答えをするではないかというおしかりを受けるかとも思いますけれども、やはり具体的な人事というものはそうある以外に方法はないのではなかろうかというふうに現在のところも考えておるわけでございます。
○沖本委員 このお借りした岩波新書の「法律家」という本の中にこのいきさつが出ておるわけですけれども、この中身を読んでみましても、「裁判官は、裁判により、」憲法七十八条、よく御存じのとおりでございますけれども、「心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。」これも議論されたところでございます。ですから「裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。」こういうふうになっておるのですけれども、そういう点も考えていきまして、自分の意思でなくて名簿に載らない裁判官が落とされていく、あるいはほかの者はすべて再任されるのが実情であるとか、こういうふうな内容が議論になっておるわけです。こういう点につきまして、私たちもどう考えても、ただ人事の秘密だからわかりませんでは、先ほど申し述べたところと関連していって、どこでどう分けていいのかわからないと思うのですね。そういうものがどんどん伝えられていき、また司法修習生としてこれからの道を選んでいく、こういう方々がそういう内容を前もって聞いたりしますと、当然そこにいやみが出てきたりするわけです。この間の委員会でも、法務省のほうでは海外へ検事さん方が研修に出ていけるという目玉商品が出てきたわけですけれども、裁判所のほうはあまりそういう面も多くない、こういうふうなものもあるわけですね。そこで何か精神的な、いわゆるいろいろな職業はあるけれども、その中で最高の職業であるというものを持たせるだけの内容が十分なかったらいけないと思うのですけれども、これはいまちょうど御質問途中ですけれども、大臣がお越しになりましたから大臣のほうへ時間がありませんので質問を切りかえておいてあとでまたお答えいただきたいと思うのです。
○谷川委員長 委員長から申し上げます。 法務大臣の御予定が二時二十五分に当委員会を御退席をされねばなりませんので、沖本先生並びに青柳両先生に、法務大臣に対する質問をこの場所でお願いを申し上げたいと存じます。
○沖本委員 きょうの質問に関連して大臣に一、二点お伺いしておきたいと思います。 きょう私のほうからは入管の問題につきまして御質問したわけでありますし、もう一つは大阪刑務所の敬礼について処分されたという問題についてお伺いしたわけですが、そういう内容について、いままで一省一局削減、こういうことで人員凍結ということから、現在の時代に即してこれはどうしても必要だというものが出てきても、そういうものが横たわっておってどうしても予算化できない、こういうものがあるわけなんです。事務費とかあるいは冗費の節減とか、こういう立場から余分であるという点で削減という問題も出てきますけれども、それとは逆にこれからどうしてもふえてきて必要だ、こういうものも出てきておるわけですね。そういう点から、たとえば入管業務なんというものはこれからどんどんふえていく、ますます必要度が高まっていき、出てくるわけです。それで人はそんなにふやせられないわけです、実務に携わる方は。相当の経験と訓練をしないと審査官ができない、こういう点も出てきているわけですし、健康上も無理をしてやっているという実情があるわけですね。そういう問題とか、その人たちの勤務内容にうんと余力をつけるために人もふやすし厚生施設も十分見ていただくというふうにしていただかなければこれは勤務に影響が出てくる、あるいは、たとえば税関のほうが待遇がよくて、同じところで同じような仕事をしているのに法務省のお役人は全然待遇が悪い、これじゃ全然差別が起きてくるわけです。そういう問題から、結局、敬礼をしなかったので処分を受けたということについても、この前も御質問したわけですけれども、人が足りない。人が足りないから機械力で、ある程度テレビカメラを据えて刑務所の中、内外がよく監視できるようにもするような方法も講じよう、検討するということもあったわけですけれども、まずは人が少ない。人をふやさなければならない、こういうことが最近非常にあるわけですね。そういうものが足りないから、結局少ない人に向かっていろいろと余分な注文が出てきて仕事が過重してくる。過重してくるけれども、刑務所のようなところですと、どうしても規律を守らせなければならないから、まあ世間的にいえばきつい締めつけが出てきて、そういうものが反感になってくる、こういうことも考えられるわけです。そういう点に関して、大臣のほうでいままでのそういう拘束にこだわらないで、うんとここらで刑務所の内容なり管理内容をお変えになるお考えはあるか、ないか、こういう点ですね。あるいはもっと人員をふやしていただいて、そしてその仕事の能率なりあるいは安全をはかっていただく。これは特に入管の場合はハイジャックの問題もあるわけですし、十分その内容を整えていただかなければならないと思いますし、今後中国との国交が緩和されていけば、これからどんどん向こうへも人が出ていく。当然その人が要るわけです。中国語のたんのうな方もどんどん据えなければならない、こういう問題も出てくると思うのですが、そういう点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
○郡国務大臣 もうおっしゃるとおりでございまして、入管の仕事、ことに今度の国会にも法律をお願いしておりますが、羽田空港が成田空港に移ったりいたしますると、これはことに一般の旅行者の便宜をはかりますために、どうしても人の数がある程度そろいませんと、不便をかけることがかえって多くなるという心配もございまするし、またおっしゃるとおりハイジャックの例など見ましても、在留者の管理というようなことにもっと実は力を向けたいと思います。ことに本省でいえば矯正局の関係、刑務所の関係、これはずいぶん一生懸命でやっておりますし、またいろいろ起こります事態に応じて、規律のほうは厳重にいたすことは指図しておりますけれども、規律だけではどうしてもいかない面がある。処遇を高めることと数をふやすこと、これは四十八年度の予算にも要求はいたしておりまするし、これは現に交渉中のことでございますから、結果、どうなるかと思いまするけれども、私はこれらの予算についてはどうしても満ぱい、一〇〇%よこしてくれねば困るということを大蔵省にも言っておるような次第でございますけれども、どうしてもこれらのものについてはおっしゃるとおりの人員充実、これをしなければ相ならぬと思っております。
○沖本委員 それについては一省一局、さっきから舌が回りにくいのですけれども、そういうものがいままであるわけですけれども、内閣が新しくかわったわけですけれども、現在もやっぱりそれにこだわって、そういう方向で現在もお進みになっているのか、新しい内閣のもとにそういうものはもう一度練り直され、考え直されていくものであるかどうか、その点はいかがでしょうか。
○郡国務大臣 いままでの方針をやめにしたということはございませんし、一応方針はございまするけれども、一方では日本列島改造のような新しい要求が各所に起こっております。法務省としては、それらの日本列島改造の土台になるものは申せば法秩序の維持である。これについては、いままでの方針というものは一応踏まえながら、しかし新しい主張を持って、そして自分たちの要求を理解をしてもらい、また達成したいものだと思っております。
○沖本委員 終わります。
○谷川委員長 青柳盛雄君。
○青柳委員 法務大臣にお尋ねいたします。 特別職の職員の給与に関する法律案は内閣委員会で審議され、そこでいろいろと質疑応答が行なわれると思いますけれども、それに準ずるという形でいま法案が出ているわけですからお尋ねをするのですが、この特別職の給与に関して閣議で決定をされたときに、田中総理大臣などから、給与の引き上げ分は社会団体に寄付することにしようというような提案があって、そして閣僚も別に反対はなかったようなことが新聞に報道されているわけです。特別職の給与はここ三年くらいストップされた形になっておりまして、それは佐藤内閣時代でございますけれども、ストップしたのは、やはり大体一般職に比べれば特別職の方々の給料は相当高額であるということが一つ。だから下のほうが上げられたからといって、それにならって上のほうまで上げることはないだろうという、これは全く国民の世論を考慮したことだと思います。国民の世論は、やはり上に立つ者は先に憂えて後に楽しむという、昔からの一つの政治家道義といいますか、為政者道義といいますか、そういうものがあるはずだ。だからお手盛りで自分の給料まで上げてしまうというのはいけないんじゃないか、そういう世論にマッチした考え方だったと思うのです。それであればこそ今度新しい内閣ができて、どうも特別職の給与を三年ぶりで上げるということには面はゆいものを感ずる結果、このような提案が行なわれたんではないかと思うのですが、法務大臣はこれについてどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
○郡国務大臣 昭和四十四年以来、青柳さんのおっしゃるとおり、据え置かれております。その前から、上げてまいります場合も、認証官の上げ方と一般職の上げ方とは扱いが違っておりましたので、ずいぶん一般職との間の開きが違ってきておりました。これに比べまして、総理とか国務大臣とか政治家等につきましての扱いというものは、これは別に考えてもいいことでありますが、それにその他の特別職なり裁判官、検察官が連れ立ってしまった。このことは考えてあげなければ、ことに裁判官や検察官のように専念して――どれも専念しておりまするけれども、特に司法、準司法という仕事に従事しておるものでございますが、これは考えてあげなければいけないということは、新内閣になりまして直後から私、総理にも話をしておったことでございます。おことばの中にありました、総理は寄付すると言われまするし、各国務大臣もそれぞれ増額いたした分は寄付することにいたしておりますが、そのことは私はそれなりにもつともな考え方で、寄付したい先はたくさんございますから、これはできる機会に総理だの大臣がすることはけっこうなことだと思っております。しかしそうすることによって、寄付するものは寄付することによって、特別職等についても久しぶりにつり合いのとれたものができたということは、これからの報酬、俸給の体系の上にも喜ばしいことだと思っております。
○青柳委員 そこで、大臣が先ほど読み上げられました提案理由の説明書のところを読みますと、「第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事および高等裁判所長官の報酬ならびに検事総長、次長検事および検事長の俸給は、従来、「特別職の職員の給与に関する法律」の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、」と、こういう何か法則のようなものがあるようなんですけれども、これ自体がおかしい。先ほどの議論からいえば何もそちらに準じなくても、この最高裁の長官とか最高裁の判事とか、先ほど読み上げた検事総長、そういう方々の分は、特別職の職員の給与と必ずしも一致しなくてもいいんじゃないか。従来こういうことになっておりますというのが何か根拠があるのでしょうか。
○郡国務大臣 いままで確かにそうなっておりまするけれども、裁判官、検察官の俸酬、俸給についてはある時期にひとつ考え直してもらう。いま必ずしも低いからとか、あるいは法曹三者のうちで弁護士の収入と均衡がとれぬからとかいうようなことでなく、ひとつそういう仕事の性質から、あるいは裁判官とか検察官の権威をあらしめるために別個に考えてみるということは必要なことだと私は思っております。ただ、それにはことに裁判官と検察官、裁判所と法務省、これが気持ちを一つにすると申しまするか、同じような歩調でものを考え、それから権威のある機関にでも諮問をしてやるというような心要な準備をしなければいけない。私はなるべく早くそういう機会を持ちたいと思っております。
○青柳委員 憲法が特別に裁判官については法律で報酬をきめろということを命じている精神からいっても、何か従来の例に従ってでなければ上がらないとか下がらないというのはおかしいんじゃないかと思うのですよ。それから検察官も何か特別じゃありません、裁判官並みに扱われるということに合理的な根拠があるかどうかはまた検討を要すると思いますが、大臣がそういろお考えを持っておられることは私も積極的に評価していいと思っているのです。 次いでもう一点だけ、もう時間がありませんから簡単にお尋ねしますけれども、新聞の報道によりますと、十月の十二日から二日間にわたって検察長官会同というのがあった。これに対しては、読売新聞ですけれども、眠れる検察改造論というのが積極的に意見書として出されて、そして汚職とか経済犯捜査などを積極的にやるべきではないか、その他いろいろの意見があった。それに関連して昭和四十三年の日通事件以来の大型犯罪、いわゆる政治家などがからんでくる犯罪の摘発がぴたっととまっているが、これはおかしいじゃないかというような意見も、その会同に集まった人から出たかどうかは別として、世論としても出ているようです。だから本来、大臣はこの訓示の中では過激派集団のテロ、ゲバ、ゲリラなどは取り締まれということと、増加しつつある公務員汚職犯罪も取り締まれというようなことを言っておられるようですが、どうも日本列島改造論などが盛んに宣伝されますと、土地に対する投機のようなものが非常に盛んになり、それに関連して高級な役人の汚職というようなものもからんでくる可能性が多分にあると思うのですよ。だから、こういうことを検察官などがやはり独自の立場で、あまり政治に従属するような形でなしに摘発できるような体制が必要ではないか。そうしなければ給料だけ上げても、結局はたいして生きがいを検察官は持ちにくくなって、希望者も減ってくるというような結果にもなりかねないと思うのです。この点いかがお考えになりますか。
○郡国務大臣 御指摘の検察長官会同で検察の現状と将来の方向についてということを長官各位に問いましたので、したがいまして意見も活発でございました。それで私はその意見等を聞いてもおり、また法務省に参りまして見ておりましても、とにかく現在の検察というものが不偏不党であり、厳正公平である、この点は私は非常に強く評価してもいいと思いまするし、その立場で日夜活動しておると思います。社会の変化のぐあい、それから公害などの担当の検事を集めてみましても、実によく公害罪法等についての研究もしながら、同時に検察が行き過ぎない、独走しないということを考えている検察官の態度というのは、表から見てどういうぐあいに見られるかは別として、私は非常におとなっぽい態度だと思って検察に敬意を表しております。 ただ、いま申しましたように社会情勢なりそれからすべての事態の複雑さに応じまして、検察自体がさらにあり方というものについて自分自身で考えてまいる。また法務省自身がさらに考えてまいる。そうしてこれからの社会なり世の中の実勢に即していくということは十分考えなければいかぬ点だと思います。これは検察官一同とともに法務大臣はじめ法務省全体の者が十分心して、これからの検察み将来のあり方というものを検察長官が考えるというだけでございませんで、法務省全体も一つの課題としてこれから考えてまいりたいと思っております。
○青柳委員 もう時間がありませんから……。
○沖本委員 先ほどの質問についてお答えを……。
○矢口最高裁判所長官代理者 長時間御理解ある御指摘をいただいておりますように、裁判官の職責というのは非常に重要なものでございます。これは考えていけばいくほど、はたしてつとまるのであろうかということをみずからおそれるくらいのものではなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかもそういう職責でありながら、なおかつこれに魅力を感じて、自分こそその裁判官に適するのだという自信を持たせるということは非常にむずかしいことでございます。だれでもできるのだという言い方をすれば、これはその職務というものを必ずしも正当に評価しないことになります。またあまりにもむずかしいということをいえば、それではというふうに敬遠されるというような問題も生じてくるわけでございます。私どもはやはり現代の民主主義社会における司法部の持つ役割りというものを正当に評価してもらわなければいけない。そして非常に欲なことを言うようでございますが、その困難にうちかって、なおこれを十分に果たしていけるような優秀な人材というものを求めていきたいということであらゆる施策を講じておるわけでございます。 先ほど御指摘がございました海外留学といったような問題につきましても、本年度五名の判事補の長期留学ということを予算等でお認めいただいて、すでに実施をいたしております。来年度も決してなおざりにしておるわけではございませんで、さらにこれも中堅の裁判官ということで十名、長期海外に派遣するという予算的な要求も出しておるわけでございますので、またその節には十分の御協力、御援助をいただきたい、このように考えております。
○沖本委員 そこで、先ほどのことに戻すわけでございますが、憲法第八十条第一項及び裁判所法第四十条は、高裁、地裁、家裁、簡裁の裁判官は最高裁判所が指名した者の名簿により内閣が任命し、任期は十年で、再任することができることを規定しておって、下級裁判所の裁判官の指名権が最高裁判所に与えられている趣旨については、それらが裁判所以外の国家機関の手にあるよりは、裁判所部内の最高裁判所の手にあるほうが、それらを通じて間接にでも裁判官の行動に何らかの支配を及ぼす危険がはるかに少ないと考えられる。こういうたてまえ、考え方に立ってそういうふうに解釈すべきであるという、こういう解釈が出ております。ですから、下級審の裁判官の任期を十年とした規定は、裁判官の身分の保障が厳格であることの反面として、誤って任命された不適格者を排除する道を開き、身分保障に伴いがちな裁判官の独善化、化石化を防止するためである、こういうふうにもなっておるということで、いま申し上げていることは、当然いつもお答えになっていらっしゃるようなところを繰り返しておるわけでもあるわけです。ですから結局あなたのほうの参議院の法務委員会の答弁の中からも、十年の任期終了時に自発的に勇退する裁判官が毎年七、八人あり、自分の意思でなくて名簿に載らない裁判官が平均して年に一名ぐらいあるほか、他はすべて再任されているのが実情である。自分の意思でなくて名簿に載らない裁判官も、いままでのところ心身の障害その他の客観的理由があったものと推測される、こういうふうにお答えになっていらっしゃるわけです。 そこでその経過についてさらにあなたのほうのお答えは、一般的には人事の停滞を防ぐためであり、また再任不適格者を除くためであるというふうになっているけれども、一般的に人事の停滞を防ぐためだけれども、それが司法特権官僚の間で自由に裁量できるというところに問題があるのだ、こういうふうな指摘もここにあるわけで、そうなってくると、裁判所法の規定する裁判官の身分の保障、転所の保障は、実質的に空文化してしまう、こういう疑いが出てくるわけですね。だから、そういう疑いのもとに、できればその内容を明らかにし、結局疑いを持たないで納得できるようなものを、関係者であり、そういうものに興味を持つ人であり、さらには国民の前に明らかにしていただくべきである、こういうふうになってくるわけです。その点がずっといまだに明らかにされない。そこらに問題があるわけで、そのあとにも出ておりますけれども、新聞記者の質問にあなたのほうはお答えになっていらっしゃるのは、長官を含めて十五人の最高裁判事が大ぜいの任命資格者をそれほどよく知っているはずがないというけれども、法曹界の経験の長い人ばかりだからよく知っている、こう四十四年の六月にお答えになっていらっしゃるということなんですけれども、十五人の最高裁判官の中には職業裁判官出身の裁判官ばかりでなく、学界出身者、弁護士出身者の裁判官も相当いらっしゃる。そういう点から、多数の裁判事件の処理と同時に、二千五百人にのぼる裁判官について一々その実情を知り、毎年相当数にのぼる任命資格者の詳細と、これまた毎年五百人にも達する裁判官の転任について正確な知識を持つことができると断言できるかと、こういうふうに出ているわけですね。 こういうものを読んでみると、なるほどそうではないかと一般的に私たちはそのほうに加担したくなってくるわけです。そういう内容について、もう少し、また最高裁のいままで論議されたところで一番重要な問題になるのじゃないかとも思いますけれども、その間を少し明らかにしていただくなり、何らかの妥協をしてくれとかあるいはそこらでひとつ折れてほしいとか、そういうものではないと思いますけれども、もっと前進的に、いま私がとらえております問題は、志望者が非常に少なくなってきつつある、魅力がなくなってきている、あるいは裁判官がその仕事を、公平な裁判を行なうについて意欲をなくしてくる、こういうふうなことになったのではたいへんな問題になってくるわけです。そういう観点からお伺いしているわけですから、その辺に何らかの前進的なくふうをお考えになって、問題解決なり何なり明らかにしていただくというような道を開いていただきたい、こういうふうに考えるわけですが、その辺についての現在のお考えはないものでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 非常に重要な問題であるということをしばしば御指摘をいただきまして、まことに恐縮でございます。私どもも、その点につきましては、決してなおざりにしておるわけではないわけでございます。ただ、繰り返し申し上げておりますように、かりに再任の問題一つにいたしましても、それをいたしますにつきましては、現地の地方裁判所あるいは所管する高等裁判所等の御意見というものは十分に伺っておるわけでございまして、しかもその以外に最高裁の裁判官が、あるいは事件等でしょっちゅう上告事件等が参りますので、それは沖本委員がお考えになる以上に、こういった事件処理を通じて裁判官の性格等よく御存じだという面もあるわけでございますが、いま申しましたような、私どもで収集いたしました下級裁判所の御意見あるいは私どもで作成しました資料等を十分お目にかけまして、その上で御判断をいただいておるということになるわけでございます。しかも、御判断をいただきます過程におきましては、あらゆる角度から御質問がございますが、そういう際にはまた詳細にこれにお答え申し上げる新たな資料をつくってお目にかけるというようなこともいたしておるわけでございます。そのようにしてやっていただきます御判断、それに基づいて全国的な裁判官の配置あるいは再任等が行なわれるわけでございます。この点を御指摘いただきますお気持ちは十分わかるわけでございますが、ただ、やはり最終的には個々の具体的な人事問題ということに帰せざるを得ないわけでございます。先ほど来お答え申し上げておるようなところに帰着するわけでございます。しかし、だからといって決していいかげんにやっておるというものでないことは十分おわかりいただいておるのではなかろうかというふうに考えております。
○沖本委員 いまいろいろ議論している問題は、このまま並行していきますと結局いつまでたっても同じ議論の平行線が出ていき、マスコミもその平行線をとらえていき、ますます問題がいろいろなところに広がっていき、あるいは裁判所が意図してないような方向で結論が国民の間に出てくるということにもなってくるわけですね。そうなってくると、国民運動なり何なりというようなことになっていけば、そのこと自体も大きな問題になる、こういうことになるわけですから、ずっと前お話ししましたとおりに、あまりに裁判官の方が世間のことにうといということは判決にも影響します、こういうお話をいたしましたけれども、それと相通じることではないか、こう考えられるわけです。閉じこもっておしまいになってしまったのではますます閉じこもりがきつくなるのじゃないか。まあ解決点ということはないですけれども、どこかで明るい裁判所の内容というものが国民に理解されるようになっていかなければ、現状としては非常に国民の中から裁判所に対する不信が起こっておる、こう考えても差しつかえないのじゃないか、こう考えられるわけです。これはいつまでやっても切りがありませんから、解決はそちらからしでいただくことをお願いするわけです。 それにつきまして、裁判官の方が自分の本務に御精励されないで、そのほかの仕事を、これも大事は大事なんですけれども、司法行政にどの程度の方がお立ち会いになっているか、行政事務のほうにどの程度の方が携わっていらっしゃるか、その点を教えていただきたいと思います。
○長井最高裁判所長官代理者 現在司法行政を担当している裁判官は最高裁判所の事務総局に三十八名、高等裁判所の事務局長として八名、計四十六名でございます。
○沖本委員 そうしますと、そういう数というのは全体のことに対してさほど影響はない、こういうことになるんでしょうか。
○長井最高裁判所長官代理者 影響ということばの意味でございますけれども、もちろん裁判官が裁判の事務に直接携わるということは理想でございますが、御承知のように新しいと申しますか、現在の裁判所の制度のもとにおきましては、司法行政という重要な職責もございます。この司法行政の事務を円滑に実施するためには、やはり裁判の経験のある者がこれに携わることは必要なことでございまして、御承知のように規則制定権というような司法部特有の立法的な権限、及びその実行といたしましての司法行政がございます。最小限の人員をもって円滑な司法行政を実施するということも、司法の運営の上から必要でございますので、やむを得ざる要員ということに御理解をいただきたいと存じます。
○沖本委員 これは人員が十分に充当されておるときには当然のことだと思いますけれども、いま公害問題を盛んにいろいろ論議しておるわけです。大きな国家問題になってきて日本じゅうがわあわあいっておるわけです。なぜかといったら、このままほっておいたらたいへんだということから議論しているわけです。当然検察庁のほうも裁判所のほうも、公害に関していろいろな判決なり起訴なり何なりということで動いていらっしゃる。そういうことだけでも事務屋がずいぶんふえてくる、こういうことにもなっていくわけです。同じように、これからの志望者が足りないということは、将来に向かってどうだということの御心配が当然生まれてこなければならない、それにはいろいろなことが考えられなければならない、こういうことになってくるわけですけれども、そういう点も十分前向きに問題をとらえていただいてお考えになっていただかないと、憂慮すべき事態が起きたらたいへんだ、こういうことになってまいります。たとえば毎年任官する方なり、あるいは裁判官志望者がゼロになった場合には、一年間ゼロだったらどうなるかということになってくるわけです。そういう方向にいかないとは限らない現状でもあるということが考えられます。 これもやはり人が足りないというところで問題が起きたんだろうと思いますけれども、法廷の記録を録音して、そしてそれを下請でしていらっしゃるということを聞いたんですが、これは大きな問題だと思うのですけれども、そういうことがあるんでしょうか。あったらどういうふうにしていらっしゃるんでしょうか。
○長井最高裁判所長官代理者 法廷における各般の供述を録取いたします方法として、ただいま御指摘のような方法が実験的にとられていることは事実でございます。民事訴訟規則の十条、刑事訴訟規則の四十条におきまして、法廷で録音機の使用が許されることになっておりますが、その録音いたしました結果を反訳のたんのうな外部の人に委嘱いたしまして文字にしてもらう、その内容を担当の責任のある書記官が録音に基づいて逐一チェックいたしまして、誤りのないと認めたものを調書といたすという事実上の手続が行なわれているわけでございます。 このような要請が出てまいりましたのは、先ほど人手が不足しているからという理由の御指摘がございましたけれども、始められました動機はそのようなものではございませんで、御承知のように今日は迅速とともに正確が非常に時代の要請とされております。各般の能率的な機械の発達によりまして録音がきわめて簡単に迅速になされますので、これを反訳いたしまして逐語録をつくるということは一般の取引の社会では十分に行なわれておるところでございます。裁判所はとかく保守的で、そのようなものの採用にもおくれがちだというような御指摘もなされておりますので、そのような面で時代の要請にこたえるという努力がこの試みとなったわけでございますが、たまたまこれがきわめて迅速に反訳ができ上がるというような結果、要望が多くなりまして、しかも要領調書をつくるということは要領の取りまとめということに非常な努力と時間を要する関係がございます。その結果も、逐語録に比べればやはり読んだ人にとっては場合によると十分な要約がなされていないというような感想もお持ちのことがございますので、逐語録への時代の要請というようなものがこういう試みとなったものでございます。ただ実験的なものでございまして、成果を得ましたら十分な法的、予算的な手当てをいたしまして、この要望にこたえるようにいたしたいと考えている次第でございます。
○沖本委員 まあ私は詳しいことはわかりませんので、ただ感覚的に御質問しているだけなんですけれども、それにつきましても個人の秘密であるとかいろんなものが介在してきて、そのために裁判所のほうで、一つ一つ専門に記録をおとりになる、裁判所内で事が済まされていく、外に秘密が漏れない、そういうふうになるのじゃないか、というような角度からも考えられるわけですが、ただそれは民事の場合だけに限られておるとか、あるいは一定のものに限られて記録はとられていくのであるとか、そういうふうな秘密を要するようなものについてはそういうものは出さないのだとか、いまのお答えによりますとまだ発展的に将来この問題を検討していく、こういうお答えでもございますから、それはいま実験的な段階だと思います。御答弁があったわけですけれども、これは全般的にそういう方向に向かっていくのか、ごく一部でそういうことを行なうのであるか、秘密は保てるものであるとか、また法律的に解釈してそういうものは必要ないんだとか、こういう点についてお答えいただきたいと思います。
○長井最高裁判所長官代理者 まず秘密保持の点から申し上げますと、もちろん公開を禁止されました法廷の供述の録取というようなものは、これは裁判所の内部で要領調書の作成なり反訳なりをいたしますから、秘密保持の義務を侵すというようなことはないように十分に手当てができるものと考えます。 それから、御承知のようにただいま法廷は公開が原則でございますので、公開されました法廷における供述の内容を録取いたしましたものも、これはもちろん秘密性はないものと考えられます。ただ、無責任な一部の抜粋とか、事前に広く流布されるというようなことは十分に手当てをいたさなければならないと考えますので、そのような点については、それぞれ録取内容だけを反訳に出しまして、供述者の名前などは録音の際、その部分を別にするというような事務上の合理的な措置を考えることもできるわけでございますから、そのようなことは十分に現在の実験段階においても配慮いたしておりますし、将来これが制度として正式に採用されます際には、法律、規則等の手当てがなされることと考えておる次第でございます。 それから、これが全般的に用いられるかどうかという点につきましては、いろいろ今日の能率機械の発展の状況とか、それから職員の事務処理能力とか人員、いろいろな要素がございますので、こういうものを実験の段階で十分に検討いたしまして、無理のない採用の方向を定めたいと考えている次第でございます。
○沖本委員 どの辺まで実験されるのか、めどはどの程度なんですか。
○長井最高裁判所長官代理者 ただいま、国会で御審議をいただきました予算で認められております金額は一千万円を下回る金額でございまして、現在は東京地方裁判所の一部分の、数カ部で実験をしているにとどまります。予算も、実験の段階であります以上、これをどの程度まで広げ得るやは今後の折衝にまつわけでございますが、その実験の結果を見まして、どの程度に採用できるか決定されるわけでございますから、いまあらかじめ全面的に採用するとか、刑事には採用しないとか、こういう点につきましては、法律的にも、また今日のいろいろな機械の性能等に関しまして、あるいは人員の点からも慎重に検討させていただきたいと考えているわけでございます。
○沖本委員 それは結局許された範囲内というとおかしいですけれども、そういう点は十分お考えになって、一カ所に限られ、ある内容的に限られてそういうことが実験が行なわれておる、こう解釈していいわけですか。
○長井最高裁判所長官代理者 これは実験的な段階でございますので、当事者の希望しないものを強行するというようなことはいたしませんが、実情を申し上げますと、迅速、正確というような観点から当事者が非常に熱望いたしまして、むしろこの予算的手当てができます前、また予算の実際に配賦されている以外のところでも、当事者自身が費用を負担するからこの方法でやってほしいというような要望も各地でかなり出ておるような状況でございます。したがいまして、実験で無理をする必要は毛頭ないわけでございますが、当事者の意向に反したやり方というものはいたさないように配慮いたしているつもりでございます。
○沖本委員 終わります。
○谷川委員長 青柳盛雄君。
○青柳委員 最高裁にお尋ねをするのですけれども、先ほど法務大臣が、この特別職と最高裁長官などの給与とが何か連動式になっているということは再検討の必要があるようなことを言っておられたので、私もそんな感じがするわけなんです。 大体、よけい取り過ぎるから寄付して何とかかっこうつけるなどということはおかしいのであって、これが、寄付するにもかかわらず内閣委員会のほうでは通過したとかいう話で、どうもおかしなことだと思うのですが、それも連動しているから、最高裁の裁判官などのことも考えて通過さしたのかどうか、そこがわからないのですが、最高裁のほうでは、少なくとも一般職に準ずる分の裁判官などについてはともかくとして、それ以上の裁判官についての給与を連動式にしておくことに、何かふしぎなものを感じませんか。いかがですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官の報酬がどのようにあるべきかということは、司法制度の独立ということとも関連いたします非常に大きな問題でございまして、新しい憲法が施行されまして以来問題となっておるところでございます。 実は、もう十年ほど前になりますが、昭和三十九年の、内閣に設けられました臨時司法制度調査会等におきましてもこの問題を御検討になりまして、慎重に御審議になりました結果、やはり裁判官の給与、報酬の体系というものについては、独自の体系を樹立することを目途として努力すべきではないかというような御意見を内閣に提出されたという事情があるわけでございます。しかし、裁判官の報酬をきめるということになりますと、現在の物価の不安定な状況といったようなものも加味してまいりますと、なかなかむずかしい問題でございまして、私どももそういった独自の体系というものが立てられてしかるべきであるということについては全く同感でございますけれども、実際の問題といたしましては、今日まで特別職の給与、ことに総理あるいは国務大臣の報酬といったようなものとの関連におきましてきめられてきておるというのが実情でございます。連動ということは、結果的にそういうふうに準じておるわけでございますが、別にそれと必ず結びつかなければいけないというふうに考えておるわけのものではないわけでございます。
○青柳委員 最高裁長官の場合、今度、報酬月額が九十万円になっていますね。手当などがつきますと月額が百三十一万円余りになる。年額にして千五百八十万円余りになるわけですね。これは最高裁の長官クラスの弁護士の収入と比べて、はたして均衡がとれているかどうかなどということは何ともいえませんけれども、一般庶民的感覚から見ると、月額百三十万円、年俸千五百八十万円というのはたいへんに高額なものじゃないかというふうな感じを持つのですが、しかも今度、三年据え置いたのに上げ幅が、その三年分を取り戻すみたいに三五%という非常に膨大なものだと思うのですね。こういうことははたして妥当かどうか、最高裁としては考えたことありますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、三権分立の一つの機関といたしまして、最高裁は重要な役割りを持っておるわけでございます。最高裁長官は、十五人の裁判官の中で裁判官会議を総括され、大法廷の裁判長としてお仕事をなさるわけでございます。そのお仕事の重要性といったことを考えてまいりました場合に、私は九十万という金額も決して高過ぎるものではないというふうに考えておるわけでございます。
○青柳委員 はからずも、最高裁長官の仕事が非常に重要だから、年俸千五百八十万でもおかしくないというお話でございましたが、その重要な職についた場合に、国民審査を受けないでよろしいという、かつて最高裁の一般判事、裁判官とは概括的にはされるけれども、判事であった人が今度長官という職に任命がえになった場合に、憲法できめられた国民審査を受けないというのはおかしいという議論が、主として日本弁護士連合会あたりでいろいろ検討した結果出てまいったわけです。そこで、このことについてはすでに当法務委員会でも、いつの時代だったかに論議されまして、自治省の係の方から一応説明があったと思うのですが、自治省の選挙部長の方、見えていますか。この問題は、すでに詳しく理由を付して意見書が提出されておりますから、ここでは時間の節約上申し上げませんが、どういう措置をとるおつもりか、それをお尋ねしたいと思います。
○山本説明員 ただいま御質問のございました最高裁長官に最高裁の判事から任命をされました場合に、その後行なわれる総選挙の際に国民審査が必要であるのじゃないかという問題でございます。ただいま御指摘のとおりに、日本弁護士会等から御意見が中央選管に対しましても提出をされております。中央選管、この国民審査の事務を管理し、執行いたします機関といたしましての中央選挙管理委員会は、その点につきましてもいまたびたび協議を重ねている段階でございます。ただ、御案内のとおりに、すでにとの問題につきましての事例といたしましては、横田正俊元長官が三十七年に裁判官になられました。四十一年八月には長官に任命されておるわけでございますから、この方の事例といたしまして三十八年の十一月に国民審査を受けられました。長官任命後は受けないで退官をされたという事例が、総選挙はございましたが受けられなかったという事例が最近ございます。また現在の石田長官におかれましても、裁判官に任命された段階におきまして国民審査はございました。長官になられましてから後、総選挙がすでに一回行なわれておりますが、この際には国民審査に付されていないわけでございます。かようなことになりました考え方につきましては、先ほど青柳先生からおっしゃいましたように、かつてこの法務委員会におきましてもいろいろ御論議がございました。政府側といたしましては、法制局のほうからも考え方について御答弁を申し上げたところでございました。中央選管といたしましては、この次、さらにどうするかというのは現在の段階ではもちろん決定をいたしている時期ではないわけでございますが、かりに解散ということになれば、その時期におきましてどなたをこの次の総選挙の際に審査に付するかということを論議する際に決定いたしたい、かようなことで、現在は研究と検討のための論議が中央選管において重ねられているというような状況でございます。
○青柳委員 解散になってから公表するという、きわめて、われわれにとってみるとどういうことになるのか、解散して国会がなくなって、衆議院は少なくともだれも質疑も何にもできない状況になってから、国民審査には石田最高裁長官はもうかからないといったようなことになっても、もうあとの祭りなんで、本来ならば、いまのうちに結論は出しておくべきではないかと思うのですが、そういうふうには中央選管との間に自治省は打ち合わせをしておらないのですか。
○山本説明員 ただいま申し上げましたように、問題につきましていろいろの下準備のための論議は中央選管といたしてもたびたびやっているところでございます。しかしながらいついかなるときに解散があるか、したがってその時期によりまして審査される方というものはきまってくるような問題でございます。ただいまの時点でどなたかというようなことを申し上げる段階でない、委員会のほうにおかれましてもさようにはお考えであろうと存じます。
○青柳委員 確かに具体的にだれが審査にかかるかというようなことは、解散がいつ行なわれるか、それまでに裁判官の変動があるかというようなこともありますから、それは当然のことだと思いますけれども、日本弁護士連合会あるいは学者あたりが提起している問題は、何も一石田最高裁長官にかかわる問題ではなくて、最高裁判所判事であった人が一ぺん国民審査にかかった、しかしその後最高裁長官に任命された、その場合にもう一ぺんやるべきものなのかどうかということは、一般論として当然考えておかなければならないことだと思うのです。過去において横田さんがどう、あるいは石田さんがどうというようなことが何か合理的な根拠でもあるかのごとき議論とは、日弁連あたりの議論を聞いてみますと、とても思えないわけです。だからこの辺のところは、いまのような答弁でなしに、一般論ですから、何か意思表示をすべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○山本説明員 その関係、ただいま前例を二つ申し上げたわけでございますが、政府なり自治省といたしましては、この最初のときにやはり論議はなされているわけでございまして、その論議の際には政府、自治省としては法制局等とも相談をいたしまして、ただいま申し上げました前例になりますような結論を出してやってまいった事案でございます。その際にはこういう問題について世の中ではあまり論議がなかった次第でございますが、そういう問題といたしまして憲法の解釈として政府はどう考えるのかということを部内的には詰めました上で処理いたした事項でございます。その辺のところがいまの日弁連のほうの御見解とは違ってきたということであろうかと思います。
○青柳委員 ここで論争を続けようとは思いませんけれども、たとえばある裁判官がいわゆる最高裁判事として任命された、そして引き続いて最高裁の長官に任命された、その間には総選挙はなかったという場合に、一体二つについて審査を受けるというのであるか、最初の判事としての任命行為を審査すれば、もうあとの長官としての任命は審査の対象にする必要なしというような考え方まで検討しているのかどうか。これはすでに検討した検討したと言っておられるから、その当時どうだったのか、それをお尋ねしたい。
○山本説明員 その当時の検討のしかたといたしましては、横田正俊氏について起こってまいりました。最初に判事として任命され、その後国民審査を受け、その後長官に任命され、その次の総選挙においてもう一ぺんやる必要があるかどうか。もちろん十年たっていない間にもう一ぺん総選挙がきた場合にやる必要があるかどうか、こういう論理の具体の問題でございましたので、その問題というかっこうで検討をいたしたわけでございます。
○青柳委員 私の質問には答えていらっしゃらないわけです。私のは中間に選挙はないんですよ。だから最高裁の判事に任命され、さらに最高裁長官に任命された。二つ任命行為があるわけです。その後に総選挙があった場合には、一体前の分が審査の対象になるのか、あとの分が審査の対象になるのか、あるいは同時に二つとも審査の対象になるのか、その任命行為が審査の対象になるのですから、それを検討したことがあるかという質問ですよ。
○山本説明員 その点になりますと実質的な論議の中になるわけでございますが、任命行為が対象になるという、この任命行為がということばの持つ意味、最高裁の大法廷におきます判決におきましても、この国民審査の制度は実質は解職請求制度である、任命行為を対象にし、その任命行為の適否を判断するものではない、こういうのがすでに最高裁の判決として出ているわけでございます。そういう考え方をもとにいたしまして実質論的に長官も一般の最高裁の判事も、国民審査の立場からは最高裁の判事、裁判官であるという立場で、同一であるという観点から、ただいま申し上げましたような解職論をとっているわけでございます。そういう点で申し上げますと、ただいまの御議論とはちょっとすれ違ったかっこうになるのではないか、かように存じます。
○青柳委員 裁判所法三十九条四項には、「最高裁判所長官及び最高裁判所判事の任命は、国民の審査に関する法律の定めるところにより国民の審査に付される。」と書いてある。だから、裁判官の適格であるかいなかということを究極的には審査に付されるわけだけれども、任命行為が正しいかどうかということをも含めて、むしろそのほうに審査の重点があるといってもいいんじゃないか。だから、場合によって罷免されるような結論が出たときには、任命した政府の政治責任というものを問われる結果になるようなものではないかと私どもは考えているのですが、いまのお話では任命は問題にならないんだというようなことなんですけれども、はたしてそうでしょうか。そうなると、裁判所法三十九条四項の文言というものをきわめて恣意的に解釈した結果になりませんか。
○山本説明員 いろいろと論議のある点だと存ずるわけでございますが、政府部内で検討をいたしましたところでは、やはり憲法上のこの国民審査制度というのはどういう趣旨であるかという点から実質的に判断すべきである。そういう観点からいけば、やはりいま最高裁の判決にございましたように一種の解職制度と同様でございまして、その裁判官の、最高裁の判事の方が判事として適当であるかどうかというところに力点が置かれるものである。その観点からすれば、任命のやり方は確かに憲法七十九条一項によって違っておりますが、その国民審査を規定いたしました二項は、すでに長官も判事も含めまして最高裁判所の裁判官ということばで概括をいたしておるわけでございまして、そういう点から申しましても一括したものではないかというような観点から、ただいまのような結論に達しているわけでございます。
○青柳委員 このことで時間をあまりとれませんから、今度は法務省のほうに別の問題についてお尋ねいたします。 先ほど法務大臣にも検察官の職務のあり方などについて触れたわけです。それは、やはり検察官が中正、公正な立場で職務を行なうということが当然のことであって、何か政治に癒着するというか従属するというか、そういう形ではおかしいんじゃないかということで、法務大臣も別に異論はなかったようですが、最近警察が治安警察というか、公安警察というのですか、いわゆるスパイ行為を盛んに強行している。最もひどいのは、かつて名古屋大学の学生であるある女性をスパイに仕立て上げ、そして公安情報を収集した。この女性には窃盗癖があるということを知っておったというのですが、その知っていながらこれを活用して、簡単にいえば警察御用のどろぼうとして情報の収集をそそのかし、これに報酬を払っておった。たまたまこの女性が放火癖もあったというのですが、放火癖があったかどうかは私にはよくわかりませんけれども、やはり情報収集には放火でもして、どさくさまぎれに情報を盗むということも一つの手段ではなかったかと思うのですね。これはとうとう検挙され、起訴されて、懲役三年の判決が下ったわけです。そして、本来放火ですからもっと重い刑でなければならないけれども、警察に踊らされたというようなことも情状酌量の一つの理由になって三年の刑になり、検察官も本人も控訴しなかったから確定した。こういう事案です。 これについて昭和四十五年当時、その問題が起こった当時、名古屋大学の先生方が、共産党や社会党や民主団体の方々とともに警備公安スパイ糾弾各界連絡会議というものをつくられて、そして法律家の四団体、つまり日民協名古屋支部、青法協名古屋支部、東海労働弁護団、自由法曹団東海支部というようなものがそれに参加して、告訴、告発を行なったわけです。これに対して、判決がまだ出ないからというような理由で中止処分というのを検察庁は行なっているわけです。ところが判決はもうすでにことし出たわけですね。もうすでに出たわけですが、その中止処分というのはその後どうなっているのか。判決が出たのはことしの八月の七日ですか、もうだいぶ日がたっておるのです。この告訴事件はだれが相手であるかといえば、竹内愛知県警公安第一課長その他四名ということなんですが、これをお尋ねしたいと思います。
○辻(辰)政府委員 ただいまの告訴事件の処理でございますが、突然のお尋ねでございますので、現在その結論がどうなっておるかお答えすることができません。至急調査いたしましてお答えいたします。
○青柳委員 それでは、これはホットの問題ですが、どうも私どもから見ると、総選挙も近いというようなことになると、とかく問題が起こされる可能性があるように思うのです。 実は共産党の静岡県の中のある地区委員会の委員であった男が、十年来静岡県警のスパイに仕立て上げられて、金品とか主食で懐柔されたり、あるいは逃げようとすると脅迫あるいはその他暴行に類することも受けている。とうとう共産党に、その苦境からのがれようとして自分の非を述べたというようなことから摘発が始まったのです。 そうすると、今度は警察のほうは開き直って、摘発をした共産党の役員の人たちあるいは修善寺の町会議員を逆に何か公務執行妨害のような罪名をくっつけて逮捕し、さらに強制捜査を行なう、家宅捜索を行なうというようなことまであったのです。これは勾留請求が裁判所のほうで却下され、準抗告も通らなかったものですから、一応釈放されているわけですけれども、これに対してこのようなスパイ行為を行ない、さらには不当な逮捕などをやった責任者である県警本部長ら七人を職権濫用罪で、静岡地方検察庁に告訴したという事実があるわけです。これがことしの十月二十日前後だったと思います。これは法務省のほうではそれを聞いておられるかどうか、そしてまたどのような状況になっているかわかっておるかどうか、それをお尋ねしたい。
○辻(辰)政府委員 ただいまお尋ねの事件でございますが、現在静岡地方検察庁におきまして、ただいま御指摘のとおり、日共党員に対する警察官の公務員職権濫用等事件として、また警察官に対する日共党員の集団暴行事件として、この両事件として現在両事件を捜査中でございます。 最初に申し上げましたこの日共党員に対する警察官の公務員職権濫用等事件のほうにつきましては、告訴されております被疑者である静岡県警察本部長以下七名の警察官につきまして、すでに事情聴取を終わっております。 あとの警察官に対する日共党員の集団暴行事件のほうにつきましては、その被害者であるとされております静岡県の大仁警察署勤務の警察官二名につきまして、それぞれ事情の聴取を終わっておりますが、その他は現在鋭意捜査を続行して-おるところでございます。
○青柳委員 どうも法務省管轄の公安調査庁も盛んにスパイをやっているわけですね。わが党に対する目に余るスパイ行為があるわけですが、警察もこれに負けずにやるわけなんです。私どもはいずれも憲法違反であるし、人権じゅうりんであると考えているわけでございますが、どうも同じ穴のムジナみたいな形で、せっかく警察の不法行為を検察庁に提起しても、これが不問に付されるというようなことであっては、これは事実上警察の下請機関になってしまう。先ほどから問題になっておりますように、独立した形で検察庁は職務を行なうべきであって、警察の延長のようなものであってはならないという議論だって、眠れる検察改造論の中にも出てきておるわけであります。だから、先ほどの御答弁ではある程度調べが進んだというのですが、そうすると結論はどういうふうになりかかっておるか、それはわかりませんか。
○辻(辰)政府委員 本件は、先ほど申し上げましたように現在検察庁において鋭意捜査中でございます。 ただいま御指摘にもございましたように、この二つの事件はお互いに関連しておるわけでございますが、警察官のいわゆる情報収集活動に行き過ぎがなかったかどうか、また日共党員の警察官に対するいわゆる抗議行動に行き過ぎがなかったかというような、まことに慎重に判断をしなければなりません問題点を含んでおるようであります。そういう観点から、検察庁におきましては厳正公平な立場を堅持いたしまして、適正な捜査と処理を行なう方針で事を進めておるというふうに承知をいたしております。
○青柳委員 まあ時局柄非常に重大な問題を含んでおりますので、厳重な処置を急速にとられるように要望して、終わります。
○谷川委員長 次回は、明四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十五分散会